くにさくロゴ
1992/01/29 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第3号
姉妹サイト
 
1992/01/29 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第3号

#1
第123回国会 本会議 第3号
平成四年一月二十九日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成四年一月二十九日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
   )
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続
 )
 北海道開発審議会委員の選挙
    午後二時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。佐藤観樹君。
    〔佐藤観樹君登壇〕
#4
○佐藤観樹君 カラスが鳴かない日はあっても、「共和汚職」「阿部文男代議士」「東京佐川」の報道のない日はないという異常な政治不信の中での国会であります。二十一世紀に向けて世界が激動し、新しい秩序を求めて、日本の政治が大きな役割を果たさなければならないこのときに、ロッキード、リクルート、そして共和と次々に起きる疑獄事件で、日本の政治を三流どころか四流、五流としてしまった歴代自民党政治の責任は、はかり知れないものがあります。(拍手)
 私は、このようなときに当たり、日本社会党・護憲共同を代表して、宮澤総理に、日本の政治を改革する課題を中心に、我が党の提案も述べつつ、昨日の田邊委員長の質問を補完する立場で質問をいたします。(拍手)
 リクルート疑獄を機に政治浄化が言われ、海部前総理が政治改革の海部として登場し、リクルート疑惑の閣僚は一人もいないと胸を張ったあの第一次海部内閣で、北海道開発庁長官、沖縄開発庁長官を務めた阿部文男代議士が逮捕されました。伝えられるところでは、同じ第一次海部内閣の建設大臣、第二次海部内閣の総務庁長官も、同じ共和とのおつき合いがあったということであります。
 私たち社会党は、当時、リクルート疑惑をうやむやに終わらせるべきではないと論陣を張っていたのでありますけれども、自民党や海部内閣は選挙制度に問題をすりかえてしまいました。今から考えると、背後にはこのような事実が進行していたのかと思い知らされるのであります。(拍手)
 逮捕された阿部議員は、事件発覚まで宮澤派の事務総長を務められ、宮澤さんが総理になるのに大変な功績のあった方であります。その阿部議員を事務総長にしたのは、宮澤さん、あなただという報道もあります。また、今回問題になっている金も、宮澤総理実現のためにも使われていたとも疑われているのであります。
 そればかりではありません。あなたの派閥の有力者である鈴木善幸元総理の名前も登場しますし、宮澤派幹部の名前も登場します。一部の報道では、阿部議員が大臣になるための猟官運動に絡んで、金を渡すべき相手として宮澤さんの名前も登場しています。
 宮澤総理、あなたの周りは共和疑惑でいっぱいであります。政府や自民党は、この事件を阿部議員の個人的な問題として処理しようとしているのでありますが、歴代自民党政治の根深い金権体質そのものが問われているのであり、トカゲのしっぽ切りで済ますわけにはいきません。まさに総理自身の問題であり、宮澤内閣の政治責任を問われる問題です。
 昨日の総理の答弁では、まことに遺憾とか、国民に深くおわびを申し上げるとか、私の意見は差し控えさせてもらうということのみで、答弁になっておらないのであります。この政治責任について、総理はどうお考えになっているのか、もう一度明快な御見解を賜りたいと存じます。(拍手)
 さらに、阿部議員につきましては、逮捕と同時に自民党に離党届を出し、宮澤派も離れたとのことでありますが、これでけじめがついたというわけにはまいりません。国会議員の疑惑に対するけじめは、議員辞職によってつけるべきではないでしょうか。私は、本国会において阿部文男議員の議員辞職勧告を決議すべきことを提案をいたします。
 宮澤総理、あなたは海部前総理と比べて政治改革に熱心ではない、政治改革を放棄したという声が初めからありました。しかし、阿部事件が起ころうと起こるまいと、二十一世紀に向けて、日本の政治の活性化のために、国民が期待をする清潔にして政策本位の政治を実現をするために政治と金のくされ縁を断ち切ること、一票の価値を平等にすること、そして政権交代が可能な政治土壌をつくるために政治改革が不可欠だと私は思います。戦後、保守政界に長い間籍を置く総理は、日本の政治の本質的な欠陥はどこにあると考えておられるのか、そのためにどのような政治システムに変えなければならないと考えておられるのか、そのビジョンをお示しを願いたいのであります。
 あわせて、昨年八月の政治改革国会が失敗したのは、野党がこぞって反対した小選挙区制の導入を強行しようとしたことであり、また与党自民党の反乱もあり、失敗した原因でございました。現在、自民党の中でもなお、あの三法案の復活か、政治資金規正法の切り離しかと議論が分かれているようでありますけれども、小選挙区制導入をもくろんで前回の失敗を繰り返さないために、総理がどのようなリーダーシップを発揮をしてこの待ったなしの問題に対応するおつもりなのか、参議院選挙までに一体何を実行しようとしているのか、今後のスケジュールも含めて所見をお伺いをしたいと存じます。(拍手)
 さて、総理が大蔵大臣として関係したリクルート疑惑、この間に起きた稲村元環境庁長官の巨額な脱税事件、今回の共和事件、多くの議員が関与しているとうわさされる佐川急便をめぐる疑惑など、国会議員の政治倫理の問題が続出しております。
 これまで政府・自民党は、こうした事件の元凶は、金のかかる選挙制度にあると責任転嫁をしてきたのでありますが、阿部議員に関して伝えられる報道は、大臣になるためには派閥の領袖宮澤さんや元総理に金を配らなければならないという話であります。政治腐敗の元凶は、金のかかる選挙制度というよりは、私たちが指摘してきたように、議員のポストも大臣のポストも金で買うという自民党の体質にこそあることを明瞭に示していると思うのであります。(拍手)したがって、総理は、すべてを選挙制度の問題にすりかえるのでなく、きちんと政治倫理を確立し、定められた政治資金、選挙資金で各政党、候補者が競い合う政治風土を確立すべきであります。
 野党は、既に昨年の政治改革国会において、国会議員の資産と私的収入、企業、団体との関係を公開すること、政治倫理を専門に扱う常任委員会を国会に設けることを骨子とする政治倫理法案を野党共同で提出いたしました。野党の用意はできているのであります。自民党さえその気になれば、今回のような事件は今後は防げるはずでありますし、阿部議員の問題の審議は政治倫理委員会に付され、予算委員会は本来の予算審議に専念できるのであります。
 総理、昨日の答弁では、政治倫理の確立を期するため政治改革の実現に全力を挙げる、とのみで、どのようになさるのか、さっぱり見えてまいりません。この野党案をたたき台に、政治倫理法の成立に向けて努力される御決意を承りたいと存じますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 さて、共和から阿部議員への金の流れもまた、政治が企業に依存する姿を示したものであります。かつて最高裁は、八幡製鉄の政治献金問題に関して、企業献金合憲の判決を下しました。この判決を受けて今日まで政府・自民党は、企業も社会的な存在だから献金も許されるとの見解を示してきました。しかし、その結果がロッキード、リクルート、共和の疑惑になったことを考えれば、今やこんな陳腐な論理を振り回していては、国民の納得は得られません。
 また、リクルート疑惑では、献金額が政治資金規正法の制限額をオーバーした場合は、受け入れ側の政治団体を二十も三十もつくるという脱法的行為が行われました。そこで、政治献金の受け入れ団体の数を制限する話も出ておりますけれども、阿部議員のようにすべてを裏金にしてしまえば、発覚するまでは知らぬ顔を決め込めます。企業献金自体をなくし、企業から金が流れているというだけで問題になるようにすることが不可欠なのであります。
 今日では、財界の中からさえ、自民党に金を出し続けた財界にも責任があるという声も出ているのであります。もはや企業献金を禁止すべきときに来ていることは、衆目の一致するところであります。
 社会党は、企業献金と個人の集合体である労働組合の献金とは性格が異なるもので、労組献金は禁止する必要はないと考えます。しかし、自民党がこの汚職構造の元凶である企業献金禁止に同意し、個人献金のみといたすならば、私どもも献金を個人献金のみといたします。そのかわり、政党活動、政治活動に必要な資金は、国から交付金を出すように提案をしておるわけであります。社会党は、既にこの提案を、前々国会の政治資金規正法の改正案と政党交付金法案を提出したことにより表明してきたところであります。
 政府もまた、政治改革国会において、政治資金規正法の改正案と政党助成法案を提出しました。しかし、政府案は、中央、地方を合わせて一千億円に上る企業献金を存続させたまま、その上に国民の税金を政党に出そうとするものでありまして、このような税金の支出はとても国民は同意することができません。
 しかし、企業献金を禁止し、政治が浄化されるなら、すなわち、再びロッキード疑獄、リクルート疑惑、共和事件が繰り返されない保証があるなら、国民の皆さんも、議会制民主主義の確立のための必要経費として、政党を中心とする政治活動に国民の税金を使うことを認めてくれるのではないでしょうか。
 私たちは、リクルート疑惑の後の国会で、選挙区内への寄附の禁止と虚礼の廃止を徹底する公職選挙法の改正を行いました。当初は、その程度では大した改革にはならないと言われましたけれども、最近の自民党議員の方の話として伝えられるところでは、月に三百万円も経費が減ったという話すらあるのであります。これは、議員の努力もありますけれども、同時に国民の皆さんが、法改正を機に、議員に金を使わせることはやめようと理解してきたということのあらわれであります。国民の皆さん方も目覚めております。まず国会が決意することが必要です。自民党さえやる気を出せば実現できるのであります。総理の御決断を求めます。(拍手)
 さて、今回の事件でも、阿部議員が買収行為を行い、運動員の選挙違反事件の訴訟費用まで共和に負担させていたことが報じられていますけれども、阿部議員自身はのうのうと議員を続けているのであります。したがいまして、金権選挙の根源としての買収、供応を根絶するには、運動員の違反行為でも候補者が連座して罪を負う仕組みがなければなりません。現行法では、運動員が違反をいたしましても候補者本人はなかなか失格しませんし、万一起訴されても、裁判を続けている間に議員の任期は終わってしまいます。これでは、違反してでも当選した方がよいということになります。ここに、イギリスのような包括的な腐敗防止法を設けることが強く期待されているのであります。
 社会党は、既にこの腐敗防止法の考え方を、政治改革国会に提出しました公職選挙法の改正案で提案をしております。すなわち、連座制の強化、裁判の迅速化、有罪者には衆議院五年、参議院七年の立候補制限を科することであります。
