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#1
第120回国会 商工委員会 第5号
平成三年四月九日(火曜日)
   午後一時三十三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     高崎 裕子君     市川 正一君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     浜本 万三君     森  暢子君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     森  暢子君     浜本 万三君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         名尾 良孝君
    理 事
                斎藤 文夫君
                前田 勲男君
                梶原 敬義君
                井上  計君
    委 員
                岩本 政光君
                大木  浩君
                合馬  敬君
                藤井 孝男君
                向山 一人君
                山口 光一君
                穐山  篤君
                庄司  中君
                谷畑  孝君
                浜本 万三君
                森  暢子君
                吉田 達男君
                広中和歌子君
                三木 忠雄君
                市川 正一君
                池田  治君
                今泉 隆雄君
   国務大臣
       通商産業大臣   中尾 栄一君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       越智 通雄君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      梅澤 節男君
       公正取引委員会
       事務局長     植木 邦之君
       経済企画庁長官
       官房長      寺村 信行君
       経済企画庁長官
       官房会計課長   黒川 雄爾君
       経済企画庁調整
       局長       末木凰太郎君
       経済企画庁国民
       生活局長     加藤  雅君
       経済企画庁物価
       局長       田中  努君
       経済企画庁総合
       計画局長     冨金原俊二君
       経済企画庁調査
       局長       田中 章介君
       通商産業大臣官
       房長       熊野 英昭君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   高島  章君
       通商産業大臣官
       房会計課長    林  康夫君
       通商産業省通商
       政策局長     畠山  襄君
       通商産業省通商
       政策局次長    麻生  渡君
       通商産業省立地
       公害局長     岡松壯三郎君
       通商産業省生活
       産業局長     南学 政明君
       資源エネルギー
       庁長官      緒方謙二郎君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        向 準一郎君
       資源エネルギー
       庁石油部長    黒田 直樹君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    土居 征夫君
       特許庁長官    植松  敏君
       特許庁特許技監  吉田 豊麿君
       特許庁総務部長  辛嶋 修郎君
       特許庁審査第一
       部長       大塚 和彦君
       中小企業庁次長  西川 禎一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 博行君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(公正取引委員会、経済企画庁)、通商産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫)
○商標法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○再生資源の利用の促進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(名尾良孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三日、高崎裕子君が、また昨八日、浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として市川正一君及び森暢子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(名尾良孝君) 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は前回終局いたしておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#4
○委員長(名尾良孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 梶原敬義君から発言を求められておりますので、これを許します。梶原君。
#5
○梶原敬義君 私は、ただいま可決されました産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一、炭鉱の閉山による疲弊が依然として深刻な状況にある第八次石炭政策影響地域等に対し
ては、最も重要な施策対象地域として、当該地方公共団体への財政支援の強化等重点的かつ強力な支援策を講ずること。
 二、対象地域の見直し、特に指定解除に当たっては、地域の実情を十分配慮しつつ、合理的な基準に基づいて行うとともに、適切な猶予期間を設ける等の激変緩和措置を講ずること。
 三、産炭地域振興実施計画の実効性を高めるため、必要な財源を十分確保し諸施設の充実に努めるとともに、関係省庁間及び関係地方公共団体との連絡・協調体制を一層緊密化すること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#6
○委員長(名尾良孝君) ただいま梶原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#7
○委員長(名尾良孝君) 全会一致と認めます。よって、梶原君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中尾通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中尾通商産業大臣。
#8
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し万全を期する所存でございます。
#9
○委員長(名尾良孝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#11
○委員長(名尾良孝君) 去る三月二十九日、予算委員会から、本日四月九日午後の半日間、平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会及び経済企画庁、通商産業省所管、中小企業金融公庫並びに中小企業信用保険公庫について審査の委嘱がありました。
 まず、通商産業大臣から説明を聴取いたします。中尾通商産業大臣。
#12
○国務大臣(中尾栄一君) 平成三年度通商産業省関係予算の商工委員会委嘱審査における御審議に先立って、一言ごあいさつ申し上げます。
 世界は大きな歴史の転換点を迎えております。変化はきしみを伴うものでありますが、同時に躍動の源にもなります。現在、極めて流動的な情勢の中で、新たな国際秩序を構築すべく各国が努力を重ねているところであります。
 すなわち、イラクの力による不法な支配に対し、国際社会はかってない協力体制を築き、平和と安全を回復しつつあります。また、保護主義的な動きを排除し、二十一世紀へ向けた自由貿易体制を確率するため、ウルグアイ・ラウンドを初めとする種々の交渉に積極的に取り組んでいるところであります。さらに、東西融和を確固たるものとするために、引き続きさまざまな努力が払われております。こうした中で、我が国は国際社会におけるその地位の高まりをみずから認識しつつ、責任ある対応を進めていかねばなりません。
 国内に目を転じますと、我が国経済は、既に四年を超えて内需主導による景気拡大を継続しておりますが、米国における景気動向など不透明な状況もあります。我が国は直面しつつある広範かつ多様な変化に柔軟に対応し、中長期的に、経済の活力を維持し、国土の均衡ある発展、豊かさを実感することのできる国民生活を実現していかねばなりません。
 私は、このような認識のもとに、関係諸国と協力しつつ湾岸地域における経済、技術面での国際協力に適切に対処するとともに、次の項目を重点に全力を挙げて通商産業政策を推進してまいる所存であります。
 第一は、新たな流通産業政策の展開であります。第二は、魅力ある労働環境の形成であります。第三は、廃棄物処理・再資源化対策の推進であります。第四は、東京一極集中の是正と地域の活性化であります。第五は、国際貢献の充実と産業活動のグローバリゼーションへの対応であります。第六は、資源エネルギー施策の着実な推進であります。第七は、活力に満ちた中小企業の育成であります。第八は、科学技術の振興であります。第九は、情報化の推進であります。
 平成三年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画の作成に当たりましては、このような基本的方向に沿って諸施策の実現を図ることとした次第であります。
 この結果、一般会計は、七千八百六十一億三千五百万円を計上しております。特別会計につきましては、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計六千二百五十億二千七百万円、電源開発促進対策特別会計三千八百八十六億三千二百万円、特許特別会計六百二十四億五千四百万円等、当省所管の五つの特別会計にそれぞれ所要の予算額を計上しているところであります。
 また、財政投融資計画につきましては、財投規模ベースで七兆二千九百七十八億円を計上しております。
 通商産業省関係予算及び財政投融資計画の内容につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#13
○委員長(名尾良孝君) 次に、経済企画庁長官から説明を聴取したします。越智経済企画庁長官。
#14
○国務大臣(越智通雄君) 平成三年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は、四百六十四億七千万円余であります。また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として七千二百七十億円を予定しております。
 以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。
 第一に、生活のゆとりと豊かさを重視した施策の積極的展開に必要な経費として、二十六億七千万円余を計上しております。この内訳の主なものは、国民生活センターの商品テスト施設の整備、拡充を図り、輸入品や先端技術を用いた商品の安全性、性能等に関する消費者情報の収集、提供を充実する等、消費者保護を推進するために必要な経費であります。
 第二に、調和ある対外経済関係の形成と世界への貢献に必要な経費として三百五十八億二千万円余を計上しております。この内訳の主なものは、海外経済協力基金に対する交付金三百五十五億円余であります。本基金の平成三年度の事業規模は、政府開発援助の第四次中期目標の着実な実現を図るため、九千百億円を予定しております。このための資金としては、一般会計において前述の交付金のほか出資金二千七百三十億円が計上されておりますとともに、財政投融資計画において資金運用部資金等からの借入金が七千二百七十億円となっております。なお、出資金は大蔵省に計上されております。
 第三に、適切かつ機動的な経済運営と調査、分析の充実に必要な経費として二十七億五千百万円余を計上しております。この内訳の主なものは、内外の経済動向についての情報の収集、分析、物価動向のきめ細かな調査、監視などに必要な経費であります。
 第四に、二十一世紀へ向けた経済政策の推進に必要な経費として一億四千九百万円余を計上しております。
 以上、平成三年度における経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
#15
○委員長(名尾良孝君) 次に、公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。梅澤公正取引委員会委員長。
#16
○政府委員(梅澤節男君) 平成三年度の公正取引委員会関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 総理府所管一般会計歳出予算のうち公正取引委員会の予算額は、四十億八千三百万円となっており、これは前年度予算額に比べて一億五千二百万円、三・九%の増額となっております。
 以下、その内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、独占禁止法施行経費等として三十八億三千六百万円を計上しております。違反事件の審査のための経費、経済実態や流通実態の調査及び対策のための経費など、独占禁止法を厳正に運用するための経費等であります。この中には、違反事件に対する審査部門の増員や、違反事件の審査機能を強化する機構の拡充のための経費が含まれております。
 第二に、下請代金支払遅延等防止法施行経費として二千五百万円を計上しております。法運用の強化と啓発、普及活動を積極的に行い、下請取引の適正化を推進するための経費であります。
 第三に、不当景品類及び不当表示防止法施行経費として二億二千二百万円を計上しております。
 公正な競争を維持、促進することにより消費者の保護を図り、景品表示行政を積極的に推進するための経費であります。
 以上、平成三年度における公正取引委員会の予算について、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
#17
○委員長(名尾良孝君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。
 この際、本件及び前回趣旨説明を聴取いたしました商標法の一部を改正する法律案をそれぞれ議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#18
○吉田達男君 委嘱審査に当たりまして、通産大臣に質問をいたします。
 日本は、近代産業技術革新の国家としての大きい評価を受けておりますが、また最近の日本の動きの中では、ふるさと創生など日本の文化、民族の誇る伝統的な産業についてもまた見直されて、それをもって生活する中で心の豊かさを求める、こういう動きも顕著でございます。
 しかるところ、伝産法が制定されてからもう十七年を迎えた今日、伝統産業の売り上げは必ずしも大きくありませんが、趨勢としては若干下降しており、従事する労働者の数も減っておる、このような状況でございます。
 通産大臣は、この伝統的な産業が持つ日本文化あるいは日本の産業文化史における位置づけをどう考えられて、今日の伝産業をどう発展させようと考えられるか、現状の認識についてお答えをいただきたいと思います。
#19
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま委員御指摘のとおり、ゆとりと豊かさというのは私ども海部内閣で絶えず言っている言葉ではございますが、そのような意味におきましても通産省としましては、我が国の風土と歴史の中ではぐくまれました伝統的工芸品産業というものは、国民の生活に豊かさと潤いを与えまして地域経済の健全な発展に資するものと認識している次第でございます。
 このような観点から、通産省としましては、昭和四十九年に制定されました、先ほど委員申していただきました伝統的工芸品産業の振興に関する法律というものに基づきまして、平成二年度末までに百七十一の伝統的工芸品の指定を行いまして、財政、金融、税制上の措置というものを含め各種の助成策を講じまして、その振興を図っているところでございます。
 伝統的工芸品産業の振興というものは、九〇年代の通商産業政策の柱の一つとして掲げておりますゆとりと豊かさのある国民生活というものを実現していくためには、ますます意義を持つものと考えており、その重要な有意義性を率直に認めざるを得ないわけでございます。今後とも、伝統的工芸品産業の振興になお一層の努力を傾注していく考え方でございます。
 以上でございます。
#20
○吉田達男君 大臣において、基本的な取り組みについてのお考えは了といたしまして、今後に期待いたします。
 現実にどのような業態にあるのか、これについて担当の方は正確に掌握していらっしゃると思うので、お尋ねをいたします。私の認識は、現在の伝産工芸品を生産しておる業者は零細でありまして、その伝産法の指定を受けて振興計画を立てておっても、これが一次、二次、三次にわたるような過程において、その計画のとおりにいかないようなものも多くございますし、また現在指定を受けていないものでは後継者の状況も悪化してきている。ついには技術伝承もできないような状況にある。辛うじて、従業者三十人でございますか、その指定基準に合うものにしても特に零細なものは、そのような中小企業等協同組合法に基づく組合の設立、二年度にわたる計画、さらには振興計画等々を庶務的にこなして認可を受けてそれをやるにしては手続的に十分な体制にない。このために、現在辛うじてその伝産技術がありながらも、その指定を受けたりして法の育成の目的に沿っていないような点も多いと認識するのでありますが、その辺も踏まえて現状を御報告いただきたいと思います。
#21
○政府委員(南学政明君) 伝統的工芸品の指定品目は、大臣答弁にもありましたように今百七十一品目を指定いたしております。これらの伝統的工芸品産業というのは、品目にもよりますが、一般的に言いまして需要の減退等を反映し生産額が減少しております。また、後継者難あるいは原材料の入手難等の問題にも直面いたしているところでございます。
 通産省としては、こうした事態を克服するために、各産地において後継者育成事業、需要開拓事業あるいは伝統産業会館の建設など、いろいろな施策を産地の実情に合わせて推進しているところでございます。
#22
○吉田達男君 現状においていろいろ困難な経済界の変化もある。これにいかに対応すべきかという点についてどのように指導しておるか、お伺いをいたしたいと思います。
 特に後継者の問題であります。後継者の育成については、施策はあるけれども、指定を受けていなければこの方途も受けられない。しかし、昔の伝統的な後継者の育成の仕方は、戦前であれば兵隊検査までに弟子入りして一人前になる修業をして、それから親方離れする前にお礼奉公をすると、こういうような形で技術伝承をした者が独立した。
 しかし戦後は、非常な困難の中で現在を迎えておりますが、現在ではその者の数が減っておりまして、これから次の十五年先、二十年先の伝承をするという後継者が昔のような形で育つ社会体制にない。ただでも労働者の雇用状況が悪化している中小企業でありますから、このような伝産業における後継者というものは大変に困難な状況にあると思う。それについてどういう対策を立てようとしておるのか。
#23
○政府委員(南学政明君) 後継者の育成確保対策というのは、伝統的工芸品産業の振興のために極めて重要な政策であると認識いたしておりまして、私どもは、各産地組合が行う研修会等の後継者確保育成事業に対する助成、あるいは研修等の場にもなり得る伝統産業会館の建設等に側面から財政的な支援を行いまして、その推進を図っているところでございます。今後とも、こうした施策を着実に実施していきたいと考えております。
#24
○吉田達男君 それは、指定を受けて一定の形が現在あるというものです。
 一つ提案でございますけれども、現在一人前になるまでに、伝統産業工芸品を商品価値のあるものとしてつくるまでに期間がかかるわけです。その間は製品をつくるに当たって自分のものとしての商品が生産できない。こういう過程において一
人前になるまでどう育成するかというのです。
 それは、昔であれば親方が抱えていたものです。企業の形に成長していれば企業が抱え込むことができる。しかし零細なものはそれができない。そこで、そうなるまで一定の形で、例えば中小企業等協同組合法がなければ対象にならないのだから、そこのところに育成のための補助金を出して、それが成長期間何年か一人前になるまで、いわば職業訓練のような形でこれを育成して育てなければとても新しいものができない。そうでなければ、家族的なものの後継者を求めるしかもう道がなくなってしまう。
 私の提案については、どういうふうにお考えでありますか。
#25
○政府委員(南学政明君) 修業期間中の人件費等の援助に関しましては、財政的あるいは制度的な制約等からいろいろ難しい問題があろうかと思い‐ますが、御指摘の点も含めまして今後可能性について勉強はしてみたいと思います。
#26
○吉田達男君 それから、私も多少関係して見ておるんですが、時代が変わりますと素材が変わる。新しい素材で伝統工芸を今に生かすというのが経済界であります。そこで二つの問題が起こる。
 一つは、古い伝統工芸品の素材を確保するのに、産業界周辺を取り巻く農業その他の情勢が変わって、原材料が手に入りにくい、これをどうするか。
 また、新しい素材が入ってきたときに、その新しい素材で新しい生活感情にフィットするものをつくるに当たっては技術開発をしなければならぬ。あるいはまた、現代人にマッチしたデザイン等の開発もしなければならぬ。こういうものを小さい業者に期待していてもなかなか困難である。
 こういう点については、国政としてやはり一定の方針を立てて育成されなければならぬと思いますが、これについてどういうお考えをお持ちでしょうか。
#27
○政府委員(南学政明君) 伝統的工芸品産業の振興のためには、伝統的な技術、技法の継承はもとよりでありますが、時代のニーズに合ったデザインの開発等も極めて重要な要素であると考えております。
 したがいまして、通産省といたしましては、産地組合等が産地振興事業の一貫として行っておりますデザイン開発事業等に対し、いろいろ側面から助成を行ってこれを促進しているところでございます。また、伝統的工芸品産業振興協会の中におきまして、デザイン研究委員会を設置しまして、今後のデザイン開発のあり方等についていろいろ今勉強しているところでございます。
 さらにまた、先生御指摘の原材料の確保難についてでございますが、財政的な支援を行いまして原材料の入手方法等の調査研究等も推進しているところでございます。
#28
○吉田達男君 初めの御答弁のときに、私の質問に対してもうちょっと願いたいという気持ちがしておりまして、もう一度言いますと、あなたがおっしゃった対策は、国として立てられても制度上のものであります。
 新しい制度をつくる、こういう意欲の上で取り組まれたいということが一つであります。現行法に対してこの対象を受けようとすると、庶務的に弱い伝産工業者は、一定の要件を整えた書類その他をつくってその振興計画を立てなければ補助対象にならないわけです。そこのところは全国を見ると大変なばらつきがあると思う。大変に面倒を見ている地方公共団体もあるやに伺いますけれども、そのような体制にないものもある。
 こういう点については、国の法律でありますから、やはり日本全国で積極的な指導体制を通産省の方が立てていただかなければならぬ。そうしなければあなたがおっしゃったことも実現しにくいと思うので、重ねてお尋ねいたします。
#29
○政府委員(南学政明君) 伝産品の通産大臣の指定は、法律に基づきまして産地組合等からの申し出に基づき審議会の意見を聞きながらこれを行っているところであります。この産地組合等の申し出に関しましては、通産省において実施要領を定めまして関係者にわかりやすいマニュアルを示すとともに、伝統的工芸品産業振興協会におきまして個別具体的に産地の組合を指導いたしまして、産地の事務負担の軽減等に努めているところでございます。引き続きこうした振興協会等を活用しながら産地の事務負担の軽減を図っていきたい、このように考えております。
#30
○吉田達男君 もう一つは、製品をつくっても古い販売ルートというものが伝統産業の流れであったであろうと思いますが、最近の流通は大変変わってまいりましたから、そういう点の販路の拡大とかいろいろ積極的な工夫を願いたいと思うんです。
 一つは、大臣にお伺いしたいんですが、アメリカとの構造協議等々で外国の商品も日本の中で大いに輸入して販売する努力を約束しておられる。これはやる。しかし、日本のものを外国に売るというのは、必ずしも近代的な電気製品や自動車ばかりじゃなくて、日本の文化を売る。日本人というものは、こういう心豊かに、また手仕事をやってそれを製品の中で本当になじみ深いものをつくって民族の一つの工芸品としてこれを流布する、こういうことは一つの行き方だと思うんです。国際的なそういう意味でのPR、展示、見本市、こういうものについては、これは国として積極的に取り組まれたいと思うんです。部分的には石川・輪島のようなすぐれた工芸品として既に世界的な販路を拡大しておるものもありますけれども、日本の伝統工芸品を外国の土産物その他とたまたま比べてみましても、いすなんかを見ても大変に日本のものは私はその意味ではすぐれていると思うんです。そういうものの評価というものをやるということは、近代的な販売ばかりにうつつを抜かしているようにとかく思われがちな日本に対して、厚みのある民族文化というものを世界に理解させ、流布していただきたい、このように思いまして、販路の拡大というような点については積極的な取り組みを願いたいと思いますので、格別大臣に御答弁をお願いいたしたいと思います。
#31
○国務大臣(中尾栄一君) おもしろい例でございますから申し上げたいと思うんですが、昔ニューヨークに、今つぶれましたが、あるデパートがございました。全然なかなか商品が売れませんで、ところが、あそこで一回すずりに筆をつけた、言うなら私どもいつも使う、小学生が使う習字教室のすずりでございますね、あれをワンセットにしてクリスマスプレゼントに売ったようでございます。そうしましたら、通信販売でやっても物すごい量がはけたということがあるんだそうでございます。私はこれは聞き及んだわけでございますので、直接目で見たわけじゃございませんが、ある意味においては日本の紹介、伝統的文化の紹介にもつながったのでございましょう。ときに、アメリカ映画やその他の外国映画を見ますと、日本の伝統文化なのか中国の伝統文化なのか混雑したような形で紹介されている場合もございますので、これも困ったことだな、キャンペーンをもう少しやるべきかなとも思うようなことがよくございます。
 輸入促進はこれは私どもの前提の大きなテーマでございまして、きのうも輸入のために外国からも大勢参りまして、その促進方法を考えておりますが、輸出する場合におきましても、日本のある意味における美しきよき伝統文化、これを委員の御指摘のようにもっとさらなる発展というものはやるべきことだなということは、私も絶えず考えておる次第でございます。
#32
○吉田達男君 質問を変えまして、経済企画庁長官にせっかく方針をお伺いいたしましたんで、委嘱審査でありますから、今後の景気についてどういうふうに見込み、コントロールをされるかについてお尋ねしたい。
 それは予算委員会等々でも伺っておりましたからあれですが、戦勝国のアメリカについて景気不透明なものがある、双子の赤字、三つ子の赤字、国際的な収支や財政についても根本的には直っていない、こういうものの影響が日本のまた景気に
対していろいろなプレッシャーもかかってくる。
 そこで、為替レートがどういうふうな傾向をもってくると御判断なのか。そして、それによって景気がともすればもう日本は山場を過ぎてダウンするんじゃないかと、こういうことを言われながら、それでも頑張っておりますけれども、これについては金利の調整をどのようにされるのか。また、やり過ぎて物価の問題を誘発する。まさに経済コントロールはいろんな要素の上にあって難しいと思うんでありますが、大臣の先ほどの方針を伺いまして頼もしく思いながら、これからどう取り組まれるか、所見をお伺いいたしたい。
#33
○国務大臣(越智通雄君) まず第一に、アメリカの景気の方でございますが、湾岸紛争終結後、かなりアメリカが向こうの言葉で言うコンフィデンス、自分たちの経済の繁栄についての自信を取り戻したかに見えたんでございますが、ちょっとここのところ、この間のアメリカにおきます失業率の発表、六%を超えておりますけれども、こうしたことからやや今度のアメリカにおける景気、リセッションのいつ立ち直るかについて議論が分かれてきたようでございます。二月末、三月時点におきましては年央の回復に対する意見が強うございましたが、最近、下手をするとそれほど深い谷ではないがやや長くなるんじゃないか、こういうような見解もアメリカの中で出てきておりまして、アメリカにおきます景気の立ち直りに議論が分かれてきたというのが一つございます。
 向こうの為替、要するに湾岸紛争後の一方的なドル高がやや訂正になりました。あれはマルクとの関係で生じたものは連れ子で円が安くなった面があるんでございますが、円とドルの関係で言いますと、一ドル百四十一円までいったものが、きょう幾らになりましたか、百三十七円ぐらいだろうと思っておりますけれども、私どもは大体百三十五円から向こうの方が安全だと思っておるんですが、実際には百三十七円ぐらいのところで動いている状況でございます。
 アメリカの景気、これ自身は、これから今先生御指摘の財政の問題と国際収支、殊に財政の問題の方がより厳しいようでございますので、立ち直りでございますね、私もできましたらいずれあちらに参りましていろいろ打ち合わせをしてきたいものだと、このように思っております。
 あと日本の景気の方は、御心配いただきましたけれども、個人消費の方は大丈夫だろうと思っておりますし、設備投資の方が今おっしゃいました金利という意味では関連する関数でございますけれども、昔言っておりました利益率と金利との関係での設備投資のカーブでございますね、この六十三年から四年間のいわゆるエクイティーファイナンス、証券市場で殊に債券によって資本を調達した企業においては、金利いかんにかかわらず、むしろ自分たちの見通しに基づく設備投資の動向がありますので、逆に言うと金利の響く面がその分だけ鈍くなっている点もございますので、今のところ私どもが見込みました設備投資六・八%は何とかいけるんじゃないか、こんなふうに見ているところでございます。
#34
○吉田達男君 それじゃ、質問を変えて続けますが、通産大臣にお尋ねいたします。
 日本の民主主義が本物かにせものかをかけて、今地対財特法のもとに同和対策事業が施行されて、それで差別のない社会をつくろうと全力を挙げて今残りの一年にかけておるわけであります。
 ちょうど時期といたしましては、人事の採用のときでもありますし、また人事の異動の時期でもあります。先般、古くは地名総鑑もありましたが、最近ではブルーチップの事件のような企業差別がある。まことにけしからぬことでありますが、通産大臣としては、産業界におけるこの問題にどのように取り組みを指導しておられるか、お伺いいたしたいと思います。
#35
○国務大臣(中尾栄一君) すべての人はひとしく人権を保障されるべきである。人種、信条、性別、社会的身分あるいはまたその方のいろいろと生まれその他もございましょう。しかし、差別は決してあるべきものではございませんで、またそのような前提にたたなければ人権も成立するわけでもありますまい。そういう点におきましては、その認識の上にたってすべてを処していかなければならぬというのは私どもの前提でございます。
 政府としましては、就職の差別等につきましては労働省を初め関係各省で啓発事業を実施しているところでございます。通産省としましても、同和問題につきましては産業界の正しい理解を得るために、産業振興懇談会等を開催しまして企業啓発に努めているところでございます。
 また、今後とも企業啓発に粘り強く私どもはすがりつき、なおかつまたこれを実施いたしまして、そして同和問題の一日も早い解決のために全力を投球したいものだと考えておる次第でございます。
#36
○吉田達男君 中小企業の実態についてでありますが、一九八五年でしょうか、総務庁の地域啓発等の実態把握調査があり、中小企業庁の方ではまた補足調査をして、劣悪なる状況が明らかになりました。
 その後、法施行における努力は私は買っておりますけれども、現実の実態というものは、果たして所期の目的のごとく格差がなくなったのか、差別がなくなったのかというと、極めて私は不十分なものがあろうと思うが、どのように掌握していらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#37
○政府委員(西川禎一君) この対象地域の産業は中小零細企業がほとんどを占めておりまして、経営基盤が非常に脆弱だということで、先生もただいま御指摘いただきましたように、各般の改善策について実施してまいったわけでございます。私どもとしましては、その結果、対象地域の産業と一般地域の産業の間の格差というものは、一定の改善を見たものというふうに理解をいたしております。
 しかしながら、もちろん近時のウルグアイ・ラウンドにおきます関税引き下げ交渉、あるいは食肉の輸入自由化等々の新しい諸情勢がございまして、対象地域の産業の実態というのは、極めて厳しい状況にあるというふうに私どもは考えているわけでございます。
 同和問題の一日も早い解決という観点からは、対象地域の産業振興は極めて重要な問題でございますので、今後とも積極的にこれに取り組んでいくという考えでおるわけでございます。
#38
○吉田達男君 どのように中小企業を指導されるかという観点に立ってでありますが、所管でございますから、特に未指定の地区が約一千件と言われておりますが、そこのところの実態をどのように掌握していらっしゃるか、あわせて中小企業の対策というものは具体的にどう展開しようという施策なのか、お尋ねをいたします。
#39
○政府委員(西川禎一君) 未指定地区というお話が出たわけでございます。現在の地対財特法は、特別対策から一般対策への円滑な移行を図るための時限的な措置として行われているという趣旨から、旧地対法によって残されました事業を円滑にするための財政上の特別措置を定めた法律でございます。したがいまして、事業が実施できます地域は、旧地対法の失効までの間に事業が実施された地域を対象としているわけでございまして、この点につきましてはそういう実情になっているということで、御承知のとおりだと思います。
 さて、それに属さない地域についてどうなっているのかという御質問になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、産業振興の観点から、中小企業施策、これは非常に幅の広いものでございまして、経営の合理化、設備の近代化、技術の向上、需要開拓などいろいろな諸ツールを用意させていただいているわけでございます。したがいまして、そういう末指定地区の産業振興に関しましては、これらの一般施策を最大限活用して適切に対応していくという立場でこれまで問題に取り組んできたわけでございます。個別の案件がございましたら、これにつきましていろいろと工夫をいたしまして対応してまいりたいというふうに考えております。
#40
○吉田達男君 中小企業の指導では、特にソフト
面が重点的に考えられなきゃならぬじゃないかと言われておりますね。それはハードな面でできたにしても、人を得なければできない、あるいは経営指導あるいは記帳指導等々については人間的な関係がなければ指導というものはうまくいきません。そこの体制が不十分なのではないかということであります。この点についてはまた格別に御検討をいただきたいと思っております。
 時間もありませんから、そういうことを含めてひとつ大臣に所信というか、もう一度お伺いいたしたいんです。
 先ほどから、担当者は一般法に移行するかのごときニュアンスの答弁をされようとしております。確かに地対財特法は時限立法であります。来年になれば期限が切れるという手続になっておる。しかし、事の本質は何か。差別が残るか差別が解消されるかということが、期限が来た来ないということの本質の見通しでなければならぬと私は思うんです。
 大臣は、この地対財特法の施行の中において、なおかつ手続的には残事業と言うけれども、未指定のものもあり、なお残事業の中でも残るものもありとするならば、そのようなものを含めて地対協で協議し、その協議の中でどのようにしたら差別がなくなるかという、広い、深い知恵を議論しておられる。そのことは、担当官がしゃくし定規に一般法に移行することを一つの前提のようにおっしゃっておられますが、むしろ差別がなくなるまで本当の意味の期限は来ない。手続的には来ますけれども、来ないんだと。したがって、そのような会議の中におけるいろいろな知恵、現状での主張、御意見、これらは必ずしも打ち切っておしまいではない、存続もいい、基本的な特別法がいいというのもある。また、一般法に移行しろというのも確かにある。しかし、それらについては、地対協における真摯な御議論の中での十分な反映を受けて、それのもとに次なる判断をすべきであると思いますが、大臣のそこの御見解を聞かせていただきたいと思います。
#41
○国務大臣(中尾栄一君) 最終の特別法でございます現行の地対財特法が失効する平成四年四月以降の方策につきましては、地対協において一般対策への円滑な移行について審議されておりますから、その意見も踏まえて検討してまいる所存でございます。
 同時に、いずれにしましても通産省としましては、同和問題の一日も早い解決のために、何はともあれ、対象地域の産業振興に積極的にあるいは果敢に取り組んでいくということだけはお約束できると思うのでございます。
#42
○吉田達男君 もう一遍。政府の方針は知らぬわけじゃない。各政党の方針も私は承知をしておる。
 この一年間のうちに全力を挙げて、本当に差別がない社会をつくろうということをみんながやっておる。しかし、残念ながら差別が残るであろうということは御答弁の中にも出ておる。特別法でできなんだことが一般法に移行すればできるという保証も私は極めて疑わしいと思う。しかし、私の考えを一方的に大臣に押しつけようということもいかぬと思う。ただ、それについて各界から出てせっかく地対協で審議をしていらっしゃるのに、大臣は、あえて私の問いに対して、繰り返して政府が立てた方針を表に主張することをもって押し通そうとなされる。これは私は謙虚な姿ではないと思う。
 本当の差別に痛められた、踏まれた足の痛みを覚える者が言う声を本当に真摯に聞いて、各界から出る声をこそ、どうしたら差別がなくなるかということの最大の知恵にしなきゃならぬということに立つならば、あえて大臣がおっしゃった政府の方針というものについては、もっと柔軟な考えが私は大臣であれば出るんだろう、中尾大臣であれば出るだろう、こう期待をして問うたのでありまして、いま一度柔軟な取り組みの中での前進を期待して、御答弁をお願いしたい。
#43
○国務大臣(中尾栄一君) 基本的な委員のお考え方、あるいはまたそこの深く根差しておるコンセプトは、よく理解できるのでございます。したがいまして、そのような方向にできる限り大きく包含をしながら、これは私どもの全体の問題でもございますし、すぐに一朝にしてできるわけではないかもしれませんが、歩一歩と前進するような方向で、この差別をなくしていくという方向は考えていくことにやぶさかでない。また同時に、その方向に進展させていくことに全力を投球したいと、このように考えておるわけでございます。
#44
○庄司中君 私は、まず委嘱審査としまして、二つの点をお伺いしたいというふうに思います。
 第一点は、通産大臣でございますけれども、ウルグアイ・ラウンドの問題でございます。
 御承知のように、四年かかりましたウルグアイ・ラウンドは、昨年の十二月でECとアメリカの農業問題の対立を軸にしまして終了することができませんでした。そして、アメリカ議会のファーストトラックが五月末までに適用されますと、それ以降もう後ろを向くことのできない恐らく交渉が待ち構えているだろうというふうに思います。ただ、この交渉は御存じのように十五項目の交渉項目を持っておりまして、きょう実は議題になっております知的所有権の問題あるいはサービス貿易の問題、もうかなり重要な問題が十五項目の中にはあるわけであります。
 ただ、私が心配いたしますのは、先ほども議論にありましたように、湾岸戦争が終わりまして、アメリカでは一種のやっぱり精神的な高揚があるというのがございます。そうしますと、かなり厳しい交渉態度を持ってアメリカが出てくるだろう。そうしますと、我が国もかなり腹を決めてこれにかかっていかなきゃならないだろう、こんなふうに感じられます。
 まず冒頭、この点につきまして大臣から、ウルグアイ・ラウンドの再開につきましての決意なり態度なりをお聞きかせいただきたいというふうに思います。
#45
○国務大臣(中尾栄一君) ウルグアイ・ラウンド交渉というのは、既に四年以上超えていったということになりましょうか、鋭意交渉を進めてきておる次第でございますが、各交渉項目にわたりましては、相互の交渉ポジションというものはおおむね明らかになっているわけでございます。しかしながら、今後の問題として残されておりますのは、各国にとりまして重要かつ厳しい課題のみ残っておりまして、その意味でラウンドの最終合意に向けて厳しい対応が求められていると予想されておる点は、委員と全く意を同一にするものでございます。
 こうした中で、我が国としましては、むしろ交渉の早期の成功裏の終結に向けまして、国際的なむしろイニシアチブをとっていく、発揮していくということによりまして、国際貢献の実そのものを上げていくことが一番肝心かなめなポイントではないか、このように認識する次第でございます。
#46
○庄司中君 問題は、やっぱり交渉態度といいますか、交渉をどういう形でやっていくかという問題だろうというふうに思います。
 例えば、ガットの交渉の経過を見てみますと、六〇年代はケネディ・ラウンドまで大体関税ですよね。それから、七〇年代になりまして東京ラウンドになりまして、貿易障壁の問題とかあるいは基準・認証の問題であるとか政府調達の問題であるというふうに範囲が広がってまいりましたよね。そして、八〇年代といいますが今行っておりますウルグアイ・ラウンドということになりますと、先ほども申し上げましたけれども、新しい交渉分野とかいろんな範囲に広がってまいりました。つまり、貿易に関する国際ルールをハード、ソフト両面にわたってつくっていくというふうになっていったわけであります。
 この交渉を外から見ていますと、私がけげんに思いますのは、ある特定の問題を象徴的な課題にしまして、例えば農業問題がございますね、農業問題を象徴的な課題にして、これが解決しなければあとはやらないとかあとはお蔵よと。こういう態度が果たして許されるだろうかという問題があ
ります。
 例えば、御承知のとおりウルグアイ・ラウンドの終結の問題で一番心配しているのは、恐らく中進国、発展途上国の中でも先へ進んでいる国だろうというふうに思います。我が国にとりましてもやっぱり貿易は決定的な問題でございます。資源がないという点からいきますと最重要の課題だろうというふうに思います。
 そういう点で、ある国がやっておりますように、ある特定の国がやっておりますように、特定の分野を象徴的な課題にしてほかの課題をなおざりにするといいますか、そういう交渉態度について問題があるんじゃないだろうか。今度の問題だけじゃありません。これからのすべての問題についてそういう問題が出てくるだろうと思いますけれども、この点につきまして大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#47
○国務大臣(中尾栄一君) くしくも私も同じような見解をずっと申し続けたころもございますし、また今もって全部その考え方が変わっているというわけではございませんが、例えば関税問題の時期が非常に象徴的に言われた場合もございます。貿易問題のインバランスそのものが大きくクローズアップして、それをもう片づけずんば日米交渉は成り立たないというところまでございました。
 目下、ウルグアイ・ラウンドの問題等幾つか多岐にわたりますけれども、先ほどおっしゃいましたような特定の分野において、特定に大きくつながれておる部分もないわけではございません。まさにそれは、シンボリックイシューというんでしょうか、それがシンボリックイシュー、典型的な象徴的なイシューというよりは、むしろパーセプションイシューといいますか、思い込んでしまっておるというような面もないとは思えません。しかし、最終、この間の閣僚会合として予定されておりました昨年十二月のブラッセル会合では、農業交渉をめぐる問題点が主要国間の対立の直接的な原因として牽引車になってしまったということは事実でございまして、全体パッケージにつきましての政治的合意が達成されずに交渉を終結することができなかったことは、これはもう御案内のとおりでございます。したがいまして、ラウンドの終結にとりまして、農業交渉における適切な合意が不可欠な要素になってしまっておるなということは、私も、あらゆる情報、また同時にあらゆる方々にお会いいたしましても、一つのシンボリックイシューを通り越して思い込みイシューになってしまったなという感じさえもするわけでございます。
 しかしながら、ウルグアイ・ラウンドは農業交渉のみではございません。知的所有権、投資、サービス、関税等々経済活動全般にわたる幅広いかつ重要な交渉を総合的に扱ったものでございまして、我が国といたしましては、これらのすべての交渉項目について積極的に取り組んでいるところでございます。すなわち、例えば鉱工業品の関税相互撤廃に関しましても、米国が九百品目の提案を行っているのに対しまして、我が国は三千二百品目の提案を行っている次第でございます。
 また、国内制度の改革につきましては、法改正にもフレキシビリティーを持って臨みまして、参加各国の模範になるように努めているところでございます。むしろイニシアチブをとりながらやっておるという点でございます。
 今後とも、各交渉項目に関しましては、国際的にイニシアチブをまさに発揮できるように努力してまいりたい、こう考えておることは変わりはございません。
#48
○庄司中君 大臣から、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、早期に終わるように日本としてもリーダーシップをとっていきたいというふうなお話がございました。まさにそのとおりだろうというふうに思います。
 ただ、交渉のやり方とか枠組みとかということを考えますと、かつてのように日本がまだ経済的に非常に小さいときは別にしまして、例えばアメリカのGNPが五兆ドルであれば日本は三兆ドルだったんですね。EC全体でも五兆ドルだというふうに言われております。そういう意味では、我が国の経済力というのは非常に大きくなってきているわけですね。
 そういう状態を考えてみますと、いつまで二国間協議でやっていっていいのかなと。つまり、二国間協議でやっていきますと、御存じのように我が国にしましても、ある意味では経済的な自信がございますから、経済的な自信と偏狭なナショナリズムが結びつく可能性というものが非常に強いですね。もうその傾向はかなり出てきているだろうというふうに思います。そういうふうになりますと、国際協調がなかなかできなくなっていく。我が国にとっての長期的な国益に反する、こういうふうになるだろうというふうに思います。
 こういう状態の中で、私たちが交渉の枠組みとして選択すべきといいますか、持っていかなければならないのは、二国間協議ではなくてむしろ多国間協議だろうというふうに思いますね。例えばウルグアイ・ラウンド、これから申し上げますように、知的所有権の調和条約の問題とか、そういうふうに多国間協議の場所の中で、その合意の形成に向かって、大臣がさっき言われましたようにリーダーシップをとる、合意の形成にリーダーシップをとるということであります。そっちの方向に向かっていかなきゃいけない。当然二国間協議というのは必要です。しかし、この協議というのは補完的な役割を担うというふうにしていくべきだろうというふうに思います。
 あくまでも我が国は多国間協議でいく、合意のためのリーダーシップをとっていく。その行動そのものが日本の顔になっていくといいますか、湾岸戦争では大分日本には顔がないとか言われましたけれども、少なくとも経済問題について私たちはリーダーシップをとる、しっかりした方針を持っていく、そこに日本の一つの顔をつくっていく、それぐらいのやはり気持ちがなければいかんじゃないか。例えば、八〇年代後半から高まった我が国の経済大国化という背景の中で、私たちが選択すべき方向としてそこに日本の顔をつくっていきたい、そんなふうに私は考えておりますけれども、大臣の御感想をお聞かせいただきたい。
#49
○国務大臣(中尾栄一君) 私は、日米欧とございましょうか、例えば日米欧だけではございますまいけれども、多国間的な交渉を選ぶのか、あるいはバイラテラルの、言うなれば二国間交渉の形の方がいいのか、これは学者によっても説が分かれると思います。しかし、私は委員と全く同意見でございまして、マルチラテラルという多国間的な交渉で臨んだ方がバイラテラルで臨む日本の姿よりは賢明だ、日本のためには、私はそう思います。
 例えば、日米間だけの観点で物を申し上げさせていただきますならば、アメリカの議会はコーカスグループといいましょうか、非常に実益を重んじた、例えば鉄鋼業界なら鉄鋼業界、これはもうアイアンスチールのコーカスグループみたいなのが多少実在しておりまして、議員が本当に鉄鋼業界の代弁者としてそのままグループを組んで、鉄鋼業界のためにだけ発言をするわけでございます。ところが、日本の場合そのような構成になっているだろうかと考えると、衆議院も参議院も含めまして、鉄鋼業界のために体を張ってグループの族をつくって頑張るなんという議員はいないわけでございますね。
 そういう点で考えますと、議会を見ても政府を見ても、非常にある意味においては、アメリカの方がそういう点において一つのマターに対してパーセプションイシューになって、それをバイラテラルで日米間でやったという場合には、日本の方が不利な形勢の場合が多いんじゃないかという考え方は、私の昔からのこれはもともとの、通産省に入ってからではございませんで、前から考え方に立っておったわけでございます。
 そういう意味におきましては、一般的には二国間協議では結果が双方の事情に左右されるという傾向が見られますけれども、多国間協議においてはむしろ国際的ルールにのっとる傾向があると承知をつかまつっておるわけでございまして、一般論といたしましては、これは二国間の協議よりも
多国間の協議に積極的に参加して、そして委員が御指摘のとおりに、むしろ我々自体がリーダーシップをあらゆる形でとっていくという形において、もし譲り得るものならば譲ることは結構、言うべきことは言うけれども、その中において譲る場合においても、それを多国間で協議をしながらイニシアチブをとっていくという中に国際的貢献度というものの豊かさも実りも生まれてくるのではないかと私は考えておる次第でございます。
#50
○庄司中君 ありがとうございました。
 次の問題に移りたいと思いますけれども、これは特許庁長官にお願いをしたいと思いますけれども、アメリカが特許のハーモ条約というのを八五年からやっていますね。
 ところが、ここで大きなポイントになっておりますのは、私が承知しておりますのは、アメリカの先発明主義を、アメリカが世界の大勢であります先願主義に変えていくというふうな話が実は一部の報道機関でずっと出ていたと思います。ところが、この報道によりますと、いや、もう先願主義に変わらないと、今までアメリカはそう言ってきたけれども、いろいろな事情があって現在の先発明王義をとっていくんだ、これを正式に提案した、こういうふうな報道がございますけれども、この提案したのが事実かどうか。
 もしそうであるとすると、その影響というのは、恐らく条約をつくる上で大変な障害になっていくんじゃないだろうかというふうに思いますし、あるいはそれに対して我が国はどういう態度でいくのかということをお聞かせいただきたいと思います。
#51
○政府委員(植松敏君) 御指摘のとおり、一九八五年以来、WIPOにおきまして特許のハーモ条約の締結のための交渉が行われてきております。これまでのところは専門家レベルでの会合が重ねられておりまして、特許制度につきましては、特に特許を受ける権利については、国際的に見ますと、今御指摘のとおり米国と一部の国だけが先発明王義をとり、日本、ヨーロッパ諸国は先願主義をとっておりまして、専門家レベルでの会合では、先願主義に統一しようという立場が大勢を占めてまいりました。
 しかるところ、本年六月にはいよいよ最後のハーモ条約案の採択を行うための外交会議が予定されておりまして、米国は今日におきましても、なお国内では先願主義への移行ということについてはなかなかコンセンサスができないという事情がございまして、この六月のハーモ条約に先願主義で採択をし、そして直ちに加盟ということになりますと、なかなか国内で、議会での承認が得られないというような状況があるようでございまして、つい最近になりまして、ハーモ条約案について先発明主義と先願主義とをオプションで選択できるようにする案にならないかということを事務局を通じて各国にも提示してまいりました。
 御承知のとおり、WIPOにおけるハーモ条約の締結交渉におきましては、米国は知的所有権の保護という見地から、極めて積極的な姿勢でいろいろと案を出してきておるという状況がございまして、その米国が本件、大勢を占めておりました先発明主義から先願主義への移行について、若干弱気な姿勢を示してきたということにつきましては、ほかの各国もいろいろそれぞれ各国の事情がございまして、なかなか大きなハーモナイゼーションというのが難しいという中での交渉でございますから、この影響は確かに軽視できない面があるのではないかというふうに憂えております。
 しかし、いずれにいたしましても我が国といたしましては、経済の国際化にふさわしい条約案がまとめられることが、やはり長期的に見ますと、経済のグローバル化する中での知的所有権、特にその代表的な特許制度につきまして、より幅広いハーモナイゼーションが行われることが望ましいというふうに思いますので、やはりこの先願主義への移行も含めまして、積極的にこれからの国際会議における主張をしてまいりたいと思っております。
#52
○庄司中君 そのアメリカの提案の中で、いろいろな国内事情があるという御答弁でございましたけれども、その国内事情の中に、例えば報道でもちょっと触れておりますけれども、先発明主義の方がアメリカにとってはいいという。といいますのは、私が考えますのは、例えば今猛烈にやはり特許の出願に日本企業が一生懸命になっておりまして、最近の特許の、アメリカの特許の場合もそうでありますけれども、日本の企業が猛烈にやはり出願をしている。
 そうしますと、その出願が先願主義になりますと、もっと多くなってしまうということがアメリカ側にはないだろうか。つまり、爆発的に日本の企業が特許の出願をするというふうな背景の中に、アメリカ側がそれに対して身構えていると、こういうふうなことはないのか。そういうことがアメリカが今度出した提案の背景にうかがえないかどうか、お答えいただきたいと思います。
#53
○政府委員(植松敏君) 今回の米国のオプション提案の背景というものは、なかなか確たるところがつかめない面もございますが、米国におきましては御案内のとおり先発明主義が非常に長い間根づいておりまして、これは主として二つの理由から米国では非常に捨てがたいという世論があるということでございます。
 一つは、やはり理念的に申しますと、発明というものは最初にした者が特許庁への出願がおくれても、それは発明に対する特許が与えられるべきである。筋論としてはそういう理念的な面がある。この辺は、中小発明家ですとか個人の発明家とかの保護という面からいうと、そういう手続面でおくれるということの幾つかの例から、やはりそういったものは保護されてしかるべきであるというような議論が過去にあったということ。
 それから、何よりも米国は日本と違いまして弁護士の制度が非常に発達しておりまして、先発明主義であれば、たとえ特許庁が登録で審査で間違いましても、後でその発明の先後が裁判で争える。そういうことによって、まさに先発明主義の理念が実現できるという点が弁理士、弁護士の立場からも、その他のいろいろな実益というようなものも商売上の実益というのがあるのかもしれませんですが、大変根づいておりまして、弁護士に大変強い反対があるというのが事実でございます。この辺が恐らくなかなか国内で世論形成ができない理由ではなかろうかと思います。
 ただ、先生の御指摘の点も私どもとしてうがった見方といいますか、若干邪推も含めて考えれば、現在の米国の先発明主義というのは、もう一つ米国の特許法におきまして百四条という規定がございまして、国内の企業には先発明主義、外国からの出願に対しては先願主義という運用をいたしておりまして、この点から言いますと内外差別であるという点で、私ども国際会議でもその点を批判し、先願主義への移行を主張しているわけでございます。
 そういう点から考えれば、反射的に米国企業は先発明主義を実施した方が少なくとも外国の企業との間では有利であるという面も見逃せない面であろうかと思います。ただ、最後につけ加えて申させていただきますと、私ども承知しているところでは、米国の企業は全般的に言いますと、必ずしも先発明主義維持派ではないというふうに承知いたしております。
#54
○庄司中君 以上で委嘱審査を終わりまして、これから商標改正案の質問に移っていきたいというふうに思います。
 商標の問題を少し調べていきますと、実は私やっぱり一番先にくるのが一種の当惑でございまして、当惑といいますのは、なぜサービスマークの制度の導入がここまでおくれたんだろうかという感じを実は持つわけであります。
 例えば、この前お伺いしましたら、サービスマークを導入している国は八十八カ国に及ぶということでございますね、現在。そうしますと、これはもうサービス産業といいますのは経済の成熟化がどうしても必要でありますから、発展途上国をかなり含んでいるという感じがいたしますね。例えば、サービスマーク制度を導入しているアジア
だけを限定しまして、どんな国がこの八十八カ国に入っているか、ちょっと読み上げていただきたいと思います。
#55
○政府委員(植松敏君) お答え申し上げます。
 アジア・太平洋地域で申しますと、オーストラリアを初めバーレーン、北朝鮮、イラン、イスラエル、モンゴル、ナウル、ネパール、ニュージーランド、フィリピン、カタール、韓国等々、ベトナムもその中に含まれております。
#56
○庄司中君 ありがとうございました。
 そうしますと、サービス産業はそれほど発達していない、いわば途上国自身が既にサービスマークの制度を導入しているということになるわけでありますけれども、私がちょっと調べてみますと、例えばアメリカでサービスマークの制度を導入しましたのが一九四六年でございますね。四六年といいますと、九一年でございますから四十五年前ということになりますね。それから、フランスをとってみますと、一九六五年ということになりまして、これも大変なものですね、二十五年前にもう既に導入している。
 我が国はどうかといいますと、実は必ずしも取り組みが遅かったわけじゃないんでありまして、昭和二十九年ですね、これは工業所有権制度改正審議会というのがありまして、この商標部会が中間答申をしております。この問題についてはまた後で触れたいというふうに思います。
 ずうっと昔から問題意識は持っているわけですね。持っていてなぜここまでおくれたのか。例えば、国会の審議をとってみましても、一九七五年、衆参両院でサービスマークについて速やかに検討すべきだという附帯決議がなされているわけでありまして、どれをとりましても、言葉が悪いですけれども、茫然とするぐらい遅いという感じが実はいたします。なぜこんなに我が国がおくれていたんだろう、そしておくれている事実について今どんなふうにお考えなのか。いわば、この問題はおくれという問題だけじゃなくて、こういう問題についての我が国の今後の取り組みに関係をしていくと思いますので、御見解あるいは評価なりをお伺いしたいと思います。
#57
○政府委員(植松敏君) 御指摘のとおりでございまして、ちょうど私ども特許庁におきましても昭和二十九年商標部会の答申がございます。この昭和二十九年の商標部会と申しますのは、昭和三十四年に商標法の抜本改正がございましたが、その抜本改正に向けまして、工業所有権制度改正審議会におきまして昭和二十五年以来幾つかの部会をつくりまして検討してまいりましたが、その一つの部会が商標部会でございます。
 この商標部会でサービスマークにつきましては、世論調査の上、採否を決定すべきという結論が出されました。それを受けまして、世論調査をいたしましたところ回答率が著しく低いということがございまして、まだ世論が十分にこのサービスマークの登録制についてのニーズが高まっておらないというような判断がございまして、昭和三十一年の本審議会の方の答申におきましては時期尚早ということで見送られた経緯がまずございます。
 その後、今御指摘の第七十五国会、これは昭和五十年でございますが、商標法の今度は使用主義的な面を入れるという規定の改正を行いましたけれども、この時点で附帯決議をそれぞれ衆参両院からなされたわけでございます。このときにもなお調査をいたしたわけでございます。このときは、アンケート調査等の回答率もかなり高くなったわけでございますが、必ずしも賛成が圧倒的に多いということではございませんで、賛否ほぼ半ばするというような状況でございました。
 また、特許庁側の事情としては、ちょうどこのころ商標の登録出願件数が非常に多うございまして、出願から登録、審査終了まで四年を上回るというような状況がございまして、処理体制の面からもかなり難しい面があるということ等で、内部ではいろいろと勉強し、検討してまいったんでございますが、今日に至ってしまったということでございます。
 残念なことに、その後日本の経済も大変なサービス化が進み、また経済の国際化が進み、マスメディアの発達、通信あるいは交通手段の発達とともに、サービス業も従来ローカル的な色彩が非常に強いと言われておったわけでございますが、むしろ全国的な展開をするサービス産業が多くなり、さらに競争が激しくなるという状況のもとで、私どもとしても今から申しますと、サービスマークの登録制はもっと早く導入できていたらというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、結果としてスイスと並んで先進国の中でもびりから一、二位を争うというような状況になったということについては、私自身も大変遺憾に思っておるわけでございますが、これからは、もしこの法案を成立させていただいた後は、できるだけ準備を急ぎまして一日も早く登録制に移行できるように努力を重ねてまいりたいと思っております。
#58
○庄司中君 率直に遺憾の意を表明されまして、それがこれからの商標の運営についての決意だというふうに受けとめさせていただきまして、次に移りたいというふうに思います。
 具体的な問題の一つは、二年前にニース協定の加入について外務委員会で承認について審議をいたしました。私もその議事録を読んだわけでありますけれども、ちょうど二年前にニース協定に加盟をされまして、そして今度商標の中にサービスマークを導入していくという、そして二年前に加入された以降は、ニース協定の国際分類をその副次的体系、そういう表現を使っております。例えば、日本の分類でやって、あるいは公文書であるとか交換する文書については国際分類の番号を入れていく。それから、実際に出願なんかは日本分類でやっていくことだろうと思いますけれども、副次的体系ということでこのニース協定の国際分類を入れていったわけでありますけれども、そのとき、二年前の政府の答弁は、その主たる体系への移行について三、四年後というふうに答弁されていますね。
 ことしが二年ですから、来年になるともう三年になるわけでありまして、そして恐らく今度のサービスマークの施行も今じゃなくて来年あたりになると思いますけれども、そうすると時間が合いますね。そうしますと、ニース協定の国際分類の主たる体系への移行とサービスマークの制度化の施行と時期が合うように思いますけれども、やるんなら思い切って主たる体系へ移行しちゃった方がいいだろうというふうに私は率直に思いますけれども、この制度の施行と主たる体系への移行の関連につきましてお伺いしたいと思います。
#59
○政府委員(大塚和彦君) ただいま庄司委員御指摘の国際分類の主たる体系への移行の問題でございますが、私どもは現在、ただいま先生が若干お触れになりましたように、このサービスマークの登録制度を導入するのと合わせて主たる体系に移行できればというふうに考えております。
 しかし、同時にこの国際分類の主たる体系への移行につきましては、これまで大変商標法というのは古い法律でございまして、百何年の歴史を持っておりまして、日本の独自の商品の分類に基づきましていろいろな事務の進め方がすべて組み立てられておりますので、したがって、これを主たる体系に移行せしめるためのいろいろな準備、そのあたりについて私どもは今十分な配慮のもとに行おうと思っております。
 そういった準備の状況などを踏まえながら、今後さらにその移行の時期についても検討していきたい、かように考えております。
#60
○庄司中君 基本的な考え方は同時に行きたいと、しかし体制があるからもう少しやってみて判断をしていきたい、簡単に言いますとそういうことでよろしいですかね。
 それでは、次の問題に行きますけれども、このニース協定の問題ですけれども、どっちみちやっぱり国際分類に移行する、主たる体系に移行しなきゃなりませんね。しかも、今おっしゃったように、できればサービスマークの実施とそれからこの主たる体系への移行を同時にやっていきたいと
いうことになりますと、この法律にはっきり書いた方がいいんじゃないかという感じを私はやっぱり持ちます。
 といいますのは、例えば特許法の第四十三条でしょうか、「パリ条約」という言葉がありますね。パリ条約の規定というふうにあります。そして、私はさっきも大臣にちょっと言いましたけれども、国際関係をかなり重視していく必要がある、すべての行政の分野で。そういう意味では、何といいますか、パリ条約によってという文章が特許法にあるわけでありますから、この商標にもニース協定によりというやつを入れたらどうだろうかというふうに思います。
 例えば、いろいろ問題がありますけれども、政令に何といいますか委託をする場合に、法律との関係をきちんとしていかなきゃいけない。記憶に新しいのは、この前の自衛隊法の百条の五でございまして、そういうことがありますから、それから国際関係もありますから、できればニース協定によりとか何か入れた方がよかったんじゃないだろうか、そんな感じを持ちますけれども、その辺のお考えはいかがですか。
#61
○政府委員(大塚和彦君) ただいま先生の御指摘の点につきましては、ニース協定への加盟の御審議をいただきました外務委員会でもいろいろ審議が行われているように記憶しております。もうこれも庄司委員御承知と思いますが、ニース協定と言っておりますのは、国際分類で付されます商品の分類等につきましては、一定の公の文書に記載するということが義務づけられております。それ以上その分類をいかに使うかというのは、各国の全く国内法にゆだねられているわけでございます。私どもが現在進めております作業と申しますのは、これまで私どもが持っております日本式の分類、これはやはりその日本の産業の実態とか社会の実態に根差した非常に合理的な面を持っております。
 そこで、ニース分類のよいところと、それから私どもの分類におけるその商品の上げ方のよいところを合わせまして、そして出願等に使います商品の分類というのを政令の別表とか省令の別表で決めていきたい、こういう形になっておるわけでございます。したがって、このニース協定のことと、それから私どもが政令別表や省令別表でもって出願等の場合の商品の区分を決めるというのは、これはぴったり同じことではないわけでございまして、あくまでも私どもの商標法の体系の中で消化してそれを使っていくというものと心得ております。
 したがって、この国内法、現在商標法の中に第六条等がございますけれども、こういったこと、そして政省令の手当てということで十分私どもは対応できる、こう考えておる次第でございます。
#62
○庄司中君 今度の法律の改正といいますのは、つまり商品を対象にしていました商標ですね、今。それに今度はサービスを対象にしていく。サービスを対象にしていくという規定と、あとは経過措置しかない法律改正でございますので、その点について申し上げたいというふうに思います。
 例えば、この法律を読みまして一番最初に感じるのは、やっぱりサービスを役務というふうに表現していることですね。役務ということでサービスを連想する人がどのくらいいるでしょうか、率直に言って。
 私も心配になりましたから辞典を引いてみた、辞書を引いてみたわけですね。そうしますと、例えば広辞苑によりますと、役務というのは「労働などによるつとめ」でございます。非常に簡単でございますから、今度は小学館の国語大辞典を引いてみましたら、これはもう少し詳しく書いてありまして、こんなふうに書いてございますね。一、「公事の労役のつとめ。」、これは全くひどいですね、「公事の労役のつとめ」でございます。二としまして、「他人のために行なう、種々の労働」というふうに書いてありますね。つまり、辞典はこういうふうに書いているわけでございます。私たちの常識もこれに近いだろうというふうに思いますね、率直に言いまして。
 しかも、サービスというのは経済用語として定立をしています。たとえば、日本の何といいますか、産業分類をとってみましてもやっぱりサービスでございます。経済用語としても決まっている、成立をしている。恐らく答弁は法律用語だからということをおっしゃるに違いないわけでありますけれども、法律のところを調べてみますと、法律の中にもあるんですね。裁判所の判例の中にサービスマークという言葉を使っているのはあるわけでありまして、何でこんなことをしたのか、確かにこれから審議されます独禁法のところでは役務になっているのは承知しております。
 新しい法律をつくるとか、そしてこれを二十一世紀に向かって維持し強化をしていくということになりますと、何ともはやこの役務というのは度しがたい古さといいますか、気が遠くなる。私たちの日常の生活の言葉の使い方とは違うという感じを持ちますけれども、どんな経過でこれを採用されたのかお聞かせいただきたいと思います。
#63
○政府委員(大塚和彦君) 庄司委員御指摘のとおりでございまして、私どもも実は辞典でいろいろ調べますと、ただいまおっしゃったとおりに書いてございます。確かに、サービスマークと今言っておりますものをどうして役務に関するというように言いかえないといけないのか、普通の常識的に言うとなかなか解せないものがあるということもわかるわけでございます。
 それで、先生がちょっと半分お答えになってしまったものですから、非常にやりにくいわけでございますが、やはり要は私どもが今考えておりますサービスマークを保護の対象とすることを考えておりますと、サービスを法令上いかに言いかえるか、法令上どう表現するかという法技術上の問題でございまして、しかもそれを、先ほど判例にお触れになりましたが、これまでの実定法の体系の中で不調和にならないようにうまく入れていくということだろうと思います。
 本来、法制局かと思いますので、私がお答えするのは果たしてどうかとも思いますけれども、結論的に申しますと、今回のサービスマークの保護の対象といたしますようないわばサービス、これは労務とか便益の提供と申しましょうか、その手のことにつきましては、今までの法律ではやはり役務という言い方がほとんど定着しているように見えるわけでございます。
 例えば、独占禁止法でございますとかあるいは外為法でございますとか、そういったところでやはり同じような意味でサービスという言葉を使っておるわけでございます。それに対して、若干実定法の中でサービスと使っているのがあるわけでございますが、それは皆サービス何々とか、何々サービスとかいう場合だけ使っておるんですね。中小企業事業団法では、サービス業の定義というものを決めております。あるいは老人保健法で福祉サービスでございますとか、保健サービスといったような場合には使っておるわけでございますが、今私どもが考えているようなサービスについて、ただサービスといったような事例というのはこれはまずないということで、法制局とのディスカッションの中でこういうことにおさまっていったわけでございます。
 ただ、御指摘の点というのは非常によく理解できるわけでございまして、私どもが今後この制度の周知を図っていくような場合に、理解を求めていくような場合に、解説書でございますとかパンフレット等々の中におきましては、これは意識してわかりやすいように絶えずサービスマークというような言葉を入れまして、そして理解が深まるように努めていきたい、かように考えるわけでございます。
#64
○庄司中君 もう役務という言葉はちょっと変えられそうもないですから、お願いをいたしますのは、これから出願人が直接の対象になるわけでありますから、例えば特許庁で解説をつくられるとか、あるいはガイドラインをつくるとか、そういう場合には必ずこの役務とは何であると、法律自身が立法趣旨に基づきましてその内容を敷衍していくといいますか、展開していくというふうにな
っておりますから、しようがないですから、その点はおっしゃったように解説であるとかガイドラインであるとか、周知徹底を図る上で、いわばサービスあるいはサービスマークの意義をやっぱりきちんとしていただきたいというふうに思います。
 それから、もう一つお伺いいたしますのは、「業として役務」という表現がございます。業としての役務というのも必ずしも明確じゃないわけでありまして、業といいますと商売、営業というふうに理解をされてしまいますけれども、サービスの分野をとってみますと、必ずしもやっぱり営業、商売だけじゃないわけでありまして、例えば公益法人が行ういろんな活動、提供するサービスも恐らくサービスになっていくでありましょう。あるいは非営利民間団体といいますか、そんなところが行うサービスもサービスであります。
 例えばアメリカなんかでは、八〇年代で一番成長したのはサードセクターと言いまして、宗教団体や何かがやる一種の何といいますか社会サービスですね。日本だって同じですよ、これから。例えば、企業市民という言葉が出てくるとか、地域社会への貢献というのが出てきますよね。これはもう商売としてじゃなくて、非営利活動というふうになってまいります。
 それで、お伺いしたいのは、やっぱり商品の場合は物ですからこれはもう非常にはっきりしておりますけれども、サービスの場合には、この業としてのサービスという場合の業というものをどの範囲で考えていくのかということはかなり重要だろうと思います。その辺お伺いしたいと思います。
#65
○政府委員(大塚和彦君) ただいまのお尋ねは、その業の中におっしゃったような非営利事業が含まれるかどうかという点だろうと考えますが、結論的に申し上げれば、そういった非営利事業も少なくとも経済上の収支計算と申しますか、そういったものに立つものである限りこれは当然対象に含まれると私どもは考えておるわけでございます。
 二点根拠を申しますと、一つはその業というものの意味でございますけれども、法令用語では、「同種の行為の反復的継続的遂行が、社会通念上、事業の遂行とみることができる程度のもの」だと、こういうことになっておりまして、これは何ら営利の目的云々とは問うていないわけでございます。非常に中立的な言葉でございます。
 ただ、こういった言葉の意味を離れまして、果たしてこの今回のサービスマークに関連した商標法の改正、そしてその適用において、こういった非営利事業を含んだ方がいいかどうかという適当であるかどうかの問題、こっちの方が重要だろうと思いますけれども、既に実は現行の商標法でも四条二項というのがございまして、その公益に関する非営利事業を行うものの出願というのはもう既に想定されておるわけでございます。この趣旨は、サービスマークにおける保護においても何ら変更すべき理由はございませんし、先生おっしゃったように、むしろ非常にサービスマークにおいて意味を持つものだと考えております。
 そういう意味で、先ほどの繰り返しになりますが、少なくとも経済上の収支計算に立って行われる事業である限り非営利の場合であっても対象に含まれると、私どもはこう考えておる次第でございます。
#66
○庄司中君 大分時間がなくなってきましたので、急ぎ足で進みたいというふうに思います。
 私は、やっぱりこういった知的所有権問題で一番大事なのは、それを処理する体制とか能力だろうというふうに思いますね。例えば、今まで国際摩擦にこの知的所有権が上がってきた場合に、何とか滞貨が非常に多いというふうなことで問題になってきましたね。非常に遅いというふうなことで問題になってきたわけでありますけれども、さっきもちょっと申し上げましたけれども、ニース協定の議論を二年前にしたときに、私もニース協定を見てみたわけですけれども、政府の方はいろんな約束をされていますね。
 例えば、ニース協定の国際分類の構成というところをとってみますと、類別表というものがございます。そして、注釈を含むというふうに書いてございます。それから、アルファベットの一覧表というふうに書いてございまして、ニース協定を読みますと、いわば注釈と類別表とアルファベットの一覧表というふうに、今はやりの言葉でいきますと三点セットということになっております。
 それから、国際会議は大体そうでありますけれども、フランス語と英語が正文であるということがございますよね。そして、そのとき政府はできるだけ早くこの準備をしていきたいというふうなことでございましたけれども、この点は既に翻訳なりなんなりをしまして完全に公表されているわけですか。
#67
○政府委員(大塚和彦君) この類別表につきましては、一番中心となるものでございまして、既に公表しております。立派な実は本にもなっております。それから、アルファベット順一覧表の掲載品目、これが非常に詳しく書いておるわけでございますが、これにつきましても一昨年の六月にその対訳表というものを既に公表し、そしてさらに、そこでの国際分類での掲載商品とそれから私どもの現行の商品区分との対照表というものもやはり一昨年の十二月に既に発表しておるということでございます。
#68
○庄司中君 私がやっぱり心配をしますのは、処理体制といいますかね、例えば先月の終わりにアメリカ通商代表部が九一年版の外国貿易障壁の報告というのを出しまして、相変わらず知的所有権のこれは役所の人手が足らなくておくれているのはけしからぬと書いてあるわけでありまして、そういうことはもう毎年毎年書かれるので、どうしてこれが解決できないんだろうか。まして、今度はサービスマークと、国際分類の主たる体系への移行を考えていらっしゃるということになりますと、新しい仕事がふえるわけですね。そして、前の滞貨も実はあるということになりますと、これはかなり大変じゃないだろうか。政府自身がやっぱり本格的にこの問題に取り組まないと恐らくだめだろうというふうに思います。
 そういう点では、急ぎで言いますけれども、例えば今度サービスマークが出願をされる、六カ月の特例期間がございますね、恐らく今までとまっていたやつがわっと出てくるだろうと思います。それを除きまして大体サービスマークは一年間にノーマルな状態でどのくらいになるのか、あるいは特例期間にわっと出てくるのをどのぐらいと予測しているのか、あるいは今の商品の登録表にどのくらいの滞貨があるのか、未処理件数があるのか。一面やっぱり大変な課題を抱えただろうというふうに思いますね。
 特許庁を見せていただきますと、検索システムといっても最後は人間が判断しなきゃならないわけですね。ですから、どうしてもやっぱり人をふやしていかなきゃいけないという問題にこれは重なるわけでありまして、時間がなくて具体的に申し上げるわけにはいきませんけれども、その処理体制をしっかりやっていただきたい。そして、今申し上げましたような具体的な数字について御説明いただきたい、こういうふうに思います。
#69
○政府委員(植松敏君) お尋ねの件でございますが、まずサービスマークの登録制を導入いたしますと、どのくらいの出願件数があるかという点につきましては、なかなかこれは正確な数字というのは予測しがたいわけでございますけれども、先ほど先生が最初の御質問で御指摘になりましたほかの国々、例えばイギリスですとかドイツですとか、そういった国々が導入したときに、商標に対してサービスマークとの兼ね合いでどのくらいサービスマークの出願が出てきたかというような、そういった実績などを考えながら相当大胆な試算をいたしてみますと、平年度ベースに直しまして日本の場合には三万から五万件程度年間出てくるのではないかというような試算がございます。それから、初年度は特に六カ月間の特例期間等もございますので、初年度は相当の数字が予想される。これはやはり同じようなケースで考えます
と、十万件から十二万件ぐらい初年度には出てくるかなというような試算がございます。
 それから、現在どのような状況になっておるかという滞貨でございますが、平成二年末で商標の未処理件数は約四十一万件になっております。年間の処理件数で申しますと、大体十六万件程度の処理をいたしておりますが、一方出願件数は十七万二千件程度というのが平成二年の実績でございます。
 いずれにいたしましても、サービスマークの登録制を導入いたしますと、現在の商標に上乗せになってサービスマークの登録出願が出てまいるわけで、また処理体制をどうするのかというのが関心事であるわけでございまして、私どもは、商標自身も非常にそれでなくても国際的に見ると処理が遅いという上に、さらにサービスマークが加わると大変なことになるのではないかと、私たち自身の問題として今中でいろいろと工夫検討を重ねておるところでございます。
 現在、既に先生も御承知のとおり、商標だけではなくて、特許、実用新案等につきましても同様の問題を抱えておりまして、特に特許、実用新案につきましては、米国との間で構造協議でも話題になったくらいでございまして、私どもとしては、一方では乱出願という批判もございますので、国内の企業に対して、特に出願件数の多い大企業に対して、出願の適正化、審査請求の厳正化ということを行政指導でお願いをしております。
 そういった出願の抑制を図りながら、一方では検索システムの機械化を中心といたしまして、できるだけ先行技術あるいは先行商標の問題でございますが、既に登録されておりますものあるいは出願されておりますものにつきましてのサーチをできるだけコンピューターを使いまして能率を上げるということで能率アップを図る。さらに、特許、実用新案については、既にペーパーレス計画がかなりのところまでまいっておりまして、関連する事務処理についても能率化を図るというようなことで、特許、実用新案の方では相当の成果を上げつつございます。
 現在、商標につきましても、既に商標の場合には文字、記号あるいは図形といったいろいろな商標があるわけでございますが、そのうち文字の商標につきましては、先行商標をサーチします場合に称呼検索という、要するに呼び方で類似性を判断するという、称呼の仕方で判断をするのが重要な検索システムになっております。これはかなりコンピューターにも向くということで、既に機械検索システムをつくりまして検索を実施し始めております。さらに、その機械検索化するためにまたデータベースをつくらなくちゃいけない、データベースにまた審査官の負担がかかるということではなかなか意味がありませんので、これについても関係機関に外注をするということで、民間活力の活用をするというようなことでかなり成果が上がっております。
 さらに、図形の商標につきましても、現在機械検索のシステムを開発中でございまして、これも実施するとまた能率が上がるということで最大限効率化を図りながら、しかし、それでもやはり先生御指摘のとおり、最後の判断は審査官が判断をしなければなりません。出願件数が増大するわけでございますので、それに必要な人員の確保というものはまたこれも努力をしていかなければならないということで、総合対策で何とか審査期間が長くならないよう指導して短縮できるようにということで精いっぱいの努力をしていきつつございますし、今後もさらに一層の努力をしてまいりたいと思っております。
#70
○庄司中君 ありがとうございました。
#71
○山口光一君 質問に先立ちまして、本委員会の唯一の先議案件でございます商標法につきまして質問の機会を与えられまして、ありがとうございます。名尾委員長初め各党の諸先生に感謝申し上げます。
 先ほどから、庄司先生の質問を拝聴いたしましていろいろ教えられることがありました。特に、役務の定義とサービスがなじむかどうかなんというのは、私も実はこの法律を見ましてそんな感じを持ちました。また、この法律が提案されるまでの経緯につきましても、まだこんなものが制度化されていなかったのかなと、正直申し上げまして不思議に思いました。
 商標制度を少し調べてみますと、明治以来大変な歴史を持っておりますし、内容も充実したものだと思います。にもかかわりませず、サービスマークについてまだ制度的に完備していない、遅きに失した感があるなと率直に思います。しかし、幸いにしてこのたび提案されましたので、一日も早く成立しましてその実施の運びになりますように私も強く期待をいたします。
 時間もありませんので、また今後の審議を通じていろいろ内容が明らかにされると思いますので、ごく具体的な問題について質問いたしたいと思います。この法律ができますといろんな経過措置がとられますですね。この経過措置は、従来のサービス取引秩序に混乱を生じることがないようにいろんな経過措置がとられていくようになっております。既に使用されているサービスマークについては重複登録を認めることもあり得るということになっておりますね。これは経済の実態を踏まえたという観点からすれば結構なことだと思います。
 そこで、その関係について二、三お伺いいたします。
 まず第一に、現在サービスマークにつきましては登録制度はありませんが、不正競争防止法によって訴訟が係属中のものもあります。例えば、少林寺拳法のように昭和四十九年以来現在に至るまで十五年間という長い間裁判の場で争われているということであります。このように現在争っている当事者の双方が出願してきた場合に、この双方が登録されることによって不合理が生ずることがないかどうか、どのような手続的な配慮がされているか、まずお伺いいたします。
 第二には、重複登録に際して、著名なサービスマークについていわゆるただ乗りといいますか、ただ乗りが公認されることのないようにどのような配慮がされているか。
 以上、二点お伺いします。
#72
○政府委員(大塚和彦君) ただいま山口委員が御指摘になりました少林寺拳法のことと申しますのは、非常にこれは有名な件でございまして、判例集などからもちょくちょくと引用されております。現在も何件かの訴訟が係属中だとも聞いております。ただ、私どものここでの立場といたしまして、余り個別の具体論に立ち入るというのはやはり控えた方がよろしいかと思いますので、先生おっしゃいましたように競合関係にあるマークの間の調整と申しますか、一般論で述べさせていただきます。
 そういたしますと、先ほどちょっとお触れになったかと思いますが、改正法の施行後の当初の六カ月間は特例期間といたしまして先後願を問わないという措置をとります。そういたしますと、同じようなマークが同じようなサービスの種類について出てくるわけです。これを抵触するという言い方をいたしますが、そういった抵触する複数のマークの出願というのが当然あると予想されます。その場合には、おっしゃったように重複登録でございますが、知名度で大変差があるような場合につきましては、やはり消費者の立場等から見ましてよく知られているものというのはそれなりに優先されるということでございましょうから、そういう場合には知られている方が優先するというようなやり方で不合理な感じの重複登録がないように、こういうふうに考えております。
 それから、手続的にとおっしゃいましたので、出願から進みましてさらに公告ということをいたします。審査官が審査をしてそろそろいいかなと、これでもういいのかなとなりますと公告をいたします。そのときにもし他人のサービスと混同を生ずるおそれのあるサービスマークの出願が公告された場合、拒絶理由なしとして公告するわけですが、その場合でございましても異議申し立て制度というのがございますので、その片方の問題
があると思った当事者はこの異議申し立てによって救われる可能性があるということもございます。
 それから、不正競争目的で使用されていたと思われるものにつきましては、特別に規定を設けて登録を阻止するというような制度も用意してございます。
 それからさらに、これは万一ということでございますけれども、もっと手続が進んで、もし他人のサービスと混同を生ずるおそれのあるサービスマークとか、あるいは不正競争の目的で使用されていたサービスマークが登録されてしまったというような場合もないわけではないことでございます。そういう場合には、無効審判制度ということで、その登録の無効というのを請求できます。
 それから、これは第四番目になりますが、重複して登録されるに至ったサービスマーク同士の間でも、一方が不正競争の目的で他方のサービスと混同を生ずる使用をしたと、その登録されたものがそういう余りよろしくない使用をしたときには取り消し審判というものを請求するということもできます。
 最後に、もう一点、その重複登録されたサービスマーク同士の間につきましては、実は改正法の附則の第十一条というのを設けまして、不正競争防止法よりも商標法の方が優先するという現在の不正競争防止法第六条の規定の適用を外しておりますので、そこで今回商標法改正がなされましても、これまで不正競争防止法でほぼ可能であった利益を害することなく、従前どおり訴訟が行われるように、こういった配慮もいたしまして、以上公平性、合理性といったようなことでかなり周到な配慮をしたというふうにいささかの自負を私どもは持っております。こういう次第でございます。
#73
○山口光一君 今いろんな御説明がありましたが、一遍にいろんなことを言われましたので、全部私頭に入りませんでしたので、後でメモでいただければ幸いだと思います。
 そこで、先ほど庄司委員もいろいろ国際的な観点から質問されていたようでございますが、これだけ経済が国際化している現在、サービスマークの登録制度につきましては国内のみならず外国からも強い要望がありました。特に米国からは、産業競争力強化の政策の一環として知的所有権の保護強化ということを打ち出しております。とりわけサービス産業については、もともと米国が強い分野でありますから、これまでも我が国に対していろんな機会にサービスマーク登録制度導入を求めてきたと思います。これまでの具体的な動きについてお伺いしたいと思います。
#74
○政府委員(植松敏君) 御指摘のとおりでございまして、米国は、特に一九八八年ごろから知的所有権の保護について世界的に保護レベルを上げるべきだという動きをいたしておりまして、我が国に対しましても幾つかの問題提起をしてきております。その一つは、サービスマークの登録制度が日本にないことに対する批判でございまして、これは具体的に申しますと、一九八八年の八月に日米貿易委員会知的所有権作業部会におきまして、サービスマークの登録が欠如していることが商標に関する関心事項として挙げられていました。
 またその後も、一九八九年になりましても、国務省のカントリーレポート、さらにUSTRの外国貿易障壁に関するレポートにおきましても同様のことが指摘をされております。この状況は一九九〇年になりましても同様でございまして、特に昨年十月の日米貿易委員会の場におきましては、サービスマークを保護する登録制度を遅くとも一九九二年までに導入するようにという具体的な要請もなされております。
 またつい最近、先ほども例が出たかと思いますが、本年の三月末にUSTRがやはり外国貿易の障壁に関するレポートを出されましたが、その中でも日本が依然としてサービスマークの登録制を持たないことを明記して、その動向に強い関心を示している状況でございます。
#75
○山口光一君 たくさんありますね。
 私が申すまでもなく、我が国は経済立国を国是として自由貿易を堅持している国です。したがいまして、知的所有権の問題は、今後ガット・ウルグアイ・ラウンドあるいは二国間協議の場において、さらに一層いろいろと激しい論争やまた協議が積み重ねられると思います。我が国としては、先ほど庄司さんも申しましたように、積極的に取り組んでいかなければなりません。
 今回のサービスマークの登録制度のように、我が国として改めるべき点は積極的に改めるべきは当然だとは思いますが、同時にまた、米国の制度あるいはECの諸制度においても不都合な点と申しますか、問題が生ずるようなことがあれば、それは我が国としてもきちっと是正を求めていくということが相互の理解、相互の協力を深め、高める道だと私は考えます。
 かねがね国際派として信頼厚い、また私の尊敬する中尾大臣の所信をお伺いいたしまして、質問を終わります。
 以上です。
#76
○国務大臣(中尾栄一君) まあ長い間同僚でございました山口委員からの御指摘でございますが、私では多少不足かもしれませんけれども、今の言葉にこたえましてお答えさせていただきたいと思います。
 私は、山口委員がおっしゃいましたように、歴史的に見ましても、日本の国はやっぱり主張すべきは主張する。そして、その主張は、例えば相手の国の伝統もあれば、あるいはまた相手の国の長い間の慣習もある。しかし、そういうものを隔てても、やはり国際的な視野に立った場合に理解を求めて、求めて求められないことはない、私はそのように確信するものでございますし、また相手方が日本の国を見た場合に、恐らく百年前にちょんまげを結っておったこの日本の国が、すぐに理解できる文化伝統の国だとは思っておりますまい。そういう点においては、話し合いの中においてやはりお互いに譲り合い、思いやり合い、そしてお互いの接点が深まるような感じがいたします。昨今それが一番大事なことではないか、ただいま山口委員がるる申されたとおりだと私も確信しているわけでございます。
 そこで、近時の経済のグローバリゼーションの進展というものに伴いまして、工業所有権制度というものに対しましても各国が極力その内容を調和させまして、そして保護のレベルを共通化する必要性が高まってきているのではないかと私は確信をいたします。そのためにWIPOという世界知的所有権機関、先ほどこう申されておられましたが、あるいはまたガットの場でもって工業所有権制度の国際的ルールづくりが進められてきているのではないか、このように思うわけでございます。
 我が国におきましても、このような制度の調和に向けまして、まずサービスマークに登録制度の導入をいたしましたり、あるいは積極的に改善に努めているところではございますが、米国におきましても、例えば米国内の出願のみに先発明主義を適用するといった内外差別の取り扱いが行われていることに対しましては、特許権の出願公開制度を採用していないということなど、これは国際的に改善が求められている問題がないわけではないわけでございまして、これらはやはり私ども日本の側としても、また他国とお互いにコーディネートしても言うべきことは言うべきだろうと、こう思うのでございます。これらにつきましては、御指摘のとおりWIPO等の場におきまして引き続きその是正を求めてまいるとともに、国際的なハーモナイゼーションの条約の採択に向けまして、さらなる努力を必要とするものであろう。
 それにいたしましても、先ほど庄司委員からも御指摘がありましたように、私も通産省に参りまして一番驚きましたのは、出願件数がもう物すごく数が多くなっておるのでございます。もっと人数が、相当な数を持っておりますから足りているんではないかとよその国に行って私も調べて実はみましたが、余りにも我が通産省の中における特許庁は、言うなればスタッフの数が少な過ぎると
思うほど少ないのでございます。これはもう、私も政治家の一翼を担う人間として通産を担当させていただきまして、これこそはやはりある意味においては増幅させるためには、少しく年末の予算計上のときには頑張らなければなるまいなと腹の中では考えたくらいのものでございまして、そのようなときにもまた再度諸先生方にもお願い申し上げたい、こう思っている次第でございます。
 以上でございます。
#77
○山口光一君 ありがとうございました。
#78
○広中和歌子君 湾岸地域は石油エネルギーの七〇%を依存する我が国にとって関係深い地域ですので、委嘱審査の質疑の冒頭に湾岸戦争後の緊急課題について質問させていただきます。
 湾岸戦争が多国籍軍の勝利のうちに一応の停戦を見たわけですけれども、新たに多くの問題が起こり緊急の対応を求められております。
 その一つは、イラクにおけるクルド系イラク人が難民化し、イランやトルコ国境に集まっている。特に北部イラク、トルコ国境には三十万人のクルド人が寒さと飢えで苦しんでいるという現状がございます。その数はいずれは百万に上ると言われておりますが、イラクによるクルド系住民の大量追放とも言われております。湾岸地域に多大な経済的かかわりを持ちながら、戦争中は人的貢献ができなかった日本ですが、戦後処理については人道上からもぜひ即刻対応していただきたく、通産大臣からぜひ閣議に緊急提案をお願いし、大至急検討していただきたいとお願い申し上げますけれども、御所見をお願いいたします。
#79
○国務大臣(中尾栄一君) ただいまの広中委員の言われましたこと、これはもう極めて大事な問題でございますから、十分にしんしゃくをいたしまして、さらに私なりに蓄積をさせていただいたものを閣議に対してまたぶつけるということにおいては、私もいささかもちゅうちょするものではございませんから、そのような方向で前向きに検討してみたい、こう考えておる次第でございます。
#80
○広中和歌子君 この週末、私アメリカに行ってまいりまして、日本はクルド族の対応について何をしてくれているのかと聞かれたこともありまして、この商工委員会を使って大臣にお願いしている次第でございます。
 第二の緊急課題は、クウェートにおける油井の消火でございます。約六百の油井がごうごうたる音を立てて火を噴き、黒煙が空を覆っている。非常に環境の視点からも、それからエネルギーとして石油のむだな消費ですよね、そういった観点からも、担当省庁である通産省としては油井の火事というのは他人事ではないだろうというふうに思いますけれども、大臣はどのような危機感を持たれて、どのような取り組みをなさろうとしていらっしゃいますか、お伺いいたします。
#81
○国務大臣(中尾栄一君) まず、先ほどのクルド族の問題でございますが、今回海部総理が行かれましたときにも、これは問題を提起されたやに承っております。同時に、私もそのようにまた本人からもお聞きいたしました。現実、人権問題からいきましても大変な大きな課題でございますし、同時にクルド族が民族主義的な発想でやっていても、あのような形でいじめられ続けていくということは、とても世界各国も許せる話ではないと思います。
 そういう意味で、今回の場合も海部総理を核にしました日本の代表団も一千万ドルというものの、これ私多少残念ではございましたが、これは後で発表しましたために、よその国よりも相当額は多かったんでございますが、これが余りにも世界的にキャンペーンされておりませんけれども、そのような方向で私どもも対応させていただいたということになりました。いずれにしましても、この問題はもう委員御指摘のとおり大変に大きな問題でございますから、日米首脳会談でも取り上げられたのでございましょう。そういう点におきましては、先ほど委員にもお約束しましたように、ころ合いを見ましてというよりも、緊急に私も閣議における課題としては取り上げる心算でございます。
 それから、油井の問題でございますが、油井の問題というのはこれは日本の技術で補えない面もあるようでございますね。これは私、こちらの専門家では全くございませんから、慎んだ発言をしたいのでございますけれども、かつてもそういう日本の国でも大きな油井の問題が起こったようでございます。昭和何年ごろかは忘れましたが、そのときにもアメリカに頼んで来ていただいて油井の鎮火にこれ努めた、こう承っております。それがいまだに、日本の国はその対応ができるのにはまだそこまでの技術が至っていないということを伺っております。
 我が国は、これまでに流出原油対策として原油回収のために、通産省を初め関係省庁及び民間専門家から成るオイルスキマー等の専門家を国際緊急援助隊として派遣はしたのでございます。また、海水淡水化プラント保護のためには、通産省及び民間専門家から成る専門家チームも派遣もいたしました。派遣するに際しましては、通産省の私の部屋にお集めいたしまして、そして皆さん方に激励をさらに鼓舞して専門家等を送り出したつもりでございます。我が国の技術を活用して、ともかく人的貢献を現在行っているわけでございます。
 しかしながら、油井火災そのものにつきましては、特殊な火災でございまして、先ほど申し上げましたように、その消火に関しましては米国等に数社の専門会社が存在するのみと聞いておるわけでございます。したがって、我が国におきましては油井火災を消火する技術はありませんで、こうした中で現在のところ、これに対して人的協力等を行うことは、まことに困難な状況にあるということを認めなければならぬわけでございます。
 我が国としましては、ペルシャ湾の原油流出対策等、我が国の有する技術を利用した貢献策は今後とも続けてやっていきたい、このように私も思っておる次第でございますし、またそのように実行していく心算でございます。
#82
○委員長(名尾良孝君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#83
○委員長(名尾良孝君) 速記を起こして。
#84
○広中和歌子君 流出原油その他での日本の貢献というものは大変評価しているところでございますけれども、問題はこの油井の火事なんですね。
 確かに、おっしゃるように日本には技術がない。私もいろいろ電話をかけたりして調べましたけれども、ないということでございますけれども、ないといってほっておいていいものかどうか。つまり、アメリカにおいてさえも数社しかその技術を持っていない。そして消すのに三年かかる。三年間黙って手をこまぬいているのか、この技術大国日本がそれでよろしいのか、原油をこれだけ買っている日本がそのままでいいのか、そういう問題意識を持って御質問させていただきたいんでございます。
 確かに、日本の国内では油田など余りございませんけれども、もし仮に日本の油田が燃えていたならば、技術がありませんからといって手をこまぬいていないはずでございます。そういうことで、今から一年後、二年後でもよろしいから、何か技術開発、取り組み、それから協力ですね、アメリカの例えばべクテル社とかいろいろあるようでございますけれども、そういうことをもうお始めになっていただきたいとお願いしたいわけなんでございますけれども、いかがでございましょうか。
#85
○政府委員(黒田直樹君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、消火という点に関しますと、我が国は油田が余りないものですから、ノーハウとか技術とかあるいは経験というもので大変劣るのは残念ながら認めざるを得ないわけでございます。先ほど大臣が申し上げましたように、昭和三十五年に新潟でガス井が噴出し、火災を起こしましたときも米国の専門家の訪日を要請したとか、こういうことでございます。
 今現在、クウェートの現状、私どもいろいろ情報収集しているわけでございますけれども、米国の企業の指導のもとに消火作業に当たっているも
のと承知しているわけでございます。そういう作業の中で、もちろん先ほど申し上げましたように、消火全般のノーハウ、技術、経験というのはないわけでございますけれども、いわば下請的と申しますか、そういうような感じでいろいろな各国の企業とコンタクトするというような動きもあるような情報も得ております。我が国の企業の中でも、一体どういうことができればいいのかというようなことも含めまして、クウェートの国営石油会社とコンタクトを始めているところもございます。
 ただ、そういうことでございまして、全般の技術というのは残念ながら間に合わないわけでございますけれども、そういう具体的なクウェート石油会社側の要請を踏まえながら、やはりできるだけの御協力を考えていく、こういうことが重要だというふうに思っております。
#86
○広中和歌子君 今日本に求められている貢献は、こちらからイニシアチブを発揮してやることではないかというふうに非常に感じるわけでございます。消火といいますと、担当するのは国内では、日本では消防庁でございますよね。消防庁の消防技術者がアメリカのあるいは現地のクウェートの人たちと協力して何かするといったような対策なんかは考えられないんでしょうか。
 いずれにいたしましても、もっと積極的に、例えばアメリカのサイエンス・アドバイザー・ツー・ザ・プレジデント、ドクター・アラン・ブロムリーという科学担当の大統領補佐官がいらっしゃるわけですけれども、例えばそういうような方に連絡をとり、あるいはKPCですか、クウェート石油公社の総裁、御連絡をとっていらっしゃると思いますけれども、日本がどのようなことでお手伝いできるかといったことで積極的に働きかけていただく。そして、そういう誠意を示していただくということが今非常に大切なんじゃないかと思うんでございますが、非常に差し出がましいとは思います。でも、例えば自治省管轄の消防庁がこういうことで国際的に活躍するということもあり得るんじゃないかと思うんでございますけれども、いかがでございましょうか。
#87
○政府委員(黒田直樹君) ただいま申し上げましたように、クウェート国営の石油会社、これは今先生御指摘のKPCでございまして、先般三月末にも私ども、向こうからそこの責任者が参りましたので、情報交換をいたしているところでございます。何ができるかは、先ほど申し上げましたように、全般的な技術という意味では残念ながら日本にないわけでございますが、今後とも必要なコンタクトをし、できることはやっていきたい、こういうふうに考えております。
#88
○広中和歌子君 体を張ってということで危険も伴うことでございますけれども、それが求められている中で、どうぞ真剣に閣議を通して政治的なリーダーシップを発揮して、できないことをできるように御努力いただきたいと重ねてお願い申し上げます。
 日本は、地球環境保全のための技術の開発移転を推進することは大臣の所信にも言われておりますけれども、クウェートにおける大気汚染の防止を初め、中国におけるCO2、NOx、SOxの対策、そして東欧に対する酸性雨対策など、いろいろすることがあると思うんでございますけれども、政府はどのような技術開発移転を進めていらっしゃいますか、お伺いいたします。
#89
○政府委員(岡松壯三郎君) 地球環境問題につきましては、先生御指摘のCO2、NOx、SOx等があるわけでございますが、その中で脱硫、脱硝技術あるいは省エネルギーの技術といいますのは、御高承のとおり我が国では大変進んでおるわけでございまして、これを途上国、御指摘のございました東欧、中国も含めてでございますが、これらの地域に移転をしていくというのは重要な課題だと思っておりまして、財団法人国際環境技術移転研究センターあるいは国際協力事業団等を通じましてこれらの技術の移転に努めておるところでございます。
#90
○広中和歌子君 その際、ODAの別枠というようなことは考えられますでしょうか。いわゆるODAにはいろいろな規制がございまして、例えば東欧への援助などはかなり規制されるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#91
○政府委員(畠山襄君) ODAにつきましては、確かにいろんな性格のものがございますけれども、むしろODAの中に環境特枠というのをつくっておりまして、そこで環境融資であるとしかるべき配慮を行うという運用をいたさせていただいております。
#92
○広中和歌子君 済みません。時間がないので急ぎます。
 熱帯雨林の保護への関心が非常に高まっているわけですけれども、日本は熱帯林の最大の輸入国です。世界の熱帯林の三〇%を輸入しており、丸太だけでは五〇%輸入している。他方、日本の国土は七〇%が森林に覆われております。しかしながら、安い輸入材に押されて林産業は落ち込み、林業地帯の過疎化が進んでいる。
 こういう状態があるわけですが、ここで考えられる、提案なんでございますけれども、丸太木材の輸入に課徴金をかける、輸入課徴金ですね。そういうことによって輸入を抑制し、国内林業の振興を図る。他方、その課徴金の方は熱帯雨林の植林対策や貧困の解消に使う。つまり、熱帯林を保護し、かつ国内林業を振興する一石二鳥の名案、これは勝手に言っております。
 こうしたようなことを提案いたしますと、ガットの違反になるでしょうか。つまり、これからはガット体制の中に環境の視点を導入しなければならないという意見があるわけですけれども、簡単にお答えいただければありがたいと思います。
#93
○政府委員(畠山襄君) 今、丸太の関税は関税率ゼロでございます。それをバインドと称しまして譲許をいたしております。ですから、これを関税として上げますことは、譲許したものを関税を引き上げちゃうということで違反と申しますか、もしそれをやるには代償を出さなくちゃいけないという問題があります。
 今おっしゃった課徴金でございますと、課徴金は関税について譲許しているわけでございますから、それも実質的な関税とみなされて、それは第二条の違反になってしまいます。ただ、問題は今おっしゃった環境だと二十条というのがございまして、それについては一般的例外がございます。それで、その例外の中で有限天然資源の保存に関する措置というのがありますものですから、それに該当するかどうかという問題であろうかと思います。ただ、その場合には国内の生産とか消費とかそういうものについても制限がないといけないということになりますので、今おっしゃったうちの一石二鳥的には恐らくできないだろうと、少なくとも、そういう感じがいたすところでございます。
#94
○広中和歌子君 その問題につきましては、さらに勉強させていただき、後ほどまた質問させていただきたいと思います。
 続きまして、サービスマークについて伺わせていただきます。山口委員、そして庄司委員などすばらしい御質問、そして丁寧なお答えの中で随分勉強させていただいて、質問する部分が非常に少なくなったわけですけれども、一、二聞かせていただきます。ちょっとつまみ食い的で恐縮でございますけれども。
 まず、この登録制度が今までおくれた理由を伺ったわけですけれども、これはアメリカの商標協会の要望書がUSTRに取り上げられ、それに基づいて構造協議の一つのテーマとして日本側にいわゆる外圧がかかったと、そういうふうないきさつではないかと思います。またかという感じはいたしますけれども、この商標協会の要望書とはいかなるものであり、そしてどのような点で日本に対して不満が持たれているのか。サービスマークの登録制度がないこと以外にも、ほかに問題があったんでしょうか。
#95
○政府委員(大塚和彦君) 広中委員ただいま御指摘の要望書でございますけれども、おっしゃいましたようにアメリカの商標協会というところが提
出したものでございますが、ただ構造協議につながったという性格のものではこれはございません。それで、これにつきましては商標協会、これはニューヨークに本部を置くものでございますが、加盟企業が約二千五百社ぐらいございまして、その加盟企業に対して、商標制度の取り扱いに関して何か不満を持っていたり、あるいは問題点があると、こう思う国を挙げてこれといって昨年の夏にアンケート調査を実施したときのことでございます。その結果を、アメリカのスペシャル三〇一条という条項、これを正確に申しますと、通商法百八十二条と申しますが、これに基づきまして通商代表部、USTRあてに報告した、こういうものでございます。
 内容的には、先生御承知のことかもしれませんが、四分野ぐらいについて分けて、そして不満の集計をしておりまして、そして日本の場合は、特に登録制及び商標関係の行政処理手続という分野で一番不満が高かったという国とされております。この旨かなり報道もなされました。それにつきまして、私ども在外公館なども通じまして調査をいたしましたところ、やはりサービスマークの保護制度がないということへの不満が断然強かったようでございます。
 ただ、やはり国際分類がまだ採用されていないとか、あるいは審査の遅延があると、そういったこともあわせて挙がっていたと、かように聞いております。
#96
○広中和歌子君 具体的な質問をさせていただきます。
 私自身もこのサービスマークというのはよくわからないんけれども、商標との違いですね、それがよくわからないんですけれども、例えばティファニーという宝石店、これはニューヨークにあるんですけれども、私の住んでいるところの地下にティファニーという洋服屋があって、その洋服屋がつぶれて今度ティファニーという喫茶店ができてというふうに、結構ティファニーというのはひとり歩きして非常に日本で使われているんですね。そうした場合に、サービスが違えば、つまり宝石店じゃない限りティファニーという名前を使っても問題が起こらないのか。たまたまティファニーという名前を挙げたわけでございますけれども、例えば映画の題名になったとか、音楽、シャンソンの歌詞であるとか、そういったものとのかかわりも含めまして、お答えいただきたいと思います。
#97
○政府委員(大塚和彦君) 現行の商標法上第四条第一項第十号、十五号といったようなものがございまして、日本でも知られております外国企業の有名な商標につきましては、こちら側で商標登録出願などをしても、これは登録できないといった手当てがなされておりますが、ただあくまでもこれは現行商標法でございますので、商品に関してでございます。
 そこで、先生が御指摘になった喫茶店等というのは、やはりサービス業、サービス取引でございます。そのような場合、だれかが例えばティファニーというような喫茶店をつくったというような場合、余り個別なことは申し上げたくありませんけれども、そういったような場合、従来もしその外国企業がそれは困ると思った場合には、みずからの周知性を立証して不正競争防止法というのによって使用の差しとめなどを求めるというしかなかったわけでございます。それが今回サービスマークの登録制度の導入がなされますと、ティファニーとかそういうところは、そのある商品なりサービスそのものと違う分野におきましても、実は防護標章登録ということができるようになりまして、そしてその登録の効果として、他人の無断使用などをとめさせるということが可能になるという次第でございます。
#98
○広中和歌子君 質問はこれで終わりたいんですけれども、いずれにいたしましても、特許申請にかかる処理時間とか、それから未処理の部分が商標登録についてもまだ四十一万件あるとかいうことで、ぜひ調査人員の確保と、それから電子登録ですか、コンピューターによるそうした設備の充実などを要望して、私の質問は終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#99
○市川正一君 最初に、予算の委嘱審査でありますが、三月十二日に本委員会で取り上げました美浜原発問題、その後も幾つか重要な事実が表面化しており、引き続きただしたいのであります。
 十二日の質疑で、大臣も御記憶のように、私はSG細管のギロチン破断の原因について、それをAVBの取りつけ不良に原因を特定するんではなしに、広く原因を調査するように求めました。現在どんな調査がなされておりましょうか。
#100
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 美浜二号機の件につきましては、調査特別委員会を設置いたしまして、鋭意検討しているところでございます。
 それで、現在判明しましたこと四点ほどございますが、申し上げますと、一点が放射線の影響の評価、それから二番目が加圧器逃がし弁の開不能の原因、三番目が今御指摘のあった振れどめ金具、AVBの挿入状況、それから破断しました伝熱管の破面の状況調査ということをやっているわけでございます。
 それで、伝熱管の損傷の原因でございますが、伝熱管の振動を抑えます振れどめ金具、AVBが設計どおりの範囲まで入っていなかったことが確認されているわけでございます。このため、伝熱管が疲労によりまして破断に至ったという蓋然性が極めて高いというふうに判断しているところでございます。それで、これまで調査結果から、破断に関係いたします応力腐食割れ、SCCと言っておりますが、SCC、それから粒界腐食割れ、IGA、それからデンティングなど、こういうものが認められなかったわけでございます。したがいまして、振れどめ金具、AVBが設計どおりの範囲まで入っていれば、伝熱管が破断するようなことは極めて考えにくいというふうに思っております。
 それで、今後でございますが、振れどめ金具、AVBが設計どおりの範囲まで入っていなかったことによります破断というようなメカニズム、これについて鋭意解明を進めていくということで、現在調査特別委員会でやっているところでございます。
#101
○市川正一君 今四つのジャンルでということでありましたが、伺いたいのは、SG細管の材料であるインコネル600ですね、これについて材質としてそれが適切であるかどうか、これを評価するような調査はなされていますか。
#102
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 蒸気発生器細管にインコネルが使われているわけでございますが、今回美浜二号につきましても、このインコネルの材料が仕様書どおりにつくられていたかどうかという確認はしております。それから、インコネルというのは、先生御承知のとおり、腐食に対して強い材料として開発されてきたわけでございます。そういう意味で、インコネルが使われてきたこと、それから仕様書どおりになっている、スペックどおりになっているという確認をしておりますし、そういう材料面からも議論をしているところでございます。
#103
○市川正一君 ここに持ってまいりましたのは日本鉄鋼協会の技術雑誌「鉄と綱」でございます。あるいは三菱重工の技術レポートがございますが、これを見ますと、インコネル600が水素による脆化、もろくなる、そういう現象が相当深刻な問題としてここで報告されているんです。
 私は、通産省もこの問題をきちんと位置づけてチェックすべきではないのか。私はこの際、事故を起こした美浜二号機のSGを取り外して、それを安全確保のためのサンプル、言うならば検体と申しますか、そうして徹底的に調査し、今回の破断事故だけでなしに、内外のSGにかかわる事故の原因解明に役立ててはどうかと考えるが、その点いかがかというのが一つです。
 もう一つは、そのことを通じて再びこうした事故を起こさないために、SGの構造、材質、運用の仕方、これは前回私究明を求めたところであり
ますが、これについて抜本的な検討を進めるべきではないのかという、以上二点について、エネ庁長官の御見解を承りたいと思います。
#104
○政府委員(向準一郎君) 今先生御指摘のございましたインコネルの水素脆化のお話があったわけでございますが、我々は、この破断しました伝熱管につきまして、サンプルを採取いたしまして、破面調査等いろいろ材料的な検査はしたわけでございます。そういう意味でいろんな面から考えまして、今回疲労破面が観察された。それから、まあ疲労破面がほとんどでございますが、あと半分ぐらいが変成破面、これは壊れるときにそういう破面になったわけでございます。そういうことで、こういう破面観察あるいは材料につきましてホットラボで今精密な調査をやっているわけでございます。
 そういう意味で、今の先生の水素腕化というのは、今までSGの我々リークとか減肉その他でやってきておりますが、こういう問題は余り提起されてもおりませんし、我々といたしましては、今のような破面観察、その他専門家の御意見、調査特別委員会の専門家の御意見も踏まえて、調査結果をまとめるということで今やっている最中でございます。ですから、先生の今の御指摘の文書についても調べてみたいと思っております。
 それから、構造、材質、運用等でSGについて抜本的なという御指摘でございますが、蒸気発生器につきまして、先ほど申し上げましたように、振れどめ金具が設計どおり入っておれば、こういうことは起こる蓋然性は大変低いというふうに我々考えております。それで、振れどめ金具が設計どおり入っていなかったことによりまして破断というメカニズムになる具体的なメカニズム、これにつきまして鋭意解明するということで努力しているところでございます。
 そういうことで、そういう努力の中で、いろんな御指摘等の問題は十分対応、こういうメカニズムを解明いたしまして、今回の事象がこういうことであったということで、AVBを設計どおり入れることがこの対策であるということをきちっと示していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#105
○市川正一君 繰り返すようですが、そこだけに原因を求めていくんじゃなしに、もっと構造あるいは材質、運用、そういう全般について見ていく必要があるということを言うているのであって、あなたのお答えは、結局狭い、取りつけられていたかどうかだけに求めるのでは、やっぱり木を見て森を見ないことになるということを繰り返し前から言うているんで、僕の質問をあなたよく聞いて答えてほしいんです。
 それで、長官に伺いますが、私が今指摘したこういう技術レポートの水素による脆化も当然調査の対象になると理解してよろしゅうございますね。
#106
○政府委員(緒方謙二郎君) 審議官からもお答えいたしましたように、現在美浜二号機の故障の原因につきましては、徹底的にあらゆる角度から検討しているところでございます。なお少々時間がかかるかと思いますけれども、徹底的に原因を究明して、再発防止策に万全を期してまいりたいと考えております。
#107
○市川正一君 そうすると、私の指摘したこの問題も徹底的、全面的の中に含まれている、こう理解していいんですね。
#108
○政府委員(緒方謙二郎君) 御指摘のとおりでございます。
#109
○市川正一君 はい、わかりました。
 もっとやりたいんですけれども、本日の時間が法案審査がございますので、引き続きまた浜岡原発のトラブルなども起こっております。大臣、この問題はやっぱり国民が非常に関心を持っていますので、次の機会に譲るということでエネ庁はお引き取り願って、商標法の改正案に入ります。
 特許庁は、今回のサービスマーク登録制度導入に合わせて国際分類を主たる体系として採用する、こう伺っているわけでありますが、そこで分類は出願人が自分の権利をどの範囲で保護してほしいのか、それを決める目安になるものであります。したがって、施行日までには政省令、類似商品役務審査基準、移行表、逆移行表なども含めて周知徹底が完了していなければならないし、準備不足のまま強行して将来に禍根を残すようなことは避けなければならないことは言うまでもありません。いずれにせよ、特許庁の側の準備不足で出願者が不利になるようなことはさせない、こう確認をしてよろしゅうございますか。
#110
○政府委員(大塚和彦君) ただいま市川委員御指摘の点につきましては、いろいろ先生今おっしゃいました点、例えば類別表、これは政令の別表として出てくるものでございますが、それから商品を並べたもの、これは省令別表として出てくるものでございますが、こういうのは既に昨年の五月とか八月などにもう公表して、そして内外の意見を求めつつございますし、あるいは先ほどちょっとおっしゃいました類似商品審査基準というのもことしの一月に第二次素案を公表しているというぐあいに私どもは準備を進めておるわけでございます。
 ただ、さらに審査体制といったような点をしっかりすること、それから機械検索システムをしっかりすることとかいろいろなことがございますので、今後今おっしゃった点非常に重要でございますが、さらにいろいろの点を加えましてしっかりと準備をするように努め、そして国際分類への移行というものが出願人の方々に御迷惑をかけないように進むように努力してまいりたい、かように考えております。
#111
○市川正一君 私が言うているのは、来年四月一日という話も聞いているんですが、かりそめにもいろんな諸体制が整わずに見切り発車というふうなことで拙速に急がないでほしいということを言うているのであって、そこはそういうことなんだというふうに理解いたしますが、それでよろしゅうございますね。
#112
○政府委員(植松敏君) まさにおっしゃるとおりでございまして、審査処理体制の万全を期しまして円滑な導入を図るということで、しっかりと準備をしてからやりたいと思っております。
#113
○市川正一君 そこで、今先ほど御答弁の中で要員とかそういう問題がございました。確かにそうなんで、この新しい制度を円滑に動かすためには、それを支える組織と要員及びその待遇改善、これが問題になると思うんです。
 そこで伺いたいのは、一九九〇年度末の商標関係の定員は今何名なのか。そしてもう一点、審査官一人当たりの年間処理件数は何件なのか。この二つを教えてほしいんです。
#114
○政府委員(大塚和彦君) 平成二年度末の商標審査官の定員は百十六人でございます。また一人当たり処理件数は、これは平成二年暦年でございますが、約千四百件となっております。
#115
○市川正一君 わかりました。
 先ほど、長官が同僚委員の御質問に答えて、初年度のサービスマークの出願は大胆な試算を言えば十万ないし十二万と、こうお答えになった。そこで、この出願の審査を従来の商品商標の審査と比較してみた場合、一件当たりに要する労力というのは、大きくなるんですか、小さくなるんですか。その点どうですか。
#116
○政府委員(大塚和彦君) 初年度の出願の大半は制度導入後六カ月間の特例期間に集中すると見られますけれども、その期間に出るものは先後願の審査をしないで全部同じ同日に出るという扱いをいたします。したがって、そういったことのチェックがないということを考えますと、件数はかなりに達するかもしれませんが、従来の商標出願に比べまして一件当たりの審査負担は小さい、かように考えております。
#117
○市川正一君 そうしますと、これは私の大胆な試算でありますが、初年度の出願が十万ないし十二万だと、中間をとって十一万としませんか。そうすると十一万件で、その審査のための労力が今小さくなったとおっしゃった、五〇%としませんか。そうすると、つまり通常の今までの二倍の能率が上がるということになるわけですね。ざっと
試算をいたしまして、少なくとも私は四十人程度の審査官の増員が必要になってくるんじゃないか、こう思うんです。
 やはり先ほど来強調されているように、審査官や事務職員などの人員の確保は重要な最後の決め玉になりますし、中尾通産大臣が先ほど、諸外国と比べてスタッフが少な過ぎる、よくやっておるというお言葉がありましたけれども、私は、少なくとも四十人程度の審査官の増員が必要であるという想定のもとに、その確保は長官としても大体めどがついているのか、そういうことは任せておけと、こうおっしゃるのか、そこらをひとつお答え願いたい。
#118
○政府委員(植松敏君) まず、先ほど申し上げました件数で、初年度だけで申しますと、相当のラッシュがあるであろう。したがって、十ないし十二万件ぐらい来るかなと。その後はならされます、平年度化されますので、三万件から五万件程度になるだろう。そういたしますと、初年度だけで判断してはいけないのかという気がちょっといたします。
 それからもう一つは、先ほども申し上げたんでございますが、審査の促進のためには、一つは人がかなめであることは間違いございませんが、一方では特許、実用新案につきましてもコンピューターを駆使しまして、特に先後願の、先願と後願との間の検索等につきましてはコンピューターで能率化を図っておる。また、ペーパーレス計画によりその周辺の事務処理につきましても効率化が図られるという点で、今先生の大胆な御試算は、機械化等によります審査処理の促進効果が必ずしも織り込まれていないのかなという気がしますが、商標につきましても特許、実用新案と同様に機械化を今進めつつございます。この効果がだんだんと上がってまいります。
 加えて、機械化に伴います、また機械化の準備のための前処理工程といいますか、データベースの作成等についても外郭機関に外注をいたしまして、それによって審査官の負担を軽減するというようなことをやっておりますので、そういう意味での機械化関連、あるいは外注による効率化、それと必要な人員の確保と、総合対策で審査処理ができるだけおくれないように、サービスマークを導入しても商標の方がおくれては何にもなりませんので、全体がおくれないように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
#119
○市川正一君 僕が聞いているのは、あんた人ごとじゃないんですよ、植松さん。あんたのところの仕事なんですよ。だから、四十人ほど私は増員が必要だと思うが、その立場でやらはるのかどうかということを聞いているんですよ。
 というのは、特許庁はこれだけやっているわけじゃないんで、いわば今回のサービスマークの登録制度の導入もそうですし、国際分類への切りかえのほかにも、ペーパーレス計画を推進して、日米構造協議で約束した二十四カ月問題の達成、さまざまな課題を抱えているわけでしょう。とすれば、私は、平成四年度からの定員増では不十分だと思う、発足の最初の準備が重要だから、今年度から増員しなければいかぬのと違うかといってあんたを激励しているんですよ。
 だから、きょうは時間がないからこれ以上論議はせぬけれども、万全の準備をちゃんとやる、人員も確保する、そういうふうにちゃんと言うてもらわぬと困りますがな。人ごとやおまへんのや。ちょっとそれだけ。
#120
○政府委員(植松敏君) 先ほど来申し上げておるとおり、効率化対策をやりながら、しかし一方で必要な人員の確保も図りながら万全を期してまいりたいと思います。
#121
○市川正一君 もう時間がないから。
 もう一つ大事なのは、サービスマーク登録制度の発足を周知徹底させる問題だと思うんです。サービス産業は、一部を除けば企業規模が小さく、またその数も多いんです。また、経営も多忙でなかなか行政情報に接する機会が少ない。しかし、今回の法改正は、それらの中小企業にかかわるものですから、どうしても周知徹底に十分手を尽くす必要があると思うんです。
 私思うのに、政府関係機関はこれはもちろん、例えば発明協会とかそういう関係団体、業界団体を活用するとともに、都道府県とか市町村などの地方自治団体、こういう協力も得て、窓口に制度の説明、出願の仕方、期限などを記載した資料を備えつけるというふうなことも考えられると思うんですけれども、こういう私の提案も含めて、どういう対策を講ぜられたのか、どうですか。
#122
○政府委員(大塚和彦君) ただいま先生おっしゃいましたとおり、大変対象企業等が多いものでございますから、この周知徹底というのは非常に重要でございます。
 そこで、例えば特許庁の習熟した職員がわざわざ全国四十七の都道府県に出向いて説明会を開催し、それから発明協会が全国規模で支部を持っておりますのでおそらく発明協会に頼むことになると思いますが、相談事業というのを毎月一、二回これもまた全部の都道府県でやる。そういったようなことのために、平成三年度予算では二千万円というぐらいの予算を用意しておりますし、さらに、商工会などの経営指導員が全国に八千六百名いると聞いておりますが、こういったところをぜひ手伝ってもらおうということを中小企業庁等とも相談しておりますし、あるいは政府広報の活用などについても総理府などにもお願いしたい。
 かようにいろんなことを考えて、かつまた今後いろいろな方の御意見を伺いながら周知徹底していきたい、かように思います。
#123
○市川正一君 時間が参りましたので、最後に一問だけお聞きして、終わりたいと思います。
 地方で十分信用と実績を積んでいる中小企業のサービスマークが、全国的な大企業のサービスマークがあるからということで登録できないばかりか、混同防止の表示を要求されるようなケースも考えられるのですが、そういう場合の救済策というか対応策、それをどう考えていらっしゃるのかお聞きして、質問を終わりたいと思います。
#124
○政府委員(大塚和彦君) 先生が今おっしゃいましたところで一つだけ訂正させていただければと思いますが、よく知られているというのは決して企業の大きさではございません。あくまでも、消費者などがどこまでそのマークについて知っているかという点でございます。
 おっしゃいますように、確かに消費者の立場等から考えた場合に、やはり知名度がかなり違った場合というのは、知名度のある方を優先しないと自然でないということで、これは私どもの審議会でも大変そういう御意見をいただいて、それに基づいて体制をとっておるわけでございますけれども、ただ、御指摘になりましたように非常に小さな企業で、かつ登録まで欲しないという企業がたくさんあります。そういうためには今まで、正確に申しますと法施行後六カ月が終わるまでということでございますが、使用をして、そして引き続き使用をしている企業につきましては、業務の範囲内で、登録をしなくても引き続き使用できるという継続的使用権というものを認めて、そしてそういう企業の事業の継続に支障がないように、こんな配慮もしておるわけでございます。
#125
○市川正一君 終わります。
    ─────────────
#126
○委員長(名尾良孝君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、森暢子君が委員を辞任され、その補欠として浜本万三君が選任されました。
    ─────────────
#127
○池田治君 委嘱につきましては、予算委員を兼任していますので、そちらで質疑をさせていただくことにして、時間の都合もございますので、これを省略させていただきます。資源エネルギー庁の方、質問通告をしておきながら、大変御苦労さまでございました。
 それでは、サービスマークの問題に入りますが、サービス業といっても、レストランとか宅配便、銀行、ソフトウエア開発、いろいろな幅広い内容が含まれております。それだけに、サービス業等において使われるマークにつきましては、今
回新たな登録制度を導入することはまことに画期的なことである反面、多数の関係者にいろいろな影響を及ぼすと思います。業界等の意見も十分踏まえながらこれを進めていかなければ、本法律案は成立してもなかなか運用上で難しい問題も出てくると思いますが、特許庁はこれらの点についても、大分時間はかけてこられたようですが、具体的にどういうような形で、どういう関係者の意見をお聞きになって作成されたんですか。
#128
○政府委員(植松敏君) 御指摘のとおり、サービス業と一言で言いましても大変たくさんの業種がございます。本法律案を取りまとめるに当たりまして、通産大臣の諮問機関でございます工業所有権審議会に諮問しまして、一昨年以来審議をお願いしたわけでございますが、この工業所有権審議会には、本委員四十七名、臨時委員十四名と大変多数の方々に参加をいただきました。
 その理由は、今先生が御指摘のとおり関係する分野が非常に多いということで、工業所有権関係の団体、さらに法曹界、学界、言論界といったものだけでなく、中小企業関係の団体、さらに多数のサービス業業界の代表者、さらには消費者代表等々に入っていただきまして、いろいろな角度から御審議をいただいたわけです。また、工業所有権審議会だけでなく、その他の面でも事前または事後に、関係の深い業界の方々あるいは弁理士の方々に個別にお会いしまして、また特に関係の深い十八団体については別に勉強会もつくりまして、そういったところであらゆる分野から問題点を摘出し、その解決を図りながら最終案を打ち出していただいたという事情がございます。
#129
○池田治君 それではお聞きしますが、これは質問通告にないんですが、先願の特例というのがございまして、出願人甲乙丙が一緒に出願をしました。いずれも今までサービスについてのマークは使っていないという場合、普通ならば甲乙丙の協議で決めるということでございますが、協議が調わないときは特許庁長官の行うくじにより登録を受けられる出願人を決めます、こうなっておりますが、いろいろな多方面の意見を聞いた場合、くじはどういうくじが一番いいという意見でございましたか。
 これは、くじの中にもあみだくじもあれば、箱の中に手を突っ込んで取るくじもある、宝くじのような抽せんの方法もある。場合によって、くじいかんによっては八百長に、これを引けば当たるよといった八百長ができぬこともない。こういうこともございますので、ちなみにちょっとお伺いしておきますが、どうですか。
#130
○政府委員(大塚和彦君) ただいま先生のお尋ねのくじでございますが、これは一年に大体数件、多いときにはもっと十何件もあったこともございます。私どもの商標課においていろいろな立会人を立ててやりますけれども、ガラガラと回しますと玉が出る、ガラポンというものだそうでございますが、それを本人に引かせて決める、こういうことだそうでございます。これはもう長い経験がございますので、このやり方でやりたい、かように思います。
#131
○池田治君 商店街等の抽せんでガラガラとやるのは大体たくさんありますからわかりますが、三人や四人のところでガラガラやると重たいやつを一つつくっておけば、それがぽとんと落ちるんですよね。そうすると、八百長ができる可能性があるんじゃないか、それはどうですか。
#132
○政府委員(大塚和彦君) どうもここで勉強していてまことにお恥ずかしい次第でございますが、二人いる場合には、例えば赤と白といった色の違う玉を用いまして、そして自分はこの色、こちらの人はこの色というふうに決めさせまして、そしてガラガラとやるというそうでございます。それで、勝ちがどちらというふうに決めておいて、そして回させるんだそうであります。
#133
○池田治君 あなたは各方面の多様な意見を聞いて決めたとおっしゃったんで、私はどういう意見があったかということを聞いているわけで、こう決めたと今決めなくてもいいんですよ。こういう意見もあった、こういう意見もあったとおっしゃってもらえばそれでいいわけです。そこで、長官なり大臣なりが、これがいいぞ、八百長できぬからこれはいいぞといって、それをお決めになればいいと思います。とにかく、そんな枝葉末節のことで時間を費やすわけにもいきませんので、間違いのないように、公正なくじでやっていくよう要望をしておきます。
 次に、サービスマーク登録制度の導入自体は極めて結構なことだと思いますが、実際に制度を動かしてみると、いろいろな難しい問題も予想されます。私が知っておる限りでは、テレホンカードはテレカという商標で認められている。プッシュホンはプッシュホンで認められた。NTTのポケットベルはポケベルという一般には通称になっておりますが、これは商標として認められない。一度却下されて今審判にかかっているということでございますが、これもやっぱり似た、テレホンカードのテレカとポケットベルのポケベルとはそう違いはないと思うんですが、これでも認められたり認められなかったりしております。こういうところを、私がこれ認めよとか認めるなとか言う権限もございませんし、特許庁もそういうことを言う資格はないと思いますが、どういうことでこんな余り違いがないと思われるテレホンカードとポケットベルとの差が出るものか、こういう違いを簡単に御説明願えませんか。
#134
○政府委員(大塚和彦君) この個別案件ではございませんで、一般論として申し上げますと、商標を登録できるかどうかというときには、幾つかの要件についてそれを満たしているかどうかを審査いたします。その入り口となる一番重要な一つの要件でございますが、それは自他商品の識別性と呼ばれる要件でございます。これは商標法の三条に要件が書いてございますけれども、つまりその商品をだれがつくった、あるいはだれが売ったというようなことが、そういった商品の出所を特定できるに足るマークであるかどうかということでございます。例えば、普通のコップについてただコップという商標があったとしても、だれがこのコップをつくったという特定には全くならないということになります。
 そこで、こういった自他識別力というものの審査をいたしますときに、ポケットベルにつきましては、事実関係だけ申しますと、審査段階では担当審査官は、出願されたポケットベルないしポケベルというのも一緒に出されておりますが、その商標はいわば外出あるいは離席しているときに無線音波でもって連絡を行う小さな機器ということをただ普通に意味するポケットベルの文字を普通に書いてあるだけである、それにすぎないという理由でもって、したがって、単にその商品の品質を表示するにすぎないという理由でこれを拒絶したということでございます。ただ本件は、今また出願人が不服ということで審判にかかっておりまして、したがってまた、審判を待つということでございます。
 テレカの方は、むしろこれは印刷物とあとは電気器具について用いられておりまして、例えば本だとかそういった印刷物にテレカというのは、これは自他識別力と商品の識別力という意味では十分機能するわけでございます。そこで、テレカの方は、印刷物、電気機械器具については登録がなされた、こういう理由と聞いております。
#135
○池田治君 今の御答弁については、私なりのまた所見も持っておるわけでございますが、もう時間もありませんので、これは省略をさせていただきます。
 そこで最後に、大臣に若干お聞きしますが、今日の我が国の経済繁栄は、ハイテク分野を中心とした企業の旺盛な技術開発、多様な消費者ニーズに応じました活発な新商品開発等によるものが大きいと思われます。そうした活動の成果を的確に保護すべく特許庁も電子出願の受け付けを去年はやりましたし、ことしはまたサービスマーク登録制度の導入のための今の法律改正と積極的な施策に取り組んでおられますが、今後、工業所有権行政の重要性はますます高くなるばかりでありまして、これになお一層の努力が期待されておりま
す。
 そこで、大臣の本件に関する御認識をお伺いしたいと思いますが、特に日米構造協議等におきましてもこれは世界的にとかく問題になっておるところでございますので、大臣の所見を一言お聞かせください。
#136
○国務大臣(中尾栄一君) 池田委員にお答えいたします。
 工業所有権制度は、我が国がこれほどの経済発展を遂げるに至った上で、産業発展の基盤としてはかり知れない役割を果たしてきたと考えております。他方、近年における技術革新及び経済のボーダーレス化の進展等の急速な経済環境の変化の中におきまして、工業所有権の分野におきましても、出願件数の増大に対応した迅速かつ的確な権利付与、あるいはまた制度の国際的なハーモナイゼーション、サービスマークを初めとする保護すべき権利領域の拡大など、さまざまな要請が生じてきておる次第でございます。
 私といたしましても、かかる状況にかんがみますと、工業所有権行政の重要性はますます高まりつつあると認識しておりまして、今後とも、工業所有権制度が経済実態を反映しながら十分にその役割を果たしていきますように、一層の努力を払ってまいりたいと考えているところでございます。
#137
○池田治君 終わります。
#138
○井上計君 最初に、予算委嘱について、時間がありませんから、質問というよりも若干意見を申し上げて大臣の御所見を承りたい、こう思います。
 予算の中での中小企業関係の対策費であります。昭和五十八年度一般歳出の中で、中小企業対策費は二千四百二十七億円ありました。これは一般歳出に占める割合は〇・七四%であったわけでありますが、その後毎年マイナスが続きまして、平成元年度千九百四十二億円、一般歳出に占める割合は〇・五七%と下がっておるわけであります。その後、二年度は皆さんの御努力によって若干ふえました。三年度は千九百五十億円でありますから、前年度に比べますとわずかにふえております。しかし、全体の一般歳出に占める割合はわずかに〇・五二%という、いわば少額と申し上げていいと思いますが、少額であるわけであります。
 中小企業というのはますます重大性を加えております。特に、現在の状況からまいりますと、さらに一層の増額が必要であり、中小企業に対する施策の拡充が必要であろう、こう思います。
 今国会でいろいろと審議されます中小企業関係の法案、あるいは中小企業に関連をする法案、たくさんあるわけであります。大店法関係の法案しかりでありますし、さらには労働力不足に対応するための中小企業の労働者確保法、あるいは時間短縮、育児休業等々、どれを取り上げましてもこれから中小企業は従来以上にやっぱり厳しい環境に置かれておるわけでありますから、中小企業関係の予算、今年度はかなり詳細にまたきめ細かく、そうして御努力は十分うかがえますけれども、来年度、平成四年度はさらに中小企業関係の予算を増額してもらって、中小企業対策に万遺漏なきを期していただきたい。
 これは要望でありますが、まず予算委嘱についてはこれを申し上げて、大臣の御所見を承りたい、こう思います。
#139
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま井上委員から、むしろ質問というよりは、大変に激励を受けた思いでございます。
 確かに御指摘のとおりでございまして、中小企業は、従業員数、付加価値額等におきましても大きな比重を占めておりますとともに、起案者精神の発揮等によりまして新たな経済発展の契機を創出するというようなことで、我が国経済にとりましても発展的な基盤であると私も同様に考えるものでございます。
 このために、政府といたしましては、中小企業を取り巻く課題に応じまして、中小企業の自立的発展を促進するための施策の展開に努めてきたところではございますが、平成三年度においては、厳しい財政事情のもと、平成二年度予算を六億円上回ります予算を獲得、確保したところでございます。平成三年度予算におきましては、消費者ニーズの多様化、高度化、大店法の改正、人手不足の深刻化等に対応するために、魅力ある商店街、商業集積づくりのための対策、中小企業における労働力の確保のための対策等、総合的かつきめ細かな中小企業対策を積極的に推進することとしておりまして、現下の緊急事態に対応した、充実した内容の予算を政府案に計上しているところでございます。
 先ほど委員から御指摘いただきましたように、年々歳々多少なりとも下回ってきておる、この減退がないように、今後とも、中小企業をめぐる厳しい環境変化というものに中小企業者が適切に対応できるように、中小企業対策の充実に努めてまいる所存でございますし、またそのような方向に私も全力を尽くしたい、こう思っている次第でございます。
#140
○井上計君 大臣から決意を伺って、大いに期待をいたしておりますので、一層の御努力をまず要望しておきます。
 次に、法案審議についての質問をいたします。
 先ほど来、同僚委員の大変熱心な御質問がありました。あえて考えますのは、サービスマーク登録制の導入はやや遅きに失したな、こういう感じがするわけでありますから、一日も早く成立して、施行していただいてまたいろんな面での御指導をお願いいたしたい、かように思います。
 そこで、先ほど市川委員からも、これらのものを施行する場合の定員の問題、人員が足らぬではないかという激励の質問、叱唯激励の発言がありました。予算書を見ても、サービスマーク登録制度の導入等については、わずかにと申し上げていいと思うんですが、二億五千九百万円しかどうも予定されていないということでありますから、やはりこれでは少ないなという感じがするわけであります。
 しかし、それはさておいて、これから特にやはりいろんな面で御指導願わなくちゃいけませんけれども、そこでお伺いしますけれども、中部地方における特許あるいは商標等を含む出願件数は現在どうなっておりますか、お答えをいただきたいと思います。
#141
○政府委員(辛嶋修郎君) 平成元年におきまして、全国におきます特許、実用新案、意匠、商標総出願件数は約七十万件でございます。そのうち中部地方は四万二千件でございまして、シェアとしますと約六%を占めておる、こういう状況でございます。
#142
○井上計君 現在六%だそうでありますから、余り多いとは言えませんけれども、しかし、中部地方の産業等々考えますとこれから随分ふえるであろう、こういうふうに私は予想しておるわけであります。
 そこで、お伺いいたしますけれども、大阪通産局、今近畿通産局ですか、の中には特許室が設置されてもう三十数年になるそうでありますが、中部通産局の中にもぜひ特許室が必要ではなかろうか。そして、中部地区における特許出願等々についての御指導を願わなくちゃいけない、こう思うんですが、いかがでありましょうか。
#143
○政府委員(植松敏君) 特許庁といたしましては、従来から、地方の出願人等による工業所有権関係の相談あるいは公報類の閲覧等の利便を図るために、地方閲覧所を指定しましてその整備を図ってまいりました。また、それにあわせて通産局における特許室の整備にも努めてきたところでございます。
 御指摘の中部通産局につきましては、庁舎が手狭だということもあって、十分な体制になっていないのも事実でございます。そのために、公報の閲覧ですとか複写サービスでございますとか、そういったものが十分にできないということで拡充を求められておるのも事実でございまして、今先生からも御指摘をいただきましたが、その御指摘を踏まえまして今後新たに特許室を設置いたしま
して、閲覧サービスの拡充ですとか複写サービスの開始など、早急な検討をしてまいりたいと存じております。
 また、特許室におきます公報類の閲覧サービス、複写サービスだけでなく、特許庁に総合資料データベースということで、過去の特許公報類のデータベースをコンピューターに三千万件から四千万件今蓄積してございますが、こういったものにつきましても、地方から直接オンラインで閲覧できるようにしてはどうかということで、今準備が進められておりまして、一部の局ではもう既にそれが入っております。これにつきましても、中部地方、まだ中部通産局に入っておりませんで、これらにつきましてもさらにできるだけ早く開始できるよう、鋭意検討してまいりたいと思います。
#144
○井上計君 お願いします。
 終わります。
#145
○今泉隆雄君 私は、もう時間もありませんので、法案に対する質問を一つ二つお願いしたいと思います。
 今から二十年前ぐらいと、それから今から二年前に私は二度商標の件で損害を受けました。それは、私のつくりましたキャラクターが人形みたいになったり、それからそれが絵の形になってやったんですけれども、それと全くの類似品が中国地方、大阪、あっちこっちで出たということで訴訟を起こしたりしたんですけれども、なかなかそれが未解決な状態であいまいになってしまったということがあります。今度この法ができれば、これはやっぱり一つの法的な訴訟そのほかで、ちゃんとした形の金銭的な賠償そのほかでの解決ができるようになるのでしょうか。
#146
○政府委員(大塚和彦君) 先生のただいまのお尋ねは、商標法に基づいた場合、それから現在その商標法の対象となっていない、例えば今回サービスマーク制度というものについて、その法改正を御承認いただければそれが取り込まれるわけでございますが、今現在ではまだ取り込まれていないときには、不正競争防止法ということで訴訟をやるということになるわけでございますが、今おっしゃいました点につきましては、サービスマークについては商標法に取り込むということで、後の商標法の体系はそのまま適用するということになっております。
 そこで、例えば侵害につきましては、もちろん商標をもとにして損害賠償等を求めることもございますが、また侵害については刑事罰として五十万円あるいは五年以下の懲役といったようなものがついていたりいたします。そのあたりにつきましては、今回のサービスマークに関連いたしましても商標法と完全に同じようにするというわけでございますし、不正競争防止法はまた不正競争防止法でそれなりの体系を持つ、こういうことでこざいます。
#147
○今泉隆雄君 これが最後の質問ですが、大臣にちょっとお聞きしたいんですが、ガット・ウルグアイ・ラウンドはいろいろ行事がありますけれども、そこでもサービスマークの問題が非常に大きな問題だと思いますけれども、世界各国との話し合いの中で、各国との話し合いが成功していく見通しがございますでしょうか。
#148
○国務大臣(中尾栄一君) 御指摘のとおり、現在経済の国際化が進展している中で、国際的に著名な商標あるいはまたサービスマークが不当に使用される弊害を除去することが大変重要になってまいりました。そのような状況の中で、ガットTRIP交渉、俗に不正商品貿易を含む知的所有権の貿易関連側面ということになりますが、におきましても、これらの商標等の保護レベルを充実させるようスタンダード、すなわち保護規範を含む国際ルールが検討されているところでございます。
 我が国としましては、これまでの交渉の状況を踏まえまして、国内制度の改革に当たりましては、フレキシビリティーを持って臨む等、望ましい合意形成に向けて積極的な役割を果たすように努めているところでございます。今後とも、ジュネーブにおきまして再開されております交渉に適切に対応していくとともに、その成功に向けまして、国際的なむしろイニシアチブを発揮することによりまして国際貢献の実を上げていくといいましょうか、その方向に私どもは努力、促進させていきたいと考えておる次第でございます。
#149
○今泉隆雄君 ありがとうございました。
 質問を終わります。
#150
○委員長(名尾良孝君) 以上をもちまして、平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会及び経済企画庁、通商産業省所管、中小企業金融公庫並びに中小企業信用保険公庫についての委嘱審査は終了し、商標法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めます。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次に、商標法の一部を改正する法律案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 商標法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#152
○委員長(名尾良孝君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 前田勲男君から発言を求められておりますので、これを許します。前田君。
#153
○前田勲男君 私は、ただいま可決されました商標法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    商標法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一、サービスマーク登録制度の導入に当たっては、審査基準の整備及びその出願人等への周知徹底を図るとともに、特例出願の円滑な処理について万全を期すること。
 二、サービスマーク登録制度の導入に伴う事務処理の円滑化及び権利の迅速かつ的確な付与に万全を期するため、審査官、審判官及び事務官の必要な人員確保並びに待遇の改善に努めること。
 三、国際分類の主たる体系への移行については、事務処理を円滑に行うため、審査基準の整備とその出願人等への周知徹底及び検索システム・移行表の整備等、処理体制の充実を図ること。
  右、決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#154
○委員長(名尾良孝君) ただいま前田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#155
○委員長(名尾良孝君) 全会一致と認めます。よって、前田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中尾通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中尾通商産業大臣。
#156
○国務大臣(中尾栄一君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し万全を期する所存でございます。
 ありがとうございました。
#157
○委員長(名尾良孝君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#159
○委員長(名尾良孝君) 次に、再生資源の利用の促進に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。中尾通商産業大臣。
#160
○国務大臣(中尾栄一君) 再生資源の利用の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国においては、主要な資源の大部分を輸入に依存していることに加え、近年の経済成長、国民生活の向上等に伴い、廃棄物の発生量の増大等廃棄物をめぐる問題が深刻化しております。このような状況に対応して、生産、流通、消費の各段階にさかのぼって資源の有効な利用を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため、今般本法律案を提案した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、本法律案は、使用された後の物品または工場等で発生する副産物のうち原材料として利用できるものを再生資源とし、通商産業大臣、建設大臣、農林水産大臣、大蔵大臣、厚生大臣、運輸大臣及び環境庁長官が主務大臣としてその利用を総合的かつ計画的に推進するための基本方針を定めることとしております。
 第二に、再生資源の利用の促進には関係者がおのおのの立場から努力を行うことが不可欠であることを踏まえ、事業者、消費者、国及び地方公共団体の責務を定めることとしております。
 第三に、事業者の再生資源の利用の促進の努力を最大限に引き出すため、政令で指定する業種及び製品について、事業を所管する主務大臣が事業者の判断基準等を定め、それに基づき指導、助言を行い、必要な場合には勧告等の措置をとり得るよう規定を設けることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#161
○委員長(名尾良孝君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日行うことといたします。
    ─────────────
#162
○委員長(名尾良孝君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 再生資源の利用の促進に関する法律案について、環境特別委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することとし、さらに今後他の関係委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合は、これを受諾することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#163
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#165
○委員長(名尾良孝君) 次に、連合審査会における参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 再生資源の利用の促進に関する法律案審査のための連合審査会に参考人の出席要求があった場合には、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#166
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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