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1991/09/24 第121回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第121回国会 本会議 第11号
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1991/09/24 第121回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第121回国会 本会議 第11号

#1
第121回国会 本会議 第11号
平成三年九月二十四日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  平成三年九月二十四日
    午後一時開議
 第一 麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正
    する法律案(第百二十回国会、内閣提出
    )
 第二 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正
    行為を助長する行為等の防止を図るため
    の麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に
    関する法律案(第百二十回国会、内閣提
    出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 麻薬及び向精神薬取締法等の一部を
  改正する法律案(第百二十回国会、内閣提出
  )
 日程第二 国際的な協力の下に規制薬物に係る
  不正行為を助長する行為等の防止を図るため
  の麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関す
  る法律案(第百二十回国会、内閣提出)
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する
  法律案(内閣提出)及び国際緊急援助隊の派
  遣に関する法律の一部を改正する法律案(内
  閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 麻薬及び向精神薬取締法等の一部
  を改正する法律案(第百二十回国会、内閣
  提出)
 日程第二 国際的な協力の下に規制薬物に係
  る不正行為を助長する行為等の防止を図る
  ための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等
  に関する法律案(第百二十回国会、内閣提
  出)
#3
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案、日程第二、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生委員会理事野呂昭彦君。
    ―――――――――――――
 麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法
  律案及び同報告書
 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を
  助長する行為等の防止を図るための麻薬及び
  向精神薬取締法等の特例等に関する法律案及
  び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔野呂昭彦君登壇〕
#4
○野呂昭彦君 ただいま議題となりました二法案について、厚生委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の批准に備え、並びに我が国における麻薬及び向精神薬等の乱用の防止を図るため、麻薬向精神薬原料に係る届け出、国外犯の処罰等に関する措置を定めようとするもので、その主な内容は、
 第一に、麻薬及び向精神薬の原料物質の輸出入、製造及び販売を業として行う者について届け出制度を設ける等必要な規制を行うこと、
 第二に、外国でみだりに麻薬、向精神薬、大麻及び覚せい剤等の輸出入、製造等を行った者を我が国で処罰できるようにする等罰則の整備を図ること等であります。
 次に、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の批准に備え、及び国際的な協力のもとに規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るため、薬物犯罪に係る不法収益の隠匿等の処罰、不法収益の没収、疑わしい取引の届け出等の麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法及び覚せい剤取締法等の特例、その他必要な事項を定めようとするもので、その主な内容は、
 第一に、薬物犯罪の捜査のために必要と認められる場合には、入国審査または通関の際に、規制薬物を所持する疑いのある者等の上陸等を認めることができること、
 第二に、金融機関等は、その業務において収受した財産が不法収益である疑いがある場合には、必要な事項を主務大臣に届け出ることとし、検察官等は、その記録を閲覧することができること、
 第三に、不法収益の発生の原因やその取得等につき事実を仮装し、または不法収益を隠匿した者等を新たに処罰の対象とすること、
 第四に、不法収益である財産につき没収及び追徴の制度を整備するとともに、没収等のための保全及び没収等に関する国際共助の手続きを定めること等であります。
 両案は、第百二十回国会に提出され継続審査となっていたものであります。今国会においては、九月二十日に下条厚生大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を終了し、採決の結果、両案は全会一致を叱って原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、両案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(櫻内義雄君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関す
  る法律案(内閣提出)及び国際緊急援助隊の
  派遣に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明
#7
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣坂本三十次君。
    〔国務大臣坂本三十次君登壇〕
#8
○国務大臣(坂本三十次君) 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 世界が大きな変革期を迎え、二十一世紀に向け平和と安全の新しい秩序が模索される中、国際秩序の強化やパートナーシップの構築が求められ、また、国際連合の機能と権威を高めることにより平和を確保することが従来になく強く求められております。先般のロンドン・サミットにおいても、新しい国際秩序を構築していくに当たっては、国際連合を中核とする多数国間の努力を重視するという姿勢が明らかにされました。これは、冷戦構造克服後の世界に健全な方向性を与えようとするものであり、従来から国連中心主義を提唱してきた我が国の立場にも沿うものであります。
 特に、国際連合平和維持活動(PKO)は、世界各地の紛争の平和的解決を助けるため、中立・非強制の立場で国連の権威と説得により任務を遂行するものであって、一九四八年以来世界の多くの国の参加を得て、国際の平和と安全の維持のため多大の貢献をしているものであります。また、人道的活動に従事する国連機関及びその他の国際機関は、人道的任務を達成するため、世界各地において重要な活動を行っているところであります。
 我が国憲法は、国際協調のもとに恒久の平和を希求していますが、かかる平和主義の理念を具現化するためにも、人道的な国際協力を一層進めるとともに、世界平和を守る秩序づくりの国際共同作業には、我が国としても積極的に参加し、なし得る役割を担っていくことが必要であります。
 このような役割を果たすため、我が国としては、これまでも、国際連合平和維持活動及び人道的な国際救援活動に対し、資金面で重要な協力を行うとともに、選挙監視団への要員の派遣など人的側面での協力も実施してまいりましたが、今後、人的な面での協力を一層適切かつ迅速に行うことができるよう、国内体制を整備することが必要であります。
 今回提案の法律案は、このような認識に基づき作成されたものであり、国際連合平和維持活動及び国際連合が行う決議または人道的活動に従事する国際機関からの要請を受けて行われる人道的な国際救援活動に適切かつ迅速に協力することができるように国内体制を整備することによって、我が国が国際連合を中心とした国際平和のための努力に積極的に寄与することを目的としております。
 具体的には、国際平和協力業務実施計画及び国際平和協力業務実施要領の策定手続並びに国際平和協力隊の設置等について定めることにより、国際平和協力業務の実施体制を整備するとともに、これらの活動に対する物資面での支援を行うための措置等を講ずることとしております。また、国際平和協力業務の実施に際しては、平和国家たる我が国の憲法を踏まえ、武力による威嚇または武力の行使に当たる行為を行ってはならないことを明記しております。
 以上が国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) 外務大臣臨時代理内閣総理大臣海部俊樹君。
    〔外務大臣臨時代理内閣総理大臣海部俊
    樹君登壇〕
#10
○外務大臣臨時代理内閣総理大臣(海部俊樹君) ただいま議題となりました国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案について趣旨の御説明を申し上げます。
 国際緊急援助隊の派遣に関する法律が昭和六十二年九月に施行されて以来、我が国は、海外の地域、特に開発途上にある地域におきまして大規模な災害が発生した場合には、国際緊急援助隊を派遣し、国際緊急援助活動を実施してまいりました。この間、大規模な災害に対する国際的な支援の機運の高まりもあり、これまで十九回にわたる派遣を通じて、災害の規模によってはさらに大規模な国際緊急援助隊を派遣する必要があること、被災地において自己完結的に活動を行い得る体制を充実すべきこと及び輸送手段の改善を図るべきことなどの課題が明らかになってきておるところであります。
 今回の一部改正の法律案は、現行の国際緊急援助隊を派遣する法律の基本的枠組みのもとで、自衛隊の国際緊急援助隊への参加を可能ならしめ、もって自衛隊の保有する能力を国際緊急援助活動に活用するとともに、自衛隊及び海上保安庁による国際緊急援助隊または国際緊急援助活動に必要な機材等の輸送を可能ならしめることによって、我が国がその国力にふさわしい国際的責務を果たし得るよう、国際緊急援助体制の一層の充実を図ることを目的とするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。この法案につき御賛同を得られますように格別の御配慮を得たい次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関す
  る法律案(内閣提出)及び国際緊急援助隊の
  派遣に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#11
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。田原隆君。
    〔田原隆君登壇〕
#12
○田原隆君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました両法律案に対し、総理に御質問します。
 まず、国際情勢と我が国の役割について伺います。
 我が国は、第二次世界大戦後、その荒廃の中にあって、国民も国も自分のことをまず第一に考えて対処し、国民経済の復興と発展に専念してまいりました。その結果、我が国が一人前の経済力を持ち、先進国の仲間入りをすることに成功しました。今日では、世界のGNPの約一四%を占め、一人当たりのGNPではアメリカを上回るに至っております。これに伴い我が国の国際社会における地位が急速に高まり、国際的な影響力も増大しておるわけでありますが、これは平たく言えば、我が国は世界各国にお世話になってここまで来たと言えるし、その恩返しをしなければならないと至言えるわけであります。このことは、すなわち、我が国が国際社会の中で果たすべき責務が極めて大きなものになっていることを意味するものであります。
 特に、我が国が国際社会共通の目標である世界の平和と繁栄のためにどのような役割を果たすかについて、各国から大きな期待と関心が寄せられており、我が国としてこれにいかにこたえるかという課題に直面しております。すなわち、今こそ一国平和主義から脱却し、国際社会におけるあり方、生き方をみずからの課題として真剣に問いただし、我が国の国力にふさわしい役割をいかに果たすかについて明快な考えを内外に示すときであると考えます。とはいっても、今日まで我が国もそれなりに国際社会において責任を果たしてまいりました。例えば、ODAでは今や世界の最大の供与国になっております。
 しかし、昨年の湾岸危機の発生のときには、日本が国際的な貢献を果たすためには、経済的支援だけではなく人的な協力も必要ではないかということで、国連平和協力法案が審議されたわけでありますが、残念ながら、これは廃案となってしまいました。しかし、その際の国会閉幕に当たり、そのときの教訓を踏まえ、いわゆる三党合意が成立し、国連平和維持活動への参加について、早急に立法作業に着手し成案を得るよう努力することが確認されたわけであります。こうしたことを経て、今回の両法案の提出がなされたことは、大変歓迎すべきことと思っております。
 湾岸戦争後の国際情勢を見ますと、地域紛争の頻発、主要国の国内政情の混乱が相次いております。東西冷戦構造が終わった今日こそ、国連を中心とする平和維持のための国際的な協力が重要不可欠となっていると言えます。先般のロンドン・サミットの政治宣言でも、平和維持における国連の役割は強化されるべきであり、我々は、これを強力に支援するとうたわれております。
 私は、本年六月、国会派遣の政経調査団第五班に参加し、ドイツ、スウェーデン、国連本部及びカナダを訪問いたしましたが、その際、各国のPKOについて視察しました。各地では、我が国の国連協力に対する期待が極めて大きいことが印象的でありました。そして、PKOの意義を認識し、我が国もこれに参加する必要性を痛感しました。
 我が国が国際社会でみずから積極的に役割を果たした最近の事例としては、掃海艇の派遣を挙げることができます。この派遣は、タンカー等の航行の安全の確保という平和的、人道的な目的に対する人的な国際協力として大変大きな意義を有するものであり、その働きは、我が国の国民はもとより、諸外国からも非常に高い理解と評価を得ております。(拍手)
 今後、我が国が国際社会で平和を確立するための役割をより積極的に果たしていくためには、このような人的側面での国際協力を強化することが不可欠と言えます。その意味で、何としてもこの両法案を今国会で成立させなければならないと思っておりますが、総理の御決意のほどを改めてお伺いしたいと思います。
 さて、次に、このような自衛隊の海外派遣においては、当然憲法とのかかわりが問題となるわけでありますが、中でも国連の平和維持隊(PKF)への参加と憲法との関係が種々論議の対象となったと承知しております。国連のPKFは、紛争当事者間での停戦の合意と受け入れ国の同意を前提に派遣され、中立・非強制の立場から、国連の権威と説得で平和維持の任務を遂行するものであります。したがって、敵のいない戦わだい部隊とも言われ、伝統的な意味での軍隊ではなく、また武器の使用も自衛のための最後の手段とされております。これらのことは、先般の視察の際にも各国の関係者がそろって強調していたことであります。
 私は、今までの憲法をめぐる議論には、二つの側面があったと受けとめております。
 まず第一の側面は、PKFは、任務の遂行に際して武力を行使する可能性が皆無とは言えないため、憲法で禁止されている武力行使にならないための枠組みをいかに設けるかでありました。これは五つの原則、すなわち合意、同意、中立、撤収及び武器使用制限から成る基本方針という歯どめを、今回の法案ですべてカバーすることで十分達成されるという考えてあります。この基本方針に基づいておれば、PKFに参加しても憲法の枠内に完全におさまると考えるものであります。
 第二の側面は、シビリアンコントロールについていかに国会が関与するかという議論であります。シビリアンコントロールの象徴は国会の承認であることは論をまたないと思います。しかし、国連の平和維持活動という国際的な協力の問題については、いかに考えるべきでありましょうか。国連の平和維持活動に参加するに当たっての国会の承認がもたらす問題点として、幾つか挙げられます。
 例えば、国連からの要請に対し、迅速にこたえるためには、国会の承認を求めた場合、機動性に欠ける場合があるとか、休会中の場合は、国会開会の段取りのために相当の日数が必要とか、国連の要請に前向きにこたえたくてもタイミングを失してしまうおそれがあるとかという考えてあります。
 せっかく国内の体制を整備しても、このような緊急の要請に効果的に対応できないとすれば、国際的な期待に背く結果を招くおそれがあります。また、仮に事後承認としても、派遣後撤回、引き返しとなれば、これにも当然国際的な問題が伴うことが考えられます。防衛出動とはおよそ次元の違う国連の平和維持活動に我が国が迅速に参加し得ることを考慮して、法律案に国会の承認が入っていないことは理解できないことではありません。
 しかし、私は、本法案がこのような見解を十分尊重したものであり、国会の関与、すなわち、シビリアンコントロールの実際上の運営が確保できるようた仕組みを有するものであることが必要であると考えます。実施計画作成後の国会への報告では、国会の関与は事実上少ないものとなってしまいます。したがって、承認が必要という考えがあることは当然と考えられます。承認が得られないとすれば、それはそのときの国民の判断であるからやむを得ないという考えがあります。そこで国会が深くかかわり、濃密な審議をし、実質的に承認と同様な重みのあるものとすることが必要であると思います。そのことは、法律作成の上で可能であると思います。この点に関し、総理の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、国際緊急援助隊派遣法の改正を含めてお伺いします。
 今回の二法案のポイントの一つは、自衛隊の能力の活用という点にあると思います。
 戦後、我が国の平和と安全の確保という面で、自衛隊は大きな役割を果たしてまいりましたが、他方で、自衛隊の能力を国際社会の平和と安定のために役立てるという発想は余り見られませんでした。今日の国際社会においては、国連平和維持活動等の国連の重要性がますます高まってきており、国際社会の有力な一員となった我が国が、この活動について、物、金のみならず、人の面での協力を求められるようになってきました。
 国連平和維持活動協力法案は、このような国際的な活動に自衛隊がこれまで蓄積してきた経験、組織的機能を役立てようとするものであり、また、国際緊急援助隊法改正は、全国各地で活躍している自衛隊の災害救助能力を海外における災害においても活用しようとするものであり、両法案とも自衛隊が自信と誇りを持ってこれらの新たな任務の遂行に専念できるよう、諸制度の確立を図ろうということであろうと思います。これらの法案は、その意味において大変有意義なものであると考えますが、自衛隊の活用に関する総理の基本的な考え方をお伺いします。(拍手)
 次に、組織の面から見た自衛隊との関係についてでありますが、たしか昨年末のころには、新たな協力組織は自衛隊とは別個につくり、同時に、その組織が国際緊急援助隊としても従事することができると考えていたわけであります。今回の法律案には、国際平和協力本部を置き、国際緊急援助隊は、従来どおり別組織として拡充されることになっていると考えます。これは考え方が変わったのかどうか、特に協力本部は自衛隊とははっきりと別組織なのかどうか、お答え願いたいと思います。法律案においては、実施計画、実施要領により防衛庁長官が業務を行わせると書いているので、その点からも別組織と言い切れるのかどうか、お答え願いたいと思います。
 次に、最も大事な問題の一つに、派遣される隊員の側に立った問題があります。私は、国民の代表として海外に派遣されることとなる者の立場に立った心のこもった措置をとるべきであると申し上げたいと思います。すなわち、協力隊員の安心と名誉を考える必要があると考えます。そのためには、例えば派遣された隊員が不慮の事故等に遭った場合、どのような補償を行うのかということは、派遣される者にとっても、その家族にとっても大変重要なことであり、万全の措置を講ずる必要があると存じます。また、派遣された隊員の苦労、功績をたたえ、名誉を高めることは極めて大切なことと存じておりますが、国際平和協力本部長になられる立場にある総理として、こうした点についていかなる所存をお持ちか、お伺いしたいと思います。
 次に、自衛隊法との関係について伺いたいと思います。
 今回は、自衛隊の本来の任務を規定している同法第三条をいじることなく、自衛隊が国連の平和維持活動や国際緊急援助活動等に参加するという新たな任務を、自衛隊法第八章の雑則に書くことになったわけでありますが、この機会に自衛隊法第三条を思い切って正面から改正すべきであるとの声も聞きます。今回のやり方に至った状況はそれなりに理解できるのですが、将来的には避けて通れないことと思います。特に、第八章などはその都度思いついたことを定めているような気がしてならないので、もっと考えを整理し、全体像がわかるようにすべきではないかと考えますが、総理のお考えを承りたいと思います。
 次に、今回の法案によれば、人道的な国際救援活動を実施するに当たり、国連の決議または別表に掲げられた国際機関の要請が必要とされております。国際移住機構のように我々になじみがないものもありますが、そのような国際機関からの要請は、国連の決議と比べてみて果たしてどうなのか、また要請はどのようになされるのか、見解を伺いたいと思います。
 最後に、研修について伺います。
 PKFにおいて極めて重要なことは、実際の活動に従事する一人一人が十分な研修や訓練を受けていることであります。特に、隊員は一面で外交官的素養も要求されますので、研修は極めて重要であります。法案第十五条に研修について明記されておりますが、このためのみに新たに膨大な施設を建設することは、時間的にも財政的にも効率的とは申されません。したがって、各省庁が既に有する研修・訓練施設を十分活用できるようにすることがぜひとも必要と考えますが、それには協力本部側がその気になることが何より大事であります。この点についての総理の御所見を伺いたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わりますが、一言申し上げます。
 昨年の国連平和協力法案において、憲法の解釈等について大論議がしばしば行われてまいりました。今回、これらの論議を踏まえて、十分慎重な検討の上、これらの法案が提出されたと思いますので、委員会等を通じてたびたび同様な論議が繰り返されると思いますが、どうぞ一貫した姿勢で、そして強い決意で自信を持って臨んでいただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 田原議員にお答えを申し上げます。
 私は、今回、平和と繁栄を目指して新たな国際秩序を構築していくに当たっては、国連を中心とする協力を重視するという姿勢が極めて大切であり、過日のサミットにおいてもこのことが確認されたわけであり、我が国もまた国連中心主義を外交政策の柱として取り上げてまいりましたし、この国連の平和維持活動に参加することは、御指摘のとおり、国際協調のもとに恒久の平和を希求する我が国の憲法の理念にも合致しておるものと考えます。
 議員は、春に世界各国の平和維持活動の実態を調査をされ、その報告書も私は読ませていただき、御見識に敬意を表するとともに、参考にさせていただいた次第でございます。
 また、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部改正につきましては、昭和六十二年の施行以来我が国は、海外の地域、特に開発途上にある地域において大規模な災害が発生した場合には、緊急援助活動を行ってまいりましたが、今回、それを一層充実、効果的なものにするために、自衛隊の参加を可能とすることにした次第であり、両法案とも今国会でぜひとも御審議をいただき、成立をさせていただくよう強くお願いを申し上げる次第であります。
 また、国会の承認の問題について、議員は御意見を交えてお述べいただきました。
 私どもは、国際平和協力業務の実施のための自衛隊の派遣は、重要な問題でありますから、行うべき業務の内容その他の点について詳細な規定をこの法案の中に設けております。そして、この法案においては、実施計画を内閣が決定するとき、変更があったとき、業務が終了したとき、また業務を行う期間に変更が起こったときには、それぞれ遅滞なく、内閣は国会に報告をいたします。国会においては、このような報告について十分御議論をいただくことになると考えておりますが、政府はその際、これを重く受けとめて、それらの意見を踏まえて実施に当たることといたします。また、両法案は、今後の国際社会への貢献という点で大変有意義なものであると考えるかどうかとの御意見でありますが、私もその点は議員のお考えと全く同感でございます。
 また、援助隊法案における自衛隊活用の問題は、きょうまでほぼ四年間の活動状況を見ますと、災害の規模等によっては、被災地において自己完結的な能力を持ったものの活動が求められること、同時にまた、輸送手段を改善すべきことなどの課題があると認識をいたしておりますし、現地を視察をしていただいた方々のお話も承っておりますけれども、そういったことを参照して、自衛隊の活用をお願いを申し上げておる次第でございます。
 また、三党合意に基づいていろいろ議論をいたしました。自衛隊とは別個の組織というのは、当初三党合意が作成された時点では完全に常設的なものが想定されて議論をいたしておりましたが、同組織が国際緊急援助隊にも参加することとされていたと私も理解をいたしております。ところが、PKO法案に基づき設立される国際平和協力隊は、事務局を除き基本的に非常設となります。同協力隊が国際緊急援助隊に参加することは想定されないことになりました。
 政府としては、自衛隊の能力を活用すべく、参加を可能とする改正案を提出いたしておりますが、これは国際緊急援助隊を一層充実し、もって人道的分野での国際貢献を強化しようとするものでありますから、その意味で議員御指摘の三党合意の趣旨に沿うものであると政府は考えております。
 また、今回の法案は、協力本部は自衛隊とははっきりと別組織なのかとのお尋ねでございましたが、本部という常設の組織を総理府に設けるとともに、国連等からの要請を受けて政府として決定する都度、この本部において平和協力隊を組織するとともに、必要に応じて協力隊員の身分をあわせ有する自衛隊員により構成される自衛隊の部隊等の参加を得て、国連の平和維持活動に協力する体制をとることにしたものでございます。
 なお、自衛隊の部隊等が行う平和協力業務についても、閣議決定をされた実施計画及び本部長が定める実施要領に従い行われるものであることは申すまでもございません。
 また、御心配をいただきました。もし不慮の事故等に遭った隊員にはどのように対処するか。私は、このような場合については、国家公務員災害補償法等による補償措置を講ずるほか、当該隊員への賞じゅつ金についても検討を進めているところであります。また、派遣された方の御苦労、御功績に対しては、政府としてもその功績と名誉をたたえるべく十分配慮をしていきたいと考えております。
 また、自衛隊の任務規定は、御指摘のように第三条は「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」ことを自衛隊の本来の任務と規定をいたしております。また、国連平和協力本部長の要請を受けて、防衛庁長官が自衛隊の部隊等に国際平和協力業務を行わせることは、自衛隊が長年にわたって蓄積をしてきた技能、経験、組織的な機能の活用を図るものであることでありますから、第三条の改正を要しないとともに、第八章に規定されている業務と同様の位置づけになるものであります。
 いずれにしても、自衛隊の存立目的を変えるといった変更を行うためには、防衛庁、政府部内はもとよりのこと、国民的な議論を経た上で行うのが適当であると考えております。
 また、国際機関等からの要請はどういうことになるのかということでありますが、PKO法案第三条第二号に言う人道的な国際救援活動の要請を行い得る国際機関としては、法案「別表」に掲げているとおり、国連並びに総会によって設立された国際機関、国連の専門機関及び国際移住機関に限定しているところであります。これらの要請を国連の決議と同様に人道的な国際救援活動の発動要件に係らしめることは問題はないと判断しております。
 なお、要請というのは、人道的な救援活動を原則として文書によるアピールの形で、我が国政府または各国政府に求めてくることであります。
 適切な研修や訓練なくして効果的な活動は行い得ない、御指摘のとおりでございます。したがいまして、本部長の定めるところにより研修を受けなければならないということに法案上処理しておりますが、その実施に当たっては、既に施設を有する関係省庁からの協力を得ながら、隊員に対して必要な研修を行っていく所存であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(櫻内義雄君) 伊藤茂君。
    〔伊藤茂君登壇〕
#15
○伊藤茂君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました二法案について、総理に質問をいたします。
 この法案は、これからの世界における日本の生き方、進路についての政府の姿勢を象徴するものであると私は思います。しかし、どう考えても政府の考えは間違いであります。私は、ポスト冷戦の国際社会で我が日本が「名誉ある地位」をどう占めていくのか、政府とは違うもう一つの積極的な貢献の考えを述べながら質問いたします。
 総理、あなたはわずか一年足らずの期間のうちに、重大な政府見解を百八十度転換をさせました。昨年、平和維持軍については、武力行使を伴うということで、自衛隊が参加することはたとえ後方支援であっても憲法上許されないと総理自身も法制局長官も繰り返し強調してきたのに、今は平和維持軍を含む全面参加を提案し、それは憲法九条に違反するものではないとし、加えて政府統一見解では「従来の政府見解とも整合性を有する」としています。政府見解を根底から覆しているものであります。先ほどの説明を伺いましても、弁解にもなりません。あなた方が国会で答えてまいったことと全く逆のことをここで言うのでしょうか。白は白、黒は黒であります。昨年の見解を否定した理由をはっきりと述べてください。(拍手)
 あなたはもう一つ変わりました。昨年の国会論議を通じて、PKOへの参加については自衛隊とは別個にというのが共通の認識、合意だったと思います。しかし、この法案は、別個から自衛隊そのもの、併用でと変えました。自衛隊を部隊として公然と派遣することにしたのであります。重大な変更です。平和維持軍を軍、フォースでなく隊と言うなど、よろいに衣を着せたつもりでございましょうか。我が党は、日本の国際貢献にとって重要なのは国民合意であることを繰り返し要求してまいりましたが、あなた方はそのベースを変えたのであります。この重要問題をどうして変えたのですか。犬型間接税は導入しないと公約しながら消費税を強行導入したのと全く同じであります。変えた理由をはっきり説明してください。
 事柄は憲法判断に関する重要な問題であります。私は、この点で総理がどういう御信念をお持ちなのかを伺いたい。あなたの党に設置されている国際社会における日本の役割に関する特別調査会の中間報告草案なるものが報道されております。そのほかの場所でも小沢会長、すなわち前幹事長が見解を述べて、湾岸戦争での多国籍軍への参加も可能であり、積極的に検討する、防衛計画の大綱を見直すなどと述べています。国連協力なちば自衛隊の行動に憲法の制約は一切ないという趣旨であります。総理、あなたはこれを是としますか、非としますか。拒否すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、最近のPKOに関する国連の議論についてどういう認識をお持ちでしょうか。最近の国連では、平和維持機能、平和創造機能の強化が真剣に議論され、湾岸戦争のようなことが二度と世界で起きないようにどうするのか、PKOだけでなくPMO、すなわちピース・メーキング・オペレーション、紛争予防措置の機能強化、PKOにおける文民の役割の拡大、PKOの活動範囲が選挙監視、人権、警察など大きくすそ野が広がっているなどが最近の議論の新しい特徴であります。PKOと自衛隊問題だけで頭がいっぱいになっているのは旧時代の発想であります。過去しか知らないで将来を見ないのでは、目が後ろにあって前にないというのと同じではないでしょうか。総理は、国連の平和維持機能の今後にどういう見識をお持ちたのか、お聞かせください。
 私は、政府に大きな平和戦略がなくて、個別の問題であるPKOと自衛隊だけに没頭しているとしか思えません。総理、今世界が音を立てて新しい歴史を刻んでいるのです。冷戦時代は終わったのであります。歴史的な新しい現実を認識して、スケールの大きい発想で新しい政策を考えようではありませんか。私は、ポスト冷戦、ポスト湾岸の世界で、我が日本が誇りある役割をすべきだと思います。ヨーロッパではパリ憲章やCSCEを中心に冷戦後の新しいシナリオが実現しました。アジアでも事態はよい方向に進展しています。なぜ総理は、CSCA、すなわち全アジア安保協力会議のような大きな平和構想と展望を提唱しないのですか。今は、米ソに大胆なアジア軍縮構想を提起する絶好の今機会ではありませんか。それは既に幾つかの国から提案され、提唱されている問題であります。同時に、それはまさに日本に最もふさわしい提唱ではないでしょうか。どうお考えになりますか。
 自衛隊の海外派遣について、今中国や韓国、朝鮮民主主義人民共和国など近隣諸国から懸念の声が上がっています。報道によれば、昨日、中山外務大臣と会談した中国、韓国の外務大臣が強い懸念を表明し、また、昨日、韓国の盧泰愚大統領も自衛隊海外派遣に慎重な対応を求めています。最も近い国から国会審議の前の日にこのような発言があるとは重大なことであります。私は、この法案に示されたような発想をやめて、新しい軍縮時代の構想を提起し、歴史の反省と将来への誓いを鮮明に内外に宣言する中から、世界とアジアに貢献する日本の進路が開けると思いますが、近隣諸国のこの懸念にどう対応されますか。(拍手)
 総理、私は提案します。このような中で今PKOに派遣しようとしている自衛隊についても、私は大胆な削減、大胆な改編の計画を提起すべきであると思います。仮想敵国を設定した戦争への準備はもう要らたいのです。大きな戦争をする危険性はどこにあるのですか。自衛隊の削減計画を立て、平和協力、平和国土建設、災害対策など、新しい組織を創設していく展望の中でPKO協力を具体的に構想すべき時代を迎えていると思います。当然削減した軍事費はこの新しい分野に振り向けます。当然のことであります。これこそが新時代における本当の軍縮であり、国際貢献ではないでしょうか。我が党は、このような立場から、非軍事、民生、文民による活動を基本とする組織を創設し、三年後を目途に国際平和協力庁を設立しようということを具体的に提案をしているのであります。(拍手)
 世界が新しい軍縮時代を迎えて、どの国も軍縮政策を推進し軍事費を削減しているときに、日本だけが自衛隊を強化して世界公認の軍隊として海外でも活動させようとするのですか。軍縮をして国際貢献をするのが世界の歴史の方向なのに、ことしも五・四%の防衛費拡大の概算要求など、軍拡をして世界に軍隊を出す方向は、まさに古い頭であります。あなた方自民党は歴代、憲法を邪魔にしてきましたが、憲法九条があるからこそできる積極的な平和外交をしてこなかったのではないですか。そういう軍縮構想について総理はどうお考えですか、お聞かせください。(拍手)
 そういう立場から、私は幾つかの具体的な問題点を指摘して答弁を求めたいと思います。
 まず、武器の使用と範囲について、派遣される自衛官については国連が必要と認める限度でということで、事実上制約がありません。内容は不透明であります。事柄は具体的であり、抽象論では困ります。今までのPKOの武器の実績は御承知でしょう。国連事務総長が認めたら、対戦車ロケット砲や装甲車も持たせるのですか。外国人のための武器使用もあるのですか。共同で行動している外国人が攻撃された場合に、それは対象外ということなのでしょうか。はっきり具体的にお答えください。
 武器の使用と武力行使の概念を分けたことは国際社会では通用しない、言葉の遊びやへ理屈でごまかしてやる姿勢はよくない、これは小沢前幹事長発言として報道されている言葉でございます。どう思われますか。
 また、撤収の条件の問題があります。法律には規定がなくて実施計画で、派遣の終了を含む実施計画の変更があり、業務の中断で一時退避するとしておりますが、国連の統一した指揮下で活動するPKOから、危険な状況になったときに日本の自衛隊だけが撤退することが国際的に通用するのでしょうか。だれがその判断をするのですか。現場で突然発生する事態に対して首相官邸から現場指揮することは不可能でありましょう。いかがですか。
 さらに大きな問題として国会承認問題があります。自衛隊法七十六条、七十八条で、緊急出動や治安出動でも国会承認が義務づけられているのに、海外に出動をするのについて報告だけで承認は不必要というのはまさに論外であります。(拍手)これは自衛隊管理の基本であるシビリアンコントロールを排除するものであります。議会を無視することは国民を無視することである、このことを政府は忘れているのでしょうか。総理の見解を伺います。
 私は、政府がこの法律の成立をなぜ急ぐのか、いつ、どこに急いで自衛隊を派遣する必要があるのかという国際情勢の判断を伺いたいのであります。また、カンボジアが重要な国際問題の焦点になっておりますが、それに対する政府の見解を聞きたいのであります。
 この七月、私たち与野党の政策担当者でカンボジアを訪問いたしました。その後の状況を見ますと、特徴的なことは、カンボジア各派がシアヌーク殿下を中心に自主的に和平と建設を進めようとする意欲と努力が高まっていることであります。来月にはパリ会議で調印という方向に進んでいることを私は本当に喜んでおります。もはや大規模な平和維持軍を派遣して管理するような状況ではございません。このような進展の中で日本のとるべき措置は、カンボジアでの自主的な和平を支持し促進する役割を果たしながら、戦乱で破壊された国土の復興と再建のために努力をすることであります。軍事的に管理するかのような印象を持たれるような行動は絶対に避けなければなりません。政府は、この法案によって自衛隊のカンボジア派遣を現実にやるのですか、計画しているのですか、お答えください。
 国際緊急援助隊派遣法の改正についても、私は常設の組織として設置されるべきだと思います。自衛隊を部隊として導入するという発想ではなくて、自衛隊員を含む広い分野からの志願、公募で新しい組織をつくるべきではないでしょうか。なぜそういうわかりやすい発想が持てないのか、国民は疑問にしていると思います。
 総理、最後に改めて新時代の世界の中の日本の進路についてのあなたの見解を聞きたいのであります。
 ポスト冷戦の世界の中で、日本国憲法や国連憲章の精神が今新しい構想を持ってよみがえるときが来たと私は思います。世界が新しい歴史に向かって熱っぽい議論をしているときに、また懸命の努力をしているときに、政府は自衛隊派遣問題だけに夢中になっているかのように見えます。もっともっと大きな平和戦略を今こそ立てるべきではないでしょうか。
 先日、ドイツの新聞シュピーゲルにバイスゼッカー大統領が次のような趣旨の見解を述べておりました。湾岸戦争は終わった。このようなことが二度と起こらないよう新しい努力を国連中心にやらなければならない。同時に、我がドイツは日本と一緒に国連安保理常任理事国を目指すということでいいのだろうか、私はそうは思わない。人類は今、地球規模の環境や貧困に迫られている。今、ブルーヘルメットと同じくらいのグリーンヘルメットという大きな目標を立てなければならない。我がドイツは、そういう人類の新しい課題の提唱者となり、担い手となりたい。
 そういう大きな構想や発想が政府にないことを私は本当に残念に思います。世界の首脳と肩を並べる先見性のある大きなスケールで国民に語る政治が今こそ求められているのではないでしょうか。そういう新しい座標軸を持たないこの法案に、社会党は反対であります。私たち社会党は、世界に貢献するもう一つの道を積極的に主張してまいります。
 総理、現臨時国会はあとわずかの日にちしかございませんが、この法案の行方にはまだ時間がありそうであります。改めて再検討し、全政党・会派で協議し、文字どおり国民合意のものにやり直そうではありませんか。それを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 伊藤議員にお答えを申し上げます。
 国連平和維持隊は、紛争当事者の間に停戦の合意が成立し、紛争当事者が平和維持活動に同意していることを前提条件として、中立・非強制の立場で国連の権威と説得によって停戦確保などの任務を遂行するものでありまして、強制的手段によって平和を回復する機能を持つものではございません。
 政府としては、このような状況でありますから、武器の使用と我が国憲法九条上禁止されている武力の行使との関係は、十分慎重に検討を行ってまいりました。その結果、平和維持隊に参加する場合の武器使用は、要員の生命等の防護のために必要最小限のものに限ることを中心要素とする基本方針を取りまとめたところでございます。この基本方針に従って立案された法案でありますから、我が国が平和維持隊に参加して活動する場合、紛争当事者間の停戦合意が破れるなどによって平和維持活動が必要とする前提が崩れた場合であります、こういった場合には、当然任務を中止いたしますし、我が国から参加した部隊の派遣も終了するわけでありますから、憲法上の武力の行使をするという御批判は当たらないと思います。
 また、従来の政府の見解は、我が国が何らの前提を設けることなく平和維持活動に参加する一般的な場合についての解釈を示してあったものでありますが、特に前提を設けて参加する場合について、今回は法案に基づいて書いておりますから、その点を御留意いただきたいと思います。
 また、国際の平和と安全の維持のための活動に的確に、迅速に協力するためには、自衛隊が長年にわたって蓄積してきた技能、経験、組織的な機能を活用することが適切であると判断をし、政府部内で検討した結果、人道的な国際救援活動の両方に自衛隊の能力を活用することが適当であると考えるに至った次第であります。今回の法案では、国際平和協力本部という常設の組織を総理府に設けるとともに、国連からの要請を受け、この協力を政府として決定する都度、本部において平和協力隊を組織するとともに、必要に応じて、国際平和協力隊員の身分を併有する自衛隊員により構成される部隊等の参加を得て、平和維持活動に協力する体制をとることといたした次第であります。
 また、自民党の党内論議にもお触れになりましたが、いろいろな御議論、御研究がなされておることはよく承知をいたしております。ただ、政府としては、今回この法案を提出いたしますに当たって、自民党の了承もとり、また政府自体の考え方もここに明らかにして、提出をいたしておる次第であります。
 また、国連の平和維持機能の今後については、これはもう地域紛争の平和的解決に貢献し、国際平和に貢献するという以上、積極的な役割を果たしていくことが期待されておるものと考えております。
 また、だぜCSCA、全アジア安保会議を提唱したいかということでございますけれども、一般的に申しますと、今アジアの地域の実情というものは、政治的環境が存在しておる欧州とはいささか異なっておって、アジア・太平洋は、朝鮮半島における南北の対峙や日ソ間における北方領土問題やカンボジア問題など、依然として政治的対立、紛争が未解決でありますから、このような環境を整備して、話し合いができるような状況をつくるために、二国間及び多数国間の外交努力を今行っておるところでありますから、そういったことができる環境づくりのために、今努力をしておるさなかだということでございます。
 また、自衛隊の海外派遣に関する近隣諸国の反応について申されましたけれども、国連の決議というものを受けて、停戦の成立の合意というものがあって、中立・非強制で行うわけでありますから、要請を受けて行うPKO活動というものは従来の軍隊ではありません。また同時に、近隣諸国のすべての国々のいろいろな同意を得てから行う行為であるということも、私は御理解をいただきたいと思っております。
 また、私自身、東南アジア近隣諸国の首脳会談を行いますときは、これらの考え方は説明をし続けてまいりましたし、過日、シンガポールにおいても、中国においても、私の政策演説でこの日本の考え方は申し上げてまいりました。他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという我が国の基本方針が不変であることなどについて十分な説明を行い、今後とも近隣諸国にはこれらの問題についての内容を十分に御説明をしていくつもりでございます。
 また、自衛隊の部隊等は、閣議で決定される実施計画に従って武器を保有いたします。武力による威嚇または武力の行使に当たるようなものであってはならないということは、法案にもきちっと書いてある次第でございます。
 その武器の使用については、外国人のための武器使用もあるのかというお尋ねでありましたが、法文の中の任務規定としてはそれは書いてございません。しかし、具体的な状況にもよりますけれども、日本人であると外国人であるとを問わず、自己または他人の生命を守るための正当防衛及び緊急避難の考え方を否定したものではないと考えております。
 武器の使用と武力行使の概念を分けたことは、これは日本国憲法における武力の行使というものについて、先ほど申し上げたように、十二分な検討をいたしましたが、武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要最小限度のものに限られることとして参加するわけでありますし、ですから、我が国の参加要員によって、みずからの生命等を防護するために武器の使用があったといたしましても、それが憲法九条の禁ずる武力の行使に該当することにはならないものと考えております。
 いわゆる派遣に関する基本五条件の中で、撤収に関しての手順、判断をお尋ねにだりました。撤収に関しては、この法案では、基本方針の一から三までのいずれかが満たされない状況が起こった場合に、必要と認めるときは、実施計画の変更という形で、派遣の終了を閣議決定により決定するということが明確に規定されております。また、協力業務を行うための前提が崩れた場合に、派遣の終了に至るまでの過程で行う業務の中断については、本部長が作成し、必要に応じ変更するものとされている実施要領に従って行われることになっております。
 また、国会承認についてお触れになりましたけれども、我が国として国際平和協力業務を行うことが適切であるか否かについての判断は、国会で議決をいただくこの法律の枠組みの中で、内閣の判断と責任においてなされることが適切であると考えており、このことは憲法及び自衛隊法上問題はないものと考えます。
 また、カンボジア問題に関しては、最近のSNCを初めとする関係者の努力によって解決に向かっていることは、これは御指摘のとおりでございます。そうして、私どもはアジアの一員として、我が国の立場に相ふさわしい貢献を行う必要があると考えておりますが、カンボジアについていかなる貢献があるかということは、国連から各国に対して行われる要請がまだ具体化しておりませんので、具体に要請がありました段階で、それを踏まえ、国内の準備状況をも総合的に勘案した上で検討なさるべきこれからの問題であると考えております。
 私は、新しい時代の日本は、歴史的変革期にある世界にあって、国際社会で主要な地位を占めるに至った我が国は、みずからの役割と責任を自覚をして、平和憲法のもとに軍事以外の面で、持てる経済力、技術力、経験を生かし、世界平和の繁栄と安定をもたらす新しい秩序づくりに我が国として積極的に貢献をし、参加をし、必要な役割の分担も進んでしていくべきだと考えております。また、従来より国際協力構想を打ち出してまいりましたが、さらに地球環境、麻薬、テロなど地球的規模の問題への取り組み強化にも協力をしていく考えであり、地球的視野に立った国際協力を促進してまいります。
 また、この二本の法案は、先ほど趣旨説明いたしましたとおり、またただいま御質問にお答えしましたとおり、国際社会に対する新しい協力という分野において私は必要なものであると考えて、政府は提案をいたしました。どうか御審議の上、成立に御協力くださるよう強くお願いをする次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(櫻内義雄君) 渡部一郎君。
    〔渡部一郎君登壇〕
#18
○渡部一郎君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました国連平和維持活動に対する協力に関する法律案並びに国際緊急援助隊派遣法の一部改正案について、総理並びに関係大臣に対して質疑を行うものであります。
 今、本院は、国連の創立以来四十六年目にして初めて、国連活動の中で最も著名にして有効な平和活動であると世界で推奨された平和維持活動(PKO)について、我が国の貢献をいかにするかの論議を集約しようとしているのであります。同僚議員の輝ける英知と国際関係への洞察による討議を期待するものであります。
 私は、国連が二十一世紀への展望を持つ唯一の世界組織であり、国際の平和と安全の維持、諸国間の友好の発展、経済的、社会的、文化的発展と人権の確立のために重大な貢献をしてきたことを賛嘆したいと存じます。ただ、我々日本は、外国の好意と信義とに受け身で対応し、国の安全をゆだねていいものではないと存ずるのであります。国連を通じて進んで外国とも手を組んで、苦楽をともに分かち合い、世界の平和を確立するために忍耐と協調をもって努力しなければならないのであります。四十六年目のPKO討議は遅過ぎたかもしれませんけれども、目覚めた日本国民の大きな一歩前進であると胸を張ってまいりたいものと存じます。(拍手)
 昨年八月、イラクによるクウエート侵攻は、我が国民に対し国際貢献をどうしたらいいのかを迫る意味でも衝撃的事件となったのであります。そして、その結果として、一国平和主義ではいかぬぞ、物、金の協力だけではなくて人の面でもこれでよいのかとの論議が高まりまして、自公民三党の間で、PKOに協力する組織を新たに設置しようといういわゆる三党合意が生まれましたことは、本法案の前提となる大成果でありました。(拍手)
 我が党は、これまで外交、内閣、安保の合同部会を十回、衆参両院議員懇談会等八回、合計十八回に及ぶ全党的論議を重ね、全国から多くの方々の意見を聞き、また現地視察に教組のメンバーを派遣して意見集約を行ってまいりました。その上でこの法案が、これまでの日本の国家政策の大きな節目とたる重要法案であるとの認識から、次の諸点について政府の見解をただしたいのであります。
 質問の第一は、国連の平和維持活動は、国際紛争の鎮静化や再発防止のため、当事国間の同意を得て行われる活動であり、しかも武力行使を目的・任務としない平和活動でありますから、PKOへの参加は、日本国憲法に言う「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とうたわれた部分にも合致するものと思います。したがって、国連のPKO活動に参加し、国際平和に貢献していくことは、国連中心主義を掲げる我が国外交姿勢の上からも極めて重要であり、国際社会における我が国の当然の責務であるというのが公明党の基本的な考え方でありますが、政府はどう考えられるか。
 また、国連憲章は、集団的自衛権並びに戦力の行使による国際紛争の解決方法を認めるために日本国憲法との整合性がたいとの批判がありますが、政府はこの点、どう考えておられるのか、まず伺いたいのであります。
 質問の第二は、現在、国民世論の大勢は、国連のPKOには参加すべきだが、これを契機に自衛隊の海外派兵に道を開くことにはならないかという率直な不安についてであります。
 第二次大戦の反省から我が国は、平和憲法のもと、国民的コンセンサスとして海外派兵を厳禁してまいりました。自衛隊の認められている海外派遣でさえも、海上自衛隊の遠洋航海、南極観測支援なぜ少数の例に限定してきたのであります。今回、国際平和協力隊、国際緊急援助隊への自衛隊参加によって、こうしたこれまでの海外派兵への歯どめが失われるのではないかとの国民の危惧が依然としてあるのであります。政府は、こうした国民の危倶及び派兵への歯どめについてどう考えておられるのか、伺いたいのであります。
 また、湾岸戦争における多国籍軍あるいは将来設置もあり得る国連軍のような武力行使を目的とするものに対しては、今後とも我が国は参加することはできないと明言できるのかどうか、あわせて伺うものであります。
 質問の第三は、PKF、平和維持隊への参加と憲法上の問題であります。
 政府は、平成二年十一月六日の国連平和協力特別委員会での私の質問に対しまして工藤法制局長官は、「停戦監視団的なものに対しては我が国は参加できる場合が多いと思いますし、平和維持軍的なものに対しては参加することが困難な場合が多いのではなかろうかこと複雑なことを述べられました。また、昭和五十五年の鈴木内閣答弁書において、目的・任務が武力行使を伴うものは憲法上許されないとしてきました。今回のPKFへの参加は、これらの見解から大きく変化したと考えておりますが、そのいきさつについて政府の明快な答弁をお願いしたいと存じます。
 質問の第四に、政府の言うPKO参加五原則についての取りまとめの労を多とするものでありますが、PKFの武力行使については、部隊の任務の遂行を妨害する行為に対する武器使用は、憲法で禁じる武力行使に当たる可能性があるとして除外されております。生命の防護のため必要最小限の武器使用だけを認めようとしております。現実の問題として、両者の差、判断責任の所在を明らかにしていただきたいのであります。また、政府の示した五原則では、停戦、同意、中立が崩れる状況のもとで撤退するわけでありますが、法文上明快でありません。なぜ撤退を明示しなかったのか、だれが撤退の判断を行い、どう行動するのかを明らかにしていただきたいのであります。また、撤退が国際的に認められているのかも明らかにしていただきたいのであります。
 質問の第五は、国会承認に関してであります。
 我が党は、PKO参加の五原則が法制化され、実施に当たってこれが厳守され、かつ国会報告が適切に行われれば、シビリアンコントロールは厳格な意味で確保されるとの認識に立っているわけであります。政府としては、各国の状況及び国連関係者の立場からの意見を踏んまえ、どう考えられているのか、お答え願いたいのであります。
 質問の第六は、協力隊員の携行する武器の範囲についてであります。
 法案では、国連事務総長が認める武器を携行するとしておりますが、その範囲はどこまでか、明らかにしていただきたいのであります。政府案を見ると、平和維持隊と軍事監視団については、原則として自衛隊員以外の参加を除外しているようにも見えますが、民間人、ボランティアの方々の参加の道をむしろ拡大すべきであると考えるのでありますが、政府の所見を伺いたいのであります。
 第七に、日本のPKOへの参加については、中国を初め一部のアジア周辺諸国では、自衛隊の海外派兵と混同して、日本が再び侵略を起こすのではないかとの危倶も出されていますが、これら諸国の理解を求めることは不可欠と思いますが、どう考えられるのか。むしろ、パールハーバー五十周年を機に、第二次大戦における日本の過てる過去に決別の意思を明らかにし、謝罪の意思を表示することが大切と思いますし、それに伴うさまざまな施策を行うことが大切と思いますが、政府としては、これらの点をどう決意されているか、伺いたいのであります。
 第八に、政府はPKO参加を口実として防衛予算を増額することがあってはなりません。むしろ、世界第三位の防衛費を持つ日本としては、国際緊張緩和の方向に沿って防衛費の削減を行うことこそ周辺諸国の理解を得る道だと信じるものであります。また、PKO担当官庁である総理府に対して、人員、予算の明確な割り当てを行うことが大切です。これが諸外国に対する信頼を獲得する一つの道になると考えますが、それぞれについて政府の見解を求めるものであります。
 第九に、国際緊急援助隊への自衛隊の参加について伺います。
 国際緊急援助隊は、昭和六十二年九月の法制定以来、十九件の国際救助活動を行い、各国から高い評価を受けております。その間、被災民の救援活動に従事されてこられた隊員の方々の御尽力に対し、改めて敬意を表するものであります。創設に当たりまして、積極的な発案者でありました公明党の一人としても、深い満足の意を表したいと存じます。
 しかし、これまでの国際緊急援助隊の活動の実情を見ると、規模が余りにも小さく、広報宣伝も十分でなく、自衛隊の参加が認められてこなかったこともあり、機動力や援助隊員の後方支援も不十分であったなど、種々の問題が指摘されてまいりました。私は、国際緊急援助隊の派遣の効果を一層高からしめるため、自衛隊員参加は一般的に言って妥当なものと考えるものであります。もちろん憲法に合致し、武力行使の任務を持たない非武装でなければならないと考えますが、国際緊急援助隊の規模、装備もあわせて明確な政府の方針を伺いたいのであります。
 最後に、PKO協力隊員にせよ、国際緊急援助隊員にせよ、我が国民を代表して、ある意味で危険を伴う業務に身を挺して活動するわけであります。したがって、こうした国際的な業務に携わる方々の待遇と名誉については、政府として特段の配慮を行うとともに、これを顕彰していく必要があると考えます。同時に、隊員の参加に当たっては、部隊参加といえども個人の意思を最大限に酌み取り、嫌がる者を派遣するようなことのないように配慮すべきだと存じます。
 この点もあわせて政府の見解を伺い、私の質問とさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 渡部議員にお答えを申し上げます。
 国連を通じて外国とともに手を組んで、苦悩を分かち合い、世界の平和を確立するために忍耐と協調をもって努力をしていかなければならないという御意見には、私も率直に同感でございます。
 同時にまた、国連の平和維持活動は、当事者間の同意を得て行う活動でありまして、武力行使を目的としたい平和活動でございます。この法案によるPKOへの参加は、憲法前文にも合致するとともに、国連中心主義を掲げる我が国の外交姿勢の上からも重要と思うがどうかというお尋ねでございますが、私は全くそのとおりに考えております。日ごろ国会で、国連議員連盟の事務局長として高い御理解と御協力をいただいておる御見識に、この際、改めて敬意を表する次第であります。(拍手)また、国連憲章が国連の目的としている国際の平和と安全の維持は、我が国憲法の掲げる平和主義、国際協調主義の理念とまさに軌を一にするものでございます。集団的自衛権にお触れになりましたが、我が国が国際法の上でこのような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上当然のことであると思いますが、憲法九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しておりますので、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。
 また、海外派兵の問題についてもお触れになりましたが、武力行使の目的を持って武装部隊を海外へ送るものではございませんから、これらのことについては、明確にこの法案の中で歯どめがかけられております。
 また、今回のPKFへの参加について、内閣法制局長官の答弁とかあるいは昭和五十五年の鈴木内閣当時の答弁書との比較にお触れになりましたが、今回の国連平和維持隊は、紛争当事者の間に停戦の合意が成立をして、当事者が平和維持隊の活動に同意していることを前提にして、中立・非強制の立場で国連の権威と説得によって停戦確保等の任務を遂行するものでありまして、強制的手段によって平和を回復する機能を持つものではありません。そして、武力の行使との関係についても慎重に検討を行いましたが、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限ることを中心とした基本方針を取りまとめておる次第であります。
 また、平和維持隊が武力行使を行うようになった場合にはどうかという点については、平和維持隊そのものは武力行使をしないのでありますし、行うような事態になった場合には、これは平和維持隊に参加して活動する前提自体が崩れた場合でありますから、短期間にこのような前提が回復しない場合には、我が国から参加した部隊の派遣を終了させることなどの前提を設けておりますので、憲法九条上のいろいろな批判は起こらないと考えます。
 また、従来の政府の見解は、我が国が何らの前提も設けないで平和維持隊に参加する一般的な場合についての解釈を示したものでありました。特に前提を設けて厳しい枠組みをつくっております今回の場合については、今回の法案に基づいていろいろ御検討を賜りたいと考えております。
 また、生命等の防護のための必要な最小限度の武器使用というのは、これはその必要があるかどうかということを判断するのは個々の隊員でございます。そして、あくまで自己等の生命の防護のためのみと限定をいたしております。
 また、法案には、紛争当事者の停戦の合意が存在しなくなった等基本方針の、例えば停戦合意とか当事者の同意とか中立的立場の厳守といった原則のいずれかが満たされなくたった場合の手続としては、実施計画の変更という形で閣議で派遣の終了を決定いたします。なお、基本原則が満たされなくなった場合に派遣を終了することに国連が異議を唱えることはないということを、国連との間でも確認をいたしておりますし、きょうまでもこのような事例は起こっておるわけであります。
 また、参加五原則の法文化と適切な国会報告でシビリアンコントロールを確保しろとの御指摘でございました。
 私は、我が国参加の前提としておる五つの方針は、この意味において重要な政策方針であり、この方針は法文の中に明らかに五つともあらわされております。また、閣議で定める実施計画の内容や自衛隊が行う業務の実施結果、実施状況について国会に報告することを法案に明記するなど、種々の必要な措置を盛り込んでおるところであります。こうした内容を法案に盛り込むことで、報告を受けての国会の御論議もあり、また、御指摘のとおり、十分シビリアンコントロールが確保されているものと政府は考えております。
 また、武器の範囲についてお述べになりましたが、協力業務に従事する場合の装備については、武器を含めて、閣議で決定する実施計画において具体的に定めることとなっております。この場合、武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないことや、国連平和維持活動等の趣旨に照らして、法案の協力業務に関する条項の実施に必要な範囲内で定められることとされております。また、いわゆる個人参加の協力隊員の携行する武器は、小型武器の中から選択されますし、自衛隊の部隊等の参加の場合には、従来の通常の例ではけん銃、小銃、機関銃及び装甲車であり、通常ほとんどの場合、これらで我が国も十分役割を果たし得るものと考えております。
 平和維持隊と軍事監視団については、原則として自衛隊員以外の人の参加を排除しているが、民間人、ボランティアの参加の道を考えていないのかというお尋ねでございます。
 このことにつきましては、国連からの要請がある場合、参加者はこの二つの平和維持隊と軍事監視団については軍人であることを要件としており、我が国においては、かかる要件を満たす者は自衛隊員以外にないのであります。これらの業務以外の業務については、自衛隊員以外の方の参加が可能となっており、また、政府としては、広く各界の国民の皆さんに参加をしていただけることを強く期待をしておる次第でございます。
 また、アジア周辺諸国に対しては、我が国は、過去の歴史に対する厳しい反省のもとに、平和国家の理念と決意を政策に反映する努力をきょうまで行ってまいりました。私も、アジアでの首脳会談や、シンガポールや中国等において行った政策演説の中においても、今回、このこととともに厳しい反省の意も表明をいたしてまいりました。今後とも、我が国の基本的な立場、法案の持っております内容、制約、目的等については、近隣諸国には繰り返し誠意を持って御説明を続けるつもりでおります。
 また、これを口実に防衛予算を増額させるのではないかという角度のお尋ねでありましたが、今回の法律に基づく経費については、各業務を所掌する組織の別等に従って予算措置を講じますし、また、防衛予算は中期防に従って適切に進めていく考えであり、PKOの参加を口実として防衛予算を増額しようとする意図はもとよりございません。
 また、担当官庁である総理府に対して、人員、予算の明確な割り当てを行うべきではないかとのお尋ねがございましたが、国際平和協力業務等に係る経費については、各業務を所掌する組織の別に従ってこれを予算措置いたしますし、また、国際平和協力本部の設置、運営に必要な経費は、総理府において予算措置してまいる考えでおります。
 また、PKOの協力隊員の待遇と名誉についても格段の配慮を払うべきではないかとのお尋ねがございました。
 政府ももとよりそのように考えており、万一隊員が亡くなったり、または負傷した場合等については、国家公務員災害補償法等による補償措置を講ずるほか、当該隊員への賞じゅつ金等についても検討を進め、また、隊員の名誉については、政府として十分に配慮してまいりたいと考えております。
 また、国際緊急援助隊員の待遇と名誉についても、必要な経費を国際協力事業団も負担しているほか、国際緊急援助隊員の栄誉をたたえるために、これまでに、これに参加した地方公務員や民間の方々に対し、外務大臣の表彰や感謝状の授与を行うなどの措置をとってきておりますけれども、今後とも一層、緊急援助隊員の待遇等については適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、個人の意思についてお触れになりました。
 提案申し上げておるこの法律案が成立し、国際協力事業や国際緊急援助活動が新たに自衛隊の任務として付与されれば、自衛隊員は命を受け、これらの業務、活動に従事されるものであります。隊員諸君もその任務遂行に当たってくれるものと考えております。もとより、これらの業務、活動に従事させるに当たっては、十分な説明を行うとともに、隊員の個人的事情等をしんしゃくすることは必要なことであろうと考えております。
 残余の問題については、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣池田行彦君登壇〕
#20
○国務大臣(池田行彦君) 渡部議員から私に対する御質問は五点ございました。すなわち、平和協力業務に従事する自衛隊員の携行する武器の範囲、第二がPKOの参加と防衛費の関係、第三が国際緊急援助隊に参加する自衛隊の武器携行の有無、第四が国際緊急援助隊の規模と装備、そして最後に、PKOあるいは緊急援助隊に参加する自衛隊の意見、意思の尊重という五点でございました。
 そのうち三点につきましては、総理から御答弁ございました。私からは、残余の二問、すなわち、緊急援助隊に参加する際の自衛隊の武器携行の有無と、その規模、装備について御答弁申し上げます。
 自衛隊の国際緊急援助隊への参加につきましては、これは、海外における自然災害を中心とする大規模災害に対しまして我が国の緊急援助体制を一層整備する、こういうことを目的にするものでございますので、御指摘のとおり、武力の行使を目的にするものじゃございませんし、憲法には何ら反するものではございません。
 そして、現在までの国際緊急援助隊の例によりますと、被災国におきまして、治安の状況等による危険がございまして、援助活動に携わる要員の生命等を防護するために武器の使用が必要と認められる、このような場合にはそもそも派遣をしておりませんでした。今後におきましてもそのような場合には派遣をしたいということを、今回の改正に際しまして、閣議で決定して再確認したところでございます。したがいまして、被災国内に、国際緊急援助隊を構成する人員の生命等の防護のために自衛隊員が武器を携行することはございません。
 なお、緊急援助隊に参加する自衛隊の部隊等の規模につきましては、災害の規模とか種類、あるいは援助活動の内容等によりましていろいろ異なってまいりますので、あらかじめこの規模がどうであるということをお示しすることは非常に困難でございます。
 それからまた、言うまでもたいことでございますけれども、被災国の要請に応じて派遣するものでございます。また一方におきましては、自衛隊の部隊等の参加は、自衛隊の本来の任務遂行に支障のない限度において行うということになっております。そういった点から申しましても、おのずからその派遣規模には一定の限度があるということは御理解いただけるかと思います。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#21
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理の御答弁、私から一点補足をさせていただきます。
 国連平和維持活動等に対する協力に関する法律案に基づく国際平和協力業務などに係ります経費についてのお尋ねであります。
 これは、各業務を所管する組織の別などに従い、これを予算措置することとしておりまして、本法律案成立後の状況を踏まえまして、必要があれば実施計画を定め、海外派遣などを行うことになっております。ですから、仮に必要が生じました場合は、その具体的な予算措置につきましてもその時点で適切に対応することとなると考えております。
 議員からは防衛費に関連してお尋ねをいただいたわけでありますが、最近の国際情勢、厳しい財政事情などを勘案いたしまして、国の他の諸施策との調和を図りながら、効率的で節度ある防衛力の整備を進めるための必要最小限の経費を計上してまいったこと、議員御承知のとおりであります。
 また、中期防衛力整備計画につきましては、その三年後の見直しに当たりまして、先般の一千億円の削減措置を重要な要素として勘案することといたしております。新中期防の計画期間中の各年度の防衛予算の編成に当たりましては、この措置を念頭に置きつつ実施することによりまして、結果としてこの措置が当該期間中の防衛関係費の総額に反映されることとなること、前国会で御答弁を申し上げた内容を全く変えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(櫻内義雄君) 古堅実吉君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔古堅実吉君登壇〕
#23
○古堅実吉君 日本共産党を代表して、国連平和維持活動等協力法案並びに国際緊急援助隊法一部改正案について質問いたします。
 首相、ことしは太平洋戦争五十周年、中国侵略六十周年に当たります。二千万人のアジア諸国民、三百万人に上る日本国民を犠牲にしたあの侵略戦争を真剣に反省しなければならないこの年に、自民党政府は、その反省どころか、長年ねらい続けてきた自衛隊の海外派兵を実現する法案を本国会に提出したのであります。私は、日本と世界の平和を目指して奮闘する日本共産党として、また、沖縄戦や広島、長崎の被爆など、悲惨きわまりない戦争を二度と繰り返してはならないというかたい決意で反戦・平和のために尽くしてきた一人として、日本国憲法の平和原則を踏みにじるこの法案を断じて許すことはできません。(拍手)
 しかも、海部内閣は、アジア諸国で不安が広がるような強大な軍隊となった自衛隊の海外出動を合理化するために、事もあろうに憲法前文を持ち出すという、まことに許せない態度までとっておるのであります。首相は、憲法前文の一部を恣意的に引用して、国際協調主義の理念、平和主義の理念、自分のことだけを考えておってはいけないという、一国平和主義はだめだという考え方、そういったものを具現化していくために自衛隊を海外に派遣させるのだと述べております。これは、まさに憲法前文の驚くべき歪曲による悪用であります。
 憲法前文は、あの侵略戦争の痛苦の教訓の中から、政府の行為によって再び戦争の惨禍を引き起こすことがないように決意し、日本の安全と生存は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してこ保持することを明確にしております。これは、紛争の平和的解決の原則を示したものであります。さらに、絶対主義的天皇制のもとで、独善的な国家主義的傾向が侵略戦争へ駆り立てたという反省から、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と述べて、民族自決権と主権尊重、平和共存を追求する立場を示したのであります。この平和原則の三つの柱は、我が国の軍事面での国際協力、軍事的手段による国際貢献を一切否定したものであります。首相、この憲法前文のどこに自衛隊を海外に出動させる論拠があるというのでありますか。しかと伺うものであります。(拍手)
 また、憲法前文の平和原則で明確なように、一切の軍事的手段を排除した平和的貢献こそ、我が国のとるべき国際貢献のあり方ではありませんか。明確な答弁を求めます。
 一九五四年六月二日、参議院本会議は、「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」を採択しました。この決議は、憲法前文と第九条が自衛隊の海外出動を禁止していることを国権の最高機関として確認したものであります。首相は昨年、この決議は、武力をもっての海外出動の場合だと言われました。しかし、決議が一切の海外出動を禁止したものであることは、この決議案の提案理由の説明でも、また一九七〇年三月の参議院予算委員会において当時の高辻内閣法制局長官が、武力行使に限定して解釈すべきではないと明言していることでも明白であります。首相、あなたはこの国会決議を勝手にねじ曲げて踏みにじり、自衛隊の海外出動を強行することが許されるとお考えですか。明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 憲法が戦力による我が国の国際貢献を想定していないことは、憲法制定議会での審議経過でも明確であります。今年四月十八日の参議院内閣委員会においても、内閣法制局は、「戦力による国際貢献というものは当時想定していなかった」と明確に答弁しているのであります。首相は、この確定解釈を変えようというのでありますか。明確にしていただきたい。
 憲法前文と第九条の徹底した非軍事の立場とはどういうものであったか。一九四六年四月二十二日の枢密院憲法改正審査委員会における憲法改正案の趣旨説明において、幣原総理大臣は、今後は新武器の発明または整備よりも、全然武器使用の機会をなくすことを最先の目標として、この条項を草案の一部としている次第であると名言しておるのであります。首相は、憲法制定当時のこうした政府説明や論議を無視されるというのか、明らかにされたいのであります。(拍手)
 自衛隊による国連協力についてはどうか。憲法制定議会において幣原国務大臣は、国連から軍事的要請があっても、憲法九条がある以上、それは到底できぬと言明し、議会もこの政府見解を確認して憲法を成立させたものであります。憲法制定議会での政府見解及び議会の解釈は、制定後のあれこれの解釈とは違い、極めて重要な意味を持つものであります。憲法上、国連の要請といえども、我が国の軍事的協力が一切許されないことは、憲法制定議会における論議に照らしてみても明々白々ではありませんか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 さらに許せないことは、首相が事実をねじ曲げ、詭弁を弄して、自衛隊の国連協力を正当化しようとしていることであります。首相は、我が党の不破委員長の本会議質問に対して、PKOは海外の軍事活動を基本とするものではありませんと述べました。これは全く事実に反します。
 国連事務総長の権限で作成された公式報告書である「ブルーヘルメット」は、平和維持活動が、停戦を監視、維持し、兵力撤退を援助し、対立する軍隊の間に緩衝をもたらすために用いられてきたと述べて、平和維持活動が軍事活動を基本としたものであることを明らかにしております。国連事務総長が国連総会に対して行ったPKO訓練マニュアルも、安保理決議から委任されるPKOの任務について、直ちに軍事的任務に移されるものとなると述べております。国連平和維持軍及び軍事監視団が軍事活動を基本とするということは、国連自身が明確にしてきた周知の事実ではありませんか。首相の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、首相は、平和維持軍が武力行使の目的を持って行くわけでもないと述べ、その活動が、あたかも武力行使に縁のない安全なものであるかのように強調しております。国連平和維持軍が武力行使を伴った軍事活動を行っていることは、「ブルーヘルメット」を見れば歴然としております。レバノン緊急軍でも、その地域や周辺で相対立する勢力の間にしばしば破壊的な交戦が行われたと明記しているのであります。首相は、平和維持軍が、停戦の確保や兵力引き離しなど、安保理から与えられた任務を遂行するために武力を行使することがあるというこの明白な事実を否定されるのでありますか。答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、このような平和維持軍は、従来政府が述べてきた武力行使を伴う軍事組織そのものであります。これまで繰り返されてきた政府答弁に照らしても、平和維持軍への自衛隊参加は到底許されないのではありませんか。首相の明確な答弁を求めるものであります。
