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1991/09/10 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第2号
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1991/09/10 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第2号

#1
第121回国会 厚生委員会 第2号
平成三年九月十日(火曜日)
   午後一時三十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月九日
    辞任         補欠選任
     清水嘉与子君     平井 卓志君
 八月十三日
    辞任         補欠選任
     平井 卓志君     清水嘉与子君
 九月四日
    辞任         補欠選任
     粟森  喬君     高井 和伸君
 九月五日
    辞任         補欠選任
     高井 和伸君     粟森  喬君
 九月九日
    辞任         補欠選任
     菅野  壽君     堂本 暁子君
 九月十日
    辞任         補欠選任
     堂本 暁子君     堀  利和君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
               日下部禧代子君
                堂本 暁子君
                浜本 万三君
                堀  利和君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     大西 孝夫君
       厚生大臣官房審
       議官       山口 剛彦君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省生活衛生
       局長       玉木  武君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省年金局長  加藤 栄一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       環境庁企画調整
       局環境保険部保
       健業務課特殊疾
       病対策室長    岩尾總一郎君
       文部省高等教育  
       局医学教育課長  喜多 祥旁君
       運輸省鉄道局施
       設課長      山田 隆二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (高齢者保健福祉推進十か年戦略の推進に関す
 る件)
 (高齢者歯科保健事業に関する件)
 (リプロダクティブヘルスに関する件)
 (特別養護老人ホーム個室化に関する件)
 (JR熊谷駅における身障者用エレベーター事
 故に関する件)
 (保健医療・福祉マンパワー対策に関する件)
 (出生率の低下に関する件)
 (妊娠・出産に係る医療保障に関する件)
 (高齢者障害加算制度の創設に関する件)
 (水俣病訴訟和解勧告に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨九日、菅野壽君が委員を辞任され、その補欠として堂本暁子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑めある方は順次御発言願います。
#4
○木暮山人君 自由民主党の木暮でございます。新しい厚生委員会が発足いたしましたことにつきまして、今から質問させていただきます。
 戦後、第一回国会からしばらくの間は国会には現在のように厚生委員会と労働委員会が設置されておりました。この両委員会は、昭和三十年の第二十二回国会において社会労働委員会に統合され、今日に至るまで課せられた職務を果たしてきたのでありますが、さきの国会において国会法が改正され、衆参の社会労働委員会は再び厚生委員会と労働委員会に分かれました。実に三十六年ぶりの分離であります。
 新生厚生委員会に課せられた責務はまことに大なるものがあります。現下に山積する保健、医療、福祉、社会保険など重要な諸問題は国民生活に直結する問題であると同時に、今後我が国の社会経済システムに根本的な再構築を迫る重大かつ緊急な課題であるからです。以前にも増して、新生厚生委員会に課せられた責務は重大と言わねばなりません。本格附な高齢化社会の到来を目前にして、特にその急激な高齢化のテンポは世界に類例を見ないものでありますから、政府のみならず国会においてもその対応が遅きに失することのないように、必要にして十分な施策を勇気を持って推進していかねばなりません。
 私は、我が国の二十一世紀が国民にとって活力にあふれ、明るく暮らしやすい時代になるよう願ってやみません。同時に、国民から負託を受けた政治家の一人として、重責を前に覚悟を新たにしておる次第であると同時に、国家としての姿勢が問われるところであります。
 厚生大臣におかれましては、厚生行政を取り巻く諸情勢に対する御認識と取り組みに対する御決意のほどを、また所見をお伺いしたいと思います。
#5
○国務大臣(下条進一郎君) おかげさまで厚生委員会が、長年の念願でございましたが、設置されまして、きょうこのように御審議をいただけることになりましたことをまず最初に御礼を申し上げる次第でございます。
 二十一世紀の本格的な高齢社会の到来を前に、社会保障制度の充実と長期的安定を図るため、所得保障、医療保障の分野における必要な制度の改革、高齢者の保健福祉サービスにおける基盤の整備、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりなど、厚生省が取り組むべき課題は多く、国会においても十分な御審議をお願いすることが必要であり、専門の委員会として今回厚生委員会が発足したことを心から歓迎いたしております。
 私は、国民一人一人が心から豊かさを実感でき、生涯を通じてその能力と創造性を発揮できる社会、お年寄りから赤ちゃんまでの幸せを目指す明るく豊かな長寿・福祉社会を築き上げることを政治理念としており、そのためにも厚生行政の充実に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
#6
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 次に、高齢者保健福祉推進十カ年戦略について質問させていただきたいと思います。
 高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランは、平成元年十二月、厚生大臣、大蔵大臣、自治大臣の間で合意されたものでありますが、その内容は、消費税導入の趣旨を踏まえ、高齢者の保健福祉の分野における公共サービスの基盤整備を進めるため、在宅福祉、福祉施設等の事業について、今世紀中に実現を図るべき十カ年の目標を掲げ、これらの事業の強力な推進を図ることであります。
 まず第一に、平成二年度から平成十一年度までの十カ年の目標ということで、その事業規模の総額は六兆円強ということになっておりますが、平成四年度の概算要求を終えた段階で現況はいかがなものですか。
 第二に、十カ年戦略も一年一年の積み重ねによって初めて達成されるものでありますから、予算の年度主義ということはよくわかりますが、毎年必要な予算を確保し、所期の目標達成のために尽力されなければならないと考えます。
 第三には、十カ年戦略を実際の現場で支えるマンパワーの確保はどうなっているのでしょうか。十カ年戦略も三年目に突入しようとしております。人材養成のための施策は早過ぎるということはないと思います。早々に確固たる施策を打ち出さないと間に合わないと思いますが、いかがなものでしょうか。厚生省の決意のほどをお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(大西孝夫君) お答えを申し上げます。
 御指摘のゴールドプランはへ二十一世紀初頭に予想されます国民の四人に一人がお年寄りという本格的な高齢社会を控え、我が国が現在の北欧並みの高齢化社会に急激に変化する二十一世紀までの十年間に、高齢者の保健福祉サービスの分野における基盤整備を進めるということを目的としたものでございまして、これによりまして寝たきり老人等の要介護老人が在宅サービスを受け、在宅で暮らし続けることができるよう、また在宅での介護ができない状態になった場合には、待つことなく施設サービスを受けられるよう在宅福祉、施設福祉等の事業において、今世紀中に実現を図るべき目標を掲げ、強力に事業を推進するということにいたしているわけでございます。
 その進捗状況でございますが、初年度でございます平成二年度につきましては、目標はおおむね達成することができました。また、事業二年度目に当たります本年度、平成三年度の事業規模は、国費ベースで平成二年度に比べ約五百億円増の約千四百億であり、ホームヘルパーの増員、デイサービス、ショートステイの拡充等の在宅福祉サービスの充実や特別養護老人ホーム、老人保健施設等の施設整備などを現在進めているところでございます。
 このようなゴールドプランを進捗するためには、今後とも事業の進捗状況等を勘案しながら、毎年度の予算編成におきまして具体的な整備量を設定し、強力に事業の推進を図ることが大切であるというふうに考えております。
 また、ゴールドプランの実現を図る上では、先生御指摘のように保健医療・福祉マンパワーの確保を図ることが極めて重要であると考えておりまして、看護職員、社会福祉施設職員、ホームヘルパー等の各職種ごとにその置かれた状況を踏まえきめ細かく対策を講じてまいりたい、講ずることが必要と考えております。
 そういう観点で、今般看護職員、社会福祉施設職員及びホームヘルパーの各職種ごとの特性に応じて勤務条件等の改善、養成力の強化、就業の促進等について中長期的な基本方針を明確にするとともに、平成四年度において実現を図るべき予算、融資、税制等の具体的な施策案を掲げました平成四年度保健医療・福祉マンパワー対策大綱を取りまとめたところでございます。
 また、これらの施策を協力に推進するために、次期通常国会には看護職員の人材確保を図るための法律案、それから社会福祉施設職員、ホームヘルパーの人材確保を図るための法律案を提出すべく準備を進めているところでございます。これらの課題に今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#8
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 次に、高齢者の歯科保健について少し質問をさせていただきます。
 健やかに老いるため、またそれに対して年々施策がふえ続けて充実の傾向を示していることはまことに喜ばしいことであります。来年度の概算要求の中でもその努力が見られるが、歯科医師の立場から全国の歯科医師の声として問題点を指摘して、御意見をお伺いしたいと思います。
 まず第一に、老健法において、歯科医師は健康教育と相談を受けて指導することになっていますが、歯科の検診についてはその規定がなく地方自治体の実情によって任されており、地方自治体の財政的基盤によって検診が行われるところと行われないところが生じています。この現況に対するまず御意見をお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(岡光序治君) 確かに総合的な歯科保健対策が必要でございますので、厚生省といたしましては従来からそのような対応をしておるわけでございますが、先生具体的に申されました歯科の検診の問題でございますが、現在の老人保健事業における健診事業の中では歯科検診は国の事業としては取り上げていないわけでございます。御指摘のように地方自治体の判断に任せておるわけでございまして、そういう意味では地方自治体の取り組みに差があるというのは御指摘のとおりでございます。
 この辺をどうするかということで、公衆衛生審議会において一年余り御検討いただいたわけでございますが、去る五月、意見具申をいただきまして、当面は歯周疾患予防のための歯科検診を取り上げて、その有効性等について調査を行うべきである、こういう内容が指摘されたわけでございまして、こういった審議会の御意見を踏んまえまして、歯周疾患予防のための歯科検診に関するモデル事業の実施につきまして、これの実施方、来年度そういうことをやりたいということを目標にしまして、今検討しているという状況でございます。
#10
○木暮山人君 どうもありがとうございました。次に、八十歳で二十本の歯を保つ、いわゆる八〇二〇運動が提唱されておりますが、概算要求では歯科保健普及啓発運動の費用とされております。確かにこの運動の目標は立派な目標ではありますが、目標達成の具体策がもしあるとするならば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#11
○政府委員(古市圭治君) 八十歳で二十本の自分の歯を持とうというのは非常にこれは高い目標でございます。この目標が達成できるかということでございますが、ちなみに申し上げますと、現在日本人は知歯を除きまして二十八本があれば全部自分の歯ということでございますが、五十五歳から六十歳になりまして八本喪失して二十本持っているという人が既に半数を切る状況でございます。八十歳で現在何本がと申しますと、平均で四本の歯しか持っていないということでございます。そういうことで、これを二十本までというのは大変な運動でございます。
 そこで、私どもは現在市町村レベルで行っております成人歯科保健モデル事業を都道府県レベルまで上げてモデル事業を実施する、そのことによりましていわゆる歯科保健、歯科衛生の運動を全国的にも波及させていきたいということで、来年度は都道府県レベルまで八〇二〇運動を広げる、もちろんモデルでございますが、それを全国的に普及していきたいと思うわけでございます。また、日本人は四本と申し上げましたが、これは年々改善はしてきておりますし、現在米国白人では約八本ということでございますので、決して無理なことではない、ひとつ頑張ってやりたいと思っております。
#12
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 次に、引き続きまして、八〇二〇の目標達成に至るには幼少年期から歯科保健の健康教育は欠かせないものと考えております。とりわけ現行老健法に規定されている四十歳以上の節目健診は普及啓発運動には欠かすことができない事業でありますが、その実施プログラムは、もしあるとするならば詳細にわたって御説明願いたいと思います。
#13
○政府委員(岡光序治君) 歯科の検診そのものにつきましては、先ほど御答弁を申し上げたことで少しく検討させていただきたいと思っておりますが、御指摘のように健康教育という面におきまして、歯科保健の分野においても相当力を入れているつもりでございます。歯の健康教育とか歯の健康相談、こういうことを重点的にやっているつもりでございます。特に平成四年度からは老人保健事業第三次計画が始まるということでございまして、これもそのおり方につきまして公衆衛生審議会から健康教育などの一次予防の充実を図ることが必要である、そういう意見具申を受けておりますので、訪問口腔衛生指導を導入するとかあるいは健康教育への歯科衛生士の活用、こういったことにつきまして検討を進めてぜひともその実現を図りたい、こういうことで今鋭意努力をしているところでございます。
#14
○木暮山人君 次に、歯科診療報酬体系についてちょっと意見をお伺いしたいと思います。
 現在は、国民皆保険になりましてから長い間の実績を重ね、改正に改正をされましたが、診療報酬の適正化ばかりに重点が注がれ、医業経営の健全化、医療技術評価の適正化に対しての配慮がまだまだ不十分であるとお考えになりませんですか。この点もう少し競争原理を導入し、医療技術の向上を図る考え等について、あるかないか、それに対する御見解がございましたら、お伺いしたいと思います。
#15
○政府委員(黒木武弘君) 歯科の診療報酬についてのお尋ねでございます。
 診療報酬につきましては、木暮委員も御承知のとおりだと思いますけれども、これまでも技術料重視という基本的な考え方に立ちまして、中医協の御議論も踏まえながら、賃金とか物価の動向や医業経営の実態等医療を取り巻く諸状況を総合的に勘案して所要の改定を行ってきたところでございます。
 昨年四月の前回改定におきましても、これからの高齢化社会における歯科医療の充実という観点から、欠損補綴とかあるいは歯冠修復、在宅の歯科の医療あるいは歯周疾患の治療といったようなものの関係分野を中心に改定を行ってきたところでございます。
 今後の歯科診療報酬のあり方等についてのお尋ねもあったわけでございます。現在、給付外の診療の保険導入等の問題につきまして検討を行うために中医協に歯科小委員会が設置されているところでございまして、同委員会の御議論も踏まえながら、かつまた委員御指摘の競争原理等をどういうふうに導入するかというふうなことも念頭に置きながら、これから歯科診療について適切に対処していきたいと考えております。
#16
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 次にまた、老人保健事業における歯科の位置という問題について質問をさせていただきたいと思います。
 お年寄りになっても自分の歯でかむことができるということは大変重要なことであります。八〇二〇運動、この目標の達成のためには何といいましても若いうちから歯の健康づくりが大切であります。第二次老人保健事業において歯科の健康相談、健康指導が設けられ、六十二年度から実施されておりますが、八〇二〇運動の目標達成のために平成四年度の概算要求において歯周疾患予防モデル事業が老人保健事業第三次計画特別対策事業の中に入っております。第三次老人保健事業にはぜひ健康診断の項目に歯科を入れていただきたいと思うわけでありますが、老人保健事業における歯科の位置づけについてお伺いいたしたいと思います。
#17
○政府委員(岡光序治君) 本格的な高齢社会の到来を控えまして、すべての国民が健康で生きがいを持ち、安心して生涯を過ごせるような明るい活力ある長寿社会を築いていくという必要があるわけでございますが、歯の問題につきましては、その健康づくりというのは生涯を通じて豊かな食生活を享受して、いわゆる生活の質を維持するというためにも非常に重要なポイントだというふうな認識をしているわけでございます。
 そういう意味では、御指摘がありましたように、来年度から開始をされます老人保健事業第三次計画におきまして歯周疾患の予防のための歯科検診に関するモデル事業の実施を行うなど、あるいは健康教育であるとか健康相談であるとか、こういったことへ歯科衛生士を活用する、そういう内容の充実をぜひとも実現したいというふうに考えておる次第でございます。
#18
○木暮山人君 続きまして、都道府県保健所における歯科医師、歯科衛生士の充足状況について質問させていただきます。
 歯科保健事業の推進に向けてやはり保健所の果たす役割は大きいと思うわけであります。厚生省も昨年六月、保健所における歯科保健業務指針を示し積極的に取り組もうとしており、その姿勢は評価できると思うものであります。都道府県あるいは保健所に勤務する歯科医師、歯科衛生士はまだまだ不足しております。保健所あるいは都道府県における歯科医師、歯科衛生士の充足状況をもし御存じでございましたら、御説明願いたいと思います。
#19
○政府委員(古市圭治君) 現在全国に保健所八百五十あるわけでございますが、先生御指摘のように極めてまだ不十分な歯科衛生関係の技術者の配置状況でございます。ただいま手元にございます数字で言いますと、歯科医師では六十名、歯科衛生士では三百五十名と。いう状況でございます。
#20
○木暮山人君 保健所における歯科医師、歯科衛生士の充足率が三分の一にしかすぎない。なかんずく、保健所に歯科医師、衛生士の全くいない府県が四分の一以上あるということであります。これでは歯科の保健事業がなかなか進まないわけであります。全保健所に歯科医師あるいは歯科衛生士を配置することを目指して早急に体制整備を図っていただきたいと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
#21
○政府委員(古市圭治君) 現在各種の地域におきます歯科保健事業につきましては、保健所の歯科専門技術者だけでは不十分ということでございまして、それぞれの地域の歯科医師会等にも御協力をいただいて実施しているわけでございます。今後、先生の御指摘を踏まえて職員の充実について努力をしてまいりたいと思います。
#22
○木暮山人君 成人歯科保健対策検討会の中間報告書の検討状況について質問させていただきます。
 平成元年の十二月に成人歯科保健対策検討会中間報告が出ておりますが、これを受けて厚生省はどのような歯科保健対策を行っておられるのか。中間報告が出てから既に一年半以上経過しております。中間報告後の検討状況並びに最終報告の見通しについて御説明いただき丸いと思います。
#23
○政府委員(古市圭治君) 歯科疾患は慢性の疾患でございまして、各年齢層にわたって非常に有病率が高い。それに対しまして、現在行われていますのは乳幼児、学童の歯科の健診が中心でございまして、御指摘の成人歯科検診、老人の歯科検診というのはまだ不十分な状況でございます。そういうことから、報告書におきましてそれらの対策の強化というものを御指摘を受けました。
 そこで、それを反映いたしまして、今年度より一歳六カ月児の健診をしますときにその子供をお連れになったお母さんの歯の検診を同時にその場でやっていくということを取り入れて事業としてやっております。これは、妊娠から出産後一カ年ぐらいの母親は歯周炎、それから齲蝕が多発する傾向にございます。それにもかかわらずなかなか多忙で歯科治療を受けることができないというふうなこともありまして、そういうことで一歳六カ月児の歯科健診の際に母親に対しても成人歯科保健の重要性を認識していただくとともに歯科検診の機会を与えようということでございます。
 これを契機といたしまして成人歯科保健全体へ反映する、この事業を市町村レベルでやっているわけでございますが、先ほどお答えいたしましたように、来年度にはこれを都道府県レベルまで持ち上げまして八〇二〇運動と連結してやっていきたい、このように考えております。
 また、最終報告でございますが、これは現在のところいついつまでにと、こうお答えできる状況ではないということでございますので、御了承いただきたいと思います。
#24
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 次に、歯科保健事業の推進について厚生大臣の御見解をいただきたいと存じます。
 お年寄りにとって食べること、しゃべることは最大の喜びの一つであります。寝たきりのお年寄りに歯の治療をしたらびっくりするほど生き生きしたという話を聞くわけであります。その意味からも、最後まで自分の歯で味わって食べるということはある意味では人生最大のぜいたくではないか。一人一人が実感できる豊かさ、これは例えば今申しました最後まで自分の歯で味わって食べる、こうしたことの積み重ねがあって初めて実現できるものではないかと思うのであります。
 こうした問題を踏まえまして、歯科保健事業の推進について厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#25
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま委員から御指摘がありましたように、高齢者の方々が今お話しのような歯科の治療によって元気になられたという話は大変に重要なことだと存じます。厚生省といたしましては、先ほど担当局長からお話を申し上げましたように、八〇二〇運動で、今はわずか平均四本だそうでありますけれども、順次その目標に向かって歯科の運動を展開いたしまして、健康な歯で、みずからの歯で食事ができるような形で健康の基礎を築き上げていきたい、こういうことで総合的な対策を講じておるわけでございますので、歯科保健対策の推進について我々としても最大限の努力を払ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#26
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
 これで質問を終了いたします。
#27
○堂本暁子君 ただいま大臣は冒頭にも出生率の問題に触れられましたけれども、私はきょうは女性の視点からリプロダクティブヘルスに関する研究について質問させていただきます。
 まず、このプロジェクトをスタートさせるために厚生省の払われた御尽力を評価させていただきたい。全国の女性が期待していますので、充実した内容、そして成果が出ることを希望いたします。
 お手元に資料が配られていると思いますが、その資料の頭にございます厚生省から私が資料要求をしていただいた九月六日の資料、これに基づいて質問したいと思います。大臣のお手元にございますか、資料が。
   〔資料配付〕
#28
○堂本暁子君 続けます。
 最初に局長に伺いたいんですが、限られた時間の中ですので、最初の五問は、クイズではございませんが、イエス、ノーでお答えいただきたい。
 今お配りいたしました資料にあります参議院の社労、当時は社労でございました、去年の六月一日に私質問させていただきましたが、その質問並びに六月二十一日の社労委員会において優生保護法の改正が決まりましたときの附帯決議、それに基づいてこのリプロダクティブヘルスの研究というのが決まったかどうか、その点について局長にお答えいただきたいと思います。
#29
○政府委員(大西孝夫君) 担当局長がちょっと参っておりませんので、私からお答えをさせていただきます。
 この附帯決議の趣旨を十分尊重いたしまして、今後私ども研究を続けさせていただきたいと思っております。
#30
○堂本暁子君 二番目に、とすれば、避妊の失敗から望まない妊娠をした女性が受ける精神的、身体的な影響を取り除く、そういった目的のために女性が健康に子供を産み育てることができるような社会環境づくりを実現するため、そのための研究というふうにこの議事録の方にございますが、そのことが目的だと了解してよろしゅうございますね。
#31
○政府委員(大西孝夫君) 先生今言われたとおりの方向で私ども考えております。
#32
○堂本暁子君 といたしますと、女性の意見に行政は耳を傾けなければならないと前大臣がおっしゃっていらっしゃいますが、その点もそれでよろしいでしょうか。
#33
○政府委員(大西孝夫君) この研究班のメンバーは女性にすべてお願いしておりますし、そういう意味で今御指摘のような精神で私ども進めてまいりたいというふうに考えております。
#34
○堂本暁子君 イエス、ノーで結構でございます。
 附帯決議にある避妊、妊娠、出産を健康の一環としてとらえる理念を基礎に研究を進める、このこともそれでよろしゅうございますね。附帯決議にそのとおりに書いてございます。
#35
○政府委員(大西孝夫君) そのとおりでございます。
#36
○堂本暁子君 次はイエス、ノーではまいりませんが、一時的なものではなく、こういった研究というのは継続的に続けていただきたい。何年ぐらいお続けになるおつもりかお答えください。
#37
○政府委員(大西孝夫君) 一応私ども目途としては三年を考えております。

#38
○堂本暁子君 次に、大臣に伺いとうございますが、議事録にございます、三ページですが、三ページの終わりの方に、これは津島前大臣のころの御答弁になりますが、女性がきちんと、特に若い女性が相談する相談機関というのが日本に今ございません。もう欧米ではクリニックという名前で本当に自分が性の問題でわからないというときに相談をするところが多々あるのですが、そういうのがございません。やはり相談と実地指導ということについて、今までもやってまいりましたけれども、これでは十分でない。そしてそのことをやっていきたい、その点について予算の確保とともに工夫させていただきたいというふうにお答えくだすっていますが、これは確認ですけれども、大臣も当然これは引き継いでいただくということでよろしいでしょうか。
#39
○国務大臣(下条進一郎君) 今お尋ねの基本的な問題は、女性の健康をいかに守っていくかというところからいろいろな議論が出ているわけだと思いますけれども、今後の活力ある福祉社会をつくる上でこの問題は大変な重要な課題である、このように考えておりまして、女性の立場、御意見を十分に踏まえて対策のあり方を検討していく必要があると認識しております。
 先生からかねて御指摘をいただいておりますリプロダクティブヘルスという新しい考え方に立った対策のあり方についても今年度から調査研究を開始したところでございまして、予算づけをいたしたわけでございますので、その結果なども参考にしながら今後とも検討を続けてまいりたい、このように考えております。
#40
○堂本暁子君 課長が横でささやいていらっしゃるようですが、そうではなくて、次の質問はぜひ大臣の私見を伺いとうございます。
 大臣は、女性のそういった出産、そして女性特有の体の問題、健康について、どの程度厚生大臣として本気でお臨みになるおつもりか、私見を伺いとうございます。
#41
○国務大臣(下条進一郎君) 人間社会は女性と男性、この両性によって構成されているわけでございますから、当然長寿社会を健全に維持していくということであるならば、女性問題も非常な重要な問題である、このように受けとめております。女性の生涯にわたる健康づくりを推進していくことは重要な課題と考えておりまして、従来から各種健康診断や保健指導の充実に努めてきているところでございます。
 先ほどもちょっと触れましたように、先生はリプロダクティブヘルスという新しい考え方に立った対策のあり方に立っていらっしゃいますので、今年度から、先ほど申し上げましたその趣旨を十分に尊重しながら、緒についたばかりでございますが、その調査をさらに進めて、いろいろな面での充実を図るように厚生省としても対策を講じてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#42
○堂本暁子君 大臣は今リプロダクティブヘルスという言葉をお使いになったんですが、これも今とっさに私伺うんですけれども、この言葉をどのように了解しておられるか、それももし御存じなければ御存じないで結構でございますが、伺いとうございます。
#43
○国務大臣(下条進一郎君) これも私は実は初めて伺ったわけでございまして、きょう出てくる前にちょっと資料を読んだわけでございますけれども、先ほど来お話があります女性の問題、健康の問題全般にわたる非常に建設的な研究をしていらっしゃる考え方だというふうに受けとめておりますので、それを尊重して我々の方も御協力していく立場をとっておるわけでございます。
#44
○堂本暁子君 解説ではないんですが、もっと言わせていただければ、やはり日本の女性に対しての施策というのは、医療あるいはモラル、さらに母子保健に余りにも偏っているというふうに言わざるを得ないと思います。
 世界的にはむしろそういった初潮から閉経まで、そしてその間の妊娠、それから人工妊娠中絶もございます。授乳ということもございます。育児もございます。あらゆるそういった女性の出産並びに女性の体に関すること、これが最近はリプロダクティブヘルスという形、それはリプロダクティブライトという権利とリプロダクティブフリーダム、自由ということに基づいた、女性が社会で働く場合、それから社会化して行く場合に当然の権利として裏づけされる行政の、と申しますより福祉の社会化という部分の問題なんですけれども、これは既に女性の自己決定権を重んじて本当にその保障を求める、女性の健康を求めるという形で世界的に繰り広げられている運動なんです。
 ですから、今までの厚生行政と非常に本質的に違うところがあります。母子という視点ではなくて、もっと女性が伸び伸びと自由に子供が産める環境をつくるという、今まで私がそれを提言しましたのは、やはり男性によって行政が重点的にはつくられてきた。その場合にどうしても人口政策ですとか今申し上げた医療とかモラルということが重点になってしまう。それは女性の側からいうとフィットしてこないわけです。ですから、全く空回りをするということが現在の出生率の低下を招いているというふうに私自身は了解しております。
 もう一つ申し上げたいのは、今ごらんいただいている資料、これをいただきましたが、その研究の概要、各班の研究方法、それからトップの方だけではなくて研究者の名前なども一切今回いただけませんでした。これは立法とそれから行政が協力してこういうことを推進するのに、私は資料として大変不満でございます。もう一回お願いしたところ、十行が十七行になりました。こういう形というのは本当に国民の信託を受けている私ども野党議員、そして同時に人口の半分である女性を大変冒涜するものだということを私は申し上げたい。したがって、大臣から担当課なりにそのことをきちんと私たちが検討できるように御指示いただきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
#45
○国務大臣(下条進一郎君) 御指摘でございますが、行政において女性の各般の問題が軽視されているようなお話もちょっと……
#46
○堂本暁子君 いえ、軽視ではありません。資料の問題でございます、資料の出し方。
#47
○国務大臣(下条進一郎君) いえ、その前のお話にございましたけれども、ここにおります幹部が男性が多いからといって決して女性の問題を厚生省は軽視したり、重要でないというようなことは考えておりませんで、非常に国民全般にわたって健康をいかに守っていただくかということについて日夜努力しておりますので、十分でない面もあろうかと思いますが、御意見を十分尊重しながら、これからも従来同様の努力を続けてまいりたいと思っておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 資料の方は、……
#48
○堂本暁子君 資料については、今申し上げたメンバーですとか方法とか、そういうことはきちんとお示しいただけますでしょうか。
#49
○国務大臣(下条進一郎君) 資料の方は別途検討させていただきます。
#50
○堂本暁子君 それでは最後に申し上げますけれども、確かに努力していらっしゃる。その努力していらっしゃる方向が女性にとって全く不満だからこれだけ出生率が下がるんです。努力していらっしゃるのは母子保健に余りにも偏っているというふうに申し上げたい。女性が働きながら、労働とそれから子育てとが二重労働になっているんです。そうではなくて、もっと出生についても育児についても自由にできる、そういった場づくり、そのためには男性の方たちももちろん私たちのような理念に立っていただければ大変にうれしいんですけれども、女性の選択権、そして自由というものをもっと私たちが自由に選んでいけるということがきちんと確立されていない。理念の問題でございます。今リプロダクティブヘルスということを大事に考えるとおっしゃるのであれば、それはその理念に基づいてやっていただくということが大事なのであって、厚生省の中での考え方をぜひ御研究いただきたい。よろしくお願いいたします。
#51
○日下部禧代子君 まず、特別養護老人ホームの個室化について質問させていただきます。
 最初に、老人ホームの居室の入所基準と現在の比率をお尋ねいたします。特養、養護、軽費、それぞれについてお願いいたします。
#52
○政府委員(岡光序治君) まず、一居室当たりの入所基準について申し上げます。
 特別養護老人ホームにつきましては、一居室当たりの入所基準は四人以下、そして二割の個室を認めるということになっております。それから養護老人ホームにつきましては二人以下。それから軽費老人ホームにつきましては、A型、B型、ケアハウスとございますが、いずれも個室、こういうことになっております。
 それから、現在の割合でございますが、特別養護老人ホームにつきましては、一人用の部屋数は五・九%、それから二人用は一四・九、三ないし四人用が六四・二、五人以上が一五・〇、こういう状況でございます。
 それから養護老人ホームにつきましては、五十八年度以降の新築それから増改築のものは全室個室化ということでございますが、それ以前のものがございますので、個室が一五・四、二人部屋が六〇・四%、それから三ないし四人部屋が二三・二%となっております。
 なお、軽費老人ホームにつきましては、ほぼ一〇〇%個室、こういう状況になっております。
#53
○日下部禧代子君 昨年の六月十九日に当時の社労委員会で私が質問させていただきましたときと同じ数字だというふうに思いますが、調査は何年ごとになさるわけでございましょうか。
#54
○政府委員(岡光序治君) 失礼しました。調査時点は昭和六十三年でございますので、前回の御質問にお答えしたと同じでございます。大体三年置きで調査をしております。
#55
○日下部禧代子君 では、この数字から質問をさせていただきます。
 養護、経費、それぞれ老人ホームに比べまして、特別養護老人ホームの場合は個室、一人部屋の割合というのが非常に低いのでございますが、その理由について御説明いただきたいと思います。
#56
○政府委員(岡光序治君) 従来、特別養護老人ホームにつきましては、この特別養護老人ホームの入所対象者というのは常時の介助を必要とする御老人を対象にするということにしておりますので、その処遇上の観点から三ないし四人で一緒に生活する方がふさわしいというケースもあるわけでございまして、そういう意味で全室を個室化するという原則には立っていない、そういう状況でございまして、先ほども申し上げましたが、現在のところは定員の二割までの個室化ということを目標に整備を進めておるということでございます。
 こういう状況になっておりますのは、主に処遇上の観点から出てきたという経緯と、それからもう一つは、これはもう現実的な要請でございますが、何しろ待機者が多いものですから急いで整備をしなければならないという現実上の要請と、この二つの理由だというふうに理解をしております。
#57
○日下部禧代子君 処遇上の問題というふうにおっしゃいましたが、もう少しこの点を御説明いただきたいと思います。
 何人か御一緒のお部屋の方が処遇上の利点があるということでございますが、具体的にどのような利点があるわけでございますか。
#58
○政府委員(岡光序治君) まず孤独感、それから日常のコミュニケーション不足というような人がいらっしゃるわけでございまして、そういう孤独感をのけて、あるいは日常お話し合いができる、こういうのはやはり複数の人が同じ部屋にいるという方がふさわしいというのが非常に率直な意味でございます。そういう意味で処遇上の意味というふうに申し上げているつもりでございます。
#59
○日下部禧代子君 孤独感の解消あるいはコミュニケーション不足の解消というお答えでございましたけれども、これは特別養護老人ホームに入所していらっしゃる方々が寝たきりであるということが前提というお考えに立っているように思えるわけでございます。それと同時にまた、孤独感、コミュニケーションの不足というのは、一つのお部屋、個室にいらしたとしても、これはどなたかが訪問なさればいいし、また足がお悪い方であったら車いすにお乗りになりましてさまざま集団、いわゆるいろいろな方々がたくさんいらっしゃるようなリビングルームとか食堂とか、そういうところにいらっしゃることだってできるわけでございますが、コミュニケーションが一つのお部屋に一人だと、個室だと不足するということは余り説得性がないように思いますが、いかがでございましょうか。
#60
○政府委員(岡光序治君) 先生のおっしゃる意味もわからないではないわけでございますが、現在特別養護老人ホームの職員の配置基準を決めておるわけでございまして、そういった職員の配置基準からしますと、マンツーマンという対応にはなっていない状況なわけでございます。そういう現実の限られた人的資源というんでしょうか、マンパワーのもとでの現実的な対応としては、もちろん手厚い介護や適切な処遇が必要なわけでございますが、それはそういった日常生活の介助を特に求めている人に重点的に行うということになりますので、一人で生活できるような人の場合にはやや、何というんでしょうか、一人でいるということが多くなる、こういうケースもあろうかと思いますので、そういった場合の孤独感なり日常のコミュニケーション不足ということを念頭に置いてそういう対応を考えておるような次第でございます。
#61
○日下部禧代子君 ところで、この八月に東京都社会福祉協議会から「老人ホームの個室化に関する意識調査」という報告書が出されております。この調査によりますと、二十歳代以上約四千人の男女、東京都民を対象とした調査でございますが、その結果によりますと、八割の都民が個室化を進めることを希望しているという結果が出ております。もう少し詳しく申し上げますと、公費負担で計画をおくらせずに個室化を進めるべきだという都民が七一・六%、老人ホームの増設の計画をおくらせてでも個室化を進めるべきだという方もおりまして、それは八・二%でございます。
 この設問をする前提条件といたしまして、都内には五千人以上の特別養護老人ホーム入所待機者がいるのだということ、あるいはまた個室にすると人手や経費や公費負担がふえるというふうな前提条件を設けた設問でありながらこのような結果が出ておりますが、この東京都社会福祉協議会の調査の結果につきまして厚生省はどのように御見解をお持ちになりますでしょうか、お聞きしたいと思います。
#62
○政府委員(岡光序治君) これにつきましては平成三年の八月に発表されておりますので、その発表の中身については承知をしておるわけでございます。
 おっしゃいましたように、調査のやり方について若干私どもなりに意見はございますが、それは別にいたしまして、一つの調査結果として私ども真剣に受けとめているところでございます。
#63
○日下部禧代子君 真剣という意味は、もう少し具体的にお答えいただきたいと思います。
#64
○政府委員(岡光序治君) この個室化の問題というのは従来から御議論のあるところでございまして、都民の方々の御意見がこういうことであるということを私ども貴重な情報として受けとめて、今後の老人ホームの個室化の問題についての一つの資料にさせていただくという意味でございます。
#65
○日下部禧代子君 これはあくまでも日本全体というのではなくて、東京都という限られた地域における希望だというふうにおとりになっていらっしゃるわけでございますか。
#66
○政府委員(岡光序治君) それは別に申し上げているわけでございませんで、都市部における感じとしてはこんな感じかなという意味でございます。
#67
○日下部禧代子君 こんな感じかなという程度ではなくて、もう少し厚生省の方針にかかわるようなお関心をお持ちにはなりませんでしたでしょうか。
#68
○政府委員(岡光序治君) そこまでおっしゃいますとあえて申し上げますが、これは東京都の方にお尋ねしましたところ、東京都の方も知らないで社会福祉協議会独自で御調査されたということだそうでございます。私ども普通そういった行政調査を行う場合には、どのような調査で設定するかというそういう調査の設定方法、これについてはよく御協議をするわけでございます。今おっしゃいましたように、東京都の二十三区の意見にするのか東京都にするのか、全国的にもそれが通用するというふうに統計的にも意味のあるふうにできるのか、そういったことを煮詰めるわけでございますが、そういった点については実は私ども承知をしておらないわけでございまして、そういう意味で私ども情報として承っておる次第でございますが、しかし東京都の都民の意見という意味では私どもそれを承っておると、こういうつもりで申し上げたわけでございます。
#69
○日下部禧代子君 厳密に言えば統計的には問題点がかなりあるというふうに受けとめていらっしゃるわけでございますか。
#70
○政府委員(岡光序治君) 率直に申し上げてそのとおりでございます。つまりこの何十%という数字につきまして、これはおおよそそういう傾向であるという意味での受けとめ方をすべきではないか、そういう意味でございます。
#71
○日下部禧代子君 私としては、やはり統計学的にいいますと、それぞれにさまざまな調査というのは全く完璧というのはなかなか望めないと思うわけでございますが、これだけの幅広い方々を対象として調査された結果というのはそれなりに重みがあるのではないかというふうに私は解釈した上で質問を続けさせていただきます。
 その調査結果の中に、老人ホームの改善すべき点として第一位にありましたのがプライバシーの尊重ということでございました。これは既に一九七二年、昭和四十七年十二月に中央社会福祉審議会におきまして、老人ホームのあり方に関する中題意見というものが出されておりますが、そこでは老人ホームは「収容の場」ではなくて「生活の場」であるべきだ、「個人のプライバシーを重んずる一般の住居水準に劣らない内容とを有するようにすべきであろう。」というふうにもう既に二十年前に言われているわけでございますが、老人ホ。ームにおけるプライバシーの問題につきまして大臣はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
 この二十年前の中央社会福祉審議会の中間意見及び、今余り政府としては参考にならないとはおっしゃいましたけれども、東京都の社会福祉協議会の調査結果も踏まえて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#72
○国務大臣(下条進一郎君) いろんな角度から個室がいいとか、あるいは先ほど部長からお話しいたしましたように、必ずしも個室にとらわれなくてもいいんじゃないかと意見はいろいろあるわけでございます。
 我々、古いわけでございますけれども、高等学校のときなんか一部屋四人で生活したこともありまして余り苦にしなかったわけでありますけれども、昨今はもうほとんど子供さんのころから一人一部屋というような生活環境に変わっておりますから、したがって一人一部屋という御要望が強くなっている、これは一つの流れであろう、このようには思っております。
 特別養護老人ホームにつきましては、心身の障害を持ち常時介助を必要とする高齢者のための手厚い介護を行う施設であり、入所を希望される方々も多いことから、十カ年戦略に基づきまして緊急に整備を行っているところでございますが、個室をどのように整備していくかにつきましてはいろいろ状況もそれぞれ異なっております。痴呆性老人や障害の重篤な高齢者を適切に処遇していく観点から検討すべきものとも考えておりますが、処遇上必ずしも個室が適当でない高齢者も中にはあるわけでありまして、個室をすべて原則とするということには踏み切れないというのがただいまの我々の考え方でございます。ただ、そう大部屋という方は先ほど申しましたように時代の流れで変わってきておりますので、そこらを十分見きわめながらその事態に応じた形で対策を講じていくように考えております。
#73
○日下部禧代子君 今大臣、お若いとき、高校生のときには四人部屋で楽しかったとおっしゃいました。確かに若いときはどんな状態であろうと楽しいわけでございます。しかしながら、特別養護老人ホームの場合にはお体も不自由になられて、そしてそこはもう一時的ないわゆる旅行先ではなくて、滞在先ではなくて、一生のついの住みかになるという、生活の場でございます。そういうところにおきましての雑居ということはかなり慎重に考えなければならないというふうに思うわけでございます。
 大変失礼な質問をさせていただきますが、大臣御自身が特別養護老人ホームにお入りになるなんということは、これはよもやないと思いますが、もしそういう場合には個室をお選びになりますか、四人部屋をお選びになりますか。大変失礼な質問でごめんなさい。
#74
○国務大臣(下条進一郎君) 仮の話でございますから何とも答えられないわけでございますが、そのときの状況によって、例えば個室が適当な症状になっているのか、あるいはやはりコミュニケーションの必要な状態になっているのか。そのときには、一人では非常に寂しいという方もいらっしゃるわけですから、それは状況に応じて取り扱いはおのずから定まってくるだろうと、このように思います。
#75
○日下部禧代子君 個室が寂しいという決めつけ方には大変に私は疑問があるわけでございますが、その問題はまたいずれさせていただくことにいたしまして、次に移ります。
 次に、老人ホームの体系について、システムについてお伺いいたします。
 御承知のように、我が国の老人ホームの体系というのは、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、それから軽費の老人ホームというふうに三種類ございますが、養護そして特別養護老人ホーム、この両者は公的責任で行う福祉の措置の入所施設でございます。措置権限を行政に移譲することによってお年寄りの利用権や選択権が制限されるわけであります。ところが一方、軽費老人ホームにおきましては自由契約による選択権と利用権を持つわけでございます。養護老人ホーム、特別養護老人ホームと、そこに入所なさる方は選択権あるいは利用権が制限されることによって雑居とプライバシーの侵害という、そういう状況に置かれるわけでございます。このような分類収容型の体系というものは、お年寄りの階層制あるいは格差というものが固定されていくということにはならないというふうにお思いになるんでしょうか。
#76
○政府委員(岡光序治君) 私どもはそういった、何というんでしょうか、分類収容とか、それからそういうことの結果階層制とか格差づけとかいうことを考えているわけではございませんで、その対象者の心身の状態に応じて最もふさわしい施設を選んでいただく、こういう発想で施設体系を整えている考え方でございます。
#77
○日下部禧代子君 しかしながら、現状では養護、特養というのは、かつてのいわゆる養老院の流れをくむ体系を持っているわけであります。そして戦後の軽費老人ホームという、そういうふうに全く異なった考え方のもとにつくられた老人ホームの体系というのが、日本ではいま現存しているわけでありますね。そうしますと、これは憲法の二十五条の生存権の確保、快適生活権の確保、十四条の不偏平等処遇の原則というものに違反しないというふうにお考えでいらっしゃいましょうか。
#78
○政府委員(岡光序治君) 私どもは老人に対する福祉サービスのうちで公的に提供しなきゃならないものはどういうものか、こういうことで考えているわけでございまして、特別養護老人ホームに入る必要性のある人について、その必要性があるのかどうか、こういうことを公的な機関が判定をして決定するという仕組みがぜひとも必要だという考え方を持っているわけでございます。措置制度というのはそういう意味として、いわゆる公的機関がその必要性を判定して入所を決定するシステムだと、こう受けとめておるわけでありまして、決して、何というんでしょうか、差別的な扱いであるとか、あるいは法のもとでのそういう平等を欠くようなシステムとは考えておりませんで、必要性の判定という意味として私どもは考えておりますし、運用をしておるという考え方でございます。
#79
○日下部禧代子君 必要性に応じて、身体の状況に応じてというふうにおっしゃいますけれども、実際には身体の状況だけではなくって収入の状況によって分かれているわけでございます。だから、本来をいえば、お言葉のように、身体の状況だけで分類されるべきものでありますのにもかかわらず、我が国には先ほど申し上げたような救貧的なかっての養老院の流れをくむ制度がそのまんま継続された形で残っているという、それに接ぎ木のような形で、新しい憲法の思想にのっとった軽費老人ホームというのができているわけです。つまり自由選択の利用権、選択権を持つということができる、その方たちは、特別養護あるいは養護に入所なさる方に比べると、非常に具体的な言い方で、えげつない言い方かもわかりませんけれども、たくさんお金を払う、出せる方は利用権、選択権が確保されるというふうな形になっているわけです。その点について私は申し上げているわけでございます。
#80
○政府委員(岡光序治君) 特別養護老人ホームを例にとって申し上げますと、日常生活を送るに当たって常時介護を必要とするという人が対象になるわけでございまして、その人力の所得の状態がどういう状態になっているかということは特別養護老人ホームに入る場合の要件にはないわけでございます。その日常生活の介助の必要性の程度の有無を判断しまして入所を決定するわけでございます。したがいまして、入所をした後、いわゆる所得の低い人は費用徴収額がゼロであるとか低い額で済むわけでございますが、所得の高い人は上限は二十六万まで取るという格好でございまして、必要性の判定をして老人ホームに入るという、そこまでは全然所得とは関係なくなって、入所をして費用との関係においては費用徴収というシステムで所得との関係の調整を図る、こういうことでございまして、そういう意味では入り口において所得で差別をしている、こういうシステムではございません。措置という制度は、行政としてそのような必要性のある人が存在した場合に、必ずそのような人を施設に入ってもらうということを義務づけているわけでございまして、むしろ私どもはそういう意味で福祉が高まる、そのようなことを行政に義務づけて、しかるべき対応をするということが義務づけられている、こんなふうに理解をしているわけでございます。
#81
○日下部禧代子君 けさ朝日新聞の「声」の欄に目を通しましたところ、このような投書が載っておりました。この投書者の方は三年前まで特別養護老人ホームで働いていた方であります。
  勤め始めのころは、ごく自然に入室の際は
 ノックをするなど、世間並みのプライバシー尊
 重を心がけていたが、だんだんと忙しさや周
 囲のやり方に慣れていった。
  労働力との兼ね合いから、簡易トイレの定期
 交換、汚物の洗浄の回数さえ減らし、三回分く
 らいの排尿便を横に置いたままベッドで朝食を
 とる状況までに至った。そして、職員の間では
 決められていたこととはいえ、そういう所へ配
 ぜんできる自分も、またそれに文句も言わずに
 食事をとるお年寄りも、もはや普通ではないと
 感じていた。
  あの当時よりは制度や設備が充実されつつあ
 ると思われる今日、現場職員や研究者は、現状
 改善のためお年寄りのつぶやきに耳を傾けられ
 る余裕はできてきただろうか。集団生活、そし
 て雑居室では、いっそぼけてしまった方が、楽
 で幸せそうだとさえ思ったこともある。というふうな声が出ております。
 さらに九月三日、同じ欄に投書が載っておりました。
  私は友人が特別養護老人ホームに入所してい
 たのでよく訪れた。友人は六人部屋だった。プ
 ライバシーなど全くなく、入所当時「四六時
 中、人の目があるのが耐えられない」とこぼし
 たことがある。
  それとベッドと小さい戸棚があるのみで、自
 分の物を持ち込めないことがショックだったそ
 うで、お気に入りの服も思い出の品もみんな焼
 いて処分したと悲しんだ。
  そして一番つらいのは、体が不調の時、ベッ
 ドのわきに簡易トイレを置き、そこで用足しず
 る時だといい、「身が縮む思いがする。恥ずか
 しさとか慎みがなくなるのかと思うと、自分が
 みじめになる」との訴えに、私は返す言葉がな
 かった。個室化にはお金がかかっても実現して
 ほしい。というふうなお声が載っておりました。
 厚生省は、このような声をただ個人の声というふうにおとりになるのでしょうか。私はこのような声を国民の声だというふうにおとりになって政策に反映させるべきではないかというふうに思います。そしてまた、この場合にはお年寄りの代弁者として投書をしていらっしゃるわけなんですけれども、厚生省こそ物言わぬあるいは物言えぬお一年寄りの代弁者として大蔵省に予算要求をなさるというのがやはり厚生省のこれからの立つべきお立場ではないかというふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#82
○政府委員(岡光序治君) まず、個別の問題から申し上げますと、寝るところと食事をするところ、寝食は分離をしてくださいという方向でかつ構造的にもそのようなことでお願いをしているわけでございます。個々のそういうケースにおいてはこの原則が実行されないものもあろうかと思いますが、私どもはそういうことでお願いをしているわけであります。
 こういったことを進めるような職員の配置体制につきましても毎年その内容充実を図っているつもりでございますし、また入所している方々の処遇改善という中身の向上という意味でも私ども逐年手を打っているつもりでございます。もちろん不十分な点があろうかと思いますが、そういった、ことにつきましては、そういった国民の考え方、それからもちろん関係審議会の御意見なんぞも聞きながら内容の充実、福祉の向上ということでこれからも努力をしていきたいと考えております。
#83
○日下部禧代子君 これから本格的な高齢化社会がやってまいります。ですから、今のうちから対応しておかねばならないことがいっぱいあるわけでございますが、この個室化というのもその一つではないかというふうに思います。
 今や個室化というのは他の先進国では当たり前のことでありまして、日本におきましても各地でさまざまな試みがなされております。他の先進国では当たり前のことがどうして経済大国と言われる日本におきまして実現できないのでありましょうか。
 今、量の拡大だけではなく生活の質、クォリティー・オブ・ライフということがあららこちらで言われております。たしか岡光部長もどこかで講演なさっているのを私承っだことがございますが、確かに生活の質ということがこれから問われていかねばならないということであります。やはりこれは一般の方だけではなくて、特別養護老人ホームに入所なさっているお年寄りも例外ではないというふうに私は思うわけでございます。建てかえというのはかえって費用がかかります。今のうちから対応しておくべきだというふうに思うわけでございます。老人ホーム、特に特別養護老人ホームのお年寄りはプライバシーあるいは自由というものが侵害されても仕方がないというのであれば、これは十九世紀の救貧思想あるいは劣等処遇と少しも変わっていないのではないかというふうに思います。
 そういう観点から、個室化を原則とするそういう方向を今定めることが必要ではないかというふうに思うわけでございますが、厚生省としては、個室化を原則とする方向を定めるということは今のところ全くお考えになっていないのでございましょうか。この質問を最後にいたしまして、個室化の問題は一応終わらせていただきたいと思います。
#84
○政府委員(岡光序治君) まず、御参考までに私どもで把握をしております欧米先進諸国の例を申し上げますと、特別養護老人ホームがすべて個室化されているのはデンマークというふうに承知をしております。それからスウェーデンにおきましては、日本の養護老人ホームに相当する老人ホームは九〇%程度が個室化をされておる。ただし、日本の特別養護老人ホームに相当するものは、これはある個人の情報でございますのでそのような限定つきでお聞きいただきたいと思いますが、二七%相当が個室で、三〇%が二人部屋だというふうに、そのスウェーデンをよく知っている人の情報ではそうなっています。
 それから西ドイツにつきましては、全室個室ということではございませんで、これはもう個々の老人ホームの例によってばらばらでございますが、例えばある老人ホームでは個室が二十で二人部屋が十一、それから三人部屋が一つとか、そういうようなことでございますし、またある老人ホームでは約三〇%のものが二人部屋であるとか、非常にそういう意味では西ドイツの場合には統一的な基準がないようでございますが、概して言えますのは、すべて個室ということではないようでございます。また、アメリカのナーシングホームについて申し上げますと、これも全室個室ということではないわけでございます。
 そういうことで、私どもは、先ほど大臣が御答弁申し上げましたが、処遇上の必要性ということを念頭に置きながら、もちろん国民の考え方の変化ということは十分尊重しなければなりませんが、そういうことを踏んまえて、先ほど先生が御指摘ございましたように、生活の質が上がるような方向でもちろん前向きに対応していきたい、こう考えておるわけでございます。
#85
○日下部禧代子君 この質問はこれで終わるというふうに申し上げましたが、今回光部長が二人部屋というのをおっしゃいましたけれども、この二人部屋というのも御夫婦であればこれは御夫婦にとっての個室になるわけでございまして、私が申し上げているのは、何も全部一人にして夫婦別れさせろということではございませんので、念のため申し添えておきます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。運輸省いらしておりますか。
 次に、ことしの八月十七日、埼玉県の熊谷市のJR熊谷駅で、構内に設置されている身障者用のエレベーターにお乗りになった車いすの女性が一晩じゅうエレベーターの中に閉じ込められて、十四時間ぶりに発見された、そういう事故がございました。
 非常に私驚いたわけでございます。事故そのものにも驚きましたけれども、まず疑問に思いましたのは、そのエレベーターの中に非常用のボタンがなかったのかなということでございましたが、そのことも含めまして事故の概要を簡単にお知らせくださいませんか。
#86
○説明員(山田隆二君) 事故の概要を御説明申し上げますと、今先生からお話がありましたように、車いすを使用しております女性の身体障害者の方が、八月十七日の十八時ごろ熊谷駅構内のエレベーターに乗せていただきました。その扉が閉まった後、実はエレベーターの中にはその方お一人になったわけでございますが、御本人はその行き先のボタンあるいはそのエレベーターを開扉するボタンがあったわけでございますが、位置的に非常に高い位置にありましたために、操作できぬまま、そのままどなたも実は気づかれず、翌日の八時二十分にJR東日本の社員が発見するまで長時間にわたり閉じ込められたものでございます。
 このエレベーターはふだんかぎがかけられておりまして、かぎは駅とその駅のそばにあります派出所で保管しておりまして、使用する場合にはエレベーターのすぐ隣にあります電話で駅に連絡をすることになっております。このエレベーターは、身体障害者の方が単独で実は利用できる仕様になっておりません川その理由は、エレベーターの操作ボタン等が通常の方が使う位置にございまして高い位置にある、そういう構造になっておりました。そういうために、これを使います場合には、介添え人が同乗するか、あるいは介添え人がいない場合には駅員が同乗することになっているわけでございます。
 そういう意味で、今回の事故の原因と申しますかにつきましては、その派出所の警察官がエレベーターのかぎをあけてくれたわけでございます。それからもう一つ、派出所のところまで、その障害者の女性の方がタクシーで参ったわけでございますが、タクシーの運転手が実はそばまで車いすを押してきてくれたわけなんでございますが、エレベーターに乗せてくれたのはその運転手の方なんでございますが、そこで運転手の方が引き返されてしまった。恐らく勘違いをされたんだと思うんですが、中でその方が操作できるということで戻られてしまったのではないか、こういうふうに推測をしております。そういうことのために今のような事故になったわけでございまして、エレベーターの操作ボタンが障害者の方が使いやすい位置になかったということがその原因の第二番目になっている、こういうふうに考えております。
#87
○日下部禧代子君 障害者の方がお一人で乗ることが前提ではない、つまり介添えのどなたかが御一緒であるということが前提であるというふうな構造のエレベーターというのが一般的なのでございましょうか、これは例外なのでございましょうか、駅のエレベーターに関してお尋ねいたします。
#88
○説明員(山田隆二君) エレベーターの構造につきましては、実は従前の古いエレベーターにつきましては、残念ながら障害者の方が利用しやすいようなエレベーターの構造にする、そういう意味での一般的配慮がなされていないものが駅でも多うございます。しかしながら、運輸省におきましては五十八年の三月に「公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドライン」というものを設けまして、この中で、いろいろな施設があるわけでございますけれども、エレベーターの構造についても使いやすいようにするには操作ボタンというのはどういう位置に設置しなければならないとか、そういうようなことが書かれておりまして、このガイドラインができた後につきましては多くのものはそれに従ってつくられるようになってきております。
 今回のエレベーターにつきましては、実はこのガイドラインができて一年後に完成しておるんですが、そのガイドラインの出た直後ということもございまして、残念ながらそのガイドラインに沿った構造になっていなかったというのが事実でございます。
#89
○日下部禧代子君 例えばJRの東日本というふうな限定をした中で、一人で乗れるものあるいは介添えがなければ乗れないものというふうなものの実際の数がおわかりになりますか。
#90
○説明員(山田隆二君) JR東日本が今保有しておるエレベーターは全部で八十五台ございます。そのうち障害者の方が使いやすいようになっている仕様、構造のものは十五台ございます。
 以上でございます。
#91
○日下部禧代子君 ということは、ほとんどがどなたかと御一緒でなければ障害者の方はこの障害者用と言われるエレベーターに御自身で乗れない、つまりまたこのような事故があった場合には御自分で非常用のボタンが押せない、そういうことでございますか。
#92
○説明員(山田隆二君) 今の八十五台の中には、実はエレベーターのつける位置によりまして、駅には改札口というのがございますけれども、改札口の外で地上から例えば上の階にまで移動できるエレベーター、あるいは改札口の中で下から上に移動できるエレベーター、あるいはもう一つ、改札口の外から改札口の中につながっているエレベーターとかいろいろございます。といいますのは、今のエレベーターには業務用のエレベーターとして使っているものもあるわけでございまして、そういう意味で、自由に使える構造にいたしますと一般の方でも自由に鉄道の改札口の外から中に入れるというようなものもございまして、そういう構造のものについては駅員が介添えをするということにしておりまして、そういう装置になってないというのが多くあるわけでございます。
#93
○日下部禧代子君 一般の方が乗れるようにするのが私は本当だと思うんですね。障害者だけを区別するというのではなくて本来はやはり一般の方、つまり身体障害者の方だけではなくって若い人でも例えば妊産婦の方だとか足が悪い方だっていらっしゃるわけですね。だから、皆さんが乗れるようなそういうエレベーターにというのを基本的に考えるのが私は本当だというふうに思うわけでございます。基本的な発想がもう既におかしなところにあるのではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょう。
#94
○説明員(山田隆二君) 先生のおっしゃるとおりかと思いますが、歴史的に見ますとエレベーターの設置の目的が業務用の目的もたくさんございまして、そういうものでつくられておったというのも事実でございます。
 それで、今後障害者の方に使いやすいように、あるいはほかの高齢者の方とかそういう方も使いやすいようなエレベーター、そういうものをどうするかということにつきましては、いわゆる駅の大規模な改良を伴いますとか、あるいは新たな用地の確保とかそういうような困難な問題も実はいろいろございます。私ども現時点では、新しい鉄道路線をつくりますときには事業者の方にもいろいろお話をして、障害者の方も自由に使える。ようなエレベーターをできるだけつけていただくように御理解を賜っているところでございますが、既設の駅等について今後どうしていくかにつきましては、その設置の促進方について検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#95
○日下部禧代子君 それでは、今東日本だけというふうに限定して申し上げましたが、JR全体で運輸省が把握していらっしゃる数字で結構でございますが、障害者用というふうに、まあ現在はそうでございますからそういうふうに言わせていただきますが、障害者用のエレベーターを設置している駅の数、全体の駅のうちでどのくらいなのか、おわかりでございましょうか。
#96
○説明員(山田隆二君) JR旅客会社六社ございますけれども、この中でエレベーターの数ということになりますとちょっと今把握してないんでございますが、駅でいきますと全部で四千六百七十一駅が平成二年度末現在でございます。そのうち何らかの形でエレベーターがある、一般業務用にも使っているということも含めてでございますが、その駅が百八駅ございます。
 以上でございます。
#97
○日下部禧代子君 大変に少ないので非常に驚いたわけでございます。この熊谷駅の事故をきっかけにいたしまして、実に驚くべきエレベーターの設置状況という現状をどのようにお変えになるのか、すぐに行動を何らか起こされたのか、だったらばどのような行動を起こされたのか、お聞きしたいと思います。
#98
○説明員(山田隆二君) 私どもといたしましては、この事故を踏まえまして緊急に総点検の指示を全国にしております。そういうことでまず実態調査を各鉄道事業者にしていただきまして、身体障害者用のエレベーターで先ほど申しましたガイドラインに適していない、適合していないという構造のものがある場合には早期に障害者の方が単独で利用できるように改善するように指示をしてございまして、その結果を今待っておるところでございます。
#99
○日下部禧代子君 駅の中でのエレベーターの設置というのは、これはJRは鉄道施設としてエレベーターの設置を認めていないという話を聞きましたが、整備費とか維持管理費など、もしエレベーターを駅に設置した場合には自治体が負担することになるというふうに聞き及んでおりますが、いかがでございますか。
#100
○説明員(山田隆二君) エレベーターの設置費用は、一つは、新しく今鉄道をつくる場合におきましては、鉄道事業者の方でもし全額自分の負担でやりたいということでありますれば、運輸省としてはそれを例えば地下鉄整備の場合でございますと地下鉄補助の対象にしております。また、そのほか大改良などをする、あるいは新線をつくるときに補助金だけではあれでございますので開銀融資の対象にしたいというようなときにはその対象にいたしております。ただ、事業者の中にはやはり福祉目的として使うことがその主なる目的であるということもありまして、関係地方公共団体にその費用の負担をお願いしている例もございます。そういうものも踏まえまして、個々いろいろなケースがございます。
#101
○日下部禧代子君 それでは自治体の負担になるわけでもないということでございますか。大体私が聞き及びますところによりますと、エレベーターが駅に設置されているところでは自治体が非常に大きな負担をしているのが実情だというふうに私受けとめております。例えば先日、ここにいらっしゃいます堀議員とも御一緒に神奈川県の横浜市に実態調査に出かけましたところ、横浜市では昨年の四月にエレベーターを設ける業者に経費の三分の二、エスカレーターには二分の一を補助する。それに対して県の方も昨年の七月、事業をする市町村に対して経費の二分の一を補助するという制度をつくったということを聞きましたけれども、そのときにやはり自治体の負担というのが非常に大きいんだということを承りましたが、その点いかがでございますか。
#102
○説明員(山田隆二君) その割合については今現在乱数字を持ち合わせておりませんけれども、一般的に申しますと恐らく福祉関係の面から地方公共団体に御負担をいただいているという例が相当多いのではないか、こういうふうに感じております。
#103
○日下部禧代子君 自治体としてもこの負担を国に補助してほしいというふうな御意向が非常に強いわけでございますが、今後運輸省といたしまして市町村に対してどのような補助ということをお、考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#104
○説明員(山田隆二君) 私どもといたしましては、鉄道事業者の負担の問題についてはいろいろ指導しておるところでございますが、また応分の負担を地方公共団体に御負担をいただけるとより早くそういう整備が進む、こういうふうに考えておる次第でございます。
#105
○日下部禧代子君 具体的にどのような補助をするかということの案はまだ政策化されていないのでございますか。
#106
○説明員(山田隆二君) 地下鉄の新線などをつくる場合につきましては、鉄道事業者の負担する額につきましては一定のルールがございまして、そのエレベーターの鉄道事業者の負担分に応分のルールを当てはめまして補助をいたしております。そういう意味で、現在新規にそのルールをつくるということは新線についてはないかというふうに考えております。
#107
○日下部禧代子君 次に、厚生省に同じ問題について質問させていただきます。
 心身障害者対策基本法の第二十二条二項には、「国及び地方公共団体は、心身障害者による交通施設その他の公共的施設の利用の便宜を図るため、施設の構造、設備の整備等について適切な配慮がなされるよう必要な施策を講じなければならない。」というふうにございます。第二十七条に「厚生省に、中央心身障害者対策協議会を置く。」というふうになっておりまして、今の駅舎のエレベーターのことも含めまして、厚生省にも運輸省だけではなく責任はおありになるのではないかというふうに思うわけでございますが、この基本法は昭和四十五年の五月二十一日に施行されております。それ以後、特に今私が話題にしております交通施設、特に駅舎に関しまして障害者の方々の便宜を図るということでございますが、どのような働きかけを他省庁になされたのか、その点につきまして御質問させていただきたいと思います。
#108
○政府委員(末次彬君) 私ども中央心身障害者対策協議会を所管しているという立場でございまして、障害者対策につきましてはこの中央心身障害者対策協議会の意見を踏まえまして政府の施策を立てるということにいたしております。
 政府におきましては、昭和五十七年に障害者対策に関する長期計画、また六十二年には障害者対策に関する長期計画の後期重点施策というものを策定いたしまして、その中でこの問題につきまして改善整備を行う方針を決めまして、ただいま運輸省の方から御報告のございましたような施策の推進がなされてきたわけでございます。この七月にやはり中央心身障害者対策協議会から出されました直近の意見具申におきましても、公共交通機関のターミナル施設にエレベーター、エスカレーター等の設置を推進するとともに、車両、公共バス等の改善を進めるべきであるというような御意見をいただいておりまして、これにつきましてただいま御報告のありましたように所管省で対応が進められておるわけでございます。
 厚生省では、地域福祉の観点から、モデル事業といたしまして住みよい福祉の町づくり事業というものを実施いたしまして、そのメニューの一つに公共施設の施設整備の改善、これも市町村の判断で行われるように配慮しておるところでございます。
#109
○日下部禧代子君 今回の事件に関しまして厚生省としては何らかの御見解をお持ちでいらっしゃいましょうか。あるいは何らかの行動を起こされたのでございましょうか。
#110
○政府委員(末次彬君) 厚生省におきましては、これはもとより障害者の福祉につきまして今後とも責任を持って対応する所存でございます。ただ、障害者にかかわります施策、これは近年、完全参加と平等、これを推進するために極めて広範囲にわたっておりまして、各般の行政につきまして政府のそれぞれの立場で障害者対策という視点で取り組むべきものというふうに考えておりまして、今後ともこの中心協の意見を踏まえまして政府全体で障害者対策を推進していかなければならないというふうに考えております。
 ただいまのお話でございますが、この問題、中心協においてかねてから問題提起がございまして、その御意見を踏まえて関係各省で構成されております障害者対策本部におきましてその推進の方向が決定されておることでございますので、それぞれ関係省庁におきましても十分この問題を認識の上取り組みがなされるというふうに承知しております。
#111
○日下部禧代子君 厚生省としては何らかの形での働きかけというのはまだ今この事故に関してはなされていないわけでございますか。
#112
○政府委員(末次彬君) この問題とりたててということでございますと、個別の話は別といたしまして省から省への申し入れとかそういう格好はとってないわけでございますが、この問題、かねてからの問題でございますので、関係省庁が集まっている障害者対策本部におきまして、いわばその決定を十分各省合意の上でしたわけでございまして、十分その御認識はお持ちだというふうに理解しております。
#113
○日下部禧代子君 障害者のためのいわゆる交通施設その他の公共的施設の利用の便宜を図るために厚生省でなさっていることというのは、主にこの中央心身障害者対策協議会を催すというふうなことでございますか。
#114
○政府委員(末次彬君) 先ほど申し上げましたとおり、障害者にかかわる施策というのはもういわば国政全般にわたっているわけでございまして、それぞれの行政の担当がそれぞれ自分の行政の中で障害者対策というものをどういうふうに考え、どういうふうに実現していくかという、そういう意識をもっていただくことが非常に重要なことであろうというふうに考えております。
 そういう意味で、関係各省集まりましたこの障害者対策本部におきましてこういった話し合い、あるいは決定をするということは、その間政府にとりまして、政府全体として障害者対策を進めていこうという合意形成を図っているというふうに御理解をいただきたいと思います。
#115
○日下部禧代子君 それでは、この七月三十一日に中央心身障害者対策協議会から出されました意見具申でございますが、この実効力といいましょうか、どのような実効があるのかどうか、その点について。ただこれは具申ということでよきに取り計らえというふうな形なのでしょうか。それとももっと具体的にプッシュできる性質のものでございましょうか。
#116
○政府委員(末次彬君) 七月に中央心身障害者対策協議会から御意見をいただいております。この御意見の中身につきましては、大変広範囲にわたっておりまして、その中にただいま申し上げました住宅、建築物の整備と町づくりの推進あるいは公共交通機関の整備の促進といった項目が含まれておりまして、この御意見を踏まえまして八月の二日に障害者対策推進本部という関係各省、総理を本部長といたします障害者対策推進本部で、この意見具申の中身に沿いまして十分尊重して、これを踏まえて行うという決定をしたところでございます。
#117
○日下部禧代子君 それでは、運輸省にもう一度お尋ねいたします。
 駅の場合にはエレベーターあるいはエスカレーター、どちらの方の設置を重点的に行っていらっしゃいますか。どちらの方がより多く設置されていますか。
#118
○説明員(山田隆二君) 鉄道利用者の利便を促進するという意味で、運輸省としては両方とも今後中長期的にも推進していかなければならぬと考えておりますけれども、まず私どもこの六月にエスカレーターの整備をもっと促進するということでその整備のガイドラインというものを決めさせていただきました。これに基づきまして、今後おおむね十年を目途に、新しい駅はもちろんでございますけれども、既設の駅につきましても用地問題とか大規模改良が必要になるというような、そういう問題を起こさない範囲においては既設の駅についてもエスカレー夕ーの整備を促進していく、こういうふうに今指導をしているところでございます。次のステップとして、エレベーターについて今後その設置促進方についてどうしていくかということを検討していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
 現状としては、数的にはやはりエスカレーターの数の方が多く整備されている、こういうふうに認識しております。
#119
○日下部禧代子君 エスカレーターというのは、私も余り器用な方じゃないので、いつもエスカレーターにさっと乗れないんで困っているわけなんですけれども、年をとるともっと乗れなくなるのじゃないかなというふうに心配いたしますが、どうせエスカレーターをつけて、そしてまたそれを取り壊してエレベーターをつける、これはお金がもう何倍かかかるわけでございますが、エレベーターを最初から設置していた方がすべての方々にとって益するのではないかというふうに思うのでございますが、どうしてエスカレーターの方を先にというふうなガイドラインを六月にお出しになったんでございますか。
#120
○説明員(山田隆二君) 実は鉄道の駅の利用状況から、私どもエスカレーターの方が先に必要がなというふうに判断したわけですが、列車が着いたりいたしますと、どうしても大量のお客さんが一度に出てくる、それを短時間の間に昇降をしていただかないとホームの混雑などが解消できないということもございまして、連続輸送システムであるということ、それから輸送力があるということでエスカレーターの整備をまず急いだわけでございます。
 しかし、だからといいまして、エレベーターが必要ないという意味ではございませんで、これはまた今先生おっしゃったように、エスカレーターを利用できないという方もおられますので、次のステップとしてエレベーターをどうするかということを検討していきたいわけでございます。
#121
○日下部禧代子君 最後に、運輸省、厚生省両方にお願いしておきたいと思います。
 やはりノーマライゼーションという思想、これを本当に私たちの社会に根づかせるためには、障害を持つた方も町の中にいらっしゃる、そういう中で子供たちも育っていく、そこで初めてノーマライゼーション、その思想が具現化されるというふうに思います。そのためにも、きょうは駅のエレベーターの問題だけを取り上げましたけれども、町づくりというものそのものに対しての総合的な政策というものがこれからますます必要になってくるのではないか。そういたしますと、運輸省、厚生省、建設省あるいは自治省、さまざまな省庁がそれぞれの縦割り、縄張りということではなくて、歩み寄った総合的な政策というものをこれから打ち出していっていただきたい、そのことをお願いいたしまして、この問題に関しての質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 では次に、マンパワーの問題についてお尋ねいたします。
 二十一世紀の本格的な高齢化社会を目前にいたしまして、老人福祉を中心といたします保健医療・福祉マンパワーの問題というのは、家族の扶養機能の脆弱化と相まってその重要性、緊急性というのが増しているのは、これはもう皆様御承知のところでございます。これまでかなり論議されてきた問題ではございますが、保健医療・福祉マンパワー対策本部の中間報告がことし三月に出されましたし、また平成四年度の保健医療・福祉マンパワー対策大綱が八月に出されましたので、改めて質問をさせていただきたいというふうに思います。
 最初に、看護婦さん問題について御質問させていただきます。
 厚生省は、健康政策局長からの通達といたしまして、都道府県知事あてにことしの三月三十日付で「看護職員需給見通しの見直しについて」という通達を出されておりますが、都道府県知事には六月末までに提出するようにというふうな通達であったというふうに私は思いますが、まず、この通達の目的、それから回答の現状、そしてこの結果はいつごろまとめられてどのような形で反映されるのかという三点についてお尋ねいたします。
#122
○政府委員(古市圭治君) これまで回答いただいております県の数は現在四十一道府県でございまして、約九割でございます。六の都県におきまして回答がややおくれているところでございます。いろいろ督促しているわけでございますが、机の上で都道府県が数字をはじくということじゃなくて、実態と照らし合わせる、さらにはその地域内の関係団体とも協議をして実行可能ということも含めて出してくるということなので、少しその辺でおくれているということでございますが、我々現在鋭意督促して早くいただくようにとやっていいるわけでございます。
 それから、これをいただいた後は来年度の予算要求ということにも反映する必要がございますし、どのように使うかということでございますが、今までやっておりました看護職員の需給見通しの見直しというものもこれに基づいてつくり直したい、このように考えております。
#123
○日下部禧代子君 今までの回答の結果のお寄せになった、厚生省がおまとめになりました、まだおまとめになっていないかもわかりませんが、もとに寄せられました分だけでもごらんになりまして、これは今までの見通しとかなり違えなきゃならないというふうな感触をお持ちでいらっしゃいますか。
#124
○政府委員(古市圭治君) これは、そもそももう一度三年の三月三十日に見直しをしなかったらいけないという状況に至りましたのは、もうこの国会での御審議も踏まえまして、いわゆるゴールドプランに対する対応、さらには二・八体制への対応、そういうものがございました。そういうことで、それらに対応する看護力というものでやっておりましたので、やはり想定しておりましたとおり、従来の見通しよりはふえるという方向で大体現在のところつかんでおります。
#125
○日下部禧代子君 それでは、次の質問に移ります。
 ことしの三月、保健医療・福祉マンパワー対策本部が中間報告を出しましたが、その報告によりますと、看護職員の平成元年度の新規就業者が五万七千人、再就業者一万二千人に対しまして、離職者、退職した方が四万五千人いらっしゃる。ということは、実質の増加というのは二万四千人ということでございますね。さらに、潜在看護婦さんが四十三万人に上っています。看護職員の免許取得者が百二十三万人、そのうちの四十三万人ですから三五%の方が潜在看護婦さんということになっております。これは私は大変な数だというふうに思いますが、この事実につきまして厚生省はどのように解釈をなさっているのでしょうか。
#126
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおりでございまして、私どももこれらの潜在看護婦さんというのは既に資格を持ち、さらには実務経験もある方でございますから、こういう人たちに今度の老人保健法の改正の中でも期待されております例えば訪問看護婦さんの方でも大いに活躍していただく。いろんな事情でいわゆる潜在看護婦と称される形になっているわけでございますけれども、その中には現在の病院、診療所の勤務体制、夜勤も含めまして常勤では働きにくい 。という方もおられます。そういうことで、いろいろな形でいわゆる可能な勤務形態というものに対応した働き場所、またはそういうものをナースバンク、さらにこれを来年度はナースセンターにしたいと思っておりますが、そういうところを通じて紹介して大いに再び保健医療の分野に進出していただきたいと思っております。
#127
○日下部禧代子君 今のお言葉にもありましたように、看護職員の養成ということと並びまして看護職員の定着をいかに図るかということが非常にこれから重要になってくるのではないかというふうに思います。」つまり、なぜやめていくのか。やめないようにしなければならないわけでございますが、やめないようにするというのは今のお言葉にございましたように労働環境、給与というものを上げていくということになるだろうと思います。労働環境のうちで週休二日制の問題を取り上げてみますと、八九年看護職員の実態調査、これは日本看護協会が出したものでございますが、それによりますと、完全週休二日制が実施されているのはわずか三・二%にすぎないという数字が出ております。大変にこれは私驚いた数字でございました。また、これは厚生省の方からお出しになりました数字でございますが、一人の月当たりの平均夜間勤務日数というのが八・二回だという数字も出ております。このような状況に関しましてどのような改善策が考えられているのでございましょうか。今少しおっしゃいましたけれども、もう少し詳しくお伝えくださいますか。
#128
○政府委員(古市圭治君) 今御紹介されました数値は平成元年十月の看護職員実態調査、日本看護協会の資料の中にある数字がと思います。
 ただ、この数字で完全週休二日制というものが三・二%ということでございましたが、さらに現在定着しつつあります隔週週休二日、これは約四〇%ということでかなり分布が広がっている、やっているところはやっているけれどもなかなか解決しないところは残っている、こういうことかと思っております。
 そういうことで私どもはこの週休二日制というものをやっていくためには、やはり基本的には職場の看護労働力というものをふやしていかなかったらいけないということでございますので、国会の御支援もいただきまして今年度の看護職員の養成、確保というのは対前年に比べまして約四〇%の増ということで、いわゆる夜間保育の補助の箇所数の増加、さらには保育時間の延長、さらに養成施設の補助の増額というもので必要な対策をそれぞれ全力投球でやっているということでございます。
#129
○日下部禧代子君 次に、看護職員の医療法上の配置基準についてお尋ねいたしますけれども、入院の場合の配置基準というのは四対一ということでよろしいのでしょうか。
#130
○政府委員(古市圭治君) 入院患者数に対する看護職員を置く標準というのは今お話しのように四対一ということで、これは昭和二十三年から医療法で決められているそのとおりでございます。
#131
○日下部禧代子君 今、昭和二十三年からということでございますが、どのような根拠でそのような配置基準が決められたのでございますか。
#132
○政府委員(古市圭治君) かなり前のことなのでいろいろ調べてみました。それは国会の議事録等も見ますと、当時医療法が国民医療法から分割されて身分法とそれから施設基準法に分かれたということで、その当時の記録を見ますと、医師の数につきましても医療法の中に決まっているわけでございますが、いわゆる調査病院というものをとりましてその実態調査をやったようでございます。その中で八〇%バルクラインというところで大体医師数が決まった、また看護婦数についてもそういうことで決まったというようなことがちょっと書いてあります。要するに、その当時の実態から少し改善をしようというところで決まったということのようでございます。
 その数値を見ますと、当時の国立医療機関の実態とほぼ合っていた、こういうような答弁が残っております。そういうような背景でもってこの数値は決まってきたというぐあいに思っております。
#133
○日下部禧代子君 昭和二十三年からもう随分時間がたっておりますが、時間がたつということはさまざま状況がすごく変わっているということでございます。特に日本のように速く変わるというのはスピードが速いわけでございますが、その中でこの四対一の基準だけはなかなか変わらないというのはおかしいのではないか。そろそろもう変える時期が来ているというふうに思うんですが、いかがでございますか。
#134
○政府委員(古市圭治君) 既に四十年近くたっているわけでございますが、当時のことを考えますと、いわゆる戦後のすぐであったということ。それから多分その当時の入院患者というのは結核療養の患者が非常に多くを占めていた、その後は感染症。それからまた医療機関の一般病床には現在のような高齢化ということではなくて、かなり急性の感染症疾患も入っていたということだと思います。現在は非常に高齢化が進んだということで、現在医療法で決められております病床の区分というものが一般病床と結核、それから精神、感染症となっておりまして、看護婦の基準というのは一般病床では四人対一人、それから結核、精神では六対一、こうなっているわけでございますが、その当時考えられておりました一般病床というのは、現在では三カ月以上の入院患者によって年齢を問わず四割が占められているところでございます。
 したがいまして、疾病構造も変わり、それに対応する医療というものも変わってきたわけでございまして、これに対応いたしまして、医療法の方はこのようになっておりますが、社会保険の診療報酬の方でその要請に対して基準看護制度というのができまして、看護婦の傾斜配置に従った診療報酬というものができてきたということでございます。
 そういうことで、医療法でいきますと、四対一という基準できたものが非常に様子が変わっておりますけれども、現在この基準すら満たされていないという医療機関がある。これは非常に困ることでございまして指導しておりますが、そういう実態も踏まえまして、この中でさらに看護力を強化していくということが重要な問題だと思っております。
#135
○日下部禧代子君 それでは、今基準を変えるということには必ずしもならないということでしょうか。
#136
○政府委員(古市圭治君) 現在のところはこの四対一の基準というものはこの線でいきまして、さらに看護婦さんの実際の供給をふやして、現在の医療法の基準すら満たされていない状況を早く解決しなかったらいけない、このように思っております。
#137
○日下部禧代子君 次に、准看護婦と看護婦さんという二つの種類といいましょうかシステムがございますけれども、なぜ准看と看護婦、看護士というふうに二つに看護婦さんが分類されているのでございますか、その理由をお尋ねしたいと思います。
#138
○政府委員(古市圭治君) これも長い経緯があるわけでございまして、看護職員をどのように養成。するか。また、今でこそ医療というものが病院中心のような感じになっておりますが、音はもっと。開業医、診療所中心という時代もあったわけでございます。そういう時代からこの看護職員につきましては、看護婦の三年コースとそれから准看護婦、中学校を卒業して直ちに准看護婦養成所に進むという道と開けてきたわけでございますが、これも多分先生が御懸念のことかと思いますが、時代がたって現在の医療が求めている看護職員ということから見れば見直すべきではなかろうかということかと思います。これは私どもは検討会もつくって、准看護婦のコースから看護婦養成コースの方に行きやすい形とするにはどうすればいいかということも含めて検討を始めているという状況でございます。
#139
○日下部禧代子君 今検討を始めていらっしゃるということを聞いて少し安心したわけでございますが、この看護協会の実態調査の結果を見ておりますと、職場の移動経験の有無を准看護婦さん、それから看護婦さん、保健婦さんという三つの職業で見ますと、非常に准看護婦さんの移動の経験が高いわけでございますね。准看護婦さんが六四・四%に対して看護婦さんは四九・七、保健婦さんは三五・一%です。いかに移動の経験が高いかということは、職場をかえているということは、そこが居心地がよければそこに定着するわけでございますが、居心地が余りよくないということも一つあると思うし、そしてまた准看の看護婦さんが移動している時期というのは年代的にいいますと二十代なんですね。ということを見ますと、いわゆる契約期間が満了した場合にはそこをやめてしまう、いわばお礼奉公が終わるとそこをすぐやめるという、この実態調査の中に解説としてそういう言葉が出ておりましたけれども、そういう状況も准看護婦さんの場合には多々あるんではないかというふうに思います。そういうことを考えますと、看護職員の養成システムとこれは無関係ではないように思うわけであります。
 現在、看護婦、看護士の三年課程、二年課程の場合と、それから准看護婦さんの場合には養成所あるいは学校の設置主体というものの大半が民間でありますし、そうなりますと、いわば前近代的な要素というのもかなりここに出てくるのではないか。そのことが非常に移動経験者が多いということにもつながってくるのではないかというふうに思いますが、その点どのようにお考えでいらっしゃいますか。
#140
○政府委員(古市圭治君) 准看護婦の制度と看護婦さんの制度とにつきまして幾つかの問題がございましたので、先生が今お話しになりましたように、全般的な問題につきまして、看護制度検討会、昭和六十二年に健康政策局長の私的諮問機関で検討していただきました。その結果がそれぞれの長所を生かして両論併記というような形で答えが出まして、准看護婦の制度というものも廃止をするのじゃなくて、現在おる人たちに新しい看護婦の道へ参画の道を広げるようにというようなことも指摘されました。
 そしてその施設というものが看護婦養成施設になるわけでございまして、現在国立ては約一四%の施設を持っておりますし、それから自治体立が二六%、合わせて国、自治体で約四〇%の養成施設でございますが、大半、六割は民間、公的なところで養成されているということでございます。
 そういうことで、私どもは看護婦養成施設の運営費の補助金、これを昨年は大幅に増額いたしましたし、それから医療施設等施設整備補助金の中でもこの補助金をふやして看護婦養成施設の内容の強化というものに心がけているわけでございます。そういうことで民間に六割、公的も含めまして六割お願いしているわけでございますが、これに対する公的な支援というものも心がけているという状況でございます。
#141
○日下部禧代子君 文部省は来ていますか。
 看護婦さんの養成というのは、大学教育の場合には文部省が管轄ということで文部省にお聞きしたいのでございますが、今、日本の場合、看護婦さんで学士号あるいはマスター、ドクターを持っていらっしゃる方々、それぞれにどのくらいいらっしゃいますか。
#142
○説明員(喜多祥旁君) 卒業生につきましては把握いたしておりませんが、大学数でございますが、現在十一大学ございます。国立が六、公立が一、私立が四大学でございます。
 また、修士課程につきましては五つの大学院に修士課程がございますし、博士課程につきましては二つの大学院に博士課程がございます。
 入学定員でございますが、大学の場合が五百五十八人でございます。また、修士課程が六十八人、博士課程が十三人という実情でございます。
#143
○日下部禧代子君 これから四年制大学の中で看護コース、マスターコース、ドクターコースというのが次第にふえていくだろうと思いますが、その状況はどういうふうになっておりますか。
#144
○説明員(喜多祥旁君) 博士課程につきましては、現在東京大学大学院と聖路加看護大学大学院にございますが、六十三年に聖路加看護大学大学院博士課程を認可いたしたところでございます。
 修士課程につきましては、先ほど答弁いたしましたように五つございますが、これらにつきましても博士課程が置ける状況と、主に教員組織でございますが、その準備が整いましたら積極的に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#145
○日下部禧代子君 看護婦さんの仕事場での地位の向上ということがこれから社会的な地位の向上とともにより必要になってくるのではないか。そのことが看護婦さんの定着率を高めるということにつながるのではないか。と申しますのも、この看護協会の実態調査を見ておりますと、やめていく一番の理由が仕事の内容が不満だというふうなことが第一位でございます。仕事の内容についての不満ということはさまざまな、それこそ具体的にいろいろとあるかもわかりませんけれども、自分がその仕事場で自己充実、つまりやりがいがあるというふうに思って満足できない。これは労働条件が悪いということも重なってくるでしょうし、人間関係の問題もありますでしょうし、さまざまな要素が重なっていると思うんですけれども、病院の中での看護婦さんの地位というものが医師と全く対等であるのかというと、現在そうではないというふうに思います。
 そういうふうなことも考えますと、これからは看護婦さんの高学歴化ということも大変大きな要素になってくるのではないか。既に今、中学卒を前提としている、入学条件の要件としている准看の養成所でも九〇%以上の方が高卒の方であるということを考えますと、この辺で養成の仕組みというものを変えていくことが非常に大きな課題ではないかというふうに思いますが、厚生省、文部省、それぞれいかがでございましょうか。
#146
○政府委員(古市圭治君) 御指摘の点につきまして、今年度看護業務検討会というものを開催して、働きがいのある業務、またほかの職種でもカバーできる分野、そういうものも含めまして、看護婦さんの医療施設内における一番適切な業務というものにその専門職種が対応できるような仕組みはどうあるべきかと検討していただくことにしております。また来年度のことになりますが、そのようなものを七病院ほどで実際検討していただきまして、その調査も踏まえてさらに検討を発展させていきたいと思っております。
 それから、准看護婦のコースを終わった方から進学課程の方で看護婦のコースに入るわけでございますが、その方も現在のように勤務時間の中でそういう勉強をするというのもなかなか大変だとしますならば、通信教育等でそういうものがカバーできる分野があるのではなかろうか、それも同時に検討を開始いたしたい、そういうことで、今御指摘のように看護婦さんの働きがいのある勤務条件というものの確立に向かって努力いたしたいと思います。
#147
○説明員(喜多祥旁君) 看護婦の養成についてでございますが、看護婦の養成につきましては、現在文部大臣が指定しております大学、短期大学、高等学校または大学附属の専修学校等において行われます場合と、厚生大臣が指定しておられます養成所において行われる場合とがあるわけでございますが、入学定員の比で申し上げますとおよそ二対三ということで、厚生大臣指定の養成所で養成される数が非常に多い現状にございます。したがいまして、量的なものにつきましては、厚生省所管の養成施設に負うところが大きいのじゃないかというふうに思っでおるところでございます。
 文部省といたしましては、看護教育の充実と、現在不足しております看護教員の養成ということに重点を置いた拡充というのが重要ではないかというふうに思っておるところでございまして、看護教育の充実と看護教員の養成を図るという観点から、大学学部レベルでの拡充というものを中心に考えてまいりたい、かように思っておるところでございます。
#148
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
 では、次の質問に移らせていただきます。文部省、ありがとうございました。
 次はホームヘルプサービスについてでございますが、このホームヘルプサービスというのは、ゴールドプランの重要な三本柱の一つ、かなめというふうにとらえられているわけでございますが、一方でホームヘルプサービスの増員が叫ばれていながらも、市町村からは利用者が少ない、ニーズがないという声も耳にするところでございます。
 平成三年、ことしの三月に、長寿社会開発センターが行いましたホームヘルパー派遣事業実態調査を見ますと、ホームヘルパーの派遣待ちがあると答えた市町村が五%、ないと答えたのは九四%という結果が出ております。この結果についてどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#149
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、そのようなどうも調査結果のようでございますが、派遣の決定待ちをしているという状況であれば、一つは決定手続の迅速化を図る、こういうことで対応すべきだとこう考えておるわけでございまして、どうも今、まだまだホームヘルプのこの仕事が市町村においてはなじんでいないという点もございまして、この辺についてはいろいろ定着化を図るように、利用者の側、それから決定をする市町村の側双方につきまして、いろいろと条件整備を図っていかなきゃいけない、こういうふうに考えております。
#150
○日下部禧代子君 もちろん、ニーズの把握の方法ということも、あるいはまたこのサービスそのものがよく知られていないということもあると思うのですけれども、そのサービスの内容というものも大きな原因ではないかなというふうに思うのですね。実際にサービスを改善したらニーズがふえたというふうな報告が、日本ヘルパー協会が発行しておりますホームヘルパーという月刊誌にも、これは平成三年の六月、七月合併号でございますが、にも載っているわけでございます。
 それはもう少し具体的に申し上げてみますと、この実態調査を見ますと、派遣の回数でございますが、週二回というのが四二%、大半でございます。派遣されている時間というのは、二時間が五〇%、約大半でございます。それから派遣世帯、これは老人世帯が七七%、身体障害者の世帯が二二%、心身障害児の場合は一%でございます。
 老人世帯が圧倒的である。そしてまたその老人世帯の内訳を見ますと、ひとり暮らしか六九%、約七割でございます。寝たきりのお年寄り一九%、痴呆性の御老人がいらっしゃるところ二%となっております。
 さらにこの有料化というのは昭和五十七年からスタートしておりまして、もう既に八年がたっておりますけれども、有料の世帯というのは、この調査によりますと八%ということになっております。
 今並べました数字を見ますと、このホームヘルプサービスの内容ということ、つまり週に一回から二回で二時間、そして派遣世帯というものが老人世帯、しかもひとり暮らしのお年寄りに限られているというふうに、かなり派遣されている世帯というのが対象というのが限定されているんじゃないかというふうに思います。
 そういたしますと、このホームヘルプサービスが本当に在宅福祉の中核となるためには、在宅での生活がいつでも必要なときに支えられるような形態と内容というのが前提になるのではないかというふうに思います。つまり二十四時間、三百六十五日緊急時においても対応できる仕組み、そうなると、もっともっと利用者がふえていくのではないかというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#151
○政府委員(岡光序治君) 御指摘がありますように、まず利用者の側におきましては、家族との同居が多い我が国の家族構造のもとで、家庭の中に入って高齢者の介護等を行うということのためには、家庭側の積極的に利用しようとする意識が必要でございますが、これがまだまだ低いというそういう見方があると思います。それから市町村サイドにおきましても在宅福祉サービスに対するニーズの把握が必ずしも十分とは言いがたい、こういう市町村も間々あるわけでございます。
 それから御指摘がありましたように、ホームヘルパーの派遣時間も対象者のニーズに対応した柔軟な対応になっていない、こういう幾つかの問題点があるわけでございまして、そこいらを乗り越えていかなければならない。おっしゃいますように、ホームヘルプサービスというのは、身体の介護であるとか家事に関することであるとか、あるいは相談なり助言に関することでございますので、相手方の必要性に応じて適切なものが提供されるということがまず望ましいわけでございますが、私どもそういうことに向かって体制を整えたいということで、今、極力量的な面、それから中身の面、双方について努力をしておるつもりでございます。
#152
○日下部禧代子君 量的な面を充実させるという、つまりホームヘルパーさんがふえなければならないわけでございますけれども、ふえるためにはホームヘルパーさんの労働条件あるいは給与というものがとっても重要なファクターになってくるだろうと思うんですね。この調査によりますと、ホームヘルパーさんの雇用形態というものが正規の職員が三八%、約四割ということになっておりまして、大半が不安定な非常勤、パートタイマーということであります。一年ごと、あるいは二年ごとに契約を更新するという不安定な雇用形態ということがございます。
 さらに給与を見ますと、十万円から十五万円、これ一週じゃございませんよ、一カ月でございます。一カ月で十万から十五万円未満というのは五二%、大半を占めているわけでございます。そして実際には一週間のうち六日間あるいは五日間、ほとんどフルタイマーと同じような勤務日数である。そういうような状況の中において、ホームヘルパーさんがふえるということはなかなか難しいんじゃないか。したがいまして、短時間であっても給与が低くない。つまりパートタイマーイコール低賃金というふうな、そういう日本で当たり前になっているようなそういうパートタイマーの給与というものを、短時間であっても正規職員並みにというふうな待遇というものに変えていかねばならないということが考えられると思うわけであります。
 ついでにお聞きしたいんですけれども、十万円から十五万円未満の給与、一カ月、これで一人の人間が職業人として生活を維持できる額だというふうにお考えでございましょうか。
#153
○政府委員(岡光序治君) 世帯を抱えてそれだけの所得ではなかなかやっていけないだろうと思いますが、おっしゃいますように、非常勤と常勤と非常に入り組んでおるわけでございまして、平均の姿ではむしろ最近では常勤が四割、非常勤が六割、こうなっておるわけでございます。
 手当額としましては、そういう常勤を念頭に置いて設定して、非常勤の場合には働いた時間に応じて時間給で払うという格好にしております。それを全体的に平均しました場合に、今御指摘のような給与額になるのではないか、こういうふうに理解しております。
 私どもは非常勤と常勤との関係につきましていろいろ考えておるわけでございますが、国際的に見ましても、ホームヘルパーは非常勤ヘルパーの割合が極めて高いわけでございまして、かつ早朝であるとか深夜であるとか、その必要な時間に応じて、そして必要なサービス内容に応じてサービスを提供するということを考えますと、そういう面では非常勤という勤務形態になじむ面もあるのではないか、こういうふうに考えておりまして、そこいらはそのニーズとの関係を考えながら地域の実情に応じて適切な供給体制を整えていくべきではないだろうかな、こう考えているわけでございます。
 もちろんホームヘルパーの処遇改善につきましては、これはできるだけ改善を図らなければならないということで、いわゆる補助基準になります国の手当額の基準につきまして内容の充実を図ろうとしておりますし、来年度もそういった勤務形態、常勤、非常勤の形態なんその区別も念頭に置きながら内容改善をより進めたい、こう考えているところでございます。
#154
○日下部禧代子君 次に、ただいま皆様のお手元にお配りしたタイムテーブルをちょっとごらんくださいますように。
 これはある特別養護老人ホームで働く寮母さんの時間表でございます。これを見ただけでうわっと私などは、もう大変だという感じになります。これは最初が夜勤、そして早番の方、それから日直の方の業務、それから遅番の方というふうに出ております。一々御説明を申し上げるまでもなく皆様がごらんになれば、これは大変だというふうに一目瞭然だと思うわけでございます。
 これは八十人定員の特別養護老人ホームでございます。寮母さんが十八人、看護婦さんが三人のところでございます。実際に四十二時間労働ということを守りますと実質的には六対一という形になってしまいます。夜間になりますと八十人のお年寄りに対して三人ということになります。おむつをしていらっしゃる方が八十人の入所者のうち約三十人だそうでございます。そうすると三人でおむつを夜間かえなければならない。八時と十一時と午前一時、三時、五時と五回三十人の方のおむつを三人で取りかえるということは、もうこれは私はとっても自分自身できないことだというふうに思います。ですから、三人が全部出払ってしまいますので、緊急ベルが鳴っても事務室にだれもいないというふうな夜間の状況が出るそうでございます。
 食事の介助というのも、御承知のようにADL五つ以上の方々が特養には入っていらっしゃるわけでございますから、これは大変なことでございます。食事一つにいたしましても、口をあげるということ、飲み込むということ、それだけでも大変時間がかかるわけであります。一人に対して一時間はかかるというふうなことを承っております。
 それに加えて、今ゴールドプランの中で支援センターというものが大変に強化されておりますけれども、これはほとんどが特養に併設されております。したがいまして、この支援センターの人数まで確保するというのは大変であるというお声をしばしば聞くことがあるわけなんですけれども、こういう状況の中で働いている福祉施設、特に特別養護老人ホームの配置基準というものを変えるという御意向はございませんでしょうか。
#155
○政府委員(岡光序治君) 特別養護老人ホームの寮母さんを初め従事者の方々大変御苦労なさっておるのは承知をしておるところでございまして、そういう意味ではできるだけ勤務時間を短縮していくとか、あるいは関連の職種の方々について増配をするとか、それから処遇が難しい、例えば痴呆のお年寄りを大勢抱える場合にはその加算をして職員体制をより整えるとか、そういう体制強化ということはいろいろと図ってきているつもりでございます。
 もちろん今の段階、非常にきつい状況だと思いますが、今申し上げましたようなことで工夫をしながらそういう体制についての充実をより進めたい、こんなふうに考えているところでございます。
#156
○日下部禧代子君 ただいま看護婦さん、ホームヘルパーさん、それから特別養護老人ホームの職員の方、三つの介護、看護の職業についてお聞きしてまいったわけでございますが、共通していることというのはやはり労働条件、労働環境というものが非常に厳しい、というのに対しまして給与が低いという点ではこれはもう本当に三者とも共通しているんではないか。
 また、看護婦さん、ホームヘルパーさん、それから福祉施設の職員、いずれもこれまで女性の職業とされてきたということ、そのことが福祉の分野あるいは介護、看護の分野というのは女の仕事の延長である、つまり家事労働への低い評価というものがこういうところにつながってきているのではないか、そのことは女は内で男は外だという男女の役割分業、そういう意識とそれに基づいた社会のあり方というものを私は反映しているというふうに思うわけでございますが、これからのマンパワー対策、人材確保ということに対しましては、ここで思い切った発想の転換、と同時に予算の配分のパターンというものを変えるというような大胆な転換というものが必要だと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。大臣の御所見を承りたいと思います。
#157
○国務大臣(下条進一郎君) 委員から豊富な御経験からの御意見や御質問を先ほど来承っておりまして、看護職、介護職その他関連のマンパワーの問題について、質の問題、量の確保の問題についてのいろいろな極めて貴重な、また示唆に富む御意見も拝聴いたしました。
 高齢化社会を迎えまして、保健、医療、福祉に携わる人材を確保し、その資質の向上を図ることは厚生省として重点的に取り組むべき課題である、このように考えております。このため、特に緊急な対策が必要となっております看護婦、社会福祉施設職員及びホームヘルパーを中心に、これらの職種ごとの特性を踏まえまして、予算、融資、税制等の各種の施策を総合的に講じてまいりたいと考えております。
#158
○日下部禧代子君 男女の役割分業に基づいたという私のその部分に関しましては、先ほど堂本さんがかなりおっしゃったと思いますけれども、改めていかがでございましょうか。特に、この福祉職におきましては、そういった男女の役割分業の延長線上にある、したがって、それがさまざまな労働条件の厳しさにもかかわらず給与が低いというふうなことにつながっているのではないかというその件に関してはいかがでございましょうか。
#159
○国務大臣(下条進一郎君) 男女の差というものをそこに結びつけて解釈することが必ずしも適当かどうか、私はちょっと即断を下しかねますけれども、現状においてこの分野の仕事に携わっていらっしゃる方に女性が多いということは事実と思います。その面で、先ほど来勤務条件の改善等々、今課題がございますので、それらにつきましては先ほど御説明申し上げましたように最重点事項としてこれからも真剣に取り組んでいく所存でございます。
#160
○日下部禧代子君 大変時間が迫ってまいりましたけれども、もう一つ、水俣訴訟についてお尋ねしておきたいというふうに思うんですが、本年の八月七日、福岡高裁が、水俣湾周辺地域に一定期間住み魚を食べていたという疫学条件を満たし、四肢末梢に感覚障害のある人を和解救済上の水俣病であるという所見を出したことは御承知のとおりでございます。どのような人たちを水俣病患者として認めるのかということは、これは長い水俣病問題の歴史の中で最大の課題であったというふうに思います。
 既に一月の和解交渉ではさきの条件を満たす人たちを救済するということで、熊本県とチッソとの間では大筋の合意ができていたわけでございます。しかも、救済者を水俣病患者と呼ぶかどうかということが依然として問題になっていたので、裁判所がどのような見解を示すかということが非常に注目されていたわけでございます。
 したがいまして、今回の所見というのは司法が一歩踏み込んで歴史上初めてこれらの救済者を水俣病と認めているわけでございまして、この重みは非常に大きいと思うわけでございますが、この福岡高裁の所見に対しまして、責任官庁である環境庁と厚生省はどのような御見解をお持ちでいらっしゃいましょうか、お伺いいたします。
#161
○説明員(岩尾總一郎君) 水俣病につきましては、公害健康被害の補償等に関する法律によりましてこれまで約二千九百名の患者の方々を認定し、公正な救済を進めてきたところでございます。
 訴訟におきましては、認定されていない方々が水俣病による被害を受けたとして国による損害賠償を求めておるものでございます。これに対しまして国は、損害賠償の責任がないこと、国の水俣病の判断条件は適切なものであることを主張しているところでございます。
 この問題についての考えは、昨年の十月に「水俣病訴訟に関する国の見解について」として取りまとめられたところでございまして、この見解ではこれらの争点について国の行政のあり方の根幹にもかかわる問題であるので、裁判所の判決をいただいた上で判断していくべきものと考えており、現時点において和解勧告に応じることは困難であるとされているところでございます。
 環境庁としては、今のところこの見解に変更はございません。なお、所見の内容につきましては、和解協議に参加していない立場でございますのでコメントは差し控えさせていただきます。
#162
○国務大臣(下条進一郎君) 水俣病にかかられた患者さんについてはまことにお気の毒なことと思います。この病気につきましては、既に今環境庁からお話がありましたように、二千九百名の方々が公害健康被害の補償等に関する法律に基づいて認定され、救済されているところであります。しかし、水俣病事件による被害の深刻さと原告の方々の高齢化等を考えますと、この事件が現在もなお未解決な部分が残っていることは大変遺憾に思う次第でございます。
 厚生省といたしましては、裁判所の和解勧告について十分検討させていただいたところでありますけれども、水俣病事件に係る食品保健行政上の法的責任の存在を前提として和解の協議に入るということは今困難だと、このように考えております。
#163
○日下部禧代子君 ぜひ私といたしましては、この三十五年にも及ぶ、生きているうちに救済をという二千人を超える水俣病訴訟の方たちの声をぜひお聞き入れいただきまして和解のテーブルに着いていただきたい、そのことを強く要望いたしまして質問を終わります。
 ありがとうございました。
#164
○委員長(田渕勲二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、堂本暁子君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。
#165
○木庭健太郎君 まず、出生率の問題をお聞きいたします。
 平成二年度の合計特殊出生率は、昨年の一・五七に引き続いてまた低落いたしまして一・五三という最低の数字になったわけでございます。どうしてこの出生率の低下に歯どめがかけられないのか。厚生省及び政府が書かれているものを読ましていただきますと、何かこの一番の原因は女性の晩婚化とか、それから晩産化といいますか出産するのがおくれてきたというようなことを強調されているように感じるんです。先ほど堂本委員は母子保健のあり方じゃないかとおっしゃいました。私自身はそうじゃなくて、日本が経済大国になっていく中で、逆に一人一人の生活レベルがどうなったか。生活小国になっている、子供を育てるためのお金が非常にかかるようになった、また住宅についても非常に狭いし、何人も育てられない、さまざまなそういう生活の問題が大きいと私自身は思っておりますけれども、厚生省自身はどうお考えになっていらっしゃるかお聞きしたいと思います。
#166
○政府委員(大西孝夫君) 御指摘の出生率低下の原因でございますが、やはり要因として挙げます場合には、未婚率の上昇、夫婦の出生児数の減少といったことがまず考えられるわけでありまして、特に最近の出生率の低下は、先生御指摘になりましたけれども、晩婚化による二十歳代の女性の未婚率の著しい上昇によるというふうに私どもは考えております。
 ただ、そういう晩婚化に導く要因として、例えば独身生活の魅力が増大するとか結婚適齢期意識というものが希薄になったとか、あるいはまた先生御指摘のように、経済的あるいは精神的な負担なり、結婚についての意識なり、女性なり男性について変化があったということもあみかもしれませんが、そういうのが要因というかデータ的には晩婚化ということにつながっていっているんじゃないかと考えておるんですが、その晩婚化の著しい上昇が最近の低下につながっているというふうに、数字をもとに考えますと私はそのように考えております。
 このような傾向はなぜ歯どめがかからないかということにつきましては、なおそういう変化、傾向が続いておるということで出生率の低下に歯どめがかからないのではないか。逆に言えば、そういう変化が一応ピークといいますか変化の最終点、そこまで行ったという形のところから反転が始まるのではないかというふうに考えておるんですが、その辺についてはまだデータとしては将来の推計でありますし、必ずしもはっきり申し上げることはできませんが、今のところはそういう傾向が続いておるということが歯どめのかからない理由というふうに考えております。
#167
○木庭健太郎君 そうすると、人口問題研究所が同じ時期に将来人口の暫定推計を出しましたね。あれを見ましたら、中位を見ると平成七年から出生率が回復していくというような予想を立てているわけですね。そして高位を見たら平成三年はもう回復ですよね。回復し始めるというふうに見ていることになるわけですよ。そうすると、晩婚化で説明されているんですけれども、それで本当に説明がつくんですか。その辺が非常に、どういうことをもとにふえるという根拠になっているのか。その辺をきちんとしてください。
#168
○政府委員(大西孝夫君) 出生率を決めます要素としましては、先ほども申し上げましたが、未婚率あるいは夫婦の出生児数等が考えられるわけでありますが、繰り返しになりますけれども、現在若い世代では晩婚化が進んでおる。そういう意味での移行期でありまして、その結果出生率が低下しているというふうに考えているわけですが、御指摘の人口問題研究所の暫定推計で、もちろん夫婦の完結出生児数、生涯未婚率というもの、それに晩婚化の進行がどこまで進むか、こういう三つの要素について前提を置いて試算をされております。その際に、特に何といいますか、歯どめがかかるといいますか出生率が回復するところにいつ達するかということについての推計で一番重要になってまいりますのが晩婚化の進行をどう見るかという点でございます。
 それで高位推計では昭和四十四年生まれのグループまでは進行するであろう、それ以降はいわゆる晩婚化といいますか平均結婚年齢がそれ以上高くはなっていかないのではないか、こういう推定を置いております。それから中位の場合はそれよりもう少し進んで、昭和四十七年生まれのグループまではなお進行するけれどもそこから先は進まないだろう。そういう晩婚化の進行をどの年代のグループまで進むかという前提の置き方によってその差異が出てまいっております。
 そういう晩婚化の進行がとまれば出生率が回復する方向に向かっていくであろう、こういうことでございます。
#169
○木庭健太郎君 そうするとすべて晩婚化の問題だけで片づくということみたいに聞こえるわけですよ。先ほどおっしゃいましたけれども審議官、それだけじゃないんだと、いろんな要素があるんだということをおっしゃいました。そういったものをきちんと頭に入れた上で政策を進めていらっしゃると思うんですよ。そうしないと、統計上出すためにそれが必要なのかもしれませんけれども、じゃ社会環境整備したらどうなるのかということは見込まれているはずだと僕は思っているんですよ。そういう要素もきちんと検討した上で言っているというようなことにならないと、じゃ厚生省として何をやればいいか、晩婚化を防ぐために政策を立てればいいだけかなと力僕はそんなものじゃないと思っていますよ。
 ですから、その辺見解分かれると思うんですけれども、ぜひその辺も含めて、もしよろしければこの推計値の問題についてはもう少し詳しい資料がありましたら、今の説明だけじゃよくわかりませんから書類でいただければと思います。それはぜひよろしくお願いします。
 そうなると、私自身は一番の原因は、また皆さんがおっしゃっているのも経済支援策の問題と住宅の問題だと思っております。大きな要素の一つだと思っているわけです。だからこそ厚生省としては児童手当の問題踏み込んで改正をされたんだろうと思います、前回。ただ、その後のいろんな政策見ましたら、経済支援策というものに関して言うならば、この児童手当で終わりのような印象も受けます。この問題に関して経済支援策、児童手当以外には厚生省としては考えていらっしゃらないのか、それともこういうことも考えてみたいとおっしゃるのか、お答えをお願いしたいと思います。
#170
○政府委員(土井豊君) ただいまお話がありましたとおり、子育てに伴う経済的な負担あるいは精神的な負担というものがやはり社会の中にありまして、それが最近の出生率に大きな影響を与えているという認識を私どもも持っておりまして、そういったものにどういう形で対応すればいいのかということに真剣に取り組んでいるところでございます。
 具体的に申しますと、組織ということで変でございますが、児童家庭局の中に児童環境づくり対策室というものを七月につくりまして、いろんな形で今後一生懸命取り組んでまいりたいということにいたしております。それからまた、いろんな施策の中におきましても、例えば多様化した保育サービスの提供でありますとか、あるいはただいまお話しになりました児童手当制度の改正制度の実施等々あるいは育児に関する相談支援体制の整備、そういったことに最大限の力を注いでまいりたいと思っております。
 ただ、今お話しの経済的な支援の問題につきまして、児童手当制度、来年一月から改正制度の実施に入るということでございまして、しかも国会の修正の中で経過措置終了時点でいろんな状況を勘案しながら再検討すべしと、その結果に基づいてさらに必要な措置を講ずべしというようなことが国会の宿題としてちょうだいしておりまして、ここら辺を含めまして今後とも我々は真剣に取り組んでまいりたい。ただ、具体的にそれ以外の経済的支援策というものについては、今の段階では私どもとしては考えていないというのが現状でございます。
#171
○木庭健太郎君 もう一方の方の住宅の問題です。
 これは本来建設省の問題だと言えばそういうことになるんです。ただ、私自身こういう出生率の問題を見ていった場合、また国民の中で今子供を産み育てやすい環境の中で何が一番大切かという問題で住宅ということが声で上がってきます。そういった意味では、私は子育ての横の連絡会議もございますね。そういった中で子供の問題については一番主管である厚生省が、特に厚生大臣がこういった視点からもぜひ各省庁に働きかけて、この住宅問題、もう出生率本当に厳しくなっています、ですから厚生省の方からもぜひ申し入れしたい、私のところは直接できないけれどもよろしくお願いする、何とか協力してくれないかと、またこういう案も持っているよということを私は厚生省から出すべきだと考えるんですけれども、大臣御自身どうでしょうか。
#172
○国務大臣(下条進一郎君) 出生率の問題は、委員が真剣に取り組んでおられると同時に、厚生省といたしましても、日本の将来の人口構成等を考えた場合あるいはまた社会福祉の長期安定的な施策を執行する、あるいはまた経済の安定的成長、いろいろな問題に絡んでくる基本的な問題でございますので、先ほど来個々に御質問がありまして、担当官が一部の面での答えで十分でない面もあったかと思いますが、これは一部の面の答えということで御了承いただきまして、もうすべての施策をそこへ集中して条件を整備していかなきゃならない非常な大事な問題である、このように我々は受けとめておりまして、この面については厚生省としても今真剣に取り組んでおるわけでございます。
 子供が健やかに生まれ育つための環境づくりを進めるためには、御指摘のように住宅に関する問題についてもその取り組みは欠かせないものである、このように認識しておりまして、この問題につきましては、健やかに子供を生み育てるための関係省庁連絡会議のさきの取りまとめにおきましても、多子世帯の公共賃貸住宅への優先入居などの土地・住宅対策の推進が盛り込まれております。厚生省といたしましても、このような連絡会議の場等を利用いたしまして、各省庁連携のとれた総合的な施策の推進に向けてこれからも努力をしてまいりたいと考えております。
#173
○木庭健太郎君 それと、この子育ての問題で医療保険分野で何ができるのかという問題が残っていると思うんです。これは労働省の方で始めました育児休業法という問題もございますので、微妙な問題ではございます。
 ただ、実際にスウェーデンでございますけれども、先進各国がみんなやっているわけじゃないんです。スウェーデンを見ましたら、国民健康保険法において両親手当というのを実際に出しておりまして、育児休業中の所得保障を行うようないわゆる保険医療分野で取り組んでいる国もございます。我が国においてもこういったことも頭の中に入れながら、視野に入れながらやっていかなくちゃいけないと思うんですけれども、その点についてもお聞きしておきたいと思います。
#174
○政府委員(黒木武弘君) スウェーデンの例を引かれたわけでございます。スウェーデンでは御案内のように両親手当という形で育児休業期間中の所得保障として手厚い給付が、給与の九割でございますか、育児休業期間中に出るという形になっております。
 私どもは大いにそういう制度も学ばねばならないわけでございますけれども、御案内のように、高福祉高負担のスウェーデンの制度を直ちに我が国に入れるということにつきましては慎重に検討を要する課題が多々あろうかと思っております。したがいまして、現在のところスウェーデンのような制度を直ちに医療保険制度に創設するという考えはございません。
#175
○木庭健太郎君 ございませんとはっきり言われるのも結構なんですけれども、そういった部分も検討し始めてないといけないと思っておるわけです。
 私は晩婚化の問題だけで決して出生率の低下というのは片づかないと思っているんです。だからさまざまな角度で検討しながらやっていかないといけないと思っておりますし、そういった意味では、高福祉高負担の問題をおっしゃいました。その問題ももちろんありますのでも、今こうやってどんどんどんどん低下している問題に対してどんなところで取り組めるのかというのを、昨年以上にことしの方がもっと真剣にならなければいけないんですよと思っておりますので、ぜひそういったことも研究してください。研究することは別にそれで行政として損するわけじゃないんですから、そういうことも作業しておいて、じゃ何が一番マッチするのかということをぜひやっていただきたいと思っているわけでございます。
 そこで、一つお伺いしておきたかったのは、現行の被用者保険におきまして育児手当金というのがあるというのを聞きまして、私不勉強で全然知りませんでした。この育児手当金というのはどういう目的、どういう意義でつくられたんでしょうか、御説明をお願いしたいと思います。
#176
○政府委員(黒木武弘君) 育児手当金でございますけれども、これは昭和十九年に創設されております。当時は保育手当金と称していたわけでございますが、そのねらい、目的は被保険者が出生児を保育するときの特別の家計を補てんするという趣旨でございまして、出生児について保育するときの特別の費用と申しますか、そういうものを補てんするために設けられた制度だと承知しておりますが、これが現在、昭和三十六年に育児手当金というふうに名称が改まって今日に至っております。
#177
○木庭健太郎君 昭和三十六年に名称が育児手当金に変わったわけでございますけれども、昭和三十六年以来この育児手当金の額はどういうふうに推移しておりますでしょうか。
#178
○政府委員(黒木武弘君) 創設のときから申し上げますと、昭和十九年でございますが、保育手当金という形で給付形態としては任意給付という形でできたわけでございます。六カ月間一月につき十円という形で誕生いたしたわけでございます。それが二十三年に法定給付になりました。それから昭和二十年代までは一月につき二百円まで金額が上がってきたわけでございますが、昭和三十六年に育児手当金ということで一時金に変えました。一月につき二百円六カ月間を一時金として二千円に引き上げたわけでございます。その後この金額については据え置いたままということになっております。
#179
○木庭健太郎君 なぜ据え置かれたままになっておるんでしょうか。
#180
○政府委員(黒木武弘君) いろいろ当時の、どういう検討をしたかということはつぶさには承知いたしていないわけでございますけれども、育児手当金の意義といいますか目的が薄れたんではないかということが絶えず我が方では議論されておりまして、例えば児童手当との関連とかいろんな問題もございまして、一度はこれを、何と申しますか、この制度を廃止しようということで提案したこともあるわけでありますけれども、分娩費との絡みで存続という形になりまして、そのままの形で現在はきておるわけでありまして、まことに一月二千円ぽっきりという形で定額の形での給付が残っておるということは申しわけなく思っておりますけれども、これからいろんな角度から検討をしなきゃならないんだろうと思っておるわけでございます。
 しかしながら、先ほどちょっと触れましたように、児童手当が今回改正等にもなりまして第一子から国の方の給付として出てくるということもございまして、なおのこと私どもはこの育児手当金の現代的な意味についてもう一回検討をしなきゃならない、これはもうそのとおり思っておるわけでありますが、さてどうしたらいいものだろうかということについてはまだ結論、成案を得ていない状況でございます。
#181
○木庭健太郎君 ぜひ検討されるときに、すぐ何かこういうものは廃止しようという考えになりがちですから、そうなさらずに、児童手当のときも随分議論をさせていただきました。また、それだけで足りるのかどうかという問題もございます。そして育児という問題、この出生率の問題からどう考えるかという問題も出てきます。私なんかは、労働省では育児休業中の保障をから得なかったわけですけれども、ある意味ではそういったことも厚生省としてぜひ念頭に置いていただきたいと思うし、できれば意義あるものとして、育児手当として抜本改正をしていただきたいなと、その結論を早急に出していただきたい。
 私たちとして見れば、これを少し拡充すると休業期間中の所得保障にもなるなという期待も、それはまた別問題ですけれどもありますし、また実際に育児に直接かかるお金、児童手当とどう振り分けるかという問題ございますけれども、その辺でもう一度きちんと拡充しないと、これもらった人わかっていないんですね。何か分娩費が出ましてそれに何かくっついている。何か半端な類やなという話で受け取っていらっしゃる方もありますし、せっかく出しているならより意義のあるものにしていただきたい。今検討したいとおっしゃっていますから、ぜひ廃止の方向じゃなくてより拡充するためにどうするかということで検討をしていただきたいというふうに心から念願するものでございます。
 そして、今度は妊娠・出産に係る医療保障の問題について一問お聞きしたいんですけれども、第一に、現在妊産婦の方が健康診断するときや正常分娩の場合ですけれども、これは医療保険の適用となっておりません。しかし諸外国を見ると結構、たった一国じゃなくてかなりの国が出産については医療保険の対象としている。これが通常の形になっているところが多いようでございます。
 さらに今後の問題、先ほどおっしゃいました、審議官が晩婚化、晩産化だと。そういう晩産化になればなるほどどういう問題が起きるかといえば、出産のときに高年齢出産になるわけですからいろんな問題も起きてくると思います。そういった意味では、今こういう時期にこそ妊娠・出産の問題について医療保険をどう適用するかという問題について検討に入るべきだと私は考えますけれども、見解をお伺いしておきたいと思います。
#182
○政府委員(黒木武弘君) 出産費用に絡む分娩費の問題でございます。
 お尋ねのように異常分娩は現物給付してあるわけでございますけれども、正常分娩につきましてはずっと健康保険制度創設以来出産後に一定の額を支給するという形できております。これは私どもの説明といたしましては、妊娠後に出産のための費用についてあちかじめ準備することが可能であるといったような理由から出産後に一定の額を支給するという形をとっているわけでございます。
 したがいまして、制度創設以来ずっと現物給付の形をとっておりませんことから、これを一気に現物の形にするというのはなかなか、医療機関と申しますか産院にとっても、例えばどういう形で点数をつけるかというようなことからいろんな問題をはらんでいるわけでございまして、現物給付化についてはかねてから御意見をちょうだいしておるわけでありますけれども、なかなか難しい状況にあるわけでございますが、なお何か工夫はないものかということで勉強してみたいと思っております。
#183
○木庭健太郎君 今のところは勉強という言葉になるだろうと思いつつ、やはりそういう答弁が出てきたなと思っております。ぜひそのことを勉強していただいて、その前に、今緊急に対応しなくちゃいけない問題というのは私は分娩費の問題だと本当は思っておるわけでございます。もちろん、妊娠・出産というのが保険適用になれば一番いいわけでございますけれども、せめて分娩費の最低保障額については実勢価格に見合った金額だけ引き上げる必要があるんじゃないかなと思っておるわけです。
 この被用者保険の最低保障額でございますけれども、分娩費については五十五年の法改正で政令で定めることというふうになりまして、たしか昭和六十年四月一日だったと思いますけれども二十万円になりました。それ以降変わってないと思うわけでございます。そういう意味では、この分娩費そろそろ検討する時期に入っていると思うんですけれども、御見解どうですか。
#184
○政府委員(黒木武弘君) 健康保険の分娩費の最低保障額でございますけれども、御引用されましたように、五十一年の十万円を五十六年に十五万円に引き上げまして六十年から二十万という形になっております。
 この分娩費の私どもの考え方でございますけれども、国立病院における実勢費用額を念頭に置いて決めさせていただいておるわけでございます。国立病院は近隣の平均的なところを見きわめまして分娩費の実勢費用として定めておるということから、国立病院の費用を参考にさせていただいておるわけでありますけれども、最近この実勢費用がほとんど上がってない状況でございまして、したがって現時点におきましても、二十二万六千円の実勢費用からいって現行の二十万というのは九割をカバーするという給付額になっておることから、現在のところまだ引き上げる考えは持ってないわけでございますが、私どもも出生率の問題等々含めましてよく物事の重要性は見きわめているわけでございます。
 今後とも、国立病院その他費用の動向あるいは保険財政の状況等を見ながら適切に対処させていただきたいと考えております。
#185
○木庭健太郎君 その国立病院のは毎年きちんとチェックされて、毎年大体こう動いているというのをチェックした上でずっとやっていらっしゃるということで理解しておいてよろしいですか。
#186
○政府委員(黒木武弘君) そのとおりでございまして、毎年毎年上がっておるわけでありますけれども、最近は私よくわかりませんけれども、赤ちゃんの出生が減ったということで産院も非常に激しい競争時代に入ったということで、新聞にも出ておりましたが、病院もいろんなアメニティーその他患者さんにサービスをしなきゃならぬ時代だと書いてありました。そういうことからなかなか費用の方も上げにくいのかなということで見ておりますけれども、国立病院の実勢費用も、最近は六十三年の二十二万二千円が元年には二十二万四千円、平成二年度には二十二万六千円ということでわずかな引き上げにとどまっているのが現状でございます。
#187
○木庭健太郎君 そういうときこそ逆に、九割から実勢そのままいいですよという形にしてあげるチャンスじゃないんですかね。形としてはその動向に応じてやられたと思うんですけれども、これまで見できますと、少なくとも三年ないし四年に一遍の改正みたいな形で、最近ですよ、大昔は別です、経過しておりますし、五十一年十万だったのが、六十年四月二十万に上がっていますし、そういう意味じゃ調査しながらきちんと対応されたとは思いますけれども、では、現在そういうふうに少し恒常化しているならば、恒常化した中で今後それが固定化されると判断されるならば、より産みやすい環境づくってやればいいわけでしょう、対応としてはそういった細かい配慮をぜひしていただきたい。
 それとともにもう一つは、国民健康保険の助産費の問題があると思うんです。この国保の助産費は条例、規約の定めによって現実的には十万から十六万というところだろうと思っております。ただ、この額を見れば、被同者保険の最低保障額とはかなり低いですし、しかも国庫補助の対象となる助産費の補助基準額というのは現在たしか十三万円ですよね。そうしたら、どうしてこれ格差づけたままにしているのかなと。やはりこれから医療保険一元化という観点から見ていっても、これこそ直ちにやるべき問題じゃないんですか。この辺についてはどうお考えになっているか聞きたいと思います。
#188
○政府委員(黒木武弘君) 国保の助産費の額につきましては、これも御引用になりましたように、保険者である市町村が独自にみずからの判断で助産費の額を決めるシステムになっているわけでございますが、国も奨励的な観点からその補助を行っているという状況でございます。
 この補助の基準額につきましては、これも御引用になりましたように、十三万円ということで被用者保険と格差があるわけでございます。これを引き上げることが格差是正につながるわけでございますけれども、国保は御案内のように非常に財政事情が逼迫をいたしておりまして、医療の給付自体がまだ被用者保険との格差がある状況でございます。この種のものを引き上げますと、今でも国保の被保険者の保険料が高いと言っている状況の中で、市町村の方はどういう対応になるのか心配をいたしておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、我が方は一元化ということで給付と負担の公平という形で制度をこれから構築していかなければならないわけでございますけれども、その中においてもこの助産費のあり方等を含めましてできるだけ格差のないような形で検討してまいらなきゃならない課題だと思っております。
#189
○木庭健太郎君 確かに国保の厳しさもわかります。その中で、では現実、今のこの事態を迎えて
 一体何からきちんとやっていけばいいのかということに対して、厚生省としていろんな形で理解を求めるべきだと私は思っています。急にわっと同額まで上げられるかどうか、かなり厳しいと思う。でも、厚生省としてはこの問題関心持っていますよと、本当にまず子供を産むときからお金がいっぱいかかっちゃうわけですよね、実際に。その後いろいろ問題あるんですけれども、最初の段階での厳しさがある。せめてそのことは厚生省としては解消したいという努力の姿勢を何で示すかだと私は思っているんですよ。
 ですから、こういった問題、厳しさをわかりつつも、なおかつこの問題については厚生省としては最大限のいろんな形で努力をしていけば、またこういう問題に本当に厚生省が取り組んでいるんだなということが目に見えると思うんです。難しい、大変だ、わかります。わかった上で、じゃ何を取り組めるかというのが大事だろうと、そういう時代だろうと私は思っておりますし、ぜひともこの問題については特に検討を早急に始めていただきたいということを要望いたします。
 今、出生率の問題に伴って幾つかの指摘をさせていただきました。大臣にこの問題でひとつ決意をお伺いしたいんですけれども、確かに、先ほどおっしゃいました。政府はことし一月省庁連絡会議で取りまとめを行われましたけれども、何かそれで終わっているような感じを受けないでもない。もちろん取りまとめを受けてこれからどうするかということで、各省庁持ち帰ってやっていらっしゃると思います。ただ、こういった問題は非常に関心が多い問題ですし、例えば子供を健やかに産み育てるための関係閣僚会議みたいなものもきちっと設けて、日常的にこの問題連携し合いながらやってますよという形もつくるべきではないかと思うし、また、厚生大臣のお立場なら、この二年連続の本当に異常というまでの出生率の低下を受けた形で、例えばこの十年間児童の十年にしてみようというような形で一つの大きな目標を掲げられて、プランを持って厚生省が主導して私。はやるべきだと思います。その意気込みが逆に言えば政府全体を動かすことにもつながると思います。
 閣僚会議を設けること。また、例えば名前は、厚生省名前づけきっとお上手でしょうから何とつげていただいても結構ですけれども、児童の十年でも結構です。そんな形の一つのプランを打ち上げて、ぜひ全力で取り組んでいる姿勢を明らかに。していただきたいと思うんですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
#190
○国務大臣(下条進一郎君) 出生率に関係する各般の御意見、御議論を拝聴いたしました。非常に重要なことであると、私も同じような気持ちを持っております。
  一つの施策をやればそれで解決する問題ではございませんで、今お話がありましたように、各省にまたがる問題もございますので、その意味では現在連絡会議がございますので、その連絡会議の場において各省と協力しながらやっておるわけでございますが、全般的にまとめて申し上げれば、子供は来るべき二十一世紀の社会の担い手であり、子供たちを健やかに育てていくため、子供たちを産みやすく育てやすい環境づくりを進めていくことが我々の責任であると、このように考えておりまして、厚生省といたしましては、このような認識のもとで、この問題についての家庭、地域社会、企業、行政など各界各層での議論を深め、関心を高めていくとともに関係各省にも働きかけ連携をとりながら、今後とも政策の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
#191
○木庭健太郎君 もう大臣おっしゃるとおりなんですけれども、それをどんなふうに絵にするというか、目に見えるようにするということがある意味じゃ私は大臣の仕事じゃないかなと思っているんですよ。もちろん具体的な政策いっぱいやられると思います。それを国民の前に、ああこうしてますよ、子育ての問題についてはこういう一つのプランがありますよというわかりやすい一つの絵というんですかね、そういう作業がこれから二十
 一世紀を迎えるに当たっては一番大事な視点じゃないかなと思うんです。
 大臣おっしゃるとおり、もういろんなことをやられると思いますけれども、そういったものを一つのまとめた形でわかる形にしていく。それに向一かって突き進んでいる目標があるという形を、十カ年戦略、高齢者の問題は立てられたわけです上ね。じゃ子育ての問題ではどうされるんですか十いうことを問われたときに、これですよと言えるような形の一つの方向を目指して長期戦略なり本立てる必要があるんじゃないですかね。どうでしょうか。重ねて済みません、ちょっと。
#192
○国務大臣(下条進一郎君) この問題は、私も年ほどのお話の中に申し上げたように、極めて大事な日本の将来のすべてのストラテジーと申しましょうか、そういったものに関連する基本的な問題である。したがって、高齢者の問題は、これはやはりそれだけ社会に貢献された方々のために働く方々がそれをいかに支えていくかということの問題で、社会問題として国民全体の関心の中で適切な対策を講じていくという認識の中でゴールドプランその他を我々実行しているわけでございますが、これと同じように、その後へ続く若人、その若人をまた支えていくのがかわいい赤ちゃんでございますから、その赤ちゃんが、今おっしゃるように、一定の望ましい人口構成をつくり上げていくための赤ちゃんとして後に続けるように、それを我々は、各家庭の御判断の問題であるにいたしましても、社会全体の中に位置づけて、いかに大事なものかということを我々は認識しながら対策をしていかなきゃならない。
 そのために厚生省といたしましては、この前の児童手当の改正にいたしましても、その他いろいろな万般の対策を一つ一つきめ細かく一歩一歩前進するように築き上げながらやってまいりたいと思うわけでございまして、今一つだけやったらどこが変わる、それでどうなるという問題ではなくして、そういう出生率を上げることについての社会の一般の認識を高めながら、その中で健やかに赤ちゃんを産み育てる環境づくりをしていくというのが厚生省の仕事だと思っております。
#193
○木庭健太郎君 いい言葉がいっぱいありましたよ、健やかにとか、赤ちゃんのために、そんな言葉をもっとわかりやすく国民にPRするための方策をぜひ考えてほしいなと思うんですよね。一生懸命やっていらっしゃる部分はあると思うんですよ。それが何か意外にこう国民の目の前に出されたらわかりにくいんですよね。それが残念でならないし、健やか十年でもいいじゃないですか。何かそうい、つことを考えていただいた方が私は、せっかくやっているんだから、やっていることをわかりやすくしていただきたいなということを、これはすぐにはなかなか大きなプランだったら大臣答えにくいと思いますので言いませんけれども、検討していただきたいというふうに思っております。
 話を変えまして、ホームヘルパーの問題で幾つかお聞きしたいと思います。
 十カ年戦略の中でホームヘルパーの問題、先ほども指摘があっておりましたけれども、難しい問題も出てきております。そこでまず知りたいのは、このホームヘルパーの中で実績では常勤、非常勤というのが何人いらっしゃるかをお聞きしたいんです。
#194
○政府委員(岡光序治君) 平成元年度末におきましてホームヘルパーの設置数は三万一千六十九名となっておりまして、この時点におきましては約四割の方が常勤、約六割の方が非常勤、こういうふうに把握をしております。
#195
○木庭健太郎君 調査したのはないですか、何千何百人という数が出てくるのは。概略じゃなくて、数。その人数出ているわけですから、それに対して何人何人というふうに出ませんか。
#196
○政府委員(岡光序治君) 手元の資料がパーセンテージでとらまえておりますので、ちょっとお時間をいただきたいと思います。すぐ掛け算でわかりますので。
#197
○木庭健太郎君 では、ほかの質問をしておきます。
 非常勤がかなりいることについての御認識について、先ほど局長は、相手の必要性に応じて派遣時間など柔軟な対応をするためにはこういう非常勤のあり方もいいのではないかとおっしゃいましたけれども、確かにそのとおりだとは思いつつも、非常勤という形がある意味じゃホームヘルパーという職業の、金額的にはどうしても非常勤の方が額的に下がっているような傾向があると思います。ですから、非常勤の問題についてその手当の方の問題ですよね。常勤についてはきちんとこう出てくるんですけれども、非常勤についても時間給にすれば常勤と変わらないような、きちんとしたそういう確保をする方針で今後臨まれるのかどうか、その辺を聞いておきたいと思いますね。
#198
○政府委員(岡光序治君) 非常勤の方につきましては、時間給の数字を設定をいたしまして、その実働された時間に応じて給与が支払われると、このようなシステムを従来もとっておりますし、今後もきちっとそれをやっていきたい、かつ時間給の単価を一般の給与の動向を考えながら改善をしていくと、こういう格好で内容改善を図っていきたいと思います。
 失礼をいたしました。先ほどの実数を申し上げますと、三万一千六十九名の中で常勤の方の数は一万三千三百二十九人、それから非常勤の方は一万七千七百四十人ということになっております。
#199
○木庭健太郎君 そして、ホームヘルパーの人数の問題でございます。
 来年度の概算要求見させていただきましたけれども、まだ五万人台まで乗ってないということでございます。私たちの党は、このゴールドプランが出る前に緊急整備三カ年計画というのを出させていただきました。その際、平成三年度で五万に達してないと今後厳しいよという指摘をたしかしたと思います。その平成三年度を迎えて五万人を達成し切れないという現状、これで本当に十万人ができるのかどうかという不安感が物すごくあるんですけれども、その点については本当にできるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#200
○政府委員(岡光序治君) 結論的に申し上げますと、毎年度、例えば平成三年度でありますと五千人の増を図って累計で四万九百五名の確保、それから来年度の要求でありますと五千五百人の増員を図りまして四万六千四百五人の累計の数の確保、こういうふうに毎年度増員を図りまして十万人に達成しようと、こう考えているわけでございます。
 そういう意味で、計画的な取り組みを行っているわけでございますが、それとあわせまして御指摘をいただきましたように、手当の引き上げ等の処遇改善をしてやはり確保策を講ずる。それからまた、働きやすい体制をこしらえるということでチーム方式の推進をやる、あるいは質の高いヘルパーの確保ということを考えまして、研修を充実する、こういうふうなことをやると同時に、市町村におけるマンパワーの発掘を行うことについて支援をして必要な確保を図る、各般のそういう確保策を講じながらこの十万人の計画、ぜひとも達成をしたいと考えておる次第でございます。
#201
○木庭健太郎君 ぜひとも達成していただかなければ困るわけですけれども、八月に総務庁が出しました高齢者対策に関する行政監察結果というのを読ませていただきました。これを見ますと、この十カ年戦略を達成できると答えた都道府県を見ましたら一つもありません、たしかゼロだったと思います。間違っていれば訂正してください。市町村でもわずか二つしかございませんでした。
 一番ゴールドプランの担い手である自治体がこういうことを言っているわけですけれども、この点についてどう認識されているか、お答えください。
#202
○政府委員(岡光序治君) 行政監察の結果は、今御指摘いただきましたように、十カ年戦略の達成は困難としている都道府県及び市町村の数は、ホームヘルパーの面では三〇%程度、それからデイサービスについては一〇ないし二〇%程度でございまして、大多数の自治体は達成の見通しについては不明だとされているというふうに承知をしております。
 いずれにしましても、ホームヘルプサービス事業につきまして達成が難しい、こういう理由としては、ホームヘルパーの確保が困難である、あるいはニーズがつかめない、こういうことが挙げられております。それからデイサービスの方につきましては、用地確保が困難だと、こういうことが指摘されておるわけでございますが、こういった課題にどうしてもこたえなきゃいけない。
 まず、ホームヘルパーの確保につきましては、ただいま申し上げましたように確保策、処遇改善であるとかさまざまな確保策を講じたい、こう考えておるわけでございますし、またニーズがつかめない、こういう点につきましては、地域のニーズをどのようにつかまえるかという具体的なマニュアルを示したりいたしまして、かつまたこれは平成五年の四月からすべての市町村で老人保健福祉計画をつくっていただきたい、そして計画的な整備、推進を行っていただきたいと、こうお願いをしておりますが、こういったことを行うことによってニーズが的確に把握されるのではないだろうか、こんなふうなことを考えているわけでございます。こういったいろんなうまくいかないであろうという理由が掲げられておるわけでございますが、こういったものを一つ一つ解消しながら目標達成をぜひとも行っていきたいという心組みでございます。
#203
○木庭健太郎君 確かに今言われたようなさまざまな問題があると思います。そして自治体が一つ悲鳴を上げているのは財政上の問題も大きな面だろうと思うんです。そういった意味では、もちろん技術的指導をする必要がある、マニュアルをつくってやってわかりやすくやるようにする必要がある、指針、指示ということは必要だろうと思います。しかし、それ以上にこれを抜本的に達成可とするためには補助率の引き上げを含めた、いわゆる抜本改正というものをいつの時点がでしなくちゃいけないと私は思っているんですけれども、この補助率の問題含めてお答えをいただきたいと思います。
#204
○政府委員(大西孝夫君) 先生御指摘のとおり、ゴールドプラン達成の上で在宅福祉サービスや施設福祉サービスを大いに進めなきゃならぬわけでございますが、その補助率ということにつきましては、経緯もございまして、国と地方の機能分担あるいは費用分担のあり方といったようなことを勘案し、また、ほかの分野の補助率とあわせて一体的、総合的に検討を行った上で昭和六十年度から六十三年度までの間に暫定措置を設けまして、関係法令の改正で平成元年度から現在の率に改めた、こういう経緯がまずございます。
 元年度の改正の際には昭和六十一年度における老人ホーム等の入所措置事務の団体事務化等、地方自治体の自主性、自立性の強化措置を踏まえ、また今後の在宅福祉対策の一層の充実の必要性にかんがみまして、ホームヘルパーに係る補助率を引き上げた、こういう経緯もございます。そういう経緯のもとに現行の補助率が定まったこともございますので、せっかくの御提言でございますが、現時点で見直すということは考えておりません。
 ただ、私どもとしてはこのゴールドプランの達成に向けまして、毎年必要な事業規模の確保など、その円滑な実施に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#205
○木庭健太郎君 デイサービスの件で一つ二つちょっとお伺いしておきます。
 一つはデイサービスの場合は一万カ所目標で、現在二千六百三十カ所、順調に推移しているようでもございますけれども、まだ目標達成にはこれも厳しいものがございます。特に地域福祉の核になりますデイサービスセンターについては、使いやすい場所につくってほしいという要望があるのも事実でございます。しかし使いやすい場所ということになりましたら、今度は都市化が進んでいるところでは施設をつくる場所の確保が困難になっているような現状もございます。
 自治体の中には、こういった観点から小中学校、また保育所の敷地内に建てようというふうな計画をしているところも実際にあるようですけれども、小中学校は文部省の管轄になりますし、そういったいわば行政の縦割りの中で行き詰まっているというような状況も聞いております。こういった点、本当にデイサービスを充実するためにこういった指摘、例えば既設の小中学校、それから保育所、こんなものも敷地がない場合は使っていこうというような考えについてどうお考えかをお聞きしたいと思います。
#206
○政府委員(末次彬君) 一般論で申し上げますと、施設設備、マンパワー、こういった限られた社会福祉資源、これを地価上昇に伴う施設用地の確保難の状況のもとで、入所から在宅にわたる多種多様な福祉事業を満たしていくためには、社会福祉施設の複合化の推進というのは私どもにとって重要な課題だというふうに考えております。
 こういう観点から、従来から福祉施設の複合化等を推進するための施設の共用化の範囲の明確化、さらに老人、児童、障害者を通じた総合的な在宅福祉サービスの拠点としての地域福祉センターというものをつくっております。また、平成三年度から用地確保の困難な都市部におきます福祉施設の複合化に対する優遇措置、こういった措置を講じておるところでございます。
 文部省の学校の関係もやはりいろいろ検討課題になっておりまして、一部土地取得について義務教育についての児童生徒の急増によりまして、緊急に学校の分離が必要とされる場所に土地取得のために文部省が補助金を出しておりますが、ごういつ。た土地そのものに独立して福祉施設をつくるということは、これはなかなか難しいということでございますけれども、校舎と福祉施設を複合化するということについては既に事例もございまして、こういう点については、文部省と十分連絡をとりながら進めていきたいというふうに考えております。
#207
○木庭健太郎君 もう一つ、デイサービスでお尋ねしておきます。
 今デイサービスは社会福祉法人、市町村という形を受け皿にやっているわけです。ただこれだけで地域のニーズに合ったセンターを一万カ所もできるのかなという感じもちょっと持っているんですけれども、大臣、先ほどどなたでしたか、おっしゃいましたね。音は開業医が地域のいろんな医療を含め核になっていたようなお話をされておりました。実際、田舎に行きましたら、開業医さんというのが極端に言えば、もちろん医療が本当の役目ですけれども、本来業務のほかに、地域の社会の福祉に対して非常にある意味じゃ貢献されているようなケースもございます。
 今開業医の場合、場所によっては空きベッドの問題も出ているわけですけれども、こういう開業医をデイサービスの受け皿としてもう一つ取り入れる、いろんな形のデイサービスのセンターがある、そういうことも考えながらやったらいいんではないか、より充実した地域に密着したデイサービスができるのではないかと思うんです。もちろん医療と福祉というのは別の分野だと、法律的にも難しいところはわかりますけれども、その上でこういったことまで含めて検討することが大事じゃないかと思うんですが、この点についても見解をお伺いしておきたいと思います。
#208
○政府委員(岡光序治君) まさに先生御指摘をいただいたわけでございますが、法制的なことを申し上げますと、医療法で医療法人が行える業務の範囲が規定してありまして、非常にがちがちとした限定列挙になっておりまして、包括的には「その他保健衛生に関する業務」とこうなっております。
 この規定をそのまま考えますと、いわゆる福祉の世界の仕事は医療法との関係ではややできないのではないだろうかというような感じもするわけでございますが、先生おっしゃいましたように、確かに地域の社会的な資源としては大変重要な資源でありますし、私どもも保健と医療と福祉というものの総合化というのが必要だと考えておりますので、そういういろんな障害があるわけでございますが、その点十分検討させていただきたいと思います。
 ただし、安定して地域で仕事をしてもらわなきゃなりませんので、その不安定性、個人の開業医なんということになりますと、不安定性が事業の継続性という面ではございますから、そこをどうやって乗り越えるかという問題もあろうと思いますが、あわせまして検討させていただきたいと思います。
#209
○木庭健太郎君 五時までに終わりたいと思うので最後にお聞きします。
 私たち公明党といたしまして、これまで寝たきり、痴呆などの状態にあるお年寄りに対して、そういう状況を勘案して高齢者障害加算を基礎年金の上に上乗せして支給する、いわば私たちの立場で言えば在宅介護年金というのをずっと主張してまいっております。
 老人保健法の問題も参議院でこれから審議することになると思います。これからの医療の中で一番大切な観点が介護だと、在宅の介護をどうするかという問題が一番大きな視点になっておりますけれども、言い方は高齢者障害加算でも結構でございます。私たちの立場で言えば在宅介護年金、こういう物の考え方、創設について、できれば大臣に御見解をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
#210
○国務大臣(下条進一郎君) 高齢者障害加算制度の創設につきましては、厚生省といたしましても今後の介護対策を考える上での重要な課題と、このように認識しておりまして、現実の介護の充実にどのように結びつけることができるか、また年金の給付システムの中でどのようにしたら的確に対象者を把握できるか、あるいはまた今後ますます厳しくなる年金財政の中で、その財源をどのように確保していくのかといった諸点を幅広く検討する必要があると考えておりますので、いずれにいたしましてもできるだけ速やかに検討を進め、結論を得たいと考えております。
#211
○木庭健太郎君 終わります。
#212
○委員長(田渕勲二君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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