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1991/10/02 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 証券及び金融問題に関する特別委員会 第10号
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1991/10/02 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 証券及び金融問題に関する特別委員会 第10号

#1
第121回国会 証券及び金融問題に関する特別委員会 第10号
平成三年十月二日(水曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                大浜 方栄君
                斎藤栄三郎君
                山岡 賢次君
                北村 哲男君
                久保  亘君
                白浜 一良君
                近藤 忠孝君
                池田  治君
                三治 重信君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                石川  弘君
                石原健太郎君
                合馬  敬君
                狩野 明男君
                陣内 孝雄君
                須藤良太郎君
                高橋 清孝君
                谷川 寛三君
                西田 吉宏君
                野末 陳平君
                岩本 久人君
                種田  誠君
                野別 隆俊君
                前畑 幸子君
                村田 誠醇君
                本岡 昭次君
                安恒 良一君
                吉田 達男君
                太田 淳夫君
                和田 教美君
                諫山  博君
                古川太三郎君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      梅澤 節男君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  糸田 省吾君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  井嶋 一友君
       大蔵省理財局長  寺村 信行君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       国税庁次長    冨沢  宏君
       文部大臣官房総
       務審議官     井上 孝美君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○証券及び金融問題に関する調査
 (証券及び金融に係る不祥事の再発防止に関す
 る決議の件)
○証券不正・銀行不正の徹底解明に関する請願
 (第一一一一号)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(平井卓志君) ただいまから証券及び金融問題に関する特別委員会を開会いたします。
 証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○種田誠君 私は、冒頭、大蔵大臣に今日の心境などを伺いたいと思います。
 当委員会が開会されて多くの質疑がなされてきたわけでありますが、とり、わけ、その中で九月の上旬には証人、参考人調べなども行われてまいりました。そして、今でも私の脳裏の奥深くに、証人の皆さん方がここで、平成元年十二月二十六日の大蔵省通達の内容を体して特金の解消に努めたい、平成二年の十二月末までには指摘された一任勘定取引や不当な補てん行為などについても適正化を図るべく最大の努力をしたい、そういう意味合いにおいて万やむを得ず九〇年三月までの補てん行為は行わざるを得なかったんだ、苦渋の選択であったと、こういうふうなことを述べられたことが今なおはっきりと記憶に残っております。そしてその後、当委員会におきましても、それでは今日までに特金関係はどの程度解消されてきたんだろうか、適正化されてきたんだろうかということに関しましても、極めて遺憾な状態にあることもわかってきたわけであります。そして、先月の二十四日には、九〇年の四月以降の補てん行為に関しましても四百三十五億円余という極めて大きな金額が、しかも一社初めてというばかりではなくて、重ねてという形で行われていたことも判明してまいりました。そして、昨日からきょうにかけて新聞報道にもありますように、何と九〇年四月以降の補てんが、大蔵省が確認書を締結して補てん行為はしないということをも約束させるような指導をし、それをとってきた事業所においても、会社においても二十六件も補てん行為をなしてきたという、この事実がはっきりと今ここで私たちの前に一連の流れの中から提起されてきたわけであります。
 そうした場合に、一つには、国会の審議というのは一体何だったんだろうかなということも思わざるを得ないわけでありますし、そもそも大蔵省の通達というのは一体何なんだろうか、そしてまた、確認書を締結してまで補てん行為を行うというこのことに関しては、一体どこに問題があると思うのか、大蔵大臣にその辺のところを冒頭伺わせていただきたいと思います。
#4
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から御指摘をいただきました事態というものを私自身としては非常に深刻に受けとめております。なぜなら、元年十二月に発出をいたしました通達、これ自体が全く踏みにじられていたということは既に明らかになりました。そして、それに対し、本院並びに衆議院における証人あるいは関連して参考人の御意見の中にも、さまざまな視点からの御説明というものが行われました。この是非について私は申し上げるつもりはございません。
 しかし、それにもかかわらず、という言葉をあえて使わせていただきますけれども、にもかかわらず四社の特別検査の中間におきまして、先日御報告をいたしましたような巨額の損失補てんというものが引き続いて行われていた事実が判明をいたしました。また、営業特金につきまして、その適正化を求め、顧問つきの特金に、あるいは顧問つき特金にならないものについては確認書を取り交わすという指導をいたし、それは守られてきているという報告を受けておりましたものが、現実には確認書を取り交わした後においてすら同様の行
為が行われていた部分が判明をいたしました。
 ここまで来る以前に、私は、通達行政の限界というものを感じ、証券行政における通達というものを全面的に見直しながら、法律化すべきもの、業界の自主ルールに移すべきもの、その整理に着手をするよう事務方に命じてまいりましたし、特に今回緊急の課題としての証取法の改正の御審議をお願いしてまいったわけでありますが、この事態、少なくとも証券業界における通達行政というものの限界をいよいよ思い知らされた思いであります。
 私は、通達行政というものが必ずしも一〇〇%悪いものだとは思っておりません。相互の間に信頼関係があり守るべきルールは守られるという自信があります限りにおいて、私はいたずらに法律をもってすべての行動を規制することが必ずしもよいとは考えておりません。むしろ、法律の規制というものはできるだけ原則的なものが望ましい。その上に起こる事態それぞれについて解釈を問われれば、通達をもってそれに答える。それによって弾力的な行政が行われる方が私は本来はいいと思っておりました。今も実は基本的にはそのような感じを持っております。
 しかし、事この問題に関します限り、いや応なしに通達行政の限界というものを一層痛感させられております。今後における行政の中において私は、口頭による通達というものを行わないということを本院でも申し上げました。これは、こうした事態の反省の上に立ち、文書をもって行いました通達でありましてもこのとおり踏みにじられる、そういう状況の中で口頭による通達がどこまでその権威を持ち得るか。むしろ不明瞭な、不明確な分野をそのためにつくり出す欠陥はないだろうか。
 そう考えれば、やはり現在ある通達そのものも法律あるいは自主ルールに移しかえていく努力を最大限行う。それによって行政の透明性、公平性というものを明らかにする。その上で今後必要な部分については、文書をもっての通達以外にはあり得ない。何よりも法規制そのものをきちんと組み上げていかなければならない。同時に、業界の自主ルールというものを確立し、それが守られる状態をつくらなければならない。今、そのように感じております。
#5
○種田誠君 通達の意味、通達の役割、機能、その点について私も今の大臣の所見と一部においては同じくするものもあるわけでありますが、問題は、他の省庁でこれほどまで通達がないがしろにされ、根底から否認されているというようなケースは私は余り見聞したことがございません。大蔵省が重ねての指導をし、しかも他の業界ではあり得ないような大蔵省と業界との定期的な懇談会を持ちながらの指導をしてきたということがあるにもかかわらず、こういう通達無視が行われるということは、今回私たちが国会で議論した以外のところに大きな問題がむしろ山積みされているんではないだろうかと私は思うわけであります。
 一つには、やはり日本の証券業界、金融業界は戦後四十数年の間大蔵省の保護育成のもとに成長し、発展を遂げてまいった。しかし、経済的に大国になったといえども、相変わらず日本の予算は厳しい財政の中できゅうきゅうとしながら編成をしている。経済大国になって優位的な立場にあるのは企業だけてあります。しかも大企業の収益だけてあります。そういうところにやはり今回の通達を無視されるような位置づけもあるんじゃないかなと思うわけであります。
 既に、経済の実態の中において免許制度や手数料の固定制とか、こういうものがもう破綻をしている。にもかかわらず今日までの継続の中で通達が維持されているがゆえに、現状に合わないから業界の方は堂々とこれを無視していく、そういうふうになってしまっているんじゃないかなと。そうでも考えないと、ここまで通達で指導をされながらこれにあえて違背するその気持ちが、その心意気が私には理解できないわけであります。
 そういう意味で、なぜ今回このように極めて重要な厳しい通達がことごとく無視されてきたのか、どこに原因があるのか、この辺のところを大臣もしくは局長の方でおわかりならば述べていただきたいと思います。
#6
○国務大臣(橋本龍太郎君) もし事務方から補足をしてもらうものがありましたなら事務当局から補足をいたさせますが、私は、今委員が仰せられた中で一つ委員と考えを異にする部分があります。
 今、証券金融と銀行と一列に委員はお話しになりました。確かに、銀行において偽造預金証書をめぐる不祥事が多発いたしております。これは犯罪であります。しかし私は、銀行行政全体の中で証券業界におけると同様な通達無視がまかり通っておるとは思いません。この点は、私は、我々が証券に抱えている問題と銀行を含めました金融機関に対して抱えております問題と本質的に大きく違うところがあると思います。ですから、そこはどうぞ分けさせていただきたい。
 その上で、私は本当にいろいろな角度からなぜということは考えさせられてきました。そして、確かに私は、証券業界というものを育成し日本の市場というものを国際的に通用するだけのものに仕上げたいという努力の過程において、証券行政が業界を積極的に育てる方向で努力してきたことは事実だと思います。そして、それ自体が私は悪かったとは思っておりません。しかし、世界有数の市場になった段階で、その保護育成という視点から、むしろ育った市場を監視、検査する姿勢に変わるべきタイミングを我々は過したのではないか、その後悔は深刻に持っております。そして、ディスクロージャーとかあるいはインサイダー取引の規制とか、既に気づき、カーブを切ろうとし始めていたやさき、その意味では、今回問題になりました損失補てんあるいは営業特金に対する元年十二月の通達というものもそのかじを切りかえようとする努力の一環だったとも私は思います。
 ただ、その間に、行政にも、その間の信頼関係の上に基づいて通達を出せば業界はそれに従っていただけるという甘い見方があった。楽観論と申しましょうか過信と申しましょうか、あるいはみずからの行政指導に対する過信というものが存在をした、業界は甘えの構造から抜け切っていなかった、こうしたことは私は否定のできないことだと思います。
 今、委員は、日本の経済繁栄というものが一部の巨大企業のみの利益を生んだという御指摘をされましたが、この点は私は必ずしもそうばかりだとは思いません。私は、日本がやはり全体にレベルの上がってきている中で、プラザ合意以降の一連の流れの中における、確かにバブルの現象というものがここではじけたという言い方を世間でよくされますようなものを一面で持っておりましたけれども、それはあくまでも一面だと思います。もし委員がとらえられましたような認識でありましたなら、これは救いがありません。我々は、これから先も健全な歩みを国家として続けなければならないわけでありますし、企業にもその中において社会における企業の役割というものを自覚して行動してもらわなければなりません。
 むしろ、今我々は、この証券業界に起きた問題というものをいわば不幸中の幸いと言える状態に転ずるために何をしなければならないかを模索いたしております。
#7
○種田誠君 何をしなければならないかということを模索するということ、これはもう多分大蔵大臣ばかりではなくて私たちも同じ立場に今あるんではないだろうかと思うわけでありますが、先ほど大蔵大臣の方で、まさに転換期である、転換期であるがゆえに今回このような不祥事が発生したと、そういうふうなことだろうと思うわけでありますが、問題は、今回のようなこの不祥事が、じゃ転換期であるがゆえになぜ発生してしまうんだろうかということ。それと、その行政通達が無視されるということは、これはまた別だと思うんですね。
 転換期に、先に証券がいい方向への選択をしていくのなら、通達がおくれているために、保守的な内容のためにこれが無視されるというのは、こ
れはよろしいわけですけれども、そうじゃなくて、証券取引の透明性や公平性をどう確保するかという視点からの大蔵省の通達であるわけでありますから、日本の証券業界が大きく転換しようとする、国際社会の中に入っていこうとする、こういう一つの大きな歴史の流れにおける転換に沿う形での行為が通達を無視するんなら私は納得がいくんですが、そうでなくて逆な方向での形の行為をとっていく中で通達が無視されているというところに問題があるのであって、ですから、なぜ通達が無視されるのか、そのことについてもう少し証券局長の方で、なぜ今回の通達が無視されたのか、確認書の締結も含めて、その後もなぜ補てん行為がなされたのか、このことをはっきり述べてもらいたいと思います。
#8
○政府委員(松野允彦君) 私も証券行政にたびたび携わってまいっておるわけでございまして、今回のような通達、御指摘のような証券市場の公正を守るための通達をいとも簡単にといいますか踏みにじられたという点については、今までの証券行政からいたしましても非常に衝撃を受けているわけでございます。
 なぜ通達が守られなかったかというお尋ねでございます。
 これは行政的な観点からいいますといろいろな原因があると思います。もちろん、今大臣からもお答え申し上げましたように、証券業界に対する私どもの今までの行政というものが証券業界に甘えの構造といいますか、あるいは競争のなさどいいますか、あるいは企業、特に法人企業との間の関係というものについて、発行市場を中心にしてそういう企業との関係を非常に重視するといいますかあるいは癒着するといいますか、そういったような構造ができ上がってしまったというような問題があるわけでございます。
 行政的な観点といいますか、若干私見にわたって恐縮でございますけれども、やはり証券市場が免許制になったといういきさつが一つあるわけでございます。登録制で失敗をしたというところからスタートしているわけでございまして、当初のうちはそういう意味では、免許制というのは登録制の失敗を繰り返さないようにということで、非常に過保護といいますかあるいは保守的といいますか、そういう運用がされてきていたわけでございます。
 市場の状況というのは、私の感じでは昭和六十年ごろからもう変わり出したという感じがしているわけです。つまり、非常に規模も拡大し国際化も進み、あるいは機関化現象も進むというような状況になってきていたわけでございまして、免許制の運用をそこである程度弾力化するという必要性があったんだろうと。免許制といえども参入を認めるということは、これは当然の前提であるわけでございまして、市場の規模が拡大すれば免許制を弾力的に運用するというのは、これは当然のことでございますけれども、そういうふうな流れが市場の現状を見ればあったというふうに私は孝えるわけでございます。
 ただ、時あたかも金融制度問題と一緒になりまして、銀行の参入というような問題をめぐって非常に議論が長期間にわたったというところが一つ問題があろうかと思うわけでございます。五年以上の議論を尽くしてやっとことし参入という何とか道を見つけたわけでございますが、その議論の時間がかかったということが証券市場の拡大という中で弾力的に新規免許を与えて競争促進をすることができなかったというような、これも若干といいますか、大いに行政の責任でございます。
 あわせて、手数料化つきましても、これもやはり機関化あるいは大口法人化が進めば、当然その大口手数料というものが弾力的に引き下げられなければならない。これは引き下げが行われたわけでございますけれども、しょせん市場規模の拡大にはとても追いつかないといいますか対応できなかったというようなことで、非常に大手の証券会社に超過利潤が発生したということも否定できないわけでございます。
 こういったような問題、あるいはまあほかにもいろいろ問題がございますが、やはりこの損失補てんというのはそもそもが補てんする能力がなければできないわけでございますから、能力がありかつ企業との関係、特に発行市場における寡占状態が企業との関係を非常に密接といいますか、癒着みたいな感じに持っていっていたというような環境、その二つが重なりましてこういうようなバブルの中でこういう問題になったという感じがするわけでございます。
 したがいまして、行政的な対応としては、やはり今申し上げた免許制の弾力的運用あるいは手数料の特に大口の自由化というようなことも展望しなければならないわけでございますし、いずれにいたしましても、行政の姿勢を転換していくというのが、先ほど申し上げた事情で若干おくれたということは私どもも大いに反省をしているところでございます。
#9
○種田誠君 今の局長の答弁を聞いていても何かぴしっと原因というものが伝わってこないわけでありますけれども、私も法制度や一つの行政のシステムの中における今局長が述べられたようなことが問題であろうということは認識を共通にするところもあるんです。ただ、今局長が述べられたような形が仮にとられていたとした場合、今日の損失補てん行為などが起こらなかったかというと、私はまたそうでもないような気がするんですね。企業が、証券会社が収益ということに対してなりふり構わずこれを行っていく、そして営業姿勢において営業マンなどに対してとりわけ成績向上ということで走り出してしまった場合、いかなる法制度があれ、いかなる管理システムがあれ、やはりそういうものはみじんもなく突破されてしまうという、そういうことも今回あったんではないだろうかなとも思うわけですね。
 そういう意味では、一体日本の証券業界が公正な市場の上で投資者の目的と期待にこたえながら運営されていく、こういう市場をつくっていくのにはどうしたならばいいのかということに関して、大蔵省の方では今おおよその大きな流れというものを持っておりますでしょうか。
#10
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員が指摘をされましたような収益中心に走っだということは否定のできない私は事実であったと思います。そして、それが基本的には企業としての社会責任を逸脱した行動という位置づけをしなければなりますまい。そして、それは往々にして我が国がさまざまな批判を海外から浴びるその一つの問題点でもあります。いわば地域社会と企業とのあり方というものを無視し、企業が営利第一主義に走る、その結果企業は繁栄しても、その企業の繁栄は地域に何らのメリットをもたらさない、これは他の分野におきましても往々にして日本は批判を浴びてまいりました。そして今、日本が海外に向けてそうではないという実態をさまざまな分野の企業が示しつつあります。
 しかし、そうした中において、証券市場が国内においても一般投資家の存在を忘れ、特定の大口の顧客、その顧客を相手にすることによる自己の利益、そしてそれを証券企業としての経営の柱に据える、そうした市場のあり方が問われていることは委員の御指摘のとおりであります。そして、それは法制度だけですべて解決ができるかといえば、これは法制度のみで対応し切れる問題ではないかもしれません。これはある意味では人間の心の問題でありますし、企業の経営理念の問題でありますから、私はそれを法律だけで規制できるものではないと思います。
 しかし同時に、いかに企業が営利中心第一主義で走ろうといたしましても、法規制が厳格に行われ、その法が適正に運用されます限りにおいて、その行為にはおのずから限界が生じます。我々は、今証券市場においてはその限界をつくらなければならない、残念でありますけれども限界をつくらなければならない。そして、それはきょう御審議をいただいておりますこの証取法の改正が第一歩でありまして、検査・監視機構につきましても御指摘をいただいており、我々は答えを出さなければなりませんし、免許制そのものにつきましても、
また手数料のあり方につきましても今局長が申し上げましたような問題点を含んでおり、さらに今後におきまして、例えば本院で御指摘を受けております問題の中をとりましても、投資顧問業のあり方とか、さまざまな角度からの御指摘をいただいておるそれぞれの問題をすべてできるだけ短い期間に方向を指し示し、御審議を願い、仮に今後ともに営利第一で企業が走ろうとしても、その行為にはおのずから限界を生ずるという状態をつくらざるを得ないと思っております。
 その場合の最大の問題点は、それが市場としての活力をそいでしまう危険性をどこまで排除できるかということでありまして、いわば剣の刃渡りのようなところを持っておりますけれども、我々は、あくまでも証券市場というものが、今後ともに経済活動の中でその役割を果たしてもらわなければならないという理念との間で、まさにその限界を設定しなければならないという命題を背負っているわけであります。
#11
○種田誠君 まあ、通達などもことごとく破られてしまうという、また法律もことごとく破られてしまっても企業は成り立つというような、そういうふうな形になってしまった場合には何をかいわんやというふうにもなってしまうと思いますが、私どもも法律の規制のあり方と企業の存在ということを十二分に調和をとりながらの施策を考えていきたいとは思っております。
 この委員会で私は、引き続いて先ほど来述べております、昨日から本日において明らかになっております確認書締結後の損失補てん、この点について質疑を深めさせていただきたいと思うわけであります。
 新聞報道によりますと、確認書締結後に損失補てんを受けた企業や組合が二十六件あるということであります。拝見しますと、大手商社や大手事業所、そして共済組合などが列挙されているわけでありますけれども、この大手企業のトップに伊藤忠商事というのが記載されております。私、いろいろな雑誌などでこの伊藤忠の補てんのあり方に関しての記事を拝見したことがあるわけでありますが、かなりきつい要求を伊藤忠商事は証券会社にしていたというような記載が随所にあらわれております。他の企業の名前が特定されないであえて雑誌等で伊藤忠の名前が出ているということは、それなりに私は補てんの要求行為というのが激しかったんではないだろうか、こうも思うわけでありますが、この確認書締結後の損失補てんについて、大蔵省の方ではどのようないきさつからこの事実を把握したのか、その辺のところをまず述べていただきたいと思います。
#12
○政府委員(松野允彦君) 確認書をとった後も補てん行為が見られた二十六件につきましては、これは特別検査に入っておりまして、その過程でまず一般的に損失補てんと認められる取引と認定したわけでございます。
 これは、各取引を全部精査するわけでございまして、そういうことで損失補てんだという認定をしたすべての、特別検査では七十八件の認定があるわけでございますが、個々の口座、取引先につきましてその後確認書を一体とっているのかとっていないのかと。一〇〇%とっているという報告を私ども受けておりますから、当然とっていると。そのとったのはいつか、とった時点、日時を確認いたしまして、その日時以降に損失補てんの取引があったというものが二十六件だということでございます。したがいまして、確認書をとる前にも当然補てん取引があるケースもございます。
 いずれにしても、確認書をとった後補てん行為があったというのが二十六件、こういうふうに確定をしたわけでございます。
#13
○種田誠君 公表になりました一覧表を見ますと、圧倒的に日興証券が多いわけであります。この日興証券が圧倒的に多いというのは一体どういうことであるかわかっておりますか。
#14
