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1992/03/06 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第8号
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1992/03/06 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第8号

#1
第123回国会 本会議 第8号
平成四年三月六日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  平成四年三月六日
    午後一時開議
 第一 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣
    提出)
 第二 通信・放送衛星機構法の一部を改正する
    法律案(内閣提出)
 第三 有線テレビジョン放送の発達及び普及の
    ための有線テレビジョン放送番組充実事
    業の推進に関する臨時措置法案(内閣提
    出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
 日程第一 恩給法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第二 通信・放送衛星機構法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日程第三 有線テレビジョン放送の発達及び普
  及のための有線テレビジョン放送番組充実事
  業の推進に関する臨時措置法案(内閣提出)
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
#3
○議長(櫻内義雄君) 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名を行います。
#4
○木村義雄君 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名については、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
#5
○議長(櫻内義雄君) 木村義雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 議長は、中央選挙管理会委員に
      堀家 嘉郎君    皆川 迪夫君
      角尾 隆信君    笠原 昭男君
   及び 鈴木 一弘君
を指名いたします。
 また、同予備委員に
      花田  潔君    金井 和夫君
      川那辺 博君    石田  武君
   及び 岡本 富夫君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 恩給法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#7
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長桜井新君。
    ―――――――――――――
 恩給法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔桜井新君登壇〕
#8
○桜井新君 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、恩給受給者に対する処遇の適正な改善を図るため、平成三年における公務員給与の改定及び消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、恩給年額を平成四年四月分から三・八四%引き上げるほか、各種加算額等についても所要の改定を行おうとするものであります。
 本案は、二月十二日本委員会に付託され、同月二十七日岩崎総務庁長官から提案理由の説明を聴取し、昨三月五日質疑を行い、採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
      日程第二 通信・放送衛星機構法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 日程第三 有線テレビジョン放送の発達及び
  普及のための有線テレビジョン放送番組先
  実事業の推進に関する臨時措置法案(内閣
  提出)
#11
○議長(櫻内義雄君) 日程第二、通信・放送衛星機構法の一部を改正する法律案、日程第三、有線テレビジョン放送の発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業の推進に関する臨時措置法案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長谷垣禎一君。
    ―――――――――――――
 通信・放送衛星機構法の一部を改正する法律案
  及び同報告書
 有線テレビジョン放送の発達及び普及のための
  有線テレビジョン放送番組充実事業の推進に
  関する臨時措置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔谷垣禎一君登壇〕
#12
○谷垣禎一君 ただいま議題となりました両案について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、通信・放送衛星機構法の一部を改正する法律案でありますが、本案は、電気通信分野における最近の急速な技術革新の動向を踏まえて、通信・放送衛星機構に通信・放送技術の向上を図るための業務を追加するとともに、通信・放送衛星機構を通信・放送機構と改称する等所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は、
 第一に、この法律の題名を通信・放送機構法に改め、通信・放送衛星機構の名称を通信・放送機構に改めること、
 第二に、通信・放送機構の業務として、従来の業務に加え、高度通信・放送研究開発の実施、通
信・放送技術の研究開発のための基盤的施設整備に必要な資金の出資及び海外からの高度通信・放送研究開発に関する研究者の招聘の業務を行うこと等であります。
 次に、有線テレビジョン放送の発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業の推進に関する臨時措置法案でありますが、本案は、有線テレビジョン放送の発達及び普及を推進するため、有線テレビジョン放送の放送番組に関する業務の効率的な実施を支援する有線テレビジョン放送番組充実事業を推進する等所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、この法律において「有線テレビジョン放送番組充実事業」を定義すること、
 第二に、郵政大臣は、有線テレビジョン放送の発達及び普及の促進に関する基本的な指針を定め、これを公表すること、
 第三に、有線テレビジョン放送番組充実事業を実施しようとする者は、その実施計画が適当である旨の認定を受けることができること、
 第四に、通信・放送機構は、従来の業務のほか、認定を受けた実施計画に係る有線テレビジョン放送番組充実事業の実施に必要な資金の出資業務を行うこと等であります。
 両案は、去る二月十五日逓信委員会に付託され、同月二十七日渡辺郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、昨五日質疑を行い、採決の結果、通信・放送衛星機構法の一部を改正する法律案は賛成多数をもって、有線テレビジョン放送の発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業の推進に関する臨時措置法案は全会一致をもって、それぞれ原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、両案に対し、それぞれ附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(櫻内義雄君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明
#16
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣山下徳夫君。
    〔国務大臣山下徳夫君登壇〕
#17
○国務大臣(山下徳夫君) 健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府管掌健康保険につきましては、昭和五十六年度以降黒字基調で推移してきており、積立金も平成三年度末には約一兆四千億円の規模に達することが見込まれています。今回の改正は、このような財政状況を踏まえて、一層の財政運営の安定を期するため、現行の財政運営を、おおむね五年を通じて財政の均衡が図られるような中期的財政運営に改めるとともに、保険料率及び国庫補助率について所要の調整を行うものであります。
 また、これにあわせて、出産手当金の支給期間の改善を図るほか、今後の高齢社会を見据えて、健康保険制度及び国民健康保険制度等の重要な諸問題について早急に検討に着手するため、新たに政令で定める審議会として医療保険審議会(仮称)を創設すること等の改正を行おうとするものであります。
 以下、この法案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、政府管掌健康保険の中期的財政運営の安定を図るための措置についてであります。
 現行の単年度ごとの収支均衡を前提とした財政運営を、おおむね五年を通じて財政の均衡が図られるような中期的財政運営に改め、その間、短期的な景気変動等の影響を受けない安定的な保険料率を設定することとし、この場合、単年度における収支を調整する機能を果たす資金として、事業運営安定資金を創設することといたしております。
 これに伴い、中期的な財政運営の安定が確保される範囲内において、保険料率及び国庫補助率を調整することとし、保険料率については、現在の千分の八十四を引き下げ、法律上千分の八十二に改めるとともに、国庫補助率については、老人保健拠出金に対する国庫補助率、現行千分の百六十四は据え置くこととし、その他の保険給付に対する国庫補助率について、当分の間千分の百三十とすることといたしております。
 第二は、出産手当金の支給期間の改善についてであります。
 出産手当金の支給期間につきましては、分娩の目前四十二日、分娩の日以後五十六日以内において労務に服さなかった期間支給されることとなっておりますが、分娩が予定日よりおくれた場合でも、このおくれた期間について支給すること等の改善を図ることといたしております。
 なお、これにあわせて、政令で定める現行の分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費の額についても二十四万円に引き上げることといたしております。
 次に、医療保険審議会の創設についてであります。
 現在、国民健康保険については専門審議会が設置されていないことから、社会保険審議会を発展的に改組し、健康保険事業、船員保険事業及び国民健康保険事業に関する重要事項を審議するため、新たに政令で定める審議会として医療保険審議会を創設することといたしております。
 このほか、標準報酬等級の下限の改定及び上限について現行政令で定めている部分を法定する等の改正を行うこととしております。
 最後に、この法律の施行期日は、本年四月一日からとしておりますが、審議会の創設に関する事項は、公布の日から三月を超えない範囲内で政令で定める目から、標準報酬に関する事項は、本年十月一日からとしております。
 以上が、健康保険法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
         健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明に対する質疑
#18
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。土肥隆一君。
    〔土肥隆一君登壇〕
#19
○土肥隆一君 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案に関しまして、私は、日本社会党・護憲共同を代表して、総理並びに関係閣僚に対し質問を行い、御所見を承りたいと思います。
 最初に、私は、本法律案に対する質問に入る前に、社会保障における国の責務を端的に示すところの財政上の措置が近年とみに薄れつつあることに、強い懸念を抱いていることを申し述べる次第でございます。
 社会保障費用に占める国庫負担の割合は、対国民所得比で見ますと、一九八〇年代初頭は五%台、それが年々低下し、八九年には四%まで落ち込んでいるのであります。また、国の予算に占める社会保障関係費の割合は、一九七七年度の二〇%をピークにして、年を追って小さくなっていき、一九九二年度予算においては一七・六%まで低下しているのであります。そして、来年度予算における社会保障関係費の伸び率が、実に十三年ぶりに一般歳出の伸び率を下回っているのであります。
 こうした事態は、健康保険あるいは雇用保険への国庫負担分が削減されたことによることは明らかであります。総理、どうしてこのような社会保障に対する国庫負担の比重がだんだんと小さくなっていったとお考えですか。そして、この傾向は今後も続けていくおつもりでありましょうか。それとも寸社会保障における国の財政上の責任をもっと大きくされるつもりでありましょうか、お答えいただきたいと思います。
 社会保障における国の財政負担が小さくなっていき、加えて、高齢化社会が急速に進展する中で、多くの国民は、国の施策が全体的に明らかでないために、先の見えない人生に不安を抱いているのであります。総理が「生活大国への前進」を声高に叫ばれるならば、長期的な展望に立った社会保障の総合プランを国民の前に明示すべきではありませんか。総理、社会保障の今後のあり方についての基本的な認識をお聞かせください。
 今回提出されている健康保険等の改正案は、実に不思議な法案であります。政府管掌健康保険が大幅な黒字を出し、積立累積額がおよそ一兆四千億に達した。そこで、この積立金を運用して、一九九二年度からおおむね五年を見通した中期的財政運営をしたい。つまりこれで事業運営安定資金を創設し、その運用益を活用するというのであります。その上、まだ健保会計に余裕があるから保険料率を千分の八十四から八十二に減額する、これで支払い側は単年度で一千二百四十億円負担が軽くなる、同じく国の方は、国庫補助率を一六・四%から一三%にすることでその負担を一千三百十億円削減することができる。つまり、国民のだれも損したいという形で国庫負担を減らす方法が見つかったというのであります。
 思い起こせば、健保といえば、かつては国の三K赤字の一つでありました。この赤字対策をめぐって、政府のたびたびの健保法改正に対して、社会党は長い間、国民の医療を守り、かつ国の責任を果たすことを求めて闘いを続けてきたのであります。一九八〇年ごろまでは、赤字に次ぐ赤字で、まことに不安定な状態が続いたのです。オイルショック時の大幅な医療費改定もありました。そして今、黒字基調になった。
 なぜそうなったのでしょうか。それは、保険料負担を過大なものにし、一方では、本人の療養の給付率を十割から九割に下げ、加えて医療費の抑制を図り、そして景気の好調も手伝って黒字になったのであります。そうであるならば、この一兆四千億円を中期的な財政安定に活用するというのならば、同時に、給付の改善や付添料等の保険外負担の解消などという形で国民にも還元すべきものと考えますが、総理の御見解をお聞きしたいと思います。(拍手)
 ところで、政府は、社会保障制度審議会等において、この国庫補助の削減した分一千三百十億円を、本年四月一日から改定される診療報酬引き上げに伴う国庫へのはね返り分一千三百四十億円、その差はわずか三十億円、に充てると説明されておりますが、とすれば、初めから診療報酬財源捻出のために政管健裸の積立金に目をつけたと言ってもいいのではないでしょうか。今回の改正は、一見、健康保険の中期的な財政論を展開しているように見えますが、実は財政当局の思いを先取りした財源捻出法案にすぎないと言ったら言い過ぎでしょうか。総理の明確な御答弁をお願いいたします。(拍手)
 国会は、一九七七年の健保改正に当たって、その附帯決議において、「給付及び負担の公平化を図るため、保険者間の財政調整を行う」、そして「本人、家族の給付率の均一化」を図ることを決議しました。また、一九八四年の「今後の医療政策の基本的方向−二十一世紀をめざしてこにおいて、厚生省は、二十一世紀においても医療保険制度を揺るぎないものとするため、医療保険制度における給付と負担の両面における公平(一元化)を図る必要があると述べております。端的に言って、これからの課題は医療保険の一元化であります。総理、いつになったら一元化は達成されるのでしょうか。
 国民は、公平で長期的展望に立った医療保険制度を求めております。我々は、すべての医療保険の九割給付の実現、国民健康保険の財政力の強化措置、難病や長期慢性疾患への公費負担の拡大等を通じた真に公正な医療保険の一元化を求めております。こうした医療保険の一元化の議論を進める中で、国庫負担のあり方を検討していくというのが本来の方法であり、今回の改正案のように、まず国庫補助率を引き下げておいて、それから医療保険審議会を設けて一元化を議論しようとするのは順序が逆であると思いますが、総理のお考えをお尋ねいたします。(拍手)
 国庫補助率の一三%への切り下げは「当分ノ間」とされ、あたかも暫定措置であるかのような印象を受けますが、こうしたあいまいな表現ではなく、法文上の何らかの歯どめをすべきであると考えます。今後、健康保険を取り巻く財政状況の変化によっては、速やかに国庫補助率の復元を図るというような見直しの法規定を新たに明記することがどうしても必要であると考えますが、この点についての総理のお考えをお聞かせください。(拍手)
 また、改正案では、おおむね五年間は保険料率の引き上げはしないで済むような中期的な財政運営を図るとたっておりますが、本当にこの間において保険料引き上げはしないと確約おできになりますか。お答えいただきたいと思います。(拍手)
 次いで、厚生大臣にお尋ねいたします。
 国庫補助率の引き下げで出てきた財源を、四月に予定される診療報酬の改定分に充てる、特に看護婦さんを初め医療従事者の賃金その他の労働条件に充てられると説明を受けておりますが、人件費部分の単価の改定により、診療報酬は引き上げられても、それがどのようにして看護婦さんの賃金を含む勤務条件の改善に使われるのでしょうか。診療報酬の改定が看護婦さんなどの処遇改善に直結するようだ制度や指導が不可欠であると思いますが、これはどのようにされるのか、大臣のお考えをお尋ねいたします。(拍手)
 また、一九七七年健保法改正時の国会の附帯決議において、政府は「保険料の労使負担割合について検討すること。」となっております。その後随分と長い年月がたっておりますが、その後の検討はしておられるのでしょうか。お答えください。
 最後に、高齢化社会の急速な進行や医療需要の多様化、きめ細かい介護政策が望まれる中、国民の医療ニーズにこたえる保険システムをいかに構築するかは、今日の厚生行政の重要な課題であります。医療保険の機能と制度を今こそ根本的に見直し、給付と負担についても、だれもが納得できるレベルを提示すべきです。保険間の格差を是正して公平なものにすべきであります。
 こうして、国民が納得して、安心してゆだねることができる医療福祉制度の確立に向けて今こそ着手しなければ、必ずや後世に禍根を残すことになることを強く訴え、高齢化社会における医療保険は基本的にどうあるべきかについて、大臣のお考えを最後にお尋ねし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 二十一世紀になりますと本格的高齢化社会を迎えますが、その際にも社会保障制度が引き続き安定的に機能し得るよ
うに、国民の合意を得られる負担水準との関連に配慮しながら、各制度における合理化、効率化、体系化を図ってまいりました。その結果といたしまして、社会保障費用に占める国庫負担の割合が減少してまいりましたことは、御指摘のように事実でございます。
 他方で、しかしながら、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に代表されますように、二十一世紀を展望して計画的に基盤づくりをすべき分野には重点。的に財源を投下しつつございますことも、御承知のとおりでございます。平成四年度政府予算におきましては、社会保障関係費十二兆七千億円の割合は、一般会計全体の一七・六%でございます。また、一般歳出の三三%でございまして、政策的経費中最大のものになっております。今後とも、社会保障制度を将来にわたりまして揺るぎのない制度といたしますために、必要な改革は進めていかなければならないと考えておりますが、国の果たすべき役割を遂行するために必要な財源の確保には、もとより十分配慮してまいります。
 二十一世紀の本格的な高齢化社会を目前に控えまして、長期的な展望に立った社会保障の総合プランを明示することの必要性は、御指摘のように政府としても十分認識しております。これまでも、昭和六十一年には長寿社会対策大綱を閣議決定いたしました。また、平成元年十二月には「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定いたしまして、現にこれを着実に実行いたしつつございます。
 社会保障の今後のあり方の基本認識としては、本格的な高齢化社会におきましても、長期的に安定し、公平な制度運営が図られることにより、国民に信頼され、国民が安心して生活を送ることができるように適切な対応を図ってまいらなければならないと思います。
 今回の改正は、政管健保の近年の財政状況を踏まえまして、一層の財政運営の安定を期するために、現行の財政運営を、おおむね五年を通じて財政の均衡が図られるような中期的運営に改めるとともに、保険料率及び国庫補助率についての引き下げを行うものでございます。また、これにあわせて出産手当金の支給期間の改善及び分娩費の改善を行うことといたしております。政管健保における給付のあり方については、基本的には、今後、医療保険制度の給付と負担のあり方全体の中で検討することが適当であると考えております。
 今回の改正案は、政管健保におきまして、中期。的な財政運営の安定の確保等を目的とするものでありますが、国庫補助率を引き下げることによりまして浮いてまいりましたといいますか、生じた財源につきましては、来年度予定しております看護婦等医療従事者の勤務条件の改善等を中心とした診療報酬改定の財源確保にも資するものと考えていたしたところでございます。
 医療保険制度の給付と負担の具体的なあり方、医療保険制度の将来構想につきましては、関係者の間にさまざまな御意見がございます。今回の健保法等の改正におきまして、御指摘の一元化問題を含めまして、医療保険全般にわたり幅広い視点から審議する場として医療保険審議会を創設することといたした次第でございます。
 なお、今回の国庫補助率の引き下げについては、当分の間の暫定措置としているところでございますが、政管健保に対する国庫補助のあり方については、基本的には、今後、医療保険制度における費用負担のあり方全般の中で検討していくことが適当と考えております。
 また、中期的財政運営は五年程度を見通し、短期的な景気変動等に影響されない安定的な保険料率を設定するものでございます。現時点で予測し得る限りにおきましては、この間、保険料率を変更しないでいけるものと考えております。
 残りのお尋ねにつきましては、厚生大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣山下徳夫君登壇〕
#21
○国務大臣(山下徳夫君) 土肥議員にお答えいたします。
 まず、診療報酬と看護職員の勤務条件改善についてのお尋ねでございます。
 本年四月一日より診療報酬改定を実施することとしておりますが、今回の改定においては、まず、改定率の設定に際し、夜勤改善分等看護問題に特段の配慮を払ったところであります。具体的な点数の設定に当たっても、看護料の大幅引き上げを行うほか、適切な夜勤体制や労働時間が実施されている場合の加算措置を新たに設け、各医療機関において夜勤等の勤務条件改善に結びつくよう配慮することといたしております。さらに、改定の実施に際しましては、関係者に今回の改定の趣旨を十分周知することにより、看護職員の勤務条件の改善が図られるよう努めてまいる所存であります。
 次に、保険料の労使負担割合につきましては、御指摘の昭和五十二年の附帯決議を受けて、社会保険審議会においても種々議論が行われてきたところでありますが、現行の労使の負担割合については、制度的に定着していること等を考えますと、これを維持することが適当であると考えております。
 また、高齢化社会における基本的な医療保険のあり方についてのお尋ねでありますが、今後、本格的な高齢社会を迎える中で、良質な医療を効率的かつ安定的に供給することが重要な課題であります。医療保険制度につきましては、高齢社会に向けて安定した制度の確立が図られるよう、制度の枠組み、給付の範囲、財源のあり方等幅広い観点から総合的な検討に着手する必要があると考えております。
 このたびの健康保険法等の改正に当たって、これらの問題を検討するために医療保険審議会の創設をお願いしているところであり、審議会が創設され次第、早急に検討に着手してまいりたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(櫻内義雄君) 石田祝稔君。
    〔石田祝稔君登壇〕
#23
○石田祝稔君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 趣旨説明にもありましたように、今回の改正は、政管健保について中期的な財政運営の安定を図るため、事業運営安定資金を創設し、これに伴い保険料率及び国庫補助率を引き下げ、あわせて出産関係給付の改善と政令で定める医療保険審議会を創設しようとするものであります。
 指摘するまでもなく、医療保険制度は大きな曲がり角に来ており、保険原理からもう一度全体を見詰め直すという、いわば原点からの制度改革のときを迎えているのであります。そして、制度そのものの弱点の克服とともに、少出産・高齢化時代への対応も、改革のための重要な課題にたってまいりました。
 民間の研究機関の推計では、人口の高齢化を反映して、百歳以上の長寿者は今後もふえ続け、二〇二五年には現在の五・四倍の二万人弱になると予想しております。また、日本の将来推計人口によれば、六十五歳以上の高齢者は、西暦二〇二五年には三千百五十万人と現在の二・一倍の数になり、総人口に占める割合では二五・四%、三・九人に一人は高齢者ということになります。
 一方では、日本の家庭の小規模化が進み、家庭内の介護・看護能力は大きく低下してまいりました。自助努力を求めるにも限界があります。こうした日本の家庭の変化は、医療に対して保健、福祉との連携を求めており、そのことがまた医療保険制度改革の最も基本の課題とたっているのであります。
 そこで、まず総理にお伺いいたします。
 高齢社会は、単に高齢者が多いというだけのものではありません。社会のあり方や公共政策の決定に、お年寄りの意見が今以上に強力に反映され
る社会でもあります。四人に一人以上のお年寄りがいる社会が間違いなくやってくるのであれば、今準備しなければならないことは明らかであります。少子化社会と高齢社会が求めるものは何か、ナショナルミニマムをどの程度に設定するか、そしてだれが負担するのか、それらの課題についての社会的合意を早期に形成し、多くのエネルギーを費やしてつくり上げていかなければなりません。生活大国を掲げる総理がそれをどう実現されるのか、御所見をお伺いしたいのであります。
 また、現在策定にかかっている新経済五カ年計画において、医療と福祉の連携についてどのように位置づけされようとされているのか、この点についても明快な御答弁を求めるものであります。
 このたび、医療保険審議会を創設することで、各種医療保険の一元化に本格的に着手される考えを明らかにされました。分立する諸制度の保険料徴収、移転、給付の機構への対応については、専門家の間でも意見が分かれていることであり、一元化については、それが統合一本化なのか、それとも制度間の負担の公平化と給付率の一元化を図る横並び一元化なのか、論点の整理が必要であります。それらの方向についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 また、医療保険審議会は、現在の社会保険審議会を改組し、社会保険審議会及び社会保険医療協議会法で定める審議会から政令で定める審議会へと設置根拠を変えております。委員の構成は学識経験者だけであり、三者構成の社会保険審議会とは大きくさま変わりをしています。私には、政府がこうした措置を講じることで審議会をコントロールしやすいものにしたいのではないかと思えてなりません。これで果たして公正、公平な審議が確保できるでしょうか。だれのための一元化なのか、厳しく問われるのであります。明快な御答弁を求めるものであります。
 次に、国庫補助率の引き下げについてお聞きいたします。
 今回、政管健保の保険給付費に対する国庫補助率を、従来の一六・四%から一三・〇%へと約二一%も切り下げる考えを示されました。これに対し、社会保険審議会も社会保障制度審議会も、暫定措置であり、かつ、政管健保の財政の安定が確保される範囲内であることを考慮して、当面やむを得ないとの答申を行いました。
 私は、国庫補助率は社会保障への国の責任という観点から、安易に引き下げるべきではないと考えます。中期的な財政運営の期間をおおむね五年と考えておられるようですが、将来、健保の財政状況が悪化した場合に、保険料率の引き上げたけで均衡を図ることは断じて容認できないことであります。財政の改善には、当然国庫補助率の引き上げで対処すべきであると主張するものでありますが、この点をどうお考えか、明確にお答えをいただきたい。
 次に、高額療養費の取り扱いについてお伺いいたします。
 高額療養費制度は、被保険者の負担が過重にならないように導入されたものであり、現在、自己負担額のうち六万円を超えた分について支給されております。これには世帯合算もあり、同一世帯・同一月で自己負担額が三万円以上のものが二つ以上あった場合に、それらを合算し、合計額のうち六万円を超えた分が支給されます。この制度は、被保険者とその家族にとって大変ありがたい制度でありますが、大きな欠点があります。
 それは、自己負担額が三万円未満の場合は、その合計額が十万円、二十万円になっても高額療養費の扱いにはならないということであります。制度の趣旨からいって、これは大きな欠陥であると言わねばたりません。OA化によって事務処理の効率化が図られている今日、これは速やかに改善すべきだと思いますが、見解を承りたい。
 近年、関心が高まっております入れ歯の問題について質問いたします。
 入れ歯に関しては、痛い、かめない、話せないという悩みをよく聞きます。原因として、若い歯科医師の歯形排列の技量が低下していることと、患者に合う入れ歯をつくるには手間暇をかけなければならないが、診療報酬の関係でそれができないことなどが指摘されています。
 自由診療でつくれば数十万円かかると言われておりますが、材料はほとんど変わらない。違うのは、患者にぴったり合わせていくための調整の時間であるといいます。保険の場合、入れ歯ばかりやっていたら経営はやっていけないし、手間暇かけて調整しても、その技術に対する診療報酬上の評価が非常に低いため、赤字がさらに膨らんでしまうのが現状であります。
 お年寄りにとってみても、保険でつくれば安いから、合わたければ三つも四つもつくることになります。思わぬところで医療費のむだ遣いが行われているわけであります。これは是正すべきであります。どのような方針で臨まれるか、明らかにしていただきたいのであります。
 経済大国と言われて久しくなり、最近になってようやく政府の中にも、生活大国を目指そうという動きが出てまいりました。数字的には大国であっても、国民生活、とりわけ老後の生活が保障されているかというと甚だ疑問であると言わざるを得ません。一生懸命働いて、しかもなお老後が不安というのでは、決して豊かな社会とは言えません。少子化社会への対応も考えるなら、これまで置き去りにされてきた家庭、家族にもう一度光を当て、家庭と地域社会を結びつけていくことが必要であります。
 具体的には、医療と福祉サービスをどう結んでいくか、また、年金保険と医療保険をどう関連づけていくか、課題は多いのであります。今回の改正が、そうした国民の立場からの改革に大いに役立つものとなるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 二十一世紀の本格的ないわゆる高齢化社会におきまして、国民のほぼ四人に一人が六十五歳以上の年齢になると見込まれております。このような急激な人口構成のいわゆる高齢化を迎えるに当たりまして、高齢者に対する保健福祉サービスの充実、あるいは子供が健やかに生まれ育つことのできる環境をつくっていくということは、極めて大きな課題でございます。いわゆる現役の勤労者に非常に大きな負担がかかる、急増をするという、そういう傾向線でございますから、そういう場合に社会保障の給付と負担のあり方をどのような水準に置くことが適正であるかということは、これからますます各方面の御議論を重ねながら、適正な水準を求めていくことが大切であると認識をいたします。
 このような認識のもとに、本格的な高齢化社会においても、年金あるいは医療保険について長期的に安定し、しかも公平な制度をつくり運営をしていくとともに、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、いわゆるゴールドプランでございますが、その着実な実現あるいは子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを推進していくという、このような課題を達成することによって生活大国というものを実現してまいりたいというふうに念願をいたしておるわけでございます。
 そこで、そのような生活大国の実現を目指しまして、現在、経済審議会において新たな経済計画、五カ年計画でございますが、その策定に向けて御審議をお願いをいたしているところでございます。高齢者や障害者を含め、国民が健康で安心して過ごすことができるような社会を構築していくことは、生活大国の実現にとって最大の重要な柱でございますが、そのためには、医療と福祉の連携をより緊密なものとしてとらえていくことが必要と考えております。
 そういう認識のもとに、今後の社会保障のあり方についても、現在、経済審議会において御検討いただくことにお願いをいたしておりまして、夏
前には大筋でのお考えを決めていただけると期待をいたしておるところでございます。
 残りの問題は、厚生大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣山下徳夫君登壇〕
#25
○国務大臣(山下徳夫君) 石田議員にお答えをいたします。
 まず、医療保険制度の一元化についてのお尋ねでありますが、給付と負担の公平化の具体的なあり方、さらには医療保険制度の将来構想につきましては、関係者の間にさまざまな意見があることから、今回、医療保険制度の枠組み、給付の範囲、財源のあり方など幅広い観点から御議論をいただく場として、医療保険審議会の創設をお願いいたしているところであります。この審議会における議論を十分踏まえて対処してまいりたいと考えております。
 次に、医療保険審議会の創設につきましては、現在、国民健康保険については、専門審議会が設置されていないことから、社会保険審議会を発展的に改組し、健康保険、船員保険、国民健康保険を通じた医療保険制度全般について審議する場として、医療保険審議会を創設することといたしたのであります。
 なお、医療保険審議会の構成等につきましては、関係者の御意見が十分反映されますように、現状を踏まえ、慎重に配慮をしてまいりたいと思います。
 次に、国庫補助率についてのお尋ねでございますが、今回の改正は、政管健保の近年の財政状況を踏まえましで、一層の財政運営の安定を期するため、現行の財政運営を、おおむね五年を通じて財政の均衡が図られるような中期的財政運営に改めるとともに、保険料率及び国庫補助率について所要の調整を行うものであります。
 今回の国庫補助率の引き下げは、当分の間の暫定措置であり、政管健保に対する国庫補助のあり方については、基本的には、今後、医療保険制度における費用負担のあり方全般の中で検討していくことが適当であると考えております。
 次に、高額療養費についてのお尋ねでございますが、高額療養費の支給は、医療機関が月単位で作成するレセプトを基礎とし、これを保険者において、同一世帯について合算して行うことといたしております。また、レセプトの数は非常に多うございます。少額のレセプトも含めてすべてのレセプトを合算することは極めて困難でございますから、自己負担額が三万円以上のレセプトについて合算を行うことにいたしております。
 高額療養費の支給方法については、レセプトの機械処理の進捗状況等も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
 次に、入れ歯の作成等の技術に対する診療報酬上の評価についてのお尋ねでございますが、この点につきましては、これまでも中央社会保険医療協議会の御審議を踏まえ、診療報酬改定を行う際には、所要の点数の引き上げ等を行ってきているところであります。本年四月一日実施予定の改定においても、良質な歯科医療の適正な評価という観点から、入れ歯の作成に関する技術料等の引き上げを行うことといたしております。
 今後とも、技術料重視の観点に立ち、中央社会保険医療協議会の御審議を踏まえながら、歯科診療報酬の合理化に努めてまいりたい所存でございます。(拍手)
#26
○議長(櫻内義雄君) 児玉健次君。
    〔児玉健次君登壇〕
#27
○児玉健次君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案について、総理並びに厚生大臣に質問いたします。
 総務庁が一九八八年に行った世界青年意識調査によれば、自国に誇れるものを持っているかという質問に、社会福祉と答えた青年は、スウェーデンにおいて七一・六%、フランスで二六・〇%、イギリス一八・六%、日本では六・三%にとどまりました。日本の福祉の貧しさが青年の意識にも反映していることを示すものであります。世界に誇れる社会保障を築くことは、老いも若きもすべての国民の共通の願いです。
 この改正案が、国民の願いにとってどのような存在であるか、それが問われています。
 質問の第一は、政府管掌健康保険における国庫負担の千三百十億円に及ぶ削減についてであります。
 政府管掌健康保険への定率国庫負担は、健康保険法で二〇%から一六・四%までと明確に定められています。現在の国庫負担率一六・四%は、法が定める最低限度のものであります。それを暫定措置などと称して三・四%も引き下げ、加入者の保険料率は〇・二%しか下げない、これが本改正案の主な内容であります。このような大幅な国庫負担率の引き下げは政府管掌健康保険の歴史始まって以来のことであり、まさに言語道断のことだと言わなければなりません。
 この間、政府管掌健康保険は黒字が続き、一九九一年度末には積立金が一兆四千億。円に達しようとしています。かつて三K赤字と言われ、国鉄、米と並んで赤字続きであった政府管掌健康保険がなぜ黒字となったのか。その原因は、まず、一九八四年に強行された健康保険本人一割自己負担に求められます。一割自己負担の導入以後、労働者の受診率が低下し、過労死と背中合わせの中で、労働者の多くは医療から遠ざけられています。加えて、医療の充実発展を困難にする診療報酬の改定、長期入院の厳しい抑制等があります。その結果生まれた黒字を理由に国庫負担の引き下げを図るという、このようなやり方を国民は断じて許しません。(拍手)
 政府管掌健康保険は、中小企業労働者を主たる加入者としています。厳しい労働条件のもとで日本の産業を支える中小企業労働者を対象としたこの保険は、財政基盤が弱く、多くの関係者のひたむきな努力によって定率国庫負担の制度が発足したのであります。
 総理が生活大国を言うのであれば、国庫負担の削減を撤回し、積立金は健康保険本人十割給付の復活、看護料等診療報酬の引き上げ、保険料の大幅引き下げに充てるべきです。総理並びに厚生大臣の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第二は、社会保険審議会を医療保険審議会とすることです。
 社会保険審議会は、従来、被保険者を代表するものということで、労働者代表が加わった三者構成により管理運営にもかかわってきました。この改正案では、三者構成をやめ、学識経験のある者のうちから厚生大臣が任命することとしています。これでは労働者代表が排除をされることにな
ります。ILO・疾病保険の一般原則に関する勧告第二十九号において、「被保険者は、保険制度の運用上最直接に利害関係を有する者だるを以て、選挙せられたる代表者を通じ保険制度の管理上重要なる地位を占むべし。」と明記されています。これが国際的な規範です。そのゆえに社会保険審議会では、労働者代表が審議会委員として重要な地位を占めていました。これまでの審議会構成をなぜ変えるのですか。従来の構成を継続し、審議会における労働者代表として、現存する労働者、労働組合のナショナルセンターのおのおのから代表を選ぶべき、であります。
 次に強調したいのは、新設の審議会が医療保険の一元化という名のもとに、健康保険本人の医療給付の水準を八割給付に引き下げたり、被用者保険への負担転嫁を行う場となることは、絶対に許されないということです。
 以上の諸点について、厚生大臣の見解を求めます。(拍手)
 第三は、標準報酬の引き上げと保険料の引き下げについてであります。
 標準報酬月額の下限を現行の六万八千円から八万円とするとともに、上限を現行の七十一万円から九十八万円に改定することとしています。標準報酬下限の引き上げは、直ちにパート労働者等約十万人に及ぶ低賃金労働者の保険料の引き上げをもたらします。現行の保険料率千分の八十四を千分の八十二に下げることによる保険料の減額分は千二百四十億円、一方、標準報酬の上限、下限の引き上げによる財政的影響額、言い直せば保険料増額分は満年度において千二百三十億円です。保険料の若干の引き下げは標準報酬の改定によって完全に帳消しとなっているではありませんか。政府が喧伝する保険料率の引き下げの内実はこのようなものであります。標準報酬月額の下限を引き上げることはきっぱりと中止すべきではないか。厚生大臣の答弁を求めます。(拍手)
 第四は、現行の単年度ごとの財政運営を五年程度を見通した中期的財政運営に改め、現行の積立金を活用して事業運営安定資金を創設することについてであります。
 政府が心の底から政府管掌健康保険の財政安定を願うのであれば、少なくとも国庫負担率の現状を維持し、あわせて一九八五年から始まった政府管掌健康保険の国庫負担一部繰り延べ措置の累積額、実に五千四百九十一億円、これは一九九一年度末のものですが、これを直ちに厚生保険特別会計に返却すべきではありませんか。総理並びに厚生大臣の見解を求めます。(拍手)
 最後に、本年四月一日から実施される診療報酬についてであります。
 今回の改定で、老人性白内障の眼内レンズに対する保険適用が実現しました。これは、全国の老人クラブ、四百九十市町村に及ぶ議会が意見書を提出するという幅広くかつ粘り強い努力の結果であって、全国のお年寄りに大変喜ばれています。
 しかし、今回の改定で見逃すことのできないものの一つに患者負担の問題があります。快適な環境を提供すると称して、差額ベッドがすべてのベッドの五割まで認められ、患者が費用を負担すれば、特別材料食の提供が認められました。日本の病室の環境は快適さとはほど遠いものであり、食事も含めて入院中の処遇改善を求める声が強くなっています。政府は、これにこたえるための措置だとしていますが、特別にお金を出した患者だけがよい病室と上質の食事ができるというのでは、新たな差別が医療の現場に生じます。この背景には、厚生省の、一定水準以上のサービスは私的負担にゆだね、公的保険の給付範囲を限定するという意向があります。医療に患者の経済力による差別を持ち込むのではなく、公的保険によって医療の水準を確実に引き上げることが現在求められています。厚生大臣の明快な答弁を求めます。(拍手)
 本改正案は、保険料率の引き下げ、出産手当金の支給期間の改善等はあるものの、国庫負担の削減、国民に新たな犠牲を強いる方向での医療保険一元化に向けた体制づくり等が改正の主要な内容であり、日本共産党は容認することができません。
 今医療に求められているのは、世界に類例のない老人に対する差別的医療をなくし、国民だれもが必要なときに安心して医療を受けられる体制をつくることであります。医療保険の改善とあわせて、予防、公衆衛生、治療、リハビリテーションの一貫した保健医療制度を確立することです。医療と福祉の連携強化が重要です。そして、医療機関における看護婦を初めとする職員の労働条件、配置基準等を抜本的に改善することが緊急の課題となっています。
 日本の経済力を国民の暮らしに振り向ける意思さえあれば、これらの事業を実現することは完全に可能であります。そのことを述べて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 今回の改正は、政管健保につきまして一層の財政運営の安定を期しますために、中期的財政運営に改めるとともに、保険料率及び国庫補助率について所要の調整を行うものであります。
 また、今回の補助率の引き下げにより生じます財源につきましては、来年度予定しております看護婦等医療従事者の勤務条件の改善等を中心とした診療報酬改定の財源確保にも資するものといたしたいと考えております。
 お尋ねの第二点は、厚生保険特別会計に返却のことでございましたが、政管健保の国庫補助減額特例措置分につきましては、今後、国の財政状況や政管健保の収支状況を勘案しつつ、法律に基づいて適切に繰り戻す措置を講ずるように対処してまいりたいと思います。
 自余の問題は、厚生大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣山下徳夫君登壇〕
#29
○国務大臣(山下徳夫君) 児玉議員にお答えいたします。
 今回の改正は、政管健保の近年の財政状況を踏まえて、一層の財政運営の安定を期するため、現行の財政運営を、おおむね五年を通じて財政の均衡が図られるような中期的財政運営に改めるとともに、保険料率及び国庫補助率について引き下げを行うものであり、国庫補助率の引き下げは妥当なものと考えております。
 また、これにあわせて、出産手当金の支給期間の改善及び分娩費の改善を行うことといたしております。
 今回の国庫補助率の引き下げにより生じた財源につきましては、本年度予定しております看護婦等医療従事者の勤務条件の改善等を中心とした診
療報酬改定の財源確保にも資するものと考えております。
 なお、政管健保における給付のあり方については、基本的には、今後、医療保険制度の給付と負担のあり方全体の中で検討することが妥当であると考えております。
 次に、医療保険審議会の創設についてでありますが、現在、国民健康保険については専門審議会が設置されていないことから、社会保険審議会を発展的に改組し、健康保険、船員保険、国民健康保険を通じた医療保険制度全般について審議をする場として、医療保険審議会を創設することといたしたものであります。
 なお、医療保険審議会の構成等につきましては、関係者の御意見が十分反映されるように、現状を踏まえ慎重な配慮をしてまいりたいと考えております。
 次に、標準報酬の下限につきましては、従来から最低賃金法に基づく地域別最低賃金の最低額を考慮して定めており、今回も同様の考え方に基づき改定するものであります。
 次に、政管健保の国庫補助減額特例措置につきましては、一般会計の財政状況が極めて厳しいこと等のために講ぜられた特別の措置であることから、国の財政状況等を勘案しつつ、できる限り速やかに繰り戻されるよう、適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、患者の選択による差額ベッド等の取り扱いに関するお尋ねでございますが、本年四月一日実施予定の診療報酬改定においては、良質な医療の効率的な供給という考え方を基本とし、所要の点数の引き上げを行うほか、患者ニーズの高度化、多様化に対応する観点から、一定の条件のもとで、差額ベッドに関する基準の見直し等を行う。こととしており、医療を取り巻く状況の変化を踏まえた見直しと考えております。
 今後とも、診療報酬の合理化等を通じ、国民皆保険制度のもとで、必要な医療が適切かつ効率的に供給されるように努めてまいる所存でございます。(拍手)
#30
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#31
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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