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#1
第120回国会 科学技術特別委員会 第4号
平成三年四月九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         和田 教美君
    理 事
                岡部 三郎君
                永野 茂門君
                三上 隆雄君
                太田 淳夫君
    委 員
                岡野  裕君
                鹿熊 安正君
                熊谷太三郎君
                後藤 正夫君
                谷川 寛三君
                福田 宏一君
                前島英三郎君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                櫻井 規順君
                種田  誠君
                吉田 達男君
                吉川 春子君
                新坂 一雄君
                小西 博行君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       山東 昭子君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      平野 拓也君
       科学技術庁長官
       官房審議官    石田 寛人君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   須田 忠義君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   林  昭彦君
       科学技術庁研究
       開発局長     井田 勝久君
       科学技術庁原子
       力局長      山本 貞一君
       科学技術庁原子
       力安全局長    村上 健一君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        大平 芳弘君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     小山  裕君
       環境庁企画調整
       局地球環境部企
       画課長      濱中 裕徳君
       通商産業省立地
       公害局環境政策
       課長       若杉 隆平君
       資源エネルギー
       庁公益事業部開
       発課電源立地企
       画官       藤田 昌央君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電課長   立石幾久治君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全管
       理課長      倉重 有幸君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(科学技術庁))
    ─────────────
#2
○委員長(和田教美君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 去る三月二十九日、予算委員会から、本日の午前、平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 本件の説明につきましては、既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○岡部三郎君 平成三年度の科学技術関係予算は五・三%と、政府全体の一般歳出の伸び四・七%を大幅に上回る伸び率を示したわけでありますし、科学技術庁予算だけでも五・六%と近年にない高い伸び率を確保することができたわけであります。特に、生活関連ということで七億一千万ほどではありますけれども、公共事業費を重粒子線によるがん治療の施設とか、あるいは直下型地震予知のための深井戸の経費等に導入できた。これはまさに画期的なことでありまして、大変大きな成果だったのではないかと思うわけでありまして、関係者の御努力に対してまずもって敬意を表する次第であります。
 今後の科学技術は、現在科学技術庁予算の大部分を占めております原子力開発とかあるいは宇宙開発等の大規模プロジェクトもさることながら、生活重視の時代でありますから、国民が豊かで健やかな生活を送れるようなきめ細かい身の回りの科学技術を重視していく、これは大臣が御就任以来唱えられていることでありますが、そういうことが非常に大事なことではないかと私も思うわけでありまして、まず大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(山東昭子君) 科学技術は今や私たちの生活に密着した不可欠なものでございます。御承知のとおり、電力の約三割は原子力発電によって供給されておりますし、放送衛星を使ったテレビや、あるいは気象衛星を用いた天気予報など、私たちの日常生活のあらゆる側面で科学技術が活躍をしているわけでございます。
 特に、今、岡部委員もおっしゃられましたように、重粒子線によるがん治療体制の整備を初めとするがん対策などのライフサイエンス、首都圏直下型地震予知体制の抜本的強化を初めとする地震予知研究など、国民生活の向上に貢献するさまざな分野の科学技術を推進しているところでございますけれども、今後とも人間福祉に貢献する科学技術を目指してまいる所存でございます。
#5
○岡部三郎君 我が国において基礎研究の重要性ということが言われてから久しいわけでありますが、今回新たに「さきがけ研究二十一」という制度が予算に盛り込まれたわけでありまして、これはちょうど十年前に、昭和五十六年度ですか、創造科学技術推進制度ができて以来の大ヒットではないかと思うわけです。基礎技術ただ乗り論にこたえるためにも、この制度の活用を大いに図って、独創的な、しかも解放されたというか、公開された基礎研究の振興ということに大いに努めていく必要があるのではないかと思うわけです。
 特に基礎研究というと何か研究者の好奇心から独自にやる研究のみを考えがちであり、またそういうことにこそ金をつけるべきだという学者先生方の一部の御意見もございますけれども、私は必ずしもそうは思わないので、今、日本が進めなければならない基礎研究というのは、やっぱり日本が現在抱えているさまざまな政策的な課題、特にエネルギーの問題であるとか、あるいは食糧の自給の問題であるとか、あるいは高齢化時代の医療とか福祉とか、さらに世界的な課題でもあります地球環境の問題とか、こういった重要な政策的課題を解決するために役立つ科学技術を明確に意識して、そのための基礎研究に投資してこそ税金を
使う価値があるのだというふうに考えるわけであります。これは何も私だけが言っているんじゃなくて、国際的にも今やそういった考え方が非常に強くなってきまして、いわゆる戦略的な基礎研究ということが見直されつつあるというふうにも思うわけであります。
 こうしたことにこの「さきがけ研究二十一」という制度は大変適合した、活用のしやすい制度ではないかと思うわけでございますので、そういうものを大いに活用して基礎研究の振興に役立たせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#6
○国務大臣(山東昭子君) 基礎研究につきましては、その推進に当たりまして研究資金や人材を広範な分野に一様に投入するのではなく、その研究の意義あるいは重要性などを勘案した上で戦略的に推進していくことが重要であろうかと存じます。
 科学技術政策大綱では、特に重要な分野としてライフサイエンスなど七分野の基礎的あるいは先導的科学技術を挙げているほか、社会及び生活の質の向上のための科学技術の推進も示しており、政府といたしましては、これらの分野におきまして積極的に基礎研究を推進しているところでございますが、今後とも戦略的な観点を十分念頭に置きつつ基礎研究の強化を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
#7
○岡部三郎君 東西冷戦の終結によりまして、宇宙開発の面でも、これまで米ソの間に行われておりました熾烈な開発競争というのが若干レベルダウンをしてまいりました。これからはこういったような大型プロジェクトというのは国際協力のもとで効率的に進めるべきだ、こういったことが今や世界の共通の認識になりつつあるのではないかと思うわけです。
 今回の湾岸戦争の経過等を見ましても、平和維持のために人工衛星というものの果たす役割は非常に大きなものがある。また、地球環境等人類共通の問題解決のためにも大変大切な部門である。さらに、他の科学技術分野に与える波及効果も大きい。また、青少年に夢と希望を与えるといった面でも大きな効果があるわけでありますから、こういった宇宙開発予算、今回も大分伸びまして一〇%近い伸び率を得たわけでありますけれども、まだそれでもアメリカの十分の一、ヨーロッパの二分の一にすぎないということでありますから、我が国の技術力、経済力の大きさから見てふさわしい水準というにはほど遠いと思うわけでありまして、もう少し増額して国際的にも評価を受けられるようなものにしていかなければならないと思いますが、大臣のひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
#8
○国務大臣(山東昭子君) 我が国におきましては、宇宙開発委員会が定めました宇宙開発政策大綱を指針といたしまして、大型ロケットや各種人工衛星、また宇宙ステーションなどの研究開発を精力的に行っておりますが、その予算につきましては、宇宙開発の重要性にかんがみまして、従来より所要の額の確保に努めてきたところでございますが、平成三年度におきましても厳しい財政事情の中で、政府全体の一般歳出の伸びが四・七%であるところを宇宙開発予算は政府全体として対前年度比九・六%増の約一千七百七十七億円を計上いたしまして、重点的な配分を行ったところでございますが、今後とも我が国の宇宙開発の円滑な推進が図られるよう適切な処置を講じてまいる所存でございます。
#9
○岡部三郎君 次に、関西電力美浜原子力発電所の事故について、要望並びに質問をいたしたいと思うわけであります。
 原子力の開発利用に当たって、国民のこれに対する信頼感ということが何よりも大切であるということは言うまでもないわけでありますが、今回の事故は、逆に原子力に対する不安感を国民に与えたのではないか。そういう意味で非常に重大であるというふうに認識をいたしておるわけです。特に情報提供がどうも後手後手に回りまして、国民は、情報が小出しにされるので、まだ何かあるんじゃないかといったような不安感というか不信感を持つに至ったという面があると思うんです。
 具体的に言いますと、例えば事故が発生したのが二月九日でありますが、国から最初の発表があったのが二月十二日でありまして、この間に三日もたっておる。もちろんその中には日曜もありましたし祭日もあったわけでありますけれども、こうした際にはそういうことは言いわけにならないので、三日おくれて国が情勢を発表するというのは、これはやはりどう見ても遅過ぎるのではないかと思うわけであります。
