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1990/03/05 第120回国会 参議院 参議院会議録情報 第120回国会 予算委員会 第7号
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1990/03/05 第120回国会 参議院

参議院会議録情報 第120回国会 予算委員会 第7号

#1
第120回国会 予算委員会 第7号
平成三年三月五日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月四日
    辞任         補欠選任
     星野 朋市君     秋山  肇君
     中西 珠子君     片上 公人君
 三月五日
    辞任         補欠選任
     中村 太郎君     須藤良太郎君
     上田耕一郎君     高崎 裕子君
     池田  治君     新坂 一雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                坂野 重信君
                野沢 太三君
                藤井 孝男君
                宮澤  弘君
                佐藤 三吾君
                角田 義一君
                安恒 良一君
                及川 順郎君
                吉岡 吉典君
    委 員
                秋山  肇君
                井上 章平君
                石井 道子君
                石原健太郎君
                遠藤  要君
                大島 友治君
                合馬  敬君
                片山虎之助君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                斎藤 文夫君
                須藤良太郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                西田 吉宏君
                小川 仁一君
                國弘 正雄君
                瀬谷 英行君
                竹村 泰子君
                堂本 暁子君
                細谷 昭雄君
                本岡 昭次君
                森  暢子君
                山本 正和君
                吉田 達男君
                太田 淳夫君
                片上 公人君
                白浜 一良君
                上田耕一郎君
                高崎 裕子君
                粟森  喬君
                池田  治君
                新坂 一雄君
                足立 良平君
                寺崎 昭久君
                西川  潔君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  左藤  恵君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  井上  裕君
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
       農林水産大臣   近藤 元次君
       通商産業大臣   中尾 栄一君
       運 輸 大 臣  村岡 兼造君
       郵 政 大 臣  関谷 勝嗣君
       労 働 大 臣  小里 貞利君
       建 設 大 臣  大塚 雄司君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
       国 務 大 臣
      (内閣官房長官)  坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  佐々木 満君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       谷  洋一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  池田 行彦君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       越智 通雄君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       山東 昭子君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  愛知 和男君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  西田  司君
   政府委員
       内閣官房内閣安
       全保障室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障室
       長        米山 市郎君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       総務庁長官官房
       審議官      田中 一昭君
       北方対策本部審
       議官       池ノ内祐司君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁長官官房
       長        日吉  章君
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  村田 直昭君
       防衛庁装備局長  関   收君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁調整
       局長       末木凰太郎君
       経済企画庁物価
       局長       田中  努君
       環境庁企画調整
       局地球環境部長  加藤 三郎君
       国土庁長官官房
       長        八木橋惇夫君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       外務大臣官房外
       務報道官     渡邊 泰造君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    渡辺  允君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
       外務省情報調査
       局長       佐藤 行雄君
       大蔵省主計局長  保田  博君
       文部大臣官房長  坂元 弘直君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       厚生大臣官房総
       務審議官     熊代 昭彦君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序沿君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省社会局長  長尾 立子君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       林野庁長官    小澤 普照君
       水産庁長官    京谷 昭夫君
       通商産業大臣官
       房審議官     横田 捷宏君
       通商産業省通商
       政策局長     畠山  襄君
       通商産業省貿易
       局長       堤  富男君
       運輸大臣官房長  松尾 道彦君
       運輸省運輸政策
       局長       中村  徹君
       運輸省国際運輸
       ・観光局長    寺嶋  潔君
       運輸省地域交通
       局長       佐々木建成君
       郵政大臣官房経
       理部長      吉高 廣邦君
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       建設省住宅局長  立石  真君
       自治大臣官房総
       務審議官     紀内 隆宏君
       自治大臣官房審
       議官       二橋 正弘君
       自治省行政局選
       挙部長      吉田 弘正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
   参考人
       日本銀行総裁   三重野 康君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二年度一般会計補正予算(第2号)(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度特別会計補正予算(特第2号)(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二年度補正予算二案の審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁三重野康君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(平井卓志君) 平成二年度一般会計補正予算、平成二年度特別会計補正予算、以上二案を一括して議題とし、これより質疑を行います。太田淳夫君。
#5
○太田淳夫君 最初に総理にお尋ねしたいと思います。
 昨日もこの委員会で建設大臣のリクルート社からの裏献金の問題が出ました。参議院の予算委員会におきましては、昨年の本予算の審議の際にもやはりある大臣のリクルート事件に関連するいろいろな問題がありました。それに対しまして委員長の見解が出されました。そういう経過がございまして、参議院では特にリクルート社をめぐる国民の皆さん方の政治不信の問題、この解明には取り組んできたところでございますし、そういう事件が絶滅するように私たちは求めてまいりましたが、今回報道されたことが事実かどうか、まだそれは調査されているようでございますけれども、やはりそういうリクルート事件に対する反省というものがまだ海部内閣では足りないのではないか、こう思うんですが、その点、総理ほどのようはお考えでしょうか。
#6
○国務大臣(海部俊樹君) リクルート事件の反省に立って海部内閣では、今回の改造に当たりましても、閣僚在任中に株取引は厳しく自制する、あるいは資産の公開は、これはもうもとからやっておりましたが、引き続いてやっていく、同時に、そういった世間から政治信頼というものを失うような問題についてはできるだけ改革をし、改善の道を進めていかなければならない、こういった気持ちは非常に強く持っておるわけでございまして、政治改革の一環として政治倫理の確立ということも取り上げて、与党とも一体となって海部内閣はこれを進めていかなければならない、こう強く決意をいたし、でき得ることから実行に着手しておるところでございます。
#7
○太田淳夫君 昨日、官房長官はこの事件について調査をするとおっしゃっておりましたけれども、調査されましたか。
#8
○国務大臣(坂本三十次君) きのうここで御質問が出、その中で調査をして報告をしなさいという御意見がございました。そこで、私といたしましては、調査し報告をすると皆さんにここでお答えをしたわけであります。調査したかというと、きのうのきょうですからそうはまいりません。御本人には私から、委員会の経過はこうですからひとつお話を聞かせてもらって、そして調査をいたします、協力をしてください、こういうふうにお話をしてございまして、これはこれから調査にかかるということでございます。
#9
○太田淳夫君 調査された結果については国会に報告されると思いますが、総理、この調査の結果真実が解明した場合には、海部内閣の姿勢としてもはっきりとした処置をとられるんでしょうね。どうでしょうか。
#10
○国務大臣(海部俊樹君) 官房長官に調査を指示しておりますので、それの結果につきましては適切な判断をいたしますが、御本人の意向その他等も十分お聞きをいただきたいと思います。
#11
○太田淳夫君 次に、きょういろいろと新聞紙上でも報道されております政府で今検討されているPKO新組織について、予備自衛官中心に編成をしていくというようなことも報道されているわけでございますが、これの週内素案づくりを目指して政府内で調整しているんでしょうか。
#12
○国務大臣(海部俊樹君) 前国会の国連平和協力法案の審議未了、廃案という結果を受けまして、しかし国際社会に対する日本の協力支援というものはお金だけでは不十分であるという見地に立って、公明党、民社党と自由民主党との三党合意がなされました。政府はその三党合意を踏まえて、ただいまいかなる形の国際社会に対する協力が適切であるかという点について、新たな協力のあり方についての成案づくりを今鋭意行っておるところでございます。いろいろな作業を進めておりますけれども、途中の問題でございますから、具体的に固まりましたらまた直ちにそれはお示しすることになろうと思います。
#13
○太田淳夫君 防衛庁にお尋ねしますけれども、この予備自衛官というのはどういう資格ですか。
#14
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 予備自衛官は法律上は非常勤の特別職公務員、こういうことになっておりまして、平常は通常の御自分のお仕事をしておられるわけでございますけれども、法律上は年間二十日以内の訓練を受ける、このようになっております。法律上は二十日以内でございますげれども、実行上はたしか五日となっておりまして、ただ、退職後一年末満の人は一日の訓練で済んでおる。それから、なお処遇の方は月額で四千円でございましたか、そのほかに訓練に参加した場合は日額で五千六百円の手当が支給される、そのようになっていると承知しております。
#15
○太田淳夫君 ということは、この予備自衛官は完全な文民ではないですね。退職自衛官とは違いますね。
#16
○政府委員(畠山蕃君) 非常勤の特別職国家公務員でございます。
#17
○太田淳夫君 ですから、厳密な意味での退職自衛官とは違いますねと聞いているわけです。
#18
○政府委員(畠山蕃君) 厳密な意味の完全な文民かという御質問でございますけれども、文民という言葉の定義いかんにもよると思いますが、その限りにおきまして非常勤として、ただいま防衛庁長官からも御答弁申し上げましたように、一定期間内自衛隊での任務を行うということでございますので、定義いかんにもよりますが、純然たる文民と言えるかどうか、そこは議論の分かれるところであろうと思います。
#19
○太田淳夫君 先ほど総理からお話がございましたが、さきの国連平和協力法案における国会の審議におきましても、その後の三党合意におきましても、私たち公明党は憲法の平和主義は堅持していくというその三党合意、あるいは国連中心主義に重点を置く、これは合意したわけでございます。国連への人的協力も必要であると認めていますけれども、これは自衛隊と別個の国連平和維持活動についての協力組織をつくるということを私たちは明確に言っております。私たちの党はその場合に文民による非軍事的な分野での貢献は限るべきだという主張をいたしておりまして、この主張は今後も変わらない、このように思っております。その点も十分踏まえてこの素案づくりをやるんでしょうか、どうでしょうか。
#20
○国務大臣(海部俊樹君) 前回の国会の議論の中にございました中で、私どもも、御指摘のように、平和主義、武力による威嚇もしくは武力の行使を伴わないものに限るということは大前提として置いてありましたが、現実にいろいろな議論の中で、きょうまでの組織の度合いとか訓練の度合いとか効率的有効に対応していくにはどうすればいいかという観点から、前回はいろいろな御議論をここで生んだと思っております。
 その結果生まれた三党合意でありますから、御指摘のとおりに、その三党合意の趣旨を踏まえて成案を得るべく努力しておるというところでございますから、御指摘のようなことを念頭に置いての作業でございます。
#21
○太田淳夫君 続いて、これもきのうこの委員会で問題になりました例の自衛隊機の問題でございますけれども、避難民の輸送に従来なかったところの自衛隊機の派遣ということを政令で決めたわけですけれども、私たちの党はこれに反対をいたしております。
 これはもう先刻御存じだと思いますけれども、その理由といたしましては、従来、政府が国会審議で答弁をしていた国賓等の基準、これを政府だけで勝手に基準を設けて変更したということが一つです。二つ目は、国会開会中にもかかわらず、国会の意思を問う必要のない政令という形でもって制定をしたということです。それから三点目は、やはり自衛隊の業務を変更するという重大なこれは政策変更だと思います。しかも、この問題については国論を二分しているわけですね。そういう中で国民の代表である国会というものを無視してそういう結論を出された。こういうことで私たちは反対をいたしているわけでございます。また、自衛隊機の海外派遣につきましては、先ほども申し上げましたとおり、昨年の国会の審議の中でも、いかなる形でもノーということが国会の意思として決まっているわけですね。これは厳然たる事実であったわけでございます。こういうことを私たちは理由としているわけでございます。
 そこで、きのうはいろんな政令の中身でも議論がありましたけれども、特に先ほど申し上げましたとおり、自衛隊の業務を変更して海外に派遣するというような重大な政策変更というものを国会の議論なしでできるのかどうか、その点どのようにお考えでしょうか。
#22
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の一連の問題の起こりましたそのもとを探ってみますと、やはり武力による他国への侵略、併合ということがイラクによって行われて、それがもとでイラク周辺に避難民の人が出てくる、それを国際機関が本国へ移送することをそれぞれのIOM加盟国に要請をする、要請を受けた我が国の立場で何ができるだろうかというのが私の問題提起の出発点でございます。
 国連の決議によって、アメリカを初め二十八と言われる国々の首脳は、国際社会の大義を守って侵略を排除しなきゃならぬというので、その国の青年男女の生命の犠牲をもあえて決断をして国際社会のために大義を守ろうという行動に出ておるわけでありますから、そこに参加することのできない憲法上の制約があるというこの日本の立場を、それらの国々に国際的に理解を得るためにも日本というのはできる限りのことをしなければならぬと思います。その意味で、全く非軍事的な面で、しかも避難民の移送というのはこれは極めて人道的な問題でございます。だから、イラクの侵略によって起こった避難民を全く人道的に、そして非軍事的な面の協力を日本がすることによって貢献することができるならば、日本としてはこれはすべきであると考えました。
 そして、いろいろ委員御指摘になりましたが、国会でおつくりになる法律、自衛隊法の第百条の五、そこには「国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、」「内閣総理大臣その他政令で定める者の輸送を行うことができる。」と、こう書いてありましたので、私はこれを素直に受け取って、素直に読んで、政令でこうこうこういう人を非軍事的な人道的な面で国際機関の要請にこたえますということを、内閣の責任と内閣の権限において政令を定めるという方法で対応をしたわけであります。
#23
○太田淳夫君 それは昨日もこの委員会で議論になりましたね。その「政令で定める者」という者は、最初は政府の見解では、政令においては国賓、内閣総理大臣という代表例とかけ離れたものの規定を予定していない、これは国会に対する政府の正確な答弁なんですね。それを今あなたがいろんなことをおっしゃいました。確かに人道的な面あるいは非軍事的な面、いろんな理由をつけられましたけれども、しかし、そういう代表例と今までの国会の論議の中でかけ離れ過ぎていて、そういうものは予定されていませんよという中で、政府が、あなたが勝手に裁断をして、これならできるんですよということで今回の政令の制定になったわけでしょう。そういうことが果たしてこの議会制民主主義の日本の中で、国会で議論をせずにできるのかということを私は聞いているわけですよ。
#24
○国務大臣(海部俊樹君) 憲法の七十三条を素直に読みますと、これは授権の範囲内で政令をつくるのは内閣だと、こう書いてあるわけですね。だから、いろいろな国の機関機関が責任と権限でもってやらなきゃならぬことということを判断して、内閣の責任においてこれは決断をさせていただいた。それは避難民をああだからいけない、こうだからいけないといって、こういった事態が起こることは、まさにサダム・フセインのこういう行為が起こって避難民が出てくるということは予測できなかったことでありますから、その事態に当たって国連が委嘱をして国際機関が日本に要請をしたわけでありますから、それにこたえるのが私は政府の責任であり、また人道上の見地からもやるべきである、こう判断をした次第でございます。
#25
○太田淳夫君 あなたは、最初はこの政令制定には余り首を縦に振らなかったと報道されておりますね。私はあなたは良心があったと思っていますよ。今の答弁は全然違いますな。
 いろんな国際機関の要請があったって、自衛隊機に出てもらいたいという要請はあったのですか。
#26
○国務大臣(海部俊樹君) 最初のIOMの要請というのは、このような緊急突発事態が起こって避難民の数がふえることが予想される、商用機だけではたえられないときには軍用機も各国に協力をしてもらわなきゃならぬ、各国に向かって民間機そして軍用機の供与で避難民の移送をしたい、そるいう要請があったことは事実でございます。
#27
○太田淳夫君 しかし、それは民間機で十分事足りていたんじゃないでしょうか。あるいは国民の皆さん方がボランティアで民間機をいろいろ雇われてそれに対応されてきたんじゃないですか。自衛隊機で出動する理由は何もなかったわけです。
 私は、先ほどのもとへ戻しますと、政府が考える、それがすべて正しいんだ、今後いかなる事態が発生するかわかりません。そのたびごとに法律を拡大解釈して政令で政府は何でもできるんですぞと、七十三条をごらんなさい、こういう姿勢では国会が無視をされていたことになりますよ。この自衛隊の問題というのは、総理もよく御存じでしょう、自民党さんだって党内分かれております。国論だって分かれているんです。重大なこれは政策変更であるわけでしょう。ですから、もっと慎重にやるべきではなかったか。あなたも最初はそう思っていたじゃないですか、どうですか。
#28
○国務大臣(海部俊樹君) 私は最初から人道的な立場で考えると。私はここに例示で表示されておる内閣総理大臣でありますが、避難民の人も人間という立場で生き、人間性の尊厳という点からいったら変わりない、これはできることならば救ってあげることが大切ではないか、これできないできないと言ってほうっておいてはいけないというのが私の考えのスタートであったことは間違いありませんから、できる方法を探したと。そして、ここは、法律の自衛隊法第百条の五の中に「その他政令で定める者」といる規定があるわけでございます。したがって、IOMからの要請があったときに、最初は民間の航空機をチャーターしてIOMが運びたいと言ったときは、その最初の呼びかけにこたえて政府は真っ先に三千八百万ドル輸送の経費を全額IOMにまず拠出をしたんです。それによってあの地域の民間航空機で運ぶことも協力しました。
 続いて、ベトナムの難民をベトナムへ送り返してほしいという具体的な要請がIOMから来ましたときは、民間航空はお願いして協力を求めたら、カイロまでならば協力できるということでありましたので、四機にわたって派遣をし、ベトナムまで避難民の輸送等もいたしております。
 ただ、そういったことがいろいろな状況で数が多くなるとかあらゆる場合が想定されますから、具体的要請にこたえるための準備と心構えだけはきちっとしておくことが、そういったときに国際機関に御協力します、できることをしますと言うためには、それぐらいのことは政府の責任において決めておかなきゃならぬと判断しましたから、政令制定ということに踏み切ったわけでございます。
#29
○太田淳夫君 私たちも、こういう湾岸戦争とかそういうところの避難民の皆さん方を救ってあげたい気持ちは一緒です。何も避難民の皆さん方を見殺しにするために私たちは反対しているわけじゃないんです。この戦争の一刻も早い終結を願い、避難民の方々が少しでも早く救済されるように、これは与野党ともに願ってきたのではないでしょうか。
 総理、国際的な貢献ということを今いろいろとおっしゃいました。それにはやはり国際的な信頼というものをかち取らなきゃならないんじゃないかと思うんです。そのためにあなたはやったとおっしゃるけれども、今回のこの政令の制定についてはどうでしょうか。周辺の東南アジア諸国におきますいろんな報道、それを見ますと、日本の政府というものは国会を無視して自衛隊を出動させるようなそういう暴挙をして、どういうことをするかわからないような日本の国なんだという評価を皆しているじゃないですか。あなたがこういう政令というものを制定することによってかえって各国の信頼関係というものを失っていくことになるんじゃないでしょうか。これは、あなたがおっしゃっている国際的な貢献をするということに対して反することになるんじゃないですか。どうでしょうか。
#30
○国務大臣(海部俊樹君) 武力による共同作業に日本も武力によって参加していく、そのための自衛隊の派遣というならば、これは極めて大きな問題で、今委員御指摘の問題等も妥当するでしょうけれども、武力による威嚇、武力の行使は全く伴わないという日本の平和主義の大前提というものはきちっと踏まえてありますし、それから近隣諸国ともよくこれらのことはお話をして、こういったときに、国際機関の要請があったときにお運びするんです。アジアの国でも、フィリピンにもお運びしましたし、今度はベトナムにも輸送を手伝いましたが、これらの国々に対して日本との信頼関係は確実に一歩前進したと私は考えます。
