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1992/05/14 第123回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第23号
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1992/05/14 第123回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第123回国会 本会議 第23号

#1
第123回国会 本会議 第23号
平成四年五月十四日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  平成四年五月十四日
    午後零時三十分開議
 第一 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提
    出、参議院送付)
 第二 お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部
    を改正する法律案(内閣提出、参議院送
    付)
 第三 日本電信電話株式会社法等の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
 第四 国際観光ホテル整備法の一部を改正する
    法律案(内閣提出)
 第五 地方交付税法等の一部を改正する法律案
    (内閣提出)
 第六 計量法案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
永年在職の議員佐藤孝行君に対し、院議をもっ
  て功労を表彰することとし、表彰文は議長に
  一任するの件(議長発議)
 日程第一 郵便法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、参議院送付)
 日程第二 お年玉付郵便葉書等に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送
  付)
 日程第三 日本電信電話株式会社法等の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 国際観光ホテル整備法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日程第五 地方交付税法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 日程第六 計量法案(内閣提出、参議院送付)
 証券取引等の公正を確保するための証券取引法
  等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び
  金融制度及び証券取引制度の改革のための関
  係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
  の趣旨説明及び質疑
    午後零時三十三分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(櫻内義雄君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました佐藤孝行君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。(拍手)。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員佐藤孝行君は衆議院議員に当選すること九
 回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし
 民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院
 議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(櫻内義雄君) この際、佐藤孝行君から発言を求められております。これを許します。佐藤孝行君。
    〔佐藤孝行君登壇〕
#6
○佐藤孝行君 ただいま、私が永年在職議員として、院議をもって丁重な表彰を賜りました。まことに身に余る光栄であり、感激にたえません。心から厚くお礼を申し上げる次第であります。(拍手)
 思えば、この二十五年間は波乱方丈の人生でありました。
 幾多の試練を乗り越え、きょうのこの栄誉に浴することができましたことは、ひとえに、諸先輩、同僚議員各位の御指導、御鞭撻並びに今日まで私を信頼し、励まし、支えてくれた郷土北海道の多くの方々の温かい御理解と御支援のたまもの以外の何物でもございません。今は感謝の念でいっぱいであります。(拍手)
 顧みると、私が初めて本院に議席を得ましたのは、昭和三十八年十一月の第三十回選挙であります。
 以来今日まで我が国は、ドルショックや、二度にわたるオイルショックなどの激動の嵐を、国民の英知と努力によって乗り越え、現在の平和と繁栄をなし遂げることができました。
 このうちにあって私は、「天は人の上に人を割らず人の下に人を割らず」を政治信条として微力を尽くしてまいりました。(拍手)
 しかしながら、世界は今や激動の時代に向かっており、我が国の進路もまた新たなるものを求められております。
 我々は、国際社会にいかに貢献すべきか、世界の中の日本の立場をよく自覚し、その進路を誤らないように、自由で平和な今日の日本を我々のかわいい子供に引き継ぐためにも、しっかりしたその対応をしなければなりません。(拍手)
 私は、きょうの栄誉と感激を深く心に刻み、志を新たにして、議会政治のよりよき発展と平和で豊かな国づくりを目指し、焦らずおごらずしっかり大地を踏んで政治の大道を歩み、多くの方々の御期待にこたえたいと念じております。(拍手)
 何とぞ、今後とも変わらぬ皆さんの御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げて、お礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 郵便法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、参議院送付)
 日程第二 お年玉付郵便葉書等に関する法律
  の一部麦改正する法律案(内閣提出、参議
  院送付)
 日程第三 日本電信電話株式会社法等の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
#7
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、郵便法の一部を改正する法律案、日程第二、お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第三、日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長谷垣禎一君。
    ―――――――――――――
 郵便法の一部を改正する法律案及び同報告書
 お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正
  する法律案及び同報告書
 日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法
  律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔谷垣禎一君登壇〕
#8
○谷垣禎一君 ただいま議題となりました三法律案について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、郵便法の一部を改正する法律案の主な内容は、
 第一に、社会福祉の増進を目的とする法人または団体にあてた寄附金を内容とする郵便物の料金を免除することができることとすること、
 第二に、郵政大臣は、第三種郵便物の認可を受けた定期刊行物が、認可の条件を具備しているかどうかにつき、定期に監査を行うものとすること、
 第三に、第三種郵便物の制度の効率的な運営を図るため、第三種郵便物として必要な条件を具備するかどうかの調査業務を、郵政大臣が指定する指定調査機関に行わせることができることとするとともに、指定調査機関に関し必要な規定を整備すること等であります。
 次に、お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案は、地球環境問題への対応が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、寄附金つき郵便はがき等の寄附金の配分を受けることができる団体に、地球環境の保全事業を行う団体を加えることとするものであります。
 両案は、去る三月二十七日参議院から送付、同日当委員会に付託され、四月十五日渡辺郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、五月十二日質疑を行い、採決の結果、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 次に、日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法律案の主な内容は、
 日本電信電話株式会社法の一部改正関係については、
 第一に、会社の株式は日本国民等に限り所有することができるとする規定を削除すること、第二に、会社は、外国人等議決権割合が五分の一以上となるときは、外国人等の氏名及び住所を株主名簿または実質株主名簿にそれぞれ記載してはならないこと、第三に、日本の国籍を有しない人は、会社の取締役または監査役になることができないこと、
 第四に、当分の間、新株の発行等による株式の各増加数は、政府が常時保有していなければならない会社の発行済み株式の総数に算入しないものとすること等であります。
 国際電信電話株式会社法の一部改正関係については、新株発行を伴う資金調達の円滑化を図るための措置等を除いて、日本電信電話株式会社法の一部改正関係とほぼ同様の改正を行うものであります。
 電気通信事業法の一部改正関係については、第一種電気通信事業者は、外国人等議決権割合が三分の一以上となるときは実質株主名簿に記載しないことができること等であります。
 本案は、去る三月二十七日当委員会に付託され、五月十二日渡辺郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十三日質疑を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一及び第二の両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 国際観光ホテル整備法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
#12
○議長(櫻内義雄君) 日程第四、国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員長久間章生君。
    ―――――――――――――
 国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案
  及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔久間章生君登壇〕
#13
○久間章生君 ただいま議題となりました国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年における外客数の増大、外客の宿泊ニーズの変化等に対応して外客接遇の充実を図るため、ホテル等の登録基準の見直しを行うとともに、指定登録機関制度を導入し、あわせて登録ホテル等に関する情報の提供を促進するための措置等を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月十六日本委員会に付託され、四月二十一日奥田運輸大臣から提案理由の説明を聴取した後、五月十二日質疑を行いました。
 その質疑の主な事項を申し上げますと、新登録基準の策定、指定登録機関の業務、情報提供事業のあり方等についてであります。
 かくて、同日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 地方交付税法等の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
#16
○議長(櫻内義雄君) 日程第五、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長中島衛君。
    ―――――――――――――
 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同
  報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中島衛君登壇〕
#17
○中島衛君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、第一に、平成四年度分の地方交付税の総額については、地方交付税法第六条第二項の額に二百十億円を加算した額から、特例措置額八千五百億円等、計九千六百三十六億円を控除することとし、地方団体に、十五兆六千七百九十二億円を交付することといたしております。
 また、特例措置額八千五百億円に相当する額等については、後年度の地方交付税の総額に加算することといたしております。
 第二に、平成四年度分の普通交付税の算定について、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、単位費用の改正等を行うことといたしております。
 本案は、二月二十八日に本委員会に付託され、三月十日塩川自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行いました。
 質疑におきましては、地方交付税の減額問題、高齢者保健福祉、森林保全、地方単独事業等の経費の充実策、緊急経済対策における地方の役割、補助金等の一般財源化、地方交付税の特別会計直入問題等、地方行財政全般にわたり論議が行われました。
 去る十二日質疑を終了し、討論を行いましたところ、正本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党から賛成、日本共産党から反対の意見がそれぞれ述べられました。
 次いで、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案採決終了後、地方財政の充実強化に関する件について決議が行われたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 計量法案(内閣提出、参議院送付)
#20
○議長(櫻内義雄君) 日程第六、計量法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長武藤山治君。
    ―――――――――――――
 計量法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔武藤山治君登壇〕
#21
○武藤山治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、我が国経済社会の国際化、技術革新等、最近の計量をめぐる状況の変化に対応して現行計量法を全面的に改正するものでありますが、改正する主な内容は、
 第一に、法定計量単位を、原則として今世紀中に国際単位系に統一すること、
 第二に、製造、修理、販売事業者に係る登録制を届け出制とするとともに、計量器の検定については、型式承認制度の活用を図る等、計量器に関する規制の一層の合理化を図ること、
 第三に、計量標準を円滑かつ確実に供給することができる制度を創設すること等であります。
 本案は、去る四月十七日参議院から送付され、同日当委員会に付託され、四月二十二日渡部通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、五月十三日質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 証券取引等の公正を確保するための証券取引
  法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及
  び金融制度及び証券取引制度の改革のため
  の関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨騨明
#24
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案及び金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣羽田孜君。
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#25
○国務大臣(羽田孜君) ただいま議題となりました証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案及び金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 昨年の証券及び金融をめぐる一連の問題につきましては、政府といたしましても極めて深刻に受けとめ、その際、国会及び臨時行政改革推進審議会よりいただいた御指摘を最大限尊重し、これらの問題の再発防止及び我が国の金融・資本市場に対する内外の信頼回復を図るため、法制上、行政上の総合的な対策に取り組んでいくこととしたところでございます。
 また、金融・資本市場の自由化、国際化を進めるため、これまでも逐次各種の措置を講じてきたところでございますが、さらに、金融制度及び証券取引制度の面においても改革を推進する必要があると考えております。
 このため、政府といたしましては、より公正で透明な証券市場等の実現に向け、新しい検査監視体制の創設を含む所要の措置を講ずるとともに、金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進すること等を目的とした金融制度及び証券取引制度の改革を行うこととし、これらの法律案を提出することといたした次第でございます。
 まず、証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、我が国の証券市場等の実情にかんがみ、取引の公正の確保を図り、市場に対する投資者の信頼を保持するため、証券取引等監視委員会を設置するとともに、証券業協会等自主規制機関について所要の整備を行い、取引の公正の確保に係る法令等の遵守の状況を監視する機能の強化及び充実を図るなど、所要の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、大蔵省に、行政部門から独立した証券取引等監視委員会を設置し、証券取引に係る犯則事件の調査及び証券取引に係る諸規制の遵守状況についての証券業者への検査等を所掌させるとともに、その調査及び検査の結果に基づき、犯則事件の告発及び大蔵大臣に対する行政処分の勧告等を行うことができることとするほか、大蔵大臣が行う金融検査等について意見具申を行うなどの改正を行うことといたしております。
 第二に、証券業協会等自主規制機関の機能、権限の拡充強化を図る観点から、証券業協会を証券取引法上の法人とする等所要の措置を講ずることといたしております。
 第三に、証券取引に係るルールの明確化を図る観点から、顧客の知識経験及び財産の状況に照らして不適当な勧誘を証券会社が行った場合を是正命令の対象とする等、通達の法律化を行うことといたしております。
 第四に、法人の業勝活動の一環として行われる犯罪で、その社会的影響が重大であること等の要件を満たすものについて、これらにより処罰される法人の罰金刑の上限を引き上げることといたしております。
 第五に、店頭売買有価証券に係る不公正取引を防止する観点から、相場操縦的行為の禁止、内部者取引規制等の不公正取引規制について、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 その他、行き過ぎた大量推奨販売を禁止行為の対象とする等、証券取引等の公正の確保のため所要の措置を講ずることといたしております。
 次に、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、内外の社会経済情勢の変化に即応し、金融機関の経営の健全性の確保による預金者等の保護及び投資者保護の徹底を図りつつ、内外の利用者のため、金融機関及び証券会社の有効かつ適正な競争の促進等による金融・資本市場の効率化及び活性化並びに諸外国と調和のとれた金融制度及び証券取引制度の構築を図るためのものであります。このため、金融機関及び証券会社の各種の業務分野への参入を初めとする金融制度及び証券取引制度の包括的な改革を実施することとし、所要の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、金融機関及び証券会社が、各種の業務分野へ参入できるようにするため、銀行等の証券子会社及び信託銀行子会社並びに証券会社の銀行子会社及び信託銀行子会社に係る規定を設けるとともに、信用金庫等について、本体で信託業務を営むことができることといたしております。
 第二に、証券取引制度の見直しを行い、金融の証券化の進展に対応し、有価証券の定義の整備を行うほか、公募について、人数基準の明確化、投資者の属性への配慮等の見直しを行うとともに、私募についての法整備及び情報開示制度の充実を図ることといたしております。
 第三に、協同組織金融機関の業務規制の緩和等を行い、信用金庫等について、社債等の募集の受託業務を、信用協同組合、労働金庫、農業協同組合等について、国債等の募集の取り扱い及び売買業務並びに外国為替業務を行うことができることとする等の改正を行うことといたしております。
 第四に、金融機関の健全性の確保を図るため、銀行等が経営の健全性を判断するための基準に係る規定を設けるほか、大口信用供与規制、子会社等との間の取引の規制等の措置を講ずることといたしております。
 その他、業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧についての規定、金融機関の合併及び転換に関する規定等について所要の整備等を行うほか、相互銀行法を廃止することといたしております。
 以上、証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案及び金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
 以上であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 証券取引等の公正を確保するための証券取引
  法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及
  び金融制度及び証券取引制度の改革のため
  の関係法律の整備等に関する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明に対する質疑
#26
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山中邦紀君。
    〔山中邦紀君登壇〕
#27
○山中邦紀君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました証券取引法等の一部を改正する法律案について、総理及び関係大臣に対して質問を行います。
 昨年六月に発覚し、国会はもとより、国の内外で大きな議論を呼んだいわゆる証券スキャンダルは、我が国の経済社会において、公正の観点でいまだに大きなゆがみのあることを示しました。その結果は、政治不信や国際信用失墜のおそれにも至ったのであります。暴力団と結んだ株価操作に至っては論外であります。
 かつて米国では、大恐慌の前に、不正取引が横行したことの反省に立って、独立した行政機関として証券取引委員会、SECを設立いたしました。二千名規模の職員と、地方にも事務所を有し、証券取引の名実ともに備わった監視、不正摘発の機関として、裁判所に差しとめ命令を請求し、みずから行政処分を下すなど強い権限を行使し、有効に機能してまいりました。一国の経済における証券市場の重要性を認識した上での抜本的な対処であったと言えるのであります。
 ところで、我が国では、政府は、損失補てんの禁止などの応急措置は講じたものの、抜本的な法改正を先送りにしてまいりました。そのことが結局、現在の底の見えない証券不況につたがったと言えるのでありましょう。
 今回の法改正が真に公正の観点から抜本的なものであり、自信を持って国民の皆さんに問える内容となっているか、まず宮澤総理にお尋ねしたいと存じます。(拍手)
 東証の平均株価は、本年三月、五年ぶりに二万円の大台を割り込み、その後下げベースでそのまま推移をいたしております。八九年末の三万八千九百十五円という最高値に比べ、暴落ともいうべき現状であります。株価の長期低迷が続くならば、企業の安定的な資金調達の阻害要因となり、景気の後退を来し、ひいては国家財政に直結する経済成長にも悪影響を及ぼすことも予測されるのであります。今回の証券不況は、単なる投資家の直接的な利害の問題を超えるものがあるのであります。
 その再建は、政府と日銀が行った緊急経済対策や第四次公定歩合引き下げが無力だったことを見ても、対症療法的な取り組みでは限界があることも明らかであります。
 私は、昨年来の証券不祥事で周知の事実となったとおり、明確かつ公平なルールのもとに運営されてこなかった日本の証券市場に対する不信が、証券不況を招いた大きな一因だと認識をいたしております。国民生活にも影響を与えかねない証券不況克服のためには、市場への信頼回復が不可欠と理解するところですが、この点に関し、宮澤総理の御所見をお伺いするとともに、あわせて不信を生んだ原因、あるべき信頼回復の方策、手段についての基本的なお考えをお答えいただきたいと存じます。(拍手)
 さて、政府案にある証券取引等監視委員会が、その目的とする「取引の公正の確保を図り、市場に対する投資家の信頼」を保持することができるかどうか、私は大きな疑義を持つものであります。内容、権限が伴わない限り、絵にかいたもちであるからであります。
 証券業界と機関投資家のもたれ合いの関係、そうして、監督官庁である大蔵省のチェック機能が正常に働かなかったことが、いわゆる一連の証券不祥事を生んだのであります。問題は、何ゆえ不祥事を生む土壌を大蔵省が看過したのかであります。この点を深く掘り下げ検討することが、市場への信頼回復の観点から極めて重要であります。
 私は、片や証券業界の監視と、他方、その保護育成という相反する権限を大蔵省が一手に握っていることが、チェック機能を作動させなかった最大の理由であると指摘せざるを得ないのでありますが、羽田大蔵大臣の率直な御見解をお伺いいたします。(拍手)
 また、このようないわば利益相反に大蔵行政が手を染めてきたことが、市場原理をゆがめ、日本の証券システムの後進性、不透明性の温存につなかったという識者の批判には、謙虚に耳を傾ける必要があります。経済同友会など財界からも、今後も引き続き業界の指導監督に当たる大蔵省のもとに、国家行政組織法の八条に基づき、その附属機関として証券取引等監視委員会を設立しても、独立性を保ちながら業界に対する監視を公正かつ有効に行えるかとの疑問が示されております。また、大蔵省自身が国債の発行者であり、NTT等政府保有株式の売り出し人でもあります。証券市場の利害関係人であることが指摘をされております。
 健全な市場維持のための監視機能を全うするには、業界の保護育成を行う大蔵行政から、権限上ももちろん、組織的にも市場監視の機能を切り離す必要性があると考えます。大蔵省の附属機関である証券取引等監視委員会が、これらの批判にたえ得るものであるか、さらには、その中立性の制度的な担保はどう保証されているのか、また、言われているような八十名程度の事務局体制で、所期の目的を達成することが可能なのか、大蔵大臣の明快な御回答をいただきたいと存じます。(拍手)
 日本経済に深い後遺症を残した証券不祥事の再発を防止するためにも、我が国にも、米国のSECに相当する機能と権限を持つ機関を置くべきだという多くの国民の声があったことを、宮澤総理も御存じのはずでございます。
 しかし、政府案にある証券取引等監視委員会は、米国のSECが、その独立性の担保として独自の行政処分権を持つのとは異なり、監視委員会は、必要な行政処分その他の措置について大蔵大臣に勧告を行い、実際の処分等は、その勧告に基づき大蔵大臣が行うということになっております。委員会は結果について報告を求めることができるというのにとどまっているわけであります。この点では、相変わらず大蔵省の影響下に置かれた機構と言うほかはありません。
 宮澤総理、総理があくまでも政府案に固執し、これを維持するというのであれば、証券取引等監視委員会は、単に不祥事の再発防止の観点からだけではなく、利用者の立場に立った健全な市場の再生へ、米国のSECが果たしてきた役割に学び、何よりも公正さによる投資家の保護を最優先すべきであると考えますが、政府案では、その実現に向けいかなる具体策を用意されているのか、お答えをいただきたいと存じます。(拍手)
 また、仮に、監視委員会の勧告と相違する処分を大蔵大臣が行うた場合、公正さによる投資家保護の前提に立ち、どのような処置をとる御決意をお持ちなのか、端的にお示しいただきたいと存じます。
 この改正法案のもう一つの大きな柱である自主規制機関の機能強化の実現、これによって可能となる価格・取引情報の公平、効率的な開示なども重要であります。これらが、公正な価格形成メカニズムが機能する市場の再生へ必要な取り組みであると私も評価を惜しむものではありません。
 言うまでもなく、健全な証券市場の再建には、証券取引等監視委員会と自主規制機関との連携がスムーズに行われなければなりません。そこには主従の関係は存在しないはずであります。あえて言うならば、今後予想される商品開発の多様化、国際化の一層の進展への機動的な対応の必要性などを勘案すると、自主規制機関の機能強化こそがより尊重されるべきだと私は認識しますが、大蔵大臣の御所見はいかがでしょうか。(拍手)
 証券業協会などの主体的な努力を積極的に期待し、自主規制の実効性を高めるためには、自主規制機関の会員資格の喪失が免許の取り消しにつながるように強制力を伴うものにすべきではないかとも考えますが、大蔵大臣の御見解をあわせてお示しいただきたいと存じます。
 最後に、いわゆる飛ばしの問題に触れたいと思います。
 最初に発覚したコスモ証券のケースでは、時価四十八億円の米国債、ゼロクーポンを、後日、四百二十八億円で買い戻す約束を交わした上、「すかいらーく」が四百八億円で購入しております。うまくいけば、その差額二十億円が労せずして「すかいらーく」のものになるはずでありました。しかし、最終的には破綻し、「すかいらーく」側が裁判所の調停に持ち込んだのであります。成立した調停の結果、コスモ証券側の実質的な賠償額は、約三百六十億円になると伝えられております。
 その後の明らかになった例を見ても、裁判所の和解調停の手続を巧みに利用して実質的な損失補てんが行われているのではないかとの指摘も成立すると思うのでありますが、大蔵大臣の率直な御見解をお伺いいたします。(拍手)
 証券という現物が伴わないぺーパー商法まがいの取引が証券業界で横行していたこと自体、その前近代性の不健全性を示すものであります。しかし現状では、市場を通した取引ではないという点で、飛ばしは違法行為として摘発さえできない状況にあります。
 まず、今回の証取法改正法案そのものが、さらには法案の予定している証券取引等監視委員会が飛ばしの問題に果たして対応できるのか。また、無力であるならば、業界の倫理観任せにするのではなく、国際的な信用にこたえ得る日本の証券市場とするためにも、飛ばしのような問題にも厳正に対処し得る証取法の機能強化実現へいかに取り組んでいく考えをお持ちであるのか、宮澤総理にお尋ねをして、私の質問の締めくくりといたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 今回の証券取引法の改正におきましては、我が国の証券市場の実情にかんがみまして、取引の公正の確保を図り、市場に対する投資者の信頼を保持するため、証券取引等監視委員会を設置いたしますとともに、証券業協会等自主規制機関について所要の整備を行い、監視機能の強化及び充実を図ることといたしたところでございまして、私どもとしては、証券市場の公正確保の観点から抜本的な改正と考えておるところでございます。
 次に、市場の信頼回復の問題でございますが、ただいま我が国の株式市場が依然として低迷をしております背景には、一連の問題の影響、また株式投資に対する魅力の低下、企業業績の悪化等、さまざまな要因があるものと考えております。このような株式市場の状況に対応して、政府としては、証券市場に対する信頼回復、株式市場の活性化等のために一連の措置を講じてきたところでございます。このような一連の措置は、先般決定いたしました緊急経済対策等の財政・金融両面からの諸施策とも相まちまして、現在の我が国株式市場に明るい材料になるものと期待をいたしております。このような諸施策を着実に実施していくことが重要であろうと考えておるものでございます。
 次に、昨年の証券会社をめぐる一連の諸問題が、証券市場に対する内外の投資家の信頼を損なったことはまことに遺憾でございます。これらの問題については、政府としても極めて深刻に受けとめております。国会の特別委員会及び行革審からの指摘を最大限尊重し、これらの問題の再発防止及び証券市場に対する内外の投資家の信頼回復を図るために、法制上、行政上の総合的な対策に取り組んでいくこととしたところでございます。さらに、より公正で透明な証券市場の実現に向け、新しい検査監視体制の創設を含む所要の措置を講じますとともに、証券市場における有効かつ適正な競争を促進することなどを目的として、今回の二つの法律案を提出して御審議をお願いしているところでございます。
 証券取引等監視委員会は、証券会社について、証券取引に係る諸規則の遵守状況を検査するばかりでなく、証券取引に係る犯則事件の調査等を行い、かつ、その調査及び検査の結果に基づき、みずから告発をしたり、また、大蔵大臣に対して行政処分等の勧告や建議等を行う権限を保有するものでございます。このような権限の行使によりまして、証券市場の公正が確保され、投資家の保護が図られるものと考えております。
 今回の法律案では、大蔵大臣に勧告の尊重義務を課すとともに、監視委員会に対し、勧告に基づいてとった措置につき大蔵大臣から報告を徴する権限を付与しております。監視委員会からの行政処分等の勧告があった場合には、大蔵大臣は、特段の合理的理由がない限り、勧告に従って行政処分等を行うべきであることは、これは当然のことであると考えております。
 最後に、飛ばしのことについて御質問がございました。
 最近報道されております証券会社の事案は、証券会社の役職員が会社に無断で顧客間の取引を仲介したことにより生じたトラブルであると聞いておりますが、免許企業である証券会社においてかかるトラブルが発生したことは、まことに遺憾なことでございます。山種証券及びその外務員の行っていた飛ばし取引については、証券取引法違反として行政処分を実施いたしました。
 今回の証券取引法の改正においては、証券取引等監視委員会を設置するとともに、証券業協会等自主規制機関について所要の整備を行い、取引の公正の確保に係る法令等の遵守の状況を監視する機能の強化及び充実を図ることといたしたところでございます。これによりまして証券取引の公正をより一層確保し得るものと存じます。
 今回の法案は、より公正で透明な証券市場等の実現に向け、新しい検査監視体制の創設を含む所要の措置を講ずるものでございまして、その成立を期待をいたしております。
 残りのお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#29
○国務大臣(羽田孜君) お答えを申し上げます。
 大蔵省といたしましては、ただいまの御指摘のございました問題につきまして、国民の批判を厳粛に受けとめまして、昨年九月十三日の行革審答申あるいは国会の決議、また行政部門から独立した証券取引等監視委員会を設置することといたしまして、証券取引法等の一部を改正する法律案、これを提出したところでございます。大蔵省といたしましては、証券取引等監視委員会を通じまして、証券会社等に対して十分な検査・監視を行い、証券取引の公正の確保を図り、証券市場に対する信頼を回復してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 なお、この監視委員会を大蔵行政から組織的にも切り離すべしというお話でございますけれども、証券取引等監視委員会の調査・検査業務が有効に機能いたしますためには、行政を通じて得られた資料ですとか、あるいは情報等を活用することが不可欠であろうと思います。また、その調査、検査が証券市場等の公正性の確保あるいは投資家保護に資するためには、その結果が行政に適切にやはり反映されていくことが極めて重要であろうというふうに考えます。このような委員会の職務の性格を考えましたときに、委員会と行政部局との間に一定の距離を確保しつつも、これを大蔵大臣の管轄のもとに置くことが適当であろうというふうに考えます。
 なお、監視委員会の中立性について、制度的担保はどう保証されているかということでございますけれども、委員会が合議制の機関であること、また、委員長及び委員は、任命に当たりまして両院の同意を必要といたしますし、職権を独立して行使すると定められております。また、委員会は調査、検査の結果に基づきまして、みずから告発ができるほか、大蔵大臣に行政処分等の勧告を行うことができることなど、委員会が職務を遂行する上での独立性及び実効性、これが担保されているものであろうというふうに考えております。
 なお、八十名程度の事務局体制で目的を達せられるかという御指摘でありますけれども、行政部局の合理化等を図った上で、証券局等から可能な限りの定員の振りかえなどを行うとともに、厳しい定員事情の中で、犯則事件の調査等の新たに加わる事務に対応するために二十五人の増員を図ることといたしておりまして、委員会が担う任務の遂行上、十分な人員となるよう努めたところでございます。いずれにいたしましても、効率的で機動的な事務運営を図ることによりまして、委員会の事務遂行に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
 なお、自主規制機関の機能強化をする必要があるのじゃないか、いわゆる商品開発の多様化、国際化のためにそういうことが必要じゃないかという御指摘でありますけれども、自主規制機関の機能強化につきましては、昨年九月の行革審答申、十月の国会決議、また本年一月の証取審の報告におきまして、自主規制機関の機能強化を図る必要があるというふうに御指摘があったところでございます。
 大蔵省といたしましては、こうした指摘を踏まえまして、今回の法律改正案では、自主規制機関の機能の強化を図る観点から、証券業協会を証券取引法上の法人とする等によりまして証券業協会の自主規制機関としての位置づけを明確にするとともに、外務員の登録事務等を証券業協会に行わせることなど、所要の規定の整備を図ることといたしておるところでございます。
 なお、これに関係しまして、自主規制機関の会員資格の喪失が免許の取り消しにつながるようにすべきじゃないかという御指摘でございますけれども、実質的に証券業協会が免許制度を運用することにもなるわけでございまして、証券会社に対する監督につきまして責任の所在があいまいとなるという問題が生じようと思っております。
 したがいまして、御指摘のような自主規制機関の会員資格が免許の取り消しにつながるような措置をとることは困難というふうに考えますけれども、大蔵省といたしましては、今後、免許制度を維持しつつ、自主規制機関を通じた証券市場の規制を重視する必要があると考えており、今回の法律改正案におきましても、協会に加入せず、または取引所の会員となっていない証券会社の業務について、協会または取引所の定款、その他の規則を考慮して適切な監督を行わなければならない旨規定する等の措置も講じられておるところでございます。
 なお、飛ばしは、裁判所の和解調停を利用した実質的な損失補てんじゃないかという御指摘でございますけれども、改正証取法は、損失補てんに該当しない場合として、事故であることについて大蔵大臣の確認が得られている場合のほか、省令におきまして、確定判決が得られている場合、裁判上の和解が得られている場合と並んで、民事調停法上の調停が成立している場合を規定しております。裁判上の和解あるいは民事調停とも、裁判官がこれは関与をいたすわけでございまして、公序良俗に即した形で行われるものでございます。法律違反の損失補てんに該当するようないわゆる裁判上の和解、民事調停が行われるというようなことはあり得ないことであろうというふうに確信をいたしておることを申し上げたいと存じます。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○議長(櫻内義雄君) 時崎雄司君。
    〔時崎雄司君登壇〕
#31
○時崎雄司君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず最初に、質問に入る前に指摘しておきたい問題がございます。それは、この法律案が多くのミスを抱えておったという問題であります。
 この法律案については、二度にわたるミスの訂正がありました。その数は十九項目にわたり、証券取引法等の改正案を含めると、何と二十二カ所にも及んでおったのであります。これだけの数の正誤表が出された法律案は、私の調べたところでは、例がありません。内容が多岐にわたるものであるということは初めからわかっていたことであり、誤った理由には全くなりません。むしろ拙速によるものと言わざるを得ません。
 私どもも、平成元年に消費税廃止関連九法案を提出した際、法案ミスの訂正をお願いしました。しかし正誤は認められず、みずから修正した経緯がございます。今回の問題は、法案ミスといっても単なる誤植ということではなく、条文一つがそっくりと欠落しているものもあるため、正誤で済む問題だけではなく、国会法に基づく修正で対応すべきものであったと考えております。
 さらに、この訂正に当たり、政府のとったこの問題に対する対応も非常に問題があります。最初に出された正誤表については、ほとんどの議員が知らないうちに、しかも、議院運営委員会にもかけずに正誤表を配付するという行為は、余りにも立法府をないがしろにしたものと言わざるを得ません。さらに、四月の二十七日に至り、二回目に提出された正誤表、すなわち証券取引法改正案で三項目、金融制度改革法案で五項目の正誤については、議院運営委員会にかけるという正規の手続をとっていることを考えれば、当初から正規のルールにのっとり行うべきだったのではないだろうか。二度あることは三度あるといいます。もし、仮に今後の法案審議により三回目の正誤表が提出されることになった場合でも、当然のこととして正規のルールで行われるべきものであることを強く指摘をしておきたいと思います。(拍手)
 次に、法律案の内容についてお伺いをいたします。
 最初に、改革法案の骨子である、銀行と証券会社が業態別子会社を通じて相互乗り入れするという問題についてであります。
 銀行と証券の相互参入問題に関しては、六年越しにわたる金融制度調査会と証券取引審議会の審議に基づく答申は、子会社方式での相互乗り入れということでありました。つまり、銀行か証券業務に参入する場合には新たに子会社を設立するというものであり、この子会社の業務範囲も、当初は証券業界への影響を考慮して、引受業務、いわゆるアンダーライティングだけに限定し、証券業務の中核である売買取り次ぎ、いわゆるブローカーレージ業務を認めないとしておりました。
 ところが、今回提出されている法律案では、銀行による既存の証券会社の買収が認められる内容となっております。つまり、最近の株価の低迷、さらに損失補てん、飛ばし問題などに見られるような不祥事により、経営危機に陥っている証券会社の救済を目的としたものに変更になっております。しかも、買収により取得した証券会社に、ブローカー業務も行えるというものであり、数年にわたる調査会、審議会の昨年の答申とはまるで異なる内容のものとなっております。
 証券不況の中で、証券業界を救うには銀行の豊富な資金力に頼らざるを得ないという危機感は一面理解できますが、答申内容と異なる内容の法案をあえてつくり、銀行主導で証券救済に踏み切った理由について、金融政策の専門家である宮澤総理にお尋ねをいたします。
 次に、今回の制度改正による、競争の促進による効率化、あるいは金融商品の多様化による利用者にとっての利便の問題についてお伺いをいたします。
 競争、効率化の促進、そして自由化を進めることが利用者のニーズに対応することであるという命題については、この間のバブル経済、そしてそのバブルの崩壊により疑問符がついたことは明らかであります。この間の銀行による競争の激化、効率化は、過剰融資、にせ預金証書などの不祥事の温床となり、従業員にとっては過労死という問題を引き起こし、最近に至ってはバブルの反動による低金利により一般預金者の預貯金金利の目減りを生じさせています。
 金融商品の多様化についても、今国会で議論されたリース債権譲渡問題のように、官庁間の権限争いが個々の商品ごとに繰り返された状況を見てみれば、商品、サービスの多様化も絵にかいたもちにすぎません。
 そもそも、審議会、調査会が数年にわたって議論をしても、利用者あるいは一般消費者にとってどのようなメリットがあるのかという視点での議論がされず、昨年の取りまとめの間際になって、一人の委員からそのことを指摘され、急速報告書に挿入されたという経緯があります。提出されている法案においても、それぞれの既得権の利害調整の結果であり、今回の制度改正による利用者への還元に何があるのか不明確であると言わざるを得ません。今回の金融制度の改革によって消費者にどのようなメリットがあるのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。(拍手)
 次にお伺いしたいのは、金融制度の秩序の維持の問題であります。
 この問題は、金融機関の健全経営に関する一九八一年の銀行法改正のときに法律に盛り込まれなかった部分を改めて明文化したものであります。
 そもそも銀行とは何かを考えた場合、まず最初に貯蓄の預かり所であるというのが伝統的な考え方であります。したがって、預金者の保護をしなければならない。その預金者を保護するためには、銀行はつぶれないように健全経営をしなければならない。そのため、これまでの大蔵省の規制の方法は、新規参入はさせない、新たな支店の出店も規制する、金利も規制する、業務範囲も規制する、これがこれまでのやり方でありました。
 しかし、銀行の業務が時代とともに変化し、銀行の主たる活動が貸す金をみずからどのようにつくる、いわゆる信用創造に比重が移ってまいりました。したがって、金融機関の信用秩序の維持ということに関しては、支払い決済システムが重要視されています。バブル崩壊後、この信用不安が現実になりそうだというのが今の金融界が抱えている問題であります。
 金融制度の信用秩序の維持という問題は、金融機関が決済ができなくなるという状況にならないようにするための健全経営ということが今後の規制の主眼とならなければなりません。そのための具体的な規制の内容として、徹底した企業内容の開示、いわゆるディスクロージャーの一層の推進であります。先月、株式市場において銀行株の暴落による平均株価の急落は脳裏に鮮明に残っています。この銀行株が一斉に売られた原因は、銀行における不良債権が想像したよりも多いのではないかという観測が流れたものであるとの指摘がございます。このことが示している問題は、今の金融機関にどれだけの不良債権があるのか、いわゆるしこり玉がどの程度あるのかわからないという不安から出たものであります。それだけ銀行の経営内容の開示、ディスクロージャーが進んでいないということであります。金融機関の健全性確保という問題は、単に現在ある通達を法律事項に引き上げるだけではなく、欧米並みのディスクロージャーを行う必要があると考えますが、大蔵大臣の御見解をお伺いをいたします。(拍手)
 次に、ノンバンクの規制問題についてお尋ねをします。
 今回の制度改正は、金融制度全般についての制度改正を行おうとしているものであります。しかし、金融機関を考えるならば、ノンバンクを考えずに金融制度を論じることはできなくなっております。バブルのあだ花的な側面もありますが、ノンバンク全体の貸付残高が何と九十八兆円に上っているのであります。これは全国の信用金庫の貸付総額をはるかに超えるものであります。しかも、バブル崩壊後明らかになっているのは、大手銀行かノンバンクを使って迂回融資を行っていたという実態であります。しかも、このノンバンクに多額の不良債権が発生していると言われております。しかし、その不良債権の件数、総額については、その実態は一切明らかになっておりません。このノンバンクを金融システムの中でどのように位置づけ、どのような規制を行うのかが焦眉の魚となっております。大蔵大臣は、このノンバンクに対してどのような方針で取り組む所存なのか、お伺いをいたしたいと思います。(拍手)
 最後に指摘しておきたい点は、六年という長い歳月をかけて取り組んできた制度改正問題ですが、その出発は一九八〇年代半ばであります。今とでは取り巻くその環境がすっかり変化をしてしまいました。バブルの傷跡もいろいろなところで大きく残っております。制度そのものを変えるということは、少なくとも十年先を見越したものでなければなりません。今回の制度改正が果たしてこれにたえられるのかどうか疑問を残すところであります。
 法案の審議に対しましては十分な時間をかけ、さまざまな角度からの慎重な審議を関係各位にお願いして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#32
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 今回の法案は、金融制度調査会答申及び証券取引審議会報告書を踏まえまして取りまとめたものでございます。そこで、競争促進という制度改革の趣旨にかんがみますならば、銀行の証券子会社については、新規の設立ということが原則であると存じます。この場合には、改正法案の附則におきまして、株式のブローカー業務を当分の間禁止する旨を明記をいたしております。
 そこで、銀行かいわゆる救済のために既存の証券会社を買収するということも観念的にはあり得るであろうとは思います。そのような状況が現実に生じました場合には、この株式のブローカー業務を禁止した報告書の趣旨が損なわれることのありませんように、個々のケースごとに慎重に対処してまいるつもりでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、大蔵大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#33
○国務大臣(羽田孜君) まず、この提出法案のミスでございますけれども、多数の箇所にわたりまして条文の整理ミスあるいは改正の重複等の誤りがございまして、正誤の手続をお願いせざるを得なかったことにつきましては、まことに遺憾に存じ、おわびを申し上げたいと存じます。これらは、条文の整理の過程で技術的なチェックミス、これから生じたものでございますけれども、正確なる法文案をもちまして立法府の御審議をお願いする立場といたしまして、今後かかる誤りが生ずることのないよう十分ひとつ注意をしてまいりたいというふうに考えております。
 また、今回の金融制度改革によりまして消費者にどんなメリットがあるかということでありますけれども、今回の法律案は、金融制度調査会及び証取審におきまして、長期間にわたって、消費者を初めとする利用者の立場、投資者の保護を主眼として審議がなされました。その結果取りまとめられた答申等を踏まえたものであることを、まず申し上げます。
 その内容は、専門制、分業制に基づく各業態の間の垣根を低くすることによりまして、金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進しまして、市場の効率化を図るとともに、より多くの良質な金融商品またサービスを利用者の皆様に提供を可能とするものとなっております。
 この法律に基づきます制度改革によりまして、利用者は、例えば預け入れの期間が三年超の預金など、金融商品の多様化のメリットを受けます。また、各種の手数料の引き下げあるいは預金金利の引き上げ等の価格面でのメリットも受けることができると思います。また、自己のニーズに合った金融機関の選択が可能になりましょう。また四番目としましては、地方の住民、中小企業あるいは農林漁業者等に対する金融サービスの均てんのメリットというのが生まれてまいります。また、新たに有価証券となるものにつきましてディスクロージャー制度が適用されること等によりまして、投資者として証券取引法上の保護を受けるメリットがあろうと思っております。これらのほかに、金融・資本市場の効率化を通じまして、国民経済全体の効率化といった形で制度改正はメリットがあるものであるということを申し上げることができると思います。
 なお、欧米並みのディスクロージャーを行うようにという御指摘でございますけれども、不良債権の開示など金融機関の健全性確保のための方策につきましての御指摘をいただきましたけれども、いわゆる金融機関のディスクロージャーのあり方につきましては、本年一月に取りまとめられました金融制度調査会報告におきまして、「今後の方向として、各金融機関はこ「より広範なディスクロージャーを推進していく必要がある。」というふうにされております。大蔵省といたしましては、ディスクロージャーは、金融機関の経営の健全性に関する自己努力を促進するための一つの方策としてこれを活用していくべきというふうに考えておるところでございますけれども、なお検討を要する点も少なくないことから、今後、金融制度調査会にディスクロージャーに関する作業部会、これを設けていただきまして、専門的な立場から検討を進めていただき、開示の内容の一層の充実を図っていきたいというふうに考えております。
 また、ノンバンクについての御指摘でございますけれども、ノンバンクは、近年、事業者向け貸し付けを中心に著しく量的な拡大を遂げた結果、社会的存在というものも非常に大きくなっており、ノンバンクが担ういわゆる資金仲介機能のあり方ですとかあるいはノンバンクの経営問題は、金融システムの安定及び健全な発展を図る上で重要なものとなってきておるというふうに考えます。行政当局といたしましては、ノンバンクに関してさまざまな御議論のある中で、昨年改正された賞金業規制法のもとで、ノンバンク側の自主的な協力を前提に、できる限り実態の把握に向けて努力しておるところでございます。いずれにいたしましても、ノンバンクの今後のあり方あるいは指導のあり方等につきましては、立法府のさらなる御議論を踏まえつつ、私どもも検討してまいりたい、かように考えております。
 なお、金融制度の改革というのは将来を見通したものになっているのかという御指摘でございますけれども、今回の制度改革は、このような観点から、大蔵大臣の諮問機関である金融制度調査会及び証券取引審議会における六年にわたります議論を踏まえたものでございまして、また昨年夏以来の、いわゆる先ほど来御指摘のバブル経済の消長、この過程で発生した一連の不祥事の反省に立ち、その再発の防止という側面も持っておるということでございます。
 今回の金融制度改革は、金融・資本市場の効率化、また活性化、ひいては国民経済の適切な運営のために行うものでございまして、御指摘の中にもございましたように、中長期的な視点を踏まえたものであるということを申し上げられると存じます。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(櫻内義雄君) 宮地正介君。
    〔宮地正介君登壇〕
#35
○宮地正介君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただい省議題となりました証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案並びに金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 金融・証券制度に関する改革は、戦後初めての抜本的な改革であり、我が国経済と国民生活に大きな影響を及ぼす重要な案件であります。その意味で、今回の政府が提出した法案には余りにも多くのミスが露呈されたことは極めて遺憾であります。法案の修正にも匹敵するミスを犯し、しかも、それを正誤表で修正するというこそくなやり方に対し、まず厳重に反省を求めるものであります。
 以下、私は、今回政府が提出した改革法案に対して幾つかの懸念と問題点を指摘しながら、質問をしてまいります。
 その第一は、現在の証券・金融不況と制度改革についてであります。
 急速に広がった我が国経済の不況感の震源の一つが証券・金融、とりわけ株価の低迷にあることは言うまでもありません。株価回復の見込みは非常に厳しく、底を打ったとの声がある一方で、日経平均は一時一万七千円台を割り、東京証券取引所の出来高も三億株台を挟んで行き来するなど、中小証券会社にとって既に生存ラインを割り込んでいると言われております。G7を初め諸外国などからも、日本の証券市場の混乱に強い懸念の声が寄せられているのは、御承知のとおりであります。
 今回の景気の後退局面については、政府の景気見通しの甘さや予算編成の取り組みなど、政策運営が後手後手に回っていることを率直に指摘せざるを得ません。また、小手先の株価対策では、国民の信頼感を得るどころか、かえってこじらせ、市場を一層冷やしかねないのであります。今必要なことは、景気全体の回復に対する取り組みであり、とりわけ内需拡大のための大型補正予算の編成と消費喚起のための思い切った所得税減税の実施であります。その意味から、我が党は、先般、一兆円超の所得税減税の実施を提言したところであります。
 総理、まず最初に、今回の株価が低迷した原因をどう考えておられるのか、さらに、我が国が内外の経済に与える影響、そして証券・金融不況をいかに克服し、今後の景気回復にどう対処されるおつもりなのか、とりわけ所得税減税の実施について総理の明確な御見解を伺うものであります。
 あわせて、現在検討中と言われております自社株取得については、株価対策という視点からではなく、経済社会の課題として腰を据えた対処が必要だと考えます。いかがお考えか、大蔵大臣の御見解を伺うものであります。
 第二の懸念は、政府の提案された改革案で、銀行か担う決済システムの安全性と、株式市場に必然的に伴う相場リスクとがともに両立するのか、また、証券と銀行の利益相反が起こった場合、どのように業務の健全性を維持するのかという制度改革の基本に関する問題であります。
 今回の改革案は、金融の自由化、国際化に対応し、利用者の利便に資することに主たる目的がありますが、そもそも銀行は、元本保証、確定利付の決済手段の担い手として、信用を旨とする安全性が第一であり、一方、証券は、基本的にリスキーな資本調達の場として、利益相反、インサイダー取引、価格操作などを厳禁し、公正、自由な競争を通じた市場の発展に重点が置かれるべきであります。
 最近における不祥事の背景を見ても、我が国経済社会の取引慣行からいえば、この法案に盛り込まれている程度では、親子の会社間における情報障壁、いわゆるファイアウォールは、実態的にかなり困難ではないかと考えざるを得ません。これは改革案の中心となる課題であります。
 株式市場の投機的性格による収益の急激な増減が、銀行の証券子会社の経営危機を通じて銀行経営を悪化させ、その結果、銀行か本来担うべき決済システムに悪い影響を及ぼす懸念はないのかという問題とあわせ、ファイアウォールの実効性について、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 第三は、今回の制度改革によって、大蔵省の権限が一層強化されるのではないかという懸念であります。
 この改革案では、銀行、証券子会社の設立時期や、また業態を越えた合併、転換、あるいは新商品をいつ、どこに認めるかなど、行政の裁量余地が大幅に残り、全体像は必ずしも鮮明ではありません。新規参入に対する基準なども何ら明らかにされてはおらず、すべては大蔵省の腹一つてあります。大蔵省の行政権限を掌握する姿勢については、証券不祥事が生ずる以前と本質的なところで何ら変わっていないところか、かえって大蔵省の権限強化になっていると言っても過言ではありません。
 さきの不祥事の原因は、大蔵省が業界を完全保護状態に置いたこと、そして、こうしたいわゆる保護行政によって新規参入を極端に規制し、極めて制限的な競争条件の中で高率の手数料を認め、一社たりとも倒産しないようにしたことであります。その結果、証券会社は、膨大な超過利潤を生じながら、手数料等での本来のサービス業務が行えないため、不公正な競争に走り、市場が正常に機能せず、これが不祥事を生じた原因でありました。この際、大蔵省の持つ権限の中核とも言える証券会社の免許制あるいは売買委託手数料についてはできるだけ規制を緩和し、基本的には自由化の方向に踏み出すべきではないかと考えます。総理の御見解を伺いたいのであります。
 また、今回提出の法案では、重要な事項のほとんどが政省令にゆだねられていることを考えるとき、少なくとも法案の審議の段階では、政省令の全容の提出が不可欠の前提条件であり、全容を速やかに提出すべきであります。あわせて、政省令の提出について、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 第四は、市場監視機構の独立性に対する懸念であります。
 どんな改革内容でおったとしても、実効が上がらなければ絵にかいたもちに等しいわけであります。さきの証券・金融不祥事を深刻に政府が反省したのであれば、国際的な動向を踏まえる意味からも、自由競争を担保する市場の監視機関は、大蔵省から独立した行政委員会とすべきであります。
 本法案に盛られた証券取引等監視委員会は、人事、予算、権限のすべての面で大蔵省の影響下に置かれる国家行政組織法の第八条機関であり、独立性や市場規制の実効性に大きな懸念が持たれております。私どもは、今回の証券・金融不祥事の反省の上に立って、公正な経済競争と市場を監視するためには、国家行政組織法第三条を根拠とし、大蔵省から独立した証券・金融全般を所掌する行政委員会、仮称証券取引委員会を設置すべきと考えております。国家行政組織法第八条を根拠にする監視機関としたのは、一体いかなる理由によるものなのか、また、将来的にも、権限、独立性等、この監視委員会のままでよしとするのか、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 第五は、今回の制度改革法案では、国際競争力や中小証券の救済を口実に合併、転換が行われ、その結果、地域金融など利用者の利便が犠牲となって、資本力のある強者だけが生き残り、巨大な金融資本が出現し、金融・証券市場が寡占化するのではないかということであります。また、いわゆる銀行と証券間、あるいは銀行と銀行間の経営基盤の強弱のいかんにかかわらず、すべての企業に網をかぶせ適用するのではなく、企業の実態や法案施行のタイミングについて慎重な配慮が必要だと考えますが、総理の御見解を伺いたいのであります。
 制度改革は、経済の安定と生活者の利便性を増すものとすべきであり、強者の生き残りを招くものであってはなりません。その意味で、地域金融を守る趣旨からも、現状、経営環境の厳しい中小金融会社には、最大の企業努力を求める一方で、当面、魅力ある金融商品を保障するなどの優遇措置が必要だと考えます。
 現在郵便貯金への資金のシフトが問題になっておりますが、例えば中小金融機関には定額貯金のような商品を認め、また中小証券会社には、仲介だけで情報を必要としたい顧客には米国のディスカウントショップのような低い手数料のサービスができるようにするなど、一層の企業努力が行えるような選択肢を用意すべきであります。中小金融・証券会社の経営の現状と当面の優遇措置に対する総理の御見解を伺いたいのであります。
 第六に、両改革案についての基本的な考え方についてであります。
 今回の法案では、業態別の子会社による相互参入によって金融制度の改革を図ろうとするところに改革の最大の眼目を置いております。しかし、子会社によって他の業態に参入したとしても、既に役割を終え、弊害が指摘される現行の業態別のあり方そのものがなくなるわけではありません。今回の改革案が提示される前に、金融制度の業態別のあり方についてどう認識し、将来どういう方向に持っていこうとするのか、まず、国民の前に金融・証券の将来的な全体像を明らかに示すべきであります。金融・証券界のあり方に対する将来ビジョンと、その上に立った今回の改革案の位置づけについて、総理の明確な答弁を求めます。
 また、証取法改正案においては、市場機能の確保、すなわち公正な価格形成のための環境づくりに法の目的があると思うのであります。換言すれば、自由かつ公正な市場の価格形成を阻害する要因を除去することを通じて証券取引における公正さを確保することこそが、改革案の基本理念であります。これは、現行法に欠落した課題としてかねてから我が党が指摘してきたところであり、政府に対し、市場機能を守り抜くという厳正な法運用の姿勢が求められているところであります。大蔵大臣の御見解を伺いたいのであります。
 最後に、政府、大蔵省は、多くの個人投資家の恨みを買っているNTT株について、何ら反省の態度も見せず、今また、日本たばこやJRの株式売却を計画しております。国と証券界の共同による市場操作的なNTT株の売り出しとその後の経緯を考えれば、政府保有株の売り出しについては、個人投資家の育成の観点からも、十分な配慮と対策が必要だと考えます。
 個人投資家の信頼回復策と関連し、NTT株売却とその後の経緯及び今後の政府保有株の売り出しに対し、総理並びに大蔵大臣の御見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#36
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 多岐にわたる御質問でございましたので、順次お答えを申し上げます。
 株式市場の低迷している背景についてお尋ねがございました。
 もちろん一連の問題の影響がございますし、また、過去において大量のエクイティーファイナンスが行われたということ、あるいは株式投資そのものの魅力が低下しているということ、また、企業の業績の悪化が市場に反映されている等々、さまざまな原因があるものと思います。
 これらの状況が我が国の経済に与える影響についてでございますが、設備投資につきましては、それはいろいろ影響がございますけれども、言ってみれば、企業の手元流動性が比較的高い水準にある、あるいは生保の借り入れでございますとか普通社債等、企業の資金調達手段がほかにも多様化してございますので、そのこと自身が資金調達面から非常に大きな制約要因になる危険は少ないのではないかと思っております。個人消費に与える影響につきましても、それももとより影響はございますけれども、個人の資産に占めておる株式のウエートが余り大きくないということなどから見ますと、それほど心配する必要はないのではないかと思っております。
 以上、総合して申し上げますと、もちろんいろいろな影響があることは、これはもう避けられないところでございますけれども、直ちに我が国経済に対して非常に大音な影響を与える要因になるということはないのではないかと思っております。
 このような状況に対応して、政府としまして、証券市場に対する内外の投資家の信頼何波を図ります上で、法制上、行政上の総合的な対策に取り組んでまいりました。これまでも各種の措置を講じてきたところでございます。また、市場の活性化のために、あるいは株式投資魅力向上のための配当政策の見直し、大口投資家向けの株式投資信託の設定推進等々が行われております。先般、緊急経済対策を決定いたしまして、財政・金融両面からの諸施策を講じたところでございますが、これらと相まって株式市場に明るい材料となるものと期待をしておりまして、御指摘のように、このような諸施策を着実に実施していくことが大事なことであると思います。
 我が国の経済の景気回復についてどう対処するか、どう考えるかということでございますが、景気の減速感がなお広まっておることは事実でございます。その結果として、企業家などの心理をこれ以上冷え込ませませんように適切に対応することが必要であると考えまして、先般、七項目にわたる緊急経済対策を講じたことは御承知のとおりでございます。また、これと軌を一にいたしまして、公定歩合の第四次の引き下げが行われたところでございます。いわゆるインフレなき持続可能な成長路線へ何とか経済を円滑に移行させたい、また、国民生活の充実につながり、世界の経済の安定的発展に資するような施策を今後とも講じてまいりたい。従来の施策の効果をただいま見守っているところでございます。
 それから、所得税減税について、いわゆる景気との関連でお話がございましたが、過般の税制改革におきまして、税率構造の累進を緩和した、あるいは基礎控除を引き上げた、配偶者特別控除などをつくりました。相当抜本的な所得税の改正をいたしたつもりでございます。したがいまして、中所得あるいは低所得層を中心とした重税感、ちょっと所得がふえるとすぐ税金がふえるというその負担の累増感が大幅に緩和されたものと考えておりまして、このような財政状況でございますので、所得税減税を実施することはただいま考えておりません。
 次に、証券会社の経営上のリスクが親銀行の経営の健全性、あるいはそれが担うべき決済システムの安定性を損なうおそれがあるという御指摘がありました。
 子会社方式をつくるということ自身がそういう弊害を防ぐ意図でございますが、それに加えまして、銀行法等において設けられております弊害防止措置によって適切に対応していきたいと思います。
 それから、免許制、委託手数料等につきましての緩和の問題でございますが、政府としては、証券行政のあり方についての昨年夏の国会における御議論、あるいは九月の行革審答申などを踏まえまして、免許制の運用、手数料制度のあり方の見直しを行っていくことといたしております。本年一月の証取審の報告を受けまして、免許基準の具体化、明確化、大口取引に係る手数料の自由化の実施につきまして検討を進めてまいりたいと思っております。また、今回の法改正におきまして、免許の審査に当たっては、公正な競争の確保に配慮すべき旨の規定を盛り込んでおります。
 今回の法案におきまして、政省令との関連でございますけれども、国会に御審議いただくべき必要な事項については、具体的に法案に規定をいたしたと考えております。したがって、政省令にゆだねられる事項は、経済・金融環境の変化等に弾力的に対応する必要がある事項にいたしております。その具体的内容につきましては、国会における御審議を十分踏まえながら、法律の施行のときまでに成案を得て決定してまいりたいと思っております。
 なお、政省令事項の現時点での考え方につきましては、法案の御審議の過程で随時、適宜御説明を申し上げるつもりでございます。
 それから、監視委員会の調査・検査業務が有効に機能するためには、行政を通じて得られる資料、情報等を活用することが不可欠であります。また、調査、検査が証券市場等の公正性の確保、投資者保護に資するためには、その結果が行政に適切に反映されることが極めて重要であると思います。委員会のこのような性格にかんがみますれば、委員会と行政部局との間に一定の距離を確保することが必要でございますが、これを大蔵大臣の管轄のもとに置くことが適当であろう、このような趣旨から、いわゆる八条委員会の形で設置することにいたしたわけでございます。
 今回の金融制度改革は、金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進することによって、市場の効率化を図るとともに、利用者にとっては金融商品が多様化するという利便が享受できるということになるものであります。今回の法案では、各金融機関、証券会社に対し、参入段階における競争条件の公平性の確保にも配慮をいたしまして、競争機会を拡大することが可能になるように配慮をいたしております。
 それから、金融の自由化の進展に伴い、中小金融機関を取り巻く経営環境は確かに厳しくなってまいります。今回の法律案においては、中小金融機関の業務範囲の拡大を図るなど、競争力を高めるような配慮も行っております。また、商品の多様化が進む中で、中小金融機関を含め各金融機関がみずからの創意工夫によりまして、魅力ある商品、サービスを利用者に提供することが期待されているところでございますけれども、特定の業界に対してのみ何かの優遇措置を講じるということは、金融機関の自主的な経営を尊重する観点から必ずしも適当ではないというふうに考えております。中小証券会社についても、経営の現状は厳しゅうございますが、おのおのの創意を生かした経営を行い得るよう引き続き配慮を行いまして、免許会社としての経営の健全性が維持されるよう努めてまいりたいと思います。
 今回の制度改革案は、いわゆる専門制、分業制に基づく業態間の垣根を実質的に低くしていくものであります。このような包括的な改革は、今日における金融の自由化、国際化、証券化等の一層の進展を見通したものでございます。金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進し、我が国金融・資本市場の効率化、活性化、ひいては国民経済の適切な運営に資する長期的な観点に立つものと考えております。
 最後に、政府保有のNTT株式の売却につきまして、昭和五十九年七月の売却方針に基づきまして、昭和六十一年度から六十三年度まで、累計五百四十万株の売却を行ったところであります。平成四年度予算においては、予算において処分限度数として、NTT株につきましては五十万株、JT株につきましては約六十六万株の授権をおのおの得たところでございますが、売却の具体的な進め方につきましては、株式市場の動向等を見きわめつつ適切に対処してまいりたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#37
○国務大臣(羽田孜君) まず、自社株の取得でございますけれども、自社株の保有に関する規制のあり方につきましては、去る三月三十一日の政府の緊急経済対策、これにおきまして「商法との関係も含め幅広い観点から検討する。」ということにされておるところでございます。
 企業による自社株保有規制の緩和が行われれば、市場における株式の需給関係が改善されるなどのメリット、これは考えられます。しかし、自社株保有に関する規制のあり方につきましては、既に、法制審議会の検討課題とされておりまして、同審議会におきましては、緊急経済対策の趣旨を踏まえて、幅広い観点から検討がなされることを期待しております。
 なお、従来、自社株保有に伴います市場における問題として、いわゆるインサイダー取引や株価操作につながるおそれがあるといった点が指摘されておりましたが、この点につきましては、証券取引法におけるインサイダー取引規制等の厳格な運用等により対応することができると考えられるほか、我が国におきましても、自社株保有規制の緩和が行われる場合には、アメリカのSECで行われておりますような自社株取得に伴う株価操作防止のための規制についても、検討していくことが必要であろうというふうに考えます。
 なお、制度改革でかえって大蔵省の権限が強化されるんじゃないのか。免許制あるいは売買委託手数料について規制緩和、基本的自由化についてどう考えるかという御指摘でございますけれども、昨年の行革審答申におきましては、証券行政が業界の保護育成に偏って、証券市場における競争が不十分であるという批判がなされたところでございまして、大蔵省といたしましても、今回の法改正におきまして免許の審査に当たっては、証券業における公正な競争が確保されるよう配慮しなければならない旨の規定を盛り込んだところでございます。
 また、証券業への新規参入の実現を積極的に図るために、先般の証取審の報告におきまして免許基準の具体化、明確化について基本的方向が示されたところでございまして、現在、免許審査に当たっての運用の具体的基準を策定中でございます。大蔵省といたしましては、今国会における金融制度改革等につきましての御審議をも踏まえつつ、今後速やかに当該基準を公表してまいりたいというふうに考えております。
 さらに、株式等の委託手数料の自由化につきましては、先般の証取審におきまして、比較的問題の少ないと思われる大口の取引に係る手数料についての自由化を図り、自由化への展望を探ることが必要である、その具体的な実施に係る細目につきましては、専門家をも含めた作業部会を設け、十分な検討を行うことが適当とされております。この証取審の報告に基づきまして、去る四月七日より作業部会におきまして、大口取引に係る手数料の自由化の実施の細目等につきまして御検討をいただいておるところでございます。
 なお、本改正におきまして、市場機能の確保という法目的を明確にしなさいということでございますけれども、この改正におきましては、取引の公正確保を図り、市場に対する投資者の信頼を確保するとの観点から、証券取引等監視委員会を設置するとともに、証券業協会の自主規制機関についての所要の整備を行いまして、取引の公正の確保に係る法令などの遵守の状況を監視する機能の強化及び充実を図るなど、所要の措置を講じているところでございました。こういう措置によりまして取引の公正が確保されることは、市場が健全に機能するのに不可欠であり、法案の成立後は厳正に運用してまいりたいということを申し上げたいと存じます。
 たお、NTTの株売却とその後の経緯、あるいは今後の政府保有株の売り出しに対する見解ということでございますけれども、民営化の趣旨にかんがみまして、五十九年の七月に政府保有株について漸次売却を行う旨の方針を明らかにしたところでございまして、大蔵省としては、六十一年の秋に第一回の売却を行ったところでございますけれども、売却に当たりましては、上場前であり、市場価格が存在していなかったということがございます。そこで、売却株数百九十五万株の一部の二十万株につきましては、国有財産処分の原則的な方法でございます一般競争入札、これを行いまして、その平均落札価格をもって売り出し価格百十九万七千円といたしたものであります。
 さらに、民営化の着実な進捗に資するために、六十二年の秋及び六十三年にそれぞれ百九十五万株、百五十万株の売却を実施したわけですけれども、いずれも上場後の売却でございまして、株式市場における株価形成がなされていることから、民間の時価発行増資と同様、売り出し期間の前日の東証の終わり値を基準といたしまして、それぞれ二百五十五万円及び百九十万円と売り出し価格を決定したものでございます。
 このように、過去三回の売却に当たりましては、国有財産の適正な処分という見地から、売却時点の市場実勢を尊重して売却を実施したものでございます。
 なお、平成四年度についてのお話でございますけれども、この点につきましては、ただいま総理から御答弁がありましたように、売却時期等具体的な売却の進め方につきましては、今後の市況等を十分配慮いたしまして、円滑な売却が図れるように行ってまいりたいというふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○議長(櫻内義雄君) 吉井英勝君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔吉井英勝君登壇〕
#39
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表し、ただいま提案されました証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案並びに金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案に関し、総理並びに関係大臣に質問します。
 昨年、世界でもトップクラスの日本の超一流銀行や証券会社が、不正融資、株価操作、損失補てんなど犯罪的行為に走り、事もあろうに広域暴力団と癒着し、その不正行為に加担していたという驚くべき一連の銀行・証券スキャンダルが起こりました。国民の怒りや国会における証人喚問など厳しい追及の前に、関係した銀行、証券会社のトップはみずから、収益至上主義に走った、国民に申しわけないなどと頭を下げたのであります。
 ところが、その後、大証券会社が軒並み不正な、いわゆる飛ばし事件にかかわり、また、佐川急便事件に関係し、多くの大銀行か巨額の融資をしていた事実が相次いで判明し、金融・証券界の腐敗は、底知れぬ深さを持っていることが明らかにたったのであります。
 しかるに、今回の改革は、このような金融・証券業界のがんとも言える病巣にメスを入れ、真に国民本位の健全な金融・証券市場をつくることではなく、逆に、これまで進めてきた金融の自由化をさらに一層推し進め、さらに業界の垣根や諸規制を一気に取り払い、大銀行、大証券会社に一層自由な営利活動を認めるもので、断じて認めるわけにはいきません。
 総理、私は、今回の金融・証券制度改革は抜本的に再検討すべきであると思います。最初に、この改革の基本姿勢について伺いたいのであります。
 さて、今回の金融・証券スキャンダルは、政府、大蔵省がこれらの事件を未然に防止できなかったばかりか、政財官癒着のもとでこれを容認していた事実さえ明らかになりました。したがって、このような事件の再発を防止し、金融・証券市場を健全化するためには、まず行政と業界の癒着を断ち切り、真に国民の立場に立った公正な行政が確立されることが必要であります。多くの国民が、我が国にも強力な日本版SECの設立を求めたのは当然のことです。
 ところが、今回提案の証券取引等監視委員会は、当初の構想から後退に次ぐ後退を重ね、国民の期待を大きく損なうものとなっていることは極めて重大です。すなわち、同委員会は大蔵省内に置かれる機関とされ、独自の行政処分権を持たないなど独立性の低いものにたっています。また、監視対象が、金融と証券業務が一体化した現状にもかかわらず、悪名高い行革審の答申にすら反し、主として証券会社に限定され、銀行か対象から外されたことなど極めて多くの問題があります。
 私は、監督機関が真にその効果を発揮するためには、第一に、一般行政からの独立性の高い行政委員会とすること、第二に、証券だけでなく銀行をも視野に入れた監督機関とすること、第三に、監督機関の活動は国会と国民の不断の監視の河とに置くこと、この三つの条件が満たされることが必要であると考えますが、総理の所見を伺います。(拍手)
 また、今回、証券会社の株価操作を禁止するための証取法百二十五条の改正を見送ったことは、到底納得できません。この問題を審議した証取審不公正取引特別部会は、「同規定を今後積極的に活用していくことが望まれる。」と答申しましたが、どんなに積極的に活用しても、今後発生する東急電鉄株疑惑と同種の事例については、実質的に適用不可能であると大蔵省自身公言しています。これでは、幾ら罰則を三億円まで引き上げても、事実上適用の見通しはないではありませんか。納得いく答弁を求めます。(拍手)
 次に、金融・証券制度改革の関連法案について質問いたします。
 最大の問題は、金融と証券の垣根を取り払い、銀行か子会社方式で証券業務に参入できる道を開いたことにあります。銀行と証券との垣根は、一九二九年の世界大恐慌の教訓として、アメリカ銀行法で規定されて以来、世界の健全な金融制度のあり方として確立されてきており、戦後我が国においても取り入れられ、これまでその枠組みが維持されてまいりました。
 垣根が維持されるべき第一の理由は、証券業務は最近の株の動向に見られるように、リスクの大きい業務であり、預金者の保護と健全な経営が要求される金融機関は、本来避けるべき業務であることです。第二に、貸付業務と証券業務が一体化すると、融資つきで顧客に証券を売りつけるなどの顧客無視の営業がやられるなど、利益相反の危険性が大きいこと、第三に、融資、株式保有等を通じて企業に対する影響力がとりわけ強い我が国大銀行か、証券業務をあわせ行うことにより、我が国産業と国民生活全体に対する支配力を一層強めることになる危険性を持つことにあります。
 政府は、子会社方式であるとか当面業務を限定するとか、両業務の間に一定の隔壁を設けるなどの措置をとろうとしておりますが、既存証券会社を合併する場合は一気に全面的な証券業務ができるなど、これらの規定を逃れる抜け道も用意をされており、基本的にはこれらの問題は解決されていないではありませんか。このような懸念にどう答えるのか、明確にされたいのであります。(拍手)
 政府は、銀行の証券業務への参入は、たとえ子会社方式であっても利益相反等の弊害が起きることを認め、法案に隔壁、いわゆるファイアウォールの規定を設けているとしています。しかし、銀行法では、単に銀行経営の健全性の観点からの規定があるのみで、預金者や投資家の保護の観点は全くありません。また、証券取引法では、役員の兼任の禁止などの規定が置かれておりますが、重要な規定は法案には盛られず、すべて省令に任されています。また、既に銀行は系列の証券会社を使って証券業務を本格的に行っていますが、この系列証券との取引を含め、厳格なファイアウォールを法律で明記すべきであります。明確な答弁を求めます。
 また政府は、諸外国の例を挙げ、垣根の撤廃は世界の趨勢であるかのように言っておりますが、しかし、アメリカの場合、銀行の収益の減少と破綻の続発に対応して、銀行の競争力を回復することが改革の最大のねらいでありましたが、我が国の大銀行は、御存じのように、軒並み世界のトップに位置するほどで、これ以上競争力をつけさせる必要は見当たりません。しかも、そのアメリカですら、昨年の金融制度改革において、垣根の撤廃は見送ったのであります。イギリスのビッグバンによる金融制度改革はとても成功したとは言えず、証券市場が未発達でユニバーサルバンキング制度をとるドイツなどの例は、我が国には当てはまりません。また、世界的な金融自由化と諸規制の緩和は、銀行破綻と金融スキャンダルの続発をもたらしています。
 我が国の金融制度改革は、これらの教訓に学ぶならば、不正防止と金融・証券制度の健全な発展のために、一路自由化の方向ではなく、必要に応じて社会的規制を加え、また、監督を強化することでなければならないと考えますが、明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、今回の金融制度改革において、銀行、証券会社本体における業務の拡大を図っていることについてであります。
 すなわち、改正案で、銀行は、従来行ってきた私募債、CP、CD等証券化関連商品の扱いを法律上明確化するとともに、さらに、今後発行される証券化関連商品はすべて扱えることとされました。また、信用金庫等地域金融機関に一部の信託業務の取り扱いを認めることとしていますが、これら本体での業務の拡大は、これら金融機関の業務を一層リスクの多いものとし、また利益相反を防ぐ手だてがありません。預金者や顧客保護のためにどのような対策がとられるのか、答弁を求めます。
 結局、今般の金融制度改革の最大のねらいは、巨大銀行を中心とした金融界の再編成にあるのではありませんか。十年来の金融自由化により、金融機関の経営は大きく変貌を遂げています。これに加えて、バブル経済とその崩壊によって金融機関の経営破綻、吸収合併が現実の日程に上っています。
 本法案は、都市銀行から信用金庫、労働金庫に至るまで、あらゆる種類の金融機関の合併、転換を認め、金融再編を促進しようとしています。このような金融再編は、地域金融機関、中小金融機関の整理統合を推し進め、大銀行による金融支配をますます促進することになると思いますが、総理の所見を伺いたいと思います。
 とりわけ、信用金庫、信用組合、労働金庫など地域や職場に密着した銀行は、一層我が国経済において大きな役割を果たすことが期待されています。今、我が国経済のすそ野を支えている中小企業は、金融自由化によって大きな困難に直面し、自己資本が少ない中小企業ほど低利の長期資金の安定供給を望んでいます。ところが、金利の自由化により、信用金庫等中小金融機関の調達資金は、自由金利預金の比率が上昇し、ますます不安定な構造になっています。その結果、中小企業は、借入金利の引き上げ要求が強くなった、企業選別が強化されたなどと強く訴えておるのであります。
 本改正案は、信金等の付随業務として、私募債や担保つき社債の信託など業務拡大を図っていますが、これは中小企業の金融要求に正面からこたえるものではなく、一層これら中小金融機関の経営を不安定にするものであり、結局、大銀行くの整理合併にこれら中小金融機関を追い込んでいくことになるではありませんか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 私は、今回の金融・証券制度改革についてのこれまでの議論が、利用者無視、業界本位に終始した経過が如実に示しているように、その結果は大銀行の支配強化をねらったものでしかないこと、国民の観点から従来の制度の問題点を洗い直し、より公正で民主的な制度を確立する課題の必要性を強調し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#40
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 今回の制度改革法案は、金融の自由化、国際化に対応して、金融・資本市場における有効、適正な競争を促進すること、市場の効率化を図りますとともに、より多様で良質な金融商品・サービスを利用者に提供することを可能にするものと考えております。各金融機関、証券会社に対し、競争条件の公平性を確保しつつ、いずれも競争機会を拡大することが可能になるように配慮をいたしたものでございますので、この改革法案は、必要性及び緊要性にかんがみまして、今国会で御可決の上、成立をさせていただきたいというととを念願をいたします。
 証券取引等監視委員会の調査・検査業務が有効に機能するためには、行政部局との常日ごろの密接な情報交換、連絡調整を図ることが不可欠であると考えますので、このような委員会の職務にかんがみますれば、いわゆる三条機関である行政委員会としてではなく、大蔵大臣のもとに八条委員会の形で設けることが適当と判断をいたしたのでございます。
 また、この委員会は、市場ルールの遵守状況を公正中立的な立場から監視することが極めて証券取引にとっては重要でございますので、その監視機能を担うものでございます。銀行等に対する金融検査は、このような市場監視を目的とした検査は行われておりません。委員会が行う検査業務とは性格をおのずから異にしているものと思います。
 なお、委員会は、委員会が行う調査、検査の実施状況や本省が行う金融検査等の実施状況についても公表することを予定しておりますこと、また、委員会は合議制の機関であり、委員長及び委員は、任命に当たりまして両院の同意を要し、職権を独立して行使すると定められていること等にかんがみまして、委員会の透明性、独立性は十分確保されていると考えます。
 金融の自由化、国際化が進展する中で、各金融機関は、今後一層自身の責任でその経営路線を選択し、金融環境の変化に適応した業務展開を図る必要がございます。今回の法案では、このような状況を踏まえまして、長期信用銀行、外国為替専門銀行及び労働金庫と、異種の金融機関との間の合併及び転換の手続を明確化することとしております。これは、金融機関経営に対して選択の多様化を与えるものでございます。
 ただ、個々の金融機関の合併、転換は、これはあくまでもそれぞれの経営の意思に基づいて決定されるべき事項でございまして、今回の法案は、いわゆる巨大銀行を中心とした金融界の再編成云々といったようなことを目的とするものではございません。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#41
○国務大臣(羽田孜君) 株価操作を禁止するための証取法百二十五条の改正を見送っているかという御指摘でございますけれども、この点につきましては、昨年十月の国会における相場操縦的行為の禁止規定について見直すべき点がないか検討を行うようにとの決議を踏まえまして、証取審の不公正取引特別部会に検討をお願いいたしたところでございます。その結果、同部会は本年の一月二十日に報告書をまとめまして、いわゆる株価操作禁止規定である証取法百二十五条二項一号について、運用に際しての基本的考え方を整理した上で、行政当局に対して同規定の積極的活用を求める旨の提言を行ったところでございます。
 大蔵省といたしましては、この提言を誠実に受けとめまして、そこで示された運用の考え方を踏まえ、今後積極的に同規定の活用に努めて室いりたいというふうに考えております。
 なお、今回の法改正に盛り込まれています証券取引等監視委員会が設置された場合には、同委員会は強制調査権も有することから、より積極的なこの規定の活用に大きな効果を上げるものと期待しておるところであります。
 なお、既存の証券会社を合併する場合は、一気に全面的な証券業務ができるなど、金融と証券の間に設けられた規定を逃れる道が用意されているのじゃないのかという御懸念でありますけれども、今回の法案におきましては、株式のブローカー業務が中小証券会社の経営の主軸の業務であるという事情を十分に考慮いたしまして、銀行の証券子会社を新規に設立する場合に、株式のブローカー業務を当分の間禁止することといたしております。
 競争促進という今回の制度改革の趣旨にかんがみますと、銀行の証券子会社は新規設立が原則であると考えておりますけれども、観念的には銀行による既存の証券会社の買収ということも考えられることから、銀行か既存の証券会社を子会社化する場合において、株式のブローカー業務禁止のしり抜けを防止するための規定の整備も行っておるところでございます。
 なお、銀行か既存の証券会社を買収する場合におきましては、金融機関の証券子会社による株式ブローカー業務を当分の間禁止する規定の趣旨が損なわれることのないよう、個々のケースごとに慎重に私どもとして対処していきたいというふうに考えます。
 なお、厳格なファイアウォールを法律で明記すべきではないかという御指摘でありますけれども、今回の法案におきましては、資本市場の健全な発展、銀行の業務の健全かつ適切な遂行か阻害されることを防ぐ目的で、証取法及び銀行法等において実効性のある弊害防止措置を設けておるところでございます。
 この弊害防止措置につきましては、その具体的な内容を法律において規定するとともに、経済あるいは金融環境の変化等に適切に対応することができるとの観点から、省令においても規定できるものとしたところでございます。
 なお、既存のいわゆる系列証券会社につきましては、昨年六月の証券取引審議会報告におきまして「実態を踏まえ、必要に応じ、弊害防止のための措置を講ずべき」とされておることも踏まえまして、私どもも適切に対処していきたいというふうに考えております。
 我が国の金融制度改革は、不正防止と金融・証券市場の健全な発展のために、必要に応じて社会的規制を加えて、また監督を強化することでなければならないというふうに御見解をいただいておりますけれども、今回の制度改革法案は、金融の自由化、国際化、証券化等の進展の中で、金融機関の経営の健全性の確保ですとかあるいは投資者保護の徹底を図りつつ、金融機関及び証券会社の有効かつ適正な競争の促進を図るものでございます。また、証券取引等の公正確保法案は、金融・資本市場における公正な取引を確保するためのものでございます。
 これらの法律案は、業務面での一層の自由化を推進するため、各種金融業態間の相互参入を図り、金融・資本市場における金融機関間の適正な競争を促進すること、二番目として、各種金融機関が経営上の創意工夫を発揮して、みずからの特性を生かしつつ、経済・金融環境の変化に対応した業務展開を可能とし、経営の安定を図ることができるよう業務の多様化措置を講じております。三番目として、金融機関の自主性と自己責任を尊重しつつ、業務の健全かつ適切な運営の確保を図るため、自己資本比率規制の根拠規定の新設あるいはディスクロージャー規定の整備などを行うことといたしております。四番目として、証券取引等監視委員会を設置するほか、証券業協会等の自主規制機関の機能を強化することを図るようにいたしております。
 このように、金融・資本市場の健全な発展、公正性の確保に適切に対応できるものというふうに考えます。
 なお、預金者や顧客保護などのためにどのような対策がとられておるのかということでありますけれども、各業態の金融機関の相互参入を図るため、業態別の子会社方式を主体としつつ、利益相反等の弊害の発生可能性の少ない業務について、本体での取り扱い方式を適切に組み合わせておるということ、また、各種金融機関は、業務の多様化によりまして、経営上の創意工夫を発揮し、それぞれの特性を生かしつつ金融環境の変化に対応した業務の展開が可能になるため、今回の法案は、それらの金融機関の経営の安定にも資するものと考えております。
 また、今回の法案では、自己資本比率規制等の法令化、ディスクロージャー規定の整備等、金融機関の経営の健全性確保のための方策が講じられておりまして、全体として、まさに預金者や投資者の保護に欠けることはないというふうに考えるところでございます。
 なお、巨大銀行を中心とした金融界の再編成をねらっているのではないのかということでございますけれども、各金融機関や証券会社のいずれもが競争の機会、これを拡大することが可能となるように配慮したものとなっておりまして、具体的には、協同組織金融機関の連合会も含めた金融機関及び証券会社による業態別の子会社の保有が可能となること、また二番目として、協同組織金融機関も含めた金融機関及び証券会社のいずれもが、その本体で有価証券の私募の取り扱いや証券化関連商品の取り扱いができること、三番目として、協同組織金融機関について、外為業務や公共債に係る証券業務、受託業務を認めるなど、法律上かなり銀行の業務範囲に近い業務範囲を確保すること等の措置が講じられることになっております。
 このように、今回の法案は、大小各種の金融機関や証券会社が経営上の創意工夫を発揮しながら、みずからの特性を生かしつつ、金融環境の変化に対応し、さらに幅広い業務展開ができるようにすることをねらいとするものでございまして、巨大銀行を中心とした金融界の再編成をねらうものとするという御指摘は当たらないものであるということを申し上げたいと存じます。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(村山喜一君) 伊藤英成君。
    〔伊藤英成君登壇〕
#43
○伊藤英成君 私は、民社党を代表して、ただいま提案のありました証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律案、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律案について、総理、大蔵大臣及び郵政大臣に質問を行います。
 昨年の夏から秋にかけて行われた臨時国会は、証券・金融機関の一連の不祥事の真相究明、再発防止を争点とする異例の国会となりました。証券会社による損失補てん、暴力団との取引、株価操縦もどきの行為、大手銀行による不正融資など、社会的責任を欠いた金融業界の不祥事が国民の前にさらされ、しかも、大蔵省当局がかかる行為に関係したことも明らかになりました。日本経済は一流との神話は崩壊し、我が国の証券・金融市場は国際的信用を失いました。昨年、取引一任勘定や損失補てんの禁止などを柱とする証券取引法改正が実現を見たことは前進と考えますが、抜本的な対策は道半ばと言わざるを得ません。
 我が国は、マクロ統計上は世界に冠たる経済大国の地位を占めていますが、経済の血液にも例えられる金融構造に問題があり、国民が生み出したお金の多くが投機や財テクに使われてきております。フェアな金融大国としての地位を確立し、利用者の立場に立った証券・金融制度の改革を進めることは、生活先進国づくりの基礎であると考えます。
 まず、証券・金融の検査・監視機関創設についてお尋ねいたします。
 昨年の証券・金融不祥事以来、我が党は、実効ある証券市場監視機関の創設を提言してきました。昨年の証取法改正に際しては、与野党で、「行政部門からの独立性、中立性を踏まえた新たな検査、監視機関を設置する」との決議を行っています。この趣旨を踏まえ、政府が証券取引等監視委員会創設を打ち出したことは、時宜を得たものと考えます。
 しかしながら、この監視委員会は大蔵省に附属する機関として設置され、調査、告発はできるものの、独自の行政処分権が与えられておりません。こうした権限を大蔵大臣にゆだねていて、果たして独立性、中立性が確保されていると言えるのか、健全で透明な証券市場の確立は果たせるのか、銀行業務の検査・監視についても権限を与えるべきではないかなど、さまざま在懸念、問題点が指摘されております。このような批判にどうこたえるのか、総理及び大蔵大臣の御所見を伺います。
 質問の第二は、新規参入、手数料の自由化などの証券市場改革についてであります。
 公正で透明な証券市場を確立するためには、証券会社の育成や既得権益を優先してきた従来の施策から、利用者、投資家の保護や競争原理を促進する政策へと方向転換する必要があり、免許制度や固定化された手数料体系の見直しを検討すべきだと考えます。
 大蔵省は、現行免許制のもとで新規参入を促進し、競争政策と市場監視を強化することにしております。そして、金融・証券の垣根を取り払い、相互参入の機会を多くすることでその目的を達成しようとしております。しかしながら、損失補てんなどの不祥事が、そもそも現在の免許制度が行政当局と証券業界との癒着を招いてしまったことの原因と言われています。したがって、免許制度の運用をどのように改善していくかが重要であります。
 また、固定化された手数料が補てんの温床となったという見方があります。委託手数料は、現在、制度上も固定化され、証券取引所で決定することになっていますが、小口投資家に与える影響を配慮しつつ、原則自由化を求める声があります。小口の手数料は逆に引き上げられることになるとの懸念もありますが、完全な自由競争が保障されれば必ずしもそうはならないと考えます。例えば、二ューヨーク市場では一九七五年に自由化が行われています。SECの追跡調査によれば、自由化前と六年後を比較すると、個人取引の手数料率については、一万株以上の大口取引は〇・七六%から〇・三〇%、二百株以下の小口取引は二・三%から二・二五%といずれも引き下げられています。
 引受手数料についても、制度上は自由化されていますが、実質上は固定化されています。諸外国に比べ、特に大手企業は安定株主に恵まれており、その企業の幹事証券会社にはさほどリスクはありません。にもかかわらず、証券会社が話し合って高い水準に引受手数料を固定していることは、競争経済原理に反し、カルテルの疑いがないとは言い切れません。引受手数料の実質上自由化についても、結論を得て所要の措置を講じるべきだと考えます。以上の諸点について、総理及び大蔵大臣の答弁を求めます。
 さらに、昨年の臨時国会以降懸案となっている特定少数銘柄の一律推奨売買や仮名取引禁止など、通達の法律化、株価操縦禁止をうたっているものの、実際はさる法とたっていると言われる証取法百二十五条の見直し、大蔵省から証券関連業界への天下りの抑制、補てんの認定基準となる業界自主ルールの整備などに対する政府の取り組みについて、大蔵大臣から説明願いたい。
 質問の第三は、銀行と証券の相互乗り入れなどの金融制度改革についてであります。
 我が国の金融制度は、長期信用銀行制度、信託銀行制度、銀行、証券分離制度などの専門制、分業制を特色としています。しかし、かかる金融構造は、資金が不足していた戦後の復興期に整備されたものであります。日本が経済・金融大国となり、個人や企業の金融商品・サービスに対するニーズの多様化、世界各国の金融・資本市場の一体化など新たな状況が生まれている今日、旧態依然とした金融体系を根本的に見直し、金融市場の一層の自由化、国際化を推進していく必要があると考えます。
 ここ数年、大蔵大臣の諮問機関である金融制度調査会や証券取引審議会が、金融体制の根幹である銀行と証券の相互参入を中心に金融制度改革の方向をまとめ、これに基づいて政府は今回の法案を取りまとめたと伺っております。
 金融制度の見直しに当たっては、五つの方式が提示され、その中で業態別子会社方式が採用されています。制限つきとはいえ、相互参入で銀行、証券に新しい人材や発想を入れる内容となったことは一歩前進だと考えます。しかし、なぜこの方式が選択されたのか、いかなる哲学、理念に基づいて改革を行おうとしているのか、政府は十分に明らかにしていないと思います。利用者の利便性から見れば、金融機関が本体で普通銀行業務、長期信用銀行業務、信託業務、証券業務などすべての金融・証券業務を行うユニバーサル銀行方式が最もすぐれているという意見があり、ドイツ、フランス、英国なとのEC諸国、北欧諸国、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポールなど世界各地で採用されている制度でもあり、我が国でも中長期的には導入が全く不可能というものでもないと考えます。また、持ち株会社を禁止している我が国の制度を見直して、持ち株会社形態方式を採用することも一案であり、ファイアウォールの有効性という点では、業態別子会社方式よりすぐれていると言われております。
 いずれにせよ、本改正案は、金融制度についての深い論議や洞察を経たというよりも、銀行、証券など業界の利害をいかに調整するかという小手先の施策にとどまっているとの印象を持たざるを得ません。
 さらに、架空預金事件など数々の不祥事を引き起こした銀行を初めとする金融機関の体質が改善されないうちに、かかる改革を実現させようとする宮澤内閣の姿勢は拙速だと言わざるを得ないのではないでしょうか。
 銀行法第一条が「銀行の業務の公共性にかんがみこ「銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」とうたっているように、そもそも銀行は、単に利益を追求さえしていればよいというものではなく、社会と共生じて初めて銀行たり得るものだと考えます。果たして、不祥事を起こした銀行などの体質は完全に改善されたと言えるでありましょうか。そのような課題を未解決のままに、銀行側のニーズにいたずらに応じるということになるとすれば、それは問題であると考えます。
 また、サラリーマン、主婦、年金生活者など一般の消費者、利用者の意見を十分聞き、これらの人々の多くが業態別子会社方式を望んでいるとの確証を得た上で、政府がかかる改正案を決定したのかたど明らかになっておりません、
 以上の諸点について、総理及び大蔵大臣の明快なる答弁を求めます。ま牟・中小金融機関の経営がますます悪化するのではないか、銀行か証券業務に参入することに比べ、証券会社が銀行業務に参入することは極めて困難ではないか、郵便貯金制度の見直しも将来検討するのか等々の問題がありますが、郵政大臣にもあわせてお答えいただきたい。
 最後に、株価の低迷など、最近の証券市場対策などについて質問をいたします。
 株価の低迷が続き、我が国経済や証券市場の将来を危ぶむ声が強くなっています。日本の証券市場が投機一色の場に変わり、配当よりも株式の売買により利益を上げることが優先されるようになったことに問題があると思います。本来、多数の人から資金の協力を得ることによって企業を成長させ、その利益を株主に配当することに株式市場の原点があったはずであります。
 いずれにせよ、安易なてこ入れ策は日本市場への不信を招き、かえって混乱を長引かせるとの視点にも留意すべきだと思います。企業間の持ち合いや証券会社、大蔵省、大口投資家なれ合いによるものではなく、個人投資家を主役とした市場にしていかない限り、中長期的な株価の回復は難しいと考えます。その意味で、配当性向、配当率め引き上げ、個人株主の発言権の強化など、庶民株主の立場に立った対策を講じるべきだと考えます。
 また、健全な株式市場を構築するという意味において、株式先物市場の見直しをすべきだと考えますが、以上の諸点について、総理及び大蔵大臣の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#44
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 証券取引等監視委員会の独立性、中立性についてお尋ねがございましたが、この委員会が合議制の機関であるということ、また委員長及び委員は、任命に当たりまして両議院の御同意を必要とする、また職権を独立して行使すると定められていること等にかんがみまして、委員会の独立性、中立性は十分確保されていることになると思っております。
 証券取引等監視委員会は、みずからが行う調査、検査の結果に基づき告発ができること及び大蔵大臣に行政処分等の勧告などを行うことができることから、健全で透明な証券市場の確立を期待できるものと考えております。
 それから、手数料等についてお尋ねがございましたが、証券行政のあり方についての昨年夏の国会における御論議、また九月の行革審答申等を踏まえまして、免許制の運用や手数料制度のあり方の見直しを行っていくことにいたしております。本年一月の証取審の報告を受けまして、免許基準の具体化、明確化や、大口取引に係る手数料の自由化の実施につきましても検討を進めてまいるつもりでございます。
 また、今回の法改正において、免許の審査に当たりましては、公正な競争の確保に配慮すべき旨の規定を盛り込んだところでございます。
 次に、今回の金融制度改革は、金融の自由化、国際化、証券化等が進展する中で、専門制、分業制を特色とする現行の金融制度を見直しまして、金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進しようとするものであります。
 これによりまして、金融・資本市場における効率化、活性化等を通じて、国民経済全体の効率化が進むとともに、我が国の市場が世界の主要金融センターとしての責務を果たしていくことができるものと期待をいたします。金融・資本市場の自由化、国際化を推進していくためにも、金融制度改革の早期実現が不可欠と考えております。
 次に、個人株主についてのお尋ねがございました。
 御指摘のように、個人株主の育成を図り、証券市場への幅広い参加を確保していくことは、株式市場の基盤強化、証券市場の健全な発展にとって重要な要件であると考えます。
 そのためには、証券市場の安定性、公正性及び透明性を確保するとともに、株式投資が魅力あるものにしなければなりません。それによって一般投資家の市場への信頼を確保することが大切と思います。
 政府としては、個人投資家の証券市場に対する信頼の回復を図りますために、法制上、行政上の対策に引き続き取り組む必要がございますが、今後ともまた、発行企業などに対して配当性向の引き上げなど、株式投資が魅力あるものにするためについての働きかけをしていきたいと考えております。
 残りのお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#45
○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 独立性、中立性、これが確保されるかということでありますけれども、市場ルールの遵守状況を公正中立的な立場から監視することが極めて重要な証券取引等につきましては、その監視機能を行政部門からの独立性の高い合議制の機関に担わせることが適当であるという考え方に基づいて、証券取引等監視委員会は設置されるものでございまして、このような監視機能につきましては、行政処分等の行政機能の間に一定の距離を設けることにより、両者とも厳正を期することが適当であろうと思っております。
 また、委員長及び委員は、先ほども申し上げましたように、任命に当たって両院の同意を要し、また職権を独立して行使することが定められておるところであります。委員会はまた、調査、検査の結果に基づきまして、みずから告発ができるほか、大蔵大臣に行政処分等の勧告を行うことができるということであります。これらを考えますときに、委員会の独立性、中立性は十分確保されるというふうに考えております。
 また、健全で透明な証券市場の確立は果たせるかという御指摘でありますけれども、取引の公正の確保を図るために、証券取引に係る犯則事件の調査及び証券取引に係る諸規制の遵守状況についての証券業者への検査等を所掌するほか、調査、検査の結果に基づきましてみずから告発ができること、及び大蔵大臣に行政処分等の勧告を行うことができまして、これを大蔵大臣は尊重しなければならないということであります。さらに、委員会は、その勧告に基づいてとった措置について大蔵大臣から報告を求め得ることによりまして、健全で透明な証券市場の確立は果たせるものというふうに考えておるところでございます。
 なお、証券取引等監視委員会に銀行業務の検査・監視、これの権限も与えるべきじゃないかという御指摘でありますけれども、証券取引というのは、原則といたしまして市場において、証券業者の仲介を得つつも、市場のルールにのっとりまして不特定多数を通じて形成される価格のもとで成立するものでございまして、このような市場にとりまして取引の公正の確保に係るルールの遵守状況を監視することは、市場の公正性、透明性を高め、市場メカニズムの十分な機能を確保するために不可欠であろうと思います。
 これに対しまして、銀行預金や貸し出し等の金融取引というのは、いずれも取引自体が相対の取引であり、また、金融市場につきましても、金融機関のみが参加するインターバンクの市場でございます。不特定多数の一般投資家は参加しないことから、取引の公正に係るさまざまな規制は設けられておらないところであります。
 以上のような差異を踏まえまして、証券取引等監視委員会の検査・監視の対象は、証券取引の公正の確保に係るルールの遵守状況として、銀行業務は対象外といたしたところであります。
 なお、行政当局と証券業界の癒着の原因と考えられる免許制度の運用についてでございますけれども、昨年の行革審の答申におきまして、証券行政が業界の保護育成に偏り、証券市場における競争が不十分であったという批判がなされたところでございまして、大蔵省としましても、今回の法改正におきまして、免許の審査に当たっては、証券業における公正な競争が確保されるよう配慮しなければならない旨の規定を盛り込んだところでございます。
 また、証券業への新規参入の実現を積極的に図るために、先般の証取審の報告におきまして、免許基準の具体化、明確化について基本的方向が示されたところでございまして、現在、免許審査に当たっての運用の具体的基準を策定中であるところでございます。大蔵省といたしましては、今国会における金融制度改革等についての御審議を踏まえつつ、今後、速やかに当該基準を公表してまいりたいというふうに考えております。
 なお、委託手数料を原則自由化すべきという御意見でありますけれども、この自由化につきましては、昨年十月に再開された証取審におきまして、証券会社、投資家、証券市場に与える影響など、広い視点から御審議をいただき、先般御報告をいただいたところであります。
 この報告は、流通市場における適正な競争、これを促進する見地から、委託手数料の固定制についても見直しを行うことは避けて通れたいこと、自由化の実施に当たっては、比較的問題の少ないと思われる大口の取引に係る手数料について自由化を図り、証券市場に与える現実の影響というものを十分見きわめつつ、その後の自由化への展望を探るということになっております。大口取引の水準、実施時期等の具体的な実施に係る細目等につきましては、専門家をも含めた作業部会を設けて、十分な検討を行うことが適当であろうということであります。また、作業部会における検討は、およそ一年程度を目途とすることが適当であろうとされております。
 この証取審の報告に基づきまして、この四月七日から議論が開始された作業部会におきまして、大口取引に係る手数料の自由化実施の細目等について御検討をいただいておるところでございます。
 なお、引受手数料について、制度上だけではなくて、実質上も自由化するための措置を講ずるべきではないかという御指摘でございますけれども、我が国の引受手数料は、国際的に見ましては決して高いというものではございませんけれども、大蔵省としては、引受手数料については、証券の発行の都度、発行体と引受証券会社との間で、引き受けリスクですとかあるいはコストを基本に自由に設定されるべきものであろうと考えます。個々の発行について自由に設定されるべきものでありまして、より弾力的に決定されることが望ましいと考えております。
 現在、時価発行増資につきましては、株式市場の低迷によりまして事実上中断しているものの、社債等の発行に係る引受手数料につきましては、発行の都度、交渉によりまして手数料が決められておりまして、近時、その水準がさらに引き下げられておるところでございます。今後とも引受手数料の弾力的な決定が行われるよう、私どもとしては、関係業界に働きかけていきたいと思っております。
 百二十五条の見直しにつきましてでございますけれども、昨年十月の国会における決議を踏まえ、証取審不公正取引特別部会に、相場操縦的行為禁止規定等のあり方について検討をお願いをいたしたところであります。その結果、同部会は本年一月二十日、報告書を取りまとめましたけれども、その中で、いわゆる株価操縦禁止規定である証取法百二十五条二項一号につきまして、運用に際しての基本的考え方を整理した上で、行政当局に対し、同規定の積極的活用を求める盲の提言を行ったところであります。
 大蔵省としましては、この提言を誠実に受けとめまして、そこで示された運用の考え方を踏まえて、今後積極的に同規定の活用に努めてまいりたいというふうに考えております。
 また、証券関連業界への天下りの抑制でございますけれども、証券会社への再就職が証券業界に対する厳正な行政を損なっているのではないかという御批判があることは、私どももよくお聞きしておるところでございます。
 そこで、前大臣であります橋本大臣の方からさきの国会でお示しいたしましたように、大蔵省といたしましては、当面、大蔵省幹部職員の人事院承認を要する証券会社への再就職につきましては、本人及び証券会社両当事者の理解を得まして自粛を求め、人事院承認の申請を行わないようにしたところでございます。いずれにいたしましても、大蔵省に在職した者が再就職したことによって、証券行政がゆが奉られてはならないということは当然でありまして、今後とも厳正に処置をしてまいりたいというふうに考えております。
 なお、補てんの認定基準となる業界の自主ルールの整備についての考え方でありますけれども、損失保証、損失補てんにかかわる禁止規定を新設した改正証券取引法の施行を契機といたしまして、証券取引の公正、円滑化に資する観点から、証券取引として適正と考えられるものの典型例を明示するとともに、あわせて証券事故の処理の円滑化を図るため、証券業協会及び取引所は、昨年十二月に自主規制規則の整備を行ったところでございます。
 この規則の作成に当たりましては、大蔵省といたしましても、その内容を審査した上で関係当局とも協議を行いまして、先ほど申し上げましたような規則の趣旨から見て問題のない旨の確認を得ておるところでございます。
 なお、専門的、分業的金融体系を見直して、金融市場の一層の自由化、国際化を推進していく必要があるということでありますけれども、このたびの制度改革は、金融・資本市場における有効かつ適正な競争を促進することによりまして、金融機関、証券会社が新しい金融商品・サービスに対する国民の多様なニーズにこたえられるようにすること、金融の効率化を通じた国民経済全体の発展や効率化を図ること、世界各国の金融・資本市場の一体化が進む中で、我が国の市場が世界の主要金融センターとしての責務を果たせるよう課題にこたえていきたいというふうに考えております。
 御指摘のとおり、我が国の金融・資本市場の自由化、国際化を推進をしていくことは喫緊の課題であろうというふうに考えておりまして、この改革をぜひとも早期に実現をさしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 業態別子会社方式の選択の点でございますけれども、この点につきましては、「各金融機関が子会社を通じて他業態の業務にも幅広く参入していくことが可能であるとともに、預金者保護、利益相反による弊害の防止といった金融秩序の維持の観点から優れている。」とされております。また、証券取引審議会報告書におきましては、「証券業務以外の業務を営む者が、本体で広く証券業務を営むことは適当ではない。」とされ、子会社方式が提案されております。
 今回の金融制度改革におきましては、これらの答申、報告書を踏まえまして、金融秩序の維持及び投資者保護の徹底を図りつつ、金融・資本市場における有効かつ適正な競争の促進を図る観点から、業態別子会社方式を主体とすることが最も適当であろうと判断をしたところでございます。
 なお、この金融制度改革の基本理念ということでございますけれども、まずこれは利用者のための改革であること、また国際性を確保するということ、そして信頼回復、これが挙げられます。この金融制度改革によりまして、金融・資本市場の効率的、安定的発展が図られ、ひいては我が国経済の安定的発展がもたらされることを期待いたしておるところでございます。
 なお、不祥事を起こした銀行などの体質は完全に改善されたと考えているかということでありますけれども、昨年の夏発生した金融不祥事の反省を踏まえまして、昨年八月、金融機関の内部管理体制等の総点検、行政の透明化と検査体制の充実などを内容とする金融システムに対する信用回復のための総合的な対応策を発表しまして、その実現に努力しているところでございます。金融界並びに個別の金融機関におきましては、不祥事に対する深刻な反省に立ちまして、各金融団体とも再発防止のため、直ちに業務運営全般についての総点検及び内部管理の見直し、改善等、広範囲にわたって対策に着手しておりまして、必要な改善措置を講じておるものと承知しております。
 私どもといたしましては、今後とも、金融界が一丸となって再発防止に向けた自主的な経営努力を発揮することを期待したいと思っております。
 一般の消費者、利用者の支持を得ていると考えているのかということでありますけれども、制度改革につきまして、利用者代表の方の意見も含めまして、各方面の幅広い議論を経て答申等が取りまとめられたところでございまして、この答申を踏まえまして、最大限利用者のためになるよう私どもは考えたつもりでございます。業態別子会社方式もそのための重要な手段の一つでございまして、これによって専門制、分業制に基づく各業態の間の垣根を低くすることによりまして、金融・資本市場における有効で適正な競争の促進、市場の効率化、より多様で良質な金融商品・サービスの利用者への提供が可能となるものと考えておりまして、利用者にとりまして大きな意義を有するものであろうというふうに考えております。
 中小金融機関の経営への影響いかんということでありますけれども、信用金庫、信用組合等の中小金融機関の業務範囲の拡大が図られておりまして、中小企業や個人等に対して、多様な金融商品や的確かつきめ細かなサービスの提供が確保されることによりまして、これらの中小金融機関等の競争力が高まり、経営体質の向上にも十分資するものとなると考えております。
 なお、証券会社が銀行業務に参入することは極めて困難じゃないのかということでありますけれども、金融機関、証券会社が経済・金融環境の変化に弾力的に対応し得るように、業態別子会社方式を採用することによりまして、経営の選択肢を拡大するものであるということでございます。実際に子会社を保有するか否かにつきましては、各金融機関や証券会社においてどう子会社を経営戦略の中に位置づけるかということでございまして、これは経営側の判断であろうというふうに考えます。
 個人株主の立場に立って行うべきであろうということでありますけれども、全くこの点については同感でございまして、株式市場の基盤強化、ひいてはこれが証券市場の健全な発展にとって重要なものであろうというふうに考えておりまして、そのためには、やはり市場が安定すること、公正性及び透明性を確保するとともに、投資者の利益に配慮した配当性向水準の設定等によりまして株式投資魅力の向上に努めることによって、一般投資家の市場への信頼を確保することが重要であろうということであります。
 私どもといたしましては、昨年来の一連の証券問題を契機に、その再発防止や個人投資家の証券市場に対する信頼回復を図ることこそが一番重要であろうというふうに考えまして、この法律をこの国会に提出しておるところでございます。
 最後に申し上げます。
 先物市場についてでありますけれども、現物市場と先物市場のバランスを図りまして、証券市場の健全な発展を確保する見地から、証拠金率の引き上げですとかあるいはディスクロージャー、これの充実等の措置を累次にわたりまして実施してまいりたところでございまして、派生商品のあり方につきましては、かねてから東証あるいは大証が協力して市場管理のあり方について、取引制度のあり方につきまして、また、派生商品の商品性等の面にわたりまして幅広く検討を行ってきたところでございまして、今月の中旬には大証におきまして研究会を発足させることになっております。
 私どもは、このような関係者の検討が十分に行われることを期待しておりまして、その検討の状況を踏まえながら、適切な措置をしてまいりたいというふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣渡辺秀央君登壇〕
#46
○国務大臣(渡辺秀央君) お答え申し上げます。
 御質問は、郵便貯金制度の見直し、いわゆる業務範囲の拡大を検討しているかどうかという御趣旨だと思います。
 郵便貯金についての基本的な考え方をお答え申し上げて御理解を得たいと思うわけでありますが、郵便貯金事業は、国民に広く利用いただくとともに、社会資本整備などのための公的分野への資金供給を行うなど、国民の福祉増進に貢献いたしているところでございます。
 郵政省といたしましては、今後とも、今般の金融制度改革の状況を踏まえつつ、一つには、国民の多様な貯蓄ニーズヘの対応、あるいはサービスの充実による利用者利便の向上、あるいはまた、官民のトータルバランスの確保などの観点から、商品、サービスの多様化などに引き続き努力をいたし、期待される郵便貯金制度の健全な発展に努めてまいりたいと思っております。
 どうぞよろしく御理解を願いたいと思います。(拍手)
#47
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#48
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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