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1991/09/25 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 環境特別委員会 第2号
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1991/09/25 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 環境特別委員会 第2号

#1
第121回国会 環境特別委員会 第2号
平成三年九月二十五日(水曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         安恒 良一君
    理 事
                石川  弘君
                森山 眞弓君
                西岡瑠璃子君
                広中和歌子君
    委 員
                井上 章平君
                石渡 清元君
                大島 慶久君
                木宮 和彦君
                須藤良太郎君
                原 文兵衛君
                真島 一男君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西野 康雄君
                高桑 栄松君
                沓脱タケ子君
                中村 鋭一君
                山田  勇君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  愛知 和男君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        森  仁美君
       環境庁企画調整
       局長       八木橋惇夫君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  柳沢健一郎君
       環境庁自然保護
       局長       伊藤 卓雄君
       環境庁大気保全
       局長       入山 文郎君
       環境庁水質保全
       局長       眞鍋 武紀君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        宅間 圭輔君
   説明員
       警察庁交通局交
       通企画課長    武居 澄男君
       経済企画庁調整
       局経済協力第一
       課長       飯塚 和憲君
       環境庁企画調整
       局地球環境部長  加藤 三郎君
       外務省経済協力
       局外務参事官   畠中  篤君
       外務省国際連合
       局経済課長    花角 和男君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課長    浜田 康敬君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部産
       業廃棄物対策室
       長        三本木 徹君
       通商産業省立地
       公害局環境政策
       課公害防止指導
       室長       湯本  登君
       運輸省自動車交
       通局技術安全部
       技術企画課長   樋口 忠夫君
       気象庁観測部管
       理課長      櫻岡  勉君
       建設省河川局治
       水課長      日野 峻栄君
       建設省河川局開
       発課長      荒井  治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (水俣病対策に関する件)
 (バーゼル条約に関する件)
 (産業廃棄物の広域処理に関する件)
 (我が国の環境外交の取り組みに関する件)
 (コタパンジャンダム建設問題に関する件)
 (長良川河口堰建設に関する件)
 (地球温暖化対策に関する件)
 (大気汚染の防止に関する件)
 (琵琶湖の水質問題に関する件)
 (土壌の環境基準に関する件)
○連合審査会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(安恒良一君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#3
○西岡瑠璃子君 西岡瑠璃子でございます。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、水俣病の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 環境庁ができましてから丸二十年になります。来年六月にはブラジルのリオでUNCEDも開かれようというときに、水俣病の公式発見から三十五年もたつというのに、何にこだわって国は水俣病訴訟の和解勧告に応じようとしないのでしょうか。我が国のこのかたくなな姿勢は国際的な世論の前にも説得力に欠けるものと言わざるを得ません。
 この際、環境庁長官の誠意ある御答弁をお願いしたいと思いますが、まず国は、昨年十月二十六日水俣病訴訟関係四省庁で取りまとめた訴訟に関する国の見解において和解勧告の拒否理由を示しております。それによりますと、訴訟の争点である水俣病の病像論、つまり原告らが訴えている症状が水俣病によるものであるかどうかということでありますけれども、このことと国の責任論、国及び県に水俣病の発生、拡大防止に関する賠償責任があるか否かということですね。このことに関して、当事者双方の主張の隔たりが余りにも大きく、和解の合意が得られるとは到底考えられないということを挙げております。
 しかし、第一に救済者の範囲について見るならば、国は八六年五月から、認定棄却者のうち疫学条件を満たし手足の感覚障害のある人には、特別医療事業として医療費の本人負担分に関し公費負担をとっています。さらに中央公害対策審議会水俣病専門委員会の委員長も、医学的判断を超えたボーダーライン層の患者が存在することを認めて、社会的対策が必要であると語っているわけでございます。以上の点を考えますならば、どういった人を救済するかについては、国、原告の間で大きな違いはありません。
 第二の点です。病像論について見ますならば、ことし八月七日の福岡高裁の所見では、和解救済上の水俣病は公害健康被害補償法上の水俣病ではないとし、国の主張する公健法上の水俣病を否定せず、病像論について国が受け入れやすい内容になっています。
 第三ですが、国の責任論について見てみますと、去る九月十一日の福岡高裁の所見によりますと、国の法的責任には触れず、かわりに行政上の解決責任があるという表現を使い、国家賠償上の責任が認められないと主張をしている国にとっても受け入れられやすい内容となっていることは注目に値すると考えます。
 つまり、これまでは水俣病の病像論においても国の責任論においても隔たりが大きく受け入れられないとする国に対して、裁判所が二つの水俣病と二つの責任論を所見で示すことによって、水俣病の病像論についてもまた国の責任論についても受け入れられる基盤が整ったと見るべきですけれども、環境庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(柳沢健一郎君) 昨年の水俣病訴訟に関する国の見解で述べられてございますように、国の責任の有無につきましては、原告側との間で妥協を図ることのできる性質の問題ではないというふうに考えているところでございます。また、水俣病であるか否かの判断につきましても、これは医学的な根拠を離れて当事者間の交渉等によりまして中間的な基準を設け得るといった性質のものではないというふうに考えているところでございます。
 これらの訴訟で争われているような法に基づく国の行政のあり方の根幹にかかわる紛争の究極的な解決は、判決という形でなされるべきものというふうに考えているところでございまして、裁判所の公正な判決ができるだけ速やかに出されることを期待しているところでございます。
#5
○西岡瑠璃子君 まことに納得いたしかねる御答弁でございます。
 時間もございませんので、それでは通産省に国の責任論についてお伺いをしたいと思います。水俣病の訴訟における国の責任論での最大の争点として、排水規制の問題について伺いたい。
 水俣病の原因物質、有機水銀を副生したアセトアルデヒド製造施設について、昭和三十四年十二月四日の化学工業会の専門紙「化学工業日報」が工場排水規制法に基づく特定施設の対象になると報道していたそうでございます。ところが、この報道から二週間後に交布された施行令では、ほぼ報道どおりの施設が対象となったにもかかわらず、なぜかこのアセトアルデヒド施設だけが対象から外されておりました。この昭和三十四年という年は、熊本大学が有機水銀説を発表し、チッソ内部の実験で排水を直接投与した猫の発病を確認するなど、水俣工場の排水が原因としてほぼ特定された年となっています。どうしてアセトアルデヒド施設が対象から外されていたのか通産省にお伺いしたいと思います。
#6
○説明員(湯本登君) 本日突然の御質問でございまして、担当の課長が本日参っておりませんので、ただいま御質問いただきましたことにつきまして担当課長に伝え、後日直接先生の方に御報告をさせていただきたいと思います。
#7
○西岡瑠璃子君 では、約束してください。当時、報道どおりに規制対象となっておれば、被害の拡大防止になっていたはずではないかと思うわけですけれども、水俣の事態を見ますときに、廃液の即時停止など強力な行政措置をとるべきであったというふうに思いますし、明らかにこれは行政の怠慢である。水俣病のより拡大を許す結果となったということであると思います。
 再度環境庁長官にお伺いいたします。九月十日、水俣病訴訟の和解協議で福岡高裁が国の解決責任を指摘する所見の中で挙げた歴代環境庁長官の公式発言では、どなたも異口同音に行政の責任を挙げておられます。特に当時の石原慎太郎長官は、日本人が日本人自身に投じた原爆だとさえ言っておられるわけでございます。この歴代長官の御発言を踏まえて、現長官としてはどのようにお考えになっていらっしゃるかお聞きしたいと思います。
#8
○国務大臣(愛知和男君) 水俣病に関しましては、これは我が国の公害問題の原点であるという認識のもとに、環境庁としても一日も早く早期解決のために努力をしなければならない、こういう認識を持っております。現在、総合対策をつくり上げるべく中公審に答申を求め、その答申を近いうちにいただくことになっておりますが、来年度の予算でこの総合対策を打ち出して、このような行政措置において水俣病に対する早期解決を目指すことが我々行政に与えられた職責である、このように認識をいたしまして全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
#9
○西岡瑠璃子君 来年度の予算はゼロ要求だということも伺っておりますけれども、中公審の答申を受けてぜひとも国民に、あるいは世界の世論に納得のいく和解勧告に応じていただきたい、そのことを強くお願いいたしまして、時間もございませんので次に移らせていただきます。
 バーゼル条約について質問をしたいと思います。
 国際間の産業廃棄物の移動について、輸出許可や輸入承認を義務づけるなど廃棄物処理の監視を国際的に行うというルールを規定したものがバーゼル条約だと認識をしております。署名国が九〇年三月で五十二カ国、批准国が直近のところで十三カ国ということでありますけれども、条約発効は二十カ国の批准が必要でございます。今年度中にもと言われております。サミット参加国で未署名なのは日本だけですが、どうして加入がおくれているかということを私は厚生省、環境庁、通産省、そして外務省にそれぞれお伺いしたいと思います。
#10
○説明員(三本木徹君) 御説明申し上げます。
 ただいまこの国会で御審議いただいております廃棄物処理法の改正案におきまして、廃棄物の輸出入に関する規制につきましては、先生御指摘のようにバーゼル条約の加盟国の数が条約発効に必要な数に達しておらない、あるいはまた条約内容につきましても必ずしもはっきりしてないというようなことから、この法案ではその旨の規定を盛り込んでおらないわけであります。
 御指摘のおくれている理由はいろいろ考えられると思うわけでありますが、私どもといたしましては、廃棄物の適正な処理を国際的にも確保していくという観点から、輸出入に関しまして我が国と関係の深い他国の動向も見きわめながら加入のための検討を進めていくことが適当ではないかというふうに現在考えております。
 なお、条約の内容につきましていろいろ問題点といいましょうか不明確な点があるということがございますので、現在厚生省といたしましては、外務省を中心といたしました関係の省庁との検討を行いながら、できるだけこの条約の加入に当たりまして国内法制を整備していきたい、このように考えております。
#11
○政府委員(眞鍋武紀君) バーゼル条約の加入の問題でございますが、これに加盟するためには、条約上我が国が負うことになります義務の明確化といいますか、どういう義務を負うかということを確定する必要があるわけでございます。それから、その義務の履行を担保するために国内の法制度を整備する、こういうことが必要でございます。そういうふうなことでございまして、内容が広範にわたるということもございまして、現在政府部内においてそのために必要とされます検討なり調整を行っておる段階でございまして、まだその調整が十分に了してないというふうな段階でございます。
 バーゼル条約自体は御指摘のようにいまだ発効をしてない段階でございます。環境庁といたしましても、条約への早期加入の必要性を強く認識しておりますので、できるだけ早期に国会において手続が進められますように、現在関係各省とも鋭意検討作業を進めておるところでございます。
#12
○説明員(花角和男君) 外務省といたしましては、国内制度の整備に関する関係各省庁の協力も得まして、できるだけ早期に締結できるよう検討を進めていきたいと考えております。
#13
○説明員(湯本登君) バーゼル条約の加入に当たりましては、条約上の義務の履行を国内法で担保することが必要でございます。このような観点から、現在国内法の整備に向けまして関係省庁の間で必要な検討を行っているところでございます。
 通産省といたしましても、本条約の重要性を十分に認識しておりまして、各国の動向等を踏まえつつ早急に対応していくことが必要というふうに考えております。
#14
○西岡瑠璃子君 各省庁とも私は余りすっきりと胸に落ちる御答弁をいただいたとは思いません。
 このバーゼル条約への加入がおくれると発展途上国に公害をもたらすということなどの心配があるわけでございます。それは例えばどういうことかといいますと、現在日本で廃棄されたバッテリー等が有価物として台湾やインドネシアに輸出をされています。有価物として輸出されてはいるものの、公害防止技術の不十分な施設でバッテリーの分解作業を行いますから、労働者や付近の住民が鉛中毒になり問題を引き起こしているわけでございます。我が国がバーゼル条約に加入をすれば、第六条によって輸入者の処分終了報告、さらに第八条によって輸出先で不適切な処分が行われた場合の輸出国の回収義務があり、一定の歯どめがかかることになるわけでございます。この点を見ましても、我が国が早急にバーゼル条約に加入する必要があるのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
#15
○政府委員(眞鍋武紀君) 未加入の場合のデメリットでございますが、確かに御指摘のように、バーゼル条約に加盟をしない場合には特に発展途上国との間の有害廃棄物につきましての越境移動の適正な管理が行われないというデメリットがございます。そういうふうなことで、先ほど申し上げましたように、できるだけ早く加入ができますように検討作業を急いでまいりたいと思っておるわけでございます。
#16
○西岡瑠璃子君 我が国の加入がおくれますと、リサイクル目的の輸出入に障害を来すと思います。この点について、有害廃棄物であっても適正な処理によってリサイクルがなされるのであれば、資源の有効利用の点からむしろ望ましいものと考えるわけでございます。条約の発効後は締約国と非締約国の間での有害産廃物の輸出入が禁止されるため、我が国の加盟がおくれますとリサイクル目的の廃棄物の輸出入に多大の不利益が生じるわけでございます。例えば現在日本はコピー機の感光帯のくずを輸入して再生処理を行ったりしています。このような点からも条約加入を急ぐ必要があるのではないかと思っております。外務省、お答えいただけますか。
#17
○説明員(花角和男君) 先生御指摘のバーゼル条約については、その重要性を十分認識しているところでございまして、できる限り早期に国会に提出できるよう前向きに考えていきたいというふうに考えております。
#18
○西岡瑠璃子君 そして、おくれると困ることはもう一つあるわけです。
 我が国の加入がおくれることによって、日本の持っている処理技術をガイドラインの中に盛り込めなくなるということになるわけです。バーゼル条約の発効後一年以内に開かれる第一回の締約国会議におきまして廃棄物の環境上良好な技術的ガイドラインを作成することになっているわけですけれども、我が国が発言を行使できないまま重要事項が決まってしまうことになると思うんです。この点についても条約加入を急ぐ必要があるのではないかと思います。
 重ねて外務省にお願いします。
#19
○説明員(花角和男君) 先生御指摘のとおり、その重要性については外務省といたしましても十分認識しているところでございまして、関係各省庁の協力も得まして、時期について現時点で明確に申し上げることはできませんけれども、次期通常国会に提出する可能性も含めまして、できるだけ早期に提出したいと考えているところでございます。
#20
○西岡瑠璃子君 さらに申しますと、条約加入がおくれますと日本が環境問題の後進国であるというイメージを諸外国に植えつけてしまう、こういう懸念が予想されるわけでございます。日本が国際社会の中で経済的地位に見合う地球環境保全上の責務を果たしていないというふうに糾弾をされかねないと思うわけでございます。
 環境庁、いかがでございますか。
#21
○政府委員(眞鍋武紀君) 確かに我が国は地球環境問題について積極的に貢献をすることとしておるわけでございますが、バーゼル条約に加入しない場合にはこのような国際的な環境問題に対する取り組みに参加しないということになりますので、地球環境問題について消極的であるというふうに受けとられかねない、こういうふうなこともございますので、できるだけ早く加入できますように検討を急ぎたいと思うわけでございます。
#22
○西岡瑠璃子君 大体、それぞれ各省庁お聞きして異存はないというふうに受けとめられるわけでございます。ですけれども、はっきりしたタイムスケジュールというものがわからない。来年のUNCEDに向けて確たる御計画を持っていらっしゃるかどうか、その辺のところを明らかにしていただきたいと思います。
#23
○政府委員(眞鍋武紀君) 各国の加入の状況なり条約の発効の見通し等を考えますと、今後できるだけ速やかに政府部内におきます調整を了しまして、この条約にできるだけ早く加入をしたいということでございます。
 先ほど外務省からも答弁がございましたが、次期通常国会に提出できるように検討を急いでまいりたいと思っておるわけでございます。
#24
○西岡瑠璃子君 前向きの姿勢でとか可及的速やかにとかいうのは漠然としておりますけれども、大体意図するところは了解をいたしますけれども、環境庁初め関係省庁は十分にこのことを御理解いただきまして、国際的な環境保全の取り組みにおくれをとることのないようにぜひとも真摯にお取り組みをいただきたいということを重ねて強く御要請いたしまして、次に移らせていただきます。
 バーゼルのことを最初に申しましたけれども、これとも関係があるわけですが、まず越境廃棄物、広域廃棄物処理行政についてお尋ねをしたいと思います。最終処分場の確保以前の行政の努力、これを私はお聞きをしたい。
 高度経済成長のもとで、大量生産、大量消費、大量廃棄というサイクルの使い捨て文化、利便性の追求による量の増加、質的多様化は著しくなる一方でございます。そして、行き着くところ環境破壊をもたらし、今や日本列島は言うに及ばず、地球全体に及ぼうとしていることは論をまたないところでございます。現在、国内におきましても廃棄物の最終処分場、とりわけ産業廃棄物の最終処分場が極めて逼迫していると言われております。首都圏であふれ出た産業廃棄物は近隣の例えば群馬とかあるいは茨城などへも持ち込まれていると伺いました。しかし、一部の悪徳業者の不法投棄が頻発をいたしまして、住民の苦情も出てまいりまして実質的に首都圏の廃棄物は受け入れられないようになる。その結果、近畿圏や首都圏の産業廃棄物は捨て場を求めて日本じゅうを駆けめぐり、処分場難から北海道や東北あるいは私の地元、四国ですけれども、こんな遠く離れた処分場まで持ち込まれているのが実情でございます。
 日本列島のこの汚染の原因というのは何に起因するのか、環境庁にお尋ねしたいと思います。
#25
○政府委員(眞鍋武紀君) 廃棄物の問題は、環境保全を図る上で大変重要な課題であるというふうに認識をしております。環境庁といたしましても、廃棄物の発生量の増大あるいは不法投棄の増加というふうなこと、さらには県を越えた廃棄物の移動あるいは有害廃棄物の適正管理等について適切な対応が必要であるというふうに認識をしております。
 これに対応いたしますためには、やはりリサイクルなりあるいはライフスタイルを変更いたしまして廃棄物の排出を抑制するあるいは減量化に努める、こういうことがまず大事でございます。それからさらに、処理を適正にしていくということが重要であろうかと思っております。
#26
○西岡瑠璃子君 減量化、再資源化、再利用化ということをおっしゃるわけですけれども、現行廃掃法がこれまで適切に機能をしなかったという部分もあるかと思うわけでございます。そして産業廃棄物の実態が正確に把握をされていないのではないか。不法投棄、不適正処理の防止体制が弱い、そして現状回復の措置が確立されていないということですけれども、大体、全体において産廃の全国的な実態というものが正確に把握されていないということは非常に大きな問題だと思うわけでございます。そして有害廃棄物の規制は被害が出てからの後追い行政でございます。外国に比べて極端に少なく安全だと言われる廃棄物の中にも有害廃棄物が混入されるわけですから、最終処分場というだけで住民が拒否反応、拒絶反応を起こして最終処分場の確保が困難になっていることも事実でございます。
 この現実を救うためには廃棄物処理法の改正によって抜本的な改善を図るしかないわけですけれども、最終処分場の確保を推進していく、そして産業廃棄物の広域処理を積極的に法で認めていくという考え方は、私は問題の本質を無視したものと言わざるを得ないと思うわけでございます。つまり、先ほどもお答えございましたけれども、前提となるべき努力、つまり減量化であるとかあるいは再資源化、再利用、こういった事柄を怠ったまま最終処分場に力点を置くということは筋違いであると思いますけれども、いかがですか。
#27
○説明員(浜田康敬君) 先生御指摘のとおり、最近廃棄物につきましては大都市圏を中心にいたしまして大変に増加をいたしておりまして、最終処分場の確保難をもたらしている状況にございます。したがいまして、廃棄物を適正に処理していくためには、従来のように焼却あるいは埋立処分ということのみならず、これからは廃棄物の減量化、再生利用ということが極めて重要な状況になっているということは厚生省も認識しておりますところでございます。
 そういう観点に基づきまして、今回、現在参議院で御審議をお願いしております廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃棄物処理法の改正案におきましても、廃棄物の減量化、再生利用というものをその主要な柱の一つとして掲げておるところでございます。その中におきましては、法の目的といたしまして廃棄物の分別、減量化、再生ということを明記いたしておりますとともに、具体的には、例えばこれは一般のごみの関係でございますけれども、市町村の計画の中に排出の抑制、減量化、分別収集に関する事項を定めるといったことでありますとか、それから多量の廃棄物を排出する事業者に対しまして、一般廃棄物については市町村長、産業廃棄物につきましては都道府県知事が減量化等の計画を作成するように指示することができるといったようなもろもろの減量、再生利用の促進を図るための規定を盛り込んでいるところでございます。
 厚生省といたしましても、この改正法案が成立した場合におきましては、それに沿いまして今後とも廃棄物の減量化と再生の積極的な推進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#28
○西岡瑠璃子君 ぜひそのような御努力を払っていただきたいと思うわけでございますけれども、次に廃棄物の広域処理自体に対する地方自治体の同意について伺いたいと思います。
 廃棄物は排出区域内で処理するのが原則だと考えます。にもかかわらず廃棄物の広域処理を認めるならば、たびたび申し上げておりますように大都市圏のツケを地方に押しつけることになるのではないか。結果は反対住民が少ない自然環境がたくさん残っているそういった過疎地を中心にごみ捨て場が乱立するということが心配されるわけでございます。このような場合に、少なくとも区域外の地方自治体の意向を考慮するようにできないものですか。
#29
○説明員(三本木徹君) ただいま先生御指摘のとおり、産業廃棄物が都道府県を越えて移動しているという実態がございます。私どもといたしましては、運搬効率の向上あるいは運搬中の環境保全上の配慮の観点からは自区域内処理が望ましいというふうには考えておるわけでございますが、しかしながら、現在でも先生御指摘のように大都市圏におきましては、廃棄物処分場の確保難というような事情から都道府県の県域を越えた形で処理せざるを得ないという状況があるわけでございます。さらにはまた、処分の安全性を確保するあるいは効率性を確保するという観点からは、廃棄物を広域的に集中して処理するということも必要な場合もあるのではないかというふうに考えております。
 したがいまして、今回の廃棄物処理法の改正案におきましてはそういう実態を踏まえまして、各都道府県が適切にその処理の管理ができるようにということで、一つは都道府県の産業廃棄物処理計画、これは知事が立てることになっておるわけでございますが、これに対しまして広域的な処理が環境上問題もなく適切に行われるという観点から厚生大臣が助言をすることができる、そういうような規定を置いてございます。それからもう一つは、廃棄物の中でも特別にその管理を要する産業廃棄物があるわけでございますが、これにつきましては移動がきっちりと管理できるようにいわゆるマニフェストシステムを制度化してございます。さらには広域的な施設整備の促進ということも実態面からいたしまして必要になっておりますので、そういった面での措置を強化する。そういったことを講じようということでただいま御審議いただいているところでございます。
#30
○西岡瑠璃子君 厚生省の広域処理の考え方について厚生省案を見ますと、産業廃棄物の処理について、都道府県の区域を超えた広域で行われている実態を踏まえ広域化に対応した施策を検討すべきと述べております。さらに、大都市地域では最終処分場の確保が著しく困難となっている現状に照らして、ここが問題なんですけれども、「個々の自治体の事情のみとらわれず広域的観点から対応ができるような特別な対策を検討すべき」と、こういうことですけれども、これはどういう意味ですか。「個々の自治体の事情のみにとらわれず」ということは、個々の自治体が仮に反対してもという意味に解釈されるんですけれども、いかがですか。
#31
○説明員(三本木徹君) ただいま先生御指摘の部分につきましては、各地方地方におきまして例えば廃棄物処理施設の過不足といいましょうか。十分不十分というようなその地域にとりましての過不足というものがあるという事情も勘案する、あるいはもう少し広げた形でその過不足があるのかないのか、そういったことをいわば地域と広域といいましょうか、それとの調整ということをよく理解しながら施策を進めていくというそういう趣旨であろうというふうに理解しております。
#32
○西岡瑠璃子君 区域内処理の原則に照らしてみますと、区域外の受け入れ自治体の意向を無視した広域処理は許されないということでございますね。
 例えば私の県ももうできているわけですけれども、最近できたところでは、愛媛県などが「県外の産廃締め出し」という見出しで新聞にも載っておりますように、県の産業廃棄物適正処理指導要綱というのを制定して施行しているわけです。この要綱によりますと、県外の産業廃棄物の搬入やその他の計画変更、産廃処理施設の設置変更に関して県と事前協議を行うことを義務づけるとともに、積み荷目録による廃棄物の適正管理、不法投棄の事業者等に対する原状回復も定めている。そしてまた、要綱を守らない者に対しては遵守を勧告、命令し、そしてそれに従わない者については氏名までも公表するというペナルティーを設けているわけでございます。
 実際こういった締め出し要綱がもう出ているわけですけれども、そういった場合に、広域処理の問題について今後厚生省はどうなさるおつもりでございますか。
#33
○説明員(三本木徹君) 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど申し上げましたとおり、廃棄物はできるだけ排出源の近くで処理をするということが望ましいというふうに私ども考えているわけでありますが、実態的な面で、施設がないというところがあるのもこれまた現実でございます。そういったことを考えますと、廃棄物が適正に処理がなされなければならないというそういう前提からいたしますと、現実的にはどうしても広域的な対応が必要な場合も生じてくるということも実態ではないかというふうに思っておるわけでございます。
 なお、こういうような実態に対応するという面からいたしまして、先ほど御説明させていただいたとおり、今回の改正案におきましても、広域的な処理がどうしても適切に行われる必要がございますので、都道府県の産業廃棄物処理計画への厚生大臣の助言あるいはマニフェストシステムを利用いたしましてそれでもって管理をしていく、さらには処理センターという公的な性格を持った組織を整備していく、そういったところで対応を講じてまいりたいというふうに考えております。
#34
○西岡瑠璃子君 それでは、続きまして産業廃棄物の不法投棄対策について伺ってまいりたいと思います。
 近年、山林や原野に不法に捨てられる事件が多発をしております。一九八九年の調査によりますと、千九百四十九件とも言われております。不法投棄について原因者が不明の場合、不法投棄による環境汚染の原状回復はだれが行うのですか。そしてその場合の費用はどこが負担するのでしょうか。
#35
○説明員(三本木徹君) 現在の法律では、不法投棄等の原状回復というものは、原因者及びその委託基準に違反した排出事業者に対して不法投棄物の撤去などの措置命令を出せる、こういうふうになっておるわけでございます。
 先生御案内のとおり、不法投棄を行った者が不明である場合あるいは資金的にもどうしようもないといいましょうか対応がとれない、こういう方々が行った場合の問題でございますが、その場合でも都道府県知事が措置命令を講ずることができるわけでありますし、あるいはまた行政代執行におきましても措置を講ずることができるわけでありますが、現在の廃棄物処理法におきましては、その場合の特段の規定はないわけであります。しかし、都道府県知事が必要と認める場合におきましては、民事訴訟法に定めます公示送達の方法によりまして不法投棄をされた廃棄物の除去を命ずることができることになっております。また、これが履行されない場合におきましては行政代執行を行うことができるというふうに私ども考えているわけでありますが、なおいろいろとこの問題につきまして課題として多くの問題がございます。
