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#1
第120回国会 運輸委員会 第4号
平成三年四月十一日(木曜日)
   午後三時二分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中川 嘉美君
    理 事
                谷川 寛三君
                渕上 貞雄君
                片上 公人君
    委 員
                伊江 朝雄君
                上杉 光弘君
                狩野 明男君
                鹿熊 安正君
                片山虎之助君
                野沢 太三君
                松尾 官平君
                喜岡  淳君
                櫻井 規順君
                瀬谷 英行君
                田渕 勲二君
                小笠原貞子君
                粟森  喬君
                寺崎 昭久君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  村岡 兼造君
   政府委員
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    大塚 秀夫君
       運輸省地域交通
       局長       佐々木建成君
       運輸省海上技術
       安全局長     戸田 邦司君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  小和田 統君
       海上保安庁次長  豊田  実君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        長谷川光司君
   説明員
       郵政省電気通信
       局電波部航空海
       上課長      田村 正衛君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○船舶安全法及び船舶職員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(中川嘉美君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 船舶安全法及び船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○渕上貞雄君 海事大国としての日本の基本的な考え方について、運輸省に御質問申し上げたいと思います。
 まず、我が国は国土の全体を海で囲まれていますし、我が国は今や、以前からでもそうでありますけれども、海洋先進国として成り立っていた国でございますし、同時に経済大国とも言われ、技術立国としての国際的な貢献を果たすべきであろうと思うところでございます。
 我が国として今度の新海上安全システムへの移行がスムーズに一九九九年までにできるように、発展途上国等に対して支援ができるよう、やはり政府としても、運輸省としても検討をしていくべきではないかと思っているところでございます。したがいまして、我が国が国際的に貢献することによって海事先進国としての役割を果たす決意というものが運輸省にあるのかどうかお示し願いたいところでございます。
 また、GMDSS導入に当たって、海運先進国としての役割を発展途上国等に対し技術協力の問題や教育の問題でやはり具体的に行っていくべきではないかというふうに思うところであります。
 そういうような役割を果たすと同時に、海運大国としての我が国がこの新海上安全システムを導入するに当たって、関係する方々にいろんな雇用問題、安全問題等を含めて多少の不安があるやに聞いておりますので、そういうことがあってはならないというふうに思っていますので、そこらあたりをどういうふうに考えるのか御答弁願いたいと思います。
#4
○政府委員(戸田邦司君) まず、全般的な問題についてお答えさせていただきたいと思います。
 この新しいシステム、GMDSSと呼んでおりますが、この導入に当たりましては、やはり我が国が海運の先進国である、あるいはそういった国際協力の面でも一つのリーディングカントリーであるという立場から、一つは技術の移転なども含めて、日本で開発された技術がそういった発展途上国に円滑に流れていくような、そういうようなことを考えていかなければならないと認識しております。
 それからもう一つは、後ほど細かな点についてお答えさせていただきたいと思いますが、船員の教育の問題、これは発展途上国が抱えている問題の中でも一つの大きな問題であろうかと思います。この点につきましては、やはり我が国がそういった国に最大限協力していく、そういう姿勢が必要ではないかと思います。
 また、後ほど雇用の問題などにつきましてお話し申し上げることにしたいと思いますが、これもやはり、これまで働いてきた乗組員、そういった人たちを大事にしていく、そういうような面もありまして、雇用の面でも可能な限りの方策を打ち出していかなければならない。
 それから、関係者多数ございますが、船主の立場あるいは乗組員の立場、そういったそれぞれの立場の人たちとこれまでもこのGMDSS方式の導入につきましては相当前広に、また広範囲に御相談申し上げてきて今日に至っているわけですが、これからの実施の細目などにつきましてもさらに皆さんの御意見をお伺いしながら進めてまいりたい、そういうふうに思っております。
#5
○渕上貞雄君 今回導入されます新システムについて御質問を申し上げます。
 GMDSSは、条約の改定に伴いまして一九九九年の二月一日から全世界的に導入を図るということになっておりますが、一定の期間を設けて実施に移していくということになっておるようでございます。遭難通信等について新たな海上安全システムを導入するということでございますので、船舶の航行の安全の向上を図るために導入しようとして各国が多く議論をされたと思うんでありますが、国際海事機構(IMO)で検討が進められた経緯と課題といいましょうか、導入後どういう問題が派生してくるのかなど、IMOで討議された事項があると思いますので、それらの特徴的な問題について御説明願いたいと思います。
#6
○政府委員(戸田邦司君) 海上における通信につきましては、この導入のもとになっております海上における人命の安全のための国際条約、この条約が採択されて国際的に効力を持って以来、過去数十年にわたりましてモールス設備を主体とするシステムにより行われてきております。しかし、このシステムにおきましては、モールス通信の専門的知識技能を有する者しか操作ができない、電
波の到達距離が短く付近の船舶にしか救助を求められない、突然の転覆などの際に警報を発し得ないなどの問題点がございました。
 これらの問題点を克服しまして、簡易な操作で船と船との間の通信はもちろん、世界じゅうどの海域にいましても常に陸上との通信が行えるように、最新の無線技術を利用したテレックスや無線電話を主体とする大幅に自動化、機械化された新しい海上無線通信システムの構築につきまして、一九七九年、昭和五十四年になりますが、このときから国際海事機関を中心に検討が進められてまいりました。
 その結果、この新しい海上無線通信システムを実施するために今効力を有する一番新しい条約でありますが、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約、いわゆるSOLAS条約の改正が昭和六十三年十一月に国際海事機関において採択され、先生御案内のとおり、平成四年の二月一日から発効することになっております。
 この新しいシステムの導入に当たりましては、経済的負担力の乏しい開発途上国においても円滑にこの新システムに移行できるようにするために、十分余裕のある移行期間を設けるなどの配慮を行っておりますので、導入後に特に大きな問題点を残すおそれはないものと考えております。
#7
○渕上貞雄君 条約の改定が一九九二年の二月一日に発効し、一九九九年に全世界的に新システムに移行していくわけでございますが、実際に船の運航に当たっている人たちの間でGMDSSという新システムに対する信頼性がいま一つないようにも思われますし、そういう御意見があることも私ども承っているところでございます。
 したがいまして、運輸省としてそれらの現場での不安を積極的にやはり解消していくことが必要であると思いますし、また、平成元年十月十八日、衆議院の逓信委員会における附帯決議として、「新しいシステムであるGMDSSの導入に当たっては、十分な実証実験を行い、その機能を確認し、最適システムの確立に努め、国際的に貢献すること。」が全党一致で決定を見ておるようでございます。
 そこで、新システムに対する信頼性の確立の実証が必要ではないかと思いますけれども、現在、新システムの実証確認は具体的にどのような形で行われておるのか、その有効性の確認についてお尋ねをいたします。
#8
○政府委員(戸田邦司君) GMDSSにつきましては、衛星通信技術など最新の通信技術の発展を踏まえまして、百五十海里程度しか通達距離のなかった現行の通信システムの問題点を改善するため、国際海事機関などにおいて十数年来検討されてまいっておりまして、各国の合意により世界的に導入が決定されたものでありまして、この有効性は十分に確認されております。
 若干細かい点について申し上げますと、このシステムの中で使用される設備は、インマルサット通信設備などこれまでに十分な使用実績があり、信頼性が確認されているものあるいは非常用位置指示無線標識、これはEPIRBと呼ばれておりますが、この装置あるいはディジタル選択呼び出し装置など、我が国も参加いたしました国際共同実験などによりまして十分有効性が実証されているものが採用されております。
 しかしながら、GMDSSの導入はこれまでの通信制度を大幅に変更するものであります。GMDSSの運用が円滑に行われることを確認するために、法施行後一定の期間の慣熟期間を設けまして円滑な移行を図っていくことが望ましいことであると考えております。
#9
○渕上貞雄君 今、望ましいというふうに言われましたけれども、やはり新しいシステムを実際に運営する者にとっては多少の不安もあることは事実でございますし、新システムに現行のモールス設備を補助制度として活用していくべきではないかと思うわけです。必ずしもモールス設備というのが劣るわけでもないという御意見を持っている方々もおられるようでございますので、その点についてはいかがでございましょうか。
#10
○政府委員(戸田邦司君) 平成四年からかなり長い移行期間を持っているわけでありますが、この移行期間中には従来のモールス信号による通信システムと電話やテレックスを中心とする新しい通信システムが併存することになります。
 この点につきましては、実はこのSOLAS条約におきまして前に若干の手直しをしておりまして、昭和五十六年にこの条約の一部改正を行いまして、昭和五十九年九月一日から条約対象のすべての現存船を含めまして、モールス信号と同等の百五十海里程度の範囲内の船舶と相互に通信可能な中波の無線電話と、それから二十五海里程度の範囲内の船舶と相互に通信可能な超短波の無線電話が義務づけられております。この新しいシステムの船舶にも当然これらの設備が義務づけられることになっております。こういった事前の対策によりまして、従来のモールス電信による船舶と新しいシステムの船舶との相互通信も確実に行うことが可能になっております。
 また、船舶の通信システムの有効性を最大限に確保するためには、国際的合意に基づいて各国共通に施設されることが不可欠でありますので、御指摘のように、モールス電信を補助設備として我が国船舶だけに義務づけても我が国船舶間しか有効でないということで、その有効性が極めて限られることとなる上、我が国の船舶のみが不利な経済的負担を課されることにもなり好ましいこととは言えないと考えております。したがって、新システムの導入に当たりましては、現行のモールス設備を補助として活用する必要はないものと考えております。
#11
○渕上貞雄君 次に、そういう新システム導入後の雇用の問題についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 過日、全日本海員組合が組合員の意識調査を行ってコメントを実は発表しているわけでございます。
 それによりますと、収入、全体的評価や仕事の将来性に関しては、海で働くことについてほぼ七割の方々が不満を持っておられる。休暇日数や世間の評価も不満派が約六割に上っているし、また、船員職業に魅力を感じられない、あるいはまた、若者の海離れの原因は賃金が船員労働に見合っていない、そういう指摘をする人が約八割。続いて、休暇が船員労働に見合っていないというのが約五割に上っていますし、会社の他部門や一般の陸上企業で働く同年齢同学歴の人々と比べて少ないと回答している者が約五割あるわけです。
 船員の基本的な労働条件の立ちおくれがこのことによってさらに明確に示されていると思うのでありますが、このような船員職業への否定的な評価は、子供が船員になりたいと言ったらどうするかという問いに対して、船員職業以外の仕事につくよう極力勧める、あるいは船員には絶対ならせないという回答が双方で約八割に達しているなど、海上労働復権のためにも今何をしなければならないかということがこれらの問いに対する答えに明らかであろうと思うわけです。
 船員労働者として最大の不安と不満がこれらの問題にあるとすれば、安心して生活できるかどうかという、とりわけ雇用労働条件の不安定というものが今日の海上労働者に対する人手不足、仕事離れということになっていっているのではないかと考えられますし、とりわけ若者の海離れだとか船員労働者の雇用に対してそこに人が集まってこないというのは、これらのやはり社会的な不安というものが多くあるからではないかというふうに考えるわけです。
 したがいまして、今度の新システム導入に伴う合理化について雇用不安があってはならないと私は思いますので、雇用確保のために政府が全力を挙げて不安のないように努力をしていかなければならないと思うのでありますけれども、その点についていかがでございましょうか。
#12
○国務大臣(村岡兼造君) 新システムの導入により雇用問題で不安がないのかあるいは発生しないのかというお尋ねでございますが、この新システムの導入によります通信士の雇用問題について
は、一義的には労使間において調整すべき問題であると考えられますが、次の理由から大きな雇用問題は発生しないと考えております。
 平成四年二月一日から平成十一年一月三十一日までの間は現行のモールス電信船とGMDSS船の併存期間でありまして、船主は新造船からGMDSSを段階的に導入していくこととしておりますこと。二番目には、現行通信士の年齢構成を見ますと、平均年齢が約四十六歳と比較的高年齢層の者が多いこと。三番目には、現行通信士全体の約四割を占める一級海技士につきましては、そのままの資格でGMDSS船に乗り組むことができること。四番目に、船主側におきましてもGMDSSの導入に当たっては現行通信士の雇用問題を発生させることのないように配慮する意向であること。
 また、GMDSSの導入は従来の通信制度を大幅に変更するものであるため、運輸省におきましても現行通信士に対しまして、一番目には、新しい資格を取得しやすくする。二番目には、航海士または機関士の資格を取得しやすくする。三番目には、船社に対し必要に応じ海上及び陸上の職域の確保等に努めるように働きかけたいと思っております。
 これらの施策を講じまして、雇用問題の不安やその他が発生しないように指導し、努めることにしていきたいと、こういうふうに考えております。
#13
○渕上貞雄君 次に、同じ雇用問題でありますが、通信士の現状の動向について運輸省として実態を具体的にどのように把握されておるのか説明願いたいと思います。
#14
○政府委員(小和田統君) 通信士の現状についてのお尋ねでございますけれども、現在の通信士の資格は、一級海技士(通信)、二級海技士(通信)、三級海技士(通信)と三つのクラスに分かれておりますが、平成元年十月一日現在の資料によりますと、その三つを合わせまして四千五名となっております。
 なお、これらの通信士の方々の平均年齢につきましては、これは全日本海員組合の調査によりますと、昨年四月一日現在の数字でございますが、約四十六歳という数字でございます。
#15
○渕上貞雄君 次に、船上保守の無線通信士の資格の問題についてお尋ねを申し上げます。
 今年の二月四日の海上安全船員教育審議会の答申に新資格による配乗表が載っていますが、今回の法改正に伴って示されておるような配乗表なのかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
#16
○政府委員(小和田統君) 無線部に係る船舶職員、すなわち、通信士の乗り組みの基準につきましては今後船舶職員法の政令の中で定めることとなりますけれども、私どもとしてはただいま先生御指摘の審議会答申の線に沿ってこの政令を定めるつもりでございます。
 SOLAS条約によりますと、通信士の乗り組み基準につきましては、船舶の航行する水域、それから、その船舶が採用する無線設備の保守の形態、そういうものを基準に決めるということになっておりますので、政令でもそういう組み合わせに応じまして乗り組みの基準を定めることにしたいと考えております。
#17
○渕上貞雄君 そういう新しい設備の保守の態様によって海技士の必要資格が決められると思うんでありますが、それらの問題については労使協議会で決めていくのか、恐らくある程度一方的に船主側が決めていくことになるのではないかと思うんでありますけれども、その組み合わせ等の問題については一般的にやはり経済的な効果、効率というものを求めて一番安上がりのものに集中するのではないかというふうに思うわけでございます。具体的には、配乗表に従って一番経済的になるような配乗になるのではないかというふうに思うわけですが、そこらあたりはどうでございましょうか。
#18
○政府委員(小和田統君) 条約によりますと、無線設備が間違いなく使えるようにということを確保する方法といたしまして、船の上で保守をする、つまり、故障等の場合に修理ができるようにするという方法、それから陸上で保守をする方法あるいは設備の二重化を図るという方法、三つの方法がそれぞれどの方法によっても同じような効力を持っているという規定になっております。特にA3海域、これは日本の沿岸から百五十海里以上の海域でございますけれども、そこを航行する外航船につきましてはこれら三つの方法のうちの二つを組み合わせて用意しなければいけないということになっております。
 そのどれを選ぶかということにつきましては、各船主が自分のところで雇用している通信士の状況でありますとかあるいはその船の設備の状況でありますとかいろいろなことを勘案いたしまして選ぶということになりますけれども、どの組み合わせが最終的に一番経済的であるかということにつきましては、これは各船社の事情にもよることでございますので、一概にどれが効率的、経済的であるかということはちょっと申し上げられないかと思います。
 ただ、いずれにいたしましても、船主側においてこのGMDSSの導入をするに当たりまして現在の通信士の方々の雇用問題を発生させることのないように配慮するという意向でございますので、先ほども大臣からお答え申し上げましたように、大きな雇用問題にはならないというふうに私ども考えております。
#19
○渕上貞雄君 海上安全船員教育審議会の答申で「法施行後一定の慣熟期間」を設けた経緯について御説明願いたいと思います。
#20
○政府委員(小和田統君) 審議会の審議の過程におきまして、先生今御指摘のように、「一定の慣熟期間」を設けるということを答申の中に指摘されておりますけれども、GMDSSの導入は従来の通信制度を大幅に変更するものでございますので、新しいシステムに移行するに当たりまして通信を担当する人たちがその円滑な運用について間違いなくできるという確認をするために一定の慣熟期間を設けるということでございまして、私どもといたしましてもそういうことを通じてより安全性が確保されるというふうに考え、有益なものというふうに理解しております。
#21
○渕上貞雄君 一定の慣熟期間においては「船上保守を行える者を乗り組ませること。」として不安の解消を図っていますけれども、船舶の置かれております特殊な条件を考えていく場合に、私ども経験がないものですから想像でございますけれども、やはり非常に不安になるのではないか。したがいまして、船舶の置かれた特殊な条件を考えると、やはり現場からの不安の声を解消するためには今言われたようなことだけでいいのかどうかということについて少し疑問が残るわけですが、いかがでございましょうか。
#22
○政府委員(戸田邦司君) インマルサットなどの導入につきましては、現場からは、例えば回線が込んでいてつながりにくいとかあるいは先生御指摘のように、船は温度や湿度が高い、あるいは波浪中を航行して振動、動揺が大きい、そういった特殊な条件に置かれていることからこの電話が故障するのではないか、そういうような意見があることは承知しております。これらにつきましては、次のとおり問題はないものと考えております。
 まず第一に、インマルサットシステムの問題でありますが、この回線が込んでいるというようなことにつきましては、遭難通信が一般の通信に優先して行えるようになっておりまして、すべての通信回線が使用中でありましても、一般通信ができないような状態におきましても優先すべき遭難通信については使用中の回線を切って地上局と接続されることになっております。このために、インマルサットによる遭難通信は円滑に行い得るものと考えております。
 それから、最近の状況で御指摘を受けている点でありますが、インマルサットが非常に有用な通信であるために利用者がだんだんふえてきておりまして、回線数が不足している問題があります。
 これにつきましては、昨年十月にインド洋に回線容量がこれまでの衛星に比べ大幅に大きい新しい第二世代衛星が打ち上げられ、運用を開始することになっておりますし、また、ことしから来年初めにかけまして大西洋、太平洋におきましても第二世代の衛星が運用を開始する予定でありまして、回線容量の不足の問題は改善する予定であります。
 それから、インマルサットの船舶に搭載されている機器の故障につきましては、私ども昭和六十三年に外航船を対象にしまして過去五年間の故障の発生件数を調査しておりますが、異常やトラブルが発生した回数は、発生件数を延べ隻数で割りますと、一隻当たりで年間〇・六件ということでありまして、これを従来の無線電信設備の故障の件数と比べてみますと、従来のものが〇・八件というようなことで、このインマルサット方式の方が低くなっております。
 自然の条件、温度や湿度などの問題につきましては、インマルサットがGMDSSで利用されることから、国際海事機関などにおきまして厳しい技術基準が定められておりますので、これによって問題ないものと考えております。
#23
○渕上貞雄君 海上安全船員教育審議会において労働者側委員が要望しておりました船上保守を基本とした海技士(電子通信)の配乗についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
#24
○政府委員(小和田統君) 条約上では新しいシステムの有効性を確保するために保守の要件についての規定がございますけれども、A3海域を航行する一般的な外航船について申し上げますと、設備の二重化、陸上保守、船上保守の三つの方法の中から二つを選んでということになっております。したがいまして、船上保守を強制しない場合におきましても設備の二重化と陸上保守の二つが強制されるということでございまして、仮に一台の設備が故障したといたしましてももう一台の設備によりまして通信が確保できます。それから、故障した設備の修理は次に寄港した港において行うということになりますので、設備の故障に対する対策は十分に確保されると考えております。
 したがいまして、このような場合に船上において保守を行う必要がございませんので、必ずしも船上保守のできる通信士を乗せることは必要ないというふうに考えております。
 なお、実際にこの新しいシステムの導入に当たりまして、先ほども申し上げましたように、システムの運用が円滑に行われるということを確認するために、一定の期間慣熟期間というものを設けることにしております。その間は原則として船上保守を行える者が乗り組むように指導するということを予定しております。
#25
○渕上貞雄君 国内の場合だとかというのはわかるわけです。例えば、二つの地点を定期的に運航している船舶についてはある程度想像ができるわけです。しかし、半年とか一年とか長い期間の航海をやって、そして寄港しないで各地を転々としていく、いわゆる外航クルーズ船や不定期船や漁船で陸上保守を選択した場合は、具体的にどこでそういうことをやるのかお伺いしたいと思います。
#26
○政府委員(戸田邦司君) 先生からお話のありました定期的にある航路を動いていない船、外航クルーズ船とか不定期船あるいは漁船、こういったものがあるわけでありますが、こういった船が陸上保守を選択した場合、保守拠点というものを置きまして、その拠点において保守修理が行えない場合があるものと考えられます。こういった場合でも出張保守によりまして保守修理は行える、そういうような制度にするために安全上問題はないものと思っております。
 ただ、大多数の船は各地を転々とするといいましても、燃料あるいは水、食料を補給したりさまざまな修理や保守を行う港はいろいろな施設を持っておりまして、そういった港に寄港する場合、こういう港では通常、通信設備の保守を行い得るメーカーや整備事業者のネットワークも整っていると考えられます。
 いずれにしましても、陸上保守につきましては支障のないように考えていくつもりであります。
#27
○渕上貞雄君 次に、郵政省の方にお伺いいたしますけれども、陸上保守の制度を確立していく場合に、保守の安全性と確実性を考えていく上で資格制度を検討していくべきではないかと思います。
 次に、資格制度を検討していく場合、やはり通信士の資格を活用すべきだと思いますが、検討していただけるかどうか、この二点についてお伺いします。
#28
○説明員(田村正衛君) 陸上保守の仕組みの中に資格制度を導入するかどうか現在検討中でありますが、私どもといたしましては何らかの形で資格制度を導入するのが望ましいというふうには考えておりまして、関係方面と十分協議していきたいというふうに思っております。
 もともと陸上保守を行いますのは、無線機器について一定の保守能力を有する者が必要でありまして、具体的に申し上げますと、無線機器の製造業者でありますとか工事業者でありますとかあるいはその専門の保守業者等が考えられるわけであります。一方、無線従事者の資格そのものにつきましては、本来これは無線設備の通信操作を行うための必要な資格ということになっておりまして、これをそのまま陸上保守の資格に導入するというのは難しいのではないかというふうには考えております。
 しかしながら、御指摘のとおり、無線設備について船舶の安全を図る上で確実な保守が求められておりますので、陸上保守に関しましてもその保守のレベルを一定水準以上に高めるために、具体的な措置として、先ほど申し上げました資格制度のあり方も含めまして関係方面と十分協議して進めたいというふうに考えております。
 私どもといたしましては、先ほどの二番目の質問にございます通信士の資格を活用していくことにつきましては、その制度を具体的に検討するに際しましては、現在無線通信士の資格を有する方は、実際その資格を取得される試験におきまして非常にレベルの高い無線工学の知識を持っておられるわけでありまして、そういう方が現在船に乗っておられるということでございます。したがいまして、そういった方々は当然無線通信機器に関する知識、経験等から照らしまして、陸上保守の担当者としての資格として十分評価し得るというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、今後この点を踏まえて関係方面と十分連絡の上、万全の措置を講じていきたいというふうに考えております。
#29
○渕上貞雄君 長距離カーフェリーの通信士の配乗についてですが、長距離カーフェリーについても旅客を多数乗船させる観点から、安全を重視して通信士を乗せる必要があると思うんでございますけれども、現状はどうなっておりますか、その実情について御説明願いたい。
 二つ目には、国際航行に従事しないカーフェリーの場合、通信士の配乗基準が定められていないのはなぜなのか。やはり通信士の乗り組みを指導していくべきではないかと思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
#30
○政府委員(小和田統君) 現在、近海区域あるいはそれよりも遠いところを航行区域とする長距離のカーフェリーにつきましては、無線電信、すなわちモールスでございますが、その設備が義務づけられておりますので通信士の配乗が必要ということで、一名あるいは二名、これはトン数によって変わりますけれども、そういう通信士が乗り組んでおります。
 それから、今後、通信士の配乗を義務づける必要があるのではないかという点につきましては、まず、船舶職員法の上で通信士を義務づけるということは船舶職員としての資格を持った人を配乗するという意味でございまして、通信機器の操作をする人が乗らなくていいということではございません。言いかえますと、国際航海に従事しない長距離のカーフェリーでありましても通信設備は必要でございます。電波法上、それらの通信設備
を操作する資格者、無線従事者の資格を持った人が乗り組むことは必要でございます。
 ただ、船舶職員法の立場からいたしますと、A2海域、これは沿岸から百五十マイル以内の海域でございますが、そういう限られた海域を航行する船につきましては、日本の沿岸の限定された海域を走るということ、それからそういう海域について日ごろからなれているということ、あるいはまた、航海に出る前に気象、海象の情報を十分把握できるということ、それから日本語による、言葉による通信といった方法も可能であります。そういういろんな事情を考慮いたしまして、必ずしも船舶職員としての通信士の乗り組みは必要ではないということでございます。
#31
○渕上貞雄君 命令など具体的な基準の策定については、ひとつ関係者の意見を聞いてほしいと思うのでありますけれども、法改正に伴う実施に向けての命令、細目を定める場合に、特に無線の設備の二重化と陸上保守は電子通信の海技士資格と密接な関係がございますので、具体的な基準を策定するに当たっては関係者の意見をひとつ十分に聞いてほしいと思いますが、いかがでございましょうか。
 二番目には、最後の質問になりますけれども、GMDSSを導入するに当たっては関係者の意見を十分に聞いていただくよう配慮していただくことが大切だというふうに考えますけれども、運輸大臣、いかがでございましょうか。
#32
○国務大臣(村岡兼造君) 先生おっしゃいますように、法改正に伴う実施に向けての命令とか細則、細目を定めることになるわけでございますが、GMDSSの導入に当たりましては、全く新しいシステムでございますので、関係者の意見も十分お聞きをいたしまして、あるいはまたPRするようにいたしたいと、こう思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
#33
○渕上貞雄君 終わります。
#34
○喜岡淳君 船の緊急時の通信については、これまでモールス通信ということで、モールスを中心にやってこられたわけですが、これからいよいよGMDSSシステムに移っていくという国際条約が発効をしたということであります。
 問題は、GMDSSが緊急通信装置として間違いなく完全に機能し得るかどうか、そういうところが最大の眼目ではないかというふうに思います。人命に関する問題ですから、ひょっとして機械がうまく動かないとかそういうことになったら大変ですから、これはもう絶対に間違いがない、心配がないシステムなんだということでなければならないと思います。
 特に、村岡運輸大臣におきましては、郵政大臣をされておりました当時、電波法の改正の際にこのGMDSSについても既に逓信委員会等で立ち会ってこられたわけですからお尋ねをしたいと思いますが、大臣は今度の新システムについてもう一〇〇%確信を持っておる、心配ないというふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。
#35
○国務大臣(村岡兼造君) 郵政大臣をやりました当時、GMDSSを御審議願ったこともあるわけでございますが、私は、御承知のとおり、こういう通信の専門家ではございません。しかし、郵政省の方から、また今回、海上技術安全局の方からこのシステムの導入についてお聞きをいたしておりますと、このシステムは、衛星通信技術等、最近の通信技術の発展を踏まえ、先ほどからお話ありましたように、百五十海里程度しか通達距離のない現行の通信システムの問題点を改善するため、国際海事機関等において十数年来検討をされておりまして、各国の合意により世界的に導入が決定されたものであり、GMDSSの安全性は十分に確認されていると聞いております。
 ちなみに、GMDSSで使用される設備は、インマルサット通信設備等、十分な使用の実績があり信頼性が確認されているものあるいは非常用位置指示無線標識、EPIRBでございますか、それにディジタル選択呼び出し装置等、我が国も参加した国際共同実験等により十分有効性が実証されているものが採用されると聞いております。
 また、GMDSSの中心となるインマルサットについては、既に全世界をカバーするよう施設設備がなされておりまして、既に世界じゅうで一万隻以上の船舶が利用しており、十分安全性は確認されているものと私は思っております。
#36
○喜岡淳君 運輸省の方からGMDSSに関する実証試験のデータというものをいただいております。当然慎重なテストをされておると思いますが、きょうお答えをいただいておる方の中でこれらの今までの一連の実証試験に現場で立ち会われたことのある方がいらっしゃいましたら、ちょっと手を挙げてください。――いらっしゃいませんか。
 委員長、これはちょっといかぬわ、質問しようと思ったって立ち会っていないというから。
#37
○政府委員(戸田邦司君) 私は、このSOLAS条約の改正につきまして長い間担当者として仕事を進めてまいってきておりまして、このGMDSSの改正につきましてはIMOでこの条約が採択されたときに政府代表を務めておりまして、この全貌については相当勉強させていただいております。
 このGMDSS方式がこのSOLAS条約の改正として検討されている途上にさまざまな実験のプロジェクトがございました。その中には我が国が関係しているものが相当部分ございます。そういったものの実施のプランにつきましては、私自身幾つかに関係をし、また進めてまいってきておりますが、残念ながら現場で立ち会うという機会はございませんでした。
#38
○喜岡淳君 それじゃテストの結果についてお尋ねをいたしますが、立ち会われていないということですから、運輸省の中で検討した結果、テストの結果についてはどういうふうに省内の方で聞いておられますか。
#39
○政府委員(戸田邦司君) このGMDSSの中で使われます機器はいろいろございますが、それらの全体について私どもこれまでの実績をまとめております。
 その中で、例えば極軌道衛星系EPIRBにつきましては、欧米各国において広く普及しておりまして、一九八二年九月から一九九〇年六月までの実績では六百十六件の捜索救助用に利用され、一千六百六十四人が救助されております。このEPIRBは、実はこのGMDSSが効力を持つ前にアメリカ、カナダ、ソ連、そういった国で既に使われていたためにこういうような実績がございます。
 それから、このシステムをGMDSSに取り入れるということで各国が参加して数次の試験を行っておりますが、第一には一九八七年十二月から一九八八年三月及び同年七月に我が国各地におきまして実証試験を行いまして有効性を確認しております。
 それから、一九八八年一月にはフランスが荒海の中での効力の試験を行っておりまして、これにつきましても有効性が確認されております。
 それから、一九九〇年十月に我が国を含めまして十二カ国が参加しまして全世界二十五カ所において試験が実施され、有効性が十分確認されております。若干細かくなって申しわけ……
#40
○喜岡淳君 ちょっと待ってください。今、有効性を確認したと言いましたね。
#41
○政府委員(戸田邦司君) はい。
#42
○喜岡淳君 一九九〇年十月に全世界二十五カ所でEPIRBの試験が行われて有効性を確認したとおっしゃられましたが、いつ確認されたんですか。私がいただいた資料には、九〇年十月、去年の十月に実施したままで結果はまだ出ておりませんよ。その点きのう十分聞いたでしょう。
#43
○政府委員(戸田邦司君) この結果につきましては、実は今年にその報告をまとめることになっておりまして、IMOなどに対する報告書がまだ正式にまとまっていない段階であるので、この実証試験の表の中では「我が国は、石垣島及びナウルの発信を担当した。」とだけしか記述がされておりません。
 しかし、その結果につきましては十分にその効
力の確認が行われておりまして、それが今年IMOに提出される報告書などに掲載される、そういう予定になりておりますので、おっしゃるような確認ということにはまだなっておらないということでありますが、実際にはその効力が確認されているということであります。
#44
○喜岡淳君 それは全然わからない日本語だろうと思います。きのうも郵政省の方と運輸省の方に部屋に来ていただいて、この問題についてはかなりやりとりしておるでしょう。そのときにも、これから結果については出るからというお答えだったんですが、間もなく有効性を確認したことが掲載されるであろう――運輸省はどこで確認したんですか。今のいいんですか、そんな言い方で。
#45
○政府委員(戸田邦司君) 今、手元にその資料を持っておりませんのですが、私どもの方ではその報告書に掲蔵される部分について既にその結果を持っている、そういうことであります。
#46
○喜岡淳君 だから、それはいつ運輸省として有効性を確認されたんですか。あなたはこの試験にも立ち会っていないし、私が責任を持って答えてやると言ったんですからちゃんと言ってくださいよ。時間がないですから早くしてください。
#47
○政府委員(戸田邦司君) この一九九〇年の十月に行われたものにつきましては、正式の報告書は本年の九月にコスパス・サーサットの専門家会合で全体がまとめられる、そういうようなことでありまして、私どもの方には既にデータとして入っている、そういうようなことであります。
 この実験の結果につきまして、例えば位置の精度、リレーの方式の試験などを行っておりますが、これらについてはほぼ一〇〇%に近いような結果が出ております。
#48
○喜岡淳君 ほぼ一〇〇%に近いようなでしょう、まだ。それから、ことしの九月にまとめられるということですが、運輸省の内部では既に有効性を確認したのかということを聞いておるんです。
#49
○政府委員(戸田邦司君) 私どもの方では有効性を確認しております。
#50
○喜岡淳君 じゃ、九〇年十月に行われたテストについては有効性を確認した、運輸省は確認したわけですね。それじゃまた、九月にまとめが出るようでありますから、九月のまとめができ上がった時点でそのまとめをいただきたいというふうに思います。
 それから次にお尋ねいたしますが、テストとして一九八五年にディジタル選択呼び出し装置(DSC)のテストが行われておる。「一九八五年中頃」というふうな発表ですが、「中頃」というようなこんなずさんなテストというのがあるんでしょうか。それもきのう聞いてあるはずですけれども。
#51
○政府委員(戸田邦司君) この「中頃」という記述につきましては、実はこれは、西独からノルウェーまでの航路で大型の国際航海のカーフェリーで実験が行われた結果につきまして一九八五年の中ごろにIMOにその報告が行われたと、そういうようなことでございます。
#52
○喜岡淳君 これまでのテストは、何年何月、場所、試験者、その試験状況、全部まとまってあるんですが、このDSCの八五年に西ドイツーノルウェーで行ったテストだけは、「有効性が確認された。」、しかし、日時は「中頃」どだけしか書かれておりませんので、私は運輸省からいただいたこの実証試験のデータそのものに疑問を感じますが、大臣はどういう印象を持たれておりますか。
#53
○国務大臣(村岡兼造君) 実験のあれで、恐らく運輸省としてはその報告書を見てそのままここに書いたと思いますが、先生また何月と、こういうことであれば、きょうはできないと思いますが、先生のところに一九八五年の何月かということを後から調べて御報告をいたしたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#54
○喜岡淳君 このほかにも非常に安全性にかかわるテストの結果が疑問に思われるところがあります。
 例えば、一九八九年六月十四日の衆議院逓信委員会の会議録でありますが、この会議録を見てみますと次のようなことが書かれております。
 ランダム・セルコール、これの実験の結果を皆さんからいただいたわけですけれども、これを見ますと、大分失敗をしている。実験の内容でうまくいっていない。二重丸のところがあることはあります、たくさんありますが、バッテンというのもあるし、マルというのもあるし、三角というのもある。 こういうシステムが実際に海難救助システムとして十分に作動するかどうか。
こういう質問を松前先生がされておりますが、これに対して答えがないんですね、会議録では。答えていらっしゃらないわけです。心配ないんでしょうかね。それもきのうお話ししたでしょう。
#55
○説明員(田村正衛君) その件につきましては、先ほど運輸省の方からもお答えありましたとおり、各GMDSSで使われます無線通信機器につきましてそれぞれ実証実験を繰り返しておるところでございまして、その結果を踏まえまして安全性等が確認されているという、そういうことでございます。
#56
○喜岡淳君 それでは、きのうおっしゃっておりましたが、マルが二重丸になった、ペケが二重丸になったというようにおっしゃっていましたが、その結果をいただきたいものですが、いただけますか。
#57
○説明員(田村正衛君) ディジタルセルコールにつきまして、郵政省が中心となってやった実証実験は、一九八六年の一月から二月にかけて太平洋で、実はこれは短波を使ったわけでございますけれども、短波で北米航路及び豪州航路につきまして実験を行っております。これについて有効性を確認しておる、そういうことでございます。
#58
○喜岡淳君 二重丸にみんななったと思いますので、その結果をぜひいただきたいというふうに思います。
 それから、これももう一つお尋ねしておきたいんですが、同じくこの八九年六月十四日の衆議院逓信委員会では、もう一つ重要な指摘がされたまま答えが中途半端になっております。
 それは、今もEPIRBの問題が言われましたが、EPIRBについては実際世界的に十分機能しておるというようなことでございましたし、実際に救助した例もある、役に立っておるという事実が述べられました。しかし、そのときの衆議院逓信委員会ではこういうくだりがあります。EPIRBからの電波を受ける衛星、コスパスとかサーサットについて言えば、海難救助システムとして組み込んだテストはまだされていない、こういう指摘がされておりますが、これは本当なんでしょうか。
#59
○政府委員(戸田邦司君) コスパス・サーサットですが、これも既に実用化されている衛星でありまして、海難救助、もちろん海難関係につきまして、先ほども申し上げましたが、アメリカ、カナダ、それにソ連だったと思いますが、そういった国において既に相当数使用されております。
 また、航空機あるいは陸上で限られた場合だろうと思いますが、そういったものについても既に持っておりまして、このコスパス・サーサットが拾った実績というのは既に相当数ある、そういうことでございます。
#60
○喜岡淳君 それでは次に、インマルサットについてお尋ねをいたします。
 今のお答えの中で、例えばフランスの実験ですが、EPIRBの実験は一九八八年荒海の中で行われた。荒海の中でも十分EPIRBが機能したという試験結果を今聞かせていただきました。我が国の関係当局、郵政省や運輸省がやった試験もこういった荒天候、つまり、しけとかあらしとか気象、海象が非常に激しい条件の中で行った実例は実際にあるんですか、フランスがやったというのは今聞きましたが。
#61
○政府委員(戸田邦司君) 我が国が行ったものにつきましては、このEPIRBのシステムが全体として働くかどうかという実証実験を行っておりますが、このような荒波の中での実験はまだ行っ
ておりません。
 ただ、機器の開発を現在まで進めてまいってきておりますが、それらにつきましては荒天中で十分な電波が発射されるというようなことを確認できるような、そういうようなことで機器の開発を進めております。
 それから、フランスが行った荒天中というのは波高四メーターから十メーターと、相当の荒波の中での実験であります。
#62
○喜岡淳君 気象、海象が海の上では非常に激しく変化しやすい。しかも、災害が発生しやすいのは、実は気象、海象条件の激しいとき、低気圧に見舞われるとか大波が来るとか非常に厳しいときに船の事故が起きやすいわけですから、そのときに無事に助かるように今度のGMDSSをやるわけでしょう。ところが、こういう激しい気象条件の中でやったことがないというのであれば、有効性について疑問を感じるわけですけれども、お考えどうですか。感じませんか。
#63
○政府委員(戸田邦司君) この機器のテストの基準などについてはまだ最終的に決定しているということではありませんが、この機器を世の中に出していく、そのときの我が方の検査あるいは郵政省の電波関係の検査、そういったことにつきましてはいろんな角度で、あるいは波の中で水にぬれる、そういった波浪の中での動揺あるいは湿気あるいは水をかぶる、あるときは波の中に水没する、そういったことも予想して、そういう疑似的な基準を設けてこの機器の確認を行っていく、そういうことにしたいと思っております。
#64
○喜岡淳君 したいと思うということは、またこれからもテストをされるということで受けとめていいでしょうか。
#65
○政府委員(戸田邦司君) このEPIRB関係、その他のシステムもそうでありますが、まず、基本的にはこれまで百五十海里ぐらいしか届かなかった、そういったものをどれだけ飛躍的に改善できるか、それが基本的な考え方でありまして、今先生から指摘されております幾つかの問題点、例えば荒天中の問題、そういったことにつきましては可能な限り今の技術で性能が発揮できる、そういったものを実際に積載させていく、そういうことを考えておりまして、実際にできているものについてはこれからもテストを続けていく、そういうことが必要であると思っておりますし、そういうことを行っていきたい、そう思っております。
#66
○喜岡淳君 次に、インマルサットについていよいよお尋ねするわけですが、現在インマルサットのA型が実用化されておると思いますけれども、このインマルサットが実はGMDSSシステムの中核をなす一番大事なところだろうと思います。
 さて、このインマルサットA型については、実用配備されたものが間違いなく確実に世界じゅうで機能しておるというふうに御認識でしょうか。心配ないというふうに思われておりますか。
#67
○政府委員(戸田邦司君) 先ほどの答弁でも若干触れましたが、回線が非常に込んできているというような状況がありまして、通常の一般通信、これにつきましてはこれまでいわゆる話し中というようなこと、そういった現象はございました。
 そういうことはございますが、これからの緊急通信につきましては、そういった込んでいる場合でもそういった通信をカットして緊急あるいは遭難通信を通すというようなシステムになっておりますので、私は、このシステムはこれまでのものを飛躍的に改善していると、そういうふうに認識しております。
#68
○喜岡淳君 先ほどの渕上先生のときの答弁でも聞かれましたけれども、現行のインマルサットは使用実績があって信頼性が高いんだというふうにおっしゃっておられました。
 しかし、運輸省からいただいたインマルサットのトラブル状況、昭和六十三年に百隻の外航船を調べたところ、過去五年間で三百二件のトラブルがあったということは今聞きましたが、これも一つの統計でしょう。もう一つの統計として、これも先般、おととしですか、参議院の逓信委員会の方で民社党の足立先生の方から御指摘されたかと思いますが、足立先生の調べられた結果では、昭和六十年――昭和というよりやっぱり一九八五年でしょうね。グローバルシステムですから国際的に通用する言葉を便わなきゃいかぬ。一九八五年から一九八九年四月までの三年有余、足立先生が百三十三隻を調べた結果、実はインマルサットの故障は三百六十七件あったと。非常に故障率が高いというふうに私は思います。
 というのは、このインマルサットが故障いたしますと、これがもう中核システムですから、ほかのシステムはいろいろ困ったときに他の方法、モールスの方も使えるでしょうし、いろいろありましょうけれども、いよいよ一九九九年からはモールスがなくなってこのインマルサットでいくわけですから、こんな故障状況では先行きが明るく感じられないんですが、どうでしょうか。
#69
○政府委員(戸田邦司君) これまでインマルサットの機器につきましては、任意で一般の商船が緊急に本社と連絡をするとかあるいは商用のそういった情報のやりとりをするとか、そういったことで使われておりますので、その機器に対する要件というものもそれほど厳しくなかったと考えられます。
 そういったことで、これからそういった機器をGMDSSのように強制されたシステムの中で使おうとする場合には、それなりに相当厳しい試験の要件を課していく、また、製造工程での品質の管理あるいは設計にまで至ってそういったものを改善していく、そういうことになるものと考えております。
 そういったことで、これまでの発生件数とこれからの発生件数、まだ実績は出ておりませんが、私は大幅に改善されると、そういうふうに考えております。
#70
○喜岡淳君 今のところはインマルサットに本格的に頼っていないから、まあまあ事故が起きてもそれほど言うには足らないというような今の御答弁だったと思います。
 じや、メーカーはいいかげんにつくったかということですよ。郵政省はよくもそんないいかげんなのを承認しましたね。おかしいじゃないですか、それだったら。
#71
○説明員(田村正衛君) 従来から型式検定の対象ということで郵政省としては十分に把握して検定を行ってきておるところでございますが、先ほど戸田局長の方からもお答えありましたとおり、今度はGMDSSに本格的にインマルサットシステムが組み込まれるということで義務型式検定として私どもも電波法の中に対象機器として追加いたしまして、今後一層の機器の安定性の確保に努めるように措置を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
#72
○喜岡淳君 私はメーカーの皆さんに告げ口はしませんけれども、運輸省としてはそういう御認識だというのはメーカーの方が聞いたら怒るだろうと思います。
 じゃ、技術的には今おっしゃったように、これから解決されていくだろうというお話を私は信用したいと思います。
 私の手元にあるのはメーカーが実際修理したやつです、インマルサットの。(資料を示す)これは全部インマルサットの修理にかかわるメーカーの控えです。これは全部そうです、この厚いもの全部が。これほど事故が起きておる、トラブルが起きておるということです。技術的には本格化になるから心配ないとおっしゃるけれども、じゃ技術だけの問題でインマルサットの故障が解決するのかどうか。
 例えばブロッキングの問題についてはどういうふうにお考えでしょうか。
 これまでも、インマルサットを導入したときから言われておりましたように、インマルサット用の機械をつけた海上船舶の局を設置する。ところが、そこから出る電波が煙突とかマストなんかに当たりますと衛星まで届かない、隠れて。いわゆるブロッキングの問題ですが、そういう経験があったために、最近つくられる船にはマストや煙突が妨害しないように、インマルサットのシステム
が十分心配なく動くようにブロッキングの対策がとられておると聞いておったんです。しかし実際に、形から言いますとLNG船ですね、これについてはかなりのブロッキングの報告が寄せられておるように、私は手元に八隻分とりあえず持っておりますが、今なおこのブロッキングという問題が解決されていないというふうに思いますが、これについてはどうでしょうか。
#73
○政府委員(戸田邦司君) これまでに設置した船舶というのは新造船で設置したものもありますが、多くの船は現存の船でそういうようなアンテナを設置している。そういうようなことで、配置上どうにも仕方がなくそういう位置につけざるを得なかった、そういうものが相当あるように聞いております。
 今回のGMDSSの導入につきましては、先生御指摘のマスト、煙突などにブロックされる、そういうようなことを避けるためにIMOで技術基準が定められておりまして、言うなればアンテナからの死角、そういったものが厳しくチェックされるというようなことでありますので、今後の強制されるものについてはそれらの点については問題ないような配置にできるものと思っております。
#74
○喜岡淳君 構造上のブロッキング現象は解決できるだろうと。じゃ、地域的な問題は検討されておられるでしょうか。
 例えばオーストラリアの周辺ですね、ニューカッスル停泊中の船には時々ブロッキングが発生するという報告を受けておりますけれども、幾つかの地域については衛星との角度がいろいろ問題になったりしてブロッキングが起きておるというふうな、そういう地域は具体的に運輸省としてはもう既に把握をされておりますか。
#75
○政府委員(戸田邦司君) そのインマルサットのカバーエリアをそもそもどういうふうに決めているかといいますと、そのブロッキング現象が起きない、そういうような角度になるようなところでインマルサットのカバーエリアを決めておりますので、この海域の設定、インマルサットを使用する場合のそのエリアにつきましては、確実に通信ができるという前提で考えられておりますので、その点は私どもは大丈夫だと思っております。
#76
○喜岡淳君 このブロッキングの問題は単に機械の技術だけの問題じゃないですから、やっぱりどの地域に行けばブロッキングが起きるのかよく調べておかないと、その地域に入った途端にブロッキングが起きてインマルサットの電波が届かない。報告書を読んだら、船の人が慌てたのがよくわかりますよ。スイッチをオンにしたりオフにしたりして、二十分後につながったというのもあるんですよ。その間に、もし救助を求める信号が来たら助けに行けない。もし自分の船が発信する場合だったら、船の角度を変えればブロッキングから逃げられますけれども、受信が今度はできない
 ですから、やっぱりこのブロッキングのエリア、一体どういう地域がよく起こるところなのか、これはぜひ真剣に研究をしていただきたいし、幾つかの船からはそういう報告が上がっておると思うんですよ。船によっては同じ地域で三回もブロッキングに遭って、神隠しに遭ったようだということまであるんですよ。ぜひそのブロッキングの問題については真剣に研究していただきたいというふうに思います。
 それから、インマルサットのCですが、運輸省からいただいたテスト結果を見ると非常にインマルサットCのテストはあっさりと終わっておる。一九九〇年十一月から十二月にかけて、太平洋、日本海、この航路において試験をした結果、「有効性が確認された。」。
 私は、このインマルサットというのが、何回も言いますが、今度のGMDSSシステムの中核をなす心臓部分だろうと思います。その心臓に当たるものをわずか十一月―十二月のテストでオーケーと言えるんでしょうか。果たして実験を何回この期間中に行ったんですか。
#77
○政府委員(戸田邦司君) このインマルサットのCというのは最近開発された方式でありますが、主としてテレックスとかファクスとかそういったものに使われる。そういうようなことで、附属のシステムといいますかメーンのシステムについてはこれまで使われてきたインマルサットAと同様でありますが、通信系統にしてみた場合、附属した機器などが相当違っている、そういうようなことでありますので、その部分の確認ができれば、あとはインマルサットAの場合と同様に有効であるという確認が可能であると、そういうふうに考えておりますので、私どもとしましては、九〇年の十一月―十二月に行ったこの実験で十分であったと考えております。
#78
○喜岡淳君 時間の都合でこれで私は終わりますけれども、やはりきょうの議論の中ではGMDSSを即来年二月からやろうという体制はまだまだお粗末ではないかというような気がいたしました。
 大臣にお尋ねをいたしますが、電波法の改正の際に附帯決議が行われております。それは、GMDSSの導入に当たっては十分に実証試験をした上でやっていくんだということであると思います。
 乗組員の命、お客の命、また荷物、荷主の問題、また我が国のやっぱり海運国としての国際的な信頼度といういろいろなことを考えると、このGMDSSについてはもう一二〇%の安全性が必要だろうと思いますので、慎重な、しかもやっぱり三年ぐらいかけた実証試験をやっていく必要があるのではないか、これが一つであります。
 もう一つは、インマルサットが故障した際にどういうふうにして船の中で保守修理の対応をするのか。必要な道具、工具、予備品、計測器などをやっぱり積み込むようにしなきゃいかぬと思いますが、それをぜひ運輸省の方の省令で出していくべきだろうと思いますので、この二つについて最後にお尋ねをします。
#79
○政府委員(戸田邦司君) 大臣からお答えする前に、今の機器などを積んでおくべきではないか、そういうようなことにつきましては、私ども船舶安全法の中で必要な部品、そういったものは常時積み込ませるということでそのリストも大体でき上がっておりまして、簡単な故障についてはその保守点検を船上で行う、そういう場合でも可能にするように省令その他で決めていく、そういうことを考えております。
#80
○国務大臣(村岡兼造君) 喜岡先生、先ほどのやりとりを聞いておりまして、私は、この通信問題に大変もうお詳しいと、こういうことで感心をいたしておりました。
 新しいシステムでございますので、いろいろ今後指摘を受けたような実験を重ねて、これまた国際機関での条約に基づいての法律でもあると思いますが、その間に今戸田海上技術安全局長がお話ししたようなことも十分に気をつけまして、実験を重ねて安全な機器にしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
#81
○喜岡淳君 終わります。
#82
○片上公人君 初めにお伺いしますが、今全日本海員組合などから政府・運輸省に対しましてペルシャ湾の安全航行確保の要望が出されていると聞いておりますけれども、その内容と、運輸省はこれに対してどう考えていらっしゃるか。
 あわせて、現在のペルシャ湾の航行安全の状況についてお伺いしたいと思います。
#83
○政府委員(小和田統君) 事実関係について私の方から先にお答え申し上げます。
 まず、現在のペルシャ湾における安全の確保についての問題でございますけれども、私どもとしては戦争が終結いたしましたけれども、やはりあの海域に機雷が残っているという可能性がございますので、そういう機雷に関する情報を常時把握することに努めておりまして、これは外務省ルートその他あらゆるルートを通じましてなるべく最新の間違いのない情報を把握するように努め、これを関係の船会社等を通じまして現地を航行する船舶に連絡するように努めております。
 それから、全日本海員組合からの要望書の内容
についてでございますが、今手元に要望書そのものの文面を持っておりませんので、記憶で概要を申し上げますと、まず一つは、全日本海員組合は、クウェートの淡水製造装置が流出した油のために多少影響を受けているのではないか、そのために我が国で現在余っておりますトロール船を持っていくと現地で淡水の製造にそれを使える。また、トロール船はその構造上、必要な食料でありますとかいろんな資材を運ぶことにも適しているし、戦後のあの地域におきます我が国の協力のためにそのトロール船の活用を考えてほしいという内容。
 それからもう一つは、今までのところタンカーは安全が確認された海域に入っておりますけれども、今後おいおいあの地域の安定が進むにつれまして、タンカーがより湾の奥深く入っていくことが見込まれておりますので、そういう際にタンカーの安全についてはくれぐれも確認をしていく必要があるわけでございまして、そういう意味で全日本海員組合といたしましては、その二つの観点から同海域の安全確保に関しまして政府の格段の配慮を望む、こういう要望書でございます。
#84
○国務大臣(村岡兼造君) 全日本海員組合から、おとといでございましたか参りまして、今船員部長がお答えしたような要望書が出されました。
 日本に今トロール船で操業しないのが十隻以上ありまして、内容も私どもわかっております。一日六百トンぐらい淡水にできる、こういうことで外務省を通じまして今サウジとかそういうところで必要ないかどうかと、こういうことをやっておりますが、まだ回答が来ておりません。
 また、先生御承知のとおり、北緯二十六度でございますか、その海域の方にはまだ日本の船が行けない、機雷が千個ぐらい残っている、こういうような状況であることも私ども承知をいたしております。海員組合あるいは船主協会から、いずれにいたしましても航行の安全をと。さらにきょうでございますが、全日海の海友婦人会の代表の方々が私のところへ参りまして、船員の雇用の問題についてとかあるいは「海の記念日」を「海の日」にというような要望もございましたが、その中にもペルシャ湾の航行の安全についてひとつよろしく御配慮願いたいということがございました。
 運輸省としては、あそこからやはり油あるいは物資ということで、海上の安全航行、操業ができるようなことに一日も早くしたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#85
○片上公人君 このGMDSSの柱であるインマルサットやEPIRBというのは大変もう有効であると聞いておりますけれども、具体的にどんなに有効なのかということを説明してください。
#86
○政府委員(戸田邦司君) このGMDSSの有効性でありますが、通信衛星のインマルサットを利用した電話、それにテレックス、それから短波を利用した電話やテレックス、それから陸上とも船舶相互間でも通信が可能な中波や超短波の無線電話、こういったものとともに、船舶が遭難した場合に自動的に遭難信号を発生するいわゆるEPIRBや、遭難現場に到着した救助船や航空機が遭難船舶や救命いかだをレーダーで迅速に捜し出して救助できるレーダートランスポンダー、そういったものがこの中に含まれておりまして、これらはいずれも最新の通信技術を駆使した遭難安全システムのそれぞれのエレメントをなしております。
 先ほど来インマルサットについていろいろ御指摘ありましたが、このインマルサットにつきましては一九八二年に運用を開始しておりまして、我が国でも約千隻の船舶がこれを使用しております。また、世界のほとんどの海域から直接陸上と話ができる、そういうことになっております。
 特に、さきのイラン・イラク戦争の際や今般の湾岸戦争の際にも、中東地域を航行中の我が国船舶と我が国を直接結んで航行安全の確保に重要な役割を果たしてきております。これはインマルサットがなければできなかったことでありまして、従来のモールス通信ではそのようなことは考えられなかったということであります。
 また、EPIRBにつきましてもこれまで相当数の実績がございますし、また、現在五十三万個ぐらいが使われております。一九八二年の九月から一九九〇年の六月までの実績は六百十六件の捜索活動にこれが利用されまして、一千六百六十四人が救助されるというような実績を上げております。
 そういったことで、このシステムはこれまでのシステムに比べますと格段にすぐれたものであると考えております。
#87
○片上公人君 それほど有効なGMDSSだったらもうすぐに移行していいと思うんですけれども、それが平成四年二月一日から平成十一年一月三十一日までと時間をかけて移行するのは、これはなぜなのか。移行期間が非常に長いと混乱するんじゃないかと思いますが、これはどうですか。
#88
○政府委員(戸田邦司君) 移行期間が非常に長いということでありますが、このシステムは世界的に同じシステムを全体で使っていく、それで初めて大きな効果が期待されるということであります。それから、割合こういう新しいものにつきましては新しく建造された船だけにそういった要件を課していくというようなことが行われがちでありますが、そうではなくて、現存する船舶が大部分でありますから、これらすべてにそういったものを備えつけさせなければならない、そういう必要があります。
 また、世界的に見ますと、開発途上国の船舶も数多く就航しております。これらの諸国にとりましては陸上施設を整備するにも、また現存船の設備を直ちに新しいGMDSSの設備に取りかえるにしましても経済的に大きな負担となるおそれがありまして、こうした困難をできるだけ少なくするために十分な時間をかけて新しいシステムに移行することとしたものであります。
 この移行期間中の混乱の問題でありますが、従来モールス通信だけによって通信を行ってきた、そういったものと、それから、新しいこのシステムの電話やテレックスを中心とするシステム、これがしばらくの間は共存することにはなりますが、実は昭和五十六年にSOLAS条約の一部改正を行っておりまして、五十九年の九月からは条約対象の新造船はもとより、条約対象のすべての現存船に対しましてもモールス信号と同じぐらいの到達距離、効力を有するそういう中波の無線電話を備えつけさせるということと、それから二十五海里程度の範囲内の船とは相互に通信可能な超短波の電話の備えつけを義務づけておりまして、このシステムによりまして従来からのモールス通信による船舶と新しいシステムの船舶の相互の通信も確実に行うことが可能となっております。
 また、捜索救助機関との間の陸上送受信につきましても、この移行期間中は従来のものも新システムも両方とも送受信可能な体制を維持することとしております。
 以上、お答え申し上げましたとおり、移行期間中の混乱は生じないように万全の措置をとってまいる所存であります。
#89
○片上公人君 今回の船舶安全法の改正で条約対象外の小型船舶にもこのGMDSSを導入すると聞いておりますけれども、具体的にはどのような船舶にどのような設備を義務づけるのか伺いたいと思います。
#90
○政府委員(戸田邦司君) SOLAS条約の対象になっております船舶は、国際航海に従事する旅客船のすべて、それと同じく国際航海に従事しております三百総トン以上の貨物船でこのGMDSSを義務づけております。
 我が国には、これ以外にも国内航路に就航する旅客船あるいは内航貨物船、陸岸から遠く離れて操業している漁船あるいはプレジャーボートなども多数ございます。これらの船舶に対しましてもインマルサットや中波の無線電話、超短波の電話など、このGMDSSの中で採用されておりますすぐれた無線設備や非常用位置指示無線標識、レーダートランスポンダーなどの救命設備を義務づけることによりまして、その安全性を飛躍的に高めることが可能となります。
 また、これらの設備を備えることが困難な小型の船舶につきましても、NTTの沿岸船舶電話などを備えさせることによりまして安全性の向上を図ることが可能であります。
 したがいまして、今回の船舶安全法の改正に際しましては、原則としてすべての船舶に無線設備を義務づけることとし、適切な無線設備やネットワークが整った船舶から具体的にこれを適用していくこととした次第であります。
 具体的には、旅客船については原則としてすべての航行区域の船舶に対し、その航行する水域に応じましてインマルサットの無線電話やテレックスあるいは中波の無線電話、超短波の無線電話あるいはNTTの沿岸船舶電話などのいずれかを義務づけることを考えております。
 また、漁船につきましては、これまで百総トン以上のものに義務づけていたところを、二十総トン以上のもの及び陸岸を遠く離れて操業するものにインマルサットの無線電話やテレックス、漁業無線電話などを義務づけることを考えております。
 旅客船や漁船以外の船舶につきましては、平水区域といって極めて限られた水域を航行区域とする船舶や二十海里以内を航行する沿海区域の十二メーター未満の船舶などを除く船舶に、その航行する水域に応じまして中波の無線電話、超短波の無線電話あるいはNTTの沿岸船舶電話などのいずれかを義務づけることを考えております。
#91
○片上公人君 それによりまして小型船の安全はどれほど向上するのか、また安全が向上したとしても設備の価格が高いと過重な負担となるおそれがあると思いますが、この点についてはどう考えていらっしゃるか。
#92
○政府委員(戸田邦司君) 安全性がどれだけ向上するかというその評価はなかなか難しいところではございますが、現在条約対象船以外の我が国の内航航路に就航する船舶に対しては、旅客船については近海区域以遠に就航するものすべて、それから、百総トン以上のもので沿海区域に就航するものにのみ無線電信または無線電話を義務づけておりまして、その隻数は三百四十四隻であります。今回の改正によりましてすべての大きさの、ほとんどすべての航行区域の旅客船に義務づけすることを考えておりますが、その隻数は約八千隻と見込まれておりまして、新たに七千六百隻の旅客船が何らかの無線設備の備えつけを義務づけられることになります。
 それから、客船以外の貨物船や作業船あるいはプレジャーボートなどは、現在三百トン以上の沿海区域以遠を航行するものに無線電話などを義務づけておりますが、その隻数は二千三百二十七隻ということになります。今回の改正によりまして、近海区域以遠を航行するすべてのもの及び沿海区域を航行する十二メーター以上の船舶に義務づけを拡大することを考えておりますが、その総隻数は約五千隻と見込まれておりまして、新たに義務づけが拡大されるものは約二千七百隻ということになります。
 それから、漁船関係でありますが、百総トン以下のものについても無線設備を義務づけることになりますが、それはこれまで備えつけておりましたものが三千三百四十五隻になっておりますが、今回の二十トン以上あるいは陸岸を遠く離れて従業するもの、こういったものを含めた総数約七千三百隻と見込んでおります。そういったことで、漁船につきましては四千隻が新たに義務づけられることになります。
 以上のようなことでありまして、現在約六千五百八十九隻の比較的大型のものを中心にこの無線設備の備えつけを行っておりますが、これに加えまして、新たに小型船を中心に約一万四千三百隻の船舶が義務づけの対象となりまして、隻数だけで言うのは安全の評価になるかという疑問はありますが、総数で約二万九百隻の船舶が何らかの無線設備の備えつけを義務づけられることになりまして、これらの船舶の安全性が大きく向上するものと考えております。
#93
○片上公人君 これはよくわからぬのですが、一つ幾らぐらいするんですか。一つと言うてええのかどうか知らぬけれども。
#94
○政府委員(戸田邦司君) まず、条約対象船になっております大型船、外航貨物船などを例にとりますと、必要最小限の設備で試算しまして約一千三百万円ということになりますが、これは現行のモールス電信で通信するものとほとんど同じ費用でありますが、備えつける機器などにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、全く変わったものになっている、そういうようなことであります。
 それから、小型船でございますが、例えば百総トン未満で沿海区域、二十海里以内を航行する貨物船、これが沿岸船舶電話を設置しますと、設置時に四万六千円、それに基本料金が月額三万一千六百円となります。このほかに先ほどのEPIRB・レーダートランスポンダー、そういった救命関係の機器がありまして、合計は百六十万円強であります。
 それから、平水区域、港内その他の非常に静かな水域を航行する旅客船が超短波無線電話を設置する場合は約三十万となります。このかわりにマリネット電話というのを設置する場合には、設置時に六万円、基本料金月額一万四千四百円、そういうことになります。なお、平水区域などの内海、湾内、そういった極めて近いところを航行するものにつきましてはEPIRBなどの備えつけは考えておりません。
 それから、漁船でありますが、百総トン未満で約八十万円、このほかEPIRBその他の義務づけで、全体では約百九十万円程度の負担になるかなと思っております。ただ、現在でも約九〇%の漁船が無線設備を備えつけているなど、無線設備が普及しておりまして、実質的な新たな負担の増加になる船舶は非常に少ないものと見込んでおります。
 これらの義務づけを行う場合には、十分な期間をかけて段階的に備えつけが可能になるように考えておりますので、今回の改正が船主の過重な負担をもたらすものではないと考えております。
#95
○片上公人君 非常に丁寧にお答えしていただいてありがたいことです。もうほとんど時間なくなりまして、ありがたいことだと思っておりますが、漁船にとっては、これはやっぱり負担ない言うたってあると思うんですよ。
 そこで、先ほども話ありましたけれども、小型船の所有者やユーザー等の関係者からもこれは十分意見を聞いてきたのかどうか、このことについてどうですか。簡単に言うてください。
#96
○政府委員(戸田邦司君) この改正に当たりましては、昨年の四月から、外航船を持っております日本船主協会とかそういった大きい団体だけではなくて、内航の日本旅客船協会、日本内航海運組合総連合会、大日本水産会、全国漁業協同組合連合会、それからプレジャーボートなどを対象に、日本舟艇工業会とか外洋帆走協会、そういった小型の関係の団体あるいは所有者などにも十分な意見を聞いてきておりますが、そのほかに全日本海員組合や船舶通信士労働組合といった労働者団体からも十分意見を徴し、また当局としての考え方を十分に説明して、各般の実態を踏まえながら所要の調整を行ってまいってきているところであります。
#97
○片上公人君 こうした小型船の無線設備の拡大に対応しまして、小型船の海難救助体制というのはどのように充実されますかね。
#98
○政府委員(豊田実君) お答えいたします。
 先ほどちょっと数字が出ておりましたが、現在無線設備を所有している船舶の隻数が約六千六百隻という状況ですが、今回の船舶安全法の一部改正に伴いましてその総数が二万隻を超えるというように大幅に拡大されると聞いております。
 私ども海難の救助は、何と申しましても海難の情報を迅速にかつ位置等を的確に把握するというのが基本でありまして、従来から保安庁としては巡視船艇あるいは航空機によって事故の発生が多いような海域を重点にパトロールを続けてきておるわけですが、今回こういうように無線設備を保
有する船舶がふえるということは、私どもに第一報と申しますか海難の情報が非常に迅速に入るということによって、私どもの保有しておる船艇、航空機がより的確な活動ができるということになると思います。
 私どもとしましては今後とも、今機器の値段のことが話題になっておりますが、安い機器の開発を進めていただいて、さらにこの無線設備の整備が拡大するということを期待しております。
#99
○片上公人君 今回の法改正で当分の間無線設備の備えつけを猶予される船舶というのはどんな船舶ですか。
#100
○政府委員(戸田邦司君) 基本的には、先ほど申し上げましたようにすべての船舶と、こう考えておりますが、当分の間無線設備の備えつけを猶予せざるを得ない船舶がありまして、基本的にはごく小型の沿岸近くを航行する船舶であります。これらの船舶につきましては、現状では適切な無線機器や無線のネットワークがまだ十分に成熟しておらない、そういったこともありまして全国的規模でこれを強制することが困難な状況にあります。
 その中に含まれる船舶としましては、十二メーター未満の旅客船以外の船舶で沿海区域を航行するもの、平水区域のみを航行する旅客船以外のもの、それから二十総トン未満で陸岸近くに従業する漁船、それから、二十総トン未満の漁船で遊漁船を兼ねるもののうちから旅客定員が十二名未満、つまり客船という認定になっていないもの、かつその航行区域が陸岸近くに限定されるもの、こういったものを考えております。
#101
○片上公人君 船舶職員法上の通信士資格というのは、これはどのような資格なのか。また、特に電波法上の無線従事者の資格との関係についてちょっと聞きたいと思います。
#102
○政府委員(小和田統君) 船舶職員法上の通信士の資格と申しますのは、船の上におきまして無線機器を操作するということについての必要な資格を持っている、そういう人たちに対しまして、仕事する場が海上である、船の中であるということに基づいて必要な海事知識についての知識を試験で試す、こういう内容の資格でございます。
 まず最初に、電波法上の無線従事者の免許を持ち、もう一つは船舶局無線従事者証明というものを持つということが必要でございます。その二つを電波法上取得した人につきまして、今申し上げましたように船内で通信業務を行うという上で必要な海事知識についての試験を行う、その試験に合格した者について船舶職員法の通信士の資格を与えるということになっております。
 これは船舶職員として通信長なり通信士としての仕事を船内でしていただくという方々につきましては、単に無線設備を使えるという操作についての知識技能、これは電波法上の問題でございますけれども、そういうことだけではなくて、船の航行の安全に関する大事な通信を確実迅速に行うということのために一定の海事知識を要求しているということによるものでございます。
#103
○片上公人君 今回新たに設ける一級から四級までの海技士の資格というのはそれぞれどのような資格なのか、簡単に。
#104
○政府委員(小和田統君) ただいま御説明しましたような電波法との関係が前提になっておりますので、個々に申し上げますと、まず、一級海技士(電子通信)の資格につきましては、電波法上第一級海上無線通信士の資格を持っている。この資格は、すべてのGMDSS通信機器の通信操作、それから、十分な保守が行えるという資格でございます。
 それから、二番目の二級海技士(電子通信)の資格は、同様電波法上の資格が第二級海上無線通信士でございます。この資格は、GMDSS通信機器の通信操作及び保守につきましては部品交換程度の保守が行える、そういう資格でございます。
 それから、三級海技士(電子通信)につきましては、電波法上の資格は第三級海上無線通信士でございまして、すべてのGMDSS通信機器の操作はできますけれども保守はでぎない、そういう資格でございます。
 それから、四級海技士(電子通信)、これは電波法上は第一級海上特殊無線技士という資格でございますが、漁船に搭載されておりますインマルサット等、一部のGMDSS機器の通信操作は行えますけれども保守は行えない、そういう資格でございます。
#105
○片上公人君 現在、通信士は大体何名ぐらいいらっしゃるんですか。
#106
○政府委員(小和田統君) 平成元年十月一日現在の数字によりますと、現在の資格は一級から三級までの海技士(通信)という資格でございますけれども、その三つを合計しまして四千五名でございます。
#107
○片上公人君 現行の一級から三級までの海技士の資格を有する者はそのままの資格でGMDSSに対応した船舶に乗り組むことができるのかどうか。もしできないのであれば、これらの資格を現に有する者に対しまして特段の救済措置というのは用意されていますか。
#108
○政府委員(小和田統君) 新しいGMDSSに対応した設備を備えた船につきましては、新しい電子通信という系統の資格が必要でございますけれども、現在の一級海技士(通信)、これは先ほど申し上げましたように通信士の資格の一番上の資格でございますが、この人たちはすべてができる資格でございますので、新しいシステムのもとでも一級海技士(電子通信)の資格がもらえるということになっております。したがいまして、現在一級海技士(通信)の資格を持っている人、これは全体の約四割、四千五名の約四割でございますが、そのままの資格で新しいGMDSSの船に乗り組むことができます。
 それから、平成十一年までの経過期間がございますけれども、この間は、現在の通信システムを持っている船につきましては今までの海技士(通信)の資格のままで乗り組むことが可能でございます。
 それからまた、新しいGMDSSに現在の二級あるいは三級の資格を持った人が乗りたいということももちろんあるわけでございまして、そういう方々につきましては短期間の講習を用意することを考えておりますが、それを修了していただければ新資格への移行が可能になるように措置したいと考えております。
#109
○片上公人君 じゃ時間が来ましたので、これで終わりますが、最後に、平成四年二月一日からGMDSSに対応した船舶が出てくる可能性があるわけです。その時点でそのような船舶に乗り組むべき通信士を確保しておく必要があると考えますが、この通信士の育成は間に合いますか、これを聞いて終わります。
#110
○政府委員(小和田統君) 先ほど申し上げましたように、現在の一級海技士(通信)の資格を持っている約四割の通信士の方々はそのまま新しいGMDSSに対応した船に乗り組むことができますので、制度発足の当初はこれらの方々が乗り組む場合が通常であろうと考えておりますが、新しい資格を取りたいという方々につきましては、この法律案の中でも、そのために必要な海技従事者の国家試験あるいは所要の海技従事者免許の交付等をあらかじめ行えるようにしたいと考えておりまして、そのために法律の公布の日から六カ月を超えない範囲内で政令で定める日から、今申し上げましたような関係規定だけは実施できるようにしております。
 したがいまして、来年二月一日以前にも新しいシステムに対応した通信士が育成できるというふうに考えております。
#111
○小笠原貞子君 GMDSSというものが導入される、しかし問題がすべて解決しているというわけにはいきません。
 特に問題なのは、いまだシステムとしてすべての総合的な実験が行われていないという点が問題だと思います。この点から新システムの十分な検証を行っていくということが必要だと考えます。
 特に、現行システムから新システムへの移行期間、この期間中はとりわけ重要な時期となると思
います。その間、具体的にどのように進めていかれるのか。また、それに当たっては当然労働組合や労働者のいろいろな意見を聞いて相談しながらやっていくというふうに思いますけれども、その点いかがでございますか。
#112
○政府委員(戸田邦司君) この新しいGMDSSシステムの実用化のための検証問題ですが、これは一つは衛星関係、インマルサットあるいはコスパス・サーサット、そういった衛星を使ってのシステムの信頼性であります。これは先ほどいろいろ御指摘いただきましたが、私どもとしては既に実用に差し支えない、十分に実証ができているし、また、今後の機器の検査などによりましてより確実性の高いものにしていくことが可能である、そういうふうに考えております。
 それで、先生御指摘のシステム全体としての検証がなされていないのではないかという点でありますが、このGMDSSのシステムというのは幾つかの個々のシステムを組み合わせまして、それで二重に安全性を確保していく、そういったシステムを考えておりまして、それらのそれぞれの要素のシステムが相互に干渉するとかいうようなことはございませんので、個々のエレメントのシステムが確認されれば全体のシステムの安全性が確認されていく、そういうふうに考えてよろしいのではないかと思います。
 ただ、GMDSSの導入につきましては、従来の通信制度を大幅に変更するものでありますので、この運用が円滑に行われることを確認するために、法施行後一定期間の慣熟期間を設けまして円滑な移行を図っていくことが望ましいことであると考えております。
 この慣熟期間を置くことにつきましては労働組合その他とも話し合いまして、そういった了解で進めていく、そういうようなことになっております。
#113
○小笠原貞子君 移行期間中にはモールス通信の船、それから新システムとの混在になるわけで、その点がちょっと問題になるのではないかと、そう思います。
 緊急事態の場合、モールス通信の船と新システムの船の間ではモールスが通じませんね。残るのは無線電話だけと、こうなってまいります。現行はモールス通信と電話と二重の設備で対応するということになっておりますが、この間はモールスは使えない、こういうことになるわけです。そうなると、その分機能は低下と言わざるを得ないと思います。
 そういうことから、船、そしてそこに乗っている人というようなことを考えると、人命の安全上これはちょっと検討しなければならない大きな問題だと考えます。その措置についてどのように考えられておりますか。
 そしてまた、少なくとも移行期間中は現在の船舶はモールスを積んでいるんだから、そのまま使用できるように通信士をそこに配置するということでいけばこの問題は解決すると思うんですけれども、いかがでしょうか。
#114
○政府委員(戸田邦司君) 移行期間の間にモールスを積んでいる従来の船舶と、それから新しいシステムで電話を積んでいる船舶との相互の通信の問題が出てくるということでありますが、移行期間の間だけではありませんで、先ほどもお話し申し上げましたが、既に国際条約を改正いたしまして、モールスを積んでいる船舶にも無線電話を装備させております。
 これは二種類の機器がありますが、一つは中波の無線電話、それから超短波の無線電話、これを搭載しておりまして、新方式の方でもこれが搭載されているというようなことで、その船相互間につきましてはその無線電話によりまして通信がなし得る、そういう体系になっております。これまでのモールスだけを積んでおります船舶につきましては、もちろん陸上の聴守その他も経過期間が終わるまでの間はきちっと確保される、そういうようなことでありますので、これらの点については問題ないものと思っております。
 それから、無線通信士を、これまでのモールスの人をできるだけ、できるだけといいますか、乗せておいた方がいいのではないかというようなことでございますが、これは新しい方式の方では、先ほど船員部長の方から説明しておりますが、これまでの一級の資格を持っている人は新しいシステム全体をカバーすることができるということになっておりますし、また新方式に移行する場合についても、できるだけこれまで乗っていた通信士に新しい方式の船にも乗っていただくと、そういうような話をしておりますので、その点は問題ないかと思っております。
#115
○小笠原貞子君 新システムをつけてもモールス信号の設備もあるわけですよね。だから、そのモールス信号の設側を廃棄してしまわない限り、新システムになってもその機材が残るんだと。そうすれば、通信士をそこに確保しておけば十分な体制で安心できるという意味で私は申し上げたわけなんです。
 大臣、この問題なんですけれども、やっぱりもう安全ということを第一に考えなきゃならないとすると、この新しい近代化によってほかが犠牲になっちゃったりというようなことがあったら大変なわけで、機能低下を埋めるためにできるだけの御配慮をしていただきたいということをお願いしたいと思います。それよろしゅうございますね。
#116
○国務大臣(村岡兼造君) 新しいシステムを導入するためにいろいろな不都合の起きないように十分指導してまいりたいと、こう思っております。
#117
○小笠原貞子君 九五年からの新造船の場合も移行期間はモールスを積むのが安全上やっぱり私はベターであると言わざるを得ないんです。ないしは、それにかわり得る手だても検討してほしい、それはもう安全の立場から考えれば、私の切なる願いなんです。
 次に、新システム導入による通信士の職域確保という問題が出てくるわけですけれども、これについて最大の努力をしていただきたいというお願いでございますが、大臣いかがでございますか。
#118
○国務大臣(村岡兼造君) この職域の確保という問題でございますけれども、新しいシステムは、先ほどもお答え申し上げましたが、平成十一年まで現行のモールス電信船との併存期間でありまして、船主からは段階的に導入していくという話も聞いております。
 また、現行通信士の年齢横成を見ると、平均年齢が約四十六歳でありますこと、現行通信士全体の四割を占める一級海技士につきましてはそのままの資格で、先ほどもお話ししましたとおりGMDSS船に乗り組むことができること、また、船主側におきましてもこの導入に当たっては現行通信士の雇用問題を発生させることのないように配慮する意向でありますこと、また、大幅に変更するものでありますので、運輸省におきましても現行通信士に対し新しい資格を取得しやすくする、航海士または機関士の資格を取得しやすくする。船会社に対し必要に応じ海上及び陸上の職域の確保等に努めるよう働きかける等の施策を講じまして、雇用問題が発生しないように指導してまいりたいと、こう思っております。
#119
○小笠原貞子君 新システムを導入されることによって海技士の資格が変わるということになります。特に、システムの自動化ということで海上での保守を行わなくてもよいと。つまり、保守ができない二、三級の海技士を乗せるということになるんですけれども、これでは万が一の場合考えますと、私は大変心配せざるを得ないわけなんです。
 もう何度も言いますけれども、人命の安全にかかわる問題でより厳しくより慎重に対応していただきたい。そのためにも海上保守ができる海技士を配乗させるということについて最大の御努力をいただきたいと思うわけでございますが、いかがでございますか。
#120
○政府委員(小和田統君) 新しいシステムを導入いたしました場合に、一定の期間、通信担当の方々がそのシステムになれるための「慣熟期間」といったものを設けまして新システムへの「円滑な移行を図る」必要があるということがこの法案作
成のために諮問を申し上げました海上安全船員教育審議会の答申の中にも指摘されております。
 この「慣熟期間」は、一応私ども三年間程度を見込んでおりますけれども、この期間の中では、「原則として船上保守を行える者を乗り組ませる」ということがただいまの答申の中にあわせて指摘されておりまして、私どもとしてもそれを尊重して関係方面と今後相談してまいりたいと考えております。
#121
○小笠原貞子君 先ほどからの各同僚委員の質問で大分具体的な問題が明らかになってまいりましたし、私の伺いたいことと重複している点もありますので、ここであえて繰り返しの質問をすることは差し控えたいと思いますけれども、重ね重ね安全の問題ということ、そして職域の確保という問題についてはしっかりお願いしたいということを重ねてお願いいたします。
 それで、まだ時間がちょっと残されておりますので、一つ緊急な問題があるので、ここで質問させていただきたいと思います。
 実は、タクシーの運賃割引の問題、今度陸上に上がっちゃうわけですけれども、この問題についてちょっとこの間は時間がなくて伺えなかったので、この時間で伺わせていただきたいと思います。
 昨年の五月以降、タクシーにも障害者の運賃割引制度が導入されて大変喜ばれました。
 そこで、ぜひお願いしたいのは、割引の対象が運輸省通達では、「身体障害者福祉法による身体障害者手帳を所持している者」と、こうなっているわけでございます。先日の委員会で障害者運賃割引の適用を精神薄弱者にもお願い申し上げまして、大臣大変積極的な御答弁もいただき、これも明るい方向として受けとめて喜んでいるところでございます。
 そこで、具体的になんですけれども、タクシーの割引につきましてもこの通達を見直していただいて、精神薄弱者も適用ということにしていただきたいというのが一つのお願いの問題なんです。
 そして二番目に、また少し残念なんですけれども、圧倒的地域で割引制度が導入されているんですけれども、導入していないという地域もあるわけです。
 そこで、特に私の地元北海道を考えてみたときに、身体障害者割引制度そのものが北海道の場合はまだやられていないわけでございます。そのことは地域によって逆に差別的な状況が生まれているというわけで、全地域で割引制度を導入していくような御指導をいただきたい。現在、運賃改定時に当たる北海道の場合は、これを契機にぜひこの割引制度を実現するように御指導をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
#122
○国務大臣(村岡兼造君) 精神薄弱者につきましては、この前もお答えいたしましたけれども、割引制度を導入するようにということで三月中旬に事務方に指示をいたしまして、できるだけ私は平成三年度中と、こういうお話をいたしましたが、先生からできるだけ早くということで、後半の前半と、こういうふうなお答えもしたわけでございますが、平成三年十二月末までを目指してやってまいりたいと、こう思っております。それで、まだそういう事務的な協議その他ございますが、タクシーの場合も当然そういうような検討の対象にしていきたい、こう考えております。
 また、北海道の件も当然、まだやっているところとやっていないところとあるように聞いておりますが、今後、運賃改定その他やられましたときに、運輸省の方としてもタクシーの方で、これは北海道のみならず指導をしていきたいと。第一義的には事業者からの申請なんでございますが、指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
#123
○小笠原貞子君 おっしゃいましたように、北海道というのは広うございますものですから、その北海道でも札幌、江別、広島、石狩、この辺は導入されるのではないかということで期待しているわけですけれども、あと、旭川とか函館、帯広、釧路のような中核都市というように、北海道全体を考えますと、なかなかこれは一律にいかないわけでございますから、今大臣からお答えいただきましたように、北海道全体として割引制度が実施されるように御努力いただきたいということを切にお願い申し上げます。
 それで、この福祉タクシーの全国的な状態というものを見ていきましたけれども、これは障全協と全視協が全国を調査した結果でございます。全国三千二百七十四自治体のうち、市町村で福祉タクシー割引をやっているというところが約六百四十二市町村ございました。北海道でも二百十二市町村のうち七十八市町でやっております。三六%になるわけでございます。こういう自治体が努力して実施しているわけでございますから、国としても何らかの援助ということをするときが来ていると思います。
 大臣、厚生省、自治省というような関係もございますでしょうけれども、ぜひ御努力をいただきたいということで、十二月末にはこのタクシーの方も割引を適用していただくということを伺いましたので、ぜひそのように御努力いただきたいと思います。
#124
○政府委員(佐々木建成君) 今のお尋ねのうち北海道の点についてお答え申し上げたいと思います。
 北海道はA、B、C、Dという四ブロックに運賃改定ブロックが分かれておりまして、それぞれの地域から運賃改定の今申請が出ておるわけでございますが、そのうち札幌市及びその周辺地域のいわゆるAブロックの運賃改定申請の中には身障者割引制度についての申請も含まれているという状況にございます。それから、残りのB、C、Dのブロックについては割引制度が含まれていないというのが現状でございます。
 身障者割引につきましては、大臣から御答弁申し上げましたように、第一義的には事業者の自主的な判断にゆだねるということでございますけれども、身障者にとりましてタクシーを利用しやすくするというためにその普及が望ましいというふうに考えておりますので、今後、今のB、C、D地域あるいは他の地域を含めて、できるだけ身障者割引制度が導入されるように指導してまいりたいというふうに思っております。
#125
○国務大臣(村岡兼造君) この福祉タクシーについて国の施策として取り上げる考えはないかと、こういうようなお話でございますけれども、この点につきましては、今後、厚生あるいは自治との関係でもう少し議論を深めていきませんと、今早早にここでどうだということになりませんので、今後また議論を深めていきたいと、こう思っておるところでございます。
#126
○粟森喬君 GMDSSが導入されるときにインマルサットの機能が非常に重要になると思います。
 私が関係者からいただいたレポートによりますと、湾岸戦争中に船舶が今のインマルサットを使用して通信しようとしたときに、国際回線が混雑しているというので、言ってみれば話し中ですね、つながらないという状況がかなりあったというふうに聞いております。
 今度このシステムを導入しますと、これはもう国際条約でやるわけですから、全体に容量がふえるわけでございます。そしてまた、海難事故が起きるとか戦争が起きるという状態になると、特にその瞬間は物すごくふくそうするはずでございます。そうしますと、現状皆さん考えている今のインマルサットの容量から見て果たしてこれにたえられるものなのかどうか、これを明確にしてほしいと思います。
#127
○政府委員(戸田邦司君) 先生御指摘のそういった問題があることは私どもも十分承知しておりますが、このインマルサットシステムにおきましては、遭難通信が一般の通信に優先して行えるようになっておりまして、すべての通信回線が使用中で一般通信ができないような状態におきましても、優先すべき遭難通信につきましては使用中の回線を切って地上局と接続されます。こういったことで、このインマルサットによる遭難通信は円
滑は行い得るわけであります。
 それから、その回線容量が少なくなっているという問題でありますが、その利用者が大変急速に多くなってきておりまして、この問題に対応するために、昨年十月、インド洋に回線容量がこれまでの衛星に比べて大幅に大きい新たな第二世代衛星が打ち上げられ、運用を開始するとともに、ことしから来年初めにかけて大西洋、太平洋においても第二世代衛星が運用を開始する予定でありまして、回線容量の不足の問題は改善できることになっております。
 ちなみに、若干具体的に申し上げますと、西大西洋でありますが、一九九二年の三月にこれまでの回線数七十五回線を百二十五回線にふやします。それから、大西洋の東につきましても九一年の四月、ことしでありますが、四十五から百二十五と、インド洋も相当大幅にふやしておりますし、太平洋につきましては今年の十二月に六十二回線を百二十五回線にふやすことになっております。
#128
○粟森喬君 一般用通信が一つは問題でございますが、既に打ち上げられている現状でさえもそういう状況が起きておるわけでございますから、この辺のところについて今の回線容量をふやすことで新しいSOLAS条約の中で果たして本当にそういう通信を確保できるのかどうか。その数字は倍になると言いますが、倍で大丈夫だという根拠をもう一度明確にしてほしいと思います。
#129
○政府委員(戸田邦司君) インマルサットシステムにつきましては、ただいま御説明申し上げましたとおりで、遭難通信は一般通信をカットして行われる、優先されるという原則で、一般通信につきましては回線がふやされると、こういうことであります。
 コスパス・サーサットシステムでありますが、これにつきましては、この衛星を利用するEPIRBが既に採用されておりまして、これも先ほど御答弁申し上げましたとおり、ソ連.米国、それからフランス、カナダが中心になってこのコスパス・サーサットの新しいシステムを運用することになっております。
 それから、米国、ソ連、フランス、カナダでありますが、IMOがSOLAS条約に基づきGMDSSを導入することに対応しまして、一九八八年にコスパス・サーサットに関する協定を改めて締結し直しまして、捜索救助活動のために差別なしに遭難通報に関する情報を国際社会に提供することを約束しておりまして、戦時においても差別的な扱いはないことになっております。
 それから、このコスパス・サーサットシステムは、現在は四個の極軌道衛星によりまして成り立っておりますが、これらの四個の衛星はそれぞれ独立して機能を果たしておりまして、一個が故障しましても他の衛星により十分な遭難通報が行えることになっております。
#130
○粟森喬君 そのコスパス・サーサットの協定国は幾つあって、今言ったように戦時体制とか非常体制とか、いわゆるそれぞれの国の相互間で利害関係が対立してもその部分ではあり得ないということを明確に明文化したものがこの協定の中に入っているのかどうか、もう一遍確認の意味でそこは読み上げてください。
#131
○政府委員(戸田邦司君) このコスパス・サーサットシステムの協定でありますが、その運用を行う国は米国、ソ連、フランス、カナダということになっておりまして、これが運用して、これの利用国がこれらのメーンになっておりますコスパス・サーサットの運用グループと協定を結んでいく、そういうような形で全体が運用されていくことになっておりますが、戦争またはその他特異な場合につきましても、この協定の中では差別的な取り扱いはしないということがはっきりとしております。
#132
○粟森喬君 それでは、通信士の海技士(電子通信)への資格変更に伴うさまざまな問題をちょっとお聞きしたいと思います。
 一つは、今までモールスで通信をやっていた方は非常に専門的な職種ということもありまして、それから、一定の船に一定の資格を持った人が乗った場合、職務分類基準みたいなものが非常に厳密に運用されていて、簡単に他の職務の手伝いをするということができなくなっていたわけですが、今回、海技士(電子通信)の資格を通信士の人が仮に持ったとしたときに、この人が他の船舶職員の職務を兼務することができるようになったのではないか、今までの通信士がかなり専門的にやっていたのとここはかなり違ってくるのではないかというふうにこの改正の中身から見ると思うわけでございますが、この辺はいかがでございますか。
#133
○政府委員(小和田統君) 従来のモールス通信システムのもとにおきましては、通信はモールス通信を行います専門的な知識技能、こういうものを持った人がみずからキー、電鍵の操作をするということによって行うものが主体でございます。それからまた、他の船舶あるいは陸上からの通信につきましても、それを聴守するというために一定時間通信士が耳による聴守を行うということが条約上あるいは法律上義務づけられていたわけでございます。
 しかしながら、新しいGMDSSのもとでは、電話あるいはテレックス、こういった簡易化された通信手段が中心になっております。送信につきましても大幅に自動化されるとともに、聴守、聞く方につきましてもほぼ全面的に機械による聴守によることになっております。それからまた、GMDSSのもとでは一定の条件のもとに、電波法上の資格を持っていない者でありましても通信機器の操作をするということが認められております。
 したがいまして、新しいGMDSSのもとにおきましては通信長の業務は、緊急時における通信、これは若干別でございますけれども、それを除きますと管理あるいは監督といった業務が主体になりまして、通信そのもの、通信機器の操作そのものの業務、これは大幅に軽減されることになるわけでございます。
 それから、GMDSSのもとで通信長の業務の軽減に加えまして、無線設備そのものが従来の独立した無線室の中ではなくて船橋、つまり航海士が操船に当たる場所でございますけれども、その船橋の中に設置をするということになっております。そういう点でも兼務を行いやすい環境になったわけでございます。
 そういう観点からいたしまして、GMDSSのもとにおきましては通信長が他の職務を兼務するということが可能になったというふうに考えておりますけれども、なお、法制面の整備につきましては今後政令等を定める段階におきまして必要な手当てをすることにしております。遺漏のないように対応したいと考えております。
#134
○粟森喬君 私は現在の船員法から見ても、こういう通信士という専門的な職務をこのような格好で実質的に消すということは、特に慣熟期間で新しいシステムが常態化するまでにはかなりの時間がかかるから、やっぱりこれからの問題としては重要な問題として考えています。
 特に、もう一つ申し上げますが、いわゆる通信士の方が今度はほかの仕事をやってもよろしいということになりましたが、さっき平均年齢が四十六歳だということを言われました。ほかの職種にかわる、例えば航海士であるとか機関士にかわる道を開くと言いますが、私は通信士の職種と航海士の職種、それから機関士の職種というのは全然その意味では違うというふうに思います。しかも、四十五、六の平均年齢の方が容易にそういう仕事につけるというふうにお考えなのかどうか、その辺について見解を明らかにしてほしいと思います。
#135
○政府委員(小和田統君) 通信長の職務と、それから航海士あるいは機関士の職務とを兼務することが、私どもとしては先ほど申し上げましたような状況に基づきまして可能になると考えておりますが、それを実際に行います場合には、制度上無線部の資格、それから甲板部あるいは機関部の資格の両方を持っているということが必要でござい
ます。つまり、その両方の資格がない者は兼務ができないということでございますけれども、現在、通信士の資格を持っている方々が今後甲板部の資格を取りたい、あるいは機関部の資格を取りたいということでございますと、そういう方々を対象に短期間の座学と、それから乗船中の修学、例えて申し上げますと通信教育のようなものでございますけれども、そういうものを組み合わせることによりまして筆記試験を免除するというようなことを予定しております。
 したがいまして、今までにも船に乗って海上の職場というものの状況をよくわかっている方々でございますので、私どもは優秀な日本人船員の方方がもし希望される場合には、比較的短期間に甲板部あるいは機関部の資格を取得できるものと考えております。
 なお、今までにも実は似たようなことがございまして、近代化船という比較的少数精鋭の船員で船を動かすという制度がございますけれども、この近代化船におきましては、無線部の資格を持っている方が今申し上げましたのと同じような比較的短期間の勉強によって甲板部あるいは機関部の資格を取得するということが既に行われております。実際にそういうことで、通信士の方でありながら甲板部あるいは機関部の資格を持っているという方々も相当数ございます。
#136
○粟森喬君 一定の特例措置をつくるということと、私はやっぱり職種の内容が基本的に違うことを簡単にできるように言われると、二面性があると思うんです。
 一つは、安全という立場から見れば、安全航海を前提にすると、そんな安易に取れる資格にしてはならないということと、もう一つは、現実に通信士の専門的なスペシャリストとしての立場がなくなるわけでございますから、それを救済してほしいという二つの立場がありますが、十分これらについてはこれからも配慮をしていただきたい、こういうふうに思います。
 そこで次に、いずれにせよ、これを実行するに当たっては、これから慣熟期間に向けていわゆる対応小委員会をつくりましてやるということになっていますが、いわゆる「慣熟期間」という定義について、どなたが何になれたことを慣熟というふうに定義しているのか。一般的に何となく実証期間とか慣熟期間と言われていますが、この言葉の定義について明確にしてほしいと思います。
#137
○政府委員(小和田統君) この「慣熟期間」という言葉は、実は先ほどもちょっと申し上げました海上安全船員教育審議会にこの法律の改正内容について御相談申し上げた際に出てきた言葉でございますけれども、私どもはこの言葉の理解といたしまして、新しい制度への移行に当たって通信担当の方々がこの新しい制度の円滑な運用ができるということを確認する、そのための期間というふうに考えております。
 具体的にどうするのかということでございますけれども、大体三年くらいの期間を想定しておりますが、その慣熟期間の間は、関係者、もちろん労働組合の関係の代表の方にも入っていただく予定でありますけれども、そういう関係の方々から成る管理委員会といったような名前の組織を設けまして、その委員会の中で船ごとの通信機器、つまり、GMDSSに対応した機器の導入でありますとかその機器の操作等が円滑に行われているかどうかといったことを確認しながら慣熟を進めていくと、こういうことを予定しております。
#138
○粟森喬君 どうも抽象的でわかりません。
 現実にその職務に従事する従事者の問題、これが一つありますね。それから、設備そのものが安全性といいますか保守性といいますか、ちゃんといつも使われているという状態にあるかどうかというのがありますね。それから、相手もありますね、通信ですから。例えば、非常通信のときには、今のモールスですと、いわゆるQ信号とかそういうやつで済んだわけでございますが、相手が英語ができないとかそれに呼応してくれないという、この三つが私は慣熟の条件だと思いますが、いかがですか。
#139
○政府委員(小和田統君) 英語の点につきましては、これは新しい制度のもとでは、電信ではございませんで口頭による通信、あるいはもちろんテレックス等のディジタル通信も入りますけれども、そういうものが主体になりますので、確かに英語で必要な通信ができるかどうかということは一つの問題でございます。
 ただ、既に船舶職員に関する必要な知識あるいは能力、こういうことについての国際ルール、これは一九七八年のSTCW条約というものでございますけれども、そういう条約の中でも船舶職員として船内で仕事をする人たちについては英語の能力ということが必要だということで、我が国におきましては、船舶職員を養成する教育機関の商船大学あるいは商船高等専門学校あるいは海員学校、そういったところにおきましても所定の英語の勉強はさせておりますし、また限られた技術的な内容の通信、会話でございますので、世間話をするというのとはちょっと違いますから、実際に現在でも外航船が外地の港に行って英語で必要な仕事をしているわけでございますから、私どもとしてはその点心配はないものと考えております。
#140
○粟森喬君 日本の法律を適用する側の問題はわかりました。しかし、相手の問題もあるわけでしょう、相手の問題。どういう法律をそれぞれの国がつくっているかということは、一応条約で一定の基準は決められているけれども、通信というのは相手がいなかったらだめなわけですから、自動的な遭難信号なら出すことはできますが、これは相手の側の慣熟も当然この「慣熟」という中に入れるべきではないか。ここが今の答弁でははっきりしません。もうちょっとはっきりさせてください。
#141
○政府委員(小和田統君) この点は、このGMDSSのもとになりましたSOLAS条約に加入している国々の間ではこの新しいシステムに移行するということが合意されたわけでございますので、これはそれぞれ条約に加入している国の間での約束として新システムへの移行が問題なく行われるようにということについての所要の対策を講ずるという各国の約束がなされたというふうに考えてよいかと思います。
 ただ、先ほども御質問がございましたけれども、一部発展途上国等におきまして必ずしも新しい制度に直ちに取り組みにくいところもあるかもしれません。そういうところにつきまして、私どもいろんな意味での必要なお手伝いを技術協力という観点からすることを考えたいと思っております。
#142
○粟森喬君 終わります。
#143
○寺崎昭久君 同僚委員との質疑応答を伺っておりまして、なるべく重複を避けて質問させてもらいます。
 まず第一点ですが、現行海技士資格と新設資格との関係はどのように対応するのか。この船舶職員法の第五条第八項によりますと、「一級海技士(通信)の資格と海技士(電子通信)の資格の相互間については、一級海技士(通信)の資格は、海技士(電子通信)の資格の上級とする。」となっておりまして、一級については触れられておりますけれども、二級以下はどういうことになるんでしょうか。なぜ触れられていないのか、あわせて御説明ください。
#144
○政府委員(小和田統君) 今度の法案で一級海技士(通信)の方について特に触れましたのは、現在の制度のもとでは一級海技士(通信)の資格というのは最上級の資格でございます。それから、新しい海技士(電子通信)の資格の中では一級から四級までに分かれるわけでございますけれども、そのどのクラスに相当するのかという上下関係を明確にしておかないといけないという趣旨でございまして、結論といたしましては、現在一級海技士(通信)の資格を持っておいでの方々、再三申し上げますように通信士の約四割の方でございますけれども、この方々は新しい制度のもとにおきます海技士(電子通信)の最上級の一級よりもさらに上だということを法律で明確にしているわけでございまして、したがって、現在、海技士(通信)の一
級をお持ちの方はそのまま新制度のもとでも通信士の仕事ができると、こういうことでございます。
 しかしながら、現在の資格制度のもとにおける二級、三級と新しい電子通信の資格体系の一級から四級までにつきましては、実は若干その資格を定める基準について考え方の差がございます。
 今までの制度での一級から三級までというのは、どういうところ、どういう海域を航行するかということに着目して定めておりますけれども、新しい資格制度のもとでは船の中の保守の体制、通信設備の保守の体制がどうなっているか、それからまた、その船がどういう海域を航行するか、そういうことを基準に通信士の業務内容が定まるということになっておりますので、これは現在の二級ないし三級の資格をお持ちの方々が新しいシステムのもとで通信士の仕事をしようということであれば、先ほどお答え申し上げましたように簡単な講習を考えておりますが、それを受けていただくということになるわけでございます。
 いずれにしましても、今までの資格を持っている方は、前提として電波法上の新しい資格に対応した無線従事者の免許あるいは船舶局無線従事者証明といったものを先は取ってきていただく必要がございます。
#145
○寺崎昭久君 今触れられました電波法による資格を持っている人、例えば三級総合無線通信士が三級海技士(電子通信)の資格を取ろうとした場合にはどういうことをやれば取れるんですか。
#146
○政府委員(小和田統君) これは申しわけございませんけれども、実は電波法の方の問題でございまして、郵政省の方で現在の電波法上の資格、これは今先生おっしゃった一級から三級までの総合無線通信士という資格でございますけれども、それをお持ちの方々が新しく電波法上定められます海上無線通信士という資格あるいはそのほかの資格を取ろうとする場合にどのようなことをすればいいのかということにつきましては、郵政省の方で現在御検討中と承知しております。
#147
○寺崎昭久君 郵政省の方の検討事項だということですと答えづらいのかもしれませんが、その問題が解決されなくても運輸省の範囲だけで例えば二級海技士(通信)を持っている人は、先ほどもおっしゃられたように、簡単なテストを受けてそれに合格すれば電子通信士にかわるということはできるわけですね、二級以下の方は。ですが、今の電波法上の資格を持っている人は、それをもとにして今二級なり三級なりの電子通信の資格は取得できないと、現状ではそういうことになっているということでしょうか。
#148
○政府委員(小和田統君) 電波法の方でも、私の理解しているところでは、現在の一番上の資格、第一級総合無線通信士の資格を持っている方は、新しい資格の第一級海上無線通信士の資格をほぼ自動的に取得できると承知しております。
 それから、現在の第二級あるいは第三級の総合無線通信士の資格を特っている方々は、そのままでは新しい資格に横滑りということはできませんで、所定の講習その他を恐らく郵政省の方で今御検討中と思いますけれども、そういう講習等によって新しいシステムの資格を取得されれば、私どもはそれをもとにごく短期間の海技知識についての講習その他をプラスすることによって新しい海技資格を付与するということを予定しております。
#149
○寺崎昭久君 今度A1からA4というんでしょうか海域が決められるようでありますけれども、この定義と範囲、それをお聞きしたいと思います。
 それから、現行の船舶検査証書というのは平水海域とか沿海、近海、遠洋というように分かれているようですが、このA1からA4とどういう関係になるのかお伺いします。
#150
○政府委員(戸田邦司君) A1からA4海域の定義、範囲、その根拠ということですが、現在船舶用として実用化しております超短波無線電話、中波の無線電話あるいはインマルサット、短波無線電話、それぞれ通信できる範囲が異なっておりまして、海上人命安全条約ではこれらのおのおののシステムが陸上と直接確実に通信できる範囲をそれぞれA1からA4の海域まで定めるということになっております。
 具体的には、まず、A1海域でありますが、これは超短波無線電話が陸上と直接通信でさる範囲でありまして、陸上の海岸局から二十五海里程度の範囲であります。それからA2海域ですが、これは中波の無線電話が陸上と直接通信できる範囲でありまして、陸上の海岸局から百五十海里程度であります。それからA3海域でありますが、これは静止通信衛星であるインマルサットを用いて陸上と直接通信できる範囲でありまして、北極、南極地方を除くほぼ全世界の海域になります。それからA4海域、このA4海域は短波を用いて陸上と直接通信できる範囲でありまして、北極及び南極を含む全世界のすべての海域ということであります。
 ここで北極、南極と、こう言っておりますのは、北緯七十度以北、南緯七十度以南ということになっております。
#151
○寺崎昭久君 今後船舶検査証書などが発行される場合はどうなるんですか。
#152
○政府委員(戸田邦司君) 失礼しました。
 船舶検査証書に書いてあります航行区域につきましては、沿海は沿岸から二十海里、それから近海というのは、大体大ざっぱに言いますと南洋諸島その他で割合平穏な水域、それから遠洋というのはその他の全世界、こういうようなことになっておりまして、その海域と、それから、今回のA1からA4の海域とは直接関係ございませんので、船舶検査証書に沿海区域と、こう航行区域が書いてある無線電話については二十五海里以内ということで、A1区域ということで問題ありませんが、近海区域ということになっている部分についてはA2の海域とA3の海域が出てまいりますので、そこはそれぞれのA1からA4までの区分に従った技術基準を課して、そういった装備を持っていただくということになります。
#153
○寺崎昭久君 今のお話ですと、それぞれの海域に応じた設備を載せればいいというように理解していいわけですね。
 ところで、最近こういう情報があるんです。運輸省はことしの一月に、一九九二年二月までにすべての陸上局の設備は整うはずだ、そういうお話をされていると伺っているんですが、一方では海上保安庁の話として、DSC機能付MF海岸局の整備を段階的に行うことにしており、このため我が国周辺海域におけるA2海域については一九九二年二月一日においては、その時点で整備済み、つまり、地上局が整備済みになっている海域となる。A2海域というのはあくまでも地上局の整備が終わったところをA2海域に指定して、その整備が終わっていないところはA3海域にするというような話がされているやに聞いているんですが、事実でしょうか。
#154
○政府委員(戸田邦司君) 陸上施設の整備の問題でありますが、A2海域の陸上施設が整備されていないところではA3海域の設備を備えるとともに、保守要件もA3の保守要件になるということでありますが、ただ、我が国の場合、A2海域のみで国際航海できる船舶というのは西日本と韓国の南部間のみに就航する船舶でありまして、この地域については条約発効時点でA2海域が設定できるように陸上施設を整備する計画でありますので、我が国の条約対象船でA2海域のみで十分であるにもかかわらずA3海域規制になる船舶はないものと考えております。
#155
○寺崎昭久君 技術的なこと大変弱いんですが、先ほどのお話ですと、A2海域というのはおよそ陸から百五十マイルぐらいのところを走る船であるというお話でしたが、その範囲を走っている限りは陸上局の方の整備のおくれだとかそういったことは一切ありませんと、したがって、本来だったらA2海域用の設備を載せればいいんだけれどもA3用を載せてくれなんということは言いませんと、そういうことでしょうか。
#156
○政府委員(戸田邦司君) ただいまお話し申し上
げました西日本と韓国の南部間の問題でありますが、それ以外のものでA1とA2海域だけを航行するという船舶は事実上ないということになります。
 これは大体A2海域、百五十海里ぐらいまで出ていくという船舶で国際航海、そういったものがないためでありまして、先ほどの韓国の部分についてはそういうものが出てくるので、その部分についてはまず第一に整備を進める、それから逐次必要なところについてその陸上施設を整備していく、それで全体をカバーできる、そういうようなことで考えております。
#157
○寺崎昭久君 ちょっとなかなかのみ込めないんですけれども、今のお話は、本来だったらA2海域なんだけれども、そこが間に合わないからA3をつけてくれということは言わないと、そういうふうに受けとめてよろしいですか。
#158
○政府委員(戸田邦司君) 実態上そういうものが出てこない、こういうことでありまして、必要な部分は必ずその陸上施設を整備して間に合わせる、そういうことであります。
#159
○寺崎昭久君 A2海域用とA3海域用では設備をもし設置した場合にどれぐらいの費用の違いがあるのか、絶対額とその差を教えていただけますか、いわゆる標準的なやつでいいです。
#160
○政府委員(戸田邦司君) A3海域を航行する船舶の場合ですが、先ほどもお話し申し上げましたとおり、最低限といいますか、大体これだけはかかるという費用が約一千三百万円であります。A2海域を航行する船舶の場合、中波無線電話で一般通信を行う場合、約九百万円。それから、インマルサットのC型を使う場合には一千五十万円程度になるかと思います。
#161
○寺崎昭久君 現在その新しいシステムに対応できる状態の設備を持っていない船舶もたくさんあるわけですね。そうしますと、一千万とか一千三百万とかというお金を平成十一年まではこれから投じなければいけない、現在走っている船ですね。
 ということになりますと、これはなかなかの負担だと思うんですけれども、これは政府として新しい設備に切りかえることによって生ずる費用なんかについては何か補助を出そうとか、そういう考えはないんですか。
#162
○政府委員(戸田邦司君) これまで関係者といろいろ協議してまいりました結果、非常に長い移行期間を持っているということで、その点につきましては政府からの補助という話はこれまで出ておりません。
#163
○寺崎昭久君 昨年の十二月にIMOからいわゆるマスタープランと言われている報告がなされているようです。これは各国の情報提供をもとに、GMDSSの陸上設備がどの程度整っているかということをまとめた報告のようでありますけれども、これは既に国内でも発表されている内容なのか。もし簡単に触れられる内容でしたら御説明いただきたいと思います。
#164
○政府委員(戸田邦司君) このマスタープランといいますのは、GMDSSの各国の陸上施設の整備状況を取りまとめたものでありまして、一九九〇の十二月にも最新版をつくっております。
 このマスタープランというのは積極的に公表はしておりませんが、必要な関係者には周知されております。それからまた、陸上施設が新たに整備され運用が開始された場合などは、各国とも直ちにこういったものについて正式に公表することにしております。
#165
○寺崎昭久君 そのマスタープランから判断して、この新しいGMDSSを導入することについて不安がないのかどうか。日本だけの問題じゃなくて、これから船が海外、外国へ行くことだって日常茶飯であるわけですから、各国のそういう整備状況などについてどのように判断されているか伺いたい。
#166
○政府委員(戸田邦司君) このマスタープランの中身の問題ですが、A3の船舶が利用しますインマルサットシステムは、これは既に極地方を除く全世界をカバーするように整備されておりまして、平成四年からの導入については何ら問題ないと考えております。その他の海域につきましては、SOLAS条約の締約国政府がそれぞれ必要であると認めるところによりまして陸上施設の整備を行うことにしております。
 我が国の外航船舶は、韓国の南部とごく一部を除くほかすべてA3海域を航行しており、必ずインマルサットを利用することとしているために、外国においてA1及びA2海域のための陸上施設の整備がたとえおくれましても新しいシステムに移行することについては全く問題ないものと考えております。
#167
○寺崎昭久君 先ほど来お話を伺っておりまして、このGMDSSというのはすぐれたシステムのように受けとめておりますけれども、そうは言っても安全が第一でございますから、くれぐれも混乱が起こったりあるいは機器の故障等で人命にかかわるような事故が起きるというようなことがあってはならないと思うんです。
 したがって、先ほど来お話がございますように、十分なる習熟、慣熟期間を設けていただきたいと思いますし、まだ機器の安全性に不安があるというような部分がないとは言えないわけですから、その間は現行のモールスあるいは船上で保守ができるような体制について格段の配慮をするよう船主側にも働きかけていただきたい、そのように考えております。
#168
○委員長(中川嘉美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 船舶安全法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#169
○委員長(中川嘉美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、渕上君から発言を求められておりますので、これを許します。渕上君。
#170
○渕上貞雄君 私は、ただいま可決されました船舶安全法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    船舶安全法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の事項につき、適切な措置を講ずべきである。
 一 GMDSSの導入は、海上の遭難安全制度の抜本的改革をもたらすものであるので、現行制度との併存を図りつつ、通信担当者等によりその円滑な運用等が確認されるよう、十分なる慣熟期間を設けること。
 二 GMDSSの導入に当たっては、当分の間、船上保守の可能な通信士が配乗されるよう努めること。
 三 旅客輸送に従事する船舶の通信体制については、安全重視の観点から所要の措置を講ずること。
 四 通信士の職務経験も活かされるよう陸上保守に関する資格制度の整備について検討すること。
 五 法制度改正に伴う命令など具体的な基準の策定に当たっては、新システムの円滑な導入を図るため、関係者の意見に十分配慮すること。
 六 海難等を防止するため、プレジャーボートや遊漁船などの小型船舶に対する無線設備の施設を指導し、施設率の向上に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#171
○委員長(中川嘉美君) ただいま渕上君から提出
されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#172
○委員長(中川嘉美君) 全会一致と認めます。よって、渕上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、村岡運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村岡運輸大臣。
#173
○国務大臣(村岡兼造君) ただいま船舶安全法及び船舶職員法の一部を改正する法律案につきまして、御熱心な御審議の結果、御可決をいただき、まことにありがとうございました。
 また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、運輸省として十分の努力をしてまいる所存であります。
 どうもありがとうございました。
#174
○委員長(中川嘉美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#175
○委員長(中川嘉美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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