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1991/09/20 第121回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第9号
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1991/09/20 第121回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第121回国会 厚生委員会 第9号

#1
第121回国会 厚生委員会 第9号
平成三年九月二十日(金曜日)
    午前十時十三分開議
出席委員
  委員長代理理事 野呂 昭彦君
   理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君
   理事 加藤 卓二君 理事 丹羽 雄哉君
   理事 網岡  雄君 理事 池端 清一君
   理事 遠藤 和良君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      岩屋  毅君    遠藤 武彦君
      小沢 辰男君    岡田 克也君
      片岡 武司君    佐田玄一郎君
      坂井 隆憲君    鈴木 俊一君
      住  博司君    戸井田三郎君
      平田辰一郎君    細田 博之君
      増子 輝彦君    御法川英文君
      宮路 和明君    柳本 卓治君
      山下 徳夫君    伊東 秀子君
     宇都宮真由美君    岡崎 宏美君
      沖田 正人君    川俣健二郎君
      小松 定男君    五島 正規君
      筒井 信隆君    外口 玉子君
      土肥 隆一君    永井 孝信君
      石田 祝稔君    大野由利子君
      児玉 健次君    柳田  稔君
      菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 下条進一郎君
 出席政府委員
        厚生省生活衛生 小林 康彦君
        局水道環境部長
        厚生省薬務局長 川崎 幸雄君
 委員外の出席者
        警察庁長官官房 横尾 敏夫君
        審議官
        環境庁大気保全 丸山 晴男君
        局企画課長
        法務省刑事局青 古田 佑紀君
        少年課長
        外務省国際連合 鈴木 一泉君
        局社会協力課長
        大蔵省主計局主 渡辺 裕泰君
        計官
        大蔵省関税局監 角崎 利夫君
        視課長
        大蔵省銀行局銀 福田  誠君
        行課長
        文部省体育局学 富岡 賢治君
        校健康教育課長
        通商産業省基礎
        産業局化学品安 鷲見 良彦君
        全課オゾン層保
        護対策室長
        運輸省港湾局管 大辻 嘉郎君
        理課長
        建設大臣官房審 小野 邦久君
        議官
        建設省道路局道 山口  均君
        路交通管理課長
        自治省財政局調 香山 充弘君
        整室長
        厚生委員会調査 高峯 一世君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
九月二十日
 辞任         補欠選任
  片岡 武司君     遠藤 武彦君
  古賀 一成君     御法川英文君
  坂井 隆憲君     増子 輝彦君
  鈴木 俊一君     浅野 勝人君
  平田辰一郎君     細田 博之君
  三原 朝彦君     佐田玄一郎君
  宮路 和明君     赤城 徳彦君
  山口 俊一君     柳本 卓治君
  岩田 順介君     筒井 信隆君
同日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     宮路 和明君
  浅野 勝人君     鈴木 俊一君
  遠藤 武彦君     片岡 武司君
  佐田玄一郎君     三原 朝彦君
  細田 博之君     平田辰一郎君
  増子 輝彦君     坂井 隆憲君
  御法川英文君     古賀 一成君
  柳本 卓治君     山口 俊一君
  筒井 信隆君    宇都宮真由美君
同日
 辞任         補欠選任
 宇都宮真由美君     岩田 順介君
    ―――――――――――――
九月十九日
 国民医療改善に関する請願(山原健二郎君紹介
 )(第三五七号)
 同(児玉健次君紹介)(第四一二号)
 老人保健法改正に関する請願(清水勇君紹介)
 (第三五八号)
 同(堀込征雄君紹介)(第四一三号)
 老人保健法の改正等に関する請願(東中光雄君
 紹介)(第三五九号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三九五号)
 同(金子満広君紹介)(第三九六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三九七号)
 同(児玉健次君紹介)(第三九八号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第三九九号)
 同(菅野悦子君紹介)(第四〇〇号)
 同(辻第一君紹介)(第四〇一号)
 同(寺前巖君紹介)(第四〇二号)
 同(東中光雄君紹介)(第四〇三号)
 同(不破哲三君紹介)(第四〇四号)
 同(藤田スミ君紹介)(第四〇五号)
 同(古堅実吉君紹介)(第四〇六号)
 同(正森成二君紹介)(第四〇七号)
 同(三浦久君紹介)(第四〇八号)
 同(山原健二郎君紹介)(第四〇九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第四一〇号)
 老人保健法改正、医療・福祉の施策拡充に関す
 る請願外五件(岩垂寿喜男君紹介)(第三九三
 号)
 重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(植竹繁
 雄君紹介)(第三六九号)
 同(片岡武司君紹介)(第三七〇号)
 医療の改善に関する請願(児玉健次君紹介)(
 第三九四号)
 脊髄神経治療の研究開発促進に関する請願(松
 前仰君紹介)(第四一一号)
 医療改善に関する請願外一件(串原義直君紹介
 )(第四七八号)
 難病患者などの医療と生活の保障に関する請願
 (唐沢俊二郎君紹介)(第四七九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
九月二十日
 石綿管布設がえ等の水道事業に対する国庫補助
 の拡充、強化に関する陳情書(三重県松阪市殿
 町一三四〇の一松阪市議会内寺西三良)(第四
 三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物
 処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、第百二十回国会閣法第六八号)
 麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、第百二十回国会閣法第九二号)
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を
助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向
精神薬取締法等の特例等に関する法律案(内閣
提出、第百二十回国会閣法第九三号)
     ――――◇―――――
#2
○野呂委員長代理 これより会議を開きます。委員長の指定により、私が委員長の職務を行います。第百二十回国会、内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
#3
○川俣委員 廃掃法も二十年ぶりの大改正でございまして、今までの各委員の審議を通じて、あるいは私自身が質問した中で検討させてもらいたいというのが非常に多かったので、それをひとつ一問で確認していきたいと思います。
    〔野呂委員長代理退席、粟屋委員長代理
    着席〕
 第一ですが、バーゼル条約。これは通産、外務、環境ですか、バーゼル条約に近く加入するように国内法は急がれるわけですが、このせっかくの法案改正でバーゼル条約に調印できることにならないんだろうかなと思って、あえて質問したいと思います。それともまず一たんこれは改正しておいて、通常国会にまたお出しになる、こういうことなのか。
 それから第二は、産業廃棄物の流れを把握するマニフェスト制度の対象の拡大、これを強く言うたんですが、これは建設省、後でいいですから、今回しゃなくて。
 それから第三に、廃棄物が不法に処分された場合の原状回復が適切かつ迅速に行われるための費用負担のあり方、以上、三つだけを質問したいと思います。
#4
○下条国務大臣 バーゼル条約につきましては、次期通常国会を目途に関連の国内法制を整備できるよう、関係省庁とも相談しながら努力をしてまいります。
 御指摘の第二点、第三点につきましては、今ここで明確な時期を申し上げることは難しゅうございますが、御指摘の趣旨を十分踏まえまして検討を行い、その結果に基づきまして、できるだけ速やかに必要な措置を講じるように努力してまいります。
#5
○小野説明員 お答え申し上げます。
 御質問のうち建設省にかかわるものについてお答え申し上げますけれども、建設廃棄物対策につきましては、建設省といたしましても大変重要な課題であると認識をいたしております。建設廃棄物の再生利用の推進あるいは適正処理の推進を今後強力に推進をしていくこととしておるところでございます。
 御質問にございましたマニフェストにつきましては、昨年六月から行政指導により実施をされておるわけでございます。ただ、まだ日が浅いこともございまして、建設省といたしましては、建設廃棄物に対するマニフェストの全般的な制度化というものについては、なお解決すべき課題が多いと考えておりますけれども、マニフェスト自体が不法投棄防止の重要な方法でもございますので、廃棄物処理法の所管省でございます厚生省とも十分御相談をいたしまして、課題の解決に向けて努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
#6
○川俣委員 一々反論するというか、受け答えの審議の時間がないのでございますから、したがって、皆さんのきょうの答弁は、厚生省以外にかなり来ていただいておりますので、この私に対する答弁が最終段階なんで、参議院の審議に少なからざる影響があると思うんで、何とかこの廃棄物処理法があと少ない今国会中に、改正法案が成立するように皆さんの協力を願いたいと思いますので、そういう観点で御答弁願いたいと思います。
 第二に、地域内の処理についてですが、あえてこれを質問するのは、産業廃棄物にしても一般廃棄物にしても、できるだけ地域で処理できるようにとの発言が非常に各委員から一出てまいりました。余り遠くへ運ぶところにいろいろ悶着が起きるわけですね。関東のごみが秋田に来てみたりするのでございます。
 そこで第一は、官民一体の共同事業体として都道府県に一つ指定される廃棄物処理センターの構想をつくるが、廃棄物の広域処理に対応するものであり、廃棄物ができるだけ都道府県を越えて移動しないように、越境しないように、これがやはり基本認識だと思うんだが、そう理解していいんだろうか。これは厚生省ですね。
 それから、大蔵省と自治省にあえて聞きたいですね、大蔵省、自治省来てくれておりますので。市町村が一般廃棄物の処理施設を自前で確保できるように、施設整備の予算を十分に確保する必要がある。厚生省は非常に汗だくになって努力しておるのですが、やはり先立つものなのでございますので、あえて大蔵省、それから自治体を所管する自治省、この二つを質問したいと思います。
#7
○下条国務大臣 廃棄物処理センターは、処分の効率性の観点から必要な広域的処理に対応するものでありますが、廃棄物の処理のあり方につきましては、委員御指摘のように、白区域内の処理が望ましいとの基本的認識老持っております。
 なお、一般廃棄物がやむを得ず広域的に移動する場合には、搬入市町村と受け入れ市町村が十分事前に協議するよう、今回の法改正を契機といたしまして指導を強めてまいりたいと考えております。
 また、市町村の一般廃棄物処理施設の整備については、その基本的認識を踏まえて、市町村の廃棄物処理に支障を来すことのないよう関係省庁とよく相談をして、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#8
○渡辺説明員 廃棄物の処理施設の整備は市町村にとって緊急な問題になっておりますので、施設整備に支障を来すことのないよう、私どもとしても努力を続けていかなければならないと思っております。ただ、この件につきましては、私どもだけで問題がすべて解決できるわけでもございませんので、地方財政当局ともよく御相談をしてまいりたいと思っております。また、厚生省には、一定の財源の中で執行が円滑にできるよう、できるだけの工夫、努力もお願いをしたいと思っております。こうして関係者全員の努力と工夫により、市町村の廃棄物処理に支障を来すことのないようにしてまいりたいと思っております。
#9
○香山説明員 お答え申し上げます。
 廃棄物の処理は市町村にとりまして最も基本的な課題の一つでございまして、したがいまして、そのために必要な経費につきましては、まず国の責任におきまして所要の国庫補助金というのが確保されるべきものと考えております。
 また、自治省といたしましても、地方財政の面から、廃棄物処理の重要性にかんがみまして、地方団体のそのような取り組みに支障が生ずることのないよう、適切な財源措置を講ずることとしてまいりたいと考えております。
#10
○川俣委員 ぜひひとつ協力してやってください。私らとしては、今の厚生省の要求原案を見せてもらっていますが、足りないと思っておりますので、大蔵省、自治省、ぜひ要求の厚生省に協力してもらいたいと思います。
 それから、適正処理困難物の問題ですが、これは厚生省ですかね。処理困難な一般廃棄物とは、処理責任を持っている市町村にとっての困難性の度合いによって定められるべきものである。そういう観点に立つと、第一に、適正処理困難物を厚生大臣が指定するだけでは不十分であって、そのほか市町村長も条例によって独自に指定できると考えるが、どうだろうか。第二に、厚生大臣が指定するに当たって、市町村長や市町村の関係職員を主なメンバー、これは委託じゃだめなんですから、関係職員を主なメンバーとする適正処理困難
物対策審議会、こういったものを設置して、事前にここに語るようにすべきではないんだろうかと思っておるのですが、どうでしょうか。
#11
○下条国務大臣 今回の改正法案で適正処理困難物を指定することとしたのは、全国的な観点で定めたものでありまして、個々の市町村において適正処理が困難な廃棄物について行われる施策は尊重さるべきものと考えております。厚生大臣の指定に当たりましては、市町村の意向を十分尊重することは必要であると考えておりまして、その反映の仕方については、ただいま御指摘の趣旨も踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
#12
○川俣委員 私の質問は、理事さん方で検討しておる附帯決議を見ながら、最小限度確認の質問をしておるのでございますが、特に一般廃棄物については、「分別収集、減量化・再生利用対策の推進を含め適正な処理が行われるよう、市町村の体制の整備」これに非常に力点を置いておるようですから、もう附帯決議に網羅されているものは質問から省いておりますが、それに関連して、やはり今の改正の柱というのは分別と再利用です。しかも分別でも、燃えるごみと燃えないごみだけではなくて、引火性、毒性、そして感染性、爆発性等々こういったものが非常に一般家庭に入ってきた。これをコーチするというか指導するというか、そういうことでございます。
 政府案によると、市町村が住民の自主的な活動を促進するようにすることや、国、都道府県、市町村が国民及び事業者の意識啓蒙に努力することを定めています。その具体的な第一歩として、日常生活の中ですべての国民が毎日のように手にし、目に触れている空き缶とか空き瓶の徹底分別からリサイクルに至る道筋を国や関係業界が参加して築くことは検討すべきではないんだろうかいな。そこで、市民レベルの取り組みに厚生省がどのように支援するというのか。それは早急に検討するというが、さらに約束できるかどうかを確認したいと思います。
#13
○下条国務大臣 御指摘のように、市民レベルのリサイクル活動を推進するための支援につきましては、市町村の果たす役割は重要でありまして、厚生省といたしましても、従来より市町村が実施する市民レベルでの活動への支援やリサイクルのための施設整備に対しまして補助を行ってきたところでありますが、今後ともさらに市町村が行う再生利用のためのシステムづくりの積極的な支援につきまして努力してまいりたいと考えております。
#14
○川俣委員 次に、排出事業者による計画の策定と実施、これは非常に大事と思います。十二条第五項とか十二条の二第六項等にうたわれております。大量排出事業者に対して産業廃棄物処理計画あるいは減量計画の作成を指示することができるという趣旨の規定があるが、その規定とは、この計画に基づいて減量等を実施するよう指示することを当然含んでいると理解しておるのですが、どうなんでしょうか。
#15
○下条国務大臣 御指摘のとおり、多量排出事業者に対しまして、計画に基づいて減量等を実施するよう指示することは含まれております。これに基づいて事業者が排出する廃棄物の適正な処理が行われますように、一層努めてまいりたいと考えております。
#16
○川俣委員 時間がありませんので、急いで読み上げていきますが、もう一度建設省の小野審議官に煩わすのですが、不法投棄事件、全国に非常に多いのでございますね。ところが九割を占めているのは、残念ながらあなたの分野の建設廃材なんですね。そこで、これは非常に審議がぎくしゃくした一つでございましたが、私らからいうと、この建設廃材こそマニフェスト制度の対象にすべきなのではないかなと思ったのです。前、課長が答弁しておったのですが、どうも今の段階では無理だと言うから、では参考人を呼んでみる、こういうことで流れが来たが、いや十分に指導していくから、こう言うんだが、ではどのように指導するというのか、具体的にここで言明してもらいたい。これが建設省。
 第二は、これは厚生省ですが、今回の改正法により実施するマニフェストについて、産業廃棄物処理の指導監督権限を持った都道府県などにマニフェストによる廃棄物の移動状況が的確に報告されるようにしなければだめなんじゃないだろうかなと思います。皆さんもそう思うと思います。
 第三番目に大事なのは、政令によってやるというアスベスト含有製品、防腐剤の含有製品などを特別管理廃棄物に加えられるとするならば、現行法の建設廃材の中のアスベスト廃棄物や防腐剤などで処理されている庭木材、よくあります。庭木材はマニフェスト制度の適用対象となると私は思うんだが、それでいいかどうか。
 以上です。
#17
○小野説明員 お答え申し上げます。
 建設廃棄物対策につきましては、先ほどお話もいたしましたけれども、建設省としては大変重要な課題であると認識いたしております。このため、建設廃棄物の再生利用の促進と適正処理の推進につきまして、特に強力に実施をしているところでございます。
 再生利用の推進につきましては、先般成立をいたしました再生資源利用促進法により再生資源化、再資源化を強力に推進していくということにしておりますし、また適正処理の推進につきましては、廃棄物処理法等に基づく適正処理というものを引き続き建設業界等に強力に指導していきたい、こういうふうに考えております。
 マニフェストにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたけれども、行政指導から若干日が浅いということもございまして、建設省といたしましては、建設廃棄物に対するマニフェストの全般的な制度化というものにつきましては、例えば、中間処分場におきます減量化といったようなことから廃棄物の種類や容量が変化をするとか、あるいは他の事業者のものと混合したりするといったようなことがございますので、なお解決をすべき課題がかなりあるのではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、不法投棄防止対策としての一つの有力な方法であるということはもちろん十分認識をいたしておりますけれども、所管省でもございます厚生省と十分御協力をし、課題の解決に向けてなお一層努力していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#18
○下条国務大臣 業界に対しましては、建設廃棄物処理ガイドラインにより、今後とも建設廃棄物の適正処理の確保に万全を期したいと考えております。
 また、行政指導によるマニフェストは、その普及定着に努め、その状況を踏まえまして、マニフェストに関する法制度の適用範囲についてさらに検討したいと考えております。
 また、今回の改正法により実施するマニフェストについては、御指摘のような点を踏まえ、事業者の保存期間や知事への報告書の様式などについて、その実効性が上がるように措置してまいりたいと考えております。
 また、御指摘のアスベストにつきましては、建設廃材のうち飛散性アスベストについて特別管理廃棄物として指定し、マニフェスト制度の適用対象としたいと考えております。なお、防腐剤などで処理された庭木材の取り扱いにつきましては、今後検討してまいりたいと存じます。
#19
○川俣委員 アスベストについては、飛散性アスベストについて特別管理廃棄物として指定する、マニフェスト制度の適用対象としたい、こういう大臣のお答えですから、よしとします。
 しかし、建設廃材は、時間がないですからこれでやめますが、何といったって不法投棄事件というものの主役が建設廃材です。これから廃掃法が強く国民に訴えられれば訴えられるほど、建設廃材の捨て逃げが多いと思います。これは必ず将来問題となると思うので、今審議官がおっしゃったような決意でぜひ強力に指導していってもらいたい。ある人は、土建屋さんは金があるんだから幾らでも処理できる、こういう意見もあるけれど
も、やはりできればただで捨て逃げというのは多いのですから、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、厄介なフロンガスですが、これは通産省、環境庁、どうか立っていただけませんか。電気冷蔵庫などフロンガスを含む廃棄物からそれを抽出して、保管または無害化させる必要がありますね。そのため、これを特別管理一般廃棄物または適正処理困難物として市町村の責任で処理するのか、それともいわゆるフロンガス規制法を改正して製造業者の責任で処理するのか、もっと別の方法があるのか、これをここで確認したいのです。どうするのか。
#20
○鷲見説明員 フロンガス等オゾン層を破壊する物質につきましては、オゾン層の保護のためのウィーン条約、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書が採択され、国際的に生産等の規制が実施されておるところでございます。我が国としては、これらの国際的な取り決めを的確かつ円滑に実施するため、昭和六十三年、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律、いわゆるオゾン層保護法を制定し、特定フロン等の規制を行っておるところでございます。
 御指摘のように、フロン等の不必要な放出を防止することが重要であるとの観点から、オゾン層保護法におきましては、我が国独自の措置といたしまして、排出抑制、使用の合理化を促進するための指針を制定しておるところでございます。通産省といたしましては、産業界に対し、オゾン層保護問題に対する一層の努力を促すために、平成元年から毎年通産大臣からの要請会議を開催いたしておりまして、我が国として率先して本問題に取り組むべく指導しておるところでございます。
 冷媒等にフロンが使用されております冷蔵庫につきましては、現在その代替フロン化が進められておりますけれども、一方、その回収、分解技術の確立等にも取り組んでおりまして、大手電機メーカーの多くは、モントリオール議定書の期限でございます二〇〇〇年から全廃時期を前倒しいたしまして、一九九六年前後にはフロンガスを使用しないということを発表しておるところでございます。
 以上のように、冷蔵庫等に使われておりますフロンを初めといたしまして、今後とも回収技術等の確立を初めといたしまして、フロン対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#21
○丸山説明員 冷蔵庫などのフロン対策につきましては、代替物質の導入が進められますとともに、その回収、分解技術の確立に取り組んでいるところでございますが、環境庁といたしましても、冷蔵庫などを廃棄する際のフロンの回収や再利用の方策についてさらに技術的、社会的課題の調査検討を行いますとともに、関係省庁とも連携をとりながら検討を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#22
○川俣委員 時間がなくなりましたが、ごみというのは厚生省に任せるという時代じゃなくなったですね。やはりそれぞれの官庁にそれぞれの責任分野がある時代になったので、私はきょうあえて審議官とか主計官とか、各官庁にまたがって煩わして来てもらっております。
 放置自動車、自転車、船舶等、これは横浜でつい先だって条例をつくってやったというのが私の目にテレビニュースで入ったので、そういったものを参考にするといいなと思ったのですが、まず質問してみたいと思います。
 これは運輸省に特にお願いしたいのですが、港湾など公共交通の場所に長期にわ太って放置された自動車、自転車、船舶、それが捨てられたものなのかどうか、それぞれの場所を管理する地方公共団体などが迅速に確認する手続についてどうすることが適切と考えているのか、それを聞きたい。
 これは建設省も関係がありますが、例えば道路法や港湾法などに根拠規定を設ける必要があるのではないのだろうかな。これがないとなかなか、横浜の条例というのはそこに非常に限界があるようですが、それともそれぞれの地元自治体が条例によって対応すれば事足りると考えているのか。やはり関係省庁が協議検討をする必要があるんじゃないかなという観点で質問したいと思います。建設省と運輸省。
#23
○大辻説明員 御説明を申し上げます。
 放置船舶につきましては、一般的には、遺失物または所有者の不明な物件としまして、遺失物法や水難救護法によります規定に基づきまして、所有者の確認あるいは受取人のない物件の帰属等の手続により処理されていると承知しております。ただ、一部の自治体、例えば神戸市では、神戸市民の環境を守る条例で、放置船について廃棄物に認定して、これを処理することができる旨を定めておりますし、先ほど先生の御指摘にありましたように、横浜市でも現在、放置自動車の問題も含めまして、条例の制定を検討中といいますか、手続中であると伺っております。
 お話の中で、港湾法で確認方法等の規定を設けられないかという点がございました。これにつきましては、港湾法は港湾の秩序ある整備と適正な運営を図ることを目的としておりまして、放置船舶の廃棄物としての認定の処理手続などにはなじみにくいのではないかと考えております。仮に港湾法で手当てをいたすということになりますと、同じ船舶を対象にしまして、港湾に放置された場合あるいは漁港やその他の海岸あるいは河川、そういった場所、さらには陸域に放置されることもございます。そういう場合に取り扱いに差異が生じてくるといったような問題もあるかと思います。また、自動車や他の財物との取り扱いの差異も出てくるかと思います。そういう観点もございますので、港湾法の中での規定というのは余り適切ではないというふうに私どもは考えております。
 ただ、私どもの港湾の方でも、現状では港湾内に放置されました所有者の不明の船舶について、廃棄物であるかどうかの認定に時間がかかるということで非常に困っておりますので、今後所有者の不明な物件について、遺失物法等の手続法を所管する省庁とも御相談をして検討してまいりたいというふうに考えております。
#24
○山口説明員 お答えいたします。
 道路管理者といたしましても、道路を良好な状態に保ち、道路の安全性を保持する必要がございます。そういうことから建設省といたしましても、路上に放置されました車両の処理につきましては、各道路管理者に対しまして指導を行っているところでございます。
 すなわち、道路パトロール中に交通に支障を及ぼしている路上放置車両を発見いたしました場合には、セーフティーコーンを設置するなどの安全対策を講じました上で所轄の警察署に連絡をし、それが経済的価値が極めて小さくて、かつ放棄されたと認められる車両、いわゆるポンコツ車に該当するかどうかの判断をしていただきまして、その旨の回答がございましたものにつきましては、警察当局あるいは清掃当局の御協力をいただきながら撤去をいたしておるところでございます。
 建設省といたしましては、今後ともこういう措置が円滑に実施されていくように、警察当局を初めといたします関係機関との連絡調整を密にしてまいりたい、このように考えております。
#25
○川俣委員 これはみんなで協議してやらないと、各官庁にわたるので、必ずこれを検討してもらいたいと思う。
 それから、生活排水対策と合併処理浄化槽についてですが、結論は、普及拡大するのですよ。水の汚れはもう大変な問題なので、これにどう取り組もうとするのか、厚生省からお答え願いたいと思います。
#26
○下条国務大臣 御指摘のとおり、合併処理浄化槽は、生活排水を適正に処理し、公共用水域の水質の保全を図る上で非常に有効でありまして、多くの市町村が合併処理浄化槽設置整備事業に取り組んでおるところであります。
 厚生省といたしましては、今後とも、生活排水
対策の推進を図るために、合併処理浄化槽、コミュニティープラントの普及に取り組んでまいりたいと考えております。
#27
○川俣委員 最後ですが、第五条でしたか、廃棄物減量等推進員というのが出ておるのですが、できれば私は、分別ということを考えると、直接コーチをできる市町村自治体の職員が好ましいと思います。しかし、経験者も、かつて職員だったという人もかなりおりますから、そういったことを考えると、第一に、それが仮にボランティアである場合には、市町村の責務とされる一般廃棄物の処理業務の一部を担わされるものであってはならないんだと思います。肩がわりじゃいかぬと思いますね。そういう観点から質問します。
 第二に、市町村によってはこれを特別職公務員、例えばOBとか清掃業に携わった経験の豊かな人を配置することも考えられますが、その場合でもこの法律に違反しているとは言えないと思うのですが、これをひとつ確認しておいた方が我々は理解が深まるので、あえて質問を追加して伺いたいと思います。
#28
○下条国務大臣 廃棄物減量等推進員の件でございますが、一般廃棄物の減量のための市町村の施策への協力等を行うものでありまして、市町村の行うべき処理業務を肩がわりするものではありません。
 また、廃棄物減量等推進員につきましては、ボランティアを想定しているところでありますけれども、御指摘のような形で委嘱することは、法律に抵触しているとは言えないと考えております。
#29
○川俣委員 これで確認のあれは大体終わりましたのですが、まだ参議院の審議がございますので、非常に世の中の複雑性、それに対する処理のニーズ等が複雑になってきましたから、ぜひこれが参議院でさらに、我々がつくった附帯決議に基づいて修正できるものは修正して、万全を期していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#30
○粟屋委員長代理 遠藤和良君。
#31
○遠藤(和)委員 私は、最初に御報告を願いたいのでございますけれども、現在不法投棄されまして、土壌の原状回復が困難な事例はいかほどぐらいあるのか、お聞きしたいと思います。
#32
○小林(康)政府委員 不法投棄あるいは不適正処理をされました廃棄物の撤去が行われていない大規模な事例として、香川県の豊島のシュレッダーくずと福島県のいわき市の廃坑内の廃油の件がございます。厚生省としましても、これら不法投棄現場の原状回復措置につきまして、鋭意都道府県を指導しているところでございます。
#33
○遠藤(和)委員 廃棄物が不法に処分された場合の原状回復につきまして、現在の法令では、適切かつ迅速に行わせるための方策というのはどのようになっておりますか。
#34
○小林(康)政府委員 廃棄物処理法におきましては、都道府県知事は、不法投棄等の原状回復を原因者及び委託基準に違反した排出事業者に対して命じることができることとなっております。今回の改正法案におきましては、これに加えまして、措置命令の発動要件の緩和、処理業者の許可の際の経営基盤の確認、事業者の委託基準の強化を図り、原状回復が早急に行われるよう、また原因者の責任を追及しやすいよう措置しているところでございます。さらにこれらの措置が円滑に運営されますよう、都道府県を十分指導してまいるつもりでございます。
#35
○遠藤(和)委員 アメリカにはスーパーファンド法という法律があるわけでございますが、私は、都道府県知事が原因者に原状回復命令を出す、原因者が不明の場合は原因者にかわって知事が代執行することができる、そして代執行に要した費用は、原因者ばかりではなくて原因者に委託をした排出事業者にも求償できるようにする、こういったシステムをこの廃棄物法案の中にビルトインすべきだ、このように考えますが、どうでしょう。
#36
○下条国務大臣 廃棄物処理法におきましては、御指摘のように、都道府県知事は、不法投棄等の原状回復を原因者ばかりでなく委託基準に違反した排出事業者に対しまして命ずることができることとなっております。また、この命令が履行されず、都道府県知事が行政代執行法により代執行を行った場合は、その費用を委託基準に違反した排出事業者からも徴収することができることとなっております。
 不法投棄の原状回復に関しましては、諸外国の例も参考にし、廃棄物が不法に処理された場合の原状回復を適切かつ迅速に行わせるための方策について、今後さらに検討を深めてまいりたいと考えております。
#37
○遠藤(和)委員 ですから、ほかの法律でそういう代執行ができるということは理解できるのですけれども、私の希望としては、廃掃法の中にそういう規定を盛り込むように今後の課題として研究してもらいたい、こういう要望でございます。
 それから、バーゼル条約に加入できるように国内法制の整備を急がなければならないわけでございますが、加入に当たりまして問題点があります。それは、いわゆる水際規制の問題ですね。それと有害廃棄物の拡大指定の問題があるわけですが、現在、日本の国の有害廃棄物というのは、いわゆる水質汚濁防止法で有害物質に指定されておりますのは、カドミウム、それから鉛、六価クロム、砒素、シアン、総水銀、アルキル水銀、有機燐、PCB、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンの十一種類でございますね。
 ところが、バーゼル条約というのはかなり幅広く有害廃棄物を指定しておりまして、現在四十七種類だ。しかも、加入に当たっては留保ができないという仕組みになっているわけでございます。政府は、バーゼル条約に国際法上加入すべきだ、こういうふうな考え方で進んでいるようでございますが、やはり国内法を整備するということが大変大事なわけでございまして、その受け皿としてはこの廃棄物処理法の中で有害廃棄物を拡大をしていく、こういう考え方になろうかと思いますけれども、この辺の考え方を確認をしたいと思います。
#38
○下条国務大臣 バーゼル条約につきましては、次期通常国会を目途に、関連の国内法制を整備できるよう、関係省庁とも相談しながら努力してまいります。
 また、特別管理廃棄物に関しましては、有害廃棄物についての規制を強化する観点から、バーゼル条約の廃棄物リストに掲げられている品目について年次計画を策定いたしまして調査をし、それを行った上で必要なものについて特別管理廃棄物として指定をしてまいりたいと考えております。
#39
○遠藤(和)委員 それから、私はこの廃棄物処理法の歴史を見ておりますと、一番最初は汚物掃除法というのがありまして、それを清掃法にして、それから廃棄物処理法になったわけでございますけれども、まことにこれは木に竹を接いたような法律ではないのか、このように思うのです。
 これはそもそも清掃法の段階では、有害廃棄物が含まれない、いわゆる生ごみだとかし尿の処理を対象にしておりました。したがって、有害廃棄物という概念がなかったわけですね。例えば事業所から発生する事業系の廃棄物はすべて産業廃棄物とする、あるいは事業者の責務を明確にした産業廃棄物処理法というものを独立してつくった方がいいのではないか。事業系一般廃棄物というのがあるのですけれども、これは非常に奇妙な存在ではないのか、このように思いまして、私はもう一回抜本改正をした方がすっきりするのではないかと思うのです。
 市町村はあくまでも一般家庭からの廃棄物の処理に専念すべきである、産業廃棄物の処理というのは別の産業廃棄物処理法によるべきだ、このように抜本的にした方が大変わかりやすい仕組みになるのではないか、このように思いますが、いかがでしょう。
#40
○下条国務大臣 現在の廃棄物処理法は、時代の要請に応じて汚物掃除法、清掃法、廃棄物処理法
と発展してきたものでありますが、今回の改正案は、今後の時代に対応するため、生活環境審議会等の場で広い見地から検討いただき、できる限りの見直しの措置を講じ、提案しているものであります。
 なお、御指摘のような考え方があることは十分承知いたしておりますので、今後廃棄物行政を進める上で参考にさせていただきたいと考えております。
#41
○遠藤(和)委員 それから、今のごみ処理に当たりまして最大の地方自治体の懸案というのは、最終処分場の確保の問題ですね。これが大きな政治課題になっているわけでございますが、厚生省として最終処分場の確保をどのようにしていくのか。制度の面と予算の面、双方あると思いますけれども、地方自治体に対して十分な配慮をすべきだ、このように考えますが、厚生省の考え方はどうですか。
#42
○下条国務大臣 最終処分場の確保は極めて重要な課題でありまして、その整備を円滑に進めるためには、国民に信頼される安全性の高い最終処分場にすることが必要であることから、改正法案では許可制の導入等、各種の措置を講じているところであります。また、一般廃棄物最終処分場の整備に必要な予算につきましては、市町村の廃棄物処理に支障を来すことのないよう、関係省庁とよく相談いたしまして所要額の確保に最大限の努力をするとともに、産業廃棄物処理施設の整備についても、融資及び税制面での措置の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
#43
○遠藤(和)委員 この法案を提出する経緯の中で、最終処分場の確保を例えば都道府県知事に義務づけるなどの論議があったように伺っておりますけれども、今度の法律では、いわゆる廃棄物処理センターというものを第三セクター方式でつくることができるんだ、このようにしたわけですね。ところが、その出資割合というのはそれぞれの各地方に任されておる。こういうことになりますと、出資のあり方によっては、公共性だとかあるいは公平性を確保することが困難な状態になるのではないかということが危惧されるわけですね。
 そこで、どんな出資の割合にせよ、やはり廃棄物処理センターというものは公共性、公平性を確保すべきだ、こう考えるわけでございますが、この辺につきまして厚生省としてはどのように指導していくのか、これを確認をしておきたいと思います。
#44
○下条国務大臣 新たに設けられることになります廃棄物処理センターにつきましては、その運営が円滑かつ適正に行われるために、公共的性格が確保されるとともに、関係者に公平に開かれたものであることが不可欠であります。
 このため、センターの指定に当たりましては、地方公共団体の関与の度合いを参酌いたし行うとともに、その運営が適切に行われますように、廃棄物処理法その他の関係法令に定める監督権限に基づいて十分指導してまいりたいと考えております。
#45
○遠藤(和)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#46
○粟屋委員長代理 児玉健次君。
#47
○児玉委員 きょうは基本的な問題について若干お尋ねをしたい、こう思います。
 廃掃法の第三条で、事業者の責務について、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と明らかに示しております。このとおりやればいいんじゃないか、私はそう考えます。その点で昨年十二月の生活環境審議会の答申は、一歩前進した内容を持っていたと考えます。ところが、今回の改正案では、残念ながら事業者がみずからの責任で廃棄物を処理するという面で幾つかの点で後退している、このように思います。
 厚生省は、過去に、事業者に過大な責務を課すようなことがあってはならないという立場を示されていたことがありますが、過大な責務というのはそもそも何か。事業者がその事業活動に伴って生じた廃棄物をみずからの責任で処理する、それが法の明示することですから、そこには現状はほど遠いですね。どうやってそこに近づけるかということが今急務になっている。この点で厚生省の考えをお聞きしたいと思います。
#48
○下条国務大臣 いわゆる適正処理困難物についてでありますが、その種類が御承知のように多種多様でありまして、また、その製品の販売や使用の形態も極めて多岐にわたっております。したがいまして、いわゆる適正処理困難物について、一律に事業者に引き取りや回収をその責務として課することは適当ではないと考えております。ただ、今回の改正案において新設した適正処理困難物に関する事業者の協力の規定に基づきまして、市町村の協力要請にこたえ、事業者による協力の一環として引き取りや回収が行われる場合があることも考えております。
#49
○児玉委員 先日の私の質問に対して、厚生省は今大臣のお答えの一定部分については非常に具体的、そして積極的なお答えをいただいた、こう思っております。私が先ほど申したのは、適正処理困難物というのはあくまで事業者がその事業に伴って生じた廃棄物の一部であって、全部ではありませんね。法の三条の一項では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物」と全体的に述べているわけで、それをみずからの責任で適正に処理する、そこに向けて今後のこの分野の仕事全体を推し進めていく必要があるんじゃないか、こう考えておるのです。いかがですか。
#50
○小林(康)政府委員 事業者の責任、ただいま先生の御指摘になりました部分は、事業者がその排出した廃棄物につきましてみずから物理的に処理処分を行うということと、その廃棄物を適切に処理できる者に適切に委託をいたしまして処理をし、費用負担をするという範囲まで、広くその責任を定めているということに理解をしておりまして、必ずしもみずからが自分の手で廃棄物を最後まで、埋め立てないしはリサイクルに至るところまで物理的な責任を規定しているものではないというふうに理解をしております。そういう意味で、今回の法改正におきましても、事業者の責任、答申にございます精神に十分沿いました規定ぶりになっているというふうに承知をしております。
    〔粟屋委員長代理退席、野呂委員長代理
    着席〕
#51
○児玉委員 この課題は文字どおり国民的な事業ともいうべき問題ですから、この後厚生省の特別な努力を期待して、質問を終わります。
#52
○野呂委員長代理 柳田稔君。
#53
○柳田委員 今回のごみ法案は、我が民社党といたしましては、一歩前進だということで評価をさせていただいております。きょうもいろいろと確認質問がございました。またこれで十分だというふうには思えないわけであります。今後いろいろと解決していかなければならない問題も多々あるかというふうに思っております。この法案、中身そのとおり実施されることをまた望みますし、今後の厚生省のいろいろなごみ問題に関する姿勢も望みたいと思っております。
 もう私の質問で最後でございますので、最後に大臣のこのごみに対するお考えをお聞かせ願いたいと思っております。
#54
○下条国務大臣 廃棄物の処理を取り巻く深刻な状況に対応するために、一つには減量化、再生の促進、二つには適正処理の確保、三つには処理施設の整備、この三点を柱とした廃棄物処理法の改正をただいまお願いしているわけでございます。今後は二十一世紀をにらんだ廃棄物行政を積極的に推進することといたしております。
 廃棄物の発生量が増大し、その種類も多様化する一方で、廃棄物処理施設の確保が困難となってきておりまして、また、廃棄物の不法投棄等の不適切な処理が大きな社会問題となるなど、廃棄物の処理を取り巻く状況は極めて深刻となっております。このような状況に対応するために、ただいま申し上げた減量化、再生の促進、適正処理の確保、処理施設の整備等の三点を柱とした廃棄物処
理法の改正をお願いしているわけでありまして、今後は国会での御審議を十分配慮して、改正法が真に実りあるものとなるよう、廃棄物問題の解決に必要不可欠な国民の理解と協力を得ながら、二十一世紀をにらんだ新しい廃棄物行政の積極的な推進に努力していく考えでございます。
#55
○柳田委員 そのように努力をしていただきたいと思います。
 おとといも質問させていただいたのですが、ごみの施設の予算が非常に足りないという声も多々聞いておりますので、その予算獲得に向けても努力をしていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#56
○野呂委員長代理 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#57
○野呂委員長代理 この際、本案に対し、児玉健次君から修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。児玉健次君。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物
  処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法
  律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#58
○児玉委員 日本共産党を代表して、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明を行います。
 今回の改正案は、分別収集を制度化し、事業者に対して廃棄物の減量と適正処理への協力義務を求めたこと、特別管理産業廃棄物に限られたもののマニフェストシステムを導入したこと、廃棄物処理施設の設置を届け出制から許可制に改めたことなどは一定の前進であると言えるでしょう。
 しかし、改正案は、国民世論の求めるところからすれば、まだ極めて不十分です。特に、生活環境審議会の答申を大幅に後退させて、適正処理困難物の事業者による引き取り義務の設定を行わず、激増している事業系紙ごみの産業廃棄物の指定を見送ったことなどは重大です。
 日本共産党は、ごみ対策の抜本的強化を図るために、改正案に対して次の修正案を提起します。
 その主な内容について御説明いたします。
 第一に、市町村において適正な処理が困難になっている大型家電、バイク、マットレス、タイヤ、自動車などの廃棄物については、事業者が引き取るための必要な措置を講じなければならないこととします。また、適正処理困難物の指定に当たっては、市町村の意見が反映できるように審議会の意見を聞くこととします。
 使い捨て商品の製造、販売を抑制するために、事業者は、地方公共団体の施策に協力しなければならないようにするとともに、事業者に対し使い捨て商品、適正処理困難物の代替商品の開発、処理技術の研究開発を求めます。
 第二に、事業者に対し、製品が廃棄物となった場合の処理について事前に評価すること、乾電池、塩化ビニール製品、液晶製品など特に人体に有害なもの、処理中に有害な物質を発生させるものを特定製品等に指定し、廃棄物となった場合、人の健康、生活環境に被害を及ぼすおそれがある旨の表示を義務づけます。また、特別管理一般廃棄物については、市町村長の求めがあるとき、事業者が回収の措置を講じなければならないこととします。
 第三に、オフィスビルの紙ごみを産業廃棄物に指定し、すべての産業廃棄物にマニフェスト制度を適用します。産業廃棄物の不法投棄などによって住民や生活環境に被害を生じた場合、その処理を廃棄物処理センターの業務とし、費用は、基金に設ける別勘定により、事業者の負担とします。
 第四に、市町村長は、都道府県知事に対し、産業廃棄物処理施設への立入検査を求めることができるとするとともに、事業系ごみの中間処理を指示できることとします。
 第五に、政府に対し、瓶、缶などにデポジット制を大規模に導入するための法案提出を義務づけます。
 第六に、民活型大規模開発事業などについては、廃棄物発生量等の事前評価を行い、必要な処理計画を都道府県知事及び市町村長に提出しなければならないこととします。
 以上が修正案の内容です。
 委員各位の賛同をお願いして、趣旨説明を終わります。
#59
○野呂委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#60
○野呂委員長代理 これより本案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、児玉健次君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#61
○野呂委員長代理 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
 次に、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#62
○野呂委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#63
○野呂委員長代理 この際、本案に対し、粟屋敏信君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。網岡雄君。
#64
○網岡委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項につき格段の努力を払うべきである。
 一 事業活動に伴う廃棄物の処理費用については、事業者が適正に負担するよう指導すること。
 二 事業者は、製品等が廃棄物となった場合における処理の困難性をあらかじめ評価し、適正な処理が困難とならないような製品等の開発、適正な処理の方法についての情報の提供に努めること。
 三 廃棄物に関する情報の収集、整理及び活用に努めること。
 四 一般廃棄物については、分別収集、減量化・再生利用対策の推進を含め適正な処理が行われるよう、市町村の体制の整備に努めること。また、リサイクルセンターなど必要な施設の整備に努めるとともに、生活排水対策について十分な措置を講ずること。
 五 特別管理産業廃棄物管理票については、都道府県知事への報告書の様式及び事業者の保存期間などについて、実効性を高めるための措置を講ずること。
 六 マニフェスト制度については、特別管理産業廃棄物以外の産業廃棄物について行政指導による普及定着に努めるとともに、その状況を踏まえ、制度の適用範囲について検討すること。
 七 廃棄物処理業者に対する委託基準を強化するほか、廃棄物が不法に処分された場合の原状回復を適切かつ迅速に行わせるための方策について検討すること。
 八 廃棄物処理センターについては、公共性・公平性が確保されるよう配慮すること。特に、最終処分場の確保その他の業務並びに跡地管理が適正に実施されるよう、指導監督及び必要な支援について十分配慮すること。
 九 バーゼル条約に加入できるよう国内法制の整備を急ぐとともに、特別管理廃棄物の指定をできるだけ拡大すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#65
○野呂委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 粟屋敏信君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#66
○野呂委員長代理 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、下条厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下条厚生大臣。
#67
○下条国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#68
○野呂委員長代理 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○野呂委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#70
○野呂委員長代理 第百二十回国会、内閣提出、麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律茶並びに国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案の両茶を一括して議題といたします。順次趣旨の説明を聴取いたします。下条厚生大臣。
    ―――――――――――――
 麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法
  律案
 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を
  助長する行為等の防止を図るための麻薬及び
  向精神薬取締法等の特例等に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#71
○下条国務大臣 ただいま議題になりました麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、世界の多くの国々で、麻薬、向精神薬等の薬物の乱用が増加してきております。
 我が国では、乱用される薬物に対しては、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法等により、その輸出入、製造等について厳しい規制を講じてきたところでありますが、世界的な薬物乱用の傾向が我が国へも波及することが懸念されております。
 薬物の乱用防止のためには、その密造や不正な取引を厳しく取り締まる必要がありますが、国際間の人的物的往来が増大した今日にあっては、薬物の乱用を一国の努力のみで解決することは極めて困難であり、国際的な協力のもとに薬物の不正取引を防止する体制を整備していくことが不可欠であります。
 政府といたしましては、以上のような状況にかんがみ、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の批准に備え、かつ、我が国における薬物の乱用の防止を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。
 まず、麻薬及び向精神薬取締法の一部改正について申し上げます。
 第一に、麻薬及び向精神薬の原料物質の輸出入、製造及び販売を業として行う者について届け出制度を設ける等必要な規制を行うこととしております。
 第二に、外国でみだりに麻薬の輸出入、製造等を行った者を我が国で処罰できるようにする等罰則の整備を図ることとしております。
 このほか、大麻取締法、覚せい剤取締法及びあへん法の一部を改正し、外国でみだりに大麻、覚せい剤等の輸出入、製造等を行った者を我が国で処罰できるようにする等罰則の整備を図ることとしております。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、麻薬、向精神薬等の薬物乱用問題は世界的な広がりを見せており、このような問題の根本的な解決のためには、国際的な協力のもとで、薬物の不正取引を監視する体制を整備するとともに、薬物犯罪による不法収益を剥奪する等薬物に係る不正行為が行われる要因を除去する必要があります。
 政府といたしましては、以上のような状況にかんがみ、麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案と相まって、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の批准に備え、かつ、国際的な協力のもとに規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、薬物犯罪の捜査のために必要と認められる場合には、入国審査または通関の際に、規制薬物を所持する疑いのある者等の上陸等を認めることができることとしております。
 第二に、金融機関等は、その業務において収受した財産が不法収益である疑いがある場合には、必要な事項を主務大臣に届け出ることとし、検察官等は、その記録を閲覧することができることとしております。
 第三に、不法収益の発生の原因やその取得等につき事実を仮装し、または不法収益を隠匿した者等を新たに処罰の対象とすることとしております。
 第四に、不法収益である財産につき没収及び追徴の制度を整備するとともに、没収等のための保全及び没収等に関する国際共助の手続を定めることとしております。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#72
○野呂委員長代理 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#73
○野呂委員長代理 これより両案について質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。網岡雄君。
#74
○網岡委員 今提案をされました麻薬問題について御質問申し上げたいと思います。
 麻薬問題は、今日ほど世界的に、また全人類にとっても深刻な問題になっているときはないと思うのであります。第三十四回の国連麻薬委員会資料によりますと、一九八九年の世界の薬物の不正取引の状況は、押収量ではコカインが著しく増加しておりまして、全世界のコカインの押収量は二百五十五トンで、五年間で実に五倍という数字を数えておりまして、これは近年非常に驚くべき増加を示しているわけでございます。また一方、コカインの喫煙用の製剤であるクラックの流行がアメリカにおいては重大な社会問題となっております。クラックというのは比較的低価格で製造が可能でございまして、さらに中毒になりやすいことから、不正取引の対象とされていることが多く、大きな脅威となっている状況にございます。
 そして、九月十八日に発行されたばかりでございますが、官報資料版の中に「警察白書のあらまし」が掲載されております。これに「薬物問題の現状と課題」と題しましてアメリカの報告がなされておりますが、これも内容を見ますと、その汚染の状況はかなり深刻なものを示しておりまして、アメリカの薬物乱用の現状は、一九九〇年では十二歳以上のアメリカ国民の三三%が大麻に汚染され、一一%がコカインの乱用経験を持っている人たちだと指摘されているわけでございます。したがって、薬物入手を目的とする犯罪がアメリカでは増加の傾向を示しておりますし、今やアメリカ社会にとりましては、まさに恐るべき麻薬汚染の実態が明らかにされているのでございます。
 そこでお尋ねをいたしますが、世界の薬物乱用の状況がどのようになっているのか、お尋ねをします。また、特にアメリカでの麻薬の汚染、乱用の状況についてお答えをいただきたいというふうに思います。
#75
○川崎政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、近年、世界の多くの国々でヘロイン、コカイン、大麻などの麻薬の乱用が増加しているところでございます。
 国連の報告等に基づいて申し上げますと、コカインにつきましては、南米のコロンビア、ボリビア、ペルーでコカの葉から製造されまして、主に米国に、一部はヨーロッパに密輸されまして、乱用が急速に広まっている状況でございます。特に乱用が問題になっております米国では、その常用者は約百六十万人と報告されております。今先生のお話もございましたように、一九八九年の世界全体でのコカインの押収量は約二百五十五トンと言われておりますが、さらに十年前と比較いたしますと、約三十倍に増加しているというふうに言われております。
 また、ヘロインにつきましては、東南アジア、すなわち、タイ、ラオス、ミャンマーのいわゆる黄金の三角地帯と言われるところ、さらに南西アジアのイラン、パキスタン、アフガニスタンの黄金の三日月地帯と言われる地域でケシから製造されまして、種々のルートをたどりまして欧米に密輸されているところです。特に、米国ではヘロインの常用者が約五万人と報告されております。十年前に比較いたしますと、ヘロインの押収量は約十一倍であるというふうに言われております。
 また、大麻につきましても多くの国々で乱用されているところでございますが、特に米国ではマリファナ、すなわち大麻たばこの常用者が約一千二十万人というふうに報告されている、こういったような状況でございます。
#76
○網岡委員 同じく先ほどの国連の資料によりますと、注目すべき指摘がございます。それは、南北アメリカにおけるコカインの押収量が著しく増加しておるわけでございますけれども、そのことは、いわゆる取り締まりの体制が非常に強化をされてきている、こういう状況がありますために、この地方の麻薬密輸業者がそれを避けて新たなルートを開発する、こういう戦略を立てつつあるということが報告をされておりまして、その一つとして、南米の密輸業者がコカインの新たな販路として日本に目を向けつつあるということが指摘をされているのでございます。
 日本のコカインの押収量の増加は、日本で乱用されている覚せい剤の薬理作用がコカインと極めて類似している点に着目したコロンビアの麻薬シンジケートが、日本をターゲットとして販路の獲得をもくろんでいるのではないかと、国連はこの報告の中で日本に警告を発しているわけでございます。
 そこで、こういうことを踏まえながらお尋ねをするわけでございますが、日本における薬物事犯の状況は一体どうなっているのか、要約をいたしまして簡単にお答えをいただきたいと思います。
#77
○川崎政府委員 我が国におきます最近の薬物の乱用状況につきましては、覚せい剤の乱用というものが最大の問題でございます。覚せい剤取締法違反の検挙人員は、平成二年で申し上げますと約一万五千人となっておりまして、二年連続して減少はしておりますけれども、押収量は依然として多いことから、乱用は根強く継続しているというふうに考えられます。
 一方、平成二年の麻薬及び向精神薬取締法違反で検挙された者が二百四十名、特に御指摘のございました最近世界的に広まっておりますコカインにつきましては、我が国におきましても密輸、密売される事例が増加しっっございます。平成二年には検挙者が百十三名、押収量は前年の約五倍で、史上最高を記録いたしております。今後十分な警戒を要するのではなかろうかというふうに考えております。
 また、大麻事犯につきましても、検挙された者が平成二年で一千六百二十名、これも史上最高を記録いたしております。特に乾燥大麻の押収が百八十九キログラムというふうな状況になっております。
#78
○網岡委員 新聞の報道によりますと、ことしの五月にアルゼンチン国籍の者がコカイン五・七キロを密輸入しようとして、成田空港で逮捕された事例がございます。ボリビアでコカインを二万ドルで購入して、日本で働きながら売ろうとしたという。これは日本が麻薬市場としてねらわれているという一つの生きた実例だというふうに思うわけでございます。
 同時に、もう一方におきましては、ことしの七月に、台湾人がヘロイン十九キロを保持していたところを逮捕された事例がございます。タイから香港を経て日本に持ち込まれたらしい大量のヘロインが、この同ルートでアメリカに流れているようだと新聞は報じているわけでございます。
 この二つの特徴的な一つのルートを見ますと、一つは密輸ルートの最終地点として日本がねらわれている。これは原産地のメデジンのところでは、一キロ本円に直しまして二十二万円。それがアメリカ、フランスとかそういうところと比較しできますと、アメリカは大体十倍、フランスは十六倍。日本の場合ですと、業者価格の段階で百五十倍、末端の消費者の段階に移る場合には三百倍、こういう非常に高価な形で、しかも利益率の大きい状況にありますために、一つは販売の最終点として日本がねらわれている。
 もう一つは、日本の通関が非常に厳しい、こういうことがございまして、日本を中継地点として他の国に移っていく場合には、比較的容易に通関することができる、こういうことがありまして、日本が麻薬を初めとする薬物を中継していく有力な地点として考えられているということがあるわけでございます。
 こういうことからいきますと、日本の位置というのは極めて重要でございまして、今後密輸をさせないためには、水際対策というものを積極的にやっていただかなければならないと思うのでございます。
 その点で御質問申し上げますけれども、密輸について税関ではどのような対策が講じられているか、お尋ねをいたします。
#79
○角崎説明員 お答え申し上げます。
 税関におきましては、こういった不正薬物の密輸取り締まりということを最重点課題の一つと位
置づけておりまして、情報収集の強化あるいは麻薬探知犬、エックス線によります手荷物検査装置等、取り締まり機器の整備充実を図っているところでございます。また、警察等の関係取り締まり機関との連携を密にいたしまして、重点的かつ効果的な取り締まりを行っておるところでございます。
 さらにもう一つつけ加えますれば、不正薬物を効果的に取り締まるためには、国民の方々一般の御理解と御協力を求めることが不可欠だというふうに考えておりまして、広く旅行者あるいは地域社会に対しまして積極的な広報活動も行っておるところでございます。
#80
○網岡委員 それでは次に質問を移しますけれども、今までの経緯の中で明らかになったところでございますが、薬物の不正取引というのは今や世界的な規模で広がっているわけでございます。この取り締まりも、世界各国が協力して実施していかなければ、実行の効果というものが期待できない状況にございます。このためには、麻薬等の取り締まりの国際条約としては、これまで麻薬に関する単一条約と向精神薬に関する条約が締結されてきたところでございますが、さらに今回強力なものとするために、一九八八年に締結された麻薬新条約が本議会においても議決をされたところでございます。
 そこでお尋ねをいたしますが、まずこれらの三つの条約はどのような関係にあるのか、そしてまたなぜ新しい麻薬条約というものが必要になっているのか、このような点につきまして、その背景も含めてお答えをいただきたいと思います。
    〔野呂委員長代理退席、粟屋委員長代理
    着席〕
#81
○鈴木説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、既に麻薬に関する単一条約と向精神薬に関する条約、この二本の主要な条約がございます。この二条約につきましては、その製造、取引、分配、使用、こういったものについて免許または許可、これは各国の国内措置でございますが、そういったものによりまして利用を制限し、乱用を防止するということでございます。
 他方、こういう各国内の措置、これでは不十分だという意見が近年特に高まっておりまして、特に先ほどからお話がございますように麻薬の国際取引、こういったものが大変活発になっている。それから、例えば運び屋を捕まえても麻薬の犯罪の全貌がつかめない、こういった手口が巧妙化しているといった問題がございます。または不正取引から生じた収益の隠匿、偽装といったことで新しいマネーロンダリング、こういうものが大変活発に行われている。こういった状況を踏まえまして、こういったものに一層の国際協力を行って強化をしていく、こういった認識が強まりまして、それを背景といたしまして新しく麻薬新条約というものが採択された状況にございます。
#82
○網岡委員 それでま、麻薬新条約の批准の状況についてお尋ねをいたしますが、今世界各国で批准を既に完了している国というのは一体幾つか。そして二つ目には、サミット参加国といたしましては、聞くところによりますと日本とドイツのみがまだ未批准であるということでございますが、ドイツの批准というのは一体いつごろの見通しになるのか、お尋ねをいたします。
#83
○鈴木説明員 ただいままでに批准をいたしました国々といたしましては、本年八月二十六日現在の数字でございますが、国としては四十六カ国ございます。さらに欧州経済共同体もこの締結を行っております。
 サミットの諸国としては、先生御指摘のとおり、米国、カナダ、イタリア、フランス、イギリスといったところが締結をしております。日本とドイツがまだ未締結ということでございますが、特に御質問のドイツにつきましては、麻薬新条約の早期締結、こういったものを図るべく国内で国内法の作成作業を進めているという状況でございます。ドイツとしてはできるだけ本年中に作業を終了して議会審議に諮りたい、こういった意向と承知しております。
#84
○網岡委員 ドイツの状況についてお答えがございました。そういう意味で、日本もやはり批准を急いでいかなければならない状況でございますが、ぜひひとつそれに向けて御努力をいただきたいと思うわけでございます。
 そして、次にお尋ねをいたしたいのですが、今度のこの法案は新条約を批准させるためのものと聞いているわけでございますけれども、条約との関係についてはどういうものなのか。それから、さきの国会で麻薬新条約の締結が承認されたところでございますが、批准手続としては一体どんなものがあるかということをこの際詳しくお答えいただきたい。
#85
○鈴木説明員 お答えいたします。
 現在御審議いただいております麻薬関係の二法案でございますが、これは先ほども先生御指摘のとおり、さきの通常国会で御承認をいただきました麻薬新条約の本体そのものを国内的に実施するために、新たに国内的に整備を要する事項について定めたものでございます。したがいまして、この二法案の成立によりまして、麻薬新条約の国内実施のための国内法体制というものが整うことになります。
 さらに、今後の手続についての御質問でございますが、現在御審議いただいておりますこの二法案が成立した後、この二法に基づきます政省令、それから没収保全のための手続を定めます最高裁判所規則、こういったものを施行する必要がございます。この施行を待ちまして、その後にこの条約が日本に効力を発揮するといったことが望ましいわけでございまして、私どもこの国内法体制、それから各規則等の施行を待ちまして、締結のための所要文書の寄託といったものを国連に行うこととしております。
#86
○網岡委員 一応そういう手続の関係を今御説明になりましたが、ドイツがそういう状況であるというならば、やはりそれに余り差のないような状況で推進をしていただきたいということを要望します。
 次に、先日、去る二月に国連アジア・太平洋経済社会委員会主催のアジア・太平洋地域麻薬対策高級事務レベル会議が日本で開かれております。これは御案内のように、アジアというのは麻薬の世界での二大生産地を抱えているところでございまして、その意味で日本はアジアの一つの国として、しかもアジアの国々のリーダー的な役割を果たしていく日本でございますから、麻薬対策を推進していく意味におきまして、この高級事務レベル会議が持たれたということは非常に注目すべきことだと思うわけでございます。そこで、この会議で一体どんなことが行われたかということについて若干お尋ねをしたいのでございます。
 まず、この会議はどんな目的を持って行ったのか。それから参加国は一体どの程度のものであったのか。議長国は、日本で開かれたのですから恐らく日本だと思うのですが、議長国はどこの国か、複数なのか単数なのか。また、会議の結果どのようなことが決まったのかということについてお尋ねをいたします。
#87
○鈴木説明員 お答えいたします。
 本年二月のアジア・太平洋地域麻薬対策高級事務レベル会議の目的でございますが、麻薬問題についての国際的な取り組みといった努力が特に昨年大変強まりまして、昨年初頭の国連におきます麻薬関係の特別総会、ここで世界全体のグローバルな取り組みの強化、こういったものが申し合わされました。その中で、特に全世界の協力強化、地域での協力強化、それから各国内での取り組みの強化、こういった三つのレベルでの協力の強化の必要性が求められておりまして、私ども、このうちの地域での取り組みについてはさらにこれを進めていかなければいけないという認識に立ちまして、本年二月にこの地域レベルの会議を招請したわけでございます。
 そこで、参加した国々は、アジア・太平洋経済社会委員会加盟国四十六カ国、そのほか国連の薬
物乱用統制基金に協力して出資をしている主要国、そういったものでございます。それからあと、国際機関としても十三機関が参加しております。
 議長国には日本が就任いたしまして、国連の麻薬関係を担当する機関がウィーンにございますが、ウィーンの国際機関日本政府代表部の遠藤哲也特命全権大使が議長を務めました。
 この会議の成果でございますが、非常に熱心な討議が行われておりまして、その結果、東京宣言が採択されました。中でも日本が提案しました、例えば国境地帯で麻薬の代替作物を奨励する共同プロジェクト、こういったものを推進するといった新しい手法をアジア地域で展開する麻薬対策のための調整センター、こういったものを設置したらどうかという提案を行いまして、この設立提案が歓迎されております。こういうことで、非常に有意義な成果が得られたと考えております。
#88
○網岡委員 今御答弁がありましたほかにも、参加をいたしました四十六カ国の会議の中で、いわゆる麻薬新条約の批准を推進するとか、あるいは今お答えいただいたわけでございますが、アジアにおける一つの中核的な麻薬対策を推進していくセンターといたしまして、地域調整センターというものの設立をするというようなことが決められた、こう聞いておるわけでございます。
 そこで、重ねてお尋ねをいたしますけれども、地域調整センターの設立というのは一体いつごろ設立されるような運びに想定されているのか。それから、このセンターでの役割というものについて重ねてお願いを申し上げる次第でございます。特に、日本が議長として開催をいたしました会議であるだけに、そこで決まりました内容については、特にこの地域調整センターの設立ということにつきましては、やはり日本が財政的な面、人の面、いろいろな面で積極的な役割を果たしていかなければならぬ。国際的な責任を負っている、こういうふうに思うわけでございますが、そういう意味で、一体このセンターの設立について現時点での国の考え方、そして一定の見通しというものを明らかにしていただきたい。
#89
○鈴木説明員 お答えいたします。この調整センターに関する作業でございますが、基本的には、この東京宣言の趣旨を踏まえまして全く新たな機関を設立するということではなくて、既存の国連薬物統制計画、これは国連の機関でございますが、この機関を拡充していくといった形で設置しようと考えております。
 今後のめどでございますが、現在この薬物統制計画の方で素案をつくっておりまして、第一案といういわゆるたたき台といったものは私ども既に入手しておりますけれども、これからその素案についての検討がさらに進められると承知しております。その素案に基づきまして関係各国との調整を経て、この構想が取り進められていくと思っております。特にこの十月以降、この作業が早急に進められると思います。日本といたしましてもこの調整作業に積極的に加わっていく方針でございまして、センターの早期実現、設置といったものについてリーダーシップをとっていく意向でございます。さらに、このセンターの運営に向けての所要経費といったものについても、日本といたしまして応分の貢献をいたしたいと考えております。
#90
○網岡委員 お答えがありましたが、先ほども申し上げましたように日本はアジアにおけるリーダーでございますから、ぜひひとつリーダーシップを発揮して、地域調整センターの設立に向けて全力を挙げて頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、麻薬二法案の問題についてお尋ねをいたしますが、まず麻薬二法案の趣旨、概要について、これは簡潔で結構でございますが、お答えいただきたい。
#91
○川崎政府委員 麻薬二法案は、今お話がございましたように、先国会で御承認いただきました麻薬新条約の内容を担保いたしまして、薬物乱用防止のための国際協力の一層の推進に資すると上もに、我が国におきましても薬物乱用の防止に資するためのものでございます。
 具体的には、麻薬関係法の改正法におきましては、麻薬や向精神薬のみならず、その原料となる物質につきましても届け出等の規制を設けること、あるいは国外で行われました薬物犯罪につきましても国内で処罰できるようにすること、こういったことを内容といたしております。
 一方、特例法におきましては、密輸されました薬物を当局が知りつつ通関させて、追跡して逮捕するという捜査手法を導入いたしますとともに、薬物犯罪から得られました不法な収益を隠匿したり、その取得や処分に当たって事実を仮装したりする行為を処罰するということにいたしております。そのほか、麻薬によります不法収益を没収する制度や、没収につきましての国際共助の手続につきましての規定を設けることといたしている、以上が内容でございます。
#92
○網岡委員 今お答えがありました法案の中身に入って質問させていただきたいと思うのでございますが、一つはマネーロンダリングでございます。麻薬の不正収益の没収とマネーロンダリング罪の新設は麻薬新条約の目玉でございまして、麻薬二法案の目玉でもございます。
 そこで、まず一体この麻薬によってどれぐらいの不正収益が出ているのかということについてお尋ねをいたしたいわけでございます。アメリカの経済誌で「フォーチュン」という雑誌がございますが、それによりますと世界の薬物の不正取引は年間約五千億ドル、日本円に直しまして七十兆円と言われているわけでございます。アメリカだけでも少なくとも一千億ドルと言われておりまして、邦貨に直して十四兆円に相当するというふうに言われているわけでございます。これは非常に大変な市場であるわけでございますけれども、日本の薬物の不正取引による収益というものは一体どの程度のものになっているのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
#93
○横尾説明員 お答えいたします。
 覚せい剤の密売を中心といたしまする薬物不正取引による収益は、暴力団にとりまして最大の資金源になっております。警察庁が平成元年に行った調査では、暴力団の年間収入は約一兆三千億と推定され、その約三五%に当たる約四千五百億円が覚せい剤の密売によるものと思われます。
#94
○網岡委員 証券・金融問題でも問題になっておるところでございますが、正本における暴力団の資金的な活動、それから暴力団の経済界に及ぼしていく影響というものは最近非常に目に余る状況にございます。そして、今お答えをいただきましたが、三五%といえば、恐らく暴力団収入の最大のものになっているというふうに思うわけでございます。このことは、麻薬とか覚せい剤というものが、日本で少ないとは言われていますけれども、なかなか撲滅できないという状況にあります背景の一つは、暴力団が組織的に密売をするという供給体制ができている。そのことを軸にしながら、密売をすれば莫大な収益が転がってくる。
 先ほど国際的な価格の倍率を申し上げましたが、そういうような関係で非常に収益率がいいということで、麻薬密売というものがターゲットにされている状況にございます。この密売によって莫大な収益を得た組織が、その収益をもとにしながらさらに暴力団の組織を拡大していく、そして、密売体制をさらに強化していってまたさらに大きな収益を上げていく、こういう図式になっているというふうに思うわけでございます。この体制を打ち崩していくためには、やはり不当、不法な収益の没収、または強力な法的な手段というものが今日の時点では必要だというふうに思っているところでございます。
 そこでお尋ねをいたしますが、これまで薬物犯罪の不法収益についての没収が効果的になされなかったのはなぜか、また、今回の特例法によれば没収の効果を十分上げることができるのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
#95
○古田説明員 まず、これまで薬物犯罪による不法な収益がどうしてうまく没収できなかったかと
いうことについて、主な理由を申し上げます。
 一つは、現在の没収の規定は、物がなければ没収ができない。つまり、例えば売り上げたお金を現金で受け取った場合でないと没収ができない。銀行振り込みみたいな形になりますと、これは形がないものですから、それは没収の対象にならない、こういう問題があったわけでございます。
 それともう一つ、今委員御指摘のように、暴力団が覚せい剤の密売などをやっておりますのは、いわば商売としてやっているわけでございまして、何度も繰り返してやって、それで利益を上げている。しかしながら、没収をするためには、一つ一つの取引について、だれにいつ売ったというようなことを細かく立証して、それを起訴してやらなければならなかった、こういうような点に没収が働かない主な理由があったわけでございます。
 今回御提案申し上げております特例法におきましては、まず第一点の、物がなくても、例えば銀行預金の形のものを没収ができるようにする、こういうような点が一つございます。それからもう一つは、覚せい剤などの密売をいわば商売としてやるということ自体を犯罪とする。したがいまして、商売としてやったということが立証できて、それで幾らの利益が上がったということがわかりますれば、これを没収することができる。こういう点で、今後この特例法が成立いたしますと、没収については相当しっかりした剥奪ができるというふうに考えております。
#96
○網岡委員 時間が迫っておりますので、少し質問を割愛させていただきまして、進めていきたいと思います。
 マネーロンダリングを防止するために、昨年から金融機関においては本人確認を徹底させているところであります。この対策について、大蔵省が指導通達などを出しながら、銀行、金融機関を指導なさっておるわけでございますが、その内容についてお聞かせをいただきたい。
 それから、今回の法案では金融機関に疑わしい取引の届け出義務というものを課しているが、その趣旨は一体どういう目的なのか。そしてまた、不法収益である疑いがある場合とは、不法収益という疑いが持たれるものとは一体どういうようなケースのものなのかということを、代表的なもので結構ですから、お答えをいただきたいと思います。
#97
○福田説明員 お答えいたします。
 大蔵省といたしましては、マネーロンダリングを防止するために、行政措置により対応可能な事項につきましては昨年の六月に通達を発出し、お尋ねの本人確認等を十月から実施しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、まず、口座を開設する場合や大口の現金取引などを行うに当たりまして、運転免許証、旅券、年金手帳、健康保険証などの公的または他の信頼できる証明書類に基づき本人確認を行う、また次に、顧客の本人確認に関する記録あるいは取引記録を少なくとも五年間保存するということでございます。さらに、麻薬等の薬物の不正取引の取り締まりに当たりましては、裁判所及び捜査・取り締まり機関に対して法的に可能な限り協力するというような点が主な内容でございます。
 次のお尋ねの今回の法案におきます疑わしい取引の届け出制度でございますが、その趣旨は、金融機関が取り扱う金融取引のうち、薬物犯罪に係る金融取引であるとの疑いがある取引についての届け出を金融機関に義務づけまして、マネーロンダリング罪等の薬物犯罪の捜査に役立てようとするものでございます。それが趣旨でございます。また、副次的には、金融機関が提供するサービスあるいは決済システムを麻薬犯罪者が利用することを防止することによって、金融機関及び金融システムへの国民の信頼が損なわれることのないようにしようとする趣旨もございます。
 最後のお尋ねの疑わしい取引とは何かということでございます。大変難しいお尋ねでございますが、金融機関がその業務を遂行するに当たり収受した財産が不法収益等である疑いがある場合、または取引の相手方が不法収益等を隠匿している疑いがある場合を指しているわけでございます。ただ、何が疑わしい取引に該当するかということになりますと、やはり具体的な事情によるところが大きいと思われます。金融機関が取引ごとにケース・バイ・ケースで判断することとなるわけでございます。一例を挙げるとすれば、例えばでございますが、麻薬生産国に対しまして頻繁に多額の海外送金を行っているというような場合等が考えられるのではないかということでございます。
#98
○網岡委員 後で伊東委員からも質問があると思うのでございますが、一点だけ確認の質問をさせていただきたいと思うのでございます。
 財産の没収ということについてでございますが、この法案では、没収の対象となる財産の範囲が従来よりも拡大されたということが記されているわけでございますが、これも薬物犯罪に関係している、こういうことに限って適用されるものである、こう考えてよろしゅうございますか。その点についてお答えください。
#99
○古田説明員 御指摘のとおりでございまして、特例法第二条に決めております犯罪、それから得られた収益に関するものだけが今回の財産の没収の範囲の拡大ということになります。
#100
○網岡委員 時間がありませんので次に移りますが、それではもう一つの目玉でありますコントロールドデリバリー、この問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 質問の一つは、相手国の機関から情報提供があった場合はコントロールドデリバリーが可能だというふうに思いますが、今までコントロールドデリバリーができなかったのはどんな理由なのかということについて、まずお尋ねいたします。
#101
○川崎政府委員 ただいまのコントロールドデリバリーにつきましては、密輸麻薬が隠匿されていることを当局が知りつつも、捜査のためその貨物を上陸させ、これを監視して犯罪の首謀者を特定するという捜査手法でございます。
 従来、我が国では入管法とか関税法、関税定率法といった法律に基づきまして、麻薬は例外なく水際で阻止するという制度になっていたわけでございまして、かかる捜査手法は行えなかったものでございます。今回御提案申し上げております新法におきましては、こういった各法の特例を設けまして、麻薬新条約批准に必要なコントロールドデリバリーを可能といたしたものでございます。
#102
○網岡委員 時間がありませんから次の質問に移りますけれども、これを見まして、確かにこのコントロールドデリバリーというものが採用される今度の新法は、麻薬取り締まりに当たりましてかなり大きな効果を持つということを私どもも感じているところでございます。けれども、一つこの運用を間違えますと例えば薬物が拡散してしまう、こういうようなことも心配されるわけでございます。こういう失敗がないように、コントロールドデリバリーを今後どのように実施していくのか、具体的な実施方法をこの際明らかにしていただきたいと思います。
#103
○川崎政府委員 コントロールドデリバリーは、捜査機関があらかじめ我が国への麻薬等の持ち込みが行われるといったような具体的な情報が得られた場合に実施をすることになります。捜査機関は、国内に持ち込まれました麻薬等につきまして、それが首謀者に到達するまでの間を確実に監視できる準備を整えた上で、入国審査あるいは通関に際しまして、麻薬等の所持の疑いのある人物または麻薬等が隠されている貨物を入国または通関させるよう、法務大臣または税関長へこの法律に基づいて要請を行うことになります。
 捜査機関の要請に応じまして入国させました人物あるいは通関させました貨物につきましては、これらが犯罪の首謀者に到達されるまでの間、尾行等の監視を行いまして、首謀者に到達した時点で関係者を効果的に検挙するということになるも
のでございます。
 なお、このコントロールドデリバリーの実施途中におきまして、容疑者の逃亡とかあるいは麻薬等が散逸するというおそれがある場合には、その時点で直ちに検挙あるいは麻薬の確保を行うということになるものでございます。
#104
○網岡委員 ぜひひとつそういうことにならないように。
 それから同時に、今から御質問を申し上げますが、確かに制度としてはいいわけでございますけれども、この法律の運用は、一つ間違えますと人権問題に触れていくような内容を多分に持っております。しかし、私はこの麻薬二法というものは、今の時点では、前段で私も指摘をさせていただきましたが、日本が麻薬の大きなターゲットとしてねらわれている状況、それから国際的な日本の責任、こういうものから考えてみまして、この法案の成立というものはやはりどうしても必要なものだということを感じているところでございます。
 しかし、この麻薬二法を判断をいたしていきます場合に、特に私はこの法案の運用についてぜひ御注意をいただきたいというふうに思うわけでございますが、まずこの法案の運用に当たっては、例えば財産の没収とかいろいろな人権にかかわっていくようなものをやっていきます場合には、これは麻薬にかかわるものだ、そして麻薬に関する国際的責務を遂行していくためにやられる特別措置である、こういうことを前提条件といいますか、運用の柱としてやっていただきたいということをぜひ要望するわけでございます。
 そして、その運用に当たっては不当に人権を侵害することのないように、また、この法律の運用に当たっては厳正、公平に進めていくものであるということが必須の条件であるというふうに思うわけでございますが、ぜひひとつこの二つの点につきまして、最高責任者である厚生大臣の御答弁をいただきたいというふうに思います。
#105
○下条国務大臣 ただいまの二点は大変重要なところでございます。委員御指摘の御意見のとおり私は考えております。
#106
○網岡委員 それでは最後でございますが、予防啓発の問題についてお尋ねいたします。
 薬物の乱用は本人の健康をむしばむだけではなくて、家庭を崩壊させ、社会的問題を引き起こし、一つ間違えば国の存亡にかかわる重大問題でございます。日本は外国に比べれば、現段階では比較的薬物の汚染の程度は幸いにして小さい状況にございます。しかし、質問の経過の中でも明らかにしたところでございますが、やはり日本が金持ちの国、経済的にも強い国、こういうことになっている現状から見まして、麻薬による収益の非常に効率のいい国、こういうふうに日本がねらわれている形跡は非常に顕著でございます。現に国連の報告の中にも指摘されているところでございます。こういうところからいきますと、薬物乱用は一たん広まってしまいますと、その撲滅は非常に困難でございます。ぜひひとつ、薬物の取り締まりも重要でございますけれども、乱用が広がる前に未然に乱用を防止していくことが一番大事な問題だ、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、最後にお尋ねをいたしますけれども、薬物乱用問題に対する取り組みについて、厚生大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#107
○下条国務大臣 麻薬等の乱用は、人の生命、身体への危害にとどまらず、広く社会的害悪をもたらすものであります。麻薬等の乱用防止対策においては、これらの取り締まりとともに、乱用の未然防止を図ることが何よりも必要であります。
 厚生省といたしましては、このような観点から、麻薬取締官事務所における麻薬取り締まり体制の強化に努めるとともに、広く国民に対し乱用の危害についての啓発活動を推進し、乱用を許さないという社会環境の確立を図っていきたいと考えております。
#108
○網岡委員 質問を終わります。
#109
○粟屋委員長代理 伊東秀子君。
#110
○伊東(秀)委員 麻薬等の不正取引などに関連する組織的犯罪が国際的犯罪として社会のあらゆる段階に浸透し、正当な経済活動とか国の安全とか、あるいは子供たちがその生産や分配、取引に利用されているというような実情から見て、何らかのこうした不正取引をなくするための国際協力、これを行うことは国の責務である。そういう立場から、私もこの麻薬新条約の批准を支持し、かつ、その国内法制を整備するということの必要性を痛感いたしているものでございますけれども、この麻薬二法案、特に国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案に関しては、これまでの法律の法体系の枠を大きく超えてしまう、そういった危惧感も非常に持たれる部分がございます。
 それは具体的にはどういうことかと申しますと、捜査における適正手続の保障とかあるいは処罰規定における罪刑法定主義の遵守という点から、やはりこれまでの諸原則を大幅に破るおそれがある。その点で私は若干気になる、問題となる点についてお尋ねいたしたいと思います。
 まず一番目には、コントロールドデリバリーに関してでございますが、本法案は、直ちに検挙できるにもかかわらず、俗に言う泳がせ、つまり、犯意を誘発して、さらなる犯罪を行う機会を国家がつくるという捜査方法を今回法律上是認することになるわけですけれども、こうしたことに関して憲法とか刑事訴訟法上一般的に是認できるんだというお考えなのかどうか。学説では有力にそういった捜査方法は違法であるということが言われているわけでございますけれども、それに対する政府の見解をお聞かせ願います。
#111
○古田説明員 委員御指摘の件でございますけれども、今回麻薬新条約で各国に採用を求めているコントロールドデリバリーと申しますのは、既に麻薬などを取引しているあるいはそれを運搬しているその者について、それを監視するということでございます。ですから、ただいま委員からの御指摘がありましたように、新しく犯罪を起こさせるというふうなものではなく、既に犯罪をする決意をして実行に入っている段階のものについて、それがどういう関係者によって行われているか、それを明らかにするための措置ということでございます。
 この際、捜査の実情について若干申し上げますと、末端の運び屋などを逮捕いたしましても、なかなかその背後というのはわからない場合が多いわけでございます。また、これにつきまして、結局は供述を得るほかないというのが実態でございますが、この供述を得るということも、余り行き過ぎますとまた一方で問題が起こる、そういうふうなこともございまして、こういう組織的に、しかもかなり継続的に行われる疑いが高度な犯罪、こういうものにつきましてはその関与している者、これはもう既に犯人と言えるわけでございまして、そういうような場面では、このような捜査方法をとることは捜査の目的を達成するため許されることだと考えております。
#112
○伊東(秀)委員 こういった麻薬の組織的犯罪に限定的に許されるというふうに、厳格に捜査方法としても考えるべきではなかろうかと私は思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#113
○古田説明員 おっしゃるとおり、多数の人間が関与しているという蓋然性が極めて高い犯罪、その典型が麻薬犯罪だということになるわけでございまして、そういう意味では、実際問題としては麻薬犯罪というものについてこういうふうな捜査方法が相当だということになると思います。
#114
○伊東(秀)委員 次に、三条の一項に関して、上陸手続の特例でございますけれども、入管法五条一項六号に掲げる者である疑いのある外国人を、薬物犯罪の捜査に関して当該外国人を上陸させることが必要である場合とは、具体的にはどのような場合を指しているのか。さらには、そのような疑いのある外国人というその認定は、だれがどのような資料に基づいてどのような手続で判断するのか、この点をお答え願います。
#115
○古田説明員 ただいまお尋ねの件につきましては、出入国管理法上、麻薬等を所持している疑いがある外国人は上陸させてはならないという規定がございます。それを受けているものでございまして、入管の段階では、麻薬を所持しているということがはっきり断定されるということはまず珍しいわけでございます。しかしながら、例えば捜査機関からの通報によるとかあるいは税関当局からの通報によるとか、そういうふうな情報に基づきまして、入管当局ではこの疑いがあるということを認定しているわけでございます。ですから、認定権者はだれかということになりますと、これは入管当局でございます。
#116
○伊東(秀)委員 そうしますと、その判断資料の信憑性ということが問題になるかと思うのですけれども、単に何らかの薬物犯罪に関する情報が得られるかもしれない程度でもこのようなことを行うのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
#117
○古田説明員 入国手続について若干御理解をいただいた方がよろしいかと思いますが、まず外国人、外国から参った者が日本国へ入国する場合には、入国審査を受けます。続いて税関という手続になるわけでございます。そこで入管の段階では、今申し上げましたように、そういうふうな捜査機関あるいは他の税関当局等からの通報によって、疑いがあるかどうかを判断する。それですべてが終わるわけではございませんで、続きまして税関でいわゆる手荷物の検査を行って、そこで規制薬物を持っているかどうかというふうなことが判明するという手続になるわけでございます。
 ですから、現在の出入国の審査の手続を、いわば法律にそのままそれに見合うように書いたということでございまして、もちろん入管といたしましても確度の信憑性とか情報の信憑性、それがどういうところから来たのか、あるいは先生のお尋ねの件は、確度の高い情報、これは例えば捜査機関から具体的にこういう疑いがあるとかそういうふうな場合、あるいは単にだれともわからない電話一本だったというふうなお話の違いだろうと思うのですけれども、入管はそこから確度の高い情報を得られた場合には本人にいろいろ尋ねる、あるいは確度の低いものについては、ある程度のことは尋ねても、疑いがあるとまでは言えないというふうな判断をして入管の手続を済ませる、こういうことになると思います。
#118
○伊東(秀)委員 それから、同じく三条の一項において「規制薬物の散逸及び当該外国人の逃走を防止するための十分な監視体制が確保されていると認められる旨の連絡を受けているときはこという条文になっておりますが、この「十分な監視体制」とは具体的にはどういうことを指しているのか。さらには、薬物の散逸が確実に防止できるという保証はどのようにして確保するのか、この二点についてお願いいたします。
#119
○古田説明員 十分な監視体制がとられているかどうかということにつきましては、これはケース・バイ・ケースで判断をすることになることは間違いございません。具体的にはどういう条件が考えられるかと申しますと、例えば日本国へ入国する者がどの程度日本国に滞在するか期間の長短、それから例えばどこかに泊まるかとか、そういうふうないろいろな状況を勘案して、そのために監視体制として十分な人員が確保されているのかどうか、そういうふうなことを捜査機関からの連絡を受けまして判断するということになろうかと存じます。
#120
○伊東(秀)委員 外国人の逃走を防止するための十分な監視体制とは、具体的にどういう手段を考えているのか。例えば二十四時間ずっと尾行して監視するとか、あるいは盗聴するとか、外部から室内の監視まで行うのか、取引の相手方になることまで考えているのかどうか、その辺、現在行われていることも含めて、具体的な御答弁をお願いいたします。
#121
○古田説明員 実際のやり方につきましては、あるいは警察御当局の方からの御説明が適当かと存じますけれども、私どもの方で想定しておりますのは、結局その荷物を持って入ってくる者、これを何人かのチームで尾行して、交代してずっと続けていくというふうなことになると考えております。荷物につきましては荷物自体についての監視ということになって、人ということにはならないわけでございます。
 それから、今お尋ねの中に盗聴というふうなお話がございましたけれども、これは盗聴というのは全く別な要素でございまして、監視のためにとれる措置というのは、今申し上げましたような尾行ということにおのずと限られてくると存じます。
 現在どのようにして行っているかということにつきましても、結局これは尾行以外にはございません。
#122
○伊東(秀)委員 あと、警察庁の方にもお願いいたします。
#123
○横尾説明員 コントロールドデリバリーを今後実施するに当たりましては、規制薬物の運搬形態、運搬ルート、被疑者の人数、組織の性格等につきまして情報を収集した上、十分な数の人員と車両、無線機等の装備を準備いたしまして、所要のポイントに配置するなどして行いたいというふうに思っています。
#124
○伊東(秀)委員 次に、税関手続上の特例について、第四条になりますが、税関長は、当該規制薬物の散逸を防止するための十分な監視体制が確保されていると認めるときには、次のような措置をとることができる。「その他当該要請に応ずるために必要な措置」ということが書かれておりますが、これは具体的には何を想定しているのか。つまり、クリーン・コントロールドデリバリー、つまり、当人が知らない間に勝手に物をすりかえるような、そういうことまでも考えているのかどうか。お願いいたします。
#125
○角崎説明員 お答え申し上げます。
 「その他当該要請に応ずるために必要な措置」の内容につきましては、当該検査に係る貨物に規制薬物が隠匿されていることを知りつつ、薬物犯罪の捜査に関して当該規制薬物が外国に向け送り出され、または本邦に引き取られることの要請に応じるために必要な税関長の措置ということでございます。
 具体的に申しますと、代表的な例といたしましては、当該規制薬物が隠匿されております貨物の輸出入等に必要な税の徴収、あるいは保税運送の承認、あるいは保税地域からの搬出展の受理、そういったような措置が挙げられるかと思います。
#126
○伊東(秀)委員 そのすりかえ、貨物のすりかえ等については含まないということですか。
#127
○角崎説明員 ここに書かれております「必要な措置」の中には、今申しましたようなことを含むということでございます。
#128
○伊東(秀)委員 ということは、税関長が捜査上の措置にまで、手続にまで介入するということで、法律上は非常に問題ではなかろうかというふうに考えられます。
 時間がないので、最後に伺います。
 マネーロンダリング罪の件について、不法収益等ということで今回、これは十四条関係ですけれども、対価として得た不法収益または不法収益に由来する財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産に係る場合において没収ができるというような、混和財産にも没収ができるということになっておりますけれども、財産が明確に区別できる場合ならともかく、一体として融合してしまっている、そういう場合にどのような形でその没収できる部分とできない部分を分けるのか、その辺はいかがでしょうか。
#129
○古田説明員 ただいまのお尋ねは特例法の十五条に関するお尋ねだと考えますが、混和と申しますのは、二つの財産があって、それが物理的にといいますか、それがまじり合って一つの財産みたいになるということでございます。したがいまして、例えば現金と現金あるいは預金の一部と預金の一部、こういうふうなものがまじり合ったもの
がここで言う混和財産でございまして、不動産みたいな分割ができないもの、こういうものはここで言う混和財産には含まれないというふうに考えております。したがいまして、そういうふうな分割不可能なものにつきましては、その一部について没収するということはございません。
#130
○伊東(秀)委員 最後に、網岡委員も申し上げましたが、この法律は、今申し上げたような形では罪刑法定主義あるいは適正手続の保障の点からは大変問題である。そういう意味では、麻薬の取り締まり目的に限って厳格に適用するべきであると考えるものですが、その点についての厚生大臣等の人権侵害にならないための明快な御答弁をお願いいたします。
#131
○下条国務大臣 人権を尊重していくという今のお考え、全く同感でございます。
#132
○伊東(秀)委員 終わります。
#133
○粟屋委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時二分開議
#134
○粟屋委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、角崎監視課長から発言を求められておりますので、これを許します。角崎課長。
#135
○角崎説明員 午前中の伊東議員よりの、特例法案第四条第一項第二号にいう「必要な措置」には、クリーン・コントロールドデリバリー、つまり、当人が知らない間に勝手に物をすりかえるようなことまで考えているのかという御質問がございましたが、これに関連いたしまして若干補足して答弁いたします。
 第四条第一項第二号にいう「必要な措置」には、当人が知らない間に勝手に物をすりかえるような措置は含まれておりません。
#136
○粟屋委員長代理 質疑を続行いたします。石田祝稔君。
#137
○石田(祝)委員 私は、時間もございませんので、端的にいろいろとお伺いをしますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 まず、コントロールドデリバリーの関係についてお伺いをしたいと思います。このコントロールドデリバリーとおとり捜査の違いについて簡単に御説明をいただきたいと思います。
#138
○古田説明員 おとり捜査と申しますのは、一般的に、捜査官が自分であるいはほかの人間を使って犯罪をするように働きかけをする、そして犯罪に至ったときに捕まえる、こういうのをおとり捜査というふうに呼んでおります。それに対しましてコントロールドデリバリーと申しますのは、既に薬物を運んでいるとかそういう犯罪の実行をしている者について、全く働きかけは行わずに、それをずっと見守ってどこに行くか明らかにする、そして関係人をはっきりさせる、そういうことでございます。その点が違うわけでございます。
#139
○石田(祝)委員 そうすると、何もしないで見守っている、こういうことですね。このコントロールドデリバリーというものを私は今まで余り聞いたこともなかったのですが、これはどういうものに対してなされるのか。薬物だけというふうに書かれておりますけれども、例えばけん銃の密輸とかそういうものに対しても、これからコントロールドデリバリーというものをお考えになっておるのかどうか、それについてお伺いしたいと思います。
#140
○古田説明員 コントロールドデリバリーと申しますのは、午前中に伊東議員からも御質問がありましたように、いわば組織的に反復してやっているような事件で、末端の者だけ捕まえたのでは全貌がわからないような事件について考えられるものでございます。現時点で例えばけん銃はどうかとか、そういう具体的なことになりますと、そのけん銃の密輸のやり方とか、そういうふうなものが今後どう変わっていくかわからないところもございまして、今の時点で断定的なお答えをすることはちょっと困難ではないかと思います。
 ただ、今回御提案を申し上げております特例法案の中に含まれておりますのは、薬物に関する限りのことでございます。
    〔粟屋委員長代理退席、野呂委員長代理
    着席〕
#141
○石田(祝)委員 このコントロールドデリバリー、当面はこの法律の中の薬物だけだ、規制薬物だけ、こういうふうにお答えになっていると思いますが、これで私は五つ心配をすることがございます。
 それは、いわゆる犯罪の継続性というものですか、それを断ち切るのが逮捕だと私は思うのですね、逮捕、検挙。それをあえて見守っているというか、それに手を出さない、そしてなすがままというのですか、時間の経過をそのままにしておいてある時点で捕まえる。これは考え方としてはわかるわけでありますけれども、Aという時系列の中で捕まえておけば薬物が広がることはなかった、しかしながら時系列の中のAより後のB、Cというところで捕まえようと思って、これが逆に逃げられてしまった、失敗をしてしまった。そういう場合には、このAというところで、手前の方で捕まえておけば薬物も町の中へ出回ることはなかった。
 また、運び屋と言われる人たちが途中で何らかの形で犯罪を犯すかもしれない、そういうことに対して、ある時点で捕まえておけばよかった。いわゆる不作為のそういう行為をもとにして何か犠牲者が出たり、極端に言えば薬が町の中へ出れば犠牲者が出るわけですから、そういうものに対しての心配というものがあると私は思うのです。これに対してどういうふうにお考えになっておるのか。完全にこれができるのか、そういうふうな保証があるんだろうか、こういう心配をするわけでありますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
#142
○川崎政府委員 コントロールドデリバリーの実施に当たりましては、外国の当局等からの連絡を受けた場合に、税関当局とか入管当局とか他の取り締まり当局と連絡をとって、このコントロールドデリバリーを実施することが適当かどうかということを十分検討した上で、十分な監視体制がとれると判断した場合にこれを実施するという考え方でございます。
 今御指摘ございますように、これを実施している途中で薬物が散逸するとか被疑者が逃亡する、こういったようなおそれが生じますときには直ちにこれを中断いたしまして、その時点で被疑者を検挙するとかあるいは薬物を確保して散逸しないようにするとか、こういったような万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
#143
○石田(祝)委員 この点につきましてはもう万全に万全を重ねてやっていただきたい、こういうふうに思います。
 それで、これをやるには各省庁間のいろいろな連絡等ももちろんでありますけれども、特に麻薬取締官ですね。その現場に実際携わっておる人たちの人数というものが今までのままでこういうことができるんだろうか、今までの定数と申しましょうか、人員のままで新たにこういうことをやっていくということが本当に可能なのかどうか、これは一つ疑問であろうと私は思うのです。そういう意味で取締官の定数等についてお伺いをしたいのですが、定数は現在何名になっておりますか。
#144
○川崎政府委員 厚生省の麻薬取締官事務所は全国八地区に設置されておりまして、現在の人数は百七十名でございます。
#145
○石田(祝)委員 百七十名ということですが、この定数はいつから百七十名なんでしょうか。
#146
○川崎政府委員 四十七年の十月から百七十名でございます。
#147
○石田(祝)委員 もうこれは二十年間定数は同じだ。定数上限の問題もあろうかと思いますけれども、こういう新たな、今までやったことがないようなことをやろうというわけですから、業務が一
つふえるわけですね。その意味だとぜひとも増強をすべきだ、こういうふうに私は考えますけれども、厚生省として来年度の予算等でこの増強に対する要求は出しておられるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
#148
○川崎政府委員 御指摘のとおり、今回の麻薬二法案によりまして新たな処罰とか捜査手法というものが導入されまして、それに対応した取り締まりの体制が必要になってくるところでございます。私どもも、さらに一層質の向上を図るとともに、定員増につきましては、厳しい状況にはございますけれども、これについても努力をしてまいりたいということで、今後来年度予算の編成におきましても努力をしてまいりたいと考えております。
#149
○石田(祝)委員 これはぜひとも応援をしたいと思いますので、頑張っていただきたいと思います。大蔵省の方も来ていると思うのですけれども、予算についてもぜひとも配慮してもらいたい、こういうふうに思います。
 続きまして、特にこういうコントロールドデリバリーとかいうことをやらなければならない。やはりその大もとには薬物を市中にばらまくことによって利益を受けている団体、個人がいるわけですね。その中でいわゆる暴力団、こういうふうに言われているグループ、団体があるわけですが、現在の暴力団の収入のうち、具体的にこういう薬物によってどれだけの収入を得ているのか、わかりましたら、簡単で結構ですけれども、お願いしたいと思います。
#150
○横尾説明員 お答えします。
 覚せい剤の密売を中心とする薬物不正取引による収益は、暴力団にとりまして最大の資金源になっております。警察庁が平成元年に行った調査では、暴力団の年間収入は約一兆三千億円と推定されます。そのうち約三五%に当たる約四千五百億円が覚せい剤の密売によるものでございます。
#151
○石田(祝)委員 特に日本においては、いわゆる原価ですか、この原価と末端価格の差が非常に大きい、こういうふうに言われております。この差が大きければ大きいほどもうけになるわけですから、具体的に大麻と覚せい剤、これについて、本当に原価というのが適正に計算できるかどうかわかりませんけれども、通常原価と言われている値段と末端の取引価格、これが大体どのぐらいになっておるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#152
○横尾説明員 お答えします。
 覚せい剤の仕入れ価格は、今までの検挙事例によりますれば、一グラム当たり千円程度でございます。末端価格は約五万円から十数万円でございます。また、大麻の仕入れ価格は一グラム当たり百円程度でございまして、末端価格は約三千円から数万円でございます。
#153
○石田(祝)委員 こんなにぼろい商売というのはめったにないわけですので、ぜひとも根本のところで取り締まる、こういうことをよろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、私はマネーロンダリングについてお伺いをしたいと思います。
 特に不正行為め防止の法案の第五条の「金融機関等による疑わしい取引の届出」、これについてお伺いをしたいと思いますが、これは第一義的にいわゆる銀行の協力というものが必要不可欠であります。それにつきまして銀行の協力体制はどういうふうになっているのか、このことをお伺いしたいと思います。
#154
○福田説明員 お答えいたします。
 今回の法文に則して申し上げますと、金融機関には疑わしい取引の届け出義務が課せられることになっております。まず、金融機関がその業務を遂行するに当たりまして、収受した財産が不法収益等である疑いがある場合、または取引の相手方が不法収益等を隠匿している疑いがあると認められる場合に、政令で定める事項を文書で主務大臣、銀行であれば大蔵大臣に届け出るということになっております。そういうふうに法律上金融機関に届け出義務が課せられるということでございます。
#155
○石田(祝)委員 疑わしい取引等について金融機関が主務大臣等に報告する義務、これを今回課するわけですね。この疑わしい取引ということについて銀行はどういうふうな基準に基づいて判断を下すのか。これは単に「疑いがある場合」ということしか書かれておりませんが、こういうことを判断するのはできるのかどうか、私も逆に疑っております。これについて銀行が独自で判断を下すのは難しいのではないか、私はこのように考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#156
○福田説明員 ただいま御指摘のとおり、何が疑わしい取引に該当するかは大変難しい問題でございます。やはりその取引の具体的な事情によるところが大きいということでございますので、金融機関みずからがその業務経験に基づいて、取引ごとにケース・バイ・ケースで判断することになるのではないかと考えます。
 私ども大蔵省といたしましては、これは法律を施行してみまして疑わしい取引の事例が集積されてくるのではないかと考えておりまして、そういう過程で捜査当局とも協力しつつ、そのような手口等の情報を金融機関に開示し、指導してまいるという方針で考えております。
#157
○石田(祝)委員 この疑わしい取引等について、今まで事例がないのでこれから集積をしていく、こういうお話でございましたけれども、そういう集積があったときに、個々の事例というものを過去にさかのぼって、これはどうだああだ、こういうことで私は判断の目安になると思うのですね。全然ないところで判断をしろ、そしてその判断の目安というのは集積をしていく中でつくられていくのだ、こういう非常に矛盾する話じゃないでしょうか。積み重ねていって初めて判断できるものを、ない時点からやりなさい、ないところからやることを積み重ねていくことによって判断基準が出てくるのだよ、これは私は非常に矛盾をする話だろうと思うのですね。
 ですから、ある意味で言えば、銀行関係者の方から見たら、どの客に対しても、いわゆる口座開設者というのはお客さんですから、その人たちを疑わしい目でいつも見ていかなければいけない。お客さんとの信頼関係というのですか、そういうものを非常に壊していくようなおそれがあるのではないか。これは私は非常に危惧をするところであります。
 その場合、そうはいってもこれからやらなくてはいけない、これは非常に大事な問題ですから、わかるわけでありますけれども、この報告事項について、政令で定める事項を報告するようになっておりますけれども、具体的にどういうことをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
#158
○福田説明員 お答えいたします。
 お尋ねの届け出の内容でございますが、今申し上げましたように政令で定めることになっておりますので、政令を制定する段階で具体的に決定させていただきたいと考えておりますが、現在考えておりますのは、他方でプライバシー保護という問題もございますので、まず金融機関の当該店舗名、それから取引の相手方の住所、氏名、そして疑わしい取引の概要、その日時とか取引の種類でございます、それから疑わしいと判断する理由、このような必要最小限の事項をとりあえず届け出事項と今のところ考えでございます。
 それから、事例がないうちにいろいろ難しいではないかというお尋ね、ごもっともでございます。この点につきまして、一つは、諸外国にいろいろ前例があるわけでございまして、例えばアメリカですと、アメリカの銀行協会の研修資料というようなものから引っ張ってまいりますと、例えば麻薬地域への頻繁な送金とか、あとイギリスなどですと、取引が現金の形で専ら処理されている企業口座とか、あとは現金を外貨に頻繁に両替する取引とか、そういう幾つかの外国における前例はあるようでございます。
#159
○石田(祝)委員 これは私は、銀行の側から見て
も非常に難しいことだし、また一歩間違えば、変を言葉ですけれども、お客を売る、こういうことにもなりかねないわけなんです。ですから、これはぜひともよく注意をしてやっていただきたいと思います。
 それから今度は、銀行の立場ではなく口座開設者の立場から申しますと、今まででしたら、ある一定の不法行為とみなされる構成要件がある程度はっきりしておる場合に、司法当局は銀行なりそういう金融機関に協力を仰いでいく、そして、その取引の過程とかそういうものを見せていただく、閲覧をする、そういうことであったろうと私は思うのです。今度の場合はいわゆる一民間人、銀行員の人たちが自分の判断によって、どういう機能も責任もない立場で怪しいと思った人を届ける。そして、その届けることによって検察官とか司法関係者がそういう資料を閲覧、また謄写をできる。私は、非常に個人の立場からすれば危険なことではないかと思うのです。
 また、それを調べていること自体も人に漏らしてはいけないということになっておりますから、銀行の口座開設者の立場、客の立場からいうと、自分が知らないところで、水面下で自分の口座が法的に全然機能のない、ある人の疑わしいという申し出によって調べられる。これはこういうことなんですね。今までだったらできなかったことが、一個人の届け出によって自分も調べられている。結局それはどうやって調べられているかは全然わからない。善良な市民でありましたら何もないわけですから、結局何もなかった。それは当然知らされませんから、最終的には自分のあずかり知らないところで自分のプライバシーに関することが調べられている。私はこれは一歩間違えば人権の侵害、またプライバシーの侵害につながりかねない、こういうおそれを非常に抱いております。
 この点に関しまして、特にプライバシーの侵害、人権侵害についてどういうふうにお考えになっておるのか、お聞きをしたいと思います。
#160
○福田説明員 ただいま御指摘のとおりでございまして、この制度では麻薬捜査当局の閲覧や謄写が認められておりますので、顧客のプライバシーの保護には十分配慮する必要があると考えております。
 これは捜査御当局の方の問題でもございますが、大蔵省といたしましてもこの点に十分配慮しまして、例えば届け出事項につきましては、先ほど申し上げたような最小限にとどめる等、法律を運用するに当たってその辺を十分配慮するとともに、金融機関に対しましてもそのようなプライバシーの保護についての十分な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#161
○石田(祝)委員 この点はぜひとも厳格に運用をお願いしたいと思います。
 続きまして、薬物の乱用とか、結局これは乱用する人がいるわけですから仕事になるわけですね。その意味では教育、啓発活動が非常に重要ではないか、私はこういうふうに考えております。ちょっとした好奇心からやってみるとか、いわゆる現状逃避をしたいからそういうものをちょっとやってみるとか、そういうことが一つのきっかけとなって薬物乱用にのめり込んでいく、こういうふうにも聞いております。その中で、私は特に中学生、高校生の教科書の中でこれをどういうふうに取り扱うべきであろうか、また、十二分に取り扱ってもらいたいという気持ちなんです。指導要領では再来年の教科書に載るようになっていると聞いておりますけれども、そういう理解でよろしいのでしょうか。
#162
○富岡説明員 御指摘のとおり、薬物乱用の防止という観点からいたしますと、教育の問題は大変大事な問題だという認識を私どもも持っておるわけでございます。御案内のように、この薬物乱用の問題につきましては、従来から中学校と高等学校の教科の保健体育等で指導することになっておるわけでございますが、かねてから教師用の指導資料等を作成して、その指導をやるようにしておるわけでございます。
 御指摘のように、中、高等学校の新しい学習指導要領で、この問題の重要性にかんがみまして、このたび教科の保健体育で、薬物乱用が心身の健康とかあるいは社会に対します影響ということにつきまして特に取り上げるように、項目として立てたところでございますので、教科書の作成作業はまだこれからでございますけれども、今後指導の充実を一層図ってまいれる、そういう理解をしているところでございます。
#163
○石田(祝)委員 ちょっと説明に来ていただきましたら、こういう「ことわる勇気」とかいうパンフレットもつくっているようであります。再来年というふうに私は聞いておりますけれども、例えば来年、教科書本体ではなくても、教科書の付録といったらおかしいのですけれども、そういう部分において時間の中で教えることはできないのでしょうか。これを最後にお聞きしたいと思います。
#164
○富岡説明員 新しい指導要領に基づきます教科書は先ほど申し上げましたとおりでございますが、現在の保健等でスライドあるいはビデオ等を使いました指導をやっておりますし、それから指導のいろいろなモデルにつきまして、教師用の指導資料を作成しておりますので、現在でも保健体育の時間あるいは特別活動の時間で既に指導は進められておるわけでございます。
 それから、今先生がお示しになりました資料も、厚生省等とも協力いたしまして、各学校に配付等の手続をとっているところでございます。
#165
○石田(祝)委員 済みません。最後に厚生大臣、日本の将来の問題でございますので、薬物に対するこれからの厚生大臣としてのお考え、御決意等が何かございましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
#166
○下条国務大臣 薬物の問題は世界的に大きな問題になっております。先ほど来政府委員から説明申し上げたように、アメリカは最も深刻であるというような、国のティピカルな例に出ております。日本はまだそれほどひどくはないということでありますが、この薬物乱用の被害がだんだんと広がっておりますので、その意味で、今回の法律改正によりまして水際のところから意を払い、そして、国内におけるそのような薬物乱用の弊害が少しでも少なくなるようにということで、この改正をお願いしておるわけでございます。
 なかんずく、今御指摘の一般国民の認識を高めることはもちろんでありますけれども、中学生ぐらいからシンナーを利用するとかいろいろな弊害があらわれ始めておりますので、その段階から教育の面においてあるいは一般のPRの面においてその問題を十分に取り上げて、啓蒙していくように努力していきたいと思っております。
#167
○石田(祝)委員 終わります。
#168
○野呂委員長代理 児玉健次君。
#169
○児玉委員 麻薬犯罪の国際化が進む、そういう状況で、これに対する取り締まりの体制は総合的であり広域的であり、かっ機動的でなければならない、こういうふうに考えます。麻薬等の犯罪を取り締まる機関として、麻薬取締官事務所、警察、海上保安庁、税関、入管等があると思いますが、これらの諸機関の連携と任務の分担はどのようになっていますか。
#170
○川崎政府委員 御指摘のように、麻薬等の密輸、密売等の取り締まりに当たりましては、常時取り締まり機関同士の情報の交換を行うといった協力体制をとっているところでございます。
 さらに厚生省では、毎年八ブロックにおきまして、法務省、警察庁、海上保安庁、検察庁、税関、入国管理局、県警本部、都道府県のそれぞれの担当者を一堂に集めまして、麻薬取締協議会というものを開催いたしまして情報の交換を行って、関係機関相互間の連携を強化しているところでございますが、今後ともこういった関係機関の連絡は一層密にして進めてまいりたいというふうに考えております。
#171
○児玉委員 外国の取り締まり機関が日本に対してある情報を提供したい、そして日本に対して取り締まりを依頼してくる、そういった際の窓口は
どうなっていますか。
#172
○川崎政府委員 これからコントロールドデリバリーの実施等、外国からの依頼も増加してくると思われます。麻薬、覚せい剤犯罪の取り締まりに当たりましては、従来から関係機関で情報交換を行って、連携措置をとっているどころでございますけれども、外国からの依頼案件につきましては、その件につきまして最も適切な機関が迅速に対応をとる必要があろうと思います。今後ともこういった関係機関が今まで以上に連携を密にして、適切な対応をとってまいりたいというふうに考えております。
#173
○児玉委員 先ほどからの質疑の中でも明らかになってきているのですが、一つ間違えると重大な事態が起きる。今局長は迅速にとおっしゃった。まさにそれが必要だと思うのですね。そのとき、外国でも麻薬等を取り締まる機関というのは必ずしも一元的ではない。そして、日本は先ほどお尋ねしたようにかなり多元的ですね。どこを窓口にして外国から依頼が来るのか。そして、依頼が来て、それを受けた機関はどうやって総合的、広域的に体制をとっていくのか。その点どうでしょう。
#174
○川崎政府委員 これから外国からの依頼というものもふえてくると思いますけれども、その外国からの要請というものも、どこの機関に来るということもわかりません。どこに来た場合におきましても、一番適切な機関がこれに対応していくという仕組みをとってまいらなければならないと思いますので、先ほど申しましたような関係機関が日ごろから密接な連携をとって、対応をしていく努力をしてまいりたいというふうに思います。
#175
○児玉委員 ちょっと心もとないような気がするのですが、例えばアメリカではこの問題が国を挙げての課題になりつつある。アメリカの警察機関としては、何らか日本に情報を提供したり依頼をしてくるとき、厚生省に来るでしょうか、外務省に来るでしょうか、警察庁に来るでしょうか。どうでしょう。
#176
○川崎政府委員 現在のところは、警察庁に参る場合もございますし、厚生省に来ている場合もございます。
#177
○児玉委員 この点は新しい試みでもあるから、先ほど申しましたように、総合的で広域的で機動的である、その点で各関係機関の縦の関係を超えた迅速な連絡、任務の分担ということを私は強く求めたいと思います。いかがですか。
#178
○川崎政府委員 御指摘のように、適切な対応ができるように努力してまいりたいと思います。
#179
○児玉委員 そこで、厚生省の麻薬取締官事務所ですが、先ほどお話があったように全国八地区、一支所、三分室、ここで百七十人の方がいろいろ御苦労なさっている。この方々、以前は薬剤師だった方も中には加わっていらっしゃったようだし、非常に重要なお仕事だと私は考えております。この麻薬取締官が全体の取り締まり体制の中で果たす役割の特徴、厚生省の麻薬取締官でなければできない仕事、それはどういうものでしょうか。
#180
○川崎政府委員 麻薬取締官事務所は全国八地区に設置されております。それで、それぞれ管内の数府県に及びます区域を担当いたしまして、麻薬、覚せい剤等の密輸、密売等の犯罪捜査を広域にわたって行っているというところでございます。
 それからまた、こういった取り締まり以外にも、行政官署といたしまして、医療用に供されます麻薬が不正流通することのないよう、麻薬取締官事務所におきまして麻薬の製造業者とか流通業者とか医療機関等に対しまして指導監督を行いまして、必要に応じましては立入検査等も実施しているというような仕事をやっているわけでございます。
#181
○児玉委員 果たしている役割は、人数の多寡にかかわらず、特徴があるし、重要だと思います。
 麻薬等の犯罪の国際化、そして広域化、深刻化、そういった中でこの方々に対する教育訓練の体制、それはどうなっているでしょうか。
#182
○川崎政府委員 麻薬取締官の方々に対しましては、毎年研修会の実施とか打ち合わせ等によりまして、質の向上といいますか、あるいは情報連絡といったような形で、効率的な仕事が行われますよう努力をしているところでございます。
#183
○児玉委員 確かにこの人たちは、麻薬中毒者の観察指導だとか、お話のあった医療機関に対する立入検査だとか、他の担当者にはできない重要な仕事がありますから、この面での取り組みを強めていただきたい。その点は要望いたします。
 最後に、私のおります北海道は、不正大麻といいますか、野生の大麻、ケシ等がかなりありまして、これらを撲滅する運動が五月、六月にかなり大規模に行われております。多方面にわたって多くの方々の協力を得て進めるということになっておるわけですが、除去した大麻を焼却するための重油等の燃料代、これも相当なものです。この麻薬等の取り締まりは本来国が責任を持って進めていくべきだ、なるべく地方に財政的な負担をかけるべきでない、こういうふうに考えるわけです。この分野の予算、その点をこういった新しい体制が発足しようとしているこの時期にさらに強めていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#184
○川崎政府委員 今お話のございました野生大麻の問題でございますけれども、毎年五月ないし六月に不正大麻・ケシ撲滅運動というのを行っておりますけれども、この運動の際に、乱用、予防、啓発等をあわせまして、全国的に野生の大麻とケシの抜去作業を行っているところでございます。抜去に要する経費につきましては、各地域の野生の大麻とかケシの自生状況等も勘案いたしまして、各麻薬取締官事務所に経費を交付しているところなんでございます。今後もこういった地域の特性を念頭に置きながら、必要に応じて予算の確保に努めてまいりたいと思います。
#185
○児玉委員 終わります。
#186
○野呂委員長代理 柳田稔君。
#187
○柳田委員 今回の法案の中で国外犯の規定が盛り込まれております。まず、この国外犯を処罰する趣旨の御説明をお願いいたします。
#188
○川崎政府委員 犯罪は、国内で犯されたときに処罰を受けるというのが一般の原則でございますが、薬物犯罪が一国の枠を超えて国際的規模で行われているという実情から、麻薬新条約におきましては、麻薬等の輸入、輸出、製造、譲渡、所持等の罪につきましては国外犯の処罰をも義務づけ、取り締まりの徹底を図ろうとしているところでございます。
 こういった麻薬新条約の趣旨を踏まえまして、今回麻薬及び向精神薬取締法等を改正いたしまして、国外犯処罰規定を設けました。すなわち、海外で不正な薬物の譲渡をしたり輸出入をした場合についても、日本国内で処罰ができることとしようとするものでございます。
#189
○柳田委員 次に、法務省にお伺いしたいのですけれども、この条文の中に「みだりに」という言葉がよく出てくるわけでありますが、「みだりに」という表現、ちょっと説明をしていただきたいのです。
#190
○古田説明員 「みだりに」と申します言葉はよく罰則に出てくる言葉でございますが、一般的な意義としては、社会通念上許容されないようなことをいう。言ってみれば、法秩序は許容しないということをいう言葉として使われております。
 この法案の中で具体的に「みだりに」に当たる場合ということを申し上げますと、日本国内で行われた場合には、日本国の薬物に関する規制に違反する行為ということになるわけでございます。それから外国でということになりますと、外国で施行されております規制薬物の規制に関する法令に違反するというふうなことが、ここで言う「みだりに」という言葉の中に入ってくるわけでございます。
#191
○柳田委員 最近マスコミを騒がしました事件もあったわけでありますが、今後、海外で麻薬犯罪を犯した人が日本に帰ってきた場合、これは処罰
できるようになるのか。そしてまたもう一つは、外国で処罰をされた。それが終わった後日本に帰ってきた。また日本でも処罰されるのか、お尋ねをしたいと思います。
#192
○古田説明員 この法案が施行されました以降は、外国で行われた行為についても日本国で処罰されることになるわけでございます。
 それから、外国で処罰された場合、なお日本で処罰可能かということでございますが、これは現在の刑法上処罰が可能でございます。ただ、刑の執行につきましては、これを軽くしたりあるいは免除したり、どちらかの措置をとることが必要だということになっております。
#193
○柳田委員 この法案について我々民社党も大いに賛成をしたいというふうに思っております。特に、今質問いたしました国外犯の処罰のほかに、不法収益の没収、マネーロンダリングの処罰、こういうふうなものが盛り込まれておりまして、この法案が絵にかいたもちどならないようにこれからも監視体制を充実強化していただきまして、日本だけはこういう薬物の害がないというふうに努力を今後ともしていっていただきたいというふうに思っております。
 最後ですけれども、大臣の御見解を賜りたいと思います。
#194
○下条国務大臣 ただいまの委員のお考え、全く同感でございます。現在、我が国の薬物乱用は、欧米諸国、特にアメリカが一番ひどいようでございますが、それほど深刻な状態ではないものの、国際化の進展に伴い、コカイン、ヘロイン、大麻等の乱用が我が国にも波及し、今後深刻化するおそれがあります。
 今回、薬物の不正取引防止に国際的に取り組むため麻薬二法案を提出し、御審議をお願いしているところでありますが、今後新たな捜査手法を的確に運用するため、関係機関との連携を一層深めるとともに、取り締まり活動の充実強化に努力しでまいりたいと考えております。
#195
○柳田委員 終わります。
#196
○野呂委員長代理 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。
#197
○野呂委員長代理 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、第百二十回国会、内閣提出、麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#198
○野呂委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#199
○野呂委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
#200
○野呂委員長代理 この際、両案に対し、粟屋敏信君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。池端清一君。
#201
○池端委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案並びに国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一 本法は、麻薬及び向精神薬の不正取引等に有効に対処するための国際的責務を遂行する目的で設けられた特別措置である。従って、その運用に当たっては、前記目的に従って厳正に運用し、不当に人権を侵害することのないよう努めること。
 二 薬物乱用対策における国際的協力の重要性にかんがみ、諸外国及び国際機関との密接な情報交換を進め、取締りにおける国際協力を積極的に推進すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#202
○野呂委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 粟屋敏信君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#203
○野呂委員長代理 起立総員。よって、本動議のとおり両案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、下条厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下条厚生大臣。
#204
○下条国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
#205
○野呂委員長代理 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#206
○野呂委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#207
○野呂委員長代理 次回は、来る十月二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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