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1991/08/09 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 本会議 第3号
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1991/08/09 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 本会議 第3号

#1
第121回国会 本会議 第3号
平成三年八月九日(金曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成三年八月九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説及び報告に関する件(第
  三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 一、日程第一
 一、雲仙・普賢岳噴火災害対策に関する決議案
  (鈴木和美君外八名発議)・(委員会審査省
  略要求事件)
     ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 峯山昭範君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、井上哲夫君から同予備員を、坂野重信君、久保田真菌君及び鈴木和美君から裁判官訴追委員を、また、高井和伸君及び井上計君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(土屋義彦君) つきましては、この際、
 裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、
 裁判官訴追委員、同予備員、
 皇室会議予備議員、
 皇室経済会議予備議員、
 検察官適格審査会委員予備委員、
 国土審議会委員、
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員、
 北海道開発審議会委員及び
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙を行います。
#6
○沓掛哲男君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員、皇室会議予備議員、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任することの動議を提出いたします。
#7
○小川仁一君 私は、ただいまの沓掛君の動議に賛成いたします。
#8
○議長(土屋義彦君) 沓掛君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員その他の各種委員を議席に配付いたしました氏名表のとおり指名し、職務を行う順序を決定いたします。
     ─────・─────
#10
○議長(土屋義彦君) 日程第一 国務大臣の演説及び報告に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。広中和歌子君。
   〔広中和歌子君登壇、拍手〕
#11
○広中和歌子君 私は、公明党・国民会議を代表して、総理の所信表明に対し、緊急の政治課題について質問いたします。
 まず、このたびの雲仙・普賢岳噴火により、とうとい命をなくされた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、負傷された方々、家屋・農地の損壊など甚大な被害に遭われた被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、日夜、救助、医療、観測、監視、行政等、対策に当たられている関係者の御苦労に対し、この場をおかりして深甚なる感謝と敬意を表したいと思います。
 普賢岳の噴火活動がいつ静まるのか全く見通しが立たない中で、多くの住民は長期にわたって避難先での共回生活を強いられております。将来の生活に不安や焦りを募らせながらの暮らしは、精神的にも肉体的にももはや限界に達しているのではないでしょうか。
 長崎県議会並びに島原市議会等の要望書に述べられておりますように、このたびの普賢岳噴火災害は、全く予測のつかない未曾有の大災害であり、前例のない長期的かつ極めて危険性の高い特異な災害と言えます。したがって、緊急に新たな立法措置を講じ、その対策に取り組むべきです。短期的な対策については、現行の災害対策関連法の弾力的な運用だと、これまでにとってこられた政府、地方自治体の御努力の上に、なお一層住民の要望にこたえるべく御尽力をお願いしたいと思います。また、長期的た対策については、特別立法で被災住民を総合的に救済すべきではないかと考えます。早急に天災融資法及び激甚災害特別措置法の指定を行うべきです。
 公明党といたしましては、海部総理に対し、集団移転特別措置法、災害弔慰金法の法改正を含む見直しを行うようお願いしております。移転先を見つけるための国の積極的な関与、移転した場合の跡地と家屋、農地に対する補償制度をどのように具体化するか等、被災者の救済に対し、総理の御決意をお伺いいたします。
 次に、証券業界の不祥事についてお伺いいたします。
 金融、証券にまつわる不祥事が次々に明るみに出ていますが、中でも損失補てん問題は証券大手四社以下多くの証券会社が関連し、また、補てん先も日本を代表する大企業を初め公的機関までが含まれていることはまことに遺憾でございます。また、銀行など金融機関においても、出資法違反による仕手集団への巨額融資、土地などへの過剰な貸し付け、架空預金による不正融資などが明るみになり、これまで海外から指摘されてきた日本経済の構造そのものが問われるものにたっております。
 国民の立場からいえば、営々として築いてきた経済大国日本、その日本が、利益とシェア獲得に血道を上げる経済界のルールたき拝金主義がはびこる国として世界から不信の目で見られているという事実に改めて直面させられたということです。毎日満員電車での長時間の通勤と労働に耐え、家族のため、企業のため、そして豊かな日本を築くために働いてきた国民一人一人にとっては何とも情けない無念の思いです。総理は、国民のこうした思いをどう受けとめておられますか。
 そして、この一連の不祥事を徹底的に解明することによって不公平を是正し、国際的にも明快なルールに沿った健全な証券・金融業の再構築に向けて誠心誠意努力なさることを、総理は国民の前に誓っていただけますか。
 プラザ合意以降の円高不況を乗り切るため、企業も国民一人一人も血のにじむような努力をしてきたところです。こうした中で超金融緩和政策がとられましたが、大蔵省は金融の内蔵する巨大な力に対して十分な対策を講じてこられたでしょうか。この間、いわゆるバブル経済が急速に進展いたしましたが、金融機関はみずからが担っている公共的役割への配慮を欠いていたと言わざるを得ません。しかも、金融の国際化が同時に、かつ急速に進む中で、いわゆる日本的慣行を温存し、不透明な行政指導に頼り過ぎていたということはなかったでしょうか。
 大蔵省も、こうした甘えに乗っかり、国税庁の税務調査で初めて事の重大さを認識されたのではございませんか。大蔵省の行政指導の不透明性が、国民に対して混乱と不信を抱かせたと言えるのではないでしょうか。大蔵大臣にお伺いいたします。
 さて、大蔵省は損失補てんについて明確な定義をお持ちなのでしょうか。補てんを禁止するための証券取引法改正案が近く提案されるようですが、補てんの定義を確定しないまま果たして法規制ができるのでしょうか。大蔵大臣の答弁を求めます。
 昨年一月以降、株価が高値から平均四八%も下がる中で、二千五百万人と言われる個人投資家を含むほとんどが損失をこうむっております。その中には、大蔵省が放出したNTT株の株価下落でやけどを負った人も大勢おります。補てんを受けなかった個人投資家に総理はどう説明されますか。
 大蔵大臣は、自己責任の原則を説き、仕方がないよとおっしゃるおつもりですか。では、損失補てんを受けた企業にはどう対処なさいますか。大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
 大蔵省は、損失保証は法律違反だが、保証と補てんは違う、したがって損失補てんは違反ではないと言われますが、損失補てんは損失保証の実行行為であり、証券取引法五十条違反に当たる可能性があると思いますが、総理の御見解を伺います。
 現在公表されている補てん先リストは昨年三月以前のものであり、株が大幅に下落した昨年四月以降のものは含まれておりません。大蔵省みずから、中小証券会社を含む足切りなしの全損失補てん先リスト公表の責任をとられるべきです。また、ファンドトラストを行っている信託銀行についても同様の損失補てんが行われていたかどうか、大蔵当局は国民の前に明らかにするべきです。大蔵大臣の御見解を伺います。
 今回、一部の証券会社のみに焦点を当て、他の不正についてはうやむやにするのは、公正な社会の実現という観点から許されるものではありません。また、証券不祥事への対応の一つとして、大蔵省は株式売買の固定手数料の引き下げを検討しておられるようですが、日本の金融資本市場においては各種手数料の固定化の例が幾つも存在し、自由化の流れを阻害しています。こうした保護行政にメスを入れる必要があります。許認可行政のもとに、保護政策の助けをかり、不公正取引や放漫経営を行っている証券、銀行までもが生き残っていける護送船団的もたれ合いの土壌そのものが抜本的に変えられたければ、国際化の中での金融自由化に正しく対応することはできません。総理の御見解を伺います。
 補てん先リストの中には海外子会社なども含まれていますが、より厳しい外国の証券法による処罰の対象になるおそれはございませんか。また、外為法違反に当たるかどうかも調査していただかなければなりません。もし、損失補てんが証券会社の利益の中から生み出されたものなら、その利益移転が商法による特別背任罪に当たるかどうかも知る必要があります。総理に真相解明への御決意を伺いたいと思います。
 また、損失補てんが有価証券の価格の人為操作によるものであれば、証券取引法五十条、五十八条、百二十五条にも違反するのではないかと思われます。大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 さらに、大手証券会社の一部が広域暴力団関係に巨額の融資をしたことが判明いたしました。この融資はマネーロンダリングに利用されたのではないかなど、金の流れについても徹底的に究明することが必要です。
 大蔵省は証券市場に対して、育成、監視役、参加者の相矛盾する三つの顔を持っており、この中で免許制度による保護行政や天下り大事などが行われてまいりました。今後、大蔵省は今までどおりの許認可行政、通達指導を続けるおつもりですか。こうした形のコントロールで、同様の、あるいは形を変えた不祥事が起こらたいという保証をなさいますか。総理のお考えをお伺いいたします。
 公正かつ健全な株式市場の育成のためには、まず個人投資家を含むすべての投資家に等しくかつ透明に情報を提供するシステムを確立し、投資の機会とリスクに対する理解の水準を高める必要があります。そして、現行の証券取引法を大幅に改正して、取引一任勘定や事後の損失補てんの禁止を盛り込み、違反者に対しては厳しい罰則を設けるべきだと思います。こうした法の強化を図る一方で、行政による法律に基づかない規制や指導は、早急に改め、自由な競争を土台とした市場機能を最大限に発揮させることを大原則にするべきです。
 無論、法律の強化には監視と摘発機構が必要なことは自明です。専門知識と独立した司法権限を備えた証券市場の監視機関として、日本版の証券取引委員会、SECの創設を提案いたします。総理の御決意を伺います。
 証券業は産業育成のための資金を広く一般投資家に求めるいわば仲介役であり、投資家はその産業の発展の果実をともに享受することから成り立つ、資本主義経済のかなめの役割をするものです。そうした形で証券業界は日本経済の発展に寄与してきたということが言えます。しかし、証券業界の自殺行為とも言うべきこのたびの一連の不祥事で一般投資家の証券業界への不信感は募り、株式離れの傾向が見られます。
 とはいえ、いまだに株式市場には、企業や機関投資家はもとより、個人の莫大な株式資産が預けられております。庶民が月々積み立てている国民年金、厚生年金、共済年金、企業年金、個人年金などもこの中で目減りしている可能性があります。この含み損について、総理大臣はどのような認識をお持ちですか。
 この先、世界の三大証券市場の一つである日本の株式市場の混迷が長期化すれば、日本経済に与える影響は甚大であり、ひいては世界経済への破綻につながりかねません。現在、途上国の債務問題が未解決の上、ソ連、東欧などからの資金需要が高まっていますが、国際金融市場における日本の役割にこたえる意味でも、政府、大蔵省としては一日も早い健全な証券市場の再建を行うべきです。今回の損失補てんの事実を解明し、新たなルールづくりを行い、投資家の信頼回復に努めるべきだと思います。総理大臣の御決意を伺います。
 次に、政治改革についてお伺いいたします。
 今回の政治改革の目的は、リクルート事件に端を発する金権腐敗政治の根を絶ち、国民の政治不信を解消することが大前提でありました。それならば、まず政治家に金が入る入り口を規制する政治資金規正法の強化を、即、実行すべきなのです。ところが、政府が提出された政治改革関連法案は、肝心の政治改革を選挙制度の改革にすりかえているばかりでなく、この改革も、民主主義の根幹をなす一票の格差是正を最優先せずに、衆議院における小選挙区比例代表並立制の実現に置きかえているのです。
 この選挙制度は、比例代表制が加味されてはいるものの、実質的には自民党にとって圧倒的に有利な小選挙区制です。その裏には憲法改正の意図が潜んでいることも指摘しておかねばなりません。
 欧米における小選挙区制は、二大政党が相拮抗して存在し、外交、防衛など国の基本政策で共通の基盤を有するという前提があって成り立っております。この選挙制度はイギリスにおける保守党、労働党の二大政党をモデルとしておられるようですが、イギリスでも、社会経済の複雑化、国民の政治的利害の多様化という時代の流れの中で、その見直しが検討されております。我が国の現状は、政治的には保守、中道、革新に分かれた政党が存在し、さまざまな価値観を代表しております。こうした中で小選挙区制を導入することは、大多数の国民の意思が抹殺されることになりかねません。
 また、小選挙区制は中選挙区制よりお金がかからないという考えもありますが、アメリカの例を見てもわかるように、小選挙区制にお金がかからないということはなく、お金がかかるかどうかは選挙のルールとモラルの問題です。我が国のように異質かつ多様な価値観が混在する社会の中では、まず現行の選挙区制のもとで定数是正を行うべきです。総理のお考えをお伺いいたします。
 もし、小選挙区比例代表並立制にこだわるなら、むしろ並立制でなく、実質的には比例配分の実現を目指す併用制が適正であると考えます。併用制のもとでは、一票の格差は完全に解消されます。ドイツ方式のように、選挙民が個人と党の両方に投票することにより、少数意見を含む民意が正確に公正に政治に反映されます。ゆえに、政府が提出された小選挙区比例代表並立制の法案は速やかに撤回すべきでございます。総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、外交問題でお尋ねいたします。
 先月のロンドン・サミットでは、冷戦構造の崩壊、ドイツ統一、ポスト湾岸戦争といったさま変わりした国際情勢の中で、ソ連が実質的に参加するという新たな構図も加わり、先進各国首脳が政治、経済などの国際新秩序づくりを模索いたしましたが、その意義は極めて大きいと思っております。しかし、多くの合意はなされたものの、新しい国際秩序の展望はいまだ開けず、対ソ支援やウルグアイ・ラウンドなどの緊急の重要課題についても不透明なまま終わっております。
 最大の焦点となった対ソ支援問題を見ても、各国の思惑の違いやソ連の経済改革案が具体性を欠いたことから、本格的な金融支援の合意は見送られました。IMFへの特別参加を認めるなどの措置はとられましたが、即効性のあるものではありません。しかし、ソ連経済の混迷は国際社会の不安定化に直結します。我が国としては、二国間のわだかまりを越えグローバルた視点に立って、ソ連の経済改革や民主化の状況を踏まえつつ、随時効果的な支援策を検討する必要があると思いますが、総理の御見解をお伺いします。
 サミットの中で年内決着へ向けて明確な道筋が求められた新ラウンドについても、成功するかどうかは、米国とECの対立の行方の中で、日本が事態を打開する一つのかぎを握っています。自由貿易の恩恵を最も受けている我が国として、総理は新ラウンドの年内妥結に向けてどう知恵を絞り積極的に努力するお考えたのか、お伺いします。
 今回のサミットの政治宣言の中で国連の機能強化を初めとする我が国の主張が反映されたことは、それだけ日本の責任が強まったことを意味します。通常兵器移転の透明性を高めるために国連への登録制度の導入が盛り込まれたことは、素直に評価させていただきます。ポスト冷戦の新たな国際秩序の構築は国連を中心としてなされるべきであり、あの湾岸戦争の反省から、武器禁輸政策をとっている我が国が武器輸出に歯どめをかけるリーダーシップをとっていかなければなりません。その意味で、サミット後にゆだねられたこれらの問題の具体的な措置や内容について我が国から積極的に提言していくべきだと思いますが、総理の御見解を伺いたいと存じます。
 次に、七月三十一日、米ソ両国は戦略兵器削減条約、STARTを調印し、平和へ向けての新しい扉が開かれました。政府はこのSTARTの歴史的合意についてどう評価されますか。日本も、このSTARTの合意を契機に、我が国の防衛構想の再検討を始めていくべきではないでしょうか。お伺いします。
 また、ポスト冷戦時代の自衛隊はどうあるべきかの論議をこの際徹底的に行い、近年増強の一途をたどっている自衛隊のあり方を見直す時期が来たと思いますが、総理の御見解を伺います。
 次に、PKOについてお伺いします。
 世界の平和秩序を維持するため国連の平和維持活動への協力の大切さを認識している我が党は、先月、カンボジア問題現地調査団を独自で派遣いたしました。国連が次のPKO活動を行うのはカンボジア和平であるという各国の共通した認識がある中で、アジアの一員として日本に何ができるかを探るためでした。報告を聞くと、和平への動きは急ピッチであり、日本に対する期待の大きさを痛感いたしました。まさに、PKOを含め日本の人的貢献の体制づくりが急務です。
 そうした立場で、以下数点、総理にお伺いいたします。
 第一に、PKOに協力する新たな法体制はすべて現憲法の枠内でなければならないと思いますが、いかがですか。
 第二に、日本は平和憲法のもとで戦争を放棄し、武力による威嚇、武力の行使をしないことを誇りとしてまいりました。したがって、PKOの目的、任務は武力行使を伴わないものに限るという原則をはりきりさせるべきだと思いますが、いかがですか。
 第三に、PKOの中身によっては、日本の参加が近隣諸国に不安を与えることが懸念されます。近隣諸国からの理解を得るため政府は具体的にどのような行動をとられますか、お伺いします。
 第四に、PKO参加の是非については、自衛隊のあり方も含め、国内には数多くの意見があります。政府は、世論に耳を傾け、国民の合意形成に努め、国際社会での評価にたえ得るものをつくるべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、子供サミットについてお伺いします。
 昨年九月、我が国は子供の権利条約に署名し、総理は国連の子供サミットに出席されました。その後、政府は児童の権利に関する条約の批准に向けて検討中ということですが、いつごろ国会に提出し承認を受ける予定ですか。また、子供サミットの行動計画についてはどのような具体案を提出するのか、総理にお伺いいたします。
 現在、世界では、栄養不良、飢餓その他劣悪な生活環境のために、一日四万人の子供が死亡しております。この地球上で、初等教育すら受けられない子供が一億人もおります。我が国としては、識字教育への推進とともに、貧困の解消など草の根に行き渡る援助が大切だと思いますが、総理の御見解をお伺いします。
 最後に、中国、バングラデシュ、フィリピン等、最近大災害に見舞われた国々への緊急な援助が求められておりますが、政府としてはどのような財政援助、人的支援をこれまでに行い、今後どのような努力をなさるおつもりなのか、総理にお伺いいたします。
 きょうは長崎に原爆が投下された日です。また、ことしは真珠湾攻撃により我が国が太平洋戦争に全面的に突入してから五十年目に当たります。多くの苦しみを与えたアジアの国々、世界、そして日本の国民に向け総理はどのようなメッセージを送られるおつもりですか、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(海部俊樹君) 広中議員にお答えを申し上げます。
 普賢岳の問題につきましては、政府もでき得る限りの対応をすべきであり、あらゆる角度から検討の上、でき得るものは、政令の改正、省令の改正、特別基準の設定などを考え、二十一分野にわたって八十三項目にわたる対応策をただいま推進しておるところでございます。今後とも、地方公共団体と連携しつつ必要な措置について検討を行い、この地域の将来の防災、活性化、復興等についても積極的にできる対策を進めてまいらなければならないと考えております。
 具体的にお触れになった天災融資法の問題でありますが、これを適用する考えで、目下被害状況、資金需要等の把握を急がせておるところであります。
 また、激甚災害特別措置法の問題は、必要な公共土木施設、農林水産業施設等の被害の実態調査を行うことにしておりますけれども、依然として災害が続いており被害状況の把握にはなお時間を要しますが、特に中小企業等に係る激甚災害については、物的被害の程度を正確に把握することが困難でありますので、今次の噴火活動が長期化しつつあるという現状にかんがみ、それが終えんするまで事態の経過を待つのは適当ではないと判断しまして、緊急の特別措置として激甚災害指定に準じた措置を七月二十三日の閣議で決定し、中小企業、環境衛生関係に対しそれぞれとったところであり、農林漁業関係についても、業務方法書の改正など、でき得る限りの対応策を講じておるところでございます。
 また、集団移転特別措置法、災害弔慰金法のことについてもお触れになりましたが、これは適用条件を緩和するなど適切に対応をしていかなければならないと考えておりますし、災害弔慰金法については、政府としましては、災害援護資金について政令を改正して、貸付限度額の引き上げを行うこととしておるところであります。
 証券業界の不祥事に対するお尋ねでございますが、私は、この一連の不祥事は、免許会社としての規範に反して内外の一般投資家の証券市場に対する信頼を大きく損なったものであり、公正な社会という理念から見てもまことに遺憾なことであります。これを重大に受けとめて、このような問題が発生したことを心からおわびを申し上げます。
 なお、我が国は従来より、インサイダー取引の禁止、株式の大量保有に関する開示制度の導入等を内容とする法律改正を行ってきましたが、今後このような不祥事に対応して、再発防止のため法制上の、あるいは行政上の措置を講じ、市場の透明、公正性をより高める努力をしてまいります。
 また、一部の銀行において職員の関与した不祥事が発生したことはまことに遺憾であり、今後、金融機関の内部管理体制の改善等について一層厳正に指導をしてまいるところであります。
 なお、個人投資家にどう対応するのかとのお尋ねでありましたが、証券取引は本来は自己責任において行われるべきものと承知しております。今回の特定顧客に対する損失補てんは、このような原則をゆがめるものでありました。今後は、自己責任の原則の徹底を強く求めると同時に、損失補てん等を行わたいように法律改正を今国会に提出するように鋭意努力をしておりますし、損失補てんを受けた側にも罰則を科することを法改正に盛り込むことを検討し、御理解をいただきたいと考えております。
 たお、証取法五十条違反の問題についてお触れになりましたが、ただいま事後的な損失補てんはこれに該当しないものという報告を受け、承知しておりますので、この点も法改正の中で、事後的な損失補てんについてもこれを禁止するように改正する考えでおります。
 なお、一部の証券会社のみでなく、中小証券、信託銀行などの不正についてもどうかとのお尋ねでありますが、金融機関は公共性の高い業務を営むものであり、その公正性について、また透明性について内外の高い信頼を得ていくことはいずれも肝要な問題と考えており、できる限り透明性を高めるための努力を政府は行い、国民の皆さんの信頼を取り戻していかなければならないと考えます。
 また、国際的な金融自由化の中で、行政が業界の保護育成に重点を置き過ぎたのではないかという御批判があることをも踏まえて、金融制度改革の推進や各種手数料の水準の適正化を通じて、適正な競争原理の活用を図ってまいりたいと考えます。
 損失補てんが証券会社の利益の中から生み出されたものなら、それは罪に当たるのではないかとのお尋ねでありますが、この問題は、現在告発を受け、捜査機関が法定の手続に基づいて収集された証拠により判断すべき事柄であり、ここでそれに踏み込んだ答弁をすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 政府としては、証券市場の公正確保の観点から、証券会社に対する行政指導についての見直しを行い、必要があればそれらのこともすべて法令化を行う所存で今検討をしておるところであり、今後ともこのような損失補てん問題の再発防止に全力を挙げる考えでございます。
 罰則を含む損失補てんの禁止を内容とする証取法の改正の必要をお説きになりましたが、それは行う方向で検討をいたしております。
 また、今後の監視機能のあり方としてどのような形が適当なのか、適正化のためには何が必要なのかについて、行革審に対して早急に検討をしていただくよう依頼をしておるところでありますし、また大蔵省においても、検査体制の見直しについてプロジェクトチームを発足させ、現在精力的に作業が進められているところであります。
 また、国民年金等各種年金の含み損に対する認識のお尋ねがございましたが、私は、各種年金の資金運用に当たっては、将来の年金給付のための積立金として、長期的視点に立った安全かつ効率的な運用を基本としておるところであり、仮に評価損を生ずることがあるとしても、これが直ちに年金給付に影響を及ぼすというものではなく、今後とも長期的に見て安定した運用が確保されるように対処していかなければならないと認識をいたしております。
 また、損失補てんの事実を解明し、新たなルールづくりを行い、投資家の信頼回復に努めるべきではないかとのお尋ねがありました。さきにお答えしましたように、事実を解明し、新たなルールづくりを行い、投資家の信頼回復に努めるべきことは当然のことでありまして、そのためにも証券取引法の改正案を今国会に提出すべく全力を挙げるとともに、証券会社に対して営業姿勢の適正化、証券市場における公正性の確保を強く求めてまいる所存であります。
 政治改革についてお尋ねがありました。
 政治に金がかかる、この肝心の政治改革を選挙制度の改革にすりかえたのではないかという御指摘でございましたが、これは私どもはそうではなくて、二年間にわたっていろいろ各界の有識者の代表が選挙制度審議会で御議論をいただき、答申をいただきました。また、自由民主党の政治改革本部においても二年間にわたって三百三十回を超える議論をいただいた中で、結局、政治改革は政治倫理の確立が前提でありますが、それは政治と政治資金の関係に端を発することも御指摘のとおりであります。なぜ今そのように必要以上のお金がかかるようになったのかという根本に立ち返って、やはり選挙やあるいは政治活動というものは、政党政治でありますので政党本位、政策本位の仕組みに変えていくことが必要であり、政治改革の根本は制度問題に到達するという結論に立って、このような小選挙区比例代表並立制を提案することにいたした次第であります。
 現行の選挙区制度のもとでの定数是正の問題にお触れになりましたけれども、これは今回の法案によれば、一対二を原則として大幅に一票の格差も是正されるようになっておりますので、この法案を御議論の上成立させていただけば、定数是正の問題も、あるいは一票の格差の是正の問題も大幅に是正、解決をされていくことになっておりますので、どうか御議論の上、成立のために御協力をいただきたいと考えております。
 二国間のわだかまりを越えて、ソ連における経済改革や民主化の状況を踏まえて支援を検討せよとのお考えでございましたが、私どもも、四月のゴルバチョフ大統領との首脳会談を通じて、二国間のわだかまりの問題を乗り越えて、ソ連のペレストロイカの正しい方向性を認めてこれを支援していくという点については合意をいたしました。そして、過日のサミットにおきましても、G7の国々はソ連に対して必要な技術支援や知的協力を行う。ただ、それにはソ連の市場経済へ移行するという明確な政治的な決意と、また国内においては軍事中心に使われておる資源を民需に移転していくようた目に見える努力と、同時に日本からは、ソ連の新思考外交というものはユーラシア大陸の西でのみ花開くのではなく、東のアジア・太平洋地域でも、東西対立を乗り越え、わだかまりを解く努力はソ連の方からもグローバルな適用において身をもって示してもらいたいということを強く求め、これはサミット参加国の共通の認識ともなったところであります。
 我が国としては、その場で決めた支援策に従いでき得る限りの支援を続けながら、拡大均衡という我が国の対ソ政策の基本を踏まえ、無原則な政経分離はいたしませんが、できるだけの協力をするというので、十五協定の文言に従って、一層平和条約を締結するための努力に向かって前進をしていく決意でございます。
 また、ウルグアイ・ラウンドの交渉は、御指摘のように、我が国は自由世界の繁栄と自由経済、自由貿易の仕組みの中で今日の立場を得たわけでありますから、多角的自由貿易体制の維持強化が必要不可欠なことは御指摘のとおりでございます。そのために、市場アクセスの問題とか農業の問題とかサービスの問題、知的所有権の問題など、ウルグアイ・ラウンドの場において共通の認識を得て解決させなければならない問題がたくさん残っております。私は、アメリカやECや我が国がそれぞれ抱えている難しい問題を、これらのウルグアイ・ラウンドの場において十五分野にわたる交渉すべてが成功していくように積極的に努力をしていかなければならないと考えております。
 また、武器移転の禁止問題につきましては、武器輸出三原則などを貫いてきた我が国としては、第二、第三の湾岸危機のような状況を防ぐためにも、今後とも軍備管理・軍縮政策の柱として臨んでいかなければならない、こう考え、過日、国連京都軍縮会議において私が基調報告の中で述べた考え方もこのような点に基づくものであり、また先月のロンドン・サミットでも宣言の中にこの考え方が十分反映されているものと考えますので、この秋の国連総会に、関係国とも協力の上、通常兵器移転に関する国連報告制度の創設を内容とする決議案を提出するべく努力をするとともに、今後とも兵器の移転の禁止問題などに向かって積極的に取り組んでまいる考えでおります。
 STARTについてはどうかとおっしゃいましたが、私はこのことを心から歓迎をいたします。このことは、米ソ関係、ひいては東西関係の一層の安定化がもたらされ、我が国を含む各国の平和を確保するという意味からいっても肯定的な成果であったと認めますが、より一層徹底されていくことを心から願うものであります。
 また、近年、自衛隊のあり方について、このSTARTの合意を契機に再検討をすべきではないかとの御指摘でありますが、我が国は、御承知のように、力によって世界に向かって物を言ったり、力によってお役に立とうとしたり、力の対決の中に計算された防衛力ではございませんでした。あくまで専守防衛、我が国の平和と安全を守るための節度ある自衛力でございました。したがって、今後の情勢の変化等を見ながら、残念ながら今なお完全な力の存在と均衡による抑止がなくてもいいという時代にはなっておりませんので、我が国の平和と安全を確保するために適切な節度ある防衛力の整備は進めていかなければならない問題でありますが、国際情勢の変化や国内情勢などに着目して十分検討し研究をしていこうということは、私もそのとおりでございます。
 PKOに関する新たな法制は、現憲法の平和理念をより具現化するためにやろうとしておることでありますから、現憲法の平和の理念というものはきちっと守っていく考えでございます。目的、任務は武器行使を伴わないものに限るという原則をはっきりさせろということでございますが、政府はこのようなことを考え、平和維持軍への参加に当たっての基本方針に基づく平和維持軍への参加は、停戦が合意された後に関係当事国がすべて平和維持軍に我が国が参加することにも合意をし、同時にまた、武器使用に当たってはこれは極めて限定的に、みずからの身体、生命等の防護のために厳しく限定するということにして中間報告をまとめた次第でございます。このことは、武力の威嚇、武力の行使を伴うものという憲法九条の考え方には該当しないものであると政府は考えておりますので、今後とも御議論を賜りたいと思います。
 また、近隣諸国に不安を与えることがないように、私は近隣諸国の首脳に対しては、東南アジアでも南西アジアでも我が国の基本的な考え方を詳しく説明もしてまいりました。このようなことから、さらに今後とも、我が国の国連の平和維持活動に対する協力というものについては近隣諸国にもその基本原則を誠意を持って説明をし、理解を得られるような努力を一層重ねてまいる決意でございます。
 子供の権利条約の批准についてのお尋ねでありましたが、現在、その締結ができるよう鋭意作業を行わせておるところでありますし、また行動計画については、子供の健康、食糧と栄養、母体の健康、基礎教育、また私がその会議で主張いたしました識字の促進等の目標達成のための国内行動計画を、具体的にただいま準備を取り進めておるところでございます。決定次第、御報告をさせていただきたいと思います。
 さらに、識字教育の推進とともに、貧困の解消など草の根に行き渡る援助が大切だと御指摘になりました。私もそのとおりと受けとめ、今後ともユネスコやユニセフなどの国際機関と協力して、草の根に行き渡るような援助が行われるよう一層の配慮をしてまいる考えでおります。
 たお、明日、中国を訪問いたしますが、バングラデシュやフィリピン等、最近大災害に見舞われた国々には、でき得る限りの物資協力、資金協力をいたしておりますが、大規模な災害が発生した場合には、国際緊急援助隊の派遣や無償資金による災害緊急援助、国際協力事業団を通じた物資の供与及び海外経済協力基金による資金協力、あるいは人道晦分野での国際協力を一層促進しなければならないものと考え、国際緊急援助隊に自衛隊の参加を可能とする法改正についても検討を続けておるところであります。
 最後に、ことしは真珠湾攻撃から五十年に当たります。御指摘のように、多くの苦しみを与えたアジアの国々や世界に対して、私は、過去の歴史に対する厳しい反省に立って、日本の平和国家としての理念と決意を政策に反映する努力を行ってまいりましたし、今後もそれを続けていくということを先般シンガポールにおいて行った政策演説の中でも申し上げましたし、さらに、太平洋戦争において多くのアジア・太平洋地域の方々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらした我が国の行為を厳しく反省するとともに、平和国家としての我が国にふさわしい貢献を行って、今後世界の平和と安定に一層の努力を国際国家の一員として続けていきたいということを内外に向かって明らかにしたいと思います。
