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1991/09/07 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 証券及び金融問題に関する特別委員会 第7号
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1991/09/07 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 証券及び金融問題に関する特別委員会 第7号

#1
第121回国会 証券及び金融問題に関する特別委員会 第7号
平成三年九月七日(土曜日)
   午前九時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月六日
    辞任         補欠選任
     清水嘉与子君     谷川 寛三君
     野末 陳平君     秋山  肇君
     本岡 昭次君     大森  昭君
     古川太三郎君     高井 和伸君
 九月七日
    辞任         補欠選任
     木庭健太郎君     中野 鉄造君
     井上  計君     寺崎 昭久君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                大浜 方栄君
                斎藤栄三郎君
                山岡 賢次君
                北村 哲男君
                久保  亘君
                白浜 一良君
                近藤 忠孝君
                池田  治君
    委 員
                秋山  肇君
                井上 章平君
                石井 道子君
                石川  弘君
                石原健太郎君
                合馬  敬君
                狩野 明男君
                陣内 孝雄君
                須藤良太郎君
                谷川 寛三君
                西田 吉宏君
                岩本 久人君
                大森  昭君
                種田  誠君
                野別 隆俊君
                前畑 幸子君
                村田 誠醇君
                安恒 良一君
                吉田 達男君
                中野 鉄造君
                和田 教美君
                諫山  博君
                高井 和伸君
                寺崎 昭久君
   国務大臣
       法 務 大 臣  左藤  恵君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      梅澤 節男君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  糸田 省吾君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  井嶋 一友君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     小川  是君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省銀行局保
       険部長      鏡味 徳房君
       大蔵省国際金融
       局長       江沢 雄一君
       国税庁次長    冨沢  宏君
       自治省行政局選
       挙部長      吉田 弘正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
   参考人
       日本銀行副総裁  吉本  宏君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○証券及び金融問題に関する調査
    ―――――――――――――
#2
○委員長(平井卓志君) ただいまから証券及び金融問題に関する特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 証券及び金融問題に関する調査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁吉本宏君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(平井卓志君) 証券及び金融問題に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○村田誠醇君 昨日に続きまして、資料を大蔵省の方で出していただいたんですが、これを見ますと疑問点が幾つかあります。やはり、信金、信組、それからその他というところがふえている、特金の運用金額がふえている、これはどういう理由なのか。
 それから、前回提出していただきました数字と今回この信託銀行を通じて調べた数字は、明らかに調査ベースが違うわけです。だから、単純に比較するわけにはいかない。何であの証券会社から出た数字が間違えているのかという理由が、きょういただきましたけれども、この理由についてもわからない。
 一つには、平成元年の十二月の事務連絡以降い顧客から順次受け入れた口座開設依頼書が、これがダブルで勘定されているというふうにここに書いてあるけれども、業務課長の事務運絡を読みますと、口座を新たに開設する場合は、ということになっているんですね。だから、既存の口座とダブル勘定をするはずはないと思うんですが、まずこの二点について、大蔵省の見解をお聞きしたい。
#6
○政府委員(土田正顕君) 新しく御説明に用いました資料につきまして若干御説明を申し上げます。
 この資料は、昨日ごらんに入れました資料が委託者側、すなわち証券会社側からの報告を調製いたしました資料であるのに対しまして、今回御説明しておりますのは受け皿側、すなわち受託者であります信託銀行の資料を調製いたしまして編集いたしましたものでございます。そこで、確かに御指摘のとおり、ベースは違っておるわけでございます。その中で、「顧問なし特金」というグループの中で、金融法人がかなりのウエートを占めており、その内訳を見ますと、例えば信用金庫、信用組合、それからその他、これらが直近の平成二年度中の推移を見ましても、件数、金額がふえておるのは御指摘のとおりであります。
 それの理由ということでございますが、これは多少推測も入るわけでございますけれども、これら中小金融機関、それからその他の中の主力は農協系統の信連とか単協、つまり農協であろうかと思いますが、これらの中小金融機関は、やはりこの貸し出しのシェアの趨勢的な縮小に伴いまして有価証券系統の運用をふやしていくというケースが見受けられますので、そのような傾向がここにもあらわれているのであろうというふうに私どもは考えているわけでございます。
#7
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の点でございますが、この事務連絡におきましては、確かに今後口座を開設する場合についてのいろいろな基準が書いてございます。ただ、その最後に、「なお、既存の特金勘定取引については、平成二年末までに上記の措置を講ずることとする」ということになっておりまして、上記の措置の中に、その事務連絡発出のときに既にありました営業特金につきまして、口座開設依頼書と確認書をとるというようなことを平成二年十二月までに順次行っていくようにということがこの事務連絡の指導の内容でございます。
 それに従いまして、各証券会社が口座開設依頼書を順次とっていったわけでございますが、口座開設依頼書に書かれております信託元本額が、開設依頼書をとるに従ってこの報告書の中に出て報告をされてきたということでございます。
#8
○村田誠醇君 それでは、大臣にお伺いをしたいんですが、二点ございます。
 第一点目は、たしか衆議院の証券特において我が党の細谷代議士が質問をしたときに、この口座の残数を数字を挙げて証券局長は説明している。私は、そのテレビ中継を見ておりまして、これは私が質問したものに対して資料を出さないのによく答弁できたなということを後で証券局に問い合わせましたら、八月二日に私が質問したから数字がカウントされておりましたと、こういう答弁であった。つまり、衆議院ではきのう出したこの数字をもとに証券局長は答弁している。国会でも説明して、言葉ならいざ知らず数字を不用意に使って、後から指摘されて、あの数字は少しあやふやでございましたというのはこれは国会軽視といいましょうか、大蔵省の姿勢に重大な問題がある。これが質問の第一点です。
 さらに二点目は、八月二日、あの資料を出せと私は大蔵委員会で、大臣御承知のとおり、もう何回か質問をしました。答弁は判を押したように、この書類を出しますと、証券会社の営業の実態、中身にわたることであるから、資料を提供するのは差し控えさせてほしいという趣旨の答弁であった。それで、いろいろ世論の圧力に遭って出してきたら、実はその中身があいまいでございましてという答弁なんですね。そうすると、こんなぼろの数字を守秘義務を盾に一生懸命抱きかかえて、何でこんな数字を保護しなければいけないのか、これも大蔵省の姿勢について私は重大な不信感を持つ。
 この二つについて大臣はどういう御見解をお持ちなのか、お願いをいたします。
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 過去の経緯について今委員から御指摘がございました。そしてまた、けさ提出をいたしました資料につきましてその資料の内容からの御質疑もございました。私は、率直に申しまして、昨日からけさにかけてよくこれだけの資料を関係者は精査してくれたと、一つは心の中で感謝をいたしております。と同時に、率直に申しまして、この事件の発生以来原局として全力を挙げております中に、時間の経過とともに新たに徴求しておる資料等もあると存じますが、そうした中において数字があたかも変化をしたように国民に受け取られるとすれば大変残念なことでありまして、こうした点についても今後の参考としなければならないことだと思います。
 と同時に、今委員が最後に触れられました守秘義務というものについてさまざまな論議が今日までもなされてまいりました。私は、やはり行政当局として守るべき機密というものはあろうかと思いますけれども、いたずらにその守秘義務に固執することが、こうした状態を改善し、再発防止を努力しなければならないときにおいて必ずしも好ましいことばかりだとは思いません。同時に、例えばすべての原数字を公表することが将来にわたって望ましいことか、これは実は私はケース・バイ・ケースであろうと率直に思います。
 今、委員が御指摘をされました幾つかの点は、今後ともに私どもの心すべきことと、そのように考えております。と同時に、事務方としてその折々に全力を尽くして収集した数字を御報告申し上げてきた、それが結果において変動したという点についてはおわびを申し上げます。
#10
○村田誠醇君 きのうの説明で証券局長は、この発表された数字のうち、きょういただいたものじゃなくて前にいただいたもののうち、顧客数と口座数は合っているんだけれども金額が違う、ダブルカウントされているんだという説明をしていますけれども、おたくの出した数字を見ても、大手四社の合計だけでも顧客数と口座数は違うんですよ、内訳とぴったり一致しない。さらに、業務課長の事務連絡には、特金勘定取引口座の現状と商品別特金勘定取引口座の現状、さらに特別承認口座の現状、確認書受け入れの進捗状況の表、この四つを出せと言っているんですよ。この一番最後の四番目の表を使って、同僚議員である種田議員の質問に対して大和の確認書の進捗率を言っているんですよ、一三・幾つかなんか言っていますでしょう。平均が七%のところで一三%出ている、よくやっていますよ、こういう説明なんですよ。一部分だけおかしくてあとの数字は全部正しいなんということは常識的に考えられないですよ。これが一つですよ。今度出てきた数字とまだ照合していませんので我々はわからないです。
 もう一点わからない点があるんですよ、証券会社から出てきたデータに。きのうもちょっと触れましたけれども、信託銀行という項目があるんです。信託銀行か自分のところに特金の運用をするなんというのは考えられないんですよ。しかし、証券会社から入ってきた報告には信託銀行という欄がある。四社の平成三年三月末の数字では六千二百六十二億円と出ているんですよ。その数字があやふやかどうかはわかりませんよ。この意味するものが一体何なのかということなんです。そういう意味で私はまだまだ時間があれはこの問題について追及したいんですけれども、この出された資料はどう考えてもおかしい。前の数字とこの数字も中身をよく研究してみなければわかりません。
 そのことを不満に思いながら、しかし時間でございますし、そういうあやふやなデータをもとに国会答弁雇繰り返してきた大蔵省の責任を強く指摘して、私の時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。
#11
○北村哲男君 北村でございます。
 私は、営業特金の解消と補てん禁止の通達の関係について若干聞いてみたいと思うんですが、八九年十二月二十六日の大蔵省通達が営業特金の解消と補てんの禁止という二律背反の通達を業界に強いたことによって、業界が苦渋の選択に迫られ、やむを得ず補てん禁止の通達を無視したとの認識をしてきておりました。そして、これはそういう二律背反の通達を業界に強いたという責任、相当な責任が大蔵省にもあるんではないか、その結果今日の補てんスキャンダルが起こったんではないかというふうに理解してきました。
 しかし、昨日から本日にかけて村田議員に提出された資料、それらを見ますと、営業特金の金額が減るどころか、逆に大幅にふえているというところもあり、正直愕然としております。それでは、その二律背反とか田渕氏が業界の苦渋の選択とか言ったことは一体何であったのか、私たちはそういう考え方についてペテンにかけられたのかという気もします。そこで、その業界ぐるみの通達無視という事態を一体どうすればいいか、どう考えれば、理解すればいいかという悩みもあります。
 そこでまず、大蔵省にお伺いするんですけれども、両者の関係をどう考え、今までどおりの理解でいいのか、あるいは別の観点から考えるべきかという点についての御見解をお伺いしたいと存じます。
#12
○政府委員(土田正顕君) 御検討の前提といたしまして、先ほどちょっと御紹介を申し上げましたが、受託者側つまり信託銀行の側から見ましたいわば特金系統の件数、残高の推移を御説明申し上げます。
 私どもの方でとりあえず調べましたのは信託銀行七社プラス大和銀行、合計八社でございまして、いわば外銀信託は入っておりませんが、ほぼ全体のシェアの圧倒的な部分をカバーしておるように存じます。そこで、これは金融機関でございますので、九月末、三月末という時点以外にとれないという制約がございますけれども、元年九月末、それから平成二年三月末、平成三年三月末という三つの時点をとりましてとりあえず集計をいたしました。その合計の件数、金額は、平成二年三月末、これは件数一万二千七百九十四件、金額二十七兆三千四百九億円でございますところが、平成三年三月末には件数一万一千三十二件、金額二十四兆四千六百六十三億円と、少なくとも件数、金額とも減少しております。
 その中で顧問つきと顧問なしというふうに二つに分けてみたのでございますが、その中のいわゆる営業特金系統で注目されますのは顧問なし特金の方でございますが、それも数字の御紹介は省略いたしますが一やはり平成二年三月末から平成三年三月末にかけまして件数、金額、二つながら減少しております。
 なお、その内訳に金融法人が少なからぬ部分があるということは御議論に出てきたところでございますが、ここで一つだけ最後に御説明をつけ加えさせていただきますと、この顧問なし特金そのものがすなわち証券会社のアドバイスつきの営業特金であるとは必ずしも言いがたいわけでありまして、この金融法人の中には例えば都市銀行、長期信用銀行、それから信託銀行もあるかと思いますが、それから生命保険、そのようなものはいわば資産運用の専門家というか非常に高い能力を持っておりますので、アドバイスなしで自分で指図をし、そして指図に従って運用をさせる。いわば自前運用と申しますか、そのようなものが相当部分あるんではないか。それについては恐らく証券会社側は十分な情報を持ち得ないというようなこともございますので、なかなか証券会社側の統計と突き合わせることは困難でございますが、大体の傾向は誤りないものと思っておりまして、この件数、金額とも平成二年三月末から三年三月末にかけてトータルとしては減少しておるというふうに見ておる次第でございます。
#13
○北村哲男君 私が質問した趣旨は、今までの考え方、すなわち二律背反の通達を業界に出した結果、営業特金の解消あるいは適正化を選んで補てんの方を無視したという考え方、その結果今の証券スキャンダルが起こったというふうな考え方で今までの大蔵省の考え方はそのまま維持されておるのかということ。それから、現在株式市場の下落などで営業特金の運用実績が不振となって解約できない状態があって、その効果が必ずしも十分にあらわれていないんだということも聞いておりますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#14
○政府委員(松野允彦君) 平成元年十二月に通達を出しましたときに、御指摘のように、営業特金の適正化と損失補てんをしないようにという二つのことを主とした内容の通達を出したわけでございます。その時点の判断では、――三月の急落というのはもちろん予想していたわけではございません。したがいまして、営業特金の適正化を進める、これは損失補てんの温床となるということで営業特金をできるだけ適正化しろというような指導を始めたわけでございます。
 結果といたしまして、急落局面においてそれが損失補てんを生じさせるというようなことになったという点につきましては、これは――三月の株価の急落局面ということもございますが、通達で当初考えていた状況とやや異なった状況になったということは否めない事実だろうと思うわけでございます。
 ただ、御理解いただきたいのは、営業特金の適正化につきましては、私どもは平成二年の年末までに適正化をするようにという指導を通達では始めたわけでございまして、決して短期間に、例えば三月までに適正化をしろということを強力に指導したというわけではございません。これはやはりある程度の時間をかけて投資顧問づきにするなり、あるいはそれがどうしても客の理解を得られなくてできない場合には確認書をとるというようなことで、損失補てんの温床とならないような手当てをするというのを一年間かけてやるようにという指導をしたわけでございます。
 結果として、確かに株価の急落局面でそれが多額の損失補てんを生じさせる原因になったという点については、私どももそういう事実を大変重く受けとめているわけでございますが、通達を発出したときの判断というのは、あくまでも適正化を一年間かけて進めていけば損失補てんの温床もなくなるしという判断であったということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#15