○政府委員(松野允彦君) これは、検査官が各証券会社、特に日興証券についてその間の事情を厳しく聞いたわけでございますが、やはり会社の言いわけといいますか弁明としては、取引関係を維持するためだ、やむを得ずと、こういうようなこと、しかし確認書をとってあるではないかという指摘に対しては、確認書の趣旨が十分徹底していなかったという反省の弁があったわけでございます。
#15
○種田誠君 そういう理由というのは野村証券でも山一証券でも大和証券でもすべて同じであって、問題は、なぜ日興だけがほぼ九割以上この確認後の補てんをやったのか、またこのことについては調査中なのか、それともほかの証券会社においてはもうないというのか、その辺はいかがなものなんでしょうか。
#16
○政府委員(松野允彦君) この前の中間報告で御報告いたしました損失補てんについては、確認書徴求後のものはこれだけでございます。ただ、損失補てんについて最終的な計数の確定がまだ行われていないわけでございまして、まだ検査をしている部分もございます。しかし、ほぼこの前御報告したものが動かない、ほぼ確定的な数字だというふうにお受け取りをいただいて結構だと思います。
 したがいまして、確認書を徴求後に行ったものというのも、この二十六件というのが全部だということでございます。
#17
○種田誠君 続きまして、この件についてこの一覧表を拝見しますと、公立学校共済組合、神戸市職員共済組合、川崎市職員共済組合、京都市職員共済組合、地方職員共済組合と、共済組合がずらっと挙がっておるんですが、なぜこの共済組合などが確認書締結後に補てんを受けたのかというようなことに関して、同一事業所ですから疑念を持つと思うんですが、その辺についてはどのように調査をしていますか。
#18
○政府委員(松野允彦君) 特別検査におきまして事情を聞いたところでは、このような各共済組合、これは証券会社の報告でございますが、運用改善の強い要請があった、それを受けてやむを得ずやったんだというような報告を受けているわけでございます。
#19
○種田誠君 それでは、きょう文部省の関係で担当の方が来ていると思うんですが、今証券局長は、組合の方から強い要望があってやむを得ずやらざるを得なかったんだと、こういうふうに調査の結果わかっておると述べたわけでありますが、まず公立学校共済組合の場合に、いつ、だれが、どこでこの確認書をつくったのか、そのことを述べてもらいたいと思います。
#20
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 公立学校共済組合の営業特定金銭信託については、平成元年十二月の大蔵省証券局長通達等にかんがみまして、文部省といたしましてもこの趣旨を指導し、公立学校共済組合におきましては、当時十三社ございました営業特定金銭信託を投資顧問契約つきの特定金銭信託に順次切りかえますとともに、残っておりました営業特定金銭信託につきましては、同組合と証券会社との間で平成二年六月に損失補てんをしない旨の確認書を取り交わしたところでございます。
 日興証券について具体的に申し上げますと、平成二年の六月十五日に、特金勘定取引にかかわる確認書を公立学校共済組合の理事長と日興証券株式会社の取締役社長との間で取り交わしたという経緯があるわけでございます。
#21
○種田誠君 そうしますと、確認書を締結したということは、損失の補てんは受けない、あり得ないということをお互いに了解したということだと思うんですが、そのときに、先ほど証券局長は組合の方から厳しい要請があった、こういうふうに述べておるんですが、確認書を締結した人が厳しい要求をしたんでしょうか。
#22
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 公立学校共済組合につきまして、先般、九月二十四日に日本証券業協会から追加分につきまして公表がありまして、直ちに文部省といたしましては公立学校共済組合に事実関係の調査を指示しているところでございますが、とりあえずの報告としては、公立学校共済組合としては損失補てんを求めたことはないが、証券会社側の理由として、
例えば日興証券については、資金の公的年金という性格を意識し、また今後の取引関係維持を図りたいとの経営判断があって損失補てんを行ったとの説明が日興証券側からなされているというように聞いておるところでございます。
#23
○種田誠君 そうすると、証券局長の方は、組合の方から強い要請があってやむを得ずというふうに調査結果を得ておると。今の答弁では逆に、組合の方は確認書を締結しているからもうそういうことはないんで、むしろ結構、やらないでくれというようなことを言いながら、証券業界の方から、いや継続をしたいためにぜひお願いしたいと。どっちが本当なんですか、これは。事実なんですから一個しかないんですよ。どっちかがうそをついているんですから、はっきりしてください。全く正反対なんだから。
#24
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま申し上げましたが、とりあえずの報告として私どもが公立学校共済組合から聞いている事柄についてお答え申し上げたわけでございますが、文部省といたしましては、公立学校共済組合が損失補てんを受けていたとされていることにつきましては厳粛に受けとめているところでございまして、このようなことが再発しないよう最善の努力をすることが監督官庁としての責務であると考えているところでございます。したがって、文部省としては、今回の事態にかんがみまして公立学校共済組合を指導いたしまして、同組合の残っていた営業特定金銭信託は本年八月三十一日にすべて投資顧問契約つき特定金銭信託に切りかえたところでございます。
 文部省といたしましては、現在進められております証券不祥事再発防止へのお取り組みなども踏まえまして、今後こういうことがないよう適切に対応していきたい、このように考えております。
#25
○種田誠君 私が今聞いているのは、将来どうするかということじゃなくて、確認書を結んでおきながらなぜ損失補てんが行われるような事態になったのかということに関して、証券局の方が聞いている事実経過と今文部省の方で述べられたこととが全く違うからどうなのかということを聞いているんです。
 それともう一つ重ねて伺いますが、あなたは日興証券についてはという答えをしていますね、先ほど聞いておりましたら。そうすると、ほかの方にもあるんですか。二つ聞きます。
#26
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 追加の平成二年の四月から平成三年の三月期まで一年間の分につきましては、公立学校共済組合に関しましては日興証券に関するものだけでございます。特に委員からお尋ねがございましたから、日興証券についてはということでお答え申し上げたわけでございまして、したがって私どもとしては、日興証券の事実関係についてなお公立共済に対しまして詳細に報告を求めているところでございます。
#27
○種田誠君 文部省の方の説明を局長も聞いておったと思うんですが、局長が先ほど述べたことと大分遣うんですが、いかがなものでしょうか、これは。
#28
○政府委員(松野允彦君) 私どもの調査における証券会社からの事情聴取では、先ほど申し上げましたように、運用の改善について強い要請があった、それでやむを得ずということの証券会社側からの言い分でございます。
 なお、私どもも反面調査を幾つかやっているわけでございます。反面調査の中に公立学校共済があるわけでございますが、これは我々の検査官が、行って事情を聞いたのかあるいは来ていただいて聞いたのか、ちょっとそこは具体的にはわかりませんが、その検査官に対する話では、これは言葉どおり書いてあると思うんですが、頑張ってほしいとは言ったけれども、補てんということを具体的に要請したことはないというような反面調査での答えを受けているというふうに報告を受けております。
#29
○委員長(平井卓志君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#30
○委員長(平井卓志君) 速記を起こしてください。
 委員長から一言申し上げますが、ただいまのやりとりの中で、証券局長そして文部省井上審議官との答弁に著しく食い違いがございますので、同一問題についての答弁はよくすり合わせをして、きちっと答弁をしてください、
 ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#31
○委員長(平井卓志君) 速記を起こしてください。
#32
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 先ほど証券局長からも御答弁がありましたように、公立学校共済組合に関しましての確認書後の損失補てんにつきましては、現在私どもとしても調査をしているところでございますので、その事実関係についてはなお確認をいたしたいというように考えておるところでございます。
#33
○種田誠君 そうしますと、先ほどあなたが答えたのは、まさ。に私の質問に対してこの委員会で答えな言葉なんです。答弁なんです。それをもう一回調査し直してということになりますと、一体委員会における答弁というのはどれだけの重みのある真実をお互いに述べ合っているのかということに関して私は大きな疑問を感じなければならないんです。こういうことだからこそ、この間の証人調べじゃないですけれども、証人の方力に軽んぜられて、舌の根も乾かないうちにいろいろさまざまな政治や行政無視の態度がとられてしまうということになるんじゃないかと思うんです。
 証券局長、このことについては証取法の五十五条でも十二分に調査できると思うんです。期日を区切って、もう委員会は終盤になっておるんですから、早い時期に報告をしてもらいたいと思います。
#34
○政府委員(松野允彦君) 私が先ほど反面調査と申し上げましたのは、五十五条に基づく取引先の調査でございます。その調査において、検査官が先ほど申し上げたようなことを公立学校共済から聞いてきたということでございまして、五十五条を発動して調査を行ったわけでございます。
#35
○種田誠君 五十五条で調査をしたといいましても、今のような違ったような答えが出てくるようでは困るんで、さらにこれは厳しい調査をしてもらいたいと同時に、問題は、大蔵省においてこの調査結果が出てきたとなったとしても、その結果が先ほどのように厳しい要求があったんだということになりますと、問題はそれだけの厳しい要求をされるような前提があったんだと思うんです、何もなければ厳しい要求などということはあり得ないんであって。ですから、その辺のところからはっきりと国会の方に報告してもらわなければ、このことに関しての事実関係というのは判明しないと思うんです。
 いわゆる証取法五十条の三項に該当するような行為だとか、その他これに類する何らかの取り決めなり約束なりがあるがゆえに厳しい要求、それに対して断り切れないということになるんじゃないかと思うんですが、その辺まで含めてはっきりと出していただきたいと思うわけでありますが、いかがなものでしょう。
#36
○政府委員(松野允彦君) 私どもの検査の過程では、特に公的な共済組合などについてはいわゆる努力目標利回りというものがあるということを証券会社も認識しているということは、我々も検査の過程で報告を受けているわけでございます。これは努力目標ということであって、必ずしもそれを保証するということではないということでございますけれども、そういうものがあったということはこれは認識をして、ただ実績は必ずしもその努力目標利回りというようなものに達しているわけでもございませんけれども、そういう環境があったということは事実だということで、その点についての検査官の事情聴取の中でそういうことが明らかになっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもの方も五十五条の検査あるいはそれに基づく取引先調査というものをやっているわけでございますけれども、まだなお特別検査中でございます。そういう特に怪
しいといいますか、特に顧客の要請というものが今回の場合非常に多いわけでございます。これは証券会社からの報告が多いわけでも反面調査をそんなにたくさんやっているわけでもございませんけれども、いずれにしても検査の中でさらに事実を解明してまいりたいと思います。
#37
○委員長(平井卓志君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#38
○委員長(平井卓志君) 速記を起こして。
 委員長から申し上げます。
 答弁の整合性を求めるために、種田君の質疑は保留ということにしていただきまして、後刻行います。
 引き続いて、近藤忠孝君、お願いします。
#39
○近藤忠孝君 まだ公取が来ていないのでこの問題は後に回しまして、まず八九年十二月二十六日の通達が適切であったかどうか、この問題について質問をいたします。
 今までの当委員会め議論の中で、四大証券の首脳は一様に営業特金を解消するために通達違反を承知で補てんした、こう証言いたしました。今も議論のあったとおり、まさに通達が平然と無視されてきたものであります。一方、証券局長は、営業特金が損失補てんの温床になるということから、通達で顧問っきにして営業特金をなくす、補てんをしないという確認書をとる、これは今問題になった点ですわ、ということで営業特金の適正化を図ったと答弁してまいりました。
 問題は、この経過を見ますと、十二月二十六日の営業特金適正化の通達が適切であったかどうかが私は町われていると思います、もちろん、今議論になっているとおり、この通達を平然と踏みにじった者の責任、これは極めて重大であって、これを免罪するつもりは全然ありません。逆に、もっと強い意味で、公正な証券行政を貫くという上でこの営業特金適正化の通達が適切であったかどうかということを私は取り上げたいと思います。
 まず、八八年九月から九〇年三月にかけて四大証券が補てんした二百三十一件のうち九十三件が特金でない通常の証券投資口座、これは一般口座と言いますが、この一般口座による取引であったと報道されておりますが、それはそのとおりですか。
#40
○政府委員(松野允彦君) 平成二年三月以前の二百三十一件のうち一般口座は九十三件でございます。
#41
○近藤忠孝君 これらの報告は、補てん先顧客口座の種類等という大蔵省がつくった資料があるんだと思いますが、それを委員会に出してもらえばもっと全体が明らかになると思いますが、どうです。
   〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕
#42
○政府委員(松野允彦君) これはもう既に公表されております二百三十一件のうちでございますので、すぐその中から拾い出して御提出したいと思います。
#43
○近藤忠孝君 この事実から、補てんを受けたもののうち一般口座が四〇・三%となっています。営業特金が損失補てんの温床になっているということから営業特金の整理適正化を行政指導したんですよね。証券会社も証言の中で、補てんは営業特金解消のためのものと、こう弁解している。ところが、その営業特金以外に一般口座での補てんが四割も占めておった。これは一体どういうことです。
#44
○政府委員(松野允彦君) 平成元年の十二月に通達を出しましたときには、営業特金の残高が非常にふえていたということで、この営業特金を適正化しないと非常に損失補てん等々のトラブルの原因になるということで、特に営業特金の適正化に重点を置いて通達を出したわけでございます。
 損失補てんというものが行われた自主報告をとって、結果として見ますと、今御指摘のように、一般口座というもの、営業特金以外の口座が四割を占めているわけでございます。確かに、損失補てんというものが営業特金だけではなくて一般の口座、一般の口座といいますのは、これは要するに証券会社が売買の委託を受けている口座でございますが、そういったところでも行われているということは、こういうものが明らかになって非常にそういう実態が明らかになったわけでございますが、通達を出したときの考えは、やはりあくまでも営業特金を適正化するということに重点を置いていた、それによって市場に与える影響あるいは損失補てんなりトラブルというようなものを未然に防止したいということで、その整理に重点を置いたという考え方でああいう通達を出したわけでございます。
#45
○近藤忠孝君 きのういただいた資料によりますと、九一年三月期の補てん、これは特別検査の結果ですが、これについては営業特金の補てんが三十六件で、営業特金以外の取引での補てん四十二件、今局長が言った営業特金の補てんよりもそうでない補てんの方が多い、過半数を超えているんですよ。
 ですから、これは局長の答弁にもかかわらず、営業特金以外にも証券取引全体に補てんが広く深く浸透していたことを意味するんじゃないかと思うのですが、今度は大臣、どうですか。
#46
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、どちらにしても損失補てんというものがいいことだと思っておりませんので、どう思うと言われますならば、いずれにしても、損失補てんという行為がいい行為だと思っていないという答えてあります。
#47
○近藤忠孝君 それは正解ですね。営業特金の整理適正化という通達自身がもともと問題の解決に役立つものではなかった。しかも、全面廃止じゃなくて顧問契約つきに変えるとか、今問題になっておった補てんをしないという確認書をとるという、これ中途半端ですよ。
 ですから、大臣もう一度お答えいただきたい、さらに正解を営業特金の整理適正化という通達そのものが効果的かつ適切な措置ではなかったのじゃないか。この点どうですか。
#48
○国務大臣(橋本龍太郎君) 結果的に、今になりますといろいろな御指摘をいただいております。しかし、営業特金というものが問題を生みやすいものであるということは委員も御認識をいただいておるとおりでありまして、これを適正化しようというその通達の方向が誤っておったとは私は考えておりません。
#49
○近藤忠孝君 先に進みますが、局長、一般口座というのは、これは株式や債券を個別銘柄ごとに売買するのに利用する口座であって、特金口座とは異なる通常の証券取引用の口座です。だから、特金と違って明確な元本の概念もないわけですし、補てんが起こる可能性が少ない、一般的には今おっしゃったとおりですよ。
 しかし問題は、その一般口座で補てんが行われたということは、ある銘柄の購入に当たって、大幅に株価が下がった場合には一定以上の損失は保証するという、いわば事前の約束があったことを逆にここで裏づけている、そういう証拠にもなるんじゃないか。どうですか。
#50
○政府委員(松野允彦君) 私どもの調査では、一般口座あるいは特金口座を問わず、すべての取引について経済的に合理的でない取引というものを抽出して、これは損失補てんあるいは利益の上乗せのためではないかというような認定をしたわけでございます。その中に一般口座においてそういう取引があったということで補てんという認定をしているわけでございます。それについては、企業も一般口座を持っているものもございます。そういう取引関係の維持だということで同じ説明を受けているわけでございまして、一般口座だからといって特に補てんをする必要がない、あるいは利益の上乗せをする必要がないというふうな、一概にそういう考え方をとるというのも難しいわけでございます。
 したがいまして、現在までのところ事前に保証をしていたという確証が得られていないわけでございまして、いずれにしても、一般口座にしろあるいは営業特金口座にしろ、我々としてはその保証がないかどうかという点についてはさらに検査を続行しているわけでございます。
#51
○近藤忠孝君 私は、一般口座に補てんがあったということだけをもって大蔵省の通達が不適切だったというのじゃないのです。まだたくさんあるんです、証拠が。営業特金の整理解消のために通達違反を承知で補てんしたというのが、これが証券会社首脳の一致した証言でありました。その営業特金の残高がわずかしか減っていないということも前回議論になりました。営業特金の解消のための補てんという証言がこれ事実に反しておったということで、私はこれは偽証の疑いが大変大きいと思います。この指摘に対して証券局長は、営業特金を顧問つきに変えるよう指導したとか、それから補てんはしないという確認書を取り交わすよう指導したという答弁をしましたね。要するに、通達は貫徹されておる、こういう答弁をしてきたのです。
 そこでお聞きします。二つの問題のうち、まず第一に、顧問つき特金で補てんがなされたという問題があります。
 三点お聞きします。まず、九〇年三月期以前の補てんリストにおけるその件数、要するに顧問つき特金で補てんがなされた件数、補てん額を明らかにしていただきたい。これは大蔵省に資料があるはずだから出していただきたい。それから、投資顧問会社自身がこの補てんをなされているということは通達違反じゃないのか。どう対処するのか。それから、そこで大事な問題は、大蔵省が改善策として出した、要するに営業特金解消の改善策として出した顧問つき特金でさらに補てんがされたという事実、これをどう説明するのか、これも納得のいくように説明してもらいたいと思います。
#52
○政府委員(松野允彦君) まず、最初のお尋ねでございます。九〇年三月期までに補てんがあった中で投資顧問つきのものがどのぐらいあったかというお尋ねでございますが、これは私どもの統計がちょっと、本省監督会社だけでございますけれども、損失補てんを発表いたしました十七社について見ますと百五十二件、補てん額が百二十五億円ということになっております。
 それから、通達違反の問題でございますが、投資顧問会社が直接損失補てんをお客に対して行いますと、これは元年十二月二十六日の同じ日にやはり投資顧問会社に対しても通達を出しておりますので、その違反になります。
 それから、その通達では直接ではなくて間接的に行うものも禁止をしているわけでございます。したがいまして、投資顧問合社が親の証券会社に損失補てんを依頼して、その結果親の証券会社が損失補てんを行ったということになりますと、これも通達違反ということになるわけでございます。現在、私ども実情を調べておりますが、中にはこういう、つまり投資顧問会社自体は自分で損失補てんをするだけの資力はございません。したがいまして、投資顧問会社が自分で損を出して補てんをしたというケースは今までございませんが、親証券会社に依頼をしたというケースはございます。したがいまして、こういう点については通達違反ということで、厳正にこれから対応したいというふうに思っているわけでございます。
 それから、顧問つきにしたのに効果がなかったではないかという御指摘でございます。この点につきましては、確かに私どもも今回のケースの中身を、事実関係を分析してどうしてそういうことになったのかというのをいろいろ分析したわけでございます。何といいましてもやはり親証券会社との癒着といいますか、一体的な運用みたいなものがあったということは否定できない事実でございます。これまでも投資顧問会社の独立性というものについては努力をしてきたわけでございますけれども、やはり依然として独立性が十分確立されていないという事態が明らかになったわけでございまして、この親証券会社との関係を絶つ、投資顧問会社として独立して公正に投資顧問業務をやっていくというためにいろいろな方策を考えなければいけないというふうに思っているわけでございます。
#53
○近藤忠孝君 大手、準大手十七社の合計六百十七件の補てんの一つち百五十二件ですからこれは二四・六%、非常に大きいですね。
 私、問題は二つあると思います。一つは、投資顧問会社から親会社である証券会社に対し補てんをするよう依頼したもの、これは五件で二億六千七百万円ですが、これは今も局長からの答弁のとおり、投資顧問会社による間接補てんであって通達違反、これは明らかです。
 もう一つの問題は、投資顧問会社との契約つきであるけれども、親会社である証券会社が独自の判断で補てんをしたもの、これが百二十六件百二十一億円であります。百四十七件のうち百二十六件、八五・七%ですが、投資顧問会社が顧客から運用を任される一任契約がついた取引であるんです。ということは、証券会社が取引を一任される営業特金を投資顧問会社つきの特金に切りかえたからといっても補てんを生む条件はほとんど変わっていないんじゃないか。ここが大事なんです。どうですか。
#54
○政府委員(松野允彦君) 一任勘定でございますから、本来ならば投資顧問会社が一任を受けてその責任において運用をするということが義務づけられて、当然そういうことでなければいけないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、親証券会社との関係というものが非常に密接であったということで、親証券会社が顧客との取引関係の維持を考えて補てんしたというようなケースもあるわけでございますし、まして投資顧問会社が補てんを依頼したというのは、これは非常に投資顧問会社としてはあるまじき行為だと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、投資顧問会社の、特に証券会社の子会社である投資顧問会社の独立性が十分維持できていなかった。投資顧問業というのは比較的新しい産業でございますので、人材等の面である程度証券会社なりあるいは金融機関からそういうものを仰がなきゃならないという事情はあったとはいえ、投資顧問業としての独立性が十分確立していなかったということ柱やはり事実として受けとめて、その際それを是正するどいいますか改善するための措置を考えなきゃいけないというふうに思っているわけでございます。
#55
○近藤忠孝君 その答弁は的確な答弁です。私もたまには褒めます。
 問題はその先なんです。このように証券会社が系列の投資顧問会社と密接不可分の関係にあって、事実上系列投資顧問の運用成績を上げるために補てんを行っていた。これが全体の二五%を占めておったという実態なんです。
   〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕
この実態であるにもかかわらず、営業特金の適正化と称して投資顧問会社契約に切りかえる行政指導をしたんです。ここが抜けているんです。だから、大蔵省の通達と指導はほとんど意味のないことをやっていた。だから適切でなかった、あるいは本当に補てんをなくすという意味ではむしろ間違っておった。間違っておったというのが言い過ぎだったならば、その前の段階でいいです、適切でなかったぐらい。これはやっぱり認めてしかるべきじゃないんでしょうか。
#56
○政府委員(松野允彦君) 通達を出しました段階あるいは投資顧問業務というものを日本に導入したところの経緯では、従来、証券会社が投資顧問業みたいないわゆる有価証券の投資のサービスということをあわせてやっていたわけでございますが、そこの業務を切り離して投資顧問業というものをつくった方がこれからの証券市場あるいは機関化現象というものに対応できるということで、投資顧問業というものを新たに設けてその業法をつくったわけでございます。
 それから、この通達が出るまで少し期間があったわけでございますけれども、いずれにしても、その間の投資顧問業の業としての確立という点についての認識というものが欠けていたという御指摘に対しては、これはもう結果がこういうふうに出ている以上、我々としても行政上投資顧問業の確立あるいは独立性の確保という点について行政上認識が十分できなかったという点については、
これは御批判を受けるし、また我々としてもその点については反省をしているわけでございます。
 通達を発出したときにはこういう状態になるということを予想していたわけではもちろんございません。やはり投資顧問業というものになるべく持っていって、証券会社が損失補てんを行わないような、いわゆる売買一任的なことにならないようにということでこういう指導を始めたわけでございますが、現実の投資顧問業の実態というものがそういうものに沿わなかったという点については、これはもう御指摘のとおりでございます。
#57
○近藤忠孝君 ようやく私の指摘を認めました。
 まだありますけれども、その前にちょっとこの投資顧問の関係で一つだけお聞きしますと、大蔵省は、投資顧問会社が関与する補てんの再発防止ということで、親会社への売買注文を制限する規制を導入する政省令を改正しようとしております。その売買注文に顧客の同意書を必要とするようです。だけれども、これで効果があるんだろうか。さっきの確認書をとっても全然これ無視されているということなどを考えまして、その効果の点はどうですか。
#58
○政府委員(松野允彦君) 私ども今、投資顧問業者、特に証券系の会社と親証券会社との間の関係をいかに断ち切るかということでいろいろな方策を考えているわけでございますが、その中に御指摘のように、親証券会社に注文を出すという場合には顧客の文書による同意を要求するという案を考えております。これは省令を改正いたしましてそういう禁止行為にするわけでございまして、それに違反いたしますと、これは投資顧問業法違反ということになりまして法律違反行為になるわけでございますので、そういう点では十分実効性が確保できるというふうに考えているわけでございます。
#59
○近藤忠孝君 営業特金適正化の通達が適切でなかったという第三点を申し上げますと、これは先ほど種田議員が指摘をした、要するに確認書を交わしたけれども、その後やっておった、この問題であります。特に日興証券による公立学校共済組合への補てんは、これは九〇年六月十五日付で補てんを行わないという確認書を結んでおきながら、その直後の七月から九月にかけて十四億八千百万円もの巨額の補てんが行われたケースであります。要するに、通達などどこ吹く風、大蔵省など眼中になしという態度であります。これで中断しちゃったんで、私ちょっと質問しづらいんだけれども、しかしやります。
 この事態が、大蔵省眼中になし、確認書を交わしてすぐやるというこの事実をどう受けとめ、どう措置をいたしますか。
#60
○政府委員(松野允彦君) 確かに、日興証券と公立学校共済の件につきましては、昨年の六月十五日に確認書を取り交わしていながら、七月二日から九月二十六日にかけて損失補てん行為が見られるわけでございます。十四億八千百万円でございますが。これは私ども検査の中で確認をした事実でございまして、私どもとして、この確認書をとった後、しかも余り時日を経ずして損失補てん行為がまた行われているという点については、率直に申し上げて非常に怒りをもって受けとめているわけでございまして、こういう点については特別検査、まだ最終的な計数整理をしておりますけれども、損失補てんについての検査結果が確定次第、厳正に対処したいというふうに考えているわけでございます。
#61
○近藤忠孝君 証券局長から怒りをもってという言葉が出たことを大変私はよろしいと思います。きょうは大分褒めてはかりいるんですが、問題は、この事実が雄弁に物語っているように、補てんをしないという確認書を取り交わしたからといって補てんがなくなるものじゃないということですよ。だから、確認書をとって営業特金として残すという適正化の行政指導が適切でなかったばかりか、これで適正化が進んでいるとずっと局長は答弁してきました。大蔵省も随分甘かったんじゃないか。
 ただ問題は、じゃ、もし営業特金のことを言うんでしたら、なぜ完全廃止を指導しなかったのか、そういう問題はやっぱり残るんじゃないですか。
#62
○政府委員(松野允彦君) 営業特金という言葉が非常にいろいろな意味で使われておりまして紛らわしいのでございますけれども、投資顧問つきでない特定金銭信託ということで私ども使っておりますが、営業特金で本当に適正に行われるというものもあり得るわけでございます。それは、例えば企業、特に金融機関の場合が多いわけでございますけれども、一定の資金を信託銀行に信託し、それをみずから運用を指図する。したがいまして、証券会社が一切その周には関与しなくて、証券会社は信託銀行からこれは特金の注文ですということで注文が出てくるだけというような形態の営業特金といいますか、投資顧問のつかない特金が現に存在をしておりますし、金融機関の場合にはそういうものがかなり多いと聞いているわけでございます。これは運用能力があるということでございまして。したがいまして、そういったものまで一切禁止をしてしまうということはやはりできない。これは一つの信託というものを利用した資金の運用の形態でございまして、そういうことは法律的にも認められ、かつ適正に行われていれば問題は起こらないわけでございます。
 そういった観点から、問題の起こりそうな営業特金、つまり投資顧問もついてない、それだけではなくて証券会社がその運用に関与しているというようなものを目当てにして通達で適正化を指導したということでございます。
#63
○近藤忠孝君 それが甘かったということは先ほど認めたとおりです。
 営業特金について、もう一点だけ触れておきます。
 九〇年三月期段階での大手四社の営業特金の適正化率は七・七%、準大手十社が二・七%という極めて小さい数字です。この時期が、四大証券だけで七百九十五億円もの補てんが集中した時期ですから、このときに適正化率が一割に達していなかったということは何を意味するのか。要するに、補てんが営業特金の廃止のためじゃなかったということじゃないのか。
 そこで、二点お聞きしますが、一つは、この通達と一緒に出された事務連絡では、営業特金の適正化の猶予期間が九〇年十二月とされて、それまでに一〇〇%達成せよという文書です。だから、そこで締め切り日の九〇年十二月末段階での大手、準大手の、あるいはまた中堅八社の適正化率はそれぞれ何%だったのかということが一つ。
 それから、営業特全廃止のための補てんでなかったということになりますと、ここに出てきた四大証券の証人、全部うそを言ったということになります。このことは、営業特金以外の、先ほど申し上げました一般口座の補てんが四大証券の四割に達したということ、顧問つき特金でも補てんが行われていたということ、これらをあわせて考えますと、本当にこれ四大証券会社、口裏合わせて偽証しておったとしか考えられないと思うんですよ、この経過を見ますと。
 一つ指摘したいのは、今、一般口座、それから契約後も補てんされている、確認書をとった後も。そして、顧問つき特金でも補てんがされている。これらをあわせると、通達が極めて不適切だという指摘はもうしましたけれども、総合的にもう一度それについてのお答えをいただきたいのと、四大証券の証言の中身、これは実態と違うんじゃないか、これについての見解はどうですか。
#64
○国務大臣(橋本龍太郎君) 証人の証言が適切であったか否かにつきましては、委員会において御判断になるべきものと考えております。
 また、過去に発出をいたしました通達の内容が現時点において適切を欠いていたという御指摘について、局長は、認めるべき責任は認めた上でお答えを申し上げました。
#65
○政府委員(松野允彦君) 営業特金のいわゆる適正化率でございますが、九〇年十二月末期限のところでは、四社で九九・五%、十社が九九・九%、その下の八社が九九・八%、これは本省が監督しております二十二社についての適正化率の状況で
ございます。
#66
○近藤忠孝君 次に、公取委員長が来ていますので、そちらに入ります。本当は一番冒頭に質問する予定が、私の時間がいつもと違って逆に早くなっちゃったものだから、ちょっと順序が狂って申しわけありません。だから、約束の時間に若干食い込むかもしれないんですが。
 金融制度改革との関係でこの証券不正事件について触れたいと思うんです。今回の一連の事件は、ことし六月の金融制度調査会、それから証券取引審議会の報告がまとめられて、金融の自由化を一層推し進めて、銀行、証券の垣根を低くし、業態別子会社を通じて相互に参入していくという方向を打ち出す報告を出した直後に相次いで明るみに出たものであります。私は、今回の事件はこうした金融・証券の流れ、両答申を先取りした流れの中で必然的に起きたものじゃないかと思うんです。
 損失補てんでも、バックファイナンスつきのファントラが利回り保証を誘ったことは明らかでありますし、東急株をめぐる株価操作でも証券会社の金融子会社の融資で問題が大きくなっている。また、一連の銀行不正事件でも巨額の不正融資が土地や株の投機に向かったことは明らかだと思います。これらの事件から、金融機関が証券業務に入ったり、また証券会社が金融業務に乗り出すことは、逆にこれ危険なものじゃないかということを今回の事態は示していると思うんですが、いかがですか。
#67
○政府委員(梅澤節男君) 銀行あるいは証券を含むいわゆる広い意味での金融制度の改革について、今大蔵省当局並びに関係審議会においていろいろな議論が行われていることは私ども承知をいたしております。
 問題の視点は、たしか金融制度を議論された大蔵関係の審議会答申にも書いてありますように、やはり競争の促進という観点は取り入れられておると思うわけでございますが、ただ、今後具体的にどういう制度が構築されるかということにつきましては、当然その段階で制度改革の具体案が出てまいると思いますが、独占禁止法との調整あるいは競争政策との調整という点につきましては、その時点で大蔵省と十分話し合いたい。
 ただ、競争当局といたしましては、一方における正常な競争の促進という事態と、やはり金融会社というのは金融力という非常に強い力を持っておるわけでございますから、一方でそういった競争上の弊害が逆に生じないように、つまりこの両面から十分検討をし、大蔵省と話し合ってまいりたいと思っております。
#68
○近藤忠孝君 次に、銀行局長、証券局長にお答えいただきたいんですが、一連の金融不正事件に関連しまして、関係した銀行の頭取は一様にこう言っています。収益本位の経営に問題があったと言うんです。では、この収益本位の経営は何によってもたらされたかといいますと、やはりこの間進められてきた金融の自由化、諸規制の緩和で推進されてきたんじゃないんでしょうか。これらのことから、これまで進められてきた大蔵省の金融行政、証券行政そのものがまさに問われていると私は思います。
 したがって、金融制度調査会、証券取引審議会の諸報告はここですべて振り出しに戻してやり直すことが必要になっているんじゃないかと思いますが、どうですか。
#69
○政府委員(土田正顕君) 御説明を申し上げます。
 いわゆる金融制度改革の作業でございますが、これはもう五、六年をさかのぼる非常に長い間の検討を経てまいりましたものでございます。その目的は、やはり金融資本市場における自由な競争を促進する、そして市場の効率化、活性化を図る、そういうことによりまして内外の利用者の利便性の向上、利用者の利便ということが非常に大きな着眼点になっております。それから、国際的に通用する金融制度及び資本市場の構築を目指す、そしてひいては内外経済の一層の発展に貢献する重要な改革を目指しておるわけでございます。ところで、委員の御指摘は、その間に並行していろいろ行われてまいりました自由化の流れというもののいわば副作用、それについての厳しい御指摘であろうかと思いますが、この金融制度改革というような制度論議を待つまでもなく、いわば実効上、例えば預金金利の自由化、それからいろいろな意味での業務規制の緩和というようなものをこの数年がかりで逐次段階的に進めてまいりました。その自由化によりましていろいろな意味でのサービスの向上が現に図られつつあることは事実でございます。
 その過程におきまして、今回いろいろな不幸な事件が起こったことは大変遺憾でございますし、それはそれとしまして厳正に対処しまして金融システムに対する信任を回復せねばいかぬわけでございますが、金融機関に関係して申しますならば、今回の事件は、自由化、そして経営者の創意工夫の発揮というような話の中でも、やはり金融機関の公共性、それから金融機関の経営の原点を踏まえた内部管理体制の確立というようなものは決しておろそかになってはならないという、いわば足元の根本的な問題の重要性を示すものであった。これは非常に貴重な教訓であり、金融界全体が重く受けとめるべきでございますが、これはいわば自由な競争それから自由化を進めていく間に、その中でこのような副作用を起こしてはならないという意味でそれぞれが心がけなければならない。
 それぞれと申しますのは、金融機関の経営者自身が心がけなければならない問題でございますが、それと別にさらに大きな見地から申しますならば、やはり従来の縦割りと申しますか、専門制、分業制を特色としてまいりました日本の金融証券制度が一つの大きな転換期を迎えておる。その大きな入れ物と申しますか、制度そのものについての改革は、これまでの議論が示すとおり力強く今後も進めていかなければいけない。
 それで、それは例えば今回のいろいうな事件との関連で一つだけ申せば、やはり新規参入を促し、有効で適正な競争を促進していくことにつながるというものでございますので、私どもは、いろいろな金融制度調査会の答申その他も踏まえまして金融制度改革を着実に進めてまいりたい、その案を準備いたしたいと事務的には考えている次第でございます。
#70
○近藤忠孝君 大蔵省は、この不正事件を契機に私の指摘とは逆に、この報告書の路線を一層促進しようとしているようでありますね。例えば報告では、銀行の証券業務は発行業務に限定されておったんですが、これは二十五日の証券局長の衆議院の答弁です、さらに進んでディーリングも認めるということを言い始めています。株式ディーリングを認めると、株式ブローカー業務参入への大きな足がかりを得ることになって、証券業務への全面的参入、すなわち垣根の全廃に大きく一歩進めるんじゃないかと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
#71
○政府委員(松野允彦君) 私があのとき申し上げましたのは、発行市場への参入という方向が証取審で出されておりまして、しかし発行市場というのはアンダーライティング業務でございますが、アンダーライティング業務に密接不可分なディーリング業務というのもある。これについては認めるということでないと発行市場への参入が円滑にできないという問題があるわけでございます。
 御指摘の株式の場合にはそういうケースはございません。これは市場集中でございますからすべてブローカーでやれるわけでございますが、社債などの場合には店頭市場が圧倒的に大きいわけでございまして、そういうことからいいますと、例えば社債の引き受けをいたしますと、その引き受けて残ったもの、いわば募残のようなものはやはりディーリング業務で消化をしなきゃいけない、あるいは発行したものについて一切その後のアフターマーケットを見ないのかという問題もこれから議論の対象になるわけでございます。私が申し上げましたのは、仮に発行市場に参入を限定したとしても、密接不可分なディーリング業務というものがあり得る、それについてはやはり認めていくことが必要ではないかという趣旨でございます。
#72
○近藤忠孝君 私は、銀行と証券の相互参入が逆に経済力の異常な集中を招いて、公正な市場と経済の競争条件を損なってしまうおそれがあるということ、それから銀行業務を一層投機的分野に入らせるなどで、私は安易に認めるべきでないということだけ申し上げて、これは質問通告をしていましたけれども、公取委員長の行く時間が来ていますから、そちらの問題三点まとめて質問し、まとめてお答えいただきたいと思います。
 証券市場の寡占問題です。株式売買高、債券売買高、引き受け等々含めて異常な寡占状況ですね。これは大蔵省に答弁を求めたいけれども、これはいいです。要するに、四社が動けば株価を一定の方向に操作することができるということで実際やってきたわけです。こういうやり方を根本からなくすには、野村を中心とした四社の寡占体制をなくすことが必要じゃないか。これが第一点。
 それから、四社会などが行われて、いろいろここで相談されてきたことが問題になっていますが、この四社会そのもの、または各レベルの懇談会そのものについて、こういった問題意識から今後公取として監視の目を強めるべきではないのか。
 それから、数字は省略しますけれども、例えば野村系列を見ましても相互に密接に絡み合って、資本の面でも人事の面でもグループ内の株式持ち合いなど、さっきも出てきた親会社と密接な関係などありますね。こういうことは金融機関の株式保有のいわゆる五%条項の巧妙な脱法行為ではないのか。
 それぞれここにおられる時間までひとつお答えいただきたいと思います。
#73
○政府委員(梅澤節男君) 三つ御質問いただいたかと思うんですが、まず第一点の寡占市場の問題であります。
 寡占市場というのは、要するに上位企業の集中度が非常に高い市場を意味するわけでございますけれども、独占禁止法上は寡占市場そのものが独占禁止法で規制されるという問題ではないわけであります。むしろ独占禁止政策としては、寡占市場というのは競争単位が非常に少ないわけでありますから、どうしても協調的な企業行動を誘発しからである、その意味でそれがカルテルに結びつかないように監視を強化すべきであるというのが第一点でございます。
 それから、第二点の四社会と仰せになりましたけれども、これは証券業界のみならず、一般論といたしまして、フォーマル、インフォーマルを問わず、会合それ自体は独占禁止法上問題になるというものではなくて、その会合で何が話し合われ、何が決定されるかということが問題でありますから、逆に言えばフォーマル、インフォーマルであろうと、そういった会合でカルテルあるいはカルテルまがいの行為が行われないように、これは当然のことながら我々常時監視をいたしておるつもりではございますけれども、今後とも御指摘の点を留意いたしまして努めてまいりたいと思います。
 最後に、関連会社の株式を持っておるというのは五%の脱法行為ではないかということでございますが、それは私どもそうは考えてないわけでございます。
 独占禁止法の十一条で金融会社について五%の株式保有を制限しておりますのは、金融会社というのは金融力というものを背景に他の会社を支配する九を潜在的に持っているので、五%の保有制限、これは日本の非常にユニークな制度であるわけであります。逆に、五%を超えていなければ、相手はあくまで独立の会社であるわけでありますから、それ自体を十一条の脱法行為というわけにはいかない。
 もちろん、独占禁止法では十一条の脱法行為を禁止する十七条の規定がございますけれども、これは規定上明白であるのは、例えば名義株のような手段を使って表向きは五%になっているけれども、相手方が株式を保有するに当たってファイナンスの点でどうであったか、あるいは議決権がどうか、あるいは配当の帰属がどうかということで、文字どおり実質的に保有している姿を形式上あたかも第三者が持っているような仮装した行為が行われる場合にはこれは脱法行為になりますけれども、今委員が御指摘になりましたような形で十一条の脱法行為というわけにはまいらないと思います。
#74
○近藤忠孝君 今、公取委員長は一般論で申しましたけれども、私は、やっぱり証券市場で現にこれだけ不祥事件が起きたということの関係で、特段の関心を寄せ、監視をしていただきたいということを申し上げるために来ていただいたわけです。結構です。
 次に、法務省でありますが、補てんめ定義の問題であります。
 これは本会議でも触れましたけれども、通常のルールに基づいた行為は正当業務行為として処罰されませんが、そのルールは証券業協会などが作成するということで、それが罪刑法定主義に反しないかということが議論されてまいりました。これに対して今までの答弁は、自主ルールは構成要件ではなくて違法性阻却事由を判断する場合のガイドラインである、捜査当局は立件に当たってはこれに拘束されないから大丈夫だ、こういう答弁です。
 しかし一方、自主ルール作成に当たって大蔵省も法務省も関与するという、ここがやっぱり私は大変気になるところです。要するに、大蔵省、法務省も中身、ルールを見まして、これでよろしいと同意を与えるんでしょうね。ここで気になるのは、法務省の同意したルールどおりの行為をやった方はいいと思っておったのが、もし後に捜査当局がルールに拘束されないということで違法と判断し処罰対象にする可能性、これはあると思うんです。もしそれがあるとすれば、これは法的安定性を害しないのか、信義則に反するんじゃないかと思うんです。
 ということは、逆に言えば、同意を与えた以上、大蔵省が同意を与えたからといって後で捜査当局がそれなりの判断をするのはそれは自由ですけれども、法務省も同意を与えた場合には、逆に自主ルールに拘束されてしまうんじゃないか。結局、構成要件的内容になってしまう。それが今、国会で議論されていない。任すということは、罪刑法定主義、国会が唯一の立法機関であるという原則から問題が出てきはしないかなと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
#75
○政府委員(井嶋一友君) お答えいたします。
 自主ルールの法的性格につきましては衆議院の委員会で御説明いたしておりまして、今委員が要約されましたが、大体そういった趣旨で受け取っていただいて結構でございます。自主ルールはあくまで官立規制団体がおつくりになるものでございます。したがって、その限りにおいて構成要件に組み込まれるとか、構成要件そのものに成りかわるとかいった性質のものでないことはもう十分おわかりいただけると思うわけでございます。その上で、自主ルールを自主規制団体がおつくりになる際にへ大蔵省が監督官庁として、その自主ルールにもし誤解を招くようなことがあってはいけない、あるいは将来行政の判断とかそういったことに影響するようなことがあってはいけないということで、かえってそういうことになれば混乱を招くというような観点から監督的に関与される、これはあり得ることだろうと思います。
 そういった場合に、行政官庁としての法務省に、いわゆる官庁協力としてそういった違法性、法律的な判断について意見を求められるということもあり得るかと思います。その場合には、やはり私ども法務省としては法的な意見を申し上げることは、省庁協力がある以上は当然だろうと思います。しかし、だからといって決して自主団体がおつくりになるルールそのものが公認されるわけではございません。オーソライズされるわけではございませんから、構成要件に成りかわるというわけではないということはあくまでもそのとおりであるわけでございます。したがいまして、検察の現場あるいは警察の現場が捜査という段階で判断いたしますのとは少し違うわけでございますから、そ
この趣旨はもちろん十分捜査当局に徹底をする必要はございますけれども、そういった観点で整理をしてまいります。
 したがいまして、将来、自主ルールに従ったからどうということは当然起こり得ますけれども、それはあくまで具体的な事件の捜査の際に構成要件の判断あるいは違法性の判断に、もちろん認定資料、ガイドラインとして使いますけれども、それ以上のものでないということは、検察の現場はよくわかる事柄でございますから御安心いただきたいと思います。
#76
○近藤忠孝君 まだ安心できるかどうからふっと迷っておるところなんです。
 具体的に言うと、行政官庁としての法務省が一定の判断を下す、そういう場合、刑事局長か民事局長がわからぬけれども、どちらにしましても、仮に刑事局長が判断を下すとします。ところが、検察当局が起訴しちゃったとなると、局長、ちょっとメンツないんじゃないですか。法理論的にそれは構成要件じゃない、それはわかりますよ。だけど、実際の運営として、やはりそういう立場に立つ人間ですからメンツがなくなる。したがって、私は法的に拘束とは申しておりません。事実上拘束されてしまうんじゃないかな、ここに一抹の不安を感ずるんですが、そういう立場に立つんですか、局長、どうですか。
#77
○政府委員(井嶋一友君) どのような自主ルールができ上がるかまだわかりませんけれども、要は証券の行為として正当と認められる典型的なものを明示されるというふうに聞いておるわけでございまして、どのようなものが作成されるかわかりません。したがいまして、まだ今、具体的な形態がそういったものにぴたりと当てはまるのか当てはまらないのか、あるいはその精神を酌んで判断しなければならないのか、いろいろなケースが将来あり得るだろうと思います。
 いずれにいたしましても、ルールの性格そのものがそういったものである以上は、やはりそれはつかさが違う話でありますから、そこは決してそういった誤解が起こるということもないわけでございますし、私自身の名誉がおかしくなるというわけでもございません。
#78
○近藤忠孝君 まだ質問がありますが、時間の関係で、法務省は帰って結構です。
 補てんの定義の問題について、今回の特別検査で検査に入った以上は一定の基準があったと思うんですね。私は、それが補てんの概念の一つの基準になるかと思うので、そこでお聞きをします。
 四大証券合計で七十八件四百三十五億円の補てんが公表されております。これは九〇年四月から九一年三月までの補てん先リストで、証券会社の膨大な顧客口座また取引の中から、大蔵省の方から損失補てんなどに該当するものをピックアップするよう指示したのだと思うんです。
 そこで、特別検査ではこの損失補てんなどの有無を明らかにするために四大証券のそれぞれの調査、どういう総点検を実施したのか、まずお答えをいただきたいと思います。
#79
○政府委員(松野允彦君) 特別検査におきましては、今御指摘のありましたように、証券会社にピックアップをさせるということではなくて、証券会社のすべての帳簿あるいは口座を見まして、その中にどうも経済合理性に合わない不自然な取引、あるいは市場実勢から乖離したような取引とかいうようなものを検査官が一つ一つ認定をしていったわけでございまして、その認定に際しては、今申し上げたように、どうも経済的に見て合理的でないという取引をめぐって、もちろん証券会社の担当者との間のやりとりというのはあるわけでございますが、あくまでも実際に取引の記録されております帳簿、書類等に基づいて検査官が認定をしていったということでございます。
#80
○近藤忠孝君 しかし、こんな膨大なものを全部証券局が見たとは考えられないので、やっぱり一定の基準を示してピックアップさせて、またその中から選んできたものと私は思うんですが、まあいいです。
 そこで、じゃ、どんな点をチェックポイントにして総点検を実施したのか。例えば取引パターン、取引形態の異常性、手数料のキックバックなど、こういったチェックポイントをひとつ言ってください。
#81
○政府委員(松野允彦君) 検査の際の認定のチェックポイントは、今までも明らかになっておりますいろいろな補てんの手口がございます。自己売買による利益を付与したり、あるいは新発ワラントの集中割り当てというような、どうも一般的に経済合理性がない不自然な取引というのが一番のチェックポイントになるわけでございますし、あるいは債券などの場合には市場の実勢価格との突き合わせをして、乖離した取引がないかどうか。それからキックバックという御指摘がございましたが、これは手数料については信託銀行だけには認められておりますけれども、それ以外には手数料は適正な手数料を取ることになっておりますから、手数料を割り引くというようなことはできないわけでございます。
 あと、実際に現金支払いで行われたものもございます。あるいは約定取り消しというような格好で行われたものもあるわけでございますが、いずれにしましても、そういうチェックポイント、取引を個々に見て認定をしたわけでございまして、確かに膨大な取引数でございますが、証券検査官は、通常証券会社に入った場合には膨大な取引をすべて見るというようなことをやっております。
 ただ、もちろん見るといいましても、専門家でございますから、ずっと見ていけば大体どういうふうなところでということがわかるわけでございますが、一定の限度以上のものだけを出してそれを見るというような手法は今回の特別検査の場合にはやっておりません。すべての顧客の取引が大体コンピューターに入っておりますから、これをプリントアウトさせてずって見ていくというような作業をして、今のようなチェックポイントを持ちながら認定していったということでございます。
#82
○近藤忠孝君 局長が今言われた特に異常な取引という中で、例えばハナがえとか他市場クロスなどはその典型だと思うんです。
 そこで、具体的にお聞きしますが、特別検査ではハナがえ、他市場クロス、もちろんチェックポイントにしたと思いますが、その件数を四大証券でそれぞれ何件、金額、これを言っていただきたい。
 それから次に、やっぱり異常だと思うのは、これも話があった新発CB、新規公開株、売り出し外貨建てワラント、こういうプレミアム商品、こういうものは同一の顧客に対して集中的に割り当てられているものはやっぱりチェックポイント化なったと思うんです。これに該当する顧客口座や取引の件数、金額、これも四大証券それぞれ幾らだったか。
 それから、取引形態が不自然かつ異常なものとして、日々の市場の変動が激しい中で一連の連続した取引ですべて利益を出しているもの、また日ばかり、ないしそれに近い取引が何回もあるもの、顧客である企業や団体の決算期などの一時期に実現益が集中して出てくるもの、エクイティー商品が中心の顧客口座なのに不自然な形で突如として外債や一般債の取引で利益が出ているもの、こういうものがあると思います。
 そこで、これだけで補てんと認定できるかどうかわかりませんけれども、こういう中で補てんの疑いまたは可能性があるものとしてチェックした対象などの件数、金額、これもそれぞれ報告していただきたいと思います。
#83
○政府委員(松野允彦君) 各社の手口別の件数、金額でございますが、私ども今手元に持っております分類で申し上げさせていただきたいと思いますが、今回の検査で一番多く見つかりましたのが売買価格差を利用したもの、これは債券を利用して時価乖離売買とか、時価の実勢といいますか、ルールの範囲内であっても短期間に大量にやったというようなものもございます。そういったものも含めて、債券を主に使って行っております売買価格差利用が、野村証券の場合には三件で一億二
千五百万、大和証券が一件で三億六千五百万、日興証券が十二件で四十億六千九百万、山一証券が十件で百二十六億八千八百万でございます。
 それから、いわゆるハナがえ、自己売買による利益をつけかえたというものでございますが、これは野村証券にはございません。大和証券が一件で五千四百万、日興証券が三十八件で百九十一億五千八百万、山一証券が八件で三十六億七千九百万。
 それから次に、新発ワラントの集中配分というのが認められまして、これは野村証券が三件で三億一千万、それから大和がございませんで、日興証券が四件で二億四千八百万、山一証券にも認められません。それから、現金の支払いというのが、これは大和証券だけでございますが、四件で四億七千三百万認められます。
 大体、今手口で分けて私どもの把握しておりますのはそういうふうな数字でございます。それから、認定する段階ではもちろん先ほど申し上げましたようにいろいろやりとりをしているわけでございますが、疑いのあるものは整理をして幾らあったというふうな数字を実は余り把握していないわけでございます。
#84
○近藤忠孝君 もう時間が来ましたので最後にしますが、これは九月九日の朝日の一面トップですが、「国税当局 野村の年金事業団補てん 三十四億円余を減額認定」。だから、最初国税庁はこれを補てんと思った。それで指摘したんだけれども、証券会社側の抵抗に遭っていわば手を引いちゃった。訴訟にたえられるものということでいわば減額したようです。
 ということは、大臣、やはり補てんの概念がこれほども違うんです。その補てんを処罰しようというんだから、私は先ほどの法務省への質問で疑念が残るのは、この国会でそれを明確にしないと国会の責務を果たせるのかどうかな、こういった面が残りますので、今の特別検査で一定の基準はやっているんだと思うけれども、この点をひとつ最後に答弁していただいて、質問を終わりたいと思います。
#85
○国務大臣(橋本龍太郎君) 法務省当局からは、委員の御疑念に対し、御心配をいただかないようにという答弁をいたしたとおりであります。
#86
○近藤忠孝君 終わります。
#87
○委員長(平井卓志君) 午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#88
○委員長(平井卓志君) ただいまから証券及び金融問題に関する特別委員会を再開いたします。
 証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#89
○種田誠君 午前中に引き続きまして、懸案になっている件からまず伺っていきたいと思います。
 証券局長の先ほどの答弁は十二分にわかっておりますので、もう一度、文部省において確認後の補てん行為に至ったいきさつについて述べていただきたいと思います。
#90
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 公立学校共済組合から日興証券に対し、営業特金の運用成績がよくないのでもう少し頑張ってほしいと言ったということを聞いているわけでございまして、それにつきまして公立学校共済組合から聞いているところでは、これは通常の市場取引を通じての運用努力の要請であって、損失補てんの要請を行ったわけではないとの報告を受けておりますが、証券会社がこのことを、損失補てんを要請されたと認識されたということは大蔵省の証券局長から答弁されたわけでございます。
#91
○種田誠君 いずれにしろ、先ほど文部省の方で述べたことは若干事実認識も異なっておりますし、経過も違うわけでありますが、この点については法五十条の関係で問題になりますので後ほど伺いたいと思います。いずれにしろ、委員会における答弁というのは、委員会のやっぱり権威の中で行われるわけでありますから、十二分にその辺のところを注意されて今後の答弁をお願いしたいと思います。
 続きまして、同じように、先ほど申し上げましたように、学校共済組合以外の各自治体の職員共済組合が確認後に同じような損失の補てんを受けている。このことについて証券局の方では五十五条に基づく特別調査を行っておると思いますが、その結果、なぜこのようになったのか述べていただきたいと思います。
#92
○政府委員(松野允彦君) このほかの共済組合につきまして、証券会社からは、現在のところお客からの改善の要請があったという報告を聞いているわけでございますが、反面調査の方は実はまだほかの共済組合に着手しておりません。今後着手する予定でございます。
#93
○種田誠君 そうしますと、証券会社自身からは、なぜ確認書をとった後に補てん行為をしたのかということについては聞いておるわけですね。
#94
○政府委員(松野允彦君) それは、公立学校共済の場合と全く同様に、非常に問題であるという問題意識でその間の事情を強く問いただしたわけでございます。その結果、先ほど申し上げたのと同じような事情になりますが、やはり取引関係を維持し、かつ強い要請を受けたということでやむを得ずやったんだという説明を受けているわけでございます。
#95
○種田誠君 今、証券局長の方からは、まさに学校共済と同じような形の中で補てん行為がなされたということを日興証券の方からは事情聴取しておるということでありますが、自治体職員共済組合といいますと、極めて公的性格が強い組織でもありますし、万々一にも、今日利益追求、収益至上主義と言われるような視点から、問題になっているような視点に立って補てん行為の要求などはしていないとは思うんですが、自治省の方でこの辺、確認行為をお互いにした後あえて結果的に損失補てんを受けていると、こういう事態に至ったいきさつをそれぞれ述べていただきたいと思います。
#96
○政府委員(滝実君) いきさつでございますけれども、ただいま証券局長からお述べになりました点は、私どももそういう趣旨のニュアンスでは聞いている部分もあるのでございますけれども、私どもの共済組合の受け取り方と申しますか、物の言い方が多少違うところもあるんじゃなかろうかという感じがするところも一部ございます。と申しますのは、関係ありますのが地方職員共済組合、これは中央ベースでございますけれども、それから政令市の関係で三つあるわけでございます。
 まず、地方職員共済組合でございますけれども、これにつきまして私どもも、この発表の寸前に実は日興証券の営業本部長が私どもの方へも来られましたものですから、要するに、確認書の取り交わし以後で重大問題だ、こういうことで直接聞いてみたわけでございますけれども、そのときの日興証券側の説明は、パフォーマンスの改善のためと、こういうふうに説明をいたしておるわけでございます。
 あとの政令市の場合も大体似たり寄ったりの説明ではなかったかと思うのでございますけれども、少なくとも私どもが一番注目いたしました地方職員共済組合につきましては、パフォーマンスの改善と、こういうふうに言っているわけでございます。
 それから、もう少し突っ込んで、各共済組合の実際のやりとりですね、これはいろいろ時間の経過がありますから、具体的にどの時点でどう言ったということは必ずしもつかみ切れないところがあるのでございますけれども、大体物の言い方としては、運用に努力してくれとか、もう少し頑張ってもらいたいとか、そういうような発言はしているように聞いております。私どもが確かめた限りではそうでございますけれども、担当者としては、それが補てんを要求するというようなことにつながったというふうには思ってもみていない、こういうような報告を受けているわけでございます。
#97
○種田誠君 学校共済にしても職員共済組合にしても、いずれにしろ、確認書を取り交わすということがどういうことなのかということを十二分に認識した上で今回の処置がとられてきたことは間違いないと思うんです。
 そういたしますと、私は、そもそもなぜそういう処置になってしまったのかということを振り返っていかなきゃいけないと思うんですね。先ほど証券局長からは努力目標の利回りの確保というような言葉があったわけでありますが、努力目標であろうが利回り保証であろうが、それは言葉のあやの問題であって、一定の数値に金額を満たさなきゃならないということに関しては、これは同じ効果をあらわすわけであって、言葉のあやでこの状況をクリアするというようなことは、国民の目から見れば、大変なところでいいあんばいに言葉を潤しながらやっているわい、こういうふうに映らざるを得ないわけなんですよ。まさにそういうところに証券の不透明さ、不公平さ、そういうものが生まれてしまうわけです。
 ですから私は、いわゆる利回り保証という言葉でなくて、努力目標の利回りなんというすばらしい言葉を使い出した大蔵省の言葉の発見の能力はすばらしいと思うんですが、このこと自体が逆に、国民にとっての不公平性、不透明性を生み出すことになるわけであって、どうですか、この努力目標の利回りというのは決められた数字の確保、このことにすぎないということは言えませんか、局長。
#98
○政府委員(松野允彦君) 確かに、運用努力目標利回りというような言葉が使われているわけでございます。これは御指摘のように、言葉のあやじゃないかという感じも実は私たちもしているわけでございます。
 ただ、問題は、やはり仮にそれを保証していたとすれば、その努力目標利回りが達成されていれば、これはもう明らかに違反と決めつけられるわけでございますが、株式市場の状況等にもよると思いますが、現実問題としてそういうケースが見当たらないわけでございます。その場合に、なかなか状況証拠からしてどこまで実際上利回りを保証したんだというような認定ができるかということになるわけでございまして、利回り保証と認定をいたしますと、これは法律違反、行政処分ということになるわけでございまして、行政処分が維持できるかどうかという観点も考えなきゃいけないという問題がございます。
 私どもとして、依然として御指摘のような疑いを持っていることは事実でございまして、検査の中で何とかその辺の認定ができる材料がないかというのを検査官も全力を挙げているわけでございますが、今のところ、それを認定するというだけの自信のある材料が集まらないという状況にあるということを御報告させていただきたいと思います。
#99
○種田誠君 今、まさに局長が述べていた、証券取引法五十条の二に該当する利回り保証に当たるか当たらないかということでありますが、先ほど述べております努力目標の利回りというのは、まさにこの二号に当たらなくてもそういう場合を想定して三号というのがあるんじゃないですか。まさにこの三号に書いてあるように、「若しくは取引の公正を害し、又は証券業の信用を失墜させるものとして」と、こういう形で第三号というのがつくられているというのは、三号の構成要件は非常に包括的、幅の広いものになっているわけです。こういう形で一号、二号をフォローして行政指導をしていく。まさに五十条は罰則がないんです。本来ならば罰則があってもしかるべきところを罰則がないということは、行政指導でもってこれはある程度の幅を持って、信用を失墜する、公正を害する、こういうことに関しては処理をしなさい、しかも臨機応変にしなさいというのが五十条の趣旨だと思うんです。罰則を伴う場合には、これは厳密に構成要件に該当性を求めなければならないわけであります。そういう意味で五十条の解釈に関しては、私は、大蔵省は行政当局としての責任を果たしていない、このように思うわけでありますが、五十条三号の解釈について見解を賜りたいと思います。
#100
○政府委員(松野允彦君) 今、御指摘をいただきましたのは五十条の一項五号ではないかと思うのでございますが、五十条の一項に一号から五号までございまして、五号で取引の公正を害し、または信用を失墜させるものとして大蔵省令で定める行為というのが書いてあるわけでございます。この五号は確かに規定の仕方は非常に包括的でございます。ただ、最後に「大蔵省令で定める行為」ということになっておりまして、その大蔵省令が健全性省令ということになるわけでございます。
 したがいまして、健全性省令の方の解釈に今度はなってまいるわけでございまして、五十条本文では損失の全部または一部の負担を約するというのがございまして、健全性省令の方は特別の利益提供を約してという行為パターンが書いてあるわけでございます。損失補てんというものが行われた場合に、事前にもし保証をしているとすると、該当するのが本文の損失の全部または一部の負担を約して勧誘するということか、あるいは健全性省令に書いてあります特別の利益提供を約して勧誘するという行為に該当するかという、どちらかに事前にそういうような保証、約束行為があるということになると該当するわけでございまして、この証取法五十条の五号の公正を害しあるいは信用を失墜させるものとして大蔵省令で定める行為というのは、御指摘のように、大蔵省令でございますから弾力的に追加ができるのではないかという御指摘、これはまことにそのとおりだと思います。
 ただ、残念といいますか、現在のところでは、大蔵省令で定めている健全性省令の中には特別の利益提供を約して勧誘する行為というものしか挙げていないわけでございまして、つまり、事前にそういう特別の利益提供を約して勧誘したかというところがなかなか認定がまだできないというような状況にあるわけでございます。
#101
○種田誠君 先ほど五十条の三号と申し述べたのは、私の間違いで、今証券局長が述べたように五号ということに訂正させてもらいます。
 と申し上げましても、やはり私は、この五十条というのは弾力的に運用して、むしろ今回のような場合に、臨機応変に行政処分という形で対応していくならばこれほどまで大きな今日的な状況を生むことはなかったんじゃないかなと思いますので、健全性省令があることは承知の上で、あえてこの辺の今後の運用について法改正なども含めてこれから検討しておいてもらいたいと思います。
 それから、先ほど証券局長、五十五条の特別検査、幾つか行っておるんだと申し述べておったようでありますが、現実に今行っていて近々に公表できるものというのは幾つぐらいあるわけですか。
#102
○政府委員(松野允彦君) これまで五十五条に基づいて補てん先から報告を聞いておりますのは十三件ございます。さらに、この検査の中で、先ほど御指摘のありました例えば共済組合とかというようなところ、あるいはやや保証があるんじゃないかというような疑いがあるところに絞って検査官が反面調査を準備しているところでございます。
#103
○種田誠君 もう大分期間もたっていることでありますし、新たな法改正のもとに日本の証券業界が大きく変わっていこうとしている時期でありますから、この五十五条による特別検査の結果も早急に公表して、新たな移行くの材料にしていただきたいと思うわけであります。
 次に、九月三十日の新聞にも報道になっておったわけでありますが、東急株の集中売買に関して過日の委員会でも大蔵大臣の発言があったわけでありますけれども、これに関して業務停止も含め行政処分をしていくというような報道になっております。根拠条文は、証券取引法の五十四条に基づいて行うということのようでありますが、これも先ほど来、五十四条とまさに健全性省令との兼ね合いの中でのことだと思うんですけれども、この五十四条なども本来行政処分を想定している条文でありますから、こういうことも弾力的に幅広
ぐ、公平公正を害するような行為があった場合には行っていく、こういうことが、日本の証券取引法が今日まで証券業界を保護育成していくという前提の上にできている以上、私は、行政処分というのは適宜に弾力的に運用していくということをしないと、あとはもう刑事罰だということになってしまう、むしろ証券業界の回復、健全性を求めての発展ということはなくなってしまうと思うんです。そういう趣旨を込めて五十条とか五十四条というのはできているんじゃないかなと思うんです。
 そういう意味で、今回野村証券に対する業務停止を含めて厳しい行政処分を行っていくということでありますが、五十四条などの運用についても、今後どのような考えを持っておるか聞かせていただきたいと思います。
#104
○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のように、五十四条、これは一部を省令にゆだねているわけでございます。これは、もともと五十四条というのは予防的監督命令というタイトルにございますように、主な問題はむしろ財産的な問題というのを主眼に置いておりまして、証券会社の財務状況が非常に悪くなって投資家に迷惑をかけるおそれが出てきたというような場合に、一時的にその業務をとめるなりして財産状態の回復を図る、それによって最終的に投資家に迷惑をかけないようにするというのが本来の大きな目的でございますが、その中にあわせてこの業務のやり方についてもそれを是正させるというような手段が用意されているわけでございまして、この業務の方法については、東急電鉄株式の場合にはいろいろの御指摘も受けまして、私どもも集中的に検査をし、投資勧誘の状況等についても把握をしたわけでございます。こういうような事例が頻発するということは予想すべきではないと思うわけでございますけれども、確かに御指摘のように、行政処分ということでやれるわけですし、健全性省令にもかなり具体的な規定が書いてあるわけでございますので、この規定の今後の運用についてはできるだけ適正に、かつ事案に即して弾力的にやっていきたいというふうに思っているわけでございます。
#105
○種田誠君 野村証券の東急株集中売買については、過日の当委員会における大蔵大臣の発言によって、百二十五条、株価操作の積極的な認定ができる事態では今日的にはなってないんだというような趣旨の発言がありました。
 しかしながら、百二十五条そのものの適用を過去二つの事例、光進の事件を含めますと三つということになりますが、いずれも誘引目標とか、かなり主観的な要素というのがこの構成要件に含まれている、そこの詰めが難しいということは過去の事例からもわかっているわけでありますが、問題は、その点についてはあくまでもその二つの判例、一つの事件、状況証拠でこれを掌握している状態になっておるわけであります。
 したがって、過日の大蔵大臣の見解にありましたような状況が野村証券の今回の東急電鉄株売買について認定されるならば、あとその主観的なものについては状況証拠で十二分にこれは対応できる。このことについてできるかできないかは最終的には司法判断で裁判所が行うことでありますので、むしろ野村証券の問題に関しましては、大蔵省としては積極的に証取法百二十五条によって処罰を受ける対象に当たるんだと、そういう認定の上に行動を進めることがむしろ日本の今後の証券業界の健全育成のためにも大いに寄与するんではないだろうかと私は思うわけでありますが、その点に関しての見解を、これは大臣の方からいただければと思います。
#106
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から御指摘がございましたように、現時点において百二十五条違反と断定をするだけの認定は行われておらない、しかしながら今後ともに引き続き調査を行い、必要があれば行政として可能な範囲で捜査当局とも御相談をしてまいりたいということを過去にもお答えを申し上げてまいりました。
 私は、委員の御指摘のようなお考えも決して否定をするものではありません。しかし、今回の場合、野村証券の過度の勧誘というものが引き金となりまして、不特定多数の投資家の買い注文が集中して株価が急騰しているものと認められるわけでありますが、売買執行状況を子細に検討してみました結果としては、特定者による買い上がり買い付けや、仮装あるいはなれ合い売買を交えた売買等の技巧的な売買取引が認められないということから、現在までのところでは、百二十五条違反の事実を認定することは困難と申し上げてきているわけであります。
#107
○種田誠君 百二十五条の認定が困難であれば、少なくとも五十八条の認定は私は容易だろうと思うわけであります。五十八条三号に、まさにその株価操縦に至る周辺の行為を禁止しているわけでありますから、これについては罰則もあるわけでありまして、少なくとも五十八条の三号には該当すると思いますが、証券局長、この点はどうでしょうか。
#108
○政府委員(松野允彦君) 御指摘の五十八条三号でございますが、これは「有価証券の売買」を誘引する目的をもって、虚偽の相場を利用することと、こういうふうな構成要件になっております。
 今までの五十八条の解釈といいますか、学説あるいは考え方は、やはり詐欺的な行為である「虚偽の相場を利用」というのも、本来の相場ではなくて、人為的に虚偽につくられた相場というようなことで考えて詐欺的な行為の一つの形態だというふうにとらえられているわけでございまして、五十八条そのものをそういうふうな解釈でずっとこれからも運用していくのかどうかという問題は確かにあろうかと思います。これは、アメリカなどではもう少し広い弾力的な運用がされているわけでございまして、日本の場合に、従来の五十八条のこういう運用の仕方ではなかなかこの条文を活用することが難しいという状況にあったわけでございまして、この条文の運用、あるいは場合によってはこの条文の見直しというようなことも考える必要があると私どもは思っているわけでございます。
 今回の東急電鉄株の問題につきましては、今、大臣からもお答え申し上げましたように、虚偽というのがなかなか難しいのではないか。やはり実需のある注文でございまして、過度の勧誘が行われたということは事実として私ども認定しているわけでございますが、それに従って投資家の注文が出てきているということも事実でございます。従来の五十八条の考え方からしますと、これをもって虚偽の相場を利用したということが言えるかという点につきましては、なかなか私どもとしては現在のところそこまで認定するというのは難しいのではないかというふうに考えているわけでございます。
#109
○種田誠君 今国会で証券取引法の改正法案が今審議されているわけでありますが、改正法案の成立があったにしても、先ほど来議論しておりますように五十条や五十四条や五十八条、こういうものを弾力的にある程度運用していくという行為が伴わないと、まさに証券業界に対する適切な管理監督というのはこれはできないわけでありまして、ぜひそういう視点に立ってのこれからの運用をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#110
○池田治君 私は、刑事罰の問題について若干触れてみたいと思っております。
 野村証券の田渕前会長さんは、損失補てんを決めたのは会社の役員会だったと本委員会で証言されております。この当時は、損失補てんに刑事罰を科する根拠規定がありませんでしたので処罰するわけにはえいりませんが、今回の改正法案では百九十九条の規定がありますので、これが成立し施行されればこの場合は処罰できるようになると思います。
 そこで、この場合、会社の意思決定機関である取締役会が補てんをしようと決定した場合、これは取締役会全員を処罰されるのでしょうか、代表者のみがやられるのでしょうか。それとも実行行為者である営業行為をやった者まで処罰の対象と
なるのでしょうか、お伺いいたします。
#111
○政府委員(井嶋一友君) お答えいたします。
 この改正案が成立いたしました場合の適用関係でございますが、今御指摘のような取締役会で決議があったといったような場合でございます。犯罪行為になるわけでございますから、ちょっとそんなケースは想定しにくいのでございますけれども、一応ケースとして考えました場合、もちろんその決議に参加した者全員がいわば刑法の共犯に当たるのであろうと。したがいまして、実行行為をやった者も含めまして決議全体に参加した人たちが共犯になる、場合によっては教唆犯になる場合もありましょうし、幇助犯になる場合もあるかもしれませんが、要するに、従来の刑法の総則が適用される場面であろうと思います。
#112
○池田治君 改正法案の百九十九条では、「次の各号に掲げる違反があった場合においては、その行為をした証券会社、金融機関、証券取引所又は証券金融会社の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」、こういう規定がございますが、この場合は本条は個人を規定した法律と読んでいいんでしょうか、それとも会社も一緒に処罰すると読んでいいんでしょうか。
#113
○政府委員(井嶋一友君) 今度の改正案で五十条の二というのができるわけでございますが、この条文は主体として、「証券会社は、次に掲げる行為をしてはならない」と書いてあるわけでございまして、これは刑法で言えば身分犯に当たるわけでございます。つまり、証券会社がこの違反をするということをまず実体として定めておりまして、その罰条の適用関係は百九十九条になるわけでございます。そこでは、「次の各号に掲げる違反があった場合においては、その行為をした証券会社」「の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」と、こう書いてあるわけでございまして、この証券会社の代表者、代理人、使用人その他の従業者が個人として百九十九条で処罰をされるわけでございます。
 同時に、今度改正はされておりませんけれども、二百七条という規定がございまして、これはいわゆる両罰規定でございまして、これによりまして証券会社そのものが処罰をされる、こういう適条関係になります。
#114
○池田治君 明快にわかりました。ただ、この条文が非常に難しいので、我々読んでも、会社も「緒に罰しているのか、個人も一緒なのか、ちょっと迷うところがあったものですから。ありがとうございました。
 次に、改正法案の第五十条の二の三、ここでは証券事故のことが書いてあります。
 三では、「第一項の規定は、同項各号の申込み、約束又は提供が事故」「証券会社又はその役員若しくは使用人の違法又は不当な行為であって当該証券会社とその顧客との間において争いの原因となるものとして大蔵省令で定めるものをいう」、こういう規定になっておりますが、大蔵省令で争いの原因となるものを一々列挙できますか。ちょっとお尋ねいたします。
 それと同時に、どういうものを想定しておられるか、教えてください。
#115
○政府委員(松野允彦君) 私ども、今、証券事故として考えておりますのは、従来から証券事故ということで制度的に認められておる準備金の取り崩し対象となっております証券会社の役員、従業員が違法な行為をする、例えば横領をしたとかいうような場合をまず証券事故として、これは典型的な例でございますが、それ以外にいわゆるトラブル、お客、投資家との間のトラブルが発生するという場合がございます。例えば、証券会社が明らかに事務処理上のミスをするとか、あるいは注文を受けた受けないとか、あるいは商品の説明が不足していたとかいうようなことでお客に損失が発生する場合があるわけでございまして、こういった場合についても一定の手続を経て、これも形式的には損失補てんになるということになりますので、証券事故ということでこれを処理するというようなことを考えております。
 したがいまして、省令では、どこまで細かく書くかは別といたしまして、考え方としては、今申し上げたような内容のものを証券事故として損失補てんということの適用除外にはしたいというふうに考えているわけでございます。
#116
○池田治君 そうしますと、大きな意味の損失補てんというものから事故による損失補てんの場合を除いたものがこの改正法が禁じる損失補てんということになりますか。
#117
○政府委員(松野允彦君) 証券事故を除いたものということで、そのとおりでございます。
#118
○池田治君 そうすると、証券事故というのは、争いの原因となるものを大蔵省令で定め、もしくはあらかじめ事故について損失補てんであることを大蔵大臣が確認している場合、その他省令で定める場合に限るという規定のようですが、大蔵大臣が確認されたり、省令で定めるというのが二つ重なったりして、なかなか事故というものの特定ができにくいんじゃないかと思いますが、この点、大丈夫でございますか。
#119
○政府委員(松野允彦君) ちょっとこの条文が非常に読みにくいわけでございますが、一つは大蔵大臣の確認というものを入れております。これは、証券事故として省令で定めるものにつきましても、そのトラブル処理とかになるものにつきまして、一応第一次的には協会などの調停手続というようなものが考えられるわけでございますが、しかし、本来事故でないものが事故として処理されるというようなことになるのは避けなければならないわけでございまして、そういう意味で大蔵大臣の確認という手続を入れているわけでございます。
 それから、その他大蔵省令で定める場合というのは、これは確認が要らない場合ということでございまして、現在考えられますのは、顧客との問題で、例えば裁判になって、確定裁判があって、その執行として行われる場合であれば、これは大蔵大臣の確認という手続は要らないだろうということで、そういったものを最後の省令で定める場合に限るというところには、各具体的にはそういったものを考えているわけでございます。
#120
○池田治君 なかなか複雑でわかりにくいですが、そうしますと、証券事故の補償というのは、現行法の五十七条にも規定されているわけですが、これと同一とみなしてよいでしょうか。
#121
○政府委員(松野允彦君) 五十七条は、これは今申し上げたような証券事故に備えるための証券取引責任準備金というものを積み立てる規定でございまして、証券事故が発生して、それに伴って顧客に補てんをするという場合に、証券会社が一定の準備金を積み立て、それを取り崩すということになるわけでございます。
#122
○池田治君 二項。
#123
○政府委員(松野允彦君) 二項でございますか。二項の方は、「損失の補てんに充てる場合のほか、使用してはならない。」と書いて、ただし書きがございます。このただし書きの「承認」と申しますのは、証券事故以外で取り崩すという場合でございますので、現在の運用上は、例えば天災などが起こってどうしても取り崩さないと投資家保護が図れないというような場合でございまして、現在までのところこの承認をした例はございません。
#124
○池田治君 天災等のことについては理由があるようですが、いまだに承認をしたことのないようなただし書き規定は要らないんじゃないか、こう思っておりますが、どうでしょうか。
 そして、五十七条第二項の規定の証券事故というところにも、この新法の五十条の二の三項と同じような規定にやり直した方がいいんじゃなかろうかと思っておりますが、いかがでございますか。
#125
○政府委員(松野允彦君) 五十七条の二の二項に事故というのがございますが、これは今度の改正法案の中にあります事故と全く同じ概念ということでございます。
 それから、承認を受けた場合というのはなくてもいいではないかという御指摘でございますが、実は証券取引責任準備金というのは、会社の中に
積み立てているわけではなくて協会に預託をしているわけでございまして、それを例えば今申し上げたように、何かどうしても天災地変などが起こって証券会社がその資金を必要とするというような場合に備えて、ごく異例の場合に備えてそういう承認制度を置いているわけでございまして、通常の場合にはそういう承認が行われるということは、この取引責任準備金の性格からしてないというふうに考えているわけでございます。
#126
○池田治君 罪刑法定主義との関係で、事故による損失補てんの概念を明確かつ厳格に定義づけておられなければ、省令」でも結構でございますが、事故の原因になるものをすべて列挙して、そうしてそれ以外のものは損失補てんとみなす、その損失補てんのものは刑罰は科せられる、こういうことになろうかと思いますので、これも厳格に省令で定めていただかなければ、この刑罰というのもなかなか適合しないんじゃなかろうかと考えますが、この点はどうでしょうか。
#127
○政府委員(松野允彦君) 確かに御指摘のように、この事故というものを余り広く規定いたしますと、事実上損失補てんが事故の形をとって行われるという危険があるわけでございまして、私ども、省令の内容は現在検討中でございますが、先ほど申し上げたような役職員の違法行為、無断売買とか横領とかというような法令違反行為、これは現在でも事故という概念で整理されているわけですが、それ以外に、例えば証券会社の責めに帰すミスなどによって顧客に損失を与えた場合ということで、限定的な書き方をしたいというふうに。考えているわけでございます。
#128
○池田治君 前の特別委員会のときにも私ちょっと言ったと思いますが、野村証券においては、九〇年三月期の準備金の取り崩しと九一年のを比べますと三十八倍ぐらいに急に増加しているわけです。これはなぜそういうことになるかというと、証券局長は、株価の下落があって顧客とのトラブルが多かったんではないかと思うという御答弁でした。確かに、株価も下落し客とのトラブルも多かったと思いますが、それだけでなしに、営業特金の切り崩しによるトラブルも含まれていたんじゃないかと私は思っています。
 この点局長は、この前と今日とでは調査された結果もありまして多少情勢が変わっていると思いますが、いかがお考えでございますか。
#129
○政府委員(松野允彦君) 証券取引責任準備金の取り崩しか確かにふえているわけでございます。ただ、この中身は、すべて事故届け出というのを協会と大蔵省に提出されるわけでございまして、現在の事故はあくまでも証券会社の役職員の違法、不当な行為ということ、つまり証券会社に責任があってそれに伴って顧客に損失が生じ、トラブルになり、それを解決するという意味でこの取り崩しか行われるわけでございます。
 今回、自主報告の中でトラブルの処理だと、そういうことで言われている部分があるわけでございますが、私どもとしては、証券事故という正規の手続を経ないものは証券事故と見ることはできない、やはりこれは損失補てんだという考え方に立っているわけでございます。
 証券事故というものは、今申し上げましたように、今までも協会に届け出をし、我々もチェックをしているわけでございまして、今後も、大蔵省令で定め、かつ大蔵大臣の確認を得て取り崩すということの手続にしておりますので、この中に損失補てんが潜り込んでいくということはないと思いますし、またそういうことをしてはいけないというふうに考えているわけでございます。
#130
○池田治君 今お考えになることは当然のことだと思いますが、今までにはそういうことが少しあったんではないかということも証券局長はお気づきになっておりますか。
#131
○政府委員(松野允彦君) むしろ、私どもの聞いている感じでは、トラブルではあるけれども事故にならないものが補てんの中にかなりあったという認識はあるわけでございますが、補てんというものを避けるために事故の届け出をして事故にしている、準備金の取り崩しの対象にしているというものは、私どもの今まで知っている限りでは見当たらないわけでございます。
#132
○池田治君 新聞等によりますと、トラブル解決金で支払ったんじゃないかというものも出ておりますが、これは準備金の切り崩しじゃなくて、和解とか示談とか、こういうもので処理をされておるから準備金の関係ではない、こうおっしゃるわけですか。
#133
○政府委員(松野允彦君) 現在の証券事故の概念の中には、今御指摘のあった和解とかというようなものも全部入っているわけでございまして、事故として届け出ないで和解金を支払うというような形のものは、私どもとしては把握をしていないわけでございます。
 和解金という言葉の問題でございまして、正規にどこまでの手続を経ているかという問題があるわけでございますが、損失補てんとして報告されている中にも、営業特金を適正化する場合にトラブルが起こって話し合いで補償しているといいますか、補てんをしているというようなケー久もあるわけでございまして、そういったものはいわば、ある広い意味では和解かもしれないのでございますけれども、いずれにしても、正規の手続を経ないものまでを証券事故だというふうに考えるということは、私どもとしてはそういう考え方はとっていないわけでございます。
#134
○池田治君 わかりました。
 次に移ります。
 近藤議員も先ほど質問をなさいましたけれども、業界の自主ルールのことでございます。これは正当行為の判断基準として要求されておられて、何も構成要件の中に入れるものではない、だから安心しておけ、こういう刑事局長のお話でございましたが、私はそれを聞いてもまだちょっと腑に落ちないところがありますので、少し聞かせていただきます。
 正当行為というのは、刑法上の正当な業務行為ということでございまして、これは普通の業務でございます。普通の業務以外のものは自主ルールでこんなことはしてはいけないということを日本証券業協会で作成させる、こういう意味でございましょうか。
#135
○政府委員(松野允彦君) 今考えております自主、ルールは今の御指摘とちょうど逆でございまして、むしろ、通常社会通念上認められる証券取引行為というものの典型的なものを自主ルールで明らかにしようというふうに考えているわけでございます。したがいまして、自主ルールに書いた取引がむしろ正当な、正常な証券取引行為であるというふうになろうかと思います。
#136
○池田治君 そうしますと、自主ルールが正当行為を列挙しているということになりますと、自主、ルールに列挙されないものはすべて不当なものということになるのが原理のようでございますが、この点はいかがでございますか。
#137
○政府委員(松野允彦君) 自主ルールに書くといたしましても、正当な証券取引行為をすべて書き切るということができるかどうか検討中でございます。したがいまして、私はあえて典型的な行為というふうに申し上げたわけでございまして、そういったことからいいますと、自主ルールに外れた行為が即アウト、つまり正当な行為でないということになるかという点については、必ずしもそうはならない可能性はあるわけでございます。
 一つ確実なことは、もちろん法務省さんとも相談をするわけでございますが、自主ルールには、自主ルールに該当しているけれどもだめになる行為というものはなるべく載せないようにしたいというのが私どもの考えでございまして、いわゆる自主ルールというのは、それだけ確実に正当な証券取引行為であるというような典型的なものをできるだけ自主ルールに載せておく。それ以外の行為につきましては、もし問題があるということであれば個別に照会をするというような形で考えていくということも場合によっては必要ではないか。ただ、証券取引の円滑さを保つということからいいますと、できるだけ自主ルールで正当な行為を広く規定しておく方が望ましいということは
言えるかと思います。
#138
○池田治君 証券流通の円滑化を図るためという要請もよくわかりますが、しかし今回は行政罰でなくて刑事罰を科するわけでございますから、そういったあやふやなことでは刑事罰は科せられないんじゃないか。こういうことをやっていたら裁判の結果全部無罪になってしまう、何のための規定がわからなくなってしまう、この危険も私はあると思います。
 そこで、もう少しお聞きしますけれども、構成要件の中に入るものではないという法務省のお話でしたけれども、自主ルールがすべて正当行為ではない、かといってそれ以外のものはすべて不当行為でもない、こんなあやふやなことでは違法行為と正当な行為との区別、限界をどこに求めるかというのはなかなか難しいんじゃないかと思いますが、局長はいかがお考えですか。
#139
○政府委員(井嶋一友君) 自主ルールというものが実際の犯罪が起こった場合にどういう効果といいますか、を発揮するのかという問題でございますけれども、構成要件の該当性を判断する場合あるいはその行為の違法性を評価する場合におきまして、私ども捜査をする者は、一般的には、法令があれば法令をまず手がかりとするわけでございます。法令がなければ、通達といったようなものが手がかりになります。さらに行政指導といったものも手がかりに、なる場合もありましょう。そういったものがない場合に、今度は企業犯罪の場合には各企業の団体のようなものがつくっておる準則でございますとか、あるいは今回のような自主規制団体がつくる自主ルールでありますとか、あるいは会社の中における業務の執行規定といったマニュアルのようなもの、こういったものを次に行為の構成要件該当性あるいは違法性を評価する際の手がかりに使うわけでございます。そういうものがない場合には慣習、慣行を使い、さらにそういうものがない場合は条理の判断で決めていくという思考過程を繰り返して認定していくわけでございます。
 したがいまして、今問題になっております自主ルールというのは、そういう使われ方をする中における今申しましたいわゆる自主規制団体のルールでございますから、構成要件そのものではないということは御理解いただけると思います。
 しかし、自主ルールと申しましてもすべてが網羅されているわけでもございません。したがいまして、そのルールに盛られていることを十分判断の基準にしながら、行為の正当性あるいは構成要件訣当性あるいは違法性を判断していくということでございますので、すべてを網羅していないからおかしいあるいは不十分だということでもないわけで、むしろなくたっていいわけでございますが、今度の証券取引のような行為はそういった形で頻繁に行われる行為でもございますから、自主ルールといったものを決めて迅速適正に行われるようにつくろうという話でございますから、それはそれなりに意味があるんだろうと思っております。
 そういうことでございますので、自主ルールそのものがひとり歩きをするというわけでもない。また逆に、自主ルールにのっとってやっておれば一般的にはセーフになるケースが多い、しかし自主ルールに乗っかってそれを仮装しながら犯罪を行うことだってあり得るわけでございますから、そういった意味で自主ルールに拘束されるものでもないということも言えるわけでございまして、今後つくられる自主ルールはどんなものになるかわかりませんけれども、一つのそういった認定作業、認定思考を繰り返すための争がかりであるというのが刑罰を適用する場合の効果といいますか、機能ということになるんだろうと思います。
#140
○池田治君 刑事局長はなかなか能弁でありますので、ちょっと私もわからなくなりましたけれども、まあ手がかりになるということはわかりました。
 しかし、手がかり程度のもので構成要件的なものを構成することが私は危険なんじゃないかと思っております。そしてまた、どういうものができるかもわからないと言われるのを、それを基準として構成要件的なものに格上げして考えるという思考過程がちょっとおかしいんじゃないでしょうか。局長、もう一度お答え願います。
#141
○政府委員(井嶋一友君) どうも御説明が悪いようでございますけれども、この自主ルールというのは、今申したような構成要件の該当性あるいは違法性、違法性というのは刑法三十五条の正当行為に当たるかどうかという問題でありますけれども、そういったものを認定するガイドラインなのでございます。したがいまして、実はさっきも申しましたように、これはあってもなくてもいいわけであります、本来的に言えば。なくてもいろんなものをデータに認定をするわけですから。したがいまして、自主ルールがそれほど認定上非常に不可欠であり、それが完全無欠でなければならない、逆にまた、それが不完全であるから構成要件該当性その他に非常に遺漏があるというような問題ではないんだということを申し上げたいわけでございます。
 要は、一つの将来の違法行為の認定に資するものでありますから、できるだけ完全無欠なもの、完全なものができた方がいい、それはおっしゃっるとおりでございます。そういった意味で大蔵省も監督権を行使していろいろ指導される、それについて法務省も意見を求められるというのであればお答えしましょう、こう申しておるわけでございまして、そういった性質のものであるということを御理解いただきたいと思います。
#142
○池田治君 今度は大蔵省証券局長にお尋ねします。
 今、刑事局長から、手がかりになるものとしての自主ルール等を期待しているということでございますが、証券業協会や取引所というのは任せていても客観的、中立的な視点での自主ルールの作成が可能でございましょうか。今回の証券事故の原因については、一つにはこれらの機関が無力であったことにも原因があるようですが、当面の措置を自主ルールに任すということなら結構ですけれども、抜本改正においてはやっぱり国の法律か省令でもってこの内容を決めるべきではないでしょうか、お尋ねします。
#143
○政府委員(松野允彦君) 自主ルールにつきましては、私ども証券行政を担当している立場から申し上げますと、あってもなくてもいいということよりは、むしろ証券取引の円滑さを確保するためにはぜひあった方がいいという立場でございます。ただ、そうは言いましても、自主ルールでございますから、先ほど来申し上げておりますように、すべてを網羅するというものではございません。特に、現在まで明らかになっております損失補てんの手口、こういったものが自主ルールに沿ってもできるようなことになってはこれは意味がないわけでございまして、そういったものを排除するためにはどういうルールが適当かということを検討しなければならないと思っているわけでございます。
 御指摘の取引所、協会につくらせるのはどうかという点でございますが、これはやはりそういう証券取引の円滑さということを主眼に置いて、できるだけ安全サイドに立った自主ルールをつくりたいという行政の気持ちということを考えますと、まず第一次的には、そういう取引の円滑さという問題でございますので、取引に実際に携わっている関係者が議論をしていただくということが必要ではないか。ただ、その議論の結果として出てまいりましたルール案なるものを私どもはもちろんそのまま認めるというつもりはございません。これはやはり行政の立場としては、今申し上げた取引の円滑さというものも必要だということで自主ルールがあった方がいいという立場ではございますが、その中に変なものが紛れ込むあるいは損失補てんができるような取引が入るというようなことは、これはもちろん許されないわけでございまして、そのルールについて私どもも十分内容を検討いたしますし、必要であれば法務省の方にも御相談を申し上げたいというふうに思っているわけでございます。
 取引所、協会は信用できないじゃないかということでございますが、こういう問題が起こって、これから証券取引制度なりそういうものを考える場合に、やはり自主規制機関の強化ということは私どもどうしても実現しなきゃいけない問題でございます。そういった意味では、自主ルールをつくるということも、そういう自主規制機関としての強化をしなきゃいけないという意識を高めるといいますか、あるいは植えつけていく一つの環境として使えるんではないかということで、まず自主ルールは取引所、協会で考えてくださいということを言っているわけでございます。
#144
○池田治君 今、ルール作成中ということでございますが、この改正法はきょう成立しますと法律となってしまいます。そこで、「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」という規定がございますが、いつごろ公布をなされて政令を定められるおつもりか、それまでに自主ルールが間に合うかどうか。これを御回答願います。
#145
○政府委員(松野允彦君) こういう損失格てんという問題が起ったわけでございまして、できるだけ再発防止策として早く施行したいという気持ちでおります。
 それに加えて、今のような自主ルールも法律が施行されるまでに当然間に合うということが望ましいわけでございまして、いつということを今ここでお約束といいますか、明らかに申し上げることはできませんが、できるだけ早くルールをつくり施行したいというふうに考えていもわけでございます。
#146
○池田治君 終わります。
#147
○太田淳夫君 最初に、大蔵大臣にちょっとお伺いしたいんですが、丸見三日の当委員会で同僚委員の質問に大蔵大臣は、自己責任の原則について、「一部の大口投資家と言われる方々の中に証券市場における自己責任原則というものが忘れられてしまっていたのではなかろうか」、こうおっしゃっておみえになりました。
 証券取引につきましては自己責任の原則ということが言われているわけでございますけれども、大多数の個人顧客は従来から自己責任の原則、これに基づいて行動しているんですね。
   〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕
今回のいろんな株の値下げの問題についても、これはなかなか補てんもされておみえになりませんね。ですかも、この自己責任の原則というのは、大蔵大臣もこの委員会でおっしゃっておりますように、大口投資家にこそ求められるべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
#148
○国務大臣(橋本龍太郎君) より正確に言わせていただきますならば、大口投資家が全部補てんの対象になっていたわけではないと思います。それだけに、一今回その損失補てんを通じていろいろ名前が挙がりましたような一部の特定の大口顧客というものが自己責任原則を逸脱していた、正確に申し上げるならそうでありましょう。
 いずれにいたしましても、そうした原則を思い起こしていただかなければならない方があるということが今回の事態を招いた大きな原因の一つと思います。
#149
○太田淳夫君 おっしゃるとおり、一部ではあるかもしれません。しかし、この補てんは、いろいろとこの論議の中でもありましたように、大なり小なり今回公表された以外にもされていたことは間違いないわけですね。
 私が思いますには、個人顧客、個人的な投資家というのは、何としても市場の情報というのはこれは証券会社に頼る以外にないわけです。しかし、事業法人等の大口投資家というのは証券会社以上に情報収集能力もあるわけです。ですから、証券取引法にもありますけれども、投資家保護の原則というのは、やはり個人顧客にこそこれは当てはめられるべきものでありまして、大口の事業法人等につきましては自己責任の原則であくまでもやっていかなきゃならない、こういうふうに思うわけでございます。
 今回の法改正の中あるいは抜本的改正の中でも、投資家の保護について大蔵省としてはどういうような方針で臨まれる決意ですか。
#150
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回御審議をいただいております証券取引法の改正案は、率直に申しまして、いわば緊急避難と申しては語弊があるかもしれません。しかし、損失補てんという行為を誘発いたしました証券一連の不祥事の問題に対応するためのまさに緊急避難と申し上げていいかどうか、そういう要請を持ったものであります。そして、問題になりましたその損失補てんを含め保証、そしてその温床となりやすいということで取引一任勘定取引というものに対しても対応策を講じました。
 今、委員が御指摘になりましたように、個人と申しましても大変膨大なお金を動かしておられる方もありますから、小口の投資家と言いかえさせていただきますが、小口の投資家保護ということは、当然のことながらこれは我々忘れてはなりません。そして、今日までの証券行政においても、そうした点を我々は決して無視してきたつもりはありませんでしたが、今回の補てん行為の発覚とともに小口投資家保護という点に欠ける部分がなかったかという反省を私ども自体も強いられております。
 今日、過去の通達というものをすべて見直しをいたしております。この中には、当然のことながらこうした視点から発出された通達というものもあると思います。これを今後私どもは法律に移すべき事項は法律に移し、自主規制機関のルールにゆだねるものはゆだねるということをお約束をいたしてまいりました。また、その作業も、次期通常国会にその法律案が間に合うようにという行革審の御客車をいただき、それに向けて努力をいたしております。その時点におきまして、どういう形をとれば小口投資家の保護というものが今よりも行いやすい状態になるか、これは私どもとして検討いたさなければなりません。
 手数料問題にいたしましても、実は私は、当初自由化ということに対し非常に条件を付したお答えの仕方をしてまいりました。欧米の例等を見ましても、ただ単なる自由化では小口の投資家が不利になるのではないか、その懸念が私はぬぐえなかったからであります。行革審からの御意見をいただき、我々は今自由化を目指して努力をすることになります。しかし、その中におきましても、ただ単に自由化をすればいいというものではございません。いかにすれば小口投資家の利益を守り得るか、こうした視点を抜いてこの問題を考えることはできません。
 今後、一つずつの行政の中におきまして、場合によっては法改正の中で小口投資家の保護というものを十分に配意した行政に組み立てを変えてまいりたい。今までも我々は忘れてきたつもりはありませんけれども、より徹底してまいりたいと考えております。
#151
○太田淳夫君 今回の不祥事では、論議はいろいろされていますが、なぜ証券会社が事業法人等に対して多額の補てんを行わなければならなかったか。証人喚問の中での証券会社の社長さんのお話、では、長期的取引の維持が目的であった、こういうことの話もされておりますが、大蔵大臣としてはどうお考えでしょうか。
#152
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、証人の院における御証言に関し、私が論評を加えることは差し控えさせていただきたいと思います。
#153
○太田淳夫君 いずれにしましても、私は、事業法人と証券会社との、あるいは銀行等を含めた金融機関間の力関係、これが圧倒的なアンバランスにある、そこに根本的な原因があるんじゃないかと思うんですね。
 そこでお聞きいたしますけれども、事業法人が社債等を発行する場合に証券会社との間で発行条件についていろいろ協議すると思うんですけれども、その発行条件は何を基準として決定されるんでしょうか。
#154
○政府委員(松野允彦君) 事業法人が社債を発行する場合の発行条件でございますが、これは当然
のことながら、その流通市場におきます債券の実際の流通実勢というものが大前提、基本になるわけでございます。もちろん、いろんな債券がございます。発行体も違います。格付も違えば表面利率なども違うわけでございまして、そういう銘柄間の格差の問題、あるいはその表面利率の違いなども考慮して流通実勢を基本にしながら交渉が行われるわけでございます。発行会社と引受証券会社の交渉がそれをバックにして行われて決定されるわけでございます。
 私ども、確かに御指摘のように、事業会社との力関係というものが非常に問題になるというケースもあるんではないかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の社債の場合にはかなり販売シ団が組まれております。そういったこともありまして事業会社の意向がそのまま通るというようなことはないと考えるわけでございまして、流通実勢を基本としながら、そのときの消化見通し、これは一社だけではなくてシ団に入っている証券会社の意向もあるわけでございまして、そういった関係でそういったものをバックにして交渉が行われて、一方的に事業会社の言いなりになるということはないというふうに考えるわけでございます。
#155
○太田淳夫君 一方的に事業会社の言いなりになるということはないとしましても、やはり現在の金融問題における力関係のアンバランスから考えていくならば、発行企業に有利な条件でこれが決められていることは間違いないと思うんですね。
 ですから、その発行企業に有利な条件ということは、裏返してみますと、個人顧客にとりましては資金運用面について不利な条件になる。こうなるわけでございますから、したがって引受条件がどのような根拠で決定されたのかということは、これはもうやはりディスクロージャー、開示される必要があるんじゃないかと私は思うわけでございます。そういった具体的な決定基準についても大蔵省としては開示するように努力すべきだと思いますが、その点はどうでしょう。
#156
○政府委員(松野允彦君) 今、事業会社の債券発行の場合に問題になりますのは、いわゆる普通社債よりはむしろ転換社債あるいはワラント債といいますか、新株引受権がついている社債というようなものが多いわけでございまして、こういったものは今申し上げたような社債の流通実勢に加えて株価の動向というものが加味されるわけでございます。つまり、株式に転換できる、あるいは株式の引受権がついているというようなことで、株価の動向というものが非常に大きく条件決定に影響を与えているわけでございまして、したがって株価が非常に好調なときには社債としての利回りは非常に低くなるというような商品になって、そういう状態が続いたわけでございます。
 そういったような観点につきましては、御指摘のように、発行条件を決めるときに株価の見通しというもの、非常に不透明なといいますか明確でないものが要素に入るということがあ喝わけでございまして、私ども現在、発行市場の見直しと改善ということで考えておりますのは、一つは、そういったものについて従来広くシ団が組まれていなかったという問題があるわけでございまして、大手証券会社がほぼ独占的にそういうものの引き受けを行うということから、投資家軽視というようなことにもなりかねない、そういった点を改善するには、やはり中小証券の参加を求めて、そういう発行条件の決定について中小証券とも相談をする、いわば中小証券に条件を公開するというような方向で改善をするということも一つの考え方だということでございます。
 なお、普通社債の場合には、これはいわゆるプロポーザル方式といいまして、いわば入札制度のようなものをとっておりまして、発行会社が入札を求めるということで、それを見ながら発行条件を決めるということが行われているわけでございます。発行市場の公開といいますか透明性ということからいいますと、やはり株式絡みの転換社債、ワラント債の発行のところあるいは時価発行というところが非常に問題だという認識を持っているわけでございます。
#157
○太田淳夫君 いずれにしましても、証券・債券市場の透明性は、これは高めていかなければならないと思います。
 それに関連しましてもう一点お尋ねしたいんですが、いわゆる事業法人等で決算対策の一つとしまして単価調整と言われる操作を行うことがあると思うんですけれども、これほどのような仕組みになっているんでしょうか。
#158
○政府委員(松野允彦君) この単価調整によります決算対策と申しますのは、実は二つございます。一つは、決算のときにいわば含み損を出さないでそのまま繰り越してしまうというようなやり方、それからもう一つは含み益を出すという二つの方法があるわけでございますが、いずれにいたしましても、株の場合もございますが、含み損を繰り越すというような場合には債券の入れかえのような取引が行われるわけでございます。
 その取引そのものは入れかえ売買でございますから、その取引によって利益が発生するわけではないわけでして、単に債券の単価が調整されるというだけになります。株の場合には含み益をもし出すということになりますと、これはその分だけ簿価が訂正されますので利益が出るという形をとるわけでございますが、株式の場合には当然市場で執行されますものですから、市場の価格で行われる。債券の場合の単価調整取引というのは、債券の場合には大口取引は店頭市場で行われておりますから、市場値段というものを勘案しながら行われているわけでございますけれども、市場値段というものが必ずしも明確でない債券も幾らもあるわけでございます。例えば私募債とか。そういったようなものを使って単価調整を行うということを行います場合に、価格が果たして適正かどうかという問題が起こるわけでございます。
 私ども、単価調整による取引、つまり入れかえ売買というもの自体についてどうこうということを言うことは難しいわけでございますが、その価格が適正であるかどうかという点が問題になるわけでございまして、少なくとも証券会社がもしその取引に関与する場合には、その価格についてはやはり市場価格からかけ離れた価格で行うのは望ましくないというふうに考えるわけでございます。
#159
○太田淳夫君 そうしますと、この単価調整というのは、今もいろいろと問題になっております補てんというものに当たらない、あるいは今回公表された補てん額の中にはこうした単価調整的な性格によるものは含まれていない、こうおっしゃっているわけですね。
#160
○政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたように、単価調整による場合には利益が発生しないというのが通常でございます。仮に利益が発生いたしましても、それは損失補てん目的というよりは決算対策というような感じでございまして、大体の場合は、現在行われております入れかえ売買は利益が出ないという形で行われておりますので、損失補てんということには該当しないというふうに考えられます。
#161
○太田淳夫君 いずれにしましても、そこで債券等の入れかえが現実には行われているんですね。入れかえが行われていることは確かですから、今証券局長からも話がございましたけれども、こうした決算対策のために単価調整をいろいろと行っていく、これもやはり証券市場というものを不透明にしている原因の一つじゃないかと私たちは思うわけでございます。
 やはりこういう場合につきましても、債券価格とかあるいは債券取引の実態ということもはっきりと開示していくことが必要でないかと思うんですが、決算対策のための単価調整その他、大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
#162
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員止証券局長の質疑応答を問いておりまして、いわゆる入れかえ売買というもの、これは確かに証取法改正案のもとでも損失補てんに該当しないものではありますけれども、もともとやはり債券の売買価格を実勢から離れたレベルで恣意的に設定するというこ
とは、委員が御指摘のとおり、取引の透明性に欠けると言われても仕方のない部分があると私も思います。
 同時に、もう一つの問題点として、これは委員の御質問に直接の答えになるかどうかわかりませんか、企業の決算調整に証券会社などが手をかすということ自体が一つの問題ではなかろうかという意識を持ちながら今の応答を拝聴しておりました。こういう問題意識を持ちながら、今後の業界としておつくりになるであろう自主ルールの中でこうしたものに対してもガイドラインが示せないものか、今そのような問題意識を持って拝聴しておったところであります。
#163
○太田淳夫君 次に、今回、四大証券会社に対しまして国債あるいは地方債入札引き受けの停止処分がなされているわけですが、こうした処置は一カ月で終了されるのか、それとも延長する可能性もあるのか。何が満たされなければ停止処分を続けられるのか。その点どうでしょうか。
#164
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはもう委員がよく御承知のように、行政処分でもありませんし、当然のことながら刑事罰でもございません。ただ、今回の国債入札の直前、特別検査の中間報告の内容を見ましたときに、既に公表いたしましたような問題を含む中間報告が出てまいりました。こうした状況の中で、国債の入札、とりあえず御遠慮を願うべきと考えて除外をいたしたわけであります。これはあくまでも今回の中間報告の段階における対応であります。
 特別検査が、私もあとどれぐらいの時間がかかるのかわかりません。しかし、検査の諸君は全力を挙げて取り組んでおりますし、この検査結果が出てまいりました段階で四社に対してどのような処分が必要となるかは判断をいたさなければなりません。
   〔理事斎藤栄三郎君退席、委員長着席〕
そうした意味におきましては、今後検査の終了時点において行政当局としての判断を下す時期がある、そのように今はお答えをさせていただきたいと思います。
#165
○太田淳夫君 そこで、この四大証券、寡占の問題もこの委員会でいろいろと論議されました。それほど四大証券の力というのは非常に大きいわけですね。この四大証券の寡占化をつくってきたのは大蔵省にもこれは責任があるんですね。いろいろと私も中小証券の方々とお話ししますと、四大証券の言うことしか大蔵省は聞いてくれないという声が非常に多いわけでありますし、資金量、販売力あるいは組織網を見ても圧倒的に大きいわけです。したがいまして、この四大証券の入札引き受けを停止したままで国債の発行を続けるということは何らかの支障がそこに生じてくるんじゃないかという感じがしてならないんですが、仮に長期にわたって停止しても、国債のスムーズな発行はこれほどのぐらいの期間、何カ月ぐらいまで可能なんでしょうか。そこら辺どうでしょうか。
#166
○国務大臣(橋本龍太郎君) 理財局長からの答弁をお許しいただきたいと考えますので、今の御質問には理財局長から正確な答弁をさせたいと思います。
#167
○政府委員(寺村信行君) 昨日、四大証券を排除いたしましたところで十年国債八千億円の入札を行いましたが、クーポンレートは六%で八千億円、それで競争入札分が四千八百億円でございまして、そういう条件で入札をいたしましたが、応募額が四千八百億円に対しまして二兆二千三百三十六億円一応募倍率が四・七倍でございます。平均落札価格が百円四十四銭、利回りが五・九二九%、これはかなり順調でございました。と申しますのは、現在の債券市況が非常に好調であるという背景があったからだと考えております。なお、一カ月間の停止措置でございますから、これから短期国債、中期国債の入札がございますが、それも四社を除外することとしているわけでございます。
 ただ、長期的にどういうような影響があるかということでございますが、ただいま申し上げましたように、たまたま今債券市況が非常に好調であるということを背景にこのような結果が出たわけでございまして、四社を排除したまま全体としてどうなるかというのはちょっと一概には申し上げられない状況でございます。
 ただ、基本的には、これはまさに入札でございますので、どこの社があらかじめ幾ら落ちるかというのはわからない。そういう意味では競争の世界でございますので、できるだけ原則としては、入札引ぎ受け能力のある証券会社、金融機関にできるだけ多く参加してもらうことが原則ではないかということだと思いますが、たまたま今回の措置は、九月二十四日の中間報告を踏まえまして、あってはならない、かなり遺憾な損失補てんが発生したということで一カ月間の停止処分をした、こういうことでございます。
#168
○太田淳夫君 さらに、証券市場の信頼性の回復のためには、各証券会社の取り組みの手口ですね、この開示ということが必要じゃないかと思うんです。どの証券会社がどういう売買の取り組みを行っているか明瞭にすることが不正を予防する上で必要なことだと思うんですね。現在新聞紙上でもちらっと出ておりますけれども、これはもっとはっきりと売買の取り組みについて開示することが必要だと思うんですが、大蔵大臣、どうでしょうか。
#169
○政府委員(松野允彦君) 売買手口の開示でございます。これにつきましてはいろいろな考え方があるわけでございます。諸外国を見ましても、なかなか売買手口までは公表していないわけでございまして、これはむしろそういうものを公表いたしますと、かえって思惑を生むというような可能性があって公正な価格形成をゆがめるんではないかというような議論があるわけでございます。
 ただ、その中でも、いわゆる先物と現物の両市場を利用いたしました裁定取引、これにつきましては現物市場に与える影響等を考えて、なるべくその中身を開示する、公開するということが行われております。アメリカの例に倣いまして、日本でも裁定取引についての売買高というものは本年の六月から公表をしているわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、御指摘のように、透明性を高めるということも非常に必要なことでございまして、取引所の市場情報の一層の公開、開示という点について引き続き取引所とも、まあそのメリット、デメリットを考えながらできるだけ公開する方向で検討を求めていきたいというふうに思っているわけでございます。
#170
○太田淳夫君 これは東証等で把握できるわけでありますし、きのうも東証の理事長がお見えになっておりましたけれども、やはり不審な動きがある場合には速やかにこれは公表をすべきではないかと思うんです。東急電鉄問題につきましても、いろんな各証券会社の取り組みの手口が公表されておりますと、個人顧客、小口投資家がやはり損失を免れたんじゃないかと、こう思うわけですね。
 そこで、次にお尋ねいたしますが、野村証券に対する行政処分のための審問が開始される、こういう報道もちらっとあったわけでございますが、どういう手順でこれは行われていくんでしょうか。大蔵大臣は昨日の委員会で、世間から批判を招くような措置はできない、こういうことをおっしゃっておりましたが、これは相当厳しい処分ということを念頭に置かれているんでしょうか。その辺どうでしょうか。
#171
○国務大臣(橋本龍太郎君) 必要がありましたら事務方から補足をしてもらいますけれども、今回の五十四条、健全性省令三条七号違反というものについての審問の先例がございません。現在、その審問の内容その他、事務的な準備を整えて、できるだけ早く審問にこぎつけたいという努力を事務方はいたしております。その結果を見ませんと、全然結果を無視して、最初から厳しいとかあるいは甘いとかということを申し上げることは私は控えるべきことと思いますけれども、その審間の内容に照らし、処分が必要な場合には世間が妥当な処分と受け取っていただけるような内容に是正命令の後出てくるものと孝之ております。
#172
○太田淳夫君 今、準備中ということでございま
すが、大蔵大臣のいろんな日程を考えてみますと、G7及びIMF総会に出席をされなきゃならない。十月十日ごろには出発されるんじゃないかと思うんですが、そうしますと、大蔵大臣は自分のやはり責任においてこの処分を決定されていかれる御決意じゃないかと思うんですね。そうなりますと、大体その七、八、九のうちかというふうに私ども考えておるわけでございますが、今までの行政処分のための審問実績等をちょっといただきましたけれども、これを見ますと、営業停止期間については三日間が最高であります。あるいは免許取り消しの例もございます。こういう例示がいろいろあるわけでございますが、今回の場合はこの内容から見ても超える可能性があるのかなと、これは私の考えでございますが。
 そのほか、今までこの審問というのはすべて非公開で行われてまいりましたね。これは公益を守らなければならない、あるいは営業の秘密を守るためにということであろうかと思うのでございますが、今回はこの場合には公開ということでいろいろ考えておみえなんでしょうか。
#173
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本来、証取法におきましては、「審問は、すべてこれを公開しなければならない」という原則を立て、「但し、審問される者の業務に関する秘密を保つため必要があると認めるとき、又は公益上必要があると認めるときは、これを公開しないことができる」、こうなっております。たまたま過去においては、例えば顧客の機密にわたるあるいはプライバシーにわたるといった事由があったものと私は思われますけれども、審問は非公開で行われたケースがほとんどであったように私も承知をいたしております。
 これから先、この審問というものを具体的にどう取り扱っていくかにつきましては、今事務方の諸君がその準備をしておりますところで、私もやっぱりはっきりした申し方はできません。しかし、手続の透明性を確保するということも当然のことながら十分考えなければなりませんし、例えば部屋の大きさといったことにも制約はあろうかと思いますけれども、報道機関の立ち会いをお願いするかどうかといった工夫も含めて、十分検討してまいりたいと思っております。
#174
○太田淳夫君 いよいよ時間になってまいりましたが、先ほどお話を申し上げましたように、証券会社と事業法人との間にはいろんな力関係のアンバランスが存在している。先ほどの種田委員のいろんな質問の中にもありました、大蔵省とそれぞれの共済組合との認識の相違等がありますけれども、それはやはり力のアンバランスによってこれは多少の、直提言わないにしてもニュアンスの中にこれが込められておればそれに従っていかなければならない、そこに補てんの温床があった。