 残余の質問については関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨日、本代表質問の冒頭に、公式におわびの言葉を申し上げました。本日またこうしてお答えをいたさなければならない御質問をいただくこと自体に対し、申しわけなく思います。
 広中議員から御指摘をいただきました第一点は、金融機関の公的役割への配慮の欠如、あるいは日本的慣行というものにつき、また不透明な行政指導の問題という点についてでございました。
 証券、銀行におけるこの一連の不祥事というものは、その高い公共性にかんがみ、まことに遺憾なことであります。証券会社、金融機関は、その業務の公共性にかんがみ社会的責任を自覚した業務運営を求められておりますが、第一義的にはみずからが業務の健全かつ適正な運営に努力をすべきものでありますし、大蔵省としても、その公共性の適切な発揮の実を上げ社会の期待にこたえるよう努力を続けることにより信頼を回復しなければなりません。
 我が国の証券・金融市場がニューヨーク、ロンドンと並び世界三大市場の一つに数えられるようになるなど、我が国における金融の国際化は急速に進展をいたしております。こうした中で、御指摘のように、国際的にも明瞭なルールにのっとった健全な市場の構築を図ることは、私どもの重要な責任と考えております。
 また、証券市場の公正性、行政の透明性確保などの観点から、先ほど総理からも御答弁いただきましたように、今国会におきまして、取引一任勘定取引や事後的な損失補てんを禁止する証券取引法の改正法案を提出し御審議をいただきたいと願っておりますが、それだけではたく、証券取引の規制や証券会社に対する行政指導を全面的に見直す中で、必要のあるものは法制化も行ってまいりたいと考えております。
 また、その損失補てんの定義という点について御指摘をいただきました。損失補てんの定義につきましては、できるだけ幅広く取り込みたいと考えておりますが、違反に対する刑罰を科すこととする場合の構成要件の明確性の観点もございまして、現在、法務省、内閣法制局などと協議を続けておるところであります。本日結論を申し上げるところまで作業が参っておりません。
 また、損失補てんを受けた企業に対しどうするかという御指摘をいただきました。この損失補てんという一連の問題というものは、ただ単に内外の一般投資家の証券市場に対する信頼感を大きく損なったということだけではありませんで、特定の顧客だけが有利な取り扱いを受けたのではないかという不公平感を広く国民の間にもたらしたものでありまして、まことに遺憾であり、深刻に受けとめております。そして、この自己責任原則というものにつきましては、証券界に対しその徹底を強く求めると同時に、証券市場のすべての参加者に証券取引に伴う基本原則というものを改めて認識してもらうための方策を講じたいと思います。その一環といたしまして、例えば損失保証や損失補てんを求めこれを受けた顧客側にも罰則を付することを証券取引法改正案に盛り込みたい、そのように考えております。
 また、中小証券におきましても、金額が小さいと申しながら、証券検査の過程及び税務調査の結果を受け、数社から損失補てんがあったとの報告を受けております。中小証券につきましても、損失補てんのあります場合には、その損失補てんにつきまして、ディスクロージャーのルールに従って、有価証券報告書の訂正という形で明らかにさせるよう指導したいと考えております。
 また、証券各社からは九一年三月期について損失補てんはないという報告を受けておりますが、今般、九一年三月期及び当期の事後的な損失補てんの有無などについて把握する目的をもちまして、大手四社に対しまして、七月十八日、特別検査に着手をいたしました。検査が終了いたしました段階で、問題がありましたなら、各社に対し可能な限り事実関係を明らかにするよう指導してまいりたいと考えております。四社以外の証券会社につきましても必要な対応をしてまいりたいと考えております。
 また、信託銀行のファンドトラストについて損失補てんの事実はたいかという御指摘をいただきました。信託銀行各社に対し事情を聴取いたしましたところ、信託銀行が顧客に対して元本補てんあるいは利回り保証を約束し、それに基づいて損失を補てんするような事実は存在しないということでありました。また、元本補てんあるいは利回り保証を約束しない場合の銀行勘定から信託勘定へのいわゆる事後の補てん、これにつきましても、そのような事実は存在しないということであります。
 なお、信託銀行は、投資家との間でファンドトラストの契約を締結するに際しまして投資家の参考に資する目的から、そのときどきの市場環境、利回りの見通し等についての情報を投資家に提供しておりますが、これを信託銀行の通常の取引行為の一環として行われているものでありまして、利回り保証とは性質を異にするものと承知しております。
 また、補てん先リストに海外子会社が含まれているが、外国の証券法による問題は生じないか、外為法違反になるかどうか調査する必要があるのではないかという御指摘をいただきました。御指摘のようなケースにつきましては、現在まで把握しております事実関係によりますと、実際の資金運用は日本国内に設けられた勘定において専ら国内の証券会社によって行われており、日本の証券会社の海外現地法人が損失補てんに関与した事実、また海外との間で不正な外国為替取引が行われた事実はないものと承知をいたしております。したがいまして、今日まで把握している関係からまいりますと、今回の損失補てんによりまして我が国の証券会社またはその海外現地法人が海外当局により処罰されたり、あるいは外為法違反という事実はないと考えております。
 また、損失補てんが有価証券の価格の人為操作によって行われていた場合を想定してのお尋ねをいただきました。今回、各社において行われました損失補てんは、非上場の債券を顧客と相対で取引して利益を供与するなどの手口で行われたものでありまして、これまでのところ、議員御指摘のような証取法の規定に違反する人為的な株価操作による補てんの事実は承知をいたしておりません。
 また、暴力団関係者との取引につきましては、これは証券市場及び証券会社に対する投資家の信頼を著しく損なうものであります。このため、暴力団新法の制定に見られますように、暴力団活動の抑制につきまして政府全体としての取り組みが行われております。大蔵省当局といたしましても、捜査当局による捜査の進展を見守りながら、捜査当局の助言もいただきながら政府部内でよく相談し、いかなる対応が可能かを検討してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(土屋義彦君) 市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#15
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、海部総理に質問いたします。
 今日、次々と明るみに出される証券・金融スキャンダルは、国民に大きな怒りを引き起こしております。西では、住友銀行、イトマンと暴力団山口組との醜悪な結びつきが刑事事件に発展しております。東では、世界最大の証券会社野村証券を初め、大手証券と巨大企業の癒着、さらには暴力団稲川会も加わった空前の規模の証券スキャンダルの発覚であります。補てんリストには、新日鉄、日立、トヨタ、日産、松下電器など、日本の名立たる巨大企業が軒並み名を連ねており、まさに日本経済をむしばむ腐敗の底知れぬ深さと広がりが示されております。
 そして、大企業がバブル経済で大もうけを続けた一方で、国民は史上最低の金利による預貯金の目減りに泣かされ、それを少しでも取り戻そうと株に手を出せば暴落に襲われる。さらにまた、地価の暴騰によってマイホームの夢を奪われたばかりか、住みなれた家さえ地上げ屋に追われる、これが今の日本社会の実相ではありませんか。
 そこで、総理に伺いたい。
 第一に、本来、証券スキャンダルの徹底的な真相解明と責任追及が再発防止の生きた力となり、そのことを抜きにして再発防止策なるものは立てられないはずであります。ところが、驚くべきことに、総理の所信表明にそれへの言及がただの一言もなかったのであります。自民党総裁として、証人喚問に応ずるのかどうかを含めて、この際うみを出し切る決意がおありなのか、まず承りたい。
 第二に、大蔵省のかかわり合いの問題であります。大蔵省は損失補てんの事実を知らなかったかのように答弁をしておりますが、とんでもありません。そもそも、八九年十二月、補てん禁止、営業特金自粛の通達を出したこと自体、補てんがあったことを知っていたからではありませんか。しかも、昨年三月には四大証券がこの通達の弾力的運用を大蔵省に申し入れている事実があり、現に補てんの六割がこの禁止通達以降になされております。大蔵省の暗黙の承認なしにはやれないことはだれにもわかることであります。巷間、野村証券霞が関出張所と呼ばれる汚名をこの際返上するためにも、真実を明らかにすべきであります。
 第三に、証券・金融業界と自民党及び自民党政治家とのかかわり合いであります。証券業界は、銀行、鉄鋼とともに自民党への献金御三家とされ、四大証券を初め、証券業界からの政治献金はこの十年間で三十五億二千九百万円に上ります。さらに、野村証券の田淵前会長は、中曽根元総理を取り巻く財界人の会、竹下元総理を取り巻く財界人の会の中心人物であります。今回の証券スキャンダルでは、金丸元副総理のファミリー企業への損失補てんが表面化し、海部総理が文部大臣当時理事をしておられた嘉悦学園が三億円以上の補てんを受けていることも指摘されているところであります。国民の疑惑にこたえるためにも真相が明らかにされなければなりません。真相を知る立場にある総理として、政界、政治家とのかかわりについて誠実な答弁を求めるものであります。
 とりわけ重大なのは、このほど橋本大蔵大臣の秘書が、十四億円の不正融資の仲介や、あろうことか銀行大事にまで介入していた事実が発覚したことであります。事は金融・証券行政の最高責任者にかかわる問題であり、またこの秘書は、橋本大蔵大臣の有力政治団体である新政治問題研究会の代表者であり、橋本氏の金庫番とされた人物であることなどからして、監督不行き届きということで済まされる問題ではありません。総理は、この問題をどのように認識され、処理されようとするのか、責任ある答弁を求めるものであります。
 もともとリクルート問題の反省から金権政治の根絶を目指したはずの政治改革たるものを自民党の一党独裁支配の永続化を目指す小選挙区制の導入にすりかえること自体、国民にとってはまことに奇怪きわまる成り行きであります。政治資金規正法関連について言えば、金権政治の根源である企業、団体の政治献金をきっぱりと禁止する措置をとらないばかりか、パーティー券購入は寄附ではなく対価だとするなど、むしろ逆に企業、団体献金枠を拡大しようとしております。総理、これがなぜ政治改革と言えるのか、国民が納得できるように明らかにしていただきたいのであります。
 導入を強行しようとする小選挙区制は、いかなる試算によっても、自民党が四割台の得票で八割近い議席を占めるものであることが立証されております。多くの選挙民の選択を死票として切り捨てるこの選挙制度を、それでも総理は正確、公正に民意を反映するものと言い張るのですか、伺いたい。
 さらに、総理は、政策、政党本位で金のかからない選挙にすると述べておられますが、小選挙区制が金権買収選挙の横行をもたらすことは、戦前に実施された二回の前例、現行の奄美群島区の実例を見るまでもなく、明らかなところではありませんか。
 また、総理は所信表明で、本来の政治活動以外の部分に多額の費用がかかると言われましたが、一体どんな部分にかかるのか具体的にお聞かせ願いたいのであります。
 今なすべきことは、今日、最大格差が三・三八倍、違憲状態にある衆議院の議員定数格差を、少なくとも一対二未満にする緊急定数是正でなければなりません。これは、八六年、自民党も賛成した国会決議に基づくものであります。我が党も含め、全野党が具体的な定数是正案を提出しております。やる気になればすぐにもできるこの定数是正を、政府・自民党があくまでも拒否する根拠は一体どこにあるのですか。それは、抜本的な定数是正を行えば、多くの試算が示すように、自民党が過半数割れになるからではないのですか。はっきりしていただきたいと思うのです。
 かくのごとく小選挙区制導入を執拗に固執する意図は、自民党が衆議院で三分の二以上の多数を握ることによって、自民党が少数の本院、すなわち参議院において法案を否決されても、衆議院で三分の二以上の多数で再可決すればいかなる法案も成立させることができる。海部総理の所信表明に言うところの内外の課題に国全体の観点から的確、機敏に対処する政治の確立、すなわち、いわゆる海外筋からの要請に機敏にこたえられることも含め、自民党政治の永続化に最大のねらいがあるのではないのですか。率直にお答えを願いたいと思うのであります。
 ことしは太平洋戦争開始から五十年、また六日は広島に、きょう九日は長崎に原爆が投下されて四十六年目になります。今こそ、あの侵略戦争の反省に立って制定された憲法の平和的、民主的な基本原則が持っている先駆的な生命力を発揮し、国民が一致して支持できる平和的手段による国際貢献を果たすべきときであると考えます。それは、貧困や飢餓、あるいは地球環境問題などの解決に日本の経済力を充てること、特に、唯一の被爆国であり、戦力を保持しないことを憲法で明記している日本が、核兵器廃絶を世界政治の中心課題として取り組むことでなければならぬと思うのであります。
 ところが、総理は、五日の所信表明においても、六日の広島の平和祈念式典でのあいさつでも、また昨日の衆議院での不破質問に対する答弁でも、核廃絶の課題を究極目標として棚上げし、はるかかなたに先送りする態度に終始いたしました。それは、広島の平和式典で広島市長が読み上げられた核兵器の一日も早い廃絶を呼びかけたあの平和宣言にも反するものであります。総理、あなたは、きょう八月九日、長崎のこの日も、国民の願いに背を向け、究極化論にあくまでも固執されるのかどうか、改めてその姿勢を問うものであります。
 今、自民党政府が進めていることは、日本が本来果たすべき国際貢献とは全く逆の方向であります。今国会に提出されるという自衛隊を海外に派兵するいわゆるPKO法案は、まさにその象徴であります。総理自身、さきの国連平和協力法案の審議の際には、武力行使が想定される平和維持軍への参加は慎重を期して除いたと答えられました。また、工藤法制局長官も、平和維持軍的なものに対しては参加することが困難な場合が多いと答えております。それにもかかわらず、伝えられる政府案は、自衛隊を国連平和維持軍に参加させようとしております。去年までは憲法上できないとしてきたことがたぜ今はできるのか、はっきり解明していただきたいのであります。
 本院では、一九五四年六月二日、自衛隊の海外出動禁止決議がなされております。高辻法制局長官は、海外出動というとき、武力行使を内容に含んでいない場合も含むと答えられております。ところが、今回、自衛隊が海外に行き、平和維持軍に参加し、武器使用を行っても、自衛のためなら可能でありそれは武力行使にはならないという、本院の決議も、従来の政府見解や答弁も踏みにじる、まさに詭弁によって二重、三重に憲法をじゅうりんしようとしております。これは九十九条の憲法の尊重擁護の義務を政府みずからが踏みにじるものではありませんか。総理の見解を求めるものであります。
 以上、私が取り上げた今臨時国会における三つの重要問題は、いずれもその根源をアメリカに対する国家的従属、大企業に対する奉仕政治に持っているという点で、共通の特質を備えております。すなわち、証券スキャンダルを続発させたバブル経済は、アメリカの双子の赤字を支えるための八五年九月のプラザ合意とドル安円高に始まったものであり、自衛隊の海外派兵計画と小選挙区制は、ブッシュ政権の新戦略にこたえた日米軍事同盟の地球的規模への拡大と対米貢献国家づくりを保障しようとするものであります。国民のための真の政治改革とは、戦後日本の政治、経済のこうした最も深い病根をきっぱりと断ち切り、平和と安全、民主主義と国民生活安定の方向に国政を進めるものでなければならないことを指摘いたすものであります。
 最後に、当面する緊急重大課題である雲仙災害対策についてであります。
 私は、火砕流で亡くなられた方々に心から哀悼をささげるとともに、長期にわたって災害に立ち向かっておられる住民の皆さん方にお見舞いを申し上げるものであります。
 そこで、総理に伺いたいのでありますが、昨日、我が党の不破委員長が指摘いたしましたように、政府は現地の災害対策費の国庫負担分さえいまだ一円も出しておらず、予備費も支出しておりません。総理は、万全の措置をとっており当初予算で間に合っていると答えましたが、実態を欺くにもほどがあると思います。災害救助に県当局は既に十八億円支出しております。しかし、国のこの分野の当初予算は二億円しかないではありませんか。
 政府は、去る七月九日の閣議で、湾岸平和基金に対して新たに五億ドルを九一年度予備費から拠出することを決めました。言うならば目減り補てんであります。どころが、雲仙、島原の地元住民の、せめてアメリカに出した分の一〇%でも災害復興基金にという痛切な声には耳をかそうとしておりません。こういう冷酷な仕打ちではなく、予備費の緊急支出を初め、必要な財政措置を今直ちにとるべきではありませんか。総理の決意を承りたいのであります。
 同時に、重要なことは、気象庁の火山対策費が臨調行革によって、八〇年には一億六千二十万円であったのが削減に次ぐ削減で、今年度は阿蘇山の三地点の地震計の更新分二千四百九十八万円しかないことであります。また、防災官庁である気象庁にヘリコプターが何機あるのですか。一機もないのです。総理はこういう実態を一体御承知なのでしょうか。
 私は、すべての活火山について常時観測を実施し、警報・情報伝達を整備するなどの抜本措置をとることを強く要求し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(海部俊樹君) 市川議員にお答えを申し上げます。
 今回の証券会社の損失補てん等の問題の実態につきましては、十その証券会社から補てん先の企業名が公表されたところでありますし、また補てんの手法等については政府といたしましても国会審議の場を通じて説明をいたしてきておるところでありますが、引き続きその実態を明らかにするように努めてまいる所存であります。
 証人喚問については、国会において各党間でお話が行われている問題と承知いたしておりますので、これは国会においてお決めいただくべき問題だと受けとめております。
 大蔵省が損失補てん行為を暗黙に了承したのではないかという角度からの御意見でしたが、平成元年に一部証券会社の損失補てんの事実が明らかになったことを契機として、同年末に大蔵省は証券局長通達を発出してこのような行為を起こさないように厳しく指導するとともに、損失補てんを行った証券会社に対して社内責任の明確化や営業自粛を行わせたところであります。特定顧客に対する損失補てんは、内外の一般投資家の証券市場に対する信頼を大きく損なったものであり、まことに遺憾でありました。今後、再発を防止するように努力をしていかなければならないことは当然であり、証券法の改正等も今鋭意努力をしておるところであります。
 また、証券・金融業界と政党及び政治家とのかかわりについてとのお尋ねでありますが、各種法令に違反した問題でない限りにおいて、政府として政党、政治家とのかかわりについては関知するところの性質の問題ではないと考えておりますし、またそのように御理解をいただきたいと思います。
 ただ、大蔵大臣に関しましては、先日、大蔵大臣自身から私に対して、秘書に対する監督に至らぬ点があったことについて責任を痛感している旨、陳謝の意の表明がございました。私からは、一連の不祥事の再発防止を初めとした法改正作業等、当面の課題の解決に全力で取り組むよう指示をしたところでございます。
 政治資金の根本解決のためには、制度面においても、これまでの個人を中心とした政治活動や選挙の仕組みを改革し、政策本位、政党本位の仕組みに改める必要があります。政治資金制度の改革においては、原則として企業等の団体献金は政党に対するものに限ることにしておるところでありますし、政治資金パーティーについては、節度ある開催によって、収支の明確化、購入限度額の設定等、所要の規制措置をとるものであります。政治資金の公開の強化、規制の実効化の確保が図られ、選挙制度及び資金制度を通じた根本的な改革になっていくと信じております。
 なお、死票という問題についてお触れになりましたが、私は、現在提案している小選挙区比例代表並立制は、民意の変化が敏感に議席数の変化をもたらすものとされる小選挙区制に比例代表制を並立させることによって、少数意見の国政への反映にも十分配慮できる制度であると考えます。どの選挙においても、対立候補者に集まる票は、私は批判票と受けとめますけれども、批判票となり、その批判票は今後流れを変えて、さらに大きな意味を持つ票になるものと考えております。
 また、小選挙区制は金権の横行になると言われますが、やはり本来の政治活動は、情報収集や政策の立案、普及等、資金が必要であります。しかしながら、選挙制度審議会の答申でも触れられておりますように、候補者個人本位の選挙となりますと、有権者との個人的なつながりの維持拡大に多額の金をかけるなど、これまでのように不必要な金がかかっておるという現実があることを審議会からも指摘されたところであります。
 なお、国会決議に基づく票の価値の問題につきましては、今回の三法案の中にも投票価値の格差是正を、選挙制度の改革とあわせて、原則として一対二におさめるような努力をしていただいて、大幅な改正の跡が認められる案が含まれておりますので、これとともに解決ができるものと考えております。
 飢餓や貧困、環境問題等の点で、国際協力に日本の経済力を充てろということでありますが、我が国は、国際的な相互依存と人道的考慮という基本的な考えのもとで、これまでも開発途上国の飢餓、貧困の救済に向けて国民生活の向上への貢献等を目的としてODAの一層の充実に努めてきたところでございます。今後ともこれは積極的に行う問題であり、また環境に対しては、アルシュ・サミットにおいて、三年間に三千億円程度を目途に世界に提供する旨発表をいたしましたが、二年間でそのほぼすべてを消化しておる現状を御報告したいと思います。
 また、平和憲法の日本が、核兵器廃絶を究極の目標として、これは先送りするのではなくて、その目標に向かって一歩一歩前進していこうという、現実的な具体的な解決に向かっての努力を世界に向かって訴えておるわけでありますから、私はそのことについて、廃絶を究極の目標とするというのは極めて具体的な現実的な一歩一歩進めていく近道であると認識をし、過日の京都会議等でもこのことを強く主張したわけであります。
 また、PKOに関しましては、国連平和維持軍に参加させようと政府の中間報告では考えました。それは、昨年の法律では直ちにそれで参加できるようになっておりませんでしたけれども、武力行使を伴うのか伴わないのか、その形態その他を中間報告で厳しく限定いたしまして、憲法との関係で問題を生ずるものはないという基本原則を立ててこれをお示ししており、今後、憲法違反にならないように、しかも、日本の憲法の核、平和国家の理念というものをより具体化していくために、新しい平和の国際秩序、枠組みづくりの中に日本も積極的に加わって役割を果たしていくためには何がなし得る可能な範囲であるかということを判断したものでございます。
 今後、成案に努力をして御提出させていただきますが、その中に、平和維持軍は、あくまで停戦の合意が成立しておること、紛争当事者が平和維持軍の活動に同意していることを前提にして、中立、非強制の立場で国連の権威と説得により行うというものでありまして、伝統的な意味での軍隊とか武力行使とは性格を全く異にするものであるということを御理解いただきたいと思います。
 また、最後にお触れになりました雲仙地元住民のための対応でありますけれども、我々もこれを極めて大きく厳しく受けとめて、災害対策は二十一分野八十三項目にわたる対応をただいま強力に進めておりますし、このうち三十項目は、政令を変え、省令を変え、閣議で決定をして行っておるものであり、今所要の経費は予算に計上されておりますけれども、今後さらに追加的に必要となる経費の財源措置については、予算の執行状況等を見つつ、地元公共団体の財政を逼迫させないように十分適切に対応していくことにいたしております。
 なお、すべての活火山活動について常時観測体制を実施し、情報伝達体制等を整備するなど抜本的な改正をせよということでありますが、そのような考え方に立っていたしておりますし、また今回の問題についても、適時情報の発表を行って住民の皆さんや国内に伝達し、予防に努めておるところでございます。(拍手)
#17
○議長(土屋義彦君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十一分開議
#18
○議長(土屋義彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説及び報告に対する質疑を続けます。粟森喬君。
   〔粟森喬君登壇、拍手〕
#19
○粟森喬君 私は、連合参議院を代表し、総理の所信表明に対し質問を行い、意見を申し上げます。
 総理、あなたの所信表明演説は、総理一流の言い回しであり、その内容は、政治哲学が見えず、現状認識も不十分だと申し上げておきます。
 まず、雲仙・普賢岳の災害について、犠牲者の方に弔意をあらわし、地元島原市及び深江町の被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げます。
 衆参両院で国会決議をするとのことです。これは災害への対応が遅きに失したことを意味しています。手厚い緊急措置が必要で、現行法での対応が不十分だと考えます。的確な対応が可能となるように特別立法措置を行うべきと考えますが、国土庁長官にお尋ねいたします。
 当初、本臨時国会は、政治改革とPKO法など、戦後日本の歩んできた道を再点検し、二十一世紀へ向けて日本のあり方、新たな社会の枠組みを構築する大切な臨時国会として内外から注目されるべき国会であるはずでした。ところが、最近になって、証券業界、金融業界の不公正、違法性の強い不当なやり方に対し、国民、有権者から大変な驚きと厳しい批判が集まっています。それにもかかわらず、総理の所信表明では、公正な社会という理念を提起しながらも、みずからの責任を回避するため、遺憾であるという言葉で問題を片づけようとしています。金融業界の不正、不当貸し付けについても、職員の不祥事として実態を矮小化しています。地下銀行があるとも言われ、また暴力団組織の介在があるとも言われている中で、本問題に対する認識の甘さを厳しく指摘しておきます。
 内閣の政治責任、行政責任は明確であります。国民、有権者は、不公正、アンフェアなやり方に怒りを持っています。徹底した解明を求めています。不祥事発生の原因と根絶の方策を総理にただします。
 このような事態になったのは、大蔵省を初めとする行政機関が、保護、育成、監督の名目で、ゆがんだ証券業界、金融業界の姿勢を正さずに放置したことにあります。証券取引法の改正は当然です。問題は、そのやり方、プロセスです。行革審に第三者機関の設置を含め検討を要請したと総理は述べていますが、総理として主体的にかくあるべきという信念と方針が見えません。我々連合参議院は、アメリカのSECに準じた独立の検査機関が必要であると考えますが、この点に関し、総理及び大蔵大臣に見解を明確にした答弁を求めるものであります。
 今回の証券、金融の不祥事件の全容解明は、内閣みずからの手で行うのが義務であり、責任であります。その際、不当な損失補てんを行った証券会社並びに損失補てんを受けた企業に対しどのように対処するのか。特に、補てんという不当な利益をどう処理するのか。課税対象にするだけで済ますべき問題ではありません。あわせて、損失補てんの認識がないと強弁している企業、団体、個人についても、事実を解明し責任を追及すべきものと考えます。大蔵大臣の見解を求めます。
 さらに、大蔵大臣に申し上げます。
 あなたはみずからに対し約四十三万円の減給処分を行いました。その処分は、事実関係が明らかにならない、国民がその事件の実態を知らない段階で行われました。特定大口投資家には一千七百二十億円の補てんがある一方、一般大衆投資家の損失補てんは全くありません。政府の低金利政策のもとで老後の対策に、とらの子である貯金の目減りを防ぐために高利回り商品の勧誘に乗った株式投資で損害が出ている大衆投資家の怒りの声が、大蔵大臣、聞こえませんか。四十三万円の減給で済む問題で終わらないことは、大蔵大臣、あなた自身が認識していると思います。
 さらに、あなたの分身である元秘書が不当不正融資のあっせんを行ったというスキャンダルが起きています。自民党で国民に最も期待されている政治家、大蔵大臣橋本龍太郎の、開き直りではない政治責任、改善策についての答弁を求めるものであります。
 リクルート事件以降も、依然として企業犯罪が後を絶ちません。いずれにせよ、この種の事件は、政権与党と財界の癒着の構造、政治と金の関係が見え隠れし、それが浮き彫りになっています。高級官僚の天下り、行政と業界のなれ合い体質も問題です。総理、厳しく受けとめるべきであります。
 次に、政治改革について幾つかの意見と質問を申し上げます。
 本臨時国会は、総理みずからの強い意志により、政治改革を目指すために開かれました。総理の所信表明では、政治改革は選挙制度を変えること、つまり、小選挙区制度を導入することが初めですべてとなっているとしか理解できません。政治の原点は、信頼を前提にした民意が反映されることにあります。
 私たち連合参議院は、本国会での政治改革は、まず政治家の倫理、選挙や日常活動での不当な金の使い方を禁止し、ルール違反の場合は直ちに議員資格の停止、さらには剥奪するという政治倫理法を制定すべきと考えています。あわせて、政党に対する公費の助成を内容とする政党助成法を制定することによって、一国民、有権者の政治への信頼を確固たるものにすることをまずやるべきであります。その上で、政党が政策本位で互いに競い合い、有権者が政治家の資質で選び投票に反映できる選挙、多様な有権者の意思が尊重され、野党、中小政党へも配慮した選挙制度を確立すべきであります。こうした見地から、連合参議院は、比例代表部分に五〇%以上の議席配分をする比例代表併用制を基本として選挙区割りを見直すべきと考えております。
 政府は、なぜ比例代表並立制を絶対視し、併用制を中心とする選挙制度を否定するのか、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 次に、国際貢献策としての国連平和維持活動のあり方について幾つかの点をただします。
 所信表明では、海外での災害救助のために自衛隊を派遣できるように法改正を行うことが述べられています。我々連合参議院は、海外での災害救助を行い、国際貢献する立場には賛同するものであります。しかし、今何ゆえに自衛隊を部隊のままに海外に出すのか、政府の真意をはかりかねています。なし崩しに海外に自衛隊派遣の実績をつくることをねらっているとしか考えられないからであります。総理、この点についての明確な答弁を求めます。
 連合参議院では、国連平和維持活動について次のように考えております。
 現在の国際情勢は、冷戦の時代から国際協調の時代に入りました。同時に、日本が経済的に繁栄し、一方では経済的に困窮している国に日本の果たすべき役割が問われています。さらに、日本の経済が資源、特にエネルギー源を海外に依存している現状を見るときに、国際貢献策を積極的に行う必要があるとの認識を持っています。現行の憲法の枠内で、日本版平和維持活動隊とも言うべき自衛隊とは別個の組織を創設すべきと考えています。この新組織に、国連平和維持活動と海外の災害救助の二つの任務を担わせるべきであります。
 さらに、国連平和維持活動に関しては、当面、停戦監視団までの任務に限定すべきであります。武器の携行も、護身のための最小限度のものを認めるものです。自衛隊員そのものの併任ではなく、現実論としては自衛隊の人材を必要としていることを踏まえて退職自衛官の参加を認め、任務終了後などの自衛隊への再就職を否定するものではないと考えます。現行の憲法のもとでの自衛隊の参加のあり方として、この範囲が限界であると我々は考えます。
 国民は自衛隊のシビリアンコントロールに懸念を持っています。去る通常国会では、本院で海上自衛隊の掃海艇派遣について審議中、見切り発車をいたしました。しかも、旧帝国海軍の軍艦マーチを鳴らし、旭日旗を掲げての出発でした。このニュースを見たアジアの人たちはどう感じたでしょうか。政府の現憲法下での自衛隊の参加のあり方にきちんとけじめをつけた答弁を総理に求めるものであります。
 最後に、米の問題について申し上げます。
 所信表明では、米の自由化に向けて初めから譲歩ありきとしか受け取れません。自民党幹部の中で米の自由化容認論が相次いています。数次にわたる国会決議のあることを忘れたのですか。あくまで自給体制の堅持は、今や農家、消費者とともに国民的願いであります。EC諸国は、アメリカの攻勢を受けても、その保護政策について変更がないことを繰り返し表明しています。このときに、我が国がひとり米の自由化をいけにえ、犠牲にするなど、論外と言うほかありません。総理並びに農林水産大臣の答弁を求めます。
 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(海部俊樹君) 粟森議員にお答えを申し上げます。
 証券・金融不祥事件の一連の問題は、免許会社の規範に反して内外の一般投資家の市場に対する信頼を損なったものであり、私は公正な社会の理念からまことに遺憾に思い、政府としてはこのことを重大に受けとめております。これまでも申し上げてきたところでありますが、今回の不祥事について行政の責任者としてその責任を重大に受けとめて、改めて国民の皆さんにおわびを申し上げる次第であります。
 先般、補てん先については十七社から企業名が公表されたところでありますが、補てんの手法等については政府としても国会審議の場を通じて説明をしてきております。また、引き続きその事実を明らかにするよう努めてまいる所存であります。
 さらに、一部の銀行において職員の関与した不祥事件が発生したことは、公共性の高い金融機関の性格にかんがみてこれは許しがたいことであり、直ちに監督当局より当該銀行に対し事実関係の詳細な調査及び内部管理の総点検を求めるとともに、結果講じた措置等について報告すべき旨を指示したところであります。本件は既に告訴されており、司法当局による真相解明を待っておるところであります。
 証券市場に対する監視機能のあり方としてどのような形が適当であるのか、適正化のために何が必要であるかについて、行革審に対して早急に検計を依頼しましたが、大蔵省自身においても、検査体制の見直しについてプロジェクトチームを発足させ、現在精力的に作業を進めているところであります。
 政治改革の問題については、初めにすべて小選挙区ありきではございません。政治倫理法及び政党助成法の制定によっていろいろやれというお話ですが、自由民主党は衆議院の方に、党としての政治倫理の考え方、政治倫理のための政治家、議員の資産公開法その他をすべて提出し、野党から出された案とともに、衆議院の議会制度協議会でただいま成案を得るべくお話し合いが続いておると受けとめており、党から議長にもそのことの促進方を先日お願い申し上げたわけであり、政治倫理の確立が重要だということはこれは大前提として受け止め、そのように努力もしてまいります。
 ただ、現在の政治改革のスタートのもとになった政治とお金の関係をめぐる問題については、政治資金の透明性、公開性を明らかにするためにどうするか、必要以上に多額にかかるようになった原因はどこにあるのか、いろいろな問題点を選挙制度審議会で学識経験者やいろいろな立場の皆さん方に繰り返し御議論をしていただいた結果、それらの問題を一括して考えていくためには抜本的な改正として制度の改革が必要である。同時に、それとともに、選挙の腐敗行為に対する厳正な措置や、あるいは一票の格差の是正の問題についても審議会でも十分御議論をいただいて、それぞれ大幅に改革するにふさわしい法案を内閣で策定し、三法案を国会に提出したわけでございますから、どうか御議論をいただき成立させていただくようお願いをしておく次第であります。
 また、御意見の中にありました併用制については、これは審議会では十分検討を行っていただき、党の選挙制度調査会でも議論をいたしましたが、審議会で学者、有識者の御意見の中には、併用制は多様な民意をそのまま反映するという特性を持つ反面、小党分裂となり連立政権となる可能性が高く、連立政権には、政権を担当する政党が国民によって直接選択されるのではなくて政党間の交渉によって決定されてしまうというようないろいろな問題点があることなどからこれをとらなかったことと承知をしております。政府は、選挙制度審議会の答申を踏まえて小選挙区制を考え、同時に、中小政党、少数意見のいろいろな反映のことも考え、比例代表の並立制を提案しているところでございます。
 国際緊急援助隊への自衛隊参加の問題については、ただいまこれを可能とするような法改正を準備しておりますけれども、これは、自衛隊の経験と能力等、それを活用し得るようにすることによって、海外における自然災害を中心とする大規模災害に対する我が国の国際緊急援助体制の一層の整備を図ることを目的としておるものでございます。バングラデシュの災害の視察やクルド族難民の視察にお出かけをいただいた同僚議員の皆様からその後御報告も承りましたけれども、能力のあるものを活用し得るように政府としても考えるべきだという貴重な御意見もいただいており、政府としてはただいま鋭意努力をしておるところであります。
 このことは、お触れになりました国連平和維持活動、海外災害活動に日本が積極的に参加していくべきだというお考えと私は一致するものではないか、こう受けとめますが、問題は、これは憲法の枠組みや憲法の範囲内かということをお尋ねになりましたけれども、平和国家としての理念を具現化していくためにも、この範囲内でこういったことは積極的に行っていくのが平和国家としてのあるべき姿であると政府は考えておる次第でございます。
 最後に、具体にお触れになった米の問題について申し上げますが、米につきましては、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存でありますと所信表明演説でも申し上げたところでございます。
 残余の質問については関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(西田司君) 粟森議員にお答えをいたします。
 政府におきましては、今次の災害に対処するため、災害応急対策をより強力に推進していくため、六月四日、直ちに非常災害対策本部を設置し、六月五日、政府調査団を現地に派遣するなどして、災害の状況と地元県市町の要望等の把握に努めてまいったところであります。これらを踏まえ、被災者等の救済のための政府としてとるべき施策についてあらゆる角度から検討の上、住宅、民生、農林漁業、中小企業、雇用など二十一分野八十三項目にわたる雲仙岳噴火災害に係る被災者等救済対策を決定し、迅速かつ強力に推進しているところであります。これらの措置には、政省令の改正、特別基準の設定など、今次の災害のため新たに決定した措置が三十項目も含まれており、お尋ねの特別立法を行うまでもなく、所要の措置を確保できるものと考えております。
 また、今後、火山活動の鎮静化を待って被災施設の復旧等に万全を期していくとともに、災害の状況を踏まえ、地元地方公共団体と連携しつつ必要な措置について検討を行い、この地域の防災、振興、活性化等の地域づくりを積極的に進めてまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) 粟森議員から御指摘をいただきました諸点につき、順次お答えを申し上げます。
 第一点でお尋ねをいただきましたのは、独立の検査機関というお尋ねでありました。今、大蔵省といたしましては、今般の一連の証券問題の反省に立ち緊急に対応策をまとめる責任があると考えており、この一環として検査体制の見直しにつきましても、去る七月十日にプロジェクトチームを発足させ、組織体制あるいは人員配置、検査方法、そのすべての分野の観点から現在精力的に作業を進めております。独立の機関を設けるべきであるかどうかということにつきましては、金融資本市場の相互関連の強まりに伴う一体的な金融行政の運営の必要性、あるいは監督部門と検査監視部門の連携の必要性だと、十分議論していく必要があるものと考えております。
 また、補てんを行った証券会社、受けた企業等についてどう対応するのかという御指摘でありました。今回の証券会社によりまして特定顧客に対し行われました損失補てんといった一連の事件は、内外の一般投資家の証券市場に対する信頼感を損なったというだけのことではなく、特定の顧客だけが有利な取り扱いを受けたのではないかという不公平感を広く国民にもたらしたものとして、極めて深刻に受けとめております。また、損失補てんを受けた企業の側にも、場合によっては損失補てんを受けていたという認識がなかったケースもあると考えられますけれども、結果として自己責任原則の認識に徹底を欠いたものがあったと言わざるを得ないと思います。
 いずれにいたしましても、大蔵省といたしましてはこの損失補てん問題の再発防止のために、既に御答弁を申し上げましたように、今国会において取引一任勘定取引あるいは事後的な損失補てんの禁止を内容とする証券取引法の改正法案を提出させていただくつもりでありまして、この法案の中におきまして、事前の損失保証や事後の損失補てんを行いました証券会社に刑罰を科す方向で検討しているほかに、例えば損失保証や損失補てんを求めてこれを受けた顧客側にも罰則を科すことも盛り込みたいと考えておるところであります。
 税務上の取り扱いについて申し上げますなら、損失補てんのために顧客に利益を供与していると認められる場合には、その実態に応じて交際費などとして課税していくこととなりますし、一方、有価証券などの売買を通じまして損失補てんを受けたものに対しましては原則的に課税することになります。このような場合における利益というものは所得金額に反映されるのが通常であると思われますが、国税当局としては、課税上問題があると認められますときには実地調査を行うことなどによりまして適正な課税に努めたいと考えております。
 また、今回の証券会社の損失補てん等の問題の実態につきましては、先般、大手四社を含む証券会社十七社から補てん先の企業名が公表されました。補てんの手法等につきましては、私どもとしても既に国会審議の場を通じて御説明を申し上げてまいりましたが、引き続きその事実を明らかにするよう努めてまいりたいと思います。
 今回の一連の不祥事につきまして、また私自身の元秘書のかかわりました問題につきまして厳しい御指摘をいただきました。私はあえて今まで申し上げたことを繰り返すつもりはありませんが、この責任は極めて厳しいものと考えております。昨日、本院において、私は五つの問題点を挙げ、それにつき私ども大蔵省として対応する方向をお示し申し上げましたが、こうした問題の解決に全力を尽くすことが私どもの責任と、そのように心得ております。(拍手)
   〔国務大臣近藤元次君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(近藤元次君) お答えいたします。
 米の問題につきましては、総理からただいま答弁されたとおり、我が国の米及び水田稲作の重要性にかんがみ、国会決議等の趣旨を踏まえて、国内産で自給する方針で対処してまいりたいと思います。(拍手)
#24
○議長(土屋義彦君) 勝木健司君。
   〔勝木健司君登壇、拍手〕
#25
○勝木健司君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、当面する重要課題につきまして質問を行うものであります。
 まず、雲仙・普賢岳噴火による多数の犠牲者の方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災住民の方々に対しまして心からお見舞いを申し上げます。また、昼夜にわたり救援活動に従事しておられます関係者の方々に深く敬意を表するものであります。
 今回の噴火災害の特色は、これまでの災害と比べ警戒区域の範囲が極めて広く、避難期間が既に三カ月近くに及んでおり、今なお終息の予測が困難な状況にあるという点にあります。
 我が党は、雲仙・普賢岳噴火以来、数次にわたり現地調査団を派遣するとともに、雲仙・普賢岳噴火対策特別委員会を設置し、対策の検討と政府への申し入れを行ってまいりました。私も、八月二日に現地を訪れ、避難を余儀なくされた方々と接する機会を得ましたが、火山活動がいつ終わるのかもわからない状況のもとで生活をし、また事業を再開しようとしている方々の心労には想像を絶するものがあります。現地調査を通じ、火砕流、土石流、降灰等による被害の大きさを痛感するとともに、住民の皆さん方の生活や地域経済社会に甚大な影響を与えているということを強く認識いたした次第であります。
 さて、総理は六月九日、被災地を視察されましたが、その際総理は、まず現行制度で対応し、それでも不十分の場合は特別立法措置をとると発言しておられます。しかし、その後、政府は特別立法に対して消極的、いや否定的でさえあります。これまでの政府の対応は、現行法の弾力的運用で対応すると述べるだけで、長期にわたりこのように避難を余儀なくされた方々の苦労を十分に理解しているとは思えません。避難を余儀なくされた方々は、生活費を一体どうするのか、事業再開のための低利融資制度は十分なのか、農地や事業用地は取得できるのか等々の強い要望や不安を抱いております。このような苦境に立たされた方々を救済することは、私たち政治家の使命でもあります。
 一体、総理の現地での発言の目的、真意は何だったのでありますか。今回の噴火災害により住居を失い、収入の道を閉ざされた住居に対する救済支援は、現行制度で十分できるものではありません。できないのであれば、被災地域を対象とする災害の救済に関する緊急立法をすべきであります。先例がないのであれば、先例をつくるのが政治家の仕事であると考えます。
 私は、今回の災害が極めて長期に及んでいるという特殊性にかんがみ、特別立法での対応を含め、見舞い金の支給のための災害弔慰金法の改正、避難所での生活の質的向上を図るための災害救助法の改正、防災集団移転事業の助成対象の拡大、無利子融資制度を含め低利融資制度の拡充等を早急に実現すべきと考えます。
 長期にわたる災害により財政的に困窮している地方公共団体では、とても解決できるものではありません。国の責務として、また被災地及び周辺地域の再興に対処するためにも、関係地方公共団体に対します復興基金の設置を強く私は要請するものであり、総理の明快なる答弁を求めるものであります。
 今国会での審議の推移を現地被災者は不安と期待を持って見守っております。特別立法ができない理由を並べて行わないと言うのでは、被災者の不安はいえません。総理の言っていることと政府の対応は違うじゃないかという被災者の生の声、この被災者の不信感を払拭するためにも、被災者が納得し得るよう、総理の誠意ある御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、証券、金融などの不祥事についてお伺いをいたします。
 大口の法人投資家に対する損失補てんなど証券業界の一連の不祥事は、国内の個人投資家の怒りを買っただけではなく、我が国の証券市場に対する世界の信頼を傷つけるものとなりました。この事件により、経済一流と言われた日本の評判は完全に崩れ去ったと言っても過言ではありません。今回の一連の証券不祥事によりまして我が国の資本市場のイメージと実態は、単に証券市場だけでなく、我が国の経済システムそのものに不信感を招く結果となっております。それは、損失補てんによって日本の資本市場の不公正さと行政の不透明さを象徴しているのであります。
 公正な市場経済の発展のためには、この際、バブル経済のうみをすべて吐き出し、病巣を根幹から取り除き、官民のなれ合いを排し、自由で公正な経済体制をつくることが二十一世紀に向けられた最大の政治課題の一つであります。証券市場改革は、その意味でも第一歩であります。内閣総理大臣として今回の証券不祥事に対してどのような改革を考えておられるのか、まずお伺いいたします。
 殊に、さきに公表された損失補てん先企業のリストによりますと、節度なき財テクが、我が国の代表的な企業、また金融機関、公的機関などと経済界総ぐるみで狂奔した姿を浮き彫りにいたしております。これらの企業の多くは損失補てんされた認識がないといった見解で、また公表された額のうち六割が大蔵省の損失補てん禁止通達後に行われており、通達行政の限界と不透明さを如実に示しております。臨時行政改革推進審議会は、行政手続法の制定に向けて行政指導のあり方についての提言をしたいとの意向のようでありますが、単に通達で行っていたものを法文化するだけではなく、行政指導の制限につきましても検討される必要があると思うのでありますが、総理の見解をお伺いいたします。
 損失補てんの禁止、違反者への厳しい罰則の適用など証券取引法の改正はもちろんのこと、米国の証券取引委員会、SECのような捜査権を持つ独立した行政機関を設置し、大蔵省の証券業界への天下りの禁止など官民の癒着構造の是正等を盛り込んだ抜本改革を提唱いたします。同時に、投資家の自己責任を明確にした上で、大口投資家優遇の構造を改め、大衆投資家を重視する証券市場を確立すべきであります。総理並びに大蔵大臣は以上の我が党の提言にどう取り組まれるのか、明快なる答弁を求めるものであります。
 日本の資本市場の信頼を国内だけでなく国際的にも早急に回復させなければ、産業界に資金を供給する資本市場の存立そのものが危うくなり、日本経済の足元を揺るがすことになりかねないのであります。それどころか、世界恐慌の引き金になるおそれさえあるのであります。このことを考えますと、この証券不祥事における大蔵省の責任は極めて重大であります。にもかかわらず、証券不祥事の全容が解明できないうちに大蔵省幹部の処分をし、また日本版SECの新設に当初から極めて消極的であり、さらに暴力団関係者への融資は資力からいって過大とは言えないと国会で答弁するなど、大蔵省は事の深刻さ、重大性にどの程度の認識を持っているのか極めて疑わしいのであります。
 特に、日本版SECの新設について、我が国は免許行政なので予防的監督に力を入れればよいとして、証券局の検査部門の拡充などで対処をしようといたしておりますが、その免許制のもとでこれだけの不祥事が生じたことをどう説明されるつもりなのか、大蔵大臣にお伺いいたします。
 行政の失態を逆用して権限を増大させようとする姿勢は、まことに遺憾とするところであります。大蔵省とは別に第三者機関として監督機関を設置する考えはないのか、総理の答弁をいただきたい。
 また、証券会社の幹部など事件にかかわった関係者の証人喚問はぜひ実現させなくてはなりませんが、自民党総裁として総理は一体どう考えるのか、あわせて明らかにしていただきたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 さらに、銀行においても、土地の騰貴をあおったことにより銀行の融資姿勢への批判があるのに加えまして、ここに来て架空預金による不正融資事件が続出しております。
 このように、銀行、証券ともに不祥事が次々と発覚する状態を見ますと、さきの銀行、証券の子会社設立により相互参入を柱とする金融制度調査会、証券取引審議会の報告によります金融制度改革は、当面見送るべきであります。資本市場の整備、預金業務の管理、チェック体制の確立など、それぞれの業界の体質改善を最優先させ、銀行、証券の業際問題を中心とした金融自由化ではなく、投資家、預金者保護を前提とした改革をまずすべきであると考えております。次の通常国会に金融改革法案を提出すると仄聞いたしておるのでありますが、大蔵大臣に御見解をお伺いいたします。
 次に、新たな家族政策の展開についてお伺いいたします。
 平成二年度の合計特殊出生率が一・五三を記録し、一・五七ショックと言われました平成元年をさらに下回る過去最低の記録であります。さらに、先般公表されました厚生省人口問題研究所の推計によれば、最も低く見積もった場合には、今後一・三五にまで落ち込むことが予測されているのであります。欧米諸国では、近年、出生率の回復傾向が徐々に見られておるのに対し、我が国のみがひとり低下の道を歩み続けているのであります。総理はこの現象をどのように認識しておられますか、まずお伺いいたします。
 もとより、子供を生む生まないはあくまで個人の問題であります。しかし、母親と子供を取り巻く環境は、子供を生みたくても生めないなど、極めて厳しい状況にあります。さきの国会で育児休業法が成立し、また児童手当が第一子から支給されるようになるなど、子育てを取り巻く状況に若干の改善が見られました。しかし、子育ての支援策はこれだけでは十分ではありません。これからであります。出生率が回復しつつある諸外国では、各種保育サービスの充実や育児休業制度の実施とその間の所得の保障、最短でも十六歳未満を対象とする児童手当や住宅手当の支給など、総合的かつきめ細やかな家族政策を長年にわたり展開してきているのであります。我が国におけるこれら諸施策の展開につきまして、平成四年度の予算措置を含めまして、総理並びに労働大臣の答弁を求めます。
 次に、老人保健問題についてお伺いいたします。
 政府は、現在、一部負担の見直し等を内容とする老人保健法改正案を国会に提出いたしておりますが、ここに盛られております入院で一気に倍額という自己負担の引き上げは、お年寄りの生活実態を全く無視したものであります。さらに、自己負担に医療費スライド制を導入することは、患者負担がその負担能力にかかわらず際限なく高くなることを示しており、このままでは容認できるものではありません。一方、加入者按分率の引き上げに伴う老人医療費の負担は、健保組合財政を圧迫し、その根幹を揺るがしつつあります。
 国は、国民的課題であります老人医療費の負担問題に対し、もはや負担を惜しむべきではないのであります。政府は、速やかに一部負担の引き上げを圧縮し、スライド制導入を撤回するとともに、老人医療費すべてに対して公費負担を引き上げるべきであると考えます。政府が法案の一刻も早い成立を望むならばこのような修正に応ずることが必要であると考えますが、総理の前向きな御答弁を求めるものであります。
 最後に、政治改革、選挙制度改革についてお伺いいたします。
 政治改革として今求められているものはどこにあると総理は認識しておられるのか、まずお尋ねをいたします。
 政治改革の原因は、リクルート事件の発覚によりまして国民の目の前に明らかになりました企業と癒着した日本政治の金権腐敗構造にあり、この金権腐敗体質の改革こそが今日本で求められている政治改革の本質であると考えます。そのためには、政治資金の明朗化、資産の公開、政治倫理の確立を早急に図ることこそ何を差しおいても必要であることは明らかであります。
 政府・自民党は、中選挙区制の同士打ちなどの弊害でこのような腐敗が起こるかのように主張いたしておりますが、政府案の小選挙区並立制で金権腐敗選挙が解消するなどと考える人は国民の中にはほとんどいないことが世論調査でも明らかになっております。政治資金の明朗適正化とともに、支出の規制として不正な金は使わせない、買収、利益誘導などの行為に対して連座制を強化し公民権を停止するなどの措置を行うべきであります。これらが本当に実効性のある運用をされるとき、初めて政治腐敗はおのずと解決を見るものと確信いたすものでありますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 総理、政治改革の目的は一体何でありましょうか。主権者たる国民の意思が政治に正しく反映され、国民の意思によって政治が動くようにすることこそ政治改革の目的でなければなりません。今、国民が求めている政治改革とは、癒着構造を断ち切り、不均衡な議員定数や金権、利益誘導でゆがめられている日本の政治を抜本的に改革し、あくまで公正な政治を確立して、まじめに働く勤労国民に奉仕する政治家を数多く育てることであります。断じて、一つの政党が四割の得票で八割の議席を得るような選挙制度を導入することが政治改革ではありません。なぜ民意を切り捨てる選挙制度が国民の意思を正しく反映する政治につながるのでありましょうか。
 自民党内にも多くの、そして良識的な反対があるのにもかかわらず、余りにも拙速にあくまでも強行しようとする目的は一体何なのか、総理にお伺いいたしたいのであります。
 もし本当にこの民主政治の根本を改める選挙制度の改革を推し進めようとするならば、選挙で主権者たる国民の判断を仰ぐべきでありますが、総理の御見解をあわせてお伺いいたします。
 総理、あなたが就任してきょうで満二年を迎えられました。総理は就任以来、政治改革に内閣の命運をかけると言明してきたにもかかわらず、この二年間一体何が実現したのでありましょうか。選挙制度改革との三法案一体的改革にこだわる限り政治改革は一歩も進まず、国民の政治不信を増大させるだけであります。段階的に一歩一歩実現していくことこそが重要であると考えますが、総理の見解をお伺いして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(海部俊樹君) 勝木議員にお答えを申し上げます。
 雲仙岳噴火災害に関する救済対策は、今も御指摘のように噴火災害が続いております。今までの措置で何が弾力的運用によってできるだろうか、いろいろなことを考えまして、今回、災害のために新たに政令、省令の改正や特別基準の設定などを行って、新たに三十項目の措置を今とりつつあるわけであります。
 先ほど午前中の御質疑にも出ましたが、例えば激甚災害指定の問題につきましても、噴火活動の長期化で、鎮静化を待っておったのでは適当ではないと判断をして、緊急の特別措置として激甚災害指定に準じた措置を七月二十三日に中小企業や環境衛生関係について閣議で決定し、また農林漁業関係には業務方法書の改正でこれを行ってきたところであります。特別立法をすると同じ気持ちでこれを拡大し、このような改正をし、追加的な措置をとって、当面被災者の皆さん方の御不自由をでき得る限り緩和していこうという努力を今積極的に続けておるところでありますし、また防災集団移転特別措置法については適用条件の緩和を決定いたしております。
 災害援護資金については、政令を改正して限度額の引き上げも行うこととしております。今後とも、当該公共団体と十分に御相談しながら、財政に対していろいろ御要望があれば、例えば既に行っておる交付税の先行交付とか、あるいは特別交付税においてどのような対応ができていくのか十分配慮しながら、地方財政にも圧迫を与えないように、同時に被災者の皆さんの、終息後のその地域の発展や防災や活性化についても積極的に対処してまいる考えでございます。
 また、御提案の復興基金については、具体的な内容についてまだ十分伺っておりませんが、雲仙岳周辺地域については、今後、活動の鎮静化を待って被災施設の復旧等に万全を期していくとともに、災害の状況を踏まえ、地元公共団体と連携しつつ必要な措置について政府は検討を行い、積極的に地域づくりを進めてまいる考えでおります。
 証券不祥事に対しましてはどのような改革を考えるかと仰せでありますけれども、今回のような問題の再発生を防ぎ内外の投資家の信頼を回復するために、取引一任勘定や事後的な損失補てんの禁止をも含む証券取引法の改正案を今国会に提出すべく、ただいま全力を挙げております。証券会社に対する検査体制の充実強化を図るなど、営業姿勢の適正化や市場公正性の確保に努めておるところであります。なお、中長期的に今後の証券業界に対する監視機能のあり方としてはどのような形態が適当なのか、適正のために何が必要なのかについて早急に結論を得るべく、行革審に対しても検討を要請しておるところであります。
 お尋ねの行政指導の制限の検討の問題でありますが、我が国の行政手続の内外への透明性の向上、公正の確保を図るため、法制の統一的な整備についてただいま検討中でありますが、行政指導についても透明性の確保の観点から一定のルールをつくることが大切と考え、本年末には行革審から答申がいただける予定であります。政府としては、それを尊重して対処してまいる考えでおります。
 政府は、証券会社に対する今回のような問題の再発を防ぎ一般投資家の信頼を得るために、今回の不祥事に関連して監視機能のあり方として具体の問題が必要ならば設置いたしますし、またどのような設置の仕方が大事かをただいま検討中でありますが、お触れになりました証券会社への再就職の問題につきましては、これはいやしくも行政に対する信頼を損なうことのたいように、今後は厳正に対処してまいるのは当然のことだと受けとめております。
 このような不祥事件を徹底的に解明するため国会に特別委員会を設けて徹底審議をし、証人喚問を実現させるべきであるがどうかとお尋ねでございました。政府としても、国会審議の場を通じて補てんの手法等については説明をしてきており、引き続きその実態を明らかにするよう努めてまいる考えでおりますが、個別の委員会をいつ、どこへ、どういうふうに設けるかとか、あるいはその審議をどうするかとか、証人喚問はどうするかということは各党の皆さんが国会の意思としてお決めをいただく問題であると理解をしておりますので、その御決定に従おうと思って偽ります。
 出生率の問題につきましては、子供は将来の担い手でありますから、私も、今後とも健やかに子供を生み育てる環境づくりを推進するために、内閣に連絡会議を設置しその取りまとめを行ったところでありますが、出生率の問題は人間性の尊厳にも触れる問題でありますから、ここでは政府として、子供を安心して生むことができるように、生みたいと思う人が生んだら今度は育てられるようなその環境づくりの行政の役割というものを認識して努力を続けてまいりたいと考えております。
 老人保健法改正の問題につきましては、今後の高齢化社会に向けて制度の長期的安定を図ろうとするのが第一であり、同時に、一部負担の見直しは、世代間及びお年寄り間の負担のバランスを勘案して無理のない範囲でお願いするものであります。今後の高齢社会における重要な課題である介護につきましては、公費負担の拡大に着目しておるところであります。政府としては、この改正案に盛り込まれた内容は最善のものと考えておりますので、本院においても引き続き速やかに十分御審議を賜り、成立させていただくよう心からお願いを申し上げます。
 政治改革として求められるものは、政治とお金の関係から端を発した一連の不祥事からくる国民の不信感を除くために政治倫理の確立がある、これは御指摘のとおりであります。それで、先ほど申し上げたように、党の政治倫理に関する考え方は衆議院の議長のところに提出をし、野党案とともに、政治倫理確立の話し合いを今続けておるところであります。
 ただ、制度面においてもいろいろ抜本的な改正をして、政策本位、政党本位の仕組みに改めることが大切だと考え、また、政治資金の明朗適正化や連座制の強化についてもお触れになりましたが、政治資金は、政党を中心として政治資金を集めるという流れをつくるとともに、その資金の公開性を高め規制の実効性を確保することとしておりますし、また腐敗行為に対する措置としては、御指摘のように連座制の対象となる者の範囲を広げたり、当選無効に加えて五年間の立候補制限を課するなど、いろいろな措置を盛り込んでおるところでございます。これら一連り腐敗行為の防止なども含めて選挙制度を改革し、政治改革が実現するものと私は期待をいたしております。
 また、前回の衆議院選挙のときに、公約として国民の皆さんには政治改革を訴え続けてまいりました。また、この二年間何もなかったではないかとおっしゃいますが、実はこの二年の間に皆さんの御協力もいただいて公職選挙法の一部改正案が通り、それによって有権者に対する金銭買収にまつわるような疑いのある行為の規制ということは既に第一歩を踏み出しておるところでありますし、また国会議員の倫理審査会に対する問題についても各党間で鋭意御議論が続いておるものと理解をいたしておりますので、これらの問題が引き続き政治改革の一環として進行していきますように強く望んでおるところでございます。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(橋本龍太郎君) 勝木議員にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、民社党・スポーツ・国民連合の提言している方向についてどう考えるかということでございました。御指摘になりましたような諸点につきましては、昨日来お答えを申し上げておりますように、証券取引法改正を含む証券取引に関するルールの明確化、違反者に対する厳正な処罰、検査監視体制の充実強化、自己責任原則の徹底、適正な競争原理の活用、証券会社への再就職問題に関する厳正な対応の方向など、それぞれ御指摘のありました問題につきましては、私どもはその方向で解決に努力をしてまいりたい。昨日来申し上げたところであります。
 また、検査監視体制について御意見をいただきました。今回の損失補てん問題は、議員が御指摘になりましたように、確かにルール違反を的確に把握するための検査監視機能が十分作用していなかったのではないかという問題のほかに、基本的には営業特金の売買一任的な運用を含めた証券会社の営業姿勢にその原因があると考えられる。また、我が国の証券取引においていわゆる自己責任原則の徹底が不十分であるという事情も一つの背景となっていると考えられます。
 これらの問題点は免許制、登録制という種類の問題とは異質の問題でありまして、私は個人的には、まだ役所としての結論を出しておるわけではございません、しかし個人的には、むしろ免許制のもとでこうした問題点の発生した原因を探求し、昨日本院におきまして御答弁を申し上げました五つの対応策を講じていくことによって解決を図るべきではないかと考えております。ただ、大蔵省としてなお内部で検討中でありまして、今結論に達しているものではございません。
 また、銀行、証券の不祥事にかんがみて、金融制度調査会あるいは証券取引審議会の報告で示されました相互参入を柱とする金融制度改革はしばらく見送るべきであるという御指摘をいただきました。私は、投資家、預金者保護を中心に据えた法改正という議員の御指摘はまさにそのとおりと考えております。しかし、今回の金融制度改革というものが、金融資本市場などにおける自由な競争を促進する、そして市場の効率化、活性化を図ることによって内外の利用者の利便性を図り、また国際的にも通用する金融制度、資本市場の構築というものを目指しているものであることは議員もお認めがいただけると思うのであります。これが、ひいては国民経済及び世界経済の一層の発展に貢献する重要なものであると私は受けとめております。
 また、今回の一連の不祥事で損なわれました金融機関や証券市場に対する信頼を回復いたしますためにも、私は、金融資本市場における有効で適正な競争を促進していくことが大切なことであると考えております。議員が御指摘になりましたように、投資家、預金者保護を中心にした法改正ということはそのとおりでありますが、当然のことながらこうしたことを念頭に置きながら金融制度改革というものは着実に進めてまいりたい、率直にそのように考えております。(拍手)
   〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(小里貞利君) 勝木議員にお答え申し上げます。
 低下してまいりつつございます出生率に論及しながら、さきに制度決定をいただきました育児休業法につきまして、その施策の展開について、特に予算措置を含め平成四年度に向かっての政府の姿勢についてのお尋ねでございます。
 育児休業制度については、さきの国会で成立した育児休業等に関する法律が平成四年四月一日より施行されることに伴いまして、同法の円滑な施行を図ることが重要な課題であると考えております。このために、来年度におきましては同法の周知徹底に努めるとともに、法の適用を猶予されている労働者三十人以下の企業でも育児休業制度が早期に導入されるような奨励措置、及び同法の趣旨を踏まえまして、育児休業者が円滑な職場復帰を図るための措置を講ずる事業主に対します具体的な措置を来年度予算要求の中に盛り込みたい、また盛り込まなければならないという強い決意のもとに、目下検討中でございます。(拍手)
#29
○副議長(小山一平君) 一井淳治君。
   〔一井淳治君登壇、拍手〕
#30
○一井淳治君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、海部総理並びに関係大臣に質問いたします。
 私は、最後の質問者になりましたが、今国会の意義をこの段階でもう一度熟考せざるを得ないのであります。
 今、国民が政治に対して最も強く求めているのは、言うまでもなく政治の改革であります。リクルート疑惑で明らかになった政治の腐敗構造、すなわち、企業はその利益のために政治を金で買おうとし、政治家は資金集めのために企業に群がるという実態が明らかとなり、この改革を国民は強く待ち望んでいるのであります。海部政権の成立はリクルート事件と不可分であり、海部総理に課せられた責任は清潔な政治を目指すことであり、国民から政治倫理の確立、政治の浄化を強く求められているのであります。
 ところで、この国会では、証券・金融不祥事とPKO、国際貢献についてもあわせて論議せざるを得なくなりました。私は、この国会で三つのテーマが今あわせて解決を求められるに至ったのは、我が国の政治が国内的にも国際的にも期待にこたえてなく、その機能を十分に果たしていない結果であると考えます。
 そもそも政治とは、広い視野と未来に向けての高い理念を持って継続的に国の内外に働きかけながら、時の課題を着実に解決し、力強い前進というものが見られるべきものであります。ところが、リクルート疑惑に端を発した政治改革の課題も、このたびの証券・金融不祥事も、ともに社会的責任を忘れ、目先の実利だけで動く金余り国日本という同じ構造的土壌から生じたものであり、そして、指導力のなさ、行政の癒着の放任など、つけるべきけじめをおろそかにし、放置してきているところに共通性があるのでございます。国際貢献の問題においても、我が国の政治や経済は自分中心であり、世界の諸国と真の友好関係を結び、相手方の立場を十分配慮しながら我が国の経済力に見合った貢献を継続的に真剣に進めるという態度をとっていなかったことが反省されるのであります。
 したがって、今、国会に三つのテーマが出てきたのは偶然ではなく、我が国の政治の体質にかかわるところであり、今、我が国の政治、経済の体質の改善が問われているのであると考えますが、総理はこの三つの課題について、その本質がどこにあるのか、またどのように関係し合っているとお考えであるのか、総理の認識をお尋ねいたします。
 次に、証券・金融不祥事についてでありますが、このたび金融不祥事に関連して損失補てんリストが公表され、自治体の共済組合などの公的団体の関与が明らかになりました。これらの機関は、法律により委任された政令等で許容された場合は、その限度で特定金銭信託により運用することが可能となり、数多くのこれら公的団体が実質的に株式投資をし、株価低落により損失をこうむっているのであります。
 そこで、お伺いいたしますが、共済組合等が運用の根拠としている政令や通知を改正して、公正でかつ安全確実な運用方法に改めるよう対応が必要になるのではないかと考えられますが、総理の御見解を伺います。
 証券・金融不祥事に関しては、早急に、かつ高い手数料など広範な懸案事項について根本的に対応することが、国民の政治に対する期待を裏切らないためにも極めて重要であります。今後の国会審議に当たっても、資料提出や誠意ある答弁だと、政府の積極的な協力を要望しておきます。
 また、PKO、国際貢献については、昨年の国連平和協力法の審議以来、国民の合意形成の得られるところは十分おわかりのはずであります。主要目的が国際貢献ではなく自衛隊の海外派遣にあって、国論を分断するようだ、あるいは野党間にくさびを打ち込むような小手先だけの政治手法では、広範な尊敬と信頼を集めることはできないのではないでしょうか。ましてや、一部伝え聞かれるような、政治改革法案が成立する見込みがないから、臨時国会で何らかの成果を上げたことを示す材料づくりとかの目的で法案づくりをされてはたまったものではありません。福祉、医療、学術などの援助や、環境、人権などの条約締結については極めて不十分であるのに、世界有数の武力を持つ自衛隊の海外派遣に強くこだわられることに対しては、国民の支持は得られないのであります。このことを強く申し上げておきます。
 次に、総理も触れられましたが、米の市場開放問題についてお伺いいたします。
 今日、米をめぐる動きは重大な段階を迎えており、ガット交渉は十月までに主な改革の骨組みができなければならないとも言われています。ガットの農業交渉が、アメリカ、ECの激しい対立の中で、またEC内部での農政改革のまとまりが得られない中で実質的に何ら進展を見ないにもかかわらず、財界の一部などから部分自由化論が出され、日本が米市場開放を拒否しているから農業交渉が進展しないのだという全く誤った世論形成も行われており、重要な外交交渉を前に国論の統一が望まれるのであります。
 今、日本がアメリカの圧力で米の市場開放を行っても、ガットの農業交渉を進展させることはできません。それどころか、米の市場開放は国内農業に重大な影響を与え、水田農業は壊滅的た打撃を受けます。さらに、水田は、国民に安定的に食糧を提供するという役割以外にも、国土保全、自然環境維持、地域経済の活性化といった多くの役割を担っており、米の市場開放が我が国全体に与える影響ははかり知れたいものがあります。
 最近、米国による米自由化要求文書の伝達など市場開放を求める圧力は一段と高まっており、また、総理は先ほどのロンドン・サミットに出席してウルグアイ・ラウンド交渉を年内にまとめるとの経済宣言に加わりましたが、米は国内自給により、市場開放は行わないとのこれまでの基本姿勢を今後とも貫いていく御意思でおありなのか、総理の決意を確かめたいと存じます。
 さらに、乳製品に対する自由化圧力も強まっていますが、酪農は地域経済を支える重要な産業であり、米同様、現行の輸入制限措置を維持していかねばなりません。今日、酪農は、乳価の低迷、乳製品の自由化に対する不安等から酪農の戸数は毎年減り続け、需要に見合う供給がなされなくなっています。特に、四月の牛肉の輸入自由化以後は、ぬれ子や老廃牛の価格の暴落から収益が著しく低下し、酪農家は経営意欲を喪失しています。
 酪農家に意欲を持たせ生産を回復させるためには、自由化を阻止することを国の内外に強く主張して、酪農家の不安を払拭することはもちろん、当面の緊急課題として飲用乳価の引き上げを行うことが重要だと思います。そのためには、酪農農協団体の全国段階での飲用乳価交渉が適切に行い得るようにするとか、スーパーなど量販店の乱売による不当な低乳価の押しつけを回避するなどの対策も必要であります。乳製品自由化阻止と飲用乳価対策についての農林水産大臣の御見解を伺いたいと存じます。
 次に、森林・林業の問題について伺います。
 さきの第百二十通常国会において森林法と国有林野事業改善特別措置法の改正法が成立し、我が国森林・林業の再建の方向が示されました。改正森林法には森林の復興のための新たな施策が盛り込まれていますが、これらを完全に地方に定着させるとともに、森林の保全のために最も大切な林道の開設、間伐、造林等を定める森林整備事業投資五カ年計画をもって日本の森林・林業の再建を図らねばなりません。
 また、残された大きな課題の一つに山村の過疎化に伴う林業労働力の減少及び高齢化があり、待ったなしの状態に立ち至っています。林業労働力の確保のためには、何といっても収入確保が第一です。林業では他産業に比較して高率の労働災害が発生し、作業の性格上悲惨な事故も多発しています。しかし、現実の作業発注単価では、事故防止対策なと思いも寄りません。公的団体が発注する極めて低い作業単価を改めるために、前年度の労賃統計から算定するシステムを改善することが基本的に必要であります。その他、林業労働力の安定的確保のための方策が急がれます。
 以上についての農林水産大臣のお考えをお伺いいたします。
 また、農業も酪農も林業も厳しい外圧のゆえに押しつぶされようとし、そのために我が国の緑の自然環境、そして国土が破壊されようとしています。将来に希望が持てないために、農村、そして中山間地域では後継者不足が深刻になり、外圧によらずとも、就業者がいないために内部から崩壊しようとしています。早急に強力な後継者就労者確保対策を立てることが必要ではないでしょうか。例えば、フランスでは一人数万フランを支給する青年農業者就農助成制度を持ち、既に十万人を超える援助が行われておりますが、農林業関係の後継者対策を中山間地域対策と絡めて早急に実施することについて、総理及び農林水産大臣にお伺いいたします。
 次に、労働時間短縮と人事院勧告について質問いたします。
 我が国は世界の経済大風でありながら生活の豊かさを実感できないのが現状であり、年間総実労働時間も欧米先進国に比べて二百ないし五百時間長いのが現実であります。真にゆとりの持てるライフスタイルを定着させるために、時間短縮は最大の課題であります。労働時間短縮の実現には、何といっても労働基準法による週四十時間労働制の実現が肝要であります。政府は、当初予定どおり平成四年度までにこれを実現させる責任があるはずです。
 また、所定内の労働時間は短縮されても、所定外労働時間、つまり残業が減らない傾向がありますが、そして金融・保険業など、いわゆるサービス残業も長時間行われていると言われますが、その対策も重要であります。さらに、経済基盤の弱体な中小企業での労働時間短縮を支援するため、業種別、地域別などの対策強化とともに労働時間短縮奨励金の支給等の援助が必要だと考えますが、あわせて労働大臣の見解を求めるものであります。
 次に、七日付で人事院勧告が出され、国家公務員の週休二日制については、すべての土曜日を行政機関の休日とすることを基本に置き、完全週休二日制への移行を報告されました。その実施時期については平成四年度のできる限り早い時期とされていますが、年度がわりの四月実施をぜひ実現すべきと考えます。また、このたびの給与等の勧告について、政府は一日も早くその完全実施を閣議決定し早期に実施するよう強く要望いたしますが、総理の答弁を求めます。
 また、学校週五日制については、最近、文部省において五日制の実験校での父母の意見をアンケート調査されたとのことでありますが、その概要を明らかにされるとともに、アンケート結果をも踏まえて、学校五日制を平成四年四月から実施すべきと思いますが、文部大臣の所見を求めます。
 次に、総理は行政改革の推進について強調されましたが、一律予算削減の方式は、これを例外なく強行すれば弊害を生じるものであることは論をまたないところであります。とりわけ、影響が後世に深く及んでいく場合には早急な対策が必要であります。
 そこで、教育問題ですが、我が国が創造的で活力のある文化国家として世界の平和と人類の福祉に貢献していくためには、教育の充実こそがその基となるものであります。
 しかしながら、我が国の教育をめぐる諸条件は、GNP世界第二位の経済大国であるにもかかわらず、欧米諸国に比べて著しく立ちおくれています。学校や幼稚園の校舎、園舎に関しては、文教施設の整備費が文教予算全体の抑制が続けられる中で特に大幅に削減され、十年前の約半分どたり、強い需要にこたえられない状況にあります。学校は生活に密着した公共施設であり、その整備については公共投資基本計画四百三十兆円の中でも優先的に予算措置が講じられるべき性質のものであり、また建築費の高騰する中で地方公共団体の負担が過大となっているところでもあり大幅な増額を図ることが必要でありますが、総理、文部並びに大蔵大臣の所見を伺います。
 また、学校は地域の文化活動の中心であるとともに、地域の伝統や文化を象徴する存在でもあります。この観点からしても、従来ありがちであった器さえ整えればよいという発想を改め、地域文化の象徴に見合った、少なくとも現在の文化水準に見合った校舎の建築が可能となるよう予算単価や標準面積を引き上げるとともに、今日あらゆる施設において設置が常識になっているクーラーを一定範囲で設置することを助成の対象に加えるべきであると考えますが、文部、大蔵両大臣の所見を求めます。
 他方、公務員の定員の一律削減が進められておりますが、しかし、行政需要の増大により要員確保の不可欠な分野もあります。教育について言えば、公立学校学級編制基準と教職員定数の改善であり、先進欧米諸国を目標に新たな改善計画を立てるべきであります。また、これまで重ねて要員確保の必要が叫ばれてきました事務量激増の国税庁、外務省、登記事務の増加している法務局、審査が長期化し海外からも非難を受けている特許庁、各種郵便物等の激増の処理に困難を来している郵便局、そして厚生省の医療の現場に各勤務している職員等の要員確保はこれ以上放置できないところでありますが、行政改革の中でひずみの出ているこうした問題について、総理の御所見を伺います。
 また、現在医療の現場では看護婦不足が深刻な事態に立ち至っております。現状は我が国の医療そのものの危機であり、看護職員の推定就業率は六五%にすぎず、著しく低いと言わざるを得ません。看護業務についていたい潜在有資格者は約四十三万人に達していますが、その原因は那辺にあると認識されているのでございましょうか。かつて政府は、平成六年度には需要と供給が九十三万五千人で均衡し、看護職員の不足は解消するとしておりました。余りにもずさんな見通しで、さすがの政府も需給見通しを見直すようでありますが、夜勤が月に平均九回といった過酷で過密な労働条件の根本的な改革がなければ、永久に看護婦不足の解消は望めないのであります。
 看護職員は、医療はもちろんのこと、今や福祉の中核的担い手として国民の大きな期待を背負っているのであります。政府は、早急に看護職員の労働条件の抜本的改善や、在宅福祉の推進を織り込んだ新たな看護職員の需給見通しを策定するとともに、看護職員の社会的地位の向上、賃金の大幅な改善等、思い切った打開策をとるべきであると考えます。私は、このような趣旨を含めて、例えば看護職員の人材確保法といったような立法措置を講ずるべきであると思いますが、以上、あわせて総理の見解をお伺いいたします。
 次に、法律扶助について質問いたします。法律扶助制度は、憲法で定められた裁判を受ける権利を国民のために実質的に保障する重要な制度であります。自由や人権を大切にする先進諸国は、国庫から多額の支出を行うなど、法律扶助制度を助成しています。例えば、イギリスでは民事法律扶助に対し約五百五十億円の負担をしていますが、我が国では法律扶助を担当している法律扶助協会への援助は一億数千万円にすぎず、国の助成について抜本的改善が必要であると考えますが、総理の見解を伺うものであります。
 最後に、政治改革について再び申し上げます。
 今日一番重要なことは、国民の政治に対する信頼を回復することであることは論をまたないところであります。海部総理も、たび重なる所信表明で、政治改革の前進に誠意を持って取り組むことを明言されております。選挙は民主主義の原点であり、選挙制度の改正にはまず野党との協議がなければなりません。ところが、今回の小選挙区比例代表並立制はまさに党利党略そのものであり、したがってこの法案に野党が反対するのは当然であって、与野党逆転の参議院で成立する見込みは全くありません。総理は、野党多数の参議院で、法案の取り扱いや行方をどのように考えているのですか。国会にお任せするというのではなく、総理の方針を説明願いたいと思います。
 また、本院で成立させるためには野党と協議し妥協を図らなければなりませんが、自信はおありなのですか。聞くところによると、自民党では法案作成の段階で拘束を付されているとのことでございますが、野党との協議が可能ですか。この法案は、現状では成立の見込みが全くないと言わざるを得ません。このようなものが国会に上程されること自体、一般庶民感覚の理解の及ばないところであると言わざるを得ないのであります。
 最後に、総理に要望します。
 総理に今求められていることは、党利党略を離れ、国民の将来と国際信頼の回復を図るという強い信念と迫力を持って政治に当たるということであります。美辞麗句ではなく、政治や行政の公正さを回復するために捨て身の努力をするということであります。本当に政治改革をやろうという意欲があるならば、野党と胸襟を開いて話し合い、与野党が合意でき得る方向を見出し、与党内を信念を持ってまとめるほかありません。政権の延命ではなく、まず国民の政治への信頼回復を図るように第百二十一臨時国会に対応することを強く要望し、総理の決意をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(海部俊樹君) 一井議員にお答えを申し上げます。
 冒頭、三つの課題を出されまして、その三つの課題はどのように関係し合っているとおまえは思うかというお尋ねでございました。
 私は、就任以来公正な社会という理念を掲げてまいりましたが、今回の政治改革は、社会の公正さの基本は政治の公正さであるという認識から、必要以上にお金のかからない、政策本位、政党本位の政治を確立して、国民が信頼のできる公正な政治を実現していこうとしているものであります。このことは、国際社会において、御指摘がありましたように、自分中心の一国主義ではなく、また日本は日本の経済力に見合った、相手の立場を尊重しながらできる限りの支援をしていく。国際協調の中での貢献というかあるいは役割の分担というか、そういった公正な国際社会の中における努力をしていくのが我が国の進むべき道であるということを指し示しておるのではなかろうか。
 こういったことから、PKOへの協力を初め、私は、経済力に見合ったODAの資金協力とか、あるいは災害に対する協力とか、いろいろな問題を積極的にしていかなきゃならぬテーマだ、こう考えておりますし、証券・金融不祥事件への厳正な対処、それはやはり、証券・金融事件というのは厳正に考えれば公正な社会規範に対する大きな規律違反でありますから、これを是正していく、そのためには避けて通れたい問題である、こう考えます。
 三つの課題はそんなようなところでお互いに関係し合うものであり、これは日本の政治が解決をしていかなければならないことだ、こう思っております。
 また、共済組合がその資金の運用をするに当たりましては、これは将来の年金給付のための積立金でありますから、安全な効率的な運用を基本としております。長期的視点に立った資金のより効率的た運用という観点からは、特定金銭信託による運用も一概にいけないものだと否定はできませんが、今回の事態にかんがみまして、その具体的な方法については慎重を期する必要があると考えております。
 また、米の問題について御指摘がありましたが、サミットにおいても、十五分野すべてにわたるウルグアイ・ラウンドの成功は多角的自由貿易のために大切だという点で、私もその声明に参加をいたしました。特に議論になったのは、十五分野の中でも市場アクセスの問題、農業の問題、サービスの問題、知的所有権の御題、これらの分野について各国の議論がいろいろございました。具体お触れになった米問題については、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみて、国会における決議の趣旨も外し、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる考えでおります。
 農林関係の後継者対策と中山間地域対策につきましては、次代の農林業、農山村を担う若い後継者の育成は、御指摘のとおり重要な問題でございます。各般の政策を推進するとともに、農業を志す青年、林業を志す青年に対し、技術の指導、資金の援助等の施策を計画的に講じているところでありますが、今後ともさらに充実に努力をいたしてまいります。
 また、一昨七日、人事院総裁から給与及び週休二日制に関する勧告を受けました。同日、早速、関係閣僚会議の合同会議を開きまして取り扱いの検討に着手しているところであります。週休二日制に関しては、完全二日制を速やかに実施できるように検討を進めてまいる所存であります。給与に関する勧告の取り扱いにつきましては、政府はこれまでも人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って対処してきたところでありますが、今年度についても、国政全般との関連を考慮しつつ、引き続き最大限の努力を尽くしてまいる考えであります。
 文教施設の整備の問題についてのお尋ねでございましたが、これの充実は、我が国の発展する基盤形成にとって極めて重要と考えております。昨年閣議了解された公共投資基本計画においても、文教施設の整備を主要な施策の中に位置づけ、文教施設を含む生活環境、文化機能にかかわる公共投資の割合を増加させることといたしております。
 また、今後の学級編制及び教職員定数のあり方につき着しては、平成三年度において現行の改善計画が完成いたしました段階で、小中高の学級編制、教職員の配置状況、児童生徒数の推移等について実態調査を行い、その結果等を踏まえ研究、検討を続けてまいりたいと思っております。
 また、国家公務員の定員管理につきましては、行政需要の動向、行政の適正円滑た運営等を十分念頭に置きつつ行っておりますが、御指摘の機関についても、業務の実態を十分精査し、所要の増員措置を図ってきているところでありますが、今後とも適正な定員管理を続けていく考えであります。
 また、看護業務につきましては、看護職員の就業率については一般女子に比較して必ずしも低いとは考えておりませんが、結婚、育児、夜勤等のため離職をされ潜在看護職員になる者も多いと認識をいたしております。政府は、早急に適切な医療を提供していくために資質の高い看護職員の確保が重要と認識をしており、平成三年度予算においては看護職員確保対策の費用を大幅に増額いたしました。今後とも、中長期的視点に立って需給見通しを立てながら、看護職員確保対策のあり方について、法的措置も含めて検討を続けてまいりたいと思っております。
 また、法律扶助制度につきましては、昭和三十三年度以来、財団法人法律扶助協会が行う事業に対して予算補助を行い、毎年補助金を交付して相当の成果も上がっていると考えますが、当面、現行の予算補助の方式によって法律扶助制度を充実させていきたいと考えております。
 参議院での政治改革法案の取り扱いや行方については、私も極めて厳しく受けとめており、ぜひ皆さんと御議論をさせていただいて御理解をいただきたいと思うのです。今のとおりの衆議院の選挙制度のあり方で、あのままでいいのだということは、私はこれはお考えにならないだろうと思うし、また、二年間にわたって各界の代表の方々が選挙制度審議会の委員をお務めいただき十分御議論をいただきました。また、自民党の選挙制度審議会と改革本部も、全国で議論を聞いたり、あるいは討議を重ねたり、いろいろ努力をし法案を国会に提出したばかりのところでありますから、どうか提出したその日から反対とおっしゃらずに御議論をいただいて、こういうところがこうだからということもぜひお聞かせをいただきたいと考えております。
 私は、なお論議の途中でも節目節目には各党の党首の皆さんとお目にかかって、党首会談で、こういうことを考えております、こういりたことをやろうと思っておりますというようなことについては、適宜、節目節目には御報告をしてきたつもりでありますけれども、法案として提出するのは国会が本番でございますから、どうぞ御理解をいただいて審議をいただき、野党も対案がございましたらお出しを賜って議論を重ねていくことを心からお願いする次第でございます。
 残余の質問については関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣近藤元次君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(近藤元次君) 一井議員の質問にお答えをいたします。
 質問が五点ほどございましたけれども、最初に乳製品の問題からお答えをさせていただきます。乳製品の輸入問題につきましては、御案内のとおり、ガットで残念ながら違反という結論が出ております。しかし、我が国は、十一条二項の同を明確化するために、今ウルグアイ・ラウンドの交渉においてもこの明確化ができることに全力を挙げて各国の理解を得るべく努力いたしておるところであります。
 次に、飲用乳価交渉についてでありますけれども、乳価の問題は、本来は生産者と乳業メーカーとの間で自由で公正な交渉を行うことが建前ではありますけれども、本年度若干長期化をしておりますので、農林水産省として早期妥結のための指導をさせていただいてきたところであります。ようやく最近に至りまして現状打開の方向に向かって話し合いが進められているようでございますので、今後さらに注視をしながら指導を続けていきたいと思っております。
 なお、森林の問題でありますけれども、森林は木材の生産のみならず、御案内のように水資源の酒養であるとかあるいは生活環境保全等に極めて重要な役割を果たしておるところであります。このため、第百二十国会において森林法を改正して、民有林、国有林を通じた森林の流域単位でこれからの管理、施業システム等の整備計画を創設することにしたところであります。今後、森林整備と林業の活性化のためには、森林整備事業計画の適切な策定など改正森林法の着実な実行を初めとして、施策の一層の推進に努めてまいる所存であります。
 なお、次に、林業労働力の問題についてでありますけれども、極めて深刻な問題でございますし、また林政の重要な課題として認識をいたしておるところであります。それゆえに、林業労働力の育成確保対策については森林計画の計画事項の中にも盛り込むとともに、林業労働者の適切な処遇が確保できるように、高性能機械の導入の促進なり労働安全の確保のために今後引き続き努力をしていかなければなりませんけれども、御指摘のございましたように、収入面も一つの大きな問題であろうかと思いますので、生産体制の整備をしながら、月給制であるとか、定期的な休暇が確保できるという就労条件の改善等、生活環境基盤の整備と相まっての総合的な対策を講じていかなければならないと思うわけでありまして、今後ともこれらの施策の充実強化に努めていく所存であります。
 次に、農林業の後継者確保対策についてお尋ねでありますけれども、総理からも御答弁申し上げたところでありますが、次代の農林業を担う農林業後継者の育成確保のためには農林業を魅力ある産業としなければならないわけでありまして、一に所得だけではなしに、やはり若い人たちが楽しみながら満足してその農村で農業に従事をしていただけるという環境をつくるためには村づくりを進めていかなければならない、農業が農村にどういう位置づけをしていくかということも大変大切なことでなかろうか、こう考えて、農林水産省にも、むらづくり対策推進本部をつくらせていただいたところでもあります。
 たお、農林業の生産基盤、生活環境の整備等の各般の施策は、従来も進めてきたところでありますが、さらに一層基盤の整備を進めながら、改良普及員等による技術、経営の新たな指導、普及をしていかなければなりませんし、また国内外を問わず、先進農家での研修、交歓等を進めていかなきゃなりません。また、新たに農業を意欲的に進めるためには、無利子資金の貸し付け等の施策を講じてきておるところでもありますが、さらに一層の充実をしていくつもりで来年度予算要求の準備をさせていただいておるところであります。今後は、こうした諸施策に加えて、各地域地域で関係機関や団体が一体となって後継者の隆保に取り組むことが重要となっているため、本年度からこれらの地域の諸活動を支援する対策を新たに実施する予定にしておるところであります。
 いずれにいたしましても、農林水産省としては、若い農林業者が希望と誇りを持って農林業を営めるように、夢のある、希望の持てる農林業の確立と活力のある村づくりを目指して農林業施策の総合的な展開に努めてまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣小里貞利君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(小里貞利君) 一井議員にお答え申し上げます。
 労働時間短縮は、豊かでゆとりある国民生活を実現するためにぜひとも実現しなければならない国民的課題であると認識いたしております。労働時間の短縮に全力を挙げて取り組んでまいっておる所存でもございますが、このため、本年四月より週法定労働時間を四十六時間から四十四時間とし、その円滑な施行に努めてまいっておるところでございます。さらに、週四十時間労働制の問題を含めた労働時間法制の見直しにつきましては、御承知のとおり本年四月に中央労働基準審議会にその検討をお願いいたしたところでございまして、政府としては同審議会の結論を待って対処してまいりたいと考えております。
 所定外労働時間についてのお話でございますが、所定内労働時間は着実に減少しつつございますが、所定外労働時間は依然高い水準にありまして、改善はおくれていると申し上げなければなりません。しかしながら、年間総労働時間一千八百時間程度に向かってできる限り短縮していくという経済計画の目標を達成するためには、所定外労働時間の削減が不可欠でございます。
 そこで、労働省では、労使の実務家、学識経験者等に所定外労働削減の目標や労使の取り組むべき事項について検討していただき、その結果を受けて、先日、所定外労働削減要綱を策定いたしたところでございます。要綱では、御承知のとおり、所定外労働時間を当面毎年一〇%ずつ短縮するとともに、サービス残業を生むような土壌をなくしていくなどの目標を立て、このために労使の意識改革や業務体制の改善、フレックスタイム制の導入等、労使が取り組むべき事項を指針として示しているところであります。私といたしましては、今後本要綱の周知を図るとともに、本要綱に基づき所定外労働の削減を一層進めてまいる所存でございます。
 最後に、中小企業についてのお尋ねでございますが、経営基盤が脆弱であることなどによりまして大企業に比べ労働時間短縮を進めにくい実情にあることから、きめ細やかな指導援助を行っていく必要があると考えております。このため、従来から、労働時間短縮のアドバイザーの派遣等による指導援助を通じて中小企業集団や業界団体の取り組みを促進するなど、労使の自主的努力に対する指導援助等の実施を着実に推進しているところ。でございます。今後とも、中小企業の労働時間の短縮に向け一層の指導援助等の充実を図ってまいりたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣井上裕君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(井上裕君) 一井議員にお答えいたします。
 私に対する質問は三点であろうと思います。
 まず、学校週五日制の問題につきましては、現在、協力者会議を設けるとともに、調査研究協力校六十八校において、月に一回または二回の土曜日を休業日とする学校週五日制について具体的、実証的な研究を進めております。本年四月にこの調査研究協力校の保護者を対象にアンケート調査を行ったところでありますが、その結果を見ると、保護者の理解を徐々に得ながら学校週五日制の研究が進められていると承知しております。
 なお、協力者会議におきましては、教育水準の維持など教育課程のあり方とともに、教員の勤務形態など学校運営のあり方、また学校外における子供の生活への対応のあり方に留意し、国民世論の動向などにも配慮しつつ今後さらに検討を進め、平成三年度末までには一応の結論を得る予定としております。文部省におきましては、その結論を踏まえ適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、公立学校施設の整備予算につきましては、これまで児童生徒数の減少に伴い縮減を見てきたところであります。しかし、最近、老朽鉄筋校舎等の改築改造事業を中心に各地の市町村の事業計画が増加傾向にあることから、平成三年度予算におきましては、いわゆる生活関連経費重点化枠とあわせ、平成二年度予算に比べて四十二億円増の総額二千二百八十八億円を計上いたしたところであります。文部省といたしましては、今後とも財政事情等を踏まえつつ適切な予算の確保に努めてまいる所存であります。
 次に、公立学校施設に対する国庫補助に際しましては、教育活動を行う上で必要な一定水準の施設を確保するという見地に立って補助単価や基準面積等を定めるとともに、社会経済情勢の推移等を勘案して、逐次、これらの改善に努力を重ねてきたところであります。今後とも、学校の文化的環境にも留意しつつ、学校施設の質的な向上が図られるよう一層改善に努めてまいる所存であります。
 また、学校施設における冷房設備の整備につきましては、従前から、例えば活動火山周辺地域など特別な事情のある地域にある学校に対しては国庫補助の対象としているところでありますが、学校全体については、いわゆる夏休み制度との関係も含め、冷房設備の必要性に関してはいまださまざまな御意見があり、一律に国庫補助の対象とすることは慎重な検討を要する課題であると考えているところであります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま一井議員から御指摘をいただきました問題点は、文部大臣が御答弁をされました問題と同一であります。
 文部大臣からお話がありましたように、平成三年度予算におきましては、生活関連重点化枠をあわせまして、緊急に整備の必要な小中学校の校舎の新増築等に所要の事業量の確保を図るということで、昨年度に比べ四十二億円増の二千二百八十八億円を計上いたしました。今後も、厳しい財政状況のもとでありますが、各種の文教関係施策の効率化、重点化に努める中で、真に緊要な施策については適切に対応していきたいと考えております。
 また、これまで、社会経済情勢の推移などを勘案して、公立学校施設に対する国庫補助につきましてはそれぞれの改善を図ってまいりました。今後とも、学校施設の教育機能が十分確保されるよう適切に対応していく所存であります。(拍手)
#36
○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#37
○副議長(小山一平君) この際、お諮りいたします。
 鈴木和美君外八名発議に係る雲仙・普賢岳噴火災害対策に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○副議長(小山一平君) 御異議ないと認めます。
 よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。鈴木和美君。
   〔鈴木和美君登壇、拍手〕
#39
○鈴木和美君 ただいま議題となりました雲仙・普賢岳噴火災害対策に関する決議案につきまして、発議者を代表して提案の趣旨を御説明いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    雲仙・普賢岳噴火災害対策に関する決議案
  平成二年十一月十七日、約二百年ぶりに噴火した雲仙・普賢岳は、本年五月に入ってからは、さらに火山活動が活発化し、火砕流及び土石流の頻発により周辺に人的被害を含む多大の被害をもたらした。その後も火山活動は続き、予断を許さない状況である。
  政府は、火山噴火等の災害対策の過去の実績、将来の見通しを十分にふまえつつ、今回の災害が他に例を見ない極めて特殊、長期かつ激甚なものであることにかんがみ、事態の推移に応じ、被災地の住民救済、復旧、民生安定及び地域振興等に関する現行の法的制度を強力かつ弾力的に運用するとともに、現行制度において不十分なものは適切かつ速やかに対応するなど必要な措置を講じ、その対策に万全を期すべきである。
  右決議する。
 我が国は、御承知のように、環太平洋火山帯に属する世界でも有数の火山国であり、古くから火山の噴火によって発生する溶岩流、火山灰等の火山災害により多大な被害をこうむってまいりましたが、近年においても、桜島や阿蘇山の噴火によるたび重なる降灰被害、また、昭和六十一年十一月には、伊豆大島の噴火によって全島民約一万人が島外に避難したことはまだ記憶に新しいところであります。
 こうした中、昨年十一月、雲仙・普賢岳が約二百年ぶりに噴火し、一時小康状態を保っておりましたが、本年五月中旬ごろから再び活動が活発化し、特に去る六月三日には大規模な火砕流が発生して、多数の死者、行方不明者を出し、住宅や農地等にも多大な被害をもたらす大惨事となりました。しかも、雲仙・普賢岳はその後も活発な活動を続けており、島原市及び深江町では今なお一万人を超える方々が不自由な避難生活を余儀なくされております。また、火山活動の長期化に伴い島原半島全域の社会経済に大きな影響が生じております。
 このため、政府は、非常災害対策本部を設置するとともに、避難対策、民生対策だと二十一分野八十三項目にわたる対策を決定し、その推進に努めておりますが、今回の災害の特殊性、激甚性等を考えますと、中長期の対策を含めた総合的な対策の確立が強く望まれております。
 しかしながら、現行の災害対策制度は、主に風水害等の一過性の災害を想定しているため、雲仙・普賢岳噴火のような大規模かつ長期にわたる災害には十分に対応できない面があります。また、財政的に脆弱な地方公共団体の取り組みだけでは解決することが困難な問題も出てきております。
 このような状況を踏まえ、政府は、被災地の住民救済、復旧、民生安定、地域振興等について、本決議案の趣旨を体し、適切な措置を講ずるよう強く要請するものであります。
 以上が本決議案を提案する趣旨であります。
 何とぞ皆様の御賛同をいただきますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(小山一平君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#41
○副議長(小山一平君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 ただいまの決議に対し、西田国務大臣から発言を求められました。西田国務大臣。
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(西田司君) ただいまの決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、一日も早く住民生活の安定並びに地域の復旧及び活性化が実現するよう、政府の総力を挙げ、地元地方公共団体とも連携して、対策の万全を期してまいる所存でございます。
 よろしくお願いいたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#43
○副議長(小山一平君) 午前の会議における市川正一君の発言につきましては、速記録を調査の上、議長において適切に措置いたしたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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