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1991/09/18 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第5号
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1991/09/18 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第5号

#1
第121回国会 厚生委員会 第5号
平成三年九月十八日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                岩崎 純三君
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                浜本 万三君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   事務局側
       常任委員会専門
       会        滝澤  朗君
   参考人
       全国町村会副会
       長        石古  勲君
       阪南中央病院内
       科医長      岡本 祐三君
       日本労働組合総
       連合会生活福祉
       局長       五十嵐 清君
       全日本民主医療
       機関連合会会長  莇  昭三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○老人保健法等の一部を改正する法律案(第百二
 十回国会内閣提出、第百二十一回国会衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本審査のため、本日は、お手元に配付いたしております名簿の参考人の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、御出席いただきましてまことにありがとうございました。
 皆様方から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、法案審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の皆様方に順次御意見をお述べいただくわけでございますが、議事の進行上、お一人十五分以内で御意見をお述べいただきたいと存じます。すべての方の御意見を拝聴いたしましたところで委員の質疑にお答え願いたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、これより参考人に順次御意見をお述べいただきます。
 まず、石古参考人からお願いいたします。石古参考人。
#3
○参考人(石古勲君) ただいま御紹介をいただきました全国町村会副会長をいたしております兵庫県社町長の石古でございます。
 まず初めに、諸先生方には、国民福祉の確保、向上にかかわる諸問題について日ごろ特段の御尽力をいただき、また市町村行政につきましても特段の御理解、御高配を賜り、衷心より敬意と謝意を表する次第でございます。
 本日は、老人保健法等の改正案について意見を申し上げる機会をお与えいただきましたので、第一線の行政に携わっている町村長の立場から、現在当委員会で審議されております老人保健法改正案に対して賛成の意見を申し述べさせていただきます。
 なお、全国町村会といたしましては、今回の改正法案につきまして賛成の立場から各方面に対し、その早期成立を要望申し上げてきたところでございます。
 御承知のとおり、我が国社会は、世界にほとんど例を見ない速さで人口の高齢化が進行しつつあるほか、出生率の低下、女性の社会進出など大きく変化をしてきております。このような事態は町村においても例外なく進行してきているところでありまして、特に高齢化の進展は、若年層の流出もあり、町村部において著しいものがございます。このような状況を踏まえますと、町村におきましても介護対策の充実を初めとして高齢者対策の整備拡充は喫緊の課題であると考えております。このような観点から見て、近年の老人の保健、医療、福祉の分野における国の行政施策の展開は時宜を得た適切なものと考えており、また今回の老人保健制度の見直しも本格的な高齢化を迎える我が国社会の基盤整備の一環として位置づけられるものと考えております。
 振り返ってみますと、まず昭和六十一年の老人保健法の改正により加入者按分率が引き上げられ、昨年度からこれが一〇〇%となり、国民の一人一人すべてが公平な負担によって老人医療を支えていく体制が整備されました。私ども町村は国民健康保険の保険者の役割をも果たしておりますが、六十五歳以上の人が五人に一人を超え、高齢社会を先取りしている国民健康保険の保険者としては、このような措置により財政危機の進行は一応回避し得るものと考えております。
 政府においては、平成元年十二月に高齢者保健福祉推進十カ年戦略を策定し、二十一世紀に向けて市町村の保健福祉サービス拡充のための基盤整備を進められているところであります。さらに、平成二年には十カ年戦略の法的裏打ちとして老人福祉法の一部改正が行われ、施設、在宅を通じる福祉サービスを町村で二元的に実施する体制が整えられましたが、現在、平成五年の全面実施に向け老人保健福祉計画の策定などに取り組んでいるところでございます。私どもとしても、これらの国の施策と相携えて、明るく活力ある長寿・福祉社会の建設に努めているところであります。
 ただいま本委員会で審議されています老人保健法等の一部を改正する法律案は、介護体制の充実、制度運営の長期的安定化を図るもので時宜にかなったものと考えておるところであります。
 まず第一に、老人訪問看護制度の創設についてでございますが、これは介護が必要な状態にある老人が在宅で安心して療養生活を送ることができるようにするためのものであり、在宅医療の推進にとって画期的なものと考えております。老後の生活に対する不安の第一として寝たきりや痴呆の状態になった場合のことが挙げられていますが、そのような状態となったときの老人の希望、本音といったものを聞いてみますと、病院や施設で療養するということよりも、できれば住みなれた我が家、我が町で家族や友人に囲まれながら生活を続けていきたいということであります。私どもとしては、これまでもホームヘルプ、ショートステイ、デイサービスなど在宅福祉対策の充実に努めているところでありますが、今回この老人訪問看護が制度化され、これら福祉施策と連携をとった形での拡充が図られていくことによりまして、老後生活における不安の解消にもつながり、またできるだけ在宅で療養したいという老人の希望にもかなうものであると考えております。
 次に、第二に一部負担金の見直しでございます。老人に過重な負担をかけたくないということは国民に受け入れられやすい考え方かと思いますが、私は、高齢化の進展に伴い老人医療費の増大は避けられない事態であることを考えますと、過度な負担を避けつつ必要な受診の抑制にならない程度の自己負担の見直しはやむを得ないものと考えます。また、いわゆるスライド制につきましても、定額の自己負担制を前提として、将来にわたり現役世代と老人層との間の負担のバランスをとっていこうというものであり、必要な措置であると考えております。
 御案内のとおり、老人医療費は現在年間約六兆円という額に上っており、今後ますますふえ続けることは必至で折りますが、現在の制度ではこれを医療保険各制度からの拠出金、国や地方公共団体の負担、老人の自己負担の三者で分担し合う仕組みとなっております。結局、保険料、税、自己負担という形で国民のだれかが負担をしなければならないわけでありますが、問題は、今のままでは保険料や税という形での若い世代の負担がますます大きくなっていくということであります。このような状況のもと、制度の長期的安定を目指し、老若国民各層が負担を適切に分かち合っていくという考え方に立った今回の一部負担金制度の見直しは必要かつ適切なことであると考えております。
 次に、第三に公費負担の拡大であります。先ほど申し上げましたように、加入者按分率の一〇〇%への引き上げによりまして、老人医療費の負担を国民で公平に支え合う体制が整備され、国民健康保険の運営も改善されましたが、一人当たり老人医療費は若い世代の五倍にも上り、また人口の高齢化がますます進展する状況にあって、国保財政の基調は依然として厳しいという認識を持っております。社会の高齢化に伴う老人保健財政の不安定化は、医療費支出の適正化や保健事業による中高年齢者の健康づくりに向けての努力では限界があり、やはり社会全体で制度を支えていく必要があると考えております。しかしながら、他方、老人医療に公費負担をむやみに拡大することは、公費の財源が税であるだけに、社会保険制度の建前からいっても好ましくないと思われます。こういったことを総合的に勘案すれば、今回の法律案の介護に着目した公費負担の引き上げは、地方団体の負担の増加もございますが、保険者の財政負担を緩和する意味からやむを得ないものと考えます。
 なお、衆議院におきまして、一部負担引き上げ幅の圧縮、いわゆるスライド制の指標を消費者物価に変更する、公費負担五割の対象として老人訪問看護療養費を追加する等の修正が行われたと伺っておりますが、立法府としての御判断であると受けとめております。
 以上、老人保健法改正案に対して意見を申し述べましたが、せっかくの機会でありますので、私ども町村が現在直面をしております最重要課題である高齢者保健福祉施策の推進について、この際一言申し述べさせていただき、諸先生方の御理解を賜りたいと存じます。
 高齢者保健福祉推進十カ年戦略につきましては、我々町村長みずから鋭意推進に努めていかなければならないと考えております。しかしながら、これらの高齢者保健福祉施策を円滑に実施していくためには、総数で十万人に及ぶホームヘルパーや施設従事者の確保が課題であります。しかも、業務の性格上、単に人数をそろえるだけでなく、心と心の触れ合いのできる人材が必要となります。このような観点から申し上げれば、在宅福祉施策の成否は質、量ともに十分なこれらの要員の確保にかかっていると言っても過言ではないと思われます。国におかれましても、このための具体的な対応策を検討中であるとお聞きしておりますが、早期に実効ある対策を打ち出されるよう期待をいたしておるところであります。
 また、特別養護老人ホームや老人保健施設の緊急整備等の基盤整備も強力に推進していかなければなりません。
 なお、財政基盤の脆弱な町村の現状から見て、さきに改正された老人福祉法等福祉関係法の施行に伴う町村のいろいろな施設整備のための経費及びマンパワーを含めた事務量の増加に対応する町村財政負担につきましては、国庫補助負担金や地方交付税等において実態に即した十分な財源措置をお願い申し上げる次第であります。
 諸先生方におかれては、市町村及び国保の実情を十二分に御理解の上、改正法案が早急に成立いたしますようお願いをいたしまして私の陳述にかえる次第であります。何とぞよろしくお願いをいたします。
 大変貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。
#4
○委員長(田渕勲二君) どうもありがとうございました。
 次に、岡本参考人にお願いいたします。岡本参考人。
#5
○参考人(岡本祐三君) 私は、主として老人訪問看護制度に重点を置いて述べたいと思います。
 老人訪問看護制度でありますが、これからの在宅高齢者あるいは障害者に対して積極的に出ていく形の医療サービスヘの道を開いた画期的な施策としてまず高く評価したいと思います。在宅での看護はもちろん、医療と福祉サービスの橋渡しをする重要な役割を担うものとして、高齢者への医療福祉の最先進国である北欧諸国でも、訪問看護婦は大変重要な位置づけを与えられております。これによりまして、障害を持った市民が、ただ在宅で専門的な看護を受けられるだけでなくて、福祉サービスを利用しやすくするために医療が積極的にその役割を担う、医療費でもってその費用を負担するようになったという意義をも有しているわけで、ある意味で医療の福祉化政策の一環という解釈も可能かと存じます。
 最初に、この訪問看護制度の効果的運用のために一般的な問題を少し指摘したいと思います。
 老健法そのものの成立の事情に振り返りますと、医療費増に伴う国保。財政の立て直しと老人医療の内容の適正化がねらいであったろうと思います。ここで老人医療の急増、すなわち老人の長期入院、社会的入院がその主因だということで老人の社会的入院というものがターゲット視されたことは事実であろうと思います。でも、社会的入院をしている老人患者とは、医学的治療は既に終わっているのに身体に障害を生じたためにもどのように自立生活ができなくなった人々である。いわゆる寝たきり老人でありますけれども、これはすなわち要介護老人のことであります。
 だれしも住みなれたところで暮らし続けたいというのは自明のことであります。御存じのように、日本の病院は、一流病院とされているところであってさえ長期間にわたる生活施設としては決して快適とは申せません。生活のアメニティーという点からはむしろ特別養護老人ホームのような福祉施設よりも劣ると言って差し支えございません。まして、いわゆる地域の普通レベルの病院とか老人病院の生活面でのレベルは相当ひどいものであって、こういうところにだれも好きこのんで年余にわたって暮らしたいと思う者はいないわけであります。しかし、自立生活能力がなくなったためにもとの生活に戻れなくなった人々が仕方なく不自由を忍んで入院生活を続けざるを得ない、という意味では、すなわち社会的入院の問題の本質は老人障害者の問題であります。これは非常に重要な認識であろうかと存じます。
 もし自立生活可能であれば、皆自宅復帰を希望するはずなんです。そのために必要な手だては、医療的にはリハビリテーションと訪問看護、そして生活援助の仕組みが不可欠であって、すなわち補助器具、まずこういう障害を受けた機能を補助する補助器具をうんと活用しなくてはいけない。それから住宅を改造する、給食サービスを行う、そういう形でまず自立生活を可能なようにしていく。さらに必要ならば生活援助としてのホームヘルプサービスであるとかケアつきの住宅といったものを供給していく。あるいは長期ケア施設としての特別養護老人ホーム。こういうものは何年も前から障害者福祉サービスとして身体障害者福祉法とか老人福祉法にすべて既に成文化されているものであります。
 反復いたしますが、寝たきり老人問題の本質は障害者問題である。そのための対策として、まず要介護老人問題というものが出てまいりました。
 しかし、この要介護老人問題というとらえ方は少しもう古くなっていると思います。と申しますのは、日本では寝たきり老人というのは、もう動くことはもちろん、生活を楽しむなどというのは夢のまた夢である、どうしようもなく絶望的な存在である、だからせめてとにかくこれを介護する側の負担を軽減するのが対策だ、だから要介護老人問題だ、こういうふうに認識されておりましたが、近年、北欧で我々が見てまいりました現実は、このような寝たきり老人は一人もいないという事実であります。
 北欧諸国では、このような障害を持った老人がナーシングホームで、あるいは在宅で快適と言ってもいい水準の生活をエンジョイし、あるいは買い物に出かけ、旅行に出かけるという、私も最初話を聞いただけでは信じられなかったのですけれども、この事実を何度も見てまいりました。そうなりますと、これはおむつをかえたり体をふいたり食事をさせたりという単なるお世話だけでは済まないわけでありますから、寝たきり老人問題は単なる要介護の存在という認識段階から、実は寝たきり老人とは寝かせきり老人であって、限りなく普通の暮らしをしてもらえるようにするという積極的な施策が必要であるという認識に進んでまいらねばなりません。端的に申しますならば、これは老若を問わない障害者の普通生活への道、ノーマリゼーションの問題であるということです。そういう意味では、先進諸国の発想としてはもはや要介護老人問題というとらえ方は時代錯誤と言ってもよろしいかと存じます。
 障害のもとになった原因疾患の治療は既に終わり、医学的治療はある意味で効果がなくなった状態でありますから、したがって、これは本来医療では解決できなかった問題であります。そういう基本認識のもとに、本来的には福祉施策の充実で解決すべき問題であったと存じます。
 しかし、福祉福祉と言うだけでも解決ができないのは明らかであります。といいますのは、日本の場合、諸般の事情から障害者対策が余りにも立ちおくれておりましたので、地域を見渡しましても、医療資源はそこそこ量的に整備されておるのに比べて、福祉サービスの資源は極端に少ないわけであります。例えば、私どもの勤務しております大阪府の松原市というところは、人口は十三万五千人ございますが、病院を合わせますと一千五百ベッドぐらいございますが、特別養護老人ホームは百八十ベッドのみです。そのほかに、数年前までは数人のホームヘルパーと貸出用の鉄パイプのキャッチベットと車いすが何十個がある、ただそれだけのことでございまして、医療と福祉を比べますと、従事する職員も福祉の方は二けたぐらい少ない、ほとんど太刀打ちできないぐらい少ないわけであります。
 医療と福祉の連携ということがこれまでも盛んに提唱されてまいりましたが、福祉サイドから医療に物事を頼まれる、例えばこの患者さんを入院させてほしい、厄介でしょうけれどもお願いしますという形の依頼はいっぱいあるわけですが、医療側から福祉サイドに頼むことはほとんどなかったわけであります。頼もうにも福祉サイドで提供できるサービスがほとんどない。初めからギブ・アンド・テークの関係にならないわけです。そういう意味では、むしろ福祉サイドは医療に長年の間に積もり積もった、累積した借金があるという状態でございます。これは、医療の方には健保基金という比較的自主的に使える財源を持っていたという事情があったと思います。したがいまして、今、高齢者保健福祉推進計画、いわゆるゴールドプランによって福祉資源の整備がなされているとはいえ、短期的には量的に頼りになる医療資源をいわば福祉サービス化して有効利用していく、あわせて老人医療費の削減を図っていきたいという、それしかないじゃないかという発想もそれなりに理解はできるものであります。
 ただし、こういう慢性長期の障害老人の問題を医療的に解決しようとしましても、長期的には決してうまくいきません。その典型例がアメリカでございまして、詳述する時間がございませんけれども、アメリカはこの問題を医療的に解決を図ろうといたしました。そして、低級医療施設として位置づけた営利企業に施設収容サービスの展開を全面的にゆだねたために政策的に大失敗を犯しております。サービスの水準は一向に改善されず、多くの老人がそういうところに入所したために破産いたしまして貧困者に転落する。結局、単年度で二兆五千億円という巨額の連邦の公費を投入する羽目に陥りまして、しかも医療制度全体の運営経費が二二%にも上るという、大変経営効率が悪化しております。しかも、利用者の不満は非常に強いわけであります。アメリカの例にかんがみますと、医療の福祉化政策でもってこのような老人の社会的入院問題を解決していくことは、当面は一定の効果があるかもわかりませんけれども、長期的にはかえって非効率を招きかねず、真の医療費の適正化と効率化は達成され得ないと存じます。
 さて、アメリカと対極にありますのが北欧諸国でありますが、特にデンマークの高齢者福祉は世界最高と言われております。この人口五百万の国が老人の医療、福祉の分野で切り開いてきた地平というのは実に驚きと教訓に満ちております。
 デンマークでは、日本でいうところの寝たきり老人問題の解決は障害者対策の発想で一九六〇年代から展開されました。障害老人の長期ケア施設、日本でいう特別養護老人ホームはデンマークではナーシングホームと呼ばれておりますが、サービス内容も日本のものに比べますと格段にすぐれておるのでありますが、決定的相違点の一つとして、この施設に青年期、中年期、初老期、老年期、あらゆる年齢層の重度の障害者がすべて入っております。つまり、こういった障害を持った市民のニーズは皆同じだから、年齢的な制限を加える必要は全くないという発想に基づいておりますから、関連する福祉制度も、生活支援法、あるいは社会援助法と呼ばれることもありますが、そういう制度に一本に極めて簡素化してまとめられておりますから、だれにでも制度の内容や運用の方法が非常によくわかる、したがって資源の利用効率も非常にいいというふうになっております。デンマークでの寝たきり老人ゼロの実現は、医療的にはリハビリテーションの強化と居住地域での福祉サービスの厚みと福祉サービス相互間及び福祉と看護、医療との連携のすばらしさのたまものであって、せんじ詰めていえば福祉の力というものがその七割であります。
 ここでは訪問看護婦が福祉サービスのコーディネーターとして役割を果たしている点が非常に大きいわけであります。デンマークでは訪問看護婦はすべて地方公務員でございまして、市役所の中の在宅ケア課というところに所属しております。ほとんどの地方自治体で三交代で二十四時間カバーしておりますが、大体総人口一万人当たり八人から十人配置されております。この訪問看護婦が在宅の老人たちの精神的、肉体的な一般状態の観察とか血圧の測定、あるいは医師の指示による処置とか注射、そういうことをやっておりますほかに、各種の福祉サービスを個別世帯へ導入してアレンジするという役割を担っております。つまり、ホームヘルプサービスの必要度の判定であるとか、あるいは補助器具の必要性、あるいは住宅改造が必要だ、そういうことを全部訪問看護婦が判断した上でしかるべき専門職種につなげていく、そういう役割を担っております。高齢者への医療と福祉の連携、各種のサービスを即時的に個人に合わせて集中していくために訪問看護婦はキーパーソンとして非常に重要な役割を果たしております。
 デンマークの医療費はGNPの約六%程度で日本とほぼ同じでありますが、老人医療の質は非常に高こうございます。病院に入院した場合の一カ月の費用は日本の四、五倍かけておりまして、平均入院日数約三週間ぐらいで、非常に濃厚な行き届いたケアをいたしまして、後は地域の介護施設であるナーシングホームとかあるいは在宅サービスに移す、そういう流れが極めて優秀なレベルで整備されておるからであります。
 行政ラインとしては、医療は県、社会福祉サービスは市というふうに分かれておりますので、県の所轄である病院が治療終了、退院を決めましたならば、市町村、市町村というか市ですが、とにかくこれを受け入れる体制を整えなければならない。ナーシングホームで受けるか、在宅福祉サービスを整えてホームヘルパーを配置して在宅で受けとめるか、とにかく処遇を市で引き受けなくちゃいけない。したがいまして、大体退院が決まる三月から七日間ぐらいの予告期間というものが法的に認められておりまして、その間にホームヘルパーや補助器具、住宅改造、ナーシングホームの確保、こういうものを市が確保しなければなりません。この予告期間を超えて入院させた場合、その後の入院費用は市が負担しなければならない、こういうふうなかなりきつい仕組みになっております。必ず入院中に病院の治療担当者と退院後ケアを担当する訪問看護婦が本人と一緒に退院後の生活の話し合いを持つことが条例で義務化されております。ここで本人の同意を得るわけであります。このように、退院後本人が家に帰って余裕を持った生活ができるかどうかに関しての地域でのサービスを取り仕切る中心的な役割が訪問看護婦であります。
 さて、日本の場合に即しまして訪問看護で何ができるか。一般的には看護であります。さっき申しましたようないろんな看護処置、それから家族への介護指導、それから一般状態の観察、医師の指示による注射であるとか点滴、そういうふうなことが可能になりますから、私どもも地域で訪問看護を十八年ほどやっておりますが、大変喜ばれております。
 しかし、寝たきり老人のケアの大部分は介護でございます。要するに、特殊な技術の要らない世話、これが多量に必要でございます。訪問看護婦がその介護のコツを家族に教えるといえば非常に耳ざわりはよいわけでありますけれども、実は、あれしてください、これしておいてください、これしないと床ずれができますよと指図することはかえって家族介護者の仕事をふやすことになりかねないというジレンマがあるわけです。しかも、一週間に三十分か一時間ずつ二回ぐらい行くのがせいぜいでありますから、短時間の訪問の中で家族への精神面での励まし効果とか医療効果は大でありますけれども、実際の介護負担の軽減効果は実は余り期待できない。つまり、家族の介護負担を軽減する仕組みがいろんな形で同時に投入されなければ訪問看護の意義は半減するわけであります。優秀な電動車いすを買い込みましても、それが使えるように家の中の段差がない、間口が広い、住宅の改造が伴わなければ電動車いすも動けないのと一緒でありまして、いろんな各種のホームヘルプサービスなどとか補助器具、住宅改造、そういうものが同時に投入されていかなければ訪問看護の意義は半減いたします。
 また、訪問看護婦自体が、世帯の抱える問題の深刻さに耐えかねて訪問に耐えられなくなるということも実際起こり得るわけであって、各種の福祉サービスを導入し、個別患者のニーズに合わせてそのサービスをアレンジしていくのに訪問看護婦は最適の位置にいる。と同時に、訪問看護婦にとっても各種の福祉サービスが使いこなせなければその力を発揮できないのであります。この点を御賢察願いまして、こういうような訪問看護と各種の福祉サービスをどうやって有機的に投入していけるか、そのような制度的工夫というものをぜひ望みたいわけであります。
 時間が参りましたので、あとの自己負担等の問題は御質問の中で答えさせていただきたいと思います。
 以上です。
#6
○委員長(田渕勲二君) どうもありがとうございました。
 次に、五十嵐参考人にお願いいたします。五十嵐参考人。
#7
○参考人(五十嵐清君) 私は、日本労働組合総連合会、連合の考え方並びに私個人の考え方を含めまして、老人保健法等の一部を改正する法律案について、政府提案並びに衆議院での修正に対し簡潔に御意見を申し上げたいと思います。
 政府提案に対して、私は、公費負担五割への引き上げを展望した大幅な拡大、一部負担引き上げの圧縮など激変負担の是正、一部負担の医療費スライドの指標の変更についての修正とともに、看護婦、保健婦等マンパワー確保対策、保険外負担の解消といったことの速やかな実施についての補強を図り、少なくとも国庫負担増を柱とする公費負担の拡大と患者一部負担の見直しとのバランスのとれた制度改正を実現すべきであると考えております。
 私どもは、この方針に基づきまして、衆議院段階で社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党、進歩民主連合、連合参議院の五会派によります共同修正要求を提出いたしました。その後、自民党から回答を得て、衆議院段階では修正が図られたわけであります。この間の各会派の先生方の御努力に対し心から敬意を表するものであります。
 しかし、この修正では私どもはまだ不十分であり、本院でも審議を尽くされる中から国民の合意が得られる修正、補強をさらに行われるよう、この場をかりまして厚かましいお願いではありますが、御要請を申し上げる次第であります。
 具体的に申し上げるならば、一つは、公費負担五割引き上げ対象のより一層の拡大であります。二つ目には、一部負担のスライド導入に伴うスライド制の上限歯どめ措置の設定であります。三つ目に、マンパワー確保対策の実効ある措置をとっていただきたいということであります。そして四つ目に、保険外負担の具体的な解消策を目に見える形で示していただきたいということであります。そして最後に、五つ目として見直し措置の設置というものであります。これらの課題等について補強、修正が必要であると私ども考える次第であります。
 そもそも老人保健制度は、これまで何回となく言われてきたことでありますが、私どもは老後医療保障のかなめであり、高齢者へ適切な医療を確保するため、予防、治療、介護、リハビリテーションなどの保健事業を包括的、総合的に行い、国民保健と高齢者福祉の向上を図ることを目的としているというふうに考えますし、これは今後とも堅持され実行されるべきものと認識しているものであります。
 しかし、老人医療費の七割は被用者各制度で現在負担をして、著しく過重なものとなっていることは明らかであります。今後、高齢化の進展に伴い老人医療費の上昇が避けがたい中では、被用者保険のみに過大な負担を求めるのではなく、長期的視野に立って老人保健医療における国の責任と負担を強化する方向で制度改革は行われるべきであろうと考えているところであります。もともと高齢者医療は社会福祉的性格が非常に強いものでありますから、この性格からしても国の責任と負担というものはまず第一義とすべきでありまして、この点からも、老人保健制度における公費負担は当面速やかに五割に引き上げなければならないと思います。
 今回の改正では、老人医療費のうち老人保健施設の療養費、介護体制の整った老人病院の入院費など介護費用に限定して現行三割を五割に引き上げることとしております。衆議院での修正では、新設される老人訪問看護制度の療養費が追加されました。介護に着目した費用と限定はされておりますものの、公費負担の拡大に向けて施策が打ち出されたことは、今後この介護施策を積極的に推進すれば公費負担が金額、傘とも拡大することでありまして、私どもとしては一歩前進と評価をするものであります。
 政府案に盛られております施策としては、老人保健施設の拡充とあわせ、特例許可老人病院の基準看護承認病棟の増床、現在は約三万四千床程度で老人病床の二四%弱というふうに言われておりますが、これのさらなる増床、さらに入院医療管理承認病棟の増床、これについても現在二万八千床程度と言われておりまして、特例許可老人病床全体の一九%程度にすぎないというふうに資料には出ているわけでありまして、これらの積極的な推進が図られる必要があろうかと思います。
 さらに、制度的には、一般病院における基準看護承認病棟に入院している老人医療費、精神病院の老人性痴呆疾患治療病棟及び老人性痴呆疾患療養病棟にかかわる老人医療費、デイケアなどに対して公費を拡大すべきであると考えます。今後さらに改善、修正を求める第一の課題であります。
 第二に、一部負担のスライド制導入に伴う上限歯どめ措置の設置であります。消費者物価上昇率に指標を変更したことは、医療費スライドよりも負担する側からすればわかりやすい指標と言えますが、仮に以前のような狂乱物価が到来した段階では過重な負担を緩和するため二足の上限を設定することが必要ではないだろうかというふうに思います、それはすなわち高齢者の生活を守っていくことにもなるわけであります。この点、高齢者の、特に低所得層に近い所得層に配慮をし、なおかつ高齢者全体の生活保障といった側面からもスライド制の上限歯どめ措置はぜひとも講ずべきであります。
 三点目に、看護婦、保健婦等のマンパワーの確保の問題であります。厚生省では、次期通常国会に法案を提出するため保健医療・福祉マンパワー対策大綱を発表いたしました。勤務条件の改善や養成力の強化、就業の促進、社会的評価の向上などがこの大綱には盛り込まれておりますが、これは厚生省一省のみの対応ではなくして、政府が一体となって取り組むべき課題であると思われます。単に絵にかいたもちにしないためには責任を持って政府全体として実現に向けて取り組みを要請したいというふうに考えるわけであります。
 第四に、保険外負担の軽減、解消についてであります。この点についても、厚生省の資料ではありますが、九〇年の保険外負担は約二万二千五百円というふうに以前発表されたことを記憶しております。これは八五年よりも五千円ほど低くなっておるということでありますが、実態はもっと高いというのは明らかであります。私どもも実際に経験した者からの話で聞くわけでありますが、付添看護料を含めまして一日一万円は当たり前になっているようであります。また、高額療養費の自己負担限度額の引き上げに際しましても、社保審の答申で幾つか提起をされておりますが、院内看護化の推進等による付添看護問題の改善、不適正な保険外負担の解消が指摘をされているわけであります。この詳細な内容あるいは実態を早急に明らかにすると同時に、現在あってはならない基準看護承認病院における付添看護の即時廃止、さらには三人室以上の差額ベッド料の即時廃止等に向けたこういう施策をとるべきではないか。
 さらに、この保険外負担の解消に向けた展望といいますか、施策も早急に明らかにすべきであるというふうに考えるわけであります。
 最後に、制度の見直し条項の新設であります。これまで申し上げてまいりましたように、公費負担の拡大やあるいは新設されます老人訪問看護制度の進展状況などについて国会に報告し、さらにその報告に基づきまして今後の施策を図り、あるいは対応等を図るために、ぜひとも新設をすべきではないかというふうに思います。
 以上申し上げました点につきまして、本委員会あるいは本院で十分御審議を賜りまして、ぜひともこれらの点についての対応をお願い申し上げまして、簡単でありますが、私の意見開陳にさせていただきます。
 ありがとうございました。
#8
○委員長(田渕勲二君) どうもありがとうございました。
 次に、莇参考人にお願いいたします。莇参考人。
#9
○参考人(莇昭三君) 今回の改定は幾つかの柱がありますが、まず私は一部負担金の改定について意見を申し上げたいと思います。
 外来、入院わずか二百円と三百円の値上げという意見もあるかと思いますが、現在の自己負担金でも高齢者には大きな負担となっていることであります。通院しています老人のハンドバッグを見ますと、ほとんどの方が二枚か三枚の診察券を持っています。老人は幾つかの病気を持っていることが多く、それぞれの病気で医者通いをしなければならないわけであります。その都度一部負担金が必要なわけであります。
 日常の診療で最近気づきますことは、できるだけ二週間以上薬をくださいと言う方、あるいは内科医である私に、白内障や水虫の薬を出してほしい、そういう依頼をされる方がふえております。他科でわざわざ受診するよりもその方が便利だということもありましょうが、やはり一部負担金の問題ではないかというふうに推定しています。
 私の病院に通院する老人の受診状況から判断しますと、内科へ月三回、歯科へ三回、時々眼科、耳鼻科等に通院するそういう平均的な老人ですが、歩くのが不自由なことが多くてタクシーを利用しますが、一部負担金を含めて大体月二万五千円前後が必要となっております。つまり、自己負担は決して一部負担金八百円ではないのが実情であります。
 入院の場合はどうか。この点では、厚生省の資料にありますように、二万二千円、あるいは前の年は二万七千円の保険外負担があるというふうに言われております。この数字から見ましても、入院のときの一部負担金と合わせますと、約四、五万円が出費になるわけです。しかし、この厚生省の調査は、おむつを必要としない方の集計ではないかというふうに思います。全国保険医団体連合会の調査ですと、おむつ代に月二万から三万五千円が必要な人も多い。また差額ベッドに入室しなければならないような状況の方はその差額ベッドが追加されるわけであります。おむつの必要な方でも月七ないし八万円が自己負担として必要となっております。決して入院一部負担金月一万二千円で済んでいるわけではございません。
 よく、入院患者の一部負担金の必要性として、家にいても食事をするではないかという例が出されます。総務庁の八九年度の高齢者無職世帯の家計収支の調査を推計しますと、老人の一日の食費は約七百八十六円。一カ月にしまして二万三千五百九十一円になります。仮に在宅老人と入院老人のバランスと言うなら、自己負担はこの程度が限度で、おむつ代や室料等は保険で対応すべきではないかというふうに私は思います。
 一方、高齢者の家計を見ますと、平成二年の国民生活基礎調査では、年収二百七十六万までの世帯が七二・七%となっております。その方々の生活意識は、大変苦しい、やや苦しいと述べられる方が三九・九%であります。一方、厚生省の八七年の企業年金等研究会中間報告では、安定した老後生活のためには必要給付水準は月額二十七万五千円であるというふうに述べています。ですから、平成元年の総務庁の家計調査報告にありますように、高齢無職世帯は月平均三万四千八百九十九円の赤字になるのは当然であります。この赤字対策として、高齢者は教育費、交通費、そして保健医療費の節約で辛うじて生活しているのであります。このような老人の家計から見まして、一部負担金はスライドして引き下げる必要こそがあるというふうに思います。
 この九月十四日に総務庁の老人の生活と意識に関する国際比較調査が発表されました。それによりますと、子供たちが気にかけてくれなくなる不安が全くない人は、アメリカやイギリスでは五〇%以上であります。我が国の老人はわずか二〇%弱。この矛盾が、これからの人生で一番大切なものは何か、二番目に大切なものは何かという質問に対して、外国では宗教、友人であります、ところが日本の老人は財産という結果にあらわれております。豊かな国の惨めな老人像を示しているのではないでしょうか。
 今回の改定にその他とあり、老人の心身の特性に応じた医療等のために医療内容の評価方法等々検討すると提起されております。しかし、今緊急に検討すべき問題は、老人医療の差別をなくするための検討だと思います。老人保健法の制定時に、老人特掲診療報酬が今回と同じく老人の心身の特性をうたって制定されました。これらの制度はその後、介護強化病院という名目で定額制診療報酬がつくられたわけであります。これらの制度は、二、三の例外がありますが、老人の医療だけに点数を低くしたものであります。このような体系は、社会保障制度を全国民に適用している国々では類を見ない差別医療制度であります。これらの制度ができてから老人患者の早期退院を強化する病院と、できるだけ検査などの治療をしない病院とに二極分化していることは周知の事実であります。
 厚生省保険局の九〇年二月調査では、特三類看護の病院がふえまして、特二類看護の病院は減少しています。つまり入院期間二十日間をめどに患者の早期退院を経営上勧める病院がふえていることを示すわけです。今、入院して二、三カ月たった患者と家族の悩みは、いつ退院を言い渡されるかが第一の心配と言われております。
 私の病院の経験ですが、昨年一年間に、七十歳以上の方で全介助または一部介助の方々の入院相談を三十九件受けております。つまり発病して入院してよくなる。それで在宅介護。介護はこれ以上続けられないから入院させたい、こういうケースであります。対応した結果ですが、病院からの早期退院と思われる方は十五例、老人保健施設の自己負担が高額で入所が続けられない方が三例、他は、現在の在宅介護サービス制度等では到底これ以上在宅介護が続けられない、そういう世帯であります。この在宅患者の実態こそが老人特掲診療報酬や二十日間を限定した特三類看護制度からくる老人医療の差別そのものだと思うのであります。
 ある百床の老人保健施設の例ですが、八八年五月からの一年間で病態が急変して二十一例が併設診療所または協力病院に転送をされております。このうち八例が死亡していますが、その病名は腸閉塞、心筋梗塞、心不全、肺炎であります。問題なのは、死亡八例とも同じフロアの併設診療所に転送されたケースだということであります。つまり、今の老人保健施設の医療、看護の問題点を示している気がいたします。老人患者は安定していてもいつ何が起こるかわからない、老健施設という名目での医療の制限は結局は死亡という最大の老人差別を示していると思うのであります。このことはまた逆に、症状不安定な老人は施設に入れたくないという施設側の老人排除という差別ともなっていると思うのであります。
 今回の改定、その他の医療内容の評価等々ですが、このような今回の今申しましたような老人医療の差別、病院からの早期退院の強制、まともな医療ができない制度こそ検討すべきでありまして、心身の特性を口実にしてさらに老人患者の差別の強化につながりかねないことを疑問に思っているわけであります。
 次に、老人訪問看護制度の創設に関して意見を述べたいと思います。
 地域での在宅医療・介護の充実は今非常に必要だと私は思っております。私は、この点での強化は、今行われている医療機関や自治体を中心にした訪問看護、介護センター、ホームヘルパー派遣事業、こういう制度を積極的に進める方向をとるべきで、今回の提案の制度化には疑問を持っております。今回の提案は、医療法や老人保健施設の設置のときのような営利目的を禁止する条項が見当たりません。八九年六月に発足しました法律第六十四号、民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律との関係や、アメリカでのこの分野での実態からしまして、もしこの事業が開始されれば営利的な訪問看護がどんどん進められることは火を見るよりも明らかだと思うからであります。
 私の病院では現在六十一名の方を訪問看護しております。今の在宅患者診療報酬でこの収入を合計しますと年間一千二百三十万円となります。ところが、この仕事には二・八人のナースがかかわっていますが、この方々の人件費は一千二百四十三万円であります。つまり赤字であります。ですから、車代を含んだ医療材料費品はもちろんのこと、医師の賃金も全然出てこないわけであります。
 このようなレベルで今回の老人訪問看護療養費も設定されると思います。つまり、基本的看護・介護サービスの概念で一括されまして、本当に必要な看護・介護はオプションで追加可能とされ、その部分は保険適用外、つまり営利部分となることは必然であります。これは、例えばKKダスキンがホームケアサービスのメニューを出しておりますが、一日一時間、週三回で月十二万円であります。今の厚生省がこの老人訪問看護制度でこの分を認めるとは到底考えられません。必要な多くの部分はオプションになるに違いないというふうに思うのであります。また、このオプション部分を前提にしない限り制度としては成立しない、業者の参入がないわけであります。このようなオプションという保険外負担を前提にした制度は、ますます貧富の差による老人医療福祉の差別を持ち込む、老人患者を含めた家族をサービスの口実で企業の利潤追求の市場にするものと断言せざるを得ないのであります。
 また、このような制度は、現在の訪問看護あるいは在宅介護サービスの制度の形骸化に通ずるのではないかというふうに予測します。特に問題になりますのは、アメニティー部分のオプション化は保険適用除外部分を他の医療分野に拡大させ、年金と同様に二階建て医療保険制度がつくられる引き金となりかねないことであります。憲法で国民に保障されました社会保障の否定につながると思うのであります。
 最後に公費負担割合の引き上げの問題ですが、時間がありませんので結論だけ述べさせていただきます。
 九〇年十二月の老人保健審議会意見では、少なくとも公費負担を五〇%に引き上げるべき、こういう記載があります。バランス論の前に、まず国庫が老人医療費の五〇%は補完すべきだと思いますし、このことは湾岸戦争での百三十億ドルの戦費負担を見ている国民の素朴な感情ではないか、そのように思います。衆議院で二、三の修正がされていますが、しかし介護は大切ですが、政府は介護介護と言って議論を誘導してわずかの修正に応ずる陽動作戦をとっていることを国民は見抜いています。行政改革の今、非常に事務的に煩雑な介護の負担ではなくて、老人医療全体に少なくとも五〇%の国の負担が必要だと思うのであります。
 政治の前提というのは、私は強い者は我慢をして弱い者を助けることではないか、そのように思います。
 以上で意見を終わります。
#10
○委員長(田渕勲二君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。
 これより参考人の方々に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○前島英三郎君 自由民主党の前島と申します。
 参考人の先生方、きょうはまことにありがとうございます。
 私は、まずお三方に質問をしたいんですが、岡本先生、五十嵐先生、莇先生、今後も老人医療費の増大が見込まれる中で、これをだれがどのように負担していくことが公平にかなうことなのかということでございます。
 御承知のように、我が国の老人医療費は平成二年度で約六兆円という形になります。これは年々増加の一途をたどっているわけでありますが、人口の高齢化に伴いましてこれは増大し続けていくことでありましょうし、試算では平成十二年度には約十六兆円ぐらいになるだろう、こういうぐあいに推計されておるわけであります。現在の老人医療費の負担の内訳を見ますと、各医療保険制度からの拠出金が六七・八%、国と地方公共団体の負担が二九%、そしてお年寄り自身の負担が三・二%、こういうぐあいになっておるわけであります。現行の老人保健の仕組みではお年寄りの自己負担を除いた部分につきましては保険者の拠出金と公費で賄うということになっておりまして、定額一部負担制のもとでは老人医療費の増大に伴ってお年寄りの負担のシェアは逐年低下し続けていく、こういうことになるわけであります。
 このことは、逆に言いますと、保険料や租税という形での若年世代の負担が増大していかざるを得ない、こういうことになるだろうと思うのであります。確かに人情といたしましては、お年寄りの負担は少なければ少ないほどよいということは理解できるわけでありますけれども、しかしながら、費用のほとんどを保険料や租税の形で負担する若年世代の理解を得ていかなければ最終的に制度自身がひっくり返ってしまうということになろうかと思います。
 きょうの新聞など見ましても、あのスウェーデンモデルと言われておりました高齢者福祉のパイオニア的な存在のスウェーデン自体も、若年層かうの猛烈な反発によって今までの長い現政権がひっくり返るというような事態、あるいは高福祉高負担というものがいかに現実の経済における活力を弱めていくかという問題が指摘されて、今後の推移を見守りたいと思うわけでありますけれども、結局国民のだれかが負担をせざるを得ないということを考えていきますと、老人医療費につきまして、一部負担は少なければ少ないほどよい、公費負担は多ければ多いほどよいといった議論は、若干無責任な議論と私は感じておるわけでございます。
 そこで、増大し続ける老人医療費について、だれがどのような形で負担していくことが公平であり、あるいは制度の長期的安定に資することになるか、お三方のお考えをお聞かせ願いたいと思うわけであります。とりわけ、保険料や税という形で費用の大部分を負担している若い人たちの世代の負担を今後どうしていくべきか、あるいは出生率の低下、こういうことも絡み合っていくと思うのでありますが、その点について岡本先生から例えればと思っております。
#12
○参考人(岡本祐三君) まず、最初の話の中でも申しましたように、日本の場合、医療費の中に本来福祉が担うべきものが多量に入っております。先ほどデンマークの医療費はGNPの六%と申しましたが、デンマークの場合、年金、医療以外で高齢者福祉に実はGNPの三・六%をつぎ込んでおります。したがいまして、本来福士が抱えるべきものを医療から差し引けば老人医療費そのものはそのように天文学的な数字になるはずはございません。
 それから、若年層の負担に関して申しますと、老人と勤労年齢層の人口比だけで比較するのは非常におかしい。つまり、勤労年齢層が支えておりますのは高齢者だけではなくてゼロ歳から十九歳までの被教育層も負担しておるわけであって、例えば現在義務教育の児童、少年たちに対して年間数十万の公費が負担されておりますから、高齢者層は確かにふえるわけでありますけれども、一方でそういう児童が減っていく、そうしますと、一定年齢層の中で占める勤労年齢層の割合はそれほど減るものではございません。あと四十年で数%ぐらいである、もちろん出生率の低下というのは大変な問題ですけれども。そうしますと、これまで子供に使われていた社会資源を高齢者にシフトするということで、かなりまず相殺されるはずであります。
 自己負担と申しましても、基本的に年金生活をしている老夫婦が、例えば片方が病気になる、片方の配偶者の生活がちゃんとできる範囲であれば、これは一向に構わないと思いますが、病人を抱えた年金生活者の世帯にそれほどの可処分所得があるはずがないわけでありますから、これは必要分は税で負担するのが当然であり、それしかない。逆に、アメリカの例が先ほども出ましたけれども、アメリカの場合にはこういう長期の障害老人のケアというものをナーシングホーム産業という産業にゆだねた。そこではナーシングホームの費用はほとんどが自己負担でございますから、入居したら最後、半年で六割の老人が生活保護に転落いたします。費用が支払えなくなる。一年を経過しますと七割以上の老人が生活保護になって、より低レベルのナーシングホームに移っていって産めな一生を終える。そのナーシングホームで生活保護を受けるには、持っている資産を全部使い果たさなくちゃいけない。その結果、結局連邦政府は単年度で二兆五千億という公費をつぎ込まざるを得なくなっているわけです。結局、税でやらなくちゃいけない。そういう意味で申しますと、説とか社会保険とか公費で負担する以外に方法がない。
 それから、今、前島委員がスウェーデンのことをおっしゃいましたけれども、実はスウェーデンのあの政変は、今度かわって政権をとりました四党も、一党の新民主党というのは別でございますけれども、基本的な高福祉の枠を外さないでやるという制度でございます。その高福祉のための費用をいかにして捻出するか、EC加盟に当たっていかにスウェーデンの国際競争力をつけるか、そういう意味での一種社民党におきゅうが据えられたというだけのことであって、現にデンマークなどは社民党はしょっちゅう政権を渡しております。しかし、あの高福祉の枠組みは変わらない。北欧の政変の枠組みは全部そういう中での話だと存じます。
#13
○前島英三郎君 私の時間が七分までですから、五十嵐参考人には別のことを。
 スライド制の話が先ほど出ました。日本の経済も安定的な経済の伸びをしておりますから、例えば大きなインフレになったら困る、狂乱物価という時代になったら大変だというようなことで、議論はわかるわけですけれども、一方で我が国の年金制度においては、御承知のとおり年金額の自動物価スライド制がとられておりまして、この点では物価の上昇率が年金額のアップに結びつくこととなっておりますので、物価が上がってもお年寄りの負担能力は基本的には変わらないとも考えられるわけです。その辺、年金の物価スライド、この老健法の物価スライド、こういう形の現状についてはどうお考えになりますか、五十嵐さん。
#14
○参考人(五十嵐清君) 先生が今御指摘になったとおりでございまして、その点について私どもも認識は同じであります。ただ、私どもの組織の中でもこのスライド制導入そのものについて反対を表明している組織もございますし、政府提案の医療費スライドを変えるべきだという声もありました。そういう点で、私どもとしては物価スライドも一つの選択ではないかということで提起をしたわけであります。
 そもそもこういうスライド制、今先生がおっしゃいましたように、例えば年金だったら狂乱物価であろうと物価スライドだからその分上がるんではないかというお話でありまして、それに準じてこの医療費の方も一部負担を上げてもいいのではないかというお話かと思いますが、私どもは、そういう点について果たして国民の合意が得られるのかな。特にこれから迎えます高齢社会の中で、多くの皆さん方は我が国の迎える二十一世紀の高齢社会というのは明るい展望を持って暮らしていない、あるいはそういう意識をまだ持っていないというところに問題があろうかと思います。そういう点では、負担や給付の問題も含めまして、迎える高齢社会の中で明るい生活ができるんだ、将来に展望が持てる生活ができるんだ、そういう社会をむしろつくっていただきたい、その方が問題の先決事項ではないかというふうに考えております。
#15
○参考人(莇昭三君) 一つは高齢者がどれだけ負担できるかという問題なんですが、八四年の全国消費実態調査だとかあるいは八七年の家計調査などを見ますと、高齢無職世帯の保健医療に充てている金額というのは大体四・二%前後ですね。ですから、大体七千円ぐらい、これが私はやはり老人が一つの保健医療に負担できる分野、金額。もし、高齢者の年金がぐっと上がりまして可処分所得がぐんとふえてくれば十分論議の対象になると思いますけれども、この十年間見まして大体四・二%で、七千円から八千円ですから、これがぎりぎりなんだろうかという気持ちで言っているわけです。
 それからもう一つは、若年層の問題ですけれども、総人口に対する就業人口を見ますと、現在大体二・〇八ぐらいですが、二〇二五年でも二・〇八ですね。ここらあたりをどのように考えるか。あるいは日本のGNPがどれくらい今後伸びるかというところあたりをもう少し真剣に委員会あたりで検討していただかないと、私は必ずしも二、三の方々の言われるようなことに同意できない、そういう気持ちであります。
#16
○前島英三郎君 どうもありがとうございました。
#17
○竹村泰子君 日本社会党・護憲共同に所属しております竹村泰子でございます。きょうはどうもありがとうございます。
 初めに、岡本先生にお伺いしたいのでございますけれども、私どもは今、老人保健法審議の真っ最中でございまして、十二日から審議に入りまして昨日も一日、そしてまたあすも一日、この老人保健法のよい面は生かしつつもお年寄りの負担をいかに軽くすることができるか、そして絵にかいたもちではなく本当によい制度として定着させることができるかということを一生懸命令審議の中で皆で努力をしているところでございます。
 岡本先生は、お聞きするところによりますと、デンマークの医療体制や福祉の体制などを非常に深く御研究になりまして、今、内科医長をしておられます阪南中央病院では、既に訪問看護制度を十八年キャリアとしてお持ちになっていらっしゃるというふうにお聞きをしておりますけれども、いわば先駆者と言うべき病院でいらっしゃるそこのお医者さんでいらっしゃるわけですが、訪問看護制度、ゴールデンプランといいますか、本当にいい計画でありますけれども、例えば内実を高めていくためにどんなことが考えられるだろうかということで、私もきのう二時間質問に立ちましていろいろと質問させていただきました。例えば、その中で訪問看護婦の教育とか育成とかに関して、御体験の中から少し御意見を聞かせていただければ幸いだと思います。
#18
○参考人(岡本祐三君) この訪問看護婦と申しますのは、まず病状判断にすぐれている、それから実際的な看護に関して高い技術性が要求されますので、病院勤務の経験があるということ、しかも総合病院での勤務経験があるということが必須でございます。それプラス、世帯のいろんな生活困難の問題に対処せざるを得なくなるわけでありますから、いろんな福祉制度の運用に通暁しておるとか、そういう社会的なセンスですね、いわばソーシャルワーカー的な素養も、これは現場の教育でも可能かと存じますが、そういうのをあわせ持った人が必要である。現在、人材確保に困難な事態ということを踏まえますと、余りいろいろ注文はつけられないわけでありますけれども、デンマークの例をとりますと、訪問看護婦の平均年齢は四十二歳になっております。これはやはり生活体験があってかなりなそういう素養がないと、例えばヘルパーさんの指導なんかで位負けしてしまうとか、いろんなことがございまして、ただ看護婦の免許があるというだけでは難しかろうというふうに存じます。
 以上です。
#19
○竹村泰子君 そうしますと、御留学なさいましたデンマークなどではどのような資格と申しますか、キャリアを持った人たちが従事しているのでしょうか。
#20
○参考人(岡本祐三君) 看護婦免許プラス病院勤務大体五年ですね、それプラス一年間の教育をしております。イギリスの場合でも、病院勤務五、六年プラス十カ月の教育というようなことを義務化しております。
 ついでに申しますと、北欧とかイギリスでも非常に人気のある職種でございまして、大体十倍ぐらいの競争率があるというふうに聞いておりますし、私どもの病院でも訪問看護に回されると病棟の看護婦たちも非常に喜んで従事するという形で、本質的に非常にいい職業のようです。
#21
○竹村泰子君 それでは、訪問看護制度あるいはヘルパー充実とか、そういったことで在宅ケアと申しますか、在宅のサービス、そしてお年寄りの皆さんがひとりで自立をして生活できるということに重点が置かれていると思うんですけれども、そのために不可欠なものとして、私も昨日質問の中にもかなりの部分取り入れましたんですが、在宅の問題ですとか、それから介護補助器具と申しますか、そういったいわば助け手となるべきものが必要であるというふうに思いますが、その点の御意見を伺わせていただきたいと思います。
#22
○参考人(岡本祐三君) これが実は日本では非常におくれておりまして、補助器具と申しますと、具体的に申しますと電動の車いす、あるいは電気で上下するベッド、それからベッドから車いすに移動するためのリフト、それから座ったままで居間からおふろへ移動できるような移動式のリフト、これは各種ございますけれども、寝たきり老人問題の本質が障害者問題であるという点の認識が薄いために、日本では補助器具などを支給します制度的根拠は身体障害者福祉法でありますけれども、この老健法あるいは寝たきり老人問題の中でこの身体障害者法の問題が非常に議論がなおざりにされているように思います。
 つまり、日本で補助器具を手に入れようと思いますと、まず身体障害者としての認定を受けなくてはいけない。この認定が非常に面倒でございます。まずお役所でそのための書類をもらう。それから県知事が指定している指定医療機関に行って診断をしてもらわなくちゃいけない。これがそうたくさんはございません。そこで指定医師の等級判定を受けます。この書類がまた市役所とか福祉事務所を経まして知事のところへ参ります。そこでまた審査されまして、そして身体障害者手帳というものがおりてまいります。そして本人に、あなたは身体障害者何級ですという認定がなされる。
 今度補助器具をもらおうと思いますと、その手帳を取得した上でまたぞろ役所へ参りまして補助器具の申請をしなくちゃいけない。これがまた月単位で日がかかりまして、書類が回ってやっと補助器具が自宅に参りますが、果たしてそれがその個人にぴったり合ったものだかどうかわかりません。大体届くまでに何カ月もかかるのが通常でございます。
 何よりもまず、この身体障害者の認定の手続を、これは決して難しいものではございませんから、地域の医師会とか医師ならだれでもその認定ができるというようにしていただかないと、現在では寝たきりのお年寄りがこの身体障害者手帳を受けることはほとんど不可能に近いわけですね。
 その上、手続を簡素化した上で補助器具のレベルをもっと上げていただきたい。現在この補助器具に関しては査定が非常に厳しゅうございまして、よほどきつい障害でないとろくな補助器具が出てこない。だから、体の状態が悪くなるのを待たないといい補助器具が出てこない。しかし、本来の補助器具のあり方は、とことん状態が悪くならないように器具を使って自立していくのがいいわけでありますから、軽い障害の段階でいい補助具が入るということが経済効率としても望ましいわけです。
 したがいまして、手続の簡素化、それからこういう選別的な制度の運用の仕方というものを改めて、もっとヨーロッパ並みのすぐれた補助器具を入れていくことによってホームヘルパーを入れる前の段階で自立生活が可能になる、この点に関してもう少し血の通った制度づくりをしていただきたいというふうに存じます。
#23
○竹村泰子君 ありがとうございます。
 先生の御体験の中で、訪問看護医療をずっと続けてきておられます中で、やはり床ずれの問題でありますとか、老人特有の寝たきりあるいは寝かせぎりになった場合のいろいろな障害と申しますか、そういったことを予防するために訪問看護婦さんが訪問をされて、そこで必ずしも看護ではなくて介護の分野に至ることも実際にはやっておられると思うんですけれども、そういった看護と介護というふうなことも分けることは大変難しいのではないか、あるいは分けてはいけないのではないか、あるいは分けなくてはいけないのではないか、そんなふうなことをいろいろ今回の老健法の中で私どもは考えさせられておりますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#24
○参考人(岡本祐三君) 例えば、今床ずれというお話が出ましたわけですけれども、床ずれというのは、じっと寝かせきりにしておきますと体重が体の一点に集中する、そのためにそこが圧迫されて血が通わなくなる、酸素も行かなくなる、栄養が行かなくなるということで腐ってまいります。腐って体の筋が溶けていく。しばしば骨まで達する悲惨なものでございますけれども、これを予防するには、まず栄養のあるおいしいものを食べさせる、調理ですね。食事の介助、そして体の一点に体重が集中しないように頻繁に体の向きを変える、あるいはマッサージして血行をよくする、体をきれいにする。あかがたまっていたり皮膚がよじれますと、そこが床ずれの発生部位になりますから、あるいはおふろに入れる。こういう単純な手作業がほとんどなわけです。あと、そういうところにばい菌がついておれば抗生物質を塗る、そういうことは看護医療でございますけれども、こういう床ずれはできてしまうと非常に厄介である、だからできないように予防するのが一番である。そのためにはしょっちゅう体を動かす、体の向きを変える、あるいは座らせる、車いすで散歩させる。
 それをやるには、まず本人が動きやすいようにいろいろな補助器具を入れていく、あるいは介護者の省力化のために住宅を改造する、電動車いすを使って介護者の腰痛が起こらないようにする。そういう住宅の改造、段差の解消、いろんな補助器具の導入、そういった生活援助がほとんどなわけです。看護婦が参りますと、介護者のパワーが足りない場合にはおのずからそういう介護的なことをやらざるを得ない。本来、潤沢なホームヘルパーがいれば看護婦がやらなくていいかもわからない仕事ですけれども、その患家へ行った以上は介護的なものをいっぱいやらなくちゃいけない。実際問題私どもの病院の看護婦が参りましてやっておる仕事の七、八割は介護というふうになっております。ですから、本当に専門的な教育を受けた看護婦さんが有効に働くためにはホームヘルパーを初めとする福祉サービスを入れていかないと、あたら能力をそういう単純作業で浪費することになるということになろうかと思います。
#25
○竹村泰子君 もう一つお伺いしたいのですけれども、今回の老健法、それから老人福祉法、それから身体障害者福祉法、こういう法律の枠の中で現場での運用につきまして、患者や市民の立場からの運用、サービスマネジメントのあり方というふうなことはどのようにお考えになっておられますでしょうか。
#26
○参考人(岡本祐三君) まず、ここに持っておりますのは、大阪府が出しております「福祉の手引」という本でございまして、ここに身体障害者が受けることのできる補装具でありますとか、いろんな税制上の恩典とか、そういうようなこと、これが病院のケースワーカーたちの便宜なようにつくられたものだけでこういうのが一冊になっておりますから、とてもしゃないですけれども、一般の市民がこの制度を自分で運用することなど不可能でございます。したがいまして、もう少しこういう制度そのものを簡素化していく。
 同時に、今ゴールドプランの中で構想されております在宅介護支援センター、これは各中学校区ごとにつくられるはずでありますから、訪問看護婦さんたちがこういう制度にある程度通暁した上で、そういう手続を在宅介護支援センターに行って代行してあげる。そして、その介護支援センターが速やかに処理して、現物の給付がさっと患家に届く。どんなサービスがあるかということを実際の障害者の人たちが見られるように、補助器具ならば補助器具をたくさん集めた補助器具センターというようなものを、デンマークでは人口二十万から三十万に一カ所、非常に立派なものがございますけれども、そこへ行って自分に合った器具はどれかというようなことをちゃんと見られる。見て、品番を控えて、地元に帰ってそれを申請する。そういった現場での運用の仕組みを考えていただきたいんです。
 今、地域での老人保健整備計画というようなことが各地方自治体に課せられておりますが、これは財源の分担の明確化とか、所轄の監督省庁の明確化という範囲であって、現場で個人のニーズに合わせて有機的に運営していくにはどうしたらいいかということができておりません。
 私どもの松原市では、約十年ぐらいかかりまして、実際ケースに保健所の保健婦とホームヘルパーがかかわる、病院の看護婦とホームヘルパーがかかわっていくというような中で、保健所と特別養護老人ホームと病院と社会福祉協議会のホームヘルパーがケースごとの相談を自然にやるようになってまいりまして、この組織が二年前から連絡調整会議という形で市の公的な機関になりました。そこでは、毎週月曜日に実際にケアを担当している人間が集まって、だれそれさんのケースにどうしてやったらいいかということを相談しております。実際にそういうふうなサービスを担当している者が集まって連絡調整をやる、そういう仕組みをつくらないと、単に各組織の代表が出てきて一般的なことを論ずるのでは連絡調整の任を果たし得ないのであって、お互い相互に頼り合っているようなサービス供給機関の実際の担当者が出ていって連絡調整をする、そういう仕組みがぜひ必要なのではないかというふうに存じます。
#27
○竹村泰子君 ありがとうございました。
 それでは、連合会生活福祉局長でいらっしゃる五十嵐さんにお伺いをしたいんですが、連合の組織は全国をカバーしておられまして、いろいろな単産が入っているわけなんですけれども、これはまだ私どもも厚生省にしっかりとただすことができていない部分なんでございますが、医療機関の不足している過疎地域、私も北海道で大変過疎の島やら、何キロも行かなければお隣がないというふうな、そういった広い広いところも持っているわけであります。そういう僻地と言われる、あるいは離島などにおける対策について、何かこうしてほしいとか、希望を含めたお考えをお持ちでいらしたらお聞かせいただきたいと思います。
#28
○参考人(五十嵐清君) 具体的な点等については、地域の特性もございますので、それぞれの地域の特性に合った体制というものが必要だろうと思いますが、私ども連合の中でも医療制度にかかわる政策、制度要求の中で提起をしているわけであります。その一つを御紹介申し上げたいと思うのでありますが、特に医療機関の地域偏在といいますか、ある地域ではたくさんある、ある地域には全然ないというような状態もありますし、あるいは全然お医者さんのいないというような地域もあるという点では、それぞれの医療に関する地域計画等も出ているわけでありますので、ぜひともそれを実行していただきたい。特に、お医者さんのいない、そういう地域の解消というものを私ども強く提起しているわけであります。
 先生御指摘のとおり、私どもの組織には全国を網羅している組織もございますので、そういう点でもかなり緻密など申しますか、具体的な政策を打ち出しているところもありまして、それぞれの地方自治体等に要請もしているわけであります。そういう点で、先生の御指摘されたような問題等については一日も早く解決していただきたいということを私どもも政府等に要請をしているところでございます。
#29
○竹村泰子君 ありがとうございました。
 次にお聞きいたしますのは、どなたでも結構でございますが、とりわけお医者さんが二人いらっしゃいますので、どちらからお答えいただいても結構でございます。今度の訪問看護制度の中には、特にPT、OTなどの治療士といいますか、理療士と申しますか、そういう方々の配置と申しますか、そういうところまでなかなかまだ及んでいないというふうに思いますが、将来的には厚生省も考えているというふうに思いますが、やはりリハビリテーションというような見地からも、そのような専門家の配置ということがナースセンターあるいはステーションに必要だとお思いになりますでしょうか、どうでしょうか。
#30
○参考人(岡本祐三君) これは大変いい御指摘だと思うんです。私どもも十八年間在宅ケアチームでやってまいりまして、寝たきり老人というのは寝かせきりなんだから、起こせ起こせということを私が幾ら口を酸っぱくしてやってまいりましても、看護婦さんと保健婦さんで訪問している問は一向にできませんでした。それが二年前に理学療法士を一人チームに加えることができて、一気に寝たきり老人を起こすという作業が進展いたしました。何といっても長年寝ている人を起こすのはやはりなれた人でないと怖い。それから、ああいうPT、OTなんかの大事な能力の一つは、本人の動機づけなんですね。リハビリを進んでやれるように本人にやる気を起こさせていく、そういうテクニックといいますか、素養が理学療法士は格段にすぐれております。そういう意味でいいますと、身体障害者を在宅で能力が落ちないようにしていくその作業にPTは不可欠でございます。
 それから、補助器具が実は、北欧諸国では作業療法士の仕事になっておりまして、その人に合った補助器具、補助器具と申しましても、ゆったりした安楽いすから電動車いすから全部でございますが、デンマークでは、作業療法士は電動工具を使えないと仕事にならないと言われているぐらい、支給された補助器具の簡単な手直しなんかは全部作業療法士が自宅へ出かけていってその人に合わせてやるわけです。そういう意味でいいますと、作業療法士は補助器具の普及と、これがほこりをかぶらないように活用されるためには不可欠の存在で、この点は日本は本当におくれておりますね。
 PT、OTもたくさん養成がされていって、数年前にはもう今にもあふれて失業するだろうなんて言われておりましたけれども、いまだに私どもの病院では雇用するのに苦労しております。非常に絶対数がまだ不足しておるんではないでしょうか。
#31
○竹村泰子君 時間が参りましたので、大変お忙しい中ありがとうございました。
#32
○高桑栄松君 それでは、質問させていただきます。
 私は、公明党・国民会議所属の高桑と申しますが、私も医者でございますので、お医者さんの先生方のお話、大変興味深く関心を持ってお伺いいたしました。時間が限られておりますので、あるいは皆様に御質問全部できるかどうかと思いますが、まず最初に石古参考人と、それから五十嵐参考人にお伺いしたいと思うんです。
 石古さんは、お話伺っておりますと、負担の公平化というふうなことにウエートが置かれているように私は伺ったんですけれども、それは医療保険の二元化を目指している、それに向けてのお話であろうかと思ったんですが、その点と、もう一つは、スライド制ということについて触れておられました。そのスライド制というのは常に物価の変動にそのまんまスライドするのか、あるいはどこかに歯どめを設けようとお考えかどうか、これを石古さんに伺いたいと思います。
 五十嵐さんの方にも、スライド制のことをお触れになりましたが、同じようにスライドについては上限というふうなことをお考えなのか、何か歯どめをお考えなのか。
 これはそれぞれお伺いいたしたいと思います。
#33
○参考人(石古勲君) まず第一点の問題でございますが、一応現在は三者で分割をして負担をするようになっておりますので、これは妥当な方法であろうと考えております。公平であるかどうかという断定は当然非常に難しいかと思いますが、一応公平であろうと考えております。
 それから、物価の上昇等によるスライド制の関連でありますが、物価の上昇というのは予測できない点がありますので、時と場合によりましてはその情勢をやはり勘案する必要があるかとも考えます。
#34
○参考人(五十嵐清君) 物価スライド制の上限の問題についてだと思いますが、私どもは、物価スライドを導入してある一定の率以上にはならないように上限歯どめが必要ではないかという考えを持っております。
#35
○高桑栄松君 それでは、次に岡本参考人に伺いたいと思います。
 先生のデンマークのお話を大変興味深くと言ったらあれですが、関心を持って伺いました。
 二、三お伺いしたいと思いますのは、まず医療というのは、特に老人医療の場合なわけですが、一体医療は医療なのか福祉なのか。何か医療と福祉にも触れておられましたので、その点はどういうふうにお考えかということが一つあるんです。それを伺ってから、その次にまた伺います。
#36
○参考人(岡本祐三君) 概念的に申しますと、福祉というのはやはり幸せな生活をということでありますから、明らかに医療は福祉概念に含まれると私は思っております。
#37
○高桑栄松君 そして、今度の老人訪問看護の制度についてウエートを置いてお話があったわけで「その辺大変興味深く伺いましたが、まずデンマークでは訪問看護婦というのは地方公務員とおっしゃいましたね。地方公務員であるからには、我が国ですと資格試験をするんじゃないかと思ったので、この資格試験というのがデンマークではあるのだろうかということでございますが、いかがでしょうか。
#38
○参考人(岡本祐三君) 先ほど申しましたように、訪問看護婦という免許は出ておりませんが、訪問看護婦として地方自治体に採用されるには病院勤務五年ぐらいと、それから一カ年間の研修を受けなくてはいけないということでございます。
#39
○高桑栄松君 研修というのは何かカリキュラムがあってやるということでございましょうか。
#40
○参考人(岡本祐三君) さようです。スクーリングのような形でちゃんと研修所がございまして、そこへ行って受けるわけです。
#41
○高桑栄松君 それで、今度は我が国の場合になってくるんですけれども、在宅介護というのは、訪問看護婦が訪問される時間は短時間に限られるわけでしょう。一つには我が国の場合も、そうするとそういったカリキュラムでトレーニングをする必要があるかというのと、もう一つは在宅介護を担当するのはボランティアであるとかホームヘルパーだとか、いろいろなのがあるわけでしょうが、先生の立場ではこの人たちにもやはり何らかのトレーニングというか、研修的なことが必要であるとお考えでしょうか、いかがでしょうか。
#42
○参考人(岡本祐三君) もちろん、訪問看護制度の実施主体が先ほどございました営利企業などにゆだねられた場合には、そういう研修をするなんということは非常に難しくなるわけでございますけれども、これは知事の任命を要するようですから、一定の公益的な法人とか地方自治体が訪問看護を展開する場合には、地方自治体の責任において、たとえ一月程度でも、先ほど言いましたようないろんな福祉制度への教育、あるいはいろんな各種のほかの職種とのつき合い方とか、いろんな形の講習ができれば、それはもうそれにこしたことはございません。
 ホームヘルパーに関しましても、日本ではまだ家事型ですね。買い物、炊事、洗濯、そういうレベルでのホームヘルパーが多うございまして、実際は家事をやってくれればいいんだという形で送り出されたものの、行ったら、体の不自由な高齢者の世帯でございますから家事だけで済まない、いろんな介護をやらなくちゃいけない。ところが、待遇は家事型のままだというような不満が現在たくさん出ております。
 そういう意味でいいますと、ホームヘルパーは家事も介護もやるというのが本来の姿でありますから、そのための技能的な訓練と、あとは、よく高齢者の方から、ホームヘルパーがよその家のいろんなプライバシーに関することをよそでしゃべるというようなことに対しての苦情をしばしば聞くわけです。そういう意味でいいますと、守秘義務的な心構えとか、ある程度の素養は必要なんでありまして、デンマークの場合はこれまでホームヘルパーは雇用してから二百八十時間の教育をしておりました。それが後期高齢者がふえるのに伴って痴呆老人がふえてまいりましたので、痴呆老人をホームヘルパーがうまく対処できるようにするにはもう少し高度な教育をしなくちゃいけないということで、今年度から一年間の教育にいたしました。それぐらいヨーロッパ諸国では在宅のケア従事者の教育はどんどん進んでおります。日本は非常におくれておるんじゃないでしょうか。
#43
○高桑栄松君 最後の質問でございますけれども、同じく岡本先生に訪問看護はチームワークが大変大事だと思うんですが、そこにおける医師の役割というのはどういう責任を負うのかということなんです。緊急なときがあるとか、やっぱり私は医者の立場で言いますと、医療過誤とどういうつながりを持ってくるだろうか、これが一つございます。
 同じ質問を莇先生にも一つ伺いたいと思うんですが、訪問看護のチームの中における医師の役割ということでございます。どうぞひとつお願いします。
#44
○参考人(岡本祐三君) 私は十八年来訪問看護婦の責任者の医師としてやってまいりましたが、やり始めのころはいろいろと訪問看護も不安があって相談に参りますけれども、一たん軌道に乗りますとほとんど仕事がなくなるわけですね。と申しますのは、ある意味で在宅のいわゆる寝たきり老人というのは、さっきもありましたが、障害者ということですから、いわゆる病人ではない状態がほとんどなんです。ですから、いざ私どもが出番として要請されますときには、肺炎を起こした、さあ入院だというような事態が来るんですけれども、そのほかの日常は私の出番は大体家族を励ましたり、あるいは従事している看護婦さんたちに、安心してやっていらっしゃい、何か起こっても僕が責任をとりますからと言うのが主な仕事である。
 ただし、開業医さんなんかの意見を代弁いたしますと、在宅の方の老人の往診、訪問ケアをやっておって一番困るのは、本当に医者の出番であるような、肺炎を起こした、いろいろな感染を起こした、入院させなくちゃいけない、このときに手のかかる寝たきりの病人を引き受けてくれる病院探しに本当に困難をきわめるわけですね。ここのところに関して、やはり制度的なてこ入れがないとなかなか開業医師の往診をいざなうことは難しいんじゃないかと思います。したがいまして、それは医師個人の技能よりも制度的な面の問題が多いように考えております。
#45
○参考人(莇昭三君) 今度の訪問看護制度の中での問題だと思いますけれども、恐らく厚生省は指示する医師の責任というふうに考えていらっしゃると思いますが、現実にかかりつけ医という言葉が今度初めて出ていますけれども、これはどういう根拠があるかわかりませんが、そんなようなかかりつけ医がいる場合といない場合とあるんですね。現実、業者が訪問をやっていて、かかりつけ医が例えば東京大学のA内科だということになりますと、これは非常に責任のとり方というのが難しい、微妙な問題ですね。ここらあたりはぜひひとつこの委員会で相当突っ込んでいただかないと、症状の安定な患者さんだけじゃないんです。御存じのように非常に重症な、いわゆるスパゲッティ症候群と言われるような方々がたくさんいらっしゃいますから、この方々とのかかわりの中でどのような事故が起きるかというのはちょっと予測できません。ですから、私は、細目がわからないので何とも言えませんけれども、それは医者の責任なんだというふうに簡単に言われても、非常に難しい問題が残るなというふうに思っております。
#46
○高桑栄松君 どうも先生方お忙しいところ、ありがとうございました。
#47
○沓脱タケ子君 参考人の先生方、ありがとうございます。
 わずかな時間でございますので、まず莇参考人にお伺いしたいと思います。
 政府は、老人の心身の特性に応じた医療という名目で老人医療に対する特掲診療料などという年齢による医療の差別をずっと推進してまいっております。この実態の「部を公述の中でお述べいただいておりますけれども、本改正案ではさらにこれが附則の第二条で、包括的医療などということを含めまして、さらに今後拡大していくことを検討するということのわざわざ法的根拠を設けているという点で不安が広がるという懸念を持っております。そういう点で、時間がたくさんありませんけれども、若干御見解をお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、私も医師の一人でございますけれども、政府は、人口の高齢化で老人医療費が伸びる、数字を並べて伸びる伸びると言われるわけです。確かに数字では伸びているんですが、一体それでは日本の医療費というのは国際的に見てそんなに高いんだろうか、比べてみてそういう点がどうなんだろうか。また、そういう国際的な水準と比べて高くなる高くなると言われるけれども、今の国力、日本の経済発展というような点で本当に支え切れないほどのものなんだろうか、それほど深刻なものだろうかというのがやはり国民の心配の中にはあると思います。そういう点についてお述べをいただきたいと思います。
 それからもう一つは、新しい制度として発足をしようという老人訪問看護制度の創設でございますが、これは法律上老人医療費で療養費は支払うというのにもかかわらず、営利企業の参入を禁止するという歯どめを法律上していないんですね。そういう点で、先ほどもちょっとお述べをいただきましたが、その歯どめがなくて営利企業が参入するということになりますと、これはデンマーク型のすばらしい姿とは似ても似つかないことになりはしないか、こういう心配をしておりますが、莇先生も疑問だという御意見でございましたが、その点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#48
○参考人(莇昭三君) 老人の医療費が伸びるということが盛んに言われるわけです。七・七%を非常に大きいと言う。ところが、老人医療の対象人口の伸び率というのは現実に三・五%あるわけですし、それから医学、医療の進歩に伴う医療技術の向上からくる診療費のアップというのは三・八%、合わせますと七・三%です。ですから、七・七%が他の若い人と比べると非常に高いんだと言われますけれども、考えてみますと、それこそ明治以降の日本の人口政策そのもののしわ寄せと申しますか、そういう状況なわけですから、そこらあたりを余り強く言うというのは、老人にとってみれば病気をするな、する人はあれだということで、非常に心の狭い気持ちになるんだろうと思うんです。
 それから、医療費自体を見ましても、日本の一日当たりの診療費というのは非常に低いんです。非常に低くて、しかも長寿を達成しているわけですから、我々医療関係者は非常に低い賃金に甘んじて効率的に医療を進めているというふうに見てもいいわけです。そういう点で非常に効率よく動いている。先ほどちょっと触れましたけれども、幾つかのデータを推計しますと、確かに社会保障費は伸びていますけれども、国民のGNPもコンスタントに二・五ぐらい伸びるというふうにいたしますと、二〇二五年の場合でも社会保障の税金の負担率というのは四〇%前後という数字もあります。しかも、他の国のGNPと医療費との関係を見ましても日本は非常に低いわけですから、ある程度金を使わなければ長生きはできないんだというのは常識ですから、そういう点も考えていただきたいと思います。
 それから、老人訪問看護事業の件ですけれども、先ほどちょっとダスキンの例を出しましたけれども、別の都内のある会社のメニューを見ますと、基本サービスというのは、看護婦が月二回訪問しまして一万円ということになっています。あとはオプションサービスということで、例えばおむつを交換すると何点、散歩に連れていくと何点という格好でポイント制で加算されていっております。ですから、言ってみれば、先ほどから老人の介護の問題が言われていますけれども、こういう格好でいった場合には、先ほど岡本先生が言われたようなああいう本当に我々が望んでいるような介護が果たしてこの業者がしてくれるのかどうか。
 聞きますと、レンタルのたくさんの機械が並んでいるんですね。例えば車いすが六万三千円で、レンタルで月四千円だとか、それから電動デラックスベッドが二十六万円で、レンタルで一カ月一万一千円とか、言ってみれば、場合によっては相当厚生省が立派に管理しないと訪問看護販売売りつけ業みたいな格好で、大きな車が行って訪問しますけれども、その車の後ろの中にはいろんな新しい器具が並んでいて、より取り見取り買ってください、この機械は非常にいいですよという格好にそれこそなってしまう、そういう心配があるんですね。そういう点で相当慎重にこの問題については検討してほしい。現実、武蔵野の福祉公社の例を見てもそうなんですけれども、可処分所得が少ない老人は結局財産を担保にしてこのレンタルを借りていくという仕組みになりはしないか、そういうことを懸念しているんです。
#49
○沓脱タケ子君 岡本参考人に一言お聞かせをいただきたいんですが、先ほど先生の公述の中でこうおっしゃいましたね、今、医療の中に日本の場合には福祉が大分入り込んでいると。確かにそういった側面があるのと、福祉がおくれているものだから、医療が抱え込んでいるという側面は確かにありまして、そういうことが老人医療のひずみの中に非常に過酷な形であらわれてきているという感じが率直にしているわけでございます。時間が余りありませんので、そのことについて詳しく聞きたかったんですが、その辺のところを私はきちんとすれば、老人医療が高くなる高くなる、とにかく入院は長くしないようにほうり出さなくちゃいかぬという厳しいやり方をしなくても、デンマークやスウェーデンでやられているようなスムーズなお年寄りの御病人の流れというものができるんじゃないか、流れの受け皿がないから日本の場合にはぐあいが悪いことになってきているんではないかという気がしてしょうがないんですけれども、大変外国の見聞を広めておられます先生の御見解を一言伺っておきたいと思います。
#50
○参考人(岡本祐三君) 一言では全くそのとおりでございます。
 ついでに、今私どもの病院でもこれまで後送的に送っておりました老人病院に非常に送りにくくなっております。これは病院、病床の規制ができましてから老人病院がふえなくなったためにだんだん累積してまいりまして、老人病院がなかをかとってくれなくなった。入院時医学管理料三カ月の規定のためにどんどん病院が出すようになりまして、これから各地方自治体の福祉のセクションは寝たきり老人の処遇に非常に困るだろうと見ております。
#51
○粟森喬君 まず、五十嵐参考人にお尋ね申し上げたいと思います。
 私は、今回の老健法の改定に当たって、特に現役のサラリーマンと言われる層を代表する連合も大変なジレンマだったと思います。
 一つは、健保組合が赤字になり、これは退職者医療も含めて健保組合の過重負担というのがこの問題の底辺にかなりあるだろうと思います。したがって、これを解決することとセット的に、一方ではある人はお年寄りそのものを見ている、介護もしている、病院へ入れている、そんな人があるから、そういう中での一つの見解を先ほどお伺いしたわけでございますが、これからのあり方として特に公費負担をかなり強調される中でもそこがにじみ出ていると思います。私は、社会保険料の伸びから比較をすると、いわゆる社会保障負担率と言われる年金だとか社会保険の負担よりむしろ租税のところ、税のところでここは負担を明確にすべきだというふうに、どちらかといえばそっちの方ではないかというふうに思っておるんですが、この辺についての多少の御意見をお聞きしたいというのが一つです。
 二つ目に、物価の問題について、過去十年間はかなり安定していたことは間違いございませんが、連合の中でも提唱されているように、物価監視機構をやったらどうか。今の物価動向というのは今は安定をしているけれども、これからの将来に不安定的な要素がかなりあると、そういうふうに認識をされていると思いますが、その辺の見解をまずお伺いをしたいと思います。
#52
○参考人(五十嵐清君) 今回の老人保健制度の改革に当たりまして、今御指摘がありましたように、私どもの組織の中あるいは健保連、そして日経連の皆さん方と半年近くかけてかんかんがくがく論議をしてまとめた提一言がございます。
 その中にも出しているわけでありますけれども、今回の特に負担の問題等については、今御指摘のあったとおりでありまして、現役、特に被用者保険の負担が過大である、そいう点では、このまま続けていけば被用者保険本体の方もおかしくなるんではないかということから、実は一部負担の引き上げについて提起をしたわけであります。社会保障あるいは社会保険制度そのものについて、特に社会保険でしたら保険料が主体になるわけでありますが、社会保障、福祉の面で言えば税でというのも一つの御見解かと思います。ただ、今の税制の中で不公平税制と言われる税制の改革をきちんとしていただかないと、余りにも私ども現役の勤労者にとって過重な負担があるんではないか。そういう不公平をやはり改革していただく中で、今御指摘のありました先生の考え方もとられるべきであろうというふうに私は思います。
 二点目の物価スライド等の問題等について、連合の政策、制度要求の中では、今先生が御指摘になりましたように、政府の、内閣直轄の機関として物価監視機構というものをつくれというお話を申し上げております。御存じのとおり、ここ物価は安定しているというふうに言われておりますが、毎年度の政府の見通しよりもここのところ上がっているのが大変心配であります。そういう点では、私どもの提起をしております物価監視機構なるものをきちんとつくっていただきまして、内外価格差の問題なりあるいは物価構造の問題等についてメスを入れて、どうしてこういうふうに日本の物価が高いのか、そして安定させるためには何が必要なのかということをきちんと整理させていただければ大変幸せだというふうに思っております。
#53
○粟森喬君 次に、ドクターでございます岡本参考人と莇参考人に、同じ質問で大変恐縮でございますが、時間の関係がございますので、お願いをしたいと思います。
 一つは、おむつを当てなければならないという症状というのは、看護制度なり介助の制度に多少問題があるんではないか。これは多少というよりかなり重要な問題がある。排便なり排尿が不定期だという状態はもう明らかに病状としてはかなり重い状態です。おむつをしなければならないという状態は、介護の体制が十分であれば、定期的にそれをやってもらうことの体制ができればこの種のことは解結するんですが、今の制度ではおむつ代はいわゆる患者負担というんですか、家族負担になっているという制度そのものと、病状の上からそのことが果たしてどうなのか。
 それから、看護の問題も、私は問題があると思っておるんです。というのは、看護婦さんがなぜやめるのかというと、看護学校でかなり努めて、専門的な医学的な知識もいただいたけれども、現場へ出ていったら自分たちの知識を生かす以外のところがかなりある。この部分は、そういうライセンスを持たない人でもできる部分について、今の医療制度はどこかその部分が参加をすることを何となくコントロールしている、そういうふうに私は受けとめているんですが、その辺について実態としていかがか。
 両方に同じ質問で、時間がなくて申しわけございませんが、お尋ねをしたいと思います。
#54
○参考人(岡本祐三君) 最初のおむつの話でございますが、北欧でもイギリスでもおむつを当てている方というのは大体もう八十を過ぎたような後期高齢者の痴呆ぐらいの方であって、それ以前の年齢の方でおむつを常時着用ということは非常に少ないですね。夜間だけという人はかなりおりますけれども、日本のように赤ちゃんの当てるようながばっとしたおむつカバーを六十、七十になったような方に常時させているところは北ヨーロッパではほとんどございません。これは、要するに人手が潤沢にあれば、その人のリズムに合わせて車いすに乗せてトイレに持っていって障害者のトイレで排せつしてもらうということをきちんとやればおむつを当てずに済むんです。しかし日本の場合にはそれをせずに、もう寝かせきりにしてしまったから、結果的に大量のおむつを必要としているのが現実でございます。
 それから、無資格の介護者にできる仕事が病棟の現場にはたくさんございます。これを制度が阻んでいる要素は一切ないと思うんです。残念ながら日本の健康保険制度の看護・介護に回せる資金の制約のために、御想像ください、五十床の病棟で夜勤の看護婦さんを二人置くのが精いっぱいである。場合によったら一人だと。そこは本当は看護婦さんだけでも四人、さらに病棟の助手が三人ぐらい欲しいわけですね。置く金がない。制度の制約ではなくて、それは財政的な制約の問題でございます。
#55
○参考人(莇昭三君) おむつの問題ですが、やはり同じ意見で、人員の問題ですね。私もかつて経験したことがありますけれども、おむつを取ろうとしますと二週間から三週間ぐらいせっせと努力しないと取れないんです。ですから、人員が足りなければそういう努力というのはなかなかできません。逆に、今現実足りませんので、かえっておむつをさせてしまうというのが実態なんですよ。だから、もうスウェーデンやそこらあたりと逆の方向ですね。
 それから、看護婦の退職率云々の問題ですけれども、これも私はやっぱり人員だと思いますね。あれだけのしんどい仕事をするんですから、もうちょっと待遇と人員を配置すれば、専門的な技術も生かされていきますし、何といっても看護婦不足というのはもう決定的だというふうに思っています。
#56
○勝木健司君 参考人の皆さん、御苦労さんでございます。
 私は、五十嵐参考人に何点かお伺いをいたしたいというふうに思います。
 まず、老人保健制度の本来あるべき姿について五十嵐参考人はどういうふうに考えられておるのかをお伺いしたいというふうに思います。また、この老人医療費の伸びをどうやって抑制していくのかということについても、御提言があれば挙げていただきたいというふうに思っておるところであります。
 それと、先ほどの御意見の中で公費負担の拡大について、公費負担五割引き上げ対象の拡大を挙げておられるわけでありますが、具体的にはどのようなものを想定をされておるのかお伺いをしたい。
 それと、時間も余りありませんけれども、もう一点は、マンパワー対策の実効ある措置ということで述べられておりますけれども、これについてはどういうことを具体的に考えられておるのか。
 また、保険外負担の解消策についても挙げておられますけれども、御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
#57
○参考人(五十嵐清君) 大変多くの御質問をちょうだいいたしまして、もしお答え漏れがございましたら、大変恐縮ですが、再度御指摘をいただきたいと思います。
 一つ目の老人保健制度の本来あるべき姿というようなことで御質問がございました。
 この老人保健制度の改革等については、先ほど来申し上げておりますように、私どもの政策立案の部会の中でさまざま論議をしてまいっております。先ほど意見陳述の中でも冒頭申し上げましたように、本来老人保健制度を含む高齢者医療という。ものは大変社会福祉的な性格が強いんではないだろうか。そういう点では負担の問題も出てくるわけでありますが、何といってもこういう性格からすれば国の責任と負担というものをまず第一義的に考えるべきではないだろうかというふうに思うわけであります。だからといって、私ども現役の例えば被用者保険制度、それはそんなに負担しなくてもよろしいのかということにはならないわけでありまして、それ相応の役割をやはり果たすべきであるというふうに思います。
 現在求められておりますのは、私どものアンケート調査の中でも出てくるわけでありまして、あるいは先ほど前島先生の御質問にもお答えしたわけでありますが、これから迎えます二十一世紀のいわば大変な高齢社会においてそれぞれ税金や保険料が高まってきて暮らしにくい、高齢化社会の中での明るい展望というものが見えてないという御意見を多くちょうだいするわけであります。その問題点というものをきちんと認識する中でそれにこたえていくことが必要ではないだろうか。ですから、今回の老人保健制度改革の問題につきましても、ただ単に負担を求めるのではなくして、給付の内容なり、一定の負担を求めるならば、それなりの改善策というものを国民の前に示していただきたい。あわせて、それで国民が納得をし合意をするならば本当の改革ができるんではないだろうかというふうに考えるわけであります。
 いずれにしましても、これから迎える高齢社会が私ども若い者にとっても魅力のあるものにしていく、そういう政策というものを打ち出していただきたいというふうに考えるわけであります。そういう点では、繰り返しになりますけれども、この老人保健あるいは高齢者医療というものは社会福祉的な政策、いわば社会政策という点から考えるべきではないだろうか、そういう制度にしていく必要があるだろうというふうに思うところであります。
 二点目の老人医療費の伸びの問題でありますが、この点については現在の診療報酬制度体系のあり方を考えていかざるを得ないんではないか。あわせて、医療機関におけるむだなあるいは過剰な診療、診察というものをどう排除していくのかという問題もあろうかと思います。余りこの点について触れますと、医療従事者の皆さん方の労働条件にも現在の体制の中では問題を惹起する課題でありまして、そう強くは言えないわけでありますが、しかし私どももよく主張をするわけでありますが、現在の医療供給体制の問題等についてもきちんとメスを入れないと、ただ単に医療費が、特に老人医療費が今後とも増高するその問題だけを表面的にとらえるわけにはいかない、もっとメスを入れるところがあるんではないかというふうに考えるわけであります。
 その一つとして、例えば今回定額払い制等の問題も提起をされておりますが、必要以上の薬、注射、それを高齢者の皆さん方に与えるよりも、むしろ介護を中心とした体制をとることによって、先ほど来話が出てきておりますような、寝たきり老人あるいは寝かせきり老人というものをつくらない、あるいはまた医療費がそんなにかからない、そういう制度もあるわけでありますから、そういうものも検討すべきではないだろうかというふうに思っております。
 三番目の公費負担の拡大の具体的な内容でありますが、これも先ほど意見陳述の中で申し上げさせていただきました。具体的な政府の施策として、老人保健施設のより一層の拡充なり、あるいは特例許可老人病院の基準看護承認病棟の増床なり入院医療管理承認病棟の増床というものが考えられるはずであります。ですから、ゴールドプランにもありますように、それを実効あるものとして具体的に進めていただきたいというふうに考えます。
 また、私ども個人のといいますか、私どもの団体でいろいろ論議をしてきた中には、例えば今回新しく老人訪問看護制度の創設に伴いますこれへの公費負担の拡充というものが衆議院段階で修正をされました。それに加えて、一般病院における老人の入院費の問題、これに公費負担を拡大することはできないだろうか。さらに、精神病棟の痴呆性老人入院費の問題等についても公費を拡大することはできないだろうか。特に、一般病院におきます老人入院費の公費負担の拡大等の問題等につきましては、先ほど申し上げましたように、特例許可老人病院に入院したくてもできない、そういう人がたまたま一般病院に入って同じような療養、介護等を受けたときに、片方は公費負担があって片方は公費負担が拡大されない。病院側からすれば、公費の方はどういう色がついたお金なのか、あるいは公費負担のつかないところはどういう色のついたお金なのかという区別は、判別はできないわけでありますが、我々としては、公費負担の拡大という面からいきますと、一般病院における老人の療養費の公費負担の拡大問題というのは検討してもよろしいんではないのかというふうに思うわけであります。
 そのほか、マンパワーの確保なり提起をされたと思いますが、私どもこのマンパワーの確保の問題等は、先ほどの意見陳述でも申し上げましたが、厚生省一省だけの対応ではなくして、政府全体として提起をされたこれらの課題等について真剣になって取り組むんだ、特にゴールドプラン等を実効あるものにするためにはマンパワーをどのように確保するのかというのが大変重要な課題でありますので、この点については予算もつけられているわけでありますから、そういう予算措置もきちんと確保する中でマンパワーをきちんとゴールドプラン実現に向けて、あるいはさらにこれを拡充する意味からも体制を整えていくべきではないだろうかというふうに考えるわけであります。
 特に、今後高齢化が進むに従いまして労働力不足の問題も提起されております。そういう問題では、特に看護婦さんを例にとってもよろしいかと思いますが、いわゆる三Kの問題がこれあり、あるいは退職をされた看護婦さんが再度復帰をするためには大変な問題等も抱えているというふうに伺っておりますので、それらの課題を解決するためにもきちんとしたものが必要だという点では、各省庁の縄張り争いをもうやめまして、一体となった取り組みをする必要があるのではないかというふうに常々考えておるところであります。
 以上であります。
#58
○委員長(田渕勲二君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)
 以上をもちまして本日の審議を終わります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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