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1991/10/01 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 建設委員会 第2号
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1991/10/01 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 建設委員会 第2号

#1
第121回国会 建設委員会 第2号
平成三年十月一日(火曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十三日
    辞任         補欠選任
     種田  誠君     北村 哲男君
 九月十七日
    辞任         補欠選任
     北村 哲男君     種田  誠君
 九月十八日
    辞任         補欠選任
     種田  誠君     北村 哲男君
 九月十九日
    辞任         補欠選任
     北村 哲男君     種田  誠君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 正和君
    理 事
                井上 章平君
                石原健太郎君
                種田  誠君
                山田  勇君
    委 員
                井上 吉夫君
                石井 一二君
                石渡 清元君
                遠藤  要君
                沓掛 哲男君
                坂野 重信君
                青木 薪次君
                渡辺 四郎君
                及川 順郎君
                片上 公人君
                上田耕一郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       建 設 大 臣  大塚 雄司君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  西田  司君
   政府委員
       国土庁長官官房
       長        藤原 良一君
       国土庁土地局長  鎭西 迪雄君
       国土庁地方振興
       局長       小島 重喜君
       国土庁防災局長  鹿島 尚武君
       建設大臣官房長  望月 薫雄君
       建設省建設経済
       局長       伴   襄君
       建設省都市局長  市川 一朗君
       建設省河川局長  近藤  徹君
       建設省道路局長  藤井 治芳君
       建設省住宅局長  立石  真君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        駒澤 一夫君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    深山 健男君
       大蔵省主税局税
       制第二課長    増原 義剛君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部計
       画課長      堤  修三君
       厚生省社会局施
       設課長      松本 省藏君
       農林水産省経済
       局保険業務課長  堤  征彦君
       農林水産省農蚕
       園芸局農産課長  木田 茂樹君
       資源エネルギー
       庁公益事業部計
       画課長      村田 成二君
       気象庁予報部予
       報課長      櫃間 道夫君
       気象庁観測部管
       理課長      櫻岡  勉君
       建設大臣官房技
       術審議官     豊田 高司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○建設事業及び建設諸計画等に関する調査
 (国分川分水路トンネル水没事故に関する件)
 (都市計画制度の改善に関する件)
 (気象監視体制に関する件)
 (建設工事の安全対策に関する件)
 (長良川河口堰建設に関する件)
 (雲仙・普賢岳噴火災害対策に関する件)
 (台風第十九号による被害対策に関する件)
 (借地借家法改正に関する件)
 (住宅家賃に対する消費税非課税措置に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本正和君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に種田誠君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(山本正和君) 建設事業及び建設諸計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○種田誠君 私は冒頭、九月の十九日に松戸市の国分川トンネル工事事故に際しましてたくさんの方が亡くなられたわけでありますが、御遺族の方には心より御冥福を申し上げたがら、この問題に関しまして建設省の方の見解やら原因などについての事実を申し述べていただきたい、このように思うわけであります。
 今回の九月十九日の事故の前にも、実は九月七日に埼玉県の草加市で同じような生き埋めによる事故が発生しております。そして、今日まで二人の方の所在が不明であるという状態になっております。それに引き続いて十九日の事故でございます。事故の原因等については県警の捜査や調査委員会の結論がまだ出されていないということでありますので、確かなことは今日においてもはっきりと申し述べることはできないかと思いますが、とりもなおさず、公共事業に伴う事故の多発ということに関しまして、建設省といたしましても一つの考えをしっかりと持って、再発防止、安全優先の工事の遂行、こういうことに努めていただきたいと思うわけでありまして、まず建設大臣の御見解などをいただきたいと思います。
#6
○国務大臣(大塚雄司君) まず、このような重大事故が発生いたしましたことはまことに遺憾なことでございまして、御遺族の方々に対し深く弔意を表するとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 ただいま先生御指摘のように、我々もこの問題は重大な問題であると受けとめております。再発防止は当然のことでありますが、事故の背景に、」ざいます施工環境の変化等を的確に把握することがまず第一であると思いますし、また我が国がそもそも自然災害の発生しやすい国土条件にあることを厳粛に受けとめながら、平時の対策が大変に重要であると認識をいたしております。
 ただいまお話しの国分川分水路工事の事故につきましては、既に千葉県におきまして国分川分水路事故技術調査委員会を設けまして調査をいたしておるところでございまして、先生も御指摘のようにその結果を待たなければならないところも多いわけでありますが、二度とこのような事故が起きないように、当然のことながら関係機関にも早速に連絡をし通達を出しまして対処いたしておるところでございます。いずれ結果がわかり次第、また事故の根絶に向けまして全力を挙げてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#7
○種田誠君 そこで、この問題に関しまして、これまでわかった範囲の中で、どのような事実経過のもとに七人もの方が生き埋めという極めて悲惨な形で死亡するに至ったのか、この辺のことについて経過を含めて述べていただきたいと思います。
#8
○政府委員(近藤徹君) 短期間の間に私ども所管の河川局の事業で人身事故という痛ましい事故が発生しましたことにつきましては、亡くなられた方に心からお悔やみ申し上げますとともに、私ども所管する者として、安全第一に今後も努めていきたいと心に念じているところでございます。
 いずれの事件につきましても、それぞれ調査委員会を設けまして、綾瀬川の槐戸橋につきましては建設省関東地方建設局が調査委員会を設けて現在原因究明を行っておるところでございます。
 それからお尋ねの松戸市国分川分水路工事に関してでございますが、まずこの計画の内容について若干御説明させていただきます。
 利根川の支川の真間川、これは市川市、松戸市を貫流する都市河川でございますが、近年の都市化の進展によりまして洪水の流出が非常に増大し付近の住宅街に水害が頻発するところから、その上流におきまして、松戸市域の中におきまして坂川を通して江戸川に排水する計画といたしまして半径三・八メーター、全延長三千三百六十二メーターの分水路計画を昭和四十八年に立案いたしまして、国庫補助事業として採択し、まず開水路部分に着手し、昭和五十九年にトンネル区間に着手したものでございます。
 自来、千葉県がこの計画実施に当たってまいったわけでございますが、当該トンネル工事において飛島建設が呑口部より約千六百メーター掘り進んでいた段階で、九月十九日の台風十八号により、このときの連続雨量に二百二十一ミリに達したわけでございますが、この集中豪雨におきまして、松戸市二十世紀が丘地先における地下約二十メーターまで掘り進んだ段階でこの事故が発生したわけでございます。
 当日は、朝より降り続いた雨によりまして、四時現在当時で呑口部の流量が増大して、分水路呑口部上流の開水路区間に洪水が流入したのが四時三十分でございますが、分水路呑口部の流入防止工が五時に破壊されましてトンネル内部に洪水流が流入し、内部で十一名の作業員が工事中であったわけでございますが、うち四名は中間立て坑より脱出し、飛島建設三名、その下請の成豊建設四名の計七名の方が逃げおくれて閉じ込められたわけでございます。その後、新聞報道で見ますように、この不明の方の救出作業に懸命な努力をしたにもかかわらず、残念ながら七名の方が遺体で発見されたという痛ましい事故になったわけでございます。
 私どもとしては、工事の計画全体につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、折からの集中豪雨と、またそれぞれの施設関係等にどういう問題があったのか、詳細につきましては千葉県警及び千葉県が設置いたしました国分川分水路事故技術調査委員会において今調査中でございますので、これらの検討経過も待ちながら、二度とこのような痛ましい事故が起こらないように最善の努力を尽くしていく所存でございます。
#9
○種田誠君 そこで、きょうは警察の方も見えられていると思うんですが、今、局長の答弁にもありましたように、千葉県警の松戸署の方に捜査本部が設けられて現在事故原因の究明中であるということでありますが、これまでの間にも捜査の中でいろいろ、いわゆる水どめに使われていたH鋼が根入れがなかったんではないだろうかとか幾つかの問題点が浮き彫りにされてきておるわけでありますが、実は先ほど、冒頭に申し上げました九月七日の草加市における橋梁工事の生き埋め事故も土どめの鋼板が倒れるというような形でどうも事故が発生しているようであります。そういう意味で、今この鋼板の問題に関しても極めて重要な関心があるわけでありますが、警察の方で今日までにどの程度まで事実関係を掌握の上原因究明ができておるのか、述べていただきたいと思います。
#10
○説明員(深山健男君) お答えいたします。
 千葉県警察におきましては、事故発生とともに、行方不明者の救生活動、事故概要の把握など所要の初動活動を実施するとともに、松戸警察署に刑事部長を長とする七十名での捜査本部を設置して、業務上過失致死容疑事件として、工事関係者などからの事情聴取、千葉県及び施工業者計三カ所に対する捜索、事故現場の実況見分など事故原因究明のための捜査を行っているところであります。
 いまだトンネル内に多量の水が滞留していて事故現場の詳細な把握ができない現状にありますが、今後、トンネル内への水の流入を防止する目的で仮設されました仮締め切り堤防や貯水池の設計及び施工、事故発生時における避難誘導などの安全管理等に問題がなかったかどうかを中心にいたしまして、事故原因の究明と刑事責任の有無及び所在を明らかにするため、所要の捜査を綿密に推進していく所存であります。
 以上でございます。
#11
○種田誠君 ぜひ捜査の場面からも的確な原因解明をしていただぎたいと思うわけであります。業務上過失致死罪ということになりますと極めて重要な責任が発生するわけでもありますが、事故発生に対しては、過失ある原因があるならば厳しく処罰をされることによって今後の事故予防という意味でも一つの大きな意味合いを持つと思いますので、捜査当局におきましてはより一層の捜査に対する御努力を鋭意お願いしたいと思います。
 続きまして、警察の方では今原因解明のために鋭意努力中ということでありますが、問題は、今回のこのような事故がなぜ発生してしまったんだろうかということと同時に、もう既に至るところで同種工事は行われているわけでありますから、これらの工事に関しても同じような事故が再発しないように直ちに対策に取り組んでいかなければならないと思うわけであります。
 私、過日、ことしの七月でありますが、東北地方の建設省の湯沢工事事務所の方へちょっとおじゃまをさせていただいて秋田県から宮城県に通ずる百八号の鬼首トンネル工事の現場を見せていただいたわけでありますが、ここでは極めて近代的な形での工事がなされておる。私の地元の土木関係の青年部の方もびっくりするぐらいの工法をとられておる。そして周辺の調和も極めてよくとられているわけでありますが、そういう意味で、やはり危険を伴う工事であることは間違いないわけでありますから、並行して行われている同種工事に対する今日的な建設省としての取り組み、そして再発防止のための手だて、そういうことについて合いかなる考えをお持ちなのか、お述べいただきたいと思います。
#12
○政府委員(近藤徹君) 我が国のトンネル工事は世界有数の技術水準を持っておりますし、その安全対策も従来から大変高い水準であったと我々は確信しておるわけでございますが、今回このような災害を経験いたしまして、我々のそのような今までの考え方の中にどのような盲点があったのか、我々もぜひ徹底的な究明を関係者の間でしていただくことを心から期待し、またそれを教訓に今後二度とこのような事故が起こらないように努力してまいりたいと存ずる次第であります。
 ただ、原因については、先ほど言ったような経緯がございますので、私どもとしては、この事故の起こりました翌日の九月二十日に、それぞれ事業を担当する者から、「仮設締切工の事故防止に関する緊急点検について」ということでそれぞれ所管の部署に厳重に注意する旨通達したところでございます。したがって、現在、全国で行われている同種工事についてはそれぞれの部署でこの事故の教訓にかんがみまして徹底的に調査しているところでございますが、なお一層、今後、事故調査委員会の結果も見た上で、安全の上になお安全を期するよう努力してまいりたいと考えている次第でございます。
#13
○種田誠君 これから十年間にわたって四百三十兆円という大変大きな公共投資がなされるわけであります。河川の改修、町づくり、そしていろんな意味での投資がなされるということになりますと、このような安全に対する手だても極めて重要な課題になってくるだろうと思います。
 先ほど局長から、我が国のトンネル掘削技術はまさに世界一だと、私もそう思います。しかし、残念なことには、世界一の掘削技術で工事をしていても、緊急のための連絡網が途中までしか電話がなくてあと何百メートルを走っていかなきゃならないとか、そのために人が出たり入ったり右往左往して、そのためにたくさんの方がまた亡くなるという、結局すばらしい技術、すばらしい手だてを持っているにもかかわらず、そういうほんの少しのむしろソフトの場面に近いような場面で安全対策がまだまだ不十分なんではないだろうか、こうも思うわけでありますが、その辺のところ、世界一の技術を誇る日本であるならばぜひ世界一の安全を確保しながら公共事業を進めていただきたいと思うわけであります。
 そういう意味での総点検、総見直しをぜひしていただきたいと思うわけでありますが、このことについて、簡単で結構でございますが、建設大臣、いかがお考えでしょうか。
#14
○国務大臣(大塚雄司君) 先生がおっしゃるとおり、我が国のトンネル工事の技術は世界最高だと自負しておりますが、幾ら技術が立派であっても、事故を起こせば全くその名誉を傷つけることになるわけであります。したがいまして、先ほども申し上げましたように、この事故調査の結果を待ちまして、二度とこのようなことを起こさないように万全を期するために全力を挙げてまいりたいと存じます。
#15
○種田誠君 では、次の質問に移っていきたいと思います。
 過日、都市計画審議会の方から中間答申がなされております。中間答申を拝見いたしますと、今日の地価高騰にまつわって、日本の都市が抱えている問題に関しまして、過去のいろいろな実績の上に新たな問題解決のための新しい手だて、さらに計画なども今つくらなければならない、そういう点での指摘がなされております。私もその中の幾つかの点については極めて高い評価を与えていきたいと思うんですが、まず冒頭、このような中間答申が今なされているわけでありますが、建設省として今日の都市問題に関してどのような認識に立っておるのか、その辺のところを伺いまして、この問題の質疑をしたいと思います。
#16
○政府委員(市川一朗君) ただいま都市計画審議会の中間報告につきまして御指摘があったわけでございますが、建設省といたしましては、ことしの一月に都市計画審議会に諮問いたしました際の問題意識というものがございまして、実はそれを受けまして諮問を申し上げて、現在御検討いただいているというところでございますが、私どもいわゆる都市政策、都市計画行政を預かっております立場から申し上げますと、経済の高度成長によりまして国民生活の水準が極めて高まってまいった中でいま一つ豊かさの実感が甘受できないという御指摘があるわけでございまして、こういった都市生活の中でのゆとりと豊かさを実感できる魅力ある都市空間を形成していくためには、都市計画制度の内容等につきましても改めるべき点があれば改めると同時に、また実行面におきましてもしっかりとした対応をすることによりまして、二十一世紀も踏まえ、ましたしっかりとした都市づくりをやっていく必要があると考えております。
 もちろん、都市づくりでございますので国の立場では不十分でございまして、市町村及び市民、住民の方々の第一線におけるコンセンサスのもとでの対応ということが根底になるわけでございますが、そういった方々の取り組みに対しまして私どもとしてもできるだけの御協力、支援体制を組みながらよい町づくりを進めてまいりたい、そういったような基本的な考え方のもとに現在対応しておるところでございます。
#17
○種田誠君 この答申を拝見いたしまして、まず一つ私がこれはすばらしいなと思ったのは、都市にビジョンを持つ、このことを明確にしなきゃならないということをはっきりと打ち出したことであります。そして、さまざまな対策があるわけでありますが、その中で、今日までも日本の都市計画の中には言葉としてはマスタープランという言葉は使われていなかったわけでありますが、このマスタープランをはっきりとこれから都市を考える上で各市町村につくっていくという、また各市町村はつくらなければならないという、こういうような指摘がなされているわけであります。
 まず冒頭、このマスタープランについてちょっと伺いたいと思うんです。
 このマスタープランをつくるということ、私は極めてこれは高い評価を与えていきたいと思うんですけれども、一つには、答申の中では、どうもマスタープランが、都市計画の権限が各都道府県の知事さんに大きなウエートが置かれているわけでありますから、そちらの方に持っていかれてしまいますと、まさに都市というのは私たちが日常生活を送る上でどのような機能を持ち、どのように存在しているかということが重要なんでありまして、むしろ市町村レベルでこのマスタープランというものが大きく機能し役割を果たさなければ本来の意味がないわけであります。そしてまた、このマスタープランが地区計画とかそういう詳細計画とも結びつくことによって大きな意味合いを持ってくるわけであります。
 そういう意味で、この答申にはマスタープランをつくるということははっきりしているんですけれども、市町村レベルでしっかりとこれをつくって、しかも権限と財源を確保するという点がどうも弱いように思うんですが、その辺のことに関して都市局の方ではどのようなお考えをお持ちでしょうか。
#18
○政府委員(市川一朗君) ただいま都市計画審議会におきまして議論していただいている最中における中間報告の内容でございますので、審議会の方でさらに議論をお詰めになりまして最終答申が出ました際に、それを受けまして建設省としての対応を検討していきたいという基本的な考え方でおるわけでございますが、ただいま御指摘のございましたマスタープランの問題も御指摘のとおり中間報告の中でも触れられておりまして、今後の都市計画制度上対応する方向の一つといたしまして「都市のマスタープランの充実」という項目がございまして、その中で、現行制度では市街化区域、市街化調整区域の線引きを行う際に整備、開発または保全の方針を定めるということになっておるわけでございますが、これがいわゆる県レベルで行われておることでございまして、その地区ごとの具体的な将来像を住民に身近なレベルで具体的に明示されていない、これはやはり今後検討すべき重要な課題ではないかという観点から、新たに市町村のマスタープランの創設について指摘がございます。
 私どもといたしましても、そういった点につきましては極めて重要な問題点という認識を持っておるところでございます。
#19
○種田誠君 それに関連しまして、九月三十日の新聞を拝見しておりましたら、今度の答申にも容積率の一時現状凍結というのに伴う一つの施策の展開が明記されておって、この新聞紙上でもそのような視点での今後の土地の適正利用を図るというような報道がなされておるわけであります。まさにこの容積率を一時現状凍結いたしまして、ダウンゾーニングもしくはアップゾーニングという形で特にこれを地区計画とか特定街区の地域とかそういうのとリンクさせますと、まさに私たちが住んでよかった、人間としてそこに存在しているということを前提に、私はいろんな角度からの対応ができるようになるんじゃないかなと思うんです。
 こういうことはもう既に欧米の先進国において実践されていることでもありますから、この容積率を今後どのようにコントロールしていくか、時にはある地域の容積率の余った部分を他の方へ持っていってもいいんじゃないかとか、ボーナスを与えてもいいんじゃないかとか、こういうような視点での施策をより一層進めていただきたいということと、新聞紙上によりますと、どうも建設大臣がこの容積率に関しての権限を持つよう夜雰囲気のことも書かれておりますし、答申でもそうなっておるんですが、むしろこれは、先ほど申し上げたように、地区詳細計画などとの関連で本来の役割を果たすわけでありますから、このことについてはむしろ市町村にこういう権限を移譲していくという、こういうお考えはございませんでしょうか。
#20
○政府委員(市川一朗君) これも再三御答弁して恐縮でございますが、中間報告の段階でございますので建設省としての検討がまだ必ずしも進んでいない部分がありますことをまずお許しいただきたいのでございます。
 中間報告におきましては、御指摘がございましたように、いわゆる大都市等の既成市街地を見ました場合に、我が国ではかなりの高度利用ができるような形で容積率が三〇〇%あるいは四〇〇%と与えられておる場所であるにもかかわらず、主として東京の場合ですと山手線の内側とかというところがイメージされるわけでございますが、そういったようなところにつきまして、それだけの許容がなされているにもかかわらず実際には必ずしも十分な高度利用がなされていない。そういったようなところについてはぜひその高度利用を図るべきである。そのためには、現在の基本的な考え方で、土地の所有者が土地を自由に利用できるという観点にもう一つ突っ込んだ考え方を乗せて、例えば土地基本法が制定された段階におきまして、土地については公共の福祉が優先するという規定があるわけでございますので、その考え方を背景としてもう一歩突っ込んだ土地利用のあり方について都市計画上配慮できないか。
 そういう観点から、一つの提案として、ただいま御指摘のような容積率規制を行いまして、それで一定の地域につきましてとりあえず現状の使用状況のままで容積率は凍結いたしまして、良好な計画、中でも住宅供給等が含まれておるような優良計画が出ました場合には思い切って容積率を上乗せする、そうでない一般的なばら建ちについては基本的には抑制する、そういう考え方を導入したらどうか。
 その際、かなり厳しい規制になりますので、都市計画を決定する基礎的団体であります市町村あるいは知事の権限として構築することも考えられますけれども、そういたしますと、なかなか規制が厳しい制度でございますから制度はできても活用しにくいのではないか、この際思い切って国レベルにおいてそういう地域指定をすることによってまず一たん規制の網をかぶせまして、それで、優良な計画に対して容積率の引き上げ等を行ういわゆる緩和措置につきましては市町村に任せる、こういうやり方を検討してみてはどうだ。
 以上が中間報告の内容でございます。
 御指摘がございましたように、都市計画制度の中で建設大臣が指定するという考え方が果たしていいのかどうかといったような基本的な問題も含まれておりますので、いろいろ検討する必要があると思っておりますが、少なくとも大都市の既成市街地のぜひ高度利用を図るべきであるとして要請されている地域におきまして、何らかの方法を使いまして高度利用が図られるように促進策を講ずるということにつきましては、極めて私どもとしても理解できる御指摘と思っておるところでございます。
#21
○種田誠君 まさにこういうふうな制度が取り入れられた場合にどのような所管のもとに実行すれば実績が上がるかというところでありますので、この辺のところは議論があろうかとも思いますけれども、町づくりというのは、決して建設省がつくるんじゃなくて、そこで生活する方々が豊かさやゆとりを実感でき納得のいくものでなければならない。それは住民参加という言葉であらわされるわけでありますけれども、そういう視点も存在するわけであります。そういうこともございますから、その辺の調整をどの点に持っていくのか、ぜひこれからも努力をしていただきたいと思います。
 と同時に、実は、このような新しい施策を展開することも極めて重要であると同時に、日本でも都市計画の中には、先ほど冒頭で述べましたように、地区詳細計画、さらには開発許可制度、特定街区制度、総合設計制度とか、さまざまの地区開発のための施策があるわけですね。問題は、これらがなぜ今日まで有効に機能しなかったのかということもまた反省しなきゃならないと思うんで文
 その一つとして、経済的な誘導政策というのがやはり日本において少し欠けていたんじゃないだろうか、私はそうも思うわけです。そういう意味で、いわゆる経済的な誘導政策を展開する上でも、実は過日日経新聞を見ていましたら、建設大臣が、地価税の税収をぜひとも公共事業用地の先行取得などに充当したいというようなことを発表されておりましたが、私は、やっぱり地価税は今申し上げましたように地区の再開発等を含めた住宅の新たな構築等々の公共事業の遂行のためにぜひ利用していっていただきたい、こう思うわけであります。建設大臣においてこの点について今どういうお考えを持っておられますか。
#22
○国務大臣(大塚雄司君) 過般報道がございましたが、土地問題は大変難しい問題ではございまして、建設省としましては、公共事業を進めるにつきましてはまずともかく用地の確保というのが何より優先するというふうに思っております。公共事業の執行のために土地を安定的に確保するための制度を何とかつくらなくちゃいかぬということで、平成四年度の概算要求にも、総合的な公共用地対策を講ずるために公共用地先行取得資金の低利融資制度というものを創設するような要求をいたしております。これはそういう事業を進めるための一つの制度として要求をしておるわけであります。
 一方、今お話しの地価税の財源確保につきましては、これは地価税が創設されたときの大蔵委員会における採決のときの附帯決議にも既にございますように、土地対策等に配慮をしながら、平成四年度の税制改正・予算編成時に具体的な内容を検討するということに相なっておるわけでございまして、我が建設省といたしましても、これから関係機関でいろいろ協議をしていく中でぜひこの地価税の使途の中に公共事業を入れてほしい、こういう願望を持っておりまして、そのことが記事になったわけでございます。
 まだ具体的にどうこうという内容まで固めておりませんけれども、これからの四百三十兆円の公共投資を考えます上でぜひその財源を確保してまいりたい、こういうことでございます。
#23
○種田誠君 都市づくりにはお金がかかります。そういう意味で、今日までの課題なども含めますと、経済的誘導政策をさらに進めるということになればなおさらお金がかかるものですから、ぜひこの点については、大臣、皆さんこぞって御努力をしていただきたいと存じ、私どもも意見を言っていきたいと思いますので、お願いしたいと思います。
 時間がなくなってしまいましてはしょるような質問で申しわけないんですが、私は常々思っておるんですけれども、これからの都市づくり、町づくりということに関しまして、いかに資源を循環し省エネルギーなどという物の見方をベースにして町をつくっていくのかということが極めて重要な課題だろうと思うんです。通産省や経企庁などにおける二〇一〇年に対する経済見通しなどの文献を読ませていただきますと、本当に世界全体の食料、エネルギー、資源という問題を考えた場合、ほんの二十年先、三十年先には大変な事態が訪れるだろうと予測して今施策が練られているわけであります。そういう時期でもありますから、これからはむしろ建設省が中心になりまして資源循環の都市づくりというようなことをぜひ進めていただきたいわけであります。
 そのことで、本当にもう少ない時間で申しわけないんですが、まず、通産省さんにごみとか下水処理場から発生するエネルギー、資源、こういうものを活用しての都市づくり、エネルギーの循環、こういうことについてどのような施策が今とられておるのか、簡単に述べていただきたいと思うんです。
#24
○説明員(村田成二君) 御説明申し上げます。
 まず、ごみ処理施設について申し上げますが、昨年来、ごみ処理の社会的な問題化ということにかんがみまして、通産省といたしましては、例えばごみ処理施設によって発電されます電力につきまして、一般の電力会社が極力合理的な値段でこれを買い取るようにという指導をいたしてまいりました。その結果といたしまして、ことしの初め電力各社におきましては二点の方針、まず第一点目は、コンサルタントあるいは情報提供といったことを通じまして、ごみ処理施設を建設する、あるいはそれによって発電を行おうとする自治体等に対しまして積極的に協力をする、それから二点目は、そこから生まれました電気につきましては極力高い値段でこれを買い取るようにする、こういう方針を決め、また現在、各社におきましてはその具体的な実施を図っているというところでございます。
 それから、下水を含めました一般的な未利用エネルギーにつきましては、今年度の予算におきまして、未利用エネルギーの効率的利用を促進しよう、しかも特に熱供給事業としてそういったものを生かせないだろうかということで、大幅の予算を獲得いたしましてその実施を図っているところでございます。
 以上でございます。
#25
○種田誠君 あわせて、今日、ごみ焼却炉から発電を行っているとか熱を利用しているというケースがどの程度普及しておるのか、厚生省の方からお願いします。
#26
○説明員(堤修三君) 市町村が設置をしておりますごみ処理施設における発電等による焼却余熱の有効利用でございますが、近年、積極的な取り組みが進んでおります。
 ごみ発電を行っております施設は、十年前には三十九施設でございましたが、平成二年度末には百二施設となっております。
 それから給湯などにようますエネルギー利用でございますが、多くの市町村の施設で施設内の利用が行われております。さらに、外部への給湯等につきまして、プールとか福祉施設向けでございますけれども、これにつきましても平成二年度末、比較的大きなごみ処理施設の中の割合で、給湯を行っておりますのが二〇・四%、暖房を行っておりますのが一六・九%、冷房が一〇・四%、温水プール等が一一・九%といったような格好で行われております。
#27
○種田誠君 通産省、厚生省の皆さんからもっとたくさん伺いたいんですが、時間がないのでこの辺で終わりにしておきたいと思いますけれども、実際今、町における新たな資源というのはごみ焼却炉とか下水処理場とか、こういうところに光が当てられておる。そして、そこから出てくる電気、ガス、熱、こういうものが都市に循環されていくという形での都市づくりということについて、むしろ建設省が中心になって厚生省や通産省を指導しながら、そして一つの新しい予算枠でもつくって町づくりを進めることは極めてこれから重要じゃないかと私は思うんですが、そういうことに関する建設大臣の当面のお考えでもございましたら、お願いしたいと思うんです。
#28
○国務大臣(大塚雄司君) 先ほど来、種田委員から都市計画につきましても大変な激励をちょうだいし、感謝いたしております。
 ただいまお話しのごみ焼却場あるいは特に下水道の処理場などを考えますと、熱源を再利用していろんなものに活用していくということがもちろん大事でございますが、下水道は特にその処理水を再利用するという水資源の観点からも活用できますし、また同時に、建設資材として下水汚泥を使わせていただくということも再利用でございますし、今お話しの余熱を熱源として活用するということも考えますと、まさに下水道などはエネルギーの宝庫と言ってもいいような感じがいたします。
 御指摘のように、建設省はこれらの問題をそれぞれ所管をいたしておりますので、関係省庁と協議をしながらリーダーシップをとってやれるような方向に向けて努力をいたしたいと存じます。
#29
○種田誠君 最後の質問で、もう一点だけで終わります。
 実は、八月十九日の朝日新聞に「建設省さん、ボクたち無視しないで」という表題のもとに、茨城県の稲敷郡の方に天然記念物のヒシクイという鳥が飛来してきているが、ここのすぐ近くに圏央道が将来できる、しかし環境調査のもとになる報告書に建設省の方でこのヒシクイを落としてしまった、こういうようなことがあったわけであります。
 まさに建設行政というのは自然の中に人間がどう生きるかという意味での開発を行いながらすばらしい環境をつくるわけでありますので、こういうほんの小さなことであっても大きな問題に私はつながると思います。天然記念物のヒシクイという小さな鳥ですけれども、環境調査をする上で二度と再びこういうものを落とすようなことがあってはいけないと思いますので、この辺の御見解を賜って、私の質問を終わりにしたいと思います。
#30
○政府委員(藤井治芳君) 先生御指摘の江戸崎町から河内村の間約十三・六キロの区間につきましての環境影響評価の準備書をつくりました際に、ヒシクイに関しまして国の天然記念物である旨の記述がないことについて、公聴会、地元の縦覧等々の場でいろんな方々から御指摘を受けました。私ども十分調査をしたつもりでございましたが、そういう御指摘を受けました。そこで、私ども六月から七月にかけて改めて専門家へ御依頼申し上げまして現地調査等をやりました結果、確かに国の天然記念物であるヒシクイがこの江戸崎町小野川付近の計画路線付近に飛来していることを確認いたしました。
 このヒシクイは冬の渡り鳥でございまして、七月の段階で詳細な調査をすることは事実上できません。そこで私ども茨城県にお願いして、都市計画地方審議会の環境影響評価専門部会からもいろいろな御指摘はいただきましたけれども、ことしの冬に再度詳細な調査をしようというふうに踏み切りまして、これから専門家の御指導をいただきながら調査をいたしたいと思っております。その際に、渡来地であるとかねぐらであるとかえさ場とか、いろんな角度からの調査をいたします。そして、その結果を待って、どうしたらいいかということを御専門家の御指導をいただきながら今後の取り扱い、対応等々をさせていただきたいと思っております。
 そういう意味で、それらの結果を待って、再度都市計画審議会等にそれらの結果を全部お示しして御審議を重ねていただこう、かように考えております。
#31
○種田誠君 どうもありがとうございました。
#32
○青木薪次君 去る九月十日の九時ごろから降りました伊豆南部一帯における集中豪雨は、私ども国会議員六人ほどで調査をいたしましたけれども、これはもう話に例えられないような凄惨な状態を実は現出をいたしておるところであります。死者は四人、そしてまた国道四百十四号線はずたずたに切られ、しかも河川の関係等については、下田市の稲生沢川の水系、落合川、あるいはまた河津町の谷津川とか小鍋川、それから南伊豆町の一条川というようなところは、まさに川底がずっとうずたかく土砂の土石流によって高くなってしまって、道路は低くてしかも見えないというような状態です。第二、第三の災害を発生させては大変だということから、まずこの水道をとりあえずあけようというようなことで、との災害の結果によるパニックが今まだ続いておりまして、大変な事態だと思うのであります。
 伊豆急行は、これは前回の災害対策委員会でも私は発言させていただきましたけれども、まさにあめ棒を曲げるように道床は流され、山崩れとか土砂崩壊というもので線路はほとんど壊滅状態、しかもトンネルは土砂によってほとんど埋め尽くされているというような状態であるわけであります。この現状についてどういうように把握をされていらっしゃるか。伊豆南部は観光地帯でありますので、このことによって相当な経済的な打撃をこうむっておりまして、何としても一日も早く復旧したいということで、市町村当局は今大わらわになって活躍をいたしておりますし、県もこのことについて一生懸命に努力をしている状態でありますが、この復旧の見通しについてひとつ報告をしていただきたいと思います。
#33
○政府委員(近藤徹君) 伊豆南部の九月十日から十一日にかけての前線性豪雨は大変記録的なものでございました。ある箇所では連続雨量四百六ミリ、時間雨量百八ミリというものを記録したところもございます。
 この豪雨によります下田市ほか四町における河川関係の公共土木施設の被害は、稲生沢川ほか九十一河川、三百三箇所、報告額といたしましては合計六十三億一千三百万円の報告を静岡県より受けておるところでございます。
 このうち、下田市にある稲生沢川につきましては二十六カ所、二億六千九百万円、落合川につきましては一カ所、六億五千万、このうち伊豆急行の河津―下田間が不通になっておりますが、特に谷津トンネル付近の軌道が流失あるいは埋塞するという激甚な災害になっております。また河津町にございます谷津川につきましては一カ所で四億円、小鍋川につきましては一カ所、五億二千七百万円、南伊豆町に位しております一条川につきましては十四カ所、一億八千六百万円という報告を受けております。
 被害箇所で緊急に復旧する必要のある落合川、里川につきましては、応急復旧工事として埋塞土砂の排除を九月三十日までに完了し、また落合川の伊豆急行谷津トンネル付近については、二百九十メーター区間につきまして軌道流失、埋塞しておりますので、このうち二百メートルにつきましては山側に架線をつけかえる等、河道の安定を図るとともに、軌道への土砂の流出を防ぐこととしております。
 なお、本復旧につきましては、既に災害査定官を現地に派遣し、被害激甚箇所については再度災害防止の観点から改良復旧事業を含めて技術指導を行っているところでございまして、静岡県及び。下田市、河津町等の準備ができ次第、直ちに被災箇所の災害査定を行い、早期復旧と再度災害防止に万全を期してまいりたいと考えております。
#34
○青木薪次君 早い対応をしていただいたことを現地でも感謝いたしております。
 私は局地的なゲリラ的な集中豪雨というように言っておりまするけれども、このように災害を大きくしたのは、予知予報体制に問題があったからだというように言われているわけであります。例えば、この前もちょっと申し上げましたけれども、レーダーとアメダス雨量計というものを合成して調べてまいりますと、アメダスだけでは十七キロメッシュでとらえるが、アメダスとレーダーの合成でいくと五キロになる、それを一時間ごとに予報する、これが気象庁の今の体制でありますが、これでは全然今回の集中豪雨に間に合わなかったわけであります。例えば、住民から大変なことになったということをそれぞれの市とか町あるいはまた県当局の方に知らせるということの中で、災害の恐ろしさというものが予知できたということであります。
 確かに気象庁は観測データを発表するにはしたけれども、全然内容が現地の実態と合っていない。しかも、全部発表した内容を聞きましたけれども、これはもう今日、こういう大災害があるということになれば、裏山かどこかに逃げる以外にないわけでありますから、そういうことについて、この間、災害対策委員会での私の質問と同時に、同僚議員の櫻井規順という議員が質問をしたわけでありますが、気象庁長官は、集中豪雨についてレーダーによって雨域が捕捉できているのかという質問に対して、捕捉できているということであったのであります。
 しかし、現地のこれを私は見ているわけでありますが、アメダスの備えてあるところ、あるいはまた富士山のレーダー、あれは三千七百七十六メーターのあの地点でレーダーを発するわけでありますから、それほど効果はないんです。それじゃ御前崎とか東京とかそういうところから発するレーダー、それを利用すればいいじゃないかと言うけれども、そちらの方は、こちらの伊豆の南部の方だけを向いて発することができないし、時間的には一時間単位である、しかもその情報は的確に現地に伝えられないということなんです。そういたしますと、一体どこを信用していいのか。気象庁は、そんなことを言ってもやることはやっていると。やっているかもしれないけれども、それが何も有効に作用してない。ここに実は大変な問題があると思うのであります。
 そういうことについて、何としても気象庁のアメダス雨量計を、これは集中豪雨の常襲地帯でありますからふやしてもらいたい。これは現地の市町村あるいはまた県の要請ですよ。もうこれから、私どもも入って、命を守らなきゃならない、財産を守らなきゃならない。そうすると、有効に気象庁がやってくれないなら一体だれがやるんだ。県と市町のいわゆるアメダスを、簡易であっても、簡単なのであっても、つくろう。今、雨が降ってくるのは、これはもう一時間単位なんというものじゃないんです。もう上から消防のホースでもって下へ突き刺すような雨なんです。そういうことを考えてまいりますと、この問題について町内会単位に自分たちの命を守るために自主防災体制をつくろう、この運動が今起こっています。
 ですから、雨域をとらえて南伊豆一帯の方に全部情報をとらえた、こう言っているけれども、実際にどういうところを報告したんだといったら、天城山の北の方、全然関係のないところを報告している。それから、これが気象庁の発表したものでありまするけれども、七、八時間内に十五ミリとか零ミリとか、そういったようなことなんです。そこで実際に、一キロ以内、それこそ点ですが、片方はほとんどゼロ、片方は四百ミリ、こういうようなことについては、どうしてこんなに気象条件の変化が起こるのか。昔はなかったんです。今はそういうことなんです。これを一時間単位に、しかも雨域をとらえてやるんだからいいじゃないかと言うけれども、そんなものは何も効果がありません。
 そういう点について気象庁はどう考えているか、私は聞きたいと思います。
#35
○説明員(櫃間道夫君) お答えいたします。
 去る九月十日の集中豪雨に際して有効な予報が出ていなかったのではないかという御指摘だと考えますが、気象庁では、従来から、気象衛星「ひまわり」、それからレーダー・アメダスなどの観測成果をもとに、またスーパーコンピューターによる数値予報を活用して、適切な予報及び警報を行うよう努めております。
 その日の大雨においては、当日十二時正午、十二時までのアメダスやレーダーの観測によりまして、それから当日朝から南に停滞していたレーダーエコー、それが引き続き停滞すると判断しまして、さらにその前の九月七日から八日にかけて台風第十五号による大雨がありましたが、そういうものを総合的に考慮しまして、十二時二十五分に大雨洪水注意報を発表しました。そして、関係防災機関に注意を呼びかけたところであります。その後、さらにアメダスやレーダーなどの実況を監視しまして、また南からの湿った空気が引き続き南伊豆に流れ込むと考えられたことから、十五時十五分に大雨洪水警報を発表して警戒を呼びかけました。
 その内容は、先ほどの先生のお話では内容がよくないというふうな御指摘がありましたけれども、この大雨洪水警報の内容は、実際には一時間に四十ミリ以上、三時間では百ミリ以上、総雨量は二百ミリを超えるというそういう内容でありました。
#36
○青木薪次君 これがおたくの発表なんです。今あなたの言ったことは、何にも関係ない。これでは困るんですよ。
 これは私が言っているんじゃないですよ。現地の皆さんが、これでは困る、常襲地帯だから今後においてまた何だか来るだろう、そういうことで、ひとつこの、例えば県の皆さん市の皆さん町の皆さんみんな、気象庁がやってくれないということは困ったものだと。おたくは、南から湿った雨がくるから前線を刺激して大雨が降るかもわからないぐらいのことを言ったかもわからぬ。しかし、その朝、私も聞きましたけれども、曇り後雨ぐらいのことは言ったかもしらぬ。しかし、どこが何ミリぐらいというような予測はやりませんよ。ですから、そういうことを、気象庁の権威にかけて、間違ってましたとか予報しなかったなんということは言えないと思うから、それはそれで理解はするけれども、一般の民衆は困ったものです、これは。信用しているわけにいかないということになるわけです。この点については、ひとつ反省をするところは反省するということでなければ困ります。
 それは予報体制が悪いんです。予報体制が悪いということは何かといったら、例えば、ことし、おたくの管理課長、合いますか、管理課長がだれか私のところへ来て、今度石廊崎の測候所は人を減らします、そう言った。そうしたら、その結果、漁業関係者や船舶から電話による問い合わせが殺到しているんです。深夜二時から早朝六時まで、この時間帯が一番多い。しかし、そこはそのときは無人なんですよ。したがって、そういう電話がかかると、その電話を経由して静岡の気象台へ皆行っちゃう。そうすると、気象台に電話が錯綜してベルが鳴って、何回も何回も電話をかからなければ、そこにいない場合だってあるわけでありますから、有効に作用しないということになるわけです。
 そういうことで、静岡の気象台というのは、私の事務所のあるすぐそばなんですけれども、一時間ごとのデータしか入りませんから、平均的な情報しか皆さんに伝えられないんです。風向きがどうですか、風速はどうですか、突風が吹いてませんかというようなことについて、現地の皆さんは対応できないんです。あそこら辺は海難事故多いし、下田の漁港に避難するでしょう。あるいはまた子浦とか妻良とか、そういうところへ。私もしょっちゅう行ってますけれども、そういうところへ避難するんです。
 ですから、この紀伊半島から千葉の房総沖に至もまでこの辺一帯が一番事故が多い、そのことについて対応できないじゃないか、こういう問題について私は大変残念に思いますが、この点についてはどうなんですか、転送電話でやっているんでしょう。
#37
○説明員(櫻岡勉君) 石廊崎測候所につきましては、ただいま先生から御指摘ございましたように、現在、夜間につきましては静岡
地方気象台で転送電話で問い合わせに答えておるということでございますが、石廊崎に若干問い合わせが多いということは承知しておりまして、その転送に若干今時間がかかりますので、ベルが途中で切れてしまう、そういう事情も承知しております。したがいまして、今後、転送に時間を要しないようなそういう形で対応していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#38
○青木薪次君 今、私は代弁して言っているんだけれども、おたくは信頼されていませんね。
 船から電話をかけたりなんかして、ザーザーいって、五回も六回も電話をかけ直しているなんていう余裕はありませんよ。片っ方はもう遭難するんじゃないかというおののきの中で電話をするんですから。そのときに、自動的に石廊崎から静岡の方へ転送されていく。おたくは僕のところへ説明に来てくれたときに、一切そういう御迷惑はかけませんということを言ったじゃありませんか。
 今回の予知予報体制、いわゆるゲリラ的集中豪雨について有効に観測の情報、予報の情報を知らせることができなかったということについて、どなたがどういうような答弁をしたにしても、現地の専門家が私に対してこれは困ったということを言っていることについて、あなた、素直に聞きなさい。その点ではどうなんですか。
#39
○説明員(櫻岡勉君) 転送電話の件につきましては、私ども、石廊崎測候所に持っております資料に加えまして、静岡地方気象台では、本庁から細かいたくさんの資料が行ってございますので、そういう解説にも十分対応できるという判断をしております。
 それから、監視の問題でございますけれども、確かにレーダーとアメダスを合成いたしまして監視するのは一時間に一回でございますけれども、その間にはレーダー画像を約七分置きに連続して監視している状況でございます。
#40
○青木薪次君 自分たちのやったことが間違いだとか粗相があるとかというようなことは言えないでしょう。おたくの権威もあるから私もこれ以上は言わないけれども、これは武士の情けだ。
 それでは、東海地震の観測の関係等について、おととしでしたか、もっと前ですな、富士山の山頂で有感地震があった。震度三から一だったんですよ。山頂には確かに地震計があった。しかし、その後私どもの意見を聞いて地震計を太郎坊へつけたでしょう。あの地震計は今どうなっていますか。
#41
○説明員(櫻岡勉君) ただいま先生から御指摘ございましたのは昭和六十二年の八月だったと記憶しておりますが、富士山測候所で有感地震を観測いたしたことにかんがみまして、臨時に地震計を設置しまして現在まで火山活動の把握に努めておるところでございますけれども、その以後幸い特段の異常は観測されておりません。
 今後も、火山活動に異常が認められました場合には直ちに火山機動観測班を派遣いたしまして監視体制を強化するというふうなことを考えでございます。
#42
○青木薪次君 私が質問したのは、太郎坊に地震計を設置したはずであるが、今どうなっていますかということです。
#43
○説明員(櫻岡勉君) 太郎坊におきましても、富士山の地震観測ということで一体的に状況把握を行っておるところでございます。
#44
○青木薪次君 今、太郎坊に地震計があるのかどうかと聞いているんです。
#45
○説明員(櫻岡勉君) まことに申しわけございませんけれども、担当課長に確認してございませんので、きょうはお答えはちょっと保留させていただきます。
#46
○青木薪次君 予知とか予報体制が全くなっていない。
 今、日本の火山の対応としては、一つはフィリピンのピナツボ山とかあるいはまた雲仙・普賢岳のように火砕流が発生して現地で大変困っているということと同時に、伊豆一帯のラインにおいては三宅島で溶岩が海まで迫ったでしょう。その後、三原山が爆発したでしょう。その後、伊豆伊東の手石の海底爆発、陸地から一キロのところで爆発したでしょう。
 そういう問題と富士山一帯との関係の中で、溶岩性のものであろうと何であろうと、富士山は活動火山として、前回の宝永山の爆発から今日までに既に二百七十年ぐらいたっている。雲仙・普賢岳が二百年たって爆発したでしょう。そういう問題についてずっと過去を調べてみると、百年周期で爆発しているところもある。しかし二百年を超して二百七十年たった今日において、今あなた方は、この前の富士山の有感地震から今日までの間に太郎坊にせっかく敷設した地震計、それを撤去して雲仙・普賢岳へ持っていったというようなことはありませんか。
#47
○説明員(櫻岡勉君) 雲仙岳の緊急的な体制整備のために雲仙岳に持っていきまして設置し、現在、観測、監視に利用しております。
#48
○青木薪次君 それをはっきり言えばいいじゃないですか。こんな重大なことを資料がないからわからないというようなことを言っているのは、間違いです。
 今、富士山がもしも活動火山で爆発したら一体どういう影響があるか。おたくも認めていると思うんだけれども、富士宮市、富士市、沼津市、裾野市、駿東郡、それから山梨県の富士吉田、その他御殿場からすべてが灰じんと化すじゃありませんか。そういうことを考えだち、今、活動火山としてみんなが関心を持って、全国で三番目にこれが危ない活動火山だといわれているそのところの地震計を、やっとつけたと思ったら、それを雲仙・普賢岳へ持っていった。持っていくのはいいですよ。持っていくのはいいけれども、それではその間の調査その他観測についてはどうするんですか。確かに周りには東大とかその他いろいろありますよ。ありますけれども、それを頼りにしているんですか。その点、どうなんですか。
#49
○説明員(櫻岡勉君) 先ほど冒頭で申し上げましたけれども、山頂だけの地震計ではございますけれども、現在までの状況では特に異常を認めておりません。ただし、今後そういう異常をキャッチいたしました場合には、火山機動班という体制をとっておりますので、即座に対応して監視体制を強化するというふうに考えております。
#50
○青木薪次君 山頂に昔からある、修理班がいるということは聞いておる。それは恐らく今あなたが言われた機動班じゃないと思う。しかし、人心の動揺があってはいけないので、現在まで被害はないということを言っているが、あったらどうするんですか。そういうことを考えて対応してもらわなければ困るんです。
 とにかくきょうは、そういう意味で、地震計なりひずみ計を見なければ東海地方を中心とした大地震の対応はできないわけですし、そのことが今心配されるときでありますから、早急に地震計をここへつけるようにということを要求しておきますが、いかがですか。
#51
○説明員(櫻岡勉君) 火山の監視につきましては、気象庁といたしましては、できるだけ整備を進めておるところでございますけれども、特に今緊急性の高い火山等から逐次整備し、また緊急の場合には、先ほど申しましたけれども、機動観測班の監視体制強化ということで対応してまいりたいと考えております。
#52
○青木薪次君 火山が爆発したら雲仙へ持っていったのをこっちへ持ってきますということにも聞こえるんだけれども、富士山の関係については大変な事態で、一昨年でしたか、伊東の手石の海底が爆発、それがだんだんと陸地へ迫ってきている。それと富士山の関係や伊豆七島その他の関係とどういう因果関係があるだろうかということで、この間、伊東市長とも話をしたわけでありますが、伊東の海底で地震が起きているときには三原山その他伊豆諸島については影響がない、向こうで起きているときは伊豆と関係ない、そういう因果関係としてとらえることがいいだろうか悪いだろうかという点も問題になっているわけでございます。
 そういう点について、国土庁長官、あなたのいわゆる管轄の中に入っているんだけれども、今の太郎坊にせっかく配置した地震計を雲仙・普賢岳へ持っていってしまった。早急にここに敷設するように、国土庁長官としてひとつここで明確な答弁をお願いしたい、こう思います。
#53
○国務大臣(西田司君) 自然災害の場合、いろいろ技術的、学問的にもまだ未知の分野がたくさんあると思うわけでございますが、しかし、災害に備えて何が一番重要かと申しますと、それは御指摘のように予知、予報であると思うわけであります。予知をしていく場合にはそれなりの監視体制というものが充実しておらないと完全に把握できない、これはお話のとおりでございます。
 さらにもう一つつけ加えますならば、予知したデータ、情報というものをどのように収集し、どのように伝達していくか、このことがさらに大事なことでございますし、またもう一つ、委員もお触れになりましたけれども、自主防災体制というものも極めて重要な要件だと思うわけでございます。
 そこで、御指摘になりました監視機器の雲仙への移動の問題でございますが、そのことも含めて防災対策上できるだけ設備、機能、そういうものを充実していくように政府として取り組んでまいりたい、このように考えております。
#54
○青木薪次君 終わります。
#55
○井上章平君 私は、千葉県の国分川放水トンネル事故、長良川河口ぜき問題、それに雲仙・普賢岳噴火災害の三点につきまして、建設省、国土庁にお伺いいたしたいと思います。同僚委員と若干質問が重複するところがありますことは、お許しいただきたいと思います。
 まず、国分川放水トンネルの事故についてでありますが、この事故で多くの方々が亡くなられました。まことに痛ましいことであり、心より御冥福をお祈り申し上げる次第であります。
 この事故につきましては、既に千葉県において事故調査委員会を発足させ、鋭意事故原因について調査が行われている旨、また、司直の手によってその責任についても究明が続けられておる旨、説明が先ほどあったわけであります。したがって、その結果を待たなければなりませんが、事態は極めて重大でありますので、この際この問題について建設省の御見解を二、三お伺いいたしたいと思います。
 まず、この国分川放水トンネルについてでありますが、このトンネルは真間川の洪水を排出させるための水路トンネルであると伺っておりますが、当然のことながら、そういう目的を持ったトンネルでありますから、工事中の現在においても洪水に際して極めて水の流入しやすい位置、構造となっていたと思います。そこで、先ほども御説明がありましたが、この水路トンネルの計画の概要についてごく簡単に御説明いただきた。いと思います。
#56
○政府委員(近藤徹君) 真間川の一支川として国分川があるわけでございますので、まず真間川でございますが、千葉県市川市、松戸市という人口密集地帯を貫流する河川でございます。その上流に位置する国分川もまた近年の松戸市の都市化のために流出量が増大する傾向にありまして、下流の真間川はもうこれ以上河道を拡幅する余地もないというところから、松戸市内の都市化の進行している区域の水を集めまして、流域面積十九・四平方キロの水を集めまして坂川を通して江戸川に排水するという計画でございます。
 この計画につきましては、昭和四十八年に国庫補助事業として採択し、開水路部分に着手したわけでございます。昭和五十九年にトンネル区間の計画化に着手したものでございますが、このトンネルの計画は、半径三・八メーター、全長三千三百六十二メーターのうちトンネル区間は二千五百五十メーターとなっておりまして、将来的には約百トンの洪水を江戸川にはく計画として進めておるものでございます。
#57
○井上章平君 次に、この事故の発生の経緯についてでありますが、これは現在恐らく調査中ということでありましょうが、気象条件、出水の概要、あるいは流入防止工の破壊に至る経緯等につきまして、説明できる範囲で結構でございますが、お願いをいたします。
#58
○政府委員(近藤徹君) 当該トンネルは、上流側及び下流側からそれぞれ掘削を進めておったところでございます。
 まず、上流呑口部におきましては、H型鋼及び土のうによる流入防止工を設置し、呑口部より掘削いたしまして、約千六百メーター掘り進んでいた段階で当日を迎えたわけでございます。当日は連続雨量二百二十一ミリに達する集中豪雨でございまして、午後四時半の段階で分水路呑口部より洪水が流入しつつあったところからいろいろ避難等の対応をしておったわけでございますが、残念ながら、五時の段階で分水路呑口部にございます流入防止工が破壊され、トンネル内部に洪水が流入いたしました。
 トンネル内部では十一名の作業員が従事しておったわけでございますが、うち四名は中間立て坑より脱出し、結果的に七名の方が逃げおくれて閉じ込められたわけでございます。関係者の懸命な努力による捜索活動にもかかわらず、七名の方がお亡くなりになるという大変悲惨な事故となったわけでございまして、人命、財産を守る河川事業の中でこのような悲惨な事故が発生したことは、我々も含めて関係者大変残念で仕方ないわけでございます。
 私どもは、このような事故が再び起こらないように、今回の事故原因についての究明に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#59
○井上章平君 今回の事故の直接の原因が、ただいま説明のありましたトンネルの入り口に設けられた流入防止工の破壊にあることは明瞭であります。したがって、この施設についての見解を伺いたいわけでありますが、まず、このような工事用の仮締め切りにつきましては、本来はそれほど大きな外力を想定しないのが通例であります。それは、その設置目的が作業現場に水が流入することによる工事の中断、あるいは水没による手戻り、排水の経費増等々を防ぐためのものでありますから、この仮締め切りの工事費用とそれらの起きた場合の損失とを比較考量した中でどの程度の出水にまで耐え得る構造とするのかが決められるものであるというふうに思うのでありますが、この点をまずお伺いしておきたい。
 それから、そうなりますと、当然のことながら水の流入による工事中断となるわけでありますから、そのときは当然作業員はすべて現場から退去していることが前提になるわけであります。どころが、今回の事故を見ると、この流入防止工に設計外力を超える大きな洪水が発生して設計水位を超えて高い水位となったために破壊に至ったのではないかというような推定もあるようでありますが、そのような事態に際して現場作業員の退去がなぜ間に合わなかったのかということになるわけであります。この点も調査中ということでございましょうが、見解をお伺いいたしたいと思います。
#60
○政府委員(近藤徹君) 今回の流入防止工は、おっしゃるとおり、工事中の工事箇所の安全を確保するということが基本的でございます。したがいまして、その工事箇所が水中もしくは出水により冠水するおそれがある場合に、ある限度をもってその箇所内に水が流入することを防ぐわけでございますが、本来、目的物ではございませんし、工事期間中の工事が可能な期間を確保するという観点でございますから、一切流入を拒むということでもなければ、ある程度工事再開のための手戻りの内容とか、総合的な判断があるわけでございます。
 しかしながら、人命を守るということは基本的でございますから、おっしゃるとおり、その真として退去の問題があったのではないかということは御指摘のとおりだろうと思います。私ども、この退去の問題につきましては、関係の機関で調査をしておるところでございますので、その調査結果を待ちながら、判明した段階でまた十分御説明を申し上げたいと存じまするが、いずれにしても、これらの問題がある程度徹底していなかったのではないかという懸念もございます。
 これらの今回の調査の結果を踏まえまして、その仮設物の機能の限界等を十分踏まえつつ、その裏には退去の問題があるということを工事関係者並びにその計画者等にも徹底ずみ努力がこれからも必要であるというふうに考えております。
#61
○井上章平君 もう一つ、この事故の背景として重要な問題があると私は思うわけであります。
 それは、今回の事故が真間川の洪水の溢流によって引き起こされたと言われておるわけでありますが、このような小河川の洪水というものはしばしば極めて局地的な豪雨によって、この真間川も当該トンネルの地点で、先ほど流域面積十九平方キロということでございましたが、そういう小河川でありまして、そうなりますと、恐らくほんの十分か二十分といったような、それも馬の背を分けるような局地豪雨に起因して途方もない洪水が出るということが起こり得るわけであります。先ほど青木先生も伊豆の例としてそういうことをお取り上げになられましたが、小河川というのは本来そういう危険を常に持っているということをよく認識いたしませんと、小さい川は小さいから安全だというようなことでは決してないということであります。
 こういう洪水が、しかもほとんど豪雨と洪水が同時発生型になる。ほとんど時間の余裕もなくあっという間に洪水となって当該地点に流下してくるということになるわけであります。こういった小河川流域、しかも、この真間川といいますのは、この事業目的が都市小河川による総合治水対策事業と言われておりますように、まさに開発されつつある都市のただ中にあったわけでありますからなおさらのことでありますが、こういった外力を受ける、こういった局地洪水を受ける流入防止工であったということであります。
 結果論でございますが、あの大雨の中ぎりぎりまで作業をしていたというようなことであるようでありますが、果たして今回の場合どのような気象あるいは洪水情報が掌握されておったのか、その情報伝達体制がどのように用意されていたのか、この点につきましても、この国分川トンネルについてもございますが、一般に例えば下水道事業等でも同様な条件下で工事が多く行われておるわけでありますが、そういった配慮がなされておるかどうかということについて、建設省の見解をお伺いいたしたいと思います。
#62
○政府委員(近藤徹君) 私ども、全国の大河川の流出の状況を把握するために、雨量計並びにテレメーターの水位計あるいは雨量計を配置しております。また同時に、降雨の状況を把握するために雨量レーダーを配置してこれらを補完しておるわけでございます。
 大河川におきましては水位計あるいは雨量計と雨量レーダーの組み合わせによって流出の予測をするわけでございますが、おっしゃるとおり、小河川になりますと、十分あるいは二十分程度の降雨によって出水するというようなこともございまして、雨量の段階から把握する必要があり、その意味では雨量レーダーは極めて予知予測の上でも重要な手段でございまして、これらの充実に努めておるところでございます。
 従来から、建設省が全国各地で設置してまいりました雨量レーダーの結果を、建設省関係の機関のみならず、地方自治体あるいは民間等でもこれを利用していただくべく、昭和六十年十月に財団法人河川情報センターを設立し、私どもで把握した情報を御要望のあるところにはリアルタイムでお送りするよう努力しておるところでございまして、既に大変な成果を得ておるわけでございます。
 この国分川流域の工事においても、関係者がその端末を持っていたかどうかちょっと私現時点では承知はしておりませんが、当時の降雨情報につきましては、事故の起こる一時間半前の三特段階で千葉県の真間川改修事務所より施工業者の方へ時間雨量の降っている状況の連絡があったと記録されておりますので、恐らく事務所においてはこの雨量を観測しつつ連絡しておったのではないかと推察する次第でございます。
#63
○井上章平君 先ほど青木先生からありましたが、アメダスが十七キロメッシュで観測網が整備されている、これでは何平方キロというような小河川では役に立たないのですね。
 ただいまお話のありました雨量レーダー、これはたしか三キロメッシュ、したがって九平方キロの範囲内の平均降雨量というものが観測されるわけでありますし、しかも、たしかこれは五分ごとの値を観測するというような、そしてリアルタイムでそれは送られてくるわけでありますが、こういった狭い範囲の短時間の集中豪雨の観測ということになりますと、何といいますか、現在最も期待され、信頼されるシステムであるわけであります。したがって、当然こういった小河川流域の洪水を知る上で極めて重要な情報源となり得るわけであります。
 しかし、これが情報として得られましても、この国分川トンネルの場合、何分後に流入防止工にどのような水位の水が押し寄せてくるのかということになりますと、これはよほど熟練の人でないとなかなか予見は難しいと思います。しかも、それであの防止工が一体どういうことになるのか、壊れるのかもつのか、トンネル内に水が入る可能性があるのかどうかというようなことになると、これはその場に臨んで的確な判断を求めることは極めて不可能に近いのではないかと思われるわけであります。
 このような点をよく考えますと、結局のところ、こういった小河川流域で洪水を受けやすい状況下で作業を行うということになりますと、大雨対策として、早目に作業員の退避を行うように前もって作業管理方式をしっかり決めて、それを確実に実行するということに帰するわけであります。このように思われるわけでありますが、さて、この国分川トンネルでどのような情報のもとで作業体制を管理しようとされておったのか、お伺いいたしたいと思います。
#64
○政府委員(近藤徹君) 大変小さい流域で瞬間的に豪雨が出るということでございますから、早目な退去が基本であるということはおっしゃるまでもないことでございます。
 当時どのような作業管理方式であったかということは、関係者が調査に入っておる段階でございますので、私どもも、その調査結果を待ってこの原因の究明をさらに深めると同時に、このようなものが少なくとも我々の所管しておる事業の中で二度と起こらないように努力してまいりたいと考えております。
 先ほどからもいろいろお話もありますように、流入部における設計思想あるいはトンネル内における関係者の安全に対する物の考え方、それらの間にどのような認識の差があったのか。これらはまず関係者の調査の中で解明されていくべきだと思いますが、基本的には、私どもも、このような狭い流域の短時間に流出する河川においては早期退去が基本であろうと思うわけであります。
 一方で、松戸市内の長年の湛水、浸水の経験から、恐らく千葉県当局も施工業者も一日も早いトンネルの開通を望んでおったと思いますし、それらの中であるいは安全性に関する考えの中に盲点があったのか、これは事故調査委員会の結果を待ちたいと考えておる次第でございます。
#65
○井上章平君 ありがとうございました。
 次に、このような事故を受けていつも感ずることでございますが、建設工事の安全対策についてであります。
 残念ながら、建設産業はいわゆる三K産業の代表とされております。きつい、汚い、そして危険ということであるようでありますが、最も深刻なことは、大変危険な仕事というイメージであります。それは、今度の事故でもわかりますように、作業現場は常に厳しい自然にさらされており、しかも多くの制約を受けた条件のもとでの作業であるからであります。それだけに、安全に対する配慮はどの産業よりも重要な意味を持つものと思われるわけであります。
 そこで、この安全対策について、二、三建設省の御見解をお伺いいたしたいど思います。
 まず、建設省としては、建設工事の安全対策についてどのように建設業界を指導してこられたのか、また、特に今回の事故に関連して、この種の事故の再発防止のためにどのような措置を講じられたか、お伺いいたしたいと思います。
#66
○政府委員(伴襄君) お答え申し上げます。
 建設業の労働災害をなるべく減少し、できればなくすということは、先生御指摘のとおり、建設業にとりまして極めて大きなまことに重い課題だというふうに思っております。建設業にとりまして、安全性を確保したり向上したりということは、今、建設産業で構造改善を進めておりますけれども、その中心的課題だと思っておりますし、また同時に、この構造改善全体の前提条件だと思っておるわけでございます。
 そこで、建設省としましては、建設業における労働災害防止のために、今、建設産業における生産システムの合理化指針というものを出しておりまして、そういったものに基づきまして労働安全衛生法を遵守してもらうこととか、あるいは総合工事業者が専門工事業者を選定するときに労働安全管理の状況がどうかというようなことを把握して選定するとか、あるいは職長に対する安全教育を徹底するとか、そういうようなことを指導しておりますが、同時に、高所とか今回のような地下深所というような作業の場合のロボット化等々、現場での危険な作業の自動化を推進するといったようなことをやりまして、各般の施策を推進しているところでございます。
 同時に、労働省がこういうことの監督官庁でもございますので、労働省の労働基準局と建設業における労働災害にかかわる連絡会議というのをことしの四月に設けておりまして、労働省との間でも一層の連携を進めているところでございます。
 さらに、今後、建設現場の安全確保を図るために、建設業界の英知を結集しまして、関係方面の強力な支援を得ながら建設工事の安全確保のための総合的な指針を策定いたしまして、構造改善の中心的な課題の一つとして、官民挙げて建設労働災害の防止に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
#67
○井上章平君 次に、こういう問題は単に建設業界に注意を喚起し、あるいは指導通達を流すということだけではなかなか実効が上がらないわけであります。
 最も大切なことは、作業現場の有効な安全管理体制についてそれを確実に実行することにあると思います。それは、建設産業が受注産業であることから考えますと、まず発注者において必要にして十分な安全のための経費を計上し、これを確実に実行させるということに尽きるわけでありますが、建設省の所管する公共土木工事についてどのように安全のための経費が積算されているかということをお伺いしたいことが一つであります。
 それから次に、その実行が担保されるためには、契約に当たって仕様書でありますとか設計図書などに具体的にはっきり記載されてそれが確実に履行されるということになるべきだと思いますが、この点どうなっているのか。どうも請負契約が総価契約であるためにどれだけ積算されているのか、どれだけ実際支出されているかがはっきりしないというのが通例であります。安全対策経費が共通経費の中に埋没して表へ出ない。実際にどのような対策が講じられているかはまさに業者任せというようなことが実態ではないかと思われるわけでありますが、この点についてお伺いいたしたいと思います。
#68
○説明員(豊田高司君) お答え申し上げます。
 公共土木工事の発注に際しましては、法令等によりまして予定価格を定めることとされております。
 この予定価格は、工事施工に必要な材料費、労務費、直接経費、この三つから成ります費目を直接工事費と申しておりますが、この直接工事費と、さらに今おっしゃいました共通仮設費、それから現場でいろいろ管理するための経費を現場管理費と申しておりますが、この現場管理費、この二つを間接工事費と申しておりますが、それと本社経費等の一般管理費、この三つを合計いたしました積算額を求めまして、これをもとに定めたその総額でございます。
 この積算額を定めるに当たりましては、工事施工に必要な安全対策経費は、共通仮設費の中の安全費、仮設費、それから現場管理費の中の安全衛生に関する費用、それぞれに計上されておるところでございます。
 これが一般の積み上げ方でございますが、特に工事の内容に応じて直接積み上げる計算をする場合もございます。このような場合は、発注者の定める予定価格の中に安全対策に必要な経費が適正に計上されていることが重要であると考えております。
 このように、公共土木工事の発注に際しましては、その予定価格の中に適正な安全対策費を計上しているところでございます。
 それからもう一つ、この積算基準でございますが、これは制定以来これまでにも実態と整合を図るためにたびたび必要な改正を行ってきたところでございます。本年は十五年ぶりに安全経費を含めまして共通仮設費と現場管理費につきまして実態調査を大規模に実施し、現在分析中でございます。この分析結果に基づきまして積算基準に的確に反映してまいりたい、このように思っております。
 また、積み上げが必要なものにつきましては、個々の現場条件に適合した経費を適正に計上するよう、通達により周知徹底を図っているところであります。
 それから、このような積算で見たものをいかにして実際に実施していただくかということが大事な点になるわけでございまして、このような場合には、工事の円滑な実施を図るためには発注に際しまして工事の施工条件を設計図書に明示することが重要であるというふうに考えております。安全対策につきましても、積算となります施工条件を明示することによりまして受注した請負業者がそのとおり実施できるように努めているところでございまして、その施工条件の明示につきましては、具体的な内容を取りまとめた通達等により、都道府県、市町村等に周知徹底を図っているところでございます。
#69
○井上章平君 建設産業が労働災害の四割強を占めているということは、ここに労働省の建設業安全衛生年鑑というような統計資料がありますが、過去ずっと追ってみましても変わらない現実であります。就労人口の比率が全産業の一〇%弱ということから考えましても、どうも三K産業の最たるものと言わざるを得ないわけであります。これでは二十一世紀に向けて果たして近代産業として生き残れるのかという思いもいたします。
 今後、住宅、社会資本の整備はますます重要となります。このような拡大する需要に対して今後どのように安全施工、安全な職場づくりに取り組もうとされておるのかということになるわけでありますが、ただいま建設省からいろいろ見解をお伺いしてきたところであります。
 建設大臣、今までの質疑をお聞き願ったと思いますが、今回の事故並びに今後の安全対策について、建設省としての取り組み方につきまして大臣の御見解を伺いまして、次の質問に移りたいと思います。
#70
○国務大臣(大塚雄司君) 先ほど来、河川局長、建設経済局長、技術審議官からそれぞれお答えを申し上げたのに尽きるわけでありますが、我が国の国土は災害に本当に見舞われやすい条件にあるわけでありまして、この災害からいかに守っていくかということが基本的にいかに大事であるかは申すまでもないわけであります。
 特に河川に関しましては、六年前に河川情報センターを設立して先ほど局長からお話を申し上げたような情報の提供をするようにいたしておりまして、国分川の場合にも、直接現場までは端末機があったのではないにしても、あったと同じような連絡が行っておったはずでございまして、そういうようなことができているにもかかわらずこのような痛ましい事故が発生したことは本当に遺憾なことでございまして、気の緩みはなかっただろうかというようなことも考えるわけでありますが、それぞれの現場ではそのようなことを踏まえて本当に真剣に取り組んできていると私は確信をいたしておるところでございます。
 しかし、起きたこの事故は重大でありますから、千葉県に設けられました事故調査委員会の結果を待ちまして、今後二度とこのようなことが発生しないように万般の対策を講じてまいりたい、このように思っておるところでございます。
#71
○井上章平君 それでは、次に長良川河口ぜき問題についてお伺いいたしたいと思います。
 この長良川河口ぜきにつきましては、計画の段階から見ると実に三十年近い長い経緯があります。さまざまな調査を進め、地元の方々の各般の御理解のもとに、ようやく昭和六十三年に工事着工に至ったと聞いておるわけであります。ところが、この工事着工によって長良川に現実に河口ぜきのせき柱が水面からあらわれるようになりまして、主として自然環境の保護といった観点からにわかに強い反対運動が起きておることは、御承知のとおりであろうと思います。そこで、なぜこのようなことになったのか、また今後どのように対処していくべきなのかということにつきまして、二、三建設省にお伺いいたしたいと思います。
 まず、建設目的についてであります。
 このせきが当初は利水専用であったのが、いつの間にか治水目的を前面に出してきたというような声があるわけであります。しかし、私は、そもそもこれだけのビッグプロジェクト、総工費が千五百億円にも及ぶ施設でありますから、当然その効果を多目的に最大限に発揮させようとする、例えば長良川の豊かな清流をこの地域の発展に利用しようとする、あるいはこのせきの持つ潮どめ効果によって河床をうんと掘り下げて抜本的な治水効果を図るというようなことであろうかと思うわけであります。
 こういったことは他の河川の同様の河口ぜきと何ら変わらないと思うのでありますが、この点についてお伺いいたしたいと思います。
#72
○政府委員(近藤徹君) 長良川が貫流する濃尾平野は我が国最大のゼロメートル地帯でもございますし、また歴史的にも有名な宝暦治水や明治のオランダ人技師による改修工事が全国でも先駆的に行われてきたということでもおわかりいただけますように、大変古くから水害に苦しめられてきた地域でございます。
 昭和三十年代には伊勢湾台風、あるいは昭和三十五年、三十六年と連年のごとく水害が発生いたしまして、これらの経緯から、昭和四十年に抜本的に治水計画が改定されたわけでございますが、これによりまして従来の計画高水流量四千五百トンを七千五百トンを流す現計画として確定したものでございます。
 明治時代に改修したときに既に十五万立方尺・毎秒、現在のディメンションで換算いたしますと約四千百七十トンと、当時でもかなり大きな治水計画であったわけでございますが、この洪水を迎える時点では四千五百トンでございました。昭和二十二年、二十三年には東日本でキャスリーン、アイオン台風による利根川や北上川の大破堤を見ましたし、昭和二十八年には西日本で筑後川を初めとする大水害があり、中部地方における大水害が若干立ちおくれておりましたが、当時、戦後の復興計画と相まちまして、治水の安全度を確保することは緊急の課題であり、そのため治水計画の検討がなされておったやさきにこの伊勢湾台風初め大洪水を迎え、結果、昭和四十年にこの現在の計画が確定したものでございます一いずれにしても、長い間、長良川における治水計画の規模拡大は緊急の課題であったわけでございます。
 これらの計画の確定に当たっては、長良川の大規模しゅんせつがさまざまの検討経過においても最も現実的な計画であるということから、大規模しゅんせつによって河道を拡幅することを前提とし、そのために、結果起こる海水の遡上、塩水遡上による塩害の防止のために長良川河口ぜき計画が同時に確定したものでございます。
 なお、このせきの大規模しゅんせつの前提であります潮どめぜきにつきましては、現在全国で百九水系中野に五十三あるわけでございまして、これらのせきと潮どめ機能という点では何ら変わるところはございません。ただ、事業名が「河口堰」となっておるだけでございます。
 また、大規模しゅんせつによる塩害の例といたしましては、既に戦後大規模しゅんせつを実施しました利根川におきまして昭和三十三年の渇水の年に三万ヘクタールに及ぶ大塩害を経験いたしまして、地域の強い要望があって利根川河口ぜきが実施に至ったわけでございます。したがいまして、長良川におきましては、この利根川の教訓にかんがみまして、大規模しゅんせつに先立ちまして河口ぜきを設置することとしたわけでございます。
 同時に、せっかく建設する大規模事業でございますから、中部圏の発展のために水資源を開発するものとして、現計画が昭和四十三年に閣議決定として水資源開発基本計画の中に定められたわけでございます。もとより、この計画は関係県知事、関係機関の協議のもとに閣議決定をなされ、その計画は現在に至るまで一切変更なされてないわけでございまして、このせきは、歴史的な経緯から見て、治水計画の拡大が緊急な課題の中で生まれた計画でございまして、現在この地域がさらに地盤沈下の危険のある地域であることと中部圏の人口増加の地域であることもあり、その重要性はなお一層増しておると私どもは考えております。
#73
○井上章平君 その治水目的につきましても、河床掘削が不要であるとか、あるいは塩水の遡上があっても被害が起きないというような意見もあるわけであります。しかし、私の知るところでは、この長良川は過去数百年にわたって洪水災害に苦しんだ歴史があり、この治川に住む七十万近い人々にとっては今なお長良川の治水はその地域の最も重要な課題であるというふうに認識をいたしておるわけでありますが、一体、本来長良川の最大の利害関係者と思われる方々、この地元の河口ぜきについての反応はどういうことになっておるのか、御説明いただきたいと思います。
#74
○政府委員(近藤徹君) この地域、長良川沿川六十七万人の住民の生命、財産を守る事業でございますから、これらの事業の目的については従来からも関係地域に説明してまいりましたし、岐阜、三重、愛知、三県知事の強力な推進の御要請もあり、特に昭和五十一年には安八町における長良川の破堤という大災害を経験いたしまして、関係一市十一町の皆様から強力に推進の要望が出ておるわけでございます。
 私どもは、この事業につきまして反対の御意見がいろいろなところで聞かれるわけでございますが、特にしゅんせつは必要ないとか、あるいは塩害は起こらないとかというものについては関係地域の住民の皆様には十分説明してきたつもりでございますし、その御理解の上に立って早期完成の御要望が出ているものと考えております。
#75
○井上章平君 自然環境の保護につきまして強い要望があるわけでありますが、このような状況を受けまして、環境庁と建設省の間で、昨年十二月の環境庁見解を踏まえまして、環境保全にかかわる追加調査に着手することになったと聞いております。
 その経緯、その追加調査の実施状況はどうなっているのか、あるいはこの追加調査に関連して、その結論を得るまで河口ぜきの工事を中断すべきというような意見もあるわけでありますが、この点について、簡単で結構でございますが、御説明いただきたいと思います。
#76
○政府委員(近藤徹君) 冒頭にちょっと訂正させていただきます。先ほど一市十一町と申し上げましたのは、三市七町一村でございます。
 それで、昨年、当時の環境庁長官が、長良川河口ぜき及び類似のせきを視察した結果として十二月に長官の見解を発表いたしました。この内容につきましては、当時の建設大臣がその基本的事項について協議を行いまして、合意を得たわけでございます。この長官見解に基づきまして、建設省及び水資源開発公団は環境庁との間で、従来実施してまいりました環境調査の結果について点検を行いました結果、本年三月末に、さらに万全を期するため一部の項目について念のため追加調査を行い、一応本年度末においてその結果を住民の皆様に御説明するということで実施しているところでございます。
 まず、従来実施してきた環境調査の内容でございますが、この計画に着手する五年前の昭和三十八年から、特に長良川の水生生物につきましては徹底的な調査を約九十名から成る専門調査団によって行いまして、その結果を漁業関係者を初めとする流域の皆様に御説明し、絶えずフィードバックしながら取りまとめを行い、その内容について十分合意を得るまで努力してまいったわけでございます。また、陸上動植物におきましても、定期的にほぼ五年から十年置きぐらいに調査を進めてきておりまして、私ども、この調査結果においては現技術水準では最高の調査を進めてきたと考えております。
 しかしながら、環境庁との従来の調査の点検の中におきまして、まず第一点、水質についてでございますが、従来から私どもが行ってきた各種調査の結果、また、既設の類似のせきの事例等を参考にして、河口ぜきの設置に伴って水質の悪化や藻類の異常増殖による集積現象が生じないことは既に明らかと考えておりますが、それらの点についてまだ現在確立していない水質シミュレーション方式を試行的に実施してみようということで合意を見て、そのための調査を現在行っております。
 また、底生魚であるカジカ類についてでございますが、長良川の魚種の大きな課題でありますアユ、サツキマス、ウナギ等については十分な調査を行ってきました。しかし、カジカ類についてはもともと魚獲の対象となっておりませんし、その実績調査もないわけでございますが、念には念を期するため、この問題について現在調査を行うことといたしました。
 三点目でございますが、現在、自然植生のある区域の中で、改変すること、いわば高水敷を造成することによって植生が変わるおそれがあるのではないかという部分につきまして、今後の植生の変化を考え、また、その部分にすんでいる動植物等について調査を行うこととしておりますが、なお、その部分というのは、現在高水敷として予定されている中の約三%でございまして、全体から見れば、基本的には貴重動植物等に対する影響は少ないものと考えております。
 しかしながら、環境庁との間では、これらに万全を期するためにこの調査を追加した状況でございまして、一応、本年度末にはこれらの結果を取りまとめて、住民の皆様にさらに環境の保全に万全を尽くしたということを御理解いただくよう説明してまいりたいと考えております。
#77
○井上章平君 この長良川河口ぜき問題をいろいろ伺っておりますと、どうも河口ぜきというよりは長良川そのものに行き着くわけであります。
 過日の長良川河口堰建設に反対する会というのの新聞の意見広告がここにございます。この内容の批判をここで行うつもりはありませんが、これを見ましても、長良川は我が国唯一の天然河川、我が国最後の天然河川というような記載が繰り返し出てくるわけであります。自然環境豊かな河川という意味では長良川にとってまことに名誉なことではあろうと思いますが、私の認識からすると、これは全く逆でありまして、この長良川が濃尾平野の長年の治水対策の中でようやく独立した河川として伊勢湾に河口を持つようになったのは、近々百年にも満たない。それまでは木曽川の支川であったり揖斐川の支川であったり、洪水ごとに流路を変えてきた旧だからこそ、この長良川沿川に住む人々にとって治水が特別の意味を持つようになっておると理解されるわけであります。
 このように、今日の長良川の姿がいわゆる明治の三川分流工事によってつくられた全くの人工河川であるということであります。この魅力ある自然環境豊かな河川と評価されておる長良川の今日のたたずまい、それはそのように長年かかってつくり上げられ維持されてきたからにほかならないということであると思います。したがって、これからも良好に維持されなければならないのは当然でありますが、長良川の治水対策をなお一層進めてほしいという沿川住民の強い願いもあるわけでありますから、建設省としてはそういった声も十分くみ上げ、またこの長良川の持つ自然豊かな環境をこれからもずっと維持していこうというような姿勢がなくてはならないと思うわけであります。
 ちょっと予定していた時間が過ぎましたので、終わりに改めてこの問題に対処する建設大臣の御所見をお伺いいたしまして、次の問題に移りたいと思います。
#78
○国務大臣(大塚雄司君) 先生は河川の問題では専門家でございます。先ほどの事故対策を初め、河口ぜきの問題に対しまして大所高所からの御意見を含めて御質問をいただいたわけでございますが、大変ありがたく思っております。
 先ほど河川局長から申し上げましたように、長良川河口ぜきの問題は長い間研究を積み重ねてこの計画を立ててきたものでございまして、日本列島千百平方メートルに及ぶゼロメートル地帯の中の四割を占めるこの長良川の住民の皆様方の意向は、三市七町一村のそれぞれの市町村長さんや市町村議会の大方の方々の御意見として吸い上げられて、この計画に対しまして推進方の御要望があるわけです。
 私も現場に参りまして様子を見てまいりまして、住民の方々や議会の方々にもお会いをして、意見を聞いてまいりました。恐らく意見広告を含めた反対をされる方々も自然を守る点ではいろいろな貴重な意見をお持ちでありましょうが、それ以上に、その治川に住んでおられる方々は直接自然環境に影響を持つ方々でありますから、生命、財産を守るという点でも貴重な御意見をお持ちであろうと思います。自然環境を守る点でも、そのような意見は反対の方とそう違わないと私は判断をいたしております。
 過去の歴史等を考えたり最近の水に関する犠牲者が出ている姿を見ますと、三市七町一村の代表の方々の御意見のとおり、一刻も早くこの事業を完成して安心していただくということが非常に大事である、こういう認識でございますので、これからもこの問題には真剣に取り組んで一日も早い完成を期してまいりたい、このように考えております。
#79
○井上章平君 それでは次に、雲仙・普賢岳噴火災害について国土庁にお伺いいたしたいと思います。
 この様子は、毎日、テレビ等で拝見いたしておるわけでありますけれども、時々刻々変化をいたしているようであります。現在の状況あるいは被災者の避難状況等について、まず簡単に御説明いただきたいと思います。
#80
○政府委員(鹿島尚武君) 雲仙・普賢岳は現在も活動は盛んに行われております。
 現時点におきます雲仙岳噴火災害によります被害の状況を申し上げてみますと、六月三日を初めとする三回の規模の大きい火砕流、そしてまた六月三十日の土石流等によりまして、人的被害で死者四十名、行方不明者三名、負傷者十一名、また、物的被害といたしまして住家被害で全壊、半壊、一部破損等合わせまして二百六十三棟等となっております。
 なお、公共土木施設、農地、農業施設等の施設災害関係につきましては、六月二百の規模の大きい火砕流発生以来、警戒区域の設定等により立ち入りができませんので、現地での調査が困難な状況にございます。
 また、住民の避難状況につきましては、現在、警戒区域の設定等によりまして島原市と深江町を合わせましてなお九千九百名余りの住民の方々が避難の対象となっております。そのうち五千七百名余りの住民の方々が応急仮設住宅、ホテル、旅館等に避難をいたしてございますけれども、応急仮設住宅の入居者は千三十二世帯、四千三百七十名となっております。
 応急仮設住宅の建設計画の戸数は千四百五十五戸を予定いたしておりまして、ただいま四百十三戸を建設中でございます。ホテル、旅館等に入居されております四百七世帯の方々につきましては、希望があれば今後完成を待ってこちらの方に移っていただくことが可能だというふうに聞いております。
#81
○井上章平君 既に長期にわたり災害は継続しておるわけでありますが、雲仙の過去の噴火の歴史から見ましてももう終息に近づくんではないかというような期待もあるわけであります。被災現地の惨状はもとより筆舌に尽くしがたいものでありますが、現状で終息した場合、どのような対策、復旧が可能であるのか。端的に言えば果たして自宅に帰れるのかどうかという関心も非常に高いわけでありますが、被災民の生活再建は今後どのような青写真が描かれ、それが実施に移されるという見通しになるのか、手順につきましてお伺いいたしたいわけであります。
#82
○政府委員(鹿島尚武君) 今回の雲仙岳噴火災害につきましては、住民の避難が長期化しております。そしてまた、市街地に比較的近接をした地点で発生をしております。そこで、この地域の生活環境、経済活動に多大な影響を与えておりますので、御指摘のとおり、噴火活動が鎮静化した段階で直ちに、長崎県が中心となりまして、被災地域の災害復旧そしてまた防災に配慮した地域づくり、周辺市町村を含む地域の振興、活性化等を図ることが大変重要なことであろうというふうに考えております。
 このため、私どもといたしましては、長崎県に対しまして、今の時点から国と地元市町と緊密な連携をとりまして、雲仙岳噴火活動終息後直ちにこの地域の災害復旧が的確に行われまして、また住民の方々が将来の展望を持って生業あるいは生活の積極運営ができますように、具体的な災害復旧計画の策定等事前の準備を急ぐとともに、将来の防災地域づくり、地域の振興、活性化について調査検討を進めるように指導することといたしておりまして、このことは八月二十三日に非常災害対策本部において決定されたところでございます。この線に沿いまして、ただいま長崎県を指導しておるところでございます。
 なお、長崎県におきましては復興室というものを設けまして復興対策の検討を進めていると聞いております。
 国土庁におきましては、県からの申し入れがあればいつでも協議に応じて支援をしていくという体制を整えているところでございます。
#83
○井上章平君 既に検討を開始しているという御説明でございますが、被災者の多くは突然今までの生活を失って以来既に五カ月に近いわけであります。これからの生活がどうなるのかという思いはひとしおと思われます。将来の展望について、国土庁長官の御見解をお伺いいたしたいと思います。
#84
○国務大臣(西田司君) 雲仙岳周辺というのは、御案内のようにまだ火山活動が活発でございまして、いろいろな調査というものができる段階ではございません。終息を待って、関係地方公共団体と一体になりまして、これらの調査をして、そして災害を受けられた方々が将来に対して夢と希望を持てるような防災的に強い、あるいは町の活気を取り戻していく、ひいてはあの地方全体の振興を図っていくという観点から、ただいま防災局長がお答えをいたしましたようなことで、県は県、国は国、それぞれそれらの問題に今鋭意取り組んでおるところでございます。
 なお、県の計画が出てまいりましたならば、関係省庁ともよく連絡調整をいたしながら政府として全面的な支援をしていかなければいけない、こういう考え方で今後取り組んでまいります。
#85
○井上章平君 ありがとうございました。
 最後に、実は台風十九号の接近に伴って大変心配をされたわけでありますが、また今後、水無川の火山灰あるいは溶岩等の堆積の状況から見て土石流災害が大変心配されるところであります。これは、なかなか手がつかないということもありましょうが、今まで何か対策を講じてきたのか、あるいは今後どのような対策を講じるつもりであるのか、その辺につきましてお伺いして、この問題の質問を終わりたいと思います。
#86
○政府委員(近藤徹君) 昨年十一月十七日に噴火以来、この地域は大変な火山灰が降ったわけでございますので、これらに対する土石流対策ということで、砂防ダムに埋塞した土砂の除去、また水無川下流部におきましては災害復旧事業による埋塞土砂の除去等を進めておりまして、五月十五日の段階におきましては十分実施しておったわけでございます。なおかつその時点では、水無川における災害関連緊急砂防事業といたしまして、事業費三十二億三千四百万円をもって火山噴出物を捕捉するための砂防施設五基の新設を決定したところでございました。
 しかしながら、五月二十四日から火砕流が始まりまして、六月三日には死者四十名になんなんとする人身災害があり、六月八日にはさらにそれを上回る大規模な火砕流が発生した状況下におきましては、当該地域への立ち入りが不可能になりまして、現在その後の噴出土砂に対する計画等はまだ確定できない状況でございます。
 なお、近隣の湯江川等につきましては、既に砂防ダム等の事業計画を採択いたしまして工事に着工したところでございます。
 今後立ち入り可能な段階になりましたら、さらにその後も噴出いたしました土砂等に対する計画を確定し、全体といたしましては、大規模な土石流発生の危険のあること、それから災害の防止を図るための火山噴出物の捕捉堤、遊砂地、導流堤、緑の砂防ゾーン及びセーフティー・コミュニティー事業等の砂防施設計画を検討して、安全な地域づくりに対応できるよう、現在検討すべく待機しているという状況でございます。
#87
○委員長(山本正和君) 井上君の質問は終わりました。
#88
○及川順郎君 雲仙・普賢岳の災害対策の質問に続きまして、私も自然災害に対する対策から質問をしたいと思います。
 台風十九号は大変な被害を出しまして、九州、中国、東北の特に秋田、青森、それぞれの地域の、私どもも地元に対策本部を設置いたしまして対応等に相努めているところでございますが、大変厳しいものがある。さきの台風十二号のときも、この首都圏の近くでも大変な死亡者も出るという状況がございました。
 こういう状況の中で、建設省、国土庁所管の台風被害、ことしはちょっと台風多発年になりそうな気配ですが、先のことはわかりませんが、今まで掌握している被害状況について、概括的で結構でございますが、まず御報告願いたいと思います。
#89
○政府委員(鹿島尚武君) 先生から、今までに発生した災害の合計と申しますか、全体の被害状況を申し述べろというお指図でございますが、ちょっと資料の持ち合わせがございませんので、大変恐縮でありますが、まずもって十九号の被害の状況を申し上げさせていただきたいと存じます。
 現在までに判明している被害につきましては、消防庁の報告によりますと、三十八道府県にわたり、一般被害として、人的被害で死者五十二名、行方不明者三名、負傷者千四百九十一名、また、物的被害といたしましては、住家につきまして全壊五百八十六棟、半壊四千七百九棟、それから一部破損二十万九千七百八十五棟等となっております。その他被害といたしまして、道路千二百二十八カ所、河川二百二十カ所、がけ崩れ四十六カ所、鉄道不通二十八カ所等となっております。
 さらに、送電線の被害等によりまして、停電等も大変多数発生いたしてございます。また、農作物の被害等も多々あるわけでございますけれども、現在調査をいた。しておる状況にございます。
#90
○政府委員(近藤徹君) 建設省所管の河川、道路等の公共土木施設にかかわりますものについて申し上げます。
 台風十九号、これは九月二十七日から九月二十九日、十四号は八月二十九日から九月一日、二一号につきましては八月十九日から二十四日までの集中豪雨によったものでございますが、まず十九号につきましては、四国、中国を中心といたしまして、直轄につきましては十五カ所、その災害の報告額は七十億四千二百万円、県管理等の補助災害につきましては二十一府県で千四百カ所、百七十七億八千二百万円でございます。また、台風十四号でございますが、関東、東北を中心といたしまして、直轄につきましては四十カ所、七十三億八千万円、補助災害につきましては十四道県で二百二十四億九千九百万円、台風十二号につきましては、直轄災害では百八十七カ所、三百二十三億六千六百万円、補助災害につきましては十六都県、四百五十七億三千百万円となっております。
#91
○政府委員(立石真君) 住宅関係の被害状況について答弁いたします。
 台風十二号では全壊七戸、台風十四号では、全」壊はございませんが、若干の被害がございました。台風十九号による住宅の被害はかなり大きなものがあり、現在調査中ではございますが、風による被害を中心に現在まとめましたところでは、全壊五百五十三戸、半壊四千四百六十六戸、床上浸水三千七百三十六戸、床下浸水一万四千三百三十二戸でございました。
#92
○及川順郎君 全般にわたって聞くということは時間の制約でできませんので、何点か非常に象徴的な問題を承っておきたいと思います。
 広島を中心に、先日も映像で放映されておりましたけれども、風による海水の付着によりまして停電になっている、風によって電柱が倒れている、送電線が倒れているというような状況が出ているのですが、復旧に対して、それぞれ電力会社との関連がございますけれども、所管当局としてどこまでの範疇を被害対策として考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
#93
○政府委員(近藤徹君) 私どもは建設省所管の公共土木施設、河川、道路、砂防、都市施設等についての災害復旧について所管しておるわけでございまして、今お尋ねの電柱等になりますと、電力会社がそれぞれ自己資金で復旧するということが基本だろうと思います。ただ、その過程におきまして、あるいは共同工作物その他がございますれば、そのときはお互いに協議して復旧するということになろうかと存じます。
#94
○政府委員(鹿島尚武君) 十九号の例で申し上げさせていただきますと、昨日、私ども国土庁といたしまして、関係二十一省庁を集めまして災害対策関係省庁連絡会議というのを開催いたしております。過ぐる九月二十日に災害対策関係の同じ連絡会議におきまして、たび重なる災害の状況にかんがみまして、被害状況の把握を初めいろいろ申し合わせをいたしてあるわけでありますけれども、今次の十九号の風による災害の状況にかんがみまして、さらに電力施設等の復旧を急ごうというような申し合わせをいたしてございまして、所管の通産省の方におきまして既に関係の通産局あるいはまた電力各社に対しまして施設の復旧を急ぐように既に指示をし、現在鋭意その復旧作業が進んでいるというふうに聞いております。
#95
○及川順郎君 これは日常生活に非常に影響が大きいものですから、特に自然災害の場合にはどこにということがあらかじめ予測できないで来るという、それに対する対応でございますので、今、連絡会議というお話がございましたが、総合対策本部をきちっと確立しておく必要があるのではないか。今度のことを通じて、どこで対策を重点的に責任を持つのかな、こういう素朴な発想からそういうことを強く感じました。これは、今回の災害を教訓にいたしまして、今後の対応としてぜひ取り組みをお願いしたいと思いますが、御見解を承りたいと思います。
#96
○政府委員(鹿島尚武君) 私どもは過去のいろいろな災害の経験にかんがみまして、本部を設置して復旧対策等に臨むというようなことに対しましてはルールを持ってございます。
 今次の災害にかんがみまして、私ども、そういうルールにのっとりまして、一応、災害対策関係省庁連絡会議ということで、各省の担当の方々、もちろん責任ある方々にお集まりいただきまして、その対策の取り組みを決め、それぞれ所管ごとに実施していただくということにいたしておるわけでございます。もとより本部に負けないぐらいこの省庁会議で一生懸命やっておりますので、御理解をちょうだいいたしたいと思います。
#97
○及川順郎君 今、その報告を伺った上で私は言っているわけです。
 ルールというのは、今まで決まった中にルールがあるわけでしょう。自然災害というのは突発的に来るわけですから、その緊急事態に対して国がどう国民のために対応するかということが私は政治の責任であるという発想から申し上げておるわけでございまして、この点については、両大臣、ぜひ心にとどめていただきまして対応をお願いしたいと思っております。
 次に、農産物の被害の状況が出ておりましたけれども、実は青森で、現地の対策本部のメンバーが現場へ行っておりまして、弘前、平賀町を中心にしまして豊作を願っていたリンゴが、落果が八五%、樹上損傷が一五%、一〇〇%、本当に文字どおり壊滅、こういう状況になっておりまして、どうするかという、こういう思案投げ首な状況があるわけです。
 この農産物の今回の台風による被害状況についての概括的な御報告を、まずお願いします。
#98
○説明員(木田茂樹君) 台風十九号による農業関係の被害についてでございますが、おっしゃるとおり、リンゴ、かんきつを初めといたしまして、果樹を中心に野菜、水稲など、非常に広範囲に被害が及んでおりまして、農林水産省といたしましても、被害状況の早期把握のために、東北・九州地方並びに長野県下にそれぞれ審議官を長とする調査団を本日及び明日にかけて派遣をいたしまして、実態の調査を行うということにいたしております。
 農林水産省といたしましては、早急に被害の状況を把握いたしまして、被害の実情に基づき、地方自治体とも連携しつつ、迅速かつ的確な対策を講じ、被害農業者の救済に万全を期してまいりたい、かように考えております。
#99
○及川順郎君 自然災害につきまして、農産物に対するいろんな救済策、金融面での対策がございますけれども、農家の人だちの気持ちにすれば、やはり借りた金は返さなければならないという状況から、共済に頼るところが多い。ところが、共済は掛金がございますから、ふだん余り災害がないときには掛けていないところが多い。ただいまのリンゴの状況を現場で聞きましたら、共済に入っている人は四%少々、こういう状況なんですね。これでは共済としての役を果たせないんじゃないか、こういう懸念が広がっております。
 こういう状況を踏まえて、この自然災害に対して、壊滅的な被害を受けた農家、農村地域、ほかのところでもブドウを初めとした果樹災害、こういうものも出ておるわけでございまして、ブドウ、ナシ、リンゴ、その前には稲作もありますが、ですから、私はぜひ、ことしは災害の多発年、今日までの少なくともいろんな意味で多くの被害をもたらした教訓に照らして、工夫をしてこういう共済制度の充実方に取り組んでいただきたい、このように思いますけれども、所見を承っておきたいと思います。
#100
○説明員(堤征彦君) 今回の台風の被害でリンゴ、ナシ、ブドウ、カキ、特にリンゴの被害が大きいわけでございますが、先ほど先生御指摘になりましたリンゴの共済の加入の問題でございますが、青森県では、先生四%とおっしゃいましたけれども、一二%程度の加入率に。はなっております。
#101
○及川順郎君 いや、町のがです。
#102
○説明員(堤征彦君) 一つの町ですね。
 弘前全体といいますか、青森県全体では一二%程度になっております。それでももちろん加入率としては必ずしも高くなくて、全国のリンゴ全体で申しますと約二〇%ぐらいというような状況でございます。
 果樹共済につきましては、これは任意加入ということになっておりまして、米麦のように全員が加入するということになっていないものですから、私どもも加入の推進に努めているわけですが、なお十分でないというふうに認識しておりまして、これからできるだけ多くの方に加入していただくような努力をしてまいりたいと思います。
 なお、今回の被害につきましては、既に農業共済団体等においては見回り調査ということで被害の実態を把握しておりまして、できるだけ早く共済金を支払えるように努力してまいりたい、このように考えております。
#103
○及川順郎君 任意加入のことは承知いたしておりまして、先ほどの実態の中で非常に加入者が少ないというのも、これは生産農家の方に自己責任がないということとは私は思っていないんですが、こういう突発的な事故が起きた場合には、今まで入っていなかったからといって対象にならないわけですから、そういう場合の救済策を考えるのが政治の責任ではないだろうか、こういう観点からお話をしているわけでございまして、ただ単に今まで入っているのを払えばいい、こういう考え方ではなくて、果樹共済のあり方等を含めて今後そういう共済の充実方を検討していただきたいというのが私の真意でございますので、これはぜひお酌み取りいただきたいと思います。
 それから、戻りまして、建設、国土両所管の問題で、実は災害が起きた場合の災害復興予算、来年度予算に連動していくだろうと思いますし、補正で対応する場合もあるだろうと思いますが、そういう状況というのが非常に大事になってくると思います。
 来年度予算との絡みは後ほどにいたしまして、まず、今回ので被災した人たちに対する災害弔慰金支給法の審議、国会の今回の改正は、そういうものが非常に災害を受けた方々に対してかかわり合いの深い状況として私は大変喜ばしいことだと思うわけでございますが、さきの災害対策特別委員会等で同僚議員からその支給のあり方につきまして、状況判断により音して弔慰金の支給額が違ってくる、こういう問題が出ておりまして、指摘をさせていただきました。
 この弔慰金の実際の支給そしてまた関連の支給の作業というのは厚生省でやっている部分もあるということで厚生省所管、国土庁長官は所管外ではありますけれども、この問題については心にとどめて重要な問題として認識して対応を考えていきたい、こういう趣旨の御答弁があった、このように承っております。
 現実に、同じ自然災害に起因して死亡した者同士で、一方は五百万、三百万という支給がされ、片方は支給されないという扱いが出る場合がある。これは人数等の問題が基準としてはございますが、一人の人間の命という点から考えるならば、これはやはり同じ状況で判断されるべきではないか、このような考え方があるのですが、いかがでしょうか。国土庁長官、この前の御答弁も踏まえまして、この問題をその後熟慮されましての変化がございましたら、まず御答弁をお願いしたいと思います。
#104
○国務大臣(西田司君) 弔慰金法の改正をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。
 ただいまの弔慰金支給に関する問題については、厚生省がおいでになっておりますので、そちらから御答弁をいただくことでお願いいたしたい、このように思います。
#105
○説明員(松本省藏君) 御説明を申し上げたいと思います。
 先生既に御承知のことかと思いますけれども、災害弔慰金の支給制度の基本的な制度の立て方、これは、市町村の事業、市町村の固有事務という形で立てられているわけでございます。そして、一定規模以上の災害が起こりました場合に、国あるいは都道府県の方が必要な財政的な支援を行うという形になっているわけでございまして、制度自体として一人一人の生命というものに決して軽重をつけているということではなくて、財政援助法であるというふうにまず基本的に御理解をいただければと思います。
 それから、この災害弔慰金法と申しますのは、四十八年に国会の多様な御審議を踏まえまして議員立法でできたわけでございます。その法制定当時に大変多様な御議論がなされまして、どの範囲で弔慰金を具体的に支給するのか、制度に基づいた形での弔慰金を支給するのかという御議論がなされたわけでございますが、その弔慰金法の前身でございます市町村災害弔慰金補助制度要綱というのがありました。ここでは、むしろ国民の皆様の同意が得られやすいという程度の相当程度の大規模災害に限定するということで、その時点では、具体的には災害救助法の適用された地域、これが一つのメルクマールだったわけです。
 ただ、弔慰金法が四十八年にできるときに、かような議論を踏まえまして、もうちょっと小規模のところまで拡大できないのかという議論がございまして、ちょっと細かくなりますけれども、救助法の適用の一番下というのは三十世帯の住居がつぶれた場合、これが一番下の適用基準なんですが、さらにそれを六分の一に縮めまして、具体的に市町村の中で五世帯以上の住居が滅失した程度、こういうような程度の災害の場合まで広げて対応しようではないか、基本的には一定の規模以上の災害を対象とするという考え方を踏まえつつ小規模災害にまで拡大して拾っていこう、これが四十八年当時の議員立法制定当時の考え方でございました。
 その辺の経過等、御理解いただきたいと思うわけでございます。
#106
○及川順郎君 四十八年の議員立法の経緯はよく承知しております。これは参議院で我が党でもいろいろ議論をして先鞭をつけたという状況がございますので承知しておりますが、それから歳月がたち、実際に法制定が成り、そして実施をする、こういう状況の中で、やはり不備な点は充実をしていく、そしてまたさらに拡大して充実して、実際にそういう立場に立った人たちに適用できるような改正というのが必要だろう、このように思うんですね。
 十二号台風のときの例で、大月市の場合を実際に私も聞いてみたんですけれども、裁判に持ち込めばいい、こういう見解もあるようです。しかし、それは遺族に対して無用の苦痛を与えるだけであって、やはり大もとの法律を改正していくことによってこういう問題が解決できるという方法があるわけですから、これはぜひ、今までのできているレールの上だけで判断をしないで、この問題を私は前向きにとらえていただきたいというふうに思うんです。
 特に厚生省の方で通達を出しておりますね。その厚生事務次官通達を改正して、一本化して自然災害に起因して死亡した場合というようにすべきじゃないか、こういう意見もあるわけですね。ですから、この点は改善の余地はあると思いますので、今後ぜひまた別の機会に議論をさせていただきたい、こんなぐあいに考えております。
 次に、建設省の問題ですが、先ほどお話がありました建設工事による災害が、労働災害も含めて非常に多いんですね。建設業における死者の割合が昨年を含めましてことしは死者全体の中で四〇%が関連している、こういう状況がございます。そういう状況をずっと分析していきますと、安全管理が不十分であった、過半数が法的に違反しているという、こういう状況が認められるという事態が報告の中に出ているんですね。やはり、安全管理がまだ手ぬるいところがあるんじゃないか、この批判は免れないと思いますが、この一連の災害を教訓として安全管理についてどのような改善をなさろうとしているのか、その点を承りたいと思います。
#107
○政府委員(伴襄君) 建設業の労働災害による死亡者は、御指摘のとおり四割以上、千人ぐらいの方が亡くなったわけでございますが、こうした事故によって失われた人命の重さは大変重いものがございます。
 こういうことが起こりますのは、当該企業はもちろんでありますけれども、全建設産業にとっても非常にイメージを低下させるわけでございまして、何とか若者にとって魅力ある産業にということでいろいろ構造改善の努力をしているわけでございますが、そういうせっかくの努力を水泡に帰するというようなこともございまして、我が省としても大変重い課題だというふうに受けとめているわけでございます。
 安全性の向上というのは構造改善の中心的課題というようなことでもってやっておりますが、昔は元請、下請と言っておりましたが、最近は総合工事業者、専門工事業者と言って、おりますけれども、この両者の関係の中で特にきちんとやっていく必要があろうかと思いまして、建設産業における生産システムの合理化指針というのを中心に業界の指導を行っているところでございます。
 特に総合工事業者の役割が非常に重要だと考えておりまして、例えば安全衛生法の遵守というようなことももちろんございますし、それから適格な能力を有する技術者を適正に配置するというようなこともございます。それから、特に専門工事業者を選ぶときに、労働災害の防止に努力して実績を有している専門工事業者を選ぶということもまた大事ではないかというような気がします。それから、作業もなるべくロボット化、機械化を図りまして現場の危険作業の軽減を図るというような技術開発も必要かと思いますけれども、こういったことを特に総合工事業者の基本的な役割として指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、建設現場の安全確保というのは非常に重要な問題でございますので、業界の英知を結集して官民挙げてこの労働災害防止に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#108
○及川順郎君 建設大臣に最後ちょっとお伺いしたいと思います。
 来年度の建設省の重点施策を見ますと、地方の戦略的整備が重点施策のトップに位置づけられておりますね。住宅対策や都市対策を抑えて地方の活性化対策を最重点に据えた背景は何なのか。実は駐車場法ができて駐車場問題で大変苦慮しているという状況もありますし、住宅問題も相変わらず困っております。もう地方自治体の方で、東京なんかを初めとして、住宅基本条例を制定して住宅対策に何とか取り組もうとしております。それに対して国の取り組みは、まだ住宅基本法の制定に向けて重い腰を上げる気配もない。上げる気持ちであろうかと私は信じたいわけでございますが、そんな状況も耳にする中で、来年度の重点施策、来年度の予算編成に向けて今動き出しているときでございますので、これに対する大臣の基本的な考え方をお伺いいたしまして一私の質問を終わりたいと思います。
#109
○国務大臣(大塚雄司君) 建設省の公共投資は、四百三十兆円の基本計画にもございますように、国際公約をし、これから十年間で国民の皆様方に豊かさを実感していただこう、こういう大きな目標を掲げておるわけであります。そして、今日までの公共投資も振り返りながら、今後どのようなところに重点を置いていくべきかということになりますと、やはり地方の活性化というのは非常に大事である。
 特に一極集中から多極分散型の国土を形成するということになってまいりますと、いわゆる生活関連重点化枠の中で下水道あるいは公園の整備というものにも重点を置き、これは主として地方の都市を中心にやっていくことによってその普及率が上がっていくという観点もございますし、かつまた、駐車場のお話もありますけれども、車社会になって日本列島全体の交通、交流のシステムを確立していく、ネットワークを完成するという大きな目標を考えれば、やはり地方にも力点を置かなければならない。また、今、論議になっております災害等を見ましても、まだまだ国土の災害に対する基盤づくりというのは非常に大事である。こういうことになりますと、やはり勢い地方の公共投資というものを重視していかなければならない、こういう観点に立ちまして、最重点施策というようなところに到達をしていくことになろうかと思います。
 また住宅のことにつきましても御指摘がございましたが、一昨年、土地基本法が制定されて以来、土地の有効利用というのは大きな課題になっておるわけでございまして、しばしば住宅基本法についての御提言もいただいておるわけでございます。しかし、今日までも住宅につきましてはいわゆる五カ年計画を累次繰り返しまして充実を図ってきたところでございますけれども、とりわけ土地基本法を受けての大都市法の制定で十年間に三大都市圏七百四万戸を供給しようという方針をこの三月に決め、それに沿って各自治体にも御協力をいただくというお願いをいたしました。
 つい最近になりますが、いわゆる首都圏サミット、東京都知事を初め関係の知事、指定都市の市長さんにお集まりをいただきまして、住宅のことについても私から御協力をお願いいたしたところであります。その中でいろいろ御要望がございましたけれども、いろいろ拝聴をいたしてみますと、それは東京都、神奈川県、あるいは茨城県等々それぞれ特性がございまして、そういうものを盛り込んだ住宅に関する条例を制定しようというような動きも一方にあるように見受けておるわけでございます。国は、それらの特性をそれぞれまとめましてやっていこうということで、従来いろいろな法律を駆使してやってきたわけでございまして、その住宅基本法について、居住水準であるとか住居費の負担であるとか、まだコンセンサスが未形成だというお答えにいつも終始してまいりましたが、実はその背景には今申し上げたようなことがあるんだということにも御理解を賜りたい。
 しかし、地方の自治体の意向を尊重してきめ細かく住宅政策が進むように努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#110
○及川順郎君 終わります。
#111
○委員長(山本正和君) それでは、次に進みます。
#112
○上田耕一郎君 昨日、新しい借地借家法が成立いたしました。私どもは反対だったんで、残念だったんですが、成立した時点で、短い時間ですけれども、建設行政としてこの問題にどう対応していくかということを取り上げたいと思います。衆議院の議事録を拝見すると、清水民事局長が借地・借家法の歴史についてもいろいろ答弁されています。明治二十九年に民法制定。それで、借地・借家の権利が非常に弱いということが大問題になって、日露戦争後、明治四十二年に建物保護法ができる。それから第一次大戦後、大正十年に借地法、借家法ができる。第二次大戦中の昭和十六年に正当事由がつけ加えられる。そして今日に至っているんですけれども、清水民事局長の言葉によれば、社会立法的な意味での借地権の強化の歴史だったと言うんですね。そうしますと、民法ができたのは一八九六年ですから、ほぼ百年近く借地権、借家権の社会立法としての強化を日本ではずっとやってきたという歴史だったんですね。それが今度の新立法で初めて貸し主、大家さん、地主の方の立場が有利になるという立法になったわけで、そういう点では、百年近い借地・借家権の立法の歴史の上でやっぱり一つのターニングポイント、新しい時代だなということを衆議院の議事録を読んで改めて私は思ったんです。
 さて、これが成立すると、大問題が既に起きています。新聞では、「立ち退き・値上げ要求…」、「店子悲鳴」、「高まる「立ち退き」不安 自治体の環境整備は難航」、「更新拒否理由拡大 「地上げ」誘発の不安も」、「立ち退きの不安 借家人パニック」、「法改正 組合へ電話相談殺到」という記事が各紙にずっと載っています。品川の借地借家人組合では、これは法律成立前ですけれども、「一カ月百五十件の相談のうち四割は地主側が新法を先取りする事例で占められる。」という報道になっているんですね。今までの国会の審議で、今度の新法は既存の契約には適用しない、誤解があるけれどもそれは直してほしい、こういうことを何度も何度も政府側は述べているんですが、しかし、実際には広がっているわけです。
 それで、まず建設大臣に現状認識の問題をお伺いしたいんだが、新規契約だけだ、今までの既存契約には当てはまらないと言っても、これ、借地権で新規契約なんてもうほとんどないんですよ。それだけに、これまでの例にどうはね返ってくるかということが借地人、借家人にとって最大の問題なので、こういう問題点をどう阻止するのか、またあるいはどういう事態になっているのか、この点についての認識を大臣にお伺いしたいと思います。
#113
○国務大臣(大塚雄司君) 実は立法の段階あるいはそれ以前から、この問題はいろいろな機関で研究をされてきたものでございます。私自身も、党の中ではこの問題に携わってまいりまして、ともかく従来の契約には適用しないというところからスタートしてこの法案ができてきた経緯がございますから、これは改めて法務大臣がコメントをするまでもなく、私は従来のものには適用しないというかっちりした線があると思っております。
 したがいまして、今いろいろな例を挙げて先生御指摘でありますけれども、確かに私もそのようなことを耳にしていないわけではございません。ただ、関係者があたかも新しいものもあるいは古いものも全部すべてこれを適用されるというようなことを言われて大変不安を与えているような向きもなしとはいたしませんので、我々としましては、この法律の中身を宅地建物取引業の関係団体であるとかその他いろいろな関係に正確にお伝えをして不安がないように対処をしてまいりたい、これだけははっきり申し上げておきたいと存じます。
#114
○上田耕一郎君 残念ながら建設大臣と私はもう立場がまるっきり道なんです。私の方は借地・借家法の改悪に対して反対している借地借家人組合の運動と手を握ってやっている。大臣は貸地貸家協会の後押しをおやりになってきたんですね。
 ここに全国貸地貸家協会の新聞のことしの一月一日号がありますが、これを読みますと、大臣は去年の七月にはこの協会の研修会で講演もされている。この号には、座談会に出ておられる。読んでみますと、今の答弁とまるで違うことを大臣になる前には述べている。これは去年の十一月二十九日に行われた座談会ですが、「私は定期借地権を導入しても既存のものにも影響を及ぼすと思うし、裁判とか調停についても同じで、一歩前進だと思いますよ。」と。ですから、あなたは、この定期借地権ができれば既存のものに影響するんだ、一歩前進なんだ、地主や大家は有利になるということを十一月二十九日の座談会でもう既に言っているんですよ。今と立場が違うじゃないですか。どっちが本当ですか。
#115
○国務大臣(大塚雄司君) 恐らくそのときの私の話は前後がございます。ともかく借地権というのは賃借権で物権ではございませんから大変に不安定な部分がありますけれども、長年の判例ではやはり地上権と同じぐら。い大変権利の強いものである。借家権についても正当事由以外にはそう簡単に立ち退かせることができないというのが今日までの法体系でございますから、一方で住宅の供給などをするときに、とてもどいてくれなかったりすると貸すことができない。住宅を持っている方が今度は供給するのにちゅうちょするような例も出てきた。そういうことを踏まえて実は論議をしたときの発言の一部でありますが、むしろ私は、定期借地権の導入であっても実際にそういうような宅地の供給にダイレクトにつながるかどうか心配だということも言いながら、あるいは、しかし一方で、実際にそういうものができた場合に土地を貸そうという人がふえるかもしれない、そういう意味では前進になるかもしれないけれども大変難しいことだ、そのとき前後にそういうコメントをつけ加えておることでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
#116
○上田耕一郎君 言いわけにならない苦しい弁明だと思うんですね。
 そういう大臣のもとで建設行政は対応するわけです。その対応の一つに標準契約約款をつくることがありますね、定期借地権の契約、標準的な住宅賃貸契約など。こういうものを借地・借家人の意見の反映も本当に保障しながら民主的にぜひ進めていただきたい、この要望を一つ申し上げておきたいと思うんです。
 さて、二番目に、現実に新聞が書いているような事例が次々起きている具体的な問題を私は取り上げたいと思うんです。
 これは私のところにも相談が来ているもので、調布の例です。荒井商店というのが経営しているマートルコート調布Vというマンションです。八九年六月に入居。当初家賃は消費税を除いて平米約二千八百円から三千円。ことし六月にちょうど二年目なんですが、四八%の値上げ通告。だから、今までほぼ二十万円だった方は三十万円なんです。四八%ですよ。五割の値上げ通告で、同じマンションの一部にほかの業者があってこれは六%アップなんで、住民側は六%アップなら認めるという回答をしているんですけれども、もめにもめているんですよ。
 私はここにある入居者に対しての十月分の請求のコピーを持っていますが、十月分三十万五千五百八十円の要求、今までたまった繰越分が五十一万一千百五十六円、合わせて八十一万六千七百三十六円払ってくれと。もう六月から四八%で値上げしているんだから八十万払え、そういうのを突きつけているんですね。私はこういうやり方はひどいと思うんですね。私のところにはライオンズマンションで四三%アップ通告というのが来ていますけれども、そういう実例が始まっているんです。この調布のマンションでは精神的な負担に耐えられないで退去した方もいるんですね。
 こういう民間の契約関係に介入できないというのが建設省の態度だと言うんだけれども、今度の新しい借地借家法の成立に関連して出てきているんですよ。ですから、私はこういう悪質なケースはやっぱり調査してほしい、建設省に行政的にきちんと指導してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
#117
○政府委員(立石真君) 民間賃貸住宅におきます家賃の改定につきましては、それぞれの住宅、貸し家の事情に応じまして賃貸借の当事者間の合意に基づいてなされるべきものであるということは、最も基本的な点だと思うわけでございます。当事者間において合意がなされない場合においては、借家法第七条の規定に基づきまして調整が図られることになっているところでございます。仮に賃貸人が大幅な値上げを要求して貸借人がその値上げを承服しない場合におきましては、裁判等によってその値上げの是非あるいは値上げ幅の妥当性が決められるべきものであろうというように考えておりまして、建設省におきまして行政として個々の家賃改定のケースに関して調査し介入する立場にはないというように考えているところでございます。
#118
○上田耕一郎君 今のような四八%の例、介入というんじゃなくて、国会でも取り上げたんで、実情の事情聴取、このぐらいもできませんか。
#119
○政府委員(立石真君) 個別のケースでいろいろな場合があろうかと思いますが、一件一件について建設省としてヒアリングをするという考え方は今持っておりません。
#120
○上田耕一郎君 命のお話で、結局、そういうふうにもめた場合は、こんな大変なケースとなると裁判でやるということになるでしょう。ここに建設行政の最大の問題があるんですよ。
 今まで百年近くは、先ほど冒頭申し上げたように、社会的立法としては借地・借家人のむしろ権利を守るということでずっときたんですね。それで、もめた場合に裁判という程度で、それでも大変だったんだけれども、何とかきた。きたんだけれども、今度はそうじゃないんです。今度はそうじゃなくて、全国的にもう値上がりが始まっていますし、借地・借家人の方が非常な不安を持っている。先ほど申し上げた貸し家さんの方の事務局長は、こういうことまでちゃんと述べているんですよ。現行法がなくなってしまうわけだから契約更新時に新法に移行することは一向に構わない、新法は遡及してないが当事者が合意で新しい規定にしていくのは契約自由なんだと。そういう方向でやろうとしているわけですよ。
 ですから、とにかく、こういう問題については裁判しかない、建設行政がそういうのではまずいわけです。法務省にもこういう借地・借家問題で窓口はない。実際はどうかというと、一般的な相談の窓口はあるけれども、借地・借家人問題で本当にきちんと対応できるかというと、そういう体制にはないんですよ。交通事故の場合なんかは、自治体では日弁連が東京都なんかでも、月に一回ですか、いろんなところでやってくれているようにはなっていますけれども、借地・借家人問題でどんどん問題が続発してくるときに地方自治体で窓口があるかというと、実際にはない。
 建設省が四月十九日に「固定資産税及び都市計画税の負担調整措置等の改正に伴う地代・家賃の不当な引上げの抑止について」という通達を出された。借地借家人協会の要望で大阪府がこの通達が地方自治体でいかに扱われたかをアンケートで調査した結果が出ていますが、府下四十四市町村にアンケートを出し、三十五市町村から回答が来た。この通達は、広報もちゃんとやれ、それから相談にもちゃんと乗れというものだった。ところが、広報、相談両方で対応したのは五分の一の七市町村のみ、五分の一ぐらい辛うじてちょっと対応しただけというのが固定資産税引き上げのときの通達の実施状況なんですよ。
 そういう点で言うと、私は今度の借地借家法の新しい法律の問題で、日本における根本的な問題があると思うんです。もう時間がありませんので申し上げることできませんけれども、立法の歴史は違いますけれども、ドイツだとかフランス、イギリスなどではアパートを借りた場合の人たちの権利の保障というのはきっちり法律で決まっていまして、家賃のアップも、例えばドイツでは三年間の増額率が三〇%を超えてはならないとか、そういうことまでちゃんと決められているんです。日本の場合には、こういう根本的な問題というのは権利調整法である民法と借地借家法があるだけだ。民間借家の居住の安定を図る住宅行政としての制度がないんです。
 東京では民間借家四二・八%、約四三%の方が民間借家に入っている。公団あるいは社宅なんかを入れますと、六割の人が借家人です。そういうところで、四三%に近い借家人の権利をどう守っていくかという上で制度がないんです、法律があるだけで。局長は裁判でと言われたが、弱い人たちは一々裁判などに持ち込めないですよ。一度追い出されたら、母子家庭、高齢者、障害者なんというのはもう門前払いで、本当にどこに住んでいいかというような問題にぶつかるわけですね。
 そういう点で、ぜひ建設行政として今度の新しい事態に対して借地・借家人の権利保護のためのそういう行政的な制度、これをつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#121
○国務大臣(大塚雄司君) 今度の改正で貸借人が異常に追い出しを受けるとかそういうようなことになるとは私は思っておりません。ただ、今日までの過程で、先ほども御指摘がありましたが、確かに不当な家賃を取っておるというようなものは厳に戒めなければいけませんけれども、行政が介入してというわけにはまいらないのは先ほど局長がお答えしたとおりでございます。
 また逆に、今六〇%近い賃貸住宅というお話がありましたが、東京圏で言えば、やはり木造の住宅等も建てかえなければ新しい供給にたえていけない。したがって、新しく供給増を含めた改造をしたいというときに、既に入っている方々が協力をしていただけない、そういうような一面もあるわけでありますが、その場合に、例えば、これも極端な例かもしれませんけれども、今までいただいた家賃の百年分ぐらい払わなければ協力はしていただけない、こういう面も実はあるわけでありますが、しかし、それは我々がまた介入することではございません。
 私は法のもとにお互いに平等にやっていくということを基本的に考えておりますので、御心配の向きにつきましては、我々は十分配慮をしながら、今後そういうことによって圧迫を受けるようなことがないように的確な指導をしてやってまいりたい、このように考えております。
#122
○上田耕一郎君 終わります。
#123
○委員長(山本正和君) 上田君の質問はこれにて終わります。
#124
○山田耕三郎君 借地法と借家法を五十年ぶりに抜本改正、貸し主の権利を強化した借地借家法が、昨三十日、参議院を通過いたしました時点で質問することにはいささかのむなしさを感じますけれども、新たに施行されます新法はこれからの問題でありますので、あえてお尋ねをいたします。
 日本は法治国家でありながら、法以上の力で平和であるべき国民生活が、特に社会的弱者の生活が大きく侵害されている社会的風潮を、法の番人であるべき政府がこの事実を知ってか知らないでかは別といたしまして、あたかも法が守られておることを前提に諸施策を進めていかれますことは、極めて危険であり、善良な国民にとっては迷惑至極であり、一体国民にとって国家とは何なのかの疑念を挟まざるを得ない現状が何とかなりませんのかと憂える立場から、住宅問題に関連して、世間を騒がせた最近の事例をもととして質問をいたしたいと思います。
 これまでの借地・借家人の方の権利が強いと言われる現行法のもとにおいても、地価高騰に伴う強引な地上げで住居を追われ、都市の空洞化が深刻な問題になっております。東京都港区が今年三月にまとめた住宅白書によっても、一九八五年から五年間の間に約三万人が減ったとあり、これは地上げで底地が売却されて長年の居住者がまとまって転出をしていったのが原因だと言われております。この転出者三万人のうち自己の意思に反して転出させられた人がどれくらいおいでになるのか知る曲もございませんが、かなりの数に達するものと思われ、しかもその多くは社会的弱者と推定されております。
 都市圏でも川崎市のように、民間マンション倍り上げ方式で高齢者住宅の供給事業を進めておいでになるところもあります。九月の入居者募集には二十二戸に対し二百三十人が申し込みをされ、うち約半数の百十六人が立ち退きを迫られての申し込みだそうです。今、全国の自治体では、改正法案の成立て立ち退き後の住居確保への不安が高まっている中で、対応に頭を悩ましておられながらも、環境整備は難航しておるようであります。
 みずからは手を汚すことなく借家人を立ち退かせて土地の商品価値を高め巨利を得ようとした、去る七月二十一日、東京地裁法廷での浜井一夫裁判官のこの言葉、鋭い断罪は見えない被告にも及んでおります。直接の加害者は暴力を行使した三人で、借家人を追い出すためパワーショベルなどで家を壊し建造物損壊罪に問われ、浜井裁判官は三人に八ないし六カ月の実刑を言い渡しましたが、同時に、土地売買の当事者である不動産会社をも名指しで批判したのであります。
 壊された家の借家人で二十年間も世田谷区の住宅地でクリーニング店を経営していた御夫妻は、五月に立ち退き、今は川崎市内のアパートに住み、車でもとのお得意先の各家庭から汚れ物を集め、知人のクリーニング店で洗濯をさせていただき配達するのが、現在の仕事だそうです。「今どき店を新しく出すとすれば借家だって三千万円はかかります。それだけの立ち退き料を出してもらえなかった」と奥さんは嘆いているということが報道されておりました。
 また別の事件の報道では、「立ち退きをめぐり地上げ業者からさんざん嫌がらせを受けた東京新宿のクリーニング店で、ダンプカーに突っ込まれて家をめちゃめちゃに壊された店主は「もう黙っていられない」と地上げ業者らを威力業務妨害、建造物損壊罪などで告訴することを決心、借家人のたった一人の逆襲が始まった」とあり、今ごろでは多分告訴済みであることと思います。どのように抵抗できるのは限られた人だと思いますが、大部分は泣き寝入りだと考えられます。住宅政策を進められる当局はこのような暴力の横行の実態を御存じなのかどうか、知っておいでになるとすればこの事実をどうしようとされておいでになりますのか、御所見を承りたいと思います。
#125
○政府委員(立石真君) 委員の御指摘になりました暴力的な行為によって借家人を住居から追い出したということにつきましては、報道等によりまして承知しているところでございます。このこと自体につきましては、やはり借家人に対する明け渡し要求を暴力的な行為によって行ったことでございますので、刑事事件として厳正に対処されるべき性格のものだと考えております。
 建設省といたしましては、住宅の賃貸借に係るトラブルを防止し健全で合理的な賃貸借関係を確立するために、現在、賃貸住宅に係る標準的な契約書について検討を進めております。また、民間賃貸住宅に係ります相談に適切に応じられるように、地方公共団体における住宅相談の充実を図ってまいりたいというように考えております。
#126
○山田耕三郎君 旧法の場合でも、ただいま申し上げましたとおりの実態であります。御答弁をいただきましたが、新法は、土地、建物の効率的利用を推進するとするわかりにくい理由で貸し主が契約を拒否できる正当な理由の具体的項目を初めて明文化され、立ち退き料の支払いも正当な理由に含めるなど幅を広げたのが特徴と説明されておりますが、このような法改正の行われた後、善良な借地・借家人の立場が実態上守られると思っておいでになりますか、お尋ねをいたします。
#127
○政府委員(立石真君) 今回の借地・借家法の改正におきましては、民間賃貸住宅における賃貸借関係について、家賃の改定やあるいは更新料の授受等のトラブルが多発することに対しまして、賃貸借関係の健全化あるいは合理化を図るという面で効果があるものだと考えておるところでございます。
 先ほどの旧法における状態に対しまして、新法におきましては既存の契約関係には遡及しないということでございますし、また、先ほど申し上げました住宅関係からも、いろいろな施策を講じることによりましてこういうものはできるだけ防いでいきたいというように考えているところでございます。
#128
○山田耕三郎君 終わりに、建設大臣にまとめとしてお尋ねをいたします。
 新法は既存の契約には適用されないと法務省の丁寧な説明にもかかわらず、新法制定時に契約を改めると約束をさせるケースが多いと聞いております。大都市では貸借人の間に不安が広がっております。借り主の権利が弱められることに大きな不安を抱いている結果と思いますが、実際にそのようなケースもあるようです。今でも高齢者が地上げ攻勢の犠牲になっているのに、新法は契約更新などの際に貸し主側の武器になることは十分考えられます。このようなことは国の政治に対する信頼感の希薄さが原因であり、俗な言葉で言えば、証券会社に対する通達行政の無力さが実証されたように、行政がなめられているのではないかという声も聞きます。借り主の、わけても一般のお年寄りが追い出されて高額の家賃を背負わされる悲鳴が聞かれて胸が痛むようなことが起こらないと約束されますのですか、その辺のところの御答弁をお願いいたします。
#129
○政府委員(立石真君) 今回の改正におきましては、現在土地や建物を借りている人の抱く不安を考慮いたしまして、また高齢者等の社会的弱者が不当な立ち退きを余儀なくされたりあるいは高額な家賃を支払わされたりすることがないように、正当事由に関する新法の規定は既存の賃貸借関係には一切適用されることがないというように決めているところでございます。
 これらの措置によりまして、また、先ほど申し上げましたが、例えば高齢者に対する公営住宅への優先入居あるいは単身入居制度、さらには民間の賃貸住宅を借り上げて高齢者に賃貸する高齢者向きの借り上げ公共賃貸住宅制度等を充実することによりまして、今後の高齢者あるいは弱者に対する住宅政策を強化していきたいというように考えております。
#130
○国務大臣(大塚雄司君) 先ほど上田委員にもお答えしたのとダブるわけでございますが、今いろいろな例を挙げられての御趣旨よくわかりました。
 先ほど、港区から三万人が移動した、確かにそういう現実でありますが、私は港区に居住をいたしておりますし、夜間人口が減ることを非常に残念に思っておりますが、実態は、それらの権利者の方は相当多額の移転料をもらって移転をされている方が大部分でございます。それなりに権利者は今日までも保護されてまいりましたし、新法になりましてもその辺は私は余り大きく変わらないと思います。また私は、行政の立場でも、そういう弱者に対してはきめ細かい配慮をしていささかも間違った指導をしないように、関係業界にも適切な指導をしてまいりたいと考えております。
#131
○山田耕三郎君 終わります。
#132
○委員長(山本正和君) これにて山田耕三郎君の質問を終わります。
#133
○山田勇君 質問に当たりまして、松戸放水路水没事故でとうとい人命を亡くされました七名の方に心から御冥福をお祈りいたしまして、質疑に入ります。
 これは大臣に申し上げます。河川局長には質疑通告しておりませんのでおりませんが、大臣にぜひ聞いていただきたいといいますか、心から要望しておきたいと思います。
 各党の各委員先生方からこの事故についての熱心な御質疑がありました。特に井上先生は詳細にわたり安全管理面、契約事項の問題、納期の問題、工事期間、いろんな質疑をしておりましたが、それを受けましてちょっと質疑をさせていただきたいわけです。
 ここに九月十八日のアメダスの降水量表というのを気象庁からいただいてきておりますが、あの雨が降り出したのが九月十八日の二十時、夜の八時からずっと一時間単位で、「ミリ、二ミリ、二ミリ、一ミリ、二ミリで、全体で十一ミリ十八日に降ったわけですね。それから、日がかわりましていわゆる事故当日の九月十九日、これは徐々にふえました。三ミリ、五ミリ、九ミリ、十一ミリ、七ミリ、十ミリ、九ミリ、九ミリ、二ミリ、十二ミリ、十ミリ、九ミリ、八ミリ、十九ミリときて、事故当時の五時前後、十五時から急にふえておりまして三十ミリ、十六時が三十八ミリ、十七時が三十八ミリ、十九日全体の降雨量が二百三十六ミリという異常な、前の日から見ると何十倍の降水量があったわけですね。
 当然僕は、こういうことを言うとおしかりがあるかもわかりませんが、事故は起こるべくして起こったんではないか、現場の判断が間違っていたんではないか。いろんな問題がありましょうが、僕は、現場の判断として、きょうはこういう状態だから工事は中止しておこうかということがなぜできなかったのか、それがただただ残念な気がいたします。
 と申しますのは、過日ございました広島の橋梁落下事故、あれも現地にも行ってまいりました。
 実はきょう初めて申し上げるんですが、あの工事現場に行っておりまして事故を起こした工事人のうち二人は、あの工事から三日後に私の事務所へ訪ねてきました。というより、あなたらここにおらんといてくれと言われて、工事現場から逃がされたわけなんです。この二人が相談に来ました。これは御承知のとおり大阪の釜ケ崎の手配師によって送り出された労働者なんです。あの事故の労働者のうちほとんどが釜ケ崎、いわゆる西成地域から行かれた労働者なんです。そのうちの二人が逃げてきたわけですね。逃げてきたというより、建設事務所から、あなたたち二人、もうおらぬことにしてくれと。それで、途方に暮れて私の事務所へ来ました。
 私、自慢するようですが、あの西成、釜ケ崎地域にただ一人入れる国会議員なんです。日ごろそういう連中と物すごく交流をしていますから、何らかの不安があったものですから来た。それで、あんた方、警察へ行って事情説明するなり、そのまま帰らなくてもいいのと違うかと。まあ別に罪で追われているんじゃないんですが、工事現場から逃がされた。
 そのときの状況は、何メートルか上へ上がりますと風が相当きつい日でしたから、工事現場で全部集めて、どうしよう、きょうやるかやるまいかという相談があったそうなんです。そのときには、あれはアジア大会のアクセスですか、何としても工期を急がなければいけない、そういう事情があったものですから、工事現場の監督が全員に一万円ずつキャッシュで渡したそうです。それはもう受け取ってきておりました。一万円ずつ渡して、悪いけど、ちょっときついけど工事続行でやってくれぬかと言って、その朝一万円ずつキャッシュをもらって上へ上がって、とび職の人たちがああいう事故につながった。
 僕はそれを聞いているものですから、特に今回の事故については現場の判断も、いろいろ今調査過程でありますので一概には申し上げられませんが、もう少し現場の判断がよければあのとうとい七人の方の命は助かったんではないか、そういう気がいたします。特にこれから大きな事業がたくさん行われますので、現場の判断といいましょうか、それから工事期間の問題といいましょうか、井上先生が先ほど言われましたように、安全対策費というのはどのくらい工事費の中にとっていくのかとか、そういうことを十分と御配慮いただきまして、事故のない建設業務を遂行していっていただきたいと強く要望いたしまして質疑に入ります。
 十六分しかないので、少し順位をかえて質疑をさせていただきます。
 消費税の見直しによって十月一日から家賃については非課税とすることになったわけでございますが、しかしながら、アパート、マンション等の経営者たちの声は十月になってもこの消費税はそのまま上乗せするということです。公団住宅とか公営住宅はおおむね三%の引き下げとなるはずですが、実態はどうなっているんでしょうか。先ほど来出ております借家・借地法の改正について、家賃も絡みます消費税の改正が十月一日から施行されますので、そういう点も含めて御答弁いただければ幸いでございます。
#134
○政府委員(立石真君) まず公団住宅でございますが、公団住宅の家賃につきましては、家賃に含まれている消費税相当分、三%、百三分の三を引き下げることとしております。
 また、公営住宅の家賃につきましては、二種類の方法を提案しておりまして、一つは税負担の軽減相当額、三%から仕入れコストにかかる消費税分を差し引いた分を引き下げるか、あるいは一たん三%引き下げた上で次の価格改定時期に仕入れコストにかかる消費税分を勘案して適切な水準に改定するか、これらの方法のうちそれぞれの地域の実情に応じて選択するように、ことしの六月、各事業主体に周知しております。これらの結果、消費税の公営住宅家賃への転嫁を行っております三十の県のうち二十七県が三%分の家賃を引き下げております。あとの三県はそれぞれちょっと独自のやり方で対応するというように聞いております。
#135
○山田勇君 おおむね公団関係はそういう形で新しい法律に準じて引き下げでいっている。
 民間住宅の場合は全く対応を民間にゆだねていますが、今のような状況のもとでは、民間住宅を借りている人たちは家賃が非課税となってもその恩典を受けることができないんではないでしょうか。民間賃貸住宅の引き下げは何%ぐらいになると建設省としては見ておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
#136
○政府委員(立石真君) 消費税の非課税措置に伴いまして消費税の税負担が減少するわけでございますので、これが家賃に的確に反映されることが必要だと考えております。
 その際、公営住宅についてと同じような考え方、でございますが、維持修繕費等について消費税込みで購入し、または提供を受けるということになるわけでございますから、非課税措置に伴う家賃の引き下げにつきましては、事業者の実情に応じまして、一つは仕入れに含まれている消費税分を加味して家賃引き下げを行う場合と、当面家賃を三%引き下げた上で仕入れに含まれる消費税相当額については別途対応する場合があるというように考えているところでございます。
 ただ、仕入れに含まれております消費税分を加味して家賃引き下げを行う場合におきましては、消費税込みで購入し、または提供を受けます維持修繕費等の割合が、建物の構造、設備あるいは建築時期、修繕の実施状況等によって非常に差がございます。そのために一律に値下げ率を示すということは困難であろうかというように考えております。
#137
○山田勇君 先ほど来の御質疑の中にあるとおり、借地・借家法が変わりますと、それに便乗して値上げをしようとする、そういうこともあります。建設省は強くその点を指導して対応していっていただきたいと思います。
 次に大蔵省の方にお尋ねをいたします。
 民間の賃貸住宅の相当数が消費税分を今までどおり上乗せしたままの家賃を継続しますと、これ雲で消費税を納めていたものが、今後納税義務が免除されると申しますか、税金を納めなくてもよくなるわけでございますので、家賃が従来のままで引き下げられないとすれば、今まで納めていた消費税に相当する金額が経営者の収益になり、これは新たな益税的なものになるように思います。その点はいかがでしょうか、お尋ねします。
 そうしてもう一問は、税の公正、公平という点からも問題があるように思うんですが、大蔵省は家賃の非課税による減収額をどの程度に見込んでいますか、また、この減収額のうち益税は何%ぐらいになると思っておられますか、お答えをいただきたいと思います。
#138
○説明員(増原義剛君) お答え申し上げます。
 今、先生、仮定に基づいて、もし仮にそういったものが引き下げられないとした場合にはどの程度の益税的なものになるのかということでございますが、私どもとしましては、先ほど建設省から御答弁がありましたように、それが公的な住宅のみならず、民間住宅におきましても、いわゆる税負担部分の軽減が借り手の方に反映されますよう当事者間でも十分御協議をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、住宅家賃に伴う減収額でございますが、今回の非課税措置によりまして平年度ベースで大体一千二百億円程度というふうに考えております。実施は年度途中で十月一日でございますが、平年度ベースでは大体一千二百億円程度ではないかというふうに思っております。
 また、その減収額のうち何%がいわゆる益税とみなされるのかというお話でございますが、ちょっとよくわからないのでございますけれども、私の解釈としまして、住宅家賃の非課税による税負担の軽減効果が実際の家賃の引き下げに反映されない金額、これがどのくらいであるのかという御質問だと思いますけれども、これにつきましては、そのような額を個別の住宅ごとに逐一調査をして積み上げていくということはほぼ不可能なことでございますし、きょうからまさに実施を見るわけでございますので、先生の御質問に直接お答えできないことを御理解いただきたいと思います。
#139
○山田勇君 私は二十一世紀を展望し、均衡ある国土の発展、国民の余暇の増大に対応し、先進国にふさわしい自然や環境、また国土の保全、調和した開発が今後とも必要であると考えます。しかしながら、リゾート法が乱開発を加速したという観点から、乱開発防止のための開発規制を強化しリゾート法を見直せという声が強いというさるアンケート調査の結果もあるんですが、国土庁としては現状についてどのような認識を持っておられますか、お答えをいただきまして私の質疑を終わります。
#140
○政府委員(小島重喜君) お答え申し上げます。
 御案内のとおり、現在全国で三土地域におきまして法律に基づきますリゾートの整備が行われているわけでございます。もとより、リゾート地域というのは当然良好な自然環境がなければ意味がないわけでございまして、そういう意味で、今先生のおっしゃった自然環境を保全するということは私はもう当然のことだと思います。
 そういう面で、現在の法律におきましても、政府が定めます基本方針におきましては、自然環境との調和を十分に図れ、そしてまた各県がつくります基本構想につきましても、当然そういう面からの自然環境の調和あるいは地価等の問題についてもちゃんとした規制なりをそれぞれの地域の特殊性に即してやりなさい、こういうことになっております。ただ、この構想自体が、承認されました一番古いものでもまだ三年くらいでございまして、言うなら、今整備に緒がついたというような状況でございます。
 私どもは、今御指摘のありましたような点を十分踏まえながら関係各省庁、六省庁ございますけれども、十分に個々の基本構想をフォローアップして、今御指摘のあったようなことのないように適正な法律の運用を図ってまいりたい、かように考えております。
#141
○山田勇君 終わります。
#142
○委員長(山本正和君) 山田君の質問はこれにて終了いたしました。
 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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