 さらにその内容が問題で、事故の経過を簡単に述べた後で、なお書きで外部に対する安全性ということを述べている。国民が知りたいのは、やはり何といってもそのことが安全であるのかどうかということであるわけでありますから、しかも安全だという根拠は、ここに文書もありますけれども、発電所敷地内外に設置されている放射線監視装置の指示値が通常と変化がない、だから外部に対する放射能の影響はない、こういう理由でありますが、こういうことならもう事故の発生直後にわかるはずなので、不幸にして事故が起きた場合には、その直後にやはり安全であるかどうかということをまず国が宣言して、あと事故の原因がどうだとかいうようなことは時間をかけて慎重に調べればいいんではないか。そういったタイミングと手順という面で今回は多少問題があった。多少というか相当問題があったと思うわけであります。
 それからまた、当初の新聞論調等では、アメリカのスリーマイルアイランドの事故と比べてその一歩手前であるといったような、どうも国民の不安感をあおるような過激な論調があったわけでありますが、こうしたものに対しては、やっぱり国ははっきりとした反論をすべきだ。これは意見広告でも何でもいいですから、そういうものにきちっと反論をしていくということが非常に大事なんじゃないかと思うんですが、どうもそういうことが見られなかった。こういったようないわゆる危機管理の体制という面で、これは原子力の事故に限ったことじゃありませんけれども、どうもいま一つまだ十分とは言えない面があるのではないかと思うわけです。
 何十億もの金を使ってPAをやるということも非常に大事でありますけれども、それとともにこうしたことをきちんとやるということが国民の信頼を得るために大変必要なことではないかと思いますので、これを機会に十分ひとつ御検討をいただいて、今後遺漏のないような処置をお願いしたいと思います。これは要望でございます。
 それとともに、原子力関係の事柄というのは、まあ私どももそうでありますけれども、ちょっと記事を読んでもすぐに理解するということはなかなか一般の国民はできない。そういう点から、個々の事故が人体だとかあるいは外部の環境にどの程度の影響を与えるかということを数値で示す。地震の場合の震度みたいなそういう評価尺度というんですか、これを既に通産省は開発されて、他のケースの場合には公表しておるということも承知をしておるわけでありますが、今回美浜の場合にはその数値がどうも報道面等にあらわれてこなかった。これは一体どういうわけなんでしょうか、通産省にまずお尋ねをしたいと思います。
#10
○説明員(倉重有幸君) 今御指摘の評価尺度でございますが、これは平成元年の七月から運用開始しておるわけでございますが、レベルゼロから八までということで九段階に分けまして、三つの基準を用いて判断する。すなわち、放射性物質の原子炉施設外への影響、それから放射線業務従事者の計画外被曝線量、それから原子炉施設の状況ということで、その三つで判断するということにしたわけでございます。
 今回の場合に、美浜二号機の件でございますが、二月九日に起こりまして、通産省としては二月十二日にプレス発表したわけでございます。発表したときに、実は本件はレベル三または二であるということを発表しておりまして、これはプレス発表文そのものには入れておりませんけれども、プレスの問い合わせ等にはそれまで実は答えている
わけでございます。そういう意味で今回の評価尺度は余り新聞等によく伝わっていないという御指摘等もございまして、本年度よりトラブルが発生した直後のプレス発表文には、この暫定評価でありますけれども、プレス発表文に入れて、その評価尺度の活用ということをしていきまして、トラブルに関する一般的な方々の御理解が一層深まるように努力していきたい、このように考えております。
#11
○岡部三郎君 発表はしたけれども、十分報道で取り上げられなかった、こういうことでありますが、やっぱり自信を持ってひとつ積極的に、そういうPAの方法といいますか、表現方法をやってもらいたい、しかも迅速にやってもらいたい。
 地震が起きたときにも、夜中に地震があっても、テレビをつけて震度二なら二だと、それなら寝ているか、こういうことで、国民はそれで安心をするわけでありますから、そういう面でこの原子力の事故の際にも、もちろん事故を起こさないということが基本でありますけれども、これは機械でありますから、故障というものが起きることはあり得る。そうした場合に、国民がその故障がどの程度で、我々の生活に影響があるのかないのかということが一番知りたいわけでありますから、それを的確にあらわすような指標を、もちろん初めはなかなかそういってもすぐに一般になじまないという点はあろうかと思いますが、ひとつ積極的にPRをして理解が得られるように努めていただきたいと思うわけであります。
 不幸にしてこういう事故が起きたらば、まず最初に安全であるかどうかということの調査をしてその宣言をする。これはできるだけ早ければ早いほどいいと思いますし、それと同時に、こういった数値でその程度をあらわすということをまずやっていただいて、原因調査等はその後で時間をかけて慎重にやる、そしてはっきりしたその原因がわかったところでまとめて発表する、そういうやり方が非常に大切ではないかと思うわけでありまして、こういうことも含めた今後の安全対策について、これは国務大臣であられる科技庁長官にひとつお伺いをしたいと思います。
#12
○国務大臣(山東昭子君) こうした原子力施設というものの事故は本当に基本的に起こってはならないことでございますけれども、もしもこのような故障であるとかあるいはトラブルなどが発生をした場合には、やはりその情報というものを迅速に、そして的確に、またわかりやすく国民に提供するということが非常に重要であろうと考えているわけでございます。
 いろいろ放射線や放射能に対する数値というものは、国際的に共通の数値はあるのでございますけれども、なかなかわかりにくいところでございますので、当庁といたしましては、最初に発表する際にその影響の程度をわかりやすくするための数字、先ほどもおっしゃいましたけれども、影響度、影響度階と呼んでおりますけれども、これを公表する制度を一昨年から運用しているところでございます。
 いずれにせよ、原子力の開発利用を進めるに当たりましては安全の確保に万全を期すことが大前提でございますし、今後とも内外の原子力施設の故障やトラブルなどの十分な原因究明を行いまして、その結果を踏まえながら原子力の安全確保に最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。
#13
○岡部三郎君 次に、報道されるところによりますと、アメリカ・ワシントン州にある高速増殖実験炉、FFTFがアメリカの予算の逼迫から運転が継続できない、我が国に資金援助を求めてきておる、こういうことであります。また、先般の日米首脳会談では、ブッシュ大統領から直接海部総理に、SSC、超電導超大型加速器への日本の協力要請がなされたわけであります。
 今後こうしたケースはますますふえてくるのではないかと思うわけでありますが、従来我が国はこの研究開発に当たって、欧米諸国、特にアメリカの負担で建設されたこういった高度の試験研究施設を有効に活用させてもらっていただけに、こうした要請の処理を一歩誤ると再びただ乗り批判を招きかねないのではないか。しかし、だからといって何もかも応ずるというわけにはいかないわけでありますから、この機会にどういうケースに対してはどの程度まで応ぜられるのかといったようなルールといいますか、まあこれを公表するかどうかはともかくとして、そういう基準をひとつ十分検討していただいて、やっぱりタイミングを逸しないように処置するということが非常に大切ではないかなと思うわけでありますが、これについてはいかがでしょうか。
#14
○国務大臣(山東昭子君) 国際社会において大きな地位を占めるようになりました我が国といたしましては、地球的視野に立ちまして国際社会に積極的に貢献していくことが大切であろうかと存じます。このためにも、今、岡部委員がおっしゃられましたように、幅広い国際協力を科学技術面においても積極的に推進することが必要であり、また、諸外国からの批判や協力要請に対しましても迅速かつ的確に対応していくことが重要であろうかと思います。そのために研究者や関係行政機関のコンセンサスを得ていくことが重要ではないかと思います。そのために科学技術会議や日本学術会議などの意見を勘案しながら対応策の検討を進めてまいりたいと考えております。
#15
○岡部三郎君 あと一分でございますので、これは要望にとどめたいと思いますが、この十八、十九の両日、東京で国際熱核融合実験炉、いわゆるITER計画の工学設計の拠点をどこにするかという公式協議が行われるようでございますけれども、核融合の研究というのは、これは言うまでもなく日本が大変進んだ分野でもありますし、また日本にこういうものが来れば他の研究開発への波及効果というものも大きいわけでありますし、また国際貢献という面からも大変意義があるということでございますから、ぜひこの誘致が実現できるように、いろいろと各四極それぞれ要望もあるようでありますけれども、ひとつ最大限の努力を払っていただきたいと思います。
 以上を要望いたしまして、私の質問を終わります。
#16
○種田誠君 今日、地球温暖化、またオゾン層の破壊、さらには酸性雨による森林の破壊、こういうことが世界的な重要関心事になっております。そして、このことは日本国民ばかりでなくて世界的にも十分に認識をされつつある今日であります。そしてまた、不幸にしてさきの湾岸戦争におけるもろもろの環境に対する影響は極めてゆゆしき事態に今至っているわけでありますが、そういう中で今般平成三年度予算の中に科技庁として地球温暖化解明予測の総合推進ということでグリーン・プラネット・プロジェクトというものをつくられたようでありますが、まずこの点について、科技庁としてこのようなプロジェクトをつくってどのように対応していくのか、そのことを冒頭伺いたいと思います。
#17
○政府委員(井田勝久君) 地球温暖化問題は、ただいま先生の御指摘のように、人類の生存基盤を脅かす大変重要な問題でございます。特にこの問題を解決する上では科学技術によるブレークスルーが何よりも重要である、こういうことから私ども科学技術庁といたしましては、科学技術によりまして緑豊かな地球を守るという意味を込めましてグリーン・プラネット計画、そういった計画に総力を挙げて取り組んでまいりたい、こうしたわけでございます。
 この内容といたしましては、科学技術庁は、宇宙開発でありますとか海洋開発でございますとか、こういった研究開発分野で培ったノーハウ、これを最大限に活用いたしまして、関係省庁とも連携をとりながら炭酸ガスの排出抑制対策など諸対策を適切に推進するというものでございます。
 内容からまたさらに詳しく申しますと、この内容は観測・監視、それから調査研究、それから関連情報の流通と三つを柱としているわけでございます。
 まず宇宙から広く継続的に地球を観測する。これは宇宙からのみできるわけでございまして、こ
ういった観測する衛星を開発するということでございます。そのためには、海面水温でございますとかオゾン分布でございますとか、こういったものを地球規模で観測する地球観測プラットフォーム技術衛星、こういうものを開発することといたしております。この衛星には通産省、環境庁のセンサー、さらにアメリカとかフランスの観測センサー、こういうものを搭載いたしまして、国際協力をしながらこの推進をしていきたい、このように考えているわけでございます。
 さらに、気候変動を左右する熱帯におきます降雨でございますが、これを広域で観測する熱帯降雨観測衛星の開発研究を米国と協力いたして推進してまいりたい、このように考えているわけでございます。
 また、地球表面の約七割、地球表層の水の九八%を占めまして地球規模の気候変動に大きな影響を及ぼします海洋につきましては、海洋音響トモグラフィー、これは音波を用いまして千キロメーター四方の海水の温度の分布を断層測定できる技術でございますが、こういった技術を初めといたします海洋観測技術の研究開発を推進してまいりたい、このように考えているわけでございます。
 こうして得られました人工衛星の観測データ、あるいは海洋または地上での観測データなど地球温暖化の研究に資する情報の流通促進、これを図ってまいりたいと思っております。
 さらに、科学技術庁の研究機関だけではございません。気象庁とか農水省、通産省、環境庁などの各省庁の研究機関の研究能力を結集いたしまして、地球温暖化に関する諸現象の解明のための調査研究といたしまして、雲が地球温暖化に及ぼす影響解明研究、熱帯林の変動とその影響解明研究、砂漠化機構の解明研究等を推進してまいりたいと考えているわけでございます。科学技術庁といたしましては、今後とも本プロジェクトによりまして、地球温暖化問題の解決に各省庁と連携を図りつつ、国際協力の視点も踏まえまして総合的に取り組んでまいりたい、このように考えているわけでございます。
#18
○種田誠君 今答弁があったわけでありますが、まさに宇宙の観測から地球全体の観測まで極めて幅の広い行動となるわけであります。しかも、この問題に関しては一年や二年で解決するものではないと思うわけでありますが、答弁にもあったように、各省庁との調整などを図りながらその成果を積み上げていきたいという答弁もあったわけであります。それは昨年、多分地球環境保全関係閣僚会議におきまして、地球温暖化防止の行動計画というのが閣議決定になっておる。この関係の中においてこれらの観測も位置づけられるということだと思うわけでありますが、それにしても科技庁として、今回の予算が百三億程度でありますけれども、この予算でまず十二分にやっていけるんでしょうか。
#19
○政府委員(井田勝久君) 環境研究につきましては各研究機関の総力を結集する、そういった研究機関のまずやれるところからやっていこう、こういうことでございます。そういう意味で、私どもとしては、今先生御指摘がありましたような百三億の予算でございますが、本年度そういうことで、百三億の予算ということで重点的にふやしまして推進していくということで、長期的に今後ともこの研究についてはさらにその推進を図る、長期的観点から漸次強力に推進を図る、こういうことにいたしたいと考えているわけでございます。
#20
○種田誠君 私が最近読んだ書物の中に、地球の全体を覆っている汚染を減らして、しかも同時に私たちが予定しているような経済の成長を遂げていく、こういうことが可能になる唯一の道はまさに生産や消費に係るさまざまな技術の徹底的な転換を図っていく必要があるだろう、それは私たちが二十世紀につくり上げた技術ではなくて、まさに新たな二十一世紀にふさわしい技術でなければならないだろう、こういうふうにも言われている。そういう言葉の中に、何か現代技術が持っている可能性、そういう中に地球温暖化の解消、さらには地球の環境を新たにつくっていくそういう道が生まれるんではないだろうか、私はこう思うところであります。
 そういう意味で、今局長の答弁にもありましたように、長期的に取り組むとするならば、やはりこのグリーン・プラネット・プロジェクトにおいてもぜひとも他省庁との関係を密に持ってもらった上でこれを実行していってほしいと思うわけでありますが、具体的に科技庁の方において関係省庁との連携、また総合的な成果をつくり上げるという、こういう体制はどのようにできているんでしょうか。
#21
○政府委員(井田勝久君) 私ども、毎年関係省庁の予算の要求に際しましてヒアリングをいたしまして、見積もり調整、こういうことをしているわけでございまして、そのうちぜひこれは推進すべきだというものにつきましては、そういう意見書をつくりまして財政当局に提出しているところでございます。また、私ども科学技術振興調整費というような調整費を持っておりまして、総合的にこれは関係省庁でやるべきである、こういったものにつきましてはその予算を使いまして推進しているところでございます。先ほど申し上げました雲の研究でございますとか、そういったようなものもそういったものの一環といたしまして環境研究ということで進めているわけでございまして、こういうことで私どもとしては国全体としてのこの分野における研究が全体的に推進できるよう、あるいはその欠けているところは総合的にできるよう進めているところでございます。
#22
○種田誠君 先ほど申し上げましたように、今回のグリーン・プラネット・プロジェクト、これは地球環境保全関係閣僚会議において決定された地球温暖化防止の行動計画の一環としても位置づけられるということでありますので、これについて環境庁において現在地球温暖化防止の行動計画がどのような立場に位置づけられておって、どのような対策を現実に講じようとしているのか、お答えを願いたいと思います。
#23
○説明員(濱中裕徳君) お答え申し上げます。
 先生御案内のとおり、地球温暖化防止行動計画につきましては、昨年の十月に地球環境保全関係閣僚会議において決定を見たものでございます。行動計画に盛り込まれました対策は、今後二十年間を見通して実行可能な対策の全体像を示したものでございまして、本年は計画の初年といたしまして、地方公共団体、事業者などの協力も得ながら政府一体となって、行動計画に定められましたそれぞれの項目につきまして実施可能な対策から着実に推進するとともに、今後対策を具体化するために必要な新たな政策について幅広く検討していくこととしております。また、行動計画の着実な推進のためには関係省庁間で必要な調整や連携を行いまして、施策の総合的・効果的実施を図るとともにそのフォローアップを行っていくことが重要であるというふうに考えております。このため、地球環境保全に関する関係閣僚会議におきまして対策の実施状況などについて報告を受けますとともに、必要に応じ行動計画の着実な推進について検討を進めることとしております。
 環境庁といたしましても、平成三年度から行動計画を地域に即して円滑に推進するためのモデル的な地域計画の策定でございますとか、各省庁との連携によります効果的な温暖化防止対策の導入のための社会システムづくりに関する研究などを開始することとしておりまして、今後の温暖化対策の総合的な取り組みに弾みをつけたいというふうに考えている次第でございます。
#24
○種田誠君 この地球温暖化防止の行動計画は極めて重要な政策の展開だと思うんですが、今環境庁の方からもそして科技庁の局長の方からも、他の省庁との連係プレーが必要である、こういうようなことが述べられておるんですが、聞くところによりますと十八省庁、大変な省庁がこれにかかわっているということであります。そういう中での連係プレーをとって一つの成果をつくり上げていくということは並み大抵のことではないと思うんですが、実際はどういう形で総合的な行動計画をつくろうとしているのか、そのシステムについ
てもう少しわかりやすく述べてもらいたいと思うんです。
#25
○説明員(濱中裕徳君) お答え申し上げます。
 先生御案内のとおり、温暖化対策を含めまして政府の環境保全に関する施策を総合的に推進するために必要な調整ということにつきましては、まさに環境庁がその所掌するところとして日ごろ行っている事務でございますが、その中で特に地球環境問題に関する施策につきましては、関係行政機関の緊密な連携を確保し、その効果的かつ総合的な推進を図ることが必要だという考え方から地球環境保全に関する関係閣僚会議というものを設けまして、随時必要に応じ開催しているところでございます。
 地球温暖化防止行動計画につきましても、こうしたシステムのもとで関係閣僚会議において決定を見たものでございますが、今後その効果的、総合的な推進を図るために関係省庁間の協力や連携が一層必要でございます。このため、関係閣僚会議におきましても対策の実施状況を把握いたしますとともに、必要に応じ行動計画の推進について検討を行うことによりましてその着実な推進を図ることとしているわけでございまして、関係閣僚会議本体のもとに幹事会ということで局長レベルの会議も設けられております。また、必要に応じまして、さらにその下に課長レベルの作業部会も随時設置できることになっております。そうしたメカニズムを通じまして、私ども、関係省庁間の連携を緊密にしまして、この計画の総合的・効果的推進を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
#26
○種田誠君 この地球環境温暖化防止の行動というのは、決して日本ばかりではなくて国際的にも協力を要求される、また協力をしていかなければ解決できない問題だろうと思うわけですね。
 そういう意味で、この取り組み主体がこれでいいのかどうかについてはまた後ほど伺いたいと思いますが、国際的な視点においてこれらの行動計画をさらに具体的に実行しようという形で地球再生計画というようなものが通産省において計画されているようでありますが、通産省の方にこの地球再生計画と地球温暖化防止の行動計画とのかかわりについてまず伺いたいと思います。
#27
○説明員(若杉隆平君) 御説明申し上げます。
 先生御質問いただきました地球再生計画でございますけれども、産業革命以来二百年かけて変化いたしました地球を再生することを目指しまして、長期的な視点に立ちまして、世界各国が協調して科学的基盤の整備、あるいは省エネルギー・省資源の推進、クリーンエネルギーの大幅な導入、あるいは革新的な環境技術の開発、温室効果ガス吸収源の拡大、あるいは次世代エネルギーの開発等、そういった問題に取り組む総合的な長期ビジョンでございます。こうしたビジョンのもとに共同作業が必要であるということにつきまして、先生御指摘のように、国際的な合意を形成するために、関係各省とも連絡をとりながらさまざまな国際的な場面でそうした努力にこれまで努めてきたわけでございます。
 具体的な技術の内容でございますけれども、世界的な省エネルギーの普及でございますとか、あるいは太陽光を利用した新エネルギーの開発でございますとか、あるいは二酸化炭素の固定化あるいは有効利用といった革新的な技術開発など、極めて多岐に及ぶわけでございます。
 私ども通産省といたしましては、既にこういった国際的な合意の形成の努力に加えまして、具体的に例えば藻類等を活用いたしました生物的な二酸化炭素の固定化、有効利用に関する技術につきましては、工業技術院傘下の国立の試験研究所あるいは産学官の協調のもとに、昨年七月に設立されました財団法人の地球環境産業技術研究機構において研究開発に着手をしている次第でございます。また、世界的な省エネルギー等を推進するという観点から、ことし設立されました国際環境技術移転研究センターというような場所を通じまして、環境保全の技術移転のための中核的機関としてのこのセンターを使いながら、研修事業等にも取り組みを始めているという状況でございます。
 先生御指摘のように、地球再生計画は、昨年十月の地球環境保全に関します関係閣僚会議において決定されました行動計画においても、その具体化の促進に努めていく必要があるという旨定められているわけでございまして、関係各省と連絡をとりながら、片方で国際的合意形成を図りながら具体的な研究開発にも着手していくというものでございます。通産省といたしましては、この長期ビジョンの実現を積極的に提唱している立場でございまして、引き続き率先してその実現に努めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#28
○種田誠君 今答弁がありましたように、まさに新しい技術の開発、そういうことを踏まえながら地球再生計画を実行していくということになりますと、当然これも五十年、百年という単位を基礎に置いての計画であって、新しい科学技術の同時的な開発を行いながら実施していかなければならないものだろうと思うわけです。そういう意味で一層の、本来ならば科学庁などとこの計画をつくること自体の中においても連係プレーをした上でこれを行っていくべきではないだろうかなと、まず一つは思うわけであります。
 それから、先ほど申し上げましたように、この地球再生計画を実行していくとするならば、まさに国際的な環境対策の中でこれまた行わなければならないとするならば、もう既に国際機関であるIPCCなどに対して日本が率先してこれらの問題を提起していきながら行わなきゃならないと思うんですが、その辺のところはどうなっておりますでしょうか。
 二つの点についてお願いいたします。
#29
○説明員(若杉隆平君) お答え申し上げます。
 第一点目でございますけれども、地球再生計画につきましては、先生おっしゃるとおり、技術的な研究開発課題は非常に多岐にわたるわけでございますので、通産省初め関係各省がそれぞれの立場から具体的な研究開発あるいは技術開発への取り組みが期待されるわけでございます。行動計画に取りまとめられております他の諸政策の具体的な実施と同様に、この地球再生計画につきましても幅広いさまざまな課題がございますので、それぞれの知見を有する人々がその責任のもとに取り組むことが必要であるわけでございまして、関係者の有機的連携のもとに効率的にこの計画の推進実行に努めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 それから、二点目の国際的な場面でどんどんこれを積極的に提唱すべきではないか、IPCC等の場所を使うべきではないかという御意見、まさにそのとおりでございまして、私どももIPCCのみならずさまざまな国際的な場所におきまして、技術によるグレークスルーをもってこの地球を再生していこうということにつきまして日本の政府全体として提唱しているところでございまして、IPCCの報告書等にも、長期的なビジョンに立った技術開発の重要性というものが中間報告にも明記されているというような次第でございます。
#30
○種田誠君 ぜひ今述べたような視点で強力な推進をお願いしたいと思うわけであります。
 この地球温暖化防止行動計画を遂行する上で私たちは新たな技術の開発を求めつつも、現実的に一定の期待される経済成長を図りながらこれらを達成しなきゃならないという極めて困難な中にあるわけでありますが、そういう中で当面する二酸化炭素等の排出のより少ないエネルギーの供給構造を形成していこう、そういうこともこれまた今強く求められているところだと思うんです。
 さらには、これと並行して、通産省などにおいても二〇〇〇年の前半までを見通した長期的なエネルギー供給計画なども立てられているようでありますが、そういう中で一つ大きなウエートを占めるのが原子力発電であろうかとも思われるわけであります。ところが、その原子力発電に関して最近の朝日新聞の報道によりますと、「原発立地 新規決定、四年余ゼロ 土地買収や漁業補償
難航 事故に住民反発」ということで、先の見通しが極めて厳しいという状況になっておるということでありますが、この点についての現在の状況などについてまず述べていただきたいと思います。
#31
○説明員(藤田昌央君) ただいま先生御指摘ございましたように、原子力につきましては、昨年の十月の地球温暖化防止行動計画におきましても、二酸化炭素を排出しないエネルギーということで、安全性の確保を前提にいたしまして開発利用を推進するということにされておるわけでございますが、このような原子力発電のエネルギーとしての優位性が広く認識される一方で、原子力の安全性等に対する漠然とした不安感あるいは疑問等が原子力発電所の立地をめぐる情勢を困難にしているということも事実でございます。
#32
○種田誠君 単に立地を困難にしているということではなくて、新聞報道などによりますと、もう今日的状況においては通産省が立てた二〇〇〇年における発電能力五千五百万キロワットというのは達成は困難であろう、このために、電力業界においては土地に余裕がある既存立地点での開発や石炭や液化天然ガスを燃料とする火力発電所の建設ということで今日的状況をクリアしていこう、こういうふうなことも述べられているわけでありますが、その辺の状況についてはどうなんでしょうか。
#33
○説明員(藤田昌央君) ことしの夏を乗り切るために各電力会社が石油火力あるいは中期的には石炭火力あるいはLNG火力等をふやそうとしていることも事実でございます。
 他方、原子力発電所の立地の情勢が大変厳しいということも事実でございますが、私ども政府といたしましては、地元の御理解が得られるよう最大限の努力を今後いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#34
○種田誠君 先ほどの岡部委員の質問にもありましたけれども、美浜の事故などの発生によりまして、原子力発電に対する国民の認識はより一層厳しい状況に向かわざるを得ないような状態に今置かれていると思うんですね。そういう中で、今答弁されたように、さらに理解を深めると申されても、そのことだけを繰り返しても国民の理解は深まらないと思うし、具体的にこのようなエネルギー政策を立てている以上、どのような形でこれを確保しようとしているのか、もう少し具体的に述べていただきたいと思います。
#35
○説明員(藤田昌央君) 私どもといたしましては、国民の原子力開発に対します建設的な議論あるいは判断に資しますように原子力情報を積極的に提供する、適切に公表していく、こういうことによりまして透明性の確保を図っていく。さらに、運転中の原子力発電所の安全確保対策あるいはバックエンド対策等々を講じまして、御理解を得られるように努力をしていきたいと考えております。
 さらにまた、ハード、ソフト両面にわたります地域振興策を一層拡充することによりまして、原子力発電所と地元とが共存共栄を実現し、原子力発電所の立地について地元の御理解を得られるようにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#36
○種田誠君 そうは申してもなかなか現実の設置というのは困難であろうかと私は思うわけであります。そういう意味で、逆に今後の電力のいわゆる需要をどのように抑制していくかとか、さらに原子力にかわるエネルギーの開発をより強力に進めるとか、そういうふうなことを早急に行っていかないと、全体として必要とされる総エネルギーの需要にこたえられない、こういう事態にも陥らざるを得ないような危惧を持つわけであります。
 そういう意味で、今回のエネルギー総需要の見通し、さらにはその供給体制のあり方などについて、湾岸戦争以降の状況などを踏まえながら見直しをしていくというような考えは今持っていないわけでしょうか。
#37
○説明員(藤田昌央君) 先生御承知かと思いますが、近年の電力需要は大幅な伸びを示しておりまして、私どもこの需要面の対策が大変重要であるというふうに考えております。
 そういう認識のもとに省エネルギーをさらに呼びかけますとともに、特に夏のピークを軽減するための対策、こういうものについても電力会社を指導いたしましてできるだけ電力の需給調整契約等を拡大する、こういうような対策も行っていきたいと考えておる次第でございます。
#38
○種田誠君 それでは、先ほどの地球再生計画、向こう五十年、百年という形での計画を立てた上での新たな技術開発に伴うエネルギーの供給なども位置づけられているところから、もう一つ伺いたいと思いますが、現在科技庁の方で研究開発を進めている高速増殖炉の開発の今日的な状況、それから今後の実用化という方向への課題とか問題点などについて述べていただきたいと思います。
#39
○政府委員(山本貞一君) 高速増殖炉と申しますのは、先生も御案内のとおりでございますが、消費した以上の核燃料を精製するという画期的な原子炉でございます。これによりまして核燃料の資源問題を基本的に解決し得るものと考えられます。現在の原子力長期計画でも将来の原子力発電の主流にすべきものとして位置づけておりまして、現在開発を進めておるところでございます。
 その開発につきましては、動力炉・核燃料開発事業団が、実験炉「常陽」、これは五十二年に臨界に達しましたが、その建設、運転により得られました成果等に基づきまして、現在、来年十月の臨界を目指しまして原型炉「もんじゅ」を福井県敦賀市に建設中であります。工事は順調に進捗しておりまして、既にこの三月末現在で進捗率は九五%でございます。
 原型炉の次の段階であります実証炉につきましては、電気事業者の主体的な役割のもとに官民の適切な協力を図りつつ、一九九〇年代の後半に着工することを目標としております。具体的には、実証炉の設計、建設、運転の主体といたしまして日本原子力発電株式会社を想定しておりまして、現在この会社が設計研究を実施中であるわけでございます。
 さらに、その後の実用化に向けましては、軽水炉と経済性、安全性において競合し得ることを最終目標としておりまして、複数の炉の建設、運転経験を経るとともに、所要の研究開発を積み重ねることによりまして技術的基盤の確立を図る、それによりまして二〇二〇年代から二〇三〇年代を目途に高速増殖炉による。プルトニウム利用の技術体系の確立を図る方針でございます。
 先生御指摘の技術的・経済的問題点もまだございます。特に経済的にペイするかどうか。それから、まだ原型炉の段階でございまして、さらに実証炉の段階を経る必要がございます。いろんな技術課題もございますが、国際的な状況も踏まえまして日本としては将来の有力な原子炉として積極的にその推進開発に努めてまいりたいと思っております。
#40
○種田誠君 そうしますと、実際に国民に電力を供給するまでにはまだしばらく時間を要するということ、さらには技術的にも解決しなきゃならない問題が幾つかあるやにも聞こえるわけでありますが、そうなってきますとなおさら、地球温暖化防止行動計画を行いながらエネルギーを供給していくというのが極めて重要な課題とならざるを得ないわけであります。
 これらの問題は実は、単に地球環境保全関係閣僚会議という席において環境保全をどう図るべきかという視点を超えて、もう既にクリーンなエネルギーをどのように供給していくかということまで含めてこの問題は取り組んでいかなければならない。そうしますと、冒頭申し上げましたように、一つのこの閣僚会議の席においてこれらに取り組んでいく体制というのは不十分ではないだろうかなとも思わざるを得ないわけであります。私は、むしろ新たな機構なり新たな機関なりをこの日本の政治の中につくり上げることによって初めてこれらの行動計画の目的を達成することができることになるのではないだろうかなともまた思うわけ
であります。
 そういう意味で、大臣の方においてこれらの地球温暖化防止行動計画を達成させるためにも、これからの機構、機関、省庁のあり方などについてのお考えなどありましたら述べていただきたいと思います。
#41
○国務大臣(山東昭子君) 地球温暖化の問題は、今や国民の重大な関心事でございます。この解決に向けましては、これは我が国政府が一丸となって取り組んでいかなければならない問題であるのと同時に、各国にまたがる問題もございますので、やはり諸外国とも手を携えてやっていかなければならない問題もあろうかと思います。今おっしゃられましたように、こうした解決には炭酸ガスの排出抑制などの対策を講ずるとともに、温暖化は一体どのように進むかなど、この問題に関する科学的知見の集積を図ることが必要ではないかと思います。
 このような観点から、地球観測衛星などによる地球観測・監視の充実、あるいは地球温暖化現象の解明のための研究の充実、あるいは炭酸ガスを発生しない原子力の開発利用の推進などを関係省庁と十分な連携を図りながら、こうした地球温暖化問題の解決に向けて努力をしていきたいと考えております。
#42
○種田誠君 最近の新聞に、原子力の平和利用促進ということで、東南アジア諸国へOECDの中の原子力機関であるNEAが安全性の確保や先端技術面での協力をするための検討に入った、こういうふうな報道がなされております。私も、技術先進国が背負わなきゃならないエネルギー開発に関する課題というのは極めて大きいと思うわけであります。
 とりわけ、アジアの途上国などにおいてまだまだ技術的な解決によってのエネルギーの確保ができない諸国においては、国際的なエネルギーのバランスを考慮した上での協力体制などが必要だと思うわけでありますが、科技庁としてこれらの東南アジアに対するエネルギーのバランスのとれた供給関係をどのように考えているのか、そのことについてちょっと述べていただきたいと思います。
#43
○国務大臣(山東昭子君) 開発途上国におきましては、今後増大するエネルギー需要への対応が非常に重要な課題となっております。我が国は、やはりそういう意味で適切な協力が重要であろうと思っております。現在、エネルギー研究開発基本計画を改定中でもございますが、その中で開発途上国とどのように協力体制をとっていくか、このあり方についても検討している最中でございます。
 つい昨今も、東南アジアの科学技術大臣たちとの国際会議も日本で行われましたけれども、私どももそうしたトップの方々と話し合いまして、できる限りその協力を適切に推進していきたいと考えている次第でございます。
#44
○種田誠君 エネルギー問題、環境問題、共通する課題でもあります。世界全体の視点に立ってこれにどのように対応していくかということをぜひとも科技庁においても一層進めていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。
#45
○太田淳夫君 予算ですからいろんな部門がありますけれども、宇宙開発の問題についてだけ絞って御質問したいと思います。
 日本の宇宙開発につきましては、これはいろんな事情がありまして、戦後日本の開発というのは欧米に比べますと非常におくれて始まってきたわけでございますけれども、その後着実にこれが進展を見せていることは明らかであります。私の調べましたところによりましても、ことしの一月一日までに全世界で四千二十九個の衛星が打ち上げられております。これを国別に見ますと、ソ連が第一位で二千六百三十四個ですか、アメリカが第二位で千百二十二個、我が国は第三位で四十九個の衛星を打ち上げているところですね。第四位がフランスの二十四個でありますので、アメリカ、ソ連の打ち上げておりますところの衛星がほとんどが軍事衛星であるということを考えますと、我が国は国際的に見ますと宇宙先進国の仲間入りをしているんじゃないか、こういうふうに言うことができると思います。
 一方で、その宇宙開発の成果も着実に現在あらわれているわけでございまして、昨年八月に放送衛星三号が打ち上げられまして、これによってNHKの衛星放送というのが本格化をしてまいりました。衛星放送の受信世帯数というのは本年二月末では約三百九十万世帯に達しているということでございます。この四月からは民間事業者による衛星放送も開始されておりますし、今後この衛星放送はさらに激増していくのじゃないかと思うわけでございます。また、静止気象衛星「ひまわり」の画像というのは天気予報にとっても欠かすことができないということで、衛星は今国民生活にとって非常に重要な役割を担っていると言うことができると思います。
 今後、国民生活の一層の向上を図るためにも、また我が国の国際的地位にふさわしい活動を推進するという意味においても、我が国としましても今後とも積極的に宇宙開発について推進を図ることが必要であろうと思いますが、我が国が現在重点的に進めておりますところの宇宙開発活動についてどのようなものがあるのか、御説明願いたいと思います。
#46
○政府委員(井田勝久君) ただいま先生御指摘のとおり、国民生活の一層の向上あるいは国際的な要請にこたえるためには、それができるような自在な宇宙活動と申しますか、そういったものができる技術基盤の確立が一番必要でございます。そのために、まず第一に宇宙への移送手段、これをきっちり確立しなければいかぬということでございまして、欧米の水準に並びます二トン級の静止衛星打ち上げ能力を有します全段我が国の技術によりますHIIロケット、これを一生懸命今開発しておりまして、平成四年度の初号機打ち上げを目標に推進をしているところでございます。
 また、最近では国際的にも宇宙空間におきまして無重量等の特殊な環境を利用いたしまして、新しい材料開発などの実験が積極的に行われているところでございますが、我が国におきましても今後これに積極的に取り組むこととしております。これらの取り組みの代表的なものといたしましては、米国、欧州、カナダとの共同の国際協力プロジェクトであります宇宙ステーション計画への参加がございます。我が国といたしましては、宇宙実験モジュール、JEMと言っておりますが、これをもってこれに参加することとしております。
 さらに、これからの地球環境問題、これは国際的にも大変大きな問題でございますが、こういった問題に貢献していくための観測衛星等の大型衛星の開発、こういったことにも積極的に取り組んでいるところでございます。
#47
○太田淳夫君 今御答弁の中でHIIロケットの開発の話がございましたけれども、これは非常に性能のいいロケットであるということは聞いておるわけでございますが、こういったことが完成しますと我が国の宇宙開発の活動領域というものがさらに拡大をしてくるんじゃないかという面におきましても非常に大きな意味があると思います。我が国としましても、今後ともこうした基盤的な技術開発を積極的に進めていただきたい、こう思うわけでございます。我が国も国際的に経済大国と呼ばれるようになりまして、また技術開発の面においても先進国と評価されているわけでございます。その中でも、宇宙開発についても今いろいろとお話がございましたけれども、宇宙開発の面におきましても積極的に国際協力を行って、国際社会に積極的にこれは貢献していくべきではないかと思うんです。何点かお話がございましたけれども、具体的に今進めている点もあろうと思いますが、その中で、巷間言われているところによりますと、どうも科学技術庁が進めておるようなそういう科学的なもの、基礎的な技術協力については、我が国としましては、政府ばかりじゃなくて民間におきましても非常に消極的であるという意見が聞かれるわけですね。
 例えば、先ほどもちょっと宇宙企画課の方とお
話をしておったんですけれども、これから国際協力の中で、人工衛星は打ち上げることはできるわけでございますけれども、惑星の探査となると非常にこれは予算も金もかかることでございますので、その点では日本は非常に消極的であると言われているわけですね。計画の実行性はちょっとわかりませんけれども、アメリカでも火星の探査をひとつ進めていこう、あるいはソ連でも、ソ連が中心になって打ち上げて火星の探査を進めようと今いろいろと準備されているようでございます。
 世界の各国は手を挙げて積極的にそれに参加していこうという姿勢があるわけでございますが、日本は何となくその点消極的というか、民間の方、学者の方が一、二入っているぐらいでありまして、そういうことを見ますと、国際的な協力を進めていくということはおっしゃっておりますけれども、実際にはこれはなかなか日本はおくれをとっているんじゃないか。国際貢献ということをよくおっしゃいますけれども、そういう点でももっと積極的に取り組んでしかるべきじゃないかと思うんです。その点どうでしょうか。
#48
○政府委員(井田勝久君) 月・惑星探査計画でございますが、これはまだ今後の、将来は火星に有人で行こうという壮大な計画でございまして、大変技術的にも難しくお金もかかるわけでございまして、アメリカでも今基礎的な調査研究が進められるというふうに聞いております。我が国といたしましては、こういった国際協力の動きに対応できるよう基礎的な勉強もしているところでございまして、宇宙開発事業団におきまして、月、惑星の開発利用方策の研究ということで、平成三年度から実施することといたしまして三千万円計上して、これから進めるわけでございます。いずれにいたしましても、月・惑星探査というのは人類の夢でございますので、これは国際協力で大いに今後やらなきゃいけないということでございます。
 ただ、それは、先ほど申しました宇宙ステーション計画、これをまずきちっと国際的にやり遂げることによって次の段階に行けると我々考えております。したがいまして、この宇宙ステーション計画に我が国は参加しておりますが、これをきちっとやり遂げる、そういうことによりまして、次の月なり惑星なりそういう探査計画に進む、こういうふうに考えておりまして、アメリカもそういうことで進んでいると思います。そういうことで、私どもとしては、これに対応できるようなきちっとした勉強もしていきたい、このように考えているわけでございます。
#49
○太田淳夫君 先ほど地球温暖化の問題等のことにつきましては御質問もありましたし、いろんな具体的な答弁もございました。国際協力によりまして地球観測衛星の開発を進めるというお話もあったわけでございますけれども、我が国としてもこの地球環境問題には積極的に取り組んでいただきたい、こう思っております。特にアジア地域においては、やはりアジア・太平洋地域というのは地球環境の観測にとって非常に重要な位置にもありますし、あるいはアジアの諸国も地球環境問題に対して非常な関心が向けられておるかと思います。
 そこで、日本としましては、先ほど申し上げましたような宇宙開発の先進国としても、あるいはアジアの一員としても、宇宙開発分野におけるアジア地域の協力を積極的にやっぱり進めていく必要があるんじゃないかと思うんですが、この協力の現状というのはどういうふうになっておりましょうか。
#50
○政府委員(井田勝久君) 人工衛星を用いましたグローバルな観測は地球環境問題の解決に大変有効でございまして、これは先進国ばかりではなく開発途上国も大変関心のある分野でございます。そういうような意味におきましてアジア地域でも大変関心が深いわけでございますので、この地域におきましては、まず観測データの有効利用、先進国が打ち上げた衛星からデータが入りますので、これをどのように有効利用を図るか、こういった利用技術の確立が必要であろうかということが言えるわけでございます。
 そういう意味で我が国はこういった面の協力をやっているわけでございまして、具体的に申し上げますと、我が国が打ち上げております海洋観測衛星の直接受信局をタイ国内に宇宙開発事業団が設置いたしまして、昭和六十三年八月からその運用を行いまして、そのデータ利用について協力を行っております。