 ですから、今回のこの法案の改正、あるいは抜本改正におきまして、要求されたあるいは強要された、そういう場合に限らずに、ある程度のみなし規定というものもやはり補てん行為とみなすことも必要ではないか。例えば何億円以上についてはこれは補てんですよと、そのようにみなして罰則を強化していくことが二度とそういうことが再発しないということになるんではないか、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
#175
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、もし不正確でありましたら事務方から補足をしてもらいたいと思いますけれども、私は、こうした刑事罰を伴います法規にみなし規定を採用するということは、その法律の運用に当たる者の恣意的な判断によって犯罪が成立したりしなかったりという非常に大きな危険を持つものではないかという気持ちが率直にいたします。むしろ、罪刑法定主義という原則がありますのも、そうしたいわば運用幅を危険な形で法律の中に定めることには問題があるということではないでしょうか。となりますと、罰則を伴います事項をみなし規定で条文の中に採用する、それはある場合、法の厳格な運用を求めるという意味ではいいかもしれません。しかし、私どもの立場からいたしますと、証券市場というものの健全な発展も我々は求めてまいります。その場合に、みなし規定の準用によって市況が冷える、投資者の心理が冷えるというようなことは私は求めるべきではないと存じます。
 法的に問題があるかないか、その辺につきましてもし事務方が補足することがあれば補足をしてもらいたいと思いますが、私は、こうした刑事罰を伴う法規の中にみなし規定というものは採用すべきではないと心得ております。
#176
○太田淳夫君 時間になりましたからいいです。
#177
○三治重信君 私は、少しこの損失補てんその他証券の不祥事の問題から離れて、現在の株式なり債券の発行の態度、または、それに対して本当に証券市場というものが健全に育つような環境のもとに株式が発行され債券が発行されているのかどうか、こういう問題についてちょっとお伺いしたいと思っております。
 それについてまず第一に、株式の時価発行というものが商法の改正で、大体において昭和三十年以降これができるようになって、従来の株主の新株引受権というものを害さない範囲で時価発行かできるというようなことになって、これが非常に財テクの財源に使われているというふうに聞いておるわけです。
 こういうような時価発行をやるということについて、証取法や何かだと証券のいわゆる発行目論見書というのですか、市場に出す場合に目論見書を届け出る、こういうことになっているんですが、それは証券取引所だけか、あるいは大蔵省にもそういう時価発行や何かの目論見書や何かが全部届けられて、あるいは何らかのある程度の関与をしておられるのか、許可とか何とかしておられるのかどうか聞きたいと思います。
#178
○政府委員(松野允彦君) 一般に、この有価証券が不特定多数の投資家に発行されるという場合、これは募集というふうになるわけでございますが、これにつきましては、有価証券のその届出書というのを大蔵省に提出をすることになっております。提出をしないで募集を行うということが法律では禁じられているわけでございまして、その届出書には、当然その発行する有価証券、時価発行の場合には時価発行の株を幾らでやるということ、それから株数が幾らだというような発行される証券の内容と、それから発行する企業の財務内容あるいは営業内容というものが記載された届出書が出てまいります。それは大蔵省でも公衆縦覧されますし、あるいは取引所等でもそういうものを縦覧する。
 それから、御指摘の目論見書でございますが、これはそういう有価証券を実際に投資家に募集する場合に、その投資家にその目論見書を交付するということが義務づけられているわけでございます。
#179
○三治重信君 そうすると、時価発行した資金の使用目的や、その後、その届け出たとおりに資金が使われているかどうかという監視の責任は大蔵省にはあるんですか。あるいはそういうのは計画であって、実行にはそう一々、変わっていても何ら差し支えないと、こういうふうにお考えなのか。
 と申しますのは、時価発行してその株券の上積みの部分は法定準備金で積み立てなくちゃならぬようになっているわけです。それを積み立てた金額がこの届出書による使用目的から外れていてもいいのか。こんなのを財テクに使われるように積立金がなっているというようなことは、恐らく届出書にはなかったはずだと思うんですが、その点どうですか。
#180
○政府委員(松野允彦君) ただいま申し上げました有価証券の届出書という制度は、もともとの趣旨は、投資家に情報を提供するということで、いわゆるディスクロージャー制度ということでそういう制度が決められているわけでございまして、もちろんその届出書に明らかに虚偽なことを書きますと、これは虚偽記載ということで証取法で禁止がされているわけでございますけれども、虚偽でない限りにおいては大蔵省が一々届出書の中身を厳格にチェックして、実質的に判断するという仕組みにはなっていないわけでございます。
 しかし、届出書の中には当然発行した有価証券で調達した資金の使途というものを書くことに
なっているわけでございまして、その使途には、例えば設備投資に使う、あるいは借入金の返済に使う、あるいはそれ以外の投融資に使うとかいうような資金使途が書かれているわけでございます。これは引受証券会社と発行会社との間でいろいろ発行に当たって交渉が行われるわけでございますけれども、証券会社というのは市場における消化という問題を本来考えなければならない立場にあるわけですから、そういった点からいいますと不要不急の資金の調達のものまでやるということは、やはり優先度はそれは遅いといいますか、後順位になるというのは当然のことでございます。そういったことからいいますと、引受証券会社、主幹事証券会社というのはそういう点も勘案して引受業務を行うということが要請されるわけでございます。
 私ども、この届出書に書かれた資金使途というものについて、大蔵省としてその後それが適正に、本当に書いてあるとおりやっているのかどうかという点までチェックするという制度的な仕組みにはなっておりませんが、しかし引受証券会社が当然それについては引き受けた以上フォローする、あるいは次の発行のときにそれについてチェックをするということが引受証券会社の責任としてはあるんではないかというふうに考えられるわけでございます。
#181
○三治重信君 そういう御説明を受けると、なお時価発行をやって取得した金が営業特金に相当回っているんじゃないかと、こういうふうに言われているわけなんですが、実際、時価発行でどれぐうい会社は六十二年以降収益を上げているというか、募集した金額がどれくらいになっておりますか。
 その使途が本当に投資に回ったとか、まだ保留金として準備金として何も使わないで持っているとか、何かそういう使途が若干でもわかれば教えていただきたいと思います。
#182
○政府委員(松野允彦君) まず、時価発行額でございますが、これは昭和六十二年度から申し上げますと、昭和六十二年度が約一兆五千億円でございます。それから六十三年度が三兆四千七百億円、平成元年度が六兆二千六百億円、平成二年度が、これは昨年でございますが、二千億と急減をしておりますが、六十三年度と平成元年度が非常に多いわけでございます。
 この資金の使途でございますけれども、これは大手証券四社プラス新日本、勧角という六社でございます。これが幹事をしております銘柄について私どもが集計をしたところでございますが、過去五年間の資金の使途全部を平均といいますか、集計してみますと、設備資金ということか書いてあるものが六〇・二%ございます。それから、借入金返済というのが一四・三%、それから投融資が四・二%、それからその他が一六・三%ございます。その他の中には運転資金あるいは社債償還資金というようなものが含まれております。
#183
○三治重信君 そこで、こういうふうな大変問題になっていた営業特金なんかにいわゆる時価発行によしって得られた金が、多いときには三兆円もあるというようなことから相当流れていたんではないか、こういうふうに言われておるわけなんです。したがって、時価発行をやらすことを証券会社が会社に非常に奨励して、そして時価発行で会社がもうけた金を営業特金に回させて、そして証券会社は自己の商売の営業特金をやっておった、こういうふうなことが言われているんですが、それは証券局から見てもそういう事実が相当あるように見ておられたかどうか。
#184
○政府委員(松野允彦君) 時価発行によって調達した資金がどこに使われていたかというのは、なかなかトレースするのが難しいわけでございまして、先ほど申し上げましたように、その他というのがございます。そういう中に一時的に滞留、設備投資といいましても一時的に滞留する場合もございますし、なかなか調達資金そのものをひもつきで追跡するということが困難なわけでございます。
 しかし、今御指摘がありましたように、時価発行で調達した資金がいわゆる財テク資金に用いられたのではないかというような指摘があるわけでございますし、また引受証券会社の審査といいますか、そういったものがどうも十分行われてなかったんではないか、むしろ過剰な発行にそれがつながったのではないかというような指摘もありました。私どももそういう点については問題意識を持っているわけでございます。
 今後のことになって恐縮でございますが、やはり引受証券会社がそういう引き受け審査能力を高めるためにはどういうふうな方策が可能かという点について、現在私どもも発行市場、現在は発行市場がほとんど機能をしておりませんけれども、時価発行というものがまた再開されるということを考えますと、同じような問題が起こらないようにするにはどうしたらいいのかという点を今検討を進めているわけでございます。
 一つには、引き受けというものをもう少し大勢の証券会社によって行う、つまりシ団を組んで行うというようなことで、特定の発行会社と特定の証券会社の関係だけで行われるようなことのないようにするというようなこと、あるいは時価発行に際しての発行価格の決め方についても工夫の余地がないかというようなことで、行き過ぎた発行か行われないような市場消化能力を見ながら発行できるような仕組みというものを何とか発行市場の中でつくり上げていけないかという検討をしているわけでございます。
#185
○三治重信君 そういう問題意識を確かに持っていただきたいと思うんです。せっかく時価発行によって得た資金がこういうような財テクに回っているんじゃないかという疑いを持たれるような時価発行か成功するということは、必ずそこにバブルがあって、必ずそこに反動が出てくるわけですから、その間の調整というものは、時価発行か行われる金額または会社数というものをにらみながら大蔵省が本当に指導できるのか、証券取引所ができるのか、そういうようなことについて十分ひとつ審議をする。
 株が余り急激に上下するのは、ある程度スペキュレーションが行われるのは株式市場だからこれはいいんですけれども、余り今回みたいに非常なバブルでぱあっと上がったら、三万八千いった後、今度は二万を切るというようなことではけが人が余りにも多過ぎる。こういうことから、ひとつ証券市場の正常化といいますか、やはり上下の幅をできるだけ少なくするような大局的な指導なり協議というものができるような骨組みというものを、ぜひ研究体制をとってもらいたいと思う。
 それから、法律では時価発行によって旧来の株主、既存の株主が損をしないような価格の発行、いわゆる時価と余りかけ離れないような、特別新株の引受者、買う人がえらい旧来の株主よりか有利になるようなことはやっちゃいかぬというふうに書いてあって、従来の株主を保護しろというふうなことになっているわけなんですけれども、しかし実際はまだ日本においては新株引受権が旧来の株主に非常に多く与えられている、こういうふうに思うわけです。その点は時価発行の成功で旧来の株主に割り当てというものはほとんどなくなってきたのか、新株の発行に対してどの程度旧来の株主への割り当てが行われているのか。細か。い数字はいいんですが、大体の動向をひとつお願いします。
#186
○政府委員(松野允彦君) 時価発行増資が盛んになりましてから、株主割り当ての占める割合が確かに減少しております。例えば、先ほど申し上げました昭和六十二年度で申し上げますと、時価発行か一兆五千に対して株主割っ当ては四千八百ということで、ほぼ三分の一ぐらいの水準でございますし、六十三年度は三兆四千七百に対して九千九百億、およそ一兆円ということでこれも三分の一弱でございます。平成元年度は、時価発行か六兆二千六百に対して株主割り当ては一兆四百ということで、これは二割にも達しないというような状況で推移をしております。しかし、いずれにいたしましても、株主割り当ても元年度でも一兆円を超える規模の割り当てが行われているわけでご
ざいます。
#187
○三治重信君 そういうことで、私は株主が新株引受権によって相当利益を得ている体制がまだ続いていると思うんですが、個人株主が非常に少なくなってきている。個人株主をできる限り今後とも証券市場の中において取引に参加してもらいたいし、個人株主を多くしたいという意欲をお持ちですか。また、それに対する対策というものはどういうふうなことを考えておられますか。
#188
○政府委員(松野允彦君) やはり証券市場、特に株式市場は多数の投資家が参加して価格形成が行われるということがどうしても必要でございます。外国の市場を見ておりますと、機関化現象が進んで大口の機関投資家だけが参加するような市場になりますと、価格変動も非常に激しくなり、かつ、ますます個人投資家が入ってこれないという市場になってくるわけでございます。日本も機関化現象が進んできているということは、これは否定できないところでございますが、やはり個人投資家が多数参加する株式市場というものが株式市場の基本として必要だという認識を私どもも持っておりますし、あるいは取引所、協会、関係者すべてそういう認識を持っているわけでございます。
 それに対して、どういうふうな個人株主をふやすための対策があるかということでございますが、いろいろな検討が行われておりますけれども、これはといった即効性のある対策があるわけではございません。もちろん、例えば企業の配当政策をより利益還元といいますか、株主の利益を重視するような方向に変えていくということが基本的に必要だと。
 特に、時価発行ということで資金調達をするということになりました以上、時価に対する配当という物の考え方をやはりとっていく必要がある。まだ依然として額面に対しての配当というような考え方が企業の中には多いわけでございますが、資金調達だけ時価発行で行っておいて配当だけ額面基準でやるというのは、証券市場ということから考えますと極めて好ましくないわけでございまして、やはり時価発行する以上は時価に対する配当というものを考えていただく、あるいは企業の利益の中から幾ら株主に配当するかという配当性向というような考え方もとっていく必要があるということで、株式の保有魅力を上げるということが長期的には個人株主をふやしていく大きな方向だろうと思うわけです。
 それ以外に、例えば株式の投資単位を、諸外国に比べると非常に高くなっておりますので投資単位をもう少し下げる。現在大体百四、五十万ぐらいかかみわけでございますが、アメリカなどではたしか五十万ぐらいというふうに聞いております。投資単位を下げるというような、株式分割というようなこともあるわけでございます。
 それから、こういう事件が起きて信頼性が失われたわけでございますから、もちろんそれを回復するためのいろんな措置というものがどうしても緊急の課題でございます。この法律案そのものもそういう役割を私どもは期待するわけでございますが、証券会社の営業姿勢を思い切って転換していくということがどうしても必要だろうというふうに考えるわけでございます。先ほど申し上げましたように、なかなか即効的な対策というものがないことは確かでございますが、関係者全員、ともかく個人株主をふやしていくための努力を、これはこの問題が起こる以前からそういう検討が続けられていたわけでございまして、私どももできるだけ個人株主をふやしていくような方向での政策といいますか、方策のバックアップといいますか、行政面の支援ということもしていく必要があるというふうに思っているわけでございます。
 特に配当政策につきましては、私どもも、発行企業に対して直接、さっき申し上げたような配当政策の考え方に転換してもらいたいということを申し上げているわけでございます。
#189
○三治重信君 ぜひひとつ、今度は証券・金融の検査・監督体制を別組織にするわけですから、原局は、そういうふうな本当の証券市場の正常化、あるいは国の資本市場として望ましい方向というものをしっかりつかんで、積極的な政策としてそういう応対をやっていただきたいと思うわけであります。
 いま一つ、株式に類似したもので転換社債あるいはワラント債という問題か非常に今問題になっております。殊に、週刊誌で取り上げるのはどうかと思うんですけれども、たまたまこの十月三日号の週刊新潮では「紙屑となる「ワラント」十五兆円の被害者」というようなことで麗々しく書いてあります。私もワラント債というのはどんなものかと思って勉強させてもらったんですが、いずれにしても、社債にプラス株式への転換ということで、株式と社債とが結合した新しい社債またそういう新株の引受権というものが発行されて、それがブームを呼んで、それがまた今度の株式の下落以上に無価値になってきたと、こういうふうに報ぜられているわけなんですが、これに対する対策は何か考えておられるのかどうか。
#190
○政府委員(松野允彦君) 特にこのワラント債でございます。これは国内よりはむしろ海外で発行されみものが最近多いわけでございますが、ワラント債と申しますのは新株引受権というものと社債がくっっいたものでございます。ただ、海外で発行されましてそれがばらばらに流通するという格好になっておりまして、国内に還流をしてくるわけでございます。ドル建てで発行される場合が多いわけですが、それが国内に戻ってまいりまして、ワラント部分と債券部分とが別々に消化をされるという形をとっております。
 それで、ワラント債そのものは、発行されるときは、仮にパー発行されるとしまして、そのワラント部分の価値というものを差し引いたものが債券の売買値段になもわけでございまして、現在の発行条件によっていろいろ違いますが、おおむねそのワラント部分が一五%ぐらいというような感じになっております。したがいまして、国内に戻ってきた場合の債券部分だけをとってみますと、八五%といういわばディープディスカウント債といったような感じの商品になるわけでして、そういったものは利回りがかなり高くなりますので、主として機関投資家に消化されるという形をとっております。
 問題はワラントでございまして、ワラントは御指摘のように、その消化に当たっていろいろな問題が指摘をされているわけです。ワラントと申しますのは、一定の値段で株を買い付けることができる権利をあらわした証券だということでございますが、その値段が初めから決まっているわけですから、その値段にもし株価が達しなければ、これはワラントの行使期間というのがございますから、それを過ぎてしまえばこれは全然無価値になってしまう商品でございます。
 そういったようなことで極めて投機的な商品だということが言えるわけでございまして、その消化についてはくれぐれも商品性を考えて、そういう商品に適合するような顧客に勧めるべきだという指導を私どもしてまいっているわけでございます。確認書、それこそまた確認書でございますが、確認書をとるというような指導もしているわけでございますけれども、いろいろな報道ではどうも必ずしもそれが守られていないというような感じもございます。
 現在、私どもは特にその点については問題意識を持っておりまして、ワラントが国内に還流してきた場合にどういう消化状況になっているのかという点についてひとつ重点的に調査をしてみたい。これは検査までするかあるいはヒアリングをするかという問題があるわけでございますが、そういったことを考えていきたい。ワラントというのは非常にわかりにくい商品でございまして、そういった意味では十分投資知識のない人に売るということは非常に適当でない商品なわけでございます。この辺も、そういうことが十分説明され、かつそういう商品を勧めてもいいような人に消化されているのかどうかという点についてひとつ十分調べ、発行市場におきます安易なワラント債の発行というものが行われないようにしていきたいと
いうふうに思っているわけでございます。
#191
○三治重信君 この点で、なぜ外国でこういうような債券が行われて国内で行われないかというと、東京証券取引所ではその審査が非常に厳しい、フランクフルトだとすぐやってくれるからということで、そっちでどんどんやって現在四百二十社も発行してきて、その残高は十五兆円にも達するというようなことが言われているわけなんです。
 そういうことについて大蔵省は、東京証券取引所でえらい規制をし、しっかり監視していても、はあっと外国へ逃げていって外国で発行したやつがまたこっちへ返ってきて、わけのわからぬ大衆投資家が紙くず同然をつかまされるということはやはり何か欠けているような気がするわけなんで、ぜひこの点もひとつ、損失補てんは会社だけれども、このフラン十債はどうも大衆がえらいつかまされているようだから、ひとつこういうような、大衆が知らないのでいかにももうかるようにやって何兆円もの損を来してだれも負担する者がないというようなことにならぬようにぜひしてもらいたいと思います。
 それで、これはつまらぬことかもわかりませんが一つ聞いておきたいのは、証券取引所というのは株だけで、債券やこういうような転換社債とかワラント債というものを市場で取引するということはない、これは証券会社が市場の外で取引するものだ、こういうふうに理解していいんですか。
#192
○政府委員(松野允彦君) 国内で発行されます転換社債あるいはワラントは、これは証券取引所にすべて上場されております。取引所で取引がされているわけでございますが、先ほど申し上げましたドル建てで海外で発行されて還流してくる分、これにつきましては取引所に上場されないで証券会社の店頭で売買されているわけでございます。
 これについては、補てんの手口でも使われたように、非常に価格が不透明で、恣意的につけられたというようなこともありまして、昨年のたしか九月だと思いましたが、私ども市場整備しまして、ワラントの取引については、店頭市場であっても、その店頭市場のいわば取引の媒介をしております店頭証券という証券会社がございます。ここに各業者の取引を出してそこで売買値段を明らかにし、その値段をディスクロージャーするという制度をとっておりまして、したがいまして最近はワラントについての価格というのは透明になってきているわけでございます。
#193
○三治重信君 ちょっと時間がなくて申しわけないんですが、大臣、今度G7に行かれるについて、日本の証券不祥事、金融不祥事というものがあるいは話題になるかもわからぬですけれども、やはりそこをひとつうまいこと表現されて不信を持たれぬように御努力をお願いして、私の質問を終わります。
#194
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先般、財務官が海外出張いたしましたときにも、各国で現在いろいろな実は金融関係で問題が起きております。それぞれの国におきましてお互いの情報交換などもあったようでございますが、日本政府として、こうした状況が今後改善されるように全力を尽くしているということが各国に伝わるように大蔵省自身の努力もいたしたい、そのように思います。
#195
○三治重信君 よろしくお願いします。
 どうもありがとうございました。
#196
○喜屋武眞榮君 株についてはずぶの素人でございますので、当たらずとも遠からずというお気持ちで答えていただければ幸いと思います。
 まず、この証券及び金融問題に関する本特別委員会は、大口法人顧客に対する証券会社による損失補てん問題だけでなく、証券界と暴力団との関係、東急株、本州製紙株などをめぐる株価操縦の問題、日本有数の銀行を舞台とする架空預金、不正融資の問題等々に見られるように、これまでの大蔵省の証券行政、金融行政の根本に触れる問題があるということで調査を進めてまいった次第であります。
 大蔵大臣も委員会の冒頭に、まずこうした特別委員会を院に設置してもらわねばならない事態を惹起したこと、その中で大蔵省自身の監督責任を問われておりますということ、また私自身についても、大臣自身のことであります、部下の監督責任を問われている状態について心からおわび申し上げますという言葉から答弁を始められました。
 本格的な再発防止策を論議するに十分であった今回の証券及び金融不祥事の事実解明がこの国会で十分なされたと大蔵大臣は認識されておられるのかどうか、その点をまずお伺いいたしたい。
#197
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員が御引用になりましたように、本委員会の冒頭、私は、おわびの言葉、同時に私自身を含めた行政当局の責任ということに対するおわびの言葉から委員会の審議における答弁を開始いたしました。さらにさかのぼるなら、本国会開会の後、総理に対する各党の代表質問の私に与えられました冒頭の答弁の機会にも、おわびの言葉からこの国会を私は迎えました。
 今、委員が仰せになりました事象の中で、この委員会ですべて解決がついたと思うかというお尋ねでありますけれども、委員会としてどう御判断になっておるかはこれは私が云々すべきことではなかろうと思います。ただ、現在御審議をいただいております証券取引法の改正案というものは、特別検査の進行中でありますが、今回の問題の発端となりました損失補てん、その温床となりやすい取引一任勘定取引というものに対して法的規制を加えようという、いわば再発防止に向けての第一歩の方策の御審議を願っておるわけでありまして、再発防止に向けての努力は、目に見える形としてはこの法律案をいわば皮切りといたしております。今後、行政当局の検査・監視体制のあり方から、あるいは市場に対する現在の通達を見直し、法律あるいは自主ルールに移しかえていく作業等々、まだたくさんの課題を残しております。
