くにさくロゴ
1992/02/25 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第5号
姉妹サイト
 
1992/02/25 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第5号

#1
第123回国会 本会議 第5号
平成四年二月二十五日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成四年二月二十五日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)、法人特別税法案(内閣提出)及び相
  続税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  の趣旨説明及び質疑
    午後三時三十二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)、法人特別税法案(内閣提出)及び
  相続税法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明
#3
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法り一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣羽田孜君。
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#4
○国務大臣(羽田孜君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、最近における社会経済情勢等にかんがみ、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を拡充するとともに、住宅対策等早急に実施すべき措置を講ずるほか、租税特別措置の整理合理化等を行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、土地の相続税評価の適正化に伴う相続税の負担調整に際して、居住用及び事業用の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を拡充することといたしております。
 第二に、住宅取得促進税制の適用期限を二年延長するとともに、三大都市圏における優良貸し家共同住宅に係る新築貸し家住宅の割り増し償却率を引き上げるほか、産業廃棄物の処理に著しく資する公害防止用設備の特別償却率を引き上げる等の措置を講ずることといたしております。
 第三に、課税の適正公平の確保を推進する等の観点から、企業関係の租税特別措置等につきまして特別償却制度等の一層の整理合理化を行うこととしているほか、みなし法人課税制度の廃止、欠損金の繰り戻し還付制度の適用の停止、海外関係会社からの過大借り入れに対処するための過少資本税制の導入、青色申告特別控除制度の創設等の措置を講ずることといたしております。
 第四に、我が国の財政の現状にかんがみ、二年間の臨時の措置として、普通乗用自動車に係る消費税の税率を四・五%とする特例措置を講ずることといたしております。
 その他、国際金融取引におけるいわゆるオフショア勘定において経理された預貯金等の利子の非課税措置等適用期限の到来する特別措置につきまして、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
 次に、法人特別税法案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、我が国の財政の現状にかんがみ、臨時の措置として法人特別税を創設するものであります。
 具体的には、法人の各課税事業年度の基準法人税額から四百万円を控除した残額を課一税標準とし、税率は二・五%とすることといたしております。また、課税事業年度は、平成四年四月一日から平成六年三月三十一日までの期間内に終了する事業年度とすることといたしております。
 次に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、土地の相続税評価の評価割合を地価公示価格水準の八割程度に引き上げる等の適正化に伴い、相続税等について負担調整等を行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 まず、相続税の遺産に係る基礎控除について、定額控除を現行の四千万円から四千八百万円に、法定相続人比例控除を八百万円から九百五十万円に、それぞれ引き上げることといたしております。
 また、相続税の税率につきまして、その税率区分の幅を拡大するとともに、相続税の補完税である贈与税の税率につきましても、所要の調整を図ることといたしております。
 その他、相続税の申告書の提出期限について、現行の六カ月から段階的に延長するほか、相続税の延納・物納制度の改善合理化を図る等の措置を講ずることといたしております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。
 以上であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)、法人特別税法案(内閣提出)及び
  相続税法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明に対する質疑
#5
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。池田元久君。
    〔池田元久君登壇〕
#6
○池田元久君 私は、日本社会党・護憲共同を代表しまして、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対して質問を行います。
 まず、これらの法律案の質問に入る前に、政治改革についてお尋ねいたします。
 総理、現在の日本を覆っております国民の政治不信について、どのようにお考えですか。
 さきの参議院奈良補欠選挙では、連合の会の候補者が自由民主党の候補者に大勝いたしました。この選挙は、共和汚職にあらわれたような自由民主党の金権腐敗政治に対して、有権者の厳しい審判が下されたものと思います。
 総理、今、よその国の大統領選挙の候補者について批評している場合ではございません。ニューハンプシャー州よりも、奈良県で起きた事実について深く思いをめぐらせるべきでございます。
 過去の二十年の間でも、ロッキード事件、リクルート事件などの疑獄事件がありましたが、特に、昨年からは大型の脱税事件、証券スキャンダル、そして共和汚職、さらに佐川急便疑惑が次々と間を置かずに明るみに出ました。政治の腐敗はまさに泥沼のようになっていると言ってよいと思います。この際、こうした疑惑を徹底的に明らかにするとともに、政治腐敗を防ぐ制度を確立することが何よりも重要です。
 そのためには、本日行われました証人喚問に続いて、共和、佐川の関係者の喚問と、総理自身がかかわっているリクルート事件の未公開株問題について、関係者の証人喚問に応じるべきであります。
 総理は、最近になって、政治改革について精力的に検討をお始めになりました。一内閣一仕事と申します。一票の価値の不平等をなくすことは当然です。かつて、三木内閣が手をつけた企業・団体献金の廃止を推し進めるとともに、汚職事件や選挙違反の連座制で有罪になった者すべてに対して立候補を制限したり、連座制を強めるなどの政治腐敗防止と政治倫理確立の立法を、今こそ行うべきだと思います。総理・総裁としてのリーダーシップを発揮すべきだと思います。総理の御見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
 税制問題についてお伺いいたします。
 政治改革を進める上で、政治と企業、団体の癒着構造をなくすという視点から、与党の自由民主党税制調査会のあり方に関心を持たざるを得ません。自民党税調がそれなりに真剣に、また専門的に税制を検討していることに敬意を表するものでございます。
