くにさくロゴ
1991/09/30 第121回国会 参議院 参議院会議録情報 第121回国会 本会議 第8号
姉妹サイト
 
1991/09/30 第121回国会 参議院

参議院会議録情報 第121回国会 本会議 第8号

#1
第121回国会 本会議 第8号
平成三年九月三十日(月曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  平成三年九月三十日
   午前十時開議
 第一 借地借家法案(第百二十回国会内閣提出
  、第百二十一回国会衆議院送付)
 第二 民事調停法の一部を改正する法律案(第
  百二十回国会内閣提出、第百二十一回国会衆
  議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官訴追委員辞任の件
 一、裁判官訴追委員の選挙
 一、証券取引法及び外国証券業者に関する法律
  の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下、議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 後藤正夫君から裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(土屋義彦君) つきましては、この際、裁判官訴追委員一名の選挙を行います。
#6
○沓掛哲男君 裁判官訴追委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#7
○小川仁一君 私は、ただいまの沓掛君の動議に賛成いたします。
#8
○議長(土屋義彦君) 沓掛君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官訴追委員に前田勲男君を指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#10
○議長(土屋義彦君) この際、日程に追加して、
 証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。橋本大蔵大臣。
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 今回の証券会社による大口法人顧客等に対する損失補てんは、免許会社としての規範に著しく反するものであり、こうした行為により一般の投資者の証券市場に対する信頼が大きく損なわれました。
 本法律案は、市場の公正性と健全性に対する投資者の信頼を確保するため、有価証券の売買等によって生じた損失の証券会社による損失保証、損失補てんを禁止する等の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、損失保証、損失補てん等を禁止することといたしております。これは、証券会社による損失保証、損失補てん等を禁止するとともに、顧客が証券会社の損失保証、損失補てん等を要求する行為を禁止し、それらの違反に対しては、刑事罰を適用することとするものであります。
 第二に取引一任勘定取引を禁止することといたしております。取引一任勘定取引は、今回問題となりました損失補てん等の温床となりやすいことから、これを禁止することとし、その違反は行政処分の対象とすることといたしております。
 以上の改正点につきましては、証券取引法のみならず、外国証券業者に関する法律についても同様の改正を行うことといたしております。
 以上、証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(土屋義彦君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。北村哲男君。
   〔北村哲男君登壇、拍手〕
#14
○北村哲男君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 今回の損失補てん、暴力団との取引などの証券不祥事、そしてまた預金証書偽造を中心とした金融不祥事は、国内だけでなく、国際的にも日本の金融資本市場に対する強い不信感を招いた一大スキャンダル事件と言うべきものであります。殊に、証券会社の大口顧客に対する損失補てんは、証券業界の一部で偶発的に行われたものではなく、慣行として大々的に、かつ広範に行われ、まさにこれが我が国証券市場の構造的資質となっているのではないかという印象すら国民に与えました。すなわち、大口顧客との取引維持のためには、大蔵省通達は無視して損失補てんを優先させるという行動が堂々と行われていたのであります。これら広範かつ組織的な損失補てんは、一般投資家の証券取引についての公平感を著しく傷つけ、証券市場の公正性についての信頼を根本から損なう原因となったのであります。証券取引法第一条には、国民経済の適切な運営と投資家の保護のために、有価証券の取引を公正なものとし、流通を円滑ならしめることを目的とすることが明記されております。そしてまた、証券取引においては、みずからがリスクを負うという自己責任原則が貫徹されてこそ証券市場が成り立ち得るというのは自明の理でありますしかるに、一般の小口投資家のみに自己責任原則を押しつけ、特定の大口顧客に対しては不正な損失補てんという手段で過剰な保護を行い、その結果、資本市場からの資金調達もままならず、国民経済の運営にも多大なる支障を来すなど、証取法の基本的な目的に違反していると言わざるを得ません。
 また、巨額な損失補てんが大蔵省内部め証券監視機関によって明らかにされず税務当局の指摘によって発覚したことは、証券会社の倫理観の欠如のみならず、それを指導、監督する大蔵省の証券行政について不信感を招き、証券取引の規制機関のあり方について根本から問い直すことが求められているのであります。
 そしてまた、九月二十四日には、既に公表されている補てんリストに加えて、九一年三月期の四大証券による巨額の損失補てんの実態が再び明らかになりました。これは、明確な補てん禁止の通達の後の補てんであります。
 このように、損失補てんについてはいまだ真相究明の途上であります。事態の根源に迫り、病根を公正に分析しない限り、効果的な対応策も考えられません。
 総理、これをもって免許制のもとでの証券行政が行われているのだと言えるのでしょうか。引き続き今回の証券スキャンダルの徹底究明をする決意のほどをお聞かせください。
 国会におきましても、証人喚問等が行われ、証券不祥事の全容解明の努力が払われてまいりましたが、証人が情報を公開しようとせず、かたくなな態度等によって依然その実態が明らかにされておりません。この証人の責任回避的な発言は、我々国会議員のみならず、国民にも不信の念を一層募らせ、怒りを招く結果となったのであります。証人の再喚問、あるいは損失補てんを実際に行った実務担当者レベルの喚問と全容解明に向けた努力がさらに続けられるべきであります。
 政府としても、このような状況のもとで、臨時行政改革推進審議会への諮問を行い、証券取引法改正案を提出されたと理解いたします。しかし、この行革審答申、改正法案について疑問なしとするわけにはまいりません。
 まず、行革審の答申に関して幾つかお伺いいたします。
 去る九月十三日に出された「証券・金融の不公正取引の基本的是正策に関する答申」では、大蔵省の外局に新たに証券・金融検査委員会を設置し、証券、金融両市場の検査、監視に当たる、また、一証券界の寡占体制を是正し、自由で公正な競争を促進するため、株式売買手数料の自由化、銀行と証券の相互乗り入れを促す金融制度改革の推進、証券業の免許基準の明確化及び中長期には免許制の是非を検討するなどの内容となっておりますが、今回出された答申を受けて総理はどのように対処されるのか、お伺いいたします。
 証券・金融検査委員会は、大蔵省の外局にあって、大蔵省から完全に独立しておらず、将来的には大蔵本省にのみ込まれる可能性が強いものであると強く不満の意を表明するものであります。委員会は大蔵省から完全に切り離し、委員の任命権を総理にすべきであると考えますが、この点について総理の見解を伺います。
 また、これと関連して、委員会の委員長及びこのもとに置かれる事務局長は、その影響力を考慮して大蔵省関係者を起用しないとの方針を確立すべきであると考えますが、この点についてもあわせてお伺いいたします。
 さて、今回の監視・検査機関についての答申に当たっては、大蔵省の強力な根回しか行われ、実質的に大蔵省の主張がほぼ通る形になったと聞いております。証券不祥事をめぐり大蔵省の責任は極めて重いにもかかわらず、その再発防止策の策定に当たってもなお大蔵省自身の権限を守ろうとする姿勢は、国民にどのように映ったとお考えですか。今回の一連の不祥事に対する大蔵省の姿勢に、期待を裏切られた国民は多いのではないでしょうか。これらの点と行革審の新しい検査・監視機関構想について大蔵大臣はどのように受けとめておられるのか、お伺いいたします。
 次に、答申で出された幾つかの点について、大蔵大臣にお聞きいたします。
 まず、株式売買委託手数料の自由化についてであります。
 現在、証券市場における売買の委託手数料は固定手数料体系となっております。米国や英国においては既に自由化がなされ、世界の潮流は自由化の方向にあると思われますが、いかがでしょうか。ただし、その際でも自由化に当たっては小口投資家への影響等についても配慮を行う必要はあると思いますが、大蔵省としての今後の対応策についてお聞かせ願います。
 さらに、証券会社の免許制の是非について伺います。
 答申においては、免許基準の見直し、あるいは免許制それ自体を見直すことが必要であるとの方向を打ち出しております。そもそも、証券会社の免許制は昭和四十年の証券取引法の改正において導入されたのであります。その導入時の目的は何であったのか。それは、証券会社の経営の健全性の名のもとに証券会社の数を整理しようという意図が入っていたのではないでしょうか。だからこそ、免許制導入後は全くと言ってよいほど新規参入を許さなかったのであります。これは免許制の名をかりた保護行政と言わざるを得ません。保護をするから天下りが起き、天下るから癒着をするのであります。答申は、このような従来の大蔵行政を否定したものと考えます。証券会社の免許制の是正について、大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 次に、証券取引法等の一部改正案についてお伺いいたします。
 改正案は、今回の証券会社による損失補てんの再発防止策として打ち出されたものでありますが、この内容を見ますと、再発防止策としての有効性に疑問を持たざるを得ません。
 まず、損失補てんの定義についてであります。法案では、証券会社の顧客に対して損失補てんをする目的で、財産上の利益を提供することを申し込み、または約束すること、また実際に利益を提供することと規定しておりますが、これでは罰則の対象となる行為の内容が極めて抽象的であり、合法行為と違法行為の限界が不明確であります。刑罰法規としては、より具体的かつ客観的事実を構成要件とすべきであります。
 また、聞くところによれば、具体的な基準は日本証券業協会と証券取引所が定める自主ルールにゆだねられるとのことであります。これは事実でしょうか。もしそうであるとするならば、これは大蔵省の責任放棄と言うべきものであります。規制の対象となる業界側に作成をゆだねることで、果たして公正な基準ができるのでしょうか。業界団体が自分たちに都合の悪いルールをつくるはずがないと思われませんか。なぜ政令や省令ではなく業界団体の自主ルールにゆだねるのか、この点について大蔵大臣の明快な答弁を求めるとともに、このような形の刑罰法規は罪刑法定主義の原則にもとると考えますが、この点について法務大臣の答弁を求めます。
 次に、損失補てんを受けた顧客に対する罰則適用についてであります。
 法案では、顧客側は損失補てんを要求した場合にのみ罰せられるとなっておりますが、これは明らかに骨抜きであります。これでは、顧客は損失補てんを受けた事実を知っていても、要求しなければ罰せられません。また、相手の証券会社が罰せられた場合でも、顧客が要求していなければ利益は没収されません。今回の不祥事でも、顧客の大多数が補てんの要求をしたことはないと発言しており、再発防止策として全く有効性を欠くと言わざるを得ません。大蔵省としては、当初、補てんと知りながら利益を受けた顧客を罰則の対象としていたようですが、なぜこのように後退してしまったのでありましょうか。答弁を求めます。
 次に、罰則の量刑についてであります。
 罰則は、証券会社が一年以下の懲役または百万円以下の罰金、顧客が六月以下の懲役または五十万円以下の罰金となっております。これでは余りにも軽過ぎ、抑止効果に乏しいと考えます。罰則の強化をすべきと考えますが、大蔵大臣の見解を求めます。
 以上、今回の改正案について項目を絞って質問してまいりましたが、これら指摘した点からのみ言っても、証券不祥事に対する再発防止策としての有効性に疑問を持つところであります。また、国会で我々が政府に対し質疑を行って明らかにしてきたさまざまな問題についての対策がなされておらず、さらなる証券取引法の改正を求めるものであります。
 最後に、証券会社と暴力団との株取引についてお伺いいたします。
 証券会社と暴力団がかくも深い取引関係を持っていたにもかかわらず、今回何らの法的対策がとられておりません。暴力団が資金浄化などさまざまな目的で株式市場に入り込もうとしている今日、証券会社に対し道義的な理由から拒否させるだけでは無理があると思われます。何らかの法的措置があれば、堂々と拒否できるのであります。証券会社もこれら法的根拠を望んでいるのでは狂いでしょうか。大蔵大臣及び国家公安委員長の答弁を求めます。
 以上、証券市場の公正性あるいは透明性を保持する観点から質問してまいりましたが、証券不祥事で怒り心頭に発しているのはまじめに働く国民であり、憂慮されるのは、企業の資金調達にかかわる国民経済の円滑な運営が阻害されているのではないかということであります。今後、大蔵当局は、自分の省益の援護に心を砕くのではなくて、世界の金融・証券市場として揺るぎない地歩を占めるための証券・金融改革を行うべきだと考えますが、総理、大蔵大臣の所信を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(海部俊樹君) 北村議員にお答えを申し上げます。
 証券不祥事の徹底究明のための決意はどうかということでございました。
 私は、この不祥事件を厳しく受けとめ、真相の究明と再発の防止に全力を挙げて取り組んでまいりました。損失補てん等の問題の実態につきましては、証券会社から補てん先の企業名等が公表され、補てんの手法等についても、代表的な補てんの手法やその具体的な事例等について政府より御説明をいたしてきたところであります。また、真相解明の一環として、大蔵省においては証券四社に対する特別検査を実施して、実態把握の状況について先ごろ国会に中間的な御報告をさせていただいたところでございます。本院においても、真相解明に向けて特別委員会が設置され、証人喚問を含めて精力的な御審議が行われてきたところでありますが、政府は問題の真相解明について今後とも努力をしてまいる所存ております。
 また、答申と検査委員会のことについて御指摘がございましたが、私どもは、内外の信頼の確保と市場の透明性、公正性の向上に向けて取り組んでまいります。特に、行革審答申においては、証券市場に対する検査・監視体制のあり方について、大蔵省に新たに行政部門から独立した八条委員会を設置し、そのもとに独自の事務局を置き、違法行為等に係る強制調査などを実施するものと提言をされておるところであります。同委員会は、両議院の同意により任命される複数の委員によって構成される合議制の機関でありますが、委員は独立して職権を行使することとされるなど、極めて独立性の高い機関となっておるものと考えます。政府は、答申を最大限尊重して、今後の検査・監視体制の具体的なあり方の検討を進めてまいるところであります。
 最後に、証券・金融改革に対する考え方についてお述べになりました。
 政府といたしましても、今般明らかになった証券・金融業界の一連の不祥事の再発を防ぐとともに証券市場に対する国民の信頼を回復するため、全力を挙げて取り組むと同時に、ここでお触れになりましたように、日本は今世界の三大市場の一つとしての責任も持っておるわけであります。その揺るぎない地位を自覚し、今回のような不祥事の再発防止と証券市場の透明性、公正性の向上に向けて、金融システムに対する信頼回復に全力を挙げて取り組んでいかなければならないと決意をしております。〔拍手〕
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) 北村議員にお答えを申し上げます。
 まず最初に申し上げたいことは、今回のこの証券取引法の改正をもってこの問題の幕引きとするなという御指摘をいただきました。そのとおりでありまして、いわば国民の目に見える再発防止へ向けての第一歩である、私はそのように考えております。今後、引き続きそれぞれの問題について対応策を講じ、国会で御審議をいただきますものは順次本院においても御審議をいただくことになると思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 そこで、今総理からもお触れになりましたが、今回の行革審答申は、証券行政全般につきまして非常に厳しい御指摘、また提言がなされております。その中でも、特に検査・監視体制のあり方につきましては、大蔵省にとりまして大変厳しい内容のものでありました。議員がよく内容を御承知でありますように、この答申において提言をされております国家行政組織法第八条に基づく新たな検査・監視機関に対しましては、大蔵大臣の監査、検査の権限の、殊に強制調査権限については完全にこの委員会に委任をするわけであり、大臣はこれに直接権限を行使する余地は全く残っておりません。
 また、通常の検査に対しましても、基本的なルールをこの委員会がチェックされるわけでありまして、これは私は、総理が触れられましたような、委員の任命につき両院の同意が必要であること、また独立して職権を行使されること、また特定の場合を除いて意に反して罷免されることがない、こうした内容等を考えますとき、極めて厳しい内容のものと受けとめております。
 しかし、同時に、こうした答申をいただきました以上、私どもとしては、これを真剣に受けとめながら、この答申を最大限尊重するという基本的な考え方の中で、今後の見直しにつき広範な観点からの検討作業を進めてまいりたいと考えております。
 また、株式委託手数料の自由化につきましては、御答申の趣旨に沿い、小口投資家への影響も十分に配慮しながら、資本市場の健全な発展を図る観点から検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、免許制についての御意見がございました。
 これは、議員が御承知のように、かつて登録制を採用しておりました我が国が、その登録制の中のさまざまな問題に対応するために、昭和四十三年以降免許制を採用してきたものであります。しかし、今回の行革審の答申におきまして、「免許基準をできる限り具体化、明確化する方向で見直しを図り、免許申請に係る審査についても透明性を向上させ、競争促進に資する新規参入の実現を図る必要がある。」「中長期的には、免許制の是非についても検討を行う必要がある。」とされたところでありぎして、私どもはこの指摘を踏まえて、今後、免許基準をできるだけ具体化、明確化いたすことを検討し、新規参入の促進を図りたいと考えます。しかし、それでもなおかつ効果が出てこない、十分な効果が期待できないといったような時期になりますなら、免許制の是非についても中長期の課題として検討を必要とするものと考えております。
 また、定義の問題についてお触れになりました。
 本改正案におきましては、種々多様な行為類型をすべて網羅するということは現実的にも困難でありますし、法律に規定されました行為類型の一部でも異なっていれば犯罪にならなくたってしまう、法律の抜け穴を利用した行為を容易に出現しやすくする、そうした観点から、損失保証、損失補てんの禁止規定を包括的に定めました。仁のような観点から、証券会社につきましては、損失を補てんするため財産上の利益の提供の申し込み、約束ないしは提供を行うことをもって損失保証、補てんと定義しており、このような構成要件はそれ自体としては明確でありますし、同様のものが他の立法例にも見受けられるところであります。
 このたび自主規制団体に対しさらに整備するよう求めております自主ルールは、証券取引の円滑公正な運営という観点から証券業務として正当なものと考えられる典型的な行為を明示しようとするものでありまして、補てんの定義とは直接的にはかかわらないものと考えております。私どもは、この自主ルールというのは証券会社の行為が正当な業務行為と認められる態様で行われたか否かについての判断のガイドラインと考えておりますが、大蔵省としても、そのルールをそのまま受け入れるというのではなく、その内容が適切であるかどうかにつきましては、法務省とも御協議をさせていただきたがら判断させていただくことになります。
 また、罰則の範囲についての御質問がございました。
 証券会社の顧客につきましては、市場仲介者としての公正性に係る義務は負っておらないわけでありまして、市場の正常な価格形成機能の保持につきましても証券会社と同等の責任は有しておりません。このため、再発防止等の実効性を確保するという観点からは、要求して受け取るといった証券会社に違法行為を行うように求める行為をとった場合刑事罰を科すことで必要かつ十分と判断した次第であります。
 また、損失補てんについての証券会社への罰則の強化について御指摘がございました。
 この点につきましては、私自身も実は同様の考え方を持ちました。しかし、法体系全体にかかわる問題でもあり、両罰規定における法人の罰金刑の上限と行為者の罰金刑の上限を切り離すことについて、現在行われております法制審議会の論議の方向を見定めるのが適当であるという法務省のお考えもありまして、大蔵省としては、今回の問題に対処し損失補てんの再発防止を図るという観点から、直接的かつ緊急の措置として、まず損失補てんなど、刑事罰による禁止を行うことに踏み切ったものであります。大蔵省といたしましては、法制審の御論議の結論を得次第、法人の罰金刑の引き上げにつきましての法案を提出させていただきたいと考えております。
 また、再発防止について不十分であるという御指摘をいただきました。
 私は、今回この証取法の御審議を願っておるわけでありますが、損失補てん、損失保証などの再発防止につきましては、このたびの改正法の施行によりましてその効果は必要かつ十分なものと考えております。しかしなお、行政全体の立場からまいりますと、通達の見直し作業を現在行っております。その通達の中から法律に移しかえるべきもの、これは次の証券取引法の中で御審議をお願いすることになろうと考えておりますし、また、今申し上げました法制審の御結論の出た後の罰金刑の引き上げといったことにつきましても今後御検討を願うことになろうかと考えております。
 また、暴力団との取引についての御意見をちょうだいいたしました。
 証券会社というものが、その業務の公正性にかんがみて、いやしくも社会的批判を受けることがないように従来から厳しくしてきたつもりでありますが、今回暴力団との不明朗な取引が明らかになりましたことについては、私どもとして極めて厳粛に受けとめる必要があると考えております。
 ちょうど八月二十八日、警察庁から金融及び証券取引等における暴力団の介入排除につき各業界団体あての要請を行いたい旨御要請がございました。大蔵省といたしましても、こうした御要請の趣旨を踏まえ、八月二十八日付におきまして暴力団の介入排除について各事業団体あて指示をいたしました。今後、捜査当局による捜査の推移を注意深く見守りますとともに、今回の取り組みの効果も注視していく必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、今後、暴力団対策法を所管される当局から御助言をいただきながら、政府部内でよく検討し、どのような対応が可能であるかについて答えを求めてまいりたいと考えております。
 最後に、証券・金融不祥事の再発を防止すること、そして市場が世界の中で通用するよう抜本的な改革を行うべきであるという御指摘をいただきました。
 私自身、今ここで繰り返すつもりはありませんけれども、今回の問題というものを整理してくる中で、幾つかの問題点を原因として既に院にも御報告を申し上げ、それぞれに対する解決の方向を申し上げております。今後ともに全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣左藤恵君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(左藤恵君) 北村議員にお答え申し上げたいと思います。
 損失補てんの定義の具体的な基準を日本証券業協会、それから証券取引所が定めます自主ルールにゆだねるという形の刑罰法規は罪刑法定主義の原則にもとるので独たいか、こういう御質問。であったと思います。
 今、大蔵大臣からも大蔵省の立場の御回答がございました。法務省といたしましても次のようにお答えを申し上げたいと思います。
 今回の改正案においては、すべての行為類型を網羅するということが非常に困難であるというふうなことを考えまして、禁止される行為をできるだけ明らかにするという立場から禁止行為を規定するものでありまして、構成要件の明確性に欠けるというふうには考えておりません。欠けるところはない、このように考えておるところでございます。
 自主ルールにつきましては、構成要件に該当するか否かの判断の認定資料、あるいは行為の違法性の評価の上で一つのガイドライン、こういうふうになるものでありまして、これが構成要件の内容をなす損失補てんの定義になるものとは言えないのでありまして、そうした意味におきまして罪刑法定主義の原則にもとるものではない、このように考えておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(吹田ナ君) 北村先生にお答えいたします。
 国民の平穏な生活を脅かしている暴力団が証券取引の健全性と公正性を損なった今日の事態につきましては、まことに遺憾千万であります。お説のとおり、道義的な理由から拒否させるだけでは無理などの御意見がありますが、私ももっとも、そうだと存じております。このような事態を再び招来しないようにするためにも、証券業界が毅然として暴力団との関係を絶つことが重要であることは言うまでもありません。
 警察としましては、さきの国会で成立した暴力団対策法を活用しつつ、また、暴力団の得た不正な収益の剥奪のための新たな法規制についても引き続き真剣な検討を加えてまいります。証券取引からの暴力団排除が徹底されるよう最大限の努力をすること、これが最も必要であろうと思います。
 国家公安委員長といたしましては、警察当局に対しましてさらに督励を加えてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(土屋義彦君) 和田教美君。
   〔和田教美君登壇、拍手〕
#20
○和田教美君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となった証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部改正案と証券不祥事の再発防止策について、政府の見解をただすものであります。
 大蔵省が発表した大手証券四社の特別検査中間報告によると、いわゆる損失補てんは九一年三月期においても大々的に行われています。私が重視するのは、大蔵省が八九年十二月に損失補てん禁止の証券局長通達を出した後も、通達が完全に無視されてきたことであります。松野証券局長はこのほど参議院証券・金融特別委員会で私の質問に対し、九〇年三月下旬に野村証券から補てん実施の報告を受けた際、厳正な社内処分を指示したと答えています。また、他の大手三社も同様に、大蔵省の指示によって内々で社内処分を行ったと聞いています。ところが、今回明らかになった損失補てんは、いずれもそれ以後の九〇年四月以降のものであります。初めから処分覚悟であえて通達無視を繰り返す大証券の異常な体質によって、大蔵省の通達行政は完全に限界を露呈したと言わねばなりません。
 さらに、報道によれば、九〇年三月期までの損失補てんの中で、実際に損失が出ていないのに利益供与したケースが五十九件、約百億円に上ることが明らかになりました。これらは証券取引法違反の利回り保証の疑いが濃いと思います。まず、この二点について橋本大蔵大臣の認識をお聞きします。
 さらに、こうして国民の間で大きく失われた証券市場への信頼感を取り戻し、不透明な通達行政から脱却し、外部からの監視にもたえられる証券。行政に転換するため今何が緊急に必要か、海部総理と大蔵大臣の見解を求めます。
 提案されている証券取引法改正案の骨子は、一、証券会社による事前の損失保証、利回り保証のほか、新たに事後の損失補てんや利益の追加を法律で禁止し、刑事罰を適用する。二、顧客が損失補てんなどを要求して約束する行為、同じく要求して利益の提供を受ける行為を禁止し、これも刑事罰の対象とするなどであります。不祥事の表面化以来、国会で論議された証取法の問題点は、事前の損失保証などを禁じた第五十条だけではありません。不正取引行為の禁止に関する第五十八条、相場操縦禁止に関する第百二十五条など、大蔵省自体がお蔵入りさせた条文を活性化させるため、この際改正に踏み切ってよいと私は考えています。
 それだけに、政府がこれらの問題点を後回しにし、損失補てん等の禁止や取引一任勘定取引の禁止だけに絞った改正案を早々と国会に提出した真意について、若干の疑問を持つものであります。しかし、冒頭に申し上げた証券業界の体質から見て、罰則を伴う補てん禁止条項を法律に追加するのはやむを得ない、再発防止のため一歩前進だと受けとめています。
 ただ、ここで大変気になるのは、急ごしらえの証取法改正案の成立を急ぐ大蔵省の姿勢の中に、これによって証券不祥事の幕引きを早めたいというねらいがあると報道されていることです。もしそれが事実とすれば、断じてこの幕引きを認めることはできません。証人喚問はなお必要であり、今後は業界トップだけでなく実務者レベルの喚問にまで範囲を広げるべきです。
 総理は、不祥事の全容解明を目指すこれら国会の努力に対し、今後も積極的に協力するつもりか、お尋ねいたします。
 次に、証券取引法改正案の内容について幾つかの疑問点を提起し、大蔵大臣の答弁を求めます。
 第一は、今回の改正案第五十条の二を見ても、損失補てんの定義が一向に明らかにされていないことです。年金福祉事業団への補てん方法として、野村証券が九〇年三月八日に国債それぞれ五百億円分の買い付け、売り付け唐行い、四億円以上の補てんを行ったことが明らかになっています。しかし、大蔵省はこれを補てんと断定するのに対し、厚生省はいまだに通常取引であり補てんではないと主張しています。閣内不統一とさえ言えるこのような奇現象も、もとはといえば補てんの定義が明確でないからであります。さらに、大蔵省は、補てんか否かの具体的基準、手口については挙げて日本証券業協会と証券取引所がつくる自主ルールにゆだねる態度をとっていますが、これは大蔵省の責任回避ではありませんか。
 第二に、証券会社の場合、顧客に損失補てん等の申し込みを行っただけで処罰の対象となるのに、顧客の場合は、補てん等を要求し、それを約束させ、もしくは実行させることを処罰の対象とし、対象範囲をぐっと絞っています。一連の損失補てんを見ても、顧客みずからが要求したと認めた例は皆無に近い状況であり、実際上顧客に対しては罰則の適用が困難なざる法という批判があります。当初伝えられた原案では、補てんを知りながら利益供与を受ける場合も罰則の対象とされていましたが、最小限この程度まで適用範囲を広げるべきです。
 第三に、罰則のうち、特に罰金の額が法人を対象としている部分は低過ぎることであります。東証と証券業協会は会員証券会社に対する罰金である過怠金の最高限度額を一億円に引き上げますが、これに比べ、改正案の証券会社百万円以下、顧客側五十万円以下はいかにも低過ぎます。個人と切り離し、法人の罰金を重くすべきです。
 第四に、今回の改正案は、暴力団との証券取引の排除について何ら法的措置を講じていません。大証券が暴力団の株買い占めに協力し、関連子会社を通じ多額の融資を行うなど、地下人脈との浅くないつながりが海外からも批判の的となっています。立法技術上の問題はあるにしても、この際、証券会社に暴力団との取引を拒否させる法的裏づけを与えることが必要だと思います。
 さて、臨時行政改革推進審議会は、このほどまとめた「証券・金融の不公正取引是正策に関する答申」の中で、新しい検査・監視機関について、大蔵省の附属機関として証券・金融検査委員会を新設することを提言しました。しかし、この委員会は、強制調査権と告発権を持つが行政処分権は持たない、委員の任命は大蔵大臣が行うなど、大蔵省から独立した公取委型という当初の構想から大きく後退をしています。
 今回の証券不祥事は、証券市場の保護育成と監視機能を同じ行政機関が握ることから生じた官民の癒着構造に大きな原因があります。公明党は、この提言に賛成することはできません。公明党は、監視機構として、国家行政組織法第三条に基づく大蔵省から独立した日本版SECの創設を目指しています。政府は、野党の要求に耳を傾け、法案化に先立って国民的合意に向かって構想を練り直す熱意があるかどうか、総理の見解を求めます。
 終わりに、証券・金融行政を統括する大蔵大臣の政治責任についてであります。
 大蔵大臣は、この七月、不祥事の行政責任をとる形でみずからの処分を発表されましたが、その後も証券不祥事は一層拡大し、金融機関でも架空預金証書を担保とする不正な融資など大型の経済事件が続発しています。この深刻な事態を政治責任という物差しでどう判断されるか、大蔵大臣の真意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(海部俊樹君) 和田議員にお答えを申し上げます。
 証券市場の不透明な証券行政を転換するため今何が緊急に必要と思っておるのかというお尋ねでございましたが、政府は、今般明らかになりました証券業界の一連の不祥事の再発を防ぐとともに、国民の信頼を回復するために全力を挙げて取り組む決意であり、そのために直接的かつ緊急な措置と考えて損失補てんの禁止を含む証券取引法の改正法案を国会に提出し、御審議をお願いしておるところであります。
 さらに、先般、「証券・金融の不公正取引の基本的是正策に関する答申」が行革審において取りまとめられ、改革のための諸方策が示されたところであります。この答申を最大限尊重し、今回のような不祥事の再発防止と証券市場の透明性、公正性の向上、内外の信頼の回復に全力を挙げて取り組んでまいらなければならないと考えております。
 また、全容解明について、国会への協力についてお述べになりました。
 政府といたしましては、既に補てん先の企業名等が公表され、補てんの手法等についても、代表的な手法や具体的事例について政府より御説明をしてきておるところでございますし、また、大蔵省において証券四社に対する特別検査を実施し、実態把握の状況について、これも真相解明のために中間的な御報告もさせていただいておるところでありますが、今後とも、政府としては証券会社をめぐる問題の真相解明に向けて努力をしてまいる考えであります。
 また、最後に、新しい監視機構についてお触れになりましたが、先般の行革審答申は、証券市場に対する検査・監視体制のあり方について、大蔵省に新たに行政部門から独立した八条委員会を設置して、そのもとに独自の事務局を置き、違法行為等に係る強制調査等を実施するものと提言されているところであります。この委員会は、両議院の同意により任命される複数の委員によって構成される合議制機関であり、委員は独立して職権を行使することとされるなど、極めて独立性の高い機関になっておるものと思料しております。政府は、答申を最大限に尊重し、今後の検査・監視体制の具体的なあり方を検討してまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) 和田議員から九点の御指摘がございました。
 第一点は、九〇年四月以降の損失補てんについてであります。
 大蔵省といたしまして、去る七月十八日、大手四社に対し特別検査に着手をいたしましたが、先日国会に対し、大手四社が二年四月以降におきましても損失補てんを行っていたことなど、中間報告をいたしました。今回の検査結果につきましては、まことに遺憾である、深刻に受けとめているという以上に申し上げる言葉を持ちません。現在御審議を願おうとしております証券取引法改正を初めとする諸般の対応策を推進し、失われた証券市場に対する信頼をいかにして取り戻すかが私及び大蔵省の責任であると厳しく受けとめております。
 また、六十三年九月期から二年三月期までの損失の出ていない顧客に対する補てん例についての御指摘がございました。
 損失が生じていない顧客に対し補てんが行われた理由として、例えば営業特金などにおける運用実績が、損失は生じていなくとも過去の実績や他の証券会社等に比べて悪いため、顧客との取引関係維持のため利益の上乗せを行ったといった事情があると考えられ、上乗せそのものが直ちに証取法違反の利回り保証があったということとはならないのではないかと思います。しかし、現在行っております証券四社に対する特別検査におきまして、議員の御指摘のような視点も含めて検査を行っておるわけでありますが、今日までの時点で、事前の損失保証、利回り保証があったという事実は把握されておりません。今後とも調査を続けてまいります。
 また、証券行政の信頼を取り戻すためにいかなるポイントがという御指摘を受けました。
 私といたしましては、これまで本院において御答弁申し上げてまいりました証券会社、証券市場をめぐる五項目の問題、この一つずつを謙虚に受けとめて努力をしていきたいと考えておりますが、特に、そのうちルールの明確化の問題につきましては通達などの全面的な洗い直しを行いたいと考えておりまして、通達などのうち法令化すべきものについて、その性格に応じ可能な限り法令化する、通達などのうち自主規制機関の規制にゆだねるべきものについては、証券取引所、証券業協会の規則などに盛り込む、口頭による行政指導については原則として廃止するといった措置を進めようとしております。
 また、証券行政のあり方として、先般の行革審答申にもございましたように、自主規制機関の機能の強化充実を図る必要があると考えております。また、もう一つのポイントとしては、株式委託手数料につきまして、その自由化について、行革審答申に沿い、小口投資家への影響も十分考えながら、資本市場の健全な発展を図る観点から検討を進めたいと考えております。
 検査、監視につきましては、私どもとして、今回の非常に厳しい行革審答申というものを最大限尊重するという基本的な考え方のもとに、具体的な作業に取り組みたいと考えております。
 また、補てんの定義が不明確であるという御指摘をちょうだいいたしました。
 先ほどもお答えをしたところでありますが、本改正案につきましては、種々雑多な行為類型をすべて網羅することは現実に困難であり、法律に規定された行為類型の一部でも異なっている場合には犯罪にならない、それは法律上の抜け穴を利用した行為が容易に出現する、こうしたことから、損失補てん、損失保証の禁止規定を包括的に定めたわけでありまして、こうした法体系というものは他の立法例に見られるところであり、私どもとしてはこれは許されるものと考えております。
 また、自主ルールについての御指摘がございましたが、私どもは、今申し上げましたようなループホールが生じないような、法律上の構成要件として明確なものを用意いたしますと同時に、自主規制団体においては、証券取引の公正円滑化の観点から、証券業務として正当なものと考えられる典型的な行為を明示していただこうと考えております。自主ルールは、証券会社の行為が正当な業務行為と認められる範囲で行われたかどうかを判断する際のガイドラインでありまして、私どもは、これが市場の公正化に資することを心から願っております。
 なお、大蔵省としてこれをそのまま受け入れるということではありません。その内容が適当であるかどうかにつきましては、法務省とも御相談をしながら判断していくことになります。
 また、顧客についての罰則についての御指摘がございました。
 証券会社の顧客につき清しては、市場仲介者としての公正性に係る義務は負っておりません。また、市場の正常な価格形成機能の保持につきましても、証券会社よりはその責任は軽減されるものと思います。このため、再発防止策の実効性を確保するという観点からは、要求して受け取るといった、証券会社に違法行為を行うよう求める行為を行った場合に刑事罰を科すことで必要十分と判断をいたしたところであります。
 また、暴力団との取引についての対策という御指摘をいただきました。
 先刻も御答弁したところでありますが、八月二十八日、警察庁から金融及び証券取引等における暴力団の介入排除について各業界団体あて要請を行いたい旨大蔵省に対しても御要請がありました。大蔵省としても、この御要請の趣旨を受け、暴力団の介入排除に向けての体制整備に努めるよう各業界団体あて指示をしたところでございます。私どもとしては、捜査当局による捜査の推移を注意深く見守ると同時に、今回の取り組みの効果も注視していく必要があると考えております。いずれにいたしましても、今後とも、暴力団対策法を所管される当局から御助言をいただきながら政府部内でよく相談し、対応に努めてまいりたいと考えます。
 また、最後に、私自身の責任のとり方についての御意見をちょうだいいたしました。
 総理から御指示を受け、再発防止に全力を尽くせというお言葉のもとに、現在全力を尽くしておるということのみ申させていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(土屋義彦君) 近藤忠孝君。
   〔近藤忠孝君登壇、拍手〕
#24
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、証券取引法等の一部改正案について質問いたします。
 証券・金融不正事件は、世界トップクラスの銀行、証券会社と事業会社が深く関与した日本資本主義の総汚染であり、不正に動いた資金量の大きさと手口の悪質さにおいて世界に例を見ないものであります。しかも、これらの大企業が暴力団と深くかかわりを持ち、腐敗と不正の大きさと深さを露呈したのであります。これを是正し再発を防止するためには、事件の全容を解明し抜本策を立てることが不可欠であり、かつ急務であって、当・面の部分的法改正だけで済ませられる問題ではありません。衆参両院における証人喚問などにより真相解明の端緒が開かれはしましたが、全容解明にはほど遠いものであります。
 我が党は、今必要な措置として、野村証券前会長の再喚問や前社長など十名の証人喚問を求めておりますが、これに反対している自民党の態度は国民の要求に著しく反するものと言わなければなりません。総理はまさか全容は解明されたと考えてはいないでしょう。国会で判断すべきことという決まり文句の答弁では済まされません。真相解明のために、自民党総裁としてこれらの証人喚問の実現に努力されるべきだと思いますが、見解を求めます。
 橋本大蔵大臣は証券取引ルールの不明確や検査・監視体制の不備など反省点を述べましたが、バブルをあおり異常な投機をつくり上げた政府の責任や証券業界との癒着など、もっと根本的なところにメスを入れなければ不正の根は絶てません。
 そこで、質問します。
 日本の証券市場は、安定株主工作による法人買いや時価発行による増資のための発行会社の高株価対策などで異常な投機体質となった上、四大証券会社の寡占状態による株価支配力など、既に不公正な市場と化していました。これが証券不正事件の基礎にあったことはだれも否定できません。これについてどう対処するつもりか、答弁されたい。
 特金やファントラの急増が企業のあり余る金を証券市場に流入させ、ただでさえ不公正な証券市場をさらに異常な株価高と異常な投機市場にしたことは歴然としております。これを促進したのが八〇年の国税庁の簿価分離を認める通達であることも明白であります。過剰投機と、それがもたらす大衆投資家の被害を防止する責任を持つ大蔵省が、その大切な時期に逆の政策により異常な投機を助長した責任をどう考えるのか、明確な答弁を求めるものであります。次に、補てんの問題であります。
 四大証券首脳は一様に、営業特金を解消するために通達違反を承知で補てんしたと証言しました。まさに通達が平然と無視され続けたのであります。通達に違反しても大蔵省は是認するという、癒着体質の反映にほかなりません。さらに、特別検査で、四大証券は九〇年四月以降も四百三十五億円もの補てんを続けていたことが明らかになりました。通達など、あってなきがごとしの状態だったのであります。これは大蔵省が補てんを是認してきたことの何よりの証拠ではありませんか。しかとお答えいただきたい。
 証券会社首脳は、補てんは営業特金解消のためのものと証言で弁解しましたが、営業特金の残高がわずかしか減っていないのは一体どういうことですか。証人としての証言に偽証があったことを疑わせるものであります。証券局長は営業特金を顧問つきに変えたと弁解していますが、それならばなぜその顧問つき特金で補てんがなされていたのですか。この事実をどう説明するのか、あわせて答弁を求めます。
 四大証券に対する特別検査の中間報告は、損失保証、利回り保証があったかどうかわからない、株価操縦については認定が困難というのであります。二カ月間も調査してこんな程度では、大蔵省の検査は極めて不十分であり、監視機関としての能力に欠けると言わざるを得ません。総理、大蔵省にその力があるとお考えですか。答弁を求めます。
 次に、暴力団の関与の問題であります。
 九月六日の証券特別委員会で、暴力団による東急電鉄株の買い占めに野村証券が深くかかわっていたのではないかと私が質問したのに対し、捜査当局は、協力したという認識を持っていると答弁しました。巨大証券会社が暴力団と結託して株価操作を行ったという、言語に絶する不正が行われた疑いが濃厚なのであります。にもかかわらず、大蔵省が認定困難などと言っているのは、監督官庁の責任放棄じゃありませんか。法務大臣、監督官庁がこういっていたらくでは、捜査機関が厳正な措置をとる必要があるのではありませんか。
 さて、本法案は、損失保証、損失補てん、利回り保証などを包括的に禁止し刑事罰を科すこと、投資顧問会社など第三者を通ずる補てんも禁止し、投資一任勘定取引の原則禁止など、国民の要求に沿うものであります。しかし、その反面、次のような不十分な点と重要な問題点を含んでいるので、以下質問いたします。
 まず、補てんの定義であります。政府は、通常のルールに基づいた行為は正当業務行為として罰せられないとしていますが、そのルールは証券取引所や日本証券業協会の作成する自主ルールに任せ、それも法案が成立した後作成されるのであります。罪刑法定主義と、国会は唯一の立法機関であるという憲法の大原則との関係で問題であります。政府は、この際、何が補てんであり、何がそうでないのか、その基準とルールを国会に対し具体的に明らかにすべきではありませんか。
 次に、顧客の責任でありますが、大蔵省の当初案からも大幅に後退し、処罰は顧客が要求した場合に限られます。顧客が要求したかどうかをどう確認するのでありますか。今回補てんを受けた者のほとんどが要求していないと言っていることをかんがみれば、補てんを受けた者の大半が処罰を免れる結果になりはしませんか。これで顧客責任を実効あらしめることができますか。
 また、罰則の軽さも問題であります。政府は答弁で、証券会社に対しては営業停止など行政的措置の効果が大きいと説明していますが、大蔵省の従来からの証券業界に対する甘い姿勢から、直ちにこれを信ずるわけにはまいりません。罰則を重くし、社会的、法的責任追及の実効性を持たせるべきではありませんか。
 政府は、今回の法改正は応急のものとして、近い将来抜本的な制度改正を行うとしていますが、行革審の答申では、新設される証券監視機関は国家行政組織法第八条の大蔵省の附属機関であり、その委員も大蔵大臣が任命します。しかも、国会は委員任命の同意権以外にかかわりを持ちません。証券不正に対する強力な監視機関とするためには、大蔵省からの完全な独立とともに、国会への報告制度など、国会の監視のもとに置くことが最小限必要であります。行政部門からの独立性、中立性を踏まえた検査・監視機関の設置を求めた衆議院証券・金融問題特別委員会の附帯決議を初め、新たに設置される監視機関は大蔵省から独立した機関とすべきというのは国民の共通した要求であります。総理の所見を求めます。
 最後に、本法案は証券不正再発防止の第一歩にすぎず、引き続き証人喚問など全容解明の努力をなすべきことを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(海部俊樹君) 近藤議員にお答えを申し上げます。
 今回の不祥事の実態につきましては、政府としても国会審議の場を通じて説明をいたしてきておるところでありますし、引き続きその実態を明らかにするように努めてまいる所存であります。本院においても特別委員会が設置され、真相解明に向け証人喚問を含め審議が行われてきたところと承知いたしておりますが、証人喚問につきましては国会においてお決めいただく問題である土考えております。
 また、監視機関について御意見がありましたが、大手四社に対し、七月十八日、一斉に特別検査に着手の後、三年三月期以降の損失補てん状況や損失保証、利回り保証の有無等について、証券会社の膨大な帳簿、書類等をもとに取引の状況を調査し、損失補てん状況について国会に対し中間報告を申し上げたところであります。引き続き、損失保証、利回り保証の有無等については調査を実施し、鋭意、実態の解明を図っていく所存であります。
 最後にお触れになった監視機関の性格の問題でありますが、証券市場に対する検査・監視体制のあり方については、行革審より答申を受け、その答申においては大蔵省に新たに行政部門から独立した検査・監視機関の設置が提言されているところであり、この機関は両議院の同意により任命される複数の委員によって構成される合議制機関であり、委員は独立して職権を行使するとされるなど、極めて独立性の高い機関となっているものと考えます。今後とも、答申を最大限に尊重して体制の具体的なあり方を検討してまいる所存ております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(橋本龍太郎君) 近藤議員からの御指摘が九点ございました。
 まず第一点、日本の証券市場は既に不公正な市場と化していたという御指摘であります。
 大蔵省といたしましては、これまでも、内部者取引規制、株券等の大量保有の状況に関する開示制度など、市場の透明性、公正性確保のため各般の措置を講じてまいりました。今般の証券会社に係る一連の不祥事態の再発防止の観点からも、現在損失補てんの禁止等を内容とする証取法改正案を国会に御提案申し上げておるわけであります。これにとどまらず、証券会社、証券市場につきまして私は五つの問題点を列挙いたして。まいりましたが、その一つ一つを謙虚に受けとめながら、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
 また、簿価分離の通達のお話が出てまいりました。
 御指摘の通達は、金銭の信託一般に係る有価証券の評価に関する取り扱いを定めたものでありまして、金銭の信託をした場合、その信託金の運用として取得した有価証券につきまして、手持ちの有価証券と区分して評価することができるとするものであります。その趣旨は、同一銘柄の有価証券のすべてについて、手持ちの有価証券と金銭の信託に係るものを簿価通算することは実務的に大変であり実際的でないということから、信託制度と法人税上の取り扱いの調和を図り適正な課税の実現を図ることを目的として、中立的な立場から昭和五十五年に定められたものであります。
 その簿価分離が認められております特金、ファントラなどの残高が大幅な伸びを示しましたのは、信託銀行などの運用ノーハウを利用し、かつ投資家の事務負担が軽減できる特金、ファントラの特徴が当時の企業ニーズに合致したものと考えられます。さらに、平成元年末までの株価上昇局面につきましては、金融緩和と景気の着実な拡大などを背景に、法人部門はすべて買い越しとなっておりまして、法人が全員参加した形で株価が上昇しておりました。したがいまして、御指摘のような問題とは違う、そのように私は理解をいたしております。
 また、大蔵省は補てんを是認していたという御指摘がございましたが、そのような事実はございません。
 また、営業特金の残高の問題についてお触れになりました。
 確かに、顧問なし営業特金の残高はそれほど減少しておりませんが、元年十二月の通達、事務連絡は、顧問なし特金が売買一任的に運用されていることが損失補てんなどの温床となるおそれがあると考えまして、顧問なし特金の適正化を図る見地から、顧問つき特金に切りかえること及び顧問なし特金の場合には顧客との間で確認書を取り交わすことを指導したものでありまして、必ずしも顧問なし特金口座自体の解消を求めたものではないことは議員御承知のとおりであります。大蔵省としては、顧問なし特金につきましてはこの確認書の受付入れを強く指導してまいりましたが、事務連絡において適正化の期限とした二年十二月末現在におきまして、九九・七%の口座について確認書の受け入れを完了いたしております。
 また、顧問つき特金についての御意見もございました。
 投資顧問会社に対しましては、私どもは独立性の維持確保に努めてまいりましたし、このような努力を踏まえ、平成元年十二月の通達におきまして、いわゆる営業特金について、資産運用の専門機関たる投資顧問会社との契約に移管するよう指導をいたしました。しかし、今回、顧客との関係等を考慮した親証券会社により多量の投資顧問づき口座に損失補てんが行われましたことは、資産運用の専門機関たる投資顧問会社の独立性の維持確保に向けての取り組みが必ずしも十分でなかったということはそのとおりであります。このような認識のもとに、投資顧問会社の親会社からの独立性をさらに一層確保するため、投資顧問会社が顧客の文書による事前の了解を得ずして親会社と証券取引を行うことを禁止するとともに、人的、資本的な面における親会社からの影響を極力薄めるよう一層指導を強化してまいりたいと考えます。
 また、野村の暴力団とのかかわりの問題についての御指摘がございました。
 お尋ねの点につきましては、大蔵省としても特別検査において調査を行ってまいったところでありますが、現在までのところ、暴力団関係者による大量の東急電鉄株式の取得と、その後の同株式の株価急騰とを結びつける証拠が得られておりません。野村証券による同株式の売買が、暴力団関係者のためにその株価を高騰させることを意図して行われたとの確証も得られておりません。この問題につきましては、今後とも引き続き調査してまいりたいと考えております。
 また、補てんのルールについてのお尋ねがございました。
 先刻来御答弁をいたしておりますので、長々と繰り返すつもりはございませんけれども、損失補てんの定義はこれ自体法的に明確なものでありますし、同様のものは他の立法例にもございます。損失補てんの定義と自主ルールは直接的には関係のないものと、そのように思考いたしております。
 また、本改正案におきまして、要求とは相手側に一定の行為を求めることでありまして、文書によるか口頭によるかは問いません。また、要求の有無の立証は司法当局においてなされるところでありますが、客観的な証拠等を踏まえ立証されるものと承知をいたしております。証券会社の顧客につきましては、市場仲介者としての公正性に係る義務を負っておられないこと、市場の正常な価格形成機能の保持についても証券会社と同等の責任を有してはおられないこと、こうしたことから、再発防止策の実効性を確保するという観点からは、要求して受け取るといった証券会社に違法行為を行うよう求める行為を行った場合に刑事罰を科すということで必要かつ十分と考えております。
 また、罰金額の問題につきましては、先刻来お答えを申し上げてまいりましたように、法制審の御結論を得次第、大蔵省としては改めてその引き上げを御審議いただきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣左藤恵君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(左藤恵君) 近藤議員のお尋ねに対しましてお答えを申し上げたいと思います。
 野村証券によります東急電鉄株の取引に関します株価操作事件につきましては、東京地検が証券取引法違反の告発を受けまして現在捜査中であり、所要の捜査を遂げまして適正に処理するものと、このように考えておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(土屋義彦君) 池田治君。
   〔池田治君登壇、拍手〕
#29
○池田治君 私は、連合参議院を代表して、ただいま議題となりました証券取引法等の一部を改正する法律案につきまして、総理及び関係大臣に対し次の質問をいたします。
 まず、総理にお尋ねします。
 今回の改正案の柱となっている損失保証や損失補てんの禁止、取引一任勘定取引の禁止などの一部改正では、不祥事の再発防止はもちろんのこと、証券市場の公正性と健全性に対する投資者の信頼を回復することは不可能であり、問題解決にはほど遠いと思われます。総理はこの程度の改正で十分だとお考えになっているのかどうか、まずお尋ねを申し上げます。
 次に、法務大臣にお尋ねします。
 今回の改正案の罰金は、軽過ぎて、不祥事の再発防止という抑止力には役立ちません。もともと、我が国の法律は経済犯に対する罰則規定が軽過ぎると多くの学者や有識者から言われているのに、なぜこのような規定になったのか不可解であります。今回の損失補てんは、現在までに明らかになっている各証券会社の金額を合計すると、二千億を超えることになります。こんたに多額な経済犯に対して、補てんをした証券会社には罰金百万円以下、顧客には五十万円以下という程度では、何の効果も生じないことを断言してはばかりません。
 アメリカのSEC、証券取引委員会の定めたペナルティーは、個人に対しては五万ドルまで、法人に対しては十万ドルまで、さらにインサイダー取引にお倉ましては百万ドルまでの制裁金が科せられることになっております。我が国におきましてもこの程度の罰金もしくは制裁金を科さなくては、多額な経済犯に対する抑止的効果は上がらないと思いますが、法務大臣の御所見をお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、大蔵大臣にお尋ねします。
 我が国の証券業界は、過去十年間、証券市場の拡大と大蔵省の過保護行政を背景として急成長を遂げ、大手証券会社は世界最大の取引額と資金力を持つほどに急成長しました。との急成長の直接の要因は、我が国の経済が急成長したのに加えて、証券会社の固定的手数料に支えられた超過利益であります。一千億の時価発行増資を引き受けた証券会社には、三十億円余の手数料収入がございます。その上、野村、日興、山一、大和の四大証券会社は五%協定なるものまでつくって、どこか一社が引き受け参加できなくても最低五%のシェアは主幹事会社が融通するという、カルテルまがいの協定をして過剰利益を得てきたと言われております。このあり余る利益があったからこそ損失補てんもできたのではないでしょうか。利益のないところには損失補てんはできません。
 そこで、証券会社の過剰利益を縮小して適正な利益を図ることとし、さらに市場における証券会社間の公正な競争を促進させるため、引受手数料を含めた手数料体系を完全に自由化もしくは弾力化すべきであると考えますが、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に重要なことは、大蔵省の証券会社に対する過度の干渉となれ合いを防止するためには、免許制を登録制に切りかえる必要があります。
 登録制から免許制に変わったのは、昭和四十年の五月二十八日、証取法改正のときからでございます。当時の証券会社は株式不況で経営の不安定な時期でありました。したがって、登録制から免許制に変えて、大蔵省や日銀が積極的な干渉や支援をする必要があったのであります。日銀は、経営不振で免許制の条件を満たさない証券会社に対しては多額の融資をして条件を充足させ、大蔵省は)証券会社間の合併を勧めて免許の条件を満たしたと言われております。
 このような改正当時の経済社会の背景と経済大国となった現在とでは全く異質のものがあるので、免許制に固執する必要はないと思料いたします。免許制のもとでは、証券会社に免許を与えた以上、大蔵省は倒産やトラブルを未然に防止する監督責任が出てまいります。そこで大蔵省は証券会社に干渉し、決算指導など経営の根幹についても口出しするようになり、次第に証券会社の自己責任の感覚を麻痺させてきたことも否定できない事実であります。もちろん、このなれ合いを通じて、大蔵省は株式の発行や流通市場をコントロールし、証券経営の安定、ひいては投資家リスクの未然回避に寄与してきたことも事実でございます。
 しかし、大蔵行政の範囲は一般投資家や会社には及びません。証券会社を通じてしかコントロールできないのに、証券業界を通じて証券流通全体の問題解決を図ろうとするところに無理があります。また、免許制のもとでは市場への新規参入が事実上不可能であるため、既存業者の既得権益を生みやすい体質にたっております。
 市場における業者間の競争の促進を図るためにも、現行の免許制を廃止し、一定の資格条件を明確にして、この条件を満たすことを前提として登録制に移行すべきではないでしょうか。大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 現在大蔵省が行っている検査制度にも問題があり、これを抜本的に見直す必要があります。
 今回の証券不祥事は、我が国の証券市場が不透明であり、公正、公平に機能するルールが確立されていなかったことが大きな原因であります。これに加えて、利益至上主義に陥り、モラルの欠如した企業が存在しているのに、適切な市場監督ができなかった大蔵省の側にも大きな原因と責任があったと言わねばなりません。このような不祥事の再発を防止し公正な証券市場を確立するためには、証券業者の指導行政と市場の監督行政を分割し、大蔵省から独立した第三者機関としての市場監視機関の創設が必要でございます。さらに、その機関には、実効性ある監視行政ができるようにするため、強制捜査権、規則制定権など、準司法的権限を持ったものにすべきだと考えます。
 さきに出されました行革審の答申では、私のこの見解と異なる内容の意見書が出されておりましたが、大蔵省はどのようにお考えになるか、お伺いをいたします。
 最後に、大蔵大臣は今回の証券・金融不祥事の責任をとって辞任することをほのめかされてから、もう二カ月が過ぎようとしております。世間では辞任のタイミングを失したのではないかともささやかれ、国民の大きな関心事となっております。総理・総裁候補として宿望されている有能な大蔵大臣の辞任は国家的損失のようにも思われますが、証券・金融行政の最高責任者として、深くけじめをつけられることもまた重要であると思わ
れます。この証取法の改正が成立した後には辞任されるのかどうか、現在の御心境を国民の前に披瀝されるよう要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(海部俊樹君) 池田議員にお答えをいたします。
 政府としては、今般明らかになった証券業界の一連の不祥事件の再発を防ぐとともに、国民の信頼を回復するため、ただいま全力を挙げて取り組んでおるところでございます。そのため、直接的かつ緊急の措置として損失補てんの禁止を含む証券取引法の改正法案を国会に提出し、ただいま御審議をお願いしておるところでございます。
 さらに、先般、行革審において「証券・金融の不公正取引の基本的是正策に関する答申」が取りまとめられ、抜本的改革のための諸方策が示されたところであります。政府といたしましては、この答申を最大限に尊重し、今回のような不祥事の再発防止を図るとともに、証券市場の透明性、公正性の向上と、御指摘のような内外の信頼の回復のために全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 残余の質問に関しては関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(橋本龍太郎君) 池田議員からの御指摘は四点ございました。
 第一点は、各種の手数料の関係についてであります。
 まず、株式の委託手数料につきましては、その自由化につきまして、行革審答申に沿い、小口投資家への影響等にも十分配慮しながら、資本市場の健全な発展を図る観点から検討を進めてまいりたい、先刻来御答弁を申し上げたとおりであります。また、引受手数料等発行に係る諸手数料は、制度的には発行体と引受証券会社等との間で自由に設定できるものでありますから、大蔵省として、個々の発行について引き受けリスク等を基本に弾力的な決定が行われるよう、今後とも関係者に働きかけてまいりたいと思います。その他各種手数料につきましても、そのあり方につきまして今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、登録制への切りかえという御主張がございました。過去の登録制から免許制に移行した経緯は、議員が既に御指摘になりましたとおりであります。しかし、免許制といえども新規参入を抑制するものではありませんし、適格性を有する者に対し参入を認めるべきであることは当然であり、今般の行革審答申の御指摘を受け、今後、免許基準をできるだけ具体化、明確化することを検討して新規参入の促進を図りたいと考えておりますが、こうした措置を講じましてもなお十分な成果が期待できないと認められるような場合には、改めて免許制の是非についても中長期的な課題として検討してまいりたいと思います。
 また、行革審答申について御指摘がございました。
 委員の御指摘とは私は多少視点を異にしておりまして、今回の行革審答申、殊にその中で検査・監視体制についての御提言というものは、大蔵省にとりましてはまことに厳しいものであると受けとめております。
 答申において提言をされました国家行政組織法第八条に基づく新たな検査・監視機関が、複数の委員から構成される合議制の機関であり、委員の任命について両院の同意が必要であること、独立して職権を行使されること、特定の場合を除き意に反して罷免されることがないこととされるなど、大蔵大臣から個々の職権遂行について指揮・監督を受けない独立の立場に立つ機関となっております。また、その下に専属の事務局を持つと同時に、大蔵大臣のもとに残される検査部門をも統括されることになっておりまして、さらに、これらの検査結果に基づいて大臣に対する勧告、建議を行うこととされております。
 この答申の内容というものは、極めて独立性の高いものでありますし、大蔵省として極めて厳しいものと受けとめておりますが、今回の経緯を考えますとき、この答申を最大限に尊重するという基本的な考え方のもと、私どもとして、今後、検査・監視体制の見直しに努力をしてまいりたいと考えております。
 また、私の進退についてお触れをいただきました。大変御心配をかけて恐縮であります。心からお礼を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣左藤恵君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(左藤恵君) 池田議員にお答え申し上げたいと思います。
 今回の改正案を罰則の法定刑、これは、既存の証券取引法の各罰則の法定刑との均衡等に照らしまして妥当なものであると考えております。
 いわゆる法人重課の問題につきましては、現在、法制審議会で御審議をいただいているところでございますが、法制審議会の議論の方向が見定められました段階におきまして、大蔵省からその方向に沿った改正案の御協議がございましたら、これにできるだけの御協力を申し上げる、このように考えているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○副議長(小山一平君) 三治重信君。
   〔三治重信君登壇、拍手〕
#34
○三治重信君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、証券取引法及び外国証券業者に関する法律の一部を改正する法律案について、総理及び大蔵大臣に質問を行います。
 六十年九月のプラザ合意以来、三カ年余りの間、低金利政策が行われ、またマネーサプライの伸び率が一〇%台と高い水準にありました。その結果、資金が不動産と株に向かい、バブル経済となったのであります。大口法人及び団体等に対する損失補てんや暴力団との取引等の証券不祥事、銀行の架空預金、不正融資などの不祥事という、我が国の自由市場経済の根幹を揺るがす大事件が生じたのであります。また、世界に対する我が国の金融・証券市場の信頼を失墜させました。損失補てん先リストの早期公表、国会における証人喚問、参考人質疑を通じて不祥事の実態が相当明らかになったことは、適切な処置であったと考えております。
 世界に通用する市場の公正性、透明性等の健全な金融・証券市場をどう確立していくかという視点から、政府にお尋ねいたします。
 第一は、今回の改正案には含まれていない校章・監視機関の創設についてであります。
 九月十三日の臨時行政改革推進審議会の「証券・金融の不公正取引の基本的是正策に関する答申」の趣旨を明年度に実現すると約束できますか。実施に当たり、証券・金融検査委員会の設置と証券会社等の経営検査を分離することは責任所在を不明瞭にするものと思われるが、どうでしょうか。
 次に、損失保証、損失補てん等を行った証券会社は一年以下の懲役または百万円以下の罰金、損失保証、損失補てん等を要求し、または第三者をして要求させた顧客は六月以下の懲役または五十万円以下の罰金とたっておりますが、罰金刑はいかにも軽いのであります。改正案の罰金の量刑は、他の法令との均衡上やむを得ないとの法務省の見解と説明されております。法務省では、目下、法制審議会で財産刑のあり方について審議が行われており、近く答申がなされるとのことであります。罰金刑は、行為者と法人等への罰則を切り離し、法人等の罰則を重くする考えと聞いておりますが、刑罰について早急に再改正を考えていると承知してよろしいでしょうか。
 世界の三大市場の一つとたった経済大国日本が、世界に通用する市場の公正性、透明性を持った金融・証券市場を持たなくてはなりません。それには、検査・監視機関の独立性を持つことと、罰則の量刑が法人等においてその経営が脅かされるほどの多額の罰金てたいと不正行為は防止できないと考えております。この二点は証券・金融業界の改革の眼目であろうと考えますが、いずれも先送りとなっております。総理及び大蔵大臣のこの問題処理の決意をお伺いいたします。
 第二は、免許制の改革と手数料の自由化についてであります。
 免許制に法改正をしたのは昭和四十年で、業者数二百七十七でした。今日二百十七、このうち五十の外国法人が含まれております。二十六年間に六十社の減、新規免許四件、取り消し一件というのは、余りにも時代の変化に順応がなく、四大証券の寡占化が進み、なれ合いの横行となり、業界の正常化と逆行する方向に進んでおりませんか。新規参入を奨励することが必要でありませんか。銀行業界からの進出を認めたらどうかと思います。金融、証券の交互交流の方向にも役立つと思うが、どうでしょうか。証券と金融、別々の審議会を合併してまとめた刷新策を審議したらどうでしょうか。
 ニューヨーク、ロンドン市場のごとく手数料の自由化が行われていたら、今回の損失補てん問題は起こらなかったろうと言われております。我が国の実際を見るに、手数料は取引量の多寡により幾段階にもわたって低減額が定められておりますから、果たして手数料の自由化で機関投資家や大法人の手数料がどれくらい低くなるか、にわかに断定しがたいのであります。しかし、手数料を大蔵省が一方的に定めていることは、手数料の割引を禁止していることになり、自由競争に反することになります。手数料は標準を証券業協会の自主的規定に任せ、弾力的に運営することが望ましいと考えておりますが、どうでしょうか。
 手数料の自由化は、個人投資家に急に大きな負担をかけないよう配慮することが必要と考えます。免許制の弾力的運用及び手数料の自由化、について、大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
 第三は、行政と証券業界との癒着の是正についてであります。
 証券局と四業社社長会、十社社長会の懇談会等、九種類もの懇談会が毎月一回すつ行われております。これらを廃止して業界との癒着の是正を図らなければなりません。通牒や口頭指示をやめて、取引所や証券業協会の規則と自主ルールの定め及び検査にゆだねるべきだと思います。
 本年七月の大蔵省証券局長から日本証券業協会会長あてに発した「有価証券の取引一任勘定の取引について」及び「証券会社の社内管理体制の強化等について」の二つの通達が出されております。この通達は、いずれも証券業協会が協会の規則として制定実施すべきと考えられますが、どうですか。通達を協会の規則化すべく指導し、実施を図ることが筋と考えるのであります。特に、証券監督者国際機構の七つの行為規範原則の我が国への適用が業界に徹底されれば、国際的にも通用し、信用を得ると考えられるが、どうでしょうか。
 次に、暴力団との関係をいかにして絶つか。
 暴力団は総会屋や寄附依頼から資金力を持ち、株や債権の担保を提供して融資を受け、証券取引に参入しようとしております。名義を変えたり、上層部に直接接触する等、巧妙な手段を用いて投機的証券取引に参入しております。業界における顧客管理を一層厳格化し、特に業界指導者層の暴力団に対する認識をしっかりしなければなりません。暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の運用について、警察当局と大蔵省及び証券業協会は密接な連携を保つことが必要と考えるが、野村証券の例に徴して、これらが対策を勉強せられたいのであります。指導者の決意が必要と考えるが、総理の所見をお伺いいたします。
 第四は、銀行の不正行為の撲滅対策であります。
 金融緩和と証券の時価発行による大企業等の投資資金の自己調達等、バブル経済により銀行は土地金融に走り、不動産投資が地上げ屋、ノンバンク等に利用され、首都圏を中心に大都市の土地の暴騰を招き、社会経済に大損害を与えております。今日、都市銀行における架空預金、にせ証書担保等による十億、百億円単位の不正融資が頻発しております。また、信用金庫、ノンバンク等、土地融資の固定化と資金回収難等から経営危機に陥りつつあります。
 政府は、預金業務を扱う金融機関について、経営危機が訪れると、政府、日銀一体となってひそかに合併や吸収対策を行って倒産を予防しております。このことが、金融機関は絶対に大蔵省、日銀はつぶさないという経営首脳部の甘えを招いて、経営散漫や不良貸し付けの横行となっております。かかる経営者に対し、責任を追及すべきではないでしょうか。また、架空預金やにせ証書担保による不正融資について首脳部の経営責任を追及すべきだと考えますが、大蔵大臣の所見をお伺いしま玄
 バブル経済が終局に向かっているとき、いつ経営危機が訪れるとも限りません。早く一応のけりをつけたいところであります。したがって、残された重要な対策を速やかにとられまして、我が国の金融、証券が経済大国にふさわしい機能を発揮することができるよう御努力されることを特に希望して、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(海部俊樹君) 三治議員にお答えを申し上げます。
 最初に、先般いただきました行革審答申におきましては、大蔵省に新たに行政部門から独立した八条委員会を設置することを含め、新たな検査体制、監視体制を早急に確立する必要があると提言されているところでありまして、政府は答申を最大限に尊重し、御指摘のとおり、可能な限り早い段階に新たな検査・監視体制について成案を得るよう努力をしてまいる考えでおります。なお、今後の検討に当たりましては、答申を踏まえて、検査の責任の所在について不明確とならないように十分配慮をしてまいりたいと考えます。
 また、罰則にお触れになって、なまぬるいのではないかと御指摘がございました。
 証券会社による損失補てんなどのような、いわば企業犯罪と言われる類型の行為に対する法定刑のあり方について、現行の法定刑では不十分であるとの意見がありますことはよく承知をいたしております。この問題は刑事罰全体のあり方にもかかわるものであり、現在行われております法制審議会での議論を踏まえまして、適切に対処をしてまいることにしております。
 また、暴力団新法の運用に当たって、警察当局と大蔵省及び証券業界は密接な連携を保つことが必要ではないかとのお尋ねがございました。
 そのとおりでございますし、また、そのとおりと考えてただいまも行っておりますが、今後とも御質問の御趣旨を踏まえて対処してまいりたいと考えます。
 さらに、金融機関の不正行為について経営首脳部の責任を追及すべきではないかとお触れになりました。
 業務の公共性にかんがみて、最近、金融機関職員の不祥事が連続して発生したことは、御指摘のとおり、まことに遺憾なことでございます。ただ、これらの不祥事は既に告訴されまして、司法当局による真相解明が進められておりますしかるべき時期において、当該銀行みずからが経営責任を明らかにするものと承知をいたしております。
 残余の質問については関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(橋本龍太郎君) 三治議員からちょうだいいたしました御質問にお答えをいたします。
 まず、今回の行革審答申についてでありますが、今回の証券不祥事の反省の上に立ち、非常に厳しい指摘、御提言をいただいておるわけでありますが、中でも、特に検査・監視体制のあり方についての御提言というものは、大蔵省にとって非常に厳しい内容である、先ほど来お答えを申し上げてきたところであります。この行革審の御答申というものを私どもが最大限尊重するという基本的な考え方のもとに、今後、各方面の御意見を伺いながら、検査・監視体制の見直しのための検討、準備を広範な視点から具体的に進めてまいる考え方であります。その際には、委員が御指摘になりましたような責任の所在についても、不明確にならないよう十分配慮してまいりたいと考えております。
 また、第二点目、法制審の答申を受けた後の法人税の罰則に対する取り組みについて御指摘がございました。
 大蔵省といたしましては、今後、法制審議会の御論議の結論を踏まえまして、法人の罰金刑の引き上げについての法案を提出させていただきたいと考えております。
 また、免許制のあり方についての見直しの視点の御指摘がございました。
 国際的な金融自由化の中で、行政が業界の保護育成に重点を置き過ぎたのではないかという御批判があることは十分認識をいたしておるところでありまして、こうした認識に立ち、金融制度改革の推進などを通じて適正な競争原理の活用を図るとともに、免許基準についてできるだけ具体化、明確化する方向で見直していきたいと考えております。
 また、銀行による新規参入についての御指摘がございました。
 大蔵省といたしましては、損失補てんなどの問題で失った投資家の証券市場に対する信頼を回復するためにも、証券市場における有効で適正な競争を促進する必要があると考えておりまして、本年六月の証券取引審議会、金融制度調査会の報告、答申を踏まえ、銀行による新規参入の問題についても具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、この審議会の統合についての御指摘がございました。
 しかし、これは既に議員よく御承知のように、よりよい金融資本市場の構築を目指しております両審議会でありますが、金融制度調査会におきましては金融制度のあり方の観点から、証取審におきましては資本市場のあり方の観点から検討を行っておりまして、その視点が異なっております。本年六月、両審議会におきまして金融資本市場における有効適正な競争を促進すべきという御提言をちょうだいいたしておりまして、大蔵省としては、今後、両審議会の検討結果をも踏まえたがら、金融制度改革を着実に進めてまいりたいと考えております。
 また、免許制の弾力的運用及び株式手数料の自由化についてお尋ねがございました。
 今回の行革審答申におきましては、積極的に新規参入を図るという観点から、免許基準をできる限り具体化、明確化する方向で見直す必要があると指摘されておりまして、今後、免許基準をできるだけ具体化、明確化することを検討してまいりたいと考えております。また、手数料問題につきましても、行革審答申に沿い、小口投資家への影響等にも十分配慮しつつ、資本市場の健全な発展を図る観点から検討を進めたいと考えております。
 また、四社社長会等についての御指摘がございました。
 当局としては、四社に限らず、中堅ないし外国証券会社とも適宜意見交換の場を設けて証券行政についての説明を行い、業界の理解を求めることとしてきたところでありますし、今後とも必要な場合には円滑な証券行政を推進するための意見交換の場は設けていくと考えますけれども、定例的な会合については行わないこととしたいと思います。
 また、自主ルールにもっと大きぐゆだねろという御指摘がございました。
 先刻来御答弁を申し上げておりますように、現在、通達などの全般的な洗い直しをいたしております。具体的には、通達等のうち法令化すべきものにつきましては、その性格に応じて可能な限り法令化し、自主規制団体の規制にゆだねるべきものにつきましては、証券取引所、証券業協会の規則等に盛り込むと同時に、口頭による行政指導については原則として廃止するなどの検討を進めておりまして、こうした中において自主ルールにより積極的にゆだねてまいりたい、そのように考えております。
 また、IOSCOの行為規範原則につきましては、証券取引審議会において御審議を願い、去る六月十九日にIOSCOの行為規範原則の我が国への適用について御報告をいただきました。この趣旨に沿い、この徹底を図ることとしておりまして、適合性の原則に関連し、取引一任勘定取引の禁止を現在お願いしている証取法の改正案の中に盛り込んでおるところであります。その他の提言につきましても、今後、規定の整備等を図ることとしてまいりたいと考えております。
 また、金融機関の土地関連融資につきましては、御承知のように今日まで総量規制等を実施してまいりましたが、こうした規制の効果は着実に浸透してきつつあると考えておりまして、今後とも、公共性の発揮を求められる金融機関が社会の信頼を損ねることのないよう、その適正な業務運営の確保につき引き続き厳正な指導に努めてまいりたいと考えております。
 土地関連融資につきましては、本年一月二十五日閣議決定をされました総合土地政策推進要綱に沿って、適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、不正融資、銀行における架空預金等についての御指摘がございました。
 当局といたしまして、今般の金融機関の偽造預金事件等の再発防止及び金融システムの信頼回復のための総合対策の一環として、既に全銀協等業界団体に対し内部管理体制のあり方の検討等を求めてまいりました。これを受けて全銀協では、九月三日、七項目にわたる検討事項を発表し、再発防止策として特に緊急を要する事務管理体制の見直し、ノンバンク等を利用した協力預金自粛の申し合わせ、他行預金担保融資の厳正化、検査専門委員会の設置につき、既にその具体策を公表いたしております。また、全国信用金庫協会におきましても、同様、ノンバンクを利用した協力預金の自粛、他行預金担保融資の厳正化について所要の措置を講じております。今後も最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。(拍手)
#37
○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#38
○副議長(小山一平君) 日程第一 借地借家法案
 日程第二 民事調停法の一部を改正する法律案
  (いずれも第百二十回国会内閣提出、第百二十一回国会衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長鶴岡洋君。
   〔鶴岡洋君登壇、拍手〕
#39
○鶴岡洋君 ただいま議題となりました二法案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 まず、借地借家法案は、借地法、借家法及び建物保護に関する法律を総合した単行法を制定し、現行法の基本的な枠組みである借地権の存続期間、借地借家契約の更新等の仕組みを見直してより公平なものとするほか、新しい類型の借地借家関係を創設するなどの改善を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、普通借地権の当初の存続期間を三十年、更新後の存続期間を十年とすること、借地借家関係の解消の要件である正当事由を明確にすること、更新のない定期借地権の制度を認めること、更新のたい確定期限の借家の制度を導入すること等であります。
 なお、衆議院におきまして、借地権の更新後の存続期間を十年としていたのを、最初の更新に限り二十年とする等の修正が行われております。
 次に、民事調停法の一部を改正する法律案は、宅地の地代及び建物の家賃についての紛争を調停をもって迅速かつ適正に解決することを促そうとするものでありまして、その主な内容は、地代及び家賃についての紛争がある場合に、原則として調停を経なければ訴訟を提起することができないとする調停前置主義をとることとするものであります。
 なお、衆議院におきまして、調停委員会の決定に従う旨の当事者の書面による合意は、調停申し立ての後にされたものに限るものとするとの修正が行われております。
 委員会におきましては、両案を一括して議題とし、公聴会を開催し、土地問題に関する特別委員会との連合審査を行うとともに、新法制定の必要性、普通借地権の存続期間の根拠、正当事由の中の立ち退き料の意義、定期借地権の利用可能性、民事調停の今後の体制づくり等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して橋本委員より両案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、両案を順次採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案に対しましては、既存の借地借家関係には更新等の規定は適用されないことの周知徹底を求めること等を内容とする附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(小山一平君) これより採決をいたします。
 まず、借地借家法案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#41
○副議長(小山一平君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 次に、民事調停法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#42
○副議長(小山一平君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト