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#1
第120回国会 予算委員会 第15号
平成三年四月四日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     石川  弘君
     山口 光一君     合馬  敬君
     片上 公人君     猪熊 重二君
     広中和歌子君     針生 雄吉君
     今泉 隆雄君     喜屋武眞榮君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     林  紀子君     山中 郁子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                坂野 重信君
                野沢 太三君
                藤井 孝男君
                宮澤  弘君
                佐藤 三吾君
                角田 義一君
                安恒 良一君
                及川 順郎君
                吉岡 吉典君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                石川  弘君
                石原健太郎君
                遠藤  要君
                合馬  敬君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                斎藤 文夫君
                須藤良太郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                星野 朋市君
                小川 仁一君
                北村 哲男君
                國弘 正雄君
                瀬谷 英行君
                竹村 泰子君
                堂本 暁子君
                細谷 昭雄君
                森  暢子君
                山本 正和君
                吉田 達男君
                猪熊 重二君
                中西 珠子君
                針生 雄吉君
                山中 郁子君
                池田  治君
                足立 良平君
                寺崎 昭久君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       法 務 大 臣  左藤  恵君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  井上  裕君
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
       農林水産大臣   近藤 元次君
       通商産業大臣   中尾 栄一君
       運 輸 大 臣  村岡 兼造君
       労 働 大 臣  小里 貞利君
       建 設 大 臣  大塚 雄司君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  佐々木 満君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       谷  洋一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  池田 行彦君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       越智 通雄君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  愛知 和男君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  西田  司君
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        公文  宏君
       内閣官房内閣広
       報官室内閣広報
       官
       兼内閣総理大臣
       官房広報室長   樋口 武文君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       人事院事務総局
       職員局長     大城 二郎君
       警察庁刑事局保
       安部長      関口 祐弘君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   小山 弘彦君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   新野  博君
       北海道開発庁総
       務監理官     松野 一博君
       北海道開発庁計
       画監理官     平工 剛郎君
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁教育訓練
       局長       小池 清彦君
       防衛庁人事局長  坪井 龍文君
       防衛庁装備局長  関   收君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁物価
       局長       田中  努君
       環境庁企画調整
       局長       渡辺  修君
       環境庁企画調整
       局地球環境部長  加藤 三郎君
       環境庁水質保全
       局長       武智 敏夫君
       国土庁長官官房
       長        八木橋惇夫君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       国土庁計画・調
       整局長      長瀬 要石君
       国土庁土地局長  藤原 良一君
       国土庁大都市圏
       整備局長     斎藤  衛君
       法務省刑事局長  井嶋 一友君
       法務省矯正局長  今岡 一容君
       法務省保護局長  佐藤 勲平君
       外務大臣官房審
       議官       川島  裕君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省経済局次
       長        須藤 隆也君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
       大蔵省主計局長  保田  博君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       文部大臣官房長  坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       文化庁次長    遠山 敦子君
       厚生大臣官房総
       務審議官     熊代 昭彦君
       厚生大臣官房審
       議官       田中 健次君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       長谷川慧重君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  小林 康彦君
       厚生省薬務局長  川崎 幸雄君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省援護局長  岸本 正裕君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省食品
       流通局長     馬場久萬男君
       食糧庁長官    浜口 義曠君
       林野庁長官    小澤 普照君
       通商産業省通商
       政策局次長    麻生  渡君
       通商産業省立地
       公害局長     岡松壯三郎君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    大塚 秀夫君
       運輸省運輸政策
       局長       中村  徹君
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       鈴木 政徳君
       建設省河川局長  近藤  徹君
       建設省道路局長  藤井 治芳君
       建設省住宅局長  立石  真君
       自治大臣官房審
       議官       遠藤 安彦君
       自治省行政局選
       挙部長      吉田 弘正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、平成三年度総予算三案の一般質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 一般質疑は二・五日分とすること、質疑割り当て時間の総計は二百二十七分とし、各会派への割り当て時間は、日本社会党・護憲共同百二十三分、公明党・国民会議三十八分、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合それぞれ十九分、参院クラブ九分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりとすること、以上でございます。
 ただいま御報告いたしました理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(平井卓志君) 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 それでは、これより一般質疑に入ります。瀬谷英行君。
#5
○瀬谷英行君 最初に、同和行政の問題と、それから狭山事件に関連をして質問したいと思います。
 先日、この狭山事件とは別なんですけれども、三月二十五日の新聞の報ずるところによると、大阪地方裁判所支部では財部被告に対する無罪判決を下したということが載っております。これは昭和五十九年に女の子が殺害されたという事件の被告になっていた人でありますけれども、結局その自白調書に創作の疑いがある。告白証言も不自然である。したがって、この財部被告については結論として無罪の判決が出たということなのでありますが、この種の有罪と無罪との違いは、特に殺人事件なんかの場合は天と地ほど違うわけなんです。
 こういった自白調書に疑いが持たれて結果的には有罪から無罪に変わったというような件数は法務省関係でどのくらい最近例があるか、御報告いただきたいと思うんです。
#6
○政府委員(佐藤勲平君) 申し上げます。
 突然の御質問で詳細なデータを手元に持っておりませんけれども、仰せられたような案件はさほど多くはないというふうに私自身承知しております。
 以上でございます。
#7
○瀬谷英行君 多かったら大変なんですよ、有罪と無罪とえらい違いですからね、これは。まけておくというわけにいかないんです。無罪だったならばこれは即時釈放されなきゃならないんですから、こういう間違いはやたらやられちゃ困るんです。つい最近も大阪の地方裁判所でこういうことがあった。だから、知っている範囲でそういうことが何件かあったのじゃないかということをちょっとお聞きしたいと思ったんです。
 別に正確でなくてもいいです。最近そういう事件がどのくらいあったのか、わかったら教えてもらいたい。
#8
○政府委員(佐藤勲平君) ちょっと数字の点は、全く手元に資料がございませんので申し上げられないのがまことに恐縮でございますが、おっしゃられた事件を含めて、本当に数件ではなかろうかというふうに思います。
 以上でございます。
#9
○瀬谷英行君 こういう例がないわけじゃないということなんですが、狭山事件なんかの場合はこれは埼玉県の事件ですから、埼玉版というのには一般の新聞よりも克明に事件の内容が報ぜられておりました。当時の新聞のコピーを持ってまいりますと、「有力容疑者を逮捕」といったような記事が載っておりますけれども、一番大きなミスは、犯人に現金を渡すということで警察が張り込みをしていた。にもかかわらず、犯人があらわれて被害者の姉と問答をしている間に、犯人の方が張り込みに気がついて逃げてしまった。そのことが、例えば「張込みの警察またも黒星 茶畑から姉と問答 犯人、金とらず逃げる」、こんなに大きく出ているんですよ、当時の新聞に。そのころからどうもこれはおかしいなと私は思ったんです。
 そうしたら、「初動のミスで難航 乱れた当局の足なみ」、「通用せぬ別件逮捕」、こういうのが続々として出ているんです。そして、結果的には石川被告が逮捕されたということになっているんですが、有罪という判決を下されていまだに千葉の刑務所に入っている。
 こういったような事件で、無実の罪であった者をいつまでも拘束しておくなどということは人道上許されないのは当然なんです。私は速やかに釈放されなきゃならぬというふうに思うのでありますが、これらの経緯について、法務大臣からお伺いしたいと思うんです。
#10
○国務大臣(左藤恵君) 今の事件につきましては、昭和三十八年のときのことでございまして、そしてその後四十九年の十月に東京高裁で無期懲役の判決が上告棄却によりまして確定いたしております。そして、昭和五十二年の八月に同人から再審請求が出ました。この再審請求に対して、五十五年、東京高裁で請求棄却の決定がありましたが、その同じ月に、請求人及び弁護人から異議の申し立てがなされました。そして、五十六年三月に異議申し立て棄却の決定があり、さらにその月に弁護人から特別抗告の申し立てがありまして、六十年の五月に抗告棄却の決定があり、そこで一応確定をいたしております。
 その後、六十一年八月に第二次の再審請求がなされ現在東京高裁で審理中であるということでございまして、我々としてはそれを見守っておるところでございます。
#11
○瀬谷英行君 こういうことは、いつまでも時間をかけて世間の記憶から薄れるのを待つようなことをやっちゃいけないと思うんですね。再審を速やかに行うべきだと思うし、私も、証拠についても筆跡についても、調べれば調べるほど不思議なんです。例えば、かもいに万年筆を隠しておいたと、しかもそれが三回目の家宅捜索でやっと見つかった。三回目の家宅捜索は本人の自白の二日後であったといったようなことは、これはどう考えてみてもつくり話めいているんです。こういうことが裁判にあってはいけないと思うんです。
 しかも、その背景になっているのは、部落差別という偏見から出発をしているのではないかと疑われても仕方がないような事情にある。同和行政の問題は基本法を初めたくさんの問題がありますけれども、それらの問題とこの事件とはかかわり合いがあるというふうに思うんです。したがって、同和問題に対する政府の対処方針というものもこういったようなわけのわからない事件を生み出す背景となっているということを考えたならば、同和行政のあり方についてもやはり慎重に、しかも真剣になされるべきだと思うのでありますが、関係の総務庁長官の御意見をお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(佐々木満君) 今お話しのございます個別の問題につきましては私からコメントする立場にございませんが、私どもは、この同和問題というのは基本的人権の尊重という憲法の根幹にかかわる極めて大切な問題である、こういう認識のもとに取り組んできておるわけであります。しかし、今日なおいわゆる心理的な差別問題が後を絶たない、これはまことに残念なことでございます。引き続きこれは広く国民の理解を得て進めていかなきゃなりませんが、精力的に粘り強く啓発活動を進めてまいりまして、こういう差別的な問題が根絶するように努力をしてまいりたいと思います。
#13
○瀬谷英行君 この件については速やかに再審の道を開いてほしいと思うし、同時に、隠されている証拠の開示をどんどんやってほしい。そういうような問題についての真相解明について努力を要望して、終わりたいと思います。関係大臣、結構でございます。
 次に、アメリカの対日政策に対してちょっと述べたいと思うんですが、部落差別といったような差別意識とか偏見とはちょっと違いますけれども、やはり民族的な偏見といったようなものがアメリカにあるんじゃないか、こういうふうに疑いを持ちたくなるような例が非常に多いんですね。したがって、まずこれが第一点。
 この前にもちょっとお話がありましたが、チェイニー国防長官が原爆投下を肯定するような発言をしたという、これは非常に我々にとっても不愉快なんです。トルーマン大統領の原爆投下というのは、これは全く誤りじゃなかったかと私は思うのでありますが、外務大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#14
○国務大臣(中山太郎君) あの戦争を体験した私どもの世代は、考えてみると、神州不滅とか、今ごろ神州と言ったらどこの国かというような、長野県の信州と間違われるでしょうけれども、神の国の日本は不滅だ、そして一億決死隊でやれ、上陸してくる米軍は一人一殺だと言って、私どもは学生でございましたけれども、銃を持って上陸してくる米軍を、百万人おれば百万人殺すということを強く命令を受けておった立場でございました。当時、我々は紀州半島へ行って米軍を迎え撃つということの命令を受けておりましたけれども、そのようなことから考えていくと、あの戦争というものは一体何だったのか。最後は上陸してくる米軍と我々国民との間の戦いであったと。
 それを結局米国の立場に立てば、この戦争を早く終わらせることが米国のために米軍人のためにいいという判断を私はトルーマン大統領がしたのだと思いますけれども、私は、戦争を賛美するものでも、原爆を認めるものでもございません。ただ、我々被爆国の国民としては、今日この戦争において原子爆弾が投下されたことは正しい判断だったということを聞くと、被爆国の国民としては非常に不愉快な思いがするということは私は事実であろうと考えております。
#15
○瀬谷英行君 NHKの朝のテレビドラマで「君の名は」というのをやっていますが、あれの最初のシーンは東京大空襲なんですね。三月十日に下町が空襲を受けて焼け野原になった。その下町の東京大空襲の生き残りの女性に私は戦後会ったんです。真っ黒だった髪の毛が真っ白になっていたので、おばさん随分しらがになったねと言ったら、三月十日の大空襲のときに火の壁の間を走り回って逃げて、身内の者は死んだけれども自分はやっと助かった。そうしたら一晩でもって真っ黒だった髪の毛が真っ白になっちゃった。私はびっくりしたんです、そんなものかなと思って。黒い髪が白くなるにはどなたもかなりの年数がかかるわけです。急に白くはならないですね。それが一遍に白くなっちゃった。これは大変なことだったなというふうに思いました。
 しかし、あの時点では日本軍は戦う力はもうなかったんです。私自身が感じましたよ、軍隊にいて。海軍といったって軍艦がない、空軍には飛行機がない。私は戦車隊だったけれども、戦車隊にも弾薬はあって戦車がなかったりするんです。これは困ったんですね。私は、我々の持っている軽戦車じゃかないっこないじゃないかと言ったら、今にでかい戦車が来る、その戦車が来れば大丈夫だと。そうしたら、その戦車の百五ミリの砲弾だけ来たんです。弾だけ来て、それで戦車は来ないんです。戦争が終わるまで来なかった。そしてその弾の方は、敵の銃撃によって焼失した場合には厳罰にするぞなんておどかされたんです。そんなこと言ったってたまらないと思ったですがね。そういう経験をしたんです。
 したがって、我々がそういう経験をしていたときはもう既にお手上げ寸前だったんです。だから、私はあの原爆というのは核兵器の生体実験だと思うんですね。やらなくたって済んだんですよ、もう時間の問題だったんですから。済んだのに、戦争が終わってから原爆をおっことすというのはこれはできないから、生体実験はできないから、戦争が終わる前にまず核兵器の実験をやるということをやったんじゃないかと思うんですね。そう見られたってしようがないでしょう。だから、この種の問題については、過去の過ちはやっぱり過ちとして素直に認めて謝罪するのが私は道理だと思うんです。あれは当然だなんというような大きな顔されたんじゃ迷惑なんですね。その点、外務大臣としても心得てもらいたいと思うんですが、どうでしょう。
#16
○国務大臣(中山太郎君) 我々は被爆国として、核の廃絶ということを国民はみんな心の中に考えているわけでございまして、非核三原則というものはそういう中から出てきたのだろうと思います。今後とも、国際社会において核兵器が使われないように、私どもはそのような方向を求めていくというのは国家の理想である、このように考えて私は生きております。
#17
○瀬谷英行君 アメリカのいろんなやり方がありますけれども、私はハミルトン・フィッシュという人が書いた「日米・開戦の悲劇」という本、これを読みました。何で私はハミルトン・フィッシュという人の名前を覚えているかというと、この人は私の学生時代の記憶にあったんです。そしたらたまたま戦後こういう本が出てきた。そして、その本の内容は一々説明するというと手間がかかりますから言いませんけれども、ルーズベルト大統領は日本を戦争に巻き込むことを考えていたという趣旨のことが書いてあるんです。その翻訳をしているのは外務省の岡崎久彦という人なんですけれども、今この人は何をやっているのかちょっとお聞きしたいと思うんですが。
#18
○政府委員(川島裕君) お答えいたします。
 タイの大使をしております。
#19
○瀬谷英行君 タイの大使をしておられる。立派な方だと思うんですね。そして、亡くなった牛場信彦大使という人、この人がこのハミルトン・フィッシュという人を大変に褒めておるということも書いてあります。だから、この本に書いてあることは私はうそじゃないと思うんです。キンメル提督初めハワイのパールハーバーの将軍たちは、おまえたちが悪いんだということで悪者にされちゃったけれども、本当はそれは、日本の侵攻ということと最後通牒について知らせなかったというルーズベルト大統領に責任があるということがこの本に書いてあるんです。
 こういう本は私は読んでもらいたいと思うし、お読みになったことがあるかないか、そのこともお聞きしたいと思うんです。
#20
○国務大臣(中山太郎君) 私はその本はまだ拝見しておりませんけれども、あの激しい戦争の中を生き抜いてきた私の人生の中には、いわゆる極東軍事裁判の経過を通じてあの当時のことがきのうのように実は思い浮かべられ、その間の中に、このアメリカのいわゆる信号を傍受しながら通知をしなかったとか、いろんなことが現実にいろいろと議論をされておったことも私はよく記憶をいたしております。
#21
○瀬谷英行君 この本によると、いかにして日本に戦争を押しつけ、戦争に導き、あるいはだまして戦争に陥れるかということが開戦前の十一月二十五日の会合の議題だった、こういうことが書いてあります。これは我々としても、悪いのは日本の大本営だっただけでは済まない問題なんですね。こういうやらせの謀略があったということ、こういう事実があったことも、外務大臣として御承知でしょうか。
#22
○国務大臣(中山太郎君) 私は戦争にはいろいろと謀略はつきものであると考えております。やっぱり国家の利益を守るとか地域の平和を守るためにいろんな国がいろんな戦略を張っている。
 我々は、かつてその前に日本はどのようなことをやっていたかということを考えると、当時の日本の帝国主義というものに対してとってきたアメリカの政策というものは、私はそれなりの、いわゆる日本の帝国主義に対する力を抑制していくという大きな考え方に基づいていろんな戦略を張っていたものというふうに理解をしております。
#23
○瀬谷英行君 日本の軍隊も確かにそうだった。かなり悪いことをした。しかし、それを利用した方もやっぱり悪いと思うんです。それから、アメリカもそうだけれども、ソビエトにしても、満州在住の日本軍をシベリアに連れていって十何年も抑留をしたというようなことはやっぱり悪いと思うんですね。アメリカも日本人を向こうで抑留したことは悪かったと言っているんです。お互いに過去の悪かったことは素直に悪かったと反省をして謝罪するのが本当じゃないかと思うんです。そういうことはソビエトに対してもアメリカに対してもやっぱり同じように注文すべきだと私は思うんですが、大臣、どう思いますか。
#24
○国務大臣(中山太郎君) 戦争というものは悲惨なものであり、そして勝者と敗者がそこに存在する。そのような中で敗北した我々が相手の勝者に対してあれが悪い、これが悪いということを言う前に、私はみずからの行ったことを反省することがやはり大事である。我々の国家は戦後、かつての日本の帝国主義が行ってきたことを反省しながら平和憲法をつくって平和国家として生きようとみんなが決断をしたわけでありますから、今ここでアメリカ、ソ連に対してそのようにわびろということを日本が要求するよりも、我々はいかにして戦争が起こらない世界をつくるかということに各国と協力をしていかなければならない。
 しかし、私は、ソ連が捕虜を六年間も、六十万人近い人間がシベリアの荒野にさらされて労役に服したという、私は当時まだ学生でございましたけれども、舞鶴へ引き揚げてくる引揚船の姿もまだまざまざと心に残っております。私は、そういうことが日本人の心の中に永久に残り続けるだろう。しかし、それは歴史の一ページであって、我々はそれを乗り越えて新しい友好関係をくつっていくというのが政治の大きな責任ではないか、そのように実は思っております。
#25
○瀬谷英行君 改めてわびろと言わないまでも、間違ったことを言っていたならば、それについてはそれは間違いだと。例えば原爆を正しいなんと言うのは間違いだということは指摘しなきゃいかぬと思うんです。それから、ソビエトの大統領が来日をするというに当たっては、やっぱりシベリアに大勢連れていって長年抑留したなんということは間違いだったということは言わなきゃいかぬと思うんです。今大臣は六、七年と言われたけれども、私のおじなんか十年以上もシベリアに抑留されていたんですよ。そういう例が今日厳然として存在しているわけですから、そのことについて黙っている必要はないと思うんです。
 事のついでに、日ソ問題と日米問題両方にかかわりのあることを申し上げますが、サハリンでもって撃墜された大韓航空機事件についてイズベスチヤの報道というものが日本にも報ぜられた。この真相についてはどうも釈然としないままでおりますけれども、私はこれもアメリカ側にも大いに責任がある事件だと思うんですが、この問題についてはどのように判断されておりますか。
#26
○政府委員(兵藤長雄君) お答え申し上げます。
 イズベスチヤの報道についてのお尋ねでございますが、私どももイズベスチヤの報道につきまして多大の関心を寄せた次第でございますが、その中で新しい事実というものが紹介されておる。その点につきましては、今般ベススメルトヌイフ外務大臣が参りました際に中山外務大臣から改めてこの問題を提起いたしました。あそこに報じられているような事実関係の確認、並びに、もしあの事実が正しいとすれば、御遺族の方の一番御関心のある遺留品その他がまた新たに出てきているか、あるいは保管されているかということについての有無等について再度調査をするようにということを、中山外務大臣からべススメルトヌイフ外務大臣に要請をいたしたところでございます。
#27
○瀬谷英行君 遺留品がどのくらいあったかということは、そういうことにばかり熱中すると本末転倒してしまう。枝葉末節の問題なんですよ。問題は、これが一体故意によるものなのか過失によるものなのかということが大きな問題なんですね。ICAOの報告というのはその点で間違っていると思うんですが、その点、どうお考えになりますか。
#28
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 本件につきましては、確かにいろいろな立場、考え方によりまして各地で訴訟ざたになっております。今の先生の御指摘の点も含めて訴訟ざたになっておりますけれども、私ども日本政府としてこの事件をどういうふうに判断するかといいますと、ただいま仰せのICAOの報告書、これがやはり今の時点では一番、国際的に中立的な機関によってなされた報告でもございますし、当面権威のある報告だというふうに私どもは受け取っております。
 ここに書いてありますことはいろいろございますけれども、要するに、本件は、例えば大韓航空機によるスパイ説とかいろいろあるけれども、要は航空機の機材への入力のミスということが非常にその原因として大きかったのではないかということがこのICAOの調査報告書には強く示唆されておるわけでございます。
#29
○瀬谷英行君 今の報告は最初の方の報告なんですよ。一昨年の八月にアメリカの連邦裁判所の評決というものがこれを否定しているんです。その点、どう思いますか。
#30
○政府委員(谷野作太郎君) 確かにワシントンでの裁判所におきまして本件が訴訟ざたになっておりまして、陪審の方で、本件は大韓航空機の故意による不適切な行為によるものだということの評決が下されまして、総額約五千万ドルの懲罰的な損害賠償を支払うべしという評決並びに判決が出ておるわけでございますけれども、他方、大韓航空機側はこれに対して強く異議を申し立てておりまして、現在控訴中でございます。したがいまして、当事者の意見が分かれておるわけでございまして、私どもとしては、そういった係争中の事件でございますから、日本政府として有権的にどうだこうだというコメントはただいまの時点ではなし得る状況にないということでございます。
#31
○瀬谷英行君 大韓航空側は損害を補償しなきゃならないものだから逃げているだけなんです。だけれども、一昨年のアメリカの連邦裁判所の評決というものが正しいと思うか思わないか。正しいと思うならば、さきのICAOの報告はインチキだということになるんですよ。その点、どう思いますか。
#32
○政府委員(谷野作太郎君) 繰り返しの御答弁になりますけれども、要するに、事案が係争中であるわけでございますから、評決について私どもの立場として正しいか正しくないかということを有権的に申し上げることは困難であるということは御理解いただけると思います。
#33
○瀬谷英行君 係争中であるという言葉で逃げるわけにいかないんですよ。ICAOの最初の報告書は、「これらの仮定の双方とも、全乗員のかなりの不注意を前提としているが、このような不注意は、これまで国際民間航空において、かつてなかったというほどのものではない。」という、これだけなんです。それと、これは故意によるものだという連邦裁判所の結論とどっちが正しいと思いますか。これはもう明瞭なんですね。これは運輸大臣の見解を承りたいと思うんです。
#34
○国務大臣(村岡兼造君) 突然の質疑なので、私も今その件については調べてもおりませんし、どちらとも言えないのではないか、こう判断いたしております。
#35
○瀬谷英行君 これは細かく話していると時間がかかりますから注文だけつけておきたいと思うんです。「大韓航空機事件の研究」、これは武本昌三先生という奥さんとお子さんを亡くした方の本です。今ロンドン大学の教授をやっておられます。それから「疑惑の航跡」という、これは意図的に領空侵犯したと、アメリカの謀略を突くということを書いた本があります。私はこれらの本をぜひ外務大臣も運輸大臣もお読みいただきたいということを注文したいと思いますが、どうですか。
#36
○国務大臣(中山太郎君) 読ませていただきたいと思います。
#37
○国務大臣(村岡兼造君) 拝見させていただきます。
#38
○瀬谷英行君 これは防衛庁長官にもぜひ読んでもらいたい。防衛庁のレーダーの問題が関係があるんです。
 それで、防衛庁長官にお伺いしたいと思うんですが、戦車無用論についての反論はできなかったと思うんですけれども、防衛大学卒業生の任官辞退と防衛庁内部の不満とは関係があるのじゃないかと思うんですが、その点、どう思いますか。
#39
○国務大臣(池田行彦君) 防衛大学の任官辞退と防衛庁内部の不満という、その不満とおっしゃいますのは一体どういうことを指しておられるか、必ずしも正確に理解できたかどうかと思うのでございますけれども、先生がおっしゃいますのは、恐らく昨今の、とりわけ昨年来のいろいろな議論、その中で自衛隊のあり方についていろんなことが言われた、そのことが防衛大学生の中に、あるいは自衛隊員の中にいろんな思いを引き起こしまして、それが任官辞退につながったのじゃないか、こういった御指摘かと存じますが、私はそういった影響があったということは否定することはできないと思います。
 御承知のとおり、ことしは四百九十四名の防衛大学卒業生のうち九十四名が任官辞退ということになりました。これは、過去の最高が昨年の五十九人でございますから、かなり高い水準であるということは否定できません。しかし、全体として見ますと、やはり防衛大学生は十八歳という若い段階で入りますから、四年間いろいろ教育を受けながら自分の進路というものを考えているうちにある程度の進路の変更ということがあるのはやむを得ない話だと思います、これは防衛大学に限ったことではないと思います。それから二つ目には、やはり昨今の日本の経済状況、そうしてまた就職の状況なんかを考えますと、その辺も影響しておったと思います。
 しかし、それにいたしましてもある程度の、要するに昨年来の自衛隊をめぐるいろんな論議というものが改めて自分たちの進路について考えさせたということが影響したということは否定できないと思います。
#40
○瀬谷英行君 今後の問題として、私は基本的に軍縮の方向に進むべきだと思うんです。戦車はなぜ必要なのかということに対して答えられなかったでしょう、具体的に。最も幼稚な議論は戸締まり論なんというのがある。戸締まりをしないと敵が来るかもしれないと。しかし泥棒は戦車に乗って上がってくるなんということはないんですよ。したがって、戸締まり論なんというのは私はもう使わないようにした方がいいと思う。だからといって、やめろと言ってもできない。観閲式のときにあれがないというと景気が上がらない、その程度なんですよ。じゃ、それはそれで、だんだんと縮小していくという方向に向かうべきだと思うんですが、防衛庁長官、どう思いますか。
#41
○国務大臣(池田行彦君) 御承知のとおり、我が国の自衛隊というのは憲法の精神のもと専守防衛を旨といたしまして必要最小限の力を維持しているという、そういう存在でございます。そしてなお、将来に向かって軍縮に向かうべきじゃないかという御指摘でございますが、それは、現在世界全体として進んでおります安定化の流れがさらに進んで軍事力のレベルが全体として低くなっていくということは望ましいことだと存じます。しかしながら、現在の日本の防衛力はどうかという観点から申しますと、そもそもが、先ほど申しましたような必要最小限のレベルのものであるということを御理解いただきたいと存じますし、世界全体としての安定化の大きな流れがあると申しましても、我が国周辺の情勢というのは依然として複雑かつ不透明な部分が少なくございません。
 そういったことも考えますと、我が国の防衛力というものをこの段階でさらに大幅に削っていわばこの地域に力の空白ができるということが、かえってこの地域あるいは世界全体の、そこまでいきませんでもアジア地域全体の不安定要因につながるということも考えられるわけでございますので、私どもとしましては現在の我が国の非常に節度のある防衛力の水準というものを引き続き維持しなくてはならない、このように考えているわけでございます。
 それからなお、先ほど戦車の必要性について説明できなかったじゃないかというお話がございましたが、私どもこれまでの国会論議におきましても、現在の自衛隊の態様、そしてその中での各種兵器の必要性については必要に応じいろいろ御説明申し上げ御理解をちょうだいしていると思っております。戦車につきましても、きょうは時間がなにでございますが、私どもは現在の自衛隊の体制の中で必ず必要なものだと。まず基本的に申しますと、やはり縦深性というものが一つは必要なのでございます。
 他国から侵略がありました場合に、なるべく洋上で早期に発見しまして侵略を未然に防ぐという手だてをしなくてはいけませんけれども、完全にそれができるかどうかわからない。その場合には今度は水際において何とかそれを食いとめるということで努力をいたしますが、しかしそれで完全にできるだろうか。やはり地上兵力をもって我が国国土が侵されるという事態もあり得るわけでございまして、そういったときに、その侵略を排除していくために我が方の自衛隊の戦車というものは必要性があると思っておりますし、それからまた、現実にそういった他国の兵力の我が国土への侵略がないとしましても、現在そういった場合にも備えて地上部隊もしっかりしておるんだということが、他国の侵略に対する抑止の力になるという点も御理解いただきたいと存じます。
#42
○瀬谷英行君 たまたま前に自民党におられた成相議員と私とは同じ戦車部隊にいたんですが、日本にこんな大型戦車が必要かどうかということは、考えてみても説明がつかないんです。そのことを申し上げたわけです。
 時間の関係で次に移りますが、ウルグアイ・ラウンドの米の問題です。
 米の問題は、単に米を輸入していいか悪いかということだけじゃない、日米関係のこれからの大きな問題になると思うんですが、これらの点について、基本的な姿勢をお伺いしたいと思うんです。
#43
○国務大臣(近藤元次君) 米の問題につきましては、まさに米の重要性は今さら申し上げるまでもないことでもありますし、稲作のまた重要性というものにかんがみて、我が国で自給可能なものでありますから、自給する方針で対処していきたいという姿勢で交渉に当たっていくわけであります。
#44
○瀬谷英行君 きのうの新聞を見ますと、人気投票で橋本大臣と石原慎太郎さんというような記事も出ておりましたが、同時に同じ新聞の中に、クルド族の難民が大量餓死をするおそれがあるということが出ておりました。大量の難民の餓死、それからきのうも出ましたが一日四、五万の子供が餓死しているという現状、これを考えるならば、米が余っているならそういうところに回すということを考えるべきだと私は思うんです。その点、どうですか。
#45
○国務大臣(近藤元次君) 我が国でも、食糧問題では世界の需給を考え、餓死をしておると言われておるような地域に対してもKR援助を行っておるわけでありまして、今ちょうど麦換算で三十万トンぐらいがKR援助をしておるわけでありますけれども、我が国の農業事情からすれば、今生産調整に努力をしながら、過剰米というものは発生をいたしていないわけでありますが、仮に今転作面積の中で米生産をしても、国際価格は四万から五万が大体の米の国際価格でありますし、我が国の米は二十八万ないし二十九万が買い入れ価格という状況になっておるわけでございますので、そういう財政的な面と、また米の品質からいっても、食糧難に苦しんでおられる地域というのは我が国の米よりもむしろ通称外米と言われておるような米の品種を好まれておるということの観点からも、我が国が今とられておるような状況ではKR援助を推進していくという立場での努力はしていかなければならない、こう思っておるわけであります。
#46
○瀬谷英行君 地球環境を守るためには我々も浪費を戒めなきゃならぬと思う。浪費の典型は、きょう新聞をちょっと触れましたけれども、三十二ページのうちほとんどが広告なんです。時には一ページ大の広告がある。あれはかなりの担税力がないとああいう広告は出せません。それから雑誌にしても同じです。こういう雑誌ですね、ほとんど広告の合間に記事がある。これはやっぱり考えなきゃいかぬと思うんですが、その点、どう思いますか。こういうところから税金を取ったらどうかということです。
#47
○国務大臣(橋本龍太郎君) そういう御論議でありましたらば、大変恐縮でありますが、私一つ委員にお尋ねをさせていただきたいことがございます。委員は名刺をお持ちでありますか。その名刺はどのような紙をお使いでありましょう。私の名刺は数年前から再生紙であります。そして、まさにお互いが気をつけるということであれば、本当にそうしたことも考えなければならないと思います。
 私は今委員がお述べになりましたような議論をきょう初めて承りました。広告課税というものについて税制調査会等において、今までにも長い議論の中で今後なお検討すべしという議論が結論として報告をされておることは御承知のとおりであります。そして、広告課税という税の立場からまいりますならば、これはそれが電波であろうと紙であろうと広告という行為そのものに対しての課税ということになりますから、書籍あるいは新聞といった印刷物のみに固定した広告税というものは非常に仕組みにくいのではないかと思います。従来から論議をされてまいりましたのは交際費課税とのバランスの中で広告課税というものは議論をされてきたわけでありまして、その中におきましてなお検討を続けるべきという結論が出ておるという状況にあります。
 私は、その広告課税というものを省資源の立場から特定分野にのみ課すということが税制上妥当なものかどうか、これはちょっと別種の議論を必要とするものではなかろうかと思います。
#48
○瀬谷英行君 昔の新聞、雑誌というのはこんな今のように分厚くなかった、それで用は足りたんです。
 それから、名刺の話がありましたけれども、私は余り名刺は使わないんです。大臣の名刺はどんなもんだかわかりませんが、大きな名刺は必要がないから使いません。――じゃ、一枚いただいておきます。
 それでもう一つ、国土の均衡ある発展ということだと過密過疎の解消の必要があると思うんですが、これは国土庁として考えなければいかぬと思うんです。今東京だけが人口が一千万を超えていますが、これじゃ困るんです。国土の均衡ある発展について、国土庁長官、どのようにお考えですか。
#49
○国務大臣(西田司君) 確かに御指摘のように、過密過疎という問題は日本の社会あるいは経済各般にわたって大変重要な問題を引き起こしておる、このような認識をいたしておるわけでございます。特に大都市における問題でございますが、経済の国際化、情報化、ソフト化等が進んでまいりまして、東京都を中心といたします大都市に機能の集中や人口の再集中が起こっておるということはこれは否定できない事実である、このように考えておるわけでございます。
 そこで、国土庁といたしましては、従来から申し上げておりますように、一極集中を是正して多極分散型の国土を形成していこう、その一つの取っかかりといたしまして国の行政機関等の移転を進めていこう、それから都市産業機能等の地方分散を図っていこう、また工業等制限法の適用によりまして工場や大学等の地方分散を図り地方配置をやっていこう、こういうことに現在取り組んでおるような次第でございます。そして、究極は職住の近接したバランスのとれた都市を形成していく、そういう方向に今鋭意努力を払っておるところでございます。
#50
○瀬谷英行君 著しい現象として道路の渋滞があります。どうにもならぬわけです、東京周辺の道路の渋滞は。それから、例えば東海道新幹線が飽和状態になっています。これらの問題も解決する必要がある。リニアモーターカーの研究というものはこういう問題解決の役割を果たし得るのかどうか、それらの点もお聞きしたいというふうに思います。
 以上の点で、私の質問を終わりたいと思います。
#51
○国務大臣(大塚雄司君) お話しの道路の渋滞につきましては、もう限界に達しておると言ってもいい状態であります。したがいまして、今国土庁長官がお答えのように、一極集中から多極分散型の国土を形成するために、高規格幹線道路も二十一世紀初頭一万四千キロを目標に整備を進める、こういうことでありますけれども、かつては道路をつくれば車がふえて公害がふえるからつくらない方がいいなんという論理が通ったことも時代としてはございました。
 しかし、一昨年、いわゆる土地基本法を制定していただきましてやはり公共の福祉を優先することが大事だという基本的な認識が成り立ってまいりましたから、これから道路を整備する上においては国民各層の御協力をいただいて、予算もさることながら公共の福祉を優先するために御協力もいただいて、一刻も早く車社会に対応する自動車道路網の整備をする、あわせて鉄道網も整備をしていく、こういうことに努力をしてまいりたいと思っております。
#52
○国務大臣(村岡兼造君) 先生おっしゃいますように、東海道新幹線の混雑率というのは朝の八時、九時台、あるいはまた夜の七時から八時台が大変混雑しておりまして、切符が取れないという状況であることは私ども承知をいたしております。したがいまして、当面、今現在の「ひかり」と「こだま」七・四体制をどうするか、こういう問題につきましては現在東海道新幹線輸送力問題懇談会において技術的な検討を行っておりまして、当面の問題は何とか解決していきたい、こう思っております。
 なお、現在、第二東海道新幹線とも言うべき中央新幹線の全線にわたる地形、地質等の調査が行われておりまして、御指摘の点につきましてはこれらの調査の成果及び今後の輸送需要動向等を踏まえながら検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#53
○委員長(平井卓志君) 以上で瀬谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#54
○委員長(平井卓志君) 次に、堂本暁子君の質疑を行います。堂本君。
#55
○堂本暁子君 まず選挙権の問題から入らせていただきたいと思うんですが、選挙権はすべての国民に保障されているでしょうか、自治大臣に伺います。
#56
○国務大臣(吹田ナ君) 基本的には保障されております。
#57
○堂本暁子君 基本的にとはどういうことですか。必ず全部保障されていないんでしょうか。
#58
○国務大臣(吹田ナ君) 選挙法で定められております禁治産者等、そういった関係者はこれはございません。
#59
○堂本暁子君 障害あるいは高齢者と選挙権のことを伺いますが、障害度が三級で車いすに乗っている人とそれから一級、二級の障害を持った方、それから両下肢、体幹、移動機能の障害がある人、これも三級と一級がありますが、そういった方で選挙権の行使に差があるのはなぜでしょうか、この理由を御説明いただきたい。
#60
○政府委員(吉田弘正君) 現行の選挙法上、一定の重度の障害者につきましては、選挙権の行使につきまして郵便による投票の制度が設けられておりまして、それ以外の方々については、一般の不在者投票、あるいは病院において投票をする、あるいは直接投票所へ行って投票するという仕組みになっております。
#61
○堂本暁子君 車いすで実際に階段を動けない人、三級の場合に、その方たちはどうするわけですか。
#62
○国務大臣(吹田ナ君) 指導としまして、できるだけ一階に投票所を設けるように地方公共団体に指示はいたしております。
#63
○堂本暁子君 家から投票所まではどうやって行くんでしょうか。
#64
○政府委員(吉田弘正君) 現行の法律でさっき申しましたように一定の重度障害者については郵便投票という方法があるわけですが、それ以外の方々は原則として投票所へ行ってそこで投票していただくということで、一、二級の方については、当然身体障害者手帳をお持ちになってそれで郵便投票証明書を交付してもらって、証明がある方々については郵便投票ができるわけですが、それ以外の方は投票所へ行っていただいてそこで投票するというのが原則になっております。
#65
○堂本暁子君 厚生大臣、いかがお考えでしょうか。
#66
○国務大臣(下条進一郎君) あらゆる方々が選挙権を行使できるということが非常に大事なことでございますので、それぞれ、つかさつかさでいろいろな条件の整備を図るということが必要だろうと思います。
#67
○堂本暁子君 続けて、厚生省に伺いますが、障害の一級、二級、三級、それぞれの人数を教えてください。
#68
○国務大臣(下条進一郎君) 昭和六十二年の二月に実施いたしました調査の結果によりますと、全国の十八歳以上の在宅の身体障害者で一級から三級までの方は、百三十三万一千人ということに相なっております。また、そのうちの内部障害者の一級から三級までの方は、二十二万二千人という数字になっております。
#69
○堂本暁子君 三級を分けておっしゃっていただきたいんですが。
#70
○政府委員(末次彬君) 三級の障害者の方は、総数といたしまして四十万八千人ということでございます。総数と申し上げましたのは、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害、全部含めての数ということでございます。
#71
○堂本暁子君 先ほど申しました体幹、移動機能の障害の三級の方はどのぐらいでしょうか。
#72
○政府委員(末次彬君) 体幹機能障害、これは下肢切断、下肢障害、体幹機能障害、運動機能障害含めまして、三級の方が十三万九千人でございます。
#73
○堂本暁子君 内部障害まで含めますと二十五万ということです。
 自治省に再度伺いますが、公職選挙法が制定された際の施行令五十八、それからそれ以降の経過を教えていただきたい。
#74
○政府委員(吉田弘正君) お尋ねの疾病、負傷、その身体の障害等によりましてそのために歩行が著しく困難である方々、そういう選挙人の不在者投票につきまして昭和二十五年の公職選挙法制定当時の制度におきましては、一定の重度障害者に限ることなく、疾病等のために歩行が著しく困難であるということにつきまして医師等の証明書が提出された場合にはこれらの方々は在宅で投票ができるという制度になっておりました。また、投票用紙の請求につきましてもこれは本人以外に同居の親族が請求をすることもできるとか、あるいは投票の記載についても、身体の故障によってみずから記載することができないという場合には代理人による記載も認められていたわけでございます。さらに、その投票用紙の送付についても、郵送によらないで同居の親族が提出するということも認められていたのでございます。
 しかしながら、こういうような制度のもとで行われました昭和二十六年の統一地方選挙におきましてこの制度が悪用されまして、不正行為が相当に見られたわけでございます。このために選挙に非常に混乱を生じまして、昭和二十七年にこの制度が廃止をされたわけでございます。
 その後、この在宅投票制度の復活を望む声が次第に高まってまいりました。政府といたしましても種々検討を重ねてまいったわけでございまして、そしてその際に、やはり過去において今申しましたようないろいろ悪用される弊害が生じたわけでございますので、その弊害を防止して選挙の公正を確保するということがいろいろ検討をされたわけでございます。その結果、対象者につきましては身体障害者手帳によって障害の程度が公的に証明された者に限定し、かつその手続についても、投票用紙の請求でございますとか記載も本人に限るというような厳格な要件のもとに、昭和四十九年の法律改正によりまして郵便による不在者投票制度を設けて今日に至っているというような状況でございます。
#75
○堂本暁子君 平成二年度の総選挙でこの郵便による制度を利用した障害者の数とパーセントをお教えください。
#76
○政府委員(吉田弘正君) 平成二年二月十八日執行の衆議院議員総選挙における郵便投票を行った者の数は、三万一千四百十四人でございます。投票者総数からいうと〇・〇五%ということになります。
#77
○堂本暁子君 先ほど厚生省から百三十万という数をお示しいただきましたけれども、その中でわずか〇・〇五%という大変少ない数の人しか投票できない。ここにその郵便による証明書があるんですけれども、余りにもこれは煩雑にできておりまして、それから身体障害者手帳がない――今御報告もあったように大変厳密に決められているので、そうしますと、今高齢者が大変ふえているこの時代に、高齢者は身体障害者手帳も持っていません。それから一時的にけがをしたと。そういったような場合にどのような方法をとるのか。大変多くの人が選挙権を行使できないという現実があると思います。
 そこで、フランス、イギリス、デンマーク、スウェーデン、スイスなど、こういったいわゆる民主的な国の制度を御紹介いただきたいと思います。
#78
○政府委員(吉田弘正君) 先ほども申し上げました三万一千四百十四人、これは総投票者数の〇・〇五%でございます。
#79
○堂本暁子君 権利のある人の中ではどうですか、百三十万の。
#80
○政府委員(吉田弘正君) いわゆる郵便投票を行う場合には、御承知のように選管に郵便投票証明書の交付を申請してその交付を受けなければならないわけですが、この郵便投票証明書の交付件数は昨年の総選挙の時点で五万一千四百十四件で、その五万一千四百十四件に対する割合は六一・一%ということに相なるわけでございます。
 その郵便投票制度が利用可能な身体障害者数はどうかといいますと、これは正確な数字というものはなかなか明らかにされておりませんので正確な利用率ということはなかなか出せないわけでございますが、厚生省の方が昭和六十二年二月に行いました身体障害者実態調査によりますと、下肢切断とか下肢の障害とか体幹障害とか運動障害の程度が一、二級並びに内部障害の程度が一―三級に当たる十八歳以上の――選挙権は二十歳以上でございますが、十八歳以上の在宅の障害者数は約四十九万二千人というようにお聞きしております。そういうことでございます。
 それから、外国の制度でございますが、諸外国によってさまざまでございますが、投票当日に投票所において投票できない選挙人について、これは必ずしも障害者とかあるいは高齢者という方々に限定されているわけではないのでありますが、郵便投票の制度でありますとかあるいは代理人による委任投票というような制度がとられておりまして、例えば郵便投票がとられている国といたしましては、アメリカでありますとかイギリス、スウェーデン、デンマーク、スイス、それから代理人による委任投票というのは、フランス、スイスがとっております。これは何も、ただ障害者だからということではなくて一般に……
#81
○堂本暁子君 いえ、対象者を言ってください。どういう人が郵便なり委託ができるか。
#82
○政府委員(吉田弘正君) アメリカ等については障害者とか高齢者とかということではなくて一般に、選挙当日居住している州を不在にする、州から外に出るというような方々、あるいは病気、身体の障害等のために投票所に行くことができない方々、あるいは職務のために投票ができない方々、それから選挙人が投票所から遠く離れたところに住んでいる、そういう選挙人については今言ったような制度、郵便投票でやることもできるしあるいはみずから選挙の前に選挙管理機関に行って投票するということも認められるということでございまして、多くの国で、身体障害者だからといって特別扱いというかそういう格好でなくて、いろいろな事由で当日投票所へ行けないという方々について先ほど言った郵便投票でありますとかあるいは代理人による委任投票という制度が認められているということでございます。
#83
○堂本暁子君 デンマークはどうですか。
#84
○政府委員(吉田弘正君) デンマークでございますが、これは国内に居住する選挙人は住民登録事務所で投票ができるというふうになっております。病院に入院している選挙人は病院内で郵便投票ができるということになっております。それから病気または健康上の欠陥のために選挙の日に投票所で投票できない選挙人は、投票受取人、これは住民登録事務所の代表者のようですが、その前で自宅で投票ができるというようなことになっているようでございます。これは郵便投票という格好でできるようでございます。
 なお、日本の場合でも、選挙管理委員会の指定する病院等に入院している場合にはそこの場で不在者投票ができるということはあります。
#85
○堂本暁子君 日本での問題は、一、二級に限って、三級にその権利を与えていないということなんです。三級でも歩けない人はいっぱいいるわけなんですね。それから老人にもその権利は与えられていません。この点を、自治大臣、いかがお考えですか。
#86
○国務大臣(吹田ナ君) 詳細には選挙部長から御答弁いたしますが、基本的には、先ほど最初に申し上げましたように、選挙というものは国民の権利でありますから、これが公正にすべて実施できるようなそういう制度を基本としておるということだけは、これは我が国の場合も他の国に全然劣っているわけではございません。
 ただ、詳細にわたりましては選挙部長からお答えいたします。
#87
○政府委員(吉田弘正君) 先ほど来お答えしておりますように、過去のいろいろの経緯を踏まえまして今日の郵便投票制度というものが設けられておりまして、それは歩行が著しく困難な方については郵便投票を認めたということでございますが、やはり選挙の公正の確保という面が非常にあるものでございますから、それを担保しなきゃならないということで限定的にやっているわけでございます。それ以外の方々で、病院等に入院している方は病院で不在者投票ができるという制度もあるわけでございます。そういうことでこの制度全体ができているということに相なるわけでございます。
#88
○堂本暁子君 公正のためにとおっしゃいますが、実際に自分で歩けない人、三級でも歩けない人が投票できない制度というのは権利を奪っているというふうに私ははっきり思いますけれども、いかがですか。
#89
○政府委員(吉田弘正君) 歩行が困難であるということは三級の体幹の場合にあるわけでございますが、著しく困難かどうかという問題がまた下肢の三級でもあるわけでございます。
 そこで、非常に広げていきますと、先ほど申しました昭和二十六年の統一選挙で大変いろいろ問題が出たわけでございますので、そういうような弊害が生じてはいけないということで限定的に今なっているわけでございますけれども、基準をどんどん緩めていきますと統一的な基準がなかなかできにくいという問題もございまして今限定的に行われているということでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと存じます。
#90
○堂本暁子君 昭和二十六年というと一体何年前ですか。それからずっとほうってあると思います。
 私は、大変選挙がしたいけれども実際に制度上できないという人たちの憤りを今ここではっきり申し上げて、そして、法制局長官に伺いたいんですが、権利というのはどういうものか御説明ください。
#91
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 ただいま委員と政府委員との間のやりとりを伺っておりまして、やはり国民主権を宣言いたします我が国憲法にとりまして、この公職についての選挙権、これは国民の最も重要な権利、基本的な権利であると存じます。その場合に、私の方からお答えすることで一般論になって恐縮でございますが、選挙権の行使というものにつきましては、不在者投票などによりましてできる限りその手段が与えられなければならない、かように考えております。ただ、一方で、やむを得ない合理的な理由によってその選挙権の行使をより容易にするそういう制度を設けないからといって、それのみで直ちに憲法違反であるというふうなことまでは言えないのではないか、かように考えております。
#92
○堂本暁子君 デンマークですとかスウェーデン、それからスイスなんかでもそうですけれども、やはりみんな動けない人のところへはそこへ行って投票させているんですね、選挙管理の方たちが。日本でも、私は提案させていただきたいんですが、今回の自治体選挙もこの方たちは実際に投票できないわけですけれども、次の選挙のときにはぜひ、移動入浴車というものもあるわけですから選挙という大事な権利を行使するための移動投票車、これをぜひ設置していただきたい。それから、郵便による不在者投票も一級、二級で切るのではなくて、きちんと歩けない人のためにはそこのところで郵便投票ができるような方策を講じていただきたいということをお願いいたします。
 そして、在外にいる邦人とか、そうした投票できない人たちの数が今日本で大変にふえております。こういったものが是正されることを強く要望したいと思いますが、最後に、自治大臣、お答えいただきたい。
#93
○国務大臣(吹田ナ君) 先生おっしゃいますように、これは国民の最も大事な選挙というものに対する権利の行使でありますから、これは極力すべての方々、許されている方々は投票できるようにしていくという機会を与えていくべきである、基本的にはこう考えております。
 ただ、寝たきり老人等の問題でどうしても行けないという場合もあります。そういう場合にどうするかという問題はあるんですけれども、病院であれば医師の立会とか看護婦さんの立会人というような方法もありますが、個人の御家庭の場合に立会というわけにもまいりませんし、それからそれをホームヘルパーでやるとしましてもその場合に相当な数が要求されてまいりますし、今の制度でこれをどうするかというのはこれからの研究問題だと思います。
 ただ、家庭で立会もなしに、証明できる状況でもない状態でその寝たきり老人その他そういう障害者に対して投票させるということが公正を欠くということになりますと、これはむしろ逆の現象になるわけであります。したがいまして、やはり一家はすべて全部同じ投票をするとは限っていないわけでありますから、それぞれ自分自分の自由意思によって投票するわけですから、そういう点から考えてまいりますと、投票問題というのは公正ということが基本的にもやはりきちっとしておらなきゃならないということも考えなきゃならぬ。
 そして、今お話しのありましたような障害者の方々に対してどういう特別な措置を講ずるかということは、これからさらに研究を重ねていきたいものだと思っております。確かに改正をした時期の状態と今日とは相当の開きがありますから、おっしゃるように、これまた選挙部の方で検討させたいと思います。
 それから、在外関係の問題につきましても、過般来この問題は国会におきましても論議された問題でありますが、なかなかそこにはそれなりの諸問題もありまして、今日までこれが実施されておりません。こういった問題もまたよく国会の皆さん方の御論議の中で私どもに御示唆を与えていただければと思っておりますが、いずれにしましても基本的には先生のおっしゃるとおりで、国民の権利というものを行使するに容易にできやすい方法の制度あるいはその機関をつくっていくということに努力はしなきゃならぬであろう、こう思います。
#94
○堂本暁子君 次に移ります。
 きょうは老人のことでいろいろ伺いたいと思っていますけれども、ゴールドプランについて、厚生大臣、今どういうような形で平成二年度の当初予算が実行されているのか、主要項目別にお教えいただきたい。
#95
○国務大臣(下条進一郎君) 二年度の予算でどの程度進捗したかということでございますが、ちょうどこの三月三十一日が締めでございます。私の方でざっと当たりましたところでは、ホームヘルパーが、予算では三万五千九百五人、これに対しまして、常勤、非常勤両方込めまして四万一千人、若干オーバーしている充足状況でございます。
 その次がデイサービスでございますが、予算では千七百八十カ所ということになっておりまして、これは若干下回りまして約千六百カ所ということで、ちょっとおくれております。
 それから、その次がショートステイでございますが、これは予算が七千六百七十四床でございますが、これはそれをはるかにオーバーいたしまして、約九千六百床ということになっております。
 また、施設福祉につきましては、特養ホームのベッドが予算では十七万二千十九床でございますが、私の方でとりました現状では十七万五千床に達しておるということでございます。また、老人保健施設、老健の方でございますが、予算が四万七千八百十一床でございますけれども、これは若干届かず、四万五千床という報告が来ております。
 概要は以上でございます。
#96
○堂本暁子君 大臣にあえて伺いたいんですけれども、この十カ年戦略は今までの高齢者福祉と比較してどういうふうな新しさがあるか、大臣のお考えをぜひお聞かせください。
#97
○国務大臣(下条進一郎君) やはりその背景が異なってきたというのが一つだと思います。それは、長寿社会のテンポが過去において想定されたような状態ではなくして非常に早く到来してくるということでございますし、高齢社会に伴いましてその方々がやはり生命の延長と同時にかつて想定しなかったような御病気を持たれる。そういうことに対して、これは今まで家庭の中で介護その他をやっておられた形がそれではとてももたないということになりますので、やはりいろいろな施設を設けて、それ相応な病院、それからまた軽いケアをやるもの、そしてまた一般のホームというような各段階でそれぞれに応じたこれの体制をつくらなきゃならない。
 しかも、また一方におきましては御本人の希望で家の中でやはり介護をしてもらいたいということですから、そういう意味での出張介護の制度を充実しなきゃならないというようなことで、今までの体制を見直すということで御承知のようなゴールドプランをつくりまして、そして今二年目になった結果、その状態が御報告申し上げたような形になっておるということでございます。
#98
○堂本暁子君 十カ年戦略を進める上で、老人福祉施設について、地方交付税の単位費用の算定についての標準団体行政規模はどうなっていますでしょうか。
#99
○国務大臣(下条進一郎君) 標準団体、十万人の人口のところということでございましてそれを一応試算いたしますと、平均的な数字でございますけれども、ホームヘルパーが約八十名、それからショートステイの場合は四十床、それからデイサービスセンターが八カ所程度、それから在宅介護支援センターが八カ所、それから特養の老人ホームが約百八十床、それから老健施設が二百二十床、これが一応のモデルというふうに考えております。
#100
○堂本暁子君 日本で九万一人から十万九千九百九十九人までの都市というのが大体三十七ございますが、そのうちの三十カ所ほどに今どういうふうになっているか聞いてみました。そうしましたところが、十六都市では二カ所以上の老人施設で、高齢化が平均の一四・四%を超えているところでは待機している人がもう百人以上いるという状態です。
 実際にここに標準団体行政規模がございますけれども、この中で老人施設とは十万人に何カ所というふうに書いているか、これは自治大臣に伺います。
#101
○政府委員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。
 先ほど厚生大臣の方からお答えを申し上げました点について、平成三年度、私ども単位費用を地方交付税法の改正として現在国会に提出いたしておりますが、その基礎になります数字を申し上げますと、約人口十万人の団体でホームヘルパーが三十四人、それからショートステイでは十床、それからデイサービスセンターでは二カ所、それから在宅介護支援センターは一カ所と、こういうようになっております。
 お尋ねの施設の関係でございますが、特別養護老人ホーム等につきましては公的施設とそれから私設の施設とがございますので、交付税上は公的施設の建設費の地方負担分について単位費用で算定しているということでございます。なお、特別養護老人ホーム等の措置費につきましては、これは措置費について単位費用に所要額を算入しているということでございます。
#102
○堂本暁子君 公設の場合にはどういう数になるわけですか。
#103
○政府委員(遠藤安彦君) 公設の施設につきましては、数ではなくて建設費の地方負担所要額について、これは財源的に申し上げますと地方債とそれから交付税で地方負担分を措置するということになっておりますので、交付税に相当する部分を標準団体の十万人に置き直して算入するということになっております。したがって、十万人の団体で数でいいますと〇・何カ所というような形になろうかと思いますけれども、そういうような表示をいたしておりませんで、十万人の団体が平均的に必要とする金額を単位費用の上で算定しておる、こういうぐあいになっております。
#104
○堂本暁子君 ここにあります標準団体行政規模で老人福祉施設が一カ所になっている。これは何でしょうか。
#105
○政府委員(遠藤安彦君) 恐縮ですが、私ちょっとその「単位費用篇」を持ってきておりませんので詳細なことはわかりませんが……
#106
○堂本暁子君 ちょっとこれを見てください。
#107
○政府委員(遠藤安彦君) この老人福祉施設につきましては、多分養護老人ホームか、そういったものの地方公共団体設置分を十万人団体に置き直したときに一カ所程度あるという行政規模を想定しているものだと存じます。
#108
○堂本暁子君 これですと、保育所は九カ所、児童厚生施設は二カ所、老人福祉施設は一カ所になっております。現実に今十万幾らかの市で見ますと、多いところですと四カ所、鶴岡市、酒田市ですと二カ所、そして待っている人がどちらも大体百人。
 それからヘルパーさんは、今厚生省のお答えで大体八十人、それから自治省の方から伺ったので三十四人、これはあくまでも算定の規模ですからちょっと違うのは当たり前ですが、私どもが三十市に聞きましたところでは、ヘルパーさん一人の担当している世帯数が、酒田市の場合が十七人、それから一番少ないところは三人のところが幾つか、それから四人、五人。東京都で小金井市が一番多くて六十人です。大体六人、四人というような感じの数字が出ています。平均してヘルパーさん一人が担当している世帯数が五・五人、五世帯という感じになっていますが、こうやって見ますとやはりヘルパーさんは圧倒的に足りないと思うんですけれども、今回のゴールドプランの一つの柱のヘルパーさんがどうしてこんなに足りないと思われますか。
#109
○政府委員(岡光序治君) ヘルパーさんの不足の原因でございますが、まず、利用者側の方の姿勢といたしましてどうしても他人に家庭に入ってもらいたくないという気持ちがあるようでございまして、その辺の理解をもう少し深めなきゃいけないと思っております。それから市町村側の対応としましては在宅福祉サービスに対するニーズ把握がやはり十分でない、どこの家庭でどのようなニーズを必要としているのかという、その辺の把握が不十分だというふうにも考えております。
 そういったことで、平成五年の四月から市町村で保健福祉計画をつくっていただきまして、ニーズの把握であるとか、それからまたそのニーズに対応したような体制の整備を図っていくように、こんなふうなことを考えているところでございます。
#110
○堂本暁子君 再度。
 今ニーズがとか、それから自分の家に入ってほしくないとかいうようなお答えでしたけれども、もう少し客観的に見た場合、ここに書いてある老人ホームが都道府県に三カ所、それから市町村で一カ所となっているのはいつごろからそうなっているか、十五年間変わっていないんですね。これが十五年間も変わっていないということで、やはりこれだけの予算の算定がないとどうしても市町村の持ち出しになってしまう、そのために市町村としてはそこに力が出せないのではないか。そのためにもこれは書きかえるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#111
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように、特に在宅福祉サービスにつきましては立ちおくれておりました。十カ年戦略をつくっていただきまして早急にその体制を整えているところでございます。
 先ほど大臣が申し上げました例えばホームヘルパーでは八十人という数字でございますが、これは十カ年戦略の到達目標でございます。私ども、これを仮に十万人の人口規模で考えますと、今の平均の数字ですと六十五歳以上の人口は一万六千人くらいと考えられます。そして、寝たきりの発生率が大体六十五歳以上で五%でございますから八百人余りになります。ホームヘルパーさんが八十人配置されると一応体制はできるのじゃないだろうか。その体制に向けて着実に進めていきたい。そのためにも国の予算それから交付税上の措置を逐次充実していく、こういうことで進めているわけでございます。
#112
○堂本暁子君 今大臣のお答えでは八十人のホームヘルパー、自治省の方からは三十四人規模、もう既にここに差がございます。老人施設についても同じお答えをお願いいたします。
#113
○政府委員(岡光序治君) 特養は現在十六万床、それを十カ年で二十四万床にしたいと考えております。十万人規模の単位費用の中で特養は百三十七床、これは平成二年度の数字でございますが、それを先ほど大臣も申し上げましたように百八十床確保したいということでございまして、私どもは、これは今申し上げましたように全体では十六万床から二十四万床に持っていく、そういう発想で進めることにしているわけでございます。
#114
○堂本暁子君 今の厚生省の答弁と自治省でつくっていらっしゃる算定の基準と非常に差があると思いますが、もう十五年も変えないのではなくてこの算定基準を変えなければいけないと思いますが、自治省の見解をお願いいたします。
#115
○政府委員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。
 地方交付税の算定基礎になります人口十万人の都市につきましての標準的な規模のあり方の問題だと思いますが、まず一点申し上げておきたいのは、先ほど私が申し上げましたホームヘルパー等の数字につきましては平成三年度断面の数字として申し上げたわけでございまして、厚生大臣が御答弁されました数字は、私ども十カ年戦略の最終の段階の数字と理解いたしております。そういう意味で申し上げますと、私ども交付税で今の姿をそのまま十カ年戦略の最終年まで伸ばして計算をいたしますと、やはり厚生大臣が御答弁されましたのと大体同じような数字として積算ができるはずであるというように考えております。現在はその途中の段階でございますから数字に差があるというように御理解をいただいたらよろしかろうと思います。
 それからもう一つ申し上げますのは、交付税は、大体全国的な施設全体を標準的な十万人団体に置き直すとしたら、実態なら実態の数字を置き直しますとそれが幾つの施設になるか。それからまた地方の負担額ですが、全国計の負担額を十万人の団体に置き直したら何円になるかというようなことで単位費用を積算いたしております。個々の十万人の団体もいろいろな態容がございますので、その態容によってその「単位費用篇」に載っている数字と若干違いが出てくることはあろうかと思います。しかし、三千三百の市町村についてその金額を足し上げていきますと、例えば補助裏であります地方負担額の合計額と三千三百の交付税の需要額の合計額が総額で合ってくるというようなことで個々の地方団体の財政需要を保障していくという形で計算いたしておるわけでございます。
#116
○堂本暁子君 施設については。
#117
○政府委員(遠藤安彦君) 施設につきましては、先ほど申し上げましたように全国の公立の施設について総トータルをとりまして、それを人口十万人だと施設は幾つになるかというような計算をいたしておるわけでございます。
#118
○堂本暁子君 ここに書いてあるのが一カ所というふうになっていますし、いかに措置費ということで例えば施設の従業員の方たちの給与が決まっているかということの一つのあらわれだと思います。
 ホームヘルパーがなぜふえないのかということのお答えはないんですけれども、これはどうでしょうか。
#119
○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーも計画に沿いましてふやしていきたい。そのためにまず待遇改善をする。それから働きやすい環境づくりをしようじゃないかと。働きやすい環境づくりの一つの例といたしまして、一人で働くのは大変だからみんなでチームを組んでやろうじゃないか、こういうふうなことを平成三年度から取り入れたいとも思っております。それからまた、社会的な評価を高めてその仕事のすばらしさというのをみんなにわかってもらう。かつまた、皆さんにそういう仕事に参画いただけるようなチャンスをつくっていく。あるいはそのための養成訓練をする。そういうことを総合的に進めて目標数を確保したいと思っております。
#120
○堂本暁子君 給与はいかがですか。
#121
○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーの手当額につきましては毎年改正をしております。平成三年度と二年度の比較で申し上げますと、手当額につきましては二年度で二百四十三万五千円を三年度では二百五十二万五千円に、それからまた活動費は五万円のところを六万円にというふうに内容改善に努める、そういう覚悟でございます。
#122
○堂本暁子君 時給でおっしゃっていただけますか。
#123
○政府委員(岡光序治君) 三年度二百五十二万と申し上げましたが、これを時給換算いたしますと千二百四十円でございます。
#124
○堂本暁子君 これは介護ですか、家事ですか。
#125
○政府委員(岡光序治君) 介護中心のタイプでございます。
#126
○堂本暁子君 家事は。
#127
○政府委員(岡光序治君) 家事援助中心業務では時間給で八百三十円でございます。
#128
○堂本暁子君 どうしてこれは家事と介護と二つに分かれているんですか。
#129
○政府委員(岡光序治君) ヘルパーさんの仕事は、一つは、例えば食事の介助をするとか入浴のときの介助をするとか、あるいは買い物に出かけるときに一緒について行ってあげるとか、そういういろいろのタイプがあるわけでございます、ほんの一例でございますが。そういう意味で、家事援助と言っていますのは、一緒に買い物について行ってあげるとか食事をつくるときに台所の仕事を少し手伝ってあげるとか、そんなふうなことを考えておるわけでございまして、かかる仕事の量、重さというものが内容によって違うということで家事援助型と介護型というふうに分けているわけでございます。
 もちろん、一人のヘルパーが相手の御家庭へ行っていろいろ手助けするわけでございますから、その仕事のタイプで両方がミックスされる格好になってまいります。一応、予算の積算上は家事援助型、介護型というふうにしているわけでございますが、もちろんミックスされて執行されるわけでございます。
#130
○堂本暁子君 ミックスされて執行されるのだったら、最初から分けることがおかしいと思うんです。と申しますのは、ヘルパーさんに聞きますと、ごみの中に埋まって寝ている老人を行ったときにとにかくそれを片づけることから始まる。分けるなんということはできない。だけれども、自治体としては給与を安くするために大変重介護の人にもこの家事型で介護に行かされる。これは分かれていることがおかしいということですが、どうでしょうか。
#131
○政府委員(岡光序治君) 先生のおっしゃる実態は、そういうケースもあろうかと思いますが、そのようでないケースもございます。いずれにしましても、このホームヘルパーの処遇改善につきましては大課題でございますので、今の手当のあり方については基本からやはり見直しをしながら待遇改善に結びつけていかなきゃいけない。そういうことで、先生のおっしゃる御意見は十分考えた上で今後の対応をいたしたいと思います。
#132
○堂本暁子君 身分保障について教えてください。
#133
○政府委員(岡光序治君) 先生も御存じのとおり、ヘルパーの身分につきましては地方公共団体の職員、それから民間の職員で例えば社会福祉協議会であるとか、そのほかのところで特別養護老人ホームの職員であるとかいろいろございます。かつ、働いている形態も常勤のタイプと非常勤のタイプとございます。私どもは、ヘルパーさんのそれぞれのそういう雇用形態に応じてその身分がしかるべく保障されなければならない、そういうことで、今の手当の充実ということも一つの手段として考えながらそういった身分保障をしていきたいというふうに考えております。
#134
○堂本暁子君 非常に基本的な問題だと思うのです。と申しますのは、外国なんかですと大変に男性も多いわけです。力仕事です、これは。老人を持ち上げておふろに入れる。女の人でぎっくり腰の職業病の人が今いっぱいいます。ですからヘルパーさんになり手がないわけです。身分保障もない。一年ごとの契約。
 私が会ったヘルパーさんはこう言いました。自分は二十年の大ベテランだ、もういろいろペースメーカーを入れているような方も何人もみとっている。だけれども、二十年経験しても、初めて来た一日目の人でも給与は同じです。しかも、この間までは一時間七百二十円ですか、それだけだと。これではやはりヘルパーになり手がない。ですから、在宅はゴールドかもしれませんけれども、これは机上の空論になってしまう可能性がある。そのためにはきちんとした財政的な裏づけと身分保障がないといけないと思いますが、この辺は厚生大臣の御意見を伺いたいです。
#135
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほど来問題になっております長寿社会の中のゴールドプランの実現、これは先ほど来平成二年度末の数字とかあるいは現状のことでいろいろお尋ねがありまして、物によってはかなり進んでおりますけれどもそうでないものもある。特に問題は、今おっしゃったマンパワーの確保の問題であるということでございます。
 この問題はこの計画を実現する上においては非常に大事なキーポイントになるわけでありますので、マンパワー確保に対しては、先ほど来説明申し上げたように、待遇改善の問題、あるいは勤務条件の改善の問題、あるいは本人がプライドを持てるような環境づくり、また新しい方の養成その他いろいろな施策をかみ合わせまして、今おっしゃったような方向で充実を図るように努力してまいりたいと思っております。
#136
○堂本暁子君 女性でも男性でも、一生の仕事として魅力を持ってそこで働けるというような体制をとっていただきたいとお願い申し上げたいと思います。
 ちょっと横道にそれますが、看護婦の労働条件について労働大臣にお願いいたします。週休二休、きちんと実行なさるかどうか。
#137
○国務大臣(小里貞利君) 看護婦の労働条件につきましては、ただいま先生もちょっぴりおっしゃいましたように週休二休のことだろうと思うのでございますが、それらの問題につきましてももっと改善をしなければならない、かように考えております。
 ただ、そのほか年次有給休暇の問題等は他の一般産業と比較をいたしまして必ずしも見劣りはしない。しかしながら、所定外労働時間を初めただいま先生御指摘の週休二日制の問題等は十分改善につきましてその重要性がある、こういうふうに考えておるところでございます。
#138
○堂本暁子君 大臣、先日も普通の一般の職業と見劣りしないとおっしゃいましたけれども、仕事の質が違うのです。責任が違うのです。とても大臣のお答えに私は納得できないのですが、もう一度、看護婦の仕事の大事さ、ぜひお願いをしたい。
#139
○国務大臣(小里貞利君) 先生ただいま再度御指摘のとおりでございまして、申し上げるまでもなく深夜業という特殊な一つの就労形態もございます。しかも、率直に申し上げまして、深夜、いわゆる夜間勤務は、えてして労働基準法に照らして考えてみましても十分反省をしていただかなければならない。あるいはまた、過去の実例におきましても、深夜業等におきまして実態を調べてまいりますと、昼間働いておいでになる看護婦さんが、看護婦の手不足の関係も手伝っておるかと思われるのでございますが、引き続き深夜労働に就労なさる。しかも、それを調査いたしてみますと労働基準法の時間等の関係におきまして違法をいたしていた事実もある。
 さらにまた、ただいま先生御指摘の看護婦という仕事は本質的に人の命にかかわる職務上の特殊な重要な任務も持っております。同時にまた、具体的にいわゆる救急救命体制に臨機応変に対応しなけりゃならぬ。そういうような本当に重要な職務性を持っておりますから、私どもはそのことも十分勘案をいたしまして対応しなけりゃならぬと思っております。
 ついでに、具体的に申し上げますと、病院のいわゆる集団指導体制と申し上げますか、それらのことを対象にいたしましてきめ細やかな指導も行っておるつもりではございます。また、側面的には業界全体に対しまして一つの組織系統を通して指導、啓発を申し上げておる。そういうようなことでございますが、最近の看護婦の就労形態は御指摘のそのような傾向がまだ完全に解決されておりませんから、積極的にこれらの方向に向かいまして対処しなければならぬ、かように考えておるところでございます。
#140
○堂本暁子君 きょうは大層丁寧に御答弁いただきました。
 それから次に、国立の病院の看護婦さんのことで伺いたいんですが、週休二日制、これが実現していないのが何と国立の病院や療養所です。こういったところの実情はどういうふうになっているのか、厚生大臣。
#141
○国務大臣(下条進一郎君) 既に人事院の勧告で看護婦さんの勤務体制についての御指示をいただいております。例えば夜勤の問題については二・八制度、それからあるいは一般の公務員としての隔週週休二日制。こういう労働条件について国立病院はどうかというお話だと思いますけれども、残念ながら今の二・八問題につきましてはまだその域に達していない、順次改善されているがまだ到達していないということでございます。それから、週休二日制の振りかえでの隔週の制度につきましては、これはなるべくそれに近づけるように努力いたしておるというところでございまして、病院によってまちまちでございます。
 いずれにいたしましても、全体的な定員が足りないということでございますので、平成三年度には三百三十人の定員増ということで一応取り組んでおりまして、私たちの方といたしましても何とかその基準線に近づけるように努力をし続けておるところでございます。
#142
○堂本暁子君 この完全週休二日、二・八制の完全実施について、総務庁の方からも御答弁いただきたい。
#143
○政府委員(新野博君) 国家公務員の定員管理につきましては、行政需要の動向、行政の適正かつ円滑な運営等を十分に念頭に置きつつ行っているところであります。御指摘の国立病院等につきましても、業務の実態等を精査しつつ、関係各省庁と十分御相談の上、極めて厳しい定員事情の中、従来から重点的に措置を図ってきておるところでございます。この二十四年間に国家公務員全体といたしましては三万五千人以上の純減を図っておりますが、看護婦さんにつきましては八千人以上の純増を図るということで重点的な対処を図っておるところでございます。
 今後とも御指摘の国立病院等の増員要求につきましては、内容を十分精査いたしまして、効率的な事業実施及び定員配置の適正化等の観点も踏まえまして適切に対処をしてまいりたいと考えております。
#144
○堂本暁子君 やはり看護婦さんが足りないというのは本当に大変なことだと思うし、そういう労働条件では皆さんやめていくということもやむを得ないと思いますが、人事院の方からも、いつごろまでに完全週休二日制を実現できるのか、お答えいただきたい。
#145
○政府委員(大城二郎君) 国家公務員の完全週休二日制に関しましては、国全体の労働時間短縮の計画期間、平成四年度まででございますが、その期間内における速やかな実現を目指して現在条件整備に努めているところでございます。
 御指摘のありました病院関係等いわゆる交代制等の部門につきましては、完全週休二日制に見合う週四十時間勤務制の試行というのを実施していただきまして、それによって実地に即して問題点の把握と対応策の検討を進めるということをいたしてきているわけでございますが、病院関係につきましては先ほど来いろいろ御指摘がありましたようないろいろ難しい状況もございましてまだその試行が実施されていない。そういうことではこれから先完全週休二日制、四十時間制本格実施ということでいろいろ問題が残るということになりましょうから、私どもとしましては一日も早く試行を通じてそういう点の検討を積極的に進めていただくように関係省庁にお願いしているという状況でございます。
 そういう条件整備と民間における全般的な週休二日制の普及状況、そういうものの状況を見ながら、私どもとしてはなるべく早く、速やかに完全週休二日制の実施ができるように努めてまいりたいと考えております。
#146
○堂本暁子君 老人の在宅も問題ですが、施設と両方の調和なしではやっていかれない。今の看護婦さんの問題と同じにとても切迫しているのが、泊まり勤務のある老人施設だと思います。
 大変良心的にやっている老人施設からお手紙をいただきましたが、ことしは人件費で超過手当だけで四百万の赤字です、管理費については二百万の赤字となっています。五十人定員で二十七人の職員では異常に多いと思われるかもしれないけれども、職員定数が現実に沿っていない限りパートを補うか超勤で無理をするかしかない。しかもなおかつ四十八時間から四十時間労働にしなさいということですのでとてもローテーションが組めないということなんですね。こういった福祉施設に働く人の労働条件ということについて、労働省ではいかがお考えでしょうか。
#147
○政府委員(佐藤勝美君) 福祉施設に働く方々の労働条件という話でございますけれども、定員の事情、人数の制約等で大変難しい事情にあることは先生の御質問からもわかるわけでございますが、私どもとしては現在の全体の経済計画の中での千八百時間を目指しての労働時間の短縮という中で、福祉施設に限らず一般的な指導をいたしておるわけでございますが、そういった難しい事情にあるところにつきましては今後さらに一層きめ細かな指導をするように考えてまいりたい、かように思っております。
#148
○堂本暁子君 厚生省からも御答弁いただけますか。
#149
○政府委員(岡光序治君) 現在四十四時間でございまして、これを時間短縮しようというので、四十二時間の目標でいわゆる運営費、措置費の補助を考えようとしております。全体の世の中の動きがもっと進んでおりますので、なおこの辺は措置費の改善の中で考えていかなきゃいけないと思っております。
#150
○堂本暁子君 特養では特に介護が大変難しくなってきております。しかも、今おっしゃった措置費によって職員の定員が決まってくる。これではホームヘルパーと同じで男子でも女子でも一生の仕事にしにくい。定員定額制をとらない限り本当の意味での老人の施設の運用というのはできないのじゃないかと私は思うんですが、この点について、定員定額にできないかどうか、ぜひ厚生省の見解を伺いたい。
#151
○政府委員(岡光序治君) 特別養護老人ホームの場合は定員定額でございます。
#152
○堂本暁子君 定員定額の意味が違うと思うんです。私が申し上げたのは、そういった措置費によって人数が決まるのではなくて、少しぐらい入っている方がおられなくなってもそのままその職員が減らないという定員の制度はとれないかということです。
#153
○政府委員(岡光序治君) ちょっと取り違えて答弁を申し上げて済みませんでした。
 要するに、措置費というのはお世話をするというその対象者一人に対してどうするかということでございますから、おっしゃいますように五十名定員のところで四十八名であれば、四十八名しか出さないという仕組みになっておるわけでございます。
 先生おっしゃるのは、五十名の定員のところで四十八であっても五十人出せということの御趣旨だろうと思いますが、そこは今申し上げましたように実際の経費でそういうふうな発想をしておるわけでございます。私どもは現実の姿としましては、先ほどもお話にありましたように、特養の場合には待機者が多くて実はもう定員いっぱいでございますのでそういったことは事実上起こっていないと思いますが、これからの問題としてその辺は検討しないといけないと思っております。
#154
○堂本暁子君 もう一つ老人の問題ですけれども、そういった在宅の場合には何よりも大事なのが住宅です。きょうは建設大臣においでいただきましたけれども、本当に住みやすい住宅を、もう四人に一人ぐらいが老人になっちゃったときに、階段のあるところ、さっきの選挙にも行かれない、こういうことが起こってくるわけですが、建設の方のお立場からお願いいたします。
#155
○国務大臣(大塚雄司君) 高齢者が安心して生きがいを実感しながら安定した生活を送れるようにするためには、高齢者の身体特性やニーズに配慮をした住宅の整備は大変大事な問題であると認識をいたしております。このため公営住宅、公団住宅等におきましては、階段の手すりの設置等設計、設備面で高齢者の身体機能に配慮した住宅、同居、近居等多様な住まい方に対応した住宅を供給することにいたしておりますし、また住宅金融公庫の融資におきましても高齢者同居世帯に対する割り増し貸し付け、例えばホームエレベーターあるいは浴室等の高齢者用設備の設置に対しましては割り増し貸し付け等を行っているところでございます。
 今後ますます高齢化社会になっていくわけでございますので、住宅政策における高齢者対策に的確に対応をしてまいりたいと存じます。
#156
○堂本暁子君 厚生大臣に伺いますけれども、高齢化というのは二二%まで高齢者率が進んだとき、大体二〇一〇年というふうに言われているんですが、それよりちょっと少ない二一・九%、これはどういう数字か御存じですか。
#157
○政府委員(熊代昭彦君) 先生のお挙げになりました二一・九%が何を意味するか十分承知しておりません。
#158
○堂本暁子君 これは承知していらっしゃるはずがなくて、大臣の地元、長野県下条村の高齢者率でございます。
 大蔵大臣は大変数字にお強くいらっしゃいますけれども、地元の高齢者率を御存じですか。
#159
○国務大臣(橋本龍太郎君) 残念ながら存じておりません。
#160
○堂本暁子君 一四・一%。これも平均よりは高くなっています。労働大臣、鹿児島県霧島町は二六%、もう本当に高い高齢者率です。ここに全部の大臣の地元をお調べしましたが、どの大臣も平均よりも上。建設大臣、東京でいらっしゃいますがやはり一二・八%。
 ですから、高齢化というのは恐らく政府で試算していらっしゃる以上に速く進んでいる。大臣の地元でもそうですし、私どもが見ましたこれでも、先ほど大体百三十二人の定員というふうに施設を計算なさっておられましたけれども、一つずつはもちろんよくわかった上でこれは申し上げていることですが、実態としては三百人ですとか待機が百人とか、本当に驚くような数字がぼんぼん出てきているわけですね。やはり高齢者問題は大変深刻だと思います。
 今一一・四%でございますけれども、これを上回る市町村がどのぐらいか。二千六百八十七市町村、割合としては八二・一%がもう平均を上回っている。そういう実態です。今まで本当にこの高度経済成長を支えてきた一番の働いた日本人が、こういう形でわびしいと申しますかつらい老後を送るのは何ともやりきれないことだと思います。あらゆる面での総合的な施策、特に財政的な裏づけです。きょうはいろいろこの制度のことで申し上げましたけれども、公共投資の四百三十兆というようなことを伺うと、何か本当に半分ぐらいを高齢化に使えたらどんなにいいだろうと大変むちゃな思いもいたしますが、そのぐらい思い切った抜本的な財政的裏づけ。それから行政の縦割りじゃない政策が必要だと思います。例えば保育園の給食施設から地域への給食をするとか、そういったことまでが必要なのではないかと思います。
 私は去年女性の問題についてもこの場で伺いましたので、そのことだけを厚生大臣に確認させていただきたいんですが、前大臣がお約束くださったことを実際にどのように具体化しておられるか、伺いたいと思います。
#161
○政府委員(土井豊君) お尋ねの件は、優生保護法の一部改正のときの御質問に関する前大臣の答弁の関係かと思います。私からお答え申し上げたいと思います。
 一つは、妊娠や出産についての女性の意見を聞く点でございますけれども、平成三年度の私どもの研究課題としてリプロダクティブヘルスに関する研究ということを予定しておりまして、その中で女性保健に関する研究をやりたいと思っております。そして、その際女性有識者を中心にしたいろいろな御意見を伺いながら研究を進めていくという形を予定しております。
 また、思春期の男女の避妊の実態調査の件でございますけれども、思春期における性行動に関する研究ということをサブテーマとして予定しておりまして、その中で実態を調べながら適切な対策を検討してまいりたいというふうに思っております。さらに、平成二年度に思春期相談の総合的推進方策に関する研究ということを委託研究でお願いしておりますけれども、その検討結果が近くまとまる予定でございますので、これらを参考にしながら今後検討してまいりたいというふうに思っております。
#162
○堂本暁子君 ぜひ女性の研究員を多くしていただきたいということを、新しい大臣にも特にお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、光が丘病院、練馬の病院ですが、ますます混乱してきております。これは公設民営の病院でございまして、三百人の職員全員解雇というようなことになってもめているわけですけれども、五十三人が東京地裁に地位保全の訴えをしている。その人たちに対しては日大医学部は今度は雇用しないというようなことを言っているようですけれども、このことについて、厚生省並びに労働省から見解を聞かせてください。
#163
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 先生お尋ねの旧練馬区医師会立光が丘総合病院につきましては、ことしの三月三十一日をもちまして開設者の方で病院の廃止を行ったところでございます。そういうことで雇用契約の解除されました旧病院の一部職員が職員としての地位保全の訴えを提起されているということは承知いたしておるところでございます。
 この問題につきましては基本的には労使の間の問題でございまして、医療行政の立場から関与することは非常に難しいというように考えております。
 なお、今回の光が丘病院の経営主体の変更に当たりましては、医療法に基づきまして東京都におきまして人員配置等について必要な審査を行った上で、日本大学医学部附属練馬光が丘病院に対します開設を許可いたしたところでございます。また、このような病院経営の主体の変更に当たりましては患者の診療に支障が生じないようにする必要があるというふうに考えておるところでございまして、東京都を通じまして、医療現場に混乱が生じることのないように指導してまいっているところでございます。
#164
○政府委員(佐藤勝美君) 事実関係については省略いたしますけれども、解雇に当たりましては労働基準法による手続はとられておるということで、その限りにおきましては私どもの方で特段問題はないと思っておりますが、今の御質問の中にございましたように、五十三名の方ですか、現在裁判所で争っておられる問題でございますので、そのことについてはコメントを差し控えさせていただきます。
#165
○堂本暁子君 労働省として円満解決のために何かなさる予定はありますか。
#166
○政府委員(佐藤勝美君) 円満解決が速やかになされることはすべての方の当然の希望だろうと思いますけれども、現在裁判所において係争中でございますので、特にコメントはいたしかねるというふうに思っております。
#167
○堂本暁子君 厚生省に伺いたいんですが、政府の国立病院・療養所の再編成では職員の二分の一未満が引き継がれる譲渡というのがある。二つのケースがあるそうですけれども、どういう形で職員の希望を聞いているか、御説明していただきたいと思います。
#168
○政府委員(田中健次君) 国立病院・療養所の再編成につきましては、全体計画に基づきまして、地元自治体等地元関係者と十分話し合いを行いながら現在計画の具体化に取り組んでおります。
 それで、これまでのところ、平成元年の十月に国立療養所の阿久根病院の経営移譲を行いました。これが唯一の具体例でございますけれども、このケースに即して経営移譲の場合を申し上げますと、移譲先から職員を引き受ける意思の有無、それから職員の処遇、勤務条件等についての考えを十分に聞きまして、これらの内容を職員に対して説明した後それぞれの職員の意向を聞きまして、移譲先への就職あっせんやほかの国立病院等への配置がえを行うこととしております。
 それから、今後出てまいります統合の場合でございますけれども、この場合には統合後の病院に移っていただくということを原則としていきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、再編成の実施に当たりましては職員の身分につきまして職員の希望をできるだけ尊重するように配慮していきたい、こういうふうに思っております。
#169
○堂本暁子君 光が丘病院の場合も、やはりそこの患者さんの立場、それから職員の人権、そういったものを大事にすべきなのではないかというふうに私は思いますが、いずれにしても、老齢化社会の中で地域医療というのは大変大事なものです。その地域に密着したいい医療というものが何よりも望まれることだと思いますので、最後に、厚生大臣に地域医療について御所見を伺えたらと存じます。
#170
○国務大臣(下条進一郎君) 医療の効率的な実施、また各地域における特性、これらを考えますと、やはり総合的な医療制度としての総合病院、高度の医療技術をやるところ、そういうものの位置づけがございますが、一方におきまして地域地域の特性に応じた地域の医療、これはまた非常に大事なことでございますので、それらの総合的な連係プレーの中で患者さんの御要望に応じた充実した医療が行われるようにこれからも努力してまいりたいと思っております。
#171
○堂本暁子君 終わります。どうもありがとうございました。
#172
○委員長(平井卓志君) 以上で堂本君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
#173
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。竹村泰子君。
#174
○竹村泰子君 初めに、長良川の問題について御質問申し上げたいと思います。
 お手元に資料をお配りしてございますけれども、昨年十一月十四日付朝日新聞の東海三県住民アンケートでは、建設中止と一時凍結が六八%、推進が一〇%にすぎず、十二月二十九日実施の長島町民アンケートでも、建設中止と一時凍結が六二%、推進が一四%、さらには河口ぜきができると危険になると答えた人が四一%にも達することを建設大臣は御存じでしょうか。御存じだとすれば、その地元の結果の数字をどうごらんになりますか。
#175
○国務大臣(大塚雄司君) アンケートにつきましては、報道を通じて拝見をいたしました。
 率直に申し上げて、長良川の河口ぜきの問題には今日までいろいろな経過があるわけでありますが、建設省といたしましては、地域住民の生命、財産を守るという観点から決められた今日までの経過におきまして工事を現在進めている途上にございます。そして、その沿川の市町村あるいは議会も全議会が賛成でございまして、そのような過程で行われておりますが、環境を守ることも大変に大事だと。これも一つのアンケートの結果でありますから軽視するつもりはございませんけれども、工事は粛々と進めてまいりたいと思っております。
#176
○竹村泰子君 地元の議会も確かに住民の代表ではありますけれども、議会構成とかいろいろな問題もございます。これはごく公に公平にアンケート調査をしたわけでございまして、これまでは、地元の人たちは賛成をしている、よそ者ばかりが反対しているんだというふうなことがよく風聞に聞こえておりましたけれども、この事実は全くそうではないということがはっきり出ていると思いますが、もう一度御答弁ください。
#177
○政府委員(近藤徹君) 長良川河口ぜきは、長良川沿川住民約六十七万人の方の生命、財産を守るためという事業で進めておるところでございます。
 朝日新聞のアンケート調査については、紙面で見る限りは、愛知県千六百人、これは長良川の流域外でございます。岐阜県八百人、三重県八百人を無作為抽出し、その全県域を対象にして実施されたものとして、三県の広範囲一千八十五万人の方の意見の一側面というふうに受けとめておるわけでございます。
 私どもは六十七万人の住民の皆様には十分説明をする努力をしておりますが、残念ながら新聞等への説明は若干不足しておりますので、いろんな御意見が出たというのは謙虚に受けとめますが、今後この事業の必要性については十分皆さんにわかっていただくように努力してまいりたいというふうに考えております。
#178
○竹村泰子君 河口ぜき本体の建設現地であります長島町というところがございます。お手元に地図をお配りしてありますので、ごらんになっていただけばわかりますけれども。
 明治時代のデ・レーケの三川分離によってできたこの長島町というところは、まさに中州であり砂の浮き島であるわけです。その土地を守る堤防が、海津町、平田町などと俗に言うスーパー堤防ではなくて地盤沈下でゆがめられた貧弱な堤防であるということ。さらには、ブランケット工事をしたところからでさえ長良川からじゃあじゃあと水が溢水している。そのような溢水箇所が十数カ所もあるということを御存じでしょうか、大臣。どうお考えになりますか。
#179
○政府委員(近藤徹君) 私どもはブランケット施工をした箇所から漏水したという事実は確認しておりません。確認した限りにおいては、ブランケット施工箇所からは現在一切漏水はしておりません。
 ブランケットは、平常時の川の流れは堤防から遠ざけるため堤防全面に幅五十メートルから七十メートルの盛土を造成するものでございます。このブランケットと堤内地に設けました承水路などの組み合わせによりまして浸透してくる水を安全に排除することによって地下水の上昇を防止する目的で設置するものでございます。また、洪水時には堤防の基盤部を守るとともに漏水に対する安全度は格段に向上するものでございまして、このブランケットの施工と相まちまして河口ぜき建設に伴って実施されますしゅんせつによりまして洪水時の水位は格段に下がるものでございますので、安全度は格段に向上すると思っております。
 昨年九月の台風十九号による出水では警戒洪水位まで一メーターに迫る大洪水で、長良川下流部、長島町付近では三カ所で漏水が発生しましたが、これはいずれもブランケットを施工された区間ではございません。ブランケット施工した区間では漏水は認められておりません。
 なお、漏水が確認された箇所につきましては直ちに対策工事に着手し、現在進めておるところでございます。
#180
○竹村泰子君 私もそのメンバーでありますけれども、国会議員の長良川河口堰を考える議員連盟、それから長島調査団というのも入っておりますが、この方たちがブランケットからの溢水、水漏れがあることをきちんと認めておりますので、ぜひもう一度調査をし直していただきたい、そういつふうに思います。
 それから、河口ぜきができると逆に災害の危険の不安を住民が持っていることは昨年の環境庁見にも盛り込まれておりますけれども、同じ昨年九月十八日に専門学者の集まりである長島調査団が以下の質問を三重県、桑名市、長島町の地元首長にしていることは御存じでしょうか。
 イ、洪水時における横断構造物の危険性 堰柱(ピア)が十三本。川幅一〇%の減少
 ロ、台風時の高潮による危険――高潮を受け止めることになる 伊勢湾台風時の実例――大橋証言
 ハ、地震の液状化現象による堤防決壊の危険 昭和十九年の東南海地震の実例 この周辺は活断層の巣であるこ
 いずれにせよ、常時TP一・三メートルで湛水されることによる海面下に住む住民の不安も含めて、以上の河口せきの危険性につき建設大臣の御所見をぜひ伺いたいと思います。
#181
○政府委員(近藤徹君) 長島調査団の方の資料は拝見いたしました。いずれもこの方たちは農業経済学とか地質学とか、それぞれそちらの方では専門の方だと存じております。
 御疑問の点でございますが、まず横断工作物の点でございますが、これは通常、河川の中に例えば橋とかいうことで設置しているものと同様のものでございます。ただ、この橋脚があるために川幅を狭めておるのではないか、こういうような御疑問でございますが、これについては、かねがね申し上げておりますように、その阻害分については十分、川をしゅんせつしております。本来、水路幅二百七十メーターの低水路幅に対してこの付近ではさらに八十メーターほど幅を広げ、かつ河床も掘り下げて実施しておりますので、十分な河川の流下断面は確保しておるわけでございます。
 それから、地震に対する安全度でございますが、この河床の下約五十メーター付近に支持層、礫層がございますので、この礫層に直接基礎ぐいを打ち込みましてこの上に十分安全な構造で設計しておりまして、我が国でも実績のある耐震設計法によって設計し構造物の重要性、地盤状況等に万全を期しておりますので、濃尾地震あるいは関東大震災クラスについては十分安全な設計となっております。
 それから、堤防についても、先ほど申し上げましたとおりブランケット、承水路との組み合わせによって地下水をコントロールし、洪水時にはしゅんせつの効果と相まって十分この地域の堤防は安全なものでございます。ちなみに、洪水時の水位を一メーター下げますと結果的には堤防の厚さが四メーター厚くなるのと同等の効果がございますので、しゅんせつの効果と相まてば、なお一層安全になるものと考えております。
#182
○竹村泰子君 治水というならば、しゅんせつだけすればいいんではないですか。しゅんせつをすると塩害が発生するのでそれをとめるために河口せきをつくるということですけれども、現在長良川流域の塩害は長良川と木曽川に挟まれた河口の長島町のみにあり、長良川、木曽川二川を合わせて作付面積の〇・二%弱です。金額にすると三百万円ぐらいに減少したと聞きます。海水の塩分は薄まりながら上がっていくものです。常識で考えても、最下流部の長良川の岸辺だけで二百万から三百万円ぐらいしかない塩害が、しゅんせつをすることによって塩分があと二十五キロメートル上流まで上がったとしても、それほど大きくなるでしょうか。建設省は塩害のシミュレーションをきちんとしたことがおありですか。
#183
○政府委員(近藤徹君) これにつきましては大変大きな先例がございます。利根川は終戦後、地域周辺の農地開発、あわせまして治水の安全度を図るために大規模なしゅんせつをしたわけでございますが、昭和三十三年の渇水時に約三万ヘクタールの大規模な地域における大塩害を起こしまして早期に潮どめ機能を持つせきの建設が要望され、そして利根川河口ぜきの建設に至ったわけでございます。この潮どめ機能を持つせきは全国百九水系のうち既に五十三あるわけでございまして、別段、長良川河口ぜきが事情が変わっているわけではございません。
   〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
 それから、長良川の古い地図を見ますと、明治時代にはあの川の中は大変中州が多く、ほとんど低水時には海水は上流に上らない状況でございましたが、その後しゅんせつ工事の進捗によりまして長島輪中の中で塩害が大規模に発生するに至ったわけでございまして、最盛時には農地の三分の一が塩害をこうむったわけでございます。
 これを避けるために濃尾用水による水源の確保及び長島町内の農地に排水路をたくさん設けまして、特に塩害防除のための用水を確保することによって常時農作物に被害の及ばないような耕作方法によって現在避けておるわけでございますが、実際には長島町の地下水、土壌の中には塩分が蓄積された状態でございまして、仮にもこの上流で建設されたダム及びその排水路による除塩用水の補給が途絶えればいつでも塩害が発生する状況にあるわけでございますので、やはり今後長島町からさらに上流、岐阜市下流まで及ぶしゅんせつを考えればこの地域で大規模な塩害が発生することは目に見えておりますので、それを避けるためにも潮どめ機能を持つ河口ぜきをまず建設し、そしてそれに続きましてしゅんせつするのが最も妥当な治水対策と考えております。
#184
○竹村泰子君 官房長官それから建設大臣にお伺いいたしますけれども、この地図のような砂の浮き島、中州に住んでおられる方々、たとえ百歩譲って塩害が起きるとしても、この人たちの生命を危険にしてまでこれはつくらなくてはいけないものなんですか。建設費千五百億円以上もの費用と、治水上はかえって大災害を引き起こすおそれもあるという巨大な人工構造物をつくってまでとめなければならない塩害はどこに発生するのか。また、水余りの現状では利水の建設目的を失っておりますし、最低限、一時工事を中止して考えてみるべきではないのでしょうか。
#185
○国務大臣(大塚雄司君) 少し古い話になりますが、昭和三十四年の伊勢湾台風のときに長島町の町長は奥さんも子供も水害で亡くしました。沿川で約五千人のとうとい生命を失ったわけであります。それから後、この問題にどう対応するか、建設省もいろいろな研究を積み重ねてまいりました。そういう中で、日本列島三十七万平方キロの中でいわゆるゼロメートル地帯は約千百平方キロございまして、先ほど利根川やあるいは遠賀川の話もありましたけれども、この長良川沿川がその約四割を占めておるわけでありまして、本来そのゼロメートル地帯をかさ上げすれば一番いいわけでありますが、六十数万の方が住んでおって、これをやるのには膨大な費用がかかりますし、物理的にも大変に難しい。そういういろいろな問題から、結果的にはしゅんせつをすることによって水位を下げて洪水から防ぐという方法が選ばれたわけでございます。
 そうなれば当然塩害が起きるわけでありますから、利根川や遠賀川と同じように河口ぜきをつくってこれをやっていこう、これが昭和四十三年十月の閣議決定でございまして、この閣議決定は、特に上流部にまたダムを建設することもございますし、下流部におけるこのしゅんせつによる塩害を防除する、そして流水の正常な機能を維持しながらこの周辺の水道用水や工業用水を確保するという目的を持って、いわゆる治水と利水の両目的を持って今日に及んでおるわけでございます。
 したがいまして、環境を守るということも非常に大事でありますけれども、河口ぜきの構造そのものも、技術の革新も進んでおることでございますから、建設省としては地域の自治体の皆様方の御要請やあるいは議会の御要請も受けて現在工事を進めているわけでございまして、今日のところ工事をとめるということは考えておりません。しかし、環境を守るということはこれまた非常に大事なことでありますから、その問題には十分耳を傾けて、やるものがあれば積極的に取り組んでいく、こういう姿勢を貫いてまいりたいと思います。
#186
○竹村泰子君 官房長官、きょうは総理のかわりとして。
#187
○国務大臣(坂本三十次君) 総理ではございませんが、便宜かわりましてお答えをいたします。
 いろいろ今お話を承っておりましたが、やはり災害は忘れたときにやってくる、こういうことわざもございます。かつて大きな被害を生んだ地域であるということも今建設大臣が申したとおりでございます。そういうことで、その土地のかつてのああいう大惨禍を繰り返さないために治水事業をやっておる、それからまた、当然中部圏の発展のためにも利水事業もやらなければならぬ、そういうことから政府として決定をし、今日までやってきたところであります。
 ただし、環境の保全ということは、そういう生命、財産に直接関係がある、あるいは産業の発展に便利だというだけではなしに、もっと広い意味で環境保全ということは大切でありますから、環境調査に関しては念を入れて今後とも調査を続けると。今も環境庁のアドバイスで、まだこれこれの調査が必要ではないか、また有識者の方々から指摘されたことも参考にしておるのでございましょう、いわゆる追加調査も今実施しておるということを聞いております。とにかく環境保全にも注意をしてこれを進めていきたいと思っております。
#188
○竹村泰子君 官房長官、建設大臣、皆さんは事の重大さがわかっておられないんです。環境保全という言葉、確かに重い大きな言葉ですけれども、利水とそれからこの六十万の中州に住む人たちの命とどっちが大事なのですか。千五百億円の巨費をかけてここに不自然な構造物をつくるということで、この人たちがもしかしたらどうなさいますか。災害は忘れたころにやってくるからこそ心配しているんです。ここには前にはこちらの川へ流れるたくさんの支流があったわけです。ですから、これをくったためにこの中州の方たちが、伊勢湾台風並みの大きな台風が来たときにもしも命の危機に瀕されたときには一体どう責任をとりますか。環境の保護とか保全は大切でございますとか、そんな問題じゃないんですよ、官房長官。もう一度お答えください。
#189
○政府委員(近藤徹君) 河口ぜきが大変危険だというふうにおっしゃいましたが、先ほども私説明したつもりでございますが、このせきの建設によって洪水の流水の阻害にならないように十分にしゅんせついたしました。また、せきの安全については濃尾地震や関東大震災クラスの地震にも十分耐え得る強度で設計します。それで、この河口ぜきの設置と相まって、約三十キロ区間についてしゅんせつすることによって長良川全体の洪水の水位を下げます。下げることによって洪水時のはんらんの危険が減り、また堤防の安全性も十分確保されます。
 こういうことで、長良川河口ぜきがあって初めて地域の治水の安全が十分、十分とは言いませんが、所要の限度で確保することができますので、今長良川の治水の安全のためにはまず第一に河口ぜきの建設が緊急の事業となっているわけでございます。
   〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
#190
○竹村泰子君 十分な調査をしてください。住民の声を、六八%の人の声をしっかり受けとめていただいて、一時中断をして調査をし直すということを強く求めておきます。
 次に、ごみ二法案の問題について質問申し上げたいと思います。
 地球環境問題が深刻な状態に陥りつつある中、再生資源利用促進法案と廃棄物処理法改正案を政府は国会に提出されました。今回のこの廃棄物の問題は、不法投棄による環境汚染や大量生産大量消費社会の結末としての地球環境への負荷など、その本質は環境問題なのですけれども、政府の法案は事の本質をつかみ切っていないばかりか、環境に対する配慮すら欠けております。辛うじて、基本方針の策定に関しては環境庁長官が主務大臣として関与するようですけれども、事業者の判断基準や表示の標準は事業所管官庁の一存で定められることになっております。ここで緩やかな基準が定められますと、既にリサイクル事業で実績を上げている先進的な自治体、それからボランティアの人たち、市民の人たちの努力が水の泡と化す危険があります。どうお思いになりますか。
#191
○国務大臣(中尾栄一君) 竹村委員にお答えいたします。
 再生資源の利用の促進に関する法律案は、主といたしまして、廃棄物になる以前の生産、流通における事業者の再生資源の利用の努力を最大限に引き出すために、政令で指定する業種並びに製品について事業を所管する主務大臣が事業者の判断基準を定めまして、それに基づいて指導、助言を行い、そして必要な場合には勧告等の措置をとるということを主たる内容としたものであるわけでございます。
 これに対しまして、廃棄物処理法案は廃棄物となった後の適正処理を円滑に進めるための所要の措置を講ずるものでございまして、両法案それぞれの目的によって所要の措置を講ずることにより、廃棄物処理、そしてまた再資源化への対応を図るものと、こういう両輪になるわけでございましょう。
 通産省としましては両法案の役割分担を十分に認識しながら、なおかつ、再資源化の促進の重要性、緊急性にかんがみまして、再生資源の利用の促進に関する法律の一日も早い成立を期待しておるところでございます。
 以上でございます。
#192
○竹村泰子君 今お言葉にありましたけれども、通産省も厚生省もこの両法案、再生資源利用促進法案と廃棄物処理法改正案、この両方が車の両輪として機能して初めて可能となると、そういうふうにずっと言ってこられました。ところが、通産省は再生資源利用促進法案を厚生省の廃棄物処理法改正案が国会に提出される前に衆議院を通過させておしまいになりました。その理由は何ですか。
#193
○政府委員(岡松壯三郎君) 先生御指摘のとおり、確かに再生資源の利用の促進に関する法律と廃棄物の処理法案というのは、廃棄物を処理するか、それをまた資源として再利用するかという意味で車の両輪というふうに私ども考えておるわけでございますが、再生資源法案につきましては内閣におきまして廃棄物法案よりも先に閣議決定が行われ国会に提出をいたしまして、衆議院におきまして御審議の上、全会一致の御賛成を得て衆議院を通過させていただいたわけでございまして、今参議院に回ってきておりますので、参議院の御審議はこれからお願いをするという状況でございます。
#194
○竹村泰子君 警察がおいでになっておると思いますけれども、不法投棄についての公害事犯の取り締まりなどについて、状況をちょっと聞かせてください。
#195
○政府委員(関口祐弘君) お尋ねの産業廃棄物、さらにまた一般廃棄物を含めました不法投棄事案につきましては、主として廃棄物処理法で定められております不法投棄の禁止あるいはまた無許可処理業者の禁止等の規定を適用いたしまして取り締まりを行っているところでございます。
 この法律違反の過去五年間の検挙状況というものを数字的に見てまいりますと、昭和六十一年では三千八百五十三件、三千九百六十八人の者を検挙しております。六十二年では三千九百八十件、四千九十人。六十三年では三千百六十八件、三千四百四十一人。平成元年では二千六件、二千三百十六人。平成二年では千八百七十二件、二千百四名というふうな状況でございます。
 なお、このほか河川法等の他の法律を適用して検挙しているという事案も若干ございます。
#196
○竹村泰子君 産業廃棄物の総量が平成元年度中には八十六万九千トンあったという大変な数字です。
 一つの例を申し上げますと、産業廃棄物の中間処理業者はみずから処理し切れない廃油など、これは福島の例ですけれども、一万キロリットルの処理を無許可処理業者らに一億五千万円で再委託し、無許可処理業者はこのうち約八千九百キロリットルを福島県内の廃鉱に捨てていたほか、周辺の空き地数カ所にドラム缶のまま処分していた。これは廃棄物処理法違反で逮捕されたわけですけれども、こういうことがあるわけです。
 厚生省にお尋ねいたしますが、この原状回復、それから環境被害の防止に要する費用、これは一体だれが負担するんですか。
#197
○政府委員(小林康彦君) 現在の廃棄物処理法におきまして、中間処理業者等が排出事業者から委託を受けました産業廃棄物につきまして不法投棄等を行い環境に支障が出たような事例につきまして、生活環境の保全上重大な支障が生じている場合には、都道府県知事が当該不法投棄を行いました者すなわち中間処理業者に対しましてその支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができることになっております。また、産業廃棄物処理法に違反をして委託いたしました場合には、その排出事業者に対しても同様の措置を命ずることができることになっております。これらの場合には中間処理業者あるいは排出事業者がその命令に従い実行し、結果的に原状回復あるいは環境保全のための費用を負担する、こういうことになります。
#198
○竹村泰子君 政府案にはそういったことが厳しく規定されていないんです。法案が地球環境をいとおしむ思想からほど遠いものである以上、私たちはこれを許すわけにはいかない。ごみ二法案はぜひつくり直していただきたい。今までおくれたものですから、少々のこと急ぐ必要はありません。じっくりと国民のニーズを踏まえてもう一度つくり直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#199
○政府委員(小林康彦君) ただいま御指摘のありました点につきまして、今回提案をさせていただいております改正案におきまして、生活環境の保全上支障がある場合には当該支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができるといたしますとともに、排出事業者の委託に係る基準を強化する等の措置を講ずることといたしまして、不法投棄あるいは不適正処理の事前防止についての強化を織り込んでおるところでございます。ぜひ御理解をいただき、今国会での成立をお願いしたいというふうに思っております。
#200
○竹村泰子君 ぜひお考えをいただきたいと強く要望しておきます。
 それでは、次に、死刑廃止、獄中者処遇の問題に移りたいと思いますが、死刑に関する国際基準及び決議、また死刑を廃止している国は世界じゅう何カ国で何%ぐらいでしょうか。
#201
○政府委員(井嶋一友君) お答えいたします。
 国連におきましては経済社会理事会の決議によりまして五年ごとに各国の死刑状況につきまして報告を受けることになっておりまして、それを取りまとめて事務総長が報告書として発表いたします。一九九〇年の国連事務総長の報告書によりますと、すべての犯罪について死刑を廃止した国は三十八カ国、軍法による犯罪等を除く通常犯罪についての廃止国が十七カ国、それから死刑制度は存置しながら長期間にわたって死刑が言い渡されたことがなく、あるいは死刑が執行されたことのない国または地域、これは合計三十でございます。他方、この報告書によりますれば、九十一の国または地域が通常の犯罪についての死刑の制度を存置しかつ適用しております。
 したがいまして、廃止国と停止国合わせますと八十五、それに対しまして存置国または地域が九十一と、こういうことになります。
#202
○竹村泰子君 日本は国際人権規約のA規約、B規約に署名をしておりますね。これは一九七九年九月二十一日に発効しています。ただし、選択議定書に関しては批准をしておりません。理由はなぜでしょうか。
#203
○政府委員(丹波實君) 先生のお尋ねは、先ほどの死刑との関係で、A規約、B規約に関連しますところの死刑廃止のための第二議定書のことを聞いておられると思うのでございますけれども、死刑廃止の問題は国民感情及びそれに基づきます国内法制に直接かかわるものでございますので、この議定書につきましては、現時点では締結の見通しは立っていないという状況でございます。
 ちなみに、この議定書はまだ未発効でございまして、現在この議定書に入る用意のある国は四カ国しかございませんで、それはニュージーランド、スウェーデン、ポルトガル、オーストラリアでございます。ちなみに、この条約は十カ国の国が入る用意ができたときに発効するということになっております。
#204
○竹村泰子君 日本国憲法第三十六条、「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」。日本の死刑の方法はどんな方法ですか。これは残虐な刑罰とはお思いになりませんか、大臣。
#205
○政府委員(井嶋一友君) お尋ねの憲法三十六条の規定につきましては既に最高裁判所で判例がございまして、その判例によりますれば、現在各国で採用されております死刑執行方法は絞殺、斬殺、銃殺、電気殺、ガス殺等があるが、これらを我が国の絞首方法と比較考量してそれぞれ一長一短の批判はあるけれども、現在我が国が採用している絞首方法が他の方法に比して特に人道上残虐であるとする理由は認められない。したがって絞首刑は憲法三十六条に違反しない、こういう最高裁の判決がございまして、私どももこの考え方にのっとりまして執務をやっておるわけでございます。
#206
○竹村泰子君 どういう方法ですかとお聞きしました。
#207
○政府委員(井嶋一友君) 絞首方法でございます。
#208
○竹村泰子君 死刑廃止は国際的な潮流なんですね。大変すばらしいことなんですが、昨年は我が国では二十二年ぶりに死刑がゼロなんです。国際的なこうした潮流に対するおこたえなのでしょうか、大臣。
#209
○政府委員(井嶋一友君) 死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対しまして、裁判所がその事実認定につきましても情状につきましても十分慎重な審理を尽くしました上で言い渡されているものでございまして、それとともに、死刑の執行命令は法務大臣の命令によるということで、他の刑の執行とは異なる慎重な手続を要求されておるわけでございます。そういうことでございますので、裁判所の判断に従って確定いたしましたものにつきましては厳正に対処すべきものであるというふうに考えます。
 しかしながら、死刑は結局一度執行いたしますと原状回復が極めて不可能でございますから、この執行に当たりましては、刑の執行停止、再審、非常上告の事由あるいは恩赦に相当する事由など情状の有無につきまして慎重に検討して、再審の申し立て、恩赦の出願事由があるかどうかといったようなことを十分検討するわけでございます。
 そういうことで、それぞれ個別の事件につきましてそういった事務手続を尽くすわけでございますので、結局その執行の時期と申しますのはこの手続の中でおのずから定まってまいる性質のものでございます。したがいまして、ある年におきます死刑の執行数といったものの多い少ないが必ずしも政策的な意味を持つものではございません。したがいまして、委員おっしゃいましたような形でおとりになることは間違いでございまして、死刑の執行は世界の潮流があるから差し控えているということではございません。
#210
○竹村泰子君 残念です。私はそうでございますと言っていただきたかった。私が法務大臣にどうしてもお答えをいただきたかったのは、僧職であられる左藤法務大臣の人の命にかかわる非常に責任ある感覚を私は御尊敬申し上げ期待をしているわけです。
 法務省内で死刑制度の廃止について検討しておられますか。おるとすれば、どこの部局でどのような検討をしておられますでしょうか。大臣、答えてください。
#211
○政府委員(井嶋一友君) 死刑の執行は根拠は刑法にございます。したがいまして、刑法を所管しております私ども刑事局がこれを担当いたしております。
#212
○竹村泰子君 私は大臣にお尋ねしたんです。
#213
○国務大臣(左藤恵君) 今局長からお答えをいたしましたように、死刑の執行というのは特に慎重を期さなければならないという性格のものであろうと思います。そういうことで、死刑の場合は、ほかの執行命令と違って刑事訴訟法で特別に法務大臣に与えられているというようなことで、そういった意味での責任というものは非常に私は重いと思います。
 そういうことで、個々の案件ごとに慎重に適正に権限の行使に当たるべきものであるということでございますし、特に今お話がありましたようなことで個人的にどうだとかこうだとかいうことで考えるべきことでなくて、これは最も公的な立場で物事を判断していかなきゃならない性格のものであろう、このように考えておるわけで、ここで抽象的だとか一般的なお答えをするということは差し控えた方がいいのじゃないか、このように考えます。
#214
○竹村泰子君 現在、死刑確定者は何名でしょうか。
#215
○政府委員(井嶋一友君) 本年三月三十一日現在におきます死刑確定者は四十九名でございます。
#216
○竹村泰子君 それはいつの時点の数字でしょうか。
#217
○政府委員(井嶋一友君) 今申しましたが、平成三年三月三十一日現在でございます。
#218
○竹村泰子君 新聞には四十九名、私のところへの報告は四十八名というふうになっているんですけれども、四十九名で間違いないんですね。
#219
○政府委員(井嶋一友君) 四十九名で間違いございません。
#220
○竹村泰子君 誤判について、大臣、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
#221
○国務大臣(左藤恵君) 一応、検察当局という立場から見ますと、無罪事件であれば必要に応じていろいろな点でこれからのことを考えて検討しておるということを聞いておりますけれども、特に死刑確定事件ということになりまして、そういう重大事件の結果それにつきまして再審して無罪判決というふうなことが宣告されたということであれば、これは一般の事件以上に非常に深刻に受けとめなけりゃならない問題ではなかろうか。
 そういう意味で、今後、信用性のある供述の獲得とかそういったものに十分努力する。いろんな客観的な証拠の収集とか捜査の徹底、そういった点について反省をしてやらなければならない。そういう点で、事実の認定というものに誤りがあったということであればこれはそういった批判を受けないような努力をしていかなきゃならない、そういう性格のものであろう、このように考えております。
#222
○竹村泰子君 免田事件、それから財田川事件、松山事件、島田事件等々、再審による無罪をかち取られた例がたくさんあることを思いますと、死刑はやっぱり何としても慎重に扱っていただかなければならないと思います。
 矯正局長名で出された通達九十六号、一九六三年のですが、接見及び信書の発受という権利があるわけです。七八年ごろまでは死刑が確定した人にも文通は親族に限らず認められていたんですが、これは日本国憲法三十四条でも保障され、刑事訴訟法三十九条でも認められている権利ですけれども、死刑確定者には憲法も刑事訴訟法も届かないのでしょうか。
#223
○政府委員(今岡一容君) 今御指摘になりましたように、死刑確定者の接見及び信書の発受につきましては、現在私どもは現行監獄法にのっとってやっております。御案内のように、現行監獄法は明治四十一年、一九〇八年にできた法律でございます。八十年以上も前の法律でございまして、この法律制定当時には在監者の権利義務等を明確にするというような考え方は残念ながらまだ入っていなかった時代でございます。そういうことで、現行監獄法の接見とか信書の発受に関する規定は、現在から見れば非常に不十分なものがあるということは私どもも十分承知いたしております。
 そして、この現行監獄法のもとでは死刑確定者の接見とか信書の発受についての具体的な規定を欠いております。そこで、運用上、運用上と申しますか、その死刑確定者の接見とか信書の発受については所長の裁量、判断にゆだねられているわけでありますが、それを適正に行うために私どもとしては通達でもって運用の基準を示して、遺憾のないようにやっているというところでございます。
#224
○竹村泰子君 二十四時間テレビつき監視房、どこに幾つありますか。
#225
○政府委員(今岡一容君) 今の御質問は死刑確定者についての御質問だという前提でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、その前に、私どもは死刑確定者であるから二十四時間テレビ監視房で監視しているというものではもちろんございません。テレビ監視房で監視をするというような場合は、やはり自殺するおそれがあるとかあるいは大変心情が不安定であるとか、職員が一生懸命視察をしておりますけれども行き届かないところがあるかもしれない。そこで、それを補う意味で、そのおそれがある間テレビの監視に頼るというような運用をやっているわけでございます。この点を前置きとして申し上げさせていただきたいと思います。
 現在、死刑確定者は御案内のとおり全国で七つの施設にそれぞれ分散して収容いたしておりますが、テレビ監視房のあるところというのは、数だけで申しますと四カ所でございます。
#226
○竹村泰子君 人権の問題だと思います。死刑確定囚にしても人間でございますから、二十四時間テレビで監視されている気持ちを考えていただきたい。獄中者処遇につきましては私もまた続けていろいろと申し上げたいことがありますので、次の機会に譲りたいと思います。死刑廃止につきましては、ぜひ法務大臣の非常に寛容な温かい御厚情を心から期待しているところでございます。
 私は四月一日の質問で、B、C級戦犯の方々のことに触れました。九百二十七人の戦犯の方があの当時巣鴨プリズンにおられました。その中で二十九人の韓国・朝鮮籍の人と一人の台湾の人がおられたわけです。一九五二年七月この人たちが、私たちは日本の国によって強制的に連行され働かされたが、日本人ではないとして、人身保護法による釈放請求の裁判を起こしました。この変則的でいきなり最高裁という裁判で、どのような理由でどのような判決が行われたでしょうか。
#227
○政府委員(井嶋一友君) 昭和二十七年七月三十日に出ました最高裁判所の請求棄却の判決の理由でございますが、いわゆる平和条約十一条が日本で拘禁されている日本国民に対して極東軍事裁判所等が科した刑を日本が執行することとしているところ、同条による刑執行の要件としては刑が科された当時日本国民であれば足り、その後日本国籍を喪失しても日本の刑執行義務に影響を及ぼさないことを判示したものでございます。
#228
○竹村泰子君 平和条約発効後の国籍の喪失または変更も罪には影響がなかった、右の義務には影響を及ぼさなかったわけですね。
 日韓請求権協定によって最終解決が図られたといいますけれども、この協定を受けて韓国で制定されました対日民間請求権申告法では、在日の人たちの取り扱いはどうなっておりますか。
#229
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。
 一つお断りいたしたいのでございますけれども、御質問の通告をいただきましてから韓国側にこの正文の確認をする時間がなかったものですから、私とりあえず手持ちの仮訳に基づいて御説明させていただきたいと思います。
 ただいま御指摘の法律は一九七一年に公布されたものでございまして、その第二条におきましてこの請求権申告の対象の範囲を規定しているわけでございます。二つの面から規定しております。第一点は人的な範囲でございまして、第二点はこの請求の権利の範囲でございます。
 まず、人的な範囲につきましてはこの第二条第一項におきまして、この法律の規定による申告対象の範囲は、一九四七年八月十五日から一九六五年六月二十二日まで日本国に居住したことのある者を除いた大韓民国国民となっております。
 次に、権利の範囲でございますが、そのような大韓民国国民が一九四五年八月十五日以前、その後括弧はちょっと飛ばさせていただきますが、八月十五日以前に日本国及び日本国民に対して有していた請求権等で次の各号に掲げるものとするとございまして、次の各号というのが第一号から九号までございます。そこで、一号から八号までは、例えば日本銀行券でございますとかあるいは有価証券、預金、海外送金、寄託金、保険金というようなものを挙げまして、九号のところで、日本国によって軍人軍属または労務者として召集または徴用され一九四五年八月十五日以前に死亡した者というものを挙げているわけでございます。
 したがいまして、この法律におきましては、私、外国の法律でございますから有権解釈はできませんけれども、少なくとも文理上はいわゆる在日韓国人の方々は除かれておりまして、そして請求の権利の対象という面におきましては、この九号におきまして四五年八月十五日以前に亡くなった方だけが対象になっておりますので、一九四七年以降日本に居住した在日韓国人というのはこの面でも落ちているわけでございます。
 なお、具体的なことは別途また大統領令において定められております。
#230
○竹村泰子君 対日民間請求権申告法が在日の人を除外した規定と、日韓協定二条二項(a)の表現とは全く一致しているのではないでしょうか。外務省、厚生省両方にお尋ねいたします。
#231
○政府委員(柳井俊二君) いわゆる韓国との請求権・経済協力協定の規定との関係でございますが、もとよりこの協定の方は日韓間の条約でございますので、韓国側の国内法とは趣旨、目的等において若干の相違がございますので、この規定の表現ぶりが完全に一致するというものではないわけでございます。
 ただ、ただいま御指摘の点につきましては、御案内のようにこの協定の第二条におきまして、この括弧書き的なところはちょっと飛ばさせていただきますが、一項で「両締約国は、両締約国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、」「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」と規定しておりまして、第三項で、長くなりますから省きますが、要するに、この財産、権利、利益につきましては、お互いに他方の締約国の管轄下にあるものに対してとられた措置についてはいかなる主張もしない。また、財産、権利、利益に当たらないような請求権につきましては、同日、同日というのはこの協定の署名の日、署名の日以前に生じた事由に基づくものに関してはいかなる主張もすることができない。いわゆる請求権放棄という形で処理をしているわけでございます。
 ただ、第二条の第二項におきましてそのような処理の例外というものが二つ挙げてございまして、ただいま御議論をされておられます在日韓国人に直接関係ございますのは二項の(a)というところでございます。二項の(a)は「一方の締約国の国民で千九百四十七年八月十五日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益」というふうに挙げてございまして、こういうものについては第二条の一項、一項は最終的な解決でございますから適用があるといえばあるのでございますが、三項のようないわゆる請求権放棄あるいは国内措置に対する請求権の放棄というものは適用がない、そういう例外になっておるということでございまして、この部分の表現は確かに対日民間請求権申告に関する法律の先ほど読み上げました表現と一致しているわけでございます。
#232
○竹村泰子君 ですから、厚生大臣、この人たちは罪は日本人として受ける、けれども援護は本国からも日本からも受けられない、こういう谷間にある人々なのです。こういう人たちがいることを御存じでしたか。どのようにお考えになりますか。
#233
○国務大臣(下条進一郎君) 今外務省からお話がありましたように、日韓の関係につきましては一通り今のような筋道で整理をいたしておるわけでございます。したがって、韓国の方の援護に関しましては、これは御承知のように援護法は恩給法に準拠しておりますので、その面での対象はすべて日本国籍にある者ということに限定しておりますので韓国の方には適用されないということで、サンフランシスコ条約の規定に基づきまして韓国の方との間は日韓の協定で決める、こういうことになっておりますので厚生省関係の法の適用はない、こういうことになるわけでございます。
#234
○竹村泰子君 一つ例を申し上げます。川崎に住む石成基さんという方です。この人は日本海軍の軍属として徴用されて重傷を負い、今も入院生活を送っている在日の韓国人です。このほど県を通じまして国に対して戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく障害年金を求める行政審査請求をなさいました。石さんと同じ立場に立たされている在日の人たちは少なくありません。援護法の附則で「戸籍法の適用を受けない者については、当分の間、この法律を適用しない。」とあるのは、例えば日韓間で問題が解決されるまでという意味なのでしょうか。石さんは、戦時中は日本国籍を強要され、戦後は一方的に日本国籍を剥奪された。それでいて日本国籍がないから援護法が適用されないというのはおかしいと言っています。
 また、石さんは、今の厚生大臣はいい人ですかと応対した県援護課の職員に聞かれたそうです。そして、日本政府は自衛隊機の中東派遣を人道上の問題と言っているが、四十年以上も放置されている在日韓国・朝鮮人の戦後補償は人道問題ではないのかと聞いておられます。こういうことを、人間として、厚生大臣、どう思われますか。
#235
○国務大臣(下条進一郎君) 石さんのお話は私も承っておりまして、戦時中に被弾をされて右の手をなくされたり、後また脳出血を起こされて大変に御苦労していらっしゃるお立場を重々伺いまして、御同情申し上げておりますし、また御病気が一刻も早くよくなられるようにと心から念願しているわけでございます。
 それで、今のお話でございますけれども、請求につきましては本年一月二十八日に神奈川県が受理いたしました。そして、二月四日に神奈川県の方から厚生省の方に進達されておりまして、現在厚生省において審査を行っているところでございます。具体的な処遇の内容についてはまだ申し上げられる段階ではございませんけれども、先ほどお話し申し上げたように援護法の規定によって行うということになるわけでございまして、援護法の規定は先ほど私が御説明したような形になっておるわけでございます。
 なお、大変お気の毒な事情でございますので、一般の社会保障の充実という形の中で何とか処理ができないものか、こう考えております。
#236
○竹村泰子君 何とか即却下するようなことではなくて温かい血の通った救出の道を考えるときではないかと思います。よいお返事を期待しております。
 アメリカとカナダは、日系人の強制収容問題について謝罪と補償を決断して実行しました。ソビエトもポーランドのカチンの森の事件を認知し、またシベリア抑留について歴史の見直しを進め、徐々に名簿も公表されております。こうした歴史の清算を通して新たな国際社会でみずからの正義の実現を自国の将来のためにもとったものと私は考えるんですけれども、日本は調査すらまともにしようとしていない。これは国際情勢の流れに反するものであり、日本は良心を持たない国なのかと私は思うわけですけれども、外務大臣、この姿勢をどう思われますでしょうか。
#237
○国務大臣(中山太郎君) 戦後日本は各国との賠償問題あるいは請求権の問題、いろいろと誠意を持ってやってまいりましたが、今委員から御指摘のように日本は良心を持っていないのかというお話でございますが、私は日本は良心を持って行動していると思っています。
#238
○竹村泰子君 最近外国人教員の採用拡大とか、また高野連が朝鮮学校の大会参加を認めるとか、うれしいニュースが幾つかございます。また、日韓二十一世紀委員会が歴史教育の再考を求めるという意向を出しております。
 これは八九年秋の世論調査で、日本人の五人に一人が植民地支配を知らなかった。私は、若い人たちだけの調査だと五人に四人は知らないのではないかと思いますけれども、日韓の歴史認識の大きな差が改めて取り上げられておりますが、文部大臣、これはしっかりと教育の分野でやっていただきたい。あなたの責任ですが、どう思われますか。
#239
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 私も日韓二十一世紀委員会最終報告書、抜粋でございますがよく見せていただきました。その主なものは三点ございました。それも見せていただきました。
 学校教育における我が国と朝鮮半島との近・現代史の取り扱いにつきましては、従来より国際理解と国際協調の見地に立って友好親善を一層進めるように指導してきたところであります。平成二年五月の盧泰愚大統領の来日及び本年一月の総理の訪韓を機に、日韓両国は政治、経済、文化の各分野において交流、協力する善隣友好の新しい時代を迎えることとなったことを考えております。学校教育におきましてもこの認識のもとに日韓両国民が相互に尊重し理解を深めるよう我が国と朝鮮半島の関係について一層適切な指導が行われる、これが大切であろう、このように考えております。
#240
○竹村泰子君 しっかりお願いいたします。
 強制連行の調査や、援護、教育、法律などなどを考えますと、一省庁でできることではなく、省庁間の横の連絡がぜひ必要だと。きょうは総理がお留守ですし、官房長官も御都合でいらっしゃらないんですけれども、外務大臣、大蔵大臣、ひとつかわりにしっかり聞いておいていただきまして、総理府の中に総合的な審議会をつくっていただきたい。もしこれが実現できたら私は大ヒットだと思います。世界的にも、特にアジアの国々が大変注目をすると思いますし、このことは総理には後でしっかり私は御要望申し上げますが、閣議か何かで皆様からしっかりお伝えをいただけますようにどうかお願い申し上げます。いかがでしょうか。
#241
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに承りましたので、海部総理が帰国されたらそのとおりお伝えをいたしておきます。
#242
○竹村泰子君 ありがとうございます。
 時間がなくなってしまいました。物価動向で少しお尋ねをいたします。
 消費者物価、私も主婦の一人ですけれども、特にお野菜が高いんですね。それで、企画庁の物価対策は現在何をしておられますでしょうか。
#243
○国務大臣(越智通雄君) ちょっと長くなるかもしれませんが、少しお答えさせていただきます。
 平成二年度の物価の足取りを振り返ってみますと、上半期は円安が予想以上でございまして、きょうあたり一ドル百三十七円でございますが、昨年の今ごろは百五十八円でございました。また、夏以降、湾岸紛争で石油の値段が随分上がりました。きょう石油はニューヨーク物で大体二十ドルを切るぐらいでございます。また、冬に入りまして、今先生のおっしゃいました野菜が暖冬の影響等で大変上がりました。そんなために、結果的には、東京都区部の三月の速報値は終わった段階で三・二%の消費者物価の上昇に年度間でなったわけでございます。
 ただ、その中で、ことしは今おっしゃいました野菜以外のところは大体めどがついてまいりまして、石油の値段も安定しておりますし、それからレートの方も、円安傾向ではございますけれども比較的落ちついている。また、景気の方も五%台の景気から三・八%台ということでございますと、物価上昇圧力としては弱まっている。また、春闘も今の行われています状況では物価の基調を変えるほどのものにはならないのではないかと見ております。
 一に残されましたのが生鮮食料品の問題でございまして、私も四月の二日、市場その他を全部視察してまいりましたけれども、十二月には暖冬対策として、約二千数百トンの大根を中心とした生鮮野菜を出してもらいました。また、一月から三月までは七回に分けましてキャベツを中心とした安定基金の野菜を放出いたしまして、約四千トンいたしたわけであります。春三月半ばからは春物が出回るという見込みだったのでございますが、この時期に来まして大分寒い春でございまして、今のところ、四月二日現在でも春物がほとんど見当たらなかった。出荷が非常におくれているというか品薄になっておりまして、そのために値段が下がっていない。
 このことにつきましては、これからまた農林水産省とも連絡をとりながら種々方策を考えなきゃいけないかと思っておりますが、かなり構造的な問題もございまして、どちらかと申しますと、野菜でいうと菜っぱ物、果実でいいますとかんきつ類、いわゆる露地栽培のものが非常に強く影響を受けております。こうしたことの構造的な問題をどう解決していくか、今後さらに一層努力をさせていただきたい、このように思っているところでございます。
#244
○竹村泰子君 もう時間がありませんので、物価局長にもお聞きしようと思ったんですが、残念ながらお聞きすることができません。
 最後に、弱者にこういったしわ寄せが全部いくということですね。例えば青森県むつ市のある中学校では野菜の価格高騰のため給食費が底をついてしまって、そして春休みまでの五日間の給食をおにぎりとみそ汁にしちゃった。こういうふうなことで野菜の高騰が弱いところへしわ寄せがいってしまう。こういうことはしてはいけませんよ。どうか経企庁長官、物価局長もぜひよろしくお願いいたします。
 終わります。
#245
○委員長(平井卓志君) 以上で竹村君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#246
○委員長(平井卓志君) 次に、猪熊重二君の質疑を行います。猪熊君。
#247
○猪熊重二君 私は、きょうは二点についてお伺いしたいと思います。答弁の方は簡潔にしていただいて結構でございます。
 まず第一の問題は、死刑制度の存廃に関してでありますが、ただいま竹村泰子委員から質問がございましたから、それと重複しないように考えて質問させていただきます。
 死刑を即時廃止せよということは、去る三月十三日衆議院の予算分科会においても我が党の二見伸明議員が政府に対して種々質問し、答弁もいただいております。これを前提にしまして二、三質問いたします。
 まず、死刑制度の当否、存廃を考える場合に一番重要なことは、誤判による死刑執行という点であります。
 法務省にお伺いします。現憲法施行後現在までの間における死刑囚の再審無罪の件数、人数及びこれらの者の全拘束日数の概要について御説明いただきたい。
#248
○政府委員(井嶋一友君) お答えいたします。
 憲法施行後、死刑が確定いたしました事件につきまして再審が開始され、その結果無罪判決になりましたものは四例ございます。
 第一は、いわゆる免田事件と呼ばれるものでございまして、事件は住居侵入、強盗殺人、同未遂窃盗等の事件でございます。昭和二十七年一月五日に死刑判決が確定いたしましたが、昭和五十四年九月二十七日に再審開始決定が下されまして、その結果、昭和五十八年七月三十日に無罪判決が確定いたしました。この事件におきます未決勾留日数は二年十一カ月十七日間、いわゆる刑法に基づきます拘置日数が三十一年六カ月十一日間でございます。
 次は、いわゆる財田川事件と呼ばれております強盗殺人事件でございまして、昭和三十二年二月二日に死刑が確定いたしましたが、昭和五十四年六月六日に再審開始決定が下され、その結果、昭和五十九年三月二十七日に無罪判決が確定いたしております。この事件におきます未決勾留日数は六年五カ月二十九日間、拘置日数は二十七年一カ月十一日間であります。
 三つ目は、いわゆる松山事件と呼ばれております強盗殺人及び放火事件でございまして、昭和三十五年十一月二十四日に死刑判決が確定いたしましたが、昭和五十四年十二月六日に再審開始決定が下され、その結果、昭和五十九年七月二十六に無罪判決が確定いたしました。この事件における未決勾留日数は四年十一カ月十日間でございまして、拘置日数は二十三年七カ月二十日間でございます。
 四つ目が、いわゆる島田事件と呼ばれる強姦致傷殺人事件でございまして、昭和三十六年一月二十八日に死刑判決が確定いたしましたが、昭和六十一年五月二十九日に再審開始決定が下され、平成元年二月十五日に無罪判決が確定いたしました。この事件における未決勾留日数は六年七カ月二十五日間、拘置日数は二十八年四日間でございます。
#249
○猪熊重二君 今お話しいただいたように、大体一番短い人で二十九年、長い人で三十四年間、獄につながれて、ようやく無罪ということで釈放された。こういうふうに長期間拘留している、そして結局無罪だったということについて、法務大臣、こういう人に対してあなたはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
#250
○国務大臣(左藤恵君) お尋ねの死刑囚が非常に長期間身柄を拘束されるということにつきましては、個々の事件について検察当局や裁判所が事案の性格に即して慎重、適切な判断を加えた結果であるというふうには考えるわけでありますけれども、いずれにしましても、再審によって無罪の判決がなされて確定したということについてはいろいろ私は問題を残しておるのじゃないか、このように思います。反省すべき点は十分反省して、こういったことがないようにしなければならない。そういう意味で、死刑囚が長期間身柄を拘束されるということについては非常に結果として遺憾な問題を生じている、このように考えます。
#251
○猪熊重二君 法務大臣とすれば遺憾だとおっしゃるんでしょうけれども、これはまかり間違ったら首ちょん、首ちょんじゃなくて絞首刑ですから首つるしになっちゃっているんです。
 ですから、こういうふうに再審によって無罪になる死刑囚が四人もいるということ、このことは、再審によって無罪にならずに無実のまま絞首刑を執行されているという人がいる可能性、蓋然性というものが当然予測される。このように無実でもし死刑を執行された人にとっては、国家としては制度上やむを得ぬと言うかもしれませんが、殺される人間にとっては国による殺人です。この点について、法務大臣、法制局長官、どうお考えになりますか。仮定の問題だから答えられぬということになるかもしれませんが、現につるされそうになったけれども四人がつるされないで済んだということは、つるされるべきでない人がつるされている可能性は十分あるじゃないですか。それは国家による殺人であると思いますが、いかがですか。
#252
○国務大臣(左藤恵君) 死刑はおっしゃるようにその言い渡しを受けた者の生命を絶つという極刑であるわけでございまして、先ほども竹村先生にお答え申し上げましたように、そういった意味におきまして、この執行については刑事訴訟法四百七十五条におきまして、ほかの自由刑とか財産刑の執行と違って法務大臣の命令によるということにされております。そういう意味から申しまして、この執行命令を発するということは非常にこれは重大な問題であるということでありますので、十分精査検討して慎重かつ厳正にやらなければならない性格のものであろう、このように考えておるわけであります。
 今お話がございました、死刑を執行した者の中に誤判による無実の者が私は含まれていないと、このように信ずるわけでありますけれども、今のお話しのような点につきまして、そういうことについて慎重、厳正にやらなければならないものである、このように考えるところでございます。
#253
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 初めに、死刑執行権のお話がございました。一般に、国家は犯罪に対しまして私人が報復行為に出るということは禁じておりますが、そういう意味で、みずから、刑罰権と申しますか、それを独占していると考えております。これは、国家が当然その責任におきまして厳格な要件のもとで犯罪に対応する刑罰、これを科することによりまして全体として社会の秩序維持に資する、こういう制度であろうと思います。そのような刑罰権の一環といたしまして死刑執行権、こういうものも理解されると考えるところでございます。
 我が国の憲法上におきましても、刑罰の一態様として死刑がある、否定されていないということは、いわゆる個人の尊重などを規定しました憲法十三条の中におきましても、生命等に対する国民の権利、これにつきまして公共の福祉に反しない限りというふうなことで最大の尊重を必要とする、あるいは憲法の三十一条におきまして法定手続の保障、こういった各規定に照らしましても明らかであろうかと思います。
 ただ、おっしゃいますように、無実の者に対して誤判の結果として死刑が執行される、こういうことはあってはならないこと、これは当然のことでございまして、そういうことが生じないように慎重な審理がなされているものと、かように考えております。
#254
○猪熊重二君 憲法では死刑という刑罰があっていいとかなんとか書いてないんです。私はこれを法務大臣にもお考えいただきたいんです。私たちは個人として人を殺す権利を持っていないんです。ごく例外的に、正当防衛の場合やむを得ず人を殺すということがあり得ることを法律制度としては許しているけれども、それ以外に原則として人を殺す権利を私たちは持っていないんです、法的に。一人一人の国民が人を殺す権利を持っていないにもかかわらず、何で国民の信託による国家というものが人を殺す権利を持っているんですか。人を殺す権利を国家はどこからもらってきたんですか、拾ってきたんですか。法務大臣、法制局長官。
#255
○政府委員(井嶋一友君) 法的根拠をお尋ねでございますので法務省としての見解を申し上げますが、委員御案内のとおり、憲法三十一条には「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」という規定がございまして、憲法自体、死刑制度を禁止していないと我々は考えております。これを受けまして刑法に死刑という刑罰が定められております。こういった法的根拠をもちまして、先ほど法制局長官が答弁されましたように、国家刑罰権に基づいて死刑の執行といったものが行われておるというふうに私は理解をいたしております。
#256
○猪熊重二君 国家刑罰権で国家が殺人権を有するというその根拠がどこかと私は聞いているんです。
 ただ、この問題は非常に法理論的な問題で、各人の世界観の問題ですからこれ以上はやめておきますが、ただ、法務大臣、死刑執行に対して判こを押すときにはよくお考えいただきたい。なぜ国が国民を殺す権利を持っているんだということについてよくお考えいただきたい。
 ところで、この死刑存廃に関する総理府の世論調査についてお伺いします。総理府の実施した世論調査の回数や日時、死刑存廃についての意見の概要を御説明ください。
#257
○政府委員(樋口武文君) お答えします。
 総理府では政府の諸施策の参考とするために、各省庁からの要望、時系列的に調査すべき事項等を勘案の上、世論調査のテーマを選定しているところでございます。既にこれまでに四回実施をしております。「犯罪と処罰に関する世論調査」につきましては、死刑制度及び刑法上の尊属加重規定に関する国民の意識を調査し今後の政府の施策の参考とするために、法務省からの要望を踏まえ実施をしたものでございます。
#258
○猪熊重二君 総理府の行った世論調査の結果はどうなっておりますか、死刑の存廃に関して。
#259
○政府委員(樋口武文君) お答えします。
 平成元年六月に実施をしました「犯罪と処罰に関する世論調査」の概要でございますが、一つの質問は、「今の日本で、どんな場合でも死刑を廃止しようという意見にあなたは賛成ですか、反対ですか。」という設問に対しまして、「賛成」と答えた方が一五・七%、それから「反対」と答えられた方が六六・五%、「わからない」と答えた方が一七・八%でございます。
 それから、死刑廃止論に対して賛成する方にその理由をお尋ねしたところ、「裁判に誤りがあったとき死刑にしてしまうと取り返しがつかない」という理由を挙げられた方が四五・八%。実はこの回答は複数回答を認めております。それから「人を殺すことはたとえ刑罰であっても人道に反し野蛮である」という理由を挙げられた方が四三・三%、「たとえ悪質な犯罪を犯した者でも更生の可能性がある」という理由を挙げられた方が三四・二%、それから「生かしておいて罪の償いをさせたほうがよい」という理由を挙げた方が三二・五%、「死刑を廃止してもそのために悪質な犯罪が増加するとは思わない」という理由を挙げた方が二七・五%でございます。
 それから、死刑廃止論に対して反対する方にその理由をお尋ねしたところ、これも複数回答を認めておりますが、「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」という理由を挙げた方が五六・〇%、「死刑を廃止すれば悪質な犯罪が増える」という理由を挙げた方が五三・一%、「死刑を廃止すれば被害を受けた者やその家族の気持ちがおさまらない」という理由を挙げた方が三九・七%、「悪質な犯罪を犯す人は生かしておくとまた同じような犯罪を犯す危険がある」という理由を挙げた方が三七・九%などとなっております。
#260
○猪熊重二君 総理府の今のような調査結果に対して、世論調査の調査項目の立て方がまことに不公正であるというふうな各界の意見があるんですが、総理府としては御存じでしょうか。
#261
○政府委員(樋口武文君) 世論調査の実施に当たりましては、国民の意識を公正な立場で把握をして国政の基礎資料及び政府の施策推進の参考資料を得ることができるよう努めているところでございます。さきの衆議院予算委員会におきまして、先生御指摘のとおり、「犯罪と処罰に関する世論調査」の調査方法について御議論がなされたことも承知しておりますし、そのほかにもそうしたもろもろの意見があることは十分承知をしております。
 今後とも、私どもとしては、公正な立場から国民の意識をより正確に把握し、国政の基礎資料及び政府施策推進の参考資料を得ることができるよう、世論調査の実施に当たって留意してまいりたいと考えているところでございます。
#262
○猪熊重二君 私がこういうことを総理府に申し上げるのは、先ほども外務大臣から、国際人権規約B規約第二議定書、いわゆる死刑廃止条約に対しても国民世論の動向が賛成していないとかどうとか、こういうふうなことをおっしゃるんです。政府が言っていることは、この総理府の調査の結果として日本国民は死刑廃止に七割が反対なんだ、こう言っておられる。
 しかし、この八番目の死刑廃止に関する質問の一番初めはこういうことなんです。このごろ人殺しなどの凶悪犯罪はふえていると思いますかと。客観的には減っているんです。にもかかわらず、ふえていると思うと。その次の質問、死刑という刑罰をなくしてしまうと悪質な犯罪がふえると思いますか。それはふえると思うと。今だってふえていると思っているんだから。その次に来たのが、今の日本でどんな場合でも死刑を廃止しようという意見にあなたは賛成ですか、反対ですか、こういう聞き方をしているんです。だから、凶悪犯罪が低下しているにもかかわらず増大しているという間違った前提に立って、死刑があってもふえているんだから今度死刑をなくしたら余計ふえる、だから死刑廃止には反対だ、こういうちゃんちゃんちゃんと三段論法でいくような質問、こういうことの質問じゃまずい。
 それで、前最高裁判事、東大名誉教授団藤先生が何と言っておられるか。質問の出し方が非常に悪い。誤判の可能性というものが入っていない。仮に、万一無実の者が処刑されるかもしれない可能性があっても殺人を犯したとされる者には死刑を残しておいた方がよいと思いますかという質問の出し方をすれば回答はよほど変わってくるに違いない、こう指摘しておられる。この点を総理府も今後やるときにきちんとやってもらいたい。そうでないと国の方向が間違ってしまう。
 外務大臣には申しわけありません。死刑廃止条約は先ほど聞かれていましたので、私お伺いするのをやめておきます。
 いずれにせよ、死刑というのは人間生命の尊重、基本的人権の保障ということから非常に重要な問題なんです。文部大臣、突然で申しわけないけれども、学校教育における人間生命の尊厳、基本的人権の保障、死刑問題を含めてこういう点についてどう取り組んでいかれるか。突然の質問で申しわけございませんが、お願いします。
#263
○国務大臣(井上裕君) 所轄外でございますし、死刑問題は別といたしまして、人間の生命のとうとさ、尊重、これは学校教育で教育いたしております。
#264
○針生雄吉君 関連質問をお願いします。
#265
○委員長(平井卓志君) 関連質疑を許します。針生雄吉君。
#266
○針生雄吉君 生命の尊厳と東洋医学、伝統医学との関連性につきましては別の機会に詳しく論ずることにいたしまして、本日はこの機会に文部大臣及び担当の方に、東洋医学、伝統医学に関して二、三の質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、中国、韓国における中医養成制度の実態を、特に修業年限とカリキュラムの態様に関して西医の養成制度と比べて教えていただきたいと思います。
#267
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 もう先生は専門家でございますが、中国におきましては西洋の現代医学を修めた医師、これを西医という言葉で呼んでおることはもう御案内のとおりでございます。伝統的な中国医学を修めた医師、これは中医、これが両方併存しております。また、その養成につきましては、西医は医科大学、中医は中医学院という別個の機関で行われていると私ども聞いております。しかし、西医と中医の両者の長所を合わせることの重要性も指摘され、一部にいわゆる中・西医結合による臨床や、あるいはグルント、基礎研究も行われておるとともに、教育機関におきましても、西医の養成において一部は中医学の授業を取り入れている、あるいはまた中医の養成において一部西洋医学の授業を取り入れている例もあると承知いたしております。
 韓国におきましては一部の医科大学で東洋医学を修めた韓医の養成が行われており、その教育においては西洋医学の授業も取り入れているとの情報を私どもは知っております。
#268
○針生雄吉君 昭和六十二年九月に出ました我が国の医学教育の改善に関する調査研究協力者会議での指摘の中に「漢方薬、はり、きゅう等を活用する東洋医学の教育」という一項がございますけれども、この指摘に基づいてこの五年間において文部省が行った施策があれば、具体的にお示しをいただきたいと思います。
#269
○国務大臣(井上裕君) これは医学教育の改善に関する調査研究協力者会議の最終まとめの「カリキュラムの改善」の(8)「今後要請が高まると思われる分野」、その中の一つとして今先生のおっしゃる「漢方薬、はり、きゅう等を活用する東洋医学の教育」、こういうものがあるわけでありますが、漢方薬、はり、あるいはきゅう等を活用する東洋医学の教育につきましては、御指摘の医学教育の改善に関する調査研究協力者会議のただいま申し上げました最終まとめにおいて、今後要請が高まる分野の一つとして位置づけております。医学部長会議などの場におきまして機会あるごとに教育内容の改善を促しているところであり、各それぞれの大学におきましてもこの最終まとめに沿って教育内容の改善に取り組んでいるということを伺っております。
 また、この結果、医学部におきまして東洋医学に関する授業を実施している大学数は昭和六十二年におきましては十二大学であったものが平成二年度においては二十九大学となって、実に十七大学増加しております。また、鍼灸分野における指導的人材の養成と研究の進展に資する観点から、本年四月、明治鍼灸大学に大学院修士課程を開設することについて認可をしたところであります。この名前は学術修士ですか、そういうような名前になると思いますが、さらに文部省としては、東洋医学などの新しい医学、そしてまた医療のニーズにこたえる分野の教育の充実につきまして、今後とも各大学に対しまして積極的な取り組みを促してまいりたい、このように考えております。
#270
○針生雄吉君 私は東洋医学、伝統医学にかかわる総合的研究は、文部省の交付している科学研究費の中の重点領域研究の対象にふさわしいものと考えます。平成四年度はゼロとのことでございますけれども、おくれても平成五年度にこれを選定すべきと思いますが、どうでしょうか。選定するつもりがおありにならないとすれば、その理由をお示し願いたいと思います。
#271
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 もう先生御案内のように、平成四年は今審査中でございます。この科学研究費補助金重点研究領域、私どももこれを今勉強いたしているところでありますが、この研究領域の設定につきましては、公募によりまして広く研究者からの申請を受け付け、その後学術審議会における審議の結果を受けて重点領域を設定することとしております。それぞれの専門家の方たちに、その研究がふさわしいか、そういうことで私どもはその審議会の先生方にお任せをいたしております。
 平成五年度におきまして新規開設する研究領域についてこの秋に公募通知を各研究機関に発送し、明春研究者からの申請を受け付ける予定でありますので、その申請状況につきましては私どもは注目してまいりたい、このように考えております。
#272
○針生雄吉君 文部大臣は、総理大臣を議長とする科学技術会議においてもし東洋医学に関する事項が諮問された場合にはいかなる姿勢で対応されるのか、その方針をお示しいただきたいと思います。
#273
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 私も、大蔵大臣また経済企画庁長官、そういう方々とともにこの中に入れていただいておりますが、科学技術会議における審議につきましては文部省も従来から協力しております。また、ライフサイエンス、生命科学に関しても科学技術会議に諮問がなされ、また答申や意見がまとめられた、これは承知いたしております。東洋医学という観点からだけで審議されたということはまだ私どもは聞いておりません。今後も東洋医学につきまして諮問があればあれでしょうが、今のところは諮問がなされるということはまだ伺っておりません。
#274
○針生雄吉君 ありがとうございました。
 東洋医学、伝統医学にかかわる問題は、我が国の国民大衆の生命尊厳を希求する力強い願望を背景として、現在及び将来の我が国の医療制度、医療政策における基本的、総合的、長期的な問題としてまことに重要であると思います。また、我が国は東西両文化圏に属するという文明論的な特性からして、西洋医学の物差しをもって公正厳格に東洋医学を認識評価し、それが人類にとって有益であれば、世界に広めていくべき国際的な使命を有する立場もあると思います。このような意味におきまして、今後とも文部省が、自然科学、人文科学両分野において東洋医学、伝統医学の再評価というテーマに対しましても積極的な文教政策上の誘導策をとることを強く要望して、関連質問を終わります。
 ありがとうございました。
#275
○猪熊重二君 次に、第二の問題は、土地収用裁決に対する建設大臣の土地収用法上の審査権についてお伺いします。
 北海道開発庁は事業主体として北海道沙流川に二風谷ダムを建設中です。このダム水没地の地権者である二人のアイヌの方が土地を任意売却しなかったため、平成元年二月三日、北海道収用委員会が土地収用裁決をしました。この二人の地権者はこの裁決を不服として平成元年三月四日建設大臣に対し収用裁決に対する審査請求を申し立て、現にこれが審理中であります。以上の経過は間違いありませんね、建設大臣及び北海道開発庁長官。
#276
○国務大臣(大塚雄司君) そのとおりでございます。
#277
○猪熊重二君 この審査請求の理由の概要を、簡単でよろしいですからお述べください。
#278
○政府委員(鈴木政徳君) ただいまお話しのございました審査請求の理由は、一つは、収用裁決の理由が不十分である、二つ目は、本件ダムは必要なく事業認定の要件を満たしていない、三つ目は、金銭補償のみではアイヌの人々に対する正当な補償とは言えない、したがって憲法二十九条三項に反するという内容のものでございます。
#279
○猪熊重二君 建設省の審査の状況について私は非常に不満なんです。平成元年三月四日に申し立てしてから既に二年が経過している。この間、建設省はこの審査請求に対してどのような審査を行ったんでしょうか。
#280
○政府委員(鈴木政徳君) 審査請求が出されて以来、まず審査請求に対します収用委員会の弁明書の提出を求めまして、この弁明書を通じまして収用委員会の意見を聴取いたしました。それから、収用委員会の弁明書に対しまして審査請求人の反論書、さらにはそのまた反論書の補充書の提出を通じまして審査請求人の主張を聞くということで慎重に検討を進めているところでございます。さらに、御承知のとおり審査請求人から口頭陳述の申し立てがございまして、いろいろ日程調整をした結果、本年三月八日に口頭による意見陳述を聴取したところでございます。
 これらを踏まえまして、速やかに審理を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
#281
○猪熊重二君 あなたが今おっしゃったのは、平成元年の三月四日に申し立てして、それから弁明書だとか補充書というのはその年のうちのことなんです。平成二年、すなわち去年一年間は何もしていない。そして、口頭の意見陳述をさせろといって、ようやく二年過ぎてことしの三月八日に口頭の意見陳述を初めてやったんです。二年間ほとんど何もしていない。しかも、収用裁決に対する審査請求の申し立ては三十日以内にしろと、国民の方には三十日以内にしろと言っておきながら、国の方では二年間ほとんど何もしていないじゃないですか。こういうふうな二年間何もしない間に、実際には工事はどのように進展していますか。
#282
○政府委員(近藤徹君) 二風谷ダムは沙流川総合開発事業として平取ダムとともに建設する多目的ダムでございますが、沙流川沿川の洪水被害を防除して沿川住民の生命財産を守り、また、沙流川、額平川地域のかんがい用水の補給、平取町、門別町への水道用水の補給等、地域の発展の上で極めて重要な事業でございます。
 このダムは、沙流川本川に建設する堤高三十一・五メーター、堤体積二十七万三千立米の重力式コンクリートダムでございますが、昭和六十一年九月からダム本体工事に着手しております。審査請求のあった平成元年三月までに、本体コンクリートの約二九%、八万立米の打設が完了しております。それ以降におきまして、元年、二年度で、堤体掘削、コンクリート打設、放流設備等の製作据えつけを行うとともに、コンクリートにつきましては二年度末で全打設量の約六三%、十七万立米の打設をしたところでございます。
#283
○猪熊重二君 建設大臣及び法制局長官にお伺いします。
 審査請求をして二年間何も審理をしないでおいて――何も審理をしないというのは、当事者からの意見を聞いたということだけしかしていない。それにもかかわらず、工事の方はもう実際には七割、八割まで進展しているんです。こういうふうに、審査請求という国民の権利を認めておきながらこの実質的な国民の権利が保障されないで工事の方だけどんどん進んでいくというふうな建設省のやり方、及び、このような法制度に対する法制局長官の所見を承りたい。
#284
○国務大臣(大塚雄司君) 先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、本審査請求が行われまして以来今日まで時間は経過してまいりましたけれども、審査請求人の申し立てに基づきまして、また、先ほど本年三月の口頭による意見陳述の機会の陳述をお聞きいたしたわけでありますが、今後はその御意見を踏まえましてできるだけ速やかに審理が進められるように努力をしてまいりたいと存じます。
#285
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 御質問の行政不服審査制度について申し上げますと、行政不服審査制度は、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済、こういうことと、行政の適正な運営の確保を図るということを目的として設けられたものと承知しております。審査請求を受けました審査庁は、できるだけ迅速に審査を終えるということが求められている一方で、事案の公正な判断、これをするために審理を十分に尽くすことも必要であると考えております。そういう要請を踏まえて審査庁としては相当の期間内に裁決を行うべきものと、かように考えます。
 ただいま御指摘の具体の事案につきましては、単に二年という期間のみによって判断すべきものと、そういうことではなく、具体の事案に即していろいろな事情がございますと思いますが、そういうものを総合的に勘案して、相当の期間であるかどうかということを判断すべきものと考えております。具体の事案について私の方でいろいろ申し上げることは適当ではないと存じます。
#286
○猪熊重二君 審査請求人からの意見を聞いてくれというのは平成元年の八月に申し入れしているんです。それから二年はほっぽらかしにして、三年の三月八日にようやく意見陳述の日を迎えたんです。この意見陳述は建設大臣はお見えになりませんでしたが、どのようなふうにこの意見陳述の会合を持てというふうに指示しておられたんでしょうか。
#287
○政府委員(鈴木政徳君) 先生御承知のとおり、行政不服審査法三十一条によりまして口頭陳述がなされる場合にはその庁の職員に意見の陳述を聞かせることができるという規定によりまして、大臣命令で担当官が当たったわけでございますが、その際には、口頭意見陳述の趣旨が達せられるようにということを配慮するようにということで担当職員に聞かせたところでございます。
#288
○猪熊重二君 その際、請求人なり、私も代理人で行ったんですが、会の持ち方に対してどういう意見、不満が出ましたか。
#289
○政府委員(鈴木政徳君) 口頭陳述の場におきましては何点か意見がございましたが、その一つは審査請求の手続について、例えば会場に対する不満であるとか、それから手続がただいま御指摘もございましたような遅延していることに対する抗議であるとか、さらには大臣でないことに対する抗議、それから口頭意見陳述が非公開であるというようなことに対する抗議等がございました。さらには、意見陳述の中では、アイヌ民族の権利保護についてその必要性等、いろいろ意見の開陳がございました。また、二風谷ダムの建設事業につきまして、必要性は欠如している、あるいは環境を破壊するというような事業そのものに対する意見陳述もあったというふうに承知しております。
#290
○猪熊重二君 一言だけ建設大臣に申し上げておきたい。
 八日の午後二時から四時までという予定で開いたその会議室は、全然暖房を入れてないんです。寒くてみんな震えている。私も余り頭にきたから、庁内を回ってみたら、職員はワイシャツ姿で仕事しているじゃないですか。職員は暖房があってワイシャツ姿で仕事しているのに、北海道からわざわざ出てきた地権者の意見を聞くのに何でぶるぶる寒くして震えさせなきゃならぬ。意見を聞きたい。大臣、自分が来てみればいいんです。
#291
○国務大臣(大塚雄司君) 私は当日の事実関係を承知しておりませんが、委員御指摘のようなことであればまことに遺憾でありますが、政府委員をしてその日のことをこれから述べさせます。
#292
○政府委員(鈴木政徳君) 確かに、当日は雨が降っておりまして会場が寒いという意見、苦情が出たことは承知しておりますが、ただいま御指摘のありますように、会議室に暖房を入れてないという事実は全くございません。確かに会場が広いためにこの人数ではなかなか暖まらなかったという事実はあろうかと思います。役所という限られた場所でやっていることあるいは担当職員の数も限られているということで、精いっぱい努力しているつもりではございますが、このような苦情が出たことにつきましては私どもも大変残念に思っております。こうしたことを今後の対応の参考にさせていただきたいと思っております。
#293
○猪熊重二君 あなた、そう弁解するけれども、二時だというのに寒い廊下に待たせて入れやせぬじゃないか。私が入れろと言っても入れやせぬ。ようやく部屋に入れたのは二時四分前じゃないか。それまで寒い廊下に置きっぱなしじゃないか。そんな寒いところに置いておいて、二時間半、みんな寒がっている、そんな状況で。しかも、この意見陳述というのは一年半もほっぽらかして開け開けと言ってやっと開いたことだ。建設省の国民の審査請求に対する根本的な認識不足、あるいは誤解というよりも悪意に満ちている。それでその間、二年間どんどん工事をやっているんです。もう許しがたいことだ。
 外務大臣にお伺いしたい。原住民に関する条約が国連の総会で議決されています。二回あります。この二つの条約の趣旨というか関係というか、お教えいただきたい。
#294
○政府委員(柳井俊二君) ただいま先生御指摘のとおり、二つの条約がございます。いずれもILOにおいて採択されたものでございます。
 一九五七年の条約は、いわゆる原住民及び種族民の保護及び同化を図るものでございました。しかし、その後、原住民等の一層の保護を求める世界的な世論を背景といたしましてこの条約を改正したものが一九八九年の条約でございます。具体的には、一九五七年の条約は原住民等の保護及び同化の促進ということを主として念頭に置きましていろいろな措置を規定しておりましたが、今回の新しい八九年の条約は、むしろ原住民等の社会的及び文化的独自性等を尊重するというような観点から、同様の分野におきまして締約国がとる措置を規定したものでございます。
#295
○猪熊重二君 この条約の内容について、時間がないから申し上げませんが、要するに、少数先住民族の権利を保護しろ、擁護しろ、こういう条約です。建設大臣も後で読んでおいてください。
 時間がないから、北海道収用委員会の裁決の文章の中でこのアイヌ少数民族に対してどのような付言がなされているか、建設大臣、お読みいただきたい。
#296
○政府委員(鈴木政徳君) 北海道収用委員会の裁決の中の当該部分を読ませていただきます。
  なお、土地所有者萱野茂、同貝澤正の審理期日における陳述は、少数民族としてのアイヌ民族の立場から、本件土地の歴史、特性とアイヌ民族の生活とのかかわりを述べたものであつて、傾聴に値するものと思料する。
  しかしながら、提起された諸問題は、収用委員会として処理すべき権限を超えるものであつて、他の行政機関等の協力にまたなければならないものである。
  収用委員会としては、これら諸機関の協力によつて上記諸問題が早期に解決されるよう望むものであることを特に附言する。
以上でございます。
#297
○猪熊重二君 建設大臣、この文言を御承知でしょうか。要するに、土地収用委員会は現行の法律のもとにおいてはアイヌの聖地というこのアイヌ民族の土地を水没させてもやむを得ぬと、しかし、これは他の行政機関等の協力によって解決してもらいたいと書いてある。「これら諸機関の協力によつて」この少数民族の民族権利保護という問題が早期に解決されるように望むと書いてあるんです。少しはこのような配慮をなさってこの審査請求をやっているんですか。いかがでしょう、簡単に答えてください。
#298
○国務大臣(大塚雄司君) 本審査請求は収用委員会の裁決の取り消しを求めて提出され、これまで審査請求人、収用委員会双方の意見を聴取するなど慎重に検討してきたところでありますが、ただいま御指摘の問題や先ほど来御論議のあったことを踏まえまして、少数民族のお立場もよく考えて慎重に対処をしてまいりたいと存じます。
#299
○猪熊重二君 時間がありません、一言だけ。
 官房長官、内閣を代表して私が今ずっと質問したことについて御意見を、簡単で結構ですから一言お願いしたい。それで終わります。
#300
○国務大臣(坂本三十次君) 少数民族の歴史というものは、それはインディアンの歴史もあろうし、マオリ族もあろうし、アボリジニーもあろうし、皆なかなか厳しい歴史だと思っております。北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議もつくっておりますが、そこで広く討議をして、九三年には国連の世界の先住民のための国際年ですか、それもありますから、ひとつ一段とこの先住民族の、少数民族の人々の人権、平等、福祉、文化に思いをいたしてできるだけ配慮をして、生活の格差の是正とかそういう問題につきまして努力をしていきたいと思っております。
 要すれば、各省庁の連絡会議もございますから、そこから私も指示をいたしまして努力をするようにと伝えたいと思っております。
#301
○委員長(平井卓志君) 以上で猪熊君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日の審査はこの程度といたします。
 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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