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1991/09/11 第121回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第121回国会 本会議 第7号
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1991/09/11 第121回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第121回国会 本会議 第7号

#1
第121回国会 本会議 第7号
平成三年九月十一日(水曜日)
    ―――――――――――――
議事日程 第五号
  平成三年九月十一日
    午後一時開議
 第一 老人保健法等の一部を改正する法律案
    (第百二十回国会、内閣提出)
 第二 借地借家法案(第百二十回国会、内閣提
    出)
 第三 民事調停法の一部を改正する法律案(第
    百二十回国会、内閣提出)
    …………………………………
一 公職選挙法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)、政治資金規正法の一部を改正
    する法律案(内閣提出)及び政党助成法
    案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
                (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 老人保健法等の一部を改正する法律
  案(第百二十回国会、内閣提出)
 日程第二 借地借家法案(第百二十回国会、内
  閣提出)
 甘程第三 民事調停法の一部を改正する法律案
  (第百二十回国会、内閣提出)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)、政治資金規正法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)及び政党助成法案(内閣提出
  )の趣旨説明に対する質疑  (前会の続)
    午後一時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一、老人裸健法等の一部を改正する法
  律案(第百二十回国会、内閣提出)
#3
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、老人保健法等の、一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生委員会理事野呂昭彦君。
    ―――――――――――――
 老人保健法等の一部を改正する法律案及び同報
  告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔野呂昭彦君登壇〕
#4
○野呂昭彦君 ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、老人の保健、医療及び福祉にわたる総合的な施策の一環として、老人について適切な看護及び介護に係るサービスを提供するため、老人保健制度の長期的な安定を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、老人訪問看護制度を創設し、疾病、負傷等により、寝たきりの状態にある在宅の老人が看護サービスを受けたときは、老人訪問看護療養費を支給すること、
 第二に、一部負担金の額を、外来の場合は一カ月八百円から千円に、入院の場合は一日四百円から八百円にそれぞれ改めることとし、また、一部負担金の額については、外来、入院それぞれ、一件当たり外来医療費及び一日当たり入院医療費の変動に応じて、その額を改定する方式を法定すること、
 第三に、老人以外の者であって、初老期痴呆により痴呆の状態にあるものも老人保健施設を利用できること、
 第四に、老人保健施設療養費及び看護・介護体制の整った特例許可老人病院に係る入院医療費について、国及び地方公共団体の負担割合を、三割から五割に引き上げること等であります。
 本案は、第百二十回国会に提出され、四月十一日の本会議において趣旨説明が行われ、同日付託となり、同日の委員会において下条厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十二日質疑に入り、二十三日には参考人の意見を聴取するなど審査を行った後、継続審査となっていたものであります。
 今国会においては、引き続き慎重かつ熱心な審査を行い、昨日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合五派共同により、一部負担金の額を、平成六年度までは段階的に引き上げることとし、その額の改定については、平成七年度以降物価スライド制を導入すること及び公費負担割合を拡大すること等を内容とする修正案が提出され、採決の結果、本案は五派共同提出の修正案のとおり多数をもつて修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第二 借地借家法案(第百二十回国会、
  内閣提出)
 日程第三 民事調停法の一部を改正する法律
  案(第百二十回国会、内閣提出)
#7
○議長(櫻内義雄君) 日程第二、借地借家法案、日程第三、民事調停法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長伊藤公介君。
    ―――――――――――――
 借地借家法案及び同報告書
 民事調停法の一部を改正する法律案及び同報告
  書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔伊藤公介君登壇〕
#8
○伊藤公介君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、借地借家法案について申し上げます。
 本案は、現行の借地法及び借家法が、その基本的な枠組みが固まった昭和十六年から今日までの間の社会経済情勢の大きな変化、特に土地・建物の利用に対する需要の多様化に対応し切れていない状況になっていることにかんがみ、より利用しやすい借地・借家関係を実現するために、借地法、借家法及び建物保護に関する法律を統合した単行法を制定し、現行法の基本的な枠組みである借地権の存続期間、借地・借家契約の更新等の仕組みを見直してより公平なものとするほか、新しい類型の借地・借家関係を創設するなどの改善を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、借地権の存続期間を、原則として、当初は三十年、更新後は十年とすることとする、
 第二に、借地・借家関係の解消の要件となっている正当の事由の判断要素として、貸し主及び借り主が使用を必要とする事情のほか、従前の経緯、土地・建物の利用状況等を明示することとする、
 第三に、一定の要件のもとに、更新のない借地権という性格を有する定期借地権の制度を導入することとする、
 第四に、貸し主に転勤等のやむを得ない事情がある場合には、確定期限で終了する借家関係を認める期限つき借家の制度を導入することとする、
 第五に、この法律の施行前に既に存在する借地・借家関係については、この法律の更新関係の規定は適用しないものとする等であります。
 次に、民事調停法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、地代家賃の額の増減請求事件について、調停手続の積極的な活用により適正かつ迅速な解決を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、地代及び借り賃についての紛争がある場合に、原則として調停を経なければ、訴訟を提起することができないとする調停前置主義をとることとする、
 第二に、当事者間に調停委員会の決定に従う旨の書面による合意があるときは、その決定により紛争を最終的に解決する制度を新たに設けようとするもの等であります。
 両案は、第百二十回国会に内閣から提出され、借地借家法案については、四月二十三日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、委員会においては、両案を一括して議題とし、四月二十六日に左藤法務大臣から提案理由の説明を聴取した後、審査を行いましたが、これを終了するに至らず、今国会に継続審査となっていたものであります。
 今国会においては、公聴会を開会し八名の公述人から意見を聴取する等、慎重審査を行い、昨十日質疑を終了したところ、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案により、借地借家法案に対し、借地契約の更新後の存続期間を、最初の更新に限り二十年とするとともに、本案における用語を統一するため、借家関係の諸規定から「又は収益」の字句を削除する旨の修正案及び民事調停法の一部を改正する法律案に対し、調停委員会の決定に従う旨の当事者間の書面による合意は調停の申し立て後になされたものに限ることとする等の修正案が提出されました。
 次いで、討論を行い、採決の結果、借地借家法案については、修正案は全会一致をもって可決され、修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
 次いで、民事調停法の一部を改正する法律案については、修正案は全会一致をもって可決され、修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、借地借家法案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)、政治資金規正法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)及び政党助成法案(内閣提
  出)の趣旨説明に対する質疑  (前会の続)
#12
○議長(櫻内義雄君) 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の趣旨の説明に対する質疑を継続いたします。秋葉忠利君。
    〔秋葉忠利君登壇〕
#13
○秋葉忠利君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、いわゆる政治改革関連三法案について、反対の立場から質問を行います。(拍手)
 この三法案の中でも、特に公職選挙法改正案は、現代の世界に生きる人間にとって最も基本的な権利の一つである選挙権に大きな変更を加えようとするものであります。私たちは、日本国民の権利を守り、本当の意味での民主主義を定着させるために、与野党双方に力強く脈打っている良識と知性、その伝統に期待しつつ、政治改革法案の矛盾と隠された真の目的を委員会審議の中で明らかにしていくつもりです。
 本日、私は、この政治改革関連三法案中、特に公職選挙法改正案に的を絞って質問したいと思います。
 最初に申し上げておきたいのは、民主的で公正な選挙にとって何が一番大切なのかについて、政治と選挙についての世界的権威の集まりである国際政治学会が、一九八九年、明確な判断を行っている事実です。それは、ワンマン・ワンボード・ワンバリュー、すなわち、すべての人が一票を持ち、一票の価値はだれにとっても同じでなくてはならないという原則です。簡潔に述べれば、一人一票同価値の原則です。
 この原則こそ、民主的で公正な選挙の基本であることは、世界の歴史の中で、この原則を現実のものにするために先人たちがいかに血のにじむような努力を続けてきたかを見ても明らかです。女性の参政権を獲得するために闘ってきた平塚らいてうや山川菊栄、市川房枝、そして黒人の参政権獲得のために、アメリカではマルチン・ルーサー・キング牧師は文字どおり命をかけました。
 実は、こうした人々の努力は一票の格差是正を目的としていたと考えることができます。男性の一票に対して、かつて女性に与えられた票はゼロでありました。これは男女間の格差です。白人の一票に対して黒人の票もゼロでした。これは人種間格差です。そして、今私たちが問題にしているのは地域間格差です。東京八区に住む人の一票を一とすると、神奈川四区に住む有権者の一票の価値は〇・三にしかなりません。〇・三は四捨五入すればゼロになります。このように、四捨五入すると東京八区に比べて一票の価値がゼロにたる選挙区が現在三十五もあります。私の選挙区である広島一区もその一つであります。海部総理の愛知三区もしかりです。広島一区は、原爆による人口の急減少がそのまま現在の定数として凍結されています。一人一票同価値の原則が守られていれば、「ヒロシマの心」をもっと世界に広げることができたのではないか、被爆者援護法はもっと早く制定されていたのではないか、そう考える被爆者の無念さを晴らすためにも、一刻も早い定数是正こそ最優先されなくてはならないと私は考えます。
 この格差を是正するはずの政府提案では、高知三区の一票に比べて一票の価値が四捨五入するとゼロにたる選挙区が二十七もあります。格差は二倍未満という原則、これを言いかえると、最小選挙区に比較して一票の価値が四捨五入するとゼロになるようだ格差は許さないという原則であります。そして、この原則には、四捨五入という概念、そしてゼロは一より小さいという数学的な裏づけがあります。(拍手)二十七もの選挙区で四捨五入すると一票の値がゼロになるにもかかわらず、基本的には格差がなくなったと主張する海部総理には、御自分の主張が意味を持つのだという数学的根拠を示す責任があると考えますが、総理、数学的根拠はどこにあるのでしょうか。
 さて、定数格差の是正、すたわち地域間格差が解消されない点も大きな問題ですが、政府案による選挙制度が導入されるとそれ以上に深刻な格差が生じます。それは政党間格差であります。昨年の衆議院選挙の結果をもとに、政府案による区割りを使った毎日新聞の試算によれば、自民党は、四八%の得票率で、何と全議席の七八%を得ることになります。野党を全部合わせると、五二%の得票率で議席は二二%。自民党に投票すれば、その票はバブルのように膨れ上がり、野党支持者の票の三・九倍にもなってしまうのです。さらに、万一この制度が導入されれば、次回の選挙で与野党間の政党格差が一層広がることは必定です。最高三・三四倍の地域格差を是正するために、三・九倍の格差、それより大きい格差を導入しようとするこの選挙制度が、一人一票同価値という原則を踏みにじるものであることは言うまでもありません。
 それでは、一体、それにまさる、それ以上に大切などんな目的のためにこの制度を導入しようとしているのか、具体的に総理にお答えいただきたいと思います。そして、それらの目的が、どのような理由で一人一票同価値という原則より優先されなくてはならないのか、客観性のある根拠を示していただきたいと思います。(拍手)
 しかも、地域間格差は時とともに変わります。人口の増減が全国一律ではないからであります。悪化した地域間格差を解消するために、政府案では衆議院議員選挙区画定審議会を設置することにしています。仮にこの審議会が効果的に機能するものなのであれば、選挙制度全体を変える以前にまずこの審議会を設置すべきたのではないでしょうか。それが第百四国会における衆議院議員の定数是正に関する決議の精神に沿い、一人一票同価値の原則を保障する具体的措置ではないのでしょうか。なぜこの審議会を切り離して設置しないのか、そして万一、並立制とあわせて設置しなければこの審議会が機能しないというのであれば、その理由は何なのか、因果関係を明確にした上でお答えいただきたいと思います。
 これまでの問題提起から、小選挙区制の持つ最大の欠陥が一人一票同価値の原則を破る点にあることは、十分おわかりいただけたと思います。そして、一人一票同価値の原則を守るために、また、政党本位の選挙を行うためにも、比例代表制が最もふさわしい制度であることも世界の常識であります。
 しかしながら、比例代表制以外の制度が全く無価値かというと、そんなことはありません。例えば、衆議院では比例代表制を採用して民意を正確に反映させ、参議院では、例えば一極集中の弊害を是正するために、四十七都道府県から各二名の議員を選ぶような制度も検討の余地があると思います。
 しかしながら、今回の提案では、このような全体像を描くこともせず、場当たり的な新制度を導入しようとしています。もし政府案の中に私たちには見えない深遠な哲学が隠されているのなら、その哲学を開陳した上で、衆議院と参議院おのおのの機能と特徴、そして二院の違いをどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。(拍手)また、一万の院では木に竹を接ぐような制度を採用し、またもう一方の院では水に油をまぜたような制度を採用しても、国会全体としてうまく機能すると政府が考えている根拠を示していただきたい。
 さて、本法案の目的ですが、政府は、政党本位の政治であるとか、金のかからない選挙、一票の格差是正といったお題目を並べています。しかし、それらが本来の目的ではなく、単に見せかけの目的でしかないために、無理なこじつけが至るところで行われ、その結果、矛盾に満ち満ちているのが本法案の特徴の一つです。
 例えば、自治省のパンフレットによると、小選挙区制の特徴として「政権交代の可能性が高くこ同時に「政権が安定する。」のだそうであります。これは、例えば安定した結婚の典型的な例として七回離婚を繰り返したエリザベス・テーラーの結婚を挙げるに等しい矛盾です。
 また、小選挙区制を長く採用しているアメリカの下院選挙を検証することで、小選挙区制を採用しても必ずしもそれは政権交代につながらないことがわかります。アメリカの下院選挙では、一九五〇年以来これまで、現職の再選率が平均九三%、一九八八年の選挙では再選率が九八%にもなっています。政権交代どころか、新人議員一人が当選することさえ不可能に近くなっています。さらに、今、日本でこの制度によって選挙が行われれば、圧倒的多数で自民党が勝つことは目に見えています。その後このような高い再選率が続けば、自民党の永久政権ができ上がります。これが本法案の隠された目的の一つだと私は考えています。(拍手)
 また、アメリカの下院選挙の投票率は五〇%以下、実際は三〇%、四〇%です。大統領選挙の投票率も五〇%台と、小選挙区制度すなわち政治の活性化にならないことも明らかです。にもかかわらず、日本ではこの制度によって政権交代への道が開け、政治が活性化されるという理由は何なのか。因果関係を明確に、かつ同語反復にならないようお答えいただきたいと思います。
 さて、自治省のパンフレットも海部総理も、中選挙区制による選挙には金がかかると述べています。しかしながら、戦後の選挙すべてにおいて、法定選挙費用を超えた報告はなされていない上、今回の改革案の中には、法定選挙費用は高過ぎるからこれを低くしようという提案は含まれておりません。ということは、選挙に金がかかるとは、少なくとも一部の政治家において法定選挙費用を超えた選挙費用が日常茶飯事になっていることを意味します。本当にそうなのかどうか、自治大臣に伺いたい。
 さらに、もしこのとおりであれば、自治大臣は、違反の可能性のあった候補者について具体的な調査を行うかデータを集めるかしたのでしょうか。もしそうであれば、その結果を公表していただきたい。どの党に属するだれが、どのような方法でどのくらい金を集め、それをどのように使ったのか、国民には知る権利があります。もし調査やデータの収集を行わずに、単なる印象や伝聞によって金がかかると決めつけ、それを大目標にしてこれほど大がかりな法律改正をしようとしているのなら、それは体温もはからずに大手術をしようとしている医師と全く同じです。無責任な暴挙にほかなりません。(拍手)
 リクルート事件に端を発した政治の腐敗は、最近でも、大蔵大臣の秘書による不正融資あっせん、建設大臣、自治大臣の申告漏れ、自民党派閥領袖の違法献金等、自民党政治家の醜聞として毎日のように報道されています。(拍手)国民が望んでいるのは、こうした非倫理的な行為が政治の世界から一掃されることであります。しかしながら、今回上程されている三法案の中には、こうした政治的腐敗を一掃するための政治倫理法案は含まれておりません。
 政治倫理法案を上程するかわりに、海部総理は、制度面においても改めなければならない問題が現在の政治の仕組みにあると述べ、問題を選挙制度にすりかえています。もし人と制度両方に問題があるのなら、政治倫理法と制度を変える法律両方を上程するのが当然です。制度だけ変えようとしているのは、人の側、政治家の側、その腐敗政治家の側は実は変わる必要がない、つまり不祥事が起きたのは、彼らが悪いのではなく制度が悪いからだと言うのと同じことです。言葉では何と言おうとも、政治倫理法案を上程していないという事実がこのことを雄弁に物語っています。(拍手)このからくりで、これまで不祥事にかかわった人々はすべて清廉潔白の士だということになってしまうのです。すなわち、政治改革法案は、悪徳政治家に対して政府が発行する免罪符にほかなりません。海部総理、今回、他の法案に先駆けて政治倫理法案を出さなかった理由がほかにあるのか、正直にお答えいただきたいと思います。(拍手)
 最後に、海部総理、免罪符を発行するとともに、自民党永久政権をその真の目的とする政治改革三法案を即刻取り下げ、後世から、党利党略に走りた政治家としてではなく、良識と知性ある宰相として記憶される道をお選びになるおつもりはありませんでしょうか。
 これで私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 秋葉議員にお答えをいたします。
 一人一票同価値のことについていろいろお話しになりました。全く一イコール一という完全無欠なことは、これは理想であることはよく私も承知しておりますが、原則として一対二の範囲というものを決めてその中に価値を求めようと、こうしたわけであります。衆議院の定数是正については、政府は、選挙制度審議会の答申の中の投票価値の平等の要請にもこたえることができるものと、こう思って諮問をし、審議をしてもらったのであります。四捨五入するとゼロになるというのも、これは数学的には言える言葉かもしれませんが、一票をいかにしてもゼロにするというような発想は我が方にほ全くございません。できるだけ原則一対二未満に入れたいという努力をしたわけであります。
 根拠を示せということですが、全国の議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとするという基準を設けて作業を行ったのでありますが、議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回るところも現実としてあったわけでありますので、結果として格差は一対二・一四六となったところが一番開いたところであった。こういうことになりました。しかし、大幅に価値が狭まりてきたことだけはどうぞ率直にお認めをいただきたいと思います。
 また、定数格差の是正を目的としておるわけでありますから、今後国民の政治に対する信頼を確固とするためには、今の結果に従った票で行っていけば価値の是正の問題も解決できますし、もし衆議院選挙区画定審議会が機能を果たすなら、なぜこの設置だけを切り離して法律をつくらないのか、並立制の導入と同時に設置しなければ機能しないというその理由はというお尋ねがありましたが、将来の選挙区間の人口の異動に伴い投票価値の不均衡是正を行うとすれば、必ず区域の改定を行わなければなりません。そのために、中立公正な第三者機関として区割りの改定案を作成する選挙区画定審議会を設置するということを今回の三法案の中に書き込んでお願いしておるのでありますから、制度がスタートすればこの画定審議会も同時にスタートするように法律においてお願いをしておるわけであります。
 また、機能と特徴、衆議院と参議院の二院の違いをどう見るかということでありますが、これはいろいろな違いもございます。そうしてまた、スローガン的にはいろいろなことがきょうまでも言われてきました。私は、つまるところは、議事の公正と慎重を期するために設けられたのがまず二院制の本質であろうと思います。したがって、要は国民のために慎重な審議を衆議院もやり、参議院もやる。もう一つの面では、第一院としての衆議院は解散その他の問題もございます。活動できなくなった場合にも、どのように民主的に国務を処理するかという実質的な必要にこたえるためにも参議院の制度が置かれておるもの、これは憲法を読んで私もそのように判断しております。
 小選挙区比例代表の並立制、衆議院の持つべき特徴からいってどうなんだとおっしゃいましたが、小選挙区制は民意の変化が敏感に議席数に反映するものであります。そして、比例代表制を並立させることによって少数意見の国政への反映にも配慮しようとしておるものであります。政党本位の選挙を実現するために最も適当な制度と考えて、提出しておるものであります。議会制民主主義というのは政党政治であり、衆議院というのは特に政権を争う政党間の政策論議の場であるはずであります。その衆議院議員を選ぶ選挙もまた政党間の政策論争が中心になってくるべきものと私は認識をいたしております。
 アメリカにおいての例を出されましたが、アメリカは御承知のとおりの大統領制の国でありまして、議会と行政府の関係というものは質が違っておりますし、我が国は議院内閣制でございますから、そういった意味で、アメリカの小選挙区制度とその当選率、再選率の問題が必ずしも妥当するものとは考えておりませんし、また、選挙のたびにいろいろなところで新人候補が立候補され、それによって交代が起こることも、これは世界共通の原則であろうと思っております。
 また、政治倫理法案の問題につきましては、政治倫理が政治改革の第一歩であるということは、私も何回も申し上げてきました。所信表明演説でも申してきました。だからこそ、政治倫理に関する議員の資産公開法を自民党は国会に出しておりますし、党自体においては議員自身の問題も厳しく戒めておりますし、また院における政治倫理審査会とかその運用とか強化の問題は座長試案まで出していろいろと努力をしておりますので、事柄の性質上、国会の最高機関としての各党の皆さん方のお話し合いによってその問題を進めていただくように、政府からはまた強く皆様にもお願いをしたいと思うところでございます。
 三法案を即刻取り下げたらどうか、名が残るようなことにしたらどうかとおりしゃいますが、これは今本当の意味で議会制民主主義を政党政治にしたいと、強い願いからこの三法案をお願いしておるのであり、改革をするためには根源にさかのぼった制度の問題にもいきませんと、個人個人の問題だけを云々しておったのではいけないという認識に立って、審議会の答申等も踏まえ、三法案を提出したわけでありますので、どうか御議論をいただき、御協力いただきたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#15
○国務大臣(吹田ナ君) お答えいたします。
 中選挙区制では選挙に金がかかるという根拠を述べよということでございましたが、現行制度のもとでは、日常の政治活動、これほお互いがやっているわけでありますが、この日常の政治活動のもろもろの運動というものは政治家個人の責任で対処しなければならない面が多いわけであります。その結果、資金の調達も個人が中心となりまして、また、いかたる政党でも政権党を目指す限りは、同じ選挙区で複数の候補を立てるということにしなければ、これは政権党にはなり得ません。そういったことを考えてまいりますと、候補者個人間の競争による支出も増加することになるわけでありますし、また、正確に数字を示せということをおっしゃいましたが、それはなかなか困難な問題であります。政策本位、政党本位の制度が実現すれば、政治活動や選挙は政党中心になりますので、政治家個人の負担は減ることになることは、これはもう間違いないと思っております。候補者同士が個人的に競争するというようなことの支出の増大は避けることができると思っております。
 最後に、法定選挙費用の問題についての公選法の二百四十六条あるいは二百四十七条にかかわる問題についてはどうだというお話がありましたが、これは御承知のように都道府県の選挙管理委員会の所掌事務でありますし、私の方は調査権もございませんが、選挙運動費用の収支報告においては法定額を超えて提出された例は承知いたしておりません。
 ただ、最後に私のことについての御意見がございましたが、私のこうした関係しておる企業について、その関係の企業の職員が私の方に手伝いしてくれたということについては、従来は、長い十数年間は了解をいただいておりたということで、実は税務調査の上でこれは理解をいただいておったものですから、私も、いいものだ、こういうふうに思っておりましたら、今回の指摘を受けましたから、これは昨日申し上げましたように、正しくこの問題についてはけじめをつけて、四月にきちっといたしたわけでありますが、いずれにいたしましても、決して、これは弁解になりますし、いいことではありませんから、今後そういうことのないように気をつけてまいる、こういう考えてありますので、御了解願いたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(櫻内義雄君) 三野優美君。
    〔三野優美君登壇〕
#17
○三野優美君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、議題となっております政治改革関連三法案について、海部総理に質問をいたします。
 海部総理、あなたは政治改革を本気で取り組む決意があるんでしょうか。もしあなたがまじめに政治改革を国民に語りかけようとするならば、あなた自身で海部内閣の身辺整理を行うべきであります。さきに明らかになったとおり、政治改革担当大臣である吹田自治大臣の脱税問題、いつも身辺に疑惑が漂い続け、国会のたびに陳謝を繰り返す大塚建設大臣、秘書が秘書がと言い続ける橋本大蔵大臣、これらを整理しないで、あなたが今国民の前に政治改革を語る資格なしと言わざるを得ません。(拍手)
 私は、まず質問の冒頭に、この海部内閣自身の身辺整理を強く求め、あなたの政治姿勢についての所信を求めるものであります。
 さて、政治改革が議論となりましたその理由は、言うまでもなくロッキード、そしてリクルート事件問題にその端を発し、政治家をめぐる贈収賄不祥事件が後を絶たず、国民の政治不信が高まる中で今日の緊急課題となったのであります。
 政治改革の第一は、政治資金の調達方法であります。
 政治資金の収入には三つの方法があるでありましょう。その一つは、政治団体の構成員による党費及び出版物等の事業活動の直接収入であります。二つ目には、企業からの政治献金。三つ目には、支持者による個人献金であります。このうち、問題は企業献金なのであります。国民の政治不信の最大の原因は、後を絶たない政治家による汚職事件でありましょう。これらをいかに断つことができるのか、これこそが政治不信の解消、信頼回復の第一の道であることを申し上げます。
 ちなみに、戦後国会議員の連座した贈収賄事件を見ますると、昭和二十四年の昭和電工疑獄事件以来、近くはロッキード、リクルートに至るまで十六件、四十二名に及ぶのであります。また、地方政界、行政機関にも多くの事件が数えられます。これら政界と行政機関の汚職事件は、政財官の癒着のあらわれであり、今日の政治不信、議会制民主主義の危機をもたらしたのであります。
 今指摘した国会議員の連座事件、十六件、四十二名は、そのすべてが企業による政治献金ばかりなのであります。個人献金による汚職事件は一件も見ないのであります。これは何を意味するのか。人にはそれぞれの異なった趣味や人生観がありましょう。しかし、企業にあっては、その大小や業種別、また設立過程の経緯を問わず、利潤をいかに生むかがその設立目的であります。したがって、企業に利潤追求の論理が貫徹している限り、企業が政界や政治家に献金する場合、その金額の多少を問わず、常に何らかの便益を求めるのは当然の帰結でありましょう。過去これらの事件が示すとおり、企業による政治献金をやめない限り、第二、第三のロッキード、リクルート事件は後を絶たないのであります。
 海部総理は、企業もまた社会的存在であり、収支を明確にすれば問題なしと答弁をしてまいられました。以上私が指摘したこの事実をどのように受けとめられますか。あなたの見解を求めておきたいと思います。(拍手)
 さて、本法案は、このような事実があるにもかかわらず、企業献金をやめるどころか、損金算入の枠を広げ、結果としてはさらに企業献金を拡大しようとするものであります。我が党初め野党の多くは、政治が公的なものであるだけに、政党及び政治家の政治活動に国の積極的援助があってしかるべきであると主張してまいりました。同時に、汚職の根源である企業による政治献金は一切禁止すべきだと主張しているのであります。
 政府提出の本法案は、企業献金を拡大し、さらに国が政党に約三百億円を援助しようとするものであります。これは、汚職、腐敗の根源を断ち切らないまま国民の税金を大幅に支出し、結果は選挙が金まみれとなり、政治が堕落の道を歩むものであります。政界と政治家を金の泥沼に押し込み、政治は力なり、カは金なり、この金権権力政治の延長、拡大にほかなりません。したがって、本法案は到底国民の納得するものではないことを申し上げ、直ちに撤回を求めるものであります。(拍手)
 政治活動に必要な資金は、公的な資金、党員による党費及び事業収入、一般大衆による個人献金に限るべきであります。今、緊急を要することは、政治家が選挙や政治活動に多くの金を使わない仕組み、その制度をつくることでありましょう。政治不信の第二は、政治家の選挙違反に対する甘さであります。
 法務委員会調査室の調べによりますと、昭和五十年以降平成二年までの公選法違反の有罪宣告を受けた者十一万二千三百二十三人のうち、公民権停止処分は十一万一千八百人であります。これだけ多くの事犯がありながら、これら選挙違反事件で連座制の適用を受けた者はわずか十六名、県会議員二名、市長一名、町長一名、市町議会議員十二名であり、国会議員はこの中に一人も含まれていないのであります。この数字が示すものは、どんな手段であろうと、当選さえすれば何とかなるという世間の批判そのままの実態であります。
 ところが一方、昭和六十一年七月総選挙以来、公選法違反による公民権停止を受けた者は二万二千七百五十一名、二回の恩赦対象者一万九千九百名となっています。適用率何と八七%であります。この恩赦制度は、憲法に基づいて政令で定められるものであります。時の内閣の政治的配慮も含めた自由裁量的な運用がなされております。この中には、恩赦によって選挙へ再び立候補した者及び再び選挙運動で違反を繰り返す者もおります。これらのことを思うとき、国民と国家の命運を決める選挙に対し、公選法違反者については公民権について恩赦制度を適用すべきでないという学説もございます。私もこの意見に同意するものであります。総理の見解を求めておきます。
 さて、政府提出の法案の中で、小選挙区制がいかにも政治改革の柱であり、またきのうの自民党代表羽田議員も強くこのことを主張されました。もう既に指摘されているように、この政府案は大きな欠陥を持っておることは言うをまちません。
 第一は、この制度によって多くの死票が出ることであります。法案九十五条が示すとおり、二五%得票者、有効投票の四分の一で当選者が決まります。あと七五%の多数派の意見は国政に反映しないのであります。これは民主主義そのものの否定であり、絶対に容認することはできません。
 また、総理は、一人区制度によって二大政党制を目指しておるようでありますが、現に自民、社会、公明、共産、民社、社民連等、それぞれ国民の意識の反映としての思想政策集団としてこれだけの公党が存在しているにもかかわらず、これを選挙制度をもって強制的に併合、もしくは少数政党を抹殺しようとすることは、現実を無視した強権政治であり、民主主義への挑戦であります。このような無謀な本法案は直ちに撤回し、当面、第百四国会における全会一致の現制度のもとにおける二対一以内の定数是正を実施すべきであります。そして、最も民主的な手法について討議、検討すべきであります。総理のこれに対する見解を求めます。
 民意を正しく反映し、議会制民主主義の正常な発展のためには、比例代議制度が最も正しいことは言うをまちません。この場合の批判として、政治家個人の顔が見えないという意見もあります。我が国は二院制をとっているのであります。また、政党政治が認められている以上、衆参両院の議員選出方法が、一院は比例制による政党政治、一万の一院は個人選挙の制度を採用することによって両制度の長所を活用すべきであります。この政府案を採用した場合、参議院選挙と同じ性格のものであり、ますから、将来は参議院無用論につながる危険性を持っておることを申し上げておきます。
 私は、国民の意識が多様化した今日、それぞれの意識や政策的要求によって政党もまた多党化時代に入ることは当然であろうと思います。このような多様な要求が比例制によって正しく政治の場に反映されるのであります。この場合、選挙の結果、第一党が過半数の支持を得ない限り、連合政権しかあり得ないのであります。この連合政権樹立の過程で、お互いの党が協議し、譲るべきものを譲り、妥協点を見出すという話し合いの中で、少数意見をも包含した政権づくりが行われます。
これこそが最も重要な民主主義の第一歩であり、ここに国民合意の政治が生まれるのであります。
 もし、この連合政権を不安定政権であると言うならば、それでは最も安定政権とは一体何でありましょう。一党独裁こそ一番安定政権でありましょう。これは、民主主義の死滅であり、国民の求めるところではないのであります。不法な金権選挙によって、自民党一党支配が続き、政財官の癒着による大不祥事件を次々と生み、政治的混乱をもたらし、また、政策的にも民意を反映しないものをつくり出してまいりました。その一つは、消費税の強行にあらわれているのであります。(拍手)
 以上、申し上げましたが、我が国の健全な議会制民主主義を育て、日本の運命を決する選挙制度改革は、各党各議員が何物にも拘束されることなく、それこそ自由濶達な議論のもとで決定すべきであります。したがって、本国会は、まず第百四国会の決議を実行し、同時に、企業献金の廃止、政治倫理について討議、決定されることを強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 三野議員にお答えを申し上げます。
 私は、自治大臣、建設大臣の方から、いろいろきょうまでのそれぞれの経過やそれにとった措置、対応、反省の言葉を厳しく受けとめて今後とも措置するように、そのような税務上の問題とはいえ、税務署の指摘を受けるまでもなく、この経験を生かして厳しく対処されたいと指示をいたしました。二人は、そのとおりにいたしますということを申し上げ、この本会議の場においても、お二人自身の口から同じ厳しい反省の発言がございました。
 大蔵大臣自身は、そのことについては、私に、監督不十分の責任を痛感し、陳謝の意向の表明もありました。私は、再び不明朗、不公正な証券不祥事件を起こさないために、全力を挙げて法的措置その他の対処をすることが大蔵大臣の責任のとり方である、厳しくその改革のために全力を挙げて取り組んでほしいということを指示をいたしまして、そのようにしておるところでございます。
 また、贈収賄事件等政治改革の問題につきましては、御指摘のように、政治不信を直接引き起こしたのは、政治と金をめぐる不公正な取引であります。その不明朗さや額の膨張によっていわゆる不祥事件が起こったことは、御指摘のとおりと思います。
 もとより、それは政治家の政治倫理の確立が基本でありますけれども、根本的には、政治資金の問題は、多額の政治資金の調達を強いられる政治の仕組みそのものにもその原因があると私は受けとめております。今回の政治改革は、このような問題を踏まえて、個人の政治倫理の問題はもちろんのことでありますけれども、それだけでなし得ない制度的な仕組みの改革もあわせ行っていくこと、同時に、議会制民主主義の基盤をなす政党中心の公正な政治活動、選挙活動に流れを移していこうというところに基本的な問題点があるものと認識し、この両方から改革を進めていこうとしておるものでございます。
 また、政党に対する公的助成は、政治活動の公的な性格にかんがみ、あわせて制度面でも選挙や政治活動が政党中心となりますので、これを創設しようとするものであり、企業や労働組合などのいわゆる団体の寄附については、選挙制度審議会において幅広い御議論が行われた上で、選挙制度の改革及び公的助成制度の創設と相まって、企業、組合等の団体寄附は原則として政党に対するものに限ることとされております。改正案は、この審議会の答申の趣旨を尊重しておるものであります。私は、今のままの状況で、何の改革もなされずに選挙や政治活動の大部分を政治家個人が対処しているという現行制度のままのもとでは、政党に対する公的助成を行うことは余り意味がないと思いますから、改革とあわせて三位一体としてこの問題は法案としてお願いをしておるところでございます。
 また、恩赦の問題についてお触れになりましたが、もとより選挙違反者に対する罰則の適用は厳正に行われております。恩赦の適用については、選挙違反者を他の犯罪者と特に区別して扱うことは相当でないと認められて、一々の事案に応じて個々に取り扱うべきものと考え、またこれまでもそのように扱われてきたものと報告を受けております。
 選挙制度審議会の答申を踏まえ、選挙制度改革とあわせて投票価値の格差是正を図るべく、公職選挙法の改正案を提出いたしております。この改正案をお認めいただければ、投票価値の平等の要請にもこたえることになるものと考えておりますし、また、小選挙区比例代表並立制は、審議会の答申を踏まえ、政党本位の選挙を実現するために最も適当な制度と考えて提案しているところであり、そうして、少数政党の意見も反映することもできるように比例代表の並立制も加えておるものでありまして、この問題に関しては、各政党や議員個々の身分に関する問題でもございますので、各党ともそれぞれいろいろ御議論をいただき、御協力をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(櫻内義雄君) 井上義久君。
    〔井上義久君登壇〕
#20
○井上義久君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりました政治改革関連三法案について、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 三年前のリクルート事件を契機として、国民の政治不信はきわみに達し、政治改革の世論が一気に高揚いたしました。今や、この政治改革の世論にこたえることは、政治家にひとしく課せられた最重要の課題であります。リクルート事件が提起したものは、政治家と金、とりわけ企業献金を媒介とした政治家と企業の癒着にどうメスを入れるかということでありました。したがって、政治改革の出発点は、まず政治倫理の確立てあり、政治資金の規制強化、腐敗防止でなければならないと思うのであります。ところが、政府・自民党は、政治に金がかかるのは選挙に金がかかり過ぎるからだ、だから選挙制度を変えなければこの問題は解決しないと問題をすりかえ、自分たちに都合のいい小選挙区比例代表並立制の導入に道を開こうとしているのであります。
 総理、政治不信のあるところでは、いかなる改革も党利党略としか受けとめられません。まず政治倫理を確立し、政治不信を解消してから選挙制度改革に取り組むべきであると思うのでありますが、いかがでしょうか。
 小選挙区比例代表並立制は、小選挙区制に比例代表制を加味しているとはいうものの、全体の議席の六四%が小選挙区で決まり、実質的には小選挙区制そのものであります。この小選挙区制、もともと政府・自民党が、政党本位、政策本位で金のかからない選挙制度であるとの大義名分を掲げて導入を主張していたものであります。ところが、必ずしもそのとおりでないことが国民の前に明らかになると、今度は政権交代が可能な制度であるということを前面に打ち出し、政治変革を求める国民世論に巧みに取り入ろうとしております。果たして政権選択を最優先することが選挙制度改革の本来の目的でしょうか。
 第八次選挙制度審議会の答申によりますと、小選挙区制と比例代表のそれぞれの特性について、小選挙区制は「政権の選択についての国民の意思が明確なかたちで示されること、その利点を挙げ、また、比例代表制については、「多様な民意をそのまま選挙に反映し、少数勢力も議席を確保しうる」ことを利点として挙げております。そして結論的には、民意の反映よりも政権選択を優先し、比例代表制を排して小選挙区制を採用したのであります。
 日本国憲法はその前文で「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と、政治の主体者は国民であり、国民の意思によって政治が行われるべきことを明確に宣言をいたしております。そして、国会が国民の代表で構成され、国会での議論を通じて国民の意思に基づく政治が実行されることを定めているのであります。
 この国会中心の政治を実現するために、憲法は、国会が国民の意思、すなわち民意を最大限反映したものとなることを求めているのであります。国会は民意の縮図でなければならないということであります。したがって、国民の代表を選出する選挙制度も、結果として国会が民意を正確に反映したものになるようなものでなければなりません。国会といえども、これに反する選挙制度を定めることは許されないのであります。
 もちろん、日本は議院内閣制をとっておりますから、政府をつくることも選挙の重要な眼目の一つではあります。しかし、国会議員の選挙は、第一義的には国会をつくることであり、ゆえに、政権の選択を第一義として小選挙区制を採用した第八次審の結論は誤りと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)民意の正確な縮図を国会につくるという意味からは、第八次審も認めているように、比例代表制こそ選択されるべき制度であると思うのでありますが、総理、いかがでしょうか。
 さて、先般来、私はアメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア等を訪れ、選挙制度や選挙の実態を見てまいりました。歴史的背景や現存の政治勢力、求められている課題等によって選挙制度は多種多様でありますが、各国とも、多様な民意をいかに議会に反映させるかという観点で活発な議論を展開をしております。
 小選挙区制のモデルとなっているイギリスでも、この制度が多様化する民意を正確に反映していないということから、比例代表制導入の議論が活発に行われております。近年イギリスでは、政党が左右の対立という構図にこだわったために、国民のニーズに十分こたえられたくなり、市民に理解を示す第三党、第四党への支持が高まってきており、保守党、労働党、そして第三グループである連合への支持が、一時期三分の一ずつになったことさえもあるのであります。
 ところが、小選挙区制であるため、一九八三年の総選挙では、保守党が四二・四%の得票率で六一・一%、労働党が二七・六%で三二・二%の議席を得たのに対し、連合は二五・四%の得票率でわずか三・五%の議席しか得られませんでした。続く一九八七年の総選挙でも、保守党は四二・二%の得票率で五七・七%、労働党は三〇・八%で三五・二%の議席を得たのに対して、連合は二二・六%でわずか三・四%の議席しか得られなかったのであります。
 その理由は、単に連合が第三番目の支持率だからということではありません。保守党が中南部イングランドで強く、労働党がウェールズ、スコットランド、北イングランドで強いというような、いわば地域政党化しているのに対し、連合の支持が地理的に広く全国に及んでいる分、小選挙区制では議席につながりにくいという結果なのであります。これは、第三党である連合の国民政党としての正当性を証明するものであるのに、地域的に支持の偏りのある二大政党には勝てないということであり、制度の不合理を如実に示しているものであります。
 それでも第三党の支持が減るわけではありません。ここが問題であります。二大政党が前提で小選挙区制というならわかりますが、イギリスですら二大政党が三大政党になったというのが現在の流れであります。この国民の中に現にある大きな第三の政治勢力が完全に無視されてしまっているのが現状であります。
 しかも、イギリスでは、かつて一九五一年に、労働党より得票率の少ない保守党が第一党となり、一九七四年には逆に、保守党より得票率が少ない労働党が第一党となったことがあります。議会制民主主義において、代表制の性格上、説明のつかない逆転は許されません。この一つをとっても、小選挙区制には政権の正当性そのものが否定されるという致命的な欠陥があります。
 ロンドン「ザ・エコノミスト」は、一九九一年五月の社説で「もう言いわけは要らない。現行の小選挙区相対多数制は、非民主主義なのだ。それだけで小選挙区制は取りかえられる必要があるのだ」と厳しく批判をしております。また、選挙制度の実態研究の権威であるデビッド・E・バトラー氏は、その論文の中で「私には、国会の小選挙区制が二十世紀の終わりまでもつなどということは、まずありそうもないことのように思われるのである」、このように述べております。総理は、こうしたイギリスの現状をどのように認識しておられるのか、お伺いをしたいと思います。
 小選挙区制は、イギリスでもうまくいっていないのが現状であり、いわんや、既に多党化している日本の現状とは全く相入れない制度であることは明白であります。利害や意見が多様化するにつれて、比例代表制が世界の大勢となりつつあります。比例代表制は、民意の正確な縮図を国会につくることでは他の制度が足元にも及ばない最良の制度であります。比例代表制には多様な形態があり、どのような制度を採用するかは、その国の実情を十分に踏まえたものでなければなりませんが、各国とも政党への投票のほかに、人の要素をとう組み入れるかに苦労いたしております。既に公明党は、この人の要素を組み入れた比例代表制として比例代表選挙区併用制を提案をいたしております。併用制に対する総理の見解を改めてお伺いしたいと思います。
 次に、第八次選挙制度審議会のあり方についてお伺いしたいと思います。
 本来、政治改革への努力は、立法府で各党の話し合いでなされるべきものであり、行政府たる内閣の主導で行われるべきものではありません。その意味で、第八次審が第七次審まではメンバーだりた国会議員を除外したことは、スタート時点で既に問題があったことを指摘をしておきたいと思います。
 総理は、答申が出れば最大限に尊重する旨繰り返し言明してこられたところでありますが、結果は、小選挙区比例代表並立制という自民党の政治改革大綱に沿った答申がなされました。審議会の意思はどうあれ、自民党の党利党略案に公的な性格、権威を付与する役割を果たしたと言っても過言ではありません。しかも、答申をもとにつくられたという政府・自民党案なるものは、総定数並びに小選挙区と比例区の割合、定数配分のあり方等、制度の根幹にかかわる部分で大きく食い違っており、自民党に一層有利な案になっております。しかも審議会は、あろうことか、自民党の党利党略によってゆがめられた定数配分をそのまま受け入れて区割りの諮問に応じ、答申をしていることであります。これでは自民党の諮問機関そのものではありませんか。こうした国民の疑念にこたえるためにも、まず私は、審議会の全議事録の提出を要求するものであります。
 特に区割りについて、総理は、審議会の専門家に案を示していただいたものでありと、盛んに公正さを強調しておられますが、選挙制度審議会は区割りをどこまで主体的に行ったのか。報道によれば、あらかじめ自治省がつくりていた二人区を分割した程度しか関与の余地がなかったなどということも言われております。公正な配分、公正な手続ということに関し余りにも重大な疑念があり、国民の前に審議会の区割りに関する委員会の全議事録の開示を重ねて強く要求するものでありますが、総理、出すお考えはおありでしょうか。(拍手)
 次に、一票の格差と区割りについて具体的にお伺いをいたします。
 総理は、三倍を超えた現行定数の抜本是正について、選挙制度の抜本改革の中であわせて行う旨繰り返し言明をしてこられました。ワンマン。ワンボード・ワンバリュー、すなわち一票等価の原則こそ議会制民主主義の大原則であります。一人が二票を持つことはこの原則に反する。したがって、格差は二倍未満、第八次審の答申の基本的な考え方もそうであったと思うのであります。
 ところが、発表された区割り案は、最高格差二・一五倍、しかも二倍を超える選挙区が全体の約一割の二十七選挙区もつくられております。このような初めから格差二倍未満が守られないような区割り案は全く不公平であり、民主主義制度としては失格であります。政府には、公平という最も重要な観点が欠如していると言わざるを得ないのであります。この点、総理はいかが認識をされておりますか。また、総定数をまず都道府県別に配分をしておりますが、その理由は何でしょうか、あわせて明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、具体的な区割りについても看過できない問題があります。一見して極めて不合理な、恣意的な市の分割や組み合わせ、飛び地など、自民党有力議員の地盤が驚くほどそのまま選挙区になっている例は枚挙にいとまがありません。このような不合理な定数配分や区割りで国民は納得するでありましょうか。政治不信はますます募るばかりではないでしょうか。これもひとえに小選挙区制を無理やり導入しようとするところから生じてきているひずみであります。それでも総理は、定数配分や区割りは公正、公平に行われた。このように言い張るおつもりなのでしょうか、お伺いをします。
 次に、政治資金規正法改正案についてお伺いをいたします。
 最近、現職の大臣に、秘書や事務所を提供し、それを会社の経費として損金処理をしていた企業が、国税当局から追徴されるという事件が相次いで発覚をいたしました。それぞれ政治家に対する立てかえ金ということで修正申告されたようでありますが、明らかに政治献金であり、政治資金規正法違反であると思いますが、いかがでしょうか。
 また、派閥の領袖の政治団体が、多額の政治献金を受けていながらこれを政治資金収支報告書に記載していなかったという事件が発覚をいたしました。担当者の初歩的ミス、このように弁明しておられるわけでありますが、当の担当者は、このことが表に出るとは思わなかったと、最初から政治資金規正法違反であることを承知で行っていたというのでありますから、言語道断でございます。これらの点について、自治大臣、責任大臣としていかがお考えでしょうか。修正報告すればそれで事が済むというようなことでは、政治資金規正法などあってなきがごとしであります。このようなことが許されるはずはありません。総理、この問題にどのように対応なさるおつもりなのか、お伺いをしておきたいと思います。
 今回の政府案について、総理は、政党中心に調達するという流れをつくるとともに、政治資金の公開性を高め、規制の実効性を確保すると述べられております。確かに一歩前進が見られるものの、最も重要な企業、団体からの政治献金については、現行法ですら将来的には廃止をするという方向を明示しているにもかかわらず、逆に、政治家個人の後援会などが企業献金を受け取ることを、五年後一社二十四万円までにせよ、これを容認してしまったことであります。明らかに後退であります。総理、企業・団体献金を全面的に廃止する考えはおありにならないのでしょうか、お伺いをします。
 さらに、政治資金パーティーについてであります。まず、これを寄附とは別枠のものとして認知
し、制度化してしまったことは、甚だ遺憾であります。一千万円以上のパーティーは政治団体が主催し、収支を公開することとしたものの、それ以下であれば年間何回やっても公開したくてもよいことになります。しかも、購入者については、六十万円以上の氏名を公開するのみであります。また、購入限度額を、政党、政治資金団体のパーティーは百五十万円、それ以外のもののパーティーは百万円としたが、それは一件ごとのパーティーの規制であり、年間の総額規制ではありません。これでは献金と名のつかない大規模な政治資金収集の手段となり、近年批判の的となりている政治資金パーティーと何ら変わりません。むしろ、大手を振って堂々と行えることになります。総理の言われる政党中心の資金集めということなら、少なくとも政党のみに開催を許し、政治資金規正法の枠内とし、すべてを届け出るようにすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 以上述べてまいりましたように、小選挙区比例代表並立制は、民意を反映しないばかりか、政治改革が本来なさねばならない金権腐敗政治の根絶にも役立たないことは明らかであります。速やかに並立制導入を中心とした政府三法案を撤回し、政治倫理を確立し、比例代表を中心とした選挙制度を導入すべきことを強く主張するものであります。
 なお、総理の答弁によっては再質問を行いたいと思いますので、時間を留保いたします。
 以上です。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 井上議員にお答えをいたします。
 政治不信解消、そのためには政治倫理の確立が重要であるという御指摘については、これは私も同感でありますし、政治倫理の問題については、この三法案を提出すゑ則、既に昨年、自由民主党において政治倫理確立のためのいろいろな問題についても考えをまとめ、特に国会議員等の資産公開法の問題や国会の政治倫理審査会の問題等については院に提出をして、事柄の性質上、これは政府が介入して決めるよりも、各党各会派の御意見において適切な結論をお出しいただくことが、議会政治のためにも適切に扱われるであろう、こういう判断でお話し合いを見詰めさせていただいてきておるところでございますから、適切な結論が出ますことを強く期待をいたしておるところであります。
 なお、政治倫理確立とともに政府が今提案をし、お願いをしておるのは、必要以上に金のかからない政治活動や、あるいは政党を中心とした選挙が実現できるように、これまでの個人を中心とした政治や選挙の仕組みを政党本位に改めていくことが大切だと考え、三法案を出しているところであります。
 民意の正確な縮図を国会につくるという意味からも比例代表制は大切ではないかという意味の御指摘がございました。
 私は、小選挙区制というものは、これは民意を敏感に議席数の変化に反映させるものだと受けとめますが、同時に、この制度に対しては少数意見が反映されにくいという批判等もあるわけでありますから、比例代表制を加味するということは、少数意見の国政への反映にも配慮したものでありまして、審議会の答申を踏まえてその内容を織り込んだ適切な制度であると考えております。
 また、連立政権となる場合には、政権を担当する政党が国民によって直接選択されるのではなく、政党間の交渉によって決定されてしまうという問題があることなどから、この方針をとらなかったわけであります。
 また、イギリスにおける小選挙区制の問題についていろいろな御議論をいただきました。率直に言って、御指摘のように、イギリスでは現在の制度についていろいろな意見のあることは私もよく承知をいたしております。
 しかし、例としてお引きになったバトラー教授の御発言の中にも、私がバトラー教授の発言を読んでみますと、過半数の議席を獲得し得る政党が存在する間は改革されないでしょう、改革があるとするなれば連立政権が二、三回続いた後でしょうから、そういった状況はなかなかないだろうと思いますと書いておられます。これはやはりその一部であることは私も率直に認めます、いろいろなことを言っていらっしゃるから。だから、国によって選挙制度というのはいろいろの文化や歴史や伝統を経て違っておるわけでありますし、それに対する意見の見方もたくさんあるわけですから、私は、そういう意見のあることは否定いたしませんけれども、我が国の選挙制度は我が国の国会において御議論をいただき、お決めをいただくべきものであろう、このように考えております。
 また、比例代表制というのは、多様な民意をそのまま反映するという特性を持つということは、これは御指摘のように私もそのように認めますけれども、これは小党分立となって連立政権となる可能性が非常に高いこと、連立政権となる場合には、政権を担当する政党は国民の直接な選択ではないんです。これは、政党間の交渉によって決定されてしまうというような問題があることから、これをとらなかったのであります。
 また、選挙制度審議会の議事録を全部公開しろとおっしゃいますが、第一回の総会のときに、選挙制度審議会の委員が自由に発言できるようにするため、会議は非公開にする、議事録も非公開の扱いにするということを委員の皆さんがお決めになっておるというふうに私は承知をいたしております。
 また、区割り作業は選挙制度審議会にお願いをいたしました。それは、政府がやるよりも、第三者機関である審議会でおやりいただくことがより公正であると思ったからであります。また、選挙区間の格差は一対二未満とすることを基本原則としてお願いをいたしましたが、一対三を超すような現状から比べると、この基本原則に従って改革が行われれば、ほぼ縮小という大きな目標が貫かれて、一対二の基本原則が貫かれるものになろうと考えております。
 また、総定数を都道府県ごとに配分したのは、今までもいろんな御意見の中に、過疎地域への配慮をしろ、多極分散型国土の形成等の政策課題への配慮をしろなどの面から、人口以外の要素を取り入れるべきではないかとの御意見や御要望も各方面にたくさんあったところであります。都道府県にまず一人ずつ配分しているのは、これらの意見を踏まえて、人口の少ない県に対して定数配分上配慮しようとしたものであります。
 不合理な定数配分あるいは区割りとおっしゃいましたが、今申し上げたような考え方によっていろいろな配慮がなされておるわけでありますが、これは公正、公平な定数配分の原則に従って、公正な第三者機関がお決めいただいた区割りであると、私は今もそう信じております。
 また、多額な政治献金の発表を受けて、その修正報告をすればいいとおまえは思っておるのかというお尋ねでありましたが、私は、特定の政治団体のいろいろな収支状況について具体的な事実を承知してはおりませんが、ただ、政治資金規正法にのっとって厳正に取り扱われるべきものであることは当然であると考えます。
 また、御指摘になった両閣僚の件につきましては、今後ともきちっとした対応をすると同時に、政治家として気をつけていかなければならない大いなる反省材料だと考えております。
 また、企業、団体等の献金を全面的に廃止する考えはないかとのことでございますけれども、これは各界の有識者から成る審議会においても幅広く御議論があったところであります。企業や組合やその他の寄附というものをどう扱ったらいいのか。これについては、そういったものの寄附は原則として政党に対するものに限り、かつ適切な経過措置を講ずることが必要という結論が出て、答申にそのように記されております。私どもはその答申の趣旨を尊重して、法案作成に努力をしたところでございます。
 政党中心の資金集めというならパーティーをやめたらどうかということでありますが、パーティーの収支の明確化を図るために、行き過ぎが起こらないように、大口のパーティー券の購入規制及び多額購入者の公表を行うこととして、今後とも行き過ぎを是正し、節度あるものにしていこうとする努力がこの中に組み込まれているということもどうぞ御理解をいただきたいと思います。
 残余の問題につきましては、関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#22
○国務大臣(吹田ナ君) 先ほど、私に関する問題でございますから、御答弁をさせていただきますが、企業からの秘書の提供の問題について、お尋ねは、私から答える方が適当であろうと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
 この件につきましては、昨日、実は日野先生や、あるいはまた先ほどから秋葉先生、三野先生から、それぞれ私に対しての御指摘がありました。それに対しまして若干のお答えはいたしましたものの、事実関係につきまして、さらに補足して説明をさしていただきます。
 今回、名前が出ております広栄物産という会社は、私が県議会議員時代に、石油製品や土木建築工事材料の販売を目的として設立した会社が前身であります。他の勤めから定年退職した人たちを中心として、今日会社を持っておりますが、小さな会社でありますし、余り朝から晩までの非常な多忙な会社であるということでもありませんものですから、社員が仕事の合間に自主的に後援会活動を手伝ってくれておるわけであります。過去の税務調査では、特に指摘を受けたことはなかったわけでありますし、私といたしましては、この問題については十分理解されていると思っておりました。
 今年の税務調査で指摘を受けましたものですから、直ちにそのとおりに直すように指示をいたしております。会社におきましても、修正申告を行ったと聞いております。
 このような事情なのでございまして、収支報告につきましても、記載されておりません。これを機会に、後援会と会社という関係をきちっと見直して、収支報告の関係も明確にするように指示したわけであります。
 政治資金規正法との関係を申し上げますならば、結果としては給与相当額、いわゆる私の方を手伝ってくれた職員の給与相当額、これは会社が立てかえて支払ったことになりますので、この立てかえ金を後援会が会社に支払っていくこととなるわけでありますから、同法で言う寄附には該当したいというふうに考えておるわけであります。
 それから、先ほど派閥の領袖云々ということでの御指摘がありました。このことにつきましてお答えいたしますが、どのような事情で報道されたようなことが生じたのか、具体的には実は事実関係を私は承知いたしておりません。政治団体である限り、政治資金規正法にのっとり適正な収支報告が行われるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
#23
○副議長(村山喜一君) 井上義久君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。井上義久君。
    〔井上義久君登壇〕
#24
○井上義久君 ただいまの総理の答弁は極めて不十分でありますので、私は、再度お伺いをいたします。
 まず、比例代表についてお話がございました。
 私は、国会議員の選挙はあくまでも国会議員を選ぶ選挙であって、政権を選ぶ選挙ではないということを初めに申し上げておきたいと思います。
 比例代表は、多党化をもたらし、政権を直接選べない、政治を不安定にする、このようなお話でございました。しかし、比例代表に基礎を置くドイツやオーストリアでも、例えば二大政党の国もあれば、フランスのように小選挙区に基礎を置いても、多党制の国もあるという例示だけで十分な反論となると思います。多党化するから連合政権にならざるを得ない、そうすると政権が不安定になり、国民の目から見えなくなるということも一概には言えないのではないかと思います。
 さらに重要なことは、二大政党と多党制のいずれを良とするかは国民が決めることではありませんか。あくまでも民意にゆだねるべきであると私は思います。(拍手)
 また、政権の安定と言いますけれども、日本の国民は、各種の世論調査が示しておりますように、一党による政権安定より与野党伯仲を望んでいるのが現状であります。総理は、この点についてどう認識をされているのか、再度お伺いをいたします。
 それから、定数配分についての答弁は到底納得できるものではございません。審議会の案は人口比例だったではありませんか。ところが政府案は、人口の多いところに配分されるべき多くの議席が、人口の少ない県に回されております。答申が示した数字と比べても、十五議席も人口の多い都道府県から削られ、人口の少ない県に上乗せされる結果となっております。過疎地域への配慮、このような答弁がございました。人口の多い都道府県が、それでは必ずしも過密地域でしょうか。少ない県が、それでは過疎地域でしょうか。必ずしもそうではございません。したがって、このことは理由にはなりません。例えば人口が多いとはいえ、過疎地域の多い北海道から、過密ながら面積が少ない香川県に定数が回されていることを考えれば、不合理は明確であります。
 そもそも過疎対策は、何も議員の数をふやすことではありません。それは別の対策として政治が考えるべきことであると思います。選挙制度に最も重要なのは公正さの確保であります。特定地域の議席が多く、別の地域は議席が少ないということは、議会の構成の公平を害し、国民の代表としての根拠を損なうものにほかなりません。定数を人口比例で配分しない政府案のやり方は、結局どう言っても説明できるものではありません。これは、議会制の根本についての政府の甚だしい無見識を示すものと言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。納得のできる答弁を再度要求するものであります。
 また、区割りについて公正に行った旨の答弁がありました。新聞報道によりますと、自民党の渡辺元政調会長は、私のところは、これは政府案の栃木三区でございますけれども、那須郡など金城湯池だけが選挙区になり、私の弱いところは全部離れてほかにくりついたので反対のしょうがない、だれが一体つくったのか、配慮してつくったと思う、だれか政治家がかかわらなくてできるのかという疑問さえ実は持っていると述べておられます。
 派閥の領袖のお一人が、区割りについてゲリマンダーリングが行われていることを、暗に認めていらっしゃるわけですけれども、総理はこのことをいかが説明をなさいますか。
 それから、企業・団体献金を全面的に廃止する考えはないということでありますけれども、ロッキード事件、リクルート事件などに象徴される政治に巣くった金権腐敗体質を一掃することが、国民の強い要求であります。政治への国民の信頼を回復するためには、繰り返しますが、政治献金を媒介とした企業と政治家の癒着を断つことであります。今回の改正案は、それにこたえられるものではありません。まず、企業・団体献金を廃止することであります。これを実施して初めて金権腐敗体質の政治、利益誘導型の政治に終止符が打たれるものと確信をいたします。
 また、政党助成法案が提出をされておりますが、企業・団体献金を認めたまま、国民の納めた税金の中から政治資金を政党が受け取るということは、到底容認されることではありません。政治家がまずみずからの身を削って初めて議論をすべきものと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 最後に、第八次選挙制度審議会の会議録の開示について、非公開を原則として出発をした。このような答弁でございました。
 民主主義の基本であり、政治の基本を決める選挙制度を諮問し、それに基づいて政府案がつくられた。このような重要な問題を審議した審議会の議事録が国民の前に明らかにされない、こんなことは断じてならないと私は思うのであります。出すのか出さないのか。出さないとすれば、これまでの審議会が出していたものを今回はなぜ出さないのか、明らかにすべきであります。私は、重ねて第八次選挙制度審議会の会議録の開示を強く要求するものであります。
 以上をもちまして、私の再質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 井上議員にお答えいたします。
 諸外国の例を引いて、併用制は不安定というのは間違っておるという御指摘でしたが、先ほどもここで私は詳しく申し上げたつもりですけれども、要するに、政権が安定する、安定しないというようなことは、それぞれの国の国民がそれでよしとするかしないかというところに基盤があるということは、率直にそのとおりです。けれども、日本の案をつくるときに、ドイツの例を引かれましたが、私もドイツとの定期協議のときに各党の皆さんとお訪ねしても、連合政権であるから、相手政党との間の政策に今重要な問題が起こってきたから、そちらに優先的に時間をとられるから、今回の会合は、ちょっと悪いけれどもその方を優先させるから不成立になると断られて、ドイツまで行うて、それは大事な連合政権の中の政党間合議ですから、議員としてはわかると言って認めて帰ってきたことも私の思い出の中にはございます。
 そういうことで、必ず二大政党になってそれでうまくいっておるというのは、ドイツはドイツ、日本は日本ですから、そのことはきちっと分けて御理解をいただきたいと思いますし、私は何度も申し上げておるように、やはり国民が直接政権のあり方を選択するのが、今の衆議院の議員の選挙制度であると私は思っておりますから、少なくとも私はその方が正しいと確信をしておるのですから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
 また、日本の国展は一党による政権安定を望んでおらない、与野党伯仲を望んでおる、こうおっしゃいましたが、私は、選挙の結果をそのまま謙虚に、厳しく受けとめていくのが政府の責任であろうと考えております。
 また、定数の問題についても、人口比例の問題だけにこだわりているのではないということについて、これも先ほど申し上げましたけれども、いろいろな御意見がございました。
 定数是正に対する国会決議の中にも、「過疎・過密等地域の実情に配慮した」という文言もあの決議案の中にも入りておるわけでありますから、人口比例だけでやれということではなかったと私は理解をしておりますし、また、そういった意見を入れてそのようにしていくことが大切なことであり、そのような角度の御意見が今度の本会議を通じて御議論の中にも出てきたのではなかろうかと私も思っております。
 また、区割りがゲリマンダーではないか、だれか自由民主党の方の発言を例に引いておられますけれども、世の中には、結果としてそのようになりており、結果としてそう受けとめてくださった方があるかもしれませんが、全くだれも関与しないで公正、公平な区割りをつくりたんだと、これは素直に認めてくださいよ。それまで疑うようになったら、それはいけません。
 企業・団体献金を認めたまま公的助成をするのかということでありますが、これは制度面でも、選挙や政治活動が政党中心となることによって、この政党の助成というものも創設しようとしておるわけでありますから、企業や団体などの寄附については、選挙制度審議会の答申を尊重して、原則として政党に対するものに限るとしております。現行制度のままで政党に対する助成制度だけを導入することは適当ではないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(村山喜一君) 吉井英勝君。
    〔吉井英勝君登壇〕
#27
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる政治改革三法案について質問いたします。
 そもそも今回の政治政章の出発点は、八八年に発覚したリクルート疑獄であります。自民党は政治改革大綱で「リクルート疑惑をきっかけに、国民の政治にたいする不信感は頂点に達し、わが国議会政治史上、例をみない深刻な事態をむかえている。なかでも、とくにきびしい批判がわが党に集中している。」として、そして自民党政府は、巨額の金を必要とする政治の仕組みに目を向け、金権体質をもたらす根源に踏み込み、政治のあり方そのものの抜本的な改革を行うとしておりました。
 ところが、今回の三法案は、これら政府・自民党みずからの言い分さえ全くすりかえて、議会制民主主義を破壊する小選挙区制の導入と金権腐敗を深める企業献金拡大を強行しようとするものであります。これは、政治改革を求める国民の期待を裏切るものと言わなければなりません。総理の所見を求めます。
 企業献金については、財界人がその本質をみずからずばり語っています。亀井正夫経団連副会長、第八次選挙制度審議会委員は「企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格をもっている」とし、経済同友会代表幹事であった石原俊氏は「企業が議員に何のために金を出すのか。投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する。」と公に語っております。また、日経連政策委員の諸井氏も「企業の立場で言えば、本来、企業にとってプラスにならないことに金を出すことは株主に対する背信行為であり、何かプラスのことをやろうとすると本質的に汚職」になると当然のことのように語っています。
 昨日、我が党金子議員の質問に総理は答弁を避けましたけれども、財界のトップみずから認めているように、企業献金が本質的にわいろ性を持っているということは明白ではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 あなたは、最近の自由新報での対談で、みずからの三十年の議員活動の経験を踏まえて、「時間と労力」をかけ、「企業を訪問し、お礼をいいながら政治活動資金をもらって帰ってくる」「その時になんとも侘しい気持ちを感じる」と語っています。わびしい気持ちになるのは、後ろめたいものだからではありませんか。
 また、そうまでして集めた政治資金を何に使うのですか。自民党の政治改革大綱では、中選挙区制のもとで「後援会組織の維持と膨大な有権者への手当のため、多額の金がかかる」としていますが、その「有権者への手当」とは一体何なのか、あわせて伺いたいと思います。(拍手)
 総理、あなたは同じ自由新報の中で、「ユートピアの皆さんが年間経費を公表されたが、平均すると一億二千万円ほどだった」が、「私のところも改めて調べてみると、やはり同じようにかかっていた。」と述べています。企業から金を集め、それを膨大な有権者に手当てして、そして議員の地位を得て、企業の利益に尽くす、これは金権政治そのものではありませんか。総理の見解を問うものであります。
 総理は、企業は社会的存在であるとして企業献金を容認しています。しかし、社会的存在といえば、暴力団も外国企業もすべてそうであります。あなたは、社会的存在からの献金は何でも許されると考えているのですか。そもそも政治献金は、国民の政治参加そのもの、憲法で保障された国民の参政権の行使です。この参政権は、投票権とともに主権者である個々の国民に保障された権利であり、憲法は企業に対して参政権や投票権を認めてはおりません。
 このことは諸外国でも同様であり、だからこそ、例えばアメリカでも、八十年余り前、連邦の銀行及び会社が連邦の公職選挙に関して寄附することを禁止する立法、すなわちティルマン法が制定され、同年のニューヨーク州控訴院判決で、政治献金は国民の政治参加、参政権の行使であり、企業献金は選挙人の権利を侵害するとしています。国民の参政権、投票権を侵害し、金の力で政治を動かす企業献金というものを、それでもあなたは認めるのですか。
 政治資金規正法第二条、基本理念では、政治資金は国民の浄財であるとうたっています。営利を目的とする企業の献金は営利資金の拠出であって、決して国民の浄財ではないのであります。企業の政治献金は、財界トップの言にもあるように実質的なわいろ性を持つものであります。禁止するのが当然ではありませんか。総理の見解を伺います。(拍手)
 さて、これまで第一次、第二次、第五次の選挙制度審議会の答申では、企業献金の禁止を打ち出し、政府答弁でも政治献金は個人献金が望ましいと述べてきました。七五年の政治資金規正法改正の際にも、附則第八条で、企業・団体献金のあり方について、同法施行の五年後に、さらに検討を加えるとしたのも企業献金が望ましくないとする立場でした。ところが、今回の改正案でこの条項を削除してしまい、一方で、企業、団体からの政党への献金枠を最大一億五千万円まで、現行の一・五倍に拡大し、さらに、政治献金に対する税制上の優遇措置を法人にまで拡大してこの規正法案に書き込み、これによって政党への企業献金を一層奨励するものとなっています。これは企業献金の制限、禁止の方向から企業献金を拡大強化する方向への百八十度の転換です。総理、これでは政治改革ではなく政治改悪ではありませんか。
 また、リクルート事件で問題になり、これまで脱法行為として行われていた政治資金パーティーの名による政治献金を法案で合法化していることも重大であります。一枚二万円から五万円のパーティー券を、百万円、百五十万円と企業がまとめ買いをして、パーティーに出席しなくても、それはパーティーへの参加費であって寄附、すなわち政治献金ではないなどという理屈は全く通用しません。政治資金パーティーは、政党はもとより個人でも政治団体を名のれば合法とされ、しかもパーティー開催回数にも、企業側の購入回数にも何ら制限はないのであります。これでは無制限に形を変えた企業献金を容認するものではありませんか。
 さて、政治改革と称して提出された関連三法案は、リクルート事件の反省と言って出発しながら、自民党の一党支配体制を保障する小選挙区制の導入にすりかえるばかりか、小選挙区制によってますます金権選挙が横行するものであります。しかも政治資金の改正案は、指摘いたしましたように、政党への企業献金を五割増しにし、個人や政治団体に対しても新たにパーティー券の販売を認め、企業献金を温存するものであります。
 その上、小選挙区制とセットで政党に国庫助成をするということは、自民党が小選挙区制で議席を実力以上に獲得した上、助成金もその議席数に応じて第一党である自民党に特別に有利に配分される結果、まさにこれは自民党助成法案となり、結局、金権政治と政治腐敗を助長して、国民の期待に逆行するものであることは明白ではありませんか。総理の所見を伺います。
 さらに、政党への国庫からの助成は、権力による政党への干渉、介入に糸口をつくるものであり、憲法の保障する結社の自由を脅かすものであります。とりわけ、国会議員五人以上または国政選挙で二%以上の得票を獲得できない政党に対しては国庫助成をしないなどとすることは、まさに憲法の保障する結社の自由に明確に反するものです。総理の所見を問うものであります。
 さらに、法案では、助成金の支出に関する帳簿の記載、報告書などへの記載に誤りがあったとして警察権力が政党に介入することが可能となっています。しかも、自民党の政治改革大綱が「国庫補助を中心とした政党法の検討」をうたい、選挙制度審議会が「政党に関する法制の整備」を答申し、自民党幹部によって政党法制定のたび重なる発言がされております。本法案を糸口にしての政党法の導入を懸念せざるを得ません。
 最後に、小選挙区制は、主権者国民の多数の意思を国会から締め出し、四割の得票で自民党が国会議席の八割を独占するものです。この議会制民主主義を破壊する小選挙区制導入を柱とする政治改革三法案の撤回を強く要求して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 最初に、井上議員に答弁の補足をさせていただきますが、議事録の問題につきましては、先ほどもお答えしたように、第八次選挙制度審議会の第一回の総会において、参加された委員各位が、この際自由に発言できるように会議は非公開にし、議事録は非公開の扱いにするということを第一回の冒頭の会合で御決定になったものと、こう思っておりますし、私どもも、その答申は尊重いたしますが、一々審議の中にまで政府が予断を持って介入することはいけないことと思ってその御決定に従ってきたわけでございます。
 次に、吉井議員にお答えをさしていただきます。
 政治倫理や政治資金をめぐる問題の底流には、個人本位の現行選挙制度の問題があるものと私は考えており、政党本位の活動や選挙を実現するため、中選挙区制にかえて小選挙区比例代表並立制をとることを提案したところでございます。政治資金も政党中心に調達するという流れをつくることにいたしました。したがって、法人やあるいは団体等の献金は原則として政党に限るということにいたしております。また政治活動には、これはある程度資金が必要であるということは、どなたもお認めのことと思います。
 問題は、政治活動や選挙の大部分を今政治家個人が対応しなければならない制度のもとにおいて、私も確かに時間と労力を多く使ってきたということを率直に対談で話したことはそのとおりでございます。むしろそれは政治活動の本来の活動の方に向けることがしたい、そのような仕組みに変えたいという願いなのであります。
 企業が社会的存在であるというなれば、ほかの社会的存在は何でももらっていいのかとおっしゃいますが、そんなことは言っておりません。それは法によって許されるものという大前提があることは当然のことでありますし、そのために政治資金規正法もあり、また、企業が行う政治献金が常に見返りを求めるものであると決めつけてしまうのは、これはどうかと思いますし、会社の政治献金も法によって許されているものでありますから、このことについては最高裁の判決においても、企業の政治献金についてはこれは許されるものがあるということは、きちっと認めておるわけでありますから、それまで否定することはいかがと思います。ただ、特定企業との癒着を疑わしめることのないように節度を持って行わなければならぬということは、これは当然のことと受けとめております。
 また、法人枠の拡大と税制上の優遇措置について言われましたが、今度の政治資金制度の改革においては、政党中心の政治資金の調達といたしております。政党に対するものに限り、政党枠というものを独立させて、その限度を、拠出する側から見れば現行のとおりにいたしました。それは、団体によっては、従来その他の政治団体に対して行っていた寄附を政党に対して寄附することができるようにするものであって、寄附枠の全体として見れば、これは拡大ではなくて従来のままである、こういうことでございます。これは御理解をいただきたいと思いますし、また、政党への献金については損金算入を認めようとするものであり、これは実質的には資本金の小さな中小法人だけに効果が及ぶものと思われております。また、政治資金の流れを政党に向けるための五年間の経過措置でありますが、寄附の限度を変更するものではなく、必ずしも全体として拡大していこうということではございません。
 そして政党助成の導入は、これは、政党に対する公的助成というのは、政党の活動そのものが国家意思の形成に寄与し、公的性格を持っておることにかんがみまして、あわせて、政治資金制度や選挙制度の改革によって選挙や政治活動が政党中心になっていきますから、政党の機能がより重要になりていきますので、諸外国の状況等を勘案して創設しようとしておるものであります。政治資金の公開性を高め、罰則の強化など、規制の実効性を確保するなど選挙の腐敗行為の防止措置もあわせて講じており、このような一体として改革を行うことによって、国民の皆さんの理解を得ることのできる環境も整備されるものと考えております。
 このことについては政党への干渉、介入に道を開くものではございませんし、また、一定の国会議員の数と得票率という国民の支持を反映する客観的な基準によってその要件を定めることにしておりますし、その使途を制限することもなく、政党の自覚と責任にゆだねることにしておりますし、ただ、収支の報告の公表を通じて国民の監視と批判にゆだねる仕組みにしたいと思っておりますから、政党に対する権力の不当な介入になるものではないと政府は考えております。
 残余は関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#29
○国務大臣(吹田ナ君) 吉井先生にお答えいたします。
 政治資金パーティーにつきまして御意見ございましたが、このことにつきましては、節度ある開催を図るために、選挙制度審議会の答申に基づきまして、パーティーの収支の明確化を図るとともに、行き過ぎが起こらないようにするために、大口のパーティー券の購入規制及び多額の購入者の公表を行うことといたしておるものであります。これらの改革により、政治資金パーティーの行き過ぎが是正され、節度あるものになるものと私は考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○副議長(村山喜一君) 中野寛成君。
    〔中野寛成君登壇〕
#31
○中野寛成君 私は、民社党を代表し、政治改革三法案に対して質問をいたします。
 選挙制度の抜本改革は、衆議院、参議院の果たすべき役割を明らかにした上で同時に行うのが筋道であります。第八次選挙制度審議会は、この観点から、参議院の選挙制度についても、現行の比例代表選挙を非拘束式に改めるという答申を出したのであります。総理は、常々、選挙制度審議会の答申を尊重すると言われております。しかし、今回の衆議院選挙制度改革案は、我が国の二院制のもとでの議会制民主政治をどうするのかという理念もなく、衆議院のみ先行して提案されたものであります。その結果、現行の参議院選挙制度と今回の衆議院選挙制度改革案は、極めて似通ったものとなっているのであります。
 もし、自民党の好むダブル選挙がこの制度のもとで行われたとしたら、比例代表区は全国を選挙区とする点で両制度とも同じであり、選挙区の単位が、都道府県を単位とするのか、小選挙区を単位とするのかという違いしかなくなってしまうのであります。これでは、国民の目から見れば、何を基準に両院の議員を選べばいいのかわからなくなってしまいます。
 総理は、なぜ今回、審議会答申の参議院に関する部分を無視し、衆議院の選挙制度のみ先行して結論を出し提案されたのか、御見解を伺いたい。
 次に、衆議院定数の抜本是正の問題についてであります。
 昨年の国勢調査速報値によりますと、議員一人当たり人口格差は三・三八倍となり、最高裁が違憲状態と判断している三倍をはるかに超えております。さらに本年五月には、大阪高裁において、昨年の総選挙時点での格差三・一八倍に関して違憲判決が下されました。選挙権の平等は民主政治の基本であり、国民が緊急に求めているものであります。
 我が党は、既に本年一月、総定数五百一、格差二倍未満を原則とする抜本是正案を発表いたしました。政府・自民党は今日まで、定数の抜本是正は(影響を受ける選挙区が多過ぎてとても実現できるものではない、したがって、選挙制度の抜本改革の中で格差解消も同時に行うとの主張を繰り返してきました。しかし、今回の区割り案では、その自民党の党利党略により、格差二倍未満にするという目標さえも崩されているのであります。
 ちなみに、我が党の定数是正案では、区割り、定数とも変更がない選挙区が三十三、区割りを変更せず、定数増の選挙区が二十三、合区する選挙区を除けば、純粋な区割り変更、定数減の選挙区は四十選挙区であります。確かにこれだけでも大きな変革でありますが、三百の小選挙区を全国につくることに比べれば実現しやすい案であると考えます。(拍手)定数の抜本是正は、民意をより公正に反映することにつながる当面実現できる最大の政治改革であると思います。
 総理は、定数是正に関して、従来は、立法府の問題であるから国会の各会派の協議に任せるとの立場で一貫してまいりました。ところが、今回の政府案では、定数是正も選挙制度の抜本改革の中で行おうとしているのであります。国会には定数の抜本是正をうたった昭和六十一年の決議が厳然としてあり、これに基づいて、自民党の政治改革案の対案、いや、それ以上の定数の抜本是正案が、我が党を初め他の野党からも提案されているのであります。このような国会みずからの努力と決議を無視し、政府が前面に出て、選挙制度改革の中で定数是正までも行おうとする法案を提出してくることは、今日までの自民党の国会内における怠慢を隠ぺいしようとするたくらみであり、立法府に対する重大な越権行為であります。総理の明確なる答弁を求めます。
 次に、並立制導入の最も大きな理由とされている政権交代の可能性についてであります。
 政府・自民党は、一昨年の参議院選挙における二十六の一人区の例を挙げて、小選挙区であれば、政権党に失敗があったり、スキャンダルがあった場合には、政権交代の可能性があると盛んに吹きまくっておられます。たとえ担当大臣のお名前が吹田さんでも、それはいただけません。時を選ぶことができない参議院選挙と違って、政権選択の選挙である衆議院選挙では、今日までも多く見られた解散権の恣意的乱用により、決しでそのような時期には解散はしないでありましょう。
 さらに、参議院選挙の比例代表区では、導入時の一九八三年以来、自民党は一貫して得票率は四〇%を切っているのであります。自民党は、この比例代表における目減り分を小選挙区部分でカバーし続けて、参議院における与野党逆転を辛うじて防いできたのであります。まさに小選挙区制は議席の独占と固定化を招き、政権交代の可能性を阻害してきたのであります。前回の参議院選挙の一人区の結果は、そのような小選挙区制でも四十年に一回程度は政権交代が起きるということを実証したにすぎません。政権交代が起きやすいのは、得票を公正に議席に反映する比例代表制の方であるのは明らかであります。
 また、この参議院選挙で比例代表区の社会党の得票率は三七%でありましたが、その票を並立制に当てはめると小選挙区でも圧倒的多数となり、政権交代が起きていたとこれまた吹聴する人がいます。しかし、自民党であろうと社会党であろうといかなる政党であろうとも、得票率が過半数に至らない政党が単独で政権をとり得る制度をつくろうとするこの考え方自体、極めて民主主義を踏みにじる考え方であります。(拍手)
 現実に、自民党は、衆議院選挙において一九六七年の第三十一回総選挙以来、得票率では九回連続して一貫して過半数を割っております。ゆえに、定数是正によって得票率と議席率が一致する制度が確立されておれば、既に政権交代は幾たびも行われているはずであります。この並立制の導入によって政権交代の可能性が高まるなどと言われる総理のお言葉は大いなる欺瞞と考えますが、御見解を伺いたい。
 次に、民意を公正に反映しないという並立制の最大の欠陥を事例を挙げて指摘したい。
 昨日、我が党の米沢書記長からイギリスの事例を挙げて指摘いたしましたが、外国の例を見るまでもなく、我が国の選挙においてもそれを証明することができます。さきの統一地方選挙における我が国の県会議員選挙では、全選挙区千百二十七区中、四一%に当たる四百六十三選挙区が定数一名の、言うならば小選挙区で行われております。我が党の試算によりますと、これらの一名区における死票は四五%にまで達しております。さら庭、一名区のうち無投票当選は、四百六十三選挙区の四八%に当たる二百二十一選挙区にも及び、有権者は約半数もの小選挙区でみずからの権利を行使できない状況に追い込まれているのであります。
 既に我が国で実施されているこれらの一人区の事例、すなわち小選挙区の事例を見れば、民意を公正に反映しない制度であることは明々白々であります。(拍手)
 さらに、小選挙区制を中心とする制度は、戦前、我が国で八回の経験を持っているのであります。この経験が好ましいものでなかったことは、昭和二十二年、中選挙区制を採用する際の提案理由説明で明らかにされています。第一に、地方的人物のみが多く選出される、第二に、選挙抗争が激烈となり、情実と買収が横行する、第三に、官権乱用による干渉、第四に、議員の行動が地方的問題にのみ傾く、と小選挙区制の主要な欠陥を挙げられているのであります。この過去の経験の深刻な反省になぜ学ぼうとしないのでしょうか。
 昨日、総理は、時代が違うとお答えになりました。それは、あたかも親から受けた注意に反論できない子供がよく使う常套用語であります。(拍手)
 ちなみに、総理がお母さんのように敬愛されている三木睦子さんも次のようにおっしゃっておられます。政治家の家に生まれ、政治家に稼ぎ、普通選挙が行われる前からずっと身近で選挙を見てきた経験からいうと、小選挙区制は買収が行われる可能性が高くなり、選挙を浄化することは難しいと思います、こう言っておられるのであります。総理がもし違うと言うならば、今の時代ではこれらの問題点は解消されるという具体的な根拠を証明していただきたい。総理の明快なる答弁を求めるものであります。
 次に、小選挙区制を中心とする制度は、現代の日本のように高度に発達した情報化社会には全く適合しない制度であることを指摘したい。
 小選挙区制は、一つの地域から一人の代表者を選出し、議会を構成しようとするものであります。この制度は、まだ人口移動が激しくなく、人間の一生が一つの地域で完結した十九世紀には、まだしもうまく適合した制度であります。しかし、十九世紀中ごろからの産業革命は、社会の地域的かつ職業的流動性を高めました。そして、今日では情報化革命が急スピードで進展をし、人々の価値観の多様化をもたらすとともに、社会を構成する諸団体の利害は複雑に錯綜してきているのであります。このような社会では、選挙区内の多様な考え方を一人の議員に代表させることは不可能になってきているのであります。今日の国民は、適度な数の政党の存在を必要と考え、自由で多様な選択を求めております。小選挙区制は、社会の多様な要求を無理やり二つの鋳型にはめ込み、白か黒かの選択を迫るものであります。
 小選挙区制は、日本のような高度に発達した情報化社会には適合しない制度であることは明らかであり、これこそ時代が違う、時代おくれの制度であると言わたければなりません。まさに、料理がまずいからといって、料理方法の悪さを棚に上げて素材を取りかえようとしている愚を繰り返すようなものであります。総理の見解を伺いたい。
 最後に、政治改革に対する総理の姿勢について伺います。
 総理、あなたの総裁任期も残すところわずかとなりました。リクルート事件後の混乱状態の中から海部政権は誕生じ、あなたは就任早々から、政治改革に内閣の延命をかける、いや、失礼いたしました。命運をかけると内外に表明されてきました。しかしながら、もはや二年になろうとするこの期間に、政治改革に関して一体どのような前進があったのでありましょうか。わずかに、これは議員立法でありましたが、政治家の寄附行為の禁止強化を内容とする公職選挙法改正が実現したのみであります。
 そして、自民党総裁としての任期がわずかになった今、法案を提出し、三法案一体としての成立を期すと強調されています。しかし、あなたが強調すればするほど、その声はうつろに響くのであります。
 日本の民主政治の将来を左右する選挙制度改革法案のような重大な法案が、国会を構成する各党に事前に何の協議の場もなく提出されたこと自体、わずか二カ月の臨時国会で本当に成立させようという気持ちがあなたにないことを示しているのであります。にもかかわらず、内閣の命運をかけると言い続けることは笑止千万であり、私には、やはり内閣の延命をかけるとしか聞こえないのであります。
 選挙制度改革には日本の民主政治の命運がかかっているのであり、それは一内閣の命運、ましてや延命とは比較にならないものであります。総理はいかなる思惑を持ってこの法案の成立を期そうとしているのか、重ねて伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#32
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 中野議員にお答えをいたします。
 私は、今回の選挙制度の改革の中で衆議院の問題だけが出され、参議院の選挙制度も同時に改革することが望ましいというお考えには、基本的に、それは二院制度でありますから望ましいわけでありますけれども、自由民主党では、選挙制度審議会の答申をも踏まえ具体案づくりに向けて論議を重ねている段階であり、また各党におかれてもいろいろな御議論があると承っております。政府は、この各党の御議論の動向を踏まえながら成案化に向けて鋭意取り組んでいき、参議院についても適切な選挙制度の改革を、成案を得て問いたいと考えております。
 また、定数の抜本是正に関する国会の決議については、私もよく承知をいたしております。したがって、三・一八倍に及び違憲判決の示されている現状を踏まえて、これをできる限り改革しなければならない。選挙制度審議会からいただいた答申でも、選挙制度及び政治資金制度の改革を行うとともに、この改革によって投票価値の格差是正の要請にもこたえることが必要である旨述べられておるところであり、この答申を踏まえて国会にお願いをしておる公職選挙法の改正案によれば、御指摘のように、投票の価値の平等の要請にも十分こたえることができるようになっておるものと考えておりますので、どうか御審議を賜りたいと思います。
 また、政権交代の可能性について述べることは欺臓ではないのかとお話しになりましたが、私は決して欺瞞ではないと思っております。といいますのは、今の中選挙区の制度においては、これは率直に申し上げて、選挙区の数が百三十でありますから、いずれの政党でも、そのすべての選挙区で複数の候補者を立て、複数以上が当選しないと政権交代の可能性は全くないわけであります。ですから、この政権交代の可能性を重視していかなければなりませんし、小選挙区制並びに比例代表制を加えることによって政権交代の抽象的可能性が生まれてくるということは、これは当然のことではないでしょうか。そして、この制度を変えることによって、むしろ私どもの方が政権交代の可能性が出てくる。政権に緊張感を持たせるという審議会の答申の触れられておる問題指摘に関しては、与党も厳しく世論に耳を傾けながら政策努力を続けなければならない厳しい制度なんだということを、みずから戒めながらこの法案をお出ししておるところでございます。
 また、並立制は民意を公正に反映しだいばかりか、過去の経験からも否定されておる、こうおっしゃいました。私は、過去の先輩の経験を大切にいたしますし、いろいろ尊重はいたしますが、しかし、率直に申し上げて、小選挙区が行われたのは御指摘のとおり二度ありますけれども、明治二十二年と大正八年から十四年までのいわゆる一定限度の納税者だけが投票権を持つ、そういう普通選挙法がしかれる大正十四年前のことでございまして、世界の情勢も国内の情勢も社会のあり方もいろいろとその後変化しておるということも、どうか率直に御理解をいただきながら、それぞれの歴史や文化や伝統の中でこれをしたらいいということを考え、各界の代表の方々の二年以上にわたる御議論、御審議の結果の答申を踏まえてやりておる改革でありますから、やはり今日にふさわしい政治改革をなすべきであろうと政府は考えてお願いをしたわけであります。
 そして、人々の価値観も多様化しておることはそのとおりであります。したがいまして、民意をきちりと反映するために、小選挙区制による民意の変化は、これは敏感に議席数に反映するものであります。同時にまた、加味した比例代表制は、いろいろな立場の御意見を反映するものであります。この二つの仕組みをまぜることによって、比例代表並立制という制度を国会にお願いしておるところであり、少数意見も十分国政に反映されるようになっておるものと御理解をいただきたいと思います。
 なお、今回のこの政治改革は、私は、内閣のスタートのときから、時代から与えられた使命であると厳しく受けとめて頑張ってまいりました。申し上げたように、国家国民のために政治はあるものでありますから、そのためにでき得る限りの改革はしなきゃならぬ、政治自身が血を流す努力をしなければならぬという厳しい立場に立って行ってまいりました。今回全力を挙げてお願いを申し上げておるのも、不退転の決意でもってこのことをお願いし続けてきたのも、その一点にのみ問題があったんだということをどうぞ御理解をいただいて、それ以外のことではございません。(拍手)
     ――――◇―――――
#33
○北村直人君 三案の趣旨説明に対する残余の質疑は延期し、明十二日午後一時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#34
○副議長(村山喜一君) 北村直人君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十八分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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