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1991/09/12 第121回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第121回国会 本会議 第8号
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1991/09/12 第121回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第121回国会 本会議 第8号

#1
第121回国会 本会議 第8号
平成三年九月十二日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  平成三年九月十二日
    午後一時開議
  一 公職選挙法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)、政治資金規正法の一部を改正
    する法律案(内閣提出)及び政党助成案
    (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
                (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正
  する法律案(災害対策特別委員長提出)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)、政治資金規正法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)及び政党助成法案(内閣提出
  )の趣旨説明に対する質疑  (前会の続)
    午後一時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○北村直人君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 災害対策特別委員長提出、災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#4
○議長(櫻内義雄君) 北村直人君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改
  正する法律案(災害対策特別委員長提出)
#6
○議長(櫻内義雄君) 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正す肩法律案を議題上いたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長清水勇君。
    ―――――――――――――
 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正
  する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔清水勇君登壇〕
#7
○清水勇君 ただいま議題となりました災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、我が国は、自然的条件から世界でも有数の災害国であり、防災対策の推進にもかかわらず、毎年のように自然災害により多くの方がとうとい命を奪われ、また、身体に重度の障害を受けることが続いておりますことは、遺憾にたえないところであります。
 特に、最近、雲仙・普賢岳噴火災害におきまして、大規模火砕流により四十名の方が亡くなられ、三名の方が行方不明になられるなど悲惨な事態が繰り返されているのであります。
 こうしたいわゆる個人災害に対する救済制度としましては、第七十一回国会におきまして、災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸し付けのための制度を議員立法により発足させたところでありますが、その後、数次にわたる災害弔慰金の支給限度額の引き上げ及び災害障害見舞金の支給の制度の新設等の改正を経て、今日に至っているのであります。
 しかるに、最近における社会経済情勢の変化により、災害弔慰金及び災害障等見舞金の支給限度額の引き上げ等について強い要望が寄せられておりますことは、周知のとおりであります。
 かかる状況にかんがみ、過日の雲仙・普賢岳噴火災害による多大の死者、被災者の発生を機会といたしまして、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給限度額の引き上げ等を内容とする本案を提案する次第であります。
 次に、本案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、災害弔慰金の支給限度額の引き上げについてであります。
 本法第三条第三項中、災害弔慰金の支給について「死亡者一人当たり三百万円を超えない範囲内で死亡者のその世帯における生計維持の状況等を勘案して政令で定める額以内」となっておりますが、この「三百万円」を「五百万円」に改めるものとすることであります。
 第二に、災害障害見舞金の支給限度額の引き上げについてであります。
 本法第八条第二項中、「障害者一人当たり百五十万円を超えない範囲内で障害者のその世帯における生計維持の状況を勘案して政令で定める額以内」となっておりますがこの「百五十万円」を「二百五十万円」に改めるものとすることであります。第三に、本法改正の遡及適用についてであります。改正後の本法第三条第三項及び第八条第二項の規定は、平成三年六月三日以後に生じた災害に関して、さかのぼって適用するものとすることであります。
 以上であります。
 なお、政府におかれましても、災害援護資金につきまして、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給限度額の引き上げに対応して、貸付限度額の引き上げ、所得制限などの貸し付け条件の緩和について、所要の政令改正が行われることを期待するものであります。
 本案は、本日の災害対策特別委員会におきまして、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもってこれを成案とし、委員会提出の法律案とすることに決した次第であります。
 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)、政治資金規正法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)及び政党助成法案(内閣提
  出)の趣旨説明に対する質疑  (前会の続)
#10
○議長(櫻内義雄君) 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の趣旨の説明に対する質疑を継続いたします。貴志八郎君。
    〔貴志八郎君登壇〕
#11
○貴志八郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、いわゆる政治改革三法案に対して、総理並びに自治大臣に質問をいたします。
 政治を病気に例えてまことに恐縮でありますが、ロッキードやリクルート事件は政界に生じた最も悪質ながんであります。現代医学の常識では、がんは切り取らなければ治らたい。腐り切った患部にメスを入れ、大胆に周囲の転移部分まで切除しなければ治らないのであります。体質改善はそれから後のことでございます。ところが、海部ドクターは、切るのは痛い、下手に切れば死ぬことだってある。そこで、病院をかえ、ヘッドを置きかえ、四人部屋、三人部屋では困るから、個室に入れれば治ると言い出したのであります。がんというこの病根、すなわち汚れた金の問題を断ち切らなければ、自民党という政党もまたがんと同じように滅ぶのであります。まず、そのことを指摘しておきたいと思います。(拍手)
 九月六日、政治資金規正法に基づく報告が一斉に報道されました。それによりますと、悪名高きバブルの主役、コスモワールドの代表あるいは東京佐川急便、麻布建物から、それぞれ自民党の羽田孜代議士、丹羽雄哉代議士、中山正暉代議士らに献金されたとあります。まさに、バブルの主役から自民党の政治改革の主役に政治献金が行われたというのであります。また、四大証券の献金は公表一億、実態三倍との報道もございます。まさに、証券業界との癒着体質を浮き彫りにいたしておるのであります。本日の新聞報道によりますと、かの茨城カントリーの実質オーナーから水野元総務庁長官に六千万円、しかも裏口献金が発覚をいたしておるのであります。しかも、報道によりますと、これは政治資金規正法の上では預かり金たというのであります。政治資金規正法の抜け穴をまざまざと見る思いであります。一昨日から指摘された閣僚の不祥事件を含めまして、改革を必要とするのはまず政府、そしてそれを支える自民党ではありませんか。
 前のイギリスの首相マーガレット・サッチャーさんが人生の師と仰いたお父上から、自分のことは自分で決断をし、自分の責任で行動せよと教えられたといいます。そしてそれが鉄の宰相の生きざまとなったのであります。
 重要なことは、汚職や腐敗防止のために、本来政治家や政治集団である政党自身の自浄作用が求められておるのであります。自分たちがつくり出した政治腐敗の病根は自分で切り取ってもらわなければならないのであります。
 総理、哲学なき政治家は国を滅ぼすと言われます。あなたは、まず国民に汚れた金と政治の関係をおわびし、自民党の姿勢を正し、譴責すべきはきちんと責任をとらせ、しかる後、野党の意見に従い、総意を結集して議員立法を図るべきではございませんか。(拍手)
 特に、この政治改革法案については、与党自民党の内部の意見すらまとまり切っていないということであります。本日お伺いいたしたところ、次期総裁選候補宮澤元蔵相は、一つ、国がえは不可能、二つ、改革で金がかからなくなるかは疑問、三つ、スケールの小さい政治家が育つなどと、野党と軌を一にする意見を述べ、与野党協議の必要性を説かれたようでございます。これでは、もうこの法案を審議する土台が足元から音を立てて崩れておるではございませんか。ともかく撤回をいたしまして出直すべきだと判断いたしますが、いかがでしょう。
 さて、問題を第八次選挙制度審議会に移します。
 まず、この審議会の委員は、どのような基準に基づき、だれが選んだのか。第二に、メンバー二十七名は各界の有識者だと聞いておりますが、消費税に泣く主婦、課税捕捉率一〇〇%といわれる若いサラリーマンだと、真にロッキードやリクルート事件に怒りを持つ庶民代表を外しているのはなぜだろう。また、第七次審議会までは特別委員として政党代表も入っていたのに、今回だげはこれを除外し、除外した中で小選挙区比例代表並立制導入を決めたのであります。
 総理は審議会の答申を金科玉条のごとく申しておりますが、審議会香員を決定する段階で既にレールは敷かれていた。そのレールは、腐敗に直接メスを加える方向を選ばず、投票総数の四十数%で八〇%以上の議席を獲得できる小選挙区制という自民党積年の悲願を実現する、そのおぜん。立てを整えたのであります。委員に政党を外した理由を含めて、しかとお答えを願いたいのであります。(拍手)
 また、一昨日から国会答弁で総理はゆゆしき発言をされました。それは、連合政権は不安定で単独過半数の安定政権が望ましい、連合政権は民意に反した政党間の取引でできるものとまで極言をされました。しかも、それは選挙制度審議会の意見であるというのであります。
 第八次審議会が設置されたころ、すなわち宇野内閣の時代であります。あの参議院選挙で野党が協力して与野党逆転を果たした。まさにその時期に非公開の密室で野党の政権構想を批判し、小選挙区制導入のためのほかりごとが進められていたということになります。一方で政権交代ができると言いながら、実は野党の躍進を芽のうちに摘むうという恐ろしいきばを秘めたばかりごとが行われていたのであります。(拍手)私は、こうした経緯から、我が国の議会制民主主義の崩壊の重大な危機を感じるのであります。また、連合政権は民意に沿わないと極言する海部総理の考え方は、明らかに政権構想を目指す野党に対するあからさまな挑戦であります。総理は、腹を据えて野党との対決を求めるのですか、見解を確認をしておきたいと思います。
 さて、この審議会の答申を受けて出されました政治改革三法案のうち、政治資金規正法について質問をいたします。
 まず、第一点は、諸悪の根源となった企業献金について、なぜばっさり切り捨てなかったかということであります。
 企業は、その企業の目的のために手段を選ばないという体質を持っております。今度の証券・金融問題でその一部をかいま見ただけでも、どん欲な企業体質が浮き彫りにされてまいりました。大蔵省の通達はあっても、罰則がなければ損失補てんは行い、補てんを受けた方は、何十億円という単位で受けていても、補てんを受けた認識はないと言い張るのであります。
 一方、補てんをした証券会社や業界あるいはこれを受けた大企業が、今日までどれだけの政治献金をどこに行ってきておるのだろうか、そこがまた問題であります。公表された資料だけを見ても、莫大な額となっております。企業は何のために一政党とその派閥に向けて集中的に献金を行うのか。八幡判決を金科玉条のように言われておりますけれども、あの判決も、今日の現状に見るような企業献金を野放し、手放しで是認しておるのではありません。株主や顧客全般の利益や存在を無視し、一政党、派閥に集中して寄附し続けることを異常と受け取らない神経こそ問題です。かつ、税法上の優遇を受けられる仕組みは、まさに大企業の金の流れが自民党に向けて一本で入り込む水路のようなものであります。
 しかも、今回の改正案では、政党中心という方向は出されましたが、今度は、大企業の大きな水路のほかに、中小企業向けの損金算入というパイプまで張りめぐらせたのであります。何のことはございません。昭和五十年、三木内閣当時から企業献全廃止の方向で検討をされてまいりました。しかし結局は、全体として自民党の懐に入る献金は確保できる、そういう仕組みに逆戻りをさせているのであります。(拍手)
