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1947/10/01 第1回国会 両院協議会・合同審査会等 両院協議会会議録情報 第001回国会 決算委員会合同審査会 第2号
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1947/10/01 第1回国会 両院協議会・合同審査会等

両院協議会会議録情報 第001回国会 決算委員会合同審査会 第2号

#1
第001回国会 決算委員会合同審査会 第2号
  付託事件
○國家公務員法案
○國家公務員法の規定が適用せられる
までの官吏の任免等に関する法律案
――――――――――――――――
昭和二十二年十月一日(水曜日)
   午後一時四十四分開議
 出席委員
  衆議院
   委員長     竹山祐太郎君
   理事
           竹谷源太郎君
           島村 一郎君
           片島  港君
           高津 正道君
           竹内 克巳君
           玉井 祐吉君
           辻井民之助君
           戸叶 里子君
           大上  司君
           中曽根康弘君
           松本 一郎君
           岩本 信行君
           冨田  照君
           平井 義一君
           宮幡  靖君
           受田 新吉君
           齋藤  晃君
  參議院
   委員長     下條 康麿君
   理事
           太田 敏兄君
           山下 義信君
           岩崎正三郎君
           田中 利勝君
           吉川末次郎君
           今泉 政喜君
           北村 一男君
           中川 幸平君
           谷口弥三郎君
           平野善治郎君
           小野  哲君
           鈴木 憲一君
           伊達源一郎君
           千田  正君
  出席國務大臣
   國 務 大 臣 齋藤 隆夫君
  出席政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局次長   井手 成三君
   總理廳事務官
   (行政調査部公
   務員部長)   淺井  清君
  委員外出席者
   証     人 村上 恭一君
   全  官  公 佐藤 安政君
   早 大 教 授 吉村  正君
   國鉄勞組中央執
   行委員長    加藤 閲男君
   公法研究会会員 鵜飼 信成君
   帝 大 教 授 杉村章三郎君
   全逓勞組中央執
   行委員長    土橋 一吉君
   公法研究会会員 山之内一郎君
   日本教職員組合
   委員長     荒木正三郎君
   明 大 教 授 弓家 七郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國家公務員法案
○國家公務員法の規定が適用せられる
 までの官吏の任免等に関する法律案
  ―――――――――――――
  会議
   〔竹山祐太郎君会長席に着く〕
#2
○会長(竹山祐太郎君) これより会議を開きます。昨日に引続きまして、決算委員会の両院合同審査会を開きます。本日私が会長の職に当ることにいたします。只今審議中の國家公務員法外一件につきましては、衆議院に付託以來連日政府との質疑應答を続けて参りまして、一昨日までに大体の輪郭に亙つての質疑を一應終つた感があります。参議院におきましては、予備審査として並行的に審査を続けて参りました。両院とも日曜を潰して、連日の審査に当つて頂いております。昨日からは審査を速かに進行いたさせるためにも、両院の合同審査会を開くことにいたしました。本日は尚この案件の重要性に鑑みまして國会以外に、直接これに関係のある諸君、又は学識経驗者等から意見を聽取することにいたしました。委員会としての希望は、今國会から新たに設けられました公聽会によることを希望をいたしたのでありますが、審査の手続等から、時間的に十分余裕を得ませんので、実質的には公聽令と同樣の心持を以て、本日成るべく廣い範囲から十名の方を両院においてお願いをして、その意見を聽くことにいたした次第であります。これより十名の方々から順次國家公務員法についての御意見を伺いたいと思います。証人として御出頭を頂いた各位に対しては、公私御多端の際、本日特に御出席頂きましたことをこの席より感謝をいたします。審議の都合上、十分の御意見を伺いたいことは山々でありますが、大体本日で一應の御意見を伺うために、時間として、失礼ではありますが、大体十五分程度に御発言を頂きたいと存じます。
 それではこれより証人としての十名の方からの意見の聴取をいたします。最初に村上恭一君にお願いいたします。
#3
○証人(村上恭一君) 私は元來学者でもなく、思想家でもありません。ただ曾て三十余年間行政部に在職した経歴があるのみでございます。今日は、その間に私が見聞しましたことに基ずいて、この國家公務員法案に関する感想の一端を述べたいと存じます。
 私はなんと申しましても、保守的の立場をとるものでございます。その立場におきまして、この法案に賛成する者でございます。勿論この法案の各條に触れまして、微に入り細に亙つて檢討すれば、若干不満の個所があると存じまするが、全体から見て、これに賛成することを躊躇いたしません。殊に今日この場合において、急速にこの官吏の権利義務に関する一般の準則を設けなければならんという場合に臨みましては、凡そこの程度のものを以て我我は一應満足せねばならんと思うのでございます。この法律の対象は國家公務員であります。國家の公務員でありまして、地方團体の公務員を除外しております。又國家の公務員のうちでも顧問とか、参與とか、委員とかいうような者や、單純な労務に雇傭される者、即ち雇員、傭員というような類いはこれを除外しておりまするので、結局残るところは純粹な官吏でありますが、從いましてこの法律は國家公務員法と言いますが、実は官吏法というて差支えないものでございます。そこで私がこれから申上げまするところでは、言葉を簡單にしまするために、國家公務員と言わず、官吏と申しまする。
 そもそも個人が官吏となつて世に立ちますることは一つの職業に違いありません。それ故國勢調査の調査票におきまして、職業の欄にその人は官吏と書くでありましよう。併しながら官吏の職業はこれを他の職業に比較いたしますると、大いに異なつた特色を持つておりまする。それが官吏の職業、官吏業の特殊の性格でありまする。それはほかでもありません。官吏は國民全体の奉仕者であるということであります。このことは改めて申すまでもなく、憲法第十五條、第二項に堂々と規定してあります。でこの官吏を他の職業に從事する者、即ち手近いところで会社、團体の社員、これはいずれも一定の俸給によつて生活するいわゆる俸給生活者でありまするから、それを比較してみますると、その間大きな違いがありまする。ここに一つの挿話がございますが、少々古い話であります。私の友人で多年行政府に在職しまして、局長級になりました人が、退官して満鉄の理事となりました。その人の述懐談に、自分は長い間役人をしておつたが、役人の間はなにを狙つたらいいのか、その狙いが付かなかつた。会社へ入つてみるとはつきりその狙いがついて、大きな仕事がし易いということを申しました。その意味を解釈しまするに、会社の社員はただ会社の利益というものがその狙いとなるでありましよう。これに反して官吏の狙いはなんであるか。國民の奉仕である。國民全体の奉仕者であります。その國民全体という中には必らず利害の対立があります。即ち労働者と資本家、消費者と生産者というような利害の対立がありまして、官吏はその利害の対立するものの間を巧みに調和する、折衷するということが肝腎でありまする。このように官吏は國民全体の奉仕者であるということが官吏の特殊の性格でございますが、それは先刻も申しましたように、すでに憲法に記載してあり、そうしてこの法案におきましても例えば第九十五條、第一項、前段にこの氣持を明らかにしてありまするし、そのほかこの法案の至るところにその精神を見受けることができます。私は先ず以てこの法案についてはこの点を可とするものであります。官吏の職務はすべて國家の事務であります。即ち國家の政治であります。政治は必ず支配であり、必ず権力の行使であります。從いまして、これに対して國民の服從がなければなりません。ここにも亦一つの挿話を試みたいのでありますが、それは大分以前明治の末年ちようど鉄道が國有になりましてから間もなくの頃、当時の機関廳、鉄道院でありましたか、鉄道は國有といつても一つの営業である。旅客や荷主はお客さんであるからして、我々職員官吏はこのお客さんに対して腰を低くしなければならん。こういう考えからしまして、それがいろいろなところに現れまして、例えば駅に掲示が出ます。その掲示にも鄭重な文言が使つてあります。「どうぞこういうふうにして頂きたい」といつたような表現であります。このことにつきまして当時私共が教えを受けました大学の公法学者は頗る反対でありまして、國有鉄道は営業といつても政府の事業だ、國家の政治である。國民はこれに服從しなければならん。ついては鉄道の当局者は、旅客荷主に対してそのように腰の低い態度をとる必要はない。駅の掲示ではやはり「何々すべし」といつたような調子で表現して差支えないものだ。それが正當だということを教えられました。その先生の言葉はなくとも、今日になつて考えますれば、稍稍行過ぎの感がありますが、それはともかく政治が支配であり、権力の行使であり、從つて國民がこれに服従しなければならんということは間違いはないと思います。と申しますことは、決して官尊民卑を意味するものではありません。官尊民卑と申すのは、官吏その今を尊しとし、國民その人を卑しとする考え方でありまして、これはまさしく封建の精神であり、明治以後尚その思想が残つておりますのは、封建の遺物と言わなければなりません。併しながら私の言うところはそうではない、國家は官吏を通して政治を行う、國民は官吏を通して國家に服從するのであります。政治は常に國民の協力によるものでありまして、如何に勝れた政治でありましても、國民の協力なくしては到底効果を奏するものではありません。國民は政治の貧困を攻撃することはよろしい。これと同時にみずから顧みて協力において欠けるところないかを反省しなければならんのであります。このような次第で官吏は國家を背負つて政治に携わるものであります。それ故に官職の信用を傷つけてはならん。官職全体の不名誉というような行爲をしてはいかん。その他特殊の紀律を守らなければならんのでありまして、この法案は主として服務の規定におきまして、このことについての要領を巧みに把握しておるということを言つても憚からないのであります。私はこの点におきましてこの法案に敬意を表します。
 又この法案は官吏の任免につきまして、官吏を任命し又は罷免する。その手続方法におきまして、可なり民主的な考えを取入れております。これは條文に触れて一々論証するまでもなかろうと思いまする。然るところ世間には憲法第十五條第一項に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、國民固有の権利である。」こう規定してありまする。この規定を引きまして、この点に関するこの法案の規定は尚不十分であるという説があるようであります。併しながらこれは畢竟程度の相違に帰着はしまするが、國民が何等かの方法で直接なり間接なり官吏の任免に携わりますのは、相当に高い程度の官吏、上級の官吏だけに止めて置きまして、その間一言で申しますれば、低い人たちは、下級の官吏の任免は、これを上級の官吏の権限に委ねることが必要であろうと思います。そこで一つの問題はこの法案におきまする官吏の懲戒の手続であります。第八十三條に「懲戒処分は、任命権者が、これを行う。」とあります。任命権者、これは本属長官でありましようが、上級の官吏であります。その懲戒処分の中には免職もあります。官吏を免職にするこれは官吏の地位を奪うものでありまして、言わば官吏としての死刑であります。かような重大な主要な懲戒処分すらも任命権者、本属長官の権限に委ねられております。尤もこれにつきましては、その処分を受けた本人が不服を申立てまして、人事院において再審査を受けるという措置がとられるようになつております。これは今日現在のものとは逆であります。今月現在におきましては、減俸以上の懲戒処分は先ず懲戒委員会の議を経て、然るのちに本属長官が單独に、又は勅許を受けてこれを執行するということになつております。この法案におきましてはそれが逆になつておりまする。このことの結果がどうなりますか想像してみますと、任命権者が部下の官吏に対して、懲戒処分を行なつた、本人が不服で人事院の再審査を求めた、その結果先に行われた任命権者の処分を取消すということがあるかも知れません。そうしますと、その長官は面目を失せざるを得ない。そこを恐れますと思うように懲戒処分を行えないということになるかも知れません。そういうことも懸念されまするが、それは実際上成るべく運用されるものとしまして、かように頗る重大な任免に関する権限を上級官吏に委ねておくということに対して私は大体において賛意を表するものであります。これでなければ人事の行政は大分窮屈になりまして非常に行詰るに違いない。つまりは上級の官吏に対して相当の信用を拂うのが当然なのであります。かくして私はこの点につきましてもこの法案の規定を大体において妥当なるものと思料いたしまする。この法案によりますれば、人事行政の中枢機関たる人事院の運営と、廣い範囲の官職に適用せらるべき職階制の確立によりまして、幾多の喜ばしい結果が期待せられておりまする。
 官吏の待遇に関する点について考えて見まするに、これは主として給與についてでありますが、從前はややもすれば各省の間にひどい差別がありました。でこぼこがあつたのであります。或る官廳では職員の昇給が早い、年末の賞與が多い、他の官廳ではその反対ということがあります。これは事実は予算に制約せられた結果でありまして、予算の金額が多い、予算の規模が大きい官廳ではなんとしてもやり繰りがつき易いので、職員の昇給を早くし、年末の賞與を多くするということが試みられたのでありまして、それは曾て幾多の事例がありますが、数年前に或る省において特に多額の年末賞與を給與した。それは不公平だということで、帝國議会、衆議院でありましたか問題になりまして、その省の大臣が職員の、少くとも主なる高等官の年末賞與の金額を具体的に数字を挙げようということを要求されましたが、それにはその省においてもばたと困つたものとみえまして、遂にその返事をしないであやふやに揉み消してしまつたことがあつたと覚えております。又或るとき会計檢査院におきまして、その年度の檢査報告のうちに、各省間の給與のでこぼこを特に指摘した、それは上奏されたのであります。そういうこともあつたのでありまするが、この法案によりますれば、右申しました人事院の働きと職階制のおかげで、この各省間のでこぼこが可なりよく是正されるであろうと思うのでありまする。この各省間のでこぼこも最近数年に至りまして余程緩和されたと聞いておりますが、更にこの法案の運用によりまして、徹底的にこれを解消することができるだろうと思いまする。
 又この法案の施行よろしきを得ますれば、官吏各人が同一の官職に長く在職するという結果を導き來るであろうと思うのでありまする。このことは世間に言いふらされていることでありますから、詳しくは申上げませんが、今日までの著しい弊害は頻りと轉任することであります。地位を高くするために官職を轉ずるということが頻繁に行われたものであります。頻繁に轉任のできることが、その人の有能であることの裏書になる。あの人は役に立つから頻りに動く、あの人は役に立たんからいつまでも同じ所に据え置かれているというようなことが言われたものでありますが、この法案の運用よろしきを得ますれば、そういう弊害を是正することができるに違いない。そのことが官吏の能率を増進する上にどれ程利益があるか改めて申すまでもありまん。その他申上げたいこともなくはありませんが省略いたします。
 これを要するに私はこの法案が多少の修正を受けるにしましても、今期の國会の議決によつて成立することを衷心より希望する者であります。
 ただ最後に法律の実施につきまして一二の希望を申上げておきたいと思います。それは特に官吏の任命に関することでありまするが、この法律の第三十六條第一項に、職員の採用は、競爭試驗によるものとする。但し、云々の場合にはその他の方法、選考によることを妨げない、こうあります。この選考に從つて官吏を任用する。これは民間人を政府部内に吸収する途でありましようが、そればかりとは言われませんが、それが一つの主なる狙いでありましよう。このことを私は十分に活用して行きたい。民間の有能な人を政府部内に吸收するということを完全に実現したいのであります。それには民間の有能な人が身を挺して進んで政府部内に入るという覚悟がなければなりませんが、同時に又政府部内においては喜んでこれを迎えるという心構えがなくてはなりません。私はこの点におきまして從前の官廳人事に深い遺憾を感じております。從前官廳内におきましてややもすれば民間人の入り來るのを好まないという氣風がありましたが、これは怪しからんことだと思います。どうかそういうことのないように、この点につきましては官廳人の心構えを完全に変更して頂きたい。今一つはやはりこの法律の第三十七條の昇任の規定でございます。私はこの昇任ということを又遺憾なく行なつて頂きたいと思います。これは下級官吏を上級官吏に登用するということでありますが、このことは十分に実行して参りたい。下級の官吏は長い間誠実に職務に從事しておるのでありまして、その功労を認めなければならない。又その人は経驗が物を言いまして、役に立つ人に遠いない。こういう人をどんどん上級官吏に任用するのでありまする。私はこのことを一言しまするために、上級官吏の総定員のうちに一定の比率、なん割というものは下級官吏から任用しなければならん。こういうような規定を表面に設けることができなければ、それがむずかしければ内規でもよい、そういう規定を設けまして、下級官吏を十分に上級官吏に登用することを実行したい。それにつきましては私は少々古いことでありますが、フランスにおきまして、行政制度の一端を取り極めました際に見出しましたフランスの文官の任用規程、これは我が國のそれのごとく一般的のものではありませんで、各官職につきまして任用規程が設けてありまして、それによつて見ますると、この官職の総定員のなん割、二分の一か三分の一というものはその一番下の官職のものからこれを採用しなければならんということがその官吏の任用規程にあつたのを見まして、当時私はこれあるかなと思つた次第であります。我が國におきましてもそういつたような用意を以て事を行つて頂きたいのであります。私のお話は先ずこれだけにして置きます。
#4
○会長(竹山祐太郎君) 次に佐藤安政君にお願いいたします。
#5
○証人(佐藤安政君) 全官公の佐藤であります。我々の方は主として労組の立場からでき得れば逐條ごとに意見を述べたいと思うのでありますが、時間が何しろ十五分でありますから、基本的な問題と、それから我々が官廳民主化を長年叫んでおります。そういうふうなものについての、今度出た公務員法との関聯意見というようなものを十五分で述べられるかどうか分りませんが、少し述べて見たいと思います。ここで私証言として当嵌まるかどうか分りませんが、非常にこの國家公務員法が出るまでの経緯我々としては承服し得ない点が多々あるのであります。このことについては各政党の皆樣とか、政府の皆様にも申上げてあるのでありますが、せめて我々の今の望みはこういうふうな形で出ておる國家公務員法でありますが、議会の中でばこういうふうな大法案を時日に制約されることなく十分審議されて、今までの官僚の残しておる弊害を徹底的にこの際是正して行く端緒を是非開いて頂きたいということを我々叫びたいし、お願いしたいのであります。今度出た國家公務員法につきましては全官労としても、或いは全官公廳としても基本的に絶対反対であります。でき得るならばこれを白紙に戻して頂いて我々の意見を十分取り入れた形でこの國家公務員法が議会に上程されるように我々要望しておりますし、その態度には今も変りございません。
 それでこの國家公務員法に二つの性格あると思うのでありますが、國家公務員法にはその二つの性格について、これは基本的な問題でありますが、これが全然盛られておりません。民主革命の要請というような点からは、第一に官僚制度の民主化と、第二に勤労階級としての官吏の基本権の確保の二つがこの法律に十分に盛られていなければならないと思います。その第一に関しては官吏の秩序が民主的であると共に、それが國民の側からは監視の余地を十分に取り入れてなくてはならないという点、それから勞働秩序の民主化と、官廳外部よりする責任追及の機関が十分この國家公務員法の中に盛られておらなければいかんという点、それから第二の点については、労働組合法、労働基準法の定める分野において、團体交渉権とか罷業権、労働協約についての確実な保障が國家公務員法の中に明文化されておらなければならないという点、それが大体この國家公務員法を論ずる場合の二つの性格だと思います。勿論この二つからこの法案は十分明文化されておる條項が必要であるに拘わらず、こういうものが全然盛られておりません。
 それから今まで官吏の堕落とか或いは特権官僚のいろいろな弊害は、身分的な分限的なもので区別していたことに大きい原因があるのであります。これが全然今度の國家公務員法の中には盛られておりません。我々としては公務員法の規定内容は職務執行の問題だけに止めて、その外の給與の問題とか、或いは労働條件の問題とかいうものは労働基準法もありますし、それから職組と政府の間の労働協約によつて、こういうふうなものは細分化され実現されて行かなければならないという点、こういうふうなものは勿論政府の起案者では考えられておるようでありますが、今度の公務員法の中には全然盛られておりません。それからもう一つは、公務員というものが一般の勤労者、労働者と全然同一視されないで、区別されておる一つの特殊なものであるということが、やはり今度の國家公務員法の中にも盛られております。これが先程申上げたように、官僚の腐敗墮落、それから政治を壟断するような基因を作つております。こういうふうなものが今出る國家公務員法には全然考えられておりません。我々はこの國家公務員法を頭から否定しておりますが、それが國家公務員法の中においてし切れないときは十分な修正案を持つております。その修正案の一つなんでありますが、若し國家公務員法が今の形で出るものとして、その中に人事院というものがございます。この人事院の全貌は全くこれは常識では考えられないような古い形の、而も今までの我々が官廳民主化を叫ばなければいけないような実体を作り上げたものがそのまま残されておるという事実を我々は見るのであります。それで我々としては國家公務員法の中の人事院は基本的にはこういうふうなものは取り去つて頂きたい。白紙に還してこの場合、なんらかの委員会制度をこの中に盛つて頂きたいということ、それから若し盛られるならば、その中の人事官の構成も政府の上級官僚の人が一人とか、或いは労組の代表が二人、民間の代表が二人、こういうふうな構成に是非して頂きたいということ、それから人事院規則の中で職階制の問題とか、或いは試驗制の問題、任用の問題が人事院規則の準則として出ること、これはむしろこういうふうな人事院規則の中でできるものじやなく、單独に立法化されておらなければいけないということ、そういうようなことが全然今度出る公務員法の中には取り上げられておりません。大体基本的なものだけ申上げたのであります。
 次にこの條文の中で、最も我々が問題にしておる点を多少申上げたいのでありますが、今度國家公務員法が出る場合、議会が國家公務員法を出すに当つて相当責任を持つた、議会の起草にかかる前文が必ず盛られなければいけないということを我々は痛感します。それからこれは非常に長いので時間がございませんが、第一章においては特別職の範囲が非常に問題になります。これは第二條の第一項にございます。これば我々から見ますならば、未だ崩壊していない傳統的な官僚制の特権的な体系を一旦民主的に打破して、民主的な政治勢力の支配下に置いて、特別職の範囲を各省次官だけに今は止まつておりますが、各省次官だけじやなく局長以上くらいに是非しなければいけないというようなことが指摘されると思います。
 それから人事院についての細かいことは、條項の指摘となるのでありますが、人事院については前に申上げましたから、詳しく申上げる必要はないと思うのですが、人事院の組織を民主化するために次の如く改めること、これは我々の方で刷つたものがございますから、あとでそれを十分委員の皆樣に審議して頂いて御批判をお願いしたいと思います。人事院の構成を委員会制度にするということは前に申上げました。制度として法案の人事官並びに人事官会議に代るべきものとするということ、それから委員会の委員は、それは前に申上げましたが、官廳側と政府側と労組側を大体同率くらいにするということ、それから委員会の委員は國会の同意を得て内閣総理大臣が任命或いは委囑するものとし、任期は三年、これは原案は六年になつておるのでありますが、三年くらいにして、その場合但し再任は妨げない、これは七條になつております。それから事務局の構成でありますが、事務局の構成は、原案のままだと非常に官僚化した形で、今までの官僚がそのまま残つたような形でありますから、職員の半数以上くらいは全然役人に経驗のない、なんといいますか、常識的な言葉で表現するならば、軟かいような人をこの事務局の構成メンバーに加えるというようなと、それから法案では職階、それから試驗その他多くの重要な事項が人事院規則に、これは絶対に今の公務員法では委任されております。この委任されておる事項は、なんといいますか、委任される範囲が多くなるとでたらめになつて、その先の方では全然法治國としての権限がなくなつてしまうような現実が沢山ございます。それから人事院の委任事項を極度に、なんといいますか、制限して明確に規定するような條項を加えるというようなこと、それから各官廳に人事委員会を置いて、人事主任官は、各廳人事委員会の諮問を経て任命せられるようにするというようなこと、
 それからこれは非常に長くて我々申上げられないのでありますが、官職の第三章が又問題になりますが、「官職の基準」、これは第一節の通則として給與、それから勤務時間、その他の勤務條件に関する具体的な事項は團体協約を以て決めるべきこと、これは前に申上げました。だから公務員法には團体協約を的確に、而もそれを尊重して、我々の諸般の問題をそこに置いて決めるような明文が、是非この中に加えられなければいけないと思います。これは前に申上げました。それからこの中の職階制の問題なのでありますが、これは私さつき申上げなかつたのでありますが、基本的には我々は今の状態のまま今出る國家公務員法を我々に準用されることは非常に反対であります。前に官吏服務紀律というのがございまして、そういうふうな規律を作られることよつて我々などは機械化したようなことになつております。それが非常な弊害を現実に現わしておることは、皆さんよく御存じだと思います。だからこういうようなことを徹底的になくするために、以上申上げたようなことが是非盛られてなければいけないと思います。
 それからこれはもう時間もありませんので任用のことなどもまだあるのですが、試驗と任官の点を申上げますと、職員の採用は原則として試驗によつてもいいのだけれども、政策の決定に参画する部の課長とか、そういうようなものは特別職に準ずるものとして、自由又は選考任用を考慮すること、それから第三十八條の欠格條項、これは法文を持たないとお分りにならないと思いますが、第五号「政府を暴力で破壊することを主張する政党」云々というようなこともございます。こういうふうなものを全部削除してもらいたいと思います。それから受驗の資格要件は学歴等を標準とすることでなく、すべての國民は平等に試驗を受け得るようなことに、今の四十四條を削つて、そういうふうに改めるというようなこと、それから試驗の内容については職務遂行の能力制定と共に、勤労の実践に重点が置かれてなされるというようなこと、これはまだ沢山ございますが、余り長くなりますから、まだ後に労組から來ておられる土橋さんや何かがおられますから、この補足的なことをやつて頂いて、今日は私は申しません。
 それからもう一つ最後に申上げたいことがあるのですが、この國家公務員法が出ますと、政党の皆さんが非常に國家公務員法との関聯において、いろいろな点が出て來ると思うのであります。例えば今度の國家公務員法は、非常にアメリカ的なものを今の段階において押し付けておるような点は非常に檢討しなければいけないと思います。これは占領治下の我々であつても、非常に問題になるのじやないかと思います。例えばアメリカのように政党政治が浸透しておつて、官僚が全然その壓力に敗けて動きが取れないような國は、改めて國家の公務員法が特別な形で出なければ、勿論いけないと思いますが、日本のように政党は勿論出ておりますが、官僚が身分的な、分限的なものが非常に顯著なために、一つの特殊な組織の中に、非常に鞏固な形で育つております。これが今度の國家公務員法では、やはりそういうふうな最も我々が遺憾とする点が全然衝いておられないし、多分に又今の官僚が更に強化される、或いは強化され生成されて行くようなものがこの中にございます。でありますから、政党の皆さんとしましても、國家公務員法に十分アメリカの政党政治の深さと、それから日本の政党政治の深さとよくお考え頂いて、國家公務員法との聯関なんかも十分審議されて、我々望むらくは、こういうふうな大法案が、私非常に吶弁なのでお分りにくいことと思いますが、とにかくこれが今の段階で出ることは、今までの官僚の形がそのまま残つていて、ただ單に表面だけ衣替えして第三官僚といいますか、新官僚といいますか、そういうふうなものに移行して行くような危惧が抱かれますし、全体を通じて、そういうふうなものの温床になるものが多いのであります。だからこの点よくお考え頂いて、できますならば、これは國会でありますから、たとえ占領治下の國家でも、十分審議される時間はあると思います。でありますから、我々の意見もこの中に十分よく反映して頂きますし、又皆さんの意見を十分反映させるために、この今の議会の期間ではなかなか審議ができないのじやないかと思います。だからこういうふうな大法案は、是非よく審議して頂いて、審議未了の形で終らして、その次に議会なら議会に掛けて、万全なものを作つて頂くように我々としてお願いしたいのであります。非常に取りとめのないことを申上げたのでありますが、その点本当にお願いして置きます。(拍手)
#6
○会長(竹山祐太郎君) 吉村正さんにお願いいたします。
#7
○吉村正君 私は実は証人として出よというお話でありますので、何か皆樣方がお話なさりますのを承認すればいいのだと思つて参りましたところが、この公務員法案についての意見を述べよということであります。而もそれを十五分間に述べよということでありますが、これだけの法案について細かい点について十五分で到底私の貧弱な意見と雖もこれを申上げることができないと思いますので、私はこの法案に大体賛成いたします。根本的の理由を申上げたいと思うのであります。
 私はこの法案につきましては個々の点につきましては多少異なつた意見を持つております。又修正をして頂きたいという希望もありますが、大体において今申しますように賛成をいたす次第であります。その理由は、この法案というものは大体において何といいますか、世界の大勢に一致しておるものであると、こう私は考えるのである。もう一つは同樣な民主主義國家の官吏法とこれ又大体において一應一致しているものである。この二つの点からいたしまして、私は大体基本的にはこの法案に賛成をいたすのであります。大体私は実際官吏をやつたこともありませんし、実際経驗は何もありません。唯少しばかり本を読んで官吏制度、官僚のことを噛つたに過ぎないのでありますが、大体官吏制度というものには三つの形があると思います。一つは世襲的の官僚制度であります。これは丁度家業を親から子へと傳えるように官職を世襲いたすのでありますが、これは非常に古い形でございまして、大体農業國家に適する制度だと言えます。衣の官僚制度は選挙的官僚制度であります。一年とか期間を限りまして官吏を選挙いたします。これはやや進んだ都市國家に適用される官吏制度であると、こう言われております。ところが近代の文化國家におきましては、こういうような世襲的官僚制度若しくは選挙的官僚制度によつては十分官吏はその職責を果すことができないことになりまして、ここに原則として終身官吏たることを職業どいたしますところの專務的官僚というものが発生する必然性が起つたわけであります。それ故に近代文化國家の持つております官僚制度は大体一生官吏として職業的に官吏たることに勤務するという制度であると存じます。この近代的意味におけるところの官吏制度に又私は二つの種類があると存じます。一つは御承知でもありましようがこれはプロシヤ式の官吏制度でございまして、これはヨーロッパ大陸に行われて來た制度であります。今一つはアングロサクソン的なイギリス並びにアメリカ合衆國に行われておる官吏制度であります。この二つの官吏制度はいかなる特徴があるかと申しますと、前のプロシヤの官吏制度と申しますのは、御承知の如く彼の三十年戰爭の結果できたものでありまして、三十年戰爭によりまして、プロシヤを中心とするドイツは戰爭のために非常な荒廃をいたしました。ところが外を見ますと、当時オランダ、フランスその他の先進諸國が資本主義的に発展をいたしておりまして、その中にありまして、プロシヤ、ドイツがこれ等の先進國に対應して行きますためにはどうしても勢い資本主義というものを育成せざるを得なかつたことは御承知の通りであります。そこでプロシヤの行いましたものは富國強兵策を行う。そうして民力を涵養して國を盛んにするという政策を取つたのでありますが、このような要求に相應ずるものとして発展いたしましたものがプロシヤの官吏制度でございます。これに対しましてイギリスやアメリカの官吏制度は資本主義というものが発展いたしまして、それが相当発展をして今度は資本主義の弊害が起つて参りまして、そこに幾多の社会問題が起つて参りました。そういう社会問題を解決したり、或いは社会政策を実行する必要に迫られまして、そのために在來のような官吏制度ではこれを十分に行うことができない。もつと能率のある有能な官吏を以つてこれを行わなければならんという必要に迫られまして、起つたのがイギリス並びにアメリカの近代の官吏制度である。ところが御承知の如くイギリスにおきましては、一八五三年先ず第一にインドの官吏に対しまして官吏制度の改革を断行し、ひいてそれが模範となりまして、一八五五年現在のような官吏制度の基礎を確立したのであります。即ち三人から成立つところの官吏委員会とでも申しますか、シビル・サーヴィス・コミッシヨンというものを設置いたしまして、これをして官吏の志願者に対しまして試驗を行わしめ、そうしてその試驗の結果合格したる者を登録するという方法を取つたのであります。併しながらイギリスにおきましてはその他官吏の採用轉任、それから退職等に関することは、総てこれは大蔵省が御承知のごとく行つておるのでありましてその点はアメリカとは違つております。次にアメリカは御承知の如く官吏制度が何遍も変つておるのでありますが、大体一八二九年にアンドリュー・ジャックソンが大統領になりましたときに、彼は官職は勝者に属すということを公言いたしました。そうして大々的な官吏の更迭を断行したのであります。それまで反対党によつて占められておりましたところの官職を自分の政党の党員によつて占めるということを大々的に断行いたしました。爾來アメリカにおきましてはスポイルス・システム、即ち勝つた方の政党が官職を取る。四年目毎に政権を握る政党の変更に連れまして官職が変つて行くということが行われて参つたのであります。ところがそういう方法によつてやりました結果、アメリカには幾多の弊害が生じました。即ち官職というものが政党の爭いの賭け物となつたのであります。又非常に無能力な人間が官職につくということも起つて來た。この点はイギリスも同樣でありまして、一八五五年の官吏制度が行われる前におきましては、無能の者が縁故によつて官職につく。政党の縁故によつてのみ官職につくということでありまして、何もできない者が官職につくということも行われたのであります。ところがイギリスは段々選挙法を改正いたしまして、選挙権の拡張に伴いまして、一方におきましては先程も申しましたように、政務が非常に複雑になつて参つて、即ち資本主義の弊害を矯正するためにいろいろな社会政策を断行しなければならない。そういうような複雑な政治を行うことが在來の官吏ではできないという弊害と同時に、他方におきましては選挙権の拡張につきまして、政党政治家は党員から要求されるだけの十分な官職を手許に持つておらん。その官職の要求の煩に堪え兼ねた。こういう二つの事情が起りまして、イギリスにおいて官吏制度の改革が行われたのでありますが、アメリカにおきましても大体スポイルス・システムを中心にして非常に弊害が生じた。官金費消事件というもが到る処に起つて來た。それのみか調査員を出しても、その調査が極めて杜撰であつて、本人は悔悟しているから免職させない方がよかろうというようなことを調査官が申しておるのであります。こういうような調査報告を出しておるのでありまして、ここにおきましてアメリカにおいては市民の問から官吏制度を根本的に改革しなければならんという運動が起つて参りました。これが全國的に段々具体化して参りました。こうして一八八三年に官吏制度の改革案が通過をいたしたのであります。即ちイギリスの範に則とり、三名からなるシビル・サーヴィス・コミッションを作つた。それは大統領に直属しておるところの独立機関であります。それがクラッシファイド・ポジションと申しますか、日本の言葉で言うと職階制による官職と申しますか、とにかく試驗を受けて、それに合格したる者を以て任用すると分類されたところの官職であります。そういうような一定の官職につくべき者は皆公開競爭試驗をやつて、その試驗に合格したる者を以て官吏とする、そうしてこの官吏は身分上の保障が與えられると同時に、政治的中立性を守らなければならんということが定められたのであります。そうして初めはこのクラッシファイド・ポジションは全体の官吏の十分の一ぐらいに過ぎなかつたが、これが段々増加して参りまして、この前のルーズベルトが大統領になる直前においては、全体の官吏の約八〇%がこのクラッシファイド・ポジションに入れられたのであります。ルーズベルトが大統領になつたとき御承知の通りニュー・ディールを断行するために新しい機関を設立いたしました。この新しい機関を補充することは、即ち長く民主党が政権を握つておらなかつたので、民主党において是非クラッシファイド・ポジションから除外して頂きたいという要求が起りました。ここにこれらの新しい機関はクラッシフアイド・ポジシヨンから除外せられることになり、いわゆる自由任用によつて地位につくことになつたのであります。その代り民主党の中に官吏任命に関する一つの委員会ができて、その委員会がこれらの地位を持たすということになつて、アメリカには國家のシビル・サーヴィス、コミッションと民主党内におけるシビル・サーソィス・コミッションと文官委員会が二つあるような形を呈したのであります。これに対してルーズベルト行政の仕方については段段反対の声が起つて來たのであります。そうして一八三九年ハッチ法というものが通過いたしました。この法律によつてクラッシファイド・ポジションの範囲を拡大したいという議論が大体採用されまして、その後漸次自由任用の範囲がせばまつて、試驗を受けて官吏になる者が段々増加しつつある傾向にあると私は承知しております。
 そういう工合に官吏の制度には二つの種類がありますが、日本の今までの官吏制度は御承知の通り、日本が明治維新を断行して、丁度三十年後のプロシヤと同じように資本主義に非常に立ち後れておりまして、その立ち後れた日本の資本主義をなんとかして國家の育成、培養に引上げなければならんという必要に迫られたものですから、そこに採用された官吏制度というものがプロシヤ的官吏制度であつたことは当然のことであると思うのであります。その特徴とするところはなんであるかと申しますると、命令を上から下に嚴格に傳えるということであります。これはプロシヤ官吏制度の特徴であり、又長所とするところであつて、いわゆるミリタリー・システム或いはライン・システムとも言つておりますが、軍隊式に作り上げられたところの制度であります。そういうような制度が有効に行われますには、その前提として政治というものが権力によつて支配するということがその背後にあると思うのであります。つまりその当時の日本の政治、プロシヤの政治は権力によつて支配するということが政治の本則である。こういうように考えられてきましたが、今日の政治の考え方は最早これとは異なつておると私は思うのであります。今日の政治というものは國民生活を安定し、維持発展させるためにいろいろなサーヴィスをすることである。権力によつて國民を支配するというようなことは、これは政治の本則ではない。政治の本則が一変したものと考えられなければならんと思うのであります。そういう工合にサーヴィス本位の國家になつた結果といたしましては、どうしてもそれに合うような官吏制度というものが採用されなければならんのであります。その点においてアメリカの官吏制度は大体能率というものを重要視して、丁度産業の、私の企業におきまして経済と能率、エフィシェンシー・アンド・工コノミーということがアメリカで行われましたが、そういうこととが、ケーラーによつて始められたところの産業の合理的経営というものに関する原則を政治の上に取り入れて、極めて経済的且つ能率的に國家の仕事をやつて行く。そのために適するような官吏制度であるという点に、このアングロサクソン系統の官吏制度の特徴があると思うのであります。日本が今官吏制度の改革の必要に迫られておるということは申上げるまでもありませんが、これがなに故に官吏制度を改革しなければならんかというと、言うまでもなく日本が憲法さえ改めまして、民主主義國家としてこれからスタートしようとする点にあるのでありますが、実は日本が戰いに敗けずして憲法を改正しなかつたら、官吏制度を改革する必要はなかつたかと申しますと、私はさようなことではないと思うのであります。日本はそういうような條件がなくとも日本の政治というものが先程言つたように、権力支配からサーヴィス本位の政治に移つてきた、この間に應じまして、こういうことがあろうがなかろうが、官吏制度を根本的に改正する必要に迫られておつたのでありまして、私共に言わせれば官吏制度の改革は非常に遅い。もつと早くやらなければならなかつたのでありまして、やつておつたらもつとよい結果があつたかと思うのであります。それ故官吏制度の改革ということは民主化ということを考えなければなりませんが、それと同時にもつと廣い、もつと先を見通したベースの上に立ちまして、この官吏制度を改革する必要があると思います。日本は戰いに敗けて民主化というものが今行われておる特殊事情があると同時に、もつと世界の普遍的な情勢、一般的な情勢、その二つの考えの上に官吏制度というものを考えていかなくちやならない、こう私は考えるのであります。從つて官吏制度の改革は民主化ということと、能率化、この二点に盡きると思うのであります。
 さて、今度のこの公務員法案を見ますると、民主化という点については人事院を設置しております。この人事官は内閣が両院の同意を得て任命するということでありまして、その内閣は民主的に作られた内閣でありますから、今のやり方よりは極めて民主的になつたということができると思います。又職階制を設けて今までのような官吏制度の最も惡いことの基礎になつた高等試驗というものが廃止されることになる、恐らくなるでしよう。又それはそうしなければならん。して頂きたいと思いますが、その点が民主化という点について大いに貢献するだろうと思うのであります。又官吏制度自体の民主化ということも行われておるのであります。即ち職階制を採用いたしまして、今までのように官吏の地位というものが梯子段のように上に上るための一つの段階に過ぎなかつたというようなことが廃止されるようになるということになりまして、職務によつて官吏の職を分けるということは、官吏制度内部における民主化である。こう考えられると思うのであります。又不利益な処分を受けた者は、その審査を請求することができる。これで官吏制度内部の改革をやることができると思うのでありまして、最初の二つは全体の意味から云つて官吏制度の民主化、後の二つは官吏制度の内部における民主化、この四つで官吏制度の民主化ということが行われる。こういつてよかろうと思います。それから能率という点につきましては、職階制を実現いたしまして職務によつて官吏を分類する。これによつて最も能率が上げられると思うのであります。この点につきましては、これは私の申上げる権限の範囲内に属するかどうか知りませんが、官吏制度だけを改革しても、官吏の能率は上らんと思います。それと同時に、行政組織の根本的改革を断行しなければならんと思います。日本の行政組織は、前の官吏制度に丁度相應ずるものでありまして、やはりライン・システムで上から下え命令を傳えるためには、非常に都合よくできるのでありますが、いわゆるファンクショナル・システム、機能本位に作られておらないのであります。そのために幾つも印形を押さなければ、一つの文書の決裁ができないというようなことが起つておるのであります。アメリカにおいては、この点に関して行政組織が日本と根本的に異なつて、いわゆるファンクショナル・システムの上に立つております。從いまして横の連絡がついておるのであります。上下の連絡のみならず縦横の連絡がついております。日本の今までの行政組織は、上下の関係だけついておりまして、上の命令を下へ傳える。権力支配をやるにはそれでいいが、併し國民生活のためにいろいろのサーヴィスをやるという点から云えば、この官吏制度では如何なる立派な方が官吏になつても、能率を上げることができないようにできておると思います。であるから官吏制度の改革と同時に、行政組織を根本的に改革いたしまして、ファンクショナル・システムの上に立つたものにして頂きたい。そうすれば能率が非常に上るだろうと、こう思うのであります。それからもう一つ能率の点は、人事院の設置によつて統一的に人事行政をやる。この点も今までのような各省の割拠主義というものが取り除かれて、統一的に人事行政が行われ、人事行政に関する限りにおきましては、各省間に行われておりますところの重複、或いは各省間に行われておりますところの相違というものが除かれまして、能率的に人事行政を行うことの途が開ける。こういう点におきまして、第二点がまあ主たる点でありまするが、細かい点はいろいろありますが、極く大ざつぱに申上げますれば、第二点に盡きると思うのであります。能率化ということもここに行われておる。かように今度の公務員法案では、大体民主化、能率化という点が行われます。而して大体先進民主主義國の官吏制度に相應じて、又大体日本の現在並びに將來の政治の在り方の上に立つて考えて見ても、これに適應したるところの制度であるといつてよかろう、こう存ずるのであります。
 もう一つ最後に希望することを許されるならば、今までの官吏制度においてもそうでありましたが、私は官吏の養成、或いは再教育ということについて、もつと力を注がなければならないのでないかと思うのであります。アメリカあたりにおきましては、この点につきまして相当の努力が拂われており、ハーバート大学には行政大学院なるものをすつと前に設けて、ここに普通の学生のみならず、現職の役人を半分入れまして、大学院において行政の勉強をさしておるのであります。どうもアメリカの人と話して見ますと、日本の役人には休暇というものが非常にない。勉強する時間がちよつともないということに、彼等は驚いておる状態であるのでありまして、もう少し暇を與えて勉強して頂いて、いい行政をやつて頂くという方面が、この法案にはないか知れませんが、これを入れて頂きたいと思うのであります。もう一つは、官吏制度を見ましても、これは政治全体、政治組織、行政組織全体との関聯においてこれを見なくては、効果が上らんのでありまして、法律の上にどんな規定を置いても、実行できなければなんにもならんのであります。私はそういう観点からいたしまして、官吏に対してデモクラティツク・コントロールを行うには、なんとしても議会並びに政党の、殊に議会の力というものが、もつと強くなるような具体的な組織を、これと同時に作らなければならんと思うのであります。これもただ法規や法文の上に、規定を幾らしてもなんにもならんのであります。現実において官吏をコントロールするところの力を、議会がお持ちになることが必要であると愚考いたしておるのであります。そういうような方向に持つて行かれないと、條文の上においていかなることを決めましても、結局はなんにもならん。これに反しましてそういうような制度が十分に取られるならば、よし條文においては多少の不備がありましても、官吏制度の民主化、能率化ということがより十分に行われるであろうと、こういうふうに考えておるのであります。甚だつまらんことを申上げましたが、有難うございました。(拍手)
#8
○会長(竹山祐太郎君) 次は加藤閲男君にお願いいたします。
#9
○証人(加藤閲男君) 國鉄労働組合の加藤でございます。私の申上げたいことは、大体全官公廳の労働組合協議会の名において、佐藤君が先程申上げましたので、佐藤君の言い残しました点について、この公務員法案に反対する理由を一二申上げたいと思います。
 私共は天皇の官吏から國民の公僕である官吏になりますために、憲法の第十五條によりまして國民全体の奉仕者として、公務員の地位を確立し、從來の官吏の特権制を打破し、公務の能率増進を目的とするために、こういつたような法案ができるのではないかということは、了解がつくものでございます。併しながら時期が、現在その時期に來ておるかということが問題であろうと思うのでございまして、なぜ私がそこに疑念を抱くかと申しますると、國家公務員法案は、つまり國民全体の奉仕者であります上からは、國民の総意の盛り上つた公務員法案でなければならない。然るに今回のものは、政府が極めて一方的に立案いたしましたものでございまして、議会の皆樣方の御審議も、つまり皆樣方の背後の全選挙民の意向を反映しておられるかどうか、ということについても十分疑念がございます。又これを守るべき立場にございます官廳職員が全面的に反対しておる上からは、先程の証人が申上げましたように、法文ができても実施面において極めて困難なものがあるのではないか、こういうような見地から、私共はこの國家公務員法案なるものは、むしろ國会側から立案されて、政府に実施を迫られる。これが極めて民主的な立案ではないか。かように考えまして原則的に反対をしておるものでございます。併しながら今日ここに証人として罷り出まして、樣子を承つておりますると、極めて近日中にこの法案を可決されると言いますか、審議終了されるというような事態に立至つておるということから、先程佐藤証人も、いわゆる修正案というようなものを申上げたと思いまするけれども、佐藤証人も結論として申しましたが、國民もよく知らない、國会も亦十分な檢討ができないという現在の段階においては、この法案の重大性に鑑みまして、私は審議を愼重にせられまして、先程佐藤証人も申しました通り、この臨時議会において審議終了というような段階に立至らないようにお願いしたい、これが私の結論でございます。
 先程佐藤証人が申しました以外のこととして、一二私反対理由を申上げまするならば、官廳労働組合としての立場から申上げますると、この公務員法案は、先程佐藤証人も申上げましたが、團体交渉権を制約せんとする徴候があると申しまするか、そういうふうに取れる條文、これは給料、労働條件というようなものを、政府と人事院の間において決定せんとしておること、つまり八十五條、八十六條、八十七條、全面的に國鉄労働組合としては反対でございます。それから労働組合の自主的行動を制限せんとしておるような條項がある。これは三十八條において官吏の分限及び義務と申しまするか、そういうものを極めて強調しております。又百一條に政治活動の制限をせんとしておる條文がございます。これらについては全面的に反対でございます。それから特権階級を温存せんとするような傾向がある。これは人事院の構成において然りでございます。人事院の構成につきましては、先程佐藤証人が人事委員会制度というようなことを提唱いたしましたことに全面的に私共賛成を表するものでございます。以上労働組合として反対の理由は、先ず以上が中心でございますが、私共官廳職員労働組合といたしましては、その修正案を政府に建議いたしてございまするので、これらを参考意見として御審議頂ければ結構だと、こういうふうに考えておるものでございます。
 私は土橋君と同じような組合の立場でございまするので、多く申上げまして重複することは皆樣方の御迷惑になると思いまするので、以上申上げまして、現在本法案がもつと立派な形において、あらゆる機関の賛意を得て、平和國家の確立のために、他日の機会において審議せられるよう、今まだ分らない段階において一氣呵成にこれを押し切ろうとするような空氣に対しては、組合側としては絶対に反対である。從いまして、さつき申上げました通り、我々はこれを遵奉する側の立場におきまして、遵奉する側の了解のできないことというようなものについては、法案が無理である。無理な法案を拵えられて、遵奉がうまく行かないというような事態をお考え頂きまして審議をして頂きたい、こういうふうにお願い申上げまして、簡單でございまするが、本日召喚を受けました私の言葉といたしたいと思います。(拍手)
 会長(竹山祐太郎君)次に鵜飼信成君にお願いをいたします。(拍手)
#10
○証人(鵜飼信成君) 私は同学の友人と共同いたしまして、國家公務員法案の研究をいたし、その研究会の結果、いろいろ法案に修正を希望したい点がございまして、これを帝國大学新聞の最近の号に掲載いたしました。相当細かいものでございますが、委員の皆樣に是非御覽を頂きたいと思います。若しも御入手になつていらつしやらない方がございましたら、お渡しいたしますに御便宜を計ります。その席上で出ましたいろいろな意見がこの新聞に載つておるわけでありますが、私はそれを材料にいたしまして、私個人としてその研究会で学び、自分の賛成する私個人の責任における意見をここで申上げたいと思います。
 批評の出発点としまして、私は憲法第十五條の意味をもつと十分に理解してこの法案を作ることが必要であると思います。これは先程から十五條の第一項と第二項とがお話に出ておりましたが、この両方共法案の中にはつきりとこれが出なければいけない、即ち第一項の公務員を選定罷免するのが國民固有の権利であるということももつとはつきり法案の中に出て、國民が眞にそういう権利を持つておるということが謳われなければいけないと思います。第二項の公務員が國民の奉仕者であるという点もやはり相当重要な点でありまして、國民に対して公務員が從來のようないわゆる威張つて臨むということがなくて、十分に國民のために奉任する地位にあるということが法案の中にはつきり出ることを希望したいと思います。その結果この十五條の精神を根本的に取り入れるということを法案の前文に、これは先程お話が出ましたが、國会の皆樣が筆をとつてそのことをはつきり書いて頂くということを希望したいと思います。
 次に候文の中の修正を希望したい点といたしまして、時間の都合もございますので簡單に三つ程挙げたいと思いますが、第一点は先程申しました國民が公務員の選定罷免の固有の権利を持つておるということを具体的に生かす。その第一点として公務員に対して國民が彈劾権を持つ、不良公務員というものは國民が彈劾してこれをやめさせるという條項がほしいと思います。これは第三節のおしまい、第六十一條の次に入れて頂いたらよろしいと思います。次に選定の方法でありますが、選定するということは公務員のすべてを國民が直接に選定することはいろいろ実行上困難がありますので、國民が直接に選ぶのは上級の公務員に恐らく限られると思います。それは大体特別職になつておりますので、ここでは余り問題になりませんが、この國家公務員法の中に上つておりますものの中では人事官というものは特別職のようでありますが、人事官についてはこの法案の中に上つておりますので、この人事官の選定を國民がするようにして頂きたい。これは具体的にはいろいろの方法が考えられると思いますが、私たちの案では三人の人事官の中の二人は、これは國民直接は少し厄介でありますから、國会が直接に選ぶ、これは法案にありますような政府が選んだものに國会が同意をするというふうな受動的なものでなくして、國会が進んで直接に選ぶ、それからもう一人の人事官は、我々が考え申したところでは、公務員全部の中から選挙によつて選ぶ、こういうような方法が適当ではないかと考えております。これが第一点であります。
 次に第二点として國民が直接に參加するということはいろいろ実行上困難がありますので、國民の代表として國会がもつと公務員制度に関與することが望ましい、関與の方法として大きく分けて二つあると思いますが、一つは國会の本來の職務である法律を制定するという権限をもつと十分に活用する。從來は官制大権による勅令で官吏の制度が決つておりましたので、今度は原則として法律によつて決めるということは大きな轉換でありますが、併しその法律がいろいろの命令に委任する事項が多過ぎる。この法案を見ましても政令に委任しておる場合もありますし、人事院規則に委任しておる場合もありますし、更に第二十八條のように、我々ぢよつと読んだだけではどういうことか分らないが、國会の定める手続というふうなものに委任するというふうな場合が大変に多いのでありますが、これは國会ができるだけみずからやる。徹底的に委任する事項を縮減して欲しいと思います。殊に一番問題になりますのは、この法案の要めといつてもいいところの職階制と試驗制というものが、いずれも人事院規則に委任されておるという点でありまして、この両者が委任されて、どういう制度になるか、現在のところ分らないということでは、この法案の生命はないといつてもいいと思うのであります。若し実行上、この両者に関する調査不十分のために、現在法案の中に入れることができないということであれば、この両者については將來必ず單行法を以て規定する。職階については職階法、試驗については試驗法というような法律を以て、必ず議会が作るということをこの法律の中に明記して置いて頂きたいと思います。例えば高文試驗のような、高文試驗を通つた特定官吏というものはなくなるだろうというだけでは不安心でありまして、國会が必ずこれをなくするというような制度にして置かなければ実行はできないのではないかと思います。
 第二に國会が立法以外の方法で、公務員制度に関與する方法としてこれもいろいろございますが、例えば人事官の選任をするというふうなことに國会が関與する。或いは人事官の彈劾は内閣総理大臣が彈劾の訴追をするようになつております。これも國会がみずから彈劾の訴追をするというふうにもつと積極的に國会が関與する事項を作つた方がいいと思います。これが第二点であります。
 次に問題の第三点として、これも先程からいろいろ問題が出ておりましたが、國会が國民の代表として公務員制度に関與するという場合に当然起つて來る問題として、アメリカなどで考えられたスポイル・システムというのは非常な弊害を生ずる。政党が自分の都合にまつて人事を動かすということが非常に大きな弊害を生ずる。そこでこれを避けて、いわゆるメリット・システムにしなければいけないということが言われておるのであります。併しこの点はもう一度考え直して見る必要があるのではないか、即ちアメリカでは、約百年に亙る民主主義政治の経驗を積み、その民主主義的な根本ができ上つたところに、そういうふうな一つの弊害が出た。ところが日本では、まだそこまで行つていないのでありまして、我々に取つて当面の目標は、民主主義を作ることでありまして、この民主主義の力によつて從來の特権的な官僚制度の弊害を打破するということに要点があります。從つてここでアメリカの例を取つて、政党の力、國会のカというものをなるたけ退けてなるたけ弱くするというような方向に行くべきではなくして、むしろ反対にできるだけ國会のカが及ぶようにするということが公務員制度を民主化する最もいい、我々に取つて最もいいと考えられる方法ではないか、こういうふうに思います。そこでこの方法を法案の中で生かす方法としては、例えば一般職の範囲をもつと廣くする、これは先程全官の方が局長ぐらいまでとおつしやいましたが、我々としては課長くらいまでは特別職にしていいのではないかというふうに考えております。尤もこの特別職になつたということは一般職の職員であつた者が段々昇進してその地位に入れないということを意味していないのでありまして、一般職から來た者も入れる。併し又政治的に自由な立場から採用ができる、こういう制度にして行くことが望ましいと思います。それから政党の役員であつた者を人事官から排斥する規定があります。第五條の第五項でありますが、こういうものも同じ意味から不必要であると思いますので、これを削除して頂きたいと思います。それから第百一條の一般職員の政治的行爲の制限、これも今申しましたような意味から不必要であつて削除した方がよいと思います。
 それから次に問題の第四点について申上げます。公務員の制度を民主化する。官僚制度を民主化するという方法として、國民或いは國民の代表者が公務員制度にいろいろな形で関與することを希望したいということを上の三つの点で申しましたが、この半面としまして、第四点として公務員の制度というものがなんだか特別の身分である、特権的な身分であるというふうな意味を持つた一切の制度を廃止して欲しいと思います。例えば分限の制度、身分保障の制度というようなものがありますが、七十五條、こういうものは公務員というものが一つの特殊の身分であるということを現わしておるのでありまして、そういうことは公務員制度の民主化にふさわしくなく、或いは服務の中にいろいろそういう点があります。例えば宣誓をする。宣誓をするというふうなことは官吏が何か特殊のものである、特殊の地位であるということを意味するもののように見えまするので、これも削除して頂きたい。それから九十八條の信用失墜行爲の禁止ということがございますが、これもなにか官吏が特別のものであつて、官吏が特になにかすると信用を失墜するというような感じを與える規定であります。それからやや末梢的になりますが、名称の点でも官吏の地位を特殊なものに感じさせるような名称はこの際止めた方がいいのではないか。例えば事務官とか、書記官とかというふうな名称がありますが、これは普通の一般の國民の間で行われておる事務員とか、書記とかというふうな名称と同じであつて差支ないのであつて、從來でも同じ役目の中でも官の字の附く地位は、附かないものよりも高いというふうな制度になつておりますが、そういうことは不必要である。これは單純に名称を変えるというだけの問題ではないのでありまして、名称を変えることによつて制度の実体が民主化されないことをごまかすというふうなことには私は反対でありますが、併し名称を残すということがやはりそういふものの考え方が残つておることになるので、制度の根本を変え、それに伴う名称を変えるということが望ましいと思います。これによつて初めて公務員というものと國民というものとが眞に融け合つたものになり、從来のように上に立つて臨むということが、この差別がなくなることによつて初めてなくなるのではないかと思います。
 それから次に問題の第五点でありますが、結局こういうふうな考え方からいたしまして、現実の問題としてはこの國家公務員法を今申しましたような見地から最も生かすためには人事院というものを徹底的に民主化して、それに大きな任務を與えるということが望ましいと思います。人事院をどういうふうにしたらいいかということについてはいろいろ問題もありましようが、この法案に即して考えますならば、法案では人事院は六年制の官廳になつておりまして、ただそれに委員会制度の精神を酌んで、或る事項については総裁がその権限を行う場合に、人事官会議の議決を経て行うというふうに第十二條に、そういうふうな種類の事項が列記されておりますが、我々はこれを委員会制度にするかどうか、或いはまあ委員会というものがどういうものかということもいろいろ問題になりますが、そういう点は別といたしまして、この制度のままでいけば少くとも人事官会議、つまり会議体によつて決定する事項を、人事院の一切の権限に及ぼす、すべての人事院の権限を行う場合に、必らず人事官会議の議を経て行わなければならない、こういうふうに修正して欲しいと思います。尚この法案にはありませんが、人事官というものが僅か三名であつて、思うように民主的にならないという虞れがありますので、この人事院の諮問機関といたしまして、人事管理委員会というようなものを作つたならばいいのではないか、その人事管理委員会というものは、社会の各方面の人が出て來る、公務員の代表も入つていいと思いますが、その外に社会のいわゆる各界の代表が、例えば言論界である、学界である、労働團体である、実業界であるという、そういう各方面の人が入りまして、各方面の意向をそこに現わして、人事院のこの権限が適正に行われるように、参考に意見を述べるというふうにしたならばいいのではないかと思います。
 最後に問題の第六番目といたしまして、今まで申して参りましたことは、主として公務員制度全体として國民が民主的にコントロールするという点に重点があつたのでありますが、もう一つ最後に考えなければならない別題として、從來の公務員制度が、その官吏制度の中で上下の差別待遇が相当に激しく、即ち上級の方には、より特権的な感情がありまして、下の方には非常に苦しんでおる多数の官吏がある、この関係もこの際徹底的に打破しなければいけない、これにはいろいろの方法もあります。先程もいろいろ出ておりましたが、例えば昇任などについて下級のものが十分昇れるようにする、或いは職種、等級によつて、学歴等の制限をつけて、学歴の低い者が試驗を受けられないような職種ができるというようなことには反対した方がいいという御意見がありましたが、私もそういう考え方に賛成でありまして、十分に下の者が昇れるようにして、それから特に給與の問題でありますが、この給與も上級の公務員については余り問題にならないことでも、下級の公務員にとつては生死の問題になるというふうな重要な問題でありますので、給與の保障については十分制度上考慮しておきたいと思います。法案によりますと給與の根本は法律で決まるということになつておりますが、そうしてその法律では今日のように、ことにインフレーションが激しく昂進して行く時代にあつては、そのインフレに追いつけないという実情でありますので、法案でも情勢に適應することを認めておりますが、情勢に適應して給與を変えて行く方法として、一番いい方法は、この國会の定める手続というような曖昧な手続でなくして、やはり明確に、この給與が少いことによつて現実に苦しんでいる下級の公務員が、その主体になつております官公廳の労働組合、官廳の労働組合というものによつての要求に基ずいてできます團体協約というものを、そこにはつきり認めまして、それによつてこれ等の人たちの要求が認められるというふうにして頂きたいと思います。
 以上甚だ不十分でありますが、大きな論点だけを拾つて申し上げました。尚細かい点いろいろございますが、ここで私の申上げたことを打切りますが、どうぞ十分國民の納得するような、眞に民主的な公務員法案を、愼重に御審議の上、十分國会としての責任を以てお作りになるように希望したいと思います。(拍手)
#11
○会長(竹山祐太郎君) 次は杉村章三郎君にお願いをいたします。
#12
○杉村章三郎君 私も吉村君同樣突然御召喚を受けまして、まあ立法の唯一の機関たる國会の御召喚でございますから、なにを措いても参つたわけでございますが、突然の御召喚でありますので、実はこの法案の内容につきましても、多くの考慮をいたしませんで、まあ新聞に現われておる程度のことしか存じておらないのであります。それで一應どういう立場であるかということを、今大体賛成と反対を交互に立たせるということでございましたが、前の方は賛成で、私はまあ反対というそういう原則になりますと、私は反対ということになりますが、実は賛成という見地に立つておるわけであります。併し全面的に、又無條件にこれに対して賛成するものではないのでありまして、これにつきましては、いろいろな点につきまして多少考えておる点もあるのでございます。その点につきましては、今鵜飼さんからして公法研究会において論ぜられました、又問題とせられました点を、詳細にお述べになりましたのでございますから、私がここに加えることは殆んどないのであります。從いましてまあ大体論といたしまして、どういうわけで、賛成するかという点を、一言申述べたいと思うのであります。
 この公務員法の問題、公務員法をどうしても新たにしなければならない、新に作成しなければならないということは、これはまあ余程前からの問題でありまして、これは官吏制度のいろいろな弊害又いろいろな問題、それが果して刻下の非常時において有用に活動できるかどうかという問題からしまして、戰時中におきましても非常に問題とせられたのでありまして、それに基ずきまして、その必要に基ずいて、いろいろ改革が行われたようなわけであります。ところがそれ等の改革は、今まで行われましたような改革は、実は今まではいわゆる天皇の官吏たることを基本におきまして、尚より一層その身分を保障する、或いは尚一層その特色を明かにするという意味におきまして、これに又いろいろな能率の点でありますとか、或いは任用の点でありまするとか、或いは試驗の点でありまするとか、そういうような点におきましていろいろ議論がせられ、又改正が加えられたのであります。ところが終戰になりまして、新しい官吏制度というものが、新しい官吏というものが新しい見地から再出発しなければならない。又殊に新憲法によりまして國民の、公僕として、天皇の官吏から公僕として、性格を全然異にした点におきまして、この官吏制度は根本的に変えなければならないということが議に上りまして、臨時法制調査会におきましても、いろいろな行政機構の改革と共に、官吏制度、官吏法というものを一つ新しく作ろうではないかという議が出たのであります。これに対してこれを一應答申案として、たしか答申したように記憶しておるのでありますが、併しその後情勢が変りまして、この官吏法というものは尚非常に不徹底なものである、もう少し別な見地、又いろいろな点からして、これを改正しなければならない、考え直さなければならないということになりまして、そうして今日に至つたわけでありまして、その間行政調査部におきまして、この國家公務員法というものが多くの人によりまして調査され、又一方におきましてアメリカの公務員に関する調査團の意向を聽取しまして、この法案ができ上つたというわけでありますが、從いましてこの法案というものは、さつきも吉村君が言われましたように、非常に一つの段階をなしておるものであります。決して今までの官吏法の改革というようなものと歩調を合せ、或いはそのイデオロギーを一にするものではないのでありまして、從いまして國家公務員法というものが一つの画期的な言わば法案ということができるのであります。今まで官吏制度というものは、言わば官僚を温存する制度であり、これは皆さん反対の方が申された所に、当つておる所が可なり多いのでありますが、こういう官僚制度を温存せしめるような形態をなしておつたのでありますが、それには任用でありますとか、或いは試驗でありますとか、或いはいろいろな懲戒規定とか、服務紀律でありますとか、そういうようないろいろな方面からこれを保障するような規定が非常に多かつたわけであります。これらまあ今までの官吏制度というものは、なんとしましてもやはり明治時代の所産であるということができるわけであります。殊に最も官吏の通常の職務のやり方を規律しております所の服務紀律というのは、既に明治二十年の法規になつておるわけであります。それでありますからして、そういうような状態を打破しまして、又今度のいろいろな官吏制度に存する欠点というものを一應反省して、それで各点につきまして練り上げたものが今度の國家公務員法なのであります。そういうように考えて見ますと、この國家公務員法というものは、これは今までの日本の官吏制度に対する漸進的な一つの改革案ということができるわけでありますが、而もその改革案は新憲法によつた非常な画期的な一つの段階である。又先程言われたように、いろいろ反省して見る点は勿論あるのでありますけれども、今までのいわゆる官吏制度というものから一歩進んだ画期的な一つの段階としまして、我々は承認をしなければならないのではないかというように考えておるのであります。これが私が全般的に國家公務員法というものを支持する所以なのであります。從いましてこの國家公務員法案というものが決して完全を期しておるものではないのであります。將來におきまして、更に根本的といいますか、更に檢討を重ねた上において、又一歩進んだ、更に民主的なものに仕上げなければならないというように考える次第であります。
 そういう全般的な立場において私は賛成するのでありますが、個々の点につきましては、これはいろいろ問題があると思います。今申しましたように、この公務員法そのものが、これは非常になんと言いますか、不安全な法律であるといつてよかろうと思うのであります。それは多くの問題がある。或いはさつき鵜飼さんが指摘されましたように、人事院一つに任せる、或いは政令に委任するとかいうふうなことになつておるのでありまして、公務員法だけを見ましては、殆んど非常に表面的なことしか現れておらないといつてもいいかと思うのであります。而もこの公務員法の重点とします点は、これはなんと申しましても、今までしばしば論ぜられましたように、やはりなんと言いましても、人事院の制度、それから職階制の問題、それから試驗制の問題であります。この人事院というものを設けて、そうしてその他公務員に関する事務を掌る、こういうことはそれはやはり今までにない制度でありまして、從來内閣の人事課、或いは各廳の人事課において取扱つておりました所のものを一應人事院に集中して、そうして各省にそれぞれ分任官を設けるでありませうが、その構成をやはりこれはちようど会計檢査官の任命のように、認証、認証もそうでありますが、國会の承諾を得て総理大臣が任命する、こういうふうな形になつておるのであります。この構成につきましてもしばしば今までから論が出ましたようにやはりもつと民主化する必要があるのではないかというふうに考えるのであります。これは会計檢査官と違いましてもつと絶対的な権利を持つておる機関でありまして、つまり役人のいはば進退を掌る機関でありまして、これに対しては國会の承認を得て任命するというだけではやはりなにかもの足りない氣がするわけであります。それから尚この次には職階制の問題であります。これはもう非常に大きな問題でありまして、職階制自身がこの法文の上にはよく現れておらないわけでありまして、これが非常に問題なのであります。ですからしてつまり官吏をどういうふうな職務に分けるか、又どういうふうな段階を設けるかというようなことで、これが非常な問題であります。この点條文には現れておりませんけれども、やはり内部的には一應の標準はできておるかと思うのでありますが、結局いろいろな任用を公平にするか、或いはそれぞれの職分に適應する官吏を任命するかというようなことは結局職階制による官吏の区分いかんによるわけでありまして、ここに殆んどその公務員法の重点は集中しておるのではないかと思うのであります。これが別の規則によつて定められることになつておるのでありますからして、從いましてこの法案というものは自身非常に表面的と言いますか、絶対的のものでないような氣がするわけであります。これは又非常な大きな問題であり、又相当の数の條項を要することになろうと思いますからして、これはやはり法律で以て決定せられる方が適当であろうというように考えるのであります。それからその次には任用につきましてとにかく官僚々々と申しますけれども、從來官僚制度を制定しましたのは、これはなんと言いましても試驗制度にあるのでありまして、つまり試驗を通過した者が行政機構の中枢になるということが、これが從來の官僚制度の非難も出て來るわけであります。そこからいろいろな議論が起るのであります。この点につきましては、今度の公務員法の大体の構想は各種類に分けましてそうして試驗というものをそれぞれの職種に應じた試驗をする。そうしてそれに適應する人間を選ぶということがその趣旨のようでありまして、この根本趣旨は非常に賛成なのでありますが、ただ問題はそういうように職種を分けるにしましても、事務官というようなものは非常に廣い範囲になる。それに対して國家試驗を課するということになりますれば、その範囲におきましては、やはり一つの從來のような國家試驗制度というものができ上るのじやないかというような懸念もあるのであります。併しそれはいろいろ事務官でありますとか、或は普通の商工省の専門官であるとか、或いは農林省の専門官というようにそれぞれ各省の専門官を定めて、細かく分類しますならば、或いは從來のような一般試驗というものはその必要がなくなるかと思うのでありますが、併しいずれにしましても、私はその試驗制度は成るべく各階層に應じて設ける方がよい。最近、殊に私は去年高等試驗委員としていろいろなことを拜命しておりまして、いろいろな多数の答案に接しておるのでありますが、殊に最近のような学力低下の時代におきましては、これで試驗がなかつたら、これはどんな人が中枢になるか分らないというような感じがいたしました。試驗制度というものは飽くまでやはり保持しなければならないのじやないかというように考えておるのであります。
 尚いろいろな問題がこの公務員法にはあるのであります。更にこの公務員法は一般職にのみ適用せられるのであつて、特別職には適用せられないということになつておるようでありますが、この特別職の範囲というものが相当廣いようでありまして、例えば現業員というようなもの、これはまあどの範囲に人事院規則なり法令で決まることになりまするか、相当廣いものが予想せられるのでありまして、そういう適用外のものが非常に廣くなればなる程この法案の價値は少いことになるわけであります。殊に國家公務員と申しましても、これはこの法案でも非常に狹い範囲に限られておる。殊に地方分権の自治制が制定せられまして、地方の團体の公吏が非常に多くなり、又重要な地位を占めることになるのでありまして、これについての地位はこの國家公務員法には含まれておらないわけでありまして、從つてこの法案の範囲というものはこの公務員の根本的な規律というものに値いするかどうかということは可なり疑問であるというように考えるのであります。いろいろ申しましたが、細かい点は私実は法案の内容について一々当つておりませんので、今鵜飼さんの御報告によりまして、愼重に御審議を願いたいと思うのであります。
 要するに私の結論としましては、この法案は官吏法の一つの段階として賛成であるけれども、併しこれに対しては非常に欠点があり、又完全なところがあるということを一般的に申しまして、私の責を塞ぎたいと思います。
#13
○会長(竹山祐太郎君) 土橋一吉君にお願いをいたします。
#14
○証人(土橋一吉君) 私は労働組合の代表でありまして、只今諸先生方が指摘されたような専門的事項についてお話を申上げるということは極めて困難でありますが、若干我々今日まで労働組合運動に携つた者として、この法案を通じて感じましたこと、及び各條文については全官公廳の皆さんがいろいろ研究されました。その結果排除すべき法文、或いは修正すべき法文、そういうものについて若干指摘したいと思うのであります
 先ず私は只今の日本の労働立法というものが、これは極く近々でありまするけれども、日本再建のためには絶対不可欠の法律であるということを確信しておるのであります。この法律が完備することなくしては、いかなる労働者も祖國再建は不可能であるということを信じておるのであります。從つて或る学者が指摘したように、労働立法は二十世紀における麒麟兒であります。従來の公法私法というような観念を以てこの法案を律するということは、極めて困難であります。從つて全官公吏もやはり労働者の一人であります。これは労働組合法の第二條が明確に規定しておるのであります。從つてこういう労働者の基本的な権利も憲法は第十五條、及び第二十五條、二十六條等においては明確に規定しておるのであります。こういう権利をややもすれば阻害する傾向にあるこの國家公務員法案に対しては、全面的に我々は反対の意見を表明する者であります。併しながら事ここに至りましては止むを得ませんので、我々は逐次その法案の内容について後程申上げたいと思うのであります。
 その次は特に指摘されておりまするところの人事院、或いは分限とか、任用とか、或いは試驗とか、最後の恩給等の事項に至つては、最も我々は不都合なる法案であると思うのであります。その内容は、どうしてこういうことを申上げるかというならば、労働者の基本的な人権の中味であるところの給與の面において全面的に保障することなくして、こういうような法案が幾ら作られましても、それは机上の樓閣であるということを言うのであります。なぜかならば、全官公吏が今日尚千五百円程度の給料を頂戴しておるのであります。先き先きに至りましても、國家財政の面とか、或いは國民経済の面から、常に全官公吏の給與の面において制約を受けておるのであります。こういう状態が続くものならば、いかにこういう法案が作られましても、実施いたされましても、これは必ずあらゆる方法において空文化するのであります。從つて本委員会の各位には申上げる筋合ではないと思うのでありまするが、こういう点が明確に保障されない限りは、こういう規定がいか程作られましても、いかに精密にこの内容が盛られましても、それは机上の樓閣であるということを指摘したいと思うのであります。
 次はこの法案ができる過程というものは極めて不明瞭であるのであります。これは一月の二十九日の全官公に対する前政府の回答において、將來行政調査部において……ここに回答がありまするが、制度改善委員会を作り、組合代表者を入れ、委員に加え、同部顧問として労働組合代表を加えたいということが、前政府の回答であります。而も権威ある中央労働委員会に対するこれは回答であるのであります。從つてこういう経緯を知つてか知らずか無視して、労働者代表を入れないで、行政調査部のいわゆる改善委員会でかような法案が策定されたことについても、非常な不満を持つておる者であります。尚この法案が先程から諸先生が指摘しておりまするように、ジヤクソン大統領のスポイル・システムから、官僚猟官制度と言いましようか、そういうものを打倒する意味でこの案が作られた、そのままの申し子を、我が國が再びその轍を踏まんとしておるのであります。これは御承知のように、ここに掲げられておるいわゆる普通職の官吏というものは、これは勤労官吏でありまして、その日その日をいかように暮すかというので、最も難澁しておる階級であるのであります。從つてこういう諸君に対しまして、あらゆる掣肘、あらゆる制約を設けましても、先程も申上げたように、さようなものは一片の空文に過ぎなくなつてしまうということであります。
 次は我々が從來考えておりまする官吏としての公僕性に対する……。政府諸君はとかく公僕、或いはその職務の性質を國民全体の奉仕者という名称によつて、いろいろ御説明になつております。この法案もそういうふうに書いてありまするが、その職務の範囲は成る程そうでありまするが、その範囲を逸脱して、更に人的なあらゆる自由をも拘束せんとするやに見受けるこの法案については、又反対であります。それは労働組合としてのあらゆる権利を我々は持つておるものであると確信しておるのであります。一歩讓りましても、基本的な人権は少くとも憲法第十五條によつて我々も保障されておる。尚ポツダム宣言が第十五條が明確にこの点を規定しておるのであります。從つてこういうものに牴触する疑のある一切の條項は、先ず排除せらるべきことを私は主張したいと思うのであります。殊に下級官吏の我々勤労官吏というものは、御承知のように、とかく仕事の内容が大衆性を帶び、而も繁雜な多岐な仕事を擁しておるのであります。そういう諸君に対しまして公僕性強調の余りに、その身分的な行動、或る一切の言論、集会ということまで制限せんとするもの、特にここにも書いてありまするが、例えば官吏の任用に関する欠格條項としましての條項とか、或いは百一條のいわゆる政治運動に関する條項等は、これは全官公吏としては最も不満な規定でありまして、こういうものは排除しなければならんということは、只今申上げたような基本的な観念からいつても、我々は首肯できるもると思うのであります。
 そこでこういう観念を前置にいたしまして、先程佐藤証人或いは加藤証人からもいろいろお話がありましたが、先ず條項の面におきましては、人事院というようなものは從來のままで、この法文のままで行われるということについては、全面的に反対であります。これはどこまでも中央人事委員会というようなものの構成によりまして、極めて民主的に、而も公僕性を十分強化し得るだけの内容を持つた組織で、これが設立せられんことを要望しておるのであります。でありますから、人事院の第二章の條項については、全面的に反対であります。勿論機関の構成その他あらゆる書記等の規定に至るまで、これは反対を表明しておるのであります。これは三條以下の規定でありますが、次は十六條の人事院の規則であります。御承知のように、各位は最早御了承済みでありまするが、法治國において総ての事項を委任的な命令に、よつて制約するということは、極めてその構成を硬化するのであります。これは先程どなたか指摘されたように、法治國で最も典型的なのはプロシヤであります。或いはベルギーであります。こういう國においては常に法律なり或いは命令に依存するのであります。從つてフリーにその委員会を構成するような動きは取れないのであります。常に法文に作成しこれによつて動かそうとするのであります。こういう行き方は極めて只今の自由、公僕的な、民主的な、且つ能率的な官廳の組織を規定するところの細則としては不適当なものであることを重ねて明言するのであります。こういうような委任命令によつてすべてのものを決めようとするような態度は、全面的に反対でありまするから、只今の十六條以下の規定についても同樣に反対であります。
 次は通則の欠格條項でありますが、これは先程申上げましたから……。第三十八條の規定は全面的に反対をしておるのであります。次は試驗及び任免、即ち官廳の基準の第三節であります。この採用の方法の三十六條についても一定の学歴を以て採用條件とする点については、全面的に反対しておるのであります。次は第二款の試驗でありますが、この試驗の受驗資格等についても、いろいろの制限あるように認める、こういうことについても反対するのであります。殊に再考をして頂きたいと思うのであります。次は任用の問題でありまするが、この任免権者というものが、各階層毎にその任免権者ができておるようにこの規定はなつておりますが、こういうことは極めて妥当でないと思うのであります。從つて一本の線において、仮に上級職を採る人がありましても、或いは下級職を採る人がありましても、一本の線においてやはりこういうものは任免すべきである、かように考えておるのであります。從つてこの法文の四十四條及び五十五條の規定には反対をするものであります。次は給與の面でありますが、給與の準則というものを作つて支給したいという考えを持つておりまするが、御承知のように、只今のような経済状態では、どういう給與準則を作らんとしておるか、甚だ疑いを持つておるのであります。從つてこういうことは労働組合を作つておりまするので、労働組合と或いは官廳側なり、或いは政府の各位と了解の上いわゆる團体交渉、或いは経営協議会において給與のことは決定すべきことと思うのであります。こういうことを法律を以て定め、或いは給與準則において定めるどいうことは、先程申上げたように、極めて日本の財政或いは経済から見て不穩当であることは言を俟ちません。從つてこういう準則によつて、特に法律によつてこういうものを定めようとする傾向については全官は全面的に反対の意向を表明しておるのであります。その他給與準則に関する規定若干でありまするが、こういう規定についても更に二三の再考慮を促したいと思つております。次は分限でありますが、例えば身分保障に関して法律を以て規定せんとしておるのであります。こういうことも我々勤労官吏が法律を以てして身分を保障して貰わなければならん程、それ程重要な地位にあるかどうかということを御檢討願いたいと思うのであります。これは上級職、特別職についてはどうなるか分りませんが、勤労階級の労働組合を結成しておるものが、法律を以て身分を保障せられるということはちよつと考えられない。これは團体協約なり、或いは労働協約で十分その効果を達するのでありまして、これを固定化した、或いは化石化した法律を以て律するようなことについては先ず反対であります。次は保障の点でありますが、この八十五條において勤務條件に関する行政措置の要求が規定してあります。この保障の点についても同じような趣旨で我々は全面的にこの意見には賛成し難いのであります。次は第七節の服務に関する基本的條項でありますが、九十五條、こういうような服務に関する紀律もこれは当然勤労官吏といたしましては、職場の自主性ということを考えておりまするので、政府の各位と今まで十分労働協約なり、或いは経営協議会において自主的に労働者が自分からやろうという考でやつて頂くことが最も尊いのでありまして、こういうことも十分御考え願いたいと思うのであります。こういうものを画一的におのおのの行政事項といいましても、農林行政の方と文部行政の方と違うのであります。そういうところを画一的基準で行おうとする、そういう考え方は反対であります。勿論作業官廳の我々逓信とか、鉄道の諸君は全面的にこういうことに反対をしておるのであります。特に作業官廳の我々においては逓信本省へお勤めになつておる方も、郵便局におる我々も、電信局におる者も、或いは電氣通信工事に柱を担いでおる方も同じ境涯にあるのであります。そういうものを同じこの法案によつて分離するような傾向、例えば監督行政をやるところの逓信本省とか、或いは電波関係の人とか、或いは鉄道においても運輸本省とか、そういうところの同じ職場で働いておるに拘わらず、片方は國家公務員法の適用を受け、片方は労働組合法の適用を受けるということは、全労働者的の考え方からいつて全く納得できないものでありまして、こういうことも我々は反対をしておるのであります。從つて仮に氣象台に勤めようが、全逓に勤めておりましようが、そういうことは関係なく労働者的な地位を十分考えて頂きたいというので、服務の紀律の九十五條の規定にも反対しておるのであります。特に先程申上げた第三十八條と百一條の政治的な行爲に対する制限とか、或いは公務員になるところの欠格條項としていろいろなものを指摘しております。これは恐らく法律の先生もおられますが、例えば現在の刑法でこういうことは欠格條項に指摘されておりまして、これが確定裁判を受けて、そうして或いは懲戒免というようなことができるなら結構です。ただそういう政党に加入しておる、そういう行動に参加したというだけで、欠格條項になるということだけはどういう意味を持つておるのか我々には極めて分らないのであります。若し只今の社会党が政権を握つておりますが、これが少し前だつたらこういうところに入つて來れば極めて危險だつたのであります。こういう諸君が政権を取つておられる。然らば次の段階にどういう理論に立ち、國家形体を取る政党が出るか、ここに入つておるだけで官吏になれないということは極めて不合理でありまして、現在の國家の政治機構、財政機構というものは席に変轉しておるのでありまして、これは私が申上げるまでもなく、あらゆるものが、從來の学者が証明しておる通り固定化するのではないのでありますから、國家公務員法においてもこういうものを欠格條項に入れるということは極めて不穩当であります。昔朝憲紊乱の規定で裁判を受けた者が、今日そういう者が國会に出ておられるのであります。でありますから、こういう社会の変轉といいましようか、こういうものを十分見られてこういう枠を決めることについては全面的に反対であるのであります。次に百一條の政治的な行動に対する制限でありまするが、こういうことも官吏として、若し十分政治的な自由が許されるということを我々は予定しておるのでありまするが、許されないならば何故許されないか、許されないだけの十分なる保障を官吏の諸君に與えることなくして、こういう一片の候文で政治的な保障を妨げるということは矢張り憲法に反する、こう考えております。次は特に退職者に対する恩給の点でありますが、官吏だけに恩給を出すということは極めてこれは不穩当であります。なぜならば國家が保障しておる恩給というものは財政の面、あらゆるものの掣肘を受けまして、これは貰つても暮して行けません。こういうような恩給法でなく、もつと國家としては社会保險として労働者である官吏も例へば疾病とか負傷とか、或いは傷害とか、死亡とか、失業、こういうような場合には全面的に全労働者に納得できるところの社会保險というものを速かに確立することが必要だと思うのであります。これは矢張り私は労働立法の一部面を担当しておると思うのでありまして、この労働立法の内容を旨とする社会保險制度の確立を要求しておるのであります。只今は例えば政府の共済組合とか、或いは恩給法とか、健康保險法とか、いろいろなものによつて、只今のそういう場合における処置が考えられておりますが、そういうものでは統一的な内容はできません。從つて恩給法については反対であります。恩給法を確立するならば、社会保險として十分の措置を綜合的に作られることを要望しておるのであります。でき得ることならばこういうまどろつこしいところの恩給でなくして、一時金のようなものによつて、直ちに次の職、或いは次の身分を処するところの方法を講じて貰いたいと思うのであります。從つて年賦割のようなこういう恩給法については全面的に全官公吏は反対しておるのでありますから、各位は十分この点を御了承願いたいと思うのであります。
 次にこの法文が全体として民主化、第一條でありますが、民主化と能率ということを盛んに書いておりますが、全候文を通じまして、全入民的な全國民的ないわゆる公僕性と言いましようか、内容はなんと言いましようか、いわゆる全國民的な仕事、全國民的な奉仕者である。全人民の奉仕者であるということをあらゆる條項に盛り立てることを私は特にお願いしたいと思うのであります。結論としては只今申上げたように、あらゆる條項が労働組合側として不滿でありまするので、いろいろな修正案が出ておりまするが、速かにこれは元へ返しまして、できることならば労働組合側、或いは民間の識者、或いは國会の皆さん、或いは政府の方々を入れてそういうものを作つてやつて頂きたいということは、前から要望しておるのであります。こういう線で今日やつておりますが、ここに至りましては今申上げたようにあらゆる條項について反対の意見を表明しまして、最後にこの法律案については全面的に反対であるということを申上げたいと思うのであります。(拍手)
#15
○会長(竹山祐太郎君) 山之内一郎君にお願をいたします。(拍手)
#16
○証人(山之内一郎君) 私は東大の山之内でございます。私も鵜飼君と同じように友だちと一緒に公法研究会を作りまして、そうしてそれで公務員法についてもいろいろと協議をしまして意見を纏めたのであります。從つて細かい点につきましても先程も鵜飼君から申上げましたように大学新聞に出して置きましたので、それを御覽願いたいと思います。ここでは時間の点もございますので、極く簡單に私の考えを申上げたいと思うのであります。
 特に私が皆樣方にお願い申したいと思いますことは、この國家公務員法案というものは、非常に官吏制度に取りましても、又ひいては國民一般に取りましても、変更にひいては日本國家の民主化乃至は日本國家の再建ということにつきましても、非常に大きい関係を持つておるということ、これは重々御承知のことでありますけれども、更にこの点につきまして御反省を、再反省を願いたいと思うのであります。と申しますのは、今回出ましたところのこの國家公務員法案なるものを檢討いたしますと、我々の立場から申しますならば、極めて民主的でない要素が非常に多いのであります。すでにこの法案が提出されましたところの経緯を見ましても、先程も土橋さんが指摘せられましたように、政府というものは、その公約をみずから守らないでおり、且つ咄嗟の間にこれを制定しようとしておる。そういうことを見ましても、それ自体が民主主義と相去ることが遠いと思われるのであります。憲法によつて一應日本は民主化したと言われながら、その実際においては、こういう大切な法案を出して、そうしてそれを制定しますとき、すでにこの法案がその内容において民主的でなければならないのにも拘わらず、政府自体が民主主義から相去ることが遠いという、そういうところにも問題が多く存在しておるのではなかろうかと思うのであります。從来の官僚というものは、日本においては、その官僚機構という殻の中に立て籠り、又それを國民よりも一段高いもの、更に國民の代表者であるところの國会よりも一段高いものというように誤つて考え、そうしてときの軍部その他と結托し、自己の一つの殻を温存し、それによつて種々雑多な振舞をなすために、國会をすら踏みにじつたという歴然たる事実があるのであります。今後はそういうことは許さるべきものでもなし、又それが行われないであろうということは、一應想像はされますが、併しこういう大切な國家公務員法案というようなものにおいて、非民主的な要素が多分に残されております場合には、そういう杞憂がなきにしも非ずなのであります。この点におきましても、この法案の審議というものは、非常に大切なものであると私は心得ております。それで私は、個人といたしましては、この法案は今一度白紙に返つて出直すべきである。その意味において全面的に賛成いたしかねるのであります。併しながら現在の内外情勢上、そういう根本的な出直しが不可能であるというならば、せめても、この法案の審議に当たられる委員の方々が、徹底的にこれを檢討して、そうして民主主義的な公務員法として頂きたい、これがせめてもの願いなのであります。
 で、この公務員法について見ますならば、先ず第一に、些細なことでありますが、國家公務員法案というような名称が附いております。これも考えようによつては、國家というような文字を、殊更ではないかも知れませんが、附けて、その名の下に、民衆とは離れた一つの存在というようなことを、こけ脅し的にこれを意味するということもあり得ることでありまして、むしろ單純に、地方の公務員については又別個の法案が定められるのであるならば、中央公務員法案で結構ではないかと思うのであります。そういうことにおいても、できるだけ民衆の親しみ易い法律にするということが望ましいのではないかと思うのであります。先程來いろいろこの公務員法案について賛成の意見を述べられた方においてすら、個々の点については不満な点も披瀝されたのであります。例えば東大の行政法の大家である杉村教授なども、そういうふうに伺つたのでありますが、そういう賛成しておられる方すら個々の点については相当重要なる点について不満のあるような法案でありますことは、この法案が民主的な傾向から遠いということを証明して余りあるものであろうと思うのであります。
 それで私は先程からいろいろ御意見その他を拜聽し、又私がこの法案を具さに檢討いたしました際、このような法案でありますならば、從來の官僚制度というものを温存される傾向が非常に多い。從つて又官僚制度が一つの枠に嵌まつて、固い殻を仕立てて、そうして排他的な存在となる嫌いが多いのであろうと思います。又考えようによつては、こういうふうな公務員法によつて縛られるのは、主として下級官吏でありまして、その下級官吏をいろいろな殻に縛つて、そうして從來のように、持つて行きようによつては特権官僚というものが日本の政治を壟断しようという傾向になり、國会をすら踏みにじろうとする傾向にならんとは限らないのであります。惡く言いますならば、こういう内容を持つた公務員法案は、上級官吏が自己の專権を振うために下級官吏を枠の中に縛り附けて置くものであるとすら考えられないこともないのであります。で、こういうような公務員法案でないためには、私はここに一つの基本的な官吏に対する考え方というものを我々は持つて行かなければならないと、そう思うのであります。そのことはなにかと申しますならば、官吏といえども全く國民の一人であり、從つて又精神労働者として、官吏の中には国体労働者も勿論ありましようが、主として精神労働者として、自分の身分、地位というものは労働者であるという意識の下に立つて行くことが、徹底的に官吏制度を民主化せしめるところの基本であろうと思うのであります。從つてこの公務員法案においては、そういう考えに基ずきまして、その当然の結果といたしまして、官吏は國民の公僕であるというようなことも当然規定されるのであります。それから又官吏が、殊に下級官吏が、勤労者という立場からして、その給與又は勤務條件そういうものに対しては当然労働組合の参加を以て、労働協約によつて規定されるというようなことも考えられるのでありまして、この法案を見まするならば、労働協約乃至は労働組合というようなものは、全面に現れておらないのであります。
 次にこの法案を見まするならば、その総則の第一條におきましては、能率ということを非常に強調しております。併しながら私はこの能率というものが、勿論職務を遂行する上においては能率が上ることが必要なことは当然でありますが、その能率の方向がどつちにあるかということが問題であろうと思います。なんとなれば人民の奉仕者でない方向に能率が向つた場合には、人民は塗炭の苦しみになるということは、終戰前の日本におきます特高警察等の能率というものは、世界無比な能率であつたともいえましよう。併しながらその能率は人民にとつては甚だ不愉快な能率であつたのであります。從いまして能率は、民主主義というものの基線の上に立つての能率であるということを明確にいたしますために、この公務員法案の前文において、いかなる國民もすべてこの法案の趣旨が明確に掴めますように、平易な表現において官廳の民主化、又は官吏の民主化ということ、そうしてその上において能率を上げるということが明確にされるように法案が訂正されることを考えるものであります。
 大体官廳の民主化乃至は官吏の民主化というものは、これを二つに分けて考えることができます。即ち人民に対する関係においての民主化と、それから官廳内の、それ自体の民主化ということであります。この人民との関係における民主化について、私はこの今回の公務員法案において不満に思われまする点は、憲法十五條の趣旨をもつと徹底せしめまして、人民の彈劾権をこれに加えなければならないと思います。それから又人事院の構成につきましても、この法案のような形におきまするところの人事院ではなくして、政府とか又は官廳労働組合、又は國民の代表者を参加せしめましたところの人事会議、人事委員会というような一つの委員会制度を設けまして、これを以て人事院に関する職務を行わせるということが適当であろうと考えるのであります。
 又職階制の内容につきましては、人事院の規則に俟つというような、この法案のようなものでなくして、國会で決定するところの法律によつて定めらるべきものであろうと思うのであります。この職階制につきましては、一般職の範囲は、ここに規定してありますよりかも狹くして、持別職の範囲を拡げる、少くとも政策決定に関する職務、即ち各省でいいますならば局部長乃至は課長までも特別職の範囲に入れて、これを自由任用できる制度としたいのであります。なんとなればこれらの職務というものは、政策決定に関係します限りは、國会において人民の意思が反映しておるところの政党というものが、これを当然左右すべきものであろうと思われるからであります。國会の多数を占めまして、そうして政府を組織しておるところのその政党の意思が、当然こういう一般政策の決定に関しますところの官職については反映して然るべきであり、それが適当であり、正しいことであろうと思うからであります。それと関聯いたしまして、職階の種目において、從來高等文官試驗を通過した官吏が、一般の官吏と異なつた特権官吏という地位を占めておつて、これがのさばつておるという從來の状態がありましたが、こういうような一般行政職というような職種については、これを職階の中におかない、各職種別にこれらのものを分ける、配分するということが必要であろうと思うのであります。
 又官廳それ自体の民主化ということにつきましては、勿論これも人民との関係における民主化と関聯がないものではありませんが、例えば勤労條件とか給與の関係につきましては、これは当然團体協約に一切を委かして然るべきであろうと思うのであります。これは労働基準法にも関係する問題であります。即ち一々法律の基準に基ずいて社会情勢の変化に從つてこれを動かすというようなことが、往々にして実際の経済情勢に即應しない場合が多いのでありまして、これを実際の生活面に即應して適当な給與に決定して行きます上からは、どうしても労働協約によつてその都度々々に時宜に適し且つ勤労者たる官吏の生活を保障して行く、これが必要であろうと思うからであります。又勤務成績につきましても、從來官僚等の中においては、課長その他上級者の顎の鬚を拂う、そういつた式の者が出世し、考課表にはそういうものがよく採点されるのでありまして、こういうような独善的な考課成績というようなものを改めるためにも、この勤務成績についての評定というものに民主的な方法をとらなければならん。そのままやればなんらかの形において労働組合の監視ということが必要であろうと思うのであります。勿論労働組合それ自体が人事権に深入りすることにつきましてはいろいろ弊害もありましよう。併しながら、こういう問題に対する監視ということがなければ上級官吏の独善という傾向が多くなるのであります。
 又官吏の分限制度を規定しております。この法案の規定の部分は全部抹消すべきであろうと思うのであります。この点はこの分限規定によつて從来官吏の身分保障とか、特別な一般の勤労者と異なつた形を作り上げる。從つて又人民から隔離した一つの存在となつておつた有力な原因を作つたのであります。でありますから、こういうふうな分限制度というものは一切廃止して然るべきであろうと思います。恩給についてもこれと同趣旨において反対でありまして、これは一般の國家保障が確立されることと睨み合わさなければならない問題でありますが、官吏のみ特に恩給というようなもので保護せられるということは不合理であります。それから又官吏も一般國民となんら異なつたところがない。一般國民としての勤労者である。その当然の結果といたしまして、欠格條項につきまして、政治活動を禁止している百一條のような條文は公務員法案としては不必要なもの、無用の賛物であるといつて然るべきことであります。こういうことに関しましては、一般國民と同じく、憲法の保障が十分あるのでありまして、特に公務員法案にこれを書き記すことは贅物であるばかりでなく、公務員法案におけるその條項を不必要に曲解して、これを適用する危險が大いにあるのであります。なんとなれば若しそういうような懸念がないならば、これをこの法案に置く必要がないからであります。又職務上の義務につきましても、祕密嚴守の義務というものは、これは成るべくせばめて、少くともこの法案に具体的にこれこれの個條のみは必要上祕密にすべきだとして條項を挙げるべきであります。從來官僚ばかりがその特権を温存するためには、必要以上に祕密々々といつて祕密を主張されることが大きい結果を持ち來ましたということも考えられるからであります。又勤務條項におきますところの全力を盡すというようなことを規定してありますが、それらのことも当然なことでありまして、特にそういうことを書き記すということは、これは惡用される危險が多いのであります。又任免についての根本の基準を法律によつて定め、又受驗の資格をなんら制限を設けない。そういうことも官吏の民主化において必要な事項であろうと思うのであります。
 これを要しますのに、私は官吏というものが人民の上にのさばるものである。又は官僚機構というものが一つの殻に閉じ籠つたものであつて、上天皇下属吏に至るまで一貫した一つの組織体をなして、國会をも往々にして蹂躙するという傾向のあつたということを肝に銘じて、今後は絶対にそれがない、瑣末な点に至るまでこういうような痕跡というようなものを徹底的に排除する、そういう公務員法案にしたいのであります。冒頭にも申しましたように、この公務員法案というものは非常な大きい関係を國民に持ちます。又官吏自体に持ちますものでありますので、この際國会においては十分審議をつくして頂きたいのであります。なんとなれば國会自体の意思決定というものは、主権の存在しますところの國民の代表であります。その意思というものは日本の國においては絶対でなければならないのであります。從つてその自主的な決定によりまして、この審議というものを不完全のまま通過させることのないように、十分な審議の時間をも要求せられて、そうして十分に討議し、そうして國会においてこの公務員法が徹底的に民主主義的な法律として國民の前に出されること、そうして國民がこれを十分納得できるもの、而も國民といいましても、國民の中にはいろいろの國民もありましよう。利害相対立するような方面もないことはありません。併しながら國民の大多数者たるところの勤労者階級が納得する法案であることが絶対に必要であろうと思うのであります。なんとなれば現在日本においてこういうような多数者が納得するものでなければ、日本の再建というものも、経済的再建もそうでありましよう。政治又は文化的再建についても絶対不可能であろうと思われるからであります。給與のごときも元來能率増進というようなことから、これをぎりぎりに押し詰めますならば、給與が十分でなければ能率が上がらないのであつて、いかに法律上にかれこれ能率を上げろといつても、これは空文に等しいのであります。又國民の納得しない勤労者階級、官廳であれば下級官吏というものが納得するものでなければ能率が上がらないのでありまして、この法案に謳つてあるところの能率というような点から申しましても、これはひいては先程申しましたように、日本全体の再建と関係する問題であるという、そういうような点も私は考えて、そうして十分この法案が民主的な法案になつて、面目を一新して、これが國民の前に提出されるように御努力を願いたいことを遍えにお願いいたして、私の簡単な言葉を閉じさして頂きたいと思います。(拍子)
#17
○会長(竹山祐太郎君) 荒木正三郎君にお願いをいたします。
#18
○荒木正三郎君 私は日本教職員組合の荒木であります。初めに私の立場を申上げたいと思うのですが、この公務員法案に対しては絶対に反対の立場を取るものであります。そこで初めにその理由を申上げたいと、かように考えております。
 この法案が國民の輿論の檢討を受けていないということを申上げたいのであります。官吏独善、それによつて最も迷惑を蒙むつたのは國民でありまして今度國民は官吏を國民の支配の下に置こうと考えておるのであります。ところがその國民にこの法案がいまだ檢討されていないということを私は考えざるを得ないのであります。若し輿論の檢討をされていないときに、この法案が國会において審議されるという場合を考えて見ますときに、國会は輿論の反映のない審議が行われると思うのであります。果してかような審議の結果國民の納得するようなものができるかどうか、甚だ疑問と言わざるを得ないと私は考えるのであります。これが第一の理由であります。
 次に第二の理由といたしましては、官吏を人民の思うように使いたいということは、國民が切望しておるところであります。その線に沿つて官廳労働組合では官廳の民主化ということについて先刻來非常な努力をして來たところであります。併しいまだ現実において十分なる成果を挙げる域に達していないのであります。甚だ残念といわざるを得ないのであります。このときに当つて、この公務員法の内容を檢討したときに、組合のこういつた自主的な活動に大幅な制限、圧力を加えようとしておるこの公務員法なるものが成立した場合、折角今まで労働組合が非常なる熱意を以て官廳の民主化をやつて來たあの大きな事業に大きな打撃を與えると我々は考えるのであります。即ちいまだ官廳が十分に民主化されない、そのときに、労働組合運動によつて民主化が今なされておるという現状であります。そのときに当つて、この労働組合運動を制圧するような法案が突如として出るということは、私は非常に有害な面が多いと思うのであります。ましてこの法案が極めて祕密の中に作成されて、なんらこの草案作成に当つて民主的に各界の代表の意見を徴していないということを考えますときに、この感を一層強くするものであります。私は主要なる理由として以上の二点からこの法案が急速に成立するということに対しては絶対に反対するものであります。十分なる國民の輿論の反映を待つて然る後に審議するべきであるということを申上げたいのであります。
 次にこの法案の内容について少しく申上げたいと思うのでありますが、先程から全官公廳の代表の方々からすでに意見を述べられたのでありますが、我々は全官公廳としてこの法案に対する檢討を重ねて來たのであります。從つてその檢討の結果結論を得ております。それについては先程お話もありましたし、又すでに書き物として用意されておりますので、皆さん方に御覧を願いたいと考えておるのであります。從つて個々の問題についてはそれに讓ることにいたしまして、私は一二の点について自分の考えておる点を申上げて御参考にして頂きたいと、かように考えておるのであります。その一つの点はこの法案全体に流れておる空氣が、やはり官僚の特権的な存在を保とう、或いは温存しようという意図が十分に含まれておると考えられるのであります。その一々の例は挙げる余裕を持ちませんが、二三の問題について申上げますと、先程からも出ておりましたように、公務員の分限という点であります。それから公務員の任用、それから公務員の政治的行爲の制限というような点を先ず挙げることができると思うのであります。これらは何らか官吏が一般人民とは違つた社会の身分を持つておるものであるというところの印象を非常に強く與えるのであります。これでは折角公務員を人民の公務員としようという狙いから非常な喰い違いを來すのではないかということを考えるのであります。この問題は、官吏の特権的な身分を温存しようという一面を持つておると同時に、他の面からいえば、公務員の、個々の憲法において與えられた事項、或いは労働組合とか労働基準法によつて與えられたる事項を非常に制約しようと考えておるのであります。それはその最もよい例は、政治的な行爲に対しで非常な制限を加えようとしておる。これは我々労働組合に取つては、組合員の政治的活動というものを制圧或いは否認に近い程度に持つて行こうという、非常に組合の自主性を、又は組合員の與えられたる権利を束縛せんとする大きなものを含んでおる、一面から見れば、これは官吏の特権的な存在を構成する部分にもなつておると共に、いずれの面から見ても、こういつた面において我々は不満に感ずるのであります。
 それから次に申上げたいことは、本法を一貫して流れておるものは、やはり非民主的なものがあるということであります。そのよい例としては、先程お話がありましたが、いわゆる第一條に能率的な運営ということを強く謳つておるのであります。併しこの能率的な運営というのは何であるか、この公務員法を見て我々が察知する場合に、それは上級官吏が下級官吏を意のままに使うという意味の能率であるというふうに我々は受取るのであります。かような能率的の運営ということに対しては私は反対するものであります。もつと人民に対する能率でなければならんということを主張したいのであります。その次に最も我々にとつて痛切な問題でありますが、我々が持つておるところの、労働組合法並びに労働基準法によつて認められておるいろいろな権利がこの公務員法によつて非常なる制限を受ける面が多いのであります。その点についても先程からいろいろお話がありましたが、痛切な問題でありますので、繰返して申上げたいと思います。その一つは我々の給與に関する問題、勤労條件に関する問題、これは当然團体交渉によつて労働協約の中において規定されなければならない性質のものであると考えるのであります。この点は我々全組合員の非常な関心を寄せておる問題でありますので、繰返して申上げて置きたいと考えておるのであります。即ち我々の給與の問題それから労働條件に関する問題、その具体的な決定は労働協約においてなさるべきである、こういうような考を持つておるのであります。
 公務員法一般に対しては以上でありますが、その他の問題については先程からお話もありましたし、又書類にもして差上げたいと考えておりますので、その方へお讓りしたいと思いますが、私は教員でありますので、その立場から一つだけ申上げたいと思う点があるのであります。それは教員を果して公務員法案に言う一般職の中に入れて適当であるか否かという問題であります。この問題に関しては私はこんなふうに考えておるのであります。從來の教育が國家権力の統制下に置かれておつた、そのために教育がその時々の政策によつて左右され、いわゆる軍國主義の教育をして來たのであります。そこで今度憲法において、教育基本法において教育はそういつた國家権力、いかなる國家的な勢力によつても影響されてはならないということを規定されておるのであります。即ち教育者は直接に人民の奉仕者であり、直接に國民のためのものであるということが言われておるのであります。そう考えまするときに、教員はいわゆる國家の統制を受ける一般職の中に入れることは從來の轍を踏むものではないかということを考えまして、一般公務員法から除外さるべきものであるというふうに結論を得ておるのであります。
 非常に纏まらない意見を申上げましたが、要するにこの公務員法は十分なる國民の檢討を得ておらないということを申上げて、國会の審議は國民の輿論がいかなるものであるかという時期まで延期されることをお願い申上げたいと思うのであります。(拍手)
#19
○会長(竹山祐太郎君) 次に委員各位に御了解を願うことがありますが、前にお諮りをいたしました井上君が御都合が惡くて出席ができませんので、弓家七郎君にお願いをいたすことに御了承を願いたいと思います。弓家七郎君にお願いをいたします。(拍手)
#20
○証人(弓家七郎君) 簡單に結論だけを申上げたいと思いますが、私は國家公務員法案に対しまして賛成するものなのであります。と申しますのは、この法案がその目的に、主として第一條に掲げられておりますように、「職員が職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、これを選択し、且つ、指導すべきことを定め、以て國民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」この目的を以て定められたこの目的に対して、先ず賛成するからであり、そしてこの法案は、それは細かい点においてはいろいろな批評がありましようけれども、根本といたしましてはこの目的を達成するのに適当しておる。そしてこの目的を達成するのは成るべく早い方がよろしい、こう考えるからでございます。申上げるまでもなく今の我が國の官僚制度というものは、これは民主主義的な議会の勢力を排除しようとして、明治三十一年でありましたか、憲政党内閣が作られた時に、山縣有朋が官僚勢力温存のために作つた制度なのであります。こういう制度をいつまでも持つておれば、一日でも長く持つておれば持つておる程私は日本の民主主義化を妨げるものである、一日も早くこれは撤廃せられなければならない、民主主義的に改められなければならない、こういうことを考えるからであります。そうしてその次にはこの法案は、誠に只今も皆様が仰しやいましたように、いろいろな欠点がありましよう。が併しながら大体から見まして、これはアメリカの経驗を十分に取入れておる、こう思うのであります。民主主義というような言葉が抽象的に先程からいろいろお話になられておりまするが、民主主義は決して抽象的な存在じやなくして、具体的に実行されなければなんの役にも立たないのであります。そうしてそのためにアメリカがいかに今のような公務員法を作つたか、政党の勢力から行政能率が妨げられることを防ぐためにどのように努力したかというようなことは、例えばリンカーンが、自分は南北戰爭で戰爭のために使つておるエネルギーよりも、いかにして猟官運動者を排斥するかということの方に余計なエネルギーが使われなければならないと言つたことにおいても分ると思います。だからここにおいて一般職から非常に沢山の、いわゆる民主的という名前の下に沢山の職種、或いは職制を特別任用などにいたしますると、それこそ猟官運動で政府の当局も、亦國民も迷惑を受けなければならない。このように考えます。それからその人事官会議の構成にいたしましても、行政職の能率化、專門化を増進するために、或いは猟官運動者の攻撃から防衛するためにも、このような人事官会議というようなものが構成せられることを、これは絶対に必要とするものだとこう考えます。尤もアメリカなどの場合におきまするというと、この人事官会議の中には一名は女でなければならないというような制度を持つているのが各州に大分ありまするが、こういう点は、その婦人の官吏がますます將來充実しようとするときに、或いはお考えになつてもいいことではないかともこのように考えられます。その他いろいろ細かいところについては、申上げれば申上げることもございましようけれども、皆樣の御意見でもうつきております。
 要するに私はこの法案は非常にアメリカ式である。その点について多少の不満もありまするけれども、アメリカの経驗というものは、民主主義の弊害に惱んだアメリカの経驗というものは、相当尊重せられなければならないものと考えましで、全面的に賛成する者なのでございます。簡單でございますが、結論だけを申上げて置きます。(拍手)
#21
○吉川末次郎君 この機会に今日我々に証人としていろいろな参考意見を供してぐれられました諸君及び行政調査部のお役人の方々に、本会合に関聯してちよつと希望いたしておきたいので、お許しを願いたいと思うのでありますが、先程來いろいろな貴重な参考意見を述べて頂きまして、この法案の審議に携つておりますところの一員しいたしまして深く感謝する次第でありますが、併しこもごも立つてお述べになりました事柄の内容につきましては、衆議院のことは私はよく存じませんが、参議院の委員会だけについて申しますると、大体におきまして今日まで四五回会合が持たれたのでありますが、いずれも我々が問題といたしましで論議して参つたことが多かつたかと思うのであります。先ず根本的な本法案の欠陷としてアメリカのスポイル・システム排撃の主張、及びいろいろな制度というものが全然その事情が反対の立場にあるところの我が日本の國において、そのままこれを押し附けようとしておるというような欠陷がある。或いは労働諸法規との関係であるとか、人事院の構成の問題であるとか、或いは特別任用の範囲を弓家君は御反対のようでありましたが、もつと拡大しなければならんというところの御意見であるとか、或いは審議の手続に考慮すべき諸点があるとか、或いは審議の時間というものが不十分である。これらの点はいずれも参議院の委員会におきましては、相当に今日まで問題としていずれも論議されて参つたことなのであります。併しながら非常に貴重な参考の意見を供して頂きまして結構でありますが、希望いたしたいことは、先般來諸証人の方々の御意見の中にもあつたのでありますが、例えば東京大学の公法研究会の方で、帝大新聞とかに御発表になりましたところの、本法案に対するところの意見の書かれておりますもの、或いは全官公廳の労働組合の代表の方々が、その筋に提出されておると言われておりますところの意見書、及びその他の方々からも御発表になつておるところの意見書があるようでありますが、私たちの手許には届いておりませんので、役人の方々は、今日御意見をお述べになりました諸証人の方々とよく御談合下さいまして、次の我々の会合には、是非これらの意見書が我々の手許に届きまして、尚且つこの貴重なる参考意見を、我々が参考に供することができるように一つお取り計らいをお願いいたしたい希望であります。尚会長においてもよろしくそのように御取り計らいを願います。
#22
○会長(竹山祐太郎君) この席から本日御参集を頂きました十名の各位に厚く御礼を申上げます。十分の時間を得ませんために、折角の御研究なり或いは御主張が、不十分の御発表になつたことは、こちらといたして誠に恐縮に存じます。どうか今委員の中からも御発言のありましたように、私からも重ねて皆樣方の御主張なり、今までの御研究の資料は十分に御提供をお願いをいたして置きます。尚各位からしばしばお述べを頂きました國会としての審議につきましては、政府より提案になりました以後、毎日連続我々としては全力をつくしておるつもりであります。我々の努力の続く限り、國民の御期待に副うべく、又皆様方の御期待に副うべく、全力をつくすつもりであります。どうかその意味におきまして十分なる御協力を頂くことを改めてお願いを申上げて置きます。本日はこれにて散会をいたします。
   午後五時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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