 さらに、金融についても触れられましたが、一連の偽造預金証書にまつわる不正融資の案件と申しますものは、それぞれ告発が行われ、現在捜査の対象になっておると承知をいたしております。
 そうした意味からまいりますならば、解明の作業はいまだ完結したものではございません。そして、現在なお解明に、一方は捜査当局が捜査の対象として、我々は行政の当局者として、なお努力を続けておるさなかであります。
#198
○喜屋武眞榮君 次へ参ります。
 提案されております証券取引法の一部改正は全く応急的なものであり、証券行政と業界との癒着を初めとする根本的問題には何らメスが入れられておらないと考えられますが、今大臣のお答えの中にも込められましたので、そういう意味でいまだ根本的な問題は解明されておらない、こう私は理解しておりますので、そのようにひとつ具体的に隅々まで解明が行き届きますように希望いたします。
 次に、大蔵大臣は御答弁の中で、損失補てんという行為はどこの国の法律制度の中にも書かれていないくらい当然のことながらやってはならない行為という認識がありましたものが、現実に発生し、通達をもって禁じてもその通達が踏みにじられたとして、繰り返し情けないと述べられましたが、大臣が情けないと言われる原因はどこにあるとお考えですか。証券業界としても当然やってはならないことが、野村を初めとする大証券会社によって堂々と行われるということは、日本の証券界の後進性を示すものなのか、会社組織の中での倫理の欠如を示すものであるか、また政府への政治不信感のあらわれであるのか、大蔵大臣の率直な意見をお聞かせ願いたい。
#199
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変お答えしにくい面を含んでおります。と申しますのは、私は一つの原因でこうした事態が起きたと考えておりません。今委員が分類をされましたような特定の原因でこの問題が発生したとは考えておりません。なぜなら、昭和六十一年以降の金融緩和局面というものから景気拡大の過程において株価が大幅に上昇してきたプロセス、またその結果として株式市場が活況を呈してきたプロセスは委員よく御承知のとおりであります。しかし、その中において証券会社の営業姿勢に行き過ぎが生じておりまし
た。これが企業との取引関係の維持という動きと重なり、損失補てんという不適当な営業行為が生じたものと思います。
 また一方では、顧客の側においても、しばしば御議論がございましたように、自己責任原則の徹底を欠いていたという問題点もあったと思います。
 また、これは繰り返し私自身も申し上げてまいりましたが、大蔵省自身の行政が、証券市場というものの育成強化を必要とした時代から既に世界有数の証券市場というものに育った状況の中において、もう保護育成の手を放してよかったのではないか、そしてむしろ市場の行動を、その行為を法的に逸脱しないような検査、監視に徹底すべきではなかったのか、その切りかえがおくれたのではないかという反省も申し上げてまいりました。
 そうした意味では、私は、冒頭この委員会でもおわびを申し上げながら論議を進めていただいてまいったわけでありますが、繰り返し申し上げてまいりましたように、証券に関する五つの原因というものから生じた今日の事態であり、それぞれに対して我々は解決策を準備していく責任がある、そのように心得ております。
#200
○喜屋武眞榮君 私が特に申し上げたい気持ちは、およそいずれの国の人間にしても、法治国民である前提からするならば、遵法精神ということは社会生活の、国民生活の根本態度でなければいかぬ、こう思うんです。ならば、法が個人並びにその両者の立場から納得のいく内容、条件であるかどうかということがまた問題であると思うんですが、それを前提として、通達が無視され、踏みにじられたので損失補てん行為などを法律で禁止すると言われますが、幾ら法を改正しても、罰則を強化しても、それを守ろうという気持ちがなくては、証券界としても当然ルールを遵守しようという心がなければ、ますます法の網をくぐるということになりかねません。いわゆる悪知恵が生まれてくる、抜け穴がある。
 今までの政府の法の改正からしても、政治資金規正法の問題の一例を見ましても、そういったたぐいの法であるとするならば、やはり悪賢い、ずる賢い人々、あるいは職の立場にある人々は法の網をくぐるという、こういうことになりかねないと思いますので、あえて法治国民は遵法の精神をまず第一に持たなければいけない、ならば納得のいく法の内容でなければいけない、こういうことを私は強く申し上げたいんですが、一言、大臣のコメントをお願いしたい。
#201
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに委員がお述べになりたいお気持ちは、私は理解しないわけではありません。
 しかし、仮に、それではいかなる抜け道もふさぎ得るようながんじがらめの法規制を行うことは、証券市場が健全な発達を遂げていく上に望ましいことでありましょうか。私はそう思いません。同時に、院における、本院でありましたか衆議院でありましたかは別といたしまして、証人の喚問が行われました中で、法律によって禁じられていた行為であれば我々はしなかったという証人の陳述がありましたことも私の耳に残っております。となれば、少なくとも今回の問題を起こしたその損失補てんという行為、その温床となりやすい取引一任勘定取引というものは法律によって規制をしたいと私が考えるのも御理解がいただけると思います。
 本来ならば、自主規制機関が十分その能力を発揮し、業界に対して自主規制の実を上げ、行政当局はその自主規制機関が十分機能しているかどうかをチェックする役割に回ることが一番望ましい姿であります。その上で必要があるなら、個々の証券会社に対しても行政のチェックが入る、それが理想でありましょう。今日、遺憾ながらそういう状態にないという事実の上に立ち、我々として再発防止に取り組んでおる次第であります。
#202
○喜屋武眞榮君 次に、大蔵省にお尋ねしますが、今日までに公表された補てん先及び補てん金額を見ると、大手四社で三百六法人と三個人に一千七百十八億六千八百万円、準大手・中堅十三社で三百八十法人と六個人に四百三十六億九千六百万円、中小証券も合わせると二千一百六十四億三千八百万円にも上る巨額が大口顧客等に補てんされているようでありますが、準大手以下は九一年三月期は公表されていないので、これが明らかになればもっともっと額はふえることでありましょう。これでは大衆投資家は証券市場から離れ、国民の怒りはもちろんのこと、外国からも東京市場の不公正さが指摘されるのは当然のことでありましょう。
 ところで、今回公表された補てん先に外資系の企業があるかどうか、また国内では沖縄関係の企業、団体があるかどうか。あわせて、公表された中に沖縄にある証券会社の支店を窓口にして補てんしたケースがありますかどうか、明らかにしてもらいたい。
#203
○政府委員(松野允彦君) 今まで明らかになりました補てん先の中に外資系企業は二社認められます。一社がケミカル信託銀行でございます。もう一社がエクイダブル生命保険会社でございます。
 それから、沖縄関連の企業、団体が含まれているかどうかというお尋ねでございますが、現在まで私どもが調べたところではそれに該当するものはございません。
 それから、沖縄にある証券会社の支店を利用して補てんしたケースがあるかどうかということでございますが、これも沖縄に支店を有しております証券会社は日本の証券会社四社ございますが、これらの支店を利用して補てんをしたケースはないというふうに報告を受けております。
#204
○喜屋武眞榮君 沖縄だけでのことを思うわけでもありませんけれども、何はさておいても沖縄関係にそれがないということは結構だと思うところです。
 ところで、沖縄には地場証券会社が二社ございます。大手証券が本土でしたような顧客関係維持のための損失補てんをしての営業活動、あるいは業務拡大のために支店の利益を度外視しての営業活動をするとするならば、これは大変なことになるわけであります。公正な競争を確保する上からも許されないことと思いますが、大蔵省の見解はいかがでしょうか。
#205
○政府委員(松野允彦君) 沖縄県には地場の証券会社として二社ございます。あと、先ほど申し上げましたように、四社こちらからの支店があるわけでございます。沖縄における証券会社の営業行為につきましては、私ども定例検査の中でその営業の適正化を確保するように検査包しているわけでございます。
 確かに、証券会社の中には営業姿勢が必ずしも適正でないというような事例がございます。そういったものが、今御指摘のように、沖縄の地場の証券会社の営業姿勢にまで影響を与えるということになれば、これは私どもとしても非常に問題だというふうに考えるわけでございます。沖縄に支店を持っております証券会社につきまして、特にこういった今回の問題にかんがみまして、いろいろ営業姿勢の適正化のための指導を強化するということを考えているわけでございます。
 もちろん、これは各証券会社の自覚にまつところが多いわけでございますけれども、私どもとしてもこれを契機に、収益優先の営業姿勢というものを思い切って転換をしていく必要がある。そうしない。と個人投資家、大衆投資家は証券市場に戻ってこないというような危機感を持っているわけでございまして、例えば営業マンの成績評価の問題にいたしましても、収益優先に走らないような制度を考えるというようなことも必要でございます。
 こういった点につきまして、現在私どもの指導もあり、あるいは協会、取引所でも検討され、各社でも営業姿勢の転換ということで、かなり真剣な議論が行われております。もちろん、言葉で言うだけではなかなかうまくいかない面があるわけでございまして、実際にそれが営業の一線に徹底しないといけないわけでございます。営業の一線に浸透し、沖縄でそういう営業姿勢が乱れるようなことを持ち込まないように防止することももちろ
ん必要でございますし、大体営業姿勢一般を直さなきゃいけないというふうに思っているわけでございます。
 私どもも、いろんな実効ある対策というものをこれから考えていかなければいけないし、各社ともその点については十分認識をしていると思います。行政として、この点についても全力を挙げてまいりたいと思っております。
#206
○喜屋武眞榮君 いろいろな意味において沖縄はねらわれておる、こういうことがいろいろな面において感じられるわけであります。沖縄県民が歓迎し、そして沖縄の繁栄を、共存共栄を前提とするヘルプなら大いに結構でありますが、魔の手を伸ばすような一切の手はどうかやめてもらいたい、こういうことを私はこの機会に強く申し上げておきたいと思いますが、大臣、その点ひとつよろしくお願いします。いかがでしょうか。
#207
○国務大臣(橋本龍太郎君) たまたま私がたった一回学生時代に参加いたしました政治活動は、沖縄の本土復帰の運動でありました。委員も御承知のように、私は沖縄県内に多数の友人を持っております。そして、今日まで年少のゆえをもって戦傷の補償を受けられなかった沖縄の戦傷者の方々に対する対応策を初め、何回か沖縄県の問題にともに手を携えさせていただきました。
 私自身の力には限界がございますけれども、沖縄県の中に今委員が御指摘になられましたような事態が起こらないように努めていくのはお互いの責任、私はそう思っております。
#208
○喜屋武眞榮君 大臣、よろしくお願いしておきます。
 次に、私は、本委員会に参考人として出席していただいた三行の頭取の方に、おたくの内部監査体制はどのようになっておりますか、一連の不祥事はなぜ未然防止できなかったかということを伺いましたところ、参考人からは内部管理体制の見直しなどについて答弁がございましたが、これらは必ずしも満足のいくものではありませんでした。
 ところで、刑事事件に発展した一連の金融不祥事と、総会屋、暴力団とのかかわりも明らかになった証券不祥事からして、日本の株式会社、特に大会社と言われる企業の行動に対して、商法の規定上不備はなかったのかどうかという点について法務省の見解を承りたい。
#209
○政府委員(清水湛君) お答え申し上げます。
 会社法は、会社の組織、運営に関する基本的な制度を定めているものでございますが、会社の運営が適切に行われるようにという観点から種々の規定を置いているわけでございます。
 特に、運営のかなめである取締役につきましては、いろんな権限を与えるとともに、義務に関する各種の規定も置いておる、非常に厳しい責任を負うような体制になっているわけでございます。
 また、監査役につきましても、取締役の職務の執行か法令に違反することのないようにこれを監視する義務を課しているわけでございまして、取締役が法律に違反するような行為をし、あるいはこれをするおそれがあるという場合には、その行為の差しとめを請求することができる、こういうようなことになっているわけでございまして、監査役がその任務を怠るということになりますと損害賠償責任を負うこともあるということになっているわけでございます。
 また、取締役、監査役などが自己もしくは第三者の利益を図り、あるいは会社を害することを目的としてその任務に背き、会社に財産上の損害を加えるというようなことになりますと刑事罰が科せられる、こういうことにもなっております。
 このように、取締役及び監査役の民事上、刑事上の責任につきましては、現行会社法におきまして、これまで累次の改正によりましてその責任が非常に重くなり、その強化が図られているわけでございまして、現行法上必要と思われる措置は講じられておるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、なお今回の事件等をよく調査いたしまして、必要な改正事項があるということであれば今後とも検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#210
○喜屋武眞榮君 では、時間も参りましたので、最後に大臣の御決意を承りたいと思います。と申しますのは、衆議院の八月二十八日の委員会で証券局長は、不正な取引行為を定めた証券取引法五十八条について、事実上死文化している状態にあるとの率直な見解を述べられておりますね。
 そこで、現行の証券取引法の中には、相場操縦の禁止を定めた百二十五条を初めとして、活用されていない規定があるように思います。今回の本改正による新設規定を実効あるものにするのはもちろんのこと、現行法令を適切に活用して公正な市場の確保に全力を尽くしていただきたいと思いますが、最後に大臣の御決意在求めます。
#211
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員が今、証券局長の衆議院における答弁を引用されましたが、その後すぐ私から、その言葉は不適切である、むしろ今まで活用された事例がなかったということであるという訂正をさせていただきましたことを冒頭申し上げさせていただきます。
 その上でお答えを申し上げたいと思いますが、今起きておりますさまざまな状況の中で、市場監視機能の一層の強化充実を図るということを考えますとき、不公正取引行為を禁止いたしました今委員が御引用になりました証取法五十八条、また株価操縦的行為を禁止いたしました証取法百二十五条の規定というものを今まで以上に積極的に活用することを真剣に考えなければならないと、痛いほど思い知らされております。
 今後、証券取引市場における公正な価格形成の実現、不公正取引の防止に一層努めてまいりますためにも、今委員が御指摘になりました二つの規定を含めまして、証券取引に関するルールの明確化の一環としてこれらの規定についてさらに見直す点がかいか、証券取引審議会の不公正取引特別部会において御検討を願うことを考えております。委員の御指摘は十分認識をいたして今後とも努力をしてまいりたい、そのように考えております。
#212
○委員長(平井卓志君) 以上で質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#213
○委員長(平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。大浜君から発言を求められておりますので、これを許します。大浜君。
#214
○大浜方栄君 私は、ただいま可決されました証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    証券取引法及び外国証券業者に関する法
    律の一部を改正する法律案に対する附帯
    決議(案)
  政府は、次の事項について、配慮すべきであ
  る。
 一、法制審議会における審議の状況等を踏ま
  え、損失補てん等に係る罰則について、法人
  の処罰を重くする制度を導入すること。
 一、証券会社の顧客が、損失補てんの認識を
  もって財産上の利益を受ける行為に対する罰
  則の適用については、引き続き検討を行うこ
  と。
 一、取引一任勘定取引禁止の例外規定を省令に
  規定する場合においても、取引の公正を害す
  ることのないよう、極力その範囲を限定し、
  損失補てん等の温床とならないよう配慮する
  こと。
 一、証券取引上の混乱を避けるため、証券業協
  会及び証券取引所により決定される自主ルー
  ルはすべて公開し、本制度の適用に関し、そ
  の内容が具体的、かつ、明確となるよう配慮
  すること。
 一、証券取引における自己責任原則を周知徹底
  するための適切な措置を講ずること。
 一、顧客の行ういわゆる仮名取引の受託等の禁
  止、特定少数の銘柄の一律集中的な推奨等、
  不適当な営業行為の規制については、法改正
  等の適切な規制方法の検討を含め、その徹底
  のため、更に指導を強化し、厳正を期するこ
  と。
 一、証券取引法、銀行法その他の法律に照ら
  し、証券・金融市場の公正を損なうような事
  態が認められた場合には、すみやかに国会に
  報告するとともに、機動的な法運営を行い、
  行政処分等適切な措置を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
#215
○委員長(平井卓志君) ただいま大浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#216
○委員長(平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、大浜君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、橋本大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。橋本大蔵大臣。
#217
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#218
○委員長(平井卓志君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#219
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#220
○委員長(平井卓志君) 証券及び金融問題に関する調査を議題といたします。
 久保君から発言を求められておりますので、これを許します。久保君。
#221
○久保亘君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による証券及び金融に係る不祥事の再発防止に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    証券及び金融に係る不祥事の再発防止に
    関する決議(案)
  今回の証券及び金融に関する不祥事は、金額、
 規模、手口の巧妙さからいっても、証券・金融史
 上未曾有の重大な事件であり、わが国を代表す
 る企業において、暴力団との取引が表面化する
 など、国際的にも証券・金融市場の信頼を失墜
 させるに至ったことは、誠に遺憾である。
  当委員会は、今般の不祥事の真相究明と、そ
 の原因と責任について解明するとともに、再発
 防止のための方策について真摯な検討を行って
 きたが、このたび緊急に措置すべき事項につい
 て、証券取引法及び外国証券業者に関する法律
 の一部改正が必要であると認めたところであ
 る。
  よって、政府は、今回の改正を端緒として、次
 期通常国会において抜本的な。改正を行うことを
 含め、次の事項について、所要の検討を行い、適
 切な措置を講ずべきである。
 一、証券及び金融に係る不祥事の再発防止のだ
  め、行政部門からの独立性、中立性を踏まえ
  た新たな検査・監視機関を設置する等、実効
  性のある体制の確立に努めること。
 二、証券業界における有効、かつ、適正な競争
  の促進の観点から、証券市場への新規参入を
  図るため、金融制度改革を推進するとともに、
  免許制のあり方等の見直しを図ること。
 三、今回の補てんの一因とも考えられる売買の
  委託手数料制度については、小口の顧客につ
  いて配慮しつつ、自由化等も含め、そのあり
  方を検討すること。
 四、証券行政の透明化を図るため、通達等を全
  面的に洗い直し、可能な限り法令化及び自主
  規制機関の規則への移行を行う措置を講ずる
  とともに、金融行政についても、同様の視点
  から見直しを行うこと。
 五、公正かつ透明な価格形成を確保する観点か
  ら、相場操縦的行為についても実態解明に努
  めるとともに、その禁止規定について見直す
  べき点がないか検討を行うこと。
 六、証券業協会及び証券取引所は、公正で透明
  な自主規制のためのルールの策定を行う等、
  自主規制機関としての機能の充実強化を図る
  とともに、苦情処理体制の整備を行うこと。
 七、今回の一連の不祥事の再発防止のため、証
  券会社及び銀行等が自ら経営姿勢を正すとと
  もに、内部管理体制の再構築、不適切な諸慣
  行の見直しを進めること。
 八、投資顧問業者の業務の健全性を図るため、
  その独立性を確保すること。
 九、ノンバンクの経済活動が金融機関に匹敵す
  る規模に達していることにかんがみ、その実
  態把握を進めつつ、適切な指導体制の確立を
  図ること。
 十、国民経済に重大な支障をもたらすこととな
  る証券・金融業界への暴力団の介入を排除す
  るため、業界における顧客管理を一層厳格化
  し、司法当局における暴力団活動の取締り等
  の施策と整合性をもって対応すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#222
○委員長(平井卓志君) ただいまの久保君提出の決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#223
○委員長(平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、海部内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。海部内閣総理大臣。
#224
○国務大臣(海部俊樹君) 今般の証券会社による損失補てん、大量推奨販売ないしは暴力団との不明朗な取引といった一連の不祥事は、内外の一般投資家の証券市場に対する信頼感を大きく損なったばかりでなく、証券取引の公正性を著しくゆがめたもので、まことに遺憾であり、極めて深刻に受けとめております。
 また、最近の金融機関に関連する一連の不祥事は、金融機関の内部管理体制の脆弱化やバブル崩壊の過程において生じたものであり、信用機構に対する国民の信頼を著しく損ねるなど、まことに遺憾な出来事であります。
 こうした不祥事の実態については、本院において特別委員会が設置され、真相究明及び再発防止に向けて精力的な審議が行われてきたところであり、大変有益な御示唆をいただいてまいりました。また、政府といたしましても、損失補てんにつき、補てん先の企業名の公表や補てんの手法その他の実態解明につき、できる限りの努力を払い、国会にも御説明してまいりました。
 さらに、真相解明の一環として、大蔵省において証券四社に対する特別検査を実施するとともに、その状況について、二度にわたり、国会に中間的な御報告をさせていただいたところであります。
 このたび、こうした議論を踏まえ、当委員会において政府の提出した証券取引法等の改正案を採決していただ。いたことは、証券・金融業界の一連の不祥事の再発防止のための重要な第一歩であると考えております。
 ただいま当委員会において、証券取引法等の改正案に附帯決議をちょうだいするとともに、将来
にわたる金融・証券市場正常化の観点から、証券及び金融に係る不祥事の再発防止に関する決議が行われたところであります。
 これらの決議におきましては、新たな検査・監視体制の確立、証券市場における新規参入を図るための金融制度改革の推進、証券行政の透明化を図るための通達等の全面的な洗い直し、自主規則機関の機能強化、暴力団に関連した問題への対応といった諸問題について、いずれも貴重な御意見をちょうだいいたしました。
 政府といたしましては、今回、当委員会においてなされた決議の趣旨を十分体して、今後、法制上、行政上の総合的な対策を講じ、証券・金融市場に対する投資家の信頼を回復するため、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 委員各位には、今後ともよろしくお願い申し上げたいと存じます。
    ―――――――――――――
#225
○委員長(平井卓志君) 次に、請願の審査を行います。
 第一一一一号証券不正・銀行不正の徹底解明に関する請願を議題といたします。
 本請願につきましては、理事会において協議の結果、保留することに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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