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1991/09/25 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号
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1991/09/25 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号

#1
第121回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号
平成三年九月二十五日(水曜日)
   午後三時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月十七日
  委員本村和喜君は逝去された。
 八月二十日
    補欠選任        村上 正邦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         田  英夫君
    理 事
                田沢 智治君
                深田  肇君
                白浜 一良君
                高崎 裕子君
                古川太三郎君
                足立 良平君
    委 員
                大木  浩君
                狩野 明男君
                田辺 哲夫君
                平野  清君
                藤井 孝男君
                星野 朋市君
                向山 一人君
                大渕 絹子君
                庄司  中君
                対馬 孝且君
                福間 知之君
                針生 雄吉君
                神谷信之助君
   国務大臣
       通商産業大臣   中尾 栄一君
   政府委員
       資源エネルギー
       庁長官      山本 貞一君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    土居 征夫君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     征矢 紀臣君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        大平 芳弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業・資源エネルギーに関する調査
 (今後の石炭政策の在り方に関する件)
 (外国派遣議員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○会長(田英夫君) ただいまから産業・資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
 議事に先立ち、一言申し上げます。
 本調査会委員本村和喜君は、去る八月十七日、急性心筋梗塞のため逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。
 同君は、本調査会発足当初から二年一カ月にわたり委員としてその職員を果たしてこられました。
 ここに、皆様とともに、謹んで黙祷をささげ、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。
 どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷をお願いします。
   〔総員起立、黙祷〕
#3
○会長(田英夫君) 黙祷を終わります。御着席願います。
    ―――――――――――――
#4
○会長(田英夫君) 委員の異動について御報告いたします。
 去る八月二十日、本村和喜君の補欠として村上正邦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#5
○会長(田英夫君) 産業・資源エネルギーに関する調査のうち今後の石炭政策の在り方に関する件を議題といたします。
 まず、政府から説明を聴取いたします。土居資源エネルギー庁石炭部長。
#6
○政府委員(土居征夫君) 平成三年六月七日の石炭鉱業審議会の答申の経緯及び平成四年度石炭関係の予算概算要求について御説明申し上げます。
 まず、今次石炭鉱業審議会答申に至りました経緯について申し上げます。
 通産大臣は、八次策後の新しい石炭政策を策定すべく、平成二年九月、石炭鉱業審議会に今後の石炭政策のあり方を諮問いたしました。その後、関係団体等からの意見陳述等を経まして、政策部会において多角的な観点から九回にわたり審議が行われ、中立委員によります原案検討小委員会の議を経まして原案を公表し、広く意見を募った上、政府部会で取りまとめて、お手元にお配りいたしました平成三年六月七日の総会の答申となった次第でございます。
 なお、最終答申が行われる前の六月初めに九州及び北海道でそれぞれ学識経験者、消費者代表、産業界代表等にお集まりいただきまして答申案の現地説明会を行っております。
 次に、お手元にお配りいたしました平成四年度石炭対策関係予算要求の概要に基づきまして、今次答申に沿いましたポスト八次策の初年度となります平成四年度の石炭関係予算の概算要求について御説明申し上げます。
 まず、一ページの一に書いてあります石特会計石炭勘定分でございますが、事業費総額は、その表の下の欄に書いてありますように、一千四十五億円と昨年比六・四%増、六十三億円の増加となっております。
 各項目ごとに見ますと、石炭鉱業構造調整対策賢二百四十七億円、産炭地域振興対策費百十六億円、鉱害対策費四百八十四億円、炭鉱労働者雇用対策費百六十五億円、事務処理費三十三億円となっておりまして、基本的には、従来からの合理化安定対策、鉱害復旧対策、炭鉱離職者対策等につきましては政策対象の減少に伴いまして横ばいないし減少させておりますけれども、構造調整支援あるいは稼行炭鉱地域への先行的な産炭地域対策あるいは浅所陥没等新しい鉱害対策につきましては、答申に基づきまして新規予算を上乗せしております。したがいまして、ポスト八次の初年度の石炭勘定予算は一千億円を超える事業費からまずスタートをするということになった次第でございます。
 資料を一枚めくっていただきまして、主な項目ごとに簡単に内容を御説明申し上げます。
 第一は、石炭鉱業構造調整対策であります。
 平成三年六月の石炭鉱業審議会答申におきましては、構造調整の円滑な実施の観点から、従来の諸措置につきまして適切な見直しを行いつつ継続する一方、経営の多角化、新分野開拓支援等を目指す石炭鉱業の構造調整に対する国の支援が必要であるとの指摘がなされました。これを受けまして、平成四年度におきましては、石炭鉱業構造調整対策費として総額二百四十七億円を要求しております。
 主な新規拡充施策といたしましては、従来の炭鉱整理促進費補助金を再編拡充いたしました石炭鉱業構造調整円滑化補助金の創設等六十億円の要求をいたしております。また、石炭勘定以外でありますが、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOの出資金の余資を活用いたしまして、海外炭開発を含みます石炭企業等の行う経営多角化事業に対する無利子融資制度の創設を行うこととしております。
 第二は、産炭地域振興対策であります。
 八次策影響地域等重点対象地域に加えまして、現行の稼行炭鉱地域が所在します産炭地域に対しまして、関係道県との十分な連携のもとに石炭鉱業の構造調整に即応した各般の施策を推進することといたしておりまして、総額百十六億円、前年比約四割増の予算を要求いたしております。
 第三は、次のページになりますが鉱害対策でございます。
 次期通常国会に鉱害二法の廃止期限の延長等を盛り込んだ改正法案を提出いたす準備をしておりますが、これに伴って、新たに策定いたします鉱害復旧の着実な実施を図ることといたしております。この関連の予算は、従来からの趨勢でございまして横ばいないし微減でありますけれども、それとは別に新たに恒久的処理体制の構築を図りますための追加予算を要求いたしておりまして、平成四年度におきましては総額四百八十四億円の鉱害対策費を要求しておるところでございます。
 第四は、炭鉱労働者雇用対策でございます。
 労働省所管であります炭鉱労働者雇用対策につきましては百六十五億円を要求しております。平成四年度につきましては、炭鉱離職者に対する各種援護措置を引き続き講ずるほか、新たに石炭企業の経営多角化に伴って従業員の配置転換等を行う事業主に対して助成を行う炭鉱労働者雇用安定助成金の創設等を要求しております。
 歳出につきましては以上のとおりでありますけれども、歳入につきましては、財源に引き続き原重油等の関税を充てるとともに、現行の石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法の延長を行うことを予定しております。ただ、関税率につきましては、今後全体として事業費は漸減していくこと等を考慮いたしまして、引き下げを行う方向で検討を行っております。
 以上、平成四年度石炭勘定予算案について説明させていただきました。
 最後に、最初の一ページに戻りますが、海外炭関連の石炭勘定以外の予算につきまして御説明申し上げます。
 まず、海外炭の安定供給確保につきましては、石油代替エネルギーの中心としての海外炭の安定供給確保は我が国のエネルギー安定供給上極めて重要であるとの観点から、海外炭探鉱に係る成功払い融資制度の創設を行う等NEDO融資枠を増額要求しております。
 次に、石炭生産・利用技術開発等の促進につきましては、環境問題を克服する各種技術開発を積極的に推進するため、クリーン・コール・テクノロジー・センターの設置、国際協力モデル事業の創設を行うこととしております。また、石炭に関する国際協力につきましては、石炭ボイラー用の簡易脱硫装置開発に関する研究協力等、その予算の拡充を要求しております。
 以上で石炭関係予算の概算要求について説明を終わらせていただきます、
#7
○会長(田英夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○対馬孝且君 かねて、新第九次石炭政策の答申の前にこの調査会を開いていただいて答申に対する石炭政策の反映をお願いしたい、こう考えておりましたが、潮時延び延びになりまして、答申が六月七日に出されまして、きょう答申後の初めての石炭政策の調査会ということになりました。しかし、開催に至ったことを関係各位に一応感謝を申し上げます。
 大臣、きょうは時間がありませんので、四十五分ですから、政策論争をやりたいと思ったら最低でも二時間程度かかりますけれども、きょうは問題点を絞って基本的課題を中心にしながらお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、第一点でありますが、新第九次石炭政策が石炭鉱業審議会から六月七日に答申をされました。今後の石炭政策の基本的な取り組みについて、まず大臣の見解を承りたいと存じます。
#9
○国務大臣(中尾栄一君) まず、この答申ができまして初の調査会ということで、私どもも本当に心苦しく思っているわけでございまして、その点におきましては、私も対外貿易、ウルグアイ・ラウンドが迫っておりますものですから、その点も御容赦のほどをこいねがっておきたいと思う次第でございます。
 ただいま基本姿勢について意見はどうか、こういうお問い合わせでございますが、まず、さきの石炭鉱業審議会の答申では、九〇年代を最終段階といたします国内石炭鉱業の経営多角化、あるいは新分野の開拓等の自主的な構造調整努力に対しまして政府といたしましても必要な支援を行うということと同時に、これらの構造調整に即応いたしました先行的な産炭地域振興対策や雇用対策が必要である旨を指摘されておるところでございます。
 また、私どもの通産省といたしましては、これらのことを受けまして、関係者に不安を与えることのないように万全を期していきたいというのが私どもの志でございまして、その万全を期するべく、来年度に向けては各般の施策の創設、充実というものについて財政当局に対して現在要求しているところであるということを御報告がたがた申し上げたいと思う次第でございます。
#10
○対馬孝且君 今大臣から基本的な姿勢をお伺いしました。私はこの答申を見まして、この前の調査会でも大臣に申し上げておりますが、日本の石炭政策というのは第一次から八次まで来ました。政策的視点は何かといいますと、生産数量、生産枠というものをきちっと政策に提言をしておりました。第一次から私はずっと携わっておりますが、五千五百万トンからスタートして、三千五百万トン、二千万トン、第八次は一千万トン程度となっておる。ところが、今回残念ながら答申の中には政策的な生産数量というのは示されていない。私はこれは政策不在じゃないか、こう思いを新たにいたしておるのであります。
 なぜかと申しますと、私この前も議論しましたが、日本の場合、石炭にはやっぱりセキュリティーという基本があっていい。確かに今一・五%弱になりましたが、この前湾岸戦争で申し上げましたが、四十九年の第一次パニック、五十二年の第二次エネルギーショックもありました。しかし、緊急非常時のとき何が一番国民が安定したかというと、日本の場合は百四十二日の備蓄があったということです。あの備蓄があったから、まあ湾岸戦争も早く終わったが、やはり非常時に備えたということでしょう、あの考え方は。ところが石炭だって同じなんです。我が国の資源としては緊急非常時のセキュリティーという基本に立っていいんじゃないか。そういう意味で私は申し上げているんです。
 そういう観点からすると、確かにこの答申を読ましていただいて、セキュリティーという位置づけの中で最小限度の石炭のこれからの維持というものは必要であるという意味のことを書いています。書いていますが、それを裏づける政策がないではないか、ここを私は言いたいんですよ。率直にお伺いするのでありますが、その点なぜ政策的な枠組み、数量ということが示されなかったのか。これは答申ですから、大臣が言ってればいいんですけれども、生田参考人の衆議院のやりとりも私知っています。
 そこで、政府側にお伺いしたいのでありますが、今大臣言いいこと言っておるのであります。今後の十年間、一九九〇年代の十年間を構造調整期間とする、そこに不安がある石炭政策であってはならないという点を今大臣が強調されました。まさに同感であります。そういう点からいきますと、私は、中長期の生産目標というものがなくて、単年度ごとに決めてどうして不安がないという石炭政策になるのか、この点の所見をちょっとお伺いしたいと思うんです。
#11
○政府委員(山本貞一君) 今先生から生産の目標を明示すべきではないか、従来ではそのようだったという御指摘でございます。この点につきましては先ほどいただきました石炭鉱業審議会の答申でも述べておるところでございますが、今先生も言われました、国内炭の安定供給における位置づけは下がってはいるけれども今後とも一定の評価をすべきである、あるいは、海外炭を今後たくさん輸入していくことになると思いますが、それを確保するための技術的な基礎になる、いろんな意味で国内炭の必要性というのはまだ今後ともあるという評価をしておるわけです。
 ただ、基本的に問題だと指摘しておりますのは、やはりそうした国内炭の役割と、それを支えるための国民の負担というもののバランスを考えなきゃいけないということでございまして、そういう意味で今後その均衡点に至るまで段階的に縮小していくことが必要であるというふうにしておるわけです。
 この均衡点というのは、もちろん数量でこうであろうという想定をすることは不可能ではございませんが、国際的なエネルギー情勢、特に石炭価格、輸入炭の価格がどうなるのか、国内のコストがどうなるのか、そのバランスでどう考えていくのか、あるいは石油情勢がどうなるのか、そういう石炭の国際的な価格の動向、あるいは日本の石炭企業の構造調整の進展の度合い、そういうようなものをにらみ合わせながら考えていくのが適当であるというのがこの前の答申でいただいた趣旨でございまして、私どもとしては逐次そのあたりを、国際情勢あるいは進展度合いを十分見きわめながら、かつ、先ほど申し上げましたような国内炭の一定の位置づけというのを頭に置いて考えていく、そういう趣旨だと思っております。
#12
○対馬孝且君 今エネルギー庁長官から答弁ありましたが、もちろんそれはこれからの国際エネルギーの動向、それは数量だけの問題じゃなくて価格の動向もあるでしょう。それから需要と供給の関係、原子力、石炭、石油あるいはLNG、こういう総合的な流れはあるけれども、石炭政策を今論じているわけですから、それは長官、そういう考え方はいいですよ、これからそういうことを反映することは結構だけれども、後から報告あると思うが、田会長を先頭にしてこの六月、関係自由主義陣営を中心にしてイギリス、フランス、スウェーデン、ドイツの各国の石炭政策、エネルギー事情を視察しているんです。これにも出ておるじゃないですか。同じ自由主義陣営でありながら、もちろん国際的なエネルギー傾向をどこの国だって持っている。しかし、イギリスだって今なお九千万トン掘っているわけでしょう。これからの二十一世紀、これからの中長期を見たって九千万トンを維持すると、こう言っているんです。
 私はかねてここで主張した。ドイツがコールペニヒ方式という方式をとっていますけれども、やっぱり七千万トン掘る計画をちゃんと立てているんですよ。我が国は何も石炭資源がないわけじゃない。通産の調べだって八億トンからの可採炭量があるわけでしょう。論理は同じなんですよ。問題はその国の政府が持つ石炭政策の私は基本姿勢だと思うんですよ。同じ自由主義陣営です。だれも社会主義のことを言っているんじゃないんだ。
 そういうことを考え合わせれば、今その論争を僕はやりとりしようと思わないが、そういう考え方に立つとするならば、この石炭の現状をもちろん基本にして考えた場合でも、現在もう八百二十万トン割っているんだ、日本の場合は残念ながら。そのくらいのベースはやっぱり維持するという基本に立っていいんじゃないか。なぜそれを言うかといったら、日本へは海外炭が一億八百万トン入っているんですよ。二十一世紀は一億四千二百万トンですよ。そういう点を考え合わせれば、今日的状態としては現状の八百万トンぐらいの一応の考え方を政府として考えてもらいたい。それから単年度ごとという説明になると思うんですけれども、そのことは別にして、そういう考え方に立っていいんじゃないかと私は言っているんですよ。その考え方はどうですか。
#13
○政府委員(土居征夫君) 国内炭の生産量は、ただいま先生から御指摘がありましたように、既に平成三年度の計画で八百二十万トンということで、一千万トンを切った状況にございまして、それを支えます生産体制も大手炭鉱が六山という状況になっているわけでございまして、答申で言いますように、なおこういうバランスにつきましては、構造調整を進めながらも生産の段階的縮小が必要であるということになってきている、そういう枠組みが提示されているわけでございますが、一方、これは均衡点までということで、必ずしも総撤退ではないという性格になっているわけでございます。そういう状況の中では、従来のような生産目標というマクロ的な数字の課題というよりも、むしろもうその六山の個別炭鉱のミクロ的な課題になってきているわけです、八百二十万トン切りまして。
 したがいまして、そういう枠組みの提示の中で、先ほど長官言いましたように今後また非常にエネルギー情勢も流動的でございます。構造調整の進展の状況もいろいろ個別に変わってくる面もございます。したがいまして、こういう事情を踏まえて今回の答申では国内炭の今後の姿について基本的な考え方の提示がなされたということでございます。
 ただ、そういう状況ではございますけれども、この答申を受けまして、結局石炭企業各社におきまして今後の構造調整の進め方について検討が始まっているわけでございますので、そういった各社ごとの構造調整の今後の考え方が具体化する過程で、これは今後の石炭企業についてのより具体的な姿ということは明らかになってくるものというふうに考えております。
#14
○対馬孝且君 今石炭部長から答弁ありましたけれども、私が言っているのは、もちろん単年度ごとに、山別にいくでしょうが、その前の政府の心構えとして、従来実績の八百万トンなら八百万トンということを基本に置いて単年度ごとあるいは山別の計画を決める、そういう考え方に立っていいんじゃないかということを聞いているんだよ。そんなことは全部知っていますよ。
#15
○政府委員(山本貞一君) 先ほど先生、西側の諸国、ドイツあるいはイギリス等を頭に置いておっしゃったんだと思いますが、そういう国と日本とはやはり石炭産業の位置づけが違うと思います。
 一つは、先ほどからございますように、日本の国内炭の比率がエネルギー政策の中で数量的に非常に低くなっているというのが一つ。それから価格差という点は、今大体輸入炭に比べて国内炭の価格は二・六倍という状況でございまして、これは国際的にもやはり相当大きな格差だと思うわけでございます。
 そういう現状の中で、昨年来石炭鉱業審議会で御検討いただいて、それを踏まえて幾らというのを定めるというのは非常に厳しい状況だという点は御理解いただけるんじゃないかと思うんです。そういう意味で、今後の輸入炭の価格動向がどうなるのかというのも十分見きわめながら、そこは国際的な情勢の中で今後判断していくというのが適当だという判断をしたんだと思う次第でございます。
#16
○対馬孝且君 いや、そこを聞いているんじゃないんだよ。長官、ちゃんと質問聞いていなきゃだめだよ。そんなことはわかっている。はっきり言わせてもらうと、そんなことを言ったら一体ドイツはどうなんだ。コールペニヒ方式で電力の差額をどこで持っているんだ。国が補給して、業界が補給して今日の電力の単価を維持しているじゃないですか。それでもなおかつ七千万トン掘っているでしょう。あなたの言っていることは理屈に合わない。それは量の問題じゃないですよ。やっぱり国の政策として、当時のシュミット首相時代以来、みずからの資源はみずからが使うというドイツのエネルギー大方針で今日来ているんだから、そんな理屈は当てはまらぬですよ、私に言わせたら。
 そのことを聞いているんじゃないんだ。私が言っているのは、現状のこの答申の枠に立ったとしても、八百万トンなら八百万トンという今日の時点でのこれからの単年度ごとの計画なり、あるいは山別の計画というものを判断の基本に据えながら、これから政府も入るわけですから、そうでしょう。そういうことで対応していいんじゃないかと、こう言っているんだから、そこを答えてもらえばいいんですよ。
#17
○政府委員(土居征夫君) ポスト八次の石炭の生産につきましては、先生おっしゃいましたように平成三年度の計画が八百二十万トンでございますので、これがスタートラインになって平成四年度以降考えていくという話になると思うのでございますけれども、これは答申に指摘していますように、やはり現状維持ということではなしに、今の石炭鉱業の姿については役割と負担のバランスがやはり十分とれてないということがあるので、その辺のバランスがとれるところまで構造調整で経営の多角化とか新分野開拓、あるいは地域振興、雇用対策というのを事前にやりながらも生産の段階的縮小は必要であろうという答申になっているわけでございまして、先生おっしゃいましたように、これがベースにはなりますけれども、そういう前提でこれから毎年の計画をつくっていくということになると思います。
#18
○対馬孝且君 いや、私としてはそこを聞いているんだ。現状、実績を基本にしたこれからの展開をすべきではないか、こう言っているんだが、ベースにはなると。今石炭部長の言う意味はわかるんですよ。
 そこで、私が言いたいことは、先ほどから出ているんだけれども、均衡点というのは何を意味するのかということですよ、大事なことは。一九九〇年代、構造調整期間十年間となっている。この十年間の均衡点というのは何を意味して均衡点と言うのか。この認識の差があったら大変な狂いができるんですよ。
 それからもう一つ聞きたいことは、十年がベターでいけるんならいいよ。均衡点という物差しが出た限り、物の考え方がある限り、これが三年なのか五年なのか、あるいは三年でまた再び閉山の嵐が吹きまくってくるんじゃないかという不安があるんです。大臣、そういう意味で私は言っているんです。つまり均衡点は何を意味するかということ。均衡点はいつかということで、これからの炭鉱政策でまた再びそれこそ第八次同様な雪崩閉山になるおそれがあるから私は言っているんですよ。
 そういう意味で、構造調整十年間のうちの前半の五年が私は分岐点であり、勝負どころではないか。そういう認識について政府はどう考え、どう対応するのか、これをお伺いします。
#19
○政府委員(土居征夫君) 先生御指摘のように、この答申でも九〇年代を構造調整の最終段階と位置づけて、均衡点までは生産の段階的縮小を図る、そういう言い方になっているわけでございますが、そういう意味で、五年とか十年ということよりも、九〇年代というタームを前提として、一方では石炭鉱業の構造調整のソフトランディング、円滑な実施ということも答申ではっとに強調されておりますので、そういった形で、いわゆる集中閉山みたいなものの回避をしながら円滑な構造調整を進めていく、それが答申の目的でございまして、五年なのか十年なのかという問いでございますけれども、今の九〇年代の過程を通じて、そういう形でのソフトランディングを追求するというところで御理解をいただきたいというふうに思っております。
#20
○対馬孝且君 その十年はいいんだ。私が言っているのは、出炭計画を含むこれからの経営あるいは経営コストの問題、後から申し上げますけれども、炭価の問題も出てきますけれども、そういうことを考え合わせれば、この十年間の構造調整の均衡点の位置づけは、むしろ前半の五年を重要な位置づけとして政策を組んでもらう必要があるのではないか。ここを私はお伺いしたいんですが、大臣にこの基本姿勢をお聞きしたいと思います。
#21
○国務大臣(中尾栄一君) 私も専門家ではございませんが、先生の言われている意味はよくわかるつもりでございます。
 そこで、均衡点とは何かという論点から申し上げさせていただきますれば、国内炭の維持の均衡点という考え方そのものは、石炭鉱業審議会の審議過程におきまして石炭業界が行いました、九〇年代を構造調整の最終段階と位置づけ、適正水準までは構造調整努力を継続し、生産規模の段階的縮小を図りつつ経営の多角化を図る、まあ難しい文句で書いてございますが、とのいわゆる自主的な構造調整努力の表明を踏まえた考え方であるということでありまして、これが基本的な考え方として答申に盛り込まれたものではないか、このように思っておるわけでございます。
 国内炭の維持の均衡点というのは、国内炭の持つ国民経済的な役割と国民経済的な負担というものが均衡している状態を言うものではございましょうけれども、この均衡点の量的規模及び到達時期というものにつきましては、エネルギー政策上の国内炭の位置づけの推移、あるいはまた石炭鉱業の構造調整の進展等の今後の状況の推移を見ながらさらに検討を続けていく必要があると考えるものでございまして、今の段階では、いつまでにその結論を出すのかということについては申し上げられる立場にはございませんが、御案内のとおり、先生がただいま申された、五年以内の中でそういう問題点を図っていくべきものではないのか、この意味も十分踏まえながら検討をしていくべきものかな、このように考えておる次第でございます。
#22
○対馬孝且君 今大臣から、まさに五年以内でのそういう認識に立って対応すべきものではないかという所見がございました。その点はそういう認識で対応しないとまたこの八次政策のように、八次政策で山が五つつぶれたんですよ。また雪崩閉山につながるという懸念を私は持っているんです。だから、前年の五年に政策的な手だてがなければこれはやっぱり山の延命策というのはとれないんではないか、そういう心配をするものだから私は今大臣の所見を聞きました。大臣の決意のほどは十分わかりました。そういう姿勢で取り組んでもらいたい、こう思います。
 そこで、私は次に具体的な考え方についてお伺いしたいんですが、単年度ごとにこれから生産計画に入る。これはもちろん政府が一緒に参加してやるわけですから、そうでしょう。石炭業界と、もちろん労組の自主決定はありますけれども、これは入らなければ政策ではないんだから。入るとおっしゃっているんだから。そうだとすれば、まず平成四年度の生産規模、これに対しての私の考え方は、平成三年度の実績を基礎としてこれからの生産枠に対する対応協議に入るべきである、こういう考え方を持っていますが、いかがですか。
#23
○政府委員(土居征夫君) 平成四年度の生産計画あるいは需給がどうなるかという点につきましては、先ほど御説明いたしましたように、現在石炭各社は六月の答申を受けまして中長期的な経営方針を検討しておるところでございます。これにつきましては、来年度の生産につきましてはそれと関連する面もございますので、この各社の基本的な考え方が明らかになった時点で、結局これは、来年度の問題点になりますと次の通常国会にお諮りいたします法律の延長等も絡みまして、その法律の延長後に極力急いで決定していく、そういう形になるかと思うわけでございますが、いずれにしても現段階ではまだ各社の長期的な対応について明らかになっていない時点でございますので、ちょっと来年度につきましては現在申し上げられない事情にあるということでございます。
#24
○対馬孝且君 検討中だと言うけれども、私が言いたいのは、むしろ平成三年度の実績があるんだから、そこを一つの物差しにして検討してもらいたい、こう言っているんです。そこの点を再確認願いたいということです。
#25
○政府委員(土居征夫君) 平成四年度の生産見通しにつきましては、当然平成三年度の実績というものがベースになりまして、それに基づいた中長期的な各社の構造調整の指針、こういったものを踏まえた各社ごとの生産計画の積み上げということになってくるかと思います。
#26
○対馬孝且君 ぜひその基本で進めてもらいたいと強く申し上げておきます。
 次の問題は、この答申の中に炭価の引き下げの問題もあるんですよ。本来ならば、通産六法の石炭鉱業合理化臨時措置法二十六条、それから五十八条の基準炭価の設定、これを論議したいんですが、時間がありませんから申し上げます。
 答申の趣旨からいくと、炭価を大体単年度で一年度目は千円ぐらい下げる、将来、中長期的に見ると水準を維持するような方向で進めてまいりたいという極めて抽象的なものですが、その点、炭価を千円下げるという考え方がはっきりしているのか。下げるとすればその分だけ経営が悪化するわけです。それでなくとも今の炭鉱労働者の賃金は全国、全産業の賃金に比較して現在一番下位ですよ。ボーナスに至っては現在とのぐらいだと思いますか。まともな成人労働者が今二十五万ぐらいもらっている。これは変な話、臨時雇いあるいは下請労働者のとほぼ一致しているんですよ。それでもなおかつ働いている。経営が非常に悪いからやっぱり労働条件にもしわ寄せがきている、こういう状況ですよ。
 そこでお伺いしたいのは、どうしても炭価を千円ぐらい下げなきゃならないものか、それから来年以降の中長期の炭価の推移はどういうふうになるのかということをお伺いします。
#27
○政府委員(土居征夫君) 炭価につきましては、お手元にお配りしております石炭鉱業審議会の答申におきましても、内外炭価格差が平均二倍以上という現実のもとでは、これをさらに引き下げる方向での努力が不可欠である、そういう答申をいただいております。ただ、石炭鉱業の構造調整の過程においては、やはりその構造調整の期間と程度に応じた弾力的な引き下げを行うべきである、そういう言い方になっておりまして、これを受けまして現在検討しておりますのは、やはり引き下げるという方向ではあるけれども、しかし構造調整に大きな悪影響を与えない、そういう観点から平成四年度に平均トン当たり千円の引き下げを行いまして、当分の間これを据え置く、そういう方向で検討をいたしているところでございます。
#28
○対馬孝且君 千円引き下げるということはもうはっきりしました。その後は据え置きの方向でと、それは結構です。ただ、千円下げた場合私は来年が問題だと思っているんです、千円下げた場合の経営コストに影響する点が。これをうまくやらないとまた私は来年度閉山が起きるんじゃないかと心配しているんだ、正直申し上げまして。現実にそういう懸念がある山があるんだよ。
 そこで私が言いたいのは、どうしても答申の趣旨を踏まえて千円下げざるを得ないとすれば、その分を例えば政策的な手だてによって、全部を補えと私は言わぬけれども、そういう考え方で、ある程度単年度の炭価の引き下げに伴う経営コストに、経営上の障害を与えないために何らかの、例えば坑内骨格構造補助金であるとか保安補助金であるとか、後で申し上げますけれども、例えばそういうことによって多少のカバーをしながら先ほど大臣に前半の五年間が大事ではないか、これが勝負どころだ、分岐点だと言ったのはそういう意味で言っているんですよ。そういう点の政策的な予算上の配慮をすべき考え方があるのかないのか、この点をお伺いしたいと思います。
#29
○政府委員(土居征夫君) 構造調整の特に前半がソフトランディングのために重要であるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、答申に沿いまして先ほど御説明いたしましたように従来の合理化安定対策というものは見直しを行いますけれども、基本的には据え置いてそれに新しい政策を加えるということで、特に新分野開拓等構造調整対策については新しい施策を加えて、全体としても石炭勘定予算は六十三億円の増加を要求しているところでございまして、そういう形で石炭業界に対する支援は強化しているということでございます。ただ、炭価の引き下げをそのまま財政でコスト補てんしろという考え方につきましては、答申にもありますように、そういう直接的な対応というのは非常に難しいという面がございますけれども、最大限の努力で来年度の石炭勘定予算については現行要求予算を確保してまいりたいというふうに考えております。
#30
○対馬孝且君 今の点で、炭価をどうしても下げざるを得ないという答申の趣旨であったとしても、その点は今言いました政策的な予算の措置の中で、何もそう私は理屈のないものをやれと言ってるんじゃない。例えば坑内構造の条件が悪化したものに対して保安上のために強化する、これは立派な人命保護の立場で必要なことなんですから、そういうことを言っているんですよ。そういう意味での強化策、改善策というのはあっていいんじゃないかということを言っているわけですから、そこは誤解のないようにしてもらいたい。ぜひそういう方向でひとつ検討してもらいたい。
 問題は、これからの中長期の炭価の据え置き、むしろ上げてもらいたいという考え方だけれども、最悪の場合でもやっぱり据え置くという方向でぜひひとつ政策的な対応をしてもらいたい、これを申し上げておきます。
 そこで、今後の問題として、今も言っているように、生産量についてはソフトランディングで推移をしていく。結果は減産になると思うんですよね、どうしたって。その減産になった場合については平成四年度以降の減産加算金ということを、その分を積み上げる方向で検討することはできないか。これは当面非常に大事な問題なんです。何も自分の石炭経営の事情が悪くて下げるんじゃないんだから。国策によって、百万トン掘りたいけれども九十万トンに、七十万トンに、こうやられるんですから。そうだとすればやっぱりこの分に対する減産加算額というものがある程度なければ経営の維持は非常に困難になる、こういうことにつながるわけでありまして、この点についてはどういう対応をされるかお伺いいたします。
#31
○政府委員(土居征夫君) 今御指摘の石炭鉱業の安定補給金の中の減産加算金につきましてでございますが、これはその年に一定の比率以上減産した場合にトン当たりで三百円から七百五十円の間で補給をするという制度でございますけれども、この減産加算を含みます安定補給金につきましては、答申でも政策全体の見直しの一環として見直しを行うべきであるという指摘になっているわけでございます。むしろ構造調整に対する支援を拡充する一方、縮小の方向で見直しをしたらどうかというのが答申の趣旨でございます。ただ、構造調整の前半時期は非常に経営環境も重要であるということから、今度の予算要求におきましては現行の安定補給金あるいは減産加算金を維持するということを要求しておるところでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、今回の予算におきましては、そういう現行の対策の維持に加えまして、新しく経営の多角化とか新分野開拓への親子ぐるみの展開を財政的にも支援していこうということで強化策を上乗せしているところでございまして、そういった全体的な対応によりましてこの減産問題については対応していきたいと思っております。
#32
○対馬孝且君 ぜひこの点は、今答弁がありましたけれども、私の主張する意味も含めて検討をしてもらいたいということだけ申し上げておきます。
