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1991/08/07 第121回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第121回国会 本会議 第2号
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1991/08/07 第121回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第121回国会 本会議 第2号

#1
第121回国会 本会議 第2号
平成三年八月七日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  平成三年八月七日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
永年在職の議員谷川和穗君及び伊東正義君に対
  し、院議をもって功労を表彰することとし、
  表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
     ――――◇―――――
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(櫻内義雄君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました谷川和穗君及び伊東正義君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。(拍手)表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 これより表彰文を順次朗読いたします。
 議員谷川和穗君は衆議院議員に当選すること九
 回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし
 民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院
 議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員伊東正義君は衆議院議員に当選すること九
 回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし
 民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院
 議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(櫻内義雄君) この際、谷川和穗君及び伊東正義君から発言を求められております。順次これを許します。谷川和穗君。
    〔谷川和穗君登壇〕
#6
○谷川和穗君 ただいま、院議をもって、永年在職議員として、御丁重なる表彰の御決議を賜りました。まことに光栄のきわみ、感謝にたえません。ひとえに、先輩同僚議員の御厚情と、郷土の皆様の多年にわたる温かい御支援のたまものと心から御礼申し上げます。
 私が初めて本院に議席を与えられました当時、我が国は、日米安保改定交渉に取り組んでいる最中でありました。その後、国民のすぐれた英知とたゆまぬ努力に支えられて、今や我が国は、最も自由な、最も平和な、しかも最も豊かな国の一つとして発展してまいりました。国民の国会に寄せる期待もまたさらに高まりつつあるように思われます。
 一方、湾岸戦争から一年、国際的にも、平和と繁栄の受益者たるばかりでなく、積極的な創造者たることを求められておる時期かと思うのであります。議会人として与えられた責務とともに、国家社会の繁栄、世界平和の達成に向け、いささかなりとも微力を尽くす覚悟を新たにいたしております。
 一層の御鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、感謝の言葉といたします。(拍手)
#7
○議長(櫻内義雄君) 伊東正義君
    〔伊東正義君登壇〕
#8
○伊東正義君 ただいま、在職二十五年ということで、本院の決議をもちまして皆様方から御丁重な表彰をいただいたわけでございまして、感激の至りでございまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
 二十五年を振り返ってみますと、佐藤内閣当時の沖縄返還問題でございますとか、田中内閣の手による日中国交正常化問題、また、私にとって特に印象深いのは、現職の総理大臣大平正芳君が壮絶な最期を遂げだというような、いろいろなことが脳裏に浮かびまして、感慨無量なものがあるのでございます。また同時に、一体自分はこの二十五年間、国家国民に対して何をなしてきたのかということを考えますと、今日の栄誉にあずかりましたことは、内心まことにじくじたるものがあるのでございます。
 これもひとえに先輩の諸氏、与野党にわたる同僚の議員諸君の力添え、御厚情、御支援と、さらには郷土の皆さんの長きにわたって変わらざる御支援のたまものと、心から御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
 現下の情勢を見ますと、冷戦後の世界の中で、新しい秩序形成の中で日本の役割が問われておるわけでございますし、また、リクルート事件を契機にしまして、政治倫理、政治資金につきまして国民の政治、政治家に対する不信感がみなぎっておるわけでございます。
 私は、二十一世紀に向かって日本が世界に孤立することなく、世界の平和、繁栄に寄与して、世界の中で尊敬される存在となること、また、政治家はみずから襟を正して、身の痛みを感ずるような政治改革を断行しまして国民の信頼を回復して、内外の批判に耐え得るような政治を実現するということが政界に身を置く一人としまして私の責任であり、また義務であると痛感をしている次第でございます。(拍手)
 私に残されました時間は少ないわけでございますが、今日の栄誉を機としまして、さらに勇を鼓して、同僚議員各位の驥尾に付して、駑馬にむちうちまして困難な課題に取り組んで、国家国民のために尽くしたいという決意でおる次第でございます。
 どうか先輩の諸氏、与野党にわたる同僚議員の各位、さらには郷土の皆様方の変わらざる御支援を心からお願いを申し上げまして、私にいただきました今日の栄誉に対して、お礼の言葉とする次第でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#9
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。田邊誠君。
    〔田邊誠君登壇〕
#10
○田邊誠君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、海部総理大臣の過般の所信表明演説に対し質問をいたします。
 総理、長崎県雲仙の火山災害によって数多くの被災者が苦しみ、今、政治の力を求めております。私は、この方々に心からのお見舞いを申し上げたいと思うのでおります。
 六月三日の火砕流は、死者・行方不明者四十一名の犠牲者を出しました。その後、災害対策基本法によって警戒区域が設定され、島原市と深江町の住民一万一千人が二カ月にもわたって避難を余儀なくされるという、我が国の災害史上にも例のない異常事態となっております。この激流に生きる人々にとって、一日一日が時間との闘いなのであります。
 現地では、一日も早い長期避難見舞い金制度の新設や、住民救済と復旧のための基金の設立などを強く求めております。しかし、政府の対応は、現行法を盾に遅々として進まず、住民の間には、湾岸戦争では九十億ドル、一兆二千億円もの金を直ちに支出したではないかという激しい怒りの声が渦巻いているのであります。これは、政治は何のためにあるのかという問いかけでありましょう。(拍手)
 総理、私はこの災害対策を見るときに、今の海部内閣の政治姿勢が如実にあらわれていると言わざるを得ないのです。総理も現地で立法措置の検討を約束されたと聞いておりますが、現行法をこの際、最大限、弾力的に運用することは当然ながら、今国会ではこの問題について、緊急の特別立法の制定を含め、被災者救援対策をすべてに優先して確立すべきであると考えており、まずこのことについての総理の決意を伺っておきたいと思います。(拍手)
 総理、戦後四十六年目のこの夏に、しかも米ソが初めて戦略核兵器削減の条約に調印した歴史的な時期に開かれるこの国会は、極めて意義深いものがあろうと存じます。私たちは今こそ、国際国家日本、そして世界に冠たる平和国家日本にふさわしい政治を展開し、国民の意思と主張を内外に示さなければなりません。
 今国会の重要な課題である証券スキャンダル、政治改革、国際貢献のどれもが日本の将来に大きな影響を持つ課題であると同時に、国際社会の注目を集めているからであります。
 これらの政治課題の論議を通じて、日本の政治、経済の改革を一歩でも進めることが、今国会の大きな責務と言わなければなりません。そこでは、おのずから国会のありようも問い直されてくるのであります。参議院における与野党逆転の政治状況によって、政府・自民党がこれまでのように数の力ですべてを押し切る時代ではなくなりました。私ども社会党にも、政治の半分を担う重大な責務があります。
 この新しい現実に立って、私は、今国会では、国民の期待にこたえて濶達な論議をさせていただきたいと思うのであります。今、国会の信が問われており、一つ一つの政策に結論をつけたければなりません。あれもこれも手をつけて、いずれも中途半端に終わらせることは、断じて許すことはできないのであります。今国会で私は、国民の利益と国際社会への貢献に一歩でも沿うものとは大胆に協調し、その障害となるものについては鮮明に対決することを基本に臨みたいと思います。(拍手)
 以上の基本姿勢を明らかにしつつ、この臨時国会での重要課題を中心に、以下、具体的に海部総理に見解を伺ってまいります。
 まず初めに、証券問題についてお伺いいたします。
 今回明らかになった一連の証券業界、金融業界における不正かつ不公正な実態は、国民から激しい怒りの声を呼んでおります。それのみならず、世界最大の資本調達市場となった我が国の対外信用が失墜する状態に立ち至っております。経済一流、経済大国と呼ばれた中枢メカニズムの中に、業界ぐるみの損失補てんが黙認され、しかも、組織暴力団との癒着が侵食していたという事実は、政府が誇ってきた我が国の財政金融行政のあり方を、公正さの観点から根本的に改革することを迫っていると考えます。(拍手)
 アメリカの証券取引委員会は、早くもこれら証券の米国子会社に対する調査を開始したとも伝えられ、対応を誤れば新たな日米間の不信と摩擦を生むことになることも必至であります。
 総理、まずこの問題の深刻さとその影響についてどのような基本認識をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思うのであります。(拍手)
 今まで明らかにされただけでも、証券業界の損失補てんの内容は総額一千七百二十億円に達し、その対象として六百以上の有力法人、個人が挙げられております。しかし、あれほど黒いつながりが世間を騒がせた暴力団関係企業はだせ含まれていたいのか、政治家の介在は本当になかったのか、国民、投資家の疑念は払拭されるどころか、ますます膨らんでおります。さらに、この補てん先とされたほとんどの企業の担当者は、損失補てんを受けた認識はなかったのですというコメントを発表しておりまするが、これはどう考えればいいのでしょうか。
 監督官庁である大蔵省は、一九八九年十二月に損失補てんを禁止し、いわゆる営業特金もやめることを指示しておるのであります。そのはるか以前の一九六四年には、今回の損失補てんにつながる一任勘定取引の自粛についても通達を出しているのであります。
 このような経過を見れば、大蔵省は監督官庁として全くの無能力であったと認めるのか、さもなければ、これらのあしき慣行を黙認し、まるで検察官が弁護士を兼ねていたにも等しい共犯者としての責任を問われざるを得ないのであります。(拍手)
 しかも、あろうことか、この監督官庁の最高責任者である大蔵大臣の関係者が巨額な不正融資を仲介していたという事実の発覚は、我が国の公正な財政経済運営の信用を地に落としめたと言っても過言でない。
 内閣総理大臣として海部総理、この責任をあなたほどのように考えておられるのか、明確にしていただきたいと存じます。(拍手)
 アメリカのマスコミは、今回の日本の証券・金融業界の不祥事について、アダム・スミス以前の資本主義だとまで酷評しているのであります。つまり、自由競争の前提には、公平、公正を実現する近代的社会規範が確固として存在し、人間らしい生活の実現という目標を失わない経済倫理が機能していなければなりません。
 私は、この際、自由市場経済の健全な発展のためにも、日本経済の成功におごることなく、謙虚に内外の批判に耳を傾け、国際的信頼に足る公正で透明度の高い日本の証券・金融市場のメカニズムをつくり出す機会とすることを提案したいと思います。(拍手)
 それには、まず、この不祥事にふたをすること。ではなく、この際、関係者の国会への証人喚問によって徹底的に事態を究明することから始めるべきであると思うのであります。(拍手)そして、大蔵省任せでなく、アメリカで半世紀の歴史を持つ証券取引委員会に学び、独立した調査・監視機能を有する日本型SECを創設することであります。アメリカは登録制、日本は免許制の違いなどを理由に、独立した監視機関の創設に難色を示す向きもあります。しかし、我が国の証券市場の大衆化と国際的責任の重大さを考慮すれば、創設反対の理由は到底成り立たないのであります。(拍手)総理は、このような事態の再発を防ぎ、公正で透明度の高い市場へとどのように制度改革をしていくのか、また、独立した証券市場の監視機関をつくることについてどのようなお考えを持っておられるか、国民の前に明確にお示しをいただきたいと思います。(拍手)
 次に、政治改革についてお尋ねいたします。
 自民党は、リクルート疑獄の発覚後、政治改革大綱を発表し、政治家は襟を正す、政治資金の明朗化を図る、金のかかる選挙を是正する、派閥構造を改革し、党の近代化を図る等々、立派なことをお述べになったのであります。ところが、自民党は、昨年の総選挙の際、三百億円もの政治献金を財界に要求いたしました。これまでの財界献金は百億円程度と言われておることから見て、一気に二倍から三倍の献金要求をしたわけであります。また、稲村元環境庁長官の株取引にまつわる脱税事件や、石橋元文部大臣の事件が発覚した際の私たちの要求に対し、国会の政治倫理審査会における審議を一貫して拒否してきたのは自民党にほかなりません。(拍手)
 海部内閣は、このような金権腐敗体質の改革には何ら手をつけることなく、小選挙区制の導入がすべての解決の道であると主張しております。小選挙区制は、果たして何もかにも解決する打ち出の小づちと言えるでしょうか。リクルート疑獄に端を発する政治改革に対して国民が期待したのは、金に汚れた政治を一掃し、政治倫理を確立すること、政治の姿を国民の前にガラス張りにすることでありました。それらの改革を実現して政治への信頼を回復しなければなりません。
 こうした国民の期待にこたえ、日本社会党は他の野党とも協力して、政治家の所得、資産を公開する政治倫理法案を提案し、企業献金の禁止と政党への公的助成を目的とする政治資金規正法改正案を提出してきたのであります。また現在、政治腐敗行為防止の立法化に取り組んでおります。海郡内閣は、政治改革を選挙制度問題に歪曲するのではなく、今こそ改めてリクルート疑獄の反省の原点に立ち戻って、国民が求める政治改革に取り組むべきであると考えるのであります。総理の見解を承りたいと存じます。(拍手)総理、選挙制度の問題で国民が切望したことは、一票の価値の平等を保障することでありました。このことは憲法の求めるところであり、最高裁の判決もあり、小選挙区制導入を否定した一九八六年の国会決議もあります。したがって、日本社会党は、政治倫理、政治資金の課題とともに、定数是正の問題を三位一体で提起してまいったのであります。もし総理が、閣議決定した小選挙区比例代表並立制を今国会に提案しようとすれば、まずこの国会決議をどうするかについて明確にしなければならないのであります。(拍手)
 総理は所信表明演説において、政府が決定した小選挙区比例代表並立制は、同士打ちがなくなるので金のかからない選挙が実現し、政策、政党本位の選挙となり、政権交代の可能性を開くと強調されました。小選挙区制が金がかからないと言いまするけれども、奄美群島区や参議院の定数一人区で金権選挙を展開しているのは、自民党候補と公認に漏れた保守系無所属候補であります。(拍手)
 また、日本の現状で小選挙区制を実施すれば、四割の得票で八割の議席の独占が可能であり、この制度に若干の比例代表制を加味しても、やはり七割余の議席を独占することにたらざるを得ないのであります。そうであるなら、政権交代という主張とは正反対の結果をもたらすものであり、総理の主張は、まさにカラスをサギと言いくるめるようなものであります。(拍手)
 小選挙区比例代表並立制は、その理念においても、手続においても、国民の要求という観点からも矛盾に満ちた制度であります。それゆえに国民の間には、小選挙区制は結果として憲法改正に必要な議席の確保をもくろむものではないかという疑念さえ持たれているのであります。
 総理、野党がこぞって反対し、しかも自民党内にも反対が強く、この国会でたとえ提案をいたしましても廃案になることが確実な小選挙区制の提案は取りやめるべきであります。(拍手)そして、当面の緊急課題として、違憲状態を解消するため、総理が国会決議に則して定数是正の実現に立ち返ることを切望してやまないのであります。
 私は、将来のあるべき選挙制度としては、一票の価値の平等が保障され、政策本位の選挙で政権交代の可能性を開く比例代表制を中心とする国民合意の選挙制度に向けて与野党間で協議することを提案したいと存じますが、総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 総理、米ソ両国を中心とする冷戦体制が崩壊した後、世界は軍備拡大の競争から軍縮へ、そして抗争と対立から対話と協調の時代へと世界史的な大転換を遂げようとしております。この世界の新しい潮流は、日本国憲法や国連憲章の精神に通じ、人類の崇高な理想と目的に沿うたものであります。これを発展させるためには、我が国が人類共同体の発想に立つ共通の安全保障、環境と人間の共生、民族の自立と連帯などを推し進め、国連中心のもとで日本と世界の新しい国際関係を確立することであります。冷戦にかわる軍縮の国際秩序をつくり出す過程で、我が国が世界に信頼され、共感を得るためには、我が国自身の軍備を削減する努力が求められているのは当然であります。(拍手)
 そこで、総理にお伺いしますが、世界の軍縮傾向とは逆に、我が国の防衛費が来年度の概算要求でも対前年度当初予算に対し五・三八%もの高い伸びを示しているのは一体なぜか。総理は世界に向かって軍縮を説きながら、みずからだけがなぜ軍備拡大の階段を上ろうとしているのか。今こそ軍拡の階段をおりて、軍縮という新しい階段を一歩でも上るべきであります。総理の明快な答弁を求めたいと思います。(拍手)
 総理、我が国の憲法はその前文で、平和を維持しようと努めている国際社会において、「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と、真の平和への国際的貢献を促しております。大切なことはその貢献の仕方であります。その際、それぞれの国は、歴史や国民の考え方に沿って、各国の持ち味を生かした分野で精いっぱい貢献することによって国際利益を大きなものにしていくという、国際分業の原理を追求することが日本の基本姿勢でなければなりません。日本の持ち味は経済力、技術力であり、総理は、これらの能力を世界に提供する意思を示すべきであります。日本のなすべき国際貢献は、日本の経済力を南の経済的、社会的、エコロジー的な安全保障のために使うことでありましょう。
 私は、武器貿易禁止を関係国に求める積極的な行動を起こし、国連に地球環境理事会を設置するよう、我が国がリーダーシップを発揮することを提案したいと思います。(拍手)また政府は、これまでの政経不可分の原則にこだわることたく、地球社会全体の利益の観点から必要な対ソ経済支援に踏み切るべきであると思いますが、総理の考え方をお尋ねいたします。(拍手)
 総理は、昨年の臨時国会で、なぜ国連平和協力法案が廃案になったのか、国民の合意形成の方向はどこにあるのかについて十分承知しているはずでありますしかるに、PKO法案をめぐって政府は、みずからが明確に否定してきた平和維持軍に対する協力の可能性について新たな憲法解釈を持ち出し、自衛隊を参加させる方向を確定したことは、憲法の精神を否定するとともに、自衛隊法の枠組みそのものを大きく変えるものであります。(拍手)
 総理、政府のPKO法案に盛り込まれた自衛隊の派遣は、一体だれの要請に基づいて出ていくのか、また、その部隊はだれの指揮に服し、どこに服従義務を向けるのか、これらの基本的な点についてまず明確にしていただきたいと思います。
 日本の国際貢献は、カンボジア和平を含め、アジア諸国の皆さんの歓迎と国民の激励を受けて、胸を張って活動できるものでなければなりません。日本が世界で果たす役割や、日本の国際貢献が必要となっていることについて、社会党と自民党との間で一致が存在しています。それを出発点にして、先進諸国の実例に学びながら、国民合意の形成のために相互に協力し合う時期に来ていると思うのでありますが、総理の見解を求めたいと存じます。(拍手)
 今年は日米開戦から半世紀、五十年目に当たります。今改めて、開戦五十年という歴史の節目に立ち、私たちは、日本の戦争責任を胸に刻み、いまだ果たされていない責任を全うする勇気と誠意を発揮しなければなりません。日本は今なお侵略戦争のさまざまな被害者に対してその償いを行っていないのであります。こうした戦争責任を全うしないままの外交では、世界の尊敬と信頼を得ることは到底できないと考えますが、総理の見解を承りたいと思います。(拍手)
 昨年九月、我が党と自民党との合同訪朝団の派遣と三党共同宣言の調印によって、ようやく日本と朝鮮民主主義人民共和国との閉ざされた扉が開きました。私はその努力の一端を担わせていただいたことを誇りに感ずるとともにい日朝関係の扉を全開させるまで全力を尽くす決意を新たにしております。現在、政府間レベルの交渉は今のところ進展しておりませんが、私の見るところ、その責任の多くぼ日本側にあり、むしろ交渉の早期合意を避けておるようにすら見えるのであります。
 政府として、日朝国交回復問題についてどのような基本方針と展望で臨んでおられるのか、この際、総理の見解を明らかにされるように望みます。(拍手)
 さて、総理は昨日、広島での原爆慰霊祭で平和についての誓いを新たにされたと思いますが、最初の被爆国であり、非核三原則を持つ我が国こそが核廃絶のリーダーシップを発揮すべきであります。
 最近、横須賀を母港とする米国の空母ミッドウェーの航海日誌が明らかにされ、核搭載のまま日本に寄港した疑惑が深まっております。この空母にかわって九月には、より大型の核空母インデペンデンスの入港が発表されており、国民の不安は高まるばかりであります。総理は、国是である非核三原則の実効性を発揮するために一体どのようなお考えをお持ちなのか、この際、見解を承っておきたいと思います。(拍手)
 総理、二十一世紀に向かう人類社会にとって、人権擁護は国境を越えた義務として認識されるようになりました。それは、全世界の人々が人間性豊かな社会のモデルとして人権尊重を掲げ始めたからであります。私たちは、何人に対しても、差別する自由と差別される自由を許してはならないのであります。日本には今、国内外であらゆる差別をなくしていく国際的共同行動が求められていると言えましょう。
 私たちが不断の努力を通じて実現する社会は、すべての人々がともに生き、育ち合うことのできるノーマライゼーションの理念が生かされた社会であります。それはまた男女共同社会であり、障害者、子供、高齢者が大切にされる社会とも言えるのであります。子供の権利条約の完全批准は、そうしたノーマライゼーション社会に向かう第一歩であると考えますが、同条約批准に対する総理のお考えを伺いた。いと思います。
 私たちはまた、全国三百万人を抱える被差別部落問題の解決に向けた歩みをとめることはできません。部落差別事件の続発と、そこで明るみに出される差別の実態は、全世界の人権潮流の高まりに照らしても、一刻もゆるがせにできない日本の課題であり続けています。改めて、この問題の解決に確たる方策を持って臨む決意のほどをお聞かせいただきたいと思うのであります。(拍手)
 最後に、米の市場開放問題について伺います。
 さきのロンドン・サミットは、新ラウンドの年内終結をうたった経済宣言を採択しました。そもそもウルグアイ・ラウンドの農業交渉における最大の課題は、日本の米市場開放ではなく、アメリカとECとの間の輸出補助金をめぐってであります。したがいまして、米問題が交渉の障害になっているという一部政財界首脳の発言は、ためにする議論と言わざるを得ません。
 ガット農業交渉は、こうした目先の対応だけでなく、発展途上国の人口、食糧問題を考えるならば、地球的規模での長期的な対策が求められているのであり、日本の米自給の原則もその延長線上で対処すべきであります。
 総理は、こうした長期展望についてどのようにお考えか、お尋ねするとともに、米の完全自給を求めた三たびにわたる国会決議を守り抜く決意があるかどうか、お答えいただきたいと存じます。(拍手)
 以上、私は、日本の政治が直面し、解決を迫られている重要な政策課題につき、日本社会党・護憲共同の立場から総理に質問し、私たちの提案も申し述べてまいりました。
 今、私たち政治家すべてに問われていることは、国民に信頼され、世界から尊敬される政治を実現するための根本は何かということであります。総理は、所信表明演説の結びの中で、民主主義の価値観に言及し、人類普遍の原理を説いておられる。そして、小選挙区制の導入こそが日本の民主主義の前進であると位置づけております。これが海部総理の民主主義に対する認識であるとすれば、まさに言葉の踊りと言わざるを得ません。(拍手)
 民主主義の社会を実現するということは、単に形式上の公平にとどまるだけでなく、実質的な内容の公正に踏み込み、これが保障されるものでなくてはなりません。これは政治的な公正、経済的公正、社会的公正、そして国際的公正という国家と社会のあり方にかかわる問題であります。この尺度から見るとき、総理が不退転の決意で取り組んでいる小選挙区制は、まさに不公正そのものと言うべきであります。(拍手)
 私たち日本国民を律する憲法は、国民主権を基本に議会制民主主義の原則を定めており、私たちほこれに基づいて国民合意を形成し、前進しなければなりません。総理、今、政治と政党に根強い不信を抱いておる国民の姿をどうごらんになりますか。国権の最高機関としての国会の権威は弱まり、議会制民主主義の土台さえ揺らいでいるのであります。国会への信頼を回復するためには、国民にわかりやすい国会に変えていく苦悩を政党全体が負うべきでありましょう。議会政治のあるべき姿は、政治理念や基本政策、社会的基盤が異なる政党間の対抗関係を前提としつつも、本来、話し合いを基本に互譲の精神で意見や政策を調整して合意が形成され、それが着実に実行されるところにあります。
 その意味において、国会のあり方も抜本的に改革する必要がありましょう。私たちが、さきの党大会においてシャドーキャビネットの具体化を決定したことも、単に日本社会党や野党の問題にとどまらず、二十一世紀に向けた日本の政治全体のありようにかかわる課題であると判断したからであります。(拍手)
 海部総理、あなたと私は一九六〇年、同時に国会に議席を得た仲間であります。私が質問をし、あるいは海部俊樹議員が私に質問したことを私は今思い出しております。総理、本音で語り合える政治の構築と、議会の復権が求められている今日、議会人としての総理の本音の所見を伺うことを締めくくりに、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 田邊委員長にお答えをいたします。
 雲仙岳の災害に対しての私の心構えてありますが、政府において非常災害対策本部を直ちに設置し、地元の要望等を踏まえてあらゆる角度から検討の上、住宅、民生、文教、農林漁業、中小企業、雇用、地域振興など二十一分野八十三項目にわたる災害に係る被災者等救済対策を決定をして、強力に推進しているところであります。これらの措置には、政省令の改正、特別基準の設定など、今次の災害のため新たに決定した措置も三十項目含まれております。さちに、災害が終息した後のこの地域の防災、振興、活性化などの地域づくりについても真剣に考慮し、必要な措置を積極的に講じてまいりたいと考えております。
 今回の証券会社による特定顧客に対する損失補償、一部特定関係者との。不明朗な取引等は、免許会社としての規範に反して、内外の一般投資家の市場に対する信頼を大きく損なったものであり、私は厳しく受けとめておりますし、これは「公正な社会」という理念から見てもまことに遺憾なものであります。損失補てんなどを行った証券会社に対して、社内責任の明確化や営業自粛を行わせるとともに、このような事態に立ち至ったことについての当局の責任を重く受けとめ、厳正に対処したところであります。
 また、今回、一部の銀行において、職員の関与した不祥事が発生しましたことはまことに遺憾であり、当事銀行に対し、内部管理の総点検を指示したところであります。今後、金融機関の内部管理体制の改善等について、一層厳正な指導をしてまいるつもりであります。
 今後、今回の一連の不祥事に対処して、その再発防止に向け、証券市場における公正性を高めるための法制上、行政上の措置を講じるなど、我が国証券市場の透明性を高めるべく努力してまいりますし、また、証券市場に対する監視機関のあり方としてどのような形が適当であるのか、適正化のための是正策については何が必要であるのか、行革審に対し、早急な検討をしていただくよう依頼をしたところであります。大蔵省においても、検査体制の見直しについてプロジェクトチームを発足させ、現在鋭意作業中であります。
 政治改革についてもお触れになりましたが、政治倫理の確立が大前提として重要であることほそのとおりであります。そして、選挙区制のことだけを申し上げておるのではなくて、今回いろいろな角度から、政治改革はなぜ必要なのか、政党本位、政策本位の選挙をしていくにはどうしたらいいかという観点に立って、政治資金の問題についても、あるいはお触れになった腐敗行為防止のための連座制の強化に対する厳正な措置等もあわせて講じておるところでありますし、さらに、特に強調された投票価値の格差是正の問題でありますけれども、この公職選挙法改正案を提出し、その中において投票価値の平等の要請にもこたえることになるように配慮されておる内容でございますから、原則として一対二以内に抑えるという目的も、この法案の中で果たしておるわけであります。
 小選挙区比例代表並立制は、民意の変化が鋭敏に議席数の変化をもたらすとされる小選挙区制に比例代表制を並立させることで、少数意見の国政への反映にも十分配慮したものであり、審議会の答申を踏まえた。政策本位、政党本位の選挙を実現するために最も適当な制度と考えて提案をしておるところでございます。(拍手)
 また、世界に向かって軍縮を説きながら防衛費がふえるとおっしゃいますが、今世界の軍縮は、東西の対立関係、アメリカとソ連のあの超大国としての軍備をどこで管理し、どのように縮小していくか、この東西関係の変化は、米ソ間のSTART調印等に見られるように、冷戦の発想を乗り越えて本格的な軍備管理、軍縮の時代が来たということを私も歓迎し、受けとめておるわけであります。我が国は、そのような力の対決、対立の中に組み込まれ、計算されておった力ではなくて、平時からみずからの国を守るに必要な十分な警戒態勢などを確保するといった観点から、我が国が保有すべき防衛力の水準を示してきたものであります。この大綱の基本的な考え方のもと、節度ある防衛力の整備を今後とも続けていくつもりであります。
 なお、日本のなすべき国際貢献として、武器貿易禁止を関係国に求める積極的な行動を起こせとのことでありますが、私は、考え方については同じ考え方でありまして、武器輸出三原則などを守ってきた我が国として、武器輸出の問題については、これは言うべき義務も責任もあると考え、私も、国連軍縮京都会議において、通常兵器の移転に関する国連報告制度の提唱などを柱とする訴えをしてまいりましたし、サミットにおいてもこのことは宣言に反映されておるものと考えます。今後とも、国連報告制度の創設を内容とする決議案を提出すべく、通常兵器の国際移転問題などに関しては、御趣旨を取り入れ、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、地球の環境問題に対しては、きょうまで国連環境計画、UNEPがその任務を遂行しつつあり、環境問題に対し包括的に対処し得る体制を形成していくということについては、私も積極的に支援をしていきたいと考えております。また、来年、国連におけるUNEPの会議等がございます。その場においても強化策についてはさらに議論がなされる見込みであり、UNEPを含む環境に関係する国際機関の強化を促進するように積極的に努力を重ねてまいります。
 また、ソ連支援についてもお触れになりましたが、過日のサミットでも、抜本的経済改革と政治的文脈と新思考外交の世界にわたる適用、そしてソ連の本当の意味での市場経済に変わるために技術的支援の拡大強化の用意を表明し、G7の決議に参加をし、日本としてもできる眼力の知的、技術的支援を行ってまいります。また、我が国の対ソ基本政策は、ゴルバチョフ大統領訪日の際につくりました共同宣言と十五の協定で明らかでございます。今後とも拡大均衡の方針に従って前進を続け、無原則な政経分離はとらないで協力を進めていきたいと考えております。
 PKOについてもお触れになりましたが、国連決議に基づく国連平和維持活動については、国連の要請に基づいて協力するものでありますし、また、人道的な救援活動については、国連決議または人道的活動に従事する国際的な機関からの要請に基づいて協力するものでございます。政府は、ただいま各党に政府としての中間報告を提出いたして、各党においていろいろ御検討をいただき、また、今後の協議等も踏まえながら詳細は検討を続け、具体化しましたら国会に速やかに提案したいと考えております。
 また、アジア諸国及び国民の理解というものを得るために、その国際的地位に相ふさわしい形で、経済力、技術力など、持てる力を十分に活用して積極的に国際貢献を行っていきたいと考えております。先進諸国の実例に学びながら、いろいろ国民的な合意を求めるという御指摘でございます。国会で各党の皆さんと協力し、御議論をいただきながら、一層、カンボジア問題を含めて、アジア諸国の歓迎と国民の皆さんの理解と激励を受けられるような、そんな支援協力を進めていきたいと私も考えております。
 また、我が国は、過去の戦争に対しては、我が国の過去における行為がアジア・太平洋地域の方々に多大な苦痛と損害を与えてきたことを深く反省をし、自覚をいたしております。こうした考えに立って、戦後一貫して平和国家としての道を歩むとともに、国際社会の平和と繁栄、なかんずくアジア地域の安定には積極的に貢献すべく努力を行ってきたつもりでございます。
 日朝国交問題についても、言葉だけではなく、本年一月より既に国交正常化交渉が行われているということをよく御理解をいただきたいと思いますし、いまだ基本的な隔たりは大きいけれども、八月にはさらに第四次の国交交渉を開催し、具体的に事実が動いておるわけでありますから、このことを御理解いただきたいとともに、私ども政府も誠意を持って話し合ってまいりたいと考えております。
 また、非核三原則につきましては、これは堅持してまいります。日米安保条約上、核兵器の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となり、非核三原則を堅持するという我が国の立場は十分確保されるものであります。
 また、子供の権利条約につきまして、人権が尊重されるべきであるとの委員長の御指摘は私も同感であり、この児童の権利条約については、できるだけ早期に締結ができるよう、現在、政府部内で検討作業を急いで行わせておるところであります。
 また、同和問題は、憲法に保障された基本的人権に係る重要な問題であるという認識を持っておりますし、また、現行法が失効する平成四年以降の方策については、地域改善対策協議会において一般対策への円滑な移行について審議されておりますので、その御意見を尊重し、検討してまいる所存でありますが、今後とも問題の重要性にかんがみ、一日も早い解決のために全力を尽くしてまいりたいと考えます。
 ガットの農業交渉にお触れになりました。
 私は、発展途上国を中心として考えたいということ、世界人口の着実な増加等によって農産物の需要が増大傾向にあるということ、また、穀物の国際需要が予測しがたいことなどから、ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、我が国は食糧安全保障の観点から、基礎的食糧については所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るよう提案を行っているところでございます。米については、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる考えであります。
 最後に、委員長は、政党間の話し合いを基本にして、互譲の精神で合意を形成し、それを誠実に実行し、意見や政策を調整して、同期生のおまえとは本音で語り合える政治の構築と議会の復権が求められるから、本音の答弁をせよと最後におっしゃいました。
 私も申し上げますが、委員長もおっしゃるように、まさに政策本位の議会政治、議会政治は政党政治でありますから、政党そのものがよって立つ基盤をしっかりとして、持てる政策や持てる理念をぶつけ合って、そこで利害を調整して国民のための政治を行うということは、考え方としてまことに正しい考え方だと思うわけであります。
 私は、御提唱になりましたシャドーキャビネットが実効ある措置として確立され、効力を発揮され、我々との間のいろいろな議論を重ねて、委員長が御指摘になったような実りある議会の復権が行われますことを心から期待もし、お願いをして、御答弁にかえさせていただきます。(拍手)
#12
○議長(櫻内義雄君) 加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
#13
○加藤六月君 私は、自由民主党を代表して、海部総理の所信表明演説に対し、質問を行うものであります。
 雲仙岳は、昨年十一月十七日、約二百年ぶりに噴火を始め、その後の土石流、火砕流の頻発により、多くのとうとい人命と財産が奪われました。特に、六月三日夕刻に発生した大規模な火砕流は、死者・行方不明者合わせて四十一名という大きな人的被害をもたらしました。ここに改めて、亡くなられた方々へ深い弔意を表しますとともに、被災地の皆様方に心からのお見舞いを申し上げます。
 我が自由民主党は、直ちに小渕幹事長を本部長とする雲仙岳噴火非常災害対策本部を設置し、現地に調査団をたびたび派遣いたしました。そして、住民の方々の生命の安全を第一に、七月五日には十九項目に及ぶ緊急対策要綱を決定し、政府に実施を要請しました。現在、その具体化が進みつつあります。また、災害弔慰金法を改正し、弔慰金及び見舞い金の限度額を引き上げたいと考えております。
 今回の災害は、火山活動が長期に及び、終息のめどが立っていません。また、島原市及び深江町に災害対策基本法に基づく警戒区域の設定が行われ、今なお一万人余りの住民の方々が見通しの開けない避難生活を余儀なくされ、長期にわたる災害となっております。今回の災害に対する総理の基本的な認識及び政府の基本的対処方針をお伺いいたします。
 この災害は、直接被害を受けた島原市及び深江町のみならず、島原半島全体に著しい打撃を与えております。災害終息後においては、速やかに災害復旧に着手し、立ち直りに向けて最大限の援助を行わなければなりません。また、半島全体の振興を考えた抜本的な施策を樹立する必要があると考えます。総理の見解をお伺いいたします。
 さて、申し上げるまでもなく、海部総理の最大課題は政治改革の実現にあります。総理御自身、折に触れ、内閣の命運をかけて、不退転の決意でと、改革への強い決意を表明されてきました。我が党としても、この改革は国会議員一人一人の政治生命に直結する問題であり、今日まで徹頭徹尾議論を重ねてまいりました。その間、全員参加、公開性を貫き、賛否両論が激しく展開され、自由で活力ある我が党の姿を見た国民から、さすが自民党だと高い評価を受けました。(拍手)
 その結晶であるいわゆる政治改革三法案が、今国会、政府から提案される運びとなりました。国民注視の中で活発な議論が行われることは、新しい時代の新しい政治のあり方を国民とともに決めていくという、近代日本政治史上、特筆されるべきことであります。(拍手)
 政治改革をを一言で申し上げるならば、我が国政治の基本である議会制民主主義の前進、政治に対する国民の信頼獲得、すなわち政治の自己改革であります。したがって、我々国会議員は本来の使命を自覚し、国家国民への強い責任感を持って、後世の史家の批判にたえられる行動をとるべきであります。
 まず、政治と資金の問題に関し、世間の常識を超えた金額と、公私のけじめの不透明さが国民に与えた政治不信を払拭しなければなりません。そして、金のかからない政治の実現と、激動する内外の政策課題に迅速的確に対応する政治の仕組みを我々みずからの手でつくり上げることにあります。
 さて、このたびの選挙制度の改革案は、小選挙区制を中心とし、これに比例代表制を加味した小選挙区比例代表並立制を衆議院選挙の基本的仕組みとしております。これに伴い、衆議院議員の総定数も一割近い四十一名を削減、四百七十一名とし、一票の価値の格差も一対二未満を基本原則といたしております。これに対し、現行中選挙区制のもとで総定数を削減し、一票の価値の格差是正を行うべきなどの意見もあります。
 我々は、投票価値の格差是正と総定数の削減が困難だから小選挙区制に改めようと言っているのではありません。戦後半世紀近くが過ぎ、次の半世紀を展望し、民主主義を前進させるために新しい制度が必要であるとの判断に基づいて、このたびの改革を目指しているのであります。
 すなわち、公職選挙法の一部を改正する法律案は、各党が一つの選挙区に一人の候補者を立て、政党間の政策論争本位の競争に改めることが目的であります。これによって選挙運動は政党中心の活動となります。
 政治資金規正法の一部を改正する法律案は、企業等の団体寄附を政党に限定していくことを眼目としています。同時に、政治資金、パーティー収支の明確化、寄附者の公開基準の大幅引き下げ等による政治資金のガラス張り化と罰則の強化をも行うものであります。
 さらに、政党助成法案については、政党の公的性格にかんがみ、政党中心の選挙制度のもとでその機能が格段に高まることから、政党に対し国費の助成をもって活動を支援しようというものであります。もちろん、その交付に当たって使途の制限はありません。
 このように、三法案は、選挙と日常政治活動を通じて政党政治を確立し、議会制民主主義の健全な発展を図り、政治に対する国民の信頼を確かなものにするという共通の理念に基づく改革案であります。したがって、一体的な改革が原則でなければなりません。しかし、これに対し、制度は制度、資金は資金、助成は助成で分離して、できるものからやるべきなどの意見もありますが、総理はどのように考えておられますか。
 また、今回の改革が専門的、技術的な要素が多く、国民の皆様にもわかりにくくなっているのではないかと心配されます。これからの国会審議が、国民注視の中で、わかりやすく実りあるものとなるためにも、政府として改革案についてさらに周知の努力を尽くされるよう要請しておきます。
 ここ数年来、欧州を中心に劇的な展開を見せている東西関係の構造的変化は、冷戦の終えんをもたらしました。しかし、同時に、世界は新たな国際秩序を摸索する過渡期にあり、民族問題、宗教対立、経済格差による不安定性、不確実性をはらんだ危険な時代を迎えたと言えましょう。すなわち、米ソ間のいわゆる平和維持能力の減少に伴い、地域紛争の発生や国内対立の危険性が増加してまいりました。先般の湾岸戦争はかかる国際情勢の変化を鮮やかに示したものであり、また、最近のユーゴスラビア、ソ連の連邦と共和国の確執も同様であると言えましょう。この時代の転換期において、国際問題を解決するためには世界各国の協調が必要であります。総理、このような国際情勢のもとで出席された今回のロンドン・サミットの意義及び成果をどのように見ておられますか。
 また、サミットでは、「国際連合がその憲章に基づき正に中核となる国際体制を強化するため尽力をしなければならない。」との政治宣言が行われました。我が国は、サミット参加国として、国連が中核となる国際体制を強化するため、国力に見合った協力をする責任があります。
 今や国際連合にとって、その創立者の希望と夢を完全に実現するための条件が整ってまいりました。また、再活性化された国際連合は、国際秩序の強化において中心的な役割を果たしています。さらに、我が国はアジアからの唯一のサミット参加国であることから、アジア・太平洋地域の主張をも踏まえた上で、総理としてどのような主張を行われたのか。また、我が国の北方領土問題の解決を含む日ソ関係の正常化が重要であることが参加各国によって確認されたとのことでありますが、総理はこれをどのように評価されておられますか。
 サミットの直後、ゴルバチョフ・ソ連大統領とサミット首脳との会合が開催されました。この会
合は、ソ連の改革に関して西側首脳とソ連大統領が直接討議する場所を提供したものであり、極めて画期的なことでありました。また、日ソ首脳会議が持たれましたが、日ソ関係、冷戦終えん後のアジア・太平洋地域の和平について、どのように見ておられるのか。さらには、この会合から得られた成果に今後どのように対応していくお考えであるか、お伺いいたします。
 先般、自民、社会、公明、民社四党の政調・政審会長がそろって、二十年間内戦内乱で苦しんでいるカンボジアを訪ね、また三派の首脳とも会談いたしました。現在、包括的和平実現への兆しか見え、このカンボジア和平実現の過程において、日本は、経済援助、停戦監視、選挙監視、さらには行政管理といった重要な役割が期待されています。アジアから唯一のサミット参加国であり、さらに東南アジアの主要な一員である我が国がこの期待にこたえることができなかった場合、日本はまさにアジアの孤児になってしまうでありましょう。
 しかしながら、こうした期待と責任を果たすための我が国の法体系は、いまだ整備されておりません。私は、かかる観点から、我が国が新たな国際秩序形成に対し、いかなる貢献をなそうとしているのかを示すためにも、国連平和維持活動に協力するための法律を緊急に成立すべきであると考えますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
 時あたかも、ことし十二月は第二次世界大戦開戦五十周年であります。戦後我が国に対し世界の自由主義国家から寄せられた支援に感謝するとともに、大戦中に多大の迷惑をおかけした国や人々に対し、心よりおわびするものであります。
 そして、我が国は第二次世界大戦後、平和国家として歩み始めました。平和国家とは、国際社会の一員として平和を守る責任を果たす国のことであります。(拍手)そして平和とは、本来、国際社会を構成している各国が、互いに力を合わせて協力しながら獲得し、また守っていくべきものであります。
 平和の確保と維持は、人間の努力そのものによって可能となるのであります。平和の確保のために知恵を出すのはもちろんのこと、人の面でも積極的に参加することが極めて重要であります。(拍手)我が国が人の面で十分な貢献が行えないとすれば、国際的に平和を守るための責任を十分に果たしているとはみなされません。ましてや、ただ単に資金面だけで事足れりとの態度であれば、責任逃れとも映りかねません。湾岸戦争終了後、クウエート政府がアメリカの新聞に載せた「皆さんありがとう」という広告に三十カ国の名前がありましたが、その中に我が日本の名前がなかったことは大変残念なことでありました。我々の言い分はもちろんありますが、しかし外から見た場合の印象というのは、このクウエートの広告が端的に物語っているのかもしれません。
 国連平和維持活動への協力を行う新組織に、自衛隊員の参加を認めようとしない人々が一部存在しています。私は、この新組織が実効的な組織となるためにも、また、世界の平和維持軍及び停戦監視団はすべて軍人でなければならないことからも、自衛隊の参加は不可欠と考えます。(拍手)この場合の自衛隊の参加は、憲法九条で禁じた。国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇、武力の行使に当たらないことは明らかであります。(拍手)また、海外における大規模災害に対する我が国の救援活動についても、自衛隊がその役割を果たせるよう、国際緊急援助隊派遣法の改正を行うべきであると考えます。
 国連平和維持活動に対する我が国の協力について、総理の所信をお示しいただきたいと思います。
 世界の平和と繁栄に貢献する我が国としては、国連の平和維持活動に対する協力とともに、開発途上国に対する政府開発援助の一層の拡充を図ることも大きな責務であります。今日まで我々は血のにじむような努力を重ね、世界一の援助大国となったのであります。私は、これからの政府開発援助のあり方として、援助大国としての自覚と責任を持ち、援助に対する明確な指針と原則を提示すべきであると考えます。その指針として、私は、一、人道主義、二、軍事化抑制、平和の貢献、三、民主化支援、人権配慮、四、地球環境保護の四つの援助理念に基づいた政府開発援助の拡充に努めるべきであると考えます。
 以上、私は、新世界秩序に向かっての国連協力、PKOへの参加、人的貢献、ODA拡充についての提言を申してまいりました。今、我が日本は、世界の平和と繁栄のために何ができるか、また、何をやらなければならないかを国民全体で考えるべきときに来ております。激動する世界情勢の中で、世界の動きに連動して対応と選択を迫られる日本は、みずからの手で国際平和国家としての責任と役割を示さねばなりません。今こそ日本の進むべき方向性を定める明確なビジョンを構築すべきであると考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 我が国経済は、昭和六十一年十二月以来本年七月までの五十六カ月間にわたり、景気の拡大を続けてきています。戦後最長のイザナギ景気を抜く可能性もあります。この長期に至る景気は、個人消費や設備投資の内需を中心とした景気拡大であり、経常収支の黒字幅を縮小し、国際的にも高く評価されてきました。しかしながら、最近の動向を見ますと、生産動向の低迷、消費の伸びの鈍化、住宅投資の減少等の内需の停滞が見られます。また、金融情勢の動向いかんによっては、中小企業等の設備投資の減額が余儀なくされることも懸念されます。
 一方、国際収支面では、貿易収支の黒字幅が拡大傾向にあり、こうした状況が継続した場合には、再び国際的な批判が起こることも憂慮されます。
 こうした観点から、対外不均衡を着実に是正しつつ、我が国の景気をより息の長いものとするためには、内需の拡大を中心とした経済運営を図るべきであり、そのための機動的な経済政策の実施が肝要であると考えます。総理の今後の経済政策に対する所信をお伺いするものであります。
 このたび、証券会社の大口特定顧客に対する損失補てんや、一部特定関係者との不明朗な取引など、証券業界における不正問題が発覚し、極めて大きな社会問題となっております。
 一般の投資家は、昨年来の株価低迷により損失をこうむっておりますが、たとえ株価が下がっても自己責任として我慢しております。一方、証券会社は、特定の大口の投資家に対し、証券投資によって生じた損失を補てんしていたのです。これでは、みずからの損失に耐えている一般投資家は、極めて強い不公平感と不信感を抱くことは当然であります。こうした不公平感や怒りを払拭するためにも、国民に対し損失補てんに関する事実関係を明らかにする必要があります。
 先般、大手及び準大手十七証券会社が、延べ六百八法人、九個人、千七百二十億円の補てん先リストが公表されたことで、事実関係がかなり明らかになってきましたが、引き続き、損失補てんの方法、手口、時期についても明らかにすべきであります。
 免許会社である証券会社の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。今後こうした問題の再発防止のために真相を究明することは当然でありますが、この際、証券会社自身による取引に係る企業倫理コードの作成、さらには厳しい検査体制の確立など現行法規の抜本的改正を行う必要があると思われます。総理及び大蔵大臣の御見解を承ります。
 さらに、証券会社や証券市場に対する信頼を回復するためにどのような方策を考えておられますか。また、東京のマーケットがニューヨーク、ロンドンと並ぶ三大市場となっていること、日本経済が果たす役割そのものが世界経済に与える影響が極めて大きなものとなっていることからして、この証券会社の不祥事が証券市場の問題にとどまらず、日本経済自体が不公正で、不透明なものであるかの印象を与えたことはゆゆしきことであります。こうした内外の批判に対してどのように対処していくつもりなのか、お伺いするものであります。
 バブル経済の破綻で、証券不祥事、銀行の不正融資、商社疑惑、巨額脱税事件等々が発覚し、今まさに自由主義、市場経済の根幹にかかわる問題となりつつあります。金融と資本は資本主義社会の骨であり、肉であり、血液であって、より高い公平、公正と透明性が要求されます。私は、これらの事件の迅速な全容解明と再発防止の確立により、国会が政治改革やPKOの審議にちゅうちょなく取り組むことができる環境をつくるべきだと思います。総理の所信をお伺いいたします。
 海部総理、あなたの自民党総裁としての任期は十月三十日までであります。この残された期間中に、政治改革こそ海部総理に課せられた使命と認識され、ぜひ実現させようとの強い決意が、過去にも余り例のない八月の国会召集になったものと思います。二十一世紀に向けて、議会制民主主義の確固たる基盤の確立のために、海部総理の一層の奮闘を期待し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 加藤政調会長にお答えをいたします。
 まず、今回の災害による多数の犠牲者の方々に心から哀悼の意を表し、被災者並びに避難されておる方々には、私も心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 政府は、調査団の派遣による被災状況の把握と対策の検討を行い、御承知のとおり二十一分野八十三項目にわたる広範な救済対策を取りまとめ、これらを実行に移しているところであります。今後とも、人命第一を基本として、事態の推移に対応した的確な災害対策を政府、県、市、町一体となって講ずるとともに、火山活動が鎮静化し次第、速やかに被害状況の現地調査を行って、必要な災害復旧を早急に進めてまいりたいと考えております。
 なお、災害終息後の防災、振興、活性化等の地域づくりにつきましては、地元公共団体の意向を十分に伺いながら、計画の策定、またこれの実施についても、政府としてはできる限りの支援をしてまいりたいと考えております。
 政治改革は、政治倫理を大切にし、同時に、政策本位、政党本位の仕組みに改めていこうとするものであります。選挙制度の改革、政治資金制度の改革、さらに政党への公約助成制度の創設は、いずれも政策本位、政党本位の政治活動、選挙活動を考慮しての問題でありまして、相互に密接な関係を有しております。これらを一体として整合性を持って実現することが大切だと考えております。
 また、今次サミットについてのお尋ねでございましたが、御承知のとおり、冷戦構造の終えんを経験し、湾岸危機を克服した新しい国際情勢のもとで、国際秩序の強化と世界的な協調関係の構築を大きな課題として開催されたものであることは、御承知のとおりだと思います。
 我が国としてはアジア・太平洋地域の唯一の参加国でございますから、その地域の要望内容も踏まえ、サミットでの議論の視野がアジア・太平洋地域にグローバルに及ぶように努力もいたしてまいりました。
 アジア・太平洋地域の経済成長が世界経済、貿易の発展に大きな貢献をしていることが適切に評価されなければなりませんし、また、経済困難にあえぐアジアの国々に、東欧や中南米と同じように、世界の協調的な支援の手が差し伸べられなければならないということも必要なことであります。
 また、サミットを通じて、ソ連のペレストロイカの方向性を支持し、これに技術協力をし、技術支援をしていこうというその問題とともに、ソ連の新思考外交も広くグローバルにアジア・太平洋地域にも適用されるべきであるということを主張し、このことは経済宣言にも取り入れられております。
 私は、こういった意味で、北方領土問題が有する重要性が国際社会でも、G7の議論の中で認知されたということ、大切だと認められたということ、また、ASEAN拡大外相会議やAPECの役割の重要性に言及した一節が設けられたということ、中国や朝鮮半島やカンボジアやモンゴル等についてサミット諸国共通の認識が示されたということも、サミットの一つの意味であったと考えております。
 また、この新思考外交の世界的実施の必要性が強調されたことをどう受けとめるかとお尋ねでございますが、我が国は、これが基本認識に対するサミット参加国と共通の立場を示したものでありますから、非常に重要な点であったと受けとめております。
 また、ロンドンでの日ソ首脳会談におきましては、四月のゴルバチョフ大統領訪日の際の合意に従って、領土問題の解決を含む平和条約締結交渉を加速することが第一義的に重要であること、及び拡大均衡のもとで日ソ関係をさらに進めていこうということで合意をした次第であります。
 新たな国際秩序形成に積極的に参加をする国とソ連がなっていくように、我が国もふさわしい役割を担っていかなければならないと思います。
 また、御質問の中で、真の平和国家の理念をお述べになりました。私は全く同感でございます。そうして、新しくせっかく東西の冷戦構造を乗り越えて世界が平和に向かって希望の持てる役割を持ってきたということ、国連中心主義の新しい秩序の構築が合意を得てきたということ、こういった背景に立って、さらに我が国としても、国際秩序形成に我が国は何がなし得るかという点を十分に踏まえながら、積極的にふさわしい役割を担っていくことが大切だと考えております。
 政府は、新しい組織をつくるに当たって、八月の二日、各党に政府の中間案をお示しいたしましたが、この政府案には、新組織の中に、加藤会長御指摘のように国連平和維持活動は大切でありますから、どのような形で自衛隊の参加を得るかということも政府の考え方を述べてございますし、また、国際緊急援助隊は人道的分野での国際協力の面でありますから、これもさらに一層の国際貢献を行うために、自衛隊の参加を可能とするような法改正を行うことについて種々検討をしておるところであります。
 私は、世界が相互依存関係の深まりの中で、平和と安定を図っていくためには、志を同じくする自由民主主義国家群は力を合わせて国際的な努力をし、この秩序を築き上げていくことが何よりも大切だと思います。
 同時に、我が国の国力にふさわしい役割と我が国にふさわしい責任を果たすために、国連を中心とする多国間アプローチによる新しい秩序づくりに、サミットでも宣言の中に触れられるわけでありますから、国際協力構想のもとに、きょうまでも平和のための協力を推進してまいりましたが、今後とも一層平和主義の理念を現実のものとしていくためにも、我が国は協力をしていかなければならないと考えております。
 経済政策についてどう思うかとのお尋ねでありましたが、総じて見れば、個人消費、設備投資を中心とする景気拡大基調が持続されており、本年七月で五十六カ月と長期間にわたっております。
 今後の見通しは、個人消費が雇用者所得の増加などを背景にして着実に増加すると考えられますし、設備投資についても合理化、省力化投資あるいは研究開発投資などを中心に、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。政府は、引き続き物価の安定を図ることを基礎として、主要国との経済政策の調整にも配慮し、適切な経済運営に努めることによって、内需を中心とした景気の拡大をできるだけ息の長いものにするように努めてまいりたいと考えております。
 今般明らかとなりました証券業界の不祥事件についてのお尋ねでありましたが、私はこのことを厳しく受けとめると同時に、免許会社としての規範に反し、内外の一般投資家の証券市場に対する信頼を大きく損なったものと厳重に受けとめます。「公正な社会」をつくりたいという理念から見ても、まことに遺憾なことでありました。
 問題は、再発を防止するために、証券取引所等の自主規制機関の充実強化を図ること、損失補てんの法律による禁止を図ること、検査体制の充実強化を図ることなど、法律上あるいは行政上必要な措置を講じ、投資家の信頼を回復するため全力を挙げて取り組んでいくつもりであります。また、証券会社に対し営業姿勢の適正化を求めることにより、証券市場における公正性の確保に努めるために、今回の不祥事に関連して、行革審に対し、証券市場の監視にはどのような形が適当であるのか、適正化のためには何が必要であるのか、是正策について検討を要請したところであります。このような再発防止のための法制上、行政上の措置を講ずることによって、世界から見ても公平な、透明性の確保された市場とするための努力を続けていく決意でございます。
 我が国は、従来より証券市場の公正性を確保すべく、インサイダー取引規制の導入や株式の大量保有に関する開示制度の導入等を内容とする法律改正在実施してまいりましたが、一連の不祥事に対処して、その再発防止に向けて法制上、行政上の措置を講ずることにより、一層透明性を高めるように努力をしてまいりたいと考えております。
 また、今回、一部の銀行において職員の関与した不祥事が発生したことは、御指摘どおりまことに遺憾であります。今後、金融機関の内部管理体制の改善等について、なお一層厳正に指導してまいるつもりであります。
 最後の御指摘は御激励と受けとめさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#15
○国務大臣(橋本龍太郎君) 加藤議員にお答えを申し上げます前に、この場を拝借し、こうした御質問をちょうだいするに至りました一連の問題につき心からおわびを申し上げます。本当に申しわけありません。
 加藤議員から私に与えられました御質問は、証券会社や証券市場に対する信頼を回復するためにどのようなことを考えているかということでありました。多少の時間をちょうだいさせていただき、お聞きをいただきたいと存じます。
 今回の証券会社による特定顧客に対する損失補てんなどの一連の不祥事は、内外の一般投資家の証券市場に対する信頼感を大きく損なったぽかりではなく、特定の顧客だけが有利な取り扱いを受けたのではないかという不公平感を国民の間に広くもたらしたものであり、まことに遺憾であり、極めて深刻に受けとめております。私は、この問題に対し、まず国民の皆様に、その責めにある者として監督不十分であったことを深くおわびを申し上げますとともに、事態の再発防止と証券市場に対する信頼の回復に向けて、全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。
 この問題につきまして、事実解明の状況について御報告をさせていただきますとともに、一連の問題点を私なりに整理した上、これらに対する今後の対応策について申し述べることをお許しいただきたいと思います。
 まず、損失補てんの実態につきましては、先般、大手四社を含む証券十七社から補てん先の企業名などが公表されたところであり、補てんの手法につきましては、私どもといたしましても、わかる限りを国会審議の場を通じて御説明をさせていただいてまいりました。引き続き、その事実を明らかにするように努めてまいります。
 次に、今般の補てん問題に関連し、種々の問題点が指摘されております。これらの御指摘を踏まえながら、私は、おおむね次の五つの点に問題点が集約されると受けとめております。
 第一点は、ルールの不明確性、すなわち、証券取引に適用されるルールが明確ではなかったのではないかという点であります。第二点は、ルール違反者に対する処罰の問題、すなわち、違反者に対して相応のぺナルティーが科せられていないのではないかという問題であります。第三点は、検査・監視体制の問題、すなわち、ルール違反を的確に把握するための検査・監視機能が十分作用していなかったのではないかという点であります。第四点は、自己責任の原則、すなわち、証券取引は本来自己の責任において行われるべきものでありますが、これに参加する一部の投資家もこのような基本原則を十分認識していなかったのではないかという問題であります。第五に、業界行政の問題があります。すなわち、行政が業界の保護育成に重点を置き過ぎ、適正な競争原理が働かなかったり、いわゆる証券会社への再就職問題により、厳正な行政が行われていなかったのではないかという御批判であります。
 私は、証券市場、証券会社、証券行政をめぐるこれら五つの問題の一つ一つを謙虚に受けとめながら、正常化に向けて真剣に努力をしてまいりたいと考えております。
 第一のルールの不明確性の問題につきましては、まず今国会において、取引一任勘定取引や事後的な損失補てんの禁止を内容とする証券取引法の改正法案を提出させていただく予定にいたしております。さらに、証券市場の公正及び行政の透明性の確保の観点から、証券取引の規制や証券会社に対する行政指導を見直すこととし、その際、必要があれば法令化も行ってまいりたいと考えております。
 第二の違反者に対する処罰の問題については、現在準備中の証券取引法改正法案におきまして、事前の損失保証や事後の損失補てんを行った証券会社に刑罰を科す方向で検討しておりますほか、今後、証券取引法違反に対する罰則の見直し、強化や行政処分のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 第三の検査・監視体制の問題につきましては、去る七月十日に大蔵省内にプロジェクトチームを発足させ、証券会社、金融機関などに対する検査・監視体制を充実強化させるための措置、施策につき目下鋭意検討を進めているところであり、早急に成案を得たいと考えております。
 第四の自己責任原則の問題につきましては、証券界に対しその徹底を強く求めるとともに、証券市場に参加されるすべての方々に対しましても、証券取引に伴う基本原則を改めて認識していただくための方策を講じてまいりたいと考えております。このような考え方の一環として、例えば損失保証や損失補てんを求め、これを受けた顧客側にも罰則を科することを証券取引法改正案に盛り込みたいと考えております。
 最後に、業界行政のあり方の問題につきましては、金融制度改革の推進等を通じ、適正な競争原理の活用を図ってまいりますとともに、証券取引所などの自主規制機関の機能の充実強化を働きかけてまいりたいと考えております。また、証券会社への再就職問題につきましては、いやしくも行政に対する信頼を失うことのないよう、厳正に対処してまいりたいと考えております。
 私は、既に御審議を始めておられる行革審の御意見をも踏まえながら、ただいま申し上げました方向に沿って諸問題の解決に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 本当に申しわけありませんでした。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○副議長(村山喜一君) 石田幸四郎君。
    〔石田幸四郎君登壇〕
#17
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、総理の所信表明演説に対し、重点項目に絞って質問をいたします。
 現在、我が国は、対外的にも対内的にも歴史的なターニングポイントに立たされております。
 世界情勢は、さきのロンドン・サミットからもうかがえるように、東西冷戦体制という言葉がもはや死語となり、政治、経済を初めすべての領域にわたって、冷戦後の世界の新しい秩序形成が具体的に模索され始めているのであります。まさに時代は地球規模で大きく変わろうとしていると言っても過言ではありません。
 こうした中にあって、我が国がこれまでのような一国平和主義や一国繁栄主義という古い発想にとどまっていることは許されなくなっているのであります。今や世界の中の日本としての政策選択が、あらゆる面で求められているのです。ドイツの大統領ワイツゼッカー氏は、昨年十月の統一ドイツを宣言する演説で、「一国の意思で未来を切り開くことができると思うものは、過去の時代に生きているにすぎない。」と訴えておりますが、時代を直視した名言と思います。今こそ我が国は、世界人類とともに生き、そして歩む、世界との共生という理念を明確に掲げ、新しい世界秩序の形成に積極的に参加するとともに、経済的繁栄の中で生まれた構造的諸矛盾や不公平を見直し、世界に開かれた自由で公正な政治、経済、社会の諸システムを構築していかなければならないと思います。
 我が国の当面する大きな政治課題、すなわち、国連の平和維持活動に対する協力問題、海外からも不公正、不透明として批判を受けている証券業界の不祥事、リクルート事件以来の課題となっている政治改革、そのいずれもが、我が国の歩むべき方向を決定する重要な問題であると言わなければなりません。(拍手)
 こうした認識に基づいて、以下、具体的に質問をいたします。
 最初に、証券業界をめぐる不祥事について伺うものであります。
 株式や債券などいわゆる有価証券は、その価格が上がったり下がりたりする、もうかることもあれば損をすることもある、こう信じていた一般投資家をよそに、株価が下がって損をしても、それを補てんする行為が行われていた。しかも、自動車、電機、鉄鋼など、我が国の代表的な製造業、商社、金融機関、年金福祉事業団、共済組合など、広範にわたって損失補てんを受けていたとは。なぜ、このようなルール無視がまかり通りていたのか、改めて驚かざるを得ません。諸外国から、これまで以上に不透明、不公平な我が国証券市場への批判が高まることは必至であります。絶対にあってはならない損失補てんが日本の証券業界に商慣習として幅広く定着していた事実は、一般投資家にも諸外国に対しても弁明の余地がございません。
 私は、この証券スキャンダルについて、政府、証券業界の責任問題、全容の解明、再発防止の三つの角度から、総理並びに大蔵大臣の見解をただしたいと存じます。
 まず第一に、証券各会社並びに行政の責任についてであります。
 一般投資家の損失をよそに大口投資家のみに優遇措置を講じた反社会的な証券会社の責任は、単に大手証券会社の会長等が辞任するだけで終わりを告げてよいものかどうか。また、暴力団への資金供給に大手証券の関与という事実も指摘されており、社会全体、また国際社会にまで信用を失墜させた日本証券業界全体の責任は、まことに重大であります。
 さて、損失補てん先リストが発表されました。しかし、補てんを求めた覚えはない、あるいは勝手に関連会社の名義を使用された等の反論も連日報道されています。もしこれが事実ならば、証券各社の反社会的行為はさらに重大であると言わざるを得ません。証券業界、企業の責任について総理はどのような見解をお持ちか、承りたいと思います。
 次に、行政の責任についてであります。
 損失補てんという反社会的な企業活動をここまで黙認してきた行政の責任は、極めて重いと言わざるを得ません。証券業界を育成する指導的立場にあり、なおかつその行き過ぎを監視し、是正すべき立場にある大蔵省が、その行き過ぎを戒めることができず、是正できないまま今日に至った責任は、極めて重大であります。
 今日までの経過を考えてみても、損失補てんはこの七月に突如としてあらわれたのではなく、一昨年十一月、最初の損失補てんが明るみに出、昨年三月、各社からの自主報告によって大蔵省は事実関係を十分掌握していたはずであります。また、昨年の七月には、今回発表された損失補てんの一部も既に公になっていたのであります。この間、大蔵省は、事後補てん禁止のただ一片の通達を出したにすぎません。過去の惰性から事の重大性に気がつかなかったのか、あるいは事の重大性を故意に隠ペいしたのか、いずれにしても監視、是正することができなかった責任は極めて重大であります。(拍手)大蔵省幹部の減俸処分などで済まされる次元の問題ではありません。
 総理並びに大蔵大臣、この行政責任をいかにお考えか、承りたいと思います。
 第二に、この証券スキャンダルを是正するためにはどうしても事実確認が必要であり、その角度からさちに伺うものであります。
 何が制度上、法律上の欠陥であったのかを検討するためには、事実に基づいた究明が必要であることは言うまでもありません。四大証券、準大手、中堅証券の補てんリストが発表されましたが、総額は十七社で千七百二十億円に及んでおります。しかし、今回発表された分は一九九〇年三月までであり、一九九〇年四月以降は含まれておりません。湾岸戦争以後、株価の下落が著しかったことを思えば、九〇年度分はそれ以上ではないのか、極めて危惧されるところであり、企業への損失補てんはさらに大きなものとなるはずであります。
 大蔵大臣は、九〇年四月以降の分をどう見ておられるのか、その概要について報告を求めたいと思います。(拍手)
 また、補てんリストが発表後、それが自主公表であったためか、補てんの定義もまちまちで、公表された側が否定するなど、その事実関係や責任の所在には不明確な部分があるように見受けられます。さらに、あの発表ですべてであったのであろうかという疑問もあります。果たして適切な発表であったのかどうか、しかと承っておきたいと思います。
 具体的には、損失補てんはどのような方法で行われたのか、現行法上どのような問題があるのか、指導と監督との関係にどのような問題があったのか、証券業界への官僚天下りに問題はなかったのか等、これら事件の全容を国民の前に明らかにする必要があります。
 公明党は、証券問題特別委員会を早急に設置し、証人喚問を含む徹底した究明を強く要求いたします。総理の見解を伺います。
 第三に、本問題改革の角度からさらに伺います。
 まず、指摘しなければならない改革の大前提は、厳正な監視機関は大蔵省とは別個に設けるべきではないかということであります。
 大蔵省は、銀行局、証券局など関係部局の検査部門を一元化することを考え、日本版SECやイギリスの証券投資委員会の論議には消極的であります。今回の事件から考えてみて、大蔵省が厳格な監視機関に徹し切れるかどうかは甚だ疑問であり、育成指導と監視という二つの機能が何の矛盾もなく果たせるとは極めて考えにくいのであります。この点について、総理、大蔵大臣のそれぞれの所見を承りたい。
 また、取引一任勘定取引や事後的な損失補てんは法律で禁止すべきであります。あわせて、行政罰中心の現行証券取引法に刑事罰を導入する必要はないのか、見解を承りたい。
 この証券スキャンダルは、規模の大きさはもちろん、経済への深刻な不信感をもたらしたことに思いをいたさなければなりません。証券制度の改革は急を要し、しかもそれは、失った信頼を取り戻す適切な改革でなければなりません。総理、行政の責任は重大であります。大胆かつ積極的なリーダーシップがたければ改革は成功しません。やり得る緊急改革の措置をいつまでをめどとするのかを含めて、その決意のほどを承りたいと思います。
 銀行問題についても若干触れたいと思います。
 経済界が証券不祥事に揺れ続けている中で、またまた都市銀行三行の架空預金問題が報道されております。三行の不正融資取引総額は三千億を超え、大蔵省は慌てて都市銀行全体に調査指示を行ったと言われるが、この実態についてぜひ報告をしていただきたい。信頼性の高い都市銀行が架空預金を設定するなどということは、まさに計画的な犯罪ではありませんか。いかにバブル経済とはいえ、企業の倫理もバブルであったのかと思わざるを得ません。しかも、大蔵大臣の関係者がこれにかかわっていたとほ、まことに遺憾と言わざるを得ません。(拍手)
 経済活動が法のもとに行われるといっても、これを動かすものはしょせん人間であり、人間の良心なくしていかなる経済活動もあり得ないことをこの事件はまた物語っております。一連の架空預金問題をいかに認識し、いかに対処し、いかに改革していくのか、その見解並びに方針を承りたいのであります。
 総理、証券スキャンダルは単に証券業界の問題であると考えてはなりません。本事件は、我が国を経済大国に押し上げてきた官僚主導の企業社会の実態が白日のもとにさらけ出されたものと言わざるを得ないのではないか。(拍手)言うなれば、
政府は許認可行政などのもとに産業界を過度に規制し、産業界は不満を持ちつつも、競争を制限された中で利益万能主義に陥ってきたのではないでしょうか。目まぐるしい変化を遂げる国際環境や社会の進展に対応するためには、ともすれば内向きに終始してきた経済運営は、今回の事件からも制度疲労を起こしていると認識すべきであり、これを根本的に改めるぐらいの覚悟が必要であります。
 総理は、官僚主導の企業社会の実態をどう認識され、どう改革されようとしているのか、その所見を承りたいと思います。(拍手)
 さて次に、外交問題並びにPKO問題に質問のテーマを移したいと思います。
 国際情勢は、かつて西側諸国が共通の脅威としてきたソ連を、今や同胞としていかに助けていくかというほど、歴史上類例を見ない大転換期にあります。今日の国際社会における我が国の役割と責任は増大し、その動向が注目されている中で、新たな国際秩序の構築作業に積極的に参画していくのは当然であります。
 しかし、我が国外交はいまだ冷戦時代の発想を引きずっており、顔が見えない、受け身あるいは一国平和主義との批判を受けている現状に対し、私は深い憂慮の念を抱かざるを得ないのであります。この点、総理はどうお考えでしょうか。
 私は、これまでの政府の外交政策の無策を指摘するとともに、我が国が憲法前文で言う、「国際社会において、名誉ある地位」を占めようと決意するのであれば、国際協力に関する理念、原則を明確にし、内外に広く宣明すべきであると考えるのであります。
 具体的には、我が党がかねてより主張してきた憲法の平和主義、国際協調主義及び国連中心主義、人権、自由と民主主義、そして地球益、人類益の五項目の柱を我が国外交の基本方針として、国際協力憲章の策定を強く提案するものであります。総理の見解を承りたい。
 ロンドン・サミットでは、我が党が主張してきた国連機能強化、武器の国際的移転規制などの諸点で合意されたことは歓迎いたします。しかし、具体的な実行措置は依然あいまいであり、国連中心主義をうたう我が国がこれに道筋をつけ、秋の国連総会で積極的に提案をしていくべきではないのか。また、そのための作業部会を政府内につくるべきではないかと考えますが、総理の見解を伺うものであります。
 さらに、サミットにおいてアジアにも目が向けられた点から見て、私は、さきに開催されたASEAN拡大外相会議の充実を重視すべきだと考えます。アジアにもEC構想に類似した平和経済構想が望まれていますが、南北朝鮮問題、インド・パキスタン問題、アジア構成国間の経済格差、南北問題、独自文化の混在など、問題が山積しております。アジア諸国間の交流関係は非常に厳しいのが現状であります。しかも、アメリカ、ソ連、中国、この戦後四十五年間の関係も考慮しなければなりません。
 我が党も、早くからアジア問題に取り組むため、アジア平和協力会議を提唱しています。経済問題だけでなく、アジア・太平洋地域の政治課題を含めた問題の前進こそ急務であり、その足がかりとしてASEAN拡大外相会議の充実に積極的に取り組み、日本の平和貢献の姿勢を明らかにすべきであります。総理の見解を伺います。
 さらに、総理の訪中について伺っておきます。
 来年は同中国交正常化二十周年の佳節を迎えます。私は、今回の訪中に当たっては、日中関係をさらに強固なものにしていくとともに、大きな変化を遂げつつある国際情勢を踏まえ、アジアの大国である日中両国が国際社会で果たすべき役割について忌憚のない意見交換を行うべきであると思います。モンゴル訪問を含め、総理から、今回の訪中の目的、意義について伺うものであります。
 次に、国連の平和維持活動に対する協力問題についてお伺いをいたします。
 去る八月二日、自民、公明、民社三党の幹事長・書記長会談で、政府から三党協議に対する中間報告が示されました。我が党は、昨年十一月の国連平和協力に関する合意を踏まえ、慎重に検討を進めて結論を出してまいりたいと思います。
 いずれにしても、冷戦後において世界の平和秩序を維持するためには、国連の役割がますます重要になることは間違いなく、日本としても国連の平和活動を支えることが世界平和になくてはならないものであるということを認識しなければなりません。その意味で、我が党は、国連の平和維持活動についても積極的に参加すべきであると考えています。
 この立場から数点伺います。
 第一に、私は、国際社会は依然として地域武力紛争が多発するおそれのある時代にあると考えています。したがって、国連は、地域紛争を未然に防ぐシステムを構築すると同時に、紛争解決後、紛争の再発防止のために重要な役割を果たすPKOを国連憲章に規定すべきだと思うかどうか。
 第二に、PKOの中立性をいかにして高めるかということであります。私は、紛争当事国からPKOが信頼されるためには、より多くの国の参加が望ましいというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
 第三に、PKOの目的・任務が武力行使を伴うものであれば、我が国は参加しないという原則をはっきりさせることです。日本は、過去四十五年間戦争を放棄し、武力による威嚇、武力の行使をしないことを誇りにしてきました。この原則を崩すことはできません。したがって、コンゴ型のPKOには参加しないことを明言すべきです。
 第四に、日本の近隣諸国には、中国やシンガポールなど、日本が政治的役割を拡大することは軍事的拡大につながるのではないかとの危惧があります。日本はこの危惧を具体的行動で払拭しなければなりません。
 第五に、PKOに参加することが国際貢献のすべてのような考えを持つべきではないということです。例えば、近い将来PKOが必要になるのはカンボジアでありましょう。私は、カンボジア復興のため、エネルギー、インフラ整備、農業、人材育成などの援助の全体像をまず提示し、その一環としてのPKO参加であるという立場でなければならないと思います。
 第六に、PKOへの参加の是非については、自衛隊のあり方も含め、国内には数多くの意見があります。政府は、拙速を避け謙虚に世論に耳を傾けるとともに、国際社会での評価にたえ得るものをつくるベきであります。
 これらについて総理の認識を伺いたい。次に、政治改革について質問をいたします。
 総理は、リクルート事件に端を発した国民の政治への不信、不満に対して、内閣の命運をかけて政治改革に取り組むと明言されてきました。しかし、約二年間何の実行もなぎまま今日に至り、事もあろうに小選挙区制導入をもって政治改革にすりかえようとされる姿勢、このことを私たちは厳しく批判をいたします。
 それだけではありません。政府・自民党が導入しようとしている小選挙区比例代表並立制は、本質的には小選挙区制であり、重大かつ基本的な欠陥があります。
 その第一は、得票率と議席占有率の著しいずれが生ずるということであります。四〇%台の得票率で七〇%、八〇%の議席獲得率に結びつくと見られる制度がどうして公正な選挙制度でしょうか。選挙制度の主眼はいかに民意を反映すべきかであり、小選挙区比例代表並立制は民主政治の公正の原則に完全に背を向けたものであります。
 第二には、小選挙区制では死票が多く、少数意見の抹殺につながり、新人が当選しにくいなど、まことに非近代的な選挙制度であります。
 第三は、小選挙区制は政権交代を可能にし、二大政党時代を促進するという議論を持ち出されますが、果たしてそうでありましょうか。二大政党どころか、一強のみをつくることになりかねないゆゆしき制度であります。政権交代の可能性を制度的に模索することは重要な要素でありますが、小選挙区制が直ちに政権交代につながる唯一の制度とは思われません。
 ともあれ、政府・自民党が導入しようとする小選挙区比例代表並立制は、政治改革につながらず、政治改悪にほかなりません。私どもは、小選挙区比例代表並立制には断固反対であります。(拍手)選挙制度を論ずるのであれば、多様化している国民のニーズを国政に反映するために、民意を議席に正確に反映できる比例代表制中心の制度こそ望ましく、候補者の顔の見える制度を加味する選挙区併用制を検討すべきであります。
 総理、小選挙区制を採用しているイギリスでは、さまざまな弊害が明らかとなり、世論調査では、イギリス国民は比例代表制を望んでいると言われます。また、イギリス選挙制度の権威といわれるオックスフォード大学のバトラー博士も、イギリスの選挙制度を変えるとすれば、民意を鏡のように反映する比例代表制をベースとしたドイツ方式がモデルになると述べているのであります。
 以上、私が指摘した並立制への反論並びに比例代表選挙区制について、総理のお考えを承りたいと思います。
 また、イギリスの例にも見られるように、政治汚職対策に大きな成果を上げたのはイギリスの腐敗防止法の制定であって、小選挙区制が腐敗防止につながったものではありません。総理が本当に政治改革を進め、民主政治の発展を望んでおられるならば、何よりも政治倫理の確立と政治資金の規制強化を速やかに実行すべきであります。
 総理、今国会に政府が提出しようとしている公職選挙法改正案など三法案はまことに不十分であり、さらに腐敗防止策を強化する道筋を国民の前に明らかにすべきであります。
 例えば、現行の政治倫理審査会を政治倫理委員会に改め、国会議員が行為規範を犯した場合には、速やかな措置を講じられるようにすべきであります。また、選挙裁判の審理を促進するとともに、候補者本人が公選法違反で禁錮以上の刑に処せられた場合、当選の無効と以後長期の立候補制限を課し、連座制の適用を受けた場合には数年間の立候補制限を課すという思い切った強化策を講ずるべきであります。
 腐敗防止強化に対する総理の御所見と決意のほどを承りたい。
 最後に、雲仙岳噴火災害対策について伺います。
 初めに、六月三日の火砕流災害で亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。
 私も直ちに現地に向かい、被災者の方々の激励と現地調査を行いましたが、その被害はすさまじく、惨たんたるものでありました。
 私が長崎県、島原市、深江町の各行政責任者に事情を聴取した段階で最も痛感をしたことは、現行の被災者救済制度と被害の現実とのギャップが余りにも大きく、特に、今回のように避難生活が長期化した場合の対策が十分でないということであります。
 例えば、仮設住宅に入居した途端に食事や衣類等の生活必需品の支給が打ち切られ、生活の自立を求められます。会社勤めの方はともかく、生活の手段である農地を奪われた方々の早急な自立は困難です。集団移転をするにしても、ある程度の数がまとまらなければ優遇措置が適用されず、しかも、国の大幅助成があっても財政規模が小さな自治体への財政負担は依然として大きく、この負担にたえ得る状況にはありません。
 また、被災による離農者や転廃業者には融資制度は適用されず、自活の道が閉ざされているのであります。災害復興などの融資制度はあっても、ただでさえ借金をしている上に生活基盤を失っているので、融資制度を活用できないというのが現実ではありませんか。このような現場の声にどうこたえていくのか、もちろん今までの災害との整合性も軽視できませんが、それだけでは実のある災害救助はできません。
 総理、もはや現行法だけでは被災者を総合的に救済することは困難です。私は、安全地域への集団移転の円滑化、個人住宅建設に対する超低利融資、被災者の生活補償、国による農地の買い上げ、雇用のあっせん等を主な内容とする特別立法、雲仙岳噴火災害対策特別措置法を制定し、一日も早くこの深刻な事態に対応すべきだと考えます。総理の御決意のほどを承りたい。
 また、総理、この際、雲仙岳噴火のように長期にわたる大規模災害によって財政的に著しく逼迫した自治体を支援するために、災害復興基金を創設すべきではないかと思いますが、この点もあわせて見解を承りたいと思います。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 石田委員長にお答えをいたします。
 最初の証券不祥事に関するお尋ねでありますが、証券会社による特定顧客に対する損失補てんは、内外の投資家の証券市場への信頼を損ね、免許会社としての規範に反し、「公正な社会」の理念にも反するものであり、私は、極めてこれは厳しく受けとめております。
 また、政府は、損失補てんを行った証券会社に対し、社内責任の明確化や営業自粛を行わせたところであり、また、損失補てんを受けた企業の側にも、結果として自己責任の認識に徹底を欠いたものと受けとめております。今後、この行政当局の責任も重く受けとめるとともに、再発防止のためにできる限りの措置をとらなければならないと強く考えております。
 そして、徹底究明あるいはその他のために証券問題特別委員会の早急な設置及び証人喚問の問題について見解を問うとおっしゃいましたが、このことにつきましては、これは国会で各党各会派でただいまお話し合いをいただいておる事項でございますので、その成果に我々は従っていきたいと考えております。
 また、再発防止のための制度改革につきましては、インサイダー取引規制の導入とか株式の大量保有に関する開示制度の導入を法律改正として既に実施してきておりますが、今後、今回の一連の不祥事に対処して、再発防止に向けて証券市場の公正性を高めるための法律上、行政上の措置を講じます。証券市場に対する監視機能のあり方としてはどのような形が適当であるのか、あるいは適正化のための是正策については何が必要であるのか、今行革審に対して早急に検討を依頼をいたしておりますし、大蔵省にも検査体制の見直しについてプロジェクトチームをつくらせ、現在精力的に作業を行っております。証券市場に対する監視機能の適正化のための問題としては、さらに鋭意努力を重ねてまいります。
 また、私は、一般投資家の信頼を回復するために、取引一任勘定や事後的な損失補てんの禁止を含む証券取引法の改正案を今国会に提出すべく全力を挙げるとともに、証券会社に対する検査体制の充実強化を図るなど、市場の公正性の確保には全力を挙げて取り組んでまいります。
 官僚主導の企業社会をどう見るかと、こうおっしゃいましたが、政府はこれまでも行政改革を通じて広範な分野で規制を緩和、自由化を進め、民間セクターの自主的な活力の発揮を基本とする施策を推進してきたところであります。今後とも公共性の要請に十分配慮しながら、金融の自由化等に見られるように、民間の自主性と責任に基づく活動を可能な限り尊重するように努めてまいる考えであります。
 外交については、国際社会において主要な地位を占めるに至った我が国としては、みずからの責任と果たすべき役割を自覚して、新しい国際秩序づくりに参画をしていくことが重要であると考えます。我が国の外交の理念としては、自由と民主主義を基礎として平和の中で対話と協調による国際関係の確立にこそ理念があると考えます。受け身であるとか主張がないとかいう御批判もありますが、今回のサミットにおいても我が国は積極附な主張を行い、国際社会の取り組むべき課題について他の参加国の理解を得て、種々、共同宣言や議長声明にも書き込むことができました。また、委員長御指摘の一国平和主義については、これに陥ることなく、国際社会の一員として平和を守る責任を果たしていくことが我が国の進むべき道であると私も考えております。
 今委員長が、我が国外交の基本方針として五項目を御提案になりました。我が国がいかなる国でありたいか、また、我が国の求める国際秩序はどんなものかを明確にし、政府も外交姿勢を明確にいたしてまいりました。私は、昨年三月の施政方針演説以来、御指摘くださった点をも踏まえて、次の五項目を常に発言をし、明確にしてきております。
 第一に、平和と安全が保障されること。第二に、自由と民主主義が尊重されること。第三に、開放的な市場経済体制のもとで世界の繁栄が確保されること。第四に、人間らしい生活のできる環境が確保されること。第五に、対話と協調を基調とする安定的な国際関係が確立されること。これが我が国の主張であります。今後とも世界の平和と繁栄のために、これらのものを掲げて積極的に参加をしてまいりたいと考えております。
 また、国連の機能強化、武器の国際移転規制などのロンドン・サミット合意事項に評価をいただきました。私は、これらの問題についてはさらに積極的な貢献を行い、国連に対して引き続いてこれらの問題が効果あらしめるように努力をすると同時に、具体的に国連にはもう一つ、紛争の未然防止の機能を強化するために国連紛争予防システムを政府として提案し、今回の国連総会で具体案を語り合っていく決意でもあり、通常兵器の国際移転に関する報告制度の確立とともに、成立を見るように努めてまいりたいと思っております。
 また、経済問題だけでなく、アジア・太平洋地域の政治課題を含めた問題の前進のため、ASEAN拡大外相会議を充実して取り細めと御指摘がありました。全くそのとおりでございます。そのようにいたします。
 モンゴル訪問を含め訪中の意義はどうかと、こう言われます。私は中国を訪問いたしますのは、アジア・太平洋地域において日本と中国はともに重要な役割を果たすべき国柄であり、また、来年は国交正常化二十周年の記念すべき年にも当たります。今回の訪問は六・四事件以来、サミット参加国首脳としては初めての訪中であり、中国側の要人と、国際社会の直面する重要な諸問題及び変動する国際情勢のもとでの日中両国の果たすべき役割について、率直に意見の交換をしたいと思います。
 モンゴルでは、民主化と市場経済化のための努力を評価し、これに対する支援がどうしたらできるかを話し合ってこようと思っております。
 また、PKOを国連憲章に規定すべきではないかという御指摘をいただきました。国連の平和活動については加盟国の間で強い支持を得てきており、国連平和維持活動の効率及び実効性を高めるための議論は国連の場において活発に行われてきており、また、我が国もこのような議論に今後は積極的に加わっていきたいと考えております。
 PKOは中立性を高めるためにより多くの国が参加できるものが望ましいと御指摘になりましたが、私も同感でございます。
 また、PKOの目的・任務が武力行使を伴うものであれば、我が国は参加しないという原則をはっきりさせるべきではないかとおっしゃいましたが、八月二日に新たな国際平和協力に関する政府の中間報告案を三党に対してお示しした際に、この問題については基本方針を明らかにさせていただいておるところでございます。
 また、中国やシンガポールなど近隣諸国の我が国に対する危惧を具体的行動で払拭すべきではないかとおっしゃいました。私は、今後これらのアジア諸国との対話の中で各国の理解を得るよう努めてまいりますし、誠意を持って対処して、このような危惧を払拭したいと考えておるわけであります。
 包括和平が達成された暁には、国連平和維持活動のみならず、カンボジアにおいては復興、開発が大事である、国際社会として積極的に取り組むべき重要な課題となるとおっしゃいます。私も、これらの分野について我が国として何がなし得るか関係諸国と協力しながら、応分の貢献を行っていくことが重要であると考えております。
 また、PKOへの参加につきましては、先般の湾岸危機を通じて国民の皆さんの間にも、資金面、物資面のみならず、人的面においても積極的な役割を果たしていくべきであるとの共通の理解が定着しているものと考えております。政府は、国連の平和維持活動に対する協力について、自民、公明、民社三党間の今後の協議を踏まえつつ、国際平和協力に関する新たな法案についてどのような積極的な役割を果たし得るものとなるか鋭意検討を進め、今国会に法案を提出できるよう努力してまいる考えでございます。
 また、政治改革について、この二年間何もしないで、選挙区制度とすりかえたではないかとおっしゃいましたが、そうじゃありません。皆さんの協力もいただいて公職選挙法の一部改正案を成立して、昨年の我々の選挙のときから適用し、有権者に対して事実をもって示しておりますし、また、すりかえではなくて、こうすることが政治倫理を確立し、政治資金を明らかにし、そうして政党本位、政策本位の選挙制度ができるんだ、こういうことを言っておるわけでありますから、全部トータルでまとめて見ていただきたいと私は思います。
 また、得票率と議席占有率とのずれの問題を御指摘になりますが、民意の変化が敏感に議席の変化をもたらすものは小選挙区制の特性だと私は思っております。そして、比例代表制を並立させることによって、少数政党の意見もより多く反映することができるように我々は配慮したつもりでありますし、また、新人の問題についてもお触れになりますが、新人の問題は、基本的には各政党の候補者選定のあり方にかかわる問題であろう、こう考えます。そして、私は、そういったようなことでありますから、どうか全体をごらんをいただいて、いろいろ今後御議論をいただきたい、こう考えるわけであります。
 また、国民の政治に対する信頼を確固たるものにするために政治倫理の確立が重要であること、選挙や政治活動の大部分を政治家個人の責任において対処しなければならない選挙制度を改め、政治資金制度の改革については、資金の調達を政党中心にするとともに、その公開性を高めていくこと、このため、政治倫理の確立について、御指摘になった政治倫理審査会の改正強化や政治家の資産公開については、事柄の性質上、既に自由民主党は案を国会にお示ししておるわけでありますから、国会において検討されておるところであり、適切な結論が得られることを期待をしておるところでございます。
 選挙の腐敗防止についてお触れになりました。しかし、選挙の腐敗行為に対しても厳正な措置をとることを、今回提出した法案にはきちっと書き込んでおります。思い切った措置を講じろとのことでありますが、連座制を強化するため、その対象となる者の範囲を拡大するとともに、当選無効に加えて、委員長御指摘のように五年間の立候補制限を課するということにもしておりますし、当選人の選挙犯罪の裁判の迅速化を図るために、公判期日を事前に一括指定できるようにすること、政治資金規正法違反についても公民権停止の対象とするなど、厳しい措置を既に織り込んでおりますので、御理解と御協力を賜りたいと思います。
 最後に、特別立法の制定についてでありますが、政府は、地元県、市、町の御要望を踏まえて、とるべき施策についてあらゆる角度から、二十一分野八十三項目にわたって雲仙岳噴火災害に係る被災者救済対策を決定し、実行しておるところであります。今回の災害のために新たに決定した措置が三十項目も含まれております。なお、被災者への生活補償を国が行うということについては、災害を原因とする被害である以上、困難であると考えますが、今後とも必要な措置について検討を行い、この地域の防災、振興、活性化などの地域づくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。
 また、長期大規模災害によって財政的に非常に苦しい地方公共団体については、その財政が著しく圧迫されることのないように、過去の各種の災害の経験にかんがみて、激甚災害等の災害対策の諸制度が整備されているところであります。したがって、長期間にわたり地方公共団体を支援するために災害復興基金を創設することは考えませんが、今後とも、災害により地方財政を圧迫することのないように適切に対応してまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#19
○国務大臣(橋本龍太郎君) 石田委員長に御答弁を申し上げますにつきましても、まずおわびを申し上げます。そして、委員長から御指摘がございました数点につき、総理の御答弁を補足しなから御答弁をさせていただきます。
 まず、証券会社による顧客に対する損失補償につきましては、平成元年末に通達を発出し、こうした行為のないように厳しい指導をいたしますとともに、あわせて、各証券会社に対し損失補てんにつきまして自主点検、報告を求め、報告のありました会社については、厳正な社内処分などを実施させてまいりました。ところが、今回、一連の調査の段階におきまして、当局に報告をされておらない損失補てんの存在が明らかになりました。このような特定顧客に対する損失補てんは、内外の一般投資家の証券市場に対する信頼感を大きく損なったばかりでなく、特定の顧客だけが有利な取り扱いを受けたのではないかという不公平感を広く国民の間にもたらしたものであり、本当に残念でありますし、極めて深刻に受けとめております。大蔵省といたしまして、ただいま、今後そうした問題の再発をさせないように、証券取引法の改正を初めとする法制上、行政上の総合的な対策に必死で取り組み、投資家の信頼を回復する努力をしてまいりたいと考えております。
 御指摘の補てん先リストに関してでありますが、委員長から、一九九〇年三月まではないか、株価の状況から見れば九〇年四月以降の補てん額はなお大きいのではないか、そういう御疑問が寄せられました。
 証券会社からは、一九九一年三月期につきまして損失補てんはないという報告を受けておりますが、今般、九一年三月期及び当期の事後的な損失補てんの有無につきまして把握をいたす目的で、七月十八日より大手四社について特別検査に着手したところであります。この検査が終了いたしました段階で、問題があれば各社に対し、可能な限り事実関係を明らかにするよう指導してまいりたいと考えておりますし、四社以外の証券会社につきましても必要な対応をしてまいりたいと考えております。
 また、損失補てんリストの公表についての事実関係をどう見るかという御指摘でありました。
 大蔵省といたしましては、今回の証券会社によります大口法人顧客などに対する損失補てんによりまして、国民の証券市場に対する信頼感が大きく損なわれたと考えておるところでありまして、今後、国民の信頼感を回復し、証券市場の健全な発展を期するためにも、証券会社がみずからの手で国民の前に損失補てん先の企業名などを具体的に明らかにすることが必要であると考えてまいりました。こうした点から、大蔵省といたしましては、先般、大手証券四社を含みます証券十七社に対しまして、補てん先の企業名などを自主的に公表するよう要請してきたところでございます。
 また、今後の検査体制の問題について、総理から行革審への御依頼については御報告がございました。私どもは、今回の一連の証券問題の反省に立ち、緊急に対応策をまとめる責任があると考えておりますし、この一環として、検査体制を見直すことにつき、七月十日にプロジェクトチームを発足させ、組織、体制、人員配置、検査方法など、あるいは検査手法などの観点から現在作業を進めているところでございます。
 今回の一連の問題に関連し、証券会社に対する検査、監督の充実強化は喫緊の要務と考えられますけれども、我が国にもSECや、あるいはSIBのようだ機関を設けるべきかどうかという御議論につきましては、証券取引規制の背景にあります各国の制度の相違点というものを十分に踏まえて検討していく必要があると考えております。また、実効性ある検査及び適正な行政の推進の観点からは、監督部門と検査・監視部門との間の連携にも十分配慮していく必要がありまして、こうした点も踏まえながら検討させていただきたいと考えております。
 また、現在、御指摘をいただきましたように事後の損失補てんの禁止のみではなく、取引一任勘定取引の禁止につきましても、証券取引法改正案を今国会に御審議をいただきますよう作業中であります。事前の損失保証、事後の損失補てんにつきましては、議員御指摘のように刑事罰を適用することにつきましても検討いたしておるさなかでありまして、禁止の対象とする損失補てん行為の範囲をどうとらえるか、刑事罰を科すこととする場合の法技術的な問題などにつきまして、内閣法制局、法務省などとの間で御相談をいたしておるところでありますのできる限り早期に関係省庁との協議を終えまして、証券取引法改正案を提出し、御審議をお願いしたいと考えております。
 また、金融関係についての御指摘をちょうだいをいたしました。
 御指摘をいただきました不祥事件は、当事行が対外的にも発表いたしましたように、いずれも役席の行員が架空の預金証書などを作成し、これらの証書等を用いまして不正にノンバンクなどから資金を引き出したものであります。金融機関の不祥事件の未然防止につきましては、公共性の高い金融機関の性格にかんがみ、従来から通達などによりまして再三にわたり指導してまいったところでありましたが、今回、一部の銀行におきまして、職員の関与した不祥事件が発生したことは大変残念であります。
 当局として、この事件の重大性にかんがみ、当事行に対し、今回の事件により銀行の信用を著しく失墜せしめたことはまことに遺憾であることを伝えるとともに、銀行局長名をもって、内部管理について総点検を実施いたし、その結果講じた措置などについて報告する旨の指示文書を発出し、さらに、これらの当事行以外の都市銀行などに対して、七月二十九日、緊急的な措置として、早急に内部点検を実施し、不正が発覚した場合には直ちに当局に報告されるよう注意を喚起したところであります。なお、本日現在、類似の不祥事件はないという報告を受けております。
 いずれにいたしましても、これらの事件は、金融機関の内部管理体制が脆弱化しているということにも起因しているものであり、監督当局としては、日々の行政や金融検査を通じ、金融機関経営の基本である内部事務を適正に処理するための組織、人事面での体制づくりや内部検査システムの改善などにおいて一層厳正に指導してまいりたいと思います。
 また、私の元秘書にかかわる件についてお触れになりました。
 富士銀行赤坂支店元渉外課長の事件でありますが、既に司直による捜査が開始され、今後全容が明らかになるものと考えておりますけれども、その課長さんという方が不正融資にかかわっているとは全く知る由がなかったとはいえ、私の秘書の立場にありました者が、軽率にも銀行に対しまして融資希望者の紹介を行ったということ自体が不適切と考えております。結果として秘書に対する監督に至らぬ点があったことにつき、私としてもその責任を痛感いたしております。(拍手)
     ――――◇―――――
#20
○北村直人君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明八日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#21
○副議長(村山喜一君) 北村直人君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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