 また、今度のこの国連の決議に対して、国連加盟国でない韓国では軍医を百人単位で出そう、あるいはフィリピンも出そうということで、皆が国際社会の大義のもとで、それぞれのかじと枠の中でできる限りの人的貢献をしようということでみんなが努力をしておるさなかでありまして、何もしないよりも何かしてお役に立っていくことの方が大切だ、私はそう考えております。
#31
○太田淳夫君 ですから、日本は国際貢献、この補正予算でも九十億ドルの追加支援、今いろいろと審議しているところじゃないですか。これほど大きな国際貢献はないんじゃないですか。アメリカは自衛隊機で送れと言っていますか。今いろいろとフィリピンの例も挙げられましたけれども、これは自衛隊機で行ったんですか。民間機じゃないですか。ですから、周辺の諸国は言わないんです。しかし、議会制民主主義のルールを破ってこういうようなことをするとなると、日本は果たして法治国家なのかしら、そういう不信感を持つんじゃないですか、こういうことを私は言っているわけです。どうでしょうか。
#32
○国務大臣(海部俊樹君) 日本は法治国家でありますし、法律を守らなければならないということは、私も肝に銘じております。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、法律に従って、その授権の範囲内で「内閣総理大臣その他政令で定める者」と明らかに書いてありますから、そこを素直に読んで、内閣の責任で政令をつくって、今回のイラクの問題によって起こった避難民の人に対処する。現にきょうまで民間でどんどん対処もしました。四機も出した。必要なお金も全部出しておる。さらに具体的な要請が来たときに、もうそれ以上はできませんと言わないで、できる限りの協力の準備をしておこうと、こういうことでございます。御理解をいただきたいと思います。
#33
○太田淳夫君 総理、理解はできませんね。
 この論議、いつまで続けてもあれでございますけれども、私は申し上げておきたい。この政令というのは、もうはっきりと撤廃をされるべきではないか。どうでしょうか。
#34
○国務大臣(海部俊樹君) 国際機関を通じて避難民の人たちの移送の具体的な要請が来なくなれば目的を果たすことになりますから、この法令は自然にそのときにはでき上がった目的を失うわけです。そのときにはきちっと処置いたしますけれども、今ここでと言われても、まだ避難民の出てくるぐあいがどうなるのか、国際機関からどのようなことになってくるのか、まだ見通しは不明確でありますから、やろうと決意をして準備した以上は、そういった状況がなくなるまで今直ちに撤回ということは考えておりません。
#35
○太田淳夫君 そういう状況が出たときに、どなたが判断されるんですか。
#36
○国務大臣(海部俊樹君) 私が判断します。それで、政府の責任で政令はこれで終わりだということを決めます。
#37
○太田淳夫君 それは、今決めますとおっしゃいましたが、手続もきちんとあるんでしょう。正式な手続を踏んで、この政令は撤廃しますということを内外に発表するんですね。
#38
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の政令はいろいろな制限といろいろな条件がついておるものでありますから、その必要がなくなるときに失効するのでありますけれども、正式の手続のとり方や権限なんかについては、法制局長官から説明いたさせます。
#39
○政府委員(工藤敦夫君) お答え申し上げます。
 この政令に則してお答え申し上げれば、この政令は当分の間と、こういうことで決められております。したがいまして、最終の確定期限があるわけではございません。ただいま総理がお答えになりましたように、その対象となる事態が消滅したという場合には、私どもそれを実効性喪失と、こういうふうな言い方を実はしているわけでございます。いわゆる実効性というのは実際の効力、効果、こういうふうに書く実効性でございます。そういう意味で、実効性が喪失して、何か非常に変な言い方ですが、いわば自然死をするといいますか、そういう事態もあるわけでございます。それに対しまして、それを明確にするために政令を廃止するということもまたあり得るわけでございます。そういう二つの行き方といいますか、そういうのが従来とられているところでございます。
#40
○太田淳夫君 外務省にお尋ねしますけれども、ドイツの基本法に対する態度はどうなんでしょうか、今回の湾岸事件に関して。
#41
○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。
 ドイツにおきましては、先生御案内のとおり、NATOの枠内において行動するということを今までずっと行ってまいりました。NATOの範囲を超えて行動を起こすべきかどうかという点につきましては、ドイツの国内におきましてもこの湾岸戦争が起きましてからずっと議論のあるところでございます。基本法を改正する必要があるのかないのかという点も一時は議論があったわけでございますけれども、基本法を改正する必要があるという意見が大勢のようでございますが、それ以降の方向につきましては、まだドイツの国内で議論が行われている段階であるというふうに承知をいたしております。
#42
○太田淳夫君 今御答弁がございましたが、ドイツではこの基本法は日本の憲法に匹敵するものでございますね。これはNATOの領域外の国防軍の派遣をめぐっていろいろな論議があった。しかし、この湾岸戦争のどさくさに紛れてやるべきではないという意見が主となって、事態が鎮静化してから本格的な議論をしましょうというドイツの態度があったわけですね。そういうことが国内でも議会でも論議されて、しかも本格的な論議は次にしよう、今どさくさに紛れてやるべきではないんだということが、やはりドイツの法治国家としての信頼というものを周辺の国家にこれは植えつけることになるんじゃないのでしょうか。
 ですから、今法制局長官からお話がありましたこの政令についてのいろんな措置ですね、自然死の場合もある、あるいは廃止の措置をとることもある、こういうことでございましたが、そういう日本の国際的な立場というもの、信頼というものをかち取るためにも、自衛隊機を海外に派遣するというこの政令については、やはり総理がきちんと廃止の手続をとるべきである、このように私は思います。その点どうでしょうか。
#43
○国務大臣(池田行彦君) 総理の前に私から御答弁させていただきます。
 今委員御指摘の中でドイツの基本法というお話がございました。これは、委員御指摘のとおり、いわば日本の憲法に当たるものでございますけれども、今回の自衛隊機の派遣問題につきましては、憲法との関係で申しますと、御承知のとおり、憲法上禁止されておりますいわゆる海外派兵と申しますのは、武力行使の目的を持って他国の領土、領空、領海へ武装部隊を派遣するということでございます。今回考えられております自衛隊の輸送機というのは全くそういったものではございませんので、憲法上の問題が全くないということは、これはこれまで一貫して政府が申し上げているところからも御理解ちょうだいできるかと思います。
 そして、委員も含めまして、先般来議会で問題になっておりますのは、むしろ法律と政令の関係でどうかという点かと存じます。その点につきましては、私ども繰り返し申し上げておりますように、法律で国会から我々に授権をいただいたその範囲内でその政令を制定したと考えておりますので、その点も御理解いただきたいと思います。
 それからまた、政令を廃止すべきではないかという点につきましては、先ほど総理からも御答弁申し上げましたように、現にまだ避難民の輸送というそういったニーズがあるわけでございますので、そういう可能性があるわけでございます。そういったことがございますので、私どもとしてはこの段階でそういうことは考えるべきではないと存じます。また、先ほど法制局長官からも御答弁申し上げましたように、もしそういったニーズというものが完全になくなるならば、これは廃止という措置をとるまでもなく実際上その効力を失うということでございます。
#44
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど申し上げたように、法律的に実効性喪失ということがあるないにかかわらず、政治的に私が判断して、内閣でこれは終わったということを言う、こう申し上げておるわけでありますから、政治的にはそのような扱いをいたします。
#45
○太田淳夫君 私の意見は、先ほど申し上げましたように、正式に廃止をしてもらいたいということです。
 それでは、湾岸問題については関連の白浜君に移っていただきますけれども、その前に緊急援助あるいは環境破壊防止対策についていろいろと実施が迫られているようでございますけれども、その点について外務省から、あるいは環境庁からお願いしたいと思います。
#46
○国務大臣(中山太郎君) 環境調査団を派遣する準備を進めている状況についてお答えを申し上げたいと思います。
 今政府が考えております調査団の構成は、外務、通産、環境、運輸、水産庁、気象庁、海上保安庁の各省庁及び国際協力事業団から成る予定で、環境庁が単独で派遣するという体制とはまた違いまして、政府全体として関係省庁で構成したグループで出ていくということでございます。そしてこの連絡は、外務省の経済協力局技術協力課が担当をいたしております。
 今のところ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタールの四カ国を対象として検討中でございますが、いずれにいたしましても相手国の受け入れの了承をとられることが必要でございます。
 そして、対象のテーマとして、流出原油の防除対策、海水淡水化施設の保護、石油精製施設の保護、油による汚染の拡散についてのシミュレーション、クウェートにおける油田火災による大気汚染の影響調査、それから大気汚染にかかわる気象予測、野生生物保護、魚介類等の環境影響調査、こういうものがテーマとして挙げられております。
#47
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。白浜一良君。
#48
○白浜一良君 私は戦後復興の問題でお伺いしたいんですけれども、ただいまの太田委員の指摘を聞いていまして、まず冒頭に一つだけ総理に確認したいんですけれども、そういう被災民、避難民救済のニーズ、今後のニーズというのはどういうことですか、言うてください。
#49
○国務大臣(海部俊樹君) 戦局が武力の行使というものによって一変いたしました。そして、それによって被災民の方が相当多量に周辺国に出てこられるだろうという予測もある時期にはなされておりまして、だから、IOMもあのような対応をとったものと思います。ところが、今は情勢が一変しておりますから、どのような要請が来るのか、被災民の人がもうとどまってしまって本国に帰るのをやめてそこにいると言われるのかどうか、これは不透明なところが多うございますから、じっと様子を見て対応しなきゃならぬと思っております。
#50
○白浜一良君 私の理解では、その避難民の数の問題じゃないんですよ、ニーズというのは。なぜ自衛隊が行かなきゃならないのかというのは、民間機ではああいう戦争状態では危ない、だから民間機では日本の航空会社も行けない、だから自衛隊を出すんだという、そういうニーズじゃないんですか。
#51
○国務大臣(海部俊樹君) そうではなくて、商用機と軍用機を問わずこういったことには応じてもらいたいという必要に応じて要請が国際機関から各国に寄せられた。それを受けてこちらはまず民間機にお願いをする。それで、いろいろな状況等を考えますと、自衛隊の輸送機を出さなきゃならぬときもある。それならば、それに対する対応をしよう、こう言ったわけでありまして、あくまでも国際機関が必要と思うから要請をした、こちらはそれにこたえる準備をした、こういうことであります。実際は行ったのは、きょうまでも我が国は民間機であった、これも事実でございます。
#52
○白浜一良君 自衛隊機を、軍用機を出さなけりゃならないという、それはどういうことなんですか。自衛隊機も出さなきゃならない、そう判断されているわけです。それはどういうことだったんですか。
#53
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 先ほど総理からも御答弁申し上げましたように、国際機関から要請がございまして、民間機だけで対応できない場合、民間機の活用によれない場合必要に応じてと、こういう方針でございます。その民間機が活用できない場合というのはいろんな要素がある、要因があると、こう思うのでございます。それはただいま御指摘になりました危険云々の問題もございますでしょうけれども、そのほかに、民間機の場合にはやはり一般の旅客需要に応じて運航をしておられるわけでございますから、湾岸危機に伴いまして世界的に旅客需要は非常に落ち込んでおりましたけれども、これがまた回復いたしますと、やはり通常の任務のために相当の機材を要するだろう。いわゆる機材繰りにも支障が来るかもしれない。そういったことも一方にございます。また、需要の側から申しましても、避難民のニーズがどのぐらいになるか、こういうことにもよると思います。いろんな要素がございまして、いずれにしても民間機の活用だけでは対応し切れない場合にと、こういうことでございます。
#54
○白浜一良君 対応し切れないんじゃないんですよ。要するに、日本の民間のボランティアで三十五機も民間機は用意されているわけですよ。だから、供給面は大丈夫なんですよ。だから、私の理解では、ああいう戦争状態で危険だから、民間機が行けないから軍用機を出さなければならない、そういう政府の見解だと思うんです。だけれども、今戦争が終わってしまったわけです。この状況の変化はどう理解されているんですか。要するに今民間機は飛べないんですか、総理。
#55
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 確かに今戦闘行為は終わりましたけれども、しかし避難民がこれから発生するか否か、あるいはそれがどの程度の人数になるかというところは十分予測できないわけでございます。そういったところの状況を見ながら、国際機関からまた必要があれば具体的な、一般的な要請があるわけでございます。具体的な要請があるんだと思います。そしてその場合に、まずいろいろな状況を判断いたしまして、民間機で対応できるならば私ども別に自衛隊の輸送機を使うことを考えるわけじゃございません。民間機でいいわけでございます。そのいろいろな状況の中で、民間機の活用のみによって対応できない、こういう状況のときに備えて政令も準備し、またもろもろの備えもしておるわけでございます。
#56
○白浜一良君 もう堂々めぐりでやめますけれども、状況は変わりまして、民間機で対応できないとおっしゃいますけれども、民間機でも十分対応できる状況になったということを踏まえれば、その政令を変えられたという意味がないということを私は申し上げたいわけで、そのことをよく御理解をいただきたいと思います。
 それで、本題に入りますが、総理、幸いにして戦争が早く終わりまして、戦後復興に日本がどう貢献できるかということで、人的な貢献をしなきゃいかぬというのは大体日本の国民のコンセンサスがあると思うんですけれども、そういった面ではいわゆる非常にたくさんの被災民、戦傷者がいるわけで、そういう医療団の派遣をぜひとも日本として前向きに考えていこうという、こういうお考えはございますか。
#57
○国務大臣(中山太郎君) 医療団の派遣につきましては、政府といたしましてもこれに対応してまいろうと考えておりますが、今現在日本からどういう種類の医療団が行っているかということをちょっと御紹介しておきたいと思います。
 それは、まず日赤関係の医療団で、国際赤十字社と連携をとりながら十名で今日はバーレーンに移動、待機をしているという状態でございます。一月二十日からはシリアで待機をいたしておりました。今後とも赤十字国際委員会あるいはクウェート赤新月社と協議の上で、いずれクウェートこ入って医療活動を行うものと考えられております。
#58
○白浜一良君 昨日の質疑で、きょうの新聞にも報道されておりましたが、国際緊急援助隊ですか、出動も検討されておるということを書いておりましたが、これはどうですか。
#59
○国務大臣(中山太郎君) 国際緊急援助隊につきましても、このクウェートにおける二次災害、三次災害が発生した場合には、この救助隊で対応していくという考え方を持っております。
#60
○白浜一良君 そういうお考えも大事なんですけれども、昨年、医療団を派遣しようということで先遣隊を出されましたですね。私の見たところいろいろ問題を含んで終わったわけです、昨年。そういう実際政府が手を打たれたこと、そういうものを総括せぬと、どこに問題があったのかということを総括せぬと、何かつけ焼き刃でこう色をつけていかれるということを私非常に心配しているわけでございますが、昨年先遣隊が行かれてどういう問題がございましたか、理解されていますか。
#61
○国務大臣(中山太郎君) 今おっしゃるように、去年の問題を総括する、これが極めて重要であることは私よく認識をしておりまして、外務省では既に第一回の会合を開いております。この中で、医療関係では、当初百名程度出すという話が先に走ったわけであります。そこで先遣隊を出すことになりました。問題は、この地域はこれから戦闘状態に入る可能性がある、こういう状況下で先遣隊がサウジアラビアに行きまして作業を始めました。それで、アルコバルというところに拠点をつくるということで始まったんですが、問題は戦闘が行われていなかった事態でございまして、その状況のもとでは、サウジアラビア政府がそこで診療所を開く、いわゆるクリニックを開くという条件のもとで許可をする、その許可の基準というものが日本政府が考えていたような問題ではございませんで、極めて厳しい条件をつけたわけであります。まず最初に行った先遣隊は、軍の野戦病院で働いてもらいたいというサウジアラビア側の要請に対して、軍の関係の病院では働かない、目的が違うという話がされました。そういうことで、第二弾として、アルコバルに拠点をつくって、平素は日常活動として医療行為を行う、その認可基準がなかなか対応できるような条件ではなかったということが一つ。
 もう一つは、戦争にならない状態では、その地域ではなかなか患者というものは考えられない状態であった。対象としては、戦乱が起こった場合に一般被災民の診療を行う、これが当時の状況でございまして、実際は脳外科あるいは整形外科の医者を含めて最低三十名、これが必要である、こういう条件を付されたために、先生も御案内のように、日本では医療体制のもとで医師のリクルートというものが非常に難しい状態である、そういう中で戦争が起こるような危険なところに行ってくれということに対応する医師の方々あるいは医療パラメディカルのスタッフの方々から御協力をいただく体制が整えられなかったというのが現実の問題であったということを率直に申し上げておかなければならないと思います。
 そこで、今回は難民というものを対象にして医療活動を行うことがどうかということで実は政府は準備をいたしまして、現在約二十名程度の方々が協力をするという申し出をいただいているというのが今日の現状でございますか、難民に対する医療活動というものが今日非常なニーズがあるという状況ではございません。
 こういう状況の中で、第三番目の問題として、委員が先ほど御指摘になった二次災害、三次災害といったクウェートにおけるコレラとか伝染病の発生に対して日本が医療行為をどういうふうに協力するか、あるいはこれからイラクにおいてもそのような問題が起こる可能性もあるわけでございますが、そういう問題につきましてはWHO等とも十分連絡をとりながら対応し協力をしていかなければならない、このように考えているところでございます。
#62
○白浜一良君 リクルートの問題は後で申し上げますが、外務大臣、今おっしゃったようなことはある意味では常識的なことでね、先遣隊が行かれて向こうで理解されたようなことは、まあいわば日本におってもわかるようなことなんです。私も実際行かれた方の声を聞きましたけれども、外務大臣おっしゃったこともございますが、少なくともいわゆる医療団として援助隊を組む場合は、医者と看護婦さんだけが行けばいいというんじゃなしに、やっぱり完結した医療団にならなきゃならない。これは当たり前なんですね。それはちょっと出せばいいというようなことではいかぬわけです。そんなことは当たり前でございますし、もう一つ実際に先遣隊で行かれた方のお話を聞きますと、日ごろのいわゆる交流というんですかね、人間的な交流、国との交流、いろいろございますが、そういうものがベースになければなかなかできないんだと、こんなことは。いざ問題が起こったから早く出せといって行ったって実際役に立たないという、こういうこともおっしゃっているんですけれども、これは今後いろいろ、日本は大国と言われているわけですから、そういう国際貢献をしていかなければいかぬわけです。そういう一つの基本的な考え方として、外務省も本当に本腰を入れて取り組むということをおっしゃっていただきたいのです。
#63
○国務大臣(中山太郎君) 日本政府が体験した問題点というものは一体何であったかということをこの機会にやはり申し上げておく必要があると思います。
 それは第一に、この出すべき医療グループというものが、訓練された、しかもチームリーダーがしっかりした人がおられて、そして外科のようなスタッフをきっちり持った組織でないと活用できないというのが現実の問題であると。しかし、そのような人をボランタリーで民間病院から集めてきても、大学の外科教室とか内科教室のようなわけにいかないわけです。こういう問題が我々が当面した問題で、それができ得る組織というものは実は自衛隊にあったわけです。ところが、自衛隊の医官に外務公務員の身分を与えて出すというこそくなことは、私はとるべきではないという判断をいたしたわけです。そういう中で国連平和協力法というものがずっと流れていったという現実があることも御理解をいただいておきたい。
 ちなみに、この地域に各国が医療協力をいたしております。韓国はどういうことをしておるか、これは軍医が中心になって出ております。タイ、これも多国籍軍対象で三十三名の方々が行っておられる。フィリピンは一般医療団ですが、百九十名。それからカナダ、これは軍関係の医療チームが五百五十名出ております。オーストラリアは海軍の医療グループが四十名出ております。ニュージーランドも軍関係の医療団です。イタリーも五十四名の軍関係の医療団。オランダは軍属八十五名を派遣しています。スウェーデンはボランティアで五百名送っております。それからベルギーは軍医関係で五十名。デンマークがやはり軍の医療関係で四十名程度を派遣しております。ノルウェーは国連待機軍に属する医療部隊員を二百二十五名サウジアラビアに送っております。ポーランドは医療チームを百七名サウジアラビアに派遣しております。ポルトガルも医療チーム三十名を派遣しております。日本の現実は先ほど申し上げたとおりでございます。
#64
○白浜一良君 ですから、そういう状態でも日本の政府がそういう世界のためにきちっと派遣できるようなやっぱり体制をつくらなければいかぬということを私は訴えたいわけです。
 具体的なことを私ちょっと質問したいんですけれども、そういう完結した医療団を組むためには、例えば大型のそういうバスがあるとか船があるとか飛行機があるとか、そういうことは非常に大事なんです、一貫したチームにしなければいけませんから。私伺いましたら、何か政府専用船、こういうものをつくられる考えがあると伺ったんですが、総理、これは御存じですか。
#65
○国務大臣(海部俊樹君) 多目的船をつくってそういったことに日本もお役に立たなきゃならぬ、私がそう発意をして、大蔵大臣に官邸に来てもらって、そこで指示をいたしました。大蔵大臣が平成三年度予算に調査費を入れて、そのようなものができるために協力を約束してくれました。そういった意味でこの計画を進めておりますので、私はよく承知しております。
#66
○白浜一良君 総理みずからが発案された非常にすばらしいことだと思うんですが、これは使われぬと意味がないわけですね。船をつくったけれども置いてある、これでは意味がないわけでございまして、そういった面で、そういう医療団の派遣なんかにも使えるような、多目的というようにおっしゃったわけですが、そういう船にも使えるようなお考えはございますか。
#67
○国務大臣(海部俊樹君) ある程度のまとまった医療行為が行われるような内容になるのではないか。同時に、医療行為のみならずほかのことにも、多目的とあえて申しておりますのは、どのような使われ方がふさわしいのか、そういったことをめぐって今度内閣では新たに新しい国際協力のあり方について有識者の皆さんにお願いをして懇談会を設けて、そこの御意見も聞こうと思っておりますが、そういうときにもいろいろな角度から、こういったものをつくるときにほどのような姿、形にしていくのが一番効果的であり、望まれるものであるかということの御意見も広く聞きながら研究を進めていきたいと思っております。
#68
○白浜一良君 総理の発案でされたことなんですから、いろいろ意見を聞くのはいいですけれども、やっぱり総理の意思があるでしょう。そういうものにも使えるものにしたいという意思があるでしょう。意見を聞くというようなことを私同っているんじゃないんです。あなたの意思を聞いているんですよ。
#69
○国務大臣(海部俊樹君) おしかりでありますが、私が発案したんです。私が多目的船と申し上げたのは、そこで簡単な手術とか医療行為ができるように、また三けたの数のベッドが置けるように、いろいろと私の基本構想の中にはありますが、何といっても私はその面では素人でありますから、私の意思で押しつけてそれが役に立たなかったということになったらこれはいけませんので、現場の医師の皆さんやそういった国際的な協力をやる皆さんやいろいろな方の御意見等を聞きながら最終的にまとめていくのが民主的である、効果的ないいものができると、私はこう考えておるわけでありますから、私の思った、これとこれとこれと言った中にはいろいろなことが入っております。
 例えば教員の船なんというのも発案したのは私でしたけれども、そういったものがもし使えるなればそれに使ったらどうかとか、いろいろあるじゃございませんか。そういったことを皆さんの御意見等を聞きながら進めていく。あくまで多目的船を一隻日本がつくって国際協力ができるようなことの拠点にしたい、こういう私の強い意思でございます。
#70
○白浜一良君 それは具体的なことはいろいろ相談されたらいいんですけれども、そういう目的さえ明確にしていただいたらいいわけでございます。
 それで外務大臣、リクルートの問題なんですけれども、呼びかけても医者が集まらない、看護婦さんも集まらないという問題がある。これは当然なんですね。当然この民間のボランティアをベースにしているんですけれども、海外の場合は、ボランティアといいましても政府がいろいろな意味でバックアップしているわけです。日本の場合はそういった面で非常に制度がおくれているというか、そういう事実があるんですね。
 例えばこの国際緊急援助隊の話も私いろいろ聞きましたけれども、非常に具体的な話で恐縮なんですけれども、派遣されて、例えば日当なんかでも日に直して四、五千円、それに生命保険もかからない、事故補償もない。こういうことでは出よ出よと言ってもなかなか出られないと思うんです。これはどうですか、外務大臣。
