くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第120回国会 科学技術特別委員会 第3号
平成三年三月十三日(水曜日)
   午後零時一分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         和田 教美君
    理 事
                岡部 三郎君
                永野 茂門君
                三上 隆雄君
                太田 淳夫君
    委 員
                岡野  裕君
                鹿熊 安正君
                熊谷太三郎君
                後藤 正夫君
                福田 宏一君
                前島英三郎君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                櫻井 規順君
                種田  誠君
                吉田 達男君
                吉川 春子君
                新坂 一雄君
                小西 博行君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       山東 昭子君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      平野 拓也君
       科学技術庁長官
       官房審議官    石田 寛人君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   須田 忠義君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   林  昭彦君
       科学技術庁研究
       開発局長     井田 勝久君
       科学技術庁原子
       力局長      山本 貞一君
       科学技術庁原子
       力安全局長    村上 健一君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   長田 英機君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        向 準一郎君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        大平 芳弘君
   説明員
       原子力安全委員
       会委員長     内田 秀雄君
       科学技術庁原子
       力安全局原子力
       安全課原子力安
       全調査室長    鈴木 治夫君
       外務省国際連合
       局軍縮課長    神余 隆博君
       外務省国際連合
       局原子力課長   貞岡 義幸君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電課長   立石幾久治君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全審
       査課長      森  信昭君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全管
       理課長      倉重 有幸君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(和田教美君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○永野茂門君 国際社会において果たすべき我が国の役割の増大に伴いまして、今般の湾岸危機の際にも見られましたように、我が国は国際社会の一員として、また世界の主要国の一つとして、その国力に見合った国際貢献が強く求められています。特に、科学技術の力により現在の国力を実現してきた我が国といたしましては、科学技術の面で国際社会に貢献していくことが最も適切であり、諸外国から期待されていると考えます。
 そこで、まず大臣にお伺いいたします。
 我が国の科学技術分野における国際貢献の基本的あり方について大臣の所見をお伺いいたします。
#4
○国務大臣(山東昭子君) 国際社会において、経済面のみならず、科学技術面においても大きな地位を占めるようになった我が国といたしましては、科学技術を通して世界の中で積極的に貢献していかなければなりません。このため、従来より幅広い国際協力を実施してきたところでございますけれども、我が国といたしましては、人類共通の問題の解決を目指し、そうした科学技術の振興と、そしてその科学技術の成果の公開、流通、移転、この一層の促進によりまして地球的視野に立って科学技術の振興を図っていくことを基本理念といたしまして、これからは積極的な国際貢献に力を入れてまいりたい、こう考えております。
#5
○永野茂門君 科学技術による国際社会への貢献が重要であると叫ばれているにもかかわりませず、欧米諸国からは、我が国は基礎研究への努力が不十分であると基礎研究ただ乗り論が指摘されています。今長官もおっしゃいました人類共通の財産たる知的ストックとして、創造的かつ基礎的な科学的知見の蓄積に積極的に取り組むことが、世界のリーダー国であり、経済及び科学技術先進国の役割であります。これこそが我が国の国際貢献のあり方として喫緊の課題であると考えるものであります。
 そこで、基礎研究を主として推進する政府の研究開発投資は、GNP比にすると米、仏、独などの先進諸国に比して大体半分程度であります。また、主要国の研究費の性格別構成比で見ましても、基礎研究に独仏は大体二〇%以上投入しているわけでありますけれども、我が国は約一三%の投入にすぎません。そこで政府の研究開発資金を抜本的に充実することがまず第一に必要である、こういうように考えますが、いかがでございますか。
#6
○政府委員(須田忠義君) 我が国の研究開発費の総額は十一兆円相当で、これはアメリカに次ぐ二番目でございます。そういう意味では国全体としては科学技術投資を随分しておるわけですが、先生御指摘のとおり、政府負担割合、これはGNPに比較しますと〇・五、ほかの国は大体一%、御指摘のとおりでございます。我々、創造性豊かな科学技術振興、これを図っていくためには政府の果たす役割が非常に重要だという認識は持っておりまして、財政事情厳しき折でございますが、鋭意努力してきているところであります。しかし、これからそういう状態ではだめだ、GNP一%まで持っていかなきゃいかぬのじゃないかという議論があることも承知しております。したがって、我々も今後の問題として重要視して考えております。
 例えば、今科学技術会議で二十一世紀を展望した今後十年間のとるべき科学技術の基本方策について審議しておりますが、その中で政府研究開発投資、これも重要な問題と位置づけ、特別な小委員会をつくり、今後の考え方、拡充方策等について審議しているところでございます。これらの答申を踏まえまして十分拡充に努力してまいりたい、かように考えております。
#7
○永野茂門君 政府の研究開発投資を充実し、基礎研究の充実に努力するということでありますが、基礎研究を強化するための具体的な取り組み方についてさらにお伺いしたいと思います。
#8
○政府委員(林昭彦君) 御指摘いただきましたように、国力に応じた基礎研究ということで国際貢献をすることはもちろん必要でございますし、また同時に、二十一世紀に向けまして我が国がより豊かな社会を築いていくということのためにも創造的、独創的な基礎研究というものの推進が不可欠であるというふうに認識をしておりまして、このような考え方に沿いまして私どもとしてもいろいろ具体的な施策をこれまで進めてまいりました。
 主なものを若干申し上げますと、新技術事業団によります創造科学技術推進制度、こういうものをやっておりますし、また理化学研究所においてフロンティア研究システムというようなプログラムも持っております。また、さらに全世界の研究者を対象にヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの推進も行ってきているところでございます。また、国立の研究機関の基礎研究活動を活性化するという意味から、科学技術振興調整費を使いまして重点基礎研究制度及び省際基礎研究制度というようなものも展開をしております。また、若い研究者の育成という観点から、基礎科学特別研究員制度でございますとか科学技術特別研究員制度というようなものを推進しておりまして、そういう形で具体的な研究のプログラムを推進しております。
 また、基礎研究を推進していく場合に基盤になります施設というものが必要になりますので、大型放射光施設の建設の推進というようなことも行っておりますし、また科学技術の流通システムを確立するという意味でJICSTによります科学技術情報の提供体制というのも徐々に展開をしているところでございます。
 さらに、平成三年度予算におきましては、これまでの施策の充実をさらに図るとともに、新たに独創的な発想を持つすぐれた研究者を厳選いたしまして、その研究者個人に自由に研究を実施させます独創的個人研究育成制度、私どもは「さきがけ研究二十一」というふうに呼んでおりますけれども、この制度を創設するための経費を計上しております。
 さらに、国立の研究機関におきます創造的な活力を涵養するために必要ないわゆる人当経費につきましても、ずっとこれは据え置かれているのでございますけれども、平成二年度に引き上げを行い、さらにまた平成三年度においても各省統一してその単価のアップというものに必要な経費を計上いたしております。
 いずれにいたしましても、今後とも私どもとしては、この創造的基礎研究の強化のため、一層努力をしてまいる所存でございます。
#9
○永野茂門君 基礎研究充実のために諸種の施策をやりつつあるということでありますが、特にその創造的・基礎的研究を充実させることに力を用いておるように聞きました。そのためには、資金的、制度的な手当てとともに、若くて優秀な人材の育成、確保が重要であると今も述べられましたけれども、全くそのとおりであると考えます。
 一方、近年、若者の理工系離れ、製造業離れが言われています。例えば、昨今の工学部志願者数を見てみますと、六十二年度をピークにして現在は大体一〇%から一一%減、理学部についても同じく一五%ぐらい減となっておるようであります。研究者数の増加率も八〇年代は約五%であって、七〇年代の約八%という増加率に比べると低下しております。
 さらにまた、我が国は元来研究関係従事者数が少なく、率からいって欧州各国の約三分の一でありますが、研究補助者及び技能者が関係従事者数に占める割合はずっと減少を続けております。
 こういうような状況は大変に憂うべき状態でありますが、この若者の理工系離れ、製造業離れについて、これを是正し、優秀な人材を確保し、若手研究者を育成するためにいかなる方策を考え、そして実行しつつあるかということをお伺いいたします。
#10
○政府委員(林昭彦君) 理工系学生のいわゆる製造業離れというのはここ数年いろいろな御指摘を受けてきたわけでございますが、今先生御指摘のような高校生レベルでの理工系離れというのが、私どもの政策研究所の調査でも、今先生挙げられた数字にあらわされておりますように、かなりはっきりと出てきておりますので、この問題については非常に深刻な問題であるというふうに受けとめております。この若者の理工系離れということにつきましては、本来長期的な視点から関係の省庁が協力してじっくりと対策を立てなければならないのではないかというふうに思っております。
 現在、科学技術会議で「新世紀に向けてとるべき科学技術政策の総合的基本方策について」ということで議論をいただいておりますけれども、この科学技術会議のもとに特別の委員会を設けて、この人材の問題につきまして検討をいただいておるところでございますが、ここでの議論を踏まえまして、長期的な対策というのを立てていく必要があるのではないかというふうに考えております。
 また、研究者になる意欲を持った若手の人材の育成でございますけれども、創造的・基礎的研究の推進というのは、そういう若い人たちの斬新な発想というものが非常に大事でございますので、研究機関においてそういう優秀な人材を確保し処遇するとともに、その能力を伸ばせるような、そういう環境を整えていくということが大事であるというふうに考えております。
 このために、国といたしましても、研究公務員についての処遇の改善を積極的に図るとともに、海外留学とかあるいは国内留学というようなことができる制度を持っておりまして、こういうものによって研究者の資質の向上を図っているところでございます。近年では特に独創性豊かな若手研究者にその発想を生かすことのできるような研究環境ということで、基礎科学特別研究員として一定期間、これ三年でございますけれども、理化学研究所に受け入れる制度でございますとか、あるいは科学技術特別研究員として一定期間、これもほぼ三年でございますけれども、国の研究機関に受け入れる制度、こういうものを創設いたしまして、研究能力を身につけた人材が研究の現場で効果的に活用、育成されるような措置を講じてきております。今後とも優秀な人材の確保育成のために努力をしてまいりたいと考えております。
#11
○永野茂門君 創造的・基礎的研究の強化につきまして、資金あるいは制度、そして特に人材、あらゆる面からぜひ一層積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 さて、科学技術面での国際貢献の一環として諸外国との国際研究交流を我が国みずからが積極的に推進する必要があると考えますが、先進国の研究者はなかなか我が国に来たがらずに、先進国との研究人材交流においては我が国への研究者受け入れが少ないといったアンバランスが指摘されています。
 例えば八八年度の科学技術関係者の欧米よりの受け入れは八千五百人、こちらから欧米への派遣はその約十倍、八万五千人であったという統計があります。外国からのよき人材を得て立派な研究成果を上げるためにも、あるいはまた先ほど大臣が触れられました成果を世界に波及させるためにも、また我が貢献を国際的に認識させるためにも、先進国との研究者の人材交流、特に受け入れをふやすということが重要であると考えられます。
 そこで、科学技術分野における国際人材交流の促進策をどういうように進めておられるか、あるいは進めようとしておられるか、お伺いいたします。
#12
○政府委員(林昭彦君) 国際人材交流、なかんずく主として先進国からの研究者の受け入れにつきましては、従来は科学技術振興調整費等を活用してこちらから向こうへ行く人の分も含めましてやってまいりましたし、今後もその拡充を図ってまいるつもりでございますが、特に今の先進国からの研究者の受け入れというようなことを主眼といたしまして、昭和六十三年度に科学技術庁のフェローシップ制度を創設いたしまして、自後この拡充を図ってきているところでございます。
#13
○永野茂門君 ぜひフェローシップによる人材の受け入れ、交流を活発にしていただきたい、こういうように考えます。
 さて、我が国が世界の研究所として世界に対する科学技術の発信源となるように、先進国からの研究者をもっと受け入れるためには、経済的側面の支援のほか、言葉の問題などの生活環境、研究環境等、きめ細かい施策が必要と思われますが、今後このようなきめ細かい施策についてどういうような対応をしていくつもりでありますか、お伺いいたします。
#14
○政府委員(林昭彦君) 私どものフェローシップの制度も六十三年度は百人でございましたけれども、平成三年度の予算案では百八十人という形で大幅に数がふえております。
 こういう方々に御指摘のように日本でじっくりと研究をしていただくためには、やはりきめ細かい施策が必要でございます。そういうこともございまして、平成元年十月から新技術事業団におきまして国際研究交流促進事業というのを開始しております。これは研究者及びその家族のための宿舎の整備でございますとか、あるいは日本語の研修、生活相談、それから生活情報誌の提供といったような生活環境整備事業を行いまして、またこの実施機関として民間、産業界の協力も得てその実施部隊のための団体をつくったりいたしまして、きめ細かな受け入れ体制の整備に努めているところでございます。今後ともさらに一層の施策の充実を、外国研究者の声も聞きながらやっていきたいというふうに考えております。
#15
○永野茂門君 引き続き、国際研究交流が一層円滑にいくように、着実な対応をお願いいたします。
 ところで、我が国が科学技術面で国際貢献を果たすべき分野として、地球環境問題への取り組みが極めて重要であります。例えば、地球温暖化問題は我々の社会経済に重大な影響をもたらす問題でありますが、気温の上昇量や降水量等の見積もりについてはなお不確実性が大きいと言え、またさらに雲でありますとか海洋などの影響につきましてもなお科学的知見が不足し、科学技術によるブレークスルーが期待されております。科学技術の先進国としての我が国はこの問題に積極的に取り組む責務がある、こういうように考えます。
 そこで、地球環境問題への取り組みについて、どういうような方針、構想であるかということをお伺いいたします。
#16
○政府委員(井田勝久君) 地球環境問題を解決する上におきましては、科学技術によるブレークスルー、ただいまお話にありましたようなブレークスルーが必要でございまして、そういうことによつて科学的知見を積み重ねる、こういうことが非常に重要であろうと思っているわけでございます。
 科学技術庁におきましては、こういう観点からこういった研究開発を総合的に推進しているところでございまして、まず科学的知見を高めるという上から見ますと、宇宙から見ますと非常に地球がよく観測できるということでございまして、こういった地球を観測する衛星、こういうものを開発いたしまして、地球観測・監視を総合的に推進するということにまず努めているわけでございます。
 科学技術庁は既に海洋観測衛星を打ち上げておりますし、地球資源衛星を開発しておりますが、このたび新たに、海面の水温でございますとかオゾン分布でございますとか、こういったものを地球規模で観測する地球観測プラットフォーム技術衛星というものを開発するということにいたしております。この衛星は、米国とかフランスの観測センサーも同時に搭載いたしまして、国際協力の推進のためにも有益であると思っております。また新たに、気候変動を左右する熱帯における降雨を広域で観測できます熱帯降雨観測衛星、この開発研究を米国と協力して推進するということにいたしているわけでございます。このほか、地球表面の七割を占めまして、地球規模の気候変動など大きな影響を海洋は持っているわけでございますが、この海洋につきまして海洋音響トモグラフィーなど海洋観測技術の研究開発を推進し、こういった技術を国際的にも提供いたしまして、そういった観測をきちっとしていきたい、このように考えているわけでございます。
 こういったことで、人工衛星による観測を進めるとともに、海洋や地上で観測データを集めるわけでございますが、こういったものも国際的なシステムで情報をどう流通させるか、促進させるかということもこれから国際的に検討していくところでございます。
 また、関係省庁と協力いたしまして、雲が地球温暖化に及ぼす影響の解明あるいは砂漠化機構の解明、あるいは熱帯林の変動とその影響解明、こういったことの研究開発を進めております。また科学技術庁といたしましては、炭酸ガス、窒素酸化物等を発生しない原子力の開発利用というものも積極的に推進してまいりたい、このように考えているわけでございます。
 こういったことを含めまして総合的に今後とも地球環境問題解決のために国際協力を進めまして、総合的に取り組んでまいりたい、このように考えているわけでございます。
#17
○永野茂門君 地球環境問題は、人類の生存基盤にかかわるという意味で、非常に身近な問題と感じております。ぜひしっかり取り組んでもらいたいと思います。
 なお、この際、一言私の個人的な見解を申し上げますが、地球環境問題への政府全体としての取り組みは、問題が極めて広く、そしてまた深く、各省庁にわたってそれぞれ研究あるいは開発を進めながら、それを調整し統合していくということが大事でありますが、同時に、その際、各省庁研究機関が得意とするところ、みずから気がついたところ、みずから積極的にやりたいという問題をそれぞれ積極的にやっていくことが、最終的にはトータルとして研究成果が上がり、地球環境問題解決に極めて有意義な進歩があるのではないかと私は個人的に考えております。そういうことも考慮して、ますます力を入れてやっていただきたいと思います。
 さて、身近な課題という意味で、この際、地震予知への取り組みについてお伺いいたします。
 平成三年度予算案には首都圏直下型地震予知のための三千メートル級深層観測施設の整備等の経費が計上されていますが、三千メートル級深層観測施設の活用をも含めまして、今後の地震予知研究への取り組み方についてお伺いいたします。
 科学技術庁長官は、地震予知推進本部長であって、地震予知について総合的かつ計画的な施策を推進する責任者であると承知しています。文部、通産、運輸、郵政あるいは建設、各省庁の研究部門の研究を総合し、予知、防止、災害の軽減、復旧等の一連の過程の科学的知見を十分蓄積し、これを活用していくように望みます。
 その意味において、繰り返しますが、今後の地震予知研究への取り組み方についてお伺いいたします。
#18
○国務大臣(山東昭子君) とにかく地震は一たび発生いたしますと、人命はもちろん社会経済に大きな混乱を与えるものでございまして、特に地震多発国である我が国にとりまして地震予知というものは極めて重要であり、また難しい課題であろうかと思います。そして政府といたしましては、この課題克服のために地震予知推進本部を通じまして関係機関と連携協力のもと予知の推進に努めておりまして、またその成果も国の防災政策というものに反映をされているところでございますけれども、なお一層その充実強化に努めてまいりたいと考えております。
#19
○永野茂門君 さて、次に、国際協力による宇宙開発についてお伺いしたいと思います。
 宇宙開発のような超大型プロジェクトにつきましては、国際協力のもとで効率的に進めるというのが世界の大きな流れであります。我が国の技術力、経済力は、このような超大型プロジェクトを推進することについても大きな貢献ができる能力があり、また、最初に申し上げました国際貢献の中で、極めて重要なものとして貢献していくべきものであると考えます。
 このような観点から、宇宙開発の国際協力の考え方についてお伺いいたします。
#20
○政府委員(井田勝久君) 我が国の宇宙開発は、もう先生御承知のとおり、米国の技術導入をベースといたしまして、官民挙げての努力によりまして国際的な技術水準に達する、こういう状況に至っておりまして、打ち上げロケットにおきましても、いろんな衛星におきましても、非常に国際的な水準に達してきているわけでございます。
 このように技術水準が高まりまして、また我が国の国際的地位も高まってまいりますと、これにふさわしい貢献は何かということが今後求められているわけでございまして、こういう面で、今後の宇宙開発は、実利用面ではかなりの競争という面と、あるいは宇宙環境利用でございますとか、地球観測でございますとか、あるいは科学探査、月、惑星の探査でございますとか、こういった新しいフロンティアにつきましては、また協力といったことが求められてくると思っているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、我が国は現在、我が国だけではなくて、米国、欧州、カナダの協力によって宇宙ステーション計画というものを進めておりますし、また国際微小重力実験という計画にも参加しておりまして、この第一次材料実験計画には米国等の協力により、日本人科学技術者がスペースシャトルに搭乗して各種の宇宙実験を行うこととしております。
 また、地球観測の分野におきまして、我が国の衛星に我が国のセンサーのほか米国、フランスのセンサーを搭載する地球観測プラットフォーム技術衛星、あるいは米国の衛星に我が国と米国のセンサーを搭載して、我が国のロケットでございますHIIロケットで打ち上げる熱帯降雨観測衛星、こういったような協力があるわけでございまして、このほか我が国の地球観測衛星データの海外での受信や、海外の衛星データの我が国での受信、こういうことも行っているわけでございます。
 こういうわけで、今後宇宙開発は米国、ヨーロッパ、こういった世界各国の協力が大いに進むわけでございまして、こういった協力を今後とも積極的に推進してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#21
○永野茂門君 お考えはよくわかりましたが、いかんせん我が国の宇宙開発の歴史はまだ日なお浅く、予算も大変に少ないと思います。現在、我が国の宇宙開発予算は米国の約十分の一であり、欧州に比較しましても約二分の一にすぎません。このような状態では宇宙ステーション計画を初め、宇宙分野の国際協力を我が国として責任を持って実施していくことは困難ではないか、こう考えられます。一層の宇宙開発予算の伸びが必要でないかと考えていますが、この宇宙開発予算の抜本的な拡大につきましていかなる見解をお持ちですか、見解を承りたいと思います。
#22
○政府委員(井田勝久君) 我が国の宇宙開発は、現在、宇宙開発委員会が定めました宇宙開発政策大綱を指針として進めているわけでございまして、大型ロケット、各種人工衛星等の研究開発を推進しているところでございまして、資金需要も大変多いわけでございます。本年度の宇宙開発予算は、こういうことで、全体の重要性にかんがみまして、厳しい財政事情ではございますが、政府全体の一般歳出の伸びが四・七%、科学技術関係予算の伸びが五・三%でございますが、宇宙開発予算は政府全体といたしまして対前年度九・六%増の千七百七十七億円を計上いたしまして、重点的な配分を行ったところでございます。こういうわけで一生懸命努力しているわけでございまして、今後とも我が国の宇宙開発の円滑な推進を図るよう努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#23
○永野茂門君 私どもも大いに支援いたしますが、政府におかれましても、少なくも欧州以上にはなるように、できれば倍増、倍増と頑張っていただきたい、こういうように希望しておきます。
 さて、同じ航空宇宙関係でございますが、次は民間航空機に関する開発あるいは研究についてお伺いいたします。
 現在、民間航空機についても国際共同開発が進められています。国際的な共同研究開発は、研究開発の効率化という面からいきましても、あるいはまた円滑な相互の技術移転という面からいきましても、さらにまた、ここ数年大きく問題になっておりますところの技術摩擦の解消という観点からも極めて有益で重要な手段である、こういうように考えています。航空技術は、先導的技術であり、他の分野への波及効果も高く、重要な技術であります。それだけに、国として航空技術の開発方針を確立して、総合的に技術力を向上させていく必要がありますが、そのような観点に立てば、航空機開発の国際協力は単なる下請的なものであってはなりません。システム全体の技術を我が物とすることに資するような形で参加することが重要であると思います。
 そこで、民間航空機の国際共同研究への取り組み方、基本的な方針についてお伺いいたします。
#24
○政府委員(井田勝久君) ただいま御指摘のように、世界全体を見ますと、民間航空機の開発、これは資金もかかりますし、技術も相互の技術を持ち寄るということも非常に有益でありますし、いろんな意味から見て国際共同開発ということが大きな主流になっているわけでございまして、例えば客席数が三百五十クラスの大型機であるボーイングの777、あるいは客席数が二百席クラスの旅客機でございますボーイングの767、こういった形でこういった共同開発の動きがずっとあるわけでございます。こういうことで、国際共同開発することによりまして、その資金の蓄積、技術の交流というものが図られるわけでございますし、あるいは量産技術というものが確保できるということでございまして、こういうことで、今通産省が中心になって航空機全体の開発ということを進めているわけでございます。
 こういうことで、航空機開発を進めるに当たりまして何よりもこういった我が国の技術基盤というものを強化することが肝要でございまして、そういう意味で、私ども科学技術庁では航空宇宙技術研究所というものがあるわけでございますが、これをどういうふうにそういった我が国の全体の航空機技術の基盤の強化に役立てるかということが私ども非常に重要だと思っているわけでございます。
 最近ではSTOL機の開発ということをいたしましたが、これにおきましても、NASAとの間で進めて、こういったSTOL機の技術基準の作成ということで、相互に協力してこういうことをやるというようなことで、国際的にこういった共同研究に取り組んでいるわけでございまして、こういった国際共同の研究をしながらこういうものを助けていく。あるいは、航空宇宙技術研究所が実施しております空力のシミュレーションの技術研究でございますとか、複合材関連研究でございますとか、こういったそれぞれの要素技術で大変得意として進めているところもございますので、そういったものを大いに進めて、こういった民間の技術基盤の強化にも役立てていきたい、このように考えているわけでございます。
#25
○永野茂門君 「飛鳥」の研究開発は一応終わったわけでありますが、このSTOL機の開発の意義あるいは評価について特に御見解があったらお聞かせいただきたいと思います。
#26
○政府委員(井田勝久君) 「飛鳥」でございますが、「飛鳥」は、もう御承知のように、短距離で離着陸できるということと、低騒音性ということを目標にして開発してきたわけでございます。幸い非常にいい成果が出まして、短距離離着陸性あるいは低騒音性、こういった面ですぐれた成果を上げたわけでございますが、実用化となりますと、我が国の当初に予定しておりました滑走路が非常に延長された結果、すぐ実用化ということには結びつかないことになったわけでございます。
 ただ、全体といたしますと、飛行機としてやはり短距離離着陸性あるいは低騒音性と申しますのは、今後とも航空機設計の技術の中の一つの重要な技術要素となるものでございまして、こういう面で非常に大きな成果を上げた。しかも、これが我が国だけではなくて、米国航空宇宙局、NASAとの間の技術基準の作成ということでも情報交換いたしまして、そういうものは、基盤ができたということは大変大きな意義があったと思っているわけでございます。
 それで、今後こういうことで、航空宇宙技術研究所におきましては、この成果をもとにデータベースをきちっと作成いたしまして、そういうものを作成した上で広く活用できるような体制を整えていくということで、今後我が国がいろいろこういった航空機を製作する際の大きな意義を持つものであろうと思っております。
 そのほか、こういった自動操縦技術でございますとかあるいは複合材料でございますとか、個々の要素技術におきましても非常に大きな成果をおさめておりまして、こういうものも今後の我が国のいろいろな面の航空機開発に役立つものと、このように考えているわけでございます。
#27
○永野茂門君 我が国の航空機の開発、それに対する航空宇宙研における基礎的な研究の集積というのは、YS11、C1、そして引き続き「飛鳥」と極めて重要なステップを踏んできたと思います。
 航空並びに宇宙開発は、二十一世紀に向かっての国際的な極めて重要な開発課題であると思います。特にまた、言うならば宇宙は人類にとって未来のフロンティアであり、国際協力のもとその開発利用を積極的に進めることは極めて重要であると思いますので、先ほどから何度も繰り返しておりますけれども、十分に予算をとって、資金を投入して、しっかり開発をやっていただきたいと思います。
 次に、原子力の分野において、今般起こった美浜二号炉の蒸気発生器細管の破損に関しましては、一般国民の巨大技術に対する不安感を増大させる可能性があることにつきまして、率直に私自身も心配しているところであります。これは私自身だけではなくて多くの人が心配をしております。
 そこでまず、美浜発電所二号炉の事故を踏まえ、原子力安全確保に関する大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#28
○国務大臣(山東昭子君) 原子力の開発利用に当たりましては、今日まで所管行政官庁におきまして、原子力施設の設計、建設、運転などの各段階で安全規制を実施することにより、安全確保に万全を期してまいりました。しかし、残念なことに、まあ上手の手から水が漏れると申しましょうか、環境に影響を与えることがなかったものの、今回初めて非常用炉心冷却装置が作動した点で、地元を初めといたしまして多くの皆様方に大変な不安感を与え、そして御心配をおかげしました。こういう結果になりましたことは、原子力行政を預かる者といたしましてまことに遺憾なことでございます。
 現在、事故究明が図られているところでございますけれども、とにかく徹底的に究明をいたしまして、そしてそれに対しまして、今後このような事故が再発しないように万全の安全対策がとられることを私どもも期待いたしておりますし、安全確保につきまして今後とも最大限の努力を払ってまいるつもりでございます。
#29
○永野茂門君 極めて重大な問題でありますので、大臣が今おっしゃいましたとおり、原因の究明と万全の対策が急務であると考えます。
 そこで、さらにお伺いいたしますが、原子力安全委員会は今般の事故に関しまして具体的にどのような対応方針で活動していらっしゃいますか、お伺いいたします。
#30
○政府委員(村上健一君) 原子力安全委員会は、先生御案内のとおり、昭和五十三年両院での御審議によりまして、原子力基本法等の改正によりまして創設されました国家行政組織法上の八条の機関でございまして、行政庁から離れて中立的な立場から原子力の安全規制をつかさどっておる八条機関でございます。原子力安全委員会といたしましては、今般、所管行政庁でございます通商産業省から事故の経緯及び原因調査の進捗状況等につき報告を受け、これまで既に七回にわたり審議を行っているところでございます。
 新聞発表などにございますように、調査の結果、蒸気発生器伝熱管のうち一本に円周方向の破断が発生したことが確認されておりまして、原因としては、現在までのところ、伝熱管の振動を抑制する振れどめ金具が設計どおりの範囲まで入っていなかったために、高サイクル疲労により破断に至った蓋然性が高い、こういうふうに考えられているところでございます。
 原子力安全委員会といたしましては、今回の事故は環境に影響を与えるものではなかったけれども、初めて非常用炉心冷却装置が実際に作動したものであるということを重大であると認識いたしまして、今後とも通商産業省等から調査状況について報告を受けるとともに、委員会としても早急に検討に着手するため、下部機関である原子炉安全専門審査会に調査、審議の開始を指示したところでございます。これを受けまして、同審査会は、十一名の専門家から成ります関西電力美浜発電所二号炉蒸気発生器伝熱管損傷ワーキンググループを設置いたしまして、関連する内外の事故、故障の事例、研究成果等を踏まえまして、専門家による事故原因の究明、同種事故の再発防止対策等について調査、審議を開始したところでございます。
#31
○永野茂門君 今回の事故は、大臣も局長もおっしゃったとおり、確かに環境への影響はなかったということでありますが、極めて重大でありますので、原因の究明と対策をしっかりやって、とにかく一般国民の不安感を除くように大いに努力してほしいと思います。
 そこで、今後、今回のような事故が頻繁に起こるようなことでもあれば、原子力発電に対する一般の不安は増大せざるを得ません。しかし一方、我が国のエネルギー事情あるいは技術先進国としての国際的立場を考えますと、石油資源の消費を抑え、CO2の排出もない原子力発電というものは今後とも推進すべきものであると考えます。
 そこで、今後の原子力発電の推進方策につきまして大臣の所見をお伺いいたします。
#32
○国務大臣(山東昭子君) 永野先生のおっしゃるとおりでございまして、我が国はエネルギーを海外からの八割の輸入に依存いたしまして、そして今後とも着実なエネルギー需要の伸びが予想されているわけでございます。そのためには、やはりエネルギーの安定供給ということが極めて重要な問題でございます。今おっしゃられたように、そうした供給安定性あるいはコスト、また環境影響の面で非常に原子力がすぐれていることはもう多くの方々が御承知のことでございますけれども、そうした中でこのような事故があったということは、先ほどから申し上げているとおり本当に残念でございますが、とにかく原因を徹底究明いたしまして、そして今後とも原子力の開発利用に当たりましては、あくまでも国民の理解と協力を得ることが不可欠でございますので、なお一層着実に多くの方たちに安全の確保ということを呼びかけながら、私どもも最大限の努力を払っていきたいと思っている次第でございます。
#33
○永野茂門君 国民の多くは、原子力発電の必要性あるいは原子力発電の有用性、これについては理解しながらも、安全性について若干の危惧をもともと持っておったわけであります。したがいまして、この不安感を取り除く、あるいは現実に事故のない状態をつくり上げるということが極めて重要なことだと思います。今大臣がおっしゃった方針で御努力を願いたいと思います。
 最後に、地域における科学技術振興についてお伺いいたします。
 最近、従来からの工場誘致等による産業の振興に加えまして、科学技術振興を通じ地域振興を図ろうとする地方自治体がふえているようであります。地域における科学技術振興は、その効果として地域から新しい科学技術を生み出すとともに、それが地域に還元されるなどのことによりまして地域の一層の発展が促進されるものと考えます。
 そこで、地域における科学技術振興のための具体的方策とその効果についてお伺いいたします。
#34
○政府委員(林昭彦君) 地域におけるその地域の特性を生かしました科学技術の振興というのは、その地域の発展ということに非常に有益であるばかりでなくて、我が国全体としてのバランスのとれた科学技術の水準の向上に非常に有益であるというふうに認識をしております。多数の地方自治体におきまして、科学技術の関連の審議会を設置いたしましたり、あるいは研究機関の再編成等を図るなどいたしまして、科学技術の振興に非常に意欲的に取り組んでおられるようでございます。
 このような状況を踏まえまして、科学技術庁といたしましても、地域におきます研究機関にその地域内外のすぐれた研究者を結集しまして、地域の科学技術ポテンシャル等を生かして、基礎的、先導的な研究を実施する地域流動研究システムというのを平成二年度から始めておりますし、また、我が国の科学技術振興上重要な基礎研究領域において高い科学技術ポテンシャルを有する地域で、当該地域と理化学研究所の研究者を結集して基礎研究を推進いたしますフロンティア研究の地域展開というのも昨年仙台で始めたところでございます。こういった施策等で、地域における科学技術の振興に資していこうということで、関係の自治体と緊密な連携を保ちながら、積極的に今後とも施策を進めてまいるつもりでございます。
 こういった施策を通じまして地方自治体におきまして新しい科学技術が創出されまして、さらにそれが地域に還元されるなど、地域におけるこれらの科学技術の振興政策というのは、地域の一層の発展を促進させる効果があるというのは先生御指摘のとおりかと思います。今後とも地域の科学技術の振興という点については、関係自治体と連携を強化しながら積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#35
○永野茂門君 六十三年度には科学技術政策研究所が設立されました。そして精力的に活動をしており、評価も高まりつつあるように見ております。そこで、今質問いたしました地域における科学技術振興について、この科学技術政策研究所を活用するのもいいことだと思います。
 最後の質問といたしますが、地域の科学技術振興に関する科学技術政策研究所の取り組み方についてお伺いいたします。
#36
○政府委員(須田忠義君) ただいま振興局長から御答弁ありましたように、地域における科学技術振興、これは科学技術政策上の重要な課題だというふうに我々も認識しております。したがって、科学技術政策研究所についても、地域における科学技術政策の実態、人材、研究開発投資、研究環境等について最近調査分析をしてございます。
 これらの成果については二つございまして、一つは、政府の地域振興の展開方策に対する非常に貴重なデータになりますし、もう一方、地方自治体が最近非常に科学技術振興に熱心でございます。その地方自治体が今後地方自治体としての科学技術政策を展開する一つのデータになるというふうに考えておりまして、今後とも政策研究所としてこういう研究を続けていきたいと思っておりますし、また地方との相談で地方へ行ったセミナー等を開催し、積極的にこの成果の普及に努めてまいりたい、かように考えております。
#37
○永野茂門君 終わります。
#38
○吉田達男君 山東大臣に質問をいたします。
 日本の科学技術は世界の中でも高いレベルにあるものと思います。今湾岸戦争が終わって、アラブ地域の復興のために日本の科学技術がいかに生かされ、貢献されるかということは、まさに政治の課題であり、また地位の問題であろうと思います。日本にとって四十億ドルを払い、また九十億ドルを負担するということは、財政支出に見ると相当なものであったと思いますが、アメリカ世論等々を見ても必ずしも日本人の我々が自負するほどの評価になっておりませんし、また湾岸諸国の期待も複雑なものがあろうと思います。しかし、外国に行ってドンパチ戦争をしないことを国是としている日本の国にとって、今経済ベースでなくて、湾岸復興に貢献をして世界的な国際的評価を得るというのは、まさに科学技術でなければならぬと思うのでありますが、山東大臣のこれについての所見をお伺いいたします。
#39
○国務大臣(山東昭子君) 我が国はあくまでも平和に貢献する科学技術、そして二十一世紀に向けて福祉に貢献する科学技術のあり方というものについて私ども科学技術庁も日夜努力をしているわけでございますけれども、今先生がおっしゃられたように、国際社会において我が国は、経済面だけではなしに、最近は科学技術の面でも非常に大きな地位を占めるようになり、そして評価される部分も出てまいりました。ですから、やはりこれからは、科学技術を通して国際社会に貢献をしていかなければならない時代に入ってきたと言えるのではないかと思います。
 今回、湾岸危機に伴う海洋汚染であるとか、あるいは生態系の破壊などの解決に当たりましては、やはり科学技術の果たす役割というものは非常に大きいものであると認識をいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、これらの問題につきましては、今後必要に応じまして諸外国と協調をして対応していきたいと考えております。
#40
○吉田達男君 基本的なことをお伺いいたしまして、我が意を得たりでありますが、科学技術庁の仕事の内容というのは、基本的な学術研究等々が中心であって、具体的な事業をなすということが仕事でない分野もありますから、湾岸の問題についてもあるいは働き方がいろいろあろうと思います。しかし、国際的な期待のいろいろを聞くと、例えばオイルフェンスの技術とか、それはハードだけでなくてソフトだとか、あるいはオイルに薬剤を散布して、これを塊状にして回収するとか、海水を淡水にするプラント等々について日本の科学技術に期待するものは多い。言いましたように直接な事業部でないと思いますから、その点についてはいろいろ方法があろうかと思いますが、せっかくの尽力を願っておきたいと思います。
 中東は本来貧しい国でありました。中東に限らず砂漠の国は貧しいのであります。中東だけでなくてこの砂漠をどうするか。地球環境が今重大な砂漠化に備えるときにあって若干緑化についてお伺いいたしますが、砂漠は生態系を、物質循環を停止させる。つまり自然の停止でありまして、一たん破壊されたものは生態系の復帰が極めて難しい。したがって、数々やられる緑化計画はいずれもいまだ全く成功したというものを見ないのであります。そこで、地球は毎年六百万ヘクタール、九州と四国が一緒になったぐらい砂漠化が進んでおる、こういう状況であります。
 これに対して、私の生まれたところを紹介して恐縮ですが、日本で一番大きい鳥取砂丘を控えた鳥取大学等々で全力を挙げてこれに貢献するような砂漠開発をやっておりますけれども、それでもってしても半砂漠の砂漠化を防止するということが精いっぱいということであります。それのもとになっておるのは何かというと、結局砂漠開発に必要な基礎的な研究が全体的に不足しているということであります。
 科学技術庁として、今後この地球の砂漠化防止についてどのように対処されるお考えか、お伺いをいたします。
#41
○政府委員(井田勝久君) ただいま先生御指摘のとおり、砂漠化というのは、水循環の変動を通じまして土壌、生態系に大変な被害をもたらす、ひいては地球規模の気候変動にも大きな影響をもたらす大変大きな問題であろうかと思っておるわけでございます。このためには、造林保水技術、こういった砂漠化防止技術の開発が重要でございますが、同時に、砂漠化のメカニズムあるいは気候変動への影響、こういった研究が大事であろう、このように考えているわけでございます。
 そういう観点からいたしまして、私ども、関係機関の科学技術の全体の研究開発を総合調整しておりますので、そういう過程におきまして、従来アフリカ乾燥地域等の草地の保全技術の開発でございますとか、熱帯耕地の浸食、劣化動態と対策技術の開発でございますとか、あるいは砂漠化機構解明の研究といたしまして、乾燥地の水動態、土壌特性の解明でございますとか、乾燥地、半乾燥地の砂漠化に伴う環境影響予測に関する予備調査、こういった各省でやる研究を応援してきたわけでございますが、当庁といたしましても、こういった施策の各省の応援だけではなくて、自分のところも各省と協力してやろうということで、科学技術振興調整費というものを使いまして、新たに中国のタクラマカン砂漠を調査フィールドといたしまして砂漠化機構解明に関する国際共同研究、これは中国との共同研究でございますが、タクラマカン砂漠周辺を調査地域といたしまして、砂漠形成史の解明とか砂漠における水文状態の解明、あるいは砂漠化と気候変動の相互作用の解明、こういうものを進めているわけでございます。
 こういうわけで、この問題は、御指摘のように大変大事な問題でございますので、今後とも真剣に取り組んでまいりたい、このように考えているわけでございます。
#42
○吉田達男君 他の省と協力しながらこの対策を研究、促進される、独自でもプロパーでやろう、こういうことであります。問題は、一たん環境が破壊されたらそれが復しないという地球メカニズムの解明が、根本的にいろんな要素の絡みが解明されていない。そのところに対策が的確に効果をあらわしにくい要素があるので、そこの研究こそがまさに基礎的な科学技術庁のお仕事であろうと思います。よその国に行ってなさるのもいいけれども、日本の中にもそういう形態があれば、その辺も十分考えた将来の取り組みを願いたいと思いますが、いかがですか。
#43
○政府委員(井田勝久君) 今こういうわけで世界的に砂漠化が大いに進行しているというところで、そういうふうな大変砂漠化が進んでいるところを対象地としてやっているわけでございますが、そういうことを進めることによりまして、あるいは国内の砂漠の問題、今の鳥取の問題もございますが、そういった問題にも適応できる技術なり知見なりが得られるのではないかと思っておりますので、そういったことを進めまして、またそういうことも考えながら今後進めていきたい、このように考えておるわけでございます。
#44
○吉田達男君 それでは、さきの湾岸の続きみたいなものでありますが、日本は湾岸の戦争で何を教訓として学ぶかということは大きいことだと思います。背景に資源ナショナリズムということがあろうかと思うと、日本のように資源のない国についてはいろいろ考えなければならぬと思うんです。資源のない日本に資源がありとすれば、日本を囲んでいる海こそ日本の一番大きい資源になろうかと思うんです。これを有効に活用、開発していくということはまさに日本の国のために必要なことでありまして、科学技術庁は海洋開発という大きいテーマを大臣の方針の中にも示されてやっていただいております。
 これももとに戻るようですが、そういうことをやるためには、やはり海洋の掌握、観察、情報獲得のシステムが必要だと思うんです。海洋科学技術センターをして研究させていらっしゃると思うんですが、この海洋音響トモグラフィックシステムというような期待されるようなことはどのように進行して、どのようにいつまでにはできるのか、ちょっとお伺いをいたします。
#45
○政府委員(井田勝久君) ただいま御指摘のように、海洋は大変広いわけでございまして、そういう意味でこの観測技術をどう開発するかということは大変重要なことでございます。特に、世界的にはスクリップスでございますとか有名な研究所があるんですが、なかなか海洋の調査、船を持っていて調査するというメカニズムで新しいそういった技術開発というもの、そういったところを専門的にやる機関がございません。そういう意味で日本の海洋科学技術センター、そういった技術開発をするということで世界的にも大変期待されているわけでございます。
 ただいま先生御質問のございました海洋音響トモグラフィー、これは音響を使いまして海洋の温度とか流速を把握するという測定技術でございまして、これは今米国のウッズホール海洋学研究所と共同開発をしているわけでございまして、平成元年度から着手していまして、現在の進捗状況から申しますと、基礎的なところは今詰め終わったということで、これから具体的なものを製作していくという段階で、これからそういうことで具体的に詰めていくということでございます。あとそのほか、海洋レーザー観測技術、これは船上からレーザーを海中に照射しまして、その散乱光で水深五十メートルぐらいまでの植物プランクトンの分布を把握する技術でございますが、これは昭和六十二年度から技術開発を進めておりまして、今一生懸命やっているというところでございます。
#46
○吉田達男君 そういう海洋上のシステムと、それをキャッチする衛星との組み合わせでこれが成功する、こういうことになると、科学技術庁得意のADEOSやああいうものとの組み合わせも考えられるが、ちょっと時間がかかるような気がする、今の答弁を聞くと。これはやっぱり早くしなければならぬ。それは、海洋開発ももちろんだけれども、地球環境保全、保護のデータも速やかにもらわなければ全体的に貢献をしにくいということに相なろうかと思う。せっかく促進を願いたいと思います。
 時間がありませんから、もう一言お尋ねいたしますが、今ウオーターフロントということで、合い言葉のように広い意味の海洋開発をやろうとしておる。本当の湾岸では東京都心や大阪等々のものもあり、あるいはやや前進的なものでは人工島や海上都市やあるいは海上住宅という構想を立ててやるものがある。これについては、それぞれのセクションで事業部がなさるんだと思いますが、そういう快適な環境づくりのために基礎的なデータが全部そろっているか。例えばそこのセクションでは波力発電を組み合わせてやるんだと、こういうようなことがあれば、そういうような分野はどうなのか。生活水の循環システムを確立すると言っているけれども、そういうようなものがその快適な中でやろうかというと、基礎的なものができ上がっているか。こういうような総合的な観点に立ってみるとどのように進んでいるか。海洋開発を、ウオーターフロントをもうちょっと広げていくと、海の中の資源開発、漁業もありましょうし、鉱床等もありましょうが、そういうようなものについては、どういう計画でどこまでいっているのか、伺いたいと思います。
#47
○政府委員(井田勝久君) 沿岸域の有効利用は、我が国は国土が狭いわけでございまして、大変重要でございまして、昨年五月に出されました海洋開発審議会の答申におきましても、生活の場、産業の場、交通やレクリエーションの場、さらには複合利用の場としてこういった海洋空間利用の促進が打ち出されておりまして、高度な臨海部の生活空間でございますとかマリーナと海洋性レクリエーション空間でございますとか、こういったことに向けて指針が示されておりまして、それぞれ関係省庁で進めているところでございます。
 科学技術庁といたしましては、こういった関係省庁の事業とは別に、海洋をいかに有効利用するかというような技術開発を進めておりまして、特に地方のいろんな海岸がございます。その海岸でそれをうまく使うということで、例えば静穏な海域、こういうものをつくり出すことを目指しました海域の制御技術、そうしますとそこが海水浴場でありますとかいろんな形で使えるわけでございまして、そういったところ。あるいは消波機能を持つとともに波力の持つエネルギーの有効利用を図るような施設、そういうことをいろいろ開発を進めておりまして、そういった形の海域利用ということも進めているわけでございます。
 それから、さらに深いところでございますが、深いところはまだまだいろいろ未知なものが隠されているわけでございます。そういうわけでございまして、この深いところの今後の研究開発あるいは利用ということが大事になるわけですが、とにかく深いところへ行きますと大変な圧力でございますので、それを調査するような潜水調査船というものが必要でございます。科学技術庁といたしましては、従来「しんかい二〇〇〇」というような潜水調査船を建造して各地を調査してまいったわけでございますが、新たに「しんかい六五〇〇」といった六千五百メートルまで潜れる調査船をこのたび建造いたしまして、今後これを本格的に動かして調査をいたしたいと考えているわけでございます。
 この調査が本格的にいきますと、六千五百メートル下には我々の知らないようないろんな微生物あるいは有効な我々の活用できるような新しいものがあって、あるいはそれをうまく取り出してまいって地上で培養いたしますと新薬などができるのではないかという期待もあるわけでございまして、そういう意味でこの「しんかい六五〇〇」をこれからきちっと活用いたしまして研究開発を進め、こういった新しい分野を開いていきたい、このように考えているわけでございます。
#48
○吉田達男君 時間がありませんからもう一回。
 JOIAですね、日本海洋開発産業協会が提言しているのを見まして、一々申しませんが、なかなか夢は海に広がるというところであります。これにこたえるのに時間がかかると思うんです。科学技術庁に伺うと、いろいろ研究を深めていらっしゃいますが、やや長期的な、基礎的なものを根本に置いておられる。それは確かに必要なわけでありますが、やはり時代のスピードが大変速いものでありますから、これに即応してもらいたいと思う。だから、今日的な課題について促進のインパクトを与えるような研究の成果を、全部体系的にまとまらなければ教えない、こういうことじゃなくて、できれば適切な科学技術上の技術は適時最大限出して運営を願いたいと思うわけであります。これについては決意みたいなことになりますので、大臣の方から答弁をいただきます。
#49
○国務大臣(山東昭子君) 種々の研究を今までも行ってきたところでございますけれども、今後とも、先生の御指摘のあるように、できる限り成果の上がるような形で対処してまいりたいと思っております。
#50
○稲村稔夫君 私は、きょうは美浜の原発二号機で起きた事故を中心にいたしましていろいろとお伺いをしたい、このように思います。あと残ったというか、時間の許す範囲の中で二つほど別の課題もございますけれども、主としてそこのところを集中的に質問したいというふうに思います。特にきょうは原子力安全委員会の内田委員長にも御出席をいただいているわけでありますので、その御都合等もございますので、あらかじめ通告をしておりました順序に必ずしも従わない形になることをお許しいただいて、内田委員長の御見解も適宜聞かせていただければありがたい、こんなふうに考えております。
 また、科学技術庁の予算構成について、私は毎年毎年一言悪口を言うことになっております。それは原子力宇宙開発庁じゃないか、あとの予算は少し心細いのではないかというようなことを申し上げたりしているわけであります。それだけに原子力に力を入れておられるということでもありますから、そこで、直接の事故そのものについての監督省庁は通産省ですけれども、こうしたことを通じての全体のやりとりを聞いていただきながら、最後のところで長官のお考えなどをお聞きするということにさせていただければ大変ありがたい、こんなふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと存じます。ちょっと前置きが長くなってしまいました。
 最初に、事故が起きましてから、その事象――事故と事象というのはいろいろと使い分けしているようですけれども、事故であって、その事故の中でいろいろな事象があるということだと私は思うんです。そういう中で、いろいろとその時期時期によって変わってきているものがあったりいたしますので、現段階でどのような状況と把握をしたらいいのか、このことをまず確認しておきたいと思いますので、通産省から現段階で掌握している事故の状況について御説明をいただきたいと思います。
#51
○説明員(倉重有幸君) 今回の美浜発電所二号機のトラブルでございますけれども、二月九日に発生したわけでございますが、現在までに判明している状況について御説明を申し上げたいと思います。
#52
○稲村稔夫君 ちょっと委員長、済みません。
 あなたは政府委員でいらっしゃるの。
#53
○説明員(倉重有幸君) 私、安全管理課長の倉重でございます。
#54
○稲村稔夫君 政府委員ですか。
#55
○説明員(倉重有幸君) 説明員でございます。
#56
○稲村稔夫君 説明員でしょう。――政府委員の方はどうしました。
#57
○説明員(倉重有幸君) 別の委員会がございまして……
#58
○稲村稔夫君 ちょっと委員長、済みません。
 国会ではきちんと政府委員ということで政府答弁は登録をされているわけですね。その政府委員が答弁されるのは適当でない、あるいはもう少し詳しい観点から説明員の方に御説明をいただくということは、それは当然あっていいことだと思いますがね。それは質問者に対して、そしてまた御都合があれば、ほかの委員会の、直轄の委員会の関係だとかなんかで都合があるということであれば、それはやむを得ないことがあります。そういうときは質問者にあらかじめそういうことの了解をということが手続上は必要なんじゃないでしょうか。
 私は、こんなことでもってごたごたするつもりじゃないんですよ。だけど、物事はきちんとしておくということがまず大事だというふうに思いますのでね。政府委員が当然出てこられて、あるいは――このことは、私はなぜ申し上げたかというと、外務委員会で私が一度そのことを指摘したわけですよ、通産省には。もうこれでまた私に何の断りもなしにということでしょう。あなたが一番詳しいことは私もよく知っているので、あなたから聞かなきゃならぬのですけれども、その辺の手続はどうされているんでしょう。
#59
○説明員(倉重有幸君) 私ども通常、慣例といいますかルールで、原則的には他省庁委員会に対しましては課長レベルで対応という、原則そういうルールで実はやっておりますが……
#60
○稲村稔夫君 おかしいですよ、それは。
#61
○説明員(倉重有幸君) そういうことで、科学技術庁所管の参議院のこの特別委員会についてもそういうような形で対応さしていただいた次第でございます。
#62
○稲村稔夫君 本人の了解があれば僕は何にも文句を言ってない。本人、私のところへ言ってくれば、私もあなたの説明が聞きたいと言っているんですから。ですけれども、手続上はきちっとしておかなきゃならない。外務委員会でそのことは一回私が指摘をしているんですよ、通産省に対しては。このことは、担当、直接の管掌の委員会でなければということは、これはあなた方の勝手な解釈ですよ、国会では議院運営委員会の中できちんと政府委員というのは答弁者として登録をされるんですから。そのことをどういうふうに理解していますか。
#63
○説明員(森信昭君) まことに失礼いたしました。
 実はきょう、同時刻で衆議院予算委員会の方に私どもの政府委員が出ていまして、そちらでいろいろ答弁なさっておりますので、事前の手続を踏みませんでした。まことに申しわけありませんが、私どもの説明員でぜひ御了承いただきたいと考えております。
#64
○稲村稔夫君 この場へ来て、そして私は二度目でなきゃこんなことは言わないですよ。当然僕は、政府委員の方が出てこられて、そして、詳細については説明員から説明させますというふうに言われるものだと受け取っていた。にもかかわらずこれは、衆議院の予算委員会があるんだったらあるでもって、あらかじめ私のところの了解をとっておくという手続をなぜやらないんですか。今のように、直接の委員会でなければ原則としてとは何事ですか。まず、原則ということを引っ込めなさい。
#65
○説明員(倉重有幸君) 非常に申しわけございません。省内の連絡の不十分といいますか、うまくいかなくてこのような事態になったかと思いますので、今後もよく注意してやっていきたいと思います。
#66
○稲村稔夫君 こんなことでごたごたしたくありませんから、これ以上私はもう言いませんけれども、今後厳重に注意をしてもらいたいと思います。
 そこで、今の現状について御説明ください。
#67
○説明員(倉重有幸君) 今回の美浜発電所二号機の件でございますけれども、通産省としては、徹底した原因の究明が必要であるということで、私どもの原子力発電技術顧問会の中に一つ特別委員会を設けて実は調査してきたわけでございます。
 現在までに判明している状況を申し上げますと、実は三月の十一日に関西電力から損傷伝熱管の破断面観察の報告がございました。この当日の美浜発電所二号機調査特別委員会で検討したところ、現段階で判明しているところでは、破断面は疲労により形成されたとの推定がなされたわけでございます。それからさらに、関西電力から損傷した蒸気発生器についての過去の検査記録の再点検結果等の報告もございまして、当該蒸気発生器には、伝熱管の振動を抑制するための振れどめ金具、AVBと言っておりますけれども、この振れどめ金具が設計どおりの範囲まで入っておらず、本来入っているべき当該損傷伝熱管の範囲には入っていなかったと見られる旨の報告がございました。この振れどめ金具についての報告もあわせてその三月十一日の調査特別委員会で検討しましたところ、振れどめ金具が設計どおりの範囲まで入っていないため、高サイクル疲労により破断に至った蓋然性が極めて高いという判断に至ったわけでございます。
 これを受けまして、通産省としましては、振れどめ金具が設計どおりの範囲まで入っているか否かの事実を確定することが緊要であると判断いたしまして、同日、関西電力に対しまして、実地調査によりましてこの事実を至急確認するように、その結果を速やかに報告するようにということで指示をしたわけでございます。
 また、関西電力を含めまして、加圧水型実用原子炉を保有する電力会社に対しまして、ほかの加圧水型実用原子炉の蒸気発生器につきまして振れどめ金具が設計どおりの範囲まで入っているか否かを過去の検査記録の再点検等によりまして至急確認し、その結果を速やかに報告するように指示したわけでございます。
 それ以外に、実は現在まで判明している状況を申し上げますと、今回の事象で外部へ放出された放射性物質の放出量でございますが、これまでラフな推定で約〇・一キュリーと申し上げておりますけれども、約〇・六キュリーであるということでございます。
 それから、今回の事象にかんがみましていろいろコンピューター解析等をしたわけでございますが、その結果、破損した蒸気発生器伝熱管から二次系へ漏えいした一次冷却水の量は約五十五トンでございます。それから、非常用炉心冷却装置により注入された水の量は約五十トンと判明したわけでございます。
 それから、今回のトラブルの収束の過程におきまして、加圧器逃がし弁、二台あるわけでございますが、二台とも作動しなかったということで、その原因を調査したわけでございますが、この原因が判明いたしました。前回の定期検査の際に加圧器逃がし弁につきまして検査をしているわけでございますが、その後に、疲労前に運転員が過って空気逃がし弁に、これは空気で作動させますが、その供給ラインの弁を閉めてしまっていて二台の加圧器逃がし弁に供給する作動用空気が流れない、そういう状態になっていたということでございまして、関西電力に対しまして厳重な注意を行うとともに、その作業管理システムの改善などの観点から改善策を講ずるようにということで指示したわけでございます。
 要点だけ御説明いたしました。
#68
○稲村稔夫君 今幾つかの新たに明らかになった重要な問題が提起をされたわけでありますが、そこでそのことについて、まず振れどめ金具が設計どおり入っていなかったという問題は、美浜のこの二号機が稼働してから一体何年たっているんですか。定期点検というのはその間に何回やられたんですか。そのときに一度もこういうことについての検査というのはしていなかったんですか。こういう事故が起こらなければ、そうするとずっと調査をしないで済んじゃったということになるんでしょうか。
#69
○説明員(倉重有幸君) 当該美浜発電所二号機でございますが、これは一九七二年に運開しておるわけでございます。現在までに十三回の定期検査をやっておるわけでございます。当該蒸気発生器のAVBにつきましては、私どもの審査の対象それから検査の対象にはなっていないということで、定期検査の際にも国の立場からチェックはしていない、そういう状況でございます。
#70
○稲村稔夫君 何で審査の対象にしなかったのかなということもまた疑問になってまいります。ということは、アメリカのノースアンナの事故以来、細管の破断事故というのは重要な問題だということでいろいろと心配されているわけでしょう。それで、それが例えば支持板の腐食による細管の締めつけが疲労のもとになるとかいろんなことを言われるということになれば、当然、その今の振れどめ金具が入っていれば、その振れどめ金具も、一方では振れをとめるけれども一方ではやっぱり細管についての締めつけをやるわけでしょう、それがなかったら振れどめにはならないんですから。そうすれば当然、そこのところではまた新たにそこのところの心配というのは起こらないんですか。
#71
○説明員(森信昭君) 御説明いたします。
 ただいま委員の御指摘のとおり、ノースアンナの事故につきましては、私どももNRCから発行されておりますブレティンなるものを入手いたしております。その際に、今委員御指摘のように、まずデンティングがあるものについてそれを調査する、デンティングがあるものについては、細管の外側に負荷応力がかかるということによりまして通常かかる応力状態よりも高めになる。次に、ノースアンナの際には、スラッジ等を取り除きやすくするために蒸気発生器内の水の循環速度を速めていた、これによりまして蒸気発生器内の流体の流れ方が非常に不安定で振動を起こしやすい状態にあった。それからもう一点、先生御指摘のように、AVBなるものが若干ふぞろいで、それが場合によっては流れを変流させ、そして当該細管について高サイクル疲労に至らしめたのである。こういう事象を踏まえまして、NRCの方から、デンティングの有無についてまず調査し、ある場合には流動安定化対策並びにAVB等についての振動対策等をとるようにということが、アメリカ国内の電気事業者でございますか、こういったところに要請されたやに記憶しております。
 日本の場合には、こういった情報を得まして、当時まず国内のSGにつきましてデンティングが起きやすいものであるかどうかということから調査を始めました。それで、国内のプラントの場合には比較的水処理がよろしいものですから、まずいわゆるデンティングといわれるものは起こりにくい。こういうふうに判断いたしまして、その際に水の循環比等もノースアンナに比べまして低い、したがいまして流体から受けます振動は起こりにくいのではないか。こういうことで、日本では、AVBの話も出てまいりましたようですが、その際には付随的な問題ではないかということで処理したというふうに当時の担当官等から聞いております。現時点で考えてみますならば、もっとこのAVBについて慎重に検討してしかるべきではなかったかというふうに考えております。
#72
○稲村稔夫君 今のはできるだけ日本語であれしないと、私も専門家じゃないものですからわからない。デンティングなんて初めてで、よく説明を聞いてからわかったというような形ですから、申しわけないけれども、できるだけ僕ら素人にもわかるように説明してもらいたいと思います。
 ただ、常識で考えて、細管の中を一定速度で水が回るわけですよね。それで、そこでU字型に曲げてあれば、これはどんなにあれしたって振動が起こらないということはないわけでしょう。どの程度振動が起こるかどうかという、それはいろいろあるでしょうけれども、まず振動が起こらないということはない。そして、そういう無理をした部分というのに、それに存在をする振れどめ金具ということになる。振動しないなら振れどめ金具も要らぬということになるわけですよ。そうすると、どうしてもわからないんですよね。そういう無理がかかっているところに、しかもノースアンナでいろいろと話題の中に入ってきているような、そういうことを検査の対象にしてなかったということ、これがやっぱり私はどうしてもわからないんです。どうしてそういう判断をしたんですか。
#73
○説明員(森信昭君) 御説明申し上げます。
 ただいま委員御指摘のAVB、当然熱交換器等内では流体によりまして細管等が振動するために、昔から熱交換器等に対しましては、特段の振れどめ金具がないような場合にはある一定の考え方で振れどめ金具を入れるというようなことで、SGの内部にも入れてあったと承知しております。
 私どもでは実はそういう流体振動というところはこれまでそう詳しくは見ておりませんでして、専ら原子炉施設を構成いたします耐圧部分、こういったところが内部圧力等によりまして破損に至らないようにというようなことを主に技術基準等でチェックしておった。それを受けまして検査もやっていた。こういうところでございまして、今回発生しましたような事象についての流体振動的なもの、これはあくまでも蓋然性が高いということで今お話ししているわけでございますけれども、このようなものにつきましては、電気事業法等におきましては特段の審査あるいは検査というところまでは思い及んでいなかったのは事実でございます。
#74
○稲村稔夫君 何も私は微振動だけのことではないと思うんですね。そのほかに化学的要因が起こってくることだって、異種金属で接触をしていればそういうこともあり得る。まあこの場合にあったかどうかということは別にしましてもね。というようなことを考えていくといろんな要因というのが一緒に考えられるのではないだろうか。
 問題は、アメリカのノースアンナのときにも全然問題外だったというんであれば少しは理屈としてわからぬわけでもない。これを一つの教訓にしてということもあれだけれども、ここで話題に出ていたというのに何でやらなかったかというようなことが私はどうしても納得ができないところなんです。
 それで、せっかく内田委員長に御出席をいただいておりますので、こういう事故というので、今の振れどめ金具というものの検査をしてなかったということ、これは私は非常に大きな問題だというふうに思うんですが、同時にこれはやっぱりU字に曲げているということ等に、場所の関係もありましょうからそういうところにもかなり無理がかかっているということもあって、熱交換器としては真っすぐなものみたいなものが望ましいんじゃないだろうかなというようなことなども考えたりするんですけれどもね。それで、この辺のところは製造段階でまずチェックをするようなことというのは、これは安全委員会の中ではそういうことは何もないんでしょうかということと、将来そういうことが、真っすぐなパイプにしてという極めて素人的な発想ですけれども、そういうようなことなどは考えられないものなんだろうかというようなこと、ちょっと御意見をお聞かせいただければと思います。
#75
○政府委員(村上健一君) 委員長の御見解の前に事務局から事実関係だけ先に御説明申し上げますが、通産省の方から御説明がありましたように、本件はいわゆる電気事業法上の工事計画認可の中でも、振れどめ金具の問題は特段扱われておらなかったということに説明されておりますように、いわゆる安全委員会のダブルチェックの基本設計マターではないというふうに承知しておりまして、安全委員会のダブルチェックの蒸気発生器をどのようにダブルチェックするかということにつきましては、いわゆる圧力の障壁を構成する機器の一つであるということで、材質とか、伝熱管の厚さだとか、設計の圧力だとかということについて審査を行うというのが基本設計の重点事項でございまして、いわゆる振れどめ金具というものは安全委員会が審査する範疇には入っておりません。
#76
○説明員(内田秀雄君) 直接のお答えにならないかと思いますけれども、まず今回の事故についての安全委員会の印象でございますが、今回の美浜発電所の二号炉の蒸気発生器伝熱管の破損事故といいますのは、設置許可時の安全審査の際によりどころにしております安全設計に対する評価の方針としました安全評価に関する審査指針というのがございます。この中で、起こるとは思いませんけれども、仮に起こっても差し支えないというような設計基準事象を取り上げておりまして、その設計基準事象の一つとして取り上げられている事項に、この蒸気発生器伝熱管損傷の今回の事故は包絡されているものと考えております。ここで言います事故といいますのは、発生する頻度はまれと考えられますけれども、発生した場合には原子炉施設からの放射性物質の放出の可能性があるという見地に立ちまして、原子炉施設の安全性を評価する際に想定しているものでございます。
 原子力安全委員会としては、今回の事故は、結果としますと環境に影響を与えるものではなかったと考えられますけれども、蒸気発生器細管の損傷が円周方向の破断に結びつきまして、その経過として非常用炉心冷却装置が実際に作動するに至ったという事故でございまして、重大であるものと認識しております。
 現在、時期に触れて通商産業省から調査状況について何回も報告を受けておりますが、また既に、安全委員会の下部組織であります原子炉安全専門審査会において調査、審議を行っておるところでありまして、これらの結果を踏まえまして、委員会として同種事故の再発防止対策等について十分審議することをしたいと思っております。
 それで、今、SG、蒸気発生器についての安全審査の何をチェックするかということは、今局長が言われたとおりでございまして、冷却材圧力バウンダリの構成の部分ということと、原子炉の安全確保の対策から、例えば冷却材喪失事故とか蒸気発生器細管破断の事故というときにどういうような役割を果たすかという見地からのダブルチェックをしているところでございます。
#77
○稲村稔夫君 いろいろとありがとうございましたが、ただ私は、蒸気発生器の今の構造そのものに無理がかかるところがある、できるだけ無理がかからないような設計というのが望ましいんではないか、そういうふうに考えるものですから、それで今度の破断事故、ノースアンナで起こって、今度美浜で起きた、二度あることは三度あるなんて日本のことわざにありますけれども、それだけに、あっては困ることです。というふうに考えていくと、こういう設計に無理があるんじゃないだろうか。例えば場所はもっととっても仕方がないから、そういう無理がない設計というようなものが将来考えられないものなんだろうかどうだろうかというようなことなどが、やはりこれからの問題として、起こってはいけないことですから、意識としてあるものですから伺ったわけですが、その辺はいかがでしょうか。
#78
○説明員(内田秀雄君) 原子力安全委員会は、申請を受けました施設に対しての設計に関する事項をチェックすることでありまして、こういう設計、他の設計がよいとか悪いとかいうことを言う立場にはございませんので、御了承いただきたいと思います。
#79
○稲村稔夫君 学者としての内田さんと原子力安全委員会の長としての内田委員長とで、やはりその辺いろいろとあるんだと思いますから、そういう御答弁。私はもっと個人的な見解も伺いたいと思いますが、それはまあいいでしょう、やめておきましょう。
 ただ、もう一つ内田委員長のいる間に伺っておきたいと思っておりますのは、ECCSの作動の問題なんですが、これは私ども、関西電力からいろいろなチャートの類をいただいたりいたしまして、私どもなりにいろいろと検討をして、いろいろな人の意見なども伺っているわけですが、その中で、例えば加圧器の水位を示すチャートがありまして、そのチャートでいくと、事故が起こって間もなく、これは四十三分間ほどチャートにはもう記録できないという状況が続いている。四十三分間、水位がどんなになっているかというのがわからないわけですね。そういう状況の中で、先ほど約五十トンばかり中へ注入されたという話がありましたが、この注入量のチャートを見ますと、そうすると大体一時間に、この時間の範囲内でいきますと、このチャートを見ていきますと、ポンプの能力は一時間で何トンという形で計算されているようですけれども、五十トンのその五十の数字のところに行っているのは、ほんのちょっとの時間入って後はゼロになっている、またちょっと時間がたってからちょっと入って、またすぐゼロになっているというような形なんですね。そうすると、これはこの水位がどうなっているかわからないという時期に、少なくとも記録によっては水が五十トンも入ったとは思われないという感じなんですけれども、その辺はどんなふうに調べておられますか。
#80
○説明員(森信昭君) 御説明いたします。
 委員御指摘の加圧器水位、確かにある時間帯振り切れております。この辺につきましては、果たして炉心に水がちゃんとあったかどうかということにつきましては、既に公表済みのチャートではございますが、当該炉心におきます温度、それから圧力との関係で飽和温度がどうであったか。飽和温度以下であれば水がある、こういうふうに判断しているわけでございますが、この両方のチャートを見比べてみる限り炉心は飽和温度以下にあり、すなわち水がちゃんとあったというふうに推定されると考えております。
 それから、ECCSによりまして五十トン注入、ポンプの流量計によりますと少なそうではないか、こういう御指摘でございますが、ここの高圧注入系ポンプ、百キロ前後の圧力でございますと、大体容量が二十トン・パー・アワーぐらいではないかと思います。
 これは、ポンプの圧力流量特性曲線というのがございまして、圧力が高くなれば注入する量が低くなり、吐き出す相手の圧力が低くなればそれだけたくさん注入できる、こういう特性を持っております。通常、定格流量といっております場合に七十キロとかその辺で百何十トンという数字が出ているかと思いますが、本件の場合は、炉心の圧力がチャート等によって見ますと大体百キロ前後でずっと移動しております。したがいまして、ポンプの特性曲線から見ますと、大体二十数トン・パー・アワーぐらいのレートで入っていてもおかしくはない。あのチャートを積算してまいりますと、若干誤差はございますけれども、大体五十トン程度ということで間違いないのではないかと現在のところは思っておりますが、なお、この証左の程度につきましては評価を現在継続中でございます。
#81
○稲村稔夫君 二つの疑問ですね。
 一つは、その今のチャートでと言うけれども、五十に到達している場所というのは二カ所程度しかなくて、それもほんの瞬時であって、あとはゼロの時間が長いという形になっておるわけでしょう。それでどうして五十トン入ったというふうに計算できるのか、その辺のところが一つの疑問であります。
 それからもう一つは、あくまでも推定に基づいて炉の中の状況というのを言っておられるんですが、その百気圧前後のところよりも中の炉心の気圧が高かったらECCSの高圧注入ポンプが入らないということというのは、これはそれでいいんだろうか、私どもはちょっとその辺がよくわからないんですがね。
#82
○説明員(森信昭君) 二点ございましたので、まず最初、チャートからはそんなに読み取れないのではないかと。実は、このチャートのみならず、別途コンピューターの中にこういう数字が入っております、そのときの流量がどの程度あるのかと。こういった数字とあわせまして、この時間軸に沿いまして積分といいますか、入った流量を足し上げていきますとほぼ五十トンになるということは間違いないようでございます。プラス今回の事象をコンピューターによりまして、これは通常、安全審査上も過渡解析という、いろんな事象が変化をするようなときに使っているコードでございますが、これによりましてシミュレーションをやりまして、このECCSで何トン入るかというのを見ましても大体五十トンということで間違いないと考えております。
 それから炉心のところでございますが、圧力に関する限りは炉心から太いパイプで蒸気発生器の方につながっておりまして、圧力がそんなにパイプ内と炉心で変わっているとは考えられませんけれども、この辺の解析につきましてはコンピューターで解析せざるを得ない状態でございますので、これはあくまでも推定でございますけれども、飽和温度以下にあったということで冠水状態にあったのではないかと今考えております。
 なお、ほかにも炉心に熱電対によります温度計が相当数入っておりますけれども、これも聞きますと、若干このSI信号といいますか、安全注入が始まった直後はコンピューターの能力によりまして部分的にデータが欠落しているというような事情はございますけれども、前後の関係から見ますと、まず炉心はちゃんと水につかっていたということは間違いないんではなかろうかと考えておりますけれども、いずれにしても、まだ評価を継続中でございますので、きょうのところはこういうことでございます。
#83
○稲村稔夫君 内田委員長がおいでになる間にこれも見解をお聞きしたいと思うんですけれども、これも本当に素人の判断で恐縮なんですけれども、要するにECCSというのが働くのは緊急に炉心を冷却する、炉の中の温度が高くなってくれば圧力も上がっていくんじゃないかというふうにも思うんですけれどもね。それで、安全のためにECCSが働くときに中の圧力が百気圧程度でも高圧注入ポンプの水が中へ入らないというような状況というのは、どうも私ども素人にはちょっと心配で仕方がないんですが、これは設計上というのは、今回のように、これ実際に僕はそんなに大して入ってないんじゃないかと思いますけれども、この程度の能力でいいというふうになるんでしょうか。
#84
○説明員(鈴木治夫君) 事実関係を先に私が御説明して、また委員長がお答えいたします。
 ただいまのECCSの能力が十分なのかどうかという御質問でございますが、そういったECCSの高圧注入ポンプの能力を含めて、原子炉の持っております安全設備が必要十分なものであるかということを、いわゆる基本設計の安全審査の段階で審査をしております。
 それで、先ほど委員長からの御説明にもありましたが、さまざまな事故を想定いたしまして、この加圧水型の原子炉でございますと十数種類の事故を想定いたします。この蒸気発生器伝熱管破損事故もその一つでございますし、冷却材喪失事故といったもっと大きな配管が切れる事故もそうでございますが、その他を含めて十数種類の事故を想定いたしまして、そういう事故が起きたときに、このECCSの能力が十分であるのかどうか、あるいはほかの格納容器の性能が十分であるのかどうか、さまざまなことを調べてまいります。その結果、仮にそういう事故が起きたとしても原子炉が安全に制御されているかどうかというのをまず見ます。それから、周辺環境に対してどれだけの放射性物質が出ていて、それが周辺住民に著しい影響を与えるか与えないかということを安全審査において見ております。
 したがいまして、先生御質問の高圧注入ポンプにつきましても、そういった基本設計の安全審査の段階で評価をされておりまして、十分必要な性能を持っているというふうに判断されております。まず、事実関係はそういうことでございます。
#85
○説明員(内田秀雄君) 高圧注入系の役割でございますけれども、通称言います大口径配管破断のような冷却材圧力バウンダリの配管が破断して水が実際になくなるようなときには安全注入系は水を入れるという役割を持っているわけでありまして、これが一番の期待している役割でございます。
 蒸気発生器の細管破断のような事故でありますと、これは冷却材圧力バウンダリからの漏えいというのは破断した配管から蒸気発生器、SGの二次系に行くと、そこに隔離するわけでございますけれども、そこに行くだけの水の補給ということでありまして、蒸気発生器細管破断の場合には水の注入よりむしろ早く冷却することが大事でございまして、安全注入系は、ですから冷却というよりむしろ注入でございまして、冷却の方法には、今回の事故の経過を見てもおわかりのように、いろいろな方法でもって達成することができるわけでございます。
 また、通産省から話がありましたように、今回の事故をフォローしまして解析コードでもって解析いたしまして、そして見れば、安全注入系の作動とその漏えい量が適当であったか否かということがわかっておりまして、それは今検討を進めているところでございます。
#86
○稲村稔夫君 冷やすことが大事なんだというお話は、それはそれなりにわかるわけであります。私が素人なりに気にしておりますことは、例えば大口径破断というのは、もちろんこれは大変なことですけれども、今度の場合にしてみても、振れどめ金具が行ってなかったというような場所の細管が幾つもあったりして、そして場合によっては順次幾つかが切れるということだって起こり得るわけですね。それで、大口径破断ほどの急速なものはなかったけれども、結構水が二次系の方に出るというようなことが起こり得る。そういう中で、いろんなことが考えられるんだと思いますけれども、冷やすために大事な冷却材としての水がECCSから、中の圧力が百気圧程度のところ以上に高ければもう入らないというのでいいんだろうか。やっぱりこれは不安なんです。
 その辺、私どもにも少しわかるように御説明いただければ大変ありがたいと思うんです。これは専門的な立場から教えていただければありがたいと思います。――委員長からちょっと専門的な立場で。それで委員長にはもう時間ですから、あとは席を外していただきます。
#87
○説明員(内田秀雄君) 現在の安全注入系の容量と性能曲線をもとにして、設置許可のときにも十分安全評価をしておりまして、安全注入系の容量は十分であるというように判断してございます。
 今回の事故にまつわる問題につきましては、先ほど申し上げましたように、これからの調査をもちまして、もう少し余裕が必要であるか否かの話が出るかと思いますが、これは今後の問題にしたいと思っております。
#88
○稲村稔夫君 ありがとうございました。それでは、内田委員長はお忙しいようですから、時間の関係もありますので、これで結構でございます。
 それで、通産省の方に続けてお伺いをしてまいります。
 私は、今までの議論の中でやっぱり残るものは、ECCSの高圧注入ポンプということに限定をするわけじゃありませんけれども、こういう緊急な装置というものは、もっと危険度が少ない段階できちんと作動をするような、内田委員長のお話であれば余裕を持ってという形になるんでしょうか、そういうことが必要だというふうに思っておりますから、必ずしも今の御答弁で私も納得したわけではありません。これからの課題ということでありますから、出た結論をまた拝見しながらその課題を伺う機会があればというふうに思います。
 そこで、さらに続けてのことは、細管の材質、それから製法、それから支持板の材質、これはどんなふうになっておりますか。
#89
○説明員(森信昭君) 御説明申し上げます。
 現在、美浜二号機に使用されております蒸気発生器の伝熱管の材料は、いわゆるニッケルクロム鉄合金、いわゆるインコネルと呼ばれているものでございまして、これは通常MA600と言われている材料でございます。この材料は、過去米国で使用されておりました細菅材料のステンレス鋼にかえまして、耐応力腐食割れ性能がいいということで使用され始めたものでございます。
 なお、最近のプラントにおきましては、耐応力腐食割れ性能をさらに向上させるために、特殊熱処理を加えました同じインコネルでTT600という材料を使用しております。このような材料につきましては、これはウエスチングハウスタイプでございますが、世界じゅうのPWRで使われている伝熱管の材料でございます。
 それからこの製法でございますが、この伝熱管はシームレス管、継ぎ目がない管と同様の熱間押し出し、熱い状態で押し出して継ぎ目のないような状態で管をつくる。それからさらに冷間圧延あるいは冷間抽出、熱処理等の工程を経て製作されております。
 それから支持板の材料でございますが、美浜二号機におきましては炭素鋼が使用されております。
   〔委員長退席、理事永野茂門君着席〕
ただ、この炭素鋼の材料使用の件につきましては、海外で二次冷却水の水質管理が十分でないような場合、腐食等が起きておりますので、これをステンレス鋼にかえるというような改善措置が順次とられつつあるのは事実でございます。
#90
○稲村稔夫君 そうすると、まず第一は、細管の材質は美浜の場合はインコネル、それからその他のものはさらにそれを強化したものということでありますけれども、これはシームレスで製造されるというと、どうしてもそこは厚みだとかなんとかというものにはむらが出がちなわけであります。その辺のところは例えば冷間鍛造を仮にやったといたしましても、この長い細管を一挙にしてやるということは今の技術力では私は困難だと思うんですよ。そういう中で、まず第一は、厚みにはそうすると多少のむらがあるというふうに理解をしていいのかなというふうにも思うんです。
   〔理事永野茂門君退席、委員長着席〕
 そしてさらに、支持板については美浜の場合は鋼板を使っている、その他の場合はステンレスにかえているということなんでしょうか。これを私は伺いますのは、そういうことがあるならばなぜ美浜の支持板もステンレスにかえるということをやっておかなかったんでしょうかということが疑問になるんです。
#91
○説明員(森信昭君) 支持板の材質の件でございますが、確かに外国では、炭素鋼を使うことによりまして水処理状態がよくなければ腐食が発生しやすい、こういうことでステンレス鋼にかえております。
 なお、水処理がよい場合には炭素鋼でもさほど支障はないというふうに聞いておりまして、必ずしも全部炭素鋼をステンレス鋼にかえなければならないということではないと理解しております。
 なお、国内のSGにおきまして、過去に細管の表面におきまして応力腐食割れ等が発見されておりますが、これは当初水処理の状態が悪くて、これがその後もなお悪さをしているんではないかというふうに考えられておりまして、その都度プラグ施栓とかあるいはスリーブ補修をやっているわけでございまして、必ずしも支持板との関係で炭素鋼をステンレス鋼にかえなければならないというようなほどの状態にはまだ至っておりません。
#92
○稲村稔夫君 その水処理をやるのには人間は全然関係しないんですか。
#93
○説明員(森信昭君) 御質問の趣旨がヒューマンエラーがあり得るのではないかという趣旨だとすれば、確かに美浜等当初のプラントにおきまして水処理が悪かったという点では、その辺の問題については人間が関与しているのではないかとも思われます。
#94
○稲村稔夫君 そうでしょう。人間が管理をしているときに間違いがあり得るんですよ。というときに、その安全を見込んでほかのところはステンレスにかえていた。美浜の場合はステンレスにかえる必要がないと。必要がないという判断がどうしてできるんですか。
#95
○説明員(森信昭君) ちょっと言い過ぎましたら申しわけございません。
 現時点で必要がないということではなくて、もちろん今回の事象も踏まえまして、いろんな原因がわかってまいりますれば、それによって得られます教訓事項があれば反映さしていきたいと思っておりますが、これまでのデータでそういう考えに至っておるということでございます。
 今後はまたいろいろ検討を加えまして、必要があれば講じてまいりたいと考えております。
#96
○稲村稔夫君 聞いたことによってその都度またちょっと言い直しみたいな形になっていって、私はその辺がちょっと不満なんですが、問題は、これからそういう事故が起こってはいけないんですよ。そうすると、これをかえていなかったということにも今後の問題としては問題があるという意識を持ってもらわなかったら、差し支えなかったんだ、これが関係なかったんだという判断だったら何の教訓になるんですか。そのところは非常に大事だと思うから、これからの問題を考えるから私は聞いているんですよ。
#97
○説明員(森信昭君) 御指摘の点も踏まえまして、私ども今後検討してまいりたいと考えております。
#98
○稲村稔夫君 予兆について今度は伺ってみたいと思います。時間の関係がありますから、ここは一つ一つやっていると本当に時間がかかるので、不満なところはありますけれども、次へ進ましていただきます。
 その予兆について、通産省は何かこの間の指導の中で、放射能漏れをというか、放射能の検査をする基準を明らかにしたようでありまして、それに対して関西電力の方がいろいろと抵抗したりなんかというのが若干あったように新聞記事などでも見受けられるわけでありますが、この予兆というものを本当にこうしたその破断事故のようなときに見ることができるんだろうか。その辺のところをどう考えておられるか。
#99
○説明員(倉重有幸君) 今回の美浜の二号機のトラブルに関しまして、予兆がほかのプラントでもわかるかどうかという御指摘かと思いますが、今回このトラブルが起きまして、各電力会社に指示したわけでございますけれども、その点ちょっと御説明さしていただきますと、今回のトラブル、実は十二時四十分ごろに蒸気発生器、二次側の水の放射性物質の濃度、これが若干上昇している、通常三五CPMのところが数CPM上がっている、約二割程度上がっているということが認識されたわけでございます。
 その時点では、ほかのプラントの主要パラメーターには異常がなかったということで、運転マニュアルに従いましてそのリークの確定に努めていたわけでございまして、その間に原子炉が緊急停止、ECCS作動という状態になったわけでございますが、この十二時四十分時点で二次側の放射能濃度が約二割程度上がっているということもございまして、これは何も瞬間的な値を私ども通産省は言っているわけではなく、全体的な傾向としてその放射能の濃度が二割程度上昇しているかどうかということでございますが、今回も当該事象が起きたときに二割程度上昇ということは運転員も認識し、その後サンプリング調査等をやっていたわけでございますので、細心に注意をすればその程度の変化というのは十分わかり得るというふうに通産省では考えております。
#100
○稲村稔夫君 技術的にどういうことになるんだろうというふうにも思うんですけれども、例えば二〇%程度放射能濃度が上がったらということでありますが、それはサンプリングをして、分析をしてということをしていれば、それだけで随分時間がかかるわけですよね。二〇%動いたら、その瞬間瞬間でということだったら、原子炉はげっつばったげっつばったということだって起こり得るわけでしょう。そこはどんなふうになるんですか。
#101
○説明員(倉重有幸君) 通産省が各電力会社に指示した内容でございますけれども、二次冷却水の放射能濃度が有意な変化があった場合には至急原子炉を停止する操作をするようにという指示でございますけれども、その有意な変化といいますのは、その瞬間値をあらわすのではなく、全体的な放射能濃度の傾向が二割程度上昇、あえて定量的な目安を言えばそういうことでございまして、今回の美浜の二号機のトラブルに関しましては、十二時四十分の時点がその時点の判断ということになろうかと思います。そういう意味で、今回と同じような事象がほかのプラントでも起これば、十二時四十分時点での判断で停止操作に入っていただくという指示をしたわけでございまして、これはプラントのチャートを子細によく注意深く見ていけば十分判断できるというように考えております。
#102
○稲村稔夫君 理屈としてはそういう理屈が成り立つんでしょうが、実際のことを想像してみるんですよね。そうすると、今のチャートを子細に検討したり、そしてサンプリングをしてそれで分析しようなんというようなそんなあれで、こういう事故が起こるというときは、例えば予兆としてこれでとらえられる場合もあるかもしれないけれども、そんなことでうかうかしている間に実際は事故が起こってしまっているというようなことというのが多くあるんではないだろうかというふうに私は思うんです。そういう意味でLBBの法則などというふうに言われておりますけれども、そういう法則性というものを何か今回の事故というのは見直しをしなきゃならぬということを提起しているように私は思われてなりません。この点は時間の関係もありますから、水かけ論になる可能性がありますので、私はあえて問題としてそういうふうに提起をしておきたいというふうに思います。
 次にまだ聞きたいことがあるものですから、次へ進ましていただきます。
 関西電力から私どもがいただいた最初の資料の中で、二月の十日に福井県に関電が報告をされたものがありました。これを見てまいりますと、二月の九日の十三時五十五分にB、つまり健全な方の蒸気発生器、壊れてない方の発生器の主蒸気逃がし弁を開放した。そして十三時五十六分にA、つまり壊れた方の蒸気発生器の主蒸気を隔離いたしました。こういうことになっております。ところが三月一日、この矛盾は私ども大いにあるということで、ということは、壊れた蒸気発生器からどんどんと水が漏れている、そういうときに健全な方の蒸気のバルブを先にあけてしまって、壊れた方を閉めるのを後にしたということは、これは非常に大きな問題でございますね、環境に放射能が出るという可能性を多分に持っているんですから。これは順序がおかしいんではないかというふうに思いまして、そして、それはマニュアルを見ても、マニュアルの中では、「破損蒸気発生器が判定され隔離された後、健全側主蒸気逃がし弁を使用して、健全ループの高温側冷却材温度を」云々と、こういうふうになっております。
 そうすると、マニュアルはまさしくAをまず隔離しなさい、壊れた方を先に隔離しなさい、そしてそれから健全な方をあけなさいと、こういうことになっているんですが、最初に報告されたのはそうなってない。この点の指摘を衆議院の予算委員会でいたしましたところが、何か三月一日には、今度は違って、十三時五十五分から壊れた方の、Aの方のあれを隔離しようと思って閉めたと、閉めたが十分に閉まらないで十四時二分までですか、結局十四時二分に手で閉めてやっと閉まった、それからBを、健全な方の蒸気逃がし弁を開放したと、こういうふうな報告になっているけれども、これはどっちが本当なんですか。
#103
○説明員(森信昭君) 御説明いたします。
 委員御指摘のように、当初関西電力は二月十日に発表しまして、その中の事象の時間的な変化と申しますのは、十三時五十五分に健全側の主蒸気逃がし弁の開操作、その後破損側蒸気発生器の主蒸気隔離が十三時五十六分に行われた、こう言っておりましたが、確かに三月一日に関西電力が当省に対しまして報告してきた内容は委員御指摘のとおりでございます。この違いにつきまして私ども調べましたところ、当初なるべく早く報告したいということで、運転員の記憶あるいは黒板等に書いてあったメモ、こういったところを取り急ぎまとめて報告したということで、それの取りまとめに当たった者の誤記憶あるいは記述間違い、そういったものが含まれていたようでございます。
 その後、この三月一日に出されたものにつきましては、実際どの弁をいつ開いたかというのは実はコンピューター上にもちゃんと記録が残っております。それからチャート上もどちらがどう動いたかというのも大体わかっておりますので、そういったファクトと比較照らし合わせまして今回の報告になっているものでございまして、私どもとしましてはこの三月一日の報告内容の方が正しいというふうに考えております。
#104
○稲村稔夫君 私は大変重要なことだと思うんですよ。何時何分何秒とかというんだったら、それは記憶にはいろいろの違いだとかそういうことというのは起こり得るわけで、しかし順番でどういうふうにしたかということというのは、これは私はそう簡単に、はいそうですかというふうに伺うわけにいかない。説明は納得できませんよ。
 というのは、そういう訓練はしているわけでしょう。していないとしたら、これは安全訓練の教育というのはどうしているんだということにもなるんですけれどもね。訓練しているとすれば、その順序というのを間違えるはずはないだろうと思う。あるいは、やったことの順序の記憶というのがそんなに違う……。七分間あるんですから、このあれの関係でいったら。今の順序はBを開いてAを開いたという順序ですけれども、さらに今度は、後ではAが閉まらないでいたというのが七分間ですよ。この七分間にも、そうすると閉まっていなきゃまたそこから逃げていく可能性もあるわけですね。ということを考えると、このA蒸気発生器の弁を開いた時期というのは極めて重要だと思うので、その辺は徹底的に追及をしなきゃいけないことなんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
#105
○説明員(森信昭君) 御説明いたします。
 確かに、委員御指摘のように、この辺の順番というのは安全の確保上あるいは周辺に対する影響の与え方を評価する上でも非常に重要だと考えております。単なる不注意では済まされないと思っておりまして、今後とも、こういったことが正確かつ迅速に行われるにはどうしたらいいかということも反省事項としまして、私どもその改善について検討してまいりたいと考えております。
#106
○稲村稔夫君 いずれにしても、どっちが正しいかということで、片方が虚偽の申告をしたことになるんですよ。それは思い違いだとかなんとかという姿勢では済まされないんですよ、こういう重大事故のときに。ですから、そこのところは通産省もいろいろな先入観などというものは一切捨てて徹底的に本当に追及していただかなければ、これは今後に禍根を残すということになると思いますので、私はそのことも強く指摘しておきたいと思います。
 そこで、さらに見学者に対する対応について、私はこれも不思議に思って、私どもが調査に行ったときもいろいろと聞きましたが、見学者には何にも対応はしていないわけです。いずれにしても、ECCSが作動するというような重大な事故が起こったわけですね。そして、今のように例えばどの程度の放射能が外へ漏れたかということはまだその瞬間にはわからぬわけでしょう。その瞬間にはわからないのに見学者にはのほほんと八十人も見学させておいて、こういうことでいいんだろうか。この辺のところは大きな疑問になったんですが、まず監督官庁の通産省としては、この辺の対応、これでよかったとお思いになっていますか。
#107
○説明員(立石幾久治君) 御説明申し上げます。
 今先生の御指摘になりましたその事象の当時の見学者に対する関西電力の対応というものでございますけれども、関西電力といたしましては、放射線の影響がモニターによりまして外に認められない、あるいはECCSが設計どおりに作動してプラントが安全な状態に移行しているということから、見学者に対して特別な措置をとらなかったというふうに聞いております。
 しかしながら、今委員御指摘のとおり、このECCSが実際に作動するというふうなことに至りましたことは我が国においてこれまで例がなかったことでございますので、見学者に対しましてこの事象の発生について何ら伝えるとかあるいはしかるべく誘導するとかいうことをしなかったということは、国民の原子力発電に対します信頼を得るという観点からも配慮に欠け、対応としては不十分な点があったと言わざるを得ないというふうに考えてございます。
#108
○稲村稔夫君 国民に対する理解をどうとか云々なんというような問題じゃないんですよ。そうでしょう。ECCSが作動するということは重大事故です、いずれにしても。そして、何が起こっているかというのをとっさにすべてを判断できるわけじゃないでしょう。今のこの事故の内容についてだって、こんなに時間がかかってまだ新しいいろいろなことがわかってくる、そういう状況でしょう。ですから、起こったときには、見学者があれば、見学者ばかりじゃないですね、そこで働いている人たちの問題もありますよね、その人間に対する放射能に対する対応というものを起きたそのときにすぐ、たまたま何でもなかったからよかったということで済まされないで、これから先の問題として本当に重大なことを今度は警告しているんじゃないかと思うんですけれども、その辺のとらえ方はどうなんですか。
#109
○説明員(立石幾久治君) 今申し上げましたとおり考えておりまして、ただ、これは調査しておりますので、その全体としての評価、これが今後定まってくるかと思いますけれども、それにしましても、現時点におきましては先ほど申し上げたとおり認識しております。
 ただ、その時点においてもなお対応として不十分であったことは間違いのないところでございますので、通産省としましては去る二月十九日に関西電力を初め、またその際加圧水型炉を持っております電力会社を呼びまして種々の指示等も行いましたけれども、その一環といたしまして、異常事象発生時においては、見学者に対して迅速かつ適切な措置をとるようにという指示をいたしたところでございます。
 それに対しまして三月一日、電力各社からは、各発電所において見学者への対応に関して当面とるべき措置というものを決めて実施しているという報告を受けてございます。ただ、まだ実際見学者への細かい対応につきましては、サイト、サイトの状況が多少違っている点もございますので、細かい詰めをさらにするということもあわせて報告を受けておりまして、通産省としましては、さらにこの電力業者の検討のぐあいを見ながら適切な指導をしてまいりたいと考えております。
#110
○稲村稔夫君 通産省のやり方はわかりました。
 ただ、さらに私は加えて言えば、何でもなかったときはそれで済むでしょうけれども、何かあったとき、それこそ被曝をしていたというようなことがあってはならない。そうすると、見学者についてもちゃんと追跡調査もできる、そういう体制もあわせてとられていなければいけないのではないか。追跡調査をする必要があるかないかというのはそこからまたさらに問題がありますけれども、追跡調査くらいやれるということの体制を整えなきゃいけないんじゃないか。今回は追跡調査どころか、もうみんなぱあっと帰ってしまったらあとはもうわかりませんというような形になっていますね。こんなことでいいのかということがあります。
 通産省としての対応は今のようなことで伺いましたが、これはやはり放射能の被曝をする危険性ということで、やはり原子力を扱うところ全体についてこういう問題というのは考えなければならない課題ではないだろうかというふうにも思うものですから。そこで、科学技術庁ではどこが担当になるんでしょうか、科学技術庁の方でお答えをいただきたい。
#111
○政府委員(村上健一君) お答え申し上げます。
