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1991/09/04 第121回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第121回国会 労働委員会 第2号
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1991/09/04 第121回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第121回国会 労働委員会 第2号

#1
第121回国会 労働委員会 第2号
平成三年九月四日(水曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 川崎 寛治君
   理事 愛野興一郎君 理事 片岡 武司君
   理事 住  博司君 理事 長勢 甚遠君
   理事 藤井 裕久君 理事 岩田 順介君
   理事 永井 孝信君 理事 河上 覃雄君
      赤城 徳彦君    岩屋  毅君
      大石 正光君    坂本 剛二君
      塩谷  立君    畑 英次郎君
      二田 孝治君    三原 朝彦君
      伊東 秀子君    池端 清一君
      沖田 正人君    川俣健二郎君
      井上 義久君    中村  巖君
      金子 満広君    伊藤 英成君
      徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 小里 貞利君
 出席政府委員
        労働政務次官  松浦 孝治君
        労働大臣官房長 齋藤 邦彦君
        労働省労政局長 清水 傳雄君
        局長
        労働省労働基準 佐藤 勝美君
        局長
        労働省婦人局長 高橋柵太郎君
        労働省職業安定 若林 之矩君
        局長
        労働省職業能力 松本 邦宏君
        開発局長
 委員外の出席者
        総務庁人事局参 木内 徳治君
        事官
        文部省初等中等
        教育局小学校課 近藤 信司君
        長
        文部省教育助成 田中壮一郎君
        局教職員課長
        労働委員会調査 下野 一則君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
八月二十日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君    小此木彦三郎君
  大石 正光君     塩川正十郎君
  坂本 剛二君     後藤田正晴君
  塩谷  立君     村田敬次郎君
  鈴木 俊一君     浜田 幸一君
  金子 満広君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
 小此木彦三郎君     赤城 徳彦君
  後藤田正晴君     坂本 剛二君
  塩川正十郎君     大石 正光君
  浜田 幸一君     鈴木 俊一君
  村田敬次郎君     塩谷  立君
  不破 哲三君     金子 満広君
九月四日
 辞任         補欠選任
  鈴木 俊一君     岩屋  毅君
同日
 辞任         補欠選任
  岩屋  毅君     鈴木 俊一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○川崎委員長 これより会議を開きます。
 この際、小里労働大臣及び松浦労働政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。小里労働大臣。
#3
○小里国務大臣 労働大臣の小里でございます。
 今国会より新たに設置されました労働委員会の委員の皆様に一言ごあいさつを申し上げますとともに、所信の一端を申し述べたいと思います。
 今臨時国会から、従来の社会労働委員会が分割されまして、労働委員会が新しく第一歩を踏み出すこととなりましたが、本委員会は勤労者の労働条件の向上と福祉の充実、雇用の安定の確保等重要な課題を取り扱うものでございまして、国民の大きな期待を担っているところでございます。
 我が国経済社会の大きな構造的変化の中で、勤労者を取り巻く環境も、労働力供給の制約、高齢化、女子の職場進出、国際化等大きく変化してまいっております。このような変化に積極的に対応し、勤労者一人一人が働きがいと豊かさを実感できる活力ある社会を実現していくためには、まず第一に、労働力尊重の時代にふさわしい労働政策の推進でございます。二つ目には、労働時間の短縮と余暇・福祉対策の推進でございます。三番目には、安全の確保と健康で快適な職場づくりの推進でございます。四番目には、いよいよ本格的な高齢化社会の到来に向けましていわゆる高齢者対策の推進でございます。五番目には、女性が働きやすく、能力の発揮できる環境の整備でございます。六番目には、経済社会の発展を担う人材の育成、そして七つ目に、障害者雇用対策の推進、そして次に、国際社会への積極的貢献であろうかと思います。以上申し上げましたように、重要な課題が山積をいたしております。
 このため、労働省といたしましては、従来からこれらの課題の達成に向け関係施策の積極的展開を図ってまいったところでございますが、来年度の概算要求に当たりましても種々新規施策を要求しているところであります。今後とも、本委員会と十分連携をとりながら諸施策の効果的な展開及び新規施策の実現に向け全力を尽くしてまいりたいと考えております。皆様方の御支援、御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#4
○川崎委員長 松浦労働政務次官。
#5
○松浦(孝)政府委員 労働政務次官の松浦孝治でございます。
 ただいまも大臣の方から申しましたように、労働行政には重要な諸課題が山積をいたしておるわけでございます。これらに対しまして迅速かつ的確に対応することが強く求められておる現状でございます。
 私も微力ではございますが、小里大臣とともに労働行政の諸施策の推進のために全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。委員長初め委員の先生方にはなお一層の御指導と御鞭撻を賜りますように心からお願いを申し上げまして、簡単でございますがあいさつとさせていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
#6
○川崎委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。
#7
○長勢委員 このたび社会労働委員会が改組されまして労働委員会が新たに設けられたということは大変意義のあるところでありまして、私も心から喜んでおる一人であります。その上この労働委員会の最初に質問する機会を与えられ、大変光栄に存じておるところであります。
 今大臣からもお話がございましたが、労働の問題はこれからの我が国にとって大変重要な問題であり、国民生活、国民経済にとって必要不可欠な問題であります。当委員会がこの重要な問題につ
いて、労働省の御努力とも相まって、国民の負託にこたえるように大いに頑張らなければならないわけでございますし、委員長初め同僚議員の方々の御指導をいただいて、私も誠心誠意努めていきたい、このように思っているところであります。このような決意のもとに、本日は最初でもありますので、具体的な個々の施策についての論議は避けまして、大きな転換期を迎えております労働行政の今後の基本的なあり方について私なりにいささかの問題提起をさせていただいて、ひとつ労働省の認識、御所信をお伺いさせていただきたいと思います。
 問題提起でございますので殊さらに誇張した話もさせていただきたいと思っておりますので、どうか御答弁も、役所の立場にとらわれずに御自由な立場で御答弁をお願いできればありがたいと思う次第であります。
 御案内のとおり、労働省は昭和二十二年に、「労働者の福祉と職業の確保とを図り、もって経済の興隆と国民生活の安定とに寄与する」ということを目的として設立をされ、以来四十年を経ておるわけでありますが、この間、敗戦、さらに高度成長期を経て今日に至りますまで、労使関係の安定、完全雇用の達成、最低労働条件の確保といったようなことを最大の命題として、各般の施策を講じてこられたわけであります。幸い、経済が大いに発展をし、国民の方々の御努力とも相まって、労使関係についても、また雇用の安定についても、労働条件の改善についても、相当の水準に達することができたと私は評価をいたしておりまして、労働行政の役割は大きかったと、御苦労されてこられました行政の諸先輩に対して感謝と敬意を表するものであります。
 ところで、今日我が国経済社会は大きな転換期を迎えておるわけでありまして、二十一世紀に向けて大変労働情勢は変化をしてきつつあるわけであります。労働政策は、言うまでもなくその時代時代の国民生活、産業経済の動向に応じて変えられていくべきものでありまして、その時代の最優先課題を見定めてそれに十分に対応していくということが使命であります。いたずらに従来の政策にこだわったり、総花的な施策を進めるというだけでは与えられた役割を果たすことはできない、このように思います。
 そこで、考えてみますと、まだまだ不十分な点はありますけれども、国民生活、産業経済がこれまでに高水準になりました今日、労使関係の安定とか雇用の安定とか労働条件の向上といったような従来からの政策のウエートというものは相対的に低くなっておるのではなかろうか、このように思っております。そういう中で、大変失礼な言い方をいたしますけれども、一部で労働省の地位は下がっておるのじゃないかとか労働行政は何をやっているのだといったような不信の声も聞かれるわけでございますが、これは従来の政策のウエートが低くなっておるということもその一つの背景にあるのではなかろうか、こう危惧をいたしております。少なくともそういう声が一部にせよあるわけでありますから、そういう視点から基本的な政策というものをもう一度再構築をするという姿勢が今後二十一世紀に向けて必要なのではなかろうかと私は思っております。
 そこで、今後、国家国民のために何が一番の優先課題かということを十分に認識をして、それに大胆に取り組んでいかなければならないわけでございますが、近年の労働政策をめぐる情勢を見てみますと、最も大きな変化というものは労働力供給面での質、量における変化でなかろうかと思う次第であります。高齢化が進展をする、出生率も下がる、労働者意識も変化をする、こういう中でここ数年にわたって各分野で人手不足ということが訴えられて、またさらに今後労働力人口自体が減るという中で、将来への深刻な不安というものが各方面で言われておるわけであります。こういうふうに考えますと、今変化の中で今後労働行政に求められておる最優先課題というものは何か、これは必要とする分野に適切に必要な労働力を確保していくということが今後の最も最優先課題とすべきものではなかろうか、このように思います。非常に極端に言いますと、いかに従来の施策をより万全に発展をさせるとしても、この人手不足問題への明確な方向づけがなされない限りは労働政策はなきに等しい、国民の信頼を得られないということになると言っても過言ではないのではないか、そういう時代になっておるのではないかと思っておるところであります。
 こういう視点に立って労働政策の大胆な転換を図って、そして労働省の使命を果たしていただきたい、このように思っておりますが、今後の労働行政の理念、目標について御所信をお伺いさせていただきたいと思います。
#8
○小里国務大臣 お答え申し上げます。
 労働省の戦後四十六年の省歴を回顧しながら、そしてまた昨今の内外の厳しい情勢、労働行政の当面のいわゆる時代の変化に対応する従来の枠組みを超え立言うなれば新しい一つの枠組みというものも必要なのではなかろうか、そういう意味の期待を込められてのお尋ねであろうかと思う次第です。
 ただいま先生もお話がございましたように、特に労働力供給の伸びが鈍化する中で労働力が基調となる時代への移行、そういう一つの端境期にもあると思うわけでございますが、働く人々を今まで以上に大切にしていく、非常に極一言かもしれませんけれども、いわば産業優先の時代から労働力尊重の時代がいよいよ現実に目前にやってきましたよ、こういう基本的な認識がまず大事であろうかと思っております。そういう考え方に立ちまして、いわゆる労働力尊重の時代を実現をしていくとの発想に立ちまして、労働者の意欲あるいは能力がお話がございましたように最も適切にしかも有効に発揮されるような環境を整備する、これが労働行政の当面の大事な一つの要素であろう、こう思います。さらにまた、産業活動あるいは企業活動あるいは生活環境等のあり方を見直していく、人間を中心とした経済社会システムを構築をしていくことが最重要の課題ではなかろうかとも思っております。また、我が国の経済力を豊かな暮らしに結びつけることが求められている中でございますから、勤労者が安心して充実感を持って生活を送れるようにする。ための条件を整備していくことも必要であろうと思います。
 このような考え方を基本といたしまして、働きがいと豊かさを実感できる社会と申し上げますか、そのような一つの目標のもとにこれらの実現を目指して各般の施策を推進しておる、また努力をいたしておるところでもございます。
#9
○長勢委員 大臣の高邁な理想、所信に対しては、同意する点もたくさんあり敬意を表する次第でありますが、また大変知恵を出していただき御苦労されておることにも感謝を申し上げております。
 しかし、先ほど私が提起をいたしました労働力不足対策という面につきましては、労働省の御努力が国民から必ずしも十分に評価をされているのだろうかという疑問を持っておるわけであります。むしろ国民の方からは、この人手不足時代に国は何をしてくれるのだとか、あるいはもう外国人でも入れなければどうにもならぬのじゃないかといったような不満またはあきらめといったような声が聞かれる、無策ではないかといった声すら聞かれるのが現状ではなかろうか、やはりこういう声にも謙虚に耳を傾ける必要があるのじゃなかろうかなと思っております。
 その一方で、人手不足と言うけれども少なくとも今世紀中は労働力総量としては不足はないんだ、そういう中で高齢者や女性の活用を図れば十分間に合うんだとか、さらに楽できれいで休みが多くて給料がいい、こういったところに人が集まるのは当たり前のことで、そういうことができないところが人手不足を訴えるだけだといったような説明も聞くわけであります。この説明自体は大変正しいことでありまして、当然人手不足対策として職場の改善を図る、またいろいろな意味でのミスマッチの解消を図るということは進めるべきことでありますし、その努力はしていただかなければならないわけであります。しかし、もう一つ
の見方をしますと、どうも現実には個別の事業主の人集めの努力というものが大変激烈な競争を生んでおる、そしてそれがいわば労働力のバブルといったような現象まで生じておるのではなかろうか、そして外国人労働者の不法就労と言っていいのでしょうが、そういう問題も含めて労働市場というものをますます混乱をさせておる、こういうことが現実に起きておるわけであります。私の仲間でも、私が労働省の出身ということもあって気安く言うのでしょうが、労働省というか役所は今まで失業時代には、人を雇えというときは一生懸命やってきたけれども、今度は人を下さい、回してくださいというときには何も相手にしてくれない、全く役に立たないという怨嗟と言ってもいいような訴えも聞くのが今の現状、現実ではなかろうか、私はこういうこともひとつお知りおきをいただきたいと思うと同時に、せっかく御努力をされておるのにこういう事態が生じておるということは本当に私も残念に思う次第であります。何かどうも政策が空回りしているんじゃないか、国民の実際に感じておる不安、意識と少しずれがあるんじゃないかという気がしてならないわけであります。
 労働力の不足、今の大変大事な最優先課題だと私は思っておりますが、この現状あるいは将来見通しについて、より実態を分析をして現実に即した実効ある政策というものを打ち出すことが現下の一番の労働省の使命ではないか、このように切実に感じておる次第であります。そういう面で、現下の労働力不足の状況、実態、将来の見通し、その原因、その問題点、これについてどのような認識で、お考えで政策をお進めになっておられるのか、お伺いさせていただきたいと思います。
#10
○若林政府委員 ただいま先生から御指摘ございました労働力の現状、将来の見通しにつきましての認識につきまして御説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、現下の労働力需給でございますが、御承知のとおり求人倍率が一・四三ということでございまして、イザナギ景気のときのピークの求人倍率という状況でございます。現在、人手不足が大変に厳しい状況でございますけれども、百万を超える雇用が年間でふえているわけでございます。こういったように、一方では大変に雇用がふえながらも、しかもなお人が不足しているというような状況でございます。ある意味では、需要が大変強いということの中での人手不足ということであろうかと存じます。
 ところが、これから二〇〇〇年に向けましての約十年というものを見てまいりますと、今度は労働力の供給が鈍化をしてまいるわけでございまして、二〇〇〇年代の前半は年間伸び率が〇・八%、後半が〇・四%でございまして、労働力の供給が鈍化をしてくるわけでございます。そしてまた二〇〇〇年に入りますと今度は労働力が絶対的に減少してくる、こういうような状況でございます。
 これから二〇〇〇年までというものを見通してみますと、これはただいま先生から御指摘ございましたように、高齢者あるいは女性が大いに活躍の場を与えられる、あるいは徹底的な省力化が進められる、あるいは地方への生産拠点が展開される、さらに加えて海外への生産拠点なども広がっていくというようないろいろな努力と申しますか対応、こういうものが総合的になされます場合には何とか活路もあるのではないか、乗り切ることもできるのではないか。しかしこれは決して安易なことではございませんで、国民全体がこれに取り組まなければ乗り切ることはできない、こういう認識でございます。
 私ども決してこの問題を安易にとらえているわけではございませんで、ただいま申しましたようなさまざまな対策をみんなが講じていくという中で初めて活路が得られる、こういう認識でおるわけでございます。総量としては確かにバランスをとることは可能であるというふうに考えておりますが、しかしその中で特定分野、例えば規模の小さい企業でございますとか、あるいは建設業の分野でございますとか、あるいは介護の分野でございますとか、こういったところになかなか若い方が就職したがらないという現状もあるわけでございまして、こういった特定の分野でのボトルネックの問題が一方ではある。一方では、高齢者に活躍の場が与えられませんと大変高い高齢者の失業率になってしまうおそれがある、こういったような問題があるわけでございまして、雇用政策としてはこの点に全力を挙げて取り組まなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 今後の見通しにつきましては、さらに詳細な点検が必要であると考えておりまして、現在学者の方々にお願いをいたしまして見通しについての検討をさらにいたしておるところでございます。そして、こういった中で今後の雇用政策の方向というものを雇用審議会等を中心にして御議論いただいていくということを考えているわけでございまして、そういった方向で、ただいま先生が御指摘のように新しい状況の中で積極的な雇用政策を展開していかなければならない、これまでと質が異なった雇用政策を展開していかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
#11
○長勢委員 いろいろ御検討いただいている点は承知をさしていただいておるわけでございます。また、視点もそのとおりだと言わざるを得ないわけでございますが、やはりどうしてももう少し突っ込んで大胆に取り組まなくて大丈夫なんだろうかなという不安を実はぬぐい切れないというのが私の率直な実感であります。
 確かに、職場改善を図るとか外国に産業を移すとかいろいろなことが施策としてはあり得るわけでございますし、また言われてもおるわけでございます。しかし、それは我が国の経済の実態、国民生活の実態、高齢者や御婦人の方々の活用を図るにしてもそういう現実を踏まえて考えられなければならないわけでございまして、おっしゃったようなことがそれなりのスピードあるいは方向づけをもって本当にそうなるのかねということになると、いずれの人たちもそうだろうなという安心感を持っているとはとても言えないというのが実感で、今介護や建設の問題もおっしゃられましたが、そこらにおいてもいろいろな施策が講ぜられたりしておるにもかかわらず不安感というものはますます大きくなっており、さらに深刻化をしておるということはやはり率直に認めざるを得ないと私は思っております。また、今世紀中はどうにかしのげるとしても二十一世紀になれば今おっしゃったとおりでありますから、労働力不足基調というものは、単なる不足感のみならず現実のものとなるわけであります。そういうときに我が国はどうなっているんだろうということを踏まえて、今からそれなりの検討をし、議論をし、覚悟をしていかなければならない、こういう事態だろうと思うわけであります。
 どうも大変先輩に対して失礼な言い方をいたしますが、何かどうも従来労働省は中立という立場もあってか、企業や事業主の努力に任せる、また労働者の努力に任せる、それを援助するという姿勢だけで、果たして我が国全体にかかわるこの大きな問題を克服することができるのだろうかということを私は疑問に思いつつあるわけであります。問題が大きくなってからさあどうするというのは我が国のいろいろな政策で行われることでありますが、先ほど申しました大変大きな問題になっておる外国人労働力の問題にしても、労働政策だけの問題ではないにもかかわらず、いよいよせっぱ詰まったときに安易な選択が行われるようなことがあっては大変なわけでありまして、そういうことの議論が正確に行われるように、大変困難な問題ではございますけれども、今から従来の常識にこだわらずに大胆な決断、選択をしていかなければならないという気がしてならないわけであります。
 現状のまま推移をしていきますと、これは最悪の場合を考えますと、労働力というものが楽で条件のいいというところに偏在をしていく、そして医療、介護といったような国民生活に不可欠な分野には、あるいはまた建設とか輸送とかといったような産業経済の基盤をなす分野には、三Kとか
なんとかといったような問題もあるというようなこともあって人が行かない、十分機能しないということになれば我が国社会というものはどうなるのか、大変不安を感ずるわけであります。そういう事態に我が国がとるべき道というのは、大変大胆に言って、基本的に言えば、もちろんいろいろなバラエティーはありますが、不足分を外国人に依存をするのか、あるいは外国に産業を移すのか、あるいは経済、国民生活を低下させてでも我々で賄っていくのかといったような選択を迫られる大変な覚悟が必要なわけであります。そういう問題をやはり今から議論をして国民に訴えかけていただきたい。そして、そういう認識の中で決断、選択をしていかなければならぬと私は思います。私自身は、こういう人手不足時代になってもあらゆる努力を傾注をして日本の産業、国民生活、この各分野においてバランスよく日本人労働者が支えていく、そういう国であるべきではなかろうか、そうしたいと思っております。仮に外国人労働力を活用するということが、そういう部分が起こるとしても、国民生活に不可欠な分野あるいは産業経済の基盤をなす分野は我々で支えていくということでなければ、日本社会というものはなくなってしまうに等しい、これを私は心配をいたします。しかし、これはもちろん当然のことですが、大変克服すべき問題がたくさんあります。これにぜひひとつ大胆に挑戦をしていただきたい。
