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1991/09/18 第121回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第121回国会 法務委員会 第5号
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1991/09/18 第121回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第121回国会 法務委員会 第5号

#1
第121回国会 法務委員会 第5号
平成三年九月十八日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 伊藤 公介君
   理事 太田 誠一君 理事 塩崎  潤君
   理事 田辺 広雄君 理事 星野 行男君
   理事 小森 龍邦君 理事 鈴木喜久子君
   理事 冬柴 鐵三君
      赤城 徳彦君    奥野 誠亮君
      中島源太郎君    井上 普方君
      小澤 克介君    倉田 栄喜君
      中村  巖君    木島日出夫君
      小平 忠正君    徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 左藤  恵君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 堀田  力君
        法務大臣官房司 濱崎 恭生君
        法法制調査部長
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省刑事局長 井嶋 一友君
        法務省人権擁護 篠田 省二君
        局長
        法務省入国管理 股野 景親君
        局長
        自治省行政局公 滝   実君
        務員部長
 委員外の出席者
        警察庁警務局人 杉田 和博君
        事課長
        警察庁警務局教 大貫 啓行君
        養課長
        警察庁刑事局捜 石附  弘君
        査第二課長
        警察庁交通局交 古賀 光彦君
        通規制課長
        大蔵省証券局業 堀田 隆夫君
        務課長
        自治省行政局選 谷合 靖夫君
        挙部選挙課長
        最高裁判所事務
        総局民事局長  今井  功君
        兼最高裁判所事
        務総局行政局長
        最高裁判所事務 島田 仁郎君
        総局刑事局長
        法務委員会調査 小柳 泰治君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
九月十八日
 辞任         補欠選任
  渡部 行雄君     井上 普方君
  中野 寛成君     小平 忠正君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 普方君     渡部 行雄君
  小平 忠正君     中野 寛成君
    ―――――――――――――
九月十八日
 治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法
 制定に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一
 五一号)
 夫婦同氏別氏の選択を可能にする民法等の改正
 に関する請願(池端清一君紹介)(第一五二号
 )
 同(高沢寅男君紹介)(第一五三号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一五四号)
 同(池端清一君紹介)(第一六五号)
 同(菅直人君紹介)(第一六六号)
 同(関山信之君紹介)(第一六七号)
 同(高沢寅男君紹介)(第一六八号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一六九号)
 同(渡部行雄君紹介)(第一七〇号)
 同(岩田順介君紹介)(第一八五号)
 同(菅直人君紹介)(第一八六号)
 同(高沢寅男君紹介)(第一八七号)
 同(遠藤乙彦君紹介)(第一九二号)
 同(菅直人君紹介)(第一九三号)
 同(高沢寅男君紹介)(第一九四号)
 同(石井智君紹介)(第一九八号)
 同(斉藤一雄君紹介)(第一九九号)
 同(高沢寅男君紹介)(第二〇〇号)
 同(斉藤一雄君紹介)(第二三八号)
 同(関山信之君紹介)(第二三九号)
 同(長谷百合子君紹介)(第二四〇号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第二四一号)
 同(安田範君紹介)(第二四二号)
 同(神崎武法君紹介)(第二八一号)
 同(斉藤一雄君紹介)(第二八二号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第二八三号)
 同(東順治君紹介)(第二八四号)
 同(安田範君紹介)(第二八五号)
 同(渡部行雄君紹介)(第二八六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人
 権擁護に関する件
     ――――◇―――――
#2
○伊藤委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所島田刑事局長及び今井行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#4
○伊藤委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田辺広雄君。
#5
○田辺(広)委員 お許しをいただきまして質問をさせていただきます。
 最近特に問題になっております証券業界の補てんの問題、また各金融機関の多くの問題、私どもの毎日の生活の中に嫌というほど見せつけられてまいっております。大口の法人顧客に対しましては、営業特金等において生じた損失は事後補てんが行われました。証券取引は、売った買ったが電話一本で決められるという極めて厳しい経済行為であります。一方、中小企業また個人取引業者には補てんは行われず、倒産の憂き目に遣っている企業も数多く見ることができます。この不公平に怒りをぷちまける人も多く見られ、自分たちにも補てんをせよと迫る人々も私どもは見たり聞いたりいたします。
 その上、平成元年十二月に、証券各社にこのような行為のないように大蔵省から通達で戒められたのでございますが、総計千二百六十八億円、自主報告を含めてこのような多くの金額、また千七百億円とも言われておりますが、補てんをされております。
 先般、自民党政調法務部会商法に関する小委員会において、ある証券会社の人に私は尋ねました。平成元年末の大蔵省の通達は、その当時既にそういうおそれがあった。以前にも損害補てんをしておったということがあったからその通達が出たのではないかということをただしましたところが、いや、そうではない、大蔵省の通達は実に時宜を得たときに出ておる。というのは、平成元年の年末には金融の引き締め、また公定歩合の引き上げ等々のために当然株価は下落するであろうと思われた。したがって、その裏では補てん問題が起きてくるのではないかというような考え方から、一番時宜を得たときに通達がなされたと解釈をいたしております、こう証券会社の方が言われました。以前はその特金の補てんはなかったと言われております。
 先回来の証券・金融特別委員会においてその審議の内容等いろいろ聞き、また証人の喚問等を聞いておりますと、決してそうではなくて、それ以前にも既にそういうようなことが行われておったということが明らかになってきております。私に言われましたその方の言葉は全くのでたらめと言っては申しわけないのですが、そのように怒りを感じながら今頭の中で思い出しております。しかもその上、大蔵省の通達がありましてからも補てんを行っていたということであります。
 事前に損失の保証をしたかどうかによって証券取引法に抵触するかどうかが決定されると言われております。ですから事前に損失が出た場合には補償しますよという言葉がなかった場合には証券取引法においてそれは抵触しないということを言われておりますが、一般の国民は、どのように言い開きをされようとも、事前に保証らしきものがされていたと思う人の方が私は多いと思っております。
 今なお証券局において検査が進められていると言われております。いつ終了するのかは今は問おうとも思いません。新聞を見ますと、きょうもまた、ある証券会社がある会社に現金で補てんをしたという事実まで発表されております。進めば進むほど事件はますます広く深く範囲が広まっていくということを感じております。しかしそれは私どもは証券・金融特別委員会においてただされるものだと考えておりますので、それ以上のことは問いただそうとは思っておりません。しかし、一方において証券取引法の改正案が出され、そして今までは行政処分であったのが今後刑事罰として罰する等再発防止に全力が挙げられています。また十三日には臨時行政改革委員会において答申が出され、大蔵省に行政部門から切り離した検査・監視機関として証券・金融検査委員会(仮称)を設置する等提言がなされています。したがって、私はそのことにつきましては証券特に十分な審議をしていただきたいと心から願うものであります。
 しかし、これだけで再発防止ができるかというと、私はそうではないような気がいたします。証券業界内部の自主管理と、このように気違いじみた利潤獲得競争に思いをいたさなければならないと思います。今回の事件は国税当局が損失補てんを経費として認めなかったことに端を発していると思う。企業には公認会計士もあり、会計監査人は株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第八条にあるように、監査役に報告しなければならないとされております。証券会社は、一方において損失補てんを経費として利益から削除しておる。国税当局の調査によれば、これは更正処分がなされて利益の処分とされております。そのことを公認会計士が知らなかったということは私はないと思います。また監査役においてしかりと思うのです。しかし、補てんが違法であるかどうかわからぬのでそれ以上違法性を監査役に報告しなかった。また監査報告もしなかったということであります。そして今日のような日本経済の根底を揺るがすような大きな事件にまで発展をしてまいったのであります。
 多くの株主の保護、この方々を一体だれが保護するのでしょうか。重大な問題であります。大口投資家を救うために損失を補てんする。一方で小さな株主は、補てんのための損金から、自分の利益配当を受けられなくなる、減少してくる、また株価低下という被害も受けていると私は思うのです。企業会計では損金を計上し、税務会計では自己否認の上に税金を支払っております。また、私どもは知らなかったのですが、二つの証券会社が暴力団に金銭の貸し借り、株価の操作と思われるような行為が行われております。このような暴力団関係のことを耳にしたときに、前時代的な証券界の姿に驚きを感じた次第であります。
 企業の公共性を忘れ、取締役等役員の思うままにしておる、これを一体だれが監視するか。それは、私は監査役でなければならないと思います。商法改正を行い、監査の取締役からの独自性を確保するために、監査役の権限を増し、一部社外から選任すべきだと言う人もあります。また、監査役会を設置して権限を有効に活用できるようにすべきではないかと言う方もあるわけでございますが、これについてお尋ねを申し上げます。
 大臣は後でもう一度聞きますから、そのときにお願いしたいと思います。
#6
○清水(湛)政府委員 株式会社の監査制度につきましては、先生御承知のとおり、大会社の粉飾決算等による種々の問題が生じたというようなことを背景に、会社経理の適正化あるいは会社業務の適正化という観点から、昭和四十九年及び昭和五十六年の商法改正におきましてその強化が図られたところでございます。法務省といたしましては、改正後における監査制度の運用の実情というものに現在大きな関心を払って見守っている状況にある、こういう状況でございます。
 これらの一連の改正におきまして、御存じのように小会社を除き、監査役に、会計監査権のみならず、会社の業務が法令または定款に違反して行われることを防止するために必要な業務監査権というものを認め、その実効性を担保するために取締役及び使用人に対する営業報告の請求権、財産状況調査権あるいは取締役会への出席、意見陳述権などを認めたわけでございます。さらには取締役の法令、定款違反行為の差しとめ請求とか、あるいは場合によっては取締役会の招集請求をすることができるというように、監査役の権限を大幅に強化いたしました。
 また、いわゆる大会社、これは四十九年改正当時は資本金五億円以上ということでございましたが、五十六年改正によりまして負債総額が二百億円以上の会社もこの大会社に当たるということにされたのでございますけれども、こういった大会社には公認会計士または監査法人による会計監査人監査の制度を導入いたしまして、会計監査人に会計帳簿等の閲覧請求権、取締役及び使用人に対する会計に関する報告請求権を認めるなど、会計監査人による監査の充実強化を図ったわけでございます。また、監査役と会計監査人との連携を密にするため、会計監査人がその職務を行うに際して取締役の職務遂行に関し不正の行為等を発見したときはこれを監査役に報告しなければならない、また監査役は、会計監査人に対しその監査に関する報告を求めることができるというようなことにいたしました。
 このように監査役あるいは会計監査人制度の強化を図ってきたところでございまして、このような強化のための法改正をする過程の中で、例えば社外重役論とか監査役会制度等の議論もされたわけでございます。
 今回の証券不祥事についていえば、いわゆる損失補てん行為が証券取引法という法律に違反することになるのかどうか、あるいはこの法律に違反しないまでも、取締役の善管注意義務あるいは会社に対する忠実義務違反として商法違反の行為になるのかどうかというような問題があるとともに、さらには、このような監査制度の運用に何か問題があったのか、すなわち監査役または会計監査人において法律で認められている権限の適切な行使をしなかった。あるいはし得なかったということによるのか、さらには、現行の監査制度あるいは会計監査人制度に何らかの不備があって、これがまた一つの原因となっているものであるかどうかというようなことにつきまして、私どもといたしましては十分に見きわめる必要があると考えるわけでございます。現在大蔵省が提案されておる証取法の改正によりますと、今後は、損失補てん行為は明白に違法な行為になりますので、これはもう監査役、会計監査人ともども明白にチェックをしなければ監査役あるいは会計監査人の責任問題というのが生ずることが明白でございますけれども、従前におけるこれらの行為について監査役が何をなし得たかということについても、十分慎重な検討をする必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、この点については先生の御指摘のような問題があるということを踏まえまして、現在会社法の改正について調査審議中の法制審議会にも伝えまして、その審議を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#7
○田辺(広)委員 今いろいろ御答弁いただきましたが、昭和四十九年それから昭和五十六年の商法改正によって監査制度が見直されておることは、今の御答弁でわかったわけでございます。その昭和四十九年というのは、山陽特殊鋼の粉飾決算というところから端を発して、もう少し監査役の権限を広めてやらないと得意先初めそれぞれ関連会社に相当な被害を、連鎖倒産を起こすのだということから始まったと私は思うのです。それから、その次の昭和五十六年は、ロッキード事件の問題、それから総会屋さんの除去ですか、何かそれが一つの目的で行われたように聞いております。
 そのことにつきましては私ども理解できますが、しかし、これだけ改正をして、改正法を読んでみますと実に緻密な無理のないような法改正がされておりまして、私どもそれのみ見れば満足です。しかし、それだけ四十九年、五十六年に商法改正をして監査役の権限も広めましたというようなことをおっしゃっても、事実今度の事件にはその作用をしなかった。証券の問題につきましては、今お話がありましたように証券取引法というのがあって、これは補てん行為が違法でない、違法でないから報告をする義務がないのだということに私は御答弁を聞いたのですが、しかし一方においてはイトマン事件というのがありまして、毎日、新聞に出ております。きょうもその関係の金融機関の理事会長さんが逮捕されたということを聞いております。
 そのイトマンの社長さんというのは住友銀行さんから見えた社長さんで、イトマンの経営のために相当な御努力をいただいて経営再建に相当な功績があったということを聞いております。しかし、その後はどうかといいますと、新聞に出ておりますようにあらゆる事業に手を出して、不動産関係に特に力を入れる、一方においては絵画取引までやる、そして不正融資が行われる、株の取引までする、自分の本業以外のありとあらゆることに力をいたされたように見えます。
 これだって、その会社の中には公認会計士も見えるでしょうし、また監査役も見えるでしょう。この人たちがそのことを事前にキャッチできなかった。そのために、あのしにせのイトマンに学校を卒業して長く勤めて、自分の将来のため、会社のため働いてみえた従業員の生活は一体これからどうなるであろうかと思います。同時に、あの会社の株を持ってみえる株主の皆さん方は、長い歴史の中からイトマンさんに将来どうしても立派な会社に伸びていただきたい、もっと発展をしていただきたいという願いが込められておったと思うのです。その方々の財産まで踏みにじってきておる。ただ単に監査役さんがこういう法律で守られておる、権限も拡大しましたからどうでしょうかと言い切れるものだろうか。一面においては金融機関の不正融資、不正行為、刑事罰に値するような、次から次に逮捕者が出ております。また一方においては、今度はゴルフ場をつくるんだ、それを五万に及ぶ会員権を販売している。これは全く、私どもが考えてみても恐ろしいというのは、こんなことができるのか、よくできたものだという気持ちしかないんです。
 一つ一つの会社の中で、監査役というと取締役から任命され、また社長から任命されますから、同じ会社の中に入っておる。どうしても最後の発言権が弱いのではないか。そのために公認会計士制度もあるんじゃないか。いろいろせっかく自主規則、自主管理をすべき組織がありながら、それが行われていない。だとすれば、これを行っていただけるような姿にこの機会にしなければ、四十九年の山陽特殊鋼、五十六年の総会屋対策等々の事件よりもっともっと大きな事件で、もっともっと大きな国民的な被害を受けておる今日ですから、当然監査役制度に対する一つの大きな皆さん方の力が加わって、二度と起きないような、外部的な問題は証券特委員会の方でやられます、しかし会社の内部を自分で管理するという従来の基本方針のことについては、私はこの委員会でしっかりけじめをつけるべきだと思っております。大臣にも一言御答弁のほどをお願いしたいと思います。
#8
○左藤国務大臣 今田辺先生の御提案、お考え、私ども全面的に同意見でございまして、特に社外監査役という制度につきましては、そういう意味で取締役からの独立といいますか、そういうような点で、そうしたものがもっと強力に認められれば今言った問題もある程度抑えられたのではなかろうか、私はこのように思います。五十六年の改正のときにも導入が検討されましたけれども、なかなか人が得られないとかいろいろな問題で見送りになったと思いますが、私は、こういった問題も今回の大きな事件を未然に防ぐためにも今後必要ではないか。
 全般的にバブル経済のときに起こりましたいろいろな事件につきましては、お互いが激しい競争といいますか、そういうようなことで前年に比べてどうだとか、いろいろなことでそうした目標を設置して、それをやるための非常な無理がそうした形のものにあらわれてきたんだ、私はこのように考えるわけでございます。
#9
○田辺(広)委員 大臣からお答えいただきましたが、私はいつも思いますが、一つの事件をやはり国民がずっと見ておりまして、怒りとそして期待というものが大きく心にあると思うのです。その中で、その対処する方法を素早く行えばそれが信頼に変わるし、これをぐずぐずやっておりますとその怒りがまた増加するんだということも考えながら、今大臣の御答弁のように、監査会をつくる、また外部からの第三者の監査役の就任もできるようにする、そして実質的に監査役が会社の内部においても力がつくような方法をひとつ考えていただきたいと思います。
 それから、二問目に移ります。
 時間がございませんから簡単に御質問申し上げますが、最近、今申し上げましたような、今法務大臣はバブル経済と言われましたが、私はクレージーだと思います、気違い経済だと思っていますが、経済事犯が非常に複雑、巧妙化してまいっております。しかも国際化、規模の拡大傾向が認められるが、このような事犯に対処するために、検察態勢の整備強化の観点から法務省ではどのような対策を講じてみえるか。
 その一つとして、先回衆議院で附帯決議にありました法曹養成制度等改革協議会はどのような経緯でできたものか、また、その活動はどのようにされてみえますか、お聞きしたいと思います。
#10
○濱崎政府委員 さきの第百二十回国会におきまして、司法試験法の一部を改正する法律について、当委員会及び参議院法務委員会で充実した審議をいただきました結果、可決成立させていただきました。法曹養成制度等改革協議会につきましては、その審議の際に私どもその経緯、内容等について御説明を申し上げまして、御理解をいただいたところでございます。
 繰り返しになりますけれども、この改革協議会は、司法試験制度に関する今般の改革について法曹三者で協議をしてまいったわけでございますが、その協議の場で法曹三者が合意をし、司法試験制度の抜本的な改革を目指す場を設けるということで、その合意に基づいて設立することにしたものでございます。また、当委員会、参議院法務委員会でもその趣旨を御説明し、御理解をいただきまして、司法試験法改正法を可決成立させていただいたわけでございます。また、当委員会及び参議院法務委員会の附帯決議におきましても、この改革協議会において司法試験制度及び法曹養成制度の充実発展を図るため、誠実かつ精力的に協議を行うべきであるという附帯決議をいただいたところでございます。そういった経緯を踏まえまして、法曹三者でいろいろ設立の準備手続を経まして、ことしの六月二十五日に第一回の会議を開催する運びになりまして、法曹養成制度等改革協議会が正式に発足するに至っております。
 なお、当協議会には法曹三者から選出した協議員のほかに、大学関係者及びその他の学識経験者合計十名の協議員の参加をいただいておりまして、合わせて全員二十四名の協議員によって構成をしております。第一回を六月二十五日に開催しました後、先週の九月十二日に第二回の会議を開催したところでございます。この協議会は、法曹養成制度全般にかかわる幅広い事項を調査検討する必要がございますので、相当長期にわたりまして腰を据えた調査と検討を要するわけでございます。そういった意味でほんの端緒についた段階でございまして、第一回及び第二回の会議におきましては法曹三者の側の協議員の方から現在の制度の概要、それから今次改正に至るまでの経緯等につきまして説明をし、そして法曹三者以外の、ただいま申しました十名の協議員の方々それぞれから法曹養成制度に関する概括的、全般的な御意見、あるいは御感想といったものをいただいた段階でございます。
 これから具体的な協議の進め方につきまして協議員全員の意見を承り、あるいはこの協議会の事務局として法曹三者で運営委員会というものを設けておりますが、そこでもよく相談をいたしまして、どういうような事項についてどういった研究を行い、調査を行い、どういった方法で協議を進めていくかということを考えてまいりたいと考えておるところでございます。
#11
○田辺(広)委員 ただいま御答弁をいただきましたが、国内のそれぞれ協議員だとか大学の関係者等々二十四名の方で御審議をいただいておるということで、大変結構でございます。
 そこで問題は、法曹の養成というのは、国民的な立場のほかに国際的な視野から検討が進められなければいけない。国外のそうした情報の収集だとかそういうことについて、また委員構成の中にそういう方の知識を入れるかどうか、そのことについてちょっとお聞きをしたいと思います。
#12
○濱崎政府委員 この検討に当たって国際的な視野からの検討が必要であるという御指摘、まことにそのとおりであると思っております。ただ、協議員の構成につきましてはおのずから限度があるということでございますので、そういった国際的な視点から物事を考えるという観点から、いろいろ参考人として御意見を伺う、あるいは協議会として、あるいはそれに参画する私ども法務省の立場といたしまして、そういった問題についていろいろ調査研究をし、その成果を協議会の場に報告をし、協議に反映させていただくという方法をとるというようなことをこれからの問題として考えている次第でございます。
 御指摘のとおり、諸外国の制度を単に参考にするということだけではなくて、これからの国際化時代にふさわしい法曹を養成することができる制度を構築しなければならぬ、あるいは国際的に誇れる制度を考えていかなければならぬということで、そういった観点からの調査研究が不可欠であるというふうに考えております。法務省といたしましても、諸外国における法曹養成制度等に関する実情、さらには検討の基礎になります諸外国において法曹が国民との関係においてどういう活動をしているのかといったようなことにつきましても、実情をできるだけ調査した上、その結果を改革協議会に反映させるように努めてまいりたいと考えているところであります。
#13
○井嶋政府委員 委員先ほど検察態勢の整備強化について御質問でございましたので、簡単にお答え申し上げます。
 先ほど来委員が御指摘になりましたように、ここ数年、いわゆる経済関係事犯というのは非常に大型化をいたしまして、また悪質化しておると申しますか、場合によっては国際化もしておるということで、非常に多くの事件が摘発をされておるわけでございます。その辺は経済の実態、いわゆるバブルであったのかどうかわかりませんけれども、そういった実態を反映していろいろなひずみがこういった事件を通して出てきておるんだろうと私どもは考えておるわけでございます。
 そういったここ数年検察がやってまいりました実態は委員御案内のとおりでございますけれども、これからもこういった事犯につきましては、国民の経済的生活の安定を確保するあるいは経済秩序を確立するといった観点から、検察としても当然重点を置いてやらなければならない問題だというふうに認識をしておるわけでございまして、過般の本年六月に行いました検察長官会同におきましても、検事総長はそのように訓示をしておるわけでございます。私どもも、今後こういう経済関係事犯に対する対応といったものが最も重要な検察の運営方針の一つであると考えておるわけでございます。
 そこで、従来、こういった事件は全国に置いております財政経済係検事というのが中心になって行っております。その中で、特に東京と大阪にはそういった者が集まりました特別捜査部といったものを大きく編成しておるわけでございますが、そういった現在の態勢を今後もさらに強化をしてまいることがまず必要であろうかと考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど人材育成の話が出ましたとおり、検事の給源も必ずしも潤沢ではございません。したがいまして、現在の勢力をいかに有機的に機動的に効率的に、活用すると言ったら語弊がございますけれども、対応していくかということがこれからの法務、検察に課せられた重要な問題だと考えておるわけでございます。
 そういった意味で、従来もやってまいりましたけれども、本年度以降も予算要求その他の場面におきまして、そういった態勢の強化整備あるいは機動力の増強といったことに光を当てました予算要求も続けてまいり、さらに刑事局といたしましても、そういったものに対応する施策を充実してまいりたい、このように考えておるわけでございまして、今後とも委員の御懸念に十分こたえるべく整備強化を図ってまいりたい、こう考えるわけでございます。
#14
○田辺(広)委員 時間がございませんので、今御答弁いただきましたことで私ども理解を申し上げますし、また今後、今お話がありました方針に従ってひとつしっかりやっていただきたい、こう考えております。
 私、きょう、そのほかに外国人の入国管理の問題、その他不法就労等お聞きしたいと思っておりましたが、時間がございません。私の家の近くは昔から、同じ日本人でもよそから来た人を「来たり人」と言うのです。昔から住んでおる人を「はえつき」という言葉で呼んでおるのですが、そうした田舎でさえ、今、外国人労務者が、見たことのない人が町を歩いたり仕事場に出てきたりカラオケに出てきたり、いろいろするのです。そのことを思うと大変心配でなりませんので、次の機会にまた、これは法務省だけでなしに労働省から各省庁みんな関係いたします、どうかその人たちの不法就労をなくすること、そしてまた認められた就労者については、日本に来て働いたら所得もよかった。また生活もよかったと思われるようなことになってもらいたいと念願して御質問をと思いましたが、時間がございませんので、私の考え方だけ簡単に申し上げまして、本日の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
#15
○伊藤委員長 御苦労さんでした。
 小森龍邦君。
#16
○小森委員 それでは、法務省、警察庁、最高裁、自治省等から、それぞれ論点に従いましてお答えをいただきたいと思います。
 まず、ことしの七月二十一日にマスコミで報道されましたタイ人女性、これは不法入国あるいは不法就労というようなことが理由のようですが、タイ人女性を名古屋の駅頭で暴力団に渡したという事件が報道されました。その事実は五月二十七日のようでございましたが、この問題に関しまして若干のことをお尋ねします。
 まず、七月二十一日に新聞で報道されて、二十二、二十三、二十四日と数日の間、北村邦雄という県警本部長はずっとそれを否認し続けまして、そして七月二十四日の午後七時四十分ごろの記者会見で裏取引があったことを認めた。こういう事件でございますが、私が尋ねたいのは、五月二十七日からここに至るまで約二カ月の時間が経過をしておりますが、どうして二カ月も隠し続けたのであろうか。この二カ月間、警察の機構として、幹部はかかる不祥事を聞く機会もなかったのであろうか。つまり内部の機構として、そういう矛盾したものを、間違ったことを速やかに察知する機構というものはないのか、この点をまず警察庁の方からお尋ねしたいと思います。
#17
○杉田説明員 お答えをいたします。
 まず、事実関係について簡単に御説明を申し上げます。
 本件は、本年の五月二十四日、三重県の鈴鹿警察署において、管内のある飲食店が無許可で風俗営業を行っているという情報がございました。令状を得まして捜索を行いました。このときに外国人ホステス三人が客の接待行為をしておりましたので、外国人による不法就労の疑いもありまして、本署に参考人として出頭を求めて一時保護をしたのでございます。さらにこの捜索のときに、同店で飲食をしていた男に、外国人女性を飲食店へ有料であっせんをいたしました職業安定法違反の疑いが出てまいりましたので、その男について任意の取り調べを行いました。この容疑者に対する取り調べには鈴鹿警察署の防犯の係長と主任の二人が当たったのでございますが、この容疑者は相当酒に酔っておりまして、大声を出して絡んでくるなど反抗的な態度をとり続けましたために、二人の取り調べ官はこれを制圧しながら事情聴取を行いました。なお、この際、手のひらで頭を押さえたり肩の付近を押したり突いたりした事実が判明をいたしております。
 その後、この容疑者に対する取り調べを終えて帰宅させましたけれども、五月二十五日の午後になりましてこの容疑者の兄とその友人、これは元暴力団関係者でございますけれども、これが鈴鹿警察署を訪れまして、容疑者に対する医師の診断書をちらつかせながら、取り調べの際の暴行を表ざたにしない、そのかわり保護中の外国人女性を返せと要求をしてまいりました。容疑者の取り調べに当たった二人の警察官は……
#18
○小森委員 ちょっと私の質問とは違うのだけれども。私の質問に簡単に答えてください。
#19
○杉田説明員 と申しますのは、いわゆる五月二十五日にこういう形で言ってまいりましたので、そこでこの二人が上司と相談をして、結果的に五月二十七日、保護した外国人女性を名古屋入管へ移送をする途中に、三人のうちで有効なパスポートを有する二人を元暴力団関係者と申し合わせた名古屋の駅前で解放したということでございます。
 こういうことで、結局、今お話を申し上げましたとおり、防犯課長以下三人で相談をいたしまして取引に応じたということで、この時点では防犯課長から上司である署長、さらに本部等に対する報告がなされていなかったということで、御指摘のとおり七月二十一日に報道等で明らかにされるまでこれがわからなかったという次第でございます。
#20
○小森委員 私が尋ねておるのは、わからなかったということが、一つの警察署でどうも不思議でかなわないわけですね。何人かの者がかかわっていることだし、それが幹部にわからないということが不思議でかなわないので、そういった日常警察の業務の中で間違ったことが行われておるかどうかということについて、なぜ関係同僚の間で警察はわからないのだろうか。だから、簡単に言うと、警察は自分たちのやる悪いことについてはかばい合っておるのではないか、私はこういう気持ちがありますが、その点はどうですか。
#21
○杉田説明員 お答えをいたします。
 本件の場合は関係者が限られておったということで、結果的に御指摘のとおり上司等がわからなかったわけでございますけれども、基本的には、かばい合ってこういうもので臭い物にふたをというようなことは毛頭ございません。今後ともこのような事案については適切な指揮監督ができますように努力をしてまいりたい、かように考えております。
#22
○小森委員 例えばその日の行動について重要な問題については日誌で報告をするとか、あるいは書かれた日誌を署長なり次席が読むなりして、正しく業務が行われておるかどうかということは、今日の警察の段階ではそういうややシステムに近いような問題はないのですか。
#23
○杉田説明員 御指摘のとおり、私どもは大変強い権限を持っておりまして、身体の拘束を含めましていろいろとございます。したがいまして、そういった諸手続につきましては、適切に指揮監督ができるように常日ごろから指導しておるところでございます。
#24
○小森委員 指導しておるというのではなくて、そういうシステムに近い、そういった問題があるのではないのですかということを尋ねているのです。
#25
○杉田説明員 ただいま申し上げたとおり、システムとしてそういうものがチェックできますようにいろいろと工夫をしておるのでございますけれども、結果的にこのようなことが起きまして上に上がらなかったということは、やはりシステムそのものに反省すべき点があったということで、るる工夫を加えておるところでございます。
#26
○小森委員 これは普通の会社とかその他団体運営だったら考えられないことでありますが、要するにわかっていてもかばって、そして、それがマスコミによって報道されてもなお数日追い詰められなければ本当のことを言わない、これでは警察の信用というものは全く国民の間では通用しない、警察は信用ない、こういうことになると思います。
 したがって、さらに具体的に尋ねますが、こういった事件の関係者、そういうことをやった主なる人だと思いますが、丹野警部補、新聞で見ると諭旨免職になっています。諭旨免職といったら、この免職された者に、免職ですから職を免じられるわけでありますが、どういう不利益があるわけですか。
#27
○杉田説明員 委員御存じのとおり、この諭旨免職というのは、国家公務員法、さらにはまた地方公務員法上の処分ということではありませんけれども、いわゆる懲戒処分ではないけれども組織に置いておけないという場合に諭旨免職処分ということを使っておるわけでございます。こ諭旨免職処分になりますと、二足の勤務年数等で条件が整えば本来であれば特別昇給でありますとか昇格をするということがあるのでございますけれども、そういったアドバンテージがすべてなくなる、こういうものでございます。
#28
○小森委員 そうすると、懲戒免のときのように、例えば退職金が飛ぶとかそういうことはないのですね。
#29
○杉田説明員 そのようなことはございません。
#30
○小森委員 そうなりますと、先ほど私が言っておる、悪いことをしてもかばい合う、国民の前でしらを切るということは、要するに処分の名に値するのかどうかわかりませんけれども、この事実によっても明確に証明されたことになりませんか。
#31
○杉田説明員 そのとおりだと思います。
#32
○小森委員 そうすると、結論的に申しますと、やはりでたらめな警察という印象をぬぐい切れない。これをどうしようと思いますか。
#33
○杉田説明員 かばい合いを認めたということではございません。
 いずれにいたしましても、結果的には防犯課長以下でひそかに処分をしたということで、組織的にこれが早期に対応できなかったといううらみがございますので、そういう点につきましては今後とも工夫をしてまいりたい、かように考えております。
#34
○小森委員 先ほど私が、処分につきましてそれはかばい合いということになるじゃないかと言うたら、そう言われても仕方がないとか、正確には議事録見なければわかりませんが、そういうことになると思うという意味のことを言ったわけで、要するにでたらめな警察という印象をぬぐい切れないが、この落とした信用はどうするのか、これを尋ねているのです。
#35
○杉田説明員 初めにかばい合いの点について申し上げますけれども、私がお答え申し上げましたのは、その関係した三者で、本来ならばそのうちのだれかが、このことについて、事が重大であるということで上司に報告をすべきところをしなかった。そういう点で申し上げたのでございます。
 いずれにいたしましても私どもは、全警察の総力を挙げまして暴力団の壊滅に対して推進をしておるさなかに、こういった警察官がいわゆる暴力団関係者と取引をするということで大きく信頼を損なったわけであります。今後とも暴力団に対しては、まず第一に強い対決意識を持つということが大変に大事である、対決意識を持ち、同時に、相手方が手練手管いろいろな手段を講じてまいりますので、組織を挙げてきちっとこれに対して対応できるようなシステムというものが必要であるということで、この点につきましても過般、事案が判明をいたしました直後に次長通達をもちまして第一線に強く指示をいたしたところでございます。
#36
○小森委員 警察が暴力団に強い対決姿勢を持つということはもちろん当然のことなんでありますが、事実は、暴力団に対して強い対決姿勢を持たず、弱い者に対してだけ対決姿勢を持っておるというのが警察の現実じゃないですか。だからもう少しびりっとして、本当に国民の困っておる、弱い者の味方になる、こういうことに徹してやらなければだめですよ。
 話を変えます。広島の新交通システムのことにつきまして、警察庁の方へ交通規制にかかわってお尋ねをいたします。
 これはことしの三月十四日、広島新交通システムという、今度のアジア大会に向けての交通網の整備を今行っておるわけでありますが、既に新聞等で報ぜられて御承知のとおり、大きな鉄製の橋げたが工事現場から落ちてまいりまして、そこを通行中の人たちが、もちろん工事現場の人も含めてでありますが、たくさん亡くなりました。死者が十五名、負傷者が八名でありますが、そのうち通行中の人、つまり自動車に乗ったまま、恐らく交通信号を待っておったのだと思いますが、その通行中の人が何名亡くなったわけですか。
#37
○古賀説明員 通行人の方が十名亡くなっております。
#38
○小森委員 もしこのときに警察がしゃんとしてあの工事現場の交通どめをして工事をさせていたら、この事故は起きなかったでしょう。その点については、この惨事に関して、警察が交通規制をしなければならなかったのをしなかったということについては、今日どういう見解でおられますか。
#39
○古賀説明員 広島市安佐南区の新交通システムの工事現場において発生いたしました橋げたの落下事故につきましては、道路管理者であり工事施行者であります広島市と広島県警との間で平成二年一月から八月までの間に八回にわたって協議を行いました。その際広島市の方から、今回の工法につきましては、過去に事故などのない安全な工法であり、通行どめの措置をとることなく工事ができる工法であるという説明を受けております。そこで、実際に工事を行う事業者が道路の作業を行う部分について工事区域を限定し、工事区間には交通整理員を配置することなど十項目の条件を付しまして道路使用許可を行ったと聞いております。
 しかしながら、結果としてはあのような痛ましい事故が発生したことは極めて遺憾でございますので、この事実を厳粛に受けとめ、この種事故の再発防止のために、直ちに同種の工事の安全対策状況について、道路管理者、施工業者などとの共同によるすべての工事の緊急点検を実施するとともに、道路管理者とも十分な協議の上、今後の工事の内容を勘案しつつ、時間、区域を限定して全面規制を実施するなど、事故の再発防止策を講ずることなどを全国の警察本部に指示したところでございます。
#40
○小森委員 私はやはり、広島市とかそういった工事の関係者がこの工法は安全であると言っ次としても、実際にその路上を通行する者が安全であるかどうかということはそれを許可する警察側が第一義的な責任を負わなければならぬと思うのです。ところが、その第一義的責任を負うべき警察が、工事現場の工法がどうであったとか、専門用語になりますけれども、サンドルの組み方がどうであったとかということを素人の立場から追及しておるというのが新聞によく出ておりました。問題は、今回の事故を教訓として今後はきちっとやるということももちろん大事ですけれども、起きた事柄について、その都度警察というものはそれなりの責任を明らかにしなければいかぬでしょう。私も警察の許可証の写しをコピーで見ましたけれども、交通どめにするという条項をわざわざ線を引いて消して許可をしているじゃないですか。一体そういうことについては、警察の責任はどういうふうに考えるのですか。
#41
○古賀説明員 私ども警察といたしましては、道路交通の管理という立場から道路の工事などにつきましても所要の観点から必要なチェックを行っているところでございまして、今回の事故につきましては、事故原因につきましては現在捜査が行われているところでございますのでその結果を待たなければならないわけでございますが、原因が明らかになりその防止策がとられるまでの間は車両の通行を禁止するなどして、作業の安全の確保を図り二度とこのような事故を起こすことのないようなお一層の指導の徹底を図っているところでございます。
#42
○小森委員 警察当局は、あの現場に迂回路がなかったと考えていますか。ちょっと交通規制したらよかったのにというような、あの現場の地理についてはどうですか。
#43
○古賀説明員 迂回路というその範囲をどのように認識するかという問題でもございますが、大型車あるいはそのほかの重量車等々が十分に安全に通行することが可能な道路としては、事故があったあの道路のみであろうというふうに認識をいたしております。
#44
○小森委員 事故が起きたのがことしの三月十四日で、衆議院の会期中でございましたけれども、私は三月十六日、だから翌々日、現地へ参りました。交通どめがしてありました。交通どめがしてあるから通れないかと思ったら、ちょっと横にそれたら立派な道路がありました。そして大きなトラックと私はすれ違いました。通れないというようなことはないじゃないですか。
#45
○古賀説明員 事故の直後、御指摘のとおり通行どめの措置を行ったわけでございますが、その間におきましても、やはり大型車等がそういった道路を通るというようなことで地域からも速やかに当該道路を開放して通行させてほしいという要望等もあっておる状況等も踏まえますと、当該工事に伴ってあの道路を通行どめというのは、期間の問題もございますが、なかなか困難であったのではないかというふうに考えております。
#46
○小森委員 そういうような、人が十人も死んで、よくそういうときには今後は交通規制をしてやるように連絡をしたとか通達をしたとか言いながら、起きた事件については、自分方の家の前を大きいトラックが通ってくれては困るから事故が起きた現場でなかったら通れないんだというような言い方は成り立たないでしょう。しかも、ここをよく聞いておいてくださいよ。もし自動車を通すならば、あの重たい、六十トンも七十トンもあるような大きな鉄製の橋げたをつり上げて、本当に危険なときだけ警察官が立ち会いで迂回をさせたってよかったわけでしょう。それを一律的に通ってもよいということにしておるから、ずっと数珠つなぎに自動車が交通信号を待って並んでいるときに、運悪くその上にどんと落ちたわけでしょう。ぎゅうともぎゃあとも言う暇なしにその自動車に乗っていた人は死んだわけでしょう。幾ら警察以外に警察を取り締まる機関がないからといって、余りにも自分のことについてはそれは野方図じゃないですか。どういうふうに考えておるのですか。
 そして、あの事件直後私は通ったが、あなた方が迂回路としては難しいという道路に対して交通整理の巡査が出てなかったじゃないですか。余り人をばかにしちゃだめですよ。国民を何と思っているのですか、あなた。もう一遍答えてみなさい。
#47
○古賀説明員 道路工事等の道路使用許可につきましては、委員御指摘のような問題も多く包含しておりますので、今後とも警察的対応については欠けることのないように、場合によりましては通行どめといったことについても十分検討してまいりたい、かように考えております。
#48
○小森委員 一般の社会では、人様に大変迷惑をかけた。自分のやった行為が、意識的であれあるいは無意識であれ自分のやった行為が人の命にかかわるような大事件が起きたら、みんなそれなりの責任をとるのですよ。先ほどは、暴力団にタイ人女性を渡したということがあっても諭旨免職、そして今度は、自分らがやったことが一番たくさん人を殺しておるわけでしょう。十四人のうち十人は交通規制の問題ですよ。あとの四人のことについては、既に私は衆議院予算委員会の相当の分科会におきましてそれは指摘をしました。これは、我が国の今日の産業の二重構造、多重構造の問題なんですよ。下請、孫請、ひ孫請、そういう形でこれは著しく人権が侵害されておることと関係があるのですよ。しかし、その方は四人、あなたの方は十人。これもまた警察はでたらめという印象を免れませんよ。警察の、つまり交通なら交通の問題について国民から信頼されるようにやってもらわなければ困りますよ。これは、あなた方を取り締まるもっとほかの機関があってみなさい。取り締まられて、恐らくこれは相手に対して業務上過失致死というか、法律上のことはよくわからぬが、何かの形であなた方はやられますよ。あなた方が直接の第一線の捜査の担当者だから、自分らは楽でおれるわけでしょう。だめですよ、そういうことじゃ。せめて衆議院で、あるいは参議院でこういう場であなた方にこういう形で指摘をすることが唯一の規制でしょう。警察はもっと自分自身を規制するようにしなさい。
 話を次へ移します。
 これは、私の記憶では一九八七年の出来事でありますが、広島県警の警部補、川本さんという人が差別発言をいたしました。これは人権擁護局長も、何回も現地からの抗議が行われておりますからよく御承知だと思います。その発言の内容は、一つは、同和対策審議会の答申の中身に著しく違反をして、部落差別というものはほっておけば直るんだということ、実際に我が子との結婚問題が起きたらちゅうちょするとか、自分はそれに賛成できないとかという意味の発言。もう一つは、最近、部落の者は身分を隠そうと思って本籍を移動させておる、そういう者が相当おるという発言。さらに、窃盗犯を逮捕してみたら部落の者であった。県会議員がもみ消しにかかった。これはもう一度れをとってみても実にけしからぬことを言っておるわけであります。
 これについて、いろいろと現地の法務局人権擁護部あるいは本省の人権擁護局とも議論をいたしましたが、あなたの方はこれを差別事件として認めない、認めないばかりか、人権実務研究会のパンフレットを見ると、そんなことを言うのは言論の自由だと言っているんだ。でたらめがちょっと過ぎやしませんか。
 そこで、質問のポイントは、そこのところを大上段に議論しようと思ったら時間がないからそれはまた別の機会にしますけれども、質問のポイントとするところは何かというと、今のところようやく現地の広島法務局人権擁護部は、これは個別啓発対象の事件です、個別にこの人を啓発しなきゃいかぬ、こう言っておるのです。啓発しましたか。
#49
○篠田政府委員 お答えいたします。
 この事件につきましては、小学校PTAの同和問題の研修会における意見交換の場における発言でございまして、私どもとしては、これは人権侵犯事件とは考えていないわけでございます。
 しかし、その発言内容の一部にやはり同和問題についての十分な理解がないということで、個別啓発が必要だというふうに考えているわけでございます。今のところ、本人が拒否しているという関係がございまして、本人に面会できたのは一回あるところでございます。
#50
○小森委員 警察庁はよく聞いておいてくださいね。
 人権擁護局もこれはまことにふがいない、人権擁護局の名に値しない。これだけの差別発言を起こしておいて、これは差別事件ではありません、こう言うんだから、一体だれのところへ人権擁護を訴え出たらいいのかということになる。だから私は終始一貫、あなたに対しては、人権擁護局長に対しては、注意をするというような発言しかできないのですよ、今のようなでたらめなことを言うから。世の中に通用するようなことを言ってもらわなければ困りますよ。
 警察の方は、広島の現地のまじめな人権擁護部の職員が幾ら接触をしようと思っても、やろうとしない。これは先ほどのずっと続いたでたらめの問題との関係で、一つぐらいきちっとけじめをつけてみなさい。これはまだ物を解決しようと思えばできることなんですからね。十人死んだらもうこれは解決できない。死んだ者はもとへ戻らない。しかしこの問題は、まだまじめに警察が対応したらその人の物の考え方というものを民主主義の社会にふさわしい状態に変えることができるわけでしょう。警察庁、これはどなたか答えてくれますか。教養課長おりますね、答えてください。
#51
○大貫説明員 ただいま御質問の昭和六十二年の広島県における警察官の発言問題につきましては、昭和六十二年三月の広島県議会本会議におきまして、当時の県警本部長から、指摘されるような事実はなかったと確信しているとした上で、同和問題については県警としては既にいろいろな教養を実施しているところであるが、今後より一層徹底してまいりたい旨の答弁を行ったとのことでございます。
 さらに、広島県警では、同和教育に関しましては、御質問に係る本人を含めてすべての警察職員に対して、警察学校での教育に加え警察本部や警察署においても、同和対策審議会答申等の資料を活用して同和問題に対する深い理解と法のもとの平等の原則に基づく人権尊重の精神について徹底した教養を行うことはもとよりのこと、不偏不党、厳正公平に職務を遂行するよう教養の徹底を図っているとの報告を受けております。
#52
○小森委員 何か、こうやって質問すると、書いてきたものを雰囲気に合おうが合うまいが読むというようなことでは、本当にかみ合った議論はできませんよ。
 私が言っておるのは、法務省の人権擁護局長が、法務省人権擁護局としては個別啓発対象の事件でありますということを明言しておるわけや。ところが、接触しようと思っても接触できない。これが先ほど言うた警察のかばい合いでしょうが。そして、警察が同対審答申の線に沿って勉強しよる言うのは、今に始まったことじゃないのです。そのことは、以前にも事件が起きて私との間に鋭い対立が起きて、そしてあのときには県警本部長が出てこなかったんだが、県警本部長の次、多分総務部長だったと思うけれども、これは、十年くらい前の話じゃ、これから一生懸命やりますからと。それで一、二回何か県教委を呼んで勉強したことは私知っておる。しかしその後起きてきた事件だからね。
 法務省から言わせたら、我が国には整備された法務省人権擁護機関がある言って豪語しよるのだから、その整備された法務省人権擁護機関が指導しようと言うのだから、受けたらどうですか。あなたのところに、警察に専門家おるのですか。警察はどっちかというと人から怒られるということがないからそういうことについては余り知恵が働かぬのじゃないですか。だから、せっかく人権擁護局というものがあるんやから、そこが指導しよう言うたら指導受けたらいいじゃないですか。どうですか、それは。
#53
○大貫説明員 広島県警、警察本部に確認いたしましたところ、当事件を警察本部におきまして本人等から詳細かつ厳重に調査をした結果といたしまして、御指摘のような事実はなかったというふうに確信しているという本部長からの回答でございます。
#54
○小森委員 それじゃもう警察は、今さっき言うたようなことについても本当に反省しませんよ。そういうことではさっきの二つの事件についてだって本当に反省しませんよ。
 広島県内では、二十五カ所、集まってきた者約二万人、そこには当該事件の起きた町の町長も出席をして、警察にこういうことは反省しなさいということを、みんなの前で反省すべきであるということを言っているんですよ。それから、県内のほとんどの市町村長、市町村教育長は、警察に反省をしなさいという文書を突きつけているのですよ。それなのにようそういう白々しいことを言えるね。だから、わからぬところでは何をしよるかわからぬ、こういうことになるのですよ。もう一遍よう問うてみなさいよ。そういうことでしらを切って広島県民をごまかせるか。当初の新聞では完全に否定していなかったんですよ。これだけで時間をとるのはあれだから、この辺で警察の方はやめますけれども、これは相当深刻に考えてもらわないとだめですよ。
 次に、この事件に関係してちょっと法務局の方に尋ねますが、この前法務大臣は、衆議院予算委員会で社会党の野坂浩賢代議士の質問に答えて、差別事件はなお厳しく発生しておる、こういう答弁がございました。それは私も事実だと思った。そこで人権擁護局、今あなたのところの手元で、例えば一九九〇年というと余り手近で全部の集計ができていないかもわからぬが、できれば九〇年、できていなければ一九八九年の差別事件の数字、それをちょっと報告してください。
#55
○篠田政府委員 同和関係にかかわる人権侵犯事件といたしましては、平成元年度が三十二件、それから平成二年度が四十五件というふうに認識しております。ちょっと今急な質問で、手元のメモに基づいておりますので……。
#56
○小森委員 あなたの方は自分のところの省に報告された事件を今言われたんだと思うが、私どもの調査では、労働省が一九八九年差別事件として事件数に勘定しておるのが八百十二件、文部省が二百十九件、郵政省が六十二件、そして六十二件プラス一件はパソコン通信の差別事件、こうなっておる。
 なぜこういうことを言うのかというと、人権擁護局長、ようぐ聞いておきなさいよ。これは差別事件ではありませんとかなんとか言いさえすれば済むような問題ではないんですよ。要は、労働省、文部省、郵政省の三省調べただけでもこれだけの事件があるが、あなたのところは三十二件でしょう。もうばからしゅうて、あなたのところへ言っていく気がせぬのですよ。市町村もそうですよ。
 法務大臣、これをよう聞いておいてくださいよ。法務大臣は概括的に、事件はたくさん起きておる、こうとらまえておられるわけですから、これは抽象的には正しい。けれども現実問題は、我が国唯一の人権擁護行政機関だと、法律的には事実そうだし、また八六年地対協の部会報告のときには豪語しておるのですよ、豪語しておるところへ、だれも余り言っていかない、ばからしゅうて、本気でやらぬから。今のような、警察官が言うたことでも、いやそれは差別事件ではありません、言論の自由ですというようなことを言うわけですからね。法務大臣、これはひとつ何とかして法務省へ差別事件が的確に報告されるような措置を講じてもらって、そして人権擁護局がその問題に対して正しく対処する、こういう措置を講じてもらいたいと思いますが、法務大臣の気持ちをちょっと聞かしてください。
#57
○左藤国務大臣 今お話がありましたように、法務省の人権擁護機関というのは、申し上げるまでもありません、憲法の基本理念であります人権尊重の精神の普及高揚を図る、そういう活動をしておるところでありまして、具体的に国民の基本的人権の侵害が起こった場合には、人権相談あるいは人権侵犯事件の調査ということを通じてその擁護を図る使命があるわけであります。
 今お話しのように、法務局、そういったところに対します御相談として、またそういった調査を通じては一応の把握は図っておりますけれども、さらに今お話しのように文部省だとか労働省の関係とか郵政省の関係とか、そういった事件につきましても法務省としていろいろな面でその解決に、お助けするといいますか、そういうことができるような仕組みというものを考えなきゃならぬ、そういう意味での啓発活動を一層広げていくという努力をしなければならない、このように考えております。
#58
○小森委員 それはぜひ各省庁間の横並びで、情報を交換しながら今日の我が国の実態はどうかということをつかむ必要があるわけですから。要するに、同和行政を打ち切ろうというときにだけ横並びで、むちゃくちゃなことを法務省が先頭を切って今まで人権擁護局は言ってきておるけれども、問題は、事件がどういう形で起きて、どういうふうに国民に対して啓発をしたらよいかということで横の連絡をとり合うというのが最大の任務だ、この点をよく考えておいていただきたいと思います。
 じゃ話題を変えまして、本年の五月四日大阪地方裁判所で、去る一九八六年、昭和で六十一年の参議院選挙のことにかかわって公職選挙法違反に問われた事件がございまして、百二十二名の者が全員無罪になった事件のことについてお尋ねをいたします。
 これは捜査が始まってから公判の最終の結論が出る、つまり判決があるまでに、一九八六年の六月から九一年の五月までですからおおよそ五カ年間かかっておると思いますが、被告の立場に立たされた者が、お年寄りの方が多かったということもありまして、裁判の中途で相当たくさんの方が亡くなっておられるわけであります。つまり、世間に無罪ということが証明されずに亡くなっておられる方があるわけでありますが、捜査当局は、途中で、判決に至るまでに何名亡くなったと理解をされていますか。
#59
○井嶋政府委員 委員ただいま御指摘の大阪における選挙違反事件の大量無罪事件、これは今委員五月とおっしゃいましたが、本年三月四日の判決でございますので訂正させていただきますが、まず、この百二十二名という大量の無罪が出ましたことにつきましては、私ども検察といたしましても大変遺憾なことでございまして、こういったことが今後起こらないように、十分反省の原点にしなければならないというふうに考えておるということを申し上げまして、御質問の死亡者でございますが、判決の言い渡しかございますまでに、正式裁判申し立て中に亡くなった方は九名でございまして、その後に八名亡くなっておりますが、判決前でございますと九名でございます。
#60
○小森委員 この現場は高槻市であります。大阪府内の高槻市というと、相当都市化の波に洗われておるだろう、こういうふうに思われる向きもあるかと思いますが、私は現地に一度行ってまいりました。まだそこかしこに畑が残っておりまして、あえて言うならば、のどかな田舎の風景も残っておるところであります。そこで一生涯をこつこつとまじめにやって皆さんから信用をいただいておったこのお年寄りの方が、にわかに天から降っておりたような災難によって被告人の扱いを受け、新聞だけ読んでおる人からは白い目で見られ、そしてそれが無実が証明されないままに九名の方が次から次へと亡くなった。ある遺族の方にも私は会いましたけれども、無念でかなわない、一生涯まじめにやったのに、身内からも、ひょっとしたら悪いことをしたんじゃなかろうか、こういうふうに思われてはいないかという気遣いもあって、もう残念でかなわぬ、こう言われておりました。
 公権力の行使というのはよほど慎重な扱いをしなければならぬ点につきましては、先ほど来警察庁に対してもいろいろ私が述べたところでありますが、法務大臣も、同じ大阪の出身として心が痛むところだと思います。この亡くなられた。無実というものを晴らすことができず亡くなっていかれた方々に対して、法務大臣、あなたの心境を述べていただきたいと思います。
#61
○左藤国務大臣 そうした。結果として無罪、そしてまた御本人も無罪を信じながら判決の前に亡くなられた方、そしてまたその御遺族の立場、こういうようなものを考えますと、検察がこうしたことについて十分な検討をしないで処理を誤ったということに対して、非常に申しわけもないし、また非常にお気の毒である、このように思うわけでありまして、当然、こうした検察権の行使につきましてはより慎重でなければならないし、そうしたことに批判を受けないように努力をしていかなければならない。こうしたことが今後絶滅するといいますか、そういうことがないように、それがまた亡くなられた方に対する埋め合わせということは申し上げられませんけれども、せめてもの努力ではないか、このように思うわけでございます。
#62
○小森委員 法務大臣は、自分が最終的には指揮をとる刑事局あるいは検察官というようなもののことについての弁明でありますから、なかなか言葉遣いも苦しかったと思いますけれども、私は、素直に法務大臣が、これは申しわけなかった。これから慎重にやってこういうことのないようにしなければならぬと、こういう心境の吐露があったというふうに受けとめておきましょう。
 それでは刑事局の方にお尋ねをしますが、これは警察庁の方にも、捜査二課長がおいでになっておられますから、双方にお答えをいただきたいと思います。
 百二十二人もの人を調べて、同じことをずっと調べておるのですから、大概なら間違いに気づきそうなはずだ、結果からしてこれは無罪になったのですから。私も素人なりに判決文を読んでみました。判決理由書も読んでみました。一部裁判官は、刑事訴訟法の手続に照らしてなぜここのところを供述調書でもとっていなかったかというような指摘をしている場面がございました。つまり、だからそれは大きな意味で刑事訴訟法の手続の順序を踏んでいないというか、そこを飛ばしておるという点もあるのだろうと思います。また簡単に言うと、警察も検察もこの事件は犯罪的事実であると認めてやっておって、裁判の判決ではこれは犯罪ではない、犯罪であるということが証明できない、こういうことを言っておるわけであります。
 つまり、どういう欠陥がこれだけ多くの人を長い間苦しめて、無実を晴らさず死んでいくような事態が生まれてきたのか。簡単に言うと、刑事訴訟法の手続に照らしてどういう点が欠陥であったと思っておられるか。これを警察庁と法務省刑事局の方にお尋ねしたいと思います。
#63
○石附説明員 お答え申し上げます。
 本判決におきましては、買収資金の特定がなされていないこと、あるいは関係者の供述に変遷が見られ、その変遷に対する理由が明確になされていないことなど、いわゆる裏づけ捜査の徹底に欠ける点があったということで、供述の信用性に疑いを持たれ、無罪となったものと承知をしております。
 警察庁といたしましては、判決において指摘を受けた点につきまして、これを真摯に受けとめ、反省すべきは反省し、都道府県警察における今後の捜査に生かせるよう適切に指導してまいりたいと考えているところでございます。
#64
○井嶋政府委員 判決が指摘しております要点は、ただいま警察からも御説明がございましたとおり、自白のこの信用性に疑いがある、結局自白の信用性というのは裏づけ証拠があって初めて信用性がある、それについて十分な吟味がなされていない、こういう指摘に終始するわけでありまして、百二十数名の方々の自白、供述そのものと客観的証拠の裏づけとの突合と申しますか、吟味と申しますか、そういったものが十分でなかったという指摘がされておるわけであります。
 私どもは、もちろん自白のあるいは供述の信用性、あるいは任意性、本件は任意性ではございませんけれども、そういったものを十分確保し、吟味し、適正に処理をするということは私どもの使命である、基本的使命であるということは常に思っておるわけでございますが、それにつきまして、このような大量の無罪が出たということにつきましては極めて遺憾なことでございます。厳粛に受けとめなければならない。私どもは、今後こういった供述の吟味、信用性の確保といったものにつきましては、この判決が指摘しますところを十分踏まえまして実務に生かしてまいらなければならないということを考えておるわけでございまして、部内におきましても、早速そのような趣旨でいろいろの会議その他で徹底を図っているところでございます。
#65
○小森委員 刑事局としてもなかなか、自分たちの同僚というか、仲間内のことであるから言葉が少し濁っておるように思います。しかしながら、その答弁を私が受け取って考えてみただけでも、例えば買収の資金がどこから出たか、あれはたんす貯金から出したということになっておるようでありますが、普通の犯罪捜査だったらそういうところで済ますわけはないのですけれども、そこで済ましておるというところに、もともとこの事件は確信がなかったものを適当にずうっと推し進めておった。こういう判断を私はするわけであります。
 そこで、最高裁の方にお尋ねをしてみたいと思いますが、これは裁判所が判断をして無罪判決を出したわけでございます。そこで、通常言われております裁判官の自由心証主義、これはいつかもこの自由心証主義について最高裁と私は法務委員会の席上で議論させてもらったことがあると思いますが、裁判官の自由心証主義というのは、これはどうもおかしいな、これはおかしいから無罪だというような感じで裁判官は無罪判決を出すのか。自由心証主義というからいかにも裁判官の自由な判断というふうにとれるけれども、その自由心証主義の自由の中には私はやはり客観的合理性というものがなければいかぬと思うのですね。また、いろいろな学説を勉強させてもらってみても、多数意見とすれば、その自由心証主義というのは、裁判官の良心というのは、それは単なる抽象的におれはこう思うんだということではいかぬ、客観的でなければならぬ。だから裁判官はこの法律と良心の自由にのみ従う、こうなっておるわけであります。
 つまり私が問いたいのは、まあこういう席上でありますから、灰色無罪だというようなことを恐らく警察庁なんかも言いたいのだろうと思うけれども、そういうことは言ってないけれどもね、やや腹の底に、遺憾という言葉の中に、いやもう少し上手にやっておけばというようなことが私は含まれておるのじゃないかと思いますけれども、それならば裁判官は単なる抽象的な自由心証でやったのかということになるので、これは事前に通告しておる事件でありますから恐らく最高裁の刑事局長も一通りのことは目を通されておるのじゃないかと思いますが、単なる裁判官の自由の良心に基づいておるのか、刑事訴訟法上の常識というか手続というか、そういうものに基づいて刑訴法三百三十六条に基づく無罪、こうなったものか、その点についてお答えいただきたいと思います。
#66
○島田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 ただいまの御質問、端的にお答えすれば、今委員おっしゃたうちの後者の方だというふうに理解しております。
 自由心証主義と申しますのは、個々の証拠の評価につきましては裁判官の自由な判断にゆだねるというものであります。証拠の評価に関しまして、いわゆる法定証拠主義、すなわち一定の証拠があれば、例えばある証拠があれば有罪になるとかあるいは自白がなければ有罪にできないというように、その証拠の証明力について法律上の縛りをかけるあるいは制限するというようなことをせずに、適法な証拠であればその評価につきましては裁判官の自由な判断にゆだねるという主義でございます。
 ただ、自由心証主義といいましても、これは実態的な真実発見の目的から認められたものでありまして、自由といいましてもあくまでこの自由には限度があるものでございます。裁判官の恣意的な判断を許すものではなく、ただいま委員御指摘のとおりでありまして、その判断は全体として社会一般の経験則と論理則に従って行われるべきであるというふうに一般に説明されておるところでございます。したがって、その判断は客観的な合理性が担保されるものでなければならない。
 一方、例えば今委員が後段のところでお話ありましたように、有罪の判決を下すには、心証の程度として合理的な疑いを超えたものを心証としてとらなければ有罪にできないというまた法律上の制約がございますので、その意味からも有罪たる心証をとるには合理的な、経験則上一般的に見て合理性が担保された認定でなければいけないというふうに理解しております。
#67
○小森委員 重ねて警察庁と法務省刑事局にお尋ねをしますが、先ほど御両者ともまことに遺憾であるという言葉を述べられたと思います。それは、我が国の有罪率というのは九九・何%かでありまして、これは俗世間で言うと警察に一たんひっかけられたらもう逃げられようがないというような感じで国民は受けておるわけでありますが、無罪率がこの事件だけで一挙に倍になるというような、そういう重大な問題を投げかけた事件であります。
 そこで、私は厳粛に受けとめてもらいたいという意味で警察庁と刑事局の方に重ねてお尋ねをするのですが、今最高裁の方が答弁をされた。そういうことによる裁判官の判断だということで、自分たちの方に非があったという意味で遺憾だということを言われておるのか、いや悔しいから遺憾だと言っておるのか、その点をお答えいただきたいと思います。
#68
○石附説明員 お答え申し上げます。
 先ほど申し述べましたとおり、本件の判決において多々指摘を受けているところでございまして、警察といたしましては捜査を進めていく上でいろいろな面で反省すべき点があるということでございます。ただいま最高裁の方からもお話がございましたけれども、所々多角的に反省すべき点は反省すべき点として今後の捜査の参考としたい、こういうことでございます。
#69
○井嶋政府委員 この判決におきましては、先ほど申しましたように、それぞれの自白の供述の信用性を吟味されまして、合理的な疑いを差し挟む余地がないほどまでに立証されておらないということで無罪となったわけでございます。もちろん検察といたしましては、起訴した当時やはりほとんどの方の供述、自白があるというようなことも踏まえて起訴をしておるはずでございますけれども、しかし結果的にそういう指摘があり、控訴審議におきまして十分検討いたしました結果、やはり裁判所の判決で指摘いたしました個々の事実について控訴審で反証することが不可能である、こういう結論に達して控訴をしないということを決めたわけでございます。
 そういった意味におきまして、これは検察にとっては大変な黒星でございますが、遺憾と申しましたのはいろいろな意味でございますけれども、決して委員がおっしゃったような残念であるというような意味で申し上げたわけではございませんで、真剣に受けとめる、そしてこれをまた反省の糧にしなければならないという気持ちで申し上げておるわけでございます。
#70
○小森委員 それでは、次なる質問を行いたいと思います。
 この事件の論告理由書といいますか論告のときの文章、非常に長いものであります。私がこれを読み切るのには、最近目も痛いし、六時間ぐらいかかったと思いますけれども、それを読んでおって大変不思議に思いましたことは、当時の主任検事矢田次男さん、この人が論告求刑のときの文章の冒頭の検事の名前から落ちておるのですね。これは刑事局の方ではどういうふうに、その後この人はどうなったのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#71
○井嶋政府委員 御指摘のございました矢田検事というのは、本件の起訴状に署名をいたしましたいわゆる主任検事でございますが、平成元年の八月十五日付で退官をいたしておりまして、現在弁護士をしておると聞いております。退官の理由をついでに申し上げますが、一身上の都合ということで辞表が提出されておるというふうに承知をいたしております。
#72
○小森委員 この矢田次男さんという人は、この事件に対しては主任検事であるということも私はこの論告の文章を読んでおってわかったし、大変な人だなと思うのですけれども、私がこういうふうに一節ちょっと書き抜きをしましたからここで申し上げます。
 これは論告の中にある文章ですよ。「主任検察官矢田検事は、本件捜査に従事した検察官全員に対し、本件捜査に入る前に京極が」、名前を出してえらい申しわけありませんけれども、この人がつまり自民党の参議院の公認候補者であります。「京極が出席していたかどうか」、つまり供応の席に出席したかどうかという意味ですね。「出席していたかどうかという点については、問題点の一つとして、取調べ事項を記載したメモを手渡して十分取調べに当るように指示しており、取調べ検察官もまたこの指示に従って入念に取調べを行なっておりこ長くなりますから中略しまして、「もう一度調書を取直さなければならないような杜撰な捜査状況でないことは明らか」である、こういって論告の中に書いておるのであります。
 それは論告以後の判決で、その判決以後のここの議論ですから、検察官が開き直っておるとまでは言わないけれども、あの程度の捜査で、だれが考えてみても一番大事なポイントがぼろぼろ落ちておるような捜査をしておきながら、白々しく、公判の最終的な段階で出してきた論告の中に、これはもう入念にやっておってずさんなというようなことを言われる筋のものではない、こう言っておるのでありますが、この程度の常識だったら、刑事局長、まだまだこんな事件起きますよ。この点について、どうですか。
#73
○井嶋政府委員 先ほどの矢田検事の退職の経緯でちょっとつけ加えておきますが、矢田検事は本件が起訴されました当時は大阪地検におりましたけれども、昭和六十三年三月に東京地検に転勤いたしまして、平成元年八月に東京地検で退職をした。こういうことでございます。したがいまして、公判にはその間、もちろん東京地検に移りましてからは関与いたしておりませんということを申し上げておきます。
 それから、矢田検事が述べたことを論告あるいは判決が書いておるという御指摘でございます。
 本件は百四十数名という関係被疑者、被告人の事件でございますから、検事、副検事も含めまして相当多数の捜査官が関与した事件であると思います。そういった中におきまして、主任検事がその証秘の挙がりぐあいによっていろいろなことを指示するということはあり得るかと思いますけれども、いずれにいたしましても、捜査の過程におきましていろいろ生々発展する事態に対応するというのが主任検事の立場でございます。最終的には、今委員御指摘のとおり判決においてそれが否定されたわけでございますけれども、そういった意味で、その当時やはりその職務に精励をして責任を果たすべく努力をしておったのではないかというふうには考えておるわけでございます。
#74
○小森委員 私が尋ねておるのは、わざわざ――論告の中の文章というのは、要するに起訴した者が犯人であることは間違いないんですという、言うなれば検察側の言い分ですよね。その中に、主任検察官の矢田検事が特に注意をして、京極問題については京極が供応の席上に出席しておったということ、これは大事なポイントだから入念な取り調べを指示しておったし、そしてそのとおりにやったんだから調書をとり直さねばならぬというようなずさんなものではありません、その段階で、判決の出る直前までそういうふうな判断でおる検察官の常識というのはいかがなものか。そんな常識だったら、ここで幾ら刑事局長が遺憾でありますと言ってみたところで、全国的にはなかなかそういう感覚というものが是正されないのではないか。
 そして、これは当事者からいえば、矢田検事はそれだけの大がかりなことをやっておって、そして東京地検に転勤になった。転勤になって現職でおるのかと思うたらやめておった。自分がしかけておいて、それでその途中で何人も何人も無念の涙をのんで死んでいくという状況があって、そして検事はやめて合弁護士をしておる。これもちょっと世間の常識に合わないですからね。だから、それはちょっと私は、邪推かもわからぬけれども、これはやばい、これは矢田検事をどこかへ動かしておく方がいい、こうなったんじゃないか。これは私の邪推ですよ。今回やっておるわけじゃないですよ。だけれども、世間は大概そう思いますよ。特に当事者はそう思いますよ。
 だから、尋ねたいことは、要するに論告の段階でなおこの程度の水準、裁判官がちょっと良心に従って考えたら、ここが詰めが足らぬ、ここが詰めが足らぬ、その詰めが足らぬのに起訴をして、そして裁判に持っていって、それはおかしいということを裁判官は判断しておるわけだが、つまり検察官とすればこういう水準ではまだだめなんじゃないですかということを尋ねておるのです。
#75
○井嶋政府委員 主任検事個人のことをこの場でいろいろ議論いたしますことは必ずしも適当ではないのではないかと思うわけでございますが、当時、検察官として公訴を維持する立場の者が、当時の大阪地検の公判部でございますが、その立場の者がその起訴をした心証を引き継いで公判活動をしておるわけでございますから、そういった心証なり意気込みを論告で述べたということはあるのかもしれません。
 ただ、これはどうも論告ではなくてむしろ判決で指摘されたことではないかというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても結果的には裁判によってその考え方なり立場なりが否定をされたわけでございますので、やはりこれは反省すべきは反省しなければならない、厳粛にあるいは真剣に受けとめなければならないということを最初から申し上げておるわけでございまして、今後の検察としての反省の糧にしたいというふうに思うわけでございます。
#76
○小森委員 十分にひとつそういうところは、検察官の心構え、公益を代表しておるという、社会の真実を追求しておるという、犯人をつくるばかりが能じゃないのですからね。だから、どこまでも公益を代表しておることを肝に銘じてやってもらわないと、こういうことはまた起きる可能性があるということを指摘させておいていただきたいと思います。
 それから、これは警察あるいは検察側にもお尋ねをしたいと思いますが、ずっと読んでおりますと――今判決じゃないかと言われましたが、私ここへ持ってきておりますが、あれはやはり論告ですから、読んでみてください。他の検事が矢田主任検事がこう言うたくらいだから大丈夫だと言って、だから矢田さんというのは相当信用されておったんでしょう。間違った方向で信用されておったんでしょう。それはちょっと時間をとるからもう言いません。
 次にお尋ねしたいのは、ずっと論告の文章を読んでみると、検察官が論告の中にこんなことを書いていいのかなと思う、しかしこれは検察官の常識がそこまでずれておるのかなと私は思うのですけれども、捜査の段階で、警察がある人物を特別協力者、特別協力者というのは情報提供者ですな、これは地域のいろいろな問題があるから私はその特別協力者に仕立てられた人の名前はちゃんと書いてあるけれども言いませんが、いよいよこれは捜査が進んでもう起訴をするという段階になったときに、警察が行っておるんですね、その特別協力者のところへ。あなたも起訴せにゃいかぬようになってようないんだけれども、もし起訴をしなかったら、あなただけに高い処遇を与えたらまたみんなに変に思われたりするから、したがってあなたを起訴する、了解してくれな、こう言ってきておる。そうしたら、またどう書いておるかといったら、それはちょっと困るな、話が違うじゃないかということをにおわすようなことを書いてあるわけですね。
 これは、捜査段階で特別協力者などという、それは勝手に呼ぶのは勝手かもしらぬけれども、しかし、事が高度な法律的な取り扱いをしておるときに、特別協力者といって、場合によったら起訴を猶予するとか起訴をしないとかということをにおわせるような、そういう捜査が法律上あるのですか。
#77
○石附説明員 お答え申し上げます。
 犯罪捜査においては、事案の真相を明らかにして迅速的確に事件を解決するという警察の責務を果たすため、事件の真相を御承知の方に御協力をいただく、それで捜査に必要な情報を提供していただくということがございます。しかしながら、こうした御協力をいただいた方であっても、その方自身法令に違反する行為があれば、御協力をいただいた情報の内容等いかんにかかわらず、当該違反行為について公正かつ適正に捜査を行い、法に照らして厳正に対処すべきことは当然のことでございます。
 なお、特別協力者等云々という言葉は我々使っておりません。
#78
○井嶋政府委員 御指摘の論告におきまして、捜査の協力者あるいは特別協力者といった言葉が使われておりますのは事実でございます。
 しかし、どういう人を指すのかということでございますが、警察の捜査の過程におきまして、この事件につきまして具体的な供述を行うなど捜査に協力的な対応をした人を指しておるようでございまして、そういう言葉がある、あるいはそういう役割の人が捜査には必ずあるという趣旨ではなくて、たまたまそういった協力的な供述ないしは対応をした人を論告の中でそのような呼び方をしたというにすぎないというふうには思っております。しかし、このような協力者云々のくだりを見ますと、今起訴をしないというお話でございましたけれども、そうではなくて、送検になるよということを言ったというふうに論告は書いておるわけでございまして、要するに警察が協力者と称されております人を送検するよということを断ったというくだりでございます。
 しかし、送検というのは、申すまでもなく、全件送致をしなければならないのは警察の義務でございますから、今警察の説明にもございましたとおり全件送検をされてくるわけでございますので、そういった意味ではどうしてそういう言葉を述べるのかなという気はしないわけではございませんけれども、少なくともそういう役柄が必ずあるといったことを指しておるわけではないということを申し上げておきたいと思います。
#79
○小森委員 結局、尋ねておることは、送検する人に――私がさっき起訴と言ったのは送検のことで、間違っていました。送検をする人ということはやはり起訴に少し近づいておるし、起訴に近づけば裁判になるのに近づくわけですが、その人にとってみれば嫌なことですよね。それをわざに断りに行く、警察や検察の態度としては、これは主に警察ですが、どうですか。しかし、そういうことはあり得ることじゃということを肯定しておるから論告の中に書いてあるのでしょう。これはどうですか、断りに行くということを肯定できるのですか。
#80
○石附説明員 お答え申し上げます。
 本件についての具体的な状況については詳細つまびらかでございませんので、一般論で申し上げますけれども、事件捜査の過程でこの事件関係者、これは被疑者であろうと参考人であろうといろいろな立場の方がございますけれども、犯罪とのかかわり合いに関連いたしまして、その結果例えば送検をするあるいは送致をするというような場合に、その方の信用だとか名誉だとか、あるいは事件関係者からの危害とかいろいろな要素がございます。そういうことで必要な御説明あるいは必要な措置ということをとることがないわけではございません。
#81
○小森委員 この文章を読んだら、何だかあなたには済まんね、協力してもらったのに済まんねという意味が漂っておるわけですよ。だから、つまり一種の協力者という形で内通する音あるいは情報をよく提供する者をつくって、それは少し罪を許してやるから、したがって協力しなさいという一種の懐柔政策でしょう、それはどうかということを言っているのですよ。こういうことを書いたら、これもさっきの話じゃないが、公権力に対する信用というものは落ちますよ。まだ尋ねたいことがあるからやむを得ず前へ行きますけれども、そこらはひとつよう考えておいてくださいよ。
 じゃ、次に移ります。
 自治省の方、せっかく来てもらっておりますので、自治省にちょっとお答えいただきたいと思いますが、京極さんの選挙にかかわって買収、供応が行われたということで、四月の間三回にわたって高槻市の森林何とかセンターというところへ会があって、京極さんが行ったか行かないかということが非常に大きな問題だということになっておるわけでありますが、もし検察官や警察が想定するように京極さんがその場へ行っておるとすれば、京極さんはやはり犯罪を犯したことになるのですか、どうでしょうか。
#82
○谷合説明員 私ども、大変一般的なことしか申し上げられなくて恐縮でございますが、やはり立候補予定者の意図なり会合の趣旨、顔ぶれ等、いわば具体の事情を判断して、個々にそれぞれのケースで御判断をいただくということにならざるを得ないというふうに考えております。
#83
○小森委員 現に警察や検察が犯罪やいって起訴するような供応に参加したような者を起訴したり、それでその人のために金を出したということになっている事件があって、その宴会の席へ候補者が行ってよろしゅう頼みますと言うたら犯罪になるかならぬかと言っておるのですよ。
#84
○谷合説明員 個々具体の問題でございますので、そうした場合のいわばそこに出席をされた方の意図なりその会合の趣旨とか、そうしたものがやはり具体的に判断をされて、その上で結論が出される問題だろうと思いますし、私どもとしてはそうした態様自体を十分承知をしておりませんので、具体的なお答えということについては差し控えをさせていただきたいというふうに考えております。
#85
○小森委員 その場へ百五十人も、三回に分かれて五十人ぐらいずつ行って、何も知らずに、それが京極さんの選挙のことだったと仮定して、警察や検察が言うように仮定して、しかし、何も知らずに行った人は皆起訴されておるのですよ。当の本人の京極さんはそれを知らずに行くわけないですよ。もし行っておったとしたら――私はこれを、流れをずっと読んでみて行っていないと思うけれども、もしそれに行っておったらどうなるかというのは答えられませんかね。答えられなかったら、やりとりしただけ時間損じゃないか。だから、もう少ししっかりしてくださいよ、あなたは日本の国全体のことについて判断しなければいけぬ立場だから。
 じゃ、もう一つ尋ねます。
 平野さんという、これは市議会議長もされた有名な方ですから名前を使わせてもらいますが、逮捕された日にちと、それから検事勾留は二回目があったのかどうか、その日付をちょっと教えてください。
#86
○石附説明員 お尋ねの件でございますが、お答え申し上げます。
 昭和六十一年の七月六日に施行された第十四回参議院議員通常選挙において、お尋ねの方は、七月十四日、供応接待による買収容疑で大阪府警察本部に逮捕されております。なお、八月四日にこの逮捕事実により起訴された後、同日、別の現金供与による買収容疑で再逮捕され、同事実につきましては八月十三日に起訴されたと承知しております。
#87
○小森委員 そこで、もう時間がなくなりましたから急ぎますけれども、これは検事の段階ではどういう判断なのか知りませんけれども、茶番劇みたいなことをやってはいけないという意味で申しげるのですよ。先ほど盛んに遺憾だと言われたから、ついでにそれもよく考えてもらいたいと思って言うのですけれども、八月十二日、これは供述調書をとっているのですね。だから、八月四日にあれをして二回目の勾留を打ったのか、その辺のところだろうと思うけれども、どういうことを言っているかというと、「正直なところ留置場の生活はこりごりです。ですから一日も早く出たいという気持ちを持ってきました。しかし私はいやしくも市議会議員であり議長も務めた人間です。他にも色々な公職を持ってもおります。ですから早く出たいという気持ちから検事や刑事に迎合し、妥協して事実でないことを述べたり、認めたりはしておりません。」と言って、どういいますか、自分らの言う、自分らが調べたことが正しいということを、土壇場でこんな茶番劇みたいな調書をとっておるんだ。これは世間の常識からいったら、何だか、自分らが下手な捜査をしておいて最後の段階でもう一遍こういうことを言わしておるというぐらいにしかとりませんよ。これはもうしっぽが出ておる。
 だから言いたいことは、要するに、慎重には慎重を期して、検察側はどこまでも社会の全体の利益を守るという立場でこれから慎重を期して、この高槻の事件のようなことが再び起きないように万全の取り組みをしていただきたい。これを申し上げて、私の質問を終わります。
#88
○伊藤委員長 御苦労さんでした。
 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
#89
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。井上普方君。
#90
○井上(普)委員 私は、名誉棄損の問題についてちょっと質問いたしたいと存じます。
 言論の自由、出版の自由というものが、憲法上保障せられておる。しかし何でも言ったらいいわけではないのであって、当然それには責任が伴ってくる。しかし、現在の風潮を見ると、第三の権力と言われるマスコミが非常に発達してまいっておりますし、大変な時代になった。先ほど来も小森さんの発言を承っておりますが、人権がそれによって損なわれる、出版、言論の自由によって人権が損なわれるというケースがたくさん起こってきつつあるように思われてなりません。特に純真なる方々ほど、それに対しては厳しい態度でもって大きな問題としてこれは論議されてきた。特に、ヒトラーの「マインカンプ」なんというのを読んでみますと、うそも百遍づけば本当になる、あるいは何遍も、ともかく印刷にして出せばこれは世の中本当で通る。しかも活字になれば、ヒトラーが言っておることですが、活字になればその活字を信用してしまうのが人口の八〇%だ、あと一五%については疑いを持つ、あと五%は、一体これの真相はなんだろうかと感ずるものだというようなことをヒトラーは申しておったことを私は記憶するのであります。
 そういうような関係からしますと、特に活字になると信用しからであります。こういうようなことでございますので、たくさんの問題が起こってくる。過去においては、宗教界において言論、出版妨害の事件というようなこともございました。あるいはまた、今たちまち幸福の科学で何やら問題を起こしておるようであります。それはやはり宗教心を持とうというような、何といいますか、純なといいますか、素直な、こんなことを言ったら我々も何だけれども、そういうようなことが特に敏感に響くのじゃないかと私には思われてならないのであります。
 そういうような立場に立って私も名誉棄損というものを勉強してみますと、名誉棄損につきましては、普通の方々に対しては公然事実であること、刑法二百三十条にはちゃんと書いてある。しかし、選挙に出る音あるいはまた公職にある者、こういう者については事実でなければこれは名誉棄損になるということが書いてございます。しかし、どうもこのごろの一部マスコミ等々のこの風潮に対しては、何らか手を打たなければならない時代が来たのじゃないだろうか、このように思うのですが、大臣、あなたは政治家としてどう考えられますか。
#91
○左藤国務大臣 いろいろ御意見があろうと思いますが、やはり社会の公平な、言論の問題、いろいろな問題にいたしましても、公平な取り扱いをされていかなければ、人によっていろいろな取り扱いをされるということについては私はそう適切ではないのではないか、基本的にはこのように思います。そして、そうしたことがあって初めて社会の本当の秩序というものが成り立っていくのではないか、このようにも考えます。
#92
○井上(普)委員 その正しい秩序をつくっていく世の中をつくらなければならないし、人権の擁護ということは考えなければいけない。しかし、それが今事実できておるか。近ごろの風潮を見ると、これは大臣、あなたは大臣というポストだから、私はひとつ真剣にお考え願いたいと思うのです。
 それで、イギリスにおいてはたしか名誉棄損罪というものを非常に重くしたというようなことがございますが、しかし日本は言論、出版の自由ということを憲法できちんと保障する、あるいはまた戦前からもあったのでございましょうけれども、人権擁護というようなことにつきましてもやはり今の憲法は擁護するという強い立場になっているけれども、これの名誉棄損罪に対する刑法の改正というものはございましたでしょうか、どうでございましょう。
#93
○井嶋政府委員 名誉棄損罪だけに限らず、刑法の現在の規定につきましては、金面改正という作業を法務省、つとに行っておるわけでございまして、法制審議会に諮問をいたしまして、法制審議会から答申をいただいた改正刑法仮案といったものもあるわけでございます。そういったものの中で、名誉棄損罪というものも改正の要否及びその中身について議論されておりまして、そこで出た一応の結論としては、四十年代にいただいた答申でございますけれども、現在の法定刑をたしか三年を五年に引き上げるといったような、重くしようといったような改正の草案ができておったように記憶をいたしておりますが、この刑法全面改正作業そのものはいろいろな諸事情で今中断をしておるということは御承知のとおりだと思います。
#94
○井上(普)委員 そのとおりだと私は思っております。それは、これだけマスコミが発達し、しかも電波というものが非常にマスコミの主流になってきておる。特に人権の擁護ということについては、マスコミの皆さんは第三の権力とか第四の権力とか言われるのだけれども、そういう責任感を持ってもらいたいというのが私の偽らざる心境であります。
 この点につきましてこれくらいにいたしまして、私が質問いたしたいことを一つ申し上げますが、私の徳島県におきまして実は名誉棄損事件が起こっておるのであります。
 これは県会議員を長いことやった私の友人でありますが、この友人に対しまして怪文書が盛んに流れてきた。あるいはブラックジャーナリストと言われる連中が名誉棄損の記事をどんどんと出していった。その裏にはだれか金を出すやつがおるんじゃないかと私には疑われてならないのであります。といいますのは、そのブラックジャーナリストの方は、ほかの恐喝事件で逮捕せられ、有罪になって、二回目の刑を受けて今服役中であります。
 しかし、そのほかにこういう事件もあるのであります。ここに持っておりますが、こういう文書を実は一昨年の五月から流し始めました。流したといってどうしたのだといいますと、連絡先は、発行したところは東京都中央区銀座六丁目の三の六、栄ビル三F七十号、私書箱であります。私書箱で送られた。そして、その県会議員を、徳島の悪代官政界より永久追放を目指す会ということで、須藤マリ子という名前で実はこれを出しておるのであります。ところが、この選挙区は定員二名でございます。そして徳島県と高知県との境、海岸線の境ということで、非常に人情まろやかなと言われておる地方であります。そこに、そこから郵便で出す。のみならず、これを戸別に配布して回った。戸別に配布というやり方も、牛乳配達が出てくるまでに戸別にずっとほうり込んでいった。それがおととしの五月からであります。徳島の悪代官板東県議を政界から永久に追放しようということで、こういう文書が実は出ていったのであります。中身を見てみますと全部捏造のことであります。それを一回、二回、三回、四回と重ねております。
 これにつきまして県警に告訴いたしましたのがおととしの九月でありますか、去年の五月ですな、しておるのでありますけれども、これはその後どのような経緯をたどっておるか、ひとつ御説明を承りたいと思います。
#95
○石附説明員 お答え申し上げます。
 御指摘の件につきましては、平成元年の十二月七日に、板東荘次氏から徳島東警察署に対しまして、県議を誹謗、中傷した糾弾ビラの頒布による名誉棄損等の告訴がございました。署ではこれを受理いたしまして所要の捜査を行い、平成二年十一月三十日、被疑者七名を名誉棄損で検察庁に送付しております。
 本件捜査につきましては、告訴事実の内容に古いものもございます。確認するのに多大の困難を伴ったということ、また、告訴事実の内容が大変複雑多岐にわたって、また関係者が数都県に及んでいるということで、捜査に時間を要したところでございます。さらに今御指摘のとおり発行人が金を使っていたということでございまして、被疑者の特定が大変困難をきわめたということで、捜査を進める上で非常仁厳しい条件のもと、徳島県警において可能な限りの捜査を行い、事件送致をした。こういう報告を受けておるわけであります。
 以上でございます。
#96
○井上(普)委員 警察は恐らく大変難しい問題であつだろうと思います。
 その七人のうちの五人までは、雇われてそのビラを配布した人たちではありませんか。そうすると、あと二名はシャーロック・ホームズ社という東京在住の連中じゃございませんか。これが本当にこの須藤マリ子であるのか、確定できておりますか、どうでございますか。
#97
○石附説明員 私どもの捜査におきましては、シャーロック・ホームズということを名のっておりますのは、調査業で新藤という男性でございます。それから、あと関係者四名ございますけれども……(井上(普)委員「結構です」と呼ぶ)はい。
#98
○井上(普)委員 私が申したとおりなんですよ。その新藤というのが探偵社と称して、そして東京で捕まった二人であります。あとの五人はビラを配布した。あるいは運転手等々と私は承っております、私の知る限りでは。
 こういう一つの目的、すなわち、一人の人間をやっつけようとすると、ブラックジャーナリストを使う、あるいはまたこういうような怪文書を送り届ける。しかも四回ですよ。この選挙区は一郡でございまして、定員二名、有権者総数二万六、七千です。ですから、戸数は一万四千戸ぐらいですか、一万四千戸全部に配布している。四回やっている。御念の入ったことです。
 しかも、この三枚目に書いてあります労災保険の問題については、これは実は私の秘書が弁護士を紹介して労災保険の適用を受けるようになった事件でありまして、この板東君というのは全然関係していない。このこと一事をもって私は確信を持って言える。それで、この県会議員は三十億の金をつくったと書いてあるのです。幾ら金の値打ちがないからといって、尾上縫さんでもあるまいし、あの田舎で三十億の金を持ったら大変なことだ。そして、どういうふうに金もうけしたかと言えばということで、ともかく書いてある。しかし、純真な地域ですから、これは先ほどもヒトラーの例を出しましたが、いつの間にか活字を信用してしまう。とうとう本年の四月の県会議員選挙で、今まで八回当選したのが、この板東君は六千票減らして落選をしたという事実がございます。まさに政治生命をねらってこの事件は起こり、そしてその目的を達した怪文書であります。民主主義の世の中には許すべからざる事柄であろうと私は思う。
 こういうのに対して一体どういう対処をするか。人権を守るためには警察なりあるいは検察庁にお願いする以外に道はない。何かほかに方法はありましょうか。どうでございます。どなたでも結構です。こんな方法があるというならひとつ教えてもらいたい。
#99
○井嶋政府委員 委員御指摘の具体的な事件につきましては、先ほど警察から御説明がございましたとおり、平成二年、昨年の十一月三十日に徳島地検が被疑者七名として事件を受理いたしておりまして、現在捜査を継続しておる状況でございます。非常に時間がかかるというような御指摘があるのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、検察として、名誉棄損罪の成否につきまして、現在精力的に捜査をしておるということでございます。
 それはそれといたしまして、一般的に名誉を棄損されたような事態が起こった場合にどうするのかということでございますが、これは委員も既に御承知のように、刑事事件として告訴をする、告発をするというのが一つございます。それ以外に、これは私の所管ではございませんけれども、いわゆる民事的な手当てをするということがあると思います。例えば、記事の差しとめ命令を裁判所に求めるとかあるいは新聞広告の掲載を求めるとか、あるいは究極的には損害賠償の請求をするとかいったような手続も巷間行われているようでございまして、最近よく名誉棄損についての訴訟提起をしたというような記事も出ておるように思います。日本ではそういった制度が活用されるかなと思います。
#100
○井上(普)委員 しからば刑事局長、お伺いしますが、こういうように仮名を使い、しかも場所はお江戸である、私書箱を使っている、行ってみたらだれもおらぬというような場合はどうしたらいいでしょう。民事訴訟を起こしたらいいじゃないかとおっしゃるから、それはどうやったらいいでしょう。
#101
○井嶋政府委員 一般的なお答えをしたわけでございますが、今御指摘のように全く犯行をした者がわからないというような状況になりますれば、これはおっしゃるとおり、国の機関としては捜査機関に訴えていただいて、捜査機関の力で捜査をするという以外にないだろうと思います。
#102
○井上(普)委員 わかったことを実はお伺いするのです。それしかないのですよ、方法は。しかし、それが幾ら難しい事件とはいいながら、これだけ時間がかかったのではたまりません。とうとう選挙に――おととしの一月に告訴しておいて、去年の十二月に書類送検が行われた。そして検察庁は受け取って、今捜査をやられておるんだけれども、このように遅いことで果たして間に合うだろうか。特に選挙というようなときにはどうなるだろうか。慄然とせざるを得ないのです。
 今度小選挙区法が出てきた。またまたこういうような事件が続発すると私は思う。さっきも奄美大島区から出ている議員に、一体あんたのところは何かいなと言ったら、うちの方は名誉棄損というまだるっこしいことはできないんだ。私にほかに子供がある、それを早く認知しろなんという怪文書がぼんぽん出るけれども、あんなところは名誉棄損でしたらまだるっこしくて間に合いませんと。ということは、法に対する信頼感がなくなってきている、これが一つです。時間がかかり過ぎるということです。それはある。のみならず、御承知の奄美選挙区ですから、御存じのとおり小選挙区になったらどんな姿になるかの悪例の一つとして今日本じゅう宣伝しておるところですからね、ここは。どれだけ金がかかるかわからぬぞという話になっているからそうだろうと思います。
 頼るところは刑法に基づくところのこれしかないじゃないですか。警察は送検をするぐらいですから、これに対して、この記事が大部分は捏造であるということはお調べになっておると思うのですが、内容はどうでございます。
#103
○石附説明員 またこれは検察庁において捜査中の事件でございますので詳細申し上げることにつきましては差し控えさせていただきたいと思いますが、警察で相当な捜査力を投入いたしまして捜査した結果、このビラで摘示された事実のうち、やはり虚偽の内容のもの、それから真実の内容のもの、それから真偽判然としない内容のものと三種類に対応されたというふうに報告を受けております。
 以上でございます。
#104
○井上(普)委員 それは、これだけ書いてあるのですから多少は本物のことを書いておかないと話にならない。しかし、大筋においては全部ともかく虚偽の事実だろうと私は思う。そのために、先ほども申しましたように、この県会議員は政治生命を絶たれたのでありますのでございますので、これらに対して早い処置を講じなければいかぬ、これも皆さん方もおわかりだろうと思うが、民主主義を、しかも言論、出版の自由が今のような状況の中において、迅速に処置するということでなければ日本の民主主義というものは、あるいは政治というものは堕落する一方になると私は思う。
 こういう点について、先ほども刑事局長の方から刑法の改正案が出ておると言われましたけれども、成立しておらぬと言いますが、そのとおりで、私もその事情は知っています。しかし、今の言論はめためたになっている。責任感がどこにあるかということがわからないような世の中になりつつあるんじゃないだろうか。識者の中には、そんな怪文書なんというのは信用するのが、先生ほとんど信用しないでしょうというようなことをおっしゃる方もおられる。しかし、先ほど私がヒットラーの例を申しましたように、活字というものが出されたときには信用しからである。しかもこれを二回、三回、四回と続けてやられたときにはこれまた、ああ本当であったんだろうかということになる。だから、ここらあたりの名誉棄損に対する、あるいはまた人権を擁護するためには一体どうすればいいか、これは真剣に考えていただかなければならぬと思うのです。法務大臣、どうでございます。ここらあたりは政治家としての御発言はちゃんとできるだろうと思いますが。
#105
○左藤国務大臣 一方で人権を大切にしなければならぬのは当然のことでございますが、また、言論、出版の自由という憲法に保障されたものがあります。もちろんそれが行き過ぎたものにつきましては、それは厳しく批判されなければならない問題も時によっては起こり得るわけでありまして、その辺の取り扱いというものは、いろいろな面での配慮をして十分公正な法秩序のもとで進めていかなければならない。そういう意味での配慮というものはしなければならないと私は思いますが、いろいろな誹誇をしたり、何か社会を混乱させるような目的で発言されたことにつきましては厳しく取り締まられるべきものであろう、このように私は考えます。
#106
○井上(普)委員 言論については、報道については、これは責任を持ってもらわなければいかぬ。しかし配慮だけで済むんだろうか。例えば利益を得るがために批判、中傷、誹誇する場合、これは一体どうなるのです。こういう目的を持っておる場合には、これは何としても今の名誉棄損罪だけでは済まぬと私は思う。これは私の推測でありますが、この男を抹殺して商売上あるいはまた政治上利得を得るためにやった行為でないかと憶測せられる向きもあるのであります。こういう場合に一体どうなるか。社会はまさに混乱するじゃありませんか、混乱してしまっていることじゃないですか。ここらあたりはしっかりしてもらわなければいかぬ。利得を得る目的のためにやられた名誉棄損というような問題については特に厳しい対処が必要であると思うのですが、いかがでございます。
#107
○左藤国務大臣 今お話しのどうに、個人の利得だけであって、そのためにいろいろたくさんの人が迷惑をする、こういうことにつきましては当然厳しく指弾されるべきものであろう、このように私は考えます。
#108
○井上(普)委員 しかしこれは、刑法の名誉棄損罪のところには、そのためにということでは書いてございませんわな。二百三十条ですか。名誉棄損に該当する場合でも、公共の利害に関する事実に係りその目的が専ら公益を図るために出たるものであるときは、事実が真実であることの証明があったときに名誉棄損罪は成立せずと書かれている。これは特別公務員の場合ですね。だから、こういうような制限がある。しかし、やった行為、これが利益を得るためであったならばどうであるかということは刑法上書いてないと思うのですが、刑事局長さん、どうです。
#109
○井嶋政府委員 今委員のお出しになりました設例と申しますか、例は、一つの名誉棄損行為をやる動機と申しますか目的と申しますか、そういうものになるんだろうと思いますが、もちろんいろいろな動機でこういう犯罪が行われるのであろうと思います。条文には書いてございませんけれども、結局、犯罪を評価して刑罰を科する場合に、そういった動機、目的といったようなものがそれなりに科刑の中にあらわれてくる、こういう形で現在の刑法の体系が運用されているわけでございます。おっしゃるように単に営利の目的で人をないがしろにするといったようなことは、本件の罪質の中では極めて重い方だ。逆にまた、公共の利益をおもんぱかって公務員についてあえて事実を摘示してやるということは、逆に言えばこの条文に書いてあるとおり犯罪にならないという手当てがしてあるわけでありますが、そこは目的、動機に従って適切に運用されていくものだろう、こういうふうに言えると思います。
 それからなお一点。冒頭に私は改正刑法仮案と申したそうでございますが、それは間違っておりまして、刑法改正草案でございまして、議事録を訂正させていただきます。
#110
○井上(普)委員 こういうケースは、これはますます多くなってくると私は思う。混乱しますよ。ここでは一万四千戸全戸配布できているのです。これが小選挙区になれば、そうですな、四十万として二十四、五万戸渡せばいいのだから、各戸配布できる。しかも所在地は選挙区以外のところでともかく発行して、郵便で送ることもできるだろうし、人間は選挙区以外の人間を連れてきて配布するというようなことをここでは事実やっているんだから。こういうようなことは許されるべくもないと私は思うのです。
 そこで、自治省来ておったな。今度小選挙区をやるについて、今までと違った選挙法、こういうような違法文書を出された場合にはどうするというようなことが書いてありますか。
#111
○谷合説明員 今のような事例に関する法規定は現行と同じでございます。
#112
○井上(普)委員 現行と同じで果たしていいだろうか。あなた方、選挙を知らぬからな。しかも、公職選挙法というのは告示日から選挙までが大体なんだけれども、その一年半前からやっているんだ。二年前からか。しかもだれが書いたかわからず、警察に調べてもらったら、警察は、さあ、発行人がお江戸でございますので調べてみましょうと調べたところが、だれもいない。私書箱だ。だれが出しているのか、不特定だ。この書類送検ができているのは、朝の牛乳配達をしている人がおかしいのが行きよるぞということでともかく後ろから写真を撮って、自動車番号がわかって初めて足がついた事件じゃありませんか。夜中のうちにやるのですからね。しかも選挙区以外の連中を連れてきてやる。しかも選挙の二年前からともかく配り出すというようなことをやられたら、これを防ぐ方法は、政治家、公職に出ようという者には、とてもじゃないが太刀打ちできない。私は選挙を十四回やっているけれども、それはとてもじゃないが太刀打ちできないし、金が要ってしょうがない。これは本当に金が要ります。ブラックジャーナリストを使われたら、とてもじゃないがたまらない。
 これの一つの標本であります。(文書を示す)
 これは四回出しているのですからね。事実無根のこの第三番目のようなものに私自身が関係したのだ。ところが私のところへは聞きにこなかった。私が、これは労災になるわ、ひとつ弁護士を連れてきて異議申請をやってみいと言ってやらした事件だ。ところがこれでは、これは板東君がやったようにして、労災保険になったら三百万円の金を取った。その上にもってきて土地まで取り上げたというようなことが書いてある。堂々とこういう虚偽の事実を捏造している。これは四回やられている。四カ月ぐらいの間に四回出したのですよ。これは一軒のうちに一回だけじゃない、二回、三回と行っておるのです。
 こういうのは法治国家として許すべからざることだと私は思うし、先ほども問題があったけれども、人権擁護という立場からして、果たして今の刑法そのままでいいんだろうか。あるいは、今の捜査当局の御努力は、私は御努力されたとは思うけれども、こういう広域的な問題になってくる、それは捕まるのは恐ろしいから、幾らでもごまかすために、ともかくいかにしてわからぬようにするかということは、これは知能犯だ。こういう問題に対して今後どう対処せられるか、特に注意していただきたいと思うのですが、警察並びに刑事局のお考え方を承りたい。
#113
○石附説明員 お答え申し上げます。
 告訴事件というものは、私ども警察、多々受け付けておりますけれども、確かに先生御指摘のとおり、本件の場合には極めて悪質であるということでございまして、特にまた内容が選挙に関するものであるとか、あるいは選挙民の正常な判断を誤らしめ、あるいはその選挙民に誤解を与えるような目的を持ってされる、今回の場合そうであったかどうかにつきましては発言を差し控えますが、いずれにしても、この種誹謗あるいは中傷ということが選挙に関してあるという実態にかんがみまして、特にこの選挙の公正を確保するという見地から、警察といたしましては、この種事案につきましては迅速的確に告訴の処理を図ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#114
○井嶋政府委員 検察におきましても、この告訴事件あるいは警察を経由しました送付事件につきましては、それぞれの告訴人の事情があって告訴、告発がなされておるわけでございますから、それなりに迅速、適正に処理をするというのが鉄則でございまして、そういったものを受けた場合に、適切な捜査体制を組んで迅速にするというのを基本としておるわけでございます。しかしながら、時間がかかっておるという御指摘であるわけでございます。本件につきましては、具体的事件でございますけれども、いろいろ背景があるようでございますので捜査に時間がかかっておるということでございますが、いずれにいたしましても、やはり国民の期待にこたえるためには、委員御指摘を待つまでもなく、迅速、適正にこういった事件を処理をするということが使命でございますから、私どもそのようになるように一生懸命体制づくりをしております。
 しかしながら、現場におきましては、本件のような場合は三席検事を主任にして、相当強力な捜査体制でやっておるわけでございますけれども、例えばこの事件の間に、この春に選挙取り締まりがございました。そういったようなこともありますと、やはりおっしゃるとおりそれだけにかかわれないという面もございます。そういったこともございましてかかっておりますけれども、いずれにいたしましても、一般的には迅速にやるという姿勢で今後とも臨んでいかなければならない、このように思っております。
#115
○井上(普)委員 それはこういう公の場ではそう言わざるを得ぬと思うのですよ。しかし、これは第一回に警察に告訴してから後もこの黄色の文書は出たんですよ。とまらなかったんですよ。捜査する側にとってはこれは難しい事件だと私どもも思う。しかし、警察が動いておるというようなことがありさえすれば、私はこれは、この最後のやつなんというのはとまったんじゃないだろうかと思う。
 そこでお伺いするが、この須藤マリ子というのは、人間は特定できたんですか。いかがでございます。あるいはまた、だれでも、これだけの人を使い、これだけの郵便料金を使いやったんだから、これは無関係な人が出したものとは思えない。常識です。したがって、これの金を出したやつの特定はできたんですか、いかがでございます。
#116
○石附説明員 お答え申し上げます。
 今御指摘の須藤マリ子なる人物、特定はできておりますけれども、検察において捜査中のことでございますので、発言は差し控えさせていただきたいと思います。
 また、資金の面の捜査でございますが、これも関係者の取り調べ等とあわせまして、捜査を十分に遂げて検察の方に送付しておる、こういう次第でございます。
#117
○井上(普)委員 この件は、一人の有能なる政治家を虚偽のこのような怪文書によって葬り去った一例です。これは日本の政治自体につきましてもゆゆしき問題になるだろうと私は思うし、かつまた、小選挙区になればこのようなケースが続発するのじゃないかと私には思われてならないのであります。しかし、小選挙区に対して今までの公職選挙法と同じような考え方でこられるけれども、自治省はそういう考え方だけれども、実態からすれば恐ろしいことだな、選挙をやる身にとってみれば。一つのサンプルになるな。ともかく告発してから、途中で選挙というものもあったけれども、これだけ時間がかかるんじゃ、とてもまだるっこしくてしょうがないや、目には目を歯には歯をというようなことになって、奄美選挙区のごとき状況が全国で起こることを私は憂えるのです。
 それはまあ考えてみたら、警察というのは強盗、殺人というような凶悪犯を捕まえるのが本務なんだ、選挙違反や交通達反まで警察がやらにゃいかぬのかいなと私は疑問に思っておる一人です。余りにも警察に荷が多くかかり過ぎているなという感をしておる一人です。民度が高ければ、選挙違反なんというのは選挙管理委員会がやったらいいことだと思うのです。しかしまだまだそこまで社会が熟成していないから、やむを得ず国家権力の最高の警察だの検察にお願いせにゃいかぬ事態であるんだなと私は認識している。これから小選挙区も行うし、選挙自体もこれからますますマスコミを利用するようなことになってくる。しかもまだ、マスコミに出なければ政治家が有能でないなんというような風潮もあるんです。だから、こういうようなことを考えると、これからの日本の政治が果たしてどういうように行くだろうか、嘆かわしいことになりはしないだろうか、そしてまた、民意がそれによって損なわれる可能性が非常に強い。何遍も言うようでございますけれども、活字の威力というものは相当強いのです。しかし、それを御認識になっておるマスコミ関係者は、私がおつき合いしておる中では非常に少ない。まあこういうような時代でございますので、特に人権を擁護する、そのためには的確なる、今の社会であればやむを得ない、検察当局が毅然として迅速に対処せられぬ限り、日本の政治あるいは民主政治、民主政治といったら大げさになるけれども、本当にそう思いますよ。
 また、検察が変な方向に動いても、これまた大変だ。もう私がここで言うまでもありませんけれども、昭和十二年のですか十一年のですか、帝人事件のように検察ファッショになっても困る。とうとうあれは砂上の楼閣というようなことになったんだけれども、これになっても困る。しかし、今のこのマスコミの現状からいって、正すべきは迅速に対処していただかなければ、有能なる政治家あるいは候補者が抹殺せられるおそれがある、こう思いますので、あえて時間をいただいて検察当局の一層の御奮発をお願いすると同時に、名誉棄損罪につきましては、イギリスはたしか重くしておるはずであります。諸外国の例を見られて法的整備をする、のみならずその体制を整えるということに一段の努力を傾けられんことを大臣に強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
#118
○伊藤委員長 鈴木喜久子君。
#119
○鈴木(喜)委員 鈴木から、四つぐらいの大きな柱の中で伺っていきたいと思います。
 まず第一に、証券取引法、けさほども田辺委員の方から質問があったと思いますけれども、証券取引法の関係について伺いたいと思います。
 大蔵省の方にまず伺おうと思うのですけれども、現行の証券取引法上で言いますと五十条第一項、こういった規定、または一項の三号と四号のところの解釈なのですけれども、ここでは事前に損失の補てんをしますよという保証をして勧誘する行為を指して、こういうものを禁止している規定なんですけれども、これについての大蔵省としての解釈をお聞きしたいと思います。
#120
○堀田説明員 お答え申し上げます。
 先生お尋ねの証取法第五十条第一項第三号及び第四号の規定でございますけれども、証券取引におきまして、顧客に対して損失の全部または一部を負担することを約して勧誘する行為を証券会社などの禁止行為としておりまして、いわゆる事前の損失保証を禁止していると私どもは解釈をしております。
#121
○鈴木(喜)委員 この中で、事後についての損失の補てんというものの禁止というふうに、拡大して解釈するというような考え方はないのでしょうか。
#122
○堀田説明員 事後の損失補てんにつきましては、現行の証取法には明文の規定はないと考えております。
 この問題は、御案内のように、平成元年の十一月に一部の証券会社の損失補てん問題が発覚したことを契機といたしまして、元年の十二月に証券局長通達を発出いたしまして、損失補てん行為を厳に慎むようにということで証券会社に要請をしたということでございます。
#123
○鈴木(喜)委員 私は、その規定そのものだって、五十条一項の三号、四号のところだってそれだけの解釈、拡張的な解釈もできるのではないかと思うのですが、今お答えになったところで、平成元年の十一月にそうした事後の補てんの事実が明らかになった。そういうことで十二月になってから大蔵省の通達というものが出されたということなんですが、この通達というものは、一体どういう効果を期待して、だれに対して出すものなのでしょうか。
#124
○堀田説明員 私ども、証券局長通達を発出しているわけでございますけれども、これは、もとより私どもの下級行政機関であります財務局に出す場合もございますけれども、証券業協会を通じまして、証券会社に対しましてその内容の遵守を求めるというものでございます。
#125
○鈴木(喜)委員 この通達を出して内容の遵守を求めるというのは、もし守らなかった場合にはどうなるぞということは全く関係なく、ただ守りなさいよということを大蔵省の方からお願いをされるというだけのものなのでしょうか。
#126
○堀田説明員 大蔵省といたしましては、証券会社に対します一般的な監督指導権限を持っておりまして、そういった監督指導の一環としてこの局長通達を発出しているということでございますけれども、私どもとしては証券会社がこの通達を遵守するように期待しておりますし、仮にこの通達に違反するようなことがございましたら、これはあくまでも自主的な措置ではございますが、各証券会社に対して厳正な社内処分を実施するように要請なり指導なり、あるいは指示をしているところでございます。
#127
○鈴木(喜)委員 そうしますと、現実に今度の問題は、平成元年の十二月に出された通達が守られていないということがわかった段階で何らかの処置をされたのでしょうか。
#128
○堀田説明員 平成元年十二月に今先生御指摘の通達を発出いたしまして、損失補てんを厳に慎むように要請したわけでございます。その際に、あわせまして各社に対しまして、損失補てんについて各社内を自主点検して、そういった事実があれば当局の方に自主的に報告するようにという指示をいたしまして、その指示に基づきまして各社が点検をいたしまして私どもに報告をしてまいりましたけれども、各社内でこれだけの損失補てんがあったという報告があったわけでございます。その中に通達発出後の損失補てんも含まれていたということは事実でございまして、その点につきまして私どもまことに遺憾に考えているわけでございます。
 いずれにしましても一この損失補てん行為につきましては、その通達発出前におきましても証券取引の基本原則にもとる、いわゆる自己責任原則にもとる不適切な行為でありますので、通達発出前、通達発出後をあわせましてそうした行為があったと報告をしてきた証券会社に対しましては、その時点で厳正な社内処分を要請し、あるいは内部管理体制の強化を要請し、これを実施させたということでございます。
#129
○鈴木(喜)委員 そこで、厳正な社内の処分というものを要請し、効果があったのですか。いろいろな報道やら、それから証券の特別委員会の中身などを聞きますと、それによってもまだその後も補てんはなされているように思いますけれども、こういった通達というものについての効果というものは、本当は無力なのじゃないですか。
#130
○堀田説明員 元年十二月の通達につきましては、今御指摘のございましたように、通達後も損失補てんがあったという事実がございました。あるいは私どもに報告のされなかった補てんがそのほかにもあったということがその後判明したわけでございまして、こうしたことは私どもとしてまことに遺憾である、顧みて反省するところが多いわけでございます。その新たに補てんが出てまいりました証券会社につきましては、ことしの七月上旬の段階で改めて営業自粛を指示するなり、あるいは社内処分をやらせたということでございます。
 結局のところ、通達による要請というものには、法律による行政、法令による行政とは異なる点があることは確かでございまして、そこに限界もあろうということでございます。そうした観点から、本日国会に提出させていただきましたけれども、事後的な損失補てんの禁止と損失補てん行為の温床となりがちな取引一任勘定取引の原則禁止を内容とする証券取引法の改正法案を本日提出させていただいたということでございまして、今後は、国会の御審議を経まして法令による行政に移行していきたいと考えておるところでございます。
#131
○鈴木(喜)委員 新しい法律の方はそちらの方の委員会で今十分な審議を尽くしておられるのだろうと思いますけれども、私はその前の段階で、大蔵省の方のやり方というものは、ほとんど限界があるということをお認めになっている一片の通達を出しただけで事足れりと思っていた姿勢について、やはりもうちょっと反省をしていただかなければならないと思っているのです。
 この通達というのは、一般の人が目に触れる機会というのはどういうところにあるわけでしょう。大蔵省が平成元年十一月にわかったことについて十二月に通達を出された。やはり問題であるという意識からこういうものを出されたんだろうけれども、これはあくまでも大蔵省と証券界だけのツーツーの間でその通達が出されただけで、国民にこういう補てんが行われて問題になっているぞ、大蔵省も問題にしているぞということがわかるような機会というのは、一体この通達を出した時点ではどういうことがあるのでしょうか。
#132
○堀田説明員 通達を発出いたします際には、私が着任してまいりましてから何回かございましたけれども、こういう内容の通達を証券業協会長あてに発出するということを大蔵省の記者クラブで発表いたしまして、マスコミを通ずる周知をお願いするということをいたしております。それから、通達はもとより証券六法とか証券局現行通達集といった市販されている書籍にも掲載されておりますし、どなたでもお求めいただける形にはなっております。それから、私どものところへ直接にいろいろ国民の方からお問い合わせがございましたときには通達の写しをお送りするということで、私どもとしてはできる限り皆様に周知していただくよう努力をしているところでございます。
#133
○鈴木(喜)委員 マスコミの方に、記者に発表するというのは、一般の新聞の記者に発表するということですよね。いつからこういうふうな制度にされたのか、もう一度伺いたい。
 それともう一つ、どうしても伺っておかなければならないのは、こうした通達を出すということは、一つの問題であろう、これはよくないことであるからという認識でこの問題について出されたと思うのですけれども、この平成元年十一月にわかった時点で、事前の、先ほど言いましたところの証取法五十条違反があっなかなかったかということについて調査なり検査なりをされたということはあるのでしょうか。
#134
○堀田説明員 前の方の御質問でございますけれども、いつからそういう形でマスコミに話をしているんだというお話でございますが、ちょっと今手元に正確な事実関係を持ち合わせておりません。このところはずっとそういう形でやっているということでございますけれども、ちょっと調べましてまた先生の方に御連絡を申し上げます。
 それから、後の御質問でございますけれども、事前の損失保証につきましては、これは先ほど御指摘にもございましたように証券取引法に違反する行為でございますので、証券会社に対する私どもの証券検査の中で既に調査をしている、不断に調査をしていることでございます。ただ、今までのところ、会社による損失保証が行われたという事実関係は把握してないということでございます。
#135
○鈴木(喜)委員 はっきりと把握するまでの間は、なかったということなのでしょうか。実際にはこういうふうに大騒ぎになってきますと、これが事前の保証ではなかったか、その疑いの非常に濃いものがどんどんと今出てきている。私たちは新聞の報道程度くらいしかわかりませんけれども、その中でも出てきている。そういったことが大蔵省の検査の中ではわかってこない問題だということになりますと、これから先も、御議論がありますいろいろな検査方法、検査体制も、大蔵省がかかわっていたのではどうにも信頼がおけないのじゃないかというような、国民のそういった不信感が増すと思うのですけれども、この点はいかがでしょう。
#136
○堀田説明員 今までの検査におきましてそういった事実関係を把握しなかったということは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、現在、この七月の中旬以降、大手四社に対して私どもは特別検査を実施しておりまして、その特別検査の中で、これは新たな三年三月期の損失補てんの有無なども調査項目に入っておりますけれども、その中の一つとして、いわゆる事前の損失保証があったのかどうなのかをもう一度改めて厳密に調査をしているということでございます。
#137
○鈴木(喜)委員 改めて厳密な調査を、大騒ぎになって、慌ててと言ったら失礼かもしれませんけれども、初めてなされているということでありますと、これからも何かの形で非常に大騒ぎにならなければなかなか問題が発覚しない、こういうことをしてもらえないということがあっては困ると思います。特に、七月中旬以降現在されている特別検査という中で、どうぞ厳正な調査、検査を行っていただきたいと心からお願いをする次第です。
 そして、今までになかったという、今まで事実が明らかにならなかったということ、大蔵省、これはやはり非常に怠慢の一つではないかと思います。これがどんなに大問題になるかという認識が余りおありにならなかったのか、通達さえ出せばいいと思われていたのか、こういうところも含めてしっかりとした調査、検査を今後も行っていっていただきたいというふうに思いますし、また通達というものを一般が知る機会として、先ほど御答弁いただきましたけれども、証券六法などを読む人はほとんどいないし、通達集なども、なかなか目に見えない、法律事務所の大きいところの倉庫の奥の方に入っているという程度しか、いかに市販されていても私たちが見る機会というのはないと思います。しかも、マスコミでどういう形で報道されて、一般の新聞紙上に仮に片隅にでも出ることがあるのかどうか。そういった問題についても、これからも広報という問題を、業界のそういう余り人に見られたくないものは内部的に処理しよう、隠そうとするのではなくて、きっちりした形で、私たち国民にもまずおかしいところがあったら目に触れるような形で、通達を出す場合には、多分そういうことがあるんだということは国民も少し利口になって今度はわかると思いますので、よろしくその点お願いを申し上げます。
 こういった形で行政的な処分をされる大蔵省とは別に、法務省の方でもこの問題に関連した幾つかの問題を刑事事件として今捜査をされていると思うのですが、一つが野村証券の東急電鉄株の株価操縦事件です。これについては、どういった捜査の端緒から、現在どのくらいまで進んでいるか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
#138
○井嶋政府委員 今御質問の東急株のいわゆる株価操縦事件と言われております事件は、本年七月十五日と七月十九日の二回、二人の個人の告発人から野村証券株式会社及び前社長の田淵義久氏を被告発人とする告訴、告発がなされております。それを端緒といたしまして、証券取引法百二十五条で言う株価操縦違反事件として東京地検におきましては現在捜査を続行しております。
 捜査の中身につきましては、証券特別委員会等でも述べましたとおり、証拠資料の収集とか関係者の取り調べ等を行っておるわけでございまして、詳細にわたる部分は差し控えさせていただきますが、例えば先般証人としておいでになった田渕節也氏は、みずからお認めになったように既に事情聴取を受けておられるといったことも判明しております。いずれにいたしましても、鋭意捜査をしておるということを申し上げたいと思います。
#139
○鈴木(喜)委員 それでは、もう一つの問題で、損失補てんそのものについて特別背任罪、これも野村証券とその他の証券会社であろうと思うのですが、損失補てんしたという意味で、その会社の取締役その他でしょうか、特別背任罪に問われているという、その問題についても同様にちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#140
○井嶋政府委員 損失補てんにつきましては、先ほど来御議論がございましたとおり証券取引法自体には罰則はないわけでございますが、関連をいたしまして、損失補てんをしたことがいわゆる商法上の特別背任罪に当たるという告訴が二件出ております。いずれも八月七日に受理をされておるわけでございますが、一つは、野村証券株式会社の前会長田渕節也氏と前社長田淵義久氏を被告訴人とするもの、もう一つは、新日本証券株式会社の社長岩瀬氏を被告訴人とするものでございまして、告訴人はいずれも両証券会社の株主でございます。両社が行いました今回の一連の損失補てん行為は、いわゆる商法上の特別背任罪に当たるという告訴の趣旨でございます。
 これにつきましても、東京地検におきましては証拠資料の収集や関係者の取り調べを行っておるわけでございます。またその中身、具体的な進展状況と申しますものはここで明らかにすることは差し控えさせていただきますけれども、マスコミの論調あるいは先般来ございました国会の各特別委員会における御論議等を十分踏まえまして検察は捜査を行っておるものと承知をいたしております。
#141
○鈴木(喜)委員 一般の人もよくわからないと思っているのは、こういう不正の問題がいろいろと世の中にある場合には、最後にはやはり日本の警察があるぞ、検察があるぞ、そこがきっと取り締まってくれるよという大きな期待を持っていると思うのですね。
 この場合に、まず大蔵省からの告発は何もなかったというふうに、今おっしゃったのでは個人の告発人、いずれも株主だということですので、全く大蔵省からの告発その他の通報ということではないと思うのです。それからまた、検察当局が独自に、この問題の捜査の端緒というのは何も告発や告訴がなくたって、やはり怪しいと思えばそこで検察が自分で動いて最初から怪しいぞということで始めることも国民としては大いに期待して、こういう問題についてはだれが何も言わなくても正義の味方である検察や警察が動いてくれるぞというふうに思うと思うのですけれども、その点について、そういった形での行動というものは今回のような事件ではなぜとれなかったんでしょうか。
#142
○井嶋政府委員 今回の一連の事件につきまして、確かに大蔵省からの告発はございませんが、これは大蔵省が証券取引法自体の所管をしておられる、それに違反がな、い以上は当然のことだろうと思いますけれども、検察は告訴、告発がなくても、他に端緒を得ればやるべきではないか、またそれを国民が期待しておるのだという御趣旨の御質問でございます。
 確かに刑事訴訟法上は、委員ももう既に御案内のとおり、犯罪の嫌疑ありと思料した場合に捜査に着手することはできるわけでありますから、告訴、告発がなければ捜査できないということではないわけでございます。しかしながら、現在まで難しい事件もいろいろございまして、そういったものは専門の方々の告訴、告発があって端緒にしたという場合もございますし、あるいは税金の捜査から別のものへ入っていったという例もあるわけでございまして、いずれにいたしましても、そのときそのときの具体的状況によって捜査の端緒を得て適切に対応してきたわけでございます。今回の件につきましては、七月から八月の段階で国会、マスコミ等で議論が行われましたちょうどその時期に告訴、告発が出たということで、これを端緒として捜査をしておるわけでございまして、個々具体的なケースごとにそういった端緒のあり方といったものは変わってくるのじゃないかというふうに思います。
#143
○鈴木(喜)委員 七月、八月で具体的に出てきたというお話ですけれども、もう少し前からこの問題はいろいろと世上を騒がしていたわけでございまして、そのあたりでこういったことについて、それが検察の中に出たり、強制捜査とかいうことがないにしてもその段階でのいろいろな調べというものは行われていたのでしょうか、いなかったのでしょうか。その告訴、告発を契機として始まったものなのか、もう一言だけで結構ですから、お知らせください。
#144
○井嶋政府委員 捜査の端緒と申しますのは、今申しましたように、告訴、告発以外にマスコミの報道あるいは国会の御論議その他、いろいろございます。千差万別のものがございます。そういったものを受けて、検察におきまして嫌疑ありと考える場合に捜査をするわけでありますが、一般的には、その捜査をする前に、いわゆる調査と申しますか、内偵と申しますか、そういったことも行うわけでございます。本件の具体的な場合にやったかやらなかったかということは申し上げられませんけれども、ケースによって、そういったことが必要な場合には長い時間をかけて調査をするということもあるわけでございまして、そういったものを踏まえて今までいろいろな事件を適正に処理してきたものだというふうに考えております。
#145
○鈴木(喜)委員 何だかよくわからないです。どういうふうにされているのかということがわからなくて検察を信頼しろというふうに言われているような気がいたしますけれども、国民がこれからもずっと非常に注視していく事件でございます。このほかにも、富士銀行の一連の事件でありますとか、その他銀行関係のいろいろな事件でありますとか、そういったものも含めて国民は非常に注目しているところでありますから、これからの捜査は非常に厳しく追及していっていただきたいと思います。検察の御決意を一言伺いたいと思います。
#146
○井嶋政府委員 委員の御指摘をまつまでもなく、検察はそういったつもりで今まで対処してきたわけでございますが、しかし、委員も御案内のとおり、犯罪の成否を決めますのは、適正に刑事訴訟法に基づいて収集される証拠によって事実が認定され、それに法律が適用されるという手順を経て行われるものでございますから、国民の期待があるということは承知をいたしますけれども、その証拠がそろわない場合はできないということもあるわけでございますから、その辺のところはひとつ見守っていただきたいということを何度も申し上げておりますが、それ以上のことは私の立場から申し上げられないのだということを御理解いただきたいと思います。
#147
○鈴木(喜)委員 本当に努力をしていただきたい。証拠がないからだめだなんというのは国民が一番失望するところでございまして、何の権限もない私たちでは集められない証拠を何としても集めていただいて、それが国民の期待になるわけでございますから、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に珍らしてもらいますけれども、近ごろ二つ、五月に新聞に出ておりました裁判の手数料に関する問題です。
 一つが、九十億ドルの支援の差しとめ訴訟というのがありましたときに非常に多額の三兆四千億円にも上る印紙代を請求されたという事件と、それからしばらくたちまして五月の末ごろですかに出されました。道路の拡張と地下の高速道が通るという計画に対する建設の差しとめの請求、これは行政訴訟で住民の側が起こした訴訟なんですけれども、この二つあります。二つともたくさんの原告のいる訴訟であるわけですけれども、それについても非常に多額の手数料を請求されたという事件がございます。
 こういう問題については、国民の裁判を受ける権利というものを非常に経済的な意味で侵害していくのじゃないか、この点が非常に大きいわけです。訴額が大きくて、そしてその訴額の大きいのに応じて手数料、印紙代も多くなるということは、一面日本のとる法制というのは各国に比べると非常に高いものであることは、もう前にも何回も指摘をされていると思うのです。それはそういう一つの理由があって仕方がないともし考えたとしても、こうした一般の国民が、自分の手元に入ってくるものではなくて、九十億ドルの支援を差しとめようとかまたは道路の工事を今中止してほしいとかそういった訴訟の場面で、これについてまず非常に多額の訴訟訴額であり、それについてたくさんの原告がかかわるとその頭数分が全部がかってくるというような形での印紙代の計算というのは、非常に不合理なのではないかというような気がするわけですが、これについてその事実と御見解をあわせてまず法務省の方から伺いたいと思います。
#148
○濱崎政府委員 事実関係については私ども直接に承知しておりませんで、新聞報道等において承知している限度でございますが、委員御指摘のとおり、裁判の手数料のあり方というものが国民の裁判を受ける権利の確保というものと大変大きなかかわりを持っているものであることは私どもも十分認識しているところであります。現行法上、訴訟を利用しようとする国民に対して一定の裁判手数料の納付を求めておるわけでございますが、この仕組みは、もう御説明するまでもないかもしれませんけれども、裁判制度を利用する者にその制度の運用の費用の一部分を負担してもらうということが、裁判を利用する者と利用しない者との対比において負担の公平にかなうと考えられることに基づくものでございます。これは、明治以来長年定着してきた制度でございまして、基本的には合理性を有するものと考えているところでございます。
 この提訴の手数料は、訴えの提起の段階におきましては原告に納付してもらうわけでありますけれども、究極的には敗訴者が負担するということになっておりますし、加えまして、資力がない者が裁判制度を利用することができるようにするために、訴訟救助という制度も設けられているところでございます。そういった点を総合いたしまして、現在の裁判手数料の基本的枠組み自体が国民の裁判を受ける権利を侵害しているという状況にはないものというふうに考えております。
 ところで、現行法は、委員御指摘のとおり原告が訴訟において主張する利益、いわゆる訴額でございますが、これを基準として手数料の額を算定する制度を採用しております。が、個々の具体的な訴訟に応じて、その原告が主張する利益をどのように評価、算定するかということは個別的に評価、判断することが適当な問題でございますので、その訴訟を受理した裁判所の判断にゆだねられているわけでございます。御指摘の多数の住民が提起する訴訟につきましても、その訴訟を担当する裁判所が、そういった住民である原告らの主張する利益を民事訴訟法二十二条、二十三条の規定に基づきまして判断されるという仕組みになっているものでございまして、制度としては妥当なものではないかというふうに考えております。裁判所におかれましては、個々の事案ごとに、その内容に応じて個別的に適切に判断して適正な手数料の額の算定をされるものというふうに期待しているところでございます。
#149
○鈴木(喜)委員 では裁判所に伺いますけれども、九十億ドル差しとめの訴訟について、訴額ということを、その九十億ドル自体か、または、こういう場合には九十億ドルを何も原告の手に戻せということではない裁判でありますから、これは算定不能ということで九十五万円というふうに訴額を考えられるか、その点については最終的にはどういう結論になられたか、ちょっと伺いたいのです。
#150
○今井最高裁判所長官代理者 今の事件は東京地裁に係属しておりますいわゆる九十億ドル訴訟ということだろうと思います。これにつきましては、経過を御説明いたしますと、ことしの三月四日に原告五百七十名の方が東京地裁に訴訟を提起しました。それで、請求の趣旨は九十億ドルの支出差しとめ、自衛隊の派遣差しとめ、それから原告一人一万円あての慰謝料の支払い、こういうことでございました。
 これについて、訴状には訴額は六百六十六万ということで印紙が張られておったわけであります。これにつきまして、その後裁判所の方で、それでは印紙額が足りないということで、ことしの五月の二十七日でありますけれども、印紙の貼用命令を出しました。これは二百六十七万九千円が足りないからそれだけ張りなさい、こういうことであります。
 その計算の根拠でございますが、これは訴訟物の価額、先ほど法務省が言われました訴額でありますが、訴額は一人九十五万円、それが五百七十一人分だということで、結局九十五万円掛ける五百七十一ということで五億四千二百四十五万円、こういうことでございました。それに対応する印紙は二百七十二万六百円だ、こういうことであります。それで、既に張られておりました印紙を控除しまして二百六十七万九千円、こういう命令が出たわけであります。
 それで、その後の経過でありますが、その後、これが五月二十七日に追貼命令が出ましたが、六月八日に原告は、二名を残しましてそのあとの原告の方々は九十億ドルの支出、それから自衛隊の派遣差しとめ、この二つの訴えにつきましては取り下げをした。結局二人だけ残ったということであります。そうしまして印紙を四千円追貼したということでございます。その後、ごく最近でありますが、九月十日に第一回の口頭弁論が行われた。こういう経過でございます。
#151
○鈴木(喜)委員 この訴訟では、九十五万円になったということは、要するに九十億ドルそのものの一兆何千億円というのになったのではなくて、算定不能ということから考えた訴額になったというところはそのとおりだろうと私も思うのですけれども、それも最初にはそうではなく、弁護団に郵送された書面の中では、算定不能ではなくて九十億ドルを基準とすべきだとまず書いてあった。裁判所の方から送られてきた書面にそうあったということです。それにすると、三兆四千億円もの訴額になる、もう大変な金額になってしまうということがあったように聞いております。
 その後大問題になって、そこのところは、これが九十五万円に落ちついたということでは、その点ではよかったと思うのですけれども、それを頭数全部という掛け算であるというこの考え方、非常におかしいと私は思うのです。そういうことをしますと、結局こういった国民全体が関心を持って、国民五百何人もが裁判で自分の意見を、主張をどういうふうか聞いてもらいたい、そういうふうな大きな集団的な訴訟ということになった場合には、それこそ大変な負担をしなければならないということで、訴訟ができない。そうすると、今おっしゃった決着のように、二人ぐらいの人を原告にしてそれで争う、あとは外側から支援する、裁判の中身に入れないという形をどうも意図しておられるのではないか。裁判所としてそう大勢の人に原告になられるのほかなわないということがあるのではなかろうかと考えるのですけれども、これが私、一番納得のいかないところです。結局その利益というのが各人に一つずつあるわけではなくて、この場合には九十億ドルを返還しなさいよということを国に対して言っているわけですのに、なぜそういった形のものになるのかということを、議論をすれば時間を全部使ってもなかなかできないかもしれませんけれども、この点について、非常におかしいと思います。
 そして、もう一つの方の訴訟についても、これは中央環状新宿線というところの問題で、地域の住民の起こした高速道路の拡幅と地下道に開設するというものについての請求なんですが、この点についてはどういうふうな処置をされたのか、ちょっと御説明をいただきます。
#152
○今井最高裁判所長官代理者 いわゆる環状六号線訴訟でございますが、これは事件にしますと三件ございます。いずれも同じような訴訟でありまして、一番初めは五月二十八日に訴えが提起されました。それからその次は、六月十日に二件の訴訟が提起されたわけであります。結局三件ということであります。
 この五月二十八日に提起されました訴訟は、原告が二百四十八名ございまして、原告の方では、この訴額は九十五万円だということで八千二百円印紙を張ったということであります。それから二番目の六月十日の事件でございますが、そのうちの一件は原告百六十八名であります。これもやはり訴額は九十五万円ということで八千二百円の印紙が張られております。それから同じ日にもう一件、これは原告が十六名の事件でありますが提起されまして、これも同じでございます、九十五万円という訴額で八千二百円張られました。
 この三件につきまして、ことしの七月五日でありますが、裁判所の方から補正命令が出されました。それは、一番初めの事件、五月二十八日でありますが、これは行ウ百十一号という事件であります。これについては二百三十四万六千四百三十三円を追貼しろ、それから次に六月十日の一番初めの百三十三号事件でありますが、これも百五十九万五千四百円を張りなさいという追貼補正命令でございます。それから同じく六月十日の百三十四号事件につきましては十五万一千四百円を追貼しなさい、こういう命令が出たわけでございます。この命令に従いまして八月九日に、若干の方の取り下げがありましたけれども、それぞれの事件につきまして、行ウ百十一号については二百二十九万八千五百九十八円、追貼命令と差がありますのは若干取り下げがあったものですから差があるわけですが、ほぼ追貼命令に近い額、それから百三十三号につきましても百五十七万六千四百九十七円という金額、それから百三十四号事件については十四万二千九百十二円ということで、ほぼ補正命令に従う印紙が追貼されたということであります。
 それと同時に、この印紙をお張りになった原告の方々は、民事訴訟費用等に関する法律九条一項という条文に基づきまして、これについては印紙は張り過ぎたのだということで過納手数料還付の申し立てということで、同日に納めました印紙はそのままこれは過納で納め過ぎだということで還付の申し立てをしたということでございます。
#153
○鈴木(喜)委員 では、この点について裁判所としてはどういうふうな御見解を持っているのか伺いたいのですけれども、これで妥当かどうか、果たして妥当だと思っておられるのかどうかということなんです。
 先ほど法務省の方では、この問題は裁判所の方の判断であるというふうなお答えで、それでこの制度自体については、日本の現行の制度というもの自身には何らおかしいところはないし、何かそれで改める必要もあるとは思っておられないような御回答でしたけれども、その中でも今現在この二つの事件について出されているこの裁判所の処置ですけれども、こういうことについて裁判所はこれで妥当だと果たして本当に思っておられるのでしょうか。
 この中央環状新宿線の場合には、最初の八千二百円を張ってその訴状を提出したときに、この訴状は裁判所で受理されて、相手方にも送達されて、その上で被告の、被告になっているのは建設大臣だそうですけれども、その意見もあってその手数料不足を言い出したのではないか。もう一つの疑いは、先ほどの九十億ドルの問題について、あちらが原告二人を残して、九十億ドルを九十五万円の訴額というふうに考えて頭数で計算するという結論の出たときとほとんど同時のときに、これは係属部が違う部、両方とも行政訴訟を扱っている部だそうですけれども、東京地方裁判所の中の二部と三部というふうに違う部に属している問題ではあるにもかかわらず、そういったどうも平仄を合わせたような形で、時期も同じような時期に出ているということは、何か裁判所の中でそういった形でもういいのだというような合意とか、それからこれがいいという一つの見解が出されたのではないかと思われるのですが、その点いかがでしょうか。
#154
○今井最高裁判所長官代理者 これは訴額の算定の問題でございますが、先ほど法務省から御説明ございましたように、この問題につきましては民事訴訟費用法あるいは民事訴訟法二十二条、二十三条というものの解釈に係る問題でございまして、この具体的な請求は果たして訴額が幾らなのかということは、まさにこの民事訴訟法なり費用法の解釈に係る問題でございます。これは挙げて具体的な事件を担当しておる裁判所にゆだねられた問題でございまして、これについて私ども事務当局の方で云々ということはできないということを御理解いただきたいと思います。
 それから、各裁判官につきましては、これらの法律の趣旨等を十分勘案いたしまして、それぞれ自分が正しいと思う見解に従って訴訟の進行をしておるものだ、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
#155
○鈴木(喜)委員 それぞれの思うところに従って、一たん受理されて送達されたものをまたそこでひっくり返して、そうじゃないんだ、これは頭数分だけ出しなさい、そういうふうな言い方をするという見識のなさをそこで披瀝するということじゃ、どうも裁判官独立の原則なってないんじゃないか、そういった疑いがどうしても出てきてしまうわけです。今の、納め過ぎの手数料の還付の請求がまだなされている段階でしょうけれども、この問題についてこれからもう一度よく考えていただき、各裁判官にもそれぞれのお考えもあるでしょうけれども、こういった問題について、国民の裁判を受ける権利という観点から、特に集団的な訴訟というものについてのあり方、そういうものを排斥するような形での裁判所でなくて、国民に親しまれる裁判所としてのあり方をこれからも問うていただきたいと厳重に思います。この後法務委員会は他の国会でもたくさん開かれて、そのときどきでまたお話を伺っていきたいというふうに思います。
 ちょうど今、民事訴訟の改定という問題が何年か後にあるということで、今その事項についての作業がいろいろと進んでいるところだというふうに伺いました。その中で、民事訴訟費用法の改正、特にこの引き下げの問題でございますけれども、そういった点についてこれを改正して国民に親しまれる裁判というものを起こす、そういった形をとっていこうということで御検討されているところがありますかどうか、法務大臣、伺いたいと思います。
#156
○濱崎政府委員 まず事務当局から御答弁さしていただきます。
 ただいま御指摘の民事訴訟制度の改善のための法制審議会の審議が行われているところでございまして、私、直接の所掌ではございませんけれども、そこでは現在どういう事項について改正問題を取り上げるかということについて議論をしておられるというふうに承っております。その問題点の一つとして提訴費用の問題についてもいろいろ考えなければならないのではないかという意見が、これは意見として出ているということは承知しております。その審議会で適正に御判断されるものと考えているところでございます。
 なお、それとは別個の当面の課題といたしまして、これは先般委員に御質問いただいてお答えしたところでございますが、直接の契機として日米構造協議の排他的取引慣行の場面で、これは独禁法違反の損害賠償事件について我が国の手数料が高過ぎる、とりわけ高額な訴訟については極めて高額の印紙を貼用しなければならないという制度になっておるのが不適切であるということが議論になりました。それを契機といたしまして、我が国としては、そういった独禁法独自の問題とは別個の問題として、委員既に御案内のように、現在の訴額三百万円を超える部分については一律にその○・五%をもって手数料とするというそういう定め方でいいのかどうか、高額訴訟、何億、何十億円という訴訟についてはその引き下げを検討すべきではないかという問題意識は別個の問題として持っておりまして、その点については先般、五月の日米構造協議のフォローアップ第一年次の報告書におきまして、日本側の講ずべき措置といたしまして、我が国民事訴訟全般に係る問題として法務省としてはこの基礎的な研究を開始した。できるだけ早くその成果を得て必要な措置をとるよう最善の努力をするという日本側の措置表明をしたところでございます。その問題はまた別個にできるだけ早く結論を得なければならない問題であるというふうに考えております。
#157
○左藤国務大臣 今お話しの裁判の手数料の問題につきまして、裁判制度、これを運営する費用の公平な負担という観点とともに、国民の裁判を受ける権利、これを確保するという見地から考えなければならない、御指摘のように重要な問題である、このように考えております。とりわけ最近は、経済情勢の非常に大きな変化がありまして請求額が高額な訴訟が増加しておる、こういう傾向があることにもかんがみまして、こうしたそのような高額訴訟につきまして現在の提訴手数料の額を減額すべきかどうか、こういうことは早急に検討すべき問題として、今部長から御説明申し上げましたように、その基礎的な研究を進めておりますが、これはできるだけ早く研究を終えて、その成果を踏まえて必要な措置をとらなければならない、このように考えておるところでございます。
#158
○鈴木(喜)委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 それでは、次の問題にいきます。
 国籍法の問題、ちょっと伺いたいのですが、国籍法の中に「日本国民」という字句が幾つも出てまいります。この日本国民という中では、帰化して日本国の国民になったという人も含めて、ずっと生まれたときから日本国民である人と、それから帰化して日本国民になった人とでその差別ということは事実上も法律上もあり得ないのでしょうか。どうでしょうか、その点。
#159
○清水(湛)政府委員 帰化要件を緩和しております国籍法第六条ないし第八条などの規定に「日本国民」という言葉がございまして、「日本国民の配偶者」とかあるいは「日本国民の子」というような表現がございますけれども、この日本国民の中には、生来的に日本国民であるのは当然含まれますけれども、帰化して日本国民となった者も当然にこれは含まれる。その際、両者で法律上も事実上も区別されることはない、こういうふうに御理解いただいて結構でございます。
#160
○鈴木(喜)委員 この問題、両親が帰化して日本人になった。しかし、子供が外国にいて外国人の国籍を持ったままである。未成年であればすぐに呼び寄せることも法律上、今できるんだけれども、外国にいる者を日本に連れてくることは現行法上まだできない。そういう成人に達している者で、日本に在留をさせるような条件に当てはまらないような子供がいる。こういった子供が日本国籍を両親と同様にとりたいというふうに思っているときの救済方法というのがあるのかどうかということを、私この間ちょっと教えていただいて調べてみたんですけれども、なかなかなさそうに思うのです。
 国籍法の第八条では、「日本国民の子で日本に住所を有するもの」という、こういった場合には帰化の要件が緩和されていて、法務大臣の許可が、いろいろそれぞれの条項に当てはまらなくても「帰化を許可することができる。」という条文があります。
 この「日本に住所を有するもの」というときの住所についてでございますけれども、この解釈についても、その日本国民の子である者が、今のお話ですと、帰化して日本国民になった者も生来的な日本国民である者も、どちらも同じようにこの「住所」という問題を解釈するというふうに考えてよろしいのでしょうか。
#161
○清水(湛)政府委員 国籍法上のこの「住所」は、民法で定めるところの「各人ノ生活ノ本拠ヲ以テ其住所トス」と民法には定めてあるわけでございますけれども、これと同一の概念でございまして、お尋ねのような場合に違った扱いをするというようなことは国籍法上はないというふうに御理解いただきたいと思います。
#162
○鈴木(喜)委員 もう一つ、再入国の問題があったのですけれども、時間がなさそうなのでこの問題についてだけ最後まで質問をしてまいりたいと思いますけれども、こういう場合の住所というものを定める。入管法の場合に、こういった子供を日本に入国をさせ、住所と言われるところまでここに住まわせるというような形というのが、何か入管法上特例とかいうのがあるかないかということをお聞かせいただきたいと思うのです。住所というのは生活の本拠ということですので、例えば観光の目的だとか、それから親族の訪問であるとか、そういう形で一定期間日本に両親とともにいるということでは住所ということにならないのかどうかという御見解、これは多分法務省の方だろうと思うのですが、まずそういうふうな入国を許可するような理由というものが特別にあるかどうかという点を入管の方の局長さんから伺いたいと思います。
#163
○股野政府委員 御質問の趣旨が帰化をされた日本人の方の子供さんであって、しかもその方がもう既に成年に達しておられる、こういう前提でお話をお伺いしております。かつ、その方が帰化前に生まれたお子さんである、こういう状況で入管法上どういう対応ができるかということを私ども考えますと、この場合には、入管法上未成年であるお子さんとはやはり違う取り扱いにならざるを得ないということがございます。未成年であって未婚の実子である場合には、定住者という一つの要件が満たされますので、その在留資格での入国が可能になってまいりますが、そうでないと、それではその方が日本でどういう生活をされようとするのかということに即して入管法上の対応をしていくことになります。例えば学生さんになるということであれば、日本での学生ということについての要件を満たすような資格ができるかどうか、こういう観点になってまいります。この場合に、それでは日本でどういう活動をするのかというその点を判断することが一つの重要なポイントになりますが、そういうことを判断する場合にも、親の方がもう既に日本人でおられる、日本に生活しておられる、この点は、入管当局としても十分配慮いたしまして、その方のお子さんの入国についての判断の上では有力な材料になる、こういうことでございます。
#164
○鈴木(喜)委員 この問題で、学生になりますとか、または特殊な技能があってそれでこちらで就くとか、そういうふうな入管法上で与えられている何かの条件があればともかくなんですけれども、例えば日本でお店屋さんなんかに就職して普通に暮らしたいというようなときに、それがかなわないということでありますと、入管法では、ただ単にこちらでどこかに就職したいということではなかなか入国は許可されないわけですから、その点、幾らか資力があって会社でも開くというのならまたそれも一つの条項になっていたと思うのですけれども、そういったことが何もなくて、まともには働くけれどもただ入りたいと八うような場合にはなかなか今入国は許可されない状況だと思うのです。ですから、こういった場合に特別な措置を考えることができるかどうか。この点、もう時間が参りましたので、これから先の問題になると思いますけれども、何らかの特別な措置、そういった緩和的な措置なり手当てなりができないものかどうか、その点伺いたいのです。
#165
○股野政府委員 ただいまの御指摘のように、日本で生活をされたい、仕事もされたい、こういう場合の判断に際して、その親の方が日本人として日本で生活しておられる、これは一つの重要な判断材料になります。
 したがって、こういう問題については、現在ありますこの法律の運用の問題として、ただいま御指摘の、親の方が日本におられるというその点を十分考えた判断をしていく、こういうことで対応させていただきたいと存じます。
#166
○鈴木(喜)委員 その点、柔軟な対応と、できれば特別な措置というものを明文化していただければ大変ありがたいと思います。
 これで終わりますけれども、最後に、きょうの新聞で法務大臣、借地借家法の問題で、やはり波及効果がもう出たというのが出ていて、私たちも心を痛めております。ぜひこれで従来の借地・借家関係に影響のあるようなことがないように、たな子に大被害というようなタイトルが出ますと私は大変胸が痛むわけでございます。まだ通った法案でもないので、この点について施行のことまで云々という問題ではありませんけれども、通ってない法案でもそういうふうなことがもう既に出ているという事実について、やはりこういうことのないようにこれからもしっかりとした行政をお願いして、これで終わらせていただきます。
#167
○伊藤委員長 冬柴鐵三君。
#168
○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三です。
 きょうは一般質疑の機会を与えていただきましたので、法律扶助をめぐる問題につきまして、法務大臣並びに所管の局長にお尋ねして問題の所在を明らかにしつつ、一つの私の提言等も行いたい、このように考えております。
 さて、その前に、ちょうど一週間前の九月十日、この衆議院法務委員会におきまして深夜十時前であったと思いますが、借地借家法案、修正の上可決されまして、私にとりましていまだその興奮冷めやらぬ感を覚えているわけでございます。これには附帯決議が付されまして、政府は国民に対する改正法の周知徹底に全力を尽くすべきであるという趣旨を含むものでございました。ところが、きょうの朝日新聞には「法案先取りに店子悲鳴 立ち退き・値上げ要求…」云々。私もこれは成立に賛成をした立場でありまして、まだ参議院で審議中の法案につきましてこのような記事が出るということはまことに胸が痛みます。
 私、先ごろ地元へ帰りますと、随分反対の陳情をいただいた方から、よくやってくれた。頑張ってくれた。こういう善言葉もいただいて非常によかったという気持ちを持っていたやさきのけさの新聞でありまして、非常に重大に受けとめているわけであります。私もこの審議を通じて一貫して申し上げましたことは、誤解が多いわけであります。この記事を見ましても、挙げられていることは非常に抽象的で、むしろ法案が衆議院で委員会可決そして本会議可決された後の問題だけじゃなしに、それより以前のことが、ずっと継続している問題が取り上げられているように思われるわけでありますけれども、いずれにしましても、我が国の国民の約四割近い方が重大な利害関係を持つこの法律、今一生懸命真剣にこの審議をやっているわけでありまして、この内容が国民によく理解されないということは、我々にとって非常に苦しい思いをするわけであります。
 当時もなかなか難しいというお話もありましたけれども、フリーダイヤルの借地・借家一一〇番等も私提言をしました。もっとPRに努めてほしい。ほかの法案に比べまして、今回小冊子も三冊を大量に印刷をし各市町村、弁護士会、扶助協会、借地・借家人の組合等にまで頒布しているということは、これはこういう法案ですから当たり前だといえば当たり前ですけれども、随分努力されたことは多とするわけでありますが、結論としてこういうものが載りますと、まだまだ努力が足らないのではないか、このような感じもいたしますので、これはひとつ法務大臣から御答弁をいただきたい。
#169
○左藤国務大臣 今お話しのように、けさの新聞を見ました。本来この法案そのものが既存の借地・借家関係には適用しないということを法文でも明言しておるわけでもあります。そしてまた、新しい問題につきましてはこれからの問題だ、こういうことについて明らかにしておるにもかかわりませず、こういった点を、これは貸し主の方がそういうふうに利用されるのかどうかわかりませんけれども、非常に曲解して、ねじ曲げてと申していいのじゃないかと思いますが、相手方との交渉を有利にしようと事を運ぶような者があるとすればまことに遺憾なことでございまして、そういう方々にこそ私はPRを徹底していかなければならない、このように思います。
 法案の趣旨、内容をわかりやすくした今お話しになりましたパンフレット、リーフレット、こういったものも配付いたしておりますし、そうしたあらゆる機会を通じて広報を進めていく、こういうことでこの法案の趣旨、内容を国民の皆さんに十分理解していただけるように、そしてこういうふうな混乱が生ずることのないように全力を挙げていかなければならない、このように考えているところでございます。
#170
○冬柴委員 ぜひお力を入れていただきたい、このように要請いたしておきます。
 また、私は当日、法案に関する質疑におきまして、函館市にお住まいの七十二歳の老いた母と二人で暮らしていらっしゃる女性から寄せられました借地借家法案絶対反対という立場からのお手紙を引用しつつ、民事局長にいろいろ御答弁をいただきました。若干そのときのお尋ねとダブるところがあると思うのですが、きょう私が主題としてお尋ねする法律扶助の前提問題としてお尋ねしておきたいと思うわけであります。
 引用した手紙の内容、要旨でございますけれども、このようなことが書かれていました。「私は七十二歳の母と二人暮らしをしています。家は自宅ですが」、ということは私が所有するものですがという趣旨だと思いますが、「土地は借地で現在、更新の為地主と話し合いが折り合わず調停中です。もし新法が」、その借地借家法ですね、「成立したら、母子二人住む所を追われることになるでしょう。そのことを思うと夜も眠れません。」こういう趣旨のものでございました。
 さて、民事局長にお尋ねしたいわけですが、借地契約の期間、契約存続期間が到来をいたしますと、この人のように借地上に借地人の建物が現存している、こういう場合でも土地は賃貸借終了ということで返還をしなければならないことになっているかどうか、その点について法律的な意見をお聞かせいただきたい、このように思います。
#171
○清水(湛)政府委員 現行法でございますと、期間が満了いたしましても、地主側に更新を拒む正当事由がございませんとそのまま従来の契約期間が更新される。二十年間という契約を仮に借地契約についていたしておりましたといたしますと、二十年間また期間が延びるということになるわけでございまして、このことはもう、今回の法案が新たに制定されようと制定されまいと全く変わらないわけでございます。
 先ほど大臣の御答弁にもございましたけれども、例えばけさの朝日新聞の見出し、法案先取りというような言葉を使いまして、「法案先取りに店子悲鳴」というような見出しをいたしておりますけれども、この法案は決して、これが通ればより立ち退きを求めやすくなるとか家賃を値上げしやすくなるというようなことは絶対ないわけでございまして、そのことは特に強調させていただきたいというふうに思う次第でございます。
#172
○冬柴委員 そのとおりだと思います。地主の更新料の請求ということがありまして、特に、この人は函館なんですが、私は首都圏周辺とか大都市周辺におきましてこういうものが慣行として行われている、こういうことは知っているわけです。このはがきに書かれているように、更新料を幾らにするかということで地主との話し合いの折り合いがつかずに調停中だ、そういうことはあり得ると思うのですけれども、法律的に、地主に一体この契約更新料の請求権、反対側から見れば借地人に更新料の支払い義務というものが現行法上あるいは新法の上であるのかどうか、そういうことを明確にお答えをいただきたい、このように思います。
#173
○清水(湛)政府委員 契約更新の際に地主側に更新料を請求する権利は現行法上も改正法上もございません。これは、地主と借地人が話し合って円満に合意が成立すれば、その合意に基づく更新料支払い義務というものは発生し得るわけでございますけれども、それ以外に更新料請求権が法律上発生するという根拠はないわけでございます。このことは、明文の法律の規定がないのは当然でございますけれども、慣習法ないし事実たる慣習に基づくものとしてもないということは、これはもう最高裁の判例、昭和五十一年の判例でございますけれども、明確にされているところでございます。
#174
○冬柴委員 こういうことを聞けば非常に安心されると思うのですけれども。
 さて、この手紙の七十二歳の老母は、そのときは御披露申しませんでしたけれども、年間三十万円の年金収入のみだ、それからその手紙を寄せてくださった女性、恐らく四、五十歳代の方だと思いますけれども、この方は現在失職中であると書いてありました。したがって、到底言われるような更新料を支払う資力に欠けている、こういうことを訴えていられるわけでありまして、金額の多寡は別として、更新料を全く支払わなかった場合にその土地賃貸借契約の存続等に何らかの消長を及ぼすことがあるのか。その点についてもお答えをいただきたい。
#175
○清水(湛)政府委員 借地契約の更新の有無を決定する正当事由の有無というのは、貸し主及び借り主が土地の使用を必要とする事情を主として考慮して定められるものでございます。本来支払い義務のない更新料を支払わないということから直ちにこれはもう正当事由が逆に認められるということにはならないというふうに私どもは考えているわけでございます。また、更新料の支払いをするということを言わなかったために地主側に正当事由が認められたというような判例も存在しないというふうに考えております。
#176
○冬柴委員 しつこくて悪いのですけれども、この議事録を送ってやりたいと思います。
 最後に、この人のような場合、今衆議院を通過し参議院で審議中の借地借家法案が成立して法律になった。施行された。こういう場合に、今言われたような前提のもとに同嬢が、私どもはこの家から追い出されることになるでしょう、こういうことを言っているわけですから、そういうことの根拠とされる規定があるのかどうか、何らかの不利益を招来するような根拠があるのかどうか、お答えをいただきたい。
#177
○清水(湛)政府委員 新しい法律が施行されましても、この方の場合には従来の法律の規定がそのまま適用されますので、従来どおり完全に保護されるということでございます。新しい法律によって立ち退きをしなければならなくなるとか、あるいは地主側の権利が強くなってより立ち退かされやすくなるとか、そういうようなことは一切ございません。そのことについては本当に安心していただいて結構だ、新法は全くそのことについては関係がないということをよく御理解いただきたいというように思います。
#178
○冬柴委員 安心いたしました。私も実はこの方に、法案審査中、今清水局長が答弁いただいたのと同じ内容を手紙に書きまして、調停委員に示していただいて結構だということで書いて出しました。私の意見も清水局長の意見と全く同様でございました。
 そこで、これは法律家、弁護士の資格を持っている人であれば、これと違う説を言うという人はありますか。
#179
○清水(湛)政府委員 弁護士さんの問題でございますので、私の方からいろいろと申し上げるのもちょっといかがかとは思いますけれども、いずれにいたしましても、明文で、既存の借地・借家関係については更新及び更新後の期間に関する規定等は新法は適用されなくて従前の例によるということが附則で明確に書いてあるわけでございますから、この規定を誤解するということはないのではないかというふうに私は思います。
 現に例えば、先ほど本日の朝日新聞の話が出ましたけれども、ことしの四月四日付の「ちょっと弁護士さん」という相談欄では、弁護士の方が私が今述べたようなことを、つまり旧来の借地・借家関係には新法の規定は適用されない、従前どおり取り扱われるということを非常に明確に回答されているわけでございまして、そのことについては私は全く心配がないのではないか。こういうような本日の朝日新聞の記事のような記事が出る背景には、やはり何か法律を誤解しているというかあるいは誤解させている何物かがあるのではないかというような気がしてならないわけでございまして、大臣の御答弁のように、本当に真剣にそういう誤解を解くようなPRを徹底しなければならない、このためにも弁護士会にも大いに協力をお願いいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#180
○冬柴委員 さて、法務大臣に申し上げたいわけですけれども、日本国民にはただいま、法曹専門家から見ればまことに簡単、そしてまた初歩的でほとんど説が違わない本件のような場合、こういう法律問題にすら解決を見出すことができなくて悩まされて夜も眠れない、こういう心配している実に多くの庶民がいられるという厳然たる事実があるわけですね。私のところに寄せられた手紙は、これ以外にも本当に何通もあります。こういうことを考えますと、専門家によるちょっとした法的助言を与えられる機会があるならば、この親子はその日からまくらを高くして眠れたであろうに、私はこんなことすら助言する法律家がこの国にはいないのかなというふうに悲しく思うわけでありますけれども、もしこういうことがはっきりしているならば、そういう法的助言を気楽に気軽に得られるという制度が確立していたならばこの親子のような心配をすることもないわけでありますし、また、借地借家法案をこの女性が絶対反対だというようなことで私に、名も知らぬ顔も知らぬ代議士に反対陳情の手紙を出してこられるというようなそういう立場もとらなかっただろうと思うわけであります。
 さて、この解決策として局長は先ほどPRのことを言われましたが、私もそれは一つの方法だと思うのですけれども、法務大臣、こういうものについてはどうお考えでございますか。
#181
○左藤国務大臣 国民が法律問題に悩んだときに、手軽に利用できるそうした相談制度はないかというお話でございます。
 まあ全くないということでもございませんが、例えば法務省の人権擁護局、ここの人権相談、こういうことにつきましてもそういう形で法律相談にも応じてきておるわけであります。特別に法律相談だけのそうした機関、機構というものは別にありませんけれども、今の人権擁護局のそういう人権相談を通じて応じておりますので、これを今後拡充していくということが一つの方法ではなかろうか、このように考えます。
#182
○冬柴委員 人権擁護局長にあの借地・借家のときに余り時間がなかったものですからはっきりお尋ねすることができなかったのですけれども、無料法律相談の拡充に関する私の要請といいますか問いに対して御答弁があったと思うのですね。そのときの答弁、もう一度お伺いしておきたい、このように思います。
#183
○篠田政府委員 国といたしましては、昭和三十三年度以降今日まで、財団法人法律扶助協会が行う法律扶助事業に対して予算補助を行い、毎年扶助費につき補助金を交付してまいりまして、これが相当の成果を上げている、そういうふうに考えているわけでございます。
 それで、この制度は既に定着してきており、当面は現行の予算補助の方式により法律扶助制度を充実発展させてまいりたいと考えておりますが、法律の助言、援助、そういった面につきましての諸外国の制度についても勉強してまいりたいと考えております。
#184
○冬柴委員 今人権局長からも答弁ありましたように、国は、特に近年、財団法人法律扶助協会に対する法律扶助事業への補助金の交付額の増額に努力を傾注されている、この事実に対しましては、法務大臣初め人権擁護局長初め担当の方々に対して敬意を払うところであるわけでありますけれども、この補助金の使途ですね、使い道、これは法的助言に使っていいのですか。
#185
○篠田政府委員 現在の制度のもとではそれはできないことになっております。
#186
○冬柴委員 これは、言うまでもなく、弁護士費用や裁判費用を負担する資力に欠ける人であって、かつその人の言い分が訴訟の場で通る、すなわち訴訟の見込みがあるという場合に、財団が国からいただく補助金を使って訴訟費用あるいは弁護士費用の立てかえをする、こういうふうに目的が、使途がきっちりと位置づけられていて、それ以外には使えない、こういう性質のものですね。
 さて、先ほども局長言及されましたけれども、非常に国民のニーズの高い無料法律相談事業というものを財団法人法律扶助協会が行っている。御存じですね。いつからこの事業を財団は開始しているか、また、最も新しい統計によれば一年間に何件を全国何支部で処理をしたと承知していられるか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
#187
○篠田政府委員 財団法人法律扶助協会の無料法律相談は、協会が公表している資料によりますと、昭和四十九年から開始され、現在全国三十七支部で行われているものと承知しております。
 各支部の常設法律相談で取り扱った平成二年中の相談件数は一万七千百二十七件あり、そのほかに、巡回法律相談によるもの二千三百七十三件、電話による法律相談が二千九百八十件、それらを合計しますと二万二千四百八十件の相談があったということを承知しております。
 それから、協会が無料法律相談のために平成二年度中に支出した金額は五千五百五十四万二千五百四十円でありまして、弁護士には、一回当たりの常設相談手当として一万六千円、同じく巡回相談手当として一万六千円、電話相談手当として一万円が支払われております。なお、巡回相談については、若干の交通費と必要に応じて一日一万円の宿泊費が支給されているように承知しております。
#188
○冬柴委員 この件数を単純に割り算をしますと、一件当たりで二千四百七十円になる、私はそのように見るわけですが、決して高い費用ではないと私は思いますね。しかも、五千五百五十四万二千五百四十円の中には交通費、実費等も含まれているということを考えますと、弁護士が受ける正味の一件当たりの報酬額というのは二千四百七十円をまだ下回る、こういう事実がわかるわけであります。
 さて、国はこれにはお金を出していない、こういうことを先ほどおっしゃっているわけですが、そうするとこの財団はこの資金をどこに仰いだのか。まあこれは概略で結構です、人の財布の中のことですから。お知りの点で結構ですが、わかる範囲でお知らせください。
#189
○篠田政府委員 その資金源といたしましては、日本船舶振興会の補助金四千四百四十三万四千円、それから法律扶助協会本部の一般会計からの繰入金一千百十万八千五百四十円で賄われている、そういうふうに承知しております。
#190
○冬柴委員 これはまことに私としては尋ねにくいわけですけれども、法務大臣、今人権擁護局長からお話がありましたように国民の法律相談、先ほど私は民事局長にお尋ねをして、資格のある弁護士であればほとんど間違いなくそのように助言をするであろう、そうすることによって夜も眠れなかった人が翌日からはまくらを高くして安眠できる、こういう国民の広いニーズがあるわけですね。これは法務大臣の政治事務所にも多くの市民相談があると思いますし、そのうちの半数以上は法律相談、法律的な意味合いを含む法律相談じゃないか。私の事務所は、私が立候補するときに弁護士だったということを言ったために、大変な数の法律の鑑定意見を求めるような相談があります。いかに多くのニーズがあるかということがわかるわけであります。
 これは人権に関する問題だと思うのですが、法務省の人権擁護局としてこういうものについて、人権擁護局じゃなくてもいいんですよ、無料法律相談事業、こういうものに対してお金を出しているのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
#191
○篠田政府委員 法務省としては出しておりません。
#192
○冬柴委員 法務大臣、一言、いかがでしょう。
#193
○左藤国務大臣 今お話しのように、こうした問題について、無料法律相談といいますか、そういうものをもっともっと充実していくという点で、先ほどの人権擁護局のやっています人権擁護相談だけでは十分でないのではないかというふうに考えております。したがって、今の財団法人法律扶助協会が行っております無料法律相談に対して、そうした仕事をもう少し何か応援できないかということを、当然国庫から補助するとかいうようなことも含めまして検討して、この拡充を図って、もっと利用していただきやすい形を考えるべきではなかろうか、このように思っております。
#194
○冬柴委員 大変心強い答弁をいただきました。私はまた機会を得まして、どうなりましたかとお尋ねをするつもりでありますので、どうかひとつじっくり考えていただいて、やっていただきたい。
 平成元年三月二十四日に、当委員会で私の質問に答えられまして当時の高辻法務大臣から、法律扶助というのは、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」とする憲法三十二条に由来する国の義務であります、こういうような明快な答弁をいただきまして、本年二月二十日には当委員会で左藤法務大臣からも、「憲法三十二条によります裁判を受ける権利、これは国民の基本的人権の中でも極めて重要なものであることは申すまでもございません。」「貧困者に対して訴訟を援助をするものでありまして、裁判を受ける権利を実質的に保障する、そういう意味での重要な制度であるというふうに私も認識をいたしております。」という所信の御披瀝をいただいた上、これの充実に努めなければならないという決意も示していただいたわけでございます。私は、来年度の予算概算要求におきましても財団に対する補助金を二千二百五十万円ですか増額をしていただきまして、総額は約一億五千万円にまで増額をされるということを省内で省議決定された。これは高く評価しているのでありますけれども、今のお話は訴訟援助なんですね。それに至る前段階の貧困者に対する無料法律相談、これは私は、今法務大臣から力強い決意をいただきましたけれども、非常に重要な問題であって、法務省が戦後こういうものに対してお金を出してないということは重大だと思うわけですね。
 私は、法治国家において貧困者に対し「裁判を受ける権利を実質的に」左藤法務大臣が先ほどの引用のところで言われたわけですが「保障する」、こういうことは、無料法律相談事業の運営というものは法律扶助ともう密接不可分の関係があるこ言いかえれば裁判を受ける権利とは切り離すことのできない延長線上にある憲法上の重要な問題である、こういうふうに私は考えているわけです。決して貧しい人に対する救貧的といいますか慈善的といいますか、そんな事業ではない、私はそういうように思うわけであります。中央大学の小島武司教授も御指摘をされているわけでありますが、憲法三十二条というものは、その文言を超えていま少し広くまた柔軟に読み取りまして、その背景に正義へのアクセスの普遍化という遠大な理想が強調されているということを知らなければならないと私は思うわけであります。これを推進していくためには、裁判という場面だけではなく、これと並んで裁判外における正義にかなった紛争の予防または解決を活性化していくことを憲法三十二条は要求しているんだ。このように読み取ることによって初めて我が国の基本的人権を尊重する憲法理念の成熟が現実のものとなるのではないか、このように信ずるわけであります。このような観点から私は、ジャスティス・フォー・オールというふうに言われましたけれども、リッチな人もプアな人もすべての人に質の高い法律相談を受ける道を開くこと、これは自由主義的法治国家である我が国の憲法上の責務だ、このように私は考えているわけであります。
 法務大臣から最初に力強い決意をいただいていますけれども、私の考えはそういうところにあるわけでありますので、大臣からこういう考え方についてもう一度御答弁をいただきたい回
#195
○左藤国務大臣 今のお考え、私もそういうふうに同じような考え方を持っております。本来、裁判を受ける権利を実質的に保障するために今の貧困者に対します訴訟援助というような法律制度はあるわけでありますが、それはまたそれとして充実すべきでありますけれども、そのもう一つ前提に、裁判を受ける権利をもう一つ前の段階で確実なものにするといいますか保障するために、やはり無料法律相談というものも私は充実していかなければならない、このように考えます。
#196
○冬柴委員 どうかそのお考えを予算に反映をいただきまして、後でもずっと申し述べますけれども、財団法人法律扶助協会、まことにこのような事業を四十九年からやっているわけですけれども、局長からも御答弁ありましたように日本船舶振興会というような私的な団体からの補助金に頼って細々としかやれなかった。こういう実態もありますので、どうかひとつ頑張っていただきたい。私どももこれは全面的に応援をさせていただきまして、実現に向かって努力をしてまいりたいと思います。
 さて、私はここにドイツ連邦司法省の広報誌に寄せられた連邦司法大臣、これはドイツの法務大臣ですが、ハンス・A・エンゲルハルトという人のあいさつ文を持っているわけであります。ここにドイツの無料法律相談というものに対する考え方が非常にわかりやすく書かれているものですから、ちょっと長くなりますけれども、引用して御披露申し上げたいと思うわけであります。
 「機会が平等であるということは、たんに国民に対して同じ権利が与えられることだけを言うものではありません。それだけではなく、国民は、自分の権利を実現すること、必要な時には裁判によって貫徹することができなければならないのです。過去においては、訴訟費用が裁判所へのアクセスの障害となり、勝つ見込みのある訴訟が行なわれないということが、しばしばありました。現在では経済的に苦しいということが理由となって、自分の権利を諦めなければならないという事態があってはなりません。」「助言援助法は、所得の少ない国民の皆様に、裁判所の外での争いごとにつき、法律相談を受け代理人を選任する機会を、ほとんど無料で保障することを目的としております。」云々とありまして、このパンフレットをもちまして、一人でも多くの国民の皆様が、一九八一年一月一日施行されましたこの新しい法律の仕組みにつき正しい情報を得られることを望んでやみません。
 これは訳文でございますけれども、表題は「よい助言は高くつかない」。こんなことが書かれていまして、内容は漫画入りで物語風にまとめられていまして、一般国民が非常にわかりやすい形になっております。そして、これは裁判所や市役所、弁護士会等々の団体で広く国民に頒布されているわけでありまして、ただいま大臣が明快に答弁をいただきましたように、ドイツ連邦では、裁判を受ける権利をひとしく国民に保障する延長線上の問題としていわゆる助言援助法というものを位置づけていることがわかると思うわけであります。
 大臣の御感想はこれと同じだということだと思いますが、この助言援助法は、その文中にも出てきましたように、一九八一年一月一日に施行されているようでありますが、弁護士による法律相談、それから、それだけではなく訴訟外の代理ですね、相手方との交渉、それから示談によって解決してしまう、和解をする、それから難しい書面をつくってあげる、それから意見書をつくる、鑑定意見ですね、こういうことまで含んでいるようでございます。
 人権局長、もしあれでしたら合わせた件数で結構ですが、一九八一年に施行されているわけでありますが、八一年、八五年、八九年と、大体五年おきぐらいのドイツの件数がわかればお示しいただきたい、このように思います。
#197
○篠田政府委員 法務省として特にデータを入手しているわけではございませんので正確なところはわかりませんけれども、本年春に財団法人法律扶助協会の視察団がドイツへも行かれまして、その視察団から提供を受けました資料によりますと、ドイツ連邦における各年度の法律助言件数のうち弁護士による助言援助の件数は、一九八一年が二万四千百八十件、一九八五年が十三万一千五百四十六件、一九八九年が十八万八千二十八件となっております。
#198
○冬柴委員 八九年だけで結構ですが、ドイツ連邦がこの助言援助、我々の言う法律相談よりはちょっと幅が広いわけですけれども、これに国庫から幾ら支出しているかおわかりですか。
#199
○篠田政府委員 一九八九年度の助言援助のための国庫支出金は、二千百六十四万七千七百六十五ドイツ・マルクでございます。一マルク八十五円として計算いたしますと、日本円で約十八億四千万円となっております。
#200
○冬柴委員 この金額は膨大な金額ですけれども、法律相談だけで十八億円ですね。これはもちろん我々の言う法律扶助、訴訟援助に関する国庫支出金とは全く別に、要するに法的助言援助に対してのみ支出された金額が今局長からお示しされた十八億四千万円。
 ところで、この法律相談は一件当たりは案外交いんですね。ちょっと調べてみますと、一件当たりの相談料は三十五ドイツ・マルク。八十五円で計算しますと二千九百七十五円、約三千円。それから代理ですね、相談者の代理人になって紛争の相手方と交渉するということがあると思うのですが、この場合は九十ドイツ・マルク、七千六百五十円。それから示談、すなわちこちらの代理をして相手方と話し合いで解決してしまう、すなわち裁判手続をしないで事前にそういうことで解決してしまう、法廷外で解決する、これには百十ドイツ・マルク、約九千三百五十円、一万円弱。こういう報酬が支払われているようであります。
 しかし、国民のニーズが大きくて件数が十八万件を超えるということになってきまして、これにドイツのお金で十八億円強が支払われている、こういう実績が今示されていると思うわけです。これを裏返してみますと、物事は裁判所だけで解決するわけではありません。裁判所外でも解決するわけでありますから、これが正義にかなった解決になっているのかどうかということが問題だと思うのです。強い人、強い立場にある人、口の上手な人、こういう人が有利な解決を得られるということでは正義にかなっていない。すなわち、こういう紛争について法的に考えて、あるべき解決策はこういうことだ、我々の方はこういうふうに解決を指し示しているという助言、そういうものがあって初めてすべての人が正義にかなった紛争解決が法廷外でされるという、これは国民にとっても複雑といいますか、気の重い作業といいますか、裁判手続を経ずに、しかも比較的早い機会に紛争が解決できるということは国民にとっても利益ですけれども、広く国家全体から見ても非常に大きな利益だと思うわけです。そこら辺をこのパンフレットは「よい助言は高くつかない」こういうふうなことで国民にPRをしているというふうに思うわけであります。決して十八億円は高くないんだという、ドイツ人のこのような考え方がここにあらわれているように思います。
 国民のニーズというのは、国や法律制度が違っても余り変わらないんじゃないだろうか。我が国でも全く同じように、国民は裁判所の中で複雑な手続を経て判決で解決策を示してもらうということはもう最後の最後のことであって、それ以前に解決をしたい、そういう気持ちがあると思うわけであります。これは全く法的な意味とかいろいろな意味じゃなしに、そういうことを抜いて、法務大臣から今申し上げたことについての御感想をお伺いしておきたいと思います。
#201
○左藤国務大臣 ドイツの模様を私もよくわかりませんけれども、今お話しのようなドイツの法律相談の実情というようなことと我が国の状況とは単純には比較はできないとは思いますけれども、我が国でも、人権相談を初めとしていろいろなそうした無料相談といいますか、そういうふうなものが現実行われてもおりましょうし、私は、そうしたものによって、その中には法律相談もありまして、本来訴訟にまで出てこないでいろいろ解決している問題がたくさんあるんじゃなかろうか、このように考えます。
#202
○篠田政府委員 先ほどの件数が間違っておりましたので、訂正させていただきたいと思います。
 委員御指摘のように、一九八九年のドイツの弁護士による助言、援助の件数は、十八万八千八百二十八件でございます。
#203
○冬柴委員 法務大臣から人権相談のことが再々出ました。確かに人権相談、私的な紛争についての法的な意見を求める部々もあろうと思うのですけれども、この相談に乗る人、乗っている人、これは法律専門家が乗っているのか、いわゆる弁護士がその事務に当たっているのかどうか、その点、ちょっとだけ聞いておきたいと思います。
#204
○篠田政府委員 人権相談に応じているのは、法務局の職員と、それから民間の人権擁護委員の方々でございます。法務局職員は、法曹資格は持っておりませんが、研修によって一応の法律知識はあるものと考えております。それから、人権擁護委員の方々ですけれども、大都市ですと弁護士の方もかなりいらっしゃるので、複雑な法律問題につきましては弁護士の資格のある人権擁護委員にお願いすることが多いのですが、地方の方へ参りますと、やはり弁護士で人権擁護委員になっていただく方が数が少ないので、法曹資格のない方も相談に応じているのが実情でございます。
#205
○冬柴委員 決して法務省がやっておられる人権相談が私の今言う法律相談と全く無縁のものだとは申し上げませんけれども、今私が言っている私的な紛争、この中には人権の問題もありましょう、しかし、そういうものについて法律専門家による法的助言、援助、できれば代理、できればそういうものについての意見書をつくるとか、そういうようなことまで我が国も考えていかなければならないんじゃないか、そういうことを考えたときに、必ずしも人権相談とはちょっとぴったりはこないということを指摘しておきたいと思います。
 それから、続いてもう一カ国、イギリスの事情についても論及をしておきたいと思います。
 私は、ことしの四月末から五月初めの連休を利用いたしまして、私的に英国の法律扶助制度の実際について現地に参って視察をしてまいりました。短い期間ではありましたけれども、英国における法律扶助にかける一つの熱意といいますか、意気込みというか、そういうものを肌身に感じてきたわけであります。
 英国では、民事の法律扶助、訴訟に対する援助ですね、それから法的助言、援助、先ほどドイツでも申し上げましたような、日本でいう法律相談、そういうものに当たるかと思います。あるいは特殊な法的手続領域における代理、あるいは刑事の法律扶助、まあ日本でも国選弁護制度がありますけれども、もっと広い、いわゆる被疑者段階からの徹底した扶助、また、それの一部をなす当番弁護士制度、これは裁判所とか一定の場所に待機をしていて、被疑者になった人がいつでも助言を得られるというような徹底した制度でありますが、こういうふうに多彩なメニューが用意をされております。一九九〇年、昨年のことでございますけれども、国庫よりの純支出額というものは五億二千七百七十万ポンド、邦貨に二百五十円で換算しますと実に千三百十九億二千万円余りということになります。そういう巨額に達しております。
 問題は、これ以外に、法律扶助事業というものを担当しておりますリーガルエード・ボードという団体に対して、運営費、すなわち人件費とか事務費、こういうもの一切を国費から扶助しておりまして、その金額が三千三百十七万ポンド、やはり二百五十円で換算しますと八十二億九千四百五十万円が支出をされているということを知りました。
 驚くべき金額でありますが、法務省、この金額は御確認いただけますか。
#206
○篠田政府委員 これも、ことしの春訪米いたしました財団法人法律扶助協会の視察団から提供されました資料によりますと、今委員が御指摘の数字になっております。
#207
○冬柴委員 さて、そのうち私がきょう主題として取り上げております法的助言、援助の問題でございますが、この垂込みに使われる用紙が緑色の用紙に印刷されていることから、グリーンフォーム・スキームというふうに略称されて呼ばれているわけであります。これは、訴訟事件以外で、いわゆるソリシター、弁護士の援助を必要とする場合の公的援助でありまして、家庭事件というのは三時間、それからその他の事件は二時間以内の相談と法的助一言が受けられる、それが一つの単位になっているわけでありますが、これには単に相談と助言だけではなくて、調査とか交渉とか文書の作成とか、あるいは意見書の作成まで含むサービスを受けられることになっていました。
 これは一九九〇年度のイングランド法の適用範囲で何件の実績を上げたことになっているか、同じ資料で結構ですが、わかれば法務省からお示しいただきたいと思います。
#208
○篠田政府委員 同じ資料でございますけれども、イギリスで一九九〇年においてグリーンフォーム・スキーム事業の適用された件数は百四万一千三百五十一件となっております。
#209
○冬柴委員 この事業のために英国政府は、先ほど総額は申し上げましたけれども、このいわゆる法的助言、援助、この事業のみにどれぐらいの金額を支出したかわかりますか。お示しいただきたいと思います。
#210
○篠田政府委員 七千二百一万六千ポンド、日本円に換算して約百八十億円となっております。
#211
○冬柴委員 以上で、私が視察をしてきたもののうちの法的助言、要するに日本で言う法律相談、それのまたグレードの高いものですけれども、そういうものに対する公的な資金が出されて、完璧にやられているということはわかると思うわけであります。
 ただ私は、ドイツやイギリスと我が国とでは法律相談制度についての国民の見方も違います。法制度も違いますし法文化も違うと思います。国民性も違うということは当然であります。したがいまして、この彼我を、法律相談事業に対する国費の支出額の差をもって比べ、直ちに我が国の制度や国の取り組みの姿勢が消極的である、こういうような批判をすることは私は早計だと思っております。しかしながら、我が国が二十一世紀に向かって民主主義国家、法治国家として目指すべき方向をこの両国は指し示しているのではないかということを感ずるわけです。
 特に、まあ確かに法律扶助協会がやっているだけが法律相談ではありません。しかしながら、非常に努力をしながらも行った昨年の実績というものは、先ほど来局長が示されるように二万二千四百八十件が我が国の法律相談の実績件数でありました。英国は百四万一千三百五十一件、そしてドイツ十八万八千八百二十八件、これはその前年の八九年のですけれども。こういうことを対比しますと、法文化も違うし制度も違うけれども、やっぱりこういうところに日本も、こんな大きな金額ではなくても一歩一歩前進していかなきゃならないということを感ずるわけでありますけれども、大臣いかがですか。
#212
○左藤国務大臣 今お話しのように、それぞれの法的制度、また国民的な、国民文化と申しますか、こういったものに対する物事の考え方も若干違うところもありましょうけれども、今お示しのように、この数字というか、そういう点につきましても非常に大きな件数が開きがあるわけであります。単純には比較できないといたしましても、法律扶助制度のあり方全般について、無料法律相談という問題を含めて我々は勉強しなきゃならない、こういう感じを受けております。
#213
○篠田政府委員 今大臣から御答弁ございましたように、私どもといたしましても無料法律相談を含めまして法律扶助制度のあり方全般について勉強してまいりたいと思っております。
 ただ一言つけ加えさせていただきますと、先ほど大臣からお答えいたしました人権相談が平成二年度の数字では四十三万二千百六十四件ございます。それから家庭裁判所で行っております家事相談が二十七万九千九百二十七件ございます。そういったことも一応考慮に入れていただきたいと思います。
#214
○冬柴委員 もちろんそういうものも入れながら、ただ資格を有する法曹による法的助言、サービス、こういうものを多くの国民は求めていますし、人権相談あるいは裁判所の窓口相談というもの、あるいはそれ以外にも警察相談もあります、あるいは政党が行っている相談、これはもうばかにならない金を投じてやっています。これは翻って言えば、今まで国がきっちりそういうことをやっていなかったがゆえに、そういうところへ国民のニーズというものがはみ出していったんではないか。これをもう少しやはり本筋に、いろいろあっていいと思いますけれども、本筋がやっぱりどんとなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
 もとより我が国はもう世界に誇るべき成文法体系を持つ国でありまして、しかしそれは、国民大衆が十分にそれを利用し得て初めて世界に誇り得るものではないかと思うわけであります。大衆がみずからに与えられた権利を、資力に欠けるがゆえにその内容を知り得ないあるいは十分に行使し得ないとしたら、これは我が国が法が支配する民主主義国家であるということを世界に向かって誇ることはできないのではないか、このように思うわけであります。
 先ほど法務大臣からもお話ありましたように、私はあらゆる意味でこの法律扶助事業というものの拡充につきまして考えるべき一つの時期に今来ているんではないかというふうに思います。その際はそれに対する哲学というものを鮮明にした基本法の制定から着手しなければならないと思います。幸い昭和二十七年以来四十年の歴史を刻んだ法律扶助協会の実績があります。また我が国には、数は少ないけれども、進取の気性に富んだ多くの弁護士も存在しています。したがいまして、人の国のまねをする必要は全くありませんし、我が国のそのような歴史を踏まえた立派なものをつくり上げるべきである、このように思います。
 ただ一言、じゃあ弁護士が努力しているのかということについてちょっと申し上げておきたいと思うんですけれども、九〇年度に、まあ日本の弁護士は一万四千人くらいしかいませんけれども、この法律扶助事業に対して弁護士会から一億四千五十二万三千円の支出をしています。すなわち、弁護士一人当たり一万円は出しているわけであります。これ以外に、いわゆる扶助事件を担当して、いただいた報酬の中から一定の割合を寄附することを義務づけられておりまして、この金額が八千百三十六万八千円。それ以外に、弁護士が職務上こういう知り得た人から一般の人、あるいは受任した刑事被告人からの蹟罪寄附といいまして、例えば覚せい剤事犯の人が刑事訴追を受けた。これはもう被害者の弁償するところないわけでして、しかしその覚せい剤取引によって得た利益というものを手元に留保することはこれはいけません。そういうところで一つの贖罪寄附というのがあるんですがこういうものを、弁護士が慫慂しまして、お願いをしてもらった。これが実に四億八千五万七千円。弁護士がこの扶助事業にみずから調達してきたそのような金というものは九億円を超える金額になるわけですね。こういうこともやっぱり国民に知ってもらわなければ、何か国に金を出せ出せといつもせびっているような評価を受けてはこれはいけないと思うわけでありますがそのような努力を重ねているということも国民に知ってもらわなければならない、このように思います。
 また、平成元年から平成二年にかけて、法務大臣御努力いただきまして千五百万の補助金が増額されましたけれども、この間、平成元年度三千五百十七件の法律扶助をしていたのを、五百五十五件、いわゆる一五・八%増しまして四千七十二件補助ができた。すなわち、国からの補助金をふやしていただいた分については、それを超える実績も挙げだということも披露しておかなければ片手落ちではないかというふうに思うわけであります。
 いずれにいたしましても、そういうことを前提として我が公明党は、つとに基本法制定についての調査費を予算要求されるように法務大臣に対して申し入れを過去にもいたしております。法律扶助基本法を持つ国というのはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、すなわち日本を除くG7の国、これは全部持っています。こういうところはもとより、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、こういう北欧の国々も持っています。オーストラリア、ニュージーランド、香港、こういう旧英領、ここも当然持っています。そのほかオランダ、シンガポール、スリランカ、ザンビア、挙げ出したら切りがないほど、この基本法を持って、そういうもので予算措置をして法律扶助あるいは法的助言、援助というものが世界じゅうで行われているわけでありまして、私、法務委員会でも再々左藤法務大臣の決意をお聞きしていますけれども、この問題についての非常に重大な問題だという御認識をいただきまして、どうか頑張っていただきたいと思うわけであります。
 ちなみに今の橋本大蔵大臣に対しても予算委員会で私はこのことを詳しくお尋ねをいたしました。そのとき橋本大蔵大臣からも、地味だけれども非常に大切なことを指摘していただいた。したがって、事務当局においてそういうものが成案を得られるならば大蔵省としても優先順位の高い問題として取り組んでまいりたいという決意もいただいたわけでありまして、これは法務大臣御同席の上ですから御承知のとおりであります。
 この問題についての法務大臣の御所見を伺いまして、私の質疑を終わりたいと思います。
#215
○左藤国務大臣 今お話しの法律扶助に関します基本法制定をというふうな御意見、これは前からいろいろと伺っているわけであります。法務省といたしましては、この法制定の是非を含めまして、今後とも法律扶助のあり方、これをどうしてさらに進めていくかということについて積極的な検討をしなければならないわけであります。
 当面の問題としましては、やはり現行の予算補助方式ということを充実させていくということで、今のところ調査費を要求するとかそういうことではなくて、基本的な問題についての十分な検討をさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
#216
○冬柴委員 終わります。
#217
○伊藤委員長 木島日出夫君。
#218
○木島委員 私は本日は、法務局におきまして登記事務に携わっている職員の増員の問題、また要員の確保の問題につきまして、要望を中心として幾つかの質問をしたいと思っております。
 もう今さら言うまでもないことでありますが登記制度というのは、日常頻繁に生ずる不動産取引、各種の経済取引が安全かつ円滑に行われるために欠くことができないものであります。経済が成長して国民の生活が向上すればするほど、不動産登記や商業登記の事件はますます増加する、言うまでもないことであります。国民の経済活動の中で登記制度の占める重要性がますます大きくなってきているのではないか、これが今日の経済の特徴ではないかと思うわけであります。
 こういう非常に大事な業務であります。しかも、それが適正に迅速に登記業務がなされて初めて、国民の財産と権利を守ることができる。ところが最近、大型の公共投資や地域開発、住宅建設、またリゾート開発などによって我が国における登記業務量が非常に急速に増大してきている。それに比べてこの大変大事な業務に従事する職員が全国各地で不足をしているという状況が目についております。その結果、業務の停滞や誤り、過誤が発生する、サービスの低下が発生する、また職員の健康破壊など、大きな問題が山積をしていると思うわけであります。
 ちょっと古くなりますが私、昨年の十二月十二日に、東京法務局の新宿出張所、板橋出張所の各所長さん、職員の皆さんの御配慮をいただきまして視察をしてまいりました。
 例えば新宿出張所の登記事件数というのをちょっと御披露しますと、二十二年前の昭和四十四年で登記申請事件数が四万八千件。それが十年後の昭和五十四年には一四四%の六万九千件になり、それからまた十年後の平成元年には一八三%の伸びで八万八千件。これはいわゆる所有権移転登記とか抵当権設定登記の登記事件数であります。登記簿の謄抄本等交付事件数というのはすさまじい飛躍的な伸びであります。一つの新宿出張所だけで、昭和四十四年に八十七万九千件だった。それが十年後の昭和五十四年に二五二%の二百二十一万五千件。それがまた十年後の平成元年には五四七%の伸びで四百八十一万二千件。昭和四十四年に比べて二十年後には五倍以上に飛躍的な伸びを示している。
 それでは職員の方はどうかといいますと、昭和四十四年に職員数二十四人。昭和五十四年に二十八人、伸び率でいきますと一一七%。それで平成元年には三十一人で二一九%。職員は二九%しか伸びていないが登記事件数は八三%の伸び、登記簿謄抄本の交付事件数、いわゆる乙号事件数ですが五四七%と五倍以上の伸び。
 この数字を見ても、いかに登記業務に携わっている職員の皆さんが激務であるかということをあらわしていると思うわけです。これは新宿出張所だけに限ったものではなくて、全国の法務局で登記業務に携わっている皆さんに共通している数字ではないかと思います。
 全法務労働組合の皆さんがつくった資料によりますと、昭和五十八年と平成元年を比べますと、登記業務に従事している職員数は、昭和五十八年六百八十六人、平成元年は七百十三人、一〇四%、四%の伸びにすぎない。ところがいわゆる甲号事件、所有権移転、抵当権設定等登記事件が一四〇%の伸び。乙号事件、謄抄本の交付、閲覧事件は四千三百三十万件から七千二百万件、一六六%の伸び。こういう全国の数字でも、業務量の急速な伸びに比較して職員数の伸びが非常に不足しているということが指摘できるのではないかと思います。
 こういう実態を法務省としてはどのように認識され、そして国民サービスのために、また職員の健康問題などの抜本的な解決のためにもどのような方策が必要だと考えているのか、まず御答弁願いたいと思います。
#219
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように登記事務は、不動産につきましても商業法人登記につきましても国民の経済生活のいわば基盤をなすものでございまして、これが適正円滑に処理されるということが極めて重要な問題であるというふうに私ども考えているわけでございます。
 ところで、新宿出張所の例を挙げて種々御説明になりましたけれども、全国的に見ましても、都市部とか地方あるいは都市周辺部というような地域による若干の特色はございましても、やはり全国的に登記事件は甲号事件、乙号事件を含めまして大幅に増加しておる。しかも、若干の経済変動等による波はございますけれども、基本的に高い水準の事務量を示しておるという状況にございます。しかしながら、それに見合うだけの増員がされていないというのも事実でございます。私どもといたしましては、そういう登記事務処理の適正迅速化を図るという意味で、種々の事務の合理化、機械化、あるいは場合によっては事務の一部下請というような措置を講ずるということでいわば急場をしのいでいるわけでございますが根本的にはやはり職員の数をふやしていただくということが重要なことではないかというふうに考えているわけでございます。
 しかしながら、公務員の数をふやすということにつきましては政府が非常に厳しい定員抑制政策をとっているわけでございまして、定員事情は極めて厳しい状況の中にあるということは御案内のとおりでございます。しかしながら、そういう状況であるにもかかわらず法務局の職員につきましては、関係当局の御理解を得まして、ここ数年は大体三十人前後の職員の純増をいただいておるという状況でございます。平成四年度要求におきましても、引き続き登記事務処理要員の増員に重点を置くという方針のもとに、全体として百八十七人の増員要求をすることといたしております。
 なお、第八次定員削減計画においては、法務局職員につきましても平成四年度以降五年間で六百三十五人を削減することといたしまして、各年度ごとに五分の一に当たる百二十七人を削減することが決定されておりますが私どもといたしましては、ぜひこの増員要求数百八十七人の増員を完全に確保いたしたいということで、今努力をいたしておるところでございます。
#220
○木島委員 本年の七月五日に政府は第八次定員削減計画を決定いたしました。平成四年度から五年間にわたって三万九千四十八人を削減しよう、四・五二%削減しようという内容であります。私どもは、国民の福祉のために大きな役割を果している各省庁の職員の皆さんをこのように削減することは国民サービスの大幅な後退につながる、断じて認められるものではないという立場であります。
 第七次定員削減がどのような大きな猛威を振るったか御存じのとおりであります。ただ、当法務省におきましては、今御答弁がありましたように、こういう第七次の定員削減の大枠の中にもかかわらず努力をされまして純増をから取ってこられたことに対しては敬意を表したいと思うわけであります。しかし、その純増の数がまことに微々たるものであると思わざるを得ないわけであります。我が法務委員会におき。ましても、ことしの通常国会で十二年連続、法務局の職員、入管局の職員、保護局の職員の増員請願を全会一致で議決をしているわけであります。
 ちょっとここ二、三年の歴史を見ますと、一昨年は法務省は五百二十九人の増員要求、純増は九十八人であった。そのうち、私の質問しておる法務局関係は、百九十四人の要求で、増減いろいろ差し引きをいたしまして二十八人の純増だったわけですね。ところが昨年を見ますと、要求そのものが大幅にダウンいたしまして、五百二十九人の全体要求、増減プラマイをいたしまして純増が七十六人、法務局関係では百九十四人の要求で、プラマイして純増が三十人という数字になっております。
 先ほどの来年度予算要求百八十七人というのは、純増だと伺ってよろしいですか。また、その内訳を、細かい内訳は結構ですが法務局については純増何人、入管局については純増何人を要望しておる、そこだけはちょっとお答えいただきたい。
#221
○清水(湛)政府委員 詳しい数字はきょう実は手元に持って来ておりませんので、入管局については私ちょっとお答えできかねますけれども、いろいろ入管についても最近の業務量が急激にふえまして、法務局あるいはそれ以上の増員要素があるということを私、側面から聞いているわけでございます。
 法務局といたしましては、この百八十七人の増員要求をするということでございますが 一方で百二十七人の削減というのは定則で決まるということになりますので、純増といたしましては六十人の増員要求ということでございます。私どもとしては、この六十人を、今まで大体先ほど申し上げましたように三十人前後の純増をいただいているわけでございますが平成四年度は何とか純増を六十まで持っていきたいということで、目下いろいろな努力を重ねているところでございます。
#222
○木島委員 どうも、昨年たしか七十六人純増したんじゃないか。そうすると、純増そのものの数字がまた昨年よりも少なくなっているんじゃないかと思うのですがどうなんですか。
#223
○清水(湛)政府委員 法務省全体の純増が七十六でございまして、そのうちの三十を法務局がいただいておるということでございますから、いわば法務局が法務省の中で一番多くの純増を得ておる、こういう結果になっておるわけでございます。
#224
○木島委員 それはわかるのですが純増の総枠そのものが去年よりまた少ない要求になっているということで、純増の総枠をまずふやすようにもっと頑張っていただきたいと思うわけですね。その法務省の中で入管と法務局との取り合いをしてもいけませんので、やはり総枠をもっとたくさん確保するということの前提がなければいかぬと思うのですが大臣の決意をちょっとお伺いしたいと思います。
#225
○左藤国務大臣 今お話ありました点につきましては、政府の厳しい定員抑制政策がありますけれども、そして、定員事情は今お話しのようにどの局も非常に厳しい状態があります、特に、法務省としては、法務局の状態、それから入管局の状態、非常に厳しい状態がありますので、登記行政、そうしたものを円滑に進めるためにも所要の増員に全力を尽くしていきたい、このように考えております。
#226
○木島委員 ひとつ全力を尽くしていただきたいと思います。
 きょうの質問の趣旨が実はその法務局で働いております民事法務協会の労働者の問題についてきょうは質問したいと思っておりますので、一言だけ。
 増員問題では、この人員問題を解決する一つの主眼としてコンピューター制度が導入され、今鋭意移行下にあるわけですがそのコンピューターシステムに移行するためにも少なくとも三百五十人の要員が必要だと言われていたわけですがその要員そのものが非常に少なくて、各地の法務局では非常に苦労されておるという実態があります。私が訪れた板橋の出張所におきましてもそれは同じことでありまして、システム管理要員、移行管理要員がどうしても必要だ。現在五名でやっているらしいのですがここの皆さんに聞きますと、少なくとも十二名から十三名いないとトラブル対応も含めましてコンピューター移行の作業そのものがなかなか円滑に進まないのだという切実な声がありましたので、回答は結構ですがひとつこういうことをしっかり見据えて増員のために御努力願いたいと思うわけです。
 次の質問に移るわけでありますが実は、そういう各地の法務局の大変な状況を解消するということもありまして、二十年前、昭和四十六年から、法務省の登記業務の繁忙解決のために、乙号業務、登記簿の謄抄本の交付について、当時の登記協会に、今日は名前が民事法務協会に変わっておりますが委託が開始されたわけですね。御存じのとおりであります。当初数片から出発した登記業務委託でありますが、現在二百十一庁に及んでおる。民事法務協会の乙号業務に携わる業務職員が何と千百五十五人にまでふえてきているという状況であります。
 今各地の法務局の登記業務を見ますと、もうこの民事法務協会の職員の皆さんを抜きに実際登記事件の処理ができないという大変大事な戦力になってきていると思うわけであります。厳しい人員不足の中で国民の財産を守る登記業務を下から支えてきた民事法務協会職員の皆さんの労苦を高く評価すべきであると思いますがまず法務大臣の御所見をお願いしたい。
#227
○左藤国務大臣 私も、何局か出張所、そうしたところで今のお話の方々にもお会いしました。確かにこの謄抄本作成業務の一部委託ということは、厳しい定員事情の中で適正に登記事務を推進する、こういう方策の一つとしてとられた制度でありまして、本来法務局の職員がやらなければならない仕事ではございますけれども、そうしたことで、今事情もありましてやむを得ずこうしたことになっておりますが非常に重要な仕事でもあり、この人たちの大きな力によって今の登記行政がともかく何とかしのいでおると申し上げていいのではないかと思いますので、こうした重要性にかんがみてそれに対する対策を考えなければならない、このように考えております。
#228
○木島委員 本来国家公務員がやらなければならない本当に大事な、国民の財産の基本にかかわる非常に大事な業務を、民事法務協会に所属する勤労者の皆さんがやっているわけであります。それであるからこそ、それにふさわしい待遇がやはりどうしても必要だと思うわけであります。ところが非常に恐れは悪いのですね。
 ことしの四月十九日に、ここで働く職員の皆さんが労働組合をつくっておりまして使用者である協会と交渉いたしまして、ことしようやく一一・九九四%のアップ率で平均アップ額が一万六千百四十二円というベアをから取ったわけでありますがそれでも全体のベア平均基本給は何と十五万七百二十九円にすぎないわけであります。これが公務員の皆さんと比較してどんなに低いか。ちょっと幾つかの段階、ランクを拾い上げてお示しいたしますと、ことしこのベアでから取った数字を基本にいたしましても、例えば勤続年数一年、初年度、一号俸の皆さん、これはようやく十二万五百円、国家公務員の皆さんの基本給、同じ号俸で十二万四千九百円で、四千四百円の差があるわけです。これが勤続年数が大きくなればなるほどその格差がどんどん開いてくる。勤続年数十一年の皆さん、十一号俸の方でありますがことしのベアでようやく基本給十七万六千円になったわけです。これが同じ勤続年数の公務員の皆さんは基本給十八万六千三百円で、その格差が一万三百円であります。今のは十一年目の人ですが二十一年目の人でいきますと、ようやく基本給二十四万七百円。同じ年数で公務員の皆さんは二十六万一千七百円。格差が二万一千円ということになるわけです。これは国家公務員の皆さんの人事院の勧告の前の比較でありますから、七月の人勧で格差がまたもとに戻って膨れ上がってしまったという状況であります。
 今大臣から答弁がありましたように、本来国家公務員の皆さんがやる非常に大事な仕事、それを定員法や人員削減の国家の基本方針によって数が抑えられる、その穴を埋めるためにこの皆さんが業務しているわけでありますから、少なくとも国家公務員の皆さんと同じレベルの給料が必要なのじゃないかと私は思うのですがどうでしょう。
#229
○清水(湛)政府委員 現在、民事法務協会に謄抄本の作成業務を委託しているわけでございますが先生御指摘のように、二百十一庁という庁におきまして全国でこの作業をしていただいておる。その作業に従事している現場の職員と申しますか民事法務協会の職員が約一千二百名、正確に申しますと一千百五十五人ということになりますが相当多数の方が仕事をしていただいておる。しかも、法務局で取り扱っております謄抄本件数の六十数%はこういう方たちによって謄抄本作成業務の一部が行われておる、こういうような状況でございまして、こういう方々によって今の登記行政というものが支えられておるということについては、私ども深く認識している次第でございます。
 ただ、形式的には、この謄抄本作成業務の委託というのは、法務省と公益法人でございます財団法人民事法務協会との契約でするということになっておるわけでございまして、そういう業務に従事している職員はいわば協会の職員として協会の方で給料を決める、こういうことになるわけでございます。だからといって、じゃ、私どもは全然そういうことに関知しないのかというと、そうではございませんで、毎年委託単価を設定するときに、民事法務協会の所要経費とかあるいは委託事務量というようなものを考慮し、あるいは協会業務職員の年齢構成とか国家公務員の給与等とのバランスなどもいろいろ考えまして委託単価を設定するというようなこともいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、民事法務協会においてそういうことも考慮しながら相当程度の処遇がされておるのではないかというふうに考えているわけでございますがなお民事法務協会ともよく相談いたしまして、改善すべき点があれば改善するということにおいては私どもも努力をしてまいりたいというふうに思う次第でございます。
#230
○木島委員 十年働いて基本給が十七万六千円という非常に低賃金になっているわけですね。これでは本当に人を確保するということ自体が大変な困難を来しているということがもう既にあるわけです。昨年ですか、東京管内で六月に職員募集をしたようですね。そうしたら九十人応募があった。しかし、この低賃金を見まして一人も残らなかったということが現実にあるわけですね。応募者の声を聞きますと、こんな低賃金ではとても勤める気にならぬ、それが大半だったと当該の労働組合の皆さんもおっしゃっております。どうしても大事な業務です。穴をあけるわけにはいかない業務でありますね。ですからこういうことのないようにするためにも、来年すぐというのも無理でしょうけれども、基本方向としては国家公務員に準じたような月額給与が支給されるように御努力願いたいと思うわけです。
 なぜこういう低いところに抑えられているかといいますと、今局長がおっしゃったように雇用主は民事法務協会であります。しかし、実際には民事法務協会は法務省から受け取る委託料、総収入がそれしかないわけですね。そうすると委託料で全部首根っこを押さえられてしまっているわけですね。委託料をふやしてもらわない限り、これはもう幾ら直接雇用者である協会に物を申しても、ないものは出せないということになるわけですから、実質上の給与を決める権限を実際持っているのはやはり法務省民事局長さんだと思うわけです。
 じゃ委託料はどうなったか。昭和四十六年の出発時、一枚につき七円でした。これが最初の四、五年までは十数%ずっと上がってまいりまして、昭和五十年には一枚十四円になったんですがそれからずっと上がる率が五%台、四・八%それから二%ぐらいになりまして、五十七年には一枚十八円五十七銭という単価になったんですがそれ以降は上がる率が一・六%とか一・九%、そして〇・九%になり、とうとう昭和六十年から六十一年にかけては据え置きになってしまうという状況が生まれたわけです。平成二年から平成三年にかけては委託手数料の一枚当たりの単価が六・一%上がったんですがそれでも一枚二十一円三十四銭という数字なんですね。やはりこれを上げないことには無理なんですね。
 そこで、実際上の経済的な一番勘どころを握っている民事局長さん、法務大臣、この委託手数料を大幅に上げて、少なくともここで働く人たちの給与ベースを国家公務員並みに近づけるということを観点に置いてこの委託手数料を考えるということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
#231
○清水(湛)政府委員 謄抄本の作成業務委託単価につきましては、委託事務量とかあるいは民事法務協会の所要経費、これだけの事務をこなすのにどの程度の物的、人的経費がかかるかというようなことも勘案して毎年見直しを図っているわけでございます。限られた財源の中でそういうことをしなければならないという問題もございますが私どもといたしましてはできる限りの努力はしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#232
○木島委員 時間が来たから終わりますが国民から登記手数料をどのぐらい取っているか、ちょっと調べましたら、昭和五十年には一枚当たり六十円。これは大体一通三枚とみなされておるようですから、一通当たり百八十円だった。それが五十二年には三百円になりました。それが五十四年十二月一日には三百五十円になり、昭和六十年七月一日には四百円になり、平成二年四月一日には五百円になり、平成三年四月一日には六百円になる。四百円から五百円、二五%のアップ、五百円から六百円、二〇%のアップ。国民に対してはどんどんと登記手数料を上げているのですね。私どもはこれは上げることは反対です。しかし、少なくともこれだけ国民からの手数料を上げていることを見ますと、この皆さん、法務省から民事法務協会への委託手数料の上がる率はまことに微々たるものだ、中間搾取しているのではないかと思わざるを得ないわけですね。このようなそしりがないように、やはり十分に委託手数料を上げていただくように私からお願い申し上げまして、回答があればしてもらって、終わります。
#233
○清水(湛)政府委員 ちょっと誤解のないように、誤解はされていないとは思いますけれども申し上げますと、登記手数料につきましては、物価の状況とか登記簿謄抄本の交付に要する実費その他の事情を考慮して政令で定めるということになっておりまして、実は昭和六十年に登記特別会計制度というものが導入されまして、この登記手数料を主要財源として登記事務のコンピューター化を進めるということになっているわけでございまして、これによって現在、かなりのコンピューター化庁が現実にそのコンピューターによる事務処理を開始しておるという状況になっているわけでございます。そういう意味でございまして、現在の手数料にはそういうコンピューター化経費がかなり含まれておるということも御理解いただきたい、こういうふうに申し上げたいと思います。
#234
○木島委員 終わります。
#235
○伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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