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1947/10/20 第1回国会 両院協議会・合同審査会等 両院協議会会議録情報 第001回国会 文教委員会合同審査会 第1号
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1947/10/20 第1回国会 両院協議会・合同審査会等

両院協議会会議録情報 第001回国会 文教委員会合同審査会 第1号

#1
第001回国会 文教委員会合同審査会 第1号
  付託事件
○六・三教育制度実施に関する件
  ―――――――――――――
  委員氏名
   衆議院
   委員長 松本 淳造君
   理事
                高津 正道君
                花月 純誠君
                西山冨佐太君
   委員
                田淵 実夫君
                永井勝次郎君
                松澤 兼人君
                伊藤 恭一君
                久保 猛夫君
                中山 マサ君
                柏原 義則君
                坂田 道太君
                水谷  昇君
                松原 一彦君
                黒岩 重治君
                野老  誠君
                原 彪之助君
                松本 七郎君
                押川 定秋君
                五坪 茂雄君
                米田 吉盛君
                近藤 鶴代君
                圓谷 光衞君
                豊澤 豊雄君
                織田 正信君
   参議院
   委員長          田中耕太郎君
   理事
                松野 喜内君
                岩間 正男君
   理事           柏木 庫治君
   委員
                梅津 錦一君
                小泉 秀吉君
                森下 政一君
                左藤 義詮君
                安達 良助君
                高良 とみ君
                安部  定君
                梅原 眞隆君
                鈴木 憲一君
                堀越 儀郎君
                河崎 ナツ君
                藤井 新一君
                小野 光洋君
                中山 壽彦君
                木内キヤウ君
                仲子  隆君
                岩本 月洲君
                河野 正夫君
                中川 以良君
                矢野 酉雄君
                羽仁 五郎君
  ―――――――――――――
会議
昭和二十二年十月二十日(月曜日)
   午後一時三十一分開議
 出席委員
  衆議院側
   理事
                高津 正道君
                西山冨佐太君
   委員
                田淵 実夫君
                野老  誠君
                原 彪之助君
                米田 吉盛君
                坂田 道太君
                水谷  昇君
                織田 正信君
                伊藤 恭一君
                近藤 鶴代君
                圓谷 光衞君
                松原 一彦君
  参議院側
   委員長          田中耕太郎君
   理事
                松野 喜内君
                岩間 正男君
                柏木 庫治君
   委員
                梅津 錦一君
                左藤 義詮君
                森下 政一君
                木内キヤウ君
                高良 とみ君
                梅原 眞隆君
                鈴木 憲一君
                矢野 酉雄君
                岩本 月洲君
                河野 正夫君
                堀越 儀郎君
   國務大臣
        内閣総理大臣  片山  哲君
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
        國 務 大 臣 和田 博雄君
   政府委員
        大蔵政務次官  小坂善太郎君
        文部事務官
        (学校教育局
        長)      日高第四郎君
        文部事務官
        (教育施設局
        長)      伊藤日出登君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○六・三教育制度実施に関する件
   〔田中耕太郎君会長席に着く〕
#2
○会長(田中耕太郎君) これより開会いたします。甚だ僭越でございますが、御推薦に預りまして、私今日の合同審査会の会長といたしまして議事を進めたいと存じます。不慣れでございますけれども、皆様方の御協力によりまして、大過なきを得たいと存ずる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 それでは開会の初めに当りまして、経過を御報告申上げたいと存じます。今日の衆参両院文教委員会合同審査会は國会法第四十四條並びに常任委員会合同審査会規程によるものでございます。参議院の文教委員会におきましては、去る十月八日のことでございました、その委員会におきまして六・三制実施に関しまする問題が從來から引続いて論議せられておつたのでありまするが、その委員会におきまして、追加予算の運命がどうなつておるかということにつきまして、その点につきまして非常な関心を持ち、又心配もして参つたのでございまして、追加予算の運命につきまして政府当局から親しく説明を伺い、又今後その六・三制の実施の具体的プラン等につきましても、所信を伺いたいというような意味から今まで個々的に、或いは委員長なり、或いは委員の諸君が政府当局にいろいろ説明を求め、又政府当局を鞭撻して参つたのでございますが、併し公けの席において、つまり衆参両院常任文教委員会の合同の席で、改めて総理大臣、文部大臣、大藏大臣、安定本部長官等に所信を質したいという意味で合同委員会の開催ということが提案されまして、満場一致でもつてさように決まりましたわけでございます。そこで委員会といたしましては、衆議院文教委員会の方にその旨を申し入れまして、衆議院文教委員会においても、かねがね参議院と同様この問題につきましては非常に関心を持つておられたのでありまして、全く参議院の動議に賛成せられまして、從つて成規の手続を経まして今日の合同審査会開催に至つた次第でございます。今日の議題といたしますところは、從つて六・三制の実施に関する件、特に追加予算問題が主となることと存ずるのでございます。さような意味におきまして、この審査会を開催いたしました次第でございます。尚正式の委員会ではございませんので、決議というようなこともこの会ではございませんし、又定足数の制限もありませんということを予め申し上げて置く次第でございます。
#3
○伊藤恭一君 一つ動議を提出いたします。この六・三制の合同審査会をここに開くことになりましたが、併し衆議院二おきましても参議院におきましても、文教常任委員会において、この問題につきましては、もう再三再四深刻なる質問をしております。でありますからして、今日のこの会におきましては、質問の重複することなく、最も重点的に簡潔に質問することにいたしまして、同時に又政府といたしましては、率直に一つはつきりと答弁して頂きたいということを希望する者であります。成るべく簡潔にするという意味で、私はこの動議を提出するわけであります。(拍手)
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#4
○矢野酉雄君 一應動議が出て賛成があるから、それを大体の方針に決定するように……。
#5
○会長(田中耕太郎君) 只今伊藤委員から簡潔に今日の審査会を運べという御動議がありまして、御賛成がございましたので、さような方針におきまして議事を進めたいと存じます。
#6
○矢野酉雄君 今日は出席の國務大臣は大体予定されているのは誰と誰とですか。
#7
○会長(田中耕太郎君) 大藏大臣以外は出席せられる筈であります。併し大藏省からは政務次官が出席せられることになつております。つまり総理大臣、文部大臣、安定本部長官、いずれも出席せられることになつております。
#8
○矢野酉雄君 時間は……。会長(田中耕太郎君) 次官も……。
#9
○矢野酉雄君 いや、タイムは……。
#10
○会長(田中耕太郎君) 一時ということになつております。首相は直ぐお見えになります。どういたしますか。森戸文部大臣がお見えになつておられますから、森戸文部大臣のお話を伺うということにいたしていかがでございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○会長(田中耕太郎君) 森戸文部大臣。
#12
○國務大臣(森戸辰男君) 六・三予算の経過についてでありますが、実は今日具体的なことをお話申し上げるようになるかと思つておりましたけれども、まだその段階に達していないのであります。大きな経過を申し上げますと、これは特に御承知の通りでありまして、私共文教の任に当つておる者のみならず、現内閣も亦教育刷新ということが、新日本建設のための基本政策であるということは十分に認めておるのであります。そうしてこの教育刷新の中で学制改革というものが極めて具体的な形であり、その中でも新制中学が六・三制の急所であるということを十分に認識しておりまして、この六・三制の新制中学がいろいろな困難もありますけれども、できるだけ、十分とは行きませんでも、非常に不自由のない形で行われるようにということを常に念頭に置きながら、そのために努力をして参つたのであります。この点におきましては殊に両院における文教委員、文化委員のお方々の鞭撻、御協力というものに非常に負うところがあり、又両院の一般の輿論も又強くこれを支持して頂いたのであります。かような形で実は六・三制が年次的に、そうして來年に対する追加予算の形で、その実行が少くとも最小限度を保証されるように努力して参つたのであります。で文教当局といたしまして、こういう立場からいろいろ予算についての考もありましたけれども、日本の財政の実情、その他緊急を要する経費等の綜合的な観点の下に、三十一億の予算を閣議に諮りまして、いろいろこれにも困難はありましたけれども、併し六・三制の実行というものが大事であるという見地から、実は三十一億というものが内定されたのであります。併しこれは飽くまで内定でありまして、決定的の予算の審議は、更に諸般の事情を考慮して定めるということに相成つておつたことは当然のことであり、その原案ができましても、國会の更に御審議を経なければならんことは申すまでもないことであります。で飽くまで政府の原案の更に一つの前段階であつたことは申すまでもないのであります。併し同時にこれは相当遅れるという危險もありましたし、寒冷地帶の兒童のためにはそれまで待つて建築に着手するというのでは手遅れになる心配もありましたし、地方といたしましても大体どのくらい國庫から出して貰えるのだろうか、それが知りたいという強い要望がありましたので、大体諸般の情勢を考えまして三十一億二千万円、そしてその中約半分弱が國庫で支弁されるというような前提の下に、府縣に割当てる額を内示いたしたのであります。併しこれはまだ予算の政府の確定案もできないのであり、國会の審議も又関係方面との了解も得ていないので、飽くまでこれは原案の原案程度のものの内示であることを附加えて実は内示をいたした次第であります。そういうことから又地方では寒さに向つて兒童が仮教室等で寒さに会うということを心配いたし、又來年度の自然増加の兒童に対する教室の不足が、遅れたのでは間に合わないだろうという心配から、実は建築に着手しておるような地方もあるやに承わつておるような事情にあるのであります。でこういうような事態で時が進みまして、一方政府は追加予算の具体化についての審議を進めて参つたのであります。他面御承知のごとく関東の大水害がありまして、これに対する復旧工事というようなものに資材を必要とする面も殖えて参つたという事情もあり、その他の事情から予算全体を更に檢討をし、審議をいたすという只今過程にあるのであります。私共といたしましては、殊に文教の責任を持つておる私といたしましては、三十一億ということは実は六・三制の最小限度のなんであるから、殊に日本が平和的な文化國家として國を建てて行くのには、この最小限度を守つて、それによつて六・三制が不十分ながらも行われて行くようにあらゆる努力をいたしておるのであります。実はこれが中絶いたすということになりますれば、学校の改革というものが頓挫いたすことになり、延いては教育刷新という大きな國の基本的な政策の上にも動揺を來す虞れがありまするので、私共はできるだけ当初の通りな額、而もこれでも足らないのでありますけれども、この最小限度を守つて行くようにと努力をいたしておるのであります。地方におきましては実は三十一億余では足らんので、何とか全額國庫負担にして欲しい。又いろいろ寄附の運動もあつて、これでは困るから何とか方法を講じてくれというような要求も多々承わつておるので、私共文教の責任にある者としては、誠にお氣の毒に存じておるのでありまして、更にこの上予算が減るというような事態があつては、誠に我が國文教のために悲しむべき事態を起すということを思いまするので、最善を盡して少くとも最小限度が認められるようにと努力をいたしておるのであります。そして内閣といたしましてもそういう線に副うてあらゆる努力をいたして貰えるものと私は信じておるのでありまするが、何分にも緊急を要する災害復旧等の事情もあり、他面資材においても多くの窮屈な事情もありまするので、困難の存する点も亦率直に認められなければならない。こういうような事情に今日あるのであります。それを御了承頂きまして、総理も見えておりますけれども、私共はかような事態を率直に認めながら六・三制の予算が元の通りな形で貫徹されるようにと、あらゆる努力をいたしておる次第であります。
#13
○左藤義詮君 只今三十一億の予算が我が國文教の生命線であるという、それに対する文部大臣の悲痛なる御決心を伺つたのでありますが、これに対して丁度総理がお見えになりましたので、この文教の予算に対する総理のお見込、或いは御決心をこの際伺いたいと思います。
#14
○國務大臣(片山哲君) 只今文部大臣からお答えいたしました通りでありまして、文教の予算を十分にいたしまして、文教発展のため努力いたしたいということは山々であります。何とかしてこの苦しい財政の中から文教費を沢山出したいということに非常な努力をいたしておるのでありまするが、何分にも財政が非常に困つておる時でありまして、殊に産業発展、健全財政、こういう問題に力を盡しまして、我が國の財政を、我が國の経済を健全化して行かなければならない、こういう建前で進んで行かないことには、インフレが防止できないのでありまするから、インフレ防止に全力を傾倒いたしておりまする我が財政といたしましては、非常に苦しいのであります。この点は十分に御推察願い得ると思うのであります。この乏しき中から、窮屈な中からできるだけ努力をいたしまして、文教費に割きたいと思つて目下檢討いたしておりまして、大方最後の結論を得る段階に到達いたしておるのでありまするが、尚いろいろな関係がありまして、その結論を発表するのには至つていないのであります。併しここ数日の中には必ずお示しすることになると思います。私共の決心といたしましては文教費のために、先に大体の見当を決めました六・三制は是非実現さしたいと考えて、あらゆる関係を調節いたしまして、その点に非常な努力をいたしておるような次第であります。そういう訳合で、この点に関しまして非常に時日を要しましたのでありますが、これも亦現下の情勢止むを得ないことであると考えておりまするので、その点十分に御諒解を仰ぎたいと存じます。
#15
○矢野酉雄君 僕は森戸文部大臣の人格、その他人爲り、又文教に対する御見識についても敬意を表しておる者であります。率直にこの機会に私は御助言を申上げて置きたいと思いますが、文部大臣は余りにもこの社会党内閣において、その内閣全体についてのこのお見通しが行き届き過ぎておるのではないかと思います。一つの事柄を断行するためには、自分に與えられておるところの專門所管のその問題を貫徹するに当つては、勿論百年の大計から割出して、その脚下の問題として考えなければなりませんが、そこには認識と更に一つのパッシヨンを必要とすると私は思うのです。そういう点について現内閣はやれ何をやらなければならん、かにをやらなければならんというような考の下に、そうした一つの心構に立つて、文教の現実の問題にぶつかりて行く限りにおいては、今の総理の話を聽いても、何時の日にいわゆる現内閣の主張しておる民主日本の建設であるとか、文化日本の建設であるとかということは、何時見通しができるのですか。全予算の僅かに五%ぐらいの文教費を以て、何を以てそこに本当の道義日本の建設、文化日本の建設ができましようか、そういう点においては、私はもつと森戸先生はがむしやらに、甚だ不適当な言葉でありますが、がむしやらに一つ突進して頂きたいと思うのです。恰も総理そのもののような観点にお立ちになつておりますが、私は文部大臣は文部大臣として独自の立場に立つてお考え願いたい。勿論私達は引揚者でありまして、引揚者自体の、関係者約三千万の人々の殆んど餓死せんとする問題についても、もつともつとやつて貰いたいことが沢山ある。僅かに二十五枚の食券を貰つただけである。私自身沖縄の引揚者でありますが、國自体が今や滅亡かどうか分らない時、引揚者は蒲團一つも持たないというような実情にある時に、更に我々はその現状を乗り越えて文教のために國家全体はここに一大決心をして貰いたいということを常に要望しておりますから、私は総理大臣の御人格に対しても常に敬服しておりますけれども、その調子で行つたら軍部が曾つて横暴を極めておつた時に僅かに五%の文教費しか支出することができなかつた。あの現状を乗り越えて、いつ果して最前申上げました民主日本の建設ができますか。こういう点において私はもつと文部大臣の勇断を切に希望して止まないのであります。
#16
○伊藤恭一君 一昨日の衆議院の本会議におきましても、只今のこの席上における総理大臣のお話、文部大臣のお話を聽きまして、我々は健全財政の立場から言つても、又教育の地方分権という立場から言いましても、地方費が重点的に負担するのは、これは当然であるということは十分承知いたしております。併しながら現在の地方における財政状況から言いましても、到底これに堪えられない状況にあつて、現在市町村などでは六・三制の学校が建つか、町村が立つかというような実に悲痛な叫びを発しております。こういうような状況にありまして、どうしても全額國庫負担ということを強く強く要望いたしまして、参議院衆議院に対する陳情などでも何十万というものが出ております。そういうような実に悲惨なる状況にありまして、最近は我々のところへ新制中学校の生徒からも毎日毎日連続的に陳情が参つております。これは我々は文教の委員会において本質的にいろいろ質問しておりますから、そういうことは重複して今日は申しませんが、ただ私は最近に來ました中学生から來た陳情文を一つここで読み上げて御参考に供したいと思います。誠に失礼でありますけれども…。これは私の縣ではありません。私は岐阜縣選出でありますが、東北の方から來ております。「新日本建設は教育からと言うのに、今日の学校の状態はどうですか。新制中学校ができましてからはや六ケ月の年月は流れましたが、未だに学校の設備は何一つ整つてはおりません。校舎は小学校より僅かな所を借りて一つの教室に大勢の人が入り、机、腰掛もなくて、ただうつぶせになつて勉強しています。中学となつて第一回目の冬を迎えんとする私たちの悩みを想つて下さい。希望の校舎、希望の机を一日も早くと私たちは待つております。どうぞお願いします。」こういうような実に涙のこぼれるような陳情書が我々のところへ毎日來ます。生徒としてもそうでありますし、市町村民としても先刻申しましたような実に悲惨な状態にあります。そういうところからして、この文化國家、平和國家を建設するところの基本國策としての六・三制がすでに今年の四月頃確定いたしました限りは、これを中止させるようなことは絶対になく、これだけは飽くまでも実現させるようにしなければならんということは、これは当然でありますから、そういう意味からいいまして、只今矢野さんからお話になりましたような工合に、眞劍なる態度を以て、この文化國家建設の一枚看板であるところの現政府に対する信頼を國民が失わないようにして頂きたいということを私は切にお願いする次第であります。
#17
○米田吉盛君 土曜日の衆議院の本会議で総理にお尋ねしたのですが、金融が産業に從属すべきであつて主人公になつてはならん。この國会の壁頭にこういう施政演説をせられたのですが、それに対して文教費の問題に関連して、財政が同様に國政の主人公になつてはならん、こう思うということを言つたのですが、私の引いた例とは見当違いのような御答弁があつたのです。別に細かい議論をするわけではありませんが、私の考えておりますことは、六・三なりその他の文教のいろいろの諸施策をやらなければならん。やらなければならんということが中心であれば、それに沿うて苦しい財政から工夫をして、遣り繰りをしてやるということが財政当局の責任だと思います。ないからやらんというなら、誰がなつても同じことなので、もうすでに文化國家に出発ておる現在においては、やらなければならんのであつたならば、どこをどう苦しんでもそれを創意工夫して目的を貫徹する。基本國策であるところの文化國家というのと、現在のいわば取敢えずの國策であるところの健全財政というものとの調和点というものを、政治的に解決して事務的に解決しない。從つてそういうようにやつて行くことが、財政が主人公にならないやり方だ。財政が主人公になるというのは、健全財政だから財政を中心にやつて行こうというのが、取りも直さず財政が主人公だということに私はなると思う。この点を明確に一つ御理解を願つて置きたい。これに対して特別のお答を要求するものではありませんが、見当違いであるという考えが見当違いであると私は思います。
 それから六・三制実施、文化國家建設に伴つて、教員の待遇問題です。これはもうしばしば言い古されておつて、ああ又かという程國民の皆が聞いておられることです。教育基本法第六條の二項には御承知のようにこういうことがある。「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、」宜しうございますか、「その待遇の適正が、期せられなければならない。」こういう規定がもう法律にはつきりと決まつておる。そうして小学校の先生などを考えて見ると、專門学校と同程度である師範学校の卒業者である。これはこの点は御承知の通りこれだけの責任を持つて、これだけの法律で保障されて、これだけの学歴を持つている者が、一般小学校、高等小学校を卒業しただけでも就職採用のできる一般官公労務者とその待遇が同じであるということは、私はいかに財政が苦しいからといつても、これは悪平等である。適正でない。この教育基本法第六條第二項の「適正」ということに私は該当しない、こう考えるのです。のみならず、こういう席でこれを言うことはどうかと思いますが、衣服の支給とかいうような外の官聽に勤めておるような役得は教員にはないのです。総理大臣や文部大臣は文化國家の教員というもののこの待遇が、教育基本法第六條の二項の適正なりと今日お考えになつておるかどうか、若し然らずとすれば、政府自体が教育基本法に違反しておるということに私はなるのじやないか、こう考えるのであります。教育の尊重とか優先というようなことは、決議をしたり、口の先きて言つたり、或いは施政演説でやつたり、文部大臣が地方に行かれておやりになつたり、演説する、そういうことでは教育の尊重とか、教育の優先ではない、須らくこれは具体的で実行的であるということが、私は是非この際、先程言うところの財政が國政の主人公になつてはならんということの表裏の関係においてもお考えを願いたいと思う。
 それから小学校の先生がそれくらいの待遇であるということから考えても、中学校や大学の教授なんかの待遇を考えても、これは誠に憐れなものである。よく言われたのでありまするが、大学の教授の月收は、宿屋の女中の一週間分のチップにも足りないということなんだ。
#18
○会長(田中耕太郎君) ちよつと米田君に申上げますが、六・三制の実施の問題につきまして、若し総理に尚御質問の方がおありになりましたならばお願いいたしたい。総理は二時から他の委員会に出席されなければなりませんので、その点につきまして……。
#19
○米田吉盛君 限局いたします。ただ今のをちよつと喋りましたから完結いたします。(笑声)そこで勿論ですね、物質なんかに生きる職業じやありませんけれども、こういうような富の不公平な分配の現在、これは社会党出身の閣僚であらせられる文部大臣の関心事でなければならんと思う。この点を……。優秀な教員を求めることが今急であります。段々と師範学校の志願者の質も、数も低下しておるというようなことでありまするから、文化國家の爲政者として特に御留意を願いたい。
 それと六・三制の問題に直接関連すると思うのですが、教員が一般官公労務者と同様にゼネストに参画する、この問題です。
   〔「簡單」と呼ぶ者あり〕
これは一体聖職に鑑みてどうお考えになるか、この際一つ文部大臣の御見解も承わりたい、こう考えております。簡單と仰しやるので、これで終ります。
#20
○國務大臣(片山哲君) 米田君が一昨日の本会磯で御質問になりました点について重ねて明らかに申上げたいと存じます。
 金融が財政に優先的に先行をしてはならないということは、金儲けのために産業を支配する、利潤を目当てとして仕事をするということはよくないのであつて、これからは、産業が発展するように、國民の経済を向上せしむるために、金融はこれに從つて行かなければならないのである。こういうことを私は感じておるものでありまするから、その点を申上げたのであります。つきまして財政が教育問題に先行をしてはならないとか、その関係でありまするが、財政ということは、御承知の通りただ算盤を合わすとか、或いは数字の辻棲を合わすというような問題ではなくして、國家の政策を具体的に実施する方法でありまして、國家が事業を営む、或いは産業発展に対する具体的な計画を樹てまして、これを実行面に照らし合わして行くという意味において財政の重要性があるのであります。教育に力を入れて、教育の具体的な発展を図りたいということは、只今米田君が申されましたように、演説だけではいけないのである、地方出張だけではいけないのである。具体的に眞に待遇を改善したり、設備を充実したり、こういうことでなければ教育の実際的な発展はできないのであるということは、何に関連するかと申しますならば、それが財政に関連して來るのであります。財政の重要性ということは今改めて申すまでもないことでありまして、單にこれは算盤の辻棲を合わすというのではなくして、政策の具体的実行に伴つて來るのであります。從つて國家の政策を各方面に極めて適正に、極めてバランスを取つて、そうして國家破綻を防ごうとするためには、どうしても財政と睨み合わして教育問題も考えるし、農村の振興も考えるし、労働者の立場も考えて行く。物價体系を今日重要に取上げまして、我が國のインフレの進行を止めて行かなくてはならない、労働者大衆にも千八百円のべースで辛抱して貰わなくてはならないということは一に我が國の経済の破綻を防ごうとするのでありまして、それは一面國家の政策を実行いたしまするところの財政に非常な影響があるのであります。この意味において金融が産業の先行をしてはならないというのとはちよつと問題が違うのである。こういう意味で申上げたのでありまして、その点は十分に御了承を仰ぎ得ると信ずるのであります。私共は單に教育を空に考えておるのではなくして、具体的に実際面に考えておるのでありますから、從つて財政の教育問題に関する重要性を当然取上げて行かなければならない、かように申上げた次第であります。
#21
○森下政一君 総理大臣がおいでの中に一言私はお願いをして置きたいと思うのであります。六・三制実施の問題について質問があればというお話でしたが、恐らくもう質問なんということは誰もないのであつて、衆議院、参議院双方の文教委員のすべてが六・三制を守つて行きたい、擁立して行きたいという熱意に燃えておる。少くとも先刻文部大臣のおつしやいました内定ではその決まりました三十一億二千万円という費用が、少しも削除されることなしに次の追加予算に現われるということを●うて、又これを具現することを欲して今日のこの集まりになつたのだ、かように私は思うのであります。委員会の席上しばしば問題になつたことですが、文部大臣を眼の前に控えて甚だ失礼でありまするが、これまでの内閣におきましては文部大臣は往々にして伴食大臣と言われておつた。伴食木臣と看徹したことが過去において口に教育を重んじて、その実体を軽んじておつた歴代内閣の犯したところの大きな過誤である。その過誤がやがて日本をして間違つた、誠に悲しむべき過程を踏ましめるに至つた大きな導因を成しておる、原因を成したと私はこう思うのであります。片山内閣こそは初めて國民によつて生まれたところの民主内閣である。この民主内閣が教育を口に尊重するだけでなしに、実体においても尊重するということによつて、私は面目を新たにして、民主日本の門出を飾るところの実体が備わつて來る。同時に又文部大臣が現内閣において伴食大臣ならずして、本当に民主國家日本の輝かしき文部大臣たり得る、かように私は信じていたわけであります。先刻來文部大臣からもお話があつて、三十一億二千万円、必ずしも六・三制を実施するのに十分とは言えないということは万々承知しておると仰しやいましたが、今日までに地方の事情から申しますと、予て内示されました六・三制実施の割当が、それではどうしても地方の要請を満たすことができないというので、地方の住民が大小となく寄附を懇願されまして、これに應ぜんとひたすら努力をしておる。勿論今日の経済事情でありますが故に、國民個個の経済状態も樂でないのでありますが、これを乗り切つて何とか子供たちの教育のためにその寄附に應じようという氣配も見えないではないと思いますが、先刻総理大臣の言われる通り、今日國がインフレを克服する。そうして健全財政を堅持して行くということのために、非常に財政面において苦しいやりくりをしておいでになるということはよく分りますが、その苦しいやりくりの中で文教に対する殊に六・三制を確立するということに対する費用だけは、即ち予て内定されました三十一億二千万円をその苦しい中から捻出して、これを守り通すという熱意を示して頂くことが、私は地方において苦しいながら多くの人々が子弟のために更に足りない分を自ら負担して、六・三制を守り通そうという熱意を喚び起すことになるとこう私は思うのであります。その意味におきましても、どうぞ予て内定したという数字が削除されずに追加予算に現われて参りますように、総理大臣以下の特別なる御配慮が煩わしたい。かようにひたすら懇請して止まんものであります。私の杞憂かも分りませんが、文部大臣が先刻來極めて愼重な言葉を使われて、三十一億二千万円はいわば原案とも言うべきものであつたのは勿論であるがというふうな言葉をお使いになる。いかにも削られることが予想されて半ば諦らめておるような文部大臣のお言葉が響いて、私はどうも不安を感ぜざるを得ないのであります。どうぞそういうことのないように、民主國家として再建されんとする片山内閣、民主内閣の門出に一番大事な問題なのだということを一つ認識を新たにして頂いて是非この六・三制を確立することのために、政府の決定しておいでになる内定の額だけで決して十分でない、多くの國民からこれに対して更に一層大なる協力を求めなければならん金額なんでありますから、せめて内定されたものだけは、これを予算から削除することのないように堅持して頂きたいということを総理大臣のおいでの間に懇請をいたします。
#22
○河野正夫君 総理大臣のおいでの間に簡單ですがちよつと……私共は今三十一億二千万円では満足するものではありませんが、一應それをもつて文部当局並びに政府全体の努力を多としようかと思つておつたのでありますが、どうもそれがはつきりせんという点が先程の御説明で窺われるのであります。これはいずれ閣議に出て來ることでありますから、いかなる他の関係方面がどうであろうとも、絶対に三十一億二千万円というものは削除せんという御決意ありや否や、これを片山総理大臣の名において明快なる答弁を承わりたい。それが第一、第二点は両院の委員会で取扱いました國民の生活、新学制、特に六・三制の全額國庫負担に関する請願というものは、すでに参議院ではこれを採択し、政府に通達してある筈でありまするが、三十一億二千万円では全額國庫負担ではございません。そこでこれは今日における財政状態、いろいろなことから今年、來年行えというのでないとしても、我々参議院における政府に対する通知書、意見書の中にありまするように、年次計画を以て全額國庫負担の方法に持つて行く御意思ありや否や。この点を明確に御答弁を願いたい。全額國庫負担にする御意思ありや否や、將來において、これが第二点。第三点、これは米國の教育使節團の報告書にもございますように、六・三・三制の三、即ち上級中学と当時言われておりました新制高等学校の義務制を勧奨せられておる筈であります。総理大臣におかれては文化國家の理想に照らし合わしても、將來例えばこれを現内閣と申しませんで、社会党といたしましても、將來高等学校を義務制にする方針をお取りになる御意思ありや否や、この三点を伺いたい。
#23
○國務大臣(片山哲君) 政府といたしましては、先程から諸君の申されました六・三制の問題については非常な熱意を持つております。それを実現するためにあらゆる努力を盡しつつあるのであります。併し全体の問題がまだ結論を見出し得ませんので、諸君に発表いたすにはまだ時期を要するかと思いまするので、暫くお待ちを願いたいと存じます。実現したいという熱意のあることを重ねて申上げます。それから全額國庫負担は將來の問題であろうと存じまするが、將來は國民の義務教育は國家の責任において是非共やりたいと考えております。併しこれも先程から問題の財政問題、費用の問題ということに重なつて來ますので、その点は憂慮しておるのでありますが、大体先程東條内閣時代のお話もありましたが、その当時は軍國主義に塗り潰して、戰さのためには國民の教育も犠牲に供して、学校の生徒を工場へというやり方をいたしたのでありまするが、私達は文化國家建設のために國民の智的教養、道義の尊重、又科学、藝術或いは信仰等を尊重して、眞に文化人として文明に貢献するだけの素地を國民に十分涵養せしめたいという点については、國家の大きな仕事である。これはあらゆる努力を拂つて実現しなければならない、國家の責任において國民の教育を完成いたしたいという点については、最大の努力を拂う決心であります。何分にも具体的の問題は費用の掛かることであり、設備を要することであつて、その設備をどの程度になし得るか、從業者の待遇をどの程度に充実し得るかというようなことは、財政と睨み合せないことには具体的には申上げられないと思いまするが、方向としては、明白に國家の責任において國民の教育の発展を図りたいという考えを持つておることを重ねて申上げます。高等学校の問題につきましても、いろいろ睨み合せて考えなければならない点が沢山あります。やりたいことは山々なんです。併しこれをどうやつて行くかという点において、國家の産業の発展と睨み合せて、教育に重点を置いてやつて行きたいというところを我々は苦慮いたして、その実現に努力いたす次第であります。この点を御了承願いたいと思います。
#24
○岩間正男君 只今の首相の答弁によりまして文教政策に対するところの熱意の程は大体分つたつもりでありますけれども、私はその熱意の裏付けとしての、やはり具体的な予算の措置ということが最も大きな問題だと思うのであります。そうして現在陥つている教育崩壊の程度というものがどの程度のものであるかという認識が、これを決定する大きなモーメントになると私は思うのであります。そういう点から考えまして、首相の今のお話は努力する。それから非常に重要だと思つておるというようなことは言われておるのでありますけれども、その現状認識において聊か欠けておるところがあるのではないかと思うのであります。私をして言わしむるならば、眼の前に示されたところの、例えば今次の水害のようなことが起りますというと、これは改めて驚きの声を出して、緊急に苦しい財政の中からでも百五十億というような予算を取つて、何とか手を打つておる。併しながら文教の問題は直接具体的に見えない問題であり、精神的なものの上に掛かつております。併しながらその左右するところは、水害にも劣らない國家百年の大計懸かる誠に重要な深刻な問題であります。現在取られておる六・三制を通じての日本の教育の根本的な改革の時に当つて、これが又日本の民主國家建設と密接不可分の関係にあります。而もその六・三制が非常に行き悩みで大破綻を來しておる、大混乱を來しておる。そうしてその目的が達せられないような状態になり、教育不安が到る処に國内に充満しておる。この悲惨な姿を具体的に目の前に見せられなければならないというような行き当りばつたりな形でなくて、一つの見通しある見識ある政治としては、当然これを積極的に解決するということが最も必要な段階に到達しておると思うのであります。そういう点からもう恐らく教育改革の必要を迫られておる重大な時は今日を措いて私はないというところの一つの見通しをはつきり持つておるのであります。そういう点からしまして、財政との睨み合せにおいてできるだけ努力するというような一つの作文的な返答を以てしては、この問題の具体的解決は私はできないと思うのでありまして、今日國内の重大輿論を集めておる全額國庫負担の問題も、これは地方財政の要請でもあり、それから又日本の現在の教育の実体から考えましても、どうしてもそれをなし途げなければならない段階に立つでおるのでありまして、三十一億はこれは無論のことです。これは焼石に水のようなものでありまして、新学制改革の要求の全般から言えば恐らく一〇%にも当らないところの要求だと思うのです。無論こんなものは何としても通して頂かなければならない予算でありまして、問題はそこにあるのではなくて、それを乗り越えて、この次の教育改革をこの苛烈な日本の経済現状に合うように打建てて行く、それは駱駝が針の目を潜るような誠に苦しい困難を伴つた問題でありますけれども、この困難を本当に乗り越えるか、乗り切れるかどうかということが、日本國民に課せられたところの試煉の大きな問題だと思うのでありまして、この点かねがね教育問題に対し、又精神上の問題に関して、深い認識を持つておられる首相の決断を持つた一つの政策の断行を私はお願いしたいと思います。
#25
○松野喜内君 全國民の六・三の全額國庫負担の議は実に重要なことは今皆さんのおつしやつた通りであります。そこで私のお尋ねしたいのは、この六・三の問題、その次の三の方の問題、更には六・三・三・四といつた方の最後の問題をも序でに首相の御方針を承わつて、首相のいわゆる高度の民主國家を建設するためには、そういうことも関連するので、これを今日お伺いすることができませんでしたら、他日でもよろしいが、大学設置基準案等もどんなに進んでおるか、併せてこういつた方面を伺つて置きたいと思うのであります。
#26
○会長(田中耕太郎君) 松野君に申上げますが、森戸文部大臣はまだおられますから、総理大臣へはこの次に……
#27
○米田吉盛君 今の私の質問に対する総理大臣の御回答は一つしかありません。教育基本法の適正ということから今の教員の待遇を適正とお考えになつておるか。
#28
○國務大臣(片山哲君) 文部大臣にお願いいたしたいと思います。
#29
○左藤義詮君 和田長官が見えておりますが、和田長官は、我が國の経済の安定というわけで非常な全幅の努力を注いでおられますので、その点において私共の今問題にしております文教の予算についても、閣内において重要な地位におられますので、この機会に三十一億二千万円という本年度の予算は、我々としては非常に少いと思うのでありますが、これに制限をせられたその根拠、これを第一に伺いたいのであります。第二には、それすらもまだ閣議で決定しない。或いは私共の心配しておりまするように、文部大臣が内定の又内定だということを言われる、そういう状態になつておりますのは、いかなる理由によりますのか、水害の復旧のための資材、その他の関係もいろいろありましようが、その実情を率直に伺いまして、我々文教の関係の者としましては、命を賭してもこれは是非一つやつて頂きたい。國会として今後動きますのには、その実情を一つ率直に経済安定の方面から和田長官の御意見お見込を一つ伺いたいと思います。
#30
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたしますが、三十一億の予算が内定した時に、これは文部省と、それから大藏省、或いは経済安定本部と内々の話合が進められておつたのでありますが、文部省から出ましたのは非常にもつと大きな予算であつたと思います。それが段々いろいろ話合つて來た結果、結局三十一億ということに決つたわけでありますが、その時に経済安定本部としましては、今の日本の國力からしまして、セメント鋼材その他の資材から言つて、最初に事務的に考えましたのは六億ぐらいしか実は使えないことであつたわけであります。從つて三十一億の予算が決まり、十四億が國庫の補助ということで半額で決まりました時に、文部大臣にも又閣議の席におきましても、資材の御要求がありましたので、我々の方としまして、多少資材は我々の方で外を多少切つてもできる。又一つ努力して御調達しようということで出て参りましたのが、確か三十一億の四割だつだと思います。四割の資材については、この時はまだ九月の水害はございません。一つ優先的にこれは需給計画を見込んで多少それで外のものを割いてもそれに渡して行こうということで、文部大臣ともよく御相談して、実はこれだけしかないのだ、これがぎりぎりだ、それ以上の予算をお組みになるならば資材の使い方をうまくやるなり、セメント等も外の資材を使つて、そうしてやつて頂きたいということで、これは六・三制という問題は國民の將來に関する実に重要なことであるから、前の内閣の時にやると決めた以上は、この内閣としてどうしてもやらなければならん。そこでそういうことを考慮の上で御檢討願いたいということで、三十一億ということが最低であるが、この程度ならば我慢ができるだろうという問題を強く御主張されて、こうして我々の方としましてもそれは結構だということでそういうふうに決つたわけであります。その後追加予算の問題につきましては、大藏省及び経済安定本部におきまして、主として最初は大藏省の事務当局と、向うの事務当局といろいろ打合せをしておつたわけでありますが、その後水害が出たり、いろいろなこともありましてとにかく六・三制の問題については資材面から非常に窮屈じやないかということを、向うの係官の連中が強く主張いたして來たわけであります。併し閣議としましては、一旦三十一億と十三億何千万円というものに國庫負担ということを決めました以上は、六・三制の問題についてはこれはどこまでも、公共事業も、外の公業事業も同じことでありますが、ただ割当の基礎的な資材は、今の生産増強で少くとも他の物資をうまく利用して、在來の資材をうまく利用するということで、追加予算におきましても、向うは非公式に示された予算は、相当六・三制の予算は初めの中は削つて來るということでありましたが、閣議としては全面的に復活を要求いたしていて、今尚交渉を続けているというのが現状であります。
#31
○米田吉盛君 ちよつとさつきの総理大臣のお言葉に関連して、これは民主國家を口にせられるのに、議員が総理大臣の御意見を聽いたのに、文部大臣に一つ聽いてくれというような態度で默つて出て行かれた。これば私は腑に落ちないと思う。委員長としても然るべくこの次の機会に御意見を、御回答願うように一つ御斡旋願いたいと思う。私は個人の資格で言つているのではありません。その点はお分りでございましよう。私は総理大臣の意見を聽いたので、民主國家をお叫びになるのにその態度は解せん。與党ですから強くは言いません。(笑声)
#32
○矢野酉雄君 委員長がはつきりした態度を取らんといかん。
#33
○圓谷光衞君 三十一億の予算について各府縣について文部大臣は大体の予算を割当てて通知しておるのでありますが、これによつて各町村は今六・三案の学校建築の方途に向つて進んでおりますが、この予算の次にまだ通常議会においても継続して予算が取られることを只今明言されておるのでありますが、現全校舎を例えば三教室必要であるという場合も今年度においてその來年、再來年建築を一緒にやつた場合に、その建築に対して來年この次に取つた予算、その次の予算からこれを補助することができるかどうかというのが一つであります。
 それからもう一つは現在文部省の指導方針によつてやつておつたのでありますが、いかなる小さい学校でも中等学校が独立して三学級ぐらいの中等学校が沢山できておるのでありますが、これは小学校時代の八学級ぐらいの学校に二校入れて、校長が二人おるという状況であつて、而もその校長は、中学校の方の校長というものは殆んどこれは元の教頭級の校長が中学校に入つておる。ところが今回高等学校が定日制の高等学校ができた場合においては、大体中等学校の校長を以て、元の青年学校でありますが、これが兼務されるという場合が起ると思うのでありますが、文部省はこの小さい中等学校、三学級とか、或いは五、六学級の中等学校でなくて、でき得べくんば組合立の中等学校として十二学級とか、相当立派な中等学校を作る指導をしておられますか。聞くところによりますと、私福島縣ですが、福島縣の教学課ではそういうことは民主主義であるから指導していない。町村の自由にさしておるというような回答があつたのでありますが、この二点について一つ御説明を願いたいと思います。
#34
○國務大臣(森戸辰男君) 第一点は、これは予算の問題は縣当局からお答えを得たいと思います。第二点は小さな村で皆学校を三学級ぐらいの学校ができて、甚だ設備などが不十分だし、いろいろの点で困難である。文部省は一体そういうことを希望しておるのか、或いはそういう指示をしたのかというお話でしたが、これは全く逆であります。私はそういうようなことをしばしば聞きまして、それではいかん。文部省としてはむしろ今日は組合学校を建てるようにしなければならん。そうして足らないところをできるだけ力を合せてよりよいものにしなければならん。そういうふうな指示を実は各縣にした筈であります。それでありますから全くお説のようなふうに文部省としては取つておりますけれども、ただこの問題は文部省から命令するということではないのであります。各地方が実情に即しながらやはり文部省としてはこういう方向が望ましいということを指示したのであります。
#35
○矢野酉雄君 今日は主としていわゆる主題は六・三制のいわゆる予算をどうするかという問題は今和田長官から話があつたので、これは我々は松原君や堀越君、柏木君並びに七、八名の文教常任委員が文部省に集まつて、そうして次官、局長諸君といろいろ話をして、然る後に和田長官並びに都留君などにお会いして、そうして非常に和田氏並びに都留さん達がこの予定の予算を突破するために盡され、某方面と頻りと折衝せられておる。それは大体一ケ月四十日か、五十日か前の情勢と大体は変わりはない。一歩もそれを出ていない。これは衆議院、参議院の文教委員会は、ただ和田長官や都留さん方に一人相撲取らせないように、もつともつとこれは積極的にバツクして行かなければならんと思う。それと共に大事な問題は、私は單なる経費、設備という問題でなくて、これと密接不離の問題は何であるかというと、最前米田衆議院議員から盛んに建設的の意見が出たので、教育者自体の適正なる待遇の問題、それから教員組合の問題についての御意見が出た。これから先の問題であるが、現在すでに六・三制を実施しておる今日である。然らば六・三制の質をどうするかという問題は実に本日の最大の議題であらねばならん。そういう点から考えて見ますると、文部大臣はもつとこの我が五十万の会員を擁する、いわゆる日本教職員組合の諸君と十分胸襟を開いて語り合い、お寺でもお宮でも今校舎に利用して実際の中学校をやつておるから、そのいわゆる教育の質をいかに充実せしめるかということについては、この予算の問題を突破することも必要であるけれども、現実の問題として、私は或る意味においてはそれ以上重大であると思う。そういう点において私は実にまだ遺憾なる実情を現に知つておるのであります。殊に中学校のごときも旧態依然として点数本位の試驗をやつておる。いつの日に創造、発明、工夫というような、いわゆる文化國家建設の根本的原動力である人材を、いかなる方法によつて具体的に教育して行くかということなどについては、文部省の現在の態度は、私はまだ熱が足らないと思う。希くば文教当局は、すぐ様この教員組合の諸君と大いに肝胆相照すような態度を以て、そうして現実のありのままの設備と予算において、これに即應したるところの文化教育として、これが具体的に実施されるかということについての、眞劍な檢討を私は要望して止まないのであります。
#36
○圓谷光衞君 先程の私の第一点について政府委員の御回答を……。
#37
○政府委員(伊藤日出登君) 十分研究いたした上の御返答でありませんけれども、大体只今承わりましただけのことでございますと、つまり前年度施行した事業について翌年度補助金が出せるかどうかという点になりますと、大体困難のように思います。尚十分研究いたしまして、別な機会に又お答えをいたしたいと思いますけれども……。
#38
○圓谷光衞君 ところが市町村においては……。
#39
○政府委員(伊藤日出登君) 現在のところでは困難のように感ぜられる…。
#40
○圓谷光衞君 市町村としては、現在一教室を建つて、更に翌年必要だからといつて、屋根を剥がして継ぎ足す。殊に二階造りになると非常に困難である。だから現在無理しても、それを二教室必要ならば、二教室を一度に建てたい。そうすると一教室に対しての補助は割当つておるが、他の一教室の補助は今年度貰えなければ、來年度是非とも出して貰いたい。こういう要望が市町村から多いのです。出せないという根拠はどうなのですか。
#41
○政府委員(伊藤日出登君) 大体前年度の事業は会計法の原則によりまして、その年度の事業に金を出すというのが原則でございますから、前年度の事業に対して本年度補助するということは行われないのが普通だと考えますが、併しこれも会計法、その他或いは特別な規則があるかも知れませんので、先程申し上げたように、そういう点についてもつと研究した上でお答えしたいと思いますが、原則的にはどうも困難のように感ぜられるということを申し上げたのであります。
#42
○松原一彦君 新制中学校の完成についての要望と両院委員会の熱意とはもう今日繰返す必要はないと思う程明確であると思うのであります。これを実現するために取つておられる首相の御方針にも私は積極的な熱意のあることを信じております。又文部大臣は最初からこの問題につきましては全生命を打込む程の勇氣を持つてお掛かりになつておるものと私は見ております。最後のぎりぎりまで來て、ここでこの問題が尚踏切れないのには、いろいろの事情がありましようが、私はその一つには今日の複雑な政治情勢の上から、関係方面の了解を得難いものもあるのではないかと想像するものがあります。どうかこの際一つ両院協議会の一致の意見を以て、両院の委員長が我々委員会の総意を体して、関係筋に御折衝を頂くことを私希望いたしたいのであります。と申しまするのは、現にこの夏以來文部大臣がたびたび説明せられました通りに、実は学校は開いたが、この冬が越し兼ねるのであります。東北地方のごときは、すでにもう雪が來ておる姿であります。その点から申しましても、この追加予算は非常に急いでおつたのでありまして、特に冬の早く來る地方に、冬越しの用意をさせるために、來年度の増加人員に應ずる教室を建てさして、それを以て冬凌ぎをやらせようという厚意があつたのであります。若し、これがいよいよこうなつても実行ができないとなりまするというと、実は学業を中止せねばならん村が沢山できると私は信ずるのであります。或いは私は新制中学校の廃止すらも、止むを得ず実行しなければならない所も生ずるかという虞れを持つのであります。折角世界に誓つて國防を捨てて、平和なる文化國家を造り上げようと誓つて出た日本の第一歩がここに挫折することは、私は断じて忍び難いのであります。又一面から非常な大洪水等によつて莫大な國費を要することになつたのは事実でありまするが災難等の予測できないものが起つたために、既定事業を大幅に削減するというようなことは、原則として私は許し難いと思う。いかに健全財政を維持しようとしても、非常の際には、私はそのあとから起つたことは赤字を以てしてもこれはいたし方がないのであると思う。又この次に何かが起れば、更に又削減するということになるのであります。でありますからしていろいろ御苦心もありましようけれどもが、この新制中学校の施設に関することだけは、すでに数ケ月前から内示もしてあり、又現に着手もしておるのであります。これは止められないのであります。絶対絶命でございます。苦しこれを止めるということになれば、私は残念ながら文部大臣に御責任を取つて頂きたい。(拍手)私は必ずお取りになる御覚悟があるものと信じておる。かような意味におきまして、私はどうか両院の委員会の総意を以て両院委員長から至急関係筋への御懇請並びに御折衝をお願いしたいことを希望する者であります。満場の諸君の御賛成を願います。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#43
○矢野酉雄君 ちよつと委員長、速記を止めて下さい。
#44
○会長(田中耕太郎君) 速記を停止して下さい。
   〔速記中止〕
#45
○会長(田中耕太郎君) 速記を始めて……。それでは只今松原委員から動議が出ました両院の文教委員長が関係筋に対してこの問題につきまして十分了解を求めるということにつきまして、皆さんの総意を代表いたしまして、そういう措置を取りたいと思います。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  (拍手)
#46
○会長(田中耕太郎君) 尚今衆議院の松本委員長は御病氣で、而も地方で病氣で休んでおられるのでありますから、帰られましたら早速さよう取り計らいたいと思います。
#47
○左藤義詮君 帰えられてからでは遅いと思います。
#48
○会長(田中耕太郎君) 或いは衆議院の方のどなたか……。
#49
○左藤義詮君 今安本長官のいろいろなお話を伺いましても、二、三日は予算の決まる最も大事なところでありますから、常任委員長松本委員長のお癒りになるのを待つておられませんから、至急明日ぐらいには是非お出でを頂だきたいと思います。その点をお願いします。
#50
○伊藤恭一君 松本委員長が來られなかつたならば高津理事も委員長代理として一緒に行つて貰いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○会長(田中耕太郎君) 御異議がございませんければさよう取り計ろうことにいたします。
#52
○高津正道君 松本委員長には明日帰えることになつているのですけれども、來なければ私参ります。それから二人でなくもう少し誰か一緒に行かれちやあいかがですか。
#53
○矢野酉雄君 理事と委員長と全部行つたらいいでしよう。
#54
○高津正道君 明日の朝いつ何処へ……。
#55
○米田吉盛君 それは行く人が決めることにして……。
#56
○矢野酉雄君 必要だつたならば文部大臣と安本長官と連絡を取つて下さい。折角安本長官は責任を取つて交渉しつつあるのですから、それは委員長とか理事諸君にお委せします。
#57
○松原一彦君 私の提案に御賛成して下さつて有難うございました。両委員長で御不満であれば、両院の委員会の理事の方が御相談の上で然るべくお取り計らい願いたいと思います。
#58
○会長(田中耕太郎君) さよう取り計ろうことにいたします。
#59
○堀越儀郎君 文部大臣にお尋ねしたいのですが、先程安本長官の説明がありましたように、最初六・三制の問題について予算の御請求があつたときに、資材は四割しかないということを言明された。このことは外の機会にも安本長官から聞いておるのでありますが、その資材のために現在の予算が行詰つているという現場から考えまして、安本長官が四割しかないと言明されていたにも拘らず予算を要求されて、その際に現在行き詰るような状態になつた資材についてはどうお考えになつていたのですか。資材を無視して予算を通されたのか、或いは資材は何とかなるとお考えになつたのか、或いはその点にお氣付きにならないで現在りようなこういう窮況を招くようになつたのか。文部大臣の御答弁を伺いたいと思います。
#60
○國務大臣(森戸辰男君) 極めて御尤もな御質問でありますが、資材は実は安本長官の言われたように、今日の日本では非常に詰つておるのであります。資材の嚴重な割当に從うてやつたんでは、安本の割当によると六・三制は全然できません。それで断念してしまうかどうかという問題になります。私共は併しそれではいかんと思います。一番問題になるのはセメントであります。これが非常に足らんのであります。併し從來の学校の建築に使つたような形でセメントを使わずに、セメントはできるだけ節約して、極く必要な部分だけにすればセメントが少くとも問に合いはしないか。それから割当の問題は、割当以上のものであると闇をすることになつて、政府の予算が闇を許すというようなことになつては、殊に闇撲滅を考えておるところの政府として許さるべきことではないと思うので、この点私共も愼重に考えたのでありますけれども、併し学校を建てるということになれば、殊に地方においては相当に一部分は從來の手持ち資材もあり、他面では村有林その他のものもあつて、学校を建てるということならば、闇で木材を買わないでも、何とか建てる途もあるのではないか。更に公共事業で当てられたので、十分に使い果せない部分もある。そういうようなものも勘案し、將來の予算の進行を見守れば、或いは資材も出て來るのであるから、予めちやんと決つた資材が整わなければ六・三制を断念するということは、これは早計である。成る程一應のその当時の安本の計算では四割二分でありました。併しどうしてもない資材においては代用品を使い、その他の方法でそれを補つて行く。そうして寄附とか手持ち等で、或いは公共事業で使い果せない部分等があればそれでやつて行けば、予算の進行と共にこれが大体充たされて行く。闇等を大いにやらないでもできるであろう。こういうような見通しで私はそれを三十一億という予算を、これは半分ここで出したのであります。右の点御了承願いたいと思うのであります。
#61
○水谷昇君 今の御答弁に関連して、只今文部大臣の御答弁によりまして、資材が四割二分というお話でありますが、これは一坪の單價を三十五円と見積つての話であつて、一部においてはこれを五十五円にまで單價を引上げて、その資材の余つて來たのを利用いたしますというと、八割以上になるということを私は聞いておるのでありますが、そういう点はいかがですか。
#62
○國務大臣(森戸辰男君) そういう点もあり、亦全部新らしい資材を使わないでも、この他の遊休施設の轉用というようなものもその中に含まれてるわけでありますが、そういうような全体を考えながら、いわゆる安本で正確に割当てられた額がそれだけであつても、大体の見通しとしてはやれるであろう。又地方でも必ずやれるであろうという考えから、安本が或いは差当りのところの計算では四割二分しかできない見当であるが、併し大きな見通しは大体行けるというところで、それがために六・三制を断念はしないで、それも予算に資材を何とか持つて來るという方に力を入れながらそれを取つた次第であります。
#63
○岩間正男君 大体今日の議題の中心でありますところの六・三制の追加予算の件に対する具体的な措置が決定されましたので、そのことから問題はちよつと違いますけれども前進させまして、序でに文部省の意見をこの席上でお伺いして置きたいと思うのであります。それは先程も申上げましたように今度の三十一億の追加予算というものは、これを全面的に取つて見たとしても、恐らく現在の全額國庫負担の要求の十分の一になるか、十五分の一になるか分らないというような現状であります。從いましてこの誠に対症療法としても足らないところの予算では、六・三制の全面的な建設ということは到底不可能であります。仮に三十一億取つたとしても、誠に六三制の一破綻を救うに過ぎないというような現状であります。これにつきまして日本文教政策の根本的な対策というものがここに立てられて、そうして綜合的な統一的な体系的な改革案というものが作られて、年度計画がこれにはつきりと打ち立てられた具体的な案というものが必要であると思うのであります。こういう観点からしまして、参議院の文教委員会におきましては、この前請願の処理をしました時に、これを総会に諮りまして、意見書を政府の方に送付したわけであります。つまり今申しましたような趣旨で綜合的な具体案を立てられること。それに対して具体的な年度計画を立てられること。これは参議院の意見としまして政府に傳達したのであります。これについて果して文部省は最近どのような処置を取つてこの意見書に述べたところの仕事を開始されているか。我々の見解としましては最も重要な問題、三十一億の予算も勿論重要でありますけれども、それよりも問題を前進的に把握してこれをはつきりさせることが今の現段階では六・三制の使命を決する緊要な問題であると考えているのであります。今までのこの文教政策を見ますと、誠に行き当りばつたりでありまして、火事場で泥棒を捕まえてから縄をなうというような、日本の経済的の止むを得ない現状にもよることでありますが、これでは日本の文教政策は絶対に確立しないという考えを持つているのであります。この点から当然これは対症療法的な現実的な措置をやると同時に、一方では恒常的な一つの見通しのある政策を樹立しなければならないという段階がはつきり迫られているのであります。これなしには断じて日本の教育改革はできない。こういう点につきまして、文部省の措置をお伺いしたいと思うのであります。
 そして又序にそのお尋ねをする前に希望條件として加えたいことでありますが、三十一億のような、あのような弱小な予算を來年度の予算として計上されるならば、六・三制は恐らく根本的に破滅してしまうであろうと思います。更に資材の裏付けの点で非常に困難があるように聽いておりますが、今の地方の実情を具さに眺めますと、校舎を増築するということも一つの案でありますけれども、資材の裏付のない面で、先程も申述べましたのでありますが、教員の絶対不足量というものが今甚だしく一つの大きな問題として浮んで來ております。從うてこれは資材の裏付がなくてもできる問題でありますが、教員を十分に確保するということが必要な段階に到達していると思うのであります。例えばこれを現在の六・三制の追い込められた教育の姿の中で、教員の確保ということによつてどれだけ救われるか。具体的な例を挙げますと、例えば二部教授ということをやつている。それがために教員の非常な過重労働というものがそこに起つて來ている。そのために教育の内容そのものが非常に貧困にならざるを得ない。一日に二回の教授を受け持つということが教員を疲らせる。過重労働、これは労働問題として重要でありますけれども、もつと大きな問題は、その影響が子供に及ぶということであります。これを考えますときに、例えば現在の校舎不足の場合にそこに二教員を配置するというような形でこの教育の貧困状態を相当程度まで緩和することができるという現状になつておるのであります。この点について文部省は果して考えておられるかどうか。そういうようなことを総合して考えますと、一方で校舎の完全建築を望むという案と併行して教員の確保を以て或る程度これを改革して行くことができる現状であります。こういうような点を十分に考えて今後の予算、來年度の予算計上に向われんことを切望したいと思うのであります。これは具体的にその後日本教職員組合が大々的な調査機関を動員して調査されたものがありますから、必要であればいつでも差上げることができますが、恐らくは六十八万によるところの一学級五十人の平均であれば一万六千の教師というものは根も葉もない根拠であるということはその後の調査で分つたのであります。その点からどのように客観的の調査をなされておるか、私が先程申上げたようなことに対してどのような具体的な対策を立てられておるかということをお伺いしたいと思います。
#64
○國務大臣(森戸辰男君) 只今の御質問は前の米田委員の質問もありますので、一緒にお答えをいたします。総理が中座いたしまして大変申訳ないのでありますが、実は当委員会を軽く見たのではなくして、もう一つ委員会があるのでありまして、その約束の時が丁度來ましたので、実は同様に総理の出席を強く要求しておるような事情がありまして、止むなく退席したのでありまして、悪しからず御了承を願いたいと思うのであります。尚御質問の点では総理自身が他の機会にお答えいたすことであろうと思います。
 それからいろいろお話になりました点で、財政と教育の問題がありましたが、私共も國の財政ということは大変重大であつて、財政を離れて教育計画を立てるということは、これは無理であろうと思うのであります。実は教育刷新委員会は教育の方針を決めるところでありましたが、そこには財政の專門家が殆んど入つていなかつたのでありまして、これは教育計画を立てる上に大きな欠陥であつたと思いまして、この度教育刷新委員会委員を補充する場合にも、そういう点に考慮を入れたのでありまして、教育というものも殊にこの頃のような事態におきましては、経済、財政というものと密接な連絡を執らなければならんということは、これは申す迄もないことと考えるのであります。ただ私共といたしましては、國の大事な政策が財政という見地のみで決定されるということは、これは大変望ましくないことであつて、根本的な國の政策については財政がそれに副うようにならなければならないということは、米田委員の言われたことと私も全く同感であります。そういう意味でこの六・三制の問題の時にも私は財務当局としては誠に正しいインフレ防止の御意見を持つておられたが、この政策は日本の再建のための重大なる政策であるからというので、実は財務当局のところに私親しく参つてよく説明をして納得をして頂いて、実は財務当局も安本もこの政策を実は支持して頂いておるような状態であるのであります。でありますからその点文部省がちぐはぐに行つておるのではないことは十分御了承願いたいと思うのであります。それからそれは一般的の問題でありますが、教員の待遇について、教育基本法にあるようにこれが適正なものであるかどうかどいうことを総理にも私にも御質問になつたのであります。私共は教職員の方々のみならず、一般の働く人に適正な俸給が與えらるべきことを努力いたしておるのであります。ただ経済の面からこれにも一定の制約があり、そうして適正ということも実は相当に幅のあるものでありまして、実は現実の経済の状態、又他の働く人々との関係等をも顧慮した彈力性を持つたものとして考えられなければならんのではないかと存じておる次第であります。教職員につきましては、在來官吏に比べて非常に劣つた部面もあるというようなことが問題になつておつたのでありますが、この点におきましては、昨年でありましたか大体官吏と同じ基準に置くという方針が決定したのであります。併し他面におきましては、教職員の人々は経歴の上から言いまして、筋肉労働者の方々よりは高い経歴を持つておられるという点もある。この点は十分顧慮されなければなりませんが、同時に筋肉労働に從事して、日本の今日非常に必要とされておるこの重点産業におる人々についてもいろいろ考慮しなければならん部面もあるのでありまして、而も又筋肉労働者と、いわゆる知識労働者とが非常に大きな差を持つような方向よりは、段々とこれに接近するような方向が取られなければならんというような事態もあるのでありまして、こういう点でこれらの全体を考えながら、実は而も彈力性を持つた形において適正の線に副いたいと考えておるのであります。殊に大学の先生方に取つてはなかなか生活の苦しい方もあることをよく存じておりまして、勉強についてもそれがために思うように行かない人々があり、これでは一面教育が民主化されましたけれども、文化の水準が高まるという点に欠陥がありはしないかということをひそかに心配いたしておりまして、いろいろ考慮をいたしておるのであります。
 それから教職員のゼネストの問題についてのお話がございましたが、私個人といたしましては、政治的ゼネストという形で行われるストライキというものは、今日の日本の事態においては望ましくないものであると存じております。併し他面労働組合が教職員の間に結ばれておるといたしますれば、他の労働相合におけると同じような経済的な罷業権は存するということも認められなければならんと存じます。ただ新らしい公務員法の制定があり、それと共に教育の身分はどう定めるかという点、この問題が更にもつと具体的に決定されなければならんと存じておるのであります。これは教職員の身分を考える時に、更に考究をいたしたいと思つておるのであります。尚よく地方に行つて組合員と話し、教育の現在の事態をよくするようにというような御注意もありまして、これは誠に御尤もなことでありまして、私も地方に参りまする度に、実は教職員の人々とは必ずお会いをして、忌憚なき御意見を聽き、なかなか強い要求も始終承わつておるのでありまして、この点は私は許す限りにおいては非常に努めておる者でございます。
 それから三十一億の予算のみならず、新学制の実行の上には、綜合的な全面的な年次計画がなければならんという岩間委員のお話は誠に尤もでありまして、私共もそのように努力をいたしておるのであります。 そうして三十一億というものも、ただ出鱈目に行き当りばつたりに要求したのではなくて、年次計画の一つの現われとして私共は要求しておるのでありまして、この点は誤解のないようにお願いいたしたいと思うのであります。一定の計画を持ちながら、それが今年度、殊に六・三制に現われた形において、明年度の自然増加の数についての最小限度として現われたものであつて、ただその時時の行き当りばつたりの額ではないということを御了承を願いたいと思うのであります。尚ての基礎になつた自然増加の生徒数については、教職員組合でも正確にお調べになつておるということで、私共は感謝しておるのでありまして、当局で調べました数と比較した上、更にいろいろ考究すべきだと存じております。ただ六十八万というものは根も葉もないことであるという仰しやり方は、多少誇張に過ぎたのでありまして、大体それに近いものであると私共は存じておるのであります。大体まあ幹はあると思つております。
 それから尚矢野委員から、どうももう少し元気を出してやれというお話で、御激励は誠に御尤もでありまして同時に私共は教育の必要ということは強く確信しておるのでありますが、それが現在の事態に実行し得るような形で、安本並びに財務当局との了解を得るということも亦大事なのでありまして、ただ完全な要求を、高い数字を掲げただけでは、実際の交渉の場合にはなかなか通りにくいのであります。私共は安本の人、又財務当局にも一應納得されるようなものを以て、而もそれを強く主張するという形で行きたいと思つたのであります。いろいろ教員についても、施設についても、完全な実施ということを以てこれをやらなければ駄目だということで、これもいいのでありますが、例えば六・三制の場合でも、百五十億というものを掲げて、これをやらなければいかんということで行つては、なかなか話が付かないのであります。確実なところをしつかりと主張するというような方針で行つたのでありまして、その点御不満足であつたかとも存じますけれども、御了承を願いたいと思うのであります。
 尚お前はどうも諦めたらしいということでありましたが、これはちつともそうではないのであります。私は事態を隱さずに、正直に、こういう状態にあるということをお話し申したのでありまして、只今安本長官も言われたように、恐らくは大藏大臣もおられれば言われたように、総理もあのように言われたように、この六・三制は、この内閣の重要な基本の政策の一つであるという建前から、これを貫徹するように私共はあらゆる努力をいたしておりまするので、貫徹されるということに強い希望のみならず信頼をも持つておるのでありまして、この点非常に不安であるような心持を持つておるわけではないのであります。尚いろいろその年次計画等の詳しいことにつきましては、他の機会に、事務当局の考えも入れて御説明いたす機会があると思いますので、只今は申上げません。いろいろ各委員方のお言葉を承わり、私共もそう信じておるのでありまして、あらゆる努力をいたして当初の予算の貫徹いたすように骨折りたいと思うのであります。皆さんが御鞭撻、御激励下すつたことを感謝いたしますると共に、尚まだ確実にそういう事態に至つたのではございませんから、皆さんにおかれましても、日本の新らしい教育を貫徹するということで、内閣を助けるということではなく、その意味で、十分この最小限度の要求が通るように御協力頂くことをお願いいたしたいと存ずるのであります
#65
○水谷昇君 六・三制の本日の議題については、大体もう盡きたようでありますが、この際私、緊急にして而も教育の民主的な機会均等に非常に関係の深いことで、具体的の問題があるのであります。殊に参議院議員の各位もお見えになりますので、ここに僅かの時間でありますから、お許し願いたいと思います。よろしうございますか。
#66
○会長(田中耕太郎君) どうぞ。
#67
○水谷昇君 それは過日も私共の委員会の時に文部当局にお伺いしたのでありますが、專門学校程度以上の学生が、今日食糧事情の困難なのと、それから住宅の困難のために、成るべく出身地の近くの学校に轉校を許して貰うことはできないかということをお尋ねしたのでありますが、当局は、そういう事情であれば、両方の学校の校長の了解によつて轉校をすることは認めると、こういうお話であつたのであります、これを具体的に一つお聞きを願いたいのは、横濱の経済專門学校に在学しておるのでありますが、これは昨年中学校の四年生から受驗をいたしまして、都合好くパスしたのでありますが、昨年も途中で食糧の補給が非常に困難になつたので、一時休学をいたしまして、今年、一年遅れて修業をしておつたのでありますが、夏休み過ぎて九月、又下宿へ戻つて参りますというと、下宿の人が、下宿賃の マル公 が千二百円になつたと、それから白米を九升持つて來て貰いたいと、それはすでに配給は取つておるのでありまして、その上に マル公 が千二百円になつて、そこへ白米を九升こういう要求であります。そこの家庭は床屋さんでありまして、子供の教育には非常に熱心でありますが、お金の問題はそれでよいが、ところが米九升を始終運ぶということについては、まあ工面をして米を求めるのはそれでよいとしても、これを持つて來る輸送について、政府で許可をして貰えばよろしいが、そういう許可をして貰うことができないので、途中で引つかかつた場合には何ともしようがない。こういうふうではとても続けて学校へやるわけにいかんというので、轉校を願い出たのでありますが、当局のお話では、そういう事情ならば轉校をさしてもよいと、こういう方針だということでありましたので、その旨を私は本人の方へ通知してやつたのでありますが、先方の学校の教頭さんの言われるのには、文部省の方針はどうだと、その葉書を持つて行つて示しましたところが、これではいかんからその方針を書いて持つて來いと、こういうことであつたので、私は過日又、甚だ御迷惑でありましたが、日高教育局長にその旨をお傳えいたしまして、水谷議員から質問の件は校長が事情が適当であると認めれば轉校を許してよろしいと、こういう方針だという答弁をしたことは間違いない、こういう名刺を頂いたので、それを先方に届けたのでありますが、それを教頭の所へこういうふうだと言つて持つて行つたのでありますけれども、教頭は大変困つておつたそうでありますが、これが校長の名前で來ておると大変都合が好いのだがというようなことを言つておつたそうでありますが、結局協議会で相談をした結果、入れないということになつた、こういうことで、誠に御心配をかけたが、残念でありますが、もう私は止めますと、こういうふうに言うて來ておるのでありますが、私はそれを聞いて、教育の民主化、教育の機会均等をやかましく言つておる今日に、こういう事情であつて而もその学校には欠員があるのだと、横濱の方では六人も欠員を補充しておる、一方の方では欠員があつても補充しない、こういうような事実があるのでありますが、私といたしましては、こういうようなふうに今日政府が勤労者に対して千八百円ベースを堅持しておるというような場合に、学生の一月の賄費が現金で千二百円、白米を九升その他にまだ配給を全部受けておるというような、こういうことであつては、到底私は教育をさせることができないと思うのでありますが、聞くところによりますと、そういうような状態にある家庭が非常に多いように聞いておるのであります。でありますからぼつぼつ退学をするような者がある、こういう実情に対して私はできるだけ便宜を計つてやつて然るべきであると、かように私は存ずるのでありますが、この際文部大臣の御意見を一つお伺いいたしまして、その上で更に御質問申上げたいと思います。
#68
○國務大臣(森戸辰男君) お答えします。今の御質問でありますが、誠に御尤もなことでありますが、同時に学校の入学等は校長が取扱うことになつて、文部省が直接に指示はしないことになつておるのであります。從つて両校長の間で話が纏まるということでないと、現実の問題は解決はできないと思います。ただ文部省といたしましては、こういう今日の事態の下でそういうふうな人々が地方の学校に轉学するというようなことは望ましいことであるから、できるだけそういうような取扱いをすることが望ましいということを、地方の学校に通達するということはできると思います。
#69
○水谷昇君 それでは今までに文部省の方からそういうような今日の時勢に鑑みて、そういう方針をお示しになつていないのでありますか。これからお示しになられるのでありますか。そういうことが若しすでにもう指示してあられるということになれば、私は文部省の方針はどうだろうということを言われることもなかろうし、又そういうことを尋ねられて文部省の方針を示した場合に、それなら入れても差支えないだろうと思います。たといこれが欠員が少くて志望者が多い場合には、簡單な試驗をして成績のいいのを入れたら、それで希望者は成績が悪くつて入れないという工合ならば、これは満足するのでありますが、二年もかかつて勉強して、行きたいという希望であるにも拘わらず、そういう事情からやれない、更に止めてもう一遍名古屋なら名古屋の方を受驗しようかということになると、三年がかりで始めなけばならんということになつて、教育の民主化、教育の機会均等という点から言うと、誠に私は遺憾だと思うのであります。できることでありましたら、文部省の方でも一つそういう意味合を強く指示して頂いて、今までの官僚的な考えが教職員にあつたら、それをよく善導して、民主的な考え方に指導して頂くようにして頂きたいと希望いたします。
#70
○松野喜内君 私は文部当局に対してこの衆参合同の審議会において特に提案申上げたいのは、こうして同僚が熱心に國民の教育についてお互に審議するについては、六・三制を実施するについての教育内容の研究標準といつたようなふうに、教育内容の上から、この議事堂近くに、眼のあたり実際の状況が見えるようなところの、内容を研究する機関が欲しい。例を言えば永田町小学校にしろ、東京都立第一中学にしろ、そういう足下近くで実見学ができると思います。大した予算も要らず、そうして議員総がかりで全國に亘つてそういうことをして貰いたいという希望を持つております。そういうことを提案しますから善処して頂きたい。
#71
○國務大臣(森戸辰男君) 今のお話は至極御尤もでありまして、できるだけそういうように取計らいたいと思つております。事務当局と、いろいろな事情もあるでしうから、そういうようなことを勘案した上で、できればそういうようにいたしたいと思います。
 それから水谷委員のお話の件でありますが、これは終戰直後各学校にそういう通達が行つておるそうであります。それがどうも十分に徹底していない節もあるので、これは改めて徹底させるようにいたしたいと思つておるのでありますが、省としては終戰直後、お申しになつたような事情を考えて、そういうふうな措置は取つてあるのだそうでございます。
#72
○伊藤恭一君 衆参合同委員会において質問いたし檢討しておられるのでありますが、今日の合同審査の大体の事項は済んだようでございますから、本日はこれを以て散会せられんことを希望いたします。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#73
○委員長(田中耕太郎君) それでは御動議に御賛成がありましたから、今日はこの程度にいたして置きます。これにて散会いたします。
    午後三時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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