 さらに、開発途上国を対象といたしましたリモートセンシング技術に関します研修を毎年開催しておりまして、タイ、マレーシア、インドネシアのリモートセンシングデータを用いた森林資源、海洋資源について共同研究も実施しているわけでございます。
 また、本年二月にはタイでASEAN諸国の関係者の参加を得ましてシンポジウムを開催いたしております。
 さらに、本年一月には中国、インドネシア、韓国、マレーシア、タイなど十カ国の参加を得まして、地球観測衛星を利用した地球観測問題に関するセミナーを我が国で行っているわけでございます。
 また、来年は国際宇宙年でございますが、その際、我が国でもこういった開発途上国を対象として地球観測を中心とした会議を開くような要請もありまして、そういうわけで、我が国といたしましては、まずこういったアジア地域の開発途上国に対しまして衛星の観測データの利用技術を確立する、そういうことでこれが有効に使われるということをまず重点的にしているわけでございまして、そういった面に関して研修セミナーを今後とも実施して、あるいは研究協力を実施してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#51
○太田淳夫君 時間もなくなりましてあれですが、まとめて大臣に後から御答弁いただきたいと思うんです。
 今アジア地域についてお話がございましたが、こういう構想を持っている人もいるんですね。アジア・太平洋地域の人たちが自分たちの環境を守るために協力し合ってアジア環境観測衛星というのを打ち上げたらどうだろうかといういろんな考えを持って運動している人もございます。そのときは日本の持っているところの宇宙開発技術をすべてオープンにして、衛星やロケットの開発技術ゃあるいはデータの受信処理の技術から衛星の打ち上げ機種まで全部を提供して、あるいはその費用の大半まで負担してもいいんじゃないかというお考えを持っている方もお見えになるんですが、日本がこの部分でもイニシアチブをとってやろうとしますと、いろんな危惧を抱かれる国もあろうと思いますけれども、日本の宇宙開発というのはもともと純粋に科学技術を追求しようというところから出発をしていることは事実でありますし、軍事技術とは縁遠い健全な発展の道を歩んできたということも事実でございますので、そういう点で協力し合っていくことはまた各国の理解を得ることになるのじゃないかと私は思うわけでございます。
 そこで、先ほどからいろいろとお話はしておりますけれども、宇宙開発予算というのが計上されておりましても、これは世界各国の状況から見ますと非常に日本は少ない現状ですね。米国のNASAでは一九九〇年度で一兆六千七十億円、ヨーロッパのESAでも一九九〇年度で三千五百八十億円、我が国では平成三年度で見ましても千百七十七億円ということでございまして、NASAに比べますと約十分の一ですし、またESAに比べても二分の一という非常に少ないものになっているわけでございますね。我が国としても、これからも国際協力という観点から、あるいは世界の環境を守るという、そういう立場から見ましても、あるいは国民生活にいろんな有益な部分を送るということを考えましても、宇宙関係の予算というのはさらに拡充することが必要ではないかと思うんですが、その点をまとめまして長官のお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
#52
○国務大臣(山東昭子君) 私は就任いたしまして、科学技術館というのに幾つか参りましたけれども、そこで子供たちが大型ロケットであるとか
あるいは人工衛星というものに対して非常に関心を持って見ている姿をかいま見まして、やはりそうした子供たちの夢というものをこれから膨らませていくために、あくまでもその平和的な利用というような立場に立ちながら、こうした宇宙開発というものは我が国として推進していかなければならないなと強く感じたような次第でございます。
 そのためには、太田委員もおっしゃられましたように、我が国の宇宙開発は大変よその国に比べますとまだまだ伸びがちょっとどうかなというような感じも見られますけれども、なお一層宇宙開発の円滑な推進が図られるように適切な措置を講じてまいりたいと思っております。
#53
○吉川春子君 質問いたします。
 関西電力美浜原子力発電所二号機の蒸気発生器の細管のいわゆるギロチン破断という事故に続きまして、中部電力浜岡原発の三号機、四月四日、原子炉の水位が低下する、そして緊急自動停止事故が発生しました。浜岡原発では、去年の六月以来、一号機も核燃料棒剥離、放射能事故により運転を停止しているわけですが、こうした相次ぐ原子力発電の事故の続出は、政府が唱えてきた原子力発電所の安全宣伝が根拠がないものであるということを示しています。
 我が党は、国会議員団の申し入れで、すべての原子力発電について国民が信頼できる厳しい基準に基づく総点検を要求しましたけれども、ぜひこれをやっていただきたいと思います。大臣及び通産省いかがでしょうか。
#54
○説明員(倉重有幸君) 原子力発電所の故障、トラブル等につきましては、その都度徹底した原因究明及び再発防止対策の確立に努めているところでございます。また、法律に基づきまして約一年に一度プラントを停止しまして、国による定期検査を受けることを義務づけているわけでございます。
 これらの安全対策によりまして、現在新たに総点検が必要とは考えておりませんが、いずれにしましても、今後とも安全確保対策を徹底して進めまして、原子力発電所の安全確保に万全を期してまいりたい、このように考えております。
#55
○国務大臣(山東昭子君) ことしに入りまして、関西電力の美浜発電所の事故を初めとして幾つかの故障であるとかあるいはトラブルなどが発生をしております。
 しかし、さかのぼって見ておりますと、発生件数は、六十三年度に四十八件、元年度に三十五件、そして二年度に三十五件というようなことで、トラブルなどの発生件数は例年と比べまして特に多いというわけではございませんけれども、発生しました故障やトラブルにつきましては、それぞれのケースごとに関係機関で徹底した原因究明を行いまして、それに基づいて必要な、そして的確な対策を講じてきているところでございます。これによりまして類似の事象の発生を予防することができると考えております。
 いずれにいたしましても、今後とも安全確保及び原子力に対する不安の解消のために最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
#56
○吉川春子君 この浜岡原発の炉は六十二年から運転開始した新しいものですし、そして既に古いものはもう二十年を超えているものもあるので、私たちは総点検ということを強く要望します。
 それで、原子力、原発は安全だと盛んにその宣伝が行われているんですけれども、通産省、科技庁、総理府に伺いますが、それぞれ原子力関係の広報予算、十年前と今年度と両方明らかにしてください。
#57
○説明員(立石幾久治君) 通産省といたしまして原子力発電の開発に当たりまして……
#58
○吉川春子君 金額だけでいいですよ。
#59
○説明員(立石幾久治君) これに対します国民の理解が必要であるということで広報をやっておりますが、まず、十年前と申しますと昭和五十六年ということでございますので、昭和五十六年度におきましては、原子力広報予算という取りまとめの仕方はいたしておりませんでしたけれども、原子力以外のものも含めまして電源立地推進広報対策費等委託費というものがございました。これで申し上げますと、昭和五十六年度には六億六千万円ということでございます。それから今年度、平成三年度の予算案におきましては三十五億二千万円を計上しているところでございます。
#60
○説明員(小山裕君) お答えいたします。
 政府広報の予算額でございますが、十年前、昭和五十六年度は総額で百三十四億円でございました。平成三年度の予算案におきましては百二十二億円、これは総額でございます。
 原子力関係の広報経費でございますが、これはなかなか算定が困難なものもございますけれども、前年度、平成二年度におきましては約四千万円程度と見ております。
 以上でございます。
#61
○政府委員(山本貞一君) 昭和五十六年度は通産省と同様でございますが、原子力の広報予算は計上しておりません。昭和五十七年に一億円程度の額を計上いたしまして、その後大体一、二億で経緯しておりましたが、平成元年度に十八億五千万、それから平成二年度に二十一億円程度、それから平成三年度の私どもの予算要求、今御審議いただいている予算要求で二十七億円程度をお願いしているところでございます。
#62
○吉川春子君 通産省はいろいろなものを含めた十年前と原子力関係だけの今年度とを比べて五倍強。科学技術庁は、五十七年度の一億から今年度の二十七億、二十七倍、物すごく原子力関係の広報予算がふえているわけです。
 その中身についてですけれども、政府の原子力についての広報の中身は、まず石油にかわるエネルギーの必要性。二番目は、原子力は供給安定性、経済性、環境保全性にすぐれている。三番目、原発は極めて安全。こういうものですけれども、どうして確率的には原発というものは大事故が起こるんだとか、大事故が起こったとき放射能の害から住民はどういうふうに逃れたらいいのか、こういう広報活動をほとんど行わないのはなぜですか。
#63
○政府委員(山本貞一君) 私どもの広報関係の予算で申し上げますと、確かに原子力発電の必要性あるいは優位性も述べております。それから安全性につきましては、十分御理解をいただけるように実際のその仕組みも含めまして……
#64
○吉川春子君 いや、危険性をどうして宣伝しないのかと言っているんです。
#65
○政府委員(山本貞一君) 安全性を御理解いただけるように広報をしております。
 今先生御指摘の危険性というのは安全性ということの裏返しだと思いますが、原子力発電に伴う技術的ないろんな問題はもちろん過去にございました。そういうようなものに対して十分な対応策をとって安全性に努めておる、かつ現時点で安全なものにしておるという御説明を申し上げている次第でございます。
#66
○吉川春子君 スリーマイル島、TMI原発事故のいわゆるケメニー委員会の原発報告では、「かりに我々の勧告どおりの変革が行われても、この程度の、また更に大きな事故が再発しないとは確言できない。したがって、事故発生を防ぐためあらゆる方策を尽くすのと同時に、万一事故が発生した場合は、一般住民の健康や安全への影響を最少限に食いとめる準備が必要」だと、こういうふうに指摘しているわけですね。
 大臣にお伺いいたしますけれども、このいわゆるケメニー委員会の報告書で、この事故からの最大の教訓は、関係者の原発は安全だという思い込みこそが最大の問題だったということを至るところで強調しているわけです。
 「原発プラントが稼動しだして長年たったが、一般住民が被害をうけたという事例はなく、原発プラントは安全だという考え方が確信に変わっていった。スリーマイル島事故を未然に防止できた筈の幾つかの重要な段階が踏まれなかったのはなぜか、を考える場合に、こうした背景があったことは見逃せないのである。原子力は本来的に危険性の高いものであるという姿勢に切り替える必要
がある。」と強調しているんですけれども、日本の政府もこういう姿勢が大切なんじゃないですか。「最も重大な「思いこみ」は、全員が設備の安全性を信じていたから」だと、こういうふうにも言っているんですよ。こういう姿勢が日本政府にないのはなぜですか。
#67
○国務大臣(山東昭子君) 私は、原子力というものはいつも自動車に例えて申し上げるんですけれども、自動車というものもやはり私たちの生活に密着した非常に大切なものであると思います。しかし、その運転方法によっては重大な事故につながることもあろうかと思います。ですから私は、原子力というものはやはり未来のエネルギー源として非常に必要なものであると確信をいたしております。そのために、やはりその安全ということに万全の対策をとることが大切である。日ごろからそういう点で努力をしている次第でございますけれども、その広報活動につきましても、安全であるというようなことを多くの皆様方に訴えるパンフレットであるとかビデオであるとか、そういうものの活動に加えまして、やっぱり私は百聞は一見にしかずということで、多くの原子力モニターの方であるとか、あるいは最近も学生あるいは主婦の方、また仕事を持っておられる特に女性の方を中心に原子力発電所などを見ていただきました。そうしましたら、私たちが今までわかりにくかった部分あるいは誤解していたことが非常に多かった、やっぱり見ればその安全性ということが十分いろんな形でとられているんだなということがわかったというような答えも出されております。
 ですから、多くの皆様方の理解と協力を得るということは、なかなか難しいことでございますけれども、その安全確保ということを大前提に、やはりこれからも着実に原子力行政というものに取り組んでいきたいなと思っている次第でございます。
#68
○吉川春子君 これは、全国の小学校、二万五千の小学校に全部配っている、原子力はこんなに安全ですという壁新聞なんですよね。(資料を示す)全くまだ批判力の育っていない子供たちに、原発は安全ですというだけのこういう壁新聞を配るということは、私は偏向教育だと思うんです。全然科学的じゃないんです。これは学校教育の側面からもゆゆしいんです。
 私は、最後に伺いますが、こんなに多額の広報予算を使って、原発は安全だ安全だと、このことだけを国民に宣伝しようとする、そういう姿勢は間違っていると思うんです。やっぱり安全を確保しなきゃならないということはそうなんですけれども、同時に原発は危険な面も持っている、万一危険が生じたときには、その放射能の害から国民が逃れるにはどうしたらいいか、少なくともそういう方にも広報予算を使ってもらわないと。安全です、安全です、それで国民が安全性さえ信じていれば足りる、これが政府の広報の目的ですか。そのことについて最後に伺います。
#69
○政府委員(山本貞一君) 先ほども御説明申し上げましたが、私どもとしては、実際に現場でもごらんいただく、あるいは非常に草の根的な御説明も申し上げて、原子力発電所の仕組みなり……
#70
○吉川春子君 危険性の広報活動しないんですか。
#71
○政府委員(山本貞一君) 安全性なりについて十分御説明をしておるつもりでございます。
 先生御指摘の点についても、私どもは科学的な説明ということで、安全性の説明の中で十分御説明申し上げておるつもりでございます。
#72
○吉川春子君 答えになっていません。
 終わります。
#73
○新坂一雄君 若干の時間をいただきまして、原子力発電所の安全対策について若干の質問をしたいと思っております。
 まず原子力安全委員会の今度の関電の美浜発電所二号機の事故についての取り組み方について、今日時点でこれまでの総括ということをお願いしたいということで、取り組み方について質問いたします。
#74
○政府委員(村上健一君) お答え申し上げます。
 原子力安全委員会といたしましては、所管行政庁でございます通産省から事故の経緯及び原因調査の進捗状況等につき報告を受けて、これまでに八回にわたり審議を行ってきているところでございます。
 既にたびたび委員長からも表明されておりますように、今回の事故は環境に影響を与えるものではなかったものの、初めて非常用炉心冷却装置が実際に作動したものであるということは重大であると認識して、今後とも調査状況について報告を受けるとともに、委員会としても早急に検討に着手するために下部機関であります原子炉安全専門審査会、これは法定の審査会でございますが、その審査会に調査、審議の開始を指示してあるところでございます。これを受けまして、同審査会の発電用炉部会は十二名の専門家から成っておりますが、ワーキンググループを設置いたしまして、これに関連する内外の事故、故障の事例だとか、既に研究所等で行われました研究の成果等を参考にしつつ、現在事故原因の究明や同種事故の再発防止対策等について調査、審議を行っているところでございます。また、同ワーキンググループではこれまで日本原子力研究所等で行われております研究の成果、それから研究の能力等を活用するためにそれらの反映事項についても検討を始めているところでございまして、それらの検討を進めることによりまして伝熱管の破断のメカニズム等についても検討が深められていくものと承知しております。
 また、四月三日には委員長及び審査会の会長が実際に現地に参りまして、事故の状況それから隔離弁等の作動の状況等について現地調査を行ったところでございます。
 現状は以上のとおりでございます。
#75
○新坂一雄君 原子力安全委員会の立場ということは、開発推進の任に当たる行政とは違う立場からダブルチェックをするという任に当たっているわけですから、法律的には一番安全委員会に期待するといいますか、そこがしっかりしないと、先ほどからの同僚委員の指摘にもありますように、何かあいまいとしたものになってしまうという点が非常にありますので、その点は科学技術庁として襟を正して十分な任に当たっていただきたいなというのが希望でございます。
 それから通産省でございますが、今度の事故をこの時点で総括することにおいては、先ほどの同僚からの指摘ありますように、今もって事象であるというような言葉の何というんですか、あいまいもことしたことで、何となく責任がはっきりしないような形になりがちな言葉を使うということは再々これはおかしいじゃないかと指摘しているんですが、今もって何となくまだ改まっていないような気がいたします。それはやはり事故は事故、トラブルはトラブルということで、言葉についてもはっきり統一していただきたいということを再々お願いしております。
 それで、今度の問題点は破断した細管ですね、これのやっぱり点検のあり方について非常に今後尾を引く問題であると思います。点検の仕方、要するにどんな体制でチェックしていたのかということが一番問題になると思うんです。要するに去年の夏に点検して、これはいいという判断が出たにもかかわらず、ギロチン破断が起こってしまったというところも、どこかで論理的な破綻を来しているということになるのでございますが、このチェック体制、要するに調べ方が技術的にしっかりしていないのか、あるいは技術がしっかりしていても間引いた形での点検しかできないのか、その辺のあり方というのをちょっとどんなぐあいになっているのか、御答弁ください。
#76
○説明員(倉重有幸君) 美浜二号機の定期検査の件でございますけれども、蒸気発生器につきまして、一定検ごとに、蒸気発生器一基当たり約三千二百六十本の細管がございますが、細管をその施栓している部分を除きまして全数、ECTと言います渦電流探傷検査を実施しまして、そこに異常がないかどうかということを確認しているわけで
ございます。
 当該美浜二号機の場合には、昨年の四月五日から七月の二十五日までの間定期検査を実施しまして、そのECTの検査によりまして有意の指示のあった十六本、これにつきましてはプラグをするということにしたわけでございます。
 今回破断をした細管については、そのときには有意な信号は得られていなかったというものでございます。で、今回細管の破断がございましたので、それを調べましたところ、先生御案内のように、細管のそばに細管の振れどめを防止するための振れどめ金具というものが、本来入っているべきところが入っていなかったということで、それが原因ではないかというふうに通産省としては考えておる次第でございます。
#77
○新坂一雄君 その点検をしているにもかかわらず事故が起きたということと、それからいわゆるその事故を誘発したという認識になるのか、その支えのところまでは点検の対象になっていなかったということが相乗効果になってそういう現象が起こった、あるいは事故につながったとうことになるかと思うんですけれども、今まで通産省はそういう細管の破断ということはあり得ないという見解をずっととってきて、今回の事故で初めてそういうことだったというふうになったんですが、何か普通の住民の立場からしますと、先ほどの議論のように、原子力発電は真っ白であるというふうな、そういうような認識を余りにもPRしちゃうものだから、新しい事実が起こったときに非常に弁明に窮しちゃうわけですね。
 ですから、原子力発電というのは安全でないと言うと、これはまた大変な語弊が起こりますけれども、真っ白でないよということから安全確保ということの万全を期すということに考え方を切りかえないと、真っ白でございますというところから入るから、住民のおかしいじゃないかということと、原子力推進の方の通産省のエネルギー庁の方の考え方が非常に乖離しちゃって、お互いに不信感が出るということの原因になるんじゃないかと思っているんです。
 特に今、山東大臣のおっしゃるような事故が、自動車事故を引例されましたけれども、原発事故の場合と自動車の事故とは基本的に違うんですね。一つだけ挙げますと、自動車事故というのは、当事者だけが基本的に犠牲になるということがあるわけなんですけれども、原発の場合は巻き込むわけですよね、周囲を。チェルノブイリにしてもね。だから、その辺のところは同じ文明が起こした事故によっても全然意味が違うんだということをちょっと考え方を変えていただかないと、同じレベルで考えていただくとちょっと認識が違ってくるんじゃないかなということを考えます。
 それで、もう一つ通産省に質問したいのは、いわゆる事故を点検した場合の調査結果が、一種のメーカー側とは独立した権限を持たして、要するにこのぐらいのことだったらばまあ運転していても大丈夫だろうなというようなことで進めるんじゃなくて、そういうものが見つかったら見つかった段階で、明らかに独立機関としてこれはこういうことですよというような、一種の公正取引委員会的な権限を検査チームに持たせる。要するに、いわゆるメーカー側が主であって検査側が従であるというような主従の関係で検査するんじゃなくて、検査チームというのは、そういう経済論理とは別に、純粋的に科学的なチェックをするんだという検査チームの性格づけを持たせるということが今後の教訓を生かすということにならないか。
 というのは、どうも解せないのは、点検していいと言ったはずのところが起きてしまっているということは、どこかに論理的な破綻を来しているんじゃないか、そういうふうに思いますので、その辺いかがですか。
#78
○説明員(倉重有幸君) 先生御指摘の原子力発電所にかかわります品質保証活動のあり方ということかと思いますが、当然品質保証活動ということであれば、メーカーでのチェック体制なり、またそれから当然発電所の中では電力会社の中のチェック体制、また国の検査の仕方ということがみんなかかわってくる問題であろうかと思いますが、品質保証というのは、これは重要な問題であるというふうに私ども認識しておりまして、発電所におきましては品質保証を専門に担当するセクションを設け、また人を配置してやってきたわけでございますが、今回の場合にはこのチェック体制といいますか、チェックの項目になっていなかったというものでございまして、その面では今後そのチェックの進め方、それからその対象範囲等よく検討して、今後このようなことが起きないようにぜひ進めていきたい、このように考えておるわけでございます。