#71
○国務大臣(中山太郎君) 今回の経験に基づきましてこれから政府がお願いをするような組織の方方には十分な、何といいますか、身分の保障、あるいはまた給与等についても国家公務員とのバランスもございますから、いろいろな点も考えながら、我々としては十分御活躍がいただけるような制度を整備しなければならないと考えております。
#72
○白浜一良君 いろいろ問題点はあるんですけれども、もう時間がないので割愛しますけれども、やはり海外の場合はいわゆるこういうボランティアで派遣で行かれた方にプライドというか、誇りを与えているんですね。また、実質的なそういう制度的な保障も与えているわけです。例えばそういう海外に援助隊で行ったということが自分の履歴書に一つのプライドとして残るようなそういう制度もございますし、またベルギーなんかでは、一度行けば二年ほどさまざまな税が免税されるというそういう優遇制度もございますし、そういうものがあって行かれるわけでございます。まして三月でも四月でも行けば、その間やっぱり休んだ病院が困るわけですから、そういった面の保障もある。また帰ってきてからポスト保障ということもある。そういう全体をひっくるめて、外務大臣、いろいろ省庁が関係するでしょうけれども、これ考えていただけませんですかね。
#73
○国務大臣(中山太郎君) 私は省内で申しておりますのは、今委員が御指摘のようなことを含めていろいろな問題を今回私ども経験をいたしましたから、概算要求を提出するまでにいわゆる国際貢献をするについての日本のあるべき問題点というものを全部整理いたしまして、国民の皆様方にもこれをお知らせし、御協力をいただかなければならないと考えております。
#74
○白浜一良君 もう一点きょうはお伺いしたかったんですけれども、時間がないので簡略にしますが、武器輸出に絡むことでございまして、今回の湾岸戦争、イラクが軍事大国になったということは当然一つの大きな要因になっているわけです。フランス、ソ連がどっとこう武器を輸出したわけでございますが、やっぱりこれ何かの新しい武器輸出に関するルールをつくらなければいけないというふうに私は思うんですが、総理、どのようにお考えになっていますか。
#75
○国務大臣(海部俊樹君) その地域でずば抜けた武器をあれだけイラクが持ったということについては、今委員御指摘になったように、いろいろな国が武器を移転しておった、売っておったということでございました。そして、あの地域の紛争を今後永続的に続かないように、やめさせていくためにどうしなきゃならぬか。私は、今後核兵器とか化学兵器とか生物兵器とかいうような大量破壊兵器の拡散を防止する、もちろんでありますが、通常兵器もその移転については公明性と公開性を持ってそれぞれの国の管理機構をしっかりしていかなければならぬと思いますし、何よりも特定の国に武器をたくさん限度を超えて輸出することは慎まなきゃならぬ。その意味では武器を大量に輸出しておった国は反省をしなきゃならぬだろうと私は思いますから、この間もニューヨークでそのような話もしてまいりましたし、また国会の所信表明演説のときにも、武器輸出については武器輸出禁止の三原則を踏まえてやってきた我が国の平和理念というものもこの際国連の場等を通じて世界に訴えていかなきゃならぬ大きな問題である、このように受けとめております。
#76
○白浜一良君 外務省に伺いますが、今回の戦争を通してアメリカでもECでもいわゆる武器輸出に関する規制の動きがあるというふうに伺っていますが、どういう動きがございますか。
#77
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 一つは、国際連合そのものにおきます働きでございますけれども、一九八九年の国連総会におきまして、この武器輸出の問題につきまして一つ決議案が通っております。時間の関係で核心的なところだけ申し上げますと……
#78
○白浜一良君 最近の話です、湾岸戦争以降。
#79
○政府委員(丹波實君) はい、一つだけ。
 要するに、武器輸出の公明性、公開性というものを高めるためにワーキンググループをつくるということで、現在専門家が集まって検討が行われておりまして、ことしの夏ごろ結論が出ることになっております。
 もう一つは、恐らく先生が念頭に置いておられますのは化学兵器に関する問題と思いますけれども、湾岸の事態におきましてイラクの化学兵器の使用という問題があったものですから、この問題についての意識というものが非常に先鋭になりまして、化学兵器関係の輸出の規制というものを高める必要がある。これはオーストラリアグループという西側の主要国のグループがございますけれども、アメリカも日本も入っておりますけれども、そういうグループを中心として、その規制をもっと強化していこうという動きがあることは先生おっしゃるとおりです。
#80
○白浜一良君 先日の新聞報道でちょっと通産省に伺いたいんですけれども、実名入りで、国際新ルールづくりをしなければいかぬという、そういうお話が散っていたんですけれども、通産省、これどうですか。
#81
○国務大臣(中尾栄一君) 白浜委員にお答えいたします。
 この武器輸出の問題というのは大変に深刻にとらえられておりまして、そして、私どもの平和国家としての立場というものは、ニューヨーク大学でも総理が大変に長く演説されたそのとおりに尽きるものでございます。先ほどの総理の答弁に全部尽きるわけでございますが、あえてポイントだけを申し上げますると、総理の施政方針でも演説されましたが、まず私どもの立場としては、核兵器、生物・化学兵器あるいはミサイルの拡散防止、これが一番大事なことではないかな、このように思っておるわけでございます。
 それで、通常兵器の移転につきましては透明性が大事じゃないかなと、それから公開性の増大や各国による適切な管理の強化というものが極めて大事である。これを日本一カ国だけで考えているのではどうにもなりませんので、これは国際的な連帯の中で、先ほどオーストラリアグループの問題が出ましたが、これの強化を相当に強くやっていこうということで連帯でやっております。
 それから、また私は我が国からの武器輸出規制の所管大臣になるわけでございますから、かかる考えのもとで武器の輸出三原則というものに基づきまして厳格な武器輸出の規制を実施する我が国の考え方についても、今度は諸外国にこれを呼びかけていくということの方策、これを私どもの国が一番率先垂範してやっていかなきゃならぬ、これを私どもは手がけていこうということで、今、鋭意通産省を中心にしまして努力を払っているところでございます。
#82
○白浜一良君 最後に、総理にお伺いしたいんですけれども、今通産省の話を聞きましたけれども、いろんな意見が出ていまして、報道によりましたら、いわゆるアメリカの考え方とフランスの考え方が微妙に対立しているというそういう問題もありますし、このオーストラリアグループの輸出規制を考えましても、実際第三世界に武器輸出している国はやっぱりソ連、中国という非常に大きな国があるわけです。そこも含めてやはりこういう新しいルールづくりをしていかなければならない、大変ですけれども。そういうソ連、中国も含めた形で新しいルールづくりをしていかなければならない、このように私は思いますし、我が党の委員長もそういうふうに党首会談で申し入れたところでございまして、最後に総理のお考えを伺いたいと思います。
#83
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりであろうと思います。すべての国、特にまた今お触れになった二つの国は過去に大きな実績もあるわけで、そこも一緒になって、そこの協力とそこの賛成も得ながら進んでいきませんと、この武器輸出規制の枠組みというものが実効性を上げることは難しくなってきますので、私はすべての国の合意を求めるべく日本は積極的にこの問題には取り組んでいくべきだと、御質問の御趣旨と同感でございます。
#84
○太田淳夫君 それでは、日銀総裁においでいただいておりますので、若干質問させていただきたいと思います。
 最初に、現在の我が国の景気の動向、これについてどのように判断されているのか、あるいは物価の今後の見通し、そういうものを含めて経企庁長官あるいは日銀総裁、通産大臣にお答え願いたいと思います。
#85
○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。
 まず、国内の景気でございますが、ごく最近家計消費あるいは設備投資の一部の指標にやや弱い指標が出てき始めております。しかしながら、全体として考えますと、これまでのとおり個人消費、設備投資はなお牽引車の役目を果たしていると思いますし、生産レベルの非常に高いこと、雇用が非常に詰まっていること等を総合的に勘案しますと、足元の景気は引き続き堅調であるというふうに思います。
 先行きでございますが、これまで五%成長が四年続いたわけでございますので、これはやや速過ぎるわけで、これが巡航速度まで落ちることは当然だし、かつ望ましいというふうに考えておりますが、さしずめのところ、先ほど申しましたように、足元の景気が強いわけでございますので、すぐに景気が屈折点を伴う、あるいは落ち込むということはないと考えております。そこにいわゆる湾岸戦争が終わったわけでありますけれども、これはやはり現在経済界にあります先行き不透明感というものを消滅させるわけでありますが、すぐに先行きに強気感が出るわけではございませんが、やはり不透明感がなくなるという意味で、今後の景気動向を見ていく上においては十分検討していかなければならないというふうに思っております。
 もう一つ、物価についてのお尋ねでございますが、委員御案内のとおり、これは昨年の湾岸危機以来じりじりと上がってきておりまして、具体的に申しますと、国内の卸売物価は、昨年の七月が前年比プラス〇・五、それが今は二%の半ばぐらいでございます。消費者物価、これは昨年の夏が二%の半ばぐらいでございましたが、現在は四%前後でございます。もちろん、これは例えば国内の卸売物価につきましては湾岸情勢に伴う石油の価格の上昇が主な原因でございますし、消費者物価は、それに加えて非常に大きいのがやはり野菜等の生鮮食品の値上がりでございます。
 しかしながら、これはその以外の品目においても若干気をつけなければならない動きと申しますのは、人件費の高騰あるいは物流コストの上昇を製品価格へ転嫁する動きが少しずつ目立ち始めたということでございます。しかしながら、全体としての物価感というのは幸いにして大変落ちついております。
 ただ、先ほども申し上げましたような好景気が長く続いたわけでございますので、製品需給、それから人手不足が強いわけでございますから、そういった背景を考慮しまして今後とも物価の動向には注意を払っていきたい、こういうふうに考えております。
#86
○国務大臣(中尾栄一君) 委員にお答えいたします。
 多少経済的なマクロの面で考えてみますると、ちょうど三年前に世界の中における日本、世界の動向の中における日本の経済というようなことで発表させていただきましたような方向づけで大体順調に進んでいるのではないか。そういう点では内需を中心とした五十一カ月、二月現在でございますけれども、五十一カ月に及ぶ順調な景気の拡大を続けてきているということは否めない事実ではないかと思います。ちなみに、イザナギ景気が五十八カ月でございましたから、そういう点ではあと一歩ということでございますが、そこまでいくかどうかの透明さはまだ確定的なものではございません。しかし、三月一日に発表いたしました産業動向調査を見ましても、依然として安定した基調であることは申すまでもありません。
 もう少し調査の対象だけをちょっと申し上げてみたいと思いますが、調査結果としては今言った報告のとおりでございます。この間のことでございますけれども、十九業種にわたりまして十四日よりヒアリングを始めました。そして、大体百四十九社からヒアリングをしたところ、例えば非鉄金属であるとか石油化学であるとか建設機械であるとか等々、こういうものを見ますると、大体そのような動向が見られることは真実でございます。
 そこで、通産省としましては、今後とも各般の景気の指標をずっと注視していくことが必要である。そして、米国の経済、これも私も連銀総裁のグリーンスパンさんとも絶えず連絡をとり合ってやっておりますが、まさに十年続いたアメリカの景気は多小リセッションに入ってきたことは間違いない。これは回復基調にあるというものの、決して必ずしも安易な形でもって考えるわけにはいかないという動向がございますから、そのアメリカの動向というものが世界に相当大きく影響することも事実でございましょう。こういうことを考えながら、我が国の経済の動向を一層見つめながら的確な判断をさせていただきたいものだ、このように考えている次第でございます。
#87
○国務大臣(越智通雄君) 日銀総裁並びに通産大臣のお述べになりました線とほぼ同じでございます。
 あえてつけ加えますれば、景気の方は五十一カ月を迎えまして警戒感もございますけれども、基調は強い。個人消費の方はやっぱり雇用労働者の数がかなり伸びております。大体年間二ないし三%ぐらい伸びておりまして、今後もそれが見受けられますものですから、所得も上がりますし、消費としてはかなり堅調に続くのじゃないかと思っております。設備投資の方も実は六十一年の景気の上昇起点から考えますと大体二倍のレベルに上がっておりまして、年間九十兆ぐらいの設備投資になっております。これもやはり後ろ側には省力化の設備投資とか技術革新の設備投資が非常に迫られておりますので、多小緩くはなってまいります。かつてのような十何%という上昇はございませんが、大体計画で見込んでいる六・八%ぐらいの増加は見込めると思っておりますので、その意味でも三・八%の成長は大丈夫だと思っております。
 物価につきまして今日銀総裁からもお話がございましたが、問題にございました石油の方は、クルードオイルは下がってきてよろしいのでございますが、ナフサがちょっとクルードオイルと離れて高値を続けたんですが、ここのところへ来てかなり落ちついてまいりました。これがビニールとかいろいろ二次製品の価格を上げていたために卸売物価にやや響いていたように思いますが、卸売物価全体を見ますと、輸入を含めた総合ではそんなに高いレベルに入っておりません。
 消費者の方の生鮮食料品は非常に心配でございましたので、十二月から三回ほど大根を中心とした放出を二千数百トンやっていただきましたし、契約栽倍のキャベツの方は一月から二月に向けて五回、これも二千数百トン放出いたしておりまして、大体三月半ばを過ぎればそうした生鮮食料品の高値ということは解消できるのじゃないか、こう思っておりますので、物価の方も何とか平成二年度消費者物価で三%程度、来年、平成三年度と申しますか、二・四%程度の維持に努めていきたい。
 なお、全体としましてこの湾岸危機に基づきます経済への悪影響を何とか乗り越えたと思っておりますし、不透明感がなくなり、かつ私どもの経済の非常に大きなお相手でございますアメリカの経済が、これでほぼアメリカ政府の言っているぐらいなところでリセッションから脱却できるのじゃないか。この夏、年央ぐらいじゃないかという見通しもついてきたように思いますものですから、明るくなってきましたので日本経済にもいい影響が出てくると考えているところでございます。
#88
○太田淳夫君 消費者物価は一月に九年ぶりに四%台に上昇になっているわけでございますが、それには生鮮食品とかあるいは石油関連製品の上昇という一時的なあるいは季節的な特殊要因、あるいは湾岸戦争の要因等が含まれていたと思いますけれども、その根っこに人件費の上昇があるんじゃないかと思うんですが、この人件費コストの価格への転嫁というのは既に一巡を終わったのか、あるいは峠を越しているのか、その点どうでしょうか、御判断は。
#89
○参考人(三重野康君) お答えします。
 消費者物価が先ほどじりじりと上がっていると申し上げましたけれども、非常に大ざっぱに中身を見てみますと、五割が野菜、一割が石油、そのほかが約四割。上がった原因は、この四割に関しましては人件費とか物流コストというものの価格転嫁がじりじりと出てきているわけでございます。これが終わったかどうかというのはこれから後の推移をよく見なければなりませんけれども、これだけ長い間好景気が続いたわけでございますので、そのツケが少しずつ出てくるのは注意して見ていかなければならない、こういうふうに考えております。
#90
○太田淳夫君 昨年の春闘の賃上げというのは五・九%になっているわけですけれども、ことしも五・九%近くの賃上げ率になりますと、やはり物価という点から見ますと、現在の経済情勢でまいりますと物価の一段の上昇圧力となる、このように考えておみえですか。
#91
○国務大臣(越智通雄君) 理論的に申しますと、賃金というのは各段階におきまして物価を押し上げる要素にはなり得るわけでございますけれども、もともと生産性の向上が非常に大きかった時代、例えば昭和六十二年、六十三年ぐらいにおきましては、その生産性の向上が十分に賃金の上昇を吸収いたしております。吸収しかねる局面におきまして、例えば流通段階のようなところでは賃金上昇がどうしても物価の方に影響しやすくなっておりますが、昨年は大体五・九四%でございまして、春闘の方の現在の各組合の御要求は昨年ほぼ同額の、組合によって違いますが、八%ないしは九%でございまして、その落ちつきにつきましては労使の健全な交渉によって定めていただきたい。
 経済計画といたしましては、先ほど申しました雇用者人口の増加とパーヘッドのアップとを入れまして大体六・五ぐらい雇用者の所得が上がるものという計算でございまして、ほぼその範囲内で動けるのじゃないか、こう考えているところでございます。
#92
○太田淳夫君 最近、マネーサプライの伸び率というのは低下しているわけでございますが、日銀総裁は、まだ残高の水準が高い、こう指摘をされているわけですね。この残高の水準を問題にされるということは、今もやはりバブル経済のそのバブルの部分が残っている、そういうふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
#93
○参考人(三重野康君) マネーサプライは今委員御指摘のとおりでございまして、M2プラスCDの平残で申しますと昨年の四―六月の前年比一三%がピークでありまして、その後ずっと下がってまいりまして、ごく最近は七・三%になりました。こういうマネーサプライの伸び率の鈍化というのは私どもにとっては大変いいことで評価しておりますが、ただ、何分にも金融緩和が長い間続きましたものですから、どうしても残高そのものは伸び率が減りましても経済実態に比較しましてまだなお高い水準にあるというふうに思います。
 それでまた、これを裏側の企業の金繰りという点から見ますと、私どもで短観、短期経済観測をやっておりますが、昨年十一月の短期経済観測によりますと、主要企業で一・八五カ月分の企業の流動性がございました。その後金融引き締めが進んでおりますので、恐らく現在はそれを若干下回ってあるいは一・六、七カ月じゃないかと推定しておりますけれども、この水準はかってないぐらいいまだにまだ高い水準でございますので、いわゆるオーバーキルというようなことにはなっていないということははっきり言えると思います。
 ただ、委員お尋ねのバブルが本当に消えたのかどうかということは、この一年来バブルはかなり是正されましたけれども、本当に消えたのかとおっしゃられますと、まだ残っていると言わざるを得ない、そういうふうに思います。
#94
○太田淳夫君 最近も企業の手元流動性は十分あるというお話ですけれども、今低下傾向をたどっているわけです。BIS規制達成ですね、これに絡んだ銀行の貸し渋りということも最近言われておりまして、金融の逼迫ということが懸念されているわけでございますけれども、その点から、総裁としてはどのようにお考えでしょうか。
#95
○参考人(三重野康君) 委員御指摘のように、BISの自己資本規制もございますし、かつ、いわゆる信用リスクに対する金融機関の態度ということで融資が慎重化していることも事実でございます。しかし、金融機関が融資を、やはり基本的戦力として貸し出しということを重く見るという態度を変えているわけではございませんし、先ほども申し上げましたように、企業の流動性もなお高いということでございますので、引き続きまだ現在の引き締め効果を見守ってまいりますけれども、これが直ちにいろんなフリクションを起こす、そういうふうには考えておりません。
#96
○太田淳夫君 現在、世界的に金融逼迫ということがいろいろと言われているわけでございますが、例えばこの湾岸戦争後の情勢を見ましても、東欧においては非常に経済情勢が悪い、あるいは周辺のアジア地域を見ましても大変な状態になっているわけですね。そういうことを考えますと、世界的なクレジットクランチと申しますか、金融逼迫ということが現実に今起きているんじゃないかと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
#97
○参考人(三重野康君) 今委員御指摘のとおり、今世界におきましてはソ連、統一ドイツ、東ヨーロッパ、それにまた先生も御指摘のアジアの中国等においても資金需要があります上に、今度はいわゆる湾岸戦争が終わりましたので中近東に大きな復興需要が出てくるということが考えられます。そういったことで世界的に見て資金需要が押し上がってくる、ふえてくるということは御指摘のとおりだと思います。
 ただ、世界的な資金不足が現実化するかどうかということは、これはプライオリにはなかなか決めにくい問題でございまして、もう少し長い目で見まして貯蓄、投資のメカニズムがどういうふうにうまく動くか、その結果として世界的な資金循環がどういうふうになるのかということにかかるわけでありまして、そういう意味から申しますと、当然貯蓄はもっとふやさなければなりませんけれども、貯蓄をふやすための今後のポイントというのは、やはり物価の安定、インフレを起こさないということと、もう一つは例えばアメリカのように大きな財政赤字を抱えている国が財政の赤字をカットする、このことがポイントではないか、そういうふうに考えております。
#98
○太田淳夫君 日銀総裁、どうも御苦労さまでございました。
 それでは総理、最後にお尋ねしておきますが、湾岸戦争後の世界秩序の構築、これが今大事になってきているわけでございますが、やはり多国籍軍の中核となって圧倒的な軍事力をもってその力を見せたアメリカというものがその主導権を発揮していくのではないかという観測が強いわけでございますけれども、今回の事態解決に果たしましたところの国連の役割ということも、これは軽視することはできないのじゃないかと思うんです。今回のこの事態の経験を踏まえまして、湾岸戦争後の中東和平あるいは世界秩序の構築、これは国連主導のもとほ加盟国が協調することによって構築されていくべきではないか、私はそう思います。
 キッシンジャー博士のお考えを拝見しましたけれども、今回のアメリカ軍が多国籍軍の中核となって行動したことは異例のことであって、今後そういうことは何回も期待できることではない、こういうお話がございます。そういう点を考えますと、やはり国連中心の外交というものを日本が展開していかなければならないのじゃないか。その点どのようにお考えでしょうか。
#99
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、国連が平和を確保する世界の機関として有効に機能し始めてきた。今度の行動は国連決議に従っていろいろ行われたわけでありますが、アメリカのブッシュ大統領も国連というものを表面に出して国連の意思ということも尊重しながら行動し、そしてあのような成果が生まれたこともこれは事実であります。私どもも国連の機能を強め、そして国連中心主義の外交を今後とも続けていくべきである、こう考えます。
#100
○太田淳夫君 その中核になっていくのは、やはり日米関係ということも大事なことであろうと思いますね。
 いろいろと報道されているところを見ますと、日米関係において農産物市場開放、これを初めとする経済的な分野において対日圧力が強まってくるようなことが観測されているわけでございますが、その点どのように政府としては認識されていますか。
#101
○国務大臣(海部俊樹君) 現在、ウルグアイ・ラウンド十五に及ぶ中で、農業部門においてアメリカもECも日本もそれぞれ代表が出て、それぞれの国の抱えておる極めて困難な問題について共通の理解と認識を得るように努力を続けておるさなかでございます。ウルグアイ・ラウンドは成功させなければならない、多角的な自由貿易体制の中でこそ日本の今日の繁栄があったということも考えますと、今後とも我が国の立場ほ理解を求めて十分主張しながらまとめ上げる努力を続けていかなければならない、こう考えております。
#102
○太田淳夫君 次は、ソ連情勢についてでございますけれども、ソ連情勢は改革の混乱に伴いますところの経済社会面の危機的な状況が続いておりますね。あるいはバルト三国あるいはグルジアの民族独立の動き、こういうもの、それに対する武力介入などで混迷の度合いを強めているわけでございます。
 せんだって発表されましたアメリカの国防報告におきましても、ソ連の政治・経済改革が失敗しつつある、こういう懸念を表明しておりますし、その一方でソ連の軍拡を注視する姿勢というものを示しているわけです。また、ゴ大統領は共産党を中心にいわゆる翼賛勢力が結集するところの政治的な中道主義、これを政治方針として打ち出しているわけでございますし、保守化がだんだんと強まっている、そういうことも報道されているわけでございますが、やはりこのソ連の動向というのが世界の安定にとって非常に重要なポイントになるわけでございますが、その辺のソ連情勢についてどのように御認識でしょうか。
#103
○国務大臣(海部俊樹君) 基本的に申しますと、私は今でもソ連がペレストロイカの正しい方向性に向かってそれが成功するように努力を懸命に続けていくことを強く希望しますし、ゴルバチョフ大統領にそれに関するいろいろな声援は送りたい、基本的にはこう思っております。
 しかし、御指摘のように、最近例えばバルト諸国で起こった武力行使、一度ならず続いておることには極めて憂慮の念を私も持っておりますし、また市場経済体制への移行の過程でいろいろな品不足、物不足、流通面における前進が余り見られないということ、これが経済に破局的な状況を部分的ではありますが及ぼしておることも事実でございます。人道的な立場から日本がソ連に緊急援助を続けておることも間違いございません。
 四月にゴルバチョフ大統領が日本に来日をされる。この間、二十四日の未明に電話で話しましたときも、最後に、日本へ来ることをゴルバチョフ大統領自身も楽しみにしておる。私は、これが日ソ関係の抜本的な改善につながっていくものにしたいという気持ちで、毎日毎日を大切にしながらそのような基本的な考え方で日ソ関係には対処してまいりたいと考えます。
#104
○太田淳夫君 ただいま総理からゴルバチョフ大統領の訪日のことについてお話がございました。昨日もその日程については当局の方からもお話がございました。やはり大統領の訪日を迎えていろんな準備はされていることと思います。緊急の人道援助の実施もされてまいりましたし、あるいは左藤法務大臣も、北方領土在住ソ連人の法的地位検討ということについての発言もございました。そういう点でいろんな詰めの作業をされていると思います。
 しかし、ソ連情勢というのは先ほど申し上げましたように非常に不透明な部分がありますし、大統領の訪日によって懸案の北方領土の返還の見通しを初めとしていろんな日ソ関係に根本的に横たわっております問題の解決、それがなかなかすぐには解決できない。これは当然そうだと思いますけれども、しかしその解決のためにしっかりとやっていただかなきゃならない、こういうことを私も申し上げておきたいと思います。
 それで、ゴルバチョフ大統領の日程については昨日お話がございましたけれども、大阪あるいは広島等へ行かれる日程についてはどうでしょうか。
#105
○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。
 昨日も御報告申し上げましたとおり、ゴルバチョフ大統領を国賓として初めてお迎えすることになりますので、いろいろ海部総理との会談のほか、あるいは各方面から寄せられました極めて多くの御希望等を勘案いたしますと、果たして今回地方にゴルバチョフ大統領に行っていただく時間があるのかどうか、まさにこの点について今ソ連といろいろ詰めた協議をいたしております。したがいまして、今時点ではまだその点を含めてソ連側と協議中であるというふうに御報告をさせていただきたいと思います。
#106
○太田淳夫君 最後に、福祉関係でいろいろとお考えをお聞きしたいと思っておりましたが、時間がなくなりました。
 厚生大臣、最後にアメリカ障害者法案、日本におけるいろいろな法律がございますが、これと決定的な違いの点、その点はどうでしょうか。
#107
○国務大臣(下条進一郎君) 太田委員にお答え申し上げます。
 ただいまお尋ねがございました米国の障害者の法律が昨年の七月に大統領の署名によりまして実施されたわけでございます。これは非常に新しい法律でございます。しかし、法律には御承知のように政令とか省令とか、先ほどからいろいろ議論も出ておりますが、そういったものが必要でございますけれども、アメリカのこのADAという法律については、まだその分野の準備は整っておりません。したがって、まだこれが施行されていないというのが現状でございます。
 日本におきましては、昭和四十五年に身障者の基本法が既に成立されていることは委員御承知のとおりでございまして、この分野におきまして障害者に対します各般の措置につきましてそれぞれの手当てをしております。そういう点が違っておるわけでございます。
 以上でございます。
#108
○太田淳夫君 私が申し上げましたのは、それではADA法で四点こうすべきだと出ていますが、その点、事務当局で結構ですから御答弁願えますか。
#109
○政府委員(長尾立子君) お答えをさせていただきます。
 ADA法の骨子でございますが、第一点は雇用の問題でございます。従業員十五人以上の事業所に対しまして、合理的理由なくして雇用上の差別を禁ずる。これは従来連邦政府のみを対象とするものでございましたのが、これが全部の民間企業、こういった十五人のものに拡大されておるわけでございます。
 次には公的機関の利用の保障でございますが、政府や州政府の交通等の事業が障害者の差別の禁止になっていないようアクセス保障をするということでございます。
 三番目が民間の公共的施設の利用でございますが、例えばホテル、レストラン、映画館、それから一般のバス等のサービス機関で障害に基づく差別が行われることを禁ずるという規定になっております。
 第四番目が電信のリレーサービスでございますが、電話会社が聴覚障害者と障害を持たない方との電信サービスをできるようなそういうものをしなければならない、これも通常の料金の範囲内でというふうになっております。
#110
○太田淳夫君 総理、先ほど厚生大臣からお話がありました心身障害者基本法、それは主として国、地方公共団体を対象としておりますね。アメリカ障害者法案というのは、今御答弁がありましたように、企業の責任というものを明確にしているわけですね。これがやはり日本になかったことです。しかし、これは企業の社会性ということから考えますと、これからも日本が国際社会の中でいろいろとやはりイコールフッティングと申しますか、そういうことで要求をされてくる部分になるんじゃないか。企業の社会性ということですね。ですから、日本にない、アメリカではこういうお体の不自由な障害を持たれる方々の代表の方も委員会に入れて、そういうことをいろいろと論議してこの法案の成立――もちろんたくさんの費用がかかりますから反対の方々もいろいろとおみえになったようでございますが、それを乗り越えて今ここまでアメリカでも来ているわけです。ですから、日本でもそれを参考にして今後の福祉政策に臨むべきではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
#111
○国務大臣(海部俊樹君) 障害を持っていらっしゃる方だれもが家庭や地域において暮らせることが重要だというノーマライゼーションの理念に従って今後とも政策は進めていくべきであると基本的に考えております。
#112
○太田淳夫君 終わります。
#113
○委員長(平井卓志君) 以上で太田淳夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#114
○委員長(平井卓志君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
#115
○上田耕一郎君 私は、九十億ドルと憲法問題についてお伺いしたいのですが、その前に大塚建設大臣の問題を若干お伺いします。
 問題になったのはあなたの衆議院支店の口座ですけれども、大和銀行衆議院支店にあなたの名義の口座をお持ちでしょうか。
#116
○国務大臣(大塚雄司君) 持っております。
#117
○上田耕一郎君 私どものところに寄せられた情報によりますと、その口座は大塚雄司名義、口座番号〇二二六五二七とありますけれども、そうでしょうか。
#118
○国務大臣(大塚雄司君) 番号までは覚えておりませんが、確かに口座を持っております。
#119
○上田耕一郎君 その情報によりますと、リクルートの献金、昭和六十年十二月二十八日百万円、六十一年四月二十六日三千万円、十二月二十六日三百万円、六十二年七月二十四日三百万円、六十三年七月二十七日三百万円で、合計四千万円になっておりますけれども、あなたの通帳にこういう記載はありますか。
#120
○国務大臣(大塚雄司君) お答えいたします。
 このことは一昨日の産経新聞に報道されたことでありますけれども、昨日のこの委員会で御答弁申し上げましたとおり、調べましたけれどもそのことは一切ございません。
#121
○上田耕一郎君 記載そのものが全くありませんでしたか。
#122
○国務大臣(大塚雄司君) ただいま御指摘があったものについてはございません。
#123
○上田耕一郎君 新聞が一面トップで報道したんですけれども、結局この報道、通帳にこの記載があったかどうかというのがこの問題の中心問題なんですね。御指摘のあったものについてはございませんと言うんですけれども、これはここに書かれているものが事実だったかどうか、それからこの書かれた金があなたに入ったのかどうか、あるいは別の政治団体へのトンネルであったかどうか等々、やはりこれは調べるべき問題がかなり出てくると思うんです、それで政治資金規正法の問題も生まれますので。
 御本人はそう言われるんですけれども、官房長官、改めてこの通帳の記載が御本人の言われたものかどうか、これがこの問題の一番中心問題。もし事実だとしますと、この三千万円というのは同時選挙のあった年ですし、それから最後の六十三年七月はリクルート事件発覚後でございますので、やはり委員会で昨日来問題になったものである以上きちんとした調査をお願いしたいと思いますが、官房長官、いかがでしょう。
#124
○国務大臣(坂本三十次君) きのうの委員会で申し上げたように、建設大臣からよく事実関係をお聞きして、そして調査をいたします。
#125
○上田耕一郎君 次に、九十億ドルと憲法問題に移ります。
 この戦費九十億ドル、戦費じゃないと言われるけれども、これは平和憲法を持つ日本が他国の武力行使に費用を負担するのは戦後初めての重大問題だと思いますが、まず総理にお伺いします。
 憲法前文、「第二章 戦争の放棄」と題した第九条、これは世界に類例のない、戦争を、一切の戦力、交戦権を放棄した憲法ですが、総理はこの意義をどうとらえておられますか。
#126
○国務大臣(海部俊樹君) 憲法の前文と九条とおっしゃいましたが、そこに書いてありますものは平和主義、国際的協調主義の理念が高らかに書いてあるわけでありまして、そして特に九条にも正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求するということ、そして同時に、武力による威嚇または武力の行使は、これは日本としては永久に行わない、これはあくまで平和主義の理念である、私はそのように受けとめております。
#127
○上田耕一郎君 この問題を私重視しますのは、例えば総理は昨年九月二十七日の記者会見で国連平和協力隊に関して、憲法に抵触するからしない、抵触しないからするというんじゃなくて、こう述べて国会で問題になった。二月四日、衆議院予算委員会で外務省の丹波国連局長は、日本の憲法にはいろいろ制約があるが、アメリカを初め血を流している、その痛みを共有する考え方を世界に示すのが一番重要だ、そういうことまで述べておりまして、これが端的に象徴しているように、政府の憲法擁護の姿勢そのものにあやふやな、同様なものがあるからです。
 今回のイラクのクウェート侵略、これは第二次大戦の序幕となった三一年の日本軍国主義の中国東北地方侵略、それに比べるべきものでもあって、これが阻止されたこれは非常にいいことで、我々も歓迎します。しかし、フセイン政権のあの独裁の非常に残忍で無謀な態度による結果もありますけれども、平和的手段によるのではなくて十万から十五万と言われる死者、国土と環境の恐るべき破壊も生まれたんですね。
 憲法前文は全世界の国民に平和的生存権、これを確認しておりますけれども、その立場からいって、総理、この経過全体を振り返ってどうお考えになりますか。
#128
○国務大臣(海部俊樹君) 現象面だけをとらえて今これだけ犠牲者が出たがどうだということから見れば、私も心から哀悼の誠をささげますと、その点だけを見れば言わざるを得ません。けれどもその大前提に、冷戦時代が終わって人々がやっと希望が持てる、自由と民主主義が普遍的な価値になりつつある希望を持ったときに、イラクのフセイン大統領、クウェートに侵略、併合して、もうあらゆることを行った。私は、これは国際社会で許すべからざる行為であると認定をされて、平和の破壊者だという認定を受けて、国際社会の一致協力した行為によってこの問題が平和回復に向かって解決された、こういったことについてはこれは高く評価すべきことである、こう思っております。
#129
○上田耕一郎君 我々もイラクのクウェート侵略、またそこにおける蛮行を非難する点では人後に落ちません。しかし、その節目節目で平和的解決の努力が大事だったと思うんです。
 私ども日本共産党は、国連の武力行使容認の六七八決議の前、十一月二十六日安保理構成国十五カ国に、また和戦の岐路に立った一月十五日同じく安保理構成国十五カ国に、また地上戦突入の危険が迫った二月十五日デクエヤル国連事務総長に電報あるいは書簡を送って、平和的解決のためにあくまで努力をということを要請してまいりました。これは非常に僕は重要なことだったと思うんです。ところが、政府の態度はそうではなかった。憲法前文の第三節は「自国の主権を維持し、」とはっきりうたっています。ところが、政府は結局徹頭徹尾プッシュホンと言われるような対米追随の態度に終わりました。
 日本の憲法が国連憲章よりもさらに先へ進んだというものになっているのは、あの広島、長崎の被爆体験なんです。その被爆体験に基づく日本国民の悲願として、衆議院の予算委員会で私どもの不破委員長が核兵器使用はするなとアメリカに言えということを迫ったのに、あなたは言を左右にして答えなかった。結局どうです。核兵器使用はするなということは一言もアメリカに伝えないままで終わったんですか。
#130
○国務大臣(海部俊樹君) 節目節目に電報を打ったり書簡を届けたとおっしゃいましたが、私どもの方は書簡どころか人を派遣して、そのような重要な問題については一刻も早く平和的解決をすべきであるということを直接伝えたり、また私自身がイラクのフセイン大統領にも親書を書いてこれを届けたり、また国連事務総長のところには外務大臣に特に立ち寄ってこれらのことを直接伝えてこいと言って交渉をしたり、節目節目にいろいろな努力をやってまいりましたが、ここでそれを言うことは差し控えさせていただきます。
 また、ブッシュ大統領とも電話でいろいろ話はいたします。ほかのレベルでもいろんな話をいたします。日本はそのたびに平和的解決の努力を強く求めましたし、日本が被爆国であることは御指摘のとおりです。私は、人間的な悲劇がこれ以上拡大しないためにも、早く湾岸の平和回復活動は行われるべきであるということを再三主張するとともに、その人間的な悲劇を最小限に食いとめるために、今度の多国籍軍による湾岸の平和回復活動を日本はできる限り支援するという基本的な立場をとり、そのことはよく伝えてあるところであります。
#131
○上田耕一郎君 中山外務大臣は一月十四日ブッシュ大統領に、武力行使が始まったら全面的に支持すると言ったじゃありませんか。ひどい態度です。
 我々は人間も、カイロ、アンマンに赤旗特派員を送って政府より先に異常をつかんだんですから。
 ところで、首相は答えてない。核兵器使用はすべきでないということをブッシュ大統領に言ったのかどうか、これを聞いているんです。
#132
○国務大臣(中山太郎君) 今、私がブッシュ大統領に一月十四日に会ったときに全面的に支持すると言ったじゃないかという御指摘がございますが、それは事実ではございません。明確に申し上げておきます。一月十四日にブッシュ大統領、クエール副大統領あるいは国務長官と会談をいたしましたが、私は、最後まで和平努力を続けてもらいたい、これが日本政府の願望である、こういうことを申しました。そして、イラクがこの国連決議六百七十八、どうしても国連決議に従わずにクウェートから撤退をしないといって多国籍軍が行動するようになった場合には、まことに残念だけれども日本としてはそれを全面的に支持をするということを申したのでございまして、前段だけお話しになったのでは誤解を与えるものだと私は思います。
 また一方、一月二十四日には、モスクワにおいてゴルバチョフ大統領ともあるいはべススメルトヌイフ外相とも会って、この六百七十八の決議を完全に守っていこうということでは日ソで合意したわけでありますから、その点も御理解をいただいておきたいと思います。
#133
○国務大臣(海部俊樹君) ブッシュ大統領との電話の中身や親書の内容についてここで一々御報告することは控えておきますけれども、私どもの基本的な考え方として、核兵器によって人間的悲劇がこれ以上拡大することは、日本としてはとるべきものではないという基本的な姿勢を持っておることはよく伝わっておると考えております。
#134
○上田耕一郎君 結局あなたは国民の悲願をはっきり言う勇気さえないんですよ。非常に残念です。主権の放棄だ。
 ところで、大蔵大臣にお伺いします。
 日本がこれまで日本以外の諸国の武力行使に財政支援をしたことはありましたか。
#135
○国務大臣(橋本龍太郎君) 他国の武力行使に関連して支出を行うというその御質問の趣旨がもう一つはっきりしませんが、今回の追加支援というものについてお尋ねでありますならば、関係諸国が安保理の諸決議に従って行っております平和回復活動を支援するため、所要経費の一部について国際社会の責任ある一員として協力するというものでありまして、戦争協力の資金といったものではないと思います。
#136
○上田耕一郎君 いや、中東危機以前にありましたか。
#137
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘の中東危機の前にほかの国の武力行使に関して財政的支援を行ったことがあるかという御質問でございますけれども、そういうことは従来ございませんで、今回が初めてでございます。ただ、その趣旨は今大蔵大臣が言われたとおりでございます。
#138
○上田耕一郎君 外務省にお伺いします。
 昨年の九月十九日、アメリカ下院外交委員会のアジア・太平洋小委員会でソロモン国務次官補が二十億ドルの支出について、日本が日本の外における防衛努力に財政援助を提供する最初のものと、そう述べた事実があると思いますが、いかがでしょうか。
#139
○政府委員(松浦晃一郎君) 昨年の九月十九日のアメリカ下院の外交委員会アジア・太平洋小委員会での、正確にはその公聴会でございますが、ソロモン国務次官補の発言に言及でございますけれども、ソロモン国務次官補は、全体として日本の九月に発表いたしました多国籍軍に対します二十億ドルの貢献を評価する発言をしておりますが、その関連で使いました表現は今先生が言われた表現と違いまして、英語で申し上げますと、マルチ・ナショナル・ディフェンス・エフォート、日本語で申し上げますと、多国間防衛努力という表現を使っております。
#140
○委員長(平井卓志君) 上田君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#141
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二年度一般会計補正予算、平成二年度特別会計補正予算、以上二案を一括して議題とし、休憩前に引き続き上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
#142
○上田耕一郎君 午前中の最後のところで、去年の九月下院の公聴会でアメリカのソロモン国務次官補が二十億ドルの支出について、日本が日本の外における防衛努力に財政援助を提供する最初のものと述べたことを申しました。ちょっと訳語が違う話がありましたけれども、筋はそのとおりです。このときほソロモン次官補は、政策の突破口だ、将来に重要な意味を持つと、そう指摘しました。その突破口を海部内閣は九十億ドルの支出で、憲法解釈の改悪によって開こうとしているという重大な疑念を私ども持っています。
 総理にお伺いしますが、九十億ドルの支出の憲法上の根拠は何でしょうか。
#143
○国務大臣(海部俊樹君) 平和主義と国際協調主義と申しますか、日本の憲法が求めるのは正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に求めていくわけでありますから、私は国家の実力行使を伴わない国連の平和回復活動に対する資金協力というものは、それは許されるべきものであると、こう受けとめております。
#144
○上田耕一郎君 法制局長官はどうお考えでしょうか。
#145
○政府委員(工藤敦夫君) 今回の九十億ドルの追加支出につきましては、湾岸の平和と安定の回復のために、国連の安保理の諸決議に従って活動しております各国を支援する目的で行われるもの、かように承知しております。まさに憲法の掲げる平和主義、国際協調主義の理念に合致こそすれ反するものではない、かように考えております。
 それからまた、憲法九条の関連におきましても、憲法九条で規定しております武力の行使、これはこれまでもたびたび申し上げているところでございますが、国家による実力の行使に係る概念であるということでございまして、我が国が単に経費を支出するということはそのような実力の行使には該当いたしませんので、そういう意味で憲法九条に抵触することばない、かように考えております。
#146
○上田耕一郎君 一つ、国連決議に基づくという点が出されましたけれども、外務省の柳井条約局長にお伺いします。
 昨年の十月三日、参議院の決算委員会の答弁で、多国籍軍が武力行使をすれば、これはクウェートからの要請に基づく国連憲章五十一条の個別的、集団的自衛権の行使として行われるという答弁がありました。その後、六七八決議が行われたのですけれども、今度多国籍軍の武力行使の国際法上の性格はどう変わったでしょうか。
#147
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。
 昨年の十月三日に参議院の決算委員会で千葉先生から、国連憲章及び日本国憲法につきまして幾つか御質問がございました。私の方からは、どちらかといいますと一般的な制度の問題と申しますか、自衛権の問題、そして国連憲章に基づくいわゆる集団安全保障体制ということつきまして御説明をした経緯がございます。
 憲法第九条と集団的自衛権との関係に関する従来からの政府の考え方を確認的に手短に申し上げさせていただきますと、次のとおりであると思います。必要に応じましてこの点につきましては法制局長官の方からの答弁をお願いしたいと思いますが、私の理解するところは次のとおりであると思います。
 まず、国際法上、国家は集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利を有しているものとされております。我が国が国際法上の問題といたしましてこのような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然でございますけれども、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであるというふうに解しておりまして、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。昨年の十月三日にもその趣旨のことをお答え申し上げた次第でございます。
 そしてその後、御指摘のごとく安保理決議六七八号が採択をされたわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような集団的自衛権に関する考え方、政府の解釈に影響するようなものではないと考えております。言いかえれば、この集団的自衛権は関する政府の考え方については、六七八の採択後におきましても同じであるということが言えると思います。
 他方、今般行われました多国籍軍はよるイラクに対する武力行使につきましては、国連安保理決議六七八号に基づきまして、国際法上正当化されるものであると考えております。この決議は、国連によるあらゆる努力にもかかわらず、イラクがクウェートからの即時無条件撤退を求めた安保理決議六百六十及び累次の関連諸決議の履行を拒否しておりました状況のもとで、イラクに対しまして決議六百六十等の決議を完全に履行しない場合には、クウェート政府に協力している加盟国に対しまして、これらの決議を堅持かつ実施し、湾岸地域における国際の平和及び安全の回復を行うために武力の行使を含むあらゆる必要な手段をとる権限を与えたものでございます。決議六百七十八号に基づく多国籍軍によるイラクの侵略の排除は、このような性格のものであるというふうに考えております。
#148
○上田耕一郎君 デクエヤル事務総長は国連の戦争じゃないと指摘していまして、多国籍軍の武力行使についてはいろいろ問題がありますし、国際法学者もいろいろ研究し始めております。
 この問題は別として、いずれにせよ、国連決議に基づくものであっても、湾岸戦争に日本は武力行使による参加が禁止されていることはもう明白だと思うんですね。問題は、その武力行使の費用です。
 まず、法制局長官にお伺いしますが、一般論として、外国の実力行使の費用を我が国が負担することは、憲法上許されますか。
#149
○政府委員(工藤敦夫君) 今委員、一般論としてというお尋ねでございますが、一般論としてという形で申し上げれば、まず、単に費用を支出するということは、憲法九条、これは先ほどお答え申し上げましたけれども、武力の行使といういわば国家による実力の行使に係る概念、こういうものとの関連におきましては特に九条に抵触するというふうなことはないと存じます。
#150
○上田耕一郎君 二月四日の衆議院予算委員会の開始以来、大体法制局長官は今の答弁なんですよ。武力行使そのものはいかぬ、違憲だ、武力行使に対する経費の支出はいいんだという、これはとんでもないと思うんだが、首相にお伺いします。
 総理はずっと九十億ドルは五つの分野以外には充当させないといる答弁をされていますね。これは憲法上の理由があるんですか。
#151
○国務大臣(海部俊樹君) そうではなくて、国連の平和回復活動に日本はその一部、応分の資金協力をするわけであります。そのときに、その資金協力はどんなことを描いておるのかということでいろいろ御質疑がありましたから、私はその五つの分野などを例示的に挙げて、それではその我が国の意向を反映させるようにいたします、こういったことをお答えしてまいりました。
#152
○上田耕一郎君 問題は非常に鮮明になってきたんですね。総理も法制局長官も、実力行使に対する経費の支出は憲法上許されるんだと考えている。今度も武器の購入には使わせないというのは、つまり政策上の選択なんです。そういうことですよね。
 それでは、ひとつ武器禁輸三原則についてお伺いします。
 午前中も答弁がありましたけれども、イラクの軍事大国化は、ソ連、フランス、アメリカも企業を通じてやったんですけれども、大国の武器輸出によってああいう百万の軍隊を有する非常に危険な独裁政権があらわれた。日本は武器禁輸三原則によって武器は輸出していないんですよ。そういう点では日本の武器禁輸三原則というのは国際的な光をますます高めていると思うんですが、武器禁輸三原則は憲法の平和主義に基づくものだと政府は答弁してきたんですが、いかがですか。
#153
○政府委員(堤富男君) お答えさせていただきます。
 武器三原則と憲法の関係を当省として理解しているところを申し上げたいと思いますが、武器三原則は、平和国家としての日本の立場から国際紛争等を助長することを回避する、その結果、外国貿易、国民経済の健全な発展を図るという輸出貿易管理令の運用に対する政府の方針だと考えておりまして、憲法九条二項との関係で申し上げますと、憲法九条が直接規定しているものではございませんで、我が国の憲法が平和主義を理念としているという精神をバックグラウンドといたしまして、その精神にのっとった外国為替管理法上の運営方針と理解しております。
#154
○上田耕一郎君 法制局長官、いかがですか。武器禁輸三原則と憲法の関係。
#155
○政府委員(工藤敦夫君) ただいま通産省の貿易局長がお答えしたところと基本的に私の方で変わるところはないと存じます。
 憲法の九条におきまして国が戦力を保持することを禁止している、こういうことが直ちに武器を輸出することまで禁止しているものではないと存じます。
 ただ、武器の輸出につきましても、いわゆる公共の福祉のために必要な場合、これに合理的な限度で制約を加えることができる、こういう当然の憲法の許容する公共の福祉の観点からする合理的な限度の制約、こういうことで武器の輸出につきまして、ただいま話が出ました外為法、いわゆる外国為替及び外国貿易管理法に基づいて必要かつ合理的な規制が行われている、かように考えております。
#156
○上田耕一郎君 昭和五十六年二月二十日の衆議院予算委員会で、当時の角田法制局長官は大体今の趣旨のようなことを述べている。「わが国の憲法が平和主義を理念としているということにかんがみますと、当然のことながら、武器輸出三原則は憲法の平和主義の精神にのっとったものである」と、こういう解釈でずっときている。おかしいじゃないですか。同じ武器が相手の国に行くんですよ。輸出したら違憲なんですよ、輸出で行くと。お金を出して武器で行くのは、これは憲法で許されている。筋が通らないじゃないですか。
#157
○国務大臣(海部俊樹君) お金を出して武器で行くという、ちょっとその御質問の真意がわかりかねますけれども、あくまで平和回復活動を支援するために応分のお金を出すということは国家による実力行使ではありませんからそれは違う、こういうことなんです。そして、憲法で禁止しているのは武力による威嚇もしくは武力の行使ということにきちっとなっております。お金を出して武器で行くというのは、私は御質問の意味がちょっと解しかねますので。
#158
○国務大臣(中尾栄一君) 委員にお答えいたします。
 これは全く私も総理と同義、全く意見を一にするものでございまして、武器輸出に関する政府の統一見解そのものを見ましても、まず、御案内のとおりかと思いますが、武器の輸出そのものについては、平和国家としての我が国の立場から、これによって国際紛争を助長することを回避するために政府としては従来から慎重に対処しておって、今後とも次の方針により処理するものとして、その輸出を促進することはしないと。第一点に、三原則対象地域については武器の輸出をしない。二点は、三原則対象地域外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、武器の輸出を慎むものとする。第三点は、武器製造関連設備の、すなわち輸出貿易管理令の別表第一第八十六項の規定に該当するものですが、これは武器に準じて取り扱うものとする、こういうことが武器輸出三原則等に書いてあるんですね。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように、我々は平和回復のためには、佐藤一斎の言葉ではございませんけれども、まさに金のある者は金を、知恵のある者は知恵を、力のある者は力をと、こういう考え方、精神にのっとって、みんなでもって世界の秩序を乱すような者は我々は排除するけれども、あくまでも今委員の御提案なさったように、そのお金そのものが武器に使われるという想定は全く私どものとるディフィニションではない、このようにお考え賜りたいと思っております。
#159
○上田耕一郎君 だから、私は一般論で言っているんですよ。あなた、武器の購入に使わせないと言ったのは政策論だと、出したお金が武器に使われても憲法上はいいんだというのが政府の立場ですよ。同じ武器が行くのに、輸出で行くのは違憲だ、お金を出して相手がそのお金で武器を買うのは構わないと。これは憲法上おかしいじゃないですか。
 法制局長官、こういうとんでもない詭弁や矛盾、法制局長官としてどういうふうに言い抜けようと思いますか。
#160
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほど委員御指摘の昭和五十六年二月二十日の当時の角田内閣法制局長官の答弁でございますが、これも先ほど私が申し上げたところとほぼ同義のことを述べていると思います。
  いわゆる武器輸出三原則は、武器の輸出によって国際紛争などを助長することを回避して、外国貿易及び国民経済の健全な発達を図るという目的をもって、外国為替及び外国貿易管理法に基づく輸出貿易管理令の運用基準として定められたものであるというふうに理解しております。一方、憲法九条第二項は、わが国自体のいわゆる戦力の保持を禁止しているものでありますので、その意味では、武器輸出三原則は憲法第九条が直接規定するものではないというふうに考えております。この趣旨のことは、昭和四十二年五月十日に参議院の予算委員会で、当時の法制局長官が答弁しているところでございます。
ということで、一貫して私どもの方はかようにお答えしているところでございます。
#161
○上田耕一郎君 答えになっていないですよ。
 武器の輸出は憲法上まずいけれども、武器の費用を出すのは憲法上構わないと。同じ武器についてなぜそうなっているのか、憲法の平和主義の立場から。これを法制局長官に明確に答えるよう要求します。答えてください、憲法の番人なんですから。
#162
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほども一般論として申し上げました。憲法九条で武力の行使というものを禁止しておりますし、そういう観点から憲法九条というものは先ほども申し上げたとおりでございますし、武器輸出三原則というのはその憲法九条に直接関係するものではない。また、資金の面につきましては、先ほどの武力の行使、これは実力の行使に係る概念でございます。そういう意味で、単に経費を支出するということがそのままいわゆる憲法九条に反する、かようなことではない、かようなことでございます。
#163
○上田耕一郎君 九条じゃないよ、九条だけじゃないんです。憲法前文の徹底的な平和主義、全世界の諸国民の平和的生存をということのあの憲法前文並びに九条の精神、平和主義の精神に基づいてはどうかということを聞いているんです。
#164
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほど私の方から冒頭、一般論としてと申し上げましたときに憲法九条の話を申し上げました。ただ、一方で平和主義あるいは国際協調主義という憲法の理念もございます。そういう理念に照らしてもまた判断すべきことは当然のことでございます。
#165
○上田耕一郎君 だめ、答弁になっていない。だめだ、そんなのじゃ。憲法問題だ。
#166
○委員長(平井卓志君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#167
○委員長(平井卓志君) 速記を起こしてください。
#168
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほどの私がお答えしました昭和五十六年二月二十日、角田内閣法制局長官の答弁のところでございますが、先ほど「当時の法制局長官が答弁しているところでございます。」というところまで申し上げましたが、その後ろに「しかしながら、わが国の憲法が平和主義を理念としているということにかんがみますと、当然のことながら、武器輸出三原則は憲法の平和主義の精神にのっとったものであるというふうに考えております。」、かように述べておりますし、またこの点は、先ほど通商産業大臣の方からもお答えがあったところと存じます。
#169
○上田耕一郎君 だめ、だめだ。じゃ経費はなぜ出すんですか。だめだめ、そんなのじゃ。そんなことはもうわかっている。だめだめだめ、そんなのじゃ。
#170
○委員長(平井卓志君) 上田君、立って御質問ください。
#171
○上田耕一郎君 今の答弁なんというのは聞かなくてもわかっている。
 武器の禁輸は憲法上のっとっているのに、その武器の、武力行使は武器がなきゃできませんからね、武器に対する経費の支出は憲法上構わないんだというのは全く矛盾しているじゃないかと。そこを合理的に憲法上、憲法の番人の法制局長官なんですから、国民にわかるように、大問題だ、はっきり答弁をいただきたい。
#172
○政府委員(工藤敦夫君) いわゆる武器の輸出、人を殺傷するというふうないわゆる機械器具、これ自身を直接我が国から出しますということと、それから単に経費を支出すると、この間にはおのずから差異があろうと存じます。
#173
○上田耕一郎君 だめだめ、そんなのじゃ。だめだめ。おのずから差異があるなんて、だめだ、そんなのじゃ。
 委員長、法制局長官の最初の答弁が大問題なんですよ。憲法九条の禁止しているのは実力の行使だと、だから実力行使に対する経費の支出は九条違反じゃないというのが彼の答弁でしょう。九条だけじゃない、前文を含む憲法の平和主義からいうと、実力行使そのものは参加できないけれども実力行使の金は出せると、これが構わないというのは全くの憲法を踏みにじる答弁なんですよ。それを取り消さにゃいかぬ。取り消してください。
#174
○委員長(平井卓志君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#175
○委員長(平井卓志君) 速記を起こして。
#176
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 まず、憲法九条の規定する武力の行使、これが国家による実力の行使に係る概念であるということは繰り返し申し上げているところでございます。そういう意味で、我が国が単に経費を支出するということは実力の行使に係る概念ではございませんので、憲法九条との関係で問題はなかろう、かように申し上げました。
 それから、次に武器の輸出につきましては、これは憲法の九条で言ういわゆる武力の行使、我が国が行う武力の行使、こういうことではございませんので、憲法九条に直接関係するものではないということでございます。したがいまして、合理的な範囲内において憲法が制約を加えるということでございまして、憲法九条の問題ではないというふうに申し上げました。ただ、それが我が国が平和主義を理念としていることにかんがみれば、輸出三原則は平和主義の精神にのっとったものである、かように申し上げたところでございます。
 そういう意味におきまして、今おっしゃられます資金の拠出、それが直ちに武器の購入に使われる、これは武器の購入云々ということ自身は我が国の行為でございませんので憲法九条の部分には当たらない、こういうことだろうと存じます。
#177
○上田耕一郎君 法制局長官、出したお金で相手が武器を買うか買わないか、そんなことを問題にしているんじゃないですよ。我が国の憲法の平和主義の立場からいって、相手の国が武器を買う金を出すのは合憲なのかどうか。武器輸出三原則で武器の輸出はいけない、武器を買う金はいいと。矛盾しているじゃないか、憲法上明確に答えてほしい、そう言っているんです。答えになっていない。
#178
○委員長(平井卓志君) 速記をとめて。
   〔午後一時三十三分速記中止〕
   〔午後一時四十四分速記開始〕
#179
○委員長(平井卓志君) 速記を起こしてください。
#180
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 まず、憲法九条の規定する武力の行使、これが国家による実力の行使に係る概念でございます。我が国が単に経費を支出するということはそのような実力の行使に該当しない、そういう意味で同条に抵触すると言うことはできないということを冒頭申し上げました。
 武器輸出のお話でございますけれども、武器輸出の話は、過去の答弁からございますように、憲法九条に違反するというものではないと存じます。ただ、直接戦闘の用に供し人を殺傷する、こういうふうなものでございますから、平和主義の理念に照らしまして、紛争地域等には出さない、これを慎むと、こういうことは言われているわけでございます。
 それからさらに、資金を出してそれが全額武器になる、こういうお話でございますが、冒頭申し上げましたように、憲法九条それ自身に違反するということではないと存じます。ただ、理念に照らしますと、今回の九十億ドルの追加拠出というものは、先ほど申し上げた、あるいは総理その他からのお答えもございましたような目的で行われるものでございますので、まさに憲法の掲げる平和主義あるいは国際主義の理念に合致する、こういうことだと存じます。
#181
○上田耕一郎君 全く納得がいきません。
 これは九十億ドル支出の根本にかかわる憲法問題です。非常に重大で、私は全額支出も何も言ってないんだから。政府の統一見解を要求します。
#182
○委員長(平井卓志君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#183
○委員長(平井卓志君) 速記を起こしてください。
#184
○政府委員(工藤敦夫君) まず、今回の九十億ドルの追加支出について申し上げますが、これにつきましては、湾岸の平和と安定の回復のために、国連の安保理決議に従って活動しております各国を支援する目的で行われるものでございます。そういう意味で、憲法の平和主義の理念に反するものではないと存じます。また、憲法九条の規定する武力の行使というのが国家による実力の行使に係る概念でございます。そういう意味で、我が国が単に経費を支出するということはそのような実力の行使に該当しませんので同条に抵触するということはないということでございます。これが第一点でございます。
 それから第二点の武器輸出に関しましては、これまでの答弁にもございますように、これは武器輸出自身が憲法九条との関係があるということではないと存じます。ただ、直接戦闘用、殺傷用というふうなことでございますから、平和主義の理念、憲法にございます平和主義の理念に照らしまして、紛争地域等には出さない、慎む、こういうことが従来からの考え方でございます。
#185
○上田耕一郎君 もう余り時間がございません。
 ただ私、これは憲法問題なので、やっぱり一歩も引けないです。九十億ドルの支出の憲法上の根拠にかかわる重大問題です。日本の憲法は、一国平和主義であるどころか、この核時代に世界に先駆けて一切の武力行使、武力の威嚇、戦争、兵力、すべてを放棄して全世界の国民の平和的生存権をかち取ろうという国民の誓いと願いが込められておる。国連憲章も四十三条で「憲法上の手続に従って」といって憲法を重視しているんですね。こういう憲法上の問題について、人間を殺傷する武器は輸出できないけれども、その武器を買う資金を提供することは構わないんだというような憲法上の解釈を国会が了承することはできません。ですから、私は先ほどの答弁の撤回と、九十億ドル支出、この法案の撤回を求めて、質問を終わります。
#186
○委員長(平井卓志君) 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#187
○委員長(平井卓志君) 次に、粟森喬君の質疑を行います。粟森君。
#188
○粟森喬君 まず、総理にお尋ねをしたいと思います。
 湾岸戦争が始まって停戦までの間、国連が十分に機能していたと思われますか、どうでしょうか。
#189
○国務大臣(海部俊樹君) 国連は、八月二日のイラクのクウェート侵略、併合以来、たび重なる決議を行い、平和の破壊者がここにあるということを決め、そして平和回復のためにあらゆる決議をしてきた。私は、国連が戦後初めてと言っていいほど世界の平和のために、イデオロギーによって対立しておった東西両陣営のトップも参加をしてあらゆる決議を行った、国連が機能し始めてきたということでございます。そしてさらに、今後の問題はいろいろあろうと思いますが、今回このような解決を見るまで国連が果たしてきた役割は大きかったと考えております。
#190
○粟森喬君 私どもの多少の意見を申し上げたいと思います。質問も行います。
 安保理が六七八を決議するまでは一定の機能をしたと思います。問題はこの後、停戦へ向けてはこの安保理の決議だけがひとり歩きをして、必ずしも有効に停戦への機能をしなかった、そして日本政府もそれに十分に対応しなかったのではないかと考えています。
 その一つの例として、地上戦開始の前後にソ連のゴルバチョフから協力要請があったわけですが、これは停戦へ向けての協力要請だと理解していますが、それで間違いございませんか。
#191
○国務大臣(海部俊樹君) 国連決議がございまして、御指摘の六七八というものによって、あらゆる武力の行使の可能性も含めた決議が行われた。国連決議を受け入れて無条件完全撤退というのが今回の局面打開のかぎであって、国連決議の精神もそこにあったと私は受けとめております。
 停戦直後にモスクワで、イラクとの間であるときは八項目合意、あるときは六項目合意と行われましたけれども、あれは無条件な撤退ではなくていろいろな条件が絶えずついておりました。
#192
○粟森喬君 直後じゃないです、直前です。
#193
○国務大臣(海部俊樹君) ですから私は、無条件に国連決議を受け入れて撤退するということをはっきりさせることが大切であって、いわんや撤退した後には最初の決議以外の国連決議は全部効力を失うんだというような大変身勝手な条件を付せられたのではこれは国際社会の求めておる公正な平和解決に直結しない、だからあくまで無条件で国連決議を受け入れるべきであるという基本的な立場を私どもも主張してまいりましたから、その意味で国連決議というものが最後まで原理原則を打ち立てておったと受けとめております。
#194
○粟森喬君 ソ連のゴルバチョフ大統領からの和平協力提案といいますか、協力要請の中身は、安保理の開催について、和平提案のための安保理開催の要請はなかったのでございますか。
#195
○国務大臣(海部俊樹君) 二十四日の午前三時前後でありましたけれども、あのときは、その直前にブッシュ大統領と私も話しましたが、ゴルバチョフ大統領とも話して、そしてたしか八項目を六項目に修正したその提案についてまだ不十分だと言われておると、そのことについては不十分だと言わないで、アメリカ側もそれを受け入れて、ここに解決ができるようにひとつ努力をしないか、簡単に言うとこういう言い方でございました。
 私は、むしろ問題を根本的に解決するためには条件つきではだめだ、撤退したら全部ほかの国連決議は効力を失って無効になるというようなことを付せられておったんでは、これはアメリカを初め多国籍軍の首脳がのむはずがない。そこでゴルバチョフ大統領には、たぐいまれな説得力のあるあなただから、むしろあなたの方からフセイン大統領に、無条件完全撤退という条件をのむことがこの問題解決のかぎだと私も思うから、そのような方向に向けての御努力を願う方がこの問題の根本的解決に役立つと思っておりますと、こういう言い方もしました。あくまで無条件完全な撤退ということが大前提で原則であると私は考え続けてきましたし、現在もそう思っております。
#196
○粟森喬君 安保理の開催について協力していただきたいという、そういう要請ではなかったわけですか。
#197
○国務大臣(海部俊樹君) 御質問が突然ですから、細かいあれを手に持っていませんから、私の記憶に誤りなければですけれども、安保理の理事国でもございませんので、そういう要請が来るものとも思われませんし、そのようなことは触れられておりませんでした。むしろ、ブッシュ大統領を説得するか、フセイン大統領が無条件を認めるか、そのせめぎ合いのさなかでありましたので、私は今申し上げたようなことを率直にゴルバチョフ大統領に言ったということです。
#198
○粟森喬君 そのときの日本の役割というのが私は大事だと思います。いわゆるブッシュとゴルバチョフの間では話ができるわけです。日本に協力要請があった中身について、打返しだけの話ではなかったと思うわけでございますが、今の話を聞いていると、ブッシュかフセインにどっらかに戻すような話で、日本外交がここで自律的に機能しなかったというふうに私どもは思っているわけですが、いかがですか。
#199
○国務大臣(海部俊樹君) イラクがクウェートを武力によって侵略、併合した、それが平和の破壊とみなされて、そういったことは許さないというのが国際社会の総意であり秩序であり、それを長い間かかって皆が説得したのにフセイン大統領がそれに応じようとしなかった、それがあの六百七十八号の決議につながった。
 その直後、アメリカは直接対話も申し入れて直接対話も行ったが反省はなかった。最後には国連事務総長もぎりぎりの事務総長アピールを出されたが、それにも反省がなかったということで、ぎりぎりの限度がくるまでの努力をお互いに行い、しかもポイントは無条件でクウェートからの撤退ということがすべて局面を打開していくかぎであって、ここの基本をうやむやにして認めてしまったのでは何のために新しい世界の秩序を模索する努力が行われておるんだろうかということでありますから、あっちも悪いがこっちも悪いとか、こっちも譲れ、こちらも譲れとか、そういうような解決の仕方は、今回の場合国連決議があそこまできちっとなってきて、そして具体的に提案がなされているんですから、これは無条件でそれをのむ、そして平和を回復するということが一番近道であって、今後の世界のためにも基本的な原理原則だと私は考えましたから、そのような立場に従っての私の意見を両方に率直に述べたわけであります。
#200
○粟森喬君 私は、フランス、多国籍軍に参加をしておりますが、あるいはソビエトの和平のための提案は、結果においてはかなり無力であった側面は否定し切れないと思います。
 この際、日本の政府といいますか、海部さんが国連中心の平和外交を主張するならば、ここで何かの役割を果たすべきではなかったかどうか、このことについてお尋ねをしたいと思います。
#201
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、国連中心主義の外交と言っておりますし、国連のたび重なる決議というものは新しい世界秩序のためにこれは正しいものである。私は、政治的な立場としては国連決議を支持して、国連決議を実行して、一刻も早くフセイン大統領がみずからの立場や行動に反省をして国際社会の総意に従うべきである。これが国連中心主義の私のとるべき役割であって、私までが、そうはそうだけれどももう少し皆さんというような、間に入って物を言うことは国連決議の精神や原則をうやむやにするものである。したがって、あくまで無条件撤退という原則を貫くべきである、それが局面を転回する唯一の原理原則に従った解決への近道である、私はこう信じました。
#202
○粟森喬君 六七八号に対して、それに基づくいろんな武力行使が行われて、地上戦が開始をしたときも、総理は確固たる支持を言ったことはこれは事実ですね。
#203
○国務大臣(海部俊樹君) そのとおりであります。支持しております。
#204
○粟森喬君 そのことについては後でまた触れますが、安全保障理事会の六七八号というのはある意味では突出した決議だと私は思っています。安全保障理事会と国連全体の総意はかなり違うのではないかというふうに思います。これはさまざまなマスメディアを通じましていろんなところで報道されていますから、世界の中で憂慮をする意見がいろいろあったりすることがあるわけでございますから、安保理の六七八号を支持するということとこの後のことでは多少違うんではないかと思います。国連中心主義というのは国連全体の総意というものを反映することが正しいのではないかと思いますが、いかがですか。
#205
○国務大臣(海部俊樹君) 国連のあの決議を私は信頼し、認めていき、国際社会の総意だと。認めないということになりますとどういうことになるんでしょうか。その大前提で行われている行為というものは、だれがどういう角度からいっても許されるべきことではありませんし、同時に、国連中心浄いこう、それならば国連というものを皆がつくって、そしてそこで認めておるルールとか手続に従ってその決議の精神を尊重していくこと、これ以外、ルールに従うということを抜きはしたら何が残るでしょうか。何を信頼して行動したらいいかわからなくなるわけでありまして、私は国連の累次の決議というものをきちっと受けとめてそれを認めていくということが基本的に大切な態度である、こう思っております。
#206
○粟森喬君 今回の国連安保理の六七八号の決議というのは、全世界が文字どおり認知をしているのかというと多少いろいろ意見があると私は思うんです。例えば中国が棄権をしている。あるいはほかの国でも結果的にやむを得ないということを、あるいは六七八号に関する各国の発言というものを私どもも知っておるわけでございますが、これに対して中国が棄権をした理由について、外務省はどういうふうに把握をしておられますか。
#207
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。
 国連決議六七八号は、安保理におきまして賛成十二、反対二、そして中国の棄権ということで採択されたわけでございます。これは満場一致ではございませんけれども、圧倒的な多数をもって可決されたわけでございます。
 中国の棄権につきましては、中国の投票理由説明の中で、私今ここにそのテキストは持っておりませんけれども、中国としては、より平和的な方法をもってこの問題を解決したいということで、この決議の中に武力行使の容認あるいは武力行使をする権限を与えるということが入っていたが、しかしながら、やはりこの問題を解決するためにいろいろ積極的な面もあるということで、反対はいたしませんで棄権をしたということだと記憶しております。
 ただ、いずれにいたしましても、この決議は賛成十二、反対二、棄権一ということで有効に、圧倒的な多数をもって成立したということでございます。
#208
○粟森喬君 安保理の中で圧倒的多数でといいますか、特に拒否権を持った国がそれに同意をした、しかし中国は棄権だと。反対もあったわけでございますから、私は、国際法に基づいてイラクのフセインの侵略唯対して全世界が批判をしたことは正しいと思います。しかし、そこに、あらゆる手段をもってやることについて全世界がそれを認めてこなかったというのは、多国籍軍がたしか三十七とか八とか言われていますが、参加の状況を見ても、この辺はこれからの問題として押さえておかなければならないと思っています。とりわけアメリカのといいますか、ブッシュのこのようなやり方についてはこれからの戦後処理の問題の中でも大きな問題になるかと思いますので、私どもの意見も申し添えておきたいと思います。
 その上で、多少まだお聞きをしておきたいわけでございますが、今このことが停戦をいたしまして終戦処理がされています。今後のアラブ情勢の中で、今アラブ全体における対米感情や対日感情をどういうふうに判断をされていますか。これは外務省にお尋ねを申し上げます。
#209
○政府委員(渡辺允君) ただいま先生からアラブ世界全体の中での対米感情、対日感情という御質問でございますが、今回のイラクのクウェート侵攻を契機といたしまして、アラブ諸国だけで見ました場合、サウジアラビアを中心といたしますいわゆるGCC六カ国、それからエジプト、シリア等の国々は国連の安保理決議は従ってイラクの侵略を排除するための共同行動に参加したわけでございます。それから、そのほかのアラブの国の中で若干その立場を異にする国もあったわけでございますが、いずれもイラクのクウェート侵略そのものにつきましては、やはり大国が小国を武力で侵略するということに対してこれを非難するという立場をとっております。
 若干の国におきまして米国の行動に対する批判的な世論等があるという報道はございますけれども、私どもは全般として見ました場合に、今申し上げたような国々の中におきましては、今回の安保理決議に従った行動を支持するという立場が圧倒的に多いというふうに考えております。
#210
○粟森喬君 先ほどから何回も申し上げておるわけでございますが、国連中心ということと今回の六七八の決議に基づいて行動したことの中には、さまざまな国の中でさまざまな思いが動いておると思うわけでございます。したがって、いずれにしても、この問題についてはこれから日本の戦後復興に対する協力のあり方などで大きな問題が出てくるかと思いますので、後でまたこのことで時間がございましたら質問をしたいと思います。
 その上で、九十億ドルの問題について多少私の方からお聞きを申し上げたいと思います。
 海部総理は一度も戦争という言葉を使ってないわけでございますが、今回の九十億ドルが多国籍軍の武力行使にかかる費用の一部に充当されているということはお考えですか、どうですか。
#211
○国務大臣(海部俊樹君) 国連の決議に基づいた平和回復活動を行っている関係諸国の行動に対して、日本は武力でお役に立つことはできませんから資金協力で応分の支援をする。それは日本の国際社会における立場からいって当燃しなければならないことである、こう考えております。
#212
○粟森喬君 そうしますと、具体的にお尋ねをしますが、例えば多国籍軍兵士の人たちの食糧のうちの一部に、この日本から拠出した九十億ドルのお金が使われているのですか、使われていないのですか。
#213
○国務大臣(海部俊樹君) 九十億ドルは今御審議願っておる最中でして、もし出たとした場合には、私は食糧、生活関連、事務関連、医療等に充当する意思を表明します、こう言っておりますから、それはそこに充てられるだろうという考えでございます。
#214
○粟森喬君 これからでございますが、九十億ドルのお金がそういう部分に使われるということがはっきりしました。
 それで、武力行使というのは戦争という言葉に置きかえてみますと、これは明らかに戦費の一部だというふうに思います。そういうものを私どもは認めるというわけにまいりません。このことに関連をしまして、いわゆる財政の立場から多少お聞きをしたいと思います。
 まず、大蔵省にお尋ねをしたいんですが、これは財政法の二十九条のどちらに該当していくのか。ちょっとその文章も読んでください。
#215
○政府委員(保田博君) 財政法の第二十九条に補正予算提出の要件が書いてございます。その一の該当する部分を申し上げますと、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合」、これに該当するかと思います。
#216
○粟森喬君 この間の政府答弁は、外国と約束したものではない、自主的に決めたということですが、自主的という言葉の中に緊要性という言葉の意味が入るわけでございますか、入らないわけですか。これは大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
#217
○国務大臣(橋本龍太郎君) もう一つ意味がよくわかりませんけれども、緊要性というものは、現に湾岸に起こり、また続いておる状況にかんがみ、私は当然自主的な判断の中に含まれておるものと心得ております。
#218
○粟森喬君 財政法二十九条の精神というのは、災害など他律的に各年度の本予算で見込めなかったことが生じたときにつくられる予算だというふうに私どもは理解をしています。
 今回の九十億ドルが、例えば国際協定を結んでその結果として出たというのでしたら、これはまあ義務的な経費として当然理解できます。しかし、自主的な拠出金だと、そういうふうに言われますと、財政民主主義の立場から見ても多少疑念が残るのではないか、こういうふうに考えますので、再度その質問の意味を答弁願いたいと思います。
#219
○国務大臣(橋本龍太郎君) そう伺いましても、もう一つ委員のイメージされるものが正確につかみ切れないんですけれども、仮に、例えば財政法二十九条の解釈の上で十分にこれを脳裏に描いてこの支出を決定したかという御趣旨であるとするならば、私どもは財政法二十九条というものに照らして十分精査をいたしたつもりであります。
 そして、もし仮に委員の言われる意味が、当初予算に計上されていない新規施策、その経費の計上に問題があるという御指摘だとするならば、財政法二十九条は委員よく御承知のように、既定経費の増額しか認めないというものではございません。予算作成後に生じた諸情勢の変化に対応するために特に緊要となった新規施策のための経費も当然含まれている、私はそう理解をいたしております。そして、イラクのクウェートに対する侵略、占領といった事態は、まさに私はこうした場面に適合するものと思います。
#220
○粟森喬君 これは、過去の補正予算のあり方をめぐっても、政策経費のどこまで認めるかということと関係もするわけですが、今回の場合はもうこれ以上論議をする必要もないかと思いますが、これは国際的な約束なのかと言ったら、政府が答弁をするのには自主的に決定をしたと言う。自主的決定がその緊要性という意味で、確かに戦争が今停戦をしておるわけでございますから、後処理としての緊要性というのはどの程度の意味を持つかということについて多少意見の違いがあるということは、ここで明確に申し上げておきたいと思います。
 この際ですからお尋ねをしますが、外国への拠出を本予算ではなく補正で行って、しかも臨時とはいえ増税までやってやるというケースは今回が初めてではないかと思いますが、いかがですか。
#221
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私も正確に過去を存じておるわけではございませんが、もともとイラクという大国がクウェートという小国に対し侵略を開始し、これを占拠し、略奪、暴行を加え、国際機関の安全保障理事会を中心として各国がその不当を指摘し、退去を要請し、なおかつ、どうしてもその占拠を解かないために、国連の安全保障理事会の諸決議を受けて志を一つにする各国が多国籍軍を編成し、実力をもってクウェート領土内からイラクを排除しようとしたというこうしたケースそのものが私の知る限りにおいて初めてでありますから、当然こうした状況というものに遭遇したことはなかったのではないかと思います。
#222
○粟森喬君 以上のようなケースを考えますと、今後の戦後処理の中で、いわゆる戦後復興の問題が幾つか出てくると思います。これも当然補正ということで出されるのかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。
#223
○国務大臣(橋本龍太郎君) 戦闘行為が終結をいたしました後、中東における安全保障の確保と並んで、これらの地域における戦災復興、経済再建というものが重大な課題の一つとして国際的に論議をされているという状況にあることはそのとおりであります。そして、その中でこれからどのような方策が適切であるかということについては、関係国間でさまざまな議論が交わされていくでありましょう。そして、その中で日本が役割を負う場面があることは私は当然のことだと思います。
 ただ同時に、今申し上げたいことは、さまざまな御意見が日本の国内においても、また外においても出ておりますけれども、肝心のアラブの方々から今声が出ていない状況の中で、我々が特定の方向を予見し、それを押しつけるような行動だけは避けなければならない、この点だけは心していきたいものだ、そのように思います。
#224
○粟森喬君 補正でいくのかどうか。
#225
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、ですから、大変失礼でありますが、今肝心のアラブの方々から声が出ていない中で決めつけることは私は避けるべきことだと思います。
#226
○粟森喬君 アラブの方から声が出なかったらやらないというお話でございますが、私どもは、むしろこの戦後処理については積極的にやるべきだという意見でございます。そのときにはいろんな財政的な問題もこれから生ずるかと思いますが、これは本予算の論議のときも十分やらなければならないこれからの問題でございますから、この問題についてはこの程度にしておきたい、こういうふうに思います。
 そこで、自衛隊機の問題について、多少私の方からお尋ねを申し上げたいと思います。
 政令は当分の間続けるということで、それが自然にこれからなくなっていくという経過もこの間説明をいただいたわけでございますが、具体的に、もしこれを想定するときに、準備は依然として続けられているというふうに理解してよろしいんですか、どうですか。
#227
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 湾岸の情勢は、戦闘行為は一応停止ということになりましたけれども、まだ依然として緊張した状態が続いているのは御承知のとおりでございます。そういった中で、これから避難民がまだ大勢出てくるという可能性もあるわけでございます。そういった意味におきまして、もし国際機関から要請があり、そして日本の民間機で対応できない場合、自衛隊の輸送機が出るというこういう可能性もございますので、今の段階でもそういったケースに備えておるというのは事実でございます。
#228
○粟森喬君 この間の政令論議は十分やられたわけでございますが、私どもは自衛隊機は利用しないという前提に立つこと、そして、今の政令改正の「その他」の部分を私どもはむしろ法改正してこういう利用については歯どめをかけるべきだと考えています。こういう意見に対して、総理並びに法制局長官、どうお考えでしょうか。
#229
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 これまでるる御答弁申し上げましたように、私どもは、今回の政令というものは法律で授権をちょうだいしたその範囲内で行っておる、このように考えておる次第でございます。
 さて、それはそれといたしまして、議会の方で法律を改正する、あるいは新たな法律をおつくりになる、こういうことでございますならば、私どもの方からあれこれ申し上げるのはいかがかと思うのでございますが、御質問でございますのであえて申し上げますと、法律の方でいろんな改正があると思うのでございますね。いろんな御議論の末に、例えば避難民に引き続いて、一般的、恒常的にその任務を与えてやろうということだって考えられるわけでございます。また、逆のケースもあり得ると思います。そういった立法府の御判断が下れば、私どもはその法律の範囲内において行政の執行に当たっていくのは当然であろうかと思います。
#230
○政府委員(工藤敦夫君) 今委員のお尋ねの件は立法政策に属する事項だと存じますので、私の方で御意見を申し上げるのは適当ではなかろう、かように思います。
#231
○粟森喬君 準備をしているというから、この際明確にお聞きをしておきたいと思います。
 もし飛ばさなければならない事態が発生したときに、相手国というのは仮想敵国というふうに申し上げておきますが、どこかから攻撃をされたら、この輸送機は交戦をするのですか、しないのですか。
#232
○国務大臣(池田行彦君) まだ現に要請がないわけでございますから、どういう状態の中で行くことになるか、それをあれこれ想定してお答え申し上げるのもいかがかとは存ずる次第でございますけれども、いずれにいたしましても、あの地域での戦闘行為は今停止されておるわけでございますので、御指摘のようなケースを想定するのは余り現実味がないのじゃないか、このように考えます。
 いずれにいたしましても、自衛隊が参りますのはこれは輸送機でございますので、交戦とか交戦をするための武器を備えておるとかそういうものじゃございませんので、その点は御理解いただきたいと存じます。
#233
○粟森喬君 今の答弁を聞いていてかなりはっきりしたわけでございます。それなら準備そのものをもうやめてもいいような状態であるにもかかわらず準備を続けるというのは、なお私は理に合わないことだと申し上げておきます。
 これからの問題の中で私どもが特に懸念をしていることは、初めは私どもも人と物は何らかの格好で協力をすべきではないかという見解を持ち続けてまいりました。ところが、どこかで必ず自衛隊の問題あるいは法律上の問題、特に自衛隊の問題だと思います。そういうものが絡んだ段階で、やはり憲法第九条の精神あるいは日本国の憲法の立場から見てこれはおかしいんではないかという立場に多少私どものスタンスが変わったわけでございます。これから自衛隊のあり方の問題や、さまざまな問題についてそういう立場を明確に私どもの立場として申し上げまして、私の質問を終わります。
#234
○委員長(平井卓志君) 以上で粟森喬君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#235
○委員長(平井卓志君) 次に、寺崎昭久君の質疑を行います。寺崎君。
#236
○寺崎昭久君 最初に、昨日来議論になっております大塚建設大臣に係るリクルート社との金銭授受に関する問題についてお伺いいたします。
 昨日、官房長官は調査するということをおっしゃられましたけれども、いつまでに調査を完了し、報告されるのか、そのことをお伺いします。
#237
○国務大臣(坂本三十次君) 調査をするんです。捜査じゃありません。調査をするんです、私の方は。
 御本人のいろいろのお話を聞いてそれについて私どもの考えたことを申し上げたりして、そしていろいろ事情をお聞きいたします。いつごろまでと申しましても、今御本人とも打ち合わせをして、それじゃひとつ私どもも調査をさせていただきますということで御了解を得てこれからかかっていくのでありまして、私のスタッフも交えましてやることでございますから、今ここで幾日ということはちょっと申し上げられませんが、できるだけ早く調査したいと思っております。
#238
○寺崎昭久君 私の発音が悪かったのかもしれませんが、調査で結構でございます。
 国民の政治に対する信頼回復が重大な課題になっておりますし、また政治改革というものが急がれている昨今でもございますので、民社党としても、真相をきっちりと調査し明らかにしていただきまして報告を求めるものであります。この問題についてはこの程度にいたしまして、次の質問に移ります。
 まず、総理にお伺いいたします。日本の中東貢献策に対する国際社会、とりわけアメリカの受けとめ方についての所感をお伺いしたいわけであります。
 実は、去る二月二十八日の産経新聞に次のような記事が載りました。米国の学校に通う日本人児童や生徒たちが湾岸戦争への日本の関与について、日本は何もしなくてもいいのか、何で日本の軍隊は多国籍軍に加わらないのかなどと米国人同級生から詰問された。そこで、困った父母がニューヨークにある日本領事館に相談をしまして、日本の立場を説明するための英文の模範回答をつくってもらったということでございまして、大変気がかりに思っているわけでございます。
 総理に、普通の米国市民が日本の中東貢献策に対してどのように受けとめ、また満足し、評価しているのか、その見解をお伺いしたいと思います。
#239
○国務大臣(海部俊樹君) 一般の米国市民がということでございますが、米国にあります新聞の論評とかあるいはテレビで出てくるキャスターの意見とか、いろいろなものを大使館を通じて取り寄せて私もそれを見ておるわけでありますけれども、日本はもっと貢献をすべきだという意見と、それから日本もできるだけのことを憲法の制約の中でやっておるんだからこれ以上は責めるべきではないという意見と、いろいろ幅広くあると思っておりますが、しかしツーレート、ツーリトルという言葉が伝わってきましたように、もっとたくさん、もっと早くというようなことが言われてきたことも過去において私の見聞きした中にはございました。今回はそういったこと等も踏まえてできるだけ早く今後とも対応できるものはしていかなければならないとみずからに言い聞かせております。
#240
○寺崎昭久君 今総理からツーリトル、ツーレートというお話がございましたけれども、今回の湾岸危機に対する対応だけではなくて、こういうマスコミとかあるいは米国議会指導者の批判を和らげる、あるいはなくす、解消するというためには、日米間に横たわるいろんな課題、政策、そういうものを通じて日本がもっともっと努力をしていかなければならない部分があるということだと私は受けとめております。
 なお、日本の中東貢献策に対して米国からの風当たりが強いのは、もちろん誤解だとか説明不足あるいは相手側の過剰期待というものもあったんだろうとは思いますが、基本的に三つ問題があったんだと思うんです。第一点は日本が人的貢献をしなかったこと、二点目は資金協力の考え方あるいは発表のタイミングに問題があった、それから三番目は外圧がないと何も決められない、そういう感情が根底にあったからいろんな批判が噴き出してきたのではないか、私はそう判断しております。
 例えば資金援助を例にとりますと、昨年八月二十九日に中東貢献策第一弾としてその中でヨルダンの難民支援のための一千万ドルを発表いたしました。それから、翌日になりまして多国籍軍に対しての十億ドルを発表されました。さらに九月の十四日、多国籍軍への十億ドル、そして周辺諸国に対する支援としての二十億ドルを発表したわけであります。そして一月二十四日に九十億ドル。金額だけ並べてみますとこういうことになりますが、この間に、例えば八月三十日に総理や大蔵大臣とアメリカのブッシュ大統領とかプレイディ財務長官との電話でのやりとりがあったとか、あるいは九月の七日にプレイディ財務長官が来日された、一月の二十一日に橋本大蔵大臣とプレイディ財務長官との会談があったというようなことがあったわけです。
 これらを重ね合わせてみますと、どうも日本は外圧がないと決めない、動かない、あるいは当事者意識が希薄なんじゃないか。したがって資金協力も小出しになる。結果としてせっかくの支援がバーゲン品並みに受け取られてしまうという問題が出てきているのではなかろうかと思うんです。
 日本にとっての最大の支援というのは資金協力だと思うんです。だったら、正当に評価される努力をもっともっと政府はしなければいけないと思うんですが、その点に関して総理にお伺いしたいわけでありますけれども、資金協力の決定の発表がなぜ逐次発表になったのか、それからいわゆる外圧があったのかなかったのか、それから資金協力というのはいかなる理念のもとに決定されたのか、わかりやすく説明していただきたいと思います。
#241
○国務大臣(海部俊樹君) 資金協力をするというのは、御指摘のように、日本は力によってお役に立つことはできないという憲法上の立場があり、また中東地域の平和回復のために多くの国々がそれらの国の抱えておる厳しい状況を乗り越えて、最終段階では青年男女の生命まで危険にさらすという、その中で平和回復活動を行っているというこの厳しい現実を見ますと、日本としてはでき得る限りのことをしていかなければならない。そして、戦後一時期のように、片隅で自分の国のことだけ考えて幸せを追求して生きておればよかったという時代が終わって、日本は国際社会で大きな地位を占めるに至ったわけでありますから、責任も伴いいろいろ果たすべき役割も出てきておる、こういう自覚に立って協力をすべきと決めたのであります。
 また、その都度その都度は、これは自主的にいろいろなことを考えて日本としてはできるだけのことをいたしました。ですから、最初に十億ドルを決めたときも、実はこれは結果になるかもしれませんが、ECが決めたより早かったのではないでしょうか。また、九十億ドルを決めましたときも、これは政府・与党の間でいろいろ議論をしましてそこで決めたわけで、外からのという圧力で決めた金額ではございませんでした。総合的に判断して応分のものは、これがなし得るぎりぎりのものであるということを決めて発表をしておるわけでございます。
#242
○寺崎昭久君 今のお話ですが、少なくとも多国籍軍に対する支援というのは三回に分けて発表されておるんです。状況の推移というのはあると思うんですけれども、そのことが結果として支援の評価を低めたのではないか、それを私は問題にしておるわけです。いかがでしょうか。
#243
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、時系列的にお話がございましたので、時系列的に私の方から事実関係として御説明を申し上げたいと思います。
 第一回の十億ドル、これはまさに総理が御指摘になりましたように、八月の三十日でありますか、総理がブッシュ大統領に対して電話で連絡をとられました。これは当時、平成二年度予算の中において補正等の御審議をお願いせずにやりくりできるぎりぎりの金額ということがあったと私は思います。同時に、そのころはこの状況がどうなるか全く見当のつかないときでありました。そして、これについてアメリカ政府も相当程度の評価をいたしておったと思います。
 その直後、私は周辺国問題等を含めその後の情勢をヨーロッパの各大蔵大臣と相談をするためにヨーロッパに参りました。その途中、アメリカ政府は、ベーカー国務長官とプレイディ財務長官を二手に分けそれぞれ大統領特使として各国に派遣をされました。そして、私も総理の御指示を受け、プレイディ財務長官との会談に間に合うよう急遽東京へ引き返してまいりました。その席上、周辺国支援についてヨーロッパ側と私どもが相談をしておりましたのとは違った角度の提案がアメリカから出てまいりました。このとき多国籍軍に対する追加支援の要請もございましたが、周辺国支援について当時ヨーロッパの各国と私が御相談をしておりましたものとアメリカの構想に食い違いがあったことも事実であります。これらの調整をするだけの時間が次の十億ドルを決定するまでに必要であったことは事実であります。
 そして、非常に不幸なことに、イラクがクウェートからの撤退をがえんじなかったために、一月十五日という時間設定の後、多国籍軍はイラクをクウェート領域内から実力で排除する行動に出ることになりました。この時点において、先ほど委員は二十一日と言われましたが、実は二十日にプレイディ財務長官との会談は行われ……
#244
○寺崎昭久君 アメリカ時間です。
#245
○国務大臣(橋本龍太郎君) そして、G7等その引き続く会議の中で各国の蔵相たちともいろいろな話をしてきました。そうしたものも含め総理に御報告をしたあげく、日本政府として九十億ドルの追加支援を決定いたしたわけでありますが、これについては各国、恐らくドイツ等が決定をしたよりもはるかに早い資金協力の決定であったと存じます。
 時系列的に事実問題のみ御報告を申し上げます。
#246
○寺崎昭久君 今大蔵大臣がおっしゃられたようこ、ドイツが決めたのは八月二十二日が皮切りですから、日本の方が早かったと思います。
 外圧によって決めたというようなことが一部のマスコミで言われているわけです。私はこれを大変残念に思っているのであえて時系列にお話を申し上げたので、正当佐評価される努力をぜひ今後ともしていただきたいと思います。
 次に、資金協力の方法について外務大臣にお尋ねいたします。
 多国籍軍や中東湾岸諸国への資金協力に関して、日本はGCCを通じて行ったわけでありますけれども、ドイツの場合は、米国、エジプト、ヨルダン、トルコ、英国というように各国に対して拠出しております。なぜ日本がGCCを経由して資金協力を行わなければならなかったのか、ほかに方法がなかったのか、お尋ねいたします。
#247
○国務大臣(中山太郎君) 湾岸の協力機構というものがこの地域の経済あるいは安全保障といったような問題を中心に既に湾岸の諸国でつくられておりまして、この組織が十分成長しているという判断のもとに、ここで相談をいたしまして平和協力基金というものを設置し、これに振り込むことによって、そこで運営される運営委員会でもってこの配分を決定される。この運営委員会は六カ国を代表する事務局長と日本のサウジアラビア駐在大使とが運営委員として協議をし、そこで判断をされた方針に従ってこれが配分されるという仕組みが適当であると考えたわけでございます。
#248
○寺崎昭久君 一つのやり方だと思うんですけれども、周囲の意見の中にはGCCに拠出するということがわかりづらいという意見もございますので、あえてドイツとの比較で申し上げたような次第であります。
 こういうことに関して民社党は、平和回復活動や難民救済のために人的あるいは財政的な支援を行う場合お金が要るであろう、したがってODAの経費とは別に平和維持回復基金制度を設立してはどうか、そして基金には毎年一般会計から一定額を拠出するという提案をしているわけでありますけれども、こういう考え方はいかがなのか、御見解をお伺いしたいと思います。大蔵大臣がよろしいんでしょうか。
#249
○国務大臣(橋本龍太郎君) 世界の平和そして繁栄を確保していくために我が国が努力をするということは、これは日本自身のためにも不可欠のことでありますし、こうした認識の上に立って安全の確保のための努力、また世界経済の健全な発展への貢献というものを考えていかなければならないという、その点は私は委員の御意見に全く異論はありません。
 ただ、そのために基金をという御意見につきましては、私は必ずしもそれは国民からお預かりした税金を効率的に使用するという視点において問題がないとは言えないという感じが率直にいたします。これはあらかじめその多額の財源というものを固定してそのまま積み立てていくことになるわけでありますから、当然その必要性が生じるまでは国民に対しお預かりした税金を使ってのサービスに穴があくということにもつながりかねません。また、今現実の我が国の厳しい財政事情の中で、こうした基金に充当するための多額の資金を固定するということは非常に困難な情勢もございます。同時に、相手国に対しいたずらに過剰な期待を持たせてしまうという危険性もあるいは生ずるかもしれません。
 むしろ私は、今回のような異常な事態が再び起こってもらっては本当に困りますけれども、こうした問題が起きましたときには予備費の使用をお許しいただく、あるいは補正予算を御審議をいただき国会のお許しをいただく、こうしたことによってそのときそのときに適切に対処することの方が適当ではなかろうかと考えております。
 お考えのもとになる部分について異論はございません。
#250
○寺崎昭久君 次は、総理にお伺いしたいと思うんですが、今回のいわば中東国会の議論を聞いておりました私の友達が、なぜ今ごろ多国籍軍に資金協力ができるのかできないのか、あるいは使途について制限をするべきなのかするべきじゃないのかということをやっているんだと。本来、基本的な考え方については解決済みで、拠出額が適当なのか、多いのか少ないのか、むしろ国会というのはそういう議論をするところなんじゃないか。泥縄的に今になって多国籍軍に出せるのかどうかというのは結局政府の怠慢じゃないか、こういう意見を述べる男がおりました。結構そういう意見も周囲にはあるわけであります。
 私は総理にお伺いしたいんですが、友人の意見というのが特異なのか否か、もしそうでないとすれば今後のために何をしたらいいとお考えであられるか、所感なり見解なりをお伺いしたいと思います。
#251
○国務大臣(海部俊樹君) せっかくの御質問でございますから、私も私の考えを率直に述べさせていただきますが、そのお友達にぜひ言っていただきたいんです。
 私は、国会でお尋ねをいただくからいろいろ御質問に答えておるわけであって、大前提として、それは拠出をして協力しなければ日本が国際社会の責任を十分果たせないではないか、こういう願いを持って国会には臨んでおりますから、政府は当初から、十億ドル決めたときも、そして二度目決めたときも、今回九十億ドル決めたときも、それはそのときときの事情がございましたけれども、とにかく拠出をして日本として応分の協力をすべきである。力でもってお役に立つということが残念ながらできない日本の立場であって、せめて資金協力をして多くの人々と一緒に世界の平和を守ろうと。
 最初委員もお触れになりましたが、何か日本はちょっと特別な考えをしているんじゃないか。一緒になって苦労し共同しておるというような意識に欠けるんじゃないかという意味の御指摘もございましたが、そうではなくて、日本も世界の中の一員として世界の大義のためにいろいろな資金協力ができるようにしたいと思い、すべきと思い、このような法案もお願いし予算措置もとって御理解と御協力をお願いしておるところでございます。
#252
○寺崎昭久君 実は、友人の発言というのを正確に伝えてないんですが、本当は国会も政府もと、こう言っておりました。
 次に、外務大臣にお伺いいたします。
 先ほど私は、人的貢献が伴わなかったことが日本の評価を不当に低くしたと申し上げましたけれども、第一回目は国連平和協力法案の廃案、またその次は、昨年八月三十日に百名の医療団を派遣できる体制を整備すると発表しながら、結局のところ一人も送らなかったということに対しての風当たりが大変強いわけであります。
 そこで、当初なぜ百名の医療団が派遣できると判断されたのか、その辺からお伺いします。
#253
○国務大臣(中山太郎君) 当初の人的協力の中で、医療団を百名程度派遣するというお話、これは全部が医師という状況ではございません。医師並びに看護婦、それからパラメディカルのスタッフ、それからアラビア語でございますから通訳を相当配備しなければならない、調整員と申しておりましたが。大体そのような構成をやっていくという考え方を立てたのでございますが、問題は、民間のボランティアで行くのと、もう一つ自衛隊の衛生隊を使えないかという考え方がございました。
 御案内のように、外務省では、自衛官の方々が海外の大使館に在外の武官として駐在される場合には、外務省職員として身分を変えて出ているのが現実の姿であります。そういう中で、自衛隊の衛生部隊を外務省職員として身分を与えて出すことは手続としてはできるわけであります。しかし、日本の国会にあるいは国民の間には、自衛隊の海外派遣という問題には大変神経質な、憲法に対する考え方というものが非常に厳しい。こういう中で、やはり私はそのようなこそくな手段はとるべきでないという判断をいたしたわけであります。
 そこで、民間のボランティアでこの方々をひとつお願いしようということで、いろんな病院、大学にも文部大臣あるいは厚生大臣を通じてお願いをしたわけでございますが、これから一触即発、クウェートに進駐したイラク軍がいつサウジアラビアに攻め込んでくるかわからない、そういう状況の中でなかなか希望者というものは出てこない。そこで何人かの有志に出ていただきまして先遣隊を出す、こういう状況になりまして、現実にサウジアラビアのアルコバルというところまで行って、ちょうどクウェートからの国境二百五十キロぐらいのところですが、そこに拠点をつくって、そして戦端が開かれた場合にはいつでもここで難民の医療あるいは負傷兵の治療ということを考えたらどうかと。ところが、サウジアラビア側からは野戦病院あるいは軍病院にひとつ協力をしてもらいたいという要望がございました。これはなかなか、これに沿って素直に行こうと、こういう方方は出てこなかったわけであります。
 そういう中で、それでは協力するのには難民対象で被災民を救助するためにやろうということで、診療所をつくる、クリニックセンターをつくると。ところが、サウジアラビアの政府保健省の条件が極めて厳しかった。医療設備を完備しろ、それから医師は最低十名程度、最初は三十名ということが条件でございまして、それで最低三カ月の期間をサウジアラビアで働くことということが条件でございました。また、言葉もアラビア語、英語というものの条件がついておりまして、そういう難しい条件下でこの条件を満たすために努力をいたしましたが、日本側になかなかこの条件を満たすだけの準備も対応の能力もなかったわけであります。
 そこで私は決断をして、二十三億円の予算を計上しておりましたけれども、一億円のところで、これ以上のことはこれでやってもむただという判断を決断いたしまして、二十数団体の医療機関の長に集まっていただいて十二月までに二回協議をいたしましたが、現実に対応することはこの時点ではできないと。また、集まった方々の御意見では、戦争が始まるようなところに自分の弟子を行けということは言えない、また、チームで出さないと効果が発揮できないと、こういうことから断念せざるを得なくなりました。
 次の手段として我々は何を考えるかというと、難民の対応に医療という協力をやったらどうかということがその会合の場で出てきたということをこの機会に御披露させておいていただきたいと思います。
#254
○寺崎昭久君 今まで経験がなかった事態に備えるということで難しい面はあったと思うんですけれども、これから国際社会における日本の責任としてそういう面での協力というのは欠かせないだろうと私は考えておりますので、条件整備、体制整備について格段の御努力をいただきたいと思います。
 私は、日本に危機管理体制があるのかという問題意識でお伺いしているわけでありますけれども、総理は一月十三日から予定されておりました東南アジア歴訪を直前になって中止されました。なぜ直前になって中止せざるを得なかったのか、その辺の事情をお伺いしたいと思います。
#255
○国務大臣(海部俊樹君) 一月の東南アジア歴訪というのは、かなり相手国の首脳との日程調整の必要がありましたから、前から内々の打ち合わせ準備はいたしておりました。
 湾岸におけるいろいろな情勢、様相が当時はどのように推移していくのか、私どもも平和的に解決できることを望みながら、イラクの局面転回への努力を強く期待しておりました。けれども、十一月の終わりになって六七八の決議が起こり、またアメリカとイラクの直接対話が行われたにかかわらず、事情は好転しそうにもございません。
 私はそこで、このような大切なときでありますから東南アジアの訪問は中止すべきである、こう決断をいたしまして、それぞれの国の首脳には事情をお知らせしてその間の立場を了解してもらい、そして延期をした次第でございます。
#256
○寺崎昭久君 中断すればそれで済むという問題ではなくて、相手方に迷惑をかけるだけではなくて日本の国際的な信用というものにも傷がついたのではないかと私は判断しているわけです。
 それに関連して若干申し上げると、「諸君」という雑誌がありますけれども、この四月号に中東情報に関して、昨年の秋の国会で国連平和協力法案が審議されていたころは米軍から日本へ高度な軍事情報が入ってきた。だけれども、同法案が廃案になった途端にストップしてしまったというようなことが書かれております。これが事実だとすれば、この情報不足というのも総理が直前になってアジア歴訪を中止されたことに影響を与えているのではないかと懸念しているわけでありますが、そういった事実はあるんでしょうか。防衛庁長官、よろしいでしょうか。
#257
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 私どもの方は、日本の防衛という観点から自衛隊そして在日米軍の間でいろいろ連絡、関係があることは事実でございますが、今回の湾岸の情勢につきましては本来そういうたぐいのものではないというふうに心得ております。
#258
○寺崎昭久君 総理に安全保障会議の体制についてお伺いしたいと思います。
 今回の湾岸戦争のような戦闘行動が伴う場合には、その対応策を検討するに当たって軍事情報だとか専門家の判断というのは不可欠な要素だと思うんです。ところが、安全保障会議設置法によりますと、議長――総理ですね、議長は必要があると認められるときは関係の国務大臣と統合幕僚会議議長その他を出席させて意見を述べさせることができると書いてありますけれども、国家の安全問題を諮問するには統幕議長を例えば長官の補佐という位置づけにする必要があるのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
#259
○国務大臣(海部俊樹君) 具体的な事実関係は事務局長から答弁させますけれども、いつも安全保障会議のときには、長官の補佐とおっしゃいましたけれども、まさにそういうことでオブザーバーで出席しておって、そこで発言の機会を与えられいろいろとその立場についての意見を述べる、また我々の質問にも答えるということをきょうまでずっとしてきたわけでございます。
#260
○政府委員(米山市郎君) 先生も御承知のように、安全保障会議設置法の第七条で、「議長は、必要があると認めるときは、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。」という規定がございまして、この規定によりまして、国防事案につきましては統幕議長に毎回出席をいただいて、今総理が御答弁申し上げましたようにいろいろな意見を聴取する、また建設的な意見を述べていただくというような形で審議をいたしているところでございます。
#261
○寺崎昭久君 私は、この安全保障会議という名前がおかしいんじゃないかと思うんです。何の安全を保障するのかというのがはっきりしていないんですね。やっぱり国家安全保障会議だとかそういう名前をかぶせた方がその機能がわかりやすいんじゃないかと思うんですけれども、そういうことも含めまして、今後この問題についてはもっともっと検討をしていただぎたいなと思っております。
 時間の関係もありますので、次に移ります。
 次は有事法制の研究の問題でございますので、防衛庁長官の見解をお伺いしたいと思います。
 昭和五十二年八月に始まる有事法制の研究というのは、既に第一分類、第二分類についての中間報告が行われております。次いで、第三分類についてはどうなっているのか、それからお伺いします。
#262
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、第一分類については昭和五十六年、第二分類につきましては昭和五十九年にそれぞれ取りまとめ公表しております。
 第三分類と申しますのは所管省庁が明確でない事項に関する問題でございますが、これにつきましては防衛庁というよりも政府全体として取り組むべき性格の問題でございます。個々の具体的な検討事項について担当の省庁をどこにするか、こういうふうな今後の取り扱いにつきまして現在内閣官房、具体的には内閣安全保障室において調整が行われておるところでございまして、私ども防衛庁といたしましては、適宜第三分類についても私どもの方で調べましたところ、あるいは承知しておりますところ、あるいは意見等を内閣官房の事務の円滑な推進に資するために御説明申し上げてきておる、こういうことでございます。
#263
○寺崎昭久君 重ねてですが、第三分類では、住民の避難、保護あるいは人道に係るジュネーブ四協定等の研究が予定されているわけでありますが、こういう問題がきちんとやられていれば、今になって難民のために自衛隊機を飛ばしていいのか悪いのかなどという話をしなくても済むと思うんです。
 いつをめどに取りかかろうとされているのかお伺いします。
#264
○政府委員(米山市郎君) 第三分類の研究につきましては、先ほど防衛庁長官から御答弁申し上げましたとおり、この問題につきましては政府全体で取り組むべき問題ということで、現在安全保障室が種々の事務を行うということにいたしておりまして、六十三年まで第三分類につきましての防衛庁の内部的な検討を私ども安全保障室にヒアリングをさせていただきまして、その辺の取りまとめを現在行っているところでございます。
 ただ、この問題につきましては国民の権利義務にかかわる重要な問題というかかわりもございまして、特に慎重を期する必要がある。あるいはまた、第一分類及び第二分類と比較いたしまして、第三分類は検討内容の詰めばかりでなく担当省庁の仕分け等検討の手順そのものを新たにつくっていく必要があるというようなこともございまして時間が若干かかっておりますが、私ども精いっぱいやっているところでございます。
 ただ、この有事法制は我が国が他国から侵略をされたあるいはそのおそれがある場合の事態に対応した法制でございますので、今先生がおっしゃられたような海外における問題というところまでの研究はこの中ではいたしておりません。
#265
○寺崎昭久君 国内に限っても結構ですけれども、有事法制の研究が報告されたのは既に五十六年と五十九年、それから随分時間がたっているわけです。その中で、現行の自衛隊法では自衛隊は動けませんということがはっきり指摘されているわけなんですね。にもかかわらず、なぜ法制化を進めようとしないのか、国会の審議にかけようとしないのか。政府の怠慢じゃないですか。いかがでしょう。
#266
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 確かに、有事になった場合、自衛隊の活動一つとってみてもいろいろ整備しなくてはいけない面があるじゃないか、そのとおりでございます。しかしながら、この有事法制の研究は、そもそも始まりましたときに、近い将来での法律を制定するということを意図したものではございませんでした。あくまで研究でございました。しかし、一般的に申しまして、御指摘のようは、法制が整備されることが望ましいのはそのとおりでございます。
 しかしながら、これは事柄の性質上、極めて高度の政治的判断にかかわる問題でございます。それとまた、何と申しましても国民の皆様方の間にこういった問題についての意識と申しましょうか、御認識と申しましょうか、そういったことが深まり、いわば世論が熟成していくということがどうしても必要なんじゃないかと思います。そういった意味におきまして、私どもといたしましては、今後とも国会におけるいろんな御論議やあるいは世論の動向というものを見きわめながら慎重に検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#267
○委員長(平井卓志君) 以上で寺崎昭久君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#268
○委員長(平井卓志君) 次に、西川潔君の質疑を行います。西川君。
#269
○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。
 湾岸戦争も終わりまして、まずこの問題から総理大臣に私はお伺いいたします。
 戦後復興のために我が国はできる限りの貢献をしなければいけないときだ、心からそう思います。けさほどの新聞の報道、そしてまたテレビの報道、捕虜の皆さん方の解放の報道を我々は見まして本当にうれしく思います。そしてまた、テレビの報道によりますと、拷問の器具などいろいろ映っておりました。ひどいものです。戦禍に遭った国々では非常に衛生状態も悪くなっている、伝染病の心配もある、食糧も不足している。そういう意味におきましては、我が国では戦後復興と平和の安定のために人的貢献、技術の協力、環境問題なども踏まえまして、福祉外交で汗を流さなければいけないのではないかと思います。
 いろいろな分野で検討に入ったという新聞報道がなされておりますが、私は時間が短いものですから早口で質問いたしますが、現在の状況を、大臣の皆さん方、総理大臣、ひとつゆっくり、国民にわかるように御説明をいただきたいと思います。
#270
○国務大臣(海部俊樹君) 累次の国連決議に従って、湾岸地域に平和回復、そしてクウェートの解放という目的が今達せられつつあることは、私も全く喜ばしい限りだと思います。そして、御指摘のように、私もいろいろテレビのニュース等も見ましたが、まことに人道的な面で緊急に対応をしていかなければならない心痛む場面も随分ございます。食糧の緊急援助が必要なのか、あるいは医療の緊急援助が必要なのか。そういう人道的な面の対応は、関係国とよく相談をしながら、できる限り日本は率先して出ていってしかるべき問題だ、こう思うんです。
 それから、これはまだ平和回復活動が続いておるさなかのことでありましたが、御承知のように、ペルシャ湾に原油をイラクが垂れ流した。あれによって、人類が今まで経験したことのないような大変な環境問題が出てきておることは御承知のとおりでございます。それに対しては、日本として例えば何ができるんだろうか。オイルフェンスを緊急に日本の国内にあるのを集めて現地へ送り届けたり、あるいはあの地域にあります海水の淡水化装置というのは日本においての技術によってでき上がった装置が据えられて成果を上げておるということも報告されておる問題でありますから、そういったものを重油から防護するとか、あるいは重油の排除にどのような技術が必要なのか、日本として何が協力できるのかというようなことについて、あらゆるレベルで既にこの問題等にも着手をいたしておるところであります。
 そして、経済復興の問題については、大切なことは、あの地域のイニシアチブを尊重して、あの地域の人々が何を期待し、何を考え、どんな方向を指さしておるのかということを十分謙虚によく聞いて、そして関係諸国との間で日本もでき得る限りの経済復興のために協力をしていかなければならない、これが基本的な今日の考え方でございます。
#271
○西川潔君 一兆一千七百億円、このお金は、総理、全国の下水道を今完備するのに一兆一千七百億円あればすべて完備できるんです。それぐらいのお金なんです。(「それはけたが違う」と呼ぶ者あり)違うと言う人もいらっしゃいますが、もう一遍それはそっちで研究し直してみてください。そしてまた、約三十坪の住宅を建てますと、サラリーマンの皆さん方に今すべて御提供できるぐらいのお金だというようなことも報道されております。大変な我々の国民の血税でありますので、どうぞ……。
 私は、この九十億ドルに関しましては反対するものではありません。困ったときはお互いです。今日の日本がこんなに平和に、そしてまた世界の一、二を争うような国になったのは本当に他国の皆さん方のお力をかりているわけですから、いろいろありますけれども、困っているときはお互いですから、何とか真心の手を差し伸べてやりたい、これはよくわかります。でも、本当に細かいメニューという意味におきましては、私たちももう少し説明をいただきたい。わかるような説明をいただきたい部分は多々ございますが、本当に真心のこもった、また我々国民が納得のいくようなお金の使い方を本当にしていただきたい。それはもう今はわかりません。後々にわかることですが、大きな国民のしっぺ返しが来るようなことのないようなお金の使い方をよろしくお願いしたいものです。
 一言、外務大臣にもお伺いしたいんですが、こういうときに実に諸外国の外務大臣はあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりする。中山外務大臣はほとんど日本にいらっしゃるんですが、もう少し頑張ってもらいたいんですが、いかがでしょうか。
#272
○国務大臣(中山太郎君) 御質問の御趣旨は私もよく理解をいたしておりますし、私自身が、こんなことでは日本の外交はこれから先はだめになるという、率直に思っております。外務省もこの間幹部会議をやりましていろいろと次官以下協議をいたしましたが、このような状態でこれからの国際外交に日本が対応できるか、ここが一番の問題でございます。
 原因、理由は何かということになりますと、この予算委員会、国会が開かれますと、法案を出している、予算案を出している、その所管大臣がそう自由に飛び回っては予算審議にも影響する、あるいは法案の成立は政務次官では認めない、こういったような御意見が出ることを大変心配いたしておりまして、そのために大事な外交というものが今日海外の諸国と比べると難しい状態に立ち至った。
 御存じだと思いますけれども、よく外相会談ということがございます。一般の事務次官以下が海外に参りましても、相手国の大臣と対等に会談はできないわけでありまして、国際慣例を十分これから御理解いただきながら日本が外交をしっかりやっていかないと、なかなかこれからの国際社会では対応ができない時代になってきたということを率直に申し上げさせていただきたいと思います。
#273
○西川潔君 本当にきょうでも全大臣がお越しになっているわけですが、答弁していらっしゃらない方がたくさんいるわけですから、通告以外の人はもう少し働いてもらわないと我々の税金をむだに使われているようで、本当に――いえ、別に僕は自民党の人に拍手してもらいたくて質問しているわけではないんです。僕はもう本当に他意はございません。たった一人でこの中でやっているわけですから、どなたにも応援してもらいたくはないんですが、まじめなことをここで発言させていただかないと。本当に専用機ぐらい買って飛び歩いたらどうですか。
#274
○国務大臣(中山太郎君) 国会の各党の御理解がいただければ、私はいつでも重要な会談には参りますし、またこっちから求めて接触をして会談をやらないと、これからは外交はやっていけない、こういうふうにはっきり申し上げさせていただきたいと思います。
#275
○西川潔君 総理も一言御意見をください。
#276
○国務大臣(海部俊樹君) 直接カウンターパートと出会って、それぞれの問題について議論を深めていくという国際会議は大切なものだと考えておりますので、そういった意味で私も今後の政策努力に取り組んでまいりたいと思っております。
#277
○西川潔君 じゃ、話を次に変えさせていただきます。
 戦争の報道が八月以降、本当に毎日のようにたくさん我々の家庭内にも報道されるわけで、ともすればノーマライゼーション、日常福祉というものを忘れがちになるのではないかな、そういう心配が私自身ございます。子供たちのこと、また体に障害を持っておられる皆さん方のこと、お年寄りの皆さん方のこと、そういう部分をお伺いしたいと思います。
 ホームヘルパーの問題でありますが、先日、大阪府で定員百名に対して三百二十三人もの方々がお越しいただきました。二百二十三人の方々はいわゆる採用できなかったわけです。大変もったいない。でも、ホームヘルパーに対して関心をお持ちの方がこんなにたくさんいらっしゃるわけですから、この情熱を持った多くの心をいかに育てていくかというのがこれからの国のあり方です。ベテランのホームヘルパーの方々、保健婦さんの支援が必要でありますが、チーム方式によって来年度活動されるというのを厚生省から聞いておりますが、厚生大臣、御説明いただきたいんです。
#278
○国務大臣(下条進一郎君) 西川委員にお答えいたします。
 今の高齢化社会、そしてそのいろいろな施設の中でホームヘルパーの重要性、これはもう委員の御指摘のとおりでございます。それで、在宅福祉サービスの拡充を図るために今ホームヘルパーの拡充に努力しているわけでございますが、そのホームヘルパーの中にもベテランもおられる、あるいはまた初心者の方もいらっしゃるということで、その双方の方々がチームを編成しながらよくその職に当たっていただく、こういうことで、今度、平成三年度からそういうチームをつくって当たっていただくという制度をつくることになっておるわけでございます。
 大阪の御事情を今承ったばかりでございますけれども、一般的に言うとなかなか十分に人材確保ができないということで、厚生省といたしましても今努力しているわけでございますが、やはり処遇の問題あるいはまたホームヘルパーをやるということに対するプライド、これを裏づけられるような環境の整備とかもろもろの条件整備を整えまして、需要に合った供給ができるような体制づくりをしていきたいと努力しているわけでございます。
#279
○西川潔君 これからお年寄りの皆さん方が本当に安心して介護していただけるようなホームヘルパーさん、十カ年戦略でも十万人にするということですが、並み大抵ではございません。
 そこで、研修制度についてお伺いしたいんですが、現在は三百六十時間でございます。来年度から厚生省は三段階で、四十時間、九十時間、三百六十時間ということになるわけですが、つまり三百六十時間というと約半年です。相当長期間でありますので、この間の手当ですが、自分の台所が火の車でありますのに人様のためにというと、なかなかこういう部分の福祉はできません。私ももう二十五年も老人ホームを回らせていただいておりますが、本当に心の優しい方々がたくさんおります。でも、甘えるばかりではなしに、やっぱりやることはやってもらう、することはするというようなことを考えないと、今現在でもホームヘルパーさんの非常勤の方、五七%の方はもうお金の保障はないわけですから、研修期間中の手当、これはぜひ必要であります。
 後ほど大蔵大臣にも一言いただきたいんですけれども、お願いします。この三日ほど前から大臣は随分お疲れのようですが、大丈夫ですか。ひとついい答弁をいただきたいと思います。まず、厚生大臣。
#280
○国務大臣(下条進一郎君) ただいまお話がございましたように、新しいホームヘルパーの研修を三段階に分けてやる、長いのは今おっしゃったような大変長い時間をそれに専念するわけでございますから、その間の手当の問題が今空白になっている、これは大きな問題でございます。したがいまして、今の三段階方式の研修制度を導入するに当たって、その研修を受けられた方々が将来採用された場合にはお手当を差し上げられるように方向づけをしたいと思って今検討しておるさなかでございます。
#281
○西川潔君 余り喜べるような答弁ではなかったようですが、大蔵大臣、一言いただけないでしょうか。
#282
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員は御承知のように、私の母親が入院して二年たちます。そして、私どもの仕事の性格上、常時介護に当たれませんので専門の方にお世話をいただいております。その仕事がどれほど大変なものであるかは、私自身が時々病院に行ける時間があったときに行ってよく承知をいたしております。厚生省からお話があれば、我々は真剣にそれを検討させていただきます。
#283
○西川潔君 いいお返事をいただいてありがとうございます。
 大蔵大臣がこういうふうにおっしゃった。厚生大臣、もう一遍ひとつ。
#284
○国務大臣(下条進一郎君) 私も先ほどの答弁の中で、よくお聞きいただければ申し上げたんですけれども、要するに研修期間をこの三つの段階に改正するに当たって、その研修を受けられた方が、従来ならばその研修期間はお手当をもらえないということですけれども、今度この新しい研修制度が三年度から実行できることになりますから、その方で研修を受けて、採用が決まった方については研修期間の手当については御検討申し上げる、こういうことでございます。
#285
○西川潔君 しかし、大臣、それではだめなんですわ。自分がパートに出たりOLをやっておるわけです。でも、やめてホームヘルパーになろうというそういう方々はその間収入はないわけですから、食べないで、生活しないでということはできないわけですから、これはぜひ検討していただきたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。
 総理大臣、一言ください。
#286
○国務大臣(海部俊樹君) 今御議論を聞いておりましたが、これから高齢化時代というものが着実に今来ておるわけです。満百歳以上の方が、私の記憶に誤りなければ三千二百九十八名いらっしゃる。そういう非常な高齢化時代に皆が生きがいを持って、喜びを感じながら生きていっていただくためには、今度は、それらの方々がどうしても肉体的、物理的に自分自身のことすら取り扱うのが不可能な状況になられるときはホームヘルパーの人の存在がどんなにかとうといものになるのでしょうか。そういった意味で、そのホームヘルパーの方々のためにいろいろな施策を講じておるわけでございます。
 今の御議論等も聞きながら、私も全力を挙げてこういった福祉政策というものが前進していきますように努力をしていきたいと考えます。
#287
○西川潔君 ありがとうございます。もう真っ白な気持ちで努力させていただきますので、ひとつよろしくお願いいたします。これはもう全国の皆さん方が今テレビで見て、聞いておられるので、次の機会にはぜひよろしくお願いします。
 そして、もう一つ心配なのは、今国会に老人保健法の一部改正、一月で八百円から千円、そして入院は一日四百円から八百円ということが報道されております。これはもう大変なショックです。この基本的な政府のお考えを、厚生大臣、お願いします。
#288
○国務大臣(下条進一郎君) 老人保健法の改正法案をこちらに出しておりまして、いずれ御審議をお願いするわけでございます。御承知のように、高齢化の波が粛々と進んでおりまして、そのための全体の制度を見直す必要があるということで今度の法案を出させていただいたわけでございます。
 このことにつきましては、御承知のように、老人の医療費というものの位置づけをもう一回見直すということでございますが、その場合に現在の老人の医療費は、御承知のように、他の施設にいらっしゃる方、あるいはまた在宅のお年寄りで先ほども出ております介護の手当てでしのいでいらっしゃる方、いろんな方がございますから、そういうバランスも考慮しなければなりませんし、また国民全体の負担というものもこれはずしっと肩に重くかかってまいりますから、そういう問題もバランスを考えていかなきゃならない。皆様相互の中で、どのようなバランスの中で分担を分かち合っていただけるかということを考えた中で法案をつくって出させていただいたわけでございます。
 そこで、要は、介護の充実を今回は特に重点的に取り上げていくということで、これは新しい制度でございます、重点化をするということは。それらを全体的に包括いたしまして、結局この制度が長く安定的に運営できるように持っていくにはどうしたらいいかということでございまして、それで公費負担の今の介護の方は拡充してまいります。それからまた、必要な受診は抑制しない範囲で、今もお話がありましたような患者負担の見直しもやっていく、それからまた被用者保険の拠出金負担軽減の調整措置もやる。いろいろな制度を総合的にいたしまして、この長寿社会の中で老人保健法がうまく定着していくように私たちの方は改正を考えておる、こういうことでございます。
#289
○西川潔君 また議論をさせていただきたいと思いますが、基本はよく聞かせていただきました。
 次に、医療の高額療養費についてお伺いしたいんですが、例えば一カ月で五万七千円を入院しまして使いますとそれ以上の部分の金額は返ってくるということでございますが、これが三月一日から末までだったらいいんですが、三月の十六日から四月の十五日までというふうに月をまたがりますとこれが全く返ってこないというのは、これはどういうことでございましょうか。
#290
○国務大臣(下条進一郎君) このことは、よく御承知かと思いますけれども、月ごとに割りまして集計するという形をとっておるわけでございます。したがって、今委員のお尋ねは、月をまたいで合計すると高額になる。現在、高額は五万七千円、今度の改正は七万円でございます。そこに委員の御指摘の面があると思いますけれども、ただいまのところは、医療機関の診療報酬請求は毎月締める、こういうことでございますから、高額療養費についても月をまたがって両方の合計額を出すという制度になっておらないわけです。高額療養費は今の件数でいいますと年間に七百万件ございます。それからそれの支給額が四千七百億円、こういうことでございますから、現在の入院の診療報酬明細書の作成枚数千六百万枚を、もしおっしゃるように月をまたいで本人の医療費が合計五万七千円を超える、こういうふうにいたしますと、これは毎日締めなきゃならぬ。そしてそれを累計しなきゃならない。こうなりますと、十七倍、三億枚になる、今の手ではちょっとできにくい、こういうことで、現状は従来どおりでやっていただきたい、こういうことでございます。
#291
○西川潔君 でも大臣、同じ十万円を使って、一カ月で十万円使いますと四万三千円が返ってくるわけですが、同じ一カ月でも、三月の十六日から四月の十五日まで同じ一カ月で同じ十万円を使っても一円も返ってこないというのは、何か不公平があるんではないでしょうか。
#292
○国務大臣(下条進一郎君) ただいまお答えいたしました五万七千円を七万円じゃなくて、六万円でございました。失礼いたしました。訂正いたします。
 今の再度の御質問に対する答弁といたしましては、そういう二カ月にわたって一カ月を計算するというやり方ならば、それはもうそういう計算もございます。ございますけれども、事実上はもう制度として月決めで計算していかなければ、とてもこれは事務的に処理できないんです。ですから、中にそういう方がおられても、まことに現在の制度ではちょっと御期待に沿えるようなお取り扱いはできにくい、こういうことでお許しをいただきたいと思います。
#293
○西川潔君 よくお話を聞かせていただきまして納得もいたしました。できる限り検討の方向でよろしくお願いいたします。
 きょうは本当に、一生懸命質問させていただきまして、いい答弁をいただいて、ありがとうございました。これで終わります。ありがとうございました。
#294
○委員長(平井卓志君) 以上で西川潔君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#295
○委員長(平井卓志君) それでは、これより平成二年度補正予算二案に対する討論に入ります。
 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。竹村泰子君。
#296
○竹村泰子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成二年度第二次補正予算二案に対し、反対の討論を行います。
 まず最初に、去る二月二十四日、世界の多くの人々の願いと祈りもむなしく対イラクの地上戦が開始されたのは極めて残念なことであります。
 もとより、今回の一連の事態を招いたのは、昨年八月二日のイラクによるクウェート侵攻であり、私たちはイラクのクウェートからの撤退を求めてまいりました。そして、一月十七日の多国籍軍の軍事活動の開始後もその速やかな終結と話し合いによる平和的な事態の打開を強く祈願してきたわけであります。これは世界の国々の願いであり、非同盟国やソビエトを中心にイラクのクウェートからの撤退とそれによる戦争の終結、地上戦の回避が模索されました。イラクからクウェート撤退の意向も示されながら受け入れられず、残念ながら二月二十四日、地上戦に突入し、二十八日、戦闘停止となりました。
 この過程において、政府は地上戦回避のための具体的努力を何ら行わず、アメリカに代表される多国籍軍の行動を強く支持し、その軍事的判断に配慮するのみで、イラクの自発的な撤兵を促し惨禍の拡大を防止するという平和への努力がほとんどなかったと言わざるを得ません。この結果、クウェートやイラクの人々が言語に絶する悲哀を味わったことは見過ごすことはできません。
 以上を踏まえて、以下反対の理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、今回の補正予算の眼目である九十億ドルの支出は、名目上は湾岸平和基金への拠出ということになっており、国会答弁でも繰り返しそう答えられましたが、その実態は多国籍軍、とりわけアメリカ軍の戦費に充当されることであります。アメリカの戦費に使われるということは米国の補正予算の内容から見ても明らかであります。このような支出は実質的な集団自衛権の行使と言うべきであり、憲法九条に違反することは明白であります。私たちはこのような憲法違反の九十億ドル支出を容認するわけにはまいりません。
 日本はただ米国に追随するだけでなく、戦火の中からの叫びを聞き、被災民への食糧、医療の援助などを積極的に行い、アジアの一員としての独自の平和回復の道を模索すべきでありました。停戦となった現在、そうした方向あるいは戦後復興への資金拠出こそ憲法のうたう平和主義の理念を実現する正しいあり方と考えるものであります。
 反対の第二の理由は、この予算が実質的には平成三年度予算と一体化していることであります。
 政府は、今補正予算の九十億ドルの大部分を国債で賄い、その償還を行うべく急遽三年度予算の修正を提出し、防衛費等十七億円分の一般歳出を削減しました。しかも、後年度負担分まで含めると平成六年度まで合計一千億円に上る防衛費の削減まで表明しているのであります。こうした予算編成のあり方は、補正予算と本予算のけじめを乱すのみならず、予算の単年度主義という大原則に明確に反しており、断じて認めるわけにはまいりません。
 反対の第三の理由は、今回の財源捻出策として既定経費の節減及び予備費の減額を行ったことであります。
 政府は、当初予算の審議では、編成された予算はベストのものであると称し、私たちの予算修正要求に応じないにもかかわらず、二年度予算の一次、二次補正で合計二千五百十七億円余りの既定経費の節減を行い、あわせて二百五十億円の予備費の減額も行われました。このことは、当初予算編成がずさんだったことの証左であり、政府の言うベストの予算編成とほど遠かったことも明白です。私たちはこうした政府の予算編成に対する独善的とも言える態度に強く抗議いたします。
 最後に、今回の湾岸危機に際し、内閣は自衛隊法の百条の五の一項につき立法趣旨を無視した解釈を行い、国会の立法権限をかいくぐり、特例政令で輸送対象者の適用範囲を拡大し、海外派兵につながる自衛隊機による難民輸送を行おうとしました。これは憲法七十三条の定める法律を誠実に実行する義務及び九十九条の憲法尊重擁護義務に明らかに違反するものであります。
 しかも、国会開会中であり、自衛隊機派遣のことが焦点として厳しく論じられていたにもかかわらず、このときにあえて特例政令を制定したことは、国民の声を踏みにじり、国会を無視したものであり、議会制民主主義国家とは断じて言えるものではありません。
 政府のこうした態度に強く抗議し、猛省を求めまして、私の反対討論といたします。(拍手)
#297
○委員長(平井卓志君) 次に、野沢太三君。
#298
○野沢太三君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成二年度補正予算(第2号)二案について賛成の討論を行うものであります。
 今回のイラク軍のクウェート侵攻は、多国籍軍による平和回復活動によってようやくその解決を見たところであります。このイラクの暴挙により多数の死者が出て、罪もない人々が戦火にさらされたことは大変残念なことであります。
 我が国は、平和国家を国是としてほぼ半世紀を過ごしてまいりました。しかし、平和を唱えるだけでは国際平和を維持することはできません。専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から除去する決意と、万一のときには果敢に行動することが国際国家日本のあり方として求められているところであります。湾岸地域の平和と安定のため、国際社会が一致してその解決に向けて行う努力に対し、我が国としてできる限りの協力を行うことは当然の義務と言えるのであります。
 こうした意味において本補正予算案は、最大限の工夫と努力によって財源を捻出し編成された、我が国が現状においてなし得る最善の予算として高く評価できるものであります。
 以下、その賛成する理由を簡単に申し述べます。
 賛成の第一の理由は、湾岸地域の平和回復のための国連決議実行を支援する措置だからであります。すなわち、国連決議に従い我が国の国際社会における地位にふさわしい支援を行うとの観点から、湾岸平和基金に対して新たに九十億ドルの資金を拠出するものであります。今回の平和回復は、米国等関係国の多くの若者が血を流しながらかち取ったものであることは言うまでもありません。我が国と国民が、こうした国々の努力に背を向け、平和と経済的繁栄のみを享受することは許されません。今回の支援策は、我が国が現時点において可能な緊急不可欠の措置として極めて適切かつ妥当なものであります。
 賛成の第二の理由は、財源確保の措置として、後世代に負担を残さない形で臨時特別公債を発行し、短期間で償還する工夫を講じている点であります。従来の特例公債の発行と償還の方法では負担を将来にまで残すことになり、当初予算で達成した特例公債依存脱却をむだにすることにもなります。臨時特別公債は、緊急措置として数カ年以内に完全償還されるため、財政の健全化に最大限の努力を行ったものとして大いに評価できます。
 賛成の第三の理由は、本補正において既定経費と予備費を減額するとともに、その他収入の財源確保に努め、臨時特別公債への依存を少なくし、償還のための税負担も圧縮している点であります。これは、政府が、国会における議論等に謙虚に耳を傾けた結果、平成三年度予算案の修正も含め、約五千億円相当分の歳出削減により財源を確保したものであります。これらは、歳出の削減合理化に最大限の努力を行ったものとして、また議会制民主主義の本旨に沿った柔軟な対応をしたものとして高く評価できます。
 湾岸危機は終結に至るところとなりましたが、この地域の復興に向け我が国は支援実行を緊急に行わなければなりません。政府におかれましては、本補正予算成立後一刻も早い資金拠出を実行するとともに、国際的な平和活動に向けた支援について積極的に取り組まれることを強く要請して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#299
○委員長(平井卓志君) 次に、吉岡吉典君。
#300
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、九〇年度第二次補正予算に対して反対の討論を行います。
 まず、日本共産党は、イラクのクウェート侵略、併合に終止符が打たれ、湾岸戦争が終結したことを歓迎するものであります。しかし、この解決が国連憲章の精神に沿った平和的な解決でなく、戦争という手段を用い、大きな惨禍をもたらしたことは極めて残念であります。それだけに、今回の湾岸戦争からの教訓として、軍事的解決優先を正当化するのでなく、平和解決こそ国連憲章に沿った解決策であることを酌み取るべきであることを強調するものであります。
 本補正予算に反対する第一の理由は、この九十億ドルが紛れもなく米軍など多国籍軍への戦費分担であり、憲法の平和原則に照らして断じて認められないものだからであります。国民の間に、戦争が終結した今、戦費分担とは何事かという声が強まっているのは当然であります。
 そこで、政府は、この九十億ドルが湾岸地域の平和復興に充てられるかのように印象づけようとしていますが、ブッシュ大統領が米議会は提出したアメリカの湾岸戦争補正予算関係文書によれば、これはそっくり砂漠の盾、砂漠のあらし作戦に充てられ、しかも残りが出た場合は全額アメリカの国庫に編入されることになっており、湾岸地域の平和復興に充てられるような仕組みには全くなっていないのであります。政府がいかに取り繕おうとも、これが戦費分担であることは否定しようもない事実であります。
 反対の第二の理由は、米軍中心の多国籍軍の戦費を分担することが我が国憲法の平和原則を踏みにじるものだからであります。
 日本国憲法は、前文で「恒久の平和」をうたい、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と明記しています。多国籍軍は湾岸で武力を行使した軍隊であります。この戦費を負担することは、本委員会の論議でも明らかになりましたように、武力行使への財政面での加担であり、従来の政府見解に照らしても断じて許されない違憲の行為であります。この戦費負担を憲法の平和主義で合理化しようとするのはとんでもないことであります。インドの通信が、湾岸戦争による日本の死傷者第一号は平和憲法だと鋭い指摘を行っているのは的を射たものであります。
 第三の反対理由は、戦費調達のために赤字国債の発行を禁じた財政法を無視し、国民に増税と国民生活関連経費の削減による犠牲を強いようとしているからであります。
 侵略戦争に突入した戦前の赤字国債乱発と増税の苦々しい教訓から生まれた財政の平和的民主的原則を軽々しく被って恥じない政府のやり方は許されるものではありません。
 最後に私は、国連憲章と日本国憲法の平和原則に基づく国際的努力こそ日本が真に国際社会において名誉ある地位を占める道であることを強調し、九十億ドルの戦費負担のための補正予算と関連法案への反対を強く主張して、討論を終わります。(拍手)
#301
○委員長(平井卓志君) 次に、及川順郎君。
#302
○及川順郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、議題となりました平成二年度補正予算(第2号)に賛成の討論を行います。
 まず、世界を揺り動かした湾岸戦争がやみ、クウェートが解放されたことを心から祝福したいと存じます。同時に、この戦闘によってとうとい命を失われた多くの方々に衷心より哀悼の意をささげるものであります。
 戦争捕虜の即時釈放を含む国連の和平決議が圧倒的多数で採択されました。このことは、武力による侵略は許されないという国際世論の勝利であるとともに、国連を軸とした国際的な平和維持のあり方に道を開く第一歩として歓迎いたしたいと存じます。
 さて、本予算委員会において昨日から徹底論議となりました本補正予算に賛成する主な理由を要約して申し述べます。
 その第一は、国際社会における平和維持活動に対し、我が国は一定の責任と義務を果たさなければならないという視点からであります。
 我が党は結党以来、国連中心主義を基調とした世界平和を掲げて前進してまいりました。米ソ対立の冷戦時代から新しい国際秩序と世界平和構築への光が見え始めたやさきに今回の湾岸戦争の勃発があったのであります。この地球上から一切の戦争をなくし、恒久平和の確立を目指すからには、具体的かつ持続的な判断と行動が必要であります。そうした観点から、湾岸の平和と安定回復を図る日本の貢献策として九十億ドルの追加支援拠出に賛成するものであります。
 第二の理由は、今回の九十億ドルの拠出が国連安保理決議六百七十八号で示された「全ての国家に対し、この決議の第二項を履行するためにとられる行動に対し適切な支援を与えることを要請する。」という国連決議に基づく要請にこたえるものであるということであります。イラクのクウェートへの武力侵略という冷厳な現実を真正面から見据え、国連を中心とした平和回復、維持活動へ協力する以上、応分の財政支援は必要であると判断いたします。
 第三の理由は、この九十億ドルが武器弾薬には使用せず、非軍事面を主体として使用されることが確認されたからであります。また、審議の過程で明らかにされていますように、九十億ドルはまず湾岸平和基金に拠出され、そこから国連決議に従って活動する国々を支援するために使用されることになっております。なお、拠出金の使途についても、湾岸協力理事会の代表と日本政府代表によって構成される運営委員会によって決定、確認されることが示されております。これら国際間のルールは認められるべきものと判断いたすものであります。
 第四の理由は、今回の九十億ドルの財源について、すべてを増税で行うという当初の政府方針が転換されたことであります。
 我が党は、国際貢献の立場から、既に日本政府の国際公約のようになっている九十億ドル拠出の財源をすべて増税で賄おうという政府の姿勢を厳しく批判し、歳出削減等の修正を強く要求してまいりました。それは、国民の負担を願う前に、まずみずから身を切る努力が必要であり、それなくして国民の理解と支持は得られないとの判断に立ったからであります。結果として、政府は、当初の方針を転換し、防衛費を初め五千億円の歳出削減を図る修正に転じたのであります。こうした政府の努力を認め、我が党は本補正予算案に賛成する決断をいたしました。
 以上、主な理由を端的に申し述べました。
 湾岸戦争終結は、一日も早い停戦を願望していた私たちにとって大きな喜びであります。しかし、本格的な戦後処理や経済復興、国連を軸とした世界平和への新しい秩序づくりはこれからであります。私は、日本政府が今回の湾岸戦争への対応を教訓として、我が国平和憲法の前文、さらに第九条に示された戦争の放棄とともに「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」するという精神を具現化するために、戦争の根絶、地球環境破壊の排除など、世界の平和と民生安定を目指して懸命な努力を幾重にも強化するよう強く要望して、討論を終わります。(拍手)
#303
○委員長(平井卓志君) 次に、新坂一雄君。
#304
○新坂一雄君 私は、連合参議院を代表して、ただいま議題となっております平成二年度補正予算(第2号)二案に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、本補正予算に計上されている湾岸平和基金拠出金九十億ドルが多国籍軍支援のための戦費にほかならないことであります。
 政府は、これまで今回の財政支援が国際社会の応分の負担として我が国が自主的に判断したものであることを強調するとともに、武器弾薬の調達には使わないことを明言してまいりました。しかるに、アメリカから聞こえてくる報道は、この九十億ドルがアメリカからの戦費拠出要請に基づくことを示すものばかりなのであります。しかも、政府は、この湾岸戦争を平和回復活動などと称し、戦争のイメージを消そうとしておりますが、アメリカではブッシュ大統領みずからが湾岸戦争と言っており、そのアメリカから要請された九十億ドルが戦費に使われることはだれの目にも明らかなのであります。我が国が直接的にも間接的にも侵略を受けていないにもかかわらず、こうした戦費を出すことは完全な憲法違反であり、絶対認めることはできません。
 反対の第二の理由は、政府がその戦費調達のために臨時特別公債を発行し、しかもその償還のために増税を行おうとしていることであります。
 平和憲法のもとにある財政法が戦時公債を認めていないことは言うまでもありません。その上、政府は、償還のためといって法人税と石油税を増税し、そのツケを国民に押しつけようとしているのであります。戦後四十五年間、一度たりとも行われることのなかった増税による戦費の調達をなし崩し的に行おうとする政府の態度は絶対に許すことができません。
 反対の第三の理由は、今回の九十億ドルが補正予算の要件を規定する財政法二十九条の趣旨を逸脱した予算計上となっていることであります。
 我が国では、予算編成に際し、必要な経費は原則としてすべて当初予算に計上すべきとの総合予算主義をとっております。されば、補正予算に計上できる経費はおのずから制限され、政府の独断や御都合主義で行うべきではありません。それが安易な予算の編成を防ぐものであることは言うまでもありません。節度ある財政運営を行うべきであるにもかかわらず、このような財政法の趣旨を逸脱した予算は断じて認められません。
 最後に、既に各国の関心は中東地域の戦後復興に移っておりますが、我が国としてもこの地域の平和と安定に資する援助を積極的に行うとともに、一日も早く危機管理体制の整備が進められるよう強く政府に要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#305
○委員長(平井卓志君) 次に、寺崎昭久君。
#306
○寺崎昭久君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいま議題となっている平成二年度補正予算(第2号)二案に対して賛成の討論を行うものであります。
 湾岸戦争がようやく終結し、ほぼ七カ月に及んだイラク軍の占領からクウェートが解放されたことを心から歓迎するものであります。
 イラクのクウェート侵略に対し、国連は十三本の決議を採択し、イラクに対する経済制裁を実施し、クウェートからの即時撤退を迫るなど、毅然たる態度をとりました。そして、多国籍軍が国連決議を実行に移すために行動してきたことを我々は十分認識しなければなりません。私は、中東湾岸戦争を契機に、我が党が主張してきた国連を中心にする新たな世界平和への秩序が形成されつつあることを確信するものであり、同時に、我が国が国際社会の中で経済的地位にふさわしい責任と役割を担うことを求められていると考えます。
 我が党は、今回の事態に当たり、国連の権威を守り、世界の平和のために行動している諸外国に対して資金援助を行うだけでなく、人的支援の面でも積極的に貢献するよう強調してまいりました。それは、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思うとする憲法の精神を実践するために不可決であると考えたからであります。これはまた、国際社会から孤立しては生きられない日本の立場を考えても至極当然な結論であります。このような視点から、民社党は昨年の四十億ドル援助を妥当と考え、この補正予算案に対し賛成の立場をとりました。同じ考え方から、今回の九十億ドルの追加支援についても賛成を表明いたします。
 その財源について、政府は当初約一兆二千億円を全額増税で賄う方針を示しました。これに対し我が党は、まず政府自身が汗を流し、歳出削減等に努めることを強く要求いたしました。その結果、歳出削減などで約五千億円の財源手当てがなされることになり、増税額は約六千七百億円にとどまりました。たばこ税増税が見送りとなり、石油税増税分が半分となり、さらに法人税増税も圧縮されました。増税によらず財源を生み出す方法はほかにもあると考えますが、政府がかつてない金額の予算修正を行ったことを率直に評価するものであります。これらの措置により、国民の負担は大幅に軽減され、また援助に対する理解も進むに違いないと私は確信いたします。
 国会の議論やマスコミの報道を通じ、国民の間に、世界平和のための新しい秩序づくりに日本が貢献しなければならないとの認識が広まりつつあることを私は大いなる喜びといたします。
 最後に、戦後の中東地域の平和と安定のため、そして世界の人々の幸せのために、日本人一人一人が汗を流さなければならないことを強調して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#307
○委員長(平井卓志君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 平成二年度一般会計補正予算、平成二年度特別会計補正予算、以上二案を一括して採決いたします。
 二案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#308
○委員長(平井卓志君) 多数と認めます。よって、平成二年度補正予算二案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#309
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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