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1991/09/26 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 法務委員会,土地問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号
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1991/09/26 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 法務委員会,土地問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号

#1
第121回国会 法務委員会,土地問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号
平成三年九月二十六日(木曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   法務委員会
    委員長         鶴岡  洋君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                野村 五男君
                北村 哲男君
                中野 鉄造君
    委 員
                加藤 武徳君
                中西 一郎君
                福田 宏一君
                糸久八重子君
                佐藤 三吾君
                瀬谷 英行君
                千葉 景子君
                橋本  敦君
                紀平 悌子君
   土地問題等に関する特別委員会
    委員長         穐山  篤君
    理 事
                秋山  肇君
                石渡 清元君
                谷川 寛三君
                及川 一夫君
                種田  誠君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                石原健太郎君
                斎藤栄三郎君
                竹山  裕君
                西田 吉宏君
                平野  清君
                糸久八重子君
                翫  正敏君
                庄司  中君
                瀬谷 英行君
                西野 康雄君
                中川 嘉美君
                諫山  博君
                高井 和伸君
                山田  勇君
                下村  泰君
   国務大臣
       法 務 大 臣  左藤  恵君
   政府委員
       国土庁土地局長  鎭西 迪雄君
       法務大臣官房審
       議官       永井 紀昭君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省人権擁護
       局長       篠田 省二君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  今井  功君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        播磨 益夫君
       常任委員会専門
       員        駒澤 一夫君
   説明員
       国税庁課税部所
       得税課長     日高 正信君
       建設省建設経済
       局不動産業課長  藤田  真君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    川村 良典君
       建設省住宅局民
       間住宅課長    石井 正弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○借地借家法案(第百二十回国会内閣提出、第百
 二十一回国会衆議院送付)
○民事調停法の一部を改正する法律案(第百二十
 回国会内閣提出、第百二十一回国会衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
   〔法務委員長鶴岡洋君委員長席に着く〕
#2
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから法務委員会、土地問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
 借地借家法案及び民事調停法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は、お手元に配布いたしました資料のとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○及川一夫君 まず、連合審査に応じていただきまして、審査が開始されることに対して感謝申し上げたいと存じます。
 法務大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、けさほどの新聞紙上に、「借地借家法改正秒読み 高まる「立ち退き」不安」という見出しで借地借家法の問題点が報じられております。「借地権の更新後の期間が短くなること」「地主、家主側が契約更新を拒絶する正当事由の項目が増えること」「借り主の権利が弱まる」こと、「立ち退き後の住まい確保への不安が高まっている。これまでも大都市では、地価高騰に伴う強引な地上げで借地借家人が住まいを追われ、都市の空洞化が深刻な問題になっている。」ということで、その事例を述べながら報道がされております。恐らく、政府原案が出た後、地主の皆さんや家主の皆さんがこの法律案に基づいて借地人やあるいは借家人にどう対応するかという極端な動きもあったようでありまして、法務委員会ではその事態を憂慮して、直ちに大臣談話を出すなどしてそういった不安にこたえるべきである、二十日に、法務大臣はそれを受けて談話を発表された。
 発表されても、なおかつ、報道によればこういったことが指摘をされているということになるわけですが、それだけ関心の高い問題であるということを前提にしながらも、法務大臣としてこの法律が成立をするとするならば、成立前あるいはまた成立後、かなり的確に国民全体に対する周知宣伝というものを、あるいは行政指導というものをしっかりしていかなければいけないのじゃないかというふうに考えるのでありますが、法務大臣、いかがでしょうか。
#4
○国務大臣(左藤恵君) お話しのとおり、そうしたけさほどの記事にも載っておりますし、また、いろいろとそういうことで誤解といいますか、そういうふうなことを曲解して、そして、それでもって貸し地・貸し家人が借地・借家人に対してそういったことについての立ち退きを要求するというふうな、仮にそうした事態が起こったということは、これはまことに遺憾なことであり、何としてでもそうしたことが間違っており、そうしたことは、本来そういう契約をしましても無効であるということをさらに徹底しなければならないと、お話しのとおりだと思います。
 今回の改正の趣旨が、現行法と全く変わるものではなくて、そして新しい制度として、例えば定期借地権とかそうしたものの道が開かれたことではありますけれども、今までのことについて、今の正当事由というふうなものが何か新しく加えられたようなこと、決してそんなことにはなっておりません。そういうことにもかかわらず、今のお話のようなことが仮にあったといたしましたら、非常にこれは遺憾であり、かようなことがないように、この法案の内容を十分御説明するような努力を、この法律を成立させていただいた後も、現在までもいたしておりますけれども、さらにこの問題についての周知徹底にあらゆる機会を通じて努力するということをしなければならない、このように考えているところでございます。
#5
○及川一夫君 これまで、法務省民事局の参事官室とかあるいは法務省の民事局、こういったところで「よりよい借地・借家関係に向けて」ということで改正案の概要などが発表され、また説明が加えられている。同時に、「借地・借家法の改正案が出されています」ということで、「すでに土地や建物を借りている方の立場は、法律が変わっても、変わりはありません。」という見出しをつけながら、これまた要点を記述して配られています。
 内容的には、論議をされる以前の中でこういうものが出されておりますから、非常に問題点が多いというものになっているわけでありまして、私どもからいえば、修正ということがあればあるほど、同時に論議の内容が極めて密度が濃いものであればあるほど、この法律が成立した後には当然、この種のものになるかどうか知りませんけれども、内容的には変更を加えて周知徹底を図ることになるというふうに思うのでありますが、今そういう計画をお持ちかどうかお聞きしておきたいと思います。
#6
○政府委員(清水湛君) お答え申し上げます。
 借地・借家法の改正案が国会で通過、成立をいたしました場合には、私どもといたしましては、これまでにも増して徹底した周知徹底のための方策をとりたい。テレビとか新聞、雑誌等、こういうようなことももちろん利用できるものは利用いたしたいし、それから、この種のもっと簡明な一問一答式のリーフレットをつくるとかパンフレットをつくる、あるいは各地で御要望があれば積極的に講師を差し向けて説明会を開く、こういうようなことをきめ細かくやってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#7
○及川一夫君 十分国民の言葉で周知徹底を図っていただくようにしていただきたい。率直に申し上げまして、配られた法律案そのものではなかなか専門家の方でも首をかしげるというようなことをお聞きしますので、ぜひ国民に語る言葉で周知徹底を図っていただくことをまずもって私はお願いしておかなければいけないだろうと思います。
 そこで私は、土地特の方に所属をしておるものですから、この法律案については同僚の報告を受けながら理解しているつもりでございますが、改めて私の立場から、これまでの論議とそして野党側から出された修正案とを含めて、現時点でどこまでこの法律案が到達しているのかということを確かめる意味でまとめて御質問いたしますので、それに対して端的にお答えいただきたい、こう思うのであります。
 今決めようとしている法律の主なる内容ということになるわけでありますが、私は重要な点が五つあるというふうに思っております。
 一つは、従来の借地法、借家法、建物保護法、三つの法律を一本化しているということ。
 二つ目には、新法施行前に締結された借地・借家契約にはこの法律は一切適用しない、つまり現行法の内容で契約されているそのものがこれから先も続くので、現状は変化はしない。この点、附則にこのことが記載されているというふうに二点目として理解をいたしております。
 三点目は、借地権の期間は、普通の場合が一番我々からいえば焦点ではないかというふうに思いますから、その点についてはすべて三十年とし、最初の更新は二十年、再々更新は十年というふうに決められておるというふうに理解をいたします。
 それから第四点としては、正当な事由ということで判断する要素の中に、借家の場合「収益」という言葉がありましたが、これは含まれない、つまり原案から削除をしたというふうに受けとめております。なお、正当事由の項に関し、正当事由とはとれまでの判例を法文化し沈むの、立ち退き料は引き続き正当事由を補完するものとして扱われるという法務省の見解を法務委員会で示された、こう理解をいたしております。
 最後の五つ目は、地代・家賃紛争解決には調停前置主義を導入したということになりますが、したがってこの調停前置主義を導入したということは、調停どまりにするための貸し主、借り主の文書による事前合意は調停申し立て後の合意に限るということになったというふうに現状を理解いたしております。
 その他、細々した問題はたくさんございますが、私から見て、国民との関係で大変重要な点という意味で、以上五点に整理をして理解いたしておりますが、このことは間違いがないということでお答えいただけるかどうかということでございます。
#8
○国務大臣(左藤恵君) 今、先生御指摘のとおり、大きく分けますと五つの点で今回の改正案を整理していただいて間違いない、このように考えます。
#9
○及川一夫君 認識が一致したところで一、二申し上げたいのでありますが、法体系というのはかなり厳しいものだというふうに私も理解いたしますが、しかし、先ほど整理して申し上げました借地権の期間の問題がいわば附則のところで書き加えられている。附則ということ自体が一体国民の目に見えるか見えないか。弁護士の方でも附則というところには目を通すことが極めて少ないというふうに言われているだけに、現状を変えない、そういうことがいわば附則ということで扱われることについて本当によろしいのかどうかということを考えるのが一つ。
 それから、正当な事由がふえたというふうに今とられているわけでありますが、少なくともその意味するものについての指導、周知の方法というのは、先ほど言った解説書を出すというだけではなしに行政指導上もやはり明確にされる、そういう措置をすべきではないか、こう考えるんですが、この点ただしておきたいというふうに思います。
#10
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。
 先ほど先生、今回の改正法案の内容について正確に御指摘されたのでございますけれども、定期借地権制度の創設というのを、私の聞き漏らしかどうかしれませんけれども、その点が漏れたように思いますので、新たに定期借地権という制度あるいは期限につき借家制度を創設したということも重要な内容であるということをちょっとつけ加えさせていただきます。
 それから、今回の借地借家法案というのは、先ほど先生御指摘のように、古いタイプの借地法、借家法、建物保護に関する法律という三つの法律を一本にしまして現代語化するということにいたしておるわけでございます。そういうことの関係上、古い法律は廃止をするということにせざるを得ない、こういうことになるわけでございます。
 そういたしましても、しかし先ほども正確に先生の方から御指摘がございましたように、既存の借地・借家関係については、更新及び更新後の存続期間に関する規定、つまり更新に関する規定は適用しないと、こういうことにいたしております関係上、どうしても附則の中に従前の借地・借家関係についての取り扱いの規定は置かざるを得ない、こういうことに法律技術的にはなるわけでございます。附則と申しますと、本法に重要なことを大体記載して、附則にはいろいろないわば細々とした経過措置的なものを記載するというのが普通でございますけれども、そういう意味では、今回の借地借家法は附則に非常に重要な規定があるというのはまことに御指摘のとおりでございます。
 私どもといたしましては、附則にそういう重要な規定がございますので、このことを含めまして周知徹底を図る、特に新法の周知徹底というのは新しい内容もさることながら、附則でこうなっていますということが先ほど来の御覧肝あるいは大臣の答弁からもうかがわれますように、一附則の中身を明確にする、このことをよく理解していただく、こういうことに私どものこれからのPR、周知徹底措置はそこに中心を置いてまいりたいというふうに考えていますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
#11
○及川一夫君 正当事由問題での答弁がなかったのですが、これはひとつ強く要望しておきますから、ぜひそごのないように対応していただきたいというふうに思います。
 そこで、時間も限られておりますので先に進みますが、もともとこの法律がなぜつくられたかということを考えますと、借地人や借家人保護のために法律がつくられ、そして歴史的にも長い年月を経ている法律であることは間違いないというふうに思うのであります。したがって、新法においても、この精神、この法律の出発点の物の考え方というのは変えるべきではないし、具体的には、やはり借地をする人それから家を借りる人、この人の保護ということに重点が置かれて法律がつくられ、また運用されるべきものだというふうに考えるわけであります。
 逆に言うと、地主さんとか家主さん、こういった方の保護のために法律が変えられたというふうに私は理解をしたくない、少なくとも借地人や借家人というものをいかに保護していくかという立場を変えない一つの法律であり、また法律の運用であり行政指導であるべきだ、こういうふうにこの法律を理解するに当たって私は確認を求めたいのですが、法務大臣、いかがでしょうか。
#12
○国務大臣(左藤恵君) 今お話しのように、現行の借地・借家法、これは大正十年に制定されまして、昭和十六年に一度改正された後、ずっと今日まで来ておる基本法と申していい法律だと思います。そうしたことで、この現行法の仕組みというものは、そういった意味におきましては今回も全く改正はいたしておりません。
 基本的に、考え方は全く同じでありますけれども、ただ、社会経済情勢とかそういったもので、新しいいろいろなそうした借地の形式とか、そういうようなものを期待する問題があります。例えば、定期借地権の制度を創設するとかそういったことで今回の改正をする、そして今までのことにつきましてはきちっと整理するということで、今お話がありましたように、例えば判例でいろいろやったものを正当事由という中にまとめていくということで、より何といいますか、公平かつ合理的なものにしていこうということで、基本的な考え方は全く変わっておらないということを御理解いただきたいと、このように思います。
#13
○及川一夫君 大正年代、大正という言葉が出ましたので、多少疑問もあるわけですが、しかし何といっても借地・借家法が本来の意味で保護的に運用また適用されてきたのは、むしろ戦後が新しい時代を迎えてなされてきたのではないかと、そういう認識のもとに御質問申し上げたつもりであります。しかし、法務大臣のお答えは、言葉の中ににじみ出ていると、こう理解いたしますので、借家人あるいは借地人の保護ということに大きなウエートを置いてこの法律がスタートしていくというふうに理解しておきたいというふうに思います。
 次の問題点として、私は、土地特に所属しているものですから、土地価格の動向であるとかあるいは土地の開発問題であるとか、これに関連をして開発、建設というものがどうあるべきかということを論じさせていただいている立場でございます。したがって、借地借家法というものを受けとめる場合には、当然土地があって家があって、初めてそこに入る人たちの運用という問題になるのだということを考えますと、今現在住宅というものが十分か十分でないかという議論もしておかなければならないだろ。うと、こう実は思っておるし、同時にまた、土地の値段が借地・借家人に家賃ないしは地代としてコスト的に固定資産税の値上がりなどを含めてはね返る問題を考えますと、やはりこの借地借家法は我々の問題であるという気持ちで対応しなければならない、そういう意味の連合審査というふうに受けとめております。
 それだけに、具体的に住宅数では総務庁が発表したものによりますと四千二百四万戸ということに現在だっているようでありますが、世帯数で言えば三千七百八十五万世帯ということになっていることを考えますと、数字上では三百九十四万戸が要するに空き家ということになる計算が出ているわけであります。空き家率ということでおおむね一〇%、こういう現状で、世界の動向から見ましても一〇%の空き家がある、余裕があるということは、総人口的に見ても家をかわろうと思えばいつでも希望のところにかわっていくことができる、こういうものだと実はされておりまして、きのうの国民生活に関する調査会ではありませんが、そこでの参考人の報告でも、一応水準では世界並みになってきたというふうに報告もされているわけでございます。
 文字どおりそのとおりかどうかということで我がことに振り返ってみますと、この三百九十四万戸といいましても、二Kであるとか二DKであるとかワンルームであるとか、そういうものが多数でありまして、あそこはいい、ぜひかわりたい、この家主とは一緒にいたくないからかわろうなどといって積極的にかわり得るようないわば条件があるかどうかということになりますと、大変クエスチョンマークというふうに私は理解をいたしているわけであります。
 したがって、当然これからの住宅建設という問題、それこそ量よりも質の時代というふうになってきたということを考えますと、この三百九十四万戸空き家があるからいわば立ち退き要求というのが容易だというふうに理解するようなことがあってはならないというふうに思っております。
 そこで、建設省にお伺いしたいんですが、私が今申し述べたような立場に立ってこれからも住宅建設というのはなされるべきだというふうに思いますが、その点いかがでしょうか、簡単で結構でございますから述べていただきたいと思います。
#14
○説明員(川村良典君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘ございましたように、私ども住宅建設五カ年計画におきましては、居住水準の目標といたしまして最低居住水準というものを決めているわけでございますが、六十三年の住宅統計調査によりますと、なお全国で九・五%の方々がこの水準を満たしていないという状況にあるわけでございます。したがいまして、こういう方々の最低居住水準を解消するということが大変大きな問題だというふうに考えておるところでございます。
 特に、大都市地域では住宅問題が深刻なわけでございまして、借家世帯の居住水準が低いこと、さらにまた地価の高騰などによりまして賃貸住宅への需要が高まるといったことが予想されることから、公共賃貸住宅を初めといたしまして、良質な賃貸住宅の供給を促進することは大変重要だというふうに考えているところでございます。
 このため、平成三年度を初年度といたします第六期住宅建設五カ年計画におきましては、公共賃貸住宅全体として、第五期計画に対しまして四万戸ふやしまして三十八万七千五百戸の供給を計画しているところでございます。今後、借り上げ方式による公共賃貸住宅の供給促進あるいは公共賃貸住宅の総合的な建てかえの促進などを積極的に推進いたしまして公共賃貸住宅の供給を促進していきたい、かように考えているところでございます。
#15
○及川一夫君 十分とは言えませんけれども、どちらにしても推進してもらわなきゃいけないという点で理解をいたしますが、土地の値段の方もこれはあるわけでありまして、これは土地特委そのものの問題ですからそこで論ずることにいたします。
 いずれにしても、国土庁長官からは昨日のやりとりの中で、サラリーマンを中心にした持ち家ということを考えると、その値段は一体年収の何倍か、何倍が到達したい額であるのかということを尋ねましたところ、年収七百五十万ということを前提にした場合には五倍ということをおっしゃられております。つまり、三千六百万ないし七百万ということで土地、家が持てるように、しかも東京圏でというお考えでございます。
 現実は、とてもじゃないが億単位でないと買えないのが実態、あるいは五千万、六千万という実態ですから、なかなかもってそこに到達するには大変な努力を必要とするというふうに考えながらも、政治の目標としてお互い確認をいたしましたから、私たちもそういう立場から責任をひとつ果たしていきたいということを申し上げておきたいと思います。
 時間が参りましたので、大変細かくなって恐縮でありますが、しかし重要な問題でありますので、建設省ないし大蔵省にちょっとお尋ねしておきます。
 それは、一つには家賃とか賃貸料ですね。どうも状態を見ると、二年に一遍変更されている、値上げされている、こういう実態に私はなっているように把握をいたしております。ところが、例えば固定資産税を見直すのは路線価額ということで五年に一遍ということになっているわけでありまして、少なくとも固定資産税のはね返りを理由に二年ごとに家賃を、あるいは地代を変えていくということにはなり得ないというふうに思うんですが、この辺、建設省としてどう把握されているかという問題。
 もう一つは、最近ばかりじ沖ないんですが、礼金という名の性格不明のものが家主、地主さんから要求されて、それを出さないとはいれないということがたくさん実は存在をしているわけであります。入りたい一心ですから、礼金とは何ですかと。あるいは敷金というのはこれは常態としてあるようですが、敷金といっても上限が決まっているわけではない、さまざまな形で存在しているようであります。
 敷金の問題について、一体これは、仮にそれを認めるにしても、上限は常識的に見て幾らかということになれば、多く見ても家賃の二カ月ないしは三カ月分というのが常識ではないかというふうに思うんですが、実態は半年分、一年分というものも横行している。こういう状況であることを考えますと、これまた建設省ではいかにお考えか。
 さらに、大蔵省には、この礼金とか敷金とかのいわば性格の問題、それがまた礼金、敷金ともに税制上、税の対象として把握されているかどうかということも含めて、大変ちょっと細かくなって恐縮ですが、簡単でよろしいですからお答え願いたいと思います。
#16
○説明員(石井正弘君) お答え申し上げます。
 まず、借家料の値上げの問題でございます。
 家賃の値上げの時期につきましては、私どもの外郭団体の方の調査したもの、実態調査がございますが、これによりますと、東京におきましては約八割の家主の方が契約更新時に行うというふうにされているところでございます。契約の期間でございますが、東京においてはほとんどのケースが二年であるということでございますので、したがいましておおむね二年ごとに家賃の値上げがなされている、こういうふうな実情になっているところだと思います。
 家賃の改定につきましては、当然のことながら個々の事情に応じまして賃貸借の両当事者間の合意に基づいてなされるべきものであるということになっているわけでございまして、当事者間において合意がなされない場合には、借家法の所要の規定に基づきまして家賃の改定の是非あるいはその額について調整が図られるというふうになっているところでございます。
 それから次に、礼金と敷金についてのお尋ねでございます。
 建設省が平成元年に実施いたしました「貸家経営実態調査」というのがございます回これによりますと、借家契約締結に当たってのまず礼金につきましては、東京圏では九割弱の家主の方が徴収しておられまして、その額は家賃の平均一・五カ月程度、大阪圏ではほぼ四分の一程度の家主の方が徴収しておられまして、その額は家賃の約〇・七カ月程度であるということでございまして、それ以外の地域においてはそれぞれ地域によって差異があるところでございます。
 それから、借家契約の更新時において支払われるいわゆる更新料につきましては、同じく実態調査によりますと、東京圏では八割弱の家主の方が徴収しておられまして、その額は家賃の一カ月程度、一方大阪圏では九割以上の家主の方は更新料を徴収しておられない、こういうふうな実態になっております。
 もう一つ、敷金の方でございますが、同じ調査によりますと、東京圏では家賃の一・七カ月程度、大阪圏ではこれは返還を予定していない敷き引きと言っておりますが、一定の礼金相当額、平均約五割でございますが、これを含めまして家賃の七・三カ月程度、かようになっているところでございます。
 これらの礼金と敷金につきましてでございますが、賃貸借契約当事者間の調整に基本的には任されているところでございますけれども、先ほどの御質問にもございましたが、私どもとしてはその対応策としまして、来年度作成を予定しております賃貸借契約の実態にかかわる情報等を内容といたしますマニュアルをつくろうと思っておりますが、この中に礼金とか敷金の実態にかかわる、実態がこうだという情報を織り込むことによりまして、それを参考にして当事者の方が適正な礼金とか敷金の授受が行われるようになるように周知徹底を図ることを今現在検討いたしておるところでございます。
#17
○説明員(日高正信君) 先生お尋ねの礼金、敷金の類でございますが、個人の家主が収入いたします場合には、一般的には不動産所得として所得税が課税されるわけでございます。私ども、こうした不動産所得の課税につきましても、資料、情報の収集等に努め、課税の適正化に努めておるところでございます。
#18
○及川一夫君 終わります。
#19
○種田誠君 ただいま同僚の及川議員の方から地代や家賃の件についても質問があったわけでありますが、このことについて、わずかた時間なんですが伺いたいと思います。
 きょうの朝日新聞もそうでありますし、九月十八日の新聞にも同じような形でこれまた載っておることでありますが、立ち退きを迫る一つの方法として、更新をしないということとか、それから地代・家賃の大幅増額を求める、こういうことがいわゆる立ち退きへの不安を高めているというふうに記載されているわけであります。その意味で、地代や家賃の適正な価格というものをどのように図っていくかということは、これから極めて重要な課題になるんではないだろうかなと思うわけであります。
 法文においても、十一条や三十二条などにおきまして、増減に関して従前の法文と同じような形で規定はされておるわけでありますが、なお具体的に民事調停法において調停の席で適正な地代・家賃を決めることができる、こういうふうな施策が入ったものですから、これらの問題に関してなお一層慎重な取り組みと同時に、具体的に早い時期に適正な地代というのを確立していく、こういうことが必要になってくるかと思うんですね。
 その意味で、冒頭ちょっと伺いたいんですが、土地の高騰が昭和五十八年ごろから一気に高まって今日に至ってきたわけでありますが、これの推移について、全国といっても難しいと思いますので、大都市地域において地代や家賃が今日までどのように推移しているか、建設省等において掌握しておれば明らかにしていただきたいと思います。
#20
○説明員(石井正弘君) お答え申し上げます。
 お尋ねは大都市圏というようなお話でございましたが、ちょっと御答弁は全国平均で御答弁申し上げたいんです。
 住宅統計調査というのがございまして、これによりまして全国平均の一昼当たりの家賃あるいは間代の推移を見てみますと、昭和五十八年が千六百四十五円、これが昭和六十三年には二千四十五円と、こうなっているわけで、五年間で約一・二倍になっているわけでございますが、この間一般物価の方の上昇率は約一・〇六倍程度でございますので、一般物価の上昇率に比較いたしましてもやはり家賃、間代の上昇率は相対的に高く推移してきていると、こういうことが言えようかと思います。
#21
○種田誠君 全国平均ですから多分これは倍率なども低率に評価されざるを得ないのかもわかりませんが、大都市部においては多分このような数字じゃなくて、もしかしたらこの倍ぐらいの数字になっているんじゃないかなと推測されるわけであります。
 そういう中で、先ほど及川委員の質問にもありましたが、持ち家については建設省は年収の五倍を政策目標に掲げて努力していく。まず、家賃については月収の二〇%、私ども社会党などは一五%が正しいというふうに言っておるんですが、建設省としては月収の二〇%を政策目標に掲げて努力をしておると思うんです。実際問題として、今日においてこの政策目標との乖離はどのようになっておりますでしょうか。
#22
○説明員(川村良典君) お答え申し上げます。
 総務庁の家計調査でございますが、これによりますと、民営借家に居住する勤労者世帯の地代・家賃の負担率は昭和六十年以降おおむね一〇%台で推移をいたしているところでございます。また、民間機関の調査でございますが、平成二年八月の三DKの家賃を調べたものがございますが、これですと大変実額にいたしまして月額十一万円台から十五万円台ということでございます。首都圏の平均勤労者の月収でいきますと一七、八%から二〇%をちょっと超えるといったところにあるようでございます。
#23
○種田誠君 そうしますと、率直に言って、今の数字からいいますと、既にもう建設省の政策目標は達成されておる、住宅における家賃・地代等、また持ち家取得に関して問題はないということになってしまうんじゃないですか。
#24
○説明員(川村良典君) 建設省といたしましては、二〇%という先生御指摘の数字でございますが、これは負担限度の数字として想定をいたしているものでございます。そういう意味からいたしまして、私どもとしてもできるだけ適正な価格で賃貸住宅の供給をいたしたいというふうに考えているところでございます。
#25
○種田誠君 私は、その数字についてこれからさらにいろいろ議論をさせていただきたいと思いますが、昨今における例えば大川端にしても新たにできてくる都営住宅にしても公団住宅にしても、特に公団などにおいては二十万以上の家賃だとか、こういうふうなことが言われておる中で、今の問題が数字として正しいんだというふうににわかに理解ができないわけでありますが、この問題については後日また別な機会に伺いたいと思います。
 そこで、裁判所の方に伺いたいんですけれども、裁判所のこれからの調停における地代・家賃に関する役割というのは極めて大きな位置を占める。そうなってきますと、調停の席で具体的に決められるわけでありますが、現在の裁判所の地代や家賃を定めていく基準というのは一体どのようなものとして整理されておるのか、教えていただきたいと思います。
#26
○最高裁判所長官代理者(今井功君) お答え申し上げます。
 適正賃料額の算定ということにつきましてはいろいろな考え方があるわけでございますけれども、御承知のように最高裁判所の判例がございまして、このようなことを言っております。これは昭和四十四年の九月二十五日、第一小法廷の判決でございますが、
  土地の賃貸人は、借賃が土地に対する租税その他の公課の増減、土地の価格の最低により、または比隣の土地の賃料に比較して不相当になった場合その他経済事情の変動によって、従来の賃料が不相当になったときは、借地法一二条の規定により、貸借人に対し、相当な額にまで賃料の増減を請求することができるが、右にいう相当な賃料額を定めるにあたっては、同条所定の諸事由にかぎることなく、請求の当時の経済事情ならびに従来の賃貸借関係、とくに当該賃貸借の成立に関する経緯その他諸般の事情を斟酌して、具体的事実関係に即し、合理的に定めることが必要である。
と言っておるわけでございます。ほかの判例も大体同じようなことを言っております。
 これらの判例に従いますと、具体的には次のような事項が考慮されることになろうかと思います。公租公課、土地の価格、近隣の同じような種類の賃貸事例における賃料の額、消費者物価指数、家賃指数、このようなものが法律にあるわけでございます。そのほかに契約成立の時期、目的、期間、支払われた権利金、敷金、更新料その他の特約事項、それから土地・建物の利用状況、前回の増額からの経過期間、当初の賃料額の高低、貸借人が相当の収益を上げておること、そのようなもろもろの事情が考慮されるわけでございます。
 具体的な事案に応じまして、これらの諸事情を考慮しまして、その事案に最も適切な解決案を策定して、調停の場合はこれにより当事者を説得する、こういうことになろうかと思っております。
#27
○種田誠君 今の説明からも、実際の居住者の、例えば居住者が高齢者であるとか障害者であるとか低所得であるとか、そういうものは積極的にむしろ評価されるというわけじゃなくて、それはあくまでも地代・家賃を決める上での一つの周辺の事情に置かれているのが現状だと思うんですね。そういう今までの判例の積み重ねの中から出てきた基準というものが、現実に土地の暴騰が起こってしまって、それが家賃などにはね返った場合に、それを具体的な適正な地代・家賃を決める上で考慮し得るという余地はあり得るんでしょうか。
#28
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 今申し上げましたように、適正賃料の算定ということは、実にさまざまな要素を具体的な事案に応じて考慮するということになります。
 それで、今仰せのような事情でございますが、特に当事者間の合意が要求される調停という場におきましては、こういう申し上げたさまざまな考慮要素の一つといたしまして借り主の支払い能力、これは具体的には収入等にあらわされるわけでございますが、そのようなことも考慮するという考え方もあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、裁判所といたしましては、具体的な事案に即しましていろんな要素、その事件事件に合った要素を適切に考慮いたしまして妥当な事案の解決を図るようにしたいと、こういうことでございます。
#29
○種田誠君 裁判所の方としても、ぜひ今後の新たな試みとして、今申し上げたような諸事情も適正地代・家賃の決定の中に組み込むことができるような対策、施策を考えていただきたいと思うわけでありますが、問題は、そういいましても、今申し述べたような事情というのはなかなか適正な地代・家賃にはね返ることが難しい。
 そこで、建設省などにおいて、公営住宅、公共住宅等によってこれを補うとか家賃補助などによってこれを補っていくと、そういう施策が現実に展開されていると思うわけでありますが、その辺のことについて最後に建設省の方において今後の見通し、現状などについて伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#30
○説明員(川村良典君) お答え申し上げます。
 建設省といたしましては、住居費負担の軽減に関しまして、融資、税制などの活用によります賃貸住宅供給コストの低減を図るとともに、特に低所得者の世帯につきましては公共賃貸住宅の的確な供給等の施策の充実に努めているところでございます。特に近年、地価高騰等によりまして深刻化をいたしました大都市地域の住宅問題の解決のために、本年三月にはいわゆる大都市法に基づきまして供給基本方針を策定したところでございます。
 この方針におきましては、勤労者が通勤可能な立地において適正な支出で居住できる価格、家賃の良質な住宅を確保できるようにすることを基本目標といたしまして、東京、大阪、名古屋の三大都市圏において今後十カ年間に合計で住宅七百四万戸、住宅地四万六千三百ヘクタールの供給を目指すことといたしているところでございます。
 この供給基本方針を受けまして、既に関係都府県におきましては供給計画の策定がなされたところでございますが、今後この方針の達成に向けまして、借り上げ方式を活用した公共賃貸住宅の供給促進、住宅地高度利用地区計画など都市計画制度の活用、優良な住宅供給事業に対し助成を行います大都市優良住宅供給促進事業の活用などさまざまな施策を国、地方公共団体が一体となって推進をしてまいりたいと考えているところでございます。
#31
○種田誠君 どうもありがとうございました。
#32
○中川嘉美君 限られた時間内で十分に問題点を詰めるというわけにもいきませんので、私は確認すべき幾つかの点について伺っておきたい、このように思います。
 我が国は欧米に比べて国民の持ち家志向というものが非常に強いと言われているわけですが、この地価高騰によってサラリーマンの持ち家取得が非常に困難になっている現状において、大都市においては持ち家を奨励するというよりも良質、低家賃、こういった賃貸住宅の供給促進、これに重きを置く政策の方が重要になっている、こういうことが言えるんではないかと思います。
 その意味において、今回の借地・借家法の改正案を住宅供給という観点から果たしてどのように評価をしておられものか、法務大臣及び建設省等のお考えを伺いたいと思います。
#33
○国務大臣(左藤恵君) 今回のこの改正は、住宅の供給を促進する、そういう住宅政策を直接の目的とはいたしておるものではございませんけれども、定期借地権や確定期限つきの建物賃借制度、こういったものを創設することによりまして、現在の社会経済情勢の中において借地・借家に対する多様化した需要にこたえようという、そういう一つの目的もございます。そして、これによって良好な借地・借家の供給が促され、結果として住宅の供給促進に寄与すると、私はこのように考えておるところでございます。
#34
○説明員(石井正弘君) 今回の借地・借家法の改正は、賃貸借当事者双方の公平な利害調整の確保等、合理的な借地・借家関係の確立を図ろう、そういうものであるというふうに理解をいたしているところでございます。
 建設省といたしましてどのように評価するかでございますが、今回の改正で定期借地権あるいは確定期限つき借家の特例、こういった新しい制度が導入されるわけでございますが、こういった制度の導入によりまして、賃貸人の土地とか建物にかかわる不安が解消されるであろう。したがって、住宅の供給に資するという方向に展開するのではないかというふうに私どもとしても期待しているところでございます。
#35
○中川嘉美君 現在の借地による持ち家の取得状況とその取得時期別の割合、これらについて実態を示していただきたい。
#36
○説明員(川村良典君) 取得時期別の割合については、手元にデータがございませんので、お答え申し上げられないわけでございますが、敷地の状況についてだけお答えいたします。
 昭和六十三年の住宅統計調査によりますと、持ち家のうち敷地の所有関係が借地であるものは全体で二百十三万戸、割合といたしまして五・七%でございます。それから、持ち家に占める割合、今の五・七%は全住宅戸数でございますが、持ち家戸数に対する割合は九・三%ということになっているところでございます。
#37
○中川嘉美君 最近は、こういったことで新規に借地による持ち家の取得というものが大変減ってきているようでありますが、法改正後においても、いわゆる一般の借地契約は土地所有側に敬遠をされて、むしろ今回の改正案で新設された定期借地権によることを希望するのではないかということで、将来においても通常の借地権の大部分が改正法施行前に設定されたものになるのではないか、こんなふうに考えるわけでありますが、この点いかがですか、お答えをいただきたい。
#38
○政府委員(清水湛君) お答え申し上げます。
 今回の改正によりまして三つの類型の定期借地権という制度が設けられました。一つは、存続期間を五十年以上とする定期の借地権。それからもう一つは、存続期間を三十年以上とする建物譲渡特約付借地権というものでございます。それからもう一つは、存続期間を十年以上二十年以下とする事業用の定期借地権ということでございます。こういう定期の借地権制度と、それからいわゆる普通借地権、つまり基本的な存続期間を三十年とし、最初の更新期間が衆議院の修正によりまして二十年となりましたが、その後の更新期間は十年ごとに来る、こういうようなものになったわけでございます。
 それぞれの借地権がどういう形で利用されるかということについては、必ずしもはっきりした見通しというものがあるわけではございませんけれども、私どもといたしましては、五十年以上の定期借地権にすべてなるとか、あるいは三十年以上の建物譲渡特約付定期借地権になるとか、そういうふうには必ずしも考えているわけではございませんで、いわゆる普通借地権についても基本的な存続期間は三十年でございますけれども、これもまたかなり利用されるのではないか。それぞれの地域によってまた実情等が異なるということがあり得ることだと思いますけれども、これらの三種類の定期借地権あるいは普通借地権が、それぞれの需要と申しますか、実情に応じて適切に利用されるということを期待している次第でございます。
#39
○中川嘉美君 今、借地契約の更新後の存続期間についての改正案の規定、もうたびたび言われておりますように、従前からの借地契約については適思されない、現行法の二十年から三十年の規定が適用されることとなっているわけであります。ただ、従前の借地契約がこの改正後に更新を迎える場合、あるいは何回か更新を重ねているうちになし崩し的に新法が適用されるというケースが多くなるんじゃないか、こんなふうに考えるわけです。
 そこで、従前の借地契約は更新され続ける限り現行法が適用になるんだということですね。これを当事者に周知徹底させると同時に、建設省も仲介を行う不動産業者などに対して、当事者、特に借り主側に十分説明するという指導をすべきではないかな、この辺のことを考えるわけですが、この点についてはどのような対応を考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
#40
○政府委員(清水湛君) 既存の借地権につきましては、先生御指摘のとおり、二十年契約のものでございますと更新期間もずっと二十年で続く、三十年契約のものでございますと三十年で続く、こういうことになるわけでございます。こういう契約につきまして、新法施行後、更新後の存続期間は十年とするというような契約をいたしましても、これは借地人に不利な特約であるということで、これは私ども無効であるというふうに考えているわけでございます。
 そのことについて、いろんな誤解とかあるいは不安が生じておるというような御指摘があるわけでございますが、そのことにつきましては重点的に周知徹底して、いやしくも借地人が不当に不利益を受けることがないようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#41
○中川嘉美君 改正案によれば、附則の中で、「この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。」、このように書かれているだけなんですね。しかし、将来においても一般の借地契約というものは現行法の適用を受けるものが大部分である。現行法の二十年ないし三十年という規定を法律の中に、これはもう当然書いておくべきではないだろうか。現行法が適用になるといっても、結局更新の際に現行法の条文は消えてしまっているわけでありますから、自然と新法の規定によることとなってしまうんではないか、こんなふうに考えるわけですけれども、この点はどうですか。
#42
○政府委員(清水湛君) これは、附則の「借地契約の更新に関する経過措置」でございますけれども、附則の六条に、「この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。」、この条文の意味についての御指摘でございますが、やはり三つの古い法律を廃止して新しい現代語化された法律をつくるということになりますと、経過措置の中でこの種の規定を置かざるを得ないということになるわけでございます。しかしながら、この「従前の例による。」ということを法律的に申し上げますと、この契約の更新に関しましては、新法令とかあるいは改正後の法令の規定によることなく、旧法令または改正前の法令の規定が適用されるということを、非常に短い表現でございますけれども、こういうふうに言っているわけでございます。その限りにおいては、旧法は生きておるということでございます。
 しかしながら、現実には、第六条の中を見ると旧法の規定は見えないわけでございまして、そのためにいろいろ誤解が生じかねないという点は御指摘のとおりであろうかと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、従前の例による限りにおいては、旧法の規定はなおその効力を維持しておるわけでございますから、法令集の編さん等におきましては、実際問題としては、当然これに関する旧法令も新しい法律に並べて編集されるというふうに聞いているわけでございまして、この点については御心配ないのではないかというふうに思います。
 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、現存する既存の借地・借家権につきましては、この第六条あるいは建物に関しましては十二条でございますけれども、こういった規定の趣旨については特に重点的な周知徹底措置、PR措置をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#43
○中川嘉美君 この点もう少し本当は詰めたいところですが、時間の関係があります。次に急ぎますが、従来からの借地契約、ここは定期借地権について伺いたいわけですが、従来からの借地契約においては、東京二十三区を例にとると、借地権設定の際に地価の七割とか八割の権利金を収受することが慣例になっておる。新たに土地を借りようとする側にとっても非常に大きな障害になっていることは事実であります。
 そこで伺いますけれども、定期借地権制度の普及を図る上で、建設省として権利金の額についてどのように指導をしていかれるのか、この辺についてもお答えをいただきたいと思います。
#44
○説明員(藤田真君) お答え申し上げます。
 借地・借家法の改正が行われた場合につきまして、この内容については速やかに不動産業界に徹底をいたしまして、適正な業務が図れるよう指導していきたいというふうに考えておりますが、権利金の額の水準自体につきましては、基本的には借地権の売り主と買い主という私人間の契約に関することでございまして、直接に不動産業者を指導するということにはなじまないというふうに考えているところでございます。
#45
○中川嘉美君 今回の改正案で新設されたこの定期借地権ですね、あるいはまた期限つき借家制度については、建設省としてもモデルケースあるいは標準約款の作成等を通じてその普及を図っていかれる方針のようでありますが、新しい制度の普及に努めると同時に、従来の借地・借家関係に影響を及ぼすこと、例えば既存の借地や借家関係から新制度への移行を強要するようなことのないように不動産業者等に対する指導をこれまた徹底すべきではないか、このように考えますが、この点をお答えいただきたいと思います。
#46
○説明員(藤田真君) お答え申し上げます。
 今、先生のおただしの件でございますけれども、先ほども申し上げましたように、借地・借家法が改正されました場合には、その内容につきまして不動産業者に徹底をいたしまして、不動産業としてその適正な業務が図れるように指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#47
○中川嘉美君 時間がありません。
 最後に、もう一点だけ聞いておきたいと思いますが、この間の二十日の閣議後の記者会見で左藤大臣が談話を発表しておられる。報道によりますと、この見出しですけれども、「現在の借り主不利益受けぬ 借地借家法案で法相」という見出しなんですが、もう時間がないから詳しいことは、読み上げるのは割愛しますが、ただ、当事者としては何らかの不利益をこうむるんじゃないんだろうかということで、種々関係先にいろいろと問い合わせがあるというふうにも聞いている。
 そこで、参考までに伺いますけれども、いろんな問い合わせ、法務省だけでも一日に二十数件の照会があるというふうにも報道されておりますが、この照会の内容ですね、主にどんなものなのか。それから傾向性ですね、どんなことに集中してきているか。それから借り主からとあるいは貸し主からの具体的な割合が一体どの程度のものになっているのか、概略で結構です。
 さらにもう一点伺いますが、改正案の説明をよくそこでなされると思うんですが、果たして大半の方々が納得をしているのかどうか、この辺も最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
#48
○政府委員(清水湛君) 今回、借地借家法の御審議を国会でお願いするに当たりまして、私ども特別に電話を設けまして借地借家法案に関する相談にあずかっているわけでございます。毎日相当数の問い合わせがございますが、貸し主の方、借り主の方から、まあ両方相半ばする程度でございます。
 一番多い質問は、今回の借地・借家法の改正によって借り主は不利益になって追い出される、こういうふうに言う人があり、あるいは新聞にもそういったふうにとれる記事があるけれども、本当でしょうかというような御質問でございます。
 それに対しまして、いやそういうことはございません、これは法律できちんと書いてございますと。それから、あるいは新聞の法律相談の欄なんかで弁護士さんの法律相談があるわけでございますけれども、そういう法律相談でも明確にこれまでの借地・借家人の方は安心していてよろしいという趣旨の法律相談もされているわけでございまして、そういうようなことを申し上げますと、いや安心しましたというふうにお答えになる方が多数であると、こういうふうに私どもは認識しておるところでございます。
#49
○中川嘉美君 終わります。
#50
○諫山博君 短く聞きますから、簡単に答えてください。
 法務大臣は、この間の談話で、今回の改正は現行法と全く変わるものではないと述べられました。これは、既存の契約についても新しい契約についても借り主、貸し主の有利不利という点では何の変化もないという趣旨でしょうか。
#51
○国務大臣(左藤恵君) 現在やっておられます借地・借家関係については全く影響はない、このように考えます。
 そしてまた、これからのことにつきましては、新しい制度という問題はあります。しかし、借地・借家人と貸し主との関係については前と同じ考え方で進んでおる、こういうことをこの間申し上げたつもりでございます。
#52
○諫山博君 新しい契約については、有利不利で変化があるという説明ですか。
#53
○国務大臣(左藤恵君) 新しい制度というものが入ってはまいりますけれども、基本的な借地・借家人の関係は変わりはない、こういう趣旨でございます。
#54
○諫山博君 これは、従来の契約についても新しい契約についても不正確な説明だと思います。明らかに借り主に不利になりますよ。法務省に対して問い合わせが来ているのに不利にはなりませんという答えをしているとすれば、これは国民を欺くものです。
 そうすると、この法律は地価の上昇には何の影響も及ぼさないという御理解ですか。大臣、お答えください、簡単なことです。
#55
○国務大臣(左藤恵君) 我々は、そうしたものについては影響を及ぼすものでない、このように考えております。
#56
○諫山博君 なぜこの連合審査会が開かれたかということです。地価の上昇を引き起こすのではないかということが土地特で心配され、わざわざ連合審査会が開かれたわけです。新しい契約に対しても何の影響もない、地価にも何の上昇も関係ないというんだったらこの特別連合審査会というのはナンセンスになってしまいます。
 そこで、具体的な質問です。全国貸地貸家協会新聞に協会の藤井事務局長の講演が載っています。この新法では「立退料の呈示さえすれば、割合スムーズに明け渡しの判決が下りる。」、こういう話です。これは正確でしょうか、大臣、説明してください。
#57
○政府委員(清水湛君) 御指摘の点は、更新拒絶の正当事由に関する規定の解釈でございますけれども、立ち退き料さえ支払えば立ち退きの判決をもらえるということはございません。
#58
○諫山博君 これは、藤井事務局長の講演は間違いだという御趣旨のようです。同じ講演の中で、「現行法では、借りている人がいやだ、といえば幾ら金銭給付を積み上げても判決を勝ち取ることは非常に難しい。それが、移転が可能な条件呈示さえすれば、解約はスムーズにいく、ということになる。」、これは貸し地・貸し家側の人の講演です。この説明は正しいですか。
#59
○政府委員(清水湛君) これも正当事由に関する規定の解釈でございますけれども、これまでいろいろ説明いたしましたように、正当事由の判断につきましては貸し主、借り主双方の当該土地の建物の使用を必要とする事情をまず考えて、それを基本的な要素として、補完的な要素としていろんなこれまでの経過とか土地・建物の利用状況とか、あるいは財産上の給付の申し出があればその申し出を考慮するということになっているわけでございまして、条文を正確に素直に読んでまいりますと、そういうような経済的な給付さえすれば立ち退きの判決がもらえるというようなことにはならないということは条文上明確だと思います。
#60
○諫山博君 限られた時間の質問だから答えだけ言ってください。
 要するに、この説明も正しくないということのようですけれども、これが常識なんです。そして協会の事務局長がわざわざ貸し地人、貸し家人の集会でこういう説明をしているわけです。
 そこで、具体的な違った質問をします。
 この協会の人たちがことしの二月二十七日に法務大臣と会っています。この写真が新聞に出ております。そして三十分間にわたって法改正の必要性を強調したと報道されていますけれども、そういう事実がありますか。
#61
○国務大臣(左藤恵君) たしか、日時は覚えておりませんけれども、陳情をお受けした、このように思います。
#62
○諫山博君 そのときに、法律の早期制定を強く求められましたか。
#63
○国務大臣(左藤恵君) 要望としては、たしかあったと思います。
#64
○諫山博君 ことしの三月十八日に同じ協会の研修会が開かれました。ここに法務省の関係者が数名出席をして、我々の改正運動の成果だ、我々の運動が今度の立法に結びついてきたんだ、こういうことを盛んに繰り返して強調しております。そういうことがありましたか、法務省側から説明してください。
#65
○政府委員(清水湛君) 今回の借地借家法案の改正内容の趣旨についてお尋ねがあって、そういうことについて説明をするということで伺ったことがあるというふうに記憶いたしております。
 この法律案を作成する過程におきましては、いろんな団体からいろんな意見をいただいておりますので、そういう要請がございますと、時間の許す限り出席して説明をするということはいたしておるわけでございます。
#66
○諫山博君 私が質問したのは、今度の法改正に至ったのは、我々の運動の成果だという説明がされたのではないかということです。ほかのことは結構です。
#67
○政府委員(清水湛君) その団体がどういうふうな表現をされたり、どういうような評価をされたかということについては私どもの関知するところではございません。
#68
○諫山博君 私は評価を聞いたのではなくて、協会の人がそういうことを発言したのではないかということですけれども、これは答えがありませんでした。
 この法案の成立をだれが望んでいるのか。一つは、日米構造協議で法律改正を要求したアメリカです。もう一つは、構造協議を受け入れて都市再開発を進めようとしている日本の大企業です。もっと直接的には貸し地人、貸し家人の代表がつくっている協会の人たちです。そして露骨にこういう発言がされ、これを貸し地人、貸し家人、貸し主の代表として推進してきたということが強調されておりますけれども、これに最も反対しているのは借り主側です。借り主側からこの法律に反対するという陳情がされているはずですけれども、どうですか。
#69
○政府委員(清水湛君) 昭和六十年からこの改正作業を始めたわけでございますが、借地・借家法をもっと都市再開発に有利なように改正してほしいといういわば一番のこちら側の団体、この借地・借家法の改正には反対であるというような反対側の団体、いろんな団体からいろんな御意見を私どもはちょうだいしているわけでございまして、そういう意見をいろいろ踏まえた形で最終的に今回の法律案に集約をしておる、こういうことになっておるわけでございます。
#70
○諫山博君 私は、このたびの法改正の中での法務省の態度というのは正直でないと思います。これは明らかに貸し主に有利な法律ではないですか。土地を貸している人に対しても家を貸している人に対しても一方的に有利ですよ。だからこそ貸し主側がいろいろ運動するし、借り主側がさまざまな反対運動をしたわけです。
 この背後にはアメリカがあるでしょう。日米構造協議のテーマになったでしょう。ところが、こういう本質を国民の前に覆い隠して、電話で問い合わせがあれば不利益にはなりませんよというような回答をするというのは、これは一種のペテンですよ。法律はまだ成立していません。しかし、この悪法が成立するだろうということを見越して、貸し主側からさまざまな卑劣なやり方が行われていることは法務省も認めていますね。
 私の手元に一つの契約書があります。これは平成一年四月一日付の実際の契約書ですけれども、契約書の特約条項として、「新しい借地法が制定された場合は、それに応じて改めて契約をする事」、これが実際の社会なんですよ。早くこの法律ができてくれたらいいということで、待ち切れずに既存の契約の中にまでわざわざこういう問題を盛り込む、こういう事態が広がっていることは法務省御存じですか。
#71
○政府委員(清水湛君) 今回の借地・借家法の改正は、借り主、貸し主という契約関係に基づく両当事者間の法律関係をいわば合理的に調整する、こういうことでございまして、基本的に借地・借家法の精神である借地人、借家人の権利を保護しその安定化を図るという点においては全く変わるものではないということは先ほど大臣がお述べになったとおりでございます。私どもといたしましては、そういう既存の借地・借家関係について……
#72
○諫山博君 私が聞いているのは、指摘したようなことが社会で広がっていることを知っているのかと聞いている。
#73
○政府委員(清水湛君) そういうような既存の借地・借家関係について、御指摘のような契約をするという例があるということについて新聞報道がされておるという事実は私ども承知しておるところでございます。
#74
○諫山博君 これは借地人、借家人を追い出すための凶器の役割を果たしますよ。そして都市再開発などを容易にする。これが地価の上昇に結びつく。だからこそ土地特別委員会から連合審査を求めているわけです。こういう本質を覆い隠しながら、借家人にも借地人にも何の不利益も及ぼしませんというのは、これは実際を欺くものではないでしょうか。この法律をスムーズに通すために一種のペテン的な手口が使われているのではないかというふうに私たちとしては思わざるを得ません。
 そういうこそくな態度ではなくて、この法律が実施されれば具体的に地代・家賃の値上げはこういうふうに影響を受けます、明け渡しの正当理由というのはこういう新しい問題がつけ加わります、これを堂々と国会にも国民の前にも明らかにして、その上で判断を求めるというのが正しいやり方ですけれども、私はこのたびの法務省のこの問題の進め方というのはどうしても納得できません。ペテン的な方法が講じられていると思わざるを得ません。この法案の撤回を強く要求いたします。
 最後の点について法務大臣、答弁してください。
#75
○国務大臣(左藤恵君) この法案を立案します段階におきまして、法制審議会においても慎重審議され、各方面の意見も十分聞かれてやっておるので、そうした今お話しのようなことは全くない、このように私は確信をいたしております。そうした考え方のもとで今度の法律を提出いたしましたのですから、今お話しのように撤回するわけにはいかない、このように考えます。
#76
○諫山博君 終わります。
#77
○高井和伸君 今回の法律の改正に当たりまして、いわゆるお金の面が全然制度的に触れられていない。例えば賃料の値上げの額をどうするかだとか、更新料をどうするかだとか、それから承諾料をどうするかだとか、一番肝心な権利金をどうするかだとか、そういった問題に触れなかった理由を簡潔に述べてください。
#78
○政府委員(清水湛君) 借地・借家契約を締結する場合には、権利金を授受するとか、あるいは敷金を授受するとか、あるいは先ほど礼金というような話もございましたけれども、いろんな名目で金銭が授受されておると私ども承知いたしておるわけでございます。また、期間更新の際には更新料が支払われるようなこともある、こういうことでございますが、例えば権利金などにつきましても、全国的に様子を見ますと、非常に高く取っている地域と、あるいは権利金というようなものをほとんど取らないような地域もございますし、また同じ地域でも商業地、住宅地によって権利金の授受等の様相が違う、こういうような面がございます。
 それを法律的に定義するということが非常に難しいことに加えまして、一つにはやはりこれが経済法則の原理の中で動いておるというようなこともございまして、これを法定化するということは、実際問題として借地借家法の中でこれを規制するということは非常に難しいのではないか。こういうようなことから、最終的にはそれについては触れないということにいたしたわけでございます。
#79
○高井和伸君 今の御答弁の中で、そういった金銭問題につきましては経済法則に従う、このようなお考えであることはよくわかりますけれども、そうするならば、今回の立法に当たって、基本的な枠組みの一つとして、土地の収益性というのを、例えば利回り何%、時価一億の土地ならば年どれぐらいに回さなきゃいけないかとか、こういったことを基礎に考えなきゃ立法もできないだろうと思います。そういった側面での土地に対する資産性、財産性、収益性、そういったものの基本的な枠組みとして、立法当局はどんな枠組みを考えておられたのか、お尋ねします。
#80
○政府委員(清水湛君) 基本的には、例えば適正な地代とか家賃というものをどうやって決めるのかという大変難しい問題があるわけでございまして、このことにつきましては、これは土地の鑑定評価に関する法律等で、これは国土庁長官の諮問機関であったかと思いますけれども、そういうところでいろんな鑑定評価基準というようなものを定めているわけでございます。利回り法とか、つまり土地の価額というものを金銭に評価いたしまして、それを一定の利回りで回すとすれば地代が幾らになるかとか、あるいはスライド法とか、つまり経済情勢、賃料の変化、賃金の変化、物価の変化、こういうようなものを非常に重視するというような考え方、あるいは結局近傍類地比較法、こういうような方法によらざるを得ないんだというようなことで、いろんな実は考えがあるわけでございまして、先ほど最高裁の民事局長の御答弁にもございましたけれども、判例はこれらのことを非常に抽象的に述べております。
 結局、しかし、具体的な事案に応じて適正な地代なり家賃を決めることにならざるを得ない、こういうふうに思うわけでございまして、そういった面からこれからもできるだけこういうものが精密化されて、ある種の具体化された基準になっていくということが望ましいと思いますけれども、現在の状況ではまだそこまで私どもとしては立ち至っていない、こういうことでございます。
#81
○高井和伸君 結局はよくわからない答弁でございましたけれども、わからないということが現実だということなんだろうと思います。
 それでは、肝心かなめのところでお尋ねしますけれども、新法における普通借地権の存続期間を更新した場合、当初の案が十年ということになっておりました。なぜ十年にしたか、具体的な理由をひとつ述べてください。
#82
○政府委員(清水湛君) 普通借地権の更新後の存続期間をどうするかという問題は、普通借地権について基本的な存続期間をどうするかという問題と密接に絡むわけでございます。現行法ですと二十年契約が普通でございますから、基本期間が二十年、更新後の期間が二十年、こういうことになるわけでございます。まあ三十年というものもございますけれども、普通は二十年というのが常識だろうと思います。そういう状況の中で、やはり建物を建てるということで土地を貸す以上は、三十年はこれは覚悟してもらう必要があるんじゃないか。そういう意味では基本期間をやっぱり延ばして三十年にする必要がある。その意味では借地人の保護がそれだけ厚くなるわけでございます。
 ところが、三十年もたちますと、借り主の側にも貸し主の側にもいろんな事情の変更が生じてくる。そういう事情の変更が生じてきましたときに、これは正当事由があれば明け渡しを求めることができるわけでありますけれども、その正当事由を判断する機会をどういう条件のもとに与えたらよろしいかということが一つの大変な議論になりました。非常に強い意見は、三十年の期間が過ぎたらいわば期間の定めのない賃貸借になって、正当事由が備わればいつでも明け渡しを請求することができるようにすべきだという意見がございました。それに対しまして、いや、そういうことでは借地人の権利が非常に不安定になるというようなこともございまして、少なくとも十年間はやっぱり存続期間を認めるべきである。十年程度の刻みにしてその間における事情の変更というものを借地関係に反映するのが当時者間の権利関係を合理的に調整するという意味において妥当である、こういうことになったわけでございます。
 いずれにいたしましても、正当事由がない限りは十年ずつ次々に更新していくわけでございまして、実質的には、その限りにおいては現在の借地法と変わりはないわけでございますけれども、そういう事情の変更というものを反映しやすくする、こういう意味で十年刻みにいたしたというのが当初の案でございます。
#83
○高井和伸君 要するに、貸し主側から見れば何度も返してもらえるチャンスが多くなるような立法になされたということになると思いますが、今のお話の中で堅固な建物の場合はなぜ十年かということになると、それは正当事由の中でクリアできるという御発言だろうと思います。
 そこで、更新拒絶の場合の正当事由のお話がございました。先ほどから問題にたっておりますけれども、立ち退き料の申し出という問題は、これは補完的な問題である、それは条文上明確だと、こうおっしゃっておられます。条文上明確だということをひとつ新法の六条のところを読み下しながら、なぜ条文上明確なのか、がちっと答弁してください。
#84
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。
 これは、第六条に則して御説明申し上げますと、「前条の異議は、借地権設定者及び借地権者が土地の使用を必要とする事情のほかこということで、これをまず考慮しなさいと。そのほかに、この借地に関する従前の経過、土地の利用状況並びに明け渡しの条件として、あるいは引きかえに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申し出をした場合におけるその申し出、こうなっているわけでございまして、基本的な判断要素は当事者双方が土地の使用を必要とする事情であるということでございます。補完的な要素として、従前の経過とか土地の利用状況を判断するわけでございますが、しかも、この財産上の給付については、財産上の給付をする旨の申し出をする義務があるというんじゃなくて、当事者が任意に申し出をした場合にはその申し出をも考慮いたします、こういうことにしているわけでございまして、こういう条文の表現からも補完的なものだということが言えるわけでございます。
 もとより、これは現在の裁判例等によってあらわれているものを、そういう条文の形で整理させていただいたというものになるわけでございます。
#85
○高井和伸君 今の読み方によれば、第六条の「土地の使用を必要とする事情のほかこの「ほか」に力点があるということだろうと思いますが、これを判例で変更されるような条文上の余地はありませんね、念のために。
#86
○政府委員(清水湛君) 私どもは、その余地は全くないというふうに考えております。
#87
○高井和伸君 通常、こういった土地の貸借の明け渡し事件において行われるのは、更新を拒絶するという場面で、土地を返せ、いや使わせてくれということで紛争になると思います。そしてさらに建物が朽ちている、朽廃しているということで土地を返してくれ、いや使いたいというようなことの紛争になります。そういった紛争の過程で、新法への切りかえが行われることを条件に、旧法の土地の明け渡し事件などが解決されてくる事案がいろいろ考えられるんだろうと思います。
 そこの切りかえの場面で、私がつらつら読んだところ、定期借地権が短期型に切りかえられる場面がかなり多いんじゃないか、こう思うわけです。そうしますと、その短期の定期借地権の中の要件として、居住以外の事業目的ということになっております。この居住以外ということになると、通常、居住のための借地契約というものは基本的に新たになかなか貸しづらくなるだろうし、旧法、新法との割合の中で、この法文がかなり重要視されていくんじゃないかと思うわけです。
 そこで、二十四条の中にある「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)」とこう書いてありますが、この居住の用に供する義務違反が起きた場合はどうなるんでしょうか。まずそこを聞いてみます。
#88
○政府委員(清水湛君) この二十四条の事業用借地権というのは、まさに一定の短い期間だけそこで事業をしたいという需要が現実にあるわけでございまして、例えば郊外のレストランとかそういうようなものを想定しております。そこで「居住の用に供するものを除く。」ということでこの契約はされているわけでございます。ところが、契約に違反して実はここにマンションをつくっちゃったと、こういうことがあり得るわけでございますけれども、そもそもマンションなんかをつくるということになりますと、これは三十年とか五十年とかというものを本来想定するはずでございますので、もしそういうことをやればそれは契約違反、要件違反ということになってこようかと思います。
#89
○高井和伸君 私の聞きたかったのは、要するに更新拒絶を受けたくないために、しからば短期の契約でオーケーしますということで切りかえていくというある意味その今のような本来的な趣旨じゃなくて、妥協の産物として行われる場面が多いんじゃないかと一応予想するわけです。そうした場合、当事者双方が知っていたんじゃないかというようなことになりまして、新たに郊外レストランをつくるというようなことじゃなくて、旧来の借地契約の中での新しい世界への転換という場面に使われる場面が多いんじゃないか、こういったことを予想して言っているものですから、ちょっと答弁がすれ違っておりますけれども、そういった契約が行われればそれはどういう効果を生じますか。従前の居住用建物の旧法における更新拒絶の場面において、新法の短期賃貸借型で契約し直して紛争を解決したと、両当事者が知っていたというような事情になったらどうなるんですか。
#90
○政府委員(清水湛君) この事業用借地権については非常に要件を限定しておりまして、これが乱用されないようにということで、特に公正証書でやらなければならないというような厳しい方式も定めているところであります。
 そこで、先生御指摘の普通の借地権について当事者が合意をして、それを解約して今度は事業用の借地権に切りかえる、こういうことになったらどうかというお尋ねでございます。
 このことにつきましては、合意による契約解除というものを、これはだめだと言う理屈はないと思うのであります。当事者がその意思に基づいて合意解約をする、そして今度は二十四条の借地契約をするということがあるわけでございます。ただしかし、そこで問題になりますのは、事業用というものに切りかえるということができるのかどうかということが一つ大問題でございます。公正証書をつくるわけでございますから、公証人が果たしてそういうことを容認するかどうかという問題がございます。
 さらに、その前にもっと大きな問題は、既存の借地権でございますと旧法の規定によるわけでございますから、更新後の期間は二十年、あるいは三十年の場合もあるかと思いますけれども、そういうことになるわけでございますが、それを排除する趣旨でこの二十四条の合意をしたということになりますと、自主的にはそういう不利益な特約を合意解除、新設定という形をかえて脱法する行為であるということでございまして、この従前の例によるという意味は、これは強行的に保障するという意味において従前の例によるという意味もあるわけでございますから、そのような脱法的行為はその効力を生じないというふうなことになるのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
#91
○高井和伸君 最後に、大臣にお尋ねします。
 基本的には、借地・借家という問題は、所有権に基づく問題と違って非常に煩わしい、いろんな金銭的な問題があって煩わしい問題なんですが、今回の法改正ではどのようにその煩わしさを取り除くように努力されたのか、そして今後この新法と旧法というのは二重構造になっております。こういったものの問題はどのように解消していかれるのか、そのまま残って自然消滅するまで待っているのか。この法律は、つくった以上は基本法であるというような御認識でございます。私もそう思いますが、何年ぐらいもたすつもりなのか、そういった側面について、この法律のこれからの行き先についての御見解をお尋ねして、私の質問を終わります。
#92
○国務大臣(左藤恵君) 非常に、そういう意味での金銭的ないろんな問題があるというお話でございますが、これは従前もそうしたことがあり、新法におきましてもそういうことでは全く変わらないものではあろうと思います。いずれにいたしましても、しかし今のこの新法の部分につきましては、一切既存の借地・借家関係には適用しないということになっております。そういった改正の骨格を将来改めることは全く考えておりません。
#93
○高井和伸君 終わります。
#94
○山田勇君 まず、法務大臣にお尋ねをいたします。
 今回の借地借家法の改正ということは、衣食住の住という国民生活の基本的な問題に変化をもたらそうということでありますから、借地・借家関係にある人あるいはこれから借地・借家関係を持とうとする人たち、中でも特に社会的弱者と言われる低所得者の方々、高齢者、また外国人などの居住環境をどう守っていくのか、こういった疑問に対してどうお答えをしていくのか、これが最重要課題であるということは言うまでもありません。政府がこれまでとってこられた措置については、国民の理解を深めるということに一定の役割を果たし得たということでは率直に評価できることであります。
 さて、衆議院では幾つかの法案修正、附帯決議などがなされたわけですが、この事実は政府として重く受けとめるべきだと認識をしているんです。そこで質問でございますが、政府は、衆議院で修正を受けた条項及び附帯決議の内容についてどのような見解をお持ちなのか、また、今後この附帯決議に盛られた施策を具体的にどのように政策に反映をしていくのか、政府のまず決意のほどをお伺いいたしておきます。
#95
○国務大臣(左藤恵君) 衆議院におきまして、借地権の更新後の期間を原案の十年から、最初の更新後に限りまして二十年にするなどの三点にわたります修正が行われました。これらの修正は借地・借家関係の安定を図る、そういう趣旨のものである、そういうことでより安定を図ろうとするものであるというふうに我々は受けとめております。
 また、衆議院におきまして、特に既存の借地・借家関係に本法の更新等の規定の適用がないことを含めまして新法の内容の周知徹底を図ること、そして土地・住宅政策の積極的な推進を図る、こういう趣旨の附帯決議が付されました。この附帯決議の趣旨に沿って、あらゆる機会をとらえまして積極的に法案の趣旨の周知徹底を図っていかなきゃならない、このように考えております。
 政府全体の課題としては、土地・住宅政策を強力に進めなければなりませんが、法務省としてもできる限りの御協力をしていく考えでございます。
#96
○山田勇君 今回、衆議院でこの法案が可決されてから、特に貸し主の方から本法案の成立を見越して強硬に立ち退きを求めているとも言われております。たび重なる法務大臣の談話など御努力にもかかわらず、皮肉なことにこういった事例が報告をされているということは、政府の方針が末端にまで行き届いていないんではないかと危惧いたします。
 私は、この法案が今後、現在の借地・借家関係にある当事者に適用されないことを積極的にPRすることが大切だと思いますが、やはり今回の改正を悪用しようとする者に対しては別途厳正な措置がとられるよう考慮すべきだと考えますが、この点、法務省はどうお考えですか。特にPR関係を先ほど来局長は何度も申し上げておりますが、具体的にどのようなPRをするのか。先日、これは長良川河川に対する反対者の竹下登殿という大きな広告がありました。これなどはかなりインパクトがあります。思い切ったPRをしないとなかなか末端まで周知できないと思います。その点の決意をまず伺っておきます。
#97
○政府委員(清水湛君) この法律が成立した場合における周知徹底方については、私どもとしては本当に最大の努力を尽くしてやらなければならないというふうに思っております。法案の段階、現段階におきましても、先生御指摘のように、この法改正がされることを見越して、いわば事実に反することをいろいろ宣伝して現在の借地人、借家人を不安に陥れさせておる。いろいろ批判するのはいいと思いますが、そういう善良な借地・借家人の方が不安に陥るということはこれは大変なことでございまして、そういうことを私どもは除去いたしたいということで、法務省としては珍しいことかもしれませんけれども、パンフレット、リーフレット等のものを三種類づくりまして関係方面に配付した。これは恐らく法務省として初めてのことではないかというふうに私ども思っております。
 さらに、今回、法案が国会を通過、成立いたしました場合には、先生の御専門のテレビとか新聞、雑誌、いろんなマスメディアというものにも御協力を求めまして、いろんな工夫を重ねて、従来の法務省とは違った意味でのPR方策を持ってまいりたい、こういうふうに思っておりますので、よろしくまた御指導のほどをお願い申し上げたいと思う次第でございます。
#98
○山田勇君 次に、建設省にお尋ねいたしますが、借地・借家の賃貸契約更新手続の際、市販の契約約款を使用して、法律の知識に疎い借地・借家人が不利な契約を押しつけられることも十分予測できます。いわゆる不動産業者が直接当事者である場合はもちろん、業者が賃貸契約の代理や媒介を通して関与する場合でも、改正案の改正趣旨を徹底させるため、当事者にパンフレットなど配布して、誤解のないように厳正に指導すべきであると考えますが、建設省のお考えをお伺いしたいと思います。
#99
○説明員(藤田真君) 不動産業者に対する指導についてのおただしてございますけれども、建設省におきましては、借地・借家法が改正を見た場合につきましては、既存の借地・借家契約においては改正借地借家法の適用がないことなど、この内容につきまして速やかに不動産業界に対しまして内容の徹底を行い、業務の適正な遂行が図られるよう指導してまいりたいと思っております。
 さらに、借地・借家人に対して虚偽の事実を告げましたり、あるいは悪質な行為を行った場合には、宅地建物取引業法に基づきまして適正な運用、指導を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#100
○山田勇君 今回の法改正に対して多くの借地・借家人が反対をしている理由を考えますと、法律が変わる不安と同時に、やはり家賃の値上げや契約の更新などさまざまな厄介な問題を抱える点にあると思います。したがって、法改正に対する国民の理解を求める努力と同時に、ハード面、ソフト面の両面にわたる住宅政策の充実が必要であると思います。良好な環境のもとで、適切な質を備えた住宅を安定的に享受できるようにすることが住宅政策の目的であるとすると、改正法案はいかなる役割を今後果たしていくのかということになります。
 早稲田大学の内田教授は、住宅政策の関連を指摘しています。住宅政策が不備なのに借地・借家法だけを改正するのはおかしいんではないかという内田教授の疑問について、建設省はどのような対応を考えておられますか。
#101
○説明員(川村良典君) お答え申し上げます。
 借地・借家法の改正は、賃貸借当事者間の公平な利害調整の確保など合理的な借地・借家関係の確立を図ろうとするものであるというふうに理解をしているところでございます。
 これからの住宅問題ということになるわけでございますが、住宅問題の解決のためには強力な住宅政策の展開が不可欠であると考えているところでございます。このため、第六期住宅建設五カ年計画に基づきまして、特に市場で不足をいたしております三人から五人の標準的な世帯向き賃貸住宅に重点を置きつつ、公営住宅、公団住宅など公共賃貸住宅の的確な供給、あるいは融資、利子補給などによる良質な民間賃貸住宅の供給促進などを図るとともに、融資、税制等による住宅取得を促進することなどによりまして、国民の住宅需要に応じた総合的かつバランスのとれた住宅政策を展開してまいりたいと考えているところでございます。
#102
○山田勇君 法務省民事局から出ておりますパンフレットには、「貸しやすく借りやすい借地・借家関係を」と書かれてあります。この法改正が本当に国民から歓迎されるよう当局の一層の御努力を要望しておきます。
 最後に、法務大臣に申し上げます。
 法はいかなる場合でも平等でなければならない。その平等の中にあって常に弱者の立場に立った法というものに改正をされていくことが望ましいことでありますので、最後に法務大臣の決意を伺いまして、私の質問を終わります。
#103
○国務大臣(左藤恵君) 全くお話しのとおり、そうした趣旨で今回の法改正もお願いをしておるところでございますので、この法案を成立させていただきましたら、そういう点で一層特に弱者の方々に十分御理解をしていただいて、この法律が適正に運用されるように努力したい、このように考えます。
#104
○山田勇君 ありがとうございました。
#105
○下村泰君 こんな新聞記事がありましたので、ちょっとお聞き願いたいと思います。
  独り暮らしのお年寄りのアパート入居が難し
 くなっている折、六十九歳の男性が十歳以上も
 年下の実在の女性になりすまして入居。女性名
 で役所に転出入届を出していたほか、国民健康
 保険証も取得する徹底ぶり。その女性が役所窓
 口に届け出たことから発覚し、警視庁小金井署
 は六日、この男性を東京地検八王子支部に有印
 私文書偽造・同行使、公正証書原本不実記載・
 同行使の疑いで書類送検した。
 これは九月七日の新聞なんです。この男性は、「昨年六月ごろ、それまで住んでいたアパートから取り壊しに伴い退去を求められ、アパート探しをしていたが、独り暮らしで高齢ということから、なかなか見つからなかった。ある不動産会社で「女性でなければダメ」といわれたことから、女装で入居を思いついた」、こういう記事なんですね。もちろんこの人は恐らくこういう趣味があったんでしょう。たまたま旅行のサークルで知り合った女性の名前を全部がたったらしいんですが、よほどの趣味がない限りそう簡単には、それは私どもも芝居で、舞台でやることはありますけれども、そう一日じゅう、四六時中なり切れるというのはよほどの趣味がなきゃできませんよ、これは。
 それにしても、こういう事件が起こった。これはつまり何らかの手段を講じなければ、思い切ったことをしなければ借りられなかっだということです。うそでもつかなければ入居できない、これが現在の日本の状況なんです。いわゆる住居環境なんです。これが福祉の側面の一つです。
 こういう記事を今私お読みしたんですけれども、こういうのをお聞きになって、建設省とか法務省はどういうふうに感じますか。
#106
○国務大臣(左藤恵君) 住居は人の生活の根幹をなすものでありまして、借家契約等に当たって、高齢者であるということで、あるいは女性だけに限るとか、そういったことでいわれなき差別でもってやること自体非常に遺憾なことであり、国民の皆さんに公平な立場で契約を進めてもらわなければならない性格のものであろう、このように考えます。
#107
○下村泰君 今も瀬谷元副議長といろいろとお話ししたんですけれども、戦前の感覚で生きている我々には、こういった法令とかなんとかというのは非常に何か肌に合わない。と申しますのは、貸し家であるとか貸し間なんというのは幾らでもあった。下手すると友達が探してきてくれるんですよ。おい、おれのところあいているよとかね。例えばお年寄りにしても、お体がちょっと不自由であったにしても、うちの長屋は面倒見がいいからおいでというような状況があったんです。今、日本は豊かだ豊かだといいますけれども、精神的にはまるで後進国なんです。こういう状態じゃなくなっちゃったわけです。
 建設省として、こうした不動産屋に対して何らかの指導をなさっているんでしょうか。それから、障害者とか高齢者が住みづらくなっています、借りにくくなっています。こういう状況に対して、どんな具体的な指導をされているのか、お聞かせください。
#108
○説明員(藤田真君) お答え申し上げます。
 民間のアパートなどの入居条件につきましては、基本的には家主と借り主という私人間の契約に関することでございます。不動産業者はその間にありまして仲介をする形でございまして、仮に依頼者たる貸し主がそういう条件を付した場合に、貸し主の意向に反してこれを変更することはできないという立場でございます。このように、私人間の契約で決まるという事柄の性格上、宅地建物取引業法に基づきまして、建設省として業者に一般的な形で指導するということは困難であるというふうに考えております。
 しかしながら、障害者やあるいは高齢者を理由に入居を断るということは望ましいことではないことは当然のことでございまして、例えば業者が広く認容を受けまして、入居条件を定めて入居募集を行うような場合につきましては、当然のことながらこのことについて配慮すべきものと考えております。このような場合につきましては、仲介業者が障害者あるいは高齢者に対しまして、このことのみを理由に不当に入居を断るようなことがあった場合につきましては、個々に事情を調査いたしまして、指導を行うなど適切に対処してまいりたいと考えております。
#109
○下村泰君 聞いていて、全然何といいますか胸を打たない、心にも来ないんです。おためごかしにしゃべくっているだけという感じなんです。実際というものを、実情をどこまで見ているのか。何も見てない御意見だ。そうでなかったらこんな問題が毎々起きるわけないでしょうが。
 この出来事は入居時だけの問題ではありますけれども、借地・借家のあり方としてもっとすべきことがあるんじゃないか、今回の改正は一体何のために改正しようとしているのか疑問です。障害者、高齢者の方々にとって借りられないあるいは追い出されるということはどういうことか、今お話しになったあなたにはおわかりにならぬと思う、私は。例えば車いすの人が、自分が住む四畳半一間のアパートを探すのにどれだけの苦労が要るか。下手すればもう生死の問題ですよ、これ。人権問題とは言いたくないけれども、本当に生き死ににかかわる問題なんです。
 法務省は、どういうふうにこういう問題をとらえているのか聞かせてください。
#110
○政府委員(篠田省二君) すべての人がひとしくその人権が尊重されるべきであるということは当然のことでございまして、高齢者あるいは障害者であるということだけの理由で不当に差別されるということがあれば、私どもといたしましては人権擁護の観点からこれは極めて遺憾なことであるというふうに考えております。
#111
○下村泰君 今、何で私がこういうことを聞いたかというと、一点、正当事由の件で伺いたいんですが、アパートなどを借りるときに、心の病のある人がそれを告げずに入居した、後にそれがわかった。契約拒否の正当事由に該当しますか。これは実際に今おられるんです、そういう方が。これ法務省、どういうふうな見解ですか。
#112
○政府委員(清水湛君) 更新拒絶の際の正当事由というのは、先ほど来御議論ございましたけれども、法律の中で当事者双方が借地なり借家を使用する必要性というものをまず基本的に判断するということがございまして、それに付随して従前の経過だとか利用の状況だとか、あるいは財産上の給付の申し出の有無等が判断要素とされるということになっているわけでございまして、精神障害者であるからということだけで正当事由があるとかないとか、こういうことには私どもならないというように思っております。
 それからもう一つ、例えば正当事由の問題でなくても、それを隠して入った後に、これはそういうことを告げなかったのはけしからぬといって契約を解除することができるかどうか、こういう問題もあろうかと思いますけれども、それにつきましても私どもは契約を解除する理由にはならない、もちろん賃料を払わないとか、あるいはきちんとした契約を守らないということであれば、これはまた話は別でございますけれども、精神障害者であるがゆえに正当事由の要件を満たしたり、契約の解除理由になるというふうには考えていないわけでございます。
#113
○下村泰君 はい、結構でしょう。
 建設省に伺いますが、アメリカで一九八九年三月十二日から施行されているFHAA、フェア・ハウジング・アメントメント・アクトという法律があるんですが、これ御存じでしょうか。
#114
○説明員(川村良典君) お尋ねのFHAAでございますが、翻訳いたしますと公正住宅法というものでございます。この法律は一九六八年に制定をされておりまして、住宅の販売、賃貸、資金交付に当たりまして、人種、皮膚の色、宗教、性別、出身国によって差別することを禁じているものでございます。
 さらに、この法律は一九八八年に改正をされまして、住宅取引における不公正で差別的な取り扱いから、障害を持つ人々及び子供を持つ家族が加えられたということでございます。
#115
○下村泰君 これによって障害を持っている方々が自分の方から選んで住めるようになった。日本にはまるっきり拝んでもこういうものはできそうもないですな。
 今年度からスタートした借り上げ公共賃貸住宅とか、いろんなお話を伺いたいと思いましたけれども、時間が時間でございますので、これ以上聞くのはちょっと無理でございますのでこの辺でやめさせていただきますけれども、法務大臣にお伺いしたいんですが、私は貸す側の気持ちも借りる側の気持ちもよくわかるつもりです。ましてやお子さんに障害を持った方々がいて、親御さんが目をつむった後に、この子供たちのことをどうするかということについて考えればこの法律は生きてくるかもわかりません。
 しかし、どちらかといえば、やはり障害を持っている借りる側の方がやはり数的には多いわけですよ。高齢者ももちろん含めて、安心して借りられ住み続けられるということを、どんな形でも結構ですからこれを保障してほしい。それが保障できないような法の改正なんていうものはあっても馬の耳に念仏、猫に小判みたいなもので何の役にも立たないと思うんです、私は。法律というのは人間のためにつくるんですからね。
 そうしますと、今のアメリカのFHAAなどはその一つの例なんですけれども、こういうふうにならないと、私個人止してはやっぱり障害者とか高齢者のことを考えると、この法案が果たしてその方たちにとってプラスになるのか、デメリットかあるいはメリットなのかということを考えると、どうもデメリットの方が多い、賛成しかねるんですね。ここでひとつ法務大臣のお気持ちを聞かせてください。
#116
○国務大臣(左藤恵君) 今のお年寄りあるいは障害者の方々、そうした弱い立場の方々が、今回の法改正によって従来より不利益を受けるということは全く私は考えておりませんが、これまでの借地人、借家人が不利益を受けるんではないかという不安を生じさせておる、こういうような御指摘もございますので、もっとそういう点についての法案の趣旨、内容を十分理解して、まず基本的には、我々としては従来の既存の借地・借家関係には一切適用されないし、新法もそうした同じ考え方で進められておるんだということの理解をしなければならないと思います。
 それからもう一つ、障害者に対しますいろんな面での差別的な扱いということがあれば、またこれは法務省として人権擁護の立場から、そうした。ことがないような配慮をしていかなければならない、このように考えているところでございます。
#117
○下村泰君 ありがとうございました。
#118
○委員長(鶴岡洋君) 他に御発言もなければ、本連合審査会は終了することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#119
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。
 これにて散会いたします。
   午後零時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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