 原子力防災を担当しております安全局から御説明申し上げますが、まず、先生御指摘のとおり、私も実は新聞報道で知ったわけでございますが、結果的に放射能が入ってないいわゆるBのSGの方の逃がし弁の蒸気が空に吹いている写真が新聞に掲載されまして、それで見学者には特段何もなかったという記事もあわせて書かれております報道を見まして、私も若干びっくりしたのは事実でございます。
 ただ、その後すぐに県及び関西電力に問い合わせを行いました結果、どうしてそうなったかという一義的な判断は、本件が災害対策基本法の原子力防災の発動に至らないということを当事者もそれから県も即座に判断をしたために、いわゆる原子力防災で発動すべきマニュアルに従った措置を講じなかったということは、これはどうも事実のようでございます。
 したがいまして、私どもが早速注意を喚起しておりますことは、そうではないけれども、今回環境に影響を与えなかったわけでございますけれども、環境に放射能を出したような事故等の場合はどういうふうにこの問題を取り扱うべきかどうかということについて、今後これを教訓にして十分詰めていく必要があるんじゃないか。
 それで、実態は、この発電所の運転を担当される責任者と見学者の誘導を担当される責任者は恐らく違う人ではなかったのではなかろうかというのが私どもが現在推察しているところでございまして、今後、いわゆる事故発動に至らない事項のときのこのような問題をどうするかというのは大きな教訓であるというふうに認識しております。
 いずれにいたしましても、こういう事態が発生しているときは、第三者に対しては特にやっぱり慎重な対応をとることが重要と考えておりまして、結果的に現実的な被害はなかったわけでございますけれども、見学者等に対して迅速かつ的確な対応がとられることが基本であろう、こういうふうに考えております。
#112
○稲村稔夫君 ぜひ早急にこれは具体的にしていただきたいというふうに思います。
 そして、さらに私は、環境に出た放射能の評価等について、これもまたいろいろと疑問がいっぱいあるんです。これだけやっておると三時間も四時間もかかりそうな感じがいたします。私に与えられた時間というのはもう間もなく来てしまいます。そのことはきょうは省略をさせていただきたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、原子力防災事項ということになるかならないかという判断や、あるいは環境に放射能が出たか出ていないかという判断というのは、とっさの場合というのにそう簡単にすぐするということにも私は問題があろうかとも思います。特に今回の場合でも、全く大気内に放射能が漏れていないという事実が証明されるなら別ですけれども、出ているんですから。出ている量についても随分議論があるんですよ、率直なことを言って。さっきの蒸気逃がし弁の開閉に伴って、これはそれの事実関係いかんによって随分違ってくるんですよ。そして、たまたまモニターのところでそう大したものは検出されないといっても、そのときの天候状況だとかなんとかといういろいろなことで影響を受けることもありますから、ひょっとすると特定な場所にいた特定な人が被曝をするということだってあり得るわけです。
 そういうことなどを考えていきますと、やっぱり私は今度の対応というのは本当に遺憾だったと言わざるを得ません。今後こういうことが起こらないようにという万全を期しての体制を早急につくり上げていただきたい、このように思うわけであります。
 まだあと残っている質問のことがありますので、ここでちょっと恐縮でありますけれども、今の通産省とのやりとりを聞いていただいて、私はいろいろと問題点がいっぱいあったんだと思います。その問題点などを踏まえながら、今後の原子力行政の中で今回のことを教訓にしてどのように生かしておいきになろうとしているのか、その辺のところをこの問題の最後に長官の御見解を伺っておきたいと思います。
#113
○国務大臣(山東昭子君) とにかく私どもの暮らしとエネルギーという問題について、やはり原子力発電というものは多くの方々が必要性ということは認めている中で、このような我が国で初めての非常用炉心冷却装置が作動する事故が起きたということは大変残念なことでございます。
 現在いろいろな角度から原因の徹底究明を図っているところのようでございますけれども、とにかく多くの方々に不安感を与えたということ、これはもうあってはならないことでございますので、こうした結果を踏まえまして、先生御指摘がございましたように、本当に環境に与える影響がなかったということが不幸中の幸いであったと思いますけれども、やはり多くの人たちにこれからも信頼されるような原子力発電、あるいはそうしたエネルギーの開発利用ということに結びついていかなければならないだろうと思っております。そういう意味で、ぜひ今後とも、いろんな角度からこの事故の原因というものを究明した上で、万全の安全対策というものを講じていく所存でございます。
 また、多くの人たちに今後もやはり原子力の必要性ということを訴えながら、理解と協力を得ながら、こうした原子力の開発利用ということを推進してまいる所存でございます。
#114
○稲村稔夫君 長官のお言葉を聞いた後でまことに申しわけないんですが、長官にというよりも、今長官も二度とこういうことが起こらないようにということをしっかりと踏まえながらということが基本になっておられる御答弁だったというふうに伺いました。通産省にこれは注文になりますが、いずれにしても、この問題はいろいろな問題点をいっぱい持っているというふうに、今のあなた方とのやりとりの中でも出てきていると思うんです。それですから、まさに他の同型の原発についても、少なくとも同型の原発については、ここの教訓を踏まえながら、今わかったものだけでも緊急を要するものというのが結構あると思うんです。緊急を要するもの、例えばあなた方から振れどめ金具のものはすぐに調査しなさいというふうに指示をしたというふうなお話もありましたけれども、新聞記事等でも見ておりますけれども、そのほかにも私はそれぞれ調査をしなければならない課題というのが提起をされているというふうに思います。
 それらのことは、それこそ早急にすべての原発について、少なくとも同型の原発について調査をするということをされて問題点を解決するというようにしていただかなければならないと思いますので、その辺はきつく注文ということでさせていただいて、時間の関係がありましてもう五分しか残っておりませんので、残されたほんのわずかの時間、ほかの課題について伺いたいというふうに思います。
 二つを用意しておりましたが、まことに申しわけありません、時間がなくなりましたから、先ほどSTOLについて御質問がほかの委員からございました、これももう少し伺いたいと思ったことがあったんですけれども、それは省略させていただいて、それで深海調査についてのことだけ伺いたいと思います。
 これから先、「しんかい六五〇〇」、あるいはかつて建造しておりました、もう活動している「しんかい二〇〇〇」等を使って計画はこれからどういうふうに進められていくでありましょうかということであります。特に、私は日本海に面したところにおりますので、日本海の調査というのはこれから非常に重要な意味を持つんじゃないだろうか、こんなふうにも思うものですから、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
#115
○政府委員(井田勝久君) 「しんかい六五〇〇」でございますが、これは深海域における調査が可能な有人潜水調査船として世界の海洋全体の九八%がカバーできるということで、世界第一級の潜航性能を有する潜水調査船でございます。平成三年度で予定されておりますのは、日本海の北海道沖、三陸沖の日本海溝、遠州灘、南太平洋、フィジー沖等におきまして、地形地質調査、深海生物調査等を実施する予定でございます。
 日本海ということでございますが、これまで日本海は「しんかい二〇〇〇」を使いまして七十六回の潜航を実施いたしまして、この一年間にもう大変大きな成果をおさめているところでございます。日本海は、日本列島の背後に発達した海洋でございまして、日本列島の形成過程を解明していく上で重要な調査地点であるとともに、日本海中部地震に見られるようなプレート境界域として活発な活動をしておりまして、その地質調査は大変重要だと思っているわけでございます。そういうわけで、これまで「しんかい二〇〇〇」を使いまして日本海においても七十六回の潜航を実施いたしまして、この一年間でも北海道沖、山陰沖で潜航を実施しており、これらの潜航によりまして北海道の奥尻海嶺における断層運動における露頭の確認、あるいは従来知られていなかったズワイガニの生態の観察、こんなものを行っておりまして、水産資源、地形地質、学術などの調査においても大変大きな成果をおさめてきているわけでございます。
 それで、今度は「しんかい六五〇〇」でございますが、平成三年度から本格的な潜航調査を開始して、当面平成三年度の調査計画は先ほど申し上げたとおりでございますが、日本海の相当部分は二千メートルを超える、従来二千メートルはできなかったところもあるわけでございまして、そういう意味で当該海域の調査には「しんかい六五〇〇」を必要とするものもあるわけでございます。そういうわけでございまして、今後そういった関係する分野の研究者の意見等を踏まえましてこれを活用してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#116
○稲村稔夫君 時間がもうほとんど来ましたから、お願いをしておきます。
 いずれにいたしましても、今のように幾つもの成果を上げてきておられるということでありますが、それなりにこれからの日本海の役割というものは大きいものがあると思いますので、「しんかい二〇〇〇」、「しんかい六五〇〇」をそれこそ駆使して、さらに成果が上がる計画をしていただきたい。そのためにはちょっと予算が足らぬように思いますので、予算をうんととるように頑張っていただきたいということを注文としてつけて、終わります。
#117
○太田淳夫君 それでは、私の方からも最初に美浜の事故のことにつきましてお尋ねしたいと思います。専門家じゃありませんので、ただいま同僚委員がいろいろと質問されたことと重なる部分もあろうかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 最初に、長官着任早々にこういった事故があったわけでございまして、先ほどのお話をお聞きしておりますと、大変に驚かれたということでございますが、私ども公明党も原子力の問題につきましては非常に党内で論議がございました。かつては自衛隊の問題と同じように原子力問題については反対の立場でありましたけれども、その後、日本をめぐる国際情勢の問題、あるいはエネルギーの資源の問題、あるいは環境問題等々で党内でいろんな論議を重ねながら、原子力発電につきましては、一応安全性を確保することを第一条件としながら、それにかわる新しいエネルギーが日本でもどんどんと採用されるまでは現行の原子力発電については容認していかなきゃならないんじゃないか、こういう立場でお互いに論議しながらきているわけです。私個人としましても、こちらにお見えになります後藤委員ですね、ヨーロッパの方に御一緒したときにはよく各地の原子力発電所の視察等も重ねてまいりました。あるいは国内でも何カ所か原子力発電所のそういう見学、研究をさしていただきながら、原子力発電についての党内における認識、議論等に加わってきたわけでございます。
 そういう点から考えますと、こういうふうな事故と申しますか、が起きますと、何とも非常に残念な思いがしてならないわけですね。そういうことによって原子力発電の問題が一歩も二歩も後退していくようなことがあってはならないんじゃないかという面もありますし、本当に安全性の問題について行政側ももっと真剣になって取り組んでいただかなきゃならない、こう考えているわけです。
 そういうことを考えますと、通産省の方が先ほどおっしゃいました、関電側では事故と言っておりますけれども、事象という発言をされるんですね。もっと真剣になってこの問題についても通産省は考えて、事故なら事故としてこれは真剣に取り入れて、この問題の解決を国民の皆さん方に真剣に訴えるという態度が必要じゃないかと思うんですね。そういった意味では、事故とも当たらない、現象とも当たらない、変な事象なんという言葉を使って国民の皆さん方の正しい理解が得られると思っているんでしょうか。私はその点は非常に残念でならないんですが、長官、どのようにお考えでしょうか。
#118
○国務大臣(山東昭子君) とにかく今回我が国で初めて起きた事故でございますので、大変多くの方々に不信感を与えたということ、あるいは不安感を与えたということに関しまして、原子力行政を預かる者として大変遺憾なことでございます。
 今回の事故は、何度も申し上げているとおり、環境に影響を与えることはなかったとしても、本当に初めて起こった非常用炉心冷却装置が作動した事故でもございますので、とにかくこれは事故の原因というものを徹底的に究明して、そしてやはり原子力発電というものに対して国民の不信感あるいは不安感というものを少しでも払拭するようにこれから関係省庁が努力をしていかなければならない、こんなふうに考えている次第でございます。今後とも原子力の開発利用に当たりましては安全確保を大前提に努力を続けてまいりたい、こう考えております。
#119
○太田淳夫君 今長官の方から事故という言葉をいただきましたが、通産省もあれは事故として真剣に取り組んでいくんでしょうな。新聞等に報道されているのを見ますと、美浜原発事故で通産大臣は総反省し監督を強化していくという発言をされているわけですけれども、具体的にどのように受けとめてみえますか、通産省としましては。
#120
○説明員(倉重有幸君) まず、今回の美浜二号機の件でございますけれども、通産省で一貫して事象という言葉で表現しているわけでございますが、これは何も事故を覆い隠すとかいうことではなく、一般的に言葉としましては事故とか故障とかトラブルとか等々いろいろあるわけでございますが、その言葉がまだ原子力との関係においては十分熟成されていないといいますか、まだ定義が明確になっていないという認識でございます。そういう面でこの事象というのは非常に幅広い概念だと通産省で認識しておりまして、そういう面で事象という言葉であらわせば全体的にでもカバーできるだろうというものでございます。
 したがいまして、事故を覆い隠すという意図は毛頭ございませんので、そういう意味でもし今回の件を事故ということで認識していただくということでございましたら、それは私どもとしてはそれで結構ですという、実はそういう立場でございます。
 この言葉の問題は、二年前に起こりました福島第二原子力発電所三号機の再循環ポンプのときにも実は同じような御質問がいろいろございましたけれども、実は同じような御説明をさしていただいたわけでございますが、今後言葉が明確になりましたらその明確な定義に従いまして使っていきたいと思いますが、とりあえずは事象という言葉で通産省としては認識さしていただきたいと思いますが、しかし事象と言っているから認識が甘いというわけではなく、今回の事象ですが、徹底した原因究明を要する重大な事象だというふうに私どもは認識しておりますので、そういう意味で今後その原因を究明し再発防止対策をしっかりやっていきたい。さらに、その定期検査等いろいろ見直すことがあれば見直していきたいというように考えておるわけでございます。
#121
○太田淳夫君 私も言葉の問題を取り上げてがたがたしたくないんですけれども、やはり国民の皆さん方が原子力についても非常に関心を持っておみえになりますし、中には理解もしたいという方もおみえになるわけですね。そういう方々の一般的に使っている言葉でこういうものはいろいろ説明されるのが一番得策ではないかと私は申し上げているわけです。そういうところから見ますと、非常に難しい言葉が原子力行政の中にはたくさんあるわけですね。一つ一つの単位の問題にしてもそうです。その単位は、難しいから私は言いませんけれども、非常にわかりにくい単位をいろいろと使っていくということじゃなくて、単位の問題にしましても、原子力の放射能の問題、いろいろありますが、被曝の程度につきましても、何かこう皆さん方にわかりやすいそういうものをつくるようにということは、もういろんな私たちの同僚委員がこの委員会でも何回となく申し上げているところではないかと思うんですね。これもその一つではないかと思うんです。
 やはり、国民の皆さん方に理解を得る立場に立てば、それは皆さん方のお仕事の面から見ればその言葉は幅広いいろんな意味を持っているんだということかもしれませんけれども、国民の理解はなかなか得られないんじゃないかと私は思って申し上げているわけです。
 それから、先ほど原子力安全委員長さんもお見えになりまして、原発の安全審査の問題もありました。この原発の安全審査の点でございますが、どういうような手順になっているんでしょうか。二重チェックというお話がありましたね。どういう手順ですか。
#122
○説明員(倉重有幸君) 原子力発電所の安全性のチェックでございますけれども、これは原子炉等規制法、それから電気事業法によって規制されておるわけでございます。
 まず、基本的な、基本設計と私どもは言っておりますが、それに関しましては、設置許可の申請を出しまして、原子炉等規制法に基づいてチェックをする。これは基本的な設計ないしはその設計方針を審査します。その後、実は当然これにつきましては原子力安全委員会に諮問して、御意見を伺った上で許可をするかどうか判断するという流れでございます。その後、詳細な設計につきまして、電気事業法に参りまして工事計画の認可という、そういう審査手続がございまして、許可の詳細設計を審査する。その後、設置者が建設工事を開始するわけでございますが、その工事の工程ごとに使用前検査ということで当然やりまして、最終的に運転開始する前に総合的な検査をした上で運転開始を認める。それから運転開始をした後も、一年に一回定期検査というものを法律的に義務づけておりまして、重要な各系統ごとにきちっと検査をするということをしているわけでございます。
#123
○太田淳夫君 新聞で見ましたのでちょっと詳しいことはわからないんですけれども、科学技術庁のある方は、安全委員会で審査するのは基本設計程度で、余り細かな問題はチェックできない、こういう発言をされているんですが、これは事実ですか。
#124
○政府委員(村上健一君) 安全審査の方の仕組みは、昭和五十三年に原子力安全委員会が原子力基本法等の改正によりまして設置されて以来は、次のようになっております。
 まず最初は、当時の法律改正の趣旨は、安全規制行政の一貫化ということで、それまで分かれておりましたものを単独の所管行政庁が頭から最後まで規制するという仕掛けにかわりまして、同時にその行政庁から一歩離れて、中立機関としての原子力安全委員会、すなわち八条機関がそれをもう一度見る、こういうことに変わったのが大きな変化でございます。その基本的に見るというところは、実は法律上は原子力発電所を新増設するとき、それから大きな変更をするときは必ず行政庁、この場合は通産省でございますが、通産省でまず安全審査を、同じ安全審査でございますが、安全審査をやって、その結果をいわゆる行政処分をする前に安全委員会に災害防止上問題はないかということで諮問があるわけでございます。その諮問を受けて審査をするところをダブルチェックと実は称しておりますのですが、先ほど委員長も言っておりましたし、新聞報道でもございますように、基本設計もしくは基本的設計方針、かた苦しい言葉で恐縮でございますが、それを主として審査して、よければよしということを所管行政庁に答申する、それを受けて通産大臣は許可をする、こういう仕掛けになっております。
 ただ、それだけではやはり不十分であろうということで、当時の両院の御審議の附帯決議の中に、安全委員会は基本設計のところだけではなくて、もっと事故、故障の問題等も含めて、いわゆるダウンストリームの方も見るべきであるという附帯決議をちょうだいしておりまして、そういうこともあって、このような事故の問題等についても、それから定期検査の結果等についても通産省から報告を受け、それを審議する、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 したがって、新聞は非常に俗っぽい言い方で表現されておりますが、いわゆる基本的なことだけしかやらないというのは、実はそこのところを簡潔に言われたことであろう、こういうふうに思っております。
#125
○太田淳夫君 ちょっと通産省にお尋ねしますけれども、伊方原発裁判での国側の主張、蒸気発生器細管破断の非現実性ということですね。その中で「将来においても右材料の性質に加え損傷防止のための諸々の対策が講じられているため数本はおろか一本の破断も起こることはない。」というのは、これは通産省のお考えなんですね。
#126
○説明員(森信昭君) 御説明いたします。
 伊方裁判におきましては、確かに委員御指摘のような表現を使って、蒸気発生器の細管一本現実には起こり得ないと考えているというような表現を使っていると考えております。その時点におきましては、これまで私どもが経験しました蒸気発生器の細管のトラブルと申しますのは、ピンホールのようなものがあきまして、そこからリークしまして、事前にこのリークの状況を察知してとめることができると。したがいまして、細管が一本瞬時に破断するようなことにはならないだろうというふうに考えていたわけでございますが、先生御指摘のように、現在、美浜二号機におきまして細管が一本破断しているのは現実でございますので、この辺の表現等、あるいは私どもの主張については今後検討さしていただきたいと考えております。
#127
○太田淳夫君 先ほど科技庁の方から御説明がありましたけれども、安全委員会では現場でその実物を検査するとか見るとか確かめる、そういうことはないわけですね。
#128
○政府委員(村上健一君) 原則的に申し上げますとございませんが、必要に応じて行うことになっております。
#129
○太田淳夫君 今回の美浜原発二号というのは、もう二十年ぐらいですか、大分前から稼働しているわけですけれども、これはそういう必要なしでごらんになっていないんでしょうかね。
#130
○政府委員(村上健一君) 委員長もさる委員会で申し述べられておりましたが、作業グループというのを早速つくらせてございますので、作業グループが先に行くかと思いますが、必要に応じて行くと、こういうふうに申しております。
#131
○太田淳夫君 ですから、この美浜二号はどうだったんですか。
#132
○政府委員(村上健一君) 今回の件でございましょうか。
#133
○太田淳夫君 いや、最初動くときにだれが見たんですか。見ていないんですか。安全委員会では行っていないんですね。美浜二号が諮問されたときに、原子力安全委員会ではその現場を見ているんでしょうか、それをちょっとお聞きしたんですが。
#134
○政府委員(村上健一君) 実は、先ほど申し上げました昭和五十三年に安全規制行政の一貫化が起こる前でございますので、当時原子力安全委員会はございませんでしたけれども、その機能を担当しておりました原子炉安全専門審査会という審査会は当然調査しておるはずでございます。もちろん設置許可をおろす前に安全審査というのは行われますので、当然ながら、まだ何もない時点でございますが、現場の地質調査だとかいろんな調査を実際行っているはずでございます。
#135
○太田淳夫君 そのときに、私よくわからないんですが、中に入って、原子炉の中の蒸気発生器についてはどなたが点検しているんですか。
#136
○政府委員(村上健一君) 実際に設置許可がおろされましてつくり始める段階になりますと、当時は通商産業省の方に仕事が移る仕組みになっておりましたので、いわゆる物の検査だとか所定の法定の検査は通産省の方で当時も行われていたはずでございます。
#137
○太田淳夫君 そうすると、通産省にお聞きしますが、通産省はどなたかやはり担当の方が、蒸気発生器について、構造が設計どおりされているかどうか、そのときにきちっと確かめていないんですか。
#138
○説明員(倉重有幸君) 蒸気発生器の検査の仕方ということでございますが、そもそも先ほども申し上げましたように、安全審査、設計の審査、それから検査等、蒸気発生器の細管の外側の、今回問題になりましたAVBと言っておりますが、それについては特に見ておりませんが、細管につきましては、これは一次系の高圧がかかる部分でございますので、細管については十分に検査をしチェックしているわけでございます。ですから、当然私どもの通産省の検査官が検査をしておる、そういう状況でございます。
#139
○太田淳夫君 そうすると、そのときに、設計どおりされていなかったということがわからなかったんですか。
#140
○説明員(倉重有幸君) これは蒸気発生器の全体の構造を見ていただくと非常にわかりやすいわけでございますが、蒸気発生器一基の中に細管が約三千三百本ぐらいございます。細管が中にぎっしり詰まっているような状況でございまして、今申し上げましたAVBというのが外からは見えない状況になっておりまして、AVBを支えるといいますか、金属で上の方に溶接で、落ちないといいますか、とめておるものがあるわけでございますが、それが外から見えるような状況でございまして、通常ではAVBが中のどこまで入っているかというのは見えない、そういう状況でございます。ただ、最近の技術開発によりまして、例えばファイバースコープでありますとか、そういうもので中に潜らせていけば見えるようなものではないかというように考えております。
#141
○太田淳夫君 しかし、この部分は運転したらもう絶対に危険でなかなか検査のできないところだし、当然これはつくる前に十分な検査をしておかなきゃならないんじゃないですか。私、素人ですけれども、現場へ行きました、二月の十一日に。前からもうこの委員会の審議で聞いておりましたけれども、PWRの最大のアキレス腱は細管なんだと。構造的なものもある、あるいは材質的な問題もある。これはアキレス腱だということは、この委員会の中でもいろんな同僚委員から質疑があって、私も耳にしておりましたので、そう感じておったわけでございますけれども、そんなことはこれをつくる前、見えなくなる前にもう十分にやるべきところじゃないですか。そんな細管の、先ほどはピンホールで破断はないんだというようなこともお話がありましたけれども、いろんな外的な条件とか内的な条件がいろいろ加わればそういうこともあり得るんだということで、一番これは力を入れて通産省がやらなきゃならないところじゃないですか。
 先ほど、お話を聞いていますと、何か安全検査のリストの中に入っていない、検査リストに入っていない、こういうお話もあった。検査リストに入っていないからこれは定期検査でもされていないんだ、どうもその点が腑に落ちない。あの形から見たってこれは一番の重要なところじゃないでしょうか。ですから、だれかが必ずこれは見ているはずですよ。それをつくったのは三菱重工さんと新聞に出ておりました。新聞によれば三菱重工さん。三菱重工さんだけの責任じゃないと思いますよ。監督官庁の責任も大きいんじゃないですか。
#142
○説明員(倉重有幸君) 今回問題になりました振れどめ金具、AVBでございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、規制の対象としていないということでございますが、通産省で定めております技術基準というのがございます。これは、電気事業法で電気事業者に遵守すべきものを負わせているわけでございますが、この中に「一次冷却材又は二次冷却材の循環、沸とう等により生ずる振動により損傷を受けないように施設しなければならない。」と、抽象的でありますけれども、そういう規定がございまして、電気事業法において電気事業者にその維持を求めているというものでございますが、ですから、もしこの維持がうまくいっていない場合には、法律上は技術基準適合命令というものを通産省ではかけるような、そういう体制になっているわけでございますが、直接それを初めからチェックするという体制には残念ながらなっていなかったという状況でございます。
 今回、このような事象が起きましたので、今後その再発防止対策の関係におきまして、チェックの仕方等を幅広く検討してやっていきたい、このように考えております。
#143
○太田淳夫君 その点については、通産省も責任を感じて、今後二度と起こらないようにきちっとやっていただきたいと思います。
 それで、何点かちょっとお聞きしたい点があるんですが、例えばこのPWRに第一世代、第二世代とあるそうですね。八〇年代に入ってからのやつが新しいあれですか、非常に故障が少ない。ただ、その前につくられた第一世代型PWRと申しますか、それについては安全性管理に非常な課題があるということですね。
 一つは、この蒸気発生器を交換するかどうかについての判断の基準があるのかどうかということです。例えば、欧米では細管の破損率の大きい場合には蒸気発生器を交換する方針だということを聞いておるわけですが、日本の場合にはこの蒸気発生器の交換については、非常にまあ後ろ向きと申しますか、になっているわけでございますけれども、やはり美浜でも施栓率と申しますか、細管に栓をするものがふえているわけでございますけれども、これは基準というか、例えば施栓率が一〇%を超えたら蒸気発生器を交換するとか、そういう必要性があるんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
#144
○説明員(森信昭君) 御説明いたします。
 ただいま先生御指摘の、施栓率がある程度高まれば交換等の行為をやるべきではないか、こういう話でございましたが、外国で蒸気発生器交換の例は約十一件ほどございます。いろんなところで調査しておりますけれども、その交換したときの理由でございますけれども、私どもが聞く限りでは、いろんな工学的な面もあるのでございましょうけれども、いろんな損傷が出てまいりますと定期検査等に時間がかかる、あるいはそれによって作業者が被曝を受けるとか、あるいはまた逆に国民の皆様方からの信頼性も失いかねない、こういうことで総合的に経営判断を行いましてかえつつあるというふうに伺っております。
 私どもの立場といたしましては、これを安全審査上審査してまいりますと、スリーブ補修あるいは施栓ということによりましても、安全解析を行った場合に、一応安全ということは評価しているわけでございますけれども、ただ日本国内でも現実に定期検査に長期間を要したりあるいは被曝がふえているというのは事実でございますので、この辺は、電気事業者が経営判断上どう判断していくかもございますけれども、私どももそのようなことで、電気事業者に積極的に経営判断を行うようということで対処してまいりたいと考えております。
#145
○太田淳夫君 蒸気発生器の交換というのは非常にコストが高いんですか。どんなような状態ですか、ちょっと状況を教えてください。
#146
○説明員(森信昭君) 御説明いたします。
 まだこれ私どもも勉強が十分ではございませんが、蒸気発生器一基当たり大体二、三十億円と聞いております。これがフォーループとかあるいはスリーループとかタイプによっていろいろ違いますけれども、いろんな工事費等を加えますと二百数十億円かかるんではないかと俗に言われております。
#147
○太田淳夫君 非常な高額のものなんですね、これも。
 それでは、次は定期検査のあり方についてですけれども、一つは細管の検査法が必ずしも十分でなかったかと、こう言われているんです。過去の定期検査の状況などを見ますと、例えばこの美浜の定期検査でも、二台の蒸気発生器の中の細管、六千百二十五本あるそうですけれども、そのうち十六本にきずが発見されたということも聞いているわけでございますが、年一回の定期検査の中の細管検査によって次の定検まで破損に至らないと判断されたものについては施栓をしないで運転している。この検査あるいは運転法が信頼に値しないんではないかという一つの今回の結果を生んだと思うんですけれども、こういった細管破損というものを定期検査で予見できなかった、そういう定期点検の手法についてもやはり見直しがあってしかるべきではないか、こういう意見もありますが、その点どうですか。
#148
○説明員(倉重有幸君) 蒸気発生器の細管の検査でございますが、これは日本では定期検査の際に細管全数を検査することにしております。外国ではそのようなことをしておりませんけれども、日本では念には念を入れるということで一本ずつ細管について検査するわけでございます。その検査技術、現在は、ECTといいますが、渦電流の微弱な電流できず、欠陥の有無を検査するという技術を使っておりまして、これは先生御案内のように、蒸気発生器の細管ではトラブルは過去から結構ございまして、その教訓を生かしまして検査技術を開発してきております。当初は単一の周波数のものだけだったわけでございますが、さらにその後複数の周波数で見るとか、それからさらにその付着物信号に隠される欠陥の検出精度を上げるとか等々、その検査技術の向上も実は図ってきておるわけでございます。
 今回の場合に、この間の調査特別委員会の結果では高サイクル疲労であるということでございまして、ではその高サイクル疲労のクラックが検査によって見つかるかどうかということにつきましては、今後もその検査技術の精度、限界等、またその方法につきましてよく検討してみたい、このように考えております。
#149
○太田淳夫君 これも通産省になっちゃうんですけれども、ECTという検査方法、これについての標準づくりについて、通産省からいろいろと標準化に関する調査会に委託してそういうことをされているそうですけれども、これはいつごろそういった標準づくりは完成するんでしょうか。
#150
○説明員(倉重有幸君) ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったのでございますけれども、もしできましたらもう一度お願いできればと思います。済みません。
#151
○太田淳夫君 細管に電流を流した結果発生する電流の渦の波形からひずみの有無で損傷を調べるという検査方法、これについて一九八八年に通産省がその標準づくりについて非破壊検査法の標準化に関する調査会、ここに委託をしてあるというんですが、これはいつごろその標準づくりが答申されるんですか。わかりませんか。
#152
○説明員(倉重有幸君) 今先生申されました非破壊の調査の開発計画といいますかプログラムといいますか、ちょっと私、事実関係をよく存じませんが、非破壊検査といいますのは通常、例えばエックス線を透過するとか超音波探傷をするとか等々、そういうこともございますので、この渦電流探傷の検査がその中に含まれているかどうか、ちょっと私、事実関係をよく存じませんが、もしあれでしたらまた事実関係をよく調べて先生に御説明したいと思っております。
#153
○太田淳夫君 通産省は、放射能濃度が瞬間的に通常値の二割増しになったとき原子炉をとめると原発停止条件を出したんですけれども、これについて、関電を初めとする電力会社の方々は非常にこれは難しいという見解を打ち出されたようですね。その点についてはどのようにお考えですか。
#154
○説明員(倉重有幸君) 今回の美浜二号機の件に関しまして、蒸気発生器の細管トラブル、従来は非常に時間的な余裕がありまして、我が国で十三件の損傷がございますが、いずれも細菅のリークというものでございまして、今回のように急速に進展して破断するというものは実は今回初めてなわけでございます。こういうことにかんがみまして、同じような事象を起こさないようにということで実は電気事業者に指示したわけでございます。
 先ほども御説明しましたように、急速な進展であるということで、二次冷却水の放射能濃度が有意な変化ということであればとめなさいと、その有意な変化というのはあえて目安を申し上げれば二割程度ということで、今回の事象との関係で言えば十二時四十分の時点でとめる操作をしなさいということでございます。今回の場合には、その十二時四十分に上昇傾向にあるということが認識され、さらに確定をするためにサンプリング調査等でやっていたわけでございますが、サンプリング調査等をやる前に既に二次冷却水の放射能濃度が有意な変化があればすぐ、そこは暫定的な措置でございますけれども、とめなさいということで指示したわけでございます。
 その指示の後、関西電力等、誤解に基づくいろいろ御発言があったみたいでございますけれども、私どもで十分趣旨をよく御説明したわけでございまして、それに対する報告を三月一日に受けたわけでございますが、その際には、通産省の指示どおり有意な変化があった場合には原子炉を停止する措置を直ちにとりますという報告を受けておるわけでございまして、これはほかの電力会社もみんなそのような報告内容になっております。そういう意味で、暫定的な措置でありますけれども、二次冷却水の放射能濃度に有意な変化があれば直ちに原子炉を停止する措置をとるということでございます。
#155
○太田淳夫君 通産省の指示によって、PWRを設置してみえる電力会社のそれぞれが点検に入っているようでございますね。この点検の状況というのは、とめてやるんですか、それとも今までのいろんな点検をした報告書をもとにして、その報告書を見てそれで状況を調べるということなんでしょうか。どうでしょうか、その点は。
#156
○説明員(倉重有幸君) 今回、当該事象が、(「事故」と呼ぶ者あり)今回の件が高サイクル疲労によって起きたということで、その原因がAVBが設計どおり十分入っていなかったのではないかということで私ども考えておりまして、そういう面でまず事実関係を確認することが大事であるということで各社に指示をしたわけでございます。
 その点検の仕方としましては、先ほど言いましたECTという渦電流探傷検査の記録が実は過去にやったものが全部残っておるわけでございまして、それを子細に見ればAVBが入っているかいないかを確認できるというものでございます。ただし、ECTといいましても、その周波数が百キロのものもあれば、それから二十五キロヘルツで過去に、本来の蒸気発生器の健全性を確認するわけではありませんけれども、二十五キロヘルツの低周波数の検査記録もございます。そうしますと、蒸気発生器の細管の外側がどうかということを今回確認するわけでございますので、低周波数の二十五キロヘルツの検査記録があれば、それの方がさらに百キロヘルツよりかは情報がわかるというものでございます。そういう面で、過去の検査記録を子細に見た上で調査していただきたいというものでございます。当然美浜の当該機、二号機の場合には二次側からECTの記録どおりかどうか、実地調査と私ども言っておりますが、ファイバースコープを入れて十分確認するようにという指示をしたわけでございます。
#157
○太田淳夫君 ほかにも新しいエネルギーの問題やなんかの質問をちょっと用意しておったんですが、時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、いずれにいたしましても、原子力の問題につきましては、いろんな世論調査を見ましても、その必要性を認めながらも不安感を持っている人が多くなってきているわけですね。昨年十二月に行われました総理府の世論調査では、六五%の人が原子力を必要と思いつつも約四七%の人が不安を持っており、安全と思う人四四%よりも多くなっている。また、原子力の推進には慎重論がふえているという結果が出ているわけです。昨年の十二月です。その後この事故があったわけでございますので、それがまた国民の皆様方に与える影響というのは大きいんじゃないかと思うんです。
 しかし、最初に申し上げましたように、日本のエネルギー需要、資源のない日本がやはりこれからも世界の牽引車となっていろんな面でやっていくのにはエネルギーが必要なわけでございますし、その中で原子力の占める割合というものはますます重要になってくるんじゃないか、私はそう思っているわけですけれども、それにはやはり安全性第一ということが必要なわけです。だから、先ほども申し上げましたように、国民の皆さん方の理解が得られるように、どうか虚心坦懐、いろんなものをはっきりさせながら国民の皆様方に理解をいただくようにしていただきたい、こういうことを願っているわけです。
 最後に、長官から一言よろしくお願いします。
#158
○国務大臣(山東昭子君) 今先生御指摘のように、やはり原子力の必要性ということは多くの方たちが認めておられることでもございますし、これからの二十一世紀に向けてエネルギーの需要というものはますます伸びていくわけでございますので、それに対処すべく、やはり国民の理解と協力を得つつ、目標の実現に向けて着実に安全確保の最大限の努力を払うとともに、原子力発電というもの、原子力の開発利用というものを着実に推進していきたいと思っております。
#159
○太田淳夫君 終わります。
#160
○吉川春子君 まず、山東長官にお伺いいたします。
 今回、美浜の原子力発電所二号機において、いわゆる蒸気発生器細菅のギロチン破断による我が国初のECCSの実地作動という重大事態を招いたわけです。しかも、その後の発表によると、ECCSは実は途中で停止して、手動で加圧器内の圧力を操作した。加圧器逃がし弁が二個とも作動しない。その他トラブルが連続して、一歩間違えば米国のスリーマイルアイランドの原発事故と同等級の重大事故に発展したかもしれないと、こういうふうに言われているわけです。
 長官は、御就任以来しばしば、原発は非常に安全であると強調されてこられました。新聞のインタビュー、テレビのインタビューあるいは総理府の世論調査で、四つの選択肢からちゅうちょなく非常に安全を選んだと、こういうふうに言っておられるんですけれども、この美浜原発事故の後もなお原発は非常に安全だと、こういう認識にお変わりありませんか。
#161
○国務大臣(山東昭子君) 原子力の開発利用を進めるに当たって、従来より安全確保を第一としてきたところでございますけれども、今回の事故に関しましては、現在、事故原因の究明というものが図られているわけでございますが、この結果を踏まえまして、今後このような事故が再発しないように万全の安全対策がとられることが重要だと認識をいたしております。
 過去におきましても今までこの原子力発電に関しましては、設計、建設、運転の各段階で安全確保ということに力を入れてきたわけでございますけれども、今回このような事故が起きたということは本当に私どもにとって残念でなりませんし、とにかく技術的なことで今後解明されることがあれば徹底的に解明をして、その後二度とこうしたことが起きないように努力を払っていかなければならないなと思っているわけでございます。やはりこれからも私どもの暮らしとエネルギーということで原子力というものは欠くことのできない存在でもございますので、今後もその安全ということに関しまして、私自身もその現場で働いている人たちを信頼して今日まできたわけでございますが、本当に我が国では今まで大きな事故が起きなかったために、ある意味ではその現場で働く人たちの心の中に油断があったのかもしれませんけれども、今後ともそうした設計、建設、運転の各段階でそれぞれの専門分野の人たちが緊張感を持ってなお一層その現場で一生懸命働いてくださることを期待いたしまして、私どもも今後その安全確保という点で努力を払ってまいりたい、そう考えております。
#162
○吉川春子君 安全でなくてはならないという願望と安全であるという事実認識とは若干違うように私は思います。
 内田委員長にお伺いいたしますが、美浜二号機の安全審査は、あなたが当時原子力委員会のもと、原子炉安全専門委員会に設置された部会の責任者として行ったものですね。あなたが安全審査をした二号炉が今回こうした事故を起こしたことについて、専門家として心の痛みは感じませんか。
#163
○説明員(内田秀雄君) 今回の美浜発電所二号炉の蒸気発生器伝熱管破損事故は、設置許可のときの安全設計の妥当性を評価する安全審査の際に、安全評価に関する審査指針がございますが、その安全評価に関する審査指針に基づきます基本的設計基準事象の一つとしてこの蒸気発生器伝熱管損傷が事故として取り上げられております。今回の事故もそれに包絡されているものと考えております。しかしながら、今回の事故は環境に放射線の影響を与えるものじゃございませんでしたけれども、細管の損傷が周方向の破断になりまして、非常用炉心冷却装置が実際に作動するに至りましたもので、重大であると認識しております。
 現在、通商産業省等から調査状況についてたびたび報告を受けておりますと同時に、原子力安全委員会の下部組織であります原子炉安全専門審査会において調査、審議を行っておりますので、これらを踏まえて委員会として同種事故の再発防止に最善の努力を尽くしたいと思っております。
#164
○吉川春子君 今大臣も強調されましたけれども、一にも二にも事故原因の徹底解明、究明が必要だと思います。事故の調査をする場合に、その調査のあり方、体制、こういうものは国民の納得のいくものでなければならないと思います。
 そこで、内田委員長にもう一度お伺いいたしますが、原子力安全委員会というのは原子力の安全確保について総理にも勧告できる強い権限を持つ独立の機関ですね。あなたは二月二十六日付のアエラでも批判されているように、「調査資料は通産省がもってくる。同じ調査などする必要はない。通産省や電力会社はうそはいえない。信じないといかん」などと言っておられます。調査もしない、電力会社を信じなさいという姿勢で、今あなたがおっしゃった徹底した事故調査というのができるんでしょうか。そういう姿勢で行うんでしょうか。
#165
○説明員(内田秀雄君) 科学技術に基づきます装置のこのような事故の調査は、現場に密着しております技術者によります測定、計測等のデータをもとに主管行政庁であります通商産業省の評価を得たものを私たち安全委員会がダブルチェックをすることが妥当であり、またそれが職務だと思っております。その際の通産省の調査結果につきまして、安全委員会としての立場からさらに詳細にこういう点は調査しろ、あるいはこういうデータはどうか、こういう評価は妥当であるかということがありましたならば、改めて通産省として調査することが妥当だと思っております。
#166
○吉川春子君 要するに、通産省から提供された資料、事故調査の結果に基づいてのみ調査するとおっしゃるのか、それとも安全委員会としても独自に必要なことは自発的にやりながら調査をなさるというのか、どちらですか。
#167
○説明員(内田秀雄君) 安全委員会として、通産省の調査結果が不十分であれば、また基本設計に関するようなものでありましたならば、安全委員会独自の見解もございますし、また我々の専門家のグループからの別の意見等もありますので、通産省の調査報告、データ等が主たる対象でございますけれども、その調査したものに対する評価、結果は当然違ったものが出るものと思っております。また、そういう場合には必要な調査をさらにつけ加えることもありますし、私たちも別に調査に行くことも、もちろん必要があれば行うことであります。
#168
○吉川春子君 それで、通産省にお伺いいたします。
 現在の体制というのは、事故調査の主要な側面を通産省が負うとされているわけですが、蒸気発生器細管の完全破断、これは従来日本ではあり得ない事故とされてきた、日本ではというか、通産省はですね。このエネ庁発行のパンフも拝見いたしましたけれども、その中で、「原子力発電所では「安全対策には、念には念を入れる」という考え方から、上に述べた各種の安全装置に加えて、現実におこるとは考えられない」「蒸気発生器細管が瞬時に破断して冷却材が流出するような事故」というふうにあるわけですね。つまり、今回の美浜のような事故は現実に起こるとは考えておられなかったわけですね。
#169
○説明員(森信昭君) 御説明いたします。
 確かに、私どもの安全審査の考え方、多重防護によりまして、まずは異常の、故障の発生を未然に防止する。それから異常を拡大させない。それから事故へ発展したとしても外部に異常が放出されないようにする。こういう考え方でいろいろ御説明し、今先生お示しのパンフレット等にも書いてきたわけであります。
 一方、安全審査におきましては、今回のような美浜で起きました蒸気発生器の細管一本瞬時破断、こういったことを想定いたしまして、その場合でも安全であるということを、実は安全解析をやっておるわけでございます。確かにこれまでのPR等におきましては、昔からの経験によりますと、ピンホール等によりますリーク、そういう事象であれば十分事前に安全にとめられる、こういうふうに考えていたわけでございますが、今回美浜二号におきまして細管一本の破断という事象が起きましたために、これはもう事実でございますので、私ども、今後そういったものにつきましての表現等につきましては再検討さしていただきたいと考えております。
#170
○吉川春子君 昭和六十年の七月、エネ庁は蒸気発生器検討会を設置した。当時、世界的に蒸気発生器の損傷事故が頻発していましたので、その事故の防止策を検討されていたのではありませんか。そこで損傷事故の防止策を検討していながら、完全破断については事実上無視して何ら対策を立ててこなかった。起こり得ない事故ということで最新のパンフレットにも書いているわけですけれども、そういうふうにされたのは一体なぜですか。
#171
○説明員(倉重有幸君) 今先生御指摘の蒸気発生器検討会でございますが、通産省の原子力発電技術顧問会の中に実は設けて検討してきたわけでございますが、蒸気発生器の細管の損傷というのは外国でもたくさんあるわけでございますし、また国内でもかなりの数ございまして、その原因の究明、また再発防止対策をどうしたらいいかということを専門的な知見を得ながらやっていきたいというために実は設けたものでございます。
 その中身、具体的なその主な検討事項になるわけでございますが、特に伝熱管損傷において多く認められました粒界腐食割れというのがございます。私どもIGAと呼んでおりますが、これについて発生メカニズムに関する詳細な調査を実施して原因を解明するとともに、そのIGAの発生防止対策の検討、それからその効果の確認をする、それからさらには補修技術の高度化ということで、伝熱管損傷部に対する例えばレーザー溶接によるスリーブ補修技術の採用の妥当性の評価でありますとか、それから先ほど何回も言っておりますECTという渦電流探傷検査の検査効果を評価して、その結果を踏まえて今後の検査効果向上のための新しい渦電流探傷検査技術の適用可能性の評価などを、実は先生の識見を得ながら検討したものでございます。今先生御指摘の、今回のような高サイクル疲労による破断といいますか、それについては直接この検討会で議論ということはしていないわけでございます。
#172
○吉川春子君 八七年七月にアメリカ、バージニア州のノースアンナ原子力発電所で史上初の完全破断事故が発生していますね。こういうことが起こっているにもかかわらず、こういう検討はされていなかったということなんですけれども、メンバーはだれですか。
#173
○説明員(倉重有幸君) 蒸気発生器検討会のメンバーでございますが、全体で七人の先生にお集まりいただいて検討会というものをつくっておりますが、その主査は伊藤伍郎先生にお願いしておりまして、それ以外の先生は当然原子力発電技術顧問会の中の顧問の先生の中からピックアップしているということでございます。
#174
○吉川春子君 そのメンバーの中の石川、斉藤、辻川、斑目、宮のこの五氏は今度の事故調査委員会のメンバーですね、伊藤先生を除いては。どうですか。
#175
○説明員(倉重有幸君) そのとおりでございます。
#176
○吉川春子君 この完全破断について無視してきたその検討会のメンバーが今度史上二番目と言われる美浜二号炉の事故の調査に当たる、こういうことではまともな調査ができないんじゃないかというふうに私は思うんですが、その点まずどうですか。
#177
○説明員(倉重有幸君) 先ほど申し上げましたように、蒸気発生器検討会の主たる検討事項というのが、これまでに我が国で経験してきました損傷の解明、またはその再発防止対策、またはその補修技術の評価ということでございまして、今回のような高サイクル疲労による破断というものは直接検討していないわけでございまして、今回この高サイクル疲労による破断というものはまた別途その先生方の知見が必要でございますので、そういう面で先生方、蒸気発生器検討会のメンバーが今回の調査特別委員会のメンバーになっておりましても何ら差し支えはございませんし、ないしはその蒸気発生器検討会の蒸気発生器に関する知見が非常に必要でございますので、そういう面でそういう知見を得ながらきちっとした原因の究明、それから再発防止対策を確立していきたいということでございます。
#178
○吉川春子君 この設置許可をしたところが安全審査をした、そしてその審査をしたところが事故があればその調査をする、こういう体制になっているわけですね、今。だから、本当に被告と裁判官の区別がつかない、こういう声もあるわけですね。
 私、大臣にもう一度お伺いしたいんですけれども、今度の事故調査のあり方として、まず秘密主義であってはならない、徹底した事故調査内容の公開を要求いたします。それから、原発の推進の通産省が今度は原発の事故の調査、原因究明の責任を持つということ自体が体制上非常におかしいわけですね。現在の体制がおかしいと思うんです。原子力の安全利用のためにやはり国とか電力会社を指導、規制する立場、権限を持った原子力安全委員会にしなくてはならないと思いますし、そうでないと国民の信頼は回復できないと思いますが、そういう意味で長官の御意見をちょっとお聞かせください。
#179
○政府委員(村上健一君) 長官の前に事実関係だけ申し上げますと、委員御承知のとおり、原子力安全委員会は八条機関でございまして、昭和五十三年に両委員会ができましたときに今度のような仕組みにお決めいただいたということになっておりまして、アメリカの場合は御承知のとおり原子力規制委員会といういわゆる行政委員会がございまして、やはり事故の場合はその行政委員会が直接調査する。日本の場合は一元化された通産省がまず調査をして、その結果を独自にまたその調査に基づいて安全委員会がさらにダブルチェックする、こういう仕掛けになっておることをまず御説明申し上げます。
#180
○国務大臣(山東昭子君) とにかく今答弁のあったように、通産省とそして原子力安全委員会においてダブルチェックがなされてきたところでございますけれども、今回の事故の調査の状況に応じまして、その結果については適切な形で公表されなければならないと思います。そして、専門の分野の人たちがやはり現実を直視して、そして的確な判断をしていくことであろうと期待いたしている次第でございます。
#181
○吉川春子君 もう一つお伺いいたします。
 関西電力の姿勢についてこの問題の最後に伺いたいんですけれども、「美浜発電所二号機の事故について 事故の概要と経過」、これはコピーなんですけれども、こういうパンフレットを関電は発表しております。で、二月十九日に飯田副社長が、今度の事故について、「失礼だが、大したことではない」、「原因究明に半年もかかるのではたまったものではない」という暴言を吐いて、批判をされて、その直後に発言を修正したと、こういうニュースもありますけれども、その後、これは二月の二十八日付でこのパンフレットを送るについて広報副長あてに文書を出しているんですね。この中に、「美浜二号機事故のパンフレットを使用するに当たっての留意事項」として、「去る二月二十一日の社長記者会見のトーンを念頭に置き、次の点に留意して行われるよう」にと。社長記者会見というのはその副社長の発言を修正した記者会見だと思うんですが、その中で「従来の説明では起こり得ないと考えていた蒸気発生器細管の円周方向破断により、わが国で初めてECCSが作動する事態に至ったことを重大なことと受けとめ謙虚に反省している姿勢が大事」、読み方によっては、その反省しているポーズを示せというようなことをこれで指示しているんです。
 また、このパンフレットの配布先が問題でして、どこへ配布せよという指示もしているんですけれども、国会議員については「自民、民社、公明、保守系」、それから地方は「京都、和歌山、福井、石川の保守系、当社出身議員」、政党については「共産党を除く各政党の本部・支部」、こういうふうに書いているんですね。
 これは、本当にこの事故を起こした会社の姿勢として謙虚に反省をするポーズだけをとっている、この中にいみじくも書いてありますけれども、そういう姿勢がうかがわれるんですが、しかし長官、こういうことでいいんでしょうか。本当に謙虚に今度の事故を反省し、国民の前に真実を明らかにし、二度と再びこういう事故を起こさないという姿勢が私は読み取れないんですね。世論対策だと思うんですね。いかがでしょうか。
#182
○国務大臣(山東昭子君) 関西電力といいましょうか、事業者の方たちは、やはり非常に厳しく反省の意を表して私どものところにも謝罪に来られましたし、そして今後二度とこうしたことがないように、今回の事故を教訓として国民の理解が得られるように努力をしたいというようなことでございました。
 今御指摘の点につきましては、詳細は私ども承知しておりませんけれども、今後とも、やはり事業者も、そして私ども関係省庁も一団となってあくまでもその事故の再発防止に力を入れ、国民に対しての理解と協力、そして安全確保ということに関してこれからも力を入れていきたいと考えております。
#183
○吉川春子君 これ、恐らくこういうものは大臣のところには行っていないと思いますのでお届けいたしますので、よく御検討の上指導していただきたいと思います。
 最後に、米軍による今度の湾岸戦争の原子力施設の破壊問題について、残された時間質問いたします。
 外務省、お見えでしょうか。――まず、一九九〇年十一月二十七日のIAEAの新聞発表によりますと、イラクにおける定例安全査察でどういうことが確認されたんでしょうか。
#184
○説明員(貞岡義幸君) イラクにつきましては、最新の通常査察が昨年の十一月に実施されました。査察の結果の詳細については我々は承知する立場にはございませんが、IAEAが公表しました事実によりますと、これまでIAEAの保障措置のかかっております核物質については軍事転用がされていないということを発表しております。
#185
○吉川春子君 続いて外務省にお伺いいたします。
 国連総会で原子力施設に対する攻撃に関する決議が何回も行われていますが、八一年十一月十一日第三十六回国連総会決議の本文七項と、それから八五年十一月一日の第四十回国連総会決議の本文一項で原子力施設の破壊問題について言及していますけれども、ここをちょっとぱっと読み上げていただけますか。
#186
○説明員(神余隆博君) ただいま委員の御質問の件でございますが、まず八一年の国連総会決議第七項でございますけれども、読み上げさせていただきます。「すべての国に対し、国連憲章下の義務を十分遵守し、特に原子力施設に対するいかなる攻撃も含むいかなる国の領土的統一及び政治的独立に対する武力の行使または威嚇を控えるよう要請する」というふうになっております。
 それから御質問の第二の、八五年の総会におきます決議でございますけれども、読み上げさせていただきます。これは第一項でございますが、「イスラエルによるイラク原子力施設攻撃を含む平和目的のあらゆる原子力施設に対するいかなる攻撃も強く非難する」、こういうふうになっております。
#187
○吉川春子君 一月二十日、シュワルツコフ米中央軍司令官は、CNNのインタビューで、多国籍軍の空爆はイラクの生物・化学兵器製造能力に損害を与えたかとの質問に対して、それは疑いのないことだ、空爆は化学・生物兵器製造能力及び核兵器製造能力に損害を与えたと答えました。また、一月二十六日、米中央軍司令部スコット中佐によるブリーフによりますと、爆撃効果判定では、生物・化学兵器生産能力のかなりの部分を破壊し、シュワルツコフ司令官が数日前に述べたように、核兵器生産能力に関してもほぼ一〇〇%破壊していると述べています。
 それで、最後に山東長官にお伺いしたいんですが、今も外務省から説明していただいたように、原子力施設に対する攻撃に関して国連で再々決議をされていて、日本政府も賛成しておりますが、被爆国として放射能の害というものを十分知り尽くしている国の政府として、原子力施設への攻撃は許されない、こういうことをアメリカに率直におっしゃっていただきたいと思いますが、どうですか。
#188
○国務大臣(山東昭子君) 我が国といたしましては、今御指摘の国連決議及びIAEA決議の趣旨を十分踏まえており、また原子力の平和利用の推進の重要性についても十分承知をいたしております。ただ、この二つの決議につきましては、勧告的性格を有するにとどまるものの、一般的に加盟国としてこれを尊重することが要請されているわけでございます。
 しかし、今回の戦いを見ておりますと、非常に情報が多いようで実はなかなか少ない部分もございまして、今回の件につきましても、どのような施設がどんな形で攻撃されたかということで、その事実関係というものがちょっと不明でございまして、現在、外交ルートを通じまして情報の収集に努めているところでございます。
#189
○吉川春子君 これで終わりますが、私は、被爆国の大臣として、爆撃したということは言っているわけですから、こういうことをしないように強く要求すべきだというこを最後に申し上げて、質問を終わります。
#190
○新坂一雄君 連合参議院の新坂でございますが、きょうは関電の方の美浜原発事故を中心に、まだ原因究明が最終的な結論は得てない段階で、事故が起こったということで、今後この事故を教訓にして何ができるかということを論議しまして、より一層の安全策を確立していただきたいという観点から質問さしていただきたいというふうに思っております。
 それで、いわゆる推進派、反対派というように原子力発電についてはいろいろ両論分かれるんですけれども、一番新しい世論調査で、これは総理府がやったんですが、去年の秋でございます、十二月に発表しておりますが、原子力発電の安全性について、安全ではないと考える人が安全だと思う人より若干多い。要するに、「安全だと思う」のが四三・八%、「安全ではないと思う」のが四六・八%ということでございます。要するに、安全ではないという人が多いということです。それと、安全だと思う理由は何かと。「日本ではこれまで重大な事故が起きていないから」、「日本では十分な安全対策がとられているから」、「日本の技術が優れているから」と、こういう三つの要素が基本にあって安全だと思うと。しかし、この時点でも安全ではないと思う人の方が多いわけですね。
 それで、今回の事故によって決定的に私は原子力発電の安全神話というのは崩れたんじゃないかという気がいたします。要するに、どういうことかというと、今後の世論調査でこれは、安全ではないと思う人は五〇%より多くなるんじゃないかというような予測を私はとっております。したがって、今度の教訓というのは、今まであったような、いわゆるより徹底して安全対策を確立しますというようなことではなくて、安全神話は崩れたんだという、いわゆる考え方を安全ということから危ないということの観点に立った対策へシフトしていかないと、これは繰り返しになって、ますます安全ではないと思う住民感情がさらにふえていく、こういうことだと思うんです。ここがいつも事故のたびに論議で繰り返し、福島原発のときもそうだったんですけれども、要するに繰り返しにすぎないということになってしまうということなので、私は非常に論議がむなしくなるわけでございます。
 きょうは特にエネルギー庁の方から政府委員を出席さしていただきました。これは何でかといいますと、去年の秋の福島原発のときには、あのときは再循環ポンプの事故でございました。それで、一〇〇%金属粉がとれない限りは再開はしませんという東電の社長の発言があったにもかかわらず、まだ微量の金属粉が残っている時点においてゴーというふうになってしまって、実際やっているわけですね。今もう稼働している。それはどういうことですかということを私は質問したかったんですよ、エネルギー庁に。ところが、倉重さんはいわゆる政府委員じゃなくて説明員であったために答えが返ってこなかったんです。そういうことから見て、きょうはそういう意味では幸いといいますか、政府委員に出席していただきました。
 まず最初に、原子力の安全の神話が私は崩壊したと思いますけれども、山東大臣、非常に残念ではございますが、要するに原子力発電というのはまだ安全であるというふうに思っているのか、崩れたと思っているか、その辺の見解を聞かしてください。
#191
○国務大臣(山東昭子君) 従来より原子力の開発利用を進めるに当たりましてはやはり安全の確保を第一としてきたところでございますけれども、今回このような事故が起きましたことは、御指摘のとおり本当に私どもも大変残念に思っている次第でございます。
 ただ、私ども今いろいろな原因を究明している最中でございますけれども、人為的ミスというような点につきましては、これはやはり従業員の姿勢の問題で解決できることだろうと思います。そして、その技術的な問題に関しましては、その原因というものが解明されれば、それも技術的に解決できる問題ではないだろうかと私は考えております。ですから、一日も早く厳正な立場でそれぞれ通産省あるいは安全委員会で徹底的に審査をし、調査をし、その上で原因というものがわかりましたならばそれに対処して、そしてこれからも安全確保ということに最大限の努力を払っていけばよろしいんではないか、私はそのように考えている次第でございます。
#192
○新坂一雄君 今の御答弁を拝聴いたしますと、いわゆる安全の確保は基本的に大切でございますが、考え方をシフトしたらどうかという私の質問に対しては、いわゆるその考え方は変わっていないんじゃないかというふうに私はとりました。非常に残念でございます。
 通産省にお伺いいたしますが、倉重さんが、新聞によりますと、いわゆる金具の不完全性が金属疲労を生んだんじゃないかということで、「振れ止め金具部の不具合による破断事故は過去に知見がなく、チェックの対象になっていなかった。他の電力会社に対しても、過去の検査記録を再点検するよう指示した。最終的な事故原因の究明を待って検査体制のあり方を検討したい。」と、この事実について政府委員はいかがでございますか。
#193
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 まず、今回の美浜二号炉の件でございますが、我々、先生今御指摘のとおり、細管が周方向に破断していたこと、それからECCSが実作動したということは例がないわけでございます。それで、我々といたしましては、徹底した原因究明と対策をやるべき重大な事象というふうに認識しておりまして、通産省の中に調査特別委員会を設置して鋭意調査を進めているところでございます。
 それで、十一日でございますが、損傷しました細管の破断面の観察結果、これで疲労破面が出ているということ、それからもう一つは、過去の記録から、損傷した蒸気発生器につきましては、伝熱管の振動を抑制いたします振れどめ金具、これが設計どおり入っていないというような報告がございましたので、我々といたしましては、十一日に開催されました調査特別委員会の中で本件を議論していただいたわけでございます。その結果、振れどめ金具が設計どおり入っていなかったことによります高サイクル疲労による破断ということの蓋然性が高いという判断をいただいたわけでございます。
 それで、通産省といたしましては、振れどめ金具が設計どおり入っているかどうか、これは至急確定する必要があるということでございまして、関西電力の美浜二号機に対しては実地に調査するようにしておりますし、それ以外のPWRにつきましても、過去の記録等によりましてその事実を確認するようにというふうに指示したところでございます。我々といたしましては、その結果を踏まえまして今後の対応策をいろいろ考えていきたいというふうに考えております。
#194
○新坂一雄君 原因究明をやっているということでございますし、その金具がなかったということはほとんどわかっているということでございますが、監督官庁として責任はどうなんですか。
#195
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 振れどめ金具につきましての法的な現在の位置づけということを申し上げますと、基本設計、それから詳細設計の審査の対象ということにはなっていないわけでございますが、通産省の技術基準におきまして、振動により損傷を受けることのないよう電気工作物を施設しなければならないという規定が入っているわけでございます。したがいまして、電気事業法におきまして、電気事業者がその維持をすべく、維持を求めていたところでございます。
 それで今回、今申し上げましたように、振れどめ金具が設計どおり入っていなかったということでございますので、ほかの社に対しましても至急調査をさしているところでございますが、今後この調査結果を踏まえまして、それで明らかになった原因に応じまして、我々は安全審査のあり方あるいは定期検査の方法ということにつきましても必要な対策を講じていきたいというふうに考えております。
#196
○新坂一雄君 いわゆる考え方としては、原因を究明した結果今後対策を徹底したいというお言葉ですと、ちょっと考え方が今までと同じようなパターンの繰り返しになるんじゃないですか。そうすると、例えばまた違う事故が起こったときに、マニュアルにありませんでした、それは対策をやっていきますと。
 なぜこんなことを言うかというと、やはり住民感情としまして、何か隠されているんではないか。事故が起こったときに、実はこうなっていました、今後安全対策を講じますという、何か隠ぺいするような印象を国民が持つ、あるいは市民が持つということが、原子力発電に対する非常に何かうさん臭い目で見られやしないかということを思っていて私は言っているわけでございまして、より徹底するということは、基本的にそれはそうでございますが、ちょっと考え方を変えていただけないかということから言っているわけでございます。
 それから通報体制でございます。いわゆる事故が起こったときに、付近住民にいち早く、こういうことが起こっておりますということを知らせるというのが、これは言葉はちょっとおかしいんですが、やはりガラス張りの草の根の民主主義といいますか、いわゆるツーと言えばカーと言う体制がとられているかどうかということが、先ほど申しましたような住民に対する信頼感、山東大臣が口を酸っぱくして言っている信頼感を回復していかなきゃいかぬということの一つの決め手になると思うんです。
 それで、いわゆる今回の事故についても、ちょっと表現は悪いですが、火事が起きました、火事を消すのに手いっぱいで、住民の方あるいは自治体の方への連絡体制がおくれましたというようなことの報道を聞くにつけて、非常に残念だと思っております。したがって、そういう住民に対して危ないんだよということをやはり基本的な考え方に持ってもらって、そこから出発しなくちゃいけない。それが第一の教訓だろうと思うんですが、いかがでございますか。
#197
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 今先生がおっしゃるとおり、やはり地元の皆さんの理解と信頼を得ることが原子力開発を推進する場合の一番の前提でございます。そういうことで、原子力発電所におきまして何か起こったということに対しましては適切にやはり地方自治体等に連絡すべきことは、これはもう基本でございます。
 それで、今回の事態をレビューしてみますと、確かに先生がおっしゃるとおりおくれがごさいました。そういうことで我々は、二月十九日でございますが、加圧水型軽水炉を持ちます電力五社に対しまして、異常事象が生じた場合、地方自治体へ適切かつ迅速に連絡すべきであるという指示をいたしまして、三月一日でございますが、電力各社から、社の中の関係のところに周知徹底したという報告が提出されております。それで、具体的にさらに通報連絡体制の体制整備等につきましては現在いろいろ検討が進められているということでございますので、我々はそこら辺も厳重にチェックいたしまして、今回のことを十分教訓にして指導していきたいというふうに考えております。
#198
○新坂一雄君 福島原発もそうだったんですけれども、放射能という目に見えないものがいわゆる災害の対象になる。火事とか土砂崩れとか明らかに目に見えるものは、これは大変だということはわかりますね。しかし、空気の中に放射能という非常に抽象的な災害対象物が動いてくるということに対しては、通報がまず第一になかったらこれはだれがどう感知するのかわからぬわけですね。したがって、そういう意味では予算が少ないといえば少ないかもわかりませんが、工場の中に、通報係と火事を消す係とやはり立体的に複合的に、そういう一たん緩急あった場合の柔軟なシステムといいますか、そういうものをとらないと、一人が全部をやるというふうなことで、これはこの人はこうこうこうだということの責任者はいたかもわかりません。
 しかし、その人がおくれたということは、それで周知徹底を図るということだけれども、結局周知徹底を図っていなかったということになりますわね、そういうおくれがあったということは。だから、そういうことからいいますと非常に残念なわけです。要するにどういうことかというと、逃げるということも知らされなく、本当に無告の民じゃありませんか。民主主義の原点はどこにありますか。死ねということと同じことですよ、ちょっと言葉はきついですけれども。だから、そういう意味で言うともっと柔軟なシステム体制をとってほしいということです。
 それからもう一つは、やはり防災体制でございますが、九月一日に防災デーというのがありますね。東京周辺だと、関東大地震の教訓で住民は防空ずきんをかぶって地震に対する対策。これまでこういう原子力の事故についての防災訓練というものをやったことがありますか。
#199
○政府委員(長田英機君) 原子力の防災訓練につきまして実績で申し上げますと、平成二年度につきまして北海道、宮城、新潟、静岡、島根、佐賀、鹿児島の七県、防災訓練は自治体が主催してやっておりますので、その七県が平成二年度はやっております。
#200
○新坂一雄君 住民が一緒になってやったことはありましたかという質問です。いわゆる机上訓練で、その担当官が自治体とこうなったらこうしようという机上のマニュアルじゃなくて、実際に放射能が工場で漏れましたよと、漏れた場合にそれを自治体に通達して、自治体が地域の住民とどういうところへ逃げたらいいのか、あるいは自動車で逃げるのか、ヘリコプターで逃げるのかというようなことを実際やったことはありますかと聞いているんです。
#201
○政府委員(長田英機君) 失礼いたしました。
 住民参加の防災訓練につきましては、平成二年度では北海道、平成元年度では北海道と福島県において住民が参加した訓練をやっております。
#202
○新坂一雄君 この通報体制あるいは防災体制にしても、山東大臣、やはり考え方が、そういう防災訓練をすると、原子力発電は今まで安全だ、しかし実は危ないから訓練するのではないかというふうにとられるから控えたい、自治体がそういうことをするのはやめた方がいいじゃないかというような考え方。要するに、安全神話に余りにものっとったがために、実際にそういう事故が起こっているにもかかわらず全く訓練がなかったというところがほとんどなわけですね、全国自治体の中で。そういうところの考え方をひとつ変えてみませんかということで言っておるのでございます。したがって、やはり防災訓練についてもそういうマニュアルを一般の土砂崩れや地震と同じようにひとつ枠をつくってやっていただきたいなというのが、これからの教訓だと私は思っております。いかがでございましょうか、大臣。
#203
○国務大臣(山東昭子君) 原子力防災訓練につきましては、原子力防災の特殊性と一般防災との共通性の両面があることを踏まえまして、第一義的には指導的立場にある防災業務関係者を中心にモニタリングであるとか除染などの訓練を行うことが重要と考えておりますけれども、これに加えまして、住民参加を含めた訓練を実施するかどうかは、やはり国が押しつけるということではなしに、それぞれの地域の実情というものに応じた訓練というもの、これが私は必要ではないかと思いまして、それぞれ実施主体である地方公共団体で判断されるべきものと考えております。
#204
○新坂一雄君 繰り返しになって、ちょっと残念でございます。
 要するに、自然災害の対策基本法という中に目に見えない放射能という災害が入っておるわけですね、今。したがって、今後は原子力に限っての災害基本法というような観点、要するに原子力が安全であるという神話が崩れましたと。したがって、危ないという観点で災害の基本法を原子力に限ってつくってみたらどうかという、そういう発想でいかないと、いわゆる目に見える今までの災害と同じ立場であったら、安全神話に基づいて自治体でやることによって、要するに訓練をするのは危ないんじゃないかというふうに、住民がどうしてもやっぱり感情としてそうなってしまうから、そうじゃなくて、基本的にこれはこういうことでありますという枠組みをつくったらどうかということを言っておるのでございます。
#205
○政府委員(長田英機君) 先生の御指摘は特別な立法が必要ではないかということでございますが、現在の災害対策基本法は、暴風とか豪雨とか豪雪とか、そういう自然災害だけでございませんで、原子力を含む大規模な火事、爆発、そういうようなものを含む非常に総合的なものになっております。また、その考え方としましては、それぞれの態様に応じまして、国とか地方公共団体がそれぞれ責任と役割を分担して総力を挙げてそういう災害に対応していくということでございます。
 それから今先生御指摘の、原子力は目に見えない特殊なものではないかと、まさにそのとおりだと思います。そういう点につきましては、原子力安全委員会あるいは中央防災会議におきまして、そういう原子力の特殊性に立脚した一つの防災の方法、マニュアル、そういうようなことも定めております。さらに国がいろいろな助成もしております。そういうことを通じまして、この災害対策基本法の体系におきまして私どもとしては何とか対応していける、こういうふうに考えているわけでございます。
#206
○新坂一雄君 大臣いかがですか。
#207
○国務大臣(山東昭子君) 科学技術庁といたしましても、従来からそうした住民訓練に際しましては、計画段階から地方公共団体から相談を受け、その充実に種々協力をしてきたところでございますが、私は現行法制下で必要な措置がとられているものと考えておりますので、やはり国あるいは地方公共団体などがそれぞれの責任及び役割分担のもとに、その防災計画というもの、これからも所要の措置を講じていけばよろしいんではないか、そう考えております。
#208
○新坂一雄君 冒頭の発言に戻るのでございますが、やはり今までどおりのいわゆる安全対策では住民感情としては聞かないよ、五〇%以上はもう安全と思わないよと、世論調査をやっても。そういうような非常に曲がり角に立った時点の議論で、こういうふうにシフトしていったらどうかということの政治判断をお聞きしました。要するに、そういう災害に対しても、原子力災害について特別に政治的に判断をしていく必要があるのではないかということをお聞きしているわけです。行政官の方は、これはもう法律的に瑕疵がないんだから、それは今までどおり対策をやるのは当たり前です。しかし、政治家としての判断はいかがですかというふうに聞いたんです。
#209
○国務大臣(山東昭子君) 私どもは、この原子力の安全ということに関して、専門家の方はともかくとして、やはり一般の国民に対してはまだまだ私は情報が足りないのではないかなという気がしてならないわけでございます。そのために、今までも我が庁といたしましても、草の根運動というような形でそれぞれいろいろこの原子力の安全ということに関して、あるいは原子力というものに関しましてさまざまな努力をして、対話集会であるとかあるいはパンフレットを配布したりいろいろ努力を重ねてまいりましたけれども、今後もやはり充実強化に十分努力をいたしまして、そしてできるだけ国民の理解と協力というものを得るように、今後とも安全というものに対しては多くの人たちに訴え続けていきたい、政治家としてそう考えていく次第でございます。
#210
○新坂一雄君 やはり原子力発電も光と影の部分がございまして、通産省のエネルギーを推進する立場の官庁と、それから環境保全といいますか、安全保全といいますか、そういう立場の科学技術庁との両方の境目があると思うんですけれども、非常な転換点での今後の政策のあり方というのは、今回の関電事故を最後にしてもらいたいものだと。それを教訓としてやるには、やはり考え方を少し変えてほしいなと。これを変えなくて、今までどおりの対策、要するにどういうことかというと、事故を究明しました、責任がはっきりしました、ではその人を配置転換します、あるいは要するにその制度の中で順繰りにやっていくというようなことじゃなくて、ちょっときついような表現になりますけれども、やはりあり方を変えていかないといけないんじゃないかなという感じがしたものですから質問を行ったわけでございます。
 やはり日本は資源が少ないんですから、原子力発電というのはエネルギー供給の中で今後も重要なシェアを占めるわけでございますから、とにもかくにもその利用者といいますか、いわゆる国民がそれを納得とまではいかなくても、やはりガラス張りの施策だけはやってほしいものだということを最後に希望いたしまして、私の質問を終わります。
#211
○小西博行君 きょうは三十分という時間をいただいておりますが、先日、長官の方から長官の方針なるものが出されましたので、まずそれをお伺いして、そして美浜の問題についても少し時間がありましたらお伺いしたい、このように思います。
 私まず思いますのは、最近の科学技術というのは非常に領域が広まっているんじゃないだろうか、このように思います。我々が普通思いますのは、やっぱり研究室の中でこつこつ研究する、そういう分野だけをうっかりすると考えるわけですが、そうではないいろんな、例えば国際性が出たり、あるいは経済性の問題であるとかいうような、非常に複雑多岐にわたって科学技術の分野がこれから頑張らなきゃいけない、そういうように思います。ただ、予算を見ますと通産とか文部省に比べますと非常に小さい予算で、今までも私は何度かその問題についてお話をさしていただいたりしたんですが、自前の研究所というのは理化学研究所を初め幾つかございますけれども、実は各省庁のそれぞれの研究分野に適時に予算を配分していくという、そういう作業も実はあるわけでして、現実その問題がどこまで解決されたかというのは今までの話では余り評価されていないというようなこともございます。そういうように非常に幅広くなってきているんじゃないか。だから、科学技術の分野というのは従来とは少し様子が変わっていくし、これからもますます変わっていくんじゃないか。そういうところで長官の決意をまずお願いをしたいと思います。
#212
○国務大臣(山東昭子君) 科学技術の歴史をひもといてみますと、我が国では特に明治五年に時の政府が三百六十九名の外国人を雇い入れまして、そしていろいろ技術習得に力を入れたようでございます。それの医学はドイツ、造船はイギリス、農業はアメリカというようにいろいろ専門的な技術を習得したようでございますけれども、そしてそうした私どもの先人たちがいろいろなことを吸収したおかげで今日我が国の科学技術の発展につながってきたものだなと私は信じている次第でございますが、御指摘のように、我が国が経済という面だけではなしに、科学技術の分野でも、やあ日本はなかなかやるじゃないかというように世界の中でも評価されるような形になるために国際化、あるいは我が国は年々高齢化してまいりますし、そして御指摘の価値観の多様化などの新しい時代の流れの中で、人間の知的創造力にその生存基盤を求めていかなければならない日本が二十一世紀に向けて着実に発展していくためには、諸外国以上に科学技術の振興に力を注いでいく必要がある。これは本当に我が国にとってこれから大きな課題と私は認識をいたしております。
 また、単に我が国のためだけではなくて、やはり地球環境問題といったような世界共通の、人類共通の課題を解決するためにも、科学技術の果たすべき役割というものはますます大きくなってきているわけでございます。そのためにも、我が国ということだけではなしに、乏しい、なかなか厳しい財政の中ではございますけれども、やはり国際交流ということ、そして世界のいろいろな学者との交流というもの、もちろんそれを迎えるに当たってのいろいろな環境整備ということも必要であろうかと思いますし、そしてまた、私自身就任をいたしましてから科学技術庁に携わるいろいろな研究所も視察してまいりましたけれども、学者の方たちがなかなか厳しい劣悪な環境の中で一生懸命情熱を燃やして、先端技術の解明のために、あるいはさまざまな研究に情熱を注いでいる姿を見まして、私どもも何とか先頭に立って、少しでも予算獲得に力を入れなければいけないなと肌で感じているような次第でございます。
 そういうことから、本当に科学技術の振興というもの、基礎研究であるとかあるいは国民の健康という点から医療技術に科学技術というものがどれだけ貢献をしていくのか、そういうことも踏まえまして、私どもこれから力いっぱい、エネルギーとかそれから宇宙開発とかいろいろな分野がございますけれども、これからも一生懸命努力を払っていきたいと思っている次第でございます。
#213
○小西博行君 いいお話を伺いました。私は、科学技術庁というのは小さい世帯ではありますけれども、ある意味では、例えば大学の研究機関というのは、もうこれは研究の自由、教育の自由ということで、自分の研究室、その先生の好きなことを自由にやるというのが大体、私も経験がありますけれども、大学の中のそれぞれの先生の姿勢だろうというように思いますね。
 それで、今お話しのように、地球環境をどうしようとかあるいはエネルギーはと、あるいは宇宙の問題はと、こういうその時代にひとつ向かなきゃいけないような必要性があるようなそういう問題についてやっぱり一石を投じるという、そういう意味が実は科学技術庁の大きな仕事ではないかなと。さっきがんというお話もありましたが、そのがんの問題でも実はそうではないか。各大学とかいろいろな研究機関でそれぞれやっておられると思うんですけれども、一つの方向性を定めて刺激をしていくというんでしょうか、そういう意味で非常に私は科学技術庁というのは大切ではないかと。
 先ほど同僚の議員からもちょっと質問がございましたように、十一兆円ものこういう基礎研究といいましょうか、そういう研究に予算が投じられているというお話です。これはさっきアメリカとの比較もございましたけれども、やっぱり日本の場合はどうも民間中心型の金でやっている。民間型ということになりますとどうしても応用研究的な、基礎研究はアメリカとかあるいはヨーロッパからもらったやつを品質管理の得意の分野で安くいいものをつくる、こういう分野ですね、その応用研究、そういう分野でどうしても発展していくという、これは産業界としては私は当然だろうと思うんです。そういう意味で、私は、本当ならこれは国の予算ということで、公の金で基礎研究を徹底的に追求していけるようなそういう体制はできないものかなと。これはもう全然諸外国と比べて違いますから。そういうような姿勢はお持ちかどうか、あるいはこれからどのようにしてそういう体制に持っていくのか。従来のやり方というのはずっと来ておりますから、従来こうですからこうですという話を聞いてもしようがない。その辺の姿勢はどうかなというふうに思いますので。
#214
○政府委員(須田忠義君) 先生お説のとおり、国の支出割合が少ないということは、基本的にはやはり基礎研究の比率が少ないということに連動しがちであります。ただ、連動しがちだと申したのは、宇宙開発なりビッグプロジェクトをかなり国がやっていますので、国の経費が即基礎研究とここはなかなか言えない部分もありますけれども、やはり民間は開発研究重視なものでございますから、基礎研究というのは国の責務だというふうに考えております。
 したがって、我々は今、政府が閣議決定した六十一年の科学技術政策大綱に基づいて各省庁は行政を展開しているわけですけれども、それの第一番目が創造的・基礎的研究の推進、三つの柱があるうちの一つの大きな柱として据えつけてございまして、関係各省庁はそれに向かって今進めております。しかし、全体の範囲が民間が御存じのように非常に伸びていますので、総体的な比率からいけば政府は頑張っているんですけれどもトータル的にはますます比率は減ってくる、今そういう状況で、残念ながらそういう状況になってございますが、決してこれでいいとは思っていませんで、鋭意各省庁奮起して頑張っているところであります。
 なお、もっと抜本的な方向を示すべきではないかという意見もございまして、今科学技術会議で二十一世紀を展望した今後十年間に何をやるべきか、何を重点化すべきかというのを諮問いただいておりまして、答申作業を進めているところであります。その中で研究開発投資と人材、この二つは本当に重要な問題だということで、特別な委員会をつくりまして、鋭意検討しておるところであります。
#215
○小西博行君 人材の問題を言われましたのでちょっとお聞きしたいんですけれども、やっぱり日本の場合には、さっき永野先生もちょっとおっしゃいましたけれども、大学の場合もだんだん理工系の、特に大学院への進学、これが非常に少なくなってきている。つまり、今経済界も非常に好調ですから、工学部を出ればすぐ職に就くとか、特に優秀な人材が民間に入っていく。給料が全然違うということもあるんでしょう。
 私はそういう意味で、これから先本当にそういう基礎研究をやっていただけるような、地味な仕事ですよね、こういうものに優秀な人材をどのような形で発掘していくか。さっき答弁では少し給与の改定とかその他も考えなきゃいけないというんだけれども、急に省庁の関係で技術系だけを特別よくするというわけにもいかないと思うので、恐らく大学を卒業して二十年もするとえらい差になってしまうんじゃないか。そういう感じもちょっといたしますので、そういう簡単なことではなくて、省庁で研究者がもうちょっとインセンティブのあるような、研究業務にぜひ就きたいと、例えばですよ、そういうような何か抜本的な案というのはないんでしょうか。
#216
○政府委員(林昭彦君) 先生御指摘のように、最近理工系の学生が製造業にも行かないし、ましてや研究の分野にもなかなか進んでいかないということがございますが、さらにその根っこにそもそも高校生が理工系を志願しないというような傾向が出てきているという非常に深刻な問題がございます。
 したがって、先ほど政策局長からも答弁がございましたけれども、これはちょっと簡単な対応で解決する問題ではございませんので、長期的な視点からいろいろな省庁と協力しながら立派な対策を考えていかなきゃいかぬということで、科学技術会議の中に特別の委員会を設けて、そこで御検討もいただいております。また、そこでいいアイデアあるいは御示唆をいただければ、それを踏まえて私どもも必要な対策を考えてまいりたいと思います。
 いずれにしても、御指摘のように、小手先の対策ではとても解決する問題ではございません。私どもも今後一層いろいろな意見を聞きながらこれに対応してまいりたいと思っております。
 ただ、現在既に研究者になろうという意思を持っておられる方、あるいは研究者になられた若手の方にできるだけいい環境の中でその才能を伸ばしていただくというのは、今後の創造的な基礎研究というものを推進する上でぜひとも必要なことでございますので、その対応として先ほど申し上げましたような、例えば初任給の引き上げとか、これはほかの一般の公務員よりは若干優遇するというような意味での引き上げというようなこと。あるいは国内国外の留学制度の充実、あるいは理化学研究所とかあるいは国研でドクターを取った若い優秀な研究者に自由に行って研究していただくというような制度、こういうものをさらに充実さして対応してまいりたいというふうに考えております。
#217
○小西博行君 ちょっと余談になりますが、実は私は文教委員会にも所属しているわけです。この間、ちょっといろんな学校を歩いてみたんですよ。例えば造船関係です。造船専門高校とかいうのがありますね。工業高校の中の造船とか機械とかいう、昔だったら自分の子供さんをぜひそこへ行かして、それで造船に勤めさしたい、こういうのが非常に盛んで、田舎の学校でありますけれども、全国からそこへ集まっていたそうです。ところが最近は、そういうようなのがだんだんだんだんなくなりまして、それは全然需要と供給の関係でお客さんが来てくれないというんですから学生が来ないというんですね。ですから、行ってみますと、毎年七十人入る高等学校なんですけれども、成績のいいのは全部機械の方へ無理やりに入れて、あと残りだけ二十人、これはもう無理やりに造船科へ入れるんですと。では、卒業した者は造船の会社へ行くかというと全然違うと。スーパーその他の方がきれいでいい、給料も何かいいということで、産業界でも相当努力しなきゃいけないんだけど……。
 結局、物をつくる喜びというのは小学校、中学校あたりから今の教育の中では非常に弱いですよね。これはスウェーデンとかデンマークに行ったらよくわかりますように、非常に大切にしていますよね。十二、三名ぐらいの小学生を集めて、先生が大体二人ぐらいついて、そして物をつくるいろんな発想、これを指導します。日本は家庭科というのがあるんですが、それはもう本箱でも何でも全部標準品がありまして、かしゃっと組んだら全部同じものができます、大体。そういうことでは全然物つくりの喜びが出てこない。恐らく皆さん方の中にもひょっとしたら鉛筆を削ったことのない方も若い人ではいらっしゃるかもわからない。省庁の人が来られて、あなたは削ったことがあるのかと言うと、全然ない、もう全部器械ですと。要するに、物つくりの喜びとか、そういう分野が全然ない教育体制に今なっているんじゃないかというので、文部省の方では何とかそういうような方向で指導要領に何かないかと……。
 ところが、先生がもう全然だめでしたね、その造船関係へ行ったら。先生そのものは造船についての具体的に物をつくる、例えばエンジンの分解だとかいうのは、もうエンジンもないんですから、それで、何を実習でやっているんだと言ったら、手すりのパイプを溶接でつけると言うんですね。これは全然おもしろくないだろうと思います。船はもちろん一隻もありません。それを県の方へ何とか申請してお願いしようと思ったら、一千五百万もとはとんでもないというようなことで、これはだめになった。
 それから、今度はこういうのがあります。船員の養成所です。商船専門学校、これは国立です。そこへ行きますと女性の生徒が非常に多い。それで、私はえらい喜んで、船乗りというのは多いんですなと言ったら、違う。これは情報工学、コンピューターの科目を設けることによって船乗りの方へ入る人を全部そっちへ持ってきている。だから、トータルとしては何とか維持している。大体こういうのが今、日本の世間一般の情勢じゃないでしょうか。
 私も工学部で教えておったんですけれども、その工学部の学生ですらスーパーの方がよろしい、もちろん鉄鋼とか造船というのは三Kとか四Kとかいって嫌なんだと。それで、何をやらしても非常に不器用なんですね、手先を練習しておりません。ちょっとこれは余談ですけれども、そういうことがあります。ですから、物をつくったり研究してその喜びを感じるという、そういうお金だけではない分野というのは当然私は必要だと思うんです。
 研究者は独特のわがままな面もありますし、それから非常に熱心な部分もありますから、その辺の研究者への刺激の与え方というものを省庁の中でも相当考えて、特に科学技術庁の場合は考えていかないと、もう自由にやってくれということだけでは今の若い子をうまくつなぎとめて研究に没頭させるというのは難しいんじゃないか、私は個人的にはそのように考えておるので、その点は何かアイデアはありませんか。
#218
○政府委員(林昭彦君) 今大変御示唆に富んだ御指摘をいただきましたけれども、例えば、北の丸にございます科学技術館のようなところで、最近はできるだけ青少年に今御指摘になったような物つくり的な、手にとっていろいろなことを自分でやってみて科学技術を身につけるというような展示を工夫する、あるいは大阪にも同様のものがございますが、そういうことはフォローしているようでございますが、必ずしも十分とは言えない、数が全国に何十もあるというわけにはいきませんので。
 これから私どもとして、先ほども申し上げましたように、長期的な課題として真剣に取り組まなければいかぬ問題だと思いますので、御指摘いただいたようなことも踏まえて対策を考えてまいりたいと思います。
#219
○小西博行君 もう時間がないですから余りこの問題は触れられぬのですけれども、何かそういうようなことを考えないとちょっと困るんじゃないか、そういうように私は思っております。どうも受験体制というのがいろいろ問題があるようなんですね。ただ、工作だとかそんなものは余り試験に出ませんから、やっぱり机の上でいろいろものを暗記した方がプラスという面もある。それで親もそれを求めるという問題もあろうかと思います。
 では、次に、美浜の問題を少し聞かしていただきたいと思います。
 私もまだ細かく調べた段階ではございませんし、そのうちに具体的な発表があるということですから、その途中ですから、どれが正しいとかどれが間違っているというようなことは、決定的な発言はできないんですが、ただ、今回のこの事故を見ておりまして、事故が起きましてすぐ毎日毎日新聞紙上で一般の皆さん方に知らしめるという公開法の原則というんですか、そういう情報公開という意味では私はこれはよかったのではないかというように思います。
 ただ、原子力という問題は、何ミリレムだとかいうその単位の使い方とか、五億なんて言われたらこれは大変なことだとかいう数字の単位なんかもありますので、これはもうたびたび私は前から言っているように、科学技術庁というのは事故が起きるとわいわいやる。その火を消すためにえらい努力をする。努力しても成果が上がらない。だから、そういう問題というのは事前に、まあ予算をとって実際やられているというさっきのお話ですけれども、もう少し丁寧に上手に一般の皆さん方にPRをこれはやっぱりやっていかなきゃいけないんじゃないかなと、そのことを私は思います。特に、原子力発電所のある地域というのは何かにつけてそういう説明会とか何かあるんですけれども、一般の人はほとんどもうわからないだろうと、そのように考えていただいて、その辺の一般の人にどうして知っていただけるかということをぜひ考えていただきたい。
 今度の事故で私思いますのは、一つはハード部分ですね。いわゆるあのパイプの材質だとか形状とか中の流量、圧力あるいは腐食の問題、いろいろ私あるだろうと思うんです。それともう一つはやっぱりソフトの問題ですね。これは運転管理をどうするか、もし問題が起きたらそれはすぐメーターでキャッチして対応ができる、そういう二重三重のチェック体制というんですか、この二つが実は大きく分けて大事であると前から思っているんです。ただ、たまたま今度の場合は何人か人為ミスというのが一つ入りましたよね。だから、一つは設計とか施工上の問題と、人為ミスとこの両方にまたがるような問題が出てきた。しかし、この問題はやっぱりどうでしょうか、発電所をやって随分長い時間がたっている。その間に金属の疲労とかいろんな問題が出てきて、よくはない、非常に高い代償でありますけれども、一つのこれが問題提起ということで、これを基準にこれからどのような管理体制あるいは施工上のいろんな問題、こういう問題をやっていくかという大きな問題だと思うので、その辺は、さっきもお聞きしましたが、特にほかにこの点は申し上げたいということがございましたらお願いを申し上げたいと思います。
#220
○説明員(倉重有幸君) 今回の美浜の件でございますけれども、現在まだ原因を究明中でございまして、その原因に応じまして再発防止対策をしっかりとっていきたいと考えております。
 その中で、今先生御指摘のハードの部分それからソフトの部分、両面で何をすべきかということで、幅広く教訓を引き出して、原子力発電所の安全に万全を期していきたい、二度とこのような事態にならないようにしっかりやっていきたい、このように考えております。
#221
○小西博行君 人為ミスですね、これはバルブを閉めたというんですが、あければよかったのかもしれませんが。発電所なんかに行きますと、最近は全部メーターだけじゃなくて色でぱっぱっと出てきますよね。そういう意味では非常にわかりやすい。それでブザーが鳴る。こういう人間工学的ないろんな設計は確かにできているんですね。それで、作業標準というのがありまして、声に出してやっていますよね。それは私は非常にいいと思うんですが、これも前から言っているんですが、やっぱりなれが一番怖いだろうと思います。なれてくるんです。つまり、刺激というのは、そのときはしかられたらすごく困ったと思うんですけれども、何回も毎日しかられておりますと当たり前みたいになってくるのと同じように、そういうチェックの方式というものも、これは恐らく人間の心理とかいろんなものから考えまして、方式を時々変えてやるとか、作業員も同じメンバーでただやっているものですから緊張感がだんだんなくなってくるという、そういう面も私はあるんじゃないかと。特に機械と人間とのそういうかかわり合いになってきますとそれがあるような気が私はします。
 私もそういう経験が実はあります。製鉄会社で鉄板が流れてくるやつをチェックするわけです、例えば大きな穴があいているとか。チェックしましたら、二人でやって大体二〇%しか見つけることはできない。ゆっくり走っていますから見ていれば全部わかりそうなものだけれども、大体そういうものはずっとやっていますと焦点が合っておりません。よそごとを考えていますからほとんどミスが出てきます。そういうようなミス防止のためにやっぱり、今までやってきた作業標準とかなんかは結構だと思うんですけれども、時々それに刺激を与えるような方策を何かとらなきゃいけぬだろうと、特に人間の問題については。そのように私は考えておるんですが、何かそういう方策というのは通産省の方でもありませんか。
#222
○説明員(倉重有幸君) 先生今御指摘の人為ミスというのが端的に今回あらわれましたのは、加圧器逃がし弁の二個とも作動しなかったということで、その原因を究明していきましたところ、逃がし弁の作動の空気のラインに弁があるわけでございますが、その弁が閉じられていたということでございます。この弁は実は現場での手動弁でございまして、その開閉状態は中央制御室に表示されない弁でございます。しかし、この弁は運転中には当然オープンにしておかなきゃいけない弁でございまして、そういう面で非常に残念な人為ミス、もう典型的な人為ミスかと思います。
 これでもまたいろいろ将来しっかりした教訓を引き出したいと思いますけれども、マニュアルの規定の仕方、それからそれのチェックの仕方と両方あろうかと思いますが、さらには場合によってはそのハードの改造等もあろうかと思います。その辺私ども前広によく考えていきたいと考えております。
#223
○小西博行君 それからさっきから問題になっている例のとめ金ですね、細管のとめ金というもの、あれは十四から十八列までですか、一応きいていなかった。しかし十四だけがいろんなファクターがそこに集中して破断を来した、こういうのがありますね。それは一体だれが悪いのかという議論がさっきからもございます。
 例えば、メーカーの方でちゃんとセットしてやったはずですよね。だからメーカーが悪いという言い方。そして、いやそれは、実際に運転管理をやっている関西電力の何々職務か知りませんけれども、その人が責任を持ってチェックしなきゃいけないのか。そうなると、どうも中が非常にさっきのお話では見にくい。三千本もあるようなやつを一々チェックして運転するということは不可能だろうと思うんですね。では通産省は一体どうなんだと、こういう問題が出ておるんですね。これは一般の会社でそういう責任問題というのが事故が起きるたびによく出てきます。そういうようなのはもうほとんど全部職務を明確に普通はしているんですね、自分の守備範囲を。
 だから、それは係長が責任なのか、何々課の係長か課長か、あるいは作業員の責任者なのかということがさっきの議論でも全然わからない。美浜は四号とか五号になった時点から、六十年再開ですか、あれは四号か。あれは何か運転の方でも、つまり関西電力でも中をチェックするようになったんですという話もちょっと情報が入っているんですよね。ただ、この二号炉の段階ではそういうことが全然なかったんだと、もちろんやりなさいというそういう法律もありませんし、そういうことだというふうにちょっと聞いているんですが、これはもっと詳しくなるだろうと思うんですけれども。私、そういう意味で、その辺の標準書みたいなものをある程度つくって、それは通産省の問題点であれば問題点ということで処理していかないと、何となく、事故が起きるたびにどこだろうと言ってみんななすり合いをするでしょう。
 で、なかなかそれが定まらないという問題がありますから、私はあの標準書というのはもう既に企業にあると思うので、もうちょっと詳しくその部分を明確にしておけばどうでしょうかね。私は、何かつくって設置した段階というのが一番まず大事じゃないかなと、そういうように思ってはいるんですけれども、ただ操作が間違ったとかなんかというのは別問題だと思いますが、その辺はどういうようにこれからやられますか、今の職務を明確にしていくという。
#224
○説明員(倉重有幸君) 今回のトラブルでございますけれども、AVBが設計どおり入っていないということが、その可能性が非常に高いわけでございますが、ではどこにその責任があるということになるわけでございますが、設計図では十二列までAVBがちゃんと入っているべきところが、今回の損傷、破断した細菅のところには入っていないということがあるわけでございまして、ではそれは製造段階からなったのか、ないしは製造した後に何らかの経年劣化でなったのか、それによってまた責任の所在も変わってくるかと思います。
 通常、この蒸気発生器の二次側といいますのは水の流れがございます。また蒸気が発生するということで流れがあるわけでございますが、きちっとした溶接をしておれば、そんなに力がかかるわけでもございませんし、それから同様の施工方法はほかのプラントでもたくさんございますので、そういう面では経年劣化というのはなかなか考えにくいということであれば、当初から設計図どおり施工されていないのではないかというのが現時点では可能性が高いということになろうかと思います。そういう面では当然メーカーの責任というのはあろうかと思いますが、それはまた設置者であります関西電力とメーカーとの契約関係になろうかと思いますので、その点の責任問題というのは、また民事上の問題もあろうかと思いますので、国がその点については言及するのは適切ではないかと思います。
 しかし、設置者であります関西電力には、私どもの電気事業法によります技術基準において、先ほど申し上げましたように、抽象的でありますけれども、二次冷却材の循環、沸騰によりまして生ずる振動によって損傷を受けないように施設しなければならないというふうに規定しておりますので、その維持を求めているわけでございまして、そういう面では関西電力は電気事業者として電気工作物を安全にその工事、維持、運用する責任を負っているということは、これは間違いないわけでございます。
 では、通産省はその責任がないのかということになろうかと思いますが、従来この部分については私どものチェックの範囲外でやってきたことでございますが、今回このような事態が起きたわけでございますので、前広にどこをどう直していけばいいのかよく検討していきたいと考えております。
#225
○小西博行君 終わります。
#226
○委員長(和田教美君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト