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1991/10/01 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第9号
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1991/10/01 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第9号

#1
第121回国会 厚生委員会 第9号
平成三年十月一日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月一日
    辞任         補欠選任
     田代由紀男君     合馬  敬君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田渕 勲二君
    理 事         西田 吉宏君
                前島英三郎君
                竹村 泰子君
                高桑 栄松君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                合馬  敬君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                宮崎 秀樹君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                浜本 万三君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                勝木 健司君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
   政府委員
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  小林 康彦君
       厚生省薬務局長  川崎 幸雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    石附  弘君
       警察庁刑事局保
       安部薬物対策課
       長        鎌原 俊二君
       法務省刑事局青
       少年課長     古田 佑紀君
       外務省国際連合
       局社会協力課長  鈴木 一泉君
       大蔵省関税局監
       視課長      角崎 利夫君
       大蔵省銀行局銀
       行課長      福田  誠君
       文部省体育局学
       校健康教育課長  富岡 賢治君
       自治省財政局調
       整室長      香山 充弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物
 処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律
 案(第百二十回国会内閣提出、第百二十一回国
 会衆議院送付)
○麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法
 律案(第百二十回国会内閣提出、第百二十一回
 国会衆議院送付)
○国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を
 助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向
 精神薬取締法等の特例等に関する法律案(第百
 二十回国会内閣提出、第百二十一回国会衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○竹村泰子君 それでは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律につきまして、確認的な質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、市町村の実施体制の強化ということですけれども、政府案は、市町村に一般廃棄物処理計画の策定を義務づけ、その計画には排出の抑制のための方策に関する事項や、分別して収集するものとした一般廃棄物の種類及び分別の区分など六項目が必要不可欠な記載事項とされました。
 そこでお尋ねいたしますが、以上の結果、市町村はごみの減量化を図る義務及び分別収集を実施する義務を負うようになったと理解してよろしいでしょうか。また、減量効果のある分別収集として資源ごみの適切な分別収集が間接的に義務づけられたものと理解してよろしいでしょうか。
#4
○国務大臣(下条進一郎君) 市町村は、一般廃棄物処理計画に排出抑制、分別収集等を記載しなければならないこととなっていることから、今後市町村におきましては、一般廃棄物処理計画に記載されたところに従いまして、排出抑制、分別収集等を実施しなければならないことになるわけであります。
#5
○竹村泰子君 そうですね。
 収集、運搬業務を担う作業員についてお伺いをしたいと思います。
 二人以上で作業せよとの趣旨が明記されたいわゆる安全マニュアルについて、第一に、これは全国都市清掃会議のではなく、政府のマニュアルと考えてよろしいのでしょうか。
 第二に、ごみの収集運搬車一台当たりの作業員の実情は、ただいま平均二・六人とこの審議の中で答弁されておりますが、今後これを改善するよう努力するとお約束をしていただけますでしょうか。
#6
○国務大臣(下条進一郎君) 御指摘のように、いわゆる安全マニュアルは厚生省が取りまとめたマニュアルでございます。
 ごみの収集、運搬に携わる作業員の改善につきましては、厚生省といたしましては、交付税の要望を行う際にできるだけ努力したいと考えております。
 いずれにいたしましても、廃棄物処理事業における安全の確保は事業運営上の最優先事項でありまして、今後とも関係省庁とも協力いたしまして、労働災害の一層の防止に最大限の努力を傾注してまいる所存でございます。
#7
○竹村泰子君 いい答弁をありがとうございました。
 それでは次に、マニフェスト制度の見直しなどについてお伺いしたいと思います。
 厚生省は、マニフェスト制度を特定管理廃棄物に限った理由について、諸外国でも有害廃棄物に限られているからと答弁されてきました。しかし、諸外国には建設廃材などの大規模な不法投棄が日本のように頻発している国はありません。したがって、政府はマニフェスト制度の運用においても、また適用範囲に関する今後の見直しに当たっても、あくまでも日本の実情に応じた措置をとることを約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#8
○国務大臣(下条進一郎君) 特別管理産業廃棄物以外の産業廃棄物につきましては、従前から行政指導によりまして行っておりますマニフェストの普及、定着に努め、その状況を踏まえまして法制
度の適用範囲についてさらに検討をしてまいりたいと考えております。
 その際、御指摘のように建設廃材などの不法投棄が発生している実態を十分に踏まえ検討してまいりたいと存じます。
#9
○竹村泰子君 お約束していただけますねと私はお聞きしましたが、大臣の今のお言葉、信じてよろしいですね。
#10
○国務大臣(下条進一郎君) はい。
#11
○竹村泰子君 ありがとうございます。
 それでは次に、特別管理産業廃棄物管理票について、法律上排出事業者及び処理業者がこれを保存しなければならない義務が明記されておりません。これは今後の課題として次期通常国会での法改正に向けてぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#12
○政府委員(小林康彦君) 特別管理産業廃棄物管理票制度につきましては、必要な基本的事項はすべて法律上規定されており、排出事業者及び処理業者はそれらの規定上管理票を保存しなければならないこととなりますので、それを前提として厚生省令で保存期間を定め、必要に応じて都道府県知事が報告徴収や立入検査で管理票を確認できるようにしたいと考えております。
#13
○竹村泰子君 今の御答弁では、厚生省は管理票の保存義務が法律に書かれているという前提に立っておられるようですが、一体第何条の第何項に書かれているのでしょうか。該当箇所を読み上げてください。
#14
○政府委員(小林康彦君) 改正法の第十二条の三の第六項でございまして、特別管理産業廃棄物、ここからでございますが、「管理票に関し必要な事項は、厚生省令で定める。」こととされております。特別管理産業廃棄物管理票の交付、回付など基本的事項については法律に定めてありますので、これらの規定に基づき管理票を交付しまたは回付された者は、当然に一定の期間その管理票を保存することが予定されているものと解しております。
#15
○竹村泰子君 今部長のおっしゃいました第十二条の三の第六項というのは、「前各項に定めるもののほか、管理票に関し必要な事項は、厚生省令で定める。」と書いてあるだけなんですね。どこに保存義務があると書いてあるんですか。
#16
○政府委員(小林康彦君) 「必要な事項」の中に保存に関する事項が含まれていると解しております。
#17
○竹村泰子君 要するに、こういうことですか。第一に、改正法の上では保存義務は明文化されていない。これはよろしいですね。どこにも保存義務があるとは書いてありません。それはいいですね。
 第二に、厚生省は、改正法第十二の三第六項を根拠として、省令によって施行規則として保存期間を定める方針だから、政府から見てそれが法的な義務となるとおっしゃるのですね。
 第三に、この第六項については知事の勧告権は及ばないのを初め、省令による保存期間を守らせようとしても強制的な裏づけは改正法には何もない、おおむねこのように理解してよろしいですか。
#18
○国務大臣(下条進一郎君) 特別管理産業廃棄物管理票につきましては、今委員が確認されましたように、保存期間の問題に関しましては規定はないものですから、このことにつきましては厚生省令で規定する方針であります。ただし、それについては罰則を伴うものではないということでございます。しかしながら、法律による罰則を伴う都道府県知事の報告徴収、立入検査の制度がありますので、これによりまして、必要に応じ管理票の保存に関して排出事業者、処理業者を指導することができるわけでございます。
#19
○竹村泰子君 私、先日の質問でもそのようにお尋ねをいたしました。保存義務が法律の中ではどこにも書かれていない。それをあたかも保存義務があるかのように省令の上で思わせるというか、これは私は非常に巧妙なやり方だと思うんです。
 なぜここにこんなにこだわるかといいますと、いわゆる特別の管理産業廃棄物がもう既にあちらこちらで大きな被害を出しているからなんです。ですから、これを何とかしなければ環境を守れない、住民の暮らしを守れない、健康を守れない、私たちは非常に強い危惧を覚えているわけなんです。ですから、このマニフェスト制度できちんとだれが出したごみなのか、そしてどこに責任があるのか、原状回復のためにはどこがどうしなければならないのか、そういうことがきちんとできるようにしたい。そのためにこんなにこだわり続けているのです。
 私は、先日の質問のときにも伝票の保存義務を政省令で定めることはできないはずですと申し上げました、厚生省の答弁は法治主義という基本原則に反するのではありませんかと。ここが立法府だということをわきまえてください、立法府の一員でもある厚生大臣の御所見はいかがですかと、この前お聞きをいたしました。もう一度お尋ねします。大臣、いかがですか。
#20
○国務大臣(下条進一郎君) 今おっしゃいました管理票の問題でありますけれども、その具体的な取り扱いにつきましては、法律の体系の中で省令で定めるのが適当であるということで、保管の手続等をそこに細かく規定するわけであります。
 ただ、それについて委員の御指摘のように、裏打ちが本当にできるかどうかということにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、現行の法律の中でその事態の指導をするために都道府県知事は立入検査等も行えるということでありますので、行政指導の力と申しますか、行政指導によりまして具体的に適切に処理できるように指導してまいりたい、こういうことでございます。
#21
○竹村泰子君 大臣のお気持ちはとてもよくわかるんですが、私も法律の専門家ではありません。ですから、法律の専門家の御意見を幾つか聞いてみました。省令で義務を定めることはできないんです。国民に義務を定めるのは国会だけなんです。違いますか。保存義務を省令で書くことは法律的にはできないんです。大臣、そして厚生省の皆さん、はっきりとこれはわかっていていただきたいと思います。今御答弁を求めても同じような御答弁が返ってくるのはわかっていますから、もうこれ以上聞きませんけれども、これだけはわかっていてください。省令でそうやって国民に義務づけることは今後一切やめていただきたい。それがどんなことになるか、国会を通過しないで国民に義務を押しつけることはできないのです。
 今の答弁では不満と疑問が非常に多く残りますが、時間の関係もありますので、次期通常国会での法改正に向けてぜひ検討していただきたいと思います。
#22
○国務大臣(下条進一郎君) 法律はいわゆる国民の権利義務を基本的に規定するものであることは、委員御指摘のとおりでありますが、その中で個々の問題にわたりまして指導的な部分に関しては省令等で定めることができるわけでありまして、ここで御説明いたしましたのは、管理票の保存期間のことについて省令で個々に指定するということでございます。そこまではいわゆる法律事項としては必ずしもなじまないと思います。ただ、省令で制定する場合には罰則を伴うことはできませんので、その程度の制度の補完をするという意味での省令の制定だと、このように私たちは解釈しておるわけでございます。
#23
○竹村泰子君 大臣の御答弁、今の段階でそうおっしゃるしかないと思います。これは次に譲りたいと思いますので御記憶ください。マニフェスト関連でもう一問お伺いいたします。
 それは、改正法が九カ月以内に施行され、特別管理廃棄物を対象としたマニフェスト制度が本格的に実施されるまでの間は、地元の方々が非常に不安に思い反対運動が起こっているような場合、水道水の水源地や国立公園、国定公園などに産業廃棄物の最終処分場をつくらせないように行政指導するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#24
○国務大臣(下条進一郎君) 産業廃棄物の最終処分場の設置に際しましての国民の安心感、信頼感を確保することは重要な課題であると考えております。そのため、改正法案では設置を届け出制から許可制に改めるなど、各般の施策を講じることとしております。今御指摘の改正法が施行されるまでの間につきましては、最終処分の基準を遵守させるべく最終処分場への搬入物管理を徹底させるなど、現行法の規定の厳格な適用に努めまして、産業廃棄物の適正処理の確保に万全を期してまいる所存であります。
#25
○竹村泰子君 今のお答えでは、施行されるまでの九カ月以内に行政指導してくださるかどうかちょっとはっきりしないんですけれども、例えば一つの例ですが、鳥取市民の水源地である千代川の上流、袋川流域、ここは国定公園の中なんですけれども、ここに産業廃棄物の安定型処分場二千四百平米の建設が予定されておりまして、これに対して連合鳥取を初め地元の皆さんが反対の声を上げているんです。有害廃棄物にマニフェスト制度が適用されていない現段階では、ここにどんな廃棄物が搬入されるかわからない。住民が非常に不安に思っておられますし、二十数万の人がこの水を飲むんです。ですから、ぜひひとつきちんと行政指導をしていただきたい、御検討をいただきたいと思います。
 時間がないのでちょっと御返事をいただけませんけれども、次に二問お聞きをしたいと思います。
 原状回復のための方策、廃棄物が不法に処分された場合における適切かつ迅速な原状回復のための方策について、今後政府が総合的に検討する場合、何といっても責任の所在及び費用負担のあり方がその中心的課題であることを率直に認めるべきではありませんでしょうか、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(下条進一郎君) 不法に処分された廃棄物の原状回復は極めて重要な課題でありまして、今後適切かつ迅速に原状を回復するための方策につきまして、さらに検討を深めたいと考えております。
 不法に処分された廃棄物の原状回復のための方策につきましては、検討する場合には行政措置、民事上の賠償責任、費用負担等のあり方について幅広い見地から、総合的な検討を行うことが必要と考えておりまして、御指摘の責任の所在及び費用負担のあり方は検討の重要なポイントと考えております。
#27
○竹村泰子君 次に、廃棄物処理センターの公共性の確保についてお伺いいたします。
 廃棄物処理センターの設置に際して、地方公共団体が合計二分の一以上出資することによってその経営権を掌握し、公共性の高いセンターにしようというケースが出てきた場合、政府はこれを望ましいとの立場からできるだけ支援するように努めていただくと期待してよろしいでしょうか。これは自治省もお答えいただきたいと思います。
#28
○国務大臣(下条進一郎君) 廃棄物処理センターにつきましては、その性格上公共性、公平性の確保が重要であると理解しているところであります。したがいまして、御指摘のようなことを含め地方公共団体が廃棄物処理センターの整備等に積極的に取り組まれることは歓迎すべきものと考えております。
 廃棄物処理センターにつきましては、廃棄物処理をモデル的に行う施設として整備してまいりたいと考えておりまして、そのため融資制度の導入等必要な支援措置が講じられるよう努力してまいりたいと考えております。
#29
○説明員(香山充弘君) センターに対します地方団体の出資割合でございますけれども、これは産業廃棄物の処理責任がどこにあるかという問題と深い関係がございますので、私どもの方は、国の方から制度的に、例えば地方団体に五一%以上の出資を義務づける、そういったことは適当でないと考えておりますけれども、逆と申しますか、地方団体の方がみずからの判断で、要するに一般廃棄物の処理の方のウエートが極めて大きいとか、そういった理由で二分の一以上出資されるというのは、これは一向に差し支えないことでございまして、そういう地方公共団体の自主的な取り組みに対しましては、自治省としても必要な財政支援措置を講じてまいる考えでございます。
#30
○竹村泰子君 もう時間がありませんので、終わりたいと思いますが、最後に一つ、これは通告をしておりませんが、けさの新聞なんです。
 町田市が、水銀を含んだ使用済み乾電池、これを製造者の責任で処理すべきなどの理由で、全国でただ一つメーカー側に処理費用の負担を求めて保管し続けてきました。七七年九月から全国に先駆けて分別収集を始めて、八七年二月からこれをずっとため続けて五百三十九缶、百四十七トンになった。それと野積みの二百八・九トンの乾電池を今保管しているそうであります。厚生省はこのことについてどう考えられますか。また、日本乾電池工業会に費用負担などの再検討を求めていたわけですけれども、しびれを切らして、結論が出ないままついに北海道のイトムカに運ぼうか、処理をしようかということになったのだそうですが、もう一度厚生省それから日本乾電池工業会、それから行政側、市の三者がきちんと話し合いの場を設けて、こういった先駆けて一生懸命分別をやってくれた行政に対しての何と申しますか、誠意を見せていただきたい、そのように思いますが、部長いかがですか。
#31
○政府委員(小林康彦君) お話しの使用済みの乾電池につきましては、六十年七月に生活環境審議会の中の専門委員会の報告に基づきまして、そこで示されました基本的な考え方、「他のごみと合わせて処理しても、生活環境保全上特に問題となる状況にはないこと。」、事業者によります回収、水銀含有量の低減化等事業者において措置することが最も妥当である、こういう示された考え方に従いまして今日まで指導してきたところでございます。
 この結果、水銀電池の代替電池への切りかえや乾電池中の水銀含有量の低減化が着実に推進されることと考えておりまして、今後ともこれらの推進状況を踏まえて対処してまいりたいと思っております。
#32
○竹村泰子君 時間がありませんので、これ以上追及はいたしませんが、ぜひ新しく出てきたこの事実に目をつぶらずに、どうかひとつ誠意を持って対処していただきたい、お願いを申し上げて終わります。
#33
○高桑栄松君 それでは、私の質問をさせていただきます。
 まず最初に、現在厚生省は適正な処理が困難な廃棄物につきまして、いわゆる製品アセスメントを行政指導の形で行っているわけでありますが、どのような成果が上がっているのか。その有効性、効果、そして問題点についてお伺いをしたいと思います。
#34
○国務大臣(下条進一郎君) 厚生省におきましては、事業者による製品等の廃棄物処理困難性自己評価のためのガイドラインを定めまして、事業者による自己評価の推進に努めてきたところでありまして、これに沿って製品に関する自己評価が行われた事例も数例あると承知いたしております。
 しかしながら、現状ではその実施が十分に徹底していない状況にあるため、今回の廃棄物処理法の改正案では、事業者の国、地方公共団体の施策に対する協力の規定や、厚生大臣から事業所管大臣への要請の規定を設けまして、必要に応じてこれらの規定を活用するなどにより、製造業者等における廃棄物処理の観点からの製品等の評価が一層推進されるよう指導してまいりたいと思っております。
#35
○高桑栄松君 それでは次に、政府は事業者が製造、加工、販売等に際して、みずから行う困難性の評価の仕方、方法についてガイドライン等を提示しているわけでありますが、それだけではなくて評価の活用状況や実施状況について細かくチェックする体制を確立することが必要であると考えますが、具体的にはどのように対応しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
#36
○国務大臣(下条進一郎君) 事業者による製品等の自己評価を真に実効あるものとすることは、廃棄物の適正な処理の円滑な遂行を図る上で極めて重要なことと認識いたしております。このため、改正法案の諸規定を十分に活用いたしまして、関係省庁の協力も得て、事業者の自己評価が適切に推進されるよう努めるとともに、その実施状況の把握にも努めてまいる所存であります。
#37
○高桑栄松君 次に、適正な処理が困難とならないよう事業者は製品、容器等の開発を行い、また消費者、使用者に対して適正な処理の方法に関する情報を提供することが重要であると考えますが、具体的にどのような情報を、どのようにして提供できるのか、明らかにしていただきたいと思います。
#38
○国務大臣(下条進一郎君) 事業者が消費者等に対しまして、分別、排出など廃棄物が適切に処理されるための情報を的確に提供することは、委員御指摘のとおり極めて重要なことであると考えております。改正法案では、厚生大臣から事業所管大臣に対しまして、製品、容器等に処理方法等を表示させること、その他必要な措置を講ずるよう要請できる旨の規定を設けたところでありますので、その活用により消費者等に適切な情報が適切な方法で提供されるよう努めてまいる所存でございます。
#39
○高桑栄松君 現在、厚生省が掌握している産廃排出量など産業廃棄物に関するデータは、五年に一度の全国調査によるものであると伺っておりますが、最新のものは昭和六十年度ということになります。これでは急激にさま変わりしつつある産業廃棄物の排出の実態、最終処分場の残余容量及び中間処理の実態等がつかめないと思います。毎年データを把握するのが当然であると思いますが、いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(下条進一郎君) 産業廃棄物に関します情報の整備につきましては、産業廃棄物行政を推進する上で極めて重要なことであると考えております。このため、法改正を機に産業廃棄物についての実態調査をより頻回にかつ詳細に行う方向で検討いたしました。また、調査方法等につきましても、より確度の高い結果が得られるよう慎重に検討し、また積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#41
○高桑栄松君 次に、マニフェストの関連ですけれども、マニフェスト制度の適用範囲につきましては、有害廃棄物の越境移動及びその処分の管理に関するバーゼル条約に規定されている現在四十五種類の有害物質まで広げていくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
#42
○国務大臣(下条進一郎君) 改正法に基づきますマニフェストの適用範囲につきましては、特別管理産業廃棄物のみとしておりますけれども、特別管理産業廃棄物以外の産業廃棄物につきましては、従前から行政指導によりまして行っておりますマニフェストの普及、定着に努め、その状況を踏まえて法制度の適用範囲についてさらに検討してまいりたいと考えております。
 今御指摘のバーゼル条約の廃棄物リストに掲げられている廃棄物につきましては、年次計画を策定いたしまして調査を行った上で、必要なものを特別管理廃棄物と指定したいと考えております。
#43
○高桑栄松君 このマニフェスト制度につきましては、生活環境審議会の答申にありますように、不法投棄などにつながりやすい廃棄物、例えば建設廃材などが挙げられておりますが、こういうものについても将来的に適用範囲に含めていくべきであると思いますが、政府の認識はどうであるか、お伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(下条進一郎君) 特別管理産業廃棄物以外の産業廃棄物につきましては、従前から行政指導によって行っておりますマニフェストの普及、定着に努め、その状況を踏まえまして法制度の適用範囲についてさらに検討をいたしたいと考えております。その際、御指摘のように建設廃材などの不法投棄が発生している実態を十分に考慮の上検討してまいりたいと考えております。
#45
○高桑栄松君 不法投棄の原状回復が大変問題だと思いますが、原状回復の方策につきまして、今後多方面から総合的に検討していくことが必要であると思われます。そのためには、まず第一に不法投棄の原状回復の実態についてさらに詳しく把握して、そのデータに基づいて検討を進めるべきものであると考えます。御所見を承りたいと存じます。
#46
○国務大臣(下条進一郎君) 不法に処分されました廃棄物の原状回復は極めて重要な課題であり、またそのためには現状を正確に把握することも重要でございます。今後、適切かつ迅速に原状回復するための方策につきまして、行政措置、民事上の賠償責任、費用負担等のあり方につきまして、幅広い見地から総合的な検討を深めたいと考えております。この検討を行う際、基礎となるべき不法投棄やその原状回復の実態等につきましては、今後ともその把握に努めてまいる所存であります。
#47
○高桑栄松君 私の質問は大体以上で終わりますが、御答弁を承っておりますと、努力をする、検討をするというのが大変多いので、安心していいのかやっぱり疑っていいのかちょっとこの辺がわかりませんが、しかし大臣の御答弁でございますので、しっかりやっていただけるものと確信をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#48
○沓脱タケ子君 それでは、短時間でございますので、問題点を一つに絞ってお伺いをいたしたいと思います。
 大規模なプロジェクトというのは大量の廃棄物を出すというのは当然でございます。私は、これは計画段階から廃棄物の計画をさせるべきであると考えます。つまり、廃棄物の減量化の処理の方法について、プロジェクトの計画段階から廃棄物の計画をもつけて提出をさせるのが最も望ましいと考えるわけでございます。
 現に、千葉の有名な幕張メッセでは、イベントなどのときに大量のごみが出て松戸市が大変困ったというのがマスコミでも喧伝をされたことがございました。当然だと思うんですが、その都市の処理能力を上回るような廃棄物がどんと出されたら、これはもう大変なことでありましょう。したがって、市町村が、大型プロジェクトができた、そして廃棄物に対応できないというようなことでまさに後の祭りになって大慌てにならないためにも、せっかくの法改正でありますし、法改正や対策が当然必要だと考えるわけでございますが、御見解をお伺いしたいと思います。
#49
○政府委員(小林康彦君) 大規模プロジェクトにつきましては、計画策定の段階から廃棄物処理を考えて立案をいたし、排出事業者が責任を持って処理することが重要であると認識をしております。
 今回の改正法案におきましては、市町村及び都道府県はそれぞれ一般廃棄物処理計画、産業廃棄物処理計画の中に廃棄物の発生量の見込み等を盛り込むようになっておりますことから、計画の策定に当たりましては、多量の廃棄物が排出される可能性のある大規模プロジェクトについて、その内容を十分把握することが求められているものでありますので、市町村あるいは都道府県に対し、関係部局とも連絡をとりながら、大規模事業者に対し必要な協力を求めるよう指導してまいりたいと考えております。
 さらに、工場、住宅団地などにおきます多量の廃棄物を排出する事業者に対する一般廃棄物の減量計画、産業廃棄物の処理計画の策定の指示などの規定を織り込んでおりまして、計画の実施段階においても大規模プロジェクトからの廃棄物の問題に対応できるようにしているところでございます。
 厚生省といたしましては、これらの規定を適切に運用いたし、大規模プロジェクトから排出されます廃棄物の処理の問題に対応してまいりたいと考えております。
#50
○沓脱タケ子君 法改正によって、今の御説明のとおり市町村も計画を立てなければならない、あ
るいは事業者に対しても計画の策定をさせるということが法律で規定をされております。しかし、それは個々の事業者であって、大型のプロジェクトの場合、全体として掌握をするということができないわけです。そういう点で見てみますと、民活法の認定のプロジェクト、これは今全国で五十カ所あるんです、幕張メッセもその一つでございますが、現に建設中あるいは計画中のものが五十カ所ございます。これらの計画には廃棄物処理の計画がその全体のプロジェクト計画の中に添付をされているのかどうか、そのことをお伺いしたいと思います。
#51
○政府委員(小林康彦君) 民活法の整備計画の記載事項、これは法律で列記されておるところでございますが、その記載事項の中には廃棄物の処理に関する事項は入っていないと承知をしております。
#52
○沓脱タケ子君 これは、中心的な認可をしておられる通産省が入っていないと言っておられますから、そのとおりだと思います。
 そこで、私大臣にお伺いをしたいと思うんですが、いったら家を建築してトイレの計画のない建設計画というようなものは今の社会ではナンセンスなんですね。大型プロジェクトの場合も同じだと思う。松戸市が大慌てになったようなことが繰り返されてはならないと思います。そういう点で、今後の計画には通産省を初め関係省庁への申請段階から廃棄物処理の計画を添付するということを、ぜひこの機会に通産大臣を初め関係大臣に厚生大臣から要請をされたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
#53
○国務大臣(下条進一郎君) 多量の産業廃棄物の排出が想定されますような、委員御指摘の大規模プロジェクトにつきましては、廃棄物処理を考えた計画が策定されることが必要であると考えております。
 このため、厚生省といたしましては、まず地方公共団体において大規模プロジェクトからの廃棄物の発生量等を把握した上で、適切な措置を講ずるよう指導に努めてまいりますが、また同時に、地方公共団体の関係部局間で情報交換等が円滑に行い得るように、必要に応じましては関係省庁に対しまして協力を求めることで対応してまいりたいと考えております。
#54
○沓脱タケ子君 私は、これはぜひやっていただきたいと思うんです。廃棄物について本気になって対応しておられるのは厚生省しかないんですね。通産省初めその他の省庁というのは、物をつくっていく、あるいは民活法でどんどんつくっていくということは考えるけれども、廃棄物のことを本気で考えるという立場にないんであろうと思います。そういう点では大臣からそういった点の問題提起、申し入れというのが大事であろうと私は思いますし、今の御答弁をぜひ実現できるようにしていただきたい。
 時間がありませんから、最後に。
 この法律が成立をした後、施行に当たってやっぱり考えなきゃならないと思いますのは、府県や市町村の廃棄物処理の計画、特に大型プロジェクトができるという計画はわかるわけですから、事前に廃棄物がどういう状態になるのかということを、府県や当該市町村が状況をキャッチするよう、意識的に注意を喚起するということを厚生省の指導として行われることが大事ではないかと思いますが、その点についてお伺いをしておきます。
#55
○政府委員(小林康彦君) 市町村及び都道府県が将来の廃棄物の発生量等を見込んだ上で、一般廃棄物処理計画あるいは産業廃棄物処理計画を作成するためには、大規模プロジェクトの計画を把握することが必要になるものと考えております。このため、厚生省といたしまして、廃棄物関係部局におきまして、大規模プロジェクトを所管する地方公共団体の担当部局との情報交換等が行われるよう関係方面に働きかけることにより、廃棄物の適正処理が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。
#56
○沓脱タケ子君 終わります。
#57
○粟森喬君 最終的に確認をする意味で、国庫負担のあり方についてお尋ねをしたいと思います。
 現行法の二十三条で国庫負担についてうたっていますが、最終処分場及び生活排水施設の国庫負担は、本来法律補助にすべきではないかと考えます。なぜしないのかということと、また、施設整備ができるような十分な予算を確保すべきではないかと考えますが、答弁を求めます。
#58
○国務大臣(下条進一郎君) 一般廃棄物の最終処分場につきましては、昭和五十一年の法改正によりまして一般廃棄物処理施設に加えられ、それに対する補助は予算措置として、委員御指摘のとおり続いておるわけでございます。また、生活排水処理施設や合併処理浄化槽につきましては、それぞれ昭和五十九年度、昭和六十二年度より予算補助が行われているところであります。
 それ以来、市町村が行うこれらの施設の整備につきましては、法律補助の事業と同様に国庫補助のほか、起債、交付税による地方財政措置を講ずることにより円滑に行われてきたことから、現時点では法律補助としなければ重大な支障が生ずるとは考えておりません。廃棄物処理施設の整備は重要であり、市町村の要望にできる限りこたえることができますよう、国の予算だけでなく、地方財政措置も含め必要な財源の確保に最大限の努力をしてまいる所存であります。
#59
○粟森喬君 今の答弁で確認をしておきたいと思いますが、この間、市町村から計画が出されても国庫負担、いわゆる国の予算が十分でないことによって具体化がおくれるというようなことが出てこないように、十分配慮をしてやっていただきたいということを要望して、次の質問に移らせていただきます。
 リサイクルについてでございます。今回の計画の中で減量対策が大きなメーンになっているわけですが、リサイクルについてのかかわりが各省庁ばらばらであります。通産省や建設省でもそれぞれ立てているわけですが、私どもは廃棄物の体系の中でやるべきと考えています。今後におけるリサイクルのあり方について政府の見解を求めたいと思います。
#60
○国務大臣(下条進一郎君) 廃棄物対策といたしまして、廃棄物の処理にとどまらず、排出の前段階からリサイクルを念頭に置いた社会経済システムを構築することが重要であります。廃棄物処理法の改正法案におきましては、廃棄物の減量化、再生利用を念頭に置いた規定を整備したところであり、今後、改正法案の趣旨に沿って関係省庁と連携いたしまして、国民の理解と協力を得ながら、一層のリサイクルの推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、再生資源であっても事実上廃棄物に該当する場合にあっては、廃棄物処理法で規制することとしておりまして、廃棄物の再生については廃棄物処理の体系の中に位置づけられるものと考えております。
#61
○粟森喬君 そうだとすると、リサイクルセンターの整備について厚生省がより主体的に、積極的にその促進を図るべきではないかと考えますが、答弁を求めたいと思います。
#62
○国務大臣(下条進一郎君) リサイクルセンターにつきましては、平成四年度の概算要求におきましても、ごみ減量化を進めるための組織づくり等のソフトの事業とともに、地域の実情に応じて減量化、再生のための施設整備のメニューが選べる補助金として廃棄物処理総合対策事業費等補助金を要求し、その整備促進を図ることといたしております。
#63
○粟森喬君 来年度以降そのことについて明確に方向性を出されたと思いますので、そういう意味で評価をしたいと思います。
 今後の問題として、処理に当たりまして、一般廃棄物の中の生活系といわゆるオフィスのごみというようなものも区分をしながら、この種のリサイクルセンターの利活用について十分検討していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#64
○勝木健司君 私も五点ほど確認の質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一点でありますが、廃棄物に関しては国民の皆さん方に対して啓発活動が重要だろうというふうに思いますので、積極的に啓発活動を展開していただきたいということと同時に、国民の廃棄物の減量化、またリサイクル活動に対して積極的な支援をしていくことを確約していただきたいというふうに思います。
#65
○国務大臣(下条進一郎君) 御指摘のように、廃棄物の減量化、再生利用を進める上で国民の果たすべき役割は大きいと認識しておりまして、改正法案におきましてもその旨明記されているところであります。
 平成四年度概算要求におきましても、地方公共団体が実施する廃棄物の減量のための啓発活動、住民団体の実施するリサイクル活動に対する支援等を行う廃棄物処理総合対策事業費等補助金を要求しているところでありまして、今回の法改正を機に国民の減量化、リサイクル活動の支援に一層努力してまいる所存であります。
#66
○勝木健司君 第二点目は、ごみの減量化、再生利用を促進するためにも、各地方公共団体におきますリサイクルセンターの設置推進を図るべきであるというふうに考えますが、どういう方策で進めていかれるのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。
#67
○国務大臣(下条進一郎君) 御指摘のリサイクルセンターにつきましては、平成四年度の概算要求におきましても、ごみ減量化を進めるための組織づくり等のソフトの事業とともに、地域の実情に応じて減量化、再生のための施設整備のメニューが選べる補助金といたしまして廃棄物処理総合対策事業費等補助金を要求し、その整備促進を図ることといたしております。
#68
○勝木健司君 次に、第三点でありますが、廃棄物が不法に処分された場合における原状回復の方策が大変大事でありますけれども、その原状回復のための方策のうちの排出者、原因者の責任についてどう考えておられるのか、見解をお伺いいたしたいというように思います。
#69
○国務大臣(下条進一郎君) 廃棄物処理法におきましては、御指摘のように、都道府県知事は不法投棄等の原状回復を原因者ばかりでなく、委託基準に違反した排出事業者に対しても命じることができることとなっております。また、この命令が履行されず、都道府県知事が行政代執行法により代執行を行った場合は、その費用を委託基準に違反した排出事業者からも徴収することができるものでございます。不法に処分された廃棄物の原状回復は極めて重要な課題でありまして、今後適切かつ迅速に原状回復するための方策につきまして、行政措置、民事上の賠償責任、費用負担等のあり方等につきまして、幅広い見地から総合的な検討を深めたいと考えております。
#70
○勝木健司君 次に第四点は、廃棄物処理センターの公共性、公平性の確保も重要でありますけれども、この公共性、公平性を確保するための具体的方策は何なのか、お尋ねしたいというふうに思います。
#71
○国務大臣(下条進一郎君) 廃棄物処理センターにつきましては、その性格上公共性、公平性の確保が重要であるという考えは委員と全く同感でございます。このため、センターの指定に当たっては、地方公共団体の関与の度合いを参酌して行うとともに、その運営が適切に行われるよう、廃棄物処理法その他の関係法令に定める監督権限に基づきまして十分指導してまいりたいと考えております。
#72
○勝木健司君 最後の五点目でありますけれども、最終処分場の確保についてでありますが、地域住民に受け入れられるためには、信頼性また安全を向上させることが必要だろう、そして同時に周辺対策にも十分意を用いるべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
#73
○国務大臣(下条進一郎君) 御指摘のように、地域住民に受け入れられる最終処分場を整備するためには、信頼性や安全性を向上させるとともに、周辺におきます生活環境の保全等に意を尽くすことが重要であると考えております。そのため、改正法案では民間の廃棄物処理施設の設置を届け出制から許可制に改めるとともに、周辺地域に対する配慮規定や施設の設置許可に際して条件を付することができる旨の規定を設けることといたしております。
 今後は、改正法の適切な施行により、最終処分場等の廃棄物処理施設の整備が円滑に行われるよう努めてまいる所存であります。
#74
○勝木健司君 終わります。
#75
○委員長(田渕勲二君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
 本案の修正について前島君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。前島君。
#77
○前島英三郎君 私は、本案に対し自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、修正の要旨を申し上げます。
 第一に、製造、加工、販売事業者等は、その製品、容器等が廃棄物となった場合における処理の困難性についてあらかじめみずから評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となった場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならないこと。
 第二に、国は、廃棄物に関する情報の収集、整理及び活用を図ること。
 第三に、政府は、廃棄物の処理の実態を勘案して、産業廃棄物管理票制度の適用範囲及び廃棄物が不法に処分された場合における適切かつ迅速な原状回復のための方策について、速やかに検討を加えるものとすること。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#78
○委員長(田渕勲二君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、前島君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#79
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、前島君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#80
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 この際、竹村君から発言を求められておりますので、これを許します。竹村君。
#81
○竹村泰子君 私は、ただいま可決されました廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党。スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び
   廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を
   改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項につき
 格段の努力を払うべきである。
 一、廃棄物の発生量を削減し、再生利用を促進
  するための支援措置を積極的に講ずるととも
  に、廃棄物に関する統計を整備し、国民の使
  い捨て意識の変革などの啓発を行うこと。
 二、事業活動に伴う廃棄物の処理費用について
  は、事業者が適正に負担するよう指導するこ
  と。
 三、一般廃棄物については、分別収集、減量化・
  再生利用対策の推進を含めた適正な処理が行
  われるよう市町村の体制整備に努めること。
 四、特別管理産業廃棄物管理票については、都
  道府県知事への報告書の様式及び事業者の保
  存期間などについて、実効性を高めるための
  措置を講ずること。
 五、廃棄物処理センターについては、公共性・
  公平性を確保するとともに、業務が適正に実
  施されるよう、指導監督及び必要な支援につ
  いて十分配慮すること。
 六、最終処分場を確保するとともに、跡地管理
  が適正に実施されるよう十分配慮すること。
 七、市町村の廃棄物処理施設の整備を推進する
  ため、必要となる財源の確保に努めること。
 八、バーゼル条約に加入できるよう国内法制の
  整備を急ぐとともに、特別管理廃棄物の指定
  をできるだけ拡大すること。
 九、廃棄物の処理作業従事者の安全衛生を確保
  するための措置を講ずること。
 十、廃棄物が不法に処分された場合における適
  切かつ迅速な原状回復のための方策について
  検討する場合には、行政措置、民事上の賠償
  責任、費用負担等のあり方について幅広い見
  地から総合的な検討を行うこと。
 十一、環境の保全に万全を期する観点から、本
  法の施策及び再生資源の利用の促進のための
  施策を関係行政機関の連携を密にしながら総
  合的かつ効率的に実施するなど、良好な生活
  環境の確保に必要な諸施策の充実強化に引き
  続き努力すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#82
○委員長(田渕勲二君) ただいま竹村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#83
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、竹村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、下条厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下条厚生大臣。
#84
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#85
○委員長(田渕勲二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午前の審議はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十時五十八分休憩
    ―――――――――――――
   午後一時開会
#87
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案並びに国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#88
○菅野壽君 麻薬二法案について質問させていただきます。
 このごろ新聞等を開きますと、麻薬患者並びに覚せい剤患者の犯罪が目に余るものがあることは皆さん御承知おきのとおりだと思います。それでお伺いしたいのでございますが、何と申しましても、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約、いわゆる麻薬新条約の批准に備えるための国内法整備が至急にされていかなきゃならぬということは御承知おきのとおりでございまして、国民の三割近くが麻薬に、そしてまた覚せい剤におぼれているというアメリカの現状からいたしましても、これは対岸の火事ではなくして、我が国においてもそういうものがひたひたと押し寄せていることは御承知おきのとおりであります。
 一九七〇年代以降、第二次覚せい剤乱用が続いている中で、平成二年のコカインの押収量は前年に比べて四倍、六十八・八キロ、検挙件数、検挙人員は史上最高と言われております。我が国の薬物乱用対策に新たな局面を迎えていると言わざるを得ません。
 そこで、国際的な薬物の乱用、不正取引の状態をどういうふうに認識しておられるか。また、我が国における薬物乱用の状況分析と、今後どういうふうにして取り組んでいかれようと心得ていらっしゃいますか、まず御質問申し上げます。
#89
○政府委員(川崎幸雄君) 近年、世界の多くの国々でヘロイン、コカインなどの麻薬の乱用が増加している傾向にございます。国連の報告等に基づいて申し上げますと、まずコカインにつきましては、南米から主にアメリカに、一部はヨーロッパに密輸されまして乱用が急速に広まっているところでございます。特に、アメリカではその常用者が百六十万人と報告されております。一九八九年の世界全体でのコカインの押収量は十年前と比較いたしますと約三十倍の増加ということになっております。
 また、へロインにつきましては、東南アジアと南西アジアから主に欧米に密輸されております。一九八九年の世界全体でのヘロインの押収量は十年前と比較いたしますと約十一倍の増加となっております。
 我が国におきましては、覚せい剤の乱用が最大の問題でございます。覚せい剤取締法違反の検挙人員は、平成二年で約一万五千人に上っております。乱用はなお根強く継続しているものと見られます。また一方、平成二年に麻薬及び向精神薬取締法違反で検挙されました者は二百四十人となっておりますが、特にコカインにつきましては、我が国におきましても、密輸、密売される事例がふえてまいっております。平成二年には、前年の約五倍で、史上最高の押収となっております。
 今後の取り組みといたしましては、覚せい剤や世界的に広がりを見せておりますコカインを中心に取り締まりを強化いたしますとともに、予防啓発を図ってまいりたいというふうに考えております。
#90
○菅野壽君 次に、諸外国におけるコントロールドデリバリー、マネーローンダリング等の制度の概要、それから本法律案に盛り込まれた措置との相違点をお伺いしたいのであります。麻薬新法の批准に私は賛意を表しておるものでありますし、今回の麻薬二法案の内容を見ますと、コントロールドデリバリーやマネーローンダリングに関する規定も入っておりますが、今回の改正案に盛り込まれております措置は諸外国とどのような相違がありますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#91
○説明員(古田佑紀君) 多岐にわたるお尋ねでございますので、順次御説明を申し上げます。
 まず、コントロールドデリバリーについてでございますが、これにつきましては、外国の例は、法律上明文の規定を設けている国は非常に少ないと承知しております。私どものただいま承知して
いる限りでは、ニュージーランドにコントロールドデリバリーに関する規定があるやに聞いておりますが、その内容は、ただいま御提案申し上げております特例法案のコントロールドデリバリーに関する規定とほぼ類似したものだと承知しております。
 それから、マネーローンダリングについてでございますが、マネーローンダリングにつきましても、その国の犯罪の状況あるいは経済取引の実情等に合わせて犯罪化が行われておりまして、いろいろなバラエティーがあるということが申し上げられると思います。しかしながら、麻薬新条約で定められておりますマネーローンダリング罪は、ただいま御提案申し上げております法案の内容と同じでございまして、この点につきましては各国ともすべて共通しているところでございます。
 違いという点について申し上げますと、外国によりましてはマネーローンダリングの前提となる犯罪、つまりどういう犯罪からお金をもうけたか、その犯罪につきまして薬物犯罪だけに限っている国もございますし、あるいはもっと広げていろいろな犯罪についてまで及ぼしている国もある。この辺に若干の違いがある状況でございます。
#92
○菅野壽君 不法収益等の範囲でちょっとお伺いしたいのですが、不法収益等の範囲が無限定に広がるため、不法収益の隠匿罪、また収受罪の構成要件が無限定になるのではないでしょうか。また、経済活動に支障を来すおそれがあるんじゃないでしょうか、それをお聞きします。
#93
○説明員(古田佑紀君) まず、第一点のマネーローンダリング罪のいわば客体となります財産でございますけれども、これにつきましては、法文で明記しておりますとおり、薬物犯罪で得られた利益あるいはその利益を処分して得られた利益、このようなものを必ず含むものとしてございます。したがいまして、いろんな財産全部についてということはございませんで、無限定になるという心配はないと私どもは考えております。
 それから次に、正当な経済活動に支障を来すおそれがないかという御質問でございますが、やはり経済取引に関することでございますので、そういう点については十分な配慮が必要だと考えております。
 そこで、この特例法案におきましては、特に問題になります、薬物犯罪から得られた収益をその情を知って受け取った罪につきまして、もともと契約のときに薬物犯罪から得られた利益で支払われるということを知らないで取引をした、例えば、自動車を売ってくれと頼まれて、自動車の販売代金が薬物犯罪の利益で払われるということを知らないで自動車を売ったような場合、そのときは薬物犯罪からの収益で仮に支払われたとしても、こういうものは犯罪とはしないというふうなことで、できるだけ取引の安全ということにも配慮を払っているつもりでございます。
#94
○菅野壽君 罪刑法定主義の原則に抵触するおそれがあるのではないかと思いますが、いかがですか。
#95
○説明員(古田佑紀君) ただいま申し上げましたとおり、この特例法案で御提案申し上げております各種の犯罪につきましては、どういう行為が犯罪になるかというふうな点及びその犯罪にしなければならない範囲の合理性について十分注意を払って立案をさせていただいたと思っておりまして、罪刑法定主義に反するようなことはないと信じております。
#96
○菅野壽君 次に、不正収益が銃刀法違反等の他の不正利益と混和していた場合、対応はどういたしますか。
#97
○説明員(古田佑紀君) まず、ただいま御指摘の、例えば覚せい剤とけん銃が同時に密輸されたというような場合のことを考えてみますと、今回の法案では、薬物犯罪とそういうふうに一緒に行われた犯罪につきましては、収益と申しましてもどちらのものかということが必ずしも明確に分離できない場合がある。そういうことを考慮いたしまして合わせて薬物犯罪と考えまして、それについての不法収益を没収等ができるようにしてございます。
 それから、全く別々に行われたような場合につきましては、これは原則といたしまして、ほかの犯罪について得られた収益につきましては刑法の一般的な没収、追徴の規定、これを活用して対応するということが考えられます。ただ、現在の刑法での没収、追徴は物でなければできないというふうな問題がございまして、その点では限度がございます。
 なお、一言申し添えますと、マネーローンダリング罪につきましては、薬物犯罪の収益がまじっている財産につきましてもマネーローンダリング罪の対象となるようになっておりますので、御指摘のありました例えば銃刀法違反から得られた利益と薬物犯罪から得られた利益が合わせて仮名預金などなされますと、全体としてマネーローンダリング罪が成立するということになります。
#98
○菅野壽君 次に、暴力団に対する不正収益の剥奪に係る問題を質問してみたいと思っておりますが、この不法収益の剥奪がさきに決まった暴力団新法に盛り込まれなかった理由の一つに今回の麻薬二法案との絡みがあったと聞いておりますが、いかがですか。
#99
○説明員(石附弘君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございます。
#100
○菅野壽君 不法収益の発生の原因につき、事実を仮装する行為とはどういうことですか。
#101
○説明員(古田佑紀君) 結論を先に申し上げますと、例えば覚せい剤を買った者がその代金を支払うのに、正常な普通の取引の代金の支払いを装うような行為を言います。
 このような規定を御提案申し上げておりますのは、条約上、薬物犯罪から得られる収益、それが薬物犯罪から生じたものだということを仮装する、偽る一切の行為を処罰するということが義務づけられておりまして、買い手と売り手と両方の立場を考えてみますと、買い手の側で偽装工作をする場合も考えられるとしうところからこのような規定を設けることとしたものでございます。
#102
○菅野壽君 犯人が取得した財産の価額が不相当に高額である場合には不法収益と推定する規定は、どういうことでございますか。
#103
○説明員(古田佑紀君) 薬物犯罪から得られた収益というのを特定していくことが没収をする上でぜひ必要なわけでございますが、実際問題としては、薬物犯罪を何回も繰り返して、それによって何回にも分けて利益を得ているような場合、具体的に犯人のどの財産がそれから得られたものかというふうなことがなかなか立証が難しい場合がございます。
 しかしながら、薬物犯罪を繰り返していわば商売としてやっているような場合、それから利益を上げているということはほとんど間違いないわけでございまして、そういうときに、犯人が例えばどんな仕事をしているかとか、あるいは例えば年金だとかそういうものを受けているかとか、そういうふうな犯人の収入を考慮いたしまして、それと比べて犯人の手に入れた財産がどう見ても高過ぎる、こんな財産が手に入るわけはないというふうな事情があったときには、それを薬物犯罪から得られた収益だと一応推定する、そういう趣旨でございます。
#104
○菅野壽君 この規定は、疑わしきは被告の利益にというこれまでの刑事法制の大原則に重大な変更をもたらしかねないものでありますが、さらにこの推定規定が乱用されれば取り返しのつかない人権問題に発展すると思います。この点について政府はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#105
○説明員(古田佑紀君) おっしゃるとおり、刑事法におきましては無罪の推定の原則がありまして、基本的には検察官がすべて立証責任を負うということになっております。
 ただ、犯罪の全部についてではなくその一部について、従来の経験から考えて当然ある一定の事実を推認しても差し支えないというふうな事情があるケースでは、必要性がある限り推定規定を設けることも無罪の推定の原則に反するものではないと考えられます。現行法におきましても、例えば公害罪の処罰法におきまして、犯罪の成否について部分的な推定規定を設けている例もございます。
 今回御提案申し上げております推定規定は、先ほども申し上げましたとおり、まず犯人が薬物犯罪をいわば商売としているということを立証しなければならない。そして、犯人が正当に仕事によって得た金とかあるいは法令による給付で得た金とか、こういうふうなものに照らしてどう考えても不自然に大きい財産を持っている。こういうような条件があるときでありますと、これは大体薬物犯罪から得られた収益であると一般的に考えて差し支えない状態だろうというふうに考えられるわけです。したがいまして、その程度までに検察官が立証いたしましたときは、特別にそれを疑わせる事情が出てこない限り、薬物犯罪から得られた収益だというふうに考えさせていただこうということでございます。
 もちろんこの推定規定は、先ほど御指摘の無罪の推定の原則とのかかわりもありますので、今申し上げましたような事情の立証とか、そういうのを十分厳格に行って、これが乱用されるようなことがないように運用上は十分注意する必要があると考えております。
#106
○菅野壽君 金融機関は疑わしい取引について届け出ることになっているが、疑わしい取引とはあいまいではないでしょうか。第五条には、金融機関の届け出について、業務上「収受した財産が不法収益等である疑いがある場合」と規定しておりますが、「疑いがある」とは極めてあいまいな規定ではないでしょうか。人権侵害に対する歯どめ措置をどういうふうに考えておられますか。
#107
○説明員(福田誠君) お答えいたします。
 疑わしい取引とは、今先生おっしゃられたとおり、法文に即して申し上げれば、金融機関がその業務を遂行するに当たり、収受した財産が不法収益等である疑いがある場合、または取引の相手方が不法収益等を隠匿している疑いがある場合をいうわけでございます。そして、何が疑わしい取引に該当するかは、やはり具体的事情によるところが大きいわけでございまして、金融機関みずからがその業務経験に基づいて取引ごとにケース・バイ・ケースで判断することになるわけでございます。例えば、一例として申し上げれば、麻薬の生産国に対して頻繁に多額の海外送金を行う場合などが考えられるわけでございます。ただ、このような疑わしい取引というものを網羅的に例示することは困難でもございます。また、例示の仕方によっては悪用の危険性が考えられることから、初めから具体的に列挙することはなかなか難しいのではないかと考えられます。
 ただ、お尋ねのようにプライバシーの問題もございます。本制度では麻薬捜査当局の閲覧なり謄写が認められておりますので、御指摘のように顧客のプライバシーの保護には十分配慮する必要があると考えております。大蔵省といたしましても、この点については十分に配慮しまして、例えば政令で定めることになっております届け出事項についても、必要最小限の事項にとどめるなど、運用に当たりましては慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。
#108
○菅野壽君 次に、コントロールドデリバリーについてお聞きしたいんですが、コントロールドデリバリーはおとり捜査も考えておるんでしょうか。捜査手法の中において、薬物犯罪捜査において取引の相手方になるなど麻薬取締官が積極的に犯意を誘発して検挙する、いわゆるおとり捜査が行われることも予定しておるのでしょうか。積極的に犯意を誘発するような捜査方法は違法であるという学説が有力であると聞いておりますが、この点どうですか。
#109
○説明員(古田佑紀君) おっしゃるとおり、全くその犯罪をする意思がない者に捜査官が働きかけて犯罪をさせる、そういう気持ちにさせて、実際に実行させてこれを検挙するというのは違法だというのがまず一般的な考えだろうと思われます。
 しかしながら、今回のコントロールドデリバリーの問題につきましては、そういうふうに捜査官がもともと犯罪をする意思がない者に働きかけてやるという形のものではございません。もともと組織的に行われていて、運び屋とかそういうふうな者が覚せい剤、薬物を運んでいる、それを跡をつけていくなり、あるいは荷物が運搬されている、その荷物を監視していく、そういうことでありまして、既にもういわば犯罪をしようという気持ちになっている人間、そして現に犯罪をやっている人間、そういう者についてだれが関係しているのかということをはっきりさせて、できるだけ首謀者を捕まえる、そういうふうなための措置でございますので、これから犯罪を起こさせるというような働きかけをするものでは全くございません。
#110
○菅野壽君 コントロールドデリバリーの十分な監視とはどういうことを示すのでありましょうか。第三条、第四条には、薬物犯罪の捜査のために必要と認められた場合に、その逃亡や薬物の散逸防止のために十分な監視体制が確保されていると認められるときに薬物を所持している疑いのある者等の上陸を許可できる等の規定がありますが、この「十分な監視体制」とはどういうことを示すのでありましょうか。常時監視、尾行が可能になるとすれば、現行刑事訴訟法上問題を生じないのでありましょうか。その点、お伺いするものであります。
#111
○政府委員(川崎幸雄君) コントロールドデリバリーにおきます「十分な監視」ということは、持ち込みを許しました麻薬等が散逸したり売買される事態に至らないよう、麻薬等及び麻薬等を所持して入国した者の所在につきまして、直接確認できるような状態を確保できる体制をいうものでございます。
 具体的には、個々の事例に応じまして、入国地点から想定されます到達地点の間におきまして、尾行とか張り込み等に必要な人員、車両、無線機等の用意を整えて、こういった状態で監視が行われているといった状況でございます。
#112
○菅野壽君 いずれにいたしましても、今回の改正案は薬物乱用問題に対する国際的、そして国内的緊急課題に対処するためのまさしく特別措置であり、これがかりそめにも乱用されたり、国民の権利を侵害するものであってはならないということは皆様と同じでございますが、法律の厳正な運用並びに適正な手続の保障について、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#113
○国務大臣(下条進一郎君) 今回の法律案は、麻薬新条約の内容を担保するとともに、国内におきます取り締まりの強化を図るものでありまして、その運用に当たりましては、委員御指摘のとおり、厳正に行うべきものと考えております。
#114
○菅野壽君 次に、私は医者であります。そして精神科の医者として四十年今日までやってきておりますが、薬物乱用の医療保護の問題についてお伺いしたいと思っております。
 麻薬、覚せい剤等の薬物の乱用は、心身に極めて深刻な影響をもたらすことは御存じおきのとおりでありますとともに、乱用に伴う幻覚などの症状によって、通り魔殺人など第二次犯罪を引き起こすという点で極めて憂慮すべき問題であります。この点、私は医師の立場から、薬物中毒者に対して、その乱用の取り締まりと同時に医療保護を進める必要があると考えます。しかし、麻薬中毒者の場合、なかなか初期の段階で自発的に医療の門をたたくということはありません。入院治療を受けた後のフォローアップについても万全ということはできておりません。
 そこで、お伺いしたいのでありますが、我が国において麻薬、覚せい剤等の中毒者はどのくらいいると考えておられますか。そのうち入院、治療を受けている者がどのくらいおられるか。また、社会復帰対策、再犯率はどのようになっているか、実態を把握しておられるなら教えていただきたいと思います。
#115
○政府委員(川崎幸雄君) まず、麻薬中毒者につきましては、近年では年間十名前後の者が発見されているにすぎませんが、これらの者に対しましては、必要な医療が行われるほか、相談員による社会復帰のための援助、助言、指導などが行われております。これらの者が再び麻薬中毒に陥る事例は近年ではほとんど報告されておりません。
 一方、覚せい剤中毒者につきましては、昨年六月末現在で五百五十四名が入院治療を受けております。平均の在院期間から年間およそ二千名程度が入院治療を受けているものと考えられます。これらの者に対しましては、必要な医療を行うほか、社会復帰のための保健所における相談指導、訪問指導等を行っているところでございます。
 なお、覚せい剤中毒者であった者の再犯率につきましては、不明でございますけれども、覚せい剤取締法違反の検挙者のうち約半数が再犯者であるということから、かなり高いものではなかろうかというふうに考えております。
#116
○菅野壽君 さて、現在、麻薬及び向精神薬取締法においては独自の通報届け出制度、医療保護制度が規定されているわけでありますが、他方、精神保健法は、中毒性精神病者を含む精神病者について、その医療及び保護、その社会復帰などについて規定しているものであります。麻薬及び向精神薬取締法に規定されている麻薬中毒患者等に対する措置と精神保健法との関係はどういうふうになっておるでしょうか。
#117
○政府委員(川崎幸雄君) 麻薬及び向精神薬取締法におきましては、麻薬中毒者について、その者を入院させなければ麻薬の施用を繰り返すおそれが著しいと認められる場合に措置入院をさせることとされております。一方、精神保健法におきましては、中毒性精神病者につきまして、その症状により自分を傷つけ、または他人を害するおそれがある場合には措置入院をさせることとされております。
 ヘロイン等の麻薬中毒患者がその中毒症状により自分を傷つけ、または他人を害するおそれが生じるということは少ないと考えられますが、仮に麻薬及び向精神薬取締法と精神保健法の二つの法律の措置入院の要件に該当する場合には、麻薬及び向精神薬取締法によります措置入院をさせることといたしております。
#118
○菅野壽君 ただいまお話を聞きまして、その数字的な問題でございますが、麻薬の中毒者は割合少ない、覚せい剤中毒者は非常に多い、そしてまた今のお話の中で、自傷他害が覚せい剤の中毒者には多い、こういうふうなお話でございました。これが我々が最も覚せい剤中毒者に恐れる一つでございます。その点について十分な御配慮を願いたいと思います。
 それで、この麻薬中毒者の社会復帰対策をどう考えておられますか。それから、麻薬中毒者と覚せい剤中毒者を法律上区分する必要がありますか。ちょっとお伺いしたいと思います。
#119
○政府委員(川崎幸雄君) 今御指摘のように、麻薬中毒者は、麻薬中毒によりまして心身に障害を来すとともに、再び麻薬の中毒に陥る危険性があります。そのため、治療後の相談指導等の実施によりまして社会復帰を図るということが重要なことでございます。そのため、麻薬中毒者または麻薬中毒者であった者に対しまして、麻薬及び向精神薬取締法に基づきまして、都道府県知事が任命いたします相談員が必要な相談指導等を行っているところでございます。
 また、覚せい剤中毒者につきましては、精神病様の症状を呈することが多いことから、これは精神保健法に基づきまして医療保護及び相談指導等が行われているところでございます。
 なお、ヘロイン等の麻薬中毒者につきましては、精神病様の症状を来すということが少ないため、精神保健法による取り扱いは適当でなく、麻薬及び向精神薬取締法により、ただいま申し上げましたような別個の取り扱いを行っているところでございます。
#120
○菅野壽君 ただいまの御説明でございますが、麻薬取締法については、麻薬中毒者等の相談に応ずるための措置について規定されているのでありますが、精神保健法においては、患者の人権、社会復帰について規定がないわけであります。この点極めて不十分ではないかと思っていますが、いかがでございましょうか。
#121
○政府委員(寺松尚君) 今、精神科医として先生から御高見をいただいておるわけでございますが、覚せい剤の中毒者に対します医療保護につきましては、精神保健法に基づきまして、精神保健指定医二名の診察の結果、その者が覚せい剤の慢性中毒者であって、自傷または他害のおそれがあるという場合には都道府県知事が精神病院に措置入院させるということになっておるわけでございます。
 また、自傷または他害のおそれがないような場合もあるわけでございますが、そういう場合に入院治療が必要な場合には、精神保健法に基づき精神病院への入院が行われる、こういうことになっております。
 一応入院等につきましては以上でございます。
#122
○菅野壽君 先ほど覚せい剤の再犯率が五割を超すというふうなお話でございました。こうした薬物乱用者はその取り締まりと表裏一体の関係にあり、また暴力団等との結びつきが多いと思います。現在の保健所や精神衛生センター等で行われる社会復帰のための諸施策だけで対応することは非常に難しい問題があると思います。
 麻薬及び覚せい剤等中毒者に対する医療保護施策を一本化するとともに、こうしたアフターケアに至る総合的な取り組みが必要であると考えますが、御見解を承りたいと思います。
#123
○政府委員(寺松尚君) 先ほどは医療保護、特に入院等につきまして申し上げたわけでございますが、退院後の患者等でアフターケアが必要なような者につきましては、精神保健法に基づきまして通院医療の公費負担あるいは保健所におきます相談指導、訪問指導というふうなものを行っておるところでございます。これは委員も御承知のとおりでございます。今後ともこの保健所におきます相談指導体制の充実に一層努めたいと考えておりまして、覚せい剤中毒者対策の推進をそれによりまして図ってまいりたいと、このように考えております。
#124
○菅野壽君 国際的に見ましても、条約でいう麻薬及び向精神薬の中には既にアヘン、大麻、覚せい剤が含まれておるわけであります。確かに我が国の麻薬、大麻、アヘン、覚せい剤の各取締法の四法律はそれぞれの沿革と特色を持っているわけでありますが、この際この四法を見直し、統合一本化する方向を検討してもよいではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#125
○政府委員(川崎幸雄君) ただいま先生からお話がございましたように、麻薬四法は、麻薬及び向精神薬、アヘン、大麻、覚せい剤につきまして、その規制薬物の特性に応じまして、かつそれぞれの規制薬物の乱用状況等に応じまして四つの法律で規制を講じてきたところでございます。
 これらの四本の法律を一本化することにつきましては、それによりましてより実効が期されるものかどうか、そういった点、慎重な検討を要する問題ではなかろうかというふうに考えております。
#126
○菅野壽君 麻薬中毒者の医療保護、そして何より重要なのはその予防であります。我が国においては諸外国に比べて麻薬等の薬物乱用の実態は割合少なく、いわゆる対岸の火事的観測もないわけではありませんでしたが、最近のコカインの激増、コロンビアの犯罪組織の日本土陸等の動きから見ますと、もはや対岸の火事として見過ごすわけにはいかないと思います。特にコカインについては、その危険性について市民の間ではまだ認識が低く、ディスコ等の若者が多く集まる場所での密売事例が多く報告されております。諸外国の例を引き出すまでもなく、薬物乱用は広まってくるおそれがあります。
 私は、約一週間前にアムステルダムへ行ってまいりました。私と参議院の大先輩、そしてまた参議院の事務職員、そして在外公館のお二人に付き添っていただきました。暗やみの迫るころに町を歩いておったところ、一人の男がすすっと来て「コカイン要らないか、コカインあるよと言われました。私はこれを見て本当に慄然といたしました。あの地で日本語で「コカイン要らないか、あるよ」という言葉が出てくるという現実を見て、私はこの法案の重要性をひしひしと感じ、早く国
際的なレベルに上げて、そして水際作戦でこれを防止せざるを得ないと心得ております。
 次に、海外渡航者の対策についてでございますが、何と申しましても、そういうものの誘いに乗らないように、私みたいに自覚のある人間がいてそういうものを督励をするということが大事だと思います。
 特に、青少年の間でいろいろそういう問題が取りざたされますが、我が国における薬物乱用の広報、啓蒙活動は何か少ないんじゃないかと思われます。シンナー等有機溶剤の吸引等は依然として少年層が多いわけでございますが、できるだけ早い時期に正しい認識を与える必要があるのではないかと思います。小中学生に対する取り組み方について文部省の御意見を聞きたいと思います。
#127
○説明員(富岡賢治君) 委員御指摘のとおり、薬物乱用の問題は大事な問題でございます。先生御案内のように、従来から中学校と高等学校におきまして教科の保健体育、それから健康教育という観点から特別活動で取り上げるよう進めてきたわけでございます。
 この指導を図るため、特に専門家の協力を得まして、薬物乱用に関します教師用の指導資料を、中学校では六十二年度、高等学校では六十三年度に作成配付いたしまして、その指導の充実を図ってきたところでございますし、また研修会等で取り上げているところでございます。また、新しい指導要領につきましても、その重要性を特に位置づけるというようなことをいたしておりまして、今後ともその指導の充実を図ってまいりたい、こういうように思っているところでございます。
#128
○菅野壽君 薬物生産国への援助等国際協力はどうなっていますか。また薬物乱用防止策、こういう問題に対する大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#129
○国務大臣(下条進一郎君) 麻薬等の乱用は人の生命、身体への危害にとどまらず、広く社会的害悪をもたらすものである、このように認識しております。
 今回、薬物の不正取引防止に国際的に取り組むために麻薬二法案を提出し、御審議をお願いしているところでありますが、薬物乱用対策につきましては、乱用の未然防止を図ることが何よりも必要であります。今後とも乱用の危害についての啓発活動を推進し、乱用を許さないという社会的環境を確立していきたいと考えております。
#130
○菅野壽君 ただいままで御質問申し上げましたけれども、何と申しましても、これを取り締まる側において、関西方面で警察官があのような不祥事を何例か引き起こしております。取締官の資質の向上、人格の陶冶、そしてまた、これを採用する側の心得を健全なものにして、そして善良なる一般国民に累の及ばないようにしていただきたいことが要望として第一点。
 第二点といたしましては、ここに名誉教授高桑先生、宮崎先生、沓脱先生がおられます。そしてまた長く医療の担当者としておられた清水先生、それから歯科医の木暮先生、斯界の著名な先生方が御列席の前ではばかることでございますが、私は四十年間の精神科医としての生活の中で感ずることは、ああ、おまえまた帰ってきたのかという嘆きでございます。そういう覚せい剤患者が私のところへまた戻ってくることを考えると、まことに寂しい思いをするわけでございます。
 どうも私は現在まで思いますと、薬を繰り返すという環境を監視するということを一般市民に浸透させて、これをみんながフォローしていくということが大事じゃないかと思います。おぼれる人は覚せい剤におぼれる。特に覚せい剤におぼれる人は幼いときからの生活環境、家庭環境の悪い人々です。弱い人々が非常に多いわけでございます。そしてその人々が何回も繰り返して来ます。
 私はこの問題は、何としても国でこれらをフォローする施設をつくっていただくことが大事だと思います。今までの行政はいわば点でありまして、その時でありまして、これが線として、長い線として覚せい剤をなくする方向に御検討いただき、そしてまた、そういう施策を今後とも長く講じていただくことこそが、核兵器よりもおっかないと思われるこの麻薬中毒、そして覚せい剤中毒の患者を救う道ではないかと私は思います。
 以上、要望として申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
#131
○木庭健太郎君 それでは、質問させていただきます。
 今回の法改正は、国際社会の一員として深刻化する麻薬問題に取り組むための国内法の整備でありまして、必要不可欠な法改正と私たちも思っております。しかし、新しい形の法制度も導入されますし、真価を問われるのはこの改正された法律がどんなふうに運用されて麻薬対策に実効性を上げるかということだと思っております。
 そこで、まず法改正の中身について、先ほども質問があっておりましたけれども、一、二点伺いたいと思います。
 一つはコントロールドデリバリーの問題でございます。先ほどの説明では、これは犯罪の意思のない者にさせるのではない、いわば荷物の監視をしてみたり、跡をつけてみたり、犯罪した者、これから犯罪しようとする者、そういう者を追いかけていって関係者を特定するというようなお話があっておりましたけれども、この仕組みというのが新しい形ですし、わかりにくいから簡潔に説明していただきたいと思うんです。
 また、先ほど十分な監視体制ということについて局長の方から、本人の所在が確認できたものであり、入国地点から到達地点まで人員、車両が整い監視が行われるというようなことをおっしゃっていました。要するに、複数体制で十分な監視ということは、たった一人じゃなくて、そういう体制でやろうということだろうと思うんですけれども、その点についても少し説明をいただいて、また、こんなことは優秀な日本ですからないと思うんですけれども、追いかけているうちに見失って不幸にして麻薬が国内に流れるというようなことも起こり得ると思うんですけれども、ないのか、ないというのが正しいんでしょうけれども、そういった場合一体どこが責任をとる体制になるのかということも明らかにしていただきたいと思います。
#132
○政府委員(川崎幸雄君) コントロールドデリバリーの仕組みについて若干お話しさせていただきますが、これは捜査機関があらかじめ我が国への麻薬等の持ち込みが行われるといったような具体的な情報が得られた場合に実施をするものでございます。捜査機関は、国内に持ち込まれました麻薬等につきまして、それが首謀者に到達するまでの間を確実に監視できるような準備を整えた上で、入国審査または通関に際しまして、麻薬等の所持の疑いがある人物、または麻薬等が隠されている貨物を入国または通関させるよう法務大臣または税関長へこの法律に基づきまして要請を行うこととなります。捜査機関の要請に応じまして入国をさせました人物または通関をさせた貨物につきまして、これらが犯罪の首謀者に到達されるまでの間、ただいま御指摘ございましたように、確実にその動向を追跡できるような尾行等の監視を行いまして、首謀者に到達した時点で効果的な検挙を行うということでございます。
 十分な監視体制ということは、ただいま先生もおっしゃいましたけれども、個々の事例に応じまして、入国地点から想定されます到達地点までの間におきまして尾行とか張り込みといったような必要な人員を備える、あるいは車両とか無線機、こういったような機材の用意を整える、こういったようなことで、確かにその動向を確認できるような状況ということでございます。
 そして、こういったコントロールドデリバリーの実施途中におきまして、容疑者に逃亡されたり、麻薬等が散逸するといったような事態が生じないかということでございますが、そういったことが起こらないよう努力をすべきでございますことはもちろんのこと、そういったおそれがある場合には、その時点で犯人を検挙し、あるいは麻薬等の確保を行うこととして、薬物の散逸といった事態が生じないよう万全を期したいというふうに考えております。
#133
○木庭健太郎君 もちろんそうだし、そのとおりだと思っておりますけれども、今の日本の制度で言えば捜査という問題になってくるわけですから、もしそういうことが起きれば、捜査した内容というのは失敗したにしても成功したにしても、結局検察庁に送らなくちゃいけないというふうな定めになっているわけですから、結果的には、大きく言えば法務大臣であり、やはり検察官が最終的には責任を持つような形になると理解しておいてよろしいですかね。
#134
○政府委員(川崎幸雄君) 不幸にして万一そういったようなことが起きた場合の責任といった問題は、ケースによって、そのときの事情によって私はいろいろあろうかと思います。一般的には、実際に追尾を行っていた捜査当局ということになるのではなかろうかというふうに考えております。
#135
○木庭健太郎君 ないようにしていただきたいという意味でお聞きしたわけでございます。
 次に、マネーローンダリングについても一点伺いたいと思います。結局、このマネーローンダリングというのは、麻薬資金というのを金融機関を通じて出所をわからなくするということに対する対策ということだろうと思っております。疑わしき取引ということについても先ほど論議がありましたので、そこはもう結構だと思うんですけれども、私たちというか国民の側から見て最近心配なのは、証券問題なんかもございました。金融の不祥事もございました。ああいうのを見ていると、金融機関というのは顧客のプライバシーという問題を大事にし、それだけでなくて、何かもうけ主義じゃないかと私なんかはもっと批判したくなるんですけれども、実際金融機関にそういう現状が今あるように思うわけです。そういった意味では、本当にできるのかなと疑問視する向きもあると思います。だから国民から見れば、疑わしき取引についてきちんとやらない金融機関などに対しては、法律で罰則を設けるべきじゃないかということが言われているのも事実でございます。
 ぜひこれは取り締まる側の厚生省にお聞きしておきたいんですけれども、こういう金融機関の問題、マネーローンダリングの問題について、罰則を設けるというようなことについてどういう見解をお持ちなのかなということをきちんと伺っておきたいし、もう一つは、この法律が制定された後、このマネーローンダリングの問題に対して、厚生省として他の省庁に対してどういうふうな形でこれを徹底されていかれるか。というのは、大蔵省の場合は通達が出まして、仮名の口座とか匿名口座はだめだという通達を一応やっているんですよね。やっていてもいろんなことが実際に証券問題を見ていたら起きておりました。そういった意味では、こういう法がきちんと改正されたときにもう一度こういった問題も徹底する必要があると思っておるんですけれども、あわせてお聞きしておきたいと思います。
#136
○政府委員(川崎幸雄君) ただいまの先生の御指摘はもっともな御意見でもございますが、疑わしい取引の届け出義務について、この義務に違反した場合になぜ罰則をつけないのか、こういった御指摘でございますけれども、その届け出が何が疑わしい取引に該当するかという、それが具体的な事情によるところが多い場合がございまして、金融機関がケース・バイ・ケースで判断をするといったようなことになりますことから、これら届け出義務違反に対しまして罰則を科すという扱いまではとらなかったものでございます。
 しかしながら、この義務は法律で金融機関に課された義務でございます。金融機関に誠実に履行していただかなければならないものでございます。例えば銀行の場合、主務大臣である大蔵大臣の日常の指導監督により実現されるものと考えております。
#137
○木庭健太郎君 局長、大蔵省と一緒になって進めていくわけですけれども、大臣にお聞きした方がいいのかもしれませんが、法務省、大蔵省、郵政大臣も入りますから郵政省も、厚生省も一緒になってやらなくちゃいげないんですよね。だから、法改正した後に、事務レベルから始まっても結構ですけれども、何かそういうのを徹底する必要があるんじゃないかなとちょっと思ったんですが、その点について。
#138
○政府委員(川崎幸雄君) 失礼いたしました。
 御指摘のように、この法案が成立しました後におきましては、当然関係省庁集まりまして、この新しい改正法の実施につきまして十分連携、協議をいたしまして、その改正法の趣旨が発揮できるよう実施をしてまいりたいというふうに考えております。
#139
○木庭健太郎君 麻薬の問題というのは国際的問題ですから、国際的協力なしには解決しないわけです。
 外務省に来ていただいていると思うんですけれども、この麻薬の問題については、八九年七月のアルシュ・サミットだったと思いますけれども、あの経済宣言の中で、麻薬生産国が代替作物へと転換できるように経済、技術面からも援助を拡大するような方針がたしか打ち出されたと思います。麻薬を生産の段階から根絶しようという取り組みの一つが、国連の薬物乱用統制基金ですか、その農村開発プロジェクトというのがございますけれども、この基金は世界各国が協力して年間大体五、六千万ドルで運営されております。日本の拠出を見ましたら、平成元年度でわずか八十万ドルしかなかったというようなことを聞いておるんです。この基金に対する日本の拠出がどういう現状になっているのか。そういう意味では、もう少しこの基金については協力する必要があるんじゃないかなと思っておるんですけれども、それが一点。
 まとめてお聞きします。もう一つは、このプロジェクトがすごいなと思ったのは、各国から派遣された農業普及員の人がそういう村に入り込んでいって、コカインの栽培農家を一軒一軒説得することから始めて今プロジェクトが広がっているということを聞いているわけです。日本がいつも言われるのは、金だけだ、物だけだと言われるわけですから、こういう意味でもこのプロジェクトに対して人的貢献をすることが大事じゃないかなと。特に日本の場合、青年海外協力隊の活躍というのはいろんなところがありまして、農業部門については非常にアジア各国からも評価が高いわけです。こういう日本の得意分野の農業技術の指導が生かせないのかなと。やはり金、物と人的貢献ということを検討していただきたい。もちろん、そういうところに行くわけですから安全性の問題とかいろんな難問があると思うんですけれども、そういう問題を検討した上でぜひ人的貢献を検討していただきたいと思っております。
 二点、よろしくお願いします。
#140
○説明員(鈴木一泉君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、日本としてもこの問題について積極的な取り組み、具体的な貢献ということが求められております。御指摘の国連薬物乱用統制基金、本年から機構が改革になりまして国連薬物統制計画、こういう形で改組されておりますが、平成二年度は我が国の拠出は八十万ドルでございました。欧米の水準、こういったものに我が国としてもできるだけ並ぶように努力をしておりまして、今年度、平成三年度にはこの八十万ドルから大幅に増額をいたしまして三百万ドルを予算計上しております。今後ともこの基金への貢献を強化していきたいと考えております。
 他方、先生御指摘の人的協力の点でございますが、人的協力というのは、技術の伝播、こういうものを目的とするという趣旨でとらえれば、私ども今まで各種のセミナーの開催等をやっておるわけですが、問題は先生御指摘の現地への人員の派遣、こういった問題でございます。代替作物への転作の奨励といったものは非常に重要な国連のプロジェクトの中心的なものでございますが、この点につきまして、日本の協力がどういったことができるかといった点につきまして、その検討をただいま開始したところでございます。
 具体的には、昨年二回にわたりまして、ヘロインの生産国でありますタイそれからラオス、ここ
に調査団を派遣しておりまして、今後どのような協力が可能かといった点につきまして検討したいと思っております。経済、技術の協力手段というものが有効だと判断される場合には、先生御指摘の点も含めまして、今後我が国の援助につきまして積極的に検討していく考えでございます。
#141
○木庭健太郎君 もう一つ。厚生省の方で国際的取り組みをやっていることの一つが、麻薬取締官を日本への麻薬の密輸の拠点となっている国へ一定期間派遣するという海外調査制度というのを今年度から始めたと聞いておりますけれども、実績がどうなっているのか。
 こういう麻薬の問題に本格的に取り組むには、海外での情報収集が欠かせないわけでございまして、その意味では、こんな調査制度とかいうより実際に麻薬基地になっている国、具体的に挙げるといろいろ問題が起こるんでしょうけれども、そう判断された国に対して、例えば大使館に今アタッシェみたいな形で厚生省からも人間が出せるわけですよね。そういった意味で、そういう麻薬基地になりやすそうな国に対しては麻薬担当官をきちんと大使館員として常駐させる、そこできちんと情報収集するというような制度を組み上げていかないと、結局何もわからないまま入ってくるのを防がなくちゃいけないという形になると思うんです。これについてもぜひやっていただきたいと思っているんですけれども、御意見を伺いたいと思います。
#142
○政府委員(川崎幸雄君) 我が国で乱用されております麻薬、覚せい剤等のほとんどが外国から密輸入されたものでございまして、一国のみの努力では解決できない問題でございます。薬物の乱用は現在世界の多くの国々に共通する問題でございまして、その根絶のため従来にも増して国際協力が必要であるという認識は高まってまいっております。
 そこで、厚生省におきましても、従来から毎年短期間ではございますけれども、主に東南アジアの各国に麻薬取締官を派遣いたしまして、そちらの関係機関との情報交換等を行ってきたところでございます。さらに協力関係を密にするため、長期間にわたりまして麻薬取締官を派遣して相手国との情報交換や現地の実情を調査することにいたしたのが先生の御指摘でございます。本年はタイに一カ月間派遣することといたしたところでございます。
 さらに、大使館への常駐を行うべきではないかという御指摘につきましては、今後検討させていただきたいと思います。
#143
○木庭健太郎君 今アメリカが常駐方式というのをやっているんです、国自体がひどくなっているからという現状もあるんでしょうけれども。そういう意味ではそう人数は要らないと思うんです。厚生省も実際今大使館に出していますから、大臣、ぜひそういうことを御検討いただくと、非常にこういうのは大きな力になると思っております。
 それともう一つ、今度は大蔵省の方に伺いますが、麻薬を日本国内に入れないためには入り口での監視という問題があるわけでございます。日本でも、人間の臭覚の一万倍ですか、があるという麻薬犬、これが時折報道されておるわけです。私、ことしイランに行きました。イランに行ったときにテレビでこの麻薬犬のことを盛んに何回も何回も放送するんです。何でそんなことをするんですかと聞いたら、そういうことを国民に知ってもらうことで抑止効果がある、実際頭数は少ないんだけれども非常に効果があるんだというようなことも言っておったわけでございます。
 現在、聞いたところによりますと、日本で麻薬犬は平成三年度末に三十二頭になるというようなお話だそうですけれども、今、国内で国際空港というのは十五空港あるわけですから、これじゃ少し足りないという気がしておるわけです。一頭四十万円とも聞いております。大蔵省からすれば非常に安い金額ではないかというように思いますし、そういう意味では、こういう麻薬犬の問題については拡充をもうぜひ早急に検討していただきたいと思っているんですけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
#144
○説明員(角崎利夫君) お答え申し上げます。
 麻薬探知犬につきましては、先生御指摘のとおり大変効果的なものだというふうに我々も考えております。実はことしか我が国税関が麻薬探知犬を本格的に導入いたしましてから十周年に当たるわけでございますが、これまで順調に麻薬探知犬をふやしておりまして、現在成田、伊丹等の主要な税関空港に二十六頭配備してございますが、平成三年度におきましてはさらに六頭増配備をいたしまして、先ほど先生御指摘のとおり三十二頭ということになる予定でございます。平成四年度以降におきましても、先生御指摘の点を踏まえまして、各税関の業務実態あるいは麻薬探知犬の育成可能頭数等なども勘案いたしまして、計画的かつ着実にふやしていきたいというふうに考えております。
 先ほど先生の方から、麻薬犬は大変安いんではないかという御指摘もございましたが、麻薬探知犬を一頭導入するためには、単に麻薬探知犬だけで済むわけでもございません。そのための移動用車両の購入でございますとか、それから犬舎の建築、あるいはさらにハンドラー、すなわち麻薬探知犬を扱う人の手配も必要なわけでございます。さらに、先ほど麻薬探知犬の育成と申しましたが、これもすべての犬が適性があるわけでもございませんで、非常にたくさんの犬の中から適性のある犬を選び出して訓練を施して、その訓練の中で脱落する犬もあるわけでございます。したがいまして、なかなかそう大幅に増配備をすることは難しい面もあることを御理解いただきたいと思います。
 とにかく、今後計画的かつ着実にふやしていきたいというふうに考えております。
#145
○木庭健太郎君 ぜひそういう血統的にもいい犬を育てていただくとか、いろんな方法を考えていただきたいと思っております。
 文部省にお聞きします。
 先ほど麻薬の問題、覚せい剤を含めて教育の問題が出ておりました。先ほど少しお答えになったんで、中高で保健体育、特別活動等でやっている、新指導要領でも位置づけているというふうにおっしゃったんですけれども、私、ちょっと遅いんじゃないかなと思っているんです。高校生段階でやっても間に合わない。イギリスはたしか麻薬問題については小中学校で予防教育の実施をカリキュラムで義務づけているはずです。結局、日本の場合シンナーに携わるのが大体中学生ぐらいになるんです。そこから今度は覚せい剤とかいろんなものに進むわけですよ。そういう意味じゃ、年齢層をもうちょっと下げていただけないかなと。小学校段階、小学校の高学年。中学校になったらこういうものに対する認識をきちんと持っているということをつくっておかないと、高校生段階でやるというのはちょっと私は遅いような気がしておりますし、その辺検討されているのかどうかお伺いしたいと思います。
#146
○説明員(富岡賢治君) 先生の御指摘は大事な問題だと認識しておりますが、現在は中学校と高等学校ということでございまして、現行指導要領では中学校がシンナーから始めるというようなことになろうかと思うのでございますが、今度の新しい指導要領では、高等学校ももちろん指導要領の本文に位置づけたということで重視いたしたほかに、特に大事なのは、中学校では今まで指導書のレベルで取り上げるようになっておったわけでございますが、それを学習指導要領の本文に取り上げることによりまして非常に重視したという形になりましたので、時期的には中学校の段階で非常に大事な教育活動が行われるものという認識を持っておるわけでございます。
 ただ、先生御案内のように、小中高等学校の発達段階というものがございますので、現在のところでは小学校ではたばことかお酒とか、そういう体に影響を与えるようなことについて指導するということが大事だということで進めておりますので、そこまで行くのはどうかなというような認識を持っておりますが、少なくとも中学校段階では
しっかりやっていく、こういう姿勢を持っておるところでございます。
#147
○木庭健太郎君 本当はもうちょっと聞きたいんですけれども、たしか指導要領は中学校三年からになるんじゃないですか。中学校一年からきちんとやっていただけるんですか、その点だけ。
#148
○説明員(富岡賢治君) 指導要領では薬物乱用ということを基本的に中学校で取り上げるということになっておりまして、そのやり方につきましては、例えば一年生でシンナー、あるいは二年で覚せい剤、三年で大麻、麻薬というような取り扱いをすることが一つのモデルにはなってございますけれども、その取り上げ方につきましては、各学校のいろんな判断があろうかというふうになっております。
#149
○木庭健太郎君 具体的中身まで読んでなかったんですけれども、例えばコカインなんかの問題も、今からの問題なんですけれども、ぜひ入れておいていただきたいというふうに思っておるんです。
 時間がありませんので、最後に大臣にお聞きします。この法改正で、国内体制を整備してそういうものが広がらない環境をつくろうというふうなことだろうと思います。先ほど大臣自体も乱用を許さない社会環境をつくるということをおっしゃっておりましたけれども、実際どういった社会環境なのかなということもちょっと思うんです。大臣としては、こういうところについては特に力を入れないとこの問題は解決しないというようなお考えがあればぜひ伺いたい。
 私が一番心配するのは、まだコカインなんという問題は皆さん認識ないし、ある意味では好奇心で吸われたとかいうケースが多いわけですよね。そういったことを許さない社会環境というものを、大臣として今後どう築いていかれる御決意なのか、最後にお伺いして、私の質問を終わります。
#150
○国務大臣(下条進一郎君) 薬物の乱用は、人の生命、身体への危害にとどまらず、広く社会的害悪をもたらすものであります。我が国が経済的に豊かになり、また国際的な交流も多くなった中で、薬物乱用に対しまして寛容な態度をとることが麻薬の侵入にすきを与えることとなると考えているところであります。
 このため、薬物乱用による害悪を国民の一人一人が正しく認識し、絶対に薬物に手を出さない、また自分たちの周辺から薬物乱用者を出さないという、薬物乱用に対する厳格な意識が確立された社会をつくり上げていくことが重要である、このように考えております。
#151
○木庭健太郎君 終わります。
#152
○沓脱タケ子君 それでは、お伺いをいたします。
 平成三年の警察白書によりますと、「我が国においても、覚せい剤を中心とした薬物の乱用の広がりは、既に憂慮すべき状況に至っている。特に、暴力団が組織ぐるみで薬物の不正取引に関与し、大量の薬物を国内に供給していることが、我が国における薬物問題の解決を困難にしている。また、コロンビアの薬物犯罪組織が我が国への本格的な進出を図っていることから、ここ二、三年、外国人が我が国へ大量のコカインを持ち込もうとする事件が頻発している。」と述べております。
 したがって、麻薬犯罪対策の強化というのは極めて必要だと思うのでございます。しかし、それは基本的には国民的な協力が得られなければ有効な対策にならないであろうと思うのです。法的規制を強化すると同時に、PR活動等啓発活動を大いに行って、それこそ国民にこれを許さない環境をつくらせていく、つくっていくという点での仕事というのが基本ではなかろうかと思うわけでございます。
 そこで、最初に厚生大臣からその点についての御見解をお伺いをしておきたいと思います。
#153
○国務大臣(下条進一郎君) 麻薬、覚せい剤等の乱用防止では、取り締まりにあわ甘てこれら薬物の危害について正しい知識を普及し、薬物の乱用を許さないという社会環境を確立していくことが重要でございます。委員御指摘のとおりでございます。
 このため、厚生省におきましては、毎年麻薬・覚せい剤撲滅運動を展開し、全国各地区におきまして大会等を開催するとともに、各種広報媒体を利用しましてキャンペーンを行うなど、麻薬、覚せい剤等の乱用防止の啓発活動を実施しているところでありますが、今後もより一層乱用による危害を広く国民に周知徹底して、未然防止を図るように努力してまいりたいと考えております。
#154
○沓脱タケ子君 それでは、法案に関して二、三点お聞きをしたいと思います。
 コントロールドデリバリーの問題というのが新しい制度として導入されますので、大変問題になっております。いわゆる泳がせというやり方であろうと思いますが、現行法ではこのような捜査はできないことになっているのです。今回の改正によってコントロールドデリバリーの導入という新しい捜査方法が導入をされるわけですが、そういうことになりますと、これが法的に市民権を得ることになって、既存の我が国の法体系を大きく越えるものになるのではないかという点が、法律専門家からはいろいろと疑問の出ているところであります。
 したがって、お聞きをしておきたいと思うのですが、今回の新法というのは、組織的、国際的な犯罪活動としての麻薬の不正取引を撲滅するために、我が国におきましても緊急かつ共同の国際的な責務を実行するという目的で特別の措置として定められたものであろうと思うわけでございます。特別の措置という規定は法案にはありませんけれども、そういうふうに性格を理解してよいのですか。これは法務省がな。
#155
○説明員(古田佑紀君) まず、一番最後の問題についてお答えいたしますと、この法案の目的規定のところで、特例を定めるということが書いてございます。その趣旨は、薬物犯罪の取り締まりについて、従来の法律には入っていなかった部分について特別の措置を定めるという趣旨でございます。
#156
○沓脱タケ子君 いや、国際的には初めて入れられるので、しかも麻薬に関してだけの特別の措置というふうに理解をしていいんですかと言って聞いているんですよ。
#157
○説明員(古田佑紀君) もちろん、薬物犯罪に関する特別の措置でございます。
#158
○沓脱タケ子君 麻薬以外にこの捜査方法を拡大させていくということになりますと、国民の人権侵害に及ぶという心配がありますから、その点では非常に厳重に考える必要があろうと思うんです。したがって、この法律の適用に当たっては、目的に従って厳正に運用し、何人の権利も不当に侵害することのないように努めるということが極めて大事だと思いますし、他の目的のためにこれを乱用することがあってはならないと思うわけです。
 繰り返しになりますけれども、そう思いますが、その点についての御見解を伺っておきたいと思います
#159
○説明員(古田佑紀君) 御提案申し上げております特例法につきましては、これはもちろん規制薬物に関する犯罪の取り締まりのためでございまして、それ以外の目的でこの法律を使うというふうなことはあってはならないと考えております。
#160
○沓脱タケ子君 法務省にお聞きをいたしましたけれども、主管省として、厚生省もそういう厳重なお立場でそれを堅持するということでしょうね。
#161
○政府委員(川崎幸雄君) そのとおりでございます。
#162
○沓脱タケ子君 警察庁の方おいででございますか。私、余りよくわからないのでちょっとお聞きをしたいと思うんですが、人が上陸をするという場合には、これは入国審査官とかあるいは税関が担当するんですね。上陸をして、コントロールドデリバリーの導入によって、いわゆる泳がせという状況になりますと、これは検察とか司法警察、
それから麻薬取締官が当たることになっている。そういうふうに理解していいですか、まず。そういう中で、さっきもお話しがありましたけれども、尾行とか張り込み、監視などは主として警察官が御担当になるんだと思うんですけれども、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#163
○説明員(鎌原俊二君) コントロールドデリバリーを行う場合の尾行ですとか監視というものにつきましては、主として警察が担当することになると思います。
#164
○沓脱タケ子君 そこで、国民の立場からいうと、これ大変なことだなと思いますのは、例の五月末に三重県警で数カ所で暴力団と警察との癒着事件が起こりまして、三重県警の本部長が大変苦渋に満ちてごあいさつを申し上げているというふうなことがあるわけですけれども、暴力団と警察の癒着事件というのはいろいろありますが、国民の立場から見てみますと、こんな状態で果たして大丈夫だろうかなと思うんです。もし、コントロールドデリバリーの対象者に情報が漏らされるというようなことになったら、これは麻薬犯罪の取り締まりなんということにはならない。
 もし通報を漏らすということになったら、ひょっとしたら持っていった出先で入れかえるかもわからない。最終的にとっ捕かまえてみたら、中に麻薬が入っていなかった、現物は国内に置かれていたというようなことが起こらないという保証はないわけなんで、私は、厳重な法執行のために、国民の信頼の確保のためにも、警察と暴力団のなれ合いとか、あるいは癒着だとかということがいろいろ出てまいりますが、こういうことにきっぱりと縁を切るべきだ、ここを断ち切らなかったら厳正な法執行というのはできないんじゃないかと思うんですが、その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
#165
○説明員(鎌原俊二君) 薬物の問題につきましては、暴力団がこれを最大の資金源としているということで、警察といたしましては、これに対して積極的かつ厳正な取り締まりを実施しでいるところでございまして、コントロールドデリバリーという新たな手法が導入されるに当たりましても、今後とも引き続いて厳正な取り締まりを行っていく所存でございます。
#166
○沓脱タケ子君 そこらがきちんとやられないと、せっかく法律ができてもどこまで実効が上がるかなという心配は国民の中にぬぐえません。その点はぜひ厳重にやっていただきたいと思うんです。
 さっきもちょっとお話が出ましたけれども、コントロールドデリバリーというのは、警察と一緒に働くことになるという条件の麻薬取締官、麻薬取締官は大体一緒に動くというふうなことは余りないんですか、動くんですか。私ちょっと気になっているのは、麻薬取締官というのが今全国で百七十人ですね。百七十人でこれは十九年間全然ふえていないというのですが、新法をつくるという段階で、果たしてこれで間に合うのかな、ふやす必要はないのかなということが一つ気になります。
 もう一つは、さっきお話が出ました麻薬の探知犬をもっとふやしたらどうなのかなと。随分効果があるというふうに聞いておりますので、これは大蔵省ですね。その辺についての御見解を伺っておきたい。
#167
○政府委員(川崎幸雄君) 麻薬取締官につきましては、先生今おっしゃいましたように、全国八ブロックに置かれております麻薬取締官事務所に百七十人が配置されております。おっしゃいましたように、今度新法が施行されまして、またいろいろな業務を実施しなきゃいけないわけでございます。なかなか人員増というのは困難な状況ではございますけれども、定着増あるいは活動力の強化といったことについて今後努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#168
○説明員(角崎利夫君) 麻薬探知犬の件につきましては、先ほど木庭先生からの御質問にお答えしたとおりでございますが、探知犬の活躍につきまして一般の方々の御理解もいただいておると考えておりまして、今後も各税関の業務実態、あるいは麻薬探知犬の育成可能頭数等も勘案いたしまして計画的かつ着実にふやしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#169
○沓脱タケ子君 それで、犬はふやすけれども人はふやさぬということにならぬように厚生省の方もひとつ考えてください。
 最後に、もう時間がありませんので、マネーローンダリングについてお聞きをしておきたいと思います。これも皆さんから既にお話がありました。麻薬犯罪の取り締まりのためには流通面の規制とあわせて資金面の規制が必要だという点はもう明らかでありますし、金融の国際化や自由化に伴って金は国境に関係なく動いており、規制がおくれると世界の麻薬資金が集まって国際的な批判も招きかねないという状況になっておりますから、没収対象の財産が麻薬犯罪に関するものに限定されるということになっておりますが、従来から認められなかった債権等の無形の利益とか、しかも直接犯罪から得た利益だけでなく間接利益も没収できるということで、大変規制が強化をされているわけですね。
 しかし、これは既に同僚委員からも御指摘がありましたように、一歩間違えば私権の侵害にもなりかねない、非常に慎重な運用を要する問題であろうと思うわけです。既に大蔵省からは通達も出されて、本人確認だとか新規口座の開設だとかについての問題、記録の保存、捜査当局への協力、いろいろあります。
 私、こういう中で、これは大蔵省にお聞きしたいんですが、本当に国民に信頼の得られるような自信を持ったやり方でこれに対処できるのかなと、やってもらわなきゃならないが、自信持ってやれるのかなということを私も心配しますし、国民的な不安もあるわけです。
 といいますのは、御承知のように、昨今表面化しておりますように、住友銀行を初めとする都市銀行あるいはその他の金融機関で、金融機関と暴力団との癒着問題が非常に顕在化しています。しかも、暴力団という明らかになっているところに数百億、あるいは時によれば一千億以上のお金を融資するというような問題が発覚しておりますが、そういう相手に、果たして金融機関が、大蔵省が指摘しているような措置がとれるんだろうかなと思うんですよ。だって、私は暴力団です言ってぱんと赤丸の判を押して口座をつくりに来るというわけじゃないでしょうしね。実際そうでしょう。だから、そういう点でも金融機関と暴力団の癒着、これをきっちり断ち切っていかなければ実効を上げる施策にはならないんではないかなと思いますが、大蔵省としてはどうでしょう。
#170
○説明員(福田誠君) お答え申し上げます。
 大変厳しい御指摘でございますが、今回の法律で疑わしい取引の届け出制度が設けられている趣旨でございますが、第一義的には、当然のことながら、金融機関が取り扱う金融取引のうちに、薬物犯罪に係る取引であるとの疑いがあるものについて届け出を金融機関に義務づける。これによりましてマネーローンダリング罪等の薬物犯罪の捜査に役立てようとするのが一義的な目的でございますが、さらに副次的にと申しますか、金融機関が提供しておるいろいろなサービスあるいは決済システムを麻薬犯罪者が利用することを防止することによりまして、金融機関及び金融システムヘの国民の信頼が損なわれないようにするということも当然一つの趣旨でございます。したがいまして、プライバシー保護にも十分留意しながら、法目的を達成するためには厳正に対処する必要があると考えております。
 私どもとしましては、そういう意味で国民各層の御理解、協力をいただきつつい関係省庁とも連携をとりながら本制度の趣旨が生かされるように金融機関に対しても厳正な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#171
○沓脱タケ子君 時間ですので、終わります。
#172
○粟森喬君 麻薬及び向精神薬取締法の一部改正に当たりまして、今回の法律の第六十九条の六に
おいて麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡、譲り受け、所持などの罪について国外犯を規定してございます。国民の国外犯以上にいわゆる国外犯を規定したというのは、国外犯というのは国家主権を危うくするもの及びそれに類似するものということでございますが、今回の問題はかなり重要だという認識で国外犯まで入れたのかどうか、その辺のところについてお尋ねをしたいと思います。本来的には国民の国外犯であるものからもう一歩枠を広げた理由を明らかにしていただきたいと思います。
#173
○政府委員(川崎幸雄君) 今お述べなさいましたように、犯罪は国内で犯されたときに処罰を受けるというのが一般の原則でございます。薬物犯罪が一国の枠を超えまして国際的規模で行われているということから、麻薬新条約では麻薬等の輸入、輸出、製造、譲渡、所持等の罪につきまして国外犯の処罰を義務づけ、取り締まりの徹底を図ろうとしているところでございます。
 このような麻薬新条約の趣旨を踏まえまして、今回、麻薬及び向精神薬取締法等を改正いたしまして、国外犯処罰規定を設けまして、海外で不正な薬物の譲渡をしたり輸出入を行った場合についても日本国内で処罰できるようにいたしたものでございます。
#174
○粟森喬君 外国における麻薬犯罪を現実に取り締まりするときにどのように相手国で捜査上の協力があるのか、新条約の中でこの部分に該当するところはどこなのか、私の方でもちょっと調べてみたんですが、条約上の規定のどの部分でこの法の根拠を持ったのか、明らかにしていただきたいと思います。
#175
○説明員(古田佑紀君) まず、外国で行われました犯罪についてどういうふうに捜査を進めていくかということでございますけれども、これはいろんなケースがございまして、一番多いケースはその犯人が日本に逃げてきているというケースになるわけでございます。そういうときには、引き渡しをする場合もありますし、あるいは引き渡しか難しいような事態のときは、外国から証拠の提供を受けてそして捜査を進めるということがございます。
 それにつきましては、条約ではどうなっておるかと申しますと、第七条に法律上の相互援助という規定がございます。ここで、外国から頼まれたときに薬物犯罪について、例えば供述をとるとかあるいは捜索、差し押さえを実施するとか、証拠物を提供するとか、そういうことをしなければならないというふうになっております。
#176
○粟森喬君 そうしますと、逆のケースですね、外国に逃げていった場合、この場合も条約締結国は、条約に基づいて協力をしてもらえる、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#177
○説明員(古田佑紀君) おっしゃるとおりでございます。
#178
○粟森喬君 次に、原料に対する一定の規制、基本的なものの中で、特に別表の第四を見ますと、アセトンであるとかエチルエーテルであるとか無水酢酸であるとか、これは一般の製造業、化学工場でかなり使われているものでございます。この部分について届け出義務を課している。しかし、その必要性について、範囲を拡大するという意味はそれなりに承知をしているつもりでございますが、今回の新法の中で、現実に届け出をかなりきっちりやるということが、やる側にも大変苦労があります。また一方、それを管理していくことの大変さも当然ついて回ります。そういうことを考えますと、今回この部分を、原材料の部分でいわゆる法律規定及び省令で定めることの中でどういう見解をお持ちなのか、そこをお尋ねしたいと思います。
#179
○政府委員(川崎幸雄君) 今回、麻薬、向精神薬の原料となる物質につきましては、麻薬のみならずそれが密造に流用されることを防止するため、原料となる物質につきましても必要な規制を行うというのが新条約に要請されているところでございます。
 これを受けまして設けられた届け出制度の内容でございますけれども、エルゴタミン、エルゴメトリンなど直接麻薬、向精神薬の原料となるものにつきましては、輸出入業者、製造業者、卸・小売業者の開業の届け出、それから輸出入につきましては、その行われる際その都度届け出、盗難に遭った場合、または密造に流用される疑いのある注文があった場合に届け出と、こういったようなことを求めることといたしているわけでございます。
 それからまた、今先生が御指摘になりました麻薬、向精神薬原料のうち、アセトンとかエーテルとか無水酢酸など、麻薬の製造にも用いられますが、一方、広い用途を持っております物質につきましては、盗難時等の届け出のほかは当面輸出業者及び輸入業者に限りまして開業の届け出をしていただく。この場合、製造業者とか卸・小売業者につきましては開業の届け出を行う必要はないということにいたしております。したがいまして、過大な負担をかけたり流通に支障が生ずるというおそれはないものと考えております。
#180
○粟森喬君 事と次第によるんだろうと思いますが、含有するものまで届け出をしろというふうに規定ではなっていますので、いろんなことが起きたときのことを想定すれば当然そうだと思いますが、含有するものまで一々チェックできるのかどうかとなりますと、さっき私が挙げた三点だけでもこれは大変なことだなと、こういうふうに思いますので、法律の運用に当たっては十分慎重な配慮というものをお願いしたいと思います。
 次に、大蔵省を中心にしてお尋ねをしたいんですが、マネーローンダリングの問題でございます。
 今回、初めでこのようなマネーローンダリングが暴力団新法との関係もありまして設定をされたわけでございますが、捜査当局がいろいろ捜査を始めたときに、捜査当局がそれぞれの銀行にこの際捜査に協力してくれと言う意味はわかるんですが、金融機関そのものが、これは何となくおかしいではないかという一定の取引を特定できる能力というのは果たして存在し得るのかというと、先ほど同僚議員が言ったように、これはだれも麻薬に使う金だと言って届け出してやるわけではありませんから、現実に疑いがあると認められる場合、それぞれの主官庁に届け出をしろということですが、これはどういうふうにしてやるのか、ここはきっちりお尋ねをしておきたいと思います。
 といいますのは、当然これが一定の罪が成立をするということになったとき、知らなかったということで済むのか、あるいは幇助罪というのが現実にありまして、こういう法律が適用されると、何となくわかっていたんだけれどもだめだったということがどういうふうに展開をするのか。金融機関が主体的に疑わしいという判定基準をどのようにおつくりになるつもりか、お尋ねをしたいと思います。
#181
○説明員(福田誠君) お答えいたします。
 疑わしき取引、先ほど御答弁申し上げましたように、金融機関がみずからその金融業務を遂行するに当たりまして、「収受した財産が不法収益等である疑いがある場合」等々が疑わしき取引として届け出義務が発生するわけでございますが、何が疑わしい取引に該当するかはそれぞれ具体的事情によるところが大きいと思われますので、まずもって金融機関みずからがその業務経験に基づいて取引ごとにケース・バイ・ケースで判断することになるのではないかと思うわけでございまして、先ほど例示を挙げましたのは、例えば麻薬生産国に対して頻繁に多額の海外送金を行う場合などが考えられるわけでございます。
 そういうことで、金融機関が疑わしい取引を判断するに当たりましては、当面は海外の事例等を参考にすることになろうと思われますが、法律施行後は疑わしい取引の事例が集積されてくるものと考えておりまして、大蔵省としましては、捜査当局とも協力しながらその手口等の情報を逆に金融機関に開示して指導してまいるというようなことを考えております。
#182
○粟森喬君 マネーローンダリングについてはその程度にいたしまして、次にコントロールドデリバリーの問題についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほどから何人かの方が質問をされ、答弁をされているので、おおむねわかっているわけでございますが、この新設によって「規制薬物の散逸及び当該外国人の逃走を防止するための十分な監視体制が確保されていると認められる旨の連絡」、こういうふうに書いてありますが、これはどのような意味に解しているのか。
 それから、特に日本の場合の捜査体制で、今もそれに似たことをやっているのかもしれませんが、新しいこういうやり方を認めていくということで、これからのやり方の中で、果たしてそういう体制が現状あるという認識なのか、それともこれから新しく研究をされるのか、その辺のところについてどういう見解でこれを入れてこれからやれるというふうに理解をしているのか、お尋ねしたいと思います。
#183
○説明員(古田佑紀君) まず、第一点の「十分な監視体制が確保されていると認められる旨の連絡」という点についてのお尋ねでございますが、これは簡潔に申しますと、捜査当局から薬物を日本に持ち込むと疑われる者がいる、あるいは薬物が送られてくる、そういうふうな情報があった場合に、それについてコントロールドデリバリーをする必要がある。その際、こういう体制でコントロールドデリバリーをするというふうなことが法務大臣の方に通知が来る、法務大臣がそれを見まして、そしてこういう監視体制であるならば薬物の散逸とかそういうものが防止できるだろうというふうな判断をしたということを入管当局に連絡する、こういう趣旨でございます。
#184
○粟森喬君 余りよくわかりませんが、その辺はいろいろと新しい体制でございますから、かかることが余りないことを期待をしながら、最後の質問をいたします。
 薬物の問題で、新法ができるわけですが、コカインというのは今までの麻薬などと違いまして、類型別に犯罪の実績を見ますと、事務職員といいますか、一般的に肉体労働者とか無職と言われる人たちよりこういう層に相当波及をしていくというのが国際的にもいつも報道されているようでございます。したがって、この辺のところに対する従来と違った視点の対策というのがこれから考えられていくのかどうか、その辺についてもこの際明らかにしていただきまして、私の質問を終わります。
#185
○政府委員(川崎幸雄君) 今御指摘いただきましたコカインの問題でございますけれども、年間の検挙者数を見ますと、昭和五十三年当時はゼロであったと思いますが、五十四年から六十三年までの間は十人から四十人台で漸増傾向というものでございました。ところが平成元年になりますと、一挙に倍増の九十六名になりまして、平成二年には百十三名が検挙されております。
 押収量を見ますと、六十三年までは最高で二・一キログラムでございましたのが、平成元年になりますと一挙に十三・七キログラム、平成二年には六十八・八キログラムというふうに激増をしております。今先生もおっしゃいましたようなコカインをめぐります乱用の特性といったものも、アメリカの事情等も十分参考にしながら、この対応を考えていかなければならないというふうに考えております。今後これは十分警戒を要するコカイン事犯ではなかろうかと思います。
#186
○粟森喬君 日本はどういうふうにしているの、特別に。
#187
○政府委員(川崎幸雄君) 現在、コカイン事犯についてどういう特別な対策を立てるかということは、現段階で特に申し上げることはなかなか困難でございますけれども、今後の薬物犯罪に対する取り組みといたしましては、日本としてはやはり覚せい割とそれからコカインというものを中心に取り締まりを強化するなり啓発を強化していくということになろうかと思います。
    ―――――――――――――
#188
○委員長(田渕勲二君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として合馬敬君が選任されました。
    ―――――――――――――
#189
○勝木健司君 質問いたします。
 世界の麻薬事情というのはいまだ改善の兆しは見えておらないわけでありまして、ますます悪化しているというふうに聞いております。私もことしの三月二十六日の社会労働委員会で、国連において採択された麻薬に関する条約を我が国がいまだに批准していないのは遺憾であるということを申し上げたわけでありますが、世界各国が早くこの麻薬新条約を批准して、各国が協力して麻薬犯罪組織に対する取り組みを強化することが待ち望まれておるわけであります。
 そこで、この問題について幾つかお尋ねをいたしたいと思いますが、第一点は、麻薬新条約は昨年十一月に発効したというふうに聞いておりますが、この条約が発効をするには二十カ国以上の批准が必要であると承知しているわけでありますけれども、諸外国、特に先進諸国の批准状況について簡単に御報告を願いたいと思います。
#190
○説明員(鈴木一泉君) お答えいたします。
 締約国でございますが、本年九月二十七日現在で四十八カ国でございます。その中で先進国でございますが、アメリカ、カナダ、スペイン、イタリア、フランス、イギリス、スウェーデン等でございます。
#191
○勝木健司君 既に多くの先進諸国が条約を批准しているようでありますけれども、今度の条約はいわゆるマネーローンダリングを処罰するという、不正な金の流れをとめるというところが重要なポイントでありますが、この麻薬などのマネーローンダリングを防止するためサミットで作業部会を設けることになったというふうに聞いておりますが、このマネーローンダリングを防止するためどのようなことを作業部会で実施することとしているのかどうか。また、我が国はこれにどう対応していくのかということをお聞きしたいと思います。
#192
○説明員(福田誠君) お答えいたします。
 御指摘の金融活動作業部会でございますが、八九年七月のアルシュ・サミットの宣言を踏まえまして、麻薬等に関するマネーローンダリングの防止等を検討するために設置された専門家の集まりでございまして、九〇年四月に四十項目の勧告を行っております。勧告の中には、マネーローンダリングの犯罪化、不正収益の没収等麻薬新条約と共通の事項もございますが、特に金融機関等につきましては、顧客との取引における本人確認、資料保存、疑わしい取引の届け出制度の創設等が盛り込まれております。
 我が国といたしましては、勧告のうち本人確認や資料保存等行政措置で対応できる事項につきましては、御案内のとおり通達を出しまして昨年十月から実施しております。今回、疑わしい取引の届け出制度等立法措置の必要なものについて御審議いただいているところでございます。
 この金融活動作業部会は、今後はマネーローンダリングの新しい形態の検討などを行うこととしておりますが、我が国としても麻薬等に関するマネーローンダリング防止の重要性、十分認識しておりまして、その観点からこの作業部会につきましては、引き続き積極的に対処してまいりたいと考えております。
#193
○勝木健司君 次に、法務省にお伺いをいたしたいと思いますが、我が国の場合は特に米国などに比べてみた場合、麻薬に対する問題意識が余り強くないんじゃないか、そしてまた対応が手ぬるいということで日本に集中してくる危険性があるように思われます。これまで我が国でマネーローンダリングに類したことが過去あったのかどうか、このような事例についてどのように把握をしておられるのかお伺いしたい。
 そして、今回の法案が成立すれば当然処罰の対
象になるべきだと思うわけでありますけれども、それについても見解をお伺いしたいというふうに思います。
#194
○説明員(古田佑紀君) 従来、マネーローンダリングのような規定がございませんでしたので、薬物犯罪による利益についてそれがどういうふうに保存されているかということは必ずしも十分捜査が行き届かなかった面があることは事実でございます。したがいまして、私どもとしても全体について把握しているわけではございませんが、摘発された薬物事犯の中には、例えば覚せい剤の仕入れ代金を他人の名前を使って、あるいは全く架空の名義を使って送金するとか、あるいは覚せい剤の売上代金を妻の経営しているスナックの売上利益として計上しているケースとか、そういうふうなものが幾つかあることは事実でございます。今後、この法案が成立いたしました後、同様のことがわかりましたときはもちろんながら、事案の実情に応じて厳正に対処すべきものと考えております。
#195
○勝木健司君 今回の麻薬二法案は、新条約上批准のための国内法整備を目的としておるというふうに思います。この法案が成立をいたしますと、条約の批准が可能なのかどうか。さきの七月のロンドン・サミットではすべての国に対し資金洗浄に対する国際的な闘いに参加するよう呼びかけたが、その呼びかけた七カ国の一つとして我が国はできるだけ早く条約の批准を行う必要があろうかというふうに思うわけであります。サミット参加国でこの条約が批准されていないのはドイツと我が国だけでありますので、早期に批准すべきであると思いますが、この批准の時期はいつごろになるのかお伺いをしたいと思います。
#196
○説明員(鈴木一泉君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、ただいま御審議いただいております二法は、麻薬新条約を批准するために必要な国内法制を整備するものでございます。したがいまして、この二法の成立によりまして締結のための必要な国内法は整うことになります。
 具体的な批准のめどでございますが、ただいま具体的にこの時期ということは申し上げることはできないのでございますけれども、この二法の成立を待ちまして、さらに政令、省令、それから最高裁判所の規則、こういったことを制定する必要がございます。政府といたしましては、所要の手続を迅速に進めまして、条約を可及的速やかに締結することを考えております。
#197
○勝木健司君 今回の麻薬二法はいろいろな省庁にまたがる難しい問題をまとめるということで、厚生省を初め各関係省庁の協力に敬意を表するわけでありますが、幾ら立派な法律ができましても、その活用が図られなければ全く無意味なものとなってしまいますので、厚生省の麻薬等の取り締まり体制の現状はどのようになっておるのか、また、関係する他の取り締まり機関にはどのような機関があって、それらの機関と提携はどのように図られておるのか、簡単にお伺いしたいと思います。
#198
○政府委員(川崎幸雄君) 厚生省の麻薬取締官事務所は全国八地区に設置されております。現在百七十名の麻薬取締官が不正麻薬等の取り締まりを実施しているところでございます。麻薬等の取り締まりに関する機関といたしましては、このほかに県警、海上保安庁、税関、入国管理局、検察庁、都道府県業務主管部局といったようなものがございます。
 麻薬等の密輸密売の取り締まりに当たりましては、御指摘のように取り締まり機関同士の緊密な連携が重要でございます。これまでも常時こういった取り締まり機関同士の情報の交換を行うなど協力体制をとってまいりました。厚生省では、毎年地区ブロックごとに法務省、警察庁、海上保安庁、検察庁、税関、入国管理局、県警、都道府県の担当者を一堂に集めまして麻薬取り締まり協議会といったものを開催いたしまして、情報の交換を行い、関係機関の連携強化を図ってきたところでございます。今後とも関係機関との連絡を密にして、取り締まり活動の緊密な連携に努めてまいりたいというふうに考えております。
#199
○勝木健司君 今説明をお聞きしましたけれども、私も厚生省のこの取り締まり体制では不十分じゃないかというふうに思いますので、ぜひ取締官初め取締犬等々の増員、増大など取り締まり体制の強化に努めていただきたいというふうに思います。
 最後に、大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、ことしの警察白書によりますと、「大麻、コカインの乱用の危険性についていまだ十分な認識が醸成されているとは言えず、これらの薬物を安易に乱用する風潮が市民の間に広まる可能性も決して低いとはいえない。」と警告を発しておるわけであります。
 我が国におきましては、薬物事犯検挙者の年齢別人口が二十歳代において最も高いということでありまして、この時期に乱用を始める例が多いと考えられるため、若い世代に対する効果的な広報、啓発活動の実施方策を早急に検討しなければならないと思います。最近、海外旅行先でも気軽に大麻などを買い、密輸入しようとした若い女性の成田空港での逮捕が急増しているとの報告も聞いております。国際化の時代を迎えまして今後も若い人たちの海外渡航が大幅に増加することが予想されるわけでありますので、こういった意味でぜひとも若年層の薬物乱用を防止するため、より一層の施策の展開、充実が期待されておるわけでありますが、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
#200
○国務大臣(下条進一郎君) 麻薬等の乱用は人の生命、身体への危害にとどまらず、広く社会的害悪をもたらすものであります。麻薬等の乱用防止対策におきましては、これらの取り締まりとともに、乱用の未然防止を図ることが何よりも必要であります。
 厚生省といたしましては、このような観点から、麻薬取締官事務所における取り締まり体制の強化に努めるとともに、広く国民に対しまして乱用の危害についての啓発活動を推進し、乱用を許さないという社会環境の確立を図っていきたいと考えております。
 また特に、ただいま委員から御指摘の青少年の薬物乱用防止のことについてのお話がございましたが、これも大変大事なことでありまして、青少年期におけるシンナー等の薬物乱用は心身、人格形成に重大な影響を与えること、それからシンナー乱用の経験が他の薬物乱用へのステップにもなっている例が見られることから、青少年に対する予防啓発活動を充実させることが重要な課題と考えております。
 このため、厚生省といたしましては、シンナー乱用開始年齢と見られる中学生を対象といたしまして、シンナーが心身に有害な薬物であることを十分理解させるための副読本を各都道府県教育委員会の御協力を得て配付いたしております。
 なお、本年度におきましては、薬物が身体に及ぼす障害の状況を見せる展示室や、薬物に対する正しい知識を身につけさせるための視聴覚室等を搭載した啓発用キャラバンカーを製作いたしまして、たった一台でございまして申しわけないんですが、中学へ出向き、積極的な啓発活動を実施することといたしております。
#201
○委員長(田渕勲二君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認めます。
 これより両案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより両案について順次採決に入ります。
 まず、麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#203
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決
すべきものと決定いたしました。
 次に、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#204
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、前島君から発言を求められておりますので、これを許します。前島君。
#205
○前島英三郎君 私は、ただいま可決されました麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案並びに国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 以下、案文を朗読いたします。
    麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正
    する法律案並びに国際的な協力の下に規
    制薬物に係る不正行為を助長する行為等
    の防止を図るための麻薬及び向精神薬取
    締法等の特例等に関する法律案に対する
    附帯決議(案)
  政府は次の事項につき、適切な措置を講ずる
 よう努力すべきである。
 一、本法は、麻薬及び向精神薬の不正取引等に
  有効に対処するための国際的責務を遂行する
  目的で設けられた特別措置である。従って、
  その運用に当たっては、前記目的に従って厳
  正に運用し、不当に人権を侵害することのな
  いよう努めること。
 二、薬物乱用対策における国際的協力の重要性
  にかんがみ、諸外国及び国際機関との密接な
  情報交換を進め、取締りにおける国際協力を
  積極的に推進すること。
 三、薬物乱用による危害を広く国民に周知徹底
  するための施策の充実を図ること。特に、青
  少年に対する薬物乱用防止のための啓発を十
  分に行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
#206
○委員長(田渕勲二君) ただいま前島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#207
○委員長(田渕勲二君) 全会一致と認めます。よって、前島君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、下条厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下条厚生大臣。
#208
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#209
○委員長(田渕勲二君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#210
○委員長(田渕勲二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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