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第120回国会 予算委員会 第9号
平成三年三月二十日(水曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     片上 公人君     木庭健太郎君
     高井 和伸君     新坂 一雄君
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     倉田 寛之君     須藤良太郎君
     村田 誠醇君     本岡 昭次君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                坂野 重信君
                野沢 太三君
                藤井 孝男君
                宮澤  弘君
                佐藤 三吾君
                角田 義一君
                安恒 良一君
                及川 順郎君
                吉岡 吉典君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                石原健太郎君
                遠藤  要君
                合馬  敬君
                片山虎之助君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                斎藤 文夫君
                須藤良太郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                西田 吉宏君
                星野 朋市君
                小川 仁一君
                國弘 正雄君
                瀬谷 英行君
                竹村 泰子君
                堂本 暁子君
                細谷 昭雄君
                本岡 昭次君
                森  暢子君
                山本 正和君
                吉田 達男君
                木庭健太郎君
                白浜 一良君
                中西 珠子君
                上田耕一郎君
                粟森  喬君
                新坂 一雄君
                足立 良平君
                寺崎 昭久君
                今泉 隆雄君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  左藤  恵君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  井上  裕君
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
       農林水産大臣   近藤 元次君
       通商産業大臣   中尾 栄一君
       運 輸 大 臣  村岡 兼造君
       郵 政 大 臣  関谷 勝嗣君
       労 働 大 臣  小里 貞利君
       建 設 大 臣  大塚 雄司君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  佐々木 満君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       谷  洋一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  池田 行彦君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       越智 通雄君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       山東 昭子君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  愛知 和男君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  西田  司君
   政府委員
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        有馬 龍夫君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       内閣総理大臣官
       房審議官     文田 久雄君
       総務庁長官官房
       会計課長     菊地 徳彌君
       総務庁行政管理
       局長       増島 俊之君
       青少年対策本部
       次長       杉浦  力君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁長官官房
       長        日吉  章君
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  村田 直昭君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁国民
       生活局長     加藤  雅君
       経済企画庁総合
       計画局長     冨金原俊二君
       環境庁企画調整
       局長       渡辺  修君
       環境庁企画調整
       局地球環境部長  加藤 三郎君
       国土庁長官官房
       長        八木橋惇夫君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       国土庁計画・調
       整局長      長瀬 要石君
       国土庁土地局長  藤原 良一君
       国土庁大都市圏
       整備局長     斎藤  衛君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省訟務局長  加藤 和夫君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    渡辺  允君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
       外務省情報調査
       局長       佐藤 行雄君
       大蔵省主計局長  保田  博君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       大蔵省理財局次
       長        田中  寿君
       大蔵省国際金融
       局長       千野 忠男君
       文部大臣官房長  坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       菴谷 利夫君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       厚生大臣官房総
       務審議官     熊代 昭彦君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       長谷川慧重君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  小林 康彦君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省年金局長  加藤 栄一君
       厚生省援護局長  岸本 正裕君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   大西 孝夫君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     安橋 隆雄君
       林野庁長官    小澤 普照君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        坂本 吉弘君
       通商産業省通商
       政策局長     畠山  襄君
       通商産業省通商
       政策局次長    麻生  渡君
       通商産業省貿易
       局長       堤  富男君
       通商産業省立地
       公害局長     岡松壯三郎君
       通商産業省機械
       情報産業局長   山本 幸助君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    大塚 秀夫君
       運輸省運輸政策
       局長       中村  徹君
       運輸省国際運
       輸・観光局長   寺嶋  潔君
       運輸省航空局長  宮本 春樹君
       海上保安庁次長  豊田  実君
       気象庁長官    立平 良三君
       郵政大臣官房経
       理部長      吉高 廣邦君
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       建設大臣官房長  望月 薫雄君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       鈴木 政徳君
       建設省道路局長  藤井 治芳君
       建設省住宅局長  立石  真君
       自治大臣官房総
       務審議官     紀内 隆宏君
       自治大臣官房審
       議官       遠藤 安彦君
       自治省行政局長  浅野大三郎君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
       自治省行政局選
       挙部長      吉田 弘正君
       自治省財政局長  小林  実君
   事務局側
       常任委員内専門
       員        宮下 忠安君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、総括質疑を行います。國弘正雄君。
#3
○國弘正雄君 大変に複雑な事態を把握するためには、大局を見はるかす言ってみれば鳥の目と、それから細かい細かい点についても周到な目配りを忘れないいわば虫の目と両方が必要だろうと思いますが、きょう私はいろいろな問題について鳥の目と虫の目をいわばないまぜにした形で御質問をしたいと思いますので、どうぞわかりやすく入念な御答弁をお願いしたいと思います。
 まず最初に、「行くに径に由らず」という論語の言葉があるそうですが、海部総理、それを三木元総理はしょっちゅう書いておられた。好んで書いておられた。そしてまた、その生涯を通じて、行くに小道によらないことをあの人のモットーとしてこられた。ところが、今回の湾岸の一連の動きを見ておりまして、特に初めに自衛隊派遣ありき、初めに九十億ドル支出ありきという経緯を見ておりますと、どうも総理は小道によろうとされたのではないかというような気がしてならないんです。国会をいわばバイパス視し、縄抜けと言うと大変失礼かもしれませんけれども、事後承諾的にいろいろな重要な政策を通されたということは、国権の最高機関であるはずの国会の審議を空洞化させた。しかも、総理もあるいは並みいる大臣方も皆立法府の一員でおいでになる。国会議員でおいでになる。ところが、その国会議員でおいでになる総理初め並みいる閣僚方が国会の審議を軽々しく扱うということは、これはある種の自己否定だというふうに思うんです。決してこれは国会の権威を高からしむるゆえんとは思えないんです。
 その意味において、私は行くに小道によられたのではないかというそういう思いを禁じ得ないんですけれども、そういう思いをお持ちかどうか、あえて生意気なことを言わせていただければ、じくじたる思いを総理御自身が感じておいでになるかどうか、伺いたいと思います。
#4
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の問題で、初めに九十億ドルありきとか、初めに自衛隊ありきとかという前提を置いて物をおっしゃることが私にはちょっとわかりません。立場が違います。
 「行くに径に由らず」というのは、なるほどおっしゃるようにそういう言葉もあり、私も教えを受けた言葉の一つですが、遠山の構えという言葉もあわせて教わってきました。はるか前方の大きな大義、大局を目指して、それを見失わないように些事には構うな、大きな構えをしろという、遠山の構えだということもございました。
 私はそういった意味から見ると、初めに平和の破壊ありき、イラクのフセイン大統領がクウェートを侵略、併合したんですから、この行為に対してどうするかということは、今せっかく米ソの対立を乗り越えて世界が新しい平和の枠組みを模索しておるさなかですから、そのときに力による隣国の侵略、併合を認めてはいけないということが初めに立つべき大原則ではないでしょうか。その大原則に立って、それぞれの国がそれぞれの立場に立って政治的立場を明らかにし、これを許してはならないということから国連決議がなされた。そして、国際社会が総力を挙げていろいろなことをした。その一つには多国籍軍による武力の行使があった。クウェート解放ということもある。
 日本の場合はそういったことがこれだけの立場にありながらできないという、多国籍軍に参加できないというこの立場を世界の国々の人々に理解を求めるためには、日本としてできること、今許される日本の持っておる能力でできることは何であろうか。それは国際国家としての大きな責任であると考えましたから、初めに侵略ありき、初めに国際社会の大義ありき、それに日本が従うためにはどうしたらいいかという精いっぱいの努力をして、九十億ドル、これを平和回復活動の資金協力として出そう、こう決心をしてお願いをした。
 避難民の輸送という問題については、初めに民間航空機でいたしました。事実そういう実績も上げたんです。だから、初めに自衛隊ありきじゃありません。ただ、避難民がどの程度出てくるかということはあの時点では予測されませんでしたし、非軍事面の人道的なことは日本として許される限りやるべきであるということを判断しましたから、民間航空に頼み、その協力の得られないときにこれは軍用機、それも輸送機ならば、これは非軍事的な面で人道的なものなれば憲法の禁止する武力の行使に当たるものではない、こう判断しましたから、そのような対応を内閣の責任において対応したということでありますから、決して国会の審議を軽視するとか、初めにどうしてもそれを出そうとしたとかいうようなこととはちょっと視点が違いますので、御理解をいただきたいと思います。
#5
○國弘正雄君 総理、さっき遠山の構えという剣道の極意についておっしゃった。そのときに細事というお言葉をお使いになったのにちょっと私はひっかかるわけです。というのは、憲法とか国会というようなものは決して細事ではないわけですから、これが細事では本当に困るわけですから、細事というお言葉はちょっと、言葉じりをとらえるつもりはありませんけれども、気にかかったということだけは申し上げておきたい。
 私は、どうも憲法とかあるいは国会というようなものを理想あるいは目標というふうに考えないで、むしろ制約であるとか、あるいはもっとどぎつく言えば荷厄介であるとか、そういうふうに考える向きがどうもあるのではないかという気がするんですけれども、そう考えるのは私自身のげすの勘ぐりでしょうか。
#6
○国務大臣(海部俊樹君) 言葉じりをとらえてのやりとりは私も慎みたいと思いますが、誤解をいただくといけませんので正確に言い直しますが、冒頭に國弘委員が、鳥の目という大きな視点と虫の目という小さな視点と両方で自分は見ながら質問をすると、こうおっしゃいましたので、私は「行くに径に由らず」というのもそうであろうけれども、遠山の構えというのもそうで、遠山の構えというのはまさに鳥の大きな目で、虫の小さな目ではないということを言いたかったわけですから、憲法や国会をとらえて細事なんていうことは毛頭考えておらぬことでありますから、それはよく御理解をいただきたい、こう思うんです。
 それからもう一つは、日本の憲法はいろいろ平和主義とか国際協調主義とか、私は今日の国連憲章や今日の国際社会の大義をきちっと果たしていく上において拳々服膺していくべきいいことが書いてある。世界の平和というものは正義と秩序を基調とする国際平和でなければならない。正義と秩序のない、ただ単に武力行使のないだけの平和、無原則、無秩序な平和というものは、これは日本国憲法が希求しておる誠実なものではないんだ。それゆえに国連決議もあり、あのような武力の行使に二十八にも及ぶ国がそれぞれの国内の難しい状況を乗り越えて国際社会の大義を貫こうとしたんだ、私はこう思っておりまして、憲法の持っております平和主義、国際協調主義、基本的人権主義、こういったものに対して、それが厄介だとか荷物だとか考えたことはございません。
#7
○國弘正雄君 その問題はもう少し実は詰めたいんですけれども、時間もございません。先に進ませていただきます。
 大蔵大臣に伺いたいんですけれども、例の九十億ドルについて、一兆七百億円ですか日本金でお支払いになった。ところが、為替差損とでも言うんでしょうか、言葉は間違っているかもしれませんが、九十億ドルではない、それじゃ八十六億ドルぐらいにしかならないじゃないかとアメリカ側から注文がついている。つまり、ドル建てで支出せよというのがどうもアメリカの声らしいんですけれども、私なんぞはこの期に及んで一体何を言っているんだというふうに思うんですが、そういう細かいこと、つまり円建てでいくのかドル建てでいくのかということをあらかじめ決めていなかったんでしょうか、どうでしょうか。それともアメリカ側の一方的な無理難題と考えるべきでしょうか。
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 事実をもってお答えを申し上げたいと思います。
 今回の多国籍軍に対する資金協力につきまして、先般の第二次補正予算案で私どもは一兆一千七百億円の支出を国会から御了承をいただいたところであります。しかし、昨年の八月二日にクウェートに対するイラクの侵攻が開始をされまして以来、日本政府は過去に二回、十億ドルと俗に言われます拠出をいたしてまいりました。これはいずれも湾岸平和基金に対し円建てで支出をされております。そして、そのときそのときの為替の状況に応じまして、差益を生じたという言葉が適切であるかどうかわかりませんが、計算上仮定をいたしましたレート以上に円高に振れておりましたときには、それがドルに換算された金額はふえておったこともあろうかと存じます。今回も同様に、日本政府としては円建てでこれを拠出することに決定をいたしており、その旨は外交当局からもあらかじめ、湾岸平和基金を通じ関係国には十分熟知されておると思っております。過去もそうでありました。
#9
○國弘正雄君 もし向こう側からさらに四の五の言ってきたというような場合にはどうなさいますか。
#10
○国務大臣(橋本龍太郎君) 四、五か六、七かわかりませんけれども、あるいは外交当局に何かそういうお話はあるのかもしれませんが、少なくとも私は正式にそのようなお話を承ってはおりません。報道の中でいろいろ論ぜられておること、また個別にあの方がこう言われた、こう言われたということが外国からの通信によって報道されております事実は承知をいたしておりますけれども、財政当局に対しこれが云々といったお話を私は承っておりません。
#11
○國弘正雄君 最終的にどうなさるかということをちょっと承りたいんですけれども、しかしもう先を急ぎます。
 この二月の末だったと思いますけれども、アメリカ議会の下院の予算委員会、くしくもこの同じ予算委員会で、ただし向こうは下院でしたけれども、ライシャワーさんという人が、今度のアメリカ側の計算した戦費が非常に水増しされているということをいわば爆弾証言したんですね。このライシャワーという人は実は駐日大使の故ライシャワーさんの実の息子さんですから日本にも縁のある人ですけれども、この人は、どうも政府の推計戦費の中には大変な水増しがある、燃料費とかあるいは石油価格をめぐって云々というようなことを言っているわけです。随分はっきりと、あんなにはっきり言っちゃっていいんだろうかと思うぐらい言っているわけなんです。
 その中で一つ傑作なのは、アメリカ兵をアメリカに復員させる、その復員させるための費用に兵士一人当たり一万ドルが計上されるということなんです。例えば、サウジアラビアなりあるいはクウェートなりからアメリカに普通の民間の飛行機で帰るといたしますと、ファーストクラスですら二十五万円で帰れるわけです。エコノミーで帰れば十四万円ぐらいで済むわけなんです。ところが、水増しということでしょうか、一人当たり一万ドルというちょっと途方もない金額になっているわけですね。一事が万事と言っちゃなんですけれども、この問題を報じたアメリカの新聞は、安上がり戦争で戦利品多数、ペンタゴンは黒字かも、という大見出しを翻してこの問題を報じているわけです。
 九十億ドルとにかく出した、あるいは百三十億ドル出した我々の立場からいいますと、随分とアメリカさんというのは大まかな計算立てをするんだな、あえてずさんとは言いませんけれども、大まかなことをなさるんだなと思って、いささかもってちょっと言葉もないんですけれども、いかがですか。
#12
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はアメリカの財務長官ではございませんので、アメリカ政府の予算に責任を持つ立場にはございません。その上で私が申し上げますならば、仮に日本が、例えばドイツが行いましたように、まさにダイレクトに戦費というものの負担を行うという形式でアメリカに対しあるいはイギリスに対し個別国に対して資金供与をいたしておりましたならば、私は今御指摘になりましたような点は当然関心を持たざるを得ない事項であろうと思います。しかし、湾岸における平和回復と安定のための各国の行動に対して日本が資金的な協力をする、特定国に対して固定して資金協力をしたのではないということを御判断いただきたい。日本は湾岸平和基金に対してこれを拠出しているのであります。
#13
○國弘正雄君 この問題ももう少し御反論申し上げたいことがありますけれども、次の掃海艇の派遣の問題に移らせていただきます。
 どうも政府ないしは自民党内で掃海艇の問題をめぐって百家争鳴であるというような印象を私は受けております。明らかに行け行けどんどん派の方がいろいろな発言をしておいでになる。それに対して海部総理は、どうやら新聞報道なんかで見る限り慎重派だというふうにお見受けするんですが、私はその慎重派にくみするものでありますけれども、片方で行け行けどんどん派が非常に活発に発言をしているときに、なぜ総理は慎重な態度をお崩しにならないのか、その根拠のほどをひとつ承りたいというふうに思います。
#14
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、国際社会に対して日本が今何が協力できるのか、新しい協力のあり方について、資金だけではなく物だけではなく人の面でもでき得る限りの協力をしなければならぬということを、まさに去年の八月以来そのことがひとときたりとも頭を離れたことはありませんでした。
 それは、国会における政府提案の国連平和協力法案の審議があり、結果として審議未了、廃案となり、私はそのことを厳しく受けとめると同時に、自民党、公明党、民社党の三党合意のもとで新しい国際協力のあり方について成案を得るべくいろいろな、国連やあるいは平和協力をしておるPKOと俗に言われておるものの実態を調査したり、日本でできることはどのところまでなんだろうか、非軍事面でできることは何と何なんだろうか。それから、今おっしゃったように、憲法も大切に考えておりますから、憲法の言う武力の行使、これは何なんだろうかというようなこと等について、今いろいろな角度から成案を得るべく鋭意研究、検討をしておるさなかでございます。
 そして同時に、日本が当面起こっておる中東危機に対してどのような貢献をしたかということは、資金協力、今問題のありました合わせて百十億ドル、周辺国を入れると百四十億ドル、こういったことをした。ほかに環境破壊に対してはオイルフェンスを出したり、今環境調査団を出したりいろいろいたしております。そういったことの中のすべてを総合して何ができるかということとどこまでできるかということ、これについてはいろいろな現状を正確に知って慎重に検討しなければならない、こう判断しておりますから、そのことをここで素直にお答えをし続けておるわけであります。
#15
○國弘正雄君 きのう我が方の安恒理事が、この問題について総理の何といいますか最終的な御決断を何とか引き出そうと思って努力なすった。総理は最後まではっきりとはおっしゃらなかったという印象を私持っているんですけれども、それはそれとして、ここで私はかなり重大な問題提起をしたいと思うんです。
 どうも日本の政府及び自民党の側に自衛隊の派遣、これは掃海艇その他も含めていいわけですけれども、派遣がアメリカのブッシュ政権の対日要求である、つまりアメリカのブッシュ政権は日本に何としても何らかの形における自衛隊の派遣を求めているんだ、こういう思い込みが私はあったというふうに思うんです。
 私がささやかに調べた範囲では、当のアメリカの国防総省の言ってみればタスクフォースと呼ばれているメンバー、これは一人だけじゃございませんけれども、そういう非常に重要な役割をアメリカ国防総省でこの問題について果たしている複数のスタッフの語るところによりますと、我々、つまりアメリカ側は、自衛隊の力や立場やあるいはいわゆる括弧つきの制約を十二分に知っているので、アメリカとしては日本にいかなる形であれ自衛隊を出すという協力を求めるつもりは初めからなかったんだ、したがって東京から何か政府・自民党が何らかの形における自衛隊の派遣を考えているということを聞いて、実はワシントンでびっくりしたんだ、驚いたんだというようなこともあるわけなんですね。日の丸の旗をぜひ中東に立ててほしいとある人が言ったということが非常に過大に報道され、あたかもそれがアメリカ側の非常に強い対日要求であるかのごとくに受け取られ、何かすべてがそこから始まっていったという気がしてならないわけです。
 しかし、この掃海艇の派遣その他のいわゆる自衛隊への協力要請というのはアメリカ政府側の専門家の十分な吟味を受けたものではないということ、ワシントンの一部の政治家や外交官僚の思いつきが東京に伝えられて、東京のアメリカ大使館を中心にしてどうも勇み足的に肥大化したんだというのが私は間違いないところじゃなかったかというふうに思う。防衛庁のもとの関係者なんかからお話を伺っても、どうもそういうことであったような気がするわけなんですね。ですから私は、どうも在日アメリカ大使館サイドの勇み足というか、あるいは非常に肥大化した要求というものがあって、それが日本側を何というか戸惑わせたし、あるいは混乱させたという事実があったというふうに考える。
 このことは、実は後藤田元官房長官も実に明快にあるところでおっしゃっておいでになる。このままではあの人に――そのあの人がだれであるかということはあえて申しませんけれども、あの人に日本はばらばらにされてしまうとすら後藤田さんがのたもうているということをちょっと、これはもう公の刊行物で述べておられますから、ということをあえて申し上げたいというふうに思います。
 さてそこで、総理は今PKOについてお触れになりました。PKOについてはもちろん三党合意というのがあるということは私知っていますけれども、この三党のうちの一党は、あくまでも自衛隊とは別個の組織だという立場を貫くつもりであって、もし他の二党が自衛隊のPKOにこだわるんだったら我々はおりるということをはっきり明言しておいでになるということもつけ加えたい。
 ただ、PKOについては、先日総理はカールソン・スウェーデン首相にお会いになった。スウェーデンというのはもうPKOへ五万人を超す若者を既に参加させておりますからPKOの大先進国であるわけですが、そのカールソン総理にお会いになって何かPKOについてのノーハウを伝授された、これはマスコミの報道ですけれども、そんなことが書いてありますので、どんな話をカールソンさんとPKOに関してなすったか、お差し支えなければひとつお漏らしをいただきたいと思います。
#16
○国務大臣(海部俊樹君) PKOの問題につきましては、カールソン首相のみならず、国連のデクエヤル事務総長とも東京のときもニューヨークのときも時間をかけて話をしてまいりました。
 特に、御指摘でありますからカールソン首相には、現在スウェーデンという国がどういう形で参加をし、どのようなことをしておったのかということを調査団も派遣して調べてまいりましたので、そのことに対しては感謝を申し上げておきました。そうして、日本には日本としてできる範囲の協力があるわけだから、それの成案を求めて日本は日本型できちっと協力をしたいが、しかし国連の方にも一定の目標があっていろいろな形できょうまで行われた。ただ、私の方から両者に共通して要求したことは、願わくは、国連憲章のどこにもPKOのことは出てこないわけですから、国連のイニシアチブで、せっかく国連が平和機構として機能し始めたんですから、PKOの幅をきちっと示す、そしてそれぞれの国がそれぞれの国においてこれにふさわしいノーハウ、技術、人材があると思うところから拠出ができるようにしたらどうだろうかというようなこと等も申し上げました。
 それは日本のそういう御提案として十分今後検討もできるだろうというようなことでございまして、きょうまで主としてスウェーデンがやってきた業績、ハマーショルドという初代の国連総長がスウェーデンの人であったということや、同時に、そういったハマーショルドさんのころから始まって、今御指摘のように五万人、徴兵制のもとで軍隊と違うものを軍隊に密接してつくって、そこでノーハウを教えたり、いわゆるスウェーデン型のPKOというものについてもよく知識を聞かせてもらったと、ざっとこんなところでございます。
#17
○國弘正雄君 北欧にしろカナダにしろPKOに非常に熱心なところというのは、その国の全面的な外交の一環として、例えば軍縮であるとか環境保全であるとか、あるいは人権であるとか開発であるとか、あるいは人道的な援助であるとかというようなものの一環として、いわば込みでやってきたわけであって、PKOだけが突出した形であるわけではないわけですね。日本の場合には、従来は少なくともPKOについては、建前としてはともかく、大きな負担の割には受益が少ないというようなことで、PKOなんかに首を突っ込むのはいわば損な役回りにしかならないというような意味で若干消極的であったというふうに思われるんですが、今回は何かやたらに熱心になっておられる。
 私も実はこのPKOの関係者に、先年パルメさんのあっせんでストックホルムの平和研を訪れたときに会っています。そのときにこのPKOのいわば専門家というか、参加した人たちに会った。これはいわゆる平和維持軍の場合は言うまでもなく、停戦軍事監視団に参加したPKOの人ですらも大変なプロなんですね。これはもう要するに紛争解決とかあるいは紛争管理、つまりコンフリクト・レゾリューションというものの千軍万馬のプロなんです。見るからに太っ腹というか腹の据わった人なんですね。人格的な迫力を持っておる。しかも外国語も三つ四つできる。豊かな異文化経験というか異文化体験を持っている。それから、外交とかあるいは国際問題に関しても一方ならぬ見識というか造詣を持っているんですね。そういう人がPKOに今までに参加をしている。
 ところが、七百三十何人かの殉職者を出している。これは湾岸でアメリカ軍の死傷者が七十九人であったということを考えるとその十倍近いわけですけれども、それぐらい大変な仕事なわけですね。問題は、私は日本人として自分の周りを顧みて果たしてそういう条件を十分に満たしている多くの日本人がいるだろうかどうだろうか。これは非常に残念ですけれども、答えは否であるということを申し上げざるを得ない。
 また、この選挙監視のPKOにしても、これは田議員が直接行かれて見聞されたことでございますが、カンボジアでやがてPKOの選挙監視の仕事が出てくるだろうと思うんですけれども、カンボジアで選挙監視をやると一口で言っても、いわゆる東南アジア系のカンボジア人及びラオス人、これは南方仏教の人々ですが、それと東北アジア系のベトナム人、これは北方仏教の人ですが、この識別というのはこれはもう素人にはとてもじゃないけどできない。その識別がうまくできなければ、選挙監視などといってもこれは砂上の楼閣というようなことだろうと思うんです。
 ですから、PKOというのは費用対効果が非常に高いし、しかも費用というのは軍事と比べればはるかに安いわけですから歓迎すべき一つの方向であるとは思いますけれども、ただその条件を本当に具体的に満たしていくということは残念ながら我々にとってまだまだ大変だ。なまじっか準備不足のままにPKOというようなものを出して、そしてその結果が思わしくないということになるとPKOそれ自体の意味が問われますし、日本自体の国際国家としての成熟度も問われるわけでありますから、そこは私はかなり慎重な配慮をお願いしたいというふうに思っています。
 軍縮会議について総理はきのう二回お触れになりました。京都で五月に開かれるということですが、その具体的な内容と、どういう構成であるかお漏らしいただければ幸いです。