 私から二点検討すべき課題、これをひとつ検討してもらえないか、どう考えたらいいかということを教えをいただきたいわけでございます。一つは、これから労働力の適正配置という問題も、それが必要ではないかということをひとつぜひ御議論をいただきたい。国全体として労働力の効率的な活用を図るという政策が余り今までなかったのじゃないか。これをどう反省をしたらいいのか。労働力市場を単純な自由市場ということで放置をしておくだけで我が国社会を維持していくことができるのかどうか。もうかるところが条件をよくして人を集めるということに任せておいていいのかどうかということをひとつ御提示を申し上げたいと思う次第であります。もう一つは、勤労者の、労働者の職業選択意識というものをどう考えたらいいのか。労働というものは自分個人のものだけではありません。これは社会を構成していく重要な要素でありますし、それを通じて我々は社会に参加をし、そして社会へ貢献していくわけであります。そういう社会連帯の意識というものが現在の職業選択の意識の中に大変希薄になってきたのではなかろうか。こういう風潮がますます強まるということになると日本の社会生活自体が成り立たなくなる。こういう問題をひとつぜひ議論をしていただきたい。これはもちろん大変基本的な問題を含んでおりますし、国民の意識にかかわる問題でありますし、ほかのたくさんの政策にもかかわる問題であります。しかし、これをひとつぜひ克服をしていかなければならない時代になっておるのではないかというのが私の認識であります。あらゆる手段を尽くして国民生活に不可欠な分野、また産業経済の基盤をなす分野には我が国労働力が確保されるように何としてでもやっていかなければならぬ、このように思います。
 大変大げさな問題提起と思われるかもしれませんけれども、これらの問題についての決断、選択、これなくしては、またその議論なくしては二十一世紀を展望することはできない、こう言っても過言ではないと思っておるわけでございまして、ぜひ今後の労働政策の方向を考えられるに当たりまして、このような視点をも検討の対象にしていただきたいというのが私の希望であります。そして、そういう立場を踏まえて、そういう視点を踏まえて労働省が今まで以上に政策官庁として重きをなし、役割を果たされるように心から御期待を申し上げるものであります。
 私のは問題提起でありますが、またいささか乱暴な議論をいたしましたが、これについてもし御所見がございましたらお伺いさせていただければありがたいと思う次第であります。
#12
○小里国務大臣 労働行政について豊富な情勢分析を背景にしながら幾つかの問題提起をいただいたところでございます。特に、前段の労働力供給は甚だ人材難、枯渇の時代だ、この問題は新しい抜本的な施策を講じていかなければ大変なことになるよ、もっと従来の既成概念と申し上げますか枠組みを超えて労働行政が主体性を持って積極的に取り組むべきではないかというお話。もう一つは、それらの具体的な一つの解決の手法としてやはり外国人労働者を活用することも、その問題等もあろうけれども、やはり本来日本人労働者の主体的な一つの枠組みによって考えていくべきだろう。そして、その中で適正配置をお述べになったと思うのでございます。
 ただいまお話がございましたように労働力不足の時代、その中でも労働力人口の伸びも、先ほど局長がお話し申し上げましたように、一九九七年をピークにいたしまして鈍化いたし、将来的には減少が見込まれる、そういう状況でございまして、いよいよ本格的な労働力不足の時代が到来する、私どもは基礎的に、深刻にその問題をとらえておるつもりでございます。こうした労働力人口は、我が国社会が経験したことのない未曾有の事態でございまして、現在の経済あるいは社会の中におきまして雇用構造あるいはまた就業者意識を変革していかない場合には大幅な物価の上昇なりを惹起したり、あるいはまた国民生活上必要な分野に労働力が供給されないことが懸念される、こういうふうに認識をいたしておるところでございます。
 では、一体そういうことを回避していくためにはどうしたらいいか。ただいま先生も二つ、三つ列挙してお述べいただいたわけでございますが、お話がございましたように、やはり国民生活上あるいは基幹産業上重要な分野には必要な労働力が適正に配置をされる、より一層の政策努力と相まちましてと申し上げましょうか、労働力供給の変化に労働力需要構造を合わせていくといった労働力尊重の時代に向けた発想の根本的な転換が要請されるものと認識をいたしております。このような認識のもとで、お話がございましたが、高齢者やあるいは女性はもとより労働者すべてがその持てる能力と経験そして意欲を十分に発揮できる、人間を中心としたいわば経済社会システムを構築をしていくことが重要であろうと思う次第でございます。
 なおまた、後段の方でお触れいただきましたいわゆる本格的な労働力不足時代が到来した場合には、国民生活やあるいは我が国経済の健全な発展にとりまして必要な労働力が供給されないことが懸念をされますから、そういう事態が発生いたさないようにしていくためには、個々の企業を超えました経済構造や国民の生活構造あるいは意識までを含めました経済社会システムを労働力尊重の時代に適応したものに変革していくとともに、国民各層が国民生活上必要な分野が何であるかを十分に認識をしてその意識を変革していくことが重要であろうと思います。また、これとあわせまして適切な経済運営、さらには特に中小企業やあるいは介護労働等の分野における労働力不足が円滑に解消していくような施策を展開していくことが重要であろうと思います。なおまた、現在労働省では労使を初めとする各界の代表者から雇用問題政策会議の場におきまして、労働力尊重の時代にふさわしい人間を中心としたいわば経済社会の構築をテーマといたしまして、先生のお話しございました労働力の適正配置問題を含めまして、今後の労働力不足基調下におきまして国民各層がどのような対応をとるべきかにつきまして、幅広くかつ専門的な検討を開始をしていただいておるところでございまして、こうした場におきましても関係省庁と密接な連携をとり、将来の具体的な施策の展開に反映してまいりたいと思っておるところでございます。
 なおまた、先ほど外国人労働者の問題に若干触れてしまいました。これは説明の都合上触れたのでございますが、この問題につきましても、当面はいろいろな観点から、外国人労働者の問題は、一応政府の基本方針としては、先生御承知のとお
り、専門的、技術的な能力、あるいは外国人ならではの能力を有する外国人労働者は積極的に受け入れておりますけれども、そのほかの一般的な単純労働者につきましては、御案内のとおり私どもは極めてボリュームを低くして対応いたしておるところでございます。しかしながら、労働力供給問題は先ほど先生お話しのような極めて深刻な問題がここ当分予想されますから、私どもはそれらの外国人研修問題等も積極的にその視点からとらえてまいりまして、そして先刻御了承いただきましたように、外国人研修のための機構あるいは対応策を幅を広げて対応しよう、こういうことも措置いたしておりますことを御理解いただいておるところでございます。
#13
○長勢委員 どうも丁重な御答弁をいただきありがとうございました。
 終わります。
#14
○川崎委員長 伊東秀子君。
#15
○伊東(秀)委員 きょうは時間短縮の問題と、それから、五年を経過いたしました男女雇用機会均等法の問題点等についてお伺いいたしたいと思います。
 まず、時間短縮に関してなんですが、一九八七年に労働基準法が改正になりまして週四十時間労働が明記されております。その後にすぐに労働省は五カ年計画、政府が五カ年計画を発表いたしまして、暫定的な措置としてとりあえず一九九二年三月までには年間総労働時間を千八百時間に持っていくというようなことを発表いたしているわけでございますが、昨今発表された労働省の労働時間に関する統計の発表でも、一向に時短は、来年三月までに千八百時間に近づくような状況にはなっていない。例えば労働省が発行しております「労働問題のしおり」というものでは、これは平成元年度の資料ですが、所定内の労働時間は千八百八十八時間、所定外の労働時間が百八十八時間、総実労働時間は二千七十六時間であるというような状況でございます。
 労働省は、早くから労働時間の短縮が国民的課題であるということを言っておられまして、それなりに一生懸命取り組んでおられると私も考えておりますが、なぜこのように時短が進まないのか、特に、なぜ所定外労働時間が景気の変動にもかかわらず減らないで、むしろ恒常的な形で拡大しているのかについて、労働大臣の御答弁をお願い申し上げます。
#16
○小里国務大臣 ただいま先生御発言の中でお触れいただきましたように、労働時間短縮の問題はまさに国民的課題でございます。なかんずく、豊かでゆとりある国民生活を実現するためにはぜひとも手がたく実現しなければならない、私どもはそのような心構え、あるいはまたそれを可能ならしめるあらゆる施策を知恵を絞って推し進める、あるいはまた国民各界各層の御協力をお願いを申し上げておるところでございます。
 ただいまお話がございましたように、労働時間短縮問題は、改正労働基準法を施行いたしました昭和六十三年四月以降は、率直に申し上げまして、決して私どもはこれで満足いたしているわけではございませんが、一応押しなべて着実に進んでまいってきておる、実はこういう判断をいたしておるわけでございます。特に、御承知のとおり政府の経済計画の目標でございます平成四年、年間総労働時間一千八百時間、これを達成するためにはもう一層の努力が必要であることは胸を痛くするほど考えておるところでございますが、全力を挙げまして目下取り組んでおるところでございます。
 特に、ただいまお話がございましたいわゆる法定労働時間を本年四月一日より四十四時間、そういうふうに皆さんの御賛意をいただきましてこれの実施に移ったところでございますが、これからも、いつも申し上げることでございますが、週休二日制の完全実施、あるいは年次有給休暇を拡大して、しかもそれを確実におのおのの労働者が消化をしていただく、あるいはまた連続休暇の拡大、あるいは所定外労働時間をできるだけ縮小していくように御協力をいただきたい、そういうようなことで目下努力を進めておるところでございます。
 なかなか厳しい、しかも上り坂も随所にございますけれども、忍びがたきを忍んで忍耐強く推進しなければならない施策の一つであると思います。
#17
○伊東(秀)委員 労働省がお出しになっております平成三年度の「労働経済の分析」というものの資料をお示ししながら御質問したいのですが、よろしゅうございますでしょうか。
#18
○川崎委員長 どうぞ。
#19
○伊東(秀)委員 この「労働経済の分析」の二百八十六ページに出ている資料でございますけれども、これは一人平均月間実労働時間数及び出勤日数の推移というのを昭和四十八年から平成二年まで数字であらわしているわけでございます。それを見ましても、総実労働時間は、例えば製造業の場合、昭和四十八年が月間百八十二時間であったものが平成二年では百七十六・六時間になり、約五・四時間月間で減っている。ところが所定外労働時間を見ますと、昭和四十八年は十六・八時間であったものが十九・七時間というふうにふえている。これは調査産業計、事業所規模三十人以上の全調査の計を出しましても、昭和四十八年が所定外労働時間が十五・四あったものが平成二年でも十五・五時間というふうにふえている、こういう状況で、総実労働時間は先ほど大臣がお答えになりましたように少しずつなりとも減ってきているが、所定外労働時間がかえってふえている、こういう問題がはっきり出ているわけでございます。
 特に、この第三十八表を見ますと、これは製造業の事業所規模別の一人平均月間実労働時間数の推移でございますけれども、所定外労働時間を見ますと、五百人以上の規模では昭和三十年十八・七であったものがその後も若干の変動はありますけれどもずっとふえ続けまして平成二年は二十四・三時間というふうにふえている。規模が大きいほどにこういう形で製造業を中心に所定外労働時間がふえているという実態があるわけでございます。
 さらには、最近金融のスキャンダルで問題になっております富士銀行や住友銀行でも所定外労働時間が大変多いということがいろいろな形で週刊誌等でも取り上げられておりますが、こういった所定外労働時間の増加の実態についてはどういうふうにその原因、方向、展望等考えておられるのでしょうか。
#20
○佐藤(勝)政府委員 所定外労働時間の問題でございますが、ただいま御指摘ございましたように、先ほど大臣の答弁にございましたように、押しなべて総実労働時間の短縮は着実に進んでおりますけれども、その内訳を見ますと規模別に相当違いがあるわけでございます。
 大企業におきましては、週休二日制の普及に伴いまして所定内時間が着実に減っている反面で所定外時間が余り減らない、中小規模のところではその逆という傾向が出てきております。これは、特に大企業におきましては、終身雇用制のもとで雇用の安定を図るという見地から、日本では景気の繁閑による業務量の変化を所定外時間でカバーするということが広く見られるわけで、そのことによってもともと所定外時間が長くなるという素地があるわけでございますけれども、特にこの数年は非常な経済の好調によりましてなかなか所定外時間が減らない、景気の繁閑にかかわりなく恒常的に長いという状況も見られるということは我々もよく認識をいたしているところでございます。
 したがいまして、今後、総労働時間の短縮を進めるに当たりましては、所定内時間はもちろんでございますけれども、やはりこの所定外労働時間の削減が不可欠であろうというふうに思っておる次第でございます。
#21
○伊東(秀)委員 今の御答弁で、景気の変動を所定外で賄うというようなことで行ってきたというような御答弁がございましたけれども、このように表で見れば一目瞭然になっておりますように、
景気の変動に余り左右されないで恒常的に増加し続けている。
 そのことは、今回労働省が平成三年八月一日にお出しになった所定外労働削減要綱というものの中にも、なぜこういう要綱を定めるかの趣旨のところに「特に近年、景気の変動にかかわらない恒常的残業が増えている。」という形で大変大きな問題意識と申して掲げておられるわけですけれども、これまでの労働省の時間外労働に対する行政指導のあり方、そういった問題にかかわっているのではなかろうか。
 つまり、このように恒常的に残業が多いというのであれば当然労働者数をふやす、人間をふやすという考えに持っていくべきであるにもかかわらず、むしろ時間外労働については労働者の義務なんだというような形で行政指導をしてきたのではなかろうかという疑問を持つわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
#22
○佐藤(勝)政府委員 企業内の業務をどういう方法によって処理をするかということは各企業の問題であろうかと思いますが、労働基準法は所定外労働時間の限度は労使協定をもって定めるということにしておりますので、これは原則的には労使に任せられておるわけでございますけれども、労働省といたしましては、この労使協定の届けが監督署にありましたときに労働大臣の告示をもちましてその上限時間、目安時間を定めまして、それを超えないようにという指導をこれまでいたしてきたところでございますし、またこの基準につきましても今後見直しをしたいというふうに考えております。
 それからもう一つは、先ほどの御質問の中でも触れられましたけれども、所定外労働時間の削減につきましての要綱をこのたびまとめまして、これに基づきまして啓発を行っていくということによって今後は所定外労働時間の削減ということを進めてまいりたい、かように思っております。
#23
○伊東(秀)委員 この時間外労働に対する労働者に対する拘束力の問題でちょっと労働省の御見解を、これまでの指導のあり方を含めて細かく伺いたいと思うのです。
 労働基準法の三十六条の三六協定を結び、かつ就業規則の中で時間外労働についての定めがあるということであれば、業務命令として使用者が残業命令を出した場合に、労働者は個別的な同意がなくても従わなければならないんだというような立場をお考えなのかどうか、お答えをお願いいたします。
#24
○佐藤(勝)政府委員 労使協定の範囲内であれば、使用者の命令があった場合には所定外労働を行うということになろうかと思います。
#25
○伊東(秀)委員 細かく具体的にお答えいただきたいと思いますが、その場合に今問題になっているのは、残業命令が出ても個人的な生活とか家庭責任とかそういったことから残業に服せない事情が労働者の側にある、そういった場合でも残業を断れない職場が多いということがこれまでも長年問題になってきているわけでございます。それに対して労働省の考え方は、三六協定があり就業規則にうたってあれば残業命令は一律に労働者を拘束するというふうに考えているかどうか、はっきりその点についてお答え願います。
#26
○佐藤(勝)政府委員 残業が労働者の側でできないという理由は、先生今二、三例を、家庭生活の事情とかいろいろ言われましたけれども、大変いろいろな理由があろうかと思います。そういう理由につきまして、それが残業をしない正当な理由になるかどうかということは、一般的には就業規則の定めがあり労使協定があればそれによって行われるわけでございますけれども、非常に極端な場合を考えますと例えば公序良俗に反するという場合もあるのかなというふうに考えますけれども、その問題は就業規則なり労使協定の問題として考えるのではなくて、具体的なケースがあった場合に司法上の判断を仰ぐとかそういうことがあり得ても、一般的には、就業規則、労使協定の範囲内であれば使用者の命令には従わなければいけないだろうというふうに考えます。
#27
○伊東(秀)委員 つまり、労働者の側の自分の時間を大事にしたいとかあるいは家族といたいとか、あるいは家族が病気であるとか、さまざまなそういった個人的事情以上に優先して会社の残業は必要とする理由が優先するんだという行政指導をこれまでも労働省としては行ってきたということなのかどうか、その点についてお答え願います。
#28
○佐藤(勝)政府委員 基準法その他法令上の問題としては今申し上げたようなことになろうかと思いますけれども、しかし、その問題を離れまして、個々の企業における労務管理というのはどういう労務管理がいい労務管理なのか、労働者のためにあるいはその企業の発展のためにいいのかという見地から考える場合には、今先生がおっしゃったようなケースについて適当な判断がその法令上の問題とは別にあり得るのだろうというふうには考えております。
#29
○伊東(秀)委員 今回の所定外労働削減要綱によりますと、なぜ削減しなければいけないかの意義のところに、第一番目に、創造的な自由時間の確保ということを掲げているわけですね。ということは、労働省としては労働者の創造的な自由時間の確保ということが今後の国民的課題として大変大事なことなんだ。ゆとりある生活ということを政府は一番大きな目標に掲げているわけですけれども、そういうお考えに立っているとすれば、今までの行政指導、個人の生活はともかく残業命令が発すれば従わなければならないという考え方がおかしかったということなのでしょうか。
#30
○佐藤(勝)政府委員 私どもとして、ゆとりある生活の実現のために労働者の自由時間、家庭生活に過ごす時間が大切であるということはよく認識をしているわけでございまして、その結果がその要綱、提言にもあらわれているわけでございます。
 そのことと労働基準法上の監督指導との関係はどうかというような御質問であろうかと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、法令上、法令の施行としての問題は、就業規則、労使協定の範囲内での問題がどうかという観点で見るわけでございます。しかし、今回のその要綱は、そこを一歩進めまして、ゆとりある国民生活、労働者生活の実現のために、労使が協約を結ぶ場合にも、そういうことを十分考えながらゆとりある生活ができるような範囲での協定というものが好ましいということも含有をするわけでございます。
 私どもの考え方は以上のとおりでございます。
#31
○伊東(秀)委員 じゃ、もうちょっと具体的に伺います。
 労働基準法の三十六条の解釈問題ですけれども、あくまでも労働時間というのは罰則つきで法の三十二条に掲げてある、これまで昭和六十二年までは週四十八時間、六十二年の九月の改正以降は法定上は四十時間ということになっているわけですね。これが原則である。やむを得ない事由等、それから手続を労使協定さらには就業規則という二つの手続を踏んだ上で例外的に時間外労働義務が発生するんだというふうに通常は考えられているわけですけれども、例外的に発生する義務であれば、あくまでも原則にのっとった個人の生活の優先とか本人の同意ということが当然重要になってくるのではなかろうかと思うわけです。この点の三十六条の解釈について、もう一回労働省側の責任のある答弁をお願いいたします。
#32
○佐藤(勝)政府委員 労働基準法上も、あるいはその法律を離れました一般的な考え方からいいましても、所定外時間、残業、休日労働というものは決して原則ではないので、例外的にのみ行われるべきものであるという点はそのとおりでございます。その例外的に行われる場合の限度をどういうふうに定めるか、その手続を基準法は先生おっしゃいましたように定めているわけでございます。言ってみれば、集団的労働関係の中でそういった限度の問題は労働協約なり就業規則によって定められるというやり方をしておるわけでございますから、あとは個々、例えば家庭の事情その他で残業をやるべきかどうかということにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、その企業
にとってその労働者にとって、どういう労務管理がいい労務管理なのかという観点から企業サイドで十分考えるべき問題だろう、こういうふうに思っております。
#33
○伊東(秀)委員 企業サイドに任せていたからこういうふうに所定外労働時間はどんどん拡大し続けているということが現実ではなかろうかと思います。
 そこで、もう一度伺いますけれども、労使協定というのは、一労働組合の過半数あるいは労働組合がない場合は過半数を代表する者と使用者との協定ですけれども、個人の生活をどうするかという処分権まではそういった方には与えでないはずだ。つまり、労働者一人一人が自分の生活の中でどこを重視するか、介護や家族との大事な約束の時間を守りたいというような発想、それを組合にそこまで処分する権限を与えているはずがないというのが、当然今の人間の生活に関する、労働時間内働くという労働契約の中に考えられる思想だと思うわけですけれども、これまでのなぜ所定外労働時間がふえ続けてきたかということにはそこがはっきりしてなかった。つまり、残業を個々人の同意をとらないで、断れない状況の職場の中で残業が行われているという問題点があるわけですね。この個々人の同意が必要であるか否か、今後、ゆとりある創造的な自由時間の確保という観点を打ち出した以上、当然労働省としては明確にする考えかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#34
○佐藤(勝)政府委員 労働者個人の生活あるいは家庭生活がその人生の中で非常に重要なものであるということは、全くそのとおりであると思います。人はそれぞれ企業に雇用される、あるいはその他の形で就業しているわけでございますけれども、その就業のあり方につきましては、企業の中の労使関係では先ほど来申し上げておるような形でその規律がされておるわけでございますから、その手続に従って行われる。しかし、そういう手続あるいはその協約の内容を考えますときに、その労使、これは企業もそうでございますし労働者側もそうでございますけれども、今先生が言われたような家庭生活の重要性その他個人の時間の大切さということを十分考えながら中身を話し合うということが非常に大事なことであろうというふうに思います。
#35
○伊東(秀)委員 質問に直截にお答えいただきたいのですが、一人一人が同意しなければ残業を業務命令にできないという点についてはいかがでしょうか。
#36
○佐藤(勝)政府委員 今の点につきましては、そのような考え方は今行われてないというふうに思っております。
#37
○伊東(秀)委員 そうすると、あくまでも今までどおり、個々人の同意なくても労使協定で残業に関する業務命令は労働者を拘束するんだ、自由時間の確保ということはあくまでも労使協定に任されてしまうんだというこれまでの行政姿勢と変わらないということなんでしょうか。
#38
○佐藤(勝)政府委員 結論的に言えばそういうことになりますけれども、私どもとしましては、そういう手続あるいはその協定の内容を考える場合に、これは先ほど挙げられました要綱、提言の中にあるわけでございますけれども、そういった労働者の職業生活以外の生活の大切さ、ゆとりの大切さということを十分お互いに考えながら内容をつくっていくということが大切なことであろうというふうに思っております。
#39
○伊東(秀)委員 労働基準法の三十二条が改正になりまして四十時間になったときに、労働基準法施行規則というものができまして、その十二条の六というところに、これは変形労働時間制に関する規定の施行に関するものなんですけれども、「使用者は、法第三十二条の二、第三十二条の四又は第三十二条の五〔労働時間〕の規定により労働者に労働させ谷場合には、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をするように努めなければならない。」という規定になっているのですね。これは変形労働時間制に関する規定とはなっておりますけれども、時間外労働についても使用者はこういう配慮をしなければならないという趣旨と考えでいいのかどうか、あくまでも時間外労働にはそういうことは考えられないというふうにお考えか、御答弁願います。
#40
○佐藤(勝)政府委員 先生がおっしゃいましたことは、そのこと自体は望ましいものであると思いますけれども、それを法律上の義務あるいは努力義務と同じようなものというふうに考えるわけには現在の制度上はできないと思います。
#41
○伊東(秀)委員 法律上は明記されていないので法律風にいかないのはわかるのですけれども、行政指導の一つの方針として、こういう考え方は所定外労働時間をなくしていこうという労働行政の方向として考えていないのかどうかという点です。
#42
○佐藤(勝)政府委員 これは先ほどの一部繰り返しになるわけでございますけれども、所定外時間の削減につきましては、現在行っております労働大臣告示によります限度の目安、これをさらに改善をしたいということを考えておりますし、それから、所定外労働削減要綱に基づきます啓蒙、啓発、それから労使の配慮を求めるという活動をやっていきます。そういうことによりまして所定外時間が削減されるように私どもとしては極力努めたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#43
○伊東(秀)委員 女子差別撤廃条約とかあるいは男女雇用機会均等法の基本的な理念の中にも、家庭生活と職業生活の調和、そういうことがきちんとうたってあるわけでございますし、ILOの百五十六号条約、これはまだ日本は批准しておりませんけれども、家庭責任のある者に対する当然使用者のとるべき措置が定めてあるわけでございますが、こういった世界あるいは日本の現にある法律の趣旨からのっとっても、今一番問題になっているのは労働時間の長さ、さらには残業の多さということがあるわけですが、こういった理念から考えても、今の局長さんの御答弁を伺っていると全く進展が見られないのじゃないかという、うたい文句と現実の労働省の姿勢との乖離に大変悲観的な感想を抱くのでございますけれども、その点はいかがでしょうか。
#44
○佐藤(勝)政府委員 ただいま先生がおっしゃられました条約あるいはその他の国際的な文書の内容、それは非常に尊重すべき貴重なものであろうかと思います。しかしながら、法に基づきます監督指導というものにそれを直接結びつけるということはいかがなものかと思います。私どもは、あくまでも、これまで所定外時間の削減ということにつきましては、先日まとめましたような提言といったようなあるいは要綱といったような形でこれを総合的にまとめて世に問うというふうなことはしていなかったわけでございますけれども、総実労働時間の減少のためには現状から見ますと所定外労働時間の削減が不可欠であるという観点に立ちまして、この削減のための方策を一歩進めたということでございます。
 それで、その内容につきましては、先生もよく御理解になっていただいていると思いますけれども、家庭生活の大事さあるいは個人の時間のゆとりの大切さというものから説き起こして、まず労使を初め国民一般の理解を得る、そのことによって所定外時間減少の実を上げようというふうにしておるわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃることの考え方の大事なことはよくわかりますけれども、また労使がそういった考え方に基づいて話し合いをするということは大変大事なことだと思いますけれども、法律上の指導監督という面でそれを直ちにそのまま取り入れるというのは現段階ではできない、こういうふうに思っております。
#45
○伊東(秀)委員 直ちに取り入れることはできないにしても、労働行政の労働時間削減、特に拡大し続ける所定外労働時間をどういう形で削減していくかというときには、大きい方針として取り入
れるというのが当然で、女子労働者がこんなにふえ続けている、そして家庭責任と職業との調和というのは女子のみならず男性労働者の課題にもなっている現在、今のようなそれを取り入れるわけにはいかないという考え方では、一向に経営者任せの残業、この実態は直らないと私は考えるわけでございまして、今の御答弁には大変残念な気がいたします。
 次に、今の時間外労働と関係することでございますけれども、ことしの六月に総務庁が婦人就業対策等に関する行政監察結果に基づく勧告というのをお出しになっておりまして、さまざまな勧告が出ております。
 例えばこの中にも、各種の実態調査結果等によると、配置、昇進の取り扱いを初め、男子のみの募集、男女別定年制の実施等、なお男女雇用機会均等法の趣旨の徹底が不十分な実態があり、今後、制度上の均等のみならず、実質的に男女の均等な機会の確保に向けて各種施策を効果的に推進するとともに、事業主及び男子、女子労働者の意識改革を図っていくことも重要な課題となっているというふうに勧告が労働省に対して出されているわけでございます。
 こういった問題については具体的にどういうふうに今後の施策に生かそうと考えておられるのか、労働省の御見解をお願いいたします。
#46
○小里国務大臣 ただいま先生のお話がございましたように、過日そのような勧告が出されたところでございます。婦人就業対策等につきましていわゆる行政監察の結果でございますが、端的に申し上げまして、このこと自体が、婦人就業者の我が国の経済社会に果たす役割が近年一層ますます重要になってまいりましたよ、そういう一つの警鐘であると同時に、重く認識をいたした次第でございます。
 労働省としては、これまでも本勧告に指摘された事項につきましては努力を重ねてまいっておるところでございますが、今後とも、ただいまお話しのような趣旨も含めまして本勧告の趣旨を踏まえ、さらに関係機関とも連絡を図りつつ、都道府県婦人少年室を中心といたしまして、婦人就業対策等が一層着実に進展するように、実効あるものになるように検討を行ってまいってまいりたいと思います。
 なおまた、同勧告で指摘されました女子の時間外労働、深夜業等の規制のあり方につきましても、先ほどの先生の前段の質問におきましてお聞かせいただいたところでございまして、これらについても慎重に検討してまいるべき重要な事項である、さように認識をいたしております。
#47
○伊東(秀)委員 今大臣がお答えになった点が私も今からお伺いしたいと思っていた大変重要な点なんです。
 この監察結果に基づく勧告の中には、時間外労働、深夜業、産前産後休業等に関する女子労働基準が遵守されていない状況があるということを指摘しながら、一方では、時間外労働とか深夜業とかいった女子保護規定が男女の均等な処遇を一層推進するという観点からは緩和すべきであるという事業者団体からの意見がある。それで、意欲や能力のある女子労働者に均等な雇用機会と待遇を確保するためには、労基法の女子保護規定がネックになっている状況が認められるので、労働省は、雇用における男女の機会及び待遇の実質的な平等を確保する観点から、労基法の女子保護規定のうち、女子の時間外労働、深夜業等の規制の基本的なあり方について検討を進める必要があるというような勧告もあるわけです。
 これについては、今女性が置かれている実態、家庭責任を負いながら勤め続けているその大変さ、しかも、先ほど労働省の局長さんがお答えになられたように、残業命令は個人の自由の問題以上に従わなければならないというような行政のあり方及び企業の内部の状況の中でこういった問題が女性の規制緩和ということになれば、ますます女性はパートや派遣という形でしか働けなくなる、フルタイムで働けなくなる、雇用の場における実質的な平等ということからはほど遠くなるというふうに考えるわけでございますけれども、この点について労働大臣はいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#48
○高橋政府委員 先生御指摘の労働基準法の時間外労働、深夜業等の女子保護規定につきましては、先生御存じ上げのとおり、六十年の法改正におきまして、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保を実現するためには男女が同一の基盤で働けるようにその労働条件の法的枠組みを同じくする必要があるという観点から、将来的にはこれを解消するという展望に立ちながらも、現実には女子がより重く家庭責任を負っていること等を踏まえまして、女子に対する保護を一部緩和し、原則として存続させることといたしたものでございます。
 こういう経緯を踏まえまして、このような規定のあり方を考える際には、男子を含めた全体の労働者の労働条件等の労働環境あるいは女子の就業と家庭生活の両立を可能にするための条件整備の状況等を勘案しつつ行う必要があるというふうに考えております。総務庁勧告で、労働時間等男子を含む全体の労働環境の動向を踏まえつつ検討する必要があるという御指摘もその趣旨というふうに理解をいたしておりますが、これらの規定のあり方については、先ほど大臣が申し上げましたとおり慎重に検討すべき重要な事項でございますので、当面は、これらの規定の施行状況や労働環境の動向等の把握に努めながら、必要に応じ検討を加えてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#49
○伊東(秀)委員 施行状況等については五年経過した現在も労働省の方でもお調べになっていらっしゃるかと思いますが、その検討の方向なんですけれども、総務庁の勧告の方向に検討を進めているのか、あるいは今の実態、先ほど大臣もおっしゃられたようにやはり非常に慎重な対処が必要であるというような方向での検討なのか、その点はいかがでしょうか。
#50
○高橋政府委員 保護規定の問題は、先ほどお答えを申し上げましたように均等確保ということと密接に相絡んでいるわけでございます。均等確保のための法的整備が行われましてから五年を経過しているところでございまして、法の趣旨はかなり定着しつつあるというふうに考えておりますものの一部に問題点も見られるところでございますので、法令の施行状況について的確な実態把握を行ってまず問題点を明らかにする、その上で実際上の男女の機会均等を確保するための方策について広い見地から検討を行っていくということが私ども適切ではないかというふうに考えているわけでありまして、その一環としてこれらの問題もとらえていきたいというふうに考えているところでございます。
#51
○伊東(秀)委員 均等法の問題はもっと後にいろいろお伺いしたいと思いますが、その前に労働時間短縮のことに関連いたしまして、今企業で、特に自動車とかあるいは電機とかいった分野で、政府が定めた年間千八百時間労働ということを何とか遵守しようという方向はいいのですけれども、そのために二十四時間操業制そして三交代制というようなことがどんどんなされ始めている。そうなると、結局、労働時間を何のために短縮するのか。個人としてのゆとりのある、本当に自由な発想とか自由な時間をたくさん持って人間らしい生活をしたいというところにあったはずの労働時間の短縮が、深夜業がふえたりあるいは労働密度がそれまで以上に強化される実態が出てきているわけでございまして、こういった点についてはどういうふうにお考えなのか、答弁をお願いします。
#52
○佐藤(勝)政府委員 現在の社会におきましては、例えば病院におきます医療サービスのように二十四時間続けていなければいけないような仕事もございますし、また装置産業のように生産技術上連続して操業しなければいけないという場合もございます。そういうことから昼夜を問わず操業を行うという必要性が出てくる、また現に行われているわけでございますけれども、そういった操業の時間あるいは営業の時間ということと個々の
労働者の労働時間というのは同じでないわけでございますから、二十四時間操業、営業の――二十四時間というのは一番多い例でございますけれども、非常に長時間にわたる営業、操業の中で労働者の労働時間を短縮しようということになれば、これは交代制をとらざるを得ない、とることになるわけでございます。
 そういうことから、交代制といいますのはそれ自体が問題があるというようなものではないというふうに私どもは認識をしておりますけれども、ただ、二組二交代で二十四時間をやるとか、あるいは予備要員が行われていないで三組三交代をやる、あるいは二組二交代で連続操業が頻繁に行われるというようなこと、そういうような無理な交代制というのがあり得るわけでございます。私どもは、労働基準法上そういったものが労働時間に関する規定の違反になる場合も多いわけでございますし、それから、そうならぬ場合でも非常に無理な、そういう違反を招来するような形での交代制があり得るということで、監督の際にはそういったものに一つの重点を置きまして監督指導に努めているわけでございます。
#53
○伊東(秀)委員 例えば人間の生命とか身体、健康にかかわる分野で、二十四時間連続操業と言えばいいのでしょうか病院等でやるというのは、これはむしろ福祉の増進に役立つという意味でいいと思うのですけれども、企業が生産性向上のために二十四時間操業を行うということ、そしてそれが時短に乗りながら結局労働者の深夜業をふやしていくという方向に持っていくとすれば、これは私は、今ゆとりある生活、日本人の働き過ぎとかあるいはゆとりのなさとか生活実感における全くの豊かさの実感のなさとかいう問題の解消にはならず、むしろそれらを一層増大させることになると考えるわけでございますけれども、今の御答弁を聞いておりますと、労働省は、それは企業の自由に任せていいんだというようなお考えかと受けとめられたんですが、いかがでしょうか。
#54
○佐藤(勝)政府委員 二十四時間営業、二十四時間操業があるし、また現実にその必要性もあるというふうに申し上げましたけれども、その場合に、その操業、営業に当たる労働者の労働自体が最低労働条件に違反をするようなことがあってはならない、できるだけ無理のない形で行われなければいけないということは当然でございます。そういうような見地から、先ほど来申し上げておりますように、交代制を行う場合にも法違反を招来するような無理な形での交代制が行われないように十分気をつけてまいるということでございまして、企業がやりたいほうだいやっていることを是認をしているというようなことでは全く意味が違いますので、その辺は御了解をいただきたいと存じます。
#55
○伊東(秀)委員 私が伺っているのは、労働省としては深夜業をなくする方向ということを考えてはいないのかどうかということでございます。深夜業というのはどのような、女性でなくても男性にとってもこれは人間の生理に反することなわけで、そういったものをなくする方向で、やむを得ないことは別として、労働行政としては時間短縮とともになるべく深夜業もなくしていこうという姿勢をとってないのかどうか、御答弁願います。
#56
○佐藤(勝)政府委員 これは先生も十分御承知のとおり、基準法では女子保護の必要性その他特定の場合に深夜業を制限をしている場合もございますけれども、そのほかに特段制度的な問題はないわけでございまして、先ほど申しましたように、個々の労働者の労働について問題がないような形での交代制が行われるように注意しなければいけないという点が一つでございますし、それから、おっしゃるように深夜業、夜働くということがいいのかどうかということにつきましては大変議論がございます。これは国際的にも非常な議論が行われているわけでございます。ただ、率直に申しまして、深夜業が例えば健康に有害であるというようなことは、これまでに数多く専門家の議論が国際的にも行われておりますけれども、そういったことが判明をしてないというよりむしろ証明をされてないというような段階でございまして、したがって、今先生がおっしゃるような御意見というのは方々で聞かれるわけでございますけれども、これをもって深夜業が有害であってこれを禁ずべきであるということには直ちにはならないというふうに理解をいたしております。
#57
○伊東(秀)委員 有害であれば即座に問題かと思いますが、政府がゆとりある生活ということを打ち出している方向とどうなのかを伺いたかったわけです。
 例えば、先ほど交代制が無理のないように指導していきたいということでしたけれども、三百六十五日連操業種での四組三交代制で休日がどうなるか。つまり、常日勤職場の週休二日制を目指した場合とどういう形で休日が多くなるか少なくなるかを試算したものがここにございますが、連操職場では、四組三交代制では年間に一日休日がとれるのは九十一日しかない。しかし、常日勤職場では、週休二日制を目指した結果では百四日の年間週休に近づいていける。こういう形で、二十四時間操業になるとフルに休める休日そのものは労働者にとって少なくなる。年間総労働時間だけを問題にしていてもこういう矛盾があるという試算があるわけでございますけれども、こういった点についてはいかがお考えでしょうか。
#58
○佐藤(勝)政府委員 労働時間短縮を進める立場から申しまして、現状よりも休日がふえる必要があるということはもちろんでございますけれども、ただ、今おっしゃいましたように、交代制の結果そうなるということにつきまして、そういった交代制をとる結果、労働者に非常な負担がかかる、あるいは労働基準法に違反するような結果になるというような問題につきましては、私どもは監督指導を通じまして是正に努めたいと思いますけれども、ただ、そういった操業の形によって、例えばほかの形態であれば休日がもう少し多いのにとれないというようなことがそれでいいのかどうかということは、これは使用者も労働者もその辺は十分意識をして話し合いをする問題であろうかと思いますし、また、このように大変労働力が貴重な時代になりますと、労働者をどういうふうにその能力を正しく活用するかという見地からそういった労働のあり方を考え、必要があれば労使が協議をするということも必要でございます。そういうことを通じまして、非常に妥当でないような形の交代制勤務が行われているとすれば是正をされるべきであるというふうに思っております。
#59
○伊東(秀)委員 先ほどの試算のときに申し上げなかったのですけれども、これを五組三交代制にする、つまり組を一組ふやす、人員をふやせば年間百四十六日の休日が可能になるというような結果になるわけでございまして、つまり、交代制そのものが悪であるとは申しませんけれども、二十四時間連続操業をするのであれば、組数を余裕のあるものに行政指導していくという観点、そうでなければ、総労働時間がたとえ千八百時間と計算上はなっても、労働者にとっての休日は週休二日制を完全に施行した場合よりも少なくなるということを念頭に置いて、今後時短の行政指導を行っていただきたいと思います。
 次に、雇用機会均等法に関して質問を進めたいと思います。
 男女雇用機会均等法は施行されて五年が経過したわけでございまして、この法をつくったとき、条文の中にも「施行状況を勘案し、必要があると認めるときはこ「法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という一項が設けられております。先ほどの御答弁では、いろいろ検討を加えてはきているというような御答弁だったと思うのですけれども、見直しの必要性についてはどのようにお考えなのか、お願いいたします。
#60
○小里国務大臣 先生が今結びのところで、見直しに踏み切るかどうか、その辺の基本的なところをお尋ねいただいたと思うのでございますが、積極的な意味で答えになるかどうか、ちょっと今慎重に考えたところでございますが、お話がございましたように、法的な整備を昭和六十年に行った
際に、法の附則におきまして、法律の施行後適当な時期において、施行状況を勘案して、そして必要があると認めるときには規定への検討を加えることがという規定がされたところでございます。お話しのとおり。昭和六十三年には見直しを行い、均等法施行規則及び女子労働基準規則の改正を実施いたしたところでございますが、現在、法施行五年を経過したところでございまして、いわゆる施行状況の的確な把握に幅広く努める、そして均等確保のための幅広い方策の検討を行っていく必要がある、私どもはそういう基本的な認識に立っておるところでございます。
#61
○伊東(秀)委員 それでは、具体的に均等法の中身の問題点について問題にいたしたいと思うのです。
 まず、募集・採用の実態でございますけれども、労働省婦人局でお出しになっております女子雇用管理基本調査の資料によりますと、これは平成元年度の基本調査でございますが、女子の募集を男女差別なく行った企業というのは、技術系においては、四年制新大卒募集では五〇%、高卒新卒募集で四九・九%――失礼しました、これは男子のみ募集を行ったところでございます。つまり、雇用均等法ができても、技術系で五〇%の企業が男子のみ募集を行っている。事務・営業系については四大卒で二六・三%が男子のみ募集を行っているという統計が発表されておりますし、これまで新規の女性の採用をしなかった企業の、例えば大卒の女性を採用しなかった企業の八五・五%、短大や高専卒については七九・六%の企業が今後も女性を採用しない方針は変えるつもりはないというような答えをしている状況が発表されております。
 つまり、均等法がてきたとはいえ男子のみ募集がこんなにも横行している、そして女性を採るつもりがないという企業が多いという実態について、労働省はどういうふうにお考えになるのか、お答え願います。
#62
○高橋政府委員 雇用機会均等法の施行後に、男女を問わない募集・採用あるいは女子の就業分野の拡大、女子管理職が増加するというように、男女の雇用状況についての格差は一般的に縮小してきているというふうに私ども考えております。
 しかしながら、今先生御指摘のように、なお例えば募集に当たっては特に技術系の職員については男子のみ募集、これは女子保護規定の関係で男子しかなかなか採用できないというような状況のあるものも一部含まれておりまして、これがどの程度であるかというのはこの表だけでは申し上げられませんけれども、しかしそれにしてもかなり高い数字であるわけでございまして、こういった実情が残っているということから、私どもさらに法の周知徹底に努めていかなければならないというふうに考えているところでございます。
#63
○伊東(秀)委員 五年経過した現在でもこういう高い数字で男子のみ募集が行われているという実態は、やはり企業の努力義務規定では実効性が上がらない。やはり男女平等というのがもう世界の常識となっている現在、しかも女性がこんな形でたくさん、もうことしては千七百四十九万人の雇用労働者数となっているわけでございますけれども、こういった実態に合わないのではないかと私は考えるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
#64
○高橋政府委員 男女雇用機会均等法に対する企業の対応を考えてみますると、法の形式的な遵守に走る傾向というのが見られることも指摘をされているところでございます。先ほどの努力義務規定であります募集・採用についての男子のみ募集というのもその例でございますし、また禁止規定につきましても、制度面での改善は進みましたけれども、なお法の趣旨にのっとった制度の運用がなされていなければ事実上の均等は確保されないわけでございますので、今後企業の雇用管理の実態に着目をいたしまして、法の施行状況をより一層把握した上で今後の施策のあり方について考えてまいりたいというふうに思っております。
#65
○伊東(秀)委員 それと、募集・採用における男女差別が法で禁止されたということから、男女差別が明らかに差別と見えない形で、個人の能力や資質と結びつけた形で、コース別募集と言えばいいのでしょうかコース別雇用が、金融業とか証券業とかあるいは損保全社とか、そういったところでかなりとられてきている実態があるわけでございまして、労働省の方も御存じかと思いますが、総合職と一般職という形でのコース別採用が行われているわけです。
 例えば昭和六十二年、これは均等法が施行されて次の年ですか間もないときですけれども、女子の総合職は〇・九%であったわけですけれども、平成二年度は三・七%にふえている。つまり、男か女がではなくて、総合職か一般職がで採用を決める。しかし、この場合に遠隔地への転勤をする意思があるかないかということを選別のあるいは総合職に採用するか否かの要件にしているところが圧倒的に多いために、実際は平成二年度でも九六・二%の女性が一般職に回っているという実態があるわけです。こういった総合職・一般職、一般職というのは単純事務職と言えばいいのでしょうか、そういったことが多いわけですけれども、こういうコース別雇用管理の実態について労働省はどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
#66
○高橋政府委員 先生御指摘の総合職・一般職というような区分によりまして雇用管理を行ういわゆるコース別雇用管理につきましては、近年、金融・保険業等を初めとして目立ってきたところでございます。ただ、企業がその雇用管理を各人の意欲と能力に応じてコース別に区分して行う、また女性自身もみずからの意思で各コースを選択している限り、その結果として女子労働者の働き方が多様化するということが一概に不合理であると言うことはできないというふうに考えております。
 ただ、均等法におきましては、一定の募集・採用区分や職務から女子であることを理由として女子を排除しないように努めることを事業主に求めているわけでございまして、コース別雇用管理制度の運営に当たって、それぞれのコースの門戸が女子に対しても男子と均等に開かれていることが必要でございます。女子であることを理由として女子に対して基幹的コースの門戸を事実上閉ざすというようなことになったり、あるいは採用選考基準を男子よりもより厳格にするなどの事実があれば、それは均等法の趣旨に反することになるというふうに考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、コース別雇用管理の運用の実態を見ますと、問題のある企業も見られるところでございまして、私ども、こういった制度の望ましいあり方につきましてこれを示す必要があるのではないかというふうに考えておりまして、これに基づきましてのコース別雇用管理をとる企業の望ましい制度づくり、運用というものが図られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
#67
○伊東(秀)委員 企業の基幹業務につくことと遠隔地への転勤を採用のときに、まだその後の生活の設計も全く抱けない二十二歳の出発時に、遠隔地転勤の踏み絵と言えばいいんでしょうかそういったものをとることはちょっとおかしいのではなかろうか。つまり、基幹業務と遠隔地転勤の必然性とは結びつかないんじゃないか。必要があれば、できるときには女性でも遠隔地への転勤に行く場合もありますし、あるいは出産直後であれば行けない場合もある、いろいろな個々別々の状況というものからそういった転勤は考えられるんじゃないかと思うのですけれども、一律にこのような転勤軸の有無を要件にすることは、ちょっと採用側の乱用ではなかろうかと私は考えるわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
#68
○高橋政府委員 先ほど申し上げましたように、企業が各人の意欲と能力に応じてコース別に区分して雇用管理を行う、それから労働者自身もみずからの意思でそのコースを選択するという限り、これは、そのような働き方が多様化するということは不合理であると言うことはできないと思いま
す。ただ、その選択をする時期が、先生御指摘のように、入社時に分けてしまってそれが将来とも続くということにはいろいろ問題があるのではないかという御指摘は、確かにそういう御意見もいろいろあるわけでございまして、私どもこのコース別雇用管理の運用の実態等を考えまして、コース別雇用管理をとる企業の望ましい制度づくりというようなことで考えてまいりたいというふうに思っておりまして、その際に、例えば一般職・総合職の相互入れかえの制度というものが雇用管理の制度としてとり得ることの方がより望ましいのではないかというような考え方もいろいろと考えてまいりたいというふうに思っております。
#69
○伊東(秀)委員 つい最近のアエラという雑誌にも載っておりましたけれども、総合職で入社した人たちが約五年目を迎えて大変迷い始めている。やめた人も多い。むしろ一般職から総合職に転換した人の定着率、意思、意欲も高い。しかし、一般職から総合職に乗りかえると言えばいいんでしょうか、それは大変難しい状況が社内にはある、それから嫌がらせもあるというようなことが報告されておりましたけれども、やはり個人の意欲と能力に基づいてポスト、配置や昇進も行うという原則に立ては、そういう採用の時期に余りに転勤とか業務の内容とさほど必然性のないことだけで振り分けるコース別採用、コース別募集については、やはり適切な、今後もっと女性のニーズとか生活のプログラム、生活設計に合った形で変えていけるような行政指導をこちらとしてはお願いしたい次第でございます。
 次に、こういった募集・採用における間接差別とも言えるような、つまり、女性が圧倒的に一般職に回らざるを得ないような状況の募集形態というものについては、私は、やはり出発点は男も女も同じに出発させて、本当に本人の意欲と能力でその後の昇進、配置を決めていくという原則に立ってこの間接差別に当たるものも明文で禁止する、しかも、ある程度罰則もつけるような強い態度が必要ではなかろうかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
#70
○高橋政府委員 均等法の趣旨といたします雇用の分野における均等の確保を実質上どういうふうに実現をしていくのかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、五年たった今、法の施行状況というものを十分把握をしながら実際上の均等確保というものが図られるように、実態把握とともに必要な方策について幅広く私ども考えてまいりたいというふうに思っております。
#71
○伊東(秀)委員 女性の職場が募集・採用等においてなかなか平等にならない、単純職、事務職、そういったものに女性が偏っていく、パートとか派遣も圧倒的に女性が多いわけでございますけれども、そういったことをなくしていくためには、一定の職種とかあるいは職務について一定比率の女子の採用を義務づけるような暫定的な措置、積極的な措置が必要ではなかろうか。アメリカ等でなされているアファーマティブアクションと呼ばれるもの、あるいはフランスやそのほか欧州でもとられているわけでございますけれども、こういったことについては労働省はどのように考えているのでしょうか。
#72
○高橋政府委員 いろいろ御意見はあろうかと思いますが、終身雇用慣行を前提といたします我が国の企業の雇用管理におきましては、例えば勤続年数というものが重要な要素として考慮されているわけでありまして、そういった平均的な男女差を無視することはできないというふうに思います。こういう点を踏まえますと、いろいろな分野において、また管理職の登用というような場合に勤続年数が大きな要素となる雇用管理の分野についてその割合を一律に法制化するということは、慎重に対処せざるを得ない問題であるというふうに考えます。
#73
○伊東(秀)委員 今女性は勤続年数が短いというような御発言があったわけでございますけれども、日経新聞が女性管理職調査というのを行った中で、なぜ女性を管理職に登用しないのかという大きい理由として、男性と同じ条件で働く幹部候補生の女性社員が非常に少ないというのが六六・二%、それから、管理職としての実力を備えた人材が育っていない、六四・一%、三番目に、管理職にふさわしい年次に届いた女性社員が少ない、四三・五%となっております。つまり、一番目は、男と同じように残業や休日労働あるいは深夜業もやるようでなければ管理職に登用できないというようなこととか、あるいは勤続年数が短いというようなことを、つまり早くやめるということを理由に挙げているのだと思うのですけれども、家庭責任を女性が圧倒的に負わされている。それから男性の残業については、先ほどの労働省の佐藤局長の御答弁にもあったように、個々人の生活よりはあくまでも業務の方を優先するような実態が大きく作用しているわけで、これでは、均等法で定めても、家庭生活と職業との調和ということは現実に実行不可能になるのじゃないかというふうに思われるわけで、こういった勤続年数あるいは男性と同じ働き方を要求する今の、企業と言えばいいのでしょうか風潮に対して、やはり行政は、新しい、先見性を持った、先取りをして男女平等を確保していくような方針というものを持つ必要があるんじゃなかろうかと思うのです。
 この点について、家庭責任との調和ある男女平等な職場の確保、それから配置、あるいは昇進における平等の確保という観点ではいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#74
○高橋政府委員 最近、女子管理職をふやすという企業、まあ過去と比べて女子管理職がふえたという企業が非常にふえているわけですが、その上に、今後の方針として女子管理職をふやす企業の割合というものも非常に高まっているというふうに各種の調査から出ているところでございます。管理職への登用というのは、先ほど申し上げましたように、我が国の現在の終身雇用制を前提とする雇用管理の中におきまして、適材適所はもちろんでございますけれども、勤続年数等の要件というものが、大きな要素を占めていることは否定をできないわけでございます。ただ、同じような条件であるとするならば、それは男女の均等というものがやはり図られなければならないことは当然でございまして、私どもも雇用管理の、それぞれの企業の中に入っていくことは限界がございまするけれども、均等法の趣旨の徹底という観点からは、なおいろいろ実態の把握に努めながら、より法の趣旨が浸透し定着をするように行政指導を強めてまいりたいというふうに考えております。
#75
○伊東(秀)委員 次に、福利厚生の面の均等待遇についてです。
 これは一九八八年の十月に連合で均等法施行三年目の雇用、労働条件と労働組合の対応調査というのを行った報告書の中に見られた結果なんですが、住宅貸し付けの場合に既婚者で世帯主という要件を掲げているところが三四・四%、あるいは社宅を貸与する条件にも同じく既婚者で世帯主という要件を掲げているところが六三・五%あった。そして、女性が世帯主か否かというのを決める場合に、夫より収入が多いかどうかの証明を求めているという実態が報告されているわけですけれども、このような世帯主であるかどうかというメルクマールを福利厚生の面で設けるということは、現実的には女性を差別することになっているわけで、合理的な差別ではないというふうに考えるわけでございますけれども、これについて労働省はいかがお考えでしょうか。
#76
○高橋政府委員 均等法におきましては、住宅資金の貸し付け等一定の福利厚生措置に関しましては、女子であることを理由として男子と差別的取り扱いをすることを禁止しているところでございます。福利厚生措置の中に企業によって世帯主が対象要件となっている場合が今御指摘のようにあるわけでございますが、ただその場合でございましても、世帯主に限るということに、これはまあそれぞれの企業内のことでございますが、合理的な理由があるとすれば、男女いずれが世帯主になるかについて、これは法律的な制約がない以上は女子であることを理由としての差別的取り扱いと
直ちには言えないのではないか、均等法違反となるわけではないというふうに考えられます。しかしながら、世帯主の認定に当たりまして、女子についてとりわけ男子に比べて不利な条件を課するとか、その結果女子労働者が現実に不利益な取り扱いを受けるということになりますれば、これは女子であることを理由としての差別的取り扱いとなることは当然でございます。これは禁止規定でございますので、そういった事業場に対しましては強力な指導を行っているところでございます。
#77
○伊東(秀)委員 それから、定年・退職に関する差別なんですけれども、きょう文部省の方にもいらしていただけているんですが、日教組の人事闘争調査ですか、一九八八年に日教組の婦人部が行った調査結果で、一九八七年の四月から八八年の三月の末日までの女性の教師の退職理由を調べた結果、夫の昇格のための見返り人事及び共働き、夫も教職だとかあるいは公務員だというようなことを理由にした勧奨退職があった。夫の昇格のためというのが百三十三件、さらには、夫も教職で共働きだからやめたらどうかというのが二十一件あったという報告が出ているんですけれども、こういった実態があるのかどうか、いかがでしょうか。
#78
○田中説明員 お答え申し上げます。
 教員の大事についての御質問でございますけれども、教員の大事につきましては、任命権者でございます各都道府県教育委員会が公正かっ厳正に適材適所といった観点から適正に行われておるところでございまして、先生御指摘のような、夫である教員が管理職に就任するから妻に退職を強要するというようなことは我々としては承知いたしておりません。
#79
○伊東(秀)委員 県別にまで詳しく実態報告が出ておるわけでございまして、この点についてはそちらの方では、ないとおっしゃっていますので、またさらに調べていきたいと思います。
 それから、均等法の関係でさらにセクハラの問題です。
 今職場におけるセクシャルハラスメントの問題が大変問題視されているわけでございますけれども、都の労働局の相談でも平成元年度で三百七十三件相談件数があったとか、第二東京弁護士会が一日セクハラ相談というのを行ったところ百三十八件も相談件数があったとか、大変職場におけるセクハラ問題というのは社会問題になっているわけでございます。
 で、雇用機会均等法の見直しに当たってはぜひこの女性の人格権、働き続ける権利の侵害、セクハラが侵害であるという立場から使用者に対してそういった行為の行われないよう防止義務を義務づけるような、つまりセクハラが職場では許されない行為であることを明記するような法の見直しが必要である。さらに、ガイドラインにおいても使用者の講ずべき措置について何らかの規定を設けるべきであると考えておりますが、いかがでしょうか。
#80
○高橋政府委員 都道府県婦人少年室におきまして女子の就業に関する相談というのを受け付けているわけでございまして、女子に対して配置とか解雇等について差別的な取り扱いが行われるという場合には男女雇用機会均等法に照らして指導を行っているところでございます。いわゆる今御指摘のセクシャルハラスメント等が原因で雇用の場で女性が十分能力を発揮できない、また男性と対等の取り扱いを受ける上で障害となるというこは、これはあってはならないことでございますが、実態等も十分まだまだ把握されているとは言いがたいわけでございますので、これらについての調査研究を本年度より行うこととしているわけでございます。そういう結果を踏まえまして必要な施策のあり方について幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。
#81
○伊東(秀)委員 次に、差別を救済するための制度についてです。
 現在、自主解決と婦人少年室長による援助、指導とそれから調停という三つの制度がありますが、この調停は五年間に一回も開かれてない。つまり、これだけ男女差別についてはさまざまな問題点がマスコミやそのほかでも日常的に指摘されているにもかかわらず、調停委員会が一度も開かれず機能していないということは、救済措置として問題ではなかろうか。もう少し実効性のあるものを考えなければいけないというふうに考えるわけでございます。
 こういった調停制度を廃止して、これには相手方の同意とか婦人少年室長の認めるというか、調停に上げることを勧告するとか、いろいろ手続の厳格さやあるいは調停委員会そのものの持つ問題点等もあるかと思いますので、もっと第三者機関で、本当に女性、国民が利用しやすい救済機関を設ける必要があるのではなかろうかと思うわけでございますけれども、その点についてはいかがですか。
#82
○高橋政府委員 御指摘のように、法施行後調停が開始された例はございません。ただ、調停申請があったのは二十二件ほどございました。このような申請があった事案につきまして調停が開始されなかった理由は、女子労働者からの調停の申請があって、婦人少年室長が調停開始のために事業主の同意を得る過程において事業主が差別的取り扱い等を是正した、したがって女子労働者の目的が達成されたというようなこととか、事業主が調停よりも法十四条に基づく紛争解決援助を希望したためというふうに考えているところでございます。
 調停につきましては、制度の存在自体が、何よりも企業内における自主的な解決、あるいは女子労働者からの援助を求められた場合の迅速かつ円満な解決を促進する効果を持つわけでございまして、単に件数だけでその意義を云々ということは適当でないというふうに考えているところでございます。
 ただ、この調停委員会の存在につきまして、なお今後ともあらゆる機会をとらえて周知に努めてまいりたいというふうに考えております。
#83
○伊東(秀)委員 それから、婦人少年室のさまざまな指導、援助に関する問題ですけれども、もう少し資料を企業から強制的に提出させる、使用者に提出させる権利とか立ち入り権とか、そういった強制的なある程度の権限も認めなければ実効性がないのじゃないかと考えるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
#84
○高橋政府委員 現在も各都道府県の婦人少年室はいろいろな調査によって、あるいは個別に労働者からの相談等によって事態を把握いたしまして、事業主からその問題点及び事態の確認を行うための事情聴取に基づいて、必要に応じ、そしてまた段階を踏まえての指導を行っているところでございます。これまで均等法施行後五年間、約一万五千件に及ぶいろいろな件数がございますが、その九割方は実効ある解決を見ているところでございまして、今後さらにそれぞれの事案につきまして、婦人少年室長を中心としまして指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
#85
○伊東(秀)委員 時間もなくなりましたので総務庁に最後に伺いますが、人事院勧告が出まして、公務員の完全週休二日制の実施を平成四年度中の適当な時期にはするようにというような勧告が出たわけでございますけれども、その辺の具体的なプログラムはどうなのかという点。さらには、文部省の方には学校の週五日制についての実施のプログラム、さらに、今実験校を設けて週五日制をやっているところがございますけれども、そういった実地の報告等についても御答弁をお願いします。
#86
○木内説明員 お答え申し上げます。
 先般人事院からの週休二日制に関する勧告を受けまして、政府としては直ちに週休二日制・閉庁問題関係閣僚会議を開催いたしまして、取り扱いの検討に着手したところでございます。
 今後の取り進め方につきましては、現在事務的に検討しているところでありますが、総務庁といたしましては、現在逐次実施している交代制等の職員の週四十時間の勤務制の試行の状況あるいは国民世論の動向等を勘案しながら、人事院勧告制
度の趣旨を尊重しつつ、国家公務員の完全週休二日制を速やかに実施できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
#87
○近藤説明員 お答えをいたします。
 学校五日制の問題でありますけれども、平成元年度から、社会の変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究の一環といたしまして学校週五日制について研究をすることといたしまして、平成元年八月には文部省の中に調査研究協力者会議を設けたところでございます。また、同年十二月には、この調査研究に必要な実証的な資料を得るために九都県六十八校を調査研究協力校として指定をいたしまして、現在この調査研究協力校におきましては、具体的には昨年の四月から学校週五日制を月に一回あるいは二回試行いたしまして、授業時数の取り扱いなど、教育課程のあり方でありますとか休業日となる土曜日における学校の対応の問題、あるいは学校と家庭や地域との連携のあり方などいろいろな実施上の諸問題と申しますか、幅広い観点から調査研究を進めておる、こういう段階でございます。
 協力者会議におきましては、この調査研究協力校の研究成果を踏まえまして、教育水準の維持など教育課程のあり方あるいは教員の勤務形態など学校運営のあり方、学校外における子供の生活への対応のあり方に留意をいたしまして、さらには国民世論、いろいろな世論調査の結果を見ますとおおむね六割の国民が学校週五日制にいまだ消極的である、こういうような現状もあるわけでありますけれども、こういった国民世論の動向などにも十分配慮しながら今後さらに検討を進めてまいりまして、平成三年度末までには一応の結論を得る、こんな予定で現在協力者会議では御審議をいただいておるということでございます。
 文部省におきましては、その結論を踏まえまして、この問題について適切に対応してまいりたい、かように考えているところでございます。
#88
○伊東(秀)委員 質問を終わります。
#89
○川崎委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#90
○川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。岩田順介君。
#91
○岩田委員 先ほど自民党の委員の御質問の中にも、ますます問題が多岐にわたって大変な労働情勢にかんがみて今後やはり一層労働省の権威を高める、そのために各員が精励をしようというようなお話がありましたが、我が党もこういう欠席め状況でまことに感じるところがありますけれども、当委員会が独立をしていく、これを契機に私どもも努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。
 労働委員会が三十六年ぶりに単独の委員会として発足をすることになりました。当時のことは私も体験をしたわけではありませんので知る曲もございませんが、しかし、昭和三十年という時代は、戦後の秩序がまだ整っていない、こういう状況にあって労働行政、労働界も大変な時代であったということはいろいろ聞いておるわけであります。例えば、労働界におきましても例のレッドパージの後の余波がまだあるという時代ではなかったのか、こういうふうに考えるわけであります。さらに、先ほど大臣からもお話がありましたが、労働行政のいわゆる主たる任務というかその精神というのは、勤労者の労働条件や福祉の向上、さらに雇用の確保、拡大、これらにあったことは言うまでもありません。しかし、三十六年を私なりにも振り返って考えてみますと、必ずしも労働者が、優遇されるとは言いませんけれども、大事にされたという時代はそんなになかったのではないか。大変な時代を経験をして今日の日本を築いてきた。三池争議に代表されるような、かつて先進資本主義国にはなかったような労働争議も経験をして今日に至っているわけであります。なおかつ、今後の労働行政の目的もまさに言われたとおりでありますが、今回のこの労働委員会が分離独立をするというのは、院内の議論もさることながら、過去の労働行政を振り返ってその教訓に立った上で多岐にわたる問題をどう対処していくか、そういった点では極めて意義のある委員会の独立てはないかというふうに私自身も考えるわけであります。
 そこで、それに際しまして大臣からの決意もるるございましたが、重ねて決意をお伺いをしたい、こういうふうに思っておりますのは、お話にもございましたいわゆる国際問題に対してどういうふうに対処していかれる決意であるかどうかですね。御承知のように国際問題、労働問題の国際化というのは、例えば日本で外国人労働者の問題や企業進出に伴う労働問題というのがありますけれども、しかし、これは、先進国そうでない国を問わず大変な問題を抱えている。したがって、例えば国連におきましてもさらにはOECD等におきましても、ILOと同等のような議論と研究が重ねられて各種施策が打ち出されている、こういう実態もあるわけですね。
 そこで、この際お伺いをしたいというふうに存じますのは、いわゆるILOに対して日本は余り進んでいるというふうには言いがたい状況があると思います。条約は百七十一、三十九本が批准をされているというふうに聞いておりますし、さらにILOの勧告についても百七十八件ございますが、これら国際化の状況下においてややもするとこの労働問題、例えば外国人労働者の問題等は、扱い方いかんによっては過去の植民地政策とオーバーラップして各国間の問題になる。とりわけアジアからそういう問題が惹起されたときにどうするかということもございますが、当面はこのILO問題につきましてどういうお考えと方針を持っていかれるのか、まず冒頭お伺いをいたしたいと思います。
#92
○小里国務大臣 お答え申し上げます。
 前段におきまする今次の院内のことでございますが、労働委員会、いわば集中的に私どもの労働行政を見守っていただく、また督励、御助言などもいただく専門委員会と申し上げていいんじゃないでしょうか、こういう新たな設置を見ましたことは、大変意義の深いことだと私どもは注目をさせていただき、また御期待も申し上げておるところでございます。
 殊に、先生ただいまお話がございましたように、我が国経済社会は、中期的に見ましても、高齢化、国際化あるいはまた技術革新や情報化の進展等々、先ほども話が出ておりましたように女性の一層の職場進出など、もう本当に広範かつ多岐にわたる構造変化が極めて著しい勢いで進展しつつあるさなかでございまして、そういう内外の厳しい諸情勢、そして重要な私どもの労働行政の将来を考えますときに、層一層私どもも反省をしつつ、そして新しいそのような厳粛な一つの事態を自覚をしながら対応していかなければならないと思っておる次第でございます。
 特に、ただいま二点目のところでご指摘をいただきました問題でございますが、従来政府はしばしばILO条約批准問題では繰り返してまいっておりまする話でございますけれども、一つは、積極的に対応しなければ国際化社会におきまする我が日本の役割、使命というものは果たせないということはよく認識もいたしておるところでございますけれども、国内法とのいわゆる整合性を確保した上の批准、そういう一つの原則もございまして、また、私ども労働省にとりましては関与する批准案件等もあるわけでございますが、その方針にのっとりまして労使の御意見も十分伺いながら、なおまた、ある意味では積極的にILOの未批准条約についての検討を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
 なおまた、先生御承知のとおり個々の問題等につきましては、いろいろな機会に強くお聞かせいただいておる問題等もございますので、引き続き検討させていただきたいと思います。
#93
○岩田委員 お答えいただきましたが、国内法と
の関係、さらには実際に勧告を受け入れる、批准をするということになった場合、それがいかに実効性のあるものとして確保できるかどうかという問題もございましょうが、やはり国際化時代という情勢下においては、大臣おっしゃいましたようにぜひとも御努力をいただきたいというふうに思っておる次第であります。
 身体障害者の雇用問題についてお尋ねをしたいと思います。
 身体障害者雇用促進法というのが昭和三十五年にできておるというふうに記憶いたしております。ところで、一九八二年に国連の総会は障害者に関する世界行動計画というのを採択をいたしておりますけれども、この最終年次が来年になっているわけですね。この間に、我が国も労働省が中心になっていろいろ努力されて、障害者への対策は前進をしているというふうに認識をしているわけであります。つまり、この間を見ましても、二度にわたるかなり大きな見直しをされましてやってこられておるわけでありますが、しかし、全体的に見ると、さらには各国の状況などを見ると、果たして十分であるかどうかという問題もあることは事実だろうというふうに思います。また、先ほど国際的な問題で御答弁をいただきましたが、今後、この障害者対策の行政水準というのは、我が国の政治の成熟度、さらには民主主義のバロメーターとして見られることが往々にしてあるのではないかということもございます。
 一体この障害者雇用というのはどうなっているのか、雇用における実情について、障害者の雇用率の状況が当面見直されるという問題もありますが、一体雇用率等についても現状はどうなっているか、まずお知らせをいただきたいと思います。
#94
○若林政府委員 ただいま先生御指摘くださいましたように、障害者の雇用対策に関します制度の充実を図ってまいったわけでございます。
 この障害者の対策の一番基本は雇用率制度でございます。障害者雇用促進法でこれは義務化されているわけでございまして、法定雇用率は民間で申しますと一・六%でございますが、この状況を見ますと、六十三人から九十九人の規模の企業につきましては二・〇四%でございます。百人から二百九十九大規模の企業では一・五二%、三百人から四百九十九大規模では一・二六%、五百人から九百九十九大規模では一・一六%、一千人以上の規模では一・一六%というふうになっておりまして、全体として、法定雇用率は一・六%でございますけれども、平均いたしますと一・三二%という水準にとどまっているという現状でございます。これは平成二年の数字でございますが、平成元年も一・三二%でございまして、二年引き続き同水準にあるということでございます。国等におきます雇用状況でございますが、二%の法定雇用率が適用されます非現業的な機関の実雇用率でございますけれども、一・九六%でございます。一・九%の法定雇用率が適用されます現業的な機関の実雇用率は二・一六%ということになっております。また一・九%の法定雇用率が適用されます特殊法人につきましては、一・八八%の実雇用率ということでございます。
#95
○岩田委員 今の局長の御答弁にもございましたように、公的機関については法定雇用率を達成しているということはわかりましたが、しかし、その他民間等の雇用率の現状は、年次推移を見ましても上昇をしていないということがはっきりしています。それから、大企業は中小企業に比べて雇用率が低いということですね。これも今の御答弁ではっきりしているわけでありますが、全体としては厳しい状況にあるだろうというふうに言えるのではないかと思います。
 企業規模が大きいほど雇用率が低くなって未達成率が高くなっているということが非常に顕著になっているわけでありますが、逆には、今お話にもありましたように、六十三人から九十九人は二・〇を超えているというお話でもわかりますように、今日の全体で一・三二%という水準をどうやら支えているのは中小企業である、いろいろな事情はございましょうけれども、今の御答弁からはそういうことが言えるわけですね。まさに身体障害者の雇用の下支えをしているのは中小企業である、これは大変大きな問題ではないかというふうに思います。
 これもお聞きしたいのですが、この点について、大企業というか大規模事業所に比べて中小零細の方が大きくなってきている、この現象を一体どう見るのか、どう改善をするのかという問題が一つあるのですね。
 それから、どうにか就労できた障害者、こういった方々について一体労働条件や雇用契約等について不安がないような状況になっているのかどうなのか、これについてもお聞かせをいただきたいと思うのです。
 例えば、私はある方からお手紙をいただいております。私、個別の問題がどうだということではありませんけれども、こういう事例があるということを御報告しておきたいと思います。
 この方は、三年前に高校を卒業した難聴者で、女性ですけれども、就職をいたしました。これは職業安定所を通じて就職をされた、こういうふうに聞いておりますけれども、仕事の内容は勤労課の事務職でワープロだとかパソコンをやっている。書類の作成ですね、いわゆる一般的な事務をされている方でありますけれども、大変忙しい。ところで、難聴者でありますが補聴器を使用しておれば人の話をよく聞ける。しかし、間違って電話をしたり事務処理をしたりすることが多々ある。これは難聴のせいではないか、この親権者の方はそういうふうに見ておられますけれども、本人は学生時代体育をやったり成績も上位であったというふうに書いておられます。補聴器をつければ普通に仕事ができる。しかしやはり、どういうのでしょう、健常者とはちょっと違うところもあるのでしょうが、上司からおしかりを受けることが非常に多い。そこで、本人はいまだに本採用になっていなくて嘱託である、障害者というのは一生かかっても嘱託であろうか、幾ら長期に勤めても退職金というのは一体どうであろうかということはこの難聴者の女性も常々心配をしている、こういうお手紙です。一体会社というのはそういう放置をしていいのかどうか、こういうお尋ねであるわけですね。私は、念のためにこの方の親権者に、おじさんでありますけれども、御連絡を申し上げましたら、既に何日か前にやめているというお話がございました。
 こういう実態というのは、難聴者の問題に限らずハンディを持っておられる方々にはやはり周囲の気配りや職場の環境などというのをよほど整備をしないと苦痛を与えるものではないかというふうに思っておりますけれども、つまり、そういったケースというのが他にあるのではないかという心配をいたしますけれども、いわゆる職業安定所を通じてこれは指導するというふうになっていますね。フォローアップするというふうになっております。このことは昭和五十九年六月十九日、衆議院の社労委員会においてもきちんとやりなさいという附帯決議もついているわけでありますが、職安のフォローアップ、そしてもう一つは、そういった方々が退職された場合に一体職安、労働省としては追跡調査等はどうなっているか。この例もそうだと思いますけれども、さらに深い悩みを持ってやめていっている。その次の就職機会というのはもっとハンディがついていないとも限らない。この点について一体どうなっているかということについてお尋ねをしておきたい。個別の問題を聞くわけじゃありませんけれども、これは特徴的な問題ではなくてかなりこういう事例があるのではないかと思うわけであります。
 さらに、この方については嘱託というふうになっておりますが、しかし、私どもが知っている限りでも、嘱託のほかにパート的な雇用であったり、しかも、それが三年も四年も続いているという実態もあるわけです。それから、臨時という雇用形態も多々あることは局長も御承知のとおりではないかと思います。そこで、過去もこういう事件があったのですが、いわゆる経済がちょっとでも変動すると雇用調整しなきゃならぬ、したがっ
て、そのときの安全弁になったというケースも過去ではあるわけですね。絶対こういうことがあってはならない。そのためにこそやはり労働省、職安がどうするかというきめの細かな人間的な行政指導というのは当然だろうと思いますが、いわゆる安全弁になるようなことでは恥ずかしいことでもありますけれども、一体どうなっているか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
#96
○小里国務大臣 まず、前段の方の御指摘、御質問にお答え申し上げたいと思います。
 雇用率達成率、これが非常に低い、しかもその傾向は大企業に見られる、そういう御指摘でございますが、なるほど適正実施勧告がなされておるにもかかわらず具体的な取り組みを怠って怠慢である、そういう傾向があります。こういう企業に対するいわゆる公表を前提にいたしましな言うなれば再度の指導に加えまして、本年度は、適正実施勧告の対象とはならないけれども特に不足する障害者の数が多い大企業に対しましては、厳正に、特に本省の幹部による特別指導を七月から実施いたしておるところでございます。今後とも大企業の障害者雇用への取り組みにつきましては、先生もお話しのように厳正に、そして具体的に取り組んでまいらなければならないと思っておるところでございます。
 それから、最後の方でちょっとお話がございました、真ん中のところは技術的な問題でもございますから局長の方からお答え申し上げますが、障害者の就職後の追跡調査と申し上げますかをきちんと行うべきではないか、労働省はどういう対応をいたしておるかというお話でございますが、先生御指摘のように、障害者の採用後のフォローアップにつきましては非常に基本的に重要なことであると認識いたしております。そういう観点から、第一線の公共職業安定所では、マン・ツー・マンと申し上げていいと思うのでございますが、障害者の方々を登録をしていただきまして、そして初めての相談からさらに就職あっせん、及び、ただいまお話がございました就職後の就労状況、特に定着指導まで専門の職員がマン・ツー・マンできめ細やかに行っているはずでございますけれども、あるいはややもいたしますと不備なり不徹底の点があろうかと思いますが、せっかくのお話でございますが、これもこの登録制を活用いたしまして忍耐強く、そしてその指導が継続的に徹底するように努めてまいらなければならないと思う次第でございます。
#97
○若林政府委員 ただいま具体的なケースのお話がございましたけれども、私どものフォローアップの対応でございます。
 ただいまのお話では、私ども安定所が御紹介いたしましたにもかかわらず離職をされたというようなお話でございまして、伺いまして大変に残念に存じておるところでございますけれども、私ども障害者の方を公共職業安定所で御紹介いたしました場合には、採用後にフォローアップを続けておるわけでございます。そして特に重度身体障害者でございますとか精神薄弱者の方々につきましては、これは重点的にやっておるわけでございます。そこで、労使双方からなるべく事情を伺うようにいたしまして、いろいろと難しい問題がございます場合には、できる限りのお手伝いをするように努力をしてきておるつもりでございます。今後ともこの点につきましては最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
 私ども、大体公共職業安定所でお世話をいたします場合には求人開拓方式というのをとっておりまして、求職者がおいでになりましたときにはどういう仕事が適しているかというのを把握いたしまして、それを持って事業所に伺って採用をお勧めするという方式をとっておるわけでございます。恐らくただいま伺いましたケースもそういった形で求人開拓をして雇用に結びつけたケースではないかというふうに思っております。私どもは、障害者がおいでになりますとそういう形で求人開拓をしまして、できる限りとにかく雇用の場を確保するということを最重点にして進めております。それがまず第一でございます。
 雇用形態という問題は確かにございますけれども、まず、とにかく働く場を確保してさしあげるというのを第一にしてやっておりますが、しかし、そうは申しましてもただいま先生から御指摘ございましたように、雇用の形態というものが不安定であるということでは働いている方の生きがいの問題にもつながるわけでございます。そういったことでございますので、これはなかなか安定所の仕事として難しい点でございますけれども、ただいま御指摘ございましたので、今後ケース・バイ・ケース、状況を見まして、こういうような場合にはもう少し雇用形態というものをこういうふうにしていただいた方がいいだろうというようなものにつきましては、窓口で例えば求人を受理するようなときにもできる限り適切なアドバイスをしていく、あるいはフォローアップをする段階で、そういったようなものが大きな問題であるという場合には状況に応じてまた事業主の方といろいろ御相談をしていく、その辺はやはり適時ケース・バイ・ケースでできる限り対応していきたいというふうに考えております。
#98
○岩田委員 今おっしゃいましたように、まず雇用の拡大というのが大事だということは全くそのとおりでありますが、しかし、職安のフォローアップ体制も含めて本当に法律の理念が実現をされるということのためには、もっともっと努力が必要だろうし周囲のいわゆる協力も必要だろうというふうに思います。一層御努力をお願いしたいと思います。
 今お聞きをいたしておりまして、マン・ツー・マンということで誠心誠意やっていくというふうにおっしゃっていましたが、今後ますます雇用拡大をしていかなければならない。後ほどにもお伺いしますが、単に今私が例で申し上げましたようないわゆる難聴者ではなくてもっと重度の障害者の雇用の拡大をどうするか、将来努力目標として具体的にあるわけでありますが、そうなってまいりますと、今の職安の定数の問題、人員配置の問題で一体どうかということもありますね。それから障害者、精神障害者等々につきましても、これはやはり専門の人の配置等は当面考えていかなければならぬという問題もありますね。それから、局長は使用者側だけじゃなくて労使からも意見を聴取するということがありましたが、残念ながら今労働組合のいわゆる組織率というのは二五%ぐらいですか、前後だと思いますが、必ずしも聞ける状況になっているかどうかということも心配でありますが、それだけに特段の配慮をした行政が、きめの細かな行政が必要ではないかというふうにますます感じているわけでございます。
 ところで、大臣の方からもちょっと今ございましたが、いわゆる現在のところ雇用率未達成の企業名を明らかにしない、こういうふうになっていますね。しかし、相当期間もたっているわけであります。五十九年の社労委の附帯決議を見てみますと、障害者の雇用の促進と安定を図るためには雇用に消極的な企業は公表制度の活用を十分検討せいというふうになっていますが、相当時間もたっておるわけですね。そのような前向きの姿勢が示されましたけれども、具体的には一体いっどのようにどういう点について発表をするのか。これは本当はやはり全部発表した方がいいと思いますね。こんなものをまあまあというふうに言うからいろいろな事件が起こってくるんじゃないですか。まずその点が第一点。
 それから、雇用納付金というのがございます。現在これは四万円というふうになっておりますけれども、この四万円についてどうお考えであるかということをお伺いしたいと思います。
 これは、昭和五十年十二月十一日の身体障害者雇用審議会の答申が出ておりまして、これがもとになって議論されて納付金制度ができたというふうに、過程はこうなっていますね。このときの答申を読ませていただきますと、「雇用義務を誠実に履行している事業主と履行していない事業主とでは経済的負担のアンバランスが生じており、また、そのような事業主間の不平等感もみられるところである。このような点を考慮すると、身体障
害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の身体障害者雇用に伴う経済的負担の不均衡を相互に調整し合う」こういうふうになっておりまして、罰則ということではないのですね。ペナルティーではないというふうに理解をされます。
 しかし、今もお話がございましたが、果たして社会連帯責任として、これは事業主だけとは言いませんが、社会全体が意識を高揚していかなければならない問題とも思いますけれども、一体この納付金制度という問題については基本的に考え直す必要が現状あるのではないか、当時とは違うというふうに思っていますが、公開の問題どこの問題についての御見解をお聞きしたいと思います。
#99
○小里国務大臣 まず、前段の基本的なところを私の方から御答弁申し上げたいと思います。
 雇用率未達成、しかも大企業、国民の前になかなかきちんと要請にこたえてくれない、ある意味では社会的な責任を達成しておられないという一つの判断もできるかと思うのでございますが、所定の原則に従いまして、現実にそういう対象企業が最終的に出てくるかこないかは別といたしましても、少なくとも、先生の方から御指摘ございますように、適正実施勧告を重ねて行いましてもこれにおこたえにならない企業はこれは厳正に対処しなければいかぬ、そのような企業ありとせば公表もあえてやぶさかでない、具体的な一つの段階に至る、私どもはこういう厳しい姿勢で対応していかなければならぬ、こう思っております。
#100
○若林政府委員 まず第一点といたしまして、公表するという場合には具体的にどういう方法をとるのかということでございます。これまで身体障害者の雇い入れに関します計画制度を中心といたしまして雇用率制度の指導を行ってまいったわけでございますが、依然として雇用改善が図られていない現状にございますため、適正実施勧告が出されているにもかかわらず具体的な取り組みが見られない企業につきましては、ただいま大臣が答弁されましたように企業名を公表するという前提でただいま指導を進めているところでございます。これまで指導にかかわらず雇用率未達成の企業に対しましては、公共職業安定所を通じまして雇用改善のための措置を十一月末日までに実施するよう再度の指導を行っているところでございます。十一月末時点におきまして具体的な取り組みが見られず一定の改善が行われていないという場合につきましては、本年度内に企業名を公表する、こういう構えで現在指導を進めているところでございます。
 次に、納付金制度でございますが、納付金はただいま先生が御指摘なさいましたように、これは雇用している事業主と雇用していない事業主との経済的負担のアンバランスを調整するという観点でできている制度でございまして、このような理念に立ちまして、身体障害者に関する事業主の社会的連帯責任という理念に立ってできている制度でございます。これは罰則ではもとよりございませんで、あくまでも経済的な負担を調整するという制度でございます。私どもは納付金制度というものは今後ともそういった理念で運営されていくべきものであるというふうに考えておるところでございますが、やはり雇用率そのものは、ただいま申し上げましたように、最終的には公表というものを頂点といたしますこの障害者の雇用促進法の制度を厳正に運用していくということによって、雇用率の達成を図っていくべきものではないかというふうに考えているところでございます。
#101
○岩田委員 厳しくやっていくというふうに言われますけれども、納付金の制度というのはもともと罰則ではない、罰金ではない、それを納めておれはこれは社会的責任が逃れられてきた、これは現実だろうと思うのですね。いよいよこの雇用を努力をしないところは公表をする、こう言われておりますが、この間の統計の年次推移を見ましても一向に上がっていないのですよ。上がっていないのは大きな企業を中心に上がっていないということは、もう指摘をいたしましたが、この程度で果たしていいのかどうなのか。どういうところを発表するかというのは、基本的に私は全体を発表するべきであろう、社会連帯というふうに言われるならばこれは発表すべきではないか。三年たって振り返ってみればまた余り変わってないということでは、これは意味がないのですよ。いわゆるこれだけ社会問題というか、とにかく人権の問題としても問題になっているこの問題が先に行って、労働政策、労働省の政策が後を追ってきた、現実はそうでありますが、三年たってもまだ同じであるという繰り返しは絶対これは許されない状況に来ているのではないかというふうに思いますから、先ほども申し上げましたような社労委のかつての附帯決議にもありますように、公表制度は十分に活用する、この段階では全部発表するというくらいの姿勢でやっていただきたいというのが私の要望でもあるわけであります。
 そこで、この納付金制度の問題についてもう少しお尋ねをいたします。
 この納付金というのは身体障害者雇用促進協会に集まるわけですが、これが今一体どれくらいになっているかということですね。それで、まさに局長もおっしゃいましたが、このお金は、納付金というのは調整金である、したがって雇用達成の事業主に、三百人を超えるものについては二万円ですか、これは調整金として支給される。それから、三百人以下で身体障害者を多数雇っているところについては、これは報奨金として一万五千円ですかね、一万円だったものが一万五千円、その他障害者を雇い入れる事業主などに助成金という、おおむね三つの形で納付金が使われているわけであります。確かに諸外国でも雇用の法定要件を決めまして、雇用率を決めましてそれに政府がプッシュするという形をとっているところもかなりございますね。ペナルティーをかけているところもあれば、日本のような制度をとっているところもある。これはまあ日本の制度の方が勉強した点が多いのだろうと思いますけれども、いずれにしましても、日本に比べて法の適用が厳しいのではないかというふうに私は概観をするわけですね。
 したがいまして、今の納付金がどれくらい配分をされているか、どれくらい雇用促進協会に集まっているのか、これについて簡単で結構ですからお聞かせをいただきたいと思います。
#102
○若林政府委員 平成二年度の見込みでございますけれども、納付金の収入が約二百三十二億の見込みでございまして、支給の方が二百三十三億になっております。このうちで、ただいま先生御指摘になりました雇用調整金が二十七億、報奨金が三十五億、いろいろな設備の改善等に対します助成金、これが百七十一億、その他業務費が二十六億、こういうようなバランスになっております。
#103
○岩田委員 二百三十二億という金額でありますが、私が再三先ほどからも申し上げておることと同じことでありますが、疑問を持ちますのは、達成率を公表したとしても幾ら上昇するか。これはやってみなければならぬわけですね、達成しなければならぬわけでありますけれども。しかし、未達成の企業がきちんと納付金を納付しておればそれで社会的責任は済む、これは罰則でも何でもない、こういうふうになっているわけですから、大幅に改善をするかどうかという疑問もありますけれども、脱法行為ではないのですけれどもそれに近いような状況になっているという現状を私は感じるわけですね。それで御質問をしているわけでありますが、これを改めまして、やはり政府なり労働省が、単に指導や助言じゃなくてもっときちんとした形で達成率を高めようとすれば、二百三十二億、三百億程度の金は一般会計からでもこれは出すことにして、そのことによって政府はもっとどんと行政指導を強化するということが本来の姿であるし求められている状況ではないかというふうに私は思って御質問をしているわけですが、その点については一体いかがでしょう。
#104
○若林政府委員 私の御説明があるいは不十分だったのではないかと思っておりますけれども、納付金を支給したから雇用率の達成の義務が免が
れるということは全くないわけでございまして、例えば納付金をきちんと納めている企業につきましてもやはり公表の対象になって公表すべしということになれば、それは公表されるわけでございます。したがいまして、納付金を納めているということは全くそういう意味での免罪にならないということでございます。あくまでも納付金は経済的なバランスを調整するというだけのものでございまして、それによって雇用率の達成義務がいささかも免れるものではない、私どもは全くそれは別のこととして指導を続けているわけでございます。
 それで、ただいま私どもは公表を辞さずということで大変強力な指導を続けているわけでございますけれども、やはりそれは現実に安定所の窓口にその効果があらわれてきておりまして、大企業が全国の支店に指示を出して、それぞれの安定所等あるいは訓練施設等とコンタクトをとって雇用を進めるようにというような指示が本社から出ているというケースがあちこちに見られております。これは大変に傾向として結構なことでございまして、引き続き私どもはそういう形で強力な指導を続け今のような傾向を定着させていく、それによって雇用率を向上させていくという努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
#105
○岩田委員 次に、精神障害者等の雇用問題についてもお伺いをしておきたいと思います。
 昭和六十一年に身体障害者雇用審議会の意見書が出されておりますが、それによりますと、精神障害者等の雇用に対する積極的な促進が指摘をされております。特に、重度といいますか精神障害者も健常者と同様に憲法に保障された勤労の権利、これを有するものであり、基本的人権を尊重する立場から雇用機会の確保についての最大の努力を払うべきだとるる書いてございますけれども、全くそのとおりでありまして、今大臣や局長からも御答弁ありましたように、労働省としても御努力がなされている、こういうふうに受けとめているわけであります。
 ところで、今申し上げました重度の障害者ですね、とりわけ精神障害者について、これは身体障害者というふうに日本の場合は対象を、概念を決めておりますけれども、カウントする分野とそうでない分野ともありますが、やはりこれから先の問題は、重度の障害者をどうするか、こういうところに差しかかっていることは現実であろうというふうに思います。これにつきましても労働省としては研究が進められている、こういうふうに聞いておりますけれども、積極的な姿勢をお示しいただきたいと同時に、現状どういうふうにお考えであるのか、お尋ねをしたいと思います。
#106
○若林政府委員 やはり今日の障害者の雇用対策の問題は、重度障害者の雇用促進というものに尽きるだろうと思っております。したがいまして、現時点におきまして私どもの障害者雇用対策はもうそこに絞って進めていくということだろうと思っております。これまでもいろいろな面での整備充実が図られてまいりましたけれども、今後も重度の障害者の方々の雇用の促進と、先ほど来先生御指摘ございました定着てございますが、ここにポイントを置いて施策の展開を図っていかなければならないと考えております。
 それから、精神薄弱者の方につきましては、前回の法律改正におきまして、精神薄弱者の方については雇用率の義務を課すものではございませんけれども、精神薄弱者を雇っていただきました場合にはこれをカウントする、こういう改正をいたしまして、おかげさまで大変この精神薄弱者の方の雇用が進んでおります。
 残されました問題は精神障害者の問題でございます。これは、精神障害者の職場適応という問題につきましてはかなりまだ難しい問題が残っておるわけでございます。しかしながら、やはり精神障害者の方にどうやって雇用の場を与えるか、雇用を促進するかというのは一つの大きな課題でございまして、それについての政策対応、これもやはり私どもの今日におきます重点的な一つのテーマだというふうに考えております。ただ、いずれにいたしましても、精神障害者の方を雇用率の制度に乗せていくということは、少なくとも現時点においては大変に難しい問題だというふうに認識をいたしております。
#107
○岩田委員 ありがとうございました。
 次に、雇用率の問題でございます。
 先ほどもちょっと触れましたけれども、外国の雇用率の設定というのは見る限りにおいては非常に高いんですね。例えば我が国のように割り当て雇用制度をとっている国で見ますと、イギリスでは民間企業二十人以上について三%という非常に高いものになっております。それからフランスでは公的機関及び民間企業十人以上に対して一〇%、これは驚くべき数字なんですね。西ドイツ、今統一された東ドイツはどうなっているかというのは知りませんけれども、西ドイツでは公的機関及び民間企業十六人以上で六%。これは先ほどからも局長おっしゃっていますように、障害者の幅の問題というか枠の問題というか、どうカウントするかという問題ですね。例えば戦争未亡人なども入れるなんというような国もあるやに聞いております。したがって、一概にこれをオーバーラップして日本は少ないじゃないかということは言えないというふうに思いますが、この際、いわゆる雇用率についてはどういうふうにお考えになっているのか、お伺いをしておきたいと思います。
#108
○若林政府委員 ただいま先生御指摘ございましたようにヨーロッパ、イギリス、フランス、ドイツ、こういうところの雇用率は日本よりも高くなっております。実は日本の雇用率制度を導入いたしますときにその辺のところを随分いろいろと研究をしたわけでございますけれども、やはりただいま御指摘ございましたように障害者の範囲が非常に広いということがございます。特に障害者雇用法というものが、いわば戦争が終わった、戦火が終わったところでそういった戦傷病者の方々の雇用の促進といったようなことを大変大きなテーマにしてできてきた経緯もございまして、またそういう方が大変に多かったということもございまして、範囲が広くなっておるわけでございます。私どもは、そこのところは五年ごとに調査をいたしまして、常用の労働者とそれから働く意思と能力を持っておられる障害者の方の数字を把握いたしまして雇用率を算定しているわけでございます。
 現実に率が高いわけですが、それでは納付金制度などがどんなふうに機能しているかということを私ども調べたのでございますけれども、この辺のところは、法律に対する遵守と申しますか、そういったような国民の意識もかなり違っているようでございまして、そういう点での納付金制度などの実施状況というものは日本の方がはるかにいいということが言えようと思います。それからまた、安定所で例えばお世話をできない場合には除外していくとかいうような制度もあるわけでございまして、そういった面での雇用率制度の運用の現状というのは日本はかなり厳格に運用されているというふうに私どもは理解をいたしておりまして、やはりこういった日本の制度の方が今日におきます障害者の雇用促進というものに現実的に機能していくのじゃないだろうかというふうに考えているところでございます。
#109
○岩田委員 お尋ねをしてまいりましたが、この障害者雇用の問題というのは、単に企業の責任と私は申しているわけではありませんが、当面やはり雇用率を設定をしてどうするかという場合には、さらに大きな社会的連帯責任を労働省がどういうふうに起こしていくのか、指導していくのか、一層の御努力をお願いをしておきたい。大変なことだと思いますけれども、お願いをしておきたい。また、先ほども申し上げましたように、その国の実態はその国の文化のバロメーターとも言えるというふうに私は思うわけでありますが、そういった意味では、企業責任はもとより国民全体の責任としてどう啓発をしていくのか。教育の問題もありましょう。それから、達成率を上げたところ低いところを問わず、どう労働省の分野で教育を進めていくのか、啓発していくのか、一層の行政
指導の強化をお願いをしておきたいというふうに思うわけであります。
 この問題の最後にお尋ねをしておきたいと思います。大臣の御決意や感想がありましたらお伺いをしておきたいというふうに思います。
 国際的な問題は先ほど若干お伺いをしましたが、一九九〇年七月、昨年の七月にアメリカでは障害者保護法というのに大統領が署名をしたというニュースが出ておりますね。これはまだ施行されたかどうかというのは知りません。恐らく施行されていないのじゃないかというふうに思いますが、聞くどころによりますと約四千三百万人のアメリカ人を対象にする。これはアメリカの人口の約一七%を対象とする。障害を持つアメリカ人法というふうに言われているようでありますけれども、これなどが一体施行された場合にどういうふうに我が国にも影響するのか、これを心配される方々もおるわけですね。
 この法律の内容は多岐にわたっているわけでありますが、例えば日本企業が注目すべきことは、ある雇用主にコスト負担能力がないと判定された場合その親会社に責任が及ぶと考えられている点であるという指摘もございますね。そうしますと、日本企業が外国で営業している、操業している、そこに、この法律が施行された後に雇用が少ないではないか等々の問題があるというとき一体どうするか、こういうことだろうと思いますね。単に子会社のアメリカ人従業員からいろんな批判を受けたり突き上げがあったり要求があったり、いろいろ考えられますけれども、そこで解決する問題もありましょうが、しかし、これが広がりますとまさに国際問題になってくる。心配をする向きは、日米構造協議にもやがて上ってくる課題ではないか。つまり、日本というのは障害者に対するコストが余りにも低過ぎる。先ほど局長は我が国の状況はこうだというふうにおっしゃいましたが、それを私、否定するつもりはありませんが、しかし、先進国における状況と比べてみまして、その理想や思想といいますかそういったものを含めて、日本の現状というのはまだまだコストが低いというような指摘をされる間隙は十分にあると思いますね、そういう問題を持っていると思いますね。
 こういったこと等もあわせて、雇用者の障害者雇用対策というのは慎重にかつ積極的に進めていくべきではないかということを最後にお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
#110
○小里国務大臣 前段のお答えを申し上げます。
 平成四年は国連障害者の十年の最終年度に当たります。そういうようなこともございますし、障害者の雇用については一応一定の改善が見られつっございますものの、先ほどのような話もあるわけでございまして、なお重度障害者を中心といたしました雇用の立ちおくれが見られることも事実でございます。このため、雇用率制度の厳正な運用を図ることはもとより、制度改正も含めまして、これで現状満足することなく厳しく現実も認め、なおかつ、より積極的な効果を期待して前向きで、その意味における制度改正も含めまして改善すべきところはためらうことなく改善し、障害者雇用の実効が上がるように努めてまいろう、かように考えております。
#111
○岩田委員 終わります。
#112
○川崎委員長 河上覃雄君。
#113
○河上委員 時間に限りがありますので、私の方からは、まず時短の問題と、そして医療、福祉分野で働く看護婦さん等の人材確保及び労働条件の改善の二点について、簡潔に伺いたいと思っております。
 御案内のように、我が国の経済は世界のトップレベルにあるのに対しまして、生活者が必ずしも豊かさあるいはゆとりを実感できない要因の一つに、労働時間の長さが挙げられております。本年六月の臨時行革審豊かなくらし部会の第一次報告の中にも、「ゆとりのある生活の実現」これに今後の改革の方向として時短の問題が示されておるわけであります。そこでまず、時短についての実態並びにその分析について基本的な見解をきょうはお伺いしておきたいと思います。当委員会でも重要な問題がたくさんあります。今後またそれらについてはお尋ねさせていただくことにいたしまして、時短問題の基本的な見解をまずお尋ねしたいと思っております。
 労働省の毎月勤労統計調査によりますと、事業所規模三十人以上の一人平均月間総実労働時間数は、ここ数年微少でございますが短縮していることがわかります。調査産業計で、昭和六十三年百七十五・九時間、これは前年比〇・二%増、さらに平成元年百七十四時間ジャスト、前年比一・三%減、そして昨年、平成二年でありますが百七十一時間、前年に対しまして一・一%減と、緩やかに進んでいることは承知しております。
 しかし一方、欧米諸国と労働時間を比較いたしますと、依然として長い実態があります。国際比較を目的として労働省労働時間課が行った推計によりましても、一九八九年の年間総労働時間は、日本においては二千百五十九時間、アメリカが一千九百五十七時間、イギリス一千九百八十九時間、ドイツ一千六百三十八時間、フランス一千六百四十六時間。日本との格差を見ますと、ドイツでは五百二十一時間短い、フランスでは五百十三時間、アメリカでは二百二時間、イギリスでは百七十時間。このように我が国の労働時間は欧米諸国と比べてかなり長い、こう言えるわけでございます。
 そこで、我が国の場合、総実労働時間は改正労働基準法が施行されました昭和六十三年四月以降、先ほども申し上げましたが徐々には減少しているものの、総実労働時間が必ずしも着実に進行しているとは言えない、このように思うわけでありますが、その要因、原因は一体何であるとされているのか、その見解を伺いたいと思います。
#114
○佐藤(勝)政府委員 年間の労働時間、ただいま御質問のように欧米諸国と比べて大きく差があるわけでございますが、六十三年の改正基準法施行後におきましては着実に減少してきておるわけでございます。ただ、目標に比べますとそのテンポは十分ではございません。
 内容を見てみますと、一つは所定内時間でございますが、これは労働基準法の改正によります法定労働時間の短縮、現在四十四時間まで来ておるわけでございますが、これによりまして、大企業を中心に週休二日制の普及が進んできております。これに対しまして、やはり中小企業といいますか中小の事業所では、経営基盤が弱いあるいは取引先との関係でなかなかそれが進まないということで、週休二日制の進捗状況が十分ではございません。そういう違いが規模別にはございますし、また一方におきまして、それでは大企業が押しなべて労働時間が短くなっているかというと、これは所定外労働時間がむしろ大企業の方で長いという状況にございます。これはもともと雇用の安定を第一に考えて業務量の増加を所定外時間でカバーをするという慣行も働いて、所定外時間は多くなりがちでございますけれども、それに加えまして、最近、景気の変動に関係のないいわば恒常的な所定外時間が多くなっているということもございます。
 このようなことで、現在の問題は、中小規模事業場におきます週休二日制の普及促進、それから特に大企業を中心といたします所定外時間の削減という、現在、総実労働時間の減少のテンポが必ずしも十分でないのはその辺に原因がございますので、そういうふうに分析をしておりますから、その辺に対策の中心を向けてまいりたい、こういうふうに思っております。
#115
○河上委員 今局長の御答弁にも出ておりましたが、もう少し子細に見てみますと、平成二年度の年間労働時間を産業計で事業所の規模で比較をしてみますと、年間総実労働時間は、五百人以上の規模が二千五十七時間、三十人から九十九人までが二千三十六時間、五人から二十九人までが二千六十八時間、こうなっているわけであります。年間の所定内労働時間は、その意味からいたしますと、五百人以上を基準といたしますと、三十人から九十九人までは七十三時間多い、五人から二十九人までの場合は百四十四時間多くなっているわけでありまして、また年間の所定外労働時間は、
五百人以上の場合には二百四十六時間、三十人から九十九人までは百五十二時間、これは五百人以上の時間と比較いたしますと九十四時間低い。さらに五人から二十九人までの場合には百十三時間、これは五百人以上と比べますと百三十三時間も少ない。このような、事業所の規模によってかなりの所定内、所定外の格差があらわれている。
 さきの御説明の中にもございましたけれども、改めて御質問いたしますが、こうした事業所別の規模による格差がなぜ生まれるのか、またそれをどのような分析をなさっているのか、この点についてお尋ねいたします。
#116
○佐藤(勝)政府委員 規模による格差の原因ということでございますが、大企業の場合には、比較的独自にみずから方針を定めそれを実行するということが可能な場合が多いわけでございますけれども、中小企業、とりわけ下請企業と言われるものを中心に親企業との取引関係、それから同種企業、同地域の横並びの関係、あるいは経営基盤が弱いというようなことがあって、独自には時間短縮がなかなか難しいというケースが多うございます。そういうことからいたしますと、労働省におきます時間短縮の指導は、中小企業を対象にいたしまして、特に集団的な取り組みを助けるということでやっておるわけでございます。例えば同じ地域の同業種の中小企業を全体として、時短アドバイザーあるいは時短診断というようなことで援助に努める。それから、取引先である親企業とその下請発注先である中小企業と一つのグループとして、これらに対する指導、援助をするというようなこと、そういうようなことを中心にしてやることによりまして、ともすれば時短を進めることが難しい中小企業が時間短縮がしやすくなるような環境をつくるということに主眼を置いている次第でございます。
#117
○河上委員 労働時間の短縮が我が国全体として取り組むべき国民的な課題であることは周知の事実でございますが、六十三年五月に発表されました経済運営五カ年計画でも、「労働時間の短縮は、生活のゆとりを生み出し、多様性に富んだ創造的な国民生活の実現や、先進国としてよりふさわしい労働条件の確保、内需の拡大の観点から、最も重要な課題の一つである。」こう示されております。
 ところで、経済運営五カ年計画では「おおむね計画期間中に週四十時間労働制の実現を期し、年間総労働時間を計画期間中に、千八百時間程度に向けてきる限り短縮する。」こうありますけれども、政府全体の方針としてこの労働時間短縮の目標が定められたわけでありますが、この目標の達成される見通しはあるのかどうか、もしも達成困難であるとするならばなぜなのか、その理由をお示しいただきたいと思います。
#118
○佐藤(勝)政府委員 おっしゃいますように、経済計画におきましては、年間総実労働時間「千八百時間程度に向けてきる限り短縮する」ということ、それから、そのために「週四十時間労働制の実現」を目指す、こういうことになってきております。
 先ほど来御説明しておりますように、六十三年以降、時間は、所定内時間あるいは総実労働時間、着実に減少してはおりますけれども、この千八百時間という目標からいたしますと、これはなかなか現在のテンポでは困難であるということもまた事実でございます。
 そのテンポが十分でない理由でございますけれども、やはり内容を見てみますと、これは一部先ほどの答えの繰り返しになりますが、特に中小企業中心に週休二日制の普及がおくれているということ、それから所定外労働時間が特に最近の好況も反映しているわけでございますが、依然として非常に高い水準のままである。それからもう一つは、連続休暇といいますか長期の休暇、特に年次有給休暇のその与えられている日数に対しまして半分をちょっと超すくらいの消化しか行われていないというような実態がございます。
 したがいまして、今後年間時間の短縮のためには、その辺のことを中心に指導をするということでございますけれども、今年度四月からは法定労働時間がそれまでの四十六時間から四十四時間に短縮をされたということ、それから三百人以下の中小企業におきます年次有給休暇の最低付与日数が、それまでの六日から今年度より八日に引き上げられたというようなこと、それから春闘におきましても労使で労働時間短縮に真剣に取り組むケースがふえてきたというようなことで、今後時間短縮のテンポはこれまでよりさらに上がるものというふうに期待をいたしておりますし、特にさきの人事院勧告におきまして、公務員におきます完全週休二日制の勧告、これが実施をされますと、これは民間に対する影響は非常に大きなものがあると思います。そういうこともありまして、今後も時間短縮のテンポは早まるものというふうに期待いたしておる次第でございます。
#119
○河上委員 少し角度が変わりますが、平成元年一月から実施されました官公庁の土閉、土曜閉庁、また二月からでしょうか実施されました金融機関の完全週休二日制、これが一般企業に対しましてどのような影響を与えたかと分析なさっていますか。
#120
○佐藤(勝)政府委員 ただいまお話しのように、公務員につきましては、六十三年の四月から四週六休制が行われておりますし、またさらに、六十四年の一月からは土曜閉庁方式ということによりまして四週六休制が行われてきたわけでございます。また、金融機関につきましても、昭和五十八年八月に月一回土曜閉店制、それから六十一年八月に月二回土曜閉店制、また元年二月には完全土曜閉店制というふうに進んできたわけでございます。
 これはいろいろな形で民間企業の休暇制度のあり方に影響していると思いますが、一つは、やはりこういったものは労務管理の制度といいますか、こういう企業内の制度が完備しているというふうに一般に考えられております公務員あるいは金融機関におきましてこの完全週休二日制が行われるということになりますと、まあ言ってみればモデルとして民間企業がこれに倣うという心理的といいますか啓蒙的効果が非常に大きいのではないかということが一つ。それから、特に金融機関の週休二日制との関連におきましては、やはり金融機関との取引といいますか接触が土曜日にはないということになりますと、また休業しやすくなる、また休業しても差し支えない、あるいは場合によっては休業せざるを得ないというようなこともあると思います。大きく申しますと、そういうような二つの面を通じまして、民間企業の週休二日制の普及に大きく貢献したものというふうに考えております。
#121
○河上委員 平成二年のデータに基づきまして分析あるいは要因をお尋ねしてまいりました。
 これらに基づきまして本年八月に発表されました人事院勧告では、完全週休二日制について「すべての土曜日を行政機関の休日とする完全土曜閉庁を導入することが必要である。」その改定につきましては「平成四年度のできるだけ早い時期に実施」するということが示されているわけでありますけれども、労働省としてはこの勧告に基づいて完全土曜閉庁をいつから実施するのが適切だとお考えでしょうか。
#122
○佐藤(勝)政府委員 国家公務員の完全週休二日制につきましては、労働省といたしましても、八月七日に行われました完全週休二日制の実施に関します人事院の勧告に基づいて、できる限り早く実施されることが望ましいというふうに考えておるわけでございます。ただ、この実施につきましては、関係閣僚会議での検討状況を見守ることとする必要がございますが、いずれにしましても、早急に実施されることが望ましいという考えでございます。
#123
○河上委員 昭和六十三年の経済運営五カ年計画、あるいは平成元年の経済運営五カ年計画の推進状況と今後の課題では、労働時間短縮に向けて公的部門が積極的役割を果たしていく必要がある、こう示されているわけであります。
 その意味におきまして、地方公共団体と国の行
政機関と均衡をとる意味からも完全土曜閉庁を実施する必要がある、こう考えますが、この点いかがでしょうか。
#124
○佐藤(勝)政府委員 地方公務員の勤務条件そのものにつきましては私どもの所管ではございませんが、労働省としての考えを申しますれば、地方公共団体の公務員、地方公務員につきまして完全週休二日制が行われますと、やはり民間に対する波及効果が非常に大きいものと思いますので、そういうことが早い時期に実現することを期待をいたしておるわけでございます。
#125
○河上委員 次に、労働時間の実態が法定労働時間よりおくれている規模別、そして業種の事業場については、六十二年の法改正によりまして、基準法の三十二条第一項の労働時間等に係る暫定措置に関する政令第一条のただし書きにおきまして、「昭和六十六年」つまり本年、平成三年になるわけでありますが、平成三年三月三十一日までの間は週四十八時間を法定労働時間とすることになっております。
 そこで、お伺いしたいんですが、この猶予措置対象となっております鉱業、運輸交通業、清掃、屠殺業等の事業、この事業は期限である本年三月末日時点で過労働時間は何時間になったのか、業種別にデータを報告していただければと思います。
#126
○佐藤(勝)政府委員 ただいまの御質問のように昨年度、つまりことしの三月末までは一部の業種、規模の事業場につきましては猶予措置ということで、それまでの法定週四十六時間の原則に対しまして四十八時間ということが認められておったわけでございますけれども、ことしの四月からこの週法定労働時間の原則を従来の四十六時間から四十四時間に短縮をいたしました際にやはり同様な猶予措置がとられまして、従来四十八時間でありました事業場につきましては、原則四十四時間にかかわらず四十六時間とするということで、従来より週二時間の短縮になりましたけれども、そういった猶予措置がとられておるわけでございます。
#127
○河上委員 今制度の仕組みの変化を説明していただいたわけですが、私、申し上げたのは、その猶予措置の企業が一体この平成三年三月三十一日をもって何時間になったんですかという質問でございまして、ちょっと観点が違うわけでございます。数字がなかったら後ほどいただければと思います。
 続きまして、週四十時間制の移行時期ということでございますが、六十二年の改正によりまして本則が週四十時間労働制となったわけであります。そして、当分の間週四十六時間を法定労働時間とし、段階的に短縮されるべきもの、こうされております。しかし、週四十時間達成時はこれには示されておりません。いつの時点で週四十時間労働に移行するのか、いつの時点なのか、この点についてお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
#128
○小里国務大臣 政府の方針なり所定の目標計画といいますか方向については、御承知のとおりでございます。
 では、一体年間総実労働時間一千八百時間はいつになったら実現するのか、またそのためのプログラムを具体的に言うなれば示せ、そういうお尋ねであろうかと思うのでございます。労働時間短縮のスピードは速まってまいっておりまして、今後もさらに進むものと私どもは期待もするし、また努力もいたしておるつもりでございますが、ただいまお触れいただきましたように、経済計画の目標達成のためには一層の労働時間短縮が必要である。このための計画の目標なり、あるいはその具体的な手だて等も御説明申し上げてまいっておりまするように、いろいろ知恵を絞ってやっておるところでございますが、残念ながらまだきちんと、いつの年次のどの時限において達成できますよという断言をするに至っていない状況でございますが、いずれにいたしましても、全力を挙げてひとつ取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
#129
○河上委員 先ほどの質問でもお伺いいたしました所定外労働時間上限規制の視点でございますが、これも労働省の毎月勤労統計調査によりますと、事業所規模三十人以上の一人平均月間所定外労働時間は、昭和五十四年では六・六%増加、五十九年では六・四%増加、六十三年は八・〇%増加、いずれも所定外は増加の傾向になっているわけでございます。平成二年は〇・一%減少しているものの、今申し上げたとおりの延長傾向にあると言えるわけでありますが、最近の傾向として、先ほど説明にもありましたように、所定内労働時間の短縮が所定外労働時間の延長と同時並行的に進行しておりまして、むしろ前者の効果が後者によって相当程度減殺される状況があります。このままではなかなか進んでいかないと思っておりますが、この所定外労働時間の短縮を図ろうといたしますと、いずれにしても時間外労働の上限規制、これが必要になってくるのではないかと思っております。
 そこで、年間百五十時間の上限規制、これについてはいろいろ議論がございますが、この意見に対して労働省としてはどのような見解をお持ちでしょうか。
#130
○佐藤(勝)政府委員 年間総実労働時間千八百時間というものの中身の一つが、所定外時間につきましては百五十時間程度ということでございますけれども、労働基準法におきましては、所定外労働時間の上限はいわゆる三六協定という労使協定で決めることになっておりまして、言ってみれば労使の話し合い、余り長過ぎる所定外労働時間は労働者の健全なチェック機能に期待をする、こういうような制度になっておるわけでございます。しかしながら、現状を見ますと、お話しのように、所定外労働時間は最近の好況も手伝いまして非常に高水準であるということのほかに、従来例外的であるべき所定外労働時間、残業なり休日労働がむしろ恒常的に行われるというような事態にあることもまた事実でございます。
 労働基準行政におきましては、そこで、大臣告示をもちまして所定外労働時間の限度の目安というものを定めまして、いわゆる三六協定の届けがあった場合にその目安によります指導をいたしておるわけでございますけれども、この目安につきましても近く見直しをいたしたいというふうに予定をしておることが一つ。それから、先月、所定外労働削減のための要綱、これは公益それから労使のそれぞれのこの問題に関する専門家にお集まりいただいて議論をした結果でございますが、所定外労働削減のための提言というものをおまとめいただきまして、それをもとにしまして労働省でこれを要綱にいたしました。これに基づきます啓蒙、指導を今後やっていくということで、従来こういうことはやってなかったわけでございますけれども、今後、総実労働時間の削減のために所定外労働時間の削減は不可欠であるということで、この面について特に力を入れていこう、こういう方向にあるわけでございます。
#131
○河上委員 もう一点、年次有給休暇の問題です。この問題も時短にとっては大変な問題であります。
 平成元年では、一年間の年次有給休暇日数、付与された日数は十六・六日、そのうち労働者が取得した平均日数と申しますと七・九日、取得率五二%であります。ドイツ、ヨーロッパ等におきましても原則的には一〇〇%取得されているような事実等もありますが、その観点からするとかなりお粗末と言えるのじゃないのか、こう思っております。
 その意味から、休暇水準の引き上げ、そして取得率の一〇〇%達成を実現していく必要があるのではないかと私は考えますが、この点の御見解もあわせて伺いたいと思います。
#132
○佐藤(勝)政府委員 お尋ねのように、我が国の年次有給休暇の消化といいますか取得の実態というのはちょっと独特でございまして、与えられた休暇の、最近ちょっと率が幸い上がってきてはおりますが、それでもまだ五三%弱の消化という状況でございます。これも時短の促進計画の中では、
年次有給休暇二十日付与で二十日完全消化ということを前提にしておるわけでございますので、この状態は速やかに是正をしたいというふうに考えておりまして、昨年、労使の専門家の御意見を聞いた上で、この年次有給休暇の二十日付与、二十日取得に向けてのガイドラインを示します連続休暇取得促進要綱というものをつくりまして、これに基づきまして年次有給休暇の取得促進等に向けての指導、援助の一層の推進に努めてまいるつもりでございます。
 いずれにしましても、この問題はやはり時短を進める上では避けて通れない非常に重要なポイントでございます。
#133
○河上委員 時短の問題はこれで終わりたいと思いますが、ぜひひとつ、大切な要件であると思いますし、どうぞ対応をしっかりとお願いしたいと思っております。
 次に、医療機関で看護婦不足が深刻な問題となっておりますが、先ほどの時短の問題を踏まえながら、医療、福祉分野で働く看護婦さん等の人材確保と労働条件の改善の観点から質問を進めたいと思います。
 もう御承知のとおり、医療の役割がますます重要になっておることはそのとおりでございますが、と同時に、医療の現場におけるマンパワーの役割、これは極めて重要な側面を持っております。その人材確保はこれから医療制度を左右するのではないかと言っても過言ではないと思いますが、こうした状況の中で看護婦の不足は深刻な問題であります。この需要は拡大をさまざまな観点からしております。医療の高度化、専門化、業務量のこれに伴う拡大、高齢化社会が進むにつれて患者数の増加等もございますし、六十五歳以上の患者数は実に三〇%から四〇%あるという実態、さらに病床数も増加の傾向にあるようでございますが、これに合わせて看護婦の需要は急速に拡大しているわけでございます。それに対しまして、現状を考えてみますと、超過勤務あるいは夜勤回数、三交代勤務、労働条件が極めて厳しい、三Kどころか六Kだ、八Kだと言われるような実態、また、他と比べますと給与水準が低い、こういう現実等もありまして、年間の離職数が四万五千人とも言われております。供給するのもその程度、離職するのもその程度。若い看護婦さん等においては、入って間もなくやめられる方が増大している、こういう現状にあるそうでございます。
 こうした事実を踏まえながら、私も若い看護婦さんと数人懇談をしてまいりましたが、全く同じようなことを申しておりましたし、結婚後の子育て、これを考えるともうとてもじゃないけれどもできない。生涯看護婦さんとしてお勤めになられますか、こう尋ねますと、これだけの要因、要素がありますとその中で指摘をされているわけでありますが、勤務時間の改善やらあるいは休暇の問題やら夜勤を減らすという問題やら、労働条件の割には給料の水準が低い、これも訴えておりました。
 このような看護婦さんの不足の対策といたしまして、私は労働環境の改善が急務の課題と考えます。
 これらの点を踏まえながら具体的に質問をさせていただきたいわけでありますが、まず、看護婦さんの労働時間は他の職種と比べて厳しいと思われますか、あるいは厳しくないと思われますか。そして、給与水準は高いと思われておりますか、あるいは適当であると思っていらっしゃいますか。大臣、これは御答弁いただけますか。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
#134
○小里国務大臣 お尋ねの問題に対しまして端的にすぱっと感じをお答え申し上げたいと思うのでございます。
 まず基本的には、看護婦という重要な仕事に携わる方々の労働条件、これは健全にきちんとその整備をすることは極めて重要なことであると思っております。ただいま先生もお話がございました給与の問題を中心にいたしまして労働条件、原則的には労使間で自主的にお話し合いをいただく一つの筋道がございますけれども、極めて人命にかかわる公益性の高い業務そして環境であるという、あるいはまたその需要あるいは任務の重要性は日増しに高まってまいっておるわけでございまして、御指摘のような観点から、私どもは健全なる労働条件、職場環境あるいは福利厚生等を整備していかなければならない重要な行政上の責任もあろうかと思う次第でございます。
 それから、先生今お尋ねでございますが給与の問題、果たしてこれが適正なのかどうか、他の業種と比較してどう思うかというお尋ねでございますが、率直に申し上げまして、私ども労働省で各般の統計をまとめてまいっておりますが、概して申し上げますと、その比較基準の視点の置きどころにもよるかと思うのでございますけれども、必ずしも劣悪であるとは言えない、悪い方ではなかろう、そういう一つの感じを持っております。
 ただ、労働時間につきましては、お話がございましたように夜間勤務という一つの特徴がございます。それから、総実労働時間におきましてはトータルで他の業種と比較をいたしまして過分であるという感じは受けませんけれども、時間外労働、所定外労働時間がふえているという傾向は否めないと思う次第でございまして、現状はいずれの観点から見ても十分であるとは思いませんので、さらに郷土社会、地域社会のいわゆる要請におこたえ申し上げるように努力をいたさなければならぬと思います。
#135
○河上委員 かなり厳しい御説明、御回答をいただいたわけでありますが、これはやはりよく子細に耳を傾け、聞いていかないと、なかなか不足は解消でき得ないと思いますね。これだけ申し上げまして、時間もなくなりましたので簡潔にあと何点か御質問をしたいわけであります。
 国公立病院の完全週休二日制そして週四十時間労働制についてであります。
 私は、平成四年度から直ちに先ほど申し上げたような事実を踏まえながらこの医療機関の労働時間短縮は図るべきである、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
#136
○佐藤(勝)政府委員 国立病院・療養所につきましても今回の人事院の勧告ではできるだけ早くその導入をするというふうになっておるわけでございますけれども、現在その試行かおくれているということもまた事実でございますが、ただ私どもとしては、本年九月よりこの一部施設で試行か始まるということもございます。そういった試行によりまして問題点の把握を行って今後さらに本格実施に向けて努力するものというふうに承っておりますが、いずれにしましても、国立病院・療養所といった国立の医療施設の看護婦さんにつきましても、この人勧に基づきましてできるだけ早く週休二日制、週四十時間労働制が導入されるように期待をいたしている次第でございます。
#137
○河上委員 それでは、民間の病院、社会福祉施設のこの週四十時間制の移行時期について、いつとお考えになりますか。
#138
○佐藤(勝)政府委員 民間の病院それから社会福祉施設につきましては、基準法の適用上は保健衛生業ということで扱われておりますが、現在、三十人を超える事業場につきましては法定時間四十四時間制、こういうことになっております。
 こういった民間の病院、社会福祉施設を含めまして、全体の週四十時間労働制の問題を含みます時間法制につきましては、現在、労働基準法の附則の七条に基づきまして、関係審議会に改正労働基準法の実施状況等の検討をお願いをいたしておるわけでございます。現在、関係審議会におきまして検討が鋭意進められておりますので、労働省としましては、この検討結果に基づきまして必要な措置を講じたい、こういう方針でおるところでございます。
#139
○河上委員 それでは、民間病院での完全週休二日制の普及状況、これは一般の民間企業と比べてどうなっておりますでしょうか。そして、さらにまた、年次休暇の付与、取得状況、取得率はどう把握しておりますですか。
#140
○佐藤(勝)政府委員 病院といいますか看護婦さん等につきましては、先ほどの大臣の御答弁でも、
一部一般の産業に比べておくれている部分があるというふうに申し上げましたけれども、特にこの週休二日制につきましてはそのおくれている一つの部門でございまして、保健衛生業に勤務する労働者のうち何らかの週休二日制が適用されております労働者が比率で三五・六%、これは全産業平均の五〇・七%に比べますとかなり低いと言うことができるわけでございます。また、その中で完全な週休二日制、これにつきましては、適用労働者がこの保健衛生業では四・二%ということでございまして、これがまた全産業平均の一七・八%に比べますとかなり低い水準にあるというふうに申し上げなければいけないわけでございます。
 それから、有給休暇でございますけれども、労働者一人当たりのこの保健衛生業におきます有給休暇の付与日数、取得日数それからそのうちの取得率というものは、それぞれ付与日数が十二・四日、それから取得日数が七・九日、その結果、取得率が六二・三%ということでございまして、付与日数は全産業平均が十二・六日でございますから、わずかに低いということが言えますが、一方において取得日数が全産業平均よりやや多いということでございますので、取得率といたしましては全産業平均の五六・五%に対しましてやや高くなっておりますが、いずれにしましても、付与日数におきましても若干遜色があるというのが実態でございます。
#141
○河上委員 週休二日制の実態も極めて劣悪ですね。厳しい状況にあると思うわけであります。
 そこで、民間病院での完全週休二日制の普及促進策、夜勤負担の軽減の環境整備等について労働省としてはどう取り組んでいるのか、またさらに、年次休暇の取得拡大のための方策についてもあわせてお尋ねしたいと思います。
#142
○佐藤(勝)政府委員 まず、看護婦さんの労働条件の確保の問題でございますけれども、私どもは、基本的には法定労働条件の確保ということで労働基準法に基づきます監督指導ということが中心になるわけでございますが、先ほどからの大臣あるいは私からの答弁の中で、例えば深夜業の回数が多いというようなことを申し上げておりますけれども、それ自体は法違反の問題とは若干違うわけでございますが、ただ、深夜業が多い結果、ともすれば法定労働時間、労働時間に関します法の規定に違反するようなケースが間々出てきておりますので、そういったことがないようなという観点からの監督指導を行っております。実績を見ますと、やはり病院におきます労働時間関係の基準法の規定の違反率というのは他の産業に比べましてかなり高こうございます。したがいまして、この点は私どもの監督行政の一つの中心問題でございます。
 それから、こういった監督指導とは別にいたしまして、特に中小の民間病院あるいは診療所の時間短縮を促進する、特に有給休暇取得等の促進のための指導ということでございますが、中小企業時短促進事業の中で医療関係の業種の団体もこれまで指定をさせていただきまして、そういう事業を通じましてこういった業種での、この医療業での時間短縮を進めるための自助努力が促進されるような指導をいたしておるところでございます。
#143
○河上委員 そこで、労働時間の短縮がおくれている病院あるいは老人福祉施設等に対しまして、建設業や印刷業等のように労働時間短縮の指針の作成など取り組みを強化すべきではないのか、こう思うわけですが、この点についていかがでしょう。
#144
○佐藤(勝)政府委員 御質問のように、印刷業あるいは木材・木製品製造業その他幾つかの特に時短のおくれております。種につきましては、特にその業界の人も入れまして指針をつくってこれを実施するということを行っております。病院等につきましても、一昨年来、病院におきます労働時間の実態の調査も含めましてこの関係の団体と一緒になりまして、そういうような方策を探ってきたところでございます。まだ病院につきましては指針の作成と、おっしゃるような方向に行っておりませんけれども、いずれにしましても、そういった団体とよく連携を保ちながら時短が進むような方策を考えてみたい、こういうふうに思います。
#145
○河上委員 予定した質問全部は時間がございませんので申せませんが、もう一点、看護婦さんの給与水準の改善という観点から労働省はどう認識なさっているか。教員、薬剤師等の他の女子専門職と比べてどうなのか、この点について明らかにしていただきたいと思っております。先ほど大臣からも話がありました、それほどの差はないんではないのかと。確かに初任給では高くなっておりますが、四年たちますと下降線でございます。一般の方は低いのですが、それから上がってまいります。こういう傾向があるわけであります。これが実態でございまして、こうした観点から、ただいま申し上げました質問、どのようにお考えになりますか、御答弁願います。
#146
○小里国務大臣 結論的に申し上げますが、先生御質疑の中でいろいろ御指摘もありお聞かせいただきましたように、看護婦の問題等を中心にいたしまして、労働者の福利福祉並びに労働条件等の問題につきましては私どもは幾多の重要な関心を持たなければならぬ、そして絶えず努力を傾倒しなければならぬ問題点がたくさんあると思っております。御指摘いただきましたような諸問題も十分留意しながら努力してまいりますことを御披瀝申し上げる次第でございます。
#147
○河上委員 間もなく時間でございますのでこれで終わりたいと思いますが、さらに看護婦の定着化、育児終了後再就職の問題、また労働力需給調整システムの機能強化という側面、これも大切だと思います。また中小医療機関に対する雇用管理の改善支援の問題、これも重要な側面を持っておりますし、さらに介護労働者雇用改善法、これは仮称でございますが労働省は検討なさっているようでございますが、この観点につきましては別の機会にまた御質問させていただくことにいたしまして、私の質問を終わります。
#148
○川崎委員長 金子満広君。
#149
○金子(満)委員 労働委員会が新しく発足をいたしましたので、一番身近な問題、つまり、労働省としての政治姿勢、具体的な問題に対する対応の事柄について幾つか質問をしたいと思います。
 午前中に小里労働大臣は、今の状況の問題について、労働行政は問題が山積しておる、積極的に取り組んでいきたい、こう言われました。確かにその点はそうだと思います。そこで、言うまでもないことでありますけれども、労働行政というのは、行き届いた職業紹介、雇用の安定という問題、それから労働条件の確保、改善、向上という問題、それから災害が起こらないようにあらかじめ手を打つこと、そして万一起こった場合でもその補償をどうするかという問題、あるいは働く女性の権利の確立、確保の問題等々が中心的な柱になると思うのですね。
 そこで、第一線で働く労働省の職員、労働者の定員の問題ですよ。言うことは言う、しかしやる人がいないじゃないか、私は命令する人でおまえやる人だ、やる人の方が何にもありません、こういうことでは、これは絵にかいたもちみたいになってしまうわけです。そこで、今国民的な要求、それは職安に対しても労働基準局、監督署に対しても、あるいはまた婦人少年室に対しても、たくさんの希望、要望があって、これじゃもう今やれないじゃないか、あの人数では、ということが言われるわけですね。
 そこで、具体的な問題ですが、一九六七年、つまり昭和四十二年の労働省の職員数は二万七千台だった。それが現在は二万四千台、三千名近く減ってきているんですね。仕事量はどんどんふえて多様化する、多岐にわたる。ところが、それをやっている方の労働省の職員、労働者というのはどんどん減ってくるということなんですね。したがって、ここで第一線で働く労働者の大幅な増員というのは、これは無理でなくて当たり前のことだと思いますが、このことについて基本的な考え方を大臣からまず述べてもらいたいと思います。
#150
○小里国務大臣 労働省の定員問題で極めて前向きな御指摘をいただいておるところでございます
が、基本的には、先生御発言の趣旨をぜひ私ども体得いたしまして、そうありたいと念じておるところでもございます。なおまた、行政需要は、先生お話しのように日々これは増大をしてまいりました。例えば、先刻の国会におきまして育児休業法等も制定をいただきました。四十七出先を設置いたしておりまする婦人少年室などの事務量等も顕著に増大をいたしてまいっておる状況でもございます。
 しかしながら、また一面におきましては、国の財政効率化、あるいはまた効率的な定員削減問題等も要請をされておりまして、私どもはそのようなはざまの中で厳しい定員確保の問題とも取り組んでおるところでございますが、先生がお話しになりましたような気持ちで、実は先般総務庁を中心にかれこれ平成四年の予算編成についてのその辺の協議もいたしたところでございます。決して満足はいたしておりませんが、そのような気持ちで相当粘り強く要請もいたしまして、こういうことを公の席で申し上げてどうかわかりませんが、少なくとも他省庁と比較いたしまして労働省としては見劣りのしないような定員確保を図りたい、そういう気持ちで対応をいたしておるところでございます。
#151
○金子(満)委員 満足しないという点がありますが、満足しないじゃ、やはり現場は済まないんですよね。そういう点では、よく言われる各省のバランスという言葉がありますが、こういう仕事にはバランスなんかないんだと思うのです。ふやさなくてもいいようなところはやたらふえて、ふやさなければならぬ、困るところはふえないのだから、こういう点はバランスではなくて、国民が何を求めているか、行政は何にこたえなければならぬかという立場から堂々と主張していくべきだ。先ほども申し上げましたが、職安の定数の問題から、基準局、監督署の問題から、あるいは婦人少年室の問題もそうですけれども、そういう中で来年の四月一日から、御承知の育児休業法が実施されるわけですね。今その準備の過程にあるわけです。準備は何をやるかということはいろいろありますけれども、そういう中で各都道府県の婦人少年室の定数はお話にならない数字だと私は思うのです。こんなものを発表したら物笑いで、これが経済大国か、これで婦人の地位の向上か、育児休業というのはこれでやれるのか、みんな、えっと自問自答すると思うのです。
 そこで、私は昨日東京の婦人少年室を訪ねていろいろ実情を伺ってまいりました。非常によくやっておるのですね。だけれども、現在定数は六人ですよ。こういう六人の中で一体何ができるか。来月一日から一名ふえるそうです。七名になるそうですけれども、これで均等法の問題から女性の地位の向上、権利の確保の問題、そして育児休業法をどう実施していくかということなんだが、これは東京だけでなくて日本全部やるわけです。ですから、大臣の鹿児島まで含めて婦人少年室というのは今定数がどうなっているか、その実態をここでちょっと御披露してもらいたいと思うのです。
#152
○高橋政府委員 平成三年度におきます婦人少年室の定員は、四十七都道府県で二百六名ということになっておりまして、この十月から七人室、それから五人室、四人室というような状況で現在業務を実施しているところでございます。
 ただ、この二百六人という数字は、六十年度におきましては、先生も御存じだと存じますが、実は百七十名まで定員の数が落ちたわけでございまして、その後、均等法の問題等、当面する課題にこたえましての行政体制の整備を強力に進めた結果、百七十名から平成三年度二百六名までやっと上がってきているという状況でございます。来年度、育児休業法の施行か控えているわけでございますので、さらに私ども重点的にこの問題については取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
#153
○金子(満)委員 おとといはこういう数字できのうはこうなった、きょう、あしたはこうなっていきます、幾らかふえたじゃないか、それは確かにきのうときょうを比べての比較ではそうかもしれないですね。しかし、実際にこの仕事をやろうという立場から見ると、大臣が言われるとおりに、不満、不足であることは、これは間違いないと思うのです。ですから、例えば昭和六十一年、一九八六年の東京都における事業所の数というのは約八十万ですよ。その中で労働基準法の適用事業場の数は約五十万ですね。それを十月一日から七名でやりなさい、これは何がやれますか。方法がないと思うんです。それで、言われるとおりに育児休業法についても、まず法律の趣旨を徹底する、啓発する、宣伝をする、そして大小さまざまな講演会、講習会、シンポジウムを開いていく、一体これは七名でどうするんです。自分でいすを並べて、こういうことまでしていかなくちゃならぬじゃないかと私は思いますよ。予算も余りついていない。ですから、いろいろの広告を出して徹底するようなことをやり、そして説明会も非常に真剣にやっているんですね。使命感を持ってやっていますから、室長初め本当に、大げさに言えば不眠不休なんだ。相当自己犠牲ですよ。そして意気に感じてやっているというのは、伺っていても気の毒に思うぐらいにわかるんですね。しかし、いかんせん人が足らないんです。それも、なかなか足らないということを思っていながら、今の流れ、状況はということも考えていると思うんですね。ですから、政治がこれを吹っ切っていかなければ吹っ切るところがないと思うんですね。
 ですから、よく言うようにもっと頑張れ、使命感に燃えてやれと言ってもやはり限界はある。そういう限界の中でふやさない限りどうしようもないということですから、一名増というようなことでなくて、説明されるとおりに、たしか大阪と東京は七名だと思うんですね、あと四人、五人というんですから、四人のところがかなり多いわけです。これは地域も広いし、こんなことではどうしようもないんだから、あれこれみんな、職安もそうだし基準監督署もそうだけれども、当面婦人少年室の定員についてはもう少し、これは来年度予算を念頭に置いてひとつ大臣もう一遍増員ということをやってみるわけにいきませんか。
#154
○小里国務大臣 けさ方でございましたが、労働省内におきましてきょうの委員会対策等を関係者と協議をいたしました。その折に、先生がきのう婦人少年室、東京都内の現場を直接お出向きをいただきまして激励をいただいたというお話を、報告を受けました。大変感銘を深くいたしておるところでございます。なおまた、ただいまいろいろな角度から激励をいただいておるところでございますが、時間の関係もありますから概念として申し上げますと、先生のただいまの激励のお気持ち、そして具体的に求めていらっしゃるその趣旨は明確に私も理解をいたします。
 実は先ほども若干触れましたが、予算編成概算要求の作業につきましても、あるいはその中におきまする明年の定員の問題等も、先刻関係省庁との協議もいたしました。私は必死になりまして、一つの執念を持ってその定員の増方につきましては体当たりを、あるいは折衝をいたしたつもりであります。今日におきましてはそれを公式につまびらかにする事情下にはありませんけれども、ただいまの激励をさらに身に受けまして、その方向に本来私どもの責任としても考えておりましたから、十分当たらなければならぬ、殊に育児休業法といういわば画期的な法律、制度も両院の御理解のもとに、殊に両院ともども与野党一致して大きな期待のもとにこれを作品にしていただきましたので、人事の面におきましてもあるいは先ほどお触れになりました予算、経費の調達の面におきましても、可能な限り精いっぱいの措置をいたさなければならぬ、かように考えておるところでございます。
#155
○金子(満)委員 必死の努力と言うんですから間もなく答えが出ると思うけれども、ぜひこの増員はしてもらわないと、大臣自身が、これは社会労働委員会の時代ですけれども、五月七日に当時の委員会で育児休業法の問題について、この法律の施行は周知に必要な時間を考えて平成四年四月一
日からとするというので延ばしたことまで言っているわけですね。時間は容赦なく過ぎるわけですよ。対応、対策はやらなければそのままだ、精神的には協調はあるが具体的には歯車は回らない。それで四月一日になりました、残念ながらちょぼちょぼしかできません、矛盾は拡大しましたというようなことになりかねないんですね。ですから、今が大事な時期です。そういう意味で、来年度予算は四月一日からになるのですけれども、そのときから育児休業法は実施に移されるわけですから、以前の今が大事なときです。そういう点ではぜひ増員を実現するように、これは本当に政治生命をかけるぐらいやらないとふえないですよ。今の空気の中で増員なんということをやろうと言ったら度胸がなければできないのですから、その点はぜひやってほしいと思うのですね。
 それからもう一つの問題は、これは基準局に関係することなんですが、日本は経済大国とよく言われています。しかし労働条件の問題では、例えば労働時間でも欧米のそれに比して劣っている、ひどい状況だということはよくマスコミでも宣伝され、また我々でもいろいろな事実を見て知っているわけですね。確かに経済は高度に発達して経済大国だけれども、労働条件というのは長時間労働で、過密労働で、過労死というのは国際語にまでなっておる。人事院勧告の中にも過労死という言葉がありますが、労働省はなぜか、故意か偶然か知りませんが、過労死という一つの固定した考え方というかそういうものはないようでありますけれども、そういう中での時間短縮の問題ですね。
 この問題についても二月十四日に労働大臣は次のように言っているのですね。「労働時間短縮は、真に豊かでゆとりある勤労者生活を実現する上でぜひとも達成しなければならない国民的課題であります。このため、法定労働時間を本年四月より現行の週四十六時間から週四十四時間に短縮することとしたところでありますが、今後とも、経済計画等で示されている週四十時間労働制、年間総労働時間一千八百時間程度という目標の実現に向け、労働時間の短縮に全力を傾注してまいります。」こういうように言っているわけですが、労働時間の短縮というのは、ふっと言ったからあしたからぱっとというわけにはいかぬわけですね。この点でも労働行政のところで基準局、基準監督署の果たさなければならない役割というのは非常に重いと思うのですね。
 そこへもってきて、労働災害というものが後を絶たないところか、災害は忘れたころにやってくるんじゃなくて、涙の乾かないうちにまたやってきてしまう。それで新聞、テレビでも、事故で、死亡でどうでという、それも単数でなくて複数の死亡者が出るような事故というのが間々起こるわけですね。そういう中で、例えば大型の死亡事故を起こす建築現場、工事現場なんかの問題についても大体後手なんですね。事故が起きてから、これが不足したあれが不十分だったというのが指摘されるんだけれども、何度指摘しても亡くなった人は生き返ってこないわけですよ。したがって、私は、労働行政の面でもそういう建設工事に対する事前の安全審査というものをやらなくちゃならぬと思う。
 それからまた、今いろいろの科学技術の非常な進歩がある。そういう中で化学物質がどんどん使われるわけですけれども、危険性が伴うことが当たり前なんですね。そういう点でも有害表示制度、これは危険ですという表示制度をつくってこれはどんどんやらなければならない。こういうものを徹底していかなくちゃならぬわけですが、基準監督署の定員がまた少ないわけです。ですから、事故があってからふっと気づいて、みんな後手後手で走り回っている、失礼な話だがそういう状態ですよ。こういう点でも、私は、婦人少年局だけでなくて基準監督署の定員増もぜひ図ってほしい。
 時間がありませんから、若干残っていますからあわせて質問しておきます。
 職安というのは、労働者にとっても雇用者にとっても共通の頼りにする場所なんですね。ところが、今こなせないのですよ。私も幾つか訪ねてみました。とにかくもうパンクですよ、行列をつくったって日によっては相談に応じられないんだから。こういう点から見ても、地方の本当に僻地と言われるようなところでも職業安定所の仕事というのは多いのです。そういう点も考慮して――今、仕事量はふえる、場所によっては三倍にもなっている、ところが、人間がなかなかふえない。こういう点で、基準局、基準監督署、それから職安、この第一線で働きいわば国民と一番接触しているこの接点でどんな苦労をしているのかというのをひとつ大臣もよく考えてもらって、この増員はぜひ早期に実現をしてもらいたい、このことを質問して終わりますが、答弁だけお願いします。
#156
○小里国務大臣 全国各地にそれぞれの役割、目的を持ちました系統機関、言うなれば出先機関をたくさん持っております。それぞれこれらの行政の事務の合理化あるいは能率化をしなければならぬことを念頭に置きながら平常業務の運営に当たっておるつもりでございますが、さらに一段と叱咤激励して御期待にこたえなければならぬと思います。
 なおまた、先生お話しございました、いろいろな制度、あるいはいろいろな方針、指針等を示すことも結構だけれども、それをまた着実に履行する、実行に移すその手だても必要だ、そのためには、刻々時間も経過するのだからしかるべき時期に、そして相当周到な段取りをして推進するべきではないかというお話でございますが、ごもっともでございます。
 私どもは、例えば年間総実労働時間一千八百時間の問題にいたしましても、先ほど先生が御披瀝いただきましたように、予算委員会等におきましてしばしばそういう御指摘もあり、また、お話しのような答弁も申し上げてまいっております。これも法律上可能な限り実行可能な一つの現実を実現するための手続、その手続といいましても、内外に意見を剛いたりいろいろ協議、審議をいただかなければならぬ問題が複雑多岐にわたってあるわけでございまして、例えば労働時間の問題でも、即座に法律上可能な四月一日を私どもはかたずをのんで待っておりまして、そして中央労働基準審議会に諮りまして今検討いただいておるところでございます。
 決しでこれだけの話でもございませんけれども、先ほどから相当熱意を込めてお聞かせいただきましたようなことなどにも注意をしながら、鋭意努力してまいりたいと思っておるところでございます。御理解をいただきます。
#157
○川崎委員長 伊藤英成君。
#158
○伊藤(英)委員 まず、この七月に平成三年度の労働白書が出されましたけれども、その第二部で若年労働者及び女子労働者問題について取り上げております。今これからの日本の労働状況等を見てみましても、あるいは企業や労働組合の関心もそこには非常に高いものがありまして、そういう意味でもこの分析というのは非常に時宜を得たものである、こういうふうに私、評価をするわけであります。したがいまして、こういう観点から幾つかの質問もしてみたい、こういうふうに思っております。
 まず、今、若年労働者の不足問題がいろいろ言われておりまして、その対策として今までも高年齢者対策やらあるいは女性の労働者に対する方策等もいろいろとられてきたわけでありますが、今、若年労働者の就業意識といいましょうかあるいは勤労観、こういうものも非常に大きく変化をしておると思うのですね。したがって、今フリーアルバイターの増加というような話も起こっておりますし、若年の失業率の増加あるいは離職率の上昇、こういうようなこともいろいろあるわけでありますけれども、こうしたいろいろな意識変化、社会現象から見て今後の労働力の需給の見通しはどういうふうになっているのか、まずこの辺についてお伺いいたします。
#159
○若林政府委員 まず、先生御指摘のように、最近におきます若い人の職業意識、かなり変化をしてきておるわけでございます。それに伴いまして離転職も増加いたしておりますし、失業率も高い
水準にとどまっております。一方では、若年者の数が全体的に伸びが落ちてくる。さらに、一九九五年以降になりますとそれが減ってくる、こういうことでございますから、人数も減ってくるし、また意識も変化してきておる、こういうことでございまして、こういう中で需給全体をどう見るか、こういう御趣旨であろうと思うのでございます。
 まず、そういった若い方の選職と申しますか職業選択と申しますか、こういったものが十分しっかりなされていなければならない。ともすると、そういった面での情報が十分に伝えられていない、あるいは指導が十分なされていないという現状があろうかと思います。そういった面での若い方々が適切な職業を選択するための指導と申しますか環境といったものをつくっていくことが、政策として必要であろうと思っております。
 今後の労働力の需給でございますが、当面まず二〇〇〇年までというものをにらみました場合には、四%ぐらいの経済成長を前提にいたしまして現在の労働力の供給というものを前提にいたしますと、高齢者、女性が働く場が十分に与えられる、あるいは徹底した省力化が進められる、あるいは企業が地方に拠点を移していく、さらに加えては海外への拠点の移動、こういったものがすべて総合的に積極的に進められるということでございますと、二〇〇〇年までを見ました場合には需給はバランスしていく、乗り町ることは可能である、活路はあるというふうに考えておる次第でございます。
#160
○伊藤(英)委員 いろいろな諸対策がうまく実行されていけはこういうふうになるだろうという長期的な視点で述べられたわけでありますが、ちょっと目の前の話で申しわけないのですけれども、証券・金融の不祥事の問題が起こりまして、今、国会でも、きょうも参議院でやっておりますが、この問題について、一部ではこれからの日本の経済に与える影響は極めて大きいであろうということ宣言われております。これからの実体経済に与える影響が大きいために、いわゆるストックデフレーションだとかあるいはアセットデフレーションという話になるのではないかということもいろいろ言われているわけですね。それで、私なんかもいろいろ聞いてまいりますと、これから例えば転換社債やあるいはワラント債の償還の問題も来年くらいになりますとかなり、四、五兆円、今の償還がそのくらいになるでしょうし、九三年になりますと十兆円以上の償還が必要になるであろうと言われております。そういたしますと、この実体経済に与える影響はかなりのものになるかもしれませんですね。
 したがって、この辺についてどういうふうに認識をされて、労働経済あるいは労働需給に与える影響はどういうものであるというふうに予測をされ認識をされておりますか。
#161
○若林政府委員 現在の雇用情勢は、先生御承知のとおり求人倍率一・四三ということでございまして、イザナギ景気のときのピークの求人倍率と大体同じ水準でございます。極めて引き締まり基調の労働市場でございます。
 ただいま先生御指摘の証券・金融におきます最近のいろいろな不祥事、こういったものが雇用情勢にどういう影響を与えるかということにつきましては、まだ私ども現在の段階でその的確な分析を行うことは困難でございますけれども、ただいま申しましたような引き締まり基調、これは傾向的なものでございますので、今これが特段の影響を及ぼすというふうには考えておりません。しかしながら、これは巡航速度に移行していくということと関連があろうかと思いますが、まだその辺の分析、結論的なことは申し上げられませんけれども、最近は新規求人の受理が少し減ってきております。こういったことを私ども大変に注目をいたしておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもはどんな状況に対しましても対応できる、常にそういうような気持ちで対処しているつもりでございまして、ただいま先生御指摘のような点も今後十分注意深く見守っていきたいというふうに思っております。
#162
○伊藤(英)委員 私は、そんなに大きな影響を受けなければ非常に幸いだ、こう思いますね。思いますが、この問題は、いわゆる証券・金融問題としての対策という意味ではあるいは再発防止という意味では、これは極めて強力に実施をしていかなきゃならぬ話でありますね。それはもちろんそういうふうにやります。ところが、実際の経済へのあるいは証券市場への影響というのは余り軽く見ない方がいいと思うのですね、見ておかない方がいいと思うのです。したがって、本当に大丈夫のような認識でやっていいのかという意味では心配をするわけです。
 そういう意味で、もちろんその点いろいろなことがあったときに万全の策でやっていかなきゃならないのですが、大丈夫かなということでお聞きしたのですけれども、いいですか。
#163
○若林政府委員 もとより、こういったような事態が今後設備投資等にどういうような影響を与えていくかというような点での御議論はあるだろうと思うのでございます。したがいまして、それは今後の景気の動向全般にかかわる問題であろうと存じます。私どもは、常にそういう点につきましてはいろいろ分析も重ねていかなきゃならないと思っておりますし、いろいろな動向を注意深く見守ってきておるところでございます。
 そしてまた、もとより現時点におきます大きな問題は、本日いろいろな場で御議論がございましたような人手不足対策でございますけれども、しかし、常にやはり景気というものは動いていくものでございますから、そういったものに対応できるように私どもはその構えはいささかもおろそかにしてないということでございます。今後もそういう姿勢で対処してまいりたいというふうに考えております。
#164
○伊藤(英)委員 次に、女子労働者の問題でありますけれども、昭和六十一年に男女雇用機会均等法が施行されまして、その後大変改善もされてきたりしているわけですね。そして、最近では女性の働き方あるいはその働く意識も随分変わってきたんだと思うのですが、いろいろなところに進出もされたりしております。最近ですと、つい最近の新聞に建設土木関係にも女性が大変多く進出しているという記事も出ておりました。最近はさらに、今までどちらかといいますと男性中心であった製造業においても女性もかなり進出をしている、あるいはこれからさらにそれが期待されているという状況だと思うのですね。
 そこで、お伺いするのですが、まず今、女子の労働力率は現状は潜在的な労働力率に対してまだ低いという分析が労働白書にもされておりますね。その潜在的なものに近づけるのにこれからどういう施策が必要だと考えられますか。端的にお答えください。
#165
○高橋政府委員 女子労働者のいわば労働力化率は、先生御存じ上げのとおり、我が国の場合にはいわゆるM字型カーブというのを描いているわけでございまして、学校卒業後には非常に就業率が上がり、そして結婚、子育ての時期には一時下がり、さらにまた、子育てが一段落した後また労働力率が上がっていくというようなカーブでございます。
 そこで、このM字型の底がかなり上がってきているというような状況もあり、また実際に家庭におられる方々の就業希望を聞いてみますと、かなりの割合で職業なり仕事とのかかわりを持ちたいという希望が出ているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、これはそれぞれいろいろな最近における女性の働き方の多様化に対応いたしまして、働きやすい環境を総合的に整備をしていくということが私ども当面する女子就業対策の中心的な課題ではないかというふうに考えているところでございます。
#166
○伊藤(英)委員 いろいろな環境整備が必要でありますけれども、今女子労働者に対するいろいろな保護規定がたくさんありますね。そのうちで女子の時間外労働並びに深夜労働の規制に関しまして、ことしの六月に総務庁から「婦人就業対策等に関する行政監察結果に基づく勧告」というのが
出されております。そしてこの中で、今申し上げた時間外労働並びに深夜勤務労働の保護規定のあり方について検討すべきであると勧告もしておりますね。そして、これについていろいろなところの意見も出ているのですが、労働組合の連合からは、そもそもこういうものは労使それぞれから意見を求めて勧告をすべきなのにやり方がよくないではないかということも含めて厳しい抗議もしておりますね。
 そこで、労働省にお伺いするのですが、この時間外労働あるいは深夜労働の女子労働者に対する規制、このあり方についてどう考えるのか。そして、この行政監察の仕方にどのように労働省は考えられるのか、お答えください。
#167
○小里国務大臣 大変重要に注目しながら研究しなければならぬ問題だと思うのでございますが、昭和六十年の法改正におきまして、御承知のとおり男女の雇用機会均等を確保するために、男女が同一の基盤で働けるようその労働条件の法的な枠組みを同じくする必要があるとの観点から、ただいまお話もございましたように、将来的に解消をするという一つの展望に立ちながら、現実には女子がより重く家庭責任を負っていることなども踏まえまして、と申し上げていいと思うのでございますが、現行の規定となったものと私は理解いたしております。
 この経緯を踏まえまして、これらの規定のあり方を考える際には、男子を含めた全体の労働者の労働条件、労働環境あるいは女子の就業と家庭生活との両立を可能にするための条件整備の状況などを勘案しつつ行う必要があるのではなかろうか、こういうふうに私どもは日ごろ認識をいたしております。同規定の施行状況やあるいはまた労働環境の動向等の把握に努めながら、必要に応じと申し上げますか、あるいはまたある意味では今は絶えず検討を加えてまいらなければならぬ、こういうふうに思っておるところでございます。
#168
○伊藤(英)委員 私は、十数年前だったのですが、あの当時労働組合の役員をしておりました。アメリカに出張に行きまして、アメリカの工場現場に行ったのです。それで、いろいろ話をしておりましたら、そのときに夜勤をしている女性が非常に多い、昼勤よりも夜勤の方が女性がそのときは多かった。そのときに私にとってはある意味では非常に驚きでありまして、女性保護の立場から深夜勤務を女性については規制をすべきじゃないのですかという話をアメリカでしたのですね。そうしましたら、いやいや全く違う、女性からそんなことをしたら女性に対する差別であるということで、そういう規制はできません。むしろ女性からちゃんと働けるようにしてくれということなのだという話を聞いたのですね。それで、ああなるほど男女の雇用機会均等というのはこういうことなのかなとそのときこう思ったりいたしました。
 その後、私はアメリカで仕事もし生活もしていたわけでありますが、では、本当に男女雇用機会均等というような格好で社会を構成しようとしたときにどういうことを考えた方がいいのかな、これは真剣に考えるべき話だと思うのですね。そのときに、先ほど高橋局長のおっしゃったとおりに、もちろん環境整備はちゃんとしなければなりません。ただ単純に機械的に深夜勤務をすればいいというわけじゃもちろんない。ないのですが、だから、私が先ほど申し上げたとおりに、どういうふうな環境整備をしてどういう方向に持っていくのだろうということでありますし、同時に、女性それぞれの意識がどうなのだろう。実は、ただ規制をすれはこれは働く場を狭めていることにもなるかもしれませんね。そういう意味で、では女子労働者あるいは女性の意識はどういう状況にあるのだろうかというようなことを的確に調査し分析しているのだろうか、いかがですか。
#169
○高橋政府委員 均等法施行五年ということでございまして、この間、私ども均等法及び同時に改正されました労働基準法の保護規定に関しまして、女子雇用管理基本調査等をほぼ最近では毎年続けてやっておりまして、その施行状況の把握に努めているところでございます。また、各都道府県の婦人少年室におきましては、労働者の方からのいろいろな相談もあるわけでございまして、その数、五年間で一万五千件ということでございますが、こういった第一線におけるいろいろな状況というものも分析して問題点を洗い直していく必要があるのだろうというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、法律の施行状況等の把握に十分に努めながら、その均等確保なりあるいはこれらの問題に対する対応のあり方につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
#170
○伊藤(英)委員 時間が参りましたので最後だけもう一度質問いたしますが、いろいろ分析をして今後どういうふうに持っていきたいということについてもう一度お願いをいたします。
#171
○高橋政府委員 私ども、まず最初に見直しありきという形というのではなくて、まず施行状況の実態を把握し問題点を解明し、そして我が国において均等施策というものが実質的に確保されるためにはどのような方策があるのかを広い見地から検討を加え対応してまいりたいというふうに考えております。
#172
○伊藤(英)委員 時間が参りました。終わります。
#173
○川崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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