○北村哲男君 少し別の観点から質問をしてみたいと思いますが、業界がいかに大蔵省の言うことを必ずしも聞いていないかという点なんです。
 まず、平成二年三月期に証券会社から大蔵省に補てんについての自主申告がありました。大蔵省からは当然通達違反の補てんの事実を指摘され、各社とも大幅な社内処分をして、平成二年度三月期の補てんの件については一件落着というふうな形をされたと思います。先日の日興証券の前社長、岩崎証人も社内処分の事実を言及されました。
 ところが、各証人の証言に基づいて、当時補てんを実際に行った証券各社の処分されたと言われている責任者の方々の現在の役職を見ると、その責任者の多くの方々がことごとく現在昇進されておるということがわかりました。ざっと見ただけでも、例えば野村の補てんの責任者、水内靖裕総務担当専務は現在副社長であります。そしてまた、野村で東急電鉄の売買に大きく関与されたとされる橋本昌三株式担当専務あるいは橘田喜和営業担当専務はともに現在副社長、日興で補てんの責任者であった営業企画担当の高尾吉郎当時の専務は現在社長、山一の企画担当専務は現在山一証券の副社長というぐあいであります。
 この人々がどんな社内処分を受けたかは必ずしも定かではありませんし、大蔵省にお聞きしても、それは個人の問題だからということでお調べいただけませんでしたけれども、通達違反の責任者であった人が今最高または最高に近い地位に上っているということは、社内処分はその人の地位に不利益を及ぼすのではなくて逆に勲章である、どこかの世界と同じような形であることがわかると思います。そういう面従腹背というか、通達は守らない、社内処分は形だけにして頭を下げて舌を出すというようなやり方に対して、大蔵省はどういうふうにお考えでしょうか。また、今の事態に対してどういうふうな対処をされようとしておるのか、その点についてお伺いしたいと存じます。
#16
○政府委員(松野允彦君) 平成二年三月の自主申告に基づきまして、その当時減俸等の社内処分を行わせたわけでございます。その中で確かに、御指摘のように、その後人事異動において昇格した人がいることは事実でございます。
 この社内処分につきましては、監督責任あるいは行為責任、いろいろな責任に応じて減給あるいは退任、降格というような処分が行われているわけでございます。退任、降格というような処分を行われた人につきましては、これは現在でも復職ということは行われていないわけでございまして、確かに御指摘のように通達違反ということでいろいろな責任をとったわけでございますが、基本的に社内の役員の大事について私どもの方から直接に介入するということは行政としての限界がございます。もちろん私どもは、会社としての責任ということの追及は厳正に行ったつもりでございますが、その後自主的に会社がそういう役員についての処遇をすることについては、行政当局としてそれについて指導するということには限界があるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#17
○北村哲男君 今、社内処分に口を出すには限界があると言われました。確かにそうだと思います。そうであるならば、これは社内処分に任せておくのではなくてしかるべき行政処分をされるべきだと思いますし、それがまた非常に緩やか過ぎるのではないかということもあると思いますので、その点については行政処分はどのように考えられ、執行されていくのかということについてのお考えをいただきたいと思います。
#18
○政府委員(松野允彦君) 私どもが行政処分という概念を使いますときには、これは証券取引法第三十五条に基づきます処分を指しているわけでございます。したがいまして、法律の規定に基づいて処分をするということになるわけでございまして、その前提としては、やはり法律違反行為がないと行政処分という形の正式の法律上の行政処分をすることができないわけでございます。そういったこともございまして、今回の損失補てんにつきましては、社内の処分に加えて営業の停止を指導したわけでございます。
 これは、法律違反でございますと営業停止という正規の行政処分が可能なわけでございますが、今回の損失補てんの場合には現在の証券取引法に直接触れるという行為ではございませんものですから、行政指導ベースで自主的に営業を停止するようにという指導をしたわけでございまして、そういう点では、法律違反行為ということがない場合に行政処分をするということは法律的にはできないということをこれも御理解いただきたいと思うわけでございます。
#19
○北村哲男君 別の問題に移ります。
 自治大臣には早速お見えいただきまして、どうもありがとうございました。というのは、きのうまで当然全然わからなかったことなんですけれども、本日の朝の毎日新聞に「献金隠し一千二百万円三塚議員の政治団体」ということで大きく載っております。黙って見過ごすわけにもいきません。現在、政治改革で政府も議員も一生懸命取り組んでいる時期でありますし、しかも中身を見ますと、二重の違反といいますか、片一方は百万以上の届け出という単なる形式的なものでありますが、しかしもう一つは、年間三百六十万という一つの企業から一団体に年間百五十万以上出してはいけないという実質的な政治寄金犯罪、実質犯罪を犯しているということをはっきりと認めておりますし、また、それを分ければよかったというふうな脱法をぬけぬけと言うような弁解をしておるようなこういう事態が発覚しております。
 それにつきまして自治大臣の御見解をぜひ伺いたいし、それに対してどういうふうに今後対処されていかれる予定なのか、その点についてのお考えを伺いたいと存じます只
#20
○国務大臣(吹田ナ君) おはようございます。おくれて参りまして申しわけありませんでした。私の場合はこの後の久保先生の御質問ということで予定を組んでおりましたものですから、朝少しゆっくりしておりましたら急に呼び出されまして慌てて参りましたが、今伺いましたようなことを自動車の中で秘書官から伺いまして、新聞を読みました。
 確かに毎日新聞にそのように出ております。けれども、事実関係というのは私全然わかりませんし、新聞に出ておるとおりであるということになればどうかなと、この問題は少し専門家でないとお答えできませんなというふうな感じを持っておりますが、事実はこれからまたよく調査することになるだろうと思います。事実関係がはっきりしませんので、ただ報道の範囲内でありますから、私がこういう公的な席で云々申し上げるということもいかがであろうかなというふうに思っておりまして、またいろいろと専門家によって調査をするということでお許しを願えればと思っております。
#21
○北村哲男君 確かに報道ですから事実を調べなくちゃわからないと思いますが、ただ、事実が事実と判明したらどうするというふうに今言われましたでしょうか、どういうことにされる御予定ということになるんですか。
#22
○国務大臣(吹田ナ君) これは、私も不勉強でわかりませんが、専門家の方でそれなりの研究をしてくれることだと思っております。
 ただ、先ほどからお話がありましたように、今まさに国民に対して、政治改革、政治とお金という問題は非常に厳しくこれから進めていこうということで御協議をこの国会でもお願いしておるときでもありますし、その責任者であります私も、昨日お断りを申し上げるような事実もありまして申しわけなく思っておりますが、こうしたこと等がいろいろ、とありますということになりますと大変問題であるなというふうに思いますが、いずれにしましても専門家によってこれから調査をすることで、後日こういった問題についてはまだ御回答するということにせざるを得ないんではないかなと思っております。
#23
○北村哲男君 それでは、もう結構でございます。
 次に進みますが、大蔵省の関係になります。
 補てんの問題。補てんの定義と、それから今後補てん禁止の立法があると思いますけれども、その立法に関連してでありますが、まず、補てんの禁止というふうに今、今後の立法に関して言われておりますが、補てんというのは、その行為の形態ではなくて一種の評価でありまして、補てん禁止というだけでは禁止の法律というものの概要がつかめないという点があります。
 まず、補てんの行為は幾つかの手口に分けられます。これは大蔵省の分析によりましても四つの手口が既に松野局長の方から国会でも答弁されておりますけれども、その補てん禁止の立法を考える際に、その行為形態としておおよそどういう手口をもって禁止の対象とされるのか、それを示していただきたい。例えば今回の補てんの形態の一つに入っております新株の証券割り当てによる利益確保などは、これはちょっと入らないような気もするんですけれども、どういうものを大まかに柱に立てて構成要件としておられるのかということについての御説明を願いたいと存じます。
#24
○政府委員(松野允彦君) 現在、証券取引法の改正作業を鋭意進めているところでございます。その中で御指摘のように損失補てんというものを禁止するということで検討を進めているわけでございますが、損失補てんというものは確かに補てんの目的とかいうようなことになるわけでございまして、それを一体どういうふうに法律に定義できるかというところを今私ども鋭意詰めて検討しているわけでございます。
 私どもの考え、気持ちといたしましては、やはり損失補てんというようなものがいろいろな手段で行われ得るわけでございまして、余り個別の手口を列挙いたしますと、その手口以外のものが法律から外れてしまうというようなことになるわけでございまして、定義の明確性を維持しながらできるだけ包括的に定義できないかという工夫を考えているわけでございます。
 ただ、そうは言いましても、今御指摘のありました、例えば今回の手口で明らかになりました中で新規発行有価証券、新株の割り当てというようなものについてどこまで正常な行為というふうに認められるかという問題があるわけでございます。これにつきましては、特に新株につきましては公開株あるいは新規上場株、業界でルールができております。これはリクルートなどの経験を踏まえて、できるだけ公平にかつ多数の投資家に配分するようにというルールが、一人五千株までとかいうようなルールで、各社それをさらに千株というようなことで実行しております。そういったようなルールというものが一つの考え方の基準になるのではないか。大量に一人の人に集中的に配分するというようなことになりますと、これは新株の割り当て行為としても適切ではございませんし、それが補てんというものが目的となって行われているというようなことが前後の事情で明らかになりますと、これはやはり禁止をする必要がある。
 あとは、いろいろな手口を私ども分析いたしまして、今明らかになっておりますような手口が仮に行われた場合に、それが証取法の禁止から外れてしまうというようなことにはならないような定義を考えなきゃいけないというふうに思っているわけでございます。
 ただ、一方で正常な証券取引行為というのもあるわけでございまして、そことの境界線といいますか、これについて現在鋭意どういうふうな境界線を設けられるか、明らかになった手口について完全に禁止の対象にできるか、禁止の対象にしながらかつ正常な取引行為というものについてどこまで線引きができるかという点についての検討を進めているわけでございます。
#25
○北村哲男君 さっぱりわからないんです。私は、今考えているし、相当進んでおるし、近々出されるであろうと言われますから、一体構成要件的にどういう柱が今の段階で考えられているのか。鋭意考えているんではお答えにならないと思うんです。ここまでの作業で結構ですから、どういうことをあるいは手口別に分けてあるのか、あるいはそのほかの分け方があるのか、そういうことぐらいは御説明願えるんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#26
○政府委員(松野允彦君) 現在考えております方向は、今申し上げましたように、私どもとしては、個々の手口を列挙してこういう手口でやる場合は禁止だというような方向ではその手口に入らないものが抜けてしまう。証券取引行為はいろいろな形態で行われ得るわけでございまして、そういったことからいいますと、余り限定的に行為、手口を列挙して、こういうものだけはいけないというふうに書くというのは損失補てんというものを一般的に禁止するという趣旨から申しますとやはり問題がある、できるだけ損失補てん行為というものを包括的に定義をしてとらえたいというふうに作業を進めているわけでございます。
#27
○北村哲男君 なお包括的にとらえるというんであれば、包括的に見た補てんというのはどういうものかということについての御説明もあっていいんじゃないかと思うんです。
 ちょっと別な観点からまた伺いたいと思いますが、補てんをするという動機、目的的なものとして、例えば営業特金を解消するためのキャンセル料ないし和解金的なものとか、あるいはそういうことがなくて全く事後的に損害賠償として一方的に払う、それは損害賠償なのか贈与になるかわからないんですが、そういうものとか、あるいは投資顧問に移行する場合の投資顧問料の実質弁済的なもの、弁償的なもの、あるいは単なる贈与的なものというふうないろんな分け方を衆議院の細谷議員なんかも分析して聞いておられますけれども、この目的や動機の違いが犯罪の構成要件の成否に関係するかどうかについて、それによって補てんかどうかということを区別する基準あるいはメルクマールにしておられるかどうか、お伺いしたいと存じます。
#28
○政府委員(松野允彦君) 現在私どもが考えておりますのは、そういう補てんの動機といいますか、そういったものについては特に細かく分類をしてどういう動機の場合がどうだとかいうような考え方をとっておりません。むしろ有価証券の売買で客に損失が出た場合に、その損失を補てんする目的で正常な証券取引行為でない行為を行うというような、基本的な考え方はそういう考え方でございまして、その考え方に沿っていかにこの構成要件を明確にできるかという点を今検討を進めているところでございます。
#29
○北村哲男君 それでは今の点はそれまでとしまして、補てんを受けた側を処罰するという点についていろいろと問題は多いと聞いておりますけれども、どういう点に困難さがあるのかという点についての御説明をお願いしたいと思います。
#30
○政府委員(松野允彦君) 補てんを受けた投資家の側についての問題は、私どもの考え方では、やはり証券会社が補てんをした場合に、刑罰を含める禁止をして違反した場合には刑罰をかけるということになるわけでございますが、それとのバランスからいいまして顧客の場合も、場合によっては刑罰の対象にするということになるわけでございます。
 そうなりますと、やはり顧客がかなり悪質な場合でないと刑罰の対象にできないんではないか。しかも、今回の場合でもいろいろ実情がまちまちでございまして、例えば認識がどの程度あったのかと。いうようなケースもあるわけでございます。そういったことからいいますと、刑法の一般原則としては、やはり悪意といいますか故意でないと罰則の対象にできないわけでございまして、そういう悪質な顧客に対しては刑罰を科すというようなことが可能ではないかというようなことで私ども今検討を進めているところでございます。
#31
○北村哲男君 ただいま認識の問題を少し言われました。確かにもらった認識がない人を処罰するわけにはいかないと思うんですけれども、ただ、今その認識がないという、当初から、今回の事件でほとんどの受けた側が認識がないと言われているんです。おおよそ、認識がないと言われたらそれはうそに決まっているということになるんですが、一体大蔵省の立場から、企業側が認識がないというふうに言っておられるのは、お金を受けた、もらうということの認識までないというふうに分析しておられるのか、あるいはお金はもらったことは認識しておるけれども、補てんということをされたという認識がないというふうな形の認識がないというのか。お金を受けたことについてまで認識がないというふうに企業の方々が言っておられるんだろうか、あるいはお金を受けたことは知っているけれども、認識はしているけれども、それがいわゆる禁止されている補てんなのかあるいは別なのか、取引なのかということまでは認識していないというふうな言い方をしておられるのか、どういうふうに分析しておられますか。
#32
○政府委員(松野允彦君) これは、補てんを受けた企業の認識の内容の問題でございますので、私どもそこまでは明確な判断ができないわけでございます。ただ、今回の補てん行為の大部分は通常の、通常といいますか、要するに有価証券の売買、取引の形をとっているわけでございまして、現金を直接交付するというような形のものは極めて少ないわけでございます。そういう有価証券の取引の形をとっておりますと、その取引が、仮に補てん先の企業がその取引をわかったといたしましても、それが果たして完全に利益供与のためだけに行われた取引なのかどうかという点についての認識がない場合があろうかと思います。その辺は今申し上げましたように、私ども補てん先の企業の認識についての調査をしているわけではございません。
 したがいまして、一概に申し上げることができないわけでございますが、有価証券の取引の形をとっているということが認識をやや難しくしている、あるいは場合によっては、中には証券会社が事実上一任的に行っているというケースもございます。そういったようなことを考えますと、補てん先の認識もいろいろあるのかなというぐらいのことしか申し上げられないわけでございます。
#33
○北村哲男君 ただいま大変重大というか、私は大変気になる発言があります。
 立法に際して、受け取った側を処罰するかどうかという立法をしようとする際に、今まで多くの実例があるにもかかわらず、相手方企業の認識がないという非常に不自然な発言を調べてないというふうに言われました。私は調べるべきだと思います。現に、例えばTBSが、昨日の新聞ですか、私たちは補てんを受けたので社会的に申しわけないからそれを何かの形でやる、あるいは社内処分をするというふうな形で、ある程度の責任をとっている企業も出ております。私は、今立法に際して、受けた企業がたくさんあるわけですから、やっぱり行ってその辺の分析、どういう意味で認識がないのかということをはっきりしないと法律はできないと思います。相手方を処罰する、あるいは受けた者をどうするかということはできないと思いますので、大臣、その辺を指示されて調査も早急にされるようお願いしたいと存じます。
#34
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、実は私、行政としての大蔵省証券局の調査権限がどこまで及ぶか確信がありません。ただ、少なくとも今日の事態と、先般来問題が発生し御指摘を受けおしかりを受けております事態との間には大きな差異がございます。
 それは何かといいますと、営業特金というものの扱いに、少なくとも先刻来御論議がありましたように一つのルールが課せられた。そして、顧問つきの特金に移行するか、顧問なしで運用する場合には完全なみずからの責任において行動する確認書をとるかという状況になっております。従来ここが安易に流れておりました。そして、中には確かに証券会社に一任的に運用を委任し、その果実のみを受け取るという姿勢であった企業もありましょう。こうした場合、確かに認識がなかったということはあり得るのかもしれないと私も思います。しかし、少なくとも今回この営業特金の適正化という一連の行動の中におきまして、顧問つき特金に移行しましたものはその責任の所在は明確になるわけでありますし、一任でみずからが全責任を負っての運用を行うという意味での確認書を取り交わしました場合には、当然のことながら、その内容というものにみずからが目を通す責任が出てまいります。
 その中に、例えば特定の日々における通常の市場にあり得ないような売買が行われているとか、これは事実上当然関係者は把握ができる状況になります。例えば日を置いて連続した異常な商いでありますとか、いわゆる日ばかり商いでありますとか、こうしたものは完全に把握できる状況になります。そうなりますと、私は、今委員が仰せられたポイントはよく理解をいたしたつもりでありますし、事務局としてできる限りの努力はいたさせますけれども、それとは別に、意思というものは確認できる状態が生まれているのではなかろうか、私は今そのように感じております。
#35
○北村哲男君 それでは次に、現在の証取法では、事前の利益保証は禁止をされておりますが、事後的な損失補てんの禁止ははっきりとは規定されておらないことは確かであります。しかし今、その事後的な損失補てんという問題を論じるときに、事前もいけない事後もいけないというふうな同じレベルで論じられているような気がするんです。しかし私は、現在の証取法で禁止されている事前の利益保証の禁止というのは、利益保証という甘い材料で客を誘引する行為がいけない、客をつる行為がいけない、客の心を惑わすという意味で禁じられているのであって、利益を事前に与えるか事後に与えるかということの是非を問題にした条文ではないというふうに思うんです。ところが、現在それが補てん禁止ということで事前も事後もいけないというふうな形で問題にされているようなんです。
 そこで、そういう意味では立法目的あるいは立法の動機が違うと思うんですけれども、その点でどういうふうに考えておるのか。特に事後の補てんがいけないということの立法目的、取引に伴って利益を与えてはなぜいけないのかという点を、事前の保証とは別の意味の立法目的をはっきりと説明していただきたいと思います。
#36
○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のとおり、事前の保証ということは、これは法律では勧誘行為を禁止しております。そういうような勧誘のやり方というのは、証券市場の機能といいますか、価格形成機能をゆがめるという観点で禁止をしているわけでございます。
 私ども現在、事後の補てんについての禁止ということを検討しているわけでございますが、これも考え方としては事前の保証とは少し角度が違いますが、事後補てんするというようなことが予想されるといいますか、そういうような行為が行われますと、やはり自己責任原則というものがゆがめられてしまう。それによって証券市場における価格形成がゆがめられるおそれがあるんではないかというような形での、証券市場における価格形成機能に対する悪影響といういわば公益の面、それからもう一つは、証券会社というものがやはり公正な業務を行わないというような点もあわせて考えているわけでございまして、そういったような法益といいますか、そういう観点から事後の損失補てんについても法律で禁止をするという方向で検討しているわけでございます。
#37
○北村哲男君 少しさかのぼって、今回の補てんという問題が営業特金という契約から生じてきたということでありまして、営業特金という契約そのものを見ますと極めてあいまいであって、例えば営業特金の契約書はあるかというふうに聞いてみたところ、どこにもない。これほど大きく何兆円という形の金銭が動きながら契約書一つないという状態がわかりました。私自身さっぱりわからないので、民事局と相談したりいろんなところで調べましたけれども、営業特金契約そのものの概要がわからないわけですね。しかしそれが、営業特金があるゆえに補てんという非倫理的なことが生じてくるということを盛んに言われる。
 そこで、その営業特金という契約が、私はあるいは民法九十条の公序良俗に反して無効になるんではないかということも考えてみました。なかなか無理な点もあるんですけれども、営業特金という契約そのものを法律で禁止するということをお考えになっているのかどうか、あるいはそうだとすると、どういう理由でこれを禁止されようとしておるのかという点についてお答えを願いたいと思います。
#38
○政府委員(松野允彦君) 営業特金という言葉は、実は法律用語ではございません。これはいわゆる特金の中の一つの形態でございます。営業特金という言葉を私どもが使っておりますのは、特金の中に投資顧問契約がついた特金と投資顧問契約がついていない特金という二種類があるわけでございます。その投資顧問がついていない特金を我々は営業特金と、こういうふうに呼んでいるわけでございます。
 その中に、さらに強いて分けますと、本来のそういう投資顧問がついていない特金といいますのは、例えば企業あるいは金融機関が一定の資金を信託銀行に信託をいたしまして、投資顧問がついておりませんからみずから運用をするという契約になっているわけでございます。それが信託銀行との間の契約でございます。みずから運用をするという形のものが投資顧問がついていない特金、いわゆる営業特金だと、こういうふうに私どもは言っているわけでございますが、その中で問題になりますのは、みずから運用をすると言っていながら、事実上証券会社に運用をある程度ゆだねる。証券会社からいろいろ投資情報を得てそれを判断材料にしてみずから運用するという方もおられますし、あるいは金融機関のように、みずから運用能力がありますから証券会社の助言もなしにみずから判断して運用をしているというような、そういう営業特金もあるわけでございます。
 私どもが問題にしましたのは、証券会社が事実上運用を任されているような形の営業特金というものがあって、それが損失補てんの温床になるということで、そういったものを適正化しろという指導を始めたわけでございまして、そういったことから申しますと、この損失補てんという問題の一つの原因として、そういう投資顧問がついていない、しかも証券会社がある程度事実上運用を一任的になっているような営業特金というものが問題ではございますけれども、営業特金一般としましては、今申し上げたように、法律的にはこれは企業、金融機関が一定のお金を信託銀行に信託をして、その信託契約において私がみずから運用権を持っていますという形の契約でございますものですから、そのこと自体は法律上特に問題がないんではないかというような感じがしているわけでございまして、現在証取法改正作業の中では、先ほど申し上げたような考え方で作業を進めておりますが、今申し上げたような営業特金そのものについて証取法で禁止するとか、あるいはそれをどうこうするというような考え方はしていないわけでございます。
#39
○北村哲男君 今の点はもう結構です。
 次に、証取法の問題ですが、今まで余り出てきてないんですが、証取法の百二十七条という点についてお伺いしたいと思います。
 証取法百二十七条は二つの規定があります。一つは、自己の計算による売買の一任勘定を制限するという問題と、それから過当投機の制限ということ。すなわち、もう少し詳しく言いますと、百二十七条は、自己計算もしくは売買一任勘定の売買取引と過当な数量の売買取引であって有価証券市場の秩序を害すると認められる行為は大蔵省令で制限することができるという条文になっております。そして、その前者の売買一任勘定は既に大蔵省令で制限され、先日の通達でも厳しく制限された。しかし、後者の過当投機の制限ということについては大蔵省令は現在ない。
 なぜ問題にするかと言いますと、先日の田渕証人が東急電鉄の株の売買には行き過ぎがあったというふうな証言もしておられますし、確かにまた今問題になっております本州製紙の株の場合でも相当行き過ぎがあるということがありますし、こういう過当投機の制限という点をはっきりさせないために行き過ぎが放置されているんではないかという面もあるというふうに考えます。
 いろいろと証取法については、百二十四条とかそのほか、ちょっとはっきりしませんけれども、さまざまな観点から改正が図られておりますけれども、百二十七条についてはどのようにお考えになっているのか、お考えをいただきたいと存じます。
#40
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の百二十七条の後段でございます。「会員のなす過当な数量の売買取引であって有価証券市場の秩序を害すると認められるものを制限するため」「大蔵省令を定めることができる」という規定でございます。これは御指摘のように、現在この大蔵省令は制定されておりません。この百二十七条自体が取引所の会員だけに限定されている規定ではございますが、いずれにいたしましても、その過当な数量の取引というものが市場の秩序を乱すというようなことになる場合には省令で制限できるということになっているわけでございます。
 従来私どもは、この証券取引所におきます会員としての証券会社の取引につきましては、確かにこの過当数量というようなものについての制限をしていないわけでございますが、自己がもしやるということになりますと、これは免許の条件で自己が過大な取引をするということについては制限をしているわけでございます。
 問題は、委託、つまり投資家からの注文を市場に出すという場合でございます。これにつきましては、やはり投資家の注文を受注しないということは証券会社としては原則としてできないわけでございまして、委託注文まで制限をするということはなかなか難しい問題があるということで、自己取引についてはそれなりの免許の条件等で制限をし、委託注文についてはなかなか制限がしにくいということで省令が定められていないということでございます。
#41
○北村哲男君 それでは、その百二十七条の後段について、その大蔵省令をつくるということは今はお考えになっていないんでしょうか。
#42
○政府委員(松野允彦君) これにつきましては、直接この条文に基づく省令をつくるということよりは、実は五十条に基づきます健全性省令で、勧誘の仕方として一律集中的な勧誘をして公正な価格形成をゆがめる行為をしてはいけないという規定がございます。私どもは、そちらの証券会社の勧誘、営業姿勢のあり方の方で委託注文についての行き過ぎを抑えていくというような考え方を現在とっているわけでございまして、そういったことからいいますと、百二十七条にありますこの省令を直ちに今設けるということまでは考えていないわけでございます。
#43
○北村哲男君 それでは、ただいまの問題は結構です。
 次に、公正取引委員会に対してお伺いしたいと存じますが、既に何回も梅澤委員長がお見えになって、補てん行為が独禁法違反の疑いがあるということは詳しく述べておられます。その点については昨日もかなり詳しくお述べになったんですが、本日の新聞によりますと、横浜の弁護士会でしょうか、「損失補てん排除 公取申し立てべ」という記事もありますので、十九条違反というのはよろしいんですが、その結果、独禁法二十条に排除の規定があります。すなわち「当該行為の差止め、契約条項の削除その他当該行為を排除するために必要な措置を命ずることができる」と、十九条違反の場合はそのようなことができるというふうに二十条に規定してありますけれども、本件のような補てん行為が十九条違反と認められた場合には、その二十条というのは一体どういうふうに流れていくのか、どういうふうなことになるのかという点についての説明をいただきたいと存じます。
#44
○政府委員(糸田省吾君) ただいま委員御指摘の点でございますけれども、本件のいわゆる損失補てん問題について必ずしもつまびらかにしていない点もありますので、これに限ったお答えはなかなかしにくいのでございますが、これまでの不公正な取引方法の問題についての独占禁止法第二十条の規定による排除措置としてどのようなことが命じられたことがあるかということを中心に申し上げたいと思います。
 ただいま委員のお話にございましたとおり、この二十条で、「当該行為の差止め」、「その他当該行為を排除するために必要な措置を命ずることができる」となっているわけでございますが、違反行為の態様によっても若干の違いはあろうかと思いますけれども、例えばなお違反行為が続いている場合には、その行為の差しとめ、これは当然でございます。それから、その違反行為が、例えば契約とか覚書とか、そういったものを手段として行われているような場合には、その手段の排除ということも当然命令の対象になろうかと思っております。
 それからまた、今まで問題となっている行為が、これが独占禁止法に違反するものであるということにつきまして、これは社内において役員、従業員、その他に対する徹底、そういった認識を十分に徹底させるということも求めたり、またそのための言ってみれば社内における違反の防止策を講ずるようにということも命ずることもあり得るわけでございます。
 それからまた、問題になっている行為が独占禁止法に違反するものである、あるいはあったということにつきましては、これを例えば新聞広告のような形で取引先あるいは消費者などに対しましてよく知らしめるということも措置の内容として考えられているところでございます。
 それからまた、こういった違反行為を将来行うことのないようにということの命令も、いわば将来に対する不作為命令というようにも呼んでおりますけれども、こういった命令を二十条に基づいて行うということもあるわ付でございます。これらに関係いたしまして、こういった措置について具体的にとったことを相手方企業から公正取引委員会に報告をさせるということもあるわけでございます。
#45
○北村哲男君 終わります。
#46
○久保亘君 昨日、野別委員から本州製紙の問題について質問がありました。そのとき証券局長の方で、本州製紙株の問題については調査をしたが、株価操作とは認められなかったという御答弁がありますが、そのことはそのとおり確認してよろしゅうございますか。
#47
○政府委員(松野允彦君) 本州製紙株につきましては、特に平成二年の五月から八月まで非常に急騰し、売買高もふえておりまして、当時取引所と一緒に協力をして調査したわけでございますが、当時の調査では、株価操作というのが明らかに認められるような売買がなかったということで、株価操作の確証が得られなかったというところでございます。
#48
○久保亘君 それでは、平成二年の十月三、四、五の三日間に四百円、五百円、四百円、千三百円の急騰があっておりますが、この三日間の急騰について大蔵省はどのような調査をなさっておりますか。
#49
○政府委員(松野允彦君) 私どもの調査は、十月の御指摘の日にちにつきましてはこれは取引所の調査にゆだねておりまして、特に大蔵省としてその期間については調査をしておりません。
#50
○久保亘君 おかしいじゃないですか。大蔵省の調査では株価操作とは認められないということを御答弁になっておりながら、その最も重要な時期について大蔵省としては何にも調査をなさっておられないのですか。
#51
○政府委員(松野允彦君) 私どもが調査いたしましたのは、先ほど申し上げましたような平成二年の五月から八月にかけて株価が急騰している局面があるわけでございまして、その期間を中心にして調査をしたわはでございます。
 その結果、先ほど申し上げましたように、その期間につきましては株価が非常に急騰をしておりまして、いろいろ売買手口などを見たわけでございますが、特定の委託者あるいは証券会社による作為的、人為的な価格形成と認められるような取引が認められなかったということで、その当時の調査としては、価格形成上特に問題があるという確証が得られなかったわけでございます。
#52
○久保亘君 そうすると、平成二年八月以降のものについては、大蔵省は何にも関心も持たず調査も行わない、こういうことですか。きのうまではあなた株価操作はないと断定しているんだから。
#53
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の八月から十月の間はこの株価が急落をしているわけでございます。この期間につきましては、先ほど申し上げましたように、証券取引所においてこの急落局面についても売買審査をし調査をしたわけでございますが、取引所からは特にこの急落局面については問題がないという報告を受けているわけでございます。
#54
○久保亘君 だから私は聞いているんですよ。その九月二十八日と十月一日、二日のこの三日間、取引所においては千三百七十円の急落があるわけです。ところがその翌日、十月三日から五日にかけて千三百国会度は急に上げるわけですよ。だから、そのときの状況は大変不可解なものであるということで、あなたのところのこれは内部資料だと思うのでありますが、これには十月三、四、五日の売買、十月三、四、五日の株価はいずれの日も大量の買い成り行き注文のため、気配を更新しつつ大幅高となった。この三日間は調査期間中において特に株価の急激な高騰を示している部分であるため、当該期間について注文の内容等について詳細に調査することとしたと。こういうことは大蔵省はおやりになっておりませんか。
   〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕
#55
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の急騰の局面につきましては、これは今申し上げましたように、東京証券取引所で審査をいたしておりまして、私どもは特に調査をしておりません。むしろ、東京証券取引所が審査した結果、特に特定者による作為的な価格形成はないという報告を受けているわけでございます。
#56
○久保亘君 それでは大蔵省は、本州製紙については八月までを調査した結果、株価操縦には当たらない、こういうことで結論を出して、その後の本州製紙の問題については大蔵省は何の調査もやらなかったということですね。はっきりしてください。
#57
○政府委員(松野允彦君) その後につきましても東京証券取引所においては継続的に売買の審査、チェックをしておりまして、そこで何か問題があるという、あるいは何か新たな報道が行われると。か事実がわかりますと、それは私どもも調査をするわけでございますが、現在のところは東京証券取引所における売買審査というもので日々の価格形成をチェックして、それについて私どもに報告は来ているということでございます。
#58
○久保亘君 東証の報告を受けておられれば、東証の報告の中にどう書いてありますか。
#59
○政府委員(松野允彦君) 東京証券取引所からの報告では、特に作為的な相場形成が行われ、相場操縦が行われているという確証は得られていない、ただ若干疑問間のある取引もあるというような報告を受けているということでございます。
#60
○久保亘君 そうではなくて、旧誠備、安達グループにより買い占めが行われておって、そしてこれらの買い占めによる株価の上昇を図ったのは、保有株券の担保価値を保全すると株価水準の引き上げの必要も存在していたものと推測される。これらのことから同グループの注文ないし買い付けは相場操縦行為を禁ずる証券取引法第百二十五条第二項に該当するおそれのある行為と判断される、こういう文章をごらんになったことはありませんか。
#61
○政府委員(松野允彦君) 私どもが東京証券取引所から報告を聞いておりますのは、確かに御指摘のような幾つかのグループがいて買い占めが行われたという事実。それで、その買い占めについてはいろいろなことが考えられるということではございますが、市場における価格形成上はそれが特に人為的な価格形成になるというような確証が得られていないという報告を受けているわけでございます。
   〔資料配布〕
#62
○久保亘君 それでは、今委員長の許可をいただいてお配りいたしました資料と関連をいたしますが、十一月三十日、香港のディトゥカによる一億一千四百四十八万二千株の本州製紙の株のオプション契約について、大蔵省は調査を行われておりますか。
#63
○政府委員(松野允彦君) 御指摘のオプションの買い取引でございますが、これは平成二年の十二月七日に、いわゆる株式の大量保有にかかわる五%ルールに基づく報告書が私どもに提出をされておりまして、その中で、平成二年の十一月三十日付でそういうオプションを購入したという報告がなされているわけでございます。
#64
○久保亘君 この問題は、株価の操作とも大変重要な関係を持ってくるのでありますけれども、この一億一千四百四十八万二千株のオプション契約の相手方である三十五の個人並びに法人について、ただいまお配りをしております資料の中に株数を含めて記入してございます。
 このオプション契約の相手方についていろいろと大蔵省はお調べになったことはございますか。照会されたことは。
#65
○政府委員(松野允彦君) この件につきましては、大量保有の報告書を受理する際に、私どもとしては購入をいたしました方の代理人の弁護士から事情を聞きまして契約書を確認するというようなことも行っておりまして、その当時の受理に当たっての調査として可能な限りの調査をしたわけでございます。
#66
○久保亘君 それでは、このオプション契約に基づく買い取り権料は幾らになっておりますか。
#67
○政府委員(松野允彦君) このオプションを行使する場合の買い取り金額、価格でございますが、これは一株当たり三千円ということになっております。
#68
○久保亘君 いや、買い取り権料、手付料、幾ら払っているのか。
#69
○政府委員(松野允彦君) それは私ども把握しておりません。
#70
○久保亘君 契約書を直接見ていろいろそのとき調査をしたと言われている。契約書に買い取り権料は書いてあるでしょう。そんな契約がありますか。
#71
○政府委員(松野允彦君) この大量保有報告書の受理に当たりまして契約書を幾つか見たわけでございますけれども、すべての契約書を確認したわけではございません。したがいまして、全体の買い取り権料が幾らかというのは私ども把握をしていないわけでございますし、それは契約書をただ見て真正なものかどうかというのをチェックした、受理に当たってそういうチェックをしたということでございまして、契約の中身について一々私どもの方からその中身を問いただしたというような実態的な、実質的な調査をしたというわけではございません。
#72
○久保亘君 そうすると、本州製紙の問題については何にもあなた方は関心を寄せて調査していないということになるんじゃないですか。
 このオプションの契約が一億一千万株以上にわたって十一月三十日に発表されたことによって株価がまた一時急騰するわけですよ。だから、そういうことについて実際にそういう契約があったのかどうか、そういう問題をきちっと調べないと、向こうが、弁護士が持ってきたものを何通か見て、ああこれはいいだろうということでそのまま大蔵省は見過ごしたということですか。そんなことをやっているから、東急の問題だって相場操縦の問題について本気で監督官庁としてのあなた方の調査は行われていないということになるんですよ。
#73
○政府委員(松野允彦君) この本州製紙の買いオプションの契約による大量保有報告書でございますが、この趣旨は、あくまでも私どもとしては、そういう事実をディスクローズしろということを要求している制度でございまして、こういう大量の株の移動がある、あるいは大量の株を購入できる権利を取得するというようなことについて一般の人にわかるように大量保有報告書を出し、これは公衆縦覧になっているわけでございまして、一般の投資家にわかるようにして市場の透明性を高めるという趣旨のディスクロージャー制度でございます。したがいまして、私どもがこれに対して中身を実態的に調査するという制度ではございません。あくまでも一般の投資家に必要な情報を的確に伝えるという趣旨の制度でございます。
#74
○久保亘君 そのオプション契約や五%ルールについて、一般的な場合はそれでいいんですよ。しかし、本州製紙の株については、相場操縦の問題も含めてあなた方はこれに先立って八月段階の調査まで行われているわけでしょう。その本州製紙の株が十一月三十日に仕手グループと思われる人たちによって一億株以上もオプション契約に付せられる。これは本州製紙の発行株数の三三・一三%に当たる株式なんですよ。そういうものについて大蔵省は何の関心も持たず一般的な五%ルールで処理したと。そういうことだとすれば、私は、もう大蔵省には証券業に対する行政監督官庁としての資格は全くない、こう思うんですよ。それから、あなた方にこれ以上、監視機関を内局にするか外局にするか、そんなことをもうあなた方に考えてもらう必要は全くない。
 大蔵大臣、やっぱつ私は大蔵省のそういう業界に対する考え方というものに基本的に間違いがあると思うんです。だから、この際は大蔵省の官僚の人たちがどんなに考えようと、今度のこの行政の立場からの監視・監督の機関というのは大蔵省と完全に切り離した独立した機関でなければならぬと私は思うんですが、いかがですか。
#75
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から御指摘がありましたけれども、私どもは既に本院でも何回が、本委員会でも繰り返し御答弁を申し上げておりますように、大蔵省独自でスタートをいたしましたこの問題についてのプロジェクトチームの作業というものを八月十九日の時点で総理の行革審に対する御要請を踏まえて行革審にゆだねております。その行革審がどういう結論を出されるかにつきましては、これは私どもが今云々すべきことではございません。
 ただ同時に、ディスクロージャーの制度とまた特定の株式売買についての注意義務、今回、今委員が組み立てられましたような御論議というものは一つの御議論として承りますけれども、制度としてつくられている本旨の部分とは相異なる目的を求められておるような感じが私はいたします。しかし、株価操縦について疑いを持つべきであった、そしてそうした点からの注意を行うべきであった、この御指摘は私は率直にちょうだいをいたしたいと思います。
#76
○久保亘君 平成二年の十月三日から五日に至るこの株価の急騰、そしてそのときには非常に多くの売買が行われております。それから十一月三十日に、今言いましたように三三・一%の株式が香港のあの会社によって一挙にオプション契約が結ばれる。このオプション契約を結ぶに当たって三十五の法人や個人が個々に契約をしたのではなくて、これが一つに取りまとめられてやられたということは大蔵省はわかっておられるんでしょう、一人の弁護士が報告書を出しておるんですから。
#77
○政府委員(松野允彦君) 私どもがこれの受理に当たって弁護士の意見を聞いたのは、買った方の買い付け代理人としての弁護士でございまして、個々の契約が一緒に行われたかどうかという点についての確認までは私どもはしていないわけでございます。
#78
○久保亘君 そして、実際にはこの外国の会社にオプション契約していく、そういうことに当たっては国内の特殊なグループがいろいろと動いてこの株式所有者との間にそういう契約をさせていったという、そういうことについて調べていかなければ実際のところ本州製紙株をめぐる真相というのはわからないんじゃないですか。
 だから、私がさっき読み上げました資料は、これをいずれあなた方の資料とも私は引き合わせてもらいたいと思っているが、はっきり旧誠備グループ、安達グループということも名指しをしておりますし、そして証取法違反のおそれが非常にあるということを断定しているわけです。私は、そういう意味でこの本州製紙株について、大蔵省はこれらの問題について全く今まで調査しておられぬわけだから、十月の急騰の問題、十一月三十日のオプション契約の問題などを中心にして徹底的なこの問題の調査を行われる意思がありますか。
#79
○政府委員(松野允彦君) 十月の急騰局面につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、そのときは問題意識を持って、十月といいますか、八月の急騰局面につきましては取引所と共同で調査をしたわけでございます。このオプションの大量保有の報告書が出された前後の事情につきましては、これは取引所で売買状況はチェックをしていたわけでございます。もちろん、私どもも取引所における審査の内容については常時連絡を受け、取引所における売買執行か適正に行われているかどうか、価格形成が適正に行われているかどうかという点については取引所と常時連絡を密にとっているわけでございます。この件につきまして、さらに改めて取引所におきます当時の調査状況というものをもう一度取引所とよく内容について精査をしてみたいというふうに思っているわけでございます。
#80
○久保亘君 調査を株価操縦の問題について提起しているんだから、そのことについてそういうことがあったのかどうか、きちっと大蔵省として監督官庁として調査しますということを、あなた答えてください。
#81
○政府委員(松野允彦君) 私どもの調査権限というものが直接投資家に及ぶということがないという限界があることは御理解をいただきたいわけでございますが、御指摘でございます。私どもも取引所と協力し必要な調査を進めたいというふうに思います。
#82
○久保亘君 法務省はこの問題について、検察庁として関心を持って御調査になっておりますか。
#83
○政府委員(井嶋一友君) 突然のお尋ねでございますけれども、当委員会におきましてこの本州製紙の株の問題が数日来議論されておるということもございますし、マスコミもいろいろ報道しておりますから、そのこと自体は検察も十分認識をしておると思いますけれども、どういう対応をとっておるかということはちょっと私、報告を受けておりませんのでお答えいたしかねますが、そういう状況だろうと思います。
#84
○久保亘君 それでは、今度は別の問題で国税庁を中心にお尋ねしたいと思いますが、株式の問題でいろいろ事が起こるときに必ず名前の登場する方でもございますが、地産グループの竹井元会長、この所得税法違反容疑について東京国税局が調査を開始したのはいつでしょうか。
#85
○政府委員(冨沢宏君) 個別の案件でございますので、いつというお尋ねについては御容赦いただきたいと存じます。
#86
○久保亘君 それでは、竹井氏が修正申告を行ったのはいつですか。
#87
○政府委員(冨沢宏君) 今、ちょっと資料ございませんが、新聞報道では十二月ごろというふうに記憶をいたしております。
#88
○久保亘君 修正申告を受けた役所が新聞報道によればって、何ていうことを言っているんですか。まあ恐らく個々の問題だから言いたくないので、新聞報道でと言ったんだろうと思うんです。
 平成二年の十二月に修正申告を行っておりますね。聞くところによれば、個人としては史上最高の所得隠し、最高の脱税によって彼は調査を受けたことに気がついて、十二月に修正申告を行った。東京地検がこの問題について強制捜査に入るのがことしの五月十四日ですが、東京地検の強制捜査に先立って、国税庁、東京国税局はこの問題について地検と協議をされましたか。
#89
○政府委員(冨沢宏君) 一般的に申しまして、査察立件をする場合には私どもの独自の判断で行っておりまして、必ず地検と事前に協議をするということではございません。
#90
○久保亘君 それはそうでしょう。しかし、私が聞きたいのは、東京国税局が、個人として史上最高のこの脱税に気がついて調査を開始したのが平成二年の十一月、そして十二月にはそのことを知った本人が修正申告を行って処理した。その後、国税庁の指導のもとに東京国税局はこの修正申告を受けた後、査察は行わなかったのではないですか。そして五月十四日、東京地検の強制捜査開始と同時に査察に入っていくのではないでしょうか。そこはどうなっておりますか。
#91
○政府委員(冨沢宏君) 本事件につきましては、平成三年の五月十四日、東京地方検察庁と共同で査察調査を行っております。一般的に申しまして、大きな事件、困難な事件につきましては地検と共同で調査を行っている、そういうケースも多いわけでございます。
 なお、私ども修正申告が出たからといって査察調査をしないというようなことはございませんで、大口、悪質の脱税の疑いがございますれば当然査察調査をいたしております。
#92
○久保亘君 十二月に修正申告が行われてから半年近くも捜査に着手することなく、東京地検は告発を待たず強制捜査に着手しておりますね。地検の方は、検察庁の方はそういう理解でよろしいですね。国税庁からの告発が行われたわけではないが、地検独自の捜査によって、国税庁の協力も求めながら五月十四日、強制捜査に入った、こういうことでいいですね。
#93
○政府委員(井嶋一友君) 竹井博友に対します所得税法違反事件の捜査状況でございますが、委員御指摘めどおり、平成三年五月十四日に強制捜査に着手いたしました。
 なお、詳細に申し上げますと、この前に国税と協議をいたしまして、国税当局も当然国税犯則法によりましていわゆる強制的な捜索権があるわけでございますから、国税も令状をおとりになる、検察庁も刑事訴訟法に基づきまして押収捜索令状をとりまして、同時に合同捜索をしたわけでございます。これが五月十四日でございますので、六月六日に身柄を検察庁が逮捕いたしまして捜査を継続いたしまして、その身柄の満期であります六月二十六日に所得税法違反で起訴をするわけでございますが、同日、国税局から告発を受けておる、こういうことでございます。
 一般的に申し上げますと、こういう捜査方式も従来何回もとられておるわけでございます。と申しますのは、御案内のとおり国税当局は身柄のいわゆる逮捕権がございません。したがいまして、従来原則的な捜査手法は、いわゆる在宅で査察調査が行われまして、告発を受けまして検察庁がさらに捜査を進めていくというのが一つのパターンでございますが、事案によりましては検察庁の持っておる逮捕権を併用して使う必要がある場合があります。そういうこともございますので、告発に先立っていわゆる同時に合同で捜査を開始し、身柄をとり、そして捜査を進めて起訴の前に告発を受けるというケースは一般的にはあるわけでございます。
#94
○久保亘君 一般的にあるというよりは、今あなたがおっしゃったように通常行われるケースとは違う、別にそのことが間違っているとかなんとかじゃなくて、余りない形で行われた。今までの巨額の脱税事件というのはほとんど国税の告発があって、そして強制捜査が行われるというものが多いと私は思うんです。
 このことについて、なぜ私がこんなことをお尋ねしているかといいますと、これはテレビによって七月三日報道されたことなんです。個人としては史上最高の三十四億円を脱税したとして起訴された地産グループの総帥竹井博友被告が、国税当局の税務調査を受けた直後の昨年十一月、自民党の派閥領袖クラスの大物議員の親族が経営する会社に一億円を融資していたことがわかりました。関係者の証言によると、竹井被告は、東京国税局の税務調査が入った直後の昨年十一月二十七日、自民党の派閥領袖クラスの大物議員の長男が経営する会社に、地産グループの金融会社木鶏を通して一億円を融資したというものです。この一億円の返済期限はことし五月三十日とされていましたが、東京地検特捜部の捜査が本格化したことし三月、突然返済されたということです。これがテレビで報道された内容であります。
 このようなことは国税当局によもやあり得ないことだと思いますが、私が検察当局に聞きたいのは、この事件との関係は別にして、今報道された会社というのは何という名前かというので調べてみましたら、和三紫という名前ですね。和三紫という会社に竹井の会社の木鶏から十一月に、自分が調査を受けた後一億円融資する、こういうことが行われて、そしてその政治的な方やいろいろな関係が国税当局の捜査を鈍らせたのではないかという報道もあります。
 だから、検察当局に聞きたいのは、この竹井問題の調査の中で、木鶏から和三紫に対して一億円の融資が行われたという事実は確認されておりますか。
#95
○政府委員(井嶋一友君) お答えいたします。
 今、委員御指摘のような報道がなされたということは確かに記憶をいたしておるわけでございます。ただ、その真偽のほどを調べたかどうかということにつきましては、私は、検察当局から報告を受けておりませんのでお答えいたしかねますが、いずれにいたしましても、これから公判が始まっていくわけでございますので、詳細のところは差し控えさせていただきたいと思います。
#96
○久保亘君 特に私が気になりますことは、国税関係者のコメントとして、「東京国税局では伝統的に修正申告を受ければ査察を直前でも取りやめることが多い。大阪国税局では修正申告が出ても必要なときは査察する。これは東京では事件が多発し消化しきれないための税務行政上の配慮だ」と、こういう国税当局者のコメントというのが新聞に報道されたことがありますが、よもやこんなことがあり得ようはずはないが、国税庁、何か言うことがあったら言ってください。
#97
○政府委員(冨沢宏君) お話しのように、そのようなことは全くございません。
#98
○久保亘君 このようなコメントをした者がいるということになれば、どういうことになりますか。
#99
○政府委員(冨沢宏君) 国税関係者でそのようなコメントをした者がいるというようなことは信じられないところでございます。
#100
○久保亘君 信じられないことがあるのがどうもこの世界のことで、それで今私が申し上げたようなことについて、私はこのことを問題にするというよりは、このようなことが論ぜられたり報ぜられたりするというところに問題があるということを言いたいのです。
   〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕
そして、行政の責任の継続性ということをしょっちゅうあなた方は言われるけれども、やっぱりそのときになれば、きのうも証券局長がそのときは私は局長じゃなかったということを言われた。そうなると、この竹井の脱税問題にしても株価操縦の問題にしても、当時その衝にあった人に証人としてここに来てもらってお尋ねしなければ、我々としては真相を究明できない問題があるということを今度のこの審議を通じて非常に強く感じております。
 私はそういう意味で、当時証券局長であり、またこの脱税事件等の際に国税庁長官を務められた角谷正彦氏をぜひとも本委員会の証人として喚問せられるよう要求したいのであります。この点については、改めて理事会において他の喚問の要求とともに強く要請をいたしますので、委員長の方でお取り計らいをいただきたいと思います。
 次に、東急電鉄株の株価操縦について一、二点だけお聞きしておきます。
 平成元年の十月十八日から三十一日までの十日間において、野村証券は自己売買によって九億一千八百万の利益を上げたことを証言されております。なぜ十日間というかと言えば、十月の十七日までは東急株の自己売買が全くないからであります。十八日から突如としてこの自己売買の数がふえて、三十一日には十月中の売買の数がほぼ見合う形で全部処理されております。そして野村証券は九億一千八百万の利益を上げているわけであります。このようなことがインサイダーや株価操縦と全く関係のないものだと言い切ってよいのでしょうか。その点についてぜひ伺っておきたいと思います。
#101
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の期間東急株が急騰を見ているわけでございます。その中におきます証券会社、特に野村証券の自己売買の具体的な状況というものもあわせて私ども今調査の中で詳細に検討をしているわけでございまして、御指摘のように、この野村証券による自己売買が市場に影響を与える、あるいは何らかの、インサイダーといいましてもこれは法律上定められております重要事実というもの、一応そういう重要事実が公表されるまでの間の売買というふうな厳格な要件はございますけれども、いずれにいたしましても、この野村証券の自己売買も含めまして全体の東急株の当時の状況の中での野村証券の動きといいますか、こういったものを十分今調査しているわけでございます。その中では当然御指摘のような問題意識も持って調査をしたいというふうに思っております。
#102
○久保亘君 石井ファミリーの入手した三千万株に近い東急株のうち、その株の入手経路が明確にならない六百万株についても大蔵省は調査をされておりますか。あるいは警察庁、兵庫県警の捜査本部においてはこの問題について追及をやられておりますか、お尋ねいたします。
#103
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の点につきましても、市場経由で購入された分とそうでない分がございます。その点については私どもも問題意識を持って調査を進めているところでございます。
#104
○政府委員(國松孝次君) 石井前会長の保有をいたしております二千九百万株の中身につきましては、私どもも解明をいたしておるところでございます。六百万株という具体的な数字が出ましたけれども、もう少し少ない額でございますが、まだその入手経路というものについて明らかになっておらないところがあるのは事実でございます。それにつきまして今解明をしておるというところでございます。
#105
○久保亘君 その中に宰明という会社がございますね。この宰明という会社は、私が大蔵省に調べてもらいましたら法人登記あり、こういうことでありましたけれども、昨日該当の法務局で調べさせましたら登記なし、こういうことであります。大蔵省が宰明というファミリーの関係会社は登記ありという返答をされたのは何の根拠でしたか。
#106
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の宰明という会社につきましては、実は私どもが直接調べたわけではございませんで、証券会社からの報告でそういうふうな報告を受けて御連絡したということでございます。この登記の有無について私どもが直接確認をしておりません関係で、そういうふうな証券会社からの報告をお伝えしたということで御了承をいただきたいと思います。
#107
○久保亘君 それは大変けしからぬと思いますね。野村証券が宰明の口座を開くに当たっては、当然に登記簿謄本と印鑑証明が添えられなければ口座は開設できないはずです。それを野村があなた方にそう言ったとするならば、野村はますます大蔵省なんというのは、あんなのはどうでもいいんだ、こういうことになってくるんじゃないですか。
#108
○政府委員(松野允彦君) この会社につきましては、今申し上げましたように、証券会社からの報告によるわけでございますが、証券会社は登記簿謄本をとっているというような報告をしているわけでございまして、私どもはまだ登記簿謄本までは確認をしておりませんが、登記簿謄本をとって実在の登記されている会社だというふうな報告をしてきております。
#109
○久保亘君 私の秘書が、きのう長時間にわたって法務局でこれを調査いたしましたが、職員の方に御協力願ってもついに発見できませんでした。これは厳重に調査をしていただいて、野村証券が持つ謄本があれば一緒にお示しいただきたいと思います。
 最後になりますが、損失補てんを決定した野村の専務会と大蔵省の通達、指導との関係について国民はぬぐいがたい不信感を持ちます。
 そこで、平成元年三月十三日の野村の専務会において決定された前後に、十社社長会が翌日の三月十四日、四社副社長会、この専務会に提案した副社長が出る会が三月二十七日、株式本部長会が三月二十九日、四社社長会が三月三十日、いずれも大蔵省がこれに出席をいたしております。そういう中で、この野村の専務会の決定について報告を受けたか。それから、三月二十七日に自主報告を受けたら、この自主報告の中で、通達に違反する補てんを処分覚悟で行ったことを明らかにしているはずです。そのことについて大蔵省はどんな指導をやったのか、そのことをはっきりしてもらいたい。
#110
○政府委員(松野允彦君) 平成二年三月二十七日に野村証券から自主報告があったわけでございます。その自主報告に際して、通達発出後の株価急落局面において、営業特金の適正化をめぐってトラブルが起こって、その解決のために余儀なく損失補てんをしたという説明がなされたわけでございまして、それに対しまして私どもの方からは、損失補てんを特に通達後も行ったということで極めて不適切だ、極めて問題があるということで、野村証券に対しては厳しい社内処分を検討するようにという指示をしたわけでございます。
#111
○久保亘君 社内処分をやれば物事は済むという考え方はだめだよ。
 終わります。
#112
○白浜一良君 まず最初に、大蔵大臣にお伺いしたいんですが、既に大臣も御承知だと思いますが、今回のいわゆる証券スキャンダル、また金融問題等、いわゆるバブル経済のツケがさまざまな形で出ているということなのでございます。
 昭和五十六年から六十年のいわゆる平均値と平成元年度の数値、これを比較してみましたら、例えば資金運用面で申し上げますと、全産業分野で五十六年から六十年、五年の平均は七五・七%が設備投資に回っているわけでございます。それに比べまして金融資産というのは一九・六%、資金運用面ではそういう比率になっているんですね。ところが、平成元年度におきましては、設備投資は四五・二%、本当に三十数%設備投資が落ちているわけです。そして、金融資産が逆に一九・六から五一・四%まで急激に膨らんでいるわけですね。当然それと並行しまして、調達面で見ましたら、エクイティーフフイテンスが五年間平均が一八・八%で、平成元年度は四九・七%、急激に膨らんでいるわけでございます。最も大事な製造業の部門で見ましても、設備投資が七一・六から四八・二、金融資産のふえ方が二四・八から四〇・三、エクイティーファイナンスの調達度から見ましたら二五・〇から七一・一。本来健全に資金調達され、健全な設備投資をされるべきものが非常に金融資産面に回った。これがすべての問題でございます。
 ですから、今大蔵省で再発防止とかいろいろ考えていらっしゃいますけれども、国民の目というのは、一番問題はどこかと申しましたら、大蔵省がこの時代に対する適切な金融政策を打たなかった。また、これだけのトラブルが起こっている背景には、そういう実際の資金運用と証券会社または銀行と大蔵省の関係というのは不明確だ。そういうものが明確にならない限り今回のこの一連の問題というのははっきりしない。それが一番私大きな原因として指摘できると思うんですよ。
 ですから、今後の問題としてさまざまな再発防止を考えることも大事でございますが、一政府として、大蔵省として過去のいわゆるバブル経済において適切な行政措置がされなかった、対応がされなかった、私はそう思うわけでございますが、まず冒頭に大臣の所感を伺いたいと思います。
#113
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、円高の進行する局面において、その当時要求されたさまざまな条件の中から、その時代その時代に合った施策が打たれてきたと思います。これは、私どもが直接所管することではありませんけれども、日銀の金融政策等も、公定歩合に対しての対応等も先般来さまざまな御論議がありました。そして、そういう努力の中で、要するに円高による不況というものを吸収していった。そして、内需中心の自律的な経済成長というものを、今日巡航速度になってきているといいながら落ちついた成長を保っているその原因もこの中にはあるということはまず申し上げたいと思います。
 と同時に、私は証券について合弁解をするつもりはございません。ただ、その間において、いわゆる三高二安というような言葉が使われました中で、もう一つの資産格差の拡大という視点から土地が随分問題になりました。そして、本来なら国土利用計画なり都市計画なりというものがその役割を果たしていただくべきだと言い続けながらも、大蔵当局の立場といたしましては税制に、あるいは総量規制にとさまざまな努力を払ってきたことも私は御理解をいただきたいと思います。
 ただ、それで足れりとしたかと言われるなら、私は、結果が示すとおり、それが万全でなかったことを認めます。しかし、その間の政策選択のすべての責任が、例えば金融政策にあった、あるいは財政政策にあったと言われるのでありますならば、私は例えば、むしろ仕事が切れることを非常に心配されて御論議が行われ、公共投資の追加が行われた時期も存じておりますし、その時期その時期の経済局面において努力を払ってきたことも一方では御評価をいただきたい。生じた問題についての責任を回避するつもりはありませんが、すべてが当時の金融財政政策の誤りだったと言われるなら、私は、そればかりではない、むしろ本質的に内需中心の経済拡大を維持してきたその役割というものに財政金融が果たした役割も認めていただきたい。問題を生じた部分についての責任を回避するつもりはありません。
#114
○白浜一良君 私、すべてが悪いと言っているわけじゃないわけで、適切な手を打たれなかったということを言っているわけでございます。具体的な会社の例を出してもいいですけれども、要するに企業の設備投資に回すために資金調達する、ワラント債なんか発行される、本来そういう目的であるものが、市場から資金を調達して、それをいわゆる株式に投資する、そういうことが当たり前に行われていたわけで、それは確かに内需拡大しなきゃならない、そういういろんな需要があったのは私は認めますよ。しかし、そういう政策をとったら、いろんな金融面での危惧、トラブルが起こるということは当然予見できることでございまして、そういうことに対して適切な手を行政としてとられなかったということを私は申し上げているわけでございます。
 それでは、ちょっと具体的なことを一、二点お伺いします。
 山一と旧三井銀行でいわゆる補てんの問題がございました、昨年これ新聞報道された件でございますが。六社に対して両社が折半しまして、山一が四十九億六千二百万円、旧三井も同じく四十九億六千二百万円、計九十九億二千四百万円の補てんをした。これは、銀行か顧客に対して、ええ金になる、ええ財テクになりまっせ、こう言って貸して、それがそのまま山一にその運用は行った。会社の方は、何か財テクが余り目立ったらかなわぬということで証券会社には行きませんと。銀行か窓口になって証券会社と取引して、そして結局損が出たから両方責任を感じて補てんしましたと、こういう問題があったんですよ。
 この計六社の元本、原資は幾らか、局長、御存じですか。
#115
○政府委員(松野允彦君) 山一証券からの報告では、六社の投資元本は合計で百十二億円でございます。
#116
○白浜一良君 大臣、私は原資が百十一億と聞いているんですけれども、百十二億ですか、そちらの話ですな。私、この間聞いたら百十一億とおっしゃっていましたね。まあよろしいわ。
 原資が百十二億、それで実際補てんしておるのが約百億ですよ。大臣はどう思われます、この事実。これ商いですか、正当な。
#117
○国務大臣(橋本龍太郎君) 正当な商いというものの常識をはるかに逸脱していると私も思います。
#118
○白浜一良君 だから、この裏にあるのは、銀行か六社に対して融資するときに、このぐらいはもうかりますよという暗黙の、要するに利回り保証的な商い、それが大銀行を媒介にして行われているということ自身に、これ去年ですよ、何か処置されましたか、この問題に関しまして大蔵省として。
#119
○政府委員(土田正顕君) 銀行側のことについて御説明を申し上げます。
 この事件は、現在は太陽神戸三井銀行になっておりますが、その合併前の旧三井銀行の神田、飯田橋両支店で起こったものでございます。
 これに対しましては、人事上の処分を行っておるわけでございます。一つは平成元年三月に実施したものがございまして、当時の会長、社長、それから担当役員等について、報酬、賞与のカットを行っております。それからさらに、その後でございますが、本年、担当の副頭取や担当の常務の降格ないしは退任の措置をとっておるようでございます。
#120
○白浜一良君 旧三井の社内処分を私聞いているんじゃないんです。要するに、利回り保証として考えられても不思議じゃない、そういう商いが行われている。まして、そういう本当に常識では考えられない商いの事実、そういうものに対して、そういうことがあってはいけないとして、監督の立場にある行政として何か処置をされましたかということを私聞いているんです。社内処分を聞いているんじゃないんです。
#121
○政府委員(土田正顕君) 私どもとしましては、このような損失補てん事件が発生いたしまして大きな社会批判を受けたことに、公共性の強い金融機関の性格にかんがみ、甚だ遺憾と考え、また今後かかることがないように厳重に注意をいたしたものでございます。
 これを受けまして銀行の方では、自主的にではございますが、各種の処分を実施したという報告を聞いております。
#122
○白浜一良君 だから大臣、こういう事実を私は知っていただきたい、行政として適切な処置がされていない、そのことを申し上げておきたいと思います。
 次に、東急株のことに関しまして、ちょっと一、二点お伺いしたいんですが、九月二日の毎日新聞に大蔵省の内部資料だということで、八九年の四月から十一月までの東急株の売買シェアで野村証券が二一・四%、こういう記事が載りましたが、局長、これは正しいんですか。
#123
○政府委員(松野允彦君) 今の二一・四%という数字は、ちょっと今調べておりましてあれでございますが、四月から十一月の数字でございますね。
#124
○白浜一良君 はい。
#125
○政府委員(松野允彦君) わかりました。ちょっと調べまして後ほどお答え申し上げます。
#126
○白浜一良君 それを教えてもらわぬと話が次へ行きません。
 私が申し上げたいのは、局長、野村証券本体のシェアも教えていただきたいし、いわゆる野村系列と言われている証券会社がございますね。国際証券、一吉証券、高木証券、ワールド証券、エース証券、日栄証券、丸八証券、こういう各証券、それも含めて個々のシェアと野村系の全体のシェア、それを私教えていただきたいんですが、教えていただけますか。四月から十一月、累計で結構ですから。
#127
○政府委員(松野允彦君) 累計の数字は今ちょっと手元にございません。
 野村グループ、いわゆるグループと言われております会社が数社ございます。それを合わせて四月から十一月の累計ということでございましたら、早速つくりまして御報告申し上げたいと思います。
#128
○国務大臣(橋本龍太郎君) 十月、十一月じゃだめですか。
#129
○白浜一良君 十月、十一月はあるんですか。合計もありますか、全部、直系のものも、十月、十一月。
#130
○政府委員(松野允彦君) はい。
#131
○白浜一良君 それでは、それを言ってください。
#132
○政府委員(松野允彦君) 十月月間でございますが、野村証券とそれからいわゆる野村証券のグループ会社と一般に言われております八社でございます。具体的に申し上げますと、国際証券、三洋証券、日栄証券、一吉証券、ワールド証券、高木証券、エース証券、丸八証券でございます。この八社と野村を合わせた合計九社でございますが、十月中の売り株数のシェアが二八・九%、買い株数のシェアが三三・四%でございます。それから十一月は、同じ九社で売り株数に占めるシェアが二八・八%、買い株数に占めるシェアが三三・三%ということになっております。
#133
○白浜一良君 私が申し上げたいのは、野村そのものもいわゆるガリバーであるわけでございますが、系列証券まで含めたらもっとガリバーになっている、非常に株価操作なんかもしやすい状況になっているということでござい産す。
 そこで、この系列の問題で、こういうのはいいのかと。確かに金融会社は持ち株は五%以内と、そういうふうになっておりますね。ところがいわゆる野村グループで占有している、そういう会社が多いんですよね。私、高木証券というところを調べたんですが、これも直系の証券会社です。これは、野村証券は確かに四・六%しか保有されておりません。ところが、野村証券投資信託が一四・九%、野村総合研究所が七・八%、野村土地建物が四・九%、グループの四つだけ足しても三二・二%この高木証券の株を保有している。だから、操作しやすい状況、何か売り買いを決めれば、直系の証券会社まで含めて売り買いがされる、そういう環境がまずある。私、この事実が非常に大事であると思うわけでございます。
 まして、これだけの株を保有しているということは、私この高木証券の役員構成を調べました。会長さん、社長さん、副社長さん、全部野村証券から行っていらっしゃいます。株の保有、役員構成から見て、当然一体となる証券会社だ。野村証券そのものはこの高木証券の株を四・六%しか持っていない、単にこういうことでは済まない事実がある。
 きょう公取から来ていただいたわけでございますが、この件に関して独禁法に触れないかどうか、ちょっと御見解を伺いたいと思います。
#134
○政府委員(梅澤節男君) 独占禁止法十一条という規定がございまして、金融会社、これは銀行、証券、保険会社でございますが、これの株式保有について一定の制限がございます。これは我が独占禁止法の非常にユニークな構造規制と言われているものでございますが、この規定の立法の趣旨は、金融会社というのは一般の事業会社と違いまして金融力を背景に他の会社を支配しやすい状況にある、それからもう一つは、そういった背景のもとで金融会社を中核として経済力の集中が生じやすいというところで、この五%という他の事業会社にはないこういう規制があるわけであります。
 今、委員が御指摘になりました野村証券それからいわゆる関連会社、末端におきます国際証券でございますか、それの株式の保有を合算すると三〇%を超えると。この状況につきましては、公正取引委員会は、当委員会に提出されます株式保有報告書ないしはいわゆる有価証券報告書等で株式所有の実態については常に状態を把握しておるわけでございます。国際証券につきましてその三〇%を超えるという実態にあることは承知をいたしております。
 ただ、独占禁止法の十一条の規定は、五%の実質的な保有という観点でいわば構造規制をしておるわけでありまして、例えば名義株のような形で、実際は五%を超える株式を持っているにかかわらず、それを仮装して五%というふうな形になっている場合には、これはもちろん端的に規制されるわけでありますけれども、今の実態はやはり、関連会社とは言われるわけでありますけれどもそれぞれ独立の法人格を有する会社が株式を保有しているわけでございますから、これ自体をもって直ちにこの十一条違反ということで規制するということは、現在の独占禁止法の規制の範囲を超えているというふうに言わざるを得ないと思います。
#135
○白浜一良君 私言ったのは、国際じゃなしに高木証券の話をしたんです。
 そうおっしゃいますけれども、いわゆる野村グループとして、関連グループとして持っているそういう影響力というものがこの高木証券に及んでいるということを私言っているわけです。また、そういう株の売買、操作に紛らわしい、そういう予見されかねない、そういうことをどう考えるかということを私言っているわけでございまして、実際問題として例えば野村投信が一四・九%、一番株の保有高が高いんですよ。しかし、四・六%しかない野村証券からこの会長も社長も副社長も全部出向している、こういう事実を私は指摘しているわけでございます。どうですか。
#136
○政府委員(梅澤節男君) 株式の保有規制については、先ほどその趣旨なり規制の建前というものを御説明申し上げたわけでございます。
 独占禁止法でこの株式保有につきまして別途十条という規定がございまして、これは競争の実質的制限に至るような場合は株式の保有について規制されるわけでございますが、今御指摘の事態は証券市場の実質的支配というものに当たるかどうか。これは、証券会社というのは、独占禁止法の立場からいいますと、一つの事業会社としてサービスを供給している会社ということでございますから、例えばその間で手数料等について何らかの合意があって、しかもそれが株式市場全体について競争をゆがめているというふうな事態が起こりましたような場合には、例えばカルテルというふうな措置でもって、そういう認定が行われた場合でございますよという規定があるわけでございます。
 今の事態そのものが政策上の当不当の判断は私ども申し上げる立場にはございませんけれども、独占禁止法で何とか規制できるかということになると、私は、一概に今の法律の建前からいって、そういうものについて介入をするということについては、もちろん事実を調べなければなりませんけれども、そういった表面的な事象だけでもって直ちに独占禁止法で規制を受けるというふうな問題ではあるいはないのではないかというふうに考えております。
#137
○白浜一良君 日本の証券市場は、大手四社の寡占状態が今問題になっておりまして、まして野村がガリバーだと言われている。その辺の構造的問題を厳格に認識しなきゃならないということを私指摘したわけでございます。
 もう時間がございませんので、最後に何点かちょっと。
 この間、毎日新聞に、これも衆議院の我が党の議員が要請しました資料、二十億円以上の補てんの取引事例というのが載りましたね。これに関して何点か御質問したいと思うんですが、まず大臣、特にこの資料の中で、日立製作所がワラントを利用しまして、同日売買で七倍強で買い戻されたという事実、これどう思われますか。
#138
○国務大臣(橋本龍太郎君) 済みませんが、具体的な話がよくわからないので。
#139
○白浜一良君 それでは、もういいです。大臣でないと意味がない。
 それで、この手口を見ましたら、いわゆるワラント、外債・ストリップス債、これがほとんどでございます。私も専門家じゃないので余り詳しくわからないんですけれども。そこでちょっと相談したいんですが、補てんじようという目的、意思、そういうものが禁止される、これは当然でございますが、しかしその補てんの仕方として、適切な商い行為、売買行為というものが起こらなきゃならない。当日の売買で安く売って七倍で買い戻すというのは、経済行為、売買行為としてこんなことが認められてはならない。いわゆる売買行為としての規制、そういうものを私はやっぱり考えなきゃならない、そう思うわけでございます。
 そういった面で言いましたら、まずストリップス債でございますが、これは非常にわかりにくい。市場がないわけです。透明感がない。もう相対取引で勝手な値段で売買される。だから、ここの透明感をやっぱり出す必要がある。これ局長、どうですか。
#140
○政府委員(松野允彦君) 御指摘のストリップス債でございます。これは外国の証券、特にアメリカの財務省証券といいますか、アメリカの国債でございますが、これは元本と利札部分を分離して個別の証券、として売買されるというようなものでございまして、これにつきまして、国内で売買されておりますものめうち一千万円以下の取引につきましては協会でルールがございまして、外国の取引所に上場されている、あるいは店頭登録で売買されている、いわゆみ端的に申し上げますと価格が公表されているというものについて店頭取引を行い、それについては外国で出ております値段から乖離しないようにというルールがあるわけでございます。ところが、一千万円を超えます大口の取引につきましてはそういうルールが現在ないわけでございまして、そういった点で時価と乖離した取引が行われて損失補てんの手口に使われたということでございます。
 私どもも、ストリップス債というのはいろいろな銘柄があるわけでございまして、なかなか組織的に気配を公表するというのは難しい面があるわけでございますが、しかし現実にこういうような恣意的な価格で取引が行われるということになりますと、やはり問題にする必要があるわけでございまして、こういうものについても、大口取引についても市場の整備をさらに進めていって価格をはっきり公表させる。それに従って取引を行うというようなルールをつくっていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
#141
○白浜一良君 ぜひともそうしないとこういう不明朗な取引が行われると思います。
 それから、外貨建てワラント債がございますね。これも局長の答弁で、昨年の七月に証券業協会の会議がでざいまして、九月からいわゆる市場の整備、書類を私も見ました。確かにこれ出ております、こういうふうにしますよというのが。ところが、これ見ましてもまだ不明確なんですね。要するに仕切り値の問題で、営業時間内の取引の内容というのは指定されておりますが、営業時間外であれば仕切り値の指定がない。私はそのように見えるんですけれども、どうですか。
#142
○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のように、現在の取引の仕組みは営業時間内における仕切り値幅制限を決めているわけでございまして、それでは、営業時間外はどうかという問題があるわけでございます。
 ユーロドル建てでございますから、ロンドンで市場があるというようなこともございますが、御指摘の点私どもも、営業時間外だから恣意的にやれるというようなことでは困るわけでございまして、実際にはこの制度を整備いたしましてからは、営業時間外についても営業時間内の価格、終わり値あるいは外国で出ております値段というようなものを勘案して、それから外れた価格で証券会社が取引をしているというようなことはないというふうに報告を聞いているわけでございますけれども、なおこの市場のルールについてもう少し検討をすべき、あるいは改善をすべき点がないかどうか検討していく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 それから、大変恐縮でございますが、先ほど一番初めにお尋ねがありました野村証券の四月から十一月の買い付けシェアでございますが、これは一御指摘のとおり二一・四%で間違いございません。
#143
○白浜一良君 これもゆっくりいろいろ伺いたいんですが、もう時間がないので、最後に局長に一括して私御質問したいんです。
 例えば年金福祉事業団が国債の売買で補てんされた、補てんされてない、ここでえらいもめたのでございますが、あれなんか国債の売買、いわゆる仕切り値が二%である。確かにそうなんですけれども、ベースを大きくしてたくさんもうけるようにしているわけです。これ、今の仕切り値二%というものもちょっと考えた方がいいんじゃないか、このように思います。昨日もちょっと出ておりましたが、証券会社において、委託売買注文と自己売買注文が同時に同数出る、こういう行為を禁止しないとどうしてもそういう商いの温床というのは残るわけでございます。この二点の所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
#144
○政府委員(松野允彦君) 国債の店頭市場における値幅上下二%の制限ということでございます。合わせまして四%になるわけでございまして、確かにこれが適正かどうか、店頭市場でございますから手数料がございません。そういうこと。では手数料相当額というようなものが値幅として認められるということはあるわけでございます。これにつきましても、国債のディーリングというのは非常に盛んに行われているわけでございまして、直ちに二%をどこまで縮小できるかという問題はあるわけでございますが、こういったものが悪用されるということになりますとこれは問題でございまして、国債の売買の実態を見ながら二%についても検討をしていく必要があるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。
 それからもう一つ、売買同時に両建てで出して、こういう例のつけかえの問題でございます。これもどういう改善策があるのか。取引所における取引でございますから、取引所とも相談しながら、こういうような行為が、確証はございませんけれども、行われているという疑いがあるわけでございまして、こういうものを防止できるような取引ルールを考えていきたいというふうに思っております。
#145
○白浜一良君 以上で終わります。
#146
○高井和伸君 私は、金融問題につきまして、まず日本銀行にお尋ねいたしたいと思います。
 過日の当委員会におきまして、富士銀行、住友銀行、日本興業銀行の各頭取の方々に私、参考人として意見をお尋ねいたしました。その中でいろんなことを感じてまいりましたけれども、金融システム全体の信用制度の維持あるいは保持という観点から日本銀行にお尋ねしたいと思うんです。
 まず、今回の一連の銀行不祥事、証券不祥事も含めて結構ですが、日銀は金融機関の信用の失墜についてどう受けとめて、どう対応されるのか、お尋ねいたします。
#147
○参考人(吉本宏君) お答えを申し上げます。
 最近、金融機関の不祥事が相次いておりますが、こうした事件は、御指摘のとおり、金融機関に対する信用あるいは信任を著しく損なうものであり、私どもとしてもまことに遺憾なことであると思っております。
 今回の金融機関の一連の不正事件につきましては、それ自体犯罪行為になるわけでありますが、表面的には金融機関の特に内部管理体制ということが問題にされております。ただ、私どもとしてはやはり根底に金融機関の業容あるいは収益両面における量的な拡大志向というものがあったことは否めない、収益第一主義と申しますか、これがやはり基本にあったということは否めないと思っております。
 近年、金融の自由化あるいは国際化が進展する中で金融機関の経営が非常に難しくなっております。そういった中で、金融機関としてはむしろ経営の効率化とかリスク管理あるいは内部管理、そういった面に十分な対応がなされてしかるべきであづたと思いますけれども、そういった点を若干なおざりにしたと申しますか、やはり量的拡大志向が余りに強過ぎたということについて私どもも深く反省をしております。
 なお、私どもはこういった観点に立ちまして、現在取引をしております金融機関だけでなしに、すべての金融機関に対して従来の営業推進のあり方等を踏まえて十分な内部管理体制の見直しあるいは経営方針の見直しということを要請しているところでございます。今後、私どもの日々のモニタリングあるいは実地考査を通じまして、こうした面の取り組みが十分所期の効果を上げているかどうかについて従来よりもなお厳しくチェックをしてまいりたい、このように思っております。
 基本的に、私どもとしては、今回の金融不祥事というものを乗り越えて、金融機関がさらに内部管理体制あるいはそれぞれの公共的使命を十分に果たせるような体制になっていくことを強く期待しているところでございます。
#148
○高井和伸君 お話はよくわかりました。
 次に、三人の銀行の頭取の方々、それぞれ自分の銀行の不祥事について犯罪行為であるということを前提にしながらも、銀行としての責任のとられ方をるる説明しておられました。
 そこで、私が日本銀行にお尋ねしたいめは、信用制度を維持するという観点から見た場合の各銀行の責任のとり方が幾らかニュアンスが違っている。例えば富士銀行の場合は、結局は二百七十一億円というどうしても賄い切れない面を責任とるというようなお話でございました。さらに住友銀行では、イトマンヘの融資、他行の融資を肩がわりして三千九百億を自分の方に引き受けるというような話でございました。また逆に、架空定期預金証書、架空というかどうかこれは問題がありますが、銀行内あるいは金融機関内ではそれなりに発行された、世上言われているにせの証書について責任をとるところととらないと言明しているところがあったりします。
 こういった一連の金融不祥事の中における金融機関の責任のとり方、銀行あるいは信用金庫、そういった責任のとり方としてはどのような対処を期待されているのか、日本銀行の立場からの御答弁をお願いしたいと思います。
#149
○参考人(吉本宏君) お答えをいたします。
 今回の不祥事件につきましては、ただいま委員の御指摘のとおり、それぞれ対応が違います。また、現在司直によっていろいろ取り調べ中でございます。したがいまして、私どもがここで各行の責任のとり方ということについてコメントを申し上げるのは適当でないというふうに思いますので、御理解を賜りたいと思います。
#150
○高井和伸君 そうかもしれません。けれども、私にすれば、個々的な取引あるいは個々的な責任のとり方によってやっぱり銀行は信用できる銀行なのか、信用できなくなるのか、そういった国民の感情からいうともう少しめり張りのきいた責任のとり方があっていいんじゃなかろうかという感想を持っております。しかし、日本銀行の立場からはコメントできないと言われれば、まあそうでしょうかということでございます。
 その次の質問は、先ほどの私の一番初めの質問の御回答の中にもございましたけれども、富士銀行あるいは住友銀行の頭取の方のお話によりますと、金融自由化などの背景によって非常に収益率を高めなければいけない、調達資金コストが非常に高くなっている、こういったことから収益第一主義になった、こういうことを私は非常に感じました。そのほかの要素もいろいろあろうかと思いますけれども、トップバンクですらこういう非常に収益を第一に考えられる経営姿勢をとっておられます。そうならば、トップバンクじゃない、都銀のレベルからもう少し違うレベルで地方銀行あるいは信用金庫、そういった中小の金融機関におきまして、この収益率のアップというのはもっと厳しい状況にあるんじゃなかろうか。
 そういった金融環境を今後信用制度の保持という点からどう受けとめていかれるのか、どう対応されていかれるのか、日本銀行の対応をお尋ねしたいと思っております。
#151
○参考人(吉本宏君) 御指摘の点でございますが、金融の自由化、国際化の進展によりまして市場からの資金調達がふえてくる、それによって全体として資金コストが高くなる、こういった問題は十分予想されるところでございます。
 そこで、特に中小金融機関がそれにどう対応していくかということは、またこれからもかなり大事な重要な問題であるというふうに私どもは認識をいたしております。基本的には、これは各金融機関の自己責任原則に基づくリスク管理の徹底と自己資本の充実というものに努力していただく以外にないわけでありますけれども、私どもといたしましても中小金融機関のいわばよき相談相手として、本店、支店を通じまして、中小金融機関のいろんな悩みとかあるいは問題、そういったものについて相談にあずかってまいりたい、このように考えております。
#152
○高井和伸君 今までの質問の中で特に感じるところは、金融システム全体にはや旦言葉で言いますと金属疲労あるいは制度的な疲労があるんじゃなかろうか、私はそう感じておるわけです。
 特にそういった場合に、既存の金融システムの中に別働隊としてのノンバンクというものが急成長してきました。これはある意味では、金融システムを補完するというような言葉でいろいろ説明をされているようでありますけれども、今回の一連の不祥事を見ますと、別働隊というより非常に収益を高める上での主力部隊である。従前の金融機関における通常の営業活動の中ではとても上げられない収益を上げざるを得ないからこういったノンバンクが元気よくやらなきゃいけない。それもノンバンクを使うということになりますと、従前の銀行か直接取引をしてきた取引関係がさらにもう一歩向こうの世界、ノンバンクの先の世界で実質的な事業活動が行われる。ある意味では銀行から見れば間接的なところで金もうけが行われておって、自分の目の前の取引先のところで行われていない。こういう構造が、はやりの言葉で言えばリスクが非常に大きくなってくるというふうに私は感ずるわけですね。
 個々の相対の取引で積み上がってきた従前の銀行の取引形態が、こういった第三者を迂回するというようなこと、あるいは第三者を介するだとか商社を介するだとか不動産会社を介するだとか、いろんな面で非常に間接的な取引になっていってしまっている中で、金融システムというのは私は従前の手法ではもう間に合わない手法になってきているんじゃなかろうかと思います。先ほどおっしゃられましたモニタリングを精力的に日常的にしっかりやる、あるいは実地の考査もしっかりやる、こうおっしゃったところで、なかなかその先へ行ってしまっている現状、そういったものを取り込まなきゃいけない現状の金融政策というのは非常にファジーというかあいまいなところでやらなきゃいけなくて、統計もとりにくくなってくる、いろんな面での難しさが私は出てくるんじゃなかろうか、こう考えております。
 こういった銀行じゃない第三者機関というか、別働隊と言われるノンバンクの急成長というものが今度の不祥事の中で非常に活躍したわけでございます。その活躍したことはリスクが大きかったということで非常に問題になってきているわけですね。こういったリスクが大きくなって、さらに間接的な融資で金融システムの中に非常に大きいシェアを含んできたというこの現状は、日本銀行のお立場からいうとどう考えられ、これからどう対応してシステム的に変化しなきゃいけないのか、あるいはこれからの金融機関の制度改変をある程度期待しなきゃいかぬ立場なのか。そこら辺についての御所見をお尋ねいたします。
#153
○参考人(吉本宏君) ただいま御指摘のノンバンクの問題でございますが、これは委員おっしゃるとおりだと思います。
 近年、ノンバンクがいわゆるリースとか割賦金融の業務だけじゃなくて一般貸し付けの分野でかなり業容を拡大しておりまして、資金の仲介機能の担い手として無視できない存在になっているということは、これは否定できないと思うのであります。特にノンバンクの融資の運営について見ますと、不動産向けの融資あるいは財テク融資というものにかなり偏っておる。ところが、株価の下落とかあるいは地価の鎮静化のもとで資産内容にいろいろ問題が出ているということは、これも否めない事実であろうかと思っております。
 私どもとしては、従来からノンバンクに対しても融資内容の見直しあるいは資産の健全化に十分努力を払うように呼びかけておりますけれども、特にノンバンクの主たる資金ソースが金融機関から出ておるということでございますので、金融機関に対してノンバンクめ業容の把握や融資貸出先についても十分注意を払うように日ごろ指導をしておるところでございます。言うなればリスク管理の問題でございまして、リスク管理について今後各金融機関が十二分にノンバンクの貸出先も含めて注意を払うということについて私どもも今後ともウォッチをしてまいりたい、このように思っております。
#154
○高井和伸君 日本銀行の役割というのがどういう役割なのか私なりに理解はしておりますけれども、せんだって八月二十八日付の朝日新聞の報道によりますと、東洋信用金庫のにせ定期預金証書の責任のとり方で、日本興業銀行と東洋信用金庫それぞれ半分ずつ過失があるから、折半して責任をとるような方向で大蔵省ともどもそういう指導をしているというような報道がございました。日銀がそういうことをなさるのかどうか、報道によればかなり信懸性があると思っておるのですが、細かいことでございますけれども、こういった対応をなさるのかどうかお尋ねいたします。
#155
○参考人(吉本宏君) 私どもも新聞報道にはちょっと驚いておるところでございますが、そのような事実は全くございません。東洋信金事件につきましては現在司直で捜査中でございますし、今後関係者等のいろいろな話し合いもあるかと思いますし、現在の段階で私どもがこれについてあれこれと申し上げる段階にないということは、これは明白な事実だというふうに思っております。
#156
○高井和伸君 日本銀行は常識的なお答えで、非常にドラスチックな対応の答弁があろうかと思っておりましたけれども、ありがとうございました。
 続きまして、大蔵省に大体同じような趣旨でお尋ねしますけれども、今回の一連の銀行不祥事におきまして、例えば住友銀行は、イトマンに対して内から代表者を送り込んでいるということから、いろんな社会的責任も考えて三千九百億円の他行のイトマンヘの貸付金の肩がわりをしました。こういうような責任のとり方を表明しておられました。富士銀行も自分のところの行員が行ったことで穴埋めができない二百七十一億円については責任をとる、こういうことを言っておられました。しかしながら、赤坂支店における一部の貸付金の行員の不祥事の金利分は責任を負わないというようなちょっと変わった対応もまた言明しておられました。
 こういったときに私は、先ほど日銀にも同じような質問をいたしましたけれども、銀行かかなりめり張りのきいた一定の基準で、単に一つ一つの取引の実態によって民事的な個々的な責任をとればよろしいという対応もあろうかと思いますけれども、基本的には一定の基準をつくって国民にもわかりやすい方向でやる。金のある銀行は責任をとるけれども金のないところは責任をとらない。これは法的な責任じゃなくて非常に道義的な責任を感じておやりになっていることでして、法的に詰めれば責任なしということをそれぞれ言える立場の方々がそれなりのことをやっておられる、いわゆるプラスアルファのサービスを各金融機関がやっておられるという、こういったときにそれぞれの銀行に差があると、やはりまた幾らか金融制度維持の上からまずいんじゃなかろうか。
 企業としての銀行のそういった法的に責任のないところへのサービス、まああるかもしれませんけれども、非常に灰色の部分、グレーゾーンの部分に対する責任のとり方のある種の基準が必要じゃなかろうか、こう考えるわけでございますが、大蔵省の御見解はどうでしょうか。
#157
○政府委員(土田正顕君) 今回の不祥事件のような事件が起きました場合の後始末の問題でございますが、これはいろいろな側面がございます。一つは、これは御指摘にもございましたが、個別の取引の整理、清算というような問題でありまして、これはいわば民事上の問題でございます。それからもう一つは、これが一つの犯罪であるというような場合には刑事責任の追及が行われるということでございます。
 それで、そのほかのいわゆる道義的責任のとり方ということでございますけれども、これは今回御指摘になりましたような二、三のケースで現にありますように、事件の性格や内容が異なる、それからさらに銀行の関与の状況や責任の度合い、それから関係先の実態などが相違するというようなことでございまして、なかなか一般論的にはいかないように思うわけでございます。かつ現在は、いずれも御指摘の事件につきまして全貌が明らかになったとか大体の整理が終わったという段階ではなく、まだ事件についてもその実態解明のさなかにあるというようなことでございますので、今後のいわば責任のとり方なり各銀行の対応について予断すべき段階ではないと思っております。
 一般論といたしましては、御指摘のような一定の基準というのはなかなか難しいのでございまして、やはり銀行経営におきましては、これは銀行法にも明文であるわけでございますが、「銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重する」というのが私どもの立場でございますので、不祥事件などに対する対応につきましては、基本的にはそれぞれの金融機関が自主的に判断すべきものであると考えておる次第でございます。
#158
○高井和伸君 最後の質問を大臣にいたしたいと思います。
 富士銀行、住友銀行、日本興業銀行の各頭取の方々のお話の中で、やはり収益を非常に高めなきゃいけないという状況になってきている、そういう環境下である。先ほどの日銀からのお話の中にも、環境も国際金融化時代において非常に大変だということで、これに努めるというお話でございました。昨今、この収益率を維持する上で銀行の合併という問題も出てきております。そしてさらに、銀行あるいは証券会社間の垣根の取っ払い、あるいは銀行の中の信託と銀行業務、あるいは長期短期というようなそういった垣根の問題がございます。
 一連の銀行の不祥事の中で私が眺めてきているところによれば、そういった収益力を高めるような施策も今後大蔵省として大いにやっていかなきゃならぬのじゃないか。こういった面で今回の事件を通して大蔵省として、この業界の垣根の取っ払いが進むのか後退するのか、あるいは銀行の合併を進めるのか進めないのか、そこら辺についての現在における御所見を伺って、私の質問をおしまいにします。
#159
○国務大臣(橋本龍太郎君) 順番をひっくり返して恐縮でありますけれども、その合併云々は、私は、それぞれのやはり個別行の戦略の問題として、またそれぞれの地域における独占状況等々の中で場合によっては公正取引委員会の御検討もいただかなければならない問題でありますので、これは国が例えば強制するとかその方向に誘導するとかということは本来避けるべきであると思います。同時に、当事者同士の間に合併の意思のあるものを恣意的に認めないということも行うべきではありますまい。私は、これはまさにその地域の経済界における実態の中でそれぞれの金融機関がみずからの将来を考えて判断されるべきことと、そのように思います。
 また、その相互参入あるいは垣根というお話が出ました。私は、今回の一連の問題の中で、やはり限られた分野における過当競争、あるいは逆に横並び意識、こうしたものが非常に強過ぎたということは否定できないと思います。そして、そういう部分における行政の責任というものも私は甘受しなければならないと思います。
 そうした観点から考えてまいりますと、今回の一連の事件で損なわれました金融機関や証券に対する信頼を取り戻すということだけではなくて、本来進めなければならない行政の方向としては、金融制度改革を行い、今言われましたような障壁を低くする、あるいは取り払う、その中で金融資本市場における有効適正な競争を促進する努力、これが我々に訳せちれた役割と、そのように考えております。
#160
○高井和伸君 終わります。
#161
○池田治君 国税庁にお尋ねいたします。
 国税庁は、四大証券が損失てん補をしていた金額を有価証券の売買損として税務署に申告したのを、これを大口顧客との交際費であると認定して更正決定をなさいました。このことは証人としておいでになった大和、山一の社長さんも認めておられます。この売買損としてやるのはおかしい、損失てん補じゃないかと、こう認定をなさる動機といいますか端緒というものは、どういうものからその手口がわかったのでしょうか。
 新聞等によりますと、野村証券では債券や株券を補てん先へ売って、ロンドンやニューヨークの方の現地法人にまでまた回して、それから香港経由で日本の石油会社へ回ってきて、野村が最後には高く買い戻したと、こういうことが書かれておりますが、こういう事実はあったのでしょうか。
#162
○政府委員(冨沢宏君) 委員のお話のように、私どもは、特定の顧客に対して特別の利益を有価証券の取引を通じて供与したという場合に、その実態に応じて交際費等として課税する処理をしておるわけでございますけれども、その場合に、特別の利益を供与したかどうかという判断の一番の基準といたしましては、その有価証券の取引が通常の有価証券取引と比べまして、価格、数量あるいは取引の形態というようなものを総合勘案しまして不自然な形であるかどうか、そういう点に着目をいたしまして判断したわけでございます。
 個別のケースについては御答弁をお許しいただきたいと思います。
#163
○池田治君 さすが国税庁だと思って、国税庁にはこの点に関しては敬意を表している次第でございます。大蔵省はさんざんいじめられましたが、国税庁だけは立派なことをやったと、こう思っておる次第でございます。
 しかし、本来利益金として計上すべき税務申告が、この利益金を隠ぺいして損失補てんをしていたということは脱税行為じゃないか、これは悪質じゃないか、こう私は考えますが、この点について当局はどう御判断になりますか。
#164
○政府委員(冨沢宏君) 利益金と申しますか、一応損失ではございますけれども、その損失が経費として認められるものでなくて租税特別措置法の規定によりまして交際費として認められるものであると、そういった形のものでございますが、いずれにいたしましても、これは申告漏れという形ではございます。
 告発ということでございますけれども、私ども脱税として告発をします場合には、それに先立って査察調査をいたしておるわけでございますが、査察調査をいたすのは、偽りその他不正の行為があってそれによって税の適脱という結果が生じておる、これに加えまして適脱の意思、犯意と申しておりますが、これがあること、こういう事柄について立証し得る見通しがあるかどうか、これらを総合勘案いたしまして判断をしておるところでございます。
#165
○池田治君 確かに、補てんをした分は交際費として徴収されたわけですから税の取り誤りはなかったと思いますが、しかし、不正な申告をしたことは偽りであって不正だと私は理解しております。
 ところで、今調査中ということですが、普通の個人とか中小企業、零細企業の場合ですと三億円くらいな偽りがあれば告発されて、そして大体起訴されます。それで、裁判を受ければ実刑の判決を受ける、こういうのが税務上の犯罪ということになっておりますので、これはひとつ厳重な調査をお願いする次第でございます。
 そうして、また一方では、補てんを受けた会社の方は利益を得たわけでございますから、この利益分についても税を徴収されておる、補てんした方には交際費であるからこれらを認めないとして更正決定をしている、いわゆる税の二重取りをしているんじゃないか、こういう疑いもございますが、この点はどうですか。
#166
○政府委員(冨沢宏君) お答えいたします。
 通常の場合でございますと、会社が何らかのお金を払った場合には、受け取った方は当然これは収益になるわけでございまして課税をされるわけでございますが、出した方は経費ということで通常は課税されないということが多いわけでございますけれども、交際費につきましては、租税特別措置法の規定によりまして、政策的に出したものではあるけれどもこれは課税をする、つまり損金として認めないということが至当であるという税制になっておるわけでございまして、そういうふうに国税庁としては処理をしておるわけでございます。
#167
○池田治君 しかし、普通の交際費ですと、受けた方には所得として計上されませんのでこの問題はございませんが、今回の損失補てんの場合には所得として計上されておりますので、利益を二重に得たということになって税金も二重に取っている、こういう形式になろうかと思います。
 そうすると、社会還元すべきではないかという総理のこの前の話でございましたが、国税庁がもう証券会社や銀行の利益至上主義を責める立場におれないんじゃないか、国税庁も取りさえすればいいという考えじゃないか、こう考えられますが、簡単に御回答願います。
#168
○政府委員(冨沢宏君) 交際費というケースでございましても、受け取った方に対しましてそれが所得を構成するというものでございましたら当然課税されるのが建前でございます。もちろん、交際費の中身によりましてはなかなかそういう把握が難しいというようなものもございますので、それは一〇〇%課税されておるというふうに申し上げるつもりはございませんけれども、建前といたしましては、もらった方は課税をされるということでございます。
#169
○池田治君 まだまだあれですが、時間が参りましたので失礼いたします。
#170
○寺崎昭久君 最初に、大蔵大臣にお伺いします。
 証取法の改正をめぐりまして、損失補てん先への刑罰の適用について政府・与党内には今なお消極的な意見があるように報道されておりますけれども、大蔵大臣の補てん先への刑罰適用に関する考え方あるいは証取法改正に臨む姿勢をお伺いしたいと思います。
#171
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の証券会社の不祥事に対する再発防止策の一つの柱として、損失補てんを禁止する証券取引法改正法案を今国会に提出いたしたいということで現在努力をいたしております。
 また、その内容につきましては、悪質な顧客に対する罰則の適用の問題を含めまして、現在関係各省庁などと鋭意協議を進めておるところでありまして、私どもとしては一日も早く改正法案をまとめ、今国会に提出をいたしたいと考えております。
#172
○寺崎昭久君 私は、さきの予算委員会の席でも申し上げましたけれども、損失補てんの定義、違法性、そういったものを明らかにし、違反者に対しては両成敗を原則にするということでなければ、法の実効性あるいは検証の際に問題を残すんではないかと思っております。また、私たちはフェアプレーの原則、弱者を強者から守るということにもっと意を用いなければいけない、そんな時期だと思っておりますので、国民の目から見て証取法が後退したと言われないようにぜひ頑張っていただきたい、そのように期待いたしまして次の質問に移ります。
 これは大蔵大臣の発言ではないんですけれども、九月三日にこの証券特において総理が、損失補てんを受けた企業がその利益を社会に還元することを期待するという趣旨の発言をされております。
   〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕
心情的には私も同感でありますけれども、しかし損失補てんに関する基準がいまだ不明確なまま、しかも証券会社自身が自主的に公表したものをもとにして総理が云々されるのは、私はいささか勇み足ではないかと思うんです。もし総理が国会という場において社会還元を云々するんであれば、その前に、少なくとも大蔵省が統一した補てんの定義や基準をつくって、大蔵省自身の責任において調査した結果をもとに言うべきであって、国の責任だとか法の不備を棚上げにしたまま社会還元を云々するのは筋が通らないと私は考えるんですが、大蔵大臣はいかがでしょうか。
#173
○国務大臣(橋本龍太郎君) 通常、我々がチョンボの答弁をしまして、総理が我々の答弁を訂正されるということはあるわけでありますが、総理・総裁として御答弁されましたものを各省大臣の立場から訂正するということは、これは総理の権威にもかかわることでありまして、私はそれ自体は控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、私どもの立場から申しますならば、今申し上げましたように、今努力をいたしております証取法改正案の中におきまして、その悪質な顧客に対して供与された財産上の利益について、何とか追徴あるいは没収といった処置が可能にならないかということを考えながら鋭意努力をいたしておりますという答弁にとどめさせていただきたいと思います。
#174
○寺崎昭久君 大蔵大臣のお立場というのはあるのかもしれませんが、今のニュアンスから受け取りますと、やや私も疑問がありますというように聞こえたんですが、そうでもないですか。
#175
○国務大臣(橋本龍太郎君) たしか私、正確に一字一句記憶をいたしておりませんが、要するに現在、損失補てんを受けたと言われているいわゆる大口顧客に対して、その返還あるいは寄附を求めるということを考えるべきではないかという御指摘がありまして、御質問をされたお気持ちはわからぬではないけれども、大蔵省の立場として、現行法規に我々は規制をされ、その中で行動しなければならない、現行法の中において損失補てんという行為そのものが禁じられていないという事実に我々は拘束されるという趣旨の御答弁を申し上げたように記憶をいたしております。
#176
○寺崎昭久君 私も、損失補てんを受けた企業のビヘービアを云々しているわけではありませんで、政府の姿勢として、自分のやるべきことをやらないで相手にだけ求めるというのでいいんでしょうかという疑問がありますということを申し上げたかったわけであります。
 次の質問に移りたいと思います。
 次の質問というのは、証券不祥事がなぜ起こったのか、その背景から幾つか質問したいわけであります。今回の証券・金融不祥事がなぜ起こったのかということを考えてみますとき、その背景にあるのは金余り現象でありバブル現象であり、これが大きな不祥事の発生要因の一つになっていると思うわけです。そういうことを考えてみますと、とりわけ法人の含み資産の存在というのはこの不祥事と切り離して考えるわけにはいかないと由心うんですけれども、大蔵省は現時点において、例えば法人というのはどれぐらいの含み資産をお持ちだと推定されておりますか。
#177
○政府委員(小川是君) お答えいたします。
 ただいまお尋ねのありました法人の含み資産につきましては、こうした統計がございませんので、そうしたものとして把握することは現状においては困難でございます。
#178
○寺崎昭久君 例えば、土地で言いますと昭和十一年から六十一年までの五十年間をとってみますと、地価はおよそ一万三千倍になっております。株式も簿価一株五十円のものが千円で売買されているというのはそう珍しいことではないと思います。もちろん、土地の価格にしても、その間に売買があれば原価主義でつけかえられますから一万三千倍がそのまま生きているとは申しませんけれども、こういう含み資産の存在をどう考えるかというのは大変大きな問題だろうと思うんです。これまでも、さしたる業績の向上がないのに、単に含み資産を持っているというだけで特定の企業の株式が暴騰したという事例がございました。例えば、たまたまウオーターフロントに土地を持っているということで、証券会社が含み資産関連株と称して推奨したようにも思います。
 そういったことが狂乱株価を招いた原因だと思いますし、バブル崩壊の中で株価が下落する、そのことが損失補てんにつながっておるというように私は考えるんですが、含み資産の存在と損失補てんの関連についてどのように認識されているのか、大蔵大臣にお伺いいたします。
#179
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今のお尋ねにお答えします前に、先ほどの記録をもう一度ちょっと点検しましたので補足をさせていただきたいと思います。
 先ほどの問題提起をされました中、私は大蔵大臣としてお答えをいたしておりますが、海部総理は総理としてではなく、自由民主党総裁としての立場で与野党にもよく御相談をしたいと答弁しておられます。これは、自由民主党の総裁としてお答えをしておられますので、この点一点、補足させていただきます。
   〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕
 また、今委員がたまたま、例えばウオーターフロントに存在するということを証券会社が一つの目安としてもてはやすケースもあったという御指摘がありました。そうしたことを私も耳にしたことがありますけれども、私は含み資産というのを評価するのは大変難しいと思うんです。まだ土地ならそれでもある程度わかるかもしれません。あるいはその保有証券というものはそれもある程度わかるかもしれません。しかし、例えばよくマスコミ等に企業が美術品の購入を非常な高額でされたといったような記事が出ます。こういうものの評価というのは果たしてできるんだろうか。これも当然ながら企業の資産であり、しかも委員のお言葉をそのままにかりれば含みでありましょう。しかし、そういうものというのが果たして客観町な評価がうまくできるでしょうか。
 そう考えてみますと、その問題と今回の損失補てんというものを関連づけて論ずるにはいささか無理があるのではなかろうか。むしろこれは、証券会社と大手特定顧客との間における問題ととらえる方がとらえやすいように私は思います。
#180
○寺崎昭久君 今、大蔵大臣がおっしゃるように、美術品等を評価して云々するのは大変難しいと思うんですけれども、例えば簿価一坪一万円ぐらいの土地を実際は現時点の時価で評価すると一坪一千万円ぐらいする、そういう例というのがあるわけです。それを担保にしてお金を借りる、またそれを土地に回したり株を買ったりというようなことが結局バブルを生んだ一つの原因じゃないでしょうかということを申し上げたかったわけです。
 欧米では、インフレ会計などといって、財産価額を取得価格ではなくて時価換算している国も少なくないのが昨今の事情でございます。そうした動向だとかあるいは最近のバブルの現象を考えるときに、我が国においても企業の健全な運営あるいは保有資産の適正な評価、株主への適正な配分、投資家保護というような観点から、また最近のように先物とかオプション取引とかあるいはリース契約といったこれまでの企業会計の枠の中にはなかなかおさめにくい、言ってみればオフバランス項目がふえているという最近の状況に照らして、この際我が国でもインフレ会計などを採用する必要があるのではないか、つまり企業会計原則を改正する必要が出てきているんではないかと考えるわけでありますが、大蔵省はそうした認識を持っておられるのかどうか伺いたいと思います。
#181
○政府委員(松野允彦君) 御指摘のように、いろいろなオフバランス取引が拡大をしてきているわけでございます。私どもそのオフバランス取引の拡大に対して企業会計上どういうふうに対応するかという点について検討を進めてまいっているわけでございます。
 例えば、先物、オプション取引などの会計処理につきましては既に企業会計審議会で検討が開始されております。また、御指摘のリース取引、これにつきましても検討を求めるということにしているわけでございます。こういういろいろなオフバランス取引をいかに企業会計上適正に評価し、投資家の判断を適正にする材料を提供するかということが非常に重要な問題になってきているわけでございまして、国内でもそういう問題意識で検討を進めておりますし、あるいは国際的な基準というようなものの話し合いの場も現在持たれているわけでございます。
 それから、資産の時価評価の問題でございます。これにつきましても私ども、企業会計上どういうふうに考えたらいいかということでいろいろと検討を進めてまいっているわけでございますが、やはり時価というものが客観的かつ合理的に計算できるかどうかという問題が一番の問題でございまして、これができないとかえって投資家の判断を誤らせるおそれがないのかという問題があるわけでございます。土地につきましては、そういった問題があるといたしましても、やはり投資情報としての土地の内容を開示するというのは非常に重要だというふうなことから、現在、有価証券報告書におきまして各企業の事業所別の面積あるいは所在地というようなものは開示をしているわけでございまして、そういったものを手がかりに投資家が適正な判断ができるように、土地そのものの時価を決めるというのはなかなか難しい問題でございますので、今申し上げたようなてとで土地に関する情報を少しでも充実させていくということでございます。
#182
○寺崎昭久君 今、御趣旨が余り理解できなかったんですが、企業会計原則を見直しするまでには至っていないという御認識でしょうか。
#183
○政府委員(松野允彦君) 企業会計原則を見直すための検討を始めているというふうに御理解いただきたいと思います。
#184
○寺崎昭久君 検討というのはいつぐらいを結論のめどにされているんでしょうか。
#185
○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたオフバランス取引、特に先物、オプション取引、あるいはリース取引につきましては検討を急いでおりまして、近々この審議会での検討を終えて、それを企業会計原則そのものの中に織り込むか、あるいはそれの下のやや技術的なところで規定するかという点はございますけれども、いずれにいたしましても、オフバランス取引について開示を強化するという方向での結論を近々得たいというふうに思っております。
#186
○寺崎昭久君 今のお話というのは、専らオフバランス項目をどう扱うかという視点からのお話でしかないように思えてならないわけです。私は、それに加えて、保有資産の適正な評価だとかあるいは株主への利益還元だとか、そういったことも考えて、やはりインフレ会計はインフレ会計の問題はありますけれども、企業の内容を適正に評価するという努力をしなければいけないし、そのためには一部手直しをするというのではなくて、企業会計原則そのものの考え方を変える必要な時期に来ているのではないかと思うんですけれども、もう一度御答弁をお願いします。
#187
○政府委員(松野允彦君) 企業会計原則におきましては、特に御指摘のインフレ会計、つまり資産の価額の問題でございます。これは現在原則として取得価格を基礎として計上するということになっているわけでございます。これは、一つには保守主義あるいは健全性という原則もございますし、あるいは未実現利益は認識しないということになっているわけでございます。この基本的な原則というのは、これは我が国でも商法、税法等で採用されておりますし、また諸外国においてもこの基本的な原則は受け入れられているわけでございます。
 こういう基本原則は基本的には企業の内容を開示する、正確にその内容を把握するという観点からは国際的にも公正妥当なものというふうに考えられているわけでございまして、インフレ会計の問題は、諸外国で一時期インフレ会計の必要性というのが指摘されまして導入をされた経緯がございますが、現在はインフレ会計の問題点というのがむしろ指摘をされておりまして、物価変動に伴う影響というものについては必ずしも企業会計上開示を強制していない、任意ベースで開示するというような取り扱いをしている国もあるわけでございますが、そういうふうな状況になっておりまして、インフレ会計を導入するということについては国際的な流れからいたしましてもやや後退の方向にあるというふうに私どもは認識をしているわけでございます。
#188
○寺崎昭久君 それでは、開示、ディスクロージャーという観点からお伺いします。
 先ほどもお話がございましたように、この平成三年三月期から一部の有価証券について簿価と時価の差額を有価証券報告書に脚注することになっておりますけれども、この一部の有価証券にとどめた理由を教えてください。
#189
○政府委員(松野允彦君) 本年三月、決算会社から有価証券の一部、具体的に申し上げますと、一般的に価格が公表されあるいは気配が公表されておりまして、時価を合理的に算定できる有価証券につきましては時価情報の開示を義務づけたわけでございます。
 今、問題になっておりますのは債券でございまして、債券につきましては来年の平成四年三月決算から開示をするということで、現在作業を進めております。と申しますのは、債券は非常に種類が多いわけでございまして、その時価の合理的な算定方法、債券の中には必ずしも上場されていないものもございますし、あるいは店頭気配のないものもあるわけでございまして、そういったものについてどういうふうな合理的な算定方法で時価を決めるかという問題があるわけでございます。これにつきましては、現在実務担当者等を入れてこの算定方法についての検討を行っておりまして、平成四年三月からは債券も含めて時価情報の開示を行いたいというふうに考えております。
#190
○寺崎昭久君 例えば、非上場の株式などは今回開示の対象外とされているんだと思いますけれども、評価が難しいといっても、例えば相続のときには必ずやっているわけですから、私は難しいというのは言い逃れなんじゃないかと思うんです。評価しようと思えばできるはずですし、顧客の利益、投資家の利益というものを考えれば、当然そういう非上場のもの、あるいは債券についてもちゃんとした評価をするべきだと思うんですが、いかがでしょう。
#191
○政府委員(松野允彦君) 非上場株式につきましては、確かに現在まだ検討の対象になっておりません。これは非常に算定が難しいという問題もございますし、やはり企業会計原則という観点からいたしますと、先ほど申し上げましたように、客観的かつ合理的な時価ということが重要になるわけでございます。そこのところがはっきりいたしませんと、投資家に与える情報が判断にかえってマイナスといいますか、悪影響を与えるというようなこともあるわけでございまして、非上場株式についての時価というものを検討するというのは現在のところ非常に難しいという感じでいるわけでございます。
#192
○寺崎昭久君 先ほどのお話の中に、国際会計基準という言葉が出てまいりましたけれども、そういうことを考えても、我が国がさらに時価評価による資産の開示を進めなければいけない、そういう時期に来ていると思うんです。アメリカなんかも株主の要求で、例えば外部発表用の財務諸表、これは毎年つくられているところが多いと聞いておりますが、それには不動産を含む資産の洗いがえを行った上でそういう財務諸表をつくっていると聞いているわけですけれども、我が国も脚注というような簡単な措置ではなくて、やはり外部発表用の財務諸表を考える時期に来ているんではないでしょうか。
#193
○政府委員(松野允彦君) 国際的な会計基準の統一という問題は、先ほどもちょっと申し上げましたように、国際的な場で今議論が進んでおります。具体的には国際会計基準委員会、これは各国の公認会計士団体で構成されているものでございますが、そこを中心にして進められておりますし、証券監督当局のレベルでは証券監督者国際機構という場でも国際的調和についての意見交換が行われているわけでございます。
 我が国もこういう国際的な会計基準の統一化の議論に積極的に参加をしているわけでございまして、その中におきまして、現在特に金融資産とか棚卸資産の評価方法などについての議論が進んでいるわけでございます。一般的に、合理的かつ客観的な原則といいますか、そういったものに基づいて統一的な価格を決めるというような方向で議論が進んでいるわけでございまして、各国いろいろな制度の違いはございます。確かに、国によってはより進んでいるといいますか、より広範な情報を提供している国もあるわけでございますが、そういったものについてこういう国際的な場で、もちろんそれが適当であれば国際的に取り上げていく、採用をするということになると思いますし、またそれに問題があれば、そこをいかに改善して国際的に統一した基準にするかということもあわせて検討が進められていくというふうに考えているわけでございます。
#194
○寺崎昭久君 もっともっと投資家保護という観点から開示を進めなければいけない時期に来ていると思いますので、ぜひ御留意をいただきたいと思います。
 次に、銀行の営業姿勢の問題について具体例で質問をいたします。
 五十二年に、大阪にいる知人が某都市銀行系列の生命保険会社から一時払い変額終身保険を勧められてこれに加入いたしました。この保険の話を持ち込んだのは銀行員でございます。この銀行員が言うには、一括払いに必要な金額は銀行か融資いたします、それを特定勘定で一二%の利回りで運用したとしますと、銀行からの借入利息を払っでもあなたの手元には幾ら幾ら残りますという計算書を持ってきたということです。銀行の貸付金利というのは交渉の過程でだんだん下がりまして、最初は五・五%で貸しますというのが五・二%になり、最終的には四・九%まで下がったそうで、知人は結局約二億円銀行から融資を受けまして家族など五人の人がこの変額保険に入ったわけでございます。その後、利回りについて言えば一二%を割ったのは言うまでもありませんし、知人が最近銀行に聞いたところでは二%に満たないかな、こういう話だそうでございます。来年の五月に満期が来るということになっているんだそうで、融資してもらった銀行に約束の一二%、利益保証ということになりますか、利回り保証ということになりますか、見積書に書いてあった一二%は保証してくれるのだろうなということを聞きましたら、銀行は、見積書は保険会社がつくったから私は知らない。ということを言っているんだそうです。その上、被保険者の一人が最近脳梗塞で倒れた。今は保険金を払えとか払えないとか、そういうトラブルも起こっているということでございます。
 私がこういう例をあえて御紹介したのは、決して特異な例でないと思っているからでございまして、保険金の支払いの部分はきょうはお尋ねしませんけれども、銀行かこのようなことをやってもいいのかどうか、銀行の融資姿勢として正しいのかどうか、法律違反をしていないのか、こうした問題について今後どう措置をしていただけるのか、大蔵大臣にお伺いします。
#195
○国務大臣(橋本龍太郎君) 事務的に細かい点は補足をしてもらいたいと思いますけれども、少なくとも今のお話を伺っておりまして、具体的な事実はわかりませんので一般論としてお答えをするならば、今例示に挙げられましたような行為は銀行員には法的に許されてはいないのではないかと思います。
 事実関係、事務当局からお答えさせます。
#196
○政府委員(土田正顕君) 具体的な事実関係のいかんによることでございますので多少一般論になります点は恐縮でございますが、融資、これは銀行の主業、主たるビジネスでございます。この融資をいたします際に、例えば事業資金であればその事業活動、それから住宅資金であれば住宅購入の計画、そういうプロジェクトについて相談に乗ったりあるいは勧めたり、そういうようなことはこれはよく行われておるところでございます。結局、そこは銀行側の経営上の判断とそれから借り手側の事業の見通し、その辺が一つの交渉の対象になり、それで相対で意見が一致すれば取引が成立すると、こういうことであろうかと思います。
 ただその際に、いわゆる事業資金や住宅ローンというようなものと違いまして財テク的な融資につきましては、これは基本的にはそれぞれの判断において決定することではありますけれども、やはり銀行の経営の態度、姿勢、それから具体的な融資の内容の健全性その他を総合的に考えなければいけない。銀行は公共性ある機関として世間で営業をしているわけでありますから、その公共性にかんがみて社会的な批判を受けるようなことがあってはならないというふうに考えるわけでございます。いわんや顧客に無用の誤解を与えることがあってはならないのは当然でございます。
 ただいまのお話、若干保険の募集活動に関係するような部分もあるかと存じますので、多少その点も補足して御説明をいたします。
#197
○委員長(平井卓志君) 簡潔に願います。
#198
○政府委員(鏡味徳房君) 生命保険の募集に関しましては、保険募集の取締に関する法律というのがございまして、大蔵大臣の登録を受けた生命保険募集人でなければこれを行うことはできないということになっております。
#199
○寺崎昭久君 ありがとうございました。以降フォローをよろしくお願いしたいと思います。
#200
○近藤忠孝君 本日、営業特金の残高についての受託者側の資料を編集したものを拝見いたしました。これによっても営業特金の減少は件数で二百六件、残額で二兆円弱と本当にわずかであります。ですから、この資料によりましても、営業特金解消のために補てんをしたと各証券会社のトップがここで証言しましたけれども、その証言の信憑性が揺らいだということをまず指摘をしておきます。
 同時に、昨日の資料との関係で、私はこの資料もそのまま信用できない。と申しますのは、きのうの資料で営業特金の残高がふえているのはダブりがあったからだというんですが、それにしましても、八九年十二月の約八兆円から九一年三月の十七兆、二倍以上にふえている。これを素直に理解しますと、すべての口座がダブって報告されておった、なおかつ余ったんだからある意味じゃ三つもダブっているという、こんなことは考えられない。
 また、一番最初の八九年十二月にもダブりがあったはずですよ。ダブりとダブりだから二倍以上、結果的に二倍以上ということになるのか。また、あるいはダブりプラス通達後の新たな契約、これもあったと考えられますが、その辺どうなのか。これをお答えいただきたいと思います。
 それで、いずれにしましても、ふえているというこの事態は変わらないんじゃないかと思うんです。そうだとしますと、補てん禁止の通達が無視されただけじゃなくて、営業特金解消のために出したはずの営業特金に関する通達そのものまで無視されたということになるんじゃないか、これが第二点目です。
 第三点は、要するに証券会社にとっては大蔵省の通達なんか眼中になかったという疑いが濃厚であります。証人として反省の言葉を大分述べておりましたけれども、どうもそれは本当じやなかった。ですから、補てんという不正行為に重ねて、重ね重ねの反社会的行為があったと言わざるを得ません。
 特に、そこで宣誓した上で、営業特金解消のために補てんしたと異口同音に四大証券の代表は発言しています。一々例を挙げませんが、野村の田渕さん、現にこれは新聞記事にも「営業特金解消を優先 田渕氏証言」と書いてあるわけですから、こういう証言をしている以上、みんな偽証した可能性がやっぱり出てくるわけであります。ですから、そういったことを解明するためにもこの四大証券については個別的にひとつ数字を明らかにしていただきたい。
 最後に、この資料のダブりをチェックした新たな資料、これを出していただく。そして、その上で当委員会としては文字どおり真実解明ですから、そういう意味では私は新たな証人の喚問の必然性は、既に要求していますけれども、ますます強まっている。このことについて委員長の的確な運営をお願いいたします。
#201
○政府委員(松野允彦君) まず最初に、重複がどうかという御質問でございます。
 これは、私どもが平成元年十二月末現在というもので把握、まず第一回目の報告をとったわけでございますが、そのときの営業特金の残高の中には、営業特金と申しましても証券会社が運用をある程度任されているものについては……
#202
○近藤忠孝君 簡単に。
#203
○政府委員(松野允彦君) はい。
 証券会社が把握可能なわけでございますが、特に金融機関が営業特金を利用している場合には、これは金融機関自身が運用を行っておりまして証券会社に運用を任じていないという事情がございまして、証券会社はただ注文を受けるだけというような形になっているわけでございます。
 そういったことで元本の把握が十分でなかったということがございますし、また、既存の特金につきましては十二月末までに確認書ないし依頼書をとるという指導をしておりまして、順次そういうものをとっていった。その依頼書によって初めて信託元本が明らかになったという事情がございます。
 一方で、確認書、依頼書をとるときに、一つの営業特金がある信託銀行に設定されている場合に、それが複数の証券会社に運用が一部ずつゆだねられているというケースがあるわけでございます。その場合には、証券会社の側としては自分に幾らゆだねられているかというのは必ずしもよくわからないわけでございまして、信託元本そのものを報告してくるということで重複が生じてくるわけでございます。
 それから、解消のための補てんではないんではないかという御指摘でございます。
 私どもはもちろん、原則として営業特金を顧問つき特金にするべきだという通達を出したわけでございますが、あわせまして、どうしてもこれはお客の理解が得られないとそういうことができないわけでございまして、一方では補てんをしないという確認書をとるというような措置を認めたわけでございます。これによって営業特金が損失補てんの温床にならないということにもなるわけでございまして、いわば適正化というふうに私どもは表現をしているわけでございます。私どもの考えとしては、営業特金でなくすあるいは確認書をとる、両方あわせて営業特金の適正化ということで考えておりまして、その指導をした。その結果補てんが行われたというふうに解釈をしているわけでございます。
#204
○近藤忠孝君 資料。四大証券。
#205
○政府委員(松野允彦君) 資料につきまして、特に重複を除いたものをつくるということば今の段階になりますとほとんど不可能な状態でございます。特に過去の分につきまして、これは今申し上げましたように、信託銀行か幾つもの証券会社を利用して営業特金を運用しているというケースが多いわけでございまして、その重複を除いた数字を証券会社側からとるということは実務的にもうほとんど不可能な状態にあるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#206
○委員長(平井卓志君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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