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1992/03/03 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第7号
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1992/03/03 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第7号

#1
第123回国会 本会議 第7号
平成四年三月三日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成四年三月三日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
 沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う
  特別措置に関する法律の一部を改正する法律
  案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明
#3
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣田原隆君。
    〔国務大臣田原隆君登壇〕
#4
○国務大臣(田原隆君) 外国人登録法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 外国人登録法に基づく指紋押捺制度については、昭和六十二年、第百九回国会における外国人登録法の一部を改正する法律案の御審議の際、衆参両院の法務委員会において、これにかわる同一性を確認する手段の開発が求められたところでありますが、正確な外国人登録制度を維持することは、外国人の出入国及び在留管理の根幹にかかわるものでありますので、その確認の手段につきましては、慎重に検討を進めてまいった次第であります。
 他方、昨年一月の海部前内閣総理大臣の訪韓の際に、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定に基づく韓国政府との協議が決着し、在日韓国人についての指紋押捺の廃止を含むその内容を取りまとめた覚書に日韓両国の外務大臣が署名いたしたところであります。
 この法律案は、右に述べた経緯を踏まえ、指紋押捺にかわる手段を中心に検討を進めた結果、我が国の社会で長年にわたり生活し、本邦への定着性を深めた永住者及び特別永住者については、鮮明な写真、署名及び一定の家族事項の登録をもって指紋押捺にかえ得るとの結論に達したため、外国人登録法の一部を改正しようとするものであり、その改正の要点は、次のとおりであります。
 その第一は、永住者及び特別永住者について、指紋の押捺を廃止し、写真、署名及び一定の家族事項の登録をもって、同一性の確認手段とするものであります。すなわち、新規登録の申請の際、これらの者は、本邦にある父母及び配偶者の氏名等を家族事項として登録することとするとともに、十六歳以上の者は、登録原票及び署名原紙に署名することとするものであります。
 その第二は、永住者及び特別永住者について、登録の手続及び登録証明書の様式に関する規定を整備することであります。すなわち、これらの者から新規登録等の申請があった場合における登録原票への登録、登録事項の確認、新たな登録証明書の交付等に関する手続規定を整備するとともに、登録証明書には、署名を転写することとするものであります。
 その第三は、登録の確認申請の時期に関する規定を整備することであります。新たに永住許可または特別永住許可を受けた者が、登録事項の確認を受けた場合における次回確認申請の時期は、その後の五回目の誕生日から三十日以内とするとともに、署名をしていない者の次回確認申請の時期は、新規登録等を受けた日から一年以上五年未満の範囲内において市町村の長が指定する日から三十日以内とするものであります。
 その第四は、不署名罪の規定を設けるなど罰則その他の関連規定を整備するものであります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明に対する質疑
#5
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山元勉君。
    〔山元勉君登壇〕
#6
○山元勉君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま提案のありました外国人登録法の一部を改正する法律案について、宮澤総理並びに関係大臣に質問いたします。
 言うまでもなく、外国人登録法が対象としている約百七万人の外国人は、さまざまな国籍と民族から成っております。しかしながら、その半分以上をいわゆる在日韓国・朝鮮人が占めていることもまた事実であります。そして、これらの人々の処遇は、我が国の外交政策と密接に関連しており、日本政府が南北朝鮮に対して正当な敬意を払ってこそ、在日韓国・朝鮮人を人間として処遇する前提条件が整備されることになるのであります。
 そこでお尋ねしますが、いわゆる核査寮問題も解決の方向にある今日、日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化交渉を、従来に比し、より積極的な姿勢で、また、より速いテンポで進める考えはないのか。また、従軍慰安婦問題や強制連行問題等に関連し、南北朝鮮及び日本に居住する朝鮮半島出身者に誠意ある補償を行う考えはないのかどうか、基本的姿勢の問題として、お尋ねいたします。(拍手)
 次に、今回の法律案の是非を問う前提となる二つの大きな政策上の問題点についてお伺いいたします。
 第一に、いわゆる外国人犯罪と外国人登録制度の関係についてであります。
 まず、統計的に見て、近年の外国人犯罪がどういう傾向で推移しているか、そして、それぞれの犯罪を犯した者の正規の在留日数や在留資格がどういう傾向にあるか、お尋ねいたします。そして問題は、そういった外国人犯罪を抑止するために、外国人登録制度はこうでなくてはならないということが果たして言えるかどうかであります。
 我々が、いわゆる外国人犯罪と聞いてまず思い浮かべるのは、正規の滞在日数が一年を超えることはなくしたがって外国人登録の指紋押捺とは無関係な外国人であります。したがって、外国人犯罪を抑止するためには、一年以上在留する外国人で、かつ特別永住者と永住者以外の者について指紋押捺を残さなくてはならないと言われても、納得がいかないのであります。この点についての政府の見解はいかがですか、お尋ねをいたします。(拍手)
 第二に、日本国民と外国人の同一人性確認のあり方についてであります。我々日本国民は、その同一人性確認のために、国によってつくられた証明書を常時携帯する義務を課せられているわけではありません。したがって、例えば外国船舶の出入りする港を歩いていて警察官や入管職員等から職務質問され、その同一人性の証明を求められたとしても、当該職務質問への応答または運転免許証や職場の身分証明書等の提示で足りているわけでありますし、よほどの場合においても、第三者に電話で連絡するなりして同一人性を証明してもらうこともできるわけであります。しかし、外国人の場合は、特別永住者、永住者も含め、外国人登録証の常時携帯及び提示義務が定められており、それは今回の政府の改正案においても手つかずなのであります。
 定住性の高い外国人にまで、日本国民にはないような煩雑な同一人性確認のシステムを強要するのは、内外人平等を定めた国際人権規約に違反する疑いが濃いと言わざるを得ません。とりわけ、東アジアの国々に源流を持ち、我が国に長年居住する人々に常時携帯義務を課すのは、機能的に見ても全く無意味であります。
 日本人と称しても通用する容姿を持ち、かつ流暢な日本語を話す人々について、この人は在日外国人だと識別している警察官等が、当該外国人が合法的に在留する者であることを識別できないことはあり得ないのではないでしょうか。また、そこをも疑わざるを得ないとすれば、一人一人の国民について、外国人ではないかどうか、もっと言えば、日本人に成り済ました不法入国者、不法残留者でないかという点も含め、一々疑わざるを得ないのではないでしょうか。
 以上を踏まえ、我が国に在留する日本国民及び外国人の同一人性確認のあり方について、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 次に、法案について具体的にお尋ねいたします。
 まず、指紋押捺制度についてであります。
 先ほども触れましたように、外国人犯罪の抑止のために指紋押捺の全廃はできないとの主張は説得力を持ちません。また、この制度は、内外人平等を定め、かつ、非人道的または品位に欠く取り扱いの禁止を定めた国際人権規約に違反することも明らかであります。我が国も既に批准したこの国際人権規約に従い、いわゆる不法入国者や不法残留者も含め、すべての外国人について人としての権利が保障されなければならないのであります。
 その観点からいたしますと、国際人権規約に違反する指紋押捺制度を一部の外国人についてのみ残すということ、しかも、一年未満在留の者は指紋が免除されている状態でそうするということは、それ自体が国際人権規約に違反する施策と言えるのであります。
 以上の理由により、我が党は、この法律案は、指紋押捺制度を完全に廃止するものとして書き改めるべきと考えますけれども、政府の御見解はいかがか、お伺いをいたします。(拍手)
 次に、外国人登録証の常時携帯制度についてであります。
 これも先ほど触れましたように、特別永住者、永住者も含め、外国人登録証の常時携帯及び提示義務が定められており、それは今回の政府案においても手つかずでありますが、これは国際人権規約の定める内外人平等に反するばかりか、機能的に見ても、その存在意義を疑わざるを得ないものであります。もちろん外国人登録証を持つ必要のない九十日未満在留の外国人には、旅券または上陸許可書の常時携帯制度が定められており、その旅券または上陸許可書の常時携帯まで国際人権規約違反とすぐに断定できるわけではないことも事実であります。しかし、特別永住者、永住者を含め一定水準以上の定住性を有する外国人にまで証明書の常時携帯を義務づけることはいかがなものでありましょうか。この点について改善する内容を盛り込む方向で法案の修正を行うべきかと考えます。見解をお尋ねいたします。(拍手)
 第三に、外国人登録法の刑罰制度についてであります。
 外国人登録法においては、ついうっかり申請をし忘れたような単純なミスに対してまでも「一年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金」という重罰が科せられております。そして今回の改正案では、新たに不署名罪という罪名に基づく刑罰制度が科せられようとしています。しかし、逮捕や強制捜査に直結するこのような重罰制度をいろいろな項目について設けるのはいかがなものでしょうか。
 これに対し、日本国民の登録制度に関しての法である戸籍法と住民基本台帳法においては、虚偽申請といった悪質な違反を除いた部分については過料、いわゆる過ち料で対応しております。この点についても内外人平等に違反する疑いが濃いと言わざるを得ません。
 また、外国人登録法の刑罰制度に基づく逮捕、強制捜査等が何らかの政治的目的に使われるのではないかとの在日外国人の心理的負担の大きさも考慮しないわけにはいきません。そこで、この点についても、戸籍法と住民基本台帳法の類似規定との横並びを図りながら、過ち料を基本とした制度に転換すべきであります。こういう方向で法案を書き直す考えがないかどうか、お尋ねいたします。(拍手)
 以上、私は、本法案の修正を求める立場に立って幾つかの点についてお尋ねをいたしましたが、最後に申し上げたいのは、第一に、外国人の処遇を初めとする日本の人権状況を問う内外の世論、第二に、指紋押捺制度廃止を九三年一月までに行うべしとした日本の韓国に対する国際公約、第三に、参議院における与野党逆転等々四囲の状況を勘案して、政府・自民党は野党との誠意ある対話に応じ、円満な問題解決に努めるべきだということであります。この点を特に強調して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 日朝国交の正常化につきまして、この問題は、第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係を正すという側面と、それが朝鮮半島の平和と安定に資するものとなることが大切であるといういわば国際的な側面、二つの面をあわせ持っております。我が国としては、国交正常化がこのような二つの面を有しているということを十分考慮しつつ、また、原則的立場を踏まえながら、関係国とも緊密に連絡をとりまして、誠意を持って交渉を継続していく所存でございます。
 次に、いわゆる従軍慰安婦あるいは被強制連行者に対するお尋ねでございましたが、政府といたしまして、朝鮮半島地域のすべての人々に対し、過去の一時期、我が国の行為により耐えがたい苦しみと悲しみを体験されたことについて、深い反省と遺憾の意を表明いたしております。また、いわゆる従軍慰安婦の問題につきましては、先般、私が韓国を訪問いたしました際にも、衷心より遺憾と反省の気持ちを述べるとともに、この問題についての日本政府の関与のあり方について誠心誠意調査を行うということをお約束をし、また現にそれをいたしておるところでございます。
 日韓両国間では、六五年の日韓請求権・経済協力協定により、御指摘の補償の問題をも含め、日韓両国及び両国民間の財産・請求権の問題は、完全かつ最終的に解決済みであります。また、これに並行して、五億ドルの経済協力をも実施したことは、御承知のとおりでございます。
 次に、日朝間の財産・請求権の問題につきましては、日朝国交正常化交渉の場において、さらに話し合ってまいりたいと考えております。
 それから、指紋の押捺は、外国人の同一性の確認の手段として合理的であり、また必要な制度でございますから、永住者及び特別永住者以外の外国人についてこれを維持しなければならないと思っておりますし、このことは、国際人権規約にもとより反するものではございません。
 それから、外国人登録法の改正法案審議に関しまして、参議院云々という御指摘もございました。もとより審議に当たりまして、各党の御意見を謙虚に承ることはもちろんのことでございます。
 残りの問題は、法務大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣田原隆君登壇〕
#8
○国務大臣(田原隆君) 御質問にお答えします。
 まず、外国人犯罪の傾向及び外国人犯罪者の在留資格等についてのお尋ねでありますが、このうち犯罪の傾向についてまずお答えいたします。
 統計的に見ますと、全国検察庁における外国人による犯罪の通常受理件数は、昭和六十年が一万三千七百七十九件でありまして、その後漸減を続け、平成二年には一万十八件と二割以上の減少を示しております。これは主として、外国人登録法違反による受理件数が、この期限に三千三百二十件から四百八十五件へとおよそ七分の一に減少していることによるものであります。その一方におきまして、同じ期間において、出入国管理及び難民認定法違反の受理件数は五百七十二件から千百八十七件に、また強盗罪の受理件数は六十六件から百二十件にと、それぞれほぼ倍増していることが注目されるところであります。
 次に、外国人犯罪者の正規在留日数、在留資格の傾向についてお尋ねでございますが、犯罪を犯した外国人に関する在留資格及び在留日数については、統計資料が全くございませんのでお答えできませんが、どうか御了承いただきたいと思います。
 山元議員の御質問の第二点目は、外国人犯罪を抑止するために、永住者及び特別永住者以外の外国人で一年以上在留する者について指紋押捺を残さなくてはならないとの意見に反対の立場からの御意見でございましたが、指紋押捺は、犯罪を抑止するためではなく、外国人の同一性確認の手段として必要な制度であると考えております。一年以上在留する者は、一般的に永住者や特別永住者のような社会への定着性がございませんので、これらの者について、写真、署名及び家族事項の登録による新たな同一性確認手段を採用することは不適当であると考えておるのであります。
 次に、外国人の同一性確認のあり方についてのお尋ねでございますが、外国人は日本国民と異なり、当然に本邦に在留できるわけではなく、本邦に在留するためには日本国政府の許可を必要とする立場でありますから、本邦に在留している者が在留の許可を受けている者と同一であるかどうか明確にし得る制度を設けることが不可欠であり、その一環として外国人登録証明書の携帯制度もまた必要であると考えております。
 次に、外国人登録証明書の常時携帯義務を改善すべきだと考えるが、どうかとのお尋ねでございますが、外国人登録証明書の常時携帯制度は、外国人の居住関係及び身分関係を現場において即時的に確認するために必要であると考えてお少ます。しかし、同制度の運用につきましては、常識的かつ弾力的なものに徹底するよう、今後とも努力いたす所存であります。
 次に、内外人平等に反する刑罰の制度転換をすべきと考えるが、どうかとのお尋ねでありますが、自国民と外国人との間の基本的な地位の相違に基づく合理的な範囲内で両者の取り扱いに差異を設けることは、当然許されると考えております。外国人に対する外国人登録法と日本人に対する戸籍法、住民基本台帳法に規定された各罰則との間に差異がありますのも、日本人と外国人との間の基本的な地位の相違に基づく合理的なものでありますので、現行の罰則の改正は不要であると考えております。
 以上、御質問にお答えいたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) 中村巖君。
    〔中村巖君登壇〕
#10
○中村巖君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました外国人登録法の一部を改正する法律案に関して、総理並びに関係大臣に対し、質問をいたすものであります。
 今日、多くの人々が日本の国際化の必要性を述べておりますが、この国際化という言葉は、よく考えてみますと、必ずしもはっきりいたしません。日本が他の国との接触を余儀なくされる中で、国家として国際社会で大きな役割を果たすべきこと、外国や外国人との交流を深めるべきこと等々のさまざまな内容があるはずですが、単に国内に外国人を迎え入れるというだけでなく、外国人を受け入れてともに住み暮らしていくことも、また国際化の一環であるのかということになると、これに言及する人は少ないのであります。
 日本には以前から単一国家の神話と言われるものがあり、ほぼ均質の日本人のみが日本の社会、さらには国家を構成し、外国人は単なるお客さんだと考える傾向がありました。しかし、明らかにアメリカ合衆国はこれとは異なった道をたどってきたのであります。ほかにも複合民族国家や、外国人を自由に住まわせ、これとともに住む共存共住を果たしている国家社会が多く存在します。
 日本が国際化の標語のもとで今後とるべき道は、外国人に対して閉鎖的な国家なのか、可能な限り外国人を受け入れてこの国土の上でともに住むという、人的構成上も国際的な国家になろうとする方向なのか、これは大問題であります。後者の道をとるならば、人種の混交という問題も起こってくるでしょうし、日本文化もまた大きく変容する可能性も出てきます。だからといって、外国人に対して専ら閉鎖的であるならば、世界からは特異な国と見られ、国際国家とは言えないことになります。
 そこで、質問の第一は、総理が、国際国家日本という言葉のもと、この外国人の自由な受け入れと自由な居住という問題をどう考えておられるのかという点であります。
 具体的に国内法の上からいえば、受け入れは出入国管理法の問題であり、居住上の問題は外国人登録法を初めとする外国人の権利に関する法律の問題でありますが、これらに関する現行法制は国際化時代にふさわしいものであるかどうか。なかんずく、外国人登録法等によって外国人をいわば締めつけ、管理することが国際化に逆行するのではないかということをお伺いしたいわけであります。
 第二の問題は、在日韓国・朝鮮人の方々の問題であります。
 今さら言うまでもなく、これらの方々は、日本が韓国を併合して以来、終戦まで日本国籍を有しておりました。その時代に日本に移住し、多くは強制的に連行移住させられたのであります。そして、終戦によって日本国籍を離れましたが、なお日本に居住を続けており、今や二世、三世の世代になり、四世すら誕生するという時期になってきました。八五%が日本で生まれ、教育を受け、その結果、日本の生活習慣が骨の髄までしみ通り、母国語さえ話せないという人も多くなっております。こういった人々は、国籍上は日本人ではないとはいえ、実質上は日本人と変わりなく、未来永劫日本に住み続ける人なのであります。
 今回の外国人登録法の改正の中身は、これらの方々を中心とするいわゆる永住者、特別永住者に対して指紋の押捺を廃止することを最重要点としています。この点に関する限り一歩前進であり、私どもは、この改正案をその意味で評価するものであります。しかしながら、この改正を経てもなお、在日韓国・朝鮮人の方々は日本の中で、後に触れる外国人登録証明書の常時携帯義務、公務員への就職禁止を初めとする就職差別など、さまざまな差別を受けています。
 私は、第二の質問として、総理に、在日韓国・朝鮮人の立場についてどう認識しておられるのか、その法的地位をどう考えるのかについて、これらの人々に対する地方選挙の選挙権付与の可否の問題をも含めてお聞きをしたいと思います。
 以下は、今回の法案に則してお尋ねすることになりますが、三番目に、今回の法案がなぜいわゆる永住者、特別永住者にのみ指紋押捺を免じて、外国人登録の義務ある外国人全部に対し指紋押捺を廃止しないのかということを伺いたいのであります。
 指紋を押捺させることが、人を犯罪者視するに近く、人に著しい不快感を与え、人権上から見ても好ましくないことは事実であります。だからこそ今回は、韓国政府等の要求に基づき一定範囲でこれを廃止することになったわけであります。それと同時に、同一人性の識別に関して指紋押捺制度がほとんど機能していないことも明らかになってきました。それにもかかわらず、なお永住者等を除く人々に対してこの制度をなぜ残すのでしょうか。
 新聞その他の報ずるところによりますと、当初法務省は、すべての外国人に対して指紋押捺制度を廃止する方針であったものが、政府部内の協議において、警察庁の強硬な反対に遭って方針を変えたということであります。警察当局は、治安という立場から廃止に反対したとされますが、これは極めておかしいことであります。確かに現在、不法在留外国人、不法就労外国人が非常に多いことは事実でありますが、このことと、外国人登録をしようとする外国人の問題は全く別であります。
 外国人登録法は、本来、治安法的観点を持たないはずのものでありますし、外国人登録は、外国人の戸籍ないし住民票のようなものであるべきであって、外国人を管理するといった発想のもとでの運用すら不当であると考えられます。
 当初法務当局が考えていたように、そもそも犯罪捜査、治安維持は外国人登録法の立法趣旨と異なっており、そのために指紋を利用することはおかしい。また、外国人登録のためには、写真、署名、家族事項がわかればよく、登録制度はそれで十分有効に機能する。さらに、不法就労者などの多くは九十日未満の滞在者であって、外国人登録を必要としないので、この増加と指紋とは関係がないという観点に立って、指紋制度を全面的に廃止すべきではないでしょうか。
 第四に問題となるのは、外国人登録証明書の常時携帯制度であります。
 今回の改正を機に、指紋の押捺を要しない者については証明書上の指紋転写をなくし、かつカードそのものもより小型にするとされています。しかしながら、依然として外国人は、この証明書を常時携帯することが義務づけられています。そして、不携帯については二十万円以下の罰金という重罰に処せられることになっております。この制度についてはかねてから反対が強く、極端に言えば、証明書を家に置いたまま近くに買い物に出ることさえ違法となり、処罰を受けるという不合理な点が存在します。
 在日韓国・朝鮮人の立場については既に触れたとおりであり、この方々は日本人に準じた待遇が与えられるべきであるのに、常時携帯義務を課し、重い刑罰で脅かすことは著しく過酷と言わなければならず、差別の一つを構成していると言うべきであります。
 今回の法改正に際し、少なくとも在日韓国・朝鮮人に関して、外国人登録証明書の常時携帯制度を廃止すべきではなかったのか。また、仮に廃止ができないとしても、不携帯に対する制裁は刑罰ではなく、いわゆる科料程度の軽いものにすべきでなかったのか。さもないと、今後ともこの点に関し、韓国あるいは在日韓国・朝鮮人の反発を受け、政府との間にぎくしゃくした関係が残るということになりかねません。この点について御見解を伺います。
 第五の質問は、外国人登録の登録事項に関するものであります。
 今回の改正に当たって、登録事項から外されたものもありますが、新たに、本邦にある父母及び配偶者、その他の者であっても世帯を同一にする者の氏名、出生の年月日、国籍が登録事項とされました。そのことはさておき、問題は従来から、職業、勤務所または事務所の名称及び所在地が登録事項とされている点であります。
 日本人の場合、住民票の制度はあるものの、職業等は登録事項ではありません。これらの事項はしばしば変更されることがあります。ところが、外国人登録においては要求されるのであり、これはまさに外国人を完全に管理することが意図されていることを示すものであって、これらの事項に変更があったとき、十四日以内に変更の登録をしなければならないというのも煩わしさを強いるものと言えます。しかも、怠れば二十万円以下の罰金に処せられるのです。なぜこれらの事項についての登録の必要があるのか、登録事項から外すことができないかをお尋ねします。
 第六に、今回の指紋押捺制度の一部廃止に伴い、指紋を押捺しないでもよい者は、署名をすることになっています。署名をしない者は、一年以下の懲役もしくは禁錮または二十万円以下の罰金に処せられるのです。従来の指紋押捺拒否と同じ刑罰であります。しかしながら、従来、この刑罰については重過ぎるのではないかとの声が強かったのであり、今また署名拒否についてもこのような重罰を科するというのでは、批判を免れないと考えます。署名拒否の刑罰はより軽くすべきではなかったのか、お尋ねをいたします。
 以上、外国人登録法の一部改正をめぐって何点かの質問をいたしてまいりましたが、この法律は一面では、日本に居住しようとする外国人にいかに対応するのかという問題に対する国際国家日本の回答の意味を持ち、他方では、特殊な歴史的な立場に立つ在日韓国・朝鮮人あるいは中国人に対する日本の責任と行政上の施策のあり方を明らかにするという側面を持っております。
 これらの問題について政府は確固とした方針を定め、世界の国々から高く評価される政策をとるべきであります。この観点から、真摯にして明確な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 外国人の受け入れにつきましてでございますが、我が国にとりまして、国際的な人的の交流が増進することは、我が国の国際社会への貢献及び我が国社会自身の健全な発展のためにも、基本的に重要なことだと考えております。しかし同時に、外国人の我が国における居住関係等を明確にする登録制度は、我々として秩序ある社会を維持する上で必要であると考えておりまして、締めつけあるいは管理というようなことを意図したり、目的としておるわけではもとよりございません。
 在日韓国・朝鮮人の立場、法的地位についてどう考えるかというお尋ねでございましたが、在日・韓国・朝鮮人の方々は、特別な歴史的な経緯によって我々と社会生活を長くともにしてこられた方々でありますから、我が国の社会秩序のもとで安定した生活を営めるようにすることがもとより極めて重要だと考えております。このような認識に立ちまして、これらの人々の法的地位をより一層安定化いたしますために、昨年入管特例法を制定をいたしまして、同年の十一月から施行をいたした次第でございます。
 選挙権の問題でございますけれども、国民主権の原理のもとに公権力の行使あるいは公の意思の決定に携わることとなる公務員を選任する行為でございますから、国政選挙、地方選挙を問わず、外国人に選挙権を付与するということは、やはり難しい問題があると考えております。
 残りの問題は、法務大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣田原隆君登壇〕
#12
○国務大臣(田原隆君) 中村議員の御質問にお答えします。
 まず、今回の法案は、なぜ永住者及び特別永住者にのみ指紋押捺を廃止して、外国人全部に対して指紋押捺を廃止しないのかとのお尋ねでありましたが、指紋押捺にかわる同一性確認の手段として採用することとした写真、署名及び家族事項の登録による複合的手段は、長年本邦に在留し、定着性の高い永住者及び特別永住者については有効と言えます。それ以外の外国人につきましては、一般的に我が国社会への定着性が認められない者でありますので、現行どおり指紋押捺制度を維持するのが相当と考えております。
 次に、今回の法改正に際し、少なくとも在日韓国・朝鮮人に関して外国人登録証明書の常時携帯義務制度を廃止すべきではなかったのか。また、仮に廃止できないとしても、不携帯に対する制裁は刑罰ではなく、いわゆるとが料、科料程度の軽いものにすべきではないのかとの御質問でございます。
 まず、制度の廃止につきましては、外国人登録証明書の常時携帯は、外国人の居住関係及び身分関係を現場において即時的に確認するためのものとして必要であると考えます。また、在日韓国・朝鮮人とその他の外国人について取り扱いを異にすることは、結局、制度の趣旨を没却することとなり、相当ではないと考えております。
 次に、罰則の点につきましては、外国人登録証明書の携帯義務制度は、我が国に在留する外国人の公正な管理に資するための重要な制度であります。したがって、外国人登録証明書の携帯について、罰金刑という刑事罰によって携帯義務を担保す喝ことには合理的な理由があり、御指摘のような科料では、この義務を担保するに十分な効果を果たしがたいと考えます。
 第三点目といたしまして、なぜ「職業」、「勤務所又は事務所の名称及び所在地」について登録の必要があるのか、これらの事項を登録事項から外すことはできないのかとのお尋ねでありますが、外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、外国人の在留管理に資するという外国人登録法の目的を達成する上で、外国人の職業及び勤務先も、氏名、国籍、居住地等と同様に重要な事項であることから登録事項としているものであります。人物の同一性の確認の一助をなすという意味からも、登録事項から外すことは困難と言わざるを得ません。
 最後に、署名をしない者に対する罰則は、従来の指紋押捺拒否と同じ刑罰であるが、署名拒否の罰則はより軽くすべきではないかとのお尋ねにお答えします。
 署名は指紋押捺と同様、外国人の同一性確認手段として登録制度上重要なものであり、署名を拒否した者に対して、指紋を押捺しない者と同等の刑罰を科しても何ら不合理ではないと考え、このような取り扱いといたしたものであります。
 以上、御質問にお答えしました。(拍手)
#13
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復唱に伴
  う特別措置に関する法律の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明
#14
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣伊江朝雄君。
    〔国務大臣伊江朝雄君登壇〕
#15
○国務大臣(伊江朝雄君) ただいま議題となりました沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 今年は沖縄が本土に復帰して二十周年という歴史的な節目に当たります。この間、政府は、沖縄における本邦の諸制度の円滑な実施を図るため、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律により、各般の特別措置を定めるとともに、沖縄における基礎条件の改善並びに地理的及び自然的特性に即した沖縄の振興開発を図るため、沖縄振興開発特別措置法により、二次にわたり総合的な沖縄振興開発計画を策定し、及びこれに基づく事業を推進する等特別の措置を講じ、もって、沖縄の振興開発等を積極的に推進してきたところであります。
 しかしながら、本土からの遠隔性、離島性、また広大な米軍施設、区域の存在等の種々の理由により、沖縄県の経済社会は依然として厳しい状況にあります。
 また、沖縄県を我が国の中にあって特色ある地域として整備することは、広く我が国経済社会の発展向上にも有益であります。このため、今後も沖縄の振興開発を推進していく必要があります。
 このような状況にかんがみ、沖縄振興開発特別措置法の有効期限を十年延長するとともに、現行の施策の充実を図り、新たに沖縄振興開発計画を策定し、これに基づく事業を推進することとするほか、沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特例措置のうち内国消費税及び関税に関する特別措置をそれぞれ五年延長することとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その概要を申し上げます。まず、第一は、沖縄振興開発特別措置法の一部改正でございますが、この法律の有効期限を十年延長して平成十四年三月三十一日までとし、新たに平成四年度を初年度として十カ年にわたる沖縄振興開発計画を策定することとしております。
 また、現行の国の負担または補助の割合の特例を継続するとともに、その対象となる事業に公立養護学校の高等部の建物の整備を加えるほか、国営土地改良事業の直轄災害復旧事業に係る沖縄県の負担金の額の特例を設けることとしております。
 さらに、現行の施策の充実を図るため、工業開発地区については、その振興を図るべき対象業種を拡大し、工業等開発地区とするとともに、税制上の特別措置等をこれらの業種に及ぼすこととするほか、自由貿易地域についても、関税法の改正で新設が予定されている総合保税地域の活用、税制上の特別措置の対象業種の拡大等の改正を行うごととするものであります。
 また、沖縄の離島の地域等における厳しい状況にかんがみ、旅館業に対する地方税の減免について減収補てんの制度の新設等を行うこととしております。
 第二は、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部改正でございますが、県民生活等への影響を考慮して、沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置等の内国消費税に関する特例措置及び製造用原料品に係る軽減措置等の関税に関する特例措置の適用期限をそれぞれ五年延長することとしております。
 以上が、沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#16
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。上原康助君。
    〔上原康助君登壇〕
#17
○上原康助君 ただいま議題となりました沖縄関連二法の一部を改正する法律案について、私は、日本社会党・護憲共同を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 沖縄は、戦後二十七年に及ぶ米軍支配から脱却して、施政権が日本に返還されてから今年五月十五日で二十年になります。この二十年を振り返ってみて、沖縄の本土復帰とは一体何だったのかと、県民は、かわりばえのしない米軍基地の現状、自然環境破壊の深化など、第三次振計の策定を前にして、それぞれの立場から二十年の来し方を問い直しているところであります。(拍手)
 沖振法及び復帰特別措置法は、第六十七、第六十八国会において、返還協定審議と相前後して激しい論議の末、成立し、政府の沖縄に対する振興開発は、主にこの二法に基づいて進められてきました。この間、二次にわたる振計が策定され、多額の国費の投入と県民のたゆまざる努力が相まって、社会資本等の整備はかなり前進し、沖縄の経済社会は総体として発展を遂げ、本土との格差も次第に縮小されつつあります。
 私は、この面に対する政府のこれまでの特段の御配慮に敬意を表します。その上で、沖縄復帰の原点、沖縄問題の基本について、改めて政府の御認識をただしてみたいのであります。(拍手)
 宮澤総理、二十年前に政府が沖縄県民を初めとする国民に公約したことは、沖縄の米軍基地の態様は、核抜き、本土並みにし、産業経済面は、本土との格差の是正、自立発展のための基礎条件を整備をして、平和で豊かな沖縄県を実現するということでありました。
 特に思い出してほしいことは、一九七一年十一月二十四日、この本会議場で「非核兵器ならびに沖縄米軍基地縮小に関する決議」が採択され、当時の佐藤首相は、「沖縄における米軍基地の整理縮小につきましては、復帰後すみやかに実現できるよう、現在からこの問題に真剣に取り組む方針であります。」と、本院の決議を受けて名言されました。
 総理、あなたは、政府が国民に約束してきたこれらの基本課題が確実に実行されてきたと見ておられるのか、まず、政府の復帰総括についての御見解をお伺いいたしたいと存じます。(拍手)
 私に言わしむれば、政府公約の大半は、復帰二十年の今日に及んでも不履行であり、沖縄問題の本質は、残念ながら一向に解決されていない状況にあると言わざるを得ません。その具体例を挙げながら質問を続けてみたいと存じます。
 沖振法の基本目標であった本土との格差是正、自立経済基盤づくりの点から述べてみましょう。
 産業経済面は、期待された企業立地は進展せず、依然として二次産業が振るわず、三次産業への比重が高いという産業構造は改善されておりません。農業も相次ぐ自由化政策による打撃を受けて、基幹作物であったパイン産業は衰微し、サトウキビ農家や関連企業、地場産業なども総じて厳しい条件下に置かれております。雇用面では、失業率はわずかに改善の跡は見られるものの、若者を中心に全国平均の約二倍の失業率は恒常化いたしております。県民一人当たりの所得は、格差が是正されるどころか、最近、拡大化の兆しさえ見せており、依然として全国の最下位にあります。一九八六年度に全国平均の七五%に達したのもつかの間、九〇年度には逆に七一%に落ち込んでいる状況であります。
 これらの点は、第一次及び第二次振計における基本的な課題であったはずであります。一体、二十年をかけてもこれらの課題を解決できなかった原因、つまり、これらの課題に効果的に対応できなかった要因については、政府はどのように分析しておられるのか。また、今後これらの課題、とりわけ製造業等の産業がこれまでと同程度の伸びしかできないとすれば、所得格差の是正、産業構造、失業率の改善等は望めないと沖振審議会でも厳しく指摘していることを考えれば、高率助成措置の見直しなどは絶対にやるべきではありません。
 総理、政府の立場で、これらの諸課題の解決のためにどうなさるのか、具体的にお示しをいただきたいのであります。(拍手)
 次に、戦後処理及び復帰処理についてお尋ねいたします。
 間もなく戦後半世紀が経過しようというのに、沖縄にはいまだに未解決の戦後処理問題等が山積いたしております。鉄の暴風とまで言われた沖縄戦でとうとい命を失った旧軍関係者あるいは民間の方々の未収集の遺骨が、今なお山野に数多く埋もれております。また、沖縄戦で投下された爆弾は約二十数万トン余と推定されておりますが、そのうちの約一万トン余が不発弾で、現在でも三千トン余が未処理で地中深く埋まっているため、各種工事等に支障を来している状況にあります。遺骨収集並びに不発弾の処理という沖縄戦の後始末を早急に終わらせることは、政府の当然の責務と言えましょう。(拍手)
 さらに、太平洋戦争末期の一九四五年三月から四月にかけて、八重山の波照間などの住民が、旧日本軍の命令によってマラリア有病地域に指定されていた山地に強制的に移住させられたがゆえに、約三千人余の人たちがマラリア病で死亡するという悲劇を招きました。しかし、これらの犠牲者に何らの補償もなされないまま今日に至っております。軍の命令によって強制的に移住させられたがゆえに死を余儀なくされた方々の遺族に、援護法を適用し、適正の補償をなすべき責任が政府にあることは、これまた当然であります。(拍手)
 次に、いま一つ解決を急がねばならない復帰処理に、厚生年金の格差是正があります。我が党は、既にこの格差是正について、幾度となく関係当局に強く求めてまいりました。との格差是正要求は県民挙げての強い叫びであるにもかかわらず、政府の態度は冷たく、極めて消極的なことに納得しがたいものを覚えます。
 総理、格差が生じた最大の原因は、戦後二十七年間、沖縄の施政権が分断されていたからであり、沖縄の厚生年金受給者のせいではないのであります。戦中戦後、幾多の試練に耐え、苦労を重ねてきた年金受給者が高齢であることを考えれば、事は急がなければなりません。
 宮澤総理、沖縄復帰二十年という歴史の節目を迎えて、沖縄に対する政治的、道義的償いの誠意を示す意味で、せめて厚生年金の抜本的格差是正と戦争マラリア犠牲者に対する補償問題を、県民の期待にこたえて直ちに解決するための政治的勇断を求めたいのであります。総理の決意のほどをお聞かせいただきたいと存じます。(拍手)
 次に、沖縄問題の本質、根幹をなす米軍基地についてお伺いいたします。
 既に指摘いたしましたように、政府は沖縄復帰に当たって、米軍基地の態様を本土並みにすると約束いたしましたが、二十年を迎えた今日でも、国土の〇・六%しかない小さな狭い沖縄に在日米軍専用基地の実に七五%が存在し、沖縄本島の約二〇%は依然として米軍基地で占拠されたままであります。復帰後、日米両国政府が鳴り物入りで基地の整理縮小を進めるかのごとく、第十四、十五、十六回の日米安保協で返還合意されたものさえ、その四五%程度しか返還されていないという約束違反が今も続いておるのです。
 総理、この二十年間で整理縮小された米軍基地は、復帰時のわずか一三%弱でしかなく、今なお二方五千ヘクタール余の軍事基地を抱え込んでいる実情にあります。今や冷戦構造は終結し、国際情勢は平和の方向へと大きな転換を見せ、軍縮、軍事力の削減が着実に進んでいる中で、なぜ沖縄だけが米軍の激しい実弾砲撃演習や、昼夜を分かたない殺人的爆音等によって犠牲と忍従を強いられなければならないのですか。この軍事基地の重圧はいつまで続くのですか。
 しかも政府は、今年五月十四日に賃貸借契約が期限切れとなる沖縄の米軍用地の地主で賃貸借契約に応じない地主に対して、駐留軍用地等特別措置法を適用して、現在その収用手続を進めております。あの熾烈な沖縄戦から四十七年間もの長期にわたって自分の土地を奪われてきたのに、引き続き、安保条約の目的達成のためと称し、地権者に犠牲を強いることは看過できないものがあります。政府は、速やかに強制使用手続を撤回し、地主に当該軍用地を返還すべきであります。
 また、軍用地の返還に当たっては、野党四会派が共同で提出してある、いわゆる軍用地転用特借法案の制定が必要不可欠であります。使うときには、銃剣とブルドーザーで武力をもって強制接収し、返すときには、適正な補償もせず、跡利用が十分できる措置を講じようとしない政府の態度は、断じて容認することはできません。政府並びに与党が、野党提出の軍転特借法案に反対であるならば、なぜみずからの対案をお示ししないのですか。総理並びに関係大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 さて総理、沖縄の米軍基地問題が二十年たっても一向に県民の期待している方向で解決できない要因は那辺にあるとお考えですか。その最大の障害は、歴代自民党政権が憲法の上に安保条約を君臨させてきた軍事優先の国策にあります。我が国は現在でも、陸も空も海も米軍優先で、国家主権が著しく制約を受けている実情にあります。横田空域の一部返還はなされようとしておりますが、嘉手納RAPCONなど、航空管制権やその業務など、すべて日本側が速やかに掌握すべきであります。また、PCB汚染に見られるごとく、米軍基地内の環境保全についても日本政府が主体的に関与すべきであります。
 総理、日米関係を大切にすることには異存ありませんが、日米安保体制は冷戦構造下における軍事優先の旧思考型の国家観です。もはや冷戦構造は不可逆的に崩壊し、旧ソ連は日米両国の潜在的脅威から同盟国に変わろうとしており、新しい国際秩序が生まれつつあります。今こそ政府は、冷戦構造下で蓄積されてきた日米間の軍事的な負の遺産を除去し、発想の一大転換を図り、新時代に即応させて、在日米軍基地、とりわけ沖縄の米軍基地の整理、縮小、撤去のための具体策づくりに積極的に取り組むべきであります。基地問題の抜本的解決なくして、沖振法の目標達成はおろか、沖縄の明るい未来は望めないのであります。総理の明快な答弁を求めます。(拍手)
 最後に、中国政府は最近、尖閣諸島を中国固有の領土と明記した領海法を公布いたしていたことが明らかにされました。日中国交回復二十周年という記念すべき節目に、極めて遺憾であり、納得しがたいものがございます。尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も沖縄県の石垣市に属し、我が国固
有の領土であります。政府は、この重要外交案件を中国側とどう友好的に解決していかれようとするのか、総理並びに外務大臣の御見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 沖縄における米軍施設、区域の整理統合につきましては、昭和四十七年の沖縄返還後、四十八年、四十九年、五十一年の日米安全保障協議委員会において米軍の施設・区域整理統合計画が策定され、これに従って整理統合の努力を進めてまいりました。さらに、かかる計画及び地元からの要望等を踏まえ、平成二年六月、日米合同委員会において、二十三の事案、面積でおおむね千ヘクタールにつきまして、返還に向け日米双方が所要の調整、手続を行っていくことを確認いたしました。現在までに面積でその約三分の一が返還のための手続を下しました。御指摘のように、施設、区域の整理統合につきましては、今後とも引き続き努力をしてまいる所存でございます。
 本土との格差是正等々につきまして御質問がありました。
 復帰以来二十年を経過しようとしておりますが、この間、二次にわたる振興開発計画に基づき沖縄の振興開発のための諸施策が講じられました。多くの国費の投入と、また県民のたゆまざる努力によりまして、沖縄の経済社会は総体としては着実に発展をしてまいりました。しかしながら、産業・生活基盤の面では、なお整備を要するものが多く見られます。また、産業振興や雇用の問題など解決しなければならない多くの課題を抱えております。本土との格差の是正、自立的発展の基礎条件の整備という目標が現在十分達成されたとは、残念ながら申しがたい実情であります。
 政府としては、このような沖縄を取り巻く諸事情等から、生活・産業基盤の整備、雇用環境の改善、所得格差の是正など、なお解決を要する多くの課題を抱えている沖縄の経済社会の厳しい現状にかんがみ、今後もその振興開発を積極的に推進することが必要であるという認識であります。このため、三月三十一日限りとされております振興開発特別措置法の有効期限を十年間延長いたします。第三次沖縄振興開発計画を策定するとともに、これに基づく事業を推進する等の特別の措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
 厚生年金の問題についてお話がございまして、御承知のように、これまで本土復帰時及び平成二年、二度にわたりまして特別措置を講じました。年金制度としては最大限とり得る措置を講じたところであると考えておりまして、この点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
 それから、戦争マラリアの犠牲者に対しまして援護法を適用できないかということにつきましては、軍人軍属等、国と雇用関係にあった者あるいは類似の関係にあった者で、戦争公務に従事した間に死傷した者が援護法の対象であるということから申しますと、この体系にはなじみにくいことではないかと考えております。
 駐留軍用地特別措置法の適用は、米軍施設、区域の安定的使用を図るためにやむを得ない処置であると考えておりまして、撤回をするわけにはまいらないと思います。御提案になりました法案につきましては、米軍に提供された施設、区域等の整理縮小という基本方針をあらかじめ国に義務づけるというような点が幾つかございまして、そのままではにわかに賛成をしがたいと考えますけれども、駐留軍用地等の返還後の跡地の有効利用の促進などにつきましては、これまでの努力をさらに続けてまいりたいと思っておるところでございます。
 この新しい冷戦後の時代にあって、沖縄の基地というものを整理縮小すべきではないかというお尋ねでございます。
 確かに核大国間の軍縮は進んでおりますけれども、我が国が引き続き平和と繁栄を享受していくためには、なお日米安保条約に基づく米国の抑止力を必要としておると考えております。御指摘のように、沖縄県における米軍施設、区域の密度が高く、整理統合について強い要望があることはよく存じております。このような区域の、あるいは施設の円滑かつ安定的な使用を確保していく上で、沖縄県民の理解と協力がなければそれは不可能ということはよく存じておりますし、県民のそのような理解と協力に対しては、国民が心から感謝をいたさなければならないところだと考えております。
 また、地元への米軍の配慮が何よりも大事であるという点については、繰り返し強調いたしておりますが、先般来日されましたパウエル統幕議長に対しまして私自身がこの点を指摘をし、伝えておりまして、パウエル議長も、そのことは承るまでもなくよく承知をしております、注意をいたしますというお話がございました。
 最後に、尖閣列島につきましてお尋ねがございました。
 尖閣列島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いがございません。我が国はこれを現在有効に支配しておると考えております。このような我が国の立場は、外交ルートを通じまして中国側に伝達をいたしました。今回の中国側措置は遺憾であるとの正式抗議を行いまして、是正方を強く申し入れております。今後とも、かかる我が国の立場を貫いてまいる所存でございますし、本件が日中関係に悪い影響を及ぼすことのありませんように中国側にも善処を求めてまいる所存でございます。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#19
○国務大臣(渡辺美智雄君) 総理大臣の答弁で大体網羅されておりますが、多少補足をいたしたいと存じます。
 米軍基地の縮小の問題の中で、特に那覇港の港湾施設を初めとして返還の大変強い要望があること、また、県道百四号線の実弾射撃訓練等を、いろいろなことでやめてほしいというような御要求があることは十分承知をいたしております。しかし、沖縄の米軍施設、区域の円滑な安定的な使用を確保していくということは、これまた重要なことでございますので、沖縄県民の御理解と御協力がぜひとも必要でございます。しかしながら、そういう要求もございますので、なるべく地元への配慮ということについてはきめ細かくやっていただきたいということは、繰り返し米側には、総理も今おっしゃいましたが、いろんな会合のときに外務省としても申し上げておるような次第でございます。
 次は、この進入管制業務の問題でございますが、この嘉手納飛行場あるいは横田飛行場、幾つか米軍施設、区域周辺の進入管制業務の米側による実施というものがございます。これは、言うまでもなく地位協定六条に基づいて日米間で航空交通管制の協調及び整合を図った結果として行われているものでございます。これらの区域、施設は、いずれも安保条約の目的達成のために極めて重要なものでございまして、これらにかかわる進入管制業務等を米側が行うことは、米軍の運用上必要なもので、また極めて重要なものだということも御了承をいただきたい。政府といたしましては、今後とも安全保障の利益達成の必要性を踏まえつつ、日米間で航空交通管制の体系の協調、整合を図っていきたい、さように考えております。
 なお、このPCBの問題でございますが、これは政府としては、レイ報告書の内容を真剣に受けとめておりまして、本件問題が明らかになった後、速やかに米側に事実関係の確認、照会を行ってまいりました。二十七日に開かれた日米合同委員会におきましては、当方より本件について問題を提起し、同委員会のもとにある環境分科委員会、これを早急に開くということで合意をいたしました。したがいまして、環境分科委員会を早急に開催いたしまして、本件につき米側との話し合いを進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 それから、中国の尖閣列島についての法律上の宣言ということについてでございますが、尖閣列島が、今総理がおっしゃったとおり、我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところでございます。したがいまして、我が国といたしましては、今回、改めて東京及び北京における外交ルートを通じまして、中国側に、私が今申し上げたような旨を伝えるとともに、今回の中国側の措置は遺憾である旨を正式に抗議をいたしました。そして、その是正を強く申し入れているところでございます。政府は、今後ともこのような我が国の立場を貫いてまいります。また、本件が日中関係に悪影響を及ぼすことのないよう中国側に善処方を求めておるところでございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣宮下創平君登壇〕
#20
○国務大臣(宮下創平君) 上原議員に、二点につきまして、お答えを申し上げたいと存じます。
 まず、駐留軍用地の特別措置法に基づく強制使用手続についての問題でございます。
 沖縄県に所在する施設、区域内の民公有地の大部分につきましては、平成四年五月に賃貸借契約等による使用期間が満了いたします。当該期間満了後も、引き続き駐留軍の用に供する必要がある土地につきまして、所有者との合意により賃貸借契約を締結し、使用できるように努めているところでございます。
 その結果、大部分の土地につきましては、所有者との合意が得られましたけれども、一部の土地につきましては、所有者との合意により使用できる見込みがございませんので、駐留軍用地特措法に基づきまして、使用権原を取得するための手続を進め、去る二月十二日、沖縄県収用委員会の使用の裁決が得られたところでございます。駐留軍用地特措法の適用は、施設、区域の安定的使用を図るため、必要やむを得ないものでございまして、撤回する考えはございません。
 次に、軍用地の返還に当たっての野党四会派が共同で提出いたしておりますいわゆる軍用地転用特借法案についてであります。
 駐留軍及び自衛隊は、安全保障条約または我が国の防衛政策に基づきまして駐留軍用地等を使用して知り、その必要性を考慮することなく、あらかじめ「駐留軍用地等の整理縮小に関する基本方針」の策定を義務づけるなど、野党提案の法案には幾多の問題点がございまして、にわかに賛成いたしがたいところであります。
 なお、返還後の跡地は、面積、所有者の意向等が千差万別であり、その円滑かつ有効な利用は、返還される個々の土地の特性に応じ、土地所有者の意向や地元関係者の要望等を踏まえまして、土地所有者と新たな事業主体との間で個別具体的に措置することが現実的であると考えております。
 防衛庁といたしましても、跡地の有効利用の促進のために、適切な返還予告のあり方等につきまして関係省庁と意見交換を行うなど、でき得る限り努力してまいる所存でございます。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣伊江朝雄君登壇〕
#21
○国務大臣(伊江朝雄君) 上原議員にお答え申し上げたいと思います。
 沖縄における本土との格差是正、自立的発展のための基礎条件の整備についての御質問でございますが、復帰以来、二次にわたる振興開発計画に基づいて進めてまいりました沖縄振興開発のために、累計して約三兆四千億円の国費が投入されております。県民のたゆまざる努力と相まちまして、学校教育施設、道路、空港、港湾等の交通通信施設、上下水道等の生活環境施設の社会資本の整備が大きく前進し、本土との格差は次第に縮小されるなど、沖縄の経済社会は総体として着実に発展してきております。先ほど上原議員の御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、いまだに生活・産業基盤の面では、なお整備を要するものが多く見られるとともに、自立経済の基盤や産業振興、雇用の問題など、解決しなければならない多くの課題をいまだに抱えているのが現状でございます。
 このような現状認識を踏まえまして、昨年六月、沖縄振興開発審議会から「沖縄の経済社会は依然として厳しい状況にあり、」本土との格差是正、自立的発展の基礎条件の整備という「現行計画の目標が十分に達成されたとは言い難い。」との御意見をいただいているのも、かかる状況からの御指摘であります。先ほどの総理からの御答弁もさような御指摘でございました。私といたしましては、第三次振興開発計画におきまして、かかる観点からなお一層の努力をしてまいりたいと存じております。
 次に、所得格差の是正、産業構造、失業率の改善等の諸課題の解決のため、具体的にどのように取り組んでいくかという御質問でございますが、沖縄の振興開発につきましては、これまで二次にわたる沖縄振興開発計画に基づき、総合的な諸施策を講じてきたところでありますが、復帰後の内外経済情勢の変化の影響を受けますとともに、本土から遠く離れ、広大な海域に散在する多くの離島から構成され、かつ、台風常襲地帯に位置するという地理的不利性を有することや、広大な米軍施設、区域が存在するなど、種々の要因が相まって、今日に至ってもなお厳しい雇用環境にあることは御承知のとおりでございます。所得格差の改善等を含めて、解決すべく頑張ってまいります。
 このため、今般、有効期限をさらに十年延長して、第三次の振興開発計画を策定するための諸条件を整備する等を内容といたします沖縄振興開発特別措置法の改正案を国会に提出しているところでございます。御指摘の所得格差の是正、産業構造、失業率の改善等の諸課題の解決のみならず、新たな特色ある沖縄振興開発計画を策定する等、沖縄の立地条件を生かし、産業の振興を図る等、沖縄の振興開発に努力してまいりたいと存じます。
 次に、総理からの御答弁もございましたが、私からも若干の意見を申し上げたいと思います。
 沖縄の厚生年金制度につきましてでございますが、沖縄の厚生年金制度につきましては、その発足がおくれたために本土との年金額の格差を生じております。格差是正の要請が行われておりますことは、十分に承知いたしております。これまでも、二回にわたり沖縄の厚生年金については特例措置が講ぜられてきたところでございますが、今後の高齢化社会へ向けての年金問題の重要性にかんがみ、当庁といたしましては、所管省の厚生省と連絡を密にいたしながら検討してまいりたいと思っております。
 また、さきの大戦当時の八重山におけるマラリア犠牲者について、戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用による国家補償を求める要請がありますことは承知いたしておりますが、この問題につきましては、沖縄県が調査を行っております。戦後既に四十数年が経過しており、当時の状況や遺族の実態が明らかになっていないのが実情であります。先般、総理府、沖縄開発庁、厚生省の間で、沖縄県八重山地域におけるマラリア問題連絡会議を設置いたしたところでございまして、今後、沖縄県の調査結果を踏まえて対処してまいりたいと存じます。
 野党提出の軍用地転用特措法案の制定を図るべきではないかという御質問でございますけれども、本法案は、その所掌が多くの省庁にわたっておりますことは御承知のとおりでございますが、沖縄開発庁は、跡地利用計画が固められたものについては、高率補助による土地区画整理事業や土地改良事業を施行、主要公共施設についても高率補助の措置をいたしております。駐留軍用地跡地等の利用に関する公的助成について申し上げれば、現在も高率の国庫補助の措置を講じておりますし、今後とも現行制度の効果的運用で対処をしてまいりたいと思っております。
 本法案は、駐留軍用地、自衛隊用地を含む返還の促進でございますが、先ほども申しましたとおり、返還の跡地につきましては、十分な高率補助の適用によって公共的な措置を講じておるところでございますので、今後ともさような立場から積極的に進めてまいりたいと思っております。
 以上によりまして、現在、軍転法と称する野党提出の御法案にはにわかに賛成することはできないということだけを申し上げておきます。
 以上でございます。(拍手)
#22
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#23
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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