#79
○委員長(和田教美君) 新坂君、時間が来ておりますので、簡単に願います。
#80
○新坂一雄君 はい。
 検討はよろしいんですけれども、何かそういうようないわゆるメーカーとの主従関係にならないような独立的な検査チームの性格づけをつけるような形に検討してほしいということを言っております。
 それからもう一つは、品質保証といいますけれども、テレビや自動車の品質保証でトラブったということと原子力発電の品質管理というのとは全然意味が違うということを先ほどちょっと大臣にもお話し申し上げたんですが、そういうところをよく踏まえてやってほしいという要望でございます。
 以上です。
#81
○小西博行君 予算に関連するということですから、細かく言えば幾らでもあるわけですが、きょうはせっかくのチャンスですから、科学技術庁という名前について少しお尋ねしたいと思うんです。
 科学というのは、御承知のように、基礎的な研究をだんだん深めていくというんでしょうか、探求するというか、そういうところに科学の意味があろうかと思うんです。技術というのは応用開発、こういうふうに考えるんです。
 そこで、戦後日本が欧米に追いつけ追い越せ、そういうことで今日までやってきた。そういう意味では科学技術庁というのは非常に適切で、今日はもう世界でも有数の科学技術の国にもなってきた、経済大国はもちろんですけれども。そういうように思うんですが、その言葉がどうも問題があるんじゃないか、最近になると。最近ではどうも基礎研究的なものを世界各国からどんどん要求される。今までは日本がよそからいろんな基礎研究のやつをもらって、結果をもらいまして、それを応用開発といいますか、そういうもので日本の経済が発展してきたというこういう二面性がありますね。
 そこで、私は科学技術という予算の少ない科学技術庁が通産省とお互いに競合するような部分がそこに入っているんじゃないか。原子力でもいつでもその問題が出てまいりますし、多少のニュアンスも変わってくるんですが、やっぱり科学技術庁というのはむしろ科学庁であるとか、あるいは科学推進庁というんでしょうか、そういう分野をやるべきではないか、そういう感じが実はしておるんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#82
○政府委員(須田忠義君) 科学技術という言葉の定義、概念、随分我々科学技術会議でも議論しておるんですが、科学ポツ技術なのか科学的技術なのか、そういう議論をずっと何年かにわたってしてまいっております。ただ、ポツとかなんかじゃなくて、やっぱり科学と技術の接点といいますか、科学の成果が技術にはね返る期間、タイムラグが非常に短くなっていっている現状を踏まえれば、むしろ科学技術を一体として考えた方がより適切だというのが今大体大筋の議論になっているわけです。確かに先生のおっしゃるように、もっともっと基礎研究、サイエンスにシフトするということから考えれば、科学技術庁は科学の方を重視する、それは一つの大きな意見としてございまして、我々もできるだけ基礎研究の方を強化しようということでずっと努力してきておるところでござい
ます。
#83
○小西博行君 そこで、大学関係は教育ももちろんですがやっぱり研究、言うなら基礎研究の分野というのはかなりあるわけですね。ところが、御承知だと思いますが、大学の研究者というのも最近は希望者がだんだん少なくなってきているということもございますし、それから昭和三十九年から予算というか、予算の請求権というのは国立大学、これは九十六校あります、東大、京大も入れましてね。それは、予算の請求権とか人事権というのは学長とか総長というのは全然なくなっているんですね、三十九年から。これは国立学校特別予算制度というのが新しくできましてね。だから東京大学の学長、総長は、こういうことをやりたいからこれだけ予算をくださいという政府に対する予算の請求権というのがなくなっているんですね。
 そういうことで、例えば東北大学の西澤学長あたりも非常に困っておるんですが、従来ですとやっぱり優秀な研究者を民間から引き抜くとか、自分の研究に合った、あるいは東北大学はこれをやりたいというようなことでかなり優秀な人材を集めて、そこで給料の問題もあるでしょう、そういうことでやってきたんだけれども、なかなかそういうことがこれからできなくなっているんだと、三十九年以来は。ですから、非常に学長とか総長の権限というんですか、これは非常に難しい。これはアメリカあたりに比べますともうまるで違いまして、アメリカあたりの市立大学、いわゆる公立ですね、そういう大学が大体州で定まっておりますけれども、そういうところはやっぱりきちっと権限があるわけですね。
 予算だとか人事についてもきちっとできる。そういうようなことがちょっとありまして、大学関係が純粋に基礎研究をどんどんやっていただけるのかと思いましたら、最近はだんだん変わりまして、優秀な学者というのは、さっき申し上げたように、技術との関係が民間の産業と出てきますね。ぜひこういう研究してもらいたい、そのかわり幾らかお金出しますという、それがだんだん進行している途中で、ぜひうちの会社へ入ってほしいというようなことで、基礎研究というよりもむしろ技術的な応用というんでしょうか、そういう分野で引き抜かれていくというケースが大分ふえておりまして、これは恐らく皆さん方の研究所でもそういうことがあるんじゃないか。最近の議論でも、優秀な人材をどうやって確保しようか、民間の方がいろんな条件がいいものだから優秀な人は民間に行く、そういう問題ですね。これは同じような問題だと思うんですが、そういう非常に苦しい関係がある。
 大学でいきますと大体理工学部と工学部というように二つに、科学技術の分野に分かれると思うんですが、むしろ理工学部というのが今申し上げた基礎研究的な分野が非常に強い色彩がある。工学部はどっちかというたら応用技術的な分野がある。それを見ますと、学生の比率でいきましても一対七、むしろ工学的な分野の方が多いわけですね。これはもう社会のニーズに合っているんだろうと思うんです、日本の。そういう分野がありまして、私は、この比率を何としてもそういう基礎研究的な分野、これは文部省に対する要求ではなくて、恐らく研究所におきましてもそういう分野があるんではないか。これから、科学技術庁はいろいろ予算の折衝や何かで相当ふえているとは言うんですが、もともとが少ないものですから大した予算にならない。相当思い切ってこれは政府に要求していかなきゃいけないんじゃないか。
 私はむしろ、前から言っているんですが、科学技術庁なんというのは科学省あるいは科学技術省ぐらいの形で取っ組んでいかないと、文部省の中の研究者も含めて日本の将来の基礎研究はこうあるべきだという意味では大事じゃないか。これ再三申し上げておるんですが、その辺についての考え方はどうなんでしょうか。
#84
○政府委員(須田忠義君) 先生御指摘のとおり、基礎研究、我が国の今の科学技術振興費は約二兆円でございますが、その半分、一兆円近くが文部省関係の経費でございます。したがって、民間、国立研究機関に比べますと圧倒的に文部省関係が基礎研究の重点が多い。御指摘のとおりでありまして、我が国の基礎研究を伸ばしていくには文部省関係の充実、これが非常に重要な課題と思っております。
 ただ、科学技術会議、今文部省にかかわる科学技術の共同事務をやっておりまして、今科学技術会議で十八号諮問の次世代を見渡した今後十年間の科学技術の振興方策を審議してございます。その中で基礎研究の充実、人材の養成、育成、これが重要な課題と認識し、我々鋭意それらについて審議しているところでございます。
 なお、これについては、我々、文部省の中へ一〇〇%入っていけるわけじゃございませんけれども、科学技術会議は文部省と共同でございまして、科学技術会議の議員は文部大臣も指定されてございまして、そういう意味では緊密な連絡をとってこれから推進してまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#85
○小西博行君 それと、国際研究というんですか、お互いに、人間もそうでありますが、テーマも世界のそれぞれの国々で研究しようというようなことがございますでしょうし、それから学会がありますよね、そういうものへの出席というのがもう非常に絞られている。これは大学もそうでありますが、科学技術庁の関連の研究所あたりも、大蔵省あたりはなかなかその辺が理解できないようで、二年に一回も行けばいいというような発言してみたりというのを聞いておりますが、私は、国際的な場において日本の学者がやっぱりどんどん行って発言できるということでないと、どうも日本の方は相変わらずただ乗り論をやっているんじゃないかというようなことをいつも言われている。
 科学技術庁は、いつも言われるように、諸外国からも研究生を大分とっておりますとか、そういうお話なんですが、人数的にはこれも非常に少ないものですからなかなか目立たない。せめて自国のそれぞれの研究者を思い切った発言ができる場へ出してやる。余りにも予算が少ない、それには。ですから、自費でもって行くという傾向が強いでしょう。五十万もかかるような金を自分で持っていくとかいうようなことがあるというようなことを私は非常に心配しておりまして、まあ予算折衝の段階でいろいろあるんでしょうけれども、過去が二年に一回だから、今度は二年に二回ぐらいにお願いしますという言い方じゃなくて、今の研究体制を見ると大体どういうようなテーマでというのはわかるわけですから、せめてそれには必要なのはこのぐらいかかるんだというはっきりとした試算をされて、やっぱり大蔵省に突きつけていくということでないと、なかなかそれが突破できないんじゃないか、そういう感じがしてなりません。
 もう時間がありませんから終わりますけれども、科学技術庁の中でのやる分野というのは、この間から申し上げたいろんな省庁の研究機関に対しての予算の配分、そして後のフォローは余りできない、口出しはしにくいという分野もありますけれども、やっぱり科学技術庁が中心にならないといけないという意味で、中身の性格とか予算の問題とかいうものをもう少しきちっと整理されてやっていったらどうでしょうか。提案でございます。お答えを、やる気をひとつ聞かせていただいて、終わりたいと思います。
#86
○政府委員(林昭彦君) 御指摘の国立研究機関等の研究者の国内外の学会への出席でございますけれども、これは先生ただいまお話しございましたように、私どもとしても研究活動の重要な一環であるというふうに考えておりまして、いろいろ厳しい財政事情もございます中で、例えば科学技術振興調整費等を活用いたしまして、実質的な増額ということについては努力をしてきたところでございます。私どもとしてもこの重要性というものは十分認識をしているところでございます。また、山東大臣も本件については非常に強い関心を持っておりまして、真剣に取り組むようにと私ども指示を受けております。
#87
○小西博行君 終わります。
#88
○委員長(和田教美君) 他に御発言もないようですので、質疑は終局したものと認めます。
 これをもちまして平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○委員長(和田教美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   正午散会
ソース: 国立国会図書館
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