 私どもといたしましては、この不法に処分された廃棄物によります生活環境保全上の支障の除去が重要であるということから、実は諸外国でいろいろとその対応策が実態的にとられているケースもございますので、こういうような例も参考にいたしながら、今後どう取り組んでいくのかというところについてさらに検討を深めてまいることとしてございます。
#36
○西岡瑠璃子君 不法投棄の中でも建設残土の不法投棄についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 建設工事によって生ずる汚泥、これは廃掃法では産業廃棄物とみなされておりますけれども、残土は廃掃法では産業廃棄物ではございませんね。ですから、汚泥を残土と偽って不法投棄をしたり、有害物質を含んだしゅんせつ土砂が何の法的適用も受けずに処理、処分がされるような現象も起こっているというふうに聞いております。しかし首都圏の建設ラッシュなどがありまして、今後もこのような残土の不法投棄は予測をされるところでございます。国は残土の不法投棄対策についてどのような見解をお持ちであるかお伺いしたいと思います。
#37
○説明員(三本木徹君) 御案内のとおり、残土につきましては廃棄物処理法の廃棄物としては適用されていないところでありますが、御指摘のような廃棄物処理法で規制しております廃棄物が混入して処理をされるという場合には、それは総体として廃棄物として規制をかけていくことになるかと思います。
 ただその場合、処理基準の問題といたしまして、残土として処理をするのに廃棄物が混合してしまうような形態をできるだけなくしていくことが重要でございます。廃棄物は廃棄物としての処理基準に従って処理をしていくということが重要でございますので、排出事業者に係る委託基準を遵守するということのためには、委託されたそのような建設廃棄物のようなものが処理基準に適合して処理されなければなりませんので、当然のことながら排出事業者は、基準どおりに処理されるという意味からして、委託する場合に事前に確認をするということがまず必要なことだというふうに考えております。さらに、受ける側の処理業者におきましても、搬入されます廃棄物がこの施設で適切に処理基準に従って処理がなされるということもこれは義務として課しておりますので、当然のことながら、その際においてもいわば搬入の管理というものがきっちりと行われることが必要になるわけでございます。
 なお、そういった廃棄物が混合しないという観点もございまして、廃棄物の性状などを正しく排出事業者から委託業者に伝えるということのために、マニフェストシステムの普及を平成二年の四月から図ってきているところでありますし、これをさらに徹底するとともに、都道府県に対して搬入物の管理を徹底させるための立入検査なり報告徴収というものの強化を指示してまいるところでございます。
#38
○西岡瑠璃子君 今ちょっとお話もございましたけれども、廃掃法では産業廃棄物は排出事業者の自己処理義務が明記をされているわけですね。しかし、実際の処理はほとんどすべて処理業者に委託をされているわけです。事業者は最終処分についての責任を負っていないというのが実情だろうと思います。処理業者が不法投棄をした場合、処理業者のみが罰せられて排出事業者までさかのぼって責任が問われないのではないか。排出事業者の責任の自己処理義務の徹底はどうやって図ればいいんでしょうか。
#39
○説明員(三本木徹君) 廃棄物処理法におきまして、不法な処理がなされた場合、処理業者がそれを行った場合におきましての排出事業者の責任は、委託基準に違反している場合におきましては措置命令等いわば行政上の責任を排出事業者に課するということができることになっておるわけでございます。その意味で、今回の法改正におきましても、排出事業者の責任がきちんと全うできるように委託基準の強化ということを図ることとしてございます。すなわち、より明確に排出事業者の責任がわかるというような形に持っていきたいということでこの改正法案を現在御審議いただいているところでございます。
#40
○西岡瑠璃子君 国の主導による産業廃棄物処理施設の確保について伺いたいと思うわけですけれども、産業廃棄物を業者任せにせずに国が主導権を持って処分場を確保すること、そして産業廃棄物処理業者は許可制ではなくて届け出制ということになっているわけですね。この点、許可制になぜできないのかお伺いしたいと思います。
#41
○説明員(三本木徹君) 現在の改正法案、御審議いただいているわけでございますが、その一つに規制の強化という部分が柱の一つになってございます。
 先生御指摘の届け出制から許可制ということに関しましては、これは廃棄物処理施設の設置につきましては都道府県知事に従来は届け出ということでやっておったわけでありますが、この部分につきまして今回は許可制にするということで御提案をさせていただいております。さらに、処理業につきましては業務許可といいましょうか、都道府県知事の許可ということがこれは従前どおり必要ということで、その部分については変更なく御審議をお願いしているところでございます。
#42
○西岡瑠璃子君 産業廃棄物の処分場に捨てられておりますものの中身のチェック体制について伺いたいと思います。
 処分場には県が処分を認めたもの以外の廃棄物、とりわけ有害産廃が持ち込まれて環境汚染を誘発しているケースがございます。このような場合に、産業廃棄物の処理業者が処分場に何が持ち込まれているかを完全にチェックすることは非常に困難だというふうにも言われているわけですけれども、国としての管理体制はどのようになさるおつもりでしょうか。
#43
○説明員(三本木徹君) 廃棄物の処理施設に有害物質を中心としたいわば環境上リスクの大きいものを運んで処理することに対する規制を強化すべきではないかという御意見ではないかと思っておりますが、実は今回の改正法案におきましては、特別管理廃棄物という別のカテゴリー、廃棄物の中で特に管理を要するものとして爆発性のあるものあるいは有害性が高いものあるいは感染症を生じさせるおそれのあるようなもの、そういったものを特別管理廃棄物として別の処理体系をつくると。具体的には処理基準をそれに応じた形で強化していく、あるいは排出する場合には排出事業者に管理責任者を置いていただく、あるいはそのような多量に出す事業場におきましては処理計画を作成してもらう、そういうような部分を今回強化することにしております。
 そういう面からいたしまして、先生御指摘のような同一の処分場で何が何かわからない形で処理がなされるということのないように、そのような形で制度的にしていきたいということで御提案申し上げているところでございます。
#44
○西岡瑠璃子君 それは大体了解できましたけれども、例えば国民というか市民の飲料水、水がめといいますか水源地なんかと隣接したところへ産業廃棄物の処分場を建設するというようなケースがあるわけですね。そういったことに歯どめをかけるという手だては何かございますか。
#45
○説明員(三本木徹君) 廃棄物処理施設のいわゆる立地規制ということにつきましては、これを制度的に担保するということはかなり難しい問題がございます。したがいまして、今回の廃棄物処理法の改正案におきまして、施設の設置の届け出制から許可制にかえることによりまして、許可に際して生活環境保全上の条件を知事の権限として付することができるというようにしてございます。この趣旨は、地域のいわばそういういろいろな事情、特殊性、立地の特殊性というのがあると思いますが、そういったことに配慮ができるように、そういった面で条件を付することができるというようにしてございますので、できるだけ施設の設置がその地域地域にいわばぴったりと合った形で整備がなされるように私ども条件を付するという規定を整備するということで御提案申し上げております。
#46
○西岡瑠璃子君 ほぼ了解いたしましたけれども、二十年ぶりの法改正となります廃掃法が次の世代に美しい日本、美しい地球を残すための環境問題の関係立法として実効を期することができますように御努力をいただくために、私は環境庁長官の御決意を伺って終わりたいと思います。
#47
○国務大臣(愛知和男君) ごみの問題は大変深刻なことでございますが、先ほど私どもの局長から御答弁申し上げましたように、環境庁といたしましてはまずできるだけごみが出ないようにする、それが私どものとりあえずの役割であろう。それからリサイクル法も成立をしていただきましたので、これがいよいよ十月の半ばごろから施行になる予定になっております。これなどがうまく機能いたしまして、できるだけごみの出ないような社会づくりに環境庁としても全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えます。
 また、廃掃法の方は厚生省の担当ではございますが、これも一刻も早く成立をさせていただきまして、両輪相まってこの社会をできるだけ大量消費、大量廃棄型の社会から環境保全型の社会へつくりかえていく、こういう大きなきっかけにしていきたいと考えております。
#48
○西岡瑠璃子君 ありがとうございました。終わります。
#49
○堂本暁子君 環境委員に今回初めてなりまして質問の場を与えられたわけですけれども、最初ですので、まず日本の環境行政について大所高所からきょうは伺いたいと思います。特に来年の六月には環境と開発に関する国連会議も開かれることですし、地球環境の立場から伺いたいというふうに思います。
 第三回の準備会がジュネーブで開かれましたけれども、途上国側から出されました経済援助のシステム、それから技術移転の確約といったことで、最重点課題と申しますかクローズアップされたという感じがいたします。しかも資金面で日本に対しての期待が非常に大きい。これはもうよその国もそう思っていますし、多分日本でもそう受け取らざるを得ない、やはり日本としてはその資金を供与する責任もあるのではないかというふうにも考えております。しかし、資金だけを大変多額に供与する、それではやはり日本は足りないんではないか。それだけの資金供与をするのであれば、二十一世紀に向けて日本は地球環境に対してどういう世界の中でのイニシアチブをとっていくのか、またとるべきなのかという点をまず最初に伺いたいと思います。
#50
○国務大臣(愛知和男君) 我が国は、この二十年の公害対策の歴史を振り返ってみますと、環境と開発、これを両立させた貴重な実績を残した国であります。また、その過程の中で環境保全技術を初めとする数々の技術力を蓄積することができました。また人材を持つこともできました。また同時に、申し上げるまでもなく大きな経済力を有する国でもございます。こういったようなことを考えますと、地球環境保全に対する我が国の貢献が国際社会から期待をされている、このように考えてもよろしいかと思います。またさらに、日本はいわゆる先進国の一員ではございますけれども、ある意味では唯一のと言ってもよろしいかと思いますが、アジアに位置しておりまして、アジアは多くの開発途上国を抱えておる地域であり、そういうことを考えますと、いわゆる南北の橋渡し役という役割も日本に課せられているのではないか、このように思います。
 このようなことを考えますと、気候変動枠組み条約などの国際取り決めの締結やあるいは地球憲章あるいはアジェンダ21の作定等々に積極的に貢献するとともに、国際社会からの期待にこたえていく必要があると考えます。このように、環境問題を切り口にした世界に対する貢献というのが今後我が国の国政の大きな柱に据えるにふさわしい分野ではなかろうか、こんなふうに考えている次第でございます。
#51
○堂本暁子君 今、環境と開発を両立させた国とおっしゃいましたけれども、先ほど水俣の質問もありましたように、いまだに水俣のために苦しんでいる多くの方、公害の犠牲になったとあえて言わせていただきますけれども、あえて言わなくてもいいかもしれません。公害に苦しんだ被害者、そして地域住民のやはり反対運動というものが企業や政治や行政を動かしていったという事実をどうしても認めないで先へ進むことはできない。それがやはり現在の日本の公害防止の歴史であろうというふうにも私は認識しているので、簡単に環境と開発を両立させたような、最初からそのための努力が行われたかというと必ずしもそうではないのではないかというふうに思うんです。
 今、大臣おっしゃいましたこと、それはむしろ防止策なのではないかと思うんですね。ですから、開発のための防止策としてはそういった歴史的な経過の中で日本が技術を持ったということは事実でございましょう。しかし、公害に関しての防止技術と言った方がいいかもしれませんが、技術だけが地球環境を守れるかというとそうではない。もっと積極的な地球環境の保全ということが今なされないとやはり難しいのではないかと思いますが、もう一度その点を伺いたいと思います。
#52
○国務大臣(愛知和男君) この地球環境保全のための施策というのはいろんなところから取り組んでいかなきゃならないと思いますが、その一つの分野としまして、世界の人口の八〇%を占めております開発途上国がやはりこの地球環境問題にも積極的に取り組んでいただく必要があるんではないかと考えます。
 今ちょっとお触れになりました日本の過去の経験というのはプラスの面ばかりじゃございませんで、環境に対する配慮を欠いてひたすら経済開発、発展に力を注いできた結果が大きな公害を生じさせて、そしてそこで気がついてその対策に取り組んでまいりましたそういう歴史でございます。確かにその中で、先ほど申し上げましたとおりいろんな技術の開発などが進みましたけれども、一方国としては、先ほど来もお話がございましたとおり、まだその公害の犠牲になった方々の最終的な救済措置が済んでいない。国としてはまことに大きなコストを払うことになったという事実があるわけであります。
 実は、割に最近環境庁の若手の有志が一つの試算をしてみたレポートがございまして、それによりますと、公害が起きてしまってから対策を講じた場合と公害が起きる前に対策を講じた場合、公害が起きる前に対策を講じた場合にはあるいは開発のスピードなどが多少ダウンしたかもしれないけれども、そういった場合に国としてのコストがどういうことになるかというような試算をしてみたレポートがございます。それを見ますと答えは明らかで、公害が出てから後対策を講じた方がはるかに大きなコストを支払うということになるわけであります。
 そういう日本の苦い経験などもひとつ大きな説得材料といたしまして、開発途上国に日本のその経験を学んでいただいて、やはりまだ開発途上にある状況であっても同時に環境問題についても対策を講じていただく必要がある、その方がその国のためにもなるというような説得などをする。これなども日本の大きな役割の一つではなかろうか、こんなふうに考えているわけでございます。
#53
○堂本暁子君 開発と環境、これは大変両立ということが難しい、ある意味では矛盾する二つのコセプトではないかと思いますけれども、やはり今伺ったお話ですと、開発を前提にしていかにして公害を防止するか。確かに第三世界の方たちはまず開発ありきだ、北の国はみんな開発をどんどんしてからそういうことを言っている、身勝手ではないかという意見が非常に強いんですけれども、しかしアメリカなんかは今大変消極的で、それに対して資金援助をするというような約束をしていませんが、それはやはりアメリカのもう既に社会構造と申しますか、経済構造と言った方がいいかもしれませんけれども、それに応じられない一つのからくりがある、構造がある。日本の場合も自由経済そしてGNPの成長をこれだけ追い求めているというそういった現実を考えましたときに、アメリカと日本が地球環境を破壊する二大国であるという指摘は多々なされています。
 そういった中で開発と環境ということを地球規模で考えましたときに、日本がもしイニシアチブをとるのであれば、今大臣おっしゃった公害防止という視点だけにとどめるのか。もっと先へ進んで、二十一世紀に地球という私たちの住むこのプラネットを本当に私たちが共生できるようなふうにするために保存するというふうに、もっと積極的なイニシアチブをとるのか。その点のもう一つ大きな決断が必要なんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#54
○国務大臣(愛知和男君) この環境問題というのを突き詰めて考えていきますと、これは私見ではございますが、やはり人間というものがどういうスタンスで生きていくのか、どういう価値観を持って生きていくのか、あるいはどういうライフスタイルを持って生きていくのか、こういう問題に行き着くわけでございまして、これはそうそう簡単に答えが出る課題ではございませんけれども、またこれは私ども政治家の役割をはるかに超えた大きな課題かもしれません。学者とかそういう方々のお力をかりなきゃならないかもしれませんけれども、何か新しい価値観をつくっていく必要があるんではないか。今の日本なりあるいは先進国のいわゆるライフスタイルを続けていたんでは、そしてまたそのライフスタイルを目指して開発途上国の方々が開発なりを進めていったならば、これは地球が破壊されることはもう目に見えております。しかしながら、それでは開発途上国の方々に対して今より豊かになってはいけないというようなことを言うことはもちろんできないわけであります。
 そこで、どうしたらいいかということで、開発途上国の方々もあるいは先進国の我々も何か共通の価値観を見つけ出して、そこへ向かってお互いに努力をするということをしていかなきゃならないんじゃないか、こんなふうに思うわけでございまして、そういうことを多くの方々との意見交換の中で、またこれは政治家のみならず、ありとあらゆる各界の方々の御協力をいただきながらつくり上げていく必要があるんではないか、このように考えます。
 そういう中で、日本というのは日本の長年にわたる独特の文明もあり、その中にあるいは将来の解決の糸口があるんではないかということを指摘される学者の方もおられますが、これは傾聴に値する意見ではないかと私は個人的に思っているわけでございますが、つい最近、私ある本を見まして、それは江戸時代の我が国の社会のあり方を書いた本でございましたが、実に巧みに社会が、リサイクル社会というんでしょうか環境に優しい社会ができ上がっていた、日本人の知恵がそこに実に巧みに生きていたという姿が描かれておりました。こういうものを見ますと、なるほど日本というのはそういう昔には極めて環境に対して、知らず知らずのうちなんでしょうけれども、すばらしい日本の社会の仕組みができていたという側面もあったようでございまして、そんなようなことをこの際また再び勉強してみまして、そして何か日本独特のそういう価値観をつくり上げて、それをむしろ世界に発信していくというような姿勢でこの問題に取り組むべきではなかろうか、このよに思えてならないわけでございます。
 いささか抽象的なことを申し上げてしまいましたけれども、感じておりますことを申し上げました。
#55
○堂本暁子君 抽象的では私はやっぱり困るんではないかと思うんですね。きょうも私は自動車に乗ってきました。しかし、実際問題としてもうこのままの生活を続けていたのでは、大臣おっしゃったように地球環境は破壊されます。大変言いにくいことなのかもしれませんが。
 これは書いてあるものからの引用ですが、去年NHKに出たミヒャエル・エンデという人が、ヨーロッパのエコロジストが決して口にしないことがある。それは、人類が環境を破壊するか社会を破壊するかの選択を選ぶということに関して言わない。つまり、社会の破壊といえば、自動車産業ですとかそれから私たちが電気を使うこういう生活ですとか、その二者択一について言わない。それは私たち日本人も同じだと思うんです。問題は、UNCEDの場合に、資金を日本から出せと言われているときに、はい日本はそのうちに何かいい価値観を持つでありましょうと言われても、なかなかやはり南の国からは納得されない。こういった環境白書や何かを見ましても、経済社会活動自体を環境に優しいものに変えていくことが必要ですと、それはもうあちこちに出てきます。では、どう本当に変えるのか。どう政治的にやるのか。これは恐らく環境庁長官お一人よりは、むしろ日本の政府、政治、財界もすべて含めた日本の大きな総意のもとでなければできないことかもしれませんけれども、そういった何らかの決断を示さない限り、日本はお金だけを出すことになって、そして実際のイニシアチブはほかの国がとるという構造にあるように私は思えてなりません。
 例えば北欧の国々は、自分のところでこう実践している、そして例えばこれだけODAの上に予算を乗せた、どうしてもっと大きい日本やアメリカはそういうことをやらないのかということをはっきり追及しているわけですね。そういったときに、結局数の多い南の国と一緒にイニシアチブをとっていくのは、自分たちはこういうことを実践しているという国だと思うんです。日本だけは、私たちの税金を地球環境のために出す、しかしそこに意志がないということは、日本がさっきおっしゃった南北題の中でどう評価をされるか。環境外交というのは恐らく日本の柱の一つだと思います。柱の一つどころか、平和の問題では大変に難しい局面が多々ありますけれども、環境外交というのは、今、来年に向けて大きく日本が自分の柱として打ち出していける外交であるし、そこで信用を得ることもできる。とすれば、この際日本が一歩も二歩も踏み出す必要があるんではないかというふうに思っております。
 これは抽象論ばかりではなくて、やはり今の政府が本当にどこまで思い切った踏み出しをするのか。ヨーロッパのエコロジストでさえ口にしないことをどこまで日本が口にし実践できるのか、財界にも物が言えるのかということにかかっているんではないかと思うんです。
 このナショナルレポートはまだドラフトなのかもしれませんが、これを見てつくづくその感を強くしております。と申しますのは、国連の方からは市民とか女性、組合、NGOなんかの意志をも吸い上げてというふうなガイドラインが出ているようですけれども、日本の場合には環境庁とそれから他省庁とでお書きになった。これはどうしてそうなさったんですかということの質問はあえていたしません。日本のこういった行政の構造、社会の構造、今までの歴史的な中で、とてもノルウェーがやっているようにNGOも女性の代表もそれから若者の代表も起草委員会に入って起草するというようなことは、今言っても余りにも日本では現実性がないのであえて申しませんが、それでも何か日本人が読んでぴんとこないことは私はやはり書いていただきたくないというふうに思うんです。
 それで、まず最初に、もうたくさんこの中にはNGOという言葉が出ていますが、大臣でも結構ですし、その後部長でも結構ですが、このNGOといのをお書きになる場合にこれをどういうふうにとらえていらっしゃるか、まずその点から伺いたいと思います。
#56
○説明員(加藤三郎君) 先生も御高承のとおり、NGO、非政府機関ということでございまして、要するに政府機関でないものを総称しております。実際に先生御自身も御参加なさっているいろんな国連関係の会議におきましてNGOと言われるグループがおりますが、そのグループの中には文字どおり政府機関以外のいろんな団体、具体的に言えば例えば産業界でありましたりあるいは環境問題に非常に熱心な学者ないしは市民運動グループであったり非常に幅広くおりまして、私どもNGOというのはそういう広い概念でとらえております。
#57
○堂本暁子君 そのとおりだと思います。
 そういたしますと、このNGOの部分ですね、「民間組織における取組」というところ。先ほど大臣もおっしゃったように、日本の公害防止というのは、被害者と住民の中でまさにこれは住民運動、市民運動の中から展開されてきたものです。ですけれども、ここに書いてありますことは、八〇年代になってやっと日本のNGOも動くようになってきたということ。ここを読みますけれども、「国際協力を推進する草の根の市民活動も展開をみせている。我が国においても、特に一九八〇年代後半から」と、これは非常に狭い、しかも環境関係でやっている幾つかの国際NGOのことを指しているんだと思うんです。「例えば、熱帯林の減少問題を広範な世論に訴える活動」とかそういうようなことが書いてあります。
 しかし、日本の歴史というのはむしろ大変な、もう世界に類を見ないだけの市民運動の中で日本の環境そして公害問題はなされて、公害に対しての防止、そしてそういうことは裁判を通し、それが不幸な歴史であるかもしれません。対決の歴史であるかもしれません。ですけれども、この書き方はないんじゃないでしょうか。日本はそういった学者と産業界と行政だけでやってきたんですか。もう本当に北海道から沖縄、水俣とかイタイイタイ病だけとは申しません、四日市だけとは申しません。あらゆるところで公害に対して立ち上がりそして環境に対して立ち上がってきたのは日本の住民運動です。数限りなくございます。それが政治を動かし行政を動かしてきたではないですか。企業を動かしてきたではないですか。そういうことではなくて、こういう書き方というのは大変な世界の誤解を受けるものだと思うんですね。
 確かに私はジュネーブで毎日NGOミーティングに出ました。たった一人の日本人です。みんなはどうして日本は来ないんですかと。UNCEDのための市民フォーラムというのができました。そこからどうして事務局の人を送らないんだと聞いたら、お金がないと言いました。確かに日本は経済的には世界の先進国と言われるかもしれない。NGOといえばありとあらゆる、第三世界のNGOも来ている。しかし、日本のNGOはジュネーブまで来るお金すらない貧しいNGOなんです、第三世界なんですという説明を私はしたわけです。
 時間を節約してもう一つ、ここにUNCEDへの取り組みとして、「本年五月二十一日には、「地球環境日本委員会」が設立された。これは、政府の施策とも十分連携を図りながら、産業界、労働界、報道界、地方行政、消費者等の各分野の関係者が地球環境保全に向けての国民を挙げた取組を推進する場として設けられたもの」である。先ほど届けていただきました。会長は経団連の会長です。政治家は野党は一人も入っていません。それから辛うじてNGOと言えるのは岩崎さん、日本国際ボランティアセンターの代表お一人ぐらいでしょうか。あとオイスカの代表が入っています。しかしほとんどが先ほど部長のおっしゃった産業界、学界で、私が言うところの逆の、本当に日本の公害問題を推し進めてきた市民の団体の名前を見ることはできません。これが皆さんこれを起草なさった方のおっしゃる国民を挙げて取り組む推進の場なんでしょうか。全く納得がまいりません。
 しかし一方で、数少なくても、私たちが国連の場なりNGOのいろんな会議に出ていきましたときに出会うのは、そういった第三世界並びに北の国のNGOの人たちです。もうとてもではないけれども、グループ77にしても資金要求ばかりをしている、もうデッドロックに乗り上げてきている。これをどう解決するのかということに対して、各国のNGOが自分の国に働きかける以外にないんだということをモーリス・ストロングでさえ言っているんです。それだけもう今やNGOというのは大きな勢力です。そして、私たちのつき合うNGO、北も南もつき合いますけれども、そういったNGOとのつき合いがある。そのNGOはそれぞれの政府とのつき合いがある。しかし日本だけはそういった市民と政府レベルのところとの間に断絶があるんですね。
 やはり地球環境のことを考えますときに、市民一人一人の参加がなくては地球環境のことなんか全く問題にできないと思います。一人一人の市民が自分たちの地域で、そして同時に、地球環境を二十一世紀に向けて大事にしていこうという問題意識で初めて可能になる。そのときに、こういった過去の歴史があるにせよ、市民を排除した構造、これはお改めいただきたい。ましてをや、ナショナルレポートにこういう形でお書きになるということは非常に誤解を招くと思うんです。
 モーリス・ストロングはNGOの会議に来て、私はそのときおりませんでしたけれども、言っていたことは、まさにこれからNGOがそういった世界の中で活躍しなければならない。そしてもう一つは、行政のレベル、政府レベルではなくてそこには政治の意志というもの、ポリティカルウィルがない限りだめである。お金のことを最初に伺いました。日本は資金を出さなければならない。その資金というのは日本の国民一人一人の血税でございます。そういった一人一人の市民がこれだけの公害に悩み苦しんできた戦後ずっとの歴史の中で、しかも出している税金。それはやはり国民の意志、それをやはり政治家が政治の意志として発揮しなければならない局面ではないか。ですから、モーリス・ストロングが、まさにあとは政治的な意志の問題である、それによってUNCEDが成功するかしないかが決まるんだと言っています。
 政府レベルでは細かい会議がもう数限りなく開かれています。そこで技術的な詰めはもうできたと。そうでありましょう、条約やなんかの詰めは。あとは政治的な決断だと思うんですね。長官というお立場と、そして政治家である愛知長官にあわせて今のお立場から、来年のUNCEDに向けてどれだけ日本が、先ほどのような公害の防止の技術ではなくて、大臣としての本当に政治的な意志をどのように発揮なさる心構えでいらっしゃるか、そこを伺いたいんです。
#58
○国務大臣(愛知和男君) 日本におけるNGOの問題につきましていろいろとお触れになりました。
 確かに御指摘のとおりのようなことで、私ども政府とNGOとの関係というのが必ずしも密接な関係になかった、意思の疎通を欠いていたというようなことはございまして、私も就任以来そのことは十分認識をいたしまして、今から二、三カ月前に、NGOの方々に私の環境庁の部屋に百人ほどおいでをいただきまして、初めての経験でございましたが交流をいたしました。これからも機会あるごとに意見交換をしていきましょうということで第一歩を踏み出したわけでございまして、私としましてもNGOのこれからの役割といものを非常に高くあるいは意義あるものと認識しているつもりでございます。今後ともそのようなことを続けていきたいと思いますが、また同時に、NGO同士の間でも必ずしも過去は余り横の連絡がなかったというふうに伺っておりまして、これはまたNGOの方々の中での一つの反省事項ということで、連絡会議のようなものを特に来年のUNCEDに向けておつくりいただいているというふうに聞いておりますし、いろんな意味でこれからNGOの力を増していく、影響力をつけていくときではなかろうか。
 確かに御指摘のように、過去いろんな公害問題を解決する中で、それぞれNGOと言われるグループの民間の方々、住民の方々の力というものが大きく物を言ったということは御指摘のとおりだと思いますが、新しい地球環境というような問題に取り組む際に、また新しい視点でのNGOの役割というようなものも出てくるんだと思いまして、そういう意味で私どもの立場からも大いに日本のNGOがこれから力をつけていただけるようにお手伝いさせていただきたい、このように考えている次第でございます。
 来年のUNCEDへ向けて、おっしゃるとおり日本はただお金を出せばいい、技術を出せばいいというんでは全然ございませんで、冒頭にも申し上げましたけれども、日本はここで大きな役割を果たすべきだと私は思っておりまして、その大きな役割というのは単にお金を出す、技術を出すとかという側面だけではなくて、ある意味でいうと世界をどうするか、いわゆる東西対立がなくなって新しい世界の秩序を求めていろいろ世界が揺れ動いている昨今であって、その中で大きくクローズアップされてまいりましたのが南北問題であるわけで、この環境の問題をめぐっても南北の対立というものがうしても目立っているわけであります。
 環境の問題というのは、そういう国境だとかその背景にある文化だとかいろんなものを乗り越えて人類が一致して取り組んでいかなきゃならない課題でございますから、そういう課題に日本が大きな役割を果たしていく。これはもう大きな政治的な行動などが求められていることだと思います。認識は、先生のおっしゃるように私も認識しているつもりでございますが、そういう中でできるだけの最大の努力をさせていただきたいと思います。
#59
○堂本暁子君 いろいろ見ますと、地球環境日本委員会の名簿を見ましてもどうしても財界主導としか思えません。そうではなくて、この際やはり住民参加の発想にぜひ環境庁全部が発想を変えていただきたい。そうしない限り日本は世界の場で、私が見る限り、たった十日でしたけれども、UNCEDの場で見ている日本の位置というのは第三世界からも本当に尊敬されるような立場ではないというふうに思わざるを得ないんです。
 本当に、そこに生きる一人一人の人の場を考える、大臣がおっしゃったように南北のかけ橋になる日本であるためには、国内でも財界主導、政府・与党主導ではなくて、決定して啓蒙するという上から下へというような昔の政治のあり方ではなくて、むしろ国民の総意を吸い上げて、まさにガイドラインに言っているような、モーリス・ストロングが求めているようなそういった方向に発想をぜひ変えていただきたいと思います。大変かもしれませんが、そういった発想を盛り込まない限り私は共感を得ないというふうに思います。こういったものが日本を代表する、日本国民を挙げた取り組みだというふうにはどうしても思えませんので、これはもっと開かれたものに変えていただきたい、そのことのお願いもいたします。
 女性の問題もぜひ伺いたかったんですが、次のことがあるのでこれは次に回しますが、女性が参加してないということもやはり日本では大きな問題です。なぜなら、環境は女性抜きに考えられない分野でございます、市民と同じに。ここに世界的なグループで女性と地球の生命という、これはNGOですがあります。スリーマイル島の事故の公害に反対して立ち上がった六百人ぐらいの集会をスタートにしたものですが、そのリーダーの人が言っているのに、女性のことを私たちと言っていますが、「自然を否定する文化は女性を否定する文化である」と言っています。「この自然と、平和と自由の名において私たちの文化を再生すべき時が来た。それができるのは女性である。」と言っているんですね。
 今度のUNCEDの会議で幾つかのキーワードがございました。サステーナブルデベロップメント、しょっちゅう出てきました。それからフィナンシャルメカニズム、この言葉もしょっちゅう出てきました。しかし、それと一緒に必ずといっていいほど第三世界の人、それから北の国からも、政府代表すらもがしょっちゅう口にしたのはウイメン、チルドレン、そしてインディジョナスピープルという、女性、子供、そして原住民という言葉だったんです。これは一つのキーワードでございました。それからやはり日本は非常に隔離したというか、ギャップのあるものだと。向こうでこれを最初から終わりまで読んだんですが、どこにも女性という視点は入ってきていないし、言葉すらもない。これではやはり大変に片手落ちではないか。余りにも科学的過ぎるというふうに思います。
 続いて、きょうはここに写真を持ってきました。とても美しい熱帯林でございます。(写真を示す)これはインドネシアのスマトラ島コタパンジャンというダムの計画です。熱帯の原生林、そして近くのこれは住民の家です。大変古い家です。そしてこれはその中に流れる美しい川でございます。そこの近くにある文化遺跡というのもこういうふうにしてあります。
 このインドネシアのスマトラ島コタパンジャンのダムの建設は円借款でなされることになっていますが、三百億二千五百万円のプロジェクトです。外務省はこれを実施するに当たって三つの条件をインドネシア政府に示されたということですが、どのような条件をお示しになったのか教えてください。
#60
○説明員(畠中篤君) 先生御指摘のコタパンジャンの事業プロジェクトにつきましては、政府部内で検討いたしますときにも環境面での配慮というものが大変重要だということで、この点につきましてインドネシア側とも何度も協議もいたしましたし、それから調査団も派遣してまいりました。
 経済協力自体もそうでございますが、この環境問題の解決につきましても、先方が……
#61
○堂本暁子君 三つの条件だけを伺っておりますので、それだけをお答えいただけますか。
#62
○説明員(畠中篤君) 私ども、条件ということではございませんけれども、今後特に配慮してもらいたいということで先方に話をしたことはございます。それは住民の移転でございますけれども、移転地の確保と住民移転にかかわりますその整備あるいは補償といったものを十分に考えてもらいたいということ。それから野生動物の保護。現地にはスマトラゾウが生息しております。特にそういう象の保護について適切な措置をとってもらいたいということ。そして、先ほど申し上げましたけれども、移転地の準備のみならず、補償のときにも十分住民と意見を交換して対処してもらいたいというようなことを先方に申しております。
#63
○堂本暁子君 大変大きな原生林がこれで水没するわけです。まさに今UNCEDで熱帯林の保護、そして日本でも生物的多様性、バイオダイバースティーの保護について大変積極的にそのことが大事だと言われているときに、これだけ多くの野生生物のいるところを水没させるということ、スマトラゾウだけではなくて、スマトラクマとか絶滅に瀕しているバクですとか猿ですとか、それからクロヤギとか、こういったいろんな動物がすんでいます。そういったものが保護されることが前提だと思うんですね。そして、しかも日本は今のこのナショナルレポートでもそれから環境白書でも、生存地内の保存が大事であるということを主張しているわけです。これは相手国政府の責任だということだけではなくて、お金を出す方の日本としても、今のようなことをもし条件じゃなく望んでいるということであれば、ちゃんとそのことを守るということの確約はとれているのかどうか。それから原住民の同意をきちんと得ているのかどうか、現地政府が。その二点だけをお答えいただきたい。
#64
○説明員(畠中篤君) 先ほど私条件ということではなくと申し上げましたけれども、言葉の問題でございますけれども、野生動物保護、どこへ移すかといったような場所の選定につきましても、インドネシア側の候補地に我々調査員が参りまして、それが適しているかどうかというようなことも議論をしながら、ただいま移転候補地を選定中でございます。そして、このようなインドネシア側がつくりました計画に従ってきちんとした対応ができるかどうか。そういうことにつきましてはインドネシア側からきちんと報告するという言質をとっておりまして、随時報告を受けております。
 また、現地住民の声ということにつきましては、特に移転の補償と申しますかそういった面について、先ほど御説明いたしましたように、十分意見を聞いて円満に解決してもらいたいということで、これも今住民と政府側で現地で交渉中でございますけれども、我々もその成り行きを見守っております。
#65
○堂本暁子君 これは相手の国の状況ですと大変に信頼できないものがございます。私は去年、現地に参りまして住民一人一人に、全部聞いたわけじゃありません、二万人も住んでいるんですから。しかし、そこへ入っていってどうなのかと聞いた。反対すれば銃でおどかされる。実際そうです。調査するときに軍隊が入って銃でおどかしているという状況のもとで、だれが反対ですと言えますか。そういった政府の報告を信用なさるのかどうか。現にそれでも七百人の反対署名がジャカルタの日本大使館には届いているはずです。そういったような状況にあることを相手国に、もし何だったら私自身が録音もとってきています。住民一人一人が本当は離れたくない。大体平らなところなんです、ずっと。何でこんなところにダムをつくるのか私は全く理解に苦しむ。そういったところにこれからなぜ三百億もの金をかけて、日本がお金を貸してつくるのかということが私には大変に納得のいかないところです。
 ここで水没する熱帯林、熱帯林を保存しなければいけないということをるる環境の面では日本は主張していながら、一方でそういったものをどんどん計画としてインドネシアと一緒に進めている。融資なさる。これはやはりおかしいんではないか。これは少なくとも動物、それから住んでいる方については、どうしてもそこから離れたくないけれども、銃でおどかされているから仕方がないんだということでみんなおびえているわけです。ですから、本当の合意というのは私は得られないと思っております。
 こういった巨大ダムをつくって熱帯林を埋没させる。それから住民が立ち退く。そして、スマトラゾウが移転される先はもう既に七十頭もの象がすんでいて、象は縄張り争いをするのでそこでは大変すみにくいそうですし、大体熱帯林がなくなったときにその中のあらゆる生物的多様性は壊されてしまいます。今、日本もバイオダイバーシティーの条約をつくろうとしてそこに参加している最中です。その片方の手で今大臣がるるおっしゃったような国際協力をしよう、片方の手でそういった破壊の方に融資をする。これは相手国側の責任といつも外務省はおっしゃいますけれども、それだけで済むのかどうか、そこに大変疑問を持ちます。
 それから、きょうは経企庁もいらしていただいていると思いますけれども、速やかにこれは代替の案、これだけの熱帯林を壊さない、それから動物なりそこの生態系を壊さない方法、ソーラーということもありましょう。もっと小さい規模の発電ということもありましょう。大体私の見た限りは近くに工場もございません。住民もぱらぱらとしか住んでいないんです。どうしてこんなところにこんな大きなダムを建設しなければならないのか大変疑問を持ちました。
 外務省とそれから経済企画庁からきちんとしたそこに対しての御答弁をいただきたいと思います。
#66
○説明員(畠中篤君) ただいま御指摘の開発を進めるか環境をどのぐらい保護するかという、先ほどから御議論の開発と環境の問題、バランスをとって進めるということはなかなか難しい問題であることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、本件の事業につきましては、スマトラの地方電化が徐々に進みましてインドネシアの電力事情が逼迫してまいります。将来のそういう状況に備えてこの事業をするということで、いろいろな角度からその妥当性を調査した結果これに協力するということを決めた経緯がございます。
 私どももジャカルタあるいは東京におきまして地元の住民の方々とお話しする機会が何度かございました。また、現場にも調査員が行ったこともございます。地元住民の方々の御意見は、私どもの理解しますところ、ダム建設そのものよりも移転に伴います補償が不十分であるという点が非常に大きな問題になっているように了解しております。そういうことも踏まえまして、開発事業の実施に伴います住民移転の交渉につきましては、基本的に私どもが交渉の当事者になることはできませんが、インドネシア政府側にも働きかけしまして、ぜひとも円満に解決されるよう種々働きかけを行っているところでございます。
#67
○説明員(飯塚和憲君) 本件につきましては、今外務省の方からも御説明がございました環境面への影響を含め、種々の観点からこの事業の妥当性につきまして総合的に判断をした結果円借款供与を決定したという経緯がございます。もちろん私どもとしては、環境問題の重要性というものは十分認識をしておりまして、このプロジェクトの検討の過程で、円借款の融資を行います海外経済協力基金、これが環境ガイドラインというものを持っておりますけれども、これに基づいて社会環境問題、自然環境問題等の広範な項目についてチェックを行いまして、各項目につきましてインドネシア側が所要の対策を講じるということを確認し、また海外経済協力基金自身も調査団を派遣して現地で調査を行うといった慎重な配慮を行ってきたところでございます。
 したがいまして、経済企画庁、また海外経済協力基金としましては、引き続き環境問題を含めて本プロジェクトの進捗状況を注意深く見守ってまいりたいと思っております。
#68
○堂本暁子君 時間なので終わりますけれども、経過を見ますと、一九七九年には東電建設の子会社が入っていまして、環境アセスメント、影響調査、これは現地の大学ですがやっているのは一九八三年なんです。最初にアセスメントがあってから計画が立てられるべきですけれども、何と四年もたってからの環境調査です。これはもうすべてが逆なんではないかというふうに思います。
 大臣、今お聞きのとおり、膨大な量のこの美しい熱帯林が、それからこの文化遺産もですけれども、もう本当に何の調査もされてないまま水没しようとしています。(写真を示す)こういった川も、全部みんな水没していく地域の熱帯林なんですけれども、UNCEDが行われるこの年に日本がこういうことで、今非常に批判の的になろうとしている。私が先ほど申し上げた政治的な意志、ポリティカルウィルというものを環境庁だけ、外務省だけ、経企庁だけという縦割りではなくて日本国として、NGOはみんな一緒なんです。これの反対運動をしている人も、ジュネーブに来ている人も同じなんです。そういったところで、日本が熱帯林を切り、そして水没させるために融資をしているということに対する国際世論、どんなに片方で私たちが税金をUNCEDのために使おうとも、一方でこういった国際世論がそれを消していってしまうんです。やはり日本がもう少しそういった意味で統合的な地球環境全体に対しての視点を政府として持つ必要が今やあるんではないか。
 私が現地に行き、そしてジュネーブに行って見た感想といたしましては、やはりもっと政治的な決断と意志というものを、縦割りの行政の中からではなく総合的に日本が持たない限り世界の信頼を得られない、環境外交が実現できないんではないかという危惧を持って帰ってきたということであります。その点を重々今後各省庁でお詰めいただきたいというふうに思います。このプロジェクトについてはまたゆっくり伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 終わります。
#69
○委員長(安恒良一君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開会
#70
○委員長(安恒良一君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#71
○西野康雄君 社会党の西野です。よろしくお願いいたします。
 地域の自然環境保全に対する措置の一つに環境影響評価制度がございます。先進諸国ではほとんどの国において既に法制化が行われております。しかし、我が国においては法制度として確立されておりません。長官は長官に就任なされた当時は随分とあちらこちらで失言をなさいまして、どうなることだろうかと思っておりましたが、最近のいろいろな答弁を聞きますというと、随分と環境にも御理解が深くなった、さように思うわけでございます。環境白書を見ましても、先進国における資源多消費型の経済社会活動と開発途上国における貧困や人口の増大がともに地球環境への負荷を増大する要因となっていますと、そういうふうないろいろないい言葉を出されております。さりながら、この環境影響評価制度というものが法制化されていない。これは随分と環境庁の立場も弱めておるんじゃないか、かようにも思います。長官は、確立されていないということについてどう思われるか、ちょっと御所見をお伺いいたしたいと思います。
#72
○国務大臣(愛知和男君) お尋ねの環境アセスメントにつきましては、御指摘のように、アメリカとかフランスを初めとしまして多くの先進国におきましては法律で一般的な義務づけを行っております。もっとも、イギリスのように一般的な法制度によらないものもないことではございませんけれども、多くの国で法制化が行われているということは御指摘のとおりでございます。我が国におきましては、昭和五十九年八月に閣議決定されました環境影響評価実施要綱あるいは公有水面埋立法などを初めとする個別立法に基づきまして環境アセスメントの推進が図られているところでございます。
 環境庁といたしましては、いわゆる閣議決定に至る経緯がいろいろありました。その経緯等も踏まえまして、まずは環境アセスメントの定着化が重要と考えておりまして、今後とも、閣議決定による環境影響評価の適切かつ円滑な実施等現行制度の着実な推進を図ることによりまして、環境汚染の未然防止に努めてまいりたいと考えております。
 なお、御指摘の法制化でございますが、これにつきましては、閣議決定の状況などを見つつ、また環境法制全体のあり方も踏まえながら引き続き検討させていただきたい、このように思います。
#73
○西野康雄君 と申しますのは、今までの閣議決定がどうのこうのという部分は百も承知なんですけれども、しかし十二分に機能はしておりません。そして、これからも海外から日本は環境をおろそかにして金もうけだけに走っているという批判もおいおい出てくるのじゃないかと思います。ですからこそ法制化というものを急いでいただきたいと思います。しかしながら、こればかりやっておりますと恐らく水かけ論になってしまいます。要望だけはさせていただきます。
 長官のもとに届いているかどうかわかりませんが、世界野生生物基金というのがございます。あのパンダのバッジがよく議員の先生方の胸元にも輝いておるかと思いますが、あの世界野生生物基金でございます。計画部長の段階で総理大臣の方にかような文書が届いております。環境庁長官のもとに届いているかどうかわかりませんので、念のために読ませていただきます。
 日本国総理大臣海部俊樹様
  海部総理大臣閣下
  世界中の大部分の人々と多くの海生動物が食料資源を魚類にたよっています。現在まで、世界中の多数の海産と淡水性の魚種が、人間とその生存を魚類に依存している他の種の増大する要求によって莫大な圧力にさらされています。
  最近、私の関心の的は、あなたの政府による長良川河口堰の建設計画です。この型の建築物が自然環境に与える影響は、いくつかの例によると、まことに深刻であることが知られています。多くの淡水魚類もまた(日本ではサツキマス)長良川のように水路を遮断されたことにより、影響を被ります。
  世界中の海洋環境が人間の開発によって影響を被っていることがより明らかになるに伴い、多くの国が状況を正すように試みるようになってきました。日本は技術と発展の指導的な地位を認められています。しかし環境問題においては、日本も積極的な転換を計るべきです。
  従って、長良川流域の自然環境とサツキマス(既に脅威にさらされている。)をはじめとする淡水魚類のために、我々はあなたが河口堰の建設をこれ以上進めないことを保証されますように勧告いたします。この行動は長良川流域の淡水域とそこに生息する種の未来を保証するために極めて重大で決定的なものです。
                   敬具
として、ジャネット・バーバー計画部長からかような文書が寄せられております。
 恐らく返事次第によっては生物基金そのもののさらに上の段階からまたかような同種の勧告文が来るかと思いますが、長官、今の勧告文を聞いての御所見をお伺いしたいと思います。
#74
○国務大臣(愛知和男君) 世界野生生物基金とおっしゃいましたが、名前が世界自然保護基金と最近変わっておりまして、そこからのお手紙と理解いたしますが、そのお手紙は私ども環境庁には届いておりませんで、今初めて聞かせていただきました。
 それはそれとしまして、長良川という川が生息する魚類の数が非常に豊富であり良好な環境を有する河川であるということは私どもも承知いたしておりまして、これが河口ぜきが建設されることによりましてこういう自然保護上の問題が生じてはならない、このようには思います。したがいまして、そういう場合にも十分な配慮が必要である、このように私どもも考えております。
#75
○西野康雄君 寄せられた文書のまま世界野生生物基金と読ませていただいたわけです。
 現在、建設省及び水資源開発公団は長良川河口ぜきに関連して環境調査を実施しております。一方では、建設大臣が調査結果にとらわれず工事を進めるという旨の発言を随分となさっておられます。これは私どもの受け取り側で、そちらはいやそうじゃないんだとおっしゃるかもしれませんが、私どもにはさようにとれるわけでございます。
 そうすると、環境庁の役目というのは一体何なんだろうか。一生懸命私は環境庁を後押しをしたいわけですけれども、環境調査結果が出ようと出まいとそんなことは関係ないんだというふうなことになったら、環境庁というのは一体どういう立場にあるのだろうか、どういう役割なんだろうか。私はここらあたりはしっかりと環境庁頑張ってほしい、そういうふうな気持ちを持っておりますが、この件に関する環境庁の役割とは何なのか、そういうことをちょっと答えていただきたいと思います。
#76
○政府委員(眞鍋武紀君) 長良川の河口ぜきの建設は、昭和四十三年に閣議決定をされまして既に工事が進められている事業でございます。そういうことでございますが、環境上の問題への懸念が高まっているそういう特別の事情を踏まえまして、昨年の十二月十八日環境庁長官の見解を明らかにしたところでございます。その見解に沿いまして、環境庁としましては建設省と協議を行いまして、建設省及び水資源開発公団におきまして追加的な調査検討を実施して、平成三年度末を目途に公表するということにしたわけでございます。環境庁は、その結果を踏まえまして、長良川の環境保全のためにとり得る最善の措置が講じられますように、引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#77
○西野康雄君 ありがとうございました。
 続いて、建設省にお伺いをいたします。先日も社会党の建設あるいは環境の関連する議員に長良川河口ぜき説明資料というのを配っていただきまして、当然のことながら説明もしていただきました。その中で気になるのは、長良川河口ぜき建設目的は「当初から治水・利水の目的を持つ多目的事業」と説明されておりますが、これは当初からそういうものだったんでしょうか。
#78
○説明員(荒井治君) 長良川河口ぜきの建設目的の御質問でございますが、長良川下流部につきましては我が国最大のゼロメートル地帯でございます。全国の三五%という非常に大きな地域を占めております。また、宝暦の治水であるとか明治のデ・レーケによる改修であるとか、そういったような古くから治水事業が行われている地域でございます。そういうようなところでありますので、戦後のカスリン台風であるとかアイオン台風であるとか、そういうことによる利根川の決壊、また二十八年の西日本の災害、そういったようなものを数多く経験したわけでございますが、昭和三十年代に入りまして、三十四年の伊勢湾台風、三十五年、三十六年と立て続けにこの地域において水害が発生したわけでございます。そういうようなことにかんがみまして、昭和四十年に抜本的な治水対策の計画が立てられたわけでございまして、従来の計画高水流量四千五百トン毎秒が七千五百トンというような形で現計画ができております。
 一方、これに伴いまして、河道の拡幅をするか、かさ上げをするか、しゅんせつをするかというような検討が行われたわけでございますが、この川の場合、木曽川と揖斐川に挟まれております。そういう形でかさ上げもできない、拡幅もできないということで、しゅんせつしかないというようなことになったわけでございます。しゅんせつをいたしますとどうしても塩水が三十キロの上流まで上がってくるというようなことで、潮どめをしないと十全の効用を発揮しない。特に利水関係には影響を与えるというようなことで、昭和四十年に建設大臣が工事実施基本計画の中に河口ぜきを位置づけたわけでございます。これは利根川の大規模しゅんせつで大規模な下流の塩害が起こったというような事実からも明らかでございます。
 このような経験的なことも考えまして河口ぜきが計画されたわけでございますが、一方、中部圏におきましては水需要が非常に増大しているというようなこともあったわけでございます。そういうことで、昭和四十三年閣議決定されました木曽川水系水資源開発基本計画において、「この事業は、長良川における治水のため上流部に建設するダムとあわせて、下流部におけるしゅんせつに対処して塩害を防除するとともに、流水の正常な機能を維持しつつ、濃尾及び北伊勢地域の上水道用水及び工業用水を確保するものとする。」というような目的が掲げられておりまして、当初から治水、利水をあわせ持つ多目的事業であるということは現在も一貫して変わっておりません。
#79
○西野康雄君 一九六一年十月十三日の衆議院の建設委員会で鮎川説明員は、その渇水期の「流量をできるだけ増すというための施設を、ダムを作りましたり、河口せき等を作りましたり、これは流量を増すための施設でございます」。また、一九六一年十月十日の第三十九回国会衆議院建設委員会議事録を見ますというと、木曽川水系についてですけれども、「ほかの水系と同じように多目的のダムとか、あるいは長良川の河口にせきを作るとか。そういうことによりまして、水資源の開発をやって参りたい、こういうふうに考えております。」あるいは建設省の一九六〇年の水資源開発公団の設置についてのところでは、中京、北伊勢工業地帯の目覚ましい発展に伴い急激に工業用水の需要が増大してきているので、河口ぜきの建設を促進し水需要に応ずる必要がある。
 あるいは「長良川河口ダムの構想」という建設省中部地方建設局の、これも一九六〇年の一月ですけれども見るというと、「伊勢湾臨海工業地帯は、若い工業地帯である。その前途は洋々として開かれており、日本のホープである。この地帯の最大の魅力は水である。良質で水量豊かな三大河川をかかえておるこの地域において最近水の問題が深刻に論議されている。これは、一体どうしたことか。姑息な解決は将来に大きな禍因をのこす。伊勢湾臨海工業地帯の将来のために、ここに工業用水に対する根本的に最善の方策のひとつとして、長良川河口ダムによる伊勢湾臨海工業用水道の企画を提案するものである」ということで、一九六〇年あるいは当初には何一つ治水ということはなかったことですよ。それがいつの間にか、利水だけではこれは費用アロケーションの問題等々もひっくるめて十二分に費用を引っ張り出せないということから治水が出てきたというのは、あなた方の資料によって確かじゃないんですか。
#80
○説明員(荒井治君) 昭和三十五年の内部資料に基づきましての御質問かと思います。
 その件につきましては、先ほどちょっと御説明申し上げましたけれども、昭和二十年代の利根川の洪水であるとか昭和二十八年の西日本の洪水であるとか、そういったようなことが戦後続発したわけでございます。そういう中にありまして、木曽川水系等につきましてもいろいろ治水対策についての検討がその当時から既になされていたということでございます。そういたしますと、昭和三十四年、三十五年、三十六年と三年続けて大きな洪水があったというわけでございまして、そのときは当然我々としては治水計画をある程度立案していたという段階でございます。
 ですから、昭和三十五年のデータ、これは確かに内部的な資料であり、まだ利水計画だけの検討資料であろうかと思いますけれども、治水計画というものは既にそれ以前から我々としては十分検討してそういう対応をしようというような段階になっていたわけでございます。そして、それが計画として決まったのが昭和四十年の新河川法による工事実施基本計画であるということでございます。
#81
○西野康雄君 内部資料によるとではなくて、私は衆議院の建設委員会だとか衆議院の三十九回と、これは内部資料じゃないんですよ。内部資料じゃなくて議事録をもとにして言っているんですよ。そんなおかしな答弁ないじゃないですか。内部資料に基づいてと言っているのと違うんです。議事録に基づいてと。この中では何一つ治水のことなんか言ってない。そうでしょう。もしそんなものやったら、この鮎川説明員だとか山内政府委員がちゃんとそういうふうな治水もやってますと言うのが当たり前なんです。当初だとかそういうふうなことを言うと、いつでもあなた方はいやいや当初から治水も利水もありましてと、そんなことを言うけれども、そうじゃないんです。
 この問題は、最初はもう本当に水害であろうとそういうことはまず度外視される。人命を度外視した中で経済の発展はどうしたらいいか、ここで水を確保するためにはどうしたらいいか、こういうふうなところからしか出発してないんですよ。あなた方はそういうふうなことをいつでも、地元の住民だとか国会議員は余り勉強してないから、まあこれでもええやろうと思ってはんのかもしれぬけれども、こういうふうにちゃんと議事録にある。内部資料に基づいているのと違うんです。ええ加減な答弁をせんといてほしいですよ。
 続いて行きますけれども、長良川の河積についてです。河川には広いところと狭いところがあり、これらが全体としてどれだけの洪水を流す能力があるかが決まる。この能力を表現する場合、河積が最も絞られた箇所の値を用いることが適当であり、全体の容積を用いることは適当でない。昭和六十二年度測量結果による洪水を安全に流し得ると推定される水位以下の河積の計画断面の河積に対する割合はおおむね次のとおりであるというふうなことで、私のところに提出してくれました。河口から二キロは八割、二ないし三キロのところは九割、三ないし九キロのところは七ないし八割、九から十八キロのところは九割、十八から二十二キロのところは九から十割、二十二キロから二十七キロのところは八から九割、二十七から三十キロは十割、こういうことですが、もうずっと出していただいた河床年報だとかそういうふうなものから見ると、三ないし九キロの地点が七から八割しかないというこの回答ですが、どうも疑問に思いますけれども、七から八割ということは一番この地点が安全ではないということでしょうか。その三キロから九キロの中でどこが七割なのか、どこが八割なのか、一遍具体的な数値を示してもらえますか。
#82
○説明員(日野峻栄君) 御説明を申し上げましす。
 先生が先ほど御指摘の下流部の三キロから九キロの区間でございますが、昭和六十二年度に測量をいたしました結果によりますと、洪水を安全に流下し得ると推定される水位以下の河積が計画の河積に比べまして七割から八割でございまして、この区間が最も河積が不足をいたしております。そこで、先生の御指摘でございますが、河積が一番不足しているところが一番安全でないのではないかという御質問でございますけれども、水理学的には、河積が不足している地点の影響といいますのは、その上流側の水位上昇としてあらわれてまいりますので、ある地点の河積の不足とその地点の安全性とは直接関係ないというふうに考えております。
 それから、長良川下流部の三キロから九キロの区間以外におきましても、全川にわたって河積が不足しておりまして、この影響によりまして、計算条件にもよりますけれども、上流域において一メートルほどの水位上昇があるものと考えております。
#83
○西野康雄君 片一方で、現在長良川下流部では、計画高水流量の七千五百立方メートル・パー・セクを流下させるために必要な河積の七割程度の河積しか有していないですと。私はもう皆さん方の説明文を読むと非常に不愉快なのは、片一方で八割だとか十割だとか言ってきて、そして一般の人々に宣伝を出すときあるいはパンフレットを見るというと七割しかございません。七割しかないからということで計算してみたら、おかしいやないか、こんなしゅんせつ量七割やったら膨大な量になるやないかと言うたら、こういうものを出してくる。それで全体として安全に流下させる、洪水を安全に流し得る。これで質問したら、どっか七割や八割、これは上流の方に関係してくるんです。それで片方では今後十割まで引き上げていく。
 一体、あなた方は本当に国民の疑問だとか住民の疑問に答えているのか。片方で七割、足りませんよ、さもたくさん足らぬようなことを言うておいて、そして資料出せと言うたら十割のところもあると。どうせまた、こんな細かいところは細いところですと言うに決まっているんです。じゃ細いところをしゅんせつしたらと言ったら、また河道全体をと言ってくるに違いないけれども、誠意をもってこたえていかなければならないと私は思うわけです。
 では、この七割から八割の三キロから九キロの地点を十割しゅんせつしたら、九から十八キロ上の方は大方もうほぼ十割に近い。それはもう河床年報でこの地盤沈下等を見ていくというとほぼそういうふうになってくると思う。どういうふうな影響が具体的にあるのか。ここが細いから、七割から八割しかないからここをしゅんせつしなければなりません、安全度を高めるにはと言っておきながら、今聞いたら今度は上流の方が。上流のどの辺まで具体的にどういうふうな影響があるのか。あるいはしゅんせつ計画というのを出しているはずですね、二百メートルずつぐらいでも。そういうものをきっちりと出してこぬことには、こんな数値なんか信用できないですよ。そうでしょう。片っ方で安全だ、洪水を安全に流し得ると推定される水位以下の河積だ。洪水を安全に流し得るところは七から八割しかない。一番問題になっている部分はこの三キロから九キロの地点じゃないはずだ。どの辺ですか。
#84
○説明員(日野峻栄君) 先般先生に御説明申し上げまして先ほど先生お読みになりました二キロまで八割とか、それから三キロまで九割とか、それから特に一番河積の足らない三キロから九キロまでが先ほど来出ております七割から八割程度と。その上流は八割とか十割というところもありますが、やはりまだまだ河積が少ないわけでございまして、その三ないし九キロのところだけでなくって、どうしても下流も上流もしゅんせつをしていかないといけないということでございます。
#85
○西野康雄君 私が今聞いたのは、どこが危ないんですか、どの地点ですかと、これを聞いてるんです、現状で。そんなもの、どうしてもしゅんせつしなければなりませんというのと答え違いますがな。
#86
○説明員(日野峻栄君) ですから、どこがという点であらわすんじゃなくて、全体にしゅんせつをしないといけないということを申し上げているわけでございます。
#87
○西野康雄君 全体をしゅんせつしなければならないということですか。
 そうすると、この長良川河口ぜきの差しとめの口頭弁論、第二十回の口頭弁論の鑑定人名古屋大学工学部教授足立昭平さんが
  すなわち現状のままの場合には、一二キロメートル地点付近から三〇キロメートル地点付近までの間の水面勾配は、河床勾配よりもずっと急になり、いわゆる低下勾配となる。このことは大流量に対してこの区間がかなりの隘路になることを表している。本件浚渫が施行された場合には、水面勾配が緩和され水位も低下する。
十二キロから三十キロの点が隘路だと言っている。隘路というのは日本語に直すと、これも日本語ですが、狭くて険しいところ。そうすると、そこは九割から十割。片っ方で鑑定書ではこういうふうになっている。あなた方が申請した鑑定人です。片っ方で出してきたのと片っ方でこう見てみるのと、本当に親切心がないというのか、もうばれなかったらどうでもええやないかと言うてるんじゃないか。きっちりと誠意をもってこっからここまでと。
 そうしたら、しゅんせつについて計画を立ててやっていますわな。ダイバーに潜ってもろたら、ほんまにタコ焼きの鉄板みたいなもの、あっちこっちに穴ぼこがあいているだけでいつどこで何をしているんだかわからない。単に穴を掘っているだけだというふうなことも報告として受けておりますが、しゅんせつについて計画を立てながらもちろんやっておられるでしょう。二百メートル置きの恐らくしゅんせつ計画断面を作成しておられると思いますけれども、それを示していただかないと、今までのあなた方の河積がどうのこうのというような答弁は本当に何一つ信用できない、単にこんなもの、八割から九割ですなんてべろべろと出してきたって。出してくれますか、これは質問通告もしております。
#88
○説明員(日野峻栄君) しゅんせつにつきましてちょっと御説明をさせていただきますと、まず河積の必要断面積を確保しないといけませんので、その断面積を確保する。それと一緒に、洪水の安全な疎通が図られないといけない。それから河道の安定が図られないといけない。こういう観点から計画を立てております。
 その計画の内容は、しゅんせつする幅とか、それからしゅんせつする底の深さ、それからしゅんせつする法線などを定めております。この幅につきましては、河口ぜき地点では三百五十メートルとか、あるいはもっと下流は、これは揖斐川と合流しておりますので広うございますが、五百メートルから六百メートルとか、あるいは河口ぜきから上流の方へ行きますと少し狭くなって、十四キロまでは二百七十とか二十六キロまでは二百二十メートル。それから二十六キロより上流はおおむね百七十メートルとか、こんなしゅんせつの幅を決めてそれぞれの断面で工事をやっているわけでございます。
#89
○西野康雄君 私はそんなラフなことを聞いてないです。しゅんせつをするというのは、過去からずっと見てみると、大体二百メートル置きぐらいにそういうしゅんせつ計画断面というのをつくっているはずなんです。それを示してくれと、こう言っているわけです。示してくれますか。
#90
○説明員(日野峻栄君) 今までも御説明を十分してきているつもりでございますが、今後ともよく御説明をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
#91
○西野康雄君 いや、説明をしてくれと言ってないんです。二百メートル置きのをつくっているはずだから、それをば出してくれますかと聞いているんです。私にそんな説明してもらったってしようがないです。
#92
○説明員(日野峻栄君) 後ほど、どういう資料が御入り用なのか少し私どもも検討させていただきましてお示ししたいと思います。
#93
○西野康雄君 別にこんなもの、どんな資料ですか、しゅんせつ計画断面図。どんな資料でもないです。どないやって計画してしゅんせつしているんですか。ここは何百メートル、どれぐらいの水深のところですからこれぐらいですよということだけじゃないですか。どんな資料が要りますかって、そんなもの後で検討してじゃないですがな。私が出してくれというのはそれですがな。それを提出できますかと聞いているんです。これはもう大事なポイントなんです。河床年報だとか全部して、本当に計画高水流量が今不足をしているのかどうかということを決めていく部分においてやはり必要なことなんです。あなたのところの近藤河川局長は、西野先生、お互いに情報を出し合ってきっちりとやりましょうと、こういうことを言ってくれている。あなたは局長のもとでまじめに働いておられるわけですから、その辺は出してくださいと言ったら出してくれるんじゃないですか。
#94
○説明員(日野峻栄君) 先ほどの答弁とダブりますが、どういう資料が御入り用なのか大体わかりましたので、検討の上、またお示ししたいと思います。
#95
○西野康雄君 検討の上、出しませんと言われたんでは困るんです。
#96
○説明員(日野峻栄君) 先ほど申し上げましたとおり、もう少しちょっと打ち合わせをさせていただきまして、御質問の通告は内容いかんということで、私たちもそこまではきょうは用意をしておりませんので、持ち帰りまして検討させていただきたいと思います。
#97
○西野康雄君 委員長、後ほど提出するようにと。
#98
○委員長(安恒良一君) その点は食い違いがありますから、後ほどよくお話をして、資料の要求ですからできるだけ提出をするように努力してください。
#99
○西野康雄君 資料をいろいろ出してもらうんですけれども、これは果たして信用のおける資料なのかどうなのかということが随分と、あなた方が提出してくれた資料をこっち側もいろいろと突き合わせていくと、どうもこれが信用できない。
 例えばこれはあなた方の根拠になっている塩害です。長良川における塩分濃度の予測結果について出してくれました。観測地点は通年観測されているはずでございますけれども、図一の例えば十五キロ地点付近でしょうか、四百何十ppmというふうなえらい高い値が平均として出されております。恐らくこれは長良川十四・二キロ地点のことではないかなと思いますが、ここで観測が昭和五十年一月六日から一年間、通年行われております。そういう中で、例えば二〇〇ppm以上の日を数えてみますと、五十年の一月七日、一月八日、一月九日というぐあいに五十年の十一月十五日までの間に二十一日間しか数えてないわけです。それが平均するというとえらい高い数値になってきているし、この出されたものが例えばTPマイナス三・六メートルの底層なのかあるいはTP〇・〇の表層なのか、さっぱり何ともわからない。これが平均ですよという形でしか出してきていないわけです。データを、こういうのはここでこういう通年観測をしましてこうでしたという確たるものをちきちんと示していただきたいと思います。どうなんですか。
#100
○説明員(荒井治君) 先ほど先生のお示しになりましたデータにつきましては、既に本年の七月に先生に御提出いたしました長良川における塩水遡上の調査データであると思います。この御提示いたしましたグラフにつきましては、長良川において河口の潮位、大潮であるとか小潮であるとか、干潮であるとか満潮であるとか、そういったようないろいろな条件のときに行いました塩水遡上調査の結果をおまとめしてお出ししたものでございます。ですから、それはある一時点、ある一時期のデータをそういう形でおまとめして出したわけでして、これは特に塩水遡上が顕著な場合の期間を想定して観測したデータであるということでございます。
 そういたしますと、先ほどの先生の御質問にございましたように、通年観測しているんではないかというような御質問かと思いますが、これにつきましては、マウンドというのが長良川の場合にはあるということはもう既に御説明申し上げているかと思いますが、河口から十四キロぐらいのところに出っ張りがありまして、それによって上流に塩水遡上が行かないようになっているわけなんです。ですから、それ以上については農業用水であるとか工業用水であるとかそういったような取水に影響がないわけでございますが、そのマウンドの下流のところに水資源開発公団において連続観測しているデータがございます。そういったようなことによりましても、先生にお出しいたしましたデータと同様な傾向を示していることが明らかになっております。
#101
○西野康雄君 そう説明するのはいいんですよ。私は、データを出してくださいということです。今発言の中に、想定して観測と。観測というものは想定するものじゃない。あるものをばきっちりやってくるものなんです。だから、データをきっちり持っているなら持っているで、平均する前のデータはこれですよといって私のところへ持ってきてくれたらそれでいいんですよ。そうじゃないですか。荒井さん。
#102
○説明員(荒井治君) ただいまの御質問でございますが、先生にお出しいたしました四つのグラフがございます。そのうちの一つにつきましては、現在の河床の状況における観測データを何点かにわたりまして観測したわけでございますけれども、そのようなデータを先生の方に既にお出ししているわけでございまして、それは実際観測したデータであるということになるわけでございます。
#103
○西野康雄君 私のところへ出してきたのはこれです。今二十一日間と読んだのは、私の独自の資料です。そんなのは出してもらっていません。だから、このグラフにあるのをきっちりと、なぜこういうふうな平均値になったのかということを出してくださいと。これだけのこういうふうなグラフをつくったのは、こういうデータからこういうふうに出したんですよと。でも、これは私の持っているデータとは全然、納得いかないんです。だから納得いくように、これだけの塩分が遡上しますよ、存在しているんですよということを出してくださいと、こう言っているわけですから、出しますか。
#104
○説明員(荒井治君) 塩分遡上の問題につきましては非常に重要な問題でございますので、どのような資料が御入り用なのか後ほど先生と相談させていただきたいと思っております。
#105
○西野康雄君 つまり私が今まで質問していることは、しゅんせつの量だとかあるいは塩分だとか、こういうものはあなた方はデータをずっと隠してきたことなんです。本当は素直に公表すればいいんです。検討してとか後から先生と御相談をしてとか、そんなことじゃないじゃないですか。出す、これだけで済むことじゃないですか。そうしたら、それは後で私のところへ来て、それはそれでも結構です。
 では次に、現在の時点で塩水遡上の最奥到達距離とでもいいましょうか、河口からどれだけの距離なのかということをちょっと木曽、長良、揖斐の三川について述べていただけますか。
#106
○説明員(荒井治君) 木曽川、長良川、揖斐川というこの三つが入って木曽三川と我々はよく申しておりますけれども、ただいま御質問の点につきましては、塩水遡上の最奥到達距離は河口からどの程度かというような御質問かと思います。
 まず木曽川につきましては、一番東側を流れておりますが、河口からおおむね十七キロ付近まで塩水が現在遡上しております。また、この付近では愛知県の立田村で水稲とかレンコン等の塩害被害が生じております。長良川につきましては、ちょうど真ん中を流れている川でございますが、これにつきましては河口から十五キロ付近まで、通称マウンドと呼んでいますけれども、ちょっと出っ張りがあるわけですが、その辺の上下流の河床に比べてちょっと高いところがあるわけですが、そのところまで塩水遡上が行って、そこでとまっている状態であります。また、揖斐川につきましては、これは一番西の方を流れている川でございますが、長良川と同様に河口から十一キロぐらいのところにマウンドらしきものがあります。現在は、塩水遡上は一応その地点で相当量が抑制されているという状況でございます。
#107
○西野康雄君 立田村のレンコンの塩害、これはいろいろ説がありまして、海水が遡上しているのか、あるいは津島高校というところが地学の先生と一緒になって研究をしてみますというと、どうもそんなに川底からはって上がってくるものではなくて、昔からあるここは沖積層ですから、海成粘土層に水が当たってその塩分を含んだ水が上昇してくるんだとか、あるいは肥料だとかの影響があるんだとか、そういうふうな結果がまとまっておりますから、何なら私この資料を提出させていただきますけれども。
 今、問題の長良川のマウンドですけれども、マウンドでとまっていると。河床年報を一九七二年度のと一九八七年度のと合わせてみました。これはあなた方からの資料ですけれども、どうもあなた方が言う十五キロ付近のその塩どめ役を果たしているマウンドがないように思われるんですけれども、あるとするならば正確な位置、それからどれぐらいのものなのか、ちょっと示していただけますか。
#108
○説明員(日野峻栄君) 先ほど来お話に出ておりますマウンドでございますが、十五キロ前後で上下流に比べまして高くなっているところがございます。ここで塩分がとまっているというのは先ほどのお話のとおりでございますが、十五キロのところで壁のように出ているんじゃなくて、十四キロから十八キロぐらいまでの非常に緩やかなマウンドになっておりまして、大体ボリュームで申しますと二百万立米ぐらいのしゅんせつ量に相当するものでございます。
#109
○西野康雄君 もう時間もございません。
 昔は、これは林泰造鑑定書からちょっと参考にしたんですけれども、どうも十七キロ地点ぐらいにびょうぶのようにそそり立っているマウンドがございます。それが近年地盤沈下によって随分と下がってまいりました。しかしながら、あなた方は絶えず十五キロということを塩水遡上距離で申しております。どうも塩水遡上というのはこのあたりでとまっておるんじゃないか。そこを指して、幾らしゅんせつしたって、ゼロメートル地帯ですからこれはしゅんせつの効果等々もひっくるめてどうもないんじゃないか。あなた方の資料をいただきますというと、どうもしゅんせつするほどのことはない。そして塩水もそれだけ遡上はしてこない。
 利水の面はというと、これはもう御存じのとおりだと思います。水不足だといいながら、四日市工業地帯へ行きますというと、わかっておられるかと思いますが、工場なんかは水を買ってそしてそれをもう使わずに流している。返上をしたらうちの工業用水の会計がパンクするということを、赤字が続くからやめてくれというふうなそういうふうな企業がめったやたらと多うございます。イニシアルで言うたらMだとかそういうふうなところの化学プラントもそうですけれども、そうすると利水もいかぬ、治水の面でいってもどうも何一つしゅんせつだとかそういうもので納得いくものがない。最初から利水の目的でつくって無理やりここまで引っ張ってきた、こういうふうな感じがしてならないわけでございます。
 本当にマウンドはそこで観測されて、そこでとまっているんですか。もう一遍確認します、これ大事なことですから。
#110
○説明員(荒井治君) 先ほど申しましたように、十五キロ付近、この辺に長良川の浅瀬がございます。これをマウンドと言っております。これは後日現地視察もいただけると聞いておりますので、実際に干潮期に見ていただいて、必ず干潮期に表面に出てまいりますので、それがマウンドであるということでございます。
 なお、私先ほど国会議事録資料を内部資料と申し上げましたけれども、ちょっと突然の御質問だったものですから、私勘違いをいたしました。それで、それは恐らく水資源開発公団法の審査のときのいろいろ検討された先輩方の御発言かと思います。その中でも、公団法五十五条によりまして、治水及び利水を目的とする特定施設としての河口ぜきというのが位置づけられております。
 以上でございます。
#111
○西野康雄君 建設あるいは環境、いろんな委員会に所属の議員の先生方が河口ぜき問題について随分と心を砕いておられます。今度この環境特別委員会でも委員長の計らいで視察に行くようでございますが、私は、今まで河口ぜきができたところはどのようになっているかということを申し上げて、本当は長良川の建設現場だけではなくて、まずはでき上がっているところでどんな影響があるのかということをしっかりと見ていただきたいと思います。例えば福山市芦田川、広島県です。ここの漁協組合長はこんな一文を寄せておられます、最近でございますが。
  芦田川に河口堰が出来て十三年、造る時は堰が出来るとよいことづくめの説明で流域住民や漁民農民をだまし一円の補償も出さずに建設したが、堰止めして河口湖が出来た現在では貝類は全滅。鯉ふな等は病気で食用にならず蚊は発生するし、水位が上って流域の宅地・畑は湿地になるし、その被害は大変なものです。建設省はいくら話合ってもなしのつぶて、尚魚道はいつも締っぱなし、堰の管理については我々の意見は一切聞き入れず建設省のなすまま、どんな川でも堰を作らしたらもうだめ、今のうちに頑張って下さい。
 こういうメッセージが私どもの方にも寄せられました。こういうふうなメッセージが寄せられて、建設省にかけ合っても何一つ誠意ある回答がないと、こういうふうなことではだめだと思うんです。ですから、いろんな被害が出たときに、芦田川もそうです、長良川もそうですが、私どもが指摘したことに対して被害が出たときには誠意ある対応が望まれると思いますが、そういう対応はもしできたときでもやられますか。そしてまた、芦田川についてもきっちりと謙虚にこの声を聞いてあげることができますか。
 最後にそれを聞いて、私の時間終わります。
#112
○説明員(荒井治君) 先生御指摘の芦田川の河口ぜきでございますが、この芦田川につきましては、瀬戸内海地方の雨の非常に少ないところでございます。そこに工業立地が行われて、河口ぜきというものが治水、利水の観点からもできたわけでございます。確かに御指摘のように水質の汚濁が懸念されているわけでございますが、これにつきましては流入する支川に高屋川というのがございまして、これは周辺が都市化いたしまして、住宅開発が非常に盛んでございます。そういたしますと、下水道の整備等がまだ不完全なためにどうしても家庭排水等が高屋川に流れ、それがひいては芦田川の本川に流れる。そういうことによって河口ぜきの水質を悪化させているわけでございます。いわば河川側にとりましては被害者の立場でございます。
 そういうような状況でございまして、我々といたしましては、先生の御指摘等もございますし、いろいろそういう水質悪化については河川管理上も捨ておけないということでございますので、直ちにそういったような対策を現在検討しているところでございまして、そういう流入支川の浄化対策または発生した藻類を除去する方法、そういったようなこともまた考えておりますし、魚道につきましてもより効果的な魚道の操作方法、そういうこともいろいろ検討させていただいております。
 また、先般来御指摘いただきましたので、魚道の一部改良を行いました結果、シラスウナギが大量に上がってきたというような成績も報告されております。ということで、我々といたしましては、決して放置することなく、河川環境については万全を期してまいりたいというように考えておりますので、よろしくお願いします。
#113
○西野康雄君 ありがとうございました。
#114
○森山眞弓君 私は国際的な問題から入っていきたいと思います。
 世界の情勢が大変急激に変わっておりまして、予想を超えるスピードで激変いたしておりますことは私が申し上げるまでもございませんが、その中で人類共通の課題、世界がこれから取り組んでいかなければいけない共通の対象は環境問題だということも衆目の一致するところではなかろうかと思います。非常に重要なこの課題、地球環境の問題を責任者として担当しておられるのが我が国では環境庁長官ということでございます。環境庁が創立以来二十年を迎えましたところで非常な重責を担っておられる環境庁長官に対して大きな期待を持っているところでございますが、国際的なそのような中でいろいろな責任を果たしていかなければいけない。その中には、先ほど来お話が出ておりますように、途上国に対する環境保全のためのあるいは環境改善のための技術指導であるとか資金援助であるとかいうことも大変重要なことだと思いますが、私はそれとともに、先進国の仲間の間でも日本はいろいろと果たしていかなければならない役割がたくさんあると思うのでございます。
 その中の一つで、最近私が大変関心を持っておりますのは気候温暖化の問題でございます。気候がどうもこのごろおかしいということは私ども素人の間でもよく話題になることでございますが、これがやはり環境問題に関係があるんではないかということがよく言われるわけでございます。昨年の十一月、世界気候会議の担当閣僚会議というのが行われたそうでございますが、そこで気候変動に関する政府間のパネル、専門家会議の報告書が承認されたと聞いております。これをもとにいたしまして気候変動に関する枠組み条約についての交渉が行われていると聞いておりますが、その中でCO2の安定化目標の設定に関していろいろと議論がなされているということでございます。
 日本はこの趣旨に賛成をいたしまして積極的に協力しようということで、昨年の十月、地球温暖化防止に関する行動計画というものを地球環境保全に関する関係閣僚会議で決定されたものがここにございます。いろいろなことが決められております中に、CO2の安定化目標というのが設定されております。我が国はこの行動計画の中で、西暦二〇〇〇年までに一九九〇年のレベルで安定化するということを関係閣僚会議で決定したわけでございますが、同様の努力を世界じゅうでしなければ温暖化についての対策にはならないわけであります。私の聞いておりますところでは、必ずしも世界じゅうの歩調が合っているとは限らないというふうに聞いております。よその先進国、例えばEC諸国あるいはアメリカなどがどのような対策を検討あるいは決定しているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
#115
○説明員(加藤三郎君) 先生おっしゃいましたように、地球温暖化問題は日本にとりましてもまた世界にとりましても大変重大な問題でございまして、我が国におきましては、先生お触れになりましたように、おおむね一九九〇年レベルで二〇〇〇年安定という線でもって私どもの行動計画を取りまとめ、またそれをしているところでございます。また、ほかの国につきましては、特にヨーロッパあるいは豪州、そういうところでそれぞれ独自に炭酸ガスの排出抑制、国によりましては安定化を超えましてさらに削減を目指す目標を設定しておりまして、いろいろと国内で努力をし、またそれぞれの国での努力を踏まえまして、今まさに先生のお触れになりました来年UNCEDで取り結ぶべく温暖化防止、気候変動の枠組み条約づくりに励んでいるわけでございます。
 その中で、先進国の中でアメリカにつきましては、そういう共通のターゲットを設けて、例えば特に炭酸ガスについて九〇年レベル、二〇〇〇年安定といったような先進国共通のターゲットを設けて対策を進めようということに対しましては、現在のところ極めて消極的な対応をとっているというのが現状でございます。
#116
○森山眞弓君 CO2の排出量を世界的に比べてみますと、今は大変消極的だと言われたアメリカが一番たくさん排出しているというふうに承知しております。ちょうだいしたこの資料によりましても、アメリカが全体の二四・二%ですか、ソ連が一八・七%、中国が九・七%。その三つがビッグスリーですね。日本は人口も多いし産業もかなり発達しておりますが、その割には四・七%とかなり今まで努力をしてきたようでございます。また、一人当たり見ましてもアメリカは五・七九トン、ほかの先進国の倍以上出しているわけですね。アメリカがどういうわけで消極的であるのか詳しいことは私はわかりませんけれども、何とかしてアメリカを説得して、日本あるいはECのほかの国々のようなレベルで目標を設定して努力をしてもらうというペースに引き込まなければいけないのではないかというふうに思うのですけれども、そのような交渉努力ということは続けられているのでしょうか。
#117
○説明員(花角和男君) 世界のCO2排出量の約四分の一を占めます米国につきましては、依然としまして目標値の設定について先ほど環境庁の方から説明ございましたように否定的な態度を続けておりまして、いまだにかたい状況にございます。しかし、米国の態度は来年六月の地球サミットまでには変わり得るという見方も存在するところでございます。また、中国は先進国責任論を唱えているなど多くの開発途上国がCO2排出抑制はまず先進国が取り組むべきであるという姿勢をとっているところでございます。
 このような状況を踏まえまして今後の条約交渉への対処を考えた場合、基本的には先進国、開発途上国を問わず世界じゅうのすべての国が温室効果ガスの排出抑制に取り組む約束をすること、特に先進国は可能な限り開発途上国に範を示し具体的施策を講じていくよう努力していくことが重要であると考えております。
 特に米国についてでございますけれども、先ほども述べましたように種々米国は問題を抱えておるようでございますけれども、前に申し上げましたような基本的認識に基づきまして、米国を孤立させないよう政府間で十分連絡をとりつつ、可能な限り高いレベルのコミットメントを引き出すべく公式非公式レベルで友情ある説得を続けてまいりたいと考えております。
#118
○森山眞弓君 恐らくアメリカも来年までにはもう少し前向きに取り組むであろうという御観測を今いただきましたけれども、そのような方向に具体的に持っていくために日本の政府としてはどのような努力をしておられるのでしょうか。私が仄聞するところによりますと、相手がアメリカなのでということが大変気になるので、外交の場でもまた通産その他貿易関係の方々もアメリカではというので遠慮していらっしゃるというようなうわさを聞いたのですが、そういうことはないのでしょうか。
#119
○説明員(加藤三郎君) 私どもといたしましては、やはり先ほどから先生がお触れになっていらっしゃいますように、アメリカは総量におきましても世界で最も炭酸ガスを出しており、かつまた先生もお触れになりましたように国民一人当たりにおきましても最も多く出しておる。しかも、例えば私ども日本で炭酸ガスの排出量一人当たり約二・五トン程度に対しまして、アメリカは先ほど先生お触れになりましたように六トン前後ということでございますので、二倍以上も出しておる、こういうことでございますので、アメリカに努力をしていただくという気持ちは政府内は変わりないというふうに理解をいたしております。
#120
○森山眞弓君 私のささやかな経験を申し上げましても、特にアメリカはそうですが、こちらが言いたいことをはっきり主張するということは決して嫌われることではないと思うんです。むしろ敬意を表せられると思うんですね。言いたいことがあり、こちらも実績があって経験があって、先ほど申した数字のように日本は大変努力して今日までそれなりの成果を上げているわけですので、このような方法をなさったらどうでしょうか、日本としてはこういうふうに考えますがということを直接アメリカの責任者に率直にお話しなさるということが重要なのではないかと思うんですが、大臣いかがでございますか。
#121
○国務大臣(愛知和男君) この温暖化防止に関して、御指摘のようにアメリカにその気になってもらいましてアメリカにも努力をしてもらうということがどうしてもこれは必要でございまして、何としてもアメリカを説得し、考え方、対応を変えてもらう必要がある、私もそうかたく思います。
 私もささやかな努力ではございますが、七月の末にアメリカに参りましたときに、ライリー長官を初めといたしまして政府関係者また議会の方々あるいはアメリカのそのほかのNGOの方々と可能な限り会いまして、その旨を私なりに一生懸命説いてきたつもりでございます。政府の関係者はまだ非常に姿勢がかたいといいましょうか、今までの方針を変える兆しが残念ながら見えませんでしたけれども、議会の方は今のアメリカ政府の対応ではだめだという意見を持っている議員もかなり数が多くなってきている、あるいはNGOその他周辺の方々の考え方もこれではだめだという考え方がかなりあるように感じました。
 対アメリカだから遠慮するというようなことはこれはいけないわけでございまして、これはアメリカのためや日本のためじゃなくてそれこそ全地球のためなのでありますから、我々日本としても何としてもアメリカに対して、これは何も敵対するというようなことではなくて、先ほどちょっと政府委員からも答弁がございましたが、友情あると申しましょうか、敵対ということではございませんで、とにかく一緒になってこの地球のために頑張ろうではないかという呼びかけをこれからも続けるべきである。自信を持って進めるべきである。先生の御指摘はそのとおりだと思います。
#122
○森山眞弓君 環境庁長官の御努力は高く評価したいと思いますが、外務省の方でも外交の一つの大きな柱として環境問題ということを、対アメリカばかりではなく世界じゅうに対して日本の評価を高めるという意味でも大いにこれを大事な課題として取り組んでいくべきだと思います。その中で、やはり当面の責任者である環境庁長官が率先されまして外務省も督励され、大いに協力して推進してくださるようにお願いしたいと存じます。
 それから地球環境保全のもう一つの重要なテーマで大気汚染の防止というのがあると思いますが、これにつきまして先日新聞で拝見したんですが、九月十二日に発表されました平成二年度の二酸化窒素濃度測定の結果というのがございました。これはいろいろなデータをもとにして、東京、神奈川、大阪地域などでは汚染が依然深刻な状況でありむしろ地域的に拡大しているというようなことが書いてございまして、大変残念だなと思ったわけでございますが、その点について環境庁としてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
#123
○政府委員(入山文郎君) 先般公表いたしました平成二年度の大都市地域における二酸化窒素濃度の測定結果でございますが、先生も御指摘されましたけれども、沿道を中心にいたしまして環境基準の達成状況ははかばかしくないということでございます。これは、従来の規制の効果が自動車交通量の伸びやあるいはディーゼル車の増加等によりまして相殺されることがある、そういうものであると認識をいたしております。
 このため、平成元年十二月の中央公害対策審議会の答申に沿いまして、ディーゼル車を中心とした排出ガス規制の長期目標の早期実現を図っていきたい。それとともに、電気自動車等の低公害車の大量普及に向けまして一層取り組みを進める必要があると思っております。さらに、地域全体の自動車排出ガス総量の抑制方策につきましては、できるだけ早期にその制度化を図っていきたいと思っております。そのために次期通常国会に所要の法案を提出するということを現在検討しているわけでございます。こういった施策を通じまして環境基準の早期達成に向けて一層努力をしてまいりたい、このように思っております。
#124
○森山眞弓君 その発表がありました一週間ぐらい後の九月二十日でしたか、各紙に環境庁の庁内で検討していた検討会の報告案というのが出ておりまして、それによりますと中間報告よりも後退したというような見出しになっているものもございます。詳しく読めばさらにいろいろとデータが出ているのだと思いますが、御説明がありましたようなことでさらに努力をしていきたいという御方針のように今承ったんですが、そういうふうに解釈してよろしいんでしょうか。後退というようなことはないんでしょうね。
#125
○政府委員(入山文郎君) 一部の新聞にそういったニュアンスの記事が出ておりましたが、私どもといたしましては実効の上がる方法で規制をしていきたい、地域全体の総量を抑制するような手だてを考えていきたいということで、現在鋭意検討会において検討中でございます。
#126
○森山眞弓君 今もお触れになった対策の中の一つに低公害車の普及というのがあるようでございます。この開発あるいは普及の状況、現状はどのようになっておりますでしょうか。
#127
○政府委員(入山文郎君) 低公害車の普及拡大につきましては、大都市地域を中心といたしました大気汚染対策の一つとして重要なことであるというように考えております。また、近年の技術開発によりまして低公害車の性能が特定の用途におきましては十分に実用にたえる、そういったものであるということから、その普及拡大を図っていきたいと考えているわけでございます。
 現在の普及の状況でございますが、まだこれは十分にというわけにはまいりませんで、その途上にあると私どもは見ておりますけれども、特に電気自動車の場合でございますと、全国で一千台程度は現に走っているというように私どもは聞いております。
 従来からこういった普及拡大のためにいろんな施策を講じているわけでございまして、一つは公害健康被害補償予防協会の基金によります導入助成でございますとかあるいは自動車取得税等の軽減措置等による普及促進、こういったことで努力をいたしているわけでございますが、さらに今年度からは、地方自治体におきまして公害パトロール車に電気自動車を導入する場合の補助制度を新たにつくったわけでございますが、そういったことでこれからも一層充実を図ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
#128
○森山眞弓君 電気自動車が全国で千台ぐらい使われているというお話が今ございましたが、電気自動車ではなくて、電気バイクというものを普及するということは、私はもう少しやる気になりさえすれば容易なのではないかという気がするのでございます。
 実は私は、ある技術の専門家に聞きましたところ、電気バイクというのは例えば郵便や新聞の配達、このごろ大変はやっておりますピザを家庭に配達するというような、割合に住宅街を細かく走るそういう用途に使えるのではないかということで開発の努力をしている方があるらしいんですけれども、その方に聞きますと、道路交通法でいうところの原付自転車という一番簡単なものですね、そのたぐいを電気でやろうといたしますと、規則によりまして五十ccまたは〇・六キロワット以下というふうな定義になっているそうでございます。五十cc以下というのは結構なんですけれども、〇・六キロワット以下というのが問題で、これがネックであるために実用化が非常に難しいということを聞きました。
 この規則は、聞くところによれば昭和二十年代に、自転車に小さなモーターをつけて足でこぎながら時々そのモーターで補助しながら走るというようなのが昔ございましたが、そのときにつくられた規則であるというふうに聞いております。その時代のまま今もその規則が残っているそうでございまして、そのときは〇・六キロワット以下でよろしかったんでしょうけれども、現在はこういう交通量でありますし、また実際に実用化して普及していこうと思いますと、もっと力のあるものでなければ現実に危険もあり実用的ではないということで買い手がなかなかない。使ってもらえない。したがって開発しても意味がないということで普及及び開発がおくれているんだというふうな話を聞いたわけでございますが、この〇・六キロワット以下というのはなぜ何十年間もそのまま変わらずに置いてあるのでしょうか。
#129
○説明員(樋口忠夫君) お答え申し上げます。
 先生ただいまお話しございましたように、第一種の原動機付自転車の省令につきましては昭和二十九年に制定されたものでございます。その当時、御案内のとおり定格出力を〇・六キロワットと定められてございますが、制定当時におきましては五十ccの内燃機関、いわゆるガソリンエンジンでございますが、その性能と定格出力〇・六キロワットの電動機と申しますかモーター、これがほぼ同様の性能であったということから五十cc以下あるいは〇・六キロワット以下というふうに規定されたというふうになってございます。
 その後、内燃機関、いわゆるガソリンエンジンにつきましては性能の向上が日進月歩という形で今日を迎えてきたわけでございますが、電気バイクにつきましてはここ三十年以上にわたりまして製作されてきていなかったという現状がございます。したがいまして、そのまま据え置かれていたものというふうに解釈しておるところでございます。
#130
○森山眞弓君 製作されていなかったからそのまま変わらなかったというふうにおっしゃいますが、製作し研究する方の立場からいうと、その規則があるので製作できなかったというふうに言っているわけですね。昭和二十九年の時点と今では環境問題についても全然様子が違っているわけですから、この際実際に電気バイクを普及して、ささやかなものではありましょうけれども、ちりも積もれば山になるわけですから、そういうところから普及を進めていくべく規則を改正していただくということは考えられないでしょうか。
#131
○説明員(樋口忠夫君) 運輸省といたしましても、電気自動車の導入普及ということになりますと、公害防止の観点からも大変有効な手段だということは認識してございます。
 一方におきましては、〇・六キロワットのモーターの出力につきましては坂道を上るいわゆる登坂路等における走行性能、これに問題があるというような声を我々も聞いてきてございますので、今後は過去の制定経緯を踏まえながら、関係の役所あるいは関係業界と連絡をとりながら前向きに検討をさせていただこうと思っております。
#132
○森山眞弓君 私が聞いた話では、現在の五十ccに該当する出力を出せる電気の場合は三・五キロワットぐらいにしてもらわないと合わないんだというふうに言っておりましたが、それが正確であるかどうか私には判断能力がございませんけれども、ぜひそのような観点から、現実に使えるものが実際につくられますように、また開発する人たちが張り合いを持って研究して実用化することができますように運輸省としてもぜひお考えいただきたいと思います。
 この規則は恐らく警察も御関係があるんだと思いますが、警察の方でも御異存はないのではないかと思いますが、念のため警察の方の御意見を聞かせてください。
#133
○説明員(武居澄男君) 先生御指摘のように、道路交通法の中の総理府令で五十cc及び〇・六キロワットという定格出力が定められているわけですが、今運輸省さんの答弁にもございましたが、そういったものを見てもやはり日進月歩の技術のすばらしさというのは感じさせられるところでございます。先生御指摘のように、もともと自転車にちょっとしたモーターをつけて十五キロか二十キロぐらいしか走れなかった。そういったものが今現在では五十キロ、六十キロ出せるというようなことで、交通の管理という立場からいきますといろいろと複雑な要素があるんですが、先ほど環境の問題等のこともございましたので、関係省庁と鋭意検討させていただいて、前向きなことで対処をしてまいりたいというように考えております。
#134
○森山眞弓君 電気自動車をもっと普及するあるいはディーゼル車を禁止するとかいうことになりますと、非常にたくさんの関係者があり、また経費もかかるとか研究に時間がかかるとか大変大げさなことになるものが多いわけですけれども、今私が申し上げた点はすぐにもできると私の目から見れば思えるわけでございまして、どうぞ環境ということを重視していただくという観点から、小さなことでも見逃さないで一つ一つ積み重ねていただくということで皆さん御協力いただいて、一刻も早く改善してくださるようにお願いしたいと思います。
 最後に、水俣病のことについてお聞きしたいと思います。
 先ほどもお触れになった委員がございましたけれども、八月七日に福岡高裁から、公害健康被害補償法に基づかない別な概念として和解救済上の水俣病という考え方が示されました。また八月八日には、熊本地裁も同様の見解を示したようでございます。さらに、九月十一日には福岡高裁から、法的責任を明確にするのは判決によるべきであるということは法理論上正論であるといいながら、その一方、歴代環境庁長官が国会や国際会議の場における公式発言の中で水俣病問題についての行政的な責任を認められまして、早期解決に努力すると言明しておられるということも指摘しておりまして、この際国も和解協議に参加してはどうかという提言が行われたようでございますが、これらの動きにつきまして環境庁としてどのようにお考えか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
#135
○政府委員(柳沢健一郎君) 福岡高裁から本年の八月七日及び九月十一日に所見が示されたことは先生の御指摘のとおりでございます。
 八月の所見におきましては、水俣病の病像論につきまして和解救済上の水俣病という考え方が示されたわけでございますけれども、水俣病患者の救済ということにつきましては既に公害健康被害の補償等に関する法律、いわゆる公健法による制度が整備されているわけでございまして、この認定制度における判断条件は医学界の定説を踏まえた医学的に水俣病と診断し得るものは広く水俣病と認める適切なものであるというふうに認識しているところでございます。
 この点につきまして誤解されている向きがあるわけでございますけれども、典型例や劇症例しか認定していないんではないかというふうに言われているわけでございますが、認定業務におきましては、症状のそろわない不全型でありますとかあるいは軽症例の水俣病患者につきましても広く救済しているところでございます。例えば熊本県のこの制度に基づく認定者を見ますると、これまで認定された者のうち半数以上がいわゆる水俣病の可能性は否定できないというそういうレベルで認定されたものでございまして、特に昭和五十四年以降の認定者はすべてこのレベルの方が認定されている、こういうことになるわけでございます。
 裁判所が意図するところの和解救済上の水俣病という概念及び公健法の認定制度との関係につきましては、国としては和解協議の当事者でない以上何とも申し上げられないことでございますけれども、いずれにいたしましても、水俣病の判断につきまして医学的な根拠を離れて交渉等により中間的な基準を設けられるというものではないというふうに考えているところでございます。また、公健法の認定制度とは別に国が当事者となって何らかの別の水俣病といった基準をつくることは政策としての一貫性を欠くので、これも考えられないところでございます。
 それから九月の所見におきましては、水俣病問題におきまして国の解決責任という考え方によって再度和解への参加が要請されているところでございますけれども、こういう解決責任という考え方、これが法律上どのような趣旨のものであるかは明らかでございませんけれども、いずれにせよ本件訴訟は損害賠償責任の有無を争点としているものでございまして、そのような解決責任という考え方をもって和解に応ずるべきかどうかという議論にはなじまないというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、水俣病問題は環境行政の重要課題でございまして、環境庁といたしましてもその早期解決に向けて努力すべきであるというふうに考えているわけでございます。このような環境行政としての職責は、行政政策として所要の対策を進めていくことによって実現していくべきであるというふうに考えておりまして、訴訟当事者の立場で原告のみを対象として対応していくということは適切でないというふうに考えているところでございますので、よろしく御理解いただければありがたいと思っております。
#136
○森山眞弓君 公害の原点と言われる水俣病についてそれがまだ係属中であるということ、そして新しい世界情勢を踏まえて世界の中で環境問題に取り組むリーダーとしても頑張っていかなければいけない、非常に多岐にわたる行政の責任者としての環境庁長官の御決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
#137
○国務大臣(愛知和男君) 御指摘のとおり、水俣病問題は我が国の公害問題の原点とも言われることでもございますし、何とか早期解決を図りたい。これは私どもそういう考えのもとに今日までも努力をしてまいりましたが、現在中公審の答申を待ちまして来年度の施策の中で総合的な対策を講じるべく準備中でございまして、一日も早くこの対策によりまして全面的な解決ができるように願っておるところでございます。
#138
○森山眞弓君 終わります。
#139
○井上章平君 私は地球温暖化問題と長良川河口ぜき問題について二、三質問をいたしたいと思います。なお、この問題につきましては、諸先生方から既にお話もございましたので若干重複するところがありますことをお許しいただきたいと思います。
 まず最初に、地球温暖化問題でございますが、この問題はやがて人類の生存の基盤を揺るがしかねない大変重要な問題というふうに認識いたしております。したがって、長期的な世界的な視野に立った対策が必要とされておるわけでございますが、この防止条約について三回目の交渉会議が過日開かれたと伺っております。ここでどのようなお話があったのか。またこの問題は、先ほど来お話がありましたように、南北問題あるいは主要国間の利害関係といった大変複雑な問題が内在しておりますので難しいと思いますが、実効ある条約が来年の六月ですか予定されておるようでございますが、できるのかどうか、その見通しも含めてお伺いいたしたいと思います。
#140
○説明員(加藤三郎君) 先生お尋ねの地球温暖化枠組み条約交渉、正確に申し上げますれば気候変動に関する枠組み条約交渉会議でございますが、まさにお触れになられましたように、その第三回の会合が今月の九日から二十日にかけましてケニアのナイロビにて、約百十カ国以上の国、それから関係する国際機関、それにNGOなども参加をいたしまして開催されたところでございます。日本からは外務省の赤尾環境大使がいわば主席代表になりまして、環境庁の方からは私自身も直接参加いたしております。
 今回の交渉は約二週間に及ぶ交渉でございましたが、前回に比べますとかなり順調に議事は進められ、分野によりましては検討がかなり進展するなど一応の成果が得られたものというふうに私ども評価をいたしております。しかし一方で、各国間の対立、特に先進国と途上国間の意見の開きもかなり大きいわけでございます。また先進国間におきましても、先ほど来御議論ございましたように、特に二酸化炭素の排出抑制目標の設定に関しまして意見が分かれているところでございます。
 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、簡単に申し上げますと、我が国やEC十二カ国、それから北欧等のヨーロッパの諸国を中心にいたしまして、先進国は二酸化炭素の排出量を西暦二〇〇〇年以降おおむね九〇年レベルで安定化すべきというほぼそういう趣旨の主張をしたのに対しまして、アメリカはそういった目標設定に対しましては極めて慎重な態度を示しておりまして、そういう意味で、先ほどもちょっと触れさせていただきましたように先進国間にまだ見解の相違が残っておるということでございます。
 一方途上国、これはインド、中国などがいわばリーダー格でございますけれども、途上国から見ますと今日の地球の温暖化をもたらした主たる責任は先進国にある、そういう考えに立ちまして、途上国自身には温暖化対策の実施の法律的な義務はない。仮にやるとすれば先進国から資金なり技術なりの十分な提供がある場合、そういう場合に対策を実施するというそういう強い主張もあったわけでございまして、先ほども触れましたように先進国間と途上国との間でもまだ開きがございます。
 さらに、特に温暖化対策に要します資金それから技術の問題につきまして、それを十分に円滑に実施するためにはどうしても新たな基金といったもの、例えば気候ファンドというような、気候基金というようなものを創設すべきだというふうな主張が途上国からございまして、それに対しまして先進国側は、主に既存の支援の仕組み、既存のと申しますと例えば我が国でいいますとODAなどを使いまして二国間で援助をしている仕組み、あるいは世銀その他のいろんな国際機関を通じまして既存の仕組みを最大限活用した上で対応したらどうだという主張をいたしておりまして、この点についても意見の相違がかなり鮮明になっているわけでございます。
 このように条約の成立にはまだ多くの重要なかつ困難な課題を抱えておりますが、何といってもこれは先ほど来大臣も申し上げておりますように極めて重要な問題でございますので、来年六月の地球サミット、UNCEDまでに何が何でも合意に達しなくちゃいかぬということで、環境庁はもとよりでございますが、外務省を中心に関係する省庁一体となって最大限の努力を続けていきたいというふうに思っております。
#141
○井上章平君 ありがとうございました。
 地球の温暖化は既に日々進行しておる問題であります。気象庁にお尋ねいたしたいのでございますが、CO2濃度がだんだん高くなって大気温が上がりつつある。それで、さまざまな問題がこれから出てくるということを恐れるわけでありますが、今日の状況をどのように把握されておるのかお伺いいたしたいと思います。
#142
○説明員(櫻岡勉君) 世界気象機関と国連環境計画によります気候変動に関する政府間パネルがございますが、そこでまとめられました「気候変動の科学的評価」という報告書によりますと、十九世紀末から現在までのおよそ百年に、地球全体の平均地上気温が約〇・三度から〇・六度の上昇、海面水位では十センチから二十センチメートル上昇したと見積もられております。この気温の上昇は、気候モデルによりまして推定した二酸化炭素などの温室効果気体の増加によります昇温量と大まかに一致しているものでございます。しかし、自然的要因によります気候変動も同程度の大きな変動がございますので、現時点では明確に温室効果気体の濃度増加による温暖化が起こっておると結論できる段階には至っておらない状況でございます。
#143
○井上章平君 実はけさ、オランダの環境大臣アルダースさんのお話をお聞きしました。国土の四割が海面下にあるという国の大臣でありますから、大変この問題に対する真剣さは格別なものがあったという印象を受けたわけでありますが、しかし我が国を考えてみましても、海面が上昇することによって単に海岸の低地が浸水するというだけでなしに、これは川を通じて平野の奥地深く海が浸入するということにもなるわけであります。したがって、それ自身国土保全上いろいろな問題を将来にわたって投げかけてくるんではないかという心配をしておるわけであります。
 もう一つ問題なのは、やはり先ほど森山先生からもお話がありましたが、地球温暖化によって気象条件が大きく変わるんではないかということであります。実は私、先日中国へ参りました。ちょうどあの揚子江の大洪水のさなかでありましたが、中国政府の方から、これは一九五〇年以来の未曾有の大洪水である、これは地球規模の異常気象が原因だと思っているというようなお話もあったわけであります。
 地球温暖化が異常気象を招くかどうかということについては、これはなかなか確としたお答えも気象庁からはいただけないのでこれからの問題だというふうに思いますが、しかし国土保全上、例えば今まで気象条件が変わらないという前提で治水対策などは立てられております。例えば超過確率百分の一、百年に一回の洪水を対象にするというのは、これは過去にさかのぼってそういう事象を統計的に処理して百分の一ということでありますから、今後その気象条件の前提が大きく崩れるということになりますと、将来どのような洪水が発生するかということも仮定できなくなるという問題もあるわけであります。こういう問題が地球温暖化について回っておるというふうに私ども認識いたしておるわけでありますが、これは治水対策上、例えば建設省ではどういう御認識で、対策とまではいかないでしょうが、どういう準備をされておるのかということをお伺いいたしたいと思います。
#144
○説明員(日野峻栄君) 御説明申し上げます。
 先ほど来お話が出ておりますこの地球温暖化に起因します異常気象等の影響につきましては、先ほどのように予測することが非常に困難だと私ども考えておりますが、さまざまな学説の中には海面の上昇とかあるいは雨の降り方が不安定になって集中豪雨型になるんじゃないかというような説もございまして、現在すぐは断定できないわけですけれども、治水計画を上回るような現象がもし起こったとしますと社会の存続が非常に脅かされるというような大きな災害になることが懸念されるわけであります。
 このような計画以上の洪水あるいは高潮等が来た場合に、我々超過洪水と言っておりますが、それらの災害に対して被害を最小限にとどめたいということで、危機的な災害からはぜひ回避したいというために高規格堤防、いわゆるスーパー堤防と申しておりますが、非常に幅の広い堤防を整備したり、あるいは洪水流の制御あるいはそれをコントロールする附属の施設とか、あるいは現在都市の随分地下化が進んでおりますけれども、こういう都市施設の耐水化、要するに水に強くする、そんなことなどあらゆる方面でやっていかないといけないと考えておりますが、それらを総称して耐水型地域整備事業と我々銘打って来年度、平成四年度から新たに第八次五カ年計画が策定されますが、それらの中でも強く要求をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#145
○井上章平君 それでは、長良川河口ぜきの問題に移りたいと思います。
 この問題につきましては、既に本委員会におきましてもいろいろと取り上げられてまいりました。また、先ほどは同僚委員からも質疑が行われたわけであります。翻ってみますと、河口ぜきそのものにつきましては、これはもう長良川だけでありませんで、既に多くの河川で築造され、またいろいろ計画され、工事中のものもあるわけでありますが、それぞれさまざまな目的、態様を持って行われております。今日まで、先ほど芦田川のお話もございましたが、それほど大きな問題となったというふうにも伺っていないわけであります。したがって、なぜ長良川河口ぜきなのかという思いがするわけでありますが、いろいろ伺っておりますと、どうもこれは長良川そのものに大きな意味があるのではないかというふうに感ぜられるわけであります。
 実はきょうたまたま、これは朝日新聞の朝刊でございまして、ごらんになったと思いますけれども半紙大の意見広告が載っております。これは「謹啓 竹下登様」とありましたので最初は何のことかわからなかったわけでありますが、読んでみますと、これは長良川河口ぜき建設に反対するキャンペーンというようなものであります。これを見まして、私この中身の批判はいたしませんが非常に特徴的だと思いましたのは、「最後の天然河川」それから「唯一の天然河川」というような長良川に対する形容詞を何度かつけております。そして千二百年に及ぶウ飼いあるいはサツキマス、あるいは「子供たちが泳ぎ、大人になっても人を魅きつけてやまない川」だというふうに、長良川の自然環境といいますか長良川が持つ自然のたたずまいについて非常に多くの人々が親しみ、愛し、思い入れがあるということを痛感するわけであります。
 そういうことではございますけれども、しかしこの長良川の問題を私どもが考えるときにどうしても忘れてならないのは、数百年に及ぶ洪水災害の歴史であり、そこで多くの人が命を落とし、それは今日まで続く治水との闘いの歴史であるわけでありますが、実はこれにはもう全くそれが欠落しておるというのも一つの特徴であろうかと思います。長良川沿川には七十万の人が生活されておるわけでございますが、これらの一人一人の体験といいますか、そういったものには全く配慮されていないというような思いがするわけであります。
 そこで、ここに「最後の天然河川・長良川」と。どういう意味かわかりませんが、これを読んでみますとどうもダムのない最後の河川というようなことのようでありまして、天然河川の天然というのはどうもそのようなことであろうかと思うわけでございますけれども、しかし私どもの長良川についての認識からいいますとむしろ逆でございまして、この河川は木曽川と揖斐川とに挟まれて伊勢湾に出口を持たなかった川であります。長いこと木曽川に入ったりあるいは揖斐川に流れ込んだりというようなことで、流路が定まらない大変危険な河川であったわけです。さればこそ長良川の治水というのは非常に歴史的にも有名であるわけでありますが、これが一本の河川として伊勢湾に河口を持つに至ったのは近々、これは百年にもならないわけです。明治改修の三川分流によってやっとひとり立ちしたといいますか、しかもこれはもう河床から堤防一切全部人工河川、人がつくったものであります。千本松原とかいろいろ景観を褒めていただくわけで大変ありがたいわけでありますが、これらもこの改修の中で実はつくり上げたものであるということであります。
 そういうことから考えますと、どうも長良川についての事実関係をもう少し長い治水の歴史も含めて十分多くの人々に知っていただかないと、これだけ読んだのでは何か長良川についてのイメージが非常に現実とは違ったものになるのではないかというふうなことを、まず長良川河口ぜきの是非論の前にそういうことを強く痛感するわけであります。余り時間もありませんので、この長良川の長い治水の歴史といいますかをお伺いしようと思ったわけでありますが、そういうことで間違いないと思いますが、いかがでございますか。
#146
○説明員(日野峻栄君) 長良川の治水の歴史はただいま先生がおっしゃいましたとおりでございまして、随分この沿川の人たちは古くから今まで悩まされ続けてきたわけでございます。しかし、洪水と人間との闘いがずっと続いてきたわけですが、現在それじゃ治水上の不安がないかというと現在も続いておりまして、日本でも本当に安全度の低い河川でございます。
 一方、先ほど千本松原のお話なんかも出ましたが、昭和五十八年にまとめられました緑の国勢調査という結果がありますが、それを見ましても、人工化率が八三%ということで全国の河川の第二位の人工化率でございます。しかし、本当にまだ今の長良川はきれいなところでございまして、沿川の方々からも母なる川というふうに親しまれておりますので、我々もこの治水事業をやっていきますに際しましては十分環境には注意をいたしまして、この自然環境を守って育てていきたいというふうに考えております。
 この治水がまだ不足ということと、環境が非常に大事だというこの二点を御説明させていただきました。
#147
○井上章平君 それで、先ほども長良川河口ぜきの目的について過去にさかのぼっていろいろ議論のあったところであります。つまり、利水目的であるのか治水目的であるのかということがいろんな場面でいろんな表現で表明されておるということが取りざたされたわけでございますが、しかしよく考えてみますと、千五百億円でございますか、これだけの巨額の経費をもって築造される施設でありますから、つくられる以上はまさに最も効率のいい、いろんな意味で効果の上がることをねらって当然つくられるわけであります。したがって、この種の施設は大体多目的化されるわけであります。
 そこで考えてみますと、先ほど掘削の話があったわけでありますけれども、河川の高水流量をふやそうと思えば、一番簡単にできるのは掘ることだと私は思います。一番安上がりでありますが、しかし幾ら掘ってもいいかというとそうはいかないんで、特に下流部においては当然海水が浸入してきます。塩水の遡上があるわけであります。したがって、潮どめぜきがないとそう掘れるものではないということが一つの制約条件としてあるわけであります。しかし、逆に河口ぜきがあるならばこれはもう最も有利な治水対策となるわけであります。
 一方、利水側から見ますと、川の水は使いましてもまたやがて川に環流されてくるわけでありますから、最下流端で水利用をすることが一番効果的であります。したがって、一番下流で水をとるというのはこれはどのような河川においても鉄則でありますが、一方、これは海水との接点で水をとるわけでありますから、渇水時には当然塩害が生じます。したがって大変苦労をしておるわけでありますが、しかしこれも潮どめぜきができればたちまち解決する問題であります。
 そういうことを考えますと、この長良川河口ぜきはまさに両々相まって治水目的、利水目的が合体したところに千五百億円の巨費をもってつくるだけの意義のある施設が計画される、こういうふうに思うわけであります。実際に過去をさかのぼってみましても、そういう経過を経てこれは計画され、着工されたというふうに私は思っているわけでありますが、どうでしょうか。
#148
○説明員(荒井治君) 河口ぜきの建設の目的、その中における治水、利水、こういったような位置づけはどうなっておるかという御質問かと思います。
 先生御存じのように、この長良川につきましては、濃尾平野という日本最大の地盤沈下地帯でございます。全国の三五%、四百平方キロ以上という広大な土地が海面下にあるという恐ろしい土地でございます。そういったようなところで治水対策をどう講じていくかということが最大の問題でございまして、先ほどお話がありましたように長良川の場合はしゅんせつするしかないと。川を広げるないしは堤防を高くする、これは不可能であるということで、川の底をしゅんせつすることによって洪水を安全に流下しようということになったわけでございます。そういたしますと、どうしても塩水が海の方から押し寄せてくる、どんどん上流に上がってしまうということで、河口のところに潮どめぜき、五・四キロのところに潮どめぜきというものが必要になってくるわけでございます。
 そういたしますと、治水事業であるしゅんせつ、潮どめによる河口ぜき、そしてそれに伴いまして周辺の堤防を補強する、この三つがまさに三点セットで効用を発揮するわけでございまして、単に河口ぜきの一部分を取り上げていろいろ御批判いただいている嫌いもあるわけでございますけれども、そういったようなことについては、私たちといたしましてはもっと総合的な判断をいただきたい、一部の部分だけで論議するのは意味がないというぐあいに考えている次第でございます。
 また、改修につきましては下流の方から疎通能力を上げることによって、それはひいてはずっと上流の方の岐阜とかそういうところまで影響が及ぶわけです。効果が及ぶわけです。そういうことから考えますと、どうしても河口ぜきを早く築造いたしましてしゅんせつを行い、そしてその治水の効果を大いに発揮して、それを上流の改修に効果を及ぼすというようなことが必要になるわけでございます。そういう意味で河口ぜきの意味があろうというふうに思います。
#149
○井上章平君 それで、もともとこの河口ぜきは非常に長い期間調査もし、地元への説明もし、さまざまな経過を経て、大体それはクリアされたから着工されたというふうに私どもは理解しておったわけであります。ところが、着工後いろんな問題が出てきたということであります。
 私も昨年のあれは予算委員会でありますか、いろんな問題が出て、例えばこの工事を中断してでも必要な調査をやるべきでないかというような話があったわけでありますが、その際、既にもう工事最盛期であるから、したがって工事は進めながら必要な補足調査は積極的にやったらどうだというような御提案も申し上げたことがあるわけであります。その後、環境庁長官の御見解に基づきまして環境庁、建設省両省庁間で話し合いをされて追加的な調査を実施しておる、こういうふうに伺っておるわけでございますが、簡単にこの経過を環境庁の方からお答えいただきたいと思います。
#150
○政府委員(眞鍋武紀君) お答え申し上げます。
 長良川河口ぜきの建設につきましては、御指摘のように昭和四十三年に閣議決定をされて既に建設省において工事が進められている事業でございます。しかしながら、自然環境や水質等の環境に及ぼす影響につきましてさまざまな懸念が表明されてきたと、こういう特別の事情を踏まえまして昨年の十二月十八日、環境への影響に関します追加的な調査検討等を提案する環境庁長官見解を明らかにしたところでございます。
 その見解に沿いまして環境庁と建設省が協議をいたしました結果、建設省及び水資源開発公団におきまして学識経験者の指導を得ながら水質や魚類の生息等への影響に関しまして追加的な調査検討を実施して、平成三年度末を目途にして公表するということにしておるところでございます。
#151
○井上章平君 この追加的調査でありますが、具体的な内容、これも簡単に説明していただきましょうか。
#152
○政府委員(眞鍋武紀君) 追加的調査でございますが、環境庁と建設省が協議いたしまして、学識経験者の指導も得まして、まずせきの設置後の水質に関する詳細な予測でございます。それからそのために必要な水質項目。これが第一点でございます。それから第二点目は、せきの設置、水質・流況の変化が回遊性の魚類でございますカジカ類の遡上、降海、生息に及ぼす影響。これが第二点目でございます。それから第三点目は、今後工事が予定されております高水敷におきます動植物の生息に及ぼします影響でございます。これが三点目でございます。
 この三点に関しまして追加的な調査検討を実施しているところでございますが、その結果につきましては、今後、既に実施されました水質でございますとか、あるいは回遊性魚類等に関します調査検討結果を含めまして、取りまとめて平成三年度末を目途にして公表されることとなっておるところでございます。
#153
○井上章平君 だから、今のお話を伺いましてもきょうのこのキャンペーンを見ましても、まさに河口ぜきの建設反対、中止をして調査という、中止ということが強く出ておるわけでありますが、これはどうなんでしょうか、今のお話ですと建設は進めながら成果は得られるというふうに私も思うわけでありますが、これについて建設省はどういうお考えでございましょうか。
#154
○説明員(荒井治君) 長良川河口ぜきにつきましては、先ほど御説明がありましたように、現在環境庁とも調整の上で三項目にわたる追加調査を実施しているところでございます。それらの調査につきましては、現在専門家の知識を得まして鋭意進めているところでございますけれども、河口ぜきを中断しろというような意見も出ているという御質問でございました。
 昭和三十年代に大きな洪水が三年続いてあったわけでございます。この辺は地盤沈下地帯という非常に水害上憂慮すべき地域であるわけでございます。また近年に入りましても、昭和五十一年には長良川の右岸堤が決壊するというような、安八堤防の決壊というような事件もあったわけでございます。これは昭和五十一年の九月でございますけれども、台風十九号によりまして安八堤防が決壊したわけでございます。死者五人、家屋四万一千四百六十二世帯、被災人員十四万六千人という膨大な被害を出したわけでございます。
 そういうようなことから考えますと、我々といたしましては、昭和三十年代に計画いたしました治水計画を一刻も早く完成するということが何よりも六十七万の地域の命と暮らしを守る治水事業ではないかと考えているわけでございます。そういう点から考えますと、この事業につきましては、環境には十分配慮しつつ事業を粛々と進めていくということが肝要ではないかと考えている次第でございます。
#155
○井上章平君 先ほども同僚委員からお話のあったことでありますが、依然として治水上無用ではないか、あるいはこれは治水上危険だというような議論もなされておるわけですね。
 私どもの経験からいいますと、河口ぜきというのは大体どの河川でも非常に期待される。むしろなかなか予算の手当てがつかなくて実現しない。そのためにいろんな不便を忍んでいるというようなところが実態でありまして、河口ぜきの築造をその地域の、特に関係する流域の人たちが無用だから要らないというのはなかなか理解しがたいということなんですね。それと治水上危険といいましても、これはもう多くの実績があるわけでありまして、まさに治水上つくられるものが治水上危険であるということは私どもとしては考えられないことでありますが、しかし現実にはそういう意見があるわけですね。これについてどうお考えなのか。やはり何といいますか、十分理解をしていただくだけの努力がまだ足らないのかというような気もするわけでありますが、どうでございましょうか。
#156
○説明員(荒井治君) 確かに地元には、一部の方々に治水上の不安を訴えている方もいらっしゃいます。具体的に申し上げますと、下流部の長島町におきましては、昭和三十四年ですか伊勢湾台風のときに四百人に及ぶような死者が出たところでございますが、高潮がゲートに反射して破堤するのではないかというような御懸念、また洪水のときに流木とか何かがひっかかって邪魔になるんじゃないかというような御意見、また地震が起こったときに果たしてちゃんと河口ぜきがうまく動くか、動かないでちゃんとしっかりしているか、そういうようないろいろな御不安がございます。
 それらにつきましては、建設省といたしましては高潮時のゲートにつきましては十分堤防の高さ以上に上げるということで、また洪水期の流木の問題もそういったようなことによって十分安全に流下することができるのではないか。これは従前、川を横断するような橋梁がそういったような形でなるべく余裕高をとって安全に流下するということと全く同じでございます。また地震のときに不安ではないか。濃尾地震とか東南海地震であるとかいろいろ経験されているわけでございますが、そういうような意味ではこの河口ぜきにつきましても十分なる過去の知見を踏まえまして耐震設計を行っているところでございまして、我々としてはこういったような御不安に対しては万全の設計を講じる努力をしております。
#157
○井上章平君 この反対キャンペーンを見ましても、やっぱり長良川がたぐいまれな自然景観の保持されておる河川だというふうな評価をいただいておるわけです。これはあなた方河川管理者にとっても大変光栄なことであると思うんです。したがって、これは地域社会のそれだけの輿望を担った配慮を今後とも続けていく必要があると私は思います。
 それで、河口ぜきの建設が行われるといたしましても、長良川だけではありません、俗に木曽三川と言われておりますが、濃尾平野を貫流する三本の河川の現在保有するたたずまい、これは聞くところによると、木曽三川国営公園あるいは県立公園とかいろいろ整備も進んでおるようでございますが、この河川自身の自然環境の保全ということについて十分配慮していく必要があるだろうと私は思いますが、これにつきましてお答えいただきたいと思います。
#158
○説明員(荒井治君) 長良川の場合、特に豊かな自然が現在も十分残っているところでございます。そういうようなことから、我々といたしましては、まず大きく河川の環境はいかに計画し保存するかというようなことを考えたわけでございます。
 それで、実は河川環境管理基本計画というものを建設省としては流域の沿岸の市町村と協議いたしまして策定しております。それによりますと、川の全体の中を大きくゾーニングしておりまして、自然利用ゾーン、それから千本松原のような歴史的なゾーン、それから景観のいい景観ゾーン、そして運動場とか公園に整備したいという要望にこたえましての整備ゾーンというようなところに分けてまずゾーニングをするわけでございます。そういうことで、まず基本的には手をつけるところと手をつけないところを大きく区分けしようというぐあいに考えております。
 そして、この長良川河口ぜきに関連いたしましては、特に現在残されている自然環境豊かな長良川と木曽川の間の背割り堤という堤防、これは二つの川を仕切っているような堤防があるわけですが、十キロ以上ありますが、それについては一切手をつけないようにしようというようなことも考えております。また、揖斐川と長良川の間にあります背割り堤につきましても手をつけないようにしようというようなことで、まず自然の豊かなところはいじらないようにしようというような配慮をしているわけでございます。
 またさらに、今度は人工的な構造物であります河口ぜきを設置するという点がございますので、アユが上るための魚道、サツキマスが上るための魚道、こういったような水産資源が上るための呼び水式魚道であるとかロック式魚道というものをこの長良川の河口ぜきの事業によって開発したわけでございます。また、こういったようなアユとかアマゴ、サツキマスの人工種苗の開発といったような生態学に及ぶような開発も行っているわけでございます。
 また、全面に人工的なブランケット工事というものが行われるわけでございますので、そういったようなこと、さらに昔の植生に復元しよう、アシ、ヨシの復元をしようということで現在いろいろ研究しておるところでございまして、そういったような魚の生息の非常にしやすいようなものに復元しようと。これは実はデ・レーケの明治改修のときに行ったケレップ水制が現在は一番自然環境の豊かなところになっているということからも、我々の土木工事がひいては将来立派な自然環境になってくるんではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
 また、そのほか干潟を造成いたしまして貝類の生息域の拡大を図るとか、また環境教育ということが重要でございます。子供たちの環境教育ですね。そういうことで、長良川の右岸に魚道から魚が上る様子を見ることができるような観察窓をつくりました。こういったようなことで、これは一般の方々にも子供たちにも公開しようということで、自然の生態系を見ていただこうというようなことまで考えているわけでございます。
 こういったようなことによりまして、せき完成後の環境、建設中の環境にも万全な配慮をして工事を進めてまいりたいというふうに考えております。
#159
○井上章平君 時間も参りましたが、愛知長官、長良川河口ぜきにつきましては確かにいろいろな問題はあります。しかし、私はこのせきは一日も早く完成したいという立場で今いろいろ御質問申し上げたわけでありますが、ひとつどうしても私長官にわかっていただきたいのは、長良川というのはさっきもちょっとお話ししましたように濃尾平野の真ん中を流れているんですけれども、御承知のように美濃と尾張とございまして、その境を木曽川が流れております。この木曽川の堤防は美濃側が三尺低かるべし、つまりどんな洪水でも常に美濃側が破堤するように数百年間続けられてきたわけです。したがって、長良川というのは独立した河川になり得なかったわけです。洪水のたびに流路を変えるというような形で、この近辺の人は非常に苦労をしたというそういう歴史があるわけです。
 したがって、明治改修でやっと独立した河川になってこの地域の安全度は格段に飛躍したわけでありますけれども、しかしいつまたどういう洪水災害が起きるかという不安は常に彼らの胸中から離れない。現にあれは昭和五十何年でございますか、破堤して大きな災害もあったということで、決して昔々の物語ではないわけであります。したがって、この長良川河口ぜきにつきましても、流域の皆さんがおっしゃるのはやはり治水対策をもっと早くやってくれと。河口ぜきそのものの効用についてその人たちは詳しく知っているわけじゃありませんが、しかし全体の長良川治水事業を進めるために順序として河口ぜきが必要なら一日も早くやってくれ、そして掘削をやってくれと。そうすることによって上流岐阜市に至るまでの間の洪水対策の安全性が格段によくなるというようなことを身をもって感じておればこそ、この問題については建設促進として皆さん方は要望されておるわけであります。
 実は昨年もこの問題で私予算委員会で質問いたしましたときに、北川前長官は治水問題というのは最大の環境問題なんだというふうなおっしゃり方をされました。確かにこれは一つの見識だと思います。したがってやはり人の命にかかわる、何遍もこれは強調されておることでございますけれども、治水問題は何事にもかえがたい大事な政策課題であるというふうに私は思います。そういう観点からこの長良川の河口ぜきを見ていただきたいと思うわけでございますが、最後に大臣の御所見をいただいて、終わりにいたしたいと思います。
#160
○国務大臣(愛知和男君) 井上先生御専門の立場からいろいろ御質疑等ございました。私もいろいろ勉強させていただきました。ありがとうございました。
 北川前長官が申したと言われました、一度洪水になってしまえばこれは環境破壊の最も甚だしいものだというような指摘はそのとおりだと思うわけでございます。私は治水に関しましては全く素人でございますから私自身コメントする資格はございませんけれども、最近の気象状況等々を見ますと、どうも台風の発生回数も多かったり、台風の進路がどうも従来と少し変わっているような傾向もなきにしもあらずと。こういうようなこと等々考えますと、やはりこの治水の問題というのはますます重要性を増しているのかなという感じを受けたわけでございます。
 しかしながら、環境庁という立場から申しましてやはり長良川の持つすばらしい自然は可能な限りこれを保持、維持していきたい、こういうことでございまして、専門家の立場から建設省とも協議をさせていただいて追加調査などをやらせていただいているわけでございますが、私どもの立場からぜひその点もお願いをしながら進めていただきたい、こういうことでございます。
#161
○高桑栄松君 それでは、質問をさせていただきますが、私は最初に環境アセスメントのことについての質問をしたいと思います。
 先ほど来いろいろ議題になっておりますが、開発と環境アセスメントとはもうこれは不可分のことでございますが、ただ環境アセスメントがあればすべて一〇〇%ということではなくて、いずれも予測でありますから結局何らかの誤差があるわけで、殊にいろんな気候上の変化が今までとは違うような状況になってきますと、その行方もまたかなり変わってくるんじゃないかと思います。
 それはそれとしまして、私は環境庁にも関係をした時代がございまして、環境アセスメントについて大変関心を持って、今でも環境アセスメント法が我が国にないことを私は非常に残念に思っている一人でございます。
 ところで、昭和五十五年の二月に大平総理が国会答弁でこの環境アセスメント法の提出を述べられたというのがありますけれども、環境アセスメント法の提出についてはその後どの点から始まってどんな経過をたどって現在に至っているかということについて、事の成り行きというかてんまつというかを伺いたいと思います。
#162
○政府委員(八木橋惇夫君) 先生の御質問にお答え申し上げます。
 日本における環境影響評価の取り組みの始まりは、昭和四十七年の六月に閣議了解をもちまして「各種公共事業に係る環境保全対策について」という取り決めを行いまして、これに基づき公共事業の実施主体に対しまして事業の環境への影響等の調査を行い、その結果をもとにいたしまして所要の措置をとるということを指導するということを始めましたのがアセスの始まりではないかというぐあいに理解しておるわけでございます。
 そういたしましてその後具体的な事例を積み重ねてまいったわけでありますが、やはり統一的な手続によりまして環境アセスメントを実施する方がいいのではないかということがその中から課題として浮かび上がってまいりましたことから、環境庁は昭和五十年の十二月に中央公害対策審議会に対しまして「環境影響評価制度のあり方について」という諮問をいたしました。それと同時に、一方で法制化に向けました政府部内における調整というものを開始いたしたわけでございます。
 この審議会からは五十四年の四月に、速やかに環境影響評価の法制度化を図られたいということを結論といたします答申をいただいたところでございますが、一方先ほど申し上げました政府部内における調整はかなり各関係方面において難航いたしておりまして、いろいろ議論があり、先生先ほど触れられました五十五年の二月に、大平総理が国会で法制化につきまして最善の努力をするという御答弁もあったという経緯もその中にはあるわけでございますが、五十六年に至りましてようやく政府・与党間の調整が行われた結果、環境影響評価法案というものになりまして国会に御提出をしたところでございます。しかしながら、この法案につきましてはできました上におきましてもやはりいろいろな議論がございまして、国会に提出いたしましたものの採決を受けるには至りませんで、昭和五十八年十一月に衆議院が解散されるのに伴いまして審議未了、廃案ということになったわけでございます。
 そこで、その後五十九年の八月に法案の国会再提出についていろいろ関係者間における努力も行われたわけでございますが、意見の一致が見られるに至らず、結局見送りということになりました。その際法制化の問題は、これについては引き続き検討するということとともに、当面の事態に対応するため、行政ベースで実効ある措置を早急に講ずる必要があるということから「環境影響評価の実施について」という閣議決定が行われまして、現在これによりまして、この法案の要綱を基本にいたしましたものを要綱という格好で統一的なルールに基づく環境影響評価をこの閣議決定に基づいて実施していくということになったという経緯でございます。
#163
○高桑栄松君 今伺ったとおり、大変長い年月があったわけでありますが、私が参議院に出させていただいたのが昭和五十八年七月でございますが、それまで国立公害研究所の副所長をしておりましたので、環境庁の幹部の方々とはしばしばお話をする機会があったわけです。私がこちらに来てから早速、当時正田さんが次官でございまして、正田さんと手を組んで、何とかこれをひとつ通したいと、私はそのつもりで一生懸命やりたいというふうな話でございまして、今言われた経緯でもういいところまで行ったと思ったんですけれども、やっぱりだめだったということを私も当時やむを得ない、残念な話だなと思って、仕方がないなと。そのときは、私が質問を余りするとかえってノーというアンサーが返ってきたらその後が続かなくなる、だからそこまでやらないで、もう少し見ていてくれとかいうお話だったんです。私もそのつもりで何とかと思っておりましたが、結論は閣議決定と実施要綱ということになったわけです。
 しかし、実施要綱というのと法律とでは事業者に対するインパクトもやはり大分違いがあるわけでございますし、例えば法律であれば罰則も伴うでしょうし、あるいは専門家を養成するという大義名分もあるわけですし、どうしても私やはり法律が欲しい。それは我が国自身だけではなくて、世界の中の日本という意味でも私は先進国としての一つの責任ではないかということを常々考えておったわけであります。実際、私は昭和五十九年に国会で二度委員会の質問で申し上げました。八六年の予算委員会でも質問をいたしました。一昨年八九年の百十四国会では、私は本会議でこれを再び強調いたしました。そういう経緯を私持っておりますので、いまだに私は執念を持っているのですが、環境庁はそのつもりでおられますか、どうでしょうか。
#164
○政府委員(八木橋惇夫君) 先ほど午前中に大臣が御答弁申し上げたところでございますが、私どもとしては閣議決定による要綱に基づいてアセスをやっていかなければならないという状況にあるわけでございます。そういう中で、やはりアセスメントそのものをやることが大事だと。それを事業を行うときにきちっと位置づけておく。そのためには、技術指針というものをしっかりしたものにするというようなことを同時にやりながら、アセスを根づかせていくということに最大限の努力を払うということをやってきたわけでございます。
 しかし同時に、やはり先生御指摘のような問題もございますことから、こういった努力を続ける一方で法制化についての検討というものも、環境法制というものはどういうぐあいにあるべきかということを絶えず念頭に置きながら私どもは勉強を続け検討を続けているという状況にあるわけでございます。
#165
○高桑栄松君 私の質問を少し進めてからまたお話をさせていただきます。
 まず、海外開発援助の場合に、公害輸出であるといっていろいろな問題が提起されてきた経緯がございます。例えばマレーシアのサラワクですか、あそこの人たちが参議院まで来られて、私たちも陳情というか御意見を承ったという経緯もございました。そういったことを見ますと、一体公害輸出として問題にされたような事例というのはどんなところに幾つぐらいあったか、主なものとそのテーマぐらいをちょっと教えていただきたい。
#166
○説明員(加藤三郎君) 先生ただいまお触れになりましたように、日本の企業が関係いたしまして海外で事業活動をしてその結果として公害輸出ではないか、残念ながらそういう批判を受ける例というのは確かに先生おっしゃるように幾つかあろうというふうに思っております。
 今、先生が幾つか代表的なことを、どんなものがあるかというふうにお尋ねでございますので、私どもが承知しております代表的な例を幾つか申し上げますと、例えばマレーシアでございますけれども、日本の企業も出資しまして海外で化学工場をつくって、その工場の操業に伴いまして、放射性物質を含んだ廃棄物を周辺に投棄したため住民に健康被害が広がったのではないかということで現地で問題になっておるという事例を私ども承知いたしております。それからさらに、当委員会でもお尋ねを受けたことがかつてあったと思いますけれども、インドにナルマダダムといったようなものをつくろうと。それに対しまして日本が援助に関与したわけでございますけれども、そのダム建設プロジェクトにより住民の立ち退き問題等いわゆる広い意味の環境問題が生じまして、これもまた日本の援助に係るものでございますので、残念ながらそういういわば広い意味の公害輸出といいますか、そういうような批判を招いたという事例があります。
 主なものとして、まだほかにも幾つかございますが、大体そんなところが代表的なものかと思っております。
#167
○高桑栄松君 公害輸出というのも、日本が輸出したのではなくて結果論だったのだろうと私は思いますが、しかしまた一方、途上国のジレンマというのもいろいろあるんですね。その辺ちょっと触れてみたいと思うんです。
 この前アフリカに行きましたときにやはり聞いたんですけれども、アフリカで私が訪ねた国は人口増加率が三%、二十年たったら人口が倍になるという率でございますが、三%のような人口増加率であるとどうなるのかというと、やはり食っていかなきゃだめだから衣食住の必要があるわけです。そうしますと、それだけの土地が要るわけです。例えば簡単に言えば焼き畑農業で森林を焼くとか土地を開くとか、衣食住全部そうなわけですね。しかも食っていけないというので人口は都会に流れてくる。そしてスラム街を形成していく。驚いたことに、ケニアのナイロビは人口百五十万で三分の二の百万人がスラムだと言うので、聞き違ったかと思って百万人は普通なのかと言ったら、いや普通なのがスラムなんだと、そう言うのでびっくりしましたが、それはもう失業者の率が非常に高いことをあらわしています。失業率が高いということは、何とかして食わしていきたいというので開発優先になっていくわけです。開発優先というのが結果として環境破壊を招いている。
 これはマルサスの人口論ではありませんが、人口が増加していっても食糧はそのような増加率ではない。人口は幾何級数的にふえる、食糧は算術級数的だと。そういたしますと、その差がいつかアンバランスになったときに、マンとランドのレシオですね、人口・土地比例が不均衡になったときに何か紛争が起きてくる。悪徳ですね。国と国とであれば戦争でしょう。もっと小さな社会の中では泥棒だとかいろんな悪徳が出てくる。その中の一つを今私はスラムと失業という形で挙げたわけであります。そうすると、途上国のジレンマをあなた方が悪いんだと言っていられるか。これはやっぱり先進国としてはそうはいかないというふうに私は思うわけであります。したがいまして、開発優先というときに結果として起こるであろう環境破壊をどう食いとめるか。私はそのときに経済大国日本が公害輸出だと言われるのを一々弁解に回っている手はないと思うんで、積極的にこれにどう対応するのか。
 私はことしの二月にソウルでありました人口と開発に関するアジア国会議員代表者会議というのに出たのですが、そのとき人口と開発、そして環境が大きなテーマだったんです。だから、結果としては人口と環境が問題になっておったわけでありますが、三角関係であるように説明があったんですが、そうおっしゃったんだろうと思うんですね。しかし、どこが出発点かというと人口でございまして、人口がふえるから開発が要るんであって、開発をふやすから人口が要るんじゃない。人口増加が始まって開発が進む、開発が進むから環境が破壊されるというのでありまして、環境問題というのは突き詰めると、豊かな文化的な生活をしている人たちがライフスタイルを変えればいいという問題じゃないんであって、人口がふえること即環境に影響がある。炭酸ガスだって、人間がふえるだけ炭酸ガスがふえるに決まっていますからね。エネルギーもみんな炭酸ガスが出るわけであります。したがいまして環境汚染の原点は人口増加である。これはもう間違いのない事実だと思います。
 そこで、私がその会議の折に言いましたのは、日本は国内アセスメント法を持っていないので、これは外国人には説明をいたしましたが、持っていませんので、業者はあえて利益に反するようなことはなかなか積極的にはしない。つまり、先方の注文に従ってこっちはやるということである。そうすると、結果として起きる環境破壊というのは、そちら側に環境アセスメント法があった方が間違いなくそれは役に立つからそうしてもらいたい。そういう私は演説をしまして、そして国に帰りましてから環境アセスメント法案の項目というものだけを大急ぎで書きまして、そこに簡単な解説をつけて出席の国会議員全部に出しました。
 そうしたら、やっぱり反応がありまして、五カ国ぐらいからすぐ返事が参りまして、名前を挙げますとマレーシア、スリランカ、フィリピン、チャイナ、こういったようなところから来ております。それを見ますと、私のところは既にインパクトアセスメント法を持っていますとか、大変いい話であったしソウルの話も覚えている、手紙が来たのをすぐ国会に回しましたという国会議員もおられまして、私は大変よかったと思っているんです。そして、我が国は技術援助もできますからと。ただし、もし開発援助を受けるときにはその中の五ないし一〇%はアセスメントに回すように予算を立てた方がいいというような話をしてきたんです。
 そこで私が再び申し上げたいのは、やっぱり今局長がおっしゃったように実施要綱ではこれはインパクトが違う、業者に対して。業者は向こうの法律を守っていればいいという考えがどうしてもありますから、ですからそういう意味で、私は国内アセスメント法というものを持ってほしいということを再び申し上げたいと思います。
 だんだん時間が減ってきましたけれども、そこでもう一つ伺いたいのは開発援助と環境保全という問題で、私がこのごろさっと見ておりました新聞なんかにいろいろ出ておるんです、ODAがどうだとか経団連がどうだとか。これは私の方から申し上げてみますが、ODAは外務省関係ですが、これは環境ガイドラインをつくるということでありました。これはことしの五月の新聞に載っておりました。乱開発防止というのが中に載っております。経団連の地球環境憲章、ことしの四月ですが、これは中身を読みますと、製造業への足かせになるかもしらぬというのと、したがって実効力はあるのだろうかという疑問符がついておりました。
 JCI、国際青年会議所、これは国連本部で模擬国連を開いて何かやった青年会議所の人たちの集まりでありますが、私がここで特に申し上げたいと思うのは、中にあったのが国際環境基準の設定をということが一つあります。そして、それに伴ってというかそれに従ってというか、国内規制を実施すると。これは私は非常に大切なことではないかと思いました。それからOECD、これは環境と貿易の調和というのがパリの閣僚理事会で決まったということでありますが、これはいずれも環境基準を統一してガイドラインをつくるということでありますから、国際的にはガイドラインというのが一つの線なのかもしれません、JCIが国内規制、国内規則をつくってということがありますから。
 しかし、やはり私はどうしてもこの際アセス法を提出してもらいたい。環境白書にも既に予防的環境政策を展開したいということがずっと前から出ておりますが、予防的環境政策の展開というもののベースになるのはどうしても国内の環境アセスだと私は思います。それは法的な根拠がはっきりするからでございます。
 これにつきましてもう一つ申し上げれば、いろんな国際問題で日本というものは哲学のない国ではないかと言われているのは私残念だと思うんです。これだけの英知を集めていて、日本人は国際的にどういうフィロソフィーを持っているのか、そういうことを問われている事件がいろいろとございます。私は、日本が世界に貢献する哲学の中に、やはり今言った少なくとも環境に関しては我が国はこういうことをやっていくんだということが欲しい。そのときに隗より始めないで、国際的にだけ言って自分は何にもしないという手はないのでありまして、どうしても国内環境アセス法をつくるのは、さっき申し上げた開発援助と環境保全というのは、私が挙げたのは各界を挙げたつもりでありますが、ODAと経団連と青年会議所それからOECD、それぞれがみんな同じことを言っているわけです。今環境庁が国内アセスを提唱する絶好の時期到来だと、私きょうはこのことを申し上げたかったんです。大臣の御決意というか、御所見を承りたい。
#168
○国務大臣(愛知和男君) 先生、長年この問題について取り組んでこられて、その中での御意見等承りました。聞かせていただきましても大変説得力のあるお話だったと思っております。
 この法制化の問題につきましては先生御指摘のように、五十九年ですか、あの当時とはいろんな意味での環境といいましょうか変わってまいっておりますので、それも踏まえまして、また先ほど局長から申し上げました環境法制そのものもこれは検討の時期が来ているということも言えますので、そういう中で言葉といたしましては引き続き検討と、前と同じようなことを申し上げるわけではございますが、ニュアンスの違いをぜひ感じていただきまして、私どもとしましてもそういう意味でひとつ検討させていただきたい、このように思います。
#169
○高桑栄松君 大臣の御答弁、ニュアンスは私は私なりにしっかりやるとおっしゃっているようにとりましたから、聞いておられる方々はたくさんおられますので、ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。
 それでは次に、先ほど来質問が委員の間から出ておりましたが、水俣病対策につきまして私は質問をさせていただきたいと思うんです。
 私も医者でございまして、予防医学を専攻してきておりますのでいささかこれには発言をしておく必要があると、こう思ったわけです。何年ごろかはっきり覚えておりませんが、昭和三十年代の後半だったと思いますが、当時熊本大学で公衆衛生学の教授をしておられた喜多村先生のところの実験室で、猫が机の上からひょっと押されて落ちたときに足をちゃんと下につかないでがたっと落ちてしまったのを見て、運動神経、小脳の平衡がやられているんだなというのがわかりましたけれども、そういうのを見せられて、いやいやこれはもう大変な病気なんだなと。なるほど猫が方向というか運動失調で、水俣病にかかった猫が海の中に入っていって、滝口入道ではありませんが猫が入水をしたというのが新聞に載っておりました。
 ですから、そういう病気であるということが昭和三十年の後半ではわかったわけでありますが、私も医学部で予防医学を講義しておりましたので公害は当然私の講義範囲でございまして、だれでも知っておられるPPP、ポリューター・ペイズ・プリンシプルというのがあるわけで、汚染者が払うそういう原則、PPP原則がございます。このときに、ではポリューター、汚染者は特定できるかというのがいつもポリューターペイズのときの問題になるわけで、特定少数の場合というのはむしろ非常にコントロールしやすいし、責任をちゃんと言えるわけでありますが、不特定多数の発生源というのが、自動車なんか困っちゃうわけですね。そういう問題がございますが、原則的には発生源、つまりポリューター・ペイズ・プリンシプルというふうに世界的にそういうふうになっているわけです。
 そこで、行政の立場というのはポリューター・ペイズ・プリン・シプルの中でどの辺にいるんでしょうね。これはちょっと通告はしていなかったかと思いますが、行政の立場はポリューターとペイズの間でどういうところにいるんでしょうか。つまり指導する立場なんだろうか、アドバイスをする立場なんだろうか、どうなんでしょうか。
#170
○政府委員(柳沢健一郎君) 今、高桑先生から水俣病に関しまして歴史的な事実とも言えるべき問題についてお話があったわけでございますけれども、昭和三十一年にこの水俣病という病気が公式発見され、その後昭和四十三年にこれがメチル水銀中毒であるというふうに政府統一見解が出されるまでの間、いろいろ熊本大学等によります原因究明その他の各種の努力がなされた結果、昭和四十三年に原因がわかったわけでございます。その後、国といたしましてはこの問題につきまして、旧救済法あるいはその後の新法でございます公害健康被害補償法いわゆる公健法等によりまして、水俣病の救済につきましておっしゃるPPPの原則をもこれは当然念頭に置きながらその対策を今日まで立ててきたというところでございます。
#171
○高桑栄松君 そこで、私の公害責任論という私が公害を講義していたころのものをちょっと御紹介いたしますと、今でも私そう思っておりますが、ポリューターペイズの因果関係のポリューターの特定でありますけれども、これが未知な場合があるわけですね。未知な場合というのは責任をとりようがないわけです。わかったときは既知であります。既知の場合には、わかっているんだから当然ポリューターペイズになるわけであります。しかし無知の場合というのがあるわけで、無知なものはこれは本当にむちを持ってひっぱたくしかないんじゃないかと思うわけで、これはしようがないわけです。だから、未知と既知とが問題なわけでございます。ですから、未知の場合は仕方がないが、既知でもし隠していたらこれは犯罪ではないか。
 私はよく水俣病の因果関係のことで、それは学生にも言ってきたわけでありますが、水俣病の発生源側のドクターは実験で水銀中毒であるということをわかっておって隠していた。これは発表できなかったという経緯があったというふうに私は承っています。これは、わかった段階からは私は黙っていれば犯罪だと思う。そこが私は問題である。それまではチッソといえども未知であればこれはしようがなかったのではないか。あとは道徳的というかそういう社会的なというか責任は別といたしまして、ポリューターであるかどうかわからないときはしようがないわけだ。だから、行政というのはポリューターではないと思って今さっき伺ったわけです。ないんだからどういう立場をとるのかな、これが私の疑問点の一つであります。
 そこで、ひとつ伺いたいのは疑わしきは救済するという考え方、これについては基本的な態度として環境庁はどうお考えでしょうか。
#172
○政府委員(柳沢健一郎君) おっしゃった疑わしきは救済という表現でございますけれども、これは社会的にいろいろな意味で使われておりますので、一般的に解釈をするということは大変難しいというふうに感じております。
 水俣病に関しましては、過去例えば大石元長官がこのような表現を使われたことがございます。この場合の趣旨は、疑わしいということは医学用語としての疑わしいというものでありまして、記録等によりますれば、まず五〇%、六〇%、七〇%も大体こうであろうけれども、まだいわゆる定型的な症状が出ておらぬという場合のことであるというふうに言っておられるものでございます。
 水俣病の認定につきましてはこのような考え方で、確定的に水俣病と言える場合にとどまらず、医学的な根拠から水俣病と判断し得るものは広く認定しているということでございます。
#173
○高桑栄松君 今御説明ございました疑わしきというのが症状なわけで、それは医学的な範疇にあると思います。したがって、私の先ほどの公害責任論で言うと、疑わしいというのは未知でもないが既知でもないという真ん中辺なわけですよ。だから疑っているわけであります。したがいまして、これは研究が進展することによって解明が進めば、疑わしくなくなるというのは二つあるわけですね。全く関係ないんだというのと、間違いなく水俣病だというのと二つ出てきますが、解明が進めばの条件が一つございます。解明が進むまではどっちだかわからないというときには、責任の所在としては大変不確定なことになりはせぬか、私は公害責任論からいうとそういうことになるのじゃないか。
 そこで、今お話がありましたが、水俣病の判定条件というのは、主要症状というのは神経系統の中毒学の大家がお集まりになって文献をもとにしていろんなことを検討されて決められた条件だと思いますが、ここで私がちょっと疑問に思うのは、一九七一年八月七日の次官通知は「いずれかの症状」があればと書いてありました。七七年七月の通知、これは環境保健部長通知なんですが、これは「症候の組合せ」となっているんですが、これはどうしてこういうふうに違ったんでしょうか。
#174
○政府委員(柳沢健一郎君) 仰せのとおり、水俣病は主に中枢神経系が障害される疾患でございまして、その主要症候といたしましては、症状でございますけれども、感覚障害あるいは運動失調、平衡機能障害、求心性視野狭窄、その他の眼科または耳鼻科の中枢性障害を示す症状があらわれるわけでございます。
 これにつきまして昭和四十六年の事務次官通知では、主要症状のうち「いずれかの症状がある場合」との表現が御指摘のようになされているわけでございます。これは当時、主要症状をすべてそろえた者のみが認定の対象となるのかということが問題となっていたことを背景に出されたわけでございます。その趣旨は、事務次官通知の後の公害保健課長通知で明確にしているわけでございますけれども、主要「症状の一部でもそれが有機水銀の影響による場合があり得る」ということでございまして、一症状のみということを念頭に置いているものではございません。また課長通知では、水俣病の認定は「水俣病に関する高度の学識と豊富な経験を基礎」として「医学的判断をもとに」行うべきであるという考え方を明確にしているわけでございます。
 一方、昭和五十二年の環境保健部長通知でございますけれども、これは昭和四十六年の通知の医学的な判断により行うとの考え方を受けまして、その後の医学的な知見の集積を踏まえ判断条件の具体化を図ったものでございます。
 このように、昭和四十六年の通知と昭和五十二年の通知、これは医学的な知見により判断するという点で一貫しているわけでございまして、考え方や運用に差はないものというふうに考えているところでございます。
#175
○高桑栄松君 ところで、昨年の暮れごろから高裁一つと地裁四つですかのところから、それぞれ福岡、東京、熊本、京都、こういったところで和解勧告が裁判所から出されております。そして和解協議会というのが持たれているというふうに聞いておりますけれども、和解協議会の構成メンバーというのはどんなふうになっているんでしょうか。和解協議会のメンバー、構成メンバーは。
#176
○政府委員(柳沢健一郎君) ちょうど一年前の昨年の九月二十八日以降、各地の裁判所におきまして和解勧告がされたわけでございます。この和解勧告に対しましては、国はこの和解勧告のテーブルに着かないという立場でもって一貫して今日まで来ているところでございます。したがいまして、現在和解の協議のメンバーといたしましては、原告とそれから被告の方はチッソ並びに熊本県ということでもって構成されているところでございます。
#177
○高桑栄松君 もう一つ伺いたいのは裁判関係でありますが、和解救済上の水俣病という表現が今度出てきておりますので、これはどう受けとめておられますか。
#178
○政府委員(柳沢健一郎君) 和解協議の中での条件でございますので、和解協議に参加していない国といたしましては本来コメントする立場にないわけでございますけれども、ただし、この水俣病患者の救済ということにつきましては、既に公害健康被害の補償等に関する法律いわゆる公健法による制度が整備されているわけでございます。この認定制度における判断条件は、医学界の定説を踏まえた医学的に水俣病と診断し得るものは広く水俣病と認める適切なものであるというふうに認識しているところでございます。よって、例えば一症状のみをもって水俣病と判断すべきというような意見につきましては医学的な根拠は乏しいというふうに考えておるところでございます。
 また、和解救済上の水俣病ということにつきまして裁判所がどのような趣旨で言われているか承知していないところでございますけれども、医学的な観点から見ますれば、水俣病が発症するには相当量の魚を摂取し発症閾値を超えるだけのメチル水銀の蓄積が生じることが必要でございます。魚の汚染程度はさまざまでございまして、魚の摂食量は個々人で大きく異なるため、居住地域や居住時期でこのような水俣病が発症する程度までメチル水銀を摂取したものを特定するということは困難というふうに考えられるわけでございます。また、四肢の感覚障害につきましてはこの症状だけで水俣病と判断することは医学的に無理でございますが、そもそも四肢の感覚障害はその他の多くの原因で認められるものでございまして、種々の検査を行っても約半数のものは原因不明であるというふうにも言われているわけでございます。こういったようなことを念頭に置く必要があろうというふうに考えておるところでございます。
#179
○高桑栄松君 どうも時間が少しなくなってきて、私も演説を少し延ばしたいんですけれどもなかなかできませんので、若干私の意見を入れながらお話をしていきたいと思います。
 国は裁判の結果を待ちたいと思っておられるようでありますが、私自身は医学論争というものが裁判になじむものではないと思っておるわけです。学問ですから真理なんですからどっちかにしかないのであって、裁判という形のものでは僕はないと思うんです。補償の額が幾らだなんというと、それは幾ら幾らというのは出す方は少ない、もらう方は多い方がいいということはございますが、イエスかノーの決着というふうな医学論争は私は司法になじまないと思うんです。
 これは十七世紀の話でありますが、ガリレオ・ガリレイが御承知のように地動説を支持いたしました。そうして地動説放棄を命ぜられたのが一六一六年ということでございます。しかし彼は放棄しなかったわけです。そして一六三三年かなローマに幽閉されて、やがて出された。それは裁判によってやられたんですね。宗教裁判だったようであります。そして幽閉された後出されたときに、それでも地球は動いていると言った。これは学問なんですよね。裁判じゃないんだ。だから、私はいつもそれを思い出すわけです。
 そのガリレオ・ガリレイが十八歳でイタリアの医科大学に入ったらしいですね。そして医科大学をやめて数学に転向した。そのときの言っている言葉が少し腹が立つんですけれども、医者というのは収入は多いが医学は幼稚な学問だと言ったと伝えられているんですね。全くおもしろくないんですが、これは何を言っているかというと、幼稚というのは表現が、私は彼が生きていればちょっと注意をいたしたいと思いますが、医学にはファジーなところがあるわけでしょう、あいまいさがあるわけですよ。今、部長が一生懸命に言っていましたけれども、一つの症状だけでこれは特定できない、因果関係は。私はそれは医者ですからそう思いますよ。しかし、何かもう一つないのかと私やっぱり言いたいわけだ。医学はファジーなんです。決して幼稚ではございません。ファジーな部分を持っている。
 それは人間の反応そのものがファジーなんだから、ぶん殴られても痛いと思わぬ人もいれば、殴りかかっただけで痛いといって気絶する人もいるかもしれない。みんなファジーな反応を持っているわけです。個体差というやつですよ。物理学者は体温をはかるのをあれは何やっているんだと言うそうですね。彼らは〇・一度がどう違ったかなんというのを問題にするわけですが、こっちはそんなことないわけですね。少しぐらいずり落ちてもまあ三十六度か、大したことないやというようなものですよ。ですから、そういう意味でファジーな学問であるということで、私は医学論争は司法にはなじまないと昔からそう思っています。
 ですから、私が環境庁に言いたいのは、そういうところからいって裁判待ちというのはどっちに転んでも私は腹立たしいと思うんです。裁判でなぜ決めるんだと。これが医者としての私の立場。私はそれはけしからぬと思うんです、どっちであっても。何で裁判官に決めてもらうんだ。学問ではないか、サイエンスではないかということであります。
 それからもう一つは、私が察するところ、国が今までやってきたのは高名な医学者の中毒学の大家がみんなで相談をして天下に恥じない判定基準を出したわけだ。私はこれに反論する論拠など何もありませんから、立派なものだと思っています。しかし、それはイエスかノーかであってファジーな部分というのはないわけですよ。私が取り扱おうと思っているのはファジーな部分なんですね。つまり、医学の幼稚な部分と言われるのはそこですよ。ファジーな部分をどう扱うのか。したがって疑わしきというのは、私がさっき申し上げましたが未知でもない、既知でもない、真ん中だと。
 つまり、そうすると責任というのはないんですよ、ここでは。未知なら責任がない、既知なら責任があると申し上げました。その真ん中辺だから責任がないというか半分あるというか責任が不確定である。その段階で国は救済責任があるという裁判所の勧告があったようですね、国は解決責任を果たすべきであると。その意味は行政責任をとれといっているというふうに私はとらぬわけです。これはとりようがないんだもの、だってはっきりしないんですから。そうすると、それは国の責任というのはもう外して、あとはただ社会学的にというか、何か決着をする方法はないかということを私は言いたいんですね。
 それはあの重松逸造先生、環境庁委託調査研究班の班長のお言葉が載っていました。割に最近の九〇年五月の新聞でありますけれども、条件が二つあったようですね。私がメモでとりました。これは予防医学の大学者です。国立公衆衛生院の部長をなさったお方ですから、金沢大の教授になられてそれからABCCの理事長ですかなんかなさいましたから、これはもう大学者です。この先生が、一つは認定問題の前に患者救済という原点を忘れないでということがあります。もう一つは厳密な医学論議だけでは被害者救済がおくれてしまうということが入っていました。
 確かにそうだと思うんですね。水俣病が昭和三十年の初めに起きた。昭和でいうと今は六十六年ですね。三十年は経過したわけです。今は対策がきっちりやられているんですから新しい患者の発生はない。あり得ないわけです。あとは皆さん年をとっている人たちだけが残っているわけだ。それを患者救済がおくれてしまうとおっしゃったんだろうと思います、重松先生は。ですから、そういうのを私は踏まえますと、環境庁の行政責任というのは、もうこの場合はファジーな場所なんだからしようがないからこれは置いておく。そうではなくて、あとは社会学的な意味での救済方法があってもいいのではないか。
 私はそう言いながら医学的な条件を出したいものですから、もし言うとすれば、疫学的条件というのは部長のさっき言われたようにそこに住んでいただけではだめだと。空気吸っただけでも条件になるのかみたいな言い方もあるわけだから、だからこれをもうちょっと詰める方法はないか。やはり仕分けが要ると思うんです。救済といっても手を挙げた人みんなというわけにはいかない。仕分けをする方法に何か研究ができないか。今の疫学条件という一つが入りましたからそういう、疫学じゃない、あれは疫学的だと思います。ああいうのを疫学条件なんて言いませんから、居住だけではそんなこと言わないと思います。それから診断症状についての方法論というのを研究していく必要があると思う。より正確にというのは、イエスかノーかをもうちょっと仕分けができる方法はないか。
 ですから、そういった二つの条件というのを、私どもの医学的なことを言ってそれ以外のことを言っておりませんが、大臣であればもう少し別なファクターを入れてもいいのかもしれませんけれども、この際そういう意味で環境庁の責任というのは絶対わきに置くべきものだと僕は思っているんです。これは医者としてはどうしようもない、私はそう思います。医学的判断はもう置くべきだ。そうすると、あとは社会学的というか政治的というか、何らかの決着を図る今時期ではないだろうか、こう思うんです。
 大臣のお考えをひとつ承って、時間がもう過ぎましたので終わりにしたいと思います。
#180
○国務大臣(愛知和男君) 先生、御専門のお立場から大変御含蓄に富んだお話を承りましてありがとうございました。
 最後に御指摘のとおり、この水俣病早期解決を図るべきときだ、このように私どもも思っておりまして、それを総合的な対策ということで何とか平成四年度から実施したい。ついては、今中公審にその内容について答申を求めておりまして、それを得て平成四年度からこれを実施する、そういう中で政治的な判断等々もあるいはなされるかもしれません。そういう中で解決するのが最善の道である、このように判断をいたしておるところでございます。
#181
○高桑栄松君 終わります。
#182
○沓脱タケ子君 それでは、しばらくの時間ですがお伺いいたします。
 依然として大気汚染、とりわけNO2汚染実態というのは一層深刻になっております。同僚委員からもお話が出ました。環境庁のNOx総量規制の三地域九〇年度測定結果というのをちょっと見て私も驚きましたが、幹線沿道の自排局で三地域ともほぼ一〇〇%近く環境基準の上限の〇・〇六ppmをオーバーして、居住地域でも昨年よりはさらに悪化をし、大阪では汚染濃度が高くなって過去最悪になってまいっております。さらにこれは心配だなと思ったのは、三地域ほとんどひどいわけですけれども、特に東京の最高値が〇・〇八九ppmです。大阪でも〇・〇八一ppmというんですから、これは政府が定めた環境基準〇・〇四ppmから上限の〇・〇六ppmをはるかに超しております。加えて浮遊粒子状物質、SPM、それからオキシダント、これ全部未達成、不達成というんですかね。
 こういう状況で特に私心配だと思いましたのは、総量規制の三大都市圏から、首都圏では埼玉の南部、浦和、大宮、それから千葉の西部、千葉、市川など、それから神奈川全域へ、近畿では堺、西宮、芦屋からさらに枚方、高槻、神戸、伊丹ということで大都市周辺に広がっているという事態でございます。こういう点について環境庁ではどういう御見解ですか。
#183
○政府委員(入山文郎君) ただいま調査の結果につきまして先生の方から詳しいお話もあったわけでございますが、私どもが今把握しておりますことにつきましてまとめて申し上げたいと思います。
 既に平成三年の九月十二日に発表したわけでございますが、結果の概要につきましては、昭和五十三年度からの継続測定局における年平均値で、自動車排出ガス測定局のいずれも五十三年からは改善の傾向にあったわけなのでございますが、六十年度から六十二年度にかけまして悪化をしておるということでございます。それから、六十三年度以降につきましては横ばいに転じております。そして今回の結果でございますが、これもおおむね前年並みに推移をしているということでございます。
#184
○沓脱タケ子君 前年並みが自排局で一〇〇%近く〇・〇六・ppmをオーバーしているというのは深刻ということに受け取っておられるのかどうか、そういうことですよ。事実は報告によって明らかなんです。
#185
○政府委員(入山文郎君) 私どもこれは非常に憂慮すべきことであるというように受けとめているわけでございまして、今後できるだけ早期に環境基準を達成したいというように考えているわけでございます。
#186
○沓脱タケ子君 私がちょっと触れました現在の三大都市指定地域から広がっているという点で、これは総量規制地域を拡大していくというふうなことを対策として考える必要があるんではないかというふうに思いますが、それはどうですか。
#187
○政府委員(入山文郎君) 総量規制地域を拡大するということよりも、今私ども考えておりますのは、このように汚染が広がっている状況を従来の手法だけでは十分に抑制することができないということでございまして、現在そのための検討会をつくりまして現実的に有効な手法を検討している段階でございます。
#188
○沓脱タケ子君 時間が余りないものですからあれなんだけれども、私は実際は国の公表結果により事態というのはもっと深刻だというふうに思うんです。といいますのは、ことしの六月の六、七の両日に、非常に精度の高い簡易測定装置の開発されたものを用いて、住民の手で東京都内一万五千人が参加をいたしまして二万一千八百二十カ所で測定した結果を見ますと、最高値は〇・一一八ppm、幹線道路沿いでは軒並み〇・一ppmを超えている。さっきも申し上げたように汚染地域は二十三区から多摩地域など周辺に及んでいる。こういうことは御承知なのかというのが一つです。
 それからもう一つは、これは東京都の環境保全局が常時測定局の周辺の濃度分布というのを調査したことがあるんです。そうすると高濃度の地点でも沿道から五十メートル離れるとNO2の濃度は三割程度カットになる。それで、百メートル離れると四五%カットになる。だから距離によって測定値に違いができるということが言われている。
 さらに、これ同じく東京都の平成三年度の監査報告書に、これは大変的確な指摘だなと思ったんですが、測定場所、これは大気測定局の高さと沿道からの距離、これによって正確な把握ができないことになるので改善命令というのが出ているんですね。これはちょっと驚きました。確かに離れると違うんですね。高さもこれは一般局の採取地というのは地上から一メーター半から十メートル、そういうふうに決めているらしいんだけれども、三十九局のうち六〇%が基準をオーバーして、一番高いのは三十一・五メーターのところに測定器がある。自排局でもこれは距離が離れるとうんと違う。三十メートルから八十メートル離れているものが九局ある。離れるとこれは正確でなくなる。したがって、正確な汚染度を把握するためには設定基準どおりの位置で測定しなければならない、こういう監査報告書が出ている。これは実に丁寧だと思います。
 その中で、測定局の管理体制を厳重にやらなかったらこれは正確な汚染度はつかめない。環境庁が言うておられる校正用の補正値ですか、静的校正を環境庁は言うておられるけれども、これは化学品検査協会ですか、研究者間では動的校正の方が正確だというふうな意見なども出ておりますが、こういうことの御意見が出ているということは御承知なのか。また承知しておったらこれにどう対応なさるおつもりか、それをちょっと聞きたいですね。
#189
○政府委員(入山文郎君) 初めの二万カ所以上の測定についてのお話でございますが、このことにつきましては私どもも承知をいたしております。多数の住民の方々が大都市の大気汚染に深い関心をお持ちになりまして、みずからも努力をされているということにつきましては私どもは深く敬意を表しているつもりでございます。
 その結果でございますが、自治体が測定をいたしております結果と必ずしもそれは一致しない数値もあるわけでございますが、おおよその傾向といたしましてはやはり汚染が広がっているというような認識につきましては、私どももそのように感じているわけでございます。
 それから、東京都の測定局の設置基準の問題でございますが、確かに御指摘のように基準から外れているというものが何カ所かあったということは私どもも承知いたしております。東京都からも十分に聞いているわけでございますが、東京都といたしましては早期に改善を図っていきたいということを申しておりますし、都の責任において対処すべきものであろうと私ども思っております。
 それから静的校正、動的校正という技術的な問題についてでございますが、確かに私どもの測定の基準といたしましては静的校正をするようにということで通達もいたしております。これは中公審におきまして学問的な知見に基づいてそのような答申をいただいておりますので、それに基づいて私どもも採用しているわけでございますが、先生おっしゃいますように動的校正の方がベターであるというような学説と申しますか、そういうことを主張される方ももちろんございます。ただし、測定のいろんな条件があるわけでございますし、技術的な問題点もいろいろあるわけでございまして、一概にすべての場合において動的校正の方が静的校正よりもベターであるというわけにはいかない。現実の問題としては、現在の静的校正で私どもはいいのではないかというふうに思っているわけでございます。
#190
○沓脱タケ子君 私はぜひ動的校正にしなさいと言うているんじゃないんです。そういった研究者の研究成果というのをできるだけ取り入れて、そして汚染度をできるだけ正確に把握するということがまず環境庁としての仕事の中心的課題だと思います、実際は。東京都は監査委員から監査報告書が出たから対応する。しかし、それじゃ大阪や神奈川はどうするんだということになりますから、やはり環境行政としてはそういった正確な把握のために環境庁としての対策を強化してもらわなかったら意味がないわけで、それをどうなさいますかということを聞いているんです。
#191
○政府委員(入山文郎君) 測定法につきましていろいろと技術的に向上させていかなければならないと私ども常に思っているわけでございますが、今後も最新の知見を集めながら不断に努力を重ねてまいりたい、このように思っております。
#192
○沓脱タケ子君 時間がないのでしようがないから前へ行きますが、できるだけ汚染度を正確につかんでもらいたいということは、これは随分御苦労されておりますけれども、やっぱり改善はされない。それはそうなんですよ、三大都市圏見ましたら汚染源が広がっているんだから。開発がどんどん進みますから、高速道路等が次々計画をされ広がっていっていますからね。道路ができたら車がふえるんだから、当然のこととして排ガスが広がるのは当たり前なんです。これは東京でも大阪でも同じなんです。NO2汚染の元凶というのは今ディーゼル車だということはもう衆目の一致するところでありますが、調べてみたら随分ふえているんですね。八七年と九〇年を比較して、ディーゼル車は三四%ふえているんです。それで軽油も三年間で二五%販売量がふえているということになりますが、私が非常に心配だなと思いますのは、このディーゼル車の排ガスというのはガソリン車の排ガスと比べてNOxでは、あるいはNO2でもいいですよ、約十倍ぐらいの汚染度になっているんじゃないかと思いますが、認識は一致しますね。
#193
○政府委員(入山文郎君) 私どもも御指摘のように汚染の大きなものがディーゼル車によるものであるというふうに認識をいたしております。
#194
○沓脱タケ子君 これはもう時間的な都合があって言えないんだけれども。
 一方、公害患者はやっぱり急増していますよ。八八年以降これは新規患者を打ち切っておりますけれども、大気汚染認定患者というのはどんどん年がいっていますから亡くなっているのが非常にふえています。東京の例をとりますと、昨年度で五百七十二人が亡くなって、十年前に比べると二倍の数字になっています。ちょっと比べるのは例が悪いけれども、交通事故死よりも上回るという結果になっております。
 さらに、旧指定地域で十三地域の大部分が自治体認定で公害患者、特に年齢制限十八歳以下、十五歳以下ですがやられておりますけれども、東京では指定解除後三月末で二万五千六百八十五人、全国的に見ますと四万人を超えています。大阪もこの間調べてみたら、市内だけで七千五百人を超しているという状態なんです。東京都の大気汚染の健康影響調査とか大阪府の大気汚染の健康影響評価という点では、これは排ガスとぜんそくの関係、とりわけ子供を対象とした、小学生を対象とした部分では、努力性肺活量ではNO2濃度の高い地区の子供たちがほかの市部に比べてかなり劣っているというふうな結果も公表されています。
 こういう現状から見まして、私は公害補償法の指定物質にやっぱりどうしてもNO2を加えて、これだけ被害が広がっているんだから指定地域の検討にかかるべきではないかと思いますが、これはいかがですか。
#195
○政府委員(柳沢健一郎君) ただいま先生から、東京都を初めといたしまして各自治体等で条例等に基づきまして助成の対象にされております疾病の増加といったような問題について問題提起がなされたわけでございます。
 これにつきまして環境庁といたしましては、昭和六十一年十月の中公審で示されているように、これらの疾病は現状の大気汚染による影響の可能性は否定できないけれども、主として大気汚染によってもたらされるものというふうには考えられないと。御指摘のような疾病は非特異的疾患であるということからもそのように考えておるところでございます。
 それから東京都の先般発表されました健康影響調査報告書でございますけれども、これにつきましてもある症状につきましては仰せのように有意の差が出ている場合もございますけれども、一方、例えば女子ではそれが見られたけれども男子では見られないとか、あるいはある種の症状では見られたけれども別の症状では見られないというように、そういう調査結果であるということも言えるわけでごさいます。
 こういうようなところから、昭和六十三年三月の公健法の第一種指定地域の指定解除、近年の大気汚染の状況はぜんそく等の主たる原因とは言えないということで行われた解除につきましては、現在の状況が基本的には変わりはなく、再指定については特に検討を行う必要がないというふうに考えておるところでございます。ただし、環境庁といたしましては今後とも大気汚染の健康影響に対する調査研究、これにつきましては鋭意推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#196
○沓脱タケ子君 何や保健部長、汚染度がどこまできたら気が済む。環境庁が決めている基準の最高値の二倍になっているというふうな測定値が出ているのに、どこまできたら気が済む。それじゃその沿道で被害を受けた人がどんどん死ぬようにならないと認めないのか。だから私は本当腹が立つんだけれども、そんな紋切り型のことを言ったら困りますよ。公害指定地域の復活再指定等については新たな条件で、特にNO2は指定物質に入っていないんです。だから新たに入れて検討したらどうかということを言ってるんで、初めからする気はありませんというそんな態度を環境庁はとるべき態度じゃないと思いますよ。一体どれだけ汚れたら気が済むんですか。
 時間がないから次に行きます。
 最後に、車の排ガス公害対策に対する環境庁の方針についてごく簡単に聞きます。環境庁の車の排ガスの総量規制に関する最終報告というのは来月に出る予定なんですね。出たら、それに基づいて通常国会に法案をお出しになる方向ですか。それを先に。
#197
○政府委員(入山文郎君) 現在検討会で鋭意検討を進めているところでございまして、私どもの今考えております大体の目安といたしましては、十月には最終報告をいただきたいと思っております。その結果を踏まえまして次期通常国会に提案してまいりたいということでございます。
#198
○沓脱タケ子君 それで、ちょっと気になるんです。次期通常国会に最終報告が出たら出すんだと言うておるのに、ごく最近、九月二十日には朝日、毎日に「「総量規制」消え大幅後退」とでかでか出たんで心配をしてちょっと聞いたんです。地域外からの乗り入れの規制をなくすとかあるいは距離の把握が難しいからということで、事業所に命じて削減計画を知事がやるわけですが、守らなかったら罰則があったんだけれども、罰則は取り消すとかいうことで後退を示しているということが報道されています。これは一体どうなっているのかということと、これは一刻の猶予もならないわけなんで、環境庁の検討委員会の中間報告に出されているせめて三条件を尊重して対策を私は強化するべきだと思いますが、大臣、それについてはいかがですか。
#199
○国務大臣(愛知和男君) 今、局長から申し上げましたとおり、これは専門家から成る検討会で検討中ということでございまして、その結果を見て、報告をいただいて環境庁として対策を講ずるということでございますから、それが出るまで、私どもとしてはまだ今この時点でコメントをする段階ではない、このように思います。
#200
○沓脱タケ子君 頼りないことを言うてもろうたら困るんで、もうどうにもならないほど汚染度が広がっているんで、やはり実効の上がるように最大限役に立つ法案をぜひつくってもらいたい。検討会がという話では、頼りないことを言うてもろうたら困るんです。
 最後に、私まだ一分か二分時間があるので一言申し上げたいのは水俣病についてであります。これは九月十一日の福岡高裁の所見で、既に皆さんが言われましたので私も多くを申し上げません。皆さんから既に御指摘がありますので、私は水俣病の第三次訴訟の控訴審で福岡高裁がお示しになった所見、これに基づいて少なくとも、病像論だ責任論だということで一切踏み込めませんという保健部長の冷たい態度をやめて、これはやはり早期に解決をするという立場で和解の席にお着きになることを心から願って、長官一言言うてください、終わりますから。
#201
○国務大臣(愛知和男君) 先ほど来から再三お答えをいたしておりますが、環境庁といたしましては早期解決を図るという必要性は深く認識をいたしておりまして、その方法として総合的な対策を立てるべく中公審の答申をいただいて来年度から実施していく、これが最大の解決策である、こういう認識でございます。
#202
○沓脱タケ子君 終わります。
#203
○中村鋭一君 初めに、滋賀県にUNEPを誘致していただきまして、これにつきまして環境庁にせっかくのお働きをいただきましたことを厚く御礼申し上げておきたい、こう思うんです。
 そこで、現在のUNEP設置の具体的な進捗状況を簡単で結構でございますからお願いいたします。
#204
○説明員(加藤三郎君) 今、先生からお尋ねのUNEPのセンター、正式に申し上げますとUNEP国際環境技術センターというものでございますけれども、これを日本に誘致すべく外務省ともども頑張っているところでございます。
 具体的に申し上げますと、本年五月にナイロビで開催されましたUNEPの管理理事会におきまして我が国に設置することが正式に決まっております。その場所につきましては先生も御高承のことと思いますけれども、滋賀県及び大阪市に設置される予定でございまして、滋賀のセンターにつきましては淡水湖沼及び貯水池の管理について、また大阪のセンターにつきましては大都市の環境管理を中心に技術移転に取り組むこととなっております。
 お尋ねの滋賀センターにつきましては、草津市の烏丸半島に建設される予定でございまして、本年度には基本設計、来年度に着工し平成六年度完成の予定というふうに聞いております。しかしながらセンターの業務はできるだけ早く開始したいということで、暫定的な施設を用いて来年夏にも開始をする予定と聞いております。
#205
○中村鋭一君 いわば世界の水のセンターが滋賀県に設置をされるということで、我々滋賀県民は大いに期待もし責任が重大である、こう考えている次第でございます。ですから、日本で一番大きな湖であります琵琶湖の水質については、せっかくUNEPが滋賀県にやってくるのに、本家本元の琵琶湖の水が汚れているような状況では我々は世界じゅうの人たちに顔向けができない次第でございます。これはよほど我々県民も国も行政も全部力を合わせて琵琶湖を初めとする湖沼の水の浄化になお勇気を持って取り組んでいかねばならない、こう考えているわけでございます。
 どうですか、ことしの琵琶湖の水の状況。赤潮、アオコの発生状況あるいはCOD、また窒素や燐の状況等を含めて、ことしはどうなのか。それから、ここ数年来の水質の状況は改善されているのか悪化しているのか。悪化しているとすれば、それはどういう傾斜で悪化しているのか。急角度に悪化しているのかそうでもないのか、その辺をデータを示しながら、簡単で結構でございますからお願いいたします。
#206
○政府委員(眞鍋武紀君) 琵琶湖の水質状況でございますが、代表的な水質項目でございますCODにつきまして最近のデータでございます平成二年度のいわゆる七五%値というもので見てみますと、北湖では二・六ミリグラム・パー・リットル、南湖では五・五ミリグラム・パー・リットルでございます。年平均値で見てみますと、北湖で二・三ミリグラム・パー・リットル、南湖で三・三ミリグラム・パー・リットルでございます。
 経年的な傾向といたしましては、CODは昭和五十四年度から昭和五十九年度ごろまでは改善傾向にございました。しかしながらそれ以降はほぼ横ばいの状態が続いておる、こういうことでございまして、平成二年度は南湖がやや悪化をしておる、こういう状況でございます。
 それから、富栄養化の要因物質でございます窒素、燐につきましては、平成二年度の年平均値で見ますと、窒素は北湖で〇・二九ミリグラム・ミー・リットル、南湖で〇・三八ミリグラム・パー・リットルでございます。燐につきましては、北湖で〇・〇七ミリグラム・パー・リットル、それから南湖で〇・〇二二ミリグラム・パー・リットルでございます。この数値は北湖の燐を除きましていずれも環境基準を達成していない、こういう状況でございます。
 全燐につきまして経年変化を見てみますと、やはり昭和五十四年度から五十九年度ごろまでは改善傾向であったわけでございますが、それ以降はほぼ横ばいの状態が続いておるということでございますし、また平成二年度につきましては南湖がやや悪化をしておる、こういうことでございます。それから、全窒素につきましては昭和五十四年度以降ほぼ横ばいの状態が続いておる、こういう状況でございます。
 御指摘の赤潮等の発生状況でございますが、これは淡水赤潮が昭和五十二年度以降昭和六十一年度を除きまして毎年四月から六月初めにかけまして発生しておる、こういう状況でございます。それからアオコにつきましては、北湖では発生を見ておりませんが、南湖では昭和五十八年度以降昭和五十九年度を除きまして毎年八月から九月にかけて発生をしておるわけでございます。ことしは幸い昨日までは発生を見ていなかったわけでございますが、実は本日、小規模ではございますが発生を見たというふうな連絡を受けておるところでございます。
#207
○中村鋭一君 悪いときにアオコが出たと思います。
 どうですか、琵琶湖総合開発事業、今工事は七十数%まで来ていると思いますね。それから十一年前に滋賀県民は賢明な選択をいたしまして、いわゆる洗剤条例を施行いたしました。それから湖沼法は既に当委員会においても成立をいたしまして実施されているところでございますが、こういった琵琶湖総合開発事業でありますとか県の洗剤条例でありますとか、あるいは琵琶湖総合開発事業の推進そのものが琵琶湖の水質の保全等にどのような関連をしているのか。
 これは他の湖沼等とも比較をしていただきまして、例えば洗剤条例が施行されたことによって汚染状況が抑制されているとか、あるいは琵琶湖総合開発事業が進むにつれてむしろ汚染は促進をされているとか、その辺をひとつプラスマイナスを相殺していただいて、その関連性について環境庁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#208
○政府委員(眞鍋武紀君) ただいまの御質問にお答えする前に一つ数字を訂正させていただきます。
 ただいま平成二年度の燐の数字につきまして北湖で〇・〇七ミリグラム・パー・リットルと私申し上げましたが、これは〇・〇〇七ミリグラム・パー・リットルの間違いでございますので、まず訂正をさせていただきたいと思います。
 お尋ねの滋賀県の富栄養化防止条例あるいは湖沼法あるいは琵琶湖総合開発計画等がこの水質浄化にどういうふうに役立っておるかということでございますが、これまで富栄養化防止条例でございますとか湖沼水質保全計画あるいは琵琶湖総合開発計画等によりまして、窒素、燐の排水規制の導入でございますとか下水道の整備等各種の水質保全対策を実施してきたわけでございます。
 これらの施策はいろいろと関連をしておりまして、例えば湖沼法の計画で下水道計画をやるわけでございますが、それに関連して総合開発計画では補助率のかさ上げが決められておるとか、そういうふうな相互に関連をしておるものでございますので、単独に水質改善への寄与度というのを明らかにすることが難しいわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういうものを用いまして、また関係自治体なり地域の住民の方々の努力もございましてこの琵琶湖の水質汚濁防止に相当の成果を上げてきた、こういうふうに思っておるわけでございます。最近横ばいとは申しましても、ほかの指定湖沼に比べましてCODなどで見ますと非常に水質がいい、こういう状況でございますので、相当の成果を上げてきておるというふうに認識しておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、琵琶湖の湖沼水質保全計画につきましては昨年、平成二年度で第一期の計画が終わったわけでございます。ことしはこの計画の改定期でございますので、関係自治体ともよく相談をしながら、次期計画の内容を一層充実することによりまして琵琶湖の水質改善に今後とも努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#209
○中村鋭一君 ありがとうございます。その間、滋賀県民の琵琶湖をきれいにしようという努力もお認めをいただいたように私は解釈させていただきました。我々県民も頑張りますので、ひとつ環境庁におかれても今後ともよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 建設省に来ていただいていると思いますが、長良川河口ぜきの現在の建設の進捗状況でございますね、これを簡略にお教え願います。
#210
○説明員(荒井治君) 御説明申し上げます。
 長良川河口ぜきにつきましては、昭和六十三年の二月に漁業組合の同意を得て、三月に本体工事に着工したものでございます。本体工事につきましては、河川の横断方向に十三本のせき柱を建設するわけでございますが、現在五本が建設されておりまして、さらに三本のせき柱を本年度内に建設することとしておりますので、本年度中に八本のせき柱が完成する予定となっております。またさらに、これの関連いたします工事といたしまして、高水敷の造成、堤防の補強といったようなこともあわせ行っておりますので、事業費ベースでまいりますと本年度末で六一%の進捗状況、こうなっております。
#211
○中村鋭一君 六〇%まで来ている、こういうことです。当然建設省としては早く完成をして、これが早くできてもらいたいという御意見の方もいらっしゃるわけでございますから、いいものをつくって賛成をしている皆さんの笑顔を見たい、こう思っていらっしゃるんでしょうね。
#212
○説明員(荒井治君) この長良川河口ぜきは長年この地域で水害で苦しめられた人々の悲願でございます。そういう観点からいたしますと、一日も早い完成を望んでいるものと確信しております。
#213
○中村鋭一君 さあ、そこからが違うんですな。あなたはそうでしょう。長年苦しめられているというその長年苦しめられているということについての評価が随分やはり違ってきているということがある、こう思うんです。
 建設中止あるいは一たん建設を今やめてアセスメントをしっかりやってくださいという広範な市民運動が国会議員も含めて展開されていることは、これはもう十二分に御承知でしょうね。どうですか。
#214
○説明員(荒井治君) ただいまの先生の御指摘の点については、確かに自然保護の観点から一部の方々にそういうような御意見があるということは承知しております。
#215
○中村鋭一君 今あなたは一部とおっしゃいましたが、一部という言葉の正確な意味はどうなんでしょうね。これは英語で言うとパーシャルとでも言うんですかね。だから一部というのはいかがなものかと思いますがね。一部というのと半分というのと半分以上というのは随分違うと思うんですが、我々の理解は一部の反対、一部という言葉の指す意味はごく特定少数の人がためにする反対意見を展開している、そういう声があることは承知しないものではないが、そんなものは我々としては問題とするには当たらないというような、あなたの頭の中にそういう前提があるんじゃないかということをこちらは勘ぐりたくなるような表現の仕方でございます。
 あなたは一部とおっしゃいましたが、その反対をしていらっしゃる皆さんの論拠に十分に一つの肯定すべき論点が存在することはお認めになりますか。
#216
○説明員(荒井治君) 私たちはこの事業につきまして地元の方々の多くの御要望を受けてやっているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、岐阜県、三重県、愛知県の知事及び名古屋市長、さらには沿川全市町村長及び議会議長、さらに沿川一市七町一村に及ぶ議会の議決、また婦人会、水防団、八十五市町村の地元の商工会議所、二百五十七団体による土地改良区等からの建設要望が出されております。そういうような方々の御意向も踏まえましてこの事業は進めさせていただいているわけでございますが……
#217
○中村鋭一君 私が聞いているのは、反対意見に根拠を認めるかということを聞いているんです。
#218
○説明員(荒井治君) さはさりながら、この事業につきましては地域の安全というような問題も考えていただきたいと考えております。
 特に近年、地域環境の保全への国民の意識の高まりがあるということは私たちも十分承知しているところでございます。そういう観点も踏まえまして、我々は事業の着手前から学識経験者によります木曽三川河口資源調査団等の調査を徹底的に行い、かつ時折々にシンポジウムを開いて公開するというようなことも経てこの事業の着手に至っているということもお認めいただきたいと思っております。
 また、時々にさらに陸上の植生、哺乳類、そういったようないろいろな調査もさせていただいておりましてやっているわけでございます。
#219
○中村鋭一君 いやもういい、そういう説明はもういいんだよ。
#220
○説明員(荒井治君) そういうことから、実はこの地域につきましては、先ほどから申し上げておりますが、地盤沈下地帯であると同時に輪中の中の生活でございます。ですから、堤防に囲まれたところでございますので、やはりその辺の地域の安全性についても十分御理解いただきたいと考えております。
#221
○委員長(安恒良一君) ちょっと待って。答弁は簡単にしてください。
#222
○中村鋭一君 私が聞いているのは、反対意見に根拠のあることをあなたは認めますかと聞いているんで、あなたの賛成論を聞くために質問しているんじゃないんですからね。
 先ほどから西野委員も非常に豊富なデータを駆使しての質問でございましたから、私はそれはおきます。おきますが、ひとつ生物調査について、環境庁では何種ぐらいの魚があの長良川の流域に生息しているという調査はおやりになりましたですか。
#223
○政府委員(伊藤卓雄君) 環境庁では、おおむね五年ごとに実施しております自然環境保全基礎調査というものを持っておりまして、この一環といたしまして全国の一級河川等を対象とした河川調査を実施しておるわけでございますが、六十年度に実施されました調査といたしまして、長良川におきましてはカジカ、アユ、サツキマスを含みます六十二種類の魚類の生息を確認いたしております。
#224
○中村鋭一君 建設省の調査では魚は何種ぐらいというデータが出ておりますか。
#225
○説明員(荒井治君) 昨年の十月にこういうような青いパンフレットで調査結果を公表しております。河口から三十キロまでの間に十三目二十七科六十種の魚類を確認しております。
#226
○中村鋭一君 私が入手した情報では、これはある女性の方がこつこつお調べになったんですが、汽水域のハゼを含めて、確認されただけで百三十種です。秋から冬にかけての調査はまだということでございますから、最終的には二百種ぐらいではないかと、こういう報告がもたらされているわけでございます。
 それから、ちょっと失礼ですが訂正をさせていただきますが、先ほど環境庁さん回遊性のカジカなどとおっしゃいましたが、私は釣りが好きでして、魚はディレッタントではありますが自分でも割に研究しているつもりですが、カジカはハゼとかと一緒で胸びれが吸盤のようになっておりまして、非常に定着性の強い魚でございますから、あれはアユとかマスのようには回遊はほとんどいたしませんので、それひとつ後でゆっくり魚の学者とでも相談をしていただいたらいいと思うんです。そういう用語例一つをとりましても、こういうふうにデータが全く違うわけです。
 そこで私が申し上げたいのは、例えば塩水がどこまで上がるかとか、掘ったらいいのか、あるいはカジカは定着性ですけれどもアユは遡上いたしますから、それが単に魚道を設けただけでいくのかいかぬのかというようなことを話し合うには、やはり賛成の人反対の人がお互いに手の内をさらけ出して、一生懸命に調べた十分に具体的で綿密で正確なデータを突き合わすことによってその討論に非常な迫力が加わってくる、こう思うんです。ところが、先ほどからの西野委員との論議を聞いておりましても、そのうち御相談に上がりますとかそういうことで、どうも建設省さんは自分の手持ちのデータというものを率直に我々にお示しになりたがっていらっしゃらないように思います。
 ということは、そういうデータを我々の前に公開をいたしますと、結果としては塩水が遡上することにつきましても魚の問題につきましても不利なデータがもう幾らでも出てくるからついつい隠しておきたい、ないしょにしておきたいというふうになるんじゃないかというふうに、これも私の推測でございますがそう思いたくなるわけでございます。ポーカーをやっているんじゃないんですから、ポーカーフェースとかブラフをかけるとか手の内は隠しておく、そんなことはないんです。ソ連だってグラスノスチでここまで来ているんでしょう。我々だって今度議員立法で情報公開法を出そうかというこういう時代なんですからね。まず両方が十分なデータを公開し合って、こういうことは冷静に科学的に討論をすべきである、そのことを建設省に強く要求しておきたい、こう思います。
 建設省、今有志の議員の間で議員立法の動きがあることは御承知でございますか。
#227
○説明員(荒井治君) そのような動きがあるということは新聞等で聞いております。
#228
○中村鋭一君 いや、新聞等で聞いているというよりも、こういう動きがあるから、随分私の部屋にも地元からこういう議員立法は勘弁してくださいという陳情の方が見えていますよ。そういう動きがあるときに、新聞等で承知しているというようなことはおっしゃらない方がいいと思う。それは課長、あなたはこれも手に入れて十二分に手を打っているはずじゃないですか。そうでしょう。だから、そういうことを私は言うんですよ。新聞等で承知をするという前にそういう動きがあることは十二分に承知をしております。私はそういう案文は手に入れました。入れましたから、私どもの立場からいたしますとこれには反対せざるを得ませんのでよろしくとあなたは言うべきじゃないんですか、あなたの立場からすれば。だから、そういうふうに一時を糊塗するような事なかれの間接話法で物を言うことは本当におやめになった方がいいと思います。
 この案文を一口で言いますと、河口ぜきをつくる場合には環境アセスメントをしっかりやりなさいよ、環境庁長官の意見を尊重しなさいよ、住民の意思を反映しなさいよと、これが今回の議員立法の趣旨であります。
 時間がありませんから、私は最後に環境庁長官の御意見をお伺いしたいと思うんですが、朝日新聞紙上で大先輩の鯨岡兵輔元環境庁長官がこう言っておられます。我が国の役所は大変に優秀な面のあることは疑いませんが、一度その必要性を痛感し議論の結果、計画が立ち予算がついて人員が配置されると、その後に状況が変わり必要性が軽減されたりなくなったりしても、当初の計画をやめたり変更したりせず、これをやり通すことが決して少なくありません。これは我々が言っているんじゃないんですよ。環境庁長官をおやりになった鯨岡兵輔自民党代議士がおっしゃっているんですよ。長良川河口ぜきはだから一遍中止をしたらどうかということを鯨岡先生がおっしゃっているんですね。これは長官、耳を傾けるべき言葉であると思います。
 先ほど、先生お示しでございました本日の新聞に「謹啓 竹下登様」、これは有志の皆さんが何千万という金を拠金して出しているわけですね。何で「謹啓 竹下登様」か。あの宍道湖の中海の締め切り工事に際して、工事は完成しているんですよ。完成していても、一人の立派な竹下登という政治家が鳥取、島根両県民のためにこれは役に立たぬ、環境のためにはよくない、だからどんな犠牲を払っても、一たん完成した工事でもやめなさいという実に勇気ある決断を竹下元総理がなさったんですね。こういうことについて、私は竹下元総理や鯨岡現自民党代議士に非常な尊敬の念を禁じ得ないわけであります。
 今、環境庁長官に必要とされるものは、この先輩の竹下さんや鯨岡さんが国民のためを思ったように、とかくのいきさつはあっても、これが国民の利益に合致しないものであるならば勇気をもってそれを実行する決意だと思うんですね。今私の申し上げたことを、失礼でございますが腹に置いていただいて、環境庁長官の御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#229
○国務大臣(愛知和男君) 大先輩のことを例にお引きになりましていろいろお話がございました。私も政治家としてはまだまだこれからでございますが、よく大先輩のお教えをいただきながら、今御指摘になりましたように国民のためになる政治をする、こういうことで頑張っていきたいと思っております。
 長良川の件に関しましてはいろいろ御議論があるわけでございまして、私ども環境庁の立場から申しますと、この長良川の本来持っております良好な環境が損なわれることのないように最大限の配慮をしていただきたい、こういうことは再々お願いし、担当であります建設省にもそのお願いをしているわけでございまして、そういう立場の中で精いっぱいの努力をさせていただきたいと思います。
#230
○中村鋭一君 よろしくお願いします。
 終わります。
#231
○山田勇君 ちょっと質疑の角度を変えます。質疑通告していませんが、荒井さん残っていてください。
 この長良川河口については知識がないものですから、西野委員にもいろいろと教わったり、また聞いたりしております。今同僚議員の中村委員の方からは宍道湖の例をとられました。これは鳥取県民、島根県民総意の大反対運動であったというふうに記憶しております。そうしますと、この長良川河口の反対運動をしている、一部という言葉を使うと怒られますので一部とは言いませんが、反対をしている方たちは県外から来てはるんですか、県民なのか。先ほどの説明聞きますと、名古屋市長も含めての全自治体の長たる人がこれをどうか推進してくださいと言っておられる。もうそこで僕も迷うんです、本当に。だから西野さんにも先ほど、これはどうなるんや、台風が来て増水した場合に塩の水はどのぐらいまで来るんや、いやこれは完全に入り込んでくるというふうなこともちょっと聞いたりします。
 だから荒井さん、ここでそういう詳しいことをできる限り、今同僚委員も言ったように腹を割って一遍教えてください。どうしてもこれはやらぬといかぬという理由があると思います。台風の当たり年みたいですから、台風が来て増水する、長年水害で悩んでこられた方のこれはもう本当の熱意でつくってほしいということで建設省もつくっている、何の根拠もないのにあそこに工事をするわけないんですから。その辺の経緯からもう一遍言ってください。
 それから魚道の問題にしても、同僚議員と言っていたんですが、サケは川を上ってくると。僕はカナダへ行っていろんな魚道を見てきました。でもサケと同時に違う魚も上がってきています。だから、魚道は何ぼつくっても何とかいう魚は上がらぬとかこれは来えへんでと言ったかて、これはまだ一遍もやってないんですから、反対する人も上がってこぬと言い切れぬだろうし、上がってくるかもわからぬ。だからその辺で、(「アユは上がらぬ」と呼ぶ者あり)アユは上がらぬそうでございます。まあそういうことなんで、その辺ちょっと荒井さん、もう一遍説明してください。
#232
○説明員(荒井治君) 魚道をつくった場合に果たして魚が十分上がるのかという御質問かと思います。
 建設省といたしましては、過去に幾つかの河口ぜきというものをつくっております。長良川河口ぜきにおきましても、両岸に呼び水式魚道、ロック式魚道という魚道を設置するというようなことで進めているわけですが、例えばお隣の木曽川におきましても、ことしカウントいたしますと、四月から六月の二カ月の間で四百二十万尾のアユが遡上していることが確認されております。また吉野川でございますが、旧吉野川におきましても三月から六月の間で三百十万尾というおびただしい量のアユが遡上していることが確認されております。筑後川におきましても百万尾のアユが遡上していることが確認されております。また、その遡上する種類等につきましてもかなり多種にわたっていると聞いております。
 そのようなことから、我々といたしましては、この長良川の問題につきましては特に環境に意を用いたところでございまして、先ほど中村先生からちょっと御指摘がございましたけれども、魚道については一般の人に見ていただいて、その目の前で実験をするという公開実験まで行ってこの魚道の様子を検討させていただいているわけでございます。そういうことで、決して我々自身が考えるわけじゃなくて、学識経験者の知見を踏まえましてこういったようなものを設計し実際に工事をするというようなことでございますので、ひとつその点につきましては、我々の案について十分御了解いただければありがたいというふうに考えております。
#233
○山田勇君 荒井さんも御承知のとおり、今問題になっている長良川河口ぜきの海津郡の一町長は私のおじでございます。だから、賛成だとか反対だとかいうことではなく、本当にこの河川の改修工事というものが正しいものなのか。そういう点を僕は西野委員にも聞いたり荒井さんにも説明を聞いたりして、できることなら環境整備しながらこの工事は続行できないものだろうか。というのは、御承知のとおり、町長選があったときには賛成派町長として信を問うたわけで、これは当選したわけですから、海津郡、海津の町民はこの河口ぜきについては賛成の意見を持っているんではないのかというふうにも理解します。だから、一部だとか県外だとかいう人たちの運動の中で、この河口ぜきまだまだ六一%の工事ですから、今後とも工事を続行していくのか、またそれともそういういろんな反対の皆さんの意見を意見として工事を中止するのか、これは定かでないにしろ、今言われるとおり十分アセスメントを整備して、もう一度議員の皆さん方にも理解を得られるようなひとつ行政を推し進めていってほしいと思います。
 そこで本題に入りますが、生活水準が高くなり産業活動が盛んになるにつれて新たな化学物質による環境汚染、また急増する廃棄物の処理問題に関連しての土壌汚染に対する関心が高まっています。
 土壌の汚染に係る環境の基準が八月の二十三日に告示されておりますが、その概要と今後の施策の推進と関係者に対する指導のあり方についてお聞かせください。
#234
○政府委員(眞鍋武紀君) 土壌の環境基準でございますが、この環境基準は、公害対策基本法第九条第一項に基づきまして「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」、こういう趣旨で定めることとなっておるわけでございますが、これを御指摘のように八月に決めたところでございます。
 今回設定をいたしました土壌汚染に係る環境基準は、環境としての土壌が果たしておりますいろいろな多様な機能のうち、主として水質を浄化し及び地下水を涵養する機能並びに農作物を生産する機能を保全する観点から、いろいろな既往の知見をもとにカドミウムなどの十物質について基準値を決めたものでございます。この土壌環境基準は、具体的には土地の利用や事業活動の経過、現状等から見て、また土地開発等の際に土壌が汚染されているか否かを判断する基準としまして、また汚染されました土壌についてはその改善対策を講ずる際の目標となる基準として活用されることを期待しておるものでございます。
 今後は、この環境基準をもとに土壌環境保全に係ります各般の施策を積極的に推進をしていくということでございます。特に環境基準の達成維持に向けました事業者等による自主的な取り組み促進についても十分指導に努めてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#235
○山田勇君 次に、ゴルフ場の農薬汚染についてはどのような指導を今行っておりますか。
#236
○政府委員(眞鍋武紀君) ゴルフ場の農薬問題でございますが、ゴルフ場で使用されます農薬によりまして水質が汚濁されるのではないかというふうな議論が高まったことを踏まえまして、昨年の五月以来、農林水産省、厚生省、環境庁の三省庁で協議をいたしました。それで、ゴルフ場の農薬の適正使用についての指導は農林水産省がやる、それからゴルフ場からの排水の監視指導につきましては環境庁がやるというふうなことでございます。それから水道水源の安全確保については厚生省と、こういうことの役割分担のもとにそれぞれの省庁が所管に係る通達等を発しまして指導を行っておるところでございます。
 環境庁としましては、昨年五月にゴルフ場の農薬暫定指導指針、こういうものを決めまして、人の健康を保護する観点から指針値を設定して、ゴルフ場の排水口での水質調査とこれに基づきます農薬の適正使用、使用量の削減等の指導に取り組んでおるところでございます。
#237
○山田勇君 次に、バーゼル条約についてお尋ねをします。
 まず、その概要をお聞かせください。また、このバーゼル条約に基づく国内の法制度についてはどうお考えになっておられますか。
#238
○政府委員(眞鍋武紀君) バーゼル条約でございます。有害廃棄物の越境移動及びその処分の管理に関するバーゼル条約というのがその名称でございますが、一九八〇年代に多発をいたしました有害廃棄物の国境を越えた移動とそれに伴います環境問題に対応するというふうなことでUNEP、国連環境計画におきまして検討されまして、一九八九年の三月にスイスのバーゼルにおいて日本を含めた百十六カ国の全会一致で採択をされたところでございます。
 この条約は、有害廃棄物の国境移動と、それから移動されました有害廃棄物の処分を適正に管理するということによりまして国境を越えての環境汚染、とりわけ発展途上国などでの環境汚染を未然に防止する、こういうことを目的にしておるわけでございます。この条約はその目的を達成するために、廃棄物は原則として発生国で処分をしなければならないというふうな考え方の上に立ちまして、有害廃棄物等の国境を越えた移動に関しまして条約の対象となる有害廃棄物の定義でございますとか、それからこれらの有害廃棄物等についての条約の非締約国との輸出入を禁止するとか、あるいは輸出の際の許可制の採用及び許可される条件でございますとか、あるいは輸入の際の輸出国からの通報制、それから越境移動が契約どおり完了しなかった場合の再輸入措置、それから輸出入に際しましての移動書類の添付義務等の必要な措置を規定しておるわけでございます。
 したがいまして、これらに日本が加入する場合には、このような条約上の義務の履行を担保するために国内法制度を整備する必要があるわけでございますが、その法制度については関係省庁と相談しながら現在検討を進めておる段階でございます。
#239
○山田勇君 関係省庁といえば通産省……
#240
○政府委員(眞鍋武紀君) 通産省と厚生省、外務省でございます。
#241
○山田勇君 ありがとうございます。
 次に、流し網漁についてお尋ねをいたします。
 海洋生物の保護、特にイルカなどの小型哺乳類保護の観点から、この流し網漁を禁止しなさいという動きが国際機関や特にアメリカなどから出ています。流し網漁が禁止されますとマグロ等の捕獲が難しくなり、マグロ好きの日本人の食生活に大きな影響が出ると思われます。イルカが流し網にかかっているテレビの映像などを見ましたらそれはかわいそうな気もしますが、漁業者の生活権の問題もあります。
 環境庁としてはこの問題に関してどのような見解をお持ちでしょうか。クジラと同じような運命にまたなっていくのかどうか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
#242
○政府委員(伊藤卓雄君) 流し網漁業に伴います混獲が海生生物に及ぼす影響、この問題につきまして野生生物の保護という観点から世界的に非常に関心が高まっていることは私どもも十分承知をいたしております。海生生物を含みます野生生物が自然環境を構成いたします重要な要素であるということは人間にとりましても多様な価値を有しておりまして、これらを人為的に絶滅させるということがないようにしなければいけないということは当然だと考えるところでございます。また一方、野生生物の中には適切な資源管理を行うことによりまして持続的に利用することが可能だというようなものもございます。
 したがいまして、流し網漁業の問題につきましてはいろいろ難しい問題点がございますけれども、以上申し上げましたような視点を踏まえまして、科学的根拠に基づいて対処されるべきだというふうに考えるところでございます。
#243
○山田勇君 産業廃棄物処理施設設置に関連してお伺いをしておきます。
 国立公園、国定公園の自然環境保全地域については、処理施設の設置を制限する必要があると思います。また、設置に際しての環境アセスメントの義務づけについてはどのように考えておられますか。
#244
○政府委員(伊藤卓雄君) 国立公園、国定公園等自然環境の非常に立派なところにおきます産業廃棄物処理施設の設置の問題でございますけれども、これにつきまして手続的に申し上げますと、自然公園法あるいは自然環境保全法によりまして、土地の形状変更とかあるいは工作物の新築といったようなとらえ方をいたしまして、環境庁長官または都道府県知事の許可等によりまして処理をするということになろうかと思います。特に国立・国定公園の特別地域という中におきます許可申請に際しましては、面的な広がりを持つ開発行為というとらえ方をいたしまして、これの中には当然産業廃棄物処理施設等も大きいものにつきましては含まれるという考え方でございますけれども、こういった開発行為につきましては、自然環境に与える影響予測というものを行って判断をするように指導しておるところでございます。
 なお、アセスメントという御指摘でございますが、一定規模以上の埋立地となる最終処分場というものにつきましては五十九年のいわゆる閣議決定に基づくアセスの対象になっておりまして、これらの手続を通じましてすぐれた景観、自然環境の保全に万全を期すべきであるというふうに考えております。
#245
○山田勇君 日本の今の消費生活を見てみますと、余りにもむだや浪費が多いんではないでしょうか。リサイクル運動も叫ばれていますが、不燃物や粗大ごみの収集日にはまだまだ使用可能なものが山積みにされているのが現状です。先日もテレビを見ておりますと、外人がマンションを借りて、そこに入っているテレビ、冷蔵庫、電気スタンド、石油ストーブ、全部粗大ごみで拾ってきて自分で修理してつくったものを備えつけてあります。それなどを見ますと、我々窮乏の時代を知る者にとっては何とももったいないと考えずにはいられません。
 物を大切にするということはやはり幼いころから習慣づけることが大切であります。文部省も環境教育には小学生から力点を置くような、環境行政の中心でもある環境庁としても資源保護、環境保全にどのように今後取り組むか、決意を聞かせていただきたいと思います。特に幼児のそういう環境教育みたいなものをぜひ環境庁としてやっていただきたい。
 そこで、これを僕は愛知環境庁長官にプレゼントします。これは環境テープでありまして、これが今アメリカ、カナダ、ECでは物すごくはやっているテープであります。音楽です。冬の雪がしんしんと降る中でオオカミが遠ぼえをするとか、鳥が本当にのどかに飛んでいるとか、波の音とか、そういうものが入っております。これは医学的にもストレスにいいそうなんで、ぜひ車の中でかちゃっとはめていただいて、雄大な音楽が流れてまいります。これをぜひプレゼントさせていただきます。
 そういうことで、こういうものを学校の中で教育教材として配付をするとか、そういうのをぜひ環境庁の方でまた御検討していっていただきたいと思います。
 これで質問を終わります。
#246
○委員長(安恒良一君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#247
○委員長(安恒良一君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案について、厚生委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることについて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#248
○委員長(安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#249
○委員長(安恒良一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#250
○委員長(安恒良一君) 速記を起こしてください。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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