 とりわけ連座制に関しましては、現行の公選法では、地域責任者の違反行為に対する連座規定が、選挙運動の三分の一以上を総括する場合に限られているため、買収事件は頻発しているにもかかわりませず、失格した事例はないに等しいのであります。したがいまして、私たちは選挙の地域責任者の規定を、市町村の区域の選挙運動を総括した者として、連座制を適用する対象の拡大を提起したのであります。議員の親族、常時事務所にいる秘書等も買収、供応に対しましては、一定の条件のもとで連座制を適用する対象としております。
 このように、家族、秘書までも含めた連座制を強化し、裁判を速め、重い立候補制限を科せば、政治生命を失う危険を冒して金をばらまいて当選をしようということは、全く無意味になってまいります。このような改正点につきまして、総理の御見解を伺いたいと存じます。
 政治改革のもう一つの重要な課題は、一票の投票価値の平等を実現することであります。にもかかわりませず、政府・自民党はこれを棚に上げ、問題を小選挙区制の導入にゆがめてしまいました。しかし、小選挙区制導入は、前々国会において廃案に追い込まれたのであります。この際、宮澤総理は、選挙制度改革を本来の国民が求める緊急の課題、定数是正に戻すべきであります。
 一九八六年に採択された本院におきます抜本是正の国会決議は、放置されたまま五年を経過しています。既に一九九〇年の国勢調査の結果も発表され、最大格差は三・三八倍にも及んでいるのであります。
 定数是正に関して、一部に四増・四減などと、格差を三倍未満にすればよいとの不見識な意見が聞かれます。しかし、選挙権は国民の基本的な権利であります。私は、どのような理由があっても、一人が二人分の権利を行使することになる格差二倍以上は許されないと考えますが、総理は、現行のままでも憲法上も政治論としても解散が可能だとお考えなのでしょうか。総理の御見解を承りたいと思います。
 既に我が党は、前々国会におきまして、格差を一・五六倍に抑えた定数是正案を提案をいたしました。細部にわたりましては各党で十分協議をすればよいわけですから、各党におかれても社会党案を十分御検討いただき、自民党も早急に定数是正案の御提案をお願いしたいと考えますけれども、総裁・総理の御所存をお伺いをし、政治改革をめぐる質問を終わりたいと思います。総理はひとつできるだけ具体的に答弁をされることをお願いを申し上げます。
 次に、日米関係についてお尋ねしたいと思います。
 ソ連邦が崩壊をし、軍事関係のウエートが減る中で、日米の経済関係はますます重要さを増しています。年初のブッシュ大統領の来日により日米首脳が率直に意見を闘わせたことは、評価いたしたいと存じます。しかし残念ながら、東京宣言を見ましても、二十一世紀を前にした日米両国の国際的な役割や、その中での日米関係について、グローバルな視点から十分な話し合いが行われたとは申し上げられません。
 ブッシュ大統領の訪日の最大目的が自動車の貿易不均衡是正を中心とするものであったことは、周知の事実であります。日米の経済関係が自動車問題に矮小化されてしまい、我が国がアメリカ経済の活性化のためにどのように技術的な協力、貢献が可能なのか、アメリカの双子の赤字をいかに縮小するのかといった本質的な議論がなされなかったことは、まことに遺憾であります。特に、アメリカの自動車部品を百九十億ドルも購入する約束は、国内の下請中小企業メーカーに多大の犠牲を強いるものになると同時に、実際に可能かという疑問が多くの識者からも出され、できないことを約束すればかえって日米の友情に大きなひびが入ることになります。総理は、どのような展望のもとにこの約束をなされたのか、お伺いをしたいと思います。
 私は、本当の日米経済関係は、もっと根の張った、深いものであろうと考えます。個別の貿易摩擦の調整だけではなくて、さらに、日本企業の現地生産をふやしたり、投資を一層促進をすることも必要でしょうし、アメリカのインフラストラクチャーを、いわば経済基盤を改修するために、日本の資金を使って協力するところまで必要な状況になっているのではないでしょうか。少々旧聞に属しますけれども、ペンシルベニア州のピッツバーグの町と空港を結ぶアクセスに、マグレブというリニアモーターカーを導入して、ピッツバーグの町の活性化を図ろうという計画に、日本企業二十社が調査費の一割程度を負担をするというだけで、地元の皆さん方には大変な歓迎をされているという話も耳にしております。このような目に見える形でアメリカのインフラの改修まで協力していくことが必要な時代になったと思いますけれども、総理はいかがお考えですか。
 日米関係の改善が唯一の政治戦略と言われる宮澤総理、国民にわかるように、日米経済関係の今後について、そのデザインをお示しをいただきたいと存じます。
 総理の言う生活大国をつくるために必要な労働時間の短縮の問題につきましては、昨日、田邊委員長が触れられましたので省略をさしていただきますが、総理、あなたの施政方針演説の中で、高齢者の豊富な人生経験と知識は、社会の貴重な財産であると申されました。まさしくそのとおりであり、私は総理の考えに賛成であります。
 しかしながら、高齢者が今日それにふさわしい待遇を受け、人生の最後まで尊厳を保ち、自立の心を持って生きることができているかどうかというと、決してそうではありません。そのありさまは、介護が家族、とりわけ女性の大きな犠牲によって担われ、家族が介護に疲れ果てているのが現状であり、政府のゴールドプランによる中途半端な在宅福祉の水準では、こうした現状が改善されるとは期待できないのであります。政府が本当に高齢者を社会の貴重な財産として遇するというのであれば、第一に、介護を必要とするお年寄りができるだけ住みなれた地域と家庭で普通の生活が送れるように、ホームヘルパーの待遇改善、訪問回数や訪問時間の拡大に取り組み、また、老人福祉施設を生活の場としてとらえ、それにふさわしい居住性を高めるとともに、プライバシーを尊重するために施設の個室化を促進するなど、社会の介護力を抜本的に高めることが必要であります。
 そのためにも、第二に、日米構造協議に基づいた四百三十兆円の公共投資十カ年計画の中で、高齢者が暮らしやすく、利用しやすい住環境や公共施設の整備に重点的に投資を振り向け、福祉の町づくりに積極的に取り組むことが重要であります。こうした政策を実現するために、中央、地方、民間を含めて年間三兆円あれば可能だと考えますけれども、総理はこの課題にどう考え、どう取り組まれるのか、御所見をお伺いをしたいと存じます。(拍手)
 生活大国をつくるもう一つの担い手は地方自治体であります。国の財政七十兆円余に匹敵する財政を有する地方自治体と国が両輪になってこそ、狭い国土が有効に発展し、東京一極集中の排除は、地方が力を持つことから始まります。
 そこで、地方分権化と地方財政についてお伺いします。
 昨年、新行革審の豊かなくらし部会の細川会長が試案を提出し、かなり大胆な分権化を提起して各界の注目を集めました。しかし、この試案には各省庁の官僚の強硬な抵抗があったと伝えられ、十二月の第二次答申では、国の権限を試験的に自治体に移管する地方分権特例制度、パイロット自治体制度の導入が盛り込まれたのにとどまりました。総理、せっかく審議会を設けながら、このように官僚が主導したのでは、いい提案も生きません。このような審議会のあり方をどう考えますか、総理がリーダーシップを発揮すべきとお考えか、承りたいと存じます。
 また、こうした地方自治に対する国の考え方を反映して、補助金の整理合理化も進んでおりませんし、それどころか、来年度の地方財政対策におきましても、地方交付税交付金は八千五百億円が減額をされました。これは特例措置であるとのことでありますけれども、今年度の五千億円に引き続く二年続きの減額であり、地方財政の充実に逆行するもので、地方軽視のあらわれであり、これでは分権化の推進と地方財政の充実はできません。一極集中の排除と生活大国の実現を強調される総理としてどのような見解をお持ちか、伺いたいと存じます。部落差別の問題について質問いたします。
 我が国の深刻な部落差別の問題について、昨年十二月十一日に地域改善対策協議会は意見具申を行い、政府は、最大限尊重するとの見解を示してきたところであります。しかしながら、昨日の我が党の田邊委員長に対する答弁は、地対財特法の延長を示唆され、審議機関につきましては地域改善対策協議会をもって充てるとのことでありますが、審議機関は、意見具申どおり明確に審議会を設置し、今日までの状況を把握し、今後の実施体制、方法を樹立すべきだと思います。したがって、早期の差別解消のための有効な新法を制定されるよう重ねて要求をいたします。総理の御見解を明らかにしていただきたいと存じます。
 庶民の願いである土地問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 GNP世界第二位の経済大国と言われながら、一般市民、勤労者の生活意識の中にそうした経済大国としての実感がない理由の一つは、土地問題の存在であります。今日まで常に議論の対象となっておりましたが、バブルが破裂したと言われます現在におきましても、依然として土地問題が存在すると指摘せざるを得ません。
 昨年十二月に発表された国土庁の臨時地価動向調査によりますと、地価はピーク時に比べ、東京圏で三割前後の下落、大阪圏では三割から四割前後の下落、地方圏では総じて上昇傾向の鈍化が顕著になっているとしております。しかし、大都市圏では、地価はまだまだ今回の暴騰前の二倍以上という非常に高い水準にあります。このため、東京など首都圏に住むサラリーマンは、その生涯をまじめに勤め上げても、地価が余りにも高いため、住宅を購入することができないという現実を、総理はどのようにお考えでございましょうか。
 政府は、この臨時地価調査を根拠に、不動産融資の総量規制を解除いたしましたが、地価が依然として高水準であり、地価税はこの一月からスタートしたばかりで、土地利用制度の改革はこれからという状況にあることを考えれば、極めて危うい状況であると言わざるを得ません。土地問題は勤労者の問題のみならず、地方自治体が何の政策を実行するにいたしましても、土地問題が重要であります。総理はどのように地価対策を展開されるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。特に、都市計画法等の改正に当たって、再び地価の高騰を招くことなく、政府は強い決意を持って地価を引き下げ、真のよりよい町づくりを実現するよう強く要求をいたします。
 最後に、国民が毎日怒り、心配している消費税の問題についてお伺いをいたします。
 来年度の予算で歳入不足を補うため、七千三百七十億円の増税が安易に提起され、その上、自民党首脳の一部からも、国際貢献等のための財源として、消費税の引き上げが必要だとの見解が露骨に出されております。これでは国民は、消費税の税率が引き上げられるのではないかという不安を感じざるを得ません。今日必要なのは、自民党がかつて提案をした飲食料品の非課税の実現であります。これは、資産格差が拡大をしている中で、弱者救済という観点からもぜひとも必要な措置であります。総理、最近広がってきた消費税の税率引き上げに対する国民の疑念を払拭するために、宮澤内閣では消費税を引き上げることはない、飲食料品の非課税化に取り組むとの明快な答弁を求めて、私の代表質問を終わりますけれども、昨日の答弁を聞いておりますと、総理の答弁というのは極めて評論家的、何か人ごとのようなことに聞こえてならないのであります。どうぞひとつ、総理がこの二十一世紀の橋渡しとして、宮澤内閣のときにはこういうことができた、こういうものを残していく、そういう政治を実現をしていくために、総理の本当の気持ち、そしてそれを政策にあらわしていただく答弁を求めて、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 昨日も申し上げたことでございますが、かつて国務大臣の職にありました同僚議員が収賄容疑で逮捕されたことは、まことに遺憾なことでありますし、国民の皆様におわびを申し上げなければならないと思います。
 なお、この阿部議員の進退について御言及がございましたが、基本的には阿部議員御自身が判断せらるべき問題であると思います。また、現在当局が事実関係を究明しておりますわけでございますので、私の意見を申し述べることは差し控えさせていただきたい、昨日も申し上げましたが、そのように考えております。
 そこで、政治の基本について、御指摘のように、国民の信頼と負託にこたえなければならないということは御指摘のとおりであります。国民の政治への信頼を確保し、国民にとってわかりやすい公平な政治を目指すためには、政治家個々人の倫理の確立を図るとともに、政治や選挙の仕組みを、おっしゃいますように金のかからない政策を中心としたものにしていくことが必要であります。また、投票価値の格差是正を図ることも大事でございます。このため、政治改革はぜひともなし遂げなければならない緊急課題でありまして、私自身、全力を挙げて取り組む決意でございます。政治と金をめぐる問題を解決するためには、政治倫理の確立を図るとともに、金のかからない政治活動、政策を中心とした選挙が実現できるようにどのような制度を具体的に見出していくかということが問題なのであります。第百二十一国会に提案した政府案におきまして、選挙制度の改革と相まって、団体献金を政党中心に改めるとともに、政党に対する公的助成制度を創設することにしていたことは御承知のとおりでございます。
 そしてまた、御指摘の連座制の強化や、あるいは当選人に係る刑事裁判の迅速化等については、同じく第百二十一国会に提案した政府案に盛り込んでおります。また、これについては社会党からも御提案があったことは承知をいたしております。
 いずれにせよ、政治改革についてはその実現の方策を見出すことを目的に、既に各党間で設けられております政治改革協議会で御論議を深めていただき、できるだけ早期に具体的な結論が得られることを私としても念願しておりますし、政府といたしましては、この協議の動向を踏まえ、なし得る協力等について最善を尽くしまして、政治改革の実現が図れるように最大限の努力を払ってまいる所存であります。
 第百二十一国会に野党共同で政治倫理法案が提出されたことは承知をしております。また、自民党でも、既に政治倫理の確立のための国会議員等の資産等の公開に関する法律案と行為規範の実効性確保のための措置を議会制度協議会に御提案をしているところでございます。これは協議会で鋭意検討されてきたところでもあり、今後、各党間で十分論議を尽くしていただいて、できるだけ早期に結論を出していただけるようにお願いをいたします。念願をいたしております。それから、解散権のことについてお話がございましたが、法律論として申せば、衆議院の解散権は、憲法上、国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に与えられた権能であります。いかなる場合に衆議院を解散するかは、内閣がその政治的責任で決すべきものと考えます。現行の定数でありましても、衆議院の解散権の行使が法律的に制約されることはないと考えます。次に、日米間の問題についてでございますけれども、米国の基幹産業であります自動車及び自動車部品産業が直面している困難を克服するために、その問題がブッシュ大統領が訪日のときに話になりまして、我が国ができる限りの協力をしていくということは、長年の日米間の友好関係、また日米経済関係は、我々にとっても極めて大事なことでありますから、重要な問題だと思います。ブッシュ大統領が来日されましたときに、我が国自動車メーカー各社がこのような認識に立って、自主的に御自分の会社で、米国製自動車部品購入に関するかなり具体的な検討をされた結果の、会社としての目標を発表されたものであります。
 政府としては、行動計画に盛り込まれた内容が、日米の民間関連企業の誠実な努力によって達成せられるように期待をいたしますし、また政府として、政府の役割の範囲内でもとよりできるだけの努力をいたします。約束したことは誠実に履行をいたすつもりであります。
 日米両国がどういういわばデザインによって共通の責任を履行していくかということでございましたけれども、両国合わせますと世界のGNPの四割を占めます。しかも、自由、民主主義、基本的人権、市場経済等の価値観を同じくしておりますから、この冷戦後の世界が平和と民主主義のために発展をしていきますためにその流れを推進することは、両国にとっての私は共同の仕事であると考えております。そのようなことを東京宣言においてブッシュ大統領と私とが合意をいたしたわけでございます。また、経済関係につきましても、競争と協調を基調とした経済関係を発展させていくことが両国のためにも、また世界の繁栄のためにも大事である、そういう基本的な認識を持っております。
 次に、ホームヘルパー等々のいわゆる福祉政策についてお尋ねがございました。
 来るべき高齢化社会において、国民が健康で生きがいを持って生涯を暮らすことができる、そういう長寿社会としていくために、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、いわゆるゴールドプランを持っておりますことは御承知のとおりであります。そうして在宅福祉サービス及び施設福祉サービスの拡充に努めておるわけでございます。平成四年度予算案においては、在宅福祉を担うホームヘルパーの手当額を大幅に引き上げます。また、活動の充実を図りますとともに、老人福祉施設についても、特養、いわゆる特別養護老人ホームの面積の改善を図りますなど、入所者の生活環境の向上と処遇の充実を図ろうとしているところでございます。
 なお、高齢者が生きがいを持って安心して暮らせる社会を構築していくことは、私どもの考えております生活大国の重要な柱の一つでございます。その問題を含めまして、先般、経済審議会に新しい五カ年計画の策定をお願いしたところでございまして、ことしの夏前には一つの方向を出していただきたいと期待をいたしております。
 それから、四百三十兆の公共投資、これにつきまして、高齢化社会が到来する二十一世紀を考えてまいりますと、今のうちに、社会に力があるうちに、日本経済の成長力が強いうちに社会資本の整備を図っていきたいと考えておりまして、そこで十カ年間の公共投資総額を大幅に拡充して、四百三十兆としたわけでございます。
 その配分について申しますならば、経済社会の実現に向けて、生活環境、文化機能に係るものの割合を増加したいと考えておりまして、基本的方向として、高齢者が健康で安心して生涯を過ごせる長寿・福祉社会を今のうちに確立して、基礎を丈夫なものにしておきたい、そういうふうに考えております。社会福祉施設、保健医療施設の充実がそれに当たるわけでございます。
 この計画をどういうふうにいわばファイナンスしていくかということでございますけれども、それは、これからの各年度の財政経済事情によって異なってまいると思います。そのときどきで判断をいたすことが大事でございますけれども、もちろん建設国債もこれに使っていくことは大事なことであろうと思います。
 それから、行革審につきまして、せっかくこのいわゆる地方分権特例制度、パイロット自治体というものの考えが浮かんでおったのに、それがどうも具体化しなかったではないかというお話でございました。
 これは、いろいろ御議論がありまして、もう放棄をしたというわけではございませんで、行革審において地方分権特例制度の具体化の検討がなお精力的に行われることを期待しておりますし、十分にその成果を見守ってまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから、予算編成に際しまして、地方交付税の減額をしたことについてお話がございました。
 確かに、平成四年度の予算編成、国の税収が非常にいわば手元不如意の状態になってまいりましたので大変に苦労をいたしました。そういう意味で地方からも協力を願ったことはもうそのとおりでございますけれども、それによって地方財政の円滑な運営に支障が生ずるというようなことは、それでございましたら、もとよりそういう協力は願えないわけでございますし、そうならない範囲で御協力をいただいたということでございます。したがいまして、これは関係者の御理解を得てやっていることである、地方財政の安定的な推進というものに支障を生じないようにやってまいるということで合意ができております。
 それから、部落の差別問題につきまして、これは昨年十二月に地域改善対策協議会から意見具申がありまして、それによりまして私ども大綱をつくり、推進をしてまいりたいと思います。具体的には、平成四年度以降におきましても、「所要の財政措置を講ずべきであり、このため、現行法制定の趣旨を踏まえつつ、法的措置を含め適切な措置を検討する必要がある。」という提言でございますが、これを尊重いたします。したがって、現行法の制定の趣旨及び枠組みを踏まえまして、引き続き法的措置を講ずることにいたします。また、審議する機関が今後とも引き続き必要であるという御提言がございましたので、地域改善対策協議会はこれを存続させたいと考えております。
 次に、土地、地価対策についてお話がございました。首都圏のサラリーマンの住宅取得対策、地価対策についての考えはどうかというお尋ねでございました。
 国民の一人一人が豊かさとゆとりを実感できる生活大国の実現のために、住宅対策を強力に推進することが重要であるのは申すまでもありません。特に、大都市地域において、地価の高騰等により、勤労者の良質な住宅の確保が困難となるなど、住宅問題が深刻化しておりますことも申すまでもございません。
 このために、まず、総合土地政策推進要綱に基づきまして、適正な地価水準の実現に向けて総合的な土地対策を推進いたします。そうして、いわゆる大都市法に基づく住宅・宅地供給基本方針及びこれに即して策定された関係都府県の供給計画に沿いまして、都市計画制度との連携等による低利用・未利用地の有効・高度利用の促進、税制、融資、財政措置等による住宅供給の促進等の施策を推進をいたします。勤労者が通勤可能な立地において適正な負担で住宅を確保し得るよう、勤労者の平均年収のおおむね五倍程度を目安として、住宅価格の安定に努めてまいる考えでございます。
 消費税についてお尋ねがございました。今、三%の税率を動かす考えは私にはございません。また、飲食料品の問題につきましては、先般の両院合同協議会において、平成三年十月を目途に協議を続けられましたが、各党会派の意見の隔たりが大きく、その一致は見られなかったということでございましたので、立法府の御議論の経緯、結果を踏まえまして、先般の法改正をいたしました。ただいまその改正を円滑に実施することが当面最も大事なことだと考えております。税率を引き上げるというようなことは考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(櫻内義雄君) 金子満広君。
    〔金子満広君登壇〕
#7
○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、宮澤総理の施政方針演説に対する質問を行います。
 激動する内外情勢のもとで、今、日本の政治に求められていることは、歴史の流れに沿って冷戦の遺産を清算し、国民生活優先、そして平和、民主主義への転換を実現することであります。ところが今、国民の前には、世界の進歩に逆行する矛盾がさまざまな分野に露骨にあらわれております。
 その第一は、世界に例を見ない金権腐敗政治の問題であります。しかも今、焦点のリクルート事件も、共和事件も、ほかならぬ宮澤総理自身と自由民主党総裁選挙にかかわる重大な疑惑であります。この腐敗政治を一切のあいまいさを残さず徹底的に究明することは、今国会に課せられた重大な責務であります。(拍手)
 言うまでもなく共和事件は、金権疑惑のただ中にある宮澤内閣の誕生に共和の金が絡んでいる疑惑が持たれている事件であります。逮捕された阿部氏は、みずからの大臣就任という目的及び宮澤派事務総長として、宮澤総裁実現のために共和に献金を要求し、自民党の派閥の幹部や首相経験者に配り、派閥にも上納したとされているのであります。事態は阿部代議士個人の問題にとどまるものではありません。事は自民党、特に宮澤派の全体にかかわる疑惑であります。そうである以上、自民党の総裁であり、宮澤派閥、宏池会の責任者である総理が、この疑惑解明に最大の責任を負っていることは言うまでもありません。総理は、真相解明について施政方針演説では一言も触れませんでした。国民の前に真相解明の努力をすることを約束するかどうか、まず伺っておきます。(拍手)
 この疑惑には、幾つもの重大問題があります。
 その一つは、阿部氏が大臣になるために金を配ったと言われていることであります。その阿部氏を大臣に推薦したのは宮澤総理であります。推薦するに先立って、宮澤総理あるいは他の有力幹部がその金を受け取った事実があるかどうか、伺います。
 また阿部氏が、総裁選に金が要ると言って共和に献金を要求した疑惑であります。その総裁選とは、阿部氏が宮澤派事務総長をしていた昨年のことであります。阿部氏が事務総長であった期間の阿部氏と宏池会の資金の授受全体について、総理はみずからの責任において明らかにすべきであります。これは司法当局に任せて済むような問題ではありません。国会議員の政治倫理を定めた政治倫理綱領でも、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」このように義務づけているのであります。
 総理、リクルート問題でも、あなたへの疑惑は依然として重大であります。総理はそれを服部氏個人の問題だと主張していますが、三点セットの提出によって、宮澤事務所総ぐるみのものであるとの疑惑は一層深まっているのであります。疑惑を解明したいというなら、みずから進んであなたの秘書であった服部氏らの証人喚問に応ずべきであります。(拍手)
 総理は、共和事件に関連し、政治資金規正法についていろいろ言及していますが、金権腐敗政治の根源である企業、団体からの政治献金の禁止については全く触れておりません。私は、ここで改めて、政治資金規正法を改正し、企業、団体からの政治献金を禁止することを強く要求します。総理の答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、総理は選挙制度問題についても言及していますが、今やるべきことは、国会決議にもなっており、また公職選挙法で「五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正する」とされている現行中選挙区制のもとでの定数の是正であります。これは、議会制民主主義を保障する上で重大な規定であります。これをやらずに国会が解散できるとか制約はないなどと先ほども答弁されましたが、これこそ法を全く無視する暴論であります。重大な問題でありますので、改めて総理の責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二は、国民生活と福祉の問題であります。
 今、我が国が経済大国と言われている中で、国民の暮らしや福祉、教育、環境などに新たな困難が次々につくり出されています。一極集中がそうです。地価の高騰、看護婦不足、交通問題からごみ問題、そして農村の過疎化と乱開発であります。その根源が、政府の反国民的な行政改革、民間活力導入、そして国民生活犠牲の軍備拡大政策にあったことはもはや明らかであります。
 そこで、まず労働条件の問題についてであります。
 私は、最近出版された「日本は幸福(しあわせ)か――過労死で残された五十人の妻たちの手記」に目を通す機会がありました。東京のある妻は次のように切々とその心情を亡くなった夫に訴えています。「あなたは覚えているでしょうか。長女が二歳のとき、朝出かけるあなたを見送りにでた玄関先で言いました。「おとうさん、またあそびにきてね」。戸が閉まると、「おとうさんのおうちはどこなの?」と私に聞きました。あとであなたにその話をしたら、あなたは目に涙を浮かべ、なにも言いませんでした。そのころのあなたは一カ月三百七十時間も働いていました。」「有給休暇は四年間でたった一日とれただけでした」と、このように述べています。そして手記には、この夫がある日、珍しくお土産を買って帰宅して子供と遊び、その翌朝冷たくなっていたと記されています。
 総理、これは決して過労死で夫を亡くした一人の妻の嘆きではありません。全国過労死弁護団はその実態調査の中で、毎年一万人が過労死で亡くなっていると推定をしておるのであります。民間の生命保険会社の調査によっても、男女とも四割以上が、自分も過労死をするのではないかとの不安に駆られています。総理はこの実態をどう考えますか、伺います。
 言うまでもなく、過労死問題の最大の要因が長時間、過密労働にあることは、紛れもない事実であります。既に国際的にも指摘されているように、日本の労働者はヨーロッパ、ドイツの労働者と比べて、年間で五百四十二時間も長く働いているのであります。
 この事態を打開するためには、現行労働基準法の現状を抜本的に再検討することであります。日本の労働基準法は、第二次世界大戦直後につくられたものであり、現在の国際水準から見れば大きく立ちおくれています。例えば、有給休暇について、日本は最低十日でありますが、ILO条約では最低三週間、ヨーロッパでは法律あるいは労使間の協定で五週間が常識になっているのであります。残業についても、ドイツでは一日二時間、年間三十日以下とされているのに、日本では残業については事実上制限は何もありません。残業拒否の自由すら保障されていません。ドイツでは、「土曜日のパパは私たちのもの」、この有名なスローガンが三十数年前から掲げられております。
 我が党は、一日八時間、週四十時間労働、週休二日制の完全実施及び有給休暇は最低二十日とし、雇用者に完全取得を義務づけること、残業は上限を決め、本人の同意を前提にすること、残業割り増し賃金は大幅に引き上げることを提案しています。私は、これらの点を含め、労働基準法を抜本的に再検討することを改めてここに提起をいたします。(拍手)また、過労死の認定基準も直ちに大幅に緩和すべきであります。
 また、ILO条約についても、国際国家といいながら、百七十二本の条約のうち三十九本しか批准しておりません。わけても、労働時間にかかわる二十五本の条約は、一つも批准しておらないのが現状であります。労働条件を改善するものは即時批准すべきであります。
 以上、あわせて総理の見解を求めます。(拍手)
 ここで、福祉の問題、特に高齢者と子供の問題であります。
 老人医療については、現在、医療体系が別建てとなり、極端な差別医療が行われています。こんな差別制度をとっている国はよそにはありません。その上、この一月から老人医療費は再度引き上げられました。経済は大国、福祉は小国、そのしわ寄せは高齢者に今降りかかっています。総理は高齢化社会をしきりに問題にしていますが、こうした差別医療をさらに続けるつもりかどうか、この際、明確に答えていただきます。
 老人医療の無料化復活は当然のことでありますが、緊急問題として、老人の白内障治療の眼内レンズへの健康保険の適用について、政府の態度をただします。
 私は、一昨年の本院予算委員会でこのことを要求いたしました。当時、眼内レンズに補助金を出していたのは、全国でわずか四つの市でありましたが、それ以後急速に拡大し、現在では東京、愛知など六都県、二百八十五市区町村に及んでいます。また、保険適用を求める意見書を国に提出した自治体は、実に十三都道府県、四百九十市区町村、また全国都道府県議会議長会、同じく全国市長会にまで広がっています。まさに国民多数の声となっています。ちょうど来月には健康保険適用問題を協議する中央社会保険医療協議会が開催されます。総理、今こそ高齢者に光を、こうした願いにこたえる具体的措置をとるべきであると考えますが、総理の考えを伺います。(拍手)
 次に、乳幼児の保育の問題です。
 総理は、施政方針演説で「子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくり」に言及されましたが、児童福祉法ができて四十年余り、特に最近の保育をめぐる状況は大きく変化をしております。女性の職場への進出が進み、乳幼児の保育への要望が切実になり、とりわけ乳児保育や延長保育、夜間保育の必要性が増大し、障害児保育の必要も拡大しています。ところが、保育所の最低基準は、施設の広さについては四十三年前から変わっておりません。また、乳幼児を受け持つ保母の定数の最低基準も、三十年前の答申そのままであります。社会の変化、父母の願いにこたえ、この最低基準を抜本的に引き上げるべきであります。
 同時に、国連の子どもの権利条約は、今国会で批准すべきであります。
 総理は、国際貢献とよく言いますが、こういう条約を早く批准することこそが平和的な国際貢献ではありませんか。あわせて総理の考え方を伺います。(拍手)
 第三は、平和と軍縮をめぐる問題であります。
 今世紀の国際政治の特徴は、一部の大国が世界を分割支配しようとした覇権主義の野望が大きく破綻し、諸民族の自決権尊重が世界の大きな流れになったことであります。第二次世界大戦での日独伊の反共軍事同盟の敗北と解体、アメリカのベトナム侵略戦争での敗北、さらに、ソ連共産党の解体とソビエト連邦の崩壊も、この覇権主義の結果であります。日本共産党は、あらゆる覇権主義、大国主義と闘ってきた党として、この偉大な歴史の流れを大いに歓迎するものであります。
 ところが、自民党内閣はこれまで、あの十五年戦争を侵略戦争と認めず、宮澤総理も施政方針演説で「過去の歴史認識の問題」と述べましたが、それが侵略戦争であるとは認めておりません。総理は、昨年国会で、侵略的事実があったとは発言していますが、それでは侵略的でない事実もあったのか、それはどういうものなのか、具体的に示していただきたいと思います。
 総理、あなたが朝鮮人従軍慰安婦問題について、これまで言葉の上で謝罪をしても、それが人々の心に響かないのは、あの戦争への反省が根本的に欠けているからであります。従軍慰安婦問題での政府間交渉を直ちに開始し、補償のための特別立法を検討すべきであると考えますが、総理の考えを伺います。(拍手)
 そこで、憲法の平和原則を正面から踏みにじる自衛隊の海外派兵の問題であります。
 一昨年来、自衛隊の海外派兵法案は、何回もこれを阻止してまいりました。国民の怒り、アジア近隣諸国からの強い懸念と反対の世論はますます高まっています。総理は、憲法の前文や条文をねじ曲げ、PKO法案による自衛隊の海外派遣は武力の行使に当たらないとか、中立・非強制で平和を回復するのだから憲法違反ではないなどと海外派兵を当然視していますが、それは全くの詭弁であります。憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすること」を義務づけております。そして武力の行使、戦力の保持を禁止し、戦争を放棄しているのであります。私は、憲法の平和原則の名においてPKO法案の廃案を強く要求いたします。(拍手)ところが、政府は、つぶされてもつぶされても、国内外の世論を無視し、自衛隊の海外派兵を強硬に推し進めようとしていますが、その根底には、総理が施政方針演説でアメリカを「リーダー」として位置づけたことでも明らかなように、日米安保体制を基軸とするアメリカの軍事戦略とそれへの日本の従属という重大な問題がそこにはあります。ブッシュ大統領の来日によって発表された東京宣言は、軍縮と軍事ブロックの解消を求める国際世論に逆行し、日米軍事同盟の強化をうたい、同時に発表された行動計画では、米軍の前方展開の適切な水準の維持が重要、このように確認し合っています。これはアメリカが、事あれば直ちに武力行使に移れる体制を常時維持するということであります。
 しかも、アメリカのチェイニー国防長官は、昨年七月のアメリカ議会でも、さらにさきのテレビのインタビューでも、在日米軍は、米国の利益のために駐留していると述べています。さらに、湾岸戦争の際には、日本から出動できたためにどんなに安上がりであったか、得々と述べています。政府はこのチェイニー発言をどう見ているのか、伺います。
 しかも、東京宣言は、在日米軍に対して、思いやり予算を「より高い負担率をもって負担」すると述べています。アメリカ自身が日本のためではないと言っている在日米軍の費用をなぜ日本が負担しなければならないのか。国民は住宅難です。通勤地獄で苦しんでいるのに、在日米軍とその家族のためにつくった住宅は、これまでに何と七千三百五十八戸であります。来年度予算ではさらに五百一戸の追加であります。思いやりするところが違っているのじゃありませんか。既にアメリカは軍事費を七・三%減らし、イギリスは五・三%、イタリアもフランスも削減しているのに、日本だけが三・八%増という世界の流れに逆行した軍拡予算であります。今こそ思いやり予算を打ち切り、中期防を廃棄し、大幅な軍事費の削減を行うべきであります。総理の答弁を求めます。(拍手)
 我が党は、消費税について、消費税が軍備拡大の財源づくりであることを一貫して指摘してまいりましたが、事態の推移はまさにそのとおりであります。消費税の廃止を改めて要求します。(拍手)
 今、日本が世界の平和に貢献できるものは、唯一の被爆国政府として核兵器廃絶のイニシアチブを積極的に発揮することであります。核兵器廃絶を遠い将来のこととする究極廃絶などという立場は、国民世論にも国際的流れにも反しております。核兵器廃絶を緊急の課題として国連及び各国政府に提起すべきであります。今こそ原爆で亡くなった人々の声なき思い、今なお苦しみ続けている被爆者の願いにこたえるべきであります。このイニシアチブを発揮する意思があるかどうか。そして同時に、朝鮮半島非核化が重大問題になっているとき、我が国の国是である非核三原則を法制化すべきであると考えますが、あわせて総理の答弁を求めるものであります。
 最後に、緊迫する米輸入自由化問題であります。
 例外なき関税化を要求したドンケル・ガット事務局長の合意案を受け、閣僚の中から関税化を受け入れる発言が相次いでいることは許されるものではありません。しかも、総理自身が日米首脳会談でドンケル案を評価したことは極めて重大であります。米問題は歴史的に論議されてきた問題であります。だからこそ国会は、三回にわたって米輸入自由化反対の決議を行っています。ガットは裁判所でもなければ、合意案にも強制力はありません。例外なき関税化には二十カ国が反対を表明しています。総理は、国会決議に無条件で従って、米の輸入を自由化しないことをこの演壇で言明すべきであります。(拍手)
 以上、私は当面の重要問題について質問をいたしました。総理の明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 再度申し上げることでございますが、国務大臣の職にあった同僚議員が収賄容疑で逮捕されたことはまことに遺憾なことであり、国民に対して深くおわびを申し上げます。
 次に、大臣になるのに金が要るのかというようなお尋ねがありましたが、さようなことはございません。
 それから、阿部氏を大臣に推薦するに当たって、私が金を受け取ったことがあるかというお尋ねであります。そんなことはありません。
 いわゆる三点セットについて、前国会でかねて御要求のあった資料をすべて御提示いたしました。また、私自身が誠意を持ってお答えをいたしましたところで、事実関係は明らかと考えております。もとより私自身、常に反省の気持ちを忘れておりません。
 次に、企業、団体からの献金についてお尋ねがありました。
 これは難しい問題でございますけれども、企業も一つの社会的な存在でございますから、政治活動の自由を有するものであろうと思います。ただ、企業から、あるいは団体からの献金が国民の批判を招くようなものであってはいけませんので、おのずから節度があるというふうに考えます。
 それから、解散のことでございますが、法律論として言えば、衆議院の解散権は、憲法上、国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に与えられた重要な権能であります。衆議院議員の定数の是正が仮に行われていない間においても、解散権の行使が法律的に制約されることはないと考えます。
 それから、過労死のことでございますが、我が国の場合、企業において確かに働き過ぎだという批判を外から受けておる事実はございますので、労働時間短縮を推進することはもちろん、成人病を含めた健康診断等を適切に実施をいたさなければならない、また、そういうことに努めております。過労死というような事態はやはり防止をしなければなりません。過労死の代表的な疾患とされる脳・心臓疾患の認定基準は、専門の医師で構成された専門家会議において慎重に検討していただいた結果をもとに策定されたものであります。
 労働時間の短縮は、これは豊かな国民生活を実現し、生活大国をつくるために取り組むべき国民的な課題と考えております。傾向的には着実に減少しておりますけれども、年間総実労働時間千八百時間程度を達成するためには一層の時間短縮が必要であります。このため、完全週休二日制の普及促進、年次有給休暇の完全取得、所定外労働の削減等に努めているところでございます。
 それから、ILO条約でございますが、我が国としては、条約を批准する以上は、それを誠実に履行するための国内法が整備されていなければならないという立場を厳格にとってまいりました。現在までに三十九本の条約を締結しておりまして、そのための国内法の整備をいたしております。国内法制との関係も考えながら、今後も批准問題に取り組んでまいります。
 次に、老人診療報酬制度は、老人の心身の特性を踏まえ、介護やリハビリテーション等の充実、訪問看護の推進など、老人にふさわしい医療を確保する観点から設けられているものでありまして、老人が幾つかの病気をしばしばあわせ持つ、あるいは病気の進行が緩やかであるといったような観点からいたしておりまして、老人を差別的に扱うというような考え方では全くございません。
 それから、自己負担につきましては、お年寄りに健康に対する自覚を高めていただく、そして受診も適切にお願いをしたい、また、老人医療費について、国民が公平に負担を分かち合って、制度の長期的安定を図るという趣旨から、無理のない範囲で御負担をお願いをいたしておるところでありまして、無料化ということを考えておりません。
 なお、今、白内障治療の眼内レンズのお話がありまして、これは従来より中央社会保険医療協議会の審議を踏まえ対処してきているところでございまして、当面、この協議会の御審議を見守ってまいりたいと思います。
 それから、保育所に係る最低基準は、乳幼児一人当たり最低限確保すべき施設の面積、保母の配置等について中央児童福祉審議会の意見を聞き設定し、また改正をいたしております。基準は現在においても適切だと思います。
 子どもの権利条約、これはできるだけ早期に締結ができるように政府部内で詰めを急がせております。
 それから、侵略的事実云々でございますけれども、我が国が過去において、戦争を通じて近隣諸国等の国民に対し重大な損害を与えたのは事実であります。かかる我が国の過去の行為について、侵略的事実を否定することはできないということを申し上げておるところでございます。
 それから、いわゆる従軍慰安婦のことはまことに胸の詰まる思いでございますが、決してこういう過ちを繰り返すまいということを決心をし、平和国家としての立場を堅持いたします。今、このことについては訴訟が起こっておりますので、その訴訟を見守りつつ、かつ、政府は事実関係の調査をさらに進めてまいるところでございます。
 それから、PKO法案の廃案をする気はないかというお尋ねでございましたけれども、これはまさにノーベル平和賞を受けるような国連の活動を助けるということでございますから、我が国の憲法がむしろこういうことを我々に期待をしている、そういう趣旨のことに私どもは考えます。国際協調のもとに、恒久の平和を希求する憲法の理念に合致したものと考えておりますから、一日も早い成立が得られますようにお願いを申し上げているところでございます。
 それから、日米安保条約について、アメリカの国防長官が、これはアメリカのためであって日本のためでないと言っているということをおっしゃいましたが、それはよくお読みをくださるとそうではありませんで、チェイニー国防長官の言っていることは、この地域に前方展開をすることはアメリカ自身にとっても利益なんだ、だから、財政上困難だけれども、財政上の問題はあるけれども、これはやっていくべきなんだと言ってアメリカ国民に呼びかけているのであって、日本のためではないと言っているわけでは、これはございません。
 中期防につきましては、これは、こういう状況の中で今回も厳しい査定をいたしております。中期防の中で見直しの規定がございますので、これは前広にやっていきたいと思っておりますけれども、中期防を廃棄する、あるいは、いわゆる思いやり予算を打ち切るというようなことを全く考えておりません。消費税につきましては、これはやはり高齢化というものを見ながら安定的な税体系を得たいということで、国会のお許しを得てつくらしていただいたものでありまして、この創設は、私は正しい選択であったと考えております。
 それから、核兵器廃絶の提唱、非核三原則の法制化でございますけれども、この核兵器廃絶ということを、可能な限り低い軍備水準を目指していこうという努力でございますが、近年、米ソ間のINF条約あるいはSTART条約、ブッシュ大統領の核軍縮イニシアチブ、今日発表になりましたブッシュ大統領の年頭教書にも、またさらにその促進が示されておるようでございますけれども、そういうものとして我々も受け取っております。非核三原則につきましては、これはもう内外に徹底いたしておりますから、法制化をすることは考えておりません。米につきましては、ウルグアイ・ラウンドが最終段階を迎えております現状で、各国とも農業問題はそれぞれ困難を抱えておりますが、相互の協力によって最大限の努力を傾注して交渉に臨んでまいります。ただいま申し述べましたこれまでの、従来からの基本方針のもとで対処をしていく考えでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○副議長(村山喜一君) 大内啓伍君。
    〔大内啓伍君登壇〕
#10
○大内啓伍君 私は、民社党を代表して、宮澤総理の施政方針演説に対して質問いたします。
 第十六代米国大統領リンカーンは、「自分は米国民同士による血で血を洗う南北の対立をやめさせ、自由と人権を踏みにじる奴隷制度を廃止するためにこそ大統領になる必要がある。」と宣言し、国民の支持を得て大統領に当選するや、その歴史的大事業を約束どおり達成いたしました。具体的な何かをなすためにこそ大統領を目指す、それこそがリンカーンのみならず、歴代米大統領の基本的政治姿勢であります。
 しからば、宮澤総理、あなたは一体何をなさんとして総理に就任されたのか、また、あなたの在任中に何をなすことを決意されているのか、それを明確に国民に示すことがあなたの責任であると考えます。
 佐藤総理は沖縄返還と日韓国交正常化を実現し、田中総理は日中国交回復、中曽根総理は国鉄など三公社の民営化を、そして竹下総理は、よくも悪くも消費税の導入を実現しました。
 宮澤総理は、総理就任に際し、また、さきの施政方針演説で政治改革、国際貢献、生活大国の三つを掲げられましたが、政治改革は、現実が示すようにあなたの腹心から政治腐敗を発生させ、国際貢献は、国民の声に背を向けたPKO法案の強行採決によって不成立となり、三つ目の生活大国は、六項目の目標を示されましたが、政策の裏づけなきスローガンに終わっております。そこには、残念ながら総理としての不退転の決意も気迫も情熱も感ずることができません。あなたは一体、国民のために何を実現しようとする内閣なのか、まず冒頭に宮澤総理にお尋ねいたします。(拍手)
 政治改革は、あなたが強調されるように、今や我が国にとって喫緊の課題であります。しかし、その政治改革は、今あなたの足元から音を立てて崩れつつあります。
 宮澤政権誕生のために、宮澤派の事務総長として最も重要な役割を果たした阿部文男代議士が、受託収賄容疑で逮捕されるという忌まわしい事態を国民はどんな気持ちで受けとめたことか、自分のマンションから女優とのペア時計に至るまで、恥を知らぬ厚かましい数々の資金要求、あまつさえその資金の一部は、あなたの総裁選のためにもばらまかれたと言われております。しかも、この共和事件には他に複数の宮澤派の最高幹部がかかわっていたとの報道もなされており、それはまさに宮澤派ぐるみの汚染と言われてもいたし方ありますまい。
 昨年八月、ゴルバチョフ失脚を意図したクーデターが起こったとき、それら側近を登用したゴルバチョフ氏の責任が内外から厳しく糾弾されたことは御承知のとおりでありますが、宮澤総理自身もまさに同様の責任を免れるものではありません。
 本来、政治は最高の道徳であるべきものであります。私は、今こそ、事件へのかかわりの有無を問わず、すべての政治家が国民の前に襟を正し、政治倫理確立のために立ち上がらなければならないときだと確信いたします。総理、あなたは今回の事件をどう受けとめ、その責任をどうとろうとしているのか、まず伺いたい。
 このような事件が後を絶たない背景には、政治家のモラルの問題に加え、有権者へのサービス競争、選挙区への利益誘導、そしてそのために莫大な費用を必要とする選挙の実態が政治腐敗の温床となっております。したがって、今必要なことは、こうした政治腐敗の温床を抜本的に改革することであります。
 そのためには、第一に、政治家の寄附行為を一切禁止することであります。第二に、個人本位の選挙を改革するため、テレビ討論の導入など選挙公営を思い切って拡大するとともに、政党への公費助成制度を早急に確立すること。第三には、名ばかりの法定選挙費用を現実的に見直し、そのかわり違反者は議員資格の剥奪、立候補制限など厳しい制裁措置を盛った政治腐敗防止法を制定することであります。
 特に、これまで政府がとってきた選挙制度改革を絡めた一括処理方針では、政治改革は一歩も前進しないことは過去の事実が示すとおりであります。したがって、この際、政治改革の具体的前進を図るため、まず政治資金制度の改革と政治腐敗防止に絞って今国会でその成立を期し、また懸案の定数是正についても速やかに結論を出すべきだと考えるが、総理の答弁を求めます。
 次に、経済、内政問題について質問いたします。
 今、国民が切実に求めているものは、景気の陰りに早急に歯どめをかけることであります。住宅投資や設備投資の減少傾向は、既に平成二年度から始まっており、この段階で国民の多くは不景気の兆候を肌で感じておりました。にもかかわらず、政府は、昨年八月の月例経済報告で、我が国の経済はなお拡大局面にあるといった悠長な姿勢をとり、ために公定歩合の引き下げも中途半端で後手後手に回り、また財政面でも、減税をもって対処すべきところを、大幅な税収欠陥に対処するため、逆に七千三百億円の増税を行うといった拙劣な政策運営に陥ったのであります。こうした政府の分析と対応の甘さこそが、不況への突入を招来した大きな原因と言わなければなりません。私は、今政府がとりつつある金融財政政策をもってしては、景気回復は到底難しいと考えるが、この際、公定歩合の再引き下げを初め、減税、生活関連公共投資の拡大など、新たな景気対策をとる方針があるかどうか、総理の見解を求めます。(拍手)
 また、総理は、今回の施政方針演説で、生活大国づくりのための六項目を提示されましたが、それは既に我々が数年前に生活先進国構想で示したところであります。問題は、それを裏づける政策が政府予算案のどこにも見当たらないことであります。それはまさに空約束と申さなければなりません。
 そこで、私は、この際、二つのことを具体的に提案いたします。
 一つは、生活大国を本当に前進させると言うのであれば、これまでの公共事業のあり方を根本的に改めること。なぜなら、この十年、建設、農水、運輸の公共事業の省庁配分は全く変わっておりません。七十二兆円の予算のうち、わずか二千億円の生活関連枠を設けて、どうして生活大国が実現できましょう。したがって、この際、この配分率を根本的に改め、生活関連公共事業を最優先する姿勢に転換するよう求めます。
 二つは、一生まじめに働いても自分の家が持てないといった先進国が世界のどこにありましょう。欧米並みの三、四倍といわなくても、せめて年収の五倍で家が持てる政策を具体的に示していただきたい。それが庶民の切実な願いであり、生活大国づくりの根本策だと考えます。総理の見解を求めます。
 生活大国づくりに関連して忘れてはならないのは、雲仙・普賢岳の深刻な噴火災害であります。私は昨年、二度にわたり現地を視察いたしました。現地を見ずして対策を語ることなかれ。この際、総理も現地を直ちに視察するとともに、復興基金の増額、特別立法など、あらゆる措置を講ずべきであると考えますが、総理の答弁を求めます。(拍手)
 政府が、税収欠陥を穴埋めするため、湾岸協力のための法人税増税及び普通・小型乗用車の消費税率の事実上の延長など安易な増税策をとったことは、極めて遺憾であります。今必要なことは、思い切った行財政改革の断行と減税措置であります。
 昨年十一月の私の代表質問にこたえて、今回相続税減税が盛り込まれたことは多としますが、この際、取引相場のない株式の評価改善、事業用土地等の生前一括贈与に際しての贈与税の納税猶予など、中小企業承継税制の改善に一層の努力を尽くすべきであります。
 また、私が同じく提案した青色申告特別控除制度三十五万円の創設が行われたことは一歩前進でありますが、その一層の引き上げと、中小企業者が受け入れられる条件の設定を強く要求いたします。
 さらに、サラリーマンの皆さんへの対策として、月額十万円まで住宅家賃を所得控除する制度の創設、パート、内職の非課税限度額の百五十万円への引き上げなどを実現すべきであります。
 以上の減税にどう取り組むのか、また、このための我々の予算修正要求に対して今後真剣に対処する用意があるか、総理の答弁を求めます。(拍手)
 私は、日本は今こそ決意を新たにして本格的な行政改革に取り組まなければならないときを迎えていると確信いたします。
 その理由は、第一に、膨大な歳入欠陥の発生であります。第二は、今後急増する国際的要請にスピーディーにこたえられない今日の縦割り行政を改革すること。そして第三は、日本が二十一世紀に向かって生活先進国を創造していくためには、現在の一極集中の打破、生産第一から消費者優先への行政への転換が不可欠であると考えるからであります。この見地から、我々は抜本的な行政改革の方向を提言いたします。
 第一は、明治以来の旧弊を引きずる中央集権体制を根底から改め、国の関与すべき行政分野は外交、防衛、社会保障、徴税そして経済政策などの総合調整に絞り、地方分権を推進すること。
 第二は、このため、第二交付税の創設など地方の自主財源の確保、過去五十年余にわたって戦時体制の惰性をそのまま続けている各省庁の地方出先機関の原則的廃止を行うとともに、この際、思い切って国会の地方移転を断行すること。
 第三は、許認可、行政指導、補助金行政に抜本的なメスを入れ、政官財の癒着構造を解体すること。
 私は、以上の観点に立ち、この際、宮澤内閣が抜本的な行政改革五カ年計画を策定、実施するよう要求するものでありますが、総理の答弁を求めます。次に、外交、防衛問題について質問いたします。米ソの冷戦の解消、そして劇的なソ連邦崩壊後に世界が直面している最大の課題は、世界の新秩序の構築であります。世界第二の経済大国、アジア唯一のサミット参加国、国連の安全保障理事国という極めて重い立場にある我が国は、この国際重要課題に対していかなる努力をしていると言えましょうか。
 この三十一日からニューヨークで開かれる国連の安全保障理事会の首脳会議で宮澤総理は、我々にとって最も身近な問題であるアジア・太平洋地域の平和と安全のための新秩序づくりについて、日本としての具体的提案を行う用意をお持ちでしょうか。私は、この機会に日本が、日米の緊密な提携のもとに、旧ソ連諸国、中国等を含むアジア・太平洋地域の新たな安全保障体制の構築を議題としたアジア・太平洋首脳会議の開催を呼びかけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、国連を世界の普遍的安全保障機構として改革するため、旧敵国条項の廃止、安全保障理事会制度の再検討、事務総長の権限強化などを提唱すべきであると思いますが、あわせて総理の答弁を求めます。
 世界が対立から協調へ向けて大きく動き、各国が軍縮を進めようとしている中で、我が国もまた世界の軍縮の一翼を担う責任を負っております。既に米国は九三年度会計で百億ドル、向こう五カ年で最低五百億ドルの国防費削減を行おうとしております。我が国にとって脅威の対象となっていたソ連邦は解体し、ソ連軍は北方領土から撤退しようとしており、今後極東における軍事的プレゼンスに大きな変化が起こることは必至の情勢にあります。また、湾岸戦争がハイテク戦争と言われたように、軍事力も量から質への転換が求められてきております。
 このときに、我が国だけが旧冷戦時代の前提で防衛計画大綱や中期防を漫然と継続することは許されることではありません。今こそ、既に実情に即さない陸上十八万人体制の削減、正面装備の見直しなど防衛費の削減を目指し、我が国の防衛力のあり方を早急に再検討すべきときであります。
 宮澤総理は、さきの党首会談での我が党の提案を受け入れ、中期防の修正に着手することを施政方針演説で明らかにされましたが、それはいつまでに、またどのようにこれを行おうとするのか、なお不明であります。しかも、その基本となる防衛計画大綱の見直しについて全く触れられていないことは極めて不可解であります。それらの諸点について総理の明快な答弁を求めます。
 先般来日したブッシュ大統領は、会談は大きな成功であったとの言葉を残して我が国を去りました。また、総理はこの会談をみずから、八十点のできであったと評されました。しかし会談は、実質的には二国間の経済、貿易問題に集中し、自由市場経済の原則をも踏み外したなりふり構わぬ米国の強硬姿勢の前に、日本の大幅な譲歩だけを浮き彫りにした会談であったと断ぜざるを得ません。
 特に、我が国が米国製自動車部品の現地調達、輸入額を九四年度百九十億ドルとすること等を約束したことは、自由な市場経済の根幹を侵し、管理貿易そのものを認めたものと言わざるを得ません。またそれは、零細企業が多数を占める自動車部品産業を脅かす点でも重大な問題を抱えたと考えますが、これらの批判に総理はどうこたえるのか、その所見を承りたい。私は、昨年末の党首会談において、ブッシュ大統領を迎えての日米間の経済摩擦問題の討議に当たっては、米国に対しても言うべきことははっきり言うという立場から、特に米国の財政赤字、対外債務の縮小を改めて明確に要求すべきことを申し上げました。しかし、政府は、この問題を持ち出したものの、米国側に一蹴され、削減の具体的目標さえ約束させることができなかったではありませんか。
 米国大統領が八年ぶりに来日しての首脳会談は、単に二国間の問題にとどまらず、冷戦後の新国際秩序、とりわけ今後のアジア・太平洋の新秩序をどうつくるのか、また、その中で両国はどのような役割を分かち合うのかといった、次の世代に向けての重要課題でなければならなかったはずであります。貿易赤字是正のための米国の要求への対処に振り回された今回の首脳会談に対し、総理はどのような反省をお持ちなのか、その所見を承りたい。
 ソ連邦は六十九年を経てついに解体され、新たに独立国家共同体諸国が誕生いたしました。しかし、ゴルバチョフ前大統領は、私はこの共同体を信じない、これは存続できるほどしっかりしていないと述べたと伝えられるように、共和国間の対立とその国境線の確定、通貨・経済問題、核兵器の管理など、各面で不安定要素を残しております。政府は、独立国家共同体の安定性についてどのような見解を持ち、これら諸国との外交関係をどう築いていくのか、明らかにしていただきたい。
 また、本格的な経済支援については、北方領土の返還、核管理体制の確立と核兵器削減方針の明確化などを求めることが不可欠であり、特に北方領土の交渉相手を特定することが必要であると考えますが、あわせてお伺いいたします。
 特に、今後の核問題は重要であります。エリツィン・ロシア大統領は、世界の注目する旧ソ連軍の核について、戦術核弾頭二万発を全廃する方針を近く打ち出すことが明らかにされております。それは、核軍縮の見地から、勇気ある決断として歓迎すべきことではありますが、しかしその実行は、資金、技術の両面で膨大であるばかりでなく、その過程で核の拡散をもたらす危険性も大いに憂慮されるところであります。しかもそれは、米ソ間だけで解決できる問題ではなく、今後多国間協力を必ず必要とするところとなりましょう。
 日本が真に有効な核軍縮を促進しようとするなら、この問題と真剣に取り組み、多国間協力について、日本として何らかの提案を準備すべきときが来たと考えます。同時に、この問題の処理が核拡散をもたらすことのないよう、一九九五年には核不拡散条約の延長、廃止の再検討会議が開かれるに当たって、核不拡散のための新たな国際検証手段等を提唱すべきだと考えますが、総理の所見を求めます。(拍手)
 国連中心主義を唱える我が国がそれを行動で示す試金石ともいえるのが、国連の平和維持活動への協力法案の制定でありました。しかるに、これがさきの国会で不成立に終わったことは、国際貢献に対する総理の熱意を疑わせるものでありました。
 PKO法案が成立しなかった最大の原因は、国民の圧倒的世論である国会承認という我々の提案を拒否し、議会制民主主義を踏みにじる強行採決によってこの法案を通過させようとしたことによるものであり、政府の責任はまことに重大であります。総理はその施政方針演説で、今国会でPK○法案の成立の決意を表明されましたが、このことは、国民が強く求めている国会承認を受け入れて法案修正を行う意思があることを表明されたものなのかどうか、総理の率直な答弁を求めます。
 また、総理は今年一月十六日から韓国を訪問されました。両国の友好親善関係を強化することは、アジアと世界にとって極めて重要であります。しかし、今回、我が国が約束してきた慰安婦問題への誠意ある対応や貿易のインバランスの是正などについて、もしそれの実行について両国間で理解に食い違いがあれば、今後両国民の相互不信につながりかねません。総理として何を約束し、実行しようとしているのか、明確な答弁を求めます。最後に、ウルグアイ・ラウンド交渉における米問題について質問いたします。
 米問題はいよいよ最終局面に入りましたが、宮澤総理はこれまで、例外なき関税化には一貫して反対の発言を繰り返してこられました。しかし、ここへ来て微妙な変化が感じられます。日米の東京宣言では、ドンケル事務局長の最終合意案を「重要な一歩」として評価し、また施政方針演説においても、「これまでの基本的方針のもと、相互の協力による解決に向けて、」努力すると述べられましたが、これまで一貫して言い続けてきた国会決議の尊重や自給の原則を守るといった言葉は初めて消え去りました。それは、関税化について条件闘争を考え始めたと受け取れますが、いかがでしょうか。
 私は、日本が国際国家としてラウンドを成功させるため、アメリカやECなどとともに積極的に国際協調を行うことは、極めて重要なことであると考えます。しかしこのことは、国際協調のため、日本の重要な産業の一つである農業を崩壊させてもよいということではありません。現に各国とも、自国の農業を守るため必死の努力を傾注しております。ECは現行の輸入課徴金制度をなお継続しようとしており、アメリカもウエーバー条項を撤廃することは約束しておりません。また、日本で行っていない輸出補助金をアメリカ、ECとも実施しております。
 例外なき関税化には、日本だけでなく、カナダ、スイス、韓国等の主要国も強く反対しております。国際協調とは、各国が犠牲のシェアリングを公正化することであり、日本のみが譲歩することは、みずからの重要な国益を放棄するものと言わなければなりません。それは、政府が、農産物の自由化問題が起こるたびに行ってきた農民をだますやり方と申さなければなりません。
 総理は、この問題について三月中に決断すると言明されましたが、今後のアメリカやEC諸国の譲歩を見きわめて、米の関税化を条件つきで受け入れる考えなのかどうか、宮澤総理の明快な答弁を求めます。
 この際、私は宮澤総理に明確に申し上げます。
 民社党は野党の立場にありますが、宮澤総理が真に国民と国家のためになることを実行しようとするなら、これに積極的に協力するにやぶさかではありません。(拍手)しかし、きれいな言葉の羅列だけで国民を欺き、腐敗の清算を怠るならば、我々は敢然としてあなたと対決しなければなりません。
 宮澤総理はそのいずれの道を歩むのか、あなたの率直かつ誠意ある答弁を要求し、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 大内委員長にお答えを申し上げます。
 総理大臣に就任したについてはどのような使命感を持っておるのかという最初のお尋ねでございました。
 昨年の臨時国会でも申し上げましたように、私は、今、冷戦後と言われる時代が、新しい世界の平和と民主主義が構築される、そういう時代だというふうに考えております。そして我が国の国際的な立場を今日考えますと、それに向かって我が国は大きな貢献をしなければならない務めもあるし、責任もある、また資格もあるというふうに考えております。このことを国民とともに実現をしてまいりたい、長い道でございますが、そのような認識をはっきり持ってまいりたいというのが第一であります。
 次に、やがて我が国は高齢化社会になりますので、今、国民経済に力のあるうちに暮らしやすい豊かな国づくりをしたいという、生活大国を、しかも、政治が社会の公正というものを非常に大事にしているという、そういう社会をつくりたいというのが第二でございます。
 第三には、先ほどから御指摘のございました政治への信頼の回復、政治改革。
 この三つをいたしたい、どれも難しい課題でございますけれども、そのために自分の全力を尽くしたいと考えております。(拍手)
 御指摘のように、阿部議員をめぐる今回の事件は、まことに遺憾なことでございまして、国民に対し申しわけなく存じております。
 政治改革の実現には政治倫理の確立が何よりも重要でございますが、金のかからない政治活動や政策を中心とした選挙、それが実現できるような資金制度や選挙制度の改革のための具体的な方策を見出すことが必要と存じます。
 これらの問題について、その進め方、手順を含め、政治改革協議会において各党間で十分御協議をひとついただきまして、できるだけ早期に具体的な結論を得られるようにお願いを申し上げたいことを念頭しておりますが、政府といたしましても、私としましても、もとより最大限の努力をそのために払う所存でございます。
 我が国の経済の現状と申しますか、実は、昨年のある時点からの認識について御批判がございました。私自身も、確かに経済の拡大テンポが明白に減速をしておる、それが企業家の心理を冷え込ませるようなことになってはならないということを強く感じております。
 この平成四年度予算編成におきまして、財政は確かに手元不如意でございましたけれども、御承知のように、一般会計ばかりでなく、財投において、あるいは地方単独事業において、かなり高い公共投資を積みました。そしてその上で、年末に第三次の公定歩合の引き下げが行われました。人手不足という状況は変わりませんので、中小企業においても何とか省力投資、合理化投資をしたいという、そういうニーズは変わっていないのでございますから、そのための融資、金利であるとかあるいは税制であるとか、そういうことで、そういう促進をする環境をつくってまいることが大事なことだと思っておりまして、最近、住宅ローンの金利などもかなり下がってまいりましたから、多少いい兆しが見えておるとは思いますが、なお気を緩めずに、内需を中心とした持続的な成長を図ってまいるつもりであります。
 それにつけても、生活大国を考える上では、公共事業の生活関連の配分がなかなか悪い、なかなか改まらないではないかということは、実は私も非常に意識しながら、どうも隔靴掻痒の感があるというのは本当のところで、これはなかなか短期間に難しい問題がございます。
 しかし今回、伸び率で申しますと、環境衛生であるとかあるいは下水道であるとか公園等、これははるかに平均の伸び率を上回っておりますので、これだけの範囲では幾らかウエートが動いている、こういうことは申し上げられると思います。長い努力が必要でございます。
 それから、生活大国のために、年収の五倍ぐらいで家が持てる政策、これはまさしく私どももそう思っておりまして、総合土地政策推進要綱に基づきまして、第一に、適正な地価水準の実現をしたい。第二に、大都市法に基づく住宅・宅地供給基本方針及び供給計画に沿って、都市計画制度との連携による低利用・未利用地の有効・高度利用、あるいは税制、融資、財政措置等による住宅供給の促進等の施策を強力に推進をいたします。目標とするところは、勤労者の平均年収のおおむね五倍程度を目安にして住宅価格の安定に努めたい、そういう目標を持っております。
 それから、雲仙・普賢岳のことについてお話がございました。
 二十一分野九十項目の強力な施策をやってまいりましたが、今後、火山活動の鎮静化に備えて、県を指導しまして、必要な措置についての、鎮静化いたしました場合のやや永久的な措置について調査検討を進めておりまして、将来の防災地域づくり、地域の振興と活性化に取り組むべく用意をいたしております。私自身も、見舞いを兼ねてどうしても一度参らなければならないということを考えております。実は、国土庁長官に適当な時期を選ぶように御依頼を既にいたしておるところでございます。
 それから、中小企業関連の税制につきましては、かねて委員長から、また民社党からいろいろな意味での御示唆をいただいておりまして、啓発されるところも多うございます。ただ、なかなか私ども、問題意識がありましても、いろいろな事情でそのとおりにそのままいかないという、そういう悩みを持っておりまして、例えば、ただいま取引相場のない株式の評価の緩和、あるいは生前贈与に係る納税猶予等々の問題は、土地を持っておれば資産として非常に有利だという、そういうことであってはいけないという考慮がございますものですから、どうもその問題と流れが合わないということがございます。
 それから、青色申告の三十五万円の控除額、これはまあ長いことお話がございましてここまでまいりましたけれども、これ以上いきますと、やっぱりそれは課税の適正化と申しますか、いろんな問題があるのではないかという気持ちを持っております。
 それから、家賃控除のことでございますけれども、家賃は食料や被服なんかと同じ生計費でありますが、家賃だけがどうして控除に値するかということは、そういう基本的な問題との関連で十分な答えが出せない。
 それからパート所得について、百万円への引き上げ、税制面では既に最大限の配慮をしておりますから、これ以上の引き上げというのは税負担の公平の面から見てどうであろうかというような、これは一つ一つ理由を申し上げますと、決してこれは逃げ口上で申しておるのではありませんで、問題意識はわかっておりますけれども、このような事情があるということを御理解をいただきたいという意味で申し上げております。
 それから、あと、行政改革五カ年計画につきまして、これは従来から熱心に御主張いただいておるところでございますが、昨年十二月二十八日に行革大綱を閣議決定いたしました。第三次行革審の提言についても中長期にわたる課題として最大限に尊重してまいります。
 それから、アジア・太平洋首脳会議というものについてお触れになられました。こういう新しい冷戦後の時代にあって、アジアでもかなりいろんな地域が改善をしておりますけれども、まだまだそれなりの問題がございます。ですから、やがてそういうアジア・太平洋首脳会議というような大きな構想に向かっていきますためには、まだまだ具体的に二国間、あるいは地域的に片づけなければならない問題があるのではないか、当面はASEAN拡大外相会議とかAPEC等の既存の協議の場を活用しながら将来を展望していくということではないであろうかと思っております。
 それから、いわゆる安保理サミットにおきまして、今の国連憲章あるいは安保理制度の再検討等、殊に事務総長の権限を強化をすべきではないかということは、私はそのとおりに思っております。国連が今日ほどの重要な地位を占めるということは、以前には予測されておらなかったものでございますから、ここまで来ますと、事務総長の権限をいろんな意味で強めるということ、私もそういうことを提言しようと考えております。
 次に、防衛費でございますが、平成四年度の防衛関係費は、財政事情もございましたし、また国際関係も変化しておりまして、そういう状況の中から極力抑制を図りました。歳出予算の対前年度伸び率は三・八%でございますが、これは昭和三十五年度以来、三十二年ぶりの低い伸び率でございますし、また契約ベースで申しますなら、正面経費は、平成三年度に続き、引き続き抑制をしておりますので、平成四年度の正面経費は、二年度に比べまして約二〇%の減でございます。したがいまして、これは党首会談のときにも御指摘がございまして、かなり私ども厳しい態度で今回の予算の編成をいたしております。
 また、しかし、それとともに中期防は三年後に所要経費の見直しを、修正を行うということを言っておりまして、中期防が策定されました後、ソ連の解体に見られますように大きな変化がございました。したがって、このような情勢の変化を見きわめながら、今回前広に所要の検討に着手をいたしました。その内容につきましては、今始まったばかりでございますので具体的に申し上げることが困難でございますけれども、検討に着手をいたしました。
 なお、それとは別に、いわゆる中期防のもとになりました防衛計画の大綱でございますが、防衛計画の大綱、殊に別表についてどう考えるかということは、防衛庁の部内で勉強を始めてもらっておりますが、これにつきましてはなおかなりの時間がかかるであろうと思います。その結果、あるいは大綱の別表の変更ということになっていきますか、なってまいりませんか、ちょうど検討を始めたところでございまして、しばらく時間がかかるかと思います。
 それから、ブッシュ大統領との関連での自動車の部品の問題でございますが、これは、各メーカーが自分の会社の、これから一九九四年までの計画をかなりかた目に各社でもってはじいてもらいまして、そうして各社の可能と考えるような計画というものを付表としてつけております。各社ともその実行には誠実に取りかかってくれることと思いますし、政府といたしましても、アメリカと約束をいたしましたことはもとより誠実に履行いたします。各社自身が自分の自由な立場からそういう案を出してくれておりまして、そういう意味では管理貿易だという批判は当たらないものだと考えております。
 日米首脳会談のもう一つ大きなといいますか、より大きな議題でありましたのは、両国が基本的な価値観を共有しておりますので、そうして、あわせて世界のGNPの四〇%を持っておりますから、このような新しい平和の構築について力を合わせて長く協力していこう、こういうことを東京宣言に盛りました。これが、長い目で見まして両国の基本的な大切な合意であったと考えております。
 次に、いわゆるCISでございますけれども、既にロシアを初め何カ国かの共和国との外交関係を樹立いたしました。残る諸国についても順次樹立していく考えでございますけれども、やはり平和国家であり、そうして市場経済、民主主義に進んでいってもらうということのために、我々も援助をしてまいらなければならないと考えております。
 領土問題につきましても、先ほども申し上げましたが、渡辺外務大臣がちょうど帰ってこられたところでございまして、二月の十日過ぎには両国の外務次官と外務審議官によりますところのこの平和条約についての作業部会を開くことになっておりまして、そういうところから詰めてまいりたいと考えております。
 なお、それとの関連で、殊に旧ソ連邦の構成国が核兵器の一元的な、かつ厳格な管理、武器輸出の管理を行うことを強く期待しておりますし、また、我が国がこれら国家との新しい関係を発展させていく上で、この核兵器の一元的、厳格な管理の義務の実施等を強く申し入れておるところでございます。また、我が国として、輸出管理体制の整備強化について、西側諸国とも協力しつつ、積極的に対応してまいりたいと思います。
 それから、核不拡散条約につきましては、これはできるだけ長い期間にわたる再延長が望ましいと考えております。それから、核不拡散のための国際的な検証手段、これは貴重な一つの御示唆だと承りました。具体的にどのように実行が可能であるか、どのようにすればいいかという問題はこれからの検討事項ではございますけれども、これは大変に大事な問題であるというふうに承りました。
 それから、PKOの法案のことでございますが、前国会におきまして、衆議院において御修正がございました。政府といたしましては、政府の判断で参加を決定いたしまして国会に御報告と考えておりましたけれども、そういうことを御理解いただきました上で、本体業務を行う場合には、二年を超えて継続する場合の妥当性について国会の判断を求めよ、そういう慎重な手続が必要だという御判断であったというふうに考えております。
 私どもとしては、当初御提案いたしたことも十分理のあることだとは考えておりますけれども、法案でございますから、この修正について、立法府の御意見はもとより最大限に尊重しなければならないことは当然と考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきまして、この自由貿易体制の維持強化あるいは世界の繁栄のために、早期かつ成功裏に終結させることが重要と考えております。年末にダンケル最終合意案が示されました。今、交渉は最終段階を迎えておりますけれども、各国が、殊に農業をめぐって大変に難しい問題を目下、現に抱えております。我が国といたしましては、従来の方針のもとに、我が国の国益を大切にする見地から交渉を続けてまいりたいと考えております。(拍手)
#12
○副議長(村山喜一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 北海道開発審議会委員の選挙○副議長(村山喜一君) 北海道開発審議会委員の選挙を行います。
#13
○木村義雄君 北海道開発審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
#14
○副議長(村山喜一君) 木村義雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。議長は、北海道開発審議会委員に上草義輝君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#16
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト