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1991/09/17 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第4号
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1991/09/17 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第4号

#1
第121回国会 厚生委員会 第4号
平成三年九月十七日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十三日
    辞任         補欠選任
     田代由紀男君     岩崎 純三君
     大渕 絹子君     菅野  壽君
    日下部禧代子君     堂本 暁子君
 九月十七日
    辞任         補欠選任
     菅野  壽君     庄司  中君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                岩崎 純三君
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                庄司  中君
                堂本 暁子君
                浜本 万三君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     大西 孝夫君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       総務庁行政監察
       局監察官     浅井 八郎君
       大蔵省主税局税
       制第二課長    増原 義剛君
       文部省初等中等
       教育局中学校課
       長        福島 忠彦君
       文部省高等教育
       局医学教育課長  喜多 祥旁君
       建設省住宅局建
       築指導課長    梅野捷一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○老人保健法等の一部を改正する法律案(第百二
 十回国会内閣提出、第百二十一回国会衆議院送
 付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 去る十三日、田代由紀男君、日下部禧代子君及び大渕絹子君が委員を辞任され、その補欠として岩崎純三君、堂本暁子君及び菅野壽君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田渕勲二君) 老人保健法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○竹村泰子君 今回のこの老人保健法の改正の趣旨によりますと、老人訪問看護制度の創設と、現役世代の負担軽減を通じて制度の長期的な安定を図ることとした、介護に着目した負担割合の引き上げ、一部負担の改定などを行うというふうになっておりますけれども、このことから改正案は、一部負担金の引き上げ、スライド制の導入も行っているわけですね。何か老人の負担増ばかりが目立つわけですけれども、これで老人が安心して暮らせるのだろうか。
 制度の長期的な安定のために今回一部負担の引き上げを提案された。老人保健制度が現在不安定なのでありましょうか。お教えいただきたいと思います。
#5
○政府委員(岡光序治君) 先生よく御承知のとおり、老人医療費の全体の賄い方は、お年寄りの一部負担と、それを除いた経費の七割が現役労働者からの保険料による拠出金と、それから三割が国、地方団体による公費負担ということになっております。それで、現実、今の姿におきましてはこの拠出金の負担が非常に高まってきておって、特に被用者保険、健康保険グループを中心に拠出金による保険料の増ということが大きな問題になってきている次第でございます。
 このような状態をそのまま放置しておくわけにはいかない。特に六十一年の法律改正におきまして、そういったいわゆる拠出金の按分率につきまして、一〇〇%按分率になる、そういう際には制度全体をよく見直した上で所要の措置をとることということが改正附則で入ったわけでございまして、そういったことの流れにおきまして、もう少し安定化をする、そしてそういう負担を構成する三者が公平なバランスがとれるように、そして無理のない負担をお互いすることによって制度を将来的に安定をさせていきたい、こういうふうな発想で今回の改正をお願いしたいと思ったものでございます。
#6
○竹村泰子君 それではお伺いいたしますが、今回の一部負担の引き上げで老人保健制度の長期安定は確保されるのですか。
#7
○政府委員(岡光序治君) 今回お認めをいただくようなことになりますと、物価の動きに応じまして一部負担額について見直しかなされる。もちろん物価が動くということは他方では、お年寄りにとりましては基礎年金、国民年金の方の給付がふえる、こういうふうなことがあってお年寄りの負担の問題には恐らく問題が生じないであろう。一方では、公費負担につきましては公費負担の対象を拡大しようとした。その対象の施設が十カ年戦略等に基づきまして次第にふえていくということで、公費負担もそういったものに従って増大をしていく。こういうふうなことを考えますると、公費負担の方は増加傾向になる。そして、一部負担の方はおおむね割合としては横ばい傾向が維持できる。したがいまして、経済の安定性がそう大きく狂わない限りは現役からの拠出金負担もそれなりに負担できるであろう。そういう意味で、この老人医療費の負担をしておる三者の関係においてそれぞれ将来にわたるバランスのとれた対応ができるのではないだろうか、こういうふうにもくろんでおるところでございます。
#8
○竹村泰子君 今回の引き上げは、老人に対してその費用の大体五%ぐらいを負担してもらおうという説明がありますけれども、五%ぐらいは負担ができるというような国民の合意を得ているのでしょうか。いっ、どの場でそのような提案がされて五%という数字が出てきたのでしょうか。根拠は何ですか。
#9
○政府委員(岡光序治君) 非常に端的に申し上げますと、この老人保健法の改正内容の審議は老人保健審議会という専門の審議会で御審議を願い、それから社会保障制度審議会でまた御審議をいただいたところでございまして、そういう審議会の手続を経まして、おおむねこの五%程度ということをベースにしてお年寄りの生活実態に応じて定額で一部負担をお願いするというこの方式については、それぞれの関係審議会で御了解を得られたというふうに理解をしております。それをベースに国会に御提案申し上げて御審議をお願いしておるところでございます。
#10
○竹村泰子君 よくわかりませんね。保健審議会では合意が得られたかもしれないけれども、私どもは、いわゆる国民はこのことについて何ら提案もされておらないし、五%ぐらいは負担ができるだろうということもわからないわけですよね。政府の言う老人保健制度の長期安定ということは保険財政に余りにも縛られているのではないかと私は思うんですけれども、公費の負担を引き上げることでこそ制度の安定が図られるのではないかというふうに思うんです。特に、年金特別会計からの借入金を基金として、その利子により特別保健福祉事業を行うという、いわば大変こそくな手段と言っては失礼かもしれないけれども、そういう手段によって当面の健康保険組合の財政の窮状をしのいでいくということでごまかそうというか、そういうことが感じられる。健康保険組合の切実な要求に正面からこたえることをしないで、これで制度の長期安定が図られるのかと思いますが、いかがですか。
#11
○政府委員(岡光序治君) 専門家の先生に申し上げるのは、繰り返しになってまことに恐縮でございますが、現在の老人保健制度というのは、各医療保険の保険者が老人医療費を共同で賄おうではないかと、いわば共同事業として位置づけられているものでございます。そして共同事業で行うに当たっては、それぞれの保険者団体に同程度のお年寄りが所属をしているというふうに仮定をいたしまして、国民ひとしくお年寄りを支えようではないかという発想でいわゆる一〇〇%拠出をしておるわけでございます。そういう意味では、あくまでもその基本は社会保険でございますので、公費でもってすべての医療費を賄うというのは社会保険の原則からすると少しかけ離れているのではないだろうか。そういう意味では、社会保険ということを前提にした上で、かつお年寄りというものを対象にしておるんだということを十分勘案して公費の割合を入れておる、その公費の割合は既に相当の割合に達しているんではないだろうか、こう考えておるわけでございます。
 一方、そういうふうな仕組みにしながらも、被用者保険の方における拠出金負担というのは現実には相当高い負担割合になっております。といいますのは、各健康保険組合を例にとりますと、若い人たちで構成をされておりますので、国民ひとしくお年寄りを支えるということになりますと、自分たちの保険者にいないお年寄りの分まで相当拠出金負担をするという結果になりまして、それがそれぞれの健康保険組合の保険料負担に直接はね返って高い保険料率になる可能性があるわけでございまして、そういう意味でその点での負担軽減を図る必要がある、そういう発想から厚生年金の国庫補助の繰り延べ分の償還分一兆五千億円を活用いたしまして厚生保険特別会計に基金をつくりまして、その果実でもって特に困っておる被用者保険のグループにその負担緩和策としての補助金を流す、こういう措置をとったわけでございます。
 これはもちろんさきにも御議論がありましたが、本院でも御議論がございましたが、そういったものを長く置いておくのはいびっでございますけれども、当面どうするかということで御審議をいただきましたが、これは当面維持しておこうではないか、そして被用者保険全体の財政状況を見きわめた上でどういうふうな取り扱いをするか将来において検討していこうではないか、こういう御整理をしていただきましたので、このようなことを前提に全体のバランスをとりたいということをこの案では考えておる次第でございます。
#12
○竹村泰子君 今回の老健法の改正で老人医療費における国の負担はどうなるのかということをお伺いしたいんですが、保険財政から見て、本人の負担増が千百八十億円であるのに対して公費負担増は七百五十億円。本人負担増が非常に大きいわけです。単純に見てもそういうふうになるんですけれども、財政に対する影響を見てみますと、国は負担軽減になるのではないですか。すなわち、国の財政影響額を見ると負担増加は五割負担となることで五百億円、そのうち原爆、結核、精神病にかかる経費が二十億円、合計五百億円ですね。この問題は衆議院でも追及されておりますけれども、どういうふうにその数字がなりますか、ちょっと教えていただけますでしょうか。
#13
○政府委員(岡光序治君) お話がありましたように公費負担は国が五百億、それから地方が二百五十億、合計で七百五十億の増でございます。それに対しまして政府原案では、一部負担の引き上げに伴いまして千百八十億の財政効果がある。これは国、地方それから被用者保険、国民健康保険、つまり公費負担分と拠出金に相当するものに分解をされるわけでございます。
 国費だけで申し上げますと、千百八十億の二〇%がその国費相当でございますので二百四十億楽になるということでございまして、実質五百億の増から二百四十億を引いた二百六十億がプラスとしての公費負担の増という格好になるわけでございます。
 これが表向きの数字でございますが、今も申し上げましたように、一部負担の効果としましては被用者保険、国民健康保険、つまり拠出金の方の分も減るわけでございます。つまり両方合わせて七割相当のものが減るわけでございます。その中には、被用者保険には、特に政府管掌健康保険の方に一六・四%の国庫補助、それから国民健康保険の方には給付費に対する五〇%の国庫補助が入っております。つまり、その拠出金が減る分に伴いまして拠出金の中に入っておる一六・四なり給付費の五〇%という国庫補助が減るわけでございます。それを新たにカウントして、その減った分と先ほど御説明をしました二百六十億の国庫補助の増とを比較しますと、トータルでは八十億の減になるというのが政府原案におけるすべての、拠出金まで含めた国庫補助の国費というベースでの動きでございます。
#14
○竹村泰子君 八十億の減ですか、私ちょっと調査して計算したところによりますとそこで二十億違ってきているんですね。国庫分が二百四十億円かと思ったんですが、二百六十億円なんですか、減少が。そうなんですか。そして、あと国保の負担減少のはね返りが二百八十億円、政管健保負担減のはね返りが八十億円、合計六百億円、差し引き百億円の負担減となるというふうに計算したんですけれども、八十億円なんですか。
#15
○政府委員(岡光序治君) 失礼しました。老人保健の方が動くことによりましていわゆる公費負担医療、結核であるとか精神であるとか、そのほかの公費負担医療分が十九億円動いておりますので、これを加えますと百億円になります。八十億プラス十九億で百億でございます。
#16
○竹村泰子君 そうですね、百億円国は負担減となるんですよね。
 敬老の日を境にしてこういう老人いじめというような審議が行われている。国は負担を減らしていく。これは許せないんじゃないでしょうかね。これは国民納得しないですよ。大臣、このことをどうお思いになりますでしょうか。
#17
○国務大臣(下条進一郎君) 今部長からも御説明いたしましたように、この老人保健制度というものは各関係者それぞれ持ち寄って制度を維持していくということでありますので、老人の負担の問題、それからまた制度を構成していらっしゃる各メンバーの方々、そして国または地方の公的な負担、このバランスを維持しながら長期的に安定するような運営をしていかなければならないと、こういうことでございます。
 御承知のように、ことしは既に百歳を超える方が過去例のないように二千人を超えるような増加となりましたし、それから高齢者の度合いもどんどん進んでおりますので、そういう点を考えますと、長期的な安定のためには今回のような改正の中での負担割合を維持してまいり、そのことによって今後の安定を図ってまいりたいということで御審議をお願いしているわけでございます。
#18
○竹村泰子君 百億円ものお金を国が負担減をして減らして、それで国民に、特に御老人に一部負担の引き上げとかスライド制とかいろいろな負担を強いて、そして長期的な安定を図るということを厚生大臣、あなたはそういうことが平気でおできになりますか。私は、厚生大臣としてはこれは歴史に残る非常な法の改悪であると言わざるを得ないと思います。
 その問題はこれから何時間かにわたってずっと同僚議員とともに審議を進めてまいりますから、その中でしっかりと反省をしていただきたいと思いますけれども、この公費負担の中に、精神病院に併設される、進められている老人性痴呆症の疾患の問題がございます。
 この問題につきましては後で堂本議員がしっかりお尋ねをさせていただくと思いますけれども、私も一つだけお尋ねをしておきたいと思うんですが、老人性痴呆というのは、一番今よく言われておりますのがアルツハイマーという痴呆性の原因と言われる症状であると思いますが、これは精神病なのですか。脳のある部分または全体が萎縮していくと聞いておりますけれども、なぜこれらの老人性の疾病が精神病院のカテゴリーなのか、お伺いをしたいと思います。
#19
○政府委員(岡光序治君) 国際分類によりますと、精神障害の一種だというふうに位置づけられているというふうに承知をしております。
#20
○竹村泰子君 私は、なぜお年寄りをたとえ治療のためとはいえ精神病院に囲わなければならないのか、そういう発想が出てくること自体が非常に悲しいと思うんです。
 ここに私はスウェーデンの資料を持っているんですけれども、スウェーデンのカールスタードという人口七万四千ぐらいの小さな町なんですけれども、この町では、そのアルツハイマー病の人たち、この間まで精神病院に入れられていたんだそうです。しかし今は、八五年以来ぼけのお年寄り専用のアパートが四つの高齢者サービスブースの一角にできていて、精神病院にいたときには言葉もほとんど失っており、職員との会話もほとんどなかった。全員がおむつをしていた、ここに来てからは職員が排尿のペースを細かく観察しておむつを外すことに成功した。
 当初は、今言われておりますように、精神病院に入れられるような人がアパートで暮らせるわけがないというふうにやっぱり言われていたそうですけれども、その所長さんも積極的な今ではグループ住宅推進論者で、地域の中でグループ住宅をつくって生きていくということに対して非常な情熱を持っておられる。スウェーデンでは痴呆性のお年寄りだけではなく、精神病院を解体しようとしている。これはもう厚生省の皆さんよく御存じのとおりですね。そして、すべての精神病院を今世紀の終わりまでに完全に閉鎖したいと言っているわけです。もちろんそれはただ打ち上げているだけではなくて、こういったグループケア、地域のしっかりとした診療体制を整えていって、すべての人が地域の中で人間としてきちんと生きていけるような体制をつくりたいと、そう思っているわけなんですよね。
 そのようなことがあるんですが、なぜ日本ではそういう逆の発想が出てきたのか。福祉先進国が貴重な体験を持ってこうした転換をしてきた。この足跡を厚生省の皆さん、大臣も御存じないわけはない。失礼ですが、大臣、私もそうですが、あなたはもし年をとられて痴呆の症状が出てこられたとしたらどんなところにお住みになりたいですか、精神病院にお入りになりたいですか、お答えいただきたいと思います。
#21
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま外国の例をお示しになりまして、その介護のあり方あるいは看病のあり方の人間的な扱いによって症状が非常によくなられた例のお話がございました。確かにそういう例もあろうかと思います。
 しかし一方におきまして、精神の異常だというような医学的な判断によって治療をしなければならない場合もあるわけでございます。その面で、今おっしゃったように、精神の症状に問題がある方に対して一般の方々と同じように扱うことが必ずしも適当であるかどうか、これは疑問があると思います。
 これは老人ではございませんけれども、かって愛知県で病院に収容されていた方が自由に出歩いたために、大変大事など申しますか、立派な方の人命を奪うような事件も起こりまして、精神障害の方々に対する扱いをいかにすべきか、その方々の人権を尊重することと同時に、一般人の人権も尊重しなければならないという問題もございますので、この点についての扱いはやはり医学的な見地に基づいて慎重に対応していかなければならない。ただ、御指摘のような人間の温かみを持って対応をするということは十分気をつけていかなければならない、このように考えております。
#22
○竹村泰子君 大臣のおっしゃることはよくわかります。私も知人の精神科のお医者さんが患者さんに目を刺されて致命傷に至るような大けがをした例を知っております。そして、そういう御病気を持っておられる方たちがあちこちで小さなトラブルを起こしたりなさることはよく知っております。しかし、スウェーデンでは全部の精神病棟を閉鎖しちゃおうとしているんです。これはもちろん即できるわけではありません。長い間の地道な努力が実ってこういうところにまで到達していると思うんです。ですから、これは福祉先進国のあり方に日本は逆行しているのではないか、なぜお年寄りを精神病棟に入れなければならないか、このようなことをもう一度しっかりと考え直していただきたい、発想の転換をしていただきたい、強くそう希望いたします。どうしても精神病院に治療病棟をつくらなければならないのであれば、せめて公費負担を五割にしていただきたい。そのことを強く要求をしておきます。
 これは大きな問題ですので、きょうすぐ片づく問題ではありませんので、また引き続き堂本議員も追及をさせていただきますし、私どもも息長くやっていきたいというふうに考えております。
 次に、一部負担の問題に移ります。
 一部負担につきましては衆議院の審議の中で金額が修正されましたが、今回の法改正で、一部負担引き上げの理由として老人の生活が豊かになったということが言われているんですね。
 老人の家計調査の数字を見てみますと、これは総務庁統計局が出されました家計調査年報なんですけれども、老人の家計収支実態という数字を見てみますと、月平均額は確かに上がっているんです。ですけれども、総体的にずっといろいろな支出を引いてまいりますと赤字が毎月三万円台、三万四千八百九十九円、そして平成二年度が、少し減っておりますが二万五千五百八十四円というふうに出ておりまして、老人の暮らしか楽になったということはちょっと言えないのではないかと思うのです。
 これも同じく国民生活基礎調査ですけれども、これは厚生省のなさった調査ですが、四九・八%の高齢者世帯の方は公的年金、恩給だけで暮らしておられるわけです。
 確かに統計上は所得がふえているかもしれない、またパック旅行とかの支出が増大しているかもしれない。しかし、それはほんの一部の世帯の方が全体を押し上げている結果にすぎないのではないでしょうか。家計は苦しく赤字が続いているのでございます。政府・厚生省の言ういわゆる統計数字というのは、一部高額所得者を含めての数字でありまして、このことは逆に高齢者世帯ではいかに所得の分配が偏っているかということを示しているのではないかと思います。表面的な現象のみを追って老人の生活が楽になっているということは言いがたいのではないでしょうか。これは統計のマジック、統計の悪用と言わなければならないと思いますが、どうお考えになりますか。
#23
○政府委員(岡光序治君) 平均で見ると(先生が御指摘のように、例えば高齢者世帯における一人当たりの平均所得の推移を見ますと、昭和五十八年で百三十七万六千円、昭和六十一年で百六十二万九千円、平成元年で百七十七万円と、こういうふうに動いておりますが、これだけでは不十分ということで、私どもも、それじゃその平均所得のほかにいわゆる中央値をとったらどうだということも見ているわけでございます。例えば昭和六十三年で見ますと、高齢者世帯の世帯一人当たりの平均所得は百六十四万五千円でございますが、それが中央値では百二十五万八千円、六十三年で申し上げますと百七十三万三千円、それから中央値が百十万一千円でございます。これを一般世帯全体で申し上げますと、世帯一人当たりが百六十四万円、それから中央値が百三十六万円、こういう数字もあるわけでございまして、ただ単に、おっしゃいますように、平均的なものだけではまずいんではないかということは確かに念頭に置いているつもりでございます。
 それから、いわゆる可処分所得についてどうかということで私ども調べてみましたが、高齢の無職世帯におきましての平成元年の世帯人員一人当たりの可処分所得は七万五千六百四十二円、それに対しまして勤労者世帯の世帯人員一人当たりの可処分所得は十一万三千二百八十九円というふうに、これは総務庁の家計調査年報でございますが、そんなふうなものなども参考にしながら老人世帯の所得の状況を把握しているつもりでございます。
#24
○竹村泰子君 政府の一部負担金の改定の項を見ますと、老健施設、特養における利用料金などとのバランスを図らなければならないということが出てまいります。一部負担の入院につきましては、今の高齢者世帯の財政的な問題もありますけれども、同様の施設と言われる老健施設、特養との比較が引用されます。すなわち、老健施設の本人負担分は大体五万円、特養では二万五、六千円と言われており、これとの比較から、今回の改正額、当初政府案は一日八百円という、これだと大体月額二万四千円となることから妥当な額の引き上げたと、バランスがとれるのではないかということから出てきたのかなと想像するのですけれども、しかしながらこの比較におきましては、いわゆる保険外負担、これは全く考慮されていない比較論でありまして、バランス論でありまして、これをすんなり単純に受け入れることは全く困難でございます。
 保険外負担としては、厚生省の昭和六十年、平成二年の保険外負担の状況というのを拝見いたしますと、二万七千五百円、そして平成二年が二万二千五百円というふうになっているわけですね。この内訳がずっと書いてあります。
 そこでお尋ねいたしますが、お世話料というのは何なんですか。
#25
○政府委員(岡光序治君) おむつ代を中心にします、病院での生活を行う場合の必要物品の実費徴収分というふうに考えております。
 これまでこの言葉が非常にあいまいに使われておりまして、お世話料という名目のもとにそういった実費徴収的なものにプラスをしていろんな経費が徴収されていたという経緯もございまして、そういうあいまいなものはやめていただきたい、少なくとも実際に使われて、何というんでしょうか、使用料と言うべきものに限定をすべきであるということで、これを明確にするように指導しているところでございますが、いずれにしましても、入院生活で行われる際のいろんなおむつ代であるとか、電気製品の使用料であるとか、理髪代であるとか、こういったようなものを中心に構成をされているというふうに理解をしています。
#26
○竹村泰子君 ちょっとおかしいんじゃないでしょうか。厚生省老人保健課調べの資料を私見ているんですけれども、今おっしゃったこととは違うんじゃないでしょうか。
 この二万七千五百円の内訳は、おむつ代が一万一千七百六十円、雑費が三千九百円、電気製品の使用が千六十円、理髪が百四十円、諸サービス等一お世話料等)が七千二百四十円というふうになっていますよ。今のお話とちょっと違うんじゃないでしょうか。
#27
○政府委員(岡光序治君) 今先生が引用されましたのは六十年調査だと思いますが、今御指摘の諸サービス等(お世話料)七千二百四十円というのは余りにもおかしいというので指導しまして、平成二年の調査ではこれが二百八十円、全体に対する割合は一%ということで、こういう名目のはっきりしていないものはやめてくださいという指導をした結果、平成二年ではそういったものが非常に縮まっておるというふうに理解をしております。
#28
○竹村泰子君 おかしいんですよね。今おっしゃった、確かに七千二百四十円が二百八十円に平成二年になっているのは、これは私この次にお聞きしようと思ったんですが、いきなり七千円がどこかへ行っちゃっているんですね。しかし項目は全部同じなんですよ。おむつ代、雑費、電気製品、理髪、全部あって、そしてお世話料が七千二百四十円から二百八十円になっているんです。私はこの表を見て一体これはどういうことなのかな、お世話料というのは一体何なのかなと。おむつ代も別にあり、理髪代も別にあり、「諸サービス等(お世話料等)」と書いてありますからいろいろあると思うんですけれども、その辺をもう少しはっきりと教えていただけませんか。
#29
○政府委員(岡光序治君) こういったお世話料の実態は、指導をいろいろしておりますけれども、どうもそれぞれの病院においていろいろ名目をつけて費用を取っておるというのが実情でございまして、今御指摘の「諸サービス等(お世話料等)」というのは、はっきりと何か品物をお願いしたとか、ある特定の行為をお願いしたという対価ではなくて、むしろ患者とのお話し合いの結果この程度負担してくださいねという格好で負担されていたものが中心のような、そういう意味で、繰り返しになりますが、内容的には非常にあいまいな内容のものであったというふうに理解をしています。
#30
○竹村泰子君 そのあいまいなものがもっとあいまいになっちゃっている。わからないんです。私の計算した保険外負担というのは、後で申し上げますけれども、おむつ料が一万六千三百七十円という計算が出ております。
 少し細かいことになりますが、おむつは一体何回かえるんですか。
#31
○政府委員(岡光序治君) 私どもの内部調査では、平成元年でございますが、特例許可老人病院における交換回数は平均で六・四回程度というふうに把握をしておりまして、六十年調査では交換回数は回ないし六回が一番多いという別の調査結果も把握をしております。
#32
○竹村泰子君 おむつもいろいろあるんですよね。私もスーパーへ行って見てみましたけれども、いろいろな価格、十枚単位で七百円から千円まで、あるいはもうちょっと高いのもいろいろとあるんですね。
 それで、一万六千三百七十円、これを三十分割しますと、一日五百四十五円、十枚千円のもので一日五回ということになります。二十四時間で五回かえてもらうということになるわけであります。
 先ほどちょっとお聞きいたしましたが、諸サービス、いわゆるお世話料の中で、あいまいであってややこしいのでということで、これを削られて二百八十円ということを計上されている。これはおむつ代のことも考慮されて、別枠で、またここに出ている数字のほかに考えようということなんですか。
#33
○政府委員(岡光序治君) 六十年調査と平成二年調査のそれぞれの項目のやりくりについてまで詳細にフォローしておらないから明確にお答えできませんが、私どもは、六十年調査の中の諸サービスの中にはどうもおむつ代のようなものが入っていたんじゃないだろうか、それで、あいまいなことにするなという指導を行ったものですから、それが平成二年調査ではおむつ代の方に相当シフトしていった、どうしても整理し切れない諸サービスについて二百八十円というものが残ったというふうに理解をしておるところでございます。
#34
○竹村泰子君 実際に御老人を病院に入れておられる方からもお聞きをいたしました。いろいろ調査をいたしましたところ、計算をしてみますと、いわゆるおむつ代、お世話料、そういうものが二万二千円ぐらい。付き添いさんを頼むとしますと今一万円じゃ済まないでしょう。それを三十日頼みますと三十万。それから差額ベットというのがこれまたゼロじゃないんですね。厚生省の室料差額徴収状況調査結果という資料を拝見しますと、三人部屋以上でも差額ベッドを取っていらっしゃるんですね。これもいかがなものかと思いますけれども、差額ベッド料がかかるとして、二千円掛ける三十日として六万円。合計三十数万円の保険外負担。これはちょっと額が大きく見積もり過ぎなのかもしれないけれども、少なくとも二十万ぐらいの保険外負担がかかっているわけなんですよ。
 この差額ベッドにつきまして、三人部屋でも徴収をされている、〇・五%という数字が出ておりますけれども、いかがですか、そういう現実をお認めになりますか。
#35
○政府委員(黒木武弘君) 差額ベッドの状況、年々私どもは改善をされていると思いますが、御指摘の三人部屋以上につきましては、平成元年七月一日現在の調査で御指摘のように〇・五%徴収されております。これは私どもは、実態的には私立、大学病院等の都市に集中した現象ではないか、ほとんどの地域では三人部屋以上はなくなっている傾向でございます。
#36
○竹村泰子君 いずれにしても、大変な保険外負担を背負わなければならない状況の中で一部負担金が引き上げられるわけです。
 そこで、保険外負担の軽減について、例えば付添制度をもっと公的なものにするとか、一番大きいのがこの付添制度なんですよね。それから差額ベッド料徴収の解消などの改善を強く要求したいのですけれども、せめておむつ代ぐらいは保険適用にできないものなのでしょうか。
 大臣にお聞きしたいと思いますが、これは金額的にもそう大きくないし、すぐにも実行することが可能だと思いますが、いかがでしょうか。
#37
○国務大臣(下条進一郎君) お年寄りで病気になられた方々がいろいろな面で御不自由していらっしゃる、その中で費用の問題が今中心で御議論があるわけでございますが、このおむつ代というものがそれではどういう処理をするのが妥当であるか、こういう議論になるわけでございますが、我々といたしましては、これは病院でお使いになる場合も、あるいはお宅におられた場合もお使いになる場合がありますし、どこまで医療の一環としてその負担を公的に認めるかどうかということについては、今直ちに委員の御指摘のような方向で処理するということには相ならないと、このように考えておる次第でございます。
#38
○竹村泰子君 そのくらいは軽減してあげてほしいと私は思います。
 野党五党では、今回の法改正に伴いまして衆参で修正を行いました。その中でも国民の、とりわけ高齢者の皆さんの叫びを聞き、一部負担金の引き上げの圧縮について強く要求をしてまいりましたが、再度私はここにこのことを厳しく追及し、要求させていただきます。
 既に示されている修正に対する回答、これは三年度、四年度に入院を六百円、外来を九百円、五年度、六年度に入院を七百円、外来を千円、そして七年度以降はスライドにしようということなんですね。私もこの修正が行われましてからいろいろな方に聞かれまして、そして説明をしますと返ってくる答えはみんな同じてした。何だ、結局上がるんじゃないですかと、ただ時期が少しゆっくりずれているだけじゃないですかというお答えが返ってまいりました。最終的には一体幾らになるのか全然わからない、スライド制ですから。
 こんな不安な状態でお年寄りの医療をあなた方厚生省は預かろうとしているのですか。法の改正も国会の承認もスライド制になると不要になりますね。国民のこれは大きな怒りを買いますよ。スライド制導入の根拠は何なのですか。消費者物価が下がったら下げるのですね。
#39
○政府委員(岡光序治君) もともとの考え方を申し上げますと、一部負担金については、これは定額でございますからそのまま据え置かれるという結果になるわけでございますが、そうなりますと、膨らんだ医療費の負担分は現役の被保険者の拠出ということに回っていくわけでございます。そういうことは、現役とお年寄り自身とそれから分とが三者で応分の負担をしていくというこの制度の枠組みを、やはり問題をおかしくしてしまうんではないだろうか、こういうふうに認識した次第でございまして、それでお年寄りに無理のない範囲での負担をお願いしたいという発想にしたわけでございます。
 物価スライドというものを考えますときの私どものよりどころとしましては、年金の基礎年金が消費者物価で上がり、かつ五年ごとに再計算される再計算時期を除けば年金は消費者物価に応じてスライドしていくんだということが考えられますので、そういったものとのバランスは、そういう意味では負担という面で十分とれるんではないだろうかと、こう考えた次第であります。
 なお最後に、消費者物価が下がればまた一部負担金は下がるんだろうなと、こういう御指摘でございますが、それは今の法文からするとそのようになるというふうに思います。
#40
○竹村泰子君 消費者物価が下がったときは医療費も下がるわけですね。そういう非常に不安定な医療費のあり方というのは、どうなのですか。私はスライド制は撤回されたいと強く要求します。その都度、必要とあらば国会に諮るべきです。負担金の軽減についてもぜひ再度考慮を願いたいと思いますが、大臣いかがですか。
#41
○国務大臣(下条進一郎君) 医療費の動向というのはいろんな要因で変わってまいりますが、今のスライド制に関連しての御議論では、その都度国会の審議を経るべきであるという御意見が今出ておるわけでございますが、そういう考えももちろんあるかと思いますが、私たちは、長期的な安定という見地からある程度の物価スライドというものも、先ほど部長から御説明いたしましたように一つの考え方としてまたあるわけでありますので、その意味合いにおきまして、今回の改正におきましては物価にスライドして御負担の金額を順次変えていくということにさせていただくし、さらにまた、その場合の金額あるいは率の問題につきまして、特に異常とかいろいろな問題がある場合には国会の御判断を待ってこの取り扱いを決めてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
#42
○竹村泰子君 国民の大きな関心を呼んでおりますこの一部負担金の問題でありますし、生きている限り私たちも必ず年をとります。人の問題ではなく自分の問題として、このことは皆さんが非常に大きな叫びを上げておられるところであり、高齢化社会を迎えるに当たって厚生大臣の御英断を願いたいところでありますけれども、負担の軽減についてももう一度参議院段階で私たちがしっかりと頑張って国民の皆さんの声を聞かなければならないと、そう思います。
 低所得者に対する軽減措置は考えておられませんか。
#43
○政府委員(岡光序治君) 現在の一部負担の中におきまして、入院の一部負担で低所得者につきましては一旦二百円、二カ月限度という仕組みがとられております。これは今回におきましてもそれをそのまま行う。スライドの関係で申し上げますと、平成七年からスライドが適用されるということでございますので、平成六年までこの三百円というのはそのまま据え置かれておくという、こういうような仕組みになるというふうに理解をしております。
#44
○竹村泰子君 それはわかっているんですけれども、負担の軽減とそれから低所得者に対する措置は考えておられませんかとお尋ねしたんです。
#45
○政府委員(岡光序治君) 低所得者に対する対応としては、今申し上げましたような対応で、それで十分ではないだろうかと考えております。
#46
○竹村泰子君 十分であると思っているのは厚生省だけではないかと私は思いますけれども、とにかく老人の医療費が非常に大きな負担増になる、国は大きな負担減になる、そして非常に不安定なスライド制というのを導入しようとしている。これは私は厚生行政にとってゆゆしき一大事であると思います。また引き続き同僚の議員から追及があると思います。
 訪問看護制度について次にお尋ねをしたいと思います。
 今回の老人訪問看護制度の創設がいかにも善政であるかのごとく宣伝されております。確かにないよりはある方がいいかもしれない。けれども今回の改正では、老人保健法の基本的な理念で、国民が適切な保健サービスを受けられる場として家庭を加えているんですね。家庭において真にサービスをきちんと受けられることが可能ならば、これはもう本当に願ってもないことです。一番すばらしいかもしれない。
 しかし現実はどうなんでしょうか。介護・看護を要する老人を受け入れる余力を持つ家庭がどれだけ存在するんでしょうか。このことができるならば、厚生省に言われなくてもとっくに国民は老人を家庭に引き取ってきちんと介護・看護を行っているはずです。これができないから病院などに頼るのではないですか。政府の言う高齢者保健福祉推進十カ年戦略では、在宅介護に力を置いていらっしゃるけれども、これはただ単に老人を家庭に追い帰そうとしているにすぎないように私には見受けられる。北欧諸国の在宅介護支援の流れは、老人の人権を重視して、ひとりでも老人が生活できるような十分な手当てがなされることで認められているのではないでしょうか。厚生省十分御存じのとおりです。厚生省が考えている在宅重視というのは、名称は同じでも家庭に押しつけの在宅重視政策であるのではないでしょうか。
 日本の老人医療が施設に頼らざるを得なかった、家庭でみんな暮らしたいと思っている、それなのに施設に頼らざるを得なかった。この原因を取り除くことなくいたずらに在宅在宅と言っていただきたくないんです。さらに暗い、もっと重苦しい、もっと大変な生活を家庭にあるいは御老人に押しつけることになるのではないか。一体家庭のこの介護の責任負担はだれが引き受けなければならないのでしょうか。それは今までの老人介護の歴史がはっきりと示しているのではないでしょうか。どうですか。
#47
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、日本での在宅ケアというんでしょうか、在宅福祉の施策は始まり出したばかりでございます。しかしスウェーデンの事例を引くまでもなく、日本においても幾つかの地域において在宅対策が進み、結果としてお年寄りが非常に生き生きと生活をしている、そういう地域社会を実現している、そういう市町村も現に存在するわけでございます。
 そういったことを私ども一つのいわば導きの星にしながら、我が国においてもう少し在宅対策の体制が整わなければならない。特にお年寄りにアンケート調査をいたしますと、自分のうちで住み続けたい、こういう答えが非常に高いわけでございまして、そういったことはイコールいわゆる生活の質を高めるということにつながるのではないか、こういう発想をしたわけでございます。そして、おっしゃいますように、在宅といった場合に、家族に全部押しつけるという発想は絶対許せない。また家族も限界があるわけでございます。
 そういうことを考えまして、むしろ家族がどの程度できるのか、家族ができないのならできない、家族ができるのならどの程度できるのか、こういうことを十分把握をいたしまして、そしてそこの在宅で生活をしておるお年寄りに自立した生活を送らせるためには何がサービスとして必要なのか、これを把握しまして、それをいわゆる公的サービスとして市町村から必要なサービスを提供するようにしよう。
 そのサービスは、もちろんこういうサービスが必要だということで決定するわけでございますが、それを市町村みずから提供する場合と、専門の特別養護老人ホームとか関係の病院とかそういったところに委託をして必要な仕事をしてもらう、こういう方式もあわせてやることにしまして、いずれにしましても家族と一体になって、そして家族に無理強いをするのではなくて、むしろ家族を支えるという発想も持ちながら在宅対策を進めたいというのが基本発想でございます。
#48
○竹村泰子君 そうならないというのを私はこれから少し申し上げますけれども、ちょっとお手元の資料をごらんください。女性による老人問題シ/ポジウムというのが開かれて、「高齢化社会をよくする女性の会」というのがございまして、「女たちは日本の老人福祉に発言をする」という副題がついているんですけれども、この中で報告をされている表でございます。
 これをごらんいただいてもわかりますとおり、調査Aというのは一般の有識者とか各都道府県の高齢者福祉担当者、住宅担当者などに質問をしているんですね。それだと、「社会的孤立化を防ぎ、交流が自然で円滑に」いくところが高齢者住宅の望ましいところだという、一番多いのが五番なんです。調査Tという下の方を見ていただきますと、四千人ぐらいの五十歳以上の中高年齢者にお聞きをしているんですけれども、そうしますと一番多いのが七番です。「住み慣れた住宅に永く住みっづけられる」ということ。どうしたら豊かな老後を暮らせるかという、これは林さんという女性の建築家、高齢者住宅を研究しておられる建築家の方の調査なんですけれども、こういう調査一つ見ましても、簡単な調査ですが、有識者や行政の人々と生活者の意識が大分遣うんですね。
 この中でいろいろなことが述べられておりますけれども、大臣にお尋ねをしたいんですが、例えばケアつき住宅というのがございますが、今大分あちこちでふえてまいりましたが、どこまで何をケアするというふうに概念的に思っておられますでしょうか。
#49
○国務大臣(下条進一郎君) 高齢者の方々は、先ほど来いろいろお話がございますけれども、やはり一番の希望は、従来お住みになっていらっしゃったお宅で余生を送りたいという御要望が一番強いわけでございます。ただその場合に、御病気になられたりあるいは体が御不自由になられた場合に医療の面あるいは介護の面で行き届いた措置をいたさなきゃならないということで、今回の改正の中でも訪問看護制度を充実するとか、あるいはケアの面で行き届いた措置を講ずるためにいろいろな施策をやるということに相なっておりまして、そういう意味において、できるだけお宅を中心とした高齢者全体の看護なり介護の制度を充実してまいりたいというのを基本に考えております。
 しかしながら、その病状とかあるいは御健康状態等々によりまして、あるいはまたお宅の人的構成の問題等々がございますので、必ずしもその方々がお宅でそのような希望どおりの生活を送れない場合には、これはやはり病院なり保健施設なり老人ホーム等々の施設を利用していただく、こういうことになるわけでありますので、個々の状態をよく見きわめた上で、最も御本人に望まれる姿でその対策を講じていくというのが基本的な考え方でございます。
#50
○竹村泰子君 お答えなんですが、ちょっとはっきりとわからないんですね。この方は建築家の視点から福祉は住宅であるというふうなことまでおっしゃっておられるんですが、どうしたら老人や障害者によい環境を提供できるだろうか、どうしたら人間らしく豊かな老後を暮らせるだろうかということについて、今回の老人保健法の改正、またこれまでの高齢者保健福祉推進十か年戦略、ゴールドプランと呼ばれますけれども、全然感じられないんですね、そういうことが。生活レベルの中で、ああこうなるんだ、私たちの老後はこういうふうに安心なんだ、こんなにすてきなんだということが全然感じられない。国民の一人一人に聞いてみても、恐らくほとんどの方が感じておられないんじゃないか。根本的な発想の転換が必要なのではないかと思うんです。
 例えば、同じく今の報告書に建築家の提言として、住宅のことで言えば、この調査にありますように本質的にみんな住みなれた家で、寝なれたベッドの上で死にたいと思っているんです。しかし、足が弱ってくると今まで何でもなかった階段や段差が凶器になってくる。住宅の中での事故も非常に多いですね。日本の住宅政策では本当に難しいことがいっぱい出てくる。イギリスでは、住宅をきちんとしないと健康を守れないし福祉も守れないということで住宅政策が進められてまいりました。日本では、公団住宅を建てるときにも内需拡大とか経済主義で建てられますからなかなかそうはいかないんですね。北海道の私の友人の障害者グループでは、公営住宅の中にケアつき住宅を実現させるのに十年かかりました。横路知事の公約の一つとしてこれがようやく実現し、今少しずつふえていきつつあるのは御存じのとおりでございます。
 そこで、建設省にお尋ねをしたいんですが、現在日本には、建築基準法の中にどうやったら安全に老後を暮らせる家をつくれるか、そのようなことに関する規定がありますでしょうか。
#51
○説明員(梅野捷一郎君) ただいま御質問ございました建築基準法上の問題でございますが、建築基準法の中には生活を行うために必要ないろいろな基準が設けてございますが、例えば採光でありますとか、日照でありますとか、あるいは今お話ございますような段階のつくり方、幅とか階段の段の高さ、そういう基準が設けられてございます。
 しかし、ただいまテーマになっております高齢者あるいは障害者というようないろいろな運動能力が低下された方、そういう方に対します問題につきましては、それぞれ大変具体的な能力低下の程度でありますとか障害の種別でありますとか、そういうこともございまして、現在の基準法は一律の基準という性格もございまして、現在の基準法の中では直接はそのような点についての基準は設けておりません。
#52
○竹村泰子君 スウェーデンやイギリスでは、まず第一に、何かあったときにひとりで車いすで外へ出られるということが家づくりの第一条件になっている。福祉先進国ではそういうふうになっているんですね。次に一階のフロアにおふろやお便所や台所や寝室をとりなさい、そして段差をなくしなさい、階段には手すりをつけなさいというふうなことが家をつくる、高齢者がじゃないですよ。一般め人が家をつくるときの第一条件になっている。そして年をとって収入が減れば家賃も下がる減額制度というのがありますし、買えない人には政府が住宅を供給する。つまり住宅政策そのものが福祉であり予防医学であるということが言われているわけです。
 家を建てるときに確認申請というのをとりますよね。スウェーデンなどでは、高齢者や障害者が安全にひとりでも暮らせるような条件を満たさないと許可が出ないということになっているんです。日本には住宅そのもの在こうやって規制する法律、住居法とか居住法とかいうようなものがないのですけれども、こうしたことを総合的に考えないと、在宅ケアで週に一回とか二回とかヘルパーさんや訪問看護婦さんが来てくれても、あとの六日はほっておかれるわけですから、ひとり暮らしのお年寄り、みんな働いて昼間はひとりという人がいっぱいいるわけですから本当のケアにはならないと思いますが、いかがでしょうか、大臣、今後厚生省から建設省なりいろいろなほかの省庁へ枠組みを越えて働きかけをなさる、実行なさる決意はおありでしょうか。
#53
○国務大臣(下条進一郎君) 在宅で最も気持ちのよい生活を送りたいというのが基本でございますので、その観点からの御議論だと思いますが、高齢化に伴いまして心身の機能が低下しても高齢者が従来から住みなれたおうちで暮らしか続けられるような環境づくりが極めて重要でありまして、このために、御指摘のとおり高齢者が暮らしやすい町づくりを進めることが不可欠であると認識いたしております。
 このような観点から厚生省では、地方公共団体が高齢者が安心して暮らせる町づくりの実現に向けまして公的部門と民間部門とをあわせまして総合的な町づくりを行う場合に、計画策定費の補助や有料老人ホーム等の施設の整備に対する政策融資及び税制上の優遇措置を講ずるふるさと21健康長寿のまちづくり事業を実施いたしております。また、公共施設における自動ドア化や段差の解消等、生活環境改善を行う住みよい福祉のまちづくり事業を実施いたしておりまして、高齢者が暮らしやすい町づくりを推進しているところでございます。
 また、今委員から御指摘の他の官庁へというお話でございますが、この点につきましても、厚生省では現在建設省と協力のもとで高齢者向けの公共住宅と福祉サービスの連携を図るシルバーハウジング事業や、住宅の改造を促進するための住宅改造相談体制の整備を図っておるところでございまして、今後建設省との協力をさらに強化してまいりたいと考えております。
 また、これらの事業は都道府県や市町村が実施しておるものであり、従来から事業の趣旨についての認識を深め、その積極的な展開を図るよう指導しているところでありますが、今後はさらに連絡体制を強化し、一層の事業の推進に努力をしてまいりたい、このように考えております。
 また、個々の方々の場合の高齢者向けの住宅増改築資金の貸付制度、これもありまして、委員御承知のとおりでございますが、高齢者の住宅整備資金貸付制度あるいは生活福祉の資金貸付制度、あるいはまた年金福祉事業団の老人同居割り増し貸付制度等を活用していただきまして、生活、特に住宅の住みよい環境づくりには貢献するようにこの制度を設けており、御利用を図っているところでございます。
#54
○竹村泰子君 ついでにと言っちゃなんですが、同じ関連で介護補助器具についてお伺いをしたいと思います。
 看護婦さんの職務が三Kと言われて非常になり手が少ない、四万人もの看護婦さんが一年にやめていかれるということだとか、また、腰痛などの職業病も非常に深刻に伝えられております。ゴールドプランを推進するに当たっては福祉マンパワーの不足、充実が注目されて、厚生省ではそれなりの対策を打ち出されましたけれども、平成三年度予算において補助器具の開発研究予算というのはどのぐらいだったんでしょうか。
#55
○政府委員(岡光序治君) 今年度において高齢者を中心とした介護福祉機器開発普及経費としましては十億円の予算を確保しております。今年度の主な事業としましては、現在及び今後開発が求められる機器の種類と量の調査、いわゆるニーズ調査でございます。それから介護機器等の研究開発指針の策定等のための社会福祉事業関係者、産業界、学識経験者から成る介護機器等研究開発推進会議、これは仮称でございますが、そういったものの設置。それから技術力のあるメーカーを中心とした介護機器の研究開発プロジェクトの発足、長寿科学総合研究費を活用した介護機器等の開発研究、こういったことを行おうとしておるところでございます。なお、長寿科学総合研究費のうち介護機器等の開発研究に用いられます額は約七千五百万でございます。
#56
○竹村泰子君 長寿科学総合研究費というところで十二億何千万がとられているんですね。そのうちで七千五百万が介助器具に使われるのじゃないですか。別枠でとられていますか。介護器具開発ということでとられていますか。
#57
○政府委員(岡光序治君) 十億と申し上げましたのは別枠でございまして、後で申し上げましたのは、長寿科学総合研究費というのはもっとでかい額を用意しておりまして、その中の一部分、七千五百万を使って介護機器等の開発研究を別途行っておるということでございます。
#58
○竹村泰子君 わかりました。
 平成四年度予算においては概算要求はどのくらい考えておられますか。
#59
○政府委員(岡光序治君) 十億の方は大きな研究費の中で配分をすることになっておりますので、平成三年度のこの事業、十億の事業を念頭に置きながらしかるべき量を確保していきたいと思っております。
 なお、長寿科学総合研究費、これはトータルでは平成三年度十二億円でございますが、平成四年度の概算要求額は十四億三千六百万円ということにしております。
#60
○竹村泰子君 補助器具の開発導入については、ゴールドプランを進めている中で決して十分な予算ではないというふうに思うのですけれども、この在宅福祉政策推進の中で補助器具をどういうふうに位置づけておられますか、政策として。
#61
○政府委員(岡光序治君) 非常にシンボリックに申し上げますと、人の心で対応できることはまさに人の心で行う、力仕事はむしろ補助器具でと、こういうシンボリックな区分けを合しておりますが、いずれにしましても、例えばお年寄りを在宅でお世話をするときに何で苦労するかということですが、ある地点からある地点への移動、これが非常につろうございます。体重が重たいということになりますと介護をする人が腰痛を起こすというふうなことにもなりますので、そういう意味で移動というところが一つ問題なんじゃないだろうか。食事の介護につきましては、ロボットをつくってもロボットは一定の方向しかスプーンを動かすことができなくて、相手が右に動いたり左に動いたり上下運動しますので、なかなか食事そのものは難しい。そういう意味ではある地点からある地点への移動ということがまずこの介護機器についての、いろんな目的がございますが、一つのターゲットの大きなものじゃないだろうか、そういうふうに認識をしております。
#62
○竹村泰子君 ロボットに御飯を食べさせろなんて私言っているわけじゃないんですよね。介護器具に対する予算措置その他いろいろなところから見て、どうも余り重きを置いておられないのではないかと思うんですね。
 老人保健法改正案では、第四十六条の五の四に、国は、老人の心身の特性に応じて看護その他の医療、機能訓練等の研究開発並びに日常生活上の便宜を図るため用具や機能訓練のための研究開発をしなければならないというところがありますね。これは新たに追加しておられますね。ですから今お聞きをしたんですけれども、例えば厚生省の中に開発研究所またはセンターをつくるというふうな動きはないのでしょうか。
#63
○政府委員(岡光序治君) 一つは、長寿科学総合研究所のようなものができればそのワンセクションをぜひとも担ってもらいたいと思っておりますが、それも大分時間がかかると思っております。したがいまして、当面のところは相当の開発力を持つ民間企業の技術力と活力を生かして、いわばその開発プロジェクトで具体的にターゲットを決めて具体的な製品をつくり上げてもらう。そして、そういったものの評価をしながらより内容の高い、需要に即したものに持っていくといったふうなところに当面の重点を置いておるつもりでございます。
#64
○竹村泰子君 ノーマライゼーションの理想を持って、ひとりでもお年寄りが十分に生活できるように住宅、町づくりが進められてこそ、そして介護器具などの開発がもっとしっかりと進められてこそ在宅重視ではないかと私は思うんですね。そのための施策の現状は余りにも惨めではないか。ゴールドプランなどという名前ばかりがきらきらと光り輝いておりますけれども、政府だけが楽になるようなこういう政策はやめて、真の人権、お年寄りの人権を尊重した、憲法十三条、二十五条の実現に向けて施策を確立するべきである、そういうふうに思うわけです。
 現状では、在宅の寝たきり老人の八〇%を介護しているのは女性であり、とりわけお嫁さんの立場にある女性が非常に多い。介護している側が過労死するケースももう珍しくなくなってきております。何の保障もなく、労災保険の対象にもならない黙って死んでいくこうした人々、女性の沈黙の死を厚生大臣はどう考えられますか。
#65
○国務大臣(下条進一郎君) お年寄りの介護あるいはまたその他のお手伝い、これが女性の方々が実際にかなり大勢でいらっしゃるということも事実でございます。きょうの閣議でも、法務大臣が敬老の日に図られまして、ある御家庭のところでやはりかなり長い間、恐らくお嫁さんだと思いますが、苦労をされておる姿に頭が下がった、こういう方に何か国で褒章の制度がないものだろうかということを提案されました。
 事ほどさように、おひとりの高齢者がお宅にいらっしゃることによって、在宅でそのような看護なり介護をするということは大変な負担をかけることになるわけでございます。したがいまして、私たちはこの法の改正の中で訪問看護制度の充実とかあるいは介護のいろんなマンパワーの確保等々によりまして少しでもそのようなお宅の御負担を軽減して、心地よい生活を送っていただけるような諸条件を整えるように努力をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#66
○竹村泰子君 老人訪問看護制度をおつくりになりますけれども、例えばデンマークなどではそういうセンターの地下室が補助器具のセンターになっている。修理工場でもあり開発研究所でもあるというふうに、いかに在宅の御老人の独立した生活を楽にするかという研究が行われて、六、七人の職員がいつもいて、車いすだって何千種類も用意されているというふうなことを聞きますと、余りにも我が国のそういった介助器具に対する、補助器具に対する考え方もお粗末なのではないか。
 大臣、あなたの御在任中に、本当に今のお話にあったように、多くの御老人や女性たちが非常な苦しみの中で過労死まで出ている現状をしっかりと受けとめられまして、厚生大臣の英断で何か一つぐらいは進んだ、これはよくやったなと国民から褒められるようなことをやってくださいよ。私はここで心からそのことをお願い申し上げておきます。
 それでは次に、マンパワー対策についてお聞きをしたいと思います。
 マンパワー対策の基本的な認識ですけれども、二十一世紀の本格的な高齢化社会に向けて、サービスの担い手である保健医療・福祉マンパワーの確保は今日最大の課題となっていることはもう周知の事実であります。大臣はこの人手不足の時代に保健医療・福祉マンパワーの危機をどういうふうに認識し、この養成と確保をどのように図っていくおつもりですか。
#67
○国務大臣(下条進一郎君) ゴールドプランを実現してまいりますには、委員御指摘のようにマンパワーの確保ということは欠かせない最重要事項の一つでございます。そのためには幅広い対策を着実に積み重ねていくことが必要でありまして、特に今後の保健医療、福祉サービスに対する需要の増加や若年労働力の減少を考慮いたしますと息の長い取り組みが求められる課題であると認識いたしております。
 このため、保健医療、福祉の分野が魅力ある職場としてより多くの国民が就業できるように、保健医療・福祉マンパワーの勤務条件等の改善や社会的評価の向上を図るべく、予算、融資、税制等の各種の施策を総合的に進めてまいりたいと考えております。また、これらの対策とあわせまして、家庭や地域におきます介護機能の向上、またボランティア活動の推進、国民の自立自助の促進など国民の介護基盤の強化を図りまして、保健医療・福祉マンパワーのすそ野を拡大する努力も必要であると考えております。
#68
○竹村泰子君 社会福祉施設の寮母さんのことなんですけれども、寮母さんという名前も適切ではないという声が現場から上がっておりまして、厚生省でも何やら考えておられるようですけれども、一応寮母さんということで申し上げます。
 現在看護婦さんの不足が叫ばれておりますが、しかし保健医療・福祉マンパワーの危機的状況は看護職に限らないわけですね。今後の高齢化の進展などを考えますと、福祉マンパワーの問題も極めて深刻な状況に立ち至っていると言わなければならないと思います。
 社会福祉施設、とりわけ特別養護老人ホームに勤務する寮母さんなどの給与、勤続年数、完全週休二日制の実施状況についてお伺いしたいと思います。
#69
○政府委員(末次彬君) まず、御指摘のとおり福祉マンパワー確保というのが大変これからも重要な課題になるわけでございますが、特別養護老人ホームにおきます寮母の給与でございますが、これは私どもといたしましては措置費、これは施設の運営費でございますが、措置費におきまして国家公務員に準拠した人件費の算定を行っております。
 そのうちで特に寮母につきましては、直接処遇職員でも業務がなかなか難しいということで、国家公務員のベースにさらに特殊業務手当といたしまして本俸の一六%を加算するというような措置を行っております。さらに、毎年の人事院勧告の内容につきましても国家公務員と同様の改善を図ってきております。
 勤務時間につきましては、平成三年度で、直接処遇職員の業務省力化をする経費というものを算定いたしまして、実質的に三十分相当の勤務時間短縮を図るというような措置を講じております。
 勤続年数につきましては、寮母につきましては新規採用というよりも中途採用の方がかなりおられるということで、私どもで承知いたしております年数といたしましては四・七年というふうに承知しております。
#70
○竹村泰子君 今御答弁がありましたように、寮母さんの平均給与は十六万円未満が四五・六%と、私の持っております社会福祉協議会の全国老人ホーム基礎調査という資料にも書いてございます。それから勤続年数も半分が五年未満である。完全週休二日制の実施状況も、ほとんどしていないというデータがございます。このような過酷、劣悪な労働条件の中で働いていらっしゃるんですが、現在その条件の過酷さが盛んに言われている看護婦さんと比べてももっと低いわけですよね。
 大臣はこの原因がどこにあるとお思いになりますか。
#71
○国務大臣(下条進一郎君) 今の寮母さんの問題でございますが、これはいわゆるその地域地域の御要望が必ずしも一定しておりませんし、また働いていただく方々の御協力の体制も必ずしも画一ではございません。したがいまして、その状態から、自然に今御説明申し上げましたような形での勤務体制ということに相なっているわけでございますが、これにつきましては順次拡充していくという方針でございます。今後ともただいまありましたように待遇の改善、あるいは勤務時間も、ほかと比べて大きな格差がおりますと当然そちらにいらっしゃる方々がなかなか求めにくくなるということもありますので、順次勤務時間の体制等につきましても改善するように努力をいたしまして、こういう寮母さんの勤務の状況が改善され、一人でも多くの方々が喜んで勤務できるように整えてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#72
○竹村泰子君 社会福祉施設における職員の研修制度、質の確保などについて伺いたいと思いますけれども、そういった勤務条件が厳しいことの原因は、一つには、看護職員が曲がりなりにも専門職として確立されているのに対して、社会福祉施設のマンパワーは中高年齢の非専門の主婦層にゆだねられてきたということがあります。寮母さんは家庭の延長ということで特別な資格条件はおろか、採用時の研修制度さえないまま働いてこられたという現状がございます。素人の家族が面倒見切れなくて施設にお願いするのに、そこでのケアの担い手も素人ということを知って家族は驚くわけです。そこで働く職員のみならず、入所するお年寄り、そして家族にとってもこれはいいことではないと思います。もちろん素人のよさというのは十分にあるとわかりながらの質問でありますけれども、職員の研修制度、質の確保をどう図っていくおつもりでしょうか。
#73
○政府委員(末次彬君) 入所者の処遇の確保を図るという観点から、職員の資質の維持向上を図るということは大変重要な課題でございます。そういう観点で寮母につきましても、新任寮母あるいは中堅寮母、主任寮母、各県の社会福祉研修センター等におきましてこういう段階に応じた介護職員の研修を現在行っておるところでございます。
 また、先ほど申し上げました施設の運営費でございます措置費の中でも従来から職員の研修のための経費を算入いたしておりまして、研修参加のための経費を施設において確保できるように措置をいたしております。
 また、平成三年度から、入所者処遇の企画・指導等を行うリーダーとなる者を各施設一名新たに主任寮母といたしまして位置づけまして、各施設におきます介護部門の処遇の専門性を強化する。そのほか、指導、助言体制の確立を図るというような措置も講じております。
 なお、六十二年に介護福祉士の資格を創設いたしました。現に施設で働いている方が試験に合格して介護福祉士になられる、あるいは養成施設を卒業して資格を取った方が施設に就職して寮母になるというような道もっくったわけでございまして、今後、資質の向上という観点から介護福祉士の計画的な養成に努めていきたいというふうに考えております。
#74
○竹村泰子君 介護マンパワーの養成と確保は国及び公的責任で行うべき問題であると私は思うんですけれども、国公立の介護福祉士養成施設並びに公的助成の状況についてお伺いしたいと思います。
#75
○政府委員(末次彬君) 平成三年度現在で介護福祉士の養成施設は百十九校でございますが、このうち三校が公立てございます。
 社会福祉施設の入所者の処遇にかかわります職員の確保というのは大変重要な課題であるというふうに私どもも認識しております。こういう観点から、六十二年に先ほど申し上げました介護福祉士の資格を創設したわけでございますが、これに伴いまして、質量両面で必要な配慮を行うという観点から国家試験を実施いたしますとともに、これの養成施設の指定あるいは必要な指導監督を行ってきたところでございます。
 介護福祉士の計画的な養成を図っていくという観点で、当面、養成定員といたしましては、入学定員として一万名を目標にして現在その整備を進めているところでございます。この養成施設の整備につきましては、これまで社会福祉・医療事業団の貸付対象としておるところでございますけれども、今後ともこの養成施設の整備促進のためにいろんな措置を講じていきたいというふうに考えているところでございます。
#76
○竹村泰子君 お答えいただきましたように、百十九校のうち公立は三カ所なんですね。公的な助成制度も直接的にはない。非常に貧しいあり方であることをしっかりと認識していただきたいと思います。
 そこで、また大臣にお尋ねをしたいのですけれども、社会福祉施設における職員の四分の三は女性であります。とりわけ直接処遇職員である寮母はほとんど全部と言っていいほど女性であります。大臣は、介護に適する性はあるとお思いでしょうか。
#77
○国務大臣(下条進一郎君) 今御指摘のように、介護に携わっていらっしゃる方は女性が多いということも事実でございます。しかし私は、介護というものは人間性の触れ合いが十分考えられるような雰囲気でなければならないという見地から申すれば、女性であれ、男性であれ、その性のいかんを問わないものである、このように考えております。
#78
○竹村泰子君 そのお答えを聞いて少し安心いたしましたけれども、男性もこういった介護職員にどんどん採用していただきたい。しかし先ほどから言っているような給与の状況です。男性がこういった職業についた場合に、一家を養っていく、子供たちを養っていくだけの保障がなければつきたくてもつけないわけです。やりたい人はたくさんいらっしゃると思います。ですから、女性の労働力を安く見ている、甘く見ている、女性だからこのくらいでも我慢してくれるだろうと。だから福祉施設などの職員は全部と言っていいぐらい女性になってしまう。こういうことについて、私はもう一度改めて再考をいただきたいと思います。
 長野県でしたか、そういった発想の転換をして公務員給与のベースを守るような給与保障をしたところが、男性の職員がどっと応募をしてきたという新聞記事を読みましたけれども、やはりそういったことから男女ともに介護を担っていく社会システムというものはつくられなくちゃいけないんじゃないでしょうか。現実の問題として、在宅においても施設においてもほとんどは女性に労働力は担われてきたわけです。しかし、今後の高齢化と介護労働力の不足を考えると介護マンパワーを女性のみに求めるめには限界があるのではないでしょうか。介護の担い手を女性中心と考える発想の転換がぜひとも必要であり、その前提として男性でも長期に勤められるだけの処遇の改善が必要である。
 男女ともに介護を担っていくシステムをどのように構築していこうと考えておられるのか、厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
#79
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほどのお答えで申し上げた中にもありますように、この介護の問題につきましては女性であれ男性であれ、適任の方がいらっしゃればこれはどんどん参加していただきたい、このように考えております。
 問題は待遇の問題でございますが、これについては先ほど局長からも御説明いたしましたように、順次改善を図っておるところでございますので、就職をされる方々の御要望に沿うようにこれからも努力を重ねてまいりたいと考えております。
#80
○竹村泰子君 次に、ホームヘルパーさんの問題についてお聞きしたいと思いますが、この八月十六日に高齢者対策に関する行政監察結果というのが発表されました。私も拝見しましたけれども、このホームヘルパー派遣事業は派遣方法が画一的で、回数は週一回か二回設定のものが多く、早朝、夜間、休日に派遣しているものはないと指摘されております。この指摘された状態こそ在宅福祉の潜在的な需要を掘り起こせない最大の原因ではないかと思いますけれども、この週一回か二回という画一性は厚生省の指導に原因があるのではないですか。
#81
○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーの仕事の利用状況でございますが、率直に申し上げまして、すべての市町村でうまく定着が図られているというわけではないと思っております。しかも、これまでのヘルパーさんの仕事は家事援助型が中心でございました。そういう意味で、利用者一人当たり平均週一回程度、こういうふうになっていたというふうに理解をしております。
 私ども、いわゆる高齢者保健福祉推進十カ年戦略におきましては、こういった家事援助型よりもむしろ介助型というのでしょうか、日常生活のお世話をして、できるだけ自立をした生活を行っていくような場合の援助をするということに重点を置きたい、こう考えておるわけでございまして、念頭に置いておりますのは、寝たきり老人世帯については週四回ないし六回、こういった程度のホームヘルパーの派遣が可能になるように、そういう体制をこの十年で整えたいということにしているわけでございます。
#82
○竹村泰子君 必要に応じ早朝、夜間、休日でも派遣をしてくださるようになるわけですね。
 私の知っております重度の障害者は、祭日、祝日が大嫌いだと。祝日がふえるとヘルパーさんが来てくれないというわけです。特に、臨時に入ってくる国民的な行事、昨年一昨年このところで言いますと即位の礼でありますとか、そういうときに役所でヘルパーさんを派遣してくれなくなる。そういう状況で、その重度の障害者の人はベッドから起き上がることすらできなくなるわけです。そういうことをどう考えておられるかということから、ぜひ需要に応じた供給ということをきちんと考えていただける方向になるのですね。
#83
○政府委員(岡光序治君) ぜひともそういう方向になるような、そのような職員体制、それから全体の管理システムをつくり上げたいと思っております。
#84
○竹村泰子君 ホームヘルパーさんの予算補助で基準とされている単価は、身体介護の場合でさえ年収二百五十万円程度にすぎません。これはよい方ですね、もちろん。ホームヘルパーを自立した職業人としては認めていないのではないでしょうか。あくまでもパートタイマーなのだという意味になるのではないでしょうか。この基本的な性格づけをどういうふうに改めようとしておられますでしょうか。
#85
○政府委員(岡光序治君) 常勤と非常勤ということでございますが、私どもは、今も先生から御指摘がありましたように、早朝とか夜間とか、そういった言ってみれば通常の我々が勤めておりますような時間帯とは外れたような時間帯のサービスというものが必要だということを考えたような場合には、やはり雇用形態の一つとしては非常勤形態というのがふさわしいのではないかと思っております。むしろ常勤の人たちについては、これはいわゆるチーム方式というふうなことも進めたいと思っておりますが、いわばそういうチームリーダーになってもらって、うまく仕事が進むように全体のヘルパーさんのいわばリーダー役、そういうふうな立場の人に主になっていただくべきではないか。もちろんそのほかのサブの常勤の人たちもおりますが、できるだけそういう多くの人たちの参加を得るということを得ながら、かつそういう突発した需要に的確にこたえるというためにも非常勤形態というものをうまくかみ合わせていく必要があるんじゃないか。
 処遇に当たりましては、来年度のこれは要求としておりますが、常勤形態につきましてはそれにふさわしい常勤の給与を確保する、それから非常勤の方につきましてはその時間ということを考えまして時間給をしっかりと確保する、こういうことで常勤形態と非常勤形態とその形態別の手当の方式をとるように、実態にふさわしい手当が行われるようにということを考えようとしているところでございます。
#86
○竹村泰子君 あと大分質問を残すんですけれども、ちょっと時間がなくなってしまいました。文部省にもおいでいただいておりますが、地域ネットワークづくりということで次に質問させていただきたいと思います。
 既に各地で自発的に地域のネットワークづくりが進んでおります。せめて小学校区に一つぐらいそのキーステーションといいますか、総合的なコーディネーションセンターをつくるような計画は、厚生省にお尋ねしますが、そういう計画はないのでしょうか。老人に限らず、障害を持った人も病人もそこで相談をしたりヘルプしたりしてもらえるようなコーディネーションセンター、訪問看護ステーションもその一つになると思いますけれども、将来そういうふうに発展をさせていきたいとか、そういうイメージはないのでしょうか。例えば訪問看護事業者の設置数はどうでしょうか。地域的にはどう配置をするのでしょうか。
#87
○政府委員(岡光序治君) まず前段の方の、各サービスのコーディネート機能を有するコーディネーションセンターというものがぜひとも必要だと思っております。
 先生よく御承知のとおり、市町村にはサービス調整チームがございます。しかし、それが現実にそれぞれのサービスとして結びついていくというためには、やはり強力なコーディネーターがいないと動いてまいりません。かつまた住民の側からも多様なニーズがあるわけでございまして、それをどこへ相談に行けばいいか、あっちこっちこれが振り回されるようでは本当に住民の要望に合ったことになりません。そういう意味で絶対にそういうコーディネート機能を果たすところが必要になってくるというふうに考えておりまして、私どもはとりあえずはそれは在宅介護支援センターが果たしてくれるんじゃないか、こういうふうに期待をしておるわけでございます。
 御指摘のありました訪問看護ステーションにつきましても、在宅介護支援センタグの設置主体と訪問看護ステーションの設置主体が同一になればなおそういう機能も果たし得るのかなということで、これは地域のそれぞれの状況次第でそのような体系もでき上がっていくのかなというふうに考えている次第でございます。
#88
○竹村泰子君 とりあえずの設置数と地域的な配置。
#89
○政府委員(岡光序治君) 失礼しました。将来は、この十年間で、平成十二年度までに約五千カ所程度を考えております。これは要するに、要介護老人のうちで特に寝たきり老人を中心に例の訪問看護のモデル事業をやっておりますが、そういったモデル事業の実績を参考にしながらいろんな仮定計算をしたわけでございますが、五千カ所を念頭に置いております。
#90
○竹村泰子君 十年間で五千カ所、徐々にふやしでいくおつもりですから、今どこにどういうふうにつくるんだと責め立てても仕方がないかと思いますけれども、私はここに一つの例を申し上げます。
 私の知っているところなんですが、都内のある保育園では、給食設備を使って区内のひとり暮らしのお年寄りに子供たちと一緒に給食を配達している。お聞き及びになっていると思いますけれども、もう十年ぐらい給食サービスをしております。子供たちが昼食を運んでくれるのをお年寄りも本当に心待ちに楽しみに楽しみに待っておられますし、それから何よりも子供たちがお年寄りと触れ合っていたわりの優しい心を持つようになったという予想外の成果を上げております。もちろん、これには地域の大変な協力と栄養士さんや調理師さんたちの大変なサービスがあるこ一とは言うまでもありません。しかし、これこそ生きた教育ではないでしょうか。
 これは保育園ですけれども、学校教育の中でこういうゆとりの時間をつくってボランティアの実地体験を考えてみたらどうでしょうか。あるいはどこかで一部実現しているのでしょうか。文部省にお聞きしたいと思います。
#91
○説明員(福島忠彦君) 御指摘のように、これからの社会では高齢者とともに子供たち、青年も地域の中で力を合わせて生きていく必要があると思います。私どもは、十年ぶりに改訂しました新しい教育課程におきまして、高齢化社会への対応、時代の変化への対応ということでございますが、その中でも高齢化社会対応には力を入れておりまして、いろんな教科科目でもそれぞれやっております。今おっしゃいましたような具体的な例としましても、私どもは従来から奉仕等体験学習研究推進校というシステムをとっておりまして、各地域でこういうことをやってもらっておりますが、最近はボランティアという方向でこの実践活動を重視してやっているところでございます。
#92
○竹村泰子君 以前に私文部省にお尋ねしまして、教科書でどのぐらい老人問題、高齢化社会問題を教えていらっしゃるかとピックアップしてもらったことがあるんですけれども、大変数が少ない。一社大変よく書けているのもございましたけれども、ほとんど一ページとか、余りこのことに力が入っているとは思えないんですね。しかし概念として教えているだけでは自分たちも社会のために働こうとは思わない。ぜひ小さいときから高齢者やハンディを持った人のために自発的に何か働く喜びを教育の中で教えてほしいと思うんです。
 そこで文部省と厚生省、両方にお尋ねしたいのですけれども、今私は地域のネットワークづくりがぜひ必要だと申しました。そしてせめて小学校区に一つぐらいコーディネーションセンターをと言ったのですが、実際にはこういうことが起こっているんです。例えば市街地ではなかなかまとまった土地が手に入らない。老人保健施設をつくりたくてもつくれない。結局不便な郊外に持っていかなければならない。これでは意味がないんですね。センターにならない。そこである地方自治体では、小中学校や保育所の敷地内に建てたいと思うけれども、役所の縦割り行政では実現が難しい。学校用地に老人施設をつくろうとすると、補助目的以外の使用ということで厚生省の補助は土地には出ない。そうですね。老人用のデイサービスセンターを身体障害者が利用することは認められましたけれども、精神薄弱の人々が使用することはまだ認められておりませんね。特養の敷地内に障害者のショートステイをつくろうとしましたが、縦割り行政に阻まれてこれもできない。このようなことがあちこちで現実起こっているんです。
 こうした壁を越える発想の転換、さっきも厚生大臣にお願いをいたしましたけれども、こういう転換を強くお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。可能性がありますでしょうか、見通しはどんなふうに考えておられますでしょうか。
#93
○政府委員(岡光序治君) まず、先生おっしゃいましたが、特別養護老人ホームのデイサービスにおいて身体障害者のデイサービスをあわせてやっているというのはあちらこちらの事例でございますし、これは私どもは地域でそういう要請があればやるようにという指導をしております。
 それから、小学校なんかの用地を使って、いわゆる建物を複合化して、それで小学校の建物の中に特養とかデイサービスとかショートステイを設けさせてもらう、こういうやり方につきましてもぼちぼち具体的な事例が出始めたところでございまして、私ども用地難の中でもこういったことで関係の方面といろいろとお打ち合わせ、御協力をいただきながら、いわゆる複合化ということを進めることによって必要な施設を、特に都心部というんでしょうか、人の多く集まっているところで確保していきたい、こういうことで調整をしているところでございます。
#94
○竹村泰子君 厚生省はそういうふうにおっしゃるかもしれないけれども、実際には地方行政の中で阻まれているんです。できないでいるんです。私の住んでおります北海道でもやはり同じような例があちこちにございます。ですから、厚生省の指導といいますか、そういった縦割り行政を超えて、本当にここでとまってしまうのは残念なんです。せっかくゴールドプラン、十カ年戦略をお立てになってもこういったことができないのでは在宅福祉、在宅ケアということは進んでいかないです。これはさっきから繰り返し言っているとおり、いたずらに女性の負担を大きくするだけで本当の意味での在宅福祉ということにはならないと思います。
 私の質問はこれで終わりますけれども、どうかこういったことに対して本当に勇気を持って今実行力を示していただきたい。そうでないと、今回の老人保健制度、幾らいいプランをお立てになっても、訪問看護制度だって絵にかいたもちになってしまいます。どうやってマンパワーをつくっていくのか、どうやってその方たちに気持ちよく働いていただけるのか、本当にお年寄りが何を望んでおられるのか、そういうことをしっかりと考えていただきたいと心から強くお願いを申し上げて、質問を終わります。
    ―――――――――――――
#95
○委員長(田渕勲二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、菅野壽君が委員を辞任され、その補欠として庄司中君が選任されました。
    ―――――――――――――
#96
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#97
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#98
○堂本暁子君 きょう私は、午前の委員会に引き続きまして、今回の改正で問題になっております訪問看護の制度について質問したいと思います。
 最初に、受け入れる側の条件、老人はどういう条件でございますか。
#99
○政府委員(岡光序治君) 主として在宅で療養する病状安定期の寝たきり老人等を対象に介護的色彩の強い看護サービスを行うというものでございます。
#100
○堂本暁子君 この制度の前提としては、医師の指示のもとに看護婦が訪問するということになっていますが、入院している病院が必ずしも近いとは限りません。自宅に遠い病院に入院する場合もあります。その場合、近くの医師が、退院後の高齢者を診ることを病院の方から依頼されても、これを断った場合には一体どうするのか、それでも退院させるのかどうか。かかりつけのいない状態というのが起こると思いますが、これはどう対応されますか。
#101
○政府委員(岡光序治君) 無理をして退院をさせるというわけにはいかないと思います。おっしゃるように、やはり当該の病院でアフターケアがとれる体制にするか、あるいは退院後の患者さんの近くのお医者さんと連携をとって退院後のいろいろな指導をしてもらう、そういう体制がしかれることが希望されるわけでございますし、ぜひともそのような病院・診療所間の連携プレーをお願いしたいなというふうに考えております。
#102
○堂本暁子君 そうしますと、医師の方針なり訪問診察なりが先にあるということですか。
#103
○政府委員(岡光序治君) そのように理解をしております。
#104
○堂本暁子君 現状でそういう訪問というのが十分になされているというふうに厚生省は考えでおられますか。
#105
○政府委員(岡光序治君) ケース・バイ・ケースだろうと思いますが、ひところと比べますと最近はやや訪問診察が少なくなってきているんじゃないか。私どもが小さいころと比べますと、特に開業医さんの高齢化というふうなこともあって大分事情は変わってきているのではないかなと思っておりますが、いずれにしても在宅療養に積極的にお医者さんが関与をしてもらうということが必要でございますので、そういった訪問診察等をお願いしたいなということを前提に考えておるわけでございます。
#106
○堂本暁子君 私がここに持っている資料は、東京都の一九九〇年度社会福祉基礎調査ですけれども、高齢者世帯の三九・二%が医師に対して往診サービスを望みました。ほぼ四割ですね、四〇%の人が往診してほしい。それに対して、実際に往診を受けた人というのはわずか〇・四%です。要するに、百人が往診を頼んで一人しか来てもらえなかったということです。一体この原因は何なのか。そして、今まさに御答弁くださったように、もし医師の往診なり訪問診察なりが前提だとすれば、九九%は初診が受けられない。これは一体どうするつもりですか。
#107
○政府委員(岡光序治君) 私どもは、かかりつけのお医者さんを持ってくださいというふうなことでそういった施策を進めておりますが、いずれにしても入院をして退院をするというケース、それから通院をしながらお医者さんにかかっているというケース、両方考えた場合に、退院をした場合にはやはり事後の指導が必要でございますので、そこはお医者さんの指示をもらいながら今までですと看護婦さんが訪問看護をしているわけでございますし、それからかかりつけ……
#108
○堂本暁子君 それを伺っているんじゃないです。そうではなくて、百人に一人しかだめだというこのことです。それはなぜなのか。
#109
○政府委員(岡光序治君) 今のような東京都の事例におきましても、できるだけかかりつけのお医者さんを持ってもらうということで施策を進めていくしか私ども方法がないんじゃないかと思っております。
#110
○堂本暁子君 そのことはもう再三わかっておることで、ですからその前提がおかしいんではないんですかということを言っているわけです。そもそもそれを前提に組んでいらっしゃるわけでしょ。う、この制度。それで、百人のうち一人しか実際に医者が往診に来ない。そうしたら、その残りの九十九人は、ステーションに申し込んだところで指示がなければ行かれないわけでしょう。だから、一体これはどうするんですかということを御質問しているんです。
#111
○政府委員(岡光序治君) そういった場合にはどうしてもお医者さんに一定の判断をもらわなきゃなりませんから、通院をするなり、それから来てくださいということをお願いして来てもらって、何しろお医者さんとのコンタクトを一回持ってもらうということになります。
#112
○堂本暁子君 オウム返しに同じことを伺う気はございません。
 通院とおっしゃる。そうではなくて、ですから一番前提として伺ったことは、寝たきりの老人だとおっしゃったじゃないですか。通院ができるんなら最初から自分で行きます。通院ができる方のことを聞いているんじゃないんです。往診してくださいということは、私たちにしたって通院できるときは行きます、病院に。そうではなくて、寝たきりで動けないから来てくださいと言っているわけでしょう。そういった方に対して、百人のうち一人しか応じないんだったら、この制度は絵にかいたもちになってしまう。一体これはどうして実際に往診がだめなのか、それからここのところはどうなさるつもりですかということを御質問申し上げておるので、同じことはぜひお答えにならないでいただきたい。
#113
○政府委員(岡光序治君) この老人訪問看護サービスは、まさに医師による往診であるとか訪問診察といわば車の両輪のような緊密な協力体制が必要でございますから、先生おっしゃるような、事態を変えていってそしてこの訪問看護サービスにつなげていかなきゃならないわけでございまして、それは地域地域においでもっともっと工夫を要するということになろうかと思います。
#114
○堂本暁子君 何かこれから、もうそういう法案を出していらっしゃるのに、答弁になっていないんじゃないかと思うんです、私は。それならば、それをやる前提としてきちんと診療報酬における往診の問題をどうするのか、医師がもっと往診しやすいような体制をとってからこういうことはやるべきなんではないかというふうに思います。今老人の場合には五千四百円だそうですが、それが医師の報酬の中でどういうことなのか、そのことをきちんともう一回考え直す必要があると思います。
 それから地域医療を実際にやるためには、今開業医が老齢化しているというふうに言われましたが、それならそこにちゃんと医療の体制をつくることが先ではないでしょうか。看護婦さん任せにすることはできない、両輪とおっしゃるんなら、片方の輪だけのこれは法律になっておりまして、医師の方の開業医体制はきちんと確立していないというふうに思います。そのことをどうこれから解決するつもりがあるのか。
 それから開業しているドクターたちの意識の切りかえが必要だと思うんです。厚生省はこの点については十分に今まで啓蒙、そして医師会に対しての申し入れその他は行っているんですか。
#115
○政府委員(古市圭治君) 老人保健対策というものは、今御指摘されましたように、一つの制度でもってカバーできるものだと決して思っておりません。その背景になります医療供給体制というものも強化していって、その上に訪問看護体制というものが実を結んでくる、御指摘のとおりだと思います。私どもは、従来から厚生省で各研究班、また検討会を通じまして家庭医対策というものをやっておりますし、医師会ともそういうことは波長を合わせて普及するようにやっております。
 ちなみに、そういうことも含めまして私どもは今国会に医療法の改正案を出させていただきまして、病院と開業医の中での病診連携が進む方向にそういうものも含めた提案を出させていただいている。そういう全体の地域体制を強化していくということは当然ながら我々努力していかなきゃいけないと思っております。
#116
○堂本暁子君 医師法の第十九条には、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と書いてあります。要するに、正当な理由を百人中九十九人の医師は持っていたということになりますね。これは非常に考えにくいことが一つです。
 それからもう一つは、地域によっては病院勤務の医師が往診に行けない。これは医師会からの反対によってでしょうけれども、あるそうです。この二点について明確な御答弁がいただきたい。これからやろうと提案されている老人訪問看護制度を実施するのであれば、この二つの問題については厚生省はきちんと解決するということの御答弁をいただきたい。
#117
○政府委員(古市圭治君) 今御指摘の医師法の十九条の中では、正当な事由なしに断ることはできない、こうなっております。この解釈といたしましては、本法の制定前は罰則があったわけでございますが、これは医の倫理で医師の良心に期待するということで、社会通念に照らして正当な理由があるかどうか判断すべきだという立場に立っております。したがって、非常に高齢で行けない、それからまた専門外で、例えば救急医療の場合に専門外科に回す、そういうものは一般的、社会的通念の範囲内だと解釈されておりますが、今御指摘のような例は、それよりも当然行くべきことまで拒否されているのではなかろうか、こういうようなことを含んでのお尋ねかと思います。
 確かに往診というのは医者にとって大変なことでございまして、そういうことから、東京都で往診を専門にやっておられます佐藤智先生も、かつて勤務医になったときは往診がなくなってひとりでにほっぺたに笑いがこぼれるのをとめられなかったとおっしゃるようなことでございます。そういうことから、一人の個人開業医に往診をすべて期待するということはある程度酷な面もあろうかと思いますので、そういうような例は、例えば訪問看護ステーションの中から申し入れがあった場合に、その前提として医師が往診する、それは特定の人ではなくて地域医師会なり勤務の病院、そういうものも含めまして地域医療の中でどのお医者さんがカバーしていただくのか、こういうような体制をつくっていきたいと思っておるわけでございます。
#118
○堂本暁子君 ということは、ステーションから医師に依頼するということですか。
#119
○政府委員(古市圭治君) これは老人保健法の方に入ることでございますが、私ども健康政策局の所管で言いますならば、そういう医療体制というものは個人の開業医がすべてその地区で引き受けるということではなくて、ステーションの方から地域医師会に連絡して、その中から行ってくださるお医者さんというものを探すということも当然あり得るんじゃなかろうか、むしろそういうことがまた望ましいんではないか、このように思っておるわけです。
#120
○堂本暁子君 そうすると、この百分の一というのは百分の九十九に逆転するというふうに了解してよろしいわけですね。
#121
○政府委員(古市圭治君) これは推測でございますが、医者の立場として、そういうものを断ったと申しますのは、寝たきり老人を一回往診するとその後どこまで往診させられるのかということもあろうかと思います。そのときにこの訪問看護制度というものが後を支えて、最初に包括的な指示をすれば後はある回数看護婦さんが行っていただけるということになれば、往診というものに対する抵抗もある程度なくなってくるということで動き出すんじゃなかろうか、そういう部面があろうかと思います。
#122
○堂本暁子君 その点は大変結構ですけれども、そうであるためにはその前提のところ、入り口のところをきちんと対応していただかなければだめなので、よろしくお願いいたします。
 もう一つの、地域によって病院の医師、入院していたときにかかっていた医師が往診に行かれないのでは、これも片手落ち。この点はいかがでしょうか。
#123
○政府委員(古市圭治君) 病院から往診している例は多々ございまして、また、この医師の指示というのは病院の医師でも当然結構でございます。
#124
○堂本暁子君 日本全国、病院の医師が往診してはいけないというようなことが地域の申し合わせとしてもこれからは絶対にないというふうに御指導くださいますか。
#125
○政府委員(古市圭治君) そのようなことはないと思いますが、念のため調べまして、そういうことのないように取り計らいたいと思います。
#126
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 もう一つ伺いたいんです。今、往診専門の医師が東京にいるというふうにおっしゃいましたけれども、この制度を充実させるためには非常に往診が必要になってくるわけですね、往診なり訪問の診察が。そういった場合に、例えばこのステーションに専属のそういう医師を置くというような考えはないでしょうか。
#127
○政府委員(岡光序治君) それは考えておりません。
#128
○堂本暁子君 そういう医師がいないと大変やりにくいんではないか。実際に今の百分の一という数字が、どんなに厚生省が指導なすっても、診療報酬の問題、それからドクターたちにしてもいろいろお忙しいわけですね。ですから、そういった忙しさの中で果たして本当に対応できるのか。また、医師に過重な負担がかかるという可能性もあります。そのことを考えたら、そういった制度もあわせてお考えいただくということをぜひ要求したいと思います。よろしくお願いいたします。
 それから、例えば今の診察が受けられないということの具体例を挙げたいと思うんですが、私が参りました特養で、入浴サービスをやっていました。しかし、一番必要な寝たきりの御老人は入浴サービスができない。なぜならば、入浴して急に心臓麻痺なんかを起こしたら困るから、必ず入浴サービスをスタートする前には診断書をいただいているそうです。それは制度のようですけれども、その地区の制度かもしれません。ところが、やはり往診がない。そのために一番重篤な人で治療のためにおふろが必要だ、それから衛生上もおふろが必要だという人がおふろに入れない、こういう現実をはっきりと見ました。
 これはどうこうしていただきたいということではなくて、もし在宅医療、地域医療の推進を厚生省がおっしゃるんであれば、病院中心の医療から、医師がそういった高齢化しているからというような理由ではないと私は思うんですね、きちんとそういった今申し上げた地域での医師の、どうやって在宅の人を守るかということの体制がない限り、これからやろうとしている老人訪問看護の制度にしろ入浴サービスにしろ、そういったことが末端では実際機能しない。それはもう大変困ったことなので、真剣に私は受けとめていただきたいと思っております。
 次に、こういったステーションの看護婦さんに今度は期待が集まるわけです。今局長おっしゃいましたように、医師はまたこれからずっとだと思うと――わかりますね、私は医者ではないけれども、医者の立場になればわかるような気もします。だからこそこの制度が入ったんだと。ですから、これは言ってみれば訪問看護というのは医師のある程度補完的な意味を持っていると思います。これに対して病院の訪問看護ステーション、総括的には在宅介護支援センターですか、に統一したいとさっき御答弁ありましたけれども、とにもかくにも実際に看護婦さんたちの側は医師同様拒否するようなこと、行かれませんと断ることができるのかできないのか、そこをはっきり、もちろん正当な理由なく拒否できないことをはっきり法律にお書きくださるのかどうか、そこをきちんと教えていただきたい。
#129
○政府委員(岡光序治君) 原則的には依頼に応じて訪問看護は行われるというふうに考えております。ただし、地域的な配置の問題でございますが、どうしても遠距離であって対応できないというふうなケースは例外的にはあろうかなと思っておりますが、原則論としましては依頼に応じるというふうに考えております。
#130
○堂本暁子君 といたしますと、もちろん原則で例外は常にあると思いますけれども、そのためには正当な理由なく拒否することはできないということをやはり医師同様法律に明記してくださいますでしょうか。
#131
○政府委員(岡光序治君) 保助看法という身分法があってそういった縛りがあると思いますので、この訪問看護を規定している条文の中に正当な理由がなければ断らないことという規定まで必要としないのではないか、そもそも身分法上の縛りで対応できるんじゃないかと思っておりますが。
#132
○堂本暁子君 しかし、医師も来ない、看護婦さんも来ない、そして病院からは退院する。早期退院をどんどん奨励しておられるわけですし、それはあくまでも受け皿がしっかりした上で早期退院ということが実現できるわけでございまして、そうであったとすれば、そこのところの受け皿は、老人の方、後ろにもいらっしゃるし、私も九十七歳まで祖母がおりましたからよくわかります、急なことが起こるんです、老人というのは。そのときにだれも来ないんだったら、それなら病院にいようということになるわけですね。そこのところもう一回、きっちりそういう受け皿はつくる、きちんとそういう身分上のことも決めて明記していただけるということを御答弁いただけないでしょうか。
#133
○政府委員(岡光序治君) そういった緊急時の問題も含めましてきちっと運営基準に明確化したいと思います。もちろんこれは関係の審議会に諮って専門の人たちの意見も聞いた上で先生のおっしゃるような趣旨を盛り込んでまいりたい、こう考えております。
#134
○堂本暁子君 ありがとうございました。期待しております。中医協の方にも審議会の方にも、国会で強く強くそれは求められたとぜひお伝えください。
 次に移ります。看護婦さんたちですけれども、潜在的な看護婦さんを活用するというふうにおっしゃっていらっしゃいまして、衆議院の方の御答弁では、昼間だけなら働けるだろうと。今の前段の質問と関係のある部分でございますが、夜勤があるから働けない、小さい子供がいるという看護婦さんも多いわけでして、この辺、今度の訪問看護制度というのは二十四時間受け付けるのか受け付けないのか、その辺も明確にしていただきたいと思います。
#135
○政府委員(岡光序治君) 結論から申し上げますと、原則的には昼間ではないかと思っております。
 といいますのは、冒頭申し上げましたように、今回の制度化をしようとしている老人訪問看護の対象者は、主として在宅で療養する病状安定期の寝たきり老人等を対象にしておりますので、そういう意味では、病状安定ということでございまして定型的なお世話ということがメーンになっているというふうに認識しているからでございます。
 夜間の救急の対応というのはどうするかということでございますが、むしろその場合には私どもは在宅介護支援センターの方に連絡をもらうなりして、そこでその人の症状に応じてすぐ救急車で病院に運ぶであるとか、あるいは在宅介護支援センターから必要な看護婦さんが駆けつけるとか寮母さんが行くとか、それから状況を聞いて少し静かにしておいてください、こういうふうな指示をするとか、そういうことで対応するのが本来の役割分担ではなかろうかと思っております。
#136
○堂本暁子君 そのことは後に譲ります。
 次に、看護料、利用料の問題ですが、週二回までしか算定できないという制限があるというふうになっていますが、これは今でも同じでしょうか。
#137
○政府委員(岡光序治君) ただいま申し上げましたように、病状の安定している在宅老人等でございますので、週一、二回の訪問看護で対応できるというふうに考えております。ただし、末期の悪性腫瘍の患者とか特別な病状にある人たち、これについては例外的な対応が必要であろう。そういう特別な例外的な人についてはどのような対応をしたらいいか、これはひとつ関係審議会で具体的に決めてまいりたいと考えております。
#138
○堂本暁子君 安定とおっしゃいますけれども、八十を過ぎた老今後期高齢者は平均一人三つ病気を持っているそうです。一つの病気が安定してもまたいろいろ病気が次から次とあらわれてくるのが老人のもう当然の一つの宿命と申しますか、私たちの体そのものがそういうふうにできていると思いますけれども、そういった場合に例外にしていただきたくない。例えばヘルパーさんから聞いたんですけれども、ある時期はもう毎日行かなきゃならないときがあった。でも毎日行っていたら、医師の協力でそのおばあさんはまたよくなって病院に行かなくて済んだのという話も聞きました。
 ですから余り、週一、二回という、非常に日本の福祉というのは私は画一的だと思うんです。そうではなくて、週一回あるいは二週間に一回でいい時期もあるかもしれません、血圧をはかるだけでいい時期もあるかもしれません。何となく風邪をそれにあわせて引いてしまった、そのときは週に四回行かなきゃならないときもあるかもしれない。ですから、末期医療とかそういうことではなくてすぐ救急車とか、また病院に運ぶということになってしまうわけです。そうではなくて、もし集中的にやれるものなら三回四回必要に応じてというふうにそこは考えていただきたい。
 これもまた審議会とおっしゃいますが、国会と審議会の関係、かねがね私は疑問に思っています。国会の方が本当は優先すべきであって、そうすると、私たちが素人だと思われているんだと思うんですね。私はそれなりの、自分のことでいえば去年参議院の派遣のときはスウェーデン、デンマーク、オランダとこの問題だけで視察してきたし、決して私はそんな自分が専門家ではありませんけれども、少なくとも国民の代表として審議できる。とすれば、どうして一々審議会だ、中医協だ、まあ値段の問題は昔から中医協というのはわかります。しかし、こういった問題まで、国会の審議の中で私たちが要求していることは優先させていただきたい。そのことも重々お伝えいただきたいと思います。
 それから利用料の問題ですけれども、これは低所得者についてはどのようにされますか。
#139
○政府委員(岡光序治君) これは何度もお答えをしておりますが、利用料につきましては外来の一部負担との均衡等に配慮すみということになっておりますので、外来の一部負担を見てまいりますと、低所得者に対しては軽減措置を設けておりませんので、そういう意味では外来二部負担並みに低所得者に対する特例は設けない格好で利用料を設定させていただきたいと考えております。
#140
○堂本暁子君 そうしますと、今度の制度、非常に利用的な感じがするんですね、福祉というよりは利用制度である。そして、例えば衆議院のお答えでも、これは車と馬というまだ言葉が残っていること自体私は前近代的な福祉の観念かなと思ってしまいましたけれども、交通費。私はあえて交通費と言わせていただきますが、この算定もこれは利用者の方にかかるというふうに御答弁になっていると思います。そうしますと、利用費、そして交通費など、特に山間僻地に住んでいる人なんかでは交通費もかかります。さらにガーゼですとかそういった病院でしたら医療費に含まれるようないろいろな材料の問題、そういったものは個人の負担になるのかどうか。最初の利用費は伺いましたから、交通費並びにいろんな材料でございますね、医療器具。そういったものについての費用についてお答えください。
#141
○政府委員(岡光序治君) 交通費につきましては、これはお医者さんの往診の際にも、訪問診察の際にも患者の負担ということになっておりますので、それと同じように扱うべきではないかと考えております。
 それから材料費につきましては、範囲についてもう少し内容的に詰めなきゃならないと思いますが、すべてが患者側の負担ということではなくて、やはりその過程における、訪問看護を行う際の実際に訪問看護に密接な関係のある部分につきましては、もう訪問看護そのものの中に入るというふうに考えられる部分がございますので、そこらはきちっと仕分けをしなければなりませんが、ある部分につきましては給付の対象になるというふうに考えております。
#142
○堂本暁子君 今度は審議会とおっしゃいませんでしたけれども、それはどこでお決めになるのか、できれば委員会に明確にお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#143
○政府委員(岡光序治君) これは率直に申し上げまして、この訪問看護療養費、要するに診療報酬を定める際に何を対象にしてどれだけの診療費を支払うかということの御議論が必要でございます。これはむしろ中医協ということになろうかと思いますが、一般に行われておる医師による訪問診察であるとかあるいは病院からの訪問看護の際にどういったものが関連して給付をされているのかということとのバランスを考えながら、これはあくまでも老人保健の制度における医療給付の一環でございますので、そういった他の給付とのバランスをとらざるを得ないのではないだろうか、こう考えておるわけでございます。
#144
○堂本暁子君 そこは訪問看護の場合、自宅療養の場合に差が起こらないということを、個人負担がふえないということを明確に打ち出していただきたい。フォローさせていただきます。
 次に、民間の問題を伺いたいんですが、私は福祉、非常にこれが利用的な色彩が濃いので、これは大臣に最後に伺いたいと思っていますけれども、利用的な色彩というのは非常に怖いと思うんです。人間が利潤追求の対象になるということほど恐ろしいことはない。それは文化の退廃であるというふうに思っております。昔、ベビーホテルというのをやったことがありますけれども、そのときも赤ちゃんたちが利潤追求の対象になってどんどん亡くなっていっていた。今度は老人かという気がしております。利潤追求の対象に人間がなることほど、そこの国の文化なり、何と申しますか、倫理なりが、私たち日本というもの自体が非常に低下するということの一番の極端な例であろうかと私は思うんです。
 次に伺いたいのは、衆議院の御答弁では、この制度に民間の参入は禁止しないというふうに御答弁になっています。さらにそれから、当分はというふうに次の御答弁で変わっています。将来民間の参入を認めるつもりなのかどうか、この点をきっちりと伺いたい。
#145
○政府委員(岡光序治君) 考え方の上では営利法人も対象になるというふうに御答弁をしたわけでございますが、しかしながら当面は営利法人についてはそれを対象にすることは考えておらない、こういう答弁をしたつもりでございます。
#146
○堂本暁子君 わかりました。といたしましたら、法文の中にきっちりと営利を目的とする者は対象としない、これは明記していただきたいと思います。特に、会社という形をとっている、株式会社の形態をとっている法人は入れないということを明記していただきたい。私はすべての民間が悪いと思ってないんですけれども、利潤追求という目的があった場合に非常にサービスが劣化するということは火を見るよりも明らかなことでございまして、そこのところを明記していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#147
○政府委員(岡光序治君) 先生のお考えがわからないわけではございませんが、一方では民間活力を活用するように、こういう観点からの積極活用の考え方の方もいらっしゃるわけでございます。そういう意味では、私ども法律で株式会社を除外するということまでは踏み切れないのではなかろうかと思っているわけでございますが、はっきり申し上げられますのは、この訪問看護制度というのは新しく始まる制度でございますので、その運営の実情とか普及のぐあいとか、そしてやってみた結果がどうなるのか、そういったことを十分勘案しまして、それでどういった人にやってもらうのがふさわしいのかということまで含めて検討しなきゃいけないんだと思っております。そういう意味では、しばらくお時間をかしていただきたいというふうに御答弁を申し上げた次第でございます。
#148
○堂本暁子君 これは質問ではありませんが、在宅出張サービスというビラを今私幾つか持っているんですが、例えば入会金三万円、管理費二万円、一日六時間で一万一千円というような費用ですね、こういったのがいっぱいあります。それからこっちのは五万円の入会費、月額が一万円、一回が一万二千円、緊急サービスは一万五千円、夜は二万円とか、こういうふうに書いてあります。実際にそういうようなサービスがどんどんふえているわけです。結局、この結果どういうことになっていくか。それはお金のある人はサービスが受けられる、億万長者なら受けられましょう、一万五千円出してもいいです。しかし、この日本の高度経済成長を担った老人たち、今私たちがこういう豊かな生活ができるのは戦後に本当に働いてきたお年を召した方たちのおかげだと思います。そういう方たちが年金ではとてもじゃないけれどもいろいろ払えないわけです。ただでさえ会社というのはもうけているところなんです。そういった民活が果たして本当にサービスができるのかどうか、それは真剣にもう一度考えてください。
 それから次に参りますが、先ほどコーディネーションということの重要性をおっしゃいました。それから先ほど在宅介護支援センター、これは特養に設置されるものだと思いますけれども、そういったところに最終的には夜間のものや何か頼みたいとおっしゃいました。やはりホームヘルパーさんから聞きましたけれども、保健婦さんも同じ老人のところへ来る、しかし全く何の連絡もない、お願いしても何にもない、そしてもう血圧をはかるなりなんなりして帰ってしまう。そういった保健婦とかヘルパーさんとか、今度の看護制度とか在宅介護支援センターとか、余りにも日本の行政は縦割りです。これじゃどこへ頼んでどうしていいのかわからない。
 北欧型でいえば、あちらはもう本当にここの地域ではこういうニードがあるからそれしゃこういうふうにしようということでやっている。日本は中央で決めてそれを全く、それが適用されようがされまいが、向こうが向くまいが全国同じような制度になる。これはもう正反対のことだと思うんですね。それでこういったコーディネーションが必要だととりあえずおっしゃる。でも、その制度が変わらない以上は、そこにきちんとした人を配置すべきだと思うんです。さっき専門の医師が必要である――どこが中心になるのか知りませんけれども、今部長がおっしゃるのは、支援センターを中心にしたい。とすれば、そこに医師なり管理的な能力を持った人、福祉の専門家というのを配置して、全部を総合することをとりあえずはやらなきゃいけないんじゃないか。そのための配置をきちんとやっていただけるかどうか。
#149
○政府委員(岡光序治君) 在宅介護の相談員としましては、保健婦と介護福祉士、またはソーシャルワーカーと看護婦というふうに、福祉のサイドと保健のサイドの両方のことがわかるように二人制で配置をしているつもりでございます。そのような格好で在宅介護支援センターの体制を整えてくださいということにしております。
 それからあわせまして、そのセンターの運営に当たりましては、運営協議会というものをつくって地域医師会の……
#150
○堂本暁子君 内容は知っていますから、御説明いただかなくても結構です。
#151
○政府委員(岡光序治君) 代表者にも入っていただいて、そういう意味で保健、医療、福祉の連携がこのセンターにおいて図れるようにということを配慮しているつもりでございます。
#152
○堂本暁子君 私がお願いしたのはそのことではなくて、今度のこれが始まるについて、今、夜間のことや何か申し上げた、医師のことも申し上げた、コーディネーターが必要だとさっき部長は答弁された。そこにきちんと管理者としての予算をつけてくださるのかどうか、そのことを具体化する気はあるのですか。今までになされていることを伺っているのではなくて、これがスタートするについてはそういうことをきちんとやりますかということを伺っています。
#153
○政府委員(岡光序治君) 平成五年四月からすべての市町村で老人保健福祉計画を策定することに、なっておりまして、その計画の中に訪問看護ステーションを位置づけまして、そしてその市町村の計画の中の一つの機能として、ちゃんと他の機能部分との連携も図りながらその地域をカバーするように持っていきたいと思っております。
#154
○堂本暁子君 いずれにしても、こういうばらばらな縦割り行政というのがどのぐらい弊害になるか。けさ竹村さんもさんざんおっしゃいましたけれども、これは厚生省の方の都合、大蔵省の都合、厚生省の中の部や課の都合になってしまっている。そうではなくて、これからたくさんになる、もう二〇二〇年になったら四人に一人が老人になるわけでしょう。そうしたら、老人の側、私自身がその年になるわけです。その私たち老人の側がどう要求するのか、それに合わせていただきたい。役所の都合に合わせて制度ができたんでは、もう不便で不便で、本当に有機的なやってほしいことができないんですね。それから求めるときには来なくて必要のないときにどかどかやってきたり、これは不便千万なことでございます。本当に多様な要求に対して対応できる、そういった形でやっていく。これはまさに北欧はそうです。家にいたい人は家にいられる、心細い人は病院にいられる、個室に入りたい人は個室に入る、そういうことが自由にできる。そういうことが必要です。老人の希望に沿えるような福祉の体制をぜひとっていただきたい。
 そしてもう一つ、ケースワーカーとか保健婦さん、それからOT、PT、看護婦、医師、そういった人たちが本当に生活上の介護をしなきゃいけないんですね。これを家族がいるいない、いろんな状況で変わってくると思いますけれども、一つのチームをつくって、北欧では、それではあなたはこういうことをやってください、この生活上のことはだれが行けばいい、朝十分だけ行く人もいるわけです。食事のサービスはお昼になったら来ます。だから車いすの老人でも安心してやっていけるわけです。今日本で、予算が足りないとすぐおっしゃるかもしれませんが、そうではないんです。ばらばらなやり芳しているからすごく能率が悪い。さっき保育園の話も出ましたけれども、今どんどん減っている子供たちのかわりに、御老人のために保育所の炊事場を使って食事のサービスをしたっていいじゃないですか。今看護のサービスはできるけれども生活のサービスがないんです。だから、ヘルパーさんは十二食分つくってくる。冷蔵庫に入れて毎日冷たいのを食べなきゃならないのが今の寝たきりの御老人です。そんなのではなくて、きょうはかわりに看護婦さんが行くから、温めるだけのことをやってください、そんなことの一つメモが残っていれば、それで看護婦さんとヘルパーさんだって協力できるわけですね。そういった対応が余りにもない。
 本当にここでもって大事なことは、私は医師法の問題、そして保助看三法の問題だろうと思っているわけです。と申しますのは、あくまでも医師の指示のもとにということが前提になっているわけですね。そういたしますと、OTなりPTなり看護婦さんなり保健婦なりが自分の裁量で何かをしようと思っても、今の方法ではできません。もっとチームを組んで、保健婦なり看護婦なりがもっともっと、看護やそれから生活上のお世話となったらドクターよりは看護婦さんたちの方が上手なわけですから、そういった看護婦さんの独自の判断でできるというふうに法律を変えない限りできないんではないかと思いますけれども、この点についてはまず部長から伺います。
#155
○政府委員(古市圭治君) 御指摘のとおり、非常に要求される方の状態が多様でございますから、それに応じた多職種の人がそれぞれ専門的な知識、技術を用いて対応していくということが必要だということは言うまでもございません。
 しかし、医師法絡みで申し上げますと、この対応する老人の方というのはあくまでも最終的には医療の対象になる、また医療の対象からやや病状が安定して家庭におられるという状況でございますが、いつ変化するかわからないということを考えますと、最終的には診療の責任というものは医師がとるという仕掛けになっております。したがいまして、ある断面では看護婦さんの技術が表に出まずし、またある断面ではOT、PTの人の技術が表に出る。しかし全体としては医師が最終的な責任をとるという立場から、適切な診断のもとにそれらの業務が行われているということが大事だと思います。そういう観点から現在の責任体制、また医師法、保助看法の仕組みというものはこれで今回の状況にも対応できるということだと思います。
#156
○堂本暁子君 できるというお答えですけれども、もう本当に釈迦に説法になるのでこういう言い方は余りしたくありませんけれども、欧米では病院でもそうですし、地域医療の場合もそうですが、看護婦さんにしてもOT、PTにしても、ケースワーカーにしても、自分の独自の領域で独立した判断をやっているところがもっとあります。主体的に行動できる部分がたくさんあると思います。今おっしゃったことは全部事実です。しかし、その領域内で、日本の法律で果たしてこれが欧米の国と同じようにきちんと、看護婦なりOT、PTが医者の指示なしに動ける領域があるにもかかわらず動けない。今度の場合でも、例えば医者の指示がなくても看護婦さんが飛んでいってやれることだってあるかもしれないわけですね。もう少し私はきちんとここのところは、病院中心の医療から地域医療へと転換期を迎えているのであれば、医療制度が時代に適応するように抜本的な改正をすべきだと思います。
 それからもう一つは、ドクターでいらっしゃるかどうかは存じませんけれども、やはりドクター自身が意識変革をする時代なんではないか、あえて私はそれを言いたいです。勇気を持って言う必要があるようなことのようですけれども、あえて言いたいです。医師会も考え方を変えていただきたい、ドクターたちも考え方を変えていただきたい。今のこういうヒエラルキーではなくて、看護婦さんだった方もいらっしゃる、看護の専門家がいらっしゃるわけですけれども、ドクターと看護の方がいらしたら、余りにも今ドクターがピラミッドのようなところのてっぺん。そうではなくて、もっと横並びの平等な関係というのをつくっていくことが、これからの地域医療と在宅福祉を実現するのならば、かなめだと思います。そのためには法改正の必要があるんではないか。
 同じような御答弁だと思うので、大臣は私が同じことを伺っても同じことしかお答えにならないと思う、もし紙を見てお答えになるんであれば。ですけれども、もう一歩本当に日本の福祉を前進させるためにはそこまで変革をしなければだめだと私は思います。大臣、用意されたペーパーではなく、本当に日本の福祉をやっていただくんだったら、そこまでの変革が必要だというふうにお考えになっているんではないかと思うんですけれども、前向きに何か方策を考えたいということはおありにならないでしょうか、伺いたいと思います。
#157
○国務大臣(下条進一郎君) 高齢者の方々に対して行き届いた医療なりあるいは介護の制度を充実していきたいというのは今回の老健法の改正の趣旨でございますし、その中で今時に集中的に御質問がありました訪問看護制度、これは新しい制度の創設でありますから、これを充実した形で、しかも高齢者の方々に満足していただけるような形でぜひ制度を整えてまいりたいと考えておるわけでございます。
 その中で、今御指摘がありました医師と看護婦あるいは介護の方々、その他いろんなOT、PTの方々とのそれぞれのお立場の特技を十分生かしながら連係プレーができるような形がぜひとも必要でございます。これについては、医療的な分野につきましてはやはり従来の考え方からこれは医師が最高の責任を持つ、その医師の指導のもとで訪問看護制度は行われる。しかし、それはなかなか十分に行き届かない面がある点でいかに補っていくか、具体的な問題もございます。そういった問題につきましても、これから我々は十分意を払いながら制度の充実に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
#158
○堂本暁子君 まさに大臣の御答弁が典型的でございます。医師が最高の責任を持つ。人口の四分の一が老人になるんです。その老人対象に余りにも医療に取り込まれ過ぎているんではないでしょうか、日本の老人福祉は。もっと大きいのは生活の問題です。食事をすることです。排便の世話をすることです。これを医師がやりますか。医師はやらないんですね。そういったところでこそもっとOTや看護婦さんやヘルパーさんの自主性や主体性が大事になってくるわけです。余りにもすべて医療に取り込まれているのが今の日本の老人福祉だと私は思えてなりません。そのためには医師法、そして保助看法の身分法についての業務内容や医師の指示と被指示のあり方の関係、これの見直しを行うべきだと私は思います。ぜひ御検討いただきたい。
 そしてもっと生活の場、老人になったってみんな病気になんてなりたくありません。だから、病気にならなければ医療だけの制度ができたってだめなんです。車いすに乗っていたって、ドクターの世話にならなくたって、ヘルパーさんや看護婦さんが血圧をはかる、まだいいわよドクターのところに行かなくても安定しているわと言うだけで、その判断をしてもいけないと言う医師が日本ではいるんですから、そのことすら言ってはいけないという医師がいるんです、現に日本では。そのくらいの独自性は看護婦さんに与えるべきです。そのことによってできるだけ医療から遠いところで健康な老後を送りたいというのが老人の願いでございます。だけど不便なんです、足も手も不便になってくるんです。
 だから、さっきロボットの話をされて、私は本当にもう噴き出したくなったんですが、どういうことを北欧でやっているか。例えば右手が麻癖したら、じゃ左手で使うスプーンはどうするか。ロボットなんかつくらなくたっていいんです。麻痺した手でどういう包丁を使えば切れるか、背が低くなったらどのくらいまで低い洗い場をつくればいいのか、ボタン一つで水が出るようにするにはどうしたらいいのか、そういった器具をつくっているんです。何もロボットなんかじゃないんです。ロボットみたいなそんなものに私は食べさせてほしくない。そうだったら自分でもう手でつかんででも食べます、私は老後になったら。そういうことを申し上げているんではないんです。もっと生活を重視するためには、余りにすべてを医療の縛りの中に置き過ぎるんではないんですかということを申し上げております。
 それからもう一つ、時間がなくなってきたので最後に伺いたいんですが、在宅と言いながら施設は足りません。どうやって東京で小さい家に寝たきりの老人が住む部屋がありますか。ないんです。もっとナーシングホームとかそれから特養とかそういったところがたくさん必要でございます。しかし今は余りにも建てるための補助が少ないんです。物すごく高い。東京都は案があるみたいですが、例えば保育所がなくなった、ではそこの保育所のところに縦割り行政なんて言わないで十五人から三十人ぐらいの小規模な特養をつくるとか、私は福祉の側の領域でつくっていただきたい。そういったものをつくるとか、親特養があって小さい特養に医師や何かは派遣するとかというふうな、自分が生まれ育ち生活してきた場で老後が過ごせるような小さい特養のようなものを、最期までいられるところをつくる、そういった案を一お考えいただくことはできないでしょうか。
#159
○政府委員(岡光序治君) 従来から特養については、一定の規模があってその規模がないと効率的な運営であるとか専門職員の獲得ができませんというふうにして、余り小規模特養については積極的な答弁ができておりません。しかし、東京都等においてもそういう要望が非常に強うございます。私どもはそういったものをやるとしたらどういうことをすればいいのか、もう少し積極方向でそういった問題提起に前向きに対応していきたいと考えております。
#160
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。ぜひとも老人の側からの福祉を実現するようにお願いいたします。
 終わります。
#161
○高桑栄松君 それでは質問をさせていただきますが、最初に、消費税に関連した部分で質問をさせてもらいます。
 医療費というのは年々高騰しているわけでありますが、その原因を考えてみますと幾つか挙げられますが、まず医療技術が高度化していくというのがあろうかと思います。次に老人医療に関しましては高齢化が進んでいくということがあります。三番目は医療ニーズが多様化しているということがあります。それに新しく加わってきたのが消費税の医療費へのはね返りであるということを私は指摘しておきたい、こういうふうに思います。
 この中で一、二質問させていただきますが、まず第一に高齢化の進展でありますけれども、これは老人人口が増加していく、つまり一般的な言い方をすれば老人人口自然増ということでありまして、これは医療の質には関係がない、つまり人数がふえていくということでありますが、これに見合う医療費というもの、老人医療費をどれぐらいに推測しておられるか承りたいと思います。
#162
○政府委員(岡光序治君) 平成元年度の数字を申し上げます。老人医療費の対前年度の伸び率は七・七%でございますが、このうち老人人口増による増分は三・一%程度というふうに見込んでおります。
#163
○高桑栄松君 金額はどれくらいですか。
#164
○政府委員(岡光序治君) 平成元年度の老人医療費が五兆五千五百七十八億でございますので、その三%相当で申し上げますが、一千六百億円余りという計算になろうかと思います。
#165
○高桑栄松君 私の計算を申し上げますと、七十歳以上人口増が年間平成元年で三十八万人、これに医療費が一人五十八万円ということでありますから、積算をいたしますと二千二百億円になります。
 次に、それでは二番目の消費税の医療費へのはね返り分というのはどれくらい、何億円になるでしょうか。
#166
○政府委員(黒木武弘君) 消費税の医療費へのはね返り分というお尋ねでございます。
 私どもは、平成元年四月に診療報酬の改定を行ったわけでございますけれども、その際に消費税の影響分ということで考慮した引き上げを行っているわけでございます。医療機関の購入します医薬品等の価格に及ぼす影響を考慮しまして、ただいま述べました平成元年四月の改定におきまして〇・七六%の引き上げを行っているわけでございまして、これの相当分が消費税の医療費への影響分だというふうに考えております。
#167
○高桑栄松君 一番新しいところで一九九〇年度の医療費は約二十一兆円ということでありました。厚生省は最初一%はね返りと言っておりますので、これは二千百億円。これはどうせアバウトでございますから、私はそういうふうに一応試算をしたわけでございます。
 ところで、消費税を三年前に導入いたしましたが、その主たる目的は何であったか、大蔵省の方に御答弁を願いたい。
#168
○説明員(増原義剛君) お答え申し上げます。
 消費税を含む先般の税制改革でございますが、その趣旨、目的でございますが、当時の税制がいわゆる産業構造あるいは就業構造の変化、所得の水準の上昇、平準化、消費の多様化及び消費におけるサービスの比重の増加、さらには経済取引の国際化等を反映しまして著しく変化してまいった当時の経済社会情勢、これとの間に不整合を生じている事態に対処いたしまして、将来の展望を踏まえつつ、国民の租税に対する不公平感を払拭するとともに、所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系を構築する、そのことが国民生活及び国民経済の安定及び向上を図る上でぜひとも必要である、喫緊の課題であるという観点から行われたものというふうに私どもは承知いたしております。
 そういった趣旨、目的の中で、先般の抜本的な税制改革の方針でございますが、所得課税において税負担の公平の確保を図るために各般の措置を講ずるとともに、税体系全体として税負担の公平に資するために、所得課税を軽減し消費に広く薄く負担を求め、資産に対する負担を適正化する、こういった措置によりまして国民が公平感を持って納税し得る税体系の構築を目指して行われたものでございます。
#169
○高桑栄松君 森の石松ではございませんが、大事なところを忘れではおられないか。しばしば質問応答の中で答えられましたのは、高齢化社会の安定的な財源として必要不可欠であるという一項目が入っております。これがむしろ非常に重要なポイントではなかったか、こういうふうに思います。そして強行導入されたのが消費税であったと私たちは記憶しているわけであります。
 高齢者にとりまして健康というのは最優先の課題でございます。つまり待ったなしであります。それに必要な医療、健康に必要な医療、これに消費税を充てないで、そして負担を押しつけるということは高齢者に対する裏切りではなかろうか、こういうふうに私は受けとめるわけでありますが、消費税導入を受けて厚生省は高齢化に向けてどのように取り組んでこられたのか承りたいと思います。
#170
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。
 消費税の導入に対する取り組みといたしまして、主としてその導入時点で逆進性緩和という観点で、私どもはまず歳出の面で昭和六十三年度補正予算におきまして臨時福祉給付金等の支給を行いましたし、平成元年度及び二年度予算におきましては、いわゆるゴールドプランに基づきます在宅福祉サービスの拡充を図る、それから生活保護に係ります生活扶助基準の引き上げ、公的年金、手当の額の改善、完全自動物価スライド方式の導入等を行ってまいっておりますし、税制面で公的年金等控除の創設や控除額の引き上げ、障害者控除等の控除額の引き上げ等を行ってきたところでございまして、今お尋ねの高齢者についてどのような施策をという観点につきましては、特にゴールドプランの推進ということに重点を置いて取り組んでまいっております。
#171
○高桑栄松君 今お話を承りましたが、何となくはっきりしないように思いました。
 今私が申し上げましたのは、消費税を導入したという趣旨を勘案して、一つは老人人口の自然増加、これは老人が負担すべきものではないはずであって、全体で負担しなければいけない。もう一つ、消費税というのは税金でございまして、これは文句なく医療費とは別に含まれてしまったということがあるわけで、この二つの項目につきまして、公費負担を拡大していく、つまり老人に負担をかけないようにするという意味の公費負担拡大の仕組みをすべきではないのかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#172
○政府委員(岡光序治君) 現在の老人保健制度は、何度も申し上げておりますように、医療保険各制度を前提としまして、それの共同事業として組み立てているものでございます。そういう意味で、一部負担と拠出金と公費負担から成り立っているわけでございまして、私どもの評価としましては、老人医療に対する公費負担の割合は実質的には既に相当の水準に達しているんじゃないか、こういうふうに考えでおるわけでございますし、先ほど御指摘がありましたように、老人医療費が伸びますれば、その全体のうちの三割は公費負担ということになっておりますので、そういう意味では公費負担は今後とも増大をしていくというふうに考えられるわけでございます。
 したがって、税財源からどの程度の公費負担割合をさらに導入するか、こういう点につきましては私どもは慎重な対応が要る、こう考えまして、今回の改正案におきましては、今後の課題である介護という問題に着目をしまして、介護の要素に重点を置いた公費負担の引き上げを行ってはどうだろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
#173
○高桑栄松君 実は私は、第百十四国会の本会議、平成元年の二月の十五日でありますけれども、そのときに、もし消費税を導入するというのであれば医療目的税にすべきであるという主張をいたしました。
 どういうことかと言いますと、少なくとも最初に挙げた老人人口自然増というものに見合う医療費は、これは老人医療費として取り扱うべきものではない。もう一つは、今の消費税が既に組み込まれてしまっている。それを含めて老人医療費と言うのはおかしいではないか。ですから、この二つは少なくとも消費税収入でカバーをすべきである、これが私の主張であります。
 そこで大臣に承りたいのでありますが、今こそ高齢化社会に向けて発想を転換して、医療目的税と私が申し上げたこういう考え方で取り組んでいく必要があるのではないかというふうに私は思いますが、大臣の所見を承りたいと思います。
#174
○国務大臣(下条進一郎君) 新しい目的税を創設したいという委員の御指摘でございますが、私たちの方では、そのような考えの御提案に対して今直ちに賛成の意を表することはできないわけでございます。
 その理由といたしましては、医療費については人口の高齢化や医療の高度化等に伴いまして、今後その増加は避けられないことは御指摘のとおりでございますが、医療保険の財源につきましては、租税負担よりは受益者と負担の関係がより明確な保険料負担に重点を置くべきものと考えておりまして、御指摘のような医療目的税を導入することは考えておらないのでございます。
 なお、今後も増大が見込まれます老人医療費につきましては、拠出金、公費負担、本人の負担の適切な均衡を考慮しながら制度の長期的安定を図っていくことが重要である、このように考えております。
#175
○高桑栄松君 どなたかの論説で読んだんですけれども、戦前の我が国は軍隊と大蔵省とが行政を支配していたというのかリードしていた。今軍隊がなくなったので大蔵一本である。その大蔵に立ち向かうのは大変なことかと思いますが、私が大臣に申し上げたのは、医療目的税をと申し上げたんじゃなくて、そういう考え方で老人の医療費をすべて老人に負担をかぶせていく。すべてといってもある部分ですが、そういう考えではなくて、医療の部分というのは例えば消費税の収入からカバーすべきものじゃないか、そういう考え方を導入していただきたい、こう申し上げたのでございまして、もう一度言わせていただきますが、大臣の御答弁はわかりましたので、それはそれで結構でございます。
 次に、寝たきり老人と痴呆性老人に関連した質問をさせていただきますが、まず最初に、総務庁の行政監察報告が出ております。これについて、寝たきり者等の態様別把握というのが載っておりますが、このデータを簡単に御報告、教えていただきたいと思います。
#176
○説明員(浅井八郎君) 今回、私ども二十二都道府県、市町村六十六でございますけれども、いわゆる要援護高齢者、今おっしゃいました寝たきり、痴呆性等でございますけれども、その実態把握の状況を調査いたしましたところ、一部の県、市町村で寝たきり、痴呆性それから虚弱の高齢者の実態が把握されていない。特に痴呆性、虚弱につきましては、いずれも過半数の県、市町村が把握していないという状況になっております。
 このような状況になっております要因につきましては、定義がないとか、いろいろの理由があろうかと思います。
#177
○高桑栄松君 では、厚生省に伺いますが、厚生省は寝たきり老人や痴呆性老人対策を立てておられるわけで、どれぐらいそういう方々がおられるかの推測があろうかと思うんですが、現在の推測と、それから紀元二〇〇〇年の寝たきり老人とその在宅者及び痴呆性老人とその在宅者の推測値を伺いたいと思います。
#178
○政府委員(岡光序治君) 昭和六十二年時点で推計を行ったものでございますが、平成二年において寝たきり老人数は約七十万人、そのうち在宅の方は約二十四万人というふうに推計をしております。また、痴呆性の老人数は、つい最近研究班が推計をしたものがございますが、平成二年において約九十九万人、そのうち在宅の方は約七十四万人と推計しております。
 それから二〇〇〇年における見通してございますが、寝たきり老人数は約百万人、そのうち在宅は約三十三万から三十七万人。痴呆性老人数は約百五十万人、そのうち在宅は約百十二万人と推計をしております。
#179
○高桑栄松君 先ほどの行政監察報告を承りますと、私も見たんですけれども、今お話しの寝たきり老人と痴呆性老人、それから虚弱老人と書いてあったと思いますが、その把握が非常に困難であるという中に、寝たきりと痴呆と虚弱の定義がどうもはっきりしないということでありますが、厚生省は明快に定義しておられるだろうと思うんですが、定義を承りたいと思います。
#180
○政府委員(岡光序治君) 寝たきり老人につきましては、国民生活基礎調査におきまして定義をしております。六十五歳以上で寝たきりの期間が六カ月以上の者というふうに把握をしております。
 それから痴呆性老人につきましては、昭和六十一年八月に設置された痴呆性老人対策推進本部報告で定義をしております。
 虚弱老人につきましては、デイサービス事業の対象者として定められておりまして、何というんでしょうか、一律的な定義というのではなくて、むしろ適所または訪問により各種サービスを提供することによってこれらの者の生活の助長、社会的孤立感の解消、心身機能の維持向上等を図るとともに、その家族の身体的精神的負担の軽減を図るというデイサービスの目的からむしろ決めておる。それから、例えば特別養護老人ホームの場合なんかは、ADLを考えまして五項目の日常生活動作について、全介助が一項目以上、一部介助が二項目以上あり、かつその状態が継続されることというふうに、それぞれいわば虚弱老人につきましては一律定義ではなくて各施策の対象者に応じてその対象者を限定して対応している、こういうふうな格好で今のところ私ども表に示している格好でございます。
#181
○高桑栄松君 厚生省は厚生省なりの定義がちゃんとございまして、私はよかったと思いますけれども、行政監察報告を読みますと、痴呆という場合にはプライバシーの問題もあってなかなか届けられないというかつかみにくいという部分もあると書いてあります。それから府県によって定義が異なっているというようなことがあるわけで、私がこれを申し上げたのは、予算を立て、スケジュール、計画を立てるのには予測が要りますので、予測をどのようにしてつかんでいくかということがあります。
 行政監察報告を見てみますと、厚生省はああせいこうせいと言うけれども、そのデータははっきりしてないのではないかというふうに受けとれたんですが、それなりにちゃんと定義しておられるのはわかりましたし、今度は行政監察をなさる監察局との間でも少し連携をとっていただいてできるだけ実態に近い数字を把握していただく。そういうことで推測ができますので、それに対応した計画を立て予算を組むことができる、こんなふうに私は思うわけでございます。
 そこで次に、行政監察報告の中で再び伺いたいのですが、在宅三本柱、つまりホームヘルパーとショートステイとデイサービスでありますが、これについて府県及び市町村で基本方針を立てて計画をしているところがどれくらいあるのか承りたいと思います。
#182
○説明員(浅井八郎君) 今お尋ねの都道府県、市町村の在宅福祉対策について計画上どうかという話でございますけれども、いわゆる計画と申しましても基本計画それから実施計画両方ございますが、いずれにしましても利用等目標数につきまして掲げていないものが全体的に見ると多い。それから一応目標数というものを掲げておりましても、達成の見込みがあるかどうかにつきましては都道府県、市町村とも多くても一〇%程度のところがあるというにとどまっておるという状況でございます。
#183
○高桑栄松君 今、私聞き間違ったかもしれませんが、私が持っている数字で言うと、要するに基本計画がないところが多い、したがいまして達成状況はゼロに近い、こういう報告であったと私は思います。
 例えばホームヘルパーですと、基本計画がある県が、これは都道府県で二十二でございますからサンプリングでしょうね、全部じゃないけれども、それでいきますとホームヘルパーは府県で三三%が基本計画がある。それからショートステイで三八%、デイサービスが四八%、いずれを見ましても五〇%以下である。市町村に至りましては二%、五%、三%で、物価指数と間違いそうな数字でございますが、ほとんどないと言っていい。
 こういう状況で、厚生省が進めておられるゴールドプランというのはゴールドの光を失ってしまっているのではないかというふうに私は思うんです。ゴールドプランの行方はどうなるんだろう。せっかく厚生省もしっかりいいプランを立てておられて、私はゴールドプランというものは原則的に賛成でありますけれども、果たしてこれがどのように動いていくのか、これが一番気になるところであります。お考えを承りたい。
#184
○政府委員(岡光序治君) まだまだ市町村では権限が委譲される前段階でございまして、その準備に右往左往しているというのが現状でございます。したがいまして、対象者についても実のどのようにして把握をすればいいのかということについて、三千三百の市町村で全部足並みがそろっているかといえばそうではございません。
 それで私どもは、平成五年の四月からすべての市町村で老人保健福祉計画をつくってもらうということが、これはさきの国会での老人福祉法等の改正でお認めいただいたものですから、その準備をしているところでございまして、そこではまず冒頭お話がございました定義の問題についてもきちっとやりたい。市町村の職員でも、こう言うのは語弊がございますが、非常に簡単に判定できるようなそういう判定基準を用いまして、それで行政の対象者がどういうふうにいるのか、どれだけのニーズが生じているのかということが非常にわかりやすくなるようなシステム、そういったものをマニュアル化してお示しして仕事の援助をしたいというふうに考えております。
 それからまた、二番目の御指摘でございますが、現在の市町村なり都道府県の取り組みにつきましてはそういう意味では非常に不安がられておるというのが実情だろうと思っておりますが、例えばホームヘルパーの確保が困難であるとかあるいはニーズが明確につかめておらないとか、こういうことがやはり前提になっているのだと思います。そういう意味では、市町村の体制を整えると同時に、住民の方の意識の開発、啓発もしていかなきゃいけない。
 それからまた、デイサービスにつきましても、確かに用地確保が難しいとか特別養護老人ホームに頼んでもなかなか協力をしてくれないとか、いろんな事情があるのだと思いますが、それは私ども一つ一つ乗り越えていかなきゃいけないではないか。そのためには国からもそういった具体的な進め方についてのソフト関係での指導も必要ですし、また財政面からの強力なバックアップも必要だと、こういうことを考えているわけでございます。
 そういうことによりまして、せっかくのゴールドプランでございます、お年寄りのウエートがまだ比較的に少ない一〇%台の初めであるこの時期に、きちっとした我が国の高齢者用の体制を、そして社会的なシステムをつくっていく必要があると思っておりますので、ひとつ市町村や県の関係者の御協力、御理解も得ながら国としても一生懸命これの達成にやっていきたい、こう考えておるわけでございます。
#185
○高桑栄松君 それでは、次の患者負担増とスライド制に関連した質問をさせていただきます。
 患者負担の一部増は、原案によりますと外来で八百円が千円、これは二五%の増であります。入院は四百円が八百円、これは一〇〇%の増加であります。修正をされてそれぞれ、二五%はそのとおりで、次は七五%になったということでありますが、物価スライド制度ということをよく考えてみますと、これは物価指数に比べまして非常にアップ率が高い。単なるアップではない、アップアップである。みんなあっぷあっぷしているのではないか、こう思うわけでございます。これは大変な上昇率だろうと思うんで、これほどの狂乱物価的な上がり方はないのではないか、こう思っております。
 これについて何かお考えなり御答弁なりございましょうか。
#186
○政府委員(岡光序治君) 今回の自己負担額の引き上げを行うことにいたしましたのは、一つは、前回の改正以来四年以上据え置かれておる、こういうことが一つ背景としてございます。それからそもそも若い人とお年寄りとの負担のバランス、あるいはお年寄りの中での関係施設等における負担のバランス、こういった負担の公平ということを考えなければならない。そのような観点に立ちまして、おおむね医療費の五%程度を御負担いただくという発想をしたわけでございます。
 しかも、お年寄りの生活の実情あるいは感情に対応すべく、一部負担につきましては定率とするのではなく定額という方式にする、こういうことを考えましてこの改定をお願いしたところでございます。
#187
○高桑栄松君 先ほども老人医療費の約五%という話を答弁でしておられましたが、五%というのはどういう理由であったのか。過去の医療費の年々アップ率を見てみますと、これは平成二年まではほとんど三%台以下なんですね。ですから、平成三年度で急に五%に上げようとなさったということでありますが、五%の理由をもう一度聞かせていただきたいと思うんです。
   〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕
#188
○政府委員(岡光序治君) 何度も申し上げておりますが、老人保健制度というのは医療保険各制度の共同事業という形で行われているものでございまして、私どもは広い意味での社会保険制度というふうに位置づけておるわけでございます。そういたしますと、そういう社会保険の中で何が問題になるかということでございますが、それは負担と給付の公平ということだというふうに考えておるわけでございます。
 負担の公平ということを考えた場合に、先生十分御承知のとおり、健康保険法の本則におきましては一律的に二〇%の負担率ということが規定してあるわけでございますが、ただし当分の間は本人及び家族についてそれぞれ別の負担率が暫定的に決めてあるわけでございます。そういった五十九年健康保険法の改正のときの御論議、こういったものを踏まえ、それから将来にわたる老人保健制度の安定ということを考えた場合には、やはり今一番低い本人の一〇%の負担率のおお。むね二分の一程度を御負担いただくというのが必要ではないだろうか、そして、それが無理があれば困りますが、お年寄りの負担能力、所得状況等から考えて無理のない範囲の負担ではないだろうかというふうに判断をしたためにお願いをしているわけでございます。
#189
○高桑栄松君 その半分ということが、何となく半分とおっしゃっているんで、四%というのがもし出てきたらどうなるのか、あるいは六%という考えもあるわけで、その根拠が何なのかと聞いているわけです。足して二で割る半分方式というのはよく言われますので、一〇%だから半分かと。老人だから三分の一という手もなきにしもあらずなわけで、それが今まで私が申し上げた平成二年までは老人医療費の負担分は三%台以下である、もっと昔は一%台でございました。だからそのことを申し上げたんで、五%ということの根拠というのははっきりしないんじゃないのかなと。ただ何となくそう思っている。変な言い方ですが、たくさん取っておいた方がいいという、もらう側は多い方がいい、出す方は少ない方がいい、これはもう原則でございますから、それが私たちの質問にも出てきているわけでございますけれども、そういう意味で五%の根拠というのは私は何もはっきりしていない。ただ数字がそこに五と出たと、四と言えば四になったはずだ、こう私は思うんです。
 先ほど老人保健審議会の答申とたしかおっしゃったと思ったんですが、これは武見太郎先生の非常に強い主張で、伺ったことでございますが、審議会というのは官僚の隠れみのであるということを常に言っておられました。だから、審議会の答申が五%というと、それは原案はどちらからか出ているのではないか。これは武見先生のおっしゃっていたことだと私は思って聞いておりましたが、先ほどそういう御答弁があったように思います。
 しかし、これは余り突き詰めてもどうということじゃございませんし、水かけ論になりますので、一応次に移ります。
 外来の診療について、近年国民の医療知識というのは、私は医者でございますが、私が知らぬようなこともどんどんテレビで流れまして、時々でたらめもあるようでありますけれども、一々テレビに文句をつけていられませんので、そうかなと思って、それが一般に普及されるんだなと思いながら聞いておりますが、しかしそれはそれといたしまして、医療知識は非常に着実に向上してきております。ということは、各人がみんな専門病院を志向してくる。
 私の非常に近い方が内科を開業しておりますが、昔は風邪を引いたといえば全部内科へ来た。このごろは、風邪引いたんじゃなくて、鼻がおかしいから、耳がおかしいからといって耳鼻科へ行く。目がかゆいといえば眼科に行く。最初はみんな内科に来たと、こういうことを言っているんですが、今や専門病院志向が強まってきているということを申し上げたいわけであります。
 そこで、老人医療につきまして、多くの科を受診するという実態についてデータがおありだと思いますが、承りたいと思います。
#190
○政府委員(岡光序治君) 六十一年四月の国保連合会の調査によりますと、お年寄りが一カ月に通っている医療機関の数は平均して一・四八件、また、社会保険診療報酬支払基金の調査でございますと一・四七件となっております。
#191
○高桑栄松君 実は私、北海道で医師会に聞いたんですが、これは都会と田舎の差があるようでございまして、札幌だと三まではいかないけれども、二・何ぼだったかなんとかと言っていまして、数字は僕はもらいませんでしたが、そういうことでございます。
 私は、医学的に考えますと、患者がいろいろな症状を訴えたときに、私たちが教えられたのは、若い人の場合には原因は一つであると考えて診断、治療をするのが常道になっております。しかし老人の場合はそれぞれ独立した症状であって、原因はそれだけたくさん出てくるはずだ。そういうことで、老人の場合には多科目を受診するのが普通であるというふうに聞いております。したがいまして、老人が多くの科を受診するのはやむを得ない。単に趣味であちらこちらを回っているわけではないということを申し上げたいわけで、外来の一部負担がアップいたしますと、私はこれは受診抑制につながるのではないか。例えば三つの科を受けると一挙に三千円になるわけで、そういう意味で受診抑制につながるおそれがあると私は思っているわけですが、いかがでしょうか。
#192
○政府委員(岡光序治君) 従来からもそういうことで一月当たり一医療機関ごとに八百円を御負担をしていただいたわけでございまして、その額につきまして、ただいま申し上げましたような相当年数も経過をしておるとか、あるいはお年寄りの平均所得であるとか消費支出の動向であるとか、こういったふうなことを考えまして、必要な受診は抑制しない程度の改定ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
#193
○高桑栄松君 ではその次に入りますけれども、今度は入院の一部負担増について伺いますが、入院というのは患者の趣味で入院できるわけじゃないんで、これは患者の意思以外の要因で入院をするわけでございます。その入院を受益者負担であるかのごとくに多額の自己負担を増加する。殊にこれは入院ですから、毎日の増でございますので一挙に大変な額になるわけであります。そういう意味で、多額の自己負担を自己の意思によらない入院にもかかわらず、受益者でないにもかかわらず負担増を強いられるのは問題ではないかと考えるわけでありますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
#194
○政府委員(岡光序治君) 確かに入院の要否は医学的な見地から医師が判断することでございますが、現実に医療サービスの提供を受けるのはお年寄り自身でありまして、医療サービスを受けていないお年寄りとのバランス、そういう意味で私ども受益者負担と、こう言っているわけでございますが、そういうものを考えると、医療サービスを受ける際には一定の一部負担金をお願いするというのが適当だと考えております。そして一部負担の額につきましては、再三申し上げておりますように、若い人とのバランスであるとか老人保健施設等における負担のバランスであるとか、あるいは在宅で療養生活をしている人とのバランス、こういうことを考えましても無理のない範囲の見直したというふうに考えている次第でございます。
   〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
#195
○高桑栄松君 再三バランスというのが出まして、私さっき申し上げましたけれども、納めてもらう側と納める側とではバランスの論理も当然バランスが違うわけでございますが、それはそれといたしまして次に入ります。
 入院の保険外負担というものがあるわけで、私も母なんかを入院をさせてみますといろんな保険外負担のあることは実感としてもよくわかりました。ちゃんとした基準病院であっても実際にはいろんな負担がございまして、まごまごすると月給の全部一カ月のものがそのまま必要であるというぐらいになることもあることがよくわかったわけでございます。
 そこで、保険外負担の実態を伺いたいと思いますけれども、老人保健課の調査でいろいろなデータが出ておったようでありますが、平均的なところで、それから関東と全国平均等の比較、都会と全国平均ですね、ちょっと伺いたいと思います。
#196
○政府委員(岡光序治君) まず、おむつ代等の保険外負担でございますが、平成二年十一月時点で調査を行ったところでは、これは全体平均の話でございますが、老人入院患者一人当たり一カ月平均負担額は二万二千五百円でございます。それからそれのばらつきでございますが、関東地方では一番高いところでは四万四千六百円、それから南九州地方を申し上げますと一万一千八百円、北海道を申し上げますと一万二千九百円というふうなばらつきになっております。
 それから入院に伴う室料差額につきましては、平成元年七月の調査によりますと、病院の全病床の一〇・一%で徴収が行われておるということでございまして、患者一人当たりの徴収額は、一人ないし二人部屋の平均額は一日約四千百円ということになっております。
 それから付き添いの関係でございますが、これは付き添いの形態なり患者の病状によって非常に異なっておりますが、患者二人で一人という、二人つきということをやった場合の慣行料金を申し上げますと、付添人が泊まり込みの場合は一日七千二百円程度、一月で二十二万円程度、付添人が昼間だけの場合は一日四千九百円程度、一月で十五万円程度、こういうふうになると聞いております。
#197
○高桑栄松君 今承りましたけれども、やっぱり保険外負担というのが非常に大きいということがわかります。国民年金が約三万円というのに対しまして、一部負担のアップというのは極めて過酷であると言わざるを得ないと思います。
 そこで申し上げたいのは、入院費以外の保険外負担を解消するにはどうしたらいいのか、どういう対策をお考えか。具体的に措置をお考えいただいて、そしてその成果を確実にすることがまず第一ではなかろうか。例えばベッドの差額だとかあるいは付添看護についてどれくらい患者負担を軽減する方法があるか、こういったことでもしお考えがあったら、承りたいと思います。
#198
○政府委員(岡光序治君) まず、差額ベッドにつきましては、三人室以上は取ってはならない、こういうことになっておりますので、そういう不適当な差額徴収は行われないような指導を徹底するということでございます。
 それから付添看護につきましては、入院医療管理病院のような付き添いを全く排除するようなそういう病院をふやしていく、あるいは老人保健施設のようなものをふやしていって、いわゆる受け皿の整備、これをどんどんと進めるということではないかと思っております。
 それから、お世話料などのあいまいな名目での費用徴収でございますが、こういったものは行わないように、あくまでも必要な品物についての実費徴収ということで徹底するようにという指導の強化をしてまいって対応したいと考えております。
#199
○高桑栄松君 禁止条項ばかり言ったんでは、それはそれなりの効果があるでしょうけれども、基本的には禁止条項ではなくて公費負担をどのように拡大していくかということを私は承りたかったのでありますが、今お答えをいただけますか。ちょっと難しいかな。
#200
○政府委員(岡光序治君) 私も十分それは今後煮詰めなければならない問題だと思いますが、一つ差額ベッドで申し上げられますのは、診療報酬体系との絡みだと思っております。
 診療報酬体系の中で、建物なり土地代につきましての償還費というのが入っているというふうに理論構成されておりますが、これがどうも私は、今の診療報酬体系の中でどの部分がどういうことになっているのかというのが全く混然一体となってわかっておりません。もちろんこれは人件費についても言えることでございまして、これは先生に申し上げるのは申しわけありませんが、昭和三十三年に現在のような新医療費体系になった、それからの長い歴史があるのだと思っております。そういう意味では、これからいわゆるドクターフィーとホスピタルフィーをどう分けていくのかというふうな問題を論じなければ基本的にはなかなか解消の道は得られない。そういう意味ではルール違反のものについて取り締まるということを当面申し上げるわけでございますが、そういった診療報酬体系そのものの議論をこの際していただかなければ抜本改革にはつながらないんじゃないだろうかと差額については考えているわけでございます。
 付き添い問題につきましては、マンパワーの確保問題と非常に絡んでまいるわけでございますが、基本的にはもう少し病院体系というものをきちっとさせた上で、それぞれの機能連携というものをはっきりさせて、その中での病院の職員配置というものをきちっと決めていくということで私はやはり根本改革を図っていかなければならないんじゃないだろうか。
 もう一つは、あえて申し上げますが、現在の医療保険制度の中でいろんな給付あるいは給付に関連するようなサービスが出てまいっておりますが、どのサービスを保険給付にし、どのサービスを給付外にするのか。特にいわゆるアメニティー部分という問題が議論されておりますが、こういった部分についての保険給付の範囲という問題をきちっと論じなければなかなか解消は難しいだろうと思っております。
 そういう方向に向けて今後議論を進めていかなければならないと思っておりますけれども、それは大分時間がかかると思いますので、したがいまして当面対策をどうするかということで、先生からおしかりを受けるような内容にはなろうかと思いますが、当面対策を申し上げておるような次第でございます。
#201
○高桑栄松君 お話を承っているだけでも大変だなと思いますが、ひとつしっかり検討していただきたいということであります。
 それでは、スライド制に話を移したいと思いますが、衆議院段階でこれは物価指数にスライドするというふうに修正をされました。この点については本当に国民の理解、合意がなされてはいないのではないか。また、額の変更はその都度国会で審議、決定をしてきたという経緯がございますので、その辺を勘案するとにわかにこれは賛成はできない、これが私の実感でございます。
 さらに、医療費は新医療技術の開発に伴いまして高くなっていくわけでございますが、この側面についてはスライド制とは無関係であるという意味で、医学的立場からは医療費そのものについてのスライドには賛成しにくいということであります。
 もう一つは、スライド方法のいかんによりましては、老人所得の伸び以上にこれがアップされますと、先ほど申し上げましたように老人はあっぷあっぷすることになるわけでございます。特に入院については影響が大きい。したがいましてスライド制は青天井というわけにはまいらない、上限が必要である。こういう立場に立って質問をさせてもらいますが、消費者物価指数の変動はここ数年間どうなっていたか伺いたいと思います。
#202
○政府委員(岡光序治君) 平成二年の消費者物価指数を一〇〇とした場合の昭和五十五年の消費者物価指数は八一・七でありますので、この十年間の消費者物価指数の伸びは二二・四%、こういうふうになります。これから一年当たりの伸び率を算出してまいりますと、二・〇四%ということになろうかと考えております。
#203
○高桑栄松君 今の数字を素直にとらせていただきまして、そうするとここ十年以上の間において平均二・何がし%であるとすれば、私は上限は三%を主張したいと思います。物価スライドと修正されますと、それについては何らかの歯どめが必要であると申し上げたいので、その意味でも私はやっぱり三%を主張いたしたい。特に公明党は衆議院では大変三%に固執しておられて、その影響を受けまして私も一生懸命に三%を主張したいと思う次第でございます。このことについて大臣にひとつ御風見を承りたいと思います。
#204
○国務大臣(下条進一郎君) スライド制の導入というのは今回新しく提案されたわけでございますが、何にスライドするかということについてはいろいろな考え方があるわけでございます。修正の上で物価スライドということに相なったわけでございますが、これは、今お尋ねの中で過去の消費者物価の動向を見ましても二%ちょっとということで、我が国はそういう意味では物価は極めて安定している国の一つではなかろうかと思います。将来はこれからの政治経済情勢によってわかりませんけれども、そのように安定することを期待して政策を忠実にやってまいりたいと思うわけでございます。
 その中で老人医療費のスライド制の問題でございますが、委員はいろいろなことを想定されて御懸念をお持ちのようでございますが、そういう御懸念をお持ちのような事態が発生した場合は、政府といたしましては国会の御判断を仰いで必要な措置を講ずるようにいたしたい、このように考えております。
#205
○高桑栄松君 その御懸念とお話しになったのは、私の御懸念は三%なんですが、三%でございましょうか。
#206
○国務大臣(下条進一郎君) それは、その事態における客観的ないろいろな諸状況を勘案の上で御相談をして決めさせていただく、こういうことでございます。
#207
○高桑栄松君 私はその大臣の答弁に御懸念をちょっと持っているわけでございますけれども、これ以上進めておっても時間がなくなりますので、大臣にしっかり胸に受けとめていただきたいと思います。
 もう一つ大臣に承りたいのは、老人保健制度の給付や負担のあり方等については三年後に見直しをするというようなことはお考えでしょうか、いかがでしょうか。いろんな物価の変動等も踏まえて見直しをする必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#208
○国務大臣(下条進一郎君) これから先の長い、長期的に継続的に制度を維持していくという建前でございますから、今後のいろいろな情勢が変わる場合にはまたその折において検討をしなければならない問題も出てくるかと思いますが、当面は今のこの制度を維持してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#209
○高桑栄松君 それでは、次に公費負担の拡大の問題について質問をしたいと思います。
 政府原案によりますと、公費負担の拡大を非常に強調しておられますが、中身を検討させていただきますと、五割の対象としたのはベッドにして全体の一五%にすぎない。つまり老人保健施設とそれから介護の充実した老人病院で、ベッドが八万八千六百ですか、ということでこれは全体の一五%にすぎない。それで大変拡大をしたとおっしゃるわけでありますが、この対象については衆議院でも一項目拡大をされまして、これは大変いいことだと思うんです。老人訪問看護の療養費に公費拡大が適用されるということになったわけであります。
 しかし私は、当面次の項目にも拡大を希望いたしますので注文をさせていただきますが、一つは老人性痴呆疾患療養病棟でございます。それからもう一つは基準看護承認病院に入院している老人の療養費、この二項目についても拡大を私はしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#210
○政府委員(岡光序治君) まず老人性痴呆疾患療養病棟でございますが、そのサービス内容を点検いたしますと、やはり精神科の治療という色彩が強いということでございますので、私どもはそういう考え方から五割の対象とするのは適当ではないのではないかと考えておる次第でございます。
 それから、第二点目の一般病院の基準看護承認病院の老人の入院医療費をということでございますが、一般病院はそもそもの性格、それから機能から考えまして、急性期の患者を含めさまざまな疾病状態にある患者を対象にするものでございまして、そういう意味で介護的要素に着目したというふうに位置づけることはできないんじゃないか。さらに、主として老人のみを対象とする制度上の位置づけにはないというような性格でもございますので、したがいまして五割の対象とすることは適当ではないというふうに考えた次第でございます。
#211
○高桑栄松君 それでは、きょうの私の質問の最後は老人訪問看護制度で自分の時間を終わりたいと思いますが、大変せっぱ詰まってまいりましたので少し急ぎたいと思います。
 まず、先ほども質問がございましたけれども、寝たきり老人にとりましては、本人及び家族にとって訪問看護というのは最大の頼りになる制度でございます。この制度は公明党も推進方を強く要望してまいりましたので、その端緒が開かれたということは高く評価していいと思いますが、しかし具体的な姿がはっきりしていない。
 その二、三の点を質問をいたしたいと思いますが、まず、先ほど来ドクター、ナースの関係がございましたが、医者の教育がとおっしゃっていたので、私は医者を教育した立場でちょっとばかり、弁解ではございませんが堂本さんに答弁的な話をさせていただきますと、医者がみんなもうけ一方で予防医学に全く無関心なのではない。私は予防医学の教授をいたしましたので、予防医学こそ治療よりももっと大事であると常々主張してまいりまして、それに感化されて厚生省に入ったのが、そこにおられる局長とかお医者さん方もみんな予防医学の私の仲間でございます。かわいい弟子みたいなものでございまして、私は本当はいじめたくないんですが、立場が変わるといじめなければいけないということでございます。予防医学に関心を持って入ってきている人がいるんです、もう収入は断然違いますから。でも、これに情熱を燃やす人がそこにも何人も並んでおられるんですね。そういうことをちょっと申し上げまして、質問に進みたいと思います。
 そこでまず、医者が訪問看護で常時指示できる体制が要るのではないか。例えばステーションのスタッフとか、それからだれが行くのか、正君なのか准看なのか、もう一つ看護助手なのかとか、あるいはその指示は包括指示で行くのかあるいは個別の指示があるのか、この辺なるべく時間を詰めてひとつ簡単に御答弁を願いたいと思います。
#212
○政府委員(岡光序治君) 医師の指示を受けるに当たりましては、その業務範囲に差がないわけでございますから、正看護婦と准看護婦との間で違いは生じないものだと考えております。
 それから、包括的な指示がどうかということでございますが、訪問看護サービスの対象が主として病状安定期にある寝たきり老人等でございまして、サービスの内容も介護の色彩の強い看護が中心となりますので、ある程度包括的な指示でも問題のないケースが多いんじゃないだろうか、こう考えております。
 それでよろしゅうございますか。
#213
○高桑栄松君 医療過誤なんかとつながることがあるかと思いますが。
#214
○政府委員(古市圭治君) 先ほどお答えいたしましたように、訪問看護制度も最終的には裏で医師が責任をとる体制ができているというところから、受ける側も行う看護婦さんも安心して行えるということでございますから、医療過誤は指示した範囲内では医師にくるということでございます。そういうことで、看護婦さん等医療従事者が行う業務というものは、内容によって医師の個別具体的な指示がなければいけない行為と、それから今回のように病状が安定しているような人に対して侵襲性が少なく、危険性が少ないというような状況が想定されておりますので、このようなことに対しましては医師の包括的な指示のもとにその範囲内で看護婦さんが裁量的に業務を行い得るという分野も非常に広いのではないか、このように思っております。
#215
○高桑栄松君 前回審議をされた救命救急士なんかのような急変とは違う、もう少し安定しているというお考えのようでございますが、やはり患者側にしますと医師の指示があっだということが非常に重要だと思いますので、その辺も連絡方法、コミュニケーションは十分にとる方法を考えていただきたいというふうに思います。
 時間がもし残りましたら質問の項目を戻りますけれども、まず一つ伺いたい大事なことは、在宅老人の訪問看護に最も重要なのはマンパワーだと思うんです。問題はマンパワーである。マンパワーをどういうふうにするのかということでありますが、その中で特に頼りになるのが看護婦さんでございますが、看護婦の養成施設がどうなっているのか。新設医科大学がたくさんできましたが、まず大学附属の看護婦さんの養成所の現状について、文部省にひとつ伺いたいと思います。
#216
○説明員(喜多祥旁君) お答えをいたします。
 現在、国公私立合わせまして七十九の医科大学がございます。そのうち看護婦養成機関を持っていない大学は、国立が十四校、私立が二校、計十六校でございます。
 国立の十四校でございますが、昭和四十八年度以降設置をいたしましたいわゆる新設医科大学でございまして、新設医科大学を設置いたします際には看護婦の養成確保、これは地元で行っていただくということで進めてまいったわけでございまして、十四の新設医科大学には看護婦養成施設はございません。
#217
○高桑栄松君 これは前回宮崎委員も非常に強調しておられて、私ももう一回質問をしなければと思ったことでありますが、新設医科大学が国立て十六できて、十四看護婦養成所がないというのは、私のように戦前派にとりましてはびっくり仰天だったんです。
 旭川の医科大学の学長にも言われまして、とても私たちのところでは看護婦さんを充足することは困難だと。僻地でございますから、せっかく養成した看護婦さんは、どっかこっかにちゃんと予約ができていまして、もうそこへみんな行くようになっている、だからどうしようもないと言うんですね。私にすれば、ティーチングスタッフというのは言うなれば国立ですから月給なしで行ってくれる人がいっぱいいるわけでございまして、専任は何名がで済むわけだ。建物だけなんですね。ですから、少なくとも看護婦がこれほど足りないと言っているのに、なぜ国立医科大学または医学部にないのか。新設であるのは秋田と琉球、それ以外は全部ない。私は、本当に自分の不明を恥じ。たぐらい、旭川医大がないというのでびっくり仰天をしたんです。
 ですから、これは何とか文部省ひとつ、もう背に腹はかえられないわけで、老人医療だけではなくて日本の医療を支えていくのにどうしても看護婦さんがまずいなければだめです。その人がいなければ、さっき正君でも准看でも同じだとおっしゃるけれども、やっぱり正君の方はそれだけの教育を受けているわけだから、正君をちゃんとふやす。(発言する者あり)まあ、応援される人がいっぱいおられるようでございますから。これは絶対要るんですね。文部省は緊急に予算を獲得をして、多分与党も野党も全部応援をしてくださるかと私は思うんですけれども、その代弁のつもりで今申し上げているんです。ぜひひとつしっかりやってもらいたい。お考えを承りたい。
#218
○説明員(喜多祥旁君) 先ほど答弁いたしましたように、設立当初は地元で養成確保していただくということでスタートしたわけでございますが、当初はそれで格段の支障がなかったというふうに私ども承知いたしておりますが、最近におきます看護婦の不足ということを受けまして、地元の自治体等から新設医科大学にぜひ看護婦養成機関を設けてほしいという要望が寄せられておりますことは十分承知をいたしておるところでございます。
 今後どのように対処すべきかにつきましては、各地域におきます看護婦の需給状況でございますとか大学の準備状況、そして国の行財政状況等を十分踏まえまして検討させていただきたい、かように思っておるところでございます。
#219
○高桑栄松君 特に在宅介護なんかは、先ほど来同僚委員の御質問にもございましたけれども、医者というよりは女性が主なわけだ。在宅介護に従事している人はもう八〇、九〇%が女性でございますから、ボランティアを含めまして。その指導的立場に立つのが看護婦さんなわけです。ですから、医者は医者として外来を持っていたり入院患者を別に持っていますから、しょっちゅう在宅の老人の看護にすぐ応診というわけにいかないというのも先ほど御答弁があったとおりだろうと僕は思うんです。ですから、その点でどうしても重要なのは看護婦養成であると私は思うわけでございます。
 ところで、時間がもう三分ぐらいあるようでありますから、看護ステーションの数はどうなっていますか。
#220
○政府委員(岡光序治君) 平成十二年には約五千カ所程度必要になるものと見込んでおります。
#221
○高桑栄松君 現在はどうですか、当面の予定。
#222
○政府委員(岡光序治君) 極めて不確定な要素が多うございますが、関係者といろいろ諮りながら来年度は四百カ所程度を目標にしたいと考えております。
#223
○高桑栄松君 先ほどのお話とは数字の上で大分開きがございますけれども、四百カ所でも手をっけたということで、あとは拡大していけるわけだろうと思うんです。
 一カ所対象が五十人というんですね。
#224
○政府委員(岡光序治君) 対象の老人数五十人程度ということでございます。
#225
○高桑栄松君 そうすると、二万人ということで、スズメめ涙ぐらいかとも思いますけれども、予算というのは一遍つくと拡大をしていくということでありますし、国民の期待も非常に大きいと思うんです。
 そういう意味で、もう一つは大塚老人保健福祉部企画課長さんが看護協会シンポジウム、九月十二日の朝日新聞で私見ました。課長さん来ているかと思ったらお出になったようでございますが、マンパワー確保に大変な御発言をしっかりしておられまして、「処遇改善を含めてきるだけのことをする」と。大蔵がうんと言えばというのは括弧して書いてなかったですけれども、多分そうだと思うんですが、御答弁を願いたいと思います、お考えを。
#226
○政府委員(岡光序治君) 厚生省挙げて看護婦さん、それからホームヘルパーさんを初めとする社会福祉施設職員の人材確保を一生懸命やりたいと考えております。そういう意味で、看護婦さんの場合には診療報酬改定となろうかと思いますが、次期診療報酬改定ではこの点が大問題になろうかと思っておりますし、しっかり頑張らなきゃいけないと思っております。
#227
○高桑栄松君 では終わりに、大臣、私は老人訪問看護制度はこれからの老人医療にとって非常に大きな仕事だと思いますし、特にマンパワー確保が非常に重要な第一の問題点だと思うんですが、これらを全部総括いたしまして大臣の決意のほどをひとつ承って、私の質問を終わります。
#228
○国務大臣(下条進一郎君) 委員御指摘のように、今回この法律の改正の中で訪問看護制度というものを特に重視していることはそのとおりでございます。そして、高齢化社会がさらに高まっていく中で、いろいろな段階のお年寄りが安心して医療も受けられるし、また介護のいろいろな手も差し伸べていただけるというような条件を整える中で、この訪問看護制度が特に大きな役割を演ずることと考えております。
 ただ、今御指摘のように、これからやるわけでございますから直ちに皆様の御要望を満たすというわけにはまいりませんけれども、その重要性はこれはもう大変に高いものでありますので、厚生省といたしましてもこの制度の第一年目から着実に内容を充実した形で御要望にこたえてまいりたい。
 特にマンパワーの確保、これは非常に緊要なものでございます。看護婦さんが今何と申しましても大変不足をしておるということでありますので、この問題については既にこの六月のときにお約束いたしましたように、各都道府県に現状の把握のための調査を依頼いたしておりまして、大体九割からの返答を得ておりますが、間もなく一〇〇%の回答が来る予定になっておりますので、看護婦さんの全国における実情を十分把握した上で、新しくなられる看護婦さんをいかに養成していくかという問題と、それからまた現在おられる看護婦さんがプライドを持ちながらそして気持ちよく勤務できる諸条件を整えることと、それからこの訪問看護の場合には、特に大いに活躍していただきたいと考えております潜在的な看護婦さん、過去の経験者、こういった方々が来られるような道をつけるということで、そのためのセンターの活躍、あるいはまた特別の講習会の設置等をいたしましてそれらの準備を進めてまいりたいと考えております。
 そして、当初の目的である高齢者の病に倒れていらっしゃる方、あるいはそうでなくてもお体の不自由な方々が家庭においても十分に行き届いた医療ないし介護の手だてが整うように我々も努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#229
○沓脱タケ子君 一昨日は一年に一遍の敬老の日でございました。この敬老の日のプレゼントのように老人いじめのこういう悪法を審議しなければならないというのは極めて残念だと思います。
 私は、各論に入る前に、まず総論として老人保健法の成立の経過そしてその性格等について少しただしておきたいと思います。
 老人保健法は、昭和五十七年、一九八二年の九十六国会で成立をいたしました。老人医療無料化を実現したのが昭和四十八年でございましたから、わずか十年で有料化されたわけでございます。この法案が提出をされたときには大変もめました。これは当然でございます。そして修正をされまして、本人の一部負担が外来五百円を四百円に、そして入院三百円四カ月を二カ月にということ、あるいは拠出金の按分率を緩和するという等の修正がやられました。私も当時の吉原審議官、後の厚生省事務次官でございますが、吉原審議官や森下厚生大臣と相当な議論をいたしました。大変な馬力を出してこの悪法を実は成立させた経過を今もありありと思い起こします。
 私が当時問題にいたしましたのは、医療や保健の分野に自立自助とか民活論、こういう思想というものはなじまない。時間がありませんから簡潔に言いますが、もう一つは老人保健法の基本的な理念はこういうふうに書いているんですね。老人保健法の「基本的理念」の第一項は、「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする。」、こう述べている。つまり国民は自分の健康は自分で守れ、そして老人医療は公平に国民が負担せよと。国がというのは一言もないんですね。こういう考え方というのは、いわゆる戦後の社会保障の一環として考えられてまいりました老人福祉法の理念と全く違うんですね。
 老人福祉法の理念では、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」、こういうことであったわけですが、この考え方を完全に転覆したというか、覆したというのが老人保健法の基本的理念であるわけです。これはひどいものであります。
 私は、こういう状況で発足をいたしまして今日まで約八年ですか、国民が公平に負担するというこの考え方に無理があるのではないかと思うんですが、大臣そう思いませんか。
#230
○国務大臣(下条進一郎君) 法律の読み方はいろいろあるんじゃないかということを今承っておりましたんですが、老人福祉法では、今おっしゃったとおり第二条で基本的な理念が書いてありまして、そこではお年寄りの方々に対して「生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」ということでございまして、その基本的な理念に基づいて老人保健法があり、その老人保健法においてその趣旨がまた生かされておる、このように私たちは解釈しております。
 今御指摘の老人の医療に関する費用を公平に負担するということは、これは国も含めて、本人もそしてまた拠出していらっしゃる方、その他すべてを含めて公平に負担するということでありますので、そのバランスの中で長期安定的な制度を運用してまいりたい、そういう考え方だと思います。
#231
○沓脱タケ子君 時間をとっているわけにいかぬのですが、私は実施して以降今日までの経過を見ていて無理があるなと思うんですよ。現に負担の公平ということで、老人本人一部負担の導入ということで次々引き上げをやってまいりましたが、本人一部負担だけについて見ますと、五十七年の創設時には、さっき申し上げたように修正をされた。六十一年の改正のときには外来千円、入院五百円という政府案に対して修正をされて、外来八百円そして入院四百円、低所得者は三百円で二カ月限度というふうに改められた。今回の改正は外来千円、入院八百円、そして修正をされて、平成七年からはスライド制でいく、こうなっているようでございます。
 こういうふうに、次から次と提案をするけれども、修正が必ずやられていっているというのは、これは高齢者の大変な声であり、世論の声で修正がされていったと思うんです。したがって、こういう一つのことを見ましても、負担の公平とか公平な負担というふうなことを言いますけれども、まさにこれはそういう政府の考え方に国民的な批判が集中をしてあらわれていると思うんですね。だから、公平な負担というふうなことを言うけれども、お年寄りに一部負担という形でぶっかけ、あるいは現役労働者の保険の拠出金という形でどんどんぶっかけていく、こういうことでは無理じゃないのかというふうに思うんですが、同じことしかお答え願えないんだろうと思いますが、無理が出ているというふうに私は思うんです。
 その証拠に、本改正案を見ますと、国民は老人医療費を公平に負担せよというこの思想、こういう理念というのが破綻をしてきているなということを示していると思うんですね。本改正案の主な改正点は、御承知のように、老人訪問看護制度の創設、二つは公費負担割合の引き上げ、老人保健施設等への公費を五割負担に引き上げる。もう一つは、一部負担金の引き上げとスライド制を入れるという三つですね。
 本来なら一部負担の引き上げとスライド制の導入、これがやりたいところで、先ほどから岡光部長が盛んに言っているように、老人の一部負担を五%に維持していきたい、そういうふうにしたいと思うけれども、それだけではとても成立てきない。健保連からも要求がある、その他の団体からも要求があって一定程度公費負担の拡大を入れざるを得なかった、そういうことだと思うんですね、今御提案の中身というのは。法律どおり老人医療費の三割を公費で、残りの七割は国民が公平に負担せよ、こういうおたくの方で決めたこの原則を崩さざるを得ないというところが今日の改正案自体にあらわれているところだと思うんです。国民は公平に負担せよだ付では無理であるということを知っている。ここまできている。公費負担をがっちりとかんぬき入れていたけれども、今度の提案ではそれではできないということがはっきりしてきた。そうでしょう。大臣はお立場上いやそんなことはない、無理だとは思っていないとおっしゃるかもわからぬけれども、事実がそういうふうになってきているということをお感じになるでしょう、いかがですか。
#232
○国務大臣(下条進一郎君) 当初からの歴史をたどってのお話でございますが、我々はこれから先に向けての対策をいかに考えていくか、特に高齢化社会でございますし、これは想像以上に高齢化が進んでおりますし、またもっと長い目で見れば後に続く若人の数もふえないし、そういうような状態の中でともども関係者が公平に負担をしていく制度をいかにつくるかということがこの老人保健法の場合に非常に重要なことだと考えております。
 したがいまして、そういう観点から今回お願い申し上げましたような改正案を提出しているわけでございまして、私たちはこの改正の中で若年のあるいはまた中堅の働く方々の負担をこれ以上ふやさないようにして、長続きさせるようにして、しかも年々ふえてまいります高齢者の方々に対する医療その他が行き届いた形でいけるような制度をつくりたいということでこの改正をお願いしているわけでございます。
#233
○沓脱タケ子君 私が申し上げたところとちょっと違うんだけれども、私はどこから見ても、実態として国民は老人医療費を公平に負担せよという本法二条の理念というのがいよいよほころび始めたなというふうに思うんですね。まず国が第一義的にしっかりと老人医療あるいは医療費について責任を持ちますと、この柱をしっかり据えるというときに来ているんではないかと思うんですね。こういう柱がしっかりしないから国民は大変不安で仕方がないんです。
 時間の都合がありますから多くを申し上げられませんけれども、敬老の日を前後して新聞紙上にもいろいろとデータが出ております。何しろ随分生活の充実感が出ているけれども、健康や老後の不安というのは約四割の人が感じているというデータも出ていますね。そして政府に対する一番大きな要求というのは社会保障、社会福祉の充実が三九・五%で三年連続第一位。国民の意識というのは非常にはっきりしていると思うんです。
 大臣、せっかく法改正をやるのなら、ここまで来た以上、原則を法に明記する、国がしっかりと制度にも財政にも責任を持ちますということを明記して、現行の町民全体が分担して持ちなさいというそんなことを撤廃するべきだ、改正をするべきだと思うんですね、せっかくの改正案を出すんだから。後でいろいろ触れたいと思いますが、もうそこまで来ているというのが今日の情勢だと思いますが、いかがですか。
#234
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほど基本的な考え方を申し上げたわけでございますが、老人保健法はその基本理念として、健康に対する自己責任の原則と、またあわせまして社会連帯の精神に基づいて国民が老人医療費を公平に負担するということを示しているもの、このように考えております。これによりまして老人保健制度の安定的運営を確保し、老人が安心して必要な医療及び保健サービスを受けることができるようにしようとするのが基本的な考え方でございます。
#235
○沓脱タケ子君 大臣といろいろやりとりしている時間がないものですから、次に進みます。
 御承知のように、老人保健法というのは臨調行革の先駆けになった法律でございます。臨調行革の本質というのは、このところ十年たちましたから非常に明白になってまいりました。臨調の基本的な考え方というのは小さな政府論、それから民間活力の活用なんですね。厚生省も民活論に便乗して、それが出てきたのでシルバーサービスなんというようなことで取り入れました。しかし民活路線というのがもう今やバブル経済の破綻、あげくの果てには庶民のマイホームの夢までつぶすということ、あるいは証券・金融スキャンダル、こういうことで破綻が明らかになってきております。
 小さな政府論では、御承知のように社会保障や社会福祉が第一のターゲットである。まさに老人保健法成立はこの臨調行革の先駆けであったんですね。これを成立させて、その後国庫負担の全然ない退職者医療制度の創設がやられた。その関連で国民健康保険の国庫負担金をばっさり削除した。四五%から三八・五%に下げた。そして健康保険の本人一割負担というところへ踏み切って、一元化で今後二割負担にしようということが明らかになっているわけですが、こういうことを見ますと、社会保障に対する国の負担、国の責任というのは一貫してどんどんどんどん低下してきているというのが事実でございます。
 反面、私ども日本共産党が臨調行革路線の当時に申し上げたように、防衛費だけはがっちりとこの十年で約二倍に突出をしている。臨調のこの十年の特徴というのはもう本質が非常に明らかになっておりますが、こういうことでしょう。いろいろ言いわけなさいますか。事実はそういうことになっているということを申し上げておきたいと思う。
#236
○国務大臣(下条進一郎君) 財政の立て方の基本的な考え方、これはお立場上違うことは前提だと思いますが、事実の点で申し上げますと、社会保障給付費に対する国庫負担の割合が減少していることは御指摘のとおりでございますが、このことは二十一世紀の本格的な高齢社会においても社会保障制度が引き続き国の政策として安定的に機能し得るように、国民の合意の得られる負担水準との関連に配慮しながら各制度における不合理の是正、効率化、体系化を図ってきたことの結果である、このように認識しております。
#237
○沓脱タケ子君 これは数字が証明をしているわけで、具体的に老人医療に占める国庫負担の割合を見たら実に歴然ですね。昭和五十八年度、これは老人保健法の初年度ですね。このときが国庫負担が四四・八%ですね。平成二年度ではこれが三四・九%、約一〇%国庫の負担金が減っているんですね。だから、一方では年寄りのために使うと言って盛んに宣伝をして消費税も入れたけれども、七年間に一〇%国の負担金が減っている。もちろん按分率の変化に伴う減少という面はありますけれども、結果として国庫負担一〇%減の仕組みをつくった。その分は国民の負担が全部ふえてきたんですね。その上に国庫負担が全然ない退職者医療制度を五十九年十月から実施した。さらには健康保険本人一割負担を実施した。こういうことで次々七手を打った結果、国民医療費の中に占める国庫負担の割合というのは物すごく目に見えて減っていますよ。
 これは厚生省の資料で申し上げますが、五十八年、老健法が入った年ですね。五十八年に国の負担金が三〇・六%、それが既に六十年の統計では二六・六%と四%減っているんですね、国の出すお金が。それで、どこがふえたんやいったら、現役労働者の出している被保険者のお金、これが五二・五%から五四・三%、一・八%。患者の一部負担が一〇・八%から二一%ですから一・二%ふえて、地方負担が五・七から六・八と一・一%ふえている。つまり制度を変えることによってわずか三年間で国が出すべきお金は四%減らして、あとの分は国民、つまり患者とそして被保険者と、地方負担、これに全部転嫁してちょうど四・一プロの増になって勘定が合うという格好になっているわけですよ。だから、制度の影響というのは、政府のお金が減るかふえるかというのは実に鮮明に出ていますよ。政府が減った分だけ国民の負担増になってあらわれている。
 さらに、五十八年から六十年度の資料、これは国民医療費全体を見ましでも同じようなことになっております。国は五十八年から平成元年まで見ましても五・九%減っている。そのあとは、これは患者負担の一・五%増、あるいは保険料の三・六%増、地方の一プロ増なんというようなのを合わせたら全部で六%負担増になっている。国が五・九%出すのを減らした分は全部国民各層に負担をカバーさせるというやり方になっている。そういうことになって数字があらわれているということは事実でしょう。これは数字だから否定できませんね。
#238
○政府委員(黒木武弘君) 事実の確認でございますけれども、先生御引用されましたように、拠出金に対する国庫負担の割合あるいは国民医療費に対する国庫負担の割合等が御指摘のとおり減少していることは事実でございます。これは先生も御指摘になりましたように、制度改正の結果によるものでございます。
 歴史を引用されましたけれども、老人医療が無料化になったときに国保が大変な危機に見舞われたわけでございます。老人医療費が二割も三割もふえる時代が続きまして、国保がパンク寸前になったわけでございまして、そういうことからも医療費は一部負担していただかなければならないという時代を迎えたわけでございます。しかし、それでもなお一〇%ぐらいまたふえる時代が続きまして、国保はさらに高齢化とともに財政が非常にきつくなったというところの中でもう一度、退職者医療制度をつくり、あるいは按分率を高めるというような形で公平な負担を皆にしていただくというような結果として……
#239
○沓脱タケ子君 数字はそのとおりでしょう。経過は私が言うたわ、ちゃんと。
#240
○政府委員(黒木武弘君) つまり申し上げたいのは、高齢者が多い。ために国保に大変な財政負担がかかっていたわけでございます。それをどうするかということで制度改正をした。国保に最も手厚い国庫が入っているために、国保の制度を軽くすると国費もそれに比例して下がってまいったというのがメインのストーリーではないかと思いますので、念のため申し上げます。
#241
○沓脱タケ子君 数字はそのとおりでしょうと言っている。
#242
○政府委員(黒木武弘君) 数字はそのとおりでございます。
#243
○沓脱タケ子君 何も要らぬこと言わぬでいい。そういうことになっているんですよね。
 大臣、この機会だからもう一つ申し上げておきたいのは、年金制度も同じなんですよ。年金制度に対する国庫負担も減るような仕組みに六十年改正でやったんですね。基礎年金制度を設けて、四十年フルベンション方式で給付水準を約三割下げたでしょう。三〇%下げた。この仕組みの結果、厚生年金制度に対する国庫負担はどないなったかといいますと、これは昭和六十一年から二〇二〇年まで総計で、見通しですが、四十六兆三千億円従来の形式ならかかるのが、この改正によりまして三十七兆二千億に減った。二〇二〇年までに総計で二〇%も減らすという仕組みをつくったわけですね。
 私は医療の分野を数字的に言っておったけれども、年金もこういうことなんです。これが臨調・行革の本質ということだと思うんですが、これは国民はちゃんと見ているんですよ。防衛費はどんどん伸びるけれども、高齢化社会、高齢化社会と言いながら国はさっぱり責任を持って対処しないじゃないか、国民に費用を転嫁するやり方、消費税まで入れているのに一体何だ、政策の基本を転換すべき時期に来ているんじゃないかというのが国民がそれなりに苦労の中で感じている考え方です。いかがですか。
#244
○国務大臣(下条進一郎君) 国庫負担というのは、御承知の上でおっしゃっていると思いますけれども、これはやはり国民の税金でございます。したがって、そういう直接に税金を払った国庫負担から出るもの、それからいわゆる別な支出として立てられる社会保障費の中から出る国の負担、それからまた掛金を掛けていらっしゃる保険なり年金の掛金の負担、それからそれを利用される方の、医療の場合には老人医療の御本人の負担、これをどのようにバランスをとっていくかということが政策でございまして、その意味で、そのたびごとに法律の改正は国会で御審議をいただいて御賛同をいただいた形で改正してきたわけでございまして、これからも全体の姿を見ながら長期安定的にその制度を運用するにはいかなる形の負担が望ましいかということを御審議いただき、その結論で私たちは運営をしてまいりたいということでございます。
#245
○沓脱タケ子君 税金も国民の負担だとおっしゃるけれども、税金も保険料も同じ国民の負担と違いますよ。大蔵省御出身の大臣がそんなことを言っていいんですか。税金で納めた国家予算というのは所得の再配分機能でちゃんと分配をしている。保険料とはわけが違うんです。保険料も国民の負担なら税金も国民の負担やと、そんなみそもくそも一緒にするような論議というのは、これは大臣としてはそんなことをよくぬけぬけとおっしゃったなというふうに私は思います。しかし、時間がないからよろしい。
 次に、患者本人負担についてお伺いします。
 私は先ほど、国民は政府の姿勢を大変よく見ていると申し上げました。大阪へ帰ったら、お年寄りの人たちがこう言うんですよ。先生、政府は湾岸戦争には大金はさっと出すのに、何で私らのような年寄りからお金をまた取り上げようとするんですか、こんなことを私どもに何人もの方がおっしゃる。こういう感情というのは多くの高齢者が持っているんです。我が国の高齢者は経済大国にふさわしい豊かな人が多いと大臣は本当に思っておられますか。
#246
○国務大臣(下条進一郎君) 今税金の話についてのお話ですから、誤解を受けるようなことでは困りますので、私もちゃんと説明をいたします。
 税金の機能ということからお話しになりましたけれども、税金は、おっしゃるように所得の再配分という機能とあわせて国の施策をそれて支えていくという面と、それからまた税金によって景気変動をいかに調整するかという問題とか、いろいろの機能があるわけでありますが、その一つとして、国民が負担をするという意味においての負担という観点からとらえて国民の負担率という言葉もあるわけですから、負担率の中は税金と社会保障の負担ですから、そういう意味での説明を私は申し上げたわけでございます。
#247
○沓脱タケ子君 いや、今の質問に答えてもらわぬと。
#248
○政府委員(岡光序治君) 各種統計から見ました高齢者の生活実態を若干申し上げますと、生活意識の面では、苦しいというふうにおっしゃっている高齢者世帯は三九・九%、全世帯で申し上げますと三六・八%でございます。
 それから、世帯人員一人当たりの平均所得を見ますと、高齢者世帯では百七十七万円、全世帯では百七十四万六千円。それから消費支出を見てまいりますと、高齢者の無職世帯の一人当たりでは月額で九万二千七十一円でございます。それから貯蓄につきましては、世帯主が七十歳以上の貯蓄現在高は千九百二万円、全世帯平均は千九十二万円、こんなふうになっておりまして、こういった各種の統計数字を見てみますと、高齢者の生活実態は現役世代と比して決して低いものではないのではないかと認識をしております。
#249
○沓脱タケ子君 私は豊かだと思いますかと言ったけれども、低いものではないというのは豊かやということですか。
 時間の都合がありますから、おっしゃるとおりですが、国民が豊かな老後のために考える生活費というのは三十一万二千円、昭和六十三年、郵政省の調べですよ。これに対して生活の実態というのは今回光部長がおっしゃったとおりです。年間二百万未満の人が五三・四%、百五十万未満の人が三九・四%。大体百五十万といったら月額十二万五千円でしょう。この中で、年金受給者の約半分、八百万人と言われる国民年金や老齢福祉年金は三万円足らず、こういう状況になっておるわけです。国民生活基礎調査でも、生活が苦しいという高齢者の世帯というのは四〇%もあるんですね。こういう生活実態ですから、老人医療の有料化反対の声というのは物すごく大きかったわけです。だから一部負担の引き上げについても非常に大きな反対の声が出てきているのもこれは高齢者の生活の実態反映なんですね。
 まず、外来の一部負担引き上げの問題がありますからお聞きをしますが、これはさっきお話があったように、お年寄りは一人当たり月平均一・四八軒ぐらい回るんです。さっきの報告ではそのようにおっしゃっていましたね。大都市ではちょっと違うんです。大阪近辺、尼崎の例では二・七軒と聞きました。北海道も多いとさっき高桑先生もおっしゃったように、かなり何科もかかっておる。ですから、たかだか千円とか二千円だからというバブル経済の感覚で考えたら困るなと思うんですよ。お年寄りの一部負担というのは、バブル経済でこのごろ何百億、何千億というようなお金が盛んに飛び交うから、そんな感覚で一部負担の千円や二千円と思ったら困ると思うんですよ。
 実際はどういう状態が起こっているかということを一つ申し上げましょう。私どもの周りのお年寄りがこう言いました。月の終わり、二十八日や二十九日に体のぐあいが悪くなってもすぐに病院には行きません、月がかわる一日まで待つんです、今の八百円の初診料を二十八日に診察に行って払って、今度一日に行ってもう一遍八百円払うというのは懐に痛い、だから、月末に体の調子が悪くなっても一日まで待つんだ、こう言っている。こういうお年寄りの心情がおわかりになりますか。どう思われますか。
#250
○政府委員(岡光序治君) 先ほども申し上げましたように、それぞれの要素ごとに見た場合に、お年寄りの世帯と若い世帯との間にはそういう所得の状況であるとか、あるいは貯蓄の状況であるとか、そういったものにつきましては必ずしも低くないというふうに認識をしておるわけでございます。もちろん、個別のケースにおいてはお気の毒な御世帯があるのはよく存じ上げておるわけでございますが、総じて私どもが論じておりますのは、そういった全体の姿からして現在の一部負担の程度、それからお願いしようとする額については無理のない範囲ではないか、こういうふうに申し上げておるつもりでございます。
#251
○沓脱タケ子君 私のお話し申し上げておるのは惨めな一部の人とは違います。普通のお年寄りです。普通のお年寄りがそう言っておられる。それがお年寄りの心情だというんです。ですから、またこの一部負担もスライドをやるというのだけれども、物価スライドというけれども、さっきもお話があったように、落ちついておるときでも十年たったら二二%上がるというんです。国会の審議を通さないでスライドが許されるということになると国鉄の運賃を思い出してしょうがない。見る見るうちにどんどん上がって今日の高さになったわけですが、そんなことがお年寄りにやられたらたまらない。これは私はスライド制の導入はきっぱりやめるべきだと思うんです。
 入院の問題につきましては既に同僚委員からいろいろ言われております。これは一部負担が、修正案で四年度六百円で月一万八千円、平成五年、六年が七百円で二万一千円、平成七年度からはこれがスライドされる。しかしこれだけでは済まないということはもう同僚委員が朝からずっとお話しのとおりです。
 保険外負担、これはもう大変なことです。これは私、厚生省の老人保健課の資料を見て、本当にこんなもの実態かなと思うんですがいかがですか。実態はどうなっていますか。入院患者一人当たりの実費徴収の状況というのは、余り時間がないから詳しく言っておられないんだけれども、これは実際はこうなっています。これに報告をされている金額ぐらいではないんです。
 これは東京都のかなり大きい市の老人病院の保険外負担をずっと見てみますと、六万三千円、五万七千五百円、八万一千円、九万四千五百円という水準がずらり並んでおります。それが老人病院だけではなしに一般の病院に入院をいたしましても、先ほどもお話があったように、これは差額ベッドや付添料を除きましても十万円以上の実費負担が出ているという状況が出ておるわけでございます。
 こういう保険外負担があったら、五万や十万あるいは十五万の収入がある世帯でも、二カ月入院したら食べないでおらなければならぬです、実際。そんなところから値上げをしようかというようなこんなむごいことはやめるべきです。これは特に厚生省岡光部長に申し上げておきたいし、御意見を聞きたいんですが、こういう保険外負担を取ってよろしいという制度になったのが大問題だと思うんです。今日中間施設をつくり出してから以後、あるいは老人病院をつくり出してから以後、そういう制度が容認をされてきたのが一般病院にも広がってきているというのはゆゆしい問題なんです。だから保険外負担は必要最小限度しか許さないということを厳しく指導を徹底しなかったら患者はたまらないです。どういう指導を徹底されますか。
#252
○政府委員(岡光序治君) 差額ベッドにつきましては、ルールに違反しない、不適正な差額徴収を行わないようにという指導を徹底いたします。それからお世話料などのあいまいな名目での費用徴収は行わないようにということで、この指導も徹底をしてまいりたいと思います。それから付添看護につきましては、付き添いの要らない入院医療管理病院であるとか老人保健施設であるとか、こういった受け皿の整備を普及徹底させていきたいと思っております。
#253
○沓脱タケ子君 私は負担の公平の論理からいって、高齢者の生活実態から見て、一部負担や一部負担の引き上げあるいはスライド制の導入、ここには無理があるのでやめるべきだと思うんです。わずかな負担だというんだったら、これは公費でカバーするように見直したらいいんです。その点を強く要求をしておきたいと思います。
 時間ですので、次回に老人医療あるいは訪問看護等についてお尋ねをしていきたいと思います。
 終わります。
#254
○粟森喬君 私の方から幾つかのことについてお尋ねを申し上げたいと思います。
 今、同僚議員の沓脱さんからもお話があったわけですが、老人医療のいわゆる有料化が入った時期は私は労働運動の現場におりました。この制度が導入をされると将来のお年寄りの年金や医療について大変大きな変化があるということで、実はこの前後に健康保険の本人負担もあったわけでございますが、お年寄りの医療や福祉についてはもうちょっときちっとすべきだということの懸念が今あらわれたという前提で物を考えています。その意味で、幾つか重複するところもございますが、まずお尋ねを申し上げたいと思います。
 衆議院でスライド制の基準について今回物価ということに修正されました。しかし、物価もこの十年というのは経済的にもさまざまな変化もあったわけでございますが、いわゆる安定成長期と言われた時代でございます。これからも、OECDやさまざまな状況を見ても日本の物価は比較的安定をするだろうと言われていますが、しかし過去七〇年代、六〇年代を考えたらこれは大変な物価上昇でございました。したがって、物価上昇率にしたときには何らかの格好でここに歯どめを明確にしなかったら、先ほどの高桑委員の質問にもありましたように、これはそのときの国会ということにならない性格だろうと思います。今度のスライド制導入に当たっての基本的な骨格だと思いますが、このことについて改めて見解をお尋ねいたします。
#255
○政府委員(岡光序治君) 御質問の趣旨は、スライド率が高くなりそのままその率が一部負担額に反映されるとお年寄りの過大な負担となるのではないかという御懸念であろうかと思います。スライド制につきましては、今回新たに導入される制度でございますし、その影響を慎重に見きわめることが重要であると考えております。御懸念のような事態が生ずるようなおそれがある場合には、国会の御判断も得てそのあり方を総合的に検討することが必要であると考えております。
#256
○粟森喬君 私は今の厚生省の見解を聞いていて非常に感じるわけでございますが、厚生省が発議をしなかったらそれについては論議ができないというか、もちろん我々は国会議員ですからそのことについてはやいのやいのそのときは言いますが、基本的な問題としては見直しもやらない、スライドについても歯どめをしない、そのようなことでこれからのいわゆる老人健康保険といいますか、本人負担の問題が果たして本当にいいのかどうか、これは大臣にも、見直しをしない理由、そしてスライドについて歯どめをしない理由、再度お尋ねをしたいと思います。
#257
○国務大臣(下条進一郎君) 今回のスライド制の問題でございますが、修正を受けまして、スライドの根拠は物価スライドと相なったわけでございます。この物価の動向は、今委員のお話の中にもありましたように、過去は割合に安定しておりまして、十年間で平均二%ちょっと超えるという程度でございました。これからも政府としては物価の安定が経済の成長の基本でもあるし、また同時に国民生活を守る上においても必要であるということで、物価安定について最大限の配慮をしてまいる所存でございます。
 しかし、将来はわからないということも若干残るわけでございますので、その面での御懸念の御質問と思いますが、そういう点につきましては、私が午前午後における御質疑の中でお答え申し上げましたように、御懸念のあるような事態が生じた場合には、国会の御意見、また御論議を受けた上で対処してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#258
○粟森喬君 私は今の答弁でやっぱり納得できません。またさらに質問する機会もあると思いますから、納得できないということだけ明確に申し上げておきます。
 その上で、ちょっと幾つかのことについてスライド制に関連をしてお尋ねをしたいと思います。
 まず一つは、ここでも論議の中で出てきているわけでございますが、健康保険の本人負担は本則では二割になっている。老人保健は将来患者負担を五%を目指しているかのごとく幾つかの発言がございますが、これはどこでどういうふうに確認をして厚生省の見解として述べられているんですか、はっきりお答えいただきたいと思います。
#259
○政府委員(岡光序治君) 老人保健制度の見直しにつきましては、老人保健審議会、それから社会保障制度審議会においていろいろと御議論をいただいたわけでございます。そして、その中で私どもは、若い人とお年寄りとのバランスであるとか、お年寄りの中でのバランスであるとか、いろいろな観点の御指摘をいただいたわけでございます。それと、今御指摘もございましたが、医療保険のいわゆる抜本改正をめぐる御論議もこれまでずっと続いておるわけでございまして、そういったものを総合的に判断をして五%程度をというふうに私どもは考えた次第でございます。
#260
○粟森喬君 審議会は厚生大臣の諮問機関でございます。私なりにその数字を書いたところも幾つか見ましたが、私はこれは拡大解釈も甚だしいと思います。省議決定でもない。正式な機関でもどこも決めてない。しかしお年寄りの医療の五%の本人負担をあたかも前提にしているというのは問題だと思います。もしそんな論議があるなら審議会の資料をそのまま資料として提出してください。
 厚生大臣の諮問機関でどんな論議をされたか知りませんが、それが結果としてあたかも将来を拘束するようなことだとすれば、私は審議会のあり方を含めてこれは問題にしなければならぬと思います。しかし、少なくとも私が見た部分ではそういう意見もあるが別の意見もある、両論併記がいいところでございます。にもかかわらず今のような答弁をしてもらったら困ります。明確にこの見解と、もしそういう資料があるなら資料提出を委員長の方で取り計らいを決めていただきまして、お願いを申し上げたいと思います。
#261
○政府委員(岡光序治君) 審議会においては確かに多数意見、少数意見、これは両論併記でございましたが、私どもは多数意見に従ったわけでございます。
 それで、明確にその五%という数字を書いておるかということでございますが、それは書いたものはございません。これは私どもは、そういう御審議の中から政府としてこういう案でお願いをしたいということで基本的な考え方を定めているわけでございまして、それをまさに今、国会で御審議をいただいているものというふうに承知をしております。
#262
○粟森喬君 私は行政と立法のあり方から見てもお願いをしたいということについてきちんとしたけじめをつけるべきだと思います。きょうはこの問題について、これからのこともございますから、次回の質問までにその審議経過の資料を提出していただくことを重ねて厚生省と委員長に申し上げまして、このことに関係をして若干申し上げます。
 と申しますのは、老人医療というものは、先ほどの大臣の答弁にもあったんですが、老人保健法の理念は、健康は自己が責任を持つ、これは当たり前です。病気になりたいと思ってなる人はいません。それはよっぽど死に急ぎしておる人かなんかでございます。この法律の非常に大事なところはこういうことだと思います。六十五歳以上のお年寄りをとったって個人差が物すごくあると思います。一億円貯金がある人もあるし、また収入がある人もいます。しかしベースは年金の生活者がほとんどだと思います。あとは多少の貯金が、百万円ある人と一億あみ人とこれまた個人差がございます。社会保障政策というのはそういう個人差を問題にするんではなく、少なくともその人たちの老人医療についてお互いに公平に負担をするというか、だれが負担をするかというのはこれは一つの問題ですが、そのことも私は原点だと思うんです。
 だから、低所得者に何らかの保護措置をすればという問題ではなく、これからの社会保障政策の根幹にかかわる問題として、それぞれのお年寄りの生活状況がどうあろうと、ここについて本人負担の五%を入れるなどという考え方、いわゆる社会保障政策の根幹にかかわるようなことについてこの際スライドという言葉に表現されることで崩すということは大きな問題があるのではないかと思いますが、このことについての答弁をお願い申し上げたいと思います。
#263
○国務大臣(下条進一郎君) これも何度がお話を申し上げましたけれども、やはり高齢化が相当進んでおります。そして世界一の長寿国になりました。そして、この九月の十五日は敬老の日でありましたけれども、このときに調べましたことし新たに百歳になられる方が二千人を超えるという我が国歴史始まって以来のこういう数字も出ております。したがいまして、そういう高齢の状態を前提に置きながら老人保健法が、この制度が長く維持できるように、しかも支える方々の立場も考えながらということであります。
 もちろん老人の方々が一銭も払わなければ一番それはよろしいことでありますけれども、今のような前提で考えた場合にはほとほとの御負担を御本人にお願いする、だれも好んで病気になられる方はいないわけでありますから、その意味において最小限の本人負担をお願いしたい。ある方はおっしゃいます、例えばうちにいても食事代はかかるんだと。それから考えたら食事を食べながら医療を受けるわけでありますから、そこらのことを考えていただいて最低限の御負担はどこにあるかと、それは客観のいろんな状況を踏まえながら今回のような数字を出したわけでございます。
 ただ、これが急激に変わってはいけないということで、衆議院の段階で、今御承知のようなスライド制が導入されるとか、あるいはスライド制でなくして段階的な負担の金額の刻みを設けるとか、そして平成七年以後はスライド制にすることについて物価を基本としたところのスライド制に改正するということの御提言がございまして、その形で今御審議をいただいておるわけでございます。
 物価スライドについての御懸念は、私も何回か申し上げましたように、これからも政府としてはすべての基本は物価の安定であるということから始まりますので、十分御心配のないように努力をしてまいりますし、また万一そういう事態がある場合には十分国会の御審議を得た上で、あるいは御意見を拝聴した上で対処してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#264
○粟森喬君 私は、その部分について大臣とかなり見解を異にするというか、事実関係の確認をちょっとやらなきゃいかぬところが幾つかあると思う。例えば、入院のときに本人負担はこの程度ならいいだろうと言うけれども、現実には、本人負担というんですか、おむつ代だとかいろんなこと、これはうちにいたって要るじゃないかという話もあるけれども、入院と言われる状況というのは余りいい状態ではない。そういうものを考えたときに、やはり公費で老人医療を見るという原則をかなり明確に打ち立てていかないと、在宅看護もやる、いろんなこともやる、そしてできるだけ寝たきり老人をなくそうというときに、この辺の原則が明確でないとこれからの論議がなかなか進まないんではないか、そういう前提で幾つかお尋ねしたいと思います。
 私どもが問題にしている公費負担をふやすべきだ、寝たきり老人訪問看護・指導料、老人デイ・ケア料、重度痴呆患者デイ・ケア料について公費負担を拡大しろ、こういう意見を言っているわけでございますが、このことに対して現在それができないという理由は何でしょうか。
#265
○政府委員(岡光序治君) 一つは実務上の問題でございまして、今御指摘のありましたようなものを、診療報酬明細書の中からそういった記載がございます診療報酬明細書を抽出するということがまず実務的に非常に困難であるということと、それから仮にそういう記載事項が入っておる請求明細書を抽出することができたとしても、その記載事項の中にはたくさんの医療行為を記載してあるわけでございますので、その記載事項の中から該当の事項を何点であるかというのを把握をするというのは非常に実務的に困難であるということを申し上げているつもりでございます。
#266
○粟森喬君 実務的にそのことが整理をできれば実施をするというふうに理解してよろしいのかどうか、その辺のところについてお答え願いたいと思います。
#267
○政府委員(岡光序治君) 実務的に整理ができるということとあわせまして、やはり請求書を出すという場合には医療機関側からの御協力が必要でございますので、そういう意味では関係者の合意ということが前提になると思いますが、実務的に可能となり、関係者の合意が得られるということになりますと、私どもはこれを検討するという考え方に間違いはございません。
#268
○粟森喬君 これからまた詰める機会があると思いますが、きょうはこの程度にしておきます。
 私は、このことに関連をして多少申し上げたいのは、こういうところはやたらにアバウトで、あとの老人医療のところについてはやたらに、何といいますかお年寄りの医療を差別するというか、区別するというのか、そういうところがありますので、ちょっとその部分についてお尋ね申し上げます。
 私の手元に老人診療報酬の適用比較表、乙表、入院、これは一九九〇年四月時点のものです。これを見ましたら、特例許可老人病院入院医療管理科、これは病院側が受け取る診療報酬だと思いますが、これは五千七百三十円と五千三百七十円に区別されています。なぜですか。
#269
○政府委員(岡光序治君) これは同じ特例許可老人病院で入院医療管理料を採用しておる病院でございますが、TというタイプとUというタイプの点数の差は、配置人員に差があるわけでございます。いわゆる看護職員についての差があるわけで、その人数が多い方が五千七百三十円、少ない方が五千三百七十円、こういうふうになっているわけでございまして、これは人員配置の差により生ずるものでございます。
#270
○粟森喬君 私は今のようなことは別のことにもあると思います。確かに薬剤師がおるとか看護婦さんがたくさんおるところは入院管理料を変えるというのは多少の意味があるようだけれども、今度の公費負担なり老人の特定介護をするところの指定を、特定のところだけ五割にする、一般病院は三割にするというか、そういう三割、五割というこの選別というのはお年寄りの側から見ても医師の側から見ても幾つかの懸念があることは事実でございます。
 もう一つ具体的にお尋ねしますが、一般病院の診療報酬で点滴注射手数料は一日につき七百五十円でございます。ところが老人医療の指定を受けた病院、特例許可病院などは点滴注射料は、老人の場合は二百五十円しか払わない。一般の患者だったら七百五十円払っている。それでは年寄りには余り点滴するな、こういうふうに私は受け取れます。違うというならそれは言ってください。まして特例の許可病院や老人病院は回数に関係なくこれは二百円です。そうすれば老人医療に対して何となく手抜きというか軽視をしているということにこの老人診療報酬の適用の表から見たって思えるんじゃないか。今三割、五割という言葉が私などの問題意識にあるのは、こういう実態を見てもこれは大問題ではないか、こういう立場で見ているんですが、見解をお尋ねしたいと思います。
#271
○政府委員(岡光序治君) 老人診療報酬と一般診療報酬の違いでございますが、老人診療報酬においては老人の心身の特性に合った医療を進めていただきたいというためにこのような点数を設定しているところでございます。したがいまして、非常に端的な物の言い方をいたしますと、点滴注射のようなことはやめていただいて、むしろ生活指導であるとかリハビリテーションであるとかそういったところに重点を置いていただきたい。ちなみに申し上げますと、老人の外来医学管理料は百七十点、一般診療の慢性疾患外来医学管理料が百六十点というふうに、これは老人診療報酬の方が高い評価をしております。それから寝たきり老人訪問診察料も五百四十点、これに対しまして一般診療報酬は在宅患者訪問診療料が五百二十点というふうに、細かく申し上げませんが、それぞれやはり項目を考えまして、お年寄りにふさわしい医療を施したいということで現在の点数を構成しているわけでございまして、それぞれの項目について確かに点数の違いがございますが、それは繰り返しになりますが、お年寄りの心身の特性に合った医療を進めるという観点から私どもは設定しているつもりでございまして、決して差別をするような考え方ではございません。
#272
○粟森喬君 私もきょうはこれ以上細かく申し上げるつもりはございませんが、いろいろ申し上げても、先ほどの言葉に出ているように、一つ一つの医療の実態というのはお年寄りに対して幾つかの問題点を内包していることは事実でございます。したがって、老人の特性に合ったというのは、特性とは何かというふうにお聞きを本当はしたいところでございますが、そういうことを聞いているとほかのことが聞けなくなります。一般の普通の人たちと同じ医療を受ける、そして診療基準もそういうもので明確にしていく、こういうことをしていくべきだという考え方でございますので、その部分については審議をする時間がございましたら改めてお伺いをするつもりでございます。
 そこでちょっと全く別の問題で、ほかの方が取り上げなかった問題で一つだけ先に取り上げさせていただきます。理学療法士、作業療法士の配置の問題でございます。
 これについては、養護及び特養ホームの設備運営に関する基準第十九条第一項に配置基準を規定しております。しかしその後、ここが私、問題だろうと思うんです。養護及び特養ホームの設備運営に関する基準の施行令第三項第二号の運営規定によって、いわゆる訓練指導員のそれぞれの名称が削除され、介助員という言葉に置きかえられているわけです。これは理学療法士なり作業療法士をなかなか確保できないということで一緒にしたのかもしれませんが、私はこれからの老人医療の中ではこの人たちの役割というのは極めて大事だと思いますが、この間の変遷の経過と今後のあり方について見解をお尋ねしたいと思います。
#273
○政府委員(岡光序治君) 端的にお答えを申し上げますと、まさにOT、PTが不足傾向にあるということを前提にいたしまして、当面の対策としてOT、PTでなくとも医師の指示のもとで看護婦等が入所者に必要な機能回復訓練を行い得ると、いうことを前提に、当分の間の措置としてこのような暫定的な取り扱いを認めているところでございます。いずれにしましても、こういったOT、PTの人数が調えば正規のそういう人たちが得られるということを望んでおる次第でございます。
#274
○粟森喬君 それではお尋ねしますが、いわゆるOT、PTというもののこれからの育成の展望、これは厚生省としてどういうふうにお考えですか。これをお答えください。
#275
○政府委員(古市圭治君) 今般、医療関係者審議会の理学療法士作業療法士部会におきまして、こういう状況を踏まえまして需給計画の見直しを行いまして、八月十六日に厚生大臣あての答申をいただきました。それに従って養成数をふやしていきたいということでございますが、その答申の中では、現在の供給数が理学療法士が年間養成が千百二十五名、作業療法士が七百名でございますが、これを理学療法士二千八百名、作業療法士二千三百名、養成数の拡大について検討すべし、この答申を受けて養成校の増設等を援助していきたいと思っております。
#276
○粟森喬君 そういう検討すべしという意見が出たことはわかったけれども、厚生省そのものがこれを具体的にどうやってふやしていくのか。当面いないということはわかりましたが、これは看護婦さんの問題と同様に非常に重要な問題だと思います。厚生省として具体的に来年度以降どういう計画を持っているのか、はっきりお答えいただきたいと思います。
#277
○政府委員(古市圭治君) このような社会的に需要が非常に高いということから、養成校を新設あるいは定員数の拡大をしたいという要望も現に来ております。そういうものにこたえられますように、平成四年度には医療施設等の施設整備費補助金、現在ございませんが、この事項要求の中に理学療法士養成施設の追加等をやって支援していきたいということでございます。
#278
○粟森喬君 それでは、公費負担の五割となる対象の病院とそれ以外の病院についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
 今病院の場合、広告であるとか表示については幾つかの制約がございます。健康保険指定病院とか、それから何科と書くとか、あるいは老人病院とかいろいろ書くことがありますが、具体的に今表示についてどういうふうに指導をし、制約をしているのか、まずこの実態からお尋ねをしたいと思います。
#279
○政府委員(岡光序治君) 公費負担五割の対象としようとしております病院は、表に対しまして公費負担五割にしますよという表示とか指定をするものではございません。つまり病院の中において、介護の体制が整った老人病院につきまして、それはもちろん知事の承認を得てそういう老人病院の指定を受けるわけでございますが、そういったところの入院医療費についてそれを五割にするということでございまして、外部の人に対してここは公費負担割合五割病院であるというふうなことを表示するというふうなことをしようというものではございませんで、専ら老人医療費の費用負担の中での対象の区分という意味でございます。
#280
○粟森喬君 私の聞いたことに的確に答えてほしいのは、老人病院とは書いてもいいのかいけないのか、そういうことは今の規定上はどうなっているのかということをはっきりお答えください。
#281
○政府委員(古市圭治君) お尋ねの件は、現在の医療施設に関して決めております医療法に関する広告制限だと思いますが、この中では老人病院の表示はございません。
#282
○粟森喬君 ということは、老人病院ということを書いたらそれは行政指導なり法の概念からいったら違反ですね。もう一遍念を押してお尋ねします、私はそういうのを見たことがありますから。
#283
○政府委員(古市圭治君) 現在、医療法の第六十九条では広告制限というのがございまして、これに挙げているもの以外は広告してはならないということになっております。
#284
○粟森喬君 違反かどうかを聞いておるのだから、そのことについて違反だとはっきり言ってください。
#285
○政府委員(古市圭治君) 違反でございます。
#286
○粟森喬君 私は、最近老人病院という表現が何となくひとり歩きしている懸念、それからいろんなところでそういうことが言われている意味というのはこれから重要だと思いますので、まさにこれは行政指導なら行政指導の中で、特に公費負担が三割と五割になるわけでございますから、この辺の表示については明確な区分をするということをお願いをしたいと思います。その上でお尋ねします。
 今回のことで五割の指定を受ける病院のベッド数、それからそれ以外の公費五割に入らない病院の比率、これについてまずお尋ねをしたいと思います。
#287
○政府委員(岡光序治君) 公費負担五割の対象施設数は約八百施設、病床数にしまして約九万七千床でございます。
#288
○粟森喬君 ちょっとその辺のところを私質問の予告のときにちゃんと入れていなかったので申しわけないところがありますが、比率でお尋ねしたいのですが、全体の病床といいますか、これの比率で言うと何%に当たるんですか。
#289
○政府委員(岡光序治君) 老人の入院患者の患者数が全体で六十四万七千人余りということになっておりますので、ただいまの……
#290
○粟森喬君 もう次回でもいいから。
#291
○委員長(田渕勲二君) それでは、後で資料を粟森委員に渡してください。
#292
○粟森喬君 事前の打ち合わせも多少悪かったので、そこは次回で結構でございますからお願いしたいと思います。
 私がここで聞きたかったことは、三割、五割という、一部のものを五割にして、一部を三割に残す。五割がふえたからいいんじゃないかと言うけれども、トータルでは相当まだ公費負担の比率が低いということをこの数字によって明らかにしてもらうという意味がございました。したがって、その趣旨に基づいて幾つか申し上げます。
 先ほど、公費負担の拡大の対象として幾つか申し上げましたが、いわゆる保険外負担の軽減についてかなり実態がはっきりしてきたわけです。このことについてこれから解消するために具体的にその項目といいますか、どの部分をどういう方法で負担軽減の解消をしていくのか、やり方、方法について厚生省が今持っている考え方をお示し願いたいと思います。
#293
○政府委員(岡光序治君) まず、差額ベッドにつきましては、三人室以上の差額ベッドを取ってはならないということについての指導を徹底いたします。それから、いわゆるお世話料につきましては、あいまいな名目でのお世話料の徴収を禁止するということで対応したいと思っております。それから付添看護につきましては、まず付添看護を必要としない病院なり老人保健施設の受け皿の整備を早急に進めたいということで対応したいと考えております。
#294
○粟森喬君 私、実はさっき聞いた数字とここは非常に重要な関係があるのでもう一度申し上げますが、付添看護が要らない老人医療の施設が今の現状で何カ年ぐらいで実現すると思いますか。ここが一番問題なんです。現実にはそんな病院というのは余りないし、基準をいっている病院も少ないし、この部分の対応がまず一つです。
 それからお世話料の問題、さっき差額ベッドの指導の徹底のことも言われましたが、これは徹底すればいいという話だけで果たして本当に問題が解決するのかどうか。それからお世話料などというのは社会的慣習ですよ。これを全くゼロにできると、機械的にできると厚生省の皆さんが今の日本の社会を考えているとすれば、それは基本的認識が私は間違っている、こういうふうにここは申し上げたい。特に付添看護の要らない体制にするためには、おおむねどのぐらいの、今お年寄りがだんだんふえるし、これからの体制のこともあって不確定要素があると思いますけれども、皆さん自身が具体的にどういう展望を持っているか、私がこんなことを言っちゃなんですが、皆さんの場合何となくここで答弁すればいいというふうに聞こえてしょうがない。
 それからもう一つは、これだけ世の中の情勢が変わっていますから、確かにその都度その都度の変化に対応するというのは私は必要だと思いますが、現実にもうちょっとその辺のところについて、公費負担外についてどうしていくのかということについてはっきりした見解とか明確な答弁を私としては求めたいと思っています。そのことについて部長と大臣から答弁をお願いしたいと思います。
#295
○政府委員(岡光序治君) 確かに付添看護をつけておる病院は、先ほども申し上げましたように一般病院では一〇%余り、それから老人病院では一八%余りでございますので、そういったところのまずその実情をちゃんと把握をして、なぜそのような実情になっておるのかということは個別的に追求していかなければならないだろうということは一方で私は考えております。他方では、どのようにすれば、例えばそういったところが基準看護病院なりあるいは介護力強化病院に移行していけるのかという具体、個別の対応をしていかなけりゃならないだろうと思っております。
 その際には、今は要するに付き添いということで、患者とそれぞれ付き添いさんとの個人契約でその人たちが来ているわけでございますが、そういった個人契約ベースにするのではおかしいのではないか、やはり看護ということは病院の管理下で、病院の責任のもとで、それが他のスタッフとともに一体的に提供されるというのが原則でございますので、そのような方向を追求していかなければ付き添いの問題はなかなかうまくは解消しない。しかし一方では、そういう付き添いの人たちを提供している側からのいろんな意見もあるわけでございまして、そういったものと病院関係者七意見を十分突き合わせながら実態解明をして、また経済的な誘導をするなりして対応していかなければなかなかこの問題は解決しないんじゃないだろうかというふうに考えております。
#296
○委員長(田渕勲二君) 粟森委員に申し上げますが、質問中の資料要求がございましたが、これは後ほど理事会で取り扱いたいと思いますから、御了解願います。
#297
○国務大臣(下条進一郎君) この保険外負担の問題は、患者さんの立場に立ては大変大きな問題でございます。本人が苦しみながら病と闘っているときに、さらに自分の考えていない差額ベッドあるいはまたお世話料その他の保険外負担が大きな負担になっていることもまた事実でございます。
 この問題は厚生省としても非常に重要な問題と受けとめておりまして、これからその適正化に対しては鋭意指導と努力を重ねてまいりたいと思っております。
#298
○勝木健司君 私ども民社党は、昭和三十五年の結党に当たりまして、福祉国家の建設というものを目標に掲げて今日に至っておるわけでありますが、当時この我が党の目標に対して、与党からも、働かなくても食べていける怠け者の社会をつくるものだというふうに批判をされましたし、また他の野党からも資本主義の延命に手をかすものだということで相当攻撃されたのであります。ところが現在、福祉の充実を各党ともに唱えて、私たちの主張も正しかったなというふうに思っておるわけでありますが、こういう超高齢化社会が進行するという中で、福祉が切り捨てられるのではないかという国民の不安も非常に高まっております。
 九月九日の新聞の全国世論調査を見ましても、自分の老後生活に大いに不安を感じているという人が一四・五%、少しは感じているという人が三九・二%、合わせますと五三・七%、過半数以上の国民が不安を感じておるという結果が出ているのであります。こうした老後の不安を払拭し、心身ともに快適な生活を送ることのできる社会を築くことが極めて重要な課題であるわけでありまして、これにこたえるということが私たち政治家の責務であると信ずるものでありますが、きょうこの参議院厚生委員会におきまして、高齢者の保健医療の根幹をなし、また我が国の福祉政策の基本的な法律の一つであります老人保健法の審議を本格的に開始するに当たりまして、福祉政策の基本的なあり方について、まず厚生大臣の見解をお伺いしておきたいというふうに思います。
#299
○国務大臣(下条進一郎君) 二十一世紀の高齢社会を迎えるに当たりまして、その対応のために社会保障制度の基本的なあり方につきましては、昭和六十三年に福祉ビジョンにおいて長寿・福祉社会を実現するための基本的な考え方を明らかにしたわけでありますが、その中で年金、医療、福祉等について具体的に掘り下げた目標をお示ししたわけでございます。さらにまた、平成元年十二月にはゴールドプランを作成いたしまして、高齢者の保健福祉分野において実現を図るべき十カ年の目標を掲げ実現に目下努めておるところでございます。
 私は、国民一人一人が心から豊かさを実感でき生涯を通じてその能力を発揮できる社会、お年寄りから赤ちゃんまでの幸せを目指す明るく豊かな長寿・福祉社会を築き上げることが我々に課せられた責務であると考えておりまして、その実現に向けて努力をいたしておるわけでございます。
#300
○勝木健司君 社会保障の水準はその国の文化水準を示すバロメーターであろうかというふうに思いますが、この社会保障給付費の国際比較を対国民所得比で見てみますと、我が国の社会保障給付費水準は著しく低いと思われますが、厚生省は我が国の給付費水準をどのように評価しておられるのか、簡潔にお答えいただきたいというふうに思います。
#301
○政府委員(大西孝夫君) 私ども、我が国の社会保障制度は制度的には先進諸国とほぼ遜色のない水準に達していると思いますが、主として年金制度を中心にまだ成熟の過程にございまして、具体的な給付費という段階で比較いたしますとなお低いというふうに理解をいたしております。
#302
○勝木健司君 医療、年金、福祉の部門別公費を見てみましても、福祉に対する給付が小さいんじゃないかということでバランスがとれていないんじゃないかというふうに思われます。福祉は公的責任による対応が最もなじむ分野であるにもかかわらず、公費の投入がまだまだ不十分であります。このままでいきますと、我が国は豊かな経済的富を蓄えた経済大国にはなりましたが、国民に幸福をもたらすとは限らないことの歴史的例証となってしまうおそれがあるんじゃないかということで、医療、年金、福祉の部門別に見たときの福祉が軽視されているのはなぜかということで、厚生省の見解をお伺いいたしたいというふうに思います。
#303
○政府委員(大西孝夫君) 実は社会保障給付費についての各国比較をする際に、年金、医療というのは比較的比較が容易なのでありますが、いわゆるその他の部門という中に失業保険でありますとか家族給付も入りますし、社会福祉という分野を特に取り上げて計算しないと出ないということもございます。しかも福祉に関しましては国によりまして制度的な立て方、歴史的伝統も違いますし、地方と国の分担も違うというようなこともありまして、一概になかなか比較ができないという実態がございます。
 しかし、先進国との比較という意味とは別にいたしましても、現実に現在私どもが抱えておる社会的な要請、ニードというものに対してどこまで福祉財源が確保できているかという意味で先生から私どもに叱責をいただいているんだという意味で申し上げますと、例えば老人福祉につきましては、ゴールドプランをこれから十カ年必要財源を確保しながらやっていかなきゃなりませんし、国連障害者の十年を踏まえた障害者のための福祉施策、あるいは出生率低下が言われております児童につきましての健全育成のための環境づくり等々福祉の課題は多いわけでございまして、その福祉財源を今後大いに確保しなきゃならぬという意味で私どもは大きな責務と考えております。
#304
○勝木健司君 今後の老人医療、老人福祉のあり方は、年金政策と同様に、基礎部分については公的部門で、また付加部分については民間で進めるべきではないかという感じを持っているわけでありますが、今後は何を公的部門が担う、そして何を民間にゆだねるかという官民の役割分担に論議を集中すべきじゃないかというふうに思います。その際、社会保障の水準というものは、先ほども、申し上げましたように、その国の文化水準を示すバロメーターでありますから、政府は公的部門による社会保障水準の底上げを積極的に図る責任があるんじゃないかというふうに思うわけであります。そういうことにつきましての見解をお伺いしたいというふうに思います。
#305
○政府委員(大西孝夫君) 御指摘のとおり、今後高齢社会をにらんで我が国の社会保障制度を進めていく場合に、具体的な財源の負担割合をどうするか、公私の間の負担をどうするかという点につきましては、もちろん先進各国がこれまで歩んできた道も大いに参考になるわけでありますが、いずれにしましても、どの部分を基礎的なニードとして公的なサービスで対応し、あるいはどの部分からは個人の好みに応じたより高度なニードということで各人の選択なりなんなりによって民間で対応していただくという、その公私の割合分担、それからまた、同じ公の中でも国と地方の分担をどうするかという点は基本的な大きな問題でございまして、この問題につきましては、従来から議論のあるところでありますが、必ずしもその具体的なラインについて明確なまだ答えが出ていないと思います。基本的な方向としましては、将来の社会保障制度をにらんだ場合に、どこまで基礎的なニードとして社会的、公的に対応すべきかという点の判断によるものと考えております。
#306
○勝木健司君 国民医療費についてお伺いしたいというふうに思います。
 国民医療費が我が国の経済にもたらす雇用の創出等の波及効果も国民経済上無視できるものではないというふうに思います。このような国民医療費のプラス効果を考慮に入れますと、国民医療費の増加は一概に悪いこととは言えないばかりか、評価すべき側面もあろうかというふうに思います。問題は、この国民医療費の適正水準でありまして、これを知るためには国民医療費の経済波及効果を分析しておく必要があろうかというふうに思われます。政府は、この国民医療費の経済波及効果を分析しておられるのか、また分析しておられるとすれば、どのように評価しておられるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
#307
○政府委員(黒木武弘君) 国民医療費は毎年一兆円増大をいたしておりまして、現在二十兆とか二十一兆円の規模になっておるわけでございます。この規模によって国民が安心して医療を受けられるよう、そのための必要な医療費だというふうに考えております。この大きなスケールの国民医療費が雇用の創出その他、国民経済に多大な貢献をしているのではなかろうかという御指摘でございまして、私どももその点はそのとおりだと思っております。
 ただ、むだな部分があれば、当然これからの医療費の増大を考えますと削ってまいらなきゃいかぬわけでございまして、そのためにも良質で効率的な医療の供給ということを私どもは考えながら、医療費が経済社会の実勢に合うように努めていかなければならないというふうに考えております。
 具体的にお尋ねになりました関連産業等への波及効果等の点でございますけれども、残念ながら私どもは精緻にその辺の分析はまだいたしかねて。おるわけでございまして、これから研究、勉強をさせていただきたいというふうに思っております。
#308
○勝木健司君 老人保健法の実施主体についてお伺いいたしたいと思いますが、老人保健法の実施主体が市町村であるのはなぜでありましょうか。これは高齢者への健康保障が地域の人口規模とか、あるいは年齢構成、地理的状況、住民の健康状況などの地域的な特性に応じて保健事業が実施されるべきであろうからそういう形で実施されておるというふうに私は思います。
 しかるに、この老人保健法上の制度は、国家的な施策として国民的な最低水準を定めるものにすぎないわけでありまして、自治体によるいわゆる上乗せ事業は否定的に解されるべきではないというふうに私は思います。ヘルス事業への上積みは局長通知で奨励されているものの、老人医療に関する患者一部負担金の援助と老人医療適用年齢の引き下げ等については、厚生省はこれを慎むべきであると各自治体に通知をしておるわけでありますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
#309
○政府委員(岡光序治君) 実施主体につきましては、御指摘のとおりでございまして、各医療保険制度の再保険事業、共同事業として位置づけているわけでございますが、実際には地域における他の福祉施策等とも連携を保ちながらやっていただく方がよほど効果的であるというふうに考えてお願いをしておるところでございます。
 それで、その一部負担の援助であるとか、それから適用年齢の引き下げの問題で自治体独自の動きについてなぜ制約をしているかということでございますが、これはいわゆるかつての無料化制度の時代におきましていろいろ弊害が生じたというふうに私どもは理解をしております。そういういろんな反省の上に立って五十七年に老人保健法が制定されたわけでございますので、そういう意味ではこの老人保健法の原則にのっとって、一部負担のあり方なり適用年齢について運用をしていただきたいというふうにお願いしているわけでございまして、これはそういった制度の整合性ということを考えてのお願いを地方公共団体にしているところでございます。
#310
○勝木健司君 前回の昭和六十一年の老健法の改正のときに、次の老健法改正は抜本改正が行われるであろうということが盛んに論議をされたわけであります。しかし今回の改正案を見ましても、抜本的な改正ではなく、いわばバイパスづくりが行われているような気がいたします。本来なら改正案は昨年提出されていなければならなかったわけでありますが、あのとき論じられた抜本改正とは一体何だったのかお伺いをしたい。
 前回の改正のとき、参議院の審議段階で修正が行われまして、附則の第十四条「検討」の項目で規定が追加されたのであります。この検討事項と今回の改正案との関係についてはどのように考えたらいいのか、まず御説明をいただきたいというふうに思います。
#311
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のように、六十一年改正法附則十四条に基づきまして、いろいろ老人保健制度に関する検討を行ったわけでございますが、平成二年度におきましては、老人医療費の費用負担のあり方について関係者間の合意が得られず、厚生保険特別会計法の一部改正による特別保健福祉事業の創設を初めとするいわゆる保険基盤安定化事業を行って、当面の被用者保険の拠出金負担増の緩和を図ったというところでございます。
 もちろん、引き続きましてどのようにするか検討を重ねたわけでございまして、その検討の結果が今回御提出を申し上げております老人保健法の改正案でございますけれども、今回の改正案は老人訪問看護制度を創設する、あるいは介護要素に着目した公費負担の拡大をする、患者負担の見直しを行うというような制度の長期的安定を図ろうというところに主眼目を置いているものでございまして、そういう意味では附則十四条の趣旨に沿うものではないかというふうに考えておるところでございます。
#312
○勝木健司君 老人保健法は、七十歳以上の老人医療費の無料化制度が国保財政の破綻を来しかねないとの認識に立って、財政的な危機を回避するために制定されたという経緯がございます。昭和六十一年の改正によりましても、このような老人保健法の基本的性格に変化はなかったわけでありますが、変化したのは老人医療費の財源対策のみでありまして、医療費増大のツケが高齢者本人と被用者保険に回されただけのことではなかったかと思われます。受給者一部負担の強化、各医療保険制度間の財政調整等の手段によりまして、国庫負担を縮小する方向を目指すいわば財政対策法としての本質を一層顕在化させたのでありますが、今回の改正におきましても同様ではないかというふうに思われますが、お伺いをいたしたいと思います。
#313
○政府委員(岡光序治君) 今回は私どもは老人福祉法等の改正もさせていただいたわけでございまして、そちらの方でいわゆる福祉の体制が整っていくであろう、それといわば両輪のような形で老人保健制度の安定化を図り、市町村の現場においては保健と医療と福祉とが相連携を保ちながら、地域の実情に応じながら、お年寄りのニーズに適切に対応していけるように、こういうことを念頭に置いているわけでございまして、単なる財政対策を考えたものではなくて、特にお年寄りの介護に着目をした体制づくりを、しかも市町村の現場において整えることができる、そういう方向に踏み出すものというふうに理解をしているわけでございます。
#314
○勝木健司君 これからの長寿社会におきましては、だれでも高齢者になると病気の二つや三つは持っているというのが常態になってくると思われます。そうなると、果たして高齢者の病気は今までの医療保険だけの論理でいいのだろうかというふうに思います。そういう疑問が出てくるわけでありまして、将来におきましては医療保険と分離した何か新しい高齢者のための福祉の面からの論理というものが求められるのではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。
#315
○政府委員(岡光序治君) おっしゃるとおりだと思っております。これからの高齢者対策のいろんな課題の中で大きな課題は、やはり身体の機能が低下をして自分の力では日常生活を送っていけないような、他からの介助を必要とするような人たちがふえるわけでございますので、そういった人たちにいかに生活の質を保ちながら住みなれた地域、自分の家で生活を続けることができるかというところに問題があるわけでございます。そういう意味では、医療のみならず、保健、福祉の相互の連携のとれた総合的な対応が必要でございます。そして個々の疾病を治すということはもちろん必要でございますが、いわば一病息災という言葉もありますように、今ある病気をひどくさせないでできるだけ自分で自分の生活ができるように持っていくという、そちらの本当の広い意味でのヘルス的な事業、福祉的な配慮というものが必要だというふうに考えておりまして、ぜひともいわゆる高齢者保健福祉推進十カ年戦略とあわせた形でこれら保健事業の充実も考えていきたいというふうに考えている次第でございます。
#316
○勝木健司君 今回この老人医療の費用負担につきまして、介護に着目して公費の負担割合が引き上げられるわけでありますが、この問題に関しまして若干お尋ねいたします。
 まず、今後公費の負担割合が引き上げられる介護の対象は拡大をしていくのか、その見通しにつきましてどのような将来展望を持っておられるのか、お示しをいただきたいと思います。
#317
○政府委員(岡光序治君) 介護体制の整った入院医療管理承認病院とか、いわゆる老人病院の中での基準看護病院の今後の見通してございますが、これは基本的には各病院側の選択に任されておりますので、具体的な拡充計画とか目標数をお示しすることはなかなか難しゅうございますが、できるだけそういったシステムを採用しやすいような環境、づくりをしながら、こういったものを採用する病院が着実にふえていくような環境づくりに努めてまいりたいと思っております。
 それから、老人保健施設につきましては、いわゆる高齢者保健福祉推進十カ年戦略で平成十一年度までの二十八万床整備ということを目標にしておりますので、これが実現いたしますように、施設整備への援助であるとか、社会福祉・医療事業団による低利融資あるいは税制上の促進措置、こういったものを進めまして二十八万床の目標を達成したいというふうに考えております。
 それから、衆議院の御修正で加わりました老人訪問看護につきましては、いろいろ問題点もこの国会審議で御指摘いただいているわけでございますが、そういったものを踏まえながら、御答弁申し上げておりますように、平成十二年に約五千カ所程度必要になるというふうに見込まれますので、そういったことを念頭に置きながら地域にふさわしい形で整備を進めていくようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#318
○勝木健司君 老人医療費の公費負担をすべて五割に引き上げるべきであるという強い要望があるわけでありますが、今度公費負担が三割から五割に引き上げられる部分がありますが、この位置づけはどのように解したらいいのか。すなわち今後老人医療費の全体の公費負担の割合を五割に引き上げるものとするため、今回はとりあえず介護的色彩の強い面の公費の負担割合を引き上げたというぐあいに理解していいのか、その辺の見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
#319
○政府委員(岡光序治君) 私ども、現行の老人医療に対する公費負担割合は、既に実質的には相当の水準に達しておるというふうに評価をしております。そういう意味では、今後一律的に公費負担割合を引き上げるということは適切ではないのではないかと考えております。ただし、これから重大な課題であります介護体制の充実ということを図る面からは、公的なサイドからより強力にそれを推し進める必要があるという考え方のもとに、特定の分野に限定をいたしまして公費割合を充実するということを考えておるわけでございまして、そのことと将来五割にそれがつながる布石かという御質問でありますと、それは必ずしも結びついておらないというふうに私どもは整理をしておるところでございます。
#320
○勝木健司君 自民党の回答の中に、「公費負担五割の対象となる病院、施設等を計画的に拡充し、もって将来にわたり公費負担の拡大を図る。」ことと、「公費負担五割の対象としてこ「老人訪問看護療養費」を追加するとなっておるわけでありますが、このことによりまして平成四年四月一日以降の公費負担は一体どうなっていくのか、そしてまた、この改正が実施されていくと、ゴールドプランが終わる二〇〇〇年には公費負担はどのようになると厚生省は推測をしておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#321
○政府委員(岡光序治君) ただいまも御答弁申し上げましたように、公費の五割対象の病院がどのように推移していくか非常に私ども推測が難しいところでございます。そういう意味では何%というふうにはっきり申し上げられないわけでございますが、このたび補助対象にいたしました施設数がふえていく、それから対象にした老人訪問看護制度のようなそういう医療行為がふえていくということによって、全体の中に占める公費の割合が今の三〇%から次第にふえていく、こういう拡大傾向にあるということは申し上げられるわけでございますが、それが平成十二年の時点で何%になるかというのはちょっと正確に数字は申し上げられないので御容赦をいただきたいと思います。
#322
○勝木健司君 それでは、この衆議院の修正部分を含めて今回の公費負担五割の対象となる施設数は幾らでありましょうか。また、お年寄りの入院患者に直して何人ぐらいなのか、そのお年寄りの入院患者の何%に当たるのかということで、実態についてお伺いをしたいと思います。
#323
○政府委員(岡光序治君) 公費負担五割の対象施設数は約八百施設、病床数は約九万七千床でございます。そして新たに創設される老人訪問看護につきましては、非常に不確定でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、平成四年度では四百カ所程度というふうに見込んでおりまして、約二万人が対象になるというふうに期待をしているわけでございます。そういったものを前提として考えたところ、公費負担五割の対象となる老人入院患者の割合は、全老人入院患者のおよそ一三%程度になるというふうに推計をいたしております。
#324
○勝木健司君 現在千八百十八ある健保組合のうち三五・九七%に当たる六百五十四組合が既に赤字だという実態にありますが、この赤字の原因はどこにあると厚生省は認識しておられますか。
#325
○政府委員(黒木武弘君) 御指摘のとおり、平成元年度の決算におきましては六百五十四組合が赤字を計上いたしております。赤字の原因はさまざまだろうと思いますが、一つには石炭とか地方交通といったような構造的に収支状況が悪くなっている組合があるわけでございますけれども、そのほか老人保健拠出金などの支出の増加が保険料の自然増収の伸びを著しく上回ったというようなのが原因ではなかろうかと見ております。
#326
○勝木健司君 被用者保険の拠出金の負担増の緩和を図るとともに、老人保健制度の基盤の安定化のために特別保健福祉事業が実施されて、平成三年度では八百五十億円が計上されておりますが、この措置は来年度以降も引き続き実施されるものと思いますが、どう考えておられるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#327
○政府委員(岡光序治君) 平成三年度予算に引き続きまして被用者保険の負担軽減を行う必要があると判断をいたしまして、来年度本事業を継続したいというふうに考えております。
 今後の取り扱いでございますが、今回の制度改正による影響や効果、それから被用者保険の財政状況の動向、こういったものを全体的に見きわめつつ将来の取り扱いについては考えていくべきものと考えております。
#328
○勝木健司君 政府の原案によりますと、今回の改正で公費負担がふえる七百五十億円のうち、国が五百億円、原爆や結核や精神病に係る高齢者分として国の負担分が二十億円で、合計五百二十億円が新たにふえる反面、一部負担に係る国庫負担の減、国保の負担のうちの半分やあるいは政管健保の拠出金が減って、トータルすると国庫負担は百億円あるいは八十億円減るという数字があるようでありますが、この数字についてどうなっておりますか、お伺いしたいと思います。
 そしてまた、今回衆議院の修正によりまして、この数字はどのように動くのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#329
○政府委員(岡光序治君) 一部負担の改定によりましてその三割が国、地方に影響し、七割が被用者保険、国民健康保険に影響して、それだけ少なくなるわけでございます。被用者保険には政府管掌健康保険がありまして、その一六・四%の国庫負担がありますので、その部分が国庫負担として減る、そして国民健康保険には給付費の五〇%が入っておりますのでその部分が減るということで、先生おっしゃいますように、それで国の持ち出し分とそういう減額するものと差っ引きをしますと実は百億の減になりますが、公費負担医療が二十億それによりましてはね返りで要りますので、結果としては八十億の国庫補助の減ということになります。
 これが、御指摘がありましたように、衆議院の修正で一部負担の関係の財政効果額が減ってまいりました。それから公費負担の関係の影響も少しございますので、そういったものを差っ引きますと、今私が八十億の減と申しましたのが同じベースで考えますと真二十億円の増ということに相なります。
#330
○勝木健司君 それでは、大臣にお伺いしたいと思いますが、今後、老人医療制度を長期的に安定させていく、そしてまた適正な医療を確保していくためには国の責任と負担というものを強化する方向での制度改革が必要不可欠じゃないかというふうに思われます。
 政府は、消費税を導入するに当たりまして、高齢化社会への対応をその理由として掲げておりましたが、しかし消費税が導入された後も、年金にしても医療にいたしましても、公費負担が一向に拡大されないのはいかなるわけによるものでありましょうか。この老人医療について見ましても、老人医療費の増加は既に被用者保険に極めて過重な負担を強いております。
 先ほども申し上げましたように、健康保険組合の三六%の組合は既に赤字である、その主たる要因は老人保健への拠出金にあるということでありまして、このまま老人医療費が伸び続ければ被用者保険各制度の財政基盤は根底から揺らいでいく、そして医療保険制度そのものの崩壊につながりかねない危険性を秘めているのであります。
 政府案では、確かにわずかに介護部分にのみ公費負担率を三割から五割に引き上げるとされておりまして、衆議院では若干の対象拡大の修正が行われましたが、私どもはなお不十分であると考えるものであります。すべての老人医療費について三割から五割に引き上げることが医療保険財政を長期的に安定させ、社会保障制度の基礎をはっきりと固めるものとなると確信をいたしております。
 この点について、厚生大臣の決断を強く求めるものでありまして、私は当面この老人性痴呆疾患治療病棟、老人性痴呆疾患療養病棟、基準看護承認病院に入院している老人の医療費について五割に引き上げるべきだと考えますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#331
○国務大臣(下条進一郎君) 老人の数の増加、そして医療費の中に占める老人医療の増加傾向、こういうのも事実でございますが、お年寄りが安心して医療を受けられる重要性をまた私たちは常に念頭に置かなければならないわけでございます。そしてまた、あわせて働いておられる勤労者の負担というものも考えていかなければならないわけでございまして、そういう意味において今回の改正は、一つはこのような全体のバランスを考えながら長期安定的な制度を維持していくために最小限の改正をお願いしたわけでございます。
 そこで、お年寄りの方の御本人の御負担を定額でやってまいるという場合になりますと、将来にわたりまして医療費の増高は、ただいま最初に御説明いたしましたように、一般の医療費の伸びよりは高いということになりますと、そのまま定額でいけば自動的に若い方の負担がふえるということにも相なるわけでありますので、その点で私たちはこのスライド制の導入をお願いしたわけでございます。
 もちろん、政府の方の負担につきましても、私たちは特別な訪問看護制度を導入するなどして新しい行き届いた制度を拡充してまいりたいと思いますし、その他あらゆる面における介護・看護を通じましての対策も我々は配慮しておるわけでありまして、総合的な見地から制度の充実と長期安定を図っていくための今回の改正をお願いしておるわけでございます。
#332
○勝木健司君 スライド制についてお伺いしたいと思いますが、政府原案では一件当たりの外来医療費及び一日当たりの入院医療費の伸びにスライドすることとしておりましたけれども、今回衆議院の修正で一部負担の額を物価にスライドするように改められました。
 参考までにお伺いしたいと思いますが、最近における一件当たりの外来医療費及び一日当たりの入院医療費の伸びと物価の伸びはどのように推移しているのか、お聞きしたいというふうに思います。
#333
○政府委員(岡光序治君) 一件当たりの外来医療費の伸びでございますが、昭和五十九年度から昭和六十三年度の五年間で申し上げますと、三角の一・三%、四・一%、三・七%、六・六%、一・九%、平均で三・〇%でございます。
 それから、一日当たり入院医療費の伸びでございますが、同時期におきまして一・七%、五・八%、二・四%、二・四%、〇・五%、平均いたしまして二・五%となっております。
 物価の伸びでございますが、これはちょっと時点が違いますが、昭和六十一年から平成二年の五年間で申し上げますと、〇・六%、〇・一%、〇・七%、二・三%、三・一%、平均で一・四%となっております。
#334
○勝木健司君 一部負担を定率にしなかったのは、老人の生活実態に配慮したからであろうかというふうに思いますし、スライドの指標を物価にしたのも老人の生活実態に配慮したからというふうに思います。このような趣旨を考えますと、一部負担についても生活実態をにらみながら引き上げていくべきでありまして、修正により物価を指標とすることになったといたしましても、物価が大幅に上昇しているときにまで完全に物価にスライドして引き上げるのは納得できないんじゃないかというふうに思います。スライドの適用に当たりましては歯どめを設けるべきではないかというふうに思いますが、お伺いをいたしたいと思います。
#335
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま部長からお答え申し上げましたように、最近は一応物価が安定いたしておる傾向が続いておりますし、将来にわたりましてもやはり国の政策の基本は物価の安定からスタートするとも言えますので、その意味においては政府としては最大限物価の安定に努力をしてまいるわけでありますが、委員御懸念のようなことが起こった場合には、当然国会の御意見を尊重しながら我々も十分対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
#336
○勝木健司君 今回、老人医療費に初めて適用されることになりました一部負担のスライド制につきましては、国民への定着ぶりを見ることも大切ではなかろうかというふうに思いますし、老人の生活の実態にそぐわないものになってしまわないようにチェックをしていく必要もあるんじゃないかというふうに思います。
 したがって、必要があれば絶えず老人保健制度についても見直しをしていくべきだというふうに考えますが、いかがでございますか。
#337
○国務大臣(下条進一郎君) スライド制についての御懸念の再度の御質問でございますが、この点は、先ほど申し上げましたように、そういう御懸念の場合が生じないように我々は努力してまいりますけれども、万一そのような事態がある場合には、国会の御論議などを伺って政府としては最善の努力をしてまいりたいと考えております。
#338
○勝木健司君 まだ時間がちょっとありますけれども、残余の質問は次回に回したいというふうに思います。
#339
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#340
○委員長(田渕勲二君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 老人保健法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#341
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#342
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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