 しかし、そこでの作業の中心は、多数の業界団体の各種の要望をいかに取り入れるか、そして、どれだけ税の例外措置ができるかを検討することです。税金のいわばディスカウントセールを組織ぐるみでやっていると言っても過言ではないと思います。しかも、年々盛んになって、政治と業界、企業の関係が肥大化しているのが実態です。こうした自民党税調の実態は、政治と業界の癒着をもたらして、多数のいわゆる族議員をつくる温床となっております。自由民主党に対する業界団体の多額の政治献金と果たして無縁でしょうか、疑問を感じないわけにはまいりません。
 また、こうした実態は、税制を大きくゆがめ、議会政治の空洞化を招いております。自由民主党総裁としての宮澤総理の御見識をお聞きしたいと思います。
 さて、ただいま申し上げたような自民党税調、政府税調などを経て、本日議題の租税特別措置法の改正案が提案されました。租税特別措置は、御存じのように、一定の政策目的を実現するために、負担の公平を犠牲にして、税の減免や繰り延べを行うものです。補助金と実質的に同じ効果を持つため、隠れた補助金とも呼ばれております。この租税特別措置は、いろいろな政策目的の名のもとに、次々と連鎖的に拡大されがちです。それは、自民党税調に九二年度もおよそ千六百項目もの要望が出されていることからも明らかでございます。
 このように、一たん設けられますと、既得権とたって、当初ねらった政策効果が薄れても、廃止することが難しくなります。一九七六年度の政府税調の答申以来、政府は租税特別措置の整理合理化を打ち出してきました。しかし、まだまだ多数の租税特別措置が残っております。むしろ、逆に、特別措置の新設も行われております。九〇年度の税制改正では、輸入の促進を図るとして、製品輸入促進税制が創設されました。しかし、二年間たちましたが、この特別措置に政策誘導の効果があったのかどうか、貿易統計などを見ても実に不明確です。
 このように、租税特別措置は多くの問題を抱えております。私は、まず、目的とする政策を実現する上で、税制以外の手段がないのかどうかを吟味すべきだと思います。そして、これまでの租税特別措置については、整理合理化のプログラムを早急につくるべきではないかと思います。大蔵大臣にお尋ねをしたいと思います。
 次に、九二年度の税制改正の進め方を取り上げたいと思います。
 日本の経済は、昨年の春から停滞局面に入っていました。しかし、政府は、景気は引き続き減速しながら拡大局面にあるという誤った判断をしていたことが最近わかりました。そして、九一年度の税収もおよそ二兆八千億円の減収となる見通しで、当初の見積もりは大きく狂いました。こうした事態に対しては、不要不急の経費の節減はもとより、補助金など歳出の削減合理化を行うべきでありました。
 しかし、政府と自由民主党は、「まず増税ありき」で九二年度の予算を編成いたしました。そして、湾岸戦争支援のため一年限りの措置でありました法人臨時特別税を法人特別税として継続をいたしました。また、乗用自動車の消費税も割り増し税率を引き下げて延長し、地価税の純増収分も公約に違反して一般財源へ組み入れました。全く安易な増税の積み上げでございます。
 また、税制論議の中で、国際貢献の増税構想が一時浮上いたしました。国際貢献という大義名分がありましても、その美名のもとに歳入不足の穴埋めを行うというのが主なねらいと見ざるを得ません。こうした正攻法でない手法はどうか、また、目的税は好ましくないとしてきた政府の考え方と矛盾しないかどうか、総理にお尋ねしたいと思います。
 さて、総理はたびたび、国民一人一人が豊かさとゆとりが実感できる「生活大国への前進」を目指すとおっしゃっています。しかし、そこに至る政策の道筋がはっきりいたしません。日本は経済大国と言われておりますが、外国では摩擦を起こし、国内では豊かさやゆとりが実感できる社会にはなっておりません。
 最近、論議が高まろうとしておりますが、経済の担い手である会社、法人のあり方に問題があります。企業は、押しなべて利益を配当などに回さずに、競争力の向上や内部留保に回そうとします。そして、労働者の賃金、また経営者の報酬も、先進国に比べて低く抑えられております。企業の社会貢献もまだまだ貧弱です。その結果、企業が豊かに在って、個人は豊かにならず、企業の競争力だけが強くなって、対外摩擦は大きくなる一方です。今こそ、こうした日本的経営を中心とする経済構造を改めるべきときではないでしょうか。
 そのためには、企業会計原則を見直して、法人の含み益を開示させるとともに、配当を時価基準で行うなど、配当をふやす政策が必要です。また、税制の上からは、法人税を強める一方、内部留保を促進するような諸制度を見直すべきではないかと思います。生活大国を目指す宮澤総理の積極的な見解をお伺いしたいと思います。
 次に、地価税についてお尋ねします。
 ここ数年の地価の高騰によって、土地を持つ者と持たない者の間の資産格差は広がりました。また、一般の勤労者が住宅を手に入れることはますます難しくなりました。こうした土地問題の解決に向け、ことしから地価税が実施されました。この地価税は、当初の予定より大きく後退した内容になっておりますが、このような資産課税の仕組みを導入したことは評価できると思います。また、先ほど申し上げましたように、法人への資産の集中など、日本の経済構造のゆがみを正す上からも必要な税制です。
 ところが、この地価税に対しまして、早くも大手不動産業者などから、廃止を求める声が上がっております。最近の地価の鎮静化は、対症療法的な措置などによってもたらされたものでございます。地価税はむしろ強めていかなければならないと思います。地価税の重要性についてどのように考えているか、明らかにしていただきたいと思います。大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
 また、九二年度の税制改正で、相続税について、土地の評価を公示価格に近づけることに伴って負担の調整を行うことになっています。相続税については、これまでの政府税調の答申にありますように、富の再配分機能に留意しつつ、適正公平な課税を目指すことが必要だとされております。今回、負担の調整を行うことになったことや、また、小規模宅地等については、負担調整の範囲を超えて減税になったことについて、大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
 総理、政治に信頼がなければ、国民は納税する意欲を失います。まして、国民は増税などは許さないと思います。かけ声だけでない政治の改革が必要です。政治の腐敗をなくし、民意を反映する政治システムの確立に向けて、総理が先頭に立って具体的な改革に踏み出すときであります。
 総理のお考えをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) お話しのように、政治の基本は、国民の信頼と負託にこたえることにございます。現在、これを揺るがしかねない事件が発生をし、国民の政治不信を招いていることは、まことに残念なことに存じます。
 疑惑の解明につきましては、いわゆる共和事件については贈収賄事件として公判中であり、佐川事件については、特別背任事件として現在、司法当局により捜査中でございます。いずれにいたしましても、政治と金のあり方が国民の厳しい糾弾を受けていることにつきましては、厳粛に受けとめております。
 なお、私自身のことにつきましては、前国会以来、御要請の資料を御提示した上で、私自身が誠実にお答えをしてまいりました。事実関係は明らかになっておると考えております。
 政治に対する国民の信頼を回復いたしますためにも、この際、懸案の政治改革を一刻も早く実りあるものにいたしたいと考えております。
 自由民主党では、政治改革本部において、政治改革の全体像を掲げつつ、緊急に対処すべき課題について早急に取りまとめ、各党に政治改革協議会の開催を呼びかけることといたしております。政治改革協議会において、各党間で十分御協議の上、できるだけ早期に具体的な結論を出していただけるよう念願をしておりますし、政府といたしましても、政治改革実現のため、最大限の努力を払ってまいります。
 毎年度の税制改正の方法につきましてお尋ねがございましたが、政府としては、国民各層の要望等を考慮しながら、関係各省庁あるいは政府の税制調査会の答申、さらには与党の意見を踏まえまして政府案の作成を行っているところでございます。自由民主党におきましては、いわゆる税制調査会を設けまして、毎年度の税制改正について、国民各層の要望を踏まえつつ、責任政党として幅広い視点から議論を行いまして、与党としての方針を毎年決めておる、こういうやり方でやっております。
 それから、国際貢献についてお話がございました。
 当面の極めて厳しい財政事情の中で、歳出の徹底した節減合理化、歳入面における数々の努力を払いました。税制面においても、何らかの対策が必要であるということになりまして、今回、このような観点から、国民経済、国民生活に配慮しつつ、新たに必要最小限の措置として、法人特別税の創設及び普通乗用自動車に係る消費税の税率の特例措置を講ずることといたしたところでございます。現行の法人臨時特別税及び普通乗用自動車に係る消費税の経過措置は、それぞれ期限が到来いたしますので、今年度末で失効をいたします。今回の措置は、この既存の措置の延長とは別個のものでございます。
 なお、地価税の増収分でございますが、税制調査会答申の趣旨等を踏まえまして、平成四年度予算において土地対策等に資するという観点から、この創設の際の趣旨を踏まえまして、歳出面において適切な配慮をいたしました。
 変動する国際情勢のもとで、国際社会の平和と安定、発展に寄与するため、我が国が、その地位にふさわしい国際貢献を推進していくことは、国民、我々が一人一人真剣に考えるべき課題であると思います。これに関連いたしまして、昨年末、いわゆる国際貢献税構想が議論されたところでございましたが、今後は、まず、我々がなすべき国際貢献が何であるのか、また、その場合どのような財源あるいは問題があるか等々を含めて、国民各層における各般の検討が必要であると考えております。
 それから、企業と個人との関連についてお尋ねがございました。
 生活大国の実現のためには、生産者中心の視点から消費者や生活者をもっと重視しなきゃならない、また、効率だけが優先するということでもいけない、公正ということを考えなければいけないということを申し上げておるわけでございますけれども、その一環として、御指摘がありましたように、企業活動の成果を国民生活の充実にどのように還元していくかということは、極めて重要な課題であると思います。私もそういう問題意識を持っております。
 なお、具体的に生活大国の実現を期しますために、今年は経済長期計画の改定の年でございますので、経済審議会において新たな経済計画の策定作業の中で御検討いただいておりますが、御指摘の視点も十分その際念頭に置いて対処してまいります。
 なお、民意を反映する政治システムの確立に向けて最後にお話がございました。
 初めに御答弁を申し上げましたとおり、政治改革実現の具体的な方策を見出しますために、現在、私どもの党内においても党内論議を進めておりますが、そうして、緊急に対処すべき課題について早急に党の方針を取りまとめるつもりでございます。各党におかれましてもいろいろ案をお持ちであると承知いたしておりますので、今後、政治改革協議会において十分御協議をいただきまして、できる限り早期に具体的な結論が得られますように念願をいたしております。
 残りの御質問につきましては、大蔵大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#8
○国務大臣(羽田孜君) 池田議員にお答えを申し上げたいと思います。
 まず最初に、租税特別措置について、早急に整理合理化のプログラムをつくるべきじゃないかということでございますけれども、租税特別措置は、特定の政策目的に資するため、公平、中立、簡素といった税制の基本原則を犠牲にしている面があるという指摘もあるところでございます。したがいまして、個々の政策目的と税負担の公平性等の調和を図る見地から、常にそのあり方について吟味を行う必要があろうと思っております。
 このような考え方に基づきまして、企業関係租税特別措置につきましては、特に昭和五十一年度以降、連年にわたりまして厳しい見直しを行ってきておりまして、平成四年度の税制改正におきましても、各種の租税特別措置について所要の見直しを行うことといたしております。今後とも、税負担の公平確保の観点から、社会経済情勢の変化に即応しながら適宜見直しを進めてまいりたいと考えます。
 なお、法人の含み益を開示させるとともに、配当を時価基準で行うなどの配当をふやす政策が必要じゃないかという御指摘でございますけれども、資産の含み益につきましては、一般的に申し上げますと、当該含み益算定の前提となる時価情報に関しまして、合理的かつ客観的に算定可能であり、一般に公正妥当と認められる価格を前提としているものにつきましては、時価とともに含み益を開示していくことが適当と考えられます。これに対しまして、必ずしもそのような価格の算定方法が確立しているとは言いがたい資産につきましては、含み益を開示することは投資者の判断を誤らせるおそれもあるというふうに認識をいたします。
 このような観点から、先物・オプション取引のほか、証券取引法上の有価証券のうち、一般に公表されております価格、気配等により時価を合理的に算定できる有価証券につきましては、債券を除き、既に平成三年三月決算より含み益の開示を義務づけております。時価の合理的な算定方法等の検討を行っていた債券についても、平成四年三月決算より含み益の開示を行わせることといたしたところでございます。
 一方、配当の問題につきましては、従来我が国企業の配当政策は、額面に対して何%という考え方にとらわれた配当決定方式を指向する傾向がございました。他方で、企業は、時価を基準として市場から資金を調達しており、この結果、企業が調達した資金に比べて配当が十分ではない状況となっているという指摘も実はあるところでございます。
 これに対しまして、企業による株主への利益配分のあり方といたしましては、額面にとらわれた方式に固執することなく、時価を基準に調達した資金を活用して生じた利益のうち、どの程度の配当を行うかといった考え方に基づき、株主への配当を増加させていく必要があろうと考えております。
 私どもといたしましては、以上のような考え方に基づきまして、従来より企業に対し配当の増加について要望するとともに、証券業界に対しても企業への働きかけを要請しているところでございまして、この点につきましては、与党の方からもそういった御指摘もございます。私どもは、これを踏まえながら話し合いをしてまいりたいと思っております。
 また、法人税を強める一方で、内部留保を促進するような諸制度を見直すべきじゃないかという御指摘があったわけでありますけれども、この御提案につきましては、一つの考え方であるというふうに私どもも評価しながら拝聴させていただきたいと思います。
 法人税につきましては、昭和六十三年の抜本改革におきまして、国際的に調和のとれた法人税制を確立する観点から税率の引き下げ等を行い、実施に移してきたところでございますけれども、平成四年度税制改正におきましては、財政の現状にかんがみまして、法人特別税の創設をお願いを申し上げたところでございます。
 種々の観点からとられております企業関係租税特別措置につきましては、必ずしもすべてが内部留保を充実することを目的とするものではありませんけれども、先ほども申し上げましたとおり、連年にわたりまして厳しい見直しを行っているということを申し上げておきたいと存じます。
 なお、地価税廃止の声があるということでございますけれども、この地価税は、先般の土地税制改革の重要な柱として、土地に対する適正公平な税負担を確保しつつ、土地の資産としての有利性を縮減するという観点から創設され、本年一月一日から施行されておるところでございます。
 ここのところ、地価の鎮静化傾向というものは、これは確かに見られます。これはいわゆる金融面の措置に加えまして、地価税を含む土地税制改革のアナウンスメント、これの効果があったということで、所期の効果を上げ始めたものというふうに私どもも認識しております。