 そこで、予算上の措置ですけれども、石炭特別会計は先ほど説明を受けました。現行ある例えば安定補給金、それから坑内骨格構造補助金あるいは保安補助金など一応現行制度を改革し強化しながらやっていく、その基本的な考え方はわかりました。そこで私はちょっと端的に申し上げるんだけれども、例えば石炭鉱業構造調整円滑化交付金、規模縮小交付金を改編、拡充と、こうありますね。これは入減らしが百五十人を超えた場合でなければこの交付はできない、こういう条件つきでありました。改編という意味は、その歯どめというか条件というものをなくする、そういう理解をしていいですか。そうあるべきだと私は思う。それでなかったら強化にならないんだ。
#33
○政府委員(土居征夫君) 御指摘の現在要求しております石炭鉱業構造調整円滑化交付金というのは、従来の規模縮小交付金を改編、拡充するものでございますが、従来の規模縮小交付金は、閉山した場合の交付金に比べまして途中の減産については補助率が半分になっておるということと、今先生おっしゃいましたように、解雇される従業員の数で百五十人以上あるいは減産率五%以上というすそ切りがあるわけでございます。こういった条件につきましては、来年度以降につきましては、閉山にしても減産にしても構造調整の一環として行う、そういう位置づけがはっきりいたしますれば同じ扱いにして、今先生おっしゃったようなすそ切りをなくしていこうということで要求しているところでございます。
#34
○対馬孝且君 それはわかりました。
 そこでもう一度特別会計の関係を確認しますが、現状ある制度、例えば円滑化交付金とか石炭鉱山整理促進交付金、坑内骨格構造補助金とか保安補助金あるいは安定補給金というのは、あくまでも現行体制を改革して前進する、拡充していく、こういう考え方に立っていいですね。時間がありませんから個々に申し上げませんが。
#35
○政府委員(土居征夫君) 来年度要求につきましては、先生おっしゃいましたように、現行の制度を前提として要求しております。
#36
○対馬孝且君 そこで、今度の答申の中で私一つ評価をしておるのがあります。先ほど説明がありましたが、経営多角化のためのNEDOを中心にしてこのたび出ました六十億の無利子の融資、全体三百億、単年度で六十億ということだったと思うのでありますが、これはそれなりに私は評価をしているんです。それは、今までは閉山をしてその後に雇用対策なり産炭地振興をやった。それがそうではなくて、今度の構造調整という意味は、ソフトランディングでいくということは、新経営多角化でもって雇用安定を確立して、安定職場なり地域の対策が産炭地にできて、そのめどが立って初めてどうしても縮小をするときには閉山をする、私はこういう意味の答申だということを聞きました。現在は閉山してから対策をしている。その点は評価というよりもそれが当然のことなんだ。我々が今までしゃべってきたことがようやくそこで出てきたということなんだけれども。
 そこで申し上げたいことは、この六十億の融資という問題でお伺いしたいんですが、現在は産炭地中心なんです。現在まだ二千八百人も山に滞留していますけれども、率直に言うけれども、芦別は芦別で、赤平は赤平で、美唄は美唄でもってやっぱり生活したい、最悪の場合でもこれが願いなんです、どうしてもやむなく閉山した方々にとっては。本来なら山を延命して、私はいつも言っておるんだけれども、現状山を維持して二度とキャップランプの灯を消すなというのが炭鉱労働者の願いですから、それを基本に維持してもらいたいと今政策を言っておるのでありますが、仮に閉山になったとしてもそういう体制をぜひとってもらいたい。そういう意味では、土砂川の無重力実験の世界一というあれはそれなりの前進だと思うんです。
 ただ、産炭地を中心にした振興対策、安定職場、多角経営、これが基本なんだけれども、いま一つ出ている問題は、産炭地域振興臨時措置法の六条、八条との直接関係あるなしは別にして、例えば千歳のエアカーゴ基地の問題とか江別のプロジェクト構想とかいろいろあるんです。この六十億との関係で参考までに聞くんですが、産炭地を中心にぜひ新経営多角化をやってもらいたい、これが基本ですが、しかしどうしても地元の産炭地でできない場合については、千歳のエアカーゴ基地拡大による、空港整備による企業の立地であるとか多角経営であるとか、あるいは江別でプロジェクト構想を描かれておりますけれども、そういう問題に対して今回できた制度というものを活用することができるのかできないのか、この点をお伺いしたいと思います。
#37
○政府委員(土居征夫君) 石炭鉱業の親子ぐるみの経営の多角化につきましては、先生おっしゃるように、産炭地の雇用対策という観点から産炭地中心に行われるものというふうに期待されておりますけれども、ただ、産炭地対策もあるいは雇用対策もいわゆる固定された産炭地ということに限定されるだけでなしに、その辺は広域的に考えながら、石炭鉱業の経営多角化に資するものについては、産炭地を離れる事業についても今回の制度の対象にしていくということを考えておりまして、さらには海外炭開発までできたら対象にしたいということで要求をしておるところでございます。
#38
○対馬孝且君 ぜひそういう方向でお願いします。
 だめを押しますけれども、第一点は、基本はあくまでも産炭地、地元での新経営多角化。それは何といってもふるさと地元を優先にして、企業に定着をさせるというだけではなくて、やっぱり地域社会に定着させるということ。とりわけ北海道は七〇%は過疎ですから、過疎対策の一環としても地場の産炭地振興のために定着してもらいたい。
 第二は、どうしてもそれができない場合でも、先ほど申しましたように、産炭地以外の地域の新経営多角化に伴う安定職場の確立をさせてもらいたい、このことをひとつ強く申し上げておきたいと思います。
 そこで、今石炭部長から海外技術の問題ということも出ました。これはぜひ私は大臣に申し上げたいが、エネルギー庁長官にもここで聞いておいてもらいたいと思うんです。私はきょうは時間がないからそこまで入れなかったんですけれども、かつて北大の磯部教授が日本の石炭政策についてこういう提言をしたことがあります。
 それはどういうことかといいますと、世界的に我が国の石炭産業の技術は最高なんです。これは何もマスターべーションで言っているんじゃない。国際的に認められているんです。いわゆる自走枠方式から始まって今かなり自動化してきましたけれども、坑内が深ければ深いほどこの炭鉱技術は非常に難しいそうでございます。それは保安という問題を伴いますから、それから炭質の問題がありますから。したがって、かつて磯部教授が提言したことは、空知炭田の今残っている炭鉱が技術的に一番研究する山としては適切な山である、そういう意味では試験炭鉱という位置づけで日本の炭鉱を残してもいいんだと。当時は一千万トン程度ありましたけれども、八次政策に入る前でありましたけれども、一千万トンぐらいの山は試験炭鉱ということで国策のためにも残すべきである、こういう提言を磯部教授がこの前参考人で来て申し上げたことがある、八次政策のときに。
 私はこの考え方を政府はもう一回検討してもらいたいと思うんですよ。なぜそう言うかというと、私はソビエトへ行っています。中国も行きました。ソビエト、中国の坑内に全部入っております。インドネシアへも近く行きたいと思っていますけれども、ソビエト、中国、カナダは今日本の技術を全部使っているんですよ。日本の技術者を求めているだけじゃなくて、炭鉱の投資開発も有望になっているんです。
 大臣、ここなんですよ。それにはただ技術を売る、投資をするというだけではどうにもならないわけですよ。どうにもならないという意味は、日本の炭鉱があって、存置をして初めて技術開発というのは可能であって、それが相互に交流し合う、そういう技術が海外に投資される、開発される、ここにつながっていくわけです、これは磯部教授が言っている言ってないは別にして、ぜひこれからの構造調整十年間の中に、やっぱり十年間延命していく、現状山はつぶされない、山の灯は消さないというそういう立場に立っても、技術開発の問題では現状山を試験炭鉱とする制度化を検討してもらいたい。こういうふうに私は最後に申し上げまして、これはむしろ政治判断ですから大臣の所見なり長官の所見を伺いたい、こう思います。
#39
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま先生から磯部教授のお話を聞かせていただきまして、むしろ感動を受けた次第でございますが、ある意味においては日本の明治、大正、昭和初期を大きく飾り、なおかつ日本の国の発展に大きく寄与した山々でございましょう。それだけに先生の心もよく理解ができるものでございます。前向きに私どもも検討をさせていただきながら、頑張ってみたい、このように思っております。
#40
○対馬孝且君 どうもありがとうございました。終わります。
#41
○高崎裕子君 国内炭は八次策により一千万トンを割り、八百万トンとエネルギー政策上その位置づけを大幅に後退させてきています。国内唯一のエネルギー供給基盤と言ってよい国内炭をこうして永久に葬り去る方向に私どもは絶対同意できないわけです。我が党は、エネルギーは食糧とともに一国の経済的自立の基礎であり、コストの観点のみで論じられてはならない、こう位置づけているわけで、その点からも少なくとも現存炭鉱を維持発展させていくべきである、こう考えているわけです。
 そこで、ポスト八次策ですが、生産規模が初めて明示されなかった。しかし、答申はいろいろ述べているわけですけれども、その本音のところは生産の段階的縮小を図ることに尽きるということで、どの程度の生産規模にしようとしているのか、端的にお答えいただきたいと思います。
#42
○国務大臣(中尾栄一君) 高崎委員にお答えいたします。
 どのくらいの生産規模に、明示されてはいないけれども具体的にはどうなるのかと、こういうことでございましょうけれども、石炭鉱業審議会答申におきましては、我が国石炭鉱業は、九〇年代を構造調整の最終段階と位置づけて、そして今後においても構造調整の過程を続け、先ほど答弁の中にもございました均衡点までは経営の多角化、新分野開拓を図りつつ国内炭生産の段階的縮小を図ることが必要であると指摘されておるところでございます。それだけに、私どもの国内炭維持の均衡点、すなわち役割と国民経済的負担が均衡する生産規模につきましては、答申にも示されておりますように、エネルギー政策上の国内炭の位置づけの推移、あるいは石炭鉱業の構造調整の進展、そういうものと相まって今後の状況の推移を見ながらさらに検討を続けていく必要があるものと考えておる次第でございます。
#43
○高崎裕子君 大臣いろいろ言っていただいたんですけれども、やっぱりよくわからないんですね。国民経済的役割の程度に対応する均衡点ということなんですけれども、何のことかやっぱりわからない。構造調整の進展と言うけれども、これは本来エネルギー政策と何の関係もないことが持ち込まれているということです。それとも石炭業界は、多角的経営、これを進めると、それが補完されて現存炭鉱がそのまま維持されるということを言っているんでしょうか。石炭業界が自主的に決めるといっても、これはやっぱり形式的にすぎないのではないかと思うんです。なぜなら、肝心なのは、やっぱり生産を段階的に縮小する、こういうことがもう結論になっているからですね。これは八次策で言う段階的縮小、緩やかな縮小という主張とほとんど変わらないわけで、縮小が前提となっている以上は閉山、縮小が急激に進むことになる可能性が非常に強いということを指摘しなければならないと思います。
 八次策の最終年度の生産が八百二十万トン、これは七次策の最終年と比較して半減したことになります。いかに急激な閉山、縮小、雪崩閉山であったかということがこれをとってもわかるわけですが、私はこの七月に空知炭鉱、住友赤平、三井芦別、太平洋炭酸と北海道に残った四つの炭鉱を直接調査もし、各自治体からもお話を伺ってまいりましたが、残った山はいずれも必死に生産活動を続けながら経営を辛うじて支えているというのが実情でした。
 そこで、具体的にお尋ねいたしますが、炭価のアップは八次策の五年間にありましたか。
#44
○政府委員(土居征夫君) 八次策の五年間においては炭価のアップはございません。
#45
○高崎裕子君 次に、石炭業界全体の経常損益は幾らになっているでしょうか。また、北海道のうち空知、住友、太平洋の三社はどうでしょうか。
#46
○政府委員(土居征夫君) 石炭各社の平成二年度の経常損益につきましては、全体で六十九億円の赤ということでございます。それから、今先生御指摘になりました北海道の三社の合計といたしましては、約九億円の赤字ということでございます。
#47
○高崎裕子君 今お話をいただきましたように、炭価が五年間全くアップせず据え置かれている。生産費を償うには炭価を適切に引き上げるというのが本来の姿なわけです。にもかかわらず、物勝率すら見ていないということで実質的には減少ということになっているわけです。稼行炭鉱はもうこれ以上合理化をする余地がないほど苦境に追い込まれています。私どもの調査でも明らかになったことは、需要が減少し、人員の縮小、合理化等により生産能率を大幅にアップして辛うじて炭鉱が支えられているというのが特徴でした。
 経常収支で見ますと、住友、三井とも昭和六十二年度は損益黒字だったのが平成二年度ではいずれも赤字、住友赤平で十五億五千万、三井芦別で七億という非常に赤字が増額しているということで、炭鉱の皆さんはこれ以上生産を縮小してはもうやっていけない、もうぎりぎりですという悲痛な声さえ上げておられました。
 その上答申では弾力的な価格の引き下げを行うことになっており、来年四年度には、先ほども出ましたが、早速トン平均千円の引き下げを実行しようとしているわけで、来年度の生産量八百二十万トンで見ますと、トン千円の引き下げで全体で八十二億円の減収となるわけです。北海道四社で見ますと三十六億九千万円も減収になる。これらの額が即赤字額に上乗せされていくということで、まさに山つぶしの何物でもないというふうに思われるんですけれども、この点いかがでしょうか。
#48
○政府委員(土居征夫君) ただいま現在の石炭企業の経営状況、赤字であるということでございますが、これは各社ごと各炭鉱ごとに異なった面がございまして、もちろん黒字のところもあるわけでございますが、全体としてそういう非常に厳しい状況にあるのは事実でございます。いずれにしても、そういう厳しい経営状況を前提として、一方では内外炭価格差という形で国民への負担があり、あるいは一千億を超える財政という形での国民への負担があるわけでございまして、そういう状況の中で国民経済的な負担と国民経済的な役割の大きさというものが均衡していないということでございますので、実は経営者は現状を前提として今後構造調整を決断して、子会社だけじゃなしに親会社の協力を得て一体として新分野開拓、経営多角化を進めようということで今検討をしているところでございます。
 石炭柱だけを見ますと平均的には今おっしゃるように非常に厳しい状況でございますが、いずれにしても親子ぐるみで新しい分野を開拓するんだ、そういうことで労使一体となってこれからやっていこうということで検討しているところでございまして、もちろん千円引き下げの厳しさにつきましては、石炭鉱業審議会の答申の作成過程におきましても各社から非公式にヒアリングを行って承知しておりますけれども、ただ一方では、親会社の協力を得て一体となった経営努力によって構造調整のソフトランディングが可能であるという判断も各社のヒアリングで得ておりますので、そういった形で、特に新しい分野への開拓に対する国の支援ということを強化して、全体としての石炭鉱業の構造調整をソフトランディング、円滑にしていくということに努力してまいりたいというふうに考えております。
#49
○高崎裕子君 政府は生産規模を明示せず、そのかわり石炭業界が自主的に構造調整をしなさいと、あるいは業界もそれをすると言っていると、こう述べられるわけですね。しかし、炭価を下げて八十二億円の減収になるということははっきりしているわけで、これを何らの影響もないような言い方をするということは、厳しいという言い方はされましたけれども、やっぱり問題ではないかというふうに私は思うわけですね。
 そこで、この八十二億円をどうカバーさせようと考えていらっしゃるのか。人員の首切りあるいは生産能率を一層アップさせる、こんなことで保安は万全になるのかということを私どもは大変に心配するわけですけれども、この点もいかがでしょうか。
#50
○政府委員(土居征夫君) トン当たり千円の下げを財政で直接カバーするというわけにはいきませんけれども、先ほど来御説明いたしておりますように、親子ぐるみで新しい分野への開拓ということで石炭勘定予算も大幅に増加し、あるいは融資制度も六十億円の無利子融資を創設するという形で、全体としての支援を強化するという形で石炭企業に対する支援を強化していこうというふうに考えております。
 合理化の余地というのは、ここまで合理化を進めてきておりまして確かに将来なかなか難しい面もございますけれども、ただ炭鉱ごとに見ますとなお合理化の余地があるところもございまして、そういった形で、各社のもちろん努力というものは前提になりますけれども、政府としても最大限の支援をしてまいりたいというふうに考えております。
#51
○高崎裕子君 この八十二億円の問題ばかりではなくて、さらに露頭炭について、答申では坑内炭の炭価との乖離を容認し自由取引にゆだねる、こうしているわけですけれども、平成四年度のこの千円を引き下げるという中に露頭炭は含まれているのでしょうか。
#52
○政府委員(土居征夫君) 露頭炭につきましては、先生御指摘のように答申におきましては、露頭炭、雑炭というのは石炭政策上の位置づけが坑内掘りの炭と異なる面がございますので、したがってこれら露頭炭及び雑炭につきましては、当事者間での自由取引にゆだねることによりまして、基準炭価制度の直接的な適用を避けまして、坑内炭炭価との乖離を容認する等の取り扱いの弾力化が適当であるという答申をいただいております。
 したがいまして、こういう指摘を受けまして、露頭炭につきましては基本的には当事者間の自由取引にゆだねるということになるわけでございますけれども、一方では、石炭鉱業審議会の答申におきまして石炭鉱業の構造調整のソフトランディングという枠組みも提示されておりますので、そういった構造調整の円滑な実施の観点からいろいろと問題が生じないように行政を展開してまいりたいというふうに考えております。
#53
○高崎裕子君 基本的には露頭炭は含んではいないということなわけですが、そうなりますと、露頭炭分というのは北海道全体で三十五万トンになるわけですけれども、仮にこの露頭炭を二千円引き下げというふうに考えますと、合計で七億円の減収になるということで、露頭炭を抱えている炭鉱では、いわば坑内炭の炭価切り下げとそして露頭炭分ということで、言ってみればダブルパンチということになるわけで、大変な状態になるということをここで私は強く指摘しておきたいというふうに思うんですね。
 次に、稼行炭鉱に対する補助金なんですけれども、骨格構造補助金と安定補給金の合計額、八次策初年度の昭和六十二年度と最終年度の平成三年度の総額はどうなっているでしょうか。そして、さらに八次策の五年間の単価アップはどのようになっていますでしょうか。
#54
○政府委員(土居征夫君) 坑内骨格構造整備拡充事業費補助金と石炭鉱業安定補給金の合計額でございますが、お尋ねの昭和六十二年度は二百六億四千九百万ということでございますが、平成三年度におきましては、これは稼行炭鉱数あるいは稼行炭鉱の生産量の減少等にも見合いまして減少しておりまして、八十九億二千百万、こういうことでございます。
 この間の制度改善でございますけれども、単価アップはございません。
#55
○高崎裕子君 この総額との関係で後で大臣にもお尋ねしたいと思うんですが、その前に、石炭鉱業合理化臨時措置法に関連して、この三条の一項の規定に基づいて合理化基本計画というのが告示されるわけですけれども、八次策期間中の生産能率についてお尋ねしますが、平成二年度の実施計画と実績はどうなっていますでしょうか。
#56
○政府委員(土居征夫君) 石炭鉱業合理化実施計画に基づきます平成二年度の生産能率の目標は、一人一月百二十五トンという目標でございます。それに対して実績は、一人一月百四十トンということで目標をオーバーしております。
#57
○高崎裕子君 今石炭部長がおっしゃいましたように、これは実施計画目標をオーバーしているという大変な事態だと思うわけですね。
 そこで重ねてお尋ねするんですけれども、これはこの臨時措置法に基づく基本計画に明らかに違反しているというふうに言わざるを得ないと思うんですけれども、その点違反しているというふうにお考えでしょうか。
#58
○政府委員(土居征夫君) 合理化基本計画あるいは実施計画というのは、石炭鉱業の合理化の目標につきまして長期的あるいは単年度で年度当初に決めておるわけでございまして、こういった生産能率の問題だけでなしに、生産数量その他につきましてもいろいろ目標を設定しているわけでございまして、目標については、目標どおり達成できるケースもございますし、未達の場合もありますし、あるいは合理化が進んで生産能率がさらに向上する場合もあるということでございまして、そういった性格のものというふうに理解しております。
#59
○高崎裕子君 結局こういうことで、実施計画よりもオーバーをしているということでどんどん合理化させられてきた、閉山、縮小の道を推し進められてきたというのが事実なわけですよね。ですから、これはもう明らかにこの実施計画に違反する、行き過ぎだというふうに認めざるを得ないと思うんですけれども、何のための基本計画なのかと言いたいわけですよね。その点いかがですか。
#60
○政府委員(土居征夫君) 生産能率の向上につきましては、例えば人員減による能率の向上だけじゃございませんで、やはり新しい技術の適用とか新しい設備の導入とかいろんな形での対応がございますし、あるいは坑内の坑道につきましても、非常に効率のよい炭層を直接目的にするという形での生産の合理化もございまして、そういった意味では、生産の能率の向上というのはそれなりに石炭企業の経営努力を反映しているということで、違反しているというような性格のものでは必ずしもないというふうに考えております。
#61
○高崎裕子君 これは明らかに違反しているというふうに言わざるを得ないわけですが、時間がございませんので、その点を指摘して次の質問に移りたいと思います。
 先ほど補助金の関係でお尋ねしたんですけれども、補助金は単価アップがない、つまり実質的に減収ということになっているわけです。八次策の初年度と比べて実に総額で百十七億二千八百万円もの大幅な減額ということになっているわけですね。トン当たり五百四十円の減ということに計算するとなるわけですけれども、残った山も経営の限界に来ているということが何よりの証明だろうというふうに思うわけです。
 炭価も十年間据え置かれた。それどころか今度は引き下げられる。それから補助金も五年間据え置きで大幅な減額になっている。あるいは、八次策初年度の六十二年度と最終年度の平成三年度の比較で坑道補助金を見ますと、一メートル当たり二十六万九千円から十五万九千円と十一万も減になっている。それから保安確保の補助金もトン当たり八百四十三円から五百二十二円と三百二十一円、大幅に城となっている。それに加えて答申ではコスト低減に向けての努力と言い、補助金の融資制度等について見直しを行うとも言っています。これらは明らかに山をつぶして安楽死させていくためのもので、それを政府が誘導しているというふうに私は言わざるを得ないというふうに思うんです。
 そこで、最後に大臣にお尋ねしますけれども、そのことを前提に炭価、補助金はせめて物勝率の上昇くらいは算入するのが国の最低の責任ではないかというふうに思うんですけれども、この点ぜひ検討していただきたいということで、大臣の決意のほどを伺って質問を終わりたいと思います。
#62
○政府委員(土居征夫君) 大臣の前に事実関係だけちょっと御答弁させていただきます。
 今御指摘になりましたように安定補給金、坑道掘削補助金の総額は半分以下に減少しております。これは生産数量が半分に減少したということに見合うものでございますが、おっしゃるように、トン当たりで見ますと当初に比べまして若干減少している傾向が出ているわけでございます。ただこの補助金は、各炭鉱についてトン当たりで計算しますと、従来、八次策の当初にございました非常に条件が悪い炭層のところにつきましては、実は補助金が余計出ておる。これはそういった条件の悪さを補てんするという意味からトン当たりで見ますと非常に補助率が高いわけでございますが、そういうところの合理化が進んだ結果でございまして、基本的にはもちろん単価アップはございませんのでプラスという面は必ずしも十分ではありませんけれども、八次策期間を通じまして稼行炭鉱対策については基本的に条件は変わっていないというふうに御理解いただきたいところでございますし、今後ともこの稼行炭鉱対策につきましてはこの条件を維持したいというふうに考えております。
#63
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま政府委員が答弁をいたしましたような次第でございまして、少なくともそういうことを十分踏まえまして、また先生の先ほど来言われている言葉も十分にかみしめまして、そして任に当たりたい、このように思っておる次第でございます。
#64
○高崎裕子君 終わります。
#65
○針生雄吉君 「過去の歴史に対する反省と責任を感じない指導者は、現在及び将来においてまことの指導者とはなり得ない」というのはワイツゼッカー・ドイツ大統領の言でございますけれども、まことの指導者たり得る大臣としての御答弁を切にお願いをいたしたいと思います。
 個別的なことになりますけれども、北海道の三笠市のことに関連いたしまして大臣の御所見をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本年六月、ポスト八次の基本計画が告示され、重点対象地域の指定見直しか行われたところでありますけれども、それぞれの地域が深刻な財政事情を抱えて、最大限の地域振興のための自助努力を傾けつつ政府の強力な財政支援を渇望しているというのが現状であります。政府は石炭鉱業審議会答申を踏まえ、八次策影響地域、特に稼行炭鉱所在地域に対して集中的な施策を講じていくという方針を述べておられますけれども、振興対策策定に際しまして、閉山の影響が著しく残っている旧産炭地域をも含めて、各個別の市町村ごとの実態をよくよく把握して血の通った施策を行うように求めるものであります。
 まず、重点対象地域に対する政府の振興対策等の基本方針を簡潔にお示しをいただきたいと思います。
#66
○国務大臣(中尾栄一君) 昨年秋の産炭地域振興審議会答申におきまして、御指摘のとおり八次策の影響地域等の重点対象地域に対する施策の強化が指摘されていることに加えまして、先般の石炭鉱業審議会答申におきましてもさらに稼行炭鉱対策の必要性について指摘されているところでございます。通産省といたしましてはこれまでも財政支援、あるいは工業団地の造成、あるいはまた企業の誘致等各般の施策を講じたところではございますけれども、また今後ともこの各答申の趣旨を踏まえまして重点的かつ強力に施策を講じてまいりたい、このように思っている次第でございます。私もここに事務局から重点対象地域の四道県八圏域というものに対する地図を書いてもらいまして、浅学ではございますけれども、多少なりとも勉強させていただいておる次第でございますけれども、一生懸命取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
#67
○針生雄吉君 そのような基本方針のもとに弾力的な運用を強く望むものであります。
 次に、先ほど申し上げましたように特定の自治体に関することでいささか申しわけないのでございますけれども、北海道の三笠市の事例に関して大臣の御所感をお聞きしたいと思います。
 過去五年間における最大規模の閉山は、御承知のように平成元年九月の北炭幌内炭鉱の閉山、これは生産量百十五万トンでありました。その北炭幌内炭鉱のありました三笠市を例として挙げてみますと、三笠市の一般会計の規模は約百二十九億円でありますけれども、その三笠市における幌内炭鉱閉山に伴う財政減の影響は五億円弱でありまして、一般会計歳入決算額に占める割合は三・七%に上っております。その三笠市が平成二年に国や道とともに出資して設立いたしました第三セクター方式の三笠第二工業団地の経営がピンチに陥っているのでありますけれども、この経営主体をポスト八次の石炭政策に見られるような地域振興整備公団に移管するように、そういう要望が出されておることは既に大臣も御存じのことと思います。この三笠市における第三セクターへの財政援助はポスト八次の産炭地域振興対策の趣旨に沿うものと思いますけれども、大臣の御所見をお示しいただきたいと思います。
#68
○政府委員(土居征夫君) 三笠市におきます第三セクター方式で実施しております工業団地の造成につきましては、現在経営のピンチに立ち至っているということでは必ずしもないと承知しておりまして、今第一工区、第二工区につきまして当初計画どおり事業が進捗しておるということでございます。ただ、今後分譲が円滑に行われるかどうかというところの問題がございますので、そこらにつきましては地域振興整備公団を通じまして最大限の協力をしてまいるということを考えております。
 現在、第三工区について三笠市が自力で対応しようということで、非常に財政的に苦しいという状況があるわけでございますが、この問題につきましては、今後の問題として地域振興整備公団ともども今検討をしておるところでございます。いずれにしても、地域公団で実施します工業団地の造成事業のほかに、小規模で分譲見通しの明るいケースにつきましては第三セクター方式で実施するという従来の方式もございまして、当面三笠市のケースにつきましてはこの方式を維持したいというふうに考えております。
#69
○針生雄吉君 ぜひ地域振興整備公団に移管するような措置をお願いしたいと思いますが、ただ単に運が悪かったというな片づけ方ではなくて、ひとつ公平な、いわばポスト八次の振興対策の基本政策にかなうものとしての特別の御配慮をお願いしたいと思います。
 大臣、これについて御所見があれば承りたいと思いますが。
#70
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま政府委員が答弁いたしましたように、今後分譲が円滑に行われるように国としても地域振興整備公団を通しまして最大限の協力はさせていただきたいと、このように考えておる次第でございます、
#71
○針生雄吉君 ぜひ強力な御配慮をお願いしたいと思います。
 次に、海外炭の安定供給確保に関連しまして、中国産炭の質の向上等のために積極的な技術援助を行うべきであるということを申し上げたいと思います。海外炭の安定供給確保に関連して、積極的な技術援助を中国に対して行うべきであるという考えに対しての政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#72
○政府委員(土居征夫君) 中国は豊富な埋蔵量を有します世界最大の石炭生産国でございまして、現在我が国におきましても五百二十七万トン程度を中国から輸入いたしておるところでございまして、今後とも石炭供給源として相応の役割を果たしていくものというふうに考えております。
 ただ、一方、先生御指摘になりましたように、石炭の需要につきましては、今一般的に品質管理が極めて重要な課題ということでございまして、そういった面につきましては、具体的に先方の中国からの要請を踏まえまして各種の協力のための調査を実施しているところでございます。
#73
○針生雄吉君 特に品質管理について問題があるということを聞いておりますけれども、先端技術というのが中国の場合にはまだ万全ではないということでございますので、そういった先端技術の向上のための技術援助、あるいは保安関係の安全な採炭条件の確保のための技術というものもかなりおくれているようでございますので、我が国からも最大限のそういった品質管理あるいは採炭条件の確保のための技術援助というものをしていただきたいということを要望いたします。
 いずれにいたしましても、今後ポスト八次のエネルギー政策によって閉山の運命をたどるべきところも含めまして、特に閉山後の炭鉱というところはそれぞれ懸命に各方面にわたっての努力を続けておりますけれども、そういった今までの経過というものがございまして大変経済的な苦境に陥っているわけでございます。特にそれぞれの炭鉱地域におきましては、北海道で言えば、若い働き手は道内はもちろんのこと本土の方にもどんどん出ておりますし、いろいろな地域を離れていっております。残っておりますのが年老いた人でございまして、高齢化の比率というものがますます高くなっていく。あるいは九州方面におきましては鉱害問題というような深刻な問題もあるというようなこともございます。あるいはけい肺病、まだそんなに重症ではないけれども、そのうちに重症化するのではないかと恐れおののいている人たちなどもいるわけであります。今まで我が国がエネルギー確保の第一として挙げてきた石炭政策に協力をして、そういった日本の経済発展のために力を尽くしてこられた方々に対しまして、ひとつそういった方々の御苦労に報いるという意味からも、あるいは日本の経済大国としての責任を果たすという立場からもぜひとも強力な援護策、支援策というものをお願いをしたいと思います。
 最後に、大臣から、そういった過去に対する反省と責任を感じない指導者は現在及び将来においてまことの指導者とはなり得ないという観点からの御所見をお伺いして、質問を終りたいと思います。
#74
○国務大臣(中尾栄一君) 政治家それぞれがその責めを負うわけでございましょうが、私どももこのように国民の皆様方によって選出されました以上、やはり政治の原点というのは、強くたくましく、しかもなおかつ力のある者だけに政治が寄せられていくということがあってはならない。むしろ弱小と申しましょうか、言うなれば組織を持たない力のない者、場合によっては、先ほど先生の御指摘なさった病弱の者、あるいはまた、そのような意味において、もしろ政治の愛情を必要とする人々にこそ政治のいろいろな光は当てられるべきであろうという信念をかたく持つべき老が政治家の本筋ではなかろうかと私も常日ごろ思っております。そのような意味におきまして、先生のお言葉を拳々服膺して頑張ってみたいなと、このように思っておる次第でございます。
#75
○針生雄吉君 ありがとうございました。
#76
○古川太三郎君 我が国のエネルギー供給構造、こういった中での国内炭の役割について、まず通産大臣に御意見をお伺いしたいと思います。
#77
○国務大臣(中尾栄一君) 答申におきましては、国内炭の役割につきまして、エネルギーセキュリティーの観点から、海外炭、原子力等による我が国のエネルギー全体としてのセキュリティーにつきましては、さらに確保しつつあると考えられること等の事情にかんがみまして、今日においては、エネルギー政策上の位置づけは八次策定時に比べましてさらに変化、縮小しているものと考えるべきであると評価をしている次第でございます。
 他方、同答申では、世界エネルギー情勢の中で、今後量的に拡大する日本の石炭需要とこれに対応した安定供給確保の必要性、またそのための国内炭技術の活用の可能性等を考えますると、エネルギー政策上の国内炭の役割は縮小してきているとはいえ、なお積極的に評価されるべき余地も残されていると指摘されているところでございます。
 しかしながら、答申にもあるとおりでございまして、国内炭の役割とそれを支える国民経済的負担の大きさというものが均衡していないというところに問題があると思い、それを抱えておるということからいたしまして、この両者の均衡がとれるまで経営多角化を図りながら国内炭の生産を縮小することこそが肝要ではなかろうかと考えておる次第でございます。
#78
○古川太三郎君 今まで国内炭が非常に減少してきた。そして需要の十分の一以下になっている。これからもなおまた今までの話を聞いておりますと下がっていくような感じがする。その十分の一以下の形で、今おっしゃったようになおかつ段階的に縮小するというようなことであるならば、先ほど大臣が国内炭をまだ生産する意義があるんだとおっしゃっているところと矛盾しないかと思うんですけれども、いかがですか。
#79
○政府委員(山本貞一君) ただいまの大臣の御答弁にもございましたが、国内炭の意義づけというのも答申で書かれております。大臣も今それを申されました。一つは、少ないとはいえエネルギー政策のエネルギー供給の中に一定の位置づけがある、数量的にも位置づけがあるということが一つ。それから将来の海外炭の確保のために、いろんな技術的な支援とかノーハウ等のためにも必要であるということでございますので、国内炭の評価は私どもも答申に従って今後していくということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
#80
○古川太三郎君 その意味はよくおかるんですけれども、先ほどからの話を聞いておりますと、国内炭はもう安楽死するような方向に向いている。こういったことで技術の向上というのがあり得るのかどうか、ましてや海外にまでその技術を援助するとかいうことが言えるのかどうか、ここら辺はどうなんですか。
#81
○政府委員(土居征夫君) 石炭鉱業の海外炭開発への取り組みにつきましては、我々はそれほど悲観はしてございませんで、現在国内炭は六山ございますけれども、親子ぐるみで海外炭の方への努力もしておりまして、現在我が国の総輸入量は一億トンを超えて一億七百五十七万トンという数字でございますが、そのうち約六百万トン程度が石炭企業によって今取り扱われているところでございます。
 それから、国内炭技術の国際的展開につきましても、毎年二十人を超える海外からの技術者が日本の生産、保安関係の技術を習得に来ておるということで、こういった形での国際展開によりまして、いずれにしても海外炭の輸入につきましては国内需要の伸びに応じまして今後大幅にふやしていかなきゃいけないということでございますので、国内石炭企業の技術を活用した海外炭の安定供給確保といったことも石炭鉱業の新分野開拓の一つの大きな柱として応援してまいりたいというふうに考えております。
#82
○古川太三郎君 生産技術だけじゃなくて、今石炭の利用の面においてもいろいろと問題が起こっております。その技術開発について我が国は非常にすぐれたものを持っているというように言われておりますけれども、こういったことについての現状はどうなんでしょうか。
#83
○政府委員(土居征夫君) 石炭の利用技術につきましては、特にボイラー関係の技術を中心としまして日本の技術は世界の最高水準に近いところにございます。この石炭の利用技術は省エネルギーとか環境問題の改善にも資するわけでございまして、国際的にも非常に高い水準にあるということから、日本の国内における技術開発をさらに一層進めると同時に、国際的な技術移転、こういったものを通じまして世界的な石炭についての環境問題とかエネルギー問題の克服に資するということもございますので、そういう国際協力についても支援をさせていただきたいというふうに考えております。
#84
○古川太三郎君 今聞いておりますと、非常にそういう技術面で日本はすぐれていると。せっかくそこまでの高度な技術を持ちながら、単に価格の差だけで国内炭の減少を黙視する、黙認するというような政策は日本のエネルギー政策として誤った方向ではないか、こう考えることもできるんですけれども、大臣の御所見を聞いて、時間ですので終わります。
#85
○政府委員(土居征夫君) ちょっとその前に。
 今申しました石炭の利用技術につきましては、これは実は需要業界である電力業界とかあるいは日本のボイラーメーカーとか、何も石炭産業が現在持っているという技術じゃございませんで、むしろ需要家が持っている技術でございまして、いずれにしても、そういった技術は国際的に展開しなきゃいけないし、それからさっき御指摘がありました石炭の生産、保安の技術、これは石炭鉱業が持っているわけでございまして、こういったところについてはもちろん国際展開するわけでございますが、おのずからちょっとその利用技術と生産技術は違う面がございまして、生産技術の問題につきましてはそれなりのウエート、それから、これからの海外炭確保に当たっての石炭企業のやっぱり役割というものがあると思いますが、そういう位置づけの中で応援をしていくということで、全体の技術はもちろん日本の経済は持っておりますけれども、石炭の生産、保安の技術というのはその一部であるということを御理解いただきたいと思います。
#86
○国務大臣(中尾栄一君) 答申にも御指摘があるかと思いますけれども、技術のある意味におけるすぐれた面を日本の国は持っておるということ自体、これまた国内外、国の中はもちろんのことではございますけれども、外におきましても日本を大きく頼りにすると同時に、言うなれば日本の大きな先進した技術というものが彼らにとっては大きな意味における日本との提携、また輸出入におけるコンタクト、そういうものに結びつくわけでございますから、そのような意味において、この技術というものの大きな比重を占めている付加価値というものははかり知れないものがある、このような考え方に私どもは立っておる次第でございます。
 今後とも、先ほど来の先生の疑念は、私どもも十分にそれを踏まえまして、なおかつそれに私ども自体の考え方を添えまして、そしてこれの加速度的なある意味における進展というものを、どのように今の技術開発の日本の国が結びつけていけるかという可能性も模索しながら考えていきたい、このように思っておる次第でございます。
#87
○足立良平君 既にちょっと質問があり、これが最後になりますけれども、私があらかじめ用意いたしていた内容も既に出ておりますので、ダブったりいたすといけませんから、若干きょうの議論を聞いていてさらにもう少しはっきりさせていただきたい、こういうことも含めて質問をさせていただきたいと、このように考えるわけであります。
 それで第一点目に、まず基本的な問題でございますが、我が国のエネルギー政策というもの、これはもうまさに産業政策、あるいはまた国の成り立ち、国としてのセキュリティー、いわゆるエネルギー政策というのはまさに基本的な問題であろうというふうに思うわけであります。そういう観点から、国内炭に限らずに、国内外炭というものは我が国のエネルギー政策の中でどういう位置づけを通産省としてされているのか、まず基本的な点でお聞きをいたしたいと思います。
 もちろん石炭というのは、これは今日地球環境問題を中心にいたしまして、とりわけCO2の問題というのは極めて大きな問題点があるわけでありまして、そういう面は逆に言うと、産業政策の面からいたしますと、このCO2を中心にしてむしろエネルギーの制約条件に今だろうといたしてきている。これはまさに経済の活動も含めて逆の問題が今提起をされてきているわけでありまして、そういう中における我が国の石炭政策というものを一体通産としてどのようにお考えになっているのか、まず基本的にこの点をちょっとお聞きいたしたいと思います。
#88
○政府委員(山本貞一君) 石炭につきまして、まず賦存量が非常に膨大だということが言えます。世界全体の埋蔵量を見ましても、一つの試算では石油の五倍以上、天然ガスのさらに六倍以上というような埋蔵量がございます。しかも賦存をする地域が先進国も含めまして非常に分散しているという点がございまして、極めて供給安定性に富んでおるということが一つ申し上げることができると思います。
 それから同時に、経済性の優位というのは、やはり石炭は相当安い。仮に発電所でたいたとしても現時点では原子力発電所に次いで安い。原子力発電所ではキロワットアワー当たり九円という計算がございますが、石炭火力であれば日本では十円ということでございます。他のものに比べて安いということが言えるわけでございます。
 そういう意味で、私どもとしては石炭というのを中核的な石油代替エネルギーということで位置づけております。この点は昨年の総合エネルギー調査会の需給見通しでも、現在の総石炭需要量よりもさらに三千万トンぐらいふえて二〇〇〇年では一億四千二百万トンになる、総エネルギー供給の中に占める比率が一七・五%になるという位置づけをしておるわけでございます。一方、東南アジアを初めとする諸国でもやはりこれから中国を中心に石炭の需要が大変伸びていくと思うわけでございます。そういう意味で今後とも石炭の活用というのは、日本だけじゃなくて国際的にも非常に重要なことだと思うわけです。
 ただ、先生も御指摘ありましたようにNOxSOxあるいは炭酸ガスといったような環境問題、あるいは地球温暖化問題との関係も指摘されております。その点につきましては、先ほどからもございますが、石炭の利用技術の開発、移転ということでクリーン・コール・エネルギーのための技術を日本は持っておりますが、さらにそれにブラッシュアップをして、技術移転もしていくというようなことを行いまして途上国にも移転し、国際的な石炭利用の輪を広げていこうということを考えている次第でございます。
#89
○足立良平君 私の持ち時間少ないのですが、さらにもう少しその点で触れておきたいと思うんです。
 一応石炭というものがいわゆる海外炭を中心にこれから我が国のエネルギーの中心になってくる。大きなウエートを占める。その位置づけをはっきりした上で国内炭の問題が先ほど来ずっと議論がされております。私は、第九次の答申書を読ませていただき、きょうの議論をお聞きいたしまして国内炭というものを考える場合に、価格はいろんな問題点があるがこれはちょっと横に置いて、国内炭の位置づけというものは、一つは我が国のこれからのいわゆるエネルギーのセキュリティーの関係が一つと、それから海外からさらに三千万トンくらい将来にわたって輸入をふやしていかなきゃいけない。そういう点からすると、利用の面での問題ではなしに、採掘なりを中心にした技術保存のために国内炭というものを位置づけをしよう、こういうふうにきょうの議論として答弁されていた、私はこういうふうに聞いているわけであります。
 そうしますと、セキュリティーがあるかどうかという問題は、八百万トンなり一千万トンは一億何千万トンの内の何ですからいろんな議論がありますが、これはちょっと横に置きましょう。技術保存として国内炭が重要だというふうに位置づけをするとするなら、少なくともこれは、価格の問題で需給の関係が決まってくるというよりも、海外からさらにずっと三千万トンふやしていくためにその技術保存が日本の国内で必要なんだということからいたしますと、今度は価格の問題を中心に需給関係が動いていくのではなしに、全然違った日本のセキュリティーという、エネルギーを確保するという面から国内炭というものを考えていかないとちょっとおかしいのではないか。
 言葉じりをつかまえて申しわけないんですが、きょうの議論をずっと聞いていますと何かその点がちょっと欠落しているのではないか、通産としてもあるいはまた第九次の答申にいたしましても。そんな感じを受けるんですが、この点はいかがですか。
#90
○政府委員(土居征夫君) この答申にも書いてあるわけでございますけれども、今先生御指摘の海外炭の開発と国内炭の技術との関連につきましては、実は海外炭もかなりの部分が露天掘りになっておりまして、これは日本の国内炭技術をそのまま適用するというわけにいきません。かつ現在の一億トンの海外炭の輸入も総合商社とか需要業界が大部分を対応しておりまして、そういう形での確保というのは今後とも対応できる、あるいは鉄鋼業界もそういうことで投資をやっているということでございますので、基本的には日本の国内石炭鉱業が出ていく幕というのは、シェアは非常に小さいものじゃないかというふうに考えております。
 ただ、今後の供給源の多元化ということで、オーストラリアみたいな露天掘りが大きいところではなしに中国、ソ連、東南アジア等に拡大していきますときにはやはり坑内での掘り方という話にもなっていきますし、日本の生産技術あるいはエレクトロニクスを使いました保安技術といったものが海外炭の安定供給確保に役立つ場合もあるということでございまして、答申でも、全面的に国内炭の海外展開を図るのだということではなしに、役割として果たし得る範囲があるというそういう位置づけになっているところでございます。
#91
○足立良平君 露天掘りといいますか、これは大体海外で五〇%強くらいだろうと思いますから、したがってそういう面からすると、今部長から答弁ありましたように、それだけの問題というふうにはちょっと考えにくい、こういうふうにあえて指摘だけしておきたいと思います。
 それから、これでもう最後になるかもしれませんが、いわゆる経営の多角化といいますか、そういう観点からこれから石炭産業というものを考えていこうというふうに指摘されておる。私ちょっとお聞きをしておきたいと思いますのは、日本の各企業、これは石炭産業だけにとどまらずに、昭和四十八年の第一回のオイルショック、あるいはまた五十三年から四年の第二回のオイルショック、これくらいを契機にいたしまして日本の企業というのは完全に複合的な企業に転換してまいりました。これは極めて急激な転換であったわけですね。石炭産業以外の各企業というのは、そういう大変な経済的な状況の変化の中で生き残っていくために大変な努力というものを自助努力で行ってきておる。
 それでお聞きをいたしたいのは、これはちょっと質問の通告をしていませんが、石炭産業のそれぞれの企業が本当に今まで経営の多角化に向かって一体どういうふうな努力をしてきたんだろうか。そして陸路は一体どういうところにあったんだろうか。通産省といたしましては、あるいはまた第九次の答申書を記述するに当たりましても、これからの石炭鉱業というもののそういう状況を踏まえて経営の多角化に無利子融資であるとかいろんなことを考えようとされているけれども、現実問題としてどういう隆路があって、それは一体これからどうしなきゃならないのか。極端に言うならば、通産省だけの所管でこういう問題というものに対応していくことが可能なのかと。うなのか。こういうふうな問題が私は基本的にあると思うんです。ちょっと時間がありませんけれども、そういうふうな点についてまず一回答弁願って、最後に通産大臣としての所見をお伺いいたしたい、こう思います。
#92
○政府委員(土居征夫君) 石炭企業のこれまでの経営多角化につきましては、確かに先生がおっしゃいますように、ほかの一般産業の多角化に比べて、これは石炭企業の経営者自身が申しているところでございますけれどもやはりおくれをとっているところがございます。これはやはりこれまでの国内炭の生産、これが非常に大きな経営上の足かせになっているということでございますので、国内炭の生産にいわば固執したという形になったがために多角化の面で若干おくれをとっているということがございます。
 ただ、個々の会社の具体例を挙げませんけれども、石炭の技術を活用しました資源産業への展開とかその他のいろいろな経営の多角化につきましては、これまでも各社が努力をしておりましてそれなりに成功している例もございますので、今後につきましてはそういった面で最大限の支援をしてこの構造調整を成功させてまいりたいというふうに考えております。
#93
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま先生専門的なお立場で、第一次石油ショックあるいは第二次石油ショックのそういう変革、レボリューションというものの中から新たなものに取り組んでいく多角経営、これがあるのに石炭はどうかと、こういう見解もございました。大変に参考になる御意見として受けとめさせていただきましたが、今後の石炭政策の基本的な考え方というものは、何といいましても、九〇年代を構造調整の最終段階と位置づけまして、均衡点までは経営の多角化、新分野の開拓を図りながら国内炭の生産の段階的縮小を図る、これは答申にございますけれども、そういう石炭鉱業の自主的な構造調整努力に対しまして政府としても必要な支援策を講ずるというものでございます。今後の石炭政策の遂行に際しましては、従来にも増して関係者が相互に理解、協力し合いながら進めていくことがまことに肝要なことではないかと考えておる次第でございます。
 このような認識に立ちますると、政府の対応につきましても、通産省のみならず、御指摘のとおり各般にわたって政府全体としてこれを取りまとめていくくらいな気構えがなければならぬ、私もそのように思います。そういう中にあって、関係各省庁とも緊密な連携をとりながら、石炭鉱業の経営多角化、あるいは新分野開拓の支援、地域振興対策、あるいはまた雇用対策等について万全を期してまいりたいと、このように考える次第でございます。
#94
○足立良平君 終わります。
#95
○会長(田英夫君) 他に御室言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
#96
○会長(田英夫君) 次に、去る六月、本調査会の委員を中心といたしまして欧州四カ国における科学技術・資源エネルギー問題調査のため議員派遣が行われました。
 この際、この調査の結果につきまして派遣議員から報告を聴取し、本調査会の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 報告は平野清君にお願いいたします。平野清君。
#97
○平野清君 特定事項調査に関する海外派遣の概要を御報告いたします。
 欧州地域における科学技術及びエネルギー問題の実情等について調査するため、産業・資源エネルギーに関する調査会長田英夫議員を団長として、三上隆雄議員、中野鉄造議員、神谷信之助議員、古川太三郎議員、足立良平議員と私平野の七名で、去る六月九日から二十二日まで十四日間にわたりイギリス、スウェーデン、ドイツ及びフランスの四カ国におけるエネルギー担当の関係省庁並びに核融合研究所、高速増殖炉、褐炭火力発電所の視察等関係施設を含めて十三カ所を訪問し、積極的に関係者との意見交換を行いました。以下、その概要を訪問順に報告いたします。
 最初に、イギリスにおけるエネルギー事情等について申し上げます。
 イギリスのエネルギー政策の基本目標は、石油、石炭、天然ガス、原子力等供給源の多様化を推進し、長期的なエネルギー資源の確保とコストダウンを強力に追求することとしております。
 具体的には、市場原理に基づいた経済効率性を実現するため、従来の国営公社の形態により運営されていたガス事業は八六年、電力事業は九〇年にそれぞれ民営化されております。
 また、北海油田の生産開始に伴い八〇年以降石油の純輸出国となっておりましたが、九〇年代半ば以降の生産量の減少見通しに対応した自給体制の維持と探鉱開発の推進、同時に北海天然ガスの次世紀における生産量の確保、自給率一〇〇%の石炭産業の競争力強化を目標とした九二年の民営化及び再生可能エネルギーの研究開発のほか、産業部門等の省エネ対策の推進が課題とされております。
 なお、電力需給バランス確保のための料金変動システム確立の必要性、石炭公社と中央発電会社間との供給契約期限の継続時における輸入炭への変更の可能性及び付加価値の高い石炭供給確保の必要性などについてエネルギー省及び石炭公社関係者からそれぞれ説明を受け、討議を行いました。
 次に、カラム核融合研究所に設置されております欧州原子力共同体、いわゆるユーラトムにおけるトカマク型のプラズマ物理の核融合試験装置(JET)は、現在までプラズマ密度一立法センチメートル当たり三十七兆個、閉じ込め時間一・一秒、プラズマ二・五億度を実現し、七MAの大電流実験による不純物除去の研究等を行っておりますが、将来の見通しとしましては、重水素とトリチウムの混合割合を変化させることにより十二MWの核融合を実現したいとのことでありました。
 以上のほか、ロンドン石油取引所及び旧ドック跡地の大規模な再開発事業を行っているロンドン・ドックランドを視察いたしました。大変勉強になりました。
 第二に、スウェーデンにおけるエネルギー事情について申し上げます。
 スウェーデンのエネルギー政策の基本は、石油依存度の低減、省エネの推進、環境政策と調和したエネルギーシステムの開発、国内資源による新エネ技術の開発促進、特に電力の利用効率化を目標としております。
 ちなみに、九〇年現在の電力供給源別の構成比率は、原発四五・三%、大力四六・九%のみで大部分を占め、八九年の最終消費需要別では、産業用、暖房用合わせて六五%のシェアとなっております。
 また、八〇年の「二〇一〇年までに十二基の原発全廃」、八八年の「九五年及び九六年各一基の原発廃棄」の国会決議に対応した社民、自由、中央三党の合意による環境保全と安定的供給確保の両立を目指した新エネルギー法案が本年二月に提出され可決されたとのことであります。これにより九五年及び九六年各一基の原発廃棄は、事実上棚上げされるとのことであります。極めて注目すべき見直したと思います。
 なお、電気事業者に対する二〇〇〇年までのSO2削減、NOx工減少等の規制は、長期的には原発廃止の可能性、短期的には国際関係等への対応が課題であり、また、新エネルギー源確保の見通しとしましては、長期的には原発不要を前提として水力をエネルギー源の基盤とし、風力・バイオ発電、不足分を天然ガスにより補完することを予定している旨エネルギー庁関係者からそれぞれ説明され、活発な意見を交換いたしました。
 また、ストックホルム熱供給施設におきましては、電力生産量の過剰傾向を反映して、ごみ燃焼によるエネルギー生産量は、年間二〇万トンにすぎないが、独立住宅用熱供給はヒートポンプ稼働、汚水処理発電などにより地域暖房三万戸の需要に対応しているとのことでありました。
 第三に、ドイツにおけるエネルギー事情について申し上げます。
 東西ドイツ統一に伴うエネルギー政策は、市場経済原理に基づき、エネルギー供給の安定化を目指し、省力的・合理的かつ環境保全的計画の立案について合意されております。
 具体的には、全ドイツエネルギー構想として、旧東ドイツを含めた政策の統合、国内資源としての石炭産業を放棄しないこと、原子力発電の役割を今後十年間に検討すること、さらに環境問題に適切に対応することであります。
 このため、国営企業の民営化、石炭に対する環境対策費の集中投資、ソ連型原発の撤去と旧西ドイツの原発に係る安全基準への適合及び二〇〇〇年におけるCO2排出量削減等の措置が急がれております。
 なお、九〇年における統一ドイツの一次エネルギー消費割合は、石油三五・八%、石炭一五・五%、褐炭二一・一%、原子力一五・五%、天然ガス一五・六%、水力二・〇%であり、このうち旧西ドイツでは石油田〇・九%、旧東ドイツでは褐炭六八・六%の構成となっております。
 また、旧西ドイツの石炭政策のあり方に関し、九〇年三月に石炭委員会、いわゆるMikat委員会における「世紀契約」終了後の電力用国内炭引き取り問題に関する提言等が行われております。
 ちなみに、八九年には、電力用炭の残存期間引き取り量を年間四千九十万トンとし、電力業界の増加コス十分をコールペニヒにより補てんずるとともに、同様に「製鉄契約」における引き取り量を二千八百七十万トンとし、政府が輸入・国内炭の生産コスト差を石炭産業に対して補助を行っております。
 私どもが今回訪問いたしました旧東ドイツのクリンゲンブルク褐炭火力発電所におきましては、従来、電力源として過度に褐炭に依存した結果、SO2等の排出による大気汚染等が深刻化しており、これと対照的に西ドイツRWE電力会社は、公害法の規制強化に対応した公害防除装置によりNOx等を減少させるとともに、石炭の液化・ガス化技術の開発に努めているとのことでありました。
 何はともあれ、旧東ドイツと旧西ドイツのあらゆる面での格差は私たちの想像をはるかに超えるものだということを知りました。特に、統一ドイツのエネルギー長期対策は相当困難な課題を持っております。しかし反面、それが達成された場合、ECはもちろん世界のエネルギー問題に大きな影響を与えると思います。この点十分に注目し続けることを痛感した次第であります。
 最後ですが、第四にフランスにおけるエネルギー事情について申し上げます。
 八一年十月に策定されたエネルギー自立国家計画を基本方針とし、エネルギー消費の削減及び自給率の向上、省エネ・石油代替エネ投資の促進、国産エネルギー開発の推進及びエネルギー供給源の多様化に努めておりますが、その特徴は原子力利用の大幅増加により石油消費量を削減したことであります。
 この結果、八八年における発電源別構成比率に占める原子力のシェアは実に七〇・三%に達しており、また九〇年における電力輸出量は四十六TWHの実績を示しておりますが、八七年にはエネルギーの供給過剰の傾向に対応した原子炉建設の発注ペースを修正しております。
 また、政府が高レベル放射性廃棄物処理の候補地を決定する場合、地域住民との対話を義務づける等を内容とした高レベル放射性廃棄物処理法案が国会に提出されたこと、ラアーグにおける外国の放射性廃棄物処理に関し、議論の必要があること及び国内の省エネとの調和を考慮しつつ積極的に欧州並びに周辺諸国に対し電力を輸出する旨、国民議会・生産交易委員会の関係者から説明を受けました。
 次に、実証炉としての高速増殖炉(FBR)スーパーフェニックスTについては、フランス、ドイツ及びイタリア等の出資会社NERSAによりクレイマルビルに建設され、八六年一月の運転開始以降に使用済み燃料貯蔵タンクからのナトリウム漏れ、一次冷却材ナトリウムのトラブルが発生し、現在まで運転を停止して浄化作業を行っているとのことであります。
 また、次期商業用高速増殖炉SPUにつきましては、PWRとの発電コスト差など経済性の理由から見送りを決定し、EC五カ国における欧州統合炉(EFR)に関する設計・研究を行っております。
 さて最後に、我が国と欧州は国土面積、人工、立地条件あるいは資源埋蔵量等若干類似している点もありますが、視察した欧州四カ国では、基本的には国内資源の開発と保護、石油依存度の低減、代替エネルギーの開発と効率化、環境問題及び原発の安全性重視への対応として粘り強い模索と努力が続けられております。我が国といたしましても、このため、エネルギー、科学技術両分野における国際協力を一層推進することの必要性を痛感いたしました。
 なお、現在、エネルギー問題は昨年の中東湾岸危機の発生を契機として改めて再認識されたことでもあり、欧州エネルギー構想等に対するIEAの役割、あるいはロンドン・サミットにおける重要なテーマになるなど、国際的視野から考えるべき内容であろうかと存じます。
 かかる見地から、今回の視察は時宜に適し極めて有意義であったと自負するものであります。
 以上、御報告いたします。
#98
○会長(田英夫君) 以上で外国派遣議員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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