 今回の証券・金融問題に対しても、その構造的見地から見ても及び順となり、断固たる措置はなかなかとりにぐいのであります。総理はこれについてどのような基本哲学をお持ちになっておるか。
 質問の第二は、企業献金のもう一つの側面として、献金という形をとらずに、政治家及びその周辺における経費を企業が肩がわりをするという構図であります。
 建設大臣や自治大臣は、まさにこの手口を使ったのであります。幸か不幸か、自治大臣の会社も建設大臣の会社も、税務調査の中で三年間にさかのぼる課税を認めました。もちろん、なぜかそれ以前は不間であります。自治大臣は、この脱税事件を単なる陳謝で済むと思っているのですか。これこそ、政治資金規正法の網をくぐり、企業活動を隠れみのにした。税金逃れ兼用の政治資金ルートの最も悪質な標本ではないですか。今回の両大臣の問題発覚を見て、十名、二十名という大量の秘書団を抱えた方々の中には、首を洗わなければならない政治家も少なくないとささやかれておりますが、このような行為を規制をしてこそ法改正の意義があるのであります。
 総理並びに自治大臣は、このようなやり方を政治資金規正法に照らして違法と見るのかどうか、そして、今回の改正で未然にこのことをきっぱり防止できるようになっていると考えるかどうか、見解を問うものであります。(拍手)
 最後に申し上げますが、これらの企業献金や企業経理の中で処理される政治資金は、課税前の金であります。献金された分が課税対象から除外されるということは、本来、国庫に入るべき税金の一部が企業の恣意によって一政党、一派閥に納入されるのでありますから、結果的には、国家に得べかりし税金が合法的に勝手に使われ、特定の政党に集中することになります。
 一方でこの企業献金を認め、一方で政党助成を国民の税で行うという今回の改正案は、一見政党政治に貢献するように見えましても、国民の側から見れば、企業ルートを遮断しない限り、やらずぶったくりの構図となるのであります。(拍手)また、今回の改正で、ここに手をつけようとしたかった理由について、明らかにしていただきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 貴志議員にお答えをいたします。
 政党自身の自浄作用の問題については、それはそのとおりでありまして、自由民主党は、政治改革大綱をみずからつくって、政党自身の自浄作用を高めていく努力をきょうまで固めてきておりますし、さらに国民の信頼を確固としたものにするために、政治家みずからが高い倫理観のもとに姿勢を正していくべきものと考えております。
 あわせて、制度面においても、必要以上に金のかからない政治活動や政策中心の選挙が実現できるように、これまでの個人を中心とした政治活動を政党本位の仕組みに改めて、政党政治を行えるようにしたいというのがこのたびの関連三法案を提出した趣旨でございます。国会において、十分御審議を賜りたいとお願いをいたします。
 なお、選挙制度審議会の委員の問題についてもお尋ねがありましたが、御承知のとおり、学識経験のある方の中から内閣総理大臣が任命することとされております。第八次審議会の委員も、各界を代表される学識経験者にお願いをしたと承知をいたしております。
 また、特別の事項を調査審議するため必要があるときは、国会議員を特別委員として任命できることと法律上はなっておりますが、今回は、国民の政治不信の状況を踏まえて、改革案の検討をお願いするものでありましたために、第三者機関としての機能を純化し、広く各界を代表される経験者をお願いすることによって審議をするのが適当であるという観点から、特別委員を特にお願いをしたかったものと承知をいたしておりますが、審議会におきましては、審議の過程で各政党にもおいでをいただいて、いろいろな意見を聴取をしたところであると伺っております。
 また、この選挙制度審議会の答申では、今日求められている選挙制度の内容として、政権の安定、政権が国民の意思によって直接に選択されるべきこと、多様な民意の国政への反映などを挙げており、これらの要請に総合的にこたえられる制度として、小選挙区比例代表並立制が適当である旨の結論を出されたものと理解をいたしております。この仕組みのあり方として、政権が国民によって直接選択されるということも、私は、その要素を重視すべきものであると考えておる次第であります。
 また、企業献金にお触れになりましたが、企業も政治活動の自由を有し、その一環として、政治献金もできることになりております。これが節度を持って行われるべきであるということはそのとおりであります。企業等の団体の寄附のあり方については、各界の有識者から成る審議会において、幅広い御議論が行われました。そうして、選挙や政治活動が政党中心のものとなり、個人が政治資金を直接調達する必要性も減少するようになると考えられるので、原則として政党に対するものに限るとされたのであります。また、法人に対する税制上の措置も、政党への政治資金の集中を促進するための五年間の措置として行うものであり、政党以外の政治団体に対する寄附は少なくしていきますので、企業献金が全体として拡大するということにはなっておりません。
 また、御指摘の政治資金規正法上の企業献金と経費の取り扱いの問題でありますが、法のもとで適正に行われるべきものであると考えますが、御指摘の取り扱いの事実については、自治大臣の方から答弁をいたします。
 企業献金の存続と政党の助成については、やはり企業等の団体の寄附については、各界の有識者から成る選挙制度審議会の答申の趣旨を尊重して、原則として政党に対するものに限るとしております。法人税制上の措置も、政党への政治食合の集中促進のため五年間に限った措置であり、撰挙や政治活動の大部分を政治家個人が対処しなければならない今の制度のままで、改めないで公的助成だけを行うことは考えておりません。あくまで、整合性を持った一体のものとして解決をしたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#13
○国務大臣(吹田ナ君) 貴志先生にお答えをいたします。
 企業が政治家及びその周辺の経費を肩がわりすることについてのお尋ねでありますが、直接お答えする前に、私自身にかかわる問題として重ねて厳しく御指摘を受けましたことに対しましては、大変申しわけなく思っている次第であります。率直に反省いたしましておりますものですから、そのことをまず申し上げたいと存じます。
 お尋ねの政治資金規正法との関係につきましては、企業などが秘書の派遣を言う場合には、その具体の事情をよく見まして、政治資金規正法上の寄附に該当する場合もありますし、寄附に該当しない場合もあります。一概には申し上げにくいわけであります。
 なお、改正案では、企業などの団体の寄附は、原則として政党に対するものに限定されてまいります。また、資金調達団体に対するものも、年間二十四万円までとされておりまして、実質的に大幅に規制されるものと考えているわけでございます。
 終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(櫻内義雄君) 細川律夫君。
    〔細川律夫君登壇〕
#15
○細川律夫君 日本社会党・護憲共同を代表して、お尋ねをいたします。
 私は、政治改革関連三法案のうち、専ら政党助成法案を中心にお伺いをいたします。
 一昨日から、政治改革の論議がこの議場でなされております。三つの法案の行方を国民が見守りております。政党助成法案についても、なぜ三百億円もの大金が政党に出されるのか、あるいは、立法事務費が出されているのに、なぜ政党にさらに追加のお金が出されるのか、国民は素直な、率直な関心を持っているのであります。政治にほお金がかかります。しかし、政治に金がかかるからといって、そのお金を国が肩がわりできるものではありません。
 政党は、そもそも志を同じくする私的な人々の集まりであり、その政治資金は、本来党費や事業収入、個人献金によって賄われるべきであります。なぜ、そのような政党が国から公的助成を受けることができるのか。それは、現在の政治状況、すなわち企業と政治家の癒着、そこから引き起こされる不公正な政治、汚職、これに対する国民の政治不信、これらの政治状況を解消し、そして民主的な政党政治を確立するために政党にお金が出される、このように考えるものであります。(拍手)
 私は、政党助成法案を検討するに当たり、次のことは十分配慮しなければいけないと思っております。
 それは、国民の納得であります。国が政党にお金を出すということは、国民から見れば、政治的な意見が違ったり、あるいは政党支持が還りても、政党への寄附を税金の徴収によって強制をさせられるということであります。したがって、国民の十分な納得が必要であります。そしてまた、政党助成は、政党の努力なくして収入になるものであります。この政党助成金が政党の政治資金の安易な調達方法になったり、あるいは、これによって金権体質あるいは金権腐敗の政治を助長、増大させるものであってはなりません。政党が国民の税金から助成金をもらう以上、政治家は襟を正し、政治を行うための条件、清潔な政治を行うためにみずからを厳しく戒めなければならない、そのような内容にしなければならないと思います。憲法で保障された国民の結社の自由、これらの政治的自由が侵害されないように、これまた十分配慮されなければならないところであります。
 以上のような観点から考えますと、まず、国から政党が助成金をもらう前提として、すべての企業献金を禁止をすること、これが最も大事なことであります。(拍手)
 見返りを期待しない、あるいは要求をしない企業献金はありません。大口であればあるほどその期待は大きいのであります。献金を受ける政治家もこのことを十分承知の上で献金をもらっているのであります。リクルート事件で国民の政治不信は頂点に達しました。その不信はなお続いているのであります。今回の証券事件についても、国民は不公正な取引に怒りながら、損失補てんを受けた政治家はいないのか、いないはずがない、このように専ら国民の関心があるのでございます。
 私は、国民の政治不信を一掃し、政治への信頼を回復するには、企業献金の廃止しかないと考えます。そして、この企業献金の廃止を実効性のあるものとして担保するために、国民の税金を政党がもらう、国から政党助成金を受けるということにしなければならないと考えるのであります。(拍手)これまでどおり企業献金をもらい、その上にさらに国から助成金を受けるということは余りにも虫のいい話であります。
 私たち社会党は、今、政党交付金の交付に関する法律案をつくり、今国会に提案の予定でありますけれども、それには一切の企業献金、団体献金の禁止をうたっております。総理のこの企業献金禁止に関する御意見をお聞かせください。
 次に、いかなる政党が国の助成金を受けることができるか、適格政党の問題があります。これほ民主主義の観点から大変重要な問題であります。私は、これについて二つの質問をいたしたいと思います。
 一つは、国政選挙での政党の得票率、この問題であります。
 国から助成金を受けることでありますから、どんな政党でもよいというわけにはまいりません。無責任な泡沫政党や売名的な一人一党的な団体に国民の税金を交付するわけにはまいりません。一定の得票率をどうしても基準としなければならないのであります。しかし、この基準の設定いかんによっては、既成の政党を大変有利にしたり、あるいは小政党をいたずらに不利にし、さらには新党結成を難しくするなど、憲法で保障された結社の自由などの政治的自由を侵害することにもなるのであります。政府案では、選挙制度審議会答申の一%よりもさらに高い二%に基準を設定をしております。これは、昨年二月の総選挙での約百三十万人に相当する余りにも高い基準であります。私たち社会党が用意をしております法律案では一%と設定をしておりますけれども、なぜ二%の基準にしたのか、その根拠についてお尋ねをいたします。
 次に、政府案では、五人の国会議員が集まれば国の助成金が受けられるということになっております。
 総理にお尋ねをいたしますけれども、国政選挙で無所属で戦い当選をした五人が集まれば国から助成金が与えられるのでありましょうか。無所属の人は、選挙では政党の人として国民の審判を受けていないのであります。総理は、これまで、政党本位、政策本位の選挙にするのだと繰り返し述べてこられました。その政党の選挙をしてこなかった無所属の人がいかに五人集まったといっても、政党として国から助成金がもらえるのは何としても理解ができないのであります。総理の見解を伺います。(拍手)私たち社会党は、政党として選挙の審判を受けなければ政党にお金は交付されないということになっておることをつけ加えるものであります。
 次に、助成金の配分についてお伺いをいたします。
 助成金がどの政党にどのように配分されるか。この配分について、政府案では自民党が大変有利となっているのであります。
 まず、与党と野党は区別をして考えなければならないと思います。政府案では、政党の得票数と議員の数によって案分比例で機械的に各党に配分をするものであります。しかし、今の自民党と政府の関係からも明らかなように、与党自民党はより高度な良質な情報が容易に入手でき、しかも各省庁の官僚は強い協力者であります。したがって、機械的な案分比例は、国民の税金で与党自民党をさらに強くするものであることは明らかであります。民主的な政党政治を発展さすためには、与党そして野党を区別し、野党に十分な配慮をすべきだと考えますけれども、総理のお考えをお聞かせください。(拍手)
 次に、助成金の配分を議員の数によって算定の基礎にしよう、このことについて質問をしておきます。これでは自民党もまた大変有利であります。国民の意思は、国政選挙で政党の得票数によって端的にあらわれます。したがって、助成金の配分は国会議員の数ではなくて、各政党の得票数を基礎として計算をされるべきであります。
 政府案のように助成金の総額の二分の一を議員数によって計算をいたしますと、自民党にとっては大変有利であります。これまで議論されてきたように、小選挙区比例代表並立制を導入をいたしますと、自民党は四割台の得票で七割から八割の議席を有することが予想をされております。したがって、この議席をもとに助成金を配分をいたしますと、国民の意思以上に自民党に多くのお金が配分されることになります。このことは、自民党にとっては議席とお金で、まさに自民党有利の一石二鳥、両手に花となるものであります。
 総理は、政党本位の選挙を再三言われてまいりました。そうすると、各政党の獲得した得票数を基礎にして配分をすることがまさに合理的であります。私たちの社会党の用意をしております法律案も、まさにそのとおりであります。総理のお考えをお聞かせください。(拍手)
 以上、述べてまいりましたように、この法案は問題点も多く、自民党に大変有利であります。この法案は、名前は政党助成法案となっておりますけれども、中身はまさに自民党助成法案であると言わざるを得ないのであります。このことを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 細川議員にお答えをいたします。
 政党に対する公的助成は、政治活動の公的性格にかんがみ、あわせて制度面でも選挙やあるいは政治活動が政党中心となる改革が行われ、政党の機能がより重要となっていきますので、政党活動の健全な発展を期待し、同時にこれを促進するために、既に諸外国で行われておる状況等も勘案しながら創設しようとしておるものであります。
 もとより、このためには国民の皆さんの納得の得られる環境が整うことが必要であり、個人中心の現行制度のもとでは、これはこのことだけを取り上げて行うことはいかがかと考えますが、今回の三法案は、整合性を持って一体としての、政党中心の政治活動を行うようにする、政策普及などの問題や制度の確立が整備されることが大前提でありますから、したがって、腐敗行為の防止や政治資金制度の改革、選挙制度の改革、それらと一体として制度化しようとしておるものであります。その総額も過大なものにならないように国民一人当たり二百五十円と定め、その使途も制限することなく政党の自由に配慮しておるところであり、企業や組合などの団体寄附については、原則として政党に限ることとされたと承知をいたしております。
 対象となる政党の要件は、国民の支持を反映する客観的基準である国会議員数と得票率により定めているところであります。一定数、五人以上の国会議員を有して活動する政党は、現に国民の代表として国政に参加して国家意思の形成に寄与されるわけでありますから、政党として選挙を経ないとしても、その政治活動を通じて国政と国民とを結ぶ媒体としての機能を果たすことが期待されるところでありますから、政党助成の対象とすべきものと考えております。
 また、配分における野党への配慮の点につきましては、政党活動というのは、政党それぞれが独自の政治目標を掲げ、その政策の実現を目指して国民の理解を求め、最終的には選挙において国民の支持を獲得するために展開されるものでありますので、与党であるか野党であるかによって異なったものとしてとらえることは困難であると考えております。
 また、選挙制度審議会の答申でも、その配分については国会議員数と得票数により公正に配分されるべきものと承知をいたしております。それぞれ二分の一ずつの割合とすることが妥当とされており、欧州のいろいろな先進諸国の例等を調べてみても、そのような処置をしておるところがあるわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#17
○国務大臣(吹田ナ君) 細川先生にお答えいたします。
 政党助成の対象となる政党は、御案内のように、国会議員が五人以上所属する政党及び国会議員が所属し、かつ全国得票率が二%以上である政党としておりますが、得票率要件は、所属の国会議員五人以上という要件との均衡を考慮いたしまして定めたものでありまして、現実に五人以上の国会議員を有していなくても、これに相当する国民の支持を得ている政党は、公的助成の対象としようとするものであります。
 得票率を二%としておる根拠についてでありますけれども、選挙制度審議会の答申では、衆議院の三百の小選挙区で五人の当選人を得るために五つの選挙区で過半数の得票を得ることが必要であり、これを全国的に見ますと約一%となるわけでありますので、得票率要件を一%とされたと聞いておりますが、現実の選挙を考える場合には、五つの選挙区だけで効率よくこれだけの得票を得るということは考えられないのであります。↓たがいまして、比例代表選挙で五人の当選人を獲得するには、二%をかなり上回る得票が必要であることになります。そういった点をいろいろ勘案いたしまして、二%と定めたものであるということを御理解願いたい、こう思います。(拍手)
#18
○議長(櫻内義雄君) 加藤繁秋君。
    〔加藤繁秋君登壇〕
#19
○加藤繁秋君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、総理にお伺いをいたします。
 政治改革の目的は、何といっても国民の間に蔓延している政治不信の解消でなければなりません。政治に対する批判と不信の原因は、リクルート事件にとどまらず、戦後一貫して続いている自民党による一党独裁、そこから生まれてきた利権政治、腐敗政治から来ていると言えます。自分たちが選んだ代議士が本当に国民のための政治をやっているんだろうかという疑問、株の操作や政治献金をもらうためにばかり一生懸命になっているのではないだろうかという不信が生まれているのです。
 その解決の一つとして、政党や政治家が金のために走り回らなくてもよいように、政党助成法が提案されているわけです。ですから、政党を育成強化することによって国会審議が活発になり、議員立法が促進され、そのことが国民の目に政治がよく見えるように、またよくわかるようになり、国民と政治の結びつきが強くなることが必要です。しかし、公的助成といっても国民の税金であるし、お金なわけです。金は政治のミルクにも毒にもなるという二側面を持っているわけで、毒を排してミルクにしていくためには、どうしても解決しなければならない前提条件があります。それは政治資金の規制です。
 現在、政治資金規正法の一部を改正する法律が出されておりますが、そのまま仮に成立したとしても、規制が十分にされていない現状では、公的助成は政治資金全体の増額につながり、国民の血と汗で出した税金が有効に使われないものとなります。
 確かに、一部改正では、企業献金を政党と一部の政治団体に限るとか連座制の強化などがうたわれておりますが、他方から見ると、企業献金は制限を加えて認めたということであります。政治家個人への献金も、五年間の経過措置を認めるなど、くり抜けとなるところが随所に見られます。したがって、総合的に見ると、必ずしも前進とは言いがたいわけです。そして、これまで行われた金権選挙に対して鋭いメスが入っていないことは、大変残念なことです。したがって、この際、きっぱりと政治献金を禁止して、企業献金を禁止して、政治家と金の結びつきを断ち切った上で政党への公的助成をするべきだと考えますが、いかがですか。
 そこで、政党助成法についてお伺いします。
 第一に、国庫補助受領要件についてです。
 提案では、所属国会議員を五名以上と二%の得票率を基準とされていますが、これは答申に言う「政治活動の公正と政党間の機会均等を図る」ことから見て、明らかにミニ・小政党の切り捨てであり、無所属候補、新政党は大きなハンディを負うことになり、答申の精神とは異なると考えますが、いかがですか。
 次に、公的助成の罰則についてお伺いします。
 公的助成の使途について、総理は、制限しない、介入もしないと答弁をしております。公的助成は国民の血税なわけですから、使途を明確にすることは当然なことで、その審判は選挙民によって判断してもらうのが一番よいと考えます。たらば、ここに提案されているような罰則は要らたいと考えますが、いかがですか。
 第三に、配分方法についてです。
 提案では、総額三百億円程度が補助額として見込まれていますが、その配分は総額の二分の一を議員数、残りを得票数に応じて行うとあります。これでは大政党に非常に有利になってしまい、提案されている小選挙区制とリンクして考えると、ほとんどのマスコミ調査にもあるように、自民党が八割以上を占めることになりますから、公的助成は自民党助成になってしまう危険性もあるわけです。諸外国の例を見ても、スウェーデン、イタリアなどでは均等配分と比例配分の両立にしたり、ドイツでも固定額の導入によって政党の機会均等化に配慮がされているわけです。
 そこで我が党としては、民意の縮図が最もよくあらわれるのは得票率だという観点から、交付金を政党の得票数に比例して配分するのが妥当だと考えますが、いかがですか。
 次に、小選挙区制についてお伺いします。
 一昨日、小選挙区制論議のときに、帝国議会のことを持ち出すなという声がありましたが、ならば、戦後の国会で、前自民党幹事長のお父さんである小沢佐重喜先生が次のように主張されていることはどうでしょうか。昭和二十二年、衆議院選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案としてです。小沢先生は四点にわたって力説されているわけですが、小選挙区で六回選挙を行ったが、第一に、選挙区域が非常に狭小であるので、地方的人物のみが出て大人物が当選困難であること、第二は、選挙抗争が非常に激烈になり、情実と投票買収が横行したこと、第三に、議員の行動が常に地方的問題のみに傾いて、中央の問題には極めて冷淡であったことなどを言い、最後に、私どもはこの小選挙区を再び繰り返すことのできないことは、言うまでもないのでありますと締めくくっているのです。このように、現在の中選挙区制度は頭の中でつくられたのではなく、経験的実証に基づいてつくられたことをしっかりと受けとめておかなければならないのです。
 その上に立って、政策論争本位と金権選挙ということについてお伺いします。
 小選挙区制になれば金もかからなくなり、政策論争ができるようになるとのことですが、まず、選挙区が小さくなればこれまで以上に活動が緻密になるし、それだけ余計に金もかかるようになるのです。一名区ですから、それこそ政策抜きで地元サービスに狂奔するようになるのではないでしょうか。そのことは、さらに現在の後援会組織による地盤の固定化を進め、今以上に新人が当選しにくいようになるのではないでしょうか。
 金、政策本位の問題は、現在の中選挙区制でも、努力すれば、解決したらできることで、現に解決しているところもたくさんあるわけです。それを選挙制度に原因を帰してはいけません。むしろ、それは自民党などの政党や候補者の体質の問題なのではないでしょうか。したがって、金を集めさせない、金を使わせない制度の確立こそが必要なのであって、それをそのままにして、選挙制度だけ変えたからといって解決できることではないと考えますが、いかがですか。(拍手)
 次に、選挙区画についてです。
 我が党は、国会決議に基づく定数是正を主張しております。しかし、政府・自民党は、定数是正をするためには百以上の選挙区を変更しなければならず、そんなことはとてもできないと言いながら、提案された小選挙区制は、約束違反の二倍未満を超えるのが二十七選挙区もあること、また、十年に一回の国勢調査で見直すとのことですが、現在の案でも二倍未満が守られていないのに、十年後にどの程度の人口格差にするのですか。区割り基準をどうするのですか。また、提案された区画案は、一つ変更すれば全体に影響するようになっており、再区画が非常に難しくなると考えますが、いかがですか。それとも百の変更はできないが、三百の変更はできるというのですか。
 最後に、選挙権の年齢に関してお伺いします。
 戦後四十六年たった今日、教育内容水準の高さから考えて、十八歳において選挙に対する自覚は十分あると考えます。また、七割の方が十八歳で就労し社会の一員として活動していることから見ても、政治に参加する権利と責任があると言えます。既に世界の主要国でも十八歳選挙権が付与されております。したがって、この際、我が国においてもその実現を強く要望して、私の質問を終わります。
 なお、答弁によっては再質問を留保いたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 加藤議員にお答えをいたします。
 企業献金の問題につきましては、今回、政治不信の解消ということを目指して政治改革全体が行われておるのだということをまず最初に申し上げたいと思いますし、同時にまた、政党に対する公的助成は、政党活動の公的な性格にかんがみて、制度面でも、あるいは選挙や日常活動でも、政党中心のものにしていきたい。政党の果たす役割、その機能というものがより重要となってまいりますから、政党活動の健全な発達を促進するために、諸外国でも既に行われている状況を勘案して創設しようとしておるものであります。これについては、国民の御理解が得られるよう環境整備をしなければならないというのはそのとおりと思います。
 また、政党本位の選挙や政治活動を行うその対象は、国民の支持を反映する客観的な、合理的な基準が必要であると思います。そのため、国会議員数及び得票率により、それぞれ五人及び全国の得票率が二%以上のものとしておるところでありますが、これは、既に行われております現在の政治資金規正法の政党の定義においても、国会議員が五人以上所属しているものとしておることなどを勘案しておるものであります。また、政党本位の政治を確立するために、現行法上の政党の要件を基本として定めたものであり、この要件を満たす限り、いずれの政党も政党交付金を受ける資格があるわけでありますが、使い道だとはその政党の自由にして、権力の介入とかいろいろな問題についてはきちっとげじめをつけますが、使途その他については国民の皆さんの批判と監視を受けなければならぬことは、これはそのとおりだと思っております。
 また、諸外国の例等を調べましても、議員数及び得票数によるものとして、それぞれ二分の一ずつの割合とすることが適当であるとなっておる国もあるわけでありますし、また私どもは審議会の答申を受けて、このような方向が正しいものであると考えて法案にしたわけでございます。
 また、政治に金をかけないようにするために、既に寄附禁止の強化等を内容とする公職選挙法の改正を与野党の合意で成立させていただき、昨年二月の衆議院選挙から実施に移しておるところは御承知のとおりでありますが、また、政党の複数の候補者同士が個人的に争わなければならない現行中選挙区制のもとで、これらの問題から、個人中心の政治活動、個人中心の選挙から、政党対政党のものにしていきたい、こういった願いを込めた今回の法案であるということ、これを御理解いただきたいと思います。
 なお、十八歳選挙権の問題について指触れになりました。十八歳で行われておる国が諸外国で多くなっておることはそのとおりであります。単に選挙権の問題として扱うだけではなく、我が国では、民法上の成人年齢や刑法その他法律体系全般との関連も十分に考慮したがらこの問題は検討していくべき事柄である、こう考えております。
 残余は関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#21
○国務大臣(吹田ナ君) 加藤先生にお答えいたします。
 先に、二点ありましたが、一点の公的助成の使途の問題とその罰則不要の問題につきましてのお尋ねでありますが、政党交付金は、政党の自由な政治活動を尊重し、その使途を制限しないこととしておるわけであります。その使途を政党みずから報告し、国民の前に明らかにして、国民の批判にゆだねる仕組みとなっておるわけであります。
 この収支報告に当たっては、もとより政党でありますから、正確な報告をいただげるものと確信をいたしておりますし、制度として、報告書の記載等が適切に行われることを担保する仕組みとする必要がありますので、政治資金規正法の例も参考にして罰則を定めている、こういうふうに御理解を願いたいわけであります。
 二点目は、提案された区割りの問題について御指摘ございましたが、区割りの見直しにつきましては、新たに衆議院議員の選挙区画定審議会を設けて、この審議会で行っていただくこととしておるわけであります。審議会が改定案を作成する際の基準につきましては、改正法案においても、人口の格差が二倍以上とならないようにするということを基本とし、行政区画あるいは地勢または交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない旨を規定しているところでございます。
 格差を是正する場合には、一人一区の小選挙区でありますので、選挙区の境界変更を伴うこととなりますが、審議会で調査し、審議の上、適切な改定案を勧告していただけるものだというふうに考えているわけであります。勧告があれば、これを尊重することは当然のことと存じております。
 以上でございます。(拍手)
#22
○議長(櫻内義雄君) 加藤繁秋君から再質疑の申し出がありますが、残りの時間がわずかでありますから、ごく簡単に願います。加藤繁秋君。
    〔加藤繁秋君登壇〕
#23
○加藤繁秋君 先ほどの質問で、政策中心、政党本位ができるというその原因、それができるためには中選挙区では無理であって、制度を変えなければいけないんですかという答えについて十分な答えがなかったものですから、再度質問をしたいと思います。
 これまで政府あるいは総理は、政策論争、政策中心ができないことを複数候補が出る中選挙区制度に原因があるかのような答弁ですが、この際はりきり答えてほしいのですが、中選挙区制では政策論争ができにくいのですか、それともできないのですか、どっちですか。
 もしできにくいと答えるならば、できにくいということは、できにくい条件を克服しさえすればできるということなんです。総理、自民党はこれまでその努力をやってきましたか。やってきたとは言えないでしょう。総理が国会で提案することと、自民党一人一人の議員の皆さんが地元で説明することとが違っているんですから、どうにもならないわけですよ。
 例えば、昭和六十一年の大型間接税のとき当選した自民党代議士の中で、大型間接税反対を公約した議員が三百人のうち百二十人を下らないというではないですか。また、昨年の衆議院選挙でも、自民党公認候補三百三十八名のうち百五十人が選挙公報に消費税のことを全く触れていないではないですか。また、堂々と公報で消費税廃止と書いている方もいるんですよ。また、ある新聞では「消費税への有権者の反発がすさまじい。このまま衆議院選挙をやったら自分も落選だ。消費税廃止を言わせてほしい。」と派閥の領袖に詰め寄りた。こういうことが報道されているわけです。そしてまた、今回の政治改革についても、それぞれがそれぞれに言っているわけなんです。このように、政策論争どころか、票を獲得するためにはいつでも変身する自民党の体質が問題なのではないですか。総理、この自民党の体質を変える努力もしないで制度が悪いと言うのは、自分の字が下手なのは筆が悪いと言って筆をかえるのと同じじゃないですか。(拍手)それとも、小選挙区になれば票欲しさは激減するとでも言うのですか。もし比例区に回れと言われても、わしは公認なしで出て当選してやるわ、無所属でも立候補します、この地盤は絶対離れませんと言っている人がほとんどじゃないんですか。ならば、ますます選挙は激しさを増すばかりではないでしょうか。ならば、ますます人気取りの激しさが多くなるのではないですか。
 さて、もう一つの答えで、中選挙区では政策論争ができないともしお答えになるならば、これまでの選挙で公報に政策を載せてきたでしょう。公報というのは政策論争の場でしょう。中選挙区で政策論争ができないと言うのなら、公報に政策を載せたのはどういうことになるのですか、あれは無意味だったということですか、お答え願いたい。
 制度というのは一〇〇%のものはないと思っております。なのに総理は、不退転とか、小選挙区になれば金もかからなく、政策論争ができると金科玉条のようにおっしゃっております。したがって、この際、小選挙区制度になれば政策中心になると何回もお答えになっているところで、それをぜひとも証明していただきたいことをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 再質問に端的にお答えいたしますけれども、選挙のときは、政策を掲げて、それぞれの政党が政権を獲得することを目標に選挙の争いをいたします。一つの地域で、同じ政党からお一人だけ立候補していらっしゃる候補者は、その党の政策を申し述べられればそれでいいわけですが、私が言うのは、中選挙区で三名、四名と同じ党の、自由民主党ですから決める政策は全く同じです。党は政策を公約として訴えるわけですよ。ですから、同じ公約でどうやって政策論争ができるでしょうか。そうでしょう。(発言する者あり)
#25
○議長(櫻内義雄君) 静粛にお願いします。――静粛に願います。
#26
○内閣総理大臣(海部俊樹君)(続) そこで、この制度を変えて小選挙区制にしますと、それぞれの政党が一人ずつ候補者を選ぶわけです。選ばれた一人一人の候補者がそれぞれの異なる政策を国民の皆さんの前で議論することが、これが本当の政策論争というものであると私は思うのですよ。同時に、同じ政党に所属する議員同士で、党の決める政策が同じときには、やはり個人中心の選挙になります、個人中心の政策伝達になります。
 私は、本来、議会制民主主義というのは政党政治だと思うのです。政党政治というのは、政党が責任を持って決めた政策を国民の前で議論しながら、どちらがいいかを選んでもらうのが、これが本当のあるべき姿ではないでしょうか。その意味で、小選挙区制が非常に望ましいということを私は確信をいたしております。(拍手)
#27
○議長(櫻内義雄君) 北側一雄君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔北側一雄君登壇〕
#28
○北側一雄君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりました政治改革三法案について、総理に質問いたします。
 御承知のとおり、我が党は、九月三日、比例代表選挙区併用制の要綱を発表いたしました。多様な民意を正確に反映し、かつ候補者個人の顔が見える比例代表選挙制度でございます。
 まず、政府の提出した選挙制度改革案である小選挙区比例代表並立制について、我が党の提案する併用制と対比しだから質問をいたします。
 政府の提案する並立制がその根拠としていることは、第一に、政策本位、政党本位の選挙の実現と言われております。しかし、現行選挙が個人本位の選挙となってしまって、政策本位、政党本位の選挙となっていないと指摘するなら、それは専ら自民党党内の特有の問題ではありませんか。また、政策本位、政党本位の選挙の実現というなら、並立制より、まさしく政党間の選挙であるところの併用制が数段すぐれていると思いますが、総理のお考えをお尋ねいたします。
 第二に、並立制は、政権交代の可能性を高めて、政治における緊張感をもたらすと言われております。確かに、政権交代がないために政治に緊張感が失われ、それがまた政治の腐敗をも招いているという認識は、重要な指摘であります。しかし、並立制が政権交代の可能性を高めるのに役立つというのは、到底納得できるものではありません。幾度も指摘されているように、勢力の均衡した二つの政党がない日本の政治状況では、むしろ一党支配が固定化する可能性が高いと言わざるを得ません。政権交代の可能性を言うのであれば、政党の得票率が正確に議席に反映する併用制を採用すれば、政権交代可能性が直ちに現実のものとなると考えますが、総理はどうお考えですか。
 第三に、並立制の導入は金のかからない選挙にするためと言われております。並立制にすれば選挙に金がかからなくなるとはとても考えられません。できるだけ金がかからない選挙にしたいというのであれば、比例代表制である併用制の方が間違いなくすぐれていると考えますが、総理はどうお考えでしょうか。
 次に、併用制の議論に関連いたしまして、連立政権に対する総理の認識をお尋ねいたします。
 総理は一昨日、また、昨日の本会議において、併用制は民意を反映する反面、小党分立、連立政権の可能性を高め、政権を担当する政党が国民によって直接選ばれるのではなく、政党間の交渉で決定されるという問題があると答弁しておられますが、そもそも間接民主制、議院内閣制の制度のもとでは、政権をだれが担当するのかは、選挙で選ばれた議員で構成する国会の議決により決定することであって、国民が直接に決定するわけではありません。また、政府の形成にできるだけ民意を反映させたいという趣旨でおっしゃっているのであれば、連立政権となる場合でも、有権者は、選挙前に、いかなる政党が連立を形成しようとしているのか十分に認識しており、それをも重要な要素として投票行動をとっているのであって、総理の指摘は全く的外れと言わざるを得ません。(拍手)選挙で、単独で過半数を占める政党が出ないのなら、その結果こそが厳然とした有権者の意思のあらわれではありませんか。
 総理の見解は、要するに、選挙制度改革によって、一つの政党だけで常に過半数議席を占めるような制度にしたいという意思のあらわれ、願望を表明したものではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
 また、総理は昨日、総理自身がドイツに行ったときの経験を話されて、連立政権は機動的でない、また非効率であるかのごとき発言をなされましたが、一体総理は連立政権というものをどのように評価、理解されているのか。連立政権だから政治が不安定だとか非効率だとか評価されるのであれば、余りにも短絡的と言わざるを得ません。現に、単独で過半数を占める政党がなくても、連立政権によって政権が安定している例は世界じゅうに数多く見られます。むしろ、連立政権の方がチェック・アンド・バランスがきいて、より安定するとも言われております。改めて、総理の連立政権に対する認識をお尋ねするものでございます。
 さて、本法案では、選挙区人口格差は二・一五倍で、格差が二倍を超える選挙区が二十七選挙区ございます。総理、あなたは、そもそも投票価値の平等という要請をどのように理解されているのですか。各選挙区の区割りを行う際、投票価値の平等という要請はどの程度満たしておればよいと考えているのですか。
 投票価値の平等というのは、民主主義の根幹をなす大原則であります。過疎地域への配慮など、これ以外の要素を考慮することがあったとしても、それはあくまで付随的な要素として認められるものであって、人口格差が二倍を超えるような区割りは到底許されるものではないと考えます。具体的に、選挙区間の人口格差が一体何倍を超えれば、国会として是正の必要が生じてくると考えているのか、総理、具体的にお答え願いたい。
 また、選挙制度審議会は、投票価値の平等に関して、次のように答申をしております。すなわち、「選挙区間の人口の均衡を図るものとし、各選挙区間の人口の格差は一対二未満とすることを基本原則とする。」としているのでございます。この答申の趣旨に明らかに反して、当初から二倍を超えるような区割り案になっているのはなぜなのか、明確な答弁をお願いいたします。
 次に、連座制についてお聞きいたします。
 本法案で、連座制の強化を副指しての改正案が提出されておりますが、新たに連座制の対象とする者として、公職の候補者となろうとする者の一定の親族、また公職の候補者等の秘書を掲げているものの、これらの者が禁錮以上の実刑に処せられたときに限っているのはどうしてですか。こうした規定で腐敗防止の実を上げられると考えているのですか。
 総理は、買収等の罪によって禁錮以上の実刑の言い渡しを受けているのがどの程度あるのか御存じなのでしょうか。私の調べたところでは、昭和六十一年から平成二年までの最近五年間で、買収等の罪を犯して裁判所に起訴されている件数は約二万件であります。このうち、禁錮以上の実刑判決の言い渡しを受けているのはたった四十三件、比率にしてわずか○・二%でございます。さらに、この実刑判決を受けた者の中で、親族や秘書という身分を持つ者は皆無と思われます。
 このような過去の例からもわかるように、本法案で連座制の対象を拡大したといっても、実際上は、この規定により連座制が働き、そして腐敗防止の実を上げることは全くないと言わざるを得ません。親族や秘書についても、総括主宰者や地域主宰者と同じく、執行猶予つきであれ、また罰金刑であれ、買収等の罪を犯して刑に処せられたときは、連座制が働くようにすべきであると提案いたしますが、総理、いかがでしょうか。
 また、本法案は、これまでの当選無効に加えて候補者の五年間の立候補制限を規定しております。この立候補制限そのものは、評価をいたします。しかし、これも連座制による当選無効があって初めて、候補者の立候補制限という二次的効果が生じるのであります。これまで国会議員について、連座制の適用があり当選無効とたったのは、昭和三十年二月実施の衆院選での一例だけで、そもそも連座制の対象を根本的に拡大しなければ、この候補者の立候補制限という規定も実際に働く余地は全くないと言わねばなりません。
 以上から明らかなように、本法案の連座制規定によって選挙の腐敗行為に対する制裁を強化したなどというのは、全くの見せかけだけであると言わざるを得ないと考えますが、総理の見解をお聞きいたします。
 次に、政治資金規正法の改正案について質問をいたします。
 改正案は、政治家と政治団体の関係が公表されること、また資金調達団体を二つに限定していること、企業献金は原則として政党への献金に限っていることなど、不完全ながらも、現行法に比べれば一歩前進と言えるでしょう。しかし、次のような大きな問題点があることも指摘せざるを得ません。
 すなわち、本法案によって、政治資金パーティーを寄附とは別枠のものとして新たに制度化し、かつ、その規制はパーティー一件ごとの規制になっているにすぎません。また、パーティー券購入者名の公開も、また購入金額の制限も、パーティーごとの規制になっているだけで、年間の総額制限や年間総額による購入者名の公開がなされておりません。また、政治団体以外の者も政治資金パーティーを開催できる。これでは、これまでの企業献金と同じく、新たな大規模な政治資金収集手段となってしまうおそれが強いと考えますが、総理はどうお考えでしょうか。
 企業献金に関して一言付加しますと、五年後以降も、当分の間は資金調達団体に年二十四万円までの献金が認められておりますが、企業献金を全面的に禁止してこそ、政党助成についての国民の理解が得られると思いますが、総理、いかがでしょうか。
 最後に、一点お尋ねをいたします。
 政府は、これまで選挙制度改革案とその他の政治改革案は一括に処理しなければならないと言われておりますが、小選挙区比例代表並立制について野党は一致して絶対反対であることは、これまでの質疑から明らかであります。また、自民党党内からも反対の声が強いことも御承知のとおりです。
 総理、選挙制度改革の成立する見通しが全くないこの段に至っては、まずは政治改革三法案の中で、選挙制度関連の項目と、その他の政治資金の規制、腐敗防止などの項目とを切り離して、まずは後者の中から実現可能なものを成立させることが、金権腐敗体質からの改善を願う国民の意思に沿うものと考えますが、どうでしょうか。いつまでも選挙制度と執拗にリンクさせることで、実現可能な他の改革を先送りすることは、到底許されるものではないと強く訴えるものでございます。
 以上、総理の明快な答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 北側議員にお答えをいたします。
 現行中選挙区のもとでは、いかなる政党でも政権党を目指す限り、同一選挙区で複数の候補者を立てざるを得ないのであります。御指摘になったこと、現在のところ、御指摘のように自由民主党にほとんどそのことは妥当するのでありますが、将来政権をとろうという夢と志を持っていらっしゃる皆さんにも、このような同じ政策のもとで複数の人が争うことは、ややもすれば大切な場面で政策が姿を消してしまうということを私どもは主張をし、政党政治というものは政策本位の争いになっていくことを願っておるのだということを、どうぞ御理解をいただきたいと思うのであります。
 政党の得票率が議席に反映する制度、私は、今の民意が敏感に議席に反映するのが小選挙区制であると考えておりますが、それだけではいげませんから、比例代表制を加味することによって、少数意見の国政への参加という問題について十分な配慮が払われておる審議会の答申であったと考えております。
 また、金のかからない選挙になるためには、やはり政党が中心になりますと、今はとんと個人で行っておるような政治活動あるいは広報宣伝活動、そういったものについても政党中心のものに切りかえていくことによって、必要以上にお金のかからない制度になっていくものと考えております。
 常に、今日求められておる選挙制度の内容としては、選挙制度審議会の答申をよく読み直してみますけれども、やはり政権の安定や、政権が国民の意思によって直接に選択されるべきこと、多様な民意の国政への反映などを挙げております。私は、こういったとを総合的に判断して、新しい選挙制度の仕組みとしては比例代表並立制が適当であると考えております。
 連立政権への認識と仰ぎれましたが、確かに、いつも連立政権をやっておるドイツその他の国もございます。そのかわり、連立相手の政党との協議にいろいろ時間をかけたり、労力をしたりしておる仕事を私はこの間体験してきましたから、私の記憶の中にあるということで申し上げましたが、そのとき申し上げたように、それはその国の国民がそれでいいと選択すればそういう結果になるわけでありますから、そのことについてはそれはそれでいいでしょう。私は、日本は日本としての選挙制度の改革をするなれば、今お願いしておるような三法案で政党中心の、もっと政党が政策をもって競う選挙になっていくようにしたいということを強く願っておりますし、投票価値の問題につきましても、これは御指摘のとおり、選挙制度審議会の答申に「一対二未満とすることを基本原則とする。」という答申をいただきました。私はその答申を尊重して、そして区割りも政府でやるのではなくて、公正な第三者機関である審議会にお願いするのが一番公正であると判断をして、この原則に従ってお願いをしたわけであります。その結果の区割りでございます。
 また、区割り作業は、原則として全国の議員一人当たり人口の三分の二から三分の四までとすること等の基準を設けて作業を行っていただいたと聞いております。ただ、議員一人当たり人口が全国の議員一人当たり人口の三分の二を下回るところもありましたために、結果としては最大格差が一対二・一四六となったものとの報告を聞いておりますが、現在の三倍以上の格差からいくと、目標は大きく達成されてきておる、私ばこラ理解をし、基本原則はおおむね守られておるものと考えます。
 また、連座制の問題についてお触れになりましたが、現行法でも候補者の親族はその対象とされておりますが、候補者と意思を通じて選挙運動をしたもので禁錮以上の実刑に処せられた場合に現在は限定しておりました。今回新たに改正しようとしますのは、予定者の親族、候補者及び予定者の秘書を連座の対象とすることとしておりますが、これらの者についても、候補者等と意思を通じて選挙運動をしたもので禁錮以上の実刑に処せられた場合に限定をいたしておりますが、これは連座の対象が大幅に拡大されたことになり、腐敗行為の防止に資することができるものと考えております。
 また、現在の連座制は当選無効の措置のみでありますけれども、候補者の当落を問わず、立候補制限五年間を科したということ、また、選挙犯罪の裁判における公判期日の一括指定の制度化等と相まって、実効性は確保されていくものと考えております。
 政治資金パーティーについては、節度ある開催を図るのは当然でありますから、収支の明確化を図るとともに、購入規制及び多額の購入者の公表を行うこととしておるものであり、行き過ぎを是正し、節度あるものにしていきたいと考えております。
 また、企業や団体等の献金を原則として政党に限っておること、同時に、それらの環境の整うことを前提にして、政党助成の制度もあわせて今回提案をしておるところであります。
 なお、政治資金の運用規制については、収支報告書に記載しなければならず、これを記載しないときは罰則の適用を受け、これを記載したときは運用規制違反として国民の批判を受けるのでありますから、規制の実効性は確保されるようになると考えますし、政治家の政治資金については、その活動が政治活動か私人としての活動か区分しにくいために、その他の資金と明確に区別することが困難でありますから、第一義的に政治家自身の自覚と責任にまつべきものと考えます。今回、政治資金の公開の強化等によって、政治資金の運用についても国民の批判と監視が従来よりも行き届くことになりますので、運用規制の目的を達し得るものと考えております。
 最後に、三法案の中で政治資金、政治倫理、腐敗防止の項目を分離して、まずそれだけから行ったらどうかという御提案でございましたが、国民の信頼と負託にこたえるための新しい政治を築き上げていこうというので、政党政治というものが本来の姿になるように三法案を一括してお願いをしておるのでありますから、一括しての審議に対して御理解と御協力を賜りたいと思います。(拍手)
#30
○副議長(村山喜一君) 森本晃司君。
    〔森本晃司君登壇〕
#31
○森本晃司君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる政治改革関連三法案につき、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 政府並びに自民党が提出したこの三法案は、自民党内にも反対論が強く、あすから始まる政治改革特別委員会でも自民党内の反対派と野党で過半数を占めていると言われ、もはや廃案は必至であるという状況下で、総理は今どんな心境でそのいすにお座りなのでしょう。総理が熱弁を振るわれれば振るわれるほど、私にはむなしさが伝わってくるのであります。
 ところで総理、あなたは総理・総裁としてのその名を我が国の議会史上に永遠に残されることであろうと確信いたします。どのようにして残るかというならば、最近、総理の側近の方が、トラは死んでも皮残すと発言されたようでありますが、過去に小選挙区制を導入しようとして国民の強い反対に遭い、廃案に追い込まれた鳩仙内閣のハトマンダー、田中内閣のカクマンダーに続いて、カイマンダーとしてその名が残るであろうということをまず申し上げたいと思います。
 さて、そもそも政治改革は、リクルート事件に端を発し、その教訓、反省の上に立って政治家のモラルを正し、政治家と金の関係に一定のけじめをつけることにこそ最大の目的があります。ところが、それを政府・自民党は、すべての問題を選挙制度の改悪に転嫁、集約した形ですりかえてしまい、逆に圧倒的に自民党に有利なものに改悪することで、一党支配を強めようとしていることは明らかであり、これは政治改革の替え玉事件とで至言えるのではないでしょうか。リクルート事件等々の教訓、反省の姿勢が全く見られないことに私どもは厳しく批判いたします。
 真の政治改革とは、単に選挙区制を改めることだけではありません。リクルート事件以来の国民の政治不信を払拭し、政治倫理の確立、政治資金の規制強化、腐敗防止こそが今日の政治改革に課せられた最重要課題であると考えますが、総理の所見を伺うものであります。
 今国会において証券・金融スキャンダルと政治改革が重なったのは決して偶然ではないと思えます。何か不祥事件があれば、すぐに政治家が関与しているかとの憶測を生むような我が国の政治土壌、このような政治経済の腐敗構造を抜本的に改革しなければ、我が国が国際社会で名実ともに信頼を得ることはできないと思うのであります。
 ところが、過日の新聞報道によりますと、ある自民党の大物議員の政治団体が、一つの会社から三年五カ月で一千二百万円という多額の寄附を受けながら、全く政治資金の収支報告に記載されていなかったこと、また、一法人から同一の政治団体に年間百五十万円を超える寄附を受け取ったこと、さらにまた、その政治団体どうり二つの任意団体からも千七百万円の献金を受けていたことが明らかになり、両方合わせると二千九百万円を受け取り、どこにも届けていなかったということであります。
 さらに、けさ驚いたことに、けさの新聞には、公称会員の二十倍近い会員権を乱売したゴルフクラブの事実上のオーナーから、海部内閣の元閣僚がお歳暮として一千万円、考えられないことです。私の常識が間違っているのか政界の常識が間違っているのか、お歳暮として一千万円、陣中見舞いとして五千万円を受け取っていたことが報道されております。これらは明らかに政治資金規正法に違反していると思われますが、総理並びに自治大臣、いかがでしょうか。これほどの巨額の金を暗々裏に受け取る体質、そして、ばれれば返せばいいという姿勢。重ねて伺います。政治資金規正法に違反していると思うのか思わないのか。このようなことはいかにすればなくすことができるのか。そして国民の信頼を回復することができるのか。その場限りのいいかげんな答弁ではなく、国民の前にはっきりとお答えいただきたいと思います。
 きのうの自治大臣の、「政治資金規正法にのっとり適正な収支報告を行うべきものと考えております。」と、まるで人ごとのような答弁では、責任者としての、自治大臣としての何の責任もなく、反省もないように思えてなりません。
 そのような姿勢が、また次の腐敗を招き、このような問題が後を絶たないという現実を生んでいるのであります。これらを防ぐためにも、まず政治倫理を確立し、政治資金規正法の規制強化をすることこそが急務であり、速やかに実行することが不可欠であると思うのであります。また、資産公開法も制定することが必要だと思いますが、総理並びに自治大臣の所見を伺います。
 さらに、自治大臣の秘書給与に関する関連企業からの支払いについて伺います。
 これまでの答弁の中で、自治大臣は、過去の税務調査で指摘を受けたことがなかったので、十分理解されていると、昨日おっしゃっておりました。自治大臣としてそのような認識だけで果たしてよいのでありましょうか。これらのあいまいな答弁を伺っていると、今回の法案提出の所管大臣としては全く不適切であり、辞任されるか、法案を直ちに撤回すべきだと思いますが、国民が納得する答弁をお願いいたします。
 さて、次に、政府・自民党が導入しようとしている小選挙区比例代表並立制について伺います。
 これは、本質的には小選挙区制であり、ごまかしのために比例代表をわずかにつけたものであり、重大な欠陥があると言わざるを得ません。選挙制度の主眼は、いかに民意を正しく反映すべきかにあります。選挙区定数不均衡が抜本的に是正されないため制度疲労を起こしている現行の選挙制度を改め、新しい選挙制度を議論することは大いに意味がありますが、死票が多く、少数意見の抹殺につながり、新人が当選しにくいなど、まことに非近代的な選挙制度としての並立制を押しつけてきたのを黙視していたならば、リクルート事件を発端とする政治腐敗根絶としての政治改革はおろか、有権者の選挙権はゆがめられ、我が国の民主主義の基盤崩壊の危機に陥ると考えざるを得ません。
 総理、並立制の導入に関して次のような声が聞こえできます。それは、小選挙区制度には賛成できない。もう一度見直す度量がないとフセインと変わらない。小選挙区制を導入しても、同じ自由主義の政党同士の選挙になれば、政策本位というより個別サービスの選挙になる。区割りの仕方がおかしい。二対一におさまっていな小し、十年後の見直しはどうするのか。党内説得できないものに、国民の理解や協力が得られるか。国会に出してもどうせつぶれる。小選挙区制でもやはり金がかかる。中選挙区制の悪い点はわかっているが、今度の小選挙区制の方がもっと悪い。
 以上の発言は一体どこのだれの発言がおわかりでしょうか。すべて総理が総裁を務める自民党議員の発言です。
 さらに、けさの新聞には、次期総裁出馬を予定されている人からも、「小選挙区比例代表並立制の導入によって、必ずしも金のかからない政治が実現する保証はない」と述べたと報道されております。党内の意見がまとまらないような法案を国会に出して、国民が果たして納得できるでありましょうか。
 また、全国の自治体からも導入反対に対する決議、意見書が相次ぎ可決され、総理を初め自治大臣や国の関係者、関係機関に送付されております。つまり、地方議会としての明確な意見表明であり、政府・自民党はこうした地方の声に謙虚に耳を傾けるべきであると思いますが、総理はどのように受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。
 ところで、昨年、超党派の議員によるヨーロッパの選挙制度の調査が行われました。そのときの報告書を総理はごらんになりましたでしょうか。自民、社会、公明、民社の四党幹事長、書記長クラスで構成された。フランス、イギリス、統一前の両ドイツの国会議員、学識経験者との意見交換の記録であります。この中で、イギリス上下両院議員団との懇談の折、自由党のメイヒュー上院議員はこう答えております。世論調査では、国民は比例代表制を望んでいますが、二大政党によって改革が阻まれています、このような状況ですので、英国内では対立が助長され、保守党は大企業、労働党は組合ということで、世界からばかにされている制度です。
 また、オックスフォード大学教授のバトラー博士との懇談で、博士は、英国の選挙制度の将来について、もし変わるとすれば西ドイツがモデルになると思いますと述べられています。
 また、保守党のワディントン内務大臣は、我が党の市川書記長の質問に対して、小選挙区制には、一つの政党が余りにも多くの議席をとり、少数者から嫌われるような根本的な政策や制度の変更を行うことが可能であるというリスクが伴いますと答えております。
 日本で政府・自民党が導入しようとしている小選挙区制は、おひざ元のイギリスにおいても弊害が強く指摘され、しかも、いずれ将来は比例代表制に移行するだろうとの予測も聞かれているわけであります。
 自民党の当時の幹事長を団長としたヨーロッパの選挙制度の調査ですが、小選挙区制の弊害とその将来について、だめだと学んできたのに、なぜ今政府・自民党は世界の潮流に逆行した小選挙区制を導入しようとしているのか、ヨーロッパの選挙制度の報告書を一体今回の法案のどこに生かしておられるのか、明確に説明をいただきたいのであります。(拍手)
 ともあれ、政府・自民党が導入しようとしている並立制は、国民が望んでいる政治改革につながらないところか、政治改悪に当たると言っても過言ではありません。
 公明党は、このような民主主義に逆行した並立制には断固反対です。しかし、我が党は単に反対しているだけではありません。中選挙区制にかわる新しい選挙制度として、比例代表制である併用制をいち早く対案として発表いたしました。これは、多様化している国民のニーズを国政に反映するために、民意を議席に反映させることが可能な比例代表制中心の制度であり、さらに候補者の顔の見える制度を加味しております。先ほど来、我が同僚議員が詳しく申し述べましたが、私は、その制度についての骨子を簡単に申し述べさせていただきます。
 全国を十一のブロックに分け、各ブロックごとの比例代表選挙区併用制とする、総定数は四百七十一、選挙区当選者は総定数の四割、百八十八人とする、投票は一人二票制、投票用紙は一枚とたっており、ドイツの選挙制度がモデルになっております。この制度がいかにいいかということは、先ほど北側議員から述べたとおりであります。一さて、総理は、我が党の議員の比例代表併用制導入に関する質問に対して、先ほども、併用制にすると小党分立を招きやすくなり、連立政権の可能性を高め、政権を担当する政党が国民によって選ばれるのではなく、政党間の交渉で決定されるというお答えがありました。また、先日、過剰定員の制度も理論上出てくるとお答えになりました。連立政権がだめだと決め込んでいる総理の考え方はおごりであり、増上慢も甚だしいと言わざるを得ません。連立政権がよいか悪いかは国民が決めるものであります。現に、ヨーロッパでは単独政権ははんのわずかであり、連立政権の形の方が多いという状況をどのように認識されておられるのか、お伺いいたします。
 また、超過議席についても、我が党の案では、事実上はとんと超過議席は出ません。いたずらにこの問題を強調することは制度の本質を外れた。ためにする議論でしかありません。
 最後に、総理、圧倒的な死票を生み、単独政権の固定化を前提とした希代の悪法案を直ちに撤回し、我が党が主張する民意を正確に反映し、候補者の顔も見える比例代表併用制を導入されることを強く要求し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#32
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 森本議員にお答えをいたします。
 政治に対する国民の信頼を確固たるものとするために、内外に山積する諸問題に的確に対応するため、この三法案をお願いしておるわけであります。
 いろいろな御意見のあることはわかっておりますが、げさも社会経済国民会議の各界を代表される皆さんが、多くの立場のそれぞれの方々の激励の署名簿をそろえて、政治改革はぜひやってほしい、今のままではいけない、やりたさいと言って激励に来ていただいたことも申し添えさせていただきたいと思います。私は、そのために今国会に三法案を提出しておるのであり、政党中心の政治活動や日常生活や、政党による国民の前での政策論争を繰り広げることができるような、そんな姿を描きながら、この法案の成立のために一層の努力をお願いをしたいと思います。
 また、新聞に報道されておる問題について申されましたが、具体的事実を私は承知しておりませんし、具体的事実に即して判断すべきものと考えておりますが、もとより、政治資金であれば適切な取り扱いをすべきものであると考えております。そして、政党本位の仕組みにして、政治資金も、その調達を政党中心として、公開と公正を確保するために今回の政治改革法案をお願いしておる次第であります。
 国民の信頼を確固としたものにするためには、政治倫理の確立が重要であることはそのとおりでありますが、あわせて、制度面においても政党政治を確立し、政策中心の選挙が実現できるような仕組みをつくっていかなければならないということも事実であります。政治資金についても、選挙制度の改革にあわせて、資金の調達を政党中心にするとともに、公開性を高め、規制の実効性を確保しようとしておるところであります。
 資産公開法を急げとのお話でございましたが、自由民主党も政治倫理確立のための資産公開法を作成をして、院に提出をして、野党の皆さんと適切な結論を得るべく、ただいまお話し合いが行われておるものと承知しておりますが、事柄の性質上、議会において各党各会派で適切な結論をお出しいただくように政府は期待をしておりますし、また自由民主党も、今国会の開会前に政治倫理の確立と国会改革について議長のところにも申し入れをされたと聞いております。
 また、並立制への意見についてでありますけれども、これは、自由民主党は平成元年の五月、党の政治改革大綱として党議決定をしたものであります。それに従って二年間にわたってあらゆる角度からのいろいろな議論をなし、党議決定を行い、法案を作成し、提出をしておるわけでありますから、それは我が方においての問題でもあり、いろいろな御意見のあることは、ここでお読み上げいただいた内容を私もメモをしておきました。それは御批判として謙虚に承っておきます。ただ、国会において十分法案の内容については御議論をいただきたいと重ねてお願いを申し上げておきます。
 ヨーロッパの選挙制度の調査報告書、御苦労さまでございました。私も読ませていただきました。読ませていただきましたが、いろいろな議論のあったことも、これは議員御承知のとおりであります用意見の一部一部がいろいろございました。イギリスの、引用にたったバトラー教授の発言の問題の中でも、問題は、英国で選挙制度が変わるかどうかということですが、過半数の議席を獲得し得る政党が存在する間は改革されないでしょう、改革があるとするなれば、連立政権が二、三回続いた後でしょうから、そういう状況はなかなかないだろうと思いますと、一部としてこういうような意見もあり、全体を総合して考えると、結局はそれぞれの国の経緯や歴史や文化や伝統の中で選択され、選ばれてきたのが今の制度の問題であろう、このように考えさせていただきました。十分参考にさせていただいております。
 連立政権がいいか悪いかは、これはもちろん国民の決めるものであり、ヨーロッパでは、現在、連立政権が多くなっているという現状は私もよく承知いたしております。
 また、公明党の提案しておられる比例代表併用制の問題につきましては、私はやはり、審議会のいろいろな検討状況の中で、民意をそのまま反映するという特性を持っております。その反面に、小党分立となり、連立政権となる可能性が極めて高く、連立政権となる場合には、政権を担当する政党が国民によって直接選択されるのではなく、政党間の交渉によって決定されてしまうというような問題があるということが指摘されております。そういったことをすべて判断をして、政府は小選挙区比例代表並立制が、この国民の多様な意思を反映するためにはふさわしい制度であると考えて法案を提出した次第であります。御議論の上、御協力をお願いしたいと思います。
 残余の質問は、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#33
○国務大臣(吹田ナ君) 森本先生にお答えをいたします。
 最初の御意見は、過日の報道された自民党幹部の政治団体における収支報告の問題についてのお尋ねでありました。
 御指摘の政治団体について、どのような事情で報道されているのかということについて、私も具体的に事実を承知いたしておりませんものですから、政治資金規正法においては、政治活動に対する寄附は、同一の政治団体に対しては年間百五十万円を超えてはならないとされているわけでありますし、また収支報告におきましても、年間百万円を超える寄附は、その寄附をした者の氏名等を記載するというふうになされているわけであります。
 なお、この件について、政治資金規正法に違反しているものではないかとのお尋ねでありますが、先ほど申し上げましたように、具体的な事実関係を承知しておりませんので、政治資金規正法を当てはめるにいたしましても、具体の事実に即して判断すべきものでありましょうから、政治資金規正法上の具体の取り扱いについて申し述べることは差し控えさせていただきたいと存ずる次第でありまして、御理解を願いたいと存じます。
 次に、私が昨日も御答弁いたしました秘書の給与の関係についてお答えをいたします。――静かに聞いてください。
 秘書の給与の問題について、厳しく御意見を重ねて拝聴いたしました。
 私といたしましては、大変申しわけないことだと思っておりますし、率直に反省をいたしております。特に、政治と金をめぐる問題を抜本的に改めるために政治改革を行おうとしておるときに、政治改革関連法案の所管大臣であります自治大臣として、たとえそれが私の関係しておる企業であっても、この点についてきちっと整理整とんするということは大事なことであります。したがいまして、その点については重大な責任を私は感じております。しかしながら、今この時点でその責任を果たすためには、最大限の努力をして、私は、その政治改革の基本的信念に基づいて頑張っていこう、こう思っておるわけでございますので、御理解を願いたいわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○副議長(村山喜一君) 木島日出夫君。
    〔木島日出夫君登壇〕
#35
○木島日出夫君 私は、日本共産党を代表し、小選挙区制導入を柱とする政治改革三法案に対し断固反対し、政府が速やかに三法案を撤回することを求め、質問します。(拍手)
 政府提出の政治改革三法案について、三日間にわたって本会議質疑が行われてきましたが、そのすべての論議を通じても、政府が強行しようとする小選挙区制が、国民主権と議会制民主主義に真っ向から挑戦する最悪の選挙制度であることがますます明白になっています。(拍手)三法案をあくまでも強行しようとする海部内閣の姿勢は、絶対に許されるものではありません。野党からの質問に対しても、総理は、従来からの答弁をただ繰り返すのみで、かみ合った論議を殊さらに避けてきました。本日、私の質問に対しては、明確で誠実でかみ合った答弁をされるよう求めて、以下質問に入ります。
 総理、あなたは、三法案は各界有識者から成る選挙制度審議会で十分検討されたものだとオウム返しに答弁しています。しかし、これまでの政府の国会答弁は、選挙制度というのは国会の構成の基本に関することであり、各党の土俵づくりの問題でもあるので、各党間で論議するのが最も民主的かつ現実的である、各党間で審議した原則に基づいて選挙制度審議会でさらに具体的な審議をするというものでありました。
 ところが、今回政府は、まず自民党だけで小選挙区制導入を柱とする政治改革大綱をつくり、次いで第八次選挙制度審議会を設置したのであります。第八次選挙制度審議会のメンバーは、従来、七次審まで置かれていた各党代表から成る特別委員を排除し、多数の小選挙区制推進論者を中心に構成しました。この八次審は、自民党大綱の求めるままに小選挙区比例代表並立制を答申し、政党への企業献金、小選挙区制政権交代論を答申するなど、自民党の意図を審議会の答申の形で確認したものです。しかも、自民党政府は、大綱と異なる、若干の食い違う答申内容については、例えば総定数五百人を大綱の四百七十一人に修正をする、定数配分についても、人口比例配分に基づく一対二未満の答申を自民党の大綱の主張に変えさせるなど、より一層自民党に有利になる選挙制度としてきたのであります。
 審議会の審議経過についても、これを公表しないというのは、審議会が、こうした自民党大綱に迎合した審議内容を国民の目の前に明らかにすることを恐れたからではありませんか。(拍手)本来、公的審議会の経過の議事録は、公表するのが当然ではありませんか。出せない法的根拠など全くありません。総理の答弁を求めます。
 総理は、我が党の不破委員長の質問に対し、「選挙制度のよしあしをはかる最大の基準は、国民の意思が国会に正確に反映される」ことと答弁しました。ところが、一昨日の我が党の金子副委員長の、小選挙区部分では九割、比例代表部分を加えても四割台の得票で八割の議席を占めてどこが民意の正確な反映かどの質問に対しては、「小選挙区比例代表並立制は、民意の変化が敏感に議席数の変化に反映をもたらす」と巧妙に言いかえてきました。これは全くのすりかえであります。総理の言う敏感な反映とは、比較第一党、すなわち自民党が、いわゆる三乗比の法則によって過大に議席を与えられる一方、第二党以下の政党はほとんど議席が与えられないということにはかなりません。まさに最悪の選挙制度ではないですか。直ちに撤回すべきであります。
 一昨日、吹田自治相は、小選挙区制下においては莫大な量の死票が出るのではないかとの質問に、どんな制度でも死票が出るのは当然だと驚くべき答弁をしました。我が国の中選挙区制では、最近五回の選挙での死票は二一ないし二四%にすぎません。小選挙区制を実施しているイギリスでは、八三年選挙で死票は実に五〇・二%にも達しています。小選挙区制になれば飛躍的に死票がふえ、とりわけ、五大政党がしのぎを削る大阪や東京などの都市部では自民党が議席を独占し、七〇%にも上る国民の意思が死票として切り捨てられるのです。投票が直接議席に結びつかなくても、批判票として次回の選挙に生きるからいいではないかなどと言うに至っては、珍論、暴論のたぐいというべきものであります。これでどうして民主主義と言えますか。自治大臣の答弁を求めます。(拍手)
 総理、あなたは繰り返し繰り返し、現行の中選挙区制のもとで政権につくには複数の候補者を立てざるを得ない、どうしても政策不在、個人本位、金のかかる選挙になり、政治が汚れると中選挙区制を非難し続けてきました。それなら総理、政権政党である自民党は、これまで複数立候補をしている選挙区で多数をとるため、政策不在、個人本位、金のかかる選挙をやってきたというのですか。同じように、自民党が一人しか立候補していない選挙区でも、政策、政党抜き、個人本位、金権選挙を繰り広げているではないですか。こんなでたらめを言い分は通るものではありません。
 小選挙区制になればもっとひどくなることは、戦前だけの話ではありません。戦後でも、中選挙区制の提案理由で、小選挙区制は「選挙抗争が非常に激烈になりまして、その結果」「情実と投票買収という点が横行することに相なってまいっておつた」のですと、あなた方自民党の先輩である小沢佐重喜氏は述べているではありませんか。また、現在の奄美群島区を見ても明らかではないですか。総理、あなたの、普選時代の、古い、昔のものとの言い分は完全に破綻してしまっているではないですか。
 民意の国会への正確な反映こそ民主主義の基本であります。政権はその国会がつくり出すべきものであります。選挙制度を変えることによって政権交代を可能にするなどは、まさに本末転倒であります。総理は、現行中選挙区制のもとでは政権交代が行われず、政治に緊張感が失われてきている、小選挙区制にすれば政権交代の可能性を生み出すと言っています。しかし、これはと国民をばかにした話はありません。小選挙区制は、政権交代どころか国民多数の意思に逆らって、国会での絶対多数議席を独占し、自民党一党独裁の政権を永続させるための選挙制度ではないですか。
 総理は、戦後、中選挙区制では自民党が政権を維持し、政権の交代はなかった。小選挙区制になれば政権交代ができると言い、一昨年の参議院選挙で、自民党が一人区で三勝二十三敗であったことを引き合いに出して、小選挙区制が政権交代を生み出す制度であるかのように描き出しています。しかし、このときの自民党の議席は、比例代表部分でも、中選挙区二人ないし四人区部分でも、いずれも過半数を大きく割り込んでいたのであり、どんな選挙制度でも政権交代が可能であったことを示しているではないですか。総理たる者が、こんな子供だましの理屈で政権交代を小選挙区制導入の最大の根拠に使うことなど、不見識ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 自民党の得票率が一九六七年以来一貫して過半数を割り続け、政権交代が実現していないのは、自民党が現行中選挙区制のもとでの議員定数の抜本是正を放置してきたからであり、また、あなた方自民党が金権選挙、企業・官庁ぐるみ選挙、利益誘導選挙を繰り広げてきたからではないですか。それはどまでして政権に執着してきた自民党が、政権交代のため小選挙区制が必要などと言っても、一体だれが信用するというのでしょうか。(拍手)
 さらに、今度の小選挙区制導入法案では、無所属候補者にテレビ政見放送を全く認めないなど、重大な憲法違反の内容を持ち込んでいます。また、比例代表部分での二%足切り条項は、百二十万国民の意思を国会から排除するという、憲法第十五条が保障する国民の参政権、選挙権を真っ向から否定しています。これらはいずれも、自民党が党の公認候補以外のいわゆる保守系無所属候補が、自民党候補の議席を脅かすことを抑え込んで、一党独裁の政治支配を強化しようとする、まさに党利党略ではないですか。
 世界各国の選挙制度の大きな流れは、小選挙区制をもはや過去のものにしつつあるということは明らかであります。今も小選挙区制をとり続けている国々は、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、いずれもイギリスを旧宗主国とする一部の国と、フランスなど数えるほどしかありません。小選挙区制のモデルと長い間みなされてきたイギリスでも、今この制度に対する大きな批判が国内から沸き起こっており、イギリス上院議員も、小選挙区制は世界からばかにされていると語っているのです。小選挙区制は、国民主権、議会制民主主義の発展という歴史の大きな流れに逆行するものでありませんか。総理の答弁を求めます。(拍手)
 以上、私は、政府が持ち込もうとする小選挙区制が、国民主権と議会制民主主義に反する最悪の選挙制度であるばかりでなく、世界の流れにも逆行するものであることを明らかにしてきました。この三法案はきっぱりと撤回することを重ねて強く要求します。
 今やるべきは、国会決議に基づく現行中選挙区制のもとでの定数の抜本是正を行うことであります。梶山元自治相は、一九八八年四月十五日の公職選挙法改正に関する調査特別委員会において「衆議院の定数是正、これはまさに焦眉の急、一番重要な課題でもございます。そして、衆議院の本会議の決議、六十一年五月二十一日に決議をされたその中身に忠実でありたい、これがまず第一の原則であろうかと思います。」と、明確にその重要性、必要性、緊急性を認めていたではないですか。
 全野党が中選挙区定数の抜本是正を提起しているにもかかわらず、政府・自民党だけが何らの提案も出さず、その審議を拒否してきたのであります。
 議会制民主主義の根本にかかわる定数の不均衡を抜本的に是正することを重ねて要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#36
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 木島議員にお答えをいたします。
 今回提出しております政治改革の三法案は、これは自由民主党の政治改革大綱、また、政府の選挙制度審議会の答申を尊重してつくり上げた三法案であります。そして、御指摘のように、国民主権を尊重し、議会制民主主義を真に実効あるものとして活用したいという願いから、政党本位の日常生活、政治生活、選挙活動ができるようにしようということを願っておるわけでありまして、自由民主党の党利党略でなく、国家国民のためを思って提案をしておる法案でありますから、撤回するわけにいきませんので、どうぞ御審議の上、御理解をいただきたいと思います。
 また、第八次審議会は、御承知のとおり、学識経験者に純度の高い第三者機関としての議論を願うために、それまで国会議員を特別委員としてお願いしておったこともありましたが、今回はそれは中止をして、いたしました。ただ、その審議の中に、各党の代表においでをいただいて御意見を拝聴したこともございました。いろいろな意見を踏まえて出てきた答申と思います。
 また、小選挙区制に比例代表制を並立させることによって、少数意見の国政への反映にもこれは十分配慮した問題であり、政策本位、政党本位の制度に変えていこうとしておるものであり、ここで引用されました小選挙区制時代の問題については、これはやはり私は、大正十四年以前の、初回は明治二十二年のあの小選挙区制度のときはいわゆる制限選挙であったわけでありますし、国内の事情も情勢も大きく違っておったものでありますから、きょう今日の状況に合わせていろいろ御議論をいただきたいと考えて、提案しておる次第であります。あくまで議会制民主主義というものを確実なものにしようとするために、政党本位の議会活動、政党本位の選挙制度を実現していこうとするものであります。
 また、今の制度のままでは、どこの政党でも百三十の選挙区に複数以上の当選者を出さなければ現実的な政権交代が起こる可能性がないのですけれども、小選挙区に比例代表制を並立することによって、政権交代の抽象的可能性が起こる、具体的な緊張関係が生まれるということは、これは審議会でも学者の間、いろいろな方々の御意見の中で検討された課題であると承っております。
 また、自民党の得票率が過半数を割っても政権交代が実現していないのは定数の抜本是正の放置なのではないかとおっしゃいましたが、私は、そうではなく、あるがままの選挙制度の中で、基本的には国民の皆さんが自由民主党の政策を支持して支援していただいてきた結果であると考えておりますが、その中で出てきたいろいろな問題については、今度四百七十一の定数をみずからお願いしておることも、党が政府とともに議論をして、この際、国民の皆さんにも政治改革に示す真剣な姿勢をお酌み取りいただきたいと思っております。
 また、無所属の選挙運動についてのお話がございましたが、路かに、政権の獲得、政策の実現を目指す政党間の政策の争いなれば、一定の要件を満たす政党が候補者を展け出ることができることとする、候補者を届け出た政党には選挙運動を認めて、その政策を国民に訴える機会を十分保障するということにしたわけであります。このことはそういった政党本位の合理的な理由に基づく政党活動でありまして、平等原則を定めた憲法十四条の規定に反するものではないと考えております。
 比例代表部分での二%条項は、百二十万国民の意思を無視するものではないかと言われましたが、政権を争う政党間の政策論議の場である衆議院が多数の政党に分裂することになるおそれを少なくするために、得票数と議席の配分との関係で一定の制約を設けた次第であります。このことは諸外国の制度の中でも既に行われておるところであり、このように措置をした次第であります。
 また、世界の趨勢は小選挙区比例代表制の見直しであり、総理のやろうとしておるのは逆行するものではないかと言われましたが、最近お訪ねいただいて話し合ったハンガリーの首相のお話でも、ハンガリーでも、世界のいろいろな選挙制度を十分に見て、共産党一党独裁の後、民主国家として立つためにはどの制度がいいかというので小選挙区比例代表並立制を選んだというお話を聞いたところであります。(拍手)
 また、小選挙区制で格差是正は、国会決議についていろいろと我々が行っていきたいという決議を尊重しておる精神からいって、今回の改正法案の中には、投票価値の平等の要請にもこたえることができるように、基本原則一対二以内という審議会の答申に従って行われたこういった枠組みである、こう受けとめておる次第でございます。
 残余は関係大臣から答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣吹田ナ君登壇〕
#37
○国務大臣(吹田ナ君) 木島先生にお答えいたします。
 昨日の私の答弁に対しましてのさらに死票についての御質問でありますが、私は、今回の提出しております小選挙区比例代表並立制は、小選挙区制によりそれぞれの選挙区の有権者の多数の意見というものが何党を支持しておるかということを吸い上げること、そういった意味では非常な長所をその点で持っておると思うのであります。しかし、その反面で、御指摘がありましたように、二位以下がみんな死票にたるではないか、それは相当大きな数ではないかという御指摘もそのとおりであります。
 そういったことから、いわゆる比例代表制を並立させることによりまして、少数の意見を国政に反映できるという配慮を加えようとしておるわけでありまして、両選挙制度のいわば、私の言葉で言えば、長所と長所をかみ合わしたようなことになっておるのではないか。したがって、私は、民主主義の原則に適しておる制度であるというふうにお答えさせていただきます。御理解ください。(拍手)
#38
○副議長(村山喜一君) 川端達夫君。
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    〔川端達夫君登壇〕
#39
○川端達夫君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっています政治改革三法案に対して、総理の見解をただしたいと思います。
 今、政治改革が緊急の国民的課題として取り組まなければならないのは申すまでもありません。しかし、今回政府が政治改革と称して提案をしてきた三法案は、真の政治改革実現のための施策としては、重大かつ致命的な三つの欠陥を持っているのであります。
 それは、まず第一に、政治改革で解決すべき課題が選挙制度を中選挙区制から小選挙区制に変えることで解決できるとしている点であります。
 第二は、提案された小選挙区選挙制度は、現在の日本の政治状況のもとでは制度として欠陥が多過ぎ、現行の中選挙区選挙制度よりも改悪になってしまう点であります。
 第三は、民主主義の根幹にかかわる選挙制度を改定するにもかかわらず、事前の各党の論議もなく、かつ、小選挙区制導入については全野党がこぞって反対しているにもかかわらず、拙速かつ強引に提案された点であります。
 小選挙区制の致命的な欠陥については、既に同僚議員がただしました。本日は、政府が、政治改革課題の諸悪の根源が中選挙区制にある、すなわち選挙制度を変えれば現在の政治の問題点が解消するというような幻想を振りまいているという点を中心に、総理の御見解を伺いたいと思います。
 まず第一に、政府・自民党は、現在の政治の問題点として、激動する国際情勢に迅速に対応できないことを挙げておられます。しかし、このことと現行の中選挙区制度はどのように関係するのでありましょうか。湾岸戦争や今回のソ連政変に迅速に対応できなかったのは、むしろ内閣の情報収集能力の水準や総合調整能力の弱さとともに、我が国が国際世論を構築していく一員として行動するのか、国際世論に追従する姿勢をとるのかという総理御自身のリーダーシップが問われたのではありませんか。(拍手)総理の御見解を伺います。
 第二に、政府・自民党は、現行中選挙区制のもとでは、政権を目指す政党は同一選挙区で複数立候補しなければならず、この複数の立候補が政策、政党本位の選挙を不可能とし、政策以外のサービス競争、利益誘導に陥り、金のかかる選挙を助長しており、選挙制度を政策で争う制度に変えなければならないとしばしば主張をされております。
 しかし、この議論は全くの的外れであります。国民の目から見たとき、有権者はそのようなサービス競争を望んでいるのでありましょうか。サービスの結果を投票の判断の基準としているのでありましょうか。有権者は、候補者の所属する政党と同時に、その人の人格、識見、行動等を判断の基準としているはずです。サービスをすればするほど、それにお金をつぎ込めばつぎ込むほど選挙に有利になるという考え方は、有権者を愚弄するものであり、政策、政党本位の選挙に自信のない選ばれる側の理屈であります。一体総理は、有権者が何を基準に投票をしているとお考えでしょうか。同時に、お金をつぎ込めばつぎ込むほど選挙に有利に働くとお考えですか、御見解をお伺いをいたします。
 また、現行の選挙制度では、個人同士の争いになり、政策本位の選挙戦ができず、資金集めも活動もすべて個人で賄っていると繰り返し述べておられます。しかし、それは資金集めや活動を政党が主体的にやってはいけない理由にはならないと同時に、やれるはずであり、政党である限りやらねばならないことであります。この問題は、党本来の組織のあり方、活動のあり方にその主たる原因を求めるべきであります。その努力を放置しながら選挙制度にその罪を着せるのは、ぬれぎぬと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 党の公認を得られず、党の公認候補と激しく戦った候補者が、当選後直ちに追加公認をされる、一体党の理念とほ何なのでありましょうか。このことは、党の政策に求心力を求めるというよりは、むしろ政権を持っていることにより大きな求心力があることを示すものであります。このような体質を改めない限り、本当の政策本位の選挙などできるわけがありません。総理の見解を伺います。
 このように、政策ではなく政権を持っていることをよりどころにしている党であるからこそ、与党として利益誘導を選挙戦の最も有効な武器とするのではありませんか。
 最も政党本位、政策本位の選挙であるべき参議院比例代表選挙においてさえ、自民党は、中央省庁出身者を名簿上位にずらりと並べ、行政権限をフルに活用し、官庁ぐるみ、業界ぐるみ、金まみれの票集めに狂奔しているではありませんか。自民党の比例代表選出議員のうち中央省庁のOBは、三十七名中十八名にも及んでいるのであります。まさにこのことこそ自民党が利益誘導によって票を集めようとしていることを如実に示しているのであります。このような利益誘導体質を改めるには、選挙制度ではなく、現在の政治、行政システムに大胆なメスを入れなければなりません。
 まして、選挙制度を小選挙区制にすれば、その選挙区では一人の議員に権力が集中し、現在のシステムを前提とする限りさらに利益誘導は強まりこそすれ弱まることはありません。現在の中選挙区制度では十数%の得票で当選できるから、議員は個別利益にのみ目を向け、利益誘導に走るとされ、小選挙区制にすれば過半数の得票が必要とされ、広く選挙区内の利害を調整し、全体的観点から国政に参画できると主張されております。果たしてそうでしょうか。現在のように縦割りの行政機構が市町村の末端まで浸透し、補助金、許認可権によって市町村行政の隅々まで中央省庁の権限が及んでいる状況において、この小選挙区制を導入するならば、議員や候補者は過半数の得票を目指して、現在よりもより個別的、部分的利益を選挙区内に集めようとし、今よりさらに利益誘導に狂奔することは、火を見るより明らかであります。(拍手)したがって、利益誘導を生む温床である行政システムの抜本改革こそ、地方分権を進め、公正な政治を確立するための眼目でなければなりません。
 しかしながら、行政改革や地方分権の必要性は長年言われていますが、その歩みは遅々としています。行革国民会議の本年の行革白書によると、行政改革の有識者の総合評価は、百点満点中、前年の二十八点から二十六点へと低下してしまっているのであります。特に、地方への分権に関しては、地方の財政的自立の項目は二十七点から十九点へ、権限移譲の項目では二十三点から十七点へと大幅に点数を下げているのであります。
 なぜ、行政改革とりわけ地方分権が進まないのか。それは、現在の中央集権システムと補助金、許認可による中央の地方支配こそが自民党政権そのものの存立基盤であり、この中央集権システムにメスを入れることは、利益誘導によって票を集めるという現在の集票構造を根底から突き崩すものであるからであります。政府・自民党は、みずからの存立基盤を脅かすような抜本改革は今日まで先送りにするぼかりか、むしろ改革を阻害し、みずから有利となる小選挙区制の導入を拙速に進めようとしているのであります。
 総理は、なぜ、政治改革の前提となるべき行政機構の抜本改革には熱意を示さず、小選挙区制の導入に執念を燃やされるのか、明確なる答弁を求めるものであります。(拍手)
 今まで述べたように、お金がかかり、政策本位、政党本位の選挙ができないのは、中選挙区制のせいでもたく、また、小選挙区制にしたとしても、ひどくなりこそすれよくなるものではありません。地盤培養、サービス合戦、利益誘導などの行為をやらないよりやった方が選挙に有利であるとの体質からすれば、選挙制度を変えても何も変わらないのは当然であります。このような行為をやっても意味がない、やれば罰せられる、やれないというシステムをつくることこそが真に必要なのであります。(拍手)このような課題は、政治と選挙にかかおる公正なルールを確立することであり、どのような選挙制度のもとでも必要なことであります。今日、国民が緊急に求めている政治改革とは、まさにこのことなのであります。
 今日の政治改革の発端は、リクルート事件に象徴される政治腐敗を根絶し、政治への信頼をいかに回復していくかということでありました。政治への信頼回復とは、政治がクリーンであること、政治家のモラルを確立すること、多様化する民意の公平な吸収を図りつつ合意形成の手順を踏むこと、決めたことを必ず実行すゑこれらのことを明らかにしていくことであります。
 この際、政治改革は、政治家の倫理確立のための政治倫理法の制定、政治腐敗防止のための連座制強化を柱とする公職選挙法改正、政治資金の透明性を高めるための政治資金規正法改正、政党、政策本位の政治を促進するための政党への公的助成制度の確立など、各党合意可能なものを優先させ、各党の意見の隔たりの大きい選挙制度改革と国民が緊急に求めている課題とは切り離して二段階で進めるのが妥当であると考えます。
 総理は、私たちの再三の要求にもかかわらず、あくまで選挙制度改革と他の政治改革との一体的改革にこだわり続けておられます。なぜ総理はこの姿勢にこだわり続けるのですか。
 総理は、一昨日以来の御答弁で、小選挙区制で一生まれる死票は単なる死票ではなく、政権を担当する政党は常にその死票に配慮しながら行動しなければならないと繰り返し答弁されました。その謙虚な姿勢が真実ならば、現在、野党が小選挙区制の導入にはこぞって反対しているときに、三法案一括処理という方針はとれないはずであります。前回総選挙で本院に議席を占めている全野党に投じられた票は約二千二百八十万票、本院の全員の皆さんの得られた票の約四五%であります。死票は配慮するが、生きた票は配慮されないおつもりなのか、総理の明確なる御答弁を求めます。(拍手)
 残された審議日程、衆参の勢力状況などを考えた場合、あなたがかたくなな三法案一括処理の姿勢をとり続ける限り、政治改革が一歩も進まないという結末に至ることは明白であります。そして国民は、この政治改革が熱望されているときに、結局政治は何もしなかったと新たな政治不信を増幅させることになるのであります。
 総理、政治改革を一歩でも前進させようとする熱意があるならば、この切り離しに応じて、合意できる部分から実現させていくという段階的改革の路線を選ぶべきであります。明確なる答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#40
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 川端議員にお答えを申し上げます。
 今選挙制度を変えればすべての問題が片づくなどということは、私どもも毛頭考えておりません。それは政治改革という大きな枠組みの中で、現在の中選挙区の制度を小選挙区比例代表並立制に変えなければならないことになるという問題意識を持ったわけでありまして、政治倫理の問題が大前提であり、同時に、国民の皆さんの不信を招いた政治と政治資金の問題についても、これは政治資金規正法を始めいろいろの自主規制その他を含めて解決をしていかなければならない問題であるということは、強く自覚をいたしておりますが、しかし、問題の根底には現在の中選挙区の制度があるんだ、こういう結論に達しておるわけであります。そして、この国民の信頼を確固としたものにするためには、やはり政治改革は、今お願いをしておる三法案とともに、既に国会に提案してある政治倫理のための議員の財産、資産公開法その他も含めてあわせて解決すべきものであることは、議員御指摘のとおりであると私も思います。
 また、これは今の有権者の皆さんに対して、一選挙区で一人だけ候補者がお立ちになる政党の行動と、一選挙区で複数の候補者の立つ政党の行動とは、おのずからそこに差があるのも事実であります。したがって、同じ党の組織といいましても、それは個人個人の政治家の後援会組織になってくるわけでありますから、いろいろ政策の立案、伝播等においても本当の意味の政策本位、政党本位にならないのです。そのことは、自民党が現在はその多くの部分が当てはまるのですが、どの政党も政権を望まれる以上、今の制度のままならば自民党と同じことを体験しなければならないことになり、国民の前では政策論争によっての政権選択が行われなければならぬということでありますから、大きな次元に立って制度、仕組みの改革が大切だということを重ねて申し上げておきたいと思うのであります。したがいまして、お金の集め方も政策の決め方も、全部それらのことについては政党本位となっていくように、今後とも改革をしていこうと考えておるのであります。
 また、なぜ政治改革の前提士なる行政改革をしないかとおっしゃいますが、行政改革も、地方分権には政府としてもこれは真剣に取り組んでおることは御承知のとおりであり、再三にわたる行政改革推進審議会や、あるいは活力ある地方をつくるためのいろいろな政策努力や作業というものは、これはあえてここで申し上げるまでもなく御理解をいただかなきゃならぬ問題でありますし、御指摘の地元利益の確保のみを争い合うという状況は、決してこれは好ましいものではございません。したがって、今新しい飛躍を期す上で、二十一世紀の日本を目指すならば、地方分権の確立は、我が党としても政府としても、これは極めて大切なことだと受けとめ、国と地方の責任分担、役割の分担、そういったものを明確にしながら、国会は国政に、地方議会は住民に身近な自治体としての地方の活性化に努められるシステムづくりに全力を挙げて取り組んできておるところでございます。
 私は、三法案の問題については、最初に申し上げましたように、いろいろな問題を考えて、国民の政治不信を解消しながら、議会制民主主義というものが真に機能するために、政党政治になるように、政党本位の、政策中心の選挙戦や政党本位の日常活動ができるようにするために、一括して整合性を持った三法案をお願いしておるのでありますから、一部分だけを取り上げてこの根本的な改革ができるとは判断いたしておりません。したがって、一括して提案をさせていただき、一括処理という方針で臨んでおるわけでありますから、御理解の上、御協力をお願いいたしたいと思います。
#41
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
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#42
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十九分散会
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ソース: 国立国会図書館
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