 ただし、地価水準は依然として、これは大都市圏では、いわゆる地価の高騰前のまだ二倍、これは一部の地域でありますけれども、二倍にもまだあるというような現状もございます。土地問題の解決は、依然として我が国経済社会にとって重要な課題であることに変わりはないというふうに認識をしたいと思います。先般の土地税制改革、とりわけ地価税を円滑に実施し、着実に定着させることが重要でありまして、これにより一層の地価の抑制、低下、土地の有効利用の促進を図っていくことが必要であろうと思っております。
 いずれにいたしましても、地価税につきましては広範な議論を経まして創設されたものであることを踏まえまして、土地神話を打破して、二度と地価高騰を生じさせないためにも、大切にこれははぐくんでいく必要があるんじゃないのかというふうに思っております。
 なお、相続税の負担調整を行うことになったことや、小規模宅地については、負担調整の範囲を超えて減税になったんじゃないかという御指摘であります。
 これは、今回の相続税法の改正は、平成四年から土地税制改革の一環として土地の相続税評価の適正化が行われることに伴いまして、相続税の負担調整等を行うものでございます。平成四年分の土地相続税評価から、評価時点、従来の前年七月一日の時点を地価公示価格の評価時点、当年の一月一日時点でございますけれども、これに合わせるとともに、評価割合を地価公示価格水準の八〇%に引き上げ、土地の相続税評価の適正化を行うことといたしております。これは、土地が金融資産等地の資産に比べて有利となるという相続税課税上のゆがみを是正することに目的がございまして、相続税の増収を意図するものではないことから、土地評価の適正化に伴いまして、総体として相続税負担が実質的に増加することのないよう、制度面において、課税最低限の引き上げ等によりまして相続税の負担調整を行うことといたしたものでございます。
 なお、小規模宅地等につきましては、相続税の課税の特例につきまして、今回、その減額割合の引き上げを行うことといたしておりますが、これは近年、大変地価が高騰したということでございまして、大都市圏を中心とした小規模な居住用等の宅地について相続税負担が過重となっておるというおそれがございますし、そういう指摘もございます。相続税負担が過重とならないように、また国民生活というものが安定をするようにという見地から、土地の相続税評価の適正化に伴う相続税の負担調整に際して、本特例の拡充を行うことが適当であるというふうに考えてやった措置でございまして、これはあくまでも小規模のものに対してやるということでございまして、決して、これによって利益を得る、特別な人たちが、大きな企業なんかが利益を得るというものではないということであろうと思っております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) 東祥三君。
    〔東祥三君登壇〕
#10
○東祥三君 私は、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案、相続税法の一部を改正する法律案に関連し、公明党・国民会議を代表して、総理に質問を行います。
 昨年の一九九一年の世界は、湾岸戦争によって幕があき、ソ連邦の崩壊によって幕を閉じた目まぐるしい激動の年でありました。世界経済が深刻な景気後退の様相を呈する中で、繁栄を誇ってきた日本経済も、昨年下半期から明らかに好況に陰りが見られるようになり、最近の法人企業動向調査でも、国内景気判断指標がマイナス四二を示し、法人のほとんどが景気の落ち込みを感じている状況であります。
 国の内外ともに政治、経済、社会環境に大きなうねりを生じ、激動し続ける中で明けた一九九二年。ごろ合わせではありませんが、本年一九九二年はイククニ(行く国)と読めますが、日本はどこに行こうとしているのか、さっぱりわかりません。
 かつて、ジョン・メイナード・ケインズが、その著「一般理論」で、経済というものは確信にある、予想される変化が不確実であると、確信が揺らいでしまう、その結果、将来に対する懸念が深まり、経済活動への意欲が失われてしまうという趣旨のことを述べております。手おくれにならないうちに先手を打つのが政治家の使命であるとすれば、今こそ、日本のナビゲーターである総理自身が、国民の前で、抽象的ではなく具体的に、日本の進むべき方向と、さしあたって何をやろうとしているのかを示すと同時に、断固たる決意を明らかにしていただきたい。
 さて、施政方針演説で総理は、「生活大国への前進」を六項目の指針を通して高らかにうたいとげましたが、国民が豊かさを実感できる社会の実現のためには、税制の果たす役割も非常に重要であるにもかかわらず、生活大国と税制の関連については全く触れられておりませんでした。
 今、政治が直面している課題は、土地・金融資産の大部分が企業に集中しているのと同時に、異常な地価の高騰の中で、持てる者と持たざる者という資産格差の二極分化が進み、国民の不公平感は非常に大きくなっているという事実にどう対応するかということであります。額に汗する人々が十分に報われていないという感じを持ってしまっており、まことに残念なことであります。
 言うまでもなく、政治は公正な社会をつくるために精いっぱいの努力をしなければなりません。そのために、国民の皆様が信頼できる公平な原則にのっとった税体系の構築に今こそ取り組むべき
ではないでしょうか。早急に、現在の生産者、企業優遇の税制から、生活者重視の税制への抜本的な転換を図るべきと考えるものであります。
 日本の進路に対する明確な方針と、その実現のための御決意並びに生活大国実現のための税体系の構築について明確な答弁を求めるものであります。
 そこで、私は、生活者重視の税制構築という視点から、幾つかの問題点を指摘し、総理の御見解を伺いたいと思います。
 第一に、歳入対策のための増税の問題であります。
 政府は、法人特別税を創設し、新たな税負担を法人に求め、自動車の消費税も四・五%の特例税率で実質的に延長させようとしております。いずれも最終的には消費者への負担となるものであり、景気を冷やす増税であることからも問題は多く、安易な増税とのそしりは免れません。
 二十一世紀の高齢化社会を目前にして歳出はさらに伸びる傾向にあり、その意味からも、まずは旧来の惰性を排した思い切った歳出の見直しが必要なのであります。増税の前に、歳出の見直し、不公平税制の是正、行政改革などによる歳出削減などの財政努力によって歳出減を図るべきではないのか。今回の増税案が景気に与える影響、一層の行財政努力の必要性、これらの点について御見解を伺いたい。
 第二に、不公平税制の是正についてであります。
 現行の税制では、個人より法人、事業者が有利な制度となっております。特に、法人税において必要以上の経費が損金算入される各種の引当金は、実際は課税回避策として使われることが多くなっております。また、租税特別措置は一定の役割を果たしていることは否定しませんが、原則的には廃止をし、どうしても必要なものだけ制度化するか、あるいは歳出面で配慮すべきであります。
 今回の改正で五項目の租税特別措置の廃止が決められておりますが、この際、さらなる抜本的な洗い直しを行い、課税ベースの拡大を図る必要があります。各種引当金並びに租税特別措置の全面的な見直しを求めるものであります。
 さらに、税の徴収についても不公平が指摘されるところであります。脱税額の新記録が毎年更新されるようでは、国民の信頼は得られません。まじめな納税者がばかを見るような状況を放置せず、罰則の強化、時効の延長など論議されるべきです。
 来年度税制改正で納税者番号制度が検討されることになっておりますが、プライバシーの保護を前提として、導入を真剣に検討すべきだと思います。各種引当金、租税特別措置の見直しとあわせて、納税者番号制度について、総理の明確な御見解を伺います。
 第三に、土地住宅税制について伺います。
 まず、大都市圏における地価の鎮静化の兆候が見えてきていると言われているが、高騰前の状況と比べると、いまだはるかに高い水準にあります。現状をどう認識し、今後どのような対策を講じようとしているのかをお伺いしたい。
 次に、地価税導入の関係から、相続税の土地評価額の引き上げが行われようとしていますが、特に都市住民が現在住んでいるところに住み続けられるように、小規模宅地等の相続税の課税の特例について改正案で提案されている減額割合をさらに引き上げるべきであります。
 なお、地価税収については、所得税減税に充てるか、土地住宅対策に回すべきものであったはずであります。地価税は増税目的ではないはずであり、一般財源化が目的でもないはずです。また、税率、基礎控除の高さ、いわゆるしり抜けの措置によって地価の引き下げ効果は大変弱くなっております。所得、資産、消費のアンバランス是正のためにも早急な見直しが必要であります。これら小規模宅地への特例の拡充、地価対策としての税制措置についてお答えをいただきたい。
 地価税収の使途については、土地高騰により家が持てなくなった賃貸住宅世帯層の家賃控除に充てるという我が党の従来からの構想があります。政府は、これだけ高騰し家計を圧迫している家賃を食費や被服費と同様などと言っておられるが、安い食事や服はあっても、安い借家というのはそうそうありません。生まれ育った地域に住み続けたいと思っても、それも不可能になっているのが現状です。また、家賃控除制度の創設は一極集中を助長するといいますが、それでは、家賃が高ければ一極集中が是正できるのでしょうか。その発想には根本的な誤りがあると言わざるを得ません。住宅取得促進税制と歩調を合わせる意味でも、生活大国への最も重要な要素である住宅問題への果敢なアプローチをなさるべきであります。可処分所得という点では、借家人も持ち家の人も同じではないのでしょうか。その意味で家賃控除を検討されるべきではないか。この点もあわせてお伺いしたい。
 第四に、懸案となっている消費税であります。
 逆進性、益税の欠陥を持つ消費税の取り扱いについては、両院の意思として合同協議会が設置され、付託されたはずであります。ところが、昨年の自民党の一方的な解散通告という非常に乱暴な手段によって、協議はできなくなってしまいました。国会の正式な機関として設置され、数を重ねて積み上げてきた協議会の論議を政府はなぜ尊重しないのか。自民党は早急に再開を行うべきではないでしょうか。
 また、我が党は、電気、ガス、水道の公共料金を初め、飲食料品について全段階非課税を実施するよう求めてきましたが、この点についても御見解をお伺いしたい。
 最後に、所得税減税について伺います。
 政府は、サラリーマンの重税感の解消を唱えておりますが、給与生活者は、名目賃金の上昇により、減税をしなければ物価、賃金の上昇分だけ実質的に増税となることは既に自明であります。政府は、特定支出控除制度を設け、この面で対応しているようでありますが、残念ながらこの制度の利用者は余りにも少ないのが実情です。
 物価上昇に対応し、雇用政策上からも所得税減税、パート減税が必要と思われます。この点について総理の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 最初に、我が国の向かうべき進路というようなことについてお尋ねがございましたが、これは、いつぞやも申し上げておりますように、今大きな国際激動の中にあって、大変に大きな流れとしましては、平和を求める人類の願いが実現する方向に世界は進みつつあると認識しております。その中で我が国は、この流れの先頭に立って、自由と民主主義が尊重され、また、願わくば市場経済の原理に基づく繁栄が享受される国際社会を構築いたしたい、そのために貢献をすべきであると存じております。
 そして同時に、軍備管理・軍縮の促進、国連の機能強化、あるいは地域問題の解決、さらには地球環境、難民問題など、人類共通の課題にこのいわゆる平和の配当を向けてまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、生活大国についてもお尋ねがございました。
 基本的な考え方としましては、とかく生産者が中心になりやすい行政の視点を、消費者あるいは生活者をより重視する方向へ、また、効率も大事でございますが、公正ということにも十分配慮しなければならない。また、労働時間の短縮、あるいは自由時間の活用によって、自分自身の価値観による生活のできるような、そういう人生のあり方、また、そのための社会資本の充実による生活環境の創造、女性が社会に働くということはもう当然のことでございますが、そのための条件整備を図る、あるいは、高齢者や障害者が、ただ長らえていただくということではなくて、社会のために貢献をして、生きがいを持って生きてくださる、そういう環境をつくってまいりたいと考えておりまして、たまたま今年は長期経済計画の改定の年でございますので、経済審議会に対しまして、そういう趣旨において計画をつくっていただくようにお願いをいたしておるところでございます。
 租税体系の関係についてお尋ねがございました。
 そういう中にあって、やはり租税というものは公平でなければならない、また経済活動に対して基本的には中立的でなければならぬ、あるいは簡素でなければならないというようなことが、その幾つかの原則であると思います。そういう中で、所得、消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせるということであろうと思います。国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合うためのものであるという基本的認識のもとに、国民が信頼できるような税体系の構築をいたさなければならないと思います。
 次に、今回の法人特別税の創設及び普通乗用自動車に係る消費税率の特例措置についてお尋ねがございました。
 従来の措置は失効するわけでございますが、その上で、法人特別税につきましても控除額を大きくいたしましたし、また、自動車の消費税につきましても特別税率を低くいたしました。その上で石油臨時特別税を失効いたさせましたので、従来に比較いたしますれば、現在の経済の基調に対してマイナスの影響を及ぼすものではない。それはそのとおりでございますけれども、できるならばこういう御負担もかけたくなかった、財政の実情から申して、まことにやむを得ない選択であったと考えておりまして、御理解をいただきたいと存じます。
 行政改革につきまして、昨年、行革審から提言を受けまして、昨年の末に来年度の行革大綱を決定いたしました。それを今後も着実に進めてまいりますが、同時に財政改革も、御承知のように増税を考える前に十分いたすべきことであって、来年度予算編成に当たりましても極力歳出の切り詰めを行いました。また、税収動向、財政事情は厳しゅうございますので、建設国債の発行を増額させることはやむを得たかったということとともに、今回の、先ほど申しました増税措置をやらしていただきました。やむを得なかった措置として御理解をいただきたいとお願いを申し上げます。
 それから、税法上のいわゆる引当金制度、これは、おっしゃいましたように法人税の所得変動を調整して、課税をならすと申しますか、合理的に計算するために設けられた制度でございますけれども、これにはいろいろな御指摘のような問題がございますから、必要に応じて実情に即した点検を常にやってまいる必要があると思います。
 それから、租税特別措置につきましても、これは確かに特定の政策目的を実現するために設ける措置でございますから、そういう意味では、公平とか中立とか簡素とかいう基本原則からいえば、これは変則になる、これはおっしゃるとおりだと思います。その上でなお政策目的を実現するためにいたすわけでございますから、常にその見直しかなければならない。原則に対してこれは変則であるということは常時考えておく必要があると思います。
 納税者番号制度につきまして、これは従来からいろいろ政府でも検討を続けておるところでございますけれども、プライバシーの問題、あるいはこういう制度を導入いたしますならば、国民がいろいろな煩わしさがある、それから費用等の問題もございます。その辺で国民の合意が得られるものであるかどうかということについて、なお十分に検討する必要があると思っておりまして、税制調査会の検討小委員会を再び開いていただきまして、検討をお願いをいたしておるところでございます。
 大都市圏を中心に地価の鎮静化傾向が強まりつつございますけれども、水準そのものは依然として高うございますから、総合的な土地対策をこれからも推進していく必要があるという認識でございます。