#18
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に、前段のPKOについてちょっとお話し申し上げますが、おっしゃるように十分な準備も必要であるし、果たして日本でどれだけのことが担当でき、どの程度のことにお役に立てるのか、私はこれはかなり前向きに考えていいのではないかと自分ではそう思っております。
 といいますのは、例えば日本青年海外協力隊というのがスタートしますときに、今の議員と全く同じ角度の御心配や懸念を多くの方から私ども聞いたわけです。アジア、アフリカの厳しい状況のところへ行って、果たしてそこの国の開発に役立つように、しかもいろんな危険も伴うけれどもいいのか、能力はあるのか、言葉は大丈夫か、いろんな角度からの御指摘がありましたが、今日毎年千四百人の青年男女が立派に仕事をなし遂げてそれぞれの国に協力をし、地域の安定と発展に参加しております。率直に申し上げて、悲しい犠牲者もその間二けた以上に上っておる。私は御葬儀のたびにできるだけぬかずいて霊を弔うようにもしてまいりました。しかし、そういったことを乗り越えてなおやっていこうという人材が非常にあったということも一つの事実でございます。
 今回の問題につきまして、例えば今具体的にカンボジアの選挙監視が、それも果たして大丈夫だろうかという懸念もお持ちのようでございましたが、ついこの間バングラデシュの選挙監視に超党派で、主として参議院議員の方で行っていただいて、見て帰ってこられて私のところへ報告に来ていただきました。お話を聞いておると、皆さんすばらしい努力をされて汗を流して成果を上げてこられた。この次あるときは、また我々はそういったことには積極的に参加してあげてよろしいと力強く報告してくださいました。中に三名の御党所属の議員のいらっしゃったこともあわせてつけ加えさせていただきたいと思います。
 私はそういう意味で、自民党を初め野党の皆さんもそろって、一体我々は国際社会で何が協力できるかということについて話し合って一歩一歩前進していくべきであると思って、初めから悲観的に考えたり初めから排除しないで、私は希望を持って考えてこの作業を進めておりますので、どうぞ御理解と御協力もいただきたいと思います。
 おっしゃるように、でき上がったことの後始末だけというよりも、これからの世界に対しては平和回復活動を国連が武力行使をしてまで行わなくてもいいような、そういう社会をつくるために、世界をつくるために日本の協力すべき役割として軍縮・軍備管理の問題を提唱しておるわけであり、きょう現在もミサイル関連技術輸出規制に関する国際会議を東京で行っております。それは核を運搬し輸送するような手段というものを野放図に出しちゃだめだ、凍結して抑えなきゃならない。イスラエルが自制をして慎重に構えてくれたから今度の湾岸の争いも質が変わったものに拡大していかなかったわけで、ミサイルを撃ち込まれたイスラエルにとってみたら大変だったろうと思うんです。
 あのスカッドミサイルを、ああいったものをどんどんまた方々へ拡散するのはよくないというようなこと等についてはもちろん考えますが、五月の終わりに京都で行おうとしておりますのは、これは国連と一緒になって、約百名程度の参加を得て軍備管理・軍縮問題について幅広く討議を行い、そしてこの会議を通じて通常兵器の国際移転の問題や大量破壊兵器の不拡散の問題などなど軍備管理・軍縮について国際的な英知を集めて討論し、日本の意向もそこで十分反映して、それが引き続いて究極には、核の、あるいは生物兵器、化学兵器の廃絶や通常兵器の移転の透明化あるいは公開性を高めるために役立っていくように国連等の議論につながれていくことを期待し、開催していきたいと思っております。
#19
○國弘正雄君 これは希望でございますけれども、一つは、取り上げるテーマとして軍拡の不経済あるいは軍縮の経済というようなものもぜひお入れいただきたい。つまり、軍備の問題と経済とのかかわりについてはもうさまざまな業績が今あるわけですし、例えば日本なんかでも創価大学の大西教授が非常にいい仕事をしておられるというようなこともあるわけですから、そこら辺の経済的な側面というものをぜひ含めてこの討議をしていただきたい。
 それからもう一つは、ややもするとそういう会議というのは、特に政府がかんできますと、甘口の御用評論家などと言っては大変失礼かもしれませんけれども、そういう人たちだけが出て、体制に対して多少なりと批判するような野党的な人というのは排除されるわけですね。あるいは主流派だけが出て非主流、傍流というのがなかなか入りにくい。第三世界の人なども入りにくい。アメリカあるいはヨーロッパなどを見ていますと、今日の傍流はあすの主流であるということはしょっちゅうあるわけですし、あるいは今日どこかの大学の先生をしている人があしたは国務長官になるなんというようなことだって大いにあるわけですから、日本的な物差しじゃなくて、できるだけ人材を幅広に選んでいただきたい。また、軍縮あるいは軍拡と環境の問題というのはもう最近の世界的に大きなテーマでございますから、環境問題の専門家などもぜひお入れいただきたいということを希望しておきます。
 そこで、それに関連するんですが、平和研究所などというものを将来海部さんがお考えになるようなお気持ちはありませんか。と申しますのは、三木元総理が亡くなる寸前まで非常に心にかけておられたのは、平和研究所を何とか日本につくりたいということでありました。そのためにストックホルムなんかにも本人も出かけられたわけですね。外国を見ますと、ちゃんとした平和研究所というのがたくさんあるわけですよ。ストックホルムだけではなくてオスロにもあるし、フィンランドのタンペレにもあるし、カナダにもあるし、あるいは豪州にもあるし、あるいはドイツのヘッセンにもあるし、それからインドはガンジー研究所という大変すぐれた平和研究所を持っておる。日本は明治学院大学と長崎総合科学大学にございますけれども、規模その他はやっぱり小さいわけですね。
 そういう意味での非軍事的な国際協力というようなことからいえば、私は平和研究所というようなものを発想されるということは本当に意味のあることだろうと思うし、平和のためには戦争研究というようなものも、あるいは軍事研究というようなものもそういう意味では行われなくてはならないわけで、外国の平和研究所の中には、例えばドイツのヘッセンなんかは戦争学研究所という名前で実は平和研究をやっているという例もあるわけですから、そんなようなことを考えているんですが、いかがでございましょうか。
#20
○国務大臣(海部俊樹君) 今度開きます軍縮会議に軍拡の不経済の角度からのテーマを加えたらどうだという御提言をいただきました。
 軍備管理、これが国際的に合意を得たのは、まさにおっしゃるように、アメリカにも今日の双子の赤字というような問題を背景にしてきて、これを乗り越えていくためにはどうしたらいいか、やはりある意味では軍備管理・軍縮が必要だという発想があるわけです。ソ連が今日あの厳しい経済状態に入ってしまって、そして共産主義よさようならと言わなければならないような国内の窮乏状態に入ってきたのも、やはり軍事力に非常にお金を使わなければならなかったということ。そこで、両巨頭の話し合いでもう冷戦対決はやめよう、核兵器の廃絶交渉をしようというところから入っていったのは、まさにそのおっしゃる軍拡の不経済。これを民生の方に振り向けることができたならばお互いにもっと繁栄する、同時に普遍的な価値を求めて自由と民主主義でいこうということにもなっていく背景であったと私は受けとめております。当然そのことは議論の対象になると思います。
 また、けさほどここへ来る前に政府で湾岸対策本部の会議をやりましたが、そのときに現地の視察団、環境の視察団が出ておりましたが、それらの報告等の中から、これは環境庁長官の提言で私ももっともだと思って聞きましたが、戦争とともにあの原油をこれも使うんだといって湾内へ垂れ流した行為とか、油井をどんどん焼却させて大気の汚染によって人間の健康に大きな影響を及ぼしておるこの事実を見て、我々は今その後始末や対策ばかり考えておるけれども、こういったことは二度とやってはいけないのだという環境破壊に対する禁止条約を軍縮と同時に盛り込むことはできないか。これは日本として当然主張してしかるべき問題であり、また人類のためにも必要なことだと思っておりますから、こういったことも十分に検討の対象になろうと受けとめておるところです。
 平和研究所につきましては、いろいろ日本にも平和研究所があると思いますが、私もきょうの御質問を念頭にとどめさせていただいて研究をいたします。
#21
○國弘正雄君 外務大臣に伺えたらと思うんですが、国連に関してであります。
 はっきり言って、アメリカは八〇年代の初めまでは国連を完全に無視してきたと思います。ところが、今では国連の決議をあたかも黄門様の、例のこの紋どころが目に入らぬか式の印籠よろしく、にわかに国連外交に走った。それで、国連の統制は受けないけれども戦争はできるというお墨つきを入手したということだろうと思うんです。アメリカの国連回帰というのは大変に結構なことで、私はかつてレーガン政権の時代のように国連敵視政策をアメリカが平気でとってきたというときには大変心穏やかでないものを覚えたのですけれども、しかし今ややっと回帰しようとしている。これは大いに結構なんですが、一過性に終わるおそれはないだろうかというのが私のはっきり言って懸念なんです。外務大臣、御見解はいかがですか。
#22
○国務大臣(中山太郎君) 国連がこれからどのようなことをしようとし、またどのような方向に動いていくのかということは、私も重大な関心を持ってこの動きを見ております。
 と申しますのは、今委員も御指摘のように、今回国連が中心になって中近東の平和回復の行動が行われた。しかし、委員御指摘のように、十年前の国連というのは果たしてどうだったのかということを考えれば、私は国連は力がそれほどなかったということを明快に申し上げておかなければならないと思います。しかし、米ソが協力をするという新しい時代、安全保障理事会がいわゆる拒否権の発動を五大国がやらないという事態が新しく生まれてきたこの姿を見て、国連は四十五年前に創設されたときの理想的な姿に近づいてきたのではないか。そういう理想像の中で、我々の国の安全保障もまた国連憲章を中心に構成されているということを我々はよく認識しておかなければならない。
 しかし、私は率直に申し上げると、日本は平和国として国連に加盟をしてからもう数十年がたつわけであります。国連拠出金も加盟国では第二位になっておる。私は、日本政府の外交を預かる者として旧敵国条項というものの廃止、これは今年の日本外交の大きな基本的な柱でなければならない、我々は堂々と国連に対して旧敵国条項の廃止を強く求めていくということをやってまいらなければならない、このように考えておりまして、そういうところから国連というものが新しい時代へ向かってどのように動いていくのかということに日本は一つの方向性を示したい、このように考えております。
#23
○國弘正雄君 敵国条項の問題について、今の外務大臣のお考えはよくわかります。ただ私は、アメリカの立場と、つまり日本がアメリカ追随と言われるような立場をよくとるということと、それから国連中心主義というものとは時としてぶつかり合う可能性がある、矛盾を生ずるおそれがある。一体そういう二者択一的な立場に置かれたときに日本はどうするんですか。どちらを選ぶのですか。外務大臣のお考えを伺いたい。
#24
○国務大臣(中山太郎君) アメリカと国連との方向が違ったときに日本はどの立場をとるのか、これは極めて非常に重大な問題にお触れになったと思います。
 我々は外交を預かる上で、国連のあり方というものは一つの人類の理想として、前の戦争で人類が体験したあの戦争を二度と起こさないという目的のもとに、集団安全保障という考え方を中心にこの国際連合というものが構成されている、つくられてきた。憲章はその理想をうたっています。しかし、現実のこの国際環境の中で自国の安全保障というものをどうするかということを考えた場合に、我々は、日本の安全保障をいかにするかということを絶えず外交は基本的に考えておらなければやっていけない。そういう意味で、私はアメリカと日本の間の安全保障条約、この日米関係というものが日本の外交の基軸の大きな柱であるということもまた否定のできない事実であります。
 しかし、私は、その安全保障条約の中に国連憲章の条項が一条にも七条にも見られるということを考えてみると、我々の国家の安全保障というものは国連憲章及び日米安全保障条約の中でこの専守防衛の自衛力をもって日本という国家を守っていくという一つの考え方というものは現在大きく変化をしている状況ではない、それほど日本を取り巻く国際環境は完全な平和の状況ではないということを私は確認をして申し上げておきたいと思います。
#25
○國弘正雄君 国連を考える際に一番問題になることの一つは、私は国連が非常に財政的に窮乏しているということだと思うんです。現実問題として、余りお金がないものですから公式記録の刊行物が特に下部の組織に関しては非常におくれておりまして、八五年以降、国連についての数値というのは概算値でしかないというような悲惨な状態なんです。
 国連の二年間の予算というのはたったの二十億ドル程度であります。そのうちの一二%を占めるのが日本で、額にして二億二、三千万ドルぐらいになるんでしょうか。そういうことを考えると、この間の九十億ドルという数字がいかに途方もなく大きな数字であったかということを今さらのように思い知らされるわけです。あの国連という組織が二年間で二十億ドル程度の予算で運用されている。
 しかも、私が大変残念なのは、アメリカが分担金を長い間にわたって滞納してきたという事実であります。今の分担金の滞納部分の約八割はアメリカによる滞納なんです。ですから、アメリカの国連主義というか国連中心主義というものは、残念ながら財政的なサポートによって裏づけられていないというふうに言わざるを得ない。私は、そのあたりは今度総理がブッシュさんにお会いになったとき、この間の湾岸戦争のときにいわばにしきの御旗として国連を使つたアメリカですから、アメリカにとってはたかが知れた分担金です。それぐらいのものはきちっと早く払ってほしいということをぜひお伝えをいただきたい。
 同時に、国連決議の二四二あるいは三三八というようなものについても、何といってもやはり中東において恒久平和というものを打ち立てるためにはあの国連決議というものが一つの大きな目安になるわけでありますから、そのあたりも友人としてのアドバイスをブッシュさんにしてあげてほしいと思います。
 もう時間がありませんから最後になりましたが、国連の関連でユネスコについて触れさせていただきたい。
 ユネスコは、日本が戦いに敗れてひとりぼっちだったときに最初にその門戸を我々に開放してくれた国際機関であり、近く加盟四十年を迎えようとしています。アメリカもイギリスも入っておりませんから、日本は一六・何%というような分担金を負担している最も大きな存在であるわけで、つい先ごろ四十億円でありますかが入金されたということを、先日来日いたしましたマイヨール事務局長が、私、飯を一緒に食ったのですが、大変に感謝をしておりましたということをぜひお伝えしたい。
 日本は、例えばIMFとかあるいは世銀とか、あるいは戦争というようなことではリーダー役を残念ながら果たすわけにはいかない。これはもう恐らく大蔵大臣も御賛成だろうと思うのですが、しかしユネスコの文化、教育、芸術、コミュニケーション、科学といったような分野においては、非軍事的な貢献を日本は非常に大きくすることができる。そういう意味において、加盟四十周年ということもありますので、ユネスコに対するお考えをぜひ伺いたい。そして、できるだけこれからもユネスコの活動に、条件をつけ注文をつけつつも支持を仰ぎたいというふうに思います。いかがでしょうか、総理大臣。
#26
○国務大臣(海部俊樹君) ユネスコの問題につきましては、私も三回ほど会議に参加をして発言もしてきたこともありますし、アメリカ、イギリスが相次いで脱退をしましたときに、私は、日本は脱退をしないで、これは大切な分野だからとどまっていきたいということで今日までずっとユネスコ活動を続け、最近幹部職員も一人ユネスコ経験者を日本からも送り込もうと努めておるところでありまして、今後ともあの方面の活動は積極的に協力し参加していくべき問題である、従来から変わらない態度で臨んでいきたいと思います。
#27
○國弘正雄君 時間でございますからこれで失礼をしますが、日米関係及びウルグアイ・ラウンド、特にお米の自由化の問題についてぜひ承りたかったのですけれども、私の時間のとり方がまずくてできませんでした。同僚議員にこれをゆだねたいと思います。
 ありがとうございました。
#28
○委員長(平井卓志君) 以上で國弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#29
○委員長(平井卓志君) 次に、及川順郎君の質疑を行います。及川君。
#30
○及川順郎君 ゴルバチョフ訪日まであと残す日にちも少なくなってまいりました。そういう観点から、まず日ソ関係について総理に何点か伺いたいと思います。
 大統領の訪日をどのように位置づけ、そして日本政府としてどのような受け入れ準備をなさっておられるのか、その点についてまずお伺いしたいと思っております。
#31
○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。
 まず、事務的な準備状況から御報告申し上げたいと思いますが、具体的な準備作業が始まりましたのは、シェワルナゼ外務大臣が九月にお見えになったときからでございます。このときに中山外務大臣との間で、いかにゴルバチョフ大統領訪日の準備を進めるかということを話し合ったわけでございますが、拡大均衡五原則という原則に従って信頼関係の醸成、さらに実務関係について一つ一つ積み上げていくということで、具体的な十分野について一つ一つ実務関係の積み上げを重ねていこう、その中で合意に達すればそれをゴルバチョフ大統領御来日のときに協定あるいは条約等の形で署名をしようということで、現在も引き続きこの準備を進めているわけでございます。
 それと並行いたしまして、平和条約作業グループというものがあるわけでございますけれども、この会合も七回を重ねまして、そこで北方領土問題につきましての法律的な側面の議論を、今各論段階に入っているわけでございますけれども、さらに煮詰めていく。それからさらに、昨年の暮れからは平和条約締結ということを念頭に置きまして、平和条約の概念、あるいはつくるとしたときのいろいろな問題の洗い出し等の作業を進めております。
 また、日程の具体的な作成ということにも今鋭意努力中でございまして、現在ソ連から大統領府、外務省の儀典長を団長といたしました先遣隊が参っております。いろいろな日程の詰めを急いでいるところでございます。
#32
○及川順郎君 初めに事務的なことを伺いたいと思いますが、大統領訪日というのは歴史的な一つの大きい重みを持つわけでございますが、歓迎準備委員会等のそういう考え方、また具体化については作業を進めておられますか。
#33
○政府委員(兵藤長雄君) 政府の中に特別にゴルバチョフ歓迎準備委員会というものは設けておりませんけれども、海部総理、中山外務大臣の御指示のもとに、必要に応じ関係各省庁と御連絡をとりながら今政府部内での準備を進めておりますし、また国会の方のいろいろな関係の方々あるいは財界その他の諸団体、いろいろな御希望をちょうだいしておるわけでございますけれども、こういう方々とも密接に連絡をとりながら準備に当たらせていただいておるところでございます。
#34
○及川順郎君 総理、ゴルバチョフ大統領を迎えて、この歴史的な事実を日本政府として日ソの関係にどのような位置づけで今後生かそうとしておられるのか、その基本的な考え方を伺いたいと思います。
#35
○国務大臣(海部俊樹君) 今回のゴルバチョフ大統領の訪日は、ソ連の大統領として最初のことでございますし、同時にまた、今日本とソ連の間には四つの島の領土問題と平和条約という解決しなければならない大きな問題がございます。ゴルバチョフ大統領の来日を機会に、両国の関係が双方の努力によって質的に新しい関係に転換していくように努力をしていきたい。
 特に最近は、御承知のようにソ連の方から経済調査団とか行政関係の調査団とか、この一年間だけでも四回も日本のあらゆるところに調査に来られて知的交流や技術分野の交流は行われており、文化の交流や人的な交流も積み重ねができてきております。また、宇宙衛星に乗って一緒に共同で作業ができたり、また札幌や新潟ではソ連の少年のやけどを日本側が治療をするとか、いろいろな交流の幅がどんどん広くなってきておる。この拡大した両国関係の前進の中でやはり長い間の国民の懸案であった領土問題が解決されるという、日ソ間におけるきょうまでの問題に風穴をあけて、真に安定した友好関係をつくり上げていくきっかけ、突破口にしたい、私はこう思って期待をしておるところであり、準備に毎日努めておるところであります。
#36
○及川順郎君 総理、風穴をあけると。そのためには、やはりソ連の国情の認識というのが非常に大事な要素になりますけれども、ペレストロイカの進行状況、それからソ連の今の国内の政治情勢、どのように認識されておられますか。
#37
○国務大臣(海部俊樹君) ペレストロイカという言葉が今日世界的に定着するように、ゴルバチョフ大統領というのは今までのソ連の政治の中に大きな質の転換をもたらそうとして今努力をしておるさなかの人だということです。私どもはペレストロイカの正しい方向性を支持してこれが成功することを期待しながら、できる限りの支援、協力も今申し上げたようにきょうまでも続けてきております。
 また、ソ連の国内の状況はどうかとおっしゃいますと、これは率直に申し上げて憂慮すべき問題もございます。一つは国内の経済状態というのが、報道で見る限りにおいてもいろいろ物不足、食糧不足の厳しさというものもございます。しかし、一方の報道によれば、ソ連は豊作であって物はあるんだけれども、流通、要するに市場経済のメカニズムや機構というものについてまだ不十分なところがあるのではないかということもございます。また、近くはバルト三国とかいろいろ国内の問題で非平和的な方法で解決が図られようとしたこと、これに対しては憂慮するとともに、そのようなことが平和的に解決されることを我々は強く求めてきたわけであります。
 しかし、そういった一連のことを背景にしながら、最近も連邦制存続かどうかという国民投票も行われた。その結果は、粗っぽく言いますけれども、過半数の支持は連邦制をこのままやっていこうという方に民意が決まったという結果も出ております。私は、そういう中でいろいろ苦難はあろうけれども、険しい問題はあろうけれども、ペレストロイカの正しい方向性を貫いて、これを成功させるためにゴルバチョフ大統領はさらに前進を続けていかれると思うし、日本としてもそういったものは、普遍的な価値を求めて米ソの対立、冷戦状態の発想を乗り越えようとした指導者でありますから、その方向性が定着するように今後とも期待をしながら、できるだけの協力をしながら、それをするためにも突破口をあけて、日ソ関係というものがそういった幅広い交流に真に入っていくことができるような状態をつくり出していきたいと考えておるところであります。
#38
○及川順郎君 バルト問題で武力行使が行われた、これはいけないことです。これはしっかりと日本としてもその考え方を持って今日まで取り組んできておりますけれども、ただ、国内における軍部、保守化の動きというのは日本にもさまざまな形で影響をもたらすのではないか、それが一点。
 もう一つは、今の連邦制を支持するというそういう状況が、今おっしゃるように七〇%を超えるという状況になっている。もしこれが持続される状況になりますと、新連邦条約によりますと領土の変更は当該共和国の同意が必要とされる、こういう状況から考えまして、ロシア共和国との関連の中でこれも交渉相手になってくる。この二つの問題について総理はどのようにお考えになっておられますか。
#39
○国務大臣(海部俊樹君) この前来日されたシェワルナゼ前外相とお話をしましたときに、そういった連邦のそれぞれの問題についていろいろな国民投票によって決めることになるであろうというようなやりとりもいたしましたけれども、そのとき私の方から、国と国との交渉というのは首脳と首脳が国を背景に集まってすべきものだと日本では考えておるんです。したがって、それらの国と国との問題を根本的に解決するときには首脳の勇気ある決断が必要なのだと思います。したがって、共和国との関係や共和国との問題は国内の問題としてそちらでお考えをいただく。日本も、それじゃ北海道で道民投票をやって、その結果が一〇〇%返還と出たらすぐ返してくれますかというようなそういう論理の話は持ち出そうと思いませんと。日本としてこれは返してもらうべきものであり、歴史的にもそして法律的にもそういう主張があるんだということを伝えたわけでございます。
 今度べススメルトヌイフさんに外相がかわりましたので、そのことについては外務省からきちっと正確に考え方や議論を伝えてあると思いますし、もし御必要でしたら、共和国との関係については詳細は局長の方から御答弁いたさせます。
#40
○及川順郎君 今の件につきまして、民族自立の動き、そしてロシア共和国との善隣交流といいますか、この点についての考え方をまずお聞きいたしたいと思います。
#41
○政府委員(兵藤長雄君) ただいま総理の御答弁にもございましたように、私どもは、北方領土返還交渉というものはあくまでもソ連邦政府、ソ連邦外務省を相手に行うという認識で一貫して今日まで対処をいたしております。
 しかしながら、先生御指摘のように、現在各共和国の最高会議に審議のために付託されております新連邦条約案の中にも、国境の変更については当該共和国の賛同を得る必要があるという条項が入っております。私どもは、ロシア共和国、あるいはもう少し狭く申しますとサハリン州、これが一番の関係の地域でございますけれども、北方領土問題におけるいろいろな発言権あるいは影響というものは十分認識しているわけでございます。
 交渉につきましては、ロシア共和国外務省の代表がオブザーバーということで、この間の中山外務大臣訪ソの際の両外相会談にも、あるいは日ソ平和条約作業グループにも入っておるということは御承知のとおりでございます。
 私どもは、そういう意味でロシア共和国あるいはサハリン州との意思疎通を十分に図っていく必要があるということで、昨年の十月ごろからロシア共和国、特に関係地域の極東近接の共和国あるいは州、あるいは特にサハリン州を中心にいろいろな形での交流を活発化させているという試みは、ささやかながらもう既に始めてきているところでございます。
#42
○及川順郎君 エリツィン氏が議長になる前に訪日しましたときに私もお会いしましたけれども、五段階の領土問題解決策を打ち出しておられるわけです。ところが、その後に北方領土視察をして現地へ参りましたときには、やはり島は返すべきではない、こういうぐあいに発言が変わっておりますけれども、この点に対する分析はどのように受けとめておられますか。
#43
○政府委員(兵藤長雄君) エリツィン議長も北方領土問題についていろいろな段階でいろいろな御発言をしておられます。先生御指摘の段階的な返還論というものは、エリツィン議長がまだロシア共和国の責任ある地位におつきになる前の御発言だったと記憶いたしますけれども、いずれにいたしましても、いろいろな考え方がソ連の方々から出ておりますが、今総理からも御発言がございましたように、一つの正念場を迎えまさにぎりぎりの交渉を行っているところでございますので、いろいろなソ連側から出てまいります案についてここで一つ一つ私どもの認識あるいは考え方を述べるということは差し控えさせていただきたいと存じます。
#44
○及川順郎君 まあ言えないんだろうと思いますんですが、ウラジオストクの科学情報センターで調査したところによりますと、やっぱり住民の世論というのは四島返還に賛成の回答は一けたにも満たない、こういう状況が知らせられておりまして、こういう動きというものは少なくともソ連国内においてさまざまな影響が出てくる、この点をしっかり見きわめておかなければならないと思うわけでございます。
 そこで、総理、北方領土問題に関しまして一九五六年の日ソ共同宣言、この再確認論が非常に取りざたされておるわけでございますが、この共同宣言をどのようにとらえておられますでしょうか。
#45
○政府委員(兵藤長雄君) 日ソ共同宣言は、先生よく御承知のとおり、名前は共同宣言という形をとっておりますけれども、日ソ間の戦後に一つの区切りをつけて国交回復したという、まさに日ソ関係の基本的な条約というふうに私どもは従来から一貫して認識しておるわけでございます。したがいまして、私ども日本政府の立場からすれば、この批准された条約の効力がいかなる形であれ疑問視されるということは元来国際法上あり得ないという立場で一貫してきたわけでございます。
 しかし、先生御承知のとおり、一九六〇年のグロムイコ書簡というものがございまして、ソ連側は、日本領土の中に外国軍隊がいる限りこの日ソ共同宣言第九項を実施するわけにはいかないという申し入れをしてきたわけでございます。つまり、日ソ平和条約というものは日米安全保障条約、日米安全保障体制と両立しないという考え方を申し入れてきたわけでございます。私どもはそれに対しましても即刻、そういう形の見解というものは到底受け入れるところにあらずということを主張し続けてきたわけでございます。
 しかしながら、その後国際情勢のいろいろな変化の中におきまして、ソ連側の日米安全保障条約、日米安全保障体制にかかわります見解がかなり明確に変化をしてまいりました。最近に至りましては、これは中山外務大臣がシェワルナゼ外務大臣と正式の会談をいたしましたその正式の席上でもシェワルナゼ外務大臣から御発言があったわけでございますけれども、現在のソ連側の見解は、日米安全保障条約は日ソ平和条約と矛盾するものとは考えない、つまり両立可能であるというふうに考えるというふうにソ連政府の立場も明確に変わってきております。だといたしますと、この日ソ共同宣言というものは、既に事実上ソ連側も出発点の認識に立ち戻ってきているというふうに私どもは認識をいたしておるわけでございます。
#46
○及川順郎君 最近それに関連しまして二島返還論が大変マスコミ筋でも流れるような状況になっております。どうも向こうの戦略じゃないかという話をしておりましたら、いや、どうも日本政府の中ではかなりその方向に固まったみたいだ、こういう話もある。この点についての明快な見解をお述べいただきたいと思います。
#47
○国務大臣(中山太郎君) この二島返還論というものが新聞紙上で流れておりますけれども、既に一九五六年の日ソ共同宣言が行われた時点で、歯舞、色丹は返すということが宣言されているわけであります。既に問題は二島については解決済みというのが政府の基本認識でありまして、我々は国会決議も尊重しながら四島の一括返還ということを今日まで強く主張いたしてきたことも明確に申し上げておきたいと思います。
 なぜそういうことになってきたのか。一九五六年の日ソ共同宣言が行われた後、一九六〇年になりまして日米安全保障条約の改定が行われました。その時点でソ連政府が一方的に、この一九五六年の返還問題についてはこれを取り消すということが行われたわけでありまして、そのような一方的な外交交渉というものは日本政府は認めないというのが基本的な考え方でございます。
#48
○及川順郎君 外務大臣、それでは四島返還の日本政府としての筋道といいますか、今までの歴史的な経緯も踏まえながら筋道を明確に公表する段階に、考え方を明示する段階に私は来ているんじゃないかと思いますが、それはどうでしょうか。
#49
○国務大臣(中山太郎君) この四島になぜ日本が主張を続けているのかという歴史的な背景につきましては、既に御案内のように、一八五五年、安政二年の下田における日露通好条約におきまして、歯舞、色丹、国後、択捉というものは日本領である、そして得撫島から以東以北がロシア帝国の領土であるということの話し合いが円満のうちに妥結したわけでありまして、その当時の状況から考えて、この四島に関しては日本は戦争によって領土を拡大したものではございません。そういうことから我々は、四島が歴史的に見ても日本の古来の領土であるということを強くソ連政府に言い続けているわけであります。
#50
○及川順郎君 いや、外務大臣、そうじゃなくて、四島返還の主権の帰属、これはもう明確にするという状況はそうなんですけれども、返還後の具体的な対応等も含めまして日本政府としての筋道を明確に、プログラムを明らかにすべきではないか、こう思うんです。どうでしょうか。
#51
○国務大臣(中山太郎君) 返還後どのようなプログラムでいわゆる日本の領土として扱っていくかというお尋ねでございますけれども、この問題につきましては、日ソ政府間で持っております平和条約作業グループというものがこの領土問題で歴史的あるいはまた外交的にいろいろと話し合いをいたしておりまして、今回のゴルバチョフ大統領の訪日が領土問題の解決の突破口になる、またそういうふうにソ連が英断を下す、ソ連も努力をしてもらうけれども、日本政府もそのようなことで努力をしていくということで、私どもは、ゴルバチョフ大統領の訪日の機に領土問題が大きな転換を遂げるという一つの大きな機会がつくられる、その時点で平和条約作業グループはそれから先の領土問題の扱いにつきまして日ソ間でいろいろと事務的に協議をすることが展開されてくるだろうと考えております。
#52
○及川順郎君 これ以上聞きましても、それから先のことはやはり外交特権で話ができない部分というのが多くなるわけですね。
 それでは、国内的に見まして、北方領土旧住民の土地所有権、権利保全等を初めとした行政対応、これなどは検討できると思いますが、この点についての作業はどうなっておられますか。
#53
○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。
 仮にソ連邦政府が北方四島の主権、つまり主権を日本に返還するということになりました場合のその後の対応についてのお尋ねでございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、それはまさに今行っております返還交渉の中身そのものに立ち入る問題でございます。したがいまして、いろいろ仰せの問題も当然に起こるということは十分に私ども認識の中にあるわけでございますけれども、こういう問題についてはどうするということを今この場で申し上げることは御容赦いただきたいと考えるわけでございます。
#54
○及川順郎君 国内的にできる問題についてはきちっとやはり進めてよろしいのではないか、このことだけは主張しておきたいと思います。
 もう一点は、先ほど総理のお話の中にも出ておりましたが、食糧、医療品の緊急援助の問題ですけれども、具体的なプログラムはどのようになっておられますか。
#55
○政府委員(兵藤長雄君) 緊急援助のうちの無償部分でございますが、食糧と医療品と両方あるわけでございますが、医療品につきましてはもう既にお金の支払いも終わっておりまして、赤十字社等を通じまして現在サハリン州を一番の大きな重点地域として、実際にかなりもう医療品の中身の選定も終わっておりますので、モスクワの中央の関係者とその輸送方法等について具体的な打ち合わせに入っているという段階でございます。
#56
○及川順郎君 大蔵大臣に伺います。
 環日本海経済圏構想を軸にした金融支援等を含めまして、この構想についての大臣の所見を承りたいと思います。
#57
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはこの構想ばかりではなく、お答えをいたしますとするならば、昨年七月に行われましたヒューストン・サミットにおけるサミット首脳間の合意に基づきましたIMF初め国際四機関のソ連に対する経済調査の指示、またその報告というものを踏まえてお答えをすべきであると思います。
 この報告は昨年十二月に提出をされましたが、一般的な対ソ金融支援というものにつきましては、経済改革の包括的なプログラムが存在し、また連邦と共和国の責任関係が明確化されるなど、前提条件が満たされない限りにおいては有効ではないという結論をまとめております。
 こうした一般的な問題に加えて、その後における、先ほど来委員も御指摘をされておられましたようなソ連の国内情勢、さらには北方領土の問題を含めまして日ソ間の関係全般を考えますとき、我が国の対ソ金融支援というものにつきましては極めて慎重に対応する必要があると考えております。本年の一月行われましたG7の際にも、実はこの国際四機関の報告を受けて今後の対ソ経済支援についての論議が行われる予定になっておったわけでありますが、バルト三国における武力行使等のことがあり、論議からこれが先送りされておるという事実があったこともこの機会に御紹介を申し上げておきます。
#58
○及川順郎君 二月初めに行われました日ソ経済合同委員会の討議の結果でも、日ソ経済協力の懸案の先送りが目立ったという状況があったわけでございます。やはり政経不可分という状況がございますが、日ソ経済交流につきましては積極的に考え、できるものからこれを推進していくという姿勢に立って事に処すべきではないかと思いますが、この点についての御見解はいかがでしょうか。
#59
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、全般的な日ソ間の協力関係を深めていくことに異論を申すつもりはございません。現に大蔵省自身におきましても、つい先日までソ連の使節団がお見えになり、日本の大蔵省の行政一般について議論をし、資料の提供等も行っております。
 ただ、金融支援というものについましては、サミットにおける首脳間の合意により国際四機関に指示をされましたソ連の経済調査報告というもの自身、相当な権威を持って我々は考えるべきものであると思いますが、連邦と共和国の責任問題を初めとして幾つかの前提条件を挙げ、そうしたものがきちんと行われない中でいわゆる金融支援というものを行いましても効果が乏しい、有効でないとなされております。財政当局の立場からいたしますならば、こうしたやはり世界経済の中においてソ連経済をどう位置づけるかという視点から、首脳間において合意をされ調査を指示されました国際機関における調査というものはそれなりの重みを持って受けとめるべきものと、そのように考えております。
#60
○及川順郎君 今伺いましたように、経済問題等を含めましてまだ非常に難しい懸案があるということをうかがわせられるわけでございますけれども、総理、この日ソの関連におきまして、領土問題、経済交流、文化交流あわせましてやはり歴史的な出来事であることは事実でございまして、これはぜひ成功させていただきたい。これは私たちも強くそういう願望を持っているわけでございますが、この点についての決意のほどを伺いまして、この問題の締めくくりにしたいと思います。
#61
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、ゴルバチョフ大統領の日本訪問というのは日本とソ連との関係において歴史的な節目になる。私はこの歴史的な節目を有効に、しかも両国が質的に協力関係を一層幅を広げ前進させていくことができるような突破口をつくりたいと常々考えてまいりましたが、これには私ももちろん努力をいたします。ゴルバチョフ大統領にも英断を願って、懸案を片づけ、平和条約をきちっと締結し、領土問題にも解決のきちっとした一段階を置いて両国のあすに展望を開きたい、こう考えております。御理解と御協力もお願い申し上げます。
#62
○及川順郎君 中東湾岸戦の戦後処理問題に移りたいと思います。
 中東湾岸戦の問題についてはもう昨日から、衆議院の方からもかなりこの問題一色に塗りつぶされるようなそういう議論が続いてきておるわけでございますけれども、日本政府としまして戦後処理に具体的に行動を起こす時期に来ているのではないか。この行動のプログラムについて総理はどのように考え、どのような指示をなさっておられるか、これを承りたいと思います。
#63
○国務大臣(海部俊樹君) 中東問題、日本がどのような立場で臨んでいくのか。今おっしゃいました、戦後の復興という言葉を使われましたけれども、復興の問題に日本のできる協力というものは、あの地域のイニシアチブを尊重しながらなすべきことをするということでございます。ただそこで、どのようなイニシアチブがあの周辺諸国で起こるのかということ、どういう要請があるのかということを踏まえて日本はそれに対応すべきである、こう考えます。
 環境問題は、既にこれは手をつけるべきだというので、調査団を出したのが帰ってまいりましたし、きょうまでもオイルフェンスの提供とか淡水化装置の補修の技術の伝達とか、その他、油井の炎上というようなことなどもあって人体に与える被害などについても深刻に影響を憂慮されておりますから、そういったことに対してどのような対応をすべきか。環境面での協力、これは国際機関への拠出金や国際アピールやその他の問題を踏まえてのことになってまいります。
 そして、少し長い目盛りになりますと、中東地域の安全保障のために日本は何ができるのだろうか。あるいは軍備管理・軍縮を通じてお役に立つことがあるはずだ。特にこの間のいろいろな経験を踏まえてきょうもミサイル関連技術の輸出に関する国際会議を東京で開いて、あのような危険な状況に追い込まない大前提としては、そういったものの移転を安易に認めたことはよくないことだ、将来に対する対応も議論しなきゃなりませんし、五月には軍備管理・軍縮を含めた世界の会議を京都において国連との協調のもとに開いて、将来に向かっての日本としての考え方も積極的に示していきたいと思っております。
 最後は、中東恒久和平のためにはかねて言い続けてきた国連決議二百四十二号の精神等を踏まえて、日本としても国際会議の場その他を通じて積極的に恒久和平のための努力もしていかなければならない、こう考えます。
#64
○及川順郎君 それでは、今お触れになりました中から、湾岸戦後の中東地域における安全保障につきまして具体的骨格を示していただきたいと思います。
#65
○国務大臣(中山太郎君) 中東におきます湾岸戦後の安全保障につきましては、私はやはりこの域内各国のイニシアチブというものが中心になっていくだろうと考えております。既に三月六日の日にシリアのダマスカスにおきまして湾岸六カ国とシリアとエジプトの外務大臣が会合をいたしまして、このアラブの、いわゆる中東地域の安全保障についてこれらの国々を中心としてこれから安全保障問題に取り組んでいくということの協議が行われております。
 一方におきましては、やはりパレスチナ問題をどう解決するかということが不可分の問題でございまして、今回の湾岸戦争においてイラクがスカッドミサイルを四十発近くイスラエルに撃ち込んだわけでありますけれども、イスラエルは戦火が拡大することを考えてよく耐えたわけであります。このような中で、従来のイスラエルとアラブとの関係というものは全く新しい展開を見せてまいった。こういう中で、日本政府はかねて、パレスチナ問題の解決にはパレスチナ人による自決権を認めて国家を設立させることを認めるべきだ、もう一つは、イスラエルの国家としての存続を認めるべきだ、またパレスチナにおけるイスラエルの占領地域、ジョルダン川西岸地域とガザ地域からイスラエル軍が撤退をするべきだ、このようなことを申し続けてきておりますが、日本政府としては、今回のイスラエルの極めて思慮深い行動に対して今後とも積極的に政治対話を広げていくということ及びパレスチナ難民に対する人道的な食糧の援助を近く思い切って行う、このような考え方を固めております。
#66
○及川順郎君 やはり立ち上がりが早いか遅いかが常に問われるわけでございます。ぜひその点はおくれをとらないようにお願いしたいと思います。
 国連への対応、国連の平和維持活動に対する協力というのが一つの大きい柱になってきておるわけでございますが、その中で既にナミビアの選挙監視、それからニカラグアの選挙監視要員派遣で先例があるという状況があるんですが、クウェートに選挙監視団を送る考えがあるのかどうか、この点を承りたいと思います。
#67
○政府委員(丹波實君) 御答弁申し上げます。
 湾岸におきますところの今後のあり得べき国連によりますところの平和維持活動の態様につきましては、国連事務当局としてはいろんな検討を行っておるようでございますけれども、現在のところ最終的な停戦という決議も成立しておりませんし、今後どのような平和維持活動を行うことになるのかという点については決定しておりません。
 したがいまして、現在どのような態様で日本がそういうものに協力を行い得るかということは申し上げられないわけですが、まさに先生今引用されました過去の例もございますので、日本としてはできることがあれば、例えばイラン・イラクのときとかアフガンのときに政務官を送ったような形で、せめてそういった形でも参加していきたいというふうに今考えております。
#68
○及川順郎君 戦後復興の支援をめぐりまして、サウジの戦後復興需要に経済界が色めき出しているという動きもある。しかし私は、いつも日本というのはもうけることになると早い、血を流すことは逃げ回る、こういうぐあいによく言われるわけでございますが、戦後復興に対する協力の手順を間違えてはいけないと思うんですね。第一段階としてはやはり飢餓と病気への救済策、この徹底が非常に大事ではないか。それから第二段階としては、生活必需物資の援助に力点を置いた支援が大事ではないか。第三点目には国民の生活物資の生産活動に対する支援というのが大事ではないか。大型プロジェクトはその後からでもいい。この辺の政府の指導をしっかりしておいていただく必要があるのではないかと思います。この点についてはいかがでしょうか。
#69
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおりでありまして、我々はまずこの地域の環境汚染をどう排除していくか。これは日本がかねて所有している技術あるいはその必要な資金、そういうようなものを考えて、この地域の油による大気汚染、海水汚染等について真剣にこれから取り組んでいくということをまずやらなければならない。それから国民の生活の質の向上のために協力をしていく、我々はそういうことを優先にして御指摘のような方向で日本の外交は取り組んでいきたい、このように考えております。
#70
○及川順郎君 農林水産省はおいでになっておられますか。
 昨年の本委員会で私は酸性雨問題を取り上げまして、日本国内に酸性雨が非常に降っている状況を伺いました。そのときに、千二百カ所のモニタリング調査を持続的にやる、このことをお答えいただいたわけですが、その後の経過、実態についてお伺いをいたしたいと思います。
#71
○国務大臣(近藤元次君) 酸性雨問題につきましては、先生大変熱心に御研究されておりますので御承知のことでありますけれども、酸性雨問題は、特に北米なり欧州においては湖沼や森林の生態系に深刻な影響を与えて今国際問題となっておるわけであります。
 我が国においては、幸いにも今のところ際立った森林被害は認められませんけれども、将来の森林の維持保全について懸念をされる、そういう状況でございますので、先生今お話のございましたように、平成二年から平成六年までの間に千二百カ所の地点でモニタリング調査をスタートさせました。平成二年は二百三十三カ所、平成三年度は二百四十カ所を予定いたしておるわけでありますが、平成二年度分につきましては三月末調査地点から調査資料を収集いたしまして、森林総合研究所で分析をいたしまして今後における対応をしていきたい、そう今準備をしているところであります。
#72
○及川順郎君 私は今なぜこのことを伺ったかといいますと、湾岸戦後の環境問題で油井等の炎上によって出てくるエアロゾル、すすですね、それがどういうぐあいに影響を及ぼすか。ある民間の研究調査によりますと、中東上空には、大体一千メートルぐらいの上空ですけれども、ここでは大体時速二百二十キロのジェット気流がある、五千メートルの段階では百二十キロのジェット気流がある。それが中東から偏西風に乗って一番影響が出てくるのはアジアのこの一帯なんですね。二百二十キロを換算しますと、日本へ到着するのに約四十時間です。五千メートルのところの時速百二十キロをとっても七十五時間で来るわけです。ですから、遠いどこかの国の出来事ではなくて、中東の環境問題というのは即日本の国情に直接影響してくるという、こういう状況があるわけです。ですから、余り影響がないなんという感じでのんびり構えていると、いつもそうなんですけれども、事態が深刻になってから騒ぎ出す、これでは私はいけないと思うんです。
 現実に調査団が行かれたそうでございますが、ぜひこの調査団のその辺の調査結果、そして今後の対応についての報告を伺いまして、我が党におきましても今隣に座っております木庭健太郎君が現地に調査に行ってまいりましたので、関連質問でその質問をさせていただきたいと思います。
#73
○国務大臣(愛知和男君) お答えをいたします。
 今先生御指摘のとおり、大気の汚染は非常に心配をされるところでございます。まず現状がどうなっているか、調査団を派遣いたしました。昨夜遅く帰ってまいりまして、まだ最終的な報告はできておりませんが、その団長を務めました環境庁の地球環境部長がおりますので、その部長より報告をさせます。
#74
○政府委員(加藤三郎君) 今大臣から御答弁ございましたように、約十日間、現地三地域、すなわちサウジアラビア、カタール、最後にアラブ首長国連邦、この三カ国を私ども十四人の団員とともに見てまいりました。
 それによりますと、油の回収、これはまず油の量がどのくらい流れたかにつきましてはいろんな説が報道されており、いろんな数字が報道されておるわけでございますが、現状におきましても、戦争行為が終わってまだ間もないということもありまして正確な数字がつかめておりませんが、私たちがほぼ近いかと思われます数字といたしましては、あの地域に流れた油の量は大体三、四百万バレルになろうかというふうに思っております。この数字は、既に過去のいろんな、例えばアラスカで起きましたエクソン・バルディーズ号の事件のときに流れました油の量が二十六万バレルというふうに言われておりますので、それに比較しましても一けた多い非常に大きな量であることは間違いないと思っております。
 それから同様に、現在クウェートで油井が燃えているわけでございますが、その燃えている数字につきましても、現地ではまだ十分な調査ができていない。と申しますのも、まだあの地域に地雷などが仕掛けられておりまして十分な調査に入れないというような状況もございます。そんなことで、正確にはどのくらいの量が燃えているかわからないわけですが、これも恐らく二百五十万バレル前後程度が毎日燃えている。この二百五十万バレルと申しますのもまた非常に大きな量でございまして、大変な量が燃えているわけでございます。
 まず、この油でございますけれども、海に流れた油は、幸いにして海流なりあるいは風向、さらにあの地域の地形が幸いいたしまして、このペルシャ湾至るところ全部油汚染だらけになるというような状況ではなくて、アブアリ島という島、これはサウジアラビアの中部の地点でございますが、アブアリ島以北に多くの量は大体とまっている。アブアリがちょうど自然の要塞のようなことになりまして、そこに多くの量の油がとどまっているという状況でございます。もちろんペルシャ湾の真ん中に出ている油膜も発見されているわけでございますが、この量はそう多くはないのではないかということで、幸いにしてこれまでのところは比較的汚染がやや限定されているという状況かというふうに思っております。
 一方、油田の炎上でございますが、先ほど言いましたように大量の油が燃えているわけでございまして、実は私自身アメリカのコーストガードの御好意によりましてビーチクラフトに乗せてもらいましてクウェートの上空まで、ごく間近なところまで行って見てまいりましたが、大変濃厚な煙でございまして、それがクウェート市の上空を覆っている。その中に入りますともう夜のような状況でございまして、健康影響などが心配されるという状況でございます。その煙は確実に数百キロは、風向きによりましてある場合には南に、ある場合には北に流れておりますので、先ほど先生お尋ねになりましたような酸性雨の被害、そういったことも十分に懸念されるというような状況でございます。
#75
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。木庭健太郎君。
#76
○木庭健太郎君 総理、私たち公明党の議員のメンバーも、調査団と時を同じくいたしましてイランからジョルダン、それからエジプト、またサウジアラビア、一人はクウェートまで入ってまいりました。
 今アブアリ島というお話が出ました。今海水が一番汚れているところでもございますが、実はそこまで現地に行きまして海水をとってまいりました。海水というより、海岸に押し寄せられているのはこういう、ちょっとこれだけじゃわかりにくいのでお見せしようと思って持ってまいりました。(資料を示す)こういう具合に、もうなかなか出てこない、どろっとして。これが海水です。こういう状態で、被害は少ないと今おっしゃられましたけれども、海岸には実際にこういうものが押し寄せているわけでございます。総理、ちょっと、ぜひ見ていただこうと思いましてわざわざ持ってまいりました。
 そこの現状なんですけれども、実はそれをとったときのシーンをちょっと撮ってまいりましたが、(写真を示す)こういうふうに一面に油がこういう感じになっておりまして、これは油の塊なんですが、一面真っ黒な海水の状態になっております。これが現状です。
 それともう一つ、鳥の話が出ておりました。これは油で汚れた鳥が保護されているところなんですけれども、こういうふうに実際真っ黒でかわいそうなんですね、見ていて。羽ばたこうとしても全然一歩も浮かないような状態で、こういう鳥が本当にいっぱい保護されておりました。
 総理、実際にその油を見られて、またこういう現状を見られてどうお感じになっておられるか、一言お伺いしたいんですけれども。
#77
○国務大臣(海部俊樹君) 随分無謀なことをしたものだと思って、原油流出行為に対して、改めてこれは許されないことだという強い気持ちを持ちます。
 同時に、今お示しになった、これはウミウとでも言うんでしょうか、テレビの報道を通じてその現場で真っ黒になっておる鳥の姿を見たときには私は大変悲しい思いをしましたが、それは表面的なことであって、その背後にどれだけ環境が汚染され、生態系が汚染され、それがやがて大きな環境破壊につながっていくかということがわからないだけに、原因をきちっと調査してできるだけ対応策をしなければならないというので調査団も出したところであり、また木庭委員の御意見も承らせていただきたい、こう思っております。
#78
○木庭健太郎君 今、調査団を政府が出されたことは非常にいいことだと思っているんですけれども、ただ、私自身こういう油の流出現場に参りまして、特にこれなんですけれども、これはこの後に回収しているんです。回収現場がこの近くにあります。ただ、回収現場といっても日本で考えているようにスコップで――スコップというか何というんですか、ひしゃくでとるようなそんな感じじゃないんですね。工事現場だけ見ましても、回収現場というのが大体海岸線に沿って二キロぐらいの長い距離に、それこそブルドーザーは入りクレーンは入る、日本でいえば造成工事を想像していただければいいんですけれども、そういう状況で回収をやっております。
 ただ、私が非常にこの回収現場に行って寂しかったことがございます。何かといいましたら、この回収現場ではオランダ人が働いておりました。ドイツ人がやっておりました。もちろんサウジの現地の人たちもいらっしゃる。多分出稼ぎ労働者でしょう、フィリピンの方がいたりインドの方がいたり、各国の人たちがその現場で働いていらっしゃる。回収のために汗を流していらっしゃる。ところが、残念なことに日本人の姿は一人も見ることができませんでした。
 しかも、じゃ日本が入れないのか。サウジアラビアの政府にお聞きしました、どう思っていらっしゃるのか。政府の高官がおっしゃっていましたが、日本も一チームをつくってぜひ一区画を担当してやってもらいたいということを言っておりました。先ほど総理もおっしゃっていました。物や金だけじゃだめだ、人の貢献も必要だということを御自身おっしゃっておりましたけれども、こういう現場に日本として人を派遣することを考える気はないのか、そのことをお聞きしたいと思います。
#79
○国務大臣(中山太郎君) 委員もお話しになりました人を派遣するという問題、これは、けさ内閣においても湾岸対策会議を開きましたが、私どもはきのう帰ってきた調査団の報告を聞き、私もこの昼聞くことになっておりますけれども、けさ環境庁長官と話し合いをして、ぜひ日本は、国連のUNEPに資金を提供するだけでなしに、人を送るという方向で日本政府としてはこれから積極的に努力するという話し合いをしているところでございまして、しばらくこの我々の行動をごらんいただきたいと思います。
#80
○木庭健太郎君 ぜひ人を送り出していただきたいということは、もう本当に自分自身で寂しい思いをしましたし、またこういう話をサウジでお聞きしました。何かというと、例のオイルフェンスを送ったときなんですけれども、そのオイルフェンスが飛行機で届くということで、サウジはどうやって待っていたかといいますと、わざわざ遠くから日本の方がオイルフェンスを持って届けてくださるということで、サウジの側はホテルまで用意して日本の人たちが御苦労だということで待っていたそうです。ところが、オイルフェンスは届いたけれども、あれは借り上げ機で行きましたから、そういうことで結局ショックを受けたということをお話しされていました。私も非常にショックを受けました。
 それともう一つ、こういう現場への人の派遣ももちろんなんですけれども、もう一つぜひ検討していただきたいことがございます。何かといいましたら、今サウジアラビアではNEPAという気象庁みたいなところがあるんですけれども、政府機関が。そこの東部事務所というのが現場のジュベイルというところにございまして、ここに国際機関も全部来ておりますし、ECも来ておりますし、専門家が何人か常駐しまして毎晩そこの事務所で検討会をやっておるのです。日本は、外務省が頑張っていらっしゃると思いました、大使館の方が交代でその場に出てどうにか情報を得ている。この湾岸の油流出で情報が得られるのはその一カ所だけなんです。ここが中心機関。
 ところが日本は、外務省が一生懸命努力しているけれども、専門家でもない大使館員が交代交代でその話を聞きに行くということをやっている。これでは私は総合的対策はとれないと思うんです。ぜひそういうところには人間を常駐させるべきだ。一人でいいんです。一人そこに出せば、この油流出の問題については一つのそういう情報を把握でき、対策をとることができる。それをぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#81
○国務大臣(中山太郎君) まさしくそのお話はけさ環境庁長官と私とで話をいたしておりまして、その方向でただいまから作業を進めているところでございます。
#82
○木庭健太郎君 もう一つは、油井炎上の方です。
 先ほど地球環境部長も飛行機で行かれたそうですけれども、私たち団員の仲間の一人が実際に、サウジアラビアの空軍から特別機を貸していただきましてクウェートの上空まで入ってまいりました。そのときに飛行機から撮ったこれは写真なんですけれども、実際にこうやって飛行機から撮っただけでも炎の上がっている様子がわかっております。
 この問題について、確かにいろいろ実情を聞きますと、油井火災を消すという技術についてはなかなか日本としては対応できないような状況のことも聞いております。ただこれも、クウェートのサアド皇太子兼首相とうちの調査員がちょっとお話ししたときに、皇太子の方から話が出ておりました。日本としてこの問題に貢献してほしい。いろいろ日本は貢献策はあるだろうと、掃海艇の問題も出ているらしいですけれども。そんなことより何より今クウェートが望みたいことは何か。真っ黒な雲が空を覆っているというんですよ。この雲を毎日市民が見て本当に苦しんでいる。のどを痛めている人もいる。日本としてもし調査団を出していただけるならば、技術的にも進んでいる、大気汚染対策についても技術を持っている、そういう日本にぜひクウェートにも調査団を送ってほしいということを言っておりました。
 サウジアラビアだけ確かに行かれました。ただ、クウェートにもぜひ足を踏み込んでいただきたいと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
#83
○国務大臣(中尾栄一君) 油井の問題でございますから、特に通産に深い関係でございますので申し上げます。
 まず第一に、及川委員あるいはまた木庭委員、特に社会政策に御熱心な先生に御討議を賜わりましたのでお願い申し上げますが、この油井の問題は先ほど実情をしっかり聞きましたから、これは調査団の結果報告も聞くと同時に、クウェートの方にも対処するような方向で早速諮りたいと考えております。
#84
○委員長(平井卓志君) 及川君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#85
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、及川順郎君の質疑を行います。及川君。
#86
○及川順郎君 予算編成に当たりましての公共事業の拡大関係でお伺いしたいと思います。
 今回、公共投資に対しまして生活関連社会資本を充実するとして特別枠を設けましたけれども、今回の編成の成果について大蔵大臣はどのように受けとめておられますか。
#87
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘をいただきましたように、平成三年度予算を編成するに当たりまして、本格的な高齢化社会の到来というものを間近に控え、着実な社会資本の整備、殊に生活関連分野の充実を図る必要があるということから生活関連重点化枠二千億円というのを設け、真に国民の日常生活の質の向上につながり直接に効果の上がる事業にこれを配分するということでスタートをいたしました。この結果、生活関連重点化枠を配分いたしましたわけでありますが、公共事業関連経費千七百五十億円、非公共、例えば公共事業に入りません社会福祉施設でありますとか、こうしたものがございます。
 その中で、公共事業関係費千七百五十億円につきましては、下水道それから環境衛生、公園など五百二十三億円、シェアとして三〇%、住宅対策に三百五十四億円、シェア二〇%、生活と密接に関連のあります道路整備、これに限定をしましたものが三百七十五億円、二一%。また、その他施設の二百五十億円につきましても、公立学校施設の整備などを図るために文部省に七十五億円、社会福祉施設の整備などを図りますため厚生省に四十億円など、国民生活の質の向上に結びつく分野に配分をした結果となっております。
 こうした考え方をとった結果、私どもはこの生活関連重点化枠などを通じまして国民生活の質の向上に結びつく分野に重点を置くということに一定の成果は上がったと考えておりまして、これから先も社会経済の動向、社会的なニーズなどを踏まえながら、中長期的観点から重点的、効率的な配分を行ってまいりたいと考えております。
#88
○及川順郎君 この生活関連特別枠の配分をめぐりまして、昨年の予算編成段階でその配分を自民党に任せるというような報道がなされまして、大蔵省は配分率についての汗をかくのを避けたのではないかというようなこういう指摘もありまして非常に残念な思いをしたわけですけれども、今回のこの公共事業長期計画の中で組み込まれました生活関連その他を含めまして改定期を迎えている七つの長期計画につきまして、そのシェアの配分率は具体的にどういう数値になっているか、当局の方から御説明いただきたいと思います。
#89
○政府委員(保田博君) 今回、五カ年計画のうち八つのものが改定をされることになりました。そのうち住宅につきましては、先生御承知のように戸数であらわされておりますので、これを除きました七つの計画について事業費ベースでウエートをはじきました。
 これでごらんをいただきますと、まず海岸は現在の三・八%が三・六%に若干下がります。それから港湾は現行の一六・九が一五・六に下がります。空港は七・四から八・七に上がります。下水道は四六・九から四五・二に若干下がります。廃棄物は七・三%から七・七%に上がります。都市公園等は一二・〇から一三・七にこれもかなり大きく上がります。それから交通安全関係では、道路分が五・二から五・一にやや下がり、公安委員会分は〇・五%で変わらない、こういう結果になっております。
#90
○及川順郎君 今十五の長期計画がありまして、今回の改定される八つのうちからシェアとして配分率で示される七つの部分を個々に言っていただきましたけれども、例えば生活関連の下水道第七次、廃棄物処理、これも第七次、都市公園第五次を合わせたシェア、それから海岸、港湾、空港を合わせたシェアを見ますと、前段の部分が六六・二%から六六・六%、〇・四%の変化、これは全体で見た場合です。それから海岸、港湾、空港につきましては二八・一%から二七・九%と〇・二%の変化。このトータル数字に間違いございませんか。
#91
○政府委員(保田博君) 間違いないと思います。
#92
○及川順郎君 きのうも同僚委員がこの問題を取り上げました。生活関連への重点配分というその部分だけをとられえば今大臣のおっしゃったような状況がございますけれども、この部分を取り出してトータルのシェアで全体像で比較した場合に、片一方は〇・四、片一方が〇・二、こういう状況ではやはり生活関連へ重点配分をしたと言い切れる数値かどうかということは非常に疑問の残るところでございまして、私はこういう状況を見ますときに、申しわけありませんけれども、その努力は多としたとしましても、重点配分をしたと言い切れる数字ではないのではないか、このように思いますけれどもいかがでしょうか。
#93
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員からそのような受けとめしかできないという御指摘があるとすれば、これは私どもとしては大変残念なことであると思います。
 と同時に、御理解をいただきたいと思いますのは、この公共投資を進めていきます場合に、近年確かに我が国の公共投資は生活基盤の整備というものに随分ウエートがかかって進捗をしてまいりましたけれども、基本的に欧米諸国に比して総体の整備がおくれているという状況がございます。こうした中で特定の分野にのみ非常に大きなウエートをかけ他の分野を放てきするということは、国としてやはりできません。わずかな差と委員からは思われるかもしれませんが、私はやはり国民全体のニーズというものを考えますとき、バランスをとった公共事業の遂行というものは国として考えていくべきことであると思います。その中においていかに生活関連の部分に重点を指向するかということを我々としては考えるべきではなかろうか、そのように考えているところであります。
#94
○及川順郎君 全体バランスということをそのままお受けするならば、これはやはり配分率を本格的に変えていこうというこういう考え方に立ってこれからも努力すると。
 来年度から七つの長期計画も順次これは変わっていく時期を迎えるわけですけれども、やはりその問題の真剣な取り組みを考えますと、長期的には個々の長期計画の持つ財源のあり方、そこまでメスを入れないとこの改革は難しいのではないかと思いますが、この点に対する所見はいかがでしょうか。
#95
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは委員の御指摘が那辺にあるのか、すなわちそれぞれの長期計画に付随してそれぞれの分野に対する特定財源を確保すべきではないかという御指摘であるとするならば、私は目的財源を今後ふやしていくことが国全体の事務事業の遂行の上で必ずしもプラスであるかどうかという点については疑問を持っております。
 一般的に特定財源制度というものを考えます場合に、特定されるその公共サービスの受益と負担の間にかなり密接な対応関係が確認をされます場合には一定の合理性はもちろん存在するわけでありますが、逆にそれが資源の適正な配分をゆがめる、財政の硬直化を招く可能性があるということも指摘をされております。私はこのような観点から、公共事業財源というものは、やはり一般財源と特定財源を適切に組み合わせることによって所要の財源の確保を図ってきた従来の考え方の方が正しいと思います。
 今後ともに特定財源制度のあり方というものにつきましては、財政の資源配分の調整機能というものを有効に生かす見地から幅広く検討を行っていきますと同時に、公共事業の配分につきましては社会経済の動向、社会のニーズといったものを踏まえながら、中長期的な観点から重点的、効率的な配分を行っていきたい、そのように考えております。
#96
○及川順郎君 大蔵大臣の今の考え方、私はむしろ生活関連の長期計画は、例えば特定財源があったとしても非常に脆弱である、ないものもある、こういう状況の中で、しかも今までの実績主義で配分がなされているという状況から考えますと、私はこの生活関連重点施策を本格的に実行するためには、今までの特定財源のあり方、この財源のあり方をやはり見直すべきが順当ではないかという意見を持っております。
 この点は大臣と意見を異にいたしますけれども、そうでなければ今回のような状況というものはこれからも続いていく、その基本の路線は変わらない。そういう状況の中で、どうして生活関連公共事業長期計画にこれを重点配分していく方向にかじ取りを変えていけるのか。この点についてはやはり再度大蔵大臣の考え方を伺わなきゃならぬと思いますが、いかがでしょうか。
#97
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回平成三年度の予算を編成するに当たりまして、まさに委員の御指摘になりましたような問題意識のもとに、私どもは生活関連重点化枠というものを、金額的には二千億円という限られたものであったかもしれませんが、一つの試みとして概算要求の段階から打ち出し、その結果として調整を行ってまいりました。私は、今の委員の御指摘をも我々の今後の考え方の一つの示唆として受けとめながら努力をしてまいりたいと考えます。
 しかし同時に、特定財源があるからといいまして、例えば一般公共事業の中におけるそれぞれのシェアが固定しているというものではございません。例えば一般公共事業に占める道路というもののシェアを考えましたとき、昭和四十年度の道路は四七・三%を占めておりました。それが今日、平成三年度二八・八%であります。特定財源としての揮発油税あるいは自動車重量税というものはその間相当な変動があったはずでありますが、それだけ道路というものに対する投資額が減ってきております。逆に、例えば特定財源というものが存在をいたさない空港をとりますと、昭和四十年には〇・九%でありましたものが今一・四%というように率は動いておりまして、私は必ずしも特定財源があるからそれらの事業が進行をする、特定財源がないからこの事業は進捗をしないという性格のものであってはならないと思いますし、またその意味では、今後ともに私どもとして一般財源と特定財源を適切に組み合わせながら対応し努力をしてまいりたい、そのように考えております。
#98
○及川順郎君 私は、その組み合わせるという考え方の中で既定路線としてそれをそのまま踏襲していくのか、組み合わせの中で新しい発想を持っていくのか、ここが非常に大事な分かれ道になると思うのです。財源が潤沢にある長期計画もある。財源が非常に乏しい中で苦労しなければならない状況もある。そういう中での全体のバランスをとっていく視点が大事ではないかということを申し上げているわけですから、この点につきましては、この生活関連公共投資については非常に充実していくということは総理の公約でもございますから、総理、大蔵大臣、これをまとめてそれぞれのお立場から御所見を承りたいと思います。
#99
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今事務方から注意がありましたので、一点先ほどの答弁を補足した上で委員の御指摘に対してお答えを申し上げたいと存じます。
 先ほど私は揮発油税とか自動車重量税に比して空港の御説明をいたしました点、空港にも着陸料その他ございますので、ごくわずかでありますが特定財源と言えるものがある、そこだけは補足するようにと事務方から今注意を受けました。この点はおわびをし、つけ加えさせていただきます。
 その上で、私は委員がお述べになりましたような見解を真っ向から否定しているわけではありません。ただ、特定財源と事業を結びつけること、それが必ずしもその事業のシェアを拡大することにばかりはいかないという問題が事実としてございます。さらに、やはり財政の硬直化を招きかねない特定財源というものは、本来余り我々として好ましいものではないという感じは率直にございます。それだけに、委員が御指摘をされますように、要はその生活関連の公共事業というものの円滑な実施を可能ならしめるようないかなる予算措置を講ずるか。これは一般財源であるか特定財源であるかにかかわらず、我々として御注意を大切にしながら今後努力をしてまいりたい、そのように考えます。
#100
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣が答弁申し上げた方向でありますが、私どもとしては、御指摘のように、生活関連あるいは文化機能に係るものの割合を今回の配分のときに増加させる努力をするとともに、それぞれ一九九五年度の目標、二〇〇〇年度の目標、これを立てまして、住宅にしても下水道にしても、都市公園等にしても廃棄物処理施設等にしても、それぞれの努力目標を置いて、その方向に向けての配分努力を鋭意続けていかなければならない、こう受けとめております。
#101
○及川順郎君 この生活関連公共投資につきまして、私は都道府県、一般市以上で七百の自治体に聞き取り調査を自分みずからやりました。そこで言われましたことは、地方自治体で苦しんでいるのは高齢者向けのハードな面、この財源負担で非常に苦慮しているというこういう声が多かったわけです。
 確かに政府で高齢化時代に向けまして高齢者保健福祉十カ年戦略の具体化を打ち出して、来年度予算二年目に入るわけでございますけれども、この新しい生活関連公共投資という枠組み、視点の中で新たに今のような縦割りという状況、しかも現場の状況を生かした形で社会福祉施設長期計画のようなものをやはり検討する必要があるのではないか、こういう感じを自治体の声を率直に受けとめますと強く感ずるのですが、この点につきまして、これは総理、大蔵、厚生大臣、三人のそれぞれのお立場からの所見を承っておきたいと思います。
#102
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 高齢化が目睫に迫る状態の中で、この高齢化社会への対応をハードの面でいかに対応していくか、これは国もまた地方もともに協力しながらやっていく、こういうことでございますが、御承知のように、我が国は二十一世紀には国民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者という本格的な高齢化社会が到来することが見込まれております。このような状態の中で、すべての国民が健康で生きがいを持って過ごすことができるよう、明るい活力ある長寿福祉社会を実現することが国民的課題となっておると考えております。
 平成元年十二月に策定いたしましたただいま委員が御指摘でございました高齢者保健福祉推進十カ年戦略におきましては、二十一世紀までの十年間に緊急に取り組むべき施策について目標を掲げ、高齢者の保健福祉サービスの分野における基盤を総合的かつ緊急に整備することといたしております。とりわけ、在宅での介護が困難なお年寄りが必要な施設サービスを利用できるように、特別養護老人ホームや老人保健施設等の施設整備にも力を入れております。具体的には、平成十一年までに特別養護老人ホーム二十四万床、老人保健施設二十八万床、ケアハウス十万人、高齢者生活福祉センター四百カ所を整備することといたしまして、今このためにもあらゆる努力を傾注しておりまして、二年目の予算においても、また三年目の予算においても相当な配慮がなされておるわけでございます。
 なお、平成二年六月二十八日に閣議了解されました公共投資基本計画におきましても、高齢者の今のゴールドプランを着実に推進しつつ、社会福祉施設、保健医療施設の充実を図ることとされているところでございます。
#103
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今厚生大臣がお述べになりましたことに尽きるわけでありまして、私どもは高齢者保健福祉十カ年戦略に盛り込んでおります考え方というものを推進していく、これに全力を挙げていく決意であります。
 その上で、なお一言敷衍をさせていただきますなら、私は必ずしも長期計画によって数字を固定してしまう方が推進に有効かどうかという点については多少の疑問を持っております。それは、今後の家族制度の変化というものは、実は今先取りをして長期計画の中に織り込むことは非常に難しいのではなかろうか。そうなりますと、弾力的にこれに対応していき得るためには、包括的な目標が設定をされる中、むしろ固定された計画ではない方が私は事業の推進は実効が上がるのではなかろうか、そのような感じを持っております。
#104
○国務大臣(海部俊樹君) 厚生大臣から詳細に御答弁をいたしましたが、高齢化対策というものを十分視点に置いて作業を進めていくという基本的な考え方で臨んでまいります。
#105
○及川順郎君 この議論はまた時期を改めてやらせていただきたいと思いますが、ただ大蔵大臣、長期計画に固定するという、それはやはり途中において見直しもできるわけですから、その点の弾力ある判断の上に立って申し上げているということを御理解をしておいていただきたいと思います。
 次に、消費税の問題に関連いたしまして、今度の総理の施政方針演説、大蔵大臣の財政演説では定着という言葉が消えておりますけれども、この消費税の現状についてどういう認識をされておられますか。
#106
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一昨年の四月から実施をされました消費税、さまざまな御論議の中で、物価や消費の動向とか転嫁の状況あるいは申告納付の状況を見ておりますと、全体としては私は円滑に実施をされていると受けとめております。
 先般の税制改革と申しますものが、従来の税制の持っておりましたさまざまなゆがみ、あるいはサラリーマン層を中心とした重税感というものを是正すると同時に、高齢化の進展を踏まえた安定した税体系の確立ということを目的としてきたわけでありますが、その一環としての消費税の創設というものは、さまざまな御論議の中でありましたが、正しい選択であったと私は確信をいたしておりまして、今後とも一層の定着に努力をしてまいりたいと考えております。
#107
○及川順郎君 今の大蔵大臣の言葉じりをとらえるわけじゃないんですけれども、日経リサーチの意識調査によりますと、東京都内の消費者、小売業者を対象に聞いたところ、やはり反対、見直して継続されるべき、これが六割を超えているというデータが出ております。こういう状況を定着あるいは安定的に推移しているというぐあいにとらえるというのはいささか無理があるのではないか、こういう感じを私は強くするわけでございます。
 当局に伺いますけれども、消費税の簡易課税、限界控除制度に係る課税対象額の減少分を推計するとどうなりますか。それから運用益についてどういうぐあいに分析されているか、実際の数字を示していただきたいと思います。
#108
○政府委員(尾崎護君) お答え申し上げます。
 まず、お示しの日経センターの調査でございますが、委員がお示しになりましたように、なお六〇%近くが反対をしているという結果が出ているわけでございます。しかしながら、消費税の導入当時と比べまして大きな変化が出ているという点も同時に明らかにしているわけでございまして、導入当時と比べまして、反対、それからどちらかといえば反対というお答えをなさいました方の比率が男性六五・四%というのが当初のときの数字でございましたが、それが五〇・七%へ、それから女性で導入当初七六・〇%が反対とかあるいはどちらかといえば反対という御回答でございましたが、それが六九・七%に減少している。また、賛成の比率は、男性で申しますと当初の二七・一%から先般の調査では三四・六%へ、女性では一〇・六%から一五・八%へというふうに賛成の方は増加をしている。そういう傾向も示しているわけでございまして、先ほど大臣から申し上げましたとおり、定着の方向に向かっているのではないかというように読み取れる次第でございます。
 それから、簡易課税制度の問題と数字を示してという御質問でございましたが、実はちょっと御説明をさせていただきたいのでございますが、平成元年度にこの消費税が入りましたときの税収見積もりを私どもいたしますときに、何しろ初めての税でございますからマクロ推計を用いまして、総体の付加価値の額からいろいろと輸出分、輸入分あるいは設備投資の分等々調整をしていく中におきまして、中小企業者に対する特例の影響額、それも付加価値ベースでもって調整をいたしたことがございます。それに三%を掛けますと大体五千億ぐらいになるものですから、五千億ぐらいこの特例があるというような論議が行われていたわけでございますが、今回は平成元年の実績が出てまいりました。
 そこで、平成二年のときはまだ平成元年の実績が出ていなかったものですから平成元年と同じようなマクロ推計でやったわけでございますが、平成三年、現在審議をお願いしております予算の見積もりにおきましては課税実績が出てまいりましたので、従来と違いまして課税実績をもとにその推計を行っているわけでございます。したがいまして、付加価値税ベースで初年度のときに行いましたようないろいろな差し引き計算は抜きにいたしまして、そして出てまいりました実績をもとに、経済見通し等によります、例えば消費の伸びの見通しでございますとかそういうものに基づきまして推計を行っております。したがいまして、今平成三年におきましてどのような額にそれがなっているかという点につきましては、推計の仕方が変わってしまったものでございますからそういう数字を持ち合わせていないというのが現状でございます。
 税収の見積もり、課税実績に基づいてやるというのは他の税でも行われている例でございますが、たまたま消費税の場合には初めての税でございましたのでマクロ推計を行った。それがおかげさまで三年目となりまして課税実績が出てまいりましたので、推計方法を他の税と同じように変えたというところからそのような影響額の計算が行われていないという点、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
#109
○及川順郎君 推計ができていないというのは理解できますけれども、その数字に対する本質的な税制の持つ欠陥ということは、これは変わっていないわけでございまして、税制協でも運用益問題や益税の問題につきましてはある程度の合意が得られるぐらい、これは認めるところであったわけですね。ただ、逆進性についてこれは意見が一致せずに、今日消費税がそのまま残っているという状況になっているわけです。
 やはり、この国民が納めた税金というものが国庫に入らないという状況、逆進性の問題、この改革はどうしてもやるべきだ。もし今回この両院合同協議会が再開されたとしても、この結論がどういう状況になるか、その状況によっては政府としてむしろ積極的に今まで指摘されていた問題点に対しての見直し案を提出すべきではないか、このようなことを申し上げたいわけでございますが、その点を含めまして総理の御見解を承りたいと思います。
#110
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理へという御指名でありますけれども、主管閣僚として私から申し上げたいと思います。
 委員も御承知のように、昨年私どもは消費税に対し、政府としての見直しの考え方を法律案の形で院にお示しをいたしました。一院においてはそれが成立をし、他の一院において廃案とこれが決したことは御承知のとおりであります。一方、野党の方々からの議員立法として提出されました法律案、ちょうど逆さの形で廃案という状況になりました。その上で、両院の御意思として消費税につきまして税制問題等に関する両院合同協議会というものをつくる、そして各党の代表者が引き続き議論を行うという方針をお示しいただいたわけでありまして、政府としてはこの御論議というものが建設的かつ具体的な合意を生み出すことを心から期待しながら、今日それを見守っておるという状況であります。
 両院の意思としてこうしたものをお示しをいただいた中において、我々はそれが結論を得なかった場合とかあるいはどうであった場合ということを想定し政府としての意見を申し上げることは差し控えるべきことであると、そのように考えております。
#111
○国務大臣(海部俊樹君) 消費税につきましては、消費税だけをつくったのではなくて、あのとき所得税や法人税の減税等も踏まえて、税の公平というようなことを念頭に置きながらいろいろ行ったわけでありますが、しかしいろいろな角度の御批判やあるいは御注文があったことを踏まえて政府は見直し案を国会に提出いたしましたが、経緯は大蔵大臣の申し上げたとおりになり、両院において今、合同協議会で御議論をいただいておる最中でありますから、そこで適切な合意が得られないとは私は思っておりませんので、どうぞ適切な合意を仕立てていただいて、政府は誠実に迅速に対応をしてまいります。
#112
○及川順郎君 これは両院協議会の協議の推移を見定めた上でまた議論をさせていただきたい。
 土地税制に関し、租税特別措置法の改正についてはどういう考え方で対応しているか、この点をまず承りたいと思います。
#113
○政府委員(尾崎護君) 土地税制につきましては、御承知のとおり、一つは保有課税といたしまして新税として地価税をお願いしているわけでございますけれども、土地税制の見直しは保有面だけではございませんで、譲渡面、取得面についても行われているわけでございます。
 その譲渡面それから取得面につきましては租税特別措置法におきまして措置されているわけでございますが、譲渡課税につきましては、所得税の譲渡課税、従来でございますと長期譲渡所得につきまして二〇%あるいは二五%という税率で課税されておりましたのを原則三〇%にまで引き上げて他の勤労所得等とのバランスを回復するというような措置、それから法人税につきましては、短期、超短期につきましてございました追加課税制度を長期の譲渡につきましても一〇%ということでお願いするというようなことにいたしております。
 これらは、譲渡所得課税の面で土地について優遇がございますとどうしてもそれが土地の資産としての有利性を高めるということからそのような措置を講じたわけでございますが、一方におきまして、例えば公共事業用地のようなもの、国や地方公共団体に土地を売ります場合あるいは特定の優良な住宅地に土地を売ります場合には従来二〇%の軽減税率でございましたのを一五%にするというようなことで、そこはめり張りをつけまして、優良なあるいは最も今望まれている方面への土地の供給が行われるようにしているわけでございます。
 他面におきまして事業用の買いかえ制度というのがございまして、事業用の土地を売りましてそれをある地域に買いかえる、あるいは他の資産に買いかえるというときの特例がございましたが、その一部に土地の有利性を高めているという指摘を受けるものがございまして、それらにつきましても見直しを行っております。
 そのほか、御承知のとおり、相続税につきまして特定市の市街化区域内農地につきましての見直しも行っているところでございます。
#114
○及川順郎君 今のお話しの譲渡益課税の強化の問題、買いかえ特例の問題、これは今までの税制改革論議の中からその経過はよく理解できるところですけれども、大都市周辺で土地の高騰が波及していって、そのためにまじめにやってきた中小零細の規模の人たちが非常にあおりを受けているという状況も見られるわけですね。こういう観点から、事業環境が非常に悪くて体力の非常に弱い、そういう中小零細企業に対する配慮はどのようになされておられたんでしょうか。
#115
○政府委員(尾崎護君) 御指摘のようなケースは、主として長期に保有をいたしました土地を償却資産に買いかえるというような例にあらわれているのではないかと存じます。
 実は、これは先ほど申しました事業用の資産の買いかえ特例を縮減する一つのものといたしまして今回その廃止をするということにいたしました。それはなぜかと申しますと、やはり土地を買っておく、そしていわば余裕を持って土地を持っておられて、そして将来工場を建てかえる、あるいは他の償却資産を買う、新しい設備投資をするというようなときにそれを売ってそれでその資金に充てるといたしますと、そこに税制上の優遇が生ずるということになりますと、どうしても余分に企業が土地を持つということになろうかと思います。これはやはり土地の有効利用、効率的な利用、土地の公益性というような点から考えまして問題であろうと思いますし、先ほど申しましたように、土地の有利性を高めているという点からも問題であろうということで今回廃止をお願いしているわけでございます。
 しかしながら、実は今現在この土地を売ってほかのところに減価償却資産を取得したいという計画を立てているというような企業もおありかと存じますので、その場合には非常に大きな激変となりますので、経過措置には気を使っているところでございます。
 よろしければ、経過措置の内容を御説明させていただいてよろしゅうございましょうか。
#116
○及川順郎君 期間もあわせて。
#117
○政府委員(尾崎護君) それでは、その経過措置の内容を御説明させていただきます。
 まず長期所有の土地、これは十年以上持っている土地ということでございますが、それを売るというサイドから申しまして、平成三年の十二月三十一日までにその長期所有土地等を譲渡いたしますと現行法どおりの規定の適用がございます。それから、それだけではございませんで、平成三年十二月三十一日までにその長期所有土地等につきまして譲渡契約を行う、しかも譲渡代価の二〇%以上を受け取っている、そういうことになりますと、平成四年の一月一日から平成五年の十二月三十一日までに譲渡、取得を行った場合には従来どおりの買いかえを認めるという、そういうことにいたしております。
 他方で、今度は買いかえる方の資産でございますが、買いかえる方の資産を先行取得しているという例もあろうかと思いますので、平成三年の十二月三十一日までに先行取得をした資産がある場合、そのときにその長期保有土地がまだ売れていなくても現行どおりの規定の適用がある。それから、平成三年十二月三十一日までに買いかえ資産となる減価償却資産の取得についての契約が行われまして、しかもその購入代価の二〇%以上の支払いをする、あるいは建設等に着手している、そういう場合につきましては、平成四年一月一日から平成五年十二月三十一日までに買いかえ資産の取得あるいは譲渡が行われた場合に買いかえを認めるということにいたしております。
 そういうかなり広い経過措置を設けておりますので、ただいまいろいろ事業計画をお持ちの方はそれを御利用いただきたいと存じている次第でございます。
#118
○及川順郎君 かなり幅広いという認識でございますけれども、期間的に、事業の回転から考えますと非常に窮屈な期間ではないか、そう思う方も非常に多いと思いますが、この経過措置の期間がなくなった場合には、これは基本的には先ほどの説明で廃止という方向でいくわけですね。そういう段階の中で、どうしても再見直しの必要があるなと、こういう事態が出た場合には、この経過措置についての配慮はそこでまた見直すというような考え方はございますか。
#119
○政府委員(尾崎護君) 今回の見直しはあくまでこの土地基本法が設けられまして抜本的に土地政策を見直していくという中の税制のあり方として、私ども土地に有利性を与えているこのような措置を見直したいということでございます。
 お伺いいたしますと、委員の御指摘はやや中小企業の経営サイドのお話のように伺うわけでございまして、また土地政策とは別のお話をなさっているように伺っているわけでございますが、またそのような議論は議論として別途お伺いしていくのは、毎年のことでございますが税制改正がございますので、その中でそういう議論が出てくれば、私どももその検討に参加をさせていただきたいと存じます。
#120
○及川順郎君 今経営サイドのお話というお話が出ましたけれども、中小零細企業の状況について大臣はどう思っておりますか、通産大臣。
#121
○国務大臣(中尾栄一君) 中小企業の問題は、先ほど来委員御指摘のとおり、特に社会政策に大変詳しい委員でございますから、御案内のとおり、ある意味においては現在の段階では大変厳しい段階の中にある、こう考えてもよろしいんじゃないかと思っております。
#122
○及川順郎君 これはひとつ将来の課題として持っておいていただきたいと私はお願いをしたいと思っております。
 地価税についてですが、地価税の導入につきましては、地価の異常な上昇というのが、これが個人、企業の経済的格差を拡大させてさらに不公平を拡大させたと、こういう批判の中でこの土地税制の改革となったわけですけれども、もともとの出発点は理解できるわけですが、そのような状況をこの地価税の今回示されております内容の中にどういうぐあいに反映をされておられるか、この点についてまず伺いたいと思います。
#123
○国務大臣(橋本龍太郎君) 税制調査会から「土地税制のあり方についての基本答申」が出されました内容の中で、近年の地価高騰のもとにおける土地の保有の有無により保有資産の価値に大きな格差が生じ、資金調達力、事業拡張の難易などさまざまな経済的対応力の格差が拡大をしている。こうした意味での格差の拡大に税制面で対応するためには、土地の保有に対してその資産価値に応じた税負担を求めることにより、税負担の適正、公平を確保することが必要である、また地価高騰の要因となっておる土地の資産としての有利性を縮減する必要がある、こうした観点から地価税を創設することにしたということでございます。
 なお、今回の土地税制の改革と申しますのはこの地価税だけの問題ではなく、委員が既に御承知のように、固定資産税の評価の適正化、均衡化、あるいは譲渡課税の負担の適正化、さらに農地課税の見直しなど、保有、譲渡、取得の各段階にわたる総合的かつ抜本的な見直しを含むものでありまして、本年一月二十五日閣議決定をいたしました総合土地政策推進要綱に示しました諸施策と相まちまして、全体として土地の有利性の縮減、有効利用の促進、仮需要の抑制、宅地の供給促進などが図られる、そして地価の低下、抑制につながるということを我々は考えているわけでございます。
 今の委員の御質問に必ずしも直接の答えにならない部分を含みましたが、全体的な考え方としてこういう考え方であるということを申し述べました。
#124
○及川順郎君 やはりきのうも同じような指摘がございましたけれども、現在示されている内容では大企業や富裕者は痛みを感ずるという状況ではない、こういう問題点が非常に強く指摘されておるわけですね。
 全体的なお話の中で出ましたので申し上げますけれども、やはり土地を購入する場合の取得税の問題、これにつきましても、固定資産税一つを取り上げても個人と企業との格差がある。それから、相続する場合でも個人には相続税がこれはがっちりかかって、それが遺産相続をめぐって身内の争いが絶えないというような社会問題が惹起されている、こういう状況もございます反面、法人には相続税はない。こういうような税そのもののあり方に個人と企業との差が余りにもあり過ぎるという指摘がある中で、むしろ今回の税制改革はそうした要件にこたえる改革にはとてもなっていない。これはもう見直すべきだ、国民生活優先の立場から見直すべきだというそういう指摘が強く出ておるわけでございますが、この点についての所見を承りたいと思います。
#125
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨日も本委員会で御答弁を申し上げたことでありますが、私はその御批判は必ずしも当を得たものではない、そのように思います。それは我が国の土地保有状況というものをお考えをいただきたいということでございます。
 すなわち、我が国の国土、資産額のかなりの面積は宅地に集中している、しかもその宅地の相当部分を少数の所有者が保有しているという極めて偏った形になっております。具体的には、全国土の面積三千七百七十八万ヘクタールの約四%、百三十万ヘクタールというものが宅地であるにすぎないのでありますが、土地価格でこれを見ましたときには全国の約二千百兆円の八〇%、約千七百兆円というものが宅地で占められております。また、東京都の資料で見てみますと、東京都区部あるいは市部における宅地の所有法人のうち一万平米以上の宅地を所有しておられる法人は、所有法人の数の中全体の一・七%でありますけれども、これが法人所有面積で見てみますと全体の五一%を占めているわけであります。
 このようなマクロ的な土地保有の状況から考えますと、地価税の課税対象は一見限定的であるように見えるかもしれませんが、実質的には、いわゆる大法人を中心に資産価値の高い土地を大規模に保有しておられる方々に対しては相当な負担を求めるものになっているということは間違いないと思います。
 また同時に、ミクロの面で申し上げますならば、土地の資産価値に応じた税負担を求めるという地価税の仕組みからいきますと、例えばその都市の目抜き通りの土地というものを持ってビルを構えて事業をしておられるような方、あるいはその地価水準が低い地域でありましても大規模に土地保有を展開している、こうしたケースにおいては相当な負担を求めるものになると思います。
 私は、どちらから考えましても地価税というものは、今委員がお述べになりましたような批判に対しては十分御理解をいただく説明のでき得る至当なもの、そのように考えております。
#126
○及川順郎君 この点はやはり大臣の考え方と意を異にする、まだまだこれは納得、承服しかねる内容ですけれども、時間もございますので、この問題はまた後に譲るといたしたいと思います。
 借地借家法をめぐる問題点について伺いたいわけですが、昨日閣議決定されましたこの借地借家法の改正につきまして、その内容、概要を御説明いただきたいと思います。
#127
○政府委員(清水湛君) お答え申し上げます。
 昨日閣議決定をいただきました借地借家法案は、去る二月四日の法制審議会の答申に即して作成されたものでございます。法制審議会におきましては昭和六十年からこの借地借家法の改正問題を審議してきたのでございますが、各方面の意見を聞きながら慎重にその調査、審議を進めまして、二月四日の答申に至ったものでございます。現行の借地法それから借家法及び建物法に関する法律の三つの法律を一本にいたしまして、平仮名の現代語文に改めるという新しい法律形式をとっております。
 改正の趣旨は、借地借家法は大正十年に制定されまして昭和十六年に一部改正がされておりますが、その後今日に至るまで基本的な部分についての実質的な改正がなく現在の社会経済情勢の変化に対応し切れていない、こういうようなことがかねてから各方面から指摘されていたわけでございます。今回の改正はこうした情勢の変化、特に借地及び借家に対する需要の多様化に応じまして、借地借家関係の規律が現行法は余りにも画一的で硬直化しておる、そういうようなものを改めまして、新しいタイプの借地借家関係を許容すること等によりまして国民からの要望にこたえようというものでございます。
 改正案の要点をごく簡単に申し上げます。
 第一は、普通借地権の存続期間につきまして、原則的な存続期間を三十年、更新後の存続期間は十年、こういうふうにいたしております。
 それから、新たに更新のない定期借地権というような制度を導入いたしております。存続期間を五十年以上とする長期型定期借地権、それから事業目的で存続期間を十年以上二十年以下とする短期型定期借地権、それから借地権の設定後三十年以上経過した後に建物を買い取ることをあらかじめ約することの建物譲り受け型定期借地権というようなものでございます。
 また、借家につきましても、転勤等のやむを得ない特別の事情がある場合にはその期間だけに限って貸す、その期間が経過したら必ず返してもらう、こういった期限つきの借家制度を導入するというような点があるわけでございます。
 そのほかに、借地借家関係の更新を拒絶する事由である正当事由につきまして、正当事由の判断に当たり考慮すべき要素を法文の中に明確にするというような改正をいたしておるところでございます。
 なお、この新しい借地借家法の適用関係でございますが、既存の借地借家関係につきましては先ほど申し上げました存続期間等の改正規定あるいは正当事由に関する規定は適用しない、既存の借地借家関係は新しい法律が施行された後も従前と同じ取り扱いを受ける、こういう内容のものとなっているところでございます。
#128
○及川順郎君 きのうのテレビでも「貸す側の権利拡大」、こういう見出しがぱっと出ておりました。やはり今回の改正をめぐりまして借地借家人の地位と権利を損なうことがないようにという、こういう配慮がどういうぐあいになされたのか、この点が非常に大事な要素になると思うんですね。私たちも党内におきまして議論の過程でこの問題をずっと討議してまいりまして、少なくとも現在のこの借地借家関係において新法によって借地借家人の権利を損なうことのないように、法務省等にも積極的にこれは要望してまいったところでございます。
 既にこの改正のニュースをめぐりまして、今度の改正に便乗しまして借地借家人を追い出すような悪質なそういう動きが出ているということも具体事例として指摘されておるわけでございまして、正当事由とあわせまして、今回のこの借地借家法の適用が現在既存の借地借家人、特に土地に対するそれには適用されない、この点は明確にしているということを理解してよろしゅうございますか。もう一度お願いしたいと思います。
 あわせまして、今申し上げましたような悪質な追い出し等が行われないように、これは建設大臣の所管になるんでしょうか、これはもう指導徹底をしっかりやっていただきたいと思いますが、この点もあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
#129
○政府委員(清水湛君) 先ほど御説明申し上げましたように、今回の借地借家法の改正で借地契約の更新後の存続期間を十年としておる、現行法ですと二十年あるいは三十年ということになるわけでございますが、更新期間が十年であるという点、それから更新拒絶事由についての正当事由の判断要素を法律で明確にしておるという点・この二点を既存の借地借家関係にどう適用するかということが非常に大きな問題でございました。
 存続期間あるいは更新の点につきましては、法制審議会の答申におきましては、仮に適用するとしても新法施行後二回目の更新から適用すべきである、こういうことでございました。それから、正当事由に関する条文はこれは直ちに適用すべきである、こういうような答申がされたわけでございますけれども、このことにつきまして関係方面からいろんな反対の意見がございまして、委員御指摘のように、公明党の法務部会の諸先生方からも折に触れ機に触れいろんな機会に、これらの規定はもう全面的に適用すべきではない、つまり借地借家関係、既存のものにつきましては法律が新しくなりましても従前どおりの取り扱いを受けるということを明確にすべきであるというような強い申し入れがございまして、自由民主党の法務部会等でも御審議いただきました結果、最終的に、既存の借地借家関係には新法の更新あるいは正当事由に関する規定は一切適用しない、こういうことで法案が取りまとめられた次第でございます。
 なお、そのような点をあるいは誤解いたしまして、あたかも新法の規定が既存の借地借家関係に適用あるかのごとく言っているんな問題があるという御指摘でございましたが、この点につきましては後ほど大臣の方からお答えがあろうかと思います。
#130
○国務大臣(大塚雄司君) お答えいたします。
 既存の借地借家関係にも新法の適用があるがごときことを装って不穏な動きがあるという御指摘がございましたが、まだ具体的にそのような動きを承知はいたしておりませんが、もし仮にそのような事実があるとすれば、宅地建物取引業法の定めるところによりまして厳正に対処をしてまいりたいと存じます。あわせて、このようなことを周知徹底いたしまして、未然にそのようなことが発生しないように対処をしてまいる決意でございます。
#131
○及川順郎君 今の指摘の件は、ぜひ建設省当局としてもよろしくお願いをしたいと思います。
 総理に伺います。
 東京通勤圏一般勤労者向け住宅を今後十年間に百万戸建設するというこの公約につきまして、現在、需要供給の実態と、あわせまして用地の裏づけ等を明確にして、今後どう取り組むかという筋道につきましてどのように指示徹底をされて取り組んでおられるか、お伺いしたいと思います。
#132
○国務大臣(海部俊樹君) 東京圏に良質な住宅をつくって提供したいという住宅供給目標量を定める住宅供給基本方針を本年度中に策定するとともに、先般閣議決定しました住宅建設五カ年計画を着実に実施することによって構想の実現を図ってまいりたい、こう思っております。
#133
○及川順郎君 建設省に伺いたいんですが、この住宅宅地の供給の基本方針の中で、三大都市圏別に全体として七百四万戸建設計画、これを今月中に策定するといったようなこういう報道がなされておりますが、具体的な計画がございましたらこれをお示しいただきたい。
#134
○政府委員(立石真君) お答えいたします。
 大都市圏の住宅供給基本方針につきましては、いわゆる大都市法に基づきまして今年度中に策定すべく作業を進めているところでございます。この中におきましては、首都圏地域におきましては十年間に四百三十一万戸の住宅を、近畿圏におきましては百九十万戸の住宅建設を、そしてまた中部圏におきましては八十三万戸の住宅供給を図るべく基本方針を立てているところでございます。
#135
○及川順郎君 用地計画はどうなっておりますか。
#136
○政府委員(立石真君) 住宅地の供給の目標量につきましては、十年間に首都圏地域では二万七千五百ヘクタール、近畿圏におきましては一万一千二百ヘクタール、中部圏におきましては七千六百ヘクタールの住宅地の供給を目標とする予定でございます。
#137
○及川順郎君 いや、その数値はわかるんですけれども、具体的な見通しは立っているんでしょうか。
#138
○政府委員(立石真君) まず第一に、これだけの住宅あるいは住宅地の供給に当たりまして用地が確保できるかどうかということが第一の問題だと考えておりますが、これらの地域におきましては、既存市街地内の低・未利用地、あるいは市街化区域内農地、あるいは新しく計画的に開発する住宅地開発等によればこれらの用地を確保できると考えております。手だてといたしましては、国と地方公共団体が一体となって広域的に取り組む供給基本方針、供給計画を策定すること、そしてまた、都市計画あるいは財政、税制等の措置を講じてこれらの確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。
#139
○国務大臣(大塚雄司君) 先ほど総理にお尋ねの東京圏百万戸の裏づけでございますが、ただいま住宅局長からお話をいたしましたけれども、首都圏四百三十一万戸のうち建てかえで二百二十五万戸、そして新規のストック増として二百六万戸を想定しておりまして、その二百六万戸のうちの半分はいわゆる勤労者世帯、子供を持つ世帯の第五分位を除きまして供給する、したがって二百六万戸の半分の約百万戸を想定しているわけでございます。
 その百万戸の内訳は、今申しましたように、いわゆる低・未利用地の有効高度利用、特に今度は未利用地の特別土地保有税制度なども創設しておりますし、昨年、大都市法の改正や建築基準法や都市計画法の改正をいたしましたので、そういうようなもので供給をする。また、市街化区域内の農地につきましては、生産緑地法等の改正をやり、宅地化すべきものもしっかり位置づけて供給をするものを二十万戸。それから、いわゆる市街化調整区域などの計画的な開発で三十万戸。また、既存の既成住宅の中でのいわゆる建てかえ等の住宅供給を促進することで二十五万戸等、合計百万戸を想定しまして、東京圏十年間百万戸ということを総理からお話をしたとおりでございます。
#140
○及川順郎君 どうも今までの説明を聞いておりまして私は胸に落ちないんですけれども、普通、住宅をつくるというのは、まず住宅を必要とする人が何人いるか、そして住宅は何戸必要だ、そのうち公的住宅は何戸建てる、そのために土地はどのぐらい必要だ、そしてその土地取得についてはこういう手だてでできる見通しがある。これはどれが欠けても、ただ数を示してこのぐらい建てたい建てたいと言うんだったらこれはだれでも言えますよ。そうじゃなくて、要するに需給の実態をきちっと定める、それで土地がどのくらい必要だ、その土地はこういう手だてでもってつくるんだということを示さなければ国民には胸に落ちません。こういう計画をきちっと立てていただきたいと私は思うんですが、どうですか、この点は。
#141
○国務大臣(大塚雄司君) 今日までの住宅供給で全国に四千二百万戸の住宅がございます。世帯数が三千八百万世帯でありますから、質の問題は別として戸数としては充足をしておるわけでございまして、いわゆる質的向上を一方で図りながら、どなたもいい住宅に住みたいわけでありますからそれらの住宅需要におこたえをしていくということに尽きると思います。
 経済動向やら、今お話しの土地の問題の手当ても大変厳しい環境にございますけれども、当面の五カ年間は七百三十万戸で、その中に公的な住宅、住宅金融公庫の融資や公共賃貸住宅や公団住宅等々を含めましてともかく三百七十万戸を供給しよう、このことによって対処ができるであろう。当然その戸数を充足するための宅地は必要でありますし、その宅地につきましても、かなり高度の利用で建てる分と割合に中層で建てる分と戸建てと、いろいろさまざまございますが、そのニーズに応じた土地の供給を当然のことながら計画的にやってまいる、こういうことでございます。
#142
○及川順郎君 私はまだ理解がすとんと胸に落ちないんですけれども、今度計画を立てるときに、今申し上げました内容、つまり需要供給計画がどうなっているのか、これを明確にしていただいて、用地をどういう手だてで、その見通しはついているか、これをきちっと踏まえた計画を出した上でまた御議論をさせていただきたいと思います。
 もう一点は、非常に大事なことは、一般サラリーマンが通勤圏で自分たちが借りられるような安い公営住宅を期待している。これに対して、果たして今建てようとしている公的住宅は期待にこたえられますか。それを前提として計画を建てておられるかどうか、この点を確認しておきたいと思います。
#143
○政府委員(立石真君) 大都市地域において住宅問題を解決していく上では、公的住宅の果たす役割は重大であるというように考えているところでございます。先般閣議決定されました第六期住宅建設五カ年計画におきましては、総住宅建設戸数七百三十万戸に対しまして、この過半である三百七十万戸を公的資金による住宅建設と考えているところでございまして、公的住宅の役割を重視した内容となっております。
 第六期の住宅建設五カ年計画の初年度であります平成三年度の予算におきましては、借上方式による公共賃貸住宅の供給促進、住宅金融公庫融資、農地所有者等の賃貸住宅制度の拡充等によります良質な民間賃貸住宅の供給促進、住宅金融公庫融資の「はじめてマイホーム加算」など住宅取得を促進する等の新しい制度が組み込まれているところでございます。これらを通じまして公的な住宅供給を積極的に推進して、中堅勤労者に対する住宅需要に対応していきたいと考えているところでございます。
#144
○及川順郎君 どうも質問に対して答えてないんですよ。一般勤労者が借りられるような公的住宅を提供する、こういうところで設問しているわけですから、そうすれば、一般サラリーマンの平均給料がこのぐらい、住宅費はこのぐらい、これから建てようとする家賃はこのぐらいで上がります、これを示していただければいいわけですよ。どうですか、その点。
#145
○国務大臣(大塚雄司君) 先ほど来お話を申し上げております住宅の供給につきましては、確かに地価高騰によって家賃の低い住宅を供給するのには大変な困難が伴いますけれども、土地基本法の制定をしていただき、公共の福祉を優先するということのコンセンサスの中で何とか地価を少しでも下げることによって可能にしてまいりたい。当面の目標を年収の五倍から六倍程度の分譲住宅、賃貸料を年収の二〇%以内で供給ができる住宅を目標に、ともかくあらゆる努力を傾注して実現をしてまいりたい、このように考えております。
#146
○及川順郎君 じゃ、その計画が出たときにまた議論をさせていただきたいと思います。
 東京一極集中から多極分散の国土形成という中でやはり住宅用地がどういう位置づけになっているか、この点は非常に関心のあることろですが、国土庁長官、この点についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
#147
○国務大臣(西田司君) お答えを申し上げます。
 ちょっと最初にお話をしたいのでございますけれども、御承知のように、東京一極集中を是正して多極分散型の国土を形成していく、それは均衡ある国土の発展をつくり上げる、こういうことが四全総の中でも国土政策の大方針として定められておるところでございます。御質問でございました一極集中是正という問題につきましては、土地対策の上からもこれは大変基本的な問題だ、私はこのように考えておるわけでございます。
 そこで、国土庁といたしましては、四全総の中でも触れられておるわけでございますけれども、これから多極分散型の国土を形成していくためには、地域、地方が主導で、そして地域の持っておる特性や機能や考え方、そういうものを十分に発揮したもので地域づくりをやっていこう、こういうものと私は運動をしていかなければいけない問題だ、このように考えておるわけでございます。
 具体的なことといたしましては、委員も御承知のとおり、行政機関の七十九機関をまずひとつ地方へ分散していこう、そういうことに現在取り組んでおります。また、振興拠点的なものをつくりまして、そこへもひとつ東京からいろいろな機能というものが分散をしていくことを誘導していこう、こういうことをやっておるわけでございます。そのためにも、現在各省庁で政府一体になりまして、交通の問題であるとか情報通信の問題であるとか、そういう基盤整備を進めておるところでございます。そうして良好な住環境をつくり上げられる東京圏域内の土地対策を積極的に進めていきたい、このように取り組んでおるところでございます。
#148
○及川順郎君 この点についても、国土庁長官、ぜひ宿題にさせていただきたいと思っております。住宅用地の位置づけをどうするかということは、これは非常に重要な問題でございますので、多極分散の中で住宅用地をどう位置づけるか、東京一極集中の是正、これとあわせましてぜひ今後の課題として検討をお願いしたい、こう思っております。
 それで、あわせまして、この東京が非常にいつも話題になるわけでございますが、東京都内に人が住めなくなってきている、だんだんだんだん、一般サラリーマンは三十分以内なんというところは非常に少ない、一時間半、二時間かけて通勤しているという状況の中で、これは非常に国家的ロスですね。やはり職住隣接、これがこれからの時代の中で住宅を考える大事な視点になると思います。一つの例として東京臨海副都心の利用なんかを考えましても、これは住宅用用地としてぜひ使わしてくれと、これは国として申し入れを東京都にやってもよろしいのではないか、こういう感じもするわけですけれども、これは建設大臣、国土庁長官、お二人はどのようにお考えになっておられますか。
#149
○国務大臣(大塚雄司君) 今先生御指摘のように、都心が過疎になり、職住近接の逆をいっている現状でありますから、当然のことながら都心に住宅を供給するということは極めて重要なことでございます。その土地の供給につきましては、未利用地の活用もございますし、また、都市計画法の中でいろいろ規制があるわけでありますが、過般都市計画中央審議会にもいわゆる経済社会の変動に伴う都市計画のあり方を諮問いたしまして、土地が有効に使えるような工夫もいたしているところでございます。
 今御指摘の臨海地につきましては、六十三年ごろから、建設省といたしましては、少し住宅の比重が少ないというので東京都にも申し入れをいたしまして、当初四万人程度であったと思いますが、現在六万人台にふやしてくれておるわけでございまして、そういうことを考えますと、今後の計画の中で少しでも住宅をふやしていくことは決して不可能ではない。これらの問題につきましては挙げて地方自治体がまずお決めになることでもございますから、皆様の御意向を踏まえながら対処してまいりたいと思っております。
#150
○国務大臣(西田司君) 今臨海副都心の計画についての御質問がございました。住宅その他の公益的機能を持たしていくということは、このような大プロジェクトの中では大変重要なことだと考えております。建設大臣もお触れになりましたけれども、委員も御承知のとおりでございまして、事業主体が東京都でございますので、ここでいろいろな計画というものが立案をされて、御相談があったときには御趣旨を体しながら機敏に対応していきたい、このように思っております。
#151
○及川順郎君 文部省に伺いますが、国立大学は東京都内にどのぐらいありまして、その敷地面積はどのぐらいございますか。
#152
○政府委員(前畑安宏君) 東京都区内に所在いたしております国立大学は、東京大学、東京医科歯科大学、東京芸術大学、東京工業大学、東京商船大学、東京水産大学、お茶の水女子大学、それから東京外語大学でございまして、総面積は、ちょっと今正確な資料を持っておりませんので失礼ですが、約二百五十ヘクタール程度と記憶いたしております。
#153
○及川順郎君 私の資料では二百六十九・八ヘクタール。全部とまでいかないにしても、何も国立大学は東京に置かなきゃならぬという状況ではないわけでございますから、これを地方の勉強しやすいところへ移して、そしてそこの跡地を利用して住宅という考え方はございませんですか。この点についての御所見を承ります。
#154
○政府委員(立石真君) 国公有地につきましては、今後の土地対策の重点実施方針、平成元年十二月に決められたものでございますが、さらに総合土地政策推進要綱、平成三年の一月に決定されたものでございますが、これらにおきまして公共的住宅プロジェクトの用地等として活用を図ることとされているところでございます。
 国立大学の移転跡地等につきましても、住宅適地につきましては移転の具体化にあわせましてこれらの方針に沿って活用が図られるように、建設省の側からも努力してまいりたいと思います。
#155
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 昭和六十三年七月の閣議決定におきまして、東京都区内の国立大学等のうち東京外国語大学ほか六機関が移転対象機関とされ、その他の国立大学等におきましても文部省において別途検討することとされているところであります。これを受けまして、目黒区所在の宇宙科学研究所につきましては、既に平成元年四月に神奈川県相模原市に移転を完了したところであります。また、北区所在の東京外国語大学及び同大学附置アジア・アフリカ言語文化研究所については府中市へ移転を予定しており、移転候補地の所在する地元地方公共団体等におき調整が整い次第速やかに移転する所存であります。
 なお、大学等の敷地につきましては、それぞれの大学におきます教育、研究等のあり方に深くかかわるものでありまして、各大学等の自主的な判断を尊重する必要もあるため、関係大学等に対し閣議決定に沿った学内での適切なこの検討方を要請しているところであります。文部省といたしましては、今後とも閣議決定の趣旨を踏まえ各大学等に対しまして検討を促してまいる、このように考えております。
#156
○及川順郎君 国土庁長官、よろしいですか。
#157
○政府委員(藤原良一君) お答えいたします。
 大都市地域の国公有地につきましては一応国土庁が総論的に調整するという立場でございますので、現在政府としてどういう方針で取り組んでおるかということを若干御説明させていただきたいと思います。
 特に需給が逼迫しております大都市地域等において、国公有地を含め低・未利用地を有効に利用していくということが土地対策上も大変大切であります。そこで、総合土地政策推進要綱におきましても、低・未利用地の実態把握に努めるとともに、昨年新たに創設されました遊休土地転換利用促進地区の指定とか必要な用途地域の見直し等の都市計画の活用や再開発事業による基盤整備の推進、そういったことによりましてこういった低・未利用地の有効利用を促進することにしております。
 また、国有地につきましては、現在鋭意その使用状況を点検しておりまして、点検結果を踏まえて、都市施設、都市再開発あるいは公共的な住宅プロジェクトの用地として有効に活用を図っていくということとしている次第であります。
#158
○及川順郎君 運輸省に伺いたいんですが、旧国鉄用地で清算事業団が処分売却を予定しているところは、東京圏それから三大都市圏でどのぐらいの面積がございますか。
#159
○政府委員(大塚秀夫君) 首都圏、東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県で約五百二十ヘクタール、近畿圏で約三百六十ヘクタール、中部圏で約百ヘクタールでございます。
#160
○及川順郎君 かなり広大な用地になるわけでございますけれども、東京の汐留駅跡地、それからドイツのケルン市のゲレオン国鉄貨物駅跡地の再開発を比較いたしますと、価格の面、それから国情は違いますけれども、その用途に基づいて土地価格に差をつけるというような配慮をドイツはしている。今、日本国内における対応というのは、そういう配慮がなされているということは余り耳にしない。ですから、この旧国鉄用地の利用につきましても住宅用地としての活用を積極的に考えるべきではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#161
○国務大臣(村岡兼造君) 清算事業団の用地につきましては、もしこれを住宅用地として用いる場合は、地方公共団体あるいは住都公団、これが随意契約で売却できるということになっております。既に実績もございまして、三大都市圏で十四件ございます。そして、今後主に予定しているのは千葉、埼玉、東京三カ所などでございますが、二万三千平米とか二万七千、いずれも住都公団あるいは埼玉県住宅供給公社あるいは勤労者住宅協会、こういうものなどに今後予定をいたしております。したがいまして、そういうような地方公共団体から、住宅にする、こういうような御要請があれば適切な価格で売却をしていきたい、こう思っております。
#162
○及川順郎君 これは地元から上がってくるのを待っているのではなくて、むしろ国がそういう方向へ指導していくぐらいの強い姿勢で臨んでいただきたい、こう思うわけでございます。
 まだたくさんありますけれども、このように検討してまいりますと、昨年我が党の国有地総点検委員会が実態調査を行いましてこれをもとに総理にも申し入れをいたしましたけれども、国有地の利用ということの中で宅地の取得ということはまだまだ工夫をすれば道がある、このことを私は申し上げたいわけです。そして、その中で一般サラリーマンが購入できるような、あるいは借りられるようなそういう安い住宅を供給するというのは国の責任ではないか、このように思うんです。したがいまして、こういうような点を一つ一つ検討いたしまして、やはり住宅政策に対する理念、その責任、これを明確にする立場から基本法の制定はこれは喫緊の課題である、このように思うのでございますが、住宅に関しての最後のまとめとして住宅基本法制定に対する取り組みを大臣に承っておきたいと思います。
#163
○国務大臣(大塚雄司君) お答えいたします。
 今日まで公明党から、住宅基本法について制定すべきであると御要請がたびたび寄せられております。特に土地基本法の制定のときには私は衆議院で委員長をやっておりましたが、そのことも十分承知をいたしておりますが、住宅政策の目標、国や地方公共団体の責務、住居費の負担の考え方、あるいは居住水準等の問題につきまして、いまだコンセンサスが形成されていないと思っておるところでございます。しかし、政府としては、これまでは住宅建設計画法に基づきまして、今回もお示ししております五カ年計画を策定して国民の居住水準向上の目標を明らかにしながらやってまいりましたわけでございまして、特に総合土地政策推進要綱に基づきまして大都市地域において御指摘のような住宅も建てていこうと懸命に努力をしているところでございます。
 御趣旨についてはよく理解をしておりますが、なお勉強させていただきまして努力を続けたいと考えておるところでございます。
#164
○及川順郎君 勉強しているとかなんとかというそういう言い方ではなくて、これはもう積極的にその必要性を認めて取り組む、制定する、こういう姿勢が欲しいですね。これはもうぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それから次に、生活者保護と企業、行政責任に関しまして質問したいわけでございますが、既に廃棄物処理等につきましての質問はきのう出ましたので同じようなことの繰り返しは避けますが、一、二点この点で確認をさせていただきたいんです。
 私も地方自治体の御意見をずっと聞いていく中で、自治体での意見をそのまま申し上げますと、このごみ、廃棄物処理に対して、地方自治体に具体的な作業も責任もおっかぶせて国の責任が全然明確になっていない、こういう意見が非常に強うございました。それから事業者の責任も非常に緩い、もうこんな状況では地方自治体はパンクすると、こういうお話がございました。この国の責任体制、地方自治体、事業者の責任体制という中で、これは建設大臣と通産大臣、ぜひお二人に御意見を賜りたいと思いますが、あわせて地方自治体の廃棄物処理センターに対する、これは県単位で計画があるんですが、これの国の助成をぜひ拡大していただきたい。この点につきましての担当省の御説明を賜りたいと思います。
#165
○国務大臣(中尾栄一君) 率直に、リサイクルの問題でもございますから私の省からお答えをさせていただきます。
 まぜればごみ、分ければ資源というようなことがございますが、リサイクルにつきましては、まず廃棄物が出てくるところで取り組むことがまことに肝要である、これはもうきのう来の討論の中にもあったわけでございますが、このような意味で、幾つかの地方自治体で見られるような分別回収等が大いに評価をされているところでございます。
 通産省としましては、従来からクリーンジャパンセンターというものが財団法人でございまして、そこを通じまして再資源化技術の実証、実験の各種の先導的な事業の実施について助成を行っているわけでございますが、必要に応じまして地方自治体とも協力し合っているわけでございます。
 ただいま委員がもう少し国の助成の問題、補助の問題、もっと考えるべきではないかという問題がございましたが、今後ともそういう意味におきまして、以上の事業の実施に加えまして、リサイクルを促進するための空き瓶等の回収のモデル事業の実施等に当たっては地方自治体とさらに密接不可分な関係を持たなくてはいけない。そして、これらの事業の成果の普及によって他の地方自治体による再資源化への取り組み方を側面から支援していかなければなるまいと、このように考えているわけでございます。
 また、国の問題といたしましては、多少違う観点になるかもしれませんが、まず国会に現在提出しております再生資源の利用の促進に関する法律案におきまして、事業者は再生資源を原材料として利用するということ、みずからが製造する製品が再生資源として利用されやすくなるように努めることが肝要である。また、国そのものが再生資源の利用を促進するために必要な資金の確保、科学技術の振興等の措置を講ずるように努めること。あるいは、三点目になりましょうか、地方公共団体は国の施策に準じて再生資源等の利用を促進するよう努める、こういうようにしているわけでございまして、以上のように事業者、国、地方公共団体の関係者のそれぞれの役割に応じた努力を通じまして再生資源の利用というものの一層の促進を図っていきたい、このように考えておる次第でございます。
#166
○国務大臣(大塚雄司君) 建設廃棄物の処理につきましては、年々その排出量もふえてまいりまして、その中間処理のための施設やあるいは最終処分場の確保が困難になっておりますことから、大変に苦慮をいたしておるところでございます。
 しかし、今通産大臣からもお話しのように、建設省でも総合技術開発プロジェクトをつくりまして廃棄物の再生利用の技術の開発をさらに進め、また廃棄物の減量計画を立てる等々、今後とも廃棄物の処理について可能な限りの処理ができるように努力をしてまいりたい。
 特に、公共投資のこれからのことを考えますと非常に大事でございます。特に東京圏におきましては、廃棄物を捨てる場所がないので、地方へあるいは内陸に捨てるというような事実もございまして、大変に遺憾に思っておるところでございます。今後早急に廃棄物の最終処分場を確保するための努力をしてまいりたい、このように思っております。
#167
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 問題点は二点だと思いますが、第一点は、国、地方、事業者の役割、責任の分担の問題でございます。今度の改正案では、従来の国、地方、事業者の役割、責任分担の基本は変えないという形で進めております。市町村において処理が困難な廃棄物について製造者に処理に当たって協力を求めることにいたしておりますし、また産業廃棄物の最終処分場の確保を業務の一つとする地方公共団体も出資した廃棄物処理センターの指定制度を創設することにいたしております。
 また、この指定されました処理センターは、市町村の委託を受けて特別管理一般廃棄物及び市町村による適正な処理が困難な一般廃棄物の処理施設を建設しそれらを処理すること、特別管理産業廃棄物及びその他の産業廃棄物の処理施設を建設しそれらを処理することなどを目的として地方公共団体及びその他のものが基本財産を拠出して設立した財団法人を厚生大臣が指定するものであります。ここにおきましては、基本財産に地方公共団体から拠出があること、それから一般廃棄物処理施設の建設に係る国庫補助及びNTT・Bタイプの融資が直接交付されること、事業者等の出捐による基金を設ける等によりまして、財政的に安定した事業が行われるよう配慮した次第でございます。
#168
○及川順郎君 今のままの財政支援を変える方向ではないということでございますが、現場の声を十分酌み取っていただきまして、今後の課題としてはぜひこの国の財政支援に対して格段の努力をお願いしたい、このことを要望しておきたいと思います。
 なお、今の廃棄物処理につきまして、事業者の責任ということが非常にあいまいになってきている。つくって売ってしまえば、後は事業者は責任はないという状況であっては困るわけでして、やはり製品の最後行き着くところまで事業者は応分の責任を負うべきだ、こういう考え方を強く持ちまして、事業者の責任ということに対してどのよつな取り組みをしていくか、具体的な構想がありましたら担当省の方からお伺いしたいと思います。
#169
○国務大臣(下条進一郎君) いかなる場合におきましても、事業者がきちっと責任を持って対処することが基本でございます。
 今回の廃棄物処理法の改正案におきましては、第一に、廃棄物の減量化、適正処理確保のために、排出事業者に国や地方公共団体の施策に協力する責務を課すことにいたしております。
 また第二点といたしまして、事業系一般廃棄物、一般のオフィスから出るものでございますが、多量排出業者には、減量化計画の策定、市町村への協力義務、処理に要する費用に見合った手数料を設置いたします等の措置を講じることにいたしております。
 また、産業廃棄物の多量排出事業者に処理計画を策定させる、さらにまた廃棄物の不法投棄の防止のため排出事業者の委託基準の強化や措置命令の強化など排出事業者の責任を強化することといたしております。
 なお、製造業者等に対しても、適正な処理が困難な廃棄物につきましては、製造業者等に市町村長が処理に当たって協力を求めることができることといたしております。
 このように、今回の改正は企業の責任を十分果たしていただく内容となっているものと考えております。
#170
○及川順郎君 大臣、今の企業がその取り決めに応じなかった場合、どのような処置になりますか。
#171
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 企業の協力はいろんな段階であると思います。したがいまして、国が直接指導して各自治体が直接の管理に当たるわけでありますので、その段階で協力を要請するということに努める、こういうことでございます。
#172
○国務大臣(中尾栄一君) これはまだその段階の問題にまでは至っておりませんけれども、私は担当省といたしまして言えますことは、これは企業に責任がないわけではないんです。委員の御指摘のとおり、企業はそれによって大きく生産してもうける。もうけさせてもらったその廃棄物が残滓としてそのまま残ってそれが大きな迷惑をかける、汚染にもつながる、オゾン層にも大きな迷惑をかける、こういうようなことになりますると、かつての四十五年間の日本の経済というものの成長、発展もさることながら、そういうような残滓というものが今日多くの問題を抱えていることを考えますと、事業体には当然責任があるわけでございます。したがって、その問題については事業体が、おれはもうけたままでそのような大きな滞貨物はそのままにしておいてくれというものでは、それはもう話になる話じゃありません。
 したがって、この問題についてはきちっとした我々自身の体系の中で法案整理などをしながら、それに対してペナルティーをかけるなりあるいは税制をかけるなり、いろいろな面でもって工夫していくことが今から完全に大事なことである、私はそのように思っておるわけでございます。そのような方向で通産省としましては考えていきたいものだなと、私はこのように思っております。
#173
○及川順郎君 ぜひ尽力をお願いしたいと思います。
 経済企画庁長官に伺いたいんですが、事業者の責任ということで製造物責任法の制定が非常におくれている。長官は就任のときのインタビューでも大変前向きの姿勢を示して、我が党内でもこの点は消費者保護の立場からぜひやるべきだという声が非常に強い中で期待を持っておるわけでございますが、この法制定についての取り組みを伺いたいと思います。
#174
○国務大臣(越智通雄君) 先生御指摘のように、製造物責任制度につきましては、アメリカが約三十年前からやってございます。ただ、十年ぐらい前からかなり問題が出てきて反省期に入っておりますが、ヨーロッパの方はここ五年ほど前からできてきておりまして、EC十二カ国中八カ国、EFTAの方では六カ国中三カ国ぐらいができまして、やはり経済の統合をする上では、商品の欠陥が消費者に損害を及ぼした場合にメーカーサイドが過失の有無を問わず責任を負うという制度が確立していないと経済としてもいけませんし、消費者の保護も均てんいたしませんので、つくっていく。
 こういうことから、実は我が国におきましても昭和五十年代から累次検討を重ねてきまして、国民生活審議会という場でございますが、これが二年に一遍といいますか、二年任期の審議会でございまして、昨年の暮れに前期が終わりますときに、次期審議会において立法化を含めて総合的検討をするようにと、いわば宿題が申し渡されて今期の審議会がスタートいたしておりますものですから、国民生活審議会にございます二つの部会のうちの一つ消費者政策部会に、私になりましてから二月にこの製造物責任制度についての小委員会を発足してもらいまして、名古屋大学法学部の森嶌教授を中心に二十二名、消費者代表三分の一、製造側三分の一、法律家と申しますか三分の一ということでスタートいたしました。
 ただ、こういう審議会は委員の方々の自主的なスピードでやるということなものですから、いつごろというのを私から確定的に申し上げられませんけれども、本格答申はそれは二年の審議会の中だと思いますが、中間答申をなるべく早く、もちろん年内に出していただきたいと。ただ、先生も御存じと思いますが、挙証責任の中の推定規定の置き方とか、あるいは製造物の中でも、公明党のおつくりになった分と日弁連とでは、例えば農産物とか不動産では全然逆になっておるわけでございまして、調整をしなきゃならぬ点が約五点ぐらい非常に大きいものがございまして、二十回以上開かないとなかなか結論に至らないのじゃないかというので、できるだけ早くやっていただきたいと森嶌小委員長初め皆様によくお願いしているところでございます。
#175
○及川順郎君 総理、この制度に対する所見はございますか。
#176
○国務大臣(海部俊樹君) 製造物責任というのは、これは民法の中における責任と、その結果に対して原因を問うのか、いろいろ問題がございます。今企画庁長官が申し上げましたようにその向きの専門家に御議論願っておるのでありますが、公明党の御意見やあるいは弁護士会の御意見やいろいろそういったものを踏まえて、明確な製造者責任制度というものの方針が具体的に決まりましたならばそれに従ってまた政府として対処していくわけでありますが、ただいまのところは合意を得るような努力をしておる、こういう段階でございます。
#177
○及川順郎君 ぜひこれは制度確立に向けて格段の御尽力を賜りたいと思います。
 次に、看護婦不足問題で、さきに我が党書記長質問の中で、三月末ごろをめどに新しい資料で需給計画をおつくりになるという答弁がございました。その内容を、取り組みの渦中であると思いますので、厚生大臣、私はある医科大学の附属病院で現場の声を三つの視点からまとめて聞いてまいりました。この一つ一つの項目を端的に申し上げますので、これに対する所見を承りたいと思います。
 まず、看護婦さん自身の問題意識としまして、一つは看護婦の社会的評価の向上、それから二つ目は看護婦の地位向上、それから三つ目として医療高度化に伴う知的質的向上、それから患者の多様化に対応できる人間性の向上について自分たちも非常に悩みながら取り組んでいるという、そういう感じを強く受けました。この点に対して行政側としてどのような対応をなされておられるか、まずこの点を承りたいと思います。
#178
○国務大臣(下条進一郎君) 患者を扱い、治療の非常に重要な責任を分担しております看護職の人員の確保の問題は非常に喫緊の問題でございます。
 先ほど委員がおっしゃいましたように、この問題についての具体的な需要供給の数字をこの前衆議院の方で御党の方からお尋ねがありまして、目下その方式を検討していると申し上げました。おおよそめどが立ちつつございまして、今月中に各都道府県に連絡を申し上げて、御協力いただいて今の結果の数字をまとめたい、こう考えておるわけでございます。
 そこで、今お尋ねの看護婦あるいは看護士を含めた看護職の方々の意識でございますが、その方々がやはりプライドを持ってこの仕事に当たることができるようにということは当然でございまして、その意味において、大変に御苦労をかけている面もございますので、看護職のお仕事とそうでないお仕事とのはっきりした分け方を各地においてやっていただくように指導をいたしておるわけでございます。あわせまして、今看護の方々がやはり望みとそれからまたプライドを持って当たっていただく一つのきっかけといたしまして、来る五月十二日に看護の日というのを決めまして、ここで一つの大きなイベントをやり、また皆様の御理解も深めていこうという計画をやっております。その他日常におきましてもいろいろと研修の機会も積み重ねております。
 なお、やはり生きがいとして勤務のしがいという点から申しますと、やはり勤務の時間の問題もございます。それからまた、給与、手当の問題もございます。この問題に対しましては、昨年一般の看護職の方々に対しましては、診療報酬の中でおおよそ一〇%程度の給与の引き上げを図った次第でございます。それからまた、勤務日数、時間等につきましても、今これはばらつきがございますけれども、そのばらつきを見ましても、全体的に平均的に指導の線よりは高目に出ておりますので、これはやはり人を補充し、そしてまた御協力をいただいて、早く指導の方針の線に沿うように鋭意努力しているところでございます。
#179
○及川順郎君 もう二つの視点で意見をまとめてみますと、一つは看護業務体制とその業務評価の問題点、一つは基準看護の改革、あわせまして中には医療機器の管理等について無評価の部分があるという、こういう問題の指摘がございます。それから、看護指導料の経済評価、これが根拠に問題があるのではないか。それから三つ目は、外来の看護料は無評価である。これはゼロだというんですね。それから、手術室の看護料はこれも経済評価ゼロ。これは厚生省の見解は手術料の中に込み込みであるというぐあいにとっておられるんですけれども、これもやはり現状に合っていないのではないかといった指摘がございました。
 それからもう一つは、今度は看護婦の待遇改善の問題ですけれども、これは看護婦定員と診療報酬に対して現状が見合っていないという状況の中でどういうぐあいに改めていくのか。こういう点に対しては既に要望が出ている中で、厚生省の取り組み、どう改革するのかということに対する期待感が非常に強かったということが感じられました。それから、特殊業務に対する報酬評価が少ない。それから、看護婦さんにとりましては無形の心理的看護報酬、患者のいろんな要望を聞いてあげたりその気持ちになってアドバイスをしてあげたり、こういう心理的看護報酬、これの評価が非常に低いという問題点がある。それから四つ目は、平均的に給料が低い。特に一般事務系と比べまして、同じ女性の職種で二十五歳を境として看護婦の給料というものがずっと横ばいで低くなってしまう、こういう状況では幾ら不足の中でこれを何とか伸ばそうとしても伸びる状況ではない。もう一点は、病院に保育所の併設を望む声がございます。
 これらの点についての改善に対する反映をぜひお願いしたい、このことを思うんですが、御所見を承りたいと思います。
#180
○国務大臣(下条進一郎君) 今の看護婦さんの仕事の評価の問題でございますけれども、これは入院の場合の看護婦さんの評価はそれ相応に出ておるわけでございますけれども、手術とか外来とか、そういった場合の評価が実際は非常に決めにくいということで特掲されていないというのは、今委員おっしゃったとおり現実でございます。この問題は今後の一つの研究課題として慎重に検討してまいりたいと思っております。それから給与の点は先ほど申し上げました。
 それから今の、どのようにそれが決まっていくかということでございますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、一般の看護婦さんの場合には、診療報酬の改定の時期に看護の料金をある程度算出いたしましてそれを引き上げるというような計算をいたしておりまして、昨年の改正のときには一〇%という計算で上げたわけでございますが、その後、今度は病院に参りますと病院の経営の中でこれは配分されるということでございますので、私の方の計算とあるいは現場の計算と必ずしも一致するわけではございませんけれども、おおよそそういう基準を念頭に置かれながら、それぞれの診療所、病院において具体的な実情に合っこ形での報酬が決められる、こういうことになっておるわけでございます。
 それから、ほかと比べて低い高いという問題でございますけれども、これも我々といたしましては、どの部分の職種と比較するのが妥当であるかということでございますけれども、今のところ看護職と比較いたしまして、例えば医療に携わっておりますところの第一種、第二種それから第三種ということになって、おおよそその関係のほどほどの兼ね合いで決まっておりますし、それからまた、ほかの研究職あるいはその他の病院に関係する方々とのバランスというもので考えました場合には、今のところほどほどのところで決まっているのではないか、このように考えておるわけでございます。
#181
○及川順郎君 ぜひその点は含んで今後尽力を賜りたいと思います。
 私のところへお手紙をちょうだいしました。身障者の方ですが、障害年金の受給者で、五十六年七月三十一日で停止になって、その後病状がもとのように悪化したけれども三年間の失権で受給できなくなった、こういうお話がございました。この失権の問題について、まず基本的な考え方を承りたいと思います。
#182
○国務大臣(下条進一郎君) ただいまのは国民年金法第三十五条二号の失権規定のことだと思います。このことは、委員御承知のように、受給権者の障害の程度が当時認定した後だんだんと軽くなっていったという場合に、障害基礎年金を支給する程度の障害の状況でなくなったと新たに判定された場合には、直ちに受給権を消滅させるというのではお気の毒であるということで三年間の猶予期間を設けておるわけでございまして、その障害の状況を観察する期間として年金の支給のみを停止し、その間に受給権者の障害の程度が悪くなったときはそのときから再び障害基礎年金を支給する、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 障害の状況の観察期間を三年間といたしましたのは、通常、障害基礎年金の支給の要件に該当しない状態が三年も続けば再びもとの症状の状態に戻るというケースは極めてまれであるという過去の例を参考にして決めたわけでございます。しかしながら、精神障害や内部障害の場合に三年を超えて再発するケースもあるということを指摘されておりますので、今後傷病の実態を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
#183
○及川順郎君 今までの改正の経緯から考えますと、非常にこれはやはり法の谷間といいますか、こういう感じを強くするわけでございますけれども、救済策はないんでしょうか。
#184
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま御説明申し上げましたとおりでございまして、今の期間の問題等については今後検討してまいりたいと思っております。
#185
○及川順郎君 ハンディキャップを持った人たちが生存の権利を保障され守られるという社会、これはやはり人に優しい民主社会の基本である、このように思うんですね。したがって、この障害年金の失権に関する三十五条二号の削除、法改正を私は強く要望いたしたいと思いますが、これは厚生大臣、前向きにぜひ取り組んでいただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
#186
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほど御説明いたしましたようなことでありますので、今この段階で前向きというお答えはちょっとしにくいのでございますが、検討はさせていただきます。
#187
○及川順郎君 これはちょっと私は納得できません。
 総理、この問題について総理の考えを承って、私の質問を終わります。
#188
○国務大臣(海部俊樹君) 基本的に、私は厚生大臣が前向きの姿勢でいろいろ努力をしておることは日ごろ認めておりますので、その厚生大臣がいろいろ検討をしたいと言うのでありますからきっと誠実に検討すると思いますので、お見守りをいただきたいと思います。
#189
○及川順郎君 期待いたします。
 終わります。
#190
○委員長(平井卓志君) 以上で及川君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#191
○委員長(平井卓志君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
#192
○上田耕一郎君 まず初めに、前回お約束いただいた大塚建設大臣に対するリクルート献金についての調査結果を官房長官から御報告いただきたい。
#193
○国務大臣(坂本三十次君) 調査結果を御報告いたします。
 去る三月四日、私から建設大臣に対し、調査をすることになったので誠心誠意御協力をお願いしたい、ひとつ大臣の全責任で徹底した調査を行い御報告を願いたいと要請し、大臣から全面的に御協力いたしますと回答を得ました。その後、私のスタッフが大臣スタッフからいろいろとお話を聞かせていただき、国会で御指摘のあった口座の該当月日の写しも提示いただき、調査の結果、指摘されたような入金事実はなかったことが確認され、私にもその旨の報告がございました。
 また、三月十五日に私と大塚大臣とが会いまして、大塚大臣より、私の全責任で徹底した調査を実施しましたが、指摘された月日における入金事実はなく、その前後における入金も他の口座に対する入金も一切ございませんでしたという報告をいただきました。その際、私より同大臣に対し、絶対に間違いはないのですね、指摘された以外のものも含めて一切なかったということですねと念押しをさせていただき、同大臣より、出処進退をかけて絶対にございませんとの回答を得ました。
 以上、報告です。
#194
○上田耕一郎君 大塚さんにお伺いします。
 建設委員会でもお伺いしたんですが、あの建設委員会の夕方TBSテレビで、疑惑として浮上した四千万とは別に、一千万円の裏献金が東京都台東区にある有力地方銀行東京支店の口座で数回あったという報道がありましたが、このことについて。それからもう一つ、あなたは記者会見で、政治資金については第一勧業銀行に口座があると言われたと報道されていますが、この二つについてお伺いします。
#195
○国務大臣(大塚雄司君) 御指摘のことは建設委員会終了のときに取材がございましたが、私は、全く知らない銀行の名前に私の知らない名前で入っておるということを聞かれて実はびっくりしたわけでございます。
 ただいま官房長官に御報告を申し上げました内容がここで御報告されましたが、私は誠心誠意それらのものも含めて総点検をいたしまして、一切そのような事実はない、こう御報告を申し上げたわけでございます。
   〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
加えて、記者会見のときに固有の名詞の銀行の名前が出ましたが、これは私の政治資金の関係ではなくて、私個人のその取引は、先ほど御指摘の衆議院支店にもございますけれども、他に家庭の者を含めたのが第一勧銀にあるということを申し上げたのでございまして、これは個人的なものでございます。
#196
○上田耕一郎君 官房長官にお伺いします。
 大臣の関係者に会ったと言われましたけれども、もうやめられた元秘書でこの資金担当をしていた筒井ハル代さんにはお会いになりましたか。
#197
○国務大臣(大塚雄司君) 私の事務所のスタッフがお会いをしたわけでございまして、今御指摘の元秘書は従前やめております。私は当然その者にもすべてを聞きまして調べましたが、何もないと。私はすべて秘書は信頼しておりますので、そのように申し上げたわけでございます。官房長官にお会いするということはございませんでした。
#198
○上田耕一郎君 大塚さんの政治資金収支報告書これを我々調査しました。八八年、政治団体の大雄会、筒井ハル代さん名義で百五十万円、同じく新都市問題研究会、あなたの政治団体、筒井ハル代さん名義で百五十万円。秘書から代議士が年間三百万円もらうというのは不思議なので、秘書の名義で三百万円入ったんだと思うんですが、これは個人献金として届けられている。この間明らかにしたように、この年にはリクルートから三百万円というのがあるんですね。合致するんです。このことをお聞きになりましたか。収支報告書にきちっと明記されている。
#199
○国務大臣(大塚雄司君) 私の秘書の、八八年というと何年か私、昭和何年になりましょうか。
   〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
そういう届け出をしているとすれば、当然その筒井が私に……
#200
○上田耕一郎君 六十三年。
#201
○国務大臣(大塚雄司君) 六十三年、私に献金をしてくれた。その辺の彼女の身分につきましては、ある程度の資産家でございますから、その辺のことは私からここで申し上げるわけにまいりませんが、そのようにありましたことはありましたとお届けをしたわけでございます。
#202
○上田耕一郎君 非常にあいまいな小さな声の言葉になっちゃって、やっぱり官房長官、この方が一番問題なんですから、三百万円が八八年でちょうど合っているんだから調査してください。
#203
○国務大臣(坂本三十次君) 私の調査は、大塚大臣の自主申告をあくまでももとにしてやるのです。私は検事でもなければ警察官でもありません。信頼関係に基づいて、そして一切の疑惑のないように話してくださいよという意味で信頼を申し上げて、そして一切なかったですねというところで念を押した。余りそのほかの細かいことなんて知りません。
#204
○上田耕一郎君 建設委員会でも大臣にお伺いしましたけれども、大臣も筒井さんから聞いた、何もないと。官房長官は大臣から聞いて、何もないと。ですから、これは客観的な証拠にならないんですね。これ、本気で調べる気がない。疑惑は深まったということを言わざるを得ない。
 次に進みたいと思います。
 湾岸戦争はイラクのクウェートからの撤退で終わりました。野蛮な侵略が破綻したということは非常に大きな意義があったと思います。その後に環境問題を初め巨大な惨禍が残ったんですね。国際政治は今回の湾岸戦争からの教訓をきちんと引き出して真剣に取り組まなければならないと思います。
 私どもは三月十五日に、「湾岸戦争の教訓に立ち中東と世界に真の平和を実現するために――日本共産党の緊急平和・軍縮提案」を発表いたしました。全文は赤旗をどうぞお読みいただきたいと思います。
 要点を申し上げますと、まず第一に、イラクの侵略から湾岸地域の民族自決権を厳格に尊重して、戦後の復興も国連の責任のもとに行うべきだ。二番目、パレスチナ問題の解決、これが必要だ。三番目、国際的な軍縮、特にあの地域への武器輸出の禁止、大量破壊兵器、核兵器を初めとする化学兵器などの全面禁止。それから、いかなる紛争問題も平和的に解決しなければならない。中東並びに世界における軍事同盟、軍事ブロック、この禁止を目指さなければならない。日本は対米追随ではなく――首相、こういうところをよく聞いておいてくださいよ、対米追随ではなく憲法の平和原則と国連憲章の精神に沿った国際的貢献が重要である。日本の政府開発援助、ODA、これは武器輸出国への適用は禁止する。国連の平和維持活動、これは何ら新しい法律は必要なくて、非軍事的分野への貢献を日本は胸を張ってできるはずだ。日本の軍国主義化の危険な風潮の阻止、これがますます国民的課題になっている等の内容です。
 海部首相、政府としても方針を発表したようですけれども、湾岸戦争の教訓からどういう政策をとろうとしておられますか。
#205
○国務大臣(大塚雄司君) 次の御質疑に入ったところで恐縮でございます。
 先ほど個人名を挙げてのお話でございますから、彼女の名誉のこともございます。先ほどは私が明確に申し上げませんでしたが、彼女の御尊父が亡くなったときの遺産があって、私は決して裕福な政治家ではありませんから、ぜひ使ってくれと言って出してくれたことは事実でございます。それはそのとおりに報告をしたということでございまして、決してそれを私は隠す意思もございません。ただ、そのことは先ほど来の御指摘のこととは関係がないものでございますから申し上げなかったということでお許しをいただきたいと存じます。
#206
○国務大臣(海部俊樹君) 湾岸に平和が回復された、その後どうするかというお尋ねでありますが、私は今回の湾岸の問題を顧みるときに、やはり新しい国際秩序というものは、力で他国を侵略、併合しては絶対にいけないという大原則を共通の理解と認識としてこれを打ち立てていかなければならない、これが絶対の基本だと思うんです。
 だから、再びサダム・フセインのように自分の野望達成のために力でもって他国を侵略するというようなそういった指導者を安易に生み出さないためにはどうすべきかといえば、私は、イラクをあのような武力の突出した大国にしたのは、やはりそれなりの武器の移転や技術の移転をした問題をどうしても否定することはできません。したがって、我が国が取り組むべき今後の大きな問題の一つは、日本は平和国家として国際協調、そのもとにおいて二度と再びあのような事態が起こらないようにしたいという点からいけば、軍備管理や軍縮の問題について日本のイニシアチブでできるだけのことをしていかなければならぬ。
 きょう東京で、核兵器とか化学兵器まで運搬手段になるかもしれないと懸念をされたミサイルの問題についての関連技術の輸出を禁止するための国際会議を既に行っております。また、五月には国連と協調して京都で、百名近くの世界の専門家や指導者に集まってもらって、軍縮や軍備管理の問題について国際的に大きな枠組みをつくっていかなければならぬのではないか。それは当然国連に議論は移っていくわけでありますけれども、その第一回目の節目をつくって、そこで日本としての考え方も述べ、二度と再びあのようなことが国際社会に起こらないようにする環境整備の一つとして、今御指摘の軍縮問題、軍備管理の問題には積極的に取り組んでいきたいと思っております。
#207
○上田耕一郎君 中東に公正な安定した平和を築くためには、フセインの主張したリンクとは違うけれども、やっぱりパレスチナ問題の解決、これはどうしても避けて通れない問題だと思うんですね。国連決議二百四十二号、三百八十八号もありますけれども、パレスチナ問題の解決についての日本政府の方針を外務大臣にお伺いします。
#208
○国務大臣(中山太郎君) パレスチナ問題の解決というのは、中東の平和にとって避けて通れない大きな問題でございます。
 御案内のように、一九四七年に国連でパレスチナの分割決議が行われて、四八年にイスラエルの独立宣言が行われる。それに対してエジプト、シリアが攻撃をするといったような中東戦争が発生したのですけれども、この地域の問題は、日本の考え方として、イスラエルという国家の独立を認める、もう一方ではイスラエルが現在占領しているジョルダン川西岸地域、またガザ地域からのイスラエル軍の即時撤退と、パレスチナ人による民族自決権を認めて国家の創設を認める、こういうことが解決されることが極めて重要であり、各国に散らばっているパレスチナ人にとっても、このことの解決が中東の安定に極めて大きな貢献をするものである、私はこういう認識を持っております。日本政府もそのような方針で今後とも臨んでいく考えであります。
#209
○上田耕一郎君 そうしますと、七六年十一月に国連総会でパレスチナ国家の創建決議ができたんですね。あのときアメリカは反対して日本は棄権したんだけれども、なぜ棄権したんですか。
#210
○国務大臣(中山太郎君) 当時の国連決議はバランスを欠いておるということで日本政府は棄権をいたしたわけであります。
#211
○上田耕一郎君 そうしますと、昨年十二月六日、この中東和平の国際会議問題の決議が国連総会であって、イスラエルとアメリカだけ反対したんです。今のお話だと、ヨルダン川西岸、ガザ地区からイスラエルが撤退して、その後にパレスチナ国家創建というのは賛成なんだから、そのためには中東和平の国際会議が必要ですね。この主張をどうするか。あなたは今晩アメリカへ行かれるわけだから、アメリカが昨年反対したんだけれども、アメリカにも中東和平国際会議を開いてパレスチナ問題を解決せよという日本の主張をお述べになりますか。
#212
○国務大臣(中山太郎君) 中東地域の平和と安定のためには、やはりこの域内の国々のイニシアチブというものが極めて重要であることは言うまでもないと私は考えております。しかし、そのイニシアチブの中でパレスチナ問題というものの解決も避けて通れない。
 先般のサダム・フセイン大統領の提唱したいわゆるりンケージ論ですね、その問題とこれとリンケージするというわけにはいかない。つまり、分離してやっていくという考え方で日本政府は臨んでおりまして、我々は、これからの中東和平のためにはこの中東の平和のための国際会議の開催というものは、域内国のイニシアチブのもとに関係国も参加しながら協力をしていくということが極めて重要である、このように考えております。
#213
○上田耕一郎君 ぜひ対米追随でなしに進めてほしいと思うんですね。
 次に、総理、先ほど武器輸出・軍縮問題、かなり積極的に言われましたが、イラクの軍国主義がそれこそソ連、フランスなど、またアメリカもハイテク技術を輸出したんですけれども、それで非常に大きくなったという教訓から見ても、日本の武器禁輸三原則から見ても、外国に対する武器輸出はもう全面的に禁止するということを日本としても呼びかけるということをおやりになるつもりはございませんか。
#214
○国務大臣(海部俊樹君) 日本は日本の独自の政策として、武器輸出三原則というのを踏まえて世界に紛争を助長しないようにしなければならぬという意味で禁止をしてきましたけれども、大量破壊兵器と通常兵器の問題はこれは分けて考える必要があろうと思いますし、極めて実効あるものにしていかなきゃなりませんから、私は通常兵器に関しては、これはそれぞれの国の独自の自衛権の問題、もちろんバランスを欠くようなたくさんの輸出輸入を認めることはいけませんから、世界の機関でそれぞれ納得できるような公開性、透明性というものを高めていきませんと、武器製造能力を持っていない第三世界とか、自国の防衛のために最小限度必要なものをすべて輸入に頼っておった国の立場というようなものなどを今一挙に直ちに全面的にゼロということにするのはかえって秩序に混乱が起こる。
 そういった懸念もありますので、現実を踏まえて、透明性、公開性の問題を基準にして各国の識者の話し合いをしていくべきである、そういった考え方を提唱したいと思っております。
#215
○国務大臣(中尾栄一君) 委員にお答えいたします。
 ただいま総理が申し上げましたように、三月十八日からきょう二十日までの間、ミサイル関連技術の拡散に関する専門家会議を開いているわけです。そこで、きょうもきょうとて私ども湾岸危機対策本部の中でその話も湾岸問題の問題としても出ましたけれども、同様にきょう共同アピールが出ていますから、それはごく簡単ですから読ませていただきたいと思うんです。
  ミサイルの拡散を巡る懸念の高まりに鑑み、又、国際の平和及び安全のために、MTCR参加国(豪、墺、ベルギー、加、デンマーク、仏、独、伊、日、ルクセンブルク、蘭、ニュージーランド、ノールウェー、スペイン、英及び米)は、世界のあらゆる国々に対し、一九八七年四月十六日の「機微なミサイル関連機材・技術の輸出に関するガイドライン」の適用をここに訴える。
こういうことでジョイントアピールを出しておりますから、そのような路線を踏まえて私ども世界各国とも共同歩調でやる、こういうことを確認し合っているわけでございます。
#216
○上田耕一郎君 アメリカは、一方では新しい国連決議を目指しながら、他方やっぱり中東地域に新しいアメリカ主導の地域安全保障体制、これを目指しているんですね。
 三月九日付のイギリスのフィナンシャル・タイムズの報道では、七日から中東歴訪を始めたベーカー国務長官の目的の一つは湾岸五カ国への百八十億ドルに及ぶ武器売却計画だった、これはフィッツウォーター報道官も確認しているんですね。それから来月チェイニー国防長官が湾岸諸国を訪問する。これは兵器などの事前集積のため米軍基地貸与協定について協議を始めるということになっているんですね。
 こうなると、やっぱり新しい軍事同盟が中東にまたできかねない危険もあると思うんですけれども、これには日本としては反対すべきだと思いますが、政府の態度はどうでしょう。
#217
○国務大臣(中山太郎君) チェイニー国防長官が中東を歴訪するという情報は流れておりますけれども、私、日本政府としてはそのような情報をまだ確認していないということをまず御理解いただいておきたいと思います。
 なお、この地域にアメリカが新しい軍事体制をしくというようなことをおっしゃってございますけれども、問題は、先ほどもさきの委員にお答えいたしましたように、シリアのダマスカスで三月六日、GCCの六カ国とエジプトとシリアの外務大臣が集まって湾岸地域の安全保障の問題について協議をいたし、ダマスカス宣言というものを発表しております。私は、やはりこの地域の安全保障というものは域内の国々がどのように自国の安全保障をするのか、こういうことを協議する、そういう中でアメリカも関係のある国の一つとしてこの地域との協議に応じているものだ、私はそのように理解をいたしております。
#218
○上田耕一郎君 やっぱり国連の強化、これを中心に日本は憲法の平和主義に基づいた貢献をということで一貫してほしいということを要望しておきます。
 次に、きのうも問題になりました掃海艇問題。これは日本がどう貢献するかということにもなるんですけれども、今度もまたあのプッシュホンでこれが問題になっておる、まことに僕は性懲りもないという感じがするんですね。さすがに一斉地方選挙も始まったので慎重に慎重にと言われているけれども、やめるということははっきりおっしゃらない。
 そこで、お伺いします。自衛隊法九十九条、これは第二次大戦中に日本近海に敷設された機雷を除去するために設けられた条項だと思いますけれども、どうでしょうか。
#219
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 自衛隊法第九十九条の趣旨は、船舶の航行安全など我が国の公共の安全の確保を図るために、いわば一種の警察事務として海上にある機雷等の爆発物の除去処理を行う任務を海上自衛隊に付与したものでございます。
 ただいま委員御指摘の第二次大戦中にと申しますのは、これはかつて国会審議の中で立法の経緯に触れまして、第二次大戦中に日本の近海に敷設された機雷を除去するためにと、こういう答弁を政府委員からしたことがございます。それを念頭に置かれての御指摘だと思いますけれども、確かに立法の経緯はそうであったと思いますが、しかしながら現在の法文にはそういった第二次大戦中に敷設された機雷に限定するという文言はないわけでございますし、また自衛隊法上の九十九条に置かれている位置関係から申しましても、これは決してそのようなものに限定されているものではない、このように考えております。
 いずれにいたしましても、こういった機雷の除去につきまして私ども政府としてまだ対処ぶりを決めたわけじゃございませんし、また現行法上可能かどうかという問題につきましても、これは一般論として一概にどうだこうだと申し上げられるものじゃなくて、むしろやはりいかなる具体的な状況のもとでいかなる態様で行われる等、そういったことをいろいろ考えながら法的な可否についても判断されるべきものかと、こう考えております。
#220
○上田耕一郎君 どうも慎重にと言いながら実際には持っていきたい気持ちがありありなんですね。
 防衛庁の関係者は、もし行く場合は掃海艇五隻、母艦、補給艦を含めると十隻ぐらいになる、人数は四百人、多ければ千人と赤旗記者に語っているんですけれども、行く場合そのぐらいになりますか。
#221
○国務大臣(池田行彦君) 先ほども申し上げましたし、また総理も当委員会でもたびたび御答弁なさっておりますけれども、この問題につきまして政府としてどのように対処していくか、これはまだ決まっているわけじゃございません。そういうことで、当然防衛庁といたしましても、現在の段階で具体的な検討などを行うわけはございません。したがいまして、先ほどの法律との問題につきましても、委員たっての御指摘でございますので、法律論について一般的にお答え申したわけでございますので、この問題についても詰めた検討などしてはおりません。そしてまた、派遣の規模云々というお話がございましたけれども、こちらのそういった現実論についても、もとより防衛庁において検討しておるわけじゃございません。
 私が昨日もこの委員会において御答弁申し上げましたのは、他国の例ではこのような例がある、こう申し上げたわけでございまして、政府の方が本件について対処の方針を決めていないということを最後にまた繰り返し申し上げさせていただきます。
#222
○上田耕一郎君 法律のことを言われましたけれども、宇都宮静男さんの「口語防衛法」にもちゃんと書いてあります。第二次大戦後、日本近海の七万個の機雷を除去するためにつくられたと。それから衆議院内閣委員会、七〇年三月十日の宍戸防衛局長の答弁ははっきりそう述べておる。同時に、このとき宍戸さんは、掃海艇は万一侵略があった場合、侵略者が日本の港湾なり海峡なりを封鎖するために機雷を敷設する場合だと。つまり、日本の領海なんですよ。中東のような公海の遠くにまで派遣するなんて全く国会で言ってないんですから。しかも、外国の例だと言ったけれども、もう十隻にもなって千人近くなれば、これは部隊としての派遣ですよ。自衛隊の海外派遣なんです。
 総理、これだけ国会答弁などで明らかなので、自衛隊の海外派遣に通ずるような掃海艇派遣は、慎重になんというのじゃなくて、きっぱりやめるとなぜ言えないんですか。
#223
○国務大臣(池田行彦君) 先ほど御答弁申し上げましたように、本件について政府として何も決めておるわけじゃございませんし、防衛庁としても具体的な検討などはもとよりしていないわけでございます。
 それから、ただいま法律論についていろいろ御議論ございました。バランス上申し上げさせていただきますけれども、機雷の除去につきましては、六十二年の国会で当時の中曽根元総理等がいろいろ御答弁なさったことがございます。その関連で、実は本院に対しまして昭和六十二年の九月十八日に政府といたしまして答弁書を提出しております。そこでは……
#224
○上田耕一郎君 昭和何年ですか。
#225
○国務大臣(池田行彦君) 昭和六十二年の九月十八日でございます。
 黒柳議員からの質問主意書に対する答弁書でございますが、そこで内閣として当時整理いたしました答弁の趣旨でございますが、概略申しますと、委員会における中曽根内閣総理大臣の答弁は、自衛隊法第九十九条による機雷の除去に関する質問に対する答弁であるが、これは公海上に遺棄されたと認められる機雷について、それが我が国船舶の航行の安全にとり障害となっている場合に、その航行の安全を確保するために、これを除去する行為は武力の行使に当たるものではなく、自衛隊法上可能である旨を答弁した、こういうことがございます。
 それから二つ目には、先ほど私も申しましたけれども、一般に機雷の除去が武力の行使に当たるか否かは、それがいかなる具体的な状況下で、またいかなる態様で行われるか等により判断されるもので、一概に言うことは困難である。
 三つ目に、自衛隊法第九十九条に基づく海上自衛隊の機雷等の除去の権限は、公海にも及び得るが、具体的にどの範囲にまで及ぶかについては、そのときどきの状況等を勘案して判断されるべきものであって、一概には言えない。
 このような答弁書を政府として提出申し上げているところでございます。
#226
○国務大臣(海部俊樹君) 政府としては慎重に対処いたします。
#227
○上田耕一郎君 池田長官が述べたのは、中曽根内閣のあの解釈、あれで派遣しようとしたのを後藤田官房長官が職を賭して反対したじゃないですか。そういうものなんですよ。だから、そういうことをまたあなたがおやりになろうとしているというのは絶対に許せないということを申し上げておきます。
 次に、PKO問題について一問。
 田畑茂二郎教授などの責任編集の国際法学会編 国際法辞典によると、平和維持活動、「PKOの担い手は国連軍や軍事監視団のような軍事組織である」とはっきり書いてある。それから、八九年の国連ニカラグア選挙監視団について国連の著作「ブルー・ヘルメット」第二版は、「軍事要員の使用をともなわなかったので、平和維持活動とは見なされない」と書いてありますけれども、外務大臣、どうですか。このPKOというのは国連の立場では軍事要員が主だということは明らかでしょう。
#228
○政府委員(丹波實君) 事実関係の問題がございますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。
 確かに、このニカラグアの選挙監視団につきましては、国連の広報局が発行しておりますいわゆる「ブルー・ヘルメット」の中には平和維持活動として分類はされておりませんが、先生御承知のとおり、もともとこのPKO活動と申しますのは、実際の国連の活動の慣行上成立し確立してきたものでございまして、そういう意味で、理論的になかなか仕分けるのが難しいところがあるというのが私は現実ではないかと思います。
 例えば一例を申し上げますと、先ほどのニカラグアの選挙監視団につきましては、確かに軍事要員を伴っていないのでこの「ブルー・ヘルメット」では平和維持活動としては挙げてございません。他方、先生もあるいは御承知と思いますけれども、昨年の九月のこの総長報告、いわゆる文民の活用を論じた総長報告というのがございますけれども、このタイトルは「国連平和維持活動における文民の活用」という報告でございます。その中では、まさにこの平和維持活動の一環としてニカラグアの選挙活動監視団を論じてございます。そういう意味で、国連の同じ文書が、あるものはニカラグア監視団を平和維持活動では挙げてないんですが、この総長報告では挙げているということでございまして、まさに軍事要員がいるいないというのが必ずしも唯一の基準にはなっていないということを申し上げておきたいと思います。
#229
○上田耕一郎君 反論したようで、実は私の論拠を補強してくれたんですよ。PKOにもこういう選挙活動その他文民中心の活動分野がこれからもふえるんだから、何も新しい法律をつくって軍事要員中心の軍事的分野に第二自衛隊として協力する危険のあるようなことをやらないで、新しい法律は要らない、今の日本の憲法の平和原則、胸を張って非軍事的分野で貢献すべきだということを我々は繰り返し繰り返し強調しているんです。
 次に、シベリア抑留者の補償問題をお伺いします。
 まず厚生省、シベリア抑留の日本人兵士、民間人、そのうち死亡者の数をお伺いします。
#230
○政府委員(岸本正裕君) シベリアに抑留されまして日本に帰ってこられた方々から個別に聴取をした結果をまとめた資料によりますと、シベリア抑留者の総数は約五十七万五千人、そのうち死亡者は約五万五千人であるというふうに推計をいたしております。
#231
○上田耕一郎君 厚生省の数字はいろいろあるんですけれども、総数六十三万九千六百人、死亡者六万四千人という数字も明らかにされている。
 総理府、日本政府はこれまで抑留者に対してどういう補償措置をとってきましたか。
#232
○政府委員(文田久雄君) お答え申し上げます。
 戦後、シベリア等の地に強制抑留された方々につきましては、これまで恩給、援護などの措置が適宜講じられてきたところでございますが、平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づく戦後強制抑留者の方々に対する措置といたしましては、昭和六十三年度から、帰還者のうち恩給等を受給されていない方々に慰労金十万円並びに銀杯及び書状を、また恩給等を受給されている方々には三つ重ねの銀杯一組及び書状をそれぞれ贈呈、支給する事業を実施しております。また、平成元年度から、戦後強制抑留中に死亡された方の御遺族に対しまして、銀杯と書状を贈呈する事業を実施しているところでございます。
#233
○上田耕一郎君 それで終わりですか。
#234
○政府委員(文田久雄君) 私どもはこの基金法によって措置されておりますところの事業を適切に実施していくべきと考えております。
#235
○上田耕一郎君 シベリア抑留問題というのは非常に悲惨な重大事件なんですね。なぜ起きたかというと、スターリンの誤りです。国際法に違反し、ポツダム宣言に違反して強制労働で連れていったんです。しかし、この問題については、今度ゴルバチョフ大統領が日本に来て抑留者の代表にも会うと伝えられているし、遺憾の意を表明すると。ソ連側はキリチェンコさん、日本側は全抑協の斎藤六郎会長などの長年にわたる努力によってようやく解決のめどが出てきたこと、これは非常にいいことだと私は思うんです、私もいろいろかかわってきたんですが。
 しかし、日本政府にも大きな責任があるんです。ソ連だけじゃありません。大体、戦陣訓で死して虜囚の辱めを受けるなということで、捕虜になっちゃいかぬということにされていたんだから。捕虜になるぐらいなら死ねと。だから、国際法上の捕虜の人権なんて全然教わっていないんですよ。そういうことで六十万の方々がシベリアへ行って、日本政府がGHQの管理下で外交もできないということで何もしなかった、そこでこういう問題になってきたんでしょう。その結果、これだけの多くの方々の苦労に対して十万円と銀杯で終わりだというんでしょう。
 そこで、ちょっと法務省に聞きます。
 八九年四月十八日、全抑協の提訴した裁判に対する東京地裁の判決で、例えばドイツ、アメリカ、フランス、イギリス、カナダなどの諸国が捕虜に対してどういう補償を行っていたか詳細に書いてあるので、説明していただきたい。
#236
○政府委員(加藤和夫君) お答えいたします。
 御指摘の判決は、シベリアの抑留者から国に対しまして長期抑留、強制労働等による損害の賠償ないしは損失の補償を求めている訴訟におきまして、その請求を棄却したものでありますが、その判決理由は多岐にわたっております。
 御指摘の判示部分は、自国民捕虜補償、これは捕虜の抑留中の労働に対する賃金、死傷病、労働災害に対する補償、長期抑留、強制労働による損害の賠償のうち抑留国によって支払われなかったものについては捕虜所属国が支払い義務を負うというもののようでございますが、この自国民捕虜補償ということが国際慣習法となっていたという原告らの主張に対しまして、この判決は国際慣習法の成立を否定しているわけでございまして、その理由中で捕虜所属国が補償を実行した事例を幾つか掲げておりますので、これを要約して申しますと、おおむね次のような事実認定をしているわけでございます。
 まず、アメリカでは、一九四八年に戦争請求権法というものが制定されまして、一定の要件のもとに国庫に設置された信託基金から捕虜であった者への補償金の支払い措置が講じられたこと。フランスでは、一九五三年に一定の要件のもとに、抑留補償、戦闘員退役年金の各支給、年金繰り上げ支給、対日平和条約十六条による賠償金に基づく補償の措置が講じられたこと。それからカナダでは、一九四六年、日本の捕虜となった者全員に対しまして年金付与の措置が講じられたこと。西ドイツでは、一九五〇年に戦争捕虜の家族のための生活扶助に関する法律と西ドイツ帰還兵援護措置法、一九五四年に元ドイツ人戦争捕虜補償法、こういった法律を公布いたしまして、一定の要件のもとに釈放金、臨時扶助金、抑留補償、元捕虜援護基金による補償等の措置が講じられたこと。オーストリアでは、一九五八年、後期帰還兵についての経済援護に関するオーストリア連邦法が制定されまして、一時的な援護金の給付措置が講じられたこと。イギリスでは、日本から帰還しましたイギリス人捕虜は捕虜の労働賃金全額の支払いを受けたこと。
 大体このような判示がございます。
#237
○上田耕一郎君 どこの国でも手厚くやっているんです。
 じゃ、戦後、東南アジアなどからの捕虜については日本政府はどういう措置をとりましたか。
#238
○政府委員(加藤和夫君) お答えします。
 第二次大戦後に南方等から戻った日本人捕虜に対する貸方残高の支払いについてでございますが、この判決は次のような事実認定をしております。日本政府は、GHQの指示を受けて、オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア地域及びアメリカから帰還した日本人捕虜に対して、抑留国が交付した現金預かり証等に基づき、持ち帰り金の制限なしに捕虜であった期間中の労働賃金を交付したこと、このような認定でございます。
#239
○上田耕一郎君 問題は極めて明らかなんです。世界各国すべて捕虜に対しては、例えばフランスは一カ月四フランとか、ドイツは一カ月三十マルクとか、ちゃんと補償しているんですよ。どこの国でも当たり前なんです。日本も戦後オーストラリアとか東南アジア、ニュージーランドからの帰還者に対しては、GHQの指示でちゃんと払っているんですよ。シベリアの抑留者だけ十万円と銀杯だけで終わりと。世界で日本が一番の債権国だというんでしょう。アメリカの戦費に九十億ドル、金は出せるのに、シベリアの抑留者たちに対しては何も出せないというんですか。
 海部さん、あれだけの苦労をした方々に改めてきちんとした補償をすべきだと思いますけれども、いかがですか。
#240
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
   〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
 戦後、強制抑留者の問題を含みますいわゆる戦後処理問題につきましては、昭和五十七年、当時の総理府総務長官の諮問機関でございました戦後処理問題懇談会におきまして二年半、三十五回にわたる慎重な御審議が重ねられたところでございます。さきの大戦に伴う戦争損害につきましては、政府がそのすべてを償うことは事実上不可能であり、国民一人一人の立場から受けとめていただかねばならない、こういう基本的な考え方から、同懇談会におきましては、もはや国において措置すべきものはない、しかし関係者に対し衷心から慰謝の念を示すための事業を行う特別の基金を創設すべきである、こういう御提言が得られたところでございます。
 政府といたしましては、この提議に沿いまして平和祈念事業特別基金等に関する法律を提案し、昭和六十三年五月これが成立を見た後、同年七月に平和祈念事業特別基金を設立し各般の慰藉事業を行っているところでございますが、とりわけ戦後強制抑留者の方々に対しましては、これらの方々が戦後酷寒の地で強制労働に従事させられるなど大変御苦労されたことを考慮いたしまして、先ほど申し述べましたように、慰労金の支給あるいは慰労品の贈呈を行っているところでございます。したがいまして、今後ともこの基金法に基づく慰藉事業を適切に推進することをもって関係者の心情にこたえてまいる所存でございまして、お示しのような労働補償の措置を新たに講ずることは、このような基金法の制定経緯にかんがみまして困難であり、かつ考えていないところでございます。
#241
○上田耕一郎君 そういう経過は全部わかっているんですよ。今度ゴルバチョフ大統領が来るでしょう。で、遺憾の意を表明するんですよ。ソ連側は労働証明書を発行してもいいと言っているんだから。だから、この際抜本的にこういう問題を考え直すべきではないかということを言っているんですから、外務大臣、総理大臣、お答えをお願いします。
#242
○政府委員(兵藤長雄君) お答えをいたします。
 ただいま労働証明書のお話がございましたのでお答えをさせていただきたいと思いますが、労働証明書をソ連政府が発行するということを言ってまいった事実はきょう現在ございません。
 仮に、仮の問題でございますけれども、労働証明書というものをソ連政府が発行したといたしましても、先生御承知のとおり、この問題は日ソ共同宣言の第六項におきまして第二次世界大戦に由来する一切の請求権を相互に放棄いたしております。したがいまして、ソビエト連邦政府と日本国政府との間で、この問題についてはこの第六項をもって決着がついておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 またあわせて、仮にソ連が労働証明書を出した場合に、そのことをもって国際法上日本国政府が何らかの補償措置をとる必要性が出てくる、そういう義務を負うということにはならないというふうに私どもは解釈いたしております。
#243
○上田耕一郎君 東京地裁判決百四十九ページに今の問題が書いてあるんですよ。ソ連に対し、被告、国のことです、被告が日ソ共同宣言で対ソ請求権を放棄したとしても、これにより原告らがソ連から得られるべき権利ないし利益の実現を失うことにならないというべきだとはっきり書いてある。だから、これは外務大臣、総理大臣、ちゃんと答えてくださいよ、国の問題だから。局長じゃだめです。どういうことですか。
#244
○政府委員(兵藤長雄君) お答えをいたします。
 ただいま申し上げました共同宣言第六項、これは先ほど御説明申し上げたとおりでございますけれども、日本国民が、この場合にはいろいろ言語に絶する御苦労をなさった方々が、ソ連政府に対して直接個々に請求権を提起されるということまで禁じたものではないというのが従来の解釈でございます。ただ、先ほど申しましたように、国として、日本国政府としてのお互いの請求権放棄ということを定めておりますので、国民のお一人お一人がソ連政府に対して請求をなさる、それを日本国政府として、まさに外交庇護権の行使としてそれを取り上げるという道は日ソ共同宣言第六項で閉ざされておるということを申し上げたのでございます。
#245
○上田耕一郎君 外務大臣と総理に要求しておるんだから答えてください。
#246
○国務大臣(中山太郎君) 外務大臣といたしましては、今欧亜局長がお答え申し上げたとおり、日ソの共同宣言によって外交上の取り決めをいたしておるわけでございますから、それを外交の立場で今ソ連との間にその問題をもう一度蒸し返すというようなことは外交慣例上考えられないと、私はそのように思います。
#247
○上田耕一郎君 日本政府としての補償はどうだということを、総理、答えてください。
#248
○国務大臣(海部俊樹君) るる御説明しましたように、日本政府としては、抑留者の皆さんの戦後の置かれた実態に配慮してでき得る限りの対応をし、そして今も局長から詳しくここで御説明しましたように、そのような行為を重ねてきておるということでございます。
 また、今判決を示されてソ連との請求権、いろいろなことを言われましたが、私は政治的に考えて、今度ゴルバチョフ大統領を迎えるときには日ソ関係の根本的な新しい幕を開きたい、こう思っておるんです。したがって、ゴルバチョフ大統領が日本へ来たときにそのことに関して意思表明があるんだという、そういった形の報道が今なされておることもよく知っております。確認はしておりません。お目にかかってみなければどのようなことになるかわかりません。しかし、もし歴史の中に光の面と影の面があって、影の面に対して何らかの意思表示をされるというのであるなれば、それは抑留された方々にとっても過去のわだかまりを乗り越えていくための一つの大きな問題になってくるのではないだろうかと注目をしておるところでございます。
#249
○上田耕一郎君 日本はアメリカやヨーロッパ諸国と比べても国民の人権を守ることについては極めておくれているということが改めて証明された。非常に残念ですけれども、今後なお追及していきたいと思います。
 次に、地方政治の問題に移りたいと思います。
 一斉地方選挙が始まりました。地方自治のあり方について国民も大きな関心を持っておりますが、憲法九十二条では「地方自治の本旨」ということが決められております。
 まず総理に、この地方自治の本旨の問題で、政府としてはどういう認識を持っておるかお伺いしたいと思います。
#250
○国務大臣(海部俊樹君) 地方自治というのは民主政治の基盤であります。近時の社会経済情勢の変化に対応しながら住民福祉の向上を図るためには、地方公共団体の自主性、自律性、その強化を図っていくことが大切であると考え、この見地から地方自治の発展を期していきたいと考えております。
#251
○上田耕一郎君 八五年から福祉、教育を打ち切る臨調行革が地方自治体に向けられた。これは六年たっている。この六年の間に全国の地方自治体の多くが住民収奪の奇妙なメカニズムに変わりつつあるという事態が生まれておりまして、今度の一斉地方選挙はこの問題に対する国民の本格的審判をやる意味で大きな意味を持っておると思うんです。
 まず、全国の自治体の積立金が物すごくふえている。都道府県、市町村の合計額を自治省にお伺いします、その変化。
#252
○政府委員(小林実君) お答えをいたします。
 地方団体が積み立てます基金には二つの種類がございまして、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立てるものでございます。我々はこれを積立基金と言っておりますが、この中にはさらに年度間の財源調整のための財政調整基金、借金の将来の返還のための減債基金、それから各種の建設事業等、将来計画的に事業をするために積み立てている個別の基金、この三つの種類があるわけでございます。それから、そのほかにもう一つ、基金を定額でまず積み立てまして、その運用益によりまして特定の事務または事業を行うものがあるわけでございます。
 前者の積立基金の方は、六十年度末におきましては五兆四千億でございましたが、平成元年度末におきましては十三兆四千億、定額運用基金の方は、六十年度末で一兆四千億でございましたが、平成元年度末で二兆五千億ということになっております。
#253
○上田耕一郎君 合計して六兆八千億が十五兆九千億です。特に六十年から六十三年で二倍になっているんですね。東京などは一兆六千億、大阪は四千億円を超える。
 自治大臣、異常だと思いませんか。
#254
○国務大臣(吹田ナ君) 特別、今異常とは思いませんが、それが地域の福祉を増進することになり、あるいはそれが地方財政の面において特殊な仕事をしていくための積立金として余裕を持つということは、私はある意味からいえば非常に結構なことじゃないか、こう思っておりまして、特別にこれが異常であるというふうには思いません。
#255
○上田耕一郎君 九十一年度末で両方合わせるとどのぐらいになりますか。また、全国の地方財政計画の規模、これはどのぐらいになりますか。
#256
○政府委員(小林実君) 平成二年末でどうなるかということでございますが、私どもまだ調査をいたしておりませんが、先ほど申し上げました積立基金の方の十三兆四千億の内訳を申し上げますと、財政調整基金が三兆六千億、減債基金が二兆六千億、個別の特定目的の基金が七兆二千億でございまして、平成二年におきましては五十年代に借りました財源対策債の償還のための基金といたしまして交付税措置二兆一千億を行っておりますので、ほかの方につきましては取り崩しその他があると思いますのでどうなるかわかりませんが、減債基金二兆六千につきましてはこの二兆一千を足した数字になるというふうに思われます。
#257
○上田耕一郎君 全国の地方財政計画の規模。
#258
○政府委員(小林実君) 地方財政計画といいますか、平成元年度におきましては七十兆になりましたが、ことしの財政計画、平成三年度につきましては、これは七十兆をちょっと超えていると思いました。
#259
○上田耕一郎君 余り異常と思わないと言いましたけれども、全国の地方財政規模の七十兆の三割近くになるんです、二十兆。かつてないことです。
 一月の全国都道府県総務部長会議で財政局長は、このところ自治体基金操作がふえており一部から批判の声もあると、こういう危惧を既に言っているんです。自治大臣、なぜこういうふうにふえたんですか。原因はどう思われますか。
#260
○国務大臣(吹田ナ君) 御案内のように、最近の地方自治体というのは極めて行政が多様化してきております。これは御案内のとおりであります。そういったことから、やるべきことが非常にたくさんになってまいりました。土地開発の問題にいたしましても、先に取得をしておかなければならないというような問題等もありますし、福祉にいたしましてもそういった問題があります。あるいはまた町村の振興基金の問題もあります。こういったもろもろの問題、あるいはまた財源対策債というものを償還するための基金も積んでおかなきゃならぬというような問題、あるいはまた病院とか図書館とか、そういった将来における大規模な建設というものも予定していかなきゃならぬということを考えてまいりますと、かつての数年前の状況の地方行政の仕事の分量からいきまして、その内容は非常に多岐にわたってきております。
 そういった点からいたしますと、私は必ずしも非常に増大した、えらい膨れ上がってその健全性を損ねておる、こういうふうには考えないということを申し上げたわけであります。
#261
○上田耕一郎君 はっきりした説明はありませんけれども、自治大臣、この六年間の地方行革とこの積立金の異常な増加、関係は全くありませんか。
#262
○政府委員(浅野大三郎君) 地方公共団体は自主的にいろいろと行政改革にお取り組みになっておりますが、そういう地方公共団体が行政改革に取り組むということと積立金がふえていくことと直接の関係はないと考えております。
#263
○上田耕一郎君 自主的におやりになっているなんて、よくもまあそういうことを言いますね。八五年一月に自治省は、地方行革大綱の案、想定問答集までつけて、全国の自治体に八月までにつくれとやったじゃありませんか。これは憲法九十二条の違反ですよ。これは一つは増税と関係があるんですよ、七兆円以上税金がふえているんだから。これはきょうはもう追及しませんけれども、明白に地方行革ともかかわりがあるんです。
 では、自治省にお伺いしますけれども、一つはこの間の公共料金の値上げ額、地方行革大綱に公共料金の見直しをやれとちゃんと書いてあるんだから。公共料金の値上げ額がこの六年間に全国の地方自治体で総額どのぐらいになったか教えてください。
#264
○政府委員(小林実君) 公共料金の値上げということで調べておるものはございませんが、使用料、手数料等につきましては、人件費、物件費の動向等を勘案いたしまして各年度改定をお願いしておるわけでございます。
#265
○上田耕一郎君 こういう大事な問題の統計はないというんですね。出してくれ出してくれと言ってもない。仕方がないからある試算をやりました。地方財政計画ベースで五十九年度から平成三年度まで全部増額分を足してみた。七年間合計で一兆二千百二十七億円です。これは高校授業料から水道料からいろんな手数料、使用料、それは対象がふえているのもあるだろうけれども、大体一兆円ぐらいふえているんですよ。住民から取り上げられたんです。あなた方が押しつけた公共料金の見直しのおかげですよ。これはもう自治体財政で積立金になってたまるでしょう。こういうふうになってくると思うんですね。
 二番目は補助金カット。これは補助金カットされますと、もう地方自治体は起債でやれといったって起債でやると借金がふえるから事業量を縮小しちゃうんですよ。事業量を縮小すると、入っていた金を使えなくて余ってくるんですよ。
 補助金カット額はこの六年間にどのくらいになりましたか。
#266
○政府委員(小林実君) 六十年度から平成元年度までの国庫補助負担率の暫定引き下げ措置に伴います影響額は、普通会計ベースで約五兆八千億、公営企業等もございますので、これを加えますと六兆四千億でございますが、これに対する財源措置といたしましては、交付税の特例措置を行ったり、あるいは地方税の税率の特例措置を行ったりいたしまして、残りの金額につきましては建設地方債を発行いたしておりまして、地方団体が行政水準を落とすことなく財政運営ができるように措置をいたしてきておるわけでございます。
#267
○上田耕一郎君 いろいろ数字はありますけれども、八五年度から九一年度まで自治省調べ七兆三千億、大蔵省調べ六兆九千億、このうち今言われた交付税その他の国の措置は五二%ですよ。五二%しか措置していないんです。特に社会福祉関係などでは国の措置したのは四割ですよ、三九・九九%。こういう補助金カット。特に私はひどいと思うのは、保育所、高齢者施設、それから障害者施設、これの措置費に対する国庫補助率は八四年まで八割だったでしょう。今恒久化されて五割ですよ。三割減らされちゃったんだから。
 それで、私は共産党国会議員団の国際障害者年の対策委員会の責任者をしているんだけれども、国際障害者年十年のときに、障害者施設に対する措置費の国の補助費を三割もカットする、こういうことが許されますか。国の長期計画にも反しているじゃありませんか。よくもまあ平然としてこういうことができると思うな。どれだけ障害者が苦しんでいるか。特に障害者の授産施設、これはそれまで無料だったのを費用徴収を始めたわけですよ。厚生大臣、こういう問題、現状をどうつかんでおりますか。
#268
○国務大臣(下条進一郎君) 身体障害者更生援護施設につきましては、以前は入所者の負担能力に応じた食費の自己負担を設けておりましたけれども、入所者の入所期間が長期化し、施設が生活の場となるにつれて、費用負担のあり方につきまして他の施設との均衡を図るべきであるとの問題意識をかねてから持っていたところであります。
 このため、昭和六十一年度に行われた障害基礎年金の発足など所得保障制度の充実を踏まえ、同年に施行されました身体障害者福祉法の一部改正により、施設を利用していない人との公平と入所者が施設を主体的に利用するという自立意識の醸成を図るため、障害者の負担能力に配慮しつつ費用負担のあり方を他の施設と同様の仕組みに改め、現行の仕組みにしたものでございます。
#269
○上田耕一郎君 海部総理、あなたにも関係あるんだ。あなたも実情は知らぬかもしれぬけれども、障害を持った方々がこういう授産施設、福祉施設へ行って作業をするんですが、一カ月一生懸命働いて大体どのくらい工賃がもらえると想像していますか。どのぐらいいただけるか知っていますか。
#270
○政府委員(末次彬君) 身体障害者の授産施設におきます利用者一人当たりの工賃の額、これは障害の程度、状況、その施設の置かれております環境等によりまして大変ばらつきがございまして、平均的に見ますと、昭和六十三年度におきまして、重度の障害の方を対象とする施設で一カ月約一万八千五百円、主に一般の障害の方を対象とする施設で一カ月約二万八千百円、身体障害者福祉工場におきましては一カ月約十四万五千百円となっております。
#271
○上田耕一郎君 ここに全国社会福祉協議会、授産施設協議会がことしの二月に七百八十一カ所調査したデータがあります。
 全施設の一人当たり工賃、月額平均二万三千三百十四円、五〇%強が一万円以下です。一番多いのは五千円から一万円で二七・五%。一カ月働いて五千円から一万円しか工賃をいただけないんですよ、障害者の方が一生懸命働いて。年金は今一級で七万九百六十七円ですよ。年金プラスこの工賃の中から費用を取られるんだから。最高五万円ですよ。通う人は二万五千円ですよ。そんなことがあっていいですか。だから、毎日新聞にも出たんだけれども、働きに行って費用を取られたんでは、自分が払えないと親や兄弟が払わなきゃならない、何のために行くかわからぬというので年間五百人やめたというんですよ、授産施設へ行くのを。
 こういう実態、費用徴収。公平を考えたって、これは国の障害者政策を真っ向から裏切るものですよ。僕はこういう費用徴収は直ちに改めるべきだ、長期計画からいっても国際障害者年の政策からいっても。厚生大臣の決意をお伺いしたい。
#272
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま局長から説明のとおりのことでございまして、そういうところで働いておられる方が、やはり非常に体の御不自由な後、いろいろな訓練を経てやっと技能が実際に身についてきた、そういうところで働いていただく、そして一般の方々とのまた比較ということもございますので、ただいまのような徴収の制度を実施しているわけでございます。
#273
○上田耕一郎君 それだけですか。三月十四日、障全脇がこの問題で交渉したとき、授産施設の徴収金制度は見直したいと厚生省担当が答えているんですよ。見直してください。
#274
○政府委員(末次彬君) 費用徴収につきましての考え方は先ほど述べたとおりでございまして、これは入所当初につきましては、作業訓練が行われましても作業に習熟するまでの間工賃が少ないというような例もございまして、年金等の収入が多い場合には工賃を上回る費用徴収をなさる場合もまたございます。しかし、身体障害者授産施設、これは今お話にございましたように、一般企業に雇用されることが困難な障害者に対して必要な訓練を行うという施設でございます。そういうところから、この施設で訓練を受けている者あるいは在宅の障害者との均衡を考慮すると、全体としての負担能力ということを考えざるを得ないというふうに考えております。
 ただいまお話の陳情がございましたときの受け答えといたしましては、この授産制度全体につきましてさまざまな点についていろいろ検討してみたいというような趣旨のお答えをしたというふうに聞いております。
#275
○上田耕一郎君 海部さん、さっき工賃を御存じなかったけれども、大体わかったでしょう、全体的に。あなたの決意が、あなたは首相なんだから、局長や大臣はなかなかあなたを差しおいて言えないかもしれぬけれども、やっぱり国際障害者年、長期計画、それから全面参加、そういう理念からいって、八六年から始めたこの費用徴収制度、矛盾点は見直すということをやっていただけませんか。
#276
○国務大臣(海部俊樹君) それぞれの役割と経緯をよく私も調べてみまして、本当に著しく不公平な矛盾点があるなれば、どんなところにあるのか、どうしたらいいのか、よく研究してみます。
#277
○上田耕一郎君 また、保育所の問題も取り上げたいのですが、そこも国庫補助八割が五割に減ってしまった。
 厚生省にお伺いします。保育所の運営費の負担額、国と地方と親御さんと、補助率カット前の八四年度と比べてどういうふうになっていますか、変化していますか。
#278
○政府委員(土井豊君) 保育所の運営費に係る措置費の問題でございますが、昭和五十九年度は国庫補助率八割ということでございました。その年の費用負担の割合でございますけれども、国庫負担分二千七百八億円で三八・四%、地方負担分六百七十七億円で九・六%、費用徴収分三千六百六十六億円で五二%となっております。
 それから、一方現行の国庫補助率二分の一でございますが、平成三年度予算案ベースで申しますと、国庫負担分二千二百九十五億、二四・八五%、地方負担分同額同率でございます。費用徴収分四千六百四十五億、五〇・三%、そんな状況になっております。
#279
○上田耕一郎君 皆さん数字をただ聞いただけじゃおわかりにならぬでしょうけれども、これがカットされたために国の負担額は四百億円減ったんですよ。地方負担額が千六百億円ふえて、それから親御さんが取られるお金は九百七十八億円、一千億円ふえたんですよ。つまり二千六百億円、保育所の措置費については地方と親が負担させられて、国は四百億円減らしたのです。こういう状況になっている。
 だから、自治体としては補助金が減ってくるとやっぱり保育料を上げたいのですね。だから、非常に上がってきている。最近、千葉県では余り保育料が上がったために、入所を申し込んだのに取り消した人が何百人も出るというデータさえ出ている。保育料の全国最高額は幾らで、どこですか。
#280
○政府委員(土井豊君) 保育料につきましては、御案内のとおり、所得階層区分を十区分といたしておりまして、生活保護世帯の場合にはゼロ円というところから保育単価全額を徴収するという階層区分を設けて徴収しております。現在、具体的に全国最高のところがどこかという数字は持ち合わせておりませんけれども、例えば丙地で、これは定員九十人規模の場合でございますけれども、四歳以上児にありましては二万八千八百五十円、それから乳児、ゼロ歳児でございますけれども、十一万三千七百八十円という状況でございます。
#281
○上田耕一郎君 乳児で十一万という数字が出ました。ある本によりますと、三歳未満児で全国最高は北海道の滝川で十万九千五百八十円。十一万円ですよ。こういう状況になってきているのに、何で積立金がそんなにたまったままになっているかということにどうしてもやっぱりなるんですよ。
 それで私は、この積立金が先ほど十七兆円という数字も出てきたんですけれども、カット額は七兆円でしょう。これは本来国が進んで負担するはずの国庫負担金の補助金なんですから、それがこういうふうにカットされてきて、その結果こういう高額保育料、それから先ほどの身体障害者の費用徴収などが出てきているんですね。私は、自治体があれだけの積立金がある以上、もう三年ごと四年ごとの公共料金の値上げという八五年に自治省が押しつけたあのやり方、これはもうやめて、やっぱり公共料金の無謀な引き上げについてはきちんと指導するということが必要になっておる時期だと思うんですが、自治大臣、いかがですか。
#282
○国務大臣(吹田ナ君) 先生のお話を伺っておりまして、確かに公共料金が上がらないにこしたことはないと思いますよ、それは低いのが一番いいんですから。その点は私も同感です。ですけれども、そうもいかないんです、やっぱり。地方行政をやっていく上におきましてそれぞれ将来のことを、ある程度の五年計画、十年計画をそれぞれの地方自治体が考えて、そこにはそれぞれ関係町村民からの支持によって選ばれた町長なり市長さんなり議会なりがいるわけですから、そういう公共団体の意見によってきちっと決められて事を進めておるわけであります。
 我々の方も、こうした補助金が下がったということは確かに当時から見れば問題であるということで随分と要請をいたしました。そのおかげで、御案内のように、六十一年度に一応復元しておりますが、これは暫定措置としてこれから三年の間十分検討する、それからできるものから逐次また復元をしていただこうという構えでおるわけでありますし、自治省としては、そういった問題の補助金カットに伴って財政的に困っておる関係市町村に対してはそれなりの財政的な補てんを措置するということにして、現実的には地方公共団体に今日そんなに財政的に窮迫して困るというような、このカットの問題から五十九年度に復元しなれば困るという状態にまでなっておるとは解釈しておりません。
 しかし、多々ますます弁ずですから、それは補助金が多いほどいいでしょう。これは五〇%が七〇%でも八〇%でもいいと思いますよ。しかし、そうはいかない、やっぱり。そういう意味で、これはやっぱり限界の問題ですから、この辺で今から三年間の暫定期間で協議をしながら、国の財政とのにらみ合わせの中でまた復元に向けて順次努力していく、こういうことになってくるんだと思いますし、私ども地方公共団体を担当しておる立場からいたしますと、地方公共団体が現実に住民の福祉と地域の発展というものに支障があってはなりませんから、それだけは確かに財政的援助を加えていかなきゃならない。
 それと、さっきお話がありました手数料等の問題についても、これはできるだけ抑えることで配慮していくことで今後自治省としても検討していきたいと思います。
#283
○上田耕一郎君 例えば東京都なんか、鈴木都政になってから十二年間で公共料金の値上げが延べ二百七十種類、総額二兆六千億、都民一人当たり二十二万円というんですから取り過ぎですよ、三年ごとに上げているんだから。こういうものは抑えるべきなんだ。自治大臣も低い方がいいと言われたんだからね、そうしてほしいと思う。
   〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
 それで、坂野さんは席にお戻りになったけれども、坂野さんが自治大臣当時一番苦労されたんですよ、これはね。大蔵大臣と折衝して、それで地方六団体が全部そろって復元、復元と言ったんですから。因っていなければどこも言わないですよ。何も共産党が与党のところだけじゃないです。自民党主導の地方自治体も全部当然の復元要求をしたんですから。
 だから、こういうふうにやっぱり地方行革は補助金カットを通じて事業の縮小、そうしますとこれは仕事ができなくなる。自治体職員はこの六年間にどのくらい減りましたか、自治省。
#284
○政府委員(滝実君) 数字のとり方についてはいろいろあろうかと思いますけれども、最高時から比較いたしますと、約二万人前後の減少でございます。
#285
○上田耕一郎君 二万人の減少。私のいただいた数字では四万四千九十七人となっている。ちょっととり方がいろいろとあるんですね、なるべく小さい方を言ったんだと思うんだけれども。それまではふえているんですから。
 それで、主に現場職員がどんどん減らされている。だから、起債をやらなきゃいかぬから起債をやると、借金でしょう、仕事がしたくなるんですよ。しかし職員は減るでしょう。そうすると仕事ができないんですよ。ところが、税金はどんどん入ってくる。公共料金も入ってくる。金は余るんですよ。だからこういう異常なため込み現象が生まれたんです。ですから、私は、この異常な十何兆に及ぶ、来年二十兆にもなろうとするようなものは、地方行革、これを押しつけて、その結果、地方自治体は本当に住民のための福祉を守るための自治体から奇妙な搾取のメカニズムになりつつあると思うんですね。
 たまった金は何に使ったか。そこへ中曽根民活路線が入ってくるんですね。それからもう一つは、豪華庁舎ですよ。どんどんどんどん豪華庁舎、基金をためて。
 自治省にお伺いします。八〇年代に都道府県で庁舎を新設した県名と建設費、述べてください。
#286
○政府委員(小林実君) ただいま御質問ございましたが、その前に、先ほどお話がございました中で、私ども地方財政対策を講ずる際には、最近は地方財政の健全化というのが一つの柱でございまして、そのために交付税特会の借金を返す、あるいは個々の地方団体が五十年代に借りました、割り増しして増発しました借金を返すための基金を交付税措置していると、こういうことを御理解いただきたいと思います。
 それから、歳出面におきましては、平成三年度でもそうでございますが、公共投資基本計画ができまして、過去十年におきましても六割が地方負担でございまして、そういうこともございまして、今回の地方財政計画におきましては一〇%の単独事業の伸びを見ておるわけであります。御質問、あるいは御関心のある福祉関係の経費につきましても七・四%の増を見ておるわけでございまして、毎年度、歳出全体につきましては抑制基調であることが要請されておりますけれども、重要な政策課題に対応するための経費につきましては、財政計画上所要額を確保しておるというふうに私どもは確信をいたしておるわけでございます。
 御質問の庁舎でございますが、一九八〇年代に建設した都道府県の庁舎事業費について述べよということでございますので、順次申し上げたいと思います。
 まず福井県でございますが、八十八億でございます。福岡県が議会棟を含めまして二百七十三億、山口県が議会棟を含めまして二百三十六億、新潟県が三百四十七億、これも議会棟を含んでおります。徳島県は行政棟だけでございますが百五十八億、宮城県が二百三十億、沖縄県が二百二十八億、兵庫県が分庁舎でございますが百九億、京都府が分庁舎でございますが七十一億、東京都が議会棟を含めまして千五百六十九億、佐賀県が九十三億、こういうことになっております。十一都府県におきまして建設が行われました。現在、議会棟等を建設中の団体、起債の申請があるものは五つの団体がございます。
#287
○上田耕一郎君 自治大臣の山口も今のお話だと二百三十六億。どうですか、その庁舎、豪華過ぎると思いませんか。
#288
○国務大臣(吹田ナ君) 私の議長時代にまず議会棟をつくりました。それからだんだんといきましたが、今完成しまして、非常に立派であります。ただ、上田先生に申し上げますが、今立派だから、立派過ぎるからといったって、それが立派であるかどうかというのは後世の歴史家がまたそれなりの判断をするわけですね。ですから、今は立派過ぎるといったって、そのときの時代で、今から二十年、三十年先に立派過ぎるとは言い切れない。ですが、およそそれは行政でありますから、それなりの程度の問題はあると思います。
 そういう意味において、私は、山口において少なくとも県庁というのは県民の最も中心的施設でありますから、それなりに立派であって結構だ、こう思っておるわけです。決してむだなものをつくっておるとは思っておりません。
#289
○上田耕一郎君 私も先日、千六百億かけた東京都庁舎を案内されて見てきました。立派か立派でないか。あれは立派過ぎる、豪華過ぎると思うけれども、これは今度審判が出ますけれども、問題は、こういう豪華庁舎と言われるものを何百億もかけて都道府県がっくり、今東京では区もどんどんつくり始めていますよ。全国多いんです。地方財政は極めて厳しい、臨調行革だというので、福祉、教育切れ切れ、補助金力ットでしょう。そういうことを一方でやっておいて、それで何百億も金をためてつくるからおかしいと言っているんです。公平に反しています、あなた方のお好きな公平というところに。そこに政治の問題点がある。こういうところにため込んだ金はつぎ込むでしょう。
 もう一つは民活路線です。この五年間に大規模プロジェクトに対して自治体がどのぐらい負担しているか。負担額の総額あるいは第三セクターに対する出資額、自治省、統計ありますか。
#290
○政府委員(紀内隆宏君) 地方団体が行う大規模プロジェクトについて、その当該団体が行っている支援策については把握しておりません。
 出資について申し上げますけれども、自治省では、特別法に基づく土地開発公社、地方住宅供給公社、地方道路公社、いわゆる地方の三公社でございますが、これと、一つの地方団体が総額の二五%以上を出資しているような民法法人、商法法人、これらにつきまして三年ごとに調査を行っております。この調査によりますと、平成二年一月一日現在のこれらの法人に対する地方団体の出資額の合計は約八千五十六億円となっております。六年前の昭和五十九年一月一日現在の合計額は約三千七百六十億円でございます。この間、個別の法人については設立とか解散とか異動がございますけれども、単純にその差を求めますと、約四千二百九十六億円と相なります。
#291
○上田耕一郎君 やはり相当出資金がふえていることは今の数字からも一端が明らかで、我々が知りたい、地方公共団体が大企業本位の大型プロジェクトに一体どのぐらい金を出しているかという統計はないんですね。国民や日本共産党が知りたい統計というのはなかなか自治省はやっていないです。自分たちに都合のいい数字だけ出している。
 しょうがないから個別に調べました。先ほども問題になった東京臨海部の副都心、九一年度まで国と東京都と区がどれだけ負担するか。六千五百億円ですよ、六千五百億円。大川端再開発、四百億円ですよ。こういう大規模プロジェクトに惜しげもなく莫大な金が投げ込まれる。我々も開発すべて反対じゃありませんけれども、余りにもアンバランスが激し過ぎると思うんですね。私は、六年間の地方行革の、私たちの立場からの総括のある一端をきょう質問したんですけれども、こういう大きな問題に我々は真剣に取り組まにゃいかぬ。
 その一つとして、異常な積立金をどう使うかということが問題になってくるんです。東京の一兆六千億、九十億ドルの一・三倍ですからね。六十五歳以上のお年寄り、乳幼児、公害患者、すべての医療を五十年間無料にできます。都営住宅、こういうものを四万戸建てることができるだけの額なんです。我々はこういう積み立てをめちゃめちゃにふやすこともとめるべきだけれども、現実に積み立てたんだから、これをどう使うかということが問題になってくるし、今度の選挙でも大きな争点になると思う。自治省はどういう指導方針をこの積立金の使途について持っていますか。
#292
○政府委員(小林実君) それぞれの積立金につきましては、特に積立型の資金につきましては、財源調整のため、税収が減ったときに残しておくためのもの、あるいは減債基金というのは、将来返さなければいけない借金の償還期間が来たときにそれに回す。それから、その他の個別の特定目的につきましては、これは空港もありましょうし、あるいは鉄道、河川もありましょう、地下鉄もございます。また、福祉施設、医療機関等のための基金もあるわけでございます。学校とかあるいはその他の社会教育施設、あるいは文化体育施設につきましての基金もあるわけでございまして、そういうそれぞれの目的がございますので、それぞれの団体におきまして適切に管理をしてほしい、こういうことを申しておるわけでございます。計画的に使っていくように、地方団体にとりましては安定的に財源を確保して、住民サービスにそごが生じてはいけませんので、そういうことのために使ってほしいということをお願いいたしておるわけでございます。
 私どもといたしましても大きな問題は、多極分散型の国土の形成、ふるさと創生、あるいは先ほど申し上げました四百三十兆の公共投資の基本計画の達成、さらには厚生省が中心にお考えいただいておりますゴールドプランがございますので、そういった関連の地方単独の事業もございます。それにつきましても、平成三年度におきましては地域福祉基金の創設もお願いいたしておるわけでございますが、その場所、それから時期に応じまして必要なものに適切に使用してもらいたいというふうに思っておるわけでございます。
#293
○上田耕一郎君 海部総理大臣、あなたの懐刀として活躍されている石原官房副長官が自治省時代に「地方財政法逐条解説」という本を書いているんです。地方財政法第四条の三、これが積立金のところです。ここにありますけれども、石原さんはこう書いている。
 地方公共団体の目的は住民の福祉の増進にあるので、本条の積立金も必要に応じ積極的に取りくずして、住民のため真に緊急、かつ、必要な建設事業の実施その他住民の福祉の増進のために用いるべきであり、営利企業のように積立金による内部留保のみを手厚くし、地方公共団体の行政の本質を忘却することのないように留意すべきである。
豪華庁舎を建てるなとまで書いていないけれども、もう気持ちは明らかでしょう。そういうものなんですよ。たまった金は住民の金です、税金とか公共料金とか。住民のためた金は住民の福祉に戻す、当たり前じゃありませんか。総理としては、地方財政七十兆の約三割に達しようとしているこれだけの莫大な積立金を住民福祉のために使うという方向を強力に指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#294
○国務大臣(海部俊樹君) 地方公共団体が設置しております基金、それぞれの趣旨に従って積み立てをしておるものと思いますし、基金の設置目的に則して住民福祉の向上のために有効に活用されるべきであり、またそのように活用されてきたものと認識もいたします。
#295
○上田耕一郎君 言葉だけじゃなくて、本当に住民福祉のために使えるような強力な指導を政府並びに自治省に要請したいと思います。
 次に、先ほども問題になりましたけれども、看護職問題、これに移りたいと思います。
 大都市、特に民間の中小病院で看護婦さんの不足が大きな社会問題、政治問題となってきておりますけれども、これは国民の命と健康を守るために国民的課題と言うべき重みを持ち始めていると思うんです。
 まず、厚生大臣に現状とそれに対する対策、マンパワー対策本部の中間報告も出たようですけれども、お伺いしたいと思います。
#296
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 ゴールドプランというのが御承知のように実施されることに相なりまして、ことしがちょうど二年目であります。そして、それぞれの目標について委員御承知のようなターゲットを設けてこれに取り組んでおりますけれども、その中でその実施を確実なものにするという観点から見ますと、これはやはりマンパワーを確実に確保するということであることは御承知のとおりでございます。したがいまして、この問題に対しましては、平成三年度の予算におきましても、それぞれ各項目ごと相当重点的に配慮してその実施が確実なものになるように努力しているところでございます。
#297
○上田耕一郎君 きょうは少し突っ込んで質問したいんですが、まず毎年養成される新卒の看護婦さんの数と離職者の数をお伺いします。
#298
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 平成元年の看護婦等学校・養成所の卒業者数は約七万人でございます。この中には准看護婦さんが看護婦資格を取得するために二年課程に進学する者等もございますので、看護業務に実際に就業する新卒者は約五万七千人ということになっております。それからまた、同年の離職者数は約四万五千人、再就業者数は約一万二千人という数になっております。
#299
○上田耕一郎君 五万七千人新たに就業されて、離職者が四万五千。どうしても離職者が多過ぎるんですね。ざるに水をくむような感じもちょっとするわけなので、看護婦さんの不足を解決するためには養成する数をふやすことと、それから離職しないように、やめないように待遇改善をすること、この二つがやはり基本だと思うんです。
 まず、養成者の数をふやす問題についてお伺いしますが、緊急対策として看護学校の定員を直ちに一〇%広げるということはすぐできると思いますが、いかがでしょうか。
#300
○政府委員(長谷川慧重君) 看護職員の確保を図る上におきまして、先生御指摘の新規養成力の拡充を図ることは非常に重要であるというぐあいに認識いたしております。このために看護婦養成所の定員の規定につきましては、教育のレベルを下げないように十分配慮した上で弾力的に対応するように指導いたしておるところでございます。それから、平成三年度予算案におきましても看護職員の養成力の大幅な拡充強化を図ってまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
#301
○上田耕一郎君 まず定員を当面拡充すると同時に、国の補助をふやすことが大事なんですね。私も出席しましたが、二月九日に看護婦不足対策東京都病院大会というのが開かれまして、そこでも要求は、看護婦養成施設の増設と入学定員の拡充、看護婦養成施設に対する補助金、奨学金の大幅増額、この養成問題が最初の柱なんですね。
 それで、看護婦養成数のうち五五%は民間がやっているんです、病院並びに医師会。病院がやっている場合どうかというと、有名な千葉の旭中央病院附属の看護専門学校がデータを公表していますけれども、病院の自己負担は四八%というんです。国と県の補助金は五・八%にしかすぎない。四八%病院がお金を出して看護婦さんを養成しているというのは、つまり患者さんの治療費で看護婦さんを養成しているということになるんです。東京都の大会でも、大都市東京の場合、地価が高いし、看護婦さんの学校はなかなかつくれない、国が乗り出してほしいという要望が叫ばれていて非常事態だというんです。これは大蔵大臣に聞かにゃいかぬですね、看護学校に対する補助金をふやすと。どうですか、金を出すのは大蔵大臣なんですから。――やっぱり厚生大臣ですか。
#302
○政府委員(長谷川慧重君) 看護職員の確保対策を進めていく上で新規養成力の拡充は非常に重要なことでございます。そういう面で、平成三年度予算案におきましても、先生御指摘の看護婦等養成所の運営費に対します補助金につきましては、四十四億円から六十二億円と約四割の大幅増額をいたしまして、養成所の運営費の強化を図ってまいりたいというぐあいに思っているわけでございます。それからまた、あわせまして医療施設等整備費補助金のメニュー予算におきまして、看護婦等養成所の整備促進の観点から、整備費につきましては四十億円から四十四億円に増額いたしているわけでございます。それからまた、看護婦等養成所の整備につきましては、社会福祉・医療事業団の低利融資の適用を行うことといたしまして、看護婦等養成所への助成の強化を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
#303
○上田耕一郎君 二番目の問題は、看護婦さんの労働条件と待遇の改善です。看護婦さんの声を集めたものがありますけれども、今のままだったらいつまで続けられるか、患者さんにもうちょっと待ってくれというのを言わないようにしたい等々、白衣の嘆きの声が詰まっているんです。まず一つは、夜勤がひどい。三交代制夜勤、その状態と改善の方向、厚生省、いかがですか。
#304
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 看護職員の勤務状況、また労働条件、これは確かに夜勤がありますので非常に大変であると了解をしておるわけでございます。このために、指導としては二・八制度というものが早く実現できるようにということでありますけれども、現在はその点が必ずしも平均的に実現できるところまでいっておりませんので、諸般の状況を整えてそのレベルに達するように今指導し、また努力をしているところでございます。
#305
○上田耕一郎君 二・八制度というのは、看護婦さんの夜勤は二人以上、月八日以内、人事院が判定したんですね。二十六年前です。ところが、二十六年たって国立病院でさえ満足にできない。
 労働省にお聞きしたいんだけれども、今度のマンパワー本部の中間報告、これでもやっぱり法的措置も含めた対応が必要だと書いてあるんですけれども、労働基準法などでこの二・八制度、これを決めるということが必要なんじゃないでしょうか。
#306
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 ただいまの深夜業の問題でございますが、率直に申し上げまして、看護婦のいわゆる仕事の性格上、言いかえますと人命にかかわるという職務の性格上からいたしまして、実態としては深夜勤務は避けられない状況にある、かように判断をいたしております。
 しかしながら、先ほど先生お触れいただいておるようでございますが、深夜業が極めて頻度が高い、あるいはその傾向があるかとも思うんです。しかしながら、言葉を返すようでございますが、所定内労働時間あるいは総実労働時間等を他の全産業の平均と比較をいたしますと、これは女性だけの比較でございますが、必ずしもその労働時間が比較して長くはない。言いかえますと、おっしゃるように、はっきり申し上げておきますが、所定外労働時間におきましてはただいま御指摘の傾向があるということでございます。
 さらにまた、今日の労働時間を短縮しなければならないという一般的な社会情勢は極めて実現の高い重要な問題でありますから、私どもはただいま御指摘の問題につきましては重要視し、かつまたこれが改善につきまして積極的に対応をいたしておるところでございます。
#307
○上田耕一郎君 ひとつ一層積極的にお願いします。
 厚生大臣、ベッド数当たりで欧米諸国と日本の看護婦さんの数、比較してください。
#308
○政府委員(長谷川慧重君) 国によりまして病院のあり方にはいろいろ差がございますし、それから看護職員の定義もさまざまでございますから、単純な比較は非常に難しいわけでございますが、OECDの調査によりますれば、百床当たりの看護職員数は、我が国の場合平成元年現在で四十一・四人、アメリカにおきましては、一九八一年の古い数字でございますけれども、九十三・五人、西ドイツにおきましても一九八二年の数字で三十一・一人という数字が報告されております。
#309
○上田耕一郎君 なかなかはっきり言わないんだけれども、今アメリカと比べても二分の一でしょう。厚生の指標、これは厚生省が発表したものですよ。大体国際的に言って北欧諸国の三分の一から四分の一、非常に絶対数が少ないんですね。
 看護基準で入院患者四人に対して看護婦一人と決めたのはいつで、どういう根拠ですか。
#310
○政府委員(長谷川慧重君) 医療法の施行規則で決められております入院患者四人に対して看護婦さん一人という数字につきましては、これはその法制定時の二十三年当時におきます国立病院等の看護婦さんの実態を踏まえてそのように設定されたというぐあいに聞いております。そういう面では、その時点におきます確たる根拠あるいはしっかりした積み上げがあるというぐあいには承知いたしておりませんが、その当時の時点におきます国立病院等の実態に応じましてそういう数値を決めたというぐあいに聞いておるところでございます。
#311
○上田耕一郎君 調べてみました。とにかく医療法、昭和二十三年のときに決めたんですね。七月に医療法ができて施行規則は十一月。ところが、国会の議事録がありました。久下医務局次長、施行令でどのぐらいの数で決めるのかと、少なくとも最小限度二十ベッドの病院でお医者さん三名、看護婦七名、こういうことを考えておりますと。三対一ですよ、国会で答えたのは。なぜ十一月に四対一になっちゃったんですか、根拠を明らかにしてほしい。
#312
○政府委員(長谷川慧重君) 私が先ほど御説明申し上げましたのは、昭和四十三年三月十四日の社労委員会におきまして当時の若松政府委員からの答弁でございまして、四人に一人という基準につきましては、「医療法の施行されました約二十年前にきめられたことでございます。これはきめられた当時におきましては、大体当時の実態ということが基礎になってきめられたように承知しております。」というようなことの御説明もございますので、それを受けまして私どもはそういうぐあいに承知いたしているわけでございます。
#313
○上田耕一郎君 昭和二十三年といったら一番の入院患者は結核患者ですよ、私も入院したからよく知っているけれども。当時と今の看護婦さんの仕事の複雑化、高度化、濃密化、まるっきり違うでしょう。しかし、二十三年でも国会で二十人に対して七人、三対一と答えているんだから、何で三対一にできないんですか。我々は二対一にしなきゃならぬと。それが四十何年そのままなんですから、四対一。しかも、四十何年前に三対一にすると言っているんだから。どうですか、ちゃんと根拠を答えてください。
#314
○政府委員(長谷川慧重君) 現在医療法で言います四対一の基準をまだ達成していないところの病院といいますか、そういうところが全体の約四分の一あるわけでございますので、そういう実態を踏まえまして、現在のところは四対一の基準につきましては改正する考えは持っていないわけでございます。
 しかしながら、先ほど来いろいろ御指摘ございましたように、あるいは社会的にも非常に看護婦不足の問題がございますので、私ども年度内に、今月中には新たな需給計画を立てまして、利用数に応じました供給計画といいますものをこれからきちっと立ててまいりたい。そのためにはいろんな看護婦さんの確保対策ということで、先ほど来申し上げました養成所の確保、あるいはやめないような対策、あるいは現在在宅していらっしゃる看護婦さんの就業というような対策等々につきましては、いろいろ対策を講じてまいって看護婦さんの確保対策に努めてまいりたいというふうに思っております。
#315
○上田耕一郎君 だめだ、答弁になっていない。だめだ。
#316
○国務大臣(下条進一郎君) 今の配分の問題でありますけれども、全体の状況の中で、やはり具体的な事例に応じては、特一は三対一とか、それから特二は二・五対一とか、あるいはまた特三は二対一という個々の状態に応じた指導はやっておるわけでございます。ただ、全体として指導の基準といたしましては、総数の十分な充実が図られておりません今日は、今までの指導の基準は残してやっておる。しかし、今局長から御説明いたしましたように、今月中に需給の関係の指導と調査の基準を決定いたしまして、各都道府県にこれを通知して調査をした上で、改めてこの問題も検討することにいたします。
#317
○上田耕一郎君 特二ができたのは七四年、特三ができたのは八八年ですよ。四十数年ほうってあった。今大臣、看護基準の見直しもするということですか。
#318
○国務大臣(下条進一郎君) これからまだ調査をするわけでございますから、調査をした上で私たちは考えをもう一回検討するということでございます。
#319
○上田耕一郎君 もう一つ、最大の問題は、看護婦さんの待遇で診療報酬体系の中での看護料の評価が極めて低いという問題です。
 労働省、看護婦さんの賃金水準は、経験年数十五年の場合、他の職種と比べてどうでしょう。
#320
○国務大臣(小里貞利君) 看護婦の賃金につきまして概して申し上げますと、他の産業平均、これは女性だけの統計でございますが、決して低いという統計上の数値は出ておりません。しかしながら、先ほどからいろいろお話がございますように、職務の内容等から勘案をいたしまして、また決してこれが高いという評価もできないと、私どもはさような判断をいたしておりまして、これらのことについても留意をしてまいりたいと思っております。
 なおまた、細やかな数値はここに持っておりますが、時間の関係もございましょうから省略いたしますが、概して申し上げましてそのようなことでございます。
#321
○上田耕一郎君 私持っているのは、労働省政策調査部平成元年賃金構造基本統計調査、グラフが出ています、一番下ですよ。もう低いことは社会的にも明らかなんですね。それで、診療報酬というのはやっぱり治療が主で、予防とか看護とか介護、これは非常に少なくなっているんですね。
 まず、病棟勤務の看護料、一日患者さん一人当たり幾らになっていますか。
#322
○政府委員(黒木武弘君) 入院における看護料のお尋ねでございますけれども、さまざまな看護職の配置によりまして一人当たりの料金に差がございます。基本看護と言われるものは二百八十二点でございますから一人当たり二千八百二十円、それから特三類、これは最も手厚い配置になっているわけでございますけれども、この場合は五百五十九点ということでございますから一人当たり五千五百九十円になります。
#323
○上田耕一郎君 病院に聞きますと、この二千八百二十円、安いものですね、大体看護婦さんの人件費の七割ぐらいしか出ない。今度調べて一番驚いたのは、先程及川委員も指摘しましたけれども、外来の看護婦さんの仕事、一点も点数がついていないということです。先ほどの施行規則には、外来は三十人に一人と決まっているんでしょう。入院患者は四人に一人でしょう。同じ施行規則で決まっていて、なぜ外来看護婦さんには一点も点数がつかないんですか。
#324
○政府委員(黒木武弘君) お尋ねは診療報酬体系のお話になろうかと思いますけれども、入院部門におきましては看護婦さんの業務というのが、もう御案内のように、診療時の補助と療養上の世話という、いわゆるケアという体系は看護婦さんの業務としてきちっと確立した形で位置づけられている。したがって、入院部門についてのケア、療養上の世話は看護料ということで払っているわけでございますけれども、外来とか手術とか検査になりますと、診療の補助という形でそれぞれ初診料、手術料、検査料の中にお医者さんの技術料とともに込み込みで評価してある、こういうことで、体系のお話だということで御理解いただきたいと思います。
 決して外来部門の看護婦さん、手術部門の看護婦さんの評価をしていないとか軽視しているということではございません。私どもはまとめて包括的にそういう費目の中に看護婦さんのコストなり技術料の評価も入れて見ておるということで御理解をいただきたいと思います。
#325
○上田耕一郎君 診察料に含まれているんだけれども、初診料は千七百五十円ですよ、千七百五十円の中で看護料を何円見ているんですか。
#326
○政府委員(黒木武弘君) さまざまな関係団体から、外来の看護料を新設してくれ、あるいは手術部門の看護料を新設してくれという御提案なり改善の要求が出ておるわけでございますけれども、まさに委員お尋ねのように、旧来のそういう包括的な評価の中でどの割合が看護婦さんの評価分として入っているか、これが果たして分けられるかどうか、あるいは別にするのがいいかどうかというのは、これは私どもとしては慎重な議論を要するところでございまして、まさにそういう診療の実態に合わせて専門的に技術的な評価をしていただく中央社会医療保険協議会で御議論を賜るべきテーマかなというふうに思っております。
#327
○上田耕一郎君 外来というのは、厚生省の調査で、一日とると患者さんの八割は外来なんですよ。そこでどういう手当て、診察をするかというのは病気を治すのに一番大事なんだから、プライマリーケアの一番大事なところでしょう。そこの看護婦さんの仕事はどういう内容がありますか。
#328
○政府委員(長谷川慧重君) 外来におきます看護婦さんの仕事の中身のお尋ねでございますが、診療各科によりまして大分異なると思うわけでございますけれども、一般的にいわゆる軽症の患者さんの場合でございますれば、医師の診察に当たりまして患者さんを誘導するなりあるいは診察しやすいようなところでお手伝いをする、それから場合によりましては医師の診察が終わった後に医師の指示を受けまして必要な注射等の医療行為をやる、あるいは医師の指示を受けまして療養上の世話についてのガイド、これは医師が本来行うべきものではございますけれども、そういうものについても行うというような行為等がいろいろあろうかと思います。
#329
○上田耕一郎君 もう時間になりましたけれども、その程度の認識だから困るんですよ。外来の看護婦さんが何をやっているか。まず待合室でよく患者さんを見て、初めて訪れる患者の不安の除去、感染予防、緊急措置、こういうのをやる。二番目に診療の介助、各種計測の介肋、患者のニーズ把握、衣服の着脱、体位保持、検査と前処置のオリエンテーション、点検、検査後の指導、医師の説明が理解できたかのチェック。三番目に慢性疾患患者の生活相談の指導、治療中断させないための対応等々。それからいろいろなところとの連絡、救急。外来看護婦さんの仕事は物すごく多いんですよ。それで人数も非常に多いんです。それが手術の看護の点数もついていない、こういうやり方だと、中山さんはお医者さんだからよくわかるでしょう、結局看護婦さんの人件費を抑えることを病院はやるんですよ、看護料がついていないから。
 それで、もう私時間が参りましたが、きのう中間報告が出ましたね。これはなかなか前進面が書いてある、これは私も評価したいと思います。それで総理、最後にお伺いしますが、厚生省のマンパワー対策本部の中間報告が出て、国民的課題の看護婦さん不足等々について前進的方向が出てきたわけだ、皆さんまだ全部読んでいないかもしれぬけれども。政府としてはこの方向で大いに努力をする、この決意を最後にお伺いしたいと思います。
#330
○国務大臣(海部俊樹君) 看護婦さんが果たしていただく役割というのは、これは非常に大切なものであるという観点と、同時にまた、看護婦さんの今置かれておる現状その他についての詳細なやりとりがございました。これは需給の見直しをするとともに、今ここで御議論になりました定員をふやして養成をするとか、離職の防止を図るとか、再就職の推進を図るとか、予算措置も今年は前年に比べて三八%ふえるという措置をとって今も鋭意努力しておるところでありますが、中間報告につきましても、鋭意これと誠実に取り組んで努力をしていく決意でございます。
#331
○上田耕一郎君 終わります。
#332
○委員長(平井卓志君) 以上で上田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日の審査はこの程度といたします。
 次回は来る二十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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