 首相が説明されるように、国連平和維持軍が軍事活動を基本としない活動に終始するとか武力を行使しないというのであれば、なぜ軍事組織である自衛隊をあえて派遣する必要があるのでありますか。軍事的任務を遂行させる必要があると考えたからこそ、自衛隊を派遣しようとするものではありませんか。明確な答弁を求めます。
 政府はこれまで、停戦合意の成立、当事国の同意、中立の三つの原則が崩れた場合には撤退するから問題がないかのように言ってきました。しかし、この三つの原則が崩れれば、何も日本だけではたく、国連平和維持活動、平和維持軍の前提そのものが崩れたことになり、国連自体がすべて撤収するということになるのではありませんか。さらに、自衛隊参加の平和維持軍が武力行使をした場合、現場指揮官の判断一つで日本に引き揚げることができるのか、それとも、現場から一時的に移動するだけであるのかについてもあわせ答弁を願います。
 次に、自衛隊の武器、装備について伺います。
 法案は、国連事務総長が必要と認める限度内で武器、装備が決められることになっております。これまで国連事務総長が認めた国連平和維持軍の武器、装備は、重機関銃、バズーカ砲、装甲車、百二十ミリ迫撃砲などがあります。法案によれば、自衛隊はこうした武器、装備の携行が許され、また、それらを使用できることになるのではありませんか。答弁を求めます。
 国際緊急援助隊への自衛隊参加について伺います。
 この改正案のねらいは、災害救助を名目にして、自衛隊の海外出動を何が何でも実現しようとするものにほかなりません。国際緊急援助隊派遣法案の審議の際、当時の倉成外務大臣は、「従来の経験にかんがみますと自衛隊の御協力がなくても十分我々の任務は果たし得ること答弁しました。首相、今度は政府の態度を一変させて、自衛隊の参加がなければ効果的な任務が果たせないとでも言うのでありますか。しかとお答えいただきたい。(拍手)
 首相、昨年の臨時国会では、自衛隊の海外派兵をねらった国連平和協力法案が、国民の厳しい批判に遭って廃案にされました。あれから一年もたたないうちに、その内容を一層ひどいものにした法案を再度国会に提出したこと自体、国民の意思を踏みにじる重大問題であります。日本国憲法に挑戦し、自衛隊の海外出動を図るこの二つの法案を直ちに撤回するよう強く求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 古堅議員にお答えを申し上げます。
 侵略戦争の件についていろいろお触れをいただきましたけれども、政府は、我が国の過去の歴史を厳しく反省して、二度と再び侵略戦争を繰り返してはならない、軍事大国にはならないという決意のもとに、平和国家の理念を政策に反映させるよう努力を続けているところであります。
 憲法前文には「日本国民は、恒久の平和を念願し」「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」、また「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」とあるように、憲法の前文は、平和主義並びに国際協調主義という理念を掲げて、このような理念を具現化するためにも、新しい秩序づくりの国際共同作業には、我が国としても積極的に参加をしていくべきである、こう判断をいたしております。
 また、法制局長官の述べた国会決議についてお触れになりましたが、御指摘の昭和二十九年の決議、あれは参議院において有権的に解釈は行われるべきものである、私もそう考えておりますけれども、私は、今日、このような国際社会の中で、自衛隊が国際平和協力業務を行うため、海外に派遣されることについてまでも想定したものではなかったのではないか、こう考えております。
 また、憲法の平和主義の理念に合致するこの法律案により実施が可能となる国際平和維持活動及び人道的な国際救援活動に対する協力が憲法の枠内で行われることは、これは当然のことでございます。
 また、国連の平和維持活動は、そもそも中立・非強制の立場で国連の権威と説得によって行われるものであります。強制的手段によって平和を回復する機能を持つものではございません。そういった意味で、今回法案に規定しております平和維持隊も、紛争当事者間に停戦合意が成立し、紛争当事者が平和維持隊活動に同意していることを前提といたします。そして、強制的手段によって平和を回復するのではありませんから、伝統的な意味での軍隊とは性格を異にするものである、このことを強調させていただきますし、また、PKOが軍事活動を基本にしているのではないというのは、停戦合意が成立し、平和維持隊の活動に紛争当事者が同意をして、そこに中立・非強制の立場で任務を遂行するものであることを踏まえて、従来の意味での軍事活動とは違うものであると私は申し上げたいのであります。また、国連平和維持隊は従来の概念の軍事活動と全く違うものでありますから、時々いろいろな文書等において、武力行使を伴う軍事行動をする軍事組織ではない、戦わない部隊であるとか、敵のいない部隊とか表現されておるゆえんもそこにあるのであろうと私は受けとめております。
 また、国際平和協力業務の実施に自衛隊を活用することにしたのは、国連からの要請に適切かつ迅速にこたえ、我が国の協力を実効あるものにするためには、当該業務の業務内容等を勘案し、自衛隊が長年にわたり蓄積してきた技能、経験、組織的な機能を活用することが適当であると考えたからであります。
 また、三原則の崩れた場合にはすべての国が撤収するのではないか、そういう問題になるのではないかという御指摘でございます。
 この法案は、我が国の協力隊がとるべき態度を明確にしておるわけでありまして、PKOの基本的性格から見て、現実には他の国も我が国と同様の対応をとることが多いものと考えます。このような原則を我が国の参加の前提として法制化していくことは意義のあることであると私は考えております。
 また、武力紛争の停止を維持するとの紛争当事者間の合意が存在しなくなったと認められる場合は、国際平和協力業務に従事している我が国の隊員は、国連とも連絡調整を行って、本部長が、この法案の規定に基づき、実施要領に従ってその業務を中断することになります。そして、紛争当事者間の合意が改めて成立して国際平和協力業務を実施する前提が短期日に回復しない場合には、この法案の第六条の規定に基づき、派遣の終了を閣議により決定し、我が国政府は国連事務総長に対し適切な事前の通告をした上で、派遣を終了させることになっております。
 また、国連平和維持活動のための自衛隊等の部隊の装備については、要請を踏まえて、武器を含め、閣議で決定される実施計画に定めることになっております。この場合、武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないことや、国連平和維持活動の趣旨に照らし、協力業務に関する条項の実施に必要な範囲内で、国連事務総長が必要と認める限度で定めることとされております。
 また、自衛隊の部隊等の参加の場合には、今いろいろ武器の種類をお並べになりましたけれども、平和維持活動の従来の通常の例では、けん銃、小銃、機関銃及び装甲車であり、通常、ほとんどの場合、これらで我が国も十分役割を果たし得るものと考えております。そして、その業務は武器の使用を前提としたものではございません。
 最後に、国際緊急援助隊発足時に、自衛隊の参加を求めなくても任務を果たし得るとして発足したのに、今回緊急援助隊に自衛隊を求めるのは何かというお尋ねでありましたが、四年間の活動状況を顧みて、災害の規模等によってはさらに規模の大きな援助隊を派遣できるようにする必要があること、被災地において自己完結的に活動を行い得る体制を充実すべきこと、及び輸送手段を改善すべきことなど、きょうまでの経験に踏まえてのいろいろな課題があったと認識をし、政府としては、自衛隊の保有する能力を十分活用することによって、これら課題の改善を含めて、我が国の緊急援助体制の一層の充実を図ろうとしたものでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○副議長(村山喜一君) 和田一仁君。
    〔和田一仁君登壇〕
#26
○和田一仁君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました二つの法案について、総理にお尋ねを申し上げる次第でございます。
 世界は、米ソ冷戦の終わりを契機といたしまして、また湾岸戦争の教訓を踏まえて、東西の枠を超えた国際秩序の構築を、すなわちロンドン・サミットの政治宣言に言う、活性化された国連が国際秩序の強化に中心的な役割を果たす、このことを目指して今大きく歩み始めておろうかと思います。
 このたび開会された国連総会では、韓国、北朝鮮の国連同時加盟等が実現し、国連はますますその権威と威信を高めようといたしております。国連中心主義に立つ我が国は、世界の平和と繁栄を各国と共同して守っていくという意思を内外に明らかにいたしております。そのためには、国際的な責任を果たさなければなりません。国連平和維持活動、すなわちPKOへの参加・協力体制の確立は、その課題への第一の取り組みでありました。
 私は、昨年の我が党と自民、公明両党との三党合意の結果を踏まえ、ようやく政府が本案を国会に提出したことを子とするものであります。しかし、残念ながら政府案は、国会承認、すなわち国民の同意という極めて重要な核心が抜け落ちておるのであります。家で言うなら、まさに大黒柱のない家を建てようとしているにほかなりません。(拍手)三党によるせっかくの合意のための努力が、まさに画竜点睛を欠く結果となっていると言わなければなりません。
 以下、国会承認が必要とさるべき理由について所見を述べつつ、総理のお考えをただしてまいりたいと思います。
 まず第一は、国会承認は言うまでもなく最大のシビリアンコントロールだということであります。政府は、PKOの派遣は行政権の範囲内であり、国会承認の必要はないという見解のようであります。しかし、本来、武力行使を目的としない国内の治安出動でさえ国会承認が必要であるにもかかわらず、武器を携帯し、自衛隊が部隊として戦後初めて海外に出動するに当たりまして、国会は関係しないでよろしい、政府の好きなようにやりなさいと行政に白紙委任することは到底できません。米国においても、戦争権限法によって軍の行動を議会が厳しくチェックする体制がとられておるのも、こういう意味であろうと思います。
 シビリアンコントロールとは、国権の最高機関たる国会が自衛隊の行動をチェックすることであるのでありまして、内局統制であるとか官僚統制のことを指すのではないのであります。シビリアンコントロールの重要性、なかんずく国会の関与の重大性について、総理、あなたはどのような認識をお持ちなのかをまずお伺いいたします。
 第二は、国会で承認するということは、PKOへの参加について国会もまた明確な責任を負うんだということであります。
 政府は、PKO参加の歯どめとして、いわゆる五原則があれば十分だとしました。この法制化を否定するものではございません。しかし、一、停戦の合意が成立していること、二、当事国の同意があること、三、中立的な立場を厳守すること、これらは皆、国連自身がPKOに派遣する場合の原則としているものであります。政府案でもPKOの定義として書かれているにすぎません。したがって、一から三の原則が崩れた場合には、PKOへの派遣が終了するという四番目の原則も至極当然のことであります。武器の使用は要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られるという五番目の原則も、これまでのPKOの目的・任務に照らしてみれば当然のことであります。また、派遣隊員の総数の上限も各国の例に倣うものであります。
 こうして見ると、国会承認という歯どめを設けない場合、結果的にすべてのPKOへの参加が政府のフリーハンドにゆだねられるということになってしまうのであります。総理は五原則の法制化だけで本当に歯どめになるとお考えになっているのか、率直な御意見を伺いたいと思います。(拍手)
 第三に、PKOの活動内容には相当幅が出てまいりました。個々の活動ごとに国会がチェックする必要があるという点であります。
 PKOは、国連憲章に明確な規定があるわけではありません。そのときどきの国際情勢から生じた平和維持の必要に対応して発展してきたものであります。活動の態様もまたさまざまであります。また、国連の役割の重要性が増してPKOの活動が多様化しつつある今日、過去の実績のみによってPKOのあり方を判断してはならないと考えるのであります。PKOへの参加は無条件に行われるべきではありません。国連から受けた要請を吟味し、国連に与えられた任務が正当であり、かつ実現可能かどうか、国民の合意は得られるかどうか、財政的に派遣可能がなどケース・バイ・ケースによって国会が判断し、参加の可否を決すべきであると考えます。この点について、総理は、先ほどの御答弁でも、今この国会での議論を通して意思決定がされればそれで十分ではないか、以後のことは政府の判断のみでよいと考えているのかどうか、この御見解をはっきりお伺いしたいのであります。
 第四は、国会が議決し、国民の総意として自衛隊を送り出すことによって、自衛隊に対する国民の理解がさらに深まり、隊員の士気もまた高まってくるという点であります。かつてハマーショルド氏は、PKOは軍隊ではない、しかし、軍隊でなければできないと述べております。すなわち、PKO、特にPKFは国権の発動たる軍事行動ではありませんが、危険度、規律、行動力、組織力、いずれをとっても軍隊としての能力や体制を必要とするものであります。自衛隊でなければできない仕事を、自衛隊の諸君がその任務に使命感を持ち、堂々と胸を張って働けるような条件を整備することこそが政治の責任ではないのでしょうか。(拍手)総理は、自衛隊の派遣に当たり国会の意思を明確にすることの重要性についてどのように考えておられるのかをお尋ねいたします。
 第五は、国会承認が活動の迅速性を妨げることになるという政府の見解についてであります。国連からの派遣の打診、要請、そして安保理決議採択までの関係当事国への了解取りつけなどの期間を考えれば、国会の関与に十分な時間をとることは可能であります。場合によっては事後の承認という方法も考えられるのであります。国会報告なら可能であり、国会承認はできないというのは、まさに詭弁であり、国会の関与を嫌う外務当局の意思を代弁するものと言わざるを得ません。緊急的な対応の必要性から国会承認を法制化しなかったのであるならば問題であります。「急ぐ使いは忘れ物が多い」と言われますけれども、肝心の国民合意を忘れた使いが途中から引き返すということのないようたためにも、私はその点、総理に再度検討を強く要請してまいりたいと思います。
 以上五点について、私はすべて国会承認についての質問をしてまいりました。どうぞ総理、一括答弁ではなくて、私の個々の質問に対して明確な御答弁をお願いいたします。
 次に、時間の関係で数点に絞り質問してまいります。
 今、我々は自衛隊に対し、国民の生命財産を守ることに加えて、世界の平和維持にも寄与せよと、重大かつ崇高な任務を新たにあわせ求めているのであります。にもかかわらず、今回これを自衛隊法の雑則に規定するというのは、政府の国際貢献に対する基本姿勢を疑わざるを得ません。自衛隊法本則第三条に、自衛隊の正規の任務としてこれを規定すべきであります。そんなことはわかっている、だけれど、本則三条の改正を行うと、我が国防衛の方針、計画全体の見直しもせねばならない、だからやらないというようなことであるなら、それはまさに行政の怠慢と断ぜざるを得ないのであります。
 総理は、自衛隊の国連協力が運動競技会や南極観測への協力と同様、雑則に任務を規定することで差し支えないとお考えなのか、行政の長としていかなる所見をお持ちかをお示しいただきたいのであります。
 PKOは、原則として武力行使を目的とするものではたく、万一に備えて武器を携帯するが、戦うための組織ではありません。敵もおらず、したがって勝ったも負けたもありません。憲法前文には、「おれらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」としてあります。そしてさらに、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」とあります。日本がPKOに参加する意味を、憲法を正しく理解するならば、平和維持隊に参加することは憲法に抵触するとの見解は見当違いであるどころか、憲法の精神に逆行するものと言わなければなりません。(拍手)
 そこで、お尋ねいたしますが、今後のPKOの活動で我が国の憲法に言う武力の行使に当たるものが考えられるのでありましょうか。政府の見解を求めるものであります。
 かつて、一九六一年、国連の安保理事会は、アフリカのコンゴでの国連の活動、ONUCの際に、決議百六十一で武力行使の許可を出したことがあります。これは国連自身にとっても苦い経験であり、例外であるかもしれません。それ以降は国連としても武力行使を考えないという原則が確立していると理解をいたしております。しかし、将来のPKOについては予測しがたいものがあるわけでございます。仮に、コンゴ・ONUCのようなときに我が国はこれに参加するようなことがあるのかどうか、そんなことは今後決して起こらないとお考えなのかどうか、総理のお答えをいただきたいのであります。
 次に、隊員の採用等について質問をいたします。
 一般の国民からの志願にはどう対応していかれるのか。法案は、「広く人材の確保に努める」としております。募集、採用、登録、動員、配置、訓練などの体制をどのようにとっていくのか。これを効果的に行うためには登録制とすることが必要ではないか。また、広く優秀な人材を求めるためには、十分な広報活動と派遣期間終了後の雇用保障等の措置が必要であると考えますが、政府の方針をお聞きしたいのであります。
 一九八八年にPKOはノーベル平和賞を受賞いたしました。そのとき、ノーベル賞委員会の委員長はこう言っております。「犠牲とたった隊員たちは、出身も違えば、経験も異なる。しかし彼らは一つのきずなで結ばれていた。つまり平和に、その若さと情熱をささげる心をともにしたのである。彼らは危険を承知でその任務に志願し、そして人が支払う最も高価な代償を支払った。」PKOの活動に参加する隊員は、日本を代表し、国連の意思を体して、世界平和のために危険を賭して働くのであります。隊員の処遇については、十分な保障をもってこれに報いるのが当然であります。ところが、法案では、政令で定める旨の規定を設けているにすぎません。支給される手当、万一の場合の補償措置など、隊員の処遇についてどのように考えているのか、政令で定める、作業は行われていると思いますけれども、総理はどういう御指示のもとにその作業を進められておるか、基本的なお答えをぜひ尋ねたいと思うのであります。
 次に、国際緊急援助隊についてであります。これに自衛隊を参加させることは、かねてからの我が党のみの強い主張であり、それがようやく実現しようとすることを評価するものであります。しかし、これまで自衛隊を日陰者扱いにし、人道上当然のことである災害救助のための海外派遣すら認められなかった政府の姿勢に対し、国際的認識の不足とその対応の鈍さを指摘せざるを得ないのであります。(拍手)緊急援助の実を上げるためには、政府専用機の活用も含めた対応を一日も早く実現するよう強く要望するものであります。
 最後に、古い教えに「受くるより与うるは幸いなり」という言葉があります。今、日本は、世界から受ける恩恵をひとり享受するのではなく、我が国の持てる力を、勇気を、知恵を世界の平和と繁栄のために最大限に発揮し、諸国から信頼され、名誉ある国際的地位を築くべく政府と国民が一体となり、一層の努力を払うことが何よりも大切であると思うのであります。
 以上、私の所見を交え、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 和田議員にお答えを申し上げます。
 御指摘のシビリアンコントロールの重要性につきましては、政府も全くそのように考えて、今後とも大切にしていきたいと思っておりますが、国連が中心となる国際体制の強化、国連の権威を高め、機能を充実させていくこと、これは、御指摘のように必要なことでございます。自衛隊の派遣は極めて重要な問題であることから、行うべき業務の内容その他の点について詳細な規定を置いた本法律案の御審議をお願いしておるわけであります。
 お触れになりました五つの原則も、この法案の中に政府として規定をさせていただきましたが、平和維持隊参加に当たっての基本方針は、紛争当事者の間で停戦の合意が成立しておることなどを我が国が参加する場合の前提とする重要な政策方針であるわけであります。また、基本方針のみならず、この法案には、自衛隊の部隊等は、閣議決定である実施計画及び本部長の作成する実施要領に従って業務に従事することなど、種々の必要な措置を細かく盛り込んでいるところであります。
 国会が議決をされ、そして、この法案に従って枠組みをつくっていただいたならば、国民の理解を深め、士気を高めるために、やりがいを持ってこの維持隊に参加できるように努力をしたいと考えておりますし、政府といたしましても、このような認識に立って、御指摘いただいた自衛隊の士気高揚等にも十分配慮しつつ、法案成立の暁には、その枠内で政府の判断と責任において自衛隊の部隊等を派遣できることにしておる所存であります。
 また、派遣したら以後のことは政府の判断のみでよいと考えておるのではないかとの御指摘がございましたが、そうではございません。派遣しました後も、実施計画の変更または実施計画に定める業務の終了したとき、または期間に係る変更があったときなどには、それぞれ遅滞なく国会に報告をし、また国会においてかかる報告について十分御議論をいただくこととなっておると考えますので、その際、政府としてもこの御議論を重く受けとめていくことは、これは当然のことでございます。
 また、PKOへの参加は、国連から受けた要請を十分判断して行います。また、我が国としては、その業務を決めるときにも、何が適切であるか、適切でないかということについては、国会に今提案しておりますこの法案、それを決めていただいたら、この法律の枠組みの中で、内閣の責任においてなされるべきことが適切であると考えておりますし、また、国会との関係については、第七条で明らかにしておりますように、実施計画の決定または変更のあるときには、これは直ちに国会に報告をいたします。そして、国会において十分に御議論いただくことになると考えておりますが、その際、政府としては、その御議論を重く受けとめ、それらの意見を踏まえて実施に当たっていくことにいたします。
 自衛隊法における国連平和維持活動の規定の仕方については、自衛隊法第三条は、我が国を直接侵略及び間接侵略に対して防衛することを主たる任務とし、必要に応じて公共の秩序の維持に当たることを自衛隊の本来の任務と規定しておることは、そのとおりでございます。そうして、自衛隊が長年にわたって蓄積してきた技能、経験、組織的な機能の活用を図るものであって、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度においてこれを行うこととしておることから見ましても、第八章に規定されている業務と同様の位置づけのものであり、これを第八章に規定することにしたものであります。
 また、いわゆるコンゴ型の国連軍、例にお引きになったONUCというのは、あの有名な例でありますけれども、あれは一九六〇年六月のコンゴ独立の後、ベルギー軍の撤退の確保及び法と秩序を維持するため、コンゴ政府を補助するために設立されたものでありました。ただ、御指摘のように、あのときの決議百六十一号には、最後の手段として武力行使を認めるという決議になっておったことは御指摘のとおりでございます。
 私は、国連自身にとってもあの百六十一号という決議は極めて苦い、つらい経験であったろうと思います。同時に、それ以後は武力行使を考えないという原則が国連の平和維持活動に確立されたと私は承知をいたしておりますが、御指摘になったように、もしコンゴ国連軍のような武力行使の任務を付与された平和維持活動に参加するということは今の法案には想定されておりませんし、また、参加することを考えてはおりません。
 また、民間からの隊員の募集、採用、登録、その他については、広く隊員の人材を確保するために、国民の正しい理解を得、積極的に協力を得なければならないと思い、また、採用された隊員については効果的な研修を行ってまいる所存であり、関係行政機関、地方公共団体、または民間団体の協力を得て、円滑な隊員の採用を図ることにしております。さらに、民間から広く優秀な人材を求めるために、民間人が、現に従事している事業等における職を保持したまま、安んじて隊員となることができるようにも配慮しているところであります。
 また、協力隊に派遣された行政機関の職員には、従前と同様の給与の支給が行われますが、そのほかに、国際平和協力手当が支給できることになっております。その支給要件、支給方法、額等については政令で定めます。また、民間の人も、協力隊員となる際には、給与のほか、同様に協力手当が支給できることとなっております。また、万一隊員が死亡したり負傷された場合には、国家公務員災害補償法等による補償措置を講ずるほか、当該隊員への賞じゅつ金についても検討を進めているところであります。
 いずれにしましても、国家にとっても世界にとっても重要なことであり、また場合によっては危険も伴う職務につかれる隊員には、十分な措置をすべきものであると考えております。
 国際緊急援助隊に自衛隊の参加を一日も早く実現しと、いろいろ御激励をいただきました。このことについては、率直に敬意を表します。
 また、自衛隊の国際緊急援助隊への参加については、我が国の援助体制の一層の充実を図るという観点から改正をお願いをした次第であり、また御指摘いただいた政府専用機につきましては、その利用目的等について、現在検討を進めておるところでありますが、国際緊急援助活動への利用も含めて検討を続けてまいりたいと考えております。(拍手)
#28
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
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#29
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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