 それから、小規模宅地の特例の拡充ということを今度もいたしました。つまり、大都市にございます、親から受け継ぎました小さな、いわば猫の額のような土地、住宅地でありましても商業地でありましても、これが実は大変な評価を受けてしまうという問題が今おっしゃっているところでございます。ですから、これについては評価の特例をいたしました。かなり思い切った特例を設けておりますので、この辺が限度ではないかというふうに考えております。
 それから、税制に絡みました地価対策でございますが、土地基本法を踏まえまして、平成三年度改正において土地税制全般にわたる総合的な見直しを行いました。その中で、いわば土地を資産として持っておることが税制上得である、有利であるというようなことを何とかないようにいたしたいということから、地価税の導入あるいは土地譲渡益課税の見直し、農地課税の見直し等をいたしたところでございます。
 それから、地価税収の使い方についてでございますけれども、これは土地対策に資するという観点から使えということで、創設時の趣旨にかんがみまして、歳出面においてそのような配慮をいたしたところでございます。
 それから、家賃が控除できないかということでございますが、家賃は生計費の一つである、食費や被服費と同じであるという意味で、これだけを所得から控除するということは、税制の面からいろいろ問題があるのではないかというふうに考えます。
 それから、消費税につきまして、両院合同協議会で昨年十月、議がまとまらなかったということで、それに基づきまして改正をいたしました。ただいまとしては、その円滑な定着に努めておるところでございます。
 それから、所得税・パート減税でございますけれども、先般の大税制改正におきまして、税率構造の累進の緩和、基礎控除の引き上げ、配偶者特別控除の創設など、基本的な所得税の改正をいたしました。中低所得者層を中心とした重税感、負担の累増感が大幅に緩和されて現在に及んでおると思います。パート所得につきましては、配偶者特別控除の創設、拡充、非課税限度は百万円ということで、これは、これ以上非課税限度を引き上げますと、税負担の公平の面から問題があるというのが専門家の意見のように存じます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(櫻内義雄君) 柳田稔君。
    〔柳田稔君登壇〕
#13
○柳田稔君 私は、民社党を代表して、ただいま提案のありました税制三法案について、総理及び大蔵大臣に質問を行うものであります。
 まず、一連の増税措置についてお尋ねいたします。
 景気後退、バブル経済崩壊により、大幅な歳入欠陥が続く状況となり、宮澤内閣は、湾岸協力のための法人税増税及び普通・小型乗用車の消費税の割り増し税率の事実上の延長だと、増税を決定しましたが、安易な措置と批判せざるを得ません。我々は、五つの点で問題があると考えます。
 第一に、行政改革に着手することなく、国民にツケを回しているということであります。各界の有識者から成る行革国民会議は、自民党政府の行革について、百点満点中二十六点という低い点数をつけています。国鉄、電電公社、専売公社の民営化はよしとして、補助金行政の抜本的見直し、中央省庁の整理統廃合、地方分権確立、国家公務員定数の大幅削減など、本来の行革がきちんと行われていないことはだれの目にも明らかであります。
 第二に、増収対策のみに終始し、理念、哲学がないことであります。突然、国際貢献税構想を打ち出し、批判を受けるとすぐ撤回するようなやり方は、こそくきわまりないと言えます。国際貢献は、国民全体が二十一世紀に向けて背負う課題ですが、この口実で増税を行うことには反対です。一たび国際貢献のお題目が立ては、中身を問わず歳出が膨張し、そのための安直な増税が正当化されるおそれがあり、環境や福祉の名においてもいたずらな増税を認めることにつながります。
 第三に、今年度限りで撤廃する増税を継続するなど、公約違反を犯していることであります。昭和六十三年十二月十五日、水野主税局長は、自家用自動車の消費税割り増し税率について、極めて例外的に経過措置として導入したと答弁しています。また、平成三年二月二十六日、橋本大蔵大臣は趣旨説明において、「湾岸平和基金に対する新たな九十億ドルの拠出のための財源措置につきましてはこ「一年限りの税制上の措置」だと明言しています。
 第四に、増税は、減速する景気をさらに悪化させるおそれがあることです。内需を中心に堅調な拡大を続けてきた我が国経済は、下降局面に直面しています。政府は、実体経済の真っただ中にある勤労者や経営者の声を無視して、景気は拡大基調にあるとの解釈をとり続けてきました。一月二十八日の月例報告でも、日本経済は調整過程にあるとして、非現実的な分析を続けています。厳しい経済情勢のもとで増税を行えば、大不況が訪れ、深刻な歳入欠陥が生じることは火を見るより明らかであります。
 第五に、消費税を導入し、間接税をふやせば、景気に左右されない安定した税収が確保できるとの政府のこれまでのレトリックが正しくなかったことであります。経済が減速し、平成三年度、四年度はそれぞれ二兆八千億円、六兆円もの歳入欠陥が生じる見通しとなったことを、主税当局はどう説明されるのでしょうか。
 以上の諸点にかんがみ、政府は増税策を撤回すべきと考えますが、宮澤総理及び羽田大蔵大臣に約束をしていただきたい。
 次に、消費税率引き上げと行財政改革についてお尋ねいたします。
 政府・与党の首脳がたびたび消費税率の引き上げに触れています。宮澤総理は今月十九日、経済か順調に成長するように運営し、税収を回復することが一番大事だ、消費税率を上げるのは経済政策として下の下だと答弁されておりますが、消費税率は引き上げないと言明しなかったことについては不満でございます。また、羽田大蔵大臣が昨年の十二月三日の参議院大蔵委員会で、私の在任中に税率を上げないと言えない立場を理解してほしいとの発言は、税率引き上げを容認したものと受け取らざるを得ません。
 昭和六十三年十一月十六日、消費税関連法審議に際する徹夜の交渉で、自民党、民社党両党は、行財政改革を強力に推進し、消費税率は極力その維持を図るよう努めるとの合意を交わしました。一体この約束はどこへ行ってしまったのでしょうか。行財政改革を推進し、消費税率は絶対に引き上げないと政府は公約すべきです。我が党との合意を誠実に守るのか、これをほごにするのか、宮澤総理及び羽田大蔵大臣の選択肢を示していただきたいと思います。
 さらに、宮澤内閣は、新たな行財政改革計画の策定、実施を急ぐべきだと考えます。
 一月二十九甘の我が党の大内委員長の代表質問に対しても、総理は何一つ具体的な中身を示していません。我々は以下に五つの行革の哲学を示します。
 一つは、明治以来の旧態依然とした中央集権体制を覆し、国の行政権を外交、防衛、社会保障等に絞り、第二交付税など地方の自主財源を確立した上で、その他はすべて地方に委譲すること。二つは、環境、消費生活向上など総合調整機能を強化すること。三つは、行政の民間企業に対する業務を公正、透明なルールづくりとその環境整備のみに限定し、行政指導は廃止すること。四つは、公務員採用制度を根底から見直し、いわゆる純血主義を排し、民間企業など外部からの登用を進めること。五つは、国会の立法能力を強化し、国民のニーズを反映できる議員立法中心の体制を確立することであります。
 以上の諸点に基づいて、政府は新しい行革五カ年計画を策定、実施すべきだと考えますが、五つの提案それぞれについて具体的にどう対応するのか、詳細なる答弁を総理に求めます。
 当然、平成四年度予算案においても可能な限り歳出削減を行うべきだと考えます。三年度予算においては、湾岸協力のために予備費の二千億円の減額など歳出をカットしましたが、四年度も同様の措置をとるべきだと考えます。さらに、不要不急の経費を切り詰め、政府保有の土地、株式を売却すれば、大幅な財源調達が十分可能であり、増税は全く必要なしと考えますが、総理、大蔵大臣の御所見を求めます。
 次に、相続税減税等についてお尋ねします。
 地価高騰や土地評価額引き上げに対処するため、基礎控除の引き上げや税率調整を行うことは当然であります。特に、後継者不足に悩む中小事業者のため手厚い配慮が必要です。しかし、政府提案の減税は基本的に数字のつじつま合わせにすぎず、中小企業の事業継承の円滑化に資するものではありません。我が国経済を支える中小企業の育成は、日本の将来にとっても重要な政策であります。
 民社党は、取引相場のない株式の評価方法の改善や、個人事業者が事業土地等の生前一括贈与をする場合、贈与税納税猶予制度を創設する等、本来の中小企業承継税制の確立を求めるものでありますが、政府はこれにどう対処するのか。総理、大蔵大臣の見解を明らかにされたいと思います。
 さらに、我々の提案に応じて青色申告特別控除制度三十五万円の創設が政府案に盛り込まれたことは一歩前進と評価しますが、さらなる引き上はを求めます。これについても御答弁を承りたいと存じます。
 最後に、所得税減税等についてお尋ねします。
 ことしから新土地保有税である地価税が実施されました。この税収を減税や土地対策に充てるよう与野党で合意しましたが、宮澤内閣はこの約束を踏みにじり、一般財源としました。地価税収は、サラリーマン対策として、毎月十万円まで住宅家賃を所得控除する制度を創設すること、パート、内職の非課税限度額を百五十万円に引き上げること等に充てるべきだと考えます。
 以上の減税にどう取り組むか、総理、大蔵大臣の答弁を求めます。
 ところで、宮澤総理は、家賃だけをなぜ控除するのか理由づけができないと述べておりますが、持ち家世帯にはローン残高を税額控除する制度があります。なぜ借家世帯には減税の恩典を与えないのか。総理の言う生活大国とは、賃貸住宅で生活する人には認められないものなのか、あわせて答弁をいただきたい。
 また、近年、資産格差の拡大や、家柄、生まれによる階層の固定化が顕著になっています。日本国憲法第二十七条は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」とうたっています。額に汗して働く勤労者の生活は、日本の経済力に照らしてみれば、まことに貧しいものと言わなければなりません。共和など一連の事件は、懸命に働く勤労者の怒りを呼んでおります。今、バブル経済が崩壊し、投機や財テクに走った人たちに審判が下されようとしています。
 まじめに物づくりやサービス提供にいそしむ人たちが豊かな生活を送れるような基盤をつくることこそが、生活先進国や総理の掲げる生活大国の基盤であり、税制改革においてもこの理念を貫くべきだと考えます。このため、国民のプライバシー尊重や合意形成に配慮しつつ、納税者番号制度を導入し、株式売却益、利子配当所得も含めた総合課税体制を確立すべきだと考えます。この点については与野党で合意を交わしており、遅くとも平成五年度の税制改正に盛り込むべきだと考えます。
 さらに、不公平と国民から指摘されている項目は洗いざらい議論し、必要な施策を講じるべきであります。当面、貸倒引当金の圧縮、受取配当益金不算入割合の圧縮などから進めていくべきだと考えます。
 以上の諸点について、総理及び大蔵大臣の答弁を求めて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 平成四年度の予算編成に際しまして、財政事情が非常に厳しゅうございましたので、歳出を徹底して削りました。また、歳入面におきまして建設国債を精いっぱい活用をいたしましたが、どうしてもなかなかつじつまがいませんで、税制面におきましても対策を講ずることが必要ということになりました。
 このような観点から、法人特別税の創設、普通乗用自動車に係る消費税の税率の特例措置を講ずることといたしました。ただいまおしかりのあった点でございます。
 従来の法人特別税の今回の基礎控除は、いわゆる法人臨時特別税よりも百万円大きくいたしてございますし、自動車の特例税率は現在のものよりも低い。その上に、従来やっておりました石油臨時特別税は廃止をいたしました。そういう意味では、今までの経済の水準から申せばマイナスの影響はない、こういうふうに申し上げることはできるわけでございますが、それにいたしましても、本当は一度限りで後をやめてしまえばすっきりしたのでございますが、そういう財政の事情から、やむを得ずにこういう措置をとらせていただきました。御理解を賜りたいと存じます。
 次に、行財政改革の推進と消費税率の維持でございますけれども、こういう財政の体質でございますので、二度と特例公債は発行しないことを基本にして財政をやってまいりました。行財政改革の推進につきまして、昭和六十三年に自民、民社両党の合意がございます。今後とも、この合意の趣旨に従いまして、引き続き努力をいたしてまいるつもりでございます。消費税率を引き上げることは考えておりません。
 次に、行革の問題でございますけれども、昨年の十二月二十八日に、第三次行革審の提言を中長期にわたる課題として尊重することにいたしました。それは権限委譲等、国と地方を通ずる行革でございますが、環境問題、あるいは行政手続の内外への透明性の確保等々を行革の対象として、これから推進をいたしてまいります。
 また、予算編成に当たりまして、いわゆる歳出削減の上に、政府の保有しております財産、国有財産売り払い収入等を含めまして、税外収入の最大限の確保に努めたところでございます。
 それから、中小企業承継税制の問題につきましては、しばしば御提言のあるところでございますけれども、取引相場のない株式の評価を緩和すること、あるいは生前贈与に係る納税猶予の特例等々、いずれも、土地を持っておれば税制上有利だという、そういうことをなるべくなくしたいというふうに考える資産課税の適正化の流れになかなか合わないところがあるということが実は悩みの種でございまして、しばしば御指摘がございますわけですが、なかなか私どもとしてはとれない措置だということでございます。
 青色申告特別控除額三十五万円は、今の状況のもとでは最大の措置であると考えておりますので、御理解をお願いいたしたいと思います。
 地価税の税収の使い方でございますけれども、これはやはり土地対策に資するという観点から、国民生活に還元せよといプ創設のときの趣旨を尊重いたしまして、歳出面において適切な配慮を行ったところでございます。
 家賃控除制度の創設ができないかということは、先ほどもちょっと申し上げましたが、食費、被服費等と家賃とがどこが違うか、それはやはり生計費ではないかということから、税制上の問題としてやはり基本的な問題があるのではないか。
 なお、パート所得につきましては、非課税限度の百万円への引き上げなどをいたしました。これは税負担の公平の面から見て、精いっぱいのところであると考えております。
 それから、納税者番号制度の導入につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、プライバシーの問題、あるいは、そういうことをいたしましたときに国民はかなり煩わしいことになってまいるわけですが、そういう煩わしさ、あるいは費用等々の問題がございますので、税制調査会の納税者番号等検討小委員会でもう少し検討をしていただきたいと思っております。
 それから、いわゆる不公平税制と言われるもの、貸倒引当金でございますけれども、これは法人の税法上の所得の不規則変動を避けるためのいわば合理的な措置でございますから、やはり時々必要に応じて見直しをする必要があるということであると存じます。
 残りの問題につきましては、大蔵大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#15
○国務大臣(羽田孜君) 柳田議員にお答え申し上げます。
 増税策を撤回するべきではないかという御趣旨でございますけれども、平成三年度の税収は、もう当初予算に比べまして約二兆八千億円と税収全体の五%程度減少すると見込まれております。この急激かつ大幅な税収の落ち込みにより、平成四年度以降、財政収支状況が深刻化するものであろうというふうに見込みまして、平成四年度におきまして、歳出の徹底した節減合理化あるいは税外収入の確保、さらに建設公債の発行額の増加等の努力を払うとともに、税制面におきましても、極力税収を確保する観点から何らかの対応策を講ずることが必要であるというふうに考えて、このたびのような措置をとったものでございます。
 しかし、もう既に総理からもお話がございましたように、今度の場合には法人特別税の基礎控除、これにつきまして、三百万円から四百万円に引き上げるということで、中小企業あるいは零細企業等に配慮をいたしておりますし、自動車の特例税率も現行より低くしたということ、それから石油臨時特別税、これを失効させるということによりまして、今日より負担は軽減されるというふうに考えておりまして、現下の経済の基調にマイナスの影響を及ぼすものではないというふうに考えさせていただきたいと思っております。
 なお、消費税につきまして、昨年の十二月に、何か私からそれを予測させるような発言があったということでございますが、そんなことは全然実は考えておりませんで、今も三%の税率についてどうこうということは念頭にないことを明確に申し上げておきたいと存じます。
 いずれにいたしましても、消費税の税率の変更というのは、まさに他の税と同じように、国会の議決を得るものであるということでございます。そして、今後の財政需要の動向ですとか税制全体としての負担のあり方などを踏まえまして、そのときどきの経済社会情勢の条件のもとで国民が選択する事柄であるというふうに理解をいたしております。したがって、国民の御理解なしに安易な税率の変更を行うということは考えられたいことを申し上げておきたいと存じます。
 なお、歳出の削減を行い、政府保有の土地、株式を売却すれば増税は全く必要ないと考えるがどうかということでありますけれども、財政改革を推進する等の観点で、私どもは、既存の制度、施策を先ほど申し上げましたように見直してまいりました。一般歳出につきましては、その増加額というものを前年度同額以下としたほか、国有財産の売り払い収入を含め税外収入の確保に努めるなど、可能な限りの努力を払ったところでございますが、当面の厳しい税収動向、財政事情に対応するため、建設公債の発行額を増加させ、税制面においても必要最小隈の措置を講ずることといたしたものでございまして、今回の増収措置はやむを得ないものであるというふうに御理解をぜひいただきたいと存ずるわけであります。
 なお、取引相場のたい株式の評価方法の改善、贈与税の納税猶予制度など中小企業承継税制についての対処方針ということでございますけれども、中小企業者の相続税を含めた相続税につきましては、昭和六十三年の抜本改革におきまして大幅な減税を行ったほか、今回提案をいたしております租税特別措置法の一部改正法におきましても、土地の相続税評価の適正化に伴う相続税の負担調整に際して、事業用の小規模宅地等につきまして特例の減額割合を六〇から七〇%に引き上げる措置を講ずることとしておりまして、これらは中小企業の事業承継の円滑化に資するものであろうというふうに認識をいたしております。
 なお、御指摘の株式評価の緩和や生前贈与に係る納税猶予の特例の創設は、土地の資産としての有利性の縮減という資産課税の適正化の流れに合わないという問題があり、適当でないことを御理解をいただきたいと思っておるところでございます。
 青色特別控除の問題でございますけれども、この問題につきましては、控除制度を政組いたしまして青色申告特別控除制度を創設し、正規の簿記の原則に従い記帳している青色事業主、この皆様方に対しまして三十五万円の控除を認めることとさせていただいたところでございまして、これ以上の引き上げは困難というふうに考えております。
 なお、地価税収を家賃控除の創設に充てたらどうだ、あるいはパートの内職の非課税限度の引き上げに充てるべきであるということでありますけれども、地価税の創設に伴います純増収分につきましては、「土地対策等に資するという観点から歳出を通じ国民生活に還元することが現実的には適当である」との昨年末の税調答申、この趣旨を踏まえまして、具体的に申し上げますと、例えば公共用地の先行取得のための特定公共用地の先行取得資金の融資制度の創設をいたしたこと、また二番目として、住宅地の供給を促進するための住宅宅地関連公共施設等整備促進事業の拡充を図ったこと、また、三番目といたしましては、土地の有効高度利用を促進するための市街地の再開発事業、駐車場等を拡充する、あるいは土地基本調査の新たな実施ということでございまして、地価公示地点の大幅な増設等、土地情報の総合的な整備の充実等、各般のきめの細かい土地対策の充実強化に充ててきたということでございます。
 なお、家賃控除につきましては、これを創設するようにということでありますけれども、先ほど総理からもお話がありましたように、食費や被服費等と同様、典型的な生計費であることから、家賃だけを取り出して特別の控除を設けることには基本的な問題があるほか、より高額の家賃を払っている方がより大きな恩典を享受するといった問題もあろうと思います。
 また、家賃控除の創設は、賃貸住宅への需要だけを刺激することになりまして、優良な賃貸住宅の供給増には結びつかないという問題がありまして、適当ではないというふうに考えております。
 また、パートの内職減税につきましては、パートの所得者につきましては、先般の税制改革によりまして特別控除というのをさらに設けたということでございまして、いわゆる逆転現象を生ずるというパート問題というのは解消されたと認識いたします。さもに、平成元年の十一月のパート減税によりまして、収入の非課税限度をパートにつきまして百万円に引き上げられたことなど、税制面で最大限の配慮をいたしたところでございまして、これ以上の非課税限度の引き上げには、むしろ税負担の公平という面から問題があろうということを申し上げざるを得ないことをお許しをいただきたいと思います。
 なお、遅くとも平成五年度の税制改正までに納税者番号あるいは総合課税体制を確立すべきだという御指摘でございますけれども、現行の所得税制につきましては、総合課税を原則としつつ、利子・株式売却益課税については、その所得の性格等に応じまして、実質的な公平を図るために分離課税が採用されておるところでございます。
 株式売却益や利子に対する課税のあり方につきましては、先般の改正の際に、総合課税移行問題を含めまして見直しを行う旨の規定が設けられておりをすところから、この規定の定めるところに従いまして、私どもはさらに検討をしてまいりたいと思っております。
 なお、納税者番号制度の導入につきましては、制度の前提となります番号をどうするか等につきましての幅広い視点からの検討や、プライバシー問題や、制度導入に伴い国民がこれを受け入れることになるかどうか、こういった問題、あるいは、費用等の問題につきまして国民の理解と合意が形成されるかどうかが重要になってこようと思っております。
 こうした考え方を踏まえまして、納税者番号制度の導入につきましては、今小委員会で検討しておりますのをさらに私どもは伺っていきたいというふうに思っております。なお、貸倒引当金あるいは受取配当益不算入割合の圧縮など不公平と指摘された問題についてでありますけれども、税負担の公平確保は、言うまでもございません、税制に対する納税者の信頼を得るために最も重要な理念でありまして、この点につきましては、従来から努力を続けてきたところでございます。
 特に、貸倒引当金を含めた税法上の引当金制度は、費用の収益対応の考え方に基づきまして費用を適正に期間配分するなどの見地から、法人税の課税所得を合理的に計算するために設けられているものであり、制度自体を政策税制と考えることは適当ではないというふうに考えます。しかしながら、引当金につきましては、個々にその趣旨あるいは利用実態等を踏まえ、点検を行い、必要に応じ実情に即した見直しを行っていくべきものであろうと認識をいたしております。
 なお、受取配当益金の不算入割合の圧縮についてでありますけれども、受取配当益金不算入制度は、法人株主の受取配当について、配当を支払う法人段階とそれを受け取る株主段階とを通じる税負担の調整を行うためのものでございますが、昭和六十三年度に行われた税制改革におきまして、いわゆる親子会社といった関係を有しない株式の配当につきましては、益金不算入割合を八〇%まで引き下げたところでございます。この制度をさらに縮減することにつきましては、それが企業の資金調達ですとかあるいは資本市場にどのような影響を与えるのか、また、諸外国の例なども参考にいたしまして、私どもは今後とも慎重に検討をいたしていきたいというふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
#16
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#17
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト