くにさくロゴ
1991/09/19 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第6号
姉妹サイト
 
1991/09/19 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第6号

#1
第121回国会 厚生委員会 第6号
平成三年九月十九日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                岩崎 純三君
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                庄司  中君
                堂本 暁子君
                浜本 万三君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     大西 孝夫君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省年金局長  加藤 栄一君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   奥村 明雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       渡辺 裕泰君
       文部省高等教育
       局大学課長    工藤 智規君
       労働省職業安定
       局業務調整課長  吉免 光顯君
       労働省職業安定
       局民間需給調整
       事業室長     都築  譲君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○老人保健法等の一部を改正する法律案(第百二
 十回国会内閣提出、第百二十一回国会衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 老人保健法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○浜本万三君 今回の法改正の目的を伺いますと、本格的な高齢化社会に向けて、一つは健やかで安心できる老後生活の確保、それから地域における総合的力介護システムづくり、三番目は老人の心身にふさわしい医療の実現、そういう三つの方向に向けまして出発する一歩だというふうに説明されておられます。
 そうなりますと、これまでの一元化との関係はどういうふうに考えたらいいんだろうかという疑問が起きるわけでございます。これまで医療保険制度の法案の審査をしておりました中で、厚生省が一貫して言われておりますのは、医療保険制度の一元化は昭和六十年代後半の早い時期というふうに設定し、説明されておったと思います。今回の老健法の改正法案が出まして、これは一体今までの御主張の一元化とどういうかかわり合いになるんだろうかという疑問がございますので、まずその点についてお伺いをいたしたいと思います。
#4
○政府委員(黒木武弘君) 今後の本格的な高齢化社会におきましても、すべての国民が安心して医療を受けられるようにするためには、医療保険制度が国民の信頼を得て長期的な安定が図られていることが大切であるというふうに考えますし、そのためにもいわゆる一元化、給付と負担の公平を図っていくことが不可欠であると考えております。このため、医療保険制度につきましては、これまでも給付と負担の公平化のための改革を逐次実施してきたところでございます。
 今回の老人保健制度の改正は、介護要素に着目した公費負担の拡大、患者負担の見直し等を内容としているわけでございますが、これは保険者の拠出金負担の軽減を通じて各医療保険制度の運営の安定化につながるものであり、医療保険制度の一元化に向けての条件整備を図るものであるというふうに考えております。
#5
○浜本万三君 今の御説明では、一元化とは必ずしもかかわりのないようなお話なんですが、これまでの説明によると、一元化の地ならしとして六十一年の老健法の改正、六十三年の国民健康保険法の改正、こういうことになっておったんですが、これもそうすると、地ならしの一つだというふうに考えていいんですか悪いんですか。
#6
○政府委員(黒木武弘君) 六十一年の改正の年に、私どもは確かに御指摘のように一元化への地ならしという御説明をさせていただきました。その法案が成立する過程で、三年後のまた見直しという形で本院においても決着を見たわけでございまして、そういう意味で六十一年改正の見直しであるということから考えますと、私どもはやはり地ならしの一つである。先ほど申しましたように、今は条件整備だというふうに使っておりますけれども、一元化へのステップの一つであるというふうに理解をいたしております。
#7
○浜本万三君 そうすると、今回は地ならしの地ならしというふうに理解をしますが、それでは多少声が薄くなっておるような医療保険制度の一元化のこれからの具体的なスケジュール、そういうものについてお考えがあればお示しをいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま委員御指摘のように、給付と負担の公平を確保するためにもこの一元化は基本的な物の考え方として重要なことである、このように私たちは考えておるわけでございます。このために、この改革を今のような地ならしのような方法を含めながら逐次実施してまいりたいと考えておりますが、医療保険制度の将来構想につきましては、関係者の間にさまざまな意見があることも御承知のとおりでございますので、今回の老人保健制度の見直しを踏まえながら、今後さらに幅広い角度から検討をしながらその実現に努力をしてまいりたいと考えております。
#9
○浜本万三君 それじゃこれはこの程度にしまして、次は公費負担の拡大の問題について、以下お尋ねをいたしたいと思います。
 老健法の財源は、私から申すまでもございませんが、各保険団体からの七割の拠出金と国及び地方団体の三割の負担と一部患者負担金によって構成されておると思います。老人医療費が増高するたびに関係法律が改定されまして、そのたびに公費が相対的に低下しておると思います。私の手元にある資料を見ましてもそれが非常によくわかるわけでございます。例えば、老健法発足当時は公費負担は四四・九%だったと思いますが、四四%台であったものが、今日では三四%台に低下しておるわけでございます。老人医療制度を充実させようとすればやはり公費を増額しなければその目的を達成することはできぬのじゃないかと思っています。つまり、これは政府の政策的怠慢と思うんでございますが、御見解を承りたいと思います。
#10
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように、老人保健制度における国庫負担は給付費の三割とされておりますが、このほかに国民健康保険、それから政府管掌健康保険の拠出金につきましてそれぞれ国庫負担が行われているわけでございます。こういった国庫負担を合わせました老人医療給付費に対する全体の国庫負担の割合は、御指摘のように平成二年度では約三六%になっているわけでございます。
 これは、いわゆる加入者按分率を順次引き上げていきまして、国民健康保険の拠出金の負担が減少してまいりました。この国民健康保険の拠出金には五割の国庫負担が入っているわけでございますが、国民健康保険の拠出金の負担の割合そのものが順次減っていったという結果として全体の国庫負担率が減少する、こういうことになっているわけでございまして、私どもは、これは拠出金のいわゆる加入者按分率の変化に伴った結果的な数字であるというふうに受けとめておるわけでございます。
 今回の改正におきましては、先ほども御指摘がございましたが、介護に着目をして公費負担割合を引き上げるということを考えておるわけでございまして、そういう意味ではこの老人保健制度の基盤安定のための国庫助成措置を拡充するというふうに考えているものでございます。
#11
○浜本万三君 今御説明のように、結局医療費増高分については各保険者団体、個人負担によって賄っておるというふうに説明がございました。
 本来、老人医療というのは健やかで安心できる老後生活を確保する、こういう考え方から申しますと、福祉としての政策でなくてはならないんではないかと思います。それをあえて保険制度に組み込みまして、いわゆる被用者健保や患者に負担を強要しておるというのが今日の老人健康保険制度の姿ではないかと思うんです。これは非常にまずいと思いますが、いかがでしょうか。
#12
○政府委員(岡光序治君) 老人保健制度というのは、国民皆保険という現在の体制のもとで、老人層に対しましてどのような形で医療保障を行うかといういろいろな検討の結果に基づきまして、各医療保険制度を前提にして、その共同事業として現役世代も、老人側自身も、それから国、地方も応分の負担をし合って老人医療費を賄っていこうという仕組みを考えたわけでございます。そういう意味では社会保険方式を基本としておりますが、しかし、おっしゃいますように、老人医療費の性格を考えまして、公費負担割合を相当多目にしているわけでございます。そういう意味で、この公費負担割合は他の医療保険制度と比べまして相当高い水準に達しておるというふうに考えておるわけでございますが、しかし、今後のことを考えまして、制度の長期的安定という観点から、今回その強化方策、公費負担の拡充等の方策をお願いしたいと考えておる次第でございます。
#13
○浜本万三君 それじゃ、少し細かい問題に入らせていただきます。
 ところで、今回の老健法改正に当たりまして、公費負担を五割に引き上げなさいという意見が世間では非常に高くなっていたと思います。あらゆる団体からの陳情を拝聴いたしますと、三割を五割に引き上げなさい、こういう要求が強かったと思うんですが、そういう世論にもかかわらず、政府は五割負担の対象を老人保健施設療養費及び看護・介護体制が整備された特例病院の入院医療のみに限って改善をされておりますが、これはどういう理由でしょうか。
 法改正の目的から申しますれば、さらに適用範囲が拡大できたのではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
#14
○政府委員(岡光序治君) ただいま申し上げましたように、老人医療制度に対する公費負担割合は他の社会保険と比べまして既に相当高い水準に達していると思います。
 どの程度税財源から老人医療費に充当するかというレベルの問題でございますが、これにつきましては、制度改正を検討いただいた審議会の審議におきましてもいろんな意見があったわけでございます。私どもは、お年寄りの中でも七割の方はお元気な比較的健康な方でありまして、一割の方が比較的に病弱である。こういうことを考えますと、いわゆる疾病に陥るというそのリスクの分散を図るという意味で、七割の方がお元気だということを考えますと、社会保険システムになじむんじゃないか、こういうふうに考えたわけでございます。
 そういうことを前提に考えまして、他の医療保険制度における公費負担水準とのバランスということを考えなければならないんじゃないか。といいますのは、その背景としましては、高齢者世帯の一人当たりの収入を考えますと、これは平均で申し上げますと、全世帯を少し上回っているというふうな状態もあるわけでございまして、そういう意味では公費負担をこれ以上つぎ込むということにつきましては、国民的なコンセンサスがなかなか得にくいんじゃないだろうか、こういうふうに判断したわけでございます。そういう意味で私どもある特定の項目、つまり今後の重要課題である介護の要素に着目をして公費負担割合を引き上げるべきだ、こういうふうな判断をしたわけでございまして、それを根っこにいたしまして、今回の改正案を御提案申し上げているわけでございます。
 そういう意味で、私どもは介護の要素に着目をした施設としてどういうものがあるかということで、御提案をしておりますように、老人保健施設療養費及び特例許可老人病院のうちで、介護体制の整った病院の入院医療費を対象にということで御提案を申し上げているわけでございます。
#15
○浜本万三君 先般、衆議院で審議が行われまして、野党が共同いたしまして公費負担を五割にしてもらいたいという三つの要求を政府に提出いたしました。そのうち老人訪問看護療養費のみは公費負担五割の対象にするということで修正されました。私は大変よかったというふうに思います。さらに私は、介護体制が整備された同じような施設については、さらにその対象を拡大することがよろしいのではないかというように思っております。
 そこで、この審議を通じまして話題になっておるのが精神病院に関連する問題だというふうに思います。
 まず、政府が今日進められておる精神病院における老人性痴呆疾患対策について、どのような政策をお持ちなのかお尋ねをいたしたいと思います。
#16
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。
 今先生御指摘の精神病院におきます老人性痴呆患者の数でございますが、平成二年の私どもの研究班におきましては、約四万足らずぐらい入っていらっしゃるようでございます。
 そこで、私ども精神病院におきまして、老人性痴呆疾患に関する専門の病棟といたしまして、昭和六十三年度から精神症状や問題行動が著しい患者でありまして、そして短期集中的に治療するというようなことをいたします施設といたしまして、老人性痴呆疾患治療病棟というのを整備することといたしておりまして、今現在行っておるところでございます。
 それからさらに、本年度からでございますけれども、精神症状や問題行動がありますけれども、非常に期間が慢性化しそうな患者、そういう患者に対しましては長期的な治療を行う施設ということで、老人性痴呆疾患療養病棟、名前がちょっと違いますが、療養病棟として整備をすることといたして、今その準備を進めておるところでございます。
 これらの専門病棟につきましては、私どものいろんな研究班のデータなんかによりますと、今後老人性痴呆患者が激増するというような数字もございますので、そのようなことに対しまして、私どもは必要な整備を今後進めてまいりたい、このように考えております。
#17
○浜本万三君 厚生省の取り組んでおられる方針はよくわかりました。
 それで、治療病棟と療養病棟、二つ御説明をいただいたんですが、治療病棟まで五割の対象にしてほしいということを私は申し上げることはやめますが、せめていわゆる精神病院の療養病棟については、長期の療養機能を有しておりまするし、それから介護力も備わっておるというふうに見受けますので、これはひとつこの際公費負担五割の対象にしてもらえるように御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#18
○政府委員(岡光序治君) 御指摘がございましたように、この療養病棟につきましては、長期療養する、そして介護の要素が強いという側面を否定するものではございませんが、基本的には精神科医療を必要とする痴呆性の患者に対しまして長期的な治療を行うという性格を持っておる施設でございます。そういう意味では、治療的要素が強いということを念頭に置きまして、私ども、原案としましては公費負担拡大の対象とはしなかったものでございます。
#19
○浜本万三君 対象にする検討はできないですか。
#20
○政府委員(岡光序治君) 今までの審議でもいろいろと御指摘がございました。私どもの考え方は、再三申し上げましたように、考え方の整理をしておるわけでございますが、そこのところは国会での御審議をお待ちしたいと思っております。
#21
○浜本万三君 そういう含みのある答弁をいただきましたので、ひとつ今後の審査におきまして、ぜひ対象にしていただくように希望をしておきます。
 次に、今回の老健法の審議で、私たちは五割の公費拡大をするためにいろいろ検討し、政府に要求してまいりましたが、精神病院の療養病棟も、さっき言ったような理由で、介護力が備わっておるというので五割負担の対象にしてもらいたい、こういう主張を申し上げておるわけでございます。
 しかし、よく考えてみますと、療養病棟も精神病院の中に併設をされるわけでありますから、法律上は精神保健法上の制約を受けるであろうと思います。そういたしますと、病院の管理運営の中で人権上の問題が起きないだろうかという心配を持つわけでございます。余りにも公費負担の割合をふやすような方向でいった。ところが、精神病院の本来的な問題から申しまして、そういう心配がどうしてもあるわけです。
 そこで、厚生省にお尋ねをするわけなんでございますが、我々が心配しないでもいいというような十分な指導監督をしてもらわなきゃならぬと思いますが、この点について、これは大臣の基本的な姿勢と、それから事務当局の具体的な方針を承っておきたいと思います。
#22
○国務大臣(下条進一郎君) お年を召してだんだんと痴呆の症状が出てくるというのは、程度の差がありますけれども自然の成り行きだと思いますが、御本人が日常生活を送るに当たって非常な障害を生じてくるという方に対して、我々はそれぞれの段階に応じて、今お話しのような治療と療養というような区分をしながら対応してまいるということでございますが、その中で、今委員御指摘の問題は、人間性を尊重するようにという重要なポイントでございます。
 厚生省といたしましても、このような老人性痴呆の患者さんに対する対応といたしましては、その指導の中で十分人間性を尊重するようにということを申しておりますし、またこの扱いについても、各病院におきまして十分意を払っているところでございますが、なかなか実際については境目のようなところで非常に難しい。
 要するに、例えば徘徊という特性が出てまいります場合に、これはある意味では老人の気晴らしという面にもつながるということでありまして、これを完全に抑圧はできない。そういう意味で、御本人の人格を尊重するということであれば、そういう徘徊の性質を帯びた患者さんについては、同じような方をもう少し広いスペースで自由にその中を歩き回れるようにするとか、いろんな配慮をするというようなことをいたしておりまして、特にそれをさらに軽度の方の場合のいわゆる療養の段階になりましては、これは治療の関係からも極力人格を尊重して対応するということに意を払っている次第でございます。
 詳細は事務当局から御説明させていただきます。
#23
○政府委員(寺松尚君) 今大臣からお答えを申し上げましたが、私ども事務当局といたしまして、ちょっとお答えを補足させていただきたいと存じます。
 これはもう委員御承知のとおりでございますが、昭和六十三年に精神保健法を改正いたしまして、それによりまして精神病院に入院中の患者の人権の擁護と申しますか、それを一層図るということと、社会復帰の促進を進めるということが明記されているわけでございます。
 今先生が御指摘の件の老人性痴呆疾患療養病棟につきましても、患者の介抱等処遇に努めますとともに、精神保健法に基づきまして入院の際の精神保健指定医の診断、それからまた定期の病状報告あるいは退院請求等に基づく精神医療審査会の審査等、患者の人権に十分配慮した処遇や手続がとられることとなっておるわけでございますので、その辺の徹底を指導してまいりたいと思っております。
#24
○浜本万三君 ひとつぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
 次の問題は、今回の公費引き上げの趣旨というのは、先ほどの御説明のとおり、介護の面に着目したということでございます。そうすると、老人病院のみでなく一般病院の基準看護病床についても公費負担五割の対象にすることがよろしいのではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
#25
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘でございますが、一般病院につきましては、本来の性格それから機能から考えまして、急性期の患者を含めましてさまざまな疾病状態にある患者を対象としているところでございます。そういう意味では介護を重視した医療を提供する施設というふうには言い切れないというふうに考えまして、公費負担五割の対象とすることは不適当と考えたわけでございます。しかし、今後特に老人の保健、医療、福祉万般にわたります効率的な提供が求められる、そしてまたそういったものの質の確保ということが重要な課題になるわけでございまして、一方では老人人口が一層増加をする、そういう中で老人対策、それから病院の機能のあり方、こういったものが見直されていくべきものと考えておりますので、こういう中で費用負担のあり方についてもさらに議論が及んでいくのではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
#26
○浜本万三君 私は、今回の改正についてお年寄りの皆さんに負担をおかけするというようなことだけではうまくないと思います。こういういいことを厚生省はやっておるんだということが何か目に見えるような方法を講じていただかなきゃならぬと思っております。けさ質問の通告をしたんですが、その姿を我々が見るために質問をしてみたいと思うんですが、まず五割対象になる病院、施設としては、介護体制の整った老人病院、痴呆性老人療養病棟、これはまだわかりませんが、検討していただくことになっております。老人保健施設、訪問看護、これが大体考えられます。そうすると、六十三年度の出発の時点でどのような数値が見えるのかということを国民の皆さんに知っていただかなきゃならぬと思いますが、その数字はわかりますか。
#27
○政府委員(岡光序治君) まず、老人保健施設でございますが、平成三年三月末で四百三十一施設、病床数で三万四千七百床余りでございます。それから老人病院のうちで基準看護体制なり入院医療管理料を採用しておる病院につきましては、三百六十六施設、病床数で六万二千床余りということになっております。
 それから老人訪問看護でございますが、これは新しい制度でございますのでゼロでございますが、これから整備を進めて、平成四年の推計では初年度といたしまして四百施設、約二万人を対象にその整備を考えたいと考えております。それから精神病院の中の老人性痴呆疾患の患者を対象とした療養病棟でございますが、これは現在私の承知しておる限りでは三施設、病床数はちょっと今手持ちにございませんが、今動き出した制度だというふうに承知をしております。
#28
○浜本万三君 だから、もしそれをやるとすれば二百床だというふうに伺っております。それから平成四年度の計画も相当あるやに聞いておるわけでございまして、平成三年度は出発ですからこの程度なんですが、これが一体どういうふうに膨らむのか。これはお年寄りの方々にとっては、我々をどういうふうに看護してくれるのかということと大変関係があるわけなんでありまして、せめて、平成六年にはどうなるんだ、十年後はどうなるんだと、こういう夢に似た見通し、見通しでもやや確実なものでなくてはいけませんが、もしわかれば推定値をお示しいただきたい。わからなければしょうがないんですけれども、わかれば知らせてもらいたいと思います。
#29
○政府委員(岡光序治君) まず、老人保健施設でございますが、これはいわゆる十カ年戦略に基づきまして平成十一年度で二十八万床を予定しております。
 それから、介護力を充実させる老人病院につきましては、これから病院が選択をされますので、明確に拡充計画とか目標数をお示しするわけにはまいりませんけれども、相当数伸びていくというふうに考えております。いわゆる病院の入院患者の中で、こういった老人を専門にする病棟の方に移っていただくという数は相当ふえていくものというふうに理解をしております。
 それから、老人訪問看護ステーションにつきましては、これは相当広げることにしておりまして、五千カ所、そして、いわゆる寝たきり老人のおよそ三割程度がそれを利用できるようになるのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。
 それから、老人性痴呆疾患の療養病棟につきましても、これはいろいろ計画がございますし、今の段階ではっきり申し上げられませんが、研究班による検討結果では相当の数の予想がございまして、十万床のような研究結果も一つ出ております。これは将来の数字でございますし、病院側の選択もありますので定かでございませんが、そういう研究結果も出ておりますので、これは相当伸びていくだろうというふうに理解をしているところでございます。
#30
○浜本万三君 だから、それに私が先ほどお願いをいたしました一般病院の基準看護病床に入院しておる方々を入れますと、相当なお年寄りの人を救済することができるのではないか、こう思うんですよ。例えば一般病棟の基準看護病床が現在の推計でも三十一万床あるわけでございますから、相当の方の介護ができるんではないかというふうに思います。ぜひそういうふうに、比較的姿で見えるような厚生省の政策を今後もどんどんひとつ出していただきたいと希望しておきたいと思います。
 それから、次はスライド導入に関連して若干の御質問をいたしたいと思います。これは衆議院の答弁も頭に置きながら、政府の考え方を明らかにしていただくために御質問をいたしたいと思います。
 まず第一は、患者の一部負担のスライドの指標が今度は物価に変わりました。したがって、物価に大きな変動が生ずるおそれがあると思います。その場合、その上限を私どもといたしましては三%というふうに規制をいたしたい、こう考えておるんですが、これについての御見解を承りたいと思います。
#31
○政府委員(岡光序治君) 御質問の趣旨は、スライド率が高くなり、そのままその率が一部負担額に反映されますとお年寄りの過大な負担となるのではないかという御懸念であろうかと存じます。
 スライド制につきましては、今回新たに導入される制度でございまして、その影響を慎重に見きわめることが重要であると考えておりまして、御懸念のような事態が生ずるおそれがある場合には、国会の御判断も得て、そのあり方を総合的に検討することが必要であるというふうに考えております。
#32
○浜本万三君 ただいまの御答弁で、国会の判断を得てというふうにおっしゃいましたんですが、これは行政府の一方的な判断でスライドを実施するのではなく、国会の審議を経て承認を得て行う、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#33
○政府委員(岡光序治君) 御懸念のような事態が生ずるおそれがある場合には、政府の一方的な措置でなく、国会の御判断を得て対処してまいりたいという考え方でございます。
#34
○浜本万三君 その場合に、スライド制の存廃も含めて検討するということはあるわけでしょうか。
#35
○政府委員(岡光序治君) やはり総合的に検討しなければならないというふうに考えておりまして、そういう検討の中にはスライド制の是非も含めるというふうに考えております。
#36
○浜本万三君 いずれにいたしましても、国会の審議を経て、また国会の承認を得て行うということになりますと、非常に大切なことをお約束されるわけでございますから、当然制度の運用やその発動については国会で歯どめをする必要があると思いますので、法律の中に明記いたしまして、高齢者の皆さんの負担が高額にならないように措置していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#37
○国務大臣(下条進一郎君) ただいまのスライド制の問題につきましては、基本的な考え方といたしましては、高齢者の方々がこのスライド制の導入によって御不安が起こる、懸念が起こることのないようにしなければならないというのを前提の考えとして我々は持っておるわけでございます。
 ただ、毎年医療費がじりじり上がり続けておりますような状況もまた事実でございますし、そういう中で制度の長期的な安定を図るために今回改正の中で物価にスライドする制度を平成七年度から導入していただく、こういうことをお願いしているわけでございまして、その適用につきましては、今委員御指摘のように、急激ないろいろな物価の変動がある場合には、これは大きな影響を与えることになりますので、そのような御懸念の生ずる場合におきましては、国会の御判断を仰ぎながら慎重に適用してまいる所存でございます。
#38
○浜本万三君 次は、保険外負担の軽減、解消についてお尋ねをいたしたいと思います。
 患者の負担は、法律上の負担だけでなしに、非常に問題になっております差額ベッド代の問題、いわゆるお世話料やおむつ代の実費負担の問題、それから付添看護料などであります。これはもうかねてからその抜本的な改善対策を政府に要求しておったところでございますが、政府は三人以上の差額ベッドの解消でありますとか、それからお世話料などについては、看護と密接に関連したサービスについては徴収をしてはならない、また、あいまいなお世話料や管理協力費の費用徴収はしてはならないというように相当厳しく指導されておるというふうに伺っております。しかし、今回の改正法案で患者の皆さんに負担をおかけするわけでございますから、保険外負担の一層の軽減の徹底を図っていく必要があると思います。
 そこで、分けてお尋ねしようと思ったんですが、一括をいたしまして、差額ベッド代、それからいわゆるお世話料などの実費負担の軽減についてどのような厳しい御指導をなさるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#39
○政府委員(岡光序治君) まず、差額ベッドの是正でございますが、従来から差額徴収に係るルールを明確に示して適正な指導を行っているわけでございまして、相当改善を見ているところでございますが、今後ともルールに反した不適切な差額徴収が行われないよう指導の徹底を図ってまいりたいと存じます。
 それから、おむつ代等の費用負担の問題でございますが、おむつ代につきましては、今も先生御指摘がありましたように、社会常識上不適切な額の徴収は行わないようにという指導を徹底させる、それからお世話料などのあいまいな名目での徴収は行わない旨の指導を徹底しよう、こう考えております。領収書をもらってこれだけの額が必要なんだという確認もぴしっとしてもらおうというふうにしておりますし、そういう意味での指導を徹底してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#40
○浜本万三君 私ども、この法案を審議するに当たっていろいろ議員の仲間と相談をしておりましたところ、おむつ代等につきましては、快適な療養、それから医療効果を高めるためにも、これは保険給付の対象にし次らどうか、保険給付に取り込んだらどうかという御意見が非常に多いわけでございます。これは今回直ちにというのは無理かもわかりませんが、十分ひとつ慎重にこの問題の検討を希望しておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#41
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、おむつの問題につきましては、現在のところこれは日常生活上必要なものであるということを考えまして、医療保険の給付の対象とすることをやめておりますが、今後の高齢化の進展を考えますと、常時介護を必要とする状態の御老人が大幅に増加するということも見込まれるわけでございまして、高齢者のケアをどうするかという基本問題があるわけでございますが、そういうケアのあり方をいろいろと議論する、検討する際に、このおむつの問題も含めて広い観点から検討していかなければならないというふうに考えております。
#42
○浜本万三君 ひとつ十分御検討いただきまして、お年寄りの皆さんの期待に沿うような措置を講じていただくようにお願いをしたいと思います。
 次は付添料の問題なんですが、今付添料は大体一カ月三十万円前後という人もおりまするし、以上という人もおられるわけでございますが、いずれにしましても、三十万を超えるような高額な負担になっております。これは患者と家族にとっては大変な負担であります。この負担を解消することは現下の急務の政策ではないかと私は思っております。
 つきましては、厚生省はこれについてどのようなお考えを持っておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#43
○政府委員(岡光序治君) 種々の施策を講じまして付添看護の問題に対応してまいりたいと考えておりますが、具体的には、一つは安易に付添看護に依存をし不適切な患者負担を生ぜしめることのないよう、現行の付添看護の取り扱いの適正化を図りたいと考えております。これは病状に応じて一人づきないし三人づきということで付添看護を認める要件が明確にしてあるわけでございますが、そこのところの取り扱いを適正化したい、徹底をしたいということが一つでございます。
 それから、体制といたしましては、付添看護を必要としない介護体制の整った病院を拡大してまいるという本筋の施策を進めたいと考えておりますが、直ちにこのような体制に移行できない老人病院も間々あるわけでございまして、こういった老人病院につきましては、これまでは病院単位の考え方で物事を整理しておりましたんですが、新たに病棟ごとという発想を取り入れることにしまして、病棟ごとの介護体制の整備を認めるなどいたしまして、いわゆる介護体制の整った老人病院に段階的に移行していくような、そういう促進策をあわせて講じてまいりたいというふうに考えております。
 この件につきましては、私ども具体的な対応策を考えないといけないと思っておりますが、速やかに関係審議会において御検討をお願いして、その結論を得て必要な措置を講じてまいりたいと考えている次第でございます。
#44
○浜本万三君 今の御説明でうっすらわかるんですが、要するに付き添いが要らないような病院をつくるということが最大の目的、その経過措置として病院の中に病棟ごとの介護体制が整備された病院をつくる、こういうお話なんでございますが、その場合には病院も付添看護に相当する相当の介護の費用が必要だというふうに思いますが、今の関係審議会にかけるというお話の向きは、そういう付添看護料というようなものを想定されて医療費として支給されるというような考え方と思ってよろしゅうございますか。
#45
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、病棟が複数あった場合に、ある病棟につきましては、いわば院内の介護力をそこに集中して付添介護を必要としない病棟にしよう、しかし、そのほかの残余の病棟につきましては、人手が薄くなるわけでございますので、そこのところは病院が病院の管理体制、責任体制のもとで人を集めて措置をすることにしよう。そういう体制を認めるということにしますと、そこにおける看護に必要な経費につきましては、保険とのかかわりを考えなければいけないというふうに私どもは想定をしております。
 そういうことをすれば、結果としてはかなり患者のサイドの負担は軽減されるだろうということも考えられるわけでございますが、詳細具体的にはもう少し関係審議会で煮詰めていただきたい。これは診療報酬のかかわりもございますし、老人の介護体制ということにもかかわりますので、中医協や老人保健審議会、複数の審議会が関係してまいりますので、そこのところはそういう方向で私ども検討を進めていただくようにお願いをしたいと思っております。
#46
○浜本万三君 私はこれを伺いまして、大変前向きな施策が提案されておるというふうに思います。今までなかなか厚生省は渋いんですけれども、比較的私はいい政策が考えられておるんだなというふうに思っております。
 ただ、ちょっと心配になりましたのは、きょうの朝日新聞だったと思うんですが、今提案されております医療法改正法案、この中で、改正された後の医療体系の姿というのが図で示されておるんですが、つまりこの「療養型病床群」というようなものに今のお話が相当するんじゃないかと思うんです。そうすると、この法律が改正されない前に、厚生省はどんどん先取りをしておるんじゃないかという、立法府の一人としては疑問があるんですが、それはどうでしょうか。
#47
○政府委員(岡光序治君) 今お願いをしております医療法の改正では、現行医療法に溶ける病院の整理として、一般病院と精神病院と結核病院という三種類が認められているわけでございますが、その一般病院の中での機能分担を考えようとしているわけでございます。それはそういう病院の体系、そしてその相互の連携関係についての一つの考え方を整理したいというものでございます。
 私どもが先ほど申し上げたのは、そういう病院体系についての話ではございませんで、老人病院というものを前提にして、その中における改善策がとれないものかということで発想しているものでございまして、医療法の改正とは直接に関係がないというふうに考え方としては整理しております。
#48
○浜本万三君 それならよろしゅうございます。
 それから、この点の締めくくりの意味でお願いをするんですが、やはり国民の皆さんには改善策が目に見えるような形をつくらなきゃならぬというふうに思いますから、本委員会で老健法の審議が終了するまでに、もう少しわかりやすい制度の内容と、それから中医協等にかけられようとしておる医療費の額であるとか、介護料の額であるとかいうようなものについても明らかにするようにしてもらいたいと思うんです。
 せめて、確認答弁のときにはそれが明ちかになるような厚生省の努力を期待したいと思います。それはどうですか、よろしゅうございますか。
#49
○政府委員(岡光序治君) 国民によく御理解をいただくということは必要でございますので、今回の老人保健法の改正につきましては、非常に簡易なわかりやすいパンフレットなんぞも用意をしたわけでございますが、国会審議で内容が相当変わってきておりますので、その面も含めまして、国民によくわかるような資料は改めて用意させていただきたいと存じます。
#50
○浜本万三君 次は、安定基金制度、正確に言えば老人保健基盤安定事業ですか、この問題についてお尋ねをしたいと思います。
 この制度ができましたのは六十一年ですかの審議のときだったと思うんですが、当時健康保険組合が大変財政状況が悪化をしておった中で、按分率が一〇〇%に引き上げられる、これは大変だというので、我々は当分の間按分率は九〇%にとどめ置くべきであるという議員立法を出そうとしたんですが、それに対しまして、厚生省も、それは待てと、我々がいい知恵を出すと言って提案されましたのが老人保健基盤安定事業であったというふうに思います。
 私が非常に心配をしておりますのは、まだ健康保険組合の財政状態というものは完全に改善されてはいないと思う。たまたま景気がいいもんですから、こういう状態で少しよくなってはおりますが、完全に改善されてはいないと思います。一番心配をいたしますのは、平成六年には年金の財政再計算時にも当たります。年金財政全体の検討をする。そうすると、当然老人保健基盤安定事業の一兆五千億円の問題も検討されるというふうに思うわけです。本来、補助金を削ろうとしたときにこういう制度をおとりになったわけでありますから、問題のある制度であることはもう間違いないと思います。これは大変危険に陥るんじゃないかという心配がございます。
 そこで、この問題の解決のためには、これを続けるのか、公費負担の三割を五割に引き上げるように厚生省が約束をされるのか、按分率を九〇%に引き戻すのか、三つに一つだろうと思うんですが、厚生省はどの道をお選びになるつもりか、ここではっきりとひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#51
○政府委員(岡光序治君) 特別保健福祉事業は、先生御指摘のように加入者按分率が一〇〇%に移行するといったときに、制度の見直しを行い、そしてその措置をとれと、こういうことが六十一年の改正の際に附則で規定されたわけでございます。一〇〇%に移行する際にどうするかということが議論されたわけでございまして、そのときには被用者保険の拠出金負担の緩和を図る、それと同時に老人保健制度の基盤の安定化措置を講じようじゃないかということになりまして、老人保健の見直しは見送られたわけでございます。厚生保険特別会計法を一部改正しまして、そして一兆五千億の資金をセットして、老人保健の中における被用者保険の拠出金の負担の緩和措置としてその運用益を充てるということにしたわけでございます。
 そういう意味で、これはそもそもは厚生年金の国庫負担当分でございますので、この扱いについてはいろいろと今御指摘がありましたように問題があるわけでございます。三年度予算においてどうす令か議論をしたわけでございますが、これは引き続き被用者保険の負担軽減を行う必要があるということを考えまして、制度改正と合わせて本事業は継続をすべきだという判断をしたわけでございます。
 将来の話でございますが、これにつきましては、今回の制度改正による影響とか効果、それからもちろん被用者保険のそちらの方の財政状況も見きわめなければなりませんけれども、そういったことを全体的に見きわめる中で、今おっしゃいましたような幾つかの方法があろうかと思いますが、そちらのどれを選ぶか、これからいろいろと慎重に考えていきたいと考えております。
#52
○浜本万三君 大臣、今お聞きのように、これは特に大蔵省と非常に関係が深い問題なんですよ。大蔵省御出身の大臣でちょうど都合がよかったと思うんですが、ひとつぜひ大臣の力を出してこの問題を継続するように御協力をいただきたいと思いますが、決意のほどを承りたいと思います。
#53
○国務大臣(下条進一郎君) 被用者の負担の問題に関連してこのような措置がとられているわけでありますが、本来ならばこれは暫定的な措置ではなかろうかと思います。保険制度の全体が健全性を確保するという見地からは、私はそう永久的に続くものではない、このように考えておりますけれども、現状におきましては、またこれを直ちにもとへ戻すということは困難かと思いますので、今後の状況を勘案しながら、今後の取り扱いについては慎重に対応してまいりたいと考えております。
#54
○浜本万三君 あと二分ほどありますから、ちょっと質問を追加してお尋ねをしたいと思います。
 訪問看護制度の問題でございます。一番心配をしておりますのは、医療機関の不足しておる過疎地域や僻地、さらに離島等における対策について、もう少し国民が納得するような説明をしてもらいたい、こう思います。これが一つです。
 それから、ついでにもう一つ御質問しますと、訪問看護ステーションはPT、OTについて必ず置くとされておりません。在宅におけるリハビリテーションを充実させるためには、これは非常に必要なものだと思うんですが、厚生省としてどのようなお考えを持っておられるか、あわせてお尋ねをいたしたいと思います。また、この際、PT、OTのマンパワーの確保についての対策も明らかにしてもらいたいと思います。
 以上、二つの質問で私の質問を終わらせていただきます。
#55
○政府委員(岡光序治君) 過疎地域などにおきます訪問看護ステーションの確保の問題でございますが、確かにそういう地域におきましては社会資源が全体として乏しかろうと思っておりますけれども、そういう中でも必要な訪問看護は確保されなきゃならないと思いますので、例えば在宅介護支援センターとの一体的な運営を図るというふうなこととか、工夫をしながらその地域に即した対応をしていきたいというふうに考えております「
 それから、OT、PTの設置を義務づけるべきではないかというお話でございますが、確かに日常生活動作能力を回復するということを考える意味でリハビリテーションは大変重要でございまして、この老人訪問看護制度におきましても、看護婦等が行う訪問看護のほかに、理学療法士とか作業療法士の行う訪問リハビリもこの制度の対象にしておるわけでございますが、いかんせん作業療法士、理学療法士の数が少のうございまして、設置を義務づけるまでにはどうも数が足らないのではないかと思っております。その辺は、今養成所をふやすなりして何とか理学療法士なり作業療法士の絶対数をまず対応するように需給計画の総合的な見直しを行って養成体制を整備をしていくという考え方がございますので、そういった動きを私ども念頭に置きながら、できるだけ体制の強化を図っていきたいと考えております。
#56
○庄司中君 私の質問は、問題を限定いたしまして、一部負担金の問題、それからスライド問題、それに関係する問題を中心に質問いたします。
 先日の議論をずっと聞いていまして、かなり網羅的な議論が行われていたわけでありますけれも、例えば世代間の分かち合いの問題であるとかあるいは老人保健施設施設間の費用のバランスの問題であるとか、あるいは医療費に占める動向であるとか、それから前回設定してから四年たっているじゃないか、もう改定の時期だというふうな話もありました。
 それから高齢者の生活実態の話がありまして、私が感じましたのは、いわば原案の五%という数字的な根拠というのは、必ずしもこの場合では明確ではなかったわけです。ただ、一つ私が聞いておりまして、ああこれはそうかなと、数字的な根拠はここにあるのかと思いましたのは、健康保険の被用者保険の加入者の負担が一割でございますから、その半分という言い方を最後にされたというふうに記憶しております。
 そんなふうになりますと、いわば一部負担金を設定する場合に、この五%からスタートしたんじゃないだろうか、まず五%ありきで負担金を割り振ったというふうな発想だったんじゃないだろうか、そんなふうに思いますけれども、その辺の考え方をまずお聞きしたいと思います。
#57
○政府委員(岡光序治君) 私どもは、先生おっしゃいますように、老人医療対象者の中で医療を受ける人と受けない人との間のバランスであるとか、あるいは保険料の形で老人医療の費用の大半を負担している若年層と老人層の負担のバランスであるとか、あるいは医療保険制度における若年層の一部負担とのバランス、それから老人同士の中での老人保健施設や在宅の御老人との負担のバランスであるとか、こういったいろんな観点からのバランス論をまず念頭に置いたのは事実でございます。
 そして他方では、負担能力という観点から、高齢者、老人層の負担能力がどの程度にあるんだろうかということも考えあわせまして、それらを総合的に考えた上で、定額制という制度を前提にしながら、どの程度であったらいいんだろうかということを総合判断したわけでございます。
 そういう意味で、結果として五%程度御負担いただくことが適当ではないだろうかというふうに考えたわけでございまして、五%が先にありきではございませんで、そういうバランスであるとか負担能力であるとか、そういったことをいろいろ検討して、そしてどこかに基準を置かなければどういう額にするかということが定まってこないものですから、五%程度というものを御負担いただくのが結果としてはよろしいんじゃないだろうか、こう考えて原案を用意したような次第でございます。
#58
○庄司中君 結果としての五%、つまり総合的なバランスというお話でございましたけれども、一方では財政の長期的な安定ということをおっしゃっていますね。総合的なバランスで結果的に五%になったというお話ではございますけれども、制度の長期的な安定ということで当面五%で大体展望が開ける、展望できる、そういうふうなお考えだったんですか。
#59
○政府委員(岡光序治君) これはもう先生に申し上げるまでもないことでございますが、現在の老人保健制度は、お年寄り自身の一部負担と、それを除きますところの給付費について七割を拠出金で三割を公費で負担しているわけでございます。そういう意味では、お年寄りと現役世代とそれから税負担という三つで構成されておるわけでございまして、そういったものの均衡というんでしょうか、あり方ということを考えながら、将来ともにこの制度が安定していかなければならないわけでございますので、ある程度の一部負担というものを必要とするだろう、こう考えたわけであります。
 先ほど申し上げましたように、総合判断の結果五%程度の一部負担をお願いすべきだ、こういう判断をしたわけでございまして、そういった中でも今後の制度の安定ということを考えますと、公費のかかわり方というのが恐らく大きな問題になるであろうということで、介護という問題が今後の重要課題だと考えましたので、その介護部分に公費の観点からも大きくかかわって、その部分を公費としては増大をしていくということによって財政安定にもつながっていくんではないだろうか、こう考えた次第でございます。
#60
○庄司中君 先日の議論とかなりニュアンスが違ってきておりますね。現役世代が一割だからその半分という言い方をされたわけであります。今の話ですと、結果的に五%になった、これで何とかバランスがとれる。しかし何といいますか、必ずしも展望は確かではないというお話だと思いますけれども、現役世代の負担の半分ということにいたしますと、本則で今度は三割負担という問題が出ておりますね。今までの議論を聞いておりますと、ああ現役世代の半分だ、本則の二割になったらこれは上がっていくなと、一〇%になるなど、そういう政策の姿勢なんじゃないだろうか、こういうふうに受け取りますけれども、この辺は明確にお答えをいただきたいというふうに思います。
#61
○政府委員(岡光序治君) 確かに、健康保険法の本則では、給付につきましては、本人、被扶養者を通じて一部負担二割というふうに書いてあるわけでございますが、仮にそういう事態になった場合に、老人保健の一部負担についてはどうなるのかということでございますが、私は直ちにその半分ということにはならないというふうに考えております。若い人と老人との負担のバランス、それから負担能力は一体どうあればいいのか、それから他のいろんないわゆるヘルス事業であるとか福祉の制度であるとか、そういったものがどう展開をするのか、総合判断ということを考えて、国民のコンセンサスを得なければ、こういった負担の問題というのはそう軽々には論じられないというふうに考えておりまして、単純に本人の半分というふうな発想ではこの問題は解決つかないというふうに考えております。
#62
○庄司中君 わかりました。そういうふうにやっていただきたいし、本来そういうものだろうというふうに思います。
 それからもう一つ、先日の議論の中にあったわけでありますけれども、今のお話の中にもありましたように、各施設間の負担のバランスということになりますと、例えば老人病院の場合、自己負担なら自己負担を考えてみますと、原案では四百円を八百円にしますから、三十日として二万四千円ということになります。今度の修正案では七百円ですから三万一千円ということになります。老人保健施設ですと、徴収されるのは大体五万円台ですよね。それから特養の場合には、これは原則が違いまして応能主義でありますけれども、平均しますと大体三万円台というふうに言われております。ですから、負担のバランスということになりますと、いわば病院の場合にはどの辺の位置づけを行ったら妥当と考えるのか。バランス論の前提にはある一つの物差しがなきゃいけない、位置づけがなきゃいけない。あそこより高くてはいけない、ここより低くてはいけないという恐らく判断があるだろうというふうに思います。ですから、バランス論の中にある一つの位置づけといいますか、そういうものはどんなふうにお考えでしょうか。
#63
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように、病院、老人保健施設、特別養護老人ホームを念頭に置きますと、それぞれ医療の必要性の度合いが違って、それから介護の必要性とか、その度合いがそれぞれ違っておるわけで、その違いに応じてそれぞれの機能を果たすようにしておるわけでございます。
 しかしながら、一方の考え方としましては、お年寄りに入所をしてもらって、その心身の特性に応じたケアを提供するという意味では、特に入院の場合でも長期入院化しますと、そういうケアを重視するということになると思いますので、そのケアを提供するという点では共通点があるんじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。そういう意味では、そういった特に老人病院、老人保健施設、それから特別養護老人ホームの間での負担に余り大きな差が生じることは適当ではないんではないかと考えておるわけでございます。
 私どもの原案の考え方は、一日八百円で三十日で三万四千円、そして老人病院における現状では、おむつ代等の実費負担がございまして、三万円余りの負担になっておりますので、それらを合わせますと五万円に近いところになるんじゃないか。先ほど御指摘がありましたように、老人保健施設においては五万円程度の費用を徴収されておりますから、そういう意味では、老人病院においても大体五万円程度ということで、実際の負担額がレベルが合うんじゃないだろうか、こう考えたわけでございます。
 といいますのは、そういうことで大体負担のレベルがいませんと、結果として負担の低いところにみんな寄ってしまう。私どもは、その施設の果たす機能に応じて、お年寄りの状態に応じた機能の施設を選んでもらいたいというふうに考えておりまして、そのような体系を整えたいと思っておるわけでございますが、負担の面でがたがたとアンバランスになっておりますと、そういう適切な施設を選択するということがどうしても阻害されてしまうんじゃないか、こういうことを考えまして、そういう意味で施設間の負担の均衡ということを配慮せざるを得ないんじゃないだろうか、こう考えた結果、今申し上げたような病院における一部負担をお願いしたいなという、バランス論を考えた、そういう一面がございます。
#64
○庄司中君 大体わかりました。
 次に進みたいというふうに思います。
 例えば、外来の場合には一カ月千円ということになります。これは一診療科目ごとに千円でありますから、科目が変わると千円ごと払っていかなきゃいけないということになります。先日の議論でも、高齢者の場合には病気が一つじゃない、複数であるということになります。そうしますと、一カ月千円じゃ済まない。あるいは三千円であったり四千円であることがあるかもしれない。そういうふうになりますと、かなり負担が大きくなっていくというふうに考えられます。
 特に私が心配いたしますのは、病院に行くということは本人が任意で判断するわけです、行こうか行くまいかということを。例えば病気で体が立てないということになれば、これはもう入院するしかないわけでありますけれども、診療を受けようか受けまいかというのは任意性があるものですから、外来の負担を大きくしますと、かなり抑制効果がきいてくるというふうに思います。
 そういう点で、例えば入院の場合には低所得者の限度額というのが前から決まっております。今度も大体それを適用していく、動かさないということでございますけれども、これは外来の場合にもある意味では、ある特定の条件をつけまして考えてもいいんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、その辺はどんなふうにお考えですか。
#65
○政府委員(岡光序治君) 私どもの調査では、お年寄りの一カ月当たりの受診件数は一・四七から一・四八件というふうになっております。つまり、一カ月に病院にかかる件数が一・五程度ということですから、二つのところにかかっておいでの方と一つのところにかかっておいでの方が平均的な姿である、こういうふうに把握をしておるわけでございまして、この程度の件数でありますと、外来一部負担につきましても、低所得者にとっても無理なく御負担いただける程度、範囲ではないだろうかというふうに考えておりまして、外来一部負担につきましては、低所得者に対する特別な軽減措置というのは講ずる必要はないのではないかというふうに判断をしているところでございます。
#66
○庄司中君 お答えは全部平均なんですね。ところが、高齢期の健康状態といいますのは個人的に物すごくアンバランスになるわけです。ですから、平均では全部切れないわけですね。僕は後から申し上げますけれども、例えば高齢者の生活実態なんかも全部平均でお答えになっていますが、物すごくばらつきが大きいということを考えないといけないだろうというふうに思います。
 そういう点では何らかの低所得者の限度額の設定ということは当然考えていいんじゃないだろうか、実態としてあるわけでありますから、平均論ではそれは切れないということ、その辺は当然考えるべきだというふうに思います。アンバランスが大きいということを踏まえた上でもそういうことは考えられないのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
#67
○政府委員(岡光序治君) お年寄りの生活実態は、御指摘のように多様なものがあろうかと思っておりますが、この負担論を論ずる際には、私どもはどこかに基準を置いて、姿を想定して設定しなきゃならない。そういう意味では平均の姿を一つの基準にして判断をしたわけでございまして、この程度の負担であれば無理のない範囲の負担ではなかろうかというふうに考えた次第でございます。
#68
○庄司中君 私が今申し上げておりますのは、千円が受診科目が多くなったら大変だと、病気を持つということは個人差が非常に大きいから、限度額の設定はこの場合でも必要なんじゃないだろうかということを申し上げたわけです。生活実態の問題については後から申し上げたいと思いますが、アンバランスの状態、これが非常に大きいと、病気をたくさん持っていろんな診療科目にかかる人もいるということを考えた上で、なおかつ限度額の設定というのは想定できないのか、考えられないのか、そのことを今お聞きしているわけです。
#69
○政府委員(岡光序治君) 御指摘の、そういう多様な実態があるというのは私もわからないわけではございませんが、外来の受診状況につきまして私どもで調査をしたところでは、繰り返しになって恐縮でございますが、一月に全然医療機関に通わなかったという人が三〇%余り、それから一つの医療機関というのが四四%、それから二つの医療機関にかかったというのが一七%ということでございまして、ほとんどの方がそういうことで三つの医療機関でとまっているわけでございます。そういうふうな実情を把握をした上で私ども申し上げているところでございます。
#70
○庄司中君 時間の制約がありますから、次に移りたいと思いますけれども、この一部負担金の問題は、負担すべき主体、負担をする高齢者の立場ということを考慮せざるを得ない。これからは負担感ということについて少し聞いてみたいというふうに思います。
 例えば、入院が原案では二倍になりますね。そして今度は修正されまして一・七五倍になるわけです。それから外来の場合が三五%ということになりますけれども、払う側にとりましては大幅に上がったという印象を非常に持つだろうというふうに思います。倍になるという設定を考えてみますと、物価にしましても、医療費にしましても、何をとりましても、この四年間に倍になったというケースは恐らくないだろうというふうに思います。さすがに社会保障制度審議会の答申も、「その負担の程度について国民の理解を得るように努めることを望みたい。」というふうに特に強調していまして、この負担感のことをかなり心配をしているだろうというふうに思います。
 厚生省としましては、無理はない、大幅な負担じゃないと、こういうふうにあくまでもお考えでしょうか。確認をする意味で、その点をまず聞いてみたいと思います。
#71
○政府委員(岡光序治君) 今回の一部負担の額の見直しにつきましては、近年の年金受給の状況、それから高齢者一人当たりの平均所得金額、消費支出動向、こういった生活実態を見きわめたつもりでございます。
 それから、制度を支える若い世代の負担が大きくなって、そういう意味では若い世代のそれこそ負担感が非常に増大しておることによります、そういう負担をしたくないという声が強くなっている、そんなふうなことを総合的に判断しまして、お年寄りと若い層、国民各層で負担を適切に分かち合っていく、こういう考え方が必要なんじゃないか。そうしないと、老人保健制度そのものが非常に不安定になり、下手をすると若い層の反発を招いて制度そのものが崩壊してしまう可能性もなきにしもあらずということで、無理のない程度の御負担をお願いしたいということで改正案を御提起したところでございます。
#72
○庄司中君 もう一つ私が心配いたしますのは、負担をする側の負担感によって受診の抑制が行われるということになりますね。受診の抑制が行われますと、お医者さんに行かないで病気を悪くして、そしてトータルとしての医療費の拡大を招く、つまり医療経済にマイナスの影響を及ぼす。これはもうかねてから指摘されていることでございますけれども、先ほども言いましたように、お医者さんに行くか行かないかは自分で決めるわけですから、負担が大きいと思ったら行かないということになります。
 私の手元にあります前回の引き上げ、六十三年の一月から実施をされました引き上げの抑制率を見てみますと、外来と歯科で、実施をしてから一年間、前年比で受診率がマイナスになっているというふうな資料がございますけれども、厚生省としては負担が上がった場合の受診率の影響ということで調べていらっしゃいますか、詳細なデータお持ちでしょうか。
#73
○政府委員(岡光序治君) 六十一年度の改正前後のデータは私どもも持っております。
#74
○庄司中君 さっき言いましたように、一年間前年比マイナスということですけれども、厚生省は資料を持っているなら、どうですか、前年比という関係ではどうなっていますか。
#75
○政府委員(岡光序治君) 六十二年度の外来で申し上げますと、六十一年度との対比では受診率が若干低下をしておりますが、六十一年度なり六十三年度と比較しましても一件当たりの日数は逆に伸びております。
 一人当たりの医療費の伸びについては入院、外来とも大きな変化はないわけでございます。医療費につきましては、受診率と一件当たりの日数と一日当たりの医療費ということで私ども分析をしているわけでございまして、そういう意味で受診率は若干低下をしておりますが、逆に一件当たりの日数は伸びておる、こういうふうに把握をしておるわけでございます。
 これをどう受けとめるかということでございますが、この数字で見る限りにおきましては、複数の医療機関で受診する傾向が減少して一件当たりの日数が伸びているということは、一つの医療機関で継続して診療を受ける傾向が出てきたというふうに受けとめているわけでございます。そして一人当たりの医療費の伸び率においては変化が余りないということでございますから、そういう意味では一つの医療機関でじっくりと診療をしてもらう、そういう傾向になったのではないかというふうに、この六十三年度の数字については見ておるところでございます。
#76
○庄司中君 問題は受診率だと思うんです。病気があるかないか、そしてその病気はどんなものであるか、そこからすべてが出発するわけでして、そこをほうっておきますと病状の重度化というのは避けがたいわけです。そのことを言っているわけでありまして、医療費がどうなったかではなくて、負担増が受診率に及ぼす影響、これが問題になるだろうということを私は申し上げているわけであります。
 さらに申し上げますと、調査ということで行っているということでありますけれども、私は、負担増が受診率に影響して、それが医療費全体にどんな影響を及ぼしているかというのは、国民経済の観点からもかなり大きい問題だろうというふうに思います。つまり、この問題は受診率の抑制が医療経済にマイナスかプラスか、絶えず繰り返されると思うんです。そういう点では、厚生省はちゃんと追跡調査をしてシミュレーションぐらいはやって、こういうデータがある、実態はこうだというのを示していく必要があると思います。そうしませんと、毎回同じ問題点を避けた議論が行われるということになりますので、これからの対応としてはそのくらいは考えないといけない。その点についてどんなふうにお考えですか。
#77
○政府委員(岡光序治君) おっしゃるように、私どもそういう動向については分析、調査をする必要があると思っております。
 繰り返しになりますが、医療費につきましては、各年の受診率、一件当たり日数、一日当たり医療費、こういった診療諸率を分解して月報及び年報ということで公表しておるわけでございまして、これはずっとフォローしておりますが、今おっしゃいましたように、経済生活全体にそういうものがどう影響するかというのはそれぞれの発想から調査をしなきゃならないと思っておりますが、そこのところはおっしゃいましたようなことも参考にしながら、また必要な調査を行ってまいりたいと思っております。
#78
○庄司中君 これは国民経済の上からかなり大きい問題です。医療費がどんどん膨らんでくる高齢化社会の中で、負担と給付の関係を見る上でもこれはかなり大きい問題だと思いますので、積極的に調査を行ってそのデータを国民の前に示す、そして判断をしてもらう必要があるだろうというふうに思います。
 そこで、次の問題に移りますけれども、例えば負担感というものがかなり大きい影響を及ぼすというのは受診率で証明されているというふうに思います。若干減ったというだけではどうもないようですね。ですから、入院の場合をとりましても、先ほどから意見がありましたように、負担のバランスを見る上でも保険外負担を一つの項目の中に入れておるわけです。つまり、例えばお世話料とかおむつ代とか、あるいは洗濯代とかテレビ代とか、あるいは差額ベッドとか、これ以外に付添料という大変な問題がありますけれども、付添料を入れなくても最低十万円はかかっていますよね、これだけずっと並べてみますと。負担のバランスでおっしゃったように、一部負担の引き上げはこの上に乗るわけです。土台があってその上に乗る。ただ四百円が七百円になるわけではない。だから、四百円対七百円で問題を考えられない。
 つまり、大変な負担が土台にあって、その上にまた負担が重なるということになりますと、負担の効果というのは非常に大きいと思うんです。負担感が大きい。そうなりますと、病院から追い出しの効果が出てくる。病院に入るのを抑制するだけじゃなくて、入っている人を外に出す、こういう効果もあるんじゃないだろうかというふうに思います。負担を四百円から七百円という数字の問題じゃなくて、実態の上に積み重なった場合の効果ということを考えた場合に、入院の抑制と追い出しの効果というのは必ずあるというふうに思いますけれども、どんな御判断をお持ちか、その辺をお聞きします。
#79
○政府委員(岡光序治君) 一部負担を引き上げる、特に入院の一部負担を引き上げることによって入院を抑制したり、あるいは病院から追い出すというふうなこと、そんなことを意図しているわけではございません。繰り返しになりますが、あくまでも若い層とお年寄りとの負担のバランスであるとか、お年寄りの中での他の施設と在宅とのバランスであるとか、そういったことを考えた上で設定しておるわけでございます。
 それから、もう一つの見方としましては、いろいろこれは考え方もあろうかと思いますが、入院をするということによって相当程度の生活費用がかからなくなる、こういった面もあるわけでございまして、そういう意味で私どもは今回はあくまでも無理のない範囲での負担をお願いしたいということを考えておるわけでございまして、そういった入院抑制であるとか追い出しであるとか、そんなことをねらっているものではないわけでございます。
 特に入院の場合には、低所得者につきましては、二月を限度とする一部負担という現在の取り扱いのとおりにしておるわけでございまして、そういう配慮もしておりますので、御指摘のような入院抑制であるとか追い出しとか、そんなことを意図したものではございません。これは重ねて申し上げたいと存じます。
#80
○庄司中君 意図したものではないけれども、需給関係といいますか、負担が多くなれば入らないとか出ていくとかということになりますよね。ですから、厚生省の意図いかんにかかわらず追い出し効果が出るんじゃないだろうかということです。そして、全体の医療状況なり保健状況なり福祉状況なんかを考えてみましても、我が国の全体のレベルというのは、この前の議論でもありましたように決して高くはない。先進国では全体のレベルが非常に弱いということであります。
 ただ実態、これをマクロの統計なんかで見ていましても、どんどん核家族化が進んでいます。例えば過去三十年間をとってみますと、核家族的な家族だけでも六〇%から八〇%に移行しちゃいましたよね。それからさっきも部長がおっしゃいましたように、高齢者と単独世帯が猛烈にふえています。過去十五年間の国勢調査、七〇年から八五年をとってみましても、一六・八%から三〇・二%に高齢者と単独世帯を合計した世帯の数がふえています。十五年で倍増しているわけです。しかも、率で倍増しているわけですから、これはもうとてもすごい状況といいますか、土台の変化、基盤の変化と言っていいような変化だろうというふうに思います。そうしますと、量的な介護の能力というのが在宅では非常に衰えているということになります。この前も議論になりましたように、女性が社会参加をしていくということがございますし、それから家族全体が外に出るというふうになってまいりまして、介護能力は物すごく落ちると思うんです。
 それからもう一つは、高齢化が進みますと、お互い年をとって、年をとった人が年をとった人を介護するという状態が一般的になります。それから最近見受けられますのは、子供が年金受給者になった場合に、同じ年金受給者である親を介護するという、世代の間でも高齢者が高齢者を介護するというのはもう珍しくない、むしろ一般的だというふうに考えられます。
 そうしますと、介護能力が家庭の方に減退をしているから、機能が弱くなっているから、せめて施設へ入りたいということになります。特養へ申し込みますと、一年待ってくれという話になるわけです。だからどうしても病院に行く。病院に行きますと、さっき言いましたように負担増になってくる。意図はないけれども効果が出てくるということになりますと、一体どうなるんだろう、高齢者はどこへ行ったらいいんだろうというふうに実は思います。
 特に、私がいつも暗い気持ちになりますのは、日本は高齢者の自殺率が高いということです。これはもう先進工業国と比較しましても自殺が格段に高いわけです。いつもこの点は暗い気持ちになります、心配をしておりますけれども、システム自身といいますか、例えば病院へ入るパターンが、介護能力の低下、特養に入れない、病院に入る、病院も負担が大きくなる、何とかしなきゃいけない、外へ出なきゃいけないということになったら、どうなりますかね。全体としてそういう状態だろうというふうに思います。そういう点では、保健であるとか医療であるとか福祉全体のシステムを加速度的に高めていく必要があるだろう。同時に、今の議論でいきますと、負担増はなるべく抑えてもらいたい、そしてほかの受け皿がどんどんできるような形を先行させてほしい、そんな率直な気持ちを持っておりますけれども、どんなふうにお考えでしょうか。
#81
○政府委員(岡光序治君) 先生おっしゃいますように、全体としての介護力は低下をしておると思います。特に日本は、西欧先進国の中で同居率が非常に高いわけでございますが、同居率もどんどん低下をしておる。御指摘のようないろんな現象も起きているわけでございまして、そういう意味では低下した介護力、あるいは低下し続ける介護力をどうやって補うかという問題になるんだと思います。
 私どもは、一つは在宅対策を進めていく必要がある。今までは家族に頼って介護をしておったというのを、家族ではできない、あるいは家族ができる部分があるかもしれませんが、それを外部から支えなければ介護が続けられないということになると思います。その意味では、在宅対策を進めることによって低下する介護力を外部から支えるという対策がまず必要だろうと思います。しかし、そのことは自分の家にお年寄りを縛りつけるということではございませんで、家庭内における介護力の状況に応じ、それからお年寄りの身体の状況に応じてしかるべき施設がちゃんと整えられて、その施設を利用でき、あるいは入所できるという体制を整えなきゃいけないと思っております。そういう意味では、在宅対策と施設対策というのは両輪でないといけないだろうというふうに認識をしておるわけでございます。
 御指摘がありましたように、残念ながら特別養護老人ホームにおいてはまだ二万人の待機数があるわけでございまして、現在その待機者がなくなるようにということで緊急整備を進めているところでございまして、先生おっしゃいますように、一方ではそういう受け皿を整える、他方では在宅、施設を通じてのシステムづくりをしていく。両方でこういった介護力の低下ということに対応しながら、お年寄りの生活の質を維持し、向上するということを念頭に置きながら、総合的なシステムづくりをしていかなければならない、こう考えているところでございます。
#82
○庄司中君 私が結論づけましたのは、システムが非常に弱いから、貧弱だから負担増はなるべく避けなさいと、こういうことを申し上げているわけでありまして、そこのところを議論しますと制限がありますからい次に進みたいというふうに思います。
 今度の一部負担金の問題でいきますと、負担感という問題と負担すべき人たちというある種の当事者の問題を考えざるを得ないというふうになります。
 当事者の問題を考える場合に、いろんなことが言えると思いますけれども、この当事者をどう見るかということは非常に大きい問題だろうというふうに思います。例えば、行政の施策の前提となる対象の人たちをどういうふうに評価する、どういうふうに見るかというのは、これは施策の姿勢自身に関係を持ってくるだろうというふうに思います。そういう点で申し上げますと、これは数年前でありますが、参議院のある委員会で問題になったことがございますけれども、ある責任ある立場にいる人がこういう発言をされました。老人対策というのは枯れ木に水をやるようなものだということですね。こういう発言をしたことがございます。これはもう大変な社会的な反響を呼んだわけであります。つまり、高齢者という人間をいわば保護の客体としか見ていない、ここに金を出してもそれはむだである、こういう高齢者像がここにあったというふうに私は思います。
 ところが一方、一九八三年に国連が主催をしまして高齢者問題世界会議というものが開かれました。そこで国際行動計画ができました。この行動計画はかなり広範にわたる高齢者問題を扱っているわけでありますが、その一つを御紹介をいたしますと、こんなふうな文言があります。「高齢者の精神的、文化的、社会経済的貢献は社会にとって貴重であり、そのように認識され、更に促進すべきである。」というのが一つございます。それからもう一つは、「高齢者は、自からに特に影響するものを含む政策の立案と実施に積極的に関与すべきである。」、つまり参加論がかなり強烈に出ているわけであります。
 私は、この高齢者観が施策の姿勢なり、施策の内容なりをかなり決定的に決めていく、しかも高齢者観の転換自身が今迫られているんじゃないだろうか、こんなふうに思うわけでありまして、この点については大臣から、一般的な施策の前提となる高齢者観というものについて御見解、お考えをお聞きしたいと思います。
#83
○国務大臣(下条進一郎君) 高齢者の問題につきましては、三面があると思います。
 第一面は、ただいま委員が御指摘ありました国際会議において取り上げられました基本的な理念、高齢者の方々が今まで豊富な経験を積まれまして達見を持っていらっしゃる。そういう知識、技能を有していらっしゃるということに着目いたしまして、その能力を生かし、積極的に社会に参加し、また貢献していただく一員である、こういう認識は私は当然あるものと思いますし、私もそういう考えを持っております。
 したがいまして、行政といたしましては、そのために必要な機会の提供と環境の整備を図っていくことが極めて重要であると考えております。また同時に、今問題になっておりますように一高齢者の方々の中には御病気の方々、寝たきりの状態にある方々、介護を要する方々等あるわけでありまして、こういう方々に対しましては必要とする保健、医療、福祉サービスを適切に提供していくということが重要でございますので、そのために各般にわたる施策の充実に最大限の努力を払ってまいりたい、このように考えております。
#84
○庄司中君 私が言いましたのは、三面性よりもむしろ施策の対象になる人でありましても人間であり人権があるわけです。そこを尊重しなきゃいけない。だから、三面じゃなくてそれが前提になるはずだというふうに私は考えますけれども、厚生省は、こういうふうな高齢者観の一種の転換が求められているという状態の中で、今度の法律について高齢者に意見を聞くという機会の設定、そういうことはどんなふうにやられましたか。
#85
○政府委員(岡光序治君) 今回の改正法案を提出するに当たりまして、各界各層から成る関係者によって構成される老人保健審議会、それからこれは総理大臣の諮問機関でございますが、社会保障制度審議会において御意見を伺って御答申を得たところでございます。それからこの老人保健審議会の審議の過程におきましては、法律、経済、医療、そのほかにわたる研究者も集めまして研究会も開き意見を聞いたつもりでございます。私どもはそういったルートを通じまして広く御意見を聞いたつもりでございます。
#86
○庄司中君 私が言っているのは、例えば高齢者自身に、高齢者団体に、高齢者グループに意見を聞く機会を持ったかどうかということを聞いているわけで、今の御答弁だと全く持っていないというふうに判断せざるを得ません。
 先に進みます。
 さらに、高齢者観と同時に、言葉の問題があるだろうというふうに思います。例えば老人という言葉ですね、これにはかなり今の高齢者は抵抗感を持ってきている。さっきの責任ある立場の人が枯れ木に水をやるという発言、とんでもない発言をしたわけでありますけれども、つまり老人という言葉のニュアンス自身に問題がありはしないか。その言葉自身に高齢者が違和感を感じ、差別感を感じつつあるんじゃないだろうか。言葉自身は時代によって変化をします。同じ言葉でも逆な意味になる場合もある。しかも、高齢者がふえてきて交流が盛んになってくる、そして自覚が高まってくるということになりますと、一つ一つの言葉が持つ意味、それの感じ方ということにはかなり敏感になってきているわけであります。
 例えば、連合という労働組合がありますが、その労働組合が、去年もそうだったわけでありますが、高齢者の大きい集会を開きましてことし一年の方針を決めるわけです。そしてその決めた要求の中にこんなのがあるわけであります。「高齢者の権利の尊重と全面的な社会参加のために」という項目の中に、差別感のある「老人」「老後」という呼称を「高齢者」「高齢期」にするようにしてほしい、まず行政分野からそれを始めてほしい、こういうふうな要求があるわけであります。
 さっきも言いましたけれども、実際言葉の持つ力というのは非常に大きいんですよね。何げなく使う言葉で相手を傷つけるということは非常に多い。だから、言葉の使い方については慎重になっていかなきゃいけない。ところが、この法律は老人保健法です。老人福祉法とか、法律はみんなほとんど厚生省はそうです。おたくの課でも係でも老人べったりという感じになるだろうというふうに思います。ですから、言葉に対する社会の感じ方が変わってきている。これに対してまず行政は敏感になっていかなきゃいけない。そして、今まではそういう言葉に対する変化に必ずしも厚生省は対応してこなかったという感じがいたします。
 これからどうしていくかということでありますけれども、これはかなり大きい問題、先ほどの高齢者観と同じようにかかわってまいりますから、この点へについて厚生大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
#87
○国務大臣(下条進一郎君) 今の御質問にお答えする前に、ちょっと補足説明をさせていただきたいのですが、本件の問題の取り扱いについて老人の方々の意見を聞いたかどうかということに対する答弁といたしまして、審議会という話がありましたけれども、老人保健審議会の委員の中に全国老人クラブ連合会の役員が入っていらっしゃいます。そういう意味で、実際に関係していらっしゃる方々の御意見も拝聴はしておりますので、補足をさせていただきます。
 それから、今のお尋ねの老人という言葉が持つ意味でございますが、これはいろんなニュアンスもあろうかと思いますが、私は余りこういう国語なり漢語なりの造詣はございませんけれども、聞くところによりますと、老という字は七十七という字につながるということで、喜寿というのと非常に関係の深い字でめでたいというふうな意味もあるやに聞いておりますが、それはそれといたしましても、また別な角度から受ける老人という言葉が必ずしもよいニュアンスのみを与えていないとも言われるわけでございますので、そういう意味においては今委員の御指摘の、この言葉をあるいは別な言葉に変えたらどうかというサゼスチョンはそれとして拝聴させていただきたいと思います。ただ、直ちに法律の名前を変えるというようなことにはまだならないと思いますので、今後ひとつ検討はさせていただきたいと考えております。
#88
○庄司中君 必ずしも満足はいたしませんけれども、これからおいおいその点についても議論をしていこうということを前提にしまして、次の問題に移りたいと思います。
 今度は生活実態のところをちょっと見てみたいというふうに思います。先ほどからの御答弁で、統計上の平均も意味があるということですけれども、統計というのは一つの母集団といいますか、それを代表するものをとって意味が出てくるわけでありまして、高齢期の人たちというのは、在職時代あるいは現在でも、例えば社長であった人と一般社員であった人じゃこんな所得に開きがありますよね。それから商売を手広くやっている人と、そうじゃない、完全に勤労者で引退した人というのは、これはもう所得にえらい差が出てくるだろうというふうに思います。そういう点ではそのアンバランスが一番大きいのは最後の高齢期といいますか、いろんな努力の結果がここに集中されるわけでありますから、ばらつきが大きいわけであります。ですから、それを補う資料を使いながら生活実態を判断する必要があるんじゃないだろうか。
 そういう意味では、例えば統計的に言いますと、中位数とか度数をとった一番高いところの並み数とかというのがありますよね。先ほどの議論を聞いていましても、全部平均なんです。ばらつきが多くて、大変な所得のある人が一人入りますと平均はがらりと変わってまいります。それがある層になりますと、これはもうひっくり返るような状態になるわけでありまして、一つの判断で基準がひっくり返るというような状態になるわけでありまして、そういう点はこれから考えていただきたい。そして、平均だけで物を判断しないでほしい、こんなふうに思います。
 その一つとして、総務庁の家計調査がございます。私の手元にある資料によりますと、高齢無職世帯の家計収支ということで、家計の収支をとり、貯蓄がふえたか減ったかということをとっています。昭和六十三年から平成二年までということでございますけれども、押しなべてこの四年間は収支、貯蓄とも三万円から五万円マイナスなんですね。所得は恐らく社会保障だけしかないという世帯で、一つのデータがあるわけです。先日から使われておりますのは、大変な高額世帯も含んだばらつきの非常に大きい世帯の平均でございますけれども、それを補完するものとしてこういうデータがあるわけでありますから、こっちのデータにも目を向けていただきまして、今後あるいは現在の問題についても考えていただきたいというふうに思います。平均一本では困ります。それは実態を反映しません。こういうことを申し上げまして、ちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
#89
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、平均値のみで考えるのは必ずしも正確に生活実態をつかんでいないということはあるわけでございます。私どもも所得の状況を見る場合にも、中央値がどうなっているかとか、あるいは最貧値がどうなのかということは一応眺めているつもりでございます。
 あわせまして、所得を考える場合に、特に今御指摘がありましたように、家計収支というふうなことを考える場合には、貯蓄の問題も考えなきゃいけない、あるいは可処分所得はどうなのか、つまり粗収入から支出を引いた実際の可処分所得はどうなのかというふうなことも眺めてみなければならない。私どもも考えられるいろんなデータを用いながら、しかもおっしゃいますように平均のみではなく、その実態を数量的にも把握していかなければならない。そういう広い観点からの発想が要るだろうというふうには考えておるところでございます。
#90
○庄司中君 ぜひそうしていただいて、そうしないと高齢者の生活実態というのはわからないということを申し上げます。
 時間も来ましたから、最後に一つだけ申し上げますけれども、実は、今度医療費スライドから物価スライドに変わりましたね。そしてそのスライドは、八〇年代の物価の安定基調をある意味じゃ前提にしていらっしゃるだろうというふうに思います。しかし、八〇年代の物価をとらえてみますと、ある意味では異常な時代ですね。これは大臣よく御存じだろうというふうに思いますけれども、八五年のプラザ合意以後物すごい円高が進みました。二百四十円から現在百三十円台でありますけれども、驚異的な円高が進んだ。それからもう一つは、この時代に例の石油がOPECのカルテルが崩れまして、低位安定でずっといきました。この二つの影響が物すごく大きかったんだろうと思います。ですから物価の安定基調が続いた。これからを展望する場合には、恐らくこういう幸運な時期は再び来ないだろうというふうに思います。
 例えば、最近議論になっております日本経済の潜在成長率の問題、割合低いということが問題になっていますね。潜在成長率が二・五か三%ぐらい、これを超えたら物価上昇圧力が強まる……
#91
○委員長(田渕勲二君) 庄司委員、時間が過ぎていますから、簡単にお願いします。
#92
○庄司中君 そうなりますと、何か歯どめが要る、これからを展望した場合に。そんなふうに考えますけれども、スライドの是非をひっくるめて検討する機会をぜひ持ってもらいたい、こんなふうに思います。
 その辺をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
#93
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五分開会
#94
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#95
○堂本暁子君 私は、きょうは世界じゅうどこでも一番悩みと申しますか、苦労しておられると思います痴呆性老人の問題を中心に質問したいと思います。
 その前に、先日いろいろ手続上何か行き違いがございまして、リプロダクティブヘルスのことでもう一回だけ大臣にお答えをいただきたいと思っておりますが、私ども前の社労の時代にお願いいたしましたのは、子供を産む側の性が女性の体の政策については直接いろいろ意見を聞いたり、そして政策の決定の場に意思を反映していきたいということをお願いしたわけでございますが、その点についてもう一度だけ確認させていただきたいと思います。
#96
○国務大臣(下条進一郎君) 委員は、前回の委員会におきましても、リプロダクティブヘルスですか、という概念のもとでいろいろな御質問があったわけでありますが、まだ私は寡聞にしてリプロダクティブヘルスというのはどういう翻訳をしたらいいのかということを聞いておりませんけれども、おおよそ委員の御質問の中で、女性の出産、育児、そういったものを中心とした特殊性を大事にしながら、女性の健康保持、あるいはライフスタイル等についての全般の配慮をする施策が中心だというふうに解釈させていただくといたしますと、私はやはり今国民の中で女性男性、男性女性という両方の協力の中で制度がすべてでき上がっておるわけでありますし、特に女性の場合は、今のリプロダクトに非常に直接関係があり、非常に負担をお持ちである、職場を続けたいという場合も、また今のようなことで育児のために休暇をとらなきゃならないし、もちろんそれ以前に出産という大変な負担もあるいは危険も経過されなければならないということを考えますと、これに対しては、社会があるいは国がさらに幅広いいろいろな施策の中で必要な措置を講じていかなきゃならない、こういうのが基本的な考え方だと思います。
 そういう意味において、今の制度がどうかという問題もございますけれども、私たちは現在置かれておりますいわゆる社会保障制度の中で最大限の努力をしながら、そういう問題を真摯に見詰めながら前進するような施策を続けてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#97
○堂本暁子君 ありがとうございました。ぜひとも女性の意見を入れながら今後お考えいただきたいと思います。
 では、痴呆性老人の問題ですが、一九九〇年の資料によりますと、六十五歳以上の痴呆性老人はおよそ百万人、大変なことでございます。二〇一五年になると二百四十七万人、およそ二百五十万人になるわけですから、国としても大変に早急に、しかも行き届いた施策を立てる必要があると存じます。しかし同時に、私たち国民の一人一人、私自身も年をとってまいりますし、だれ一人これは例外のないことですから、老人の側、そして老人の権利、そしてたとえ痴呆になっても豊かな生涯が送れるということの保証がぜひとも欲しいというふうに思います。
 そこで、国としては今痴呆性老人の処遇についてはどのように取り組むおつもりか、簡単にその方針と理念を伺いたいと存じます。
#98
○政府委員(岡光序治君) 痴呆性老人につきましては、精神症状、問題行動等の随伴症状や身体的疾患の状態がさまざまでございます。その状態に応じて精神病院や一般病院、老人保健施設、特別養護老人ホーム等の施設、それから在宅サービス等において適切に処遇されるべきものというふうに考えております。
 その際に、在宅で療養することが可能の場合には、家族への支援が重要と考えておりまして、このためにデイサービス、ショートステイ、訪問指導等の在宅保健福祉サービスの充実に努めているところでございます。
 このほかに、専門医療相談とか緊急対応等を行うための老人性痴呆疾患センターの普及、精神病院の老人性痴呆疾患治療病棟及び療養病棟、老人保健施設の痴呆専門棟の整備、それに特別養護老人ホームの受け入れ体制の充実等各般の施策を講じているところでございます。
#99
○堂本暁子君 大変詳しく御説明くだすったわけですが、こだわるようですけれども、部長のお使いになる言葉、それから今回出ております書類も、ほとんどが老人性痴呆疾患患者となっております。百万人、厳密には九十九万四千人ですが、疾患という言葉をお使いになるからには、医療の対象、病気という把握をなすっていらっしゃるわけでしょうか。
#100
○政府委員(岡光序治君) 痴呆性老人というとらまえ方を実は非常に広く私どもとらまえておりまして、痴呆という言葉につきましては、例えば昭和五十七年十一月の公衆衛生審議会の答申なんかにおきましては、「精神医学的にはいったん獲得された知能が、脳の器質的障害により持続的に低下することをいう。」、こういうふうにされておりますし、昭和六十三年に省内に痴呆性老人対策推進本部、こういうものを置きまして、その中では、「脳の後天的な障害により一旦獲得された知能が持続的かつ比較的短期間のうちに低下し、日常生活に支障をきたすようになること。」というふうに定義をしておるわけでございますが、行政施策としては、もう少し広く痴呆様の状態を含めて痴呆性老人と呼んでおりまして、広く把握をしているところでございます。
#101
○堂本暁子君 今の御答弁で、必ずしも医療の対象ばかりではない、もっと広い。私たち日常的にぼけ老人なんて言い方をいたします。私も物忘れが激しいと、その中の一人かななんと思うくらい日常的に使う言葉ですけれども、そこまで広く考えておられるということがはっきりわかりました。
 直接に、今度は今問題になっております老人性痴呆疾患治療病棟と、それから老人性痴呆疾患療養病棟について伺います。
 これらの病棟が精神病院に併設されるというふうになっておりますが、空きベッドや古くなった病棟を充てるようなことはありますでしょうか。
#102
○政府委員(寺松尚君) 今先生御指摘いただきました治療病棟それから療養病棟でございますが、御承知のように治療病棟は六十三年度から整備をすることとして着手いたして進めておるわけでございます。それから療養病棟の方は本年度からということでございますので、まだ実績がございませんで、今私が聞いておりますのでは三カ所ぐらい。それに……
#103
○堂本暁子君 いえ、古いのを使うかどうかということだけ伺っております。
#104
○政府委員(寺松尚君) 今おっしゃっておりますのは、精神病院の病棟自身を使うかどうかと、こういう御質問だと……
#105
○堂本暁子君 そうです、空きベッドとか。
#106
○政府委員(寺松尚君) 私どもこれにつきましては、一応施設基準をつくっておりまして、それはやはり老人性痴呆患者の療養に非常に適切な病棟にしたい、こう考えておりまして、新しいものを建てると、こういう考えております。
#107
○堂本暁子君 古いのは使わないということですか、使うか使わないかだけを。
#108
○委員長(田渕勲二君) 堂本さん、質問してやってください。
#109
○堂本暁子君 使うか使わないかを確認しているんです、新しいことではなくて。古いところを絶対にお使いにならないかどうか、イエスかノーかだけでお答えください。
#110
○政府委員(寺松尚君) 適切なように直して使う場合は結構だと存じます。
#111
○堂本暁子君 ということは、古い建物も使うということですか。
#112
○政府委員(寺松尚君) 先ほどから申し上げておりますけれども、老人性痴呆患者の方への短期的な集中的な治療に適するとか、あるいは長期療養に適するような施設に改修していただくというような形で使っていくように指導してまいりたいと思っております。
#113
○堂本暁子君 わかりました。そういたしますと、それは精神病棟の一部、例えば建物だったら、そこを改修すれば、つながっている中で、一般の精神病院の一般病棟と壁で切られてこっちを使えるということだと私は了解いたします。
 では、次にまいります。
 痴呆性老人に精神科の治療が大事であるということ、そしてしかも早期の治療が重要であるということは認識しておりますし、そのとおりだろうと思っています。そういう意味で老人精神科の専門性も大変望まれるところだろうというふうに思うんですけれども、幾つかの疑問があります。
 それは、今のようないろいろな施設がこれでできているわけですけれども、厚生省のいろいろな報告書並びに日本精神病院協会の出されているものを見ましても、いろんな施設への分布と申しますか、どういう施設にはどういう方、例えば問題行動のある方は精神病院、それから慢性的な疾患のための一般的な入院治療を必要とする人は老人病院とか、それからどういう方がどこへ行くということがずっとこう分けてあるんですね。これはもうあえて質問しません。そのとおりだということを存じております。
 そういうふうな分け方をした場合には、必ずしもそれに類する病院がすべて近くにあるわけではありませんから、どうしても遠くへ行かなきゃならなくなるわけですね。例えば老人病院が遠くにある。そうしたら自分の地域から離れていわゆる収容型の形になっていくということになりますから、こういう形になった場合には、ゴールドプランでは基本的な方針として地域医療、在宅福祉という方針をとっておられたわけです。今確認させていただいたように、病気でないもっと広いぼけの場合も考えておられるわけですから。そうすると、こういった精神科の今出されている痴呆性のものと、それからゴールドプランの地域医療をしようということとが矛盾するんではないでしょうか。
#114
○政府委員(寺松尚君) 先生おっしゃっておりますように、老人性痴呆の疾患の患者さんというのは非常にいろんな症状等が多様でございます。それに従いまして、やはり適切な対応をしていかなきゃならぬ。したがいまして、精神症状とか、あるいは問題行動があるというようなケースにつきましては、そういう精神医療が可能な施設に収容していく、こういうことになるんではないかと思います。
#115
○堂本暁子君 まさに今収容という言葉をお使いになったとおりに収容だと私も思います。百万人のうちの八五%、八十五万人ぐらいは在宅ないしは老人施設にいるわけですけれども、残りの一五%が今病院である。それをさらに非常にふやすという方向だと思います。これはまさに世界の趨勢から逆行している。ノーマライゼーションという言葉はもう本当に言い古されたぐらいのことで、老人福祉全般に関してはノーマライゼーションをうたわれ、そしてゴールドプランを立てられながら、老人性痴呆に関してだけはなぜ逆行なのか、収容をするのか全く理解に苦しむところでございます。
 私自身もスウェーデン、デンマーク、オランダの、そこではまさにノーマライゼーションの先進国を見ましたけれども、必ず痴呆性老人の処遇について聞きました。精神病院には可能な限り絶対送らない。それから今、収容型でスタートした痴呆性老人対策、これは同じに悩んでいます。日本だって困っているのと同じに困っているんです、あちらも高齢社会ですから。ですけれども、一たん収容して、今これから日本でやろうとしていることですが、その次に彼らがやったことというのは、いかにして精神病院と長期の療養病棟からその人たちを外に出すかという努力です。ですから具体的に申せば、一つのアパートに例えば一つのお部屋があって、そこに一人ずつの痴呆の方たちがおられて、そして一つのフロアで一つのファミリーである。そういうような形で外の、日本で言えばナーシングハウスです。昼間は自由にして、夜だけは個室に住んでいただく。そこは八人に対して九人のヘルパーさんというような形です。こういったノーマライゼーションが進んでいます。
 何か大変答弁が長いので、私はどんどんしゃべりますが、日本の場合はまさに収容、この書類に身体拘束とかそういうことが書いてあるんです。私が大変つらいのは、私のこの目で精神病院に行って縛られている老人を見ましたし、それから特養に行って縛られている老人も見ました。かぎのかかっているところに入れられている老人も、泣きながらわめいている方たちの声も聞きました。そういった収容型からいかにそうじゃない方向に持っていこうかというのが今の世界の趨勢です。であるにもかかわらず、これからやろうとしておられるのは精神科に併設する、これが精神科でなければ大変に結構なことだと思うんですが、精神科に併設するということは大変危険だと思うんですね。
 けさの御答弁で大臣は、大変境界が難しい、境目が難しいというふうにお答えになりました。精神保健法の詳解というのをゆうべ読みましたけれども、
  精神医学において精神病の中に含まれている例えば痴呆疾患の患者についてもそのすべてが、その症状にかかわりなく本法の精神障害者としての取扱いを受けるべきものと解すべきではなく、幻覚、妄想等の精神症状があり、徘徊等の問題行動が著しく、精神科医療を必要とする者は当然「精神障害者」として取扱うが、問題行動が著しくないため、精神科医療を必要としない者は、本法適用の対象外の者として考えるべきであろう。
ちゃんと書いてございます。
 あえて伺いませんが、精神病院に併設される今度の治療病棟と、それから療養病棟、これは精神保健法の適用を当然受けるわけですね。
   〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕
今まさに精神医療を必要としない者は本法の適用外である、はっきりそういうふうにこの逐条解説にも書いてあるわけですね。そういたしますと、そういった領域内なのか、それとも精神保健法の適用外なのかということは、だれがどこで、いつ、どうやって判定するんでしょうか。
#116
○政府委員(寺松尚君) 今おっしゃっております老人性の痴呆の患者の場合に、それをどういうふうに判断するかということでございますが、いろいろな形があるかと存じます。精神病院に入るというふうな、いわゆる今先生御指摘になりました精神症状があり、また問題行動があるというふうなケースのことになるわけでございますが、それをどういうふうにして判断しておるか、こういうことでございますが、精神病院の老人性痴呆疾患の専門病棟に入院するというような場合につきましては、一般の精神病院と同様に精神保健法に基づきまして、医療保護入院の場合は保護義務者の同意に加えて精神保健指定医の入院が必要であるとの診断が必要でございます。これは入院の場合でございます。
 それからまた、退院の場合もやはり厳正にやっておりまして、基本的には精神病院の医師の判断にゆだねられるところでございますけれども、本人の意思に基づかない入院の場合については、定期の症状報告に基づきまして、精神医療審査会において入院継続の要否を判定するというような形でやっておるわけでございます。
#117
○堂本暁子君 完全に精神障害者と同じ扱いだということがはっきりわかりました。したがいまして、精神保健法が適用される。日本の場合でしたら、憲法三十一条で決めた「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」定めがあります。またさらに、国際人権規約B規約でも同じようなことを決めているわけですが、刑法以外に行動制限が手続法としてありますのは精神保健法だけです。
 今百万人をそういう疾患の対象として考えておられる。これではいつ、どこで医師の判定によってそういう中に入れられるかわからないわけですね。老人に私は精神保健法の網をかぶせるべきではないんではないかと思っています。
 先ほどから申し上げているように、精神医療が必要であるということは十分に認識しております。その上に立ちまして、精神病と同じような治療が必要なのかどうか、そこのところの問題でございます。一部はそういう症状の人もいますでしょう。しかし、百万人がその対象として考える疾患の名前のもとにくくられている、このことについては非常に危惧を持ちます。どうやって人権を守るのか、老人の人権を守るという視点からの法改正が必要だったんではないかというふうに私は思うんです。
 まずこのことを大臣にもはっきり伺いたいんですけれども、これだけ老人の収容をするということ、しかも精神保健法の適用を使いながらやるというときに、何ら国会においてそのことは審議されておりません。老人の人権が本当に守られるのかどうか。今痴呆というのは、治るとは言いにくいんですけれども、ある程度よくなって自宅に帰ったりすることは幾らでもあるわけですね。審査会といっても何カ月も何カ月もかかる。その間にもう既に寝たきりになる可能性だってあるわけです。早期治療、そしてさっさと一週間なら一週間、本当に濃密な精神科治療をやった上で、できるだけ早くおうちに戻るというようなことが必要です。だからこそ六カ月で切っているんだと思うんです。
 一方で、この手続法はそんな簡単にいかないという法律だと思います。特に自分から訴えることができない老人の場合はそうです。老人の人権について、もう一度痴呆性老人の人権について大臣に伺いたいと思います。
   〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
#118
○国務大臣(下条進一郎君) 老人であれ若人であれ、我々は人権を尊重しなければならないのは当然でございます。特に今御指摘の痴呆性老人の人権がどのように守られるかということでございますが、このことにつきましては、私たちはあらゆる関係法律、御承知のように老人福祉法や老人保健法、医療法、精神保健法等関連の法律がありますから、その法律の条文の定めに従いまして痴呆性老人の扱いは慎重にやっております。
 先ほどその入院の手続につきましても、担当の局長からお話しいたしましたように、十分な審査を経た上で万遺憾なきを期した上で、それぞれの症状に合った形で病院に入院していただくということで人権の守られるように意を払っている次第でございます。
 それで、今お話しのいかに早く出すか、一般の家庭に戻れるかという問題がまた付随的にございますけれども、これはこの前もお話しいたしましたように、痴呆の状況というのはそれぞれの形によって随分違うわけであります。それで非常にもう何と申しますか、度が進んでいらっしゃって、とても普通の状態では手がつけられないという方が、恐らく先ほどのお話しの場合に拘束的な形で老人はその場所におられるということがありますが、こういう場合にはそれ相応の医療の措置でこの対応をしなければなりませんし、そこまでいかない一般の平穏な生活が営まれる状態での痴呆、どこへ行ってしまうかわからないとか、あるいは食事をしたのを忘れてしまうとか、そういう程度のものであれば、これは一般的な介護の目を十分に届かしたことで対応をできるというようなことがありますから、我々はそういう重症な方は軽微になるように、軽微な方はなるべくそういう意味で対応し訓練し、そしてできるだけ家庭の温かさに戻れるように指導をし、また配意をしている次第でございます。
#119
○堂本暁子君 大臣がおっしゃるように、それは医療の方からいえば行動制限ができる精神保健法は便利な法律であるかもしれません。しかし、老人の側からだったらそうじゃありません。温かい家庭とおっしゃいますけれども、そういう家庭ばかりではないと思うんですね。おばあさんがもう年じゅう周りを徘徊するので邪魔になったと。本当は今のこの精神科医療を必要としない者という領域の病状であり症状であったとしても、社会的要因でその病院に入れられてしまわないという保証は、どこに歯どめがあるんですか、今回の法律で。何にもそういった歯どめの法律はございません。医師の判断だけです。ですから、指定医のところへ行って、もうこういうふうでこうで、まあ見てください、こんなにといって。おばあさんが嫌で、そこで暴れた。その瞬間に、それじゃこの人は病院に入れましょうという。そんな簡単な、裁判があるわけでもなければ何でもないんですね。老人はそういう判断なしにかぎのかかるところ、そして縛る可能性のあるところに入れられてしまう可能性があるんです。そういった人権上の保護がない。
 もう一つ一つ、伺っていると長くなりますから、むしろ指摘してまいります。例えば退院のための、それから処遇改善のための不服申し立ての制度は果たして有効に働くのかどうか。それから意識障害が痴呆老人の場合ありますけれども、みずから訴える能力がない場合に、精神医療審査会は機能しないと思います。今は精神障害でさえ実質的には機能してないんです。もう今精神保健法ができてから三年たっていますけれども、地域差はあるものの機能しているとは言えません。ましてをや老人で機能するとは思えません。そういった場合に、きちんと第三者機関があるのか、あるいはその患者の権利を擁護するためのものがあるのか。
 これはアメリカへ私が参りましたときに、どの精神病院にもありました。拘束されるわけですね、刑務所と同じ状況に置かれるわけです。その中で受ける人権侵害についてはわからないわけです。ですから、そこで患者さんは、こういうふうな人権侵害を受付だ、こういうことは自分は不服であるということの不服申し立てができるように、どの病院にもそういった人が配置されています。そういった手続が老人についてはなされているのかどうか。これはなされてないじゃないですか。何ら法改正はなされていない。こういった老人を守るだけの法改正が全然ないというふうに思います。自分で申し立てができない場合に一体どうするのか、そのことについて伺いたい。これが一つです。
 それから、精神保健法による行動規制というのが適用されてしまう。身体拘束、保護室の使用、こういったものは老人についてはどういうことになっているのか。そこに改めてその痴呆性老人には新しい人権を擁護する視点からの規制はなされているのか。そして、不服申し立てのできない人たちに対してはどのようにするのか。そのことについて簡単にお答えいただきたいと思います。
#120
○政府委員(寺松尚君) 今委員からの御質問というのは、痴呆性老人で判断能力がないような場合に、みずから訴えることができない、そのようなときにどういうふうに対応しておるのか、こういうことだと存じます。
 精神医療審査会の審査にかかわります退院請求等につきましてでございますが、入院患者だけではなく、その保護義務者や代理人たる弁護士が直接訴え出ることもできることとされております。
 それからまた、精神病院にみずからの意思に基づかないで入院した場合には、精神保健法に基づき定期的に精神医療審査会で入院の要否につきまして審査を行うこととされておりまして、そういうふうなチェック体制がとられております。そういうことで患者の人権を十分守ってまいる、こういうことでございます。
#121
○堂本暁子君 もうぜひとも伺いたいですけれども、そのチェック体制というのはどういうふうに行われているか御存じですか。書類のチェックですよ、私の知る限り。現場へ行ってきちんと見てきました。入っていってきちんとそういうチェックをしていますか、日本の精神病院で。精神障害者に対してでもやっていないんです。ましてをやこれが何万となったときに、そういう老人に対して果たしてやるのかどうか。これはもう全く信用できません。そして、ましてをや弁護士や家族が付き添うことができると今おっしゃいましたが、家族からほうり出されているからこそ、その人の人権は別個に守らなきゃならない。
 それから、病院の中から弁護士をどうやって頼むんですか。老人保健法では面会の自由も通信の自由も確保されましたが、果たしてそれがどれだけ実施されているか。十円玉をもらわなければ電話一つかけられないんです。日本の病院で電話番号がどこに書いてありますか。私は書いてある病院の方が少ないと思います。そういった精神病院の実態がございます。
 そこへ、これから同じ枠の中に老人が入れられようとしているんです。痴呆という形で入れられようとしているんです。本当に必要な人はもしかしたら数少なくはいるかもしれません。しかし、何で精神病院に併設をして、そして精神保健法の枠を老人にかぶせなければならないのか、これはもう非常に大問題だと思いますし、私は憲法の問題、それから国際人権B規約にも抵触するのではないかとすら考えます。そこは非常に難しいということを申し上げるだけにしておきます。もうどうせ同じお答えが返ってくるのはわかっております。だけれども実態は違います。精神病院の実態は違うんです。ですから、そこはどうしても違うものにしたい。
 今伺ったのは、恐らく法律に書いてある建前の話ですけれども、私も建前は全部知っています。例えば不服申し立てをしたときどうなるか、それから権利告知に対してはどうなのか、そういったことはまた型どおりのお返事をいただいても意味ないと思うので、むしろ実質的な話をしたいし、老人の人権、本当にそれが守られることの方が大事だと思うので、私は大臣にあえて伺いたい。こういった法律、今の現在の精神保健法の枠を老人に適用するということは非常に私は危険であると思うんです。
 ましてをや三〇一五年には三百五十万になんなんとする痴呆性老人でございます。それだけ多い人数が憲法に決められている自由、これを簡単に指定医の判断だけで、はいと拘束されていいものかどうか。かぎのかかった病院に入れられていいものかどうか。手足を縛られでいいのかどうか。精神病院というのには拘束着というのがあるのを大臣御存じかどうか知りませんが、両手両足を入れるんです。私は見ました、老人がその拘束着を着せられて、こうやって縛られてほうり出されているのを。どんなにつらい人生ですか、これは。日本をしょってきた老人です。そういった人が、たとえ痴呆であっても、最後まで幸福に生きなきゃいけない、そう思うんです。
 老人に関して、痴呆がどんなに大変かというのは日本だけではございません。世界じゅう全部同じです。アメリカヘ行ったってスウェーデンへ行ったって、高齢化に悩んでいる国は全部そうでございます。同じです。でも、私たちはその人たちのために私たちの税金の大変大きな部分を使わなければいけないというふうに考えます。今のシーリングのような予算の立て方の中で、果たしてそれだけの膨大な予算が組めるのかどうかわかりませんけれども、私たちはほかのことを倹約しても、少しぐらいの不便を覚悟しても、そのことのために大規模な予算を立てて温かく保護しなければいけない。それは精神保健法の枠の中ではできないことだというふうに言いたいんです。
 しかも、精神病院の今までの体質がございます。呉秀三さんという精神科の東大の最初の教授は言いました。「この病を持てる不幸の上に、この国に生まれたるの不幸」と言ったんです。その状況は一つも変わってない、それぐらい日本の精神医療の状況はおくれております。国連の人権委員会から、日本の精神病院は、宇都宮病院をきっかけとして人権侵害の勧告を受けた。そして今度は、老人をまた同じような可能性のある、私は法律の枠と言いたいんです。恐らく厚生省の方たちは一生懸命お考えになって、少しでも痴呆性の老人によかれと思っていろいろこういう案を組まれたんだと思うんです。精神医療が必要だということもるる最初から申し上げております。しかしこの法律の枠の中に入れることの危険性、それは構造的な問題です。法体系の問題でございます。それが何ら私たち国会の審議で、合いっぱい傍聴の方いらしています。そういった方たちの代表で私たちはここに立っています。全部の日本人がこれからだれ一人例外なく年をとっていく、その人たちがこういった法律で縛られてはならない。(「社会主義国家はどうしている」と呼ぶ者あり)
 社会主義国家ではないんです。これはアメリカでもスウェーデンでもヨーロッパでも、そういうところ、社会主義の国ではないんです。これは世界人類すべて共通の問題です。人間の尊厳の問題だと存じます。きちんと老人の人権が守られるような入院のための第三者機関なり、そういった痴呆性老人を守るためのアメリカがやっているような擁護員ですね。権利を守るための擁護員を配置する、そのための予算をつける、そういった人権上の歯どめがない限り、私はまた再び精神障害者がたどったであろう道を老人がたどらなければならないと思います。
 それは、精神障害者以上に意識障害がある場合には自分から訴えることができない。ですから、医療だけの判断、福祉だけの判断ではなくて、もっと人権の判断。法体系の判断で言えば、この資料をあえて出しました。精神保健法、医療法、老人福祉法と、こんなばらばらな法律しかないじゃないですか。もっと老人基本法とかそういったことで、これから日本はまさに高齢化社会を迎える、そのスタートです。今まさに大臣も、そして厚生省の方たちも、そういった日本の方向性を決めるときだと思っています。
 そういったときにこそ、老人の権利と福祉を守るためのスタートを切っていただきたい。関係法と大臣おっしゃいましたけれども、こんなばらばらな法律であるがゆえに、そこにはまるで網の目のように落っこちるところもあるし、逆に不当な拘束を受ける可能性というのもはらんでいる今の法体系だというふうに私は言わざるを得ない。ですから、そういった精神保健法が適用されるということの危険性をどうしても申し上げたいわけです。
 もうそうなると、果たして今これから、こういうことの質問をすることが大変むなしくなるんですけれども、そういうところを実際に整備して、その治療病棟なり療養病棟なりを、もっと私はできれば総合病院のようなところに設置していただきたい。精神病院でも単科の精神病院ではなく、総合病院のようなところに、そしてそこに精神科が入っていくというような構図の方がはるかに、老人にしても私どもこれから年をとる人間にしても、日本人にしても安心でございます。そういった、とにかくおりのある、開放病棟になるのか閉鎖病棟になるのか知りませんが、どこを見ても行動制限とか、それから拘束という言葉が出てきます。それができるからそこに入れるということだと思うんですね。
 それじゃ特養がいいのか。特養に行ってもおばあさんやおじいさんは縛られています。私が行った特養で、奥さん、この縛っているひもを解いてちょうだいと言って訴えられたことがあります。私はそういった人たちのことを今思い浮かべてもいますし、そういった人たちの代弁をして今こうやって話しているつもりです。かぎをかけられた小さな物置の中からどんどんとたたいて、あけてちょうだい、そこにだれかいるみたい、あけてちょうだいうちへ帰りたいの、そう言っていました。老人施設は本来なら、そういう人を拘束したりすることは禁止されているはずです。しかしそういうふうにしている。それはなぜか。やはり両方に対してですね。
 ですから、恐らく私はこういう形で、今質問というより訴えていると言った方がいいかもしれませんが、私自身も物すごく悩みました。一晩ゆうべ考えたんです。一体どうしたらいいのか。皆さんも多分大変にそこの法体系の中では悩まれると思うんです。そして今度編み出されたこういう方法を考えられたんだろうと思うんですけれども、財政的な問題もございましょう。しかし、しかしです、やはりこれでは老人の人権と福祉は必ずしも守られてはいない。少なくとも精神保健法の、そしてもう一つこの厚生省の報告にもございますし、それからこの日精協の図にも書いてあるんですが、それからできるだけ適材適所に移すというお話もございました。
 しかし精神保健法には、施設外収容を禁止した第四十八条があります。精神病院の療養病棟に入院してしまうと、ほかのところにはいれない。ですから、これも逐条の解説を読みますと、その収容できる施設として決められているのは精神障害者社会復帰施設とか、それから精神薄弱児施設とか精神薄弱者援護施設とか特別養護老人ホームだけですね。総合病院にはいれないんです。東京都の調べによりますと、ほとんど老人は、六十三年度の老人の生活実態健康調査で、痴呆老人の九〇%は身体的な疾患を同時に持っている。特養の方がおっしゃるのに、大抵一人で三つは持っていますとおっしゃいました。そういった方たちが、がんにもなるでしょう、転んで骨折もするでしょう、そういったときに今の法体系の中では総合病院に行くことすらできない。これではもう本当に片手落ちだと思います。精神保健法がかぶされたら、それは行かれないんです。
 そして、最近実際に広島で、透析のために総合病院に行った痴呆老人が拒否されました。それで亡くなったという事例もございます。こういったことが頻発する可能性がある、これは非常に危険なことだと思うんです。そこにそのまま現行法を適用してこういった制度を確立することの偉大な矛盾、法律的なこれは矛盾があるので、もう絶対、に検討していただきたい、きちんと法改正をして、老人の福祉と、そして健康と権利がきちんと守られるような法律に変えていただきたいということをお願いいたします。
 もう多分答弁をお願いしても同じようなお答えが出ることと思いますので――求めましょうか、皆さんそうおっしゃるので。じゃ、大臣にあえて答弁を求めます。
#122
○国務大臣(下条進一郎君) 我々は再三再四あらゆる方々の人権を守っていかなきゃならないということを申しましたから、その考え方で我々は通しておりますし、また老人の方がたとえ病に侵されておられましても、人権を擁護するという基本的な考え方に変わりはございません。
 そこで、今ずっとるる非常に情熱的にお話が出まして、私も拝聴しておりましたけれども、まず老人性痴呆というのはどういうものかということから私もちょっと御説明申し上げたいんですけれども……
#123
○堂本暁子君 それはもう読みましたので、大臣ありがとうございます。
#124
○国務大臣(下条進一郎君) それで、老人性痴呆は一応精神病のカテゴリーに入るんです。
#125
○堂本暁子君 はい、それは存じております。
#126
○国務大臣(下条進一郎君) ですから、我々としてはその症状に応じて精神科の専門のお医者さんにその治療をお任せするしかないんでございます。そして、今おっしゃったような重度の方の場合はほかの方に対する御迷惑をかける場合がありますから、医師の判断に基づいて、そのようなほかの患者さんあるいは一般の方に対するいろんな障害を起こすこと、あるいはそうでなくてもそこを取り散らかしたり、収拾がつかない場合が出てくるわけでありますから……
#127
○堂本暁子君 はい、ありがとうございました。
#128
○国務大臣(下条進一郎君) そういう事態に応じて医師の診断に基づいて、今おっしゃったような事態があるわけでございますから、それが全部老人性痴呆の病院の一般であるというようなことでは私は絶対にない、このことを申し上げておきたいと思います。
#129
○政府委員(寺松尚君) いや、もう答えるなとおっしゃったんでございますけれども、一言だけお答えをさせていただきたいと思います。
 今精神障害者の場合に一般の病院にはいれないというお話がございましたんでございますが、特に総合病院のお話が出ました。これは実は総合病院でも精神科の病棟あるいは病室を持っております場合がございます。そういう場合には受け入れることができますので、そこにおりまして精神障害を治療しながら他の疾患について治療をやると、こういうことでございます。
#130
○堂本暁子君 伺いますけれども、精神科を持っている総合病院は一体日本に幾つありますか。
#131
○政府委員(寺松尚君) ちょっと今資料を手元に持っておりませんが……
#132
○堂本暁子君 後で結構です。
#133
○政府委員(寺松尚君) 調べてみたいと存じます。
#134
○堂本暁子君 私のそれは専ら主張してきたことでございましてね、私の知っている限り総合病院に精神科がないことの方が問題なんです。そして、例えば精神病院は日本じゅうどこにでもありますのですけれども、大体精神科というのは山の中にあるんです。そして、骨折をした、何をしたというときに精神科のある総合病院に行けるなどというところは本当に数が少ない。例えば東京でも、松沢病院の近くに住んでいるとか、そういうところなら行けましょう。もう数が少ないんです。後で資料をいただきますけれども、それは余りにも絵にかいたもちのような御答弁だと私は思います。少なくとも、それはきちんと精神病院の地図をおかきいただいて、そしてそれに対して総合病院で精神科を持っているところが果たしてそこから何キロ、何分で行けるところにあるかどうかをお調べいただくことの方が、数を調べていただくよりいいと思うんです。これはもうほとんど無理に近いことだと私は思います。
 そして、希望としては、やはり総合病院にそういった意味で、少なくとも精神保健法をかぶらない範囲と言った方がいいかもしれません。大臣、私もさっきからるる、きちんと精神医療の必要性は十分認めるということを前提としてお話をしておりますし、それからそこのところは百も承知の上で、それの前提の上に立って、なおかつ法的に考えた場合に人権が保障されないという今の法体系になっているということを申し上げているんであって、さっき大臣がおっしゃってくだすったことは十分承知しているつもりで私はおります。
 その先の議論として、よりよい老人福祉をしていただくためには、痴呆性の老人が精神病院の領域に入ってしまわないということが大事だというふうに思うんです。ですから、建物のことも先ほど確認をさせていただいた。古い建物の空きベッドや何かに老人が入ると、私が見てきたような実態が起こりかねない。それは精神科の治療に加え、今申し上げたみたいに九〇%は合併症を持っている、これに対して内科医も外科医もいないわけです。そして総合病院には行かれない。そうしたら、これだけの合併症を持った老人を一体精神保健科の医師や看護婦が治療できるのか。骨折にしてもがんにしてもそれは不可能だと思います。単科病院では不可能です。そこにそれだけの合併症を持った人を入れるということ、これは大変に難しいと思いますが、この点については御答弁ください。
#135
○政府委員(寺松尚君) まず、今先生から御質問いただきました総合病院におきます精神病のベッドの数から申し上げたいのでございますが、今私どもの手元にあります資料を見ますと、全体では御承知のように精神病床は三十五万床ぐらいございますが、そのうちの一万八千床、一万九千床に近いのでございましょうか、総合病院の中に精神病床がございます。それで、それを活用していただくということが一つ。
 それからもう一つは、やはり精神病院におきましても、内科医等がいる場合もございますし、あるいは外部の内科医等と精神科医との共同でいろいろと治療をやっていくという場合もある、こういうふうに聞いておりますし、そのような対応をしてまいればよろしいんではないかと思います。
 今の合併症のある場合をもう少し詳しく申し上げさせていただきますと、二足以上の身体的な疾患を有するような患者につきましては、必要に応じて、先ほどちょっと申し上げました精神科医と内科医とで回診をしていただくとか、あるいは周辺の医療機関に紹介してもらうというふうな形で連携を保つというふうに指導いたしておりますし、また実際の精神病院の中にも、いわゆる私どもが先ほどから申し上げております治療病棟あるいは療養病棟につきましては、酸素吸入装置でありますとか、吸引装置等も設けさせるというふうにしておりますし、あるいは重度の身体的合併症用の病室等も設けるように指導いたしておるところでございます。そのような形で合併症に対しても対応していく、こういうことにいたしておるわけでございます。
#136
○堂本暁子君 それでは、今近くの病院と連携とおっしゃいましたけれども、精神保健法の四十八条はどういうことになるんですか。
#137
○政府委員(寺松尚君) もちろん、先ほどから申し上げておりますように、非常に重篤なような場合には総合病院とかの精神病棟に入っていただくということになると思いますが、一応原則としまして外来等で御相談ができるような疾病につきましてはそれでやっていく、こういうことでございます。
#138
○堂本暁子君 骨折したらどうするんですか。
#139
○政府委員(寺松尚君) そのケースケースで違うかと存じます。骨折しても入院が必要な場合とそうでない場合とございますと思いますが、原則的には先ほど申し上げたような形で対応していくということではないかと存じます。
#140
○堂本暁子君 常識で考えても無理だと思います。骨折といっても、足の骨折なら別ですけれども、脊髄とか、私の祖母なんかでも九十歳を超したとき簡単に脊髄を折りました。二カ月も三カ月も入院いたしました。もう痴呆もありました。そういったありとあらゆる病気がありますね。例えばがんになった場合、それから先ほどの広島で拒否されて亡くなったケース、これは透析のケースですね。そういったように精神保健法がかぶっている場合には、よくなっても自由に今度は養護ホームヘも行きにくい、自宅へも帰りにくい。同時に、そういったように合併症は圧倒的に多いわけですけれども、ここは担保されるんですか。
#141
○政府委員(寺松尚君) 何度がお答えを申し上げておりますが、症状によって、重篤ないろんなケースが考えられるわけでございますが、そういう場合には総合病院の精神病棟へ入っていただくというような形になって、そして対応していくのではないかと存じます。
#142
○堂本暁子君 今おっしゃったのは一万何千床ですね。
#143
○政府委員(寺松尚君) 一万九千をちょっと切っておると思います。
#144
○堂本暁子君 そこにほとんど入院しておられるわけです。満員なんです。今これからつくられようというところは、大体十万近い病床をつくるというふうに伺っていますけれども、そういったより多い人たちがそこへ後から後から……。そんなもの大体ないんですよ、総合病院の精神科に行けるなんという病院が少ない。それを当てにしてやるということはできないし、余りにもこれは、言ってみれば法の穴ではないですか。病院で治療を受ける権利、医療の権利というのはここでは全然放棄されているとしか言いようがないと思います。
 今、言葉ではそう答えていらっしゃいますけれども、それが現実的なものか、そうじゃないということは火を見るより明らかで、そこはもうきちんと法改正をして、どこででも、今の病棟から近くの病院に合併症が起きたときには入院できるというふうにしていただかなかったら、これは非常に危険なんです。そのことをもう一度短くお答えいただきたい。
#145
○政府委員(寺松尚君) 今申し上げたことと余り変わりはないのでございますけれども、やはり病院はその一つの病院だけで成り立っているわけではございませんで、周辺にいろいろ病院があるわけでございます。その辺の病院と平素からの連携をとられるようなことが必要だと思いますし、いろんな情報交換等もしながら、その地域の医療施設を利用して対応していくということではないかと存じます。
#146
○堂本暁子君 私が見る限り、精神病棟に今おっしゃったようないろいろな酸素とかそのぐらいのものがあったとしても、手術ができるわけじゃありませんし、それに、一般の病院と連携をとるとおっしゃるそこにこそ、連携がとれないことを私は問題にしているんです。法律的に精神保健法が適用されたらば、そのことの連携がとれないことを問題にしているんであって、後でそれはまた改めて問題にしたいと思います。
 それから、今集中治療をするという治療病棟ですけれども、ここにはマンパワーの配置はどうなっていますでしょうか。
#147
○政府委員(寺松尚君) 今御質問のは治療病棟でございますか。
#148
○堂本暁子君 はい、そうです。
#149
○政府委員(寺松尚君) 治療病棟につきましては、目的は短期集中的な治療、こういうことでございます。そして対象となりますのは、先ほどから申し上げておりますように、広い老人性痴呆疾患ではなくて、その中で精神症状や問題行動が著しいという方々のケースでございます。
 それで、今の配置でございますが、医師が一人、これは精神科医でございます。それから看護婦が九人、介護職員が十人、その他OTとかPSWとかCP等を配置する、こういうことになっております。
#150
○堂本暁子君 これは確かにほかから見れば多いんですけれども、精神科の集中治療というのはマンパワーでやるというのが現代の精神医療だというふうに、私は専門家じゃありませんが了解しております。とすれば、そういった本当に集中治療をするにはとても無理な要員です。六対一の精神病院あるいは老人病院といったものの方が非常にレベルが少ない。むしろ今回の病棟程度のことが普通のほかの病院でもなければいけないんではないか。そして、その上にもし本当に痴呆性の集中治療をするのであれば、これに倍する人数がいなければできないというふうに考えます。
 時間がございませんから、大蔵省にいらしていただいているので伺いたいんですけれども、今回の予算というのはこういう形で非常に精神病院への補助、それから加算というようなものに偏っているような気がいたします。もっと全般的に、痴呆性老人は八五%が病院以外のところにいるわけ、ですから、そういったところに対しての予算をより多くする必要があると思いますけれども、その点についてはいかがお考えなんでしょうか。
#151
○説明員(渡辺裕泰君) お答えをさせていただきます。
 高齢化の進展に伴いまして、痴呆性の老人の方をどういう場でどういうお世話をするのがよいかということがますます重要な問題になってきていると私どもも認識をいたしております。ただいまもいろいろな御議論を伺わさせていただきましたが、財政当局といたしましても、さらに勉強をしてまいりたいと存じます。
#152
○堂本暁子君 最後に、今回の施策というのは大変実質的にはいろいろお考えになっての上のことかと存じますけれども、法律だけ、そして人権という視点からの老人のことを考えましたときにぱ、これは収容型、いわゆる時代に逆行したとしか言いようがないんですね。こういったノーマライゼーション、それから地域医療、福祉というものをより広げていく時代に、縛ったりかぎをかけたりというようなことはあんまりしていただきたくない。先ほど最初にも申し上げたように、御老人にとって一番つらいことです。どんなに手を縛られていることがつらいことか。
 そのこともスウェーデンで私は聞きました。日本で縛られているような人がアメリカにだってスウェーデンにだってどこにだっているんです。どうするんですかと聞きました。日本と同じように悩んでいるんです。違うことは何か。これを類型化して効率よくこういう収容型に持っていかないということがあの人たちと私たちの違いだというふうに思いました。大変です。しかし人を一人張りつけてでも縛らない努力をしています。私はそこだと思うんですね。最初にどういう理念に立ってこれから対応なさるのかということを伺いました。その最初の理念が大事だと思うんです。その理念、本当に人間をどこまで尊重するのか、人間の尊厳を最後の死という場面でどこまで大事にするのか、そのことの理念でございます。(表言する者あり)黙っててください。黙っててください。人間の尊厳に関して話しているときにやじなんか飛ばしていただきたくない。
#153
○委員長(田渕勲二君) 続けてください。静かにしてください。続けてください。
#154
○堂本暁子君 人間というのは医療だけの対象ではありません。その人の人生がございます。その人生のついの住みか、たとえ痴呆であれ、痴呆でなかろうと、やはりそれは尊厳の守られるものでなければならない。ですから、私が人権委員会でゴースチンさんとおっしゃる精神医療の専門家ですが、アメリカの弁護士さんに会ったときにこういうふうに言われました。日本はハイテクもあるだろう、経済成長もすばらしかった、しかし、一番弱い精神障害者や老人や身体障害者がその地域でそれぞれの尊厳を持って生きられない国、そういった国を私たちは尊敬することができないというふうに言われたんですね。
 私は、今回の大変数がふえてきた、そのための苦肉の策と言っては何ですが、精神病棟から今社会復帰、人権委員会で問題になったからこそ精神障害者の社会復帰というのが進んでいます。そのための空きベッドに、最初に伺ったように、改築すればいいそうです、その空きベッドにまさに病院経営のために今度は老人が入っていくというふうに見えてしようがありません。あるいは国家財政の節約なのでしょうか。もしそうではないとおっしゃるのであれば、今の法律の適用の仕方は大変におかしいと言わざるを得ないと思います。そして、その病院経営の方が一人一人の私たち日本人の人生、そして人間の尊厳よりも優先するような政策であってはならない。立法府にいる私たちにしろ行政府におられる皆様方にしろ、今大変その意味で大きな責任を担っているときではないかと思います。頑張っていただきたいと思う。いい政策を打ち出していただきたいと思います。
#155
○委員長(田渕勲二君) 堂本委員、時間が来ております。
#156
○堂本暁子君 お願いいたします、どうぞよろしく。
#157
○高桑栄松君 それでは、質問をさせていただきますが、一昨日の質問の続きでございます。
 最初に、老人訪問看護制度について、若干残した部分を伺いたいと思いますが、ナースステーションというものはどういう性格のものをお考えかということと、その構成スタッフはどのように考えているかということを伺いたいと思います。
#158
○政府委員(岡光序治君) まず、スタッフといたしましては、保健婦、看護婦、准看護婦、理学療法士、作業療法士を考えております。
 それで、仕事でございますが、病状が安定をして在宅で生活をなさっている方がいらしているわけでございまして、そういう方に対しては福祉のサイドからはヘルパーさんが行かれる、そして医療のサイドからは訪問看護婦さんに行ってもらおうではないか、そして医療と福祉両サイドから在宅での生活が可能になるように支えていこうという発想で私どもは考えているわけでございます。
 そして、具体的な仕事としましては、在宅の寝たきり老人に対しまして、病状観察、衛生上の相談指導、清拭、入浴介助、体位交換、機能訓練等こういったサービスを提供したいというふうに考えております。
#159
○高桑栄松君 その次ですけれども、その場合、ドクターの訪問往診というのを、回数というか、どういうことに考えておられるか。それに関連で、訪問看護の一カ月の回数というようなことがあろうかと思うんですが、それに伴う利用料金、こういったことについてのお考えを承りたいと思います。
#160
○政府委員(岡光序治君) 主治医との関係でございますが、私どもは主治医と訪問看護婦とがチームを組んで協力体制のもとで在宅で療養するお年寄りのケアに当たっていただきたいというふうに考えております。そもそもが主治医が訪問診察等を行って、それの判断に基づいて訪問看護が要るかどうかということをまず判定してもらって、そして内容につきましても指示をしてもらう、そこから訪問看護が始まるというふうに受けとめているわけでございまして、そういう意味で医師とこの訪問看護を行う看護婦さんとの間で緊密な連携が保たれる必要があるというふうに考えておる次第でございます。
 それから、そういう意味で訪問看護一人当たりどの程度の回数を考えておるかということでございますが、通常のケースにおきましては、病状が安定をしているお年寄りというふうに想定しておりますので、週一、二回の訪問看護で対応できるのではないかというふうに考えております。
 そして利用料金につきましては、外来一部負担金との均衡等に配慮して設定するということを考えておりまして、具体的な金額につきましては、老人保健審議会の専門的な意見を聞いた上で額を設定いたしたい、こういうふうに考えております。
#161
○高桑栄松君 病状が安定したというのを何度がおっしゃったわけですが、一応外見上病状は安定しているわけだろうと思うんです、そういう場合ですね。しかし老人の場合には、例えば例を挙げますと、風邪を引いただけでも、免疫力というか抵抗力というものが大分落ちている場合にはすぐ肺炎になるというようなことがあります。それは一般と違って非常に急変を来すことがあるわけですが、そういう場合の何か連絡方法といったようなことはどういうふうにお考えでしょうか。
#162
○政府委員(岡光序治君) 主治医がいらっしゃるということを前提に考えておりますので、そういう急変の場合も想定しなきゃならないわけでございますが、訪問看護に当たる看護婦さんは速やかにそういったお医者さんに連絡をして、医師の診察または入院等の医療的な措置をとるべきであるというふうに考えております。
#163
○高桑栄松君 例えばポケットベルみたいなものを持たせてお医者さんを呼び出すとかということがあるんですか。
#164
○政府委員(岡光序治君) 具体的なケースによっていろいろなやり方はあろうかと思いますが、緊密な連携を保つ一つのやり方としてそういう方法も想定されるのではないかと思います。
#165
○高桑栄松君 それからいろいろ考えられることは、いつも天気がいいとは限りませんので、場所によってはきょうみたいな大雨になったりあるいは豪雪地帯というのもありますし、北海道なんかはあれだけの広さのところに人口が五百何十万か六百万弱ですから、非常に広域であります。そういったところでは往診の距離があるので、その訪問の旅費が要るであろうと思うんですが、旅費の負担はどういうふうになるんでしょうか。
#166
○政府委員(岡光序治君) このケースにおきましては、通院の場合であるとか医師の往診、訪問診察の場合とバランスをとらなきゃいけないと思っておりまして、したがいまして通院とか医師の往診、訪問診察の場合には交通費をいただいているわけでございますので、交通費実費相当は利用者に負担していただくというふうに考えております。
#167
○高桑栄松君 そういたしますと、地域格差があって僻地ほど損だと、損という言い方はおかしいですが、経費の負担が大きくなる。僻地ほど生活自身がなかなかいろいろな要因があるわけなのに、こういう場合もやはり余計な負担を強いられるということになるわけですが、これは訪問看護療養費の中でカバーすることはできないんでしょうか。
#168
○政府委員(岡光序治君) 医師の往診の場合に、遠距離加算であるとかいろんな工夫が診療報酬の上でもなされているわけでございまして、そういったものとのバランス、横並びをしなければならないと思いますが、具体的には中医協等で御審議をお願いいたしだいと思っております。
#169
○高桑栄松君 その辺はひとつなるべく格差を解消するという方向で十分に検討していただきたい、こういうふうに注文をさせていただきます。
 次に、老人保健施設について質問をさせていただきます。
 老人保健施設の位置づけでありますけれども、中間施設として出発をしたわけですね。したがいまして、ここではできる限りリハビリを行って家庭に復帰させるということが大きな目的、目標であったわけで、したがって通過型と言ったり中間施設と言ったり、こんな話になっていたと思うんですが、今回は初老期痴呆を受け入れるということになるようでありますけれども、その症状というか、そういうものはどういうものを考えておられますか。
#170
○政府委員(岡光序治君) 七十歳未満とかあるいは寝たきりの場合で六十五歳未満の方でも痴呆の症状、老人性痴呆と同じような状態になる方がいらっしゃるわけでございまして、そしてその程度によっては家庭での介護が困難な場合もあるわけでございますが、老人保健法による体系の中で老人保健施設が位置づけられておるものですから、六十五歳以上というふうに対象が限定されておったわけでございます。そういった若い六十五歳未満の段階でも相当重度な痴呆状態に陥る方もいらっしゃるわけでございますので、そういった方々について門戸を開放する必要があるだろう、こういう発想から老人保健施設についてもそこの御利用ができるようにしていきたいというのが発想の原点でございます。
#171
○高桑栄松君 お話を伺っていますと、アルツハイマー病が一番想定されるカテゴリーかと思いますが、しかし、また一方ではアルツハイマー以外でも収容することになるわけですね、いかがでしょう。
#172
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のとおりでございまして、私もよくわかりませんが、何かピック病というようなのもあるんだそうでございまして、まさにそういうアルツハイマーだけに限定するものではございません。
#173
○高桑栄松君 そういたしますと、通過型というか、通過するよりも滞在型にタイプが変わってくる、それが混在するということになろうかと思いますが、そう考えてよろしいですか。
#174
○政府委員(岡光序治君) 老人保健施設の基本的な性格づけにつきましては、これが制度化されて実際に動き始めてからよくよく検討しようということになっております。老人保健審議会におきまして、特別の部会を設けましてその審議を行いました。その結果は、やはり家庭への復帰を目指す施設だという意味での通過型施設という位置づけは変えない、そのままそういう性格づけは置いておこうではないか、こういうふうに専門の審議会では一応の結論がつい最近出たところでございます。
 では、先生御指摘のように痴呆性の患者について、なかなか治って家庭に帰れるという状態ではないじゃないか、こういう御指摘だろうと思いますが、そこのところは私どもできるだけのお手当てをすることによって落ちついた段階で家庭に帰ってもらう。そしてまた、症状の変化に応じては施設を利用してもらうというふうに、いわば家庭と施設の間を往復してもらうというふうな発想で運用をしていったらどうだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#175
○高桑栄松君 今おっしゃった専門委員会というのは老人保健審議会とは違うんですか。
#176
○政府委員(岡光序治君) 老人保健審議会の中に専門の部会をつくりましたので、審議会そのものでございます。
#177
○高桑栄松君 わかりました。
 初めて老人保健施設そのものが審議に上がりましたときに、私が伺ったところでは、老人保健審議会の委員が二十名で、ドクターがたまたま三名いたということでございまして、それで老人保健施設の中の医療関係が審議できるわけがないと。私がそれを指摘したわけですけれども、それでたしか六名追加になったと思います。結局三十六名だったかと思いますが、ドクターは何人おられますか。そのうちに精神科の専門というのは何人おられますか。
#178
○政府委員(岡光序治君) 今ざっと数えましたが、五人だと思います。その中で精神科の専門の先生はお二人でございます。
 先生、審議会のメンバーはそのようでございますが、老人保健施設の性格につきまして再検討したときに、具体的に老人保健施設を運営していらっしゃる施設長を呼びまして、いろんな事例をお聞きした上で、それで総合的な判断をしてもらいました。メンバーは確かに今申し上げたとおりでございますが、実際の運営に当たった経験を専門のお医者さんからもヒアリングをした上で判断をしていただいたところでございます。
#179
○高桑栄松君 多分、通過型と滞在型が混在したという状況かと思いますが、そのことを私は聞きたいわけじゃなくて、地域医療計画の中でどういう位置づけになるかという意味で伺おうとしたんですが、ベッド数のカウントはどうなりますか。
#180
○政府委員(古市圭治君) 老人保健施設につきましては、同施設が要介護老人に対して医療と日常生活上の世話を一体的に提供するという性格から、人員、施設基準等を勘案しまして、昭和六十三年度から医療計画上はベッド数に〇・五を乗じて得た数を地域における入院病床の現状を示す既存病床数とみなして算定する、こうやっておりました。しかし、平成元年十二月に策定しました高齢者保健福祉推進十カ年戦略において、老人保健施設の整備目標を平成十一年に二十八万床と定めたところでありまして、計画の達成に向けて一層の整備促進を図る必要がある、このような観点から、従来の算定方式につきましては、本年二月に老人保健審議会より老人保健施設の整備促進の観点から当分の間適用を見合わせるなど何らかの配慮を求める要請がございました。
 その結果、この算定方式の取り扱いにつきまして、医療審議会に諮って答申を得、当分の間老人保健施設の整備状況、老人保健福祉計画の作成、推進状況等を見ることとしまして、その間は既存の病床数として算定しないことに改めました。
#181
○高桑栄松君 ベッド数にカウントしないということがわかりました、当分の間ということでありますが。そうすると、私なりの解釈では、老人保健施設はそれの持っている専門的機能を尊重するというか、評価するという形に今なったのかなと思っているんですが、時間がありませんので、関連質問ですぐ次に入りたいと思います。
 私は、老人保健施設というものができた成り立ちは、リハビリに重点を置いて家庭に復帰させる、そして寝たきりでないという状態をつくり出していきたい、これは大事なことだと思うんです。そうすると、この施設に要求されるというか、考えておられるOT、PTの数というのはどうなっておりますか。
#182
○政府委員(岡光序治君) 定員百人当たりで申し上げますと、理学療法士または作業療法士一人を置くようにということになっております。
#183
○高桑栄松君 それを聞いて、実は私は専門機能を考えているんだろうかと思ったんです。これは現場のドクターの意見を私はいろいろ聞いてみました。そうすると、OT、PTの中で、PTを言っていましたが、理学療法士ですかね、これは。PTですと、効果のあるようなリハビリをするのには一人で四十五分かかると言っていました。四十五分というのは、八時間労働で休みなしにやって一人扱えるのが十人なんですね。そうすると毎日もしやろうとすると、百ベッドは十日かかるということになるわけです。それから簡略法でやると十五分だと言っていました。だから、マンツーマンでもしやるんだとすると、十五分でやっていくとちょうど三倍でありますので、一日八時間労働で三十人である。専門にやっておられる整形外科の先生なんかに聞いたんですが、そう言っていました。そうすると、簡略型にしても三名は要るのではないか、こういうわけなんです。
 それから、時間を節約して私の質問のポイントを申し上げますと、要するにリハビリに重点を置きたいと思っても、その人件費が出せないというのです。ですから、一人でいいと言われれば一人になってしまう。そうすると、せっかくの中間施設といった通過型の専門機能を生かすことが非常に難しくなるということでありまして、私が要望されたのはPT、OTの人員基準を見直す必要はないか、そして施設療養費をそれによってカバーするということを考えないと、この特別機能を生かすことができないのではないか。ですから、一名というのは余りにも少な過ぎるというのがドクターの希望でありました。それは現地担当者でございますので、私はこれは大事な意見だと思うんです。いかがでしょうか。
#184
○政府委員(岡光序治君) 先ほど申し上げました老人保健施設の運営のあり方について、老人保健審議会でいろいろ御審議をいただきまして、本年の七月にその意見をいただきましたが、当面は現行の基準を維持するようにと、こういう意見をいただいているところでございます。しかし、先生おっしゃいますように、この理学療法士、特に作業療法士の効果というのは高いようでございまして、入所するお年寄りの中で痴呆性のお年寄りがふえていくというふうなことを考えますと、特に作業療法士の活用というのでしょうか、役割は重要だと思いますので、その辺については少しく検討させていただきたいと思っております。
#185
○高桑栄松君 大変いい御答弁をいただきましたが、しっかりひとつやっていただいて、老人保健審議会でも諮ってもらいたいと私は希望いたします。
 次に、今後の老人医療というのを実はちょっと考えてみたいということでございますが、前回私は医療目的税という考え方を導入すべきだというお話を大臣に申し上げて、御答弁をいただきましたけれども、今度はまたもう一度発想を転換いたしまして、このような考え方という意味で、選択肢の一つに高齢者地方交付税という考え方はないか。つまり、今の農村とか僻地では若い人が出ていって老人だけが人口比として多くなる。こういうところでは非常に高齢者対策は面倒になってくるので、人口比に応じた地方交付税をそれだけ多く交付することによりまして、老人医療を含めた老人福祉計画を進展させることができるのではないか、それにウエートをかけられないかというのでございますが、大臣、いかがでしょうか。
#186
○国務大臣(下条進一郎君) こういう高齢化の時代におきまして、財源の問題でいろいろ御意見を承っておりますけれども、高齢化が進んだ地域というのは多く若人が少ないということでありますので、その費用の負担が各地方自治体におきましていろいろと大きな問題になっている場合があるわけでございます。そういう意味におきまして、その地域に対しまして地方交付税を交付するという制度がございますので、自治省との連携の中で各自治体の高齢化の状況等を勘案いたしまして、今までも傾斜配分をいたしておりますが、今後もこの問題は非常に大事なことでありますので、協調の中でやってまいりたいと考えております。
 それからさらにまた、厚生省といたしましても、高齢者施策の需要に見合った補助金の交付という制度もございますので、その方の補助金を通じまして今の財政上のアンバランスの状況を是正するように進めておりますが、この点もさらにきめ細かな配慮の中で実情に即したように、かつまた各自治体の御要望にできるだけ沿い得るように、しかしまた、同時に全般的な一つの考え方もございますので、それぞれの調和の中で妥当な結論を出して対処してまいりたいと、このように考えております。
#187
○高桑栄松君 今の大臣の御答弁、大変私は関心を持って伺いましたが、ぜひひとつ高齢化社会が進展していくと言われながら、どういう対策をと幾つもの選択肢があろうかと思いますし、発想もまた考えていただいて、しっかりお願いいたしたいと思います。
 それでは次に、今や治療よりも予防医療にウエートを置くべきであるという時代にますます入っていくのではないかと思うので、予防医療の充実を図れということを僕は申し上げたいと思うんです。それは、つまり健康教育、健康相談、健康診断、健康診査という事業にウエートを置くということであります。
 最近私が見た資料で、健康診断の受診率というのが非常に地域差があるということがわかりましたが、時間のこともありますので結論的に申し上げますと、健康診査の受診率の低い地域ほど老人医療費が高いのではないかという、何かそういう逆相関というか、そういう相関があるようであります。まことにこれはもっともな話で、予防医学者として医学をやってきた私にはもう当たり前のことである。ですから、私はもともと予防医療に重点を置けということで、健康保険法改正のときも私が主張いたしまして、非常にありがたかったのは、健康保険法第二十三条に初めて予防給付の項目が入ったということでありまして、今申し上げたのは四十歳以上の成人病健診のことですが、そういう予防医療、健康診断受診率の低い地域に特に重点的に行政指導を進めていただきたいものだと私は思うんですが、いかがでしょうか。
#188
○政府委員(岡光序治君) おっしゃるように、どうも大都市の方が受診率が低うございます。そのために、早朝、夜間健診であるとか、四十歳、五十歳といった節目健診というものをやってもらおうと思っております。特に利用しやすいように、これは来年度からのことを申し上げておりますが、受診したいときに最寄りの医療機関で健診が受けられるような利用券方式というのをもっともっと広めたい。それからまた、健診の中身も総合健診方式を取り入れるなどして、魅力のあるものにして大いに受けてもらうようにということを進めたいと思っております。
#189
○高桑栄松君 ところで、ついこの間、九月十三日のNHKのテレビで私は見まして、数字がメモできなくてはっきりデータとしては申し上げられませんが、デンマークのナーステッド市というのと岩手県の遠野市を比較したデータをテレビで見させていただきました。多分両方は人口が非常に似ている、それからいずれも福祉で名の通った市であるという意味で比較して、しかし大きな違いは何であったか。これを申し上げますと、まず老人福祉の予算が遠野市で約六億、ナーステッド市で三十二億だったと思うんですよ、まず五倍ですね。それから人手、マンパワー、これが数字を僕はつかんでいませんが、言っていたのはたしか十倍なんです。十倍デンマークの方が多いんです。そうすると、金持ち日本にしては情けないではないか。黙って聞くと反対に思うわけですよ、日本が予算は五、六、三十で五倍、人手も十倍。もっともである。よく聞いてみたら反対であったというわけであります。
 そこで、私が思うのは、日本国民が全部在宅介護に奉仕するという方式を考える必要があるのではないかということで、発想を一、二申し上げたいと思います。
 その一つは、日本医師会の医療システム研究委員会というのがついこの八月に発表したものにケアリング・ソサエティーというアイデアがあるんですね。これは国民すべてが人生の一定時期あるいは一定期間看護、介護に携わる制度を確立して、そして携わった人には介護を受ける権利を保障する、こういうことを主張しているわけです。
 それで、私が次に申し上げたいのは、実は第百十四国会の本会議、これは平成元年の三月十五日でございますが、私は当時福祉切符の導入というのを提唱いたしました。これは一、三の市でもう実行しておられたと聞いておりますけれども、国としてこういう考えを持つべきではないか。つまり、介護ボランティアにはもちろん何がしかのアルバイト料を差し上げる必要があると思います。しかし、介護ボランティアであるという形を尊重しまして、この人たちにはちゃんと福祉切符を交付する。このごろ、何とかというのによく十枚たまったらハワイに行けるなんというのがありますからね、この福祉切符が何枚たまったらどうというのがあってもいいと思うんです。それはハワイに行くんじゃなくて、その人たちが福祉切符を持っている分だけというか、介護を受ける権利を保障してあげる、こういうのがあってもしかるべきだというのが私の福祉切符導入のアイデアでございますが、これについてはどんなふうにお考えでしょうかね。
#190
○国務大臣(下条進一郎君) 福祉の諸施策を充実してまいるに当たりましては、委員御指摘のようにマンパワーの確保ということは欠かせない重要な問題でございます。そのマンパワーの確保の一つといたしましてボランティアの方々の好意にお願いをしていく分野も大変大事なところでございまして、厚生省といたしましても、マンパワーの方々には常に感謝を申し上げ、そしてまたその運動が広がることを期待しておるわけ」でございます。
 これを先生が新しい角度から、福祉切符制度というのを導入してはいかがかというお尋ねでございますが、一つの大きなヒントとして将来の研究課題となると、このように私は考えます。
 ただ問題は、どのような形で今後その切符を手にされた方が御自身の場合に利用できるか。例えば、ある同じ町や村にいらっしゃる場合には割合に使えると思いますけれども、転居される、違うところへ生活を今度移されるということになった場合に、それがどのように活用できるか。やはりこれを実施するためには全国組織でもなければなかなか具体的に進まないのではないかというような問題などございますので、今後の課題として検討させていただきたいと思います。
#191
○高桑栄松君 全国組織ということがあって、ですから国で指導する必要があるかなと思ったわけですが、感謝状を出すよりははるかにいいわけですよね。ですから、きっぷよく切符を出すというお考えをひとつ持っていただきたい、こう思ったわけです。
 もう一つは、文部省に来ていただいておりますので、これも私のアイデアの一つであったんですが、かつて臨教審がございましたときに、大学入試が非常に大きなテーマになっておりましたが、そのときに私が入試制度に高桑ハードル論というのを提唱したのであります。これは今の総理の海部さんも文部大臣のときに、うん、これはと言って大変賛成をしていただいたものであります。
 そのハードル論なんですけれども、一点を争う入試加算制度がいけない、つまり偏差値輪切りがそこからくるので、ですから一点ではなくてハードルで一つずつ越えていった場合、私はこういう言い方なんですが、細かいのは別といたしまして、そのときに人格評価というのに社会奉仕という項目を持った方がいい。それは人物評価になる。その中に社会奉仕というので、これは時間でセットできますから、これくらいを普通ノルマにしてやってもらったらと。それで、場合によったらAクラス、Bクラスと分けて、BならBクラスを越えればハードルを越えだというような考えを僕は申し上げたことがあります。
 今、介護奉仕を入試のテーマに挙げてはどうか、項目の一つとして挙げてはどうか。そういたしますと、入試のときに、在宅介護、老人介護等に何時間奉仕しましたというのがハードルとして挙がってくるということは、教育効果だけではなくて国民全体が介護に携わっていく、そういう意味合いを非常に高くしていくのではないか。それがしかも社会奉仕であるというところが私は大事だと思うんですが、文部省のお考えはいかがでございましょうか。
#192
○説明員(工藤智規君) なかなか貴重な御示唆をいただきまして、ありがとうございます。
 私どもは、大学入試につきましては、基本的には学力偏重に陥ることなく、受験生の能力、適性等を多面的に判定するような方向で改善されていくのが望ましいと考えているわけでございます。このために、私ども毎年度国公私の各大学に対しまして当該年度の入試実施要項という形で御通知を申し上げ、御指導をしているわけでございます。
 その中で関連する部分を御紹介いたしますと、一つは、学力検査だけではなくて調査書の活用でございますとか、面接、小論文等の実施でございますとか、あるいは受験生の各種の分野における諸活動、例えばスポーツもありましょうし、文化あるいは奉仕活動なども含めた社会的な活動があるわけでございますが、そういう諸活動なども含めて総合的に能力、適性等の判定をしていただきたいということを申し上げているのが一つでございます。
 それからまた、調査書の活用に当たりまして、その記載事項でございますが、具体的な内容はいろいろございますけれども、例えば奉仕活動などの学校生活以外の場における顕著な諸活動についても記入するようにしてはどうかというようなことでいろいろ御指導しているわけでございます。
 いずれにいたしましても、大学の入試選抜といいますのは、具体的な内容につきましては、基本的には各大学が個々に自主的に御判断いただくべきことでございますが、私どもとしましては、先生の御提案にもありましたものも含めまして入試の多様化を推進する方法の一つとして、ボランティア活動を適切に評価していくことは大変結構なことであろうと思っておりますし、現に幾つかの大学で募集要項の上で、教科外活動でございますとか、あるいは社会的諸活動につきましても、判定の材料にすることあり得べしという明記をしながら実施している例もあるところでございます。
#193
○高桑栄松君 それじゃ、終わりに大臣にもう一度お願いいたします。
 先ほどは福祉切符のことでお話を伺いましたが、今後の老人医療につけて大まかな線で大臣の御決意などを承って、私の質問を終わりたいと思います。
#194
○国務大臣(下条進一郎君) 老人の方々に対しましては、基本的な考え方といたしまして、社会に尽くしてこられた非常な功労者である、したがって社会全体として年老いた方々が健やかに老いられるような条件を整えていくというのが基本的な考え方だと思います。
 その見地から、老人保健法におきましても、長く安定的にお年を召した方々が医療の面で十分な手当てを受けられるようにしたいということで今回の制度の改正をお願いしているわけでございまして、その意味において私たちはお年を召した方々がいついかなるときに、またどのような状態に応じても適切な医療が受けられるように、しかも必要以上の御負担をかけないようなことを配慮しながら制度をしっかりと確立してまいりたい、それによってお年を召した方々が安心して老後をお暮らしいただけるように持ってまいりたい、そのために全力投球をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#195
○木庭健太郎君 今回の改正案のキーワードというのをずっと見てみますと、介護という言葉が一番大きなキーワードになっているのだろうと私自身理解しております。改正の趣旨自体が介護体制の充実を図るというようなことを言っておりますし、岡光部長も何度介護。という言葉を連発したか、百回以上は少なくともおっしゃっている。もちろん、高齢化社会においてそういう介護体制を充実するというのは、私たちも一生懸命主張してきておりましたし、大事なことだと思っておりますけれども、ただ、厚生省としてこの介護というものをどういうふうにとらえているかというのがいま一つ私はわかりません。
 そこで、まず一点お伺いしたいんですけれども、介護というのは一体医療関係法の中でどんなふうに定義されているのか、改正法においてはどう規定されているのか。さらに、介護と看護というのは具体的にどんな関係にあるのかというのをまず教えてほしいんです。
#196
○政府委員(古市圭治君) お尋ねの前段について御説明させていただきます。
 介護という用語につきましては、いわゆる医療関係の法規の中では直接には出てまいりません。ただ、老人保健法、これは福祉関係の方でございまして、この法律の中の老人保健施設の定義の中で「介護」という言葉が使われております。それからまた社会福祉士及び介護福祉士法、先般成立した法律でございますが、この中の第三条の「定義」の中におきまして、「身体上又は精神上の障害、があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)」とありますが、ここが一番具体的ではなかろうかと思います。
 そのほか、言葉といたしましては、原子爆弾被爆者に対する特別措置法、それから予防接種法で言葉として出てきているという状況だと思います。
#197
○政府委員(岡光序治君) 今回の改正法の中でどのように規定しているかということでございますが、老人訪問看護の規定の中で、在宅の寝たきり老人等を対象とした、看護婦等が行う療養上の世話または必要な診療の補助と規定をしております。それから公費負担五割の対象となる介護体制の整った老人病院につきましては、老人の心身の特性に応じた適切な看護が行われる病院というふうに規定をしております。それから、そのほか老人福祉法の一部改正の中で、国は、老人の心身の特性に応じた介護方法の研究開発の推進に努めなければならないというふうな規定を設けておるところでございます。
#198
○木庭健太郎君 説明を受けたんですけれども、やっぱりどこまでが介護で、どこまでが看護かというのが、非常に入り組んでいてよくわからないんです。
 それじゃ、例えばベッドサイドで患者さんのケアをしてあげる、それは一体看護なのか介護なのか、これもわからない。
 具体的に聞くなら、じゃ、看護職員はできないけれども、介護職員はできるというような業務が一体あるのか。看護職員が主にやるべき業務という部分は何かあるのか。そういう規定の仕方があるのかどうか。看護の立場から見れば介護というのは一領域という考え方もあるし、いろんな考え方があると思うんですけれども、その辺をきちんとしておかないと、一体これから厚生省さんは介護といって、何をやってくれるのかなと。その辺が非常に不明確になっているような気がするんですけれども、どうですか。
#199
○政府委員(古市圭治君) 言葉が看護と介護とございますから、法律それからまた通知ではそれぞれ定義をして行わないといけない、そこが不明確であるということでございます。
 確かに、これは高桑先生の御専門の分野でございますが、あらゆる現象というのは連続でございまして、病気から健康まで、その間で症状が動揺するわけでございます。それに対して医療、看護、介護、それからまた家族による介助、こうなるのでございましょう。したがって、それを切るというのはしょせん無理な話でございますが、わかりやすく申し上げますと、傷病者に対していわゆる医療上の補助また医師の管理下に置いて病状の変化を見ながら行うというのが看護婦の役目でありまして、それからまた、ある程度身体上、精神上の症状が固定している、しかしそれが不自由で寝たきりである、そういう人たちが日常生活を営む上で手助けをする、これが介護であろうかと思います。したがってヘルパー等が介護をするというのは十分それでカバーできる分野がございますし、ある時期になったら看護婦さんが在宅訪問看護をする、それが適切な時期があるということだと思います。
#200
○木庭健太郎君 それでも、先ほどの岡光部長の話の部分でいくと、本来介護という部分と看護という部分が重なり合っているようなところというのが今回やる中には出てきているような気がするんです。だから、今回の法案の中で、どういうことが言えるかというと、看護と介護というのが不明確なまま老人医療において介護というものが強調される。そうなるとどうなるかというと、例えば現在提出されている老人保健法でどうなっているかというと、介護の重視の立場から老人保健施設とか特例許可病院の一部に公費負担の引き上げを図ろうというわけです。ところが、ある意味じゃこの老人保健施設とか特例許可老人病院というのは、介護者はいても一般病院より看護職員は少ない病院なわけです。だから、ある意味じゃ一般病院よりも看護の手薄な病院とか施設の公費負担引き上げを優遇するということの意義がどこにあるのかなと。むしろ看護の整ったところにやるというのならば、一般病院の基準看護病院に対して公費負担を上げていくというのが、こっちを先にやるのが当たり前のような気もするんですけれども、この点いかがですか。
#201
○政府委員(岡光序治君) 考え方の整理といたしましては、今後の老人医療の課題が介護であるというふうに考えまして、その重要性にかんがみまして、老人医療における介護的要素に着目をして公費負担の割合を拡大をしたい、そしてその趣旨に合致をする施設を選び上げたという考え方でございます。
 先ほども申し上げましたが、一般病院というのは、本来の性格、機能からいたしまして、急性期の患者を含めてさまざまな疾病状態にある患者を対象とするものでございますので、今申し上げましたような考え方の整理からすると、公費負担の五割の対象にすることは不適当だというふうに整理をしたところでございます。
#202
○木庭健太郎君 納得できないんです。見解が分かれるところだろうと思うんですけれども、私はそういうところもきちんと公費負担というものを上げていかなくちゃいけないというふうに考えております。
 ところで、労働省の方に来ていただいているんでちょっとお聞きするんですけれども、現在家政婦さん、ケアワーカーと今は言うんですか、家政婦さんと言っちゃいけないのかもしれませんけれども、この方たちがどれくらい人数がいらっしゃるのか、この人たちが働いている事務所数が幾つぐらいあるのか、そしてどんなところで一体ケアワーカーさんたちは働いていらっしゃるのかというのを教えてください。
#203
○説明員(都築譲君) 家政婦の数や紹介所の数についてのお尋ねでございますけれども、平成三年三月末におきまして、家政婦を対象とする有料職業紹介所は全国に千三百四十四カ所ございます。それからまた三年三月末の状況でございますが、これらの紹介所に登録している家政婦の数は約十六万人でございます。
 それから、どういう場所で働いているかということでございますが、昭和六十三年に社団法人全国民営職業紹介事業協会が行いました調査によりますと、約七八%の家政婦の方が個人に雇われての病院付き添い、それから家庭での介護に従事する人が七%、それから家庭でのいわゆる家政一般でございますが、家事に従事する者が一一%となっております。
#204
○木庭健太郎君 今数字が示されました。私は、この現実というのは絶対無視しちゃいけない、これだけの人たちが実際ある意味じゃほとんど病院の付き添いが中心でやっていらっしゃるという現実がある。
 厚生省、この付き添いの問題、患者さんの保険外負担の問題と大きくかかわりますから、いつも答弁されていたのは何と答弁されていたかというと、将来的にはこの付添看護を必要としない介護体制の整った病院の拡大を図るということを何回も何回もおっしゃいました。それはそれで一つのきちんとしたやり方だと思います。ただ、現実的に今これだけの人たちが病院の中で付き添い、私の言葉で言えばやっぱり介護ということでやっていらっしゃるというふうに認識しております。
 一方、この付き添いという問題はもうずっと以前から論議されていますけれども、患者さんにとってはこの問題は一番大きな保険外の負担なわけでもございます。こういう現実に対して厚生省としてどう対処されるのか。将来のことはお話がありました。じゃ今のこの現実を急にはっと変えられるのか。そんなことは私は到底できないと思っております。それじゃその現実の中でどうされるのかというのをぜひ聞きたい。
#205
○政府委員(岡光序治君) 確かにそういう現実面を配慮しなければならないと思っております。しかし、本来のケアのあり方からしますと、患者さんあるいは家族とその付き添いさんとの間の個人契約というのは、私は本来のケアは病院のいろんなスタッフと一緒になって総合化した上で行われるというのがあるべき姿だと思いますので、そういう相対の個人契約というあり方はおかしいのではないだろうか。そういう意味では、病院の責任のある管理のもとに他の医療と一体的に提供されるような姿に持っていかなきゃいけないんじゃないか。
 もちろん、そういった人たちの職場を奪うわけではありませんので、あくまでもケアというものが病院の責任で提供される、そういう体制に持っていく必要があるんじゃないだろうかということを第一段階のステップとしては考えるべきではなかろうか、そんなふうに考えているわけでございます。
#206
○木庭健太郎君 午前中にも少し同僚議員の質問に対してお答えになっておりました。この付き添いの問題というのは非常に大きいということで、今後厚生省としてこの問題、保険外負担をどうするのか。この現実に対してどれだけその保険外負担の問題を少しでも解消していくのかという問題について、今後具体的に少し検討したいというお話もあっておりました。そういうことだととらえていいわけですね。
 保険外負担についても総合的に考える中で、病院の管理というのを、病棟ごとというお話もありましたけれども、病院の管理下でどうきちんと位置づけるのかということで、今からこの問題を検討するというようにとらえていいわけでしょうか。
#207
○政府委員(岡光序治君) そうした方向を打ち出した上で、関係者とよく相談を申し上げたいと思います。確かに、急激な変化を来して混乱を起こしてはこれは元も子もございませんので、そこは現実的な対応をする必要があろうかと思いますが、考え方としては、病院の責任体制というものを前面に打ち出した格好で進めるべきではなかろうかと考えております。
#208
○木庭健太郎君 その問題でもう一点ちょっとお聞きしたかったんですけれども、十カ年戦略のマンパワー確保の問題の中で寮母と介護職員の問題が別項で挙がっておりまして、昭和六十三年で五・六万人を平成十一年までに十一万人にするというふうなのがありますけれども、この中で、そういうケアワーカーの人たち、家政婦の人たちの位置づけというのは何かあるんですか。
#209
○政府委員(岡光序治君) 御指摘の寮母、介護職員というのはいわゆる特別養護老人ホーム、老人保健施設、それからケアハウスに勤務している介護職員、それから在宅サービスの分野におきましては、デイサービスセンター及びショートステイに勤務する介護職員を指しているわけでございまして、そういった人たちを今御指摘のような人数にふやしていきたい、こう考えているわけでございます。
 この人たちにつきましては、施設長の管理責任のもとで看護婦さんやケースワーカーなど他の職種と連携を保ちながら施設の運営基準、そして適切な職員配置基準にのっとって対応してもらおう、こういうことを考えているわけでございます。そういう意味では、御指摘のありました家政婦さんのように入所者とか利用者と直接雇用契約を結んで付き添っているという方は入っていないというふうに整理をして考えております。
#210
○木庭健太郎君 時間が余りないものですから、次に移らせていただきます。
 訪問看護事業の中で確認したい点が何点があります。一つは、営利目的の者が参入するおそれはないかという問題でございます。
 この問題について、厚生省の方は、一定の基準により都道府県知事の指定を受けた者が入るんであって、当分の間は営利目的の者は指定しないというような答弁を衆議院段階でたしかなさっているんですけれども、この当分の間とおっしゃることは、将来的にはそういう営利企業の参入というのを考えていらっしゃるのかなというふうにもとれるんですけれども、その点どんなふうに考えていらっしゃるのか、はっきりしておいていただきたいと思います。
#211
○政府委員(岡光序治君) 法文上ではこれは禁止をしているわけではございません。ただし、御意見の中では、こういった老人訪問看護サービスを行う者として営利企業というのは認めるべきでないという御意見と、それから民間活力を活用するという観点から認めるべきだという両方の御意見があるわけでございます。
 私どもは、これに対しまして、老人訪問看護というものは、このたび設営してもらう新しい制度でございますので、運営の実情とか普及の状態とか、国民がどういうふうに受けとめるか、そういったことを十分見きわめないと、これからどういうふうに持っていくかということはなかなか言えないわけでございまして、そういう意味で、そういった普及定着が進むまでの間という意味で当分の間と申し上げているわけでございます。
 その間は、営利法人には御遠慮いただいて、公益法人とか、そのほか定めております法人に対応していただく。そういったところが定着をして、その後どうするかという議論を十分した上でないと、この問題についてははっきりとした結論が出せないであろうと、こう考えた次第でございます。
#212
○木庭健太郎君 私はこういう介護の問題を取り扱うとき、両論あるとおっしゃいましたけれども、こういう部門に営利企業が入ってきた場合、結局お年寄りの方たちが犠牲になるんじゃないかなという危惧を非常にいたしております。
 ですから、今回禁止規定を設けてないというお話でございますけれども、逆に言えば検討した段階できちんと禁止規定を設けるというような措置をとらざるを得ないような事態も私は来ると思っていますし、ぜひ営利企業を入れてはいけないという方向でよく見定めて、国として責任持ちながらできる体制をとっていただきたいということを要望しておきます。
 ところで労働省の方、もう一問だけお聞きしたいんですけれども、今職業安定所で看護婦さんの求人というのがどれくらいあるのか、また求職数というのは何件ぐらいあるのか、また、就職件数というのが実際に何件ぐらいあったのか、もし何か資料があれば数を挙げていただきたいと思います。
#213
○説明員(吉免光顯君) 看護婦の需給調整機関としましては、もちろんでございますが、一つは公共職業安定所がございます。それから三番目には労働大臣の許可を受けて行っておりますナースバンク等の無料の職業紹介所もございます。それから三番目には、やはり労働大臣の許可を受けて行っております有料の職業紹介所がございます。
 調整機関としては、主にこういったところになるわけですけれども、看護婦の常用的な再就職ということで見ますと、公共職業安定所を経由しておりますのが、平成二年でございますが、年間で約二万人程度でございます。それから二番目に挙げましたナースバンク等の無料の職業紹介所を経由しておりますのが大体八千人程度でございます。それから三番目に申し上げました有料職業紹介所を経由しておりますのが大体三千人程度という状況になっております。
#214
○木庭健太郎君 私たちずっと論議したときに、ナースバンク、ナースセンターの話ばかり聞かされまして、全国に職業安定所はきちんとあるわけですから、そこでもこれだけの人たちが実際に求人求職の方に来ているという事実もあるわけです。これに対して厚生省はどんな認識をしているんですか。
#215
○政府委員(古市圭治君) 看護力、看護婦さんに対する需要、要求というのは非常に大きいものがございますので、いわゆる各般の対策でもって総合的に当たらなかったらいけない、そういうことから現在公共職業安定所の方で果たされている役割というのは非常にありがたいことだと思っております。
 しかし問題は、これから高齢化を迎えて、いわゆる訪問看護にいたしましても、またいろんな病院、医療機関の需要にいたしましても、現在潜在看護婦と称されている人たちが再び職場につくときに一番不安に感ずるのは、自分たちの看護技術で大丈夫だろうかということがございます。それからまた、さらに固定的な都市の病院に就職するということでしたら、職業安定所の方が向くのかもしれませんが、これからはいろんな形で市町村事業の中に入っていく。また訪問看護、医者の施設から離れたところでまたやっていく、いろんなことが求められるわけです。
 そういうことから、厚生省が設置しておりますナースバンク、この機能におきましては、そういう人たちの再教育ももちろんやります。それからまた、それらが必要とする求人側への希望というものを調整いたします。それからまた、都会でなくても山間僻地の方にも、その相談ができますように移動相談事業というのもやっているわけでございます。そういうことで、このナースバンクの機能というものを地域にいよいよ確立していくためには、さらにこの機能、また紹介力というものを高めていかなかったらいけない、こう思っておるわけです。
 そういうことで、要約いたしますと、今後の需要に対応するためには、公共職業安定所だけでもだめでございまして、私どものナースバンクをナースセンターというものにレベルアップしてこれに対応していきたいと思っておるわけでございます。
#216
○木庭健太郎君 私が心配しているのは、こういう本当に潜在看護婦を掘り起こして訪問看護を整えなくちゃいけない。ただ、その人数もなかなか厳しいものがある。その中で、一つは職安でやっていらっしゃる、一つはナースバンクでやっていらっしゃる。じゃ、職安の方がその人たちの再訓練のことを考えてないか。それは考えていますよ、職安は職安として。ナースセンターもナースセンターで考える。きちんと連携をとってやっていただきたい。
 厚生省の言い方を聞いていると、何かこれはおれの領分やから、ほかのものが参入しちゃいかぬ、自分たちだけでやるんだというふうにもとれてしまうわけですよ。どう連携していただくかということが、省の縄張り争いとは関係ないんですから、私たちはよりよくそういう人たちを掘り起こしていただくのが一番うれしいわけです、きちんとした人数を確保してもらうのが一番うれしいわけです。そのために、これから大臣、人材確保法を今度は国会に出されるという話ですけれども、労働省との関係、連携について、もっともっときちんと連携し合ってやってくれないと、むだな部分も出てくるし、ある意味じゃせつかくやろうとした人たちがきちんと掘り起こせないまま終わってしまう可能性もあるわけです。
 この点、どう労働省の方とやっていかれるのか、その点のきちんとした考えをぜひ述べておいていただきたいと思うんです。
#217
○政府委員(古市圭治君) 現場の都道府県のナースバンクにおきましては、その中で例えば事業運営委員会というのがございますが、そこには職業紹介の専門家でございます職業安定所の職員の方に来ていただいて会議に入っていただいているということでございます。
 それから、ナースバンクに来た中で、職業安定所の方でやっていただいた方がいい方はそちらに紹介しておりますし、職業安定所の方に来られた人をナースバンクの方に紹介していただいているということで、現場では相互に連携をとりながらやっている。ただ中央で建前上分かれたような印象の説明をいたしましたのは、それはいけないことだと思いますけれども、我々は我々でやっていかなかったらいけないというふうな分野が非常に大きい、こういうことで申し上げたわけで、連携は十分気をつけてやっていかなくちゃいけないと思います。
#218
○木庭健太郎君 きちんとやっていかなくちゃいけないとおっしゃっているわけですから、きちんとやった成果が例えば人材確保の方に出てくるわけですから、その結果をぜひ見させていただきたい。今言われたことが真実かどうかはその時点でわかるだろうと思います。大臣もぜひその辺大臣同士話されることもあるでしょうし、連携を取り合ってやっていただきたいと思うんです。
 あと、訪問看護の問題で一点心配なのは、看護協会が昭和六十年に病院における訪問看護の実施状況調査というのをやっているんですよね。この調査を見たときに心配なのは、行かれる看護婦さんと福祉関係者、いわゆるこれはヘルパーの問題であったり、先ほど言われた家政婦の人たちも入ると思うんですけれども、それから市町村の保健婦が入るところもある。ある意味じゃいろんな形で在宅の部分をやろうと今からしている。その連携ができているかどうかという話になると、その調査によると半数もできてないという結果になっているわけです。これから一番大事なのは、医療とか福祉とかそういう縦分けをするんじゃなくて、それがどう連携をとるかという問題だと思っております。
 特にホームヘルパー、家政婦と訪問する看護婦の連携というのは一番大事な問題になると思うんですけれども、これをどうきちんとやっていこうとしているのかということを、大臣よければ御答弁をいただきたいと思います。
#219
○国務大臣(下条進一郎君) 今度の法律改正で、訪問看護ということでこれを充実しながら、在宅で医療のあるいはまた介護のいろいろな措置を講じられるように制度をお願いしているわけでございますが、その場合の各関係者との連係プレーはいかに、こういうお尋ねでございます。
 看護職というのは、委員十分御承知かと思いますが、医師の指揮を得てその中で看護の仕事をやるというのが建前でございますから、したがって医師との連係プレーは欠かせない問題でございます。一たん医師が診断され、そしてこの症状に応じでどのような形の看護が必要か、またどのぐらいの頻度で必要かというようなことを、指示されたことに基づきまして看護関係の方々がそこへ行って看護をされるということでありますが、今委員のお尋ねは、そのほかの介護の方々の関係だと私は思います。
 このことにつきましては、御承知のように、看護と介護という職は極めて近いものもございます。賎俗に言えば、食事をお手伝いするとか排便の手伝いをするとか、あるいはその他の身の回りのことをやるのが介護であって、医療にかかわることは主として看護婦の仕事であるというような分け方がありますけれども、そこは具体的にはかなり接近するものもあるということでありますので、これからのこの新しい制度の運営につきましては、今の訪問看護制度の創設と同時に、それらの関係者の中で緊密な連絡をとりながら効率的に動けるように配慮してまいりたいと考えております。
#220
○木庭健太郎君 それと、この訪問看護の箇所数の問題ですけれども、たしか平成十三年の時点で五千カ所という話をされましたけれども、これは何を根拠に五千カ所と言っているんでしょうか。
#221
○政府委員(岡光序治君) これはモデル事業をやりまして、その経験に基づきまして対象を試算をしているわけでございます。寝たきり老人のうちの五割程度の方、それから寝たきりに準ずる老人の方の一割程度、これが平成十三年の計算では三十三万人程度になるだろう、こういうふうに見込んでおりますが、一ステーション当たりの訪問対象者数、モデル事業では三十七人でございますけれども、約五十名と想定をいたしまして、それで約二十五万人に対して一カ所当たり五十人ということでございますので五千カ所という概算をしておるわけでございます。
#222
○木庭健太郎君 そうすると、これで終わりだということじゃないわけですよね。将来的には厚生省としてこの箇所数はどこに一つあればいいと、どういう単位で一つあればいいという、まあ予算の関係もあるでしょうし、将来的にはこういう形に持っていきたいという姿はどう描いていらっしゃるんですか。
#223
○政府委員(岡光序治君) これは、現実には市町村における保健福祉体制と非常に関連があると思っております。それで、平成五年の四月からは全国のすべての市町村で市町村保健福祉計画をつくっていただく、その中にはもちろんこの訪問看護ステーションも位置づけをするということにしております。したがいまして、それぞれの市町村においてお年寄りのニーズを把握して、どういうサービスをすればいいかという総体のサービス量がわかってまいります。そして、現在の供給能力、これを把握した上で、そういった施設であるとかあるいは在宅介護のためのセンターであるとか、それからこういった訪問看護ステーションであるとか、そういったものをうまく連携を保ちながら配置していくということになると思います。
 先ほど申し上げました五千カ所というのは、あくまでもモデル事業の実績から対象者をトータルとして想定して考えたものでございまして、先生おっしゃいますように、現実の姿はもっと違ったものになる可能性があると思っております。
#224
○木庭健太郎君 いろいろ質問させていただきましたけれども、一つ大切なのは、先ほどどなたか同僚議員がおっしゃっておりましたが、今回の法改正というのは、厚生省はそう思っていなくても結局病院からお年寄りを追い出す結果になるんじゃないかという指摘もございました。逆に言えば、もし家に戻ってきたとき、その人たちが家で介護できるのか、その体制が非常に難しいんだということも岡光部長もおっしゃいました。ある意味では、在宅でどうできるかというものに対して本当はもう少し私は手当てをする必要があると思うんです。それを全部家族に投げるという意味じゃないんですけれども、実際にそうやってお年寄りを介護している人たちが家庭にいる、そういう人たちに対して、じゃ厚生省として何ができるのかということを、ある意味じゃバランスの上では真剣に考えていかなくちゃいけない問題だと私は思っております。
 そういった意味で、私たちの党も前々から主張しておりますけれども、そういう寝たきり老人を介護している家族に対して、医療保険に基づく介護手当制度というものは不可欠ではないかという主張をずっとしておりますけれども、この改正の際にぜひこれに対する見解をきちんと伺っておきたいと思います。
#225
○政府委員(岡光序治君) 公明党さんの従来からの御主張はよく存じておるわけでございますが、私どもはこの介護手当というものをどういう趣旨で設定をすべきなのか、それから介護手当を仮に支給するとして、介護サービスの供給とうまく結びつくことになるのかどうか、それから家族と高齢者の、日本の場合には非常に同居率が高いわけでございますが、そういった中においてこの手当がどのような影響を及ぼしていくのか。考えなきゃいけないいろんな問題があろうかと思っておりますので、この在宅介護手当というべきものの創設につきましては慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
#226
○木庭健太郎君 最後に、大臣にこの前も少しお聞きしましたけれども、その介護手当という問題とともに私たちが従来からもう一つ指摘している問題、これについてもきちんと最後にこの改正に当たって答弁をいただきたいと思うのは何かといいましたら、いわゆる基礎年金受給者が六十五歳以後に寝たきりや痴呆など介護を要する状態になったとき、それをきちんと見て基礎年金に上乗せ支給するという高齢者障害加算制度の問題ですね。これをずっと主張してまいりました。
 これについても、いつこの法案が上がるか知りませんけれども、最後にきちんとこのことについて見解を求めて質問を終わりたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
#227
○国務大臣(下条進一郎君) 高齢者になってからいろいろな障害が起こって、年金の途中でそのような事故に遭う、こういうことに対しての救済の措置、その制度を新たに設けるようにという御趣旨でございますが、このことにつきましては、既にもう私たちの考えもお話し申し上げましたけれども、今後の介護対策を考える上での重要課題として認識しておりまして、現実の介護の充実にどのように結びつけることができるか、また、現在の年金制度との結びつき、それをどのように考えたらよろしいか、また、その場合の対象者を的確にどのように把握していくことができるか、あるいはまた、今後ますます厳しくなるであろうと想定されます年金財政の中で、その財源をどのように確保していくことができるか、そのようないろんな問題がございますので、幅広い見地から本件を検討いたしまして、速やかにその結論を得たい、このように考えております。
#228
○沓脱タケ子君 それでは、一昨日に引き続きましてお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、訪問看護制度について三、三ただしておきたいと思います。従来の医療機関等がやっております訪問看護と違いまして新たに創設される制度でありますので、はっきりさせておかなければならないなと思っております。同僚議員からもいろいろと質問が出ておりますので、なるべく重複をしないようにしていきたいと思っておるわけでございます。
 これは一ステーションに保健婦、看護婦、准看、それからOT、PTを置く。それで、仕事の内容というのはさっき岡光部長おっしゃったんですけれども、ちょっともう一遍正確におっしゃってくださいますか。
#229
○政府委員(岡光序治君) 病状の安定しておる在宅の老人に対しまして、主治医との密接な連携体制のもとで訪問看護を行おうということでございます。
 それで、仕事の内容としましては、病状観察、衛生上の相談や指導、清拭、入浴介助、体位交換、機能訓練、こういったサービスを考えております。
#230
○沓脱タケ子君 それで、新しくできる訪問看護制度というのは、老人保健で訪問看護療養費という形で支払われるわけですね。そういうことになりますと、老人保健の療養費で支払うということになりますと、老人訪問看護制度のセンターという事業者ですね、これは医療機関として見ていいんですか。どういうふうに見るんですか。
#231
○政府委員(岡光序治君) 新たに老人訪問看護事業者として指定をしたいということを考えておりまして、指定の対象としましては「地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生大臣が定める者」としております。厚生大臣が定める事業者としましては医師会、看護協会等の地域の医療関係・団体を考えておるものでございます。
 先ほども御質問ございましたが、営利法人はどうかということでございますが、当面はそれは認める方針ではないということでございます。
#232
○沓脱タケ子君 いや、私がお伺いしたのは、指定する事業者ということだけれども、それは医療機関あるいは医療機関に準ずるものというお考えなのかどうか。というのは、老人保健からお金を払うわけでしょう。そういうことです。
#233
○政府委員(岡光序治君) 保険医療機関という位置づけではございませんが、この訪問看護療養費を受けとめるという意味で私どもは事業者という位置づけ、にしたいと思っております。
#234
○沓脱タケ子君 それで、料金をどうするかという問題は再々出ているんですが、もう一つはっきりしないので少し確かめておきたいと思っております。
 というのは、今、訪問看護という形で保険医療の中でやられておりますものの中には、在宅患者訪問看護というのが六十五歳以上のお年寄りなんですね。これの事業なんです。この場合には正君は三百六十点ですから三千六百円、それから准看の場合には新たに決まりまして三千九百円になる。もう一つの制度というのは、寝たきり老人訪問看護というのがあるんですね。これは七十歳以上のお年寄り。これは同じ値段と違うんですね。正君は三千八百円で、准看は三千百円、週二回限度、こういうふうになっておるんです。保険診療の中ではこういうふうに規定がありますが、今度の新設の老人訪問看護制度というのは、こういう准看も正君も入れるんだと言っておられましたけれども、そういう区別はどうするのか、あるいは従来あるこの制度とほぼ同様の金額にするのか、その辺はどうなんですか。
#235
○政府委員(岡光序治君) 先ほども申し上げましたように、ステーションとして、事業として成り立つ必要がございます。そういう意味では、今先生が挙げられました寝たきり患者訪問看護・指導料は、これは病院があってそこから看護婦さんを派遣するということでございまして、病院という本体があっていろんな診療報酬でその部分をカバーしている部分もございます。そういう意味からしますと、これは一独立の事業者として行われるということになるわけでございますので、私どもはこの老人訪問看護療養費の額の設定に関しましては、この訪問看護ステーションの運営が成り立つようにということを考えておるわけでございまして、従来の診療報酬の額には関係なく適正な運営が確保されるということを念頭に置きながら、関係の審議会の意見を聞いた上でこの療養費を定めたいと思っておるわけでございます。
#236
○沓脱タケ子君 そうしますと、訪問看護を受けた場合には利用者が利用料を払う。そういたしますと、その利用料というのは、その枠内で一部負担金のような形でお考えになっているのか、あるいは訪問看護療養費として払われた金額の外に考えておられるのか、その辺はどうなんですか。
#237
○政府委員(岡光序治君) あくまでも訪問看護ステーションの運営は、この療養費と利用料によって賄われるということでございますので、先生の御質問にストレートにお答えするとするならば別だと、両方合わせて一本というふうになるというふうに理解をしております。
#238
○沓脱タケ子君 利用料というのはどのくらいを考えておられますか。訪問看護全体、訪問看護の一件当たり何ぼと考えているのかということをちょっと知りたいんですが、とにかく利用料のところを先に聞かせてください。
#239
○政府委員(岡光序治君) 利用料の水準につきましては、再三御質問がございましたが、法律の上でも外来一部負担との均衡等に配慮するということにしておりますので、外来の一部負担金を念頭に置きまして、もちろん専門の審議会の意見を聞きますが、額を決めたいと考えております。
#240
○沓脱タケ子君 外来の一部負担というのは一カ月に千円。これは訪問看護をするたびにそれを払うということになりますと、一カ月五回行ったら、今度は千円に値上げするのを九百円に修正されているわけだけれども、千円ずつといっても五千円かかる。それプラス車馬賃というか、交通費は本人負担ということになりますと、これは来ていただくということになりますと患者さんにはかなり負担になりそうですね。その辺はどうですか。
   〔委員長退席、理事竹村泰子君着席〕
#241
○政府委員(岡光序治君) 現在の外来の一部負担金は月で決めておるわけでございます。今回の訪問看護の利用料金につきましては、毎回それを支払ってもらうという方がよろしいんではないだろうかという私ども発想を持っております。したがいまして、一月当たりの外来一部負担を念頭に置いて、標準的な回数をもう一方で念頭に置きまして、それで一回当たりの利用料金をはじいていくというやり方がよろしいんではないかと思っております。
#242
○沓脱タケ子君 そうすると、外来の一部負担が千円とすると、五回来てもらったら一回二百円ぐらい、そういうふうな勘定でよろしゅうございますか。概念が持てないから聞いているんです。
#243
○政府委員(岡光序治君) そういうふうな考え方をとるべきではないかと思っております。
#244
○沓脱タケ子君 そうしますと、それにプラス交通費ということになるわけですね。センターが経営の成り立つように、運営の成り立つように適正なものに訪問看護料というのは決めていきたいということなんですね。私はこれは非常に大事なところだと思っているんです。といいますのは、昨日でしたか、参考人の御意見で出ておりましたけれども、一つの病院で六十一名の訪問看護をやっておって、二・八人の看護婦さんを使っている、それで病院が受け取る訪問看護料というのが千二百三十万円、人件費はその二・八人の看護婦さんの分だけで千二百四十三万円、看護婦の人件費の方が上回っているんですね。だから、当然医師の給与なんというのは全然入っていないわけですが、そういう状況というのが現状なんです。病院の本体があるからよいというものでもないんじゃないかと思います。
 せんだってからの審議の中でも、現状ではなかなか訪問看護がやられていない、一四%どまりだというような御意見も出ていましたね。今まだ新たに制度を発足しようというところなんだから、現にある病院、診療所の訪問制度というものを大いに広げながら、一方では新たな訪問看護制度の普及ということになれば一番望ましいと思うわけです。そういう点では、センターが成り立つように考えようということの御計画があるなら、これは病院や診療所が、医療機関が現在やっているところも引き上げを考えなければならないんではないかなということを感ずるんですが、いかがですか。
#245
○政府委員(岡光序治君) 病院から大いにいわゆる訪問看護が行われるように、これも私ども他方ではお願いをしなきゃいけないと思います。この訪問看護療養費の設定の問題と直接は関係ないと思っておりますが、そういう在宅対策を進める意味で、在宅医療の促進という意味で重大な課題だと思っております。次期診療報酬改定においてはそういったものも大きなテーマの一つではないだろうかと考えております。
#246
○沓脱タケ子君 それで、先ほどからもう何人かの御質疑が出ておるんですが、営利企業の参入を法律で禁止しないというのは非常に気になるんです。というのは、とにかくセンターの経営が成り立つような金額に決めるんだと、こうおっしゃっているから、何とかするんだろうとは思いますけれども、ぜひそのことを保障しませんと、営利企業の参入を禁止していないんだから、当面しばらくはやらぬと言っておられるけれども、将来入れるということになるとこれは大変なことになるなという心配をしているんです。
 現に実例がいろいろありますね。民間病院とのドッキングでダスキンという株式会社がやっているのでも、これは民間ですが、入会金が三万円で基本料金が一万円、看護婦さん二週で一回は四千円というふうに決めておるわけです。その場合に、そういうことになってくると仕事の中身が、さっき部長がおっしゃったいろいろなサービスの中身というのは会社ではオプションになるわけですよ。全身清拭が千円、口腔の清拭が四百円、シーツの交換六百円、四肢運動が六百円、床ずれの予防が二百円、体位の交換四百円、おむつの交換六百円とオプションになる。こういうことになりますと、それでなくても一部負担金でも大変なお年寄りの御家庭でこれはとても利用できないんです。現にこういうサービス企業、サービス会社というのは四百社ぐらい大阪にもございます、ちょっと調べたことがありますが。
 営利企業を禁止しないということになってこういうところに道を開くということになりますと、せっかくよい制度はできたけれども本当に低所得のお年寄りが利用できないという心配が出てきますので、そのことを非常に気にいたしまして質問をしておきたいと思ったわけでございます。やっぱりこれは営利企業の参入は許さないと。老人保健療養費で賄うという、保険財政で賄うんであれば、営利企業の参入は認めないという点を法律にも明記をするべきだと思うんです。訪問看護制度の報酬の問題、先ほど済みましたけれども、その三つが非常に気になるところなんで、その点の御意見を伺って、この問題は終わりたいと思います。
#247
○政府委員(岡光序治君) これもお答え申し上げましたが、訪問看護制度は新しい制度でございますので、運営の実情とか普及の進みぐあい、国民の受けとめ方、こういったことを総合的に検討して、この営利法人の問題につきましては慎重に対応したいと思っております。当面はこれを認める考えはございません。
#248
○沓脱タケ子君 それでも、当面はというのがもう本当に気になるんですね。禁止してくれたらその心配はなくなる、どうしてそこが踏み切れないのかなと。わっとひどいことになってから、それっと言ったって間に合わないんです。その辺は大臣お考えがありましたら、一言伺っておきたい。
#249
○国務大臣(下条進一郎君) ただいまの営利事業の参入の問題でございますが、我々は今度新しい制度を設けたばかりでありますので、まずこの制度の定着を図るということでありまして、当面は考えておりません。
#250
○沓脱タケ子君 それじゃ、時間もありませんから課題を変えます。
 私はちょっと驚いたんですけれども、日本、我が国では老人の自殺率というのは依然として高いんですね。一九九一年の人口動態で警察庁の自殺の概要というのか、白書か、データを見せていただきますと、六十五歳以上の方の自殺が男性が二千八百九十四人、女性が三千二百四十七人、合わせて六千百四十一人かんです。ちなみに九〇年のデータを見ますと六千三百五十八人、余り変わっていないんですね。その自殺の原因別に見ますと、病苦というのが男性も七四・七%、女性が七五・一%、四分の三を占めているんです。これはもう驚きました。しかも、その中で、これは九〇年度のデータでは無理心中が十一件ある。自殺の最高年齢は九十六歳の男性なんです。八十五歳の寝たきりの妻の首を絞め無理心中をはかった。もう本当に無残というのですか、そういうことが現に起こっております。
   〔理事竹村泰子君退席、委員長着席〕
 私ども大阪でもそれに近いような例があります。例えば六十八歳の妻がリューマチで動けなかった。主人がずっと面倒を見ていたんだけれども、たまたま虫垂炎を起こして手術をしたら胃がんが見つかった。一定の回復はしたんだけれども、その後は以前のように元気がなくなって看病できなくなったんですね。そうしたら、三人が折り重なって玄関表の道路で焼身自殺をしている。机の上に何と書いてあったかというと、「二人でどうすることもできない。ただ情けない。」、こう書いてある。この種の問題というのは、私は幾つか拾い上げて、時間があればと思ったんだけれども、ありませんからやめておきますが、いっぱいありますね。
 こういう高齢者の悲惨な実態というのが一体なぜこんなに起こってきているのかというあたりが問題だなと思っていろいろ考えてみたんです。老健法の審議の中で、お年寄りの懐から千三百億円近くのお金を新たにもぎとるというのは、これはむごいなと思っておりました。それと同時に、病院へ行っても安心して入院しておられない、三カ月がたったらいつ退院を迫られるかわからぬ、一遍帰ったら今度はとってもらえる病院が見つかるかどうかわからぬという状況になっておるというのも、今お年寄りの最大の悩みの種になっている。私は、こういうことが起こってきたというのは、老健法が制定されて以来、お年寄りの一部負担を片や入れ、片や七十歳以上のお年寄りのために老人特掲診療料という六十九歳以下の人とは別の診療報酬の制度をつくった、それ以来どんどんこういう事態が起こってきているんじゃないかというふうに思うんです。
 厚生省は、老人医療費の増高を何とかして抑えたいというので、老人医療費の抑制にはお年寄りの長期入院を抑制するのが一番よいということを老健法をつくった当時から盛んに言っておられましたし、そういう中で老人の心身の特性を踏まえて適切な医療の提供をするんだということで新たなやり方をしてきたわけでございます。
 一つずつ聞いたらいいんですけれども、時間がないので申し上げておきたいと思いますが、今どういうことになってきているかということを少しまとめて申し上げますと、一つは、入院した場合の入院時医学管理料というのはお医者さんの監督料なんです。これの日数による逓減制というのは実にひどい。改めて驚きましたけれども、これが入院してから一週間までは一日四千二百円。二週間まではほぼ近いところですね。二週間を過ぎたら途端にそれが二千七百円になるわけですから、六五%。三カ月を過ぎたらそれが千八百円になる。四三%です。二カ月過ぎたら、もう半分以下になる。三カ月を過ぎたらこれは千三百四十円で、当初入院したときと比べたら約三〇%。六カ月過ぎたら四分の一というふうなことに日数による逓減制が出てきている。
 それからもう一つは、注射とか処置、検査、これも六十九歳までの患者と七十歳以上の患者の扱いが違います。非常に有名なのはいわゆる点滴なんです。六十九歳までだったら病院でやってもらったらその手技料は七百五十円、誕生日を過ぎたら同じ病院で同じ注射をしてもらっても二百円、こういうことになっているわけですから大変です。しかも、老人病院では何本やっても二百円の丸め、あるいは特例外老人病院だったらそういう注射をやっても報酬はゼロ、こうなっているわけです。薬とか検査とか処置とかいろいろ言いたいと思いますが、そういう年寄りが病院におっても、何やら費用がまともにもらえでいないんで、気がねてしょうがないなという状況ができているわけです。
 それからもう一つは、医師に対しては診療方針に対する制限があるわけです。これは保険医あるいは保険医療機関では療養担当規則というので義務づけられているわけですよね。それは保険医療機関、保険医なんです。ところが、老健法ができてから新たな基準というのをつくったでしょう、担当に関する基準というのを。その基準を見て私は驚きましたけれども、これはもう時間がないから余りゆっくり言えないんだけれども、担当に関する基準は、もう驚く。例えば、言ってみますと、「みだりに注射を打ってはならない。」、「点滴注射は、これによらなければ治療の効果を期待することが困難であるときに行い、みだりにこれを打ってはならない。」。療担規則にはみだりに行ってはならないなんて書いてないんです。ところが、老健法には、こういうふうに彼此適用して、これを守らなかったら、保険医は命令に定められたことに従わなかったら処分、処罰があるんです。
 それから、もう一つ気になったのは、診療報酬の請求をした場合に、これはまたちゃんとやっているんです。審査基準というのを新たに決めて、老人保健の分は入院期間が六カ月以上になっているもの、あるいは平均点数の高いもの、こういうものはもう削ってもよいと言わんばかりなんです。これはひどいですよ。
 細かく読みたいけれども、時間がないから言えませんけれども、こういうことになってまいりますと、とにかく患者さんを置いておきたいと思っても、病院としては経営も成り立たなくなる、看護婦さんの給料も、ほかの従業員の給料も払えなくなる、あるいはそれ以上やったら処罰をこうむるおそれもある、こうなるから、しょうがないから退院をしてもらわないとしょうがないということになっているわけです。そのことが高齢者の医療というものを随分ゆがめてきております。例えば、高齢者の人工透析は必要ないということで、費用を払わないという問題が起こって大問題になったということもありますし、京都の例では、救命のための医学的根拠を示せという紙を請求書に添付して突っ返してきたという例もあります。これは救命のための医学的根拠を示せと言われたら困るんです。医師や医療機関では患者さんの命を助けるために全力を挙げるというのが本当の本務なんですね。一生懸命にやったからこれだけかかりましたよと請求したら、その患者さんの救命のための医学的根拠を示せなんて言ってきたら本当に困るんですが、こういう人権じゅうりんも甚だしいようなゆがみまで起こる。
 そういう点で、こういうことで退院をさせられる、退院をした患者さんはこのごろはいっぱい管をつけて、マカロニ症候群と言われていますが、管をつけたまま退院しています。だから、管をつけた人は、老人保健施設に入れたいと思っても受け取ってもらえない、もちろん特養ホームでも受け取ってもらえない、しょうがないから家族がやっている、こういう状況になっておるのが、我慢ができなくなって焼身自殺になったり自殺をしたりということになっているんではないかという点で、これは本当に本気で考えてみないとお年寄りの医療というものにまともに対応できないなということを実は考えておるわけです。
 さらに、本法案では附則二条で、評価方法の研究に努めて、費用額の包括的な算定等の算定のあり方について検討を行い所要の措置を講ずる、さらにまたこれを強化しようというやり方をお考えになっておるようですけれども、私は、ここら辺で老人医療のあり方について本気になって考えてみる必要があるんじゃないかなというふうに思うんです。というのは、政府がやってきたやり方というのは後ろ向きだと思うんです。老人医療がかさんでかさんてしょうがない、確かにそうだったんです。そうしたら、診療報酬はとにかく減らします、医者は締めます、監督を厳しくしますと言って患者をほうり出す。患者は行くところがないんです。だから、大変なことが起こってきているという事態を冷厳に見詰めなければならない。
 もう時間がありませんから、ちょっと私は言っておきたいんですが、少なくともお年寄りの患者さんたちは病院に長いことおりたいと思っていないんです。病気をしたときぐらいは安心して病院で治療をしてもらう。必要がなくなって退院できるようになったら、介護体制がちゃんとできておれば安心してお家へ帰れる、帰れない人には中間施設の老健施設だとか、あるいは土地によれば老人病院だとか養護施設へでも行くというふうに受け皿をきちんとしておけば、こんなに患者さんたちを痛めつけたり医療機関も随分締めつけたりしなくてもいけるんじゃないか、その辺はとっくり考えてみなきゃならないところへきているんじゃないかと思うんです。だから、少し厳しい言い方をいたしますと、老健法をつくるときにちゃんと受け皿をきちんとつくってきてやりながらきたら、今大慌てをしなくてよかった。急にゴールドプランだと言ってもきょうあすには間に合わぬ。そこが私は後ろ向きの行政だと思うんです。
 そういう点で、考えてもらいたいと思うのは、長年苦労してきたお年寄りが病気になったときぐらいは少なくとも年齢による医療上の差別だけは受けないように、老人特掲診療料というようなこんな制度はやめてもらいたい。そして、それをさらに強化するような附則三条というようなものをわざわざ、まだ検討するというものをわざわざ法律に載せる必要はないと思うので、それはぜひやめてもらいたいと思うんですが、御見解を伺いたいと思います。
#251
○政府委員(岡光序治君) 老人診療報酬を設けている趣旨は、先生もお話がありましたように、老人の心身の特性にふさわしい医療を提供してもらいたいということから設定をしているわけでございます。かつて老人病院の現場でいわゆる薬づけであるとか検査づけであるとか非常に痛ましい事例がございました。そういうものの反省に立ちまして、むしろ慢性状態になった老人については生活指導であるとか、リハビリテーションであるとか、あるいは在宅の医療の方が必要なんじゃないかということで、そういったものが進むようにという発想から老人のための特別の点数を設けておるという発想でございまして、決して私ども注射とか投薬、検査の制限とか差別的な扱いをしようというものではございません。
 先生が具体的にお話しになりました入院時医学管理料についても、これは一般の診療報酬でもそういった期間に応じた逓減制があるわけでございまして、老人の診療報酬とまさに点数表を比べてみていただけると対比しておわかりいただけるわけでございますが、特別にこの老人の方だけやっておるものではございません。むしろ、長期入院をもう少し是正したいという発想から入院時医学管理料の逓減制というものを入れているわけでございまして、決して差別的な扱いではないと思っております。それから、注射料についても七百五十円を二百円にというふうにおっしゃいましたが、私どもこれは点滴につきましていわゆる点滴注射の技術料と、それから注射針を刺すというそういう部分とを分けて、そしてその点滴の注射料についてそのような三百円という設定をしたわけでございまして、総合的に考えていただきますと、点滴の注射料についてむちゃくちゃな点数を設定しているというわけでは決してないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 それで、この老人の診療報酬のあり方がお年寄りを病院から追い出しておるというふうに、私どもはそう考えていただきたくないと思っております。お話がありましたように、受け皿を整備して老人の心身の特性にふさわしい機能を果たすところの施設に病院から移っていただく。むしろ病院というのは急性期の治療を中心に展開をしていくところだというふうに位置づけて、そういう機能分担、連携ということを考えたいと考えておるわけでございます。そういう意味では、今ごろになって大わらわでとおっしゃいますが、一生懸命受け皿の整備をしておるところでございますし、在宅の福祉なり在宅の保健医療対策を進めておるつもりでございます。そういう観点から老人の療養担当規則も定められておるというふうに理解をしております。
 それから、今回の改正附則の第二条の検討規定につきましても、保険医療機関やあるいは老人保健施設における医療その他のサービスにつきまして適切な評価方法を確立する、それから支払われる費用につきましても、老人の心身の特性を踏まえて看護・介護面に配慮をしながら対応するという関係で、その診療報酬の新たなあり方についても検討したらどうだろうかということを検討規定という格好で設けたらどうだろうかというふうに考えているわけでございまして、決して私ども老人の医療費をけちるためにこんなことを考えているわけではございません。ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
#252
○沓脱タケ子君 時間がないので、あとやれないんですけれども、これは確かに入院料の逓減制は去年の四月からのは同じように並んでいます。最初やり出したのは老健法で老人特掲診療からやり出したんですね。それから点滴なんていうのは病院におったらみじめですよ、そんなことを言うけれども。六十九歳までは七百五十円ですよ。どない言うたって七十歳の誕生日を超したら二百円なんです。これは差別をしていないと言うたって現実にそうなっている。これはぬぐえない事実ですよ。検査だって薬だって同様です。
 時間がありませんから多くを申し上げませんので、私は、長い間御苦労されたお年寄りが七十歳以上だからということで、同じように病気をしているのに治療に違いができるような制度だけはできるだけ早く撤廃をしてもらいたい。そのことは老人医療費の一部負担の引き上げ以上に深刻な問題なんです。
 そのことを特にお願いして、大臣、御見解があれば一言伺って終わりたいと思います。
#253
○国務大臣(下条進一郎君) お年を召した方の医療の充実ということについては、我々も常に意を払っていかなければならないことと考えております。そのために、現在の制度が、今いろいろの御指摘がありましたけれども、我々といたしましては、このような制度でできる限りの充実した医療をやってまいりたいと努力しているところでございまして、今後とも高齢化に伴う医療の充実は常に意を払いながら努力してまいりたいと思っております。
#254
○粟森喬君 私は、これまで衆議院で政府が原案を提案するまでに、いわゆる入院費と診察料の本人負担部分が概算で五%ぐらいになりますという数字を示したその経過と、今回衆議院でそれが修正されまして、物価スライドになったことによってこの数字の目標値が変わったわけでございますが、これまでの考え方について一度明確な、今回の改定によって変わった意味について、そしてこれまでの厚生省のあり方について多少お伺いをしたいと思います。
 この間の問題で、私も資料要求をなぜしたのかといいますと、五%という数字が既に公表されている審議会の資料に出されておりました。なぜそういう数字がここで出され、既にこの時点では、私も記憶しておりますが、新聞報道で老人保健に五%程度の本人負担を導入したいという、これは政府の意向だという当時の新聞でございますが、これは断片でございますから、正確じゃないところがあることはお許しをいただきたいと思いますが、そういうところがございました。
 そこで、少しその辺の審議の中で、私は老人保健審議会委員の名簿や社会保障制度審議会委員の名簿などもいただいて見て私なりに思ったんですが、もちろん労働界の方や地元でそれぞれの皆さんがよって立つ基盤の中でその人たちの意見を反映していることと思いますが、このような意見が出され、このような数字をここに書き込んだ、とりわけこの平成元年十二月十八日の答申というのはどういう経過があったのか、その辺をまず明らかにしていただきたいと思います。
#255
○政府委員(岡光序治君) 平成元年十二月に老人保健審議会から「老人保健制度の見直しに関する中間意見」が出ております。これは六十一年の改正で、同改正法の附則で保険者の拠出金の算定方法に関し、平成三年度までの間に見直しを行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものというふうにされておりまして、そういうことがあるものですから、老人保健審議会でどうするかということをいろいろ御審議をいただいたわけでございます。そして、その審議の結果を平成元年の十二月になりましておまとめをいただいて、見直しに当たっての提一言という形でこの中間意見という格好をもちましてこれがなされたものでございます。
 それで、一部負担の部分につきましては、
 一部負担のあり方については、健康に対する自
 己責任とコスト意識の酒養、世代間の負担の公
 平等の観点から五%程度の定率負担が適当であ
 るとの意見と健康の問題は老人にとって老後の
 不安であるので、受診を抑制しない程度の定額
 負担が適当であるとの意見が出された。定額負
 担方式の場合においては、関係審議会の審議を
 経るなど適正な手続きの下に、一定水準の実質
 負担を行うような仕組みを検討することが適当
 である。こういうふうな中間意見をいただいたわけでございます。私どもそれでいろいろ議論をしたわけでございますが、結局は平成元年のこの中間意見に基づいていろいろ検討した結果、法律改正まではまとまらなかった。
 それで、当面平成二年度の対応としましては、年金の国庫負担の繰り延べ分を使いまして、厚生保険特別会計法を改正することによって特別保健福祉事業を行って、その一〇〇%按分になって一番負担が高くなった被用者保険のグループに対する負担緩和措置を講ずるという対応をやりました。しかしながら、それはまさに拠出金の負担緩和だけの問題でございましたので、やはり本来のこの老人保健制度の安定化のための措置が要るではないかということで、なおその後も老人保健審議会で御審議をいただきまして、その結果、私ども御答申をいただいた上で、現在のような老人保健法等の一部改正としてまとめて御提案を申し上げているという経過でございます。
#256
○粟森喬君 私もこの中間答申、この間に至る審議会の経過は公表されているものを見てもかなりわかります。五%と提案をして、今御説明のとおりそれがなくなったわけでございますが、それが定額に変わっています。特に世代間の負担でかなり困難だと、こういうふうに言われていますが、これは私は、今の現役の皆さんが負担をする医療保険のところに老人医療の部分を負担させてきた経過の中で、このあり方についての哲学というのがきちっと見えるようにしていかなかったということが大きな欠陥だったと思います。
 さらに、今回私どもが、これを消費者物価にするということについて一定程度の合意を見ているわけでございますが、あわせて、これが環境激変といいますか、物価が上昇したときにはどうやってそれを修正するというか、ダウンさせるのか、あるいは見直しをするのかということで、いわゆる附則の改正も私たちは求めているところです。そのときに、特にこの見直し条項というのは私にとっても必ずしもいい感じで常に受けとめられないのは、もし皆さんがこれからも五%ということを仮にずっと主張されるという前提があったら、私は見直しはむしろもろ刃の剣になるのではないかという懸念さえ持っているところでございます。
 したがって、この部分に対するこれからの問題もあるわけですが、一つの問題として、厚生省が今日財政的ないろんな関係の中で、お年寄りがふえていろんなことをやらなきゃならぬときに、審議会というものが国会の議の前に極めて政策誘導的にやられていく。こんなことを言ってなにでございますが、審議会にも厚生省のOBの方がおられます。その人が言ったというふうに私は断定しているわけでもございません。社会制度の中でいえば、私も含めてみんなが高齢者といいますか、順調に生きれば老人の世代というのを生きるわけでございます。そのことに対して意見をまとめるに当たって、厚生省の行政姿勢としてこの種の審議会のあり方について、もちろん労働界の代表も出ています、労働界の代表の方もいろいろ言っていることについても私はお聞きをしています、しかし今回の五%定率に始まって、定額に来て、そして法律に至る経過の中で、この種の審議会の持ち方についてこれから私は見直すべきだという意見でございます。
 その上で、岡光部長にもう一度この部分はお尋ねをしておきたいんですが、前回の答弁のときに、これは議事録を精査しないとわからないところなんですが、健康保険法で本人負担を三割にしたい、本則に書いてありますね。そのことと横並びで五%にお願いをしたいというふうに言っておられるけれども、法律に書いてあることと、審議会でそういう意見があったのかもしれないけれども、この種の発言については明確に極といいますか、質が違うのではないかと私は思ったので、あの日は幾つかの質問を用意していたので余りこのことについてきちっと聞くことができませんでしたが、まず部長にこの発言の趣旨について、真意についてお尋ねを申し上げたいと思います。
#257
○政府委員(岡光序治君) 今度の一部負担の改正の考え方は、老人医療の対象者の中で医療を受ける人と受けない人とのバランスであるとか、あるいは若い人と老人の間の負担のバランスであるとか、あるいは医療保険制度全体における若年層とのバランスとか、あるいは老人保健施設であるとか在宅における御老人の負担とのバランスであるとか、そういうバランス論を一つ念頭に置きまして、かつ負担能力がどういうふうに変わってきているのかということを総合的に判断して改定をお願いしたいというふうに考えたわけでございます。
 先ほど読み上げさせていただきました老人保健審議会の中間意見の中でも、五%程度の定率負担が適当であるという意見もあったわけでございまして、そのようなさまざまな御意見の中から、私ども総合的に判断をして、しかも定額の一部負担制という定額制ということを堅持した格好で、かつこの中間意見にも書いてありますように、「一定水準の実質負担を行うような仕組みを検討することが適当である。」とも触れてありますので、そんなことも勘案してスライド制ということもお願いをしたいというふうに考えたわけでございます。
 健康保険法本則の中で、医療給付のあり方として、確かに八割給付ということで二割の自己負担ということを書いてございます。しかしながら、それは当分の間は停止がされてありまして、附則でもって本人と家族の給付率がそれぞれ書いてあるわけでございまして、そういう意味で医療保険制度における若い人との負担のバランスということを考えるということの一つの発想として、私どもは本人の一部負担が一〇%ということもあるので、その半分程度という発想もあるであろう、こう考えておるというふうに申し上げたつもりでございます。
#258
○粟森喬君 多少わかりましたので、その部分は今後のこともございますから申し上げておきます。
 私は、厚生省が行政省として自由に自分たちの内部で意見を出すことも禁止をしているつもりもございません。それは外部の意見を聞くことも必要だと思います。私どもともある意味では法律を通すとき以外にも真摯にお互いに討論し合うということがないと、これからの高齢化社会の中ではなかなかやっていけないと思います。しかし、どうも一つの段階の踏み方の中では、その種の手順の中で多少立法府との関係で問題があったことがございますし、今後見直し条項の検討に当たってもそういうことについて十分配慮をしていただく前提で、このことに対して厚生大臣にさらに御答弁をお願いしたいと思います。
#259
○国務大臣(下条進一郎君) 今回の政府案におきましては、お年寄りと現役世代の負担の均衡や病院と老人保健施設入所者のお年寄りの間の負担の均衡などを総合的に勘案いたしまして、定額制を維持しながら全体としては老人医療費のおおむね五%程度となるような一部負担額の見直しを御提案したものでございます。この点につきましては、御指摘のように、衆議院におきまして、一部負担額及びスライドの指標について修正が行われたところでありまして、その結果、従来の傾向からすれば一部負担の額は老人医療費全体の五%を若干下回って推移するものと考えられますが、院の御判断であり、政府としてもその趣旨は十分に受けとめております。
 いずれにいたしましても、この問題は老人医療費をお年寄りと現役世代がどのように負担していくかという問題でありまして、今後の推移を見ながら中長期的視野に立ちまして御議論を願うべきものと考えております。
#260
○粟森喬君 次に、私は老人保健安定化措置の対応についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 先ほどの岡光部長の経過説明の中でも多少触れられましたが、本来国の一般会計で負担しなければならないものを、いわゆる国庫負担分としては法律をつくりまして特別保健福祉事業として設定をしたわけですが、これは本来年金会計のものでございます。年金会計には、基本的には本人といいますか、掛金本人、使用者、それから国庫負担、これがまざったものでございます。金額が今八十兆円になろうとしている非常に膨大な金額でございますが、これからの高齢化社会を考えたときに、この積み立て状況だけではかなり幾つかの問題点を内蔵していることは、これまたこれだけあれば大丈夫だということに絶対にならないということを私どもも十分承知をしています。
 先ほど同僚議員の浜本委員からも、三つの方向があると言われていましたが、この安定化措置の中でいわゆる年金会計へ当然入るべきもの、年金会計が独自に積み立ててそのことで使わなければならないことを、いつまでも継続していくというのは、私は大きな問題だろうというふうに思います。したがって、これについて先ほど浜本同僚議員は三つの方向があると言ったけれども、そのうちのこれは当面のある種の暫定的な措置という私は理解だったわけでございますが、これがずっと続くということはかなり大きな問題ではないかと思います。このことに対して、厚生省として今後どういう対応で、いわゆるこの年金会計からの、年金積立金からの、当然国庫の分でございましたからこっちへ回したのだという話は、そういう経過は別にして、経過の問題じゃなく、本来あるべき姿ではないことをやっていることについていつまで継続をしていくのか、その辺の見通しについてお尋ねをしたいと思います。
#261
○政府委員(岡光序治君) 確かにこの制度は暫定措置として組まれたわけでございます。今回の老人保健制度の改正を行うに当たりまして、どうするかということを議論したわけでございますが、引き続いて被用者保険の負担軽減を行う必要があるというふうに判断をしまして、本事業を継続するということにしたわけでございます。しかし、今後の取り扱いにつきましては、今回の制度改正による影響とか効果、それから被用者保険本体の方の財政状況の動向、こういったことを総合的に見きわめながら考えていかなければならないというふうに考えております。
#262
○粟森喬君 きょうは大蔵省を呼んでいるわけでもないし、予算委員会でもございませんから、そこまで触れることは不適当かと思いますが、今、来年度以降の税収というのが相当厳しいというふうに一般的に言われています。そういう状況などを考えて、一方ではお年寄りがふえ年金支払い者もだんだんふえる、そういう中で大変な時代をいずれにせよ想定をしなければならないし、その事態を単に一つ一つの対応に当たって単に対決するという言葉だけではなく、どうやってここを具体的な仕組みとして、社会の仕組みとしてつくり上げていくかということが非常に大切な問題だと思います。しかし、それを中期的なのか短期的なのか、中期というのはどの程度を言うのかは別にして、私は何となくそれが使えるから使おうという発想、一方、年金問題で厚生大臣も大分証券特で質問が集中したと思いますが、いわゆる年金会計の部分をできるだけ高率に運用しようとすることが結果的に社会的に批判をされることになったということ、だから厚生省はこのお金の存在を非常に大切にしているということは、立場の違いはあれ、私はそんなに違わないと思います。
 しかし、いずれにせよ、このようなやり方をやっていくということはますます財政上のゆがみも出てくるし、年金の支払いが一方でどんどんこれからふえていくという過程に立ったときに、このやり方についてある種の一定のけじめがどこかで必要だと思います。きょう私は具体的にそのことまで検討の結果を答えとして求めようとは思いませんが、いつまでもこれを続けるべきではない。年金は年金でこれから大変な時代を迎えるわけでございますから、そのことについて厚生省の答弁と厚生大臣の答弁をお願い申し上げたいと思います。
#263
○国務大臣(下条進一郎君) 今御指摘の繰り延べ分のお話でございますけれども、これは緊急避難的な要素を持っておるわけでありまして、いつまでも継続すべきものではないわけでございます。厚生年金国庫負担の繰り延べ分につきましては、利息も含め厚生保険特別会計法上一般会計から返済すべきこととされているほかに、特別保健福祉事業資金からの充当を行うことができることとされております。
 返済の見通しについては、今後の国の財政状況等を勘案する必要がありまして、現時点で明確にお示しすることは困難かと思いますが、今後とも年金財政の運営に支障を来さないよう、しかるべき時期にできるだけ早くということで返済さるべきとの基本的な考え方に基づいて対処してまいりたいと思っております。
#264
○粟森喬君 私は、年金積立金会計に返すときは当然元金も利息もつけて返すという性格だというふうに理解をしていますが、それは間違いないですね。
#265
○政府委員(奥村明雄君) 大臣からの御答弁もございましたように、厚生保険特別会計法上利息を含めて繰り入れるということが明記をされております。
#266
○粟森喬君 それでは、次の質問に入りたいと思います。
 保険外負担で今一番問題になっているのは付添看護の問題、いわゆるお世話料とかおむつ料と言われていますが、私の方からおむつと言われる部分の問題について少しお尋ねをしたいと思います。
 その前に、ちょっとお尋ねをしたいんですが、障害者の方で自分の意思で排尿、排便ができないとか意思表示ができない、こういう人たちは障害者手帳とか療育手帳に、支給されるときにかなりこれは重い症状だということでされているはずでございますが、療育手帳の程度でいうとどのぐらいの程度としてこれは規定されておりますか。
#267
○政府委員(土井豊君) 精神薄弱者の療育手帳の問題でございますけれども、御案内のとおり重度とその他というふうに二つの区分をしておりますが、その判定基準といたしましては、一つは知能指数の問題、一つは社会生活上の困難性の問題と二つの要素を考えて判定基準を設けております。ただいまお尋ねの社会生活への適応が著しく困難であることというものの中に、排便等の日常生活の介助を必要とするというのを重度の場合の基準の一つ、要素の一つという形で取り扱っておるところでございます。
#268
○粟森喬君 障害者の場合は、そういう重度という一般的に言うと大変厳しい判定についてさまざまな本がございます。たまたま政府委員の方や大臣もその日はおいでになりませんでしたが、今回私は参考人の意見ていたく感銘をしたのは、日本の社会制度の中でハンディがあってもお年寄りなうお年寄りという世代で区分をすることによっていろんな問題が出ているんではないかということです。
 例えば、私なども含めていわゆる一般的に健常である者が年をとるに従って身体的な機能あるいは知的な部分も含めて機能の低下が具体的になってくるわけです。今病院で例えばおむつを当てなければならない現象というのはなぜかというと、一つは定期的に看護婦さんが、マン・ツー・マンまでとは言わなくても、今の基準看護が果たして適当なのかどうかということも、基準の人たちで果たしてやれるのかどうかという問題もあるわけです。おしっこをしたいとか便所に行きたいといったときに、それに直ちに対応できる体制が十分でない。私はそういう現場の実態を幾つかレポートとして知っています。同時に、そういうことが自己表示できない状態でございますから、その人たちに対して、これは保険で見ることができないとか、そんなものだめだよということは、私はこれは問題だと思います。
 それからまた、付添看護の問題もそうなんでございますが、これまた付添看護という状態が出てくるというのは、そういうことに対しての看護体制の不十分さから生まれる、つまり今の医療体制そのものが不十分だということを私はある意味では象徴的に物語っているんだと思う。私なんかでも少なくともこれ以上は生きられないというか、今まで生きた以上には生きられない世代に入ると、仲間同士で集まると、おむつだけは当てて死にたくないというようなことを時々言ったりするわけでございますが、これは非常に大事な人間の尊厳にもかかわる問題でございます。本当は私はおむつをなくするような看護体制を期待したいわけでございますが、そういうところに至る過程の中で、この問題について、特に出費の中で、保険外負担の中で一番多いのは、付添看護をすれば当然付添看護料でございます。それからもう一つはおむつ代でございます。このことについて看過するということで果たしていいのかどうか、こういうふうに私は思います。
 その意味で、ここは厚生省の見解をまずお尋ねをしたいと思います。
#269
○政府委員(岡光序治君) 私どもの考え方は、先生に再三申し上げておるわけでございますが、日常生活上おむつは必要なものである、そういう性格上、医療保険の給付の対象とすることは難しい、こういうふうに申し上げているわけでございますが、先生おっしゃいますように、高齢化の進展に伴いまして、常時介護を必要とする状態の老人が大幅に増加するということが見込まれるわけでございまして、こういった高齢者のケアのあり方をどういうふうに持っていくのかというのがこれからの大問題でございます。そういう大きなあり方を議論する際に、どのように対応していったらいいのか、どういうふうに対応することが必要なのか、またどのようなことまで可能なのかということを考えながら、その課題の中の一つとしてこのおむつの問題を考えていきたいというふうに思っております。
#270
○粟森喬君 今、大きな課題を論議するときにと言われましたが、私は、いずれにせよそういう状態といいますか、終末医療の状況とか、どうしても必要な人は出てくるけれども、これはできるだけ少なくしてもらいたい。そして、その中間過程には何らかの格好でここに対して一定の措置をしていく。そういう過程を通じないと、こんなこと言っちゃなにでございますが、そういう痛みを感じながら一つ一つそういうものをなくしていくということをしないと、現実にそういう状態になっている人たちの痛みを本当に共有するということがないから、お年寄りのことを、若い人が保険が今余り高いのは嫌だとか税金が高いのは嫌だ、こういうことになる。痛みを共有するというのは、厚生省もそのことについては明確に痛みを感じてもらうために、この部分は大きな課題と言わずに、大きな課題の一つにしていくのではなく、具体的に当面何らかの検討をしていただきたい。
 そういう立場で最後に申し上げますので、これは厚生省並びに厚生大臣の見解をお願い申し上げたいと思います。
#271
○国務大臣(下条進一郎君) 保険外負担の問題でございますが、これはもちろん保険外負担が少なければ少ないほど患者さんには結構なことでございます。しかし、今までるる部長からも御説明いたしましたように、今、例えば病院の管理のあり方等々について改善を図るというようなことで一歩一歩前進はしておりますけれども、すべてを解消するということにはなっておりませんので、一つ一つ計画を立てながら対策を講じてまいりたいと思っております。
 その中で、今御指摘のおむつ代の問題でございます。これをなくせという御要望もかなり強うございます。患者が使用するおむつ代につきましては、これは日常生活上必要なものである、うちにおられても使われるというような性格のものでもありますので、医療保険の給付の対象とするということは今直ちには困難ではなかろうかと思います。ただ、これから高齢化の進展に伴いまして、常時介護を必要とする状態の老人が大幅に増加すると見込まれますし、高齢者のケアのあり方としてどのような対応が必要なのか、また可能なのかということについては、これからさらに真剣に検討して対処してまいりたいと考えております。
#272
○粟森喬君 在宅ケアや訪問看護制度の問題について、先ほどから同僚議員も何回も申し上げているように、日本の福祉制度の一つの欠陥というのは、医療が中心であって福祉全体のイメージがまだ描き切れていない。これはお年寄りの問題だけではなく障害者の問題もございます。そして、どうしてもやむを得ない場合は入院するという事態があっても、できるだけ在宅でいこうということになったときに、どうも幾つかの発想が錯綜をして、まだ体系化していない。これは別にやっている側の問題だけではございません。私どももそういう問題意識について、もうちょっと体系的に整理をしながら皆さんとも積極的に論議をしなければならないというときに、医師の対応について多少お聞きしたいと思います。
 今回、いわゆるステーションから派遣をするかどうかというときに指示料を取るということになっています。そういう表現があります。それから、指示料というのは何回、どのくらい払うかということもまだ決まっておりませんが、私はこれは非常に大事なことだと思います。
 と申しますのは、先ほど、お年寄りが大都市において診療を比較的受けなくて地方では比較的受けておる、こういう話がございましたが、大都市にいわゆる開業医というんですか、診療所というんですか、医院というのが絶対数としては非常に少ないわけです、大病院に行けば結構高度の診療もしていただけるけれども。いわゆる一般の開業医の人たちというのはお年寄りの相談にも乗ってあげているというような側面もありまして、私は、開業医の地域社会における役割も非常に大事な役割を持っているんではないかと思う。そんなときに、ここで医師のかかわりをどの程度とうやってちゃんとやるかということを、時間の関係もございますから、一つ一つ私はお尋ねをすることができないわけですが、少なくとも地域社会の中での医師の役割を、これは医療法の改正のことが既に先駆けて新聞などにも出ておりましたが、これからの問題として明確にしていく。そういう役割を果たしていきながら、これからの時代を乗り切っていかなければならないと思いますので、その辺の考え方について、何度も答弁をされていますが、いま一度答弁をお願いしたいと思います。
#273
○政府委員(岡光序治君) 老人訪問看護はかかりつけの医師の指示に基づいて行われるものでございますので、そういう意味では医師と看護ステーションで働く人たちとは密接な連携を持っていただいて対応していただきたいということでございます。そういう意味で、今御指摘のありました、指示を出すお医者さんに対しまして訪問看護指示料を支払うということを考えているわけでございます。どの程度の額を、どういう回数を払うかということにつきましては、ちょっとまだ考え方がまとまっておりません。関係審議会の意見を聞いて定めたいというふうに考えておりますので、そこのところはお許しをいただきたいと思います。
 それから、一般論としましては、お医者様がいわゆる往診であるとか、訪問診察をしてもらうということが大いに進められる必要がありますし、それからまた通院をしてきた場合にも、患者さんの話をよく聞いて、いわゆるムンテラではありませんが、具体的な治療行為なり投薬をするということではなくて、そういう話を聞いてあげるといった点にも十分評価を与えるということが必要なんじゃないか、こういうふうに考えております。総体的に申しますと、医師の技術料の重視という考え方に基づいて、いわゆる良質の医療サービスが提供されるようにということで、診療報酬の整備を図っていくべきだというふうに考えております。
#274
○勝木健司君 総務庁の家計調査年報によりますと、平成元年の高齢無職世帯の家計収支でありますが、実収入が二十万九千五円、このうち社会保障給付が十四万三千八百六十九円で、あとはその他の収入となっておりまして、その中で可処分所得は十八万五千三百二十二円となっている反面、実支出は二十四万三千九百四円となっていて、差し引き三万四千八百九十九円の赤字であると報告をされております。今回、衆議院で修正されたとはいえ、厚生省はこの老人の生活実態をどう把握して一部負担の改正案を提出されたのか、また老人の受診に与える影響についてはどのように考えておられるのか、簡潔にお願いをしたいと思います。
#275
○政府委員(岡光序治君) 今風の一部負担の見直しに際しましては、近年の年金受給の状況、高齢者世帯の一人当たりの平均所得金額や消費支出の状況等も勘案をして、無理のない範囲での負担をお願いしようとしているところでございます。今御指摘のありました家計調査も私どもは見ておるわけでございますが、そういう意味で、負担能力という観点から総合的に判断をするということも考えたわけでございます。
 それで、このような一部負担の改定は受診抑制につながるのではないかというふうな御指摘かとも思いますが、私どもは、そういう近年の年金受給の状況であるとか、所得や消費支出の状況から考えまして、無理のない範囲での見直しというふうに受けとめておりまして、受診抑制にはつながらないというふうに考えておる次第でございます。
#276
○勝木健司君 高齢者が日常生活を送る際に、家計の上で最も不安定な支出要因が医療費であるわけでありまして、したがって一部の高所得高齢者を除き低所得高齢者にとりましては、経済的負担を課すことによる受診抑制策はかえって健康への不安を一層増進させることになりはしないかというふうに懸念をいたします。これに対して、一定水準以上の所得のある高齢者にとりましては、現行の負担額では受診抑制の意味をもちろん持たないわけであります。統計を見ても、高齢者の所得は人によって大きなばらつきが認められておるわけでありますが、一律の一部負担金を課しても受診の抑制効果は低所得者層に限られておる。そして、彼らが病気をこじらせることによって受診するようになりますと、かえって医療費の増大の原因になりはしないかというふうに思うわけであります。
 そこで、この一部負担のあり方につきましては、十分に検討されなければならないというふうにもちろん思うわけでありますが、年齢が七十歳だからといってこの一部負担がみんな同じというのは、これからの高齢社会にとっては再考されなければならないんじゃないかというふうに私は思います。低所得者については入院の一部負担が軽減されてはいますが、高齢者だからといって一律平等では若い世代は納得をしないんじゃないかというふうに思います。
 例えば、この一部負担について無料とする、あるいは低額、標準、高額というようにランクがあってもいいのではないかというふうにも思うわけであります。高額所得の人には高額の一部負担をしていただくというようにきめの細かい政策といいますか、めり張りのきいた対策もあるいは必要になってくるんじゃないかというふうに思いますが、厚生大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。
#277
○政府委員(岡光序治君) 先生の御指摘は趣旨としてはよくわかるわけでございますが、現在の老人保健の制度のもとでは一部負担の方式は定額負担の方式をとっておるわけでございます。健康保険の方は、よく御承知のとおり定率負担で、ただし高額療養費といういわば負担の天井つきの制度があるわけでございまして、それで所得状況を見て普通の人と低所得者について二通りの高額療養費を定めておるわけでございますが、老人保健の方は定額の一部負担制度をとっておるものですから、やはり一律の負担ということをどうしても原則として考えざるを得ないわけでございます。
 そういう意味で、低所得者に対してはどうするのかということでございますが、そこの点につきましては、入院の一部負担につきまして、特に長期になることも考えられますので、そういった場合の負担軽減を考えて、入院の一部負担については低所得者に対して特別の額を定めておるという格好で私ども対応しておりまして、実務上もこのような制度にしていただかないとなかなか動かないのではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
#278
○勝木健司君 大臣、いかがですか。
#279
○国務大臣(下条進一郎君) 医療の給付というのは受益者に及ぶということで、その受益者のそれに応じた負担という性格を持っておるわけでございます。したがって、お年寄りにとってわかりやすい仕組みであるということから定額負担の方式がとられておるわけでありまして、今これを直ちに委員御指摘のように三段階ぐらいに分けてということは困難かと思いますけれども、低所得者層に対する配慮は今回も従来の制度をそのまま維持していくということで、この点で委員の御指摘の線には沿っている部分もあるということで御理解をしていただきたいと思います。
#280
○勝木健司君 時間がありませんから次に進みますが、衆議院におきまして、お年寄り本人の負担につきまして一部負担の引き上げの抑制、これが医療費スライドをやめて物価スライドとすることなどの修正が行われました。これらの修正は、医療費の増加に合わせて本人負担をお年寄りや家族の支払い能力にかかわりなく増加させるという事態を回避するための措置であったと私は思っております。
 しかし、一番問題なのは、先ほどから論議をされておりますように、差額ベッドや付添看護料あるいはおむつ代などの保険外負担による家計への圧迫じゃないかというふうに思います。この厚生省の調査でも、老人病院の保険外負担は月二万二千五百円という結果が出ておるというふうに承知しておりますけれども、ソーシャルワーカーの指摘では、東京都とその周辺で万八万円から十五万円という指摘がなされております。こういった保険外負担が大きく老人患者の家計を圧迫しているという実態を考えますと、この一部負担の引き上げは保険外負担の解消が前提となるべきじゃないかというふうに思います。
 保険外負担の問題は多岐にわたっておるわけでありますが、とりわけお世話料という名目で徴収が行われているという問題があるわけでありまして、こうしたお世話料というあいまいな形での負担は早急に解消されるべきであるというふうに思いますけれども、厚生省の考え方をお聞きしたいというふうに思います。
#281
○国務大臣(下条進一郎君) 二点のお尋ねでございますが、最初のスライド制の導入についての基本的な考え方のお尋ねでございます。今回の一部負担の見直しについては、定額負担方式を維持することにしましたが、この方式では老人医療費全体に占める一部負担の割合が逐年低下し、現役世代の負担が自動的に増大するという問題が生じてまいります。このため、二足の指標に応じて一部負担金の額を改定する仕組みを導入いたしました。将来にわたりお年寄りと現役世代の負担の公平を確保しようとするものでありまして、スライド制の導入は避けられないと考えております。また、高齢者世帯の所得の約半分を占める公的年金等の額も物価の伸びに応じまして引き上げられていることから、高齢者の負担能力の面からいたしましてもスライド制の導入は問題ではないと考えております。
 また、保険外負担の問題についてでありますが、これは委員御指摘のように、今後も二層不適正な負担の是正には努力をしてまいりたいというのが基本的な姿勢でございます。従来からさまざまな指導を通じて不適正な負担の是正に努力してまいったわけでありますが、付添看護につきましては、老人に対する看護が病院の責任ある管理のもとにその他の医療と一体的に提供されるよう種々の施策を講ずることといたしておりますし、また室料差額につきましては、ルールに反した不適当な差額徴収が行われないように指導の徹底を図り、またお世話料等あいまいな名目での費用徴収やおむつ代によって不適切な額の徴収が行われることのないよう指導を徹底するなど、今後とも不適正な保険外負担の是正にさらに一層強力に努力をしてまいりたいと思っております。
#282
○勝木健司君 保険外負担ということで、お世話料以外に付添看護の件、また室料の差額についても見解が出されましたので、次に進みたいと思いますが、ただ、おむつ代につきまして、私もちょっとお聞きをしたいというふうに思います。
 厚生省の昭和六十年の調査でも、このいわゆるおむつ代等の保険外負担は二万七千五百円だとしていたのに、平成二年の調査では二万二千五百円と五千円下がっております。また、これを六十年の調査と平成二年の調査と比較をしてみますと、お世話料は七千二百四十円が平成二年の調査では二百八十円と下がっておる。そしておむつ代が六十年の調査より約五千円ふえております。これは、おむつ代は保険では支給をされないから実費は取ってもよい、そういうふうに指導しておるからそういう結果になっておるんじゃないかというふうに思われます。しかし、もともとおむつをする老人はやっぱり病気じゃないか、病気であるということでこれは当然保険で給付すべきだというふうに私は思うわけでありますけれども、今後検討の余地はないのかどうかお尋ねをしたいというふうに思います。
#283
○政府委員(岡光序治君) 日常生活上おむつにつきましては必要なものであるということでございますので、その性格上医療保険の給付の対象とすることは困難だと考えておりますが、今後の高齢化の進展に伴いまして、常時介護を必要とする状態の老人が大幅に増加すると見込まれますし、そういう中で高齢者のケアのあり方としてどのような対応が必要なのか、また可能なのかということにつきまして検討してまいりたいと考えております。
#284
○勝木健司君 次に、痴呆性老人問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
 痴呆性老人の数は六十万人と言われておりまして、近い将来は百万人を超えるだろうというふうに予測をされておるわけであります。そこで、今問題となっておりますのは、例えば在宅の痴呆性老人を毎日預かってくれる託老所というような施設を数多く整備することによって、痴呆性老人を抱えた家族に対する支援体制を充実すべきだという考えもあるわけでありますけれども、これについてお伺いをしたいというふうに思います。
 もう一点は、この痴呆性老人問題で特に急がなければならないのは、治療法などの研究開発体制の整備であるというふうに思いますが、残念ながらこの原因解明やあるいは治療法が十分ではないために介護のみに追われているというのが実態であります。そこで、こうした痴呆性老人に対する技術というものが極めて不十分である中で、厚生省は現在老人性痴呆疾患の専門病棟の建設を進めておられるわけでありますが、この老人病院や老健施設あるいは特養老人施設といった施設がある中でのこの施設の位置づけにつきまして、そしてまた、この専門病棟には治療病棟と療養病棟の二種類があるわけでありますが、その違いについて簡単にお答えをいただきたいというふうに思います。
#285
○政府委員(岡光序治君) まず、初めの御質問の痴呆性老人向けの託老所のようなものを整備すべきではないかという点でございますが、先生御承知のとおり、在宅福祉対策ということでホームヘルパー、デイサービス、ショートステイという事業を進めているわけでございます。今御指摘の、御提案の託老所というふうなものは、いわゆるデイサービスで対応する、あるいはショートステイも活用するというふうなことで私ども対応を考えるべきではないかと思っております。
 デイサービスセンターにつきましては、定員の規模が十五名以上というふうに今なっておりますが、もう少し小型のものを用意するとか、あるいは痴呆性老人につきまして、例えば毎日それが利用できるというふうなタイプのものができないかということで現在検討を進めているところでございまして、今御指摘のような趣旨に沿うような格好になるのではないかなということで、ぜひとも来年度の予算でそういったものを実現していきたいと考えております。非常に来年度の財政は厳しそうでございますが、実現を図りたいというふうに考えておる次第でございます。
#286
○政府委員(大西孝夫君) 先生お尋ねの第二点の、痴呆性疾患の研究の問題につきまして私からお答えを申し上げたいと思います。
 痴呆性疾患の研究は、私どもも非常に重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、現在も長寿科学総合研究の中で、国立精神・神経センターなどで病態の解明でありますとか、予防、治療方法等に関する研究を行っております。それから、現在愛知県に設立準備中でございます国立長寿科学研究医療センター、これはまだ仮称でございますが、それにつきましてはその組織をどうするか、あるいは研究課題をどうするかということを今現在検討中でございます。したがいまして、まだその結論といったところまでいっておりませんが、痴呆性疾患の研究もこの研究課題に含める方向で今検討を行っております。いずれにしましても、今後ともこの痴呆性疾患の研究につきましては、研究費の確保等充実に努めてまいりたいと考えております。
#287
○政府委員(寺松尚君) 先生の三番目の御質問でございます老人性痴呆の専門病棟についての御質問に対してお答えをしたいと存じます。
 老人性痴呆疾患に関します専門の病棟としては、私ども二つあると考えておりまして、一つは治療病棟、もう一つは療養病棟ということでございます。まず、老人性痴呆疾患の治療病棟の方からでございますが、六十三年度より整備に入っておりまして、現在二十七カ所となっております。また、もう一つの療養病棟の方でございますが、その整備は本年度からでございますので、まだ数字としては私ども把握いたしておりません。
 このうち治療病棟は、精神症状や問題行動の著しい患者に対しまして短期集中的に精神科的な治療を行うことを目的とした施設でございます。もう一方の療養病棟の方でございますが、これは精神症状や問題行動があるのでありますが、非常に慢性的でございまして、そういうふうな者の長期的な治療を行うことを目的といたしております。
 それで、これらの専門病棟につきましての将来の整備でございますけれども、私どもの研究班のデータによりますと、痴呆性の老人が非常に急増することが指摘されておりますので、そのニーズに応じまして必要な整備を進めてまいりたい、このように思っております。
#288
○勝木健司君 いずれにしても、現在この痴呆の原因というものが解明されていない。そして十分な治療法がない中でのこの専門病棟の、治療病棟と療養病棟での患者さんに対する対応は介護面が強いというふうに思われます。また、この疾患の特殊性にかんがみますと、福祉面での対応が今後要請されていくんじゃないかというふうに思うわけでありまして、この痴呆性疾患治療病棟及び療養病棟に入院している老人の医療費についても五割に引き上げるべきだというふうに考えておりますが、見解をお願いしたいというふうに思います。
#289
○政府委員(岡光序治君) 老人性痴呆疾患治療病棟及び療養病棟につきましては、ただいま担当局長からその性格づけを御説明申し上げましたが、介護的な要素が強いという側面は否定するものではございませんが、基本的には精神科医療を必要とする患者に対し長期的な治療を行う施設であるということでございまして、そのサービスは治療的要素が強いということでございますので、今回、原案としましては公費負担割合の引き上げ対象にはしておらないということでございます。
#290
○勝木健司君 療養とかあるいはリハビリというものを主体にした療養病棟は、日常生活的な介護のウエートが極めて高いというふうに認識しておるわけでありますので、少なくともこの療養病棟の医療費については五割にすべきじゃないかというふうに思いますが、重ねてお伺いをいたしたいというふうに思います。
#291
○政府委員(岡光序治君) いろいろとこの点については御論議がございました。先ほども御答弁申し上げましたが、最終的には国会の御判断をお待ちしたいというふうに考えております。
#292
○勝木健司君 次に、訪問看護関係についてお伺いをしたいというふうに思います。
 現在、病院でも老人訪問看護が行われておるわけでありますが、その割合は少ないということで、医療機関の片手間のサービスでは診療報酬を上げても訪問看護には限界があるとも言われておるわけであります。その意味では、今回の老人訪問看護制度の創設は意義があるというふうに思います。しかし、この老人訪問看護制度の創設によりまして、病院が訪問看護をやめて、老人保健制度からの老人訪問看護療養費の収入とともに患者からの利用料が徴収できるという理由で、老人訪問看護事業所に転換を図る可能性があるのではないかというふうに思いますが、どのように考えられておるのか。
 また、現在患者が無料であります訪問指導事業との関連はどのようになるのかお伺いをいたしたい、このように思います。
#293
○政府委員(岡光序治君) 現在、保険医療機関から行われております訪問看護と、今回制度化をお願い申し上げております老人訪問看護の問題とは基本的に性格が違うというふうに考えております。前者の方は退院後の病状不安定な患者に対する診療の補助という要素が非常に強いというふうに考えております。それから、今度制度化をしていただきたいと考えております老人訪問看護につきましては、在宅で療養する病状安定のお年寄りを対象にしまして、介護的な色彩の強い看護サービスをお願いしたいということでございます。そういう意味では前者の方の保険医療機関からの訪問看護がなお進められますように、両々相まって行われるということを期待しておるわけでございます。
 それから、保健婦が行っております訪問指導の関係でございますが、これは今まで行っております訪問指導と訪問看護サービスとをつないでいけばいい。要するに、看護婦が行っております訪問指導といいますのは、寝たきり老人を把握して、どういうサービスを行ったらいいかとかというむしろ訪問看護サービスへつなげるという一面と、それからいろいろそういう訪問看護サービスを行って、いわば訪問看護が必要でなくなった、非常によくなったというお年寄りへ今度は保健婦さんの訪問指導をつないでいくというふうに、むしろ両者が連携をし合いながらそれぞれの役割を果たしていくということを期待しておるものでございます。
#294
○勝木健司君 今回のこの老人訪問看護制度は、かかりつけの医師の指示に基づいて看護婦が訪問し、在宅で介護に重点を置いた訪問看護サービスを提供すると説明をされておりますが、この老人訪問看護事業のサービスの提供者は看護婦に限るのか、あるいは保健婦や理学療法士あるいは作業療法士などを含むのか、明らかにしていただきたい。
 それと、このサービスというのは保健なのかあるいは医療なのかあるいは福祉なのか、その性格は何なのかということで、現在ある在宅介護支援センターとの関係はどうなるのか、簡潔にあわせてお伺いをいたしたいと思います。
#295
○政府委員(岡光序治君) 看護婦、准看護婦、保健婦、それからOT、PT、こういう人たちがこの事業に従事をするというふうに理解しております。
 それから、この事業の性格でございますが、老人の心身の特性にふさわしい医療サービスとして老人保健法上の事業として制度化をしたいというふうに考えております。
 それから、在宅介護支援センターとの関係でございますが、この在宅介護支援センターは、いろんなサービスを求めております老人と市町村が行います公的なサービスとを結びつける、あるいは相談、仲介の役を果たしてもらおう、こういうふうに考えておりますので、そういう意味ではこの在宅介護支援センターを活用することによりまして、訪問看護や他のサービスとの連携がより保てるようになるんじゃないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#296
○勝木健司君 次に、この老人訪問看護制度の創設によりまして、お年寄りが自宅で専門的な看護サービスを受けられるということについては評価できるというふうに思います。しかし、この場合も保険外負担と同じように、国民が心配するのはどのくらいの費用がかかるかという点にあるわけでありまして、この件につきましても、衆議院の方で、利用料の水準については外来一部負担との均衡に配慮するという見解を示されましたけれども、この外来一部負担との均衡とはどのようなことなのかということを具体的に、しかも簡潔にお答えいただきたいというふうに思います。
#297
○国務大臣(下条進一郎君) 御指摘の点は大変大事なことだと思います。老人訪問看護の利用料を設定する際には、外来一部負担金の額等を勘案いたしまして定めるよう法律案において明確に規定されているところであります。具体的な利用料に関する基準につきましては、専門的な観点からの検討が必要でありまして、老人保健審議会の意見を聞いて定めることといたしております。
#298
○勝木健司君 次に、老人保健施設についてお尋ねをいたします。
 老人保健施設は、この制度の本格実施以来三年以上が経過をして、リハビリを中心とする老人のための施設として我が国に定着をしつつあるわけであります。今後この老人保健施設の建設を計画的に進めるための具体的な方策を講ずるべきであるというふうに考えます。特に、東京を初めとする大都市では立地が困難なことや、あるいは人件費の高騰で老人保健施設の整備が思うように進んでおらないというふうに聞いておりますが、この立地促進対策についてもどのように考えられておるのか、あわせてお伺いしたいというふうに思います。
#299
○政府委員(岡光序治君) 老人保健施設につきましては、高齢者保健福祉推進十カ年戦略に基づきまして、平成十一年度までに二十八万床を整備したいということにしております。施設整備の国庫補助、それから社会福祉・医療事業団の低利融資、それから税制上の優遇措置、こういった施策を通じまして整備促進を図っているところでございます。
 特に、都市部におきましては、御指摘がありましたように、用地確保が非常に困難でございますので、そういう意味で用地の高度利用を進めるということが必要だと考えておりまして、高層化あるいは他の社会福祉施設等との複合化、こういったことを進めたいと考えておりまして、この場合の特別の国庫補助の加算を行っておるところでございます。このようなことを行ったり、そのほかの公共施設等の合築、こういったものを通じまして特に都市部における老人保健施設の整備促進を図ってまいりたいと考えております。
#300
○勝木健司君 この老人保健施設は通過施設というふうに思っておりましたが、現実のところ老人保健施設には長期入所の方も多いというふうに聞いております。通過施設との位置づけであるならば、長期入所が多いという実態をどのように是正していかれるのか、方針をお示しいただきたいというふうに思います。
#301
○政府委員(岡光序治君) 老人保健施設の基本的な性格につきましては、本年七月の老人保健審議会の意見具申で通過施設という性格を堅持しろというふうに指摘をされました。現実には長期滞在になるようなケースもあるわけでございます。この点につきましては、今後在宅医療福祉サービスの体制を整備しで在宅でのそういう生活が可能になるようにする、あるいは特別養護老人ホームの整備を図る、それから特養であるとか老人保健施設においてもデイケアなりショートステイなり、こういったふうなことを進めまして、いわば老人保健施設と家庭とを往復するような体制ができるように体制整備を進めてまいりたいと考えております。
#302
○勝木健司君 最後に、厚生大臣にお尋ねをいたします。
 今後の本格的な高齢化社会におきまして、医療保険制度を揺るぎないものにするために、やはり給付と負担の公平化を図ることが急務であろうかというふうに思うわけであります。政府においても、昭和六十年代の後半のなるべく早い時期に給付と負担の公平化、すなわち医療保険制度の一元化を図ると表明をしておられるわけでありますが、医療保険制度の一元化とこの老人保健制度との関係は明らかにされておりません。そもそも、政府はこの医療保険制度の一元化を図る意思があるのかどうか、あるとすれば、どういう手順で一元化の過程における老人保健制度を位置づけしていくのかということを明らかにしていただきたいというふうに思います。
#303
○国務大臣(下条進一郎君) 医療保険制度の長期的安定、これはもう非常に喫緊の要務でございまして、また常に注意をしながら見守っていかなければならないし、それに必要な措置を講じなきゃならないということでありまして、給付と負担の公平が大きな課題であると考えておりますが、これまでもその改革を逐次実施してきたところでございます。
 さらに、医療保険制度の将来構想につきましては、関係者の間にさまざまな意見があることから、今回の老人保健制度の見直しも踏まえながら、今後さらに幅広い角度から検討を進めてまいりたいと考えております。
#304
○勝木健司君 終わります。
#305
○委員長(田渕勲二君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト