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1991/09/26 第121回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第121回国会 科学技術委員会 第1号
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1991/09/26 第121回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第121回国会 科学技術委員会 第1号

#1
第121回国会 科学技術委員会 第1号
本国会召集日(平成三年八月五日)(月曜日)(
午前零時現在)における本委員は、次のとおりで
ある。
  委員長 中馬 弘毅君
   理事 佐田玄一郎君 理事 渡海紀三朗君
   理事 光武  顕君 理事 村井  仁君
   理事 山本 有二君 理事 関  晴正君
   理事 辻  一彦君 理事 近江巳記夫君
      今井  勇君    小沢 一郎君
      大野  明君    河野 洋平君
      塚原 俊平君    羽田  孜君
      渡瀬 憲明君    大畠 章宏君
      佐藤 観樹君    渋沢 利久君
      松前  仰君    森井 忠良君
      長田 武士君    吉井 英勝君
      永末 英一君
―――――――――――――――――――――
平成三年九月二十六日(木曜日)
   午前十時一分開議
出席委員
  委員長 中馬 弘毅君
   理事 佐田玄一郎君 理事 渡海紀三朗君
   理事 光武  顕君 理事 村井  仁君
   理事 山本 有二君 理事 関  晴正君
   理事 辻  一彦君 理事 近江巳記夫君
      河野 洋平君    塚原 俊平君
      渡瀬 憲明君    大畠 章宏君
      森井 忠良君    長田 武士君
      吉井 英勝君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長 山東 昭子君
        官)
 出席政府委員
        科学技術政務次 二木 秀夫君
        官
        科学技術庁長官 林  昭彦君
        官房長
        科学技術庁科学 須田 忠義君
        技術政策局長
        科学技術庁科学 長田 英機君
        技術振興局長
        科学技術庁研究 井田 勝久君
        開発局長
        科学技術庁原子 石田 寛人君
        力局長
        科学技術庁原子 坂内富士男君
        力安全局長
        科学技術庁原子 谷   弘君
        力安全局次長
 委員外の出席者
        原子力安全委員 内田 秀雄君
        会委員長
        警察庁刑事局保 中田 好昭君
        安部保安課長
        文部省学術国際 雨宮  忠君
        局学術課長
        文部省学術国際 西澤 良之君
        局留学生課長
        厚生省薬務局安 海老原 格君
        全課長
        工業技術院総務 平松 博久君
        部計画課長
        資源エネルギー
        庁長官官房省エ
        ネルギー石油代 上田 全宏君
        替エネルギー対
        策課長
        資源エネルギー
        庁公益事業部原 篠原  徹君
        子力発電課長
        資源エネルギー
        庁公益事業部原 荒井 行雄君
        子力発電安全管
        理課長
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管 藤井 隆宏君
        理課原子力発電
        安全企画官
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管 中村  進君
        理課原子力発電
        運転管理室長
        気象庁地震火山
        部地震火山業務 森  俊雄君
        課長
        郵政省通信政策
        局技術開発推進 飯田  清君
        課長
        建設大臣官房技 青山 俊樹君
        術調査室長
        建設省道路局国 溝口  忠君
        道第二課長
        消防庁特殊災害 山野 岳義君
        室長
        科学技術委員会 松尾 光芳君
        調査室長
    ―――――――――――――
委員の異動
八月二十一日
 辞任         補欠選任
  大畠 章宏君     串原 義直君
  吉井 英勝君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  串原 義直君     大畠 章宏君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     吉井 英勝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中馬委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興の基本施策に関する事項
 原子力の開発利用とその安全確保に関する事項
 宇宙開発に関する事項
 海洋開発に関する事項
 生命科学に関する事項
 新エネルギーの研究開発に関する事項
以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#4
○中馬委員長 この際、二木科学技術政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。二木科学技術政務次官。
#5
○二木政府委員 先般、科学技術政務次官を拝命いたしました二木秀夫でございます。
 科学技術の振興を図ることは、二十一世紀に向けて、我が国及び世界が発展を遂げ、平和で豊かな社会を築いていくために不可欠な最重要課題の一つであります。特に近年、我が国は科学技術により世界に貢献していくことが求められており、これにこたえることが我が国の責務となっております。
 科学技術の振興の重要性が高まっているこの時期に科学技術政務次官に就任するに当たり、大臣を補佐しながら全力を尽くしてまいりたいと考えております。この委員会の委員長、また各委員の
皆様におかれましては、よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。よろしくお願いをいたします。(拍手)
#6
○中馬委員長 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。
#7
○佐田委員 自由民主党を代表いたしまして、最初に質問をさせていただきます。
 まず最初に、先ごろ国際原子力機関、IAEAの総会がウィーンで開催され、大臣が我が国の首席代表として出席されたと聞いております。
 そこで、今回の総会においてどのようなことが議論されたか、まずもってお伺いさせていただきます。
#8
○山東国務大臣 今回のIAEA総会におきましては、イラクの保障措置協定違反等を契機として、核不拡散及びIAEA保障措置の信頼性に関する国際的な関心が表明されるとともに、原子力安全に関してもソ連、東欧の原子力発電所の安全性を中心に活発な議論が行われました。
 私は、政府代表演説の中で、核不拡散条約及びIAEA保障措置協定の未締結国に対し早期締結を促し、また、保障措置の信頼性向上のための特別査察の活用の検討等を提案するなど、核不拡散体制の強化の重要性を指摘し、さらに原子力の安全性向上に関しても、国際的な協力の強化などを訴え、我が国としても本分野に関し今後積極的かつ主体的に貢献していく姿勢を表明いたしました。
 今回の総会を契機に、核不拡散体制の強化、原子力の安全性向上に係る国際協力の重要性に対して各国の認識がますます深まる中、我が国といたしましても、原子力先進国としてその国際的な役割を積極的に果たしてまいりたい、このように考えております。
#9
○佐田委員 先進国の日本におきましては、原子力に対する体制、そしてまた安全性、これは大事なことであろうと思われます。大臣におかれましては、これからもぜひとも進めていただきたい、かように思うわけでございます。
 次に、我が国のエネルギー問題について御質問をさせていただきたいと思います。
 先般の湾岸戦争におきましては石油の重要性、エネルギー源の重要性が再認識されたわけでありますけれども、その中で並行しまして日本のエネルギー事情を考えた場合には、原油を、不安定な中東地域に七割近くを依存しておる、このような脆弱なエネルギーの供給構造を考えれば、全力を挙げてエネルギー源の多様化やエネルギーの利用の効率化を進め、石油依存度の低減を図りつつエネルギーの安定供給を確保していくことが必要であると思うわけであります。そのためには科学技術の力によって解決しなければならない課題が多くあると思うのですが、この点につきまして科学技術庁のエネルギー研究開発の基本的な考え方についてお伺いしたい、かように思うわけでございます。
#10
○須田政府委員 エネルギーの安定供給を確保するには、エネルギーの研究開発を推進することが非常に重要な課題であると考えております。政府としては、科学技術政策大綱において、その重要研究開発分野の一つとしてエネルギーの開発及び利用を位置づけてございまして、エネルギー開発基本計画を定めて積極的にエネルギーの開発に努めているところでございます。
 しかしながら、地球温暖化問題等の顕在化に見られるように、我が国のエネルギーをめぐる状況が大きく変化してきているところから、本年七月、新たなエネルギー研究開発基本計画を内閣総理大臣決定として定めたところでございます。
 この新たなエネルギー研究開発基本計画においては、エネルギーの安定供給の確保、省エネルギー型社会の構築、地球環境問題への対応、国際社会への貢献という四つの要請を受けて、今後十年間に政府が中心となって推進すべき重要研究課題を定めているところでございます。したがって、そのエネルギー源の多様化、エネルギー利用の効率化等の分野で重要研究開発課題として三十八の課題を定めているところであります。
 なお、この中から政府が特に強力に研究開発を推進すべきプロジェクト課題として原子力、いわゆる軽水炉による発電体系の整備・高度化、太陽光発電、エネルギー最適利用システム等の九課題をプロジェクト課題として選定し、政府として強力に推進するというふうにいたしております。
 今後、新たなエネルギー研究開発計画に基づきまして、関係各省庁と連携を図りつつ、さらにエネルギーの研究開発を一層強力に推進したい、さように考えておるところであります。
#11
○佐田委員 今エネルギー問題が非常に注目をされておりまして、いろいろな代替エネルギーが考えられておるわけでありますけれども、そういう中におきまして我が県、群馬県は水と緑と太陽の国と言われているように非常に日照度の高い県でありまして、そういう中におきまして県の企業局におきましてはソーラー、太陽エネルギーを今非常に研究しております。私、ここで聞きましたら、自治体では初めて独自に研究をし、そして実用化に向けて今邁進しておる。この件につきまして科学技術庁並びに通産省は御存じでしょうか。
#12
○須田政府委員 群馬県が太陽光発電の実用化を目指して、県の単独事業として太陽光発電プラント建設計画を進めているということは承知いたしております。
 政府としては、エネルギー研究開発基本計画に基づいて、石油代替エネルギーの導入促進に向けて太陽エネルギー等の研究開発を進めているところでございますが、地方自治体においてこのような研究開発の成果の導入、実用化を図ることは大変好ましいことと考えており、群馬県の努力に対して敬意を表する次第でございます。
 今後とも各省庁、地方自治体、民間等の各方面でエネルギー研究開発の成果が積極的に実用化されていくことを期待しているところでございます。
#13
○佐田委員 自治体で基礎的な研究をやるということは経費的にも大変難しいことであろうと私も思うわけでありまして、科学技術庁並びに通産省の方々にはぜひとも協力体制の充実をお願いする次第であります。
 続きまして、今の原子力の話に戻させていただきますけれども、原子力は、政府におかれましても、昨年十月に閣議決定された石油代替エネルギーの供給目標におきまして重要なエネルギー源として位置づけられております。また、先ほどのお話にもありましたように、石油、石炭などの化石燃料の燃焼による地球温暖化、そしてまた酸性雨などの地球環境問題を少なくするという観点からも重要なものであると考えるところであります。
 現在、我が国の電力の三割を担い、国民生活の不可欠な存在となっている原子力の重要性は今後ますます高まっていくものと考えますが、原子力委員長でもあります大臣に、今後の原子力開発利用に対する取り組みについてお伺いをいたします。
#14
○山東国務大臣 おっしゃるまでもなく原子力は、供給安定性あるいは経済性などの面ですぐれており、我が国においてエネルギーの安定供給を図る上で重要なエネルギー源であると認識をいたしております。また、佐田議員おっしゃられたように、二酸化炭素などを発生しないというようなことから、地球環境問題の解決において重要な役割を果たすことが国際的にも期待をされているところでございます。
 この原子力の開発利用に当たりましては、厳しい安全規制などの実施により安全の確保に万全を期するとともに、国民の疑問に直接答える対話を重視した草の根的な広報活動などを行っておりますけれども、今後とも安全確保に最大限の努力を払うとともに、国民の理解と協力を得ながら開発利用を着実に推進してまいりたいと考えておりま
す。
#15
○佐田委員 原子力開発に関する基本的な大臣の決意をお伺いしたところでありますけれども、私も原子力利用を進めるに当たっては、まず、とにかく安全性、これは非常に大事なことであると考えるところでありますけれども、ことしの二月に起こった関西電力の美浜発電所二号炉の事故にまことに残念な思いを抱いているわけであります。環境に対して影響を与えるような事故でなかったことは本当に幸いでありますけれども、二度とこのような事故を起こしてはならないと決意をしているわけであります。そのためにも万全の安全対策をとると同時に、先ほど大臣の方からもございましたように、その旨をわかりやすい形で広く国民に知らしめることが私は重要であると感じるわけであります。
 そういう中におきまして、私はいろいろなパンフレット等、皆さん方のいろいろな公聴会等をお聞きしている中において、例えばダブルチェックの問題であるとか、または放射線の許容度の問題、こういうことはよく聞かれるのでありますけれども、並行しまして、私はむしろ先ほど電力の三割近くを占めるというこの原子力がなくなった場合にどういうふうな具体的な状況になるか、国民にもっと強く知らしめる必要があるのではないか、かように思うわけであります。この辺につきまして科学技術庁並びに通産省の方々はどういうふうなPRをされているか、お伺いをいたします。
#16
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 今ほど先生御指摘のように、原子力開発利用を進めていく上におきまして、国民の皆様の御理解と御協力をいただきますことは極めて重要でございます。このため、従来からエネルギー資源の約八割を海外からの輸入に依存しております我が国におきまして、エネルギーの安定供給を図ることの重要性を踏まえました原子力の必要性、安全確保の方策等につきまして国民の皆様の疑問に直接答える対話型、あるいはわかりやすさを目的とした体験型の広報等を行ってきておるところでございます。
 さらに、今先生がおっしゃいました原子力発電なかりせば生活にいかなる影響を与えるかということにつきましても、これは実際具体的に分析いたしますことは極めて困難なところもございますけれども、そういうことにつきましても、現在私どもも関係機関に依頼したりしまして一生懸命勉強しておるところでございまして、その成果等も踏まえまして、今ほど先生がおっしゃいましたような方向で今後とも原子力の広報にさらに力を入れていきたい、かように考えておる次第でございます。
#17
○佐田委員 原子力につきましては安全性が大事、そしてまた、なおかつその必要性、この両面においてぜひともPRを続けていただきたい、かように思うわけでございます。
 先ほどの事故の関係に戻らせていただきますけれども、美浜発電所二号炉の事故に関しましてはさまざまな検討が行われてきたわけでありますけれども、通産省が六月にまとめた美浜事故の調査状況に関する中間報告でありますけれども、その概要についてお伺いしたい、かように思います。
#18
○荒井説明員 お答えいたします。
 資源エネルギー庁は、関西電力美浜発電所二号機の伝熱管損傷事象につきまして原子力発電技術顧問会の中に調査特別委員会を設けまして、その審議を踏まえつつ調査を進めております。
 それで、その結果判明した伝熱管破断に関する原因調査及び再発防止策としての今後実施、検討すべき事項について六月六日に取りまとめたところでございます。
 今後、本事象に係る蒸気発生器等につきまして周辺伝熱管の追加抜管あるいは管支持板の切断、取り出しによる調査あるいは伝熱管材料の疲労強度に関する試験、それから蒸気発生器U字管部における流動解析等を行うとともに、亀裂発生から破断に至るまでの時間的経過等の検討を現在進めているところでございます。今後さらに詳細な調査を進めまして破断のメカニズムについて解明するとともに、再発防止策の確立に全力を傾注してまいりたいと考えている所存でございます。
#19
○佐田委員 ただいまの説明によりますと、六月の中間報告でありますけれども、今調査中、基本的には破断の原因等につきまして細かく調査中というふうに私は理解したわけでありますけれども、今もう九月になっておるわけでありますから、九月までの進捗状況もあわせてお聞きすると同時に、今後最終的に結論を出すのはいつごろになるのか、この辺も含めてお伺いをしたい、かように思います。
#20
○荒井説明員 六月六日の報告、これは先ほど申しました調査特別委員会を設けまして、そこで審議していただき、その御意見を踏まえながら通産省として調査をしておるわけでございますが、その調査の中間的な取りまとめをやったわけでございます。
 それで、その調査の六月六日の中間的な取りまとめでは、金属調査を行いまして、その破断原因の推定等を行いました。その中では、蒸気発生器の伝熱管に振れどめ金具というものが設けられておるわけですが、これが一部所定のところに入っていなかった等のことがございまして、破断原因としては、その振れどめ金具が所定の位置に入っていないことによりまして流力弾性振動という振動が発生し、破断に至ったのではないかという可能性が高いというところまでは検討してございました。それで、その後、さらに追加的に管を抜きまして、その金属調査並びに伝熱管の流動状態がどうかということをあわせまして検討しております。
 それから、そういう検討を踏まえながら再発防止策を確立していこうということで、今、鋭意検討を進めておるわけでございますが、では、いつごろその取りまとめができるかということでございますが、はっきり言いまして、現在、いつまでというところまでは見通しを言える段階でございません。いずれにせよ、先生御指摘のように、調査の結果がまとまり次第、できるだけわかりやすい形で報告書を公表していきたいと考えているところでございます。
#21
○佐田委員 こういうことにつきましてはいろいろな要素があって、また難しい問題であろうと私も思うわけであります。しかしながら、これからの原子力対策にとりまして安全性は非常に大事なことでありますから、ぜひとも時間をかけてじっくりと正確に調査を行っていただきたい、かように思うわけでございます。
 それと並行しまして、先般の事故に際しまして、原子力安全委員会と通産省、この辺の兼ね合いがいろいろ問題になったわけでありますけれども、原子力の安全確保について、いわゆるダブルチェック体制がとられ、行政庁だけでなく、さらに高い立場から原子力安全委員会が安全性を再度チェックする体制がとられることを私は常々高く評価しておるわけでありますけれども、今回のような事故に際しましては、原子力安全委員会は、行政庁から報告を受けるという受け身の態度だけではなくて、みずから調査を行い、審議し、原子力の安全性に関して少しでも疑問となる点について積極的かつ徹底的に検討を行わなければならないと考えるわけであります。
 原子力安全委員会においては、美浜発電所の事故発生以来、通産省からの報告聴取に加え、独自に調査審議を行っているとはお聞きしておりますけれども、これまでの調査審議につきまして、経過並びにその報告内容をお伺いしたい、かように思うわけでございます。
#22
○坂内政府委員 美浜の事故に関しましては、原子力安全委員会では、事故の直後から十一回にわたりまして、所管の行政庁でございます通産省から逐次原因究明の進捗状況、それからまた電力各社への指示、これを受けての電力各社の対応等の状況を聴取し、審議をしておるということがございます。また、今の原子力安全委員会そのものに加えまして、下部機関に原子炉安全専門審査会発
電用炉部会というものがございますが、そこに専門家十二名から成る蒸気発生器伝熱管損傷ワーキンググループといったものを事故直後に設けまして、これら事故、事象の評価、原因究明及び日本原子力研究所において実施した安全解析、あるいはまたその模擬実験、こういったものの結果の聴取、解析等を含めまして、現在まで九回にわたって審議を行っております。なおかつ、必要に応じまして、美浜発電所あるいはメーカーの検査機関及び研究所等にも実地に調査を実施しているところでございます。
 このような調査を通じまして、行政庁による原因調査結果を検証するとともに、今回の事故を踏まえまして、安全規制に反映すべき点を中心に、今後ともワーキンググループで鋭意調査審議を進めたいと思っております。
#23
○佐田委員 これからの安全対策にとりましては、原子力安全委員会の立場というのは非常に重要になってくるのではないか、かように思うわけでございます。原子力発電所の安全を確保するために、行政庁と原子力安全委員会の厳密なチェック体制のもとで徹底的に原因を究明し、再発を防止することが肝要であると私は考えております。
 原子力発電所の安全を確保し、国民の信頼を回復するためには、行政庁のみに任せることなく、原子力安全委員会が本件事故の原因の調査、安全性の評価を徹底し、このような事故が再発しないように万全を期する必要があると私も考えるわけでありますけれども、原子力安全委員会の今後の取り組み、方針につきましてお伺いしたい、かように思います。
#24
○坂内政府委員 現在、通産省で行われています原因究明作業の進捗状況に応じまして、ワーキンググループにおきまして適時同省から報告を受け、原子力安全委員会として独自の立場からその調査結果を検証したいと思っております。
 この中心となりますのはワーキンググループでございますが、その検討結果をもとに今後の安全規制に反映すべき点を摘出しまして、同種の事故再発防止及び原子力発電の安全性の一層の向上に万全を尽くしたい、かように考えております。
#25
○佐田委員 これからの原子力の施策を進める上において、安全というものはまさに大事なことであります。そういう意味におきましては、技術的には科学技術庁、そしてまた通産省が一緒になりましてこれからも推進をしていただきたい、かように思うわけでございます。
 ちょっとこれは質問の趣旨がずれるのでありますけれども、つい先日、私、病院に視察に行きましたら、今まさにがんは不治の病でありますけれども、これを細胞レベルで解明しようという動きがあるわけであります。細胞の中のいわゆる染色体の解析によってこれを解明していく、こういうことに関しまして科学技術庁といたしましても施策の中でかなり進めておられるとお聞きしておりますけれども、これについてお伺いしたい、かように思うわけでございます。
#26
○井田政府委員 お答えいたします。
 今、先生お話しのように、がんを初めといたしまして、小人症とかアルツハイマーとか筋ジストロフィーとか幾つか難病がございます。こういった難病の問題に対応する場合には、今お話しのようにだんだんと下のレベル、今遺伝子レベルということで研究が行われておりまして、遺伝子はこういった生物の遺伝情報をつかさどるまさに基本的な単位でございます。そういった数十万個でありますとか数万個だとかのDNA塩基から構成されておりまして、人間で申しますと、約三十億個ぐらいのこういったDNA塩基があるわけでございます。こういった面からアプローチをしていくということがこれから非常に大事なことであると考えているわけでございます。こういった分野におきましては、国際的に米国とか英国とかでも大変関心が高いことでございまして、こういった基礎分野の国際貢献という意味からもきちっと対応していかなければいかぬ、このように思っております。
 そういう意味で、私どもといたしましては、関係省庁一体となってこの問題に取り組まなければいかぬということでございまして、そういった面の研究の基盤をどう整備していくかということが大変大事だ、こういう考え方のもとに科学技術会議で専門家を集めまして、ヒトゲノム懇談会というものをつくったわけでございます。こういう懇談会によりまして、ヒトゲノムに用いる材料とかDNAの断片の作製と整理、それから材料を必要とする関係研究者への提供、そこから生ずる成果のデータベース化、そういった基盤の整備といったようなことの重要性をこの懇談会で指摘されておりまして、私どもといたしましては、この指摘に基づきまして平成四年度予算で基盤の整備を抜本的に強化いたしまして、関連研究の推進を図りたいということで努力しているわけでございます。今後とも、こういったがんのような病気に一番基本的な面からのアプローチということでこういった研究を強力に推進してまいりたい、このように考えているところでございます。
#27
○佐田委員 そういうことでありまして、医療の問題から、そしてまたいわゆる宇宙開発に至るまで、マクロからミクロから、要するに科学技術庁のこれからの対応、重要性、これは非常に問題になってくるのではないかと思うわけでございます。
 そういう中におきまして非常に大事なのは、よく海外から言われるのでありますけれども、何といっても基礎研究であります。日本はなかなか基礎研究が進まない。いろいろと御批判も受けておるわけでありますけれども、この基礎研究というのは、まさに人類の知的公共財と言っても過言ではないと私は思うわけであります。すぐれた基礎研究を一層充実するために、基礎研究の研究交流促進法ですか、これを私は先般お聞きしたわけでありますけれども、これについてお伺いしたいと思うわけでございます。
#28
○長田政府委員 研究交流についての御質問でございますが、創造的な研究開発を効果的にやっていくためには、既存の組織とか制度にとらわれないでいろいろ異なった分野の間の研究交流を図っていくことが非常に重要だと思います。こういう点から、先生からお話ございましたように、昭和六十一年に研究交流促進法を定めまして、外国人の研究公務員の任用とか、あるいは民間及び海外との共同研究の実施を容易にするような必要な措置を講じたわけでございます。そのほか制度面でも、創造科学技術推進制度とか振興調整費とか、そういうような研究開発のための措置を行ってきているわけでございます。
 振り返ってみますと、現在、この研究交流法の制定以来約五年を経たわけでございますが、まだ必ずしも十分な研究交流が行われているとは言えないと思います。また、この間に我が国を取り巻く状況も大きく変わってきておりまして、いろいろな人類共通の知的ストックとかあるいは国際社会への貢献とか、そういうものが非常に強く求められるようになってきているわけでございます。
 こういう点を考えますと、私どもとしましては、これから研究公務員の流動化を一層促進したり、あるいは国の委託の研究成果、パテントの扱いでございますが、こういう点を改善したり、あるいは施設の利用に関しまして利用しやすいようにしたり、より円滑な研究交流を実現するということで制度を一層整備していかなければいけないだろうと思います。こういう点で現在関係各省庁と検討を進めているわけでございまして、本件につきましては、私どもも一生懸命取り組んでまいりたいと思います。
#29
○佐田委員 今もお聞きいたしましたとおり、基礎研究というのはこれは本当に基礎でありまして、非常に大事なことであります。しかしながら、この基礎研究をやるのもそれを担う学者の皆さん方であります。その学者の皆さん方が本当に仕事、研究がやりやすいように、これからも諸制度を見直していただきたい。先ほどお伺いしましたら、もう既に五年もたっているという。ぜひと
も制度の見直しをお願い申し上げる次第であります。
 最後になりますけれども、この基礎研究に対しまして、これからの推進に対しまして大臣はどのような見解をお持ちかお伺いいたしまして、最後の質問にさせていただきます。
#30
○山東国務大臣 我が国は科学技術はただ乗りしているではないか、技術はただ乗りだというようなことを言われた時代もございましたけれども、そうした時代から未来に向けてより豊かな社会の実現を図り、そして国際社会に積極的に貢献していくためには、こうした基礎研究というものが最も重要であると思っておりますし、そのためには政府の積極的な対応というものが本当に大切であろうと思います。
 このような観点に立っていろいろな、大学であるとかあるいは国立研究所の現場を見てみますと、いろいろな点でまだ完備されていない、研究環境というものが整備されていない部分が多々ございます。こうしたことを少しでも改善し、そして優秀な人材というもの、そうした人たちに気持ちよく研究に専念してもらうような環境づくりというものを私どももしっかりとつくっていかなければならないと思っております。科学技術会議におきましても、そのための基本的方策について検討しているところでございます。今後とも全力を挙げて基礎研究というものをやっていきたいと思っております。
#31
○佐田委員 どうもありがとうございます。今述べられましたように、まさに世界の、そして日本の発展は科学の発展にある、その科学の発展はまさに人にあると私は感ずるわけであります。これからもそういう方々が研究しやすいように御努力願うことを心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
#32
○中馬委員長 山本有二君。
#33
○山本(有)委員 チェルノブイリ事故が一九八六年の四月二十六日に発生いたしまして、今なお我々にとりましてこの事故というのは大きな衝撃のままに心の中に残っておるわけでありますが、いまだにそのなぞめいた部分は、多分我々国民一般の者にとりましては原子力という難しい、極めて専門的なことであるということ、あるいはソ連の国家情勢が変化しているということ、さらにはソ連という国のお国柄かもしれませんが、ともかく我々はこのチェルノブイリにつきましてもっともっと知りたいし、もっともっと知らなければならないというような気がいたします。
 そこでこのことについてお伺いするわけでありますが、IAEA国際諮問委員会の報告書がことしの五月に発表されました。そして、この報告書は我々の手元にもちょうだいをしておるわけでありますけれども、政府はこの調査報告書をどのように評価しているのか、お伺いさせていただきたいと存じます。
#34
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘のとおりに、国際原子力機関、IAEAは、一九八九年のソ連邦政府の要請に基づきまして、チェルノブイル事故により影響を受けた地域におきます放射性物質の汚染及び住民の健康の状況並びにこれらの地域で実施されました防護対策の評価のための調査プロジェクトを昨年二月から実施いたしまして、本年五月にその調査結果を取りまとめ、その結果は先生のお手元にあるとおりでございます。
 この調査は、国際原子力機関が十一カ国七国際機関の科学者から構成される、今おっしゃいました国際諮問委員会を設置いたしまして、ちなみにこの国際諮問委員会の長は我が日本の重松逸造先生であられるわけでございますが、これを設置いたしまして、この諮問委員会の作業計画に基づきまして、合計二十五カ国約二百人に及びます専門家の参加を得て実施したものでございます。調査計画は一定の時間的、物理的制約があったわけでございますが、その制約にもかかわらず細心の注意を払って立案されておりまして、また調査は最新鋭の機器を用いて測定、検診を行い、さらに各国から一流の医師等の専門家が参加して行われておりまして、その信頼性は高いものと私どもは認識しておるところでございます。
 チェルノブイル事故の影響に関しましては、これまでもさまざまな情報が流されまして混乱を招いてきておりますことにつきましては先生の御指摘のとおりでございますが、中立的な国際機関でございますIAEA、国際原子力機関が実施した客観的な調査によりまして、科学的にも正確な情報が相当程度明らかになったものと認識しておりまして、意義深いものと考えておるところでございます。
#35
○山本(有)委員 このダイジェスト版の三ページ目に、「要するにプロジェクトの目標は、チェルノブイル事故の影響を受けたソ連の地域における放射線および健康の状況についてのアセスメントを検討し、住民を守る手段を評価することであった。」こう一言で言えば書いておるわけでありまして、そしてそういう目的の調査が、ただいま政府の見解を言われましたように、大変評価に値する、そしてまた私もこれ以上の恐らく調査はできないだろうと思うぐらいの立派なものであろうと思うのですが、そこで、この目的でもあり、我々の最も関心深いことである健康のことについてお伺いいたします。
 まず、この事故による健康影響。私はマスコミ等で、新聞、雑誌、テレビ、いろいろなこのチェルノブイリについての健康影響の記事を拝見いたします。それを一言でまとめますと、甲状腺がんあるいは小児健康異常、こういったことがセンセーショナルに報道されております。それがこのIAEAの調査で果たして正確であったかどうか、このことについて、調査対象地域でどのような健康影響が見出されたかをお伺いさせていただきます。
#36
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 IAEAの調査の方法につきましては、汚染の状況あるいは健康状態等に関しますソ連側のデータあるいは評価手法等の評価、さらにその検証を行いましたほか、医療調査チームを三共和国に派遣いたしまして、汚染地域と非汚染地域に居住しております合計一千三百五十六名の住民の健康状態を直接調査したところでございます。
 このIAEA、国際原子力機関の医療調査には放射線影響、小児科学あるいは血液学、甲状腺病、超音波探査、内科等に関します非常に幅広い専門家が参加しておりまして、さまざまな観点から調査が実施されたところでございます。
 健康影響に関しましては本報告書では次のように記述されておるところでございまして、その一つは、一番といたしまして、汚染地域、非汚染地域の両方の住民に高血圧、歯科衛生等の健康問題が見られた。二番といたしまして、事故に関する不安とストレスによりまして相当な精神的影響があり、それらは非汚染地域にも及んでいる。三番といたしまして、白血病、甲状腺腫瘍、白内障、胎児異常等につきましては事故後に顕著に増加している証拠は見出されなかったということでございます。また報告書には、汚染地域、非汚染地域の両方の住民に放射線とは関係のない顕著な健康の変調があったが、放射線被爆に直接起因すると見られる健康の変調はなかったと記されておるところでございます。
#37
○山本(有)委員 そうすると、これまでのマスコミの報道とこの調査の結果報告とはちょっとずれておるわけであります。
 そこでもう少し正確に教えていただきたいのですが、先ほどいろいろ列挙をいただいた病名等々について放射線被爆に直接起因するもの、これだけを取り上げてちょっと教えていただきたいと存じます。
#38
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 今ほど申しましたように、全体、汚染地域、非汚染地域の両方に高血圧、歯科衛生、これは汚染、非汚染の両方にあるわけでございますから直接放射線に起因するものとは考えられないわけでございますが、健康問題が見られておること等があるわけでございますけれども、今ほど申しました白血病とかあるいは甲状腺に関すること、白内
障あるいは胎児異常等、放射線に起因する可能性があると思われるものにつきましては事故後に顕著に増加している証拠はない、そういうことでございます。
#39
○山本(有)委員 そうすると、この放射線被爆で直接健康障害がないというようなことなわけですけれども、その千三百五十人調査してそれでいいというわけじゃないんだろうと思います。とにかく放射線は大量に漏れておりまして、何らかの生物に影響がないとは言えないと私はまだ思うのですけれども、そこで、将来何らか人体に影響が出てくるのじゃないか、私はまだそこに不安を持っておるわけですが、その点についていかがかお答えいただきたいと存じます。
#40
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 将来のことに関しましては、報告書には以下のような記述がございます。
 その第一点は、人体被爆に関するIAEAの推定線量、これは大ざっぱに言いまして放射線を受けた量と申し上げてよろしいかと存じますが、推定線量に基づきますと、将来大規模かつ長期間の調査を実施したとしても、がんまたは遺伝的影響の発生率の増加を検出することは困難である、ずっと長い間やってみたところでなかなか、がんとか遺伝的影響、これは放射線の影響により起こるであろうと考えられるものだと思いますが、の発生率の増加を検出することは困難であるということが一つございます。
 二番目といたしまして、小児の甲状腺被爆に関しますソ連の推定線量が正しければ、将来甲状腺の腫瘍の発生率の増加が統計的に検出される可能性があるという記述もあるわけでございます。この小児の甲状腺腫瘍の増加の可能性につきましては次のような事情にあると考えられるわけでございます。
 すなわち、小児の甲状腺の腫瘍でございますが、これは沃素131という元素による放射線が原因となって起こるものと考えられておるわけでございますが、沃素131は御承知のように半減期がわずか八日でございます。したがいまして、半減期が八日と極めて短いことであるわけでございますので、事故後四年を経まして実施されました今回の調査では、沃素131によります被爆線量を国際原子力機関の専門家の方々が実測することは当然できなかったわけでございまして、ソ連側データの検証が行われていない、そういう状況にあるわけでございます。また、一般的にソ連によります被爆線量の推定値は過大に評価されておる傾向にございます。これらの点を踏まえながら、本報告書では小児の甲状腺腫瘍のフォローアップの必要性が指摘されておるところでございます。
#41
○山本(有)委員 そうすると、将来も多少の懸念があってもそう著しい変化は見られない、こう聞いていいかと思うのですが、私が心配するのは、まず十万人もこのチェルノブイリ周辺から避難しております。その人たちは、自分は被爆したから病気になった、こういうように恐らく考えているんじゃないかと思うのですけれども、そうすると、その御本人にとって原子力発電所の近くに住んでおったからというような先入観で、病気はもう治らないんだ、こう考えれば、病は気からと申しますけれども、恐らくその人たちにとっては人生すべてを否定されたことになると思うのです。早くこの報告書をその人たちに知らせて、あなたの病気はそうじゃないんだ、放射線の影響じゃないんだということを知らせて早くよくなろうというような、そんなことのために私はもっと正確にこれを世界に広げていく、この報告書の結果を広げていく必要があると思うのです。
 そしてもう一つは、健康影響だけでなくてほかにも社会不安、全世界にチェルノブイリ不安があるわけでありますから、このことも我々は考えていかなければならぬと思うのですけれども、この点について、早くこのチェルノブイリ周辺の住民及び広く世界にこの健康影響についての結果を報告してあげたいということについて政府はどうお考えでありましょうか、お伺いいたします。
#42
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 この調査は、先ほど申しましたように、一義的にはソ連邦政府の要請を受けまして、国際原子力機関が実施いたしたものでございます。したがいまして、その結果につきましては、一義的には国際原子力機関がソ連邦政府を通じましてソ連国民に結果を伝達すべきもの、かように考えておるところでございます。
 実は、この線に沿いまして、国際原子力機関はソ連邦の国内でも報告会を開催する予定であったわけでございますが、昨今のソ連の政治的状況が原因で開催が延期されておると聞いておるところでございます。さらに、この調査結果に関しましては、国際原子力機関がことし五月、ウィーンにおきまして各国の専門家の参集を求めまして、報告書の公表のための会議を四日間にわたって開催いたしました後、もちろんこの会議には日本からも専門家が参加しておるわけでございますが、その後に六月にも東京で報告会を開催したところでございます。また、ハンガリーにおきましても発表が行われたと聞いておるところでございます。
 このほか、国際原子力機関では、その広報誌等でもこの調査の結果につきまして紹介を行っておりまして、国際原子力機関が独自の事業で調査結果につきましての広報活動を展開しておるところでございます。
 この報告書を国民にどのようにお伝えしていくかにつきましては、基本的にはIAEA及び各国が判断すべきことではございますけれども、チェルノブイルの事故の影響に関します情報につきましては、我が国のみならず、世界各国でも非常に関心が高いわけでございますので、ソ連を初めといたします各国で、この報告書が有効に活用されることを私ども強く期待しているところでございます。
#43
○山本(有)委員 なお政府によろしくお願いしたいと存じます。
 私は、ことしの六月にスイスを訪れさせていただきまして、原子力政策について勉強をさせていただいたのですが、そのとき大変驚いたことがございました。それは、スイスは今後十年間、原子力発電所の新規建設を凍結をしておる。そして、それは国民投票でそうなっていた。さらにその結果、年々電力需要というのは増しますから供給が追いつかずに、火力発電所も水力発電所もできないし、原子力発電所もできないということで、フランスにスイスの金で原子力発電所をつくって、それをフランスから買っているという矛盾したことを行っているというようなこともお伺いしまして、これが国民投票の結果であり、チェルノブイリ事故のまさしくその影響であるということに私は強い関心を持ったわけでありますが、帰ってきてこの報告書を読んで、もしスイス国民があのとき国民投票の手前にこの報告書を読んだなら、スイスの原子力政策はこのままだったのかというようなことも考えたわけであります。
 そうすると、全世界にこの報告書は影響をするわけでありますから、それを考えましたときに、どうしても日本の政府は、この報告書をちょうだいをした以上、また重松先生が日本代表で行った以上、我々は積極的にこれを伝えていく必要がある。オオカミが出たというのはニュースになります。出ないというのはなかなかニュースになりません。そして、悪事千里を走るといって、悪いことだけが宣伝されます。いいことを宣伝するということも非常に重要なことだろうと思いますけれども、この点について政府はどう考えておるのか、お伺いいたしたいと存じます。
#44
○山東国務大臣 チェルノブイリの事故の影響に関しましては、これまで、おっしゃるとおりさまざまな情報が流されてまいりました。中立的な国際機関であるIAEAが、世界各国から一流の専門家を集めて実施した客観的な調査により科学的に正確な情報が明らかになったものと考えております。
 これによりまして、この事故の影響についての国民の正しい理解が促進されることを期待をしておりますけれども、今おっしゃられましたよう
に、我が国にとりましても、このチェルノブイリの事故によって、非常に原子力に対する不安感というものを日本国民は持った、私はそう考えております。ですから、もちろん我が国はもとより他国の発電所に対しましても、安全性ということに関しまして、安全確保のために人的あるいは技術の面でもいろいろな面で協力をしていかなければなりませんけれども、それと同時に、この事故後の状況について、国民に積極的に周知を図るべきとの御指摘は極めて適切でございます。
 私どもも、広報資料の作成そして講師の派遣など、現在国が進めております原子力広報活動について、IAEA報告書の内容についてもわかりやすく国民の皆様方に紹介するように今後とも努力をしてまいりたいと思います。
#45
○山本(有)委員 長官の御決意、ありがとうございました。
 続きまして、チェルノブイリを初めとするソ連型原子炉の安全確保についてお伺いをさせていただきます。
 チェルノブイリの発電所はウクライナ共和国にありました。恐らく共和国がこの発電所の管理をしておっただろうと思うのですが、ソ連の政治体制というのは、御承知のとおりクーデターが起こったり、そしてそれが失敗に終わったりという、もう日一日刻々と変わっておるわけでありますけれども、そこで、ソ連の核兵器の管理政策を含む原子力政策、所管組織の変更等についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
#46
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 ソ連は、昨年末現在で五十基、設備容量にいたしまして約三千八百万キロワットの原子炉を有しております世界第三位の原子力発電国でございまして、総発電電力量の約一割を原子力が占めるに至っておるわけでございます。ソ連におきます原子力発電の開発に関しましては、第十二次の五カ年計画、これは一九八六年から一九九〇年までをカバーするわけでございますが、この計画で一九九〇年に七千万キロワットの達成を目標としておったところでございますが、今ほど御指摘のございました一九八六年のチェルノブイルの原子力発電所の事故によりましてこの達成が困難となっておりまして、今後二〇〇〇年までを原子力発電の安全性を高めることに重点を置きまして質的な向上を図る原子力発電の修復期間であるとしておるようでございます。
 それで、原子力に関係いたします政府の組織につきましては、一九八九年に新設されました原子力発電・産業省が中心となりまして原子力利用の推進を実施いたしておりまして、また、安全面に関しましては、工業・原子力発電安全操業監視国家委員会という組織が責任を負っておるやに聞いてございます。現在までのところ、ソ連の原子力政策及び行政組織に関しましては大きな変更が行われたとの情報にはいまだ接していないところでございますけれども、ソ連全体の体制の動向を踏まえながら現在注意深く見守っているところでございます。
 今後は、本年四月に締結されました日ソ原子力協力協定に基づく協議、並びにソ連も参加いたしております多国間の協力等に関する交渉が予定されておりますので、このような場を通じまして的確な情報の把握に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#47
○山本(有)委員 これは大切なことだろうと思います。今後チェルノブイリ事故が起きないためにも所管組織を日本が把握して、そしてまた協力できること、お互いにやれることを考えていく必要があると思うのです。
 さて、ドイツ統合に伴いまして、東ドイツのソ連製の原子炉は全部密閉されてもう稼働しておらないわけでありますが、それだけ西側諸国から見てソ連製の原子炉というのは危険きわまりない、それは失礼かもしれませんが、恐らく、統一ドイツのその政策を見ましても明らかであるわけでありますから、そうだろうと思います。
 そこで、これらの原子炉の安全確保に対する我が国の協力が行われておるかどうか、我が国の中でも美浜二号機のような事故はあるわけでありますが、少なくとも西側の水準から見るとまだまだ低いような原子炉でありますから、そう考えると、今後我が国がどう協力してこのソ連製の原子炉の安全確保に資することができるかということを次にお伺いさせていただきます。
#48
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 ソ連、東ヨーロッパ諸国に存在しておりますソ連型原子炉の安全性につきましては、さきのロンドン・サミットにおきましても有効な手段を策定することが国際的に要請されておりますように、広く関心が集まっておるところでございます。それを踏まえまして、今後積極的な国際協力を展開していくことが重要と認識しております。
 我が国といたしましては、原子力発電所の安全確保は国際協力により効果的に推進されることが重要と考えておるところでございまして、東欧諸国の原子力発電所の安全性向上に関しましては、IAEAによって行われております支援プロジェクトに対しまして、昨年から専門家会合及び調査ミッションヘの我が国の専門家派遣を積極的に行っておるところでございます。
 また、ソ連との二国間協力の枠組みといたしまして、本年四月のゴルバチョフ大統領来日のときに日ソ原子力協力協定が締結されたところでございます。今後とも引き続き我が国の専門家の派遣等によりまして、原子炉の安全確保を、ソ連との二国間協力といたしましても積極的に取り上げていきますとともに、安全性確保のための国際原子力機関のプログラムに対する一層の貢献、ソ連、東欧等の原子力関係者の研修のための我が国への受け入れ等、積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。
 通産省からも御答弁をいたします。
#49
○藤井説明員 原子力を推進していく上では、世界的に最大限の安全水準が確保されることが不可欠でございます。したがって、ソ連、東欧などの原子力発電の安全レベルの向上は、我が国にとっても極めて重要な課題でございます。先般のロンドン・サミット経済宣言においては、ソ連、東欧地域の原子力発電所の安全性の状況に特別の関心が払われるとともに、原子力の安全性の向上のための国際協力の重要性が認識されたところでございます。
 このため、当省としましては、IAEA等のマルチの場での協力を積極的に行っていくこととしておりまして、具体的には、旧式ソ連型炉VVER四四〇―二三〇と呼ばれておりますが、これの特別安全評価ミッションヘの我が国からの専門家の派遣を行っているところでございます。
 また、原子力発電の安全確保の基盤を支える保守員、検査員等を対象に、ソ連、東欧そして発展途上国から、今後十年間にわたりまして毎年百人規模の研修生を受け入れる構想を有しておりまして、関係省庁等の協力を得て本構想を鋭意進めてまいりたいというふうに考えております。
#50
○山本(有)委員 このチェルノブイリ事故について、我々は唯一の世界の被爆国として、もしそういった直接の被害に遭った人がたくさんおいでるならば、被爆患者の治療とか医薬品の供給とかその他の研究等、もっともっと協力できるのではないかと思うのですけれども、今まで日本がこのことに対してやってきたこと、そしてこれから実施するように考えていること、このことをお伺いさせてください。
#51
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 チェルノブイルの事故に関しましては、被爆国といたしまして、また原子力平和利用を進める国といたしまして、我が国が有します経験と知識を活用することが有益であるとの認識に基づきまして、これまでも放射線医学総合研究所等の専門家をソ連に派遣するなどいたしまして、放射線被爆に関する科学的知見の提供、研究協力を行ってきたところでございます。
 具体的には、日ソの二国間協力といたしまして、日ソ科学技術協力協定に基づく協力でありますとか、あるいは国際機関を通じた協力として、国際原子力機関による調査活動、チェルノブイル
国際研究センター計画等に参加する、あるいは参加を検討する等々のことをやっておるところでございます。
 さらに、昨年九月には、日本とソ連の外務大臣の間におきまして、医師及び専門家の相互訪問等を内容といたします事故後影響の日ソ協力に係る覚書を締結いたしまして、昨年十二月には東京におきまして、さらに本年三月にはモスクワにおきまして専門家会合を開催いたしておりまして、今後の協力の具体的内容を協議したところでございます。
 さらに、本年四月にはゴルバチョフ大統領の来日にあわせまして、チェルノブイル事故に関します具体的な協力分野などを決めました外相間覚書を締結いたしておりまして、今後、両国専門家の交流等を図っていく予定でございます。
 また、世界保健機構、WHOを通じた協力といたしまして、被曝者の健康管理、健診のために必要な機材供与等の経費といたしまして、平成二年度、WHOに対しまして約二十六億円の拠出を行ったところでございます。
 当庁といたしましても、今後外務大臣間の覚書に述べられておりますよ、つな日ソ双方の研究成果等の情報の交換、専門家の交流等を積極的に進めるとともに、現地の状況及びソ連側からの要請を十分勘案しつつ、関係省庁とも連絡を図りつつ適切な協力を行っていく所存でございます。
 また、民間におきます協力も御承知のとおりあるわけでございます。
#52
○山本(有)委員 日本は、国際国家として政策誤りなきを期するために、やっぱり原子力政策のためにチェルノブイリのこの問題をもっともっと大事に、この報告書を大事にしていかなければいかぬし、また日本人は地球人として、ソ連のこの困っていらっしゃる人たちに、もっともっと援助を差し伸べていく必要もあろうと思います。
 長官初め関係各位にこのことをお願い申し上げまして、質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
#53
○中馬委員長 大畠章宏君。
#54
○大畠委員 日本社会党の大畠でございます。私は、時間の関係もありますけれども、三点について御質問をしたいと思います。
 一つは、現在の科学技術の人材的なベースをつかさどっています大学の研究体制について、二つ目には先端技術関係の開発における日本の基本方針について、それから三点目は、科学技術全般における安全対策に対する考え方、この三つについて御質問をしたいと思います。
 まず最初に、大学等における科学技術の研究体制についてでありますが、私は、ことしの四月にもこの科学技術委員会でいろいろ質問をさせていただきました。その質問を踏まえて、今年度の予算について幾つか御質問をしたいと思います。
 まず最初の質問は、いろいろ大きな課題がございますけれども、平成四年度の予算において一番問題となっております研究者の出張費ですとかあるいは研究費、こういう問題についてどのくらい科学技術庁の方では頑張って予算取りをしようとしているのか、そこら辺を具体的な数値を挙げてお願いしたい。特に出張費等については、一人平均年間十四万円ぐらいの予算であるということが言われたわけでありますが、前回、これじゃおかしいじゃないかということでお願いしていますので、そこら辺の具体的な数値を含めて答弁をお願いしたいと思います。
#55
○雨宮説明員 お尋ねの研究費でございます。
 研究費の基幹的なものといたしまして科学研究費補助金というのがございます。今年度、五百八十九億円という規模でございます。これに対しまして来年度の概算要求といたしましては、六十二億円増の六百五十一億円という概算要求をいたしておるところでございまして、対前年度予算比一〇・五%ということでございます。ちなみに、今年度五百八十九億円と前年度の対比でございますが、三十一億円増ということでございました。したがいまして、それに約倍する要求幅で要求をさせていただいておるということでございます。
 それから、旅費についてのお尋ねがございました。科学研究費の中におきましても旅費の関係も含まれておるわけでございますが、それら等を含めまして、できる限りの要求をさせていただいておるということでございます。
以上でございます。
#56
○大畠委員 できる限りなんというものじゃ、これはよくわからないですよ。前回の答弁のときに十四万という大体の数字がありましたけれども、一体それをどのくらい改善したのですか。例えば、一回の出張で今大体三万ぐらいかかってしまうんじゃないですか、一泊二日ぐらいでね。そうなると十四万程度ではちょっとあれですし、トータル額としては非常に頑張っていただいて一〇%程度上げていただいたのですけれども、トータル枠じゃなくて、個々に研究者、日夜頑張っている研究者がいるわけであります。そういう方々からいろいろ聞こえてくるのは、そういう末端の方で非常に困っているというお話でございますので、トータル枠は大変頑張っていただいたのはわかるのですが、末端の方を考えたトータル枠も考えていただかなければなりませんので、そこら辺はどうですかね、わかりませんか。――私は前回こういう質問をしていますので、私はいつも、質問して時間が過ぎればいいというのじゃなくて、前回これだけ質問しているわけですから、私がこういう通告をしていれば当然そういうところまで少しは気をきかして資料を準備しておく、そういうことも必要じゃないかと思うのです。
 要するに、私が申し上げたいのは、日本の科学技術を支えているのはだれなんだ。科学技術庁だけじゃないわけですし、文部省でもないのですよ。これはもちろん中央官庁としてやっていただいていますが、その末端で、各大学の研究室で一生懸命少ない研究費の中で頑張っている、そういう人がひいては日本の科学技術を支える人物といいますか、人材を送っているわけです。
 そういうことでは、実際に各大学の研究室で一体どういう実態があるのか、何に困っているのか、そういうものを把握をしてそれを実際に解決をしていく。大枠じゃなくて細かな部分でどうなっているんだろうか、そういうところまで含めた目でこの問題は取り上げないと、これまでは科学技術立国日本としてやってきましたけれども、前回申し上げましたので余り多くを申し上げませんが、証券や金融業界にどんどん科学技術者が流れている。今回、金融・証券問題が起こったので、逆に学生が少し製造業といいますかメーカーの方に戻ってきているという。
 これは一時的な現象じゃないかと思うのですけれども、それだけじゃなくて、やはり研究室で一生懸命学んだら、ああおもしろい、科学技術はおもしろいな、将来も自分の人生を投入してやってみようというような研究体制をとらなければならないと思う。そういう意味では、大学の教授が十分な研究費を使いながら生き生きとやっているというのも一つの、何といいますか、後ろ姿を見て子供が育つと同じであるわけでありますから、トータル枠をふやしていただいたのは結構でありますけれども、細かなところに目を向けた行政の感覚を、考えを持っていただきたいということをぜひ強くお願いしたいと思うのです。
それから、私は、そのほかに質問したのをちょっとフォローさせていただきたいと思うのです。
 私は、この科学技術の教育の分野における主導権というのは、文部省がとるのですか、それとも科学技術庁がとるのですかという質問をしたところ、科学技術庁の方で、科学技術会議というものを開いていて、科学技術政策のいろいろな問題について検討している、特に、現在科学技術会議の中でいろいろ討議をしながら二十一世紀を展望した科学技術の総合的基本方針に関する審議をしているということでありますが、この中でどういう論議をして技術者の卵を育てようとしておるのか、その現状についてお伺いしたいと思うのです。
#57
○須田政府委員 今御説のとおり、二十一世紀を
踏まえた科学技術の総合的基本方策について審議しておりまして、年内にも答申を出そうということで作業しております。その中で、研究人材に関する小委員会、専門の委員会をつくりまして議論しているわけですが、一番問題なのは、研究人材の量的な確保、質的な問題、その二本立てでございます。
 したがって、御存じのように、この養成に対しては、大学に期待する部分が非常に多うございます。大学の問題、大学院の問題、それも含めまして、今後どういう改善方策があるのかということを今議論しておりまして、それには先生今おっしゃった二つの側面がありまして、一つは理工系離れの問題と、理工系を卒業した人が製造業に行かない、今のまさに二つの問題、その二つの側面でどういう改善策があるのかということを鋭意検討しております。博士課程の問題、その制度の問題、そういうところ、それから奨学資金、博士課程への奨学資金の問題、そういう多面的な問題で今議論しているところでございます。
 もう近く成案ができるというふうな段階になっております。
#58
○大畠委員 それぞれきちっとした機関で審議されているでしょうし、またその審議会のメンバーも非常に優秀な方が入っておられるのでしょうから近く答申が出てくると思うのですが、私はこの間も申し上げましたけれども、アメリカのようになっては困る、製造業を軽視して、経理部門の人材がリーダーマンでセカンドとして技術者が位置づけられる、そういう社会になったら困る。やはりもっと技術者が自信を持って仕事に打ち込める、そういう社会をつくるためにも、ぜひこの審議会の答申、どういうものが出てくるかわかりませんけれども、先ほど申しましたように大学の研究室の設備の改善ですとか、あるいは、細かな話ですが研究者の研究環境を整えていく、そういうものにぜひ力いっぱい頑張っていただきたいと思います。
 それから、私は、幾つかの質問をした中で、次のような質問もさせていただきました。
 山東科学技術庁長官が筑波に行かれましたときに、いろいろな意見を聞いた。そういう中に、外国人の方の研究者、日本に招聘した研究者の方からいろいろ不満が出ている。例えば研究補助員が一人しかいない、通常先進国では二、三人つけてくれているじゃないかという話ですとか、あるいは、日本に来たんだけれども何を研究したらいいかわからない、もうちょっときちっと受け入れ態勢を整えてほしいとかいう話がありましたし、また、出張費が少ないというのも具体的にありました。そこで答弁をいただいたわけでありますが、そういう趣旨を踏まえて、今後外国人の方の研究者の家族を含めた宿舎の整備や、あるいはそういうことも含めて対策をとっていきたいという答弁がありました。この長官とのやりとりのことをベースに、具体的に平成四年度にはどういう手を打ったのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#59
○須田政府委員 我が国の研究環境の改善、外国人も含めまして日本にぜひ行きたい、ぜひ日本で研究をやりたいという環境整備はどういうものがあるかということで、今先生御説明の宿舎の問題から、いわゆる巨本語の話学研修の問題から、研究所なり大学の環境問題、そういう問題の整備を図っていかなければいかぬということで、我々鋭意今努力しているところであります。
 したがって、来年度についても、筑波地区にいろいろな若手研究者が集まってくるような研究制度、「ひらめき」とかそういうことで呼んでいますが、創造性のある研究制度で、特に研究費の支出、それは生活費も含めて、ポスドクなんかに研究費、生活費を含めましてそのお金で筑波に来てもらう、そういう政策を我々去年、おととしからとっていまして、また来年も新しい制度、それは抜本的に何十人、何百人ということじゃございませんけれども、新しい制度を発足させております。したがって、何を一つやるというのじゃなく、多面的な面から少しずつ今改善を図ろうということで努力しているところでございます。
#60
○大畠委員 そのトータル的な話はよくわかるのですが、私も実は二、三日前、地元の方の運動会で、シリアからうちの方の茨城大学の工学部の大学院の方に留学生が来ているのですが、彼は日本の受け入れ態勢について非常に感謝をしていました。そして私はシリアに帰ったら日本の一番の支援者になるといいますか、日本はこうだったということをみんなに言いたいというような話もしていました。そういう意味では、国際貢献という話がありますが、こういうことも非常に大きな国際貢献の一つでございますので、そういう方々が日本へ行ったらひどかった、あんなひどいところはもう行くべきじゃないよなんという形になったら国費のむだ遣いですから、ぜひ外国人の研究者の方の受け入れ態勢を整備していただきたいと思います。
 それから、日本の貢献策の一つとしての留学生の受け入れというのがあるのですが、去年に比べてことし、たしか文部省の方では受け入れ十万人計画か何かやっていますね。それの実態について今どういう状況にあるのか、そしてこの計画というのは達成できるのか、特に工学系の留学生、どのくらい受け入れようとしているのか、そういう実態について教えていただきたいと思います。
#61
○西澤説明員 先生ただいまお尋ねの留学生十万人計画の実施状況でございますけれども、平成二年五月一日現在の数で、現在留学生総数四万一千三百四十七というような状況にございまして、これは実は十万人計画でございますと前期の終了期間が平成四年ということになって、平成四年に一応四万人を受け入れるという計画でございますので、二年ほど早い状況で達成しているような状況にあると承知しております。
 それから、そのうちの工学系の受け入れでございますけれども、同じ平成二年五月一日現在でございますが、工学系の大学学部及び大学院で勉強しております学生数は五千八百二十六人というような状況でございます。
#62
○大畠委員 今PKO問題もいろいろあって国際的な貢献をしなければいかぬというのですが、こういう地道な国際貢献をぜひ自信を持って、もっと文部省も科学技術庁も相互で力を合わせてやっていただきたいなということを申し上げたいと思います。
 この教育問題について最後ですが、長官はこの間筑波の方に行かれまして外国人の研究者とお話しされましたけれども、日本の国内の工学系の大学の研究室に行って、日本の科学技術を支える卵の学生さんと話をしたりあるいは研究室の実態を見て、文部省だけに任せておくのじゃなくて、科学技術庁としてこういうことをやってほしいというような申し入れを文部省に対してすべきじゃないかと私は思うのですが、長官として、今後外国人の方だけと話すのじゃなくて、ぜひ日本人の研究者とも話していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
#63
○山東国務大臣 大学は我が国の基礎研究の重要な担い手であるとともに、将来の科学技術活動を担うべき創造性と情熱にあふれる研究者あるいは技術者を養成するという極めて重要な使命がございます。私自身も今おっしゃられたように外国人の研究者だけではなしに日本の研究者とも随分懇談をしてまいりましたけれども、大学における研究費の近年の低迷あるいはその設備施設の老朽化あるいは陳腐化というものが著しいということを聞いておりますし、優秀な研究者、技術者の養成、確保にも悪影響が及ぶのではないかということは私どもも懸念をしているわけでございます。
 先ほどおっしゃられましたように、国際社会への貢献という形で国際研究交流の促進ということも私が訴えまして、金額にいたしまして平成四年度の概算要求額は二十七億七千九百万ということで、六億一千九百万の増ということで一応努力をいたしております。これでパーフェクトというわけではございませんけれども、できる限りの環境整備というもの、これは日本人はもちろんでござ
いますけれども、各国の研究者というもの、私の国だけでやっていればいいんだとかあるいはよその国は何か適当にやっているわということではなしに、やはりお互いに研究者同士が交流をして、そして切磋琢磨するということでよりよい結果というものが生まれてくるということは、これは実績が出ているわけでございますので、今後とも、一応科学技術会議におきまして、大学の研究環境の改善方策も含めまして二十一世紀を展望した総合的基本方策というものを審議中でございますけれども、私どももそれを受けて力いっぱいこうした対策というものに取り組んでいきたいと考えている次第でございます。
#64
○大畠委員 今長官おっしゃられましたように、技術者の卵が情熱と、まさにそういう意欲を持ってその分野に取り組めるように、実際の大学の研究者はどうもそういう感じじゃないんですがね。もう非常に意欲を失い、かつ情熱も失いがちな環境なんですが、ぜひ長官がおっしゃったような状況になるように今後とも御努力をお願いしたいと思います。
 次に、先端技術開発における基本方針についてお伺いしたいのですが、いつでしたか、次期支援戦闘機の開発については日米で政治的にいろいろ議論をして、中核部分、非常に高度な電子装置ですとか、そういうところについてはアメリカに持っていかれたケースがありますね。それで国内の方では、メーカーといいますか科学技術陣営も非常にがっかりしたということがあるのですが、最低でも共同研究といいますか共同開発というものにしなかったら、日本の科学技術の勢いというのが非常に薄れてしまうのじゃないか。日本の政治力とアメリカの政治力のぶつかり合いでがあっとやられたら、次の世代の科学技術のベースとなる技術開発に参画できない。私はこれは非常に憂うべきことだと思うのです。
 だから最低限でも共同研究、ある部分についてブラックボックスにしてはいけないと私は思うのですね。必ず日本も参画して、そのブラックボックスの内容が解明でき、かつ日本としても技術的に理解できる、そういう形での今後の技術開発をしなければと思うわけですが、ここら辺どうでしょうか、今日本の政治力は正直言いまして非常に落ちています。何でもアメリカの状況を見ながらの政治判断しかできない状況になってしまったのですが、専科学技術についてはもっと科学技術庁が自信を持って、いやそうじゃない、日本の将来を考えるときには、ぜひともこういう部分については最低でも日米の共同研究にしなければ困るんだというのでほとんどの分野で頑張ってくれないと、実際の技術者の方では非常に困ってしまうといいますか、非常に未来が暗くなってしまうと思うのです。
 そこら辺の基本的な開発方針といいますか、日米の共同開発ですとか、あるいは欧州との共同開発なんかもこれからどんどん進んでくると思うのですが、そこら辺の基本的な方針はどういうふうに考えておられますか。
#65
○須田政府委員 各国との共同研究についてはいろんな側面があろうと思います。先生がおっしゃった今の側面は、むしろ開発研究、実用化研究、そういうことの一つの形態だろうと思いますし、また基礎研究は一国の中に閉じ込めておく性質のものじゃなく、これは人類共通の財産としてやるべきだというのと、おっしゃるとおりあるところのプロジェクト研究、それについての共同研究の考え方、多方面あると思います。
 ただ、いずれにしてもそういう土台となるポテンシャルを持ってないと、宇宙開発、航空においても共同研究はうまくいくものじゃないということで、そのポテンシャルを非常に高めるということが少なくとも政府の役割だというふうに考えておりますし、国際共同研究においてもできるだけグローバル化を図って、成果の結果の移転促進、流通、そういうことを図れることによって共同研究が非常にうまくいくし、ポテンシャルを高めることによってプロポーズがいろいろある、そういう側面もありますので、それは総合的に考えていかなければいかぬというふうに思っております。
 なお、我が国も国際的な共同研究を我が国の主導によって促進していこうということで、例えばヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム、あれも我が国が提唱し、我が国が世界各国に声をかけて集まってもらった、そういうこともありますし、まさしく先生のおっしゃる側面も非常に重要な側面であるというふうに考えております。
#66
○大畠委員 これは政治力が非常に大きく影響していますので、なかなか難しい問題かもしれませんけれども、ぜひ政府の方にも政治力で負けるな、日本は科学技術立国なんだ、そういう面で、政治力で科学技術の面まで左右されてしまっては困る。向こうにも随分元気な人がいます。向こうには女性の方で元気な人がいますから、ぜひ山東長官もヒルズさんに負けないぐらい頑張っていただきたいと思うのです。
 それで、科学技術の中で今いろいろ注目を浴びているものの中に宇宙開発問題がありますが、この中で、前回私も質問させていただきましたけれども、欧米に比べて非常に予算が少ない。例えばアメリカのNASAの十分の一あるいは欧州の二分の一程度である。そういうことでは、特に前回も指摘をしましたけれども、日本は本当に宇宙開発の基礎技術の開発面で非常におくれているのですね。例えば無重力状態における人間の生態の問題ですとかあるいは物性の問題ですとか非常におくれております。そこら辺はアメリカやヨーロッパからもらってくるということを言ったって、単に導入してもなかなか自分の身につかないという意味では、今こそ一生懸命頑張らなければますます差が開くのじゃないかと思うのです。
 これまでの予算面ではアメリカの伸びよりも日本の伸びは非常に少ない。今回も非常に頑張ったということでありますが、私は、科学技術庁だけではなかなか難しいかもしれないけれども、GNPの一%ぐらいはこの宇宙開発事業に投入する、そういう目標を立てるべきじゃないかと思うのですが、そこら辺の状況はどうでしょうか。
#67
○井田政府委員 お答えいたします。
 前回先生の御質問にお答えしたわけでございますが、我が国の宇宙開発予算、米国の約十分の一、欧州の約二分の一と、諸外国に比べて大変少ないということでございます。今まではこの限られた予算の中で効率的かつ大変着実な研究開発をして何とか今日までやってきまして、欧米諸国に匹敵するような技術水準に達したわけでございますが、効率的だというのはやはり技術導入だということでございまして、この水準に達しますとこれから自分でやっていかなければいかぬということで、大変予算の面でも重点的に配分しなきゃいかぬというような状況にあるわけでございます。
 私どもこういう中で、今予算のシーリングというものがございますが、平成四年度におきましては全体として一般歳出の伸びが五・二%でございますが、政府全体の宇宙開発予算といたしましては、来年度の要求に対しましては七・二%増の千九百五億円を要求したわけでございます。特に科学技術庁におきましてはその中で千四百四十九億円、一〇・〇%増と、宇宙にかなりのお金を注いできているわけでございます。今先生のお話しになったような一%、まだ大変ほど遠い水準でございますが、私どもとしてはそういうことで宇宙の予算の重点確保ということに最大限努力してまいりたい、このように思っているところでございます。
#68
○大畠委員 もう一つ御指摘したいのは、今の宇宙開発における民間の投資と政府の投資の割合が、政府の投資割合が非常に低くなっているというのが事実です。これは、宇宙開発は非常にリスクを伴うものでありますから、欧米の例を見ますと、政府の割合というのは四割から五割ぐらいやっているのですね。日本では多分二割ぐらいじゃないかと思うのですが、そういうふうに民間におぶさった宇宙開発で本当にどうするのですか
ね。
 そういうことじゃなくて、まさにもうちょっと、これは声を大きくすれば予算取りができるわけじゃないかもしれませんけれども、宇宙開発における科学技術庁の力の入れぐあい、やはり政府内で山東長官にぜひ頑張っていただきたいと思うのです。そんなものじゃ諸外国に比べて恥ずかしいですよ。やはり日本の国として諸外国と同じように四割から五割ぐらい資金援助しながらやっていくという姿勢を示さなかったら、経済大国日本がもしらぬけれども、政府はどうなっているんだ、みんな民間におぶさった形の宇宙開発じゃないかというような形になりますので、ぜひこれは欧米並みの水準、今政治も経済も世界は平準化に向かっておりますから日本だけが特異な形であるということはおかしいと思いますので、ぜひそういうことで頑張っていただきたいと思います。
 最後に、時間がなくなりましたけれども、科学技術の安全対策について一点、基本方針についてお伺いしたいのです。
 私は、あるとき科学技術に関する安全政策についていろいろお話を伺いました。科学技術庁として安全というのはどういうふうに考えておられるのか。私は、いわゆる数値解析での安全じゃなくて、五官でもって感じられる安全というものをやらなかったら、これからの科学技術、やはり国民の皆さんに支持されないとうまくいきませんので、そういう意味では、数値解析による安全というのはもちろんであります。物証とか何かも必要ですが、国民の皆さんに理解できるというのは五官なんですね。目で見たり聞いたり肌でさわったり、そういう五官での安全対策といいますか、安全に対する考え方を持たなかったらいけない、これから国民の理解はなかなか得られなくなるんじゃないかということでは、ぜひ科学技術庁の安全というものの考え方についてそれを入れていただきたいと私は思うのです。全般的な話になりますが、そこら辺の考え方をお伺いして、質問時間が来ましたので終了したいと思います。
#69
○須田政府委員 今後、来世紀を目指した十年間における科学技術の基本的な方策、先ほど申しました科学技術会議で今議論しておるのですが、今の作業状況におきましては、重要事項のうちの三本柱の一つに、安全と潤いのある科学技術、これを今目標に立てて鋭意作業を進めております。したがって、今先生おっしゃるシミュレーション、ハードの安全のみならず、国民における安全、そういうものについて今具体的なテーマを掘り起こしたり、その理論、理念を整理しておるところでございまして、これは科学技術庁のみならず科学技術会議でございますので、関係各省庁含めてそういう思想を入れた形で今理論武装しているところでございます。
#70
○大畠委員 ありがとうございました。
#71
○中馬委員長 辻一彦君。
#72
○辻(一)委員 きょう私は三点、一つは実用衛星の自主開発問題、二つ目は高速増殖炉とプルトニウムの関係、もう一つは核融合、若干時間があれば通産の調査委員会等のあり方についても触れたいと思います。
 まず第一に、九月四日の日経を見ると、実用衛星の国際競争力強化のため官民共同で開発会社を郵政主導でつくると出ておる。それから九月の十九日になりますと、日経の夕刊、また読売の夕刊はいずれも、アメリカの圧力で「予算要求中止」、あるいはアメリカの要請で「設立を断念」、こういうふうに報じられている。これが事実ならゆゆしき問題であると思うが、事実関係はどうか、伺いたい。
#73
○飯田説明員 お答えいたします。
 一部の新聞報道に官民共同の実用衛星開発のための研究開発会社というものが載っておりましたけれども、これにつきましては、来年度の予算要求をしたということはございません。したがいまして、これについて、米国の圧力により撤回した、そういう事実もございません。
#74
○辻(一)委員 政府としては事実関係は今報告をしたというわけですが、建前の説明はそれとしましても、この新聞に出ている非常に具体的な中身と、それから今の報告の中身は余りにも隔たりが大きいというように思います。この新聞を見ると、どうも新たな日米の摩擦が起こるんではないか、こういうことを懸念して構想を引っ込めたのではないか、こういう疑念が残ります。
 そこで、二点伺いたい。
 一つは、実用衛星本体の開発でなくて、伝えられるような大型の実験、試験に助成をする。これは、衛星開発の中で大きい空洞をつくってそこでいろいろな実験をする、こういうことが衛星開発に非常に大事な問題なんですが、こういうようなものに政府が助成をして、そしてそういう実験、試験大型施設ができる、それを海外の衛星メーカーにも開放する、こういうようにも報じられておったのですが、それでも、昨年六月に日米間で結んだ実用衛星の調達協定に抵触するのかどうか、これはいかがですか。
#75
○井田政府委員 お答えいたします。
 日米間の合意も、先生御承知のように、我が国メーカーが米国市場に参入すると同様に、我が国の政府及びNTT等の機関が研究開発衛星以外のいわゆる実用衛星を調達するときには、内外を問わず公開、透明かつ無差別の手続によるものとしたものでございます。この際、自主技術、我が国の研究開発衛星というものについては我が国が独自に開発することを認められているわけでございまして、そういう観点からいたしまして、日米間の合意におきましても、研究開発衛星は我が国の判断でこれに必要な研究開発を実施できるというふうなことになっております。したがいまして、自主技術開発を目指しました官民共同のこういった施設につきましても、これは行うことができると私ども考えているわけでございます。
 我が国の宇宙開発は自主技術基盤の確立ということを目指して行ってきたものでございますので、今後私どもとしましても、こういった国の技術基盤の強化は無論のこと、さらに国のプロジエクトヘの民間の参加とか、国等が保有する技術の民間への移転とか、国等の大型施設の民間利用の促進とか、こういうことを行いまして民間の技術力の強化ということをしたい、このように考えているところでございます。
#76
○辻(一)委員 要は、今私が指摘をしたそういうような実用衛星の開発にかかわる大型の試験や実験施設等に政府が助成してもそれは当然やれることだ、こういうふうに確認していいんですね。
#77
○井田政府委員 この問題はなかなかその解釈の問題が難しいところでございまして、実用性衛星直という形で、そういう形で政府がそういったそのための施設に出すということは問題になるかと思うわけでございます。自主技術基盤、自主技術開発ということの施設であるというような一つのそういった観点からの官民共同のものは我々は行うことができる、このように考えているわけでございます。
#78
○辻(一)委員 きょうはこれに余り時間をかけることはできないのですが、アメリカは今まで膨大な軍事予算を持って宇宙開発をやってきた、これは、広義に言えば軍事衛星も実用衛星の一つであると考えられる、だから大変な国家予算をつぎ込んで宇宙開発をやり、その成果はやはり民間の衛星開発に恐らく活用されていると思うのですね。我が国の場合はわずかな、今新聞に伝えられているのはわずかといえばわずかだし、大きいといえば大きいのですが、この程度の試験に助成をしようということについて、もし伝えられるような介入があるとすればまことに理解しがたいことである、こう思っておりますが、そういう事実がないというなら、これは疑念は残りますが、それ以上触れないことにしたいと思います。
 そこでもう一、二伺いたいのですが、ちょっと繰り返すことになりますが、新聞を見るとUSTR等が、アメリカ当局がワシントンで発表しておるのは非常に具体的な中身なんですね。例えばこう言っている。ワシントン発の「米通商代表部高官は十八日記者会見し、日本政府が米政府の要請を受け入れて、人工衛星の開発などを目的にした
官民共同の研究開発機関の設立を断念したことを明らかにした。」こう報じられて、「米政府は、日本政府の資金が入った衛星開発機関の設立は昨年六月の人工衛星に関する日米合意に抵触する恐れがあると判断し、日本側に計画の見直しを求めていたという。」のですが、アメリカのUSTRが記者会見をしてこれだけのことを言っているのに、何の事実もなかったというのはどうしても理解しにくい。しかし、私はその事実があったかどうかを今ここでこれ以上確認しようとは思いませんが、このアメリカ側の発表等からすれば、いろいろな動きがあったということは十分に考えられる。
 そこで、我が国の政府が概算要求というのにもまだ正式にのせていない、言うならば政策形成の過程で、その内容につき問い合わせをアメリカの大使館が日本にしたり、あるいはUSTRの発表では、今申し上げたような発表があったということは、見直しを求めた、こう発表している。これほどうも内政干渉に、こういうことがどこまでなされたかわかりませんが、内政干渉に等しいと思いますが、これについての見解はどうなんですか。
#79
○飯田説明員 お尋ねの件につきましては、米国大使館が新聞記事を見まして事実関係の確認に郵政省に参ったということはございますけれども、これは事実関係の確認に来たということでございまして、郵政省の行っておる予算要求に容喙しよう、そういったものではないというふうに理解いたしております。
#80
○辻(一)委員 いいように解釈するのも結構ですが、こういう記事によるわけでありますが、ちょっと理解しがたい点があると思うのですね。私はこれからのために申し上げておきますが、アメリカ側は、日本が黙って引っ込んでいけば今後ますます日本の衛星開発等に干渉してくる可能性がある、懸念があると私は思うのです。譲るべき点は譲ってもいいが、譲れない点は厳しく主張して反論すべきである、こういう政府の姿勢をしっかりこれから持っていくことが大事だと思いますが、これについてはいかがですか。
#81
○井田政府委員 我が国の宇宙開発でございますが、これはやはり自主技術基盤の確立ということを目指しているわけでございまして、こういうことで、日米間の合意でも認められているという範囲で、きちっと主張すべきことは主張しまして、こういった自主技術基盤の確立ということに今後とも努力してまいりたい、このように考えているところでございます。
#82
○辻(一)委員 これは長官にちょっと伺いたいのですが、去年の五月の二十四日、この委員会で私は当時の大島科学技術庁長官に対して、実用衛星の日米調達協定は我が国の自主的な宇宙開発に支障を来す、阻害をすることにはならないかということを若干の時間をかけてただしたときに、そういう懸念はないということを長官は答弁をしておるのです。どうもこういうわずか一年の動きを見ても、去年私が述べた懸念すべきことはこれからとも起こり得る、懸念、心配が十分にあると思いますが、これらに対して、日本の衛星の自主的な開発という観点から科学技術庁長官の決意と所見を伺いたい。
#83
○山東国務大臣 宇宙開発に関しましては、もちろんアメリカが歴史あるいは実績があるわけでございますので、日米間でいろいろこれからも協力をしていかなければならない問題があろうかと思います。また、米国の議会の状況などもございまして、こうした宇宙開発の問題については、私も米国の議会の責任者にいろいろ書簡を送ったりして、努力をしてくれ、あるいは協力体制というものを今後ともしっかりとした体制でというような形で行動をしてまいりました。
 来年は国際宇宙年でもございますし、この宇宙開発といったもの、これは人類の発展に大きく寄与するものでもございますし、そのためにこうした開発というものに一生懸命今後とも取り組んでいきたいと考えておりますが、いろいろ具体的な細かい問題につきまして、何か補足することがございましたら、事務方から答えさせていただきたいと思います。
#84
○辻(一)委員 いや、細かい話はいいですよ。
 これから衛星開発を考えていくときに、あの協定を盾にとっていろいろ干渉してくる懸念が非常に強いから、科学技術庁長官としても政府としてもはっきり、しっかりした構えで臨んでもらいたい、この決意を伺ったわけですから、細かいお話はまたの機会に伺うことにしますしっかりやっていただきたいと思います。
 もう少しいろいろ論議をこれもしたい気持ちがありますが、限られた時間でありますから、次に、FBRとプルトニウムの問題に触れたいと思います。
 一九八三年にアメリカはクリンチリバーのFBR原型炉の建設を断念している。それから、九一年の三月二十一日には、ドイツは七十億マルク、約邦貨六千億円をかけた高速増殖炉の計画を中止すると発表している。フランスのスーパーフェニックス、これは私ども去年であったか見に行ったのでありますが、故障がよく出ているし、それから今、増殖を将来やめる、鉄棒をその周辺に埋めて増殖の方はもうやめる、こういうことを言っている。こういうふうに考えてみると、世界の流れは、高速増殖炉、FBRから撤退あるいは計画中止、そういうような何か大きな流れがあるように思いましたね。
 我が国はこれとは違って、原型炉「もんじゅ」はこの七月に完成をして今試験をやっている。さらに、六十万キロワットの実証炉を日本原電が来年の三月までに基本設計をまとめる、こういうことがまとめられておる。まさに高速増殖炉を目指して直進をしている、こういう状況であります。国際的な動向からいうとかなり違った道を我が国はこの問題で歩もうとしておるのですが、これについてはどういう考えなのか、長い話は要らぬですから、要点だけちょっと伺いたい。
#85
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 先生御承知のとおりに、高速増殖炉は、発電いたしながら消費した以上の核燃料、核分裂性物質を生成していきます画期的な原子炉でございます。今先生おっしゃいましたような、アメリカのクリンチリバー中止以来の歴史あるいはドイツの状況、それからフランスの現状等々あるわけでございますけれども、世界的に見ましても、まして殊さら資源に乏しい我が国におきましては、高速増殖炉開発の意義はいささかも衰えていないと考えておるところでございまして、これからも、計画に沿いまして、動燃事業団の原型炉「もんじゅ」の機能試験の実施あるいはそれ以降の運転を目指しまして最大限の力を注いでまいりたい、かように考えておるところでございます。
#86
○辻(一)委員 まず、どうもその国際的な流れとかなりというか、非常に違った道を、それも一つの選択肢であると思いますが、歩みつつあるということを指摘して、旦体的な問題に若干入ります。
 この間も私は、十八日に半日ほど敦賀の「もんじゅ」をずっと下まで入ってよく見せてもらいました。この「もんじゅ」の総合機能試験を今やっておるのですが、ナトリウムの第二次冷却配管が、この試験の過程で熱膨張で設計とは逆の方向に膨張して伸びているということが報じられておりますが、簡単に事実関係を聞きたい。
#87
○坂内政府委員 「もんじゅ」につきましては、現在、動燃事業団により総合機能試験が実施されておるところでございますが、去る六月に、二次系主冷却配管ループの予備昇温試験を開始したところ、先生今御指摘のように、予熱温度百二十度まで昇温した段階で、このループの格納容器貫通部より中間熱交換器に至る配管部分において、当初はその中間熱交換器側には移動しないというふうに予測した測定点が中間熱交換器側に数ミリ移動したということでございます。現在、動燃でこのいろいろな原因の究明調査等を行っておるところでございます。
#88
○辻(一)委員 動燃は当初、この問題が出た初めに、その伸びは誤差の範囲内、調整の範囲内と
言っていたのですが、現在もこういう見解ですか。
#89
○坂内政府委員 これは、全体で約四十ミリ程度の移動があるだろうということは予想しておったわけです。四十ミリ程度の移動はあるわけですけれども、その方向がいわば左右に分散した形になりまして、予想しなかった数ミリのものが中間熱交側に移動したということでございます。
 今現在、いろいろ調査をやって、どこの部分がいわゆる抵抗が大きいのかということをやっておりますので、今後のことにつきましてはちょっと予断を許しませんが、いずれにしても、調査をしましてきちっとその安全性に問題がないようにしたいというふうに思っています。
#90
○辻(一)委員 御存じのように、このループはA、B、Cと三つありますね。初めにこの問題が起きたのはCループであったのですが、現在調査の結果、これは二、三日前の新聞にも出ておりましたが、A、B、Cの三つのループ、三つとも逆方向に配管が熱膨張をしている。これほどうも設計のミスではないかという見方もあります。三つとも同じ現象が起きている、外の方に伸びるべきものが逆の方に伸びているという、しかも、一つだけでなしに三つとも起きているというのは大変問題があると思いますが、これほどうなんですか。
#91
○坂内政府委員 今御指摘のように、初めCループで百二十度まで昇温したときにそういった問題が起こりまして、その後、Aループ、Bループとも実験をしておりますが、五十度ないし六十度いったところで同じような傾向が見られております。ということで、傾向がわかり、同じような問題点ということでもってそこはわかりましたので、それ以上昇温はいたしておりません。その原因につきましてはいろいろ今調査中でございますが、同じような傾向を示したということで、恐らく似たような原因がなということを、今それを鋭意検討中ということでございます。
#92
○辻(一)委員 調査中といえば、なかなか難しい問題であるが福井県では原因が、福井県というのは県の原子力安全対策課ですか、この記事を見ると、発表を見ると、原因が特定をされて適切な対策がとれるまで、ナトリウムを中に入れて温度を上げてやるというそのナトリウムの充てんは認められないと言っておりますが、ナトリウム売てんの試験は予定どおりやるのですか。
#93
○坂内政府委員 ナトリウムの使用のことでございますが、その原因究明の中にナトリウムを使ってやるという必要性は今のところまだ認めておりませんで、その原因がきちっとわかり、この部分がどうも抵抗が多いようであるということでもってわかった段階で、またその必要に応じてナトリウムを使うということになろうかと思います。
 いずれにしましても、ナトリウムを使う場合は、そこに至る経過、経緯、原因の究明等調査事項を十分に検討し、また県側にももちろん理解を求めてナトリウムの使用をしたい、こういうように思います。
#94
○辻(一)委員 今、総合試験の途中ですから余り詳しく触れることはないと思いますが、何といっても初めての炉ですから十分慎重にやってもらわないといかないと思うので、その点はひとつ科学技術庁も十分銘記をしてやっていただきたいと思います。
 次に、高速増殖炉の問題ですが、日本も含めて各国のFBRの開発実用化のめどはどうなんですか。簡潔で結構ですから。
#95
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 御承知のとおり、現在動燃の高速増殖原型炉は今のような状況にあるわけでございますが、先ほど先生もお触れになりましたように、原型炉の次の段階でございます実証炉につきましては、電気事業者の主体的役割のもとにおきまして官民の適切な協調を図りながら、一九九〇年代後半の着工を目標として計画を進めておるところでございます。
 なお、諸外国におきましてもそれぞれいろいろ検討が行われておるわけでございますけれども、特にヨーロッパにおきましては、御承知のように欧州統合実証炉、EFR計画を一九八八年三月から実施しておるところでございます。このEFRの計画につきましては、これから詳細な作業を進めて、その後で一号機につきましては一九九七年着工、二〇〇五年運転開始の計画でありまして、二〇一〇年ごろにはEFRを実用化していく、そういう予定であると承っております。
#96
○辻(一)委員 プルトニウムをこのFBRというのは本格的に使うという原子炉ですが、プルトニウムが本格的に使われる実用炉、それは幾つかの国で一応展望しておると思うのですが、それはいつですか。細かいことですが、何年ぐらいを考えておるのか。
#97
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 プルトニウムにつきましては、基本的に高速増殖炉において使われますことがそれぞれの国において計画されておるわけでございまして、それが本格化してまいりますのは、今申し上げましたように来世紀になってからということであるわけでございます。ただ、それに至るまでもプルトニウムの熱中性子利用、いわゆるプルサーマル計画が多数行われておることも御承知のとおりかと存ずるところでございます。
#98
○辻(一)委員 いや、私の言っているのは、実用炉は何年をめどにしているかということ。何回も聞いてもあれだから、その資料を見れば大体二〇一〇年から二〇年の時期に実用炉の可能性があるんではないか、こういうのが各国の、まあ我が国も、大体見方ですね。
 そうしますと、時間の点から全部を聞くことは割愛しますが、政府の原子力委員会の核燃料リサイクル専門部会の報告書、八月に出されているのを見ると、これからのプルトニウムの需給関係の予測があるんですね。これを見ると二〇一〇年、これから約二十年後ですが、大体八十五トンのプルトニウムを我が国で、海外から持って帰るもの、国内で再処理の結果出てくるもの、いろいろ合わせて保有することになる、こう言っておるのですね。しかし、これは約という形でずっと出しているので、少ない見積もりをすれば、まあ八十、約の方をちょっと上の方に見積もれば九十とかになる可能性があるのではないか、だから、この八十五から九十あるいは百、こういうプルトニウム保有の状況になるだろう。それに対して、この八十五トンのプルトニウムをどういうように使うかということをもう数字だけ、極めて簡単で結構ですから、伺いたい。
#99
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 プルトニウムの需要、いかに使うかということにつきましては、去る八月の、今先生御指摘の原子力委員会核燃料リサイクル専門部会の報告書によりますと、一つといたしましては、FBR実験炉の「常陽」及び原型炉「もんじゅ」におきまして十二ないし十三トン程度、それから二番目のFBR実証炉及び実証炉以降の炉におきまして十ないし二十トン程度、それから三番目といたしまして、新型転換炉の原型炉「ふげん」及び実証炉で十トン弱、それから四番目といたしまして、軽水炉によるプルトニウム利用におきまして約五十トンということになりまして、その合計いたしましたものが先ほど先生のおっしゃった量になる、そういうことが記載されておるわけでございます。
#100
○辻(一)委員 今伺ったのだと八十五トンが大体保有される、そしてそれをどう使うかという内訳が出たんですが、本来プルトニウムは高速増殖炉、FBRに使うというので分離を図っておると思うのですね、それはよしあしは別として。
 ところが、この二十年間の計画を見ると、本来のFBRの開発は随分先になって、まあ何ともわからぬ。実証炉にしても、十とかあるいは二十というようになかなかめどがつきかねる、こういう数字ですね。そうすると、この五十トンというと全体の六〇%、半ば以上は軽水炉に使う計画ですね、軽水炉に。MOX混合燃料にして使うというわけですが、本来ウランを燃やす軽水炉にプルト
ニウムをこれから使ってやっていこうという方向は非常に問題があるというように思うのです。ちょっと無理な計画じゃないかと思いますが、これについての見解はいかがですか。
#101
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 先生御高承のとおりに、ウラン235もプルトニウム脇も同じく核分裂性物質でございまして、中性子を吸収いたしましてエネルギーを発生するとともに二ないし三個の中性子を放出するということにおきましては、基本的に同じでございます。もちろん、その核的特性は先生御指摘のように違うところもございますし、原子炉の中におきます燃焼の仕方等々にも若干違うところはあるわけでございます。
 そういうことではございますけれども、当然全体としての特性を見ますと、プルトニウムも現在の軽水炉の中におきまして十分使用することができる燃料、核分裂性物質であることは、その特性からもそう言うことができるわけでございまして、その意味では、将来的には、長期的には高速増殖炉等において用いられることが主流かどば存じますけれども、軽水炉においても利用できるものということでございまして、これにつきましては、ヨーロッパ等でも相当の経験を積んできておるというものであると認識しておる次第でございます。
#102
○辻(一)委員 私は、昭和六十三年の秋でしたか、フランスのサンローランでMOX燃料、軽水炉でプルトニウムを燃やしているのを見てきました。実験をいろいろやっておりますが、もともと軽水炉というのは濃縮ウランを燃やす炉で、高速増殖炉はプルトニウムを燃やす炉である、これはもうはっきりしているのですね。しかも、濃縮ウランを燃やすよりもMOX、いわゆるプルトニウムをまぜた燃料は高くつくのですね。いろいろ経済的に計算されても高くついている。そしてまた、プルトニウムを一遍燃やせばさらに再処理が必要になってくる。これは、ウランを燃やした使用済み燃料を再処理するのよりプルトニウムを燃やした後の再処理ははるかに複雑になってくる。これはまた大変厄介なんです。そして、後には超ウランという厄介な廃棄物が生まれてくる。これも燃やせるんじゃないかという計画があるというのですが、それはまあ将来の問題ですね。
 そうしますと、安全上の問題を見ても、必ずしも確認がまだまだ十分でないと私は思う。経済的にも高くつく。そして、そのプルトニウムをまぜて燃やしたら、後の始末も非常に厄介になる。ウランはないのかといったら、今濃縮ウランは国際的にだぶついている。ソ連なんかは、濃縮ウランを安くするから買ってくれと言っておるのですよ。買わないか、こう言っておるのです。そういう状況の中で、なぜ軽水炉の中に無理にプルトニウムを持ち込むのか。これは、プルトニウムが過剰生産になる、過剰な保有を何とかしなければならない。プルトニウムは置いておけば価値が減っていくという問題があるし、それからハイジャックというか、長い間保管すればいろいろな安全上の心配があるでしょう。
 もう一つは、国際的に今米ソのいわゆる核兵器に応用された量はプルトニウムで大体二百トンと言われるわけですね。これは朝日新聞の社説に出ている。ところが、我が国が保有しようとするプルトニウムは、純度とかが核兵器に使うのとは違うから同じようには並べられないけれども、我が国は八十五トン、九十トン、場合によればもう少し保有するかもわからない。それは純度はちょっと違うにしても、しかし大量のプルトニウムの保有ということになるのです。そうすれば、国際的にどうしても、これをどうするかという批判が出てくる。そういうものをかわすために無理やり軽水炉にプルトニウムを使うのではないか、こういう見方がいろいろあるんですよ。これはなかなか否定できないあれだと私は思うのです。こんな無理な形で無理にプルトニウムを使っていこうとするプルサーマル計画はちょっと見直しをすべきではないかと思いますが、いかがですか。
#103
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のプルサーマルは高くつくのではないかということでございますけれども、これにつきましては、御指摘のようにプルトニウム加工ということになりますと、これは普通の濃縮ウランの加工に比べまして遠隔操作とかいろんなことが必要でございますから、高くなるという要素はあろうかと存ずるわけでございます。しかし、御承知のように濃縮ウランあるいはその手前のウラン資源、あるいはウラン鉱でございますけれども、これは輸入物質であり、輸入エネルギーであるわけでございます。それに対しましてプルトニウムは準国産エネルギーとして位置づけることができるわけでございまして、その準国産エネルギーを現在の軽水炉でも活用できるということは、技術的に見ましても非常に意義のある大事なことじゃないかと思うわけでございます。
 それから、プルトニウム燃料の再処理が非常に大変である、そういう御指摘もございました。これにつきましては、プルトニウムの入りましたMOX燃料の再処理につきましては、普通のウラン燃料を燃やした使用済み燃料の再処理とは違った技術ではございますけれども、基本的に将来高速増殖炉、これは御承知のとおりに当然再処理の存在が前提となるわけでございますけれども、FBR再処理ということまで考えますれば、いずれMOX燃料の再処理という技術は当然我々の手中にしていかなければならない技術ではございますし、それにつきましても、これまた動燃事業団等のこれまでの活動によりましてだんだん視野の中に入ってきておる、そういうところであるわけでございます。
 それから、超ウラン元素がビルドアップしてきて、その始末がまた大変ではないかということでございますけれども、これにつきましても、濃縮ウランの燃料を取り扱いまして、それを原子炉で燃やした使用済み燃料を取り扱ってもTRU、トランスウランの元素を持ちます廃棄物が出てくるわけでございます。これにつきましても、いずれ我々はこれを適切に処理あるいは処分する技術を身につけなければいかぬということであるわけでございますし、これにつきましても鋭意努力しておりますことにつきましては、先生御承知のとおりでございます。
 そういうことを総合的にあわせ考えまして、プルトニウムを我が国で軽水炉であれ将来の高速増殖炉であれ使いこなしていくことは、エネルギーの安定供給上極めて大きな意義を有するものと考えておるところでございます。
#104
○辻(一)委員 いずれ適切に処理するといったって、あなた、そのめどがついているわけじゃないんだから、これから研究しなければならない問題ですよ。
 そこで、資源の問題が今出ましたが、私はウィーンのIAEAへ行ってブリックスさんや次長の皆さんと一日随分論議をしましたけれども、アメリカとソ連はウランの使用済み燃料を水につけて保管しておるんですね。あるいは、最近は乾式といって、半地下で空冷式によって使用済み燃料をそのまま保管するとかいろいろのがあるんですが、こういう見方もあるんですね。アメリカやソ連は、石油やウランがある間は大いにそれを活用して、将来資源がなくなるときに備えて、このプルトニウムは分離せずに使用済み燃料の中に入れたままにして保管をしておいて、三十年とかたったらどうするか考えてもいい、こういう意味の資源確保の道もあるんですよ。
 我が国は、早いところプルトニウムを取り出してそれをすぐ使おうと言う。その使う本体のFBR、高速増殖炉は、もう三十年、四十年先でなければめどがつかない。だから、資源確保という点からいえば、必ずしも私はプルトニウムを分離して今使ってしまうようにしなくちゃ資源が確保できない、そういうものではないと思うのですね。それはどうなんですか。
 今、米ソのようなああいう国は、ワンススルーで一回使い切りもあるし、それからそういう将来の保管をやっているのもある。ドイツもこの再処理をあきらめましたが、フランス、日本が再処理
の道を歩もうとしている。資源化という点からいえば、必ずしも再処理で分離をしなければならないという問題ではない。だんだん時間が来てもうありませんが、その点から考えれば、プルトニウムを使い切れないほどたくさん生産することはない、だから再処理の規模も見直してしかるべきだと私は思いますが、それらについて伺いたい。
#105
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 先生もよく御承知のことと存じますけれども、そのことにつきましては、原子力は技術エネルギーであることをぜひ御認識賜れば幸いと思う次第でございます。すなわち、先生今おっしゃいましたアメリカでございますけれども、これは何と申しましても原子力技術におきまして非常に広い幅、厚い層を持って原子力の開発をやってきた国でございます。先生おっしゃいましたように、使用済み燃料を未処理のままにずっとしておいて将来使う、将来に温存する、必要になれば使うということでございますけれども、使うためには技術も要ります、経験の蓄積も要るわけでございます。このようなまさに科学技術のダイナミズムとでも申すべきものを全体我々よく認識して、しかるべきタイミングでプルトニウムを使いこなしていく技術を身につけること、これが将来のエネルギーの安定供給にとって極めて重要なこと、かように認識しておる次第でございます。
#106
○辻(一)委員 時間が来ました。こういう大事な論議はちょっと時間が足りないように思いますから、また日を改めたいと思います。
 質問ができなかったのですが、核融合についても、ようやくITERの四極で三つ、日本、アメリカ、ECが分担をしてやるようになった、ソ連もそうですが、これもぜひ力を入れて頑張っていただきたい。そして五月七日にこの委員会で決議をしました熱核融合国際協力に関する件の決議は、いろいろ反映されているとは思いますが、これからともあの決議を踏まえて努力されんことを願って、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#107
○中馬委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
#108
○中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。関晴正君。
#109
○関委員 半年ぶりで委員会が開かれて、やっときょう質問できるわけであります。
 この間、科学行政というものが非常に大きな変化をしてきたな、こう思っております。特に再処理工場の問題では、科技庁において一次をパスした。ただいま原子力安全委員会の方で、内田委員長のもとで審議をしておる。また、きょうは、特に我が青森県におけるウランの濃縮工場が事業を始めるために必要であるところの六弗化ウラン、この六弗化ウランの輸送が非常に近づいておる。その輸送体制については、さきの四月にいろいろと質問申し上げましたけれども、その後どのような前進があっただろうか。聞いてみますと、ほとんど前進がないようであります。
 そのほか、原子力委員会における我が国のエネルギー政策というものが、特別ウランの方に力こぶを入れておる。言うなれば原子力に力こぶを入れておる。そして、さらにはプルトニウムの社会に突入しようとしておる。大変に危険な方向に科学の行政が進んでおることを思いますときに、この委員会としては余計に問題を把握しながら我が国の進み方に誤りのないようにしていかなければならないな、こう思っております。
 山東長官も、長官になられまして相当に科学行政について御見識を深められてきたようでありますし、ぜひ今後とも誤りのない方向で臨むということと、大事なことは、少数意見、言うなれば国会の中においては少数意見だけれども、少数意見をも重んずる、そういう一つの姿勢を堅持してほしいな、こう思うわけであります。
 そこで、安全委員長は何か五十分ぐらいしかここにおられない、こういうお話であります。大変に残念なことでありまして、せっかく安全性の問題についていろいろ論ずるのは、国会においてはこの委員会しかありません。この委員会で原子力の安全性の問題を論ずる、原子力発電所の事故があったときに扱ってきたこれまでの経緯という問題も十二分に聞かなければならないものがあるわけであります。ですから、この科学技術委員会が開かれるということになりましたら、安全委員会の委員長は我が科学技術委員会とともにあるんだ、こういう姿勢がなければならないと思うのです。質問者があれば、その質問者に、時間的に半分ぐらいで我慢してくれ、こういうような考え方でおるということ自体、私は問題だと思います。科学技術委員会が開かれたら、この論議を少なくともきちんと聞いておく、こういうのが大事なことだと思うのです。
 しかも、きょうの日付というものは一カ月近く前に決めていたことですよ。にもかかわらず、本日はわずか五十分で勘弁してくれ、こう言われると本当に残念な気がしてなりません。何で自分たちの時間をもう少し延ばすなりあるいは早めるなりあるいは日にちを変えるなり、そういうことができないんだろうかなと思うわけであります。そういう意味では十二分に我々の委員会の会議というものについては重視をして、そしてできる限りこの委員会の論議は把握するということであってほしいと私は思うのであります。
 そこで、第一に聞きたいことは六弗化ウランの輸送の問題です。この輸送の問題については、原子力安全委員長というのはどの程度まで責任があるのか、責任を持ってこの輸送について対処しているのかどうか、そういう意味において安全委員長にお聞きしたいと思います。
#110
○谷(弘)政府委員 御説明申し上げます。
 輸送等に関係いたします具体的な日々の実務につきましては、私ども行政庁で日々仕事をさせていただいております。もちろんその中で輸送につきましても、非常に重要な事項、例えば規則を決めるとか重大な問題が起こりました場合には、当然安全委員会に御報告をいたしまして、その御審議をいただくということでございますが、日々の事項については私ども行政官が実務を実行しているということでございます。
#111
○関委員 私は委員長に聞いているのです。原子力安全委員長の内田さんに、この輸送問題についてはどのようなタッチをされたか、またどのような見解をお持ちになっておるか、何のタッチも何の見解もないならそれで結構でございますから、お答えいただきます。
#112
○内田説明員 放射性物質の安全輸送に関しましては、原子力安全委員会に設けられております放射性物質安全輸送専門部会において基本的な事項について審議をいたしまして、行政庁に指示しているところでございます。
 輸送の実態につきましては、各関係行政機関、行政庁の実施していることでございます。
#113
○関委員 私はこの前の委員会のときにも申し上げましたね。原子力安全委員長というのは一体何なのだろう。少なくとも今の六弗化ウランの輸送の問題については、先般のときにも申し上げましたね。フラットラックコンテナというもので運んで、天井もなければわきもない、前と後ろだけにはっい立てが立っているけれども、こういうようなコンテナの輸送で安全が図られるのか、一たん事故があった場合にどうなるのだ、こういうことも申し上げておきました。そのときあなたは、今のように、それぞれの専門グループにおいてよくやっているからよろしいんだ、こうおっしゃっておりました。よくやっているかよくやっていないかをどういうことで吟味されたかがあなたの仕事だろうと思うのですね。
 そこで、国際原子力機関における一つの勧告がございますね。放射性物質の運搬における、特に六弗化ウランの運搬における緊急事態の発生、そういうことを仮想して対処すべき一つの手順、措置、そういうようなIAEAにおける勧告が出て
いるのですが、このIAEAの勧告を安全委員長はごらんになったのでしょうか。
#114
○内田説明員 御指摘のIAEAの勧告というのは、IAEAのSS八十七あるいはそれに相当するものであると思いますが、これは先ほども申し上げました放射性物質安全輸送専門部会においても検討しているところでございます。
#115
○関委員 検討しているところであろうけれども、私は、あなたがあの勧告の文書をお読みになったかと聞いておるのです。お読みになったのですか。
#116
○内田説明員 SS八十その勧告は承知しておりまして、その要点は、放射性物質の輸送の場合の仮想事故に対する問題を説明もしておりますが、その具体的な処置は各国に任されておると聞いておりますし、もともとIAEAの勧告でございます。
 輸送物質の安全確保は、そのSS八十七に仮想してありますような交通事故による火災事故に巻き込まれないように交通の安全を守ることが大事であります。また一方、放射性物質UF6を輸送します容器は、US四十八Yあるいはそれに相当する容器を使うことになっております。これは高度からの落下、それから火災におきましても十分安全が確保されることになっておりますし、また実験もされております。また一方、我が国では、さらに防熱材を保護材として使うという報告を受けておりますので、それが火災によって破損するようなことはないと存じております。
#117
○関委員 今回、IAEAの国際会議にお出かけになられました山東長官は、この勧告文をお読みになったのでございましょうか、お尋ねしておきます。
#118
○山東国務大臣 事務方から聞きまして承知をいたしておりますが、このIAEAの基準と申しましょうか、それは全文を読みますと、私どもの日本でやっております基準というものは、その国際基準よりもっと厳しい観点から試験をして、私どもはそれをクリアしていると認識をしております。
 今、安全委員長からも話がございましたけれども、非常に重要なウラン輸送でございますので、特に隊列輸送というものも二台ずつ前後に配列をいたしまして、無線を十分駆使して、何事もないように十分いろいろな角度から注意をして万全の対策をとっておる、私どもはそのように認識をしている次第でございます。
#119
○関委員 実は、この問題が出まして、この勧告文の内容、勧告文書そのものを訳したものをいただきたい、こういうことでお願い申し上げましたが、持ってきたものは全部英文でございます。翻訳したものがないのかと言ったら、ないと言うのです。では皆さん方はこの英文で、原文で読んでお仕事をしておるのですかと言ったら、そうだと言う。それで私はびっくりしました。そういうことをしているから、言うなれはこの中に記載されている内容についての処理の仕方、対処の仕方が非常に弱いものがあった、こう思うのです。このとおりの内容のものが消防庁の方にも行っているのか、消防庁の方にも行っています、こういうお話であります。行っているかもしれないけれども、では消防庁の方に原文でやったのかと聞きましたら、消防庁の方には原文でなくて訳してやりました。訳してやったならば、私のところにも訳して持ってきたらどうだ、こう申し上げたら、いや、実はよその本で訳されているのを見まして、それをコピーして消防庁にあげました、こういうわけであります。
 一九八八年の文書を、今何年ですか、一九九一年九月ですよ。三年もたっていながら、この勧告書を翻訳もしていない。この勧告書のもとに対処すべき防備体制、こういうものがちっともつくられていない。つくられるわけがない、翻訳していないのですもの。関係者の間だけで、英語のできる人だけで読んで、まあこれは大したことないからいいだろう、万が一にも起きるような事故じゃないから、こんな仮想事故を想定して対策を立てる必要はないだろう、これが科技庁の六弗化ウラン輸送における基本姿勢じゃないのですか。
 漏れは絶対ない、火災に遭ったって漏れることはない、上から落ちてきたところで割れることはない、壊れることはない。それであれば、何でIAEAがわざわざ勧告の中に万が一と言いながらも示されて、火災があると壊れますと明確に書いているでしょう。壊れたときにどうするかということも、またそれで書いている。ところが、そういうことがないという前提のもとに、あなた方は今度の輸送の問題について対処しているじゃありませんか。この間の私の質問に対してだって、あなた方は漏れはない、壊れることはない、これ一点張りでしょう。
 八百度の温度で三十分間耐えることができる、だから壊れることはない、漏れることはない、大したことはない、こう言って説明をしておりますね。しかし、勧告文の中には壊れることがあるからと。三十分までは壊れないかもしれない。しかし、温度の当たり方ですよ。まんべんなく温度が当たっているのか、直接的に強く当たっているのか、当たり方もいろいろありますよ。せいぜい八百度の温度のところで熱せられても三十分は大丈夫だ、火災が全部三十分以内にとどまるならばその論で押してもいいでしょう。火災は三十分とどこに決まっておりますか。長いものになると何時間もでしょう。そういう場合にどう対処するのか。消防庁はそういうときにどういう指導をするのか。
 消防庁のマニュアルの中には、三時間火災に耐えると書いておるじゃありませんか。何ですか、このマニュアル。三十分耐えることができても、それ以上になったら耐えることができないでしょう。実験の結果はどうなっていますか。何分までは耐えてきたが、それ以上は実験していませんか。その点についての御説明をください。
#120
○谷(弘)政府委員 まず最初にIAEAの勧告の御指摘がございましたけれども、この輸送の関係で御説明申し上げますと、IAEAで四種類の文書が出ます。一番上に、我々最大重要に考えておりますのは、いわゆるスタンダードと言われるもので、規則でございまして、これを各国取り入れましてそれぞれの国内の規則にしようという約束で作業をしているものでございます。
 それから二番目には、ガイドラインというものが出まして、その規則を運用するために細かい規定を書いたものがございます。これが二番目に出ます。
 そのほかに、今先生御指摘の勧告ですとかあるいは技術資料という膨大なものが出ます。
 確かに御指摘のように英文で書かれているわけでございますが、先週も私は大臣のお供をしてIAEAに行っておりましたけれども、一日に五センチとか十センチぐらいの厚みの英文を配られるわけでございます。もちろんできる限り日本訳はっくろうと思っておりますけれども、すべてを日本語にすることはなかなか難しいということも御理解を賜りましたらと思っております。
 それから安全の問題でございますけれども、八百度、三十分という試験の条件が今ございましたが、実は六弗化ウランというのは天然六弗化ウランでございまして、天然というのは自然にあるもののレベルでございますので、放射線のレベルは通常は非常に低うございます。それから、通常の状態ではこれは固体でございまして、火災が起こらない場合は固体で運んでおりますので非常に安全であるという評価で、国際的にも技術基準はそういう厳しい基準を現在のところは要求されないのが通常でございます。
 しかしながら我が国におきましては、そういう国際基準に加えまして、先ほど大臣あるいは安全委員長からお答え申し上げましたように、追加的にいろいろな試験をやりますとともに、さらに、今御指摘のありました安全シリーズにありますようなことが万一にも起こらないように、大臣からも御説明を申し上げましたように、隊列を組んで輸送をするとかあるいはその前後に警備車を配置する、さらにその警備革の前一キロぐらいに異常事態が起こっていないかどうかということを偵察
しながら、その状態を時々刻々後ろの隊列に無線で情報を入れながら、非常に慎重に運ぶ。しかも、これから運びます関東地方から東北地方、これはルートは詳しく申し上げるわけにはまいりませんけれども、そこの状況も全部調べておりまして、上り線と下り線は、トンネルに当たった場合、ほとんどのところが分かれている、したがって上下方向の衝突の可能性も少ないというようなことまで私どもは調べてこの輸送を計画しておるわけでございます。
 全般的な点につきましては、今大臣なりあるいは委員長の方から申し上げましたように、我々としましては、御指摘の基準も含めて万全の対策をとって輸送に当たっているということも御理解いただけましたらと思います。
#121
○関委員 何でそんなに万全の対策だなんて威張って言うんですか。万全の対策ということは、少なくとも仮想事故に対しても、そういうようなことが起こり得る、起こり得る状態が出たらどうなるか、こういうことについての体制というものがなければならないでしょう。ところが、あなた方の態度は、三十分あっても破裂しないから大丈夫だ、これが万全の体制だと言うんですか。三十分過ぎたら破裂するんじゃないですか。何分で破裂しますと想定していますか。そういうことについての実験の一つの解析と申しましょうか分析と言いましょうか、そういうことで見ていることがありませんか。あくまでも火災に遭ってもそういうようなものが破裂することがないんだ、そう思っておられますか。
#122
○谷(弘)政府委員 IAEAで決めております八百度C、三十分の耐火試験と申しますのは、こういう天然のレベルの六弗化ウランのみならず、通常予想します交通状態で火災に巻き込まれて消火もしないで、通常自動車が火災に巻き込まれた統計をとりまして、八百度、三十分をやっておけば十分であるということを国際的に決めた試験条件でございます。それに従いまして、本来要求されていないこの種の低レベルのものにつきましても、日本としては同種の試験をやってみたということでございます。
 したがって、三十分のところまでの解析を現在やっておりますのは、より厳しいものについて要求されている基準でこの低いものについてもやってみたというのが本来の趣旨でございます。
 なお、私どもとしましては、むしろそういう火災になって対応を考えるという以前に、どうやってそういう火災の中に巻き込まれないかという事前対策の方がより重要だろうと思います。
 るる繰り返して大変恐縮でございますけれども、今御説明申し上げましたように、むしろ衝突だとか火災の中に巻き込まれないようにする方の対策で万全を期しておるというのが私どもの姿勢でございます。
#123
○関委員 質問に答えてください。
 三十分までは実験の結果破裂はしなかった、そこで火はとめた、こうなっておりますね。火をとめないで続けておけば何分で破裂することになると想定していますか。あるいはどういう気圧、条件の変化でこうなりますよと。三十分のときでは限界内圧、言うなればシリンダーの限界内圧と六弗化ウランの蒸気圧はどのぐらいであったんですか。だから破裂しなかった。しかし、これが三十分を過ぎできますというと、その差がわずかしかないものですからやがて破裂するであろう、当然にこうなるでしょう。あくまでも破裂しないんだということで頑張りますか。
#124
○谷(弘)政府委員 今先生御指摘の件は、多分電力中央研究所におきましてやりました実験について触れておられるのだろうと思いますが、この実験は、通常の四十八Yシリンダーで八百度、三十分の試験をした場合と、現実に私どもが今とっております耐熱保護カバーですとかバルブに対して保護装置をつけましたものと、どのくらいの耐熱性能があるかという比較実験をやったものでございます。その両方は、いずれも三十分までのテストしかやっていないのは御指摘のとおりでございますが、この趣旨は、先ほど御説明申し上げましたように、国際的なより上位の輸送物に対して要求されている基準そのものを使って比較実験をやろうという趣旨でやったものでございますので、三十分のところでとどめたものでございます。
 三十分を過ぎたらどうなるかという状況につきましては、この実験の結果の中にも含まれておりません。ただし、三十分を過ぎた状況を見ましても、保護カバーあるいは私どもがプロテクションをつけているようなものでありましたら、三十分を過ぎてもなお時間的な余裕はあるのではないかというような推定はいたしておりますが、数値でどのぐらいということは実験をいたしておりませんので、私どももわかっておりません。
#125
○関委員 アメリカのオークリッジの研究所では実験していますね。二十八分で破裂していると言っていますよ。そういったところから、今度は耐熱カバーというものを持ち出してきたでしょう。耐熱カバーを持ってきてバルブの上を覆う。バルブは前にも後ろにもあるから、前後ろを覆う。そういうことでは、今のような実験をすると大体四十一分か四十二分まではもつ、その後は破裂する、こういう解析、分析になっていると思います。しかも、その解析、分析にしても、そのシリンダーに六弗化ウランを入れての実験じゃありませんよね。鉄球を入れての実験でしょう。鉄球を入れての実験と六弗化ウランを入れての実験では蒸気圧に大きな違いが生じます。それを差し引いての結果で言っているのかどうか知りませんけれども、アメリカのオークリッジの研究所においては同様のものでやって二十八分、三十Bの濃縮ウランの場合には十八分だということが出ているじゃありませんか。
 もう一つは、何でわざわざ三十分でとめなければならなかったのですか。実験ですもの、やったらいいじゃありませんか。しかも六弗化ウランを入れていない実験ですから、当然やっていいじゃないですか。六弗化ウランを入れないのは、万が一にも破裂した場合に弗化水素が出てくる、弗化ウラニウムが出てくる、やばい結果が生ずる、そういう警戒からだろうと思うのですよ。でも、それにしてもこういう物質が破裂して生ずる影響というものはちゃんと勧告の中に書いているでしょう。風下の方に至っては一キロから二キロにわたってこの弗化水素雲と申しましょうか、これが流れていく。そこに人があれば放射能以上にたちどころに死ぬでしょう。弗化水素というものはそういうものでしょう。弗化水素についての警戒心とかあるいは危険認識とかいうものがあれば、当然そのくらいのことはわかっているはずです。
 しかし、そういうことがないだろうという想定のもとにこの勧告を無視し、軽視し、そうしてそれぞれに通達を出して、万全である万全である、こう言っておられるわけですよ。これはIAEAの勧告に忠実でない科学技術庁の姿勢だということになるのじゃないでしょうか。これは大臣から答えていただきたいと思います。大臣もここまでは恐らく知らないのじゃないでしょうか。あるいは原子力安全委員長も、三十分でとまる、そういう実験の結果なり報告に不自然な感じを持ちませんか。これ以上熱したらどうなるだろう、だれでもが思うことじゃないですか。押しなべて三十分でとまってめでたしめでたしというような話じゃないですか。こんなでたらめなことはないじゃありませんか。どうぞ答えてください。
#126
○谷(弘)政府委員 今先生がお触れになりましたアメリカのオークリッジ研究所のデータは、一九八八年に出たアメリカの論文に多分お触れでないかと思いますが、これは実験ではございませんで、計算で確認したものでございます。この計算には、確かに先生おっしゃるとおり三十分弱というような計算が出ておるようでございますが、その計算の内容を私ども拝見いたしますと、かなり保守的な、いわゆる安全側に計算をやっております。しかも、先ほど来御指摘のように保護カバーですとかバルブプロテクションとか、そういうもののついていない状態での計算でございます。したがいまして、我々はそういうものをつけた上で
の先ほどの実験をやっておりますので、これと違った条件で考えてよろしいのではないかと考えております。
 それからもう一点、今二つ目にお触れになりました、実験をやりましたときに実際に六弗化ウランを入れないで鉄を入れて実験をやっているではないかということでございますが、私どもは実験の安全性ということも当然考えなければいけませんし、それからスチールを入れておりますのは、熱量的に類推ができる、きちっと計算ができる、正確に丸い球ですのでいろいろな熱量計算をやりやすいわけでございます。私どもが実験をやります場合には、単にこれは人に見せるためにやっておるわけではございませんで、きちっと数字的に計算ができるようにするための実験をやっておるわけでございます。今回の実験も、単にこの実験だけで答えを出しておるわけでは決してございませんで、その実験データをさらにコンピューターに入れまして、模擬したものはもとの特性を別のところでやった実験とかみ合わせまして、総合的にシミュレーションをやって判定をするという措置をとっておるわけでございます。
 三十分について、それでも三十分かという御指摘があるわけでございますが、また答弁を繰り返して大変恐縮でございますけれども、IAEAが国際基準をつくります場合にいろいろな事故条件というのを検討いたしております。通常自動車火災の一番の問題は燃料タンクでございますけれども、こういうものの火災継続というのは三十分考えておけば十分であるというのが国際的な判断であり、我々もそういう判断をしておりまして、国際的な基準がそうなっておるものですから、これは比較実験でございますので、よりシビアなものに適用されるものに対してどの程度耐えられるか、どのくらいの適応性があるのかということの実験でございます。そういう意味で、規格化されたその実験を同じような条件でやらないと比較実験ができないわけでございますので、その点はそれ以上の意図的なところはない、まさに私、今申し上げましたような趣旨でやった実験であるということで御理解を賜れればと思います。
#127
○関委員 三十分まではもちました、それが過ぎてももっというお考えですか。それが過ぎるとやはり破裂するというお考えですか。どちらですか。
#128
○谷(弘)政府委員 先ほど来御説明申し上げますように、まず第一に、私どもはそういう事態が起こらないように万全の対策をとるというのが第一点でございます。もちろんこれ以上はどんどん仮定になっていくわけでございまして、一体三十分以上の火災が連続するのはどういうことなんだろうかということで、通常の自動車の事故では余り考えられない。それから、最近考えてみますと、トンネルの中が一番シビアと言われておるわけでございますが、例えばここ十年間を調べてみましても、トンネルの中でこういう長い期間燃えていたといいますか、こういう私どもが想定するような事態は起こっていないというようなことから、現実的には、八百度、三十分で十分対応できると思います。
 ただし、今申し上げましたそういうことさえ起こらないようにするということと同時に、さらに、起こりましたときの対策については、関係者への連絡体制でございますとか、事業者の初期対応体制でございますとか、消防庁の方でのマニュアルの整備でございますとか、種々お願いをしておるところでございまして、それを全部あわせまして万全の対策と先ほど来申し上げさせていただいているところでございます。
#129
○関委員 幾ら聞いても破裂するという言葉がこの方から出てきませんね。熱し続けていたら破裂するでしょう。三十分までは破裂する限界内圧に至らなかった。実際の実験の一つの記録なんですけれども、三十分まででシリンダーの限界内圧が三十気圧、それから六弗化ウランの蒸気圧が二十四気圧、差はわずかに六気圧ですよ。この六気圧の差は一、二分過ぎると直ちになくなって破裂に至るということは、そんなに科学を勉強しなくてもわかる話ですよ。わかっているあなた方がなぜ切断、破断がないものとして事を無理におさめようとするのですか。
 起こらないようにする、これは当たり前のことですよ。しかし対策というものは、起こったときにどうするかというのが対策でしょう。起こらないようにする対策、起こったときにどうするかという対策。あなた方は全部起こらないんだ、起こらないんだといって指導していますよ。消防庁に聞いてもそのとおりですよ。そういうことは起こらないです、先生、起こらないようにすることになっています、わかりますよ、それは。美浜の原発、何で起きました、あれは絶対起こらないというものでしたよ。緊急冷却水が作用するからいいなんて言っていましたよね。しかし、あの事故というものが後で分析されたでしょう。あのとき何と言いました。どれほど胸張って言ったかといえば、あのときはECCSがよく働いたからこうなった、こう言いましたよね。
 今、どうです。ECCSがよく働いたからとまったということよりは、別なことで、ECCSの方から出た冷却水の量というものはさほどでもなかった。当初この話を質問したときにお答えした原子力安全委員長なんか胸張って言ったでしょう、ECCSが作用したから。自民党の多くの諸君も、我が国の科学は立派で、ECCSが作用したから。ところが、ここから出た水の量というものはさほどでなくて終わっていたじゃありませんか。また、こういうような事故というものは絶対に起こり得ないということであったじゃありませんか。だから科学というものは政治的に事を考えてはいけないんだ、正直に考えていかなきゃいけない。科学というものほど正直なものはありませんよ。科学的というのはいい言葉ですよ。
 ですから、あなた方が破断事故が生じないあるいは切断事故が生じない、こう言っていますけれども、この六弗化ウランというものは非常に熱に弱いものです。そうしてこれはおかしいもので、液化する前に気化するのですよね。普通のものはみんな固体から液体になり、それから気体になるのだが、これは固体からぱっと、優等生みたいなものだ。小学校から中学校行かないで高等学校へ行くようなものだ。そういう変わった物質ですよね。そうしてガス化して漏れて空気中の水蒸気と化合するというと弗化水素が生じる。放射能も怖いけれどもこの弗化水素も怖いですよね。
 そういう意味において、この六弗化ウランというものは、これはただの物質じゃない。放射能の物質としては弱い物質であるが、一応扱いは弱いものなりに扱っていくのはわかるけれども、化学的毒性というものの与える影響を考えるときに、それの防御策というものをきちんとやらなきゃならないでしょう。起こらないことになっているんだからと言うものだから、それが前提なものだからあなた方の態度というものは全く弱いのです。
 そこで聞きたいのですけれども、これは消防庁の方ですね。消防庁の方においては、この六弗化ウラン輸送のマニュアルについて、万が一の事故が起こったときにはどうするかということについてどう考えておられるか、どういう方針をとっておられるか、まずお聞きしたいと思います。
#130
○山野説明員 お答えいたします。
 放射性物質の輸送につきましては、関係省庁により法令に基づく厳重な安全規制がなされておりますので、今御議論のございましたIAEAの勧告に想定されているような事態に巻き込まれる可能性はないということで考えております。そしてまた、具体的には昭和六十三年三月に自治体に示しました放射性物質輸送時消防対策マニュアルというものを、学識経験者及び関係省庁の意見を十分踏まえまして作成し、これに基づいて関係都道府県、消防機関を指導しているところでございます。
#131
○関委員 この論をしていますというと、安全委員長が帰りたくなる時間が五分ぐらいしかありません。そこで、大変変形なことになるけれども、ここでちょっぴり安全委員長に聞いておきたいこ
とがあります。六弗化ウランの話じゃありませんよ。
 それは、あなたが青森県の低レベル廃棄物の埋設所についての許可をしたときに、あの場所はベントナイトや、あるいは岩盤の強いところでもあるし、深く掘って対処するのだから地下水の心配やそういう水寺についてのおそれはない、大したことはない、こういうことで許可をしましたという御答弁がございました。私はそれに対して、あなた方がベントナイトをまぜて二メーター、四メーター、合わせて六メーターの表層をかけるかもしれぬけれども、そういうものであの六ケ所の地質というものは水対策が完備するものじゃない、万全なものじゃない、こう申し上げておきました。あわせて私は、大臣にもそれから委員長にも、できたらベントナイトをまぜる実験を同じような深さで、広さまで同じにとは言わないから、ある程度の実験をして、そうしてどうですか、こういうことが言えるようにしたらいかがですかと申し上げておきました。
 今、縦横二百メートル、百二十メートル、深さ十二メートルということで大変大きな穴が掘られています。この穴の中にコンクリートでピットをつくって、そうしてドラム缶を埋設するということで長く工事が行われているのですが、この穴掘りだって、岩盤だと思って、あなた方はかたいものだと思っておられるかどうか知りませんが、ダイナマイトかけてあけなきゃならないような岩盤じゃない。こすって穴を掘れば掘れる穴ですよ。全部つめ跡があの壁面にあらわになっております。いかに弱いものであるかということです。いかにやわらかいものであるかということです。
 そうしてその底の方からは地下水がそれぞれに出ております用地下水は上部の方にだけたまっておって下の方には来ないだろうなと思っているかもしれませんけれども、大変な水の流れが見られます。ベントナイトになれば見られないのだろうと思っているかもしれませんが、横の方からも地下水は流れてくるでしょう。ベントナイトが三百年も、わずか一五%まぜてもつなんというのは考えられません。それでもあなた方はパスさせました。パスさせた責任上、ひとつあの穴の中に入って、ああ、これは大変なものだな、見直さなきゃならぬなというような感を私は抱くんじゃないだろうかと思うのです。
 あの穴、ごらんになりましたか。あの穴の岩質、あの穴の土質、あの穴の姿、許可になる前には穴も見られなかったのですが、許可になった今ではだれでも見れます。いや、こんなやわい土なのか、岩盤というようなものよりも土盤と言った方がいいでしょう。そういうものですよ。この際、穴を掘っておる間に、穴にふたをする前に、どういう内容でどういうものであるか行って調査をする、そういうお考えがありませんか。
#132
○内田説明員 今関委員のおっしゃいましたように、現在低レベルの廃棄物を埋設する予定の穴が掘ってございまして、私も、七月だったと思いますが行きまして、十分見てまいりました。現場におきます専門家からの説明も聞きましたし、また事前に核燃料安全専門審査会からの説明も受けておりますので、私は地質の本来の専門家ではございませんが、安全上支障ないと判断しておる次第でございます。
#133
○関委員 あなたがおいでになったのはいつですか。定礎式においでになったのですか。見に行ったのですか、定礎式のお祝いに行ったのですか、どっちです。
#134
○内田説明員 私は定礎式に参ったわけではございませんで、現場の穴を見ましたのは七月の十日でございます。
#135
○関委員 その穴だけ見てきたのですか。再処理工場の予定地の方の試掘坑の方もごらんになったのですか、どうです。
#136
○内田説明員 はい、見てまいりました。
#137
○関委員 見て、どうでございました。
#138
○内田説明員 先ほど申し上げましたように、見まして現場の専門家から十分説明を聞いたところでございます。
#139
○関委員 あのところの地盤というもの、あのところの場所というものは非常に軟岩ですね。軟岩ですし軟盤です。その上あそこには活断層が走っているでしょう。活断層が走っているし、さらにあの下北沿岸には太平洋において大きな活断層が走っている。そういうものを見ますというといろいろ問題がある。今委員長は活断層でないと思って対処しておりますか、活断層だと思って対処していますか。
#140
○内田説明員 再処理施設の安全問題につきましては、現在、核燃料安全専門審査会で審査中でございます。
#141
○関委員 私は、これは後で科技庁の方にも聞く問題ですけれども、何せ今安全委員長は次の会議に出かけたい、こう言うものだから私も申し上げているのですけれども、これからの審議の過程においても大事なこと、特に青森県の東岸に活断層が走っている。これは日本の活断層についてさきに、今からもう十年ぐらい前、論戦しました。これを否定する電力会社のまた意見もございました。しかし、やはりあそこに活断層のあることは間違いない。それは、その地層において地震が発生した、地震があればその底は活断層、活断層があればその上に地震がある、これは常識ですね。ですから論より証拠、一九七八年六月十二日、そのときに発生した地震に目を向ければ、あ、これは大変な活断層だなということに気がつくはずであります。
 ですから、一次審査において科技庁はその点についての調べ方が私はルーズであったと思っています。まともに取り組んでいないと私は思っております。電力会社の言い分を大きく取り入れたけれども、「日本の活断層」という、権威ある団体がつくった活断層、これは今回また新しく出されましたが、新しく出ました中にも明確に活断層の記録になっておりますね。そういう点から、これからの審議においてこの活断層問題については十二分に目をとめて、そうして審査をしていただきたい。
 あわせて、ボーリング、相当なボーリングをされました。相当なボーリングをされましたけれども、このボーリングのコアも十二分に吟味していただきたいし、一つ一つ当たるということは難しいでしょうから、写真の記録があるだろうと思いますので、なかったらぜひ写真ぐらいは振らせておいて、審議の際にはそういうことでよく見てもらわなければならない、私はこう思っております。
 あなたにはまだまだお尋ねしたいことがあるのですが、何とか退席させていただきたいという文書もここに来ておりますから、大変残念ですけれども、あなたはまた次の公務のことでございますから、私の方からもこれ以上の点はあなたの部下の方になり関係者の方に向けていきたいと思いますけれども、とにかくあなたは我が国の原子力行政における安全における最高の責任者なんだから、その責任が果たせなくなったらこれはやめてもらうしかない。その責任を果たすべく先般もまた国会であなたは承認された方です。私どもは反対しました。しかし、どうぞひとつ任にある限り、反対したから反対のやろうなんて思わないで、反対しているものには科学的に余計目を向けて当たっていただくように私は希望申し上げておいて、これで委員長、お帰りになるならどうぞ。
 そこで、どこまでいったかわからなくなるな。――消防ですね。消防の先ほどのお答えなんですけれども、消防のマニュアルの中に、やはり消防は正直に答えたなと思っています。ここでも、万が一の事故が起こることを想定しないで、そうして対処をする、こういうことになっています。これはどういうことなんですか。このマニュアルの中の「概ね三時間程度の火災では漏洩等の恐れはないがこ云々という文章があるんだが、これはどういう内容、意味なんです。
#142
○山野説明員 先生御指摘の箇所は、低濃縮六弗化ウランの輸送のところの記述でございまして、この場合の輸送容器は21PF1という輸送容器に
ついて述べたものでございます。ですから、先ほどの御議論とは容器が違うものでございます。
#143
○関委員 そうしますと、六弗化ウランがガス化して破裂して、そうして弗化水素が一帯に広がる、そういうような事態になった場合には消防はどう対処するのですか。
#144
○山野説明員 災害でございますのでいろいろな場合が想定されると思いますけれども、その際に、例えば火災が非常に小規模でそのまま放置しておいても自然に短時間で鎮火するというような場合と、非常に火勢が強くて直ちに消火作業を行わなければいけない場合などいろいろあると思いますけれども、私どものマニュアルにおける指導といたしましては、火災を鎮火する場合については、六弗化ウランは水をかけますと弗化水素に分解いたしますので、その点を十分注意しながら、できるだけ風上から慎重に噴霧注水等により消火活動を行えというふうに指導しているわけでございます。
#145
○関委員 その場合には酸素マスクをつけて対処するのですか。
#146
○山野説明員 その場合には、いろいろと事故想定があると思いますが、その現場の関係者等現場の判断で、必要な場合には当然酸素マスク等も着用するということになると思います。
#147
○関委員 必要な場合なんてあなた、六弗化ウランが漏れて、そうして弗化水素が一面に広がっていく場合には、酸素マスクをかけて当たる以外に当たる方法はないでしょう。防毒マスクで当たるつもりですか。そこはどうなっております、マニュアルに。
#148
○山野説明員 先生御指摘のように、六弗化ウランが、消防活動を行う際できるだけ離れてやるのがいいわけでございますけれども、その消防士に届くような状況である場合には当然、空気呼吸器でございますけれども、そういったものを着装するということになると思います。
#149
○関委員 この六弗化ウランが走る途上にある沿線の住民あるいは沿線の自治体、そうしてそれらの諸君たちの言うなれば防衛体制と申しましょうか安全体制と申しましょうか、そういう危険が発したときには、消防としては、いち早く対処するためにみんな一斉に酸素マスクで当たれ、こういうことで用意ができていますか。
#150
○山野説明員 防災資機材の整備につきましては、先ほど申し上げました防災マニュアルによりまして、都道府県を通じまして消防機関に指導しているところでございます。
 それから、先ほど先生おっしゃられました酸素ボンベと申しますか空気呼吸器でございますけれども、現在、一般的に消火活動を行う際にはいろいろと有毒ガスが出ることが多いものですから、通常の消火活動においてもこういった空気呼吸器を着装することがかなり一般的になっております。
 そういうことでございますので、各消防機関はそれに対する準備は十分できておるというふうに考えております。
#151
○関委員 それは、ここでのお答えとしてはそういうお答えになるかもしれません。しかし、先般沿線住民が回って、それぞれの自治体に、それぞれの消防に、そういう場合にはどういうふうに対処しますか、だれもこんなものが危険だと思っておりませんから、ほとんどどこでもそれに対応するようなお答えが出てきておりません。
 それで私、青森県の消防防災課にどういう指導が来ているか聞いてみました。そうしたら、私の言うような事故は、先生、起こらないんだから、事故が起こるなんという想定のもとに対処しておりません、六弗化ウランが漏れてガス化して、弗化水素になって、弗化水素をかぶるような対策なんというようなところまではありません、こう言っていますよ。私は、このお話本当だと思うのです。
 そこで一番先の論になるのですが、IAEAにおけるこの勧告というものをあなた方は殺してしまったんだ。山東長官、ここは大事なところです。あなたが知らないうちに部下が殺しちゃっておるのですからね。この思想、この構えが全般にあるわけですよ。ですから、やはりここを直さなきゃならない、万が一でも起こることがあるわけだから。それを、これは夢想であるから、夢想みたいなものだからないんだ、こう言ってこれを隠しちゃった。この姿勢が私はやはりまずいのじゃないかと思う。だから、やはりこれも危ないときがあるんだよ、そういうことになれば危ないんだよ。八百度で熱せられて三十分は大丈夫でございます。三十分でわざわざ火をとめて、それ以上、爆発することを何にも記録としてとりたくないばかりか――その辺のことはわかりませんよ、なぜやらないのかわからぬけれども、こういう態度というものはよくない。安全に対して万全だなんというものじゃないです。そういう意味において、私は、よっぽどこの問題についてはこの後もきちんとやらなきゃならないのだ、こう思います。
 そこで、厚生省にお聞きしたいと思います。
 この六弗化ウランという物質は、厚生省とは何の関係もない物質なのか、厚生省とは取り締まり上何らかの関係があるものか、そして厚生省としてはこの六弗化ウランに対しての取り締まりと申しましょうか責任と申しましょうか、どういうものがあるのか、あるならばひとつお答えいただきたいと思います。
#152
○海老原説明員 御説明申し上げます。
 厚生省といたしましては、六弗化ウランにつきましては毒物及び劇物取締法によりまして劇物の指定をしております。このものにつきましては現在国内では販売、譲渡等されておりませんので、製造業、輸入業等の登録はございませんけれども、運搬なり貯蔵、こういったものにつきましての実績がございますので、そういった業務上で取り扱っている場合には、この毒物及び劇物取締法によりまして、その取り扱いなり表示なり事故の際の措置など、一定の規制を設けているところでございます。
#153
○関委員 そうしますと、毒劇物取締法ではこれは劇物である、こういうことですか。
#154
○海老原説明員 そのとおりでございます。
#155
○関委員 そうしますと、劇物の場合には、この輸送についてはどんな表示が必要になっておりますか。何の表示もなくてもそのまま走れるのですか、それとも劇物表示というようなものでしかるべき内容があって表示することになっているのですか。
#156
○海老原説明員 お答え申し上げます。
 劇物を運搬する場合には、一定数量以上の場合につきましては表示等が必要でございます。
#157
○関委員 今の場合はどうですか。
#158
○海老原説明員 具体的には、その六弗化ウランが入っております容器と被包につきましては、医薬用外劇物、これは色もございますけれども、そういった表示が必要でございます。
#159
○関委員 医薬用外劇物という表示が必要だとするけれども、その表示の大きさだとか表示の色彩だとかというものに何かありますか。
#160
○海老原説明員 毒物及び劇物取締法上は、大きさの規定はございませんけれども色の規定はございます。白地を背景にいたしまして赤文字で「劇物」と書いていただくようになっております。
#161
○関委員 そうしますというと、今の六弗化ウランの四十八Yシリンダーにはその表示を前につけるのですか、後ろにつけるのですか、横につけるのですか、どこにつけるのです。
#162
○海老原説明員 その容器につきましては、だれでもが見やすいところというか目につくところに表示してもらうことになっております。
#163
○関委員 この表示をつけて、そうしてシートで包んだ場合にはその表示は見えなくなるのですが、それでも構わないということになりますか。
#164
○海老原説明員 毒物及び劇物取締法の上では、先ほど申し上げましたように直接の「容器及び被包」、こういうことでございますので、今先生がおっしゃいますシートにつきましてはそれに当たりませんので、そこには表示の必要はありませ
ん。
#165
○関委員 そうしますと、四十八Yシリンダーの器物に、このシリンダーに白地に赤く「医薬用外」「劇物」、こう書くわけですよね。白地に赤くといえば、日の丸の旗、白地に赤くと歌ったものですから忘れないようにして覚えておきますが、そこで、この表示の大きさの制限はないのですね。
#166
○海老原説明員 大きさにつきましては規定はございません。
#167
○関委員 そうしますと、今度の六弗化ウランが、いつ来るかわからぬけれども、走る場合、この荷物が来る場合にそういう表示がなされるように指導しますか。
#168
○海老原説明員 お答え申し上げます。
 本件の輸送につきましては、関係者に対しまして毒物及び劇物取締法の違反がないように十分に指導するということで対処しております。本件の輸送につきましては、既に東京都に対しまして毒物及び劇物取締法に基づきます表示の確認を含めて適正な輸送が行われるようにということで、監視、指導について指導をしたところでございます。
#169
○関委員 大変結構な指示だと思うし指導だと思うが、それはいつなされましたか。
#170
○海老原説明員 けさでございます。
#171
○関委員 そうしますというと、この表示なしに車が走ることはありませんね。
#172
○海老原説明員 ないものと確信しております。
#173
○関委員 そうすると、この表示の有無を確かめるのは東京都庁ですか。
#174
○海老原説明員 御説明申し上げます。
 この六弗化ウランにつきましては、大井埠頭ということでございますので、そこの所管が東京都庁でございますので、そこにおります毒物劇物監視員にお願いするということでございます。
#175
○関委員 警察関係の方にお聞きしたいと思います。
 ただいま六弗化ウランの輸送の問題についていろいろ伺っているわけですが、この六弗化ウランの輸送に当たって警察当局は、安全輸送にかかわることで何か対処する内容がございますか。
#176
○中田説明員 お答えいたします。
 天然六弗化ウランの運搬につきましては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、いわゆる炉規制法と言っておりますが、この法律に基づく都道府県公安委員会への届け出対象物ではございませんが、核燃料輸送の安全を期するため、交通事故、盗難の防止等について事業者に所要の指導をするほか、必要に応じましてパトカーを配置するなど安全輸送のための対策を推進することといたしております。
#177
○関委員 別に警察には、これを見守る、これを誘導する、あるいは他の輸送を規制する、安全を図る、そういうような責任は持ってはいない、こう理解してよろしゅうございますか。
#178
○中田説明員 ただいま申し上げましたように、警察といたしましても、交通の安全、盗難の防止等、公共の安全の維持の観点から必要がある場合には必要な措置を行うということでございます。
#179
○関委員 建設省がお見えになっているかと思うのですが、建設省に聞きたいことは、この六弗化ウランの四十八Yシリンダーというものを運ぶ輸送車は二十八トン、トレーラーを九トンということでありますから、それぞれの積載物の総量を計算しますと約二十八トンです。二十八トンの重量で、そして大井の埠頭から青森県の六ケ所の村まで走っていくわけなんですが、普通橋梁の規制と申しましょうか荷重制限と申しましょうか、これはたしか二十トンだろうと思うのです。この二十トンをはるかに超える二十八トンの輸送車が走っていくということについて、特別規制なりあるいは特別枠外なり、そういう許容できる条件なり方針があるのでございましょうか。一般的にこの荷重、積載についての輸送方針といいましょうか、輸送のあり方はどうなっておるのか、お答えいただきたいと思います。
#180
○溝口説明員 お答え申し上げます。
 道路法では、道路の構造を保全し、あるいは交通の危険を防止するために、車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径について最高限度を定めております。車両の重量につきましては、その最高限度を、先生御指摘のとおりでありますが、一般的には車両総重量二十トンと定めております。ただし、セミトレーラー連結車、バン型コンテナ用等がございますが、これにつきましては、一般道路では二十七トン、高速自動車国道では三十四トンまで通行させることができるということになっております。
 しかし、この一定限度を超える車両の通行を制限しているわけでありますが、やむを得ずこの限度を超える車両を通行させる必要が生じることもあるために、道路管理者では、車両の構造または車両に積載する貨物が特殊である、やむを得ないと認められる場合には、必要な条件を付して特殊車両として通行を許可することができることとなっておるわけでございます。
#181
○関委員 今の輸送車はどうなっていますか。
#182
○溝口説明員 総重量が二十八トン程度ということになりますれば、特殊車両としての通行許可を受けて通行するということになろうかと思います。
#183
○関委員 通行運行許可の許可願が出ていますか。
#184
○溝口説明員 特殊車両の通行許可申請は、全国でかなりの数の申請がございます。今回の六弗化ウランの輸送用トレーラーということでの申請が出ているかどうかにつきましては、私どもでは把握しておりません。
#185
○関委員 私の質問がまだ三十分ぐらいありますから、出ているかどうかひとつ調べておいて、お答えできる支度しておいてください。
#186
○溝口説明員 この特殊車両の通行許可に当たりましては、積み荷の内容は問わないということになっております。専ら道路の構造の保全あるいは交通の危険防止の観点から車両の規格に対してその通行の可否を判断しているものでありますので、具体の積み荷の内容がわからないわけでありますので、どういった内容の申請が出されているか把握できないという状況でございます。
#187
○関委員 これはおよそ二十八トン。二十八トンのうちの、トレーラーの部分が九トンです。シリンダー、これは約十五トンございます。それから、シリンダーの架台、一・一トンございます。さらに、コンテナの重量がまたこれに加わります。そうしますというと、全部で約二十八トン、二十七トンは超えています。そういう内容のものなんですから、ひとつそういうことで吟味をして、そういう手続についてどう出ているか、短い時間ですけれども当たっておいてください。
#188
○溝口説明員 道路管理者が特殊車両の通行の可否について検討する場合に、車両に人が乗車し、また貨物が積載されている場合にはその状態、他の車両を牽引している場合には当該牽引されている車両も含めて一つの車両単位として判断しているものでございます。したがいまして、特殊車両の通行の許可に当たりまして、車両の単位の考え方と同様でありますので、積み荷のいかんを問わず、専ら当該運搬車両の規格に対してその通行の可否を判断しているものでありますので、この六弗化ウランの輸送について許可申請がなされているかどうか、または許可しているかどうかについては、道路管理者においては確認できないものでございます。
#189
○関委員 どこで確認できますか。
#190
○溝口説明員 特殊車両の通行許可は輸送事業者から道路管理者に申請が出されるものとされております。したがいまして、その輸送事業者がわかりますれば、その事業者がどこへ申請を出されたかということを調べますとわかるということになります。
#191
○関委員 ただいまのお答えの中で一つ私の方でもこれは参考になったのですが、トレーラーの上にある荷物、トレーラーを含めて二十八トンなんですが、運搬するトラック、このトラックを合わ
せますというと、トラックの重量が何トンであるかということで、十トンであれば、驚くなかれ三十八トンですよね。その辺は調べてみなければわかりませんけれども、とにかく相当のものが十五台走っていく。五台ずつ並んで走っていくのか、七台と八台に分かれていくのかわかりませんが、これはどういうことで走っていくのか、わかっているところを答えてください。
#192
○谷(弘)政府委員 この隊列の組み方等につきましては、本来的には事業者が決めるもので、どうしなければならないというようなものはございませんけれども、数台のグループをつくりまして、先ほど大臣が御説明申し上げましたように、その前後に一台ずつ警戒車をつけて、さらにその一キロ前後に、その前後の状況を把握するための警戒車をつけるというようなグループで移動することになろうかと思います。
#193
○関委員 そこで私は、この輸送がいつ行われるものだろうか。青森県の県と六ケ所村と原燃産業との間に交わしている安全協定、この中に、「輸送の際には、輸送の二週間前に通知する。」ということがあります。また、原燃産業はこれまで、十月には運転を開始したい、したがって九月には輸送を完了したい、こう言っております。
 そこで、アメリカから来るこの六弗化ウランが、船に乗って日本の港に着くのはいつの日になっておられますか。
#194
○谷(弘)政府委員 先生も御案内かと思いますけれども、数年前に核物質防護条約というのを国会で御議論いただきまして、国際的にも、核燃料物質等放射性物質の輸送につきましては、テロ行為その他外部からの危険を防止するということで、日時でございますとか経路でございますとか、そういう襲撃を容易にするような情報を与えるような事項につきましては、できるだけ慎重に取り扱うようにというのが国際的な取り決めてございまして、私どももそういうことを守って仕事をいたしておりますので、大変恐縮でございますけれども、その詳細を御説明するのは差し控えさせていただきたいと思います。
#195
○関委員 そうしますと、二週間前に通告する、通知することになっているというこの取り決めは、核防何たかの取り決めによってあなた方言えないと言うけれども、じゃその取り決めに違反していますか。
#196
○谷(弘)政府委員 慎重に取り扱うと申しますのは、もちろん一切外部に出さないということではございませんで、それぞれそういう職務に当たられる方に必要な情報というのは当然お渡ししなければいかぬわけでございますので、村当局ですとか県当局者に、必要な限りにおいて事業者からはお知らせはしていることはあるんだろうと思いますが、一般原則として、これが公表されまして、先ほど申し上げましたような外部からの危機を惹起することのないように、また、受け取りました方はそういう危険もあるということをお考えいただいて、その受け取った方自身も慎重にお取り扱いいただくということでお願いをしておるところでございます。
#197
○関委員 なぜ告知できないのか、なぜお知らせできないのかということについての理由、もう一遍言ってください。
#198
○谷(弘)政府委員 細かい輸送のルートあるいは日時等の情報は、そういうことがわかりますと、輸送というのは、公道ですとか海の上ですとか、管理されていない、一般の方々もいらっしゃるところを通るわけでございますので、外部からの泥棒ですとか強奪ですとかテロ行為ですとか、妨害行為が非常に起こりやすいということで、国際的にも条約をつくりましてそういうことを防護するということで核物質防護条約ができておるわけでございます。
 御案内のとおり、核物質防護条約上は、天然ウラン等につきましてはシビアな意味での核物質の防護の対象にはなっておりません。これは核物質の本来対象になっておりますのは、例えば脅迫罪あるいは強要罪、日本の例えば刑法以上のよりシビアな罰則をかけるとか非常に厳しい条件がございます。ただし、その条約の書きました中にも、天然ウランを含むその他の物質についても慣習に従って慎重に扱うようにという明文の規定がございますので、私どもとしましては、その趣旨に沿って今の運用をしておるところでございます。
#199
○関委員 濃縮六弗化ウラン、濃縮ウランの場合はそのつもりでまた吟味もしながら守っていますよね、輸送物についても、その内容についてもずっと違っています。しかし、この六弗化ウランは、これは爆弾になるわけでもないですね。プルトニウムとまた違いますよね。そうしてまた一般的な放射性物質のものよりはずっと低い内容のものです。ただし、恐ろしいのは、先ほど申し上げたように、衝突事故が起こる、あるいは油を積んだ自動車と衝突する、油を積んだものでなくても、危険物を積んだものであってもなくても、しかも高速道路を走る、百キロで走る、百キロと百キロとぶつかるなんということはなかなかないかもしれませんが、追い越しの際にぶつかることは予想されますよね。そういうようなときに発生する事故を考えるというといろいろと問題がある。
 そういう意味からいきますと、そういう事故が発生したときには避難対策を講じなければならない、言うなれば住民を守っていかなければならない、弗化水素の被害から守ってあげなければならない、そう考えるというと、この輸送というものについては、言うなれば放射性物質の輸送と違って、住民にも知らせて、こういう事故があった場合には逃げること、防ぐことということは国民に知らせていいことじゃないでしょうか。今みんな心配していますよ。そうして、いつ荷物が来て、いつ運ばれるのかというのはみんな関心を持っていますよ。大体、きょう荷物が来るということになっているんじゃないですか、どうです。
#200
○谷(弘)政府委員 まず、本日荷物が来るかどうかにつきましては、先ほど御説明しましたような理由で私の口からイエスともノーとも申し上げかねますので、御了解をお願い申し上げたいと思います。
 なお、六弗化ウランの危険性につきましては、先生先ほど来御指摘ございますように、これはウランの放射線のレベルで申し上げますと、天然のものでございますので非常に低うございます。したがって、放射線の問題としてはそれほど我々厳しいものというように考えておりません。
 ただ、先ほど来御指摘がございますのは弗化水素でございます。ただし、この弗化水素というのは、通常運んでいるときにその容器の中に弗化水素があるわけではないのですね。もし衝突を起こして火事が起こって、その上で、先ほど来私はそういうふうに起こらないような対策をとっておりますという御説明をしておるわけですが、一歩譲って、それがさらに漏れて空気中の水と反応して初めてできるわけです。
 ところが、一般の工場では、実は弗化水素というのはそれほど珍しい化合物ではございませんで、例えばステンレスの加工工場でございますとかガラス工場では弗化水素酸というのはたくさん使っておるわけでございまして、一般のおなじみの名前でいいますと弗酸というものでございます。これはトレーラーで運ばれておりますので、我々はもちろん、これも当然そういう安全基準があってやっておるわけでございますが、それと同等以上の対策を、先ほど来るる申し述べておりますように、十分な安全対策をとって、皆様方に御迷惑がかからないように考え得る対策を講じておるということを御理解賜りたいと思います。
#201
○関委員 いつ、どこを、どう走っていくかということは、国民にとって非常に関心のあることです。それは安全上の問題です。事故があったときに降りかかってくる災難を防がなければならない、そういう点からいけば、この輸送に当たって、それぞれの自治体に知らせる、それぞれの沿線の方々にこういうものが走っできますよということを知らせて何も悪いことはないと思う。しかも核物質だといっても、核物質というのには、一般的にさほどのものでもない。やっぱり放射線の
恐ろしさというよりも、この場合は化学的毒性の恐ろしさの方が強いわけです。
 そういう恐ろしさから守るためにも、こういうのが走りますよ、十分我々は準備をして気を使って対策を立てて走るけれども、皆さんの方においてもやっぱり御注意願いたい。村、町、部落なんか走りますと、事故があった場合に対処するのは消防団ですよね。そういう消防団になりますと、さっき申し上げたような酸素マスクなんかはそろっているだろうか、これも備えさせなければなりませんよね。あなた方は事故は起きないんだという前提に立っているからそんなに心配していないようだが、そんなに事故が起きないというのであれば、知らせてみたところで何の心配もないでしょう。核ジャックが来るからなんて、だれが核ジャックに来ますか。
 そういう国民を大事にする、国民の安全にかかわるということの配慮からいけば、都合のいいときには、核防でございますとかそういう取り決めがありますので、それを守っていきたいと思います、こう言いますよね。言いますけれども、全然これには当たらないじゃないでしょうか。それよりも、堂々と安全に国民の協力を得て、よろしくお願いしますと言った方がいいんじゃないですか。もっといいことは、とにかくふくそうする交通事情の中で、いっ、どこで、どう出っくわすかわからない事故が交通事故でしょう。あなた、トンネルの中でこれが起こったときには、これまた大変です。
 そういう危険の伴うような陸上輸送よりは、この際海上輸送でも考えようか。海を渡ってくるわけですよね。海を渡ってまた現地へ持っていったら、それで一番楽になりませんか。そういうような指導をしたならば、安全輸送ということにおいては今よりはいいんじゃないでしょうか。その考えはございませんか。
#202
○谷(弘)政府委員 まず第一点の核物質防護でございますが、放射線が低いということは、直接被曝の危険性で我々考えておるわけでございますが、核物質防護の方は、それが盗取されまして爆弾等に加工されないようにそのソースを断つという観点でやっておりますので、基本的には放射線の高さとは関係ないということでございます。
 それともう一点、関係省庁への連絡でございますが、これは今各省庁から先生の御質問にお答えしまして御説明しましたとおり、私ども、東京におきまして、消防庁でございますとか運輸省でございますとか警察庁ですとか関係省庁集まりまして、この対策をどうとるかということをるる長年にわたって検討しております。密接な連絡をとり合ってやっておりまして、それぞれの出先機関に、その中央省庁で決めました内容を自分のところの出先機関に御連絡をいただいて、それぞれタイアップして連絡をとっておるところでございます。
 それから、最後にお尋ねございました海上輸送をとってはどうかということでございますが、私ども安全のチェックをする立場から申し上げますと、先ほど来るる御説明しておりますように、陸上輸送しましてもこれは十分に安全にやっていける。ただし、もちろん海上輸送をする場合にはまた海上輸送としての安全対策というのは当然考えていかなきゃいかぬものでございまして、それはそれなりの技術基準も持っておりますし、要求も、私ども今後もしそういうことがあればしていくわけでございまして、その両方を踏まえまして、海上輸送されるのか陸上輸送されるのかは、これは実際に荷物をお運びになる事業者の方がオプションとして御判断をいただく事項というように考えておるところでございます。
#203
○関委員 科技庁としては、海上輸送の方がよりベターだとは考えませんか。しかし、そう思ってもそれを阻害する条件があるとするならば、何があるんでしょうか。
#204
○谷(弘)政府委員 これは私ども安全を担当する者からしますと、飛行機とか船とか自動車とがそれぞれの輸送手段別に、こちらは安全でこちらは非安全であるというようなレベルに差をつけるわけにはまいりませんので、特にここで運べば危険であるという、運ぶことはまかりならぬというほど危険なものについてはとめますけれども、それ以外のものにつきましては、どういう運び方をしても同等以上の安全確保ができるようにというので通常私どもは安全対策なり規則なりをつくっておるところでございます。
#205
○関委員 今のはお答えになっていないと思います。もちろん、船の輸送でも安全かといいますと、モン・ルイ号の事件もありますから、それは安全でない場合もありますよね。でもしかし、その災害が発生した場合に、人命に与える影響というものを見ますというと、船の方がはるかにいいんじゃないだろうかと考えられますし、また、陸上輸送というものでとにかく今度十五台、五台ずつ走っていくんでしょう。お祭りみたいに走っていきますよね。ですから私は、これはいろいろな意味において問題があるな、こう思います。ですから、安全な輸送は何かということで考える場合には、ここでひとつまた考えてみる必要があるんじゃないだろうか。本当に心配なく届ける方法、それは陸上輸送ではないんじゃないだろうか、こう私は考えていいんじゃないだろうかと思います。
 そういう意味において、とにかく近々輸送が行われようとしておるのですけれども、先ほど一番先に申し上げたように、IAEAの勧告、この勧告に基づいて指導していくというような安全指導の指導理念と申しましょうか、指導理念というものが非常に欠けている、非常に薄い。そういう意味からいっても、私はそれがきちんと徹底するまで、また安全輸送の防衛体質と申しましょうか、防護体制がうまくいくまではこれは許すべきじゃないのじゃないだろうか。したがって、この輸送についてはいま少しく待ってほしい、こういう命令を山東長官、お出しになっていいんじゃないだろうか。何か伝えられているところによるというと、今晩、夜中に出かけていくようなお話ですよ。私は恐らく今晩は出かけていけないだろうなと思いますが、今晩出かけていくような話も入っております。長官の耳にも入っておられますか、どうです。
#206
○山東国務大臣 天然六弗化ウランの輸送は、容器は基準を満たしていることはもちろんでございますけれども、国内の関係省庁間で十分に綿密な打ち合わせをいたしまして、安全対策を講じているところでございます。
 また実際の輸送に当たりましては、先ほど申し上げましたように輸送隊列をとるなど安全にはもう十二分に注意をしております。そして私どももその輸送の日時や何かは知らされてはおりますけれども、とにかく安全第一に、着実に厳重に輸送をしていくということを心がけていくつもりでございます。
#207
○関委員 あと時間が六分しかありませんので、輸送問題についてはきょうのところは質問をここまでにしておきたいと思います。
 それで、先ほど私は原子力安全委員長に要請を申し上げました。つまり、許可をしたけれども低レベルの廃棄物のあの穴、十二メートルの穴を掘っておられる岩盤、岩ではない岩盤。ちっとも岩じゃありませんよね。泥と言った方がいい、砂の固まったものと言った方がいいかもしれない。やわらかい山東長官の手でも折れるような石、石というものじゃないね、泥石と言った方がいいでしょう。先ほど長官にもさわって、折って、砂がこぼれているのを味わっていただいたと思います。また、かたい石だというけれどもこれは軽石ですよね。水が含まれるというと弱いものになってしまう。含水率の高いいわば岩盤、そういうようなところにああいうものを投げ込んで、いいわけがないんです。
 そこで長官にお願いしたいのは、ぜひひとつあの穴の状態を見て、こんなところにこういうものを埋めていいだろうか。そしてダイナマイトをかけてでもあけるような穴じゃない、掘削して掘れば掘れる穴。土と変わりのないような岩の実態。あれは岩というものじゃないですよね、そういう
やわらかい土質のところにあれを掘って、そして地下水位の高いあの場所というものをやはりきちんと見てもらいたいと私は思うのです。定礎式や何かに出て、そして大いにお祝いするのも結構です。結構ですけれども、そういうようにあの場所というものは本当に適地なんだろうか。
 許可はしてみたものの心配なものだから、初めは地下水位の高いところへ投げ込むつもりであったでしょう。だがやはり考えなければならないというので、鷹架層という岩盤のところまで持っていった。だがこの鷹架層という岩盤も、申し上げたように大した岩盤じゃない。こすればみんな粉のようにこぼれてくるようなものです。そういうようなところにベントナイトを一五%混入して、そして掘った土をまた埋め返して覆ってやるというけれども、万全な対策だということにはならないだろう。これは机上プランや机上審査でやっただけでは私はうまくない。一たん許可したものであるけれども、この再処理工場の問題でもあなたの方はパスさせたようだけれども、なおひっかかるものが多く出てくるだろうと私は思います。
 そういう点になりますというと、委員長にも申し上げたように活断層の問題がある、地質問題がある。そういうことで、わからないままでも、あるいは知らないままであるとしてもやはりあの穴、ちょうど今穴があけられておるだけに、現職長官も行ってみて、そうして回ってみて、それから再処理工場の予定地というところについても試掘抗があります。この試屈抗というものの中にも私は長官も入ってみていただいて、そうして体験をすることが大変大事じゃないだろうか。物の考えにおいて大きく影響を与えることになるんじゃないだろうか。既成の概念にとらわれないで、長官、もう許可したのだからやっちゃうわということじゃなくて、関先生何は反対してもやるんだわということではなくして、やはり見てみようかな、こう思っていいんじゃないだろうかと思うのです。
 そういう意味では、あなたも長官としてどこまでおやりになるのかわからないんだが、おやりになっている間にはぜひ行っていただきたいもの、こう思いますので、そのことを希望を申し上げて、ぜひお答えいただければと思います。
    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
#208
○山東国務大臣 大臣であるなしにかかわらず、国会議員である以上、国家国民のために、国益を損ねることのないように決断をし、そして行動をしていかなければならないと常日ごろから考えておりますけれども、そうした観点から考えまして、私どもの豊かな社会を営んでいくために欠くことのできないエネルギーの問題、そのために必要なこうした低レベル埋設地の地盤ということに関しましては、私も一月十一日に一応現場には参りましたけれども、関先生にも前にお話を申し上げましたように、余り長い時間ではございませんでしたので深く視察をすることはできませんでした。
 ただ、実際に見たといたしましても、私は地質学の専門家ではございませんので、岩石を見てどうのこうのと申し上げるのは適当ではないと存じます。ですから、やはり行政庁審査及び原子力安全委員会におけるダブルチェックにおいて、いずれも地質の専門家による現地調査を踏まえた上で、この低レベル埋設施設の安全性というものは確保し得るとの結論を得ておるわけでございますので、問題はないものと私は考えている次第でございます。今後とも、もちろん安全性の確保、輸送も含めまして、そうしたことを十分踏まえ、そして多くの皆様方の理解を得ながら、着実にこうした原子力の開発利用というものを推進していきたいと考えております。
#209
○関委員 終わります。
#210
○渡海委員長代理 近江巳記夫君。
#211
○近江委員 私はまず初めに、火山問題についてお伺いしたいと思います。
 雲仙・普賢岳が二百年ぶりに噴火をいたしました。火砕流のために数多くの犠牲者が出たわけでございまして、心から亡くなられた方々の御冥福を祈りたいと思います。この天災、そして人災ということもあるわけでございますが、科学技術庁は防災研究所もお持ちでございます。昨年の十一月に雲仙が噴火をいたしまして、今回、火砕流の発生でこれだけの犠牲者が出たわけでございますが、そういう噴火の直前の状態、また火砕流の発生等を予知できなかったかどうか。もしそういうことがきちっとできておったならば、マスコミの方、そしてまた消防署を含むあのように多くの方の犠牲は出なかった、私はこのように思うわけでございます。
 今回のこのことにかんがみまして、きょうは科学技術庁初め火山予知に関する関係各省の皆さんにお見えいただいておるわけでございますが、反省を込めてひとつお伺いをしたいと思います。科学技術庁から順番に。
#212
○山東国務大臣 火山の噴火につきましては、火山ごとに噴火形態が異なることなどから、いまだ体系的に予知を行えるだけの知見が得られておりません。このため、火山ごとに行っております観測研究の一層の強化を図り、基礎的知見を着実に蓄積していくことが必要と存じます。
 火山の噴火予知の推進のあり方については、推進本部もどうかというような御指摘もございますけれども、大学や気象庁など観測や研究の実績を持つ機関と御相談をしながら、これら機関の間で検討していくべきことではないだろうか、そんなように考えておる次第でございます。
#213
○森説明員 気象庁の火山噴火予知や監視に対する取り組みについて御説明させていただきたいと思います。
 気象庁では、全国約八十の活火山につきまして、うち活動的な十九火山について常時観測を実施し、その他の火山につきましては、計画的に機動観測を行って火山活動の監視に当たっております。また、火山活動に異常が認められる場合には機動観測で緊急に対処するという方針で、効率的な体制整備を図ってまいりました。これらの観測成果をもとに、適時適切な火山情報の発表に努めております。
 また、気象庁は火山噴火予知連絡会の事務局を担当しておりまして、関係機関の情報の交換、それぞれの機関での予知に関する研究、技術開発の促進及び研究観測体制の整備についての検討を進めるとともに、全国の火山活動について総合的に検討し、必要な場合には統一見解等を発表しております。さらに、気象研究所におきましては、火山噴火予知に関する研究を進めでございます。今後とも、火山観測体制の監視強化、研究の充実に努めてまいりたいと存じております。
#214
○雨宮説明員 大学におきます地震予知、それから火山噴火の予知研究でございますけれども、一般的には、六つの国立大学の理学部、東大の地震研、京大防災研等を中心に実施しておるところでございます。全国で地震、火山関係観測施設は三十七あるわけでございます。全体的な状況は以上のとおりでございますが、今回の島原ということに関して申し上げますと、九州大学の理学部附属の島原地震火山観測所が中心であるわけでございますけれども、常設観測点四点を設けて観測研究を実施してきておるわけでございます。
 今回の火山活動に関連いたしまして、昨年秋以来でございますけれども、関係の研究者の協力も得て、かつ機器の高度化等も進めつつ観測を進めておるところでございます。
    〔渡海委員長代理退席、光武委員長代理
    着席〕
#215
○青山説明員 建設省の火山噴火予知についての取り組みについて御説明申し上げます。
 建設省では、国土地理院におきまして、第四次火山噴火予知計画に基づきまして、「活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山」、これは十二火山ございます。及び「活動的火山及び潜在的爆発活力を有する火山」のうち海底火山及び無人島を除いた二十の火山、合計三十二の火山を対象といたしまして火山基本図の作成を実施いたしております。
 この火山基本図と申しますのは、空中写真測量によりまして地形等を精密に図化したものでございまして、通常の地形図は縮尺が二万五千分の一でございますが、火山基本図は、縮尺五千分の一で、火口、溶岩流の範囲とその構造など火山特有の地形を詳しく表現したものでございます。これが火山噴火予知研究及び火山防災対策のための基礎資料となるものと考えております。また、地表面の温度分布を把握するために航空機による赤外線カメラ撮影を行いまして、その結果も火山基本図にあわせて表示いたしております。
 また、この火山基本図に加えまして水準測量も実施いたしております。これは対象は、「活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山」として十二火山がございます。それについて水準測量を実施しております。この水準測量とは、対象火山の周辺におきまして噴火の前兆現象である地殻の上下変動を調査するものでございます。火山噴火の前にはマグマ等の上昇による山体の膨張が起こるとされておりますが、水準測量を繰り返し実施することによりまして、山体膨張に伴う上下変動を検知するのでございます。また、これ以外にも、国土全体の地図を整備するという中で火山に関するものもございます。
 これらの事業の実施に当たりましては、火山活動の状況に的確に対応して、必要な火山について重点的に観測等を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#216
○井田政府委員 お答えいたします。
 火山噴火予知研究全体について先ほど大臣からお話がございましたが、科学技術庁も火山噴火予知の研究の一翼を担ってその研究データの蓄積と基礎研究をしておりますので、それについて私の方からちょっと御説明申し上げたいと思います。
 科学技術庁では、先ほどお話がありましたように防災科学技術研究所というものがございまして、そこで火山噴火予知に関する研究といたしまして硫黄島、伊豆大島、富士山における火山活動の観測研究を実施しておりますが、これとともに、火山の温度分布を調査するための火山専用の空中赤外映像装置、こういった装置の研究開発をしておりまして、この装置は、雲仙岳の噴火に際しましても火山表面体の温度分布の測定に大変活躍したところでございます。
#217
○平松説明員 私ども通産省で行っております火山に関する研究について、御説明申し上げます。
 私ども工業技術院では、地質調査所におきまして、地質に関する研究の一環といたしまして火山に関する研究を行っておるところでございます。平成三年度につきましては、火山関連研究予算といたしまして二千四十九万五千円を計上いたしまして、地質調査、岩石の分析等による火山構造、火山地質等の調査を実施しておるところでございます。今後とも地質の観点から火山の研究を進めてまいるとともに、関係機関に情報を提供いたしまして、積極的に協力してまいる所存でございます。
#218
○近江委員 各省、お見えになっているところは皆答えていただきましたね。――それなりにそれぞれ各省でなさっておるわけでございますが、この雲仙は、先ほど申し上げましたように昨年の十一月に噴火している。それから火砕流で多数の犠牲者を出した。今もなお周辺一万人の方々が犠牲を強いられておられる。仮設住宅で苦しい生活をされておられる。いわゆる火砕流によってこれだけの犠牲者が出ているわけですが、火砕流発生の予知ができなかったことに対して、あなた方は責任を痛感されているかということを私は言いたい。それについてはどういう反省をされているのですか。代表で科学技術庁長官。
#219
○井田政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生、大変厳しい御指摘でございますが、現在の火山噴火予知の研究の全体の状況を申し上げますと、第四次火山噴火予知計画では原則として活火山を三つに分類しておりまして、「活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山」、これが十二火山、雲仙岳を含んでございます。それから第二のカテゴリーといたしまして、「活動的火山及び潜在的爆発活力を有する火山」、二十三火山ございます。富士山もこれに含まれているわけであります。第三段階といたしまして、「その他の活火山」、これが四十八火山ございます。こういった形で分類して、その火山ごとに観測機関というものが設けられておりまして、火山観測研究体制、こういうものが置か九ているわけでございます。
 こういう研究体制の情報というのは、気象庁に置かれます火山噴火予知連絡会、これは気象庁が事務局をしておりますが、ここに集められまして、ここでこの関係機関の観測研究の成果の情報交換を行いまして、実際に火山が噴火した場合の火山噴火に関する総合的判断を行う、こういうことになっているわけでございます。ちょっと地震予知と違いますのは、この火山噴火予知連絡会、これは、地震予知の場合は国土地理院に地震予知連絡会というのがございますが、これと異なりまして、「火山噴火予知に関する研究及び観測の体制の整備のための施策について総合的に検討することこということが任務とされておりまして、ここで今後検討はしていかなければならない問題でありますが、やはり全体で見ますと、火山噴火につきましては、今観測しいろいろデータを集めている段階でございまして、まだ的確に、その成果によりましていっ、どのくらい爆発するかということがなかなな言いがたい。
 例えば、火山によりましては、桜島のような火山はしょっちゅう噴火しているわけでございますので、かなりデータの蓄積がありまして、火山の噴火の態様というのがわかっております。したがいまして、かなりの数の、七〇%ぐらいとも言われておりますが、確率で予測が火山自体はできるわけでございます。ところが、ある火山によりましては、前兆現象といいますか、震動とかガスの噴出とかあるいは温度の変わり方とか、そういうもののデータ蓄積が、前兆現象が比較的乏しいところは積み重なっていないというところもございまして、火山ごとに正確な予測ができるというふうに至っていないというところでございます。したがいまして、今後こういったことをどういうふうに予測ができるように強化していくかということが今後の一つの課題ではないか、このように思っているわけでございます。
#220
○近江委員 いわゆる八十三の火山、これに対する観測網がほとんどできていない、データもない、そういう政府の無策によってこれだけの犠牲者が出たのです。予知がきちっとできておれば、警戒区域を設定して、絶対に入っちゃいけない――火砕流というのは、皆さん御承知のように時速百キロから二百キロですよ。避難する時間なんかありませんよ。当然そういう火砕流が発生するという危険性が予知できるならば、立入禁止区域というのを設定して、取材陣であろうとストップできたはずです。そうすれば、そういう犠牲者は防げたのです。これは政府の責任ですよ。天災じゃないですよ。予知技術、予知の研究ということが進んでいないからこういうことになったのですよ。八十三の火山の中で、毎年平均十ぐらいの火山が噴火をしておるかあるいはそういういろいろな兆候があると言われておるのですよ。
 それじゃ、昨年の十一月噴火してからどういう観測体制をとったのですか、政府は。これを答弁してください。雲仙につきまして、関係各省はどういう対策をとったのですか。
#221
○森説明員 気象庁から説明させていただきます。
 まず、雲仙岳の活動を含めましてざっと御説明させていただきます。
 雲仙岳では、去年の七月四日ごろから火山性微動という火山特有の震動が観測され始めました。その時点から、実際には八月に入ってからでございますけれども、福岡管区気象台から火山機動班が派遣されますとともに、地震計の増設などを行ってまいりました。その後、十一月十七日に九十九島火口、地獄跡火口から噴火したわけでござ
いますけれども、この直後におきましても、さらに地震計の増設、遠望観測装置、そういうものを雲仙岳周辺に配置させていただきました。
 その後、一たん静かにといいますか、小康状態になりましたけれども、五月に入りまして、実際には五月の十三日ころからでございますけれども、山頂付近で地震が発生するようになりますとともに、地殻変動、地磁気の急変などが観測されるようになりました。これに対しまして、噴火予知連絡会では会長コメントを発表しました。それは、溶岩流出等を含めて今後の火山活動に警戒が必要であるというような内容のコメントでございます。
 その後、五月二十日になって溶岩ドームが出てまいりました。その時点で、雲仙岳測候所には気象庁では三名の応援体制を確立いたしました。
 その後、二十四日から火砕流が頻繁に発生するようになったわけでございますが、その時点から火砕流についての注意も呼びかけてまいりましたけれども、残念ながら六月三日には多くの犠牲者を出すような事態になってしまいました。
 その後、順次気象庁では地震計、遠望カメラ、熱映像カメラ、空振計、傾斜計等の増設をしてまいっておるところでございます。
 今の火砕流の発生様式は、溶岩ドームができてまいりましてそれが崩れるという様式がほとんど大部分でございますので、現在の技術では、残念ながらそれがいつ崩れて火砕流を発生させるかということを予想することは非常に困難でございます。我々としてもできればそういう予測はしたいわけでございますけれども、残念ながら科学技術がそこまで進んでいないというふうな認識でございます。私たち気象庁といたしましても、今後とも火山活動の推移を見きわめながら機動観測などの対応をしてまいりまして、今後とも監視に努めてまいりたいと存じております。
    〔光武委員長代理退席、委員長着席〕
#222
○近江委員 今この普賢岳周辺には、九大それから気象庁合わせて地震計が十八、一基もなかった傾斜計も十一基設置された。しかし、これはほとんどが他大学などからの借り物の上、山にぽんぽん置いてきただけで、設置の方法も悪い、こういうような声も現地にあるのですね。要するにそこまで科学技術が至っていないというような、今そういう意味のお話ございましたけれども、科学技術が至っていないんじゃないのですよ。観測機器にしたって何にしたって、言うならば火山に対する聴診器ですよ。地震計すら設置していない火山、幾らでもあるでしょう。
 ではお聞きしますが、八十三の中できちっとそれだけの観測体制をとっておる山は幾つあるのですか。例えば四十八なんというのは、これは機動班でやっているのでしょう。我が国は世界に冠たる火山国と言われながら、八十三の火山に対してどういう観測体制をとっているのですか。一たんこれだけの兆候が出てきて大学から借り集める、そして応急にぼんぼん置いていく、応援部隊を何名か派遣する、それで地震予知だとかそういう対策をやっておるなんて言えますか。まず火山に聴診器を置くべきじゃないですか。
 皆さん、やるためには金がない、予算がないと。確かにそうかもしれない。予算なんて、私見ましてびっくりしましたよ。科学技術庁は火山噴火予知関係予算平成三年度六千八百万。文部省、国立大学すべて合わせて三億九千百万。通産省千九百万。運輸省の海上保安庁は百万。気象庁が一億九千四百万。建設省、国土地理院二千八百万。国全体合わせて七億百万円ですよ。こういう予算の中で、それは現場の皆さんは苦労されていると思うのですね。これは現場が悪いというよりも、最高責任者である政府、幹部の皆さんがこういうことに対して真剣な取り組みをしない、その反映が予算にも出ているのですよ。こういうような貧弱な予算の裏づけをもって、今後観測体制を充実しますと、できますか、これで。八十三火山に対してどうするのですか、まずそれをお聞きしますよ、政府の姿勢を。
#223
○森説明員 先ほどの御説明とちょっと重複いたしますけれども、全国約八十の火山のうち、気象庁で常時観測を行っている火山は十九の火山でございます。そのうち四火山につきましては、精密観測火山ということで地震計五点以上、それから傾斜計一点を常時運営してございます。その他の残りの十五火山につきましては、地震計一点で対処してございます。もし異常が認められた場合には、各管区及び気象庁本庁に火山機動観測班というのがございまして、地震計等の観測機器を持ってございますので、そういう観測機器を導入いたしまして各火山に対する緊急対策をとる態勢で臨んでおるところでございます。
#224
○近江委員 今お話あったわけですけれども、こういう貧弱な予算で八十三の火山をカバーしていく、これは到底できるものじゃないですよ。だから、特に来年度予算、この年末にはもう編成するわけでございますけれども、これは関係各省、今回の雲仙にかんがみて予算のそういう位置づけに対しては本当に真剣な努力をしてもらいたいと思うのですね。まず何よりも、少なくとも各火山においては地震計、聴診器は置いていただく、それはもう最低限度のことではないかと私は思います。
 それから、先ほど科学技術庁局長の答弁は、一翼を担いましてというような、まことに責任のわずかを担っておるという感じの表現の御答弁があったわけですけれども、それじゃ困るわけですね。山東長官は、あなたも御承知のように、地震につきましては地震予知推進本部の本部長さんですよ。地震についてはそれだけの責任を持っておられるのでしょう。地震、火山というのは、これは表裏一体のものでしょう。それが、いわゆる国土地理院のところに連絡会だけ置いておる。そして、それはデータを集めて、言うならばその担当の人がいろいろ話し合いをされる。もっと強力な、そういう責任を持った体制が必要と違いますか。国土地理院とおっしゃっても、これは建設省の一つの部門ですね。
 山東さんは科学技術庁長官で、しかも内閣最高責任者として地震予知については予知推進本部長をされておるのですよ。火山についてこれだけの被害を出しながら、なぜそういうことができないのですか。まずそういう位置づけをきちっと明確にさせていくことによって、予算一つの問題にしても、充実の問題にしてももっと力が入ると思うのですよ。私はぜひ山東長官が閣議におかれても、この火山の重要性ということにかんがみて当然火山も予知推進本部を設置すべきである、私が本部長に就任しますと、もっと閣僚の一人としてそれだけのことを言ってもらいたいのですよ。こんな貧弱な体制でどうしますか。
 これだけの我が国の体制になりながら七億百万ですよ、予算は。言うならば、これやります、あれやります、美辞麗句並べていますよ、はっきり言って。いかに科学的にいろんなことをやってくれているか。名前だけじゃないですか。雲仙のことだって、私が今申し上げたように、各大学から頭を下げて借り回っている。応急に置いておるだけでしょう。そんなことじゃどうしようもないじゃないですか。強力なその体制ということにつきまして、ひとつ山東長官に御意見を伺いたいと思うのです。
#225
○井田政府委員 今後の火山噴火予知の研究をどうするかということは、今先生おっしゃるとおり大変重要なことだと思っております。ただ、地震予知の場合と違いますのは、先生の御説明がありますように、地震予知連絡会というのは国土地理院に置かれておりまして、これはそういった地震予知に関する情報の交換という場になっているわけでございますが、この火山噴火予知につきましては火山噴火予知連絡会、これは気象庁に置かれておりまして、気象庁のこの噴火予知連絡会は、火山噴火予知に関する研究及び観測の体制の整備とそのための施策の検討というものもその業務にあるわけでございます。
 さらに気象庁は、こういった火山噴火予知連絡会だけではなくて、気象業務法に基づきまして、こういった情報に基づきまして各種の火山情報も
出している、こういう状況があるわけでございます。したがいまして、こういった既にある火山噴火予知連絡会との調整という問題があります。これからも、こういった気象庁、それから今先生お話ありましたように、かなりの大学がこの火山噴火予知の実際の観測を担っているわけでございますが、こういうものと調整して、どういう体制がいいかということは研究させていただく必要があろうかと思うわけでございます。
#226
○近江委員 この火山噴火予知連絡会、気象庁に設置されておる、そんなことはわかっていますよ。要するに、その連絡会があったとしても、私は前の委員会で申し上げたことがあるのですけれども、いわゆる地震だって貧弱なことおびただしい。地震国と言われながら、予算一つを見ましても地震全体で平成三年度予算六十六億六千九百万円ですよ。平成四年度概算要求をまとめた各省のそれを見ましても六十六億三千七百万、逆に数千万円下がっておる。地震自体だってこれだけの貧弱な体制でしょう。
 火山に至っては、今私が申し上げたように、こういう体制ですよ。気象庁でやっておると言ったって、つくっておるだけじゃないですか、これは。現実に地震計一つないんでしょう。八十三ある火山の中で、約五十近い火山には地震計一つない。そんな中でそういう連絡会を設けておったって、本当の実がないじゃないですか。政府挙げてそういう取り組みをしないからそういうことが出てきているのです。これはもっと強化すべきですよ。
 科学技術庁は、そういうすべてのことを調整していく機関なんですよ。地震も責任を持ってやっておられるのです。火山だって責任持ってやってもらいたい。何も気象庁のその予知連絡会があるのを取り上げてどうのこうのと言っているのと違うのです。気象庁の予知連絡会を置いておいたって構わない。もっと充実したものにすべきだ。そのための予算の裏づけもしなければいかぬ。もっと強化してもらいたい。今後その火山の予知につきまして、観測体制、監視体制の強化、そういう噴火予知技術の研究、またそういう体制、こういうことをぜひとも強化していただきたい。それにつきまして御答弁いただきたいと思います。
#227
○山東国務大臣 先ほども申し上げましたように、火山というのは本当にそれぞれ個性があってなかなか予知しにくい問題もあろうかと存じますけれども、この普賢岳の問題なども本当に、住民の人たちを巻き込んで多くの犠牲者を出してこのような長期間にわたる被害になるということは、私どももなかなか想像がつかなかったわけでございます。転ばぬ先のっえとよく申しますけれども、いろいろな角度から、私ども科学技術庁だけで旗を振ったのではこれはとてもできる問題ではございませんが、先ほども申しましたように関係観測施設、いろいろ各機関とも御相談をしながら検討を進めるべきではないか、そのように考えております。
#228
○近江委員 きょうは関係各省の方々は各省課長さんクラスの方がお見えだと思いますが、関係各省を代表してきょうは長官からこうして答弁いただいているわけです。ですから、きょうのことは必ず閣議にも上げて、本当にこの雲仙を反省して、火山予知に対して全力を挙げて政府として取り組んでいただけるよう力を入れていただきたいと思うのです。ひとつもう一度御答弁いただきたいと思うのです。決意を、長官。
#229
○山東国務大臣 おっしゃるとおり、関係各機関ともよく相談をいたしまして十分検討させていただきたいと思っております。
#230
○近江委員 火山の問題につきましては、今長官の方からそういう御答弁ございましたので、ひとつ関係各省からお見えの方は、必ずお帰りになって大臣によくお伝えいただいて、来年度予算の今編成前でございますので、必ず充実した体制がとれるように各省力を入れていただきますように、間違いなく来年何らかの機会にもう一度皆さん方に来ていただいて、どれだけの努力をしていただいたかという足跡というものを、しっかりと私も今後をフォローしていきたい、こう思っておりますので、一応この問題はこれでおきたいと思います。今後努力をしていただくことをお願いしておきます。
 次に、美浜等の原発の問題に移りたいと思います。
 まず、この美浜の事故につきましては、細管の破断、ECCSの作動という本当に肝を冷やすような事故でございました。そういう美浜の事故、その後どういう究明をされ今後の対策をとられていくのか、これをお伺いしたいと思うわけでございますが、その前に、これだけの事故があったわけですね、それに対して政府の最高幹部の皆さんかどういう認識をされているかということが一番私は気がかりなんです。最高幹部の皆さん方が本当に真剣な受けとめをして、そしてそれが本当に浸透して対策というものは強化されると思うのですね。
 山東長官、この「LA」という雑誌、六月号ですよ。非常にきれいな女性の写真が出ております。ぱっとあけてみますと、まず最初に「日本ほど原子力エネルギーを必要とする国はない」、山東長官のにこやかな写真が写っている。対談が載っているのですね。私も科学技術の理事をしておりますし、やはり長官の御発言というのは非常に関心がございますので読ませていただきました。そうすると、非常に気になることが出ているのですね。
 ちょっと読んでみますと、五ページなんですが、「美浜の事故は、一部で言われているような重大な事故ではなかった。何といっても、人体に影響を与えるほどの大量の放射性物質が外部に漏洩したわけではなかった。」こうおっしゃっているのですね。載っておるのですよ。これは編集者がどういうようにしたのか、長官がおっしゃったか、これは後で――いや、今でもお見せしますよ、現実に出ているのだから。
 これをお見せするのでついでに、今度はエネルギー庁長官、緒方さん、この人は、「美浜事故には、原因になるような大きな運転ミスはなかった。本来開けていなければならない圧力逃し弁が、定期検査のとき間違って閉めてしまったままになっていたといった、かなり重大なミスはあったが、これは整備ミスであって、運転ミスではない。」こういう整備だとか運転だとかということは、これだけ大きな原発という、言えば機械ですわな、これは全く表裏一体のものでしょう。いわゆる整備の問題、運転の問題というのは、つまりこれほどちらが欠けても重大事故になるわけです。そういう安易な分け方で、長官たるべき人がこういう発想でいてる。これはどうですか、今ちょっと事務局に持っていかせますから、見てください。
#231
○山東国務大臣 私は、二月に起きました美浜の事故以来一貫して、日本で初めて起きた大きな事故であったということは一貫していろいろな場所で発言をいたしております。この今の雑誌は御承知のように、先生方もインタビューをされたり御経験おありでございましょうけれども、私どもが十申しましたことが十そのまま克明にこうした誌面に載るということはございません。このように誤解されるように表現をされたとすれば、私が申し上げた中には、我が国においては原子力発電所を運転いたしましてから、人体に影響を与えるような事故は今までに一度もなかったというような話は、私は方々でしたことがございます。
 しかし、今回の美浜の事故に関して、大した事故ではなかったというようなことは一度も発言をしたことがございませんし、これは一貫してさまざまなところで、こうしたことが起きてはならない、そして原因の徹底究明を図ることが何より大切であるということはずっと繰り返し主張していることでございます。こうした雑誌は、私が就任をいたしましてからもうどれくらいインタビューに応じたか、ちょっと数え切れないくらいでございますので、もちろんすべての雑誌に関しましてチェックをして、そして一言句たりとも誤った
発言というふうな形に誤解されないようにするのが――もちろん私どもも注意しなければいけませんけれども、このような形に報道されたということは非常に残念でなりません。
 しかし、私の考え方としては、この委員会でも申し上げておりますようにずっと同じでございますけれども、初めて起きた重大な事故である、そして今後こういうことのないように、これは通産省あるいは私ども科学技術庁あるいは安全委員会、いろいろ徹底究明をして、そして今後そうしたことのないように万全の対策をとるということは今でも同じ考えでございますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
#232
○近江委員 私は公平な人間ですから、長官のその真意を確かめたかった。長官からそのように公式に改めて、重大な事故であった、そういう表明がございましたので、それをそのまま受けとめたいと思います。
 いずれにいたしましても、美浜の件につきましては非常に国民の皆さんも心配いたしておるわけでございまして、その後どうなったのかという気持ちで皆見守っておると思います。
 そこで、まず第一点お伺いしたいのでございますが、原因がどの程度解明されたのか。特に、振れどめ金具が設計どおりに挿入されていなかったことと事故の因果関係、また細管と細管の支持板との間にさびがたまって細管が固定状態となって、これに大きな振動が加わって破断するという説が強いように私も聞いておるわけでございますが、この点についてはどう考えておられるのか。今後の対応策を含めて説明を賜りたいと思います。
#233
○荒井説明員 お答え申し上げます。
 今回の関西電力の美浜二号機蒸気発生器伝熱管損傷事象は、通産省としても、ECCSが初めて作動するという極めて重大な事象ということで認識しており、原因究明を徹底的に行い、再発防止策を講ずるという方向で今鋭意調査検討をやっておるわけでございます。今回の事象につきまして、当省としては、調査特別委員会を設置し、その意見を踏まえつつ調査を進めておりまして、六月六日に、原因の推定、再発防止策の方向等に係るそれまでの調査状況を取りまとめて公表したところでございます。
 そこにおきまして、今回の損傷の原因といたしまして、振れどめ金具という、蒸気発生器についておるわけでございますが、この振れどめ金具が所定の位置に入っていなかったということにより局所流速が増大いたしまして、流力弾性振動が発生し、その結果その細管一本について疲労破断したということの蓋然性が高いのではないかというところまでいっております。
 さらに、再発防止策といたしましては、そういうことを踏まえまして、審査、検査のあり方の検討とか、電気事業者における、民間における自主保安の体制の充実強化、具体的には監査機能の充実強化等所要の対策を講じるということを、そういう方向をその六月六日の中間取りまとめにあらわしておるわけでございます。
 それで、この中間的な取りまとめ以降、本事象に係る蒸気発生器等につきまして、さらに周辺伝熱管の追加抜管、あるいは管支持板の切断取り出しによる調査、それから伝熱管材料の疲労強度に関する試験並びに蒸気発生器U字管部における流動解析等を行い、亀裂発生から破断に至るまでの時間的経過等の検討を進めているところでございます。今後さらに詳細な調査を進めまして、破断のメカニズムにつきまして解明するとともに、再発防止策の確立に全力を傾注してまいりたいと思っている所存でございます。
#234
○近江委員 今後、この工事計画の審査あるいは検査対象範囲、これにつきましてはどの程度拡大されていかれるのですか。
#235
○荒井説明員 先ほど申しましたように、さらに原因究明等、破断メカニズムの解明をしながら鋭意行っているところでございます。それを踏まえながら、再発防止策、先ほど言いました検査、審査等についてどういうふうに充実していくかというところを検討するということでやっておりまして、現在のところ、まだ具体的なところまで申し上げる段階になってございません。
#236
○近江委員 この二号機は平成二年の四月から七月にかけて定期検査をやっておるわけですけれども、その間には異常が見つからなかった、こういうことなんですね。現在行われておりますこの定期検査そのものに問題がないのかどうかということです。定期検査の間隔が長くなる、かつまたこの検査期間が短縮化される、そういう傾向がやはりあるわけでございます。そういう点で、この定期検査はより慎重にやるべきである、このように思うわけでございます。電力会社のそういうような意向というものが強く感じられるわけでございますが、そういう点に対しても十分な指導をする必要がある、このように思うのです。この定期検査に対する考え方をお伺いしたいと思います。
#237
○荒井説明員 定期検査でございますが、国の行います定期検査、これは電気事業法に基づいて、運転中のプラントにつきまして安全に運転されることを維持するために定期的な検査をやるということで、現在おおむね年一回、プラントの大きさにもよりますが、おおむね六十日から百二十日くらいの期間をかけて厳重な検査をやっておるわけでございます。これは世界的に見ましても、我が国がかなりユニークな形でやっておるシステムかもしれません。ほかの国においてはこのような長い検査期間をとっているところは余りないわけでございますが、日本の場合はそういうやり方で、定期的に厳重な検査をやるというやり方を従来からやっておりますし、こういう形で、検査はしっかり行っていくということで安全な運転を確保するということが重要かと思います。
#238
○近江委員 そういう懸念はない、そしてさらに現在の定期検査を充実をする、こういうことですね。
#239
○荒井説明員 今後とも引き続き定期検査をしっかりやっていく所存でございます。
#240
○近江委員 この細管の破断ということからいきますと、現在のECTでは細管の円周方向の傷を見逃しやすい、このように言われているわけです。当然、これには金属疲労の発見技術、これはどうしても早急にやらなければいけない、このように思うわけですが、これに対して着手をされるのか、またその見通しはどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
#241
○荒井説明員 お答えいたします。
 現在行っておりますECT、これは渦電流探傷検査試験というものでございますが、御指摘のように、ECTの検査には、検査の測定器の限界といいますか、一定の損傷がないとチェックできないという限界がございます。それを今後より精度の高いものにしていくということは検討しているところでございますし、それから長期的な面でいえば、より微小な損傷をも的確にチェックできるようなそういう検査システムも、これは長期的な観点から開発していくということを現在考えております。
#242
○近江委員 長期エネルギー需給見通し、これを策定されたわけでございますけれども、今後二〇一〇年までに原発を今の約倍、四十基増をやっていく。立地につきましても、新規のものについては困難がますます増大してきておる、そういう中で、これは政府の計画でございますけれども、計画達成の見通しというのは、いけるのかどうか。そうでないならば、これは当然見直しをしなければならぬわけでしょう。この点につきましてお伺いしたいと思います。
#243
○石田政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のように、二〇一〇年七千二百五十万キロワットという目標は非常に難しい目標ではございますけれども、我が国のエネルギー需要の将来ということを見た場合、ぜひ我々が、各省庁力を合わせ、あるいは民間の関係企業ともどもに全力を挙げて達成すべき目標と考えております。したがいまして、その過程におきましては多々困難はございましょうとも、現在のところ、ぜひこの達成に向かって鋭意努力してまいり
たい、かように考えておるところでございます。
#244
○近江委員 今後のエネルギーを考えますと、一つの柱はやはり省エネだと思うのですね。それからまた、原子力以外のいわゆる非化石エネルギーの開発、それら二つだと思うのですね。そういう意味におきまして、省エネルギーの徹底という点、最近はどうも、第一次、第二次オイルショックもあり、湾岸戦争これありしたわけでございますけれども、比較的石油も安定しておるというようなこともあり、また当然社会経済の発展につれてエネルギーの需要ということも高まるわけでございますけれども、そういう中で、どうも省エネという点に対しまして、産業界を初め、それから民生用もそうでございますけれども、若干鈍ってきておるように思うのですね。したがいまして、省エネルギーの徹底についてどのように今受けとめ、今後どのように推進されていくか、この点についてお伺いしたいと思います。
#245
○上田説明員 お答え申し上げます。
 省エネルギーの現状につきましては、ただいま近江先生御指摘のとおりでございまして、最近の状況はかなり憂慮すべき事態になっておるという感じが払いたすわけでございます。
 昨年の六月、総合エネルギー調査会の見通しては、二〇一〇年で八千四百万キロリットルの省エネを達成するという目標を掲げてございますが、過去さかのぼってみますと、第一次オイルショックの後この十数年の間に、日本全体としてはかなりの省エネが進んできております。これはGNP原単位で申しますと、大体七三年を一〇〇といたしますと三六ポイントほど下がってきておりまして、そういう意味ではかなり好成績ではございますが、ただ、ここ数年、特にオイルの価格がある意味では低位安定と申しますか、低価格になっておることが大きな原因であるということが一つ言えるかと思いますが、ここ数年間、景気の上昇とも相まって、かなり省エネのGNP原単位の低下がはかばかしくないということでございまして、今後十年ないし二十年、一層の原単位の改善を目指して奮闘努力をしなければいけないというふうに考えております。
 つきましては、せんだって、今月の十八日に、総合エネルギー調査会の省エネルギー部会を再開いたしまして、来年の一月ごろを目途に、今後石油価格が低価格化している中でどのような省エネを進めることを具体的にしたらいいのかというような検討を再度していただくということをいたしたわけでございます。
#246
○近江委員 省エネにつきましては、ひとつ徹底してまた御努力いただきたいと思います。
 それから、エネルギーの効率利用あるいは未利用エネルギーの活用、これはもう本当に積極的に展開していただきたいと思うわけでございます。この点につきまして、いかに取り組んでいくかということにつきましてお伺いしたいと思います。
#247
○上田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘ございました未利用エネルギーでございますが、これにつきましては本年度から予算措置を講じておりまして、調査予算ないしは事業ないしは建設事業につきまして、例えば都市廃熱、河川の温度差、そういったものについて具体的に成り立ち得るプロジェクトにつきまして、補助率一五%の予算を約二十億円ほど計上して、本年度から着手いたしているところでございます。
#248
○近江委員 時間があれば、私も一つ一つ細かい項目にいきたいと思うのですけれども、きょうはそういう概略的なことで進んでおるわけでございます。
 それから、新エネルギーの技術開発、これは太陽エネルギーを初めとして、本当に力を入れなければならない問題でございます。この新エネルギーの問題につきましては、そういう太陽光発電等を初めといたしまして各項目別にどういう取り組みを展開していくのか、それについて御答弁いただきたいと思います。
#249
○須田政府委員 政府は本年七月、科学技術会議の意見を踏まえて、新たなエネルギー研究開発基本計画というものを内閣総理大臣決定として定めたところでございます。
 新たな基本計画においては、エネルギーの安定供給の確保及び地球環境問題への対応の観点から、太陽エネルギー等のいわゆる自然エネルギーの利用の拡大を目指した研究開発を推進することとしており、太陽、地熱、海洋、風力等の新エネルギーの各分野ごとに「今後十年間に政府が中心となって推進すべき重要研究開発課題」ということで提示いたしてございます。その中で、特に太陽光等については、今後十年間相当力を入れるプロジェクトということで政府プロジェクトとして指定されてございます。
 今後、この新たな基本計画に基づいて、各省庁研究開発を積極的に推進してまいる所存でございます。
#250
○近江委員 特に太陽光の問題につきましては、これは各家庭を初めとして、まずとりあえず公共機関であるとか大都市を中心としていろいろな利用というものを展開をしていかなければならぬ、このように思うわけでございますが、その場合は電力会社との問題なんですね。これは双方性がなければいかんと思うのですね。ですからその辺は、当然法整備を初めとして十分考えなければならぬ問題がございますし、あるいは設置、普及ということになってきますと、税制上の問題等のメリットも当然利用者には考えていかなければならぬ問題である。
 幾つかのそういう問題があるわけですが、その辺のところを、特に太陽光の発電等に絞って電力会社との関係性等を御答弁をいただきたいと思うのです。
#251
○上田説明員 お答え申し上げます。
 太陽光発電、いわゆる太陽電池につきましては、技術開発の問題と同時に、導入、普及の問題という二つの側面があるわけでございます。
 先生御指摘のように、技術開発につきましては、例えば、通産省といたしましてもサンシャイン計画で十数年来努力をいたしておりまして、既にコストダウンを以前の十分の一以上に図ってきておるわけでございますが、なお現時点では残念ながら割高であるというような実態がございます。今の計画では、約二〇〇〇年には家庭用電力の料金に見合うようなレベルまで落としたいということで鋭意努力をいたしておるわけでございますが、それとは別に、初期的な市場を創出する必要もあろうかという観点から、いろいろ補助金ないしは税、財投の工夫を行ってきております。
 例えば、導入、普及の一つの例といたしまして、皆さん御承知の、長野県に白馬山という山がございますが、そこの白馬山荘という山小屋の電源を全部太陽電池に切りかえるというようなことを既にやっておりまして、そういったものにつきまして国の補助金を出して支援をするといったようなこと、あるいは税制上の減税の対象設備にするというようなことも昨年度よりやってきておるわけでございます。
#252
○近江委員 電力会社との関係は、その辺は詰めておりますか。
#253
○上田説明員 先生が御質問の電力会社との関係につきましては、まず電力会社といいますか、今電気事業は電気事業法という法律の枠の中で運用いたしておりますので、その辺につきまして少しずつ体制整備と申しますか、環境整備をやってきております。
 具体的に申し上げますと、昨年の六月、いわゆる太陽電池、それから燃料電池、それから風力発電につきましては、五百キロワット未満の設備につきましては、従来の現行事業法では工事計画の認可という体系になっておるわけでございますが、それを届け出ていいというようなものにするとか、太陽電池につきましては百キロ未満のものにつきましては届け出も要らないとか、そういったいわゆる規制の緩和ということを実態に応じて進めてきておるわけでございます。
 それから、電気事業者との関係では、電気事業者自身、鋭意今後取り組むべき新しい分野であるという認識は強く持っておられまして、例えば、
二〇〇〇年におきましては百万キロワットぐらいの規模の新エネルギーを導入いたしたいという計画を既に持っておられるようでございます。
 それから、よく巷間問題になりますいわゆる買電、電力を売り買いするという問題につきましては、これ自体いろいろ議論はございますが、私どもといたしましても電気事業審議会の小委員会でいろいろ検討いたしておりまして、去る六月の中間的な取りまとめにおきましても、将来電気事業者がいわゆる買電のメニューというものを具体的に示していくことがまず必要じゃないかというような考え方をとりあえず打ち出しております。
#254
○近江委員 その辺のところ、そういうきめ細かな対策がなければなかなかこの普及ということが、また普及することによってそれがコストも下がってくる、相乗効果というものが生まれてくるわけでございますので、ただ研究開発というだけではなく、同時にそれを進めていくということが非常に大事だと思います。さらにそういう点、十分今後御努力をしていただきたい、これを強く要望したいと思います。
 時間も大分迫ってきましたので、あと一つだけお伺いしたいと思います。
 一つは、衛星HUの問題でございますが、簡潔に申し上げると、先般事故があったわけでございます。HUの開発ということ、これは三菱重工におきます人身事故まで発生しておるわけでございますけれども、これは一つは国産開発ということで非常にスケジュールを詰めて、そういう中での事故じゃないかということを危惧いたしておりますが、今後の考え方、それをひとつお伺いしたいと思います。
 それからもうあと一点、先般視察してまいりました大型放射光施設、これにつきまして非常に世界各国で繰り上げをしたり、いろいろなことで我が国が非常におくれるんじゃないか、そういう心配が出ておるわけです。これを少なくとも二年ぐらい早く繰り上げる、そういう考えはあるのかないのか。
 以上、二点につきまして質問いたしまして、終わりたいと思います。
#255
○井田政府委員 お答えいたします。
 三菱重工の名古屋誘導推進システム製作所におきまして、LE7エンジンの一部部品について試験を実施していましたところ、供試体が破裂いたしまして、それに伴いまして倒れた扉によりまして人身事故が発生した、これはまことに私ども残念なことであると思っております。現在、この原因については調査中でございます。
 したがいまして、その今後のスケジュールをどうするかということについてはただいま申し上げる段階ではございませんが、このHUロケットの開発、これに当たっては何よりも確実、安全な打ち上げができるロケットの開発、こういうことをすることが非常に重要であると考えているわけでございます。この点に十分留意いたしまして、また安全にも留意いたしまして、今後開発を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
#256
○長田政府委員 大型放射光施設の建設の関係でございますが、現在我が国は一九九八年の完成を目指してやっております。米国が一九九五年、欧州が一九九四年でございます。
 先般、欧州において計画を若干の期間早めるというような状況がございますが、また日本の各界におきましても、もっと早くできないかという声もございます。私どもとしては、そういう声は激励してくれているというふうに受け取って非常に励みになるわけでございますが、いろいろ予算の事情そのほかございまして、まだとにかく今は一九九八年当初の予定を確実に実施していくということに全力を挙げたいと考えております。
#257
○近江委員 もうこれで終わりますが、私は繰り上げをできないものかと、このまま計画どおり進めるという御答弁であったのですけれども、これは問題提起しておきますので、十分ひとつ科学技術庁で討議をしていただいて、何とか一歩でも早期完成ができるように努力をしていただきたい、このように思います。
 長官から一言、それに対してお答えいただいて終わります。
#258
○山東国務大臣 私も現場を見てまいりましたけれども、着実に現在行われているということは大変心強い限りでございます。早めるということに関してはなかなか難しいことがあろうかと存じますけれども、検討させていただきたいと存じます。
#259
○近江委員 じゃ、終わります。
#260
○中馬委員長 吉井英勝君。
#261
○吉井(英)委員 原発の危険から国民の安全を守るということは、原発については推進の立場をとる人、反対の立場をとる人、さまざまな立場の人を含めて、今国民にとって緊急の課題だというふうに思います。ことしに入ってからも、きょうも議論がありましたように、美浜原発二号機の事故を初めとして原発の事故等が続いておりますが、私は、きょうはその問題について質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、美浜二号の問題でありますが、ことし六月六日のエネ庁のSG伝熱管損傷事象の調査状況についてという報告書を読ませていただきまして、ここで触れられておること、一つは振れどめ金具の欠損、これは細管アドレスでX45・Y11から22に関して触れられておりますし、流力弾性振動が発生したということも触れられております。ただアドレスでX45のY11から22のうち、Y14だけがなぜ破断したのか、ここはその段階ではまだ特定できないということでありましたが、なおこの六月の報告でも、六本の細管については、これは小型カメラで見て管の内側の方向に膨らみが見られる、デンティングと思われる状況があるということでありますし、それからまた、アドレスX45・Y13から17については、その支持板のところもちょうど管の部分で腐食や減肉を認めていたということが大体六月の報告を読むと載っているわけですね。
 それで、引き続いて先日、九月九日、エネ庁が調査特別委員会に出された報告によりますと、アドレスX45・Y14ではクリアランス部がさびなどの不純物で詰まって管が事実上固定されていたという状態にあった。それからなお、X45のY12と16では、スラッジの厚さが約〇・六ミリほどですか、なっていたということでありますが、そうすると、九月九日の時点での六月とは違った新しい報告内容というのは、そのクリアランス部がさびなどの不純物で詰まって管が固定されたのがX45・Y14で、そのほかY12と16についてはスラッジの厚さが〇・六ミリまで腐食が進んだなり、あるいはスラッジが堆積していたなり、そして半固定といいますか、事実上固定に近い状態になっていたというのが新しい報告の点がなというふうに思うわけですが、この点はそういうことでいいですか。
#262
○中村説明員 御説明申し上げます。
 ただいま先生御指摘されましたように、六月六日段階でX45・Y14の細管につきまして、その時点での調査状況、これをまさに述べておるわけでございますが、その時点におきましては、振れどめ金具が設計どおりの範囲まで入っていなかったということで流力弾性振動が発生したということを書いております。
 その後、現在もいろんな意味での調査をまさに進めている途中でございまして、我々としても何らかの結論を得るという段階には至っておりません。
 具体的には、現在進めております調査といたしましては、本事象に係る蒸気発生器につきまして周辺伝熱管の追加的な抜管を行うであるとか、あるいは管支持板を切断して取り出すというふうな調査を行うであるとか、あるいはいろいろな管材料の疲労強度に関する試験を行うであるとか、あるいは蒸気発生器のU字管部における流動解析を行うとか等々、現在いろいろな意味での破断のメカニズムあるいは損傷のメカニズムということの検討を進めている最中でございます。
 その後、先ほどのAVBに支持されていなかっ
た、振れどめ金具に支持されていなかった伝熱管のうちの破断管及び周辺管について今申し上げました調査を進めてきたわけでございますけれども、その破断管部分につきまして、あるいはその周辺管につきまして管支持板そのものを取り出しまして調査をいたしましたところ、破断管につきましては固定支持状態であったというふうに現在のところ考えておる。我々も、いずれにせよこれ自身が破断との関係でどういうメカニズムといいますでしょうか、それに至ったかということについてはまだ最終的な結論とは考えておりませんので、今後さらに詳細な調査を進めて、破断損傷のメカニズムについて解明をしていきたいというふうに考えているという段階でございます。
#263
○吉井(英)委員 メカニズムに先立って私がすぱっとお聞きしておきたかったのは、九月九日の調査特別委員会に報告なさったことで、六月とは違った新たな点というと、要するに破断管についてクリアランス部がさびなどの不純物で詰まっていて管が事実上固定されていた事態にあったというのが一点、それからX45・Y12及び16についてはスラッジの厚さが約〇・六ミリ進んでおった、この辺が新しい点なのかなというふうに私は報道等から理解しておりますので、そういうことでよろしいかということを聞いているのです。
#264
○中村説明員 先ほども申しまして若干の繰り返しになるかもしれませんが、調査を進めていく中で、今先生御指摘の点を我々として検討の俎上にのせたというか、ということは事実でございます。
#265
○吉井(英)委員 そこで、この議論はいろいろやってきておりますから、私は少し簡略化して先へ進みたいと思うのですが、八八年二月五日のNRCブレティンでは、八七年七月のノースアンナ原発一号機で起こったギロチン破断が高サイクル金属疲労によるものとして、その原因として、一つは上部支持板のところでのデンティングの問題、二つ目、流力弾性振動の問題、三つ目にAVB、振れどめ金具の欠如の問題を挙げていたわけですね。そしてウェスチングハウス及びコンパッション・エンジニアリング社製のSGを使用している事業者は四十五日以内に詳細な報告書を提出しなさいと指示していたわけですね。
 私は、六月の報告を読ませていただいて、今も御報告少しいただきましたが、九月の報告を見ておりまして、改めて、この三年間結局通産省がNRCの指示を無視してきたこと自体がやはり間違いであったのじゃないか、そういう事態が今明瞭になってきたというふうに思うわけでありますが、この三年前にNRCブレティンで指摘されたことを無視したことは間違いだった、このことをお認めになられるのか、これを伺いたいと思います。
#266
○中村説明員 ただいま先生御指摘になられました米国のノースアンナ原子力発電所におきまして、やはり設計上振れどめ金具が入っている必要がない伝熱管が周方向に破断していたというのがございまして、NRCのブレティン等におきましても、その原因として、支持板と伝熱管の間にデンティング現象が発生して、伝熱管の外周に高い応力が負荷される、それから振動に対する減衰特性というか、そういうものが……
#267
○吉井(英)委員 だから、私はもう三つ指摘しておりますので、今のお話、みんなわかった上で聞いていますから。
#268
○中村説明員 恐縮でございますが、さらに、蒸気発生器内の蒸気の湿り度の改善のために二次冷却材の流速を高めていたということが原因になりまして、蒸気発生器のU字部におきまして、二次側流体の流れで伝熱管の不安定振動が発生して、デンティング……(吉井(英)委員「いや、それはみんなこれに書いてあるのだから」と呼ぶ)はい。
 それで、米国の原子力規制委員会におきまして、今申し上げましたような状況で高サイクル疲労破断に至ったということに関して指示を出しておるわけでございますが、やはりその不安定振動の可能性ということで、我が国としての判断といたしましては、水質管理がいいということでデンティングが起こりにくい、あるいは仮にそのデンティングが発生したとしても、先ほど申しました二次冷却水の流速の方でございますが遅いといったようなことの理由から、不安定振動の発生のおそれがないというふうに判断したということでございます。
 いずれにせよ、今回の美浜の二号の事象につきましては、振れどめ金具の重要性を我々も再認識したというふうに考えておりまして、そういった原因の破断メカニズムに関する総合的な検討というものを今後行ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#269
○吉井(英)委員 くだくだ言わなくたって、私もNRCブレティン読んでいるのだから、あなたの説明をわざわざ聞かなくてもいいわけですよ。
 それで、このブレティンの中では、三つの要因を挙げて四十五日以内に報告しなさいということだったでしょう。それに触れられているので、日本の原発でいえばウェスチングハウス社製の四四型、五一型の蒸気発生器といえば、四四型が美浜二号で、五一型は高浜一号、二号、三号、四号、美浜三号、大飯一号、二号、玄海一号、二号、川内一号、二号、伊方一号、二号、敦賀二号、コンパッション・エンジニアリング社製の蒸気発生器も挙げられていますから美浜一号も入る、これは三年前に指摘されて、四十五日以内にちゃんと詳細な報告をしなさいということをアメリカの場合は指摘しているのですよ。
 今私が挙げたこの三つのことは、先ほど来私も指摘し、あなたも御報告されたように、ことし六月のエネ庁の方の調査状況についてという報告書においても、また九月に改めて調査特別委員会ですか、報告されたことについても全部当てはまっているじゃないですか。三年前に指摘されたことを今ごろ改めて認識したって、何を言っているのだということになるのですね。だから、三年前に指摘されながら無視してきたことは間違いだったのだろうということを言っているのですよ。それは間違いでしょう。
 今、水質のことも言われましたね。何ですか、三年前、日本は水質管理の状況はよいので問題なしとしていたわけですね。それで無視したことも、現実に管支持板にさびが進行しているという事態を九月には認めていらっしゃるわけですから、それはやはり適切でなかったということを率直に認めて、私は、おまえ間違っておった、やっつけようという気で言っているのじゃないですよ。やはり間違いを犯すこともあるわけだから、その誤りは誤りとして率直に認めることがまず出発点として大事なんじゃないですか。どうですか。
#270
○中村説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、我々といたしましても、美浜二号の事象というのを重要なものだと認識をしておりまして、それに関する原因究明を徹底的に行うということによって、それによって得るべき再発防止対策等々何があるかということを今後検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#271
○吉井(英)委員 今後のことはそれでよろしいがな。問題は、三年も前に指摘されたことをやっておればギロチン破断は起こっていないだろうということを言っているのですよ。それを無視してきて今ごろ初めて発見したような顔をして言うから僕はおかしいと言っているのですよ。
 これはことしの三月にも指摘しましたが、原子力産業新聞の八七年の七月三十日号、これはノースアンナの事故の直後ですよ。通産省は「わが国では起こり得ない」と発表していますね。事故直後には「起こり得ない」と言って、三年前にこのNRCのブレティンが発表されたときには、四十五日以内に報告せよとアメリカが言っているのに、同型の原発をたくさん持っている日本では、通産省は、これまた我が国は関係ないということで無視したり、水質問題は関係ないということでやってきたわけだ。だから、これから究明という話はそれでよろしいがな。しかし、これまでの態
度はやはり問題あるんだろうということを言っているのですよ。私は、こういう重大なところをあいまいにしておくということでは、本当に国民の皆さんの原発問題に対する、原発の危険から国民の安全を守るという上で、お役所として全然責任を果たすことはできないと思います。
 私は、この点ではあわせてこの機会に、戻ってこられましたので原子力安全委員長にも伺いたいと思うのです。
 実は委員長も、ことし三月に私がこの点でお聞きしましたときに、「その当時、我が国のPWRの状況からいいまして、水質管理の状況、それから流力弾性振動安定比の評価等を行った結果、同様の事象の発生の可能性は極めて小さいものと評価し、特段の措置をとらなかったという行政庁の判断を聞いております。」だから、行政庁の判断を聞かれたところは正確だろうと思うのですよ。
 問題は、それでは原子力安全委員会の仕事にならないんじゃないかということを私は言いたいんですよ。この点についてやはりあなたが、三年前に通産省がそういう報告をしても、しかし、通産省は言っちゃ悪いけれども素人がおられてもあなたは専門家なんですから、専門家としては、通産省がそう言ったから事故の可能性は極めて小さかろう、そういうふうに評価して特段の措置をとらないということで了解してしまったら、やはりそれは問題があったんじゃないですか。私は、この点については、内田委員長のお考えというものをこの機会に伺っておきたいと思います。
#272
○内田説明員 確かにノースアンナの事故の結果の報告を受けた状況におきましては、先ほど通産からもお話がありましたように、デンティングが日本では起こりにくい、ほとんど起こっていないという現状をとらえまして、ノースアンナの結果から、日本では直ちに全部調査せなければならないということは必要はないというふうに報告を受けたわけであります。しかし、美浜二号の事故の結果から判断いたしますと、やはりそのときにAVBが十分入ってなかったということがわかっておれば何らかの対策は当然とるべきでありましたが、デンティングに注目をしたことが確かに不適切であったかとは思います。
#273
○吉井(英)委員 私は、振れどめ金具の問題にしても、要するに図面チェックだけでしょう。実際、少なくとも自然科学をおやりの方は、現物、現場を見ないことには信用しないのが当たり前のことでしょう。鉄則でしょう。そこをあいまいにしたところに大きな問題があると思うのです。
 それからもう一つは、通産のやることに対して科学技術庁と原子力安全委員会はイエスマンになっちゃならないということですよ。ダブルチェックということをきょうも言っておられました。しかし、ダブルチェックというのはイエスマンになることじゃないのですよ。その点では、そういうダブルチェックの機能を全く果たしていないということになるわけですから、私は、ここのところは根本的に考えを改めていただきたいと思つ。
 それから、なぜ通産が三年前に無視したかといえば、やはりその根底にあるのは、日本の原発は安全という思い上がりですね。私はこの日本の原発を考えるときの最大のガンは、アメリカやソ連はいざ知らず、日本は安全なんだという思い上がりといいますか思い込みですね、これがやはり根本的なガンだと思うのですよ。私は、こういう点ではこれは大臣にも、今後はそのダブルチェックをきっちりやるということ、通産の言いなりにならないということと、それから、日本の原発は安全というこの思い上がりはやはり正さなければならないということについて、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#274
○山東国務大臣 もちろんそのダブルチェックということは、それが基本でございますから、これはもう一流の専門家が集まってチェックをするということでございますから、今までも誤りはなかったと信じておりますけれども、これからも十分チェック機能というものを活用していくということを私どもも期待をしております。
 それから、今おっしゃられた、今まで原子力発電が日本の場合安全であったというような、思い上がりとおっしゃいましたけれども、思い上がりではなしに、やはり一生懸命関係者が努力をしてきたから今日まで事故がなかったということで、常にぴりぴり緊張しながら今日まで来たというふうに私は受けとめております。そして、今後もやはりその緊張というものを持続させながら、事故のないように、そして多くの方々に少しでも、原子力発電所の安全性の確保ということはこれからも大前提にしながら、エネルギーの大切さ、そして原子力発電の重要さということを訴えていきたいと思っている次第でございます。
#275
○吉井(英)委員 次に私は、浜岡原発一号、これはBWRですが、これについても少し伺っておきたいと思います。
 これは実は、核燃料体の被覆管の剥離と放射能漏れという我が国初の事故を起こしたわけでありますが、私は浜岡の調査に行きまして、中電から結論をいろいろお伺いをしました。そこでは、第八サイクルと第九サイクルの燃料体と水質条件に問題があったんだということで、条件等について幾つか伺ったわけでありますが、問題は逆に、その条件を設定すれば、つまり同一条件にすれば燃料体に剥離が起こるということを実験的に確認したかどうかですね。再現実験をやったのかということについて、これは通産ですか、伺っておきたいと思います。
#276
○中村説明員 浜岡一号の事象は、先生御案内のとおり、昨年の第十一回定検時において、燃料集合体五体に漏えいが確認され、また、七十八体において燃料被覆管表面の付着物あるいは被膜等の一部がはがれた剥離が確認されたというものでございます。
 我々として、その水質原因の方、浜岡原発におきます他プラント等と比べての特異性というものに着目いたしまして、その水質の特異性が腐食感受性の高い燃料被覆管に影響を与えることによってその剥離が発生したというふうに考えておるところでございます。
 その水質の特異性に関しまして、その腐食に関してどのような実験を行ったのかという御指摘かと思いますけれども、我々といたしましても、その炉内に実際に当時存在した、あるいは影響を与えたと推定いたしました、考えられました化学種の影響、あるいはその炉内に装荷されておりました燃料被覆管の材料の影響を確認するために、いわばその基礎的な試験、これを実施いたしました。化学種を具体的に申し上げますと、ナトリウムイオンでありますとかあるいは硫酸イオン、まあ硫酸根でございますとか、そういったことが腐食に影響すること等々の確認をしておりまして、そういったことから、浜岡一号の原因は、特異的な水質環境によって腐食感受性が相対的に高い燃料被覆管材料に異常な酸化が発生して剥離さらには漏えいに至ったというふうに推定しているところでございます。
#277
○吉井(英)委員 そんなことはみんなわかっているんですよ。わかった上で聞いているんだから。
 大事なことは、今も美浜二号で水質管理が改めて問題になったわけでしょう。ですから、今考えられる状況の中からいわば消去法で、第八、第九サイクルのときの燃料体の問題と水質条件まで迫ってきたわけですね。その迫ってきた中には、例えば今おっしゃったナトリウムイオンの問題とかあるわけですよ。ただ、それはあくまでも消去法で出してきた結論なんですね。それでは、その条件を設定したときに実際に剥離が起こるかどうかという再現実験をやったのかといったら、それは再現実験をやって証明したわけではないわけですから、まだ合理的結論には至ってないわけですね。
 私は、簡単な事故だったらこんなことを言わないのです。燃料体の剥離で放射能漏れを起こしたという我が国初の事故が起こったんでしょう。その問題について、そこまできちっとした再現実験
をやって本当にそうなのかという原因究明を徹底的にやりなさい、そのことをなぜ指摘しないままに運転再開を認めたのか。私は、指摘するというところは通産の責任だと思うのだけれども、しかし、それをやらないで直ちに運転再開といったら、これは通産として責任を果たすことができないでしょう。私はそこのところを言っているのですよ。
#278
○中村説明員 我々として確認した項目をるる申し上げますと多項目にわたりますけれども、我々といたしましても、その水質の悪化がなぜ起きたのかということを非常に多方面から検討いたしまして、もちろんある意味では推定の部分あるいは事実確認の部分それぞれいろいろ確認の仕方の方法論というのはあると思いますが、我々として確からしい推定、結論に至ったというふうに考えておるわけでございます。
#279
○吉井(英)委員 だから、あなたの推定による結論というのは消去法でやっていった結論であって、問題は再現実験をやって初めて実証されるわけですから、その再現実験をやればいいじゃないですか。それをやりもしないで、恐らくこうだろうという結論で、核燃料棒から被覆管が剥離して放射能漏れを起こしたのでしょう。日本で初めての事故なんでしょう。それをそんなあいまいなやり方じゃ通産として責任をとれないんだということを私は指摘しているんですよ。どうもそれについてもう一つ責任そのものをお感じでないようなので。
 次に、北海道電力の泊原発一号のタービン静翼亀裂の問題について伺いたいと思います。
 これも調査に行きましたが、出力三〇%の特定運転域での静翼の振動による高サイクル金属疲労としておりました。実はこの条件には二号機も当てはまるわけです。実際二号機の運転中に、北電も北海道庁も、これは二号機でも恐らく静翼の亀裂が起こっているだろうということを指摘しておって、そして先日とめて、八月に報告された泊二号の低圧タービン静翼部の亀裂というのでは、予定どおり随分静翼に亀裂が入っていたわけですね。そこで通産省は、北電の方が二号機の運転を続けていたときに二号機でも亀裂が生じているんだ、こういうふうに見ておったのかどうか、この点すぱっと一言でお答えください。
#280
○篠原説明員 お答え申し上げます。
 一号機の原因究明の段階で、我々としては二号機にも同じような現象があるであろうと予測をしておりました。
#281
○吉井(英)委員 私は、そうなると通産の責任は重大だと思うのです。先ほども問題になりましたギロチン破断のように急速に進行して、そして大変な事態を引き起こしているわけでしょう。もし二号機であの静翼の亀裂が急速に進行した場合に、亀裂が入っていると見ておられたのですから、それで静翼が異常を来した場合には、動翼と接触して、そしてこれはミサイル破壊のような状態でタービンのケーシングをぶち抜いたり、場合によっては建屋を破損することもあるんですね。あるいはそこまで至らなくても、小金属片が蒸気発生器細管のところへ、二次冷却系統へ流れ込んで細管損傷に至ることもあるわけですよ。それがわかっていながら、二号機でも亀裂が入っているだろうと見ながら、直ちに運転を停止して点検しなさい、なぜそのことを指摘されなかったのか、それを伺いたいのです。
#282
○篠原説明員 お答え申し上げます。
 一号機におきます原因究明におきまして、破壊力学的な観点からも亀裂が果たして進展するかどうか、あるいは亀裂の発生原因を徹底的に究明いたしたわけでございます。先回原因の結果について発表いたしたところでございますが、亀裂の発生原因は、ある特定の出力段階におきます蒸気の乱れによるものである、そして通常運転の状態では蒸気の乱れがそれほどなく、応力的にも非常に負荷は小さい、こうした中で、亀裂そのものは通常の運転の状態ではこれ以上進展しないということを徹底的に、破壊力学的な観点からも原因究明をいたしました。
 ただし二号機につきましては、当初の計画よりも、実は初期の運転段階ではいわゆる中間点検というものを第一回目の定期検査前までにやりますが、その当初予定いたしておりました中間点検の実施時期を繰り上げて八月に実施したわけでございます。
#283
○吉井(英)委員 その特定運転域での静翼の振動による疲労の問題は、私も現場へ行ってまいりまして、それはよくわかっているわけです。しかし、その静翼の亀裂が深まっているときに、なるほど特定運転域にならないとそれだけ広がらないというお考えなんでしょうが、あの回転体はいろいろな振動数を全部持っているわけなんですよ。その中で、一度広がってしまった亀裂がさらに広がったときにはどういう事態になっていたか。今結果として広がらなかったから、あなたはそこにそうして座っていられるわけであって、これがとんでもないことになっておったときには、そこへ座っていることはできないのですよ。つまり、そういう認識がまるでないのじゃないか、こんなことでは危なくて大変だということを申し上げたいと思います。
 三菱にとっては実は六十ヘルツじゃなくて五十ヘルツの初号機であって、回転数を落としても発電効率を落とさないようにということで、新しい挑戦をやったということを北電の人たちも皆言っておりましたが、実物大の実証試験が必要であるし、風洞実験等も必要なのに、それをやらないでデータも出していなかったわけですね。そして、新型タービンなのに、この点での安全審査をやっていたのかと言えば、これほどうも新型タービンというこの点での審査はやられていないようであります。
 私はこの際に改めてこれは安全委員長と大臣に伺いたいのですが、今回のこの北電の問題とか美浜二号の事故の教訓、それから美浜の問題から、今美浜だけじゃなくてその他の幾つかのところで蒸気発生器の取りかえの問題が具体化してきているようであります。そうすると、当然原子炉の建屋をぶち抜いて、原子炉蒸気発生器の容器を取り出すとか、いろいろな問題が出てくるわけでありますが、こういう点では原子炉設置基準なり指針の見直しというものが、今日のいろいろな経験を踏まえた上でやはり必要になってきていると思うわけでありますが、この点については大臣と原子力安全委員長は、この原子炉設置基準や指針の見直しについてどういうお考えをお持ちであるのか、この点を伺いたいと思います。
#284
○内田説明員 原子力施設に関します安全基準や安全指針等につきましては、常時見直しの姿勢をとっておる次第でありまして、新しい事実がわかりましたならば、基準や指針にどのように反映すべきであるかということは検討しているところでございます。
#285
○山東国務大臣 これからも専門家の意見を尊重しながら対処してまいりたいと思っております。
#286
○吉井(英)委員 時間が参りましたので、私は、九月九日の通産省の報告、これは調査特別委員会には提出しておられるようでありますが、その報告の提出を委員長の方からぜひ御指示いただきたいと思うのです。と申しますのは、やはり自主、民主、公開の原子力平和利用三原則に立って、これは国会としても事故原因の究明については積極的に取り組まなければいけない課題でありますし、そういう点では我々国政調査を進めるべき者の責任においても、これはやはり我々は我々の立場から美浜の事故について真剣に取り組んでいかなければならないし、いきたいというふうに思うわけです。そういう点で、ぜひ委員長の方からその点を取り計らっていただきますよう、このことをお願いいたしまして、私の本日の質問を終わります。
#287
○中馬委員長 その件につきましては、理事会で語らせていただきます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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