くにさくロゴ
1991/08/26 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 予算委員会 第2号
姉妹サイト
 
1991/08/26 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 予算委員会 第2号

#1
第121回国会 予算委員会 第2号
平成三年八月二十六日(月曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月二十三日
    辞任         補欠選任
     遠藤  要君     尾辻 秀久君
     鹿熊 安正君     藤田 雄山君
 八月二十六日
    辞任         補欠選任
     会田 長栄君     森  暢子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 太郎君
    理 事
                井上 吉夫君
                井上  孝君
                倉田 寛之君
                斎藤 文夫君
                梶原 敬義君
                久保  亘君
                佐藤 三吾君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                石原健太郎君
                尾辻 秀久君
                大島 友治君
                合馬  敬君
                片山虎之助君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                須藤良太郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                西田 吉宏君
                藤田 雄山君
                星野 朋市君
                國弘 正雄君
                小林  正君
                櫻井 規順君
                清水 澄子君
                種田  誠君
                細谷 昭雄君
                前畑 幸子君
                村沢  牧君
                森  暢子君
                吉田 達男君
                片上 公人君
                白浜 一良君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                乾  晴美君
                高井 和伸君
                寺崎 昭久君
                橋本孝一郎君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  左藤  恵君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  井上  裕君
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
       農林水産大臣   近藤 元次君
       通商産業大臣   中尾 栄一君
       運 輸 大 臣  村岡 兼造君
       郵 政 大 臣  関谷 勝嗣君
       労 働 大 臣  小里 貞利君
       建 設 大 臣  大塚 雄司君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長長官) 佐々木 満君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       谷  洋一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  池田 行彦君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       越智 通雄君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       山東 昭子君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  愛知 和男君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  西田  司君
   政府委員
       内閣審議官
       兼内閣総理大臣
       官房参事官    野村 一成君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       警察庁警務局長  安藤 忠夫君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
       総務庁長官官房
       長        八木 俊道君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   小山 弘彦君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   稲葉 清毅君
       総務長官官房
       審議官      田中 一昭君
       総務庁行政管理
       局長       増島 俊之君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   宝珠山 昇君
       防衛庁長官官房
       長        日吉  章君
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛施設庁総務
       部長       竹下  昭君
       防衛施設庁建設
       部長       新井 弘文君
       防衛施設庁労務
       部長       荻野 貴一君
       経済企画庁調整
       局長       吉冨  勝君
       経済企画庁調査
       局長       小林  惇君
       科学技術庁研究
       開発局長     井田 勝久君
       環境庁大気保全
       局長       入山 文郎君
       国土庁長官官房
       長        藤原 良一君
       国土庁防災局長  鹿島 尚武君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  井嶋 一友君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
       大蔵大臣官房長  篠沢 恭助君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     小川  是君
       大蔵省主計局長  斎藤 次郎君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省理財局長  寺村 信行君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       国税庁次長    冨沢  宏君
       文部大臣官房長  野崎  弘君
       文部大臣官房総
       務審議官     井上 孝美君
       文部省初等中等
       教育局長     坂元 弘直君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省年金局長  加藤 栄一君
       農林水産大臣官
       房長       馬場久萬男君
       農林水産大臣官
       房審議官     今藤 洋海君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       食糧庁長官    京谷 昭夫君
       林野庁長官    小澤 普照君
       通商産業大臣官
       房審議官     榎元 宏明君
       通商産業省貿易
       局長       高島  章君
       通商産業省産業
       政策局長     山本 幸助君
       中小企業庁長官  南学 政明君
       運輸省運輸政策
       局長       大塚 秀夫君
       運輸省航空局技
       術部長      加藤  晋君
       気象庁長官    立平 良三君
       郵政大臣官房長  木下 昌浩君
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       建設省都市局長  市川 一朗君
       建設省道路局長  藤井 治芳君
       建設省住宅局長  立石  真君
       自治省大臣官房
       審議官      田中 宗孝君
       自治省行政局長  浅野大三郎君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
       自治省財政局選
       挙部長      吉田 弘正君
       自治省財政局長  小林  実君
       消防庁長官    木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
   参考人
       日本銀行総裁   三重野 康君
       年金福祉事業団
       理事長      幸田 正孝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○予算の執行状況に関する調査
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 予算の執行状況に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁三重野康君及び年金福祉事業団理事長幸田正孝君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(中村太郎君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。村沢牧君。
#5
○村沢牧君 ソ連保守派のクーデターが失敗し、ゴルバチョフ大統領が復権、共産党解散、まさに揺れ動いてまいりました。ロシア革命以来七十年以上に及ぶ共産党支配に終止符を打ち、画期的な事態に発展しようとしています。
 総理は、今後のゴルバチョフ政権をどう見るのか、また連邦から独立しようとする共和国の動きをどう見るのか、あわせて核管理は一体どういうふうになっていくのか、それから共産党解体と革命は今後どうなるであろうか、総理の見解を伺いたい。
#6
○国務大臣(海部俊樹君) ソ連の共産党の解体というのは、ペレストロイカというものがきょうまでややもすると上からの改革、共産党の枠の中での改革という側面を持っておりましたのが、今回のクーデターの失敗を契機に民衆レベルでも真に自由と民主主義と市場経済の方向へ向けての新しい国づくりへの期待が大きく盛り上がってきた、その結果のあらわれであろうと思い、私としてはソ連の一連の最近の動きが東西の対立に終止符を打った、冷戦時代の発想を乗り越えて世界の平和と繁栄に役立つように努力をしていくという方向性についてこれを評価しておる立場でありますから、さらに一層進んだものとして受けとめたいと思います。
 ただ問題は、連邦と共和国との関係は、ゴルバチョフ大統領に直接電話で確認しましたときも、それの協議が始まる、要するに今まであらわれておった連邦と共和国との関係の連邦条約をそのままで調印するのか、そこからまた話し合いが進んでいくのか、これは見きわめなければなりませんけれども、いずれにしても権限がどちらに移るかとか、国防の問題とか、徴税の問題とか、いろいろあるはずです。しかし、連邦というよりも共和国の権限というものが高まってくる可能性があると私どもは見ておりますから、今後ともロシア共和国を中心とする各共和国の動きや各共和国との日本政府としてのコンタクトも、連邦とともに注目をし、とっていかなきゃならぬ問題だ、私はこう考えております。
#7
○村沢牧君 総理、核問題とゴルバチョフ政権をどう見るかということ、答弁がないです。核問題、核は一体どうな乃のか、核をどうするのか、答弁になってない。
#8
○国務大臣(海部俊樹君) 核の問題は、今私どもの聞いております限りにおいては、ソビエト連邦の軍事、それに対しては連邦が管理をするわけでありますから、今は核は連邦が管理をしております。同時に、これの問題については核不拡散条約の問題とか、核の拡散を究極的に廃絶に持っていかなきゃならぬという大きな国際世論の中で日本としても重大な関心を持つ問題でありますから、この問題についてはその管理運営責任をソ連邦がまず明確に一義的にはすべき問題である、こう思っております。
#9
○村沢牧君 今後のゴルバチョフ政権をどう見るのか、それから日本のソビエトに対する政策はどうするのか。特に、当面するソビエト支援対策、それからこの支援をする場合において連邦に対してするのか、あるいはロシア共和国などを重視して行うのか、その点について答弁願いたい。
#10
○国務大臣(海部俊樹君) ソ連の最近のクーデターの問題一連を眺めてみますと、大きく分けて保守派と改革派に分かれておった勢力の中で、いわゆる保守派と言われる向き、あるいは共産党と言われてきた力、そういったものが解体してなくなっていくのでありますから、私は連邦政府は民主化路線に向かってさらに一歩前進することができるものと見ておりますし、強くそれを期待もいたしますが、ただ連邦政府と共和国との関係がどうなっていくということは、これはまだどのような形になっていくのか今ここで予断を持って言い切るには非常に難しい問題があると思いますけれども、ただ、きょうまで我々の調査した範囲や、あるいはロンドン・サミットでゴルバチョフ大統領と話しましたときにも、例えばエネルギーあるいは徴税権、それらの問題については共和国の方へ軸足が移っていくという方向だけは明らかになっておりますから、共和国との間でいろいろな交渉をしたり話をしたりしなければならぬと思います。
 ただ、四月の首脳会談のときにもゴルバチョフ大統領にはロシア共和国の外務大臣が同行してきて終始同席をしておりましたし、また今回ロシア共和国から連邦の首相の後任が出るということでありますから、共和国の力関係は連邦の中において緩やかな共和国連邦というような枠組みの中に終局的には着陸をしていくのではなかろうか、私はそのような見通しを立てて対処しておりますが、依然情勢を厳しく収集して分析し続けていかなきゃならぬと判断します。
#11
○村沢牧君 総理、対ソ支援の問題がちょっと答弁ありませんね。(「言えよ、立って」と呼ぶ者あり)答弁がないんだから座っているんだ。対ソ支援の問題。
#12
○国務大臣(海部俊樹君) 対ソ支援の問題につきましては、日ソ首脳会談のときに共同声明を発出しました。それは、政治的文脈と経済的な条件と、それから新思考外交の世界に対する適用、こういったソ連の新しい改革に向けてそれを日本としてできる限り支援をする、そのためにペレストロイカ支援を含めて十五の協定に署名してありますから、この問題については二国間で支援をしていきます。
 また、ロンドン・サミットにおいてはG7の国々でいろいろな議論があったことは御承知のとおりでありますが、結局、本当に市場経済に転換するという政治的な明確な意思表示と、同時に軍事費、軍需産業というものを民需に転換していく、ということ、同時にそういったことに対する技術支援としてIMF、世銀を初めとする世界の国際機関がいろいろ技術支援、知的協力をする六項目にわたる取り決めがございますから、それを基礎にしてできる限りペレストロイカが成功していくように協力するという原則が決まっております。
 最近のこの事態を踏まえて、議長国のイギリスからの提唱でG7の協議、協調をしたいという申し出もございました。我が国としてもシェルパのレベルでの参加がこれは当然大切なことだと思いますから、G7とも協議、協調をしてできる限りのことをしていかなければならない。それは、ソ連が我々と普遍的な価値を共有する、自由と民主主義と市場経済の価値の中で新しい国際秩序づくりに参加をし協力していくことのできる国の体制をきちっとつくってそういう国になってもらうということ、それを目指しての支援でありますから、G7でもその点についてはさらに協議をしてまいりたいと思います。
 なお、緊急援助その他については、日ソ首脳会談で決めたとおり、一時クーデターで凍結しましたものは皆解除してありますから、それぞれに従って対応を進めてまいります。
#13
○村沢牧君 その対ソ支援は連邦を主体として支援をするのか、それともロシア共和国などの共和国に重点を置くのか。
 それから、今総理の答弁は主として技術的問題における支援であるけれども、EC諸国においては日本はもっと経済面において金の面で支援をすべきだという意見が高まっておりますが、それに対してはどうなんですか。
#14
○国務大臣(海部俊樹君) EC諸国とはサミットの場で随分議論をいたしましたけれども、結局EC諸国も効果的な、効率的な支援をしよう、支援をしたらそれがソ連の民衆の生活レベルの向上や安定や環境の改善のために役立つような支援をしていこうということでは完全に共通の認識を得て宣言等も書いておるわけであります。したがいまして、支援をするときにその支援がどのようなことをしたらいいのかという、新しいソ連の経済体制づくり、経済秩序づくりというものに役立つということが大切でありますし、同時に軍需産業から民需産業へ、あるいは世界に対する軍事支援の支出をきちっとやめるという政治的な明白な意思表示とか、いろいろその他たくさんの問題がサミットの場でも議論されました。それらのことが、今度のロンドンにおけるシェルパの会議においても各国の意向をそこで出し合って、どのようなことが一番役立つかということに話し合いは向いていくと思います。
 日本としてもそれらのことについては協力して歩調をそろえて、ソ連の近代化のため、ペレストロイカのきちっとした定着のために努力していくことはこれは当然のことであります。二国間の問題については、十五の協定に従って拡大均衡の原則の中で広げて役に立つ協力があったならば積極的に行っていきたい、こういう考えてあります。
#15
○村沢牧君 その支援は、先ほど質問いたしましたように、連邦を主体としてやるのか、あるいは共和国に対しても重視してやるのか、その辺どうなんですか。
#16
○国務大臣(海部俊樹君) 対外窓口になって債務を負担したり、そういった国際的な債権債務関係を持つのがきょうまでは連邦でございました。けれども、それが今度の連邦条約によって共和国にそれらの権限を委譲してしまうのかどうかという問題について、これはまだ何ら確定した情報を我々はとっておりませんし、それがまさに今ソ連で行われておるところであります。どちらがその責任を持つ窓口になるのか、これによって当然こちらも対応していく相手は変わってくると思います。人道的な緊急支援等はこれは連邦あるいは共和国とできるでしょうけれども、技術支援とか技術協力という面になってきますと、責任を持って対応する窓口とやちなければなりません。どちらになるかということは、これは近々のうちに相手国自身で決定をする問題であります。
#17
○村沢牧君 次に、証券問題に移ります。
 金融・証券スキャンダルは、国民の信頼を失っただけでなくて国際的にも大きな批判を受けており、我が国経済社会にとっても重要な、深刻な問題であります。総理は、こうした問題が再び起きないために監視体制を強化するとか、法律を制定するということ峯言っておられますけれども、それ以前の問題として、なぜこういう問題が起きたのか徹底的な真相の解明を行わなければいけない。そしてまた、この間における政府の責任はどうであったのか、そのことに対して政府は力を入れるべきでありますけれども、総理の決意を伺いたい。
 同時に、そのためには国会における審議でも、あるいは資料の要求に対しても誠意を持って対応する、証人喚問についても総理が協力してくれる、それがなくてはならないけれども、あわせて御答弁を願いたい。
#18
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の証券・金融をめぐる一連の不祥事件に対しましては、行政府としてその責任を重大に感じ、極めて遺憾な問題だったと受けとめております。
 そして、そのことは公正な社会というものを理念として掲げております我々の政策からいって公正さを欠く、しかもそれは企業の社会的責任というものをはるかに逸脱しておる行為であったわけでありますから、厳しく反省をして、なぜそういうことになったかという問題等については、具体的な手口その他については政府も委員会審議等を通じてわかる限りのことは御説明もしてまいりました。しかし、これは御説明をして、その事実がわかったというだけではいけませんので、大蔵省には厳正な対処を指示しております。
 厳正な対処というのは、そういったことを国会に御報告するとともに、将来にわたって繰り返してはならない。内外の一般投資家の皆さんが、自分はまじめにやってきたら損をしておる方ではなかったかというような、そういった気持ちを持たれたことに対して、二度とこのような間違いは起こさせませんということを、大蔵省自身が検査機能やきょうまでの検査体制や通達行政というものに対する反省に立って、法で埋めなければならない点があるとするなれば、これは証券取引法を改正して緊急に埋めていく。取引一任取引の禁止の問題であるとか補てんの問題についての法的な規制もきちっと考えるようにする。
 同時に、将来に向かっては、このようなことが法的な仕組みをつくっただけで完全になくなるとは思えません。したがって、こういったことの監視体制というのはどのような姿かたちであるのがいいのか、どのようなことが必要なのかということは行革審に早急な検討を要請しておりますが、要は金銭万能主義と申しますか利益第一主義と申しますか、企業の社会的責任というときに、もうかるかもうからないかという点だけに絞って判断をしたり行動の基準をとることをやめなければならぬし、また金融の世界、特に株の世界なんかにおいて自己責任の原則というこれは社会にわたっておる大きな一つのルールでありますから、こういったルールはきちっと守るようにそれぞれの皆さんに厳しくお願いをしていかなければならない、こう考えております。
#19
○村沢牧君 大蔵大臣、大手証券会社に四日間ばかりの自粛をさせる、みずからの減俸などといってひとりよがりのみそぎや、今後の法改正によって何とか切り抜けようとするような甘い考え方であってはいけないと思うんです。今、大蔵大臣に求められていることは、こうしたスキャンダルをみずからの手で、あなたの手によって解明し、その間における責任を国民の前に明らかにすべきだと思うんです。国会の論議や証人喚問が終わらないうちに既に政府は法律を用意して早く国会に出そうとしている。これはまさに不見識きわまるものだと思う。
 橋本さんとはいろいろおつき合いしていますけれども、しかし今あなたに申し上げたいことは、政治的責任をとる時期であるとかとり方は、秘書の問題も含めて国会の論議や国民の批判の中においてあなたが政治家としてみずから判断すべきことである。大蔵大臣としての責任とその認識について伺いたい。
#20
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私の秘書の軽率な行為につきましても含めての御指摘をいただきました。
 私は、この問題も含めてその責任を痛感いたしております。そして、みずからの責任のとり方ということにお触れになりましたが、その責任のとり方というものにつきましては、私は、さまざまな考え方をお持ちの方々からさまざまな角度の御意見をきょうまでも拝聴してまいりました。それぞれに傾聴すべき御意見として私は真剣に拝聴いたしましたけれども、その責任のとり方というものはみずからで判断すべきものと心得ております。
 ただ、今委員の御指摘になりました中で、私は一点のみ反論させていただきたいと思います。真相究明の努力が必要であり、そのための全力を尽くさなければならない責任は我々行政当局として負うております。そしてまた、国会の御論議にでき得る限りの御協力をし、国会としての真相の明確化のために行政当局として御協力すべき責任があることも事実であります。しかし同時に、それが終了するまでの間、行政当局として何ら対応をしてはならぬと仰せられる点は、私はこれは残念ながら委員とは意見を異にいたします。
 問題が現に起きており、細部にわたってその内容は不明確なところがあるといたしましても、少なくともどこの国も法律上わざわざ禁止をしていない、いわば法律以前の問題として取り扱われてまいりました事後の損失補てんというものが、しかも通達をもって禁じたにかかわらず現実に行われたという事実が出てまいりました。となれば、証券取引法上情けない話であります、ほかの国ではわざわざそういう法律をつくっていないのですから。しかし、そういう行為を禁ずる、それは急がなければならないと私は思います。また、一体我々の今日までの検査あるいは監視体制のどこにこうした問題点を惹起する原因があったのかは、行政当局として当然のことながら私は責任を持って我々自身がその内容をチェックする責任があると思います。
 また、通達というものに依存してまいりました中にしばしば明確性を欠くものがあったという御指摘を受けております。私もそう思います。そして、現在証券局の通達全部を見直しておりますが、今国会には間に合いませんけれども、そのすべてを見直した上で自主規制団体に移すものは移してしまう、法律化すべきものは法令化する、何よりも口頭でこれから光通達を行わないということを明確化する、こうした努力も当然のことながら我々自身が払わなければならないことであります。
 これ以上長い御答弁を申し上げようとは思いませんけれども、私は院において真相解明のための御努力をされることに行政当局としてでき得る限りの協力をいたすことは当然と心得ておりますが、同時に、すべての解明が済むまで行政当局として再発防止のための手法を講じてはならぬと言われる点については委員と意見を異にすることをお許しいただきたいと思います。
#21
○村沢牧君 私は、再発防止のための政策を考えることがいけないと言っているんじゃないんですよ。まだ国会で解明しておるんです。そうしたことを受けて法律をつくるべきではないか、そのこと宣言っているんです。
 総理、大蔵大臣の責任は即総理の責任にもつながってくるわけです。どのように考えますか。
#22
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に申し上げましたように、行政府としての責任を重大に受けとめております。同時に、政府としてその責任を受けとめておるということは、こういったことを起こしたこと、これを将来にわたって再び繰り返さないように、なぜこういったことが起こったのか、どこをどう手当てをしていったらいいのか、今すぐやれることは大蔵省に命じて、監督の強化や反省や取引一任取引の禁止や、やらねばならぬと今既にわかっておることについては直ちに対応に着手するように指示はしてあります。
 同時にまた、大蔵省の立場、大蔵省の検査機能に何が足りないのか、あるいは検査機能の新しいあり方としてどんなことを考えたらいいのか、いろいろな御意見が世にあるわけでありますから、これは行革審にそれらの問題について何が必要であるのか、何をなすべきか、いろいろ御検討も願っておると申したところでありまして、こういったことに全力を挙げ、再発防止になるようにいろいろなできる限りの手当て、手だてを緊急にすべきものはする、できるものはやる。なお、中長期の目盛りで、法をつくってでもやっていかなきゃならぬものはその法の作業に取り組んでいく、こうして問題を処理していくことが政府の責任であると厳しく受けとめておるところであります。
#23
○村沢牧君 総理、そんな答弁は何回も聞いているんですが、大蔵大臣が責任をとるということになれば総理だって重大な責任を考えなきゃいけない。そのことだけ申し上げておきましょう。
 そこで、大蔵大臣は損失補てんは法律以前の問題であると、私もそう思います。法律に禁止の規定がないからといってやってはならないことである。しかし、それは同時に社会通念上からも許されない行為、手段だと思いますが、どう思いますか。
#24
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは通達の以前、以降という種類の問題ではなく、もともと取引を始めます前に損失の保証をすることは法律で禁じてまいりました。しかし、証券取引の自己責任という原則が当然のことながらお互いの頭の中に存在するということは商取引の基本であったと私は思います。ですから、各国の法令を調べてみましても、自主規制機関において損失補てんを禁じておられるルールを持っている国はございます。しかし、法律の中にわざわざ損失補てんという行為を禁止しておらなかったのは、当然のことながら委員御指摘のようなまあ常識の問題ということであったに違いない、今私はそう思います。
 しかし、それが行われ、通達をもって禁じ、なおそれが行われたとなれば本当にみっともない話だと私は思いますけれども、そういうルール違反があった以上は、これを法律をもって禁ずるということは少なくとも私自身として行わなければならない、そのように考えております。
#25
○村沢牧君 私の質問したことは、そのような行為は社会通念上も許すことのできない行為であり手段である。そのことについてどう考えますか。
#26
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私は常識という言葉を使わせていただいてお答えをいたしたつもりでありました。委員がおっしゃることはそのとおりだと私も思います。
#27
○村沢牧君 社会通念上からも許されない行為、手段であるとするならば、それは不正な手段であると私は思いますが、どうですか。
#28
○国務大臣(橋本龍太郎君) 問題は、今不正という言葉を使われました意味が法律的な意味でお使いになったことでありとするならば、法律上禁止しておらない行為であるという意味において不正という言葉を使えないのではないかと思います。しかし、倫理的、常識的に考えて、特定の人たちだけに利益を与える行為が許されるものではございません。
#29
○村沢牧君 社会通念上も悪いことだということがなぜ不正だと言えないんですか。
#30
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、今私は、法律上お使いになったのだとするならばとお断りをして申し上げております。不正、不当、不公正な行為であることは論をまたないんです。ただ、それが法律上不正と言えるのかとなりますと、法律上禁止をされていない行為というお答えをしなければなりません。
#31
○村沢牧君 法律上禁止をするという規定がない、だから今まで申し上げたような行為は不正ではないと言うんですか。
#32
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、社会通念の上からいって非常識な行為であり、倫理にもとる行為であり、委員がお使いになるように不正という言葉を当てはめることもそれはできます。ただ、法律上と限定をいたしましたとき、残念ながら明文をもってこれを禁ずる規定はないわけであります。
#33
○村沢牧君 大臣は法律上では不正という言葉は使えないと盛んに言っておりますが、それは証取法五十八条の禁止される不正な取引行為、これに該当するようになるであろうからそういう答弁をしておると思いますけれども、私は今までの答弁からいってこの損失保証行為というのはこの禁止行為に該当すると思いますが、大蔵省の見解を聞きたい。
#34
○国務大臣(橋本龍太郎君) 法律上言葉が使い分けられております。損失保証と申しました場合には、取引の時点においてあらかじめの契約に達しない場合の補てんを行う行為、これを損失保証と。これは正確には事務方から御答弁をさせてもいいと思いますけれども、正確には損失保証と申しておるはずであります。そういう約束なしに運用された結果、事後に生じた損失を補てんする行為、それが今問題になっております。
#35
○政府委員(松野允彦君) 今お尋ねございましたのは五十八条の問題でございます。これは「不正の手段、計画又は技巧をなすこと」を禁止しているわけでございますが、五十八条の解釈につきましては、一般的には詐欺的な行為を禁止するという解釈がとられております。
 私どもの考え方では、この損失補てん行為は、その損失補てんの取引自体、相手方を錯誤に陥れるというような詐欺的な行為というわけではございませんので、五十八条を直ちに適用するというのは困難ではないかというふうに考えるわけでございます。
#36
○村沢牧君 今の証券局長の答弁は法律を身勝手に解釈した答弁であると私は思うんです。
 そこで、法制局長官に伺いたい。
 証取法五十八条一号による「不正の手段」というのは、御承知のように、昭和四十年五月二十五日、最高裁が明確な判断を示しているというふうに思います。
 すなわち、「同条号にいう「不正の手段」とは、有価証券の取引に限定して、それに関し、社会通念上不正と認められる一切の手段をいうのであって、文理上その意味は明確であり、それ自体において、犯罪の構成要件を明らかにしていると認められる」、こういう最高裁の見解があります。
 大蔵大臣も、社会通念上これはいけないことだ、法律上は不正とを言えないけれども不正だと言っているんです。
 こうした最高裁見解とこの五十八条一号について法制局長官はどのような見解を持っていますか。
#37
○政府委員(工藤敦夫君) 突然のお尋ねでございますので、私、今手元にその最高裁の判例を持ち合わせておりません。
 ただ、証券取引法の五十八条の一号に関しましては、従来学説その他で言っておりますところでは、不正の手段等について、「不正の手段、計画又は技巧をなすこと」ということについて、詐欺的な行為を禁止する規定である、そういう有価証券の取引に関連しての人を錯誤に陥れるような詐欺的行為、私は実はこういうふうに承知しております。
 なお、最高裁の判例につきましては、私の方でいましばらく調べさせていただきたいと思います。
#38
○村沢牧君 今、長官あるいはまた証券局長から答弁のあったようなこともありました。それではいけないということで上告して、最高裁はこういう見解を示したんです。
 何だったら、私はここに資料を持っていますから、検討してください。
#39
○政府委員(工藤敦夫君) ただいまお答えいたしましたように、最高裁の判例が手元にございませんので、検討いたしまして、(村沢牧君資料を手渡す)個々の具体的な事例について今この場ですぐにとおっしゃられましても、私といたしましてはちょっとお答えするに時間を必要とするかと思います。御了解いただきたいと思います。
#40
○委員長(中村太郎君) 村沢君、検討の上再答弁するということですから、御発言願います。
#41
○村沢牧君 それでは委員長に協力申し上げますが、私の質問時間中に、長官、調べて明快な答弁をいただきたいと思います。よろしいですね。
#42
○委員長(中村太郎君) 理事会でよく検討しましょう。
#43
○村沢牧君 理事会でと言っているんじゃないんです。長官に言っているんです。
#44
○委員長(中村太郎君) 村沢君に申し上げます。
 質問要旨は事前に十分執行部の方にお届けをいただきたいと思います。そうすれはこういう問題はないと思います。
#45
○村沢牧君 そんなことはどこの規則にありますか。
#46
○委員長(中村太郎君) 慣例になっております。長い間の慣例になっております。
#47
○村沢牧君 証券会社が損失補てんを行った件数、金額について、年次別に報告してください。
#48
○政府委員(松野允彦君) 今回損失補てん先を公表いたしましたのは合わせまして二十一社でございまして、総額が一千七百二十九億円でございます。
 この一千七百二十九億円の年次別内訳でございますが、昭和六十三年九月期が四百八十九億円、それから平成元年三月期、これは半年決算でございますが、平成元年三月期が百七十億円、平成二年三月期が千七十億円でございます。
 件数についてはちょっと今手元に資料がございませんので、後ほど調べたいと思っております。
#49
○村沢牧君 今の合計は、大手四社ですか、それとも中堅を含めて十三社の合計ですか。中堅を含めて十三社の合計について言ってください。
#50
○政府委員(松野允彦君) 今お答えいたしましたのは、申し上げましたように全社二十一社でございます。
 大手四社だけをとって申し上げますと、大手四社は総額が千二百八十三億円、六十三年九月期が三百八十一億円、平成元年三月期が百七億円、平成二年三月期が七百九十五億円となっております。
 それから、その次の準大手・中堅の十三社は、十三社合わせまして四百三十七億円が合計金額でございます。そのうち六十三年九月期が百六億円、平成元年三月期が六十二億円、平成二年三月期が二百六十九億円。
 したがいまして、残り中小四社、これは財務局が監督している会社でございますが、この四社は合わせて九億円でございまして、六十三年九月期が二億円、平成元年三月期が二億円、平成二年三月期が五億円、こういう内訳になっております。
#51
○村沢牧君 証券局長は、平成元年十二月二十六日に通達を出した。損失補てんを行っているということを把握したのはいつの時点ですか。また、損失補てんの現実をどのように把握してこのような通達を出したんですか。
#52
○政府委員(松野允彦君) 今回問題になっておりますような多額の損失補てんにつきましては、平成元年の十一月に大和証券についてそういうものがあるということが明らかになりました。実は、私どもはそれと並行いたしまして平成元年の十月から山一証券については定例検査に入っていたわけでございますが、その過程でもそういう損失補てんが大量に行われているというのを把握しつつあったわけでございます。
 そういったようなことを踏まえまして、平成元年の十二月に通達を出して事後的な損失補てんを慎むようにということを指導し始めたわけでございます。
#53
○村沢牧君 平成元年十一月に大蔵省はわかったと言いますけれども、先ほど答弁があったように六十三年九月から各社みんなやっておる、山一証券だけじゃない。このことがわからなかったんですか。大蔵省であれば、ほかの人もやっているんだと感ずるのが当然だと思うんですが、どうだったんですか。
#54
○政府委員(松野允彦君) 私ども、証券会社に一定の周期を置いて定例検査に入っているわけでございますが、今申し上げましたように、今回明るみに出ましたような非常に大規模の営業特金等に絡んだ損失補てんというのがわかりましたのは、今申し上げたような事情でございます。しかし、それ以前の定例検査におきましても、一部の大口顧客に対して利益供与が行われているというような事例は把握をして、その中には損失補てんというものもあったわけでございますが、その都度改善の指導をしてまいっていたわけでございます。ただ、そのケースというのは主としてブラックマンデー以前でございますものですから、今明るみに出ておりますような大規模かつ非常に大口の法人顧客の営業特金等に絡んだ損失補てんというような形のものではなかったわけでございます。
#55
○村沢牧君 そうした報告を求める前に、証券局はある程度、平成元年十一月以前にこうした損失補てんをやっていたと把握しておったと、そのことは衆議院の答弁でも言っているじゃありませんか。どの程度把握しておったんですか。
#56
○政府委員(松野允彦君) この通達が出る前に、今申し上げましたように、一定の周期を置いて各証券会社を定例検査しております。その定例検査の過程におきまして、債券取引あるいは新規発行の有価証券を配分するというような形で一部の大口の特定客に対して利益供与と考えられるような取引があったということは一検査を通じて把握をしておりました。その利益供与取引の中には、大口の顧客に対する損失補てんを意図したと思われるような取引も含まれていたわけでございます。
 そういうこどもございまして、検査の都度指摘をいたしまして、個々に改善指導をしてまいったわけでございます。そういうことを平成元年の十一月、通達前にもそういうような事実が検査で見つかって、改善指導をしていたということでございます。
#57
○村沢牧君 そういう事実の把握は、企業が報告したすべてのものについて把握をしているのか、あるいはその何割くらいは知っておったのか。それ以上のものを把握しておったんですか。
#58
○政府委員(松野允彦君) これは、今申し上げましたように、定例検査におきまして私どもが検査の過程でそういった利益供与と思われる取引というものを指摘し、その中で損失を補てんするという意図があると思われるものも把握をしていたわけでございます。それは検査の都度我々がいろいろな資料で把握をしたわけでございまして、今回問題になっておりますような損失補てん、これは平成二年の三月に自主報告をとったわけでございますけれども、その自主報告はブラックマンデー以降の損失補てんについて自主報告をとったわけでございまして、私が今申し上げましたのは、それ以前の定例検査においても、こういうような一部の損失補てんと疑われるような利益供与取引というようなものが認められたということを申し上げたわけでございます。
#59
○村沢牧君 大蔵大臣、証券局長の答弁のように、証券局は承知しておったと。そうならば、なぜもっと早く報告を求めたり通達を出したり、その手を打たなかったんでしょうか。
#60
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、局長から御答弁を申し上げましたように、過去の証券検査においてそうした事例というものが発見をされ、その都度注意を喚起し、指導を行い、またそうした事例があったことは、私は証券局の年報とか報告書の中にもその都度記載をしておったと思いますけれども、今問題となっておりますような本当に幅の広い金額の大きいものというものはそのころまでなかったのではないか、私もそこまで細かくは存じませんけれども、思います。
 ただ、先ほど局長からの報告にもありましたように、平成元年十一月時点において特定証券会社における大量の損失補てん行為が見られたことから、そしてまた並行して行われております他社の検査の中においても同様のものが見られたことから、改めて通達を発出して、証券業界に対し注意喚起を行い、そうした行動を慎むようという指導を行ったと私は思います。
 例えば、今日御論議をいただいておりますようなものが全部その時期にあったとすれば、私は当然その時点において、仮に我々が手抜かりをいたしておりましても、国会においても例えば証取法を変えるとか厳しい御指摘を受けたと率直に思います。そうしたことが、先ほど委員からの御指摘とは私は考えを異にいたしますと申し上げましたけれども、現在わかっております時点においても必要な法改正は行いたいと私自身が考えておる原因であります。
#61
○村沢牧君 平成二年三月期の補てん額が一番大きいんです。通達を出した平成元年十二月以降、すなわち平成二年一月から三月までの補てん額について明らかにしてください。
#62
○政府委員(松野允彦君) 平成元年の十二月に通達を出しまして、平成二年の三月に自主報告をとったわけでございますが、そのときは先ほど申し上げましたような年度区分で報告をとっておりまして、通達発出前後、つまり一−三月というものを特に分けてとっていなかったわけでございますが、その後私どもが各社に要請をいたしまして、一−三月の計数を報告を受けたわけでございます。
 その結果を申し上げますと、先ほど申し上げました、これは実はちょっとベースがあれでございますが、本省が監督しております証券会社十七社のベースでございます。したがいまして、先ほどの財務局監理の四社を除いた数字で御報告をさせていただきたいと思いますが、本省監督の十七社につきましては、平成二年三月期の損失補てん額、これは自主報告プラス税務調査などで認定された額がございますが、千六十四億円という数字でございます。その平成二年三月期の千六十四億円の中で、平成二年の一−三月、つまり通達発出後に行われた損失補てんとして報告されておりますのが八百二十八億円でございます。
#63
○村沢牧君 その件数、わかりますか。
#64
○政府委員(松野允彦君) ちょっと今件数は把握をしておりません。もしあれでしたら後ほと調べてお答えしたいと思います。
#65
○村沢牧君 大臣、通達を出して、その後平成二年一月から三月まで、平成二年度の損失補てん額の八割以上、企業はやっているんですよ。一体、この通達は何だ。またこういうことがやられて、大臣はどういうふうに思うんですか。
#66
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻来申し上げておりますように、今私どもは証券局の過去に発出いたしました、何百という数に上るようでありますけれども、通達全部を洗い直しております。そして、その中で自主規制団体が強化されていくに伴い、自主規制団体の方に任せるべきものはお任せをしてしまう、むしろ法令化を必要とするものがあれはこれは法令化をしたい、そして何よりもこれから先の通達というものは口頭通達という形式を廃止したい、言いかえれば行政の透明性をできるだけ大きくしたいという努力をいたしております。それは、まさに今回結果として通達の権威というものが全く踏みにじられたわけでありまして、そうした中から、通達において守られないなら法律をもってその行為を禁ずる以外にないというところまで、私なりに思い詰めてこの状態を受けとめております。
#67
○村沢牧君 答弁があったように、平成二年度の損失補てんは千六十四億、この中で一月から三月まで八百二十八億、通達を出してからこれだけやられたんですよ。これは、大蔵大臣はいろいろなことを言っておるけれども、やった企業が悪いというのか、あるいは見逃していた大蔵省が悪いというのか、どっちだと思うんですか。
#68
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今の時点になりまして私はどちらが悪いという議論は余り意味がないような気がします。というのは、本質的には許されていない行為を行った人間が悪いのは当然でありますけれども、それをチェックし得なかった行政に責任がないと私は一度も申し上げたことはございません。
 ただ、もし強いて優先順位をつけろと言われますならば、やはり行った企業の方が悪いということは私は申し上げたいと思います。その行政の監督責任というものを免れる意思は私はございません。
#69
○村沢牧君 だから、そんななめられた態度であるからだめだというんですよ。
 国税庁に伺いたいが、法人税申告や税務調査によって判明した損失補てんについて、決算期別に報告してください。
#70
○政府委員(冨沢宏君) 国税当局といたしましては、補てんに当たるか否かということにかかわりませず、証券会社等が有価証券取引を通じて特定の顧客に特別の利益を供与した場合に、その実態に応じて交際費等として課税をいたす、こういうことにいたしておりまして、調査を終えた分については所要の更正処分を行っておりますが、更正処分の中身につきましては答弁をすることを差し控えることをお許しいただきたいと存じます。
#71
○村沢牧君 私はそんな個々の企業の中身について言えと言っているんじゃないんです。
 国税庁の調査によって更正決定をした、あるいは交際費としてみなした。それなのに、損失補てんをしたからそういうことをやったんでしょう。その内容について報告してくださいというんですよ。
#72
○政府委員(冨沢宏君) 先ほど申し上げましたように、私ども国税当局の調査権限は、適正な税務の執行ということに基づきましてその必要性から認められておると承知いたしておりまして、私どもの守秘義務に対する罰則も通常の公務員の二倍というふうに加重をされております。そのあたりからいたしまして、そこにつきます答弁はお許しをいただきたいと存じます。
#73
○村沢牧君 そんなことは守秘義務に該当することじゃないんですよ。個々の企業について言えというんじゃない。何年ごろからそういうところがやったということが国税庁はわかっておるじゃないですか。なぜ言えないんですか。
#74
○政府委員(冨沢宏君) これは、証券会社から報告のあったものにつきまして報告ベースで申し上げますと、野村証券につきましては九十億円、大和証券につきましては十五億円、日興証券につきましては四十七億円、山一証券につきましては百五十五億円、合計三百七億円ということでございます。これは証券会社の報告に基づいた数字でございます。
#75
○村沢牧君 それは何年ころからそういうふうにあったのか。それから、証券会社の報告だけでなくて、あなたたちが交際費として、自己否認とみなして更正決定したものがあるんじゃないですか。それも含めて言ってください。
#76
○政府委員(冨沢宏君) 私ども、答弁を繰り返すことになりますけれども、税務調査というのは適正な課税というものが大変重いものであるということから特別に権限を与えられておると承知いたしておりますので、その税務調査の結果私どもが知り得ましたことにつきましては、答弁を御容赦いただきたいと存じます。
#77
○村沢牧君 守秘義務と国政調査権はどっちの公益が優先するのか。私が今質問したように、国税庁は何年ごろから企業が損失補てんをやっていると把握しているんですよ。それをなぜ言えないんですか。個々の企業に対して一々言えというんじゃないですよ。
#78
○政府委員(冨沢宏君) 私どもがそういうケースを最初に発見いたしましたのは平成元年十二月期の調査、十二月ごろの調査に基づいてでございますが、大部分はその後において発見いたしたものでございます。
#79
○村沢牧君 国税庁の調査はそういうことでわかっているが、証券局は国税庁がそういうことを把握していることを承知しておったんですか。
#80
○政府委員(松野允彦君) 私どもとしてはその件については全く把握しておりませんでした。
#81
○村沢牧君 同じ大蔵省の中にあって、国税庁は知っておった、証券局は知らなかった、連絡もとっておらない。大臣、一体これはどういうことなんですか。
#82
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はちょうど二年と数日大蔵大臣室で過ごしております。しかし、私自身が、国税庁長官あるいは国税の幹部を私の部屋には呼びません。また、国税庁長官以下国税庁の幹部職員を含めまして国税の諸君は、何らか国税庁として私に報告すべき事項を持たないときにおいて、あるいは次年度予算編成について大臣と協議を要する場合を除いて、大臣室には参りません。また、省内の会議におきましても、私の知る限りにおきまして、出席の必要がない会合に、例えば事務次官室等に国税庁長官が出入りをするということも慎んでおるはずであります。国税というものに対しては我々はそれだけの守秘義務というものに対し省内においても敬意を表しております。また、私自身も国税庁に対し同様の対応をいたしております。
 たまたま税務調査の過程において何らかの問題を国税庁が把握し、それが国税庁から同じ省庁の中でありましても他の部局に情報が流れるということは、私は国税にとって決して好ましい状態ではなかろうと思います。
 今、委員から御指摘がございましたが、私は、証券検査で知り得たこと、また国税庁がみずからの機能として税務調査で知り得たこと、それらの情報が恣意的に流れることが行政としていいことだとは考えておりません。
#83
○村沢牧君 国税庁は、損失補てんをする、あるいは特定一の利益供与を与える、このことはいけないことだということは承知しているんですか。
#84
○政府委員(冨沢宏君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもはいわゆる損失補てんであるかどうかということには実は関心がございませんで、証券会社等が有価証券取引を通じて特定の顧客に特別の利益を供与したかどうか、この点で判断をいたしておるわけでございまして、そういう場合につきましては交際費等として課税をいたす、そういう立場でございます。
#85
○村沢牧君 特別の利益を供与したということは損失補てんなんです。
 そこで、国税庁に重ねてお伺いしたいんだが、調査の中には自己否認をしたもの、いわゆる使途不明金というのがあるというふうに思うんです。この使途不明金の中には相手の名前は言えないけれども、しかし、損失補てんに相当するものがある、こういうふうに私は見ますが、どうですか。
#86
○政府委員(冨沢宏君) 今回のケースについて申しますと、いわゆる使途不明金というのは、支出はされたけれどもそのお金がどこへ行ったかわからない。そういうケースでございますが、今回の場合には利益を受けた方々が大体判明しておるわけでございまして、いわゆる使途不明金というケースとは違うというふうに心得ております。
#87
○村沢牧君 使途不明金とは違うということですと、その使途不明金、いわゆる自己否認をしたものも企業が発表したリストの中にすべて明らかにされている、そういうふうに判断されますか。
#88
○政府委員(冨沢宏君) 自己否認というものでございますけれども、これは企業の帳簿の上における計算、これは必ずしも税務上の計算と一致するものではございません。例えば交際費につきまして、企業としては払ったということで損に落としているケースもございますけれども、税法上は交際費は損金とは認められない、そういうようなケースもございます。そういったことをみずから申告の際に、自分の計算ではこうなっておるけれども、この部分は交際費の限度超過額に当たりますということで利益に足して計算して申告をされてこられるわけでございまして、それがいわゆる自己否認金ということでございます。
 したがいまして、先生の御質問に対するお答えとしては、企業の会計上の損金には入っておるけれども、税法上は損金として認められない部分が自己否認金に当たるということでございます。
#89
○村沢牧君 証券局にお伺いいたしましょう。
 今、私が申しましたように、自己否認をする、使途不明だということで税金だけ払った、内容は明らかにならない。しかし、それは企業が公表したリストの中に入っておるのかどうか、その辺は御承知ですか。
#90
○政府委員(松野允彦君) 損失補てんによる証券会社の負担、これは損失補てん行為、取引によって性格が違うわけでございますが、概して有価証券の売買の形をとっておりますものですから、経理上は証券会社の有価証券の売買損という形で計上されるものが多い。あと一部営業外費用あるいは雑損というような形で処理しているものもございますが、大部分は有価証券の売買損という形で企業経理上は整理されております。
#91
○村沢牧君 私はそんな質問をしているんじゃないんですよ。税務計算上は自己否認をしている、だれにやったかわからないようにしてある。しかし、企業の公表したリストの中にはそれが含まれているのかどうかということなんです。
#92
○政府委員(松野允彦君) これは公表された損失補てんのリストにはすべて含まれております。というふうに、我々は自主報告プラス税務上の認定によるもの、自己否認といいますのは自主申告をした中に入っているものが大部分でございますが、いずれにいたしましても、すべて公表されたリストに含まれているということでございます。
#93
○村沢牧君 国税庁に重ねてお伺いしますが、そういう認識でいいでしょうか。
#94
○政府委員(冨沢宏君) 私どもは、報告されたものの中身について調査をしておりませんので、すべて含まれているかどうかはわかりませんが、当然含まれていると考えてよろしいものであると思います。
 なお、もし含まれていない、そういうような問題がございましたら、今後の調査でもちろんそれは調べる可能性は十分あるわけでございます。
#95
○村沢牧君 今後の調査で調べる可能性があるというならば、調べてもらいたいんですが、私は、企業が公表したリストの中にすべて含まれているものではないというふうな判断を持っておりますから、そのことについて大臣の見解を聞きたいと思うんです。
#96
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今まで公表されましたリストは、企業それぞれから自主報告のありましたものに税務調査上損失補てんと認定されたものを加えて公表しておると承知しております。その限りにおいて、今、委員が御指摘になりましたような内容のものはこの中に含まれているはずであります。しかし同時に、現在大手証券四社に対しては特別検査を実施中であります。この中におきまして、報告に漏れておるようなものがありましたならば、当然のことながら、それに対しての対応を我々は考えなければならないと思っております。
#97
○村沢牧君 証券局が編集しております年報で、八四年すなわち昭和五十九年年報ですね、利益供与の取引についてどのような記載がされていますか。
#98
○政府委員(松野允彦君) 私どもが毎年出しております証券局年報は、各年度においての証券検査の状況について記述をしているわけでございますが、御指摘の昭和五十九年度版につきましては、「営業の状況」という欄でございますが、「債券営業については、市況の好転等により、従来のような実勢価格と乖離した価格での取引は目立たなくなってきているものの、一部に債券取引を利用した特定顧客に対する利益供与とみられる取引事例が見受けられた」という記述がございます。
#99
○村沢牧君 八五年版についてはどのように記載されていますか。
#100
○政府委員(松野允彦君) 昭和六十年版の証券局年報におきましては、同じ検査結果という欄の「営業の状況」のところ、初めの方はちょっと省略させていただきますが、「債券営業では、実勢価格と乖離した価格による取引は目立たなくなってきているものの、債券取引を利用した特定顧客に対する利益供与とみられる取引事例が認められた」という記述がございます。
#101
○村沢牧君 大臣、今答弁がありましたように、証券局は、八四年すなわち昭和五十九年、八年前から利益供与があるんだ、こういうことを把握していた。みずから発行した年報にはっきり書いてあるじゃありませんか。前の年には一部に見受けられた。でもその翌年には一部という言葉は消えている。かなりあった生言わざるを得ないんです。八年も前からこういうことを証券局は知っていた。年報が示すとおりです。どういうふうに思いますか。
#102
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、まさに証券検査の中でこうした実例を発見し、把握し、調査し、その結果、証券局としてそれぞれの証券企業に対しての指導を行ったということをそのままに報告しているものと思います。
#103
○村沢牧君 そのことはわかっているんですよ。だからこういう年報が出ている。八年も前にわかっておって、それに手を打たなかったということが今日こういう大きな問題になったんですよ。一体どういうことなんですか。
#104
○国務大臣(橋本龍太郎君) そういうことから、私は監査のたびにそういう注意を繰り返してきたのだと思いますが、いずれにいたしましても、元年の十一月時点におきまして、特定証券会社において大口の損失補てんが発見をされたこと、また、同時並行で行われておりました他社の検査にもそうした事例が見られたことから、改めて証券業界全体に対する通達の発出というものに至ったと思います。しかし、結果としてその通達が無視されたということについて、先ほど来申し上げておりますような気持ちの中で、証取法改正というものに向けて努力をいたしておるところであります。
#105
○村沢牧君 大臣は質問に本当に丁寧に答えるんじゃなくて、ポイントをそらしていつも答弁しているけれども、私は、八年も前から知っておった、大蔵省の責任なんですよ、そのことの反省がなくてはいけないと思うんです。
 そこで、大臣、今日まで衆議院で、この委員会でいろいろ聞いてまいりました。だんだん事実がわかってきた。もう何年も前からやられてきた。政府はどういうふうに対応してきたのか。あるいは通達を出したが無視された。会社の発表したこのリストは本当に正しいものであるか。こうしたことについて大蔵大臣として統一した答弁なり見解を出してください。そのことが今後の議事進行のために大変役立つことなんですよ。はっきり答弁してください。
#106
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一つ申し上げられますことは、先刻来委員が御指摘になりました内容から逆に言えますことは、証券市場というものがいわば株価の上昇の続いておる時期、そうした時期においてはこうした行為というものはまずほとんど起こってこなかった。しかし、一つはブラックマンデー以降の証券市場の低迷の時期、さらに、今まさに御論議をいただいておりますように、元年以降の経済的な状況の中で多発をしてきた、この事実は私はそのとおりに受けとめております。そして同時に、先刻来申し上げておりますように、その行政責任を私は回避するつもりはないということも申し上げております。
 また、それ以前の問題で、今委員が五十九年度の、そして六十年度の証券局の年報を引用され、局長も御答弁を申し上げましたように、こうした事例が全くなかったわけではない、その都度指導をするもので足りると思ってきたことが甘かったと過去にさかのぼって御指摘を受けるのであれば、これは甘受をしなければならないと思います。そうした意味において、私どもとして全力を尽くして努力をこれからもしていかなければならないと思います。
 また、リストというものにつきまして再確認を求められましたが、今回公表されました損失補てんのリストというものは、まず第一に自主報告の行われたもの、これに加え、先ほど来御指摘のありました自己否認等も含めまして税務調査の結果損失補てんと税務当局の認定されたもの、これが合算されて報告をされております。その限りにおいて、私は、現在時点において把握できる内容の公正さを持っておると思います。
 しかし同時に、今、四大証券に対して特別調査に入っておるということも申し上げております。その調査の結果、御報告をしなければならないような問題があれば、これに対して対応しなければならないということも申し上げておるわけであります。
#107
○村沢牧君 通達について若干聞きたい。
 平成元年十二月の通達では「厳にこれを慎むこと」となっておりまして、禁止するということにはなっていない。なぜ禁止をするという措置をとらなかったんですか。
#108
○政府委員(松野允彦君) 通達は、法律と違いまして行政指導ということで、行政の指導の中身を明らかにするものでございます。したがいまして、通達の表現というのは種々さまざまでございますが、厳に慎むことという表現を使うという例が幾つかございます。
 私どもの気持ちといいますか、そのような通達の場合には、要するにやらないこと、いわゆる事実上行わないことというようなことで解釈をしてまいっておりますし、また、通達を受ける証券会社の方も、厳に慎むことという表現は、行わないというふうに理解するということで、通達の表現はそういうふうに受け取られているわけでございまして、禁止することというふうな言葉を使っている通達はたしかございません。慎むあるいは自粛するというような表現を使って、行政指導ということもございましてそういう表現を使っているわけでございますが、厳に慎むことという表現は、今申し上げましたように、行わないことというのと同じような意味で使っているということでございます。
#109
○村沢牧君 行わないことの、どういうことをやっちゃいけないのか、損失補てんの定義や基準を示して慎めと言ったんですか。単に慎めと言っておるんですか。
#110
○政府委員(松野允彦君) 平成元年の十二月に出しました通達には、事後的な損失補てん云々は厳に慎むことと、こういう表現になっております。その通達には事後的な損失補てんの定義は明確には示してございません。
 ただ、先ほど来申し上げましたように、十一月に大きな損失補てんが出、あるいは検査め過程でもそういうようなものが散見されるというようなこともございまして、一般的に損失補てんという言葉の意味につきましては、証券会社の方も我々と同じように、一部の顧客に対して有価証券の売買等で生じた損失を補てんするために有価証券の取引の形などをとって行う行為ということについては、証券会社の方もそういう概念で損失補てんが使われているということについてはその当時明らかであったわけでございまして、特に厳密な定義を通達では書いてございませんが、事後的な損失補てんという表現で十分証券会社の方も理解できるということで通達を発出したということでございます。
#111
○村沢牧君 基準も定義も示さずして、ただ慎めといって出した通達は、各社のそれぞれの思惑や判断に任せた結果だ。したがって、いろいろ基準あるいは発表する金額なんかもまちまちだというふうに思うんですけれども、どうですか。
#112
○政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたようなことで出して、かつ平成二年の三月末に自主報告をとったわけでございますが、私どもの感じでは、各社が通達の解釈をめぐって非常に混乱、疑問を持つたということで行政当局に問い合わせに来たというような事例もございません。今申し上げたように、事後的な損失補てんという概念は、証券界と行政との間で、当時そんなに疑問を呈するような食い違いはなかったというふうに認識をしているわけでございます。
#113
○村沢牧君 疑問を各社が感じてこっちへ問い合わせがあったかどうか知りませんけれども、しかし、私が言ったように、基準も定義も示さず出した通達、それに基づいて発表された企業のこれは同じレベルのものじゃない、いろいろな思惑があって発表したものだ、そういうように私は言うんです。はっきりした答弁をしてください。
#114
○政府委員(松野允彦君) もしそういうような点があれば、私どもも現在検査をしております。重点は主として自主報告以後の損失補てんの有無について検査の対象にしているわけでございますが、あわせて自主報告の中身についての確認も行っているわけでございまして、私どもはそれほど各社まちまちであるというふうには感じないわけでございますけれども、検査の過程においてその点についてもチェックをしているということでございます。
#115
○村沢牧君 そんなことは検査をやってみなきゃわからないということ、大臣、そういうふうに思いませんか。各社がばらばらで報告した、これがすべてのものである、そういうふうに私は思うんですが、どうですか。
#116
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありません。委員がお尋ねになりたいポイントがもうひとつわかりません。
 今、私はとっさに伺ったわけでありますが、少なくとも局長と委員との応答を聞いております限りにおいて、この通達の理解において証券業界から特段の問い合わせもなかったということは、その当時における認識の度合いというものはそれなりにそろっておったということを意味するものではないでしょうか。そして、今日大手証券四社に検査に入っております中で、改めてそうした問題点が出てくれば、それは受けとめて考える部分も持つと思いますけれども、今委員が御指摘になりましたのがその当時の認識の問題ということでありますと、この通達について証券業協会あるいは取引所あるいは個々の証券企業からその理解についての問い合わせ等が行われなかったという事実をもってお答えにかえたいと思います。
#117
○村沢牧君 マスコミによれば、証券局の幹部と証券会社の幹部は毎月一回ずつ定例会議を持っておる。通達をやるにしても行政指導をするにしても、そうした者の意見を聞かなきゃできないということはマスコミや雑誌が既に報道されているところですよ。
 ですから、そういう基準を示さなくても、いろいろな形であうんの呼吸でやっている。通達を出してから一月から三月の間にその年度の八割も損失補てんをしているんじゃありませんか。このことは、平成二年の決算期までは損失補てんを暗に認めたと言わざるを得ないんですよ。だから、田淵前会長のような言葉まで出てくるんです。その点はどうなんですか。
#118
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私の理解いたします限りにおいて、事実問題として通達発出後に損失補てんが行われたということはそのとおりであります。そしてその報告を求め、現在になりますといろいろな御批判がございますけれども、その当時において、その度合いに応じて各社に処分を求めたという事実からいたしましても、黙認をしていたというお話は私は当たらないものと思います。
#119
○村沢牧君 黙認をしておりましたなんてあなた答弁はできないでしょうけれども、しかし、そういうことを言われてもやむを得ないような事態になっているんじゃありませんか。だからこの通達を出す、定義や基準についてもはっきり示しておらなかった、そしてまた、その後において検査体制も十分でなかった、私はこのように指摘をしておきたいんです。
 そこで、通達についてもう一つだけ伺っておきたい。投資顧問会社についてはどのような監督指導をしているんですか。
#120
○政府委員(松野允彦君) 投資顧問会社、これはいろいろな形態のものがございます。証券会社が親会社となっているもの、あるいは金融機関が親会社となっているような投資顧問会社があるわけでございますが、私どもは、従来から投資顧問会社につきましては、その業務の性格上、中立性、独立性を確保するようにということでいろいろな指導をしてまいっているわけでございます。
 例えば、役員について兼職を禁止するとか、あるいは投資顧問会社の中には一任勘定を受けているものもございます。その一任勘定について、注文を出すときにできるだけ分散しろとかいうようないろいろな指導をしておりまして、できるだけその投資顧問会社の中立性あるいは独立性というようなものが確立していくように、比較的歴史の浅い業界ではございますが、そういうふうな方向で従来も指導をしてまいりましたし、これからもその指導をさらに強めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#121
○村沢牧君 投資顧問会社についてもどうせよという通達を出した。同日付で証券局の業務課長は各財務局長に対してこういうふうにしなさいという指導文書を出しているわけですね。それについて説明し、その結果について答弁してください。
#122
○政府委員(松野允彦君) 平成元年の十二月二十六日に出しました通達は、まず一つは証券会社に対して事後的な損失補てんを厳に慎むことという通達を出しておりまして、これに伴いまして事務連絡を出しております。そのときにあわせまして、投資顧問会社につきましても同じような内容の通達を出しております。
 投資顧問会社につきましても、一任勘定を受けているような場合には事後的な損失補てんも厳に慎むようにというような通達を出しているわけでございます。したがいまして、十二月に出しました証券会社に対する通達とほぼ同じ内容のものを投資顧問会社にも出し、あわせてその際、投資顧問会社に対してより細かい点を事務連絡という形で担当官から細かい内容の指示をしておるということでございます。
#123
○村沢牧君 担当官に対して、投資顧問契約についてどういうふうにしなさい、確認しなさい、どういう指導をしたんですか。
#124
○政府委員(松野允彦君) 投資顧問契約につきましては、これは助言契約と一任契約と両方ございますけれども、その締結に当たっては投資顧問業者は顧客に対し、直接的であるかまたは間接的であるかを問わず、損失の補てんや特別の利益提供は行うものでない旨を契約書に明記するというふうな指導をしているわけでございます。あわせて、既にあります契約につきましても契約更改時に同様の趣旨のものを契約書に盛り込むようにという指導をその事務連絡で行ったわけでございます。
#125
○村沢牧君 契約をしているかどうか確認をしなさい、ただし利益提供を行わないなどの書面を取り交わしているものについては確認しなくてもいい、こういう指導をしたんじゃないですか。骨抜きになっていますね。
#126
○政府委員(松野允彦君) 今の御指摘は証券会社に対する通達に伴う事務連絡でございまして、こちらの方は証券会社に対しては営業特金を投資顧問づきのものにしろといういわゆる営業特金の適正化を図るということとあわせて、どうしても投資顧問づきにできないものについても利回り保証なり売買一任をしないという確認書をとって、損失補てんが生じないような形のものに確認書をとって適正化をしろというような指導をしたわけでございます。
#127
○村沢牧君 この問題については余り時間を費やしてやりません。
 それで、投資顧問会社は独立性が今重要視されていますね。そこで、投資顧問会社の実態、四大証券についての、投資顧問会社の役員、それはどういうところから派遣をされているのか報告してください。
#128
○政府委員(松野允彦君) 投資顧問会社は、先ほども申し上げましたように、比較的新しい業態ということもございまして、そういう十分な能力、知識、経験を持った人材を確保するという観点から、証券会社が親会社となっております投資顧問会社の場合には、その役員の大部分、ほとんどが証券会社をやめて退職後投資顧問会社の役員に就任しているというケースが多いということでございます。
#129
○村沢牧君 四大証券の投資顧問会社を見てもほとんどが本社と同じ系列の人なんですよ。こんなことで独立性が本当に保たれるものでしょうか。投資顧問会社について、大臣、どういうふうに思われますか。
#130
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回、投資顧問会社をつけて運用されましたものの中にも損失補てんの事例が見出されたものがございます。これは、現在さまざまな点からの見直しを行っておりますけれども、投資顧問会社に対しましても今後幾つかの点の対応策を考えていかなければならないと考えておるさなかであります。
#131
○村沢牧君 総理、今まで大蔵省の責任だけを私は追及してきましたが、損失補てんをして、通達まで無視をしていく証券会社、このモラル、社会的な責任は私は許せないと思うんですが、証券会社の責任についてどう考えますか、総理は。
#132
○国務大臣(海部俊樹君) 企業の社会的責任という面からいきますと、法律違反かどうかだけじゃなくてプラス企業としてのモラルといいますか、社会における責任というものもやはり求められるわけでありますから、そういった意味において通達で指導を受けておるものをわざとくぐるということは、これはよくありません。
 通達はきちっと守るようにしなきゃならぬし、現に守られなかった分については今大蔵省で鋭意その検討をして、これは法に移行した方がいいと判断したものは通達をやめて、証券取引法の方へ移行させるような検討も具体に行っておるところであります。
#133
○村沢牧君 その免許会社たる証券会社から自民党は多額の政治献金を毎年受けているわけですね。お配りしてあるのはその一例であります。このほかにも派閥であるいは個人で県段階でかなり受けているというふうに思って差し支えないと思います。
 こんなことをしておって証券会社に対して、政府として、自民党として厳しい対応ができますか。
#134
○国務大臣(海部俊樹君) 確かに、お配りいただきましたように、証券会社も社会的存在として政治資金の提供をする。国民協会に受けたのは今お配りいただいた資料のようなものだろうと思います。
 企業の社会的責任として政治活動を支持してもらうということと、それから今現にいろいろ御議論願っておる問題とは、これはちょっと次元の違う場面のお話ではなかろうか、このように受けとめさせていただきます。
#135
○村沢牧君 違わないんですよ。
 今、総理は、政治改革に政治生命をかけるとまで言っておるんですよ。その中で、やっぱりきれいな政治、きれいな選挙を行うためには、こういう免許会社あたりからこんなに政治献金を受け取って、企業献金を受け取って何できれいな政治ができるんだ。こんなのはもう禁止するということをまずあなた自身から考えるべきだ。
#136
○国務大臣(海部俊樹君) 政治資金というものは、政治をする上においてどうしても資金が必要なものでありますから、政治資金規正法というものに従って社会的存在である企業から広く資金をいただく。同時に、国民政治協会というのが自民党に対する資金を受け入れる窓口になってきょうまで手続をやってきた、こういうことでございます。
 また、今そういった政治資金と政治活動の関係については、現に提示しております政治改革三法の中で、それに対処する考え方やあるいは政府・与党としての反省等も厳しく踏まえて提出をしておるところでございます。
#137
○村沢牧君 次に問題を移します。
 風の子学園というのがございます。今、登校拒否問題が重要な問題になっているときに、広島県の風の子学園におきまして、園長による園生の体罰が日常的に繰り返され、ついに園生を監禁、死に至らしめるという御承知のとおり痛ましい事件が発生いたしました。
 大きなショックを受けているところでありますが、まず初めに、この事件の概要とそれに対する見解を伺いたい。
#138
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 まさに今先生言われた事件でありまして、同国の園生二人が喫煙しているのが発覚したことを理由に、園長がJRのコンテナをそのまま利用して同施設内に設置された懲罰のための内観室に二人を入室させていたところ、二人は熱射病による脱水症状のために死亡したまことに痛ましい事件であります。
 風の子学園は民間施設でありまして、学校教育法の定める学校ではございませんが、子供に対する教育やしつけ、これは人間味のある温かい指導が大切であり、子供の生命の安全や身体の状況に対する配慮が不可欠です。仮にも子供の命が失われるようなことは絶対にあってはならないことである、このように考えます。
 文部省といたしましては、今回の事故を深刻に受けとめ、今後とも登校拒否の対策を含め、問題活動への対応策の一層の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
#139
○村沢牧君 森暢子議員から関連質問をさせてもらいます。
#140
○委員長(中村太郎君) 関連質問を許します。森暢子君。
#141
○森暢子君 私も先日この風の子学園に行ってまいりました。瀬戸内海に浮がぶ周囲約二キロの離れ島でありますが、こういうところに子供をやらなければいけない、そういう苦しい親の状況または社会状況、それはやはりこういう不登校の生徒に対する行政的な対応がおくれているのではないかというふうに思います。
 今、全国にこうした民間団体の存在がどのくらいあるのか、どのようにその実態を把握していらっしゃるのか、文部省にお答え願いたいと思います。
#142
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 登校拒否児童生徒等の指導を行っている民間施設が全国で相当数あるということを聞いております。約百八十前後だと、このように思います。登校拒否問題の対応を図っていく上でこうした民間施設の全国的な実態を把握することも必要であると考えておりまして、現在、都道府県教育委員会を通してその実情を調査しているところであります。
#143
○森暢子君 文部省がそういう素早い対応をしていただいたということについては、大変評価いたしたいと思います。しかし、その調査がようやく行われたというふうなことで、やはりそういう対応の甘さが今回の事件の一因ではないかというふうに思うわけです。
 学校へ行っていない子供たちが、先日もいろいろ話題になりましたが、小中学生で四万八千人、高校中途退学者が十二万人、こういう子供たちの学習権の保障の観点から、やはり公教育の中で対応すべきだと思うんですが、文部省は具体的にこれまでどういう施策を講じてこられたのか、お伺いしたいと思います。
#144
○政府委員(坂元弘直君) 登校拒否の原因といたしましては、学校内における友人等の対人関係、あるいは学習についていけないというような学校内の問題を原因とすることとか、それから家庭内における親との関係がうまくいかないというようなことを原因とするものとか、あるいは御承知のとおり、今の受験体制の中で受験勉強のフレッシャーに耐えられなくなってだんだん学校に行かなくなってしまうというような原因等が考えられるわけであります。学校、家庭、社会の原因が複雑に絡み合って学校へ行かなくなるという状態を惹起しているわけでありますが、ただその中でも学校における事件が問題となって登校拒否なり学校へ行かなくなるという事例もかなり見られるわけでございますので、私どもとしましては、従来から学校の先生方が一体となってこの問題に取り組んでいただきたいということを指導しているわけでございます。
 具体的に文部省でやっておりますことは、まず指導する場合の指導資料の作成配付、それから指導力向上のための教員研修の実施、それから生徒指導に係る実践研究の実施、これは研究指定校を指定いたしまして実践研究をしていただくというようなこと、あるいは地域ぐるみでそうい、つ問題に対処していただこうということで、地域を指定してそういう研究に当たっていただくというようなこと。
 それから、先生も御案内のように、登校拒否児童生徒のための適応指導教室を開設いたしまして、これは平成二年度から開設いたしておりますが、いろいろなカウンセリングをこの適応指導教室で行っていただくというようなこと等を行っております。
 さらに、各都道府県なり学校段階での生徒指導の中心になっておる人たち同士で情報交換を行っていただこうという趣旨で学校不適応対策全国連絡協議会というものを設けまして、この機関ていろいろな情報交換を行っていただいているところでございます。
#145
○森暢子君 この適応指導教室は全国でわずかに十五カ所にすぎない。その中で四万八千人の子供たちをどうやって救うかというふうなことでまだ対応が難しいんではないかと思います。今回のような類似の事件は、戸塚ヨットスクールそれから不動塾など過去にもありまして、その教訓が何ら教育行政に生かされていないということで、行政の責任というのは大変重いと思うんです。
 これは総理にお伺いしたいんですけれども、こういう子供たちのために今文部省が言った適応指導教室なんかを今後大幅に増設するとか、それから民間で善意でやっている施設があるわけですが、そういうところの財政措置であるとか、そういうことに関して総理の積極的な答弁をお伺いしたいと思います。
#146
○国務大臣(井上裕君) 実は、今度の問題が起こったときに、この事件の重要性にかんがみ、私が指導していろいろこの事件の内容、また背景、そういうものを文部省に命じまして調査をやらせたわけであります。ただいま適応指導教室のお話がございましたが、予算は十五カ所でありますが、局長答弁にありましたように、今二十六カ所やっておりまして、さらに都道府県や全国で七十カ所プラス、アバウト百のそういうものを行っております。
 平成四年度の概算要求におきましては、訪問指導や家族啓発事業の新たな実施を含め実施箇所数の増を検討しているところでありまして、今後ともいわゆるこの事業の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
#147
○国務大臣(海部俊樹君) 今、文部大臣がお答えした方向のとおりでありますけれども、私はこのようなことを見ますたびに、教育基本法に基づいて人格の完成を目指して教育は行われるものでありますので、幾ら善意であろうが幾ら問題であろうが人間の生命の尊厳に触れるということは、これはもう質が全く一変していくわけであって、その辺のところは厳しく学校当局、教育委員会を通じてこれらの施設に対してはいろいろ注意監督を強化していくのが文部省の責めであろう、このように受けとめます。
 また、適応指導教室の件についても、ある程度これを拡張していくことは必要かと思いますので、文部大臣とも相談をして予算措置その他についても考えますが、ただこういったものが余り広がっていくということは、逆に、公教育の中で児童生徒の心構え、人間の基本について身につけさせていくという公教育の立場から、学校から離れてしまうということを余り黙って見逃していくのもいかがかと思いますので、十分そこのところは研究、検討を重ねてまいりたいと思います。
#148
○村沢牧君 風の子学園については刑事事件にもなっております。警察庁はいますか。警察庁いたらその内容について答弁してください。――いない。それでは、次の問題に移ります。
 総理、七月に行われた日米首脳会談で、ブッシュ大統領の農産物、米の関税化提案などに対して総理はどのように対応されましたか。
#149
○国務大臣(海部俊樹君) 七月のサミットのときにはウルグアイ・ラウンド全体についての討議はございましたが、日米首脳会談で米そのものについての具体的なやりとりはございませんでした。ウルグアイ・ラウンドの場でこれは共通の認識を求めるべき問題である、こういう理解に達して、直後の記者会見でも共同でそのように発表したところでございます。
#150
○村沢牧君 七月の日米首脳会談で、今総理はそのように答弁していますが、外務省は後から実はこういう要請があったのだということを報告していますね。外務省、どうですか。
#151
○政府委員(松浦晃一郎君) 基本的には日米首脳会談のやりとりはただいま総理がお話しされたとおりでございますけれども、現地でブリーフをいたしましたのはこういうことでございます。
 最初の段階で米にも言及があったが、一般的な形であって、アメリカやECが抱える困難な農業問題とともに米の問題もウルグアイ・ラウンドの中で解決するよう努力するということになった。これは基本的にニューポートビーチでの首脳会談と同じラインであります。敷衍して申し上げれば、米問題をどう解決するかということに関しては具体論については言及されませんで、米につきまして関税化という言葉は使われなかったというふうに申し上げました。その後、記者団から米の問題を離れて一般的な形で関税化という表現があったかという質問がございましたので、それに関しまして再度調査いたしまして、これは翌日になりましたけれども、ブッシュ大統領からウルグアイ・ラウンドにおいてアメリカは農産物については関税化の提案を行っているということに言及したことはございます。しかしながら、前の日に申し上げたように、米について関税化を求めるという形の発言ではございませんでしたというふうに申し上げでございます。
#152
○村沢牧君 総理、米問題はいろいろと総理も答弁されておりますが、改めてウルグアイ・ラウンドに臨む総理の政府としての姿勢についてここで答弁してください。
#153
○国務大臣(海部俊樹君) 政府といたしましては、ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、食糧安全保障等の観点から、米のような基礎的食料品については所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置をガット上講じ得るよう提案を行っているところであります。各国それぞれ抱えている難しい問題を議論するウルグアイ・ラウンドの中で共通の認識を得られるように努力していきたいと思っております。
 なお、国内産で自給するとの基本的方針で対処をしてまいりたいと思います。
#154
○村沢牧君 十一月にはブッシュ大統領の来日が予想されておりますが、そういう時期にまた米問題の発言があるかどうか知りませんが、また海部さんがそのときまで総理をやっているかどうか知りませんけれども、政府・自民党としては今答弁があったことに絶対変わりはない、そういうことで確認してよろしいですか。
#155
○国務大臣(海部俊樹君) 政府・与党で政策、重要な問題については常に協議をしておりますから、これは変わりませんし、またそのような基本的態度は十分日米間においてもお互いに理解をし合っておるところであると私は確信をしております。
#156
○村沢牧君 農林大臣、農水省は米の部分開放も応ずることはできない、関税化も反対である。私もそういう意見でありますが、なぜそういうことができないのか。それから、我が国の特殊事情がどういう形だからできないのか、そのことを国民にわかるようにはっきり答弁してください。
#157
○国務大臣(近藤元次君) 米の問題につきましては、先生御案内のとおり、農家も農業団体も行政も三者一体になって厳しい生産調整を続けておるところでもございます。一方では、まだ消費の減退傾向にあり、その需給のバランスが崩れておる状況でもございますし、また稲作につきましては、国内では国土保全なり自然環境を保持する役割というものを果たしておるわけですから、そういう意味合いで国内の自給体制を強化するという方向であって、自由化をするという方向ではないという判断をいたしておるわけであります。
 関税化につきましても、基礎的食糧というそういう立場では量の管理が必要であるわけでございますから、関税で対応するというわけにはいかないわけであります。とりわけ国際的に見た場合にも、基礎的食糧という日本の国の立場からすれば、米は世界総生産の三%ぐらいで量的にも不安定でございますし、また価格面でも、この十年間を見ても最低でも百九十ドル、最高で五百十五ドルという大変不安定な状況で、我が国の基礎的食糧、なかんずく米について輸入を拡大していくという方向はとれない立場でございますので、総理から答弁いたしたとおりの方針で進めていきたい、こう考えております。
#158
○村沢牧君 総理、総理は衆議院の答弁で、関税化は自由化と必ずしも直結するとは思わない一こういう答弁をされております。私は違うと思う。そのことについて重ねて答弁をし、国会決議も尊重して頑張っていくということについて御答弁をいただきたい。
#159
○国務大臣(海部俊樹君) 御質問の中でいろいろございましたから、一般論として必ずしも直結するものではないと思うと、こう言いましたけれども、あれはあくまで一般論であって、米については関税化の対応はとれないということはきょうまでいろいろな場で明らかにしておりますし、またサミットの場でも、非貿易的関心事項の考慮の中でいろいろ進めていくということは全体の合意で、ことしのロンドン・サミットでも最終的な宣言に明記されておる問題であります。
 先ほども申し上げましたように、国会決議等の趣旨もございますし、国内産で自給するという基本的な対応で対処していきたいと考えております。
#160
○村沢牧君 午前中の質問はもう一問だけにさせていただきたいと思います。
 同和問題についてでありますが、八月二十二日、衆議院の野坂議員の残事業は幾らあるかという質問に対して、自治大臣及び総務庁長官は明確な答弁ができなかった。まことに残念な答弁ですが、この場で答弁してください。
#161
○国務大臣(佐々木満君) いわゆる残事業につきましては、現在、事業実施の各官庁で精査を行っておりますので、その結果を待って把握できると思います。
#162
○国務大臣(吹田ナ君) 先日、衆議院でもこの問題につきまして御質問ありましたが、主管が総務庁長官でもありますものですから、私の方からは数字は承知しておりませんというような答弁をいたしましたが、この問題につきましては私も随分長く関係をしておりますから状況はおおむね把握しておるわけでありますが、ただ残事業という問題につきましての考え方がいろいろ計算の基礎が変わってくるものですから、一概に幾ら幾らあるということが言い切れないというのが現状でありまして、本来ならもうとうにその残事業はゼロでなければならぬという状態なんですけれども、その後いろいろと状況変化等もあり、残事業問題というのは今総務庁長官が申されたとおりだと思っております。
 ただ、私の方の市町村数から申しますと、千百二十七関係市町村がございます。そうして、四千六百三地区がございます。
 以上でありまして、今後も努力をしていくつもりでおります。
#163
○委員長(中村太郎君) 村沢君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後零時五十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩、
     ―――――・―――――
   午後零時五十二分開会
#164
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き、村沢牧君の質疑を行います。
 まず、法制局長官から答弁をお願いします。
#165
○政府委員(工藤敦夫君) 午前中の委員の御質問につきお答えいたします。
 御指摘の最高裁の昭和四十年五月二十五日決定の判示でございますが、これはまず証券取引法五十八条一号の意義、内容は漠然としているので憲法三十一条に違反する、こういう主張に対してのものでございます。
 その判断といたしまして最高裁は、「同条号」、要するに証券取引法五十八条一号でございますが、「同条号にいう「不正の手段」とは、有価証券の取引に限定して、それに関し、社会通念上不正と認められる一切の手段をいうのであって、文理上その意味は明確であり、それ自体において、犯罪の構成要件を明らかにしていると認められる」、こういうふうに述べているわけでございます。
 それで、当該事件、これはまさに証取法違反として摘発された事件でございますが、「(本件は、被告人が、無価値の株券に偽装の株価をつけるため、証券会社の外務員二名と共謀の上、同人らをして、判示会社の株式につき、権利の移転を目的としない仮装の売買を行わせたというのであり、かような行為が、証券取引法五八条一号にいわゆる「不正の手段」に該当することは明白である)」、こういうふうな点で判断した。そういうことで意義があると思いますし、このことはただいま申し上げました最高裁のこの決定の中におきまして括弧書きで明記されているところでございます。
 この最高裁決定が、問題となっております事案以外に詐欺的な行為を伴わない場合において社会通念上不正と認められる一切の手段に当たるか否かについては、その決定上、直接の判断は示されていない、かようなことでございます。
#166
○委員長(中村太郎君) 村沢君。
#167
○村沢牧君 なぜそのような最高裁が見解を出したのか、今法制局長官の答弁のとおり、私もそのことは承知をいたしております。
 しかし、損失補てんは法律以前の問題である。大臣もたびたび答弁をしております。人を殺してはいけないとか盗みをしてはいけない、そんなことを書いてある法律は余りないと思うんですが、法律以前の問題としてやってはいけないことなんだ、社会通念上も許されないんだということをはっきり最高裁は言っているのでありますから、そうしたことをやっていることについて、その行為、手段について、私はこの損失補てんをやったすべてのものとは申しません。損失補てんの中にはこれに該当するものもあるのではないかという見解を持つものでありますけれども、法制局長官、もう一回答弁してください。
#168
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 委員も御承知のとおり、判決は個々の具体的事案に即して下されるものでございます。そういう意味で、ただいま申し上げましたような決定の判示の妥当する範囲といいますか、私どもいわゆる射程距離というふうに呼んでおりますが、そういう問題として種々の学者の間の意見もございます。そういう意味でいろいろと議論のあるところであるということは申し上げられると思います。
#169
○村沢牧君 私は、この不正の意義の解釈についていろいろと学説があることも知っています。知っていますけれども、大蔵大臣が答弁をしているようなことについては、これは該当するものがある、そのように思いますので、大蔵大臣の答弁を求めたいというふうに思います。
#170
○国務大臣(橋本龍太郎君) 法律の専門のお立場から法制局長官がお述べになりました見解に私としてつけ加えることはございません。
#171
○村沢牧君 では、後日の審議のために重ねて聞いておきますけれども、損失補てんは社会通念上やってはならないことである、また、やってはならないことをやるということは不正である、そういうふうに私は思いますけれども、どうですか。
#172
○国務大臣(橋本龍太郎君) 午前中も申し上げましたように、私は、社会通念上やってはいけないというより、あり得ない行為と申し上げた方が正確だと思いますけれども、法律上それが不正であると認定するかどうかということは法律の範囲の問題として別の問題である。私が午前中から繰り返して申し上げますのは、立法者自身、どこの国においてもそんな行為が行われるとは考えもしなかった、商行為としてあり得ない行為として法律上禁止することすら考えなかった行為と、そういう意味で私は午前中も繰り返し御答弁を申し上げております。
#173
○村沢牧君 その問題をここで議論しておってもなかなか決着がつかないと思いますので、後日に機会を得て私は政府の見解をただしたいというふうに思います。
 そこで、総理に最後に一言だけ答弁をいただきたいというふうに思います。
 いろいろ質問をした中でわかってまいりましたけれども、大蔵省と証券会社のもたれ合い、なれ合い、このことは否定することはできません。そのことが今日の結果になったわけであります。また、天下り人事もあるわけです。こういう現実を踏まえて、大蔵省自身による監視機関は私は限界であると思う、期待を持てないと思うんです。大蔵省とは独立した監視機関をやっぱりつくるべきだと思いますけれども、最後に総理の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#174
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵省自身もどのような監視の強化が大切かということを今プロジェクトチームをつくって検討はしておりますけれども、私は、新行革審であらゆる立場の意見を代表する皆さん方が早急に方向づけを出してくださるものと期待をいたしております。
#175
○委員長(中村太郎君) 以上で村沢君の質疑は終了いたしました。(拍手)
#176
○委員長(中村太郎君) 次に、片上公人君の質疑を行います。片上君。
#177
○片上公人君 初めに、総理にお伺いいたしますが、共産党の解体とその後のソ連国内情勢をどのように認識していらっしゃるか。また、政府としては午前中の坂本官房長官の記者会見でバルト三国の独立を承認する方針を表明されたと聞いておりますが、総理から改めて今回のバルト三国独立の承認の意図を伺いたい。
 坂本官房長官の記者会見によりますと、バルト三国の独立承認の背景としてバルバルト三国がソ連に編入された経緯に言及されているようですが、ウクライナを初め独立の動きを一段と強めているその他の共和国に対する対応はどのようにしていく所存なのか。政府は、今回のバルト三国の独立承認によりソ連邦と各共和国との関係をどのように考えているのか、まずこれを伺いたいと思います。
#178
○国務大臣(海部俊樹君) 一連の今回のソ連のクーデター並びにそれの失敗を受けて、昨日、御指摘の共産党解体ということが発表されました。これはペレストロイカに向けての動きが、今まではややもすると共産党という既存の枠の中でのペレストロイカという考え方がずっと続いてきたわけでありますけれども、これは名実ともに大衆レベルの中からの国民的な背景の中でのペレストロイカになる、自由と民主主義と市場経済に価値を求める動きが大きく本格的なものに一歩一歩進みつつあるというように私は受けとめております。これは我が国としても歓迎すべき方向であり、決して後戻りしないように強い期待をしておるところであります。
 なお、バルト情勢に関しては官房長官に記者会見で表明をさせたとおりでありますが、バルト三国の独立の動きというものが今加速されております。我が国としては、ソ連邦にバルト三国が編入されたときの経緯にもかんがみて、これら国民の強い願望と自由な意思を反映した平和裏な独立を支持しております。その早期実現を期待しております。そうなった場合のことについては、当然承認の方向で早急に処置をいたしたいと思っております。
#179
○片上公人君 今、総理もおっしゃったように、共産党支配の解体というのは、いわゆるペレストロイカが上からの改革ですね、それから民衆による下からの改革という第二幕に移ったと言えると思いますが、そこで、新連邦条約によって規律される連邦と各共和国との関係や、ごとし一月から三月のGNPが昨年の一〇%減というように厳しい状況にある経済の再建が当面ソ連の改革の成否を占う重要な要素と考えるわけですが、総理はソ連の情勢が今後どのように展開すると認識していらっしゃるのか、伺いたいと思います。
#180
○国務大臣(海部俊樹君) 四月の日ソ首脳会議のときにも、また七月のロンドン・サミットの前の日ソ首脳会議のときにも、私は、連邦政府と共和国政府の権限の問題について不明確な点がございましたからゴルバチョフ大統領に直接ただしたのでありますけれども、徴税権の問題とかいろいろなことについて不明確な点がたくさんございました。
 そこへもってきて今度のクーデター騒ぎでありまして、ゴルバチョフ大統領との電話のときには、自分は九プラス一のその賛成しておる共和国とは条約の協議に入るという表現を使ったんですけれども、条約の調印という言葉がなかったものですから、さらにその間で連邦政府の権限問題についていろいろな変更が起こるのかもしれないという、これは推測でありますけれどもわかりませんので、外務省から審議官をソ連に急速派遣いたしましてこの辺のところを正確に確認するとともに、今議題となっておる共和国と連邦政府の関係はどうなるのか、共和国の力関係とか共和国の権限というものが強まっていくのだろうという推測だけではいけませんので、きちっとそれを確認させたいと思っております。
#181
○片上公人君 対ソ支援の件でございますが、クーデターの失敗の後、ソ連の混乱を早期に収拾して政治の民主化、市場経済への移行を推進することは、ソ連のみならず世界の平和と安定にとってこれは不可欠であると思います。
 現在、今回の事態を踏まえて、我が国はもとより西側諸国の中でも対ソ支援については積極論と消極論とが交錯しているようでございますが、我が国はどのような姿勢で西側諸国との協議に臨む方針なのか、これを伺いたいと思います。
#182
○国務大臣(海部俊樹君) 西側全体の考え方は、サミットの場においても共通の認識に到着しておると私は理解しております。表現の方法とかあるいは見る視点によって積極論消極論という今委員がお分けになったようなことが議論の前段階ではあったかもしれませんけれども、ソ連に支援するということは、自由と民主主義と市場経済にともに普遍的な価値を共有して、世界の秩序のためにともに語ることのできる仲間になってほしいという願いが西側には全部あるわけでありますから、IMF、世銀等の国際機関を通じての技術支援とかあるいは市場経済移行くの支援とかいろいろなことについてはサミットで決めた六項目が国際関係を律する共通の認識としてあり、また二国間では、日本とソ連との共同声明を発出しましたときに十五の協定も一緒に結んでおります。それに従って、例えば軍民転換の調査団などは既に日本からは現地に行っておりますし、相談を受けて受け入れるものは受け入れようという作業にもなっておりますので、両方ともこれはソ連の本格的な政治形態の、そして民主主義の、そして経済的仕組みの抜本的な変革へ向けてでき得る限りの協力をしていこうということでございます。
#183
○片上公人君 共産党支配が終止符を打つことになりまして、改革が進展して支援の環境が整備される、こういう観測もあるわけですが、我が国として西側諸国と協調しつつ人道的な緊急食糧援助、著しい不足が伝えられておるところの医薬品の供給や遅延している貿易代金の融資はもとより、対ソ支援を従来の知的、技術的な支援から、政経不可分ということにはとらわれず、先ほど総理の話もありましたサミット当時とは随分変わってきておる。特に政経の政の方は激変しておる。こういうところから一歩踏み出して、ソ連の市場経済移行のためにより具体的な実りあるものとしていく考えはないかどうか。当面、例えば一億ドルの緊急食糧援助を増額する考えはないか、これを伺いたいと思います。
#184
○国務大臣(海部俊樹君) 人道的な緊急援助とかあるいは食糧、医療に対する援助については、日本としては拡大均衡の方針の中でやっていこうということを決めてありまして、一億ドルの緊急援助の分についても、私はゴルバチョフ大統領と電話のときに、そのような用意がこちらもできておるわけだから、担当者を通じて早急にそれらのことが具現化して、本当に困っておる人々のために緊急に役に立つようにしようということは言ってありますし、そのとき向こうからは、大変ありがとうという感謝の言葉もありました。
 今後の推移を見て、またどのようなことが必要かということは検討し考えていかなければならないと思っております。
#185
○片上公人君 一つ心配なことで、核兵器の管理ということでございますけれども、これについては大変心配ならソ連政府に聞く必要もありますし、かつまた西側の各国と連携をとって話し合う必要もあると思いますが、この点についての認識はどうでしょうか。
#186
○国務大臣(海部俊樹君) これは委員の御指摘のとおりでございます。
 核拡散防止条約というのを、これほど真剣になって、我が国も至るところの首脳会談で主張もしてきておりました。同時に、不拡散とともに究極の廃絶を目指しておる政策の中で、ソ連の核というものの存在について、どうでもいいというわけにはいきません。あくまで今言うべきことは、連邦に厳しくその責任を持ってもらいたいという、また持つべきであるという我が国政府の考え方を強く主張したいと思います。
#187
○片上公人君 北方領土問題への波及の問題でございますが、今回の事態によりましてソ連の各共和国の独立性が強まることになって、北方領土問題の解決にこれほどのような影響を生ずるものと政府は考えていらっしゃるか。
 また政府は、この際政経不可分の原則を緩和して、連邦、ロシア共和国の双方に、北方領土問題を解決し、日ソ平和条約を締結する動きを加速化する考えはないか。このことを伺いたいと思います。
#188
○国務大臣(海部俊樹君) 平和条約を締結するということは、隣国との関係を正常化する一番わかりやすい方法で、領土問題を解決して平和条約を結ぶその作業を第一義的に大切なものと共通の認識をしようというのが共同声明の趣旨でありますから、その線に従って加速化しなきゃならぬのは当然だと思っておりますし、このことはゴルバチョフ大統領とのクーデター復帰後の電話のときにも、そういった基本的な考え方は伝えてありますし、そのことはゴルバチョフ大統領もわかったと、こう言っております。
 同時にまた、四月のときも、ロシア共和国の外務大臣が終始ゴルバチョフ大統領についてきて首脳会談には出ておりました。小人数会談のときは席を外してもらいましたけれども、それ以外のときは絶えずロシア共和国の外務大臣が同席しておったということもあり、また今度ロシア共和国の首相がそのままソビエト連邦の首相の地位につくということにもなれば、その辺のところは相交わる円のようなものですが、両方の立場に対して日本政府としては言うべきことも言い、平和条約の締結は今の状況ですと連邦政府ですけれども、共和国がどれだけの権限を持つのか、どれだけの参加をしようとするのかはロシア側の事情だと思いますが、十分見きわめて対応していきたいと思っております。
#189
○片上公人君 次に、対東欧支援について伺いますけれども、我が国としましても、この危機感を深めておる東欧諸国に対して連携を深める上から、経済・技術協力の充実を初め、支援の方針をこれは明確にすべきではないかと思いますが、この件について。
#190
○国務大臣(海部俊樹君) 日本がソ連との問題を、首脳会談等を経ました後で一部東欧の国々から、ソ連と日本との経済交流が深まることは東欧との関係でどうなるのか、こういった懸念が表明された時期もございました。私は、今回もあるいはそれに先立つときも、東欧の各国の首脳には親書を出しまして、日本がきようまでお約束をし努力をしてきた東欧支援に対する姿勢は変わるものではないということを明確に伝えておきました。同時に、東欧諸国が今後果たしていかなければならない役割というのは、これはソ連の問題とともに、東欧の民主化とか東欧の市場経済化への動きというのはソ連よりも早く先行して進んできておる面も多々あるわけでありますから、それに対しては積極的な技術協力や支援をしていかなければならぬことは政府の基本方針であります。
#191
○片上公人君 次に、対モンゴル支援についてでございますが、この間総理もモンゴルを訪問されましたわけですが、これは我が国のアジア外交の新たな展開の一環であると思いますし、モンゴルの支援の強化というのは、今回の事態に照らしまして重要性、緊急性を増したと思うわけですが、政府により一層積極的な対応を求めたいと思いますが、この点について。
#192
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、モンゴルはソ連に次ぐ長い共産主義政権のもとで国を運営してきたところでありますが、最近自由と民主化の動きが目覚ましく起こっておることは御承知のとおりでございます。私も訪問してまいりましたが、非常に日本に対して親近感を持っておる。昔話なんかをし始めますと、何か話が合うといいますか、非常にアジアの一員だという意識を強く感ずるところであります。
 積極的に民主化と自由化を支援していきたいと思い、でき得る限りのお約束はしてまいりましたが、さらに、モンゴルの問題は日本だけで責任を持つというべき問題でもなく、もっと地球的規模でこれは支援すべきである。東欧に日本が出ていきますように、あるいは中南米にヨーロッパが支援するように、アジアの問題もアメリカやヨーロッパの支援もぜひ協力してやっていくことが大切で、サミットでもそのことは主張し宣言にも書き込まれておるわけでありますから、私は、九月上旬にできれば東京でモンゴル支援国会合を開催する予定であり、この中でモンゴルに対する支援とモンゴルの民主化援助のために世界に向かっても積極的に協力を要請していくつもりであります。
#193
○片上公人君 次に、経企庁長官に伺いたいんですが、ソ連の動向は依然これは不透明な状況にありますけれども、仮に平和の配当が逆回りしたとすると世界経済にどういう影響が考えられるのか、この件について伺いたいと思います。
#194
○国務大臣(越智通雄君) 片上先生にお答えさせていただきます。
 現状におきまして、従来西側とソ連とは経済交流はそれほど数量的には大きなものではございません。世界経済の貿易の中ではソ連経済は約三・五%ぐらいの貿易のウエートでございますが、今お話がございましたモンゴルとかキューバのようにほとんどソ連に頼っている国もございますけれども、西側の方だけの、いわゆるOECD、西側先進二十四カ国で考えますと大体一%ぐらいの影響でございまして、我が国におきましても、輸入も輸出も大体一%ぐらいのところでございます。現に、この間の三日間のクーデター騒ぎのときには、為替それから我が方の株式相場には影響が出ましたが、他のものはそれほど大きな影響は出ず、直ちにもとへ戻っております。
 ただ、ソ連の経済はこれから金の問題がございます。恐らく売るであろうということで、本当は有事の金高でございますが、金高は一日だけで消えまして、二日目からは逆に下落いたしております。あと石油の問題がございます。これは、アメリカの議会では既に石油と自分たちの援助をバーターにしようという議員立法が出されるとか出されたとかいううわさも聞いておりますが、石油問題も注目していかなきゃならぬ。あと、私自身がソ連に参りましたときは、バイカル湖付近の木材の話を盛んにロシア共和国の副首相が言っておりましたが、そうした品目別の影響はいろいろ出てくるかと思います。
 それ以上に大きいのは、これからのソビエト経済全体が大きく崩壊していったときに、これははかり知れないいろいろな問題が出てくるわけでございますが、目下のところは、まず向こうの政治体制、それに伴う経済体制をよく見きわめてみないと、世界経済への影響をにわかに判断しかねる状態かと思っております。
#195
○片上公人君 今回の証券不祥事等を背景としました株価の低迷が今後さらに続いた場合、健全な資本市場での資金調達を阻害するほか、BIS規制を通じて銀行貸し出しか抑制される懸念があります。また、今後、過去に実施されたエクイティーファイナンスが大量に償還を迎える予定にある。こうした状況のもとで、今後企業の資金調達困難化や調達コスト上昇を通じて景気に悪影響が及ぶおそれはないか。これは大蔵、経企、日銀にあわせて伺いたいと思います。
#196
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、こうした御質問をいただかなければならなくなりましたその問題点につきましておわびを申し上げることから申し上げたいと思います。
 そこで、こういう状況になります以前の株式の状況というものはもう委員御承知でありますから改めて長々御説明を申し上げるつもりはありません。ただ、要するに株価上昇の局面におきまして、まさに御指摘のように、企業はエクイティーファイナンスによりまして資本市場から資金調達を活発化させておりました。そして、設備投資などに充てると同時に、手元流動性の水準を上げてまいったわけであります。」うした状況の中で、今日一連の不祥事を受け、株価がいろいろな角度から御心配をいただく状況にあります。
 影響と申しますならば、まず一番に考えなければならないことは、主としては設備投資及び個人消費への影響であろうと思います。しかし、株式市場の低迷によりましてエクイティーファイナンスの発行条件が従来に比べ企業にとりまして厳しくなっていることなど、企業の資金調達に与える影響を注視する必要はございます。しかし、依然として設備投資意欲は根強いものがございますし、また企業の手元流動性も依然高い水準にありますところから、当面は設備投資につきましては基調として堅調に推移すると考えられます。
 また、個人消費につきましては、いわゆる逆資産効果という御指摘もあるわけでありますが、株式が個人資産に占めるウエートが余り大きなものではないということ、消費に与える影響というものもそれほど大きいと考えちれないこと、こうしたことを考えてまいりますと、最近の株式市場の動向と申しますものが当面我が国の経済に重大な影響を及ぼすという状況にあるとは考えられません。しかし、いずれにいたしましても、今後の推移を見守りながら、インフレなき内需中心の持続的成長というものを維持するという観点から私どもは機動的な対応を必要とする、そのように考えております。
 こうした状況にありますことは委員が御指摘のとおりでありまして、我々として十分注意は払ってまいらなければなりません。しかし、今日ただいま重大な事態を生ずるという状況でないということも御理解をいただきたいと思います。
#197
○参考人(三重野康君) お答えいたします。
 大蔵大臣と重複を避けるために企業金融から主として御説明申し上げたいと思います。
 まず、株式市場でございますが、委員御指摘のとおり、ひところの非常に異常な高い水準からは減少しておりますが、現在でもエクイティーファイナンスを中心にそこそこの資金調達は続いております。
 第二に、銀行の貸し出してございますが、これもひところの二けたの伸びはいたしておりませんけれども、底がたい伸びを続けております。ただ、委員御指摘のとおり、株価の低落がいわゆるBISのリスクレシオを押し下げて、それが銀行貸し出しの抑制的原因になるのではないかという御指摘がございましたが、それは筋道としてはそのとおりでございます。しかしながら、銀行の資産というのは貸し出しのほかにいわゆる債権あるいは海外投資というものがございまして、リスクレシオからの制約がダイレクトに銀行貸し出しにつながるものではございません。なお、銀行としましては、健全な経営を志している企業に対しては引き続き貸し出しをしていきたいという根強い願望がございます。
 それから続きまして、委員御指摘の、過去の高いエクイティーファイナンスが来年度以降大きな償還額を迎えるではないか、その御指摘はそのとおりでございます。ただ、企業金融全体として考えますと、エクイティーの償還額は多かれ少なかれもう一度また企業金融の場に戻ってまいるということがございます。
 それから、過去のいわゆる好景気のために企業の流動性というのはやや厚目についておりますし、かつ、まだ現在の景気ではこれまでの財務体質の改善その他から見まして企業収益もそこそこの維持が期待できる、こういうことから企業金融全体としましては、今大蔵大臣から御答弁もありましたけれども、今直ちに日本経済の安定的な発展を阻害するというようなことはないと思っておりますが、いずれにいたしましても、過度の楽観は戒めて、注意深く見てまいり適切な処置をいたしたい、かように考えております。
#198
○国務大臣(越智通雄君) お答え申し上げさせていただきます。
 大蔵大臣のおっしゃったとおりでございますけれども、補足して申し上げますと、日本の場合には株式市況が悪くなりますと、きょうの前場の引けが二万二千円をまた切っているわけでございますが、債券市場の方も低落いたしまして、結果的には金利上昇を招いております。この株式と債券の関係がどこに影響するかといえば、今お話しのとおり、設備投資でございますけれども、設備投資は大体利益率から利子率を抜いた後の数字が一つの関数になって、これが投資の額にある程度比例して走る傾向がございますが、いずれにいたしましても、この設備投資自身がここ数年間で非常にレベルが上がっておりまして、四、五年前までは年間五十兆ぐらいの設備投資が、今日約九十兆の設備投資、倍近いものに上がっております。
 そしてかつ、従来その設備投資に必要とする長期資金の五、六割が内部留保資金でございましたのが、現在既に七割まで上がってさておりまして、設備投資が過去四年ほど大変旺盛であったために設備投資の償却財産がふえておりました。それをまた高度の利益のもとに償却しましたので、企業としては、外で銀行から借りるあるいは債券を発行するという以上に、手元の金で何とか泳げるという点がかなり高まっております。
 ただ、心配なのは、ワラント債とコンパーティブルボンド、要するに新株引受権つきの社債とそれから株式に乗りかえられる転換権つきの社債の発行か一時大変多うございました。この償還の山が来るのが、来年が約四兆円ぐらいかと思います。再来年が十兆、その次が六兆円ぐらいでございまして、その後は一兆円台で推移するものと思っておりますが、もちろん株式市況がよろしくなれば、株式に転換する社債が多くなればその分償還が減りますし、ワラント債の実行、要するに新株引受権の実行をいたしますとその安企業に代金が入りますから、乗りかえる資金量は減ってくるわけではございますが、三年間に約二十兆の償還を迎えるということ自身は大変心配しながら見ております。
 ただ、それが直ちに設備投資にそのまま響くかと申しますと、その当時を調べてみますと、かなりの資金が実は系列企業への融資に回ったりあるいは短期資金へ回っている分もございますものですから、長期資金全体の流れから見れば、今申し上げた額そのものが直ちに響いてくるのではなくて済むのじゃないか、こんなふうに見ているわけでございます。
 また、今大蔵大臣がおっしゃいました個人消費の方でございますが、個人消費のやっぱり何といっても半分近く、ナンバーワンは預貯金でございまして、殊に一時におきましては大変預貯金の金利が下がりました。三月物ぐらいで三%を切っておりました。また、二年物で五%を切っておりました。しかし、それがだんだん回復していきましたものですから、株式とか債券に回る金がもう一遍預貯金の方に個人の金融資産としては戻ってきているのじゃないか。ああいう問題が起こる前の状態に戻っております。
 そして、その次が保険でございまして、三番目が株式でございますので、金融資産の約一割と考えておりますが、大体一割のレベルに戻ってきましたし、これが値が下がってはおりますけれども、逆資産効果というのは資産効果の裏側をいっているわけですが、持っている株が大分値上がりしたから換金をして、利益はまだ得ていないけれども何か買おうかしらというのが資産効果でございまして、逆資産効果というのは、持っている株が下がっちゃったから、じゃ生活を詰めようかと。そこはなかなかプラスの場合と逆の場合には同じだけの数量的な計算はつかないと考えておりますので、逆資産効果が個人消費を大きく押し下げるという計算はしなくて済むのじゃないかと私ども思っておりますが、何分にもこの景気が、株式状況、債券状況が余り長く続くと経済運営上心配だなと、こんなふうな見方をいたしているところでございます。
#199
○片上公人君 直ちには大丈夫だというような楽観的なお話ばかりではございますけれども、実際問題、資金調達の困難化はもう始まっておるわけですね。しかも、住宅、設備投資については悪化が始まっておりますし、これは十分慎重にやっていただきたい、こう思います。
 また次に、ドイツでは先般金利引き上げがなされた反面、米国では公定歩合とFFレートが五・五%と同一水準にあって金利低下傾向にある。こうした状況のもとで、今後世界の金利動向はどのように動いていくと考えていらっしゃるのか、日銀総裁、お願いします。
#200
○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。
 今、委員が御指摘のように、ドイツは金利を上げ、アメリカは下げております。これはそれぞれの国の経済事情を反映したものでありまして、ドイツは旧西独区域が非常に景気がいいこと、賃上げが非常に大幅なこと、東西ドイツの統合に伴う財政支出が非常に拡大している、そういうもとで、ドイツにしては珍しく物価情勢が悪化しております。したがいまして、インフレ抑制の態度をはっきりさせたというふうに思います。アメリカの場合は、物価が比較的安定している中で景気回復が期待されながらいま一つはかばかしくない、したがいまして金利をやや緩和方向に維持しているというわけでございます。こういうふうに一見逆のようでございますが、これは先月のいわゆるG7のコミュニケにも明記されておりますが、それぞれの国がそれぞれの経済事情のさやの中にあってインフレなき持続的成長を遂げるための必要な措置をとるといったものによっているものであります。
 そうしますと、これから先でございますが、今世界経済はややばらついております。ドイツは拡大している、日本はやや減速するといいながら強い、アメリカは弱い、イギリスは非常に弱い。したがいまして、これから先世界の金利がどっちの方向、同一方向というわけにはまいらないと思いますが、それぞれの国が先ほど申しましたように、インフレなき成長を遂げるためにそれぞれの金利を上げたり下げたりしていくという状態がいましばらく続くんではないかというふうに考えております。
#201
○片上公人君 今後の日本経済を見る上で設備投資の動向が大変重要なポイントになると思うわけですが、現在の金利水準、いわゆる株式市場の状況等を勘案しますと、企業の設備投資が減少して景気腰折れとなる心配はあるのではないか、このように思いますが、経企庁、日銀、もう一度。
#202
○国務大臣(越智通雄君) お答え申し上げます。
 設備投資は、現在年間約九十兆ぐらいでございますが、経済見通しにおきましては私どもは六・八%伸びるという見通しをいたしております。それを昨年、一昨年、その前と三年間いずれも十数%伸びていたものが約半分のペースで、下がるわけじゃありません、九十兆の伸びが緩くなるという意味でやっておりますが、最近七月、八月に行われました各金融機関、長期信用銀行その他の三行の調べでも大体みんな七%を見ておりまして、これはやはり設備投資をされます約一千百社の意向を聞いての数字でございますので、まず今年におきます設備投資は私ども問題なかろうかと思います。今さっき御説明いたしましたような状況で、これから平成四年度の設備投資の計画は企業において考えられるときにどうなるかを心配しているということでございまして、平成三年に関しましては御懸念のようなことなく経済見通しどおりの六・八%は達成できるものと、このように考えております。
#203
○参考人(三重野康君) お答えいたします。
 今、企画庁長官が御答弁いたしましたと同じように私どもは考えております。
 委員御指摘のとおり、設備投資というものはこれからの景気の動向を占う上において大変重要なポイントであると思います。この過去三年間、いわゆる設備投資が非常に高い伸びを示しておりました。それに比べれば今年度はやや減少いたします。普通ならばこれだけ高い設備投資が続きますと、もっと設備投資は落ちてしかるべきところでありますけれども、これはやはり今の日本経済が人手不足である、それの省力化投資が行われる、あるいは技術革新が引き続き進行しておりますのでこれに乗りおくれると企業としても大変だと、この二つの要素が設備投資を底支えしているものと思われます。したがいまして、今までよりは落ちますけれども、この結果として現在の景気が非常に失速するというふうには私どもも考えておりません。
 なお、申し添えますと、これまで四年間五%成長が続いておりましたが、これはややスピードが速過ぎるわけでありまして、むしろ日本経済にとりましてはバランスのとれた、何と申しましょうか巡航速度というようなスピードが落ちた、バランスのとれた成長になった方が都合がいいというふうに考えておりますが、その線に沿って、今のところその線に向かって動いている、そういうふうに私どもは考えております。
#204
○片上公人君 現在の国内景気動向から考えますと、これはもう一段の金融緩和が行われてもおかしくない時期になっていると私は思います。角を矯めて牛を殺すということわざがございますけれども、今後金融政策をどのように運営していくおつもりなのか、大蔵、経企、日銀に伺いたいと思います。
#205
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、日銀のお立場から公定歩合についてのお答えがございました。私の立場からは主として総量規制に関連してお答えを申し上げたいと思います。
 御承知のように、異常な地価高騰を抑え込むための努力の一環として国会におきましても新たな土地基本法の御制定をいただいたわけでありますが、財政当局の立場からは税制とともに総量規制といういわば資金の制約を加えてまいりました。これは正常な商取引として、また新たな宅地開発を必要とするような事業に対して資金をとめるということではありませんが、金融機関の融資のその伸びの中に土地関連融資を抑え込むという考え方であります。そして、おかげさまでようやく地価が今下がりつつあります。私は、こうした総量規制という手段は、これはある意味では非常手段でありますからいつまでもとり続けることであるとは思いませんけれども、なおしばらく効果のほどを見たいと思いますし、他の土地政策の進行の状況によってそれから先は判断をしたい、そのように考えております。
#206
○参考人(三重野康君) これまでの私の答弁で景気情勢にも触れておりますけれども、もう一度申し上げますと、現在の日本経済は緩やかな景気減速過程にあると思っております。しかしながら、かなり高いところからの減速でありますので、現在もなおかなり高いところにいるのではないか。もちろん設備投資、個人消費というものはひところに比べると力強さは失っておりますが、なお、現在の底がたさからいって景気が失速するおそれはないということは先ほど御説明したとおりであります。
 この間、物価でございますが、国内卸売物価は原油価格の安定、それに関連する石油価格の低下等もございましてかなり落ちついた動きになってきておりまして、先月は十カ月ぶりに前年比二%を割りました。ただ、消費者物価はいろんな要因が重なりましていまだに三%台のところに推移しているわけでございます。もちろん、全体としては物価は安定の方向に進んではおりますけれども、いまだにやはり人件費であるとか物流費とかそういうコストアップを価格へ転嫁する動きがなくなったわけではございませんし、物価の先行きに手放しの楽観は許されないと思っております。
 こういう情勢でございますから、七月に公定歩合を下げましたが、その後の動きを見守っている段階でありまして、委員御指摘のとおり、角を矯めて牛を殺すようなことがあってはならないと思いますが、それと同時に、これまで内需中心のインフレなき成長を続けてきたわけでございますので、九仞の功を一簣に欠くことのないように、物価安定を中心にした慎重な政策をとってまいりたい、かように考えております。
#207
○国務大臣(越智通雄君) 金融政策につきましては大蔵大臣並びに日本銀行総裁のお答えになりましたとおりでございますが、経済政策全体といたしまして、金利が一番響いてまいりますのは資本市場と設備投資、ただいま御説明したとおりでございますが、他に住宅建設それから自動車の販売等は一応の影響を受けやすい範域がと、このように思っております。幸いにして、今のところ住宅、自動車もある程度堅調な歩みをしております。これから先は金融御当局の慎重な、しかし的確な御判断を仰ぎたい、このように思っております。
#208
○片上公人君 来月発表される日銀の短期経済観測ですが、現在集計の段階にあると思うわけですが、従来に比べ企業の景況感は悪化しているのではないかと思います。また、今回のソ連動向の影響も今回の調査に反映されるようになっておるのかどうか、日銀。
#209
○参考人(三重野康君) 三カ月ごとに約七千五百社からアンケートをとります短期経済観測の八月分は目下集計中でございまして、私にもまだその結果がわかっておりませんが、来月上旬に公表することになろうかと思います。このアンケートは八月中旬までに回収が終わっておりますので、今回のソ連の動静は入っていないと思います。しかし、いずれにしろ今回のソ連の激動はマーケットに対してかなりのインパクトがありまして、その後外国為替市場は落ちついてまいりましたが、いまだ株式市場は不安定な動きが続いておりますので、アンケートの結果についてはまたそういった点も加味して判断をいたしたい、かように考えております。
#210
○片上公人君 今回の内需拡大はバブル経済に支えられた面がかなりあったと思うわけですが、その点から、景気が減速してバブル経済が消滅したこれからが本当の内需中心経済がどうかが試されるときである、こう思うわけですが、内需拡人定着に向けてどのような政策をとるつもりでいらっしゃるのか、総理、経企庁長官に伺いたいと思います。
#211
○国務大臣(越智通雄君) お答え申し上げます。
 バブルに関しましてははっきりした定義はございませんけれども、昭和六十一年、二年、三年、平成元年の四年間に、前半は主として土地でございました、後半が主として株でございますけれども、実需を伴わず当時の超緩慢な金融と超低金利のもとで売買益をねらった経済行動が横行したと申しますか、そういうのをバブルと言っているかと思いますが、これが消えたこと自身が日本の経済運営に非常に大きく影響するというところまではきていないと私ども考えておりますので、全体を通じましてこれからの経済成長も内需を中心にしっかりやっていけるし、またいきたい。
 ただ、一部国際情勢が非常に流動的なために国際経済に影響が出まして、多少我が国のことしの国際収支は考えているよりは黒字がより多くなるという傾向で動いておりますが、これも余り定着した傾向ではないだろう、このように判断しているところでございます。
#212
○国務大臣(海部俊樹君) 経企庁長官が申し上げたことに尽きるわけでありますけれども、個人消費とか設備投資とかあるいは研究投資とかいうようなものの堅調な動きを見ておりますと、内需拡大を中心とした景気運営というもの、これを慎重に見守りながらなるべく息の長いものにしていかなければならぬという基本的な立場で努力をしていきたいと思っております。
#213
○片上公人君 世界経済が停滞傾向を強める中で、日本経済は先ほど話があったように減速をしているとはいえ、政府経済見通しで三%台後半と相対的に高い成長となっているようでございます。そうした中で貿易黒字が拡大してくることは、理由はともあれ、国際的な批判を受けざるを得ない、こう思うわけでございますが、それに対して対策を考えていらっしゃるのかどうか、大蔵大臣、通産大臣にお伺いしたいと思います。
#214
○国務大臣(中尾栄一君) 委員の御指摘のとおりでございまして、確かに貿易黒字幅というのは九一年の一月から七月期にかけては多少ふえております。数値で申し上げますると、大体二六・一%ということになりましょうか。ちなみに、九〇年度がマイナス八・七であり、八九年がマイナス二四・五%であったということを考えますると、今言うた黒字幅が多少拡大しておるということにおける世界的なそしりというものはある意味において免れない事実がな、こういう感じもいたします。
 そこで私どもは、先ほど来総理はか言われておりますように、内需を拡大いたしまして、あくまでも自由貿易をテーゼとしながらも貿易は拡大均衡ていこう、そしてまた、先ほどの軍縮は縮小均衡でいこうという合い言葉のもとに、これはどうしても引き続き今後の動向を注視していく必要があると考えております。私どもは、まず貿易の拡大均衡を図るという観点から、今後は内需中心の経済運営というものを持続的に図っていくと同時に、また外国から、現在非常にいいことは、イギリスを初めECからもあるいはアメリカからもどんどん日本の方に売り込みの積極的意欲というものも感じておりますから、この方向にこたえていくように協力したい、こう考えておる次第でございます。
#215
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、通産大臣が述べられましたような状況を受け、また関係当局の施策を受けて内需中心の成長を持続できるような経済環境を整えていくのが我々の役割である、そのように考えます。
#216
○片上公人君 この際ですので日銀総裁に伺いたいんですが、一連の金融不祥事につきまして日銀としてはその責任をどのように考えていらっしゃるのか。行き過ぎた金融緩和がいわゆるバブルを生み、一連の不祥事を引き起こすもとになったという点でも私は大いに責任があると考えますが、いかがですか。
#217
○参考人(三重野康君) 今回の一連の不祥事件について私どもの考え方を申し述べたいと思いますが、今回の金融機関の不祥事件、これはもちろん表面的には金融機関の内部管理が不十分だということから生じておりますが、しかし、根本はその奥にある金融機関の経営姿勢に原因があるというふうに考えております。
 と申しますのは、これまで金融の自由化、国際化とか金融の環境が非常に厳しくなっているにもかかわらず、従来の業容、収益両面における量を最大限に追求するという経営姿勢が改まってなかった、これが一番大きな原因ではないかというふうに考えております。証券会社の不祥事件も、いろいろ理由はございましょうが、行き着くところは証券会社の公正ならざる経営姿勢、それと投資者サイドの自己責任原則の不徹底、これが原因であろうというふうに思います。
 いずれにいたしましても、この不祥事件は市場関係者の行動から出てきたものではありますが、それだけではなくて、日本の金融市場に対する信認を著しく損なったという面で大変遺憾かつ残念に存じております。
 委員の御質問は、さらにその奥の金融政策との関連をお尋ねかと思いますので、その点に関して申し上げてみたいと思いますが、日本経済は一九八五年、プラザ合意でいわゆみ大幅な対外不均衡を内需中心の経済構造に変え、そして持続的成長を図ることによってこれを解消するという大きな命題を引き受けたわけでありまして、その後の経済政策、金融政策もその流れに沿って運営をされたわけであります。当時大幅な円高、急速な円高に伴う非常な不況、これを円高のスピードをある程度緩和し、かつその影響を緩和するために一年間にわたり公定歩合を下げてきたことは御案内のとおりであります。しかし、これがその後のいわゆる長い内需中心のインフレなき成長を実現したという意味では適切な効果があったということは申せましょうが、それと同時に、やはりいわゆるバブル現象と称せられる事態を招いたことも査定できないと思います。
 例えば資産価格、土地価格の上昇は、もちろん金融緩和だけでが原因ではございません。東京への一極集中、土地神話あるいは税制あるいは土地規制その他の総合的な要素によるものとはいえ、やはり金融緩和がその一因であったことは否定できないと思います。私どもは、その後公定歩合を五度にわたり引き上げてまいりましたけれども、これはもちろん総合的判断ではございますが、その判断の一角にそういった弊害を是正するという思いを込めて上げてきたわけであります。
 いずれにしましても、今回の金融緩和がこういう事態を招いだということは、私ども今後の金融政策のあり方を考えるに当たって、反省材料として今後の政策に誤りなきを期したい、かように考えております。
#218
○片上公人君 これはプラザ合意以後の金融緩和政策自体を頭からすべて否定するものではございませんけれども、しかし、この二年三カ月の長い超低金利政策からの転換、すなわちブレーキをかけるのが余りにも遅かった、それからノンバンク、不動産への集中的な貸し出しを日銀は黙認してきたと私は思いますね。バブルのときも、バブルがはじけても、いつも犠牲になるのは庶民です。住宅について見ましても、バブルのときは値段が高騰して、とても庶民の手には届かぬものだった。そして、バブルがはじけても住宅の値段は十分に下がらない上に、住宅ローンの金利はどんどん上がるという状況である。
 今の答弁を聞いておりますと、バブルという化け物を生み出した当事者としての責任の自覚は感じられないな、私はこう思いますね。総裁は実は責任のわき投じゃなしに主役だったんだということをよく反省してもらいたいと思います。再答弁をお願いいたします。
#219
○参考人(三重野康君) 委員御指摘の引き締めに転じ方が遅かったんではないか、これはいろいろ御批判があろうと思います。もちろん、あのときいわゆるブラックマンデーにより株式の大暴落があったということ等を考えますと、完璧な金融政策を行うことができたかという思いは残りますが、しかし、やはりこれは金融政策の誤りであるということはよく承知しておりまして、先ほども申し上げましたように、今後の大きな反省材料といたしたい、かように考えております。
#220
○片上公人君 全然反省してないなという感じがいたしますが、この二年三カ月、当時二・五%というのは全世界でも当初は日本とドイツぐらいじゃないですか。ドイツは一年前後でやめましたね。うちだけが二年三カ月やった。しかも、例えば住宅ローンでございますけれども、当時大変な中、ローンを組んだ。それが金利が上がったために、ずっとここ一、二年利子だけ払って、元本は減らないままあくせくしておるサラリーマンが多い。しかも、サラリーマンは何を考えておるかというと、私たちはサラリーマンとして黙々と働いてローンを組んでやっておる。なかなか元が減らない。そういう中にあって、このバブル経済の影響で証券・金融が考えられないような、庶民の手に届かないような不正を平気で行っておる。これに対する怒りが、怒りを超えてあきらめというか、だれも頼れないな、こういう思いをしている。
 だから総裁が、それはうんと真剣に考えていると思いますよ、たとえ一%であろうと〇・何ぼであろうと、上げる上げない、悩んでいると思いますけれども、その陰には金利が上がったことによって会社がつぶれて、一家、一族、親類あるいは従業員、塗炭の苦しみ、命に及ぶような苦しみをしている人がいっぱいおるんだということを考えて、真剣な金融に対する政策をとってもらわないと困る。本当に一人一人のことを、庶民のことを思った深い反省を持って政策をやってもらわないといかぬ。もう一回答弁してください。
#221
○参考人(三重野康君) 今の委員のおっしゃったことを肝に銘じまして、今後金融政策をとってまいりたいと思います。
#222
○片上公人君 日銀総裁といえば銀行の中の銀行のボスですから、殿様みたいなものだから庶民の気持ちかわからぬ面もあるかもしらぬけれども、それを深くわかってやらなかったらいけない、僕はこう思っております。
 次に、税収の件でございますけれども、景気動向から見まして税収に心配があるわけでございますが、大蔵省は本年度の補正予算で国債整理基金特別会計への定率繰り入れ、これをやめるということはないかどうか、同じく建設公債の増発をすることはないか、この辺を確認したいんですが。
#223
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、平成三年度の税収が本格的に始まりましたばかりのときでありまして、その適切な徴収、執行に努力していかなければならなくなったそのやさきであります。同時に、三年度予算そのものも現在その執行に努めておるさなかでございます。
 確かに、これから先、人事院勧告の取り扱いあるいは義務的な経費、雲仙岳等、特にことしは今までに経験したことのない大きな課題を我々は抱えておりますし、災害復旧費等の追加財政需要の動向、あるいは歳入面における今委員御指摘のような状況の中における税収動向、こうしたものを見きわめながら判断していくべきことでありますが、現時点において、私どもは今委員がお述べになりましたような対応策というものを想定はいたしておりません。
 いずれにいたしましても、我々としては全力を尽くして予算の御審議をいただきました状況の中におけると同様の執行を担保してまいりたい、そのように考えております。
#224
○片上公人君 総理にお伺いいたしますが、証券会社の不明朗な会計処理が明るみに出たことがきっかけとなりまして、今回の証券会社による大口の投資家への損失補てん問題や暴力団関連会社への融資、さらには東急電鉄株買い占めといった株価操作など、一連の証券不祥事件に対してどのような見解を持っていらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。
#225
○国務大臣(海部俊樹君) 今御指摘になっておる一連の問題については、企業側の社会的責任の自覚とかあるいは公正な社会の理念という面から見ても、これはもう弁解の余地のない行為であって、こういったことが繰り返されないことを強く願っていろいろな措置をしていかなければならないと受けとめております。
#226
○片上公人君 資本主義下の商慣習としまして、大口取引優先という原則が定着しているようでございますけれども、証券取引におきましてもこのような原則が働いて当然だと考えているのかどうか、大蔵大臣、認識を伺いたいと思います。
#227
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、大口投資家のすべてが今回損失の補てんの対象であったとは思っておりません。事実問題といたしまして、公表されておりますリストのとおりの方々が補てんの対象になったということであります。これは、特定の方だけが他の方々と違った有利な取り扱いを受けたということでありまして、当然のことながら証券市場に対する投資家自身の信頼を大きく傷つけたことでありますけれども、それよりも、市場に関係があろうとなかろうと、こういう不公平があるじゃないかという、本当にそういう不公平が現実に存在しているじゃないかという、そうした心を一般国民全部に与えてしまったことの方が私は本当に深刻な問題だと思っております。その監督責任とともにおわびを申し上げなければならぬことでありますが、私はそのように受けとめております。
#228
○片上公人君 証券不祥事により株価は低迷しているわけでございますが、この影響を実は最も受けるのは個人の、しかも小口投資家であろうと思うんです。この人たちは損失補てんの全くらち外に置かれておるわけで、証券会社からはまともな客として取り扱ってもらっていない、こういう実情でございます。これらの人々は小口のお金で投信を買っていることが多い。その影響が心配されるわけです。大蔵省も大手証券四社中心の行政を展開してきて、小口投資家、個人投資家育成の努力が足りなかったのではないか。証券市場というものは、個人投資家というものがより多く存在してこそ初めて存立するものではないか、こう思うわけですが、今の証券市場は個人から全く見放された状況にある。この点についてまず大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
#229
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本来、証券市場と申しますものは、一つは企業の資金調達の場でありますけれども、同時に、個々の国民にとりましては自分の資産の運用の場として信頼されるべき存在のものでなければなりません。今回、その信認を本当に根底から覆すような事態になりました。繰り返しおわびを申し上げてきたことでありますけれども、これは言葉でおわびを申し上げることで済む話ではありません。
 現在、先日の本会議でも、また本委員会におきましても申し上げましたように、こうした情勢の出てきた原因を私なりに五つに分析をし、それぞれに対しての信頼回復のための措置を講じつつあります。そして、その中で一番大蔵省自身として考えなければならない問題点、それは業界行政に対するあり方の問題であると思います。
 確かに、敗戦後の混乱の中から今日の日本を築いてまいります過程で、証券市場というものを育成保護しなければならない時代がございました。そして、その中で世界の三大市場の一つと言われるまで今日の日本の証券市場は発展を遂げてまいりました。そして、その中から保護育成の行政からむしろ公正競争と透明性というものを担保する時代に入ってきたという認識は持ち、行政としては変化をし始めていたつもりでありましたけれども、それが立ちおくれたということから今日厳しい御指摘を受けております。
 今後、相互参入の機会をふやしていくことを含めまして、市場の保護育成という視点に重点を置いた行政からむしろ市場の透明性を確保し、何よりもまず信頼を回復し、市場が再び健全に育つように行政そのものも考えていかなければならない、申しわけありませんという言葉とともにその点を申し上げたいと思います。
#230
○片上公人君 株価の低迷は当然証券各社の投資信託の運用にも影響をもたらすと思えるわけでございますが、戦後今日までに満期償還時で元本割れの状況で償還した投資信託はどのぐらいあるのかお聞きしたいと思います。
#231
○政府委員(松野允彦君) 証券投資信託で現在まで元本割れのまま償還になりましたのが百十六本ございます。これはちょうど証券不況の昭和四十二年から四十四年にかけてでございます。
#232
○片上公人君 現在設定されている投資信託のうち元本割れの状況にあるものはどれぐらいあるか、これを伺いたいと思います。
#233
○政府委員(松野允彦君) 七月末現在で運用中の単位型投信でございますが、これが全体で四千二百八十三本ございますが、このうち七月末現在で元本を下回っているファンドが千九百三十八本ございます。
#234
○片上公人君 割合、金額についてもわかりますか。
#235
○政府委員(松野允彦君) 四五・二%になります。
#236
○片上公人君 金額は。
#237
○政府委員(松野允彦君) ちょっと金額は手元にございませんので、後ほど調べて……。
#238
○片上公人君 投信の中には成績が良好な投資信託から不良な投信へ株や債券を移したりすることもあると聞いておりますけれども、このような事実を大蔵省は聞いたことがあるかどうか、また把握していらっしゃるかどうか。また、投信の運用は投信委託会社が行っておるわけでございますけれども、この投信委託会社は証券会社の系列であって、販売等は証券会社が行っている。力関係から証券会社が運用成績に口を挟んだりファンドの中の株や債券の組みかえまで求めることもある、こういうことも聞いていますが、これについてはどうですか。
#239
○政府委員(松野允彦君) 投資信託は投信委託会社が運用しているわけでございますが、これは当然各ファンド別々に運用をしておりまして、証券投資信託法におきましても特定のファンドの利益のために他のファンドを害するというような運用は法律で禁止をしております。
 なお、先ほどの金額でございますが、元本割れファンドの金額は十九兆六千六百億円でございます。
#240
○片上公人君 先ほどちょっと聞いた分について、そういうことをしたらいかぬということを平気でするのが証券会社というような常識が出てきそうなぐらいいろんなことをやっておるわけでございますが、十分注意して見ておってもらいたいと思います。
 また、来年度以降はちょうど株価が上昇局面に大量に設定された投資信託が満期を迎えることになるわけでございますが、その額は今の時点で幾らぐらいに達しているか。
#241
○政府委員(松野允彦君) 来年、平成四年中に償還を迎えますファンドが予定されておりますのが七百四十三本ございまして、そのうち七月末現在で元本割れになっておりますのが三百四十本、四五・八%ということになっております。
#242
○片上公人君 投信は主として小口投資家を対象としておるわけでございます。例えば補てんの対象にならない層でございます。米国からも投信の成績が振るわないことに不満の意を表明されたこともありますし、投信の運用改善について大蔵省はどのような見解を持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#243
○政府委員(松野允彦君) 投資信託につきましては、その資金が主として株式などの有価証券に投資されるという関係で市場におきます株式の価格のいかんによっては非常に変動をするわけでございまして、そういった関係で投資信託は元本保証のものではないということで販売する際に十分説明するように、説明書にもそういうことを明記する、あるいは広告などでもそういうことを十分投資家に認識させるようにということを言っているわけでございます。
 確かに、現在の市場の状況で非常に投資信託の運用が振るわないわけでございまして、私ども、もちろん各委託会社において運用改善に努力をしているというふうに承知しているわけでございますが、商品の設計上、例えば安定的に運用できるような商品をより多く導入するとかいろいろな点を考えて、できるだけ短期運用に走らないでより長期の運用をすることによって運用の改善に努める、あるいは市場の短期的な変動に影響を受けないというような形の商品を考えていくということが必要であるし、また単位型ではなくて追加型といいますか、途中でその資金をふやせるというような形のファンドもふやしていくことが適当ではないか、そういうようなことをあわせて各業界に指導をしてまいっているところでございます。
#244
○片上公人君 元本割れで償還を受ける個人の小口投資家の気持ちというのは大変だと思いますが、大臣、どのような感想を……。
#245
○国務大臣(橋本龍太郎君) それは、私自身が証券及び投資信託というものを自分で全く運用したことがないものですから、自分の体験がございません。しかし、結果として元本割れを生じたときの気持ちというものは、本当に残念というよりもどうしてこういう結果になったかという悔いの残るものであろうと思いますし、私は笑い事ではなくて、殊に一方で損失補てんといったようなことが行われている状況の中で、自分の分についてはなぜという思いを恐らくすべての方が感じられるのではなかろうか、そう思います。
#246
○片上公人君 大臣よくおわかりのように、今までであれば自己責任という形でよかったんですが、今回の場合のように多くの補てんされているところを見たときに、元本割れで返ってくるときの庶民の気持ちというのを本当に我々がわからなかったら、また政府がわからなかったらまた同じ過ちを繰り返すんじゃないか、こういう心配をしておるわけでございます。
 中小金融機関の中でもこうした投資信託で資金を運用しているところがあると思うわけですが、元本割れで償還された場合の影響についてはどう考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#247
○政府委員(土田正顕君) 証券運用は資金運用の有力な手段でありますし、殊に中小金融機関にとりましては貸し出し運用の補完として重要な位置づけを占めるものであります。ただ、この中小金融機関個別には証券運用のノーハウに必ずしも強くないところもありますでしょうから、そのようなところが投資信託などで運用するというものもあろうかと思います。
 有価証券投資一般についてでございますが、やはりそれは第一義的にはみずからがその自己責任原則のもと、リスクが過大とならないように適正な管理を行う、そして業務全体の適切な運営及び経営の健全性の確保に努めるということが必要であると考えております。
#248
○片上公人君 中小金融機関が運用先を見つける努力をしないで安易に投信や特金に運用する姿勢も見られたのではないか。預金を受け入れてそれを運用しているので、その影響はまともに預金者が受けるわけでございます。中小金融機関は地道に貸し出し開拓を努力すべきではないか、こう思いますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
#249
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、局長からも御答弁申し上げましたけれども、私は、まさに今委員が御指摘になりました点が一番の問題だと思います。
 地場産業の育成の責任、さらには地域の再開発の中である程度長い期間必要とする資金、まさに私は、地域の金融機関に徹していく限りにおいて、そうした需要は今日までもあったと存じます。これからもまたあるであろうと思います。今後、金融再編成の流れの中におきまして、私は、地域の中小金融機関というものが地域に密着した姿でますます発展をしていこうと考えられる限りにおいて、そのような努力は当然のことながら払われていくであろうと信じております。
#250
○片上公人君 証券取引責任準備金について伺いたいと思いますが、証券会社では証券取引責任準備金というものを設定しているようでございますが、この準備金はどういう性格のもので、四大証券、中小証券でそれぞれ幾ら積み立てていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
#251
○政府委員(松野允彦君) 証券取引責任準備金は、証券会社の役員あるいは職員が法令あるいはいろんな自主ルールなどに違反するというような行為がございまして、顧客に損害を与えるというような場合に、その損害を補てんするといいますか、損害を償うために準備金として積み立てているわけでございまして、その準備金は証券業協会に預託をしております。したがいまして、証券事故が発生いたしますと、証券業協会にそれを通知し、積み立ててあります準備金を取り崩すというような仕組みになっているわけでございます。
 お尋ねの証券取引責任準備金の積立額でございますが、本年の三月末で大手四社を合計いたしますと百八十九億ございます。それから、準大手あるいは中堅を入れまして、本省が監督しております残りの十八社、これを合計いたしますと、九一年三月期で百四十七億というのが積立額になっております。
#252
○片上公人君 九一年三月期までの過去五年間の証券取引責任準備金の取り崩し額というのは、四大証券、中小でそれぞれ幾らくらいか、伺いたいと思います。
#253
○政府委員(松野允彦君) 大手四社についてまず申し上げますと、昭和六十二年の九月期で取り崩し額が二十二億でございます。六十三年九月期が十三億、平成元年三月期が十九億、二年三月期が十八億、三年三月期、ことしの三月期が五十一億でございます。
 それから、準大手・中堅の十八社でございますが、同じく昭和六十二年九月期が九億、六十三年九月期が七億、平成元年三月期が七億、二年三月期が十億、三年三月期が二十億ということになっております。
#254
○片上公人君 この証券取引責任準備金の取り崩しはどういう場合にできるのか。また、証券会社のどのような立場にいる者がこの準備金を取り崩す権限を持っていらっしゃるのか。また、大蔵省への届け出が必要と思うわけですが、九〇年と九一年の三月期の取り崩し理由についてお伺いしたいと思います。
#255
○政府委員(松野允彦君) 先ほどお答え申し上げましたように、これはいわゆる証券事故が起こったときに、そのお客の損失を埋めるために取り崩しか行われるわけでございます。証券事故という定義は、証券業協会の規則の中に決められておりまして、証券会社の役職員が法令あるいは協会、取引所のルール等に背く行為を行ったことによって顧客に損害を及ぼした場合ということになっております。
 具体的な取り崩しは、各証券会社が協会に預託金の返還請求書を提出いたしまして、その請求に基づいて協会から協会に預託されていたものが取り崩されるということになります。
#256
○片上公人君 九一年三月期でこの準備金の取り崩しか増加しております。前年度に比べて約三倍ほどになっておるわけですが、この増加の理由は何でしょうか。
#257
○政府委員(松野允彦君) 九一年三月期の取り崩しかふえておりますのは、今申し上げました証券事故がふえたということでございます。
    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕
  これは、やはり株式市況がああいう低迷状態ということで、証券会社とお客との間にさっき申し上げましたような形の証券事故が発生し、その件数が非常にふえたという結果で取り崩し額もふえております。
#258
○片上公人君 これは実際は、例えば損失補てんに使われたのではないかということも言われておりますが、この辺についてはどうですか。
#259
○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、証券事故というのが協会のルールで概念が決まっておりますものですから、いわゆる今問題になっております損失補てんということとは明らかに証券事故は区別されるわけでございまして、協会に証券事故の届け出が出た場合にはそれは協会でもチェックをいたします。協会を通じて
 私どもにもその事故届けが参るわけでございまして、損失補てんに使われるということは、事故という概念が明確である以上はそういうケースはないというふうに考えられます。
#260
○片上公人君 東京市場の株価暴落というのは、九〇年一月から始まって九〇年十月には平均株価が二万円を割った。そうした中で、九一年三月期に大規模な補てんが行われた可能性が非常に高いのではないか。大蔵省としてはこの時期の補てんについても調査を行っているのか、それとも証券各社の自主的報告で済まそうとしているのか、この辺について伺いたいと思います。
#261
○政府委員(松野允彦君) 証券各社からは九一年三月期には損失補てんはなかったという報告を受けているわけでございますが、現在私ども大手四社に特別に検査に入っております。その検査の過程で、九一年三月期についても損失補てんがあったのかないのかという点を最重点にして検査を行っているところでございます。
#262
○片上公人君 この九二年三月期の各社の補てん額というのは公表しますか。
#263
○政府委員(松野允彦君) 検査の結果におきまして、もしそういう事実が判明いたしますと、検査終了後、私どもとしては可能な限り事実関係を明らかにするように証券会社に指導してまいりたいというふうに思っております。
#264
○片上公人君 証券会社でなしに大蔵省として公表するということはないんですね。
#265
○政府委員(松野允彦君) 検査結果につきましては、従来から私ども公表を差し控えさせていただいているわけでございまして、ただ、今申し上げましたように、損失補てんについては非常に社会的に問題になっております。今回の公表の場合にも、私どもは証券会社に公表するよう強く要請したわけでございまして、検査の結果を見て、もしそういう事実があれば、同じように証券会社に対して要請をしてまいりたいというふうに思っております。
#266
○片上公人君 今、局長からも話がありましたけれども、今回の問題は、公表というか、この辺の補てんをはっきりさせない限り解決しないと思うんです。そうでなかったら私は、国民は納得しないと思いますね。今、大事なのは、この三月期の各社の補てん額をぴしっと報告させ、あるいは大蔵省が報告をし、うみを出し切る。それで、この証券業界の症状というのを明らかにする。そうでなかったら、私は何ぼ大蔵省が今後さっちりすると言ったって治療はできないと思うんですね。橋本大蔵大臣にこういうことを言ったら申しわけないんですけれども、そのことのために橋本大臣がおる、この証券業界をぴしっとするためにこのたび大臣になっておるんだ、こう思いますけれども、大臣の見解を。
#267
○国務大臣(橋本龍太郎君) 午前中、村沢委員の御質問のときにも、公表の公益性云々という御論議がございました。そのとき、たまたま私は指名されませんでしたので黙って座っておりましたけれども、私は、行政が公表するしない以前の問題として、証券市場というものが信頼を国民からもう一度取り戻そうという気があるならば、みずから私はそうした問題点は公表すべきだと思います。今回、私は自主公表という方法に固執をいたしました。そして、これには御批判もございました。結果的に各社は公表という手段に踏み切りました。大蔵省も今批判を受けておりますけれども、証券市場はそれ以上に国民の信頼を失っているとするならば、みずから問題点を公表されることにより、少しでも信頼回復に向けての業界としての努力をしていただきたい、私は心からそう願っております。
 今、委員が御指摘になりましたように、大蔵省が収集した資料を公開することが公共の利益にかなうかどうかといった、国政調査権の御論議を待つ以前の問題であろうと、私はそのように思います。
#268
○片上公人君 ぜひとも公表に対して厳しい御指導をしていただきたい。この補てん額が公表されない限り私は国民は納得しないし、大蔵大臣がおっしゃるように信用の回復は難しいと思います。
 次に、関連として白浜議員の方からお願いしたいと思います。
 委員長、お願いします。
#269
○理事(井上吉夫君) 関連質疑を許します。白浜一良君。
#270
○白浜一良君 私は関連質問といたしまして、二点政府にお伺いをしたいと思うわけでございます。一点は、いわゆる公的機関に対する補てん問題でございます。二点目は、いわゆる大阪で今事件となっております異銀の問題、この二点に関しまして御質問をしたいと思うわけでございますが、まず第一点目でございます。
 いわゆるこの特金運用による利回り保証、これは証取法で違反、これは明記されているわけでございますが、これはもう当然の理でございます。特に公的機関におきまして、昭和六十一年にいわゆる行政指導によりまして運用が認められて、そこからばっと拡大しておるわけでございます。そのときのいわゆる自治省の行政通達、内部通達を見ましたら、この中に予定運用利回り、これを報告書で明記して上げるようにという、こういうふうに明記されているわけでございますが、これは自治省、どのように考えたらいいんですか。
#271
○政府委員(滝実君) お話しのように、各共済組合が特定金銭信託を始めましたのが昭和六十一年の三月の通達によってからでございますけれども、その際にそのようなことを求めているわけでございます。
 これは、共済組合から自治省に承認申請を求めているわけでございますけれども、その申請書の中に信託金額あるいは信託金額の予定運用利回り、これはおっしゃるとおりのところでございます。それから信託金額の運用組み入れ対象の内訳、あるいは受託者名、資金運用計画、こういうようなことを記載した書面とその他の参考資料を添付する、こういうことになっているわけでございます。
 これにつきまして、お尋ねは、なぜこのような運用利回りを記載するよう指示しているか、こういうことだろうと思うのでございますけれども、これについて申し上げますと、地方公務員共済組合が特定金銭信託で、証券会社のアドバイスを受けて資金運用を行うという場合には、当該証券会社から投資環境等に関する情報の提供を受けるわけでございますけれども、共済組合自身といたしましてどの程度の利回りが予想できるかどうか、こういうような見通しを立てることも必要でございます。
 そうして、そんなような状況でございますので、自治省としても参考としてそれを聞く、こういうことでございまして、これが直ちに利回り保証につながるということとは私ども考えていないわけでございますけれども、その後、六十一年に特定金銭信託を認めた以後、どうもこの特定金銭ファンドにつきましてはいろいろ問題があるようだ、こういうことでもございましたので、平成元年度ぐらいからいわば投資顧問契約をつける、こういうようなことに切りかえてきているわけでございます。しかし、その結果、今回のような事態を招いておるわけでございますし、またどうも誤解を招く、こういうようなこともございますので、私どもとしては今後の問題といたしまして、今回予定されております証券取引法の改正等の問題もございますので、こういったことを全般的に検討いたしまして誤解を招くようなことのないよう改めるようにしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#272
○白浜一良君 おっしゃっていますけれども、平成元年にも通達が出ているんですけれども、確かにこの中で株式運用は百分の三十以内、このように運用の内容の指定もあるわけでございます。この平成元年の七月二十五日の通達の中にも信託金額の予定運用利回りがまた入っているわけでございます。まして、私問題と思いますのは、これは要するに、この地共政令で主務大臣の承認を得る。だからこういう書類が自治省の内部に通達されているわけですよ。そして各県のそれぞれ自治体の職員の共済組合から自治省に上がってきている。今回物すごく補てん問題でたくさんの自治体がございました。結局つまるところは、自治省がこういうものを出している、大臣承認の書類に、行政内部の通達としてこういう明記をしていること自身非常に問題である、私はそう思うわけでございますが、それに対する責任問題を言ってください。
#273
○政府委員(滝実君) 確かにおっしゃるように、平成元年の七月の通達でもそのまま、その特定予定利回りの問題はそのとおりになっている、こういう御指摘でございますけれども、当然――失礼しました、平成二年でございますね、平成元年の十二月の大蔵省の通達を受けまして、こういった、ものにつきましては保証を求めない、あるいは補てんを求めない、こういうような一札が入っているわけでございますから、その翌年の平成二年の七月の段階ではそういうようなことを当然説明をいたしまして、この問題についてはそういう別途の配慮があるという前提のもとに私どもとしてはそのままにしているつもりでございます。
   〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
 それからまた、私どもとしてはそういうようなことはまずないと思っておりますのは、共済関係者の研修会におきまして、あるいは説明会におきまして、こういった基本的なルールについては説明をしてきているわけでございますので、各共済組合がこの通達のために保証を求める、あるいは補てんを求めるということはないんじゃないだろうか、私どもはこういう感じを持っているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今回の事態にかんがみまして、私どもとしては全般を検討する中において、この問題についても誤解を招くことのないように、表現と申しますか、資金運用のあり方について全般を踏まえた上での改め方をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#274
○白浜一良君 ないんじゃないかとおっしゃいましても、事実として、結果としてたくさん含まれているから私申し上げているわけでございます。
 次に、それではちょっと変えまして、文部省。学校共済、これも補てんの内容に含まれているわけでございますが、これも自治省と同じように何かそういう通達を出していらっしゃるんでしょうか。
#275
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 公立学校共済組合も地方公務員等共済組合法等の適用を受ける地方公務員共済組合グループの一員となっておりますが、しかし、文部省といたしましては、先ほど申し上げましたような通達については一切出しておりません。したがいまして、公立学校共済組合につきましては、先ほどお話がございました信託金額の予定運用利回りを記載するような書類の提出も求めていないところでございます。
#276
○白浜一良君 ということは、それでありながら、いわゆる主務大臣の承認を受けるわけでございますが、承認を受ける書式というのはもう任されているわけですか。
#277
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 承認申請の書式につきましては、あらかじめ公立学校共済組合の方から特定金銭信託の資金運用についての申請に基づきまして金銭信託等についてどのような割合でそれを運用するかというような点につきましては、例えば特定金銭信託の組み入れ対象あるいは組み入れ比率等についての公立学校共済組合からの申請に基づく割合、こういうものについては十分配慮した条件として、その上で申請書類を出していただいているところでございます。したがいまして運用利回りに関しましては特別に事業計画等におきましても、積算内訳としてはございましても、全体としての事業計画については長期経理全体についての利用、運用利回りについて文部省側に対して提出があるだけでございまして、この特定金銭信託についてだけの利用、運用利回りについての申請というのはないわけでございます。
#278
○白浜一良君 衆議院でも問題になっておりましたが、学校共済の組合本部から各証券会社に出ております、七%を下回る場合には、契約の解除等もありますので、念のため申し添えます、こういう通達が学校共済から出ていること自身、要するに承認される場合に想像できる、疑わしいと思われるような内答があると考えざるを得ないということを私申し上げたいわけでございます。
 もう一つ、警察共済も出ておりますが、これほどのようになっておりまか。
#279
○政府委員(安藤忠夫君) 警察共済組合も六十一年八月から特定金銭信託契約で実施しておりますが、警察共済組合の場合は、その限度額だとかあるいは株式の組み入れ割合などについての制限はありますが、御関心の利回り保証に関するような書類の提出はございません。
#280
○白浜一良君 ないとおっしゃるのは、あるとは言えないわけでございます。
 総理、これだけ公的機関が要するに実際補てんされる内容で出ている。自治省の通達文書、私先ほど説明しましたが、政府の機関みずからがそういう紛らわしい、悪意がないかもしれません、結果として紛らわしい、利回り保証に憶測されかねないそういう内部通達が出ている。学校共済、警察共済、各自治体の共済がこれだけ補てんの内容として入っているという事実、総理、どのようにお考えになりますか。
#281
○国務大臣(海部俊樹君) 制度の長期安定運営という面をとらえていろいろ運用をするのでしょうけれども、しかし一点だけ、世の批判を招くようなことをしてはならないということだけは厳しく戒めていかなければならぬ問題である、このように受けとめます。
#282
○白浜一良君 厳密にやっていただきたいと思います。
 次に、去る二日の大蔵委員会の問題の延長で私は同僚議員の質問を受け継ぎたいと思うわけでございますが、あのときに年金福祉事業団のいわゆる補てん問題を審議されたわけでございますが、八七年、八八年、八九年、二百九億円の運用益があった、そのうちで今回証券会社のリストの中で五十三億円いわゆる補てんされている。この事実に関しまして厚生省は補てんじゃない、あくまでも国債、債券の売買、東証の価格の二%の幅の中の正常取引である、このように申されていたわけでございますが、大蔵省証券局長の答弁はその辺は不明確でございまして、証券局長、これ補てんなんですね。
#283
○政府委員(松野允彦君) 年金福祉事業団の分は、私の記憶に間違いなければ、最初の自主報告に入っていたのではなくて、たしか税務調査で認定を受けた分というふうに聞いているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今回公表されたリストに入っておりますし、私どもは証券会社に対して損失補てん、自主報告あるいはその後の調査のものも含めて一切公表するようにということを要請したわけでございますので、そういった意味では証券会社は損失補てんだということで公表したというふうに承知しております。
#284
○白浜一良君 総理、厚生省はあくまでもこの福祉事業団の問題は補てんじゃない、今証券局長のお話を聞くと、これはやっぱりそういう補てんであると、証券会社の判断としても。まあ、証券会社の判断を踏襲されているわけですから、証券局長は。どうなんですか、政府の中でこの考え方が違うということですか。はっきりしてくださいよ。
#285
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 ほかの公的機関と違いまして、委員御承知のように、年金基金の運用は株の運用を対象としておりませんで、公社債を中心としておるわけでございます。そして運用は事業団で責任を持って自主運用するということになっておりまして、一括ではございません。ただ、運用について投資顧問合社の意見を尊重し、それを参考として事業団の方で責任者が運用している、こういうことでございます。
 そこで、実際の問題でございますが、我々この問題が起こりましてから事業団を呼びまして一件一件の取引を全部チェックいたしました。我が方の帳簿あるいは記録によりますと、この記録の中では損の出た取引というものは数件にとどまりまして、金額も大きなものではございません。そして、全体を通じて先ほどおっしゃったような利益幅は出ておるわけでございますが、この取り扱いの問題につきまして、今委員の御指摘のように、年金事業団の方ではこれは損失補てんではないと言うし、それから税務の方では損失補てんであると、こういう解釈の違いが出ておりますが、それはどこから来ているか、こういうことでございます。
 私の方でさらに調べましたところ、要するに、さっき申し上げましたように、補てんということではなくして、日常の売買をやっておりまして、これはあくまでも大事な年金の基金でございますから、この年金の基金の運用は長期安定的にいかなきゃならないということで石橋を渡るようにやっておりますけれども、全体の量が大変多いものでありますから、これについてそれぞれのいわゆる投資顧問会社の方からいろいろな指図というかサゼスチョンが出る場合には極めて有利な取引がそれぞれのところで出てくるわけでございます。
 ただ、それをいたしましても、我々の方といたしましてはどういう取り扱いに具体的になるかといいますと、御承知のように、金の取引と同じように証券の取引も帳簿のつけかえでいくわけですから、我が方できょうの相場より、証券取引所の方で制度として認定されておりますいわゆる上下二%の差の中での取引に全部入るわけでありますし、それからまた、我が方も過去の実績を全部調べましたところが、その差は平均〇・五%にとどまっているということでございますから極めて穏当な数字になっておるわけでありますが、個々のはめ込みのところで私たちはどうしてもトレースのできない部分が残るわけです。
 それはどういうことかと申しますと、我が方の預託金利を上回る要するに運用益を得るためには、一定の利幅を求めていくということで、今のような努力をしておりますが、その全体の大きな量の、約七千億ですかの量のディーリングをやる場合に、個々の細かい取引の中で、きょうはこの玉がいいだろう、そしてこれは午後にはこういう玉になるというときに、我々は今のような基準の中の玉を扱っているだけでありますけれども、証券会社の方としては一体いつの時期に幾らで買ったものを我が方へはめてきたということは、我が方では絶対にチェックできない事実でございます。したがって、向こうさんとして、今ここでこういう取引をぜひやりたいというときに、そしてまた我が方の希望に合ったときに、向こうさんは過去において高く買ったものを低く売ってくるという場合が出るわけですね。これは私の方にはわからないんです、さっき言いましたように国債の帳簿のつけかえですから。そうしますと、それは向こうさんでやっている間に自分の方の損としてお立てになるんでしょう。これは我々としてはチェックの方法がない、国債として何年物でいつのものでどうということでそれを幾らで買ったということはわかりませんから、そのときの相場で出てきたもので我々は勝負するわけですから。したがって、我々は幾ら追及されても我が方には差額補てんというものの認識はなく、公正に扱っておる、こういうことでございます。
#286
○白浜一良君 今、厚生大臣は一生懸命説明しはりましたけれども、それは大体わかっているんですわ。ただ、総理、今厚生大臣がおっしゃったような言い方は民間だって言っているんですよ、わからないと。もう煩雑な売買をされているわけですから。
 私が申し上げたいのは、政府の中で厚生省の判断と税務当局、証券局長もそうでございますが、判断が食い違っている。これで、民間が認知しない、知らないと言っているというこの補てん問題全体に対する責任問題はあるじゃないか。政府として、いわゆる厚生省の福祉事業団の問題をどうとらえるのか、見解が違うじゃないか、私これを申し上げたいわけでございます。
#287
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今はしなくも委員が御指摘になりましたように、補てんを受けた認識の問題についてさまざまな論議が世の中にございます。そして、政府の各省庁の所管する法人につきましてそれぞれの御説明がございました。私はそれもそれなりに事実だと思います。私は大蔵委員会で、たしか閉会中審査のときに、中には自覚のない取引、損失補てんもあり得ると思われるということは申し上げた記憶がございます。しかし同時に、証券会社自身が補てんをしたという意識を持っている場合、また、税務調査の結果明らかにこれは損失補てんとみなされる場合、これは今損失補てんについての法律上の明確な規定をなしていない今日においては、私は損失補てんとして扱わなければ議論の整理のしょうがないと思ってまいりました。そして、損失補てんというものについて閉会中審査の折にもそのようなことを申し上げてまいりました。
 政府の各省庁において所管される法人の資金運用につきましては、それぞれの法人の性格もございます。監督官庁の御方針もありましょう。ただ、一点私から申し上げたいことは、公的な性格の強いものであればあるほど安全かつ効率的な運用ということはもとよりでありますけれども、その方法においても厳格な公正さというものが求められる。いやしくも国民の批判を受けることは、そういう内容のものではあってはならないと考えるということであります。
#288
○白浜一良君 では、大蔵大臣、この福祉事業団の問題は、大蔵大臣としてはこれは補てんじゃないとおっしゃるんですか補てんだとおっしゃるんですか、どっちなんですか。
#289
○国務大臣(橋本龍太郎君) 厚生大臣として、監督者のお立場から今見解を述べられました。私の立場からいたしますと、証券会社がみずから損失補てんと認めているもの、税務調査の結果損失補てんとして認定したもの、この合計を各証券会社は損失補てんとして自主報告をいたしております。私の立場としてはその姿勢を支持いたします。
#290
○白浜一良君 大蔵大臣も、今いろいろ間接的な表現をされましたけれども、補てんであると。厚生省は補てんじゃないと言っている。こういうことでいいんですか、総理、これ。同じ政府の中で一つの具体的な福祉事業団に対する認識がこれだけ違う。これでいいんですかね。
#291
○国務大臣(橋本龍太郎君) と申しますよりも、これは本当に各省各庁の長の方が主務大臣として指導監督を行われるわけであります。そして、各法人の性格、実態に応じてその指導というものは監督が適切に行われるものでありますから、私はそれぞれの性格によった違いはあり得ると思います。
 ただ、今委員のお問いかけになりましたような形であれば、私は、先ほど来申し上げておりますように、みずからの意思として証券会社が損失補てんをしたという認識を持っているものプラス税務当局が責任を持って税務調査を行った結果、損失補てんとして認定した行為は、そのまま私は損失補てんとして受けとめております。
#292
○白浜一良君 だから、大蔵省からすると補てんだと、そう結論づけたいと思います。こういう一つの事例でそういうふうに厚生省と大蔵省と見解が違うのは納得できません。
 時間がないので、次へ行きます。
 次に、厚生年金基金のこと、これは補てん問題じゃないんですが、特に株価が下がりまして非常に含み資産が下がっているんじゃないか、よく言われているわけでございますが、どのくらい含み資産が下がったと、このように考えられますか。
#293
○政府委員(加藤栄一君) 厚生年金基金につきましては、新聞等で一部想定等について触れられているところもございますけれども、厚生年金基金全体としての含み資産の含み損というものはなかなか算定が難しゅうございます。と申しますのは、信託銀行のほかに生命保険会社等の委託も行っておりますので、その中の全体で考えるということでございますが、厚生年金基金の信託財産に関する総利回りあるいは総合利回り等で見ますならば、総利回りと総合利回りの差ということでいろいろな計算方法があるわけでございますが、一つの計算方法としては五・六八%程度の信託財産に関する評価損というものがあるわけでございます。
#294
○白浜一良君 金額は幾らくらい。
#295
○政府委員(加藤栄一君) ちょっと金額は正確ではございませんが、ごく粗く計算いたしますと九千億円程度ということでございます。
#296
○白浜一良君 今の資料は平成元年でございまして、私は資料要求をしたんですが、平成二年度はまだできていないということらしいんです。
 私が調べましたところによりますと、大体五千人ぐらい加入していらっしゃる厚生年金基金の組合がございまして、ここの信託運用分を見ましたら、八九年はいわゆる資産が百十五億、それに対して期末評価損益が約六億五千万のマイナスなんです。総利回りが七・〇八、総合利回りが一・四五、このくらいの実態で、これは年金基金の一つの例でございますが、これは九〇年度も出ておりまして、九〇年度になりましたら百二十八億五千万期末の資産がございまして、その上で評価損益が十四億余りいわゆる損が、マイナスが出ているわけですね。ですから、このときは総利回りは六・二三与えているんですが、実際の総合利回りはマイナス〇・一六。ですから、今厚生省がおっしゃった事実以上に実際の含み資産は減っているという、これは私は確実だと思うんです。
 そこで、私はお伺いしたいんですが、この厚生年金基金の運用が、ざっくり言いましたら信託に二、生保に一の割合で使われているわけでございます。生保はわりかし利回りを保証している、そういう運用をされているわけでございますが、非常にリスクの高い信託にその約二倍も運用されている、この事実はどういうふうに理解したらいいんですか。
#297
○政府委員(加藤栄一君) 年金資金の運用につきましては、毎年毎年短期で運用するということではございませんで、五年、十年、さらには二十年といった長いタームで運用してまいるわけでございます。そういう場合に、どちらかといいますと生命保険の方は確実に元本を保証されて一定の利回りが得られる。ただ、信託の方も確実かつ効率的ということでお願いす名わけでございますが、場合によりましてはある程度の評価損が出ることもありますが、そのかわり市況が回復いたしますとより大きな利益が得られる。こういうことでございまして、年金資産につきましては、長期の観点から見ますと、ある程度そういう効率のよい運用というものを組み合わせながらできるだけ多様化して運用していく、こういう趣旨でございます。
#298
○白浜一良君 長期的に運用されるんですけれども、一回一回配当されていっていまして、今は非常に逆転現象で、どんどん資産を切り崩しているんじゃないかともこれ言われているから私問題にしているわけです。
 長期的運用だからいいとおっしゃいますけれども、ある人の算定によりましたら、長期的な運用なんですけれども、ただ、株価にして三万七千円ぐらい回復しないと実際この含み損を取り返せないというふうにも書いてあるんですが、この辺しっかりした考え方はあるんですか。
#299
○政府委員(加藤栄一君) 全体として株価がどのぐらいまで回復したらというそういう予測というのは、これは私どもも持っておりません。これは大変難しい予測でございます。また、それぞれの基金において、若い基金でありますれば非常に長期に見ましてある程度高収益のものを組み込んでいく。ただし、もう既に相当成熟化しておりますものでありますれば、それぞれ実現益をある程度出していかなければなりませんので、確実なものにより多く比重を置いて運用する。こういうようなことをやってまいらなければならないというふうに思っております。
#300
○白浜一良君 結局、総理、この問題は非常に難しいんです。
 いわゆる利回りとリスクの関係でございまして、特に金利が低かった時代に少しでも年金をふやすために高利回りの運用をしよう、これは当たり前なんですけれども、逆に株価が下がって非常にリスクが高くて評価損をしてしまうという、これはもう大切な勤労者、加入者の老後の生活に全部はね返ってくる問題でございまして、単なる民間のいわゆる投資運用というふうに考えられないものがあるわけです。ですから、私、これは今後非常に大事な問題なんで、共済の話もしました、年金の話もしました。こういうものは政府で何か保証するような体制をつくられるのか、それどもいわゆるリスクと利回りというものを調和させるような、そういう意思決定をされるような部門をつくられるのか、何かの手を打たないと、これは今このままずっと落ち込んでいったら非常に厳しい、破綻する可能性もあると私は思うわけでございますが、総理の考えを伺いたいと思います。
#301
○国務大臣(海部俊樹君) 年金の運用というものにつきましては、これは余りリスクを伴うことを一般の企業とともに同じレベルで考えることは、私は今やりとりを聞いておりましていかがなものかという気がいたしますし、そこは、将来の年金に対する大きな重い責任もあるわけですから、批判を受けないようにリスクを伴わないような一線をきちっと確保することが極めて大切であろう、私はこう受けとめております。
#302
○白浜一良君 よく実際的に検討を願いたいと思います。
 時間がございませんが、もう一点。二点目の興銀の話を私は質問したいわけでございます。
 大阪では大変大きな問題になっておるわけでございますが、大蔵省としてこの大阪の興銀の事件、尾上縫容疑者に関するさまざまな報告を興銀から受けていらっしゃいますか、ちょっと御報告願いたいんですが。
#303
○政府委員(土田正顕君) このたび大阪で起こりましたものは、東洋信用金庫の一支店長が預金証書及び質権設定承諾書を偽造して、顧客によるノンバンク等からの借り入れのために、その預金証書などをノンバンクなどへ担保として差し入れ多額の融資を受けたとされている事件でございます。
 これと御指摘の興業銀行との関係でございますが、興業銀行はこの主債務者でありますところの女性との取引があったという関係でございまして、興業銀行から現段階、まだ予備的ではございますが、種々経過説明などを聴取しているところでございます。
#304
○白浜一良君 その程度で、興銀として尾上縫容疑者に対して融資残高がどのぐらいあるかとか、そういうこともわからないですか。
#305
○政府委員(土田正顕君) 取引の詳細につきましては、現在興業銀行で精査中であると聞いております。
 興業銀行の取引につきましては、銀行自身のものと、それから銀行に関係のあるいわば別会社もございまして、それを総合し、かつ最近時点におきましてもその取引についていろいろ動きがあるようでございますので、現在確定的なところはまだ申し上げかねる状況でございます。
#306
○白浜一良君 何もおっしゃらないんですけれども、マスコミではもう詳しく報道されているわけで、詳しく調査をしていただきたいと思います。
 それでは、角度を変えまして、この尾上縫容疑者というのは、まあこれは料亭を経営されているいわゆる個人事業者なんですが、産業金融の雄と言われている興銀がこういうところに対して、何ぼかはっきりわかりませんが、今新聞を平均しますと、もう二千億を超えると言われている。それだけの融資をするような銀行なんですか。銀行局長、これ、どうですか。
#307
○政府委員(土田正顕君) 私どもの概略承知しております限りでは、融資がそのように多額に上るということはないであろうと思います。むしろ、これは新聞その他にも出ておりますけれども、具体的にはワリコーでございますが、割引債を極めて多額に販売しておった、それが取りざたされているようでございます。
#308
○白浜一良君 それは取引もあるんですけれども、もう一つ聞きますよ、局長。
 要するに、いろいろ融資したところでも、芙蓉総合リースやファーストクレジット、セントラルファイナンスなどは危ない、暴力団とのつき合いもあるということでことしの四月から七月までにこういうところは全部引き揚げたんですよ。ところが、興銀はいまだにずっと融資されている、この事実はどうなんですか。これは事実ですよ。
#309
○政府委員(土田正顕君) 今回の興行銀行のこの主債務者との取引、一連の行為をどのように考えるかということでございます。
 それで、まず制度論といたしましては、これは詳細は省略いたしますが、個人に対する貸し出しか直ちに長信銀行法の違反になるというものではないと思っております。ただ、それとは別に、一個人と多額の取引をする、殊に融資も含めて取引をするということは、それはそれなりのやはり反響なり意味というものを考えるべきであろう。その場合の興業銀行の経営上の判断がどうであったか、銀行の営業のあり方としてどうであったかというような問題はございますと思いますし、またこのような行動の結果がどのような影響なり効果を法律的に生むかどうか、これは現在まさにその事実関係の解明中でございますので、そのような事実関係の解明も進んでおりません段階で当局としてこれ以上立ち入ったコメントを申し上げることは適当でないと考えておるわけでございます。
#310
○白浜一良君 いずれ、これは事件ですから、さまざまな形で解明されると思いますけれども、局長、興銀の大阪支店長、常務さんでございますが、非常に危ないと。だから、先ほど私が申し上げましたように、一部金融も融資を引き揚げているところもあるわけです。
 こういうときに、あるマスコミの担当者がこの興銀の大阪支店長にインタビューしているんです、どんどん引き揚げているところがあるぞと。特に長銀は引き揚げたんです、長銀系は。それをどう考えるんだ、興銀どうするんだ。それから、個人に対する融資としてはもう常識を超えているじゃないか、こういうインタビューをしたときにこの支店長は、日銀や大蔵省にも報告していますとはっきり言ったんですよ。これは明らかになりますよ。支店長が言ったんですよ。個人の融資には限度がない、こういうわけです。尾上容疑者への融資額程度では興銀はびくともしない、このように答えた。
 銀行局長、これはあるんですよ。絶対明らかになりますよ。どうですか、もう一遍答弁してください。
#311
○政府委員(土田正顕君) 具体的にその大阪支店の者がどのような説明を事実としてしたのか、私どもはつまびらかではございません。いずれにいたしましても、私どもは一連の行動につきまして興業銀行から説明を聴取しておるところでございます。
#312
○白浜一良君 いずれ特別委員会もございますから明らかにしたいと思いますが、調査調査ではっきりわかりません。
 大蔵大臣、今までの質疑を聞いていらっしゃいまして、別に興銀だけじゃございません、富士銀行もございました、そういうところに対する大蔵省としての監督責任はこれはあるわけでございまして、大臣としての所感を伺いたいと思います。
#313
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一連の金融機関の現在起こしております問題の中には、私自身の秘書、元秘書になりますが、秘書が軽率にも人を紹介したといった問題もあり、ひとしお私自身も責任を感じる部分を持っております。
 しかし、今それとはまた異なった問題として委員が提起をされました問題、私個人としてその法律的な根拠は存じませんけれども、一個人に対しての融資というものをなさる場合に慎重さを欠く面が本当になかったのであろうかという疑念は報告を受けました時点で持ちました。ただ、現在既に捜査が入っております段階で、その後受けました報告等を御報告することは控えたいと思います。
#314
○白浜一良君 最後に、総理、これはいわゆる証券だけじゃなしに銀行もたくさんこういう問題が出ているわけでございまして、特にこの大阪の事件というのはもう本当に素人が見てもわかるようなにせ証書で金融から融資されている。そのバックとして興銀が利用された、そういう面も実際あるわけでございますが、行政府の最高責任者でございます総理といたしまして、こういうことが二度とあってはならない、こういうことに対する決意を、またお考えを伺いたいと思います。
#315
○国務大臣(海部俊樹君) 質疑応答を私も伺っておりました。同時に、こういったことが起こる社会というのは、これは健全な社会でございません。二度と起こってはならないという決意で大蔵大臣にも厳正な対処を指示しておりますし、政府全体としてもその問題については二度とあってはならないという決意で取り組んでまいりたいと考えております。
#316
○片上公人君 証券不祥事の再発防止についてお伺いしたいと思います。
 大蔵大臣は日本版SECの創設に反対なのかどうかまず伺いたいし、大蔵省の現在進めている監視機関の見直しは権限の保持に重点を置いたものではないか、こう言われておりますけれども、蔵相が考えている日本的風土というのはどのようなものなのか。日本的風土というのは行政と業界のもたれ合い、なれ合いをやってきた現状を肯定するものではないか、こういう意見もありますが、この辺についてどうですか。
#317
○国務大臣(橋本龍太郎君) 既に本委員会におきましても明らかにいたしましたように、私ども五つの原因に絞り込んだ上で再発防止の問題に取り組んでおります。
 その中におきまして検査・監視機構のあり方というものにつきましてのお尋ねでありますが、私どもは、この事件の発生の直後大蔵省の中にプロジェクトチームをつくりまして、証券のみならず金融をも含めて一体今までの検査体制のどこに問題があったのか、なぜこういう事件が発見できなかったのか、それは一体システムなのかあるいは手法なのか、こうした点について真剣な検討を開始いたしました。しかし、その後総理から行革審に対して御依頼がありまして、行革審でこうした問題について明年度予算編成時までに答えをお出しいただけるということになりましたので、去る十九日の行革審に、それまで私どもが審議をしてまとめてまいりました問題点をそのまま御報告申し上げ、行革審の今後の御検討を待ちたいと考えております。
 ただ、その風土云々ということになりますと、当初私どもが考えましたときにいろいろな問題点を提起いたしました。例えばアメリカの場合には、御承知のように、すべての問題に弁護士さんを使われる。そして、その弁護士さんと市民生活が非常に密着しているという意味では、ある意味では弁護士社会という言葉が当たるかどうかわかりません。しかし、病院、お医者さんとの関係でもすぐ弁護士さんを使うというぐらい弁護士さんにお世話を願うということになれた社会であります。そういう社会風土と、日本ではできるだけ当事者間の話し合いで、弁護士さんを立てたりあるいは訴訟をするということを避けるという空気があります。果たしてそういう感覚の違いの中でアメリカあるいはイギリス、要するに他国の制度をそのまま移してきてうまく機能するだろうかということは、確かに我々は問題意識として持ちました。
 同時に、もう一つ私どもが着目をいたしましたのは、よく言われる登録制、免許制といったことよりも、SECの中で若手の法曹家が随分ここに奉職をいたします。しかし、その平均在職年数はせいぜい四、五年まででありまして、むしろSECの中で敏腕を評価されることによって、まさに証券会社でありますとかあるいは関連の弁護士事務所でありますとか、こうしたところにスカウトされていくのを待ってどんどん抜けていくという状況がございます。果たして、今日いろいろな変化は生じながらも終身雇用型社会がなお枠組みとして残っております日本に、そういうふうないわばそこの業績をもってスカウトされることを期待しつつ奉職し業務を行うといった仕組みが似合うだろうか、これも我々は確かに問題意識として持ちました。しかし、同時に我々は行政機能と検査機能の間には一定の節度ある距離がなければならないということも自分たちの検討の中で問題意識として持っておりました。
 こうしたことを含め、去る十九日、我々は行革審にすべて今日まで積み重ねてきた内容を御説明すると同時に、今後行革審から御依頼があれば、その資料づくりあるいはその他のお手伝いもいたしますということを申し上げた上で、現在行革審の作業にお任せをいたしております。
#318
○片上公人君 国債発行の場面においてのみではなくて、NTT株の売り出しにおける大蔵省、証券取引所、証券会社の密接連携業務が現在から見るときに甚だ相当性を欠いていたのではないか、こういう批判があることからもわかりますように、大蔵省が現在考えているような組織、権限による大蔵省外局としての金融検査庁というようなものでは、公正な市場形成ないし証券・金融取引の公正確保はこれは困難であると思われます。
 この点につきまして、まず監視機関というのは証券行政の主体である大蔵省の支配下にあるのではなく別個独立の機関とすべきである、こう思いますが、どうでしょうか。
#319
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、行革審に既に御報告を申し上げたということを申し上げました。そして、金融検査庁というようなお話もありましたけれども、我々はそうした結論を持って行革審に問題を提起いたしておりません。
 お許しをいただいて多少の時間をいただきながら、問題意識とその内容について簡潔に申し上げたいと思います。
 私どもは、所掌事務について、一行政機能と検査機能、この両機能の所掌のあり方、証券と銀行の両業務分野の分掌をどう考えるか、あり方です。また、検査権限等についても、現行の権限のままで考えるのか、それとも現行の権限を越えて準司法的な権限をも持つことにするかどうか、それがいいのかどうか。また、検査対象は証券会社や銀行、現在はそこまでです。それを越えて取引先まで及ぶものにするかどうか。また、告発、行政処分との関係につきまして、検査の結果を司法当局への告発及び行政処分にどのようにしてつなげていくか。また、行政処分の適正さというものを担保するためにはどのような所掌、仕組みが考えられるか。
 さらに、取引所などの自主規制との関係につきまして、私どもは自主規制団体を育成し、もっと力を持ってもらいたいと思います。しかし、新しい監視機構というものを考える場合、これはその自主規制機関の育成というものを想定して役割分担をするのかしないのかによって全く内容が違います。この点についてどうするか。さらに、人的な体制について、採用、訓練、人事、処遇などをどう考えていくか。責任体制、つまり国会や内閣に対するどのような責任を持つ組織を想定するのか、こういった問題を提起いたしました。
 その上で、行政機能と検査機能の両機能というものには一定の距離を保ちながら、どうしても必要とされる両機能の間の連絡調整について、これはやはり実質的に維持する必要があるんじゃないだろうか。また、金融・証券の両市場が相互関連を深めていく現状、さらに今後予想されます金融制度改革によって相互参入というものを当然考えていかなきゃなりません。そうしたことを考えると、金融・証券両市場を視野に置いた検査機能が望ましいんじゃないだろうか、こうした問題意識を持ちながら検討をしてまいりました。検査権限につきましても、我々はある程度の準司法的権限を持たせた方がいいと思っております。
 そして同時に、もう一つ大事なことは、その行政と検査との適正が保持される、行政と検査が適正に行われることを制度的に担保するために、第三者にチェックあるいは助言をいただく何か新しい仕組みを考える必要があるんじゃないだろうか。自主規制については、やはり自主規制団体というものが一定の重要な役割を担っていただく必要があるんではないだろうか。そんな問題意識を持って検討をいたしておりました。今それを行革審にそのまま御報告を申し上げ、御作業を見守っております。
#320
○片上公人君 いずれにしても、特に大蔵省の外局として設置した場合は人事の問題等が当然予想されますし、結局現在の大蔵省内監視機関と大同小異となってしまうことは心配だと思うんですね。この辺についてはどうですか。
#321
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは全く我々は既に行革審にお預けをしておることでありますから、我々としての意見を申し上げるべきではないと思います。
 その上で、一般論として今委員がお述べになりましたような外への機関というものを考えます場合、そこのまさに採用、その方々は終身雇用制の中でその機関に生涯おられるんでしょうか。その給料はどういう位置づけになるんでしょうか。さらにその機関の性格からいって、今職員の再就職についても世の中から御指摘をいただいております。この機関に御勤務になる方は、今委員が想定されるようなケースにおいては、関係するところにはその機関を退職された後全く近づけないということになるわけでありますが、そうした問題点についてはどう考えていかれるのだろうか。
 私は、率直に申しまして、そういう部分までの結論を出す前に行革審に作業をお預けいたしたわけでありますが、問題意識としてそのようなことも考え、先ほど採用、処遇、さらにその将来、そうしたことにも触れたわけであります。
#322
○片上公人君 私は、アメリカのSECに類似した組織、すなわち総理の任命による独立した総理府の所管に属する行政機関を設置することはどうか、こう思います。
 この機関は、大蔵省の証券行政そのものについても監視し得る機関であって、大蔵省とは人的にも権限的にも全く無関係の機関にする。また、この機関は証券・金融行政に関して関連するすべての当事者に対する調査、立入検査、文書提出命令権、さらには違反行為に対する捜査権並びに告発権をも併合する準司法機関的行政機関としても権限を保持するものにすること。こういうものをつくるべきだと提案したいと思いますが、総理、大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
#323
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは私は委員の一つの御提案として拝聴いたしました。しかし、今とっさに伺って、先ほど私が提起をいたしました幾つかの検討の課題の中で、その機関の国会あるいは内閣、それに対する責任の所在はどうなるんだろうと、これは今とっさに伺った範囲で感じたことであります。
 また、全く別個にと言われますが、例えばアメリカのSECと大蔵省の証券局の行政を比べましたとき、免許制、登録制の違いはございますけれども、双方ともいわば証券会社として世の中に誕生した瞬間から、免許制の場合はその前からでありますけれども、すべてを監督するという意味ではその所掌の範囲は同じであります。大蔵省の証券局が持っておりませんものは、いわゆる準司法的権限に属する例えば取引先を調べる権利でありますとか、証人喚問をする権利でありますとか、あるいはその電話の記録を提出させる権限でありますとか、こうした準可法的権限は有しておりません。
 今の委員の御構想では、そういう権限もその機関にお持たせになるということでありますが、その場合に、登録会社であれ免許会社であれ、存在する企業への監督とそのチェック機能の結びつきはどうするのか。あるいはそこで問題として発見をされました問題点は行政にどうフィードバックされるのか。さらにそれを司法の場にどうつなぐかといったようなところに、今とっさに伺った限りで大変失礼でありますが、私はちょっと問題を感じております。しかし、むしろ今の御意見は後刻改めて詳細に私はお教えをいただき、我々もまた参考の一つにさせていただきたい、率直にそう思います。
#324
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣が詳細申し上げたとおりでございます。鋭意行革審の御審議の結論を我々は待っています。
#325
○片上公人君 業者の保護育成を主とした免許制であっても、それはそうであればあるほど、要するに私が言いたいのは、癒着した関係にならないようにするにはどうしても独立した監視機関が必要である、こういうことが非常に大事なことだと思っております。
 次に、雲仙災害対策について伺いたいと思います。
 昨年十一月、雲仙岳が約二百年ぶりに噴火して大きな被害をもたらしました。今日まで依然として危険な状況が続いております。将来の生活に不安や焦りを募らせながら、この被害者の暮らしは精神的にも肉体的にももはや限界に達しているのであります。
 このような前例のない災害であり、したがってその対策も前例にとらわれない支援、救済対策が私は必要ではないか、こう思いますが、一過性の災害と異なり大規模かつ長期にわたる雲仙災害に対しても既存の制度で対処できると考えていらっしゃるのか、特別立法が必要と思わないのか、御意見を伺いたいと思います。
#326
○国務大臣(西田司君) 特別立法についてのお尋ねでございますが、政府といたしましては、雲仙岳噴火災害に対しどのような措置が必要であるかということをまず第一に考えました。その被害の甚大性あるいは長期性等を踏まえながら、地元地方公共団体等からのいろいろ御要望、御意見等を十分踏まえましてあらゆる角度から検討の上、対策を講じてきたところであります。
 すなわち、既に住宅、民生、農林漁業、中小企業、雇用など二十一分野にわたる雲仙岳噴火災害にかかわる被災者等救済対策を決定し、現在実施しているところでございます。
 さらに、この八月二十三日におきましては、先ほど申し上げましたように、大変長期化しておるという現実を踏まえまして、食事の供与、それから五年間据置期間中無利子の生活安定再建資金の貸し付け、また土石流がさらに発生をした場合に避難をしていかなければいけませんが、このときに長崎県が行う対策につきましては国が適切な補助をしていく。農林漁業者、また中小企業者等に対する政府関係金融機関の災害貸し付けの利払いを据置期間中は年一回とする。以上のようなことを現在進めておるわけでございます。
 さらにもう一つつけ加えますと、長崎県が災害対策復興基金をつくるという場合におきましては、国が所要の地方財政措置を講ずることなどを主な内容としております。
 これが本日取り決めました雲仙岳噴火災害にかかわる特別措置の取りまとめの内容でございます。これらの措置を適切かつ速やかに実施していくことにより、御意見ではございますけれども、特別立法を行うまでもなく対策は立てられていくものだと、このように理解をいたしております。
#327
○片上公人君 生活基盤を失った被災者は借金したくてもできない、働くにも働けない、こういうような実情でございますけれども、長期間の避難生活を余儀なくされている住民に対しまして、生活の保障的な意味から見舞い金を支給する制度というものが必要ではないかと思いますが、この件について。
#328
○国務大臣(西田司君) ちょっと先ほどのお答えで間違っておりました。本日と申し上げましたけれども、八月二十三日に決定をいたしたわけでございます。
 それからなお、ただいまの御質問でございますが、一律に見舞い金を出してはどうかという御意見でございますけれども、御承知のように、自然災害というのは原則として個人が責任を持っていくという建前からいたしまして、一律に見舞いを出すということはいかがなものであるか、このように考えております。
#329
○片上公人君 そんな薄情なことを言って、何のために国があるのかわからぬじゃないですか。
 また、長期的には場合によっては集団移転も想定されるわけですが、現在の防災集団移転特別措置法で万全の対応ができるかどうか、これは疑問であると思います。また、災害を受けた地域の復旧問題が将来的には重要になってくると思いますが、これらの対策事業を迅速かつ円滑に進めるためには災害復興基金を設立するということが必要であると思いますが、先ほどからの話ともあわせて総理の所見を伺いたいと思います。
#330
○国務大臣(海部俊樹君) 政府の災害対策本部長を兼ねる国土庁長官から各省の意見、各省の行った措置等を取りまとめて詳細御報告したとおりでございます。
 特に今回は内容的に充実させることが大切だというので、政令の改正とか省令をつくったり弾力的な運用をするなど三十項目にわたって、法律を新たにつくると同じような気持ちでそれらの措置を講じたり、また基金の問題等についても、去る八月二十三日に決定しました問題をここで詳細御報告して、将来、島原半島全域を眺めながら、あの地域に対する防災や活性化や、同時にそこで生活していらっしゃる住民の皆さん方の将来に向かっての経済基盤、そういったことに対する御援助を地方自治体ができ得るように、またそれに対しては地方財政措置を講ずることによって地方財政を圧迫しないように、政府としてはでき得る限りの措置を取りまとめておるところでございます。御理解をいただきます。
#331
○国務大臣(西田司君) 集団移転の問題について御質問がございましたが、このことは現在地元におきまして、県市町において地元の被災者の皆さん方と協議がなされておるようでございます。その協議を待って国におきましてはできるだけ弾力的に運用を図ってまいりたい、このように考えております。
#332
○国務大臣(吹田ナ君) 先ほど国土庁長官から御答弁されました基金の問題ですが、これは特に自治省の関係に属するところでありますが、先日もこの場で井上先生の御質問にお答えしたんですけれども、我々としましては、三百億の基金を知事と協議してつくることにいたしております。現地でその基金をつくる、自主運営していくということで、我々の方はこれに対しまして起債を出していくということにいたしますと、条例その他で、我々政府の考え方とは別の問題として、県の方で自由に、裁量として臨機応変にこれが運用できるということになってまいりますし、その方がはるかに現実の問題としては効果が出てくるのではないかということからそういう方法をとっているわけであります。
 もちろん、それにつきましてはその果実を運用するわけでありますから、早目に果実を前借りして進めていくということになっていくでありましょうが、それにつきましては十分その利子補給等はまた交付税等の計算で地元の行政関係に迷惑のかからないような、そういう方法をとっていこうということにいたしておりまして、そんな冷たいことを言うなとおっしゃいましたが、決して冷たくないのでありまして、非常に喜ばれておるわけでありますので、御理解をいただきたい、こう思うわけであります。
#333
○片上公人君 うんと頑張っていらっしゃるのはわかりますけれども、先ほどの西田さんの答弁は若干私は気になると思いますね。このテレビを見ていらっしゃる災害地の人はどう思うのでしょうね。個人的には事故が云々とか、見舞い金はいかがなものか、そういう言い方じゃなしに、何とか努力したいと。努力しているのはわかっていますよ。けれども、ああいう言い方をするようでは見ている人はがっかりすると私は思いますね。反省してもらいたい、こう思います。
 次に、高齢者の年金問題と雇用の促進について伺います。
 在職老齢厚生年金のカットにつきましていろいろ批判が出ておりますけれども、厚生年金の六十五歳支給に伴って六十歳から六十五歳の人たちに対して特別支給の年金が用意されておるわけですが、現在の制度では働いて収入が多いと年金が一部カットされる。収入がふえるに従って支給停止率が上がり総収入が抑制されていくので、お年寄りの間では働いても仕方がないといった意見が強まっております。現在、月収八万円で二割カット、二十六万円以上で年金支給はゼロとなっておるわけですが、これを引き上げる方向で制度を見直せば高齢者の就労意欲も高まっできますし、人手不足時代に良質な労働者を確保できると思いますが、通産省政策局長の諮問機関でこの内容の報告書が出ているけれども、通産大臣はどのような見解が。また、厚生大臣、労働大臣の見解を伺いたいと思います。
#334
○国務大臣(中尾栄一君) ごく簡潔に申し上げます。
 まず、思い返しますと四年前でございますが、世界の中における日本という構築の中で発表されました政策の中で、特に豊かさと実りある実社会、豊かさがどのように直結でき得るかということが問題でございました。そういう点におきましては、私どもも鋭意その方向に努力をしたということは事実でございますけれども、委員御指摘のとおり、それが即直結したかどうかということにおける疑問点はまだまだ残るかと思います。
 そういう意味におきましては、高齢者の職場への進出というものはこれは極めて重要であると考えておりまして、通産省としましては今後とも必要な措置というものをあらゆる限り講じてみたい、こう思っておる次第でございます。
#335
○国務大臣(下条進一郎君) 在職老齢年金は、委員御承知のように、六十歳から六十五歳までの方が再就職されるとかあるいは続いて就職される場合に、過去に掛けておいた年金を活用してあわせてもらえるようにしよう、こういうことでございますが、やはりこの制度は、同時に実際に働いていらっしゃる方の給料のバランスもございますし、また年金制度の本来の趣旨等もございますので、そこらの絡み合いでいかなるところに結論づけるかというところが問題だと思います。
 そういうことで、今御指摘の点につきましては平成元年に制度の改正をいたしまして、今まで三段階でありましたために不公平があった部分は七段階で救済できるようにいたしましたが、いわゆる国民年金の方が六十五歳というところから支給されておりますから、長期的な年金制度をどうあるべきかという問題もございますので、それらを総合的に判断しながら今後検討してまいりたいと思います。
#336
○国務大臣(小里貞利君) 簡潔にお答え申し上げます。
 お話しございましたように、在職老齢年金は六十歳から六十五歳まで働きながら年金を受給する。しかも、その支給の基準は賃金収入の基準に相対応して計算して支給されておる。言いかえますと、働きながら年金を受給するという特別な一つの措置制度でございますが、ただいま厚生大臣から御答弁ございましたように、平成元年にこれが、ただいま先生が期待しながら御指摘、御質問になったと思うのでございますが、その方向で具体的に改善された、私はそういうふうに判断いたしておりまして、私どもの労働行政、雇用安定、なかんずく高齢者の雇用安定という観点からもこれが改善結果の施行について期待を持ちながら見守っておるところでございます。
#337
○片上公人君 どうか、さらなる努力をお願いしたいと思います。
 ATLについて伺いますけれども、現在、同ウイルスやキャリアは大体全国で百万人と、こう言われています。この感染経路で一番心配されるのは母予感染で、母乳を介して赤ちゃんにうつるケースである。そこで、検査方法については、妊娠二十四週ごろに抗体検査を行えば発見される。そして、そのときにキャリアについては、人工栄養に切りかえた場合は一例もキャリアは出てこないという例もある。
 そこで、妊娠した女性の検査費用、これを国で負担する、あるいは検査費用の補助をする等の対策を講じて感染防止に取り組むべきではないか、こう思いますが、厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
#338
○国務大臣(下条進一郎君) ATLの検査費用の負担の問題でございます。
 一説によれば母乳からの感染が強い、こういうことでありますが、これは医学的に今検討を進めておりますけれども、まだ確証を得るには至っておりません。したがいまして、今後その問題を研究しながら対策を考えてまいりたいと思っております。
#339
○片上公人君 次に、子供を育てる環境について伺いますが、我が党としても、子供を育てられる環境づくりに力を入れるということで、これまで母子保健法あるいは児童手当、育児休業法などの充実を求めてまいったわけでございますが、ここで二点についてお伺いしたいと思います。
 まず第一点は出産費の問題ですが、出生率の低下が騒がれておりますけれども、その入り口の問題である出産費について実際にかかる費用は年々上昇しておる。そういう中で、保険給付は六年間も据え置かれておる。こういうところから、何とかこれを来年度予算で給付率のアップを検討すべきだと考えますがどうかということ。
 もう一点は乳幼児の医療費無料化の問題でございます。若い夫婦にとりましては、小さい子供の医療費というのはこれは大変負担がかかるわけでございます。全国四十七都道府県で制度が必要だという認識で、現在約四十二の県で何らかの制度実施をしておるようでございますけれども、私は老人医療費と同様にぜひとも三歳児までの医療費無料化を実施するように要望したいと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。
#340
○国務大臣(下条進一郎君) お尋ねは二点でございますが、まず分娩費の問題でございます。
 御指摘のように、健康保険の分娩費の最低保障額を改定いたしましたのは昭和六十年の四月でございまして、そのときに十五万円から二十万円にいたしたわけでございます。また、国民健康保険の方の助産費の補助基準につきましては六十一年三月に改定いたしておりまして、十万円から十三万円に引き上げております。その背景といたしましては、我々の方の国立病院の分娩費の実勢をもととして計算するということになっております。平成二年三月の国立病院の今の分娩費用は二十二万六千円ということになっておりまして、それの大体九割程度をカバーするようにということで健康保険の方をやっておりますし、また一方、国民健康保険の方の助産費につきましては財政的ないろんな事情もございますので、それを勘案しながら今後の課題とさせていただきたいと思います。
 それから、三歳児までの医療費についての無料化の問題でありますけれども、これは我々、一般的に各種の健診によって疾病の早期予防や保健婦の充実、指導等をやっておりますけれども、乳幼児の医療費につきましては、特に手厚い援護を必要とする特別の疾病について重点的に対処するという措置をとっておりまして、例えば未熟児の養育医療、それから身体障害児の育成医療、小児がん等の小児慢性特定疾病というものに限りましてこの措置を講じておりまして、今直ちに一般の疾病にまで全部無料化をやるというようなところにはまだ至っておりませんので、御理解いただきたいと思います。
#341
○国務大臣(海部俊樹君) 厚生大臣が詳細にお答え申し上げたとおりに御理解をいただきたいと思います。
#342
○片上公人君 出生率の問題、今若い夫婦が子供を育てるのに悩んでおる。それをできるだけ安心して育てられるようにいろんなことを考えるのが私は政治の仕事だと思います。総理、子供たちがしっかり健全に、そしてたくさん生まれなかったら、将来その子供たちによって支えられるんじゃないですか。その辺については私はもっともっと真剣にやってもらいたいと思います。
 最後に、大阪空港の騒音問題について聞きますが、これは大きな問題の一つとして逆発着の問題がございますけれども、運輸省では六十二年三月に飛行経路の改善案というものを示して、逆発着時の飛行コースの変更整備、進入経路の指示灯、いわゆるAGLなどの整備を進めておるわけでございますが、その整備状況。また、これをやるために飛行コースが変更になった場合、地元住民から強い不満が出ておりますけれども、この住民の声を政府はどのように受けとめておるのか。この対応をどう考えていらっしゃるのか。このことをお伺いして質問を終わります。
#343
○政府委員(加藤晋君) お答えいたします。
 今、先生御指摘の大阪国際空港の北側から離着陸いたしますいわゆる逆発着と申しましておりますけれども、これにつきましては、飛行コースのばらつきを防止するために今おっしゃいました進入路指示灯の整備を進めております。現在の整備の進捗状況につきましては、全国で八カ所、三十一基の灯火を整備する予定でございますが、そのうち伊丹市に設置する十三基の灯火の整備は進んでいますけれども、残り十八基の灯火につきましては地元との調整が未了であるために着手できないという状況でございます。
 したがいまして、先生今御指摘のございました地元の皆さんとどうなっておるかということでございますけれども、地元住民の皆さんに関しましては昭和六十二年にこの地元の十一市に対して説明を行っておりまして、関係市を通じまして本計画の趣旨を御理解いただくというふうに努力いたしております。さらに、この飛行経路の改善は大阪国際空港にかかる騒音影響区域の縮小のためにぜひとも必要と私ども考えておりまして、運輸省としても、今後とも関係市と協力いたしまして地元住民の方々に本対策の趣旨を理解していただくように努めてまいりたいと思っております。
#344
○片上公人君 どうもありがとうございました。
 PKO、政治改革については、時間がございませんので、またの機会によろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
#345
○委員長(中村太郎君) 以上で片上君の質疑は終了いたしました。(拍手)
#346
○委員長(中村太郎君) 次に、立木洋君の質疑を行います。立木君。
#347
○立木洋君 海部首相、去る七月六日に日本共産党の不破委員長が党首会談の中であなたに対して、選挙制度の問題を含む国政上の重要な問題で党首間の公開討論をやりたい、こういう提案をしたと思うんです。それに対してあなたは、喜んでお受けいたします、国会の特別の枠で実現したい、このように述べられました。ところが現実には、不誠実にもそれをあなたは結果的にはほごにされている、こういう態度をあなたはとっておられてどういうふうにお考えですか。
#348
○国務大臣(海部俊樹君) 党首会談というところで党首の討論会の提案がありましたから、討論をすることは喜んでお受けしますと言いましたが、私もあのとき、選挙前のときのようにすべての党首が一堂に会してやりますと、四対一の数で、どうしても時間的にもやり方的にも私にとっては不公平感が出てくるので一対一でやりましょう、できれば国会のこういう御質問の場で一対一でやれば国民の皆さんに十分お聞き願えると思います、内容を党首同士で討論することは私は喜んでお引き受けいたします、こう申したつもりでおります。逃げたりしておりません。
#349
○立木洋君 あなたの弁解は成り立たないんですよ。
 国会の特別の枠ということはあなた自身が明確に述べられているんです。特別な枠というのは、本会議だとかあるいは予算委員会で討論するということとは異なっているんです。それについてあなたは実現しようとされなかった。やっぱりこれは無責任な態度だと言わなければならないということを私ははっきりと申し上げておきたいと思うんです。
#350
○国務大臣(海部俊樹君) それは全くの誤解か聞き違いかであります。
 私が想定したのは、国会でテレビも中継できる質問の場があるので、そこでは一対一で討論できますからそこでやりましょうと言ったわけで、特別の枠をつくってやるとか、特別に党首討論をやることは、私は不公平の気持ちも持ったから反対だということもその場で明確に申し上げたつもりでございますから、どうぞそういうふうに御理解願いたいと思います。
 また、国会の運営は各党それぞれの代表者がお決めになる、まさに国権の最高機関でありますから、お決めいただいたらそれに従うわけでございます。
#351
○立木洋君 この問題については日本共産党の金子副委員長も改めて申し入れをしましたし、寺前国対委員長も梶山さんに明確に申し入れたんです。国会の特別の枠ということであなたが指定されているんですから、それについては私たちの方では志位書記局長も政策担当者も明確に聞いているんですから、決して誤解が生じるような問題ではない。この際改めて、あなたが公党の責任者としてそういう答弁をされているわけですから、その点については責任ある態度を今後とも明確にとっておいていただきたいということを申し述べておきたいと思います。この問題は証券スキャンダルの問題についての大蔵省の基本姿勢にもかかわる重大な問題だと思うんです。
 そこで、四大証券会社に対して七月十八日から特別検査に入っていますが、そこでの検査目的、検査方法について、大蔵省、御説明いただきたい。
#352
○政府委員(松野允彦君) 七月十八日から四社に特別検査に入っております。
 その目的は幾つかございますが、まず平成二年四月以降の損失補てんの有無について検査対象にしております。さらに、自主報告についてその内容をチェックもいたしております。さらに、法律で禁止されております事前の利回り保証あるいは損失保証というようなものがなかったかという点も検査の項目に入れておりますし、今回のいろいろな事件に絡みまして社内に管理体制をどういうふうにこれから改善していくのかという点についてもあわせて各社の意見をチェックしているところでございます。
 なお、具体的な検査の方法でございますが、これは従来の検査と同じでございまして、各社に臨席をいたしましていろいろな書類、顧客勘定元帳等々の一切の資料の提出を求めて取引を精査するというような方法で行っております。
#353
○立木洋君 一九九〇年四月以降の検査内容についてお尋ねしたいんですが、既に損失補てんがあったということが明らかになってきているんではないでしょうか。現在までの状況についてお伝えください。
#354
○政府委員(松野允彦君) 平成二年四月以降の損失補てんの問題でございます。
 これにつきましては、私ども四社については特別検査で今チェックをしているところでございまして、市況の状況などからして損失補てんが各社はないという報告をしているわけでございますが、私どもは検査の中でそういう報告が正しいかどうか、市況の状況からして損失補てんが本当にないのかどうかという点、先ほど申し上げましたように、検査の重点事項に挙げて検査をしているわけでございます。
#355
○立木洋君 現在の時点で損失補てんがあるかないかということについて大蔵省でどのように検査の状況を把握しているのか、それを述べてください。
#356
○政府委員(松野允彦君) 現在、各検査に各社に参っておりまして、まだ中間報告をするような段階に来ておりません。まだ検査官は各営業店に臨席中でございます。私どもまだ報告を聞く段階に至っておりません。
#357
○立木洋君 これは、一九九〇年四月以降の株価の暴落というのは大変なものでしたが、トラブルも多大に発生しております。まさにその時点に損失補てんが行われているということはほぼ私は明らかだとさまざまな状況から判断することができます。
 今、局長自身も損失補てんがないというふうに明言することができなかったように、この問題については徹底した調査を要求したいと思うんですが、その点について特別検査では、九〇年四月以降だけではなく、それ以前の八八年四月から九〇年三月までについても検査しているんではないですか、いかがですか。
#358
○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、今回の特別検査の一つの項目に二年三月までの自主報告にかかわるもののチェックというものも含まれております。
#359
○立木洋君 そこでの検査の重点項目は何でしょうか。
#360
○政府委員(松野允彦君) 重点項目は、先ほど申し上げましたように、一つは、一番最大の重点項目は平成二年四月以降の補てんの有無でございます。その以前のものにつきましては自主報告の中身のチェック、確認ということもございますし、あるいは事前の保証がなかったのかという点についてもその以前については検査の対象としているわけでございます。
#361
○立木洋君 その一九九〇年四月以前の問題については、プレミアム商品、つまり推奨販売商品ですね、これの大口販売の検査をやっているんじゃないですか、重点的に。
#362
○政府委員(松野允彦君) 損失補てんの一つの方法として新発の有価証券を集中的に配分するという方法があるわけでございまして、損失補てんをチェックするというのはそういうものも含まれておりますし、あるいはいろいろな有価証券の売買の形をとった利益供与行為というようなものもあるわけでございまして、御指摘のような新発有価証券の集中配分というのも当然検査の対象になっているわけでございます。
#363
○立木洋君 あなたは七月二十五日に衆議院の委員会で、九〇年三月以前の数字は固まったというふうな趣旨のことも述べておられます。問題は、今、この大口販売の検査の点について言うならば、新発のCB、ワラント、公開株、この検査を、あなた、命じているんじゃないですか。はっきりしてください。
#364
○政府委員(松野允彦君) 損失補てんの一つの方法としてそういうものもあわせて検査するようにということで検査の対象にしております。
#365
○立木洋君 この挙げたワラントや新発CB等については、これはまさに補てんの手口として最も多いものだとあなた自身きのう当委員会で述べられたとおりですよ。これらについてあなたはこれまで指導してこなかった、あの自主報告のときに。だから報告をした証券会社、それを含めて報告をしなかった証券会社、出てきているんじゃないですか。だからそれを検査を命じたんじゃないですか。
#366
○政府委員(松野允彦君) 私どもが今回公表されました損失補てんの手口として報告を受けております中で、一番多いのはむしろ債券などの売買価格差を利用した取引でございまして、新発有価証券の割り当てという形で行われたものは全体の二・四%に当たるわけでございます。もちろん新発証券の割り当てにつきましては、例えば公開株
#367
○立木洋君 ワラント。
#368
○政府委員(松野允彦君) ワラントの場合も同じでございます。これは新発転換社債、新発ワラントなどの割り当てという形で補てんが行われたというものは全体の二・四%ということになっております。
#369
○立木洋君 とんでもない言い逃れですね、あなたは。
 この問題については、あなた自身が衆議院の七月二十五日の委員会でこの損失補てんの問題について、「新規公開株あるいは新発転換社債の配分についても、証券会社においてこれは損失補てんだという認識をされたところは、その分については自主的な報告をされてきたと」。認識されていないところは報告をしてないんじゃないですか。山一や野村、どうなっているんです。
#370
○政府委員(松野允彦君) 新発債の割り当てにつきましては、新規公開株については、リクルートの件もございまして相当厳格なルールがあるわけでございますが、新発転換社債あるいは新発のワラントにつきましての割り当てのルールというのは業界のルールでございますが、それほど厳格なものではございません。これはある意味では引受業者の裁量というような分に入っているものもあるわけでございまして、もちろん我々は例えば発行会社が指定をするいわゆる親引けとかいうような形のものは禁止しているわけでございますが、投資家にどういうふうに割り当てるかというのはかなりの程度アンダーライター、引受業者の裁量に任せられているわけでございます。
 したがいまして、この自主報告の中で新発転換社債あるいは新発ワラントの割り当てという形で損失補てんを行ったというのは、これは証券会社がそういうふうに認識をしたものが報告をされてきているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、私ども現在特別検査をしておりますから、その中で損失補てんの中身についてチエックをしているわけでございますけれども、少なくとも証券会社が損失補てんという認識を持って新発転換社債あるいはワラント債の割り当てという方法でやったというふうに報告をしてきたものは今申し上げたものでございます。
#371
○立木洋君 大蔵大臣、今お聞きのような経過です。結局、その損失補てんの内容としてその問題を認識して報告してきているところと、認識しないで報告していないところとあるんですね。
 だから、今度九〇年三月以前の分にさかのぼって特別検査をやれば、その分についても損失補てんがあったということが結局必至になるんじゃないですか。その点についての大臣の見解はいかがですか。
#372
○国務大臣(橋本龍太郎君) 四大証券に対して現在特別検査を実施いたしております。この検査は当然のことながら厳格に行われると承知しておりますが、その結果どういうものが出てくるのかこないのか、今検査の中間過程において私が意見を申し述べることは控えるべきと思います。
#373
○立木洋君 これは、今までの大蔵省の指導によっていわゆる損失補てんの内容を明確に明示してないんですよ。だから証券会社としては、それが損失補てんに含まれるか含まれないかと。含まれると思ったところは報告してきている。含まれないと思っているところは報告してきていないんです。だから今度の特別検査で、九〇年三月以前の分についても損失補てんがあったということはこれは必至なんです。大臣、そういう認識を明確にしておかないとだめだということを私ははっきり申し上げておきたいと思うんです。
 きょう、年金福祉事業団の理事長に参考人として来ていただいておりますが、まず、年金福祉事業団の損失補てんの問題について、大蔵省、述べてください。
#374
○政府委員(松野允彦君) 今回発表になりました損失補てんの公表されたリストによりまして、年金福祉事業団の損失補てん額を合計いたしますと五十三億五千四百万円になります。
#375
○立木洋君 参考人にお尋ねしますが、年金福祉事業団として損失補てんがあったということをお認めになるのかどうなのか、内答について御説明ください。
#376
○参考人(幸田正孝君) 私ども年金福祉事業団といたしましては出、将来の年金給付財源の資金をお預りいたしまして運用をいたしております。
 運用は大きく分けまして、信託銀行等への委託運用と事業団みずからが行います自家運用と二つございます。問題になっておりますのは後者の自家運用でございますけれども、これは投資顧問会社の助言に基づきまして事業団の責任において発注をいたしておるものでございまして、いわゆる営業特金や一任勘定とは異なるものでございます。その対象も株は対象外でございまして、国債その他確実な債券と預貯金に運用対象が限定をされているわけでございます。
 私どもといたしましては、取引内容のチェックを行いましたけれども、通常の取引であると、昭和六十二年度、六十三年度、平成元年度の取引内容について不自然な取引とは認められなかったのでございます。もとより事前に損失保証を求めたことはございませんし、また事後において損失補てんを求めたこともございません。損失補てんを受けたという認識はなかったのでございます。
#377
○立木洋君 大蔵大臣、今お聞きのとおりです。このお金というのは、国民の厚生年金、国民年金、このお預かりしているお金を資金運用部から貸し出しているわけですね。まさに国民からお借りし一でいるお金です。預かっているお金です。今のような認識で、通常の取引である、不自然なものはなかったというようなことで、大蔵大臣、お金をそういうところに貸し出しておるということについてあなたはどのようにお考えなのか。これは損失補てんなんですよ。その問題について明確にしていただきたい。
#378
○国務大臣(橋本龍太郎君) 公的資金の運用につきまして、各省の所管法人が運用しておられる例はこれ以外にもございます。先刻来の御質問でもお答えをいたしましたが、その法人の性格その他によりまして、その運用についてはさまざまな対応が考えられると思います。そして、それはそれぞれの主管省の主管大臣の御承認のもとに私はきちんと行われておると思います。
 ただ同時に、今回の問題に限定してお答えを申し上げますと、私どもは、各証券会社が自主的に損失補てんとして認めたもの、並びに税務当局が損失補てんとして認定されたものの合計が自主公表の内容となっておると理解をいたしております。その限りにおきまして、私は損失補てんという行動が年金福祉事業団の関係にもあったと申し上げる責任があると思います。しかし同時に、これは閉会中審査のときにむしろ御論議があったことでありますけれども、認識を持たないケースというのはあり得るのではないかという御指摘がございました。そして、そういうケースもあり得るでしょうということを私は申し上げてまいりました。なぜなら、今まで損失補てんという行為を法的に禁じておりませんでしたから。そして、投資顧問会社の助言に従って運用をしておられるケースというものは、むしろ我々は営業特金を適正化していく過程で投資顧問会社を活用しなさいということを皆さんに申し上げてきたわけでありまして、投資顧問会社の助言に従って運用しておられる場合に認識がなかったこともあり得ると思います。
 しかし、今回世の中をお騒がせしているこの一連の問題の中で、証券会社が損失補てんとみずから認識をし、あるいは税務当局が損失補てんと認定したものを各社が自主公表されたという事実はそのとおりであります。
#379
○立木洋君 厚生大臣、年金福祉事業団の監督官庁として、今大蔵大臣が述べられたように、まさに通常の取引ではないという、損失補てんだということを大蔵大臣はあくまで述べられております。この点についてのあなたの責任はどうなんですか。
#380
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほどの白浜委員のときも年金事業団の資金の運用につきましては私も説明申し上げたんですけれども、今また幸田理事長からも御説明いたしたとおり、要するに規定の範囲内において適切に処理されているわけでございます。
 しかも、異常に市場価格と遊離して高いものを安く買ったとか、またそれを高く売ったとか、そういうような事実は我々の方にはないわけでございます。しかし、そういうことであっても相手側の証券会社の方においてその品物をいつどういう値段で買ったかということは、また我々の方ではわかりません、証券会社に対して年金事業団は調査権限がないんですから。したがって、我々は正当な範囲で価格を決め、それによって買ったり売ったりしているという範囲において全く不正はないわけでありますから、我々はその意味においてそういう損失補てんの認識は持っていないということを申し上げたわけでございます。
 ただ、先ほど来大蔵大臣がおっしゃっていることに続いて私の方の解釈を申し上げれば、今そういう話が出ております。その玉ですね、玉がその証券会社の方において我が方に売られるときに、我々の帳簿よりはさらに高いものを買ってあの価格で売っている場合があったとしたならば、これは向こうにおいてその損失を立ててくるということがありますから、それを税務上で損金に落としてきたから更正決定になったんだろうと私も想定するわけでございますが、そこまでは年金事業団でこれは追跡はできない問題だと思います。
#381
○立木洋君 厚生省、年金福祉事業団法の三十五条にはどのように規定が入っていますか。
#382
○政府委員(加藤栄一君) 年金福祉事業団法三十五条でございますか。
  厚生大臣は、次の場合には大蔵大臣と協議し
 なければならない。
 一 第十七条第二項、第十八条第一項若しくは
 第二項、第十九条第一項、第二十条、第二十二
 条、第二十五条第四項、第二十六条第一項、第三
 項若しくは第七項又は第二十九条の規定による
 認可をしようとするとき。
 二 第十九条第二項、第二十九条又は第三十一
 条の規定により厚生省令を定めようとすると
 き。
 三 第二十四条第一項又は第三十条の規定によ
 る承認をしようとするとき。
 四 第二十七条の二第二号又は第二十八条第二
 号の規定による指定をしようとするとき。
 以上でございます。
#383
○立木洋君 厚生大臣は大蔵大臣と協議しなければならないと、この内容については。このような大変な、一方では損失補てんがあった、一方では損失補てんがないと、こんな重要な問題についてどんなふうに協議していたんですか。
#384
○委員長(中村太郎君) 年金局長、わかりやすいように答えてください。
#385
○政府委員(加藤栄一君) 今回の補てん問題につきましては、私どもの考え方につきましては大蔵当局に御説明をしております。私どもと申しますか、厚生省並びに年金福祉事業団の立場としては、規定に基づき取引上の東証の基準でございますが、それについて十分チェックをしてそれで取引していたわけでございます。また一方、国税当局といたしましては、国税当局の立場から証券会社の売買損の取り扱いについてチェックをされたわけでございまして、これがどういう扱いになるかということにつきましては、厚生省ないし年金福祉事業団としてこれをチェックするということは期待できなかった、こういう考え方でございます。
#386
○立木洋君 総理、十二兆円という莫大なお金なんですよ、国民からお預かりしている。これを資金運用部を通じて貸し出しているんですよ。その問題が一方では不正常だと、一方では自然ですと、損失補てんはありませんと、損失補てんがありますと、こんな閣内の不統一で、これはただ単に年金福祉事業団だけの問題ではなくなってくる。国民から預かっているお金をどういうふうに管理管轄しているのか、重大な問題ですよ。総理の見解を明確にしてください。
#387
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理の見解ということでありますが、主管閣僚として私からのお答えをお許しいただきたいと思います。
 財投資金の運用というものにつきましては、これらの資金が国の制度、信用に基づいて直接間接に国民からお預りをした原資によって構成されるものでありますから、財投制度が公共の利益の増進を目的としておりますことでもあり、公共性を有し、確実かっ有利であることは当然でありますけれども、その方法においても厳格な公正さが求められることは、そしていやしくも国民の御批判を受けるようなものであってはならないと思います。
 また、年金福祉事業団の資金運用など金融商品によりまして有利運用を図る場合でありましても、公共性を有し、安全かつ効果的であることが求められることから、その運用対象としては公的資金の運用先としてふさわしく元本保証が付し得るものとされているところであります。
#388
○立木洋君 大蔵大臣自身先ほど言われましたように、この損失補てんの問題というのは不公正だということを国民が感じる、このことが一番恐ろしいことだ、一番の問題だとあなた自身言われたじゃないですか。しかも、これは公的な資金ですよ。こんな答弁では納得できません。総理、あなたは最高責任者なんですから。
#389
○国務大臣(海部俊樹君) 両大臣が答えております。同時に、あなたがおっしゃるように、私は、そういった行為が公正な社会という面からいって厳しい世の批判を受けたことも、これは率直に反省をしなければならぬことだと思います。ですから、大蔵省としては今後こういった問題に対してどのような内部の監督を強化していくのか、あるいは政府としてはこのようなことの再発防止のために監視機能としてはどのようなあり方、どのようなふうにしていかなければならぬか、二度と繰り返さないように前向きの対応策について今鋭意取り組んでおるところでございます。
#390
○立木洋君 答弁納得できないんですよ。国民から預かっている金です。テレビで国民は聞いています。大蔵省と厚生省と全く、正常である正常でない、損失補てんがあるない、意見がまるっきり対立しているじゃないですか。閣内できちっと意思を統一してもらわないと質問が続けられないじゃないですか。だめです、こんな答弁じゃ。
#391
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 ある事象をとらえた場合にはいろんな面があるわけですよ。ですから、二つの面が同じ事態においてある場合に、それを矛盾しているというふうに解釈されるのは私はいかがかと思います。
 まず第一点で、厚生省の方の立場で私は申し上げますが、先ほど来るる御説明いたしましたように、貴重な年金資金をお預りしているわけですから、これを少しでも損を立てるようなことはいかない。ただ、私が調査をいたしましたところでは、二、三度ですか、わずかな損失が出たことがありますけれども、これはマイナーフィギュアでございます。全体を通じて私たちは東証の指導の範囲内でちゃんと、あれは上に二%、下二%ですけれども、その範囲内の〇・五%の平均値で大体市場から物を買っておるわけですから、これはまことに適正な処置である。しかも、そして年金資金が十分支障のないように私たちは運用しておるわけですから、私はここに不正もなければ何もない、こういうことを申し上げたわけでございます。
 そこから先は厚生省の所管ではございませんが、この問題としてお尋ねがありますから、私が若干自分なりの解釈をしてお話し申し上げますと、先ほど来大蔵大臣がおっしゃっておりますところの損失補てんという問題は、私の方からの推測、これは両面があるわけですから、物は二つの面があるということを申し上げたんですが、私の方では正しい範囲内のトランザクションをしておりますけれども、一件一件のはめ込みの国債なり社債の価格が一体幾らでもとが買われたものかということがどうしてわかるんですか。わからないんです、我々の方は。したがって、わからないその価格が、もと、向こうさんの方で今の市場価格より高いものを買っておいて今の枠内の品物として売ってこられた場合に、年金事業団ではこれを正しい価格であるという判断で買われているということでありますから、これはもうそれはそのままで一つのトランザクションはでき上がるわけです。
 一方、税の立場で見た場合は、これは要するに高いものを安く売った、そういうことになればそこに損が出るのは当たり前ですから、その損についてこれは自分の会社の損が立ったということで、自分の会社の損を損として税務署に申告すれば、それはサービスのための損を立てたんじゃないか、それで更正決定が出たんではないか、私はこう思うわけでございます。
#392
○立木洋君 今の話は全く納得しません。
 大蔵大臣、今の厚生大臣の話はそのとおりでよろしいのか。大蔵省がこれまでとってきて、損失補てんだといって認めて公表された、これを撤回されるんですか、大蔵大臣。今の厚生大臣の見解に反発されるんなら明確にしてください。前提が一致してないんじゃないですか。
#393
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどから私何遍も申し上げておりますけれども、撤回とか撤回でないとかという種類のことは私は一度も申し上げておりません。また、大蔵省が各社の自主公表を撤回する……
#394
○立木洋君 撤回しなさいと言ったんですよ。
#395
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、ですから私は、自主公表を各社に撤回を要請するつもりもありません。それは先ほどから何度も申し上げておりますように、それぞれの証券会社がまず第一にみずから損失補てんをしたという認識を持っているもの、そしてそれに、税務調査の結果損失補てんと認定をされましたものの合計を各社は今回証券業協会を通じて公表されたわけであります。それを私に撤回するんですかとお尋ねいただきましても、これは私が勝手に撤回をするべき性格のものではないと思います。
#396
○立木洋君 それじゃ、年金福祉事業団の証券会社との取引は損失補てんが出た、これは正常な取引であったと、大蔵大臣は言われますか。
#397
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、私は個別の取引の内容までは存じません。
#398
○立木洋君 そんな答弁、どうして納得できますか。片一方が不正常だと言うんです。片一方は正常だと言うんです。
#399
○国務大臣(橋本龍太郎君) それではもう一度言い直しますけれども、個別の取引の内容を、これは公表された金額をごらんになりましても大変な金額でありますから、その個別の取引の内容というものは非常に多いでありましょう。その取引の中身を、例えばどういうやり方をしたのかとか、そういうことを聞かれても、それは私本当にわからないんです。これは本当にわからないからわからないと申しました。
#400
○立木洋君 国民がテレビで見ているんです。自分たちの保険料なんです。これが、扱われたのが正常な取引なのか不正常な取引なのか、これは極めて重要な問題なんですよ。テレビを見ている国民の皆さん方にどうだったのか明確にしていただきたい。政府の責任で明確にしていただきたい。
#401
○政府委員(松野允彦君) 私どもが証券会社から聞いております年金福祉事業団との取引の内容は、確かに国債を使ったごく短期間、当日中あるいは翌日にかけての取引でございまして、価格も、証券会社が年金福祉事業団に売った価格と同日あるいは翌日に買い戻した価格は、もちろん売った価格の方が安くて買い戻した価格の方が高いわけでございますが、その価格差は市場で認められておりますルール、つまり市場価格の上下二%の範囲内に入っております。
 しかし、その取引のボリュームといいますか、数量が非常に大きいわけでございまして、例えば。昭和六十三年十月にそういう種類の取引が七回ほど認められますが、いずれも一日で六百億円の売買、あるいは六百億円売って翌日その同額を買い戻すというような取引でございます。価格差は今申し上げたようにルールの範囲内に入っておりますが、そういうごく短期間に相当の大量の取引が行われたということで、その取引によって利益供与が行われているという点をとらえて、税務更正でこれは損失補てんだという認定を受け、証券会社もそれが損失補てんだという認識をして争わなかったということだというふうに報告を受けているわけでございます。
#402
○立木洋君 これは、監督権を持っている官庁、そしてそれを、資金運用部を通じて国民のお金を貸し出している大蔵省、それぞれ責任があるのに、何が不正常で何が正常なのか明確にできないというのは重大な問題なんです。このことを本当に閣僚の皆さん方考えていただきたいんですよ。いいかげんなことで済ましてもらったら困るんです。今そういう不公正ということが問題になっているんです。何が公正なのか何が不公正なのかはっきりするということが、今度の損失補てんの問題で明確にしなければならない原則じゃないですか。それをあいまいにしておいて、そんなことの質問がおかしいだとか、何言っていますか。そんな認識でこの問題に対して取り組むから、いつまでたっても事態が明らかにならないんです。この問題について私は真剣に考えてもらいたいということを重ねて述べて、きょう参考人がおいでになっているのでお尋ねしますけれども、事業団として目標利回りといいますか、あるいは予想利回りと申しますか、こういうものを決めて証券会社をそれぞれ競争させて、その利回りが確実に出るように、そういうような出た成果の割合によって運用額を配分する、そういうことをしているんじゃありませんか。
#403
○参考人(幸田正孝君) 年金福祉事業団といたしましては、大切な将来の年金給付の財源をお預かりいたしております。他方、公共的な性格を持つ法人でございますから、私どもが基本にいたしておりますのは、効率的な運用であると同時に安全な運用、そして年金資金の性格に照らしまして中長期的な観点に立った運用、そういうものを基本にいたしているわけでございます。
 将来の保険料の負担増をできる限り軽減したい、こういう要請が片方にございますから、私どもといたしましては、各運用機関に対しまして一定の努力目標を示していることは事実でございます。しかしながら、これはあくまでも目標値でございまして、事業団が課せられております。そういった給付財源の効率的な運用を図るという意味合いからいたしまして、当然の私どもの責務であると考えております。したがいまして、この運用目標に達しないからといいまして、私どもとして特別なペナルティーを科するということは全くございません。
 そして、運用助言枠の配分につきましては、お話のございましたような運用成績ももちろん加味いたします。加味いたしますのも私どもは当然だと思っておりますが、できる限り過当な競争を招かないように運用成績、運用助言成績のウエートは全体のそう多くないウエートで私どもとしては配分を行っているわけでございます。
#404
○立木洋君 四社に対して昨年比、運用額はどういうふうな増加率になっていますか、お述べください。
#405
○参考人(幸田正孝君) 昨年比というのは、平成二年度と平成三年度ということでございますか。
 平成二年度は、野村投資顧問の関係の比率が三七・七%、大和投資顧問の比率が二六・五%、山一投資顧問の比率が一六・七%、日興国際投資顧問の比率が一九・一%、合わせて一〇〇%でございます。平成三年度の助言枠でございますが、野村投資顧問は三七・〇%、大和投資顧問は二六・一%、山一……
#406
○立木洋君 ちょっと済みません、もう一度。
#407
○参考人(幸田正孝君) もう一度繰り返して申し上げますと、平成二年度、野村投資顧問が三七・七%でございますが、平成三年度の助言枠は三七・〇%でございます。大和投資顧問は、平成二年度の助言枠が二六・五%でございますが、平成三年度の助言枠は二六・一%。山一投資顧問の助言枠は、平成二年度一六・七%、平成三年度は一六・九%でございます。日興国際投資顧問の助言枠は、平成二年度一九・一%、それが平成三年度助言枠は一九・九%、こういうことでございます。
#408
○立木洋君 四十九億円という最大の補てんを受けた野村というのがやっぱり極めて運用が高いですね。このことははっきりと目標利回りの保証ということと関連があるんじゃないですか。
#409
○参考人(幸田正孝君) 私どもは、先ほどもお答えを申し上げましたように、事前に損失保証を求めたこともございませんし、事後に損失補てんを求めたこともございません。各社に対する運用助言枠の配分は、資産量、そして運用成績、運用体制、そういった各投資顧問会社の状況を総合的に判断をいたしまして助言枠を決めているものでございます。
#410
○立木洋君 事業団の元資金運用部長がはっきりと一任的なところがあると述べているじゃないですか、違いますか。
#411
○参考人(幸田正孝君) 私どもの自家運用におきましては、売買の別、価格、銘柄、そして数量、そういうものにつきましてすべて投資顧問会社の助言を受けまして事業団が責任を持って発注をいたしているのでございます。記録の管理、現金の出納はもとよりでございまして、そういった意味で年金福祉事業団が投資顧問会社の助言を受けでみずからの責任において業務を行っている、こういうことでございます。
#412
○立木洋君 大蔵省、予想利回りを決めて、こういうふうに元資金運用部長が一任的なところがあると明確に述べているように、一任的なやり方によって、その利回りがどの程度保障されたかによって運用枠も決めていくというふうな結果、これは明確にそういう利回り保証というようなことになるんじゃないでしょうか。これは明確に違反だと言えるんじゃないでしょうか。明確な見解を示してください。
#413
○政府委員(松野允彦君) 私どもも、その目標利回りあるいは予定利回りというようなものを提示しているということは証券会社から聞いているわけでございますが、それをもって直ちに利回り保証、一定の利回りを保証したというふうには断じがたいのではないか。実際の運用におきましても、一定の利回りを保証するための損失保証あるいは利益供与というような形にはなっておりません。事前に利回りを保証すればもちろん省令、法令違反でございますが、単に予定目標利回りあるいは努力目標利回りというものを提示するだけでは保証したということにはならないのではないかというふうに考えます。
#414
○立木洋君 この問題についてはもっと多くの時間が私は必要だと思うんです。この点については特別委員会でさらに論議を続けていくことにしたいと思いますが、最後に一点だけ総理大臣にお尋ねしておきたいと思うんです。
 先ほども私が申し上げましたように、九〇年三月以前も今の特別検査の結果によってまさに損失補てんということが出てくるのは必至なんです。九〇年四月以降も出てくることはほぼ明らかです。こういう状態になっている。だから、徹底的に事実を解明して全容を解明する、そして何が公正で何が不公正なのか明らかにするということが極めて重要だ。この点についての総理の見解を、この問題での最後にお尋ねしておきたいと思います。
#415
○国務大臣(海部俊樹君) 政府としては、この問題についてでき得る限り明らかにするように今努力もしておりますし、また手口、補てんのやり方等についてわかった限りは国会等を通じて御報告をしておるわけでありますから、今その他の問題についてもできる限りの調査をしております。
#416
○立木洋君 現在、国連平和維持活動に協力するということに名をかりて自衛隊の海外派兵というふうなことが問題になっておりますが、これは重大な憲法違反であるということを指摘したいわけです。
 総理も御承知だと思いますけれども、人類は七十年前から、国際的な紛争というのは戦争ではなくて平和的な努力によって解決しなければならないということがなされてきました。一九二八年、不戦条約が決められて日本政府もそれを支持しております。ところが、その三年後です、自衛のためと称してあの柳条溝での問題以後、十五年間にわたる戦争が行われた。明確な侵略戦争で、二千万人以上という多大の犠牲者が生まれたわけです。
 そういう状況から出発して、この教訓の上に立って、だからこそ「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」するという憲法の内容になったわけです。同時に、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼を置いて、我々の安全と生存を保持するように決意するという問題も、また他国を無視するようなことをしてはならないという問題点についても、まさにこのことは法学協会の明確な指摘にありますように、戦争に導いた我が国の過去の偏狭な国家主義を否定するという見地から、日本が国際紛争の平和的解決に努力をして、武力や戦争ではなく、平和の手段で世界に積極的に能動的に働きかける。ことをこの憲法が義務づけたものだと。ですから、こういう前文を踏まえて、第九条では、武力の行使、これは永久に放棄する、軍備、戦力を保持しない、国の主権による交戦権、これを否認するということが明確にされているわけです。
 そこで首相に、軍事的手段では国際的に関与しないことを日本の憲法は原則としているのではないでしょうか。この点については、国連の協力についても明確にこの原則を踏まえるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#417
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、武力による威嚇や武力の行使を目的として武装部隊が海外へ出ていって国際紛争に力でもって介入することは厳に禁止をされておるところであり、またそのような手段、方法をとってはならないということは平和国家の理念として当然のことであると思います。
 そして、今委員がそこでいろいう言われたこと、日本国憲法の前文に書いてありますことは、これはまさに平和国家の理念でありまして、その理念を実現するために、日本としてもなし得る限りの平和維持活動には国連を通じて協力をすべきであるというのが今日の私の考え方の基本でございます。
#418
○立木洋君 憲法が制定されたときに、当時の幣原首相が明確に述べておりますように、武器の使用の機会を全くなくすこと、これをやっぱり第一の目標にしなければならないという趣旨のことを述べております。しかし、今度の平和維持軍に対する自衛隊の派遣というのは、まさに武器を使用するということがあり得る、そういうような内容になっていることは明らかじゃないですか。自衛のためと称しながら、一切武器の使用をあなたは認めないということなんですか。派遣する部隊は武器の使用を認めるということに結果的になっているじゃないですか。いかがですか。
#419
○国務大臣(海部俊樹君) 平和維持軍というのは、国連文書でも明らかになっておりますように、本当は起こってはいけない武力紛争が不幸にして起こって、それが今国連の仲介その他によって停戦合意が成立をする。当事国の合意によって平和維持軍がそこに行って再発防止のためにいろいろな努力をしておる。たしか八カ所か九カ所あるはずです。ですから、そういったところには別に武力行使の目的を持って行くわけでもありませんし、国連の文書そのものの取り決めにもそのようなことは書いてありません。同時に、中間報告で政府側がきちっと決めました基本方針にも、その中心的要素として、「武器の使用は要員の生命等の防護のため必要な最小限のもの」に限るという厳しい取り決めをいたしまして、これが積極的に能動的に武器を使用することも日本としてはきちっと厳しく抑えておく、このことについては国連とも相談済みであります。
#420
○立木洋君 この問題については、部隊の要員の生命の保護のためと。部隊の要員の生命の保護というのはどういう概念ですか。述べてください。
#421
○国務大臣(海部俊樹君) 部隊の要員の生命とわざわざおっしゃいましたが、私は「要員の生命等の防護のため」と言っておるわけでありまして、あくまで個人の生命を防護してあげる。ですから、要員としてそこへ参加する人はそのようなことが行われることは想定しないで行くわけでありますから、部隊の要員であろうが、一人であろうが、人間の基本的人権の尊厳というものは個人でとらえておかしくないんじゃないでしょうか。私はそう思いますが、もし違っておったら外務大臣答えてください。私はそれでいいと思っております。
#422
○国務大臣(中山太郎君) 今、総理からお答えになったことで私は尽きていると思います。
#423
○立木洋君 昨年の平和維持軍の問題のときには、あなた自身が、武力行使の可能性がある、あるいは武力を持っていくようなことが前提になるそういうようなものについては、平和維持軍には参加させないと国会での議論の中で明確に述べられた。今度はなぜ平和維持軍に参加が可能になるんですか。
#424
○国務大臣(海部俊樹君) 昨年の国連平和協力法の審議のさなかに、いろいろな場面を想定して、あの法案では直ちに平和維持軍に参加できるようにはなっておりませんでした。したがって、私は答弁の中で、平和維持軍にこの法案で直ちに参加することができるようにはなっておりません。それは武力行使を伴うか伴わないか、その形態その他いろいろあるということを勘案した結果でございましたと答えたつもりでおります。
 この前の法案のときは、御承知のように、イラクのクウエート侵略ということが起こって、二十八カ国の多国籍軍が現に武力の行使を行うという状況で平和回復活動をしようとしたんです。日本の場合は、多国籍軍に戦闘行為で参加はしませんけれども、それに対しどこかで協力できないだろうかといろいろ知恵を絞りながら考えた結論があの法律でありました。直ちに参加できなくなっておるということは確かに申し上げました。
 それから今日まで事態が来て、今度国連の平和維持活動、国連決議に従って停戦の合意が成り立っておって、そして紛争当事国が全部賛成をして、そして国連の権威と説得によって中立性を保ち、敵のない争いといいますか、敵のない監視といいますか、中立の立場で強制力を伴わずに行う仕事でありますから、国連の平和維持活動というのは、私は、従来の概念の戦闘とか従来の概念の軍隊とかそういうものとは全く違って、新しい世界秩序の中で平和を維持していくために日本のなし得る貢献の一つである、こう判断をして今鋭意成案を得るべく努力しておるさなかであります。
#425
○立木洋君 平和維持軍を派遣するというのは、まさに軍事的な武力抗争が行われていたところで問題になっているんです。だから、たとえ合意ができたとしても、そこに行ったときに合意が踏みにじられて、今まで派遣された平和維持軍が去年の八月までに七百三十八人死んでいるんですよ。そして、平和維持軍が派遣されたキプロスだとかコンゴ、レバノン、何ですかコンゴなんかでは戦車から戦闘機まで出ているという状態になって反撃しているじゃないですか。まさに武力を引き離すというのが平和維持軍の任務ですよ。対立した武装勢力の相対峙しておる真ん中に入っていくんですよ、平和維持軍は。
 そういう場合に、問題は自衛のためだけではない。国連が述べておるのは、この平和維持軍の行為を妨げる場合は、そういう強制的な手段で妨げるような事態が起これば、それに対して武力で反撃する、国連のPKOの自衛という概念の中には明確に書いてあるんです。そういうふうなことをいろいろ言って、平和維持軍というのが何か平和であって、軍事的に関係がないようにおっしゃるのは全く認識が間違っている。そういうようなところに結局送るということなんですか。合意が破綻してそういうふうになったらどうするんですか。戦闘状態になったら、その場合に日本から派遣した部隊は戦闘を行うことになるんじゃないですか。どうなりますか。それとも、そこから撤退するんですか。
#426
○国務大臣(海部俊樹君) 今は平和維持軍の極端な例外的な問題をここで声を大にして御主張になりましたけれども、私は、平和維持軍のあり方というのはいろいろな姿があって、特に最初に御指摘になったコンゴの場合は、あれは今例外中の例外として我々頭に、描いておるものです。国連決議のたしか百六十一号であったと思いますが、私の記憶に誤りなければ、それは武力行使を伴うものとして国連はコンゴにそういった維持協力を行ったのです。
 だから、その都度その都度、姿かたちを見て、コンゴ型の国連軍のような初めから武力行使を伴うものはもうその後起こっておりませんけれども、もし起こった場合には、それにはいろいろな問題があるから日本がそれに参加するということにはならないだろうと私は思いますし、また今お触れになったレバノンの緊急軍の問題は、ついこの間もテレビの放映が詳しくなされておったように、検問所を一万の当事国が停戦合意を破って実力突破をしたという事態に遭遇しております。そのときには平和維持軍は実力でもって阻止しないで回避をしたわけであります。国連の担当事務次長は、非常に残念な悔しいことだけれども、それはやむを得ないことなんだ、停戦合意が崩れて一方が集団的に武力行使するときにはもはやそれは平和維持軍が任務を遂行する場面ではないんだということをテレビでも明確に述べておったではありませんか。
 そういう意味で、戦闘部隊の中へ入っていって分けるというようなことは国連の平和維持活動には想定されておりません。したがいまして、あくまで停戦の合意が成立するということと、その両当事者が平和維持活動の平和維持軍を迎え入れるということと、そしてそれに参加する国がどこの国かということについての同意の原則なんかも今国連で詳しく決まっておりますことは、委員御承知でお尋ねになっておると思うんです。コンゴ型のようなものが今世界の至るところで行われておるとは思いませんし、また分け入って力で分けようというようなことを任務、目的とする平和維持軍というものは国連文書の中にももはやございません。
#427
○立木洋君 これは先般、国連の事務次長の明石さんが言っているように、弾がどこから飛んでくるか判断しなければならないような軍事的な紛争地域に行くのが平和維持軍なんです。そういうところに日本の政府の意思で武装した部隊が派遣されるのです。幾ら自衛のためと言っても、そこで武器を使えば武力の行使じゃないですか。
#428
○国務大臣(海部俊樹君) どこから弾が飛んでくるかわからないような状況のときは、むしろこの間イラクヘ出ていった国連の多国籍軍のような武力行使を伴うことを初めから目的としたものが出ていくときはそういうせりふも成り立つでしょうけれども、停戦が合意をして、そして平和維持軍にその中に駐屯してもらって、そしてそれぞれ引き揚げていくとかあるいは平和を回復していくとかいうようなこと、参加国の合意というものを大前提に平和維持活動というものはできておるのでありまして、あらかじめ武装をして戦闘をやりに行くものではありません。なるがゆえに、八八年にノーベル。平和賞も平和維持活動として受けたのではないでしょうか。私はそう理解しております。
#429
○立木洋君 この戦闘状態が国の合意によって停戦状態に入っている、そしてそこで関係国の同意を得る、そして参加をする、そして申立てと、これは今までの平和維持活動の中で国連で確立されてきた原則ですよ。今さら日本の政府がおっしゃらなくたって、それははっきりしているのです、国連で。問題は、そういう合意ができて停戦状態になっていても、それまで対立した武装集団の軍事的な争いがあったところですから、いつ突発的な事態が起こらないとも限らない。
 結局、あなた方が今やろうとすることはどういうことかといえば、停戦の合意が崩れたら撤収するだとかあるいは武器を使うのは個人の生命を守るだけだとかなんとか言って、つまり、武力行使には当たらないんだというような認識を国民に与えることによって、何とかして憲法に反しないんだということで海外に自衛隊を派遣しようとしている、まさに、そこにこそあなた方のねらいがあるんだということを私は明確に指摘しなければならないと思うんですが、いかがですか。
#430
○国務大臣(海部俊樹君) 決して武力の行使ということを目的にしておるものではありませんし、いろいろな地域における紛争というものを武力を使わないで平和的に維持して終結に持っていくためには、国際社会の一致した力と国際社会の一致した武力を使わない協力によってなし遂げられるなればそれが一番望ましいことであって、今度でも、ソ連の力に頼ったクーデターが失敗して、あれは国際社会の一致した世論によって、あのような力によるクーデターは許さないという声があったからだということを、これは当のエリツィン氏自身から私あての返信でも来ておるわけであります。だから、国際社会みんなで集まって、武力行使はいけないんだということを新しく確立していくいい時期ではないでしょうか。
 そういった意味で、国連の平和協力のために日本が維持軍に参加するときに、国連文書に書いてあったとしても、任務遂行を妨げる企てに対抗するための武器使用は我が国から参加する維持軍はしないということを中心的要素として決めて、携帯しておる武器は要員の生命等の防護に限るという極めて厳しい中心的な制約を置いてそれで参加をしようという、みずからの武器使用に関する強い戒めを日本は日本として考えていこう、それをきちっと植えつけていこうということでありますから、間違っても武力を行使する、そんな武力をまた持っていかせませんし、自分の生命等の防護以外には使わないということでありますから、ちょっと想定が違ってくると思います。
#431
○立木洋君 首相、そんなところにエリツィンなんかを持ち出す必要ないんですよ、関係ないんだ。
 問題は、いかにこの武力の行使という言葉を使わないで、そして自衛隊を海外に送り出すかということをねらっているのがあなた方のねらいなんですよ。ですから、私が最初に申し上げた憲法の原則というのは、討議された経過でも明確なんです。武器の使用の機会を全くなくす、これを最先にしなければならない。そういうようなことを踏みにじって、何とかして武力行使という言葉を使わないで、これが憲法に違反するものでないかのような言葉じりを合わせようとするものじゃないですか。
#432
○国務大臣(海部俊樹君) 憲法の前文に書いてあります国際協調主義の理念、平和主義の理念、自分の国のことだけを考えておってはいけないという一国平和主義はだめだという考え方、そういったものを具現化していくためには、日本としてもでき得る限り物質的にもあるいは人的側面でも、世界の平和をみんなで大切に守っていくということに参加をするということは非常に大切なことであって、平和主義の理念を口で言うだけじゃなくて、具体的に具現していくための必要な一つの手段であると私は受けとめております。
#433
○立木洋君 何としても自衛隊を海外に出さないと他国を無視したことになるだとか、あるいは国際的なひとりよがりになるだとかいうことは、あなた自身が日本国憲法の平和原則に誇りを持っていないからじゃないですか。
#434
○国務大臣(海部俊樹君) 平和な秩序の中で戦後の日本はあったわけですし、今の豊かな国民生活というものも平和な秩序の中で初めて生まれてきたものであり、この平和な中で正しいことが正しいとして通る、間違っても力でもってよその国を侵略なとしないという、そういう秩序の中で守られてきた世界の平和の中でここまで質の高い生活を共有することができるようになったお互い我々じゃありませんか。
 このときに、平和の理念というものを私は非常に高く評価しておりますし、同時に、戦後四十五年初めて国連の機能が、東西の対立、対決が終わりを告げて、冷戦時代の発想を乗り越えて平和を守ろうという国際協調の実が上がるようになってきた今日であります。私はこれを大切にし、日本も国際社会の一員として、ともに生きる日本として、片隅で人に迷惑さえかけなければ、自分の幸せだけをこつこつと追っかけておればいい、自分だけがもうかればいい、自分だけよければいいというような一国主義から脱却したいというのが私の大きな願いであります。
#435
○立木洋君 あなた方の見解というのは明白です。アメリカの世界戦略に加担して、何とかして自衛隊を武力行使ではないかのように海外に派遣しようとする。あなたがそれほど問題を論じるならば、先ほどの証券のときになぜ言わなかったんですか。公正の問題について、なぜ公正の態度をとらないのか生言ったときに、あなたは答えることができなかったじゃないですか。そういうようないいかげんな態度ではだめなんです。この問題については、結局は何とな言葉を繕って、そして自衛隊を海外に派遣しようとするようなもくろみがこの中に入っている。いかに武力行使ではないと取り繕おうとも、そうではないということを私ははっきり申し上げておきたいと思うんです。
 私は、きょうこれ以外に小選挙区制の問題、これが大変な民意に反する問題であるということ、それから雲仙・普賢岳の災害の問題についても質問したかったわけですが、時間が参りましたので終わりにして、特別委員会でこの問題については引き続いて討論したいと思います。
#436
○委員長(中村太郎君) 以上で立木君の質疑は終了いたしました。(拍手)
#437
○委員長(中村太郎君) 次に、高井和伸君の質疑を行います。高井君。
#438
○高井和伸君 連合参議院の高井でございます。
 まず、連合参議院から総理の政治姿勢について一言意見を述べさせていただきたいと思います。
 総理に就任されましてから、国の内外におきまして重要かつ緊急な大事件に対する対応の遅さ、決断力のなさ過ぎる点に失望を抱くものでございます。先日のソ連のクーデターに対する対応もしかり、雲仙岳災害についてもいまだ立法措置もとられておられません。名立たる経済大国日本が政治に関して欧米各国に肩を並べられない原因は、総理、あなたの政治姿勢にあるんではないんでしょうか。
 そして、このたびの証券不祥事においても同様であります。その端的なあらわれが証券会社に対する不祥事再発防止のために監視・検査機関、例えば日本版証券取引委員会のようなそういった機関を設置することの是非について行革審に諮問されました。損失補てんの問題がクローズアップされたら、たちどころに勘どころを押さえた指示を大蔵大臣に出され事態の収拾を図られるのが国民の目から見てわかりやすい政治になると思うわけでございます。私の考えますところ、あのとき総理は独立した監視・検査機関を置くべしとの決断を下して、そしてみずからの政治責任をとられるのが、これがわかりやすい政治の第一点だと思います。
 そこで御質問いたします。
 総理大臣は、この証券不祥事に対して行革審に諮問されたのは何だったんでしょうか。私は何度も答えを聞いておりますが、あらゆる立場を代表する方々の御意見をお聞きするというのが諮問の真意であると、こういうふうに聞いておりますしからば、私ども国会は国会議員で構成されておりますし、国民の代表者でもございます。国民の代表者よりある意味では行革審を上に置いたお考えがあるんじゃなかろうか、そういう意味から、行革審に諮問されました真意をお尋ねいたします。
#439
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ御指摘をいただきましたが、今回のソ連の一連のクーデターのときは、ちょうど第一報が入ったときは十九日のお昼で、政府・与党連絡会議のさなかでありました。第一報を受けて直ちに政府・与党の相談が始まったわけです。翌日、予算委員会の冒頭で、私はこれは憲法違反の疑いの極めて強い異常な事態だということを主張するとともに、その夜は直ちに記者会見をして、新しい政権については極めて疑問があるので、質問もありましたが、承認の問題を考える段階ではないんだということも言いました。
 またすべての、G7のみならずいろいろな国の情報をとり、私自身もあとう限り電話連絡等もしながら日本の立場をしっかりと表明してきたつもりであり、ゴルバチョフ大統領からも、電話で話したときには、大変感謝をしておる、国際的世論の中で日本のそういった考え方も大いに力づけることになった。日本としてでき得る限りのことはしておるつもりでございます。
 また、今度の証券問題についても、直ちに私は大蔵大臣に対して厳正な対処をすべきである、これは国民の方から眺めて、公正な社会という理念からいって好ましくない現象が現に起こり始めたんだから厳正に対処しなさい、そしてわかる限りのことは国会にもお知らせをしてきましたし、手口その他も言ってまいりました。国会でこのような御議論になることは百も承知しております。一番それを尊重しなきゃならぬことはもちろんでありますけれども、その前に大蔵省当局にはでき得る限り、なぜ通達が守られなかったのか、なぜこのようなことになったのか、どうしたらいいのかということを省内できちっと厳しく対処するように、同時に国会でも議論しますが、専門的ないろんな立場の方々が参加していらっしゃる審議会の御意見等も聞きながら、すべての意見を聞きながらやっていくのが、これ民主政治というもののやっぱり一番大切なところだと思うんです。
 したがいまして、行革審の会長に、私は、検査機能というものをつくるときにはどのような機能や立場や必要なことがあるんだろうか、当面の急務とともにそういった中長期の目盛りも合わせて、願うところは二度と再びこのようなことが起こらないようにするにはどうしたらいいかという大きな目的意識を持ってそれぞれの手配をしたわけでございます。
#440
○高井和伸君 民主主義に対する考え方がやや私と意見を異にするところがございますけれども、それでは、先ほど総理がおっしゃいましたような、こういった証券不祥事を再び起こしちゃならぬ、通達がなぜ守られなかったのか、そういった通達の点からお尋ねいたします。
 大蔵省にお尋ねしますが、平成元年十二月に出されました通達の名あてを見ますと、社団法人日本証券業協会殿という通達の写しを持っておりますが、これは、いつ、どこで、だれに対してどんな方法で通達されたのか、文書どおり十二月二十六日付で送られたのか、そこら辺の細かいことでございますが、国民の皆さんも興味がおありでしょうから行政指導の実態をお尋ねいたします。
#441
○政府委員(松野允彦君) この通達は十二月二十六日付で日本証券業協会あてに直接手交しております。あわせて各財務局あてにそれを発したわけでございます。
#442
○高井和伸君 それから、私コピーを持っておりませんけれども、各証券会社にも同様の通達をなさったんでしょうか。その実態、手続をお知らせください。
#443
○政府委員(松野允彦君) 各証券会社に対しましては、証券業協会から通達の写しか送付されたというふうに思います。
#444
○高井和伸君 そうしますと、各証券会社に対して平成二年三月までに報告をせよというのはどの通達だったんでしょうか。
#445
○政府委員(松野允彦君) 自主報告をしろと言いましたのは、これは口頭で指示をしただけでございまして、本省が直接監督しております二十二社、比較的大規模な証券会社に対しまして、私どもの方から各社に対し、口頭で三月末までに自主点検をして報告するように指示したわけでございます。
#446
○高井和伸君 その二十二社の証券会社を全員一堂に集めまして、口頭で、今答弁なさいました局長さんが指示なさったんでしょうか。
#447
○政府委員(松野允彦君) これは、担当官から個別に口頭で伝達したということでございます。
#448
○高井和伸君 念のためにお尋ねしますが、物の本によりますと、まず野村証券の大蔵省担当重役を呼んで通達を出して、その次の日に大和、日興、山一の大手三社の幹部を呼んで通達し、さらに他の中小の証券会社に対しては一週間後であったというような事実はございますか。
#449
○政府委員(松野允彦君) 本省監理の二十二社に対しましては各担当官が手分けをいたしまして、たしか同日にそういう伝達をしたという報告を受けております。
#450
○高井和伸君 今のお話の中で特に問題として感ずるのは、十二月に、来年の三月末までに報告しなさいというのはなぜ文書になさらなかったのか、口頭でなさったのか、理由をお尋ねいたします。
#451
○政府委員(松野允彦君) これは、事後補てんを厳に慎むようにという通達を出したわけでございますが、先ほど申し上げましたように、本省監理、本省が監督しております二十二社、これは比較的大規模な証券会社でございますので、行政指導ベースで自主点検をするように、つまり損失補てんが行われているのではないかというような可能性が高いということで、口頭で本省監督会社に対してそういう指導をしたわけでございます。
#452
○高井和伸君 今の一連の行政指導の中で、その指導を受ける立場の社団法人日本証券業協会あるいは各証券会社の方々は、承知しました、守ります、任せてください、こういう回答はあったのでしょうか。
#453
○政府委員(松野允彦君) 通達の趣旨につきましては、私どもからも周知徹底するように努めたわけでございまして、証券会社としては、私どもの通達を守ってそれを実施するというふうに受け取ったと私どもは考えたわけでございます。
#454
○高井和伸君 行政指導の本質は、相手方に任意に協力していただかなきゃならないというのが行政指導だと思いますけれども、今のお話ですとそれを確認しておられない。ある意味ではあうんの呼吸でわかってもらえたと思うというような、そういうあいまいな行政の指導の仕方、通達の仕方、口頭での仕方で、本来的にあなた方が目標にされている事後補てんというものは防げたとお思いだったんでしょうか。
#455
○政府委員(松野允彦君) この通達を出しましたのは、平成元年の十一月に大規模な損失補てんが明らかになってからでございます。あるいはその過程で検査もして指摘をしていたわけでございまして、私どもは各業界に対して、事後の損失補てんというのは不適切な行為だということを検査を通じても言っていたわけでございます。したがいまして、通達を出した時点では、平成元年の十二月末でございますけれども、事後的な損失補てんを厳に慎むようにということで指導をするということで十分我々としては、その時点では、証券会社がそれを守ってやってくれるという判断をしたということでございます。
#456
○高井和伸君 証券会社が守ってくれると判断された根拠、そして通達が守られるであろうというその他の制度的な担保、何かそういったものがあるのでしょうか。
#457
○政府委員(松野允彦君) 私どもは一定の周期で定期的に検査をしております。もちろん、検査の際には通達をちゃんと守っているかどうかという点をチェックするわけでございまして、自主報告を受けるということとあわせて、検査においても当然チェックをするということで通達を担保できるというふうに判断をしているわけでございます。
#458
○高井和伸君 検査によって守られているかどうかということは、本来行政指導の性格からいえば守らなきゃいけないんでしょうか。念のためにお尋ねします。
#459
○政府委員(松野允彦君) 私どもいろいろ通達を出しておりますが、今回のこの損失補てんの通達につきましては、この通達を出したときの考え方等も説明し、先ほど申し上げたように非常に不適切な行為であるということで、これは厳に慎むようにという通達での指導をしたわけでございますので、当然守るべきだということを証券会社に指示したわけでございます。
#460
○高井和伸君 納得できる答弁はいただけません。定期検査によってある意味ではこわもてのことができるから守ってくれるだろうというような、ある意味では本来的なことではないことで守らせようというようなことがその底におるのじゃなかろうかと私は思うわけです。
 それでは、守られるべきだということで出されました通達が、今のように結果的には無視されました。無視された理由は何でしょうか。
#461
○政府委員(松野允彦君) 通達が結果的に守られなかったわけでございます。三月に自主報告を受けましたときに証券会社から受けました報告では、平成二年の一月から株が暴落をいたしまして一−三月の間に相当の損失が発生したと」これは営業特金等でございますが、そういう損失が発生し、通達では、別途営業特金の適正化ということも行うようにという指導をあわせてその通達には書いてあるわけでございまして、営業特金の損が一−三月で大変な額になったということ、それをめぐって損失補てんせざるを得なかったという報告をその三月の自主報告のときに受けたわけでございます。
#462
○高井和伸君 今のお話ですと、通達が守られなかった理由は、経済事情の変動で、大蔵省の関知するところではないところで行われたのが事由だという話でございますが、そういった要素があってもたえられるような、不公正な取引をやっちゃいけないという、そういった点からのお考えはなかったのでしょうか、平成元年十二月の段階で。
#463
○政府委員(松野允彦君) 平成元年十二月の通達を出しました段階では、先ほど申し上げましたように、それまでにも大きな損失補てんが明らかになっておりますし、検査などでもそういうものがあるということがある程度わかって指導をしていたわけでございまして、少なくとも十二月に通達を出した時点では、損失補てんを厳に行わないようにというのは守られるという判断をしていたわけでございます。結果的に、一−三月の暴落という段階でそれが守られなかったという点については、通達による行政指導が不十分だった。ということは私どもも十分反省をしているところでございます。
#464
○高井和伸君 念のために大蔵大臣にお尋ねしますけれども、私はずっと大蔵大臣の御出席の決算委員会で行政手続法という観点から行政指導についてもお尋ねしてきました。全般的に行政指導というのは相手方の任意の協力を得て初めてできるものである。こういう装置で行われている行政指導がたまたま従前はうまくいっていたのだろうと思うのですが、今回、今までの答弁をお聞きしますと、一月の株価の暴落によってもうとてもそういったことではできなくなってきた、やはり制度的な欠陥があるのではないか。行政指導というのは相手方の任意の協力を得られなきゃできない。今のお話ですと、きっと守っていただけるでしょうどいうことでは、やはりある程度刑罰、罰則、ペナルティー、合理的なペナルティーでございますけれども、そういったものがなかったらばやっぱりとまらないのではないか。
 私の言いたいのは、行政指導の限界これ見たりという点から、こういった行政指導の観点、行政手続法いかにあるべきかということも含めまして、今までの私と証券局長とのやりとりを聞いての大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
#465
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員が御指摘になりました問題点、私ども自身が本当に厳しく受けとめておる問題点の一つであります。
 そこで、先日来本委員会におきましても繰り返し申し上げておりますように、現在証券局の証券行政に係る過去の通達全部を見直しつつあります。私が想像いたしましたよりもはるかにたぐさんの通達が現存いたしております。
 その中で、私は委員がお述べになりましたようなケースと二つあると思います。一つは、自主規制団体がしっかりと根づいていくならむしろ自主規制団体にゆだねていくべき通達、それが一グループあると思います。もう一つは、先ほど口頭での通達というものが一つの問題になりましたが、やはり通達の中で残るものはあるでしょう。しかし、法令化すべきものは法律にきちんと移していくということがもう一つ必要になると思います。
 今国会で改正をお願いしたいと考えております証取法には、残念ながらその通達全部を見直した結果の法令化すべきものの盛り込みまでは多分間に合わないと思います。しかし、恐らくできるだけ早い時期に証取法全体が見直される中で、現在あります行政通達の中で法令化すべきものは法律の条文として御審議を願うことになると私は思いますし、また、証券業協会あるいは取引所が今自主的に自主規制団体としての能力を強化するための作業を続けておられます。その中に移っていく通達もあり得る。二つの流れが生ずるであろう、そのように考えております。御指摘はそのとおり私もちょうだいをしたいと思います。
#466
○高井和伸君 私も再発防止のためにどういう手があったらいいのだろうかということで、例えば行政指導というやり方はやめた方がいいのではないかという考えを今一つ持っております。
 もう一つ考えていますのは、やはり登録制にするべきではなかろうか。証券業を営む場合において、免許制ではなくて登録制にするべきではなかろうか。今までの行政指導が守られたのは、ある意味では免許制だから免許を受けている大蔵省の方向を見ないことには商売ができないということですから、任意の協力でしか期待できない行政指導が生きていた。ところが、それを吹き飛ばすほどの経済的な変動でもう吹っ飛んでしまう。やはりどこかで日本の経済にたがをはめるためには装置を変えていく必要があるのではなかろうか。そういう面から私は、連合参議院の意見も基本的に同じでございますが、登録制にしまして、そして通達行政をやめて法令に基づくものに持っていくべきではなかろうか。
 先ほど大蔵大臣がおっしゃられたような、自主規制団体にゆだねる部分と法令化する部分とということをおっしゃられましたけれども、基本的に経済取引というのは経済分野あるいは取引の分野においては行政指導をやめなきゃいけないのではなかろうか。ある意味では、こことここをやったらだめですよ、その間はどうぞ御自由にと、これが本来的な自由主義経済の鉄則だろうと思うのです。今まで保護する時間、育成する時間が要るというようなことをおっしゃっておられましたけれども、基本的にそういった言いわけは国際的に通用しなくなってきている現在、やはりそういった面も考えていただきたい。登録制について変換する御予定はございませんか、大蔵大臣にお尋ねします。
#467
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現時点において少なくとも私は登録制移行ということがこの問題の解決とは考えておりません。なぜなら、アメリカのように一万数千の証券会社が現に存在をする、毎年新たに千数百の新しい会社が設立をされる、そのかわり千数百の会社がつぶれていく、そういった格好は決して好ましい姿ではない、これは本気で私はそう思います。
 しかし、それならば今のままでいいかと言われれば、私も決してそうは思いません。免許制の中におきましても、むしろ競争条件を適正なものにしていくために新しい業者を導入すること、あるいは株式委託手数料を今までも下げてまいりましたが、より下げていく努力、さらに、現在証券・金融の垣根を議論しておられるわけでありまして、相互参入という問題が現実の問題として間近に控えております。こうしたことを私どもは拡大していくことにより、むしろ金融制度改革の推進の中において適正な競争原理を確保していくべきだと、これは私個人としては率直にそう考えております。
#468
○高井和伸君 あと一点、総務庁にお尋ねしますけれども、こういった行政指導というものを取り込んだ行政手続法の検討会が行革審の透明で公正な手続部会と行政手続法部会で検討されております。今回の証券不祥事、金融不祥事における問題点、どのように反映しているんでしょうか。そして、総理からの諮問がありましたテーマを含めまして、行政手続法の制定への道のりはおくれることがないようにしていただきたいという希望を持っておりますが、そこらの事情はどうなっているんでしょうか、お尋ねします。
#469
○国務大臣(佐々木満君) 私は、行政に対する国民の信頼を確保維持する、そのためには行政の中身、もちろん大切でありますが、同じようにしてやっぱり手続というものも大変重要ではなかろうか、こう思っておるわけであります。
 総理の諮問のもとに、現在、行革審ではそういう観点から精力的な審議をいたしておりまして、年末までには成案を得たい、こういうことにしております。それから、高井さん御承知のとおり、先般中間的な要綱も出しまして広く各界の皆さんから御意見をちょうだいしたい、こういうことになっております。
 公正な透明性のある行政手続をつくる、これは行政改革の実は長年の懸案でございました。先ほど来御議論いただいております昨今の情勢等を踏。まえまして、私は今こそこの立派な手続をつくるべきだ、こういうことで全力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
#470
○高井和伸君 総理に基本的な行政指導の点についてお尋ねしたいと思うんですけれども、このたびの大蔵省の行政指導の中で口頭で来年の三月までに結果を報告しなさいと、これは本来的な行政指導の公開の原則に反しますし、文書で明確化するという原則に反します。こういったことをやっぱり今度の行政手続法の中でクリアされると思うんですが、私にしてみれば行政が国民から非常にわかりにくい世界に追い込まれることになろうかと思うんですね。そういうことを含めまして、私決算委員会でも総理大臣の強い決意を聞いておりますけれども、行政手続法制定への今回の不祥事を含めた上での御決意をお聞かせ願いたいと思います。
#471
○国務大臣(海部俊樹君) 行政の簡素化ということもきょうまでいろいろずっとございました。また、わかりにくさをわかりやすくしていけというお話もずっとございました。今回の一連の金融不祥事件を通じて大蔵大臣にいろいろな話を聞き、指示する中で、いっそ任せてしまった方がいい部面と法律できちっと厳しく穴埋めをしてしまった方がいい部分と、行政の通達とか行政の指導とかいうところに何かこう幅があり過ぎるのではないかという印象等も出ております。今回、それを踏まえてその反省に立ってきちっと対応をしておるところであります。
#472
○高井和伸君 それでは、私どもの同僚議員の乾が市民の立場から御質問させていただきます。よろしくお願いします。
#473
○委員長(中村太郎君) 関連質疑を許します。乾晴美君。
#474
○乾晴美君 それでは、関連質問をいたしたいと思います。
 今回の証券会社による企業だとかまたは大口投資家だけに対して損失補てんをしたということだとか、また新聞等なんかによりますと、庶民の投資家のことを、ごみだとか、どぶとか、殺せるカモとか、そういうふうに証券業界では呼んでいると。そして、その方々には一銭の補てんもしなかったということに対して、この差別に対して非常に皆さんが怒っていらっしゃるわけなんです。こういう怒っている方々が間違っているかどうか、まず総理にお伺いしたいと思います。
#475
○国務大臣(海部俊樹君) 怒っていらっしゃる方が小口の投資家として素朴な感情を述べられたということになれば、私は率直に、怒られるのはそうだろうなというふうに素直に今聞いておりました。
 やっていけないことは、そういう一部だけに補てんをする、そして多くの人々には何もしないということがいけないことでありまして、証券市場にはルールのようなもので自己責任の原則というものもあるわけですけれども、そういったものを何だばかばかしいと思わせるようなことをしては絶対にならないということだと思っております。
#476
○乾晴美君 怒っている人々は間違っていないというような御趣旨の御答弁だったと思いますけれども、こういった怒っている人々に対して総理は。どんな対応をされ、こたえていかれようと思っていらっしゃいますでしょうか。
#477
○国務大臣(海部俊樹君) 今申し上げましたように、問題は、一部の人々に対して、特定の人々に対してだけ補てんをしたという行為に対して、社会を律している自己責任の原則というのを外れた行為をしたわけですから、その行為をやっぱり憎まなきゃならぬし、憎むだけではいけませんから、今後再発しないようにどのような手だてがあるのか、今できることはすぐ始めろ、それから法律に頼らなきゃできぬことは法律に頼ろう、それ以外のところでなお必要だと思うことは行革審で御議論願って答えをいただこう、こう思っておるところでございます。
#478
○乾晴美君 将来の再発防止というのは、これは当然だと思います。言っていただかなくてもわかっておりますが、将来に起こさないというのではなくて、先ほど総理も答弁されましたように、現在補てんされた人とされていない人とがいらっしゃるわけですね。この不公正をどう解決していただけるのか、何とかしてほしいという、この大衆投資家の声を代弁して私はお聞きしているんです。もう一度きっちりお願いしたいと思います。
#479
○国務大臣(海部俊樹君) 何とかしてほしいとおっしゃっても、その全部何とかするということはどうにもいけませんし、ルールを犯していくということは慎まなければいけないことでありますので、きちっと決まっているルールを、公正な社会というルールをやっぱりきちっと守っていかなきゃなりませんので、お腹は立ったでしょうけれども、どうぞ間違いは正してきちっと再発しないようにしていこうという決意でおりますから、御理解をいただきたいと思います。
#480
○乾晴美君 ところで、この補てんされたお金というのは四大証券だけでも一千二百八十億円ですか、物すごい膨大なお金だと私は思うわけです。準大手とか中堅を含めれば一千七百二十億円ということですね。先ほどお聞きしておりますと、二十一社の証券会社全体では一千七百二十九億円。もうすごいお金だと思います。
 徳島県の県都と言われている徳島市の年間予算が七百二十億円なんですね。そうすると、徳島市の年間予算の二倍以上にも当たるということです。徳島県の県民の皆さんの年間所得というのは大体四百万前後だと思うんですね。そうすると、四万三千人分のお金に当たるということです。徳島県は約人口が八十三万人ぐらいですから、徳島県の二十分の一以上の人が年間に稼いたお金だというような非常に大きなお金だと私は思うわけなんです。
 しかし、証券会社では払っているのに受け取った方の企業は認識がないとか補てんを受けていないと言っておるわけですが、これはどちらかがうそを言っているんだなと町の方では言っているわけなんですけれども、大蔵大臣、はっきり教えてください。これは払ったのですか、払っていないのでしょうか。
#481
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現在委員が挙げられました数字、すなわち各社の自主報告の内容には二つの数字が組み合わせられているということをまず申し上げたいと思います。
 まず第一に、先ほど高井委員から御指摘のありました口頭の指示によりまして各社がみずから補てんをしたと認めて報告をしてまいりましたものがございます。そのほかに、税務調査の結果、証券会社としては損失補てんと考えていなかったものでありましても、その取引の対応、手口、さまざまな観点から税務当局としてこれは損失補てんと認定をしたものがございます。その両方を合計したものが今回自主報告をされた損失補てんの各社の報告、数字となっておるということであります。
#482
○乾晴美君 これは表に出なければ、証券会社は払った、企業は受け取ったと言ってきたお金だったと思いますよ。表に出た途端に本当のことが言えない、後ろめたいお金なんだと。だから、おてんとうさまの下ではやりとりできないという性格のお金ではありませんか。この点、大蔵大臣はどのように判断されていらっしゃいますか。
#483
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども申し上げましたように一口頭通達という形式、先ほど高井委員にお答えを一つ私は忘れました。今後証券行政の中で口頭通達というもの自体を我々はやめたいと考えておりますと、これを一点申し上げるのを忘れましたので、この機会に、乾委員、大変申しわけありません、補足をさせていただきたいと思います。
 そして、私どもは、この損失補てんという行為はもともと法律に書くまでもなく行われるべきではない行為と考えておりました。当然のことながら、やってはいけないものだと思っていました。ところが、元年の十一月の時点で特定の証券会社によってそうした行動を行ったことが明らかになりました。同時に、他の証券会社の検査の中でも実は問題が出てきました。そのため十二月に通達を出して、改めて通達で禁じようとしたわけです。これが守られなかったということは、私はその責任を免れるとは思いません。
 しかし、その結果、自主報告を求めました際に、それぞれの証券企業がみずからの意思で、これは補てんをしたんだ、損失補てんをしましたという報告がまずございました。しかし、そのほかに税務調査で損失補てんと認定されたものがありました。そして、その両方を合わせて今回証券各社は損失補てんを行った金額として報告をしたわけです。
 私は、仮にその補てんについての報告を求めなかった場合どうであったかということについてはわかりませんけれども、少なくとも今回証券業協会を通じ各社が公表されました損失補てんの内容というものは、まず証券会社自身が補てんと認識をしていたもの、それに加えて税務調査の中でこれは損失補てんであると認定をされたもの、その合計額が報告をされたということであります。
#484
○乾晴美君 それでは、初めに述べました不公平な扱い、不公正な扱いを正して公正公平にする手だてというのを大蔵大臣はお持ちですか。大蔵省お得意の指導をなさいましたでしょうか。
#485
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、我々にそんなゆとりはありません。むしろ今日まで必死で我々はこうした問題が起きた原因を改めて自分たちなりに検討してまいりました。
 改めてここで長々と申し上げるつもりはありませんけれども、こうした問題が出てくる原因というものを私どもは五つに分類をいたしました。その一つに行政の責任があることも私は決して否定をするつもりはありません。そして、その中で一つは、先ほど冒頭高井委員の御指摘にありました検査あるいは監視体制というものについてどうするかという問題がありますが、これもたびたび御答弁を申し上げておりますように、我々なりの作業の結果を御報告した上で行革審で今御検討をいただいております。
 そして、何よりやはり問題なのは、この証券取引におけるルールが明確でなかったために、またルール違反に対するペナルティーが明らかでなかったために、そして自己責任原則というものについての徹底を法律上欠いていたがために起きた部分について、私どもは証券取引法の改正を急いで取りまとめ、本院にも今国会において御審議を願いたいと真剣に考えております。
 個別にお尋ねがありましたなら個別にお答えを申し上げますけれども、私どもとしては、再発防止は当たり前ですと委員は言われましたが、そのとおりですけれども、こういう事態を本当にもう一度起こさないために、我々としてやらなければならないことを必死で今、ある問題は具体的に、ある問題はなお模索をしておる点もあります。全部の体制が整ったなんて私申し上げることはできません。しかし、我々なりに全力を尽くして取り組んでおります。
#486
○乾晴美君 今度は総理にお伺いしたいんですけれども、老後のためにというわけで退職金だとか、子供の教育費というようにささやかなお金を投資してきた人々の声として、一つは自分たちにも補てんじて公正を守らせてくれ、それからもう一つはおてんとうさまの下で受け取れないお金であったらその受け取った企業から取り上げて公平にするかそのどちらかだ、こういうように言っておるわけなんですけれども、総理は世の中の公正を取り戻すためにそのどちらかをやっていただけませんでしょうか。
#487
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど来お話を聞いておりまして本当に私も心を痛めながら、そういうときにはどうしたらいいんだろうか。本当ならば、全部それでは補てんしてしまいなさいと言えるものなら言えば、そういったおばあ様や子供を育てていらっしゃるお母様の期待にその場ではこたえることができるでしょうけれども、大きな全体の社会の秩序、公平の仕組みからいきますと、いけないとここで指摘をされ、いけないと我々も自覚して改めていこうという補てんをさらにするということは、どうしてもこれはいけませんので、自己責任の原則という点で歯を食いしばって御協力をいただく、そのかわりそういった行われたことに関しては精いっぱいできる限りの対応策をしてまいります。御理解をいただきたいと思います。
#488
○乾晴美君 本当は今のようなお答えでは大衆投資家の怒りというのはおさまらないだろうと思いますね。正義の主張を認めることになっていない。公正にやるとさっきからおっしゃっておりますけれども、公正にやりたいという決意が欠けておると言われても仕方がないというように思います。
 時間が少ないですから、私は提案してみたいと思います。
 それは、補てんを受けた企業名はもう新聞で明白なんですから、今度政府が窓口となって特別の基金、これは何と呼んだっていいんですが、そういうものをつくってこれに受け入れる。そして、基金に入れてくださったその企業名をまた新聞だとかテレビ等で公表していくというようにしたらどうですか。不正なお金を手をこまねいていて取り得を許しているというのでは公平じゃないじゃないですか、公正じゃないじゃないですか。これはやっぱり特別基金づくりをするというのを政府の呼びかけ、指導でやるか、法律に従ってと言うのなら至急に特別立法というようなのをしたらいいと思うんですが、いかがでしょうか。
#489
○国務大臣(海部俊樹君) 突然の御質問が先ほどから続いておりますので、私も精いっぱいまじめに受けとめて常識的にお答えをしておるんですけれども、企業のそういった問題は、まさに御指摘のように、企業の社会的責任という面からいいますと、企業自身がやっぱりこれだけ問題となり、これだけいろいろな立場のルールを守っておった人たちには怒りの声もあるんだということを厳しく受けとめてもらって、自主的、自発的に何らかの形で社会に対するそういった行為に踏み切ってもらうこと、これは私としても強く期待ができることでございます。
#490
○乾晴美君 もうこういった不公正な形でやりとりしたお金だとわかっておっても政府は何もできない。とにかく補てんされた企業とか大口投資家の独自の判断にゆだねるしかないとかいうようなことであれば、本当にテレビを見ている国民の皆さんは納得しないだろうというように思うわけですね。結局、悪いことをやったらやった方が得をするという感じになってしまうのではないか。と思います。
 私は、やっぱり特別の基金をつくり、その使途としては、今大変お困りの島原普賢岳の噴火で被災されている皆さんだとかそういう方の援助にするとか、または社会生活にハンディをお持ちの身体障害者の方々の援助にするとか、これくらいの措置をとらずにやり得、取り得ということを見逃しておっては、大衆の怒りというのはとてもおさまらないだろうと思いますね。政府が証券不祥事を正して企業に正させたあかしというものを国民の前に示さずじまいになってしまうと私は思うんです。それでいいのでしょうか。
 総理は、いいか悪いかだけちょっと明確にお答え願いたいと思います。
#491
○国務大臣(海部俊樹君) そのような具体的な事実が一体どのような構成要件に該当する有責違法な行為であるかということには残念ながら今なっておらぬわけで、認識にいろいろ違いがあったり、どのようなことが行われたかということについてまさに国会の特別委員会等で御議論をいただき、社会的な責任もそこでいろいろ議論になると思います。私は、そういった以前の問題として、企業の社会的自覚のもとでいろいろなところにそれを自発的に自主的に還元をするようなことをされるならば、私個人としては、先ほどお答え申し上げたんですけれども、法律をつくってそれを全部取り上げることがいいことか悪いことかということになってきますと、これはもう少しいろいろな要素をよく調べて慎重に対処しなきゃならぬ問題。で、今突然の御質問でございますから、私も精いっぱいのお答えを率直に申し上げておるところでございます。おわかりください。
#492
○乾晴美君 ちょっと問題はあれなんですけれども、昨日の八月二十五日の朝日新聞を見ましたら、雲仙災害の義援金、その残りの八十二億円を復興基金に流用しようとしているという記事が載っているわけなんですが、この義援金を出した人々は、「被災した人に直接届くように」と言っているわけです。また、仮設住宅などに住んでいる被災者の方は、「義援金は被災者に配分してもらえると思っていたのに残念だ」と言っている。そういうことで双方から疑問の声が上がり始めているという記事を見ました。
 政府の行動と責任で基金はつくるべきだと思います。
 しかし、この善意の義援金を流用していくというのはおかしいことじゃないかと思います。これは「人の牛蒡で法事する」というんでしょうか、そういったぐいと同じだと思います。この証券不祥事事件で動いたお金の一割拠出すれば百億円を超えるわけなんです。ですから、義援金の流用でない復興基金づくりを私は政府に求めたいというように思います。総理、よろしくお願いします。
#493
○国務大臣(西田司君) 大変多くの国民の方々から多額の義援金をちょうだいいたしまして、心から感謝をいたしておるところでございます。
 この義援金というのは、申すまでもなく、今次、災害に対して皆さん方の温かいお気持ちをちょうだいしておるわけでございますから、県市町、この関係者あるいは配分委員会、そういうところで現在の救済あるいは将来のあの地域の復興のためになるようなことにお使いいただけるもの、このように考えております。
#494
○高井和伸君 法務大臣にお尋ねします。
 このたびの証券不祥事あるいは金融不祥事につきまして、内部監査あるいは会社の内部チェック体制がかなりまだ弱いのじゃないか。商法はこういった観点から今まで昭和四十九年、五十六年と二度ほど改正されてきましたけれども、商法のレベルから今度の不祥事事件についての御対応をお考えでしょうか、お聞かせください。
#495
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。
 御指摘のように、株式会社の監査制度につきましては、会社経理の適正化あるいは業務執行の適正化という観点から、昭和四十九年及び昭和五十六年の商法改正におきましてその強化が図られてきているところでございます。法務省といたしましては、改正後における監査制度の運用の状況に関心を持って現在見守っているところであるというのが実情でございます。
 これらの一連の改正におきまして、小会社を除き監査役に会計監査権のみならず会社の業務が法令または定款に違反して行われることを防止するために必要な業務監査権を認め、その実効性を担保するため取締役及び使用人に対する営業報告請求権、財産状況調査権、取締役会への出席、意見陳述権などを認め、さらには取締役の法令、定款違反行為の差しとめ請求権、取締役会の招集請求権を認めるなどその権限を大幅に強化いたしまして、およそ実現可能な法改正というのは現時点においてはすべてされているというふうに言って差し支えないのではないかと考えているところでございます。
 今回の証券不祥事について申しますと、これがこのような監査制度の運用の問題であるのか、すなわち監査役において法律で認められている権限の適切な行使がなし得なかったために起こったものであるかどうか、あるいは現行の監査制度に関する法の不備があってこれが原因となってこのような現象が起きたのかというようなことにつきましては、実情を精査の上、十分に見きわめた上で判断をする必要があるというふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、監査制度の面からさらに研究、検討すべき問題があるというのであれば、私どもそういう御質問の趣旨も含めまして今後真剣に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#496
○高井和伸君 法制的に半数以上は社外重役にせよだとか、あるいは監査役の大事については取締役会で決めないだとか、そういった工夫が必要じゃないかと思っております。
 続きまして、東急電鉄株の株価操作疑惑について警察庁にお尋ねいたしますけれども、岩間カントリークラブ会員資格保証金預かり証の購入によって合計三百八十四億円の資金がつくられた、そういうことになりまして、これまでの国会答弁などを見ていますと、平成ファイナンスという野村証券の関連会社が二十億円、グリーンサービスという日興証券の関連会社が二十億円、そういったことでつくっているけれども、ほかのところのリスト、いろいろ報道されておりますので今から読み上げますが、このとおりのところから資金が出たのかどうかということをお尋ねします。
 間組二十四億円、青木建設五十億円、光進関連会社のケー・エス・ジー七十億円、安達グループのエメラルドグリーンクラブ十五・二億円、そして日本オーナースホテル二十億円、日本オーナースクラブ十四・八億円、誠備グループの東成商事二十億円と宝山十億円、芝興産が十億円、佐藤茂三十億円、東京佐川急便八十億円、合計三百八十四億円でございますか。
#497
○政府委員(國松孝次君) お尋ねの件につきまして、いろいろと報道されあるいは取りざたされておるということは私どももよく承知しておるところでございます。
 本件は暴力団が絡む問題でございまして、私ども暴力団対策を推進する立場といたしまして、今いろいろと報道されている点を踏まえて、何とかこの実態を解明したいということで重大な関心を持って捜査をいたしておるところでございます。ただ、その個々具体的な資金提供の状況とかそういうことについて、現在捜査を進行しておる段階におきましていろいろとお答えをするということはどうか差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
#498
○高井和伸君 それから、同じようなことで、東急電鉄株の売り抜けの会社はどこであるかということで、今申し上げました各社の一部が絡むようなことで名前がたくさん出ておりますが、こういった側面についても同様な御回答でしょうか。
#499
○政府委員(國松孝次君) 同じような御答弁を申し上げてまことに恐縮でございますが、現在捜査中でございますので、いろんな点、お尋ねの点も踏まえまして捜査をしておるという答弁にとどめさせていただいたらありがたいと思います。
#500
○高井和伸君 国民は捜査中ということの理由は半分はわかりますけれども、ある程度明らかにしていただかないと、その捜査権が結局は政治の場にはね返ってくるという事実がございます。
 そこで、もう一点最後にお尋ねいたしますけれども、この集められたお金、そして買われた株を売り抜けるというようなことの中で、さらにその株を担保にして金が三百六十二億円も野村証券、日興証券でつくられている。他方では高値で売り抜けている人がいる。こういったことを見ますと、こういった仕掛けをつくった第三のグループが存在するんじゃないか。そういった面からの捜査が進んでいるのかどうか、その点をお聞きします。
#501
○政府委員(國松孝次君) 私ども犯罪を捜査するという立場から申しますと、いろいろとそういった取りざたされておる事実につきまして把握しているものもございますし、していないものもあるわけでございます。ただ、私どもやる場合には、一つ一つの事実が犯罪を立証する上でどのような価値を持つのかというようなことにつきまして一つ一つ判断をしながら具体的に事実を構築していくという手法で仕事をするわけでございます。したがいまして、犯罪捜査との関係におきましてどのような価値を持つ事実なのかということを、ある程度公知になっておる事実につきましても、それは我々把握しているとかいないとか、それをどのように考えておるとかいうようなことについて申しますと、別の意味で大変問題になってくるということがありますので、大変奥歯に物の挟まったような言い方で恐縮でございますけれども、私ども犯罪捜査をやっておる途中におきましては具体的な事実につきましてお答えをするということを差し控えさせてもらっておるわけでございます。
 したがいまして、そういう意味で、何遍も同じような答弁をするようで恐縮でございますが、具体的な事実につきましては鋭意捜査中であるということで御理解をいただきたいと思います。
#502
○高井和伸君 労働大臣にお尋ねします。
 経済がはじけまして、岐阜県における日東あられというところが倒産いたしまして、社内預金六億七千万余りが風前のともしびになっております図これは預金保険もない世界でございまして、非常に風前のともしびのところ、賃確法という法律に基づいてそれなりの保全策がとられるはずなんでございますが、せんだって労働省からお聞きしました社内預金、現在三兆二千二十七億円で三百七万人の人が預金している、その社内預金の実態が私が聞いている限り非常に危うい状況にある。銀行預金ですと、預金保険法というので一千万までそれぞれ保険がかかっているけれども、社内預金にはほとんど実行されていない。こういった事態に対する対応についてお尋ねします。取りつけ騒ぎの起きないようにちゃんと答弁してください。
#503
○国務大臣(小里貞利君) 先生がただいまお取り上げになりましたその一つの基本的なねらい点はよくわかるところでございますけれども、突然なお尋ねでございまして……
#504
○高井和伸君 通告してあります。
#505
○国務大臣(小里貞利君) そうでございますか。
#506
○高井和伸君 そうです。
#507
○国務大臣(小里貞利君) では私方の手落ちであろうと思いますが、後ほど具体的に御報告申し上げたいと思います。
#508
○高井和伸君 今ちゃんと答弁していただかないと、国民が見ております、社内預金をしている人が。
#509
○国務大臣(小里貞利君) 別段、事務方も残念ながら参っておりませんし、御了承いただきたいと思います。
#510
○高井和伸君 これはもう既に決算委員会でも質問している事項で、今さらというような言いわけがきかないことでございます。国民の皆さん、社内預金をやっている方が非常に危うい状況にあるということは私は認識しています。責任を持って私言いますけれども、八割方が非常に危うい保全の方法で行われているという事実がございます。それに対して、こういったこれから経済がはじける、会社が倒産することがあるという世界においての社内預金の保全について、今のような労働大臣の答弁では納得できません。
#511
○国務大臣(小里貞利君) 重ねて申し上げまして恐縮でございますが、全く突然のお尋ねでございますが、基本的には先生がおっしゃるように、社内預金等に対する保全措置は当然措置いたしておるつもりでございまして、ただいまお尋ねの具体的なケースにつきましては後刻責任を持って御説明申し上げたいと思います。
 御了解いただきます。
#512
○高井和伸君 納得はできませんが、時間が来ました。PKOあるいは政治改革についてお尋ねじたく思っておりました。そして、十二号の災害についても尋ねたく思っておりましたけれども、それぞれの場でこれからまた質問していきたいと思います。
 ありがとうございました。
#513
○委員長(中村太郎君) 以上で高井君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日の調査はこの程度といたします。
 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト