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#1
第120回国会 農林水産委員会 第6号
平成三年四月九日(火曜日)
   午後零時十三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     野別 隆俊君     大渕 絹子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川  博君
    理 事
                青木 幹雄君
                北  修二君
                谷本  巍君
                細谷 昭雄君
                井上 哲夫君
    委 員
                大浜 方栄君
                鎌田 要人君
                熊谷太三郎君
                鈴木 貞敏君
                高木 正明君
                成瀬 守重君
                初村滝一郎君
                星野 朋市君
                本村 和喜君
                上野 雄文君
                大渕 絹子君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                村沢  牧君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                橋本孝一郎君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   近藤 元次君
   政府委員
       内閣法制局第四
       部長       越智 正英君
       外務大臣官房審
       議官       川島  裕君
       外務省経済局次
       長        須藤 隆也君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
       食糧庁長官    浜口 義曠君
       林野庁長官    小澤 普照君
       水産庁長官    京谷 昭夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   説明員
       大蔵省主税局調
       査課長      増原 義剛君
       運輸省海上技術
       安全局船員部労
       政課長      木村 泰彦君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  野寺 康幸君
       自治省財政局交
       付税課長     谷本 正憲君
       自治省税務局市
       町村税課長    三沢  真君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)
○土地改良法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○森林法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(吉川博君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 去る三月二十九日、予算委員会から、四月九日午後の半日間、平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査の委嘱がありました。
 これより本件を議題といたします。
 まず、近藤農林水産大臣から説明を求めます。近藤農林水産大臣。
#3
○国務大臣(近藤元次君) 平成三年度農林水産予算について、その概要を御説明申し上げます。
 平成三年度一般会計予算における農林水産予算の総額は、総理府など他省庁所管分を含めて三兆二千六百五十八億円であり、その内訳は、公共事業費が一兆六千九百六億円、非公共事業費のうちの一般事業費が一兆二千二十億円、食糧管理費が三千七百三十二億円となっております。
 予算の編成に当たりましては、財政及び行政の改革の推進方向に即し、予算の重点的かつ効率的な配分により各種施策の充実を図り、農林水産行政を着実かつ的確に展開できるよう努めたところであります。
 以下、予算の重点事項について御説明します。
 まず、農業施策に関する予算について申し上げます。
 第一は、農業生産の体質強化を目指した構造政策を積極的に推進することであります。
 まず、若い意欲ある農業後継者・担い手を確保するため、方針の策定や研修、交流、組織づくりを推進するとともに、農地の貸借、農作業の受委託等による経営規模の拡大を図ります。また、農業・農村の活性化を目的とする農業構造改善事業を引き続き推進します。
 さらに、農業生産基盤の整備については、圃場の面的集積を図る等生産性の向上を一層推進します。
 なお、従来の農業基盤整備事業については、名称を農業農村整備事業に改め、農業生産の基盤である農地条件の整備と並んで最近重要性を増している農村の生活環境の整備や国土の防災保全にも重点を置いて事業の充実を図ることとし、一兆六百九十一億円を計上しております。
 第二は、需要の動向に応じた高生産性・高品質農業を育成することであります。
 二十一世紀に向けて、新しい農業技術、機械施設の積極的な導入等により生産性の飛躍的向上と高品質化を図り、今後の農業生産を取り巻く環境の変化に的確に対応できる先進的な取り組みを推進するなど、総合的な生産対策を実施するとともに、水田農業確立後期対策を着実に推進します。
 また、農業が本来持つ環境保全機能のより一層の向上と農業生産の効率化のための技術の確立を目指します。
 一方、平成三年度からの牛肉の輸入自由化に対処するため、新たに牛肉等の関税収入を特定財源とした肉用子牛等対策を発足させるなど、畜産についての総合的な対策を講じます。
 第三は、農山漁村の生活の質的向上と活性化を図ることであります。
 このため、集落排水、道路等都市に比べて立ちおくれている生活基盤の整備を推進します。
 また、都市住民にも開かれた豊かな農村空間の創出を推進するとともに、水、緑、土地等豊かな地域資源を活用し、すぐれた景観を有する農村環境の整備を図ります。
 さらに、研究開発、情報・通信、教育研修などの農業支援機能の集積により、先進的な農業を核とした地域振興を図るため、アグロポリス構想を推進します。
 第四に、技術の開発・普及と情報化の推進であります。
 イネ・ゲノムの解析研究を初め基礎的・先導的研究の強化とあわせて、消費ニーズに対応した研究開発、研究交流、民間研究の支援を実施するとともに、先端的農業技術の実用化及びその普及を推進します。
 また、農林水産業・農村地域等における情報化を推進するとともに、農林水産行政の推進に資するため、各種統計情報の整備を図ります。
 第五に、国民に健康的で豊かな食生活を保障する観点から、新たな食文化の創造、規格・表示の適正化等各般の消費者対策を推進するとともに、食糧理管制度の適切な運用等により、農産物の需給と価格の安定に努めます。
 第六に、食品関連産業の振興と輸出促進対策について申し上げます。
 まず、地域食品産業の活性化を図るため、人材の育成・確保、新製品の開発等に努めるとともに、食品の消費と生産事情の変化、大店法の規制緩和等に対処するため、食品流通の総合的な構造改善対策を推進します。
 また、海外におけるテストマーケティングの実施、アンテナショップの増設、国産統一ブランド創設の検討等により、品質的にすぐれた国産農林水産物の輸出促進を図ります。
 第七に、地球環境保全対策と国際協力の推進であります。
 熱帯林の減少、砂漠化の進行、地球の温暖化等の問題に対処するため、地球環境保全対策を拡充するとともに、多様化・高度化するニーズに対応した農林水産分野の国際協力を推進します。
 以上申し上げましたほか、農林漁業金融の充実を図るとともに、農業信用保証保険制度、農業者年金制度、農業災害補償制度等の適切な運営に努めることとしております。
 次に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。
 国民のニーズにこたえる多様な森林の整備と国産材時代の実現に向けた条件整備を図るため、森林法制を見直し、森林整備五カ年計画の策定を推進します。また、造林事業及び林道事業を総合的かつ計画的に推進することとし、治山事業と合わせて三千四百七十七億円を計上しております。さらに、林業・山村の活性化を図る林業構造改善事業を引き続き推進します。
 また、森林計画制度を改善し、流域を単位として、民有林・国有林を通じた生産基盤の整備、林業の担い手の育成確保、機械化の促進等森林施業の合理化を図ります。
 このほか、国産材の流通体制の整備と木材産業の体質強化に努めます。
 一方、厳しい経営状況にある国有林野事業については、閣議了解された国有林野事業経営改善大綱に則し、累積債務対策を含め、新たな経営改善対策に着手します。
 続いて、水産業施策に関する予算について申し上げます。
 二百海里時代の定着等に即応した漁業生産基盤の整備と漁村の生活環境の向上を図るため、漁港、沿岸漁場の計画的な整備を推進することとし、二千二百四十三億円を計上しております。
 また、我が国周辺水域の資源の増大及び安定した漁獲を実現するため、資源管理型漁業の推進・定着化のための総合的な対策を実施するとともに、栽培漁業等「つくり育てる漁業」の推進を図ります。
 さらに、資源開発や国際漁業協力を推進するとともに、水産物の需給安定、流通消費、加工対策を実施します。
 また、漁協の信用事業の統合等による漁協・水産業の経営基盤の強化を図ります。
 次に、特別会計予算について御説明いたします。
 まず、食糧管理特別会計につきましては、管理経費の節減等に努め、一般会計から調整勘定への繰入額を二千百億円とすることとしております。
 農業共済再保険、国有林野事業特別会計等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。
 最後に、財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等の借り入れ、生物系特定産業技術研究推進機構への産業投資特別会計からの出融資等総額八千四百七十二億円を予定しております。
 これをもちまして、平成三年度農林水産予算の概要の説明を終わります。
#4
○委員長(吉川博君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○細谷昭雄君 私は、社会党を代表いたしまして、この前予算委員会の総括の際、渡米する直前の総理に対しまして、日米首脳会談に臨む総理の米問題に対する考え方をただしたわけでございますが、日米首脳会談がせんだって行われました。これに関連して幾つかの点をお伺いしたいと思います。
 まず最初に、米問題がせんだって日米首脳会談で議題になったいきさつ、そして総理のそれに対する対応、これについてお伺いしたいと思います。
#6
○政府委員(須藤隆也君) お答え申し上げます。
 日米首脳会談では、海部総理とブッシュ大統領との間で、主として日米の二国間問題及び湾岸危機後の国際的な諸問題について率直な意見の交換が行われた次第でございますが、日米二国間問題の議論におきまして、日米のグローバルなパートナーシップの一環としてウルグアイ・ラウンドの問題が取り上げられたわけでございます。ウルグアイ・ラウンドの問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドが日米両国のグローバルな協力の面で極めて重要であって、双方が協力していくべきだということで意見が一致した次第でございます。
 その関連でブッシュ大統領の方から米についての言及がございまして、総理からは、ウルグアイ・ラウンドの早期かつ成功裏の終結を目指して日米で緊密に協力していくこと、それから農業交渉の重要性を認識していること、我が国が世界最大の農産物純輸入国として月給率が極端に低いこと及び米については各国が抱えている困難な問題、輸出補助金、米国のウエーバー、ECの可変課徴金、そういう問題とともにウルグアイ・ラウンドの中で解決すべく努力していきたいという趣旨を説明されまして、さらにその際に、我が国にとり米が食生活及び農業等において格別の重要性を有していることに十分配慮した解決でなければならない旨伝えたところでございます。
#7
○細谷昭雄君 後から共同の記者会見が行われました。共同記者会見の模様というのも次の六日の新聞にいろいろ報じられておるわけです。さまざまな書き方がされておりますが、総理の共同記者会見に臨んだ、今の問題、特に米問題に対する真意は何でしょうか。
#8
○政府委員(須藤隆也君) 御質問の御趣旨を理解したかどうかわかりませんが、米問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドを成功させる必要があるということとの関連で取り上げられて、それに対して総理の方もただいま申し上げたようなことを答えられたということを承知しております。
#9
○細谷昭雄君 つまりこういうことじゃありませんか。非常に大事な点ですが、二国間協議はしないでウルグアイ・ラウンドでこれは決着をつけたいということをあの共同記者会見でいろいろ言っているんですが、つまりは日米両国が一致したという点は何なのかというと、まずとにかく一番大事なことはウルグアイ・ラウンドを成功させることなんだ、それが大前提なんだと。そこで、今障害になっているのは農業部門である、その農業部門の中でもなかんずく日本の米問題がその障害になっているんだという指摘をされたわけです。これに対しては、いずれサミットなり、ないしはウルグアイ・ラウンドの交渉の中で、その前に米問題についてはもう政治的な決断をせざるを得ない、こういうのが真意じゃないのかということなんです。
#10
○政府委員(須藤隆也君) アメリカ側が米の問題について言及してきた背景といたしましては、ただいま先生がおっしゃられましたように、ウルグアイ・ラウンドの成功は非常に大事であるという認識に基づきまして、中でも農業交渉が大事であるというのがアメリカ側の認識でございます。そういう認識に基づきまして、日本につきましても米という難しい問題があることは承知しているけれども、ウルグアイ・ラウンドの成功のためにお互いに協力していきたいという趣旨で言及してきたものと思われます。
 総理の方からは、米の問題というのは確かにあるけれども、これは各国それぞれ難しい問題を抱えているので、日本だけの問題じゃない。やっぱりウルグアイ・ラウンド全体の中で交渉して解決していくべき問題じゃないかという趣旨で答えられたということでございます。
#11
○細谷昭雄君 総理本人じゃありませんので、ここでやっても水かけ論になると思うんですが、いずれあしたの総括で党の代表がその点はただしたいというように思っております。
 問題は、もう新聞にいろいろ書かれておるんですよ、決断の時期模索へ。その中で、農林大臣と外務大臣に、帰国したら直ちに、米問題に対する妥協点、今後ウルグアイ・ラウンドに臨む、ないしはサミットに臨む妥協点をもう至急検討することを指示するというふうな憶測記事が出ておるんですよ。
 そこで、農林大臣に聞きたいと思いますが、指示されましたか。
#12
○国務大臣(近藤元次君) 全く総理からはそういう指示はございませんし、言うべきことはきちっと言ってきた、従来の方針どおりでいきたいと思うと、それ以外のことは一切ございませんでした。
#13
○細谷昭雄君 わかりました。
 それで、農林大臣にお聞きしますけれども、農林水産大臣も国務大臣ですので、きょうは総理のかわりにお答え願いたいと思うんです。
 今まで内閣は米問題につきましては、先ほど大臣からも方針がありましたとおり、これは日本の基礎食糧である、しかも、国内で完全自給をしていきたいということがこれまでの内閣の方針でございました。これは、国会の決議を体してというまくら言葉がついているわけですよ。そして今も大臣がお話しのとおり、現在までそういう指示は一切ありません。基本方針は変わりないということでございますが、どうも話の向きからしますとそういう疑義ないし危惧というのを私は持っているわけですよ。しかも、新聞等ではもうそうなるだろうという既定方針のようは報じられているわけですよ、これはやらせだと思いますが。
 そこでお伺いしますが、この米問題に関する内閣の方針はよもや変わらないと思うんですが、変える場合は国会の決議の変更なしには変えられないんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
#14
○国務大臣(近藤元次君) 従来の政府の方針を、国会は国内産自給で決議をされておるわけでありますから、方針を変えるときに国会決議の変更が要るかどうかという法的な手続上の問題は私はここでお答えする能力はございませんけれども、私は国会決議というものは国権の最高機関の決議でありますから十二分に尊重して対処していくのが政府の方針でなければならない、そう判断をいたしております。
#15
○細谷昭雄君 今度は農水大臣としてお聞きします、今までは内閣総理大臣の代理ですから。
 改めて農水大臣に、現在の農業の問題、国民食糧の問題、環境その他の国土の問題、そして消費者の問題、いろいろ考えまして、ウルグアイ・ラウンド、この方向に向かって私は危惧しているわけですが、農林水産大臣の米問題に対する考え方、あわせて、もしも内閣なり自民党がそういう方向に変わった場合には農林水産大臣としての政治責任のとり方、これについてお伺いしたいと思います。
#16
○国務大臣(近藤元次君) 国の内外を問わずいろんな人がいろんなことを言うてくれておるわけでありますから、もう枚挙にいとまがないほどいろんなことの御発言があることは承知をいたしております。また、マスコミによってもいろんなことが報道されておることも十分承知をしておるわけでありますが、現実、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の場を見ていただければもう先生おわかりのとおりだと思うんです。
 会議の中でまだ全く議論をされていないと言ってもいいようなラウンドの状況でございますから、今それをどうこうするというような現在の状況でもございませんし、年末にいわば輸出補助金についてアメリカ、ECとの対立があってそのまま延会になって、本年に入ってようやくにして二月の二十六日に開会されて、事務的には先般三月の十一日から初めての事務的の、しかも技術的の、国内支持をどうするかということを一回各国が主張し合った、それだけのことでありまして、まだそれ以上の進展が全く見られないときに、私どもが従来述べておる、少なくともこれだけの輸入国、そして自給率、米の持つ役割というようなものを御答弁申し上げたとおりの方針で貫いていきたい、こう思っておるわけであります。
 今度の妥結というものは、少なくとも輸入国の立場が反映をしないで妥結をしたことは実効は上がらぬのではないか、そういう判断を実はいたしておるわけでありますから、まだここで、このことが変更になったときの政治責任をどうとるかというようなことよりも、私はこのことを反映させていくのが自分の任務であるし、重大な決意を持ってこれを反映させるということが、変更して責任をとっていくことよりは反映をさせることに専念をするべきだという立場で今仕事をしておるわけでありまして、そのように御理解をいただきたい、こう思っております。
#17
○細谷昭雄君 大変心強い御決意を伺って、私たちもその面での米問題に対する限りは全面的な御支援をしたい、こんなふうに思っておる次第でございます。
 次に、あと何分かしかございませんけれども、今緊急の問題について二、三お伺いしたいと思うんです。
 一つは、農地の価格が非常に下落をしました。農地価格の下落によりまして、農家の負債の担保をとっておった問題に関しましてこの返済が大変問題になっているわけです。農地価格の変動状況というのは、いろいろ理由がございますが、いろんな資料を取り集めましても、特に負債整理のためにいろいろ世話をしております各県の農地管理公社がございます。この農地管理公社の売買の価格変動を調べてみますともう大変な値下がりをしておるということなんですね。十年前に例えば百五十万という担保価額ということで抵当にとっておったのが現状は百万に下がっておる。五十万も下がっておるという状況なんです。しかも今、時限立法の農協合併助成法が来年で切れるという中で、各農協は負債整理に非常に忙しくなっている。そこでその負債整理のために結局は田んぼを差し出さなくちゃいけないということになりつつあるわけですね。農協では田んぼを買うについては、これでは少ない、十アールじゃだめだ、十二アール出してくださいという形でやらざるを得ない。もう言う方もやる方も地獄なんですね。これはもう何とかしなくちゃいけないということで強く農林水産省の対策を望まれておるという状況なんです。これについて、ひとつ何とか打つ手はないのかという緊急の問題でございます。
 あわせまして、時間がありませんので、農協の合併助成法の期限が直前に迫っておるという関係でそのために急いでおる。これは非常に無理なんですね。現状を十分調査されまして、これの延長が必要なのではないのか、こんなふうにも思うわけでございますが、この二点についてひとつお伺いしたいと思います。
#18
○政府委員(片桐久雄君) 農地の価格についてでございますけれども、純農業地帯の水田の価格で見ますと、全国平均で見ますとわずかに上昇傾向ということで、例えば平成二年で見ましても、中品等の水田で対前年比五・一%上昇、十アール当たり百八十七万円というような価格になっているわけでございます。ただ、これを地域別に見ますと、北海道とか東北、九州、こういうところでは下落傾向が続いておりまして、平成二年の農地価格と昭和六十年の農地価格を対比いたしますと、北海道地域で八〇%、東北で九〇%、九州で九六%というようなことになっている次第でございます。この下落の要因ということでは、農産物価格の低迷とか農業生産意欲の減退、また農地の買い手が少ないというような理由になっている次第でございます。
 私どもといたしましては、こういう離農する農家の耕地につきましては、できるだけ規模拡大方向に向けたいということでいろんな努力をしている次第でございます。特に、規模拡大の意欲のある農家に対しましては、農地の取得資金を融通するとか、また農地保有合理化事業、これは各県の農業公社を通じてそういう農地を買い入れまして規模拡大をしたいという農家に長期低利で売り渡すというようなことをやっているわけでございまして、私どもといたしましては、今後ともこの離農者の農地を規模拡大の方向に向けるようにいろいろ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#19
○政府委員(川合淳二君) 合併助成法についてお触れでございますので、私から答弁させていただきます。
 今お話がございましたように、合併助成法は平成四年三月末までが期限となっております。そういうこともございまして、平成元年度におきましては、全国で三百六農協が参加いたしまして九十二件の合併が行われ、本年度はさらにこれが促進されるというふうに考えております。したがいまして、現在私どもはその合併を進めるべくいろいろな形で協力を申し上げているところでございます。合併助成法につきましては、こうした状況をよく見ながら検討していく問題というふうに考えておりますが、いずれにいたしましても現在の農協合併法は議員立法でつくられた法律でございますので、そうした点もあろうかと思っております。
#20
○細谷昭雄君 いずれにしましても、農家負債の返済問題というのは大変な問題でありますので、なお一層検討の上善処していただくことを要望したいと思うわけです。
 最後になりましたけれども、北洋サケ・マス問題というのは大変なもう今難航しておるというよりもむしろ追い出されているという状況でございまして、さらにはベーリング海のスケソウダラ漁業問題、これもまた追い込まれておるわけであります。したがって、減船が非常にふえてきておる。この減船に対する補償問題について二つの点でお伺いしたいと思います。
 一つは、いわゆる減船の補償額を引き上げないと大変だという声が非常に強いわけでございますので、これの方針と現状について。それからもう一つは、漁船員の離職の問題でございますが、これは陸上、海上それぞれあろうかと思いますので、運輸省と労働省のお考え方、対策、これの万全を期していただきたいということを要望しながら質問をしたいと思います。
#21
○政府委員(京谷昭夫君) 北洋サケ・マス漁業について御指摘のとおり大変厳しい状況にあるわけでございます。一九九二年からの公海操業の停止といったような問題もございまして、そういう事態に対処して、御承知のとおり一昨年の閣議了解で決めました国際漁業再編対策に基づきまして、昨年北洋サケ・マス漁業の再編整備に関する基本方針を決めたわけでございます。この中で、救済費、減船に伴う救済措置の内容、関係する道県知事の意見も聞きながら適正に決定をいたしまして、平成二年度の予算、予備費の支出決定も行って現在既に着手をしておるところでございます。この円滑な実行を図ってまいりたいと思っております。
 また、ベーリング公海についての漁業規制問題、これもことしの二月に国際会議が開かれまして、将来に向けて大きな課題を背負っております。具体的にこれからの国際協議がどのように進展していくのかもう少し様子を見ないとわかりませんけれども、場合によっては減船といった形での再編整備も必要になろうかと思います。状況に応じてどのような対策が必要であるかということについて、関係者あるいは関係地方公共団体と相談をしながら、状況の推移に応じて私どもとしては対応をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#22
○説明員(野寺康幸君) 国際的な漁業規制の強化に伴いまして減船を余儀なくされる漁業につきましては、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法という法律に基づきまして特定漁業として指定しております。その離職者につきましては、船員失業保険の個別延長、職業転換給付金の支給等を行いまして、求職中の生活の安定、再就職の促進を図っているところでございます。
 労働省といたしましても、これら漁業離職者の陸上部門への再就職を希望される方につきましては、このような措置を活用しながらその再就職の促進を図っているところでございます。今後とも、運輸省等関係省庁と十分連携をとりながら、関係労働者の雇用の安定を図るための措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
#23
○説明員(木村泰彦君) 今回の北洋サケ・マス漁業におきます減船に伴い、求職手帳を発給した者の数は、本年の二月末現在で五百八十三名となっております。これらの離職船員に対しましては、先ほど説明がございましたように、求職手帳の発給、就職指導及び船員離職者職業転換給付金の支給等を行っているところでございまして、今後ともこれらの離職者に関しましては、関係省庁と協議しながら所要の措置をとってまいりたいと考えているところでございます。
#24
○林紀子君 ただいま細谷理事からの質問もありましたが、日米首脳会談での米協議について、大変重要なことですので、私も質問をさせていただきます。
 ブッシュ大統領は米問題について、先ほど外務省からもお話がありましたが、難しい問題であることは承知しているが、ウルグアイ・ラウンド成功のため協力してもらいたいと述べたということです。しかし、この発言は米の市場の早期開放を要求したものだと考えざるを得ません。これに対して総理は、アメリカもEC、日本もそれぞれ困難な問題を抱えている。それらの問題も含めてウルグアイ・ラウンドの中で解決すべく努力していきたいと述べたということです。
 しかし、ウルグアイ・ラウンドの中で解決すべく努力するということは、これまでの国会答弁で言っていたウルグアイ・ラウンドの場で議論していくということから一歩踏み込んだことになるのではないでしょうか。そして、アメリカやECが譲歩すれば日本としても米市場の部分開放を決断する用意があるということを示したものではないかと思うのです。総理は、三度にわたる国会決議があり、米は国内で完全に自給するというふうにきっぱりと拒否するべきではなかったかと思いますが、近藤大臣はこのやりとりをどういうふうに受けとめていらっしゃいますでしょうか。
#25
○国務大臣(近藤元次君) 日米共同記者会見、ブッシュ大統領と海部首相お二人で共同で記者会見をした中で、ブッシュ大統領の方から米の話が出たようでありますけれども、海部総理からは日本においても種々複雑な問題に直面していることの説明があったとブッシュ大統領の方から発言があったということは、海部総理としては国内における米の重要性なり、輸入国であるなり、そういう立場のことを十分説明をいたしたのではないだろうか、こう思っておるわけであります。
 結論的には、二国間ではやらないということが原則で、実はそのことの主張をガット・ウルグアイ・ラウンドでやろうと、ガット・ウルグアイ・ラウンドでは、一つはこれを成功させなければならないということは我が国も従来から言っておるわけでありますけれども、最終的にそれを成功させるのには農業問題もということで、ここは米でなくて農業問題も含まれているというようなことの発言がブッシュ大統領からあったように、私はあの記者会見を聞いていてそう感じておるわけであります。ガット・ウルグアイ・ラウンドが成功するということと、あるいはそれぞれの国が重要なものを持ち寄って解決をするということが我が国が譲歩するというようなことであると私は受けとっていないわけであります。我が国のそれぞれ米の重要性なり、あるいは十一条二項(C)の分野について、輸入国としての主張が反映をされて結論が出ることを私は意味しておることだと、そう理解をいたしておるわけであります。
#26
○林紀子君 自民党の西岡総務会長は、アマコスト駐日大使に対して、統一地方選挙が終了したら本格的な論議を行うと約束したと伝えられています。また、自民党は、米市場の限定的な開放は避けられないという判断から、統一地方選挙終了を待って本格的な国内調整に入る、こういうことも報道されているわけですね。これは輸入枠を設定するミニマムアクセスということを受け入れるということだと思いますし、それ以前にも小沢前幹事長であるとか、宮澤元大蔵大臣も部分開放容認という発言が次々となされているわけです。
 また、当時のヤイター・アメリカ農務長官が当時の武藤通産相と話し合って、日本側がミニマムアクセスの受け入れで米の開放に踏み込めば輸入水準を十年間凍結すると約束していたという報道もありますけれども、農水省はこのヤイター・武藤の密約を知っていたのではないですか。そしてまた、大臣はこうした与党の間で次々と行われる部分開放の言動についてどう受けとめていらっしゃるのかもぜひお聞きしたいと思います。
#27
○国務大臣(近藤元次君) もう余りにもその種の発言が多過ぎて、近ごろ私は確認もしたことはないわけでありますけれども、少なくとも大きな流れとして党がそういうミニマムアクセスを容認して議論をするというようなことは、私は全く承知をいたしておりません。報道の上で西岡総務会長とアマコストの話の報道は私も承知をしておりますけれども、西岡総務会長からも何の連絡もございませんし、またそれぞれの人たちの発言を私が聞いておる限りにおいては、少なくともみずから発言したという人は少ないようで、新聞記者さんのインタビューに答えているというのが圧倒的に多いように私は認識をいたしておるわけです。インタビューの質問の部分はカットして発言だけが載るものですから、それぞれの皆様方は積極的な発言なり、みずからの意思を表現をしておるというようなことだけが受けとられておるんではないかな、こう思っておるわけであります。
 私は、党がそのような論議をするときには何らかの連絡はいただけるだろう、こう思っておるわけでありますが、全く連絡はございませんし、また恐らく党のそれぞれの機関も、今ウルグアイ・ラウンドがどういう位置づけになっておるかということをおわかりになっていれば、そういうことで御相談をするということもあり得ないだろう、そう判断をいたしておるわけです。
#28
○林紀子君 そうしますと、今回の日米首脳会談の中で総理は食糧安保の考え方に一言も触れていないようですけれども、我が国の方針はこれまでと同様に米は国内産で完全に自給するということで変わりないというふうに理解をしていいわけですね。
 それからまた大臣は、記者会見の中で、正しい理解を得られるようにアメリカの議会関係者に働きかけていく、これは大臣自身の発言として報道されているわけですけれども、具体的にはどのような行動をとっていくのか、お聞きして終わりたいと思います。
#29
○国務大臣(近藤元次君) 先ほど一つ答弁を漏らしましたけれども、武藤前通産大臣とヤイターさんの発言については農林水産省は承知をいたしておりませんし、ノンペーパーが出てきたときの通産大臣、外務大臣、前農林水産大臣の態度を見ておればそういうことではなかっただろう、こう判断をいたしております。あわせて、今の問題で国内産で自給するという方針には全く変わりはございません。
 ただ、いろいろ報道される中にあって、国の内外の人たちといろいろ接触をした段階でも、日本が何となく閉鎖的だという印象が国内にも国外にも非常に強いんではないかなという感じを受けておるものですから、私は機会があるたびに、国内においては少なくともこんなに輸入をしておるんだということをお話しするとびっくりしている人が非常に多いということであります。
 もう一つは、アメリカに対しての話がございましたけれども、前回、幕張メッセの件で二人の部長にアメリカへ行っていただいたときも、時間が許す限り議会にもひとつ説明をしてくるようにということを指示してやりましたし、これから、でき得れば、国会の諸先生方も可能な限りアメリカの国会議員と接触していただくなり、また友人、知人の方々に対してぜひ、アメリカからこれだけのものを買っているんだという説明だけでもせめてしていただき、そして両国の国民が正しい認識の上に立っているときに初めてお互いの立場が理解できるんだろう、こう考えるわけであります。
 あと、それぞれ団体の皆さん方もアメリカのそれぞれの団体との貿易関係もございますし、またもう一つは、アメリカの国民全体にどうやって理解をしてもらうかということを私が目下考えて、何か具体的なものが出たら御相談を申し上げて実行したい、こう考えておるわけです。
#30
○橋本孝一郎君 既に米の自由化問題も先の方々からされておりますので省略いたしますが、農産物外交というのは非常に難しいと思います。これはもう日本だけではなくて、各国共通の問題をそれぞれ抱えておりますがゆえに、一般的な工業のような自由市場の秩序が維持されておるというふうな総論では賛成しても、各論になると必ず国際的な摩擦が起きるわけであります。
 そういう中で、ちょっとひとつお尋ねしておきたいんですけれども、農業補助の問題ですけれども、ウルグアイ・ラウンドで農業補助の削減の問題が取り扱われております。農業問題は、このようにアメリカ、ECともにそれぞれ先進国にとっては複雑な問題を抱えております。例えばECの九一年度農業予算は大幅にふやされました。特に価格支持関係予算は前年度に比べて二〇%の増加、また輸出補助金も一四%増加となるということであります。これはまさにラウンドを無視したものであります。
 また、アメリカでは昨年十一月二十八日に九〇年農業法が成立しまして農業補助を強めております。また、本年三月二十二日に緊急補正予算を上下両院で可決し、輸出振興計画の予算上限を撤廃しまして大幅な補助金増額が可能となります。振興計画はECの輸出補助金に対抗するために設けたとしてありますが、ウルグアイ・ラウンドでのアメリカの主張と議会の動きは明らかな矛盾と言えるだろうと思います。政府は、このようなEC予算及びアメリカの九一年度緊急補正予算にどのような矛盾点を含んでおると考えておられるのかどうか、またガットの場等で是正をどう求めていくのかお伺いいたしたいと思います。
#31
○政府委員(川合淳二君) 先生今御指摘のように、アメリカは九〇年農業法におきまして輸出政策の拡充を行っておりますし、今御指摘の九一年度補正歳出法案におきましても輸出奨励計画、いわゆる輸出補助金の上限の撤廃を行っております。また、ECも輸出補助金を前年度からかなりふやしているという状況でございます。
 このような輸出補助金の増額は、主として小麦などの国際価格の下落による価格差をお互いに埋める、その中で国際競争をやるということによるものでありますので、一つ感想といたしましては、各国とも農業におきましては特有の難しさを持っているということを示すものではないかというふうに考えますが、今御指摘のように、一方で輸出補助金の撤廃を主張しているアメリカがこうした措置をとっているということは、まさにウルグアイ・ラウンドにおける考え方に逆行するもので、まことに観念なことであると思っております。
 我が国といたしましては、この農業交渉のそもそもの背景といいますか、一番大きな問題はこの輸出補助金をめぐる問題でございますので、やはり輸出補助金については段階的に削減いたしまして、最終的には撤廃するという主張をいたしております。今後ともこの考え方、今先生から御指摘のような点を踏まえながらこの問題の解決について取り組んでいきたいというふうに考えております。
#32
○橋本孝一郎君 先ほど大臣からお話がありましたように、日本はいわゆる農産物輸入国として非常に大きな位置にあるわけであります。これは輸出国であるECとアメリカとは基本的に違うところであります。しかし、日本でも農業基本法の十四条では輸出振興のことがうたわれておるわけでありますし、現実に農産物の中には、温州ミカンだとかナシその他の果実、和牛とかあるいは緑茶というふうに既にもう実績を上げて国際的にも評価を受けておるものがあるわけでありまして、こういった積極的な面において日本の地域特産品を海外の消費者にさらに広げていくという意味で、農産物の販路拡大というための国境の調整措置だとか、あるいは輸入障壁の除去だとか秩序ある輸出体制の確立、こういった輸出の可能な研究開発を含めた、例えば農産物輸出促進法といったようなものを制定して農産物の輸出促進を図る。
 そして、これだけがすべてじゃありませんけれども、農産物外交に対する国民の不信といいましょうか、そういったものも除いていく。不信というのは、この前の牛肉・オレンジに見られたように、やらないやらないと言っていつの間にかやってしまうということに対する農政の不信、農政外交の一つの問題点だと私は思います。こういった積極的な面で政府の対応策があればひとつお聞かせを願いたいと思います。
#33
○国務大臣(近藤元次君) 先ほど答弁を政府委員からいたしましたけれども、輸出補助金なり国内支持なりというのは今度のウルグアイ・ラウンドで、ことし増額をしたからそれから削減をするというようなやり方は我が国はしておりませんで、四年前決められた時点から今日まで、最終妥結までどうするかということを決めなければいけないことだと思うんです。後から、ふやしたからそれから下げるなんというようなやり方は、これはとらないように私ども主張しておるわけであります。
 今、海外への農産物の輸出につきましては、これは大変積極的に私ども進めていかなきゃならない事業だ、こう思っておるわけであります。国際農業交渉を毎年いろんな面でやってきておりますけれども、何か国際交渉が始まれば日本は負けるものだという印象が強くて、後退する印象が非常に強まっていることを一つは心配いたしておるわけであります。
 将来、日本が海外にも農産物を輸出できる競争力というものを持つということがこれからの後継者たちに夢を与える一つの大事な仕事である。日本の農産物は内外価格差から見れば高いかもしれませんけれども、それ以上に世界的に品質のいいものをつくっていただいておる。こういう高級品志向のある国については積極的に進めていけることが、一つは温州ミカンがアメリカ三十三州に行ったり今カナダで拡大をされておることでもございますし、それぞれテストマーケティング、新しい販路の開拓をするようなところについて政府が負担をしてやらなければなりませんし、また今回はアンテナショップをヨーロッパにひとつ開設をしたい、こういうふうな考え方でもあります。
 もう一つは、日本としてそれぞれの県やそれぞれの特産が出ていくんでは知名度が低いわけでありますから、日本の統一したブランドをつくることが大切なことであろう。また直接、価格支持はいたしませんけれども、間接的なリスク負担については積極的に私ども進めていきたい、そう考えておるわけであります。
#34
○橋本孝一郎君 委員長、十三時九分という通告をもらったんですが、後の土地改良法の方を放棄しますので、十一分を含めてやりたいと思います。お許し願いたいと思います。
 次に、林業関係について、林業が産業として魅力が欠ける最大の理由というのは、採算性が他の産業と比較して著しく低い点にあると思います。これは林業利回りが一・九%であるとか、あるいは国産材関連産業の借入金比率が六一%、製造業平均の三八%を大きく上回ることからも明らかであります。このような状況のもとで、若い林業後総者が林業に魅力を感じないのもこれはもう当然であります。しかし、最近の新規住宅着工数は、一九八五年度の百二十五万戸から八九年度は百六十七万戸と着実に増加傾向にあります。また、平成二年度の伸び率は八・四%となっています。したがって、国産材ももっと工夫をして販売努力を行えば需要も拡大するのではないかと考えられます。
 最近出された林政審答申にあるように、来るべき国産材時代を迎えるに当たって、事前に加工あるいは流通における条件整備をする必要があるということが言われております。そのためには、外材に負けないだけの販売努力、流通システムの合理化、スピード化が必要と考えられます。それには現行の枠組みでは困難なのではないでしょうか。例えば林野庁や森林組合などの合同出資による第三セクター的なものをつくって、消費者ニーズに適合した流通販売を行う新たな組織をつくるのも一つの方法でしょうし、そういったいわゆる消費者ニーズに適合した組織をつくる必要があると考えますが、どのように考えておられますか、お尋ねしたいと思います。
#35
○政府委員(小澤普照君) 先生御指摘のように、消費者ニーズに適合した供給を行うということは我々も重要だというように考えておりまして、そのような中で努力をしているわけでございますけれども、一般的に申しますと、国産材の生産者は消費地からは遠く離れたところに居住したり、あるいは経営をやっているということから、みずからが消費者ニーズの把握なりあるいはマーケットの開発を行うことがなかなか難しい状況にございます。このために林野庁といたしましては、国産材を使用したモデル住宅をつくるということとか、あるいは情報提供でございますけれども、こういうものに重点を置きました相談室を設けるというようなことを行ってまいったところでございます。
 特に、消費者ニーズに適合した流通販売を促進いたしますために、国及び木材業界の出捐によって今般設立いたしましたところの日本木材総合情報センターでございますけれども、ここにおきまして消費者に対する商品情報の提供や、あるいは生産者に対する消費者ニーズのフィードバック等を行っているところでございます。また、今年度は木工品のクラフトでございますとか、あるいは住宅関連部材につきましての展示会を開催する等内容も充実を図ってまいりたいと考えております。
 さらにまた、先生、今第三セクター等新しい組織というようなこともおっしゃいましたけれども、最近は市町村や木材業界等が一体となりまして新しい組織をつくるというようなことの取り組みも出てきておりまして、例えば愛知県の設楽町では、町あるいは森林組合、木材協同組合等によりまして第三セクターを組織いたしまして、三河材を部材とした奥三河の家の生産販売を推進しているという事例もございます。
 林野庁といたしましては、今後とも消費者に対する働きかけを行いたいということでございますが、平成三年度には新たに導入いたします流域管理システムの活用によりまして地域の関係者の総意を結集いたしまして供給体制を整備するということにより、国産材の需要の拡大等に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#36
○橋本孝一郎君 いろいろ考えられているようでありますが、問題はそういう組織と同時にヘッドの切りかえも大事なのでありまして、これは将来の問題として残しましょう。
 次に、漁業問題です。漁業も農業や林業と同様に極めて厳しい環境にあります。サケ・マス問題あるいは資源の減少、魚価の低迷など、多くの問題を抱えております。漁業後継者の減少もそういう意味で続いております。また、遠洋漁業に至っては一年以上も日本に帰らず操業を行っている場合もあります。
 さきの本委員会で連合の先生が遠洋漁業従事者の住民税の負担軽減についてお尋ねしましたが、税負担の公平性からという理由で前向きの回答がいただけませんでした。調べましたところ、ヨーロッパでは外航船に乗船している船員について税の優遇措置が講じられております。例えばイギリスでは、国内滞在期間が乗船期間の四分の一、または年間九十日以内であれば所得税がすべて免除される特例が講じられておるそうであります。こうした税の減免措置は、他の海洋国と言われますノルウェー、デンマーク、オランダなどにも見られます。このような措置がとられておられるのも海上に居住する期間が長く、地方自治体から受ける行政サービス等も少ないからであります。
 水産庁にお尋ねしますけれども、欧州のこうした減免措置についてどうとらえておられるのか、また、ほかに海外で見られる所得税、住民税の軽減措置について把握しているものがあればお伺いしたいし、あわせて諸外国で実施しており、日本も実行可能と考えるかどうか、大蔵省、自治省のお答えを聞きたいと思います。
#37
○政府委員(京谷昭夫君) 漁船員を含む船員について、特にその中で長期航海をするような漁船員についての課税措置の問題についてのお尋ねでございます。
 ただいま御指摘がございましたように、イギリス、オランダ、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン等の諸国におきまして、国によって種々の形態がございますけれども、一定の要件に該当する国際船舶等の船員について所得税の免税、減税あるいはそれにかわる各種の措置がとられている事例は私どもも承知をしております。ただ、これらの各国の制度は、御承知のとおり、それぞれの国の租税体系あるいはまた社会経済的な背景が異なっておりまして、そのまま我が国に適用をすることの是非については慎重に検討する必要があると思います。
   〔委員長退席、理事北修二君着席〕
 本来、この問題は、船員行政あるいは租税政策全体の中で論議されるべきことでございまして、漁船員に限って議論をするのもいかがなものかと考えるわけでございますが、現在、国内でとられております租税政策上の諸原則、平等性、公平性あるいは応益主義といったような諸原則、そしてまた、これらの優遇措置というものが逆に船員労働行政上大きな問題になっております航海の長期化をかえって刺激するというふうな問題もございまして、運輸省とも私どもの立場で内々の検討をしておりますけれども、なかなか問題点が多いという状況でございます。
#38
○説明員(増原義剛君) お答え申し上げます。
 現行の税制上、いわゆる長期間にわたりまして海外に出ておられる船員の方々ではございましても、配偶者その他生計を一にする親族の方々が我が国に居住されているような場合などにつきましては我が国のいわゆる居住者に該当するということでございまして、そういう方々は他の給与所得者と同様の所得税の課税が行われていることになっております。
 御提案は、このような居住者として課税されている船員の方々でございましても、一定期間以上海外に船員として出ておられる場合には所得税の減免措置を講じてはどうかということだろうと思われますけれども、先ほども御指摘ございましたように、税負担の公平の観点から申し上げますと、やはり同じ所得金額を有する方々につきましては同じ税負担を求めるというのが租税の大原則でございまして、我が国の所得税もこの大原則にのっとっております。御提案のように、例えば特定の職業の方々、あるいはその勤労形態に着目しまして所得税の減免措置を講ずるということはやはり税負担の公平という観点から見て適当ではないものと考えております。
#39
○説明員(三沢真君) 先ほど先生の方から御指摘のとおり、諸外国で船員の所得に対して課税上の特例措置を講じている例というのは確かに何カ国かあるわけでございます。ただ、こういった国々におきましても、我々調査した限りでの話でございますが、自国籍の商船を確保し、自国海運業を保護、育成するというそういう観点からとられている制度でございまして、長期間家族の住む市町村に不在であるとか、あるいは勤務が特殊で過酷である、こういった理由からの特例措置ではないというふうに承知しております。また、その場合でも、国税、地方税を通じる制度ということで特例を講じておられるようでございまして、地方税だけ特例を講じているというような国は調査した範囲では見当たらないわけでございます。
 いずれにいたしましても、特定の政策目的から特例措置というのを検討する場合におきましても、住民税というのは地方公共団体とその構成員たる住民の応益関係というものに着目いたしまして、所得に応じましてできるだけ広く負担を分かち合う、こういう性格のものでございますので、その特例措置の検討につきましては十分慎重であるべきであるというふうに考えております。
#40
○理事(北修二君) 以上をもって平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査を終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○理事(北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
#42
○理事(北修二君) 次に、土地改良法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#43
○三上隆雄君 それでは、私から今回の土地改良法改正に関してのいろいろな問題点等について質問を申し上げたいと思いますが、それに先立ちまして、当面重要課題とされております米のガット・ウルグアイ・ラウンドの問題について、先ほど同僚の細谷委員からも質問いたしましたけれども、私から若干確認の意味で質問させていただきたいと思います。
 先ほど近藤大臣から大変力強い御決意を承って、私ども大変心強く思うわけでありますけれども、そこで、きょうの朝刊ですか、きのうの夕刊でしたか、アメリカなりECが譲歩した場合にはそれに順応して日本の一部輸入はあり得るというような報道が、しかも政府筋から出ているという報道がありましたから、その辺の確認をしたいと思います。
#44
○国務大臣(近藤元次君) 朝日新聞の夕刊でのことではないかと思うわけでありますけれども、「政府筋」と書いてあるわけでありますが、私はまだだれからも聞いておりませんし、私はもちろん発言もいたしておりません。ただ、そのことよりも内容が重要なんだと思うわけでありますから私の考えていることをお答えいたしたいと思います。
 それぞれ困難な問題を抱えておることは御案内のとおりでありますし、最終的には困難な問題をどう扱うか、これが最終的な一つの山場を迎える時期がいつかは来るだろうと考えておるわけでありますが、そういうアメリカやECと我が国の違う立場というのは、一つは米の重要性というものやら稲作の重要性というようなものが、他国のどの農産物よりも、さらに重要性という意味合いからすれば非常に重いものだということに日本の国民は受けとめておる、こう思っておるわけであります。
 そういう意味からということが一点と、そしてまた、自給率が下がっている傾向の中で最大の輸入国であるという立場。ですから、輸出国と輸入国の見解の相違というものは議論の焦点になることは当然のことだと私は思うわけでありますけれども、私どもはそういう立場で、米の重要性、稲作の重要性、あわせて輸入国であるということと自給率が下がっているということを総合的に判断をして、少なくともこの決着に反映をさせていきたい、そういう決意でいるわけでありますから、向こうの重要性をどう扱うかということは、またそれぞれの国において国内対応その他を考えて相手国から話があるかもしれませんけれども、私どもはそういう立場で、私の国がこれが重要だということをもって同列に扱って交渉に当たるという気持ちはございません。
#45
○三上隆雄君 そこで、若干さかのぼりまして、日米の構造協議の中でアメリカはアメリカなりの輸出補助金になり、あるいはECはECなりの可変課徴金、日本は日本なりの国内保護あるいは国境措置をしているわけでありますけれども、その保護状況を全部はいだ場合には、果たしてフェアな貿易の交渉だと言えるのかどうか。私は考えてみて、やはりそれぞれの国々がそれぞれの保護政策を取った場合に表面的にはこれはフェアな貿易だとは思いますけれども、国内の産業間の調整も国内政治の中で必要なわけでありますから、その観点からいきますとそれぞれの国々で保護政策をとるのが当たり前だと思います。
 そしてまた、生産性からいくとアメリカはタイ国よりまさると思いますけれども、タイ国はあのような低水準の労働賃金で生産をしている、そういう関係からタイ国に対してアメリカは生産性が及ばないというそういう実情もある。そういったときに果たして国内保護を全部取ることがフェアな貿易になるかということに対して大臣はいかがな所見をお持ちでしょうか。
#46
○国務大臣(近藤元次君) そんなこと全くあり得ないと実は私は思っているものですから、余りそういうことに焦点を合わせて考えたことはございませんけれども、私は食糧の持つ意味合いからいって、歴史的にこれだけの補助、保護、国境措置、それぞれとられてきておることだろうと思うわけであります。
 一つは、輸出補助金というような国内市場をゆがめるようなものは、国際的な場で解消する努力はそれぞれの国が主張してしかるべきだと思うけれども、それでさえ、輸出補助金がついて輸入しておる国からの同意というのもこれまたなかなかとるのに努力が必要なんでないだろうか。言ってみれば、輸出補助金をつけて安い価格の農産物を輸入して自国の食糧にしておる国というのがあるわけでありますから、そういう国からすると輸出補助金を廃止しては困るというような意見もあるように承っておるわけであります。そういう国内の自給をするという方針で保護をするというようなことは、私は当然あり得てしかるべきだと、そう認識をいたしておるわけであります。
 特に、価格の問題をとかく議論されますけれども、価格の議論をするときには、ぜひ品質の議論もしてほしい、こう実は言っておるわけであります。
 あわせてもう一つ価格の面では、それぞれの国の所得で割り返しをして価格が安いか高いかの比較もまたしてほしいなと。とかくその価格そのもので、国際価格をただ比較を単純にするということで宣伝をされるということは消費者を惑わすことにもなりはしないかな、また安いものがあるということになると生産者の意欲をそがれるんではないかな、そういう心配をしておるものですから、私はできるだけ、米にしても日本の国民の所得とアメリカ、タイの国民の所得で割り返したとき幾らの量が買えるのかなというような計算を事務当局にしていただいて、機会あるたびに品質と国民所得と農産物価格というものを丁寧に説明をさせていただいておるようにしておるわけです。
 私はそういう立場から、まず国内支持、国境措置、それぞれの分野で、輸出補助金は、当然のことでありますけれどもゼロになるというようなことは全くあり得ないと思っておるものですから、深い勉強をいたしておりませんので、先生に十分お答えになったかどうかわかりませんけれども、私はそれぞれ抱えておる状況によって国内が自給するということは、食糧という立場からすれば当然のことでないかな、こう思っておるわけです。
#47
○三上隆雄君 ただいまの大臣の認識については私と認識が同じでありますし、どうぞひとつ国内外でその認識で御活躍をいただきたい、こう思います。
 それでは、今回の法案改正の問題に入らせていただきたいと思います。
 私は、主として国営、県営あるいは関連があれば団体営も含めて、土地改良事業における市町村の事業費負担の明確化に対する今回の法改正でありますから、その諸問題について続けてお聞きしたいと思います。
 まず日本農業の、農業というのは結局食糧の基本的な考え方とその方針について、しかも構造政策、今までの日本農政の一つの国際化に対処する方針としては規模拡大、そして資本集約型、そういう指導を進めてきたわけでありますけれども、それにはおのずと限界があるというそういう兆しも、私どもも、生産現場も政府自体もお認めになっている状況に相なっております。その意味で、それに対する所管大臣の農水大臣の御所見を賜りたいと思います。
#48
○政府委員(片桐久雄君) まず、農業の政策の進め方の基本に係る御質問でございますけれども、御承知のように、農業は食糧の安定供給のほかに地域社会の活力の維持、それからまた、国土とか自然環境の保全、そういう意味で多面的な重要な役割を果たしているというふうに考えている次第でございます。したがいまして、二十一世紀に向けて我が国経済社会の調和ある発展のためには、農業の健全な発展が何といっても最も重要であるというふうに考えております。そのためには、次代を担う若い方々が希望と誇りを持って農業を営めるようにまず夢のある農業の確立ということと、もう一つは活力ある町づくり、村づくりということを目指すことが必要であるというように考えております。
 その具体的な施策といたしましては、農地の流動化、生産組織の育成等によります経営規模の拡大とか生産性の向上ということがまず第一点でございますし、またそういう条件を整備するための生産基盤の整備ということも非常に重要であります。また、意欲のある農業後継者の育成確保とかそれからバイオテクノロジー等の先端技術の開発普及ということにも努めていきたいというふうに考えております。また、道路とか下水道などの生活環境の整備等により、住みよい農村づくりにも努めてまいりたいというふうに考えております。
#49
○三上隆雄君 先ほど来ガットの問題から、今の局長の御答弁にもあるように、やはり農村は農村社会として、また農家そのものも育てていかなきゃならないというそういう基本的なお答えがありましたので、それではもう少し具体的に、将来の日本の食糧政策として食糧の自給率をどうしていくのか、その辺について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#50
○政府委員(鶴岡俊彦君) 我が国の食糧自給率でございますけれども、最近の食生活の変化が各国に例を見ないような急激な変化をしまして、食生活が多様化しておることは御案内のとおりでございます。それに対して農業生産が対応し切れていないというようなことで自給率自身減少ぎみでございまして、この間発表しました元年度自給率もカロリー自給率では一ポイント低下したわけでございます。
 国内における供給につきましては、かねてより当委員会でも議論していただいておりますように、国内の農業の持てる力を極力発揮して、できるだけ国内で安定的に供給できるものは供給するという姿勢で今後とも対応していきたい。昨年閣議決定しました二〇〇〇年を目標年次とします長期見通し、ああいう線に向かいまして最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
#51
○三上隆雄君 端的に質問申し上げますが、穀物の自給率が二九%になった、そしてまたカロリーベースでも四八%まで下がったという、これ以上下げるんですか上げるんですか、端的に言ってください。
#52
○政府委員(鶴岡俊彦君) 最近の消費の動向に対応しまして、技術改善その他品質の向上等々によりまして何とか自給率を維持、少しでも引き上げたいという方向で努力していきたいというふうに考えております。
#53
○三上隆雄君 ただいまのお答えで、少なくとも維持していく、でき得る限り向上させていくというお答えをいただきましたから、そういう前提でこれから質問をしていきたいと思います。
 そこで、今回の土地改良法は、いわゆる市町村の負担を明確化するということでございますけれども、今回の法改正が及ぶのは、これから事業を進める部分についてのみ適用になるのか、それとも工事の進行中あるいは工事完了のものにも適用になるのか、その辺についての法改正のねらいはどこにあるのかをまずお答えいただきたい。
#54
○政府委員(片桐久雄君) まず、今回の土地改良法の改正によりまして市町村負担を明確化する趣旨につきまして簡単に説明させていただきたいと思います。
 最近の農村における農家と非農家の混住化の進展の中で、土地改良事業の果たす役割が農業者のみならず地域社会にとって大きなものとなっておりまして、また市町村が土地改良事業の事業費の一部を負担する例が多くなっているというようなことも踏まえまして、土地改良事業の円滑かつ効果的な推進を図る観点から行うものであります。
 具体的には国営、都道府県営土地改良事業の事業費負担について、現行制度におきましては、国、都道府県及び農家で分担することを原則といたしておりまして、また市町村が同意した場合にのみ市町村負担がなされているというふうになっておるわけでございますけれども、今回の改正によりまして、事業によって利益を受ける市町村に事業費負担をさせることができるということを法律上明確にするものであります。この場合、市町村が負担する額については市町村の意見を聞いた上で都道府県議会の議決を経て定めるというふうになっております。また、市町村負担を明確化するということによりまして市町村の負担の実態を反映した地方交付税措置を可能とするという点で意義があるというふうに考えております。
 それからまた、今回の法律改正は、原則として来年の四月一日から施行されるということで、原則的には平成四年度からこの法律改正は施行されるというふうに理解いたしております。
#55
○三上隆雄君 交付税の負担の割合等については後ほど詰めたいと思いますけれども、来年度から実施される地域から該当になるというそのことについて、例えば私は青森出身でございますけれども、今青森県の基盤整備の進捗率が七四・六、約七五%が既に終わったというそういう現実があるわけであります。しかもその実態が二十アール以上の整備地区が五〇%を超えている。ですから、これからやるよりも今現実に整備が終わって償還金で大変悩んでいるという実態があるわけであります。今回の法改正の恩恵が実施完了地区にも及ばない限り私は今の現実の農家を救えない法改正であると思うわけでありますから、その点に対する対策といいますか、私はそこまで法を及ぼしたいという願いで質問なり要望をしているわけでありますから、それに対する御見解をいただきたいと思います。
#56
○政府委員(片桐久雄君) 今回の土地改良法の改正は来年の四月一日からということでございますけれども、先ほど説明いたしました地方財政措置の改善につきましては、国営事業については昭和六十三年度以降の完了地区につきましての都道府県の償還分、それからまた現行法の九十条五項に基づく市町村の償還分、いわゆる市町村ルートについて償還しているものについての負担の実態をより反映した交付税措置、いわゆる事業費補正の措置でございますけれども、これらが一部さかのぼって適用されるということになっているわけでございます。
 それからまた、一般的に農家の負担金軽減対策につきましては、この土地改良法改正とは別途の措置で、平準化措置とかそれからまた一部利子助成を行うとか計画償還とか、そういういろんな措置を講じまして負担金軽減についていろいろ努力をしている次第でございます。
#57
○三上隆雄君 ただいまのお答えの中で、市町村ルートに限っては及ぶということでしたが、改良区ルートについては及ばないんですか。
#58
○政府委員(片桐久雄君) 地方財政措置の充実につきましては、これは市町村ルートもしくは市町村負担ということで財政措置をするということでございますので、改良区ルートの場合には、これは現在考えておられる財政措置の中では及ばないということになっております。
#59
○三上隆雄君 いや、これは私の認識違いかもしれませんけれども、市町村ルートと改良区ルートの違いは、改良区がない地帯においては市町村が農家負担と市町村の自前の分と合わせて返済する。改良区がある分については改良区が市町村から交付というか負担を受けてやるからその違いであって、何も財政措置上の違いはないんじゃないですか。それはどうなんでしょうか。
#60
○政府委員(片桐久雄君) 地方財政措置を平成二年度から実施することになっておるわけでございますけれども、これはあくまでも市町村みずからが負担をする場合ということで、その市町村の負担について地方財政措置を行う、こういう考え方でございまして、改良区ルートで農家の負担金を徴収している場合には、これは地方財政措置の道は及ばないということでございます。
#61
○三上隆雄君 いやそれは不合理というか不公平じゃないですか。ただルートだけが違って市町村の負担行為は同じなんです。そうじゃないですか。政府の出した資料を見てもそうです。
#62
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良区ルートで徴収金をやっている場合の市町村の負担といいますのは、これは市町村が土地改良区に対しましていわゆる償還助成というような形で助成をしているわけでございます。その市町村が土地改良区に対して助成するものについて地方財政措置をするということについてはいろいろ自治省とも議論をしたわけでございますけれども、その点については地方財政措置は講じがたい、こういうようなことでございます。
#63
○三上隆雄君 もう一度確認いたしますけれども、改良区についてはその工事費の一部負担という形でなく、改良区そのものに対する補助金という見方をされるから及ばないということ、そういう解釈でいいですか。
#64
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良区ルートの場合には、農家が負担すべきものを土地改良区が農家から徴収して都道府県に納める、こういうことでございますけれども、その農家が負担すべきものの一部を市町村が農家にかわって土地改良区に対して助成をするということが一部の市町村で行われているというのが実態でございます。
 今回提案しております土地改良法の改正におきましては、そういう場合には土地改良区に対する償還助成じゃなくて、市町村から直接県に対して負担金を納入する、こういう形で市町村の負担を明確にしたい、その場合には地方財政措置を講じ得る、こういうことでやり方を改善したいということで御提案を申し上げている次第でございます。
#65
○三上隆雄君 その改善したいという意向はわかるんです。ただ、今回の改正に至った経緯を見ても、それぞれの市町村が、法の措置がなくても、農家の工事費負担を軽減する意味で実質的に村長の権限、議会の承認を経て予算措置をして補助しているということなんでしょう。ですから、言いかえるならば、市町村が今までは法で規定されなくても実質的に出しているということなんです。だから今度は、そういう実態があるから法改正をして法的に明確化するというのが今回の法改正のねらいなんでしょう。それからいったら、それは何も市町村ルートも改良区ルートも差別しなくてもいいんじゃないですか。
#66
○政府委員(片桐久雄君) 市町村の土地改良事業に対する負担のやり方といたしまして二通りのやり方があったわけでございます。先ほど説明しましたように、土地改良区ルートで徴収する場合に土地改良区に対して市町村が助成するというやり方と、それからまた市町村ルートで農家負担金を徴収する、さらにそのときに市町村負担も一部つけ加えて農家から徴収する負担金と市町村が実質的に持ち出す負担金とそれを合わせて都道府県に納入している、こういうやり方と二通りのやり方があったわけでございます。
 今回、この法律改正によりましてその二通りのやり方を改めまして、市町村が実質的に負担する部分は都道府県に直接負担金を納めるという形にいたしまして、それで農家から徴収する分については従来どおり土地改良区ルートの場合と、それからまた市町村ルートの場合も残してあるわけでございますけれども、こちらの方は市町村が直接実質的に負担がないというようなことで、こちらの農家から徴収して県に納める分については地方財政措置の対象にはならない、市町村が実質的に直接県に負担する部分についてだけ地方財政措置の対象にする、こういう考え方になっているわけでございます。ただ、経過的に従来市町村ルートで市町村が実質的に負担をしているというケースがございますので、これにつきましては平成二年度からその分について地方財政措置を実施する、こういうことにしているわけでございます。
#67
○三上隆雄君 じゃいずれにしても両方が適用になるということですか、片一方はならないということですか。
#68
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良区ルートでやっていて、土地改良区に対して市町村が償還助成をする、こういうものについては地方財政措置の対象にはならないということでございます。
#69
○三上隆雄君 じゃ結局同じでないということですね。局長に向かって失礼ですけれども、これは政府の統一した見解ですか。
#70
○政府委員(片桐久雄君) 市町村負担の明確化ということでございますので、今回、市町村が実質的に持ち出す分というものについては県に直接市町村が納入していただく、それについて地方財政措置の対象にする、こういうことでございまして、市町村が任意に土地改良区等に助成をするという部分については地方財政措置の対象にはしないという考え方で、自治省の方ともそういう話になっている次第でございます。
#71
○三上隆雄君 いや、私も事務的に実際立ち会ったことがないから何とも言えないけれども、実質的には市町村の一定財源の中から一部を、例えば九〇%を国、県が負担する、あとの五%は市町村が負担するということで各市町村の議決によって今補てんしているわけです。それがいわゆる改良区ルートの場合は、改良区に一たん納めてそれから県へ納める、その場合は該当にならないで、市町村から直接県へ行くのは該当になるというのは私は不合理だと思うんです、格別な条件の違いがあるとすればこれは別ですけれども。
#72
○政府委員(片桐久雄君) 地方財政措置の対象にしていただくということでいろいろ自治省と議論をしたときに、やはり市町村の負担というものを明確にする必要があるということで、今回この土地改良法改正を提案させていただいているわけでございますけれども、その場合に、市町村の負担を明確にするためには、やはり県から市町村に対してこれこれの負担をしなさいということが明確になっておりまして、それに応じて市町村が負担するという場合に地方財政措置の対象にし得る。市町村がただ任意に土地改良区に助成しているというものについて地方財政措置の対象にすることは地方財政の建前からなかなかそれは難しい、こういうのが自治省と私どもの話し合いになっておる次第でございます。
   〔理事北修二君退席、委員長着席〕
#73
○三上隆雄君 もう一度、じゃ逆な面から確認したいと思いますが、改良区が結成されないで事業を実施するという業種、田面基盤整備をするという場合には当然改良区が必要なわけで、組織してそれがルートになるわけでしょう。したがって、田面整備をしないでいわゆるかんがい排水とか道路とか、その部分だけの場合は改良区ルートでなく市町村ルートで行くという、いわゆる業種そのものの性質が違うということなんですか。そこをもう少し説明してください。
#74
○政府委員(片桐久雄君) 今回この法律が成立いたしまして、市町村負担の都道府県に対する直接負担という負担のルートが新しくできた場合には、市町村が実質的に持ち出すという分についてはすべてそちらの方のルートで負担をしていただきたいという指導をする予定でございます。そうすればそれはすべて地方財政措置の対象になるということでございます。
 したがいまして、いろんな土地改良事業の公益的効果といいますかそういうものを、例えば道路とか水路とかそういう公共的な工事の部分について主として市町村が負担していただく、その分は都道府県に対する直接の負担という形で、今後そういうルートで負担していただくということを考えておる次第でございます。
 したがいまして従来土地改良区ルートで、それに対して市町村が償還助成をしているという点は今回の改正によりましてすべて直接市町村が県に負担をする、こういうルートに切りかえていただく、こういう考え方で指導したいと思っておるわけでございます。
#75
○三上隆雄君 じゃ、その区分した場合には、現実に改良区ルートの場合は今回の改正の効果が及ばないけれども、その方法を市町村ルートに切りかえたならば可能だという解釈でいいですか。今の局長の答弁はそうじゃないですか。
#76
○政府委員(片桐久雄君) 従来実質的に土地改良区ルートに対して償還助成というようなことをやっていたものを今度は市町村から直接県に負担をするということに切りかえていただければ、それは地方財政措置の対象になる、こういうことでございます。
#77
○三上隆雄君 切りかえていただければと言うけれども、まだそこには問題あるということを含めながら、時間の問題もあるし進めます。そのうちにまた議論して、それを詰める段階のときにまた再開したいと思います。
 そこでさっき私が要望しましたように、例えば青森県のようなケースが全国的にどういう状況になっておるか、私わからないままの質問ですけれども、現実に今改良区の土地改良費の負担金が工事費と事務費を合わせると一反歩五万円を超えるという実態もあるわけです。今の米価からいって、実費を取って十六万五千円、政府米価で。そして所得率がうまくやって五〇%としてもせいぜい七万か八万の所得。それから五万円も土地改良費を納めて生産性が上がるかどうかという議論は言わなくたってわかるはずです。その辺の農家の負担軽減を図るために、私は少なくとも公共の部分、道路、水路、ダム、この部分については農家に負担させるべきでないという基本的な考えで質問しているわけでありますから、その点についてはどうでしょうか。
#78
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良事業一般の議論といたしましては、国、都道府県、農家三者で分担するというのが現行制度の原則になっているわけでございます。しかし、事業により発生する利益が市町村に帰する部分もありますので、今回法律改正によって市町村負担というものも明確にいたしたわけでございますけれども、また先生御指摘のように、ダムとか頭首工、それから公共性の高い基幹的なかんがい排水施設の整備につきましては、平成元年度から高率の国庫負担を行う新しい国営事業を創設するということで国の負担率をかなり引き上げるというようなことで実質的に農家の負担を低くする、こういうことをやっているわけでございます。
 それからまた、最近では、こういう基幹的な用排水施設とかそれからまた基幹的な農道等につきましては地方公共団体の負担というのが実質的になされまして農家の負担がほとんどゼロというケースが多いというふうに承知している次第でございます。
#79
○三上隆雄君 最近の事業では農家の負担がほとんどゼロだというその認識が誤まってはいないですか。現実にそういう負担があるから私らが言っているんです。そうして農家のその負担を軽減するためには国民が認められるような条件でなければならない。これは国家が総合的な運営をしているわけですから、その公共の部分は国民も認め合う。自給率も向上しなきゃならない、農業後継者も立てなきゃならない、ある意味では規模拡大しながら家族経営でも成り立つような農業をしたいというのであれば、どこかでそれを救ってやらなきゃならない。救ってやるとすればその辺から救ってやらないと私は救える道がないと思う。ですから、公共の部分だけは負担させるべきでないということを言っているわけであります。
 しかも工事が完了したものについてもそれが及ばないと、これからやる事業については我々はもはやその恩恵を期待できないわけでありますから、平準化制度も持ったけれども、これも、最終的には幾らか農家を救うけれども、改良区の負担を軽減するには確かに効果はあるけれども、実際の農家の負担軽減にはならないのです。基本的な農家を育成する、自給率を高める、そういう姿勢でこれからの農業、食糧というものを進めていくとすればどこで救われますか。足腰を強めると言ったって、しかも三〇%は減反しているんですよ。状況をもっと言えば五年間で整備するものが十年、十五年もかかっているとすれば工事費も今まで十億のものが十五億、その資料もありますけれども、相当な増高をしているわけです。
 そういう実態を見たときに、果たして本当に農家を救おうとすればどこかで救うべくその理由を政府みずから考えなくちゃならぬですよ。ですから、公共の部分は、ダムなり基幹水路、道路なんというのは今の農家に負担させるのは至難である。今の農家の米の生産性からいって、野菜の生産性からいって、畜産の生産性からいって無理だと思うんです。ですから、それを何とかできないかと言うんです。
#80
○政府委員(片桐久雄君) 先生の御指摘のいわゆる土地改良事業の中でもダムとか基幹的な用水路、排水路、それから線的な農道、まあ基幹的な農道、こういうものにつきましては国の負担率も高いわけでございますけれども、さらに、県、市町村の負担もかなり実質的に高くしていただいて、それで実質的には農家の負担がゼロという方向になっているというふうに承知しております。ただ、面的な整備、例えば圃場整備とか農用地開発とか、これらにつきましては一部農家の負担をしていただく、こういうようなことになっているわけでございます。
 私どもといたしましては、こういう国の負担を高めるという努力とともに、市町村、県が負担する分について地方財政措置を充実するということで今回この法案を提案させていただいているわけでございますけれども、そういう地方財政措置の充実によりまして県、市町村の負担もできるだけ高くしていただくということを通じて、農家の負担をゼロに近づけていくというような努力をいたしたいというふうに思っております。
 それからまた、今まで完了した地区についての負担の軽減ということについてもいろいろ努力をしてきているわけでございます。先ほど先生御指摘のいわゆる平準化対策というものも平成二年度から実施を始めているわけでございますけれども、これは十アール当たり三万円を超えるような負担につきましてそれ以下にするようにということで、無利子融資をすることによりまして償還をできるだけなだらかにするというようなことによりまして、農家の実質的な負担軽減というものになっているのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#81
○三上隆雄君 最終的に、総合的にまた詰めたいと思いますけれども、それでは地方財政措置によって市町村のその負担分を緩和するという今回の法のねらいがある、しからばその財政措置を明確にしているんですか。
#82
○政府委員(片桐久雄君) 地方財政措置の内容につきましては、これは地方財政当局であります自治省が最終的に決定するということでございますけれども、この法案の立案過程で自治省と私どもの方でいろいろ協議をさせていただきまして、平成三年度から実施する地方財政措置につきましてはある程度の考え方が固まっている次第でございます。
#83
○三上隆雄君 ただいま自治省との最終的な詰めで、平成三年度の予算措置の詰めを行っているということですけれども、例えばこれは額面で市町村の負担分の何%を補てんするか、これははっきりしないと思うけれども、最終的には市町村の負担をどのぐらいにして、実質的に町村負担が交付税措置でなくなるという今回の法のねらいですか。
#84
○政府委員(片桐久雄君) 市町村の負担をどのくらいということで指導するかということでございますけれども、私どもといたしましては、ガイドラインというようなことで市町村負担の標準的な率を定めまして、これを通達で指導したいというふうに考えておる次第でございます。そのガイドラインに基づきまして自治省の方でいろいろ地方財政措置をやっていただく、こういう考え方でございます。
#85
○三上隆雄君 それでは、現在の考え方では、その完了地区には及ばない。償還の平準化制度以外に救う道は考えていないんですか。
#86
○政府委員(片桐久雄君) 先ほども御説明いたしましたように、昭和六十三年度以降の完了地区につきまして、都道府県償還分、それからまた現在市町村ルートで償還している市町村の負担分、これについては交付税措置を実施するということになっておりますけれども、あとは一般的に申しますとこの法律が成立して来年の四月一日から適用されるということでございますので、来年以降負担される市町村の負担について地方財政措置が行われるというのが基本的な考え方でございます。
#87
○三上隆雄君 それはわかっているんだ。前のですよ。出せないなら出せないと言ってくださいよ、ちゃんと救う道があるんだから。
#88
○政府委員(片桐久雄君) 一般的に完了地区の農家の負担金の軽減対策につきましては、計画償還とかそれからまた先ほどの平準化対策とか、そういう形でいろいろ負担金の軽減対策というものを実施している次第でございます。
#89
○三上隆雄君 そこでもう一度確認したいと思いますが、先ほど局長は公共の部分、いわゆるダムなり基幹水路等についてはゼロに近いような農家負担だと言われた。しからばゼロに近いというのは一%、二%、五%までいったらそれはゼロに近いという認識ですか。ダムの負担金というのは農家に負担させるというのは一%でも二%でも相当な額なんですよ。
 じゃ、全国的に公共の部分を実質的に負担していないという工区がどのぐらいありますか。
#90
○政府委員(片桐久雄君) 国営のかんがい排水事業でダムをつくっている地区について見ますと、昭和六十年から平成二年度に完了した地区が二十六地区、そのうちダムを実施している地区が九地区ございますけれども、ダムをやっている九地区の中で五地区はダムにかかわる農家負担はないというふうに承知いたしております。
#91
○三上隆雄君 これから実施しようとする事業についてはそれなりの負担をかけないという考え方、それはわかるんだけれども、今までやった部分についても及ぶようなそういう措置をとれないかということなんです。償還の平準化なり計画償還というその二つはやられていますけれども、それは実質的に農家の負担軽減じゃないんです。改良区の滞納が余りあって困るから、その滞納の部分の回収が困難だから、その頭の部分を後半へずらして、それを別な金融機関を通して借りかえさせて、その利子補給をするということだけなんだ。農家を救っちゃいないんだよ。もちろん延びた分の利息は政府が負担しているけれども、実質的に農家の負担というのは、十年のものが十五年になっているだけであって、自分の負担部分は減っていないということなんだよ。
 そうでなく、十年なら十年、当初の計画どおりやって、頭の部分を何らかの形で救おうとすれば、国民が認め合う何か理由をつくるとすれば、公的な部分の負担はさせるべきでないというんだよ。そのことを何とかできないかというんだ。そうでないと、稲作農家をやめるというならそれでいいけれども、三町歩五町歩つくってやっていけるような農業をやっていくとすれば、その辺を救える一つの道じゃないかと思うんです。
#92
○国務大臣(近藤元次君) 先生今御指摘の点はよく理解できるんですが、従来町村の負担というのが明確になっていない地域が全国的にかなりあるものですから、そういう意味ではまた負担の区分になったり、あるいは補助をするというやり方と二通り実は現実にあるわけです。先生のところは整備率が七〇%でありますけれども、全国平均すればまだ四六%という整備率なものですから、先生のような先進県のところもあれば、またもっとおくれている地域もあるものですから、まずは町村の負担を明確にしたいというのが一つの今度のねらいであります。
 それゆえに、私もかねがね個人の財産と道路、水路、ダムというようなものが同じ補助率というのもいかがなものかということを考え続けてきたわけですが、その前に町村の負担を明確にするには支援体制をとらなければならないということで、今回のやつは自治省の方から言わせれば必ずしも新たなものではなくて、従来その根っこの部分を見ておったわけです。見ておったのに今度は事業別に明確にしていこうということになって、それも一つの町村によって強弱があるものですから、農林水産省としてはガイドラインのようなものを指導体制にして、この程度で町村を指導するということで、県営以上の部分については、町村が十地改良に補助をするんではなくてかわって負担というやり方をしていただければ、その分が農家に対しては一つの軽減になり、そして市町村に対しては起債なり交付税の対象として今度明確にするということになったわけであります。
 あわせてもう一つ、私がこれから研究していかなきゃならぬなと思っているのは団体営の部分をどうするか、この部分についても一つは不公平感が出てくるのではないかなという感じを受けとめておるものですから、団体営の分についてもこれから研究をしていかないと、しかしそこまで待っておると今回の法案も県営以上の分の負担が明確にならないものですから、一つは調った県営以上の部分について今回提案をさせていただいて、団体営以降の部分についてあるいは今言われるような個人財産と公的財産というものの負担に差をつけるというような趣旨のことがどのようなやり方でできるかということをさらに、私も従来そのことを考えてきた一人でありますので、今事務当局に検討させておるところであります。まとまったところから出させていただいたという、何歩か前進したということで御理解をいただければ大変ありがたい、こう思っております。
#93
○三上隆雄君 今大臣の最終的な御見解をいただいて、今回の法改正は一歩も二歩も前進だということはわかるんです。ただ、実態に即していない。今までやった部分についても何らかの恩恵が及ぶようなそういう法改正、法改正ができないとすれば何らかの形で援護措置を講じていただきたいということなんです。
 だから、先ほども言ったように、平準化制度によって償還期間を単に延ばすだけでなく、頭の部分を何かの形で補てんしてやるというのであれば、ダム、水路、基幹道路の負担は、局長はほとんど負担していないと言うけれども、実態はそうでないですから、負担していますから、ですからその辺で緩和させていただきたいということをお願いして、大臣の御健闘を御期待申し上げて終わりたいと思います。
#94
○大渕絹子君 ただいまの三上委員の質問に関連したことでちょっとお尋ねをしたいと思います。
 この市町村の負担の部分についての改正の概要の中に、「国営及び都道府県営事業において、都道府県は、当該事業によって利益を受ける市町村に対し、その市町村の受ける利益を限度として」というところがありますけれども、その市町村の受ける利益の限度というのはどの程度のものでしょうか。
#95
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良事業につきまして市町村が受ける利益ということでは、私ども大きく二つに分けて考えられるんじゃないかというふうに思っております。農業を中心といたしました農業及びその関連産業の振興によります地域経済の拡大を通じて農村地域が活性化するということが一点でございます。それからもう一つの点は、農業用の用排水施設とか農道とか、そういうものの整備を通じまして農村の生活環境の改善が図られるというようなことが挙げられると思います。こういうような市町村なり市町村の地域の住民に対する全体的な利益といいますか、こういうものを市町村の受ける利益というふうに考えている次第でございます。
#96
○大渕絹子君 その利益の限度をガイドラインとしておおよそ八%というふうに見込んでいるというふうな資料をいただいておりますけれども、その八%はどうした根拠による算出でしょうか。
#97
○政府委員(片桐久雄君) 市町村の受ける利益を限度にいたしまして市町村の負担する割合というものを決めていくわけでございますけれども、これにつきまして、私どもといたしまして標準的なガイドラインというものを示したいというふうに考えております。先生御指摘のような八%というのは、これは国営かんがい排水施設の一般的な施設について八%程度ということを予定しておりますし、また例えば都道府県営の圃場整備事業というようなことでは、市町村の負担分を一〇%というようなことを現在ガイドラインとして決めてはどうかというふうに考えております。
 こういう八%とか一〇%という市町村の負担の割合の決め方でございますけれども、これはそれぞれの当該事業の種類の中で、先ほど申しましたような市町村の受ける利益の程度とか、それからまた現在市町村が実質的にどのくらい負担しているかというようなそういう実態も勘案しながらこういうガイドラインを決めさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
#98
○大渕絹子君 市町村への交付金で農家負担軽減を図っていくという今度の法改正なんですけれども、財政困難な市町村に大きな負担になるとは考えられないでしょうか。
#99
○政府委員(片桐久雄君) 従来の市町村の負担の実態を見ますと、例えば都道府県営の圃場整備事業で見ますと、全然市町村が負担していないで農家負担が非常に高いというようなところと、それからまた比較的財政的に豊かな市町村では一〇%を超えるような市町村負担をしているというようなところとか、そういういろんな幅があったわけでございます。今回の改正によりまして、今度は市町村負担の明確化ということにより、その見返りといたしまして、その市町村の負担につきまして地方交付税とか地方債とか、そういう地方財政の裏打ちの措置をいたしますと財政的に比較的余裕のない市町村も負担しやすくなるという面があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
#100
○大渕絹子君 そうしますと、この法改正によって市町村の負担が重くなって圃場整備がおくれるという懸念はないわけでございますね。確認しておきます。
#101
○政府委員(片桐久雄君) 従来余り負担していなかった市町村についてできるだけ負担をしていただくように指導して、その結果、農家負担が軽くなるということがあるわけですけれども、
   〔委員長退席、理事北修二君着席〕
そういう市町村の負担が重くなる分については地方財政の裏打ち措置がなされるということでございますので、そのことによって土地改良事業の推進がおくれるというようなことはないというふうに考えております。
#102
○大渕絹子君 先ほど三上委員の質問の中に、国営かん排事業に対して農家負担分はないということでお答えがありましたけれども、河川法の二十条に基づく工事状況についてちょっとお聞きをしたいと思っています。これもいただいた資料の中では国営かん排事業の実施に河川法第二十条に基づく農家負担というのはゼロということでいただいておりますけれども、県営圃場整備の方、県営の方では大変ばらつきがあるんです。ゼロというところとそれから五%、六%というようなところがあるんですけれども、これはどうしてこういうふうになっているんでしょう。
#103
○政府委員(片桐久雄君) この市町村の負担と農家の負担との関係でございますけれども、市町村がかなり財政的に余裕のあるところで余計負担しているところはゼロということでございますし、市町村の負担の程度が低いところは多少農家に負担させているという実態もあるようでございますけれども、私どもといたしましてはこの河川法二十条に基づく工事につきましては、これは河川法に基づくいわゆる河川工事ということでございますので、極めて公共性の高い工事であるというふうに考えております。
 今回のこの市町村負担が明確化されることを踏まえまして、今後は河川法二十条の工事に係る農家負担については実質的にゼロになるように、市町村、都道府県を指導してまいりたいというふうに考えております。
#104
○大渕絹子君 これからの事業に対して指導をしていくということですけれども、今までかかっている部分については考えていただけないでしょうか。
#105
○政府委員(片桐久雄君) 従来の分でもう既に負担を開始しているものにつきましては、これは負担金軽減対策という中でいろいろ工夫してまいりたいというふうに考えております。
#106
○大渕絹子君 今これからのことはゼロに近いようにするとおっしゃると、次の質問ちょっとしにくいんですけれども、今までのやってきた部分に対しても非常に負担率が多いわけですね。それで、農家の方たちが非常に苦しんでおるということは事実なんです。例えば、極めて公共性の強い河川法の二十条工事あるいは道路法の二十四条工事を含めた圃場整備があるとしますと、それの圃場整備だけの事業に比べるとおおよそ十アール当たりで三万円から六万円の実質的な多額の支出になっているんです。こういうことを何とかこの部分だけ救える手だてというものは考えられないでしょうか。
#107
○政府委員(片桐久雄君) 県営圃場整備等の事業の中で非常に農業外の交通の多い道路を整備するとか、それからまた集落の排水が流れ込む排水路を整備するとか、そういうような工事もやっているケースがあるわけでございます。こういうような集落の方々が利用するような排水路とか道路につきまして、農家の負担だけで工事をするということは大変にいろいろ問題が多いということで、私どもといたいましては、そういう農家以外の方方が利用することが多い道路とか排水路を圃場整備事業の中で整備する場合にはこれは別途の工種として補助率も少し高くする。それからまた、用地の買収費も予算上認めるというような形で、農家の負担を軽減するようなそういう措置も講じている次第でございます。
#108
○大渕絹子君 それじゃもう一度、さっきこれからの工事について極力ゼロに近いように配慮するとおっしゃいましたけれども、どういう方法で。
#109
○政府委員(片桐久雄君) 先ほどの河川法二十条に基づく工事というようなそういう公共性の極めて高い事業につきましては、国、県、市町村、その負担で実質的に農家がゼロになるようなそういうガイドラインというものを決めていきたい、こういう考え方でございます。
#110
○大渕絹子君 そうしますと、今回の法改正の中のガイドライン八%の部分をここに持ち出してということに受けとめられますけれども、そういう考えですか。
#111
○政府委員(片桐久雄君) 先ほど申し上げました国営かん排の場合の八%というのがございましたけれども、そのほか県営圃場整備の一〇%とか、そういう事業の中身によりましてそのガイドラインというものを決めてまいるわけでございまして、公共性の高い事業につきましては、例えば道路とか、それから基幹的なダムとか、そういうものにつきましては農家の負担がゼロになるようなガイドラインの定め方をしていきたい、こういうことでございます。
#112
○大渕絹子君 それでは、今回の法改正の中に市町村負担の部分というのがあるわけです。その部分で、河川法二十条工事の部分を負担するというふうには考えなくてよろしいですね。今回の改正はあくまでも今まで農家が負担していた部分の市町村の負担を明確化するというふうに考えてよろしいですね。
#113
○政府委員(片桐久雄君) 今までのというところがちょっと解釈が問題なんですけれども、既に完了して負担金の負担を開始しているような地区については今回の改正による措置というのはなかなか及ばないわけでございまして、これから完了するとか、これから施工する、こういうものについてただいま申し上げたような措置が及ぶということでございます。既に完了して負担金を納めているような地区につきましては、これは負担金対策ということでそちらの方でいろいろ工夫してまいりたいということでございます。
#114
○大渕絹子君 それではこの河川法二十条工事につきましては、今局長答弁のように、極力農家負担はしない、公共費として負担をさせていただくような方向で取り組んでいただくことをお願いしておきます。
 平成四年度で第四次土地改良長期計画が終わるわけですけれども、その進捗率を高めるためにどのような方策をとっていますか。現在大変おくれていると思うんです。十年計画をされていて五五・六%ですか、この十年間の計画がこれほど大幅におくれてしまったことの原因はどこにあるかお聞かせください。
#115
○政府委員(片桐久雄君) 第三次土地改良長期計画の進捗状況が大変におくれているということは御指摘のとおりでございまして、大変に私どもも残念に思っている次第でございます。この進捗がおくれた原因ということでございますけれども、まず国の財政事情が非常に厳しいという中で、特に公共事業についてはマイナスシーリングとかゼロシーリングとか、そういう予算の事情が継続したというようなことがございますし、それからまたもう一つはかなり物価上昇というようなことで、金額的にはある程度確保しても、事業量としてはなかなか確保できなかったというような面もございまして、確かに進捗状況が非常に悪いというのが実態でございます。
 私どもといたしましては、今後さらに何とか努力をして、できるだけ進捗を図るように努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#116
○大渕絹子君 財政事情が苦しいと言いますけれども、年々予算額というのは上がってきていた実態はあるわけですし、三十二兆円の予算を組みながら十五兆円しかまだ消化されていない。これは平成三年度までで十五兆九千四百四十八億円ということでしょう。五五・六%にとどまっているというのは、これはとりもなおさず政府が農業切り捨て政策をずっと続けてきた、それのあかしじゃないんでしょうか。
#117
○政府委員(片桐久雄君) この第三次土地改良長期計画は十カ年の計画でございまして、昭和五十八年につくったわけでございます。当時、昭和五十八年のときには相当予算を伸ばすことができるんじゃないかということで、この伸び率も相当高く見込んだわけでございますけれども、その後のいろんな財政事情もございまして、予算全体、公共事業費の全体の伸びが非常に低くなったというふうな中で、結局予定どおりに事業が進まなかったという実態があるわけでございます。私どもといたしましては、今後この土地改良事業が農業の生産基盤整備と同時に農村の生活環境整備にも非常に重要な仕事であるという観点から、予算の確保には全力を挙げてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#118
○大渕絹子君 平成四年度で第三次土地改良長期計画というのが終わるわけですけれども、平成五年度から始まるであろう新しい長期計画の展望ですね、基本方針とか取り組み、今後の整備水準及び整備量等を教えていただきたい。
#119
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、現行の第三次土地改良長期計画は平成四年度で終了いたしまして、平成五年度から新たに十カ年の第四次土地改良長期計画を策定したいということでいろいろ現在勉強しているところでございます。この第四次土地改良長期計画につきましては、基本的な考え方といたしましては、豊かな二十一世紀を目指しまして農業農村の活性化を図っていくために、農業の生産性向上のための生産基盤の整備、さらに活力ある農村社会を形成するための農村地域の総合的な整備というふうなものを基本的な課題として今後第四次土地改良長期計画の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#120
○大渕絹子君 今回の法改正の中に、農業基盤整備費の名称変更というところがあるわけですけれども、この再編の中で生産基盤整備からの方向転換を行う趣旨をちょっとお聞かせください。
#121
○政府委員(片桐久雄君) 従来予算の主要経費といいますか、その中で農業基盤整備費というふうに言っておりましたものを、平成三年度から農業農村整備事業費というふうに名称を変更させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。この名称変更の理由でございますけれども、従来、農業基盤整備ということで生産性の向上、それから農業生産の再編成ということで生産基盤の整備を重点的に進めてまいったわけでございますけれども、最近のいろんな情勢を反映いたしまして、農村地域の生活環境の改善にも資する事業ということで位置づけをしていきたいということでございます。したがいまして、今後この農業農村整備事業費という名称のもとに農業の生産基盤の整備、また農村の生活環境の整備と両方とも重点を置いて事業を実施してまいりたい、こういう考え方で名称を変更させていただきたいということでございます。
#122
○大渕絹子君 名称の変更と日米構造協議における公共投資四百三十兆円との関連はありますか。
#123
○政府委員(片桐久雄君) 公共投資基本計画、十カ年計画の中で特にこれから豊かな日本の経済社会を目指すために生活の質の向上というものにも重点を置いて公共投資をやっていくということが示されているわけでございます。私どものこの土地改良事業につきましても、やはり生活の質の向上、特に農村地域は生活環境整備がおくれているというような観点から、農村の生活の質の向上という点も重点を置いてこの事業を運営していきたいということで今回改正をお願いしているわけでございまして、基本計画、社会資本投資の十カ年計画とも関連しているというふうに考えている次第でございます。
#124
○大渕絹子君 四百三十兆円を満たすために、この土地改良基本整備の予算額をそちらに乗せるという考えではないわけですね。
#125
○政府委員(片桐久雄君) 今後四百三十兆円、十カ年で生活の質の向上に重点も置きながら展開していくという中で、私どものこの農業農村整備事業も大きな役割を果たしていきたい、特に農村地域の生活環境の整備という点にも重点を置いて大きな役割を果たしていきたい、こういう考え方で今回の名称の変更をさせていただきたいということでございます。
#126
○大渕絹子君 今回改正の最も大きな点の中に市町村の事業費負担についてというところがあるわけです。市町村の同意要件を廃止するというところがありますけれども、同意要件を廃止することが提案されてきた背景をお聞かせください。
#127
○政府委員(片桐久雄君) 従来、市町村ルートをとる場合には市町村の同意をもとに市町村ルートをとっていただく、こういうことになっているわけでございます。今回の改正案でも、土地改良区ルートにかえて市町村ルートをとるという場合には、やはり市町村の同意を得てそういうルートをとるという仕組みは変えておらないわけでございます。ただ、市町村が実質的に直接県に負担する部分ということにつきましては、これは市町村の意見を聞いて都道府県の議会の議決をもってその負担を決めることができるという形で、そこのところは必ずしも市町村の同意というものを要件にしていない次第でございます。このような仕組みは地方財政法とか、その他のほかの公共事業の関係、道路法とか河川法とか、そういう各種法令と同一の仕組みになっている次第でございます。
#128
○大渕絹子君 同意要件を廃止するのに伴って都道府県がその負担する金額について議会で決定をするということになっていますけれども、市町村側の意見というのは十分に組み込まれる仕組みになっていますか。
#129
○政府委員(片桐久雄君) 市町村の負担額を決める場合には市町村の意見を聞くということが要件になっておりまして、その辺は市町村と都道府県との意思の疎通というものが十分図られるというふうに考えております。
#130
○大渕絹子君 圃場整備事業の中で計画的に公共用地を生み出していると聞きますけれども、そういう状況はありますか。
#131
○政府委員(片桐久雄君) 圃場整備事業の中でいわゆる非農用地換地という制度がございまして、この制度を使いましてかなり計画的に公共用地等の非農用地を生み出しているという実態があるわけでございます。この制度は昭和四十七年度から発足したわけでございますけれども、昭和四十七年度から平成元年度までの間の都道府県営土地改良事業について見ますと、非農用地として生み出した面積は約五千二百ヘクタールということになっております。これを用途別に見ますと、公共用地が三千二百ヘクタールということで、六〇%強を占めている、こういう状況でございます。
#132
○大渕絹子君 その生み出された公共用地を売却して、その清算金で圃場整備の負担を軽減しているように聞きますけれども、そういうことはありますか。
#133
○政府委員(片桐久雄君) こういう形で生み出されたいわゆる公共用地等の非農用地の清算金、一種の売却益でございますけれども、これで農家負担の軽減を図るということをやっているケースが非常に多いというふうに聞いておりますし、これは農家負担の軽減を図る非常に有効な手法であるというふうにも考えている次第でございます。現行の換地制度においても、こういう形で権利者の合意のもとに減歩した非農用地を生み出して、その際の清算金をもって負担金に充てるということは実際に行われておりますので、私ども今後ともこのような手法の周知を図ることに努めてまいりたいというふうに考えております。
#134
○大渕絹子君 負担金の軽減を図るということは非常にいいことなんですけれども、それについての歯どめがないと、負担したものに対してそれで全部その方法でやってしまおうというようなことになってしまわないかという懸念がありますけれども。
#135
○政府委員(片桐久雄君) 非農用地で創設換地を行うこの制度の場合には、本人の同意を得て減歩をするということで、同意が前提になっているわけでございます。したがいまして、本人の意思を無視してこういうことをやるということはございませんし、それからまた実はこのいわゆる非農用地の創設換地というものは、原則として全体の圃場整備の面積の中で三割以内に抑えなさい、こういう指導をしているところでございます。現実には三割という上限にはほど遠い、例えば五%とか三%とかその程度の非農用地換地を実施しているケースが多いというふうに聞いておる次第でございます。
#136
○大渕絹子君 その三割以内というようなことは法制化をされていますか。三割以内ですか。
#137
○政府委員(片桐久雄君) 三割以内という指導は、これは法制化じゃございませんで、通達で指導をしている次第でございます。
#138
○大渕絹子君 三割というのは大変多い数字というふうに思いますけれども、そうは思われませんか。
#139
○政府委員(片桐久雄君) 大変に農村的なといいますか、そういうところで大規模な圃場整備をやるという場合には三割という数字は大変に多いということだと思います。しかし、場所によりましては、都市近郊の集落周辺の圃場整備をやりながら宅地予定地を生み出したいとか、それからまた道路予定地を生み出したいとか、そういうような圃場整備もございまして、三割の限界というものにほぼ近いようなそういう非農用地換地というものを生み出しているケースもございますので、これは地域によりましていろいろ考えられるのじゃなかろうかというふうに考えております。
 私どもといたしましては、今後、都市近郊の集落周辺の圃場整備というようなところでは、非農用地換地を使いまして、例えば集落の住環境整備とか、それからまた水辺空間の整備とか、そういうような居住環境の整備ということも圃場整備の非農用地換地を通じてやっていただいてはどうかというようなことで新しい事業もいろいろ工夫しているところでございます。
#140
○大渕絹子君 この換地の取得者になることができる農地保有合理化法人というのを定めるというふうにここにうたってありますけれども、これはどういう組織ですか。
#141
○政府委員(片桐久雄君) 農地保有合理化法人の定義は農地法に書いてあるわけでございますけれども、現在ある組織といたしましては、まず都道府県の農業公社というのがございますし、そのほか、場所によりましては農協とか市町村がその農地保有合理化法人の資格を持ってそういう事業をやっているというところもございます。都道府県の農業公社の場合には、県が主として出資する公益法人という形で事業を行っている次第でございます。
#142
○大渕絹子君 「農地保有合理化法人が創設換地の取得者となっても事業参加者となることができることとするための調整規定を置いている。」というふうにありますけれども、ここは何の目的でこういうふうになったのでしょうか。
#143
○政府委員(片桐久雄君) 農地保有合理化法人が所有している農地につきまして、それも含めて土地改良事業を行う場合に、農地保有合理化法人も三条資格者として土地改良事業に参加し得るというそういう調整規定を置いている次第でございます。
#144
○大渕絹子君 そこで、今回の換地制度の改正を行うことによって土地改良事業に及ぼす影響というものについて考えておられますか。
#145
○政府委員(片桐久雄君) 今回の換地制度の改正は二点ございまして、第一点は、不換地とか特別減歩見合いの創設換地によりまして地域における農業の担い手の規模拡大に必要な農用地を創出することができることにするということでございます。これを活用することによりまして、地域の農地保有の合理化の促進が期待されるということでございます。この場合の創設農用地の取得相手方は農地保有合理化法人ということになっている次第でございます。
 それから、第二点の改正点は、換地計画に係る地域の全部について工事が完了する以前においても換地処分を行うことができるということでございます。これについては権利関係の早期安定に資するとともに、創設された非農用地についての宅地造成とか担保権設定の時期を早めまして、非農用地換地の円滑な推進に寄与するというふうに考えております。また清算金の支払いが早まるという効果も期待できるわけでございます。
 これらの改正は、いずれも混住化とか高齢化というような最近における農村の現状において土地改良事業の円滑な実施に資するとともに、農業構造の改善と農村の活性化に大きく貢献するものであるというふうに考えております。
#146
○大渕絹子君 その計画がスムーズにいくためにも農業の担い手というものが存在をしていなければならないわけですけれども、政府が出した見込みとは大変違って、農業後継者というのは年々減ってきておるわけですけれども、後継者不足という厳しい状況の中における農業経営の規模拡大のあり方について、今後の取り組み方をお聞かせいただきたいのです。
#147
○政府委員(片桐久雄君) 我が国農業は、中核農家等担い手の減少が憂慮されているわけでございまして、特に土地利用型農業の生産性向上、これを通じた地域農業の振興を図ることが当面の重要な課題になっているというふうに考えております。このためには地域の多様な自然的、社会的、経済的条件に即しまして農用地利用増進事業等によりまして農地の貸し借りとか作業の受委託とか、そういうようないろんな手法を通じて経営規模の拡大とか、また効率的な生産組織の育成、そういうものを推進していきたい、しかもこれは地域の自主性を尊重しまして、地域の実態に応じていろんな手法を推進していきたいというふうに考えております。
 このような政策の展開を図るためには、まず何といっても基礎的な条件であります基盤整備ということが非常に重要でありますし、しかも農地の面的な集積ということも非常に重要であるということで、平成三年度から、二ヘクタール以上の面的な集積を図るようなそういう圃場整備事業というものも実施することとしている次第でございます。
#148
○大渕絹子君 耕作の放置されている面積が十五万二千ヘクタールにも及んでいるというふうに聞いておりますけれども、この放置された耕作地をどのように扱う予定でしょうか。
#149
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、耕作放棄地が最近ふえているというのが実態でございます。特にどういうところでふえているのかということを見ますと、やはり何といっても中山間地といいますか、地理的条件に恵まれないところが多いわけでございます。
 私どもといたしましては、非常に耕作条件が悪いというようなことで放棄されておりますので、できる限り耕作条件の改善をすることで基盤整備を進めていきたいということで、昨年から中山間地域の総合整備事業というようなものも新たに実施させていただいているわけでございますけれども、そういう形でできる限り基盤整備事業を行って、効率的に耕作ができるような条件を整備していきたいというふうに考えております。また本当に条件の悪い、基盤整備をしようとしてもなかなか金がかかり過ぎるというような農地もあるかと思います。そういうところでは、場合によっては植林転用とか、そういうようなこともいろいろ考えなければならないのじゃないかというようなこともいろいろ勉強している次第でございます。
#150
○大渕絹子君 今回の法改正の中に、土地改良施設の更新事業の実施手続の整備というところで手続の簡素化がうたわれておるわけです。現行法において同意徴集手続を置いている事由は、組合員の権利の保護を図るためというふうに考えられますけれども、この簡素化を運用するに当たって組合員の権利の保護ということはちゃんと守られるでしょうか。
#151
○政府委員(片桐久雄君) 今回のこの法案の改正でお願いいたしておりますのは、いわゆる国、県が管理する施設についての更新事業の場合に同意徴集手続を簡素化する、こういう点をお願いいたしておるわけでございますけれども、まずこの要件でございますけれども、更新事業といいますのは、従来の施設の機能をそのまま維持するといいますか、そういう施設を新しいものと取りかえるというようなものでございますし、また、農家の権利または利益を侵害するおそれがないというような要件に該当するようなものに限りまして同意手続を簡素化できる、こういうふうにいたしたいと考えている次第でございます。
 しかも、このような場合であっても、当該更新事業の申請に当たっては、大多数の組合員の意向に反して事業を実施することにならないように、土地改良区の総会の特別議決、これは組合員が三分の二以上出席してその三分の二以上で決する、こういうものでございますけれども、その特別議決を要件とすることにしておりますし、またこの計画決定に対しまして異議申し立てという道も開かれているわけでございまして、農家の権利保護には十分配慮しているというふうに考えている次第でございます。
#152
○大渕絹子君 私は大変山の中に住んでいるんですけれども、傾斜地が多い、地形条件に恵まれない中山間地域ほど農地の整備、それから生活環境の整備ともほかの地域に比べて著しく立ちおくれているわけです。圃場整備状況につきましては、平地農村地帯では四七%の整備率なのに対して、中山間地域ではまだ二八%にしかなっていないというようなそういう状況の中にあります。しかも、土地改良負担金の長期償還によってもう二十年とか三十年とかという償還の中で、自分一代では払えなくて、自分の息子の後の代にまで借入金が残っていくというような状態が進んでいて、ますます後継者は出てこないわけですけれども、こうした中山間地に特にこれから基盤整備に重点的に取り組んでいただきたいと思います。
#153
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、地理的な条件が悪いといいますか、そういう中山間地域については、従来圃場整備を初めとする土地改良事業が比較的おくれているというのが実態でございます。従来、例えば団体営圃場整備二十ヘクタール以上というような要件ではなかなかそういうところで土地改良事業を実施できないというような状況だったわけでございます。
 今回、平成二年度から中山間地域の総合整備事業というものを実施させていただいているわけでございますけれども、この総合整備事業では特に二十ヘクタール、そういうまとまった土地でなくても、五ヘクタールとか二ヘクタールとか、そういうものでも圃場整備を実施できるということで、圃場整備とその他いろんな事業を合わせて受益地が全部で二十ヘクタールあればいいと、こういうような要件になっているわけでございます。しかも、この中山間地域の総合整備事業は、補助率を原則六〇%ということで、通常の圃場整備よりも一五%も補助率が高いというような事業でございますので、私どもといたしましては、この中山間地域の総合整備事業を今後大いに活用していただきまして、そういう地理的な条件の悪いところでできるだけ基盤整備を進めていただきたいというふうに考えている次第でございます。
#154
○大渕絹子君 終わります。
#155
○細谷昭雄君 私は、これまで同僚委員のいろいろ議論されましたことを法案に沿っていろいろ確認を求めたいというふうに思います。
 第一に、今回の法案の改正の趣旨の第一番が、ただいまお話がありました市町村負担の法定化の問題だと思うんです。そこで、自治省にお伺いしますが、財源の補てん措置は担保されておるのかどうか、自治省としては。
#156
○説明員(谷本正憲君) いわゆる土地改良事業に係ります都道府県なり市町村の負担でございますけれども、これは従来から交付税の算定を通じまして、少し専門的な言葉になりますが、従来は県部につきましては耕地の面積でございますとか市町村につきましては農家数、こういったものがわりかた事業に係る負担額と相関度が高いというのが過去の経験値から出ておりますので、そういうものを指標に持ちまして、交付税で措置をいたしておるわけでございます。
#157
○細谷昭雄君 この前、構造改善局から基準財政需要額の算出の方法その他について説明を受けました。問題は、ああいうふうな算定を基礎にしまして交付をするわけだけれども、大体いろいろ市町村で出しておる実額、これの補てん率は一〇〇%なのかどうか。
#158
○説明員(谷本正憲君) 従前の方法でございますけれども、先ほど申し上げましたような形で交付税上算定をしておりますので、トータルとしてはそれぞれの県、市町村が土地改良事業を実施するに必要な地方負担額、これについては満額手当てをしておるということでございます。
#159
○細谷昭雄君 わかりました。
 次に、構造改善局長にお聞きしますが、市町村の負担金額がいろいろありますね。結局は都道府県議会の議決によるということになっておりますが、市町村間の不均衡はこれで生じないのかどうか。
#160
○政府委員(片桐久雄君) 市町村の具体的な負担額につきましては、都道府県が市町村の意見を聞いた上で都道府県議会の議決を経て定めるということになっておるわけでございまして、そういうような手続を経ることによりまして市町村間の公平性を欠くというようなことは考えられないんじゃないかというふうに承知いたしております。
#161
○細谷昭雄君 さらに、これはもう大臣に確認したいと思うんです。
 先ほどの大臣のお考えの中に、私自身はこれを機会に、今後団体営の土地改良事業についても市町村の負担について法定化していきたい、こういうふうに述べられましたが、これはそのとおりですね。
#162
○国務大臣(近藤元次君) 今回は県営以上でありますが、実質的に事業を行っている場合には団体営土地改良でやっている事業が非常に多いわけです。ただ、土地改良という性格からいって、市町村、県とは違う性格でありますから、そこが交付税とかあるいは財政事情とか、そういう起債の対象という立場にはなりにくい状況であることは十分承知をしておるわけですが、農家の負担の立場からすると、従来でも差があると思っておるのにさらに差がついたという感じを受ける不公平感というものは私ども解消していく立場にあるわけですから、今後研究をして何らかの措置をとりたいということであります。しかし、それを全部完成しておると時間がかかりますので、調ったところから今回法案を出させていただいた、こういうことで御理解いただきたいと思います。
#163
○細谷昭雄君 大変その点は前向きの姿勢を我々も期待しておるわけですが、その時期。私たちもこの法案の説明をお聞きしたときにいろいろな意見を述べました。構造改善局長にもその点をぐっと詰めて話したわけです、なるべく早くやるべきだと。大体大臣、来年あたり改善しますか。
#164
○政府委員(片桐久雄君) 団体営土地改良事業についての市町村負担の実態、これは私ども現在勉強しているところでございます。これは市町村がみずから土地改良事業をやっているという場合には比較的いろいろ措置を講じやすいということでございますけれども、土地改良区が実施している土地改良事業について市町村が負担する場合にこれをどう取り扱うかというのは非常に難しい問題でございます。そういういろんな問題をこれからいろいろ勉強して、それでまた、自治省の方ともいろいろ協議をしていくということでございます。私どもとしては、できるだけ早く実現したいということで努力をしてまいりたいと思っております。
#165
○細谷昭雄君 今の大臣と局長のお答えを我々も十分期待を申し上げながら、なるべく早い実現をお願いしたいというふうに思っております。
 問題は、市町村の負担の法定化というのは、目的は農家負担の軽減を図るということにあるわけですが、実際法定化したことによりましてどれだけの農家負担が軽減されるのか、大体どのように予測しておるのか、その予測で結構ですから、軽量化についてお答え願いたいと思います。
#166
○政府委員(片桐久雄君) 具体的にどのぐらいの金額になるかというお尋ねだと思いますけれども、これにつきましては、平成三年度のこれからのいろんな事業費の配分、それからどういう事業にどれだけ配分するか、また、その場合に市町村の負担をどのぐらいに見積もるかというようないろんな作業がございますので、現段階ではっきりとその金額を計算することはなかなか困難な状況でございます。
 ただ、概略的に申し上げますと、例えば都道府県営の圃場整備事業というものでとってみますと、現在、最近着工している圃場整備事業で見ますと、大体市町村の負担が平均的に見て七、八%ぐらいというふうに見ておりますけれども、これを私どもといたしましてはガイドラインで一〇%というふうにしていきたい。一〇%というガイドラインを全部の市町村が守っていただけるかどうかということはなかなか難しい問題でございますけれども、一〇%以下のところが全部一〇%にしていただいたということであれば、金額にして数百億のオーダーになるのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
#167
○細谷昭雄君 このガイドラインの問題ですが、今言いましたように、全部が守るかどうかわからない、守らせないとだめだと思うんですよ。問題は、農家負担の軽減を図るという大目的のために法定化した。したがって、これについて農家の皆さん方がなるほど減ったという実感がなければだめだと思うんです。この点は強力な指導をお願いしたい。それだけに、自治省は財政の方で地方交付税でちゃんと担保すると言っておりますから、その点は守ってもらうように最大の努力をしていただきたいというふうに要望したいと思います。
 それで、特に私は中山間地の皆さん方の土地改良事業については特段の慎重な配慮が必要だというふうに思うんですよ。もう平地と比べましてやっぱり中山間地の皆さん方は、いろんな点で土地改良事業等についても大変な難儀をしている。したがって、特に農家負担の軽減に実質的に役立つような法律運用、他の法がたくさんありますからそれと併用しまして、平地と違った意味でのいわゆる農家負担の軽減ということに特に努めていただきたい。このことを特に大臣にも局の方にもお願いしたいというふうに思います。
 次に、この法律の第二番目の眼目は手続の問題なんですね。今回は、いわゆる理事の員外役員というのを五分の一から、五分の一というと二〇%なんですよ、十人おると二人、これは員外の役員でもよろしい、それを今回は二つの理由から、五分の二、四〇%にふやそうという改正なんです。つまり今までは十人に二人までいいけれども、今度は四人までよろしいということなんですね。
 これは、考えてみますと、いろんな問題を含んでおります。まず第一に考えられることは、確かに六十歳で年金をもらうということで経営移譲をした方々はいわゆる員外になってしまいますから、もう直ちにやめなくちゃいけない。しかし、その人の手腕とか統率力とか、そういう点で非常に惜しいので残ってもらいたい。そこまではわかるんです。わかりますが、土地改良区というのは何千とありまして、そして中には、そう言っちゃ悪いけれども玉石混交なんです。あんな人はもうやめてほしいというのがしがみついて離れない。これも現実なんです。したがって、私はある程度これはもう世代交代も必要だと思うんですよ、土地改良区には。その世代交代が阻害されないような措置を講じなくちゃいけないんじゃないか、こういうふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
#168
○政府委員(片桐久雄君) 今回、土地改良区の理事の員外定数の拡大をお願いしているわけでございますけれども、これは農村の混住化が進展する中で土地改良区が円滑かつ適正に運営を図るためには、その運営に市町村長等地域住民を代表するような方々、それからまた農業経営を移譲した人で水利用とか施設管理について深い知識と豊富な経験を有する人の参画を得るということが従来にも増して必要になっているというふうに考えているからでございます。
 今回の土地改良区の員外役員定数枠の拡大はこのような情勢に対応して行うものでありますけれども、役員の五分の三以上はやはり組合員の中から選ばなければいけないということになっておるわけでございまして、過半数は員内理事であるということ、それからまた、この員外、員内含めて役員は選挙でもって選ぶというようなことも保障されているわけでございまして、その辺は民主的なルールでもって行われるということでございますので、私どもといたしましては、できるだけその辺は適正に運用されるように、また円滑な世代交代の妨げにならないようにということで、いろいろ指導してまいりたいというふうに考えております。
#169
○細谷昭雄君 私は、民意の反映の妨げになるということになると大変困る。秋田では「しゃばふたぎ」という言葉がある。しゃばをふさいじゃう。だから、そういうことのないように、ある程度そういう大事な人でも二期なら二期、一期なら一期、事業が終わったらこれはもう交代するという指導、要するにガイドラインがなくちゃだめだということを特に要望したいと思うわけです。そして大事なことは民意を反映させるということですので、その点十分留意をしていただきたいというように思っております。
 それから次の確認ですが、今回の改正で都道府県土地改良連合会、いわゆる県土連、この県土連に新たに国営や都道府県営の土地改良事業の調査、設計、こういう業務をこれは法定することになったわけであります。そこでお尋ねしますが、今までこういう国営、県営の事業のいわば調査、設計というのはどの程度のシェアで行われているのか。
#170
○政府委員(片桐久雄君) 国県営事業関係の調査、設計の業務でございますけれども、昭和六十三年度で見ますと、地方の連合会の国県営事業関係の調査、設計等の業務は全収入の約二割程度というふうになっております。近年、国県営事業の伸びが会員の行う、いわゆる土地改良区の行う団体営事業よりも高いということでございまして、今後は地方連合会の業務としても国県営事業関係の業務は増加していくものというふうに考えられるわけでございます。地方連合会は今日まで会員が行う土地改良事業に関する技術的な指導その他の援助を中心にして業務を行ってきておりまして、土地改良事業に関する調査、設計等の業務については専門的な技術力を有しているわけでございます。したがいまして、国県営事業に関するこれら業務についても十分に対応し得る能力を有しているというふうに考えている次第でございます。
#171
○細谷昭雄君 今後この法律改正によりましてそういう業務が行くわけでありますけれども、これまでのシェアよりもずっと広がるのか、広がるとすれば、各地域に国営、県営その他の事業を調査、設計するための民間の企業がたくさん出ておるわけです。そこの競合と、それから圧迫、そういう点でどういうふうになると予想しておるのか、そのことについて。
 それから、ちょっとお願いしますが、私の時間は二十分程度しかないので、なるべく簡潔にお願いします。
#172
○政府委員(片桐久雄君) 県の連合会の行う事業と、それからまた純粋に民間の事業者が行う事業とがある程度競合関係にあるということは事実だと思います。これはお互いに切磋琢磨して技術力を向上させていただいて競争していただくということが趣旨ではないかというふうに考えている次第でございます。
#173
○細谷昭雄君 これはもう一つの改正点が、大渕委員が指摘されたことですが、事業の中の施設更新の同意手続の改正もございました。これは先ほどお話がありましたとおり、いわゆる土地改良制度の基本原則というのがあるわけです。これは地域農業者の同意主義なんです。したがって、いろんな事業をやる場合三分の二同意というのが原則になっているわけです。今回それを改正する。これはいろんな条件があります。更新する場合、その条件の範囲内でのものというふうになっておりますが、少なくともこの制度の基本原則、これは大事に守らなくちゃいけないというふうに思うんです。これに対する配慮というのをどのように今後やっていくつもりなのか、そのことについてもう一度確認したいと思います。
#174
○政府委員(片桐久雄君) 今回、施設の更新事業につきまして同意手続を簡素化したいという提案を申し上げているわけでございますけれども、この更新事業といいますのは、施設の耐用年数が経過いたしまして、または近く経過するということで施設を新しいものと取りかえるというような事業でございます。しかも、この更新事業のうちでも、施設の機能の維持を図ることを目的とするとか、それからまた農家の権利とか利益を侵害するようなおそれのない、例えば取水量とか取水時期等が変わらない、費用負担も合理的である、こういうような一定の要件に合うものについてだけこういう簡素化の措置をいたしたいということで提案を申し上げている次第でございます。
 こういう同意手続を簡素化した場合でも、土地改良区の総会の特別議決を要件とするということ、また他の事業と同様に計画決定に対しては異議申し立ての道を開くということで農家の権利保護にも十分配慮をされているというふうに考えております。私どもといたしましては、今後この措置の運用に当たりましても、十分農家の権利保護には注意するように指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#175
○細谷昭雄君 先ほどの理事会の構成を変えるということと、今の手続、十二分に民主的な運用をするようにひとつ特段の配慮をこれからもお願いしたいというふうに思います。
 次に、これは大渕委員からお話がございましたが、私からもそれに関連してお尋ねしたいと思いますが、先ほどの圃場整備の進捗率というのはまだまだ不十分だということでございました。したがって、平成四年からは第四次になりますか、名前はどうであれ、そういう長期計画が発足するというふうに思いますけれども、問題は、農地流動化特別促進圃場整備実験事業、これは覚えろといったって覚えられませんが、これは平成元年から。今度は平成三年、先ほどの大臣のあれによりますと、二十一世紀型水田農業モデル圃場整備促進事業、これも一回では覚えられない。例えばあきたこまちみたいなそういう愛称、何かありませんか。とにかくそういうふうな事業を進めるということになっているわけですが、これは今度の改正とどういうかかわりがあるんでしょうか。
#176
○政府委員(片桐久雄君) 農業経営の規模拡大というものを進めるために、先生御指摘のような農地流動化を含めた圃場整備事業とか、それからまた二ヘクタール以上の面的集積を図る特別の圃場整備事業というものを現在いろいろ推進をさせていただいている次第でございます。こういうような事業を通じまして積極的に経営規模拡大を目指した基盤整備の面からの努力をしてまいりたいというふうに考えておりまして、今回の改正、それからまた第四次長計、その中でもいろいろ重点を置いて実施してまいりたいというふうにも考えている次第でございます。
#177
○細谷昭雄君 実際問題としましてこの圃場整備というのはこのようにいろいろ出てきますが、現状では農家負担というのが目先にある。それから減反がある。そして先行きが非常に不透明だ。農政に対する信頼感がない。そして農家は、農業はおれの時代に大体終わりだ、息子の時代までは借金は残したくない。そういうもろもろの農業を取り巻く現状からして、例えばいわゆる四百三十兆円の中のあれをつぎ込んでいく、そして第四次の長期計画を推進するという中でもなかなか一般の同意を取りつけることが難しいという状況があるわけであります。そういう中で大型圃場といってもなかなか実現ができない。問題はそこら辺で、今後の構造政策をどうするかという議論が本当は熾烈に行われなくちゃいけないと思うんです。
 私たち社会党の考え方は、この前実は世間にも皆さん方にも提示いたしましたとおり、中山間地を中心とした、いわば農業のこういう新しい計画を一緒にやろうじゃないか、こんな提案をしたわけでございます。したがって大型、大型、合理化という形でどんどん広めるということだけでは到底もう到達できない問題が出てくるんですよ。これはもうそこに合ったもの、それぞれの地域に合った、その地域の家族の労働に合った、そういう圃場整備なり地域の農業をやるための基盤ということが結局目的でなくちゃいけないんだというように思うんですね。
 したがってこれから第四次長期計画を進めるに当たりましては、さまざまなメニュー方式によるところの、しかも私はこの点再検討できないのかと思うんですが、今の圃場整備事業というのは金がかかり過ぎるんですよ。それはなぜかというと、もう自分たちの田んぼをやってもらうのに、自分たちが全然出ないで業者に全部やらせるんです。ですから秋田県の場合なんか、県営圃場整備事業は大体十アール百万円と言われておるんですよ。自分たちがやれば、重機など自分たちがやれない部分を土建屋さんに頼む、そしてやりますと半分でできると言われているんです。
 したがって、もっときめの細かな、例えば土地改良区自体が工事主体になっていく、町村でもいい、農協でもいい、そういう点でなるべく大事な金を有効に自分たちのために使っていく。だれも覚えてないですよ、こんな長い名前なんか。もうちょっとそこら辺はきめの細かな、自分たちにもやれるようなさまざまなものがあっていいんですよ。そういうふうな長期計画をぜひひとつ立てていただきたいと思うのですが、その点についての局長のお考えを聞きたい。
#178
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、特に土地利用型農業の場合に高齢化とか、それからまた労働力不足というような形で担い手が少なくなっている。そういう中で農業経営をどう発展させていくか、そういう課題に真剣に取り組まなきゃいけないという状態になっているというふうに私ども思っております。ただ、その場合の取り組み方ということでは、いろいろ地域によって千差万別といいますか、場所によりましては、所有権移転とか賃貸借というような形で個別経営の規模拡大ということも進んでいるところもございますが、また場所によりましては、集落ぐるみで話し合いをして共同作業の受委託とか、そういうようなやり方で規模拡大をやっているところもございます。私どもといたしましては、そういう地域の実態に応じて多様な手法で、多様な担い手で規模拡大ができるような、そういう施策を今後進めていきたいということで現在いろいろ勉強しているところでございます。
 また基盤整備のやり方につきましても、例えば従来三十アール区画で実施した圃場整備を、これを例えば一ヘクタールとか二ヘクタールの大区画にしたいという場合に、余り金をかけないで畦畔を取り除くとか排水路をパイプライン化するとか、そういうような簡単な工事で大区画の圃場整備ができるというようなそういう手法もいろいろ工夫していきたいというふうに考えている次第でございます。
 今後、第四次長計は平成五年度からということで現在いろいろ勉強いたしておりますけれども、そういう観点からもいろいろ検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#179
○細谷昭雄君 大臣どうでしょう。大臣は新潟ですね。実際問題として、これからは補助金で農業をやらせるというやり方から発想を全部変えて、自分たちが何をやりたいか、そのためには市町村なり県なり国にこういう助成をしてほしい、こういう下からの発想ですね。これなくして私は第四次の十カ年計画なり日本の農業というのは再建できないんじゃないかというふうに思うんですよ。
 その場合に大事なことは、今局長も言いました多様な方法、多様な手法で、さまざまなメニューでやる。その場合になかなかどこにどう手助けしていくのかという点が問題になってくるんですが、事務的な問題は一つおいて、大臣、そういうふうな物の考え方、今後のやり方についてどういうふうにお考えでしょうか。
#180
○国務大臣(近藤元次君) 先生御指摘のとおりで、それぞれの地域から地域に合わせたもので要望が出てきて、それを支援するという基本的な考え方には私ども同意ができるわけであります。
 中山間地をどうするかという問題で、平場についてはかなり積極的に今日まで努力をして規模拡大その他をやってまいりましたけれども、それぞれの農家のニーズや先生方の考え方というのも大方出尽くしたんではないかな、私はそう判断をいたしておるわけであります。ですから、中山間地対策みたいなものはできるだけメニューをいっぱいにして、中山間地の中にもいろいろな土地条件のところもあるし、慣習もあるし、また適地通産もありますから、そのニーズの中から選択をして、そしてその地域が特色を生かして農業に励んでいただくということを一つは考えてほしいなと。今回の中山間地対策というのはかなり人気が高いように思うんです。まだメニューが不足であれば、私は追加をするのにこだわる人間でもございません。
 また平場につきましても、都市周辺なり、あるいは過疎の地域にも平場もございますし、大変長たらしい名前で私も記憶していられないんですけれども、長いほどわかりやすい名前で、愛称はまた別につけていただくことにいたしまして、読めば全部わかるという名前にさせていただいたわけでありますが、これも二つ合わせれば、複合してこの土地改良の対策、二十一世紀も含めてやっていただければ一五%負担は軽減することになるわけでありますから、先ほどの土地改良事業主体になる団体営の部分が宿題になっておりますけれども、おおむね大体この四次の計画までには負担区分は明確にして、そしてスタートさせて予算要求をしていきたい。その他の非公共の部分についても、メニュー化の中ででき得れば適地適産の方向にスタートをさせていきたい。
 もうあらゆる手段を講じて努力をして、少なくとも意欲を持っていただく、やる気を起こしていただく。やる気は地元の農家の人たちから持っていただいて、知恵が私にあるわけじゃありませんけれども、農林水産省は優秀な知恵を持っておりますし、金もまた積極的に御支援を申し上げて、やる気だけは農家から起こしていただくような努力はしていきたい、そう考えております。
#181
○細谷昭雄君 最後の問題ですけれども、こうして法律改正なりなんなりでずっと土地改良、つまり農村の、今回は変わられましたね、農業農村の改善事業ということに変わったほどですから、これの受け皿の問題が土地改良区なんです。この土地改良区というのはもう水管理の機能、そしてその地域の圃場整備、国土の環境保全、そうして大事な二十一世紀の国民の食糧の生産供給、物すごい多様ないろんなもう課題を抱えて、第一に大事なことはやっぱり水管理の機能だと思うんです。その受け皿が土地改良区だと思うんですが、土地改良区の現状、それにたえ得るような組織になっているのかどうか、このことがやっぱり問題であろうかと思うんです。
 そこでお聞きしたいんですが、まず第一に、今のようなもう土地改良区という名前だけで専従はおらない、そしてもう負担金だけ取られていくという感じのものからどう脱皮するかといいますと、水系ごとにこれは再編成する。今回提案される森林と同じなんですね、水系ごとに再編成して、何百年来というもう永久水利権がありますけれども、その水系ごとにもう一度再検討する、そして今の土地改良区を合理的な統合をしていく。この大事業というのをもうやらなければ、二十一世紀には私は間に合わないと思うんですよ。しかし、今すぐやるというわけにはいかないんです。かなりの長期の年次計画が必要だと思うんです、二十年なり三十年の。そういう長期計画のもとに水系ごとの土地改良をきちっと整理しながら、皆さん方の合意を得ながら、土地改良区の本当の意味の整理統合、合併、これをやる気があるのかどうか、そういうことについて、これは大臣でしょう、政策ですから。
#182
○国務大臣(近藤元次君) 基本的には先生御指摘のように、土地改良区の合併というのは急がなければなりませんし、促進をしていかなきゃなりませんが、土地改良区の合併というのはいろんな事情がまたあって、合併したときに負担金の問題がどうなるかとか事業が終わったその時点が違ってくるとか、財産がどうだとかいうさまざまなことがありますが、いずれにしても総論としては合併するという基本方針には私ども努力をしなければなりません。
 そしてまた、農業は水を基本にしておりますから水系というのが一番大切なことでありまして、団体営にするか県営にするかというときにも、かつて何年か前に私は、水系で一つの地域が決まったら採択基準は、もう県営でもできるだけ規模がでかくなるように採択したらどうかというようなことをお話しした記憶がありまして、そのようになっておるわけでありますけれども、水系というのは非常に農業にとって大事なことでもございますので、そのことを目的にしたわけじゃありませんが、今度農林水産省に用水対策室というのを新しく看板を上げさせていただいて、水資源についてどのように効率的に利用するかということを担当させることにいたしましたので、結果として水系が出てくるだろう、こう私は期待しておりますので、出次第にまたそれぞれ土地改良区にも指導していきたい、こう思っております。
#183
○細谷昭雄君 最後の質問になりますけれども、これも大臣に。
 今言いましたように、大臣も認識されておりますように、水管理というのは非常に重要だ、それをやるところがいわば土地改良区と。その土地改良区もやっぱり人間だと思うんですね。そこで、専門職としての役割というのをどうしても果たしてもらわなくちゃいけない。ところが現状では専従がおらない。よほどの大きいところでありませんと技術職員がおらないという状況なんです。
 そこで、一つの資格を与えるとかそういう教育をするとか、身分の保障が大体ないんですよ、身分保障をきちっとする。そして待遇も改善する。そのためにはどうしても私は農業共済制度みたいな国庫補助によってきちっとした機能をさせるような半官半民の制度に格上げしていくということが将来必要だと思うんです。そうしない限りは本当の意味での水管理を任せることはできないと思うんです。一足飛びにできませんが、少なくとも現状の土地改良区の職員の身分保障、待遇改善、これについてはもう特段の配慮をしてもらいたいと思いますし、将来の、前段の水系ごとの整理統合という目標に向かってもっと機能的に、専門職の機能を発揮できるようなそういう土地改良区にしてもらいたい。そのことについての大臣の所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#184
○国務大臣(近藤元次君) 職員の待遇改善についてはそれなりの指導をしていきたいと思いますけれども、指導する前段に、受け皿として一町村の中に幾つも土地改良区があるというような現状の中で待遇改善を指導してもなかなか実効が上がらないのではないだろうか。さりとて、国からあなたの町村は幾つの土地改良区にしなさいということもなかなか指導しにくい面が実はございます。
 そういう意味合いで、もう一つは水系というのは大きくなればなるほど大体町村境界に水系というのがある地域が多いわけでありますので、それをまたがって水系ごとに土地改良を設定すれば行政区域をまたがった土地改良ということにも実はなっていくわけでありますので、その辺の段階は、私は今先生からの御質問を聞きながら、あるべき姿みたいなものを県の方にお願いをして、そして私どもまたそれに対応できるか相談をしてみたいなと、そう今感じたので、その方向でまた事務当局と私に相談の時間を与えていただきたい、そう思います。
#185
○細谷昭雄君 終わります。
#186
○猪熊重二君 きょうは初めに改正法案の個別的な問題についてお伺いして、その後土地改良事業の現状について質問したいと思います。
 改正法の内容の検討としては、先ほどから他の委員からいろいろ出ておりますけれども、市町村の事業費負担の問題についてお伺いしたいと思います。これは今回の改正の中心眼目の一つでありますが、まず国営土地改良事業における市町村の負担の問題についてお伺いします。
 現行法においても九十条五項、六項において国営土地改良事業における市町村の事業費負担の問題については規定しているわけです。この現行の九十条五項、六項が今回改正になりました。この改正の趣旨についてもお伺いしようと思ったんですが、時間もありませんのでこれの質問は省略させてもらいます。要するに、五項、六項の規定によると、市町村が国営土地改良事業の費用を負担することとなっているけれども、その負担したものについては結局農家に負担金を転嫁できるということになっていて、これを市町村が負担することについては市町村の同意が必要だ、こういうことは現行法も改正法も同じであると思いますので、これについての質問は省略させていただきます。
 改正法の九項の新設規定についてお伺いいたします。
 この改正法の九項によって、市町村は土地改良事業の費用を直接的に自己負担するということの規定が新設されるわけです。細かいことですが、徐々にお伺いします。この新設九項によると、「都道府県は、第二項から第五項まで及び前項の規定によるほか」という規定になっておりますが、この「よるほか」ということはどういうことを意味しているんでしょうか。
#187
○政府委員(片桐久雄君) この九十条の九項に書いてあります「第二項から第五項まで及び前項の規定」というのは、これは都道府県が直接または間接に農家の負担金を徴収する方式を定めたものでございます。この九項ではこれらの農家の負担金のほかに、都道府県は市町村に実質的な負担を求めるものであるということからこのように規定することにした次第でございます。
#188
○猪熊重二君 ところが、「利益を受ける市町村に対し、その市町村の受ける利益を限度として、」「負担金の一部を負担させることができる。」、こういう規定になっているんです。先ほども大渕委員から質問がありましたが、市町村が利益を受ける、その場合の「受ける利益を限度として」という、その受ける利益を限度とするということの受ける利益はどのようにして算定するわけでしょうか。
#189
○政府委員(片桐久雄君) 市町村の利益ということについては私どもとして二つ考えているわけでございますけれども、一つは農業、それから関連産業の振興による地域経済の拡大を通じて農村地域の活性化が図られるという点と、それからもう一つは、もう少し具体的になりまして、農業用の用排水施設とか農道等の整備を通じて農村の生活環境の改善が図られる、こういうことでございます。こういうようなことによりまして、市町村なり市町村の地域住民が受ける利益というものを限度というふうに考えている次第でございます。
#190
○猪熊重二君 今局長が説明されたのは、先ほど大渕委員に説明されたことと同じことであって、受ける利益の内容なんです。私が質問しているのは、そのような内容の利益を受けるけれども、その受ける利益の限度と言うけれども、それの算定方法はどういうことかということを質問しているんです。
#191
○政府委員(片桐久雄君) 限度の算定につきましてはいろいろなやり方が考えられるわけでございます。農村の混住化の状況というものを考えるとともに、また従来市町村が実質的にどの程度負担していたかということも、従来の市町村の実質的な負担というものは市町村が受けている利益というものを勘案して負担していたのではなかろうかということも考えられますので、そういう負担の実態も総合的に勘案し、またいろんな統計的手法、私ども、学識経験者といいますか、そういう方々の意識調査によりますデマテル法という統計の手法がございますけれども、そういういろんな手法を考えてこの受ける利益の限度、程度というものを総合的に判断していきたい。そういうものをもとにいたしまして、先ほど来説明しておりますガイドラインといいますか、標準的な負担のあり方というものも指導してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#192
○猪熊重二君 今局長がおっしゃった、市町村が負担している現在の状況を考えて、それから逆算して限度の基準と考えるというんだったらそれは循環論であって、全然基準に対する客観的な説明にはなっていないと私は思います。
 いずれにせよ、先ほど一般論として八%ということをおっしゃった。この八%がなぜ受ける限度なのかどうか私にはわかりませんが、もし仮にそう考えるんだったら、なぜそのことを法文に内容がわかるような形で規定するということをお考えにならないんですか。
#193
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良事業は地域におけるいろんな公益的効果があるわけでございますけれども、市町村の負担割合につきましては、土地改良事業の事業効果は、地域ごと、事業ごとにいろいろ異なっているという点があるわけでございまして、あらかじめ一定の率を法令上明確にするということは実態にそぐわないのではなかろうかというふうに考えております。
 私どもといたしましては、しかし何らかの指標といいますか標準的な考え方というものがあった方がいいだろうという観点から、ガイドラインというようなことで指導という形で実施したいというふうに考えている次第でございます。
#194
○猪熊重二君 局長の先ほどの大渕委員の質問に対する答えによると、この受ける利益の限度というものが農家負担はゼロとなる場合の改良事業もあると、こういうふうな説明をされたように私は聞いたんです。そうすると、農家負担がゼロになるということは、市町村負担がその分に関する限りは一〇〇%負担ということになります。大体受益者負担が二〇%と考えた場合にその八割程度を市町村負担、こういうことを言われているわけですが、しかし農家負担をゼロにして市町村負担を全部ということになると市町村負担というものが二〇%という場合もあり得るというふうに先ほど御答弁されたように思うんです。そうすると市町村負担の受ける利益の限度というものは、極端に言えば〇%から二〇%まで全部行政の裁量によって決定する、こういうことになるわけですか。
#195
○政府委員(片桐久雄君) 極めて公共性の高い例えば基幹的な用排水施設、こういうものにつきましてはこれは国の負担率も高める、それからまた県の負担率も高める、また市町村もある程度の負担をしていただくという形で農家の負担をゼロにするということでございまして、農家負担分を全部市町村にしわ寄せする、そういう考え方ではないわけでございます。それからまた、現在農家が負担している分について、市町村によりまして市町村がほとんど負担していない場合、それからまた裕福な市町村は任意的にほとんど農家に負担をかけないで市町村が全部負担している場合というふうに現在市町村の負担の実態というのは非常に幅があるというのが実態でございます。
 私どもは、そういうゆとりのある市町村が農家の負担がほとんどないような形で、農家の負担を肩がわりするような形で負担をしているというケースについて、それはもう市町村負担をやめなさい、市町村負担を縮めなさい、こういう指導をするつもりはないわけでございますけれども、ただ、現在の段階で市町村がほとんど負担していないというような場合に、これは私どもといたしましてはガイドライン程度までは市町村で負担していただいたらどうですかと、こういう指導をしていきたい。その結果、そういう市町村におきましては農家の負担が市町村負担をふやした分だけ軽くなる、こういうことを指導してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#196
○猪熊重二君 私の質問はそういうことではございません。要するに法律に「受ける利益を限度」というふうに規定してある。その場合の受ける利益を限度というものについて客観的な基準を先ほど局長は説明されたと言うけれども、私には全然客観的な基準に思えない。そして、行政の裁量によって市町村負担が〇%から二〇%までというような幅のある取り扱いということがこの受ける利益を限度という用語の結果として出てくるけれども、そういうふうにお考えなんですかと、こういう趣旨で質問しているんです。
#197
○政府委員(片桐久雄君) 受ける利益を限度というこの考え方につきましては、先ほど来説明しておりますように、いろんな農村の混住化の状況とかまた事業の性格とか、そういうものを総合的に勘案して決めていきたい、その限度の範囲内でガイドラインというものを出していきたいというふうに考えておるわけでございます。
   〔理事北修二君退席、委員長着席〕
ただ、現実に市町村がそのガイドラインを超えて、また受益の限度を超えて負担しているといいますか助成をしているというような場合もあるかと思いますけれども、そういう場合にそれをやめなさいというようなそういう指導をすることは考えていないということでございます。
#198
○猪熊重二君 内閣法制局に伺います。
 要するに、受ける利益の限度につきということについて、今のように何ら客観的な基準がない、専ら行政裁量に任せてある、しかもその行政裁量によっては〇%から二〇%まで、二〇%ということになると満額ということになります。そして、もし二〇%市町村負担ということになると、本来的な費用負担者である農家の方がゼロになります。このような法の規定の仕方というものについてどのようにお考えですか。
#199
○政府委員(越智正英君) お答え申し上げます。
 先ほど来局長が御答弁されているのと一部重なりますが、土地改良事業の施行によりまして市町村が受ける利益というものは、その態様、その程度、まさにそれは土地改良事業の種目なりあるいは土地改良事業が実施されている市町村の状況などによりさまざまであります。したがいまして、その算定基準を一般的にかつ一律に示すということは立法技術的には困難でありまして、また実態上も無理があるんではなかろうかと私どもは思っております。
 したがいまして、そのかわりにと言ってはあれですが、この法律案におきましては、市町村に負担させる場合に、まずその都道府県が負担金の徴収に当たりましては市町村の意見を聞く、さらに都道府県の議会の議決を経るという手続を規定したわけでございまして、これによりまして当該都道府県のいろんな事情等を勘案いたしましたその地域におきます客観的なものがおのずからそこで決まっていくんではないか、かように考えた次第でございまして、法律にあえてその基準を設けなかったということはそういうことを背景にといいますか、そういうことをかわりの手続として設けたということでございます。
#200
○猪熊重二君 今法制局の見解を伺いましたが、要するに法治主義というものについてほとんどお考えになっておらない、行政の優先、立法の無視ということの結果と同じです。今法制局の部長がお話しになったように、今回の新設規定によると市町村の意見を聞くということになっている。先ほどお話しした五項の場合には、市町村が直接負担するんでなくて、市町村が一応は負担してもそれを農家に転嫁する、この場合に市町村の同意が要件になっているにもかかわらず、市町村が直接負担する十項の新設規定では意見を聞くということだけになっている。意見を聞くということは聞けばいいということだけで、意見に拘束されることじゃありません。
 また逆に今度は、今法制局部長がおっしゃったように、都道府県の議会の議決が要件になっている。市町村の議会の議決が要件になっているとか、あるいは市町村の同意が要件になっているというのならわかるんですが、市町村の方は意見を聞くだけ、都道府県の議会の議決がある。これで市町村の意思はどのように担保されているんでしょうか。
#201
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良事業は、地域における農業振興とともに農村地域の活性化、農村における生活環境の改善の面で地域社会全体に大きな効果があるということでございます。
 今回の法改正の趣旨は、国、都道府県のほかに事業実施の現場に最も身近な行政主体としてこれらの効果による利益を受ける立場にある市町村に事業費の一部を負担してもらえるようにしようということでございます。これらの地域における農業振興とか農村地域の活性化、それからまた基礎的な地方公共団体である市町村の担うべき役割であり、また都道府県が市町村の負担割合を定めるに当たってはあらかじめ市町村の意見を聞くというようなことになっておりますので、今回の改正は地方自治の本旨には反しないというふうに考えている次第でございます。
#202
○猪熊重二君 先ほどお伺いしたのは、直接市町村が負担しないで農家に転嫁できる方については、要するに五項の方については同意が必要だと。しかし自分のところでしょい込みになる新設十項の負担については市町村は意見を聞くということだけで、市町村の同意も市町村議会の議決も必要になっていない。そして先ほどの話のように、本来的受益者であり本来的な事業費負担者である農家の負担がゼロであって市町村が二〇%、要するに全額負担することもあり得る、こういうふうなことの場合に、市町村の意思を何ら確認することなしに意見を聞くだけでいい、負担させることができるというふうなこの規定について、法制局として地方自治の観点から市町村の自治権に対しどのような侵害になるか、いや結構な話だというか、その辺をお伺いしたい。
#203
○政府委員(越智正英君) ただいま御審議いただいておりますその九十条の九項なりその前後の条文が地方自治の本旨というんですか、そういう観点からどうかというお尋ねかと思いますが、先ほど申し上げましたように、この市町村が九項に基づきまして負担するものはいわゆる受益者負担金でございます。したがいまして、その徴収に当たって、受益者負担金というものは、他の法制度もそうでございますけれども、あらかじめ市町村の意見を聞きかつその関係の都道府県の議会の議決を経るという手続を踏みますれば、そこは十分に地方自治の本旨というものが実現されている、かように考えております。
#204
○猪熊重二君 法制局に伺う。要するにあなたが今おっしゃったように、今回の改正法は一般的な公共事業に対する市町村負担の規定と同じ規定になっている。道路法、下水道法、海岸法、ほかにもありますけれども、そういうふうな法律において、国営事業について市町村が負担することについて市町村の意見を聞いて、また都道府県議会の議決に基づいて負担させるということになっている。今回の土地改良法における九十条九項、十項の改正もこれと同趣旨なんです。そうすると、今回の改正法は先ほど申し上げたような公共事業に関する諸法と同じような法構造だとあなたはお考えなんでしょうか。
#205
○政府委員(越智正英君) 土地改良事業というものが公共事業であることは疑いがないだろうと思います。ただその事業の執行の仕組みと申しますのは、今先生例示で挙げられました道路なりその他の公共事業とは異なっておりまして、御案内のとおり、土地改良事業というのは農家の申請というものが別にあるというのが一般論でございまして、必ずしもその申請がない場合もございますけれども、そういった意味でその仕組みの公共事業を始めます端緒と申しますか、そこは異なっておりますけれども、私どもとしては、やはり土地改良事業というものも他の公共事業と同じような意味での公共事業だという認識でおります。
#206
○猪熊重二君 それはあなた重大なことをおっしゃる。もし土地改良事業が下水道法や海岸法と同じような意味での公共事業と同じだというふうなお考えだとしたら、法制局の考えは根本的に間違っている、私はそう思う。
 なぜか。下水道法だとかあるいは道路法というのはだれがどういう便宜があるからやるということじゃなくて、道路法あるいは下水道法、海岸法に基づく国営事業というのは国の独自の意思でやる公共事業なんです。それに対して土地改良法は、農用地の改善、農業生産力の向上という法目的を実現するために、土地所有者がその関係地域の三分の二以上の同意で出願することによって初めて国営事業が始まる。全然質が違うんです。要するに、公共事業というのは公益ということが本来的な、原則的な問題なんです。それに対して、土地改良事業による市町村の受ける利益というのは派生的な、反射的な、付随的な利益なんです。そこをあなたはどうお考えなんですか。
#207
○政府委員(越智正英君) 土地改良事業というものが、今先生御指摘のように、その仕組みなり費用負担等の面で、いわゆる道路などの他の公共事業と異なる面があることは御指摘のとおりだと思います。しかしながら、今問題になっております市町村負担金、これは今先生が御指摘のとおり、反射的な利益というものがそこにあらわれているわけでございますけれども、そのものについてそれを受益者に負担させるという物の考え方は他の公共事業と同じであろうというふうに私は考えております。
#208
○猪熊重二君 九十条二項において本来的な費用負担者がだれであるかということは書いてあるでしょう。法律の条文においで、二項において本来的な負担者は書いてある。ただ、その二項による負担にかえてこういうこともできますという代替的な規定にすぎない。あなたがおっしゃるようにどっちも同等だというふうなことは絶対ない。
 それじゃお伺いしますが、この九十条二項において本来的な負担者というものは規定してあるけれども、ほかの一般的な公共事業において、そんな意味の本来的な費用負担者というものを規定している法律があったら教えてくださいよ。
#209
○政府委員(越智正英君) 公共事業はいろいろございますけれども、今先生が御指摘になられたような意味で道路なり、あるいは港湾なり、そういったものの整備で直接受益をされる方々というものは、一般的な国民というそういったものが確かにございます。この土地改良事業におきましては、具体的に土地改良を申請する農家の方々というものが直接の受益者であることは言をまたないわけでございますが、私が申しておりますのは、その事業の実施によります反射的な利益というものがその地域に必ず生ずるんじゃないか、それを負担させるという仕組みにおいては他の公共事業と同じではなかろうか、こういうことを申し上げているわけでございます。
#210
○猪熊重二君 違うんです。要するに、先ほど私が申し上げた公共事業諸法において、本来的な、直接的な費用負担者なんというものを規定している法律はないじゃないですか。この法律においては、九十条二項において本来的な負担者、これは受益者だ。事業の開始自体においても申請によって始まっているんです。
 私が申し上げたいのは、市町村負担をさせることがよくないとかいいとかという政策の問題を言っているんじゃないんです。市町村負担が妥当だとか妥当でないというそういう政策の問題でなくして、私に言わせればこういういいかげんな立法じゃなくてまともな法律をつくったらどうですかという観点で私は質問しているんです。あなた法制局で自分でつくったんだからああだこうだおっしゃるけれども全然違うんだ、この双方の法律は。目的、三条資格者の問題、申請による問題、費用負担の問題から質が違うんです。ただ法が制定された後の状況の変化によっていろいろ修正するべきことがあるんだったらそれなりに修正しなさい、こう言っているんです。
 要するに、憲法があるのに憲法を勝手に解釈して憲法が変遷するのと同じで、土地改良法というものをつくっておいて、中身を適当に変えていって、要するに土地改良法の変遷なんだよ、こういう改正方法をやると。そういうことをやるべきじゃないという観点で私は質問しているんです。あなたのおっしゃったようなことで言えば、市町村が負担するほかに、一般的公共事業において本来的な受益者住民に対して直接費用負担させるなんというふうな法律がなきゃおかしいじゃないですか。そんな法律はない。
 県営土地改良事業に関しても同等な問題がありますけれども、それについては時間の関係で省略します。
 この改正法の問題についていろいろお伺いしたいけれども、それをやめまして、今度は国営土地改良事業の現在の問題点についてお伺いしたい。
 いろいろ先ほども他の委員から話がありましたけれども、計画の達成度の問題だとか農用地の規模拡大の進捗状況の問題だとかいろいろあります。しかし、私は一つだけ、計画当初の工期が非常におくれている問題についてお伺いしたい。
 時間がないから私の方からいただいた資料について申し上げますと、例として、国営かんがい排水事業の実施概要として現在実施している地区数は六十六ある。その中で三十四はまだ当初の計画期間中であるということです。残る三十二は工期が当初の計画からおくれている。一年ないし五年おくれているのが十八地区、六年ないし十年おくれているのが八地区、十一年ないし十五年おくれているのが四地区、十六年ないし二十年おくれているのが二地区ある。しかも十六年ないし二十年もおくれているのが二地区あって、さらにまだ完成までは少なくともあと半年かかるというこういう状況なんです。これは農水省からいただいた資料だから間違いないと思う。このような当初の計画のおくれが農家に及ぼす影響について農水省はどう考えているんですか。
#211
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、国営かんがい排水事業につきましては、かなり工期がおくれている地区もあるわけでございます。私どもといたしましては、できる限り早期に効果の発現するように効率的な工事の工程に配慮するということともに、営農面についても、国、都道府県、市町村等が連携して営農推進体制の整備強化を図っているわけでございます。
 それから土地改良区の総会等で工期とか農家負担額等について定期的に報告それから話し合いの場を設けまして、農家の意向を尊重しながら事業を進めているところであります。
 それからまた、工期の長期化に伴う影響を是正するために農家負担の軽減の各般の措置というものもいろいろ工夫しているところでございます。今後とも農家の意向を反映させながら極力早期に事業を完了できるように努力してまいりたいと考えております。
#212
○猪熊重二君 もう少し実態は厳しいんじゃないんでしょうか。十年でやりますといった仕事が、いただいた資料で一番おくれているのは二十年だとこう言っているんです。だから十年でやるといったものがもう二十年もかかってまだできない、こういうことになったら国営のかんがい排水事業をもとにして農業経営を考えている農家としてはその計画が狂ってしまう。三十でこの計画に参画して十年でできるそうだ、じゃ四十になったらわしゃ頑張ろうと思っていたのが五十五になってもう仕事するのが嫌になっちゃった、こういうことになっちゃうでしょう。
 要するに銭金の問題じゃなくて、農家の経営は国の事業のおくれによって狂ってしまう。こんなばかな話はないでしょう。幾つになって息子がどうなったら息子と一緒に仕事をしようとか、息子が学校を卒業したらどうだとか、嫁さんも来てこういうふうになってどうだとか、いろいろ農家は農家なりに国の言い分を信用して十年でこうなると考えているでしょう。それが、おてんとうさま相手の土地改良事業だからある程度おくれるのはしようがないけれども、十年のものが二十年になるなんということになったら、あなた民間じゃそんな会社はとっくに倒産してだれも頼む人はいない、だからテレビで私が最近見たら、農家の人が政府のやることは全く当てにならぬ、どうせまただまされる、こう言っているんです。農家の生活設計を根本から崩すようなこういう土地改良事業というものについてどう責任を感じているんですか、農水大臣。
#213
○国務大臣(近藤元次君) 先生御指摘のような形で、国営事業を初めとして基盤整備事業が計画どおり進んでいないわけであります。私ども反省しなきゃならない一点は、やはり事業採択するときの調査その他で不十分さが一つはあるのではないかな。計画当時計画をした規模よりも最終予算規模というのが大きくなって事業が達成しなかったり、ここのところずっと農業事情、将来展望に不安を持っておられる方々がおりまして、同意はしたけれども、五年、十年とたつ変化の中で必ずしも事業促進のために協力をしていただけない面が一つあります。
 もう一面は、予算がいずれにしてもシーリングがかかって、当初の計画どおり予算を調達することができなかったりというようなことで大変進捗率が悪くて、ある意味では長期化をしておるという、特に長期の部分については予算だけの問題ではないわけでありますので、私どもそういう面を今度反省して、四次のときには十分対応していきたいし、とりわけ面的工事で営農にかかわる分は少なくとも優先をして仕事をしていかないと営農計画が立たなくなってくるわけであります。その他の部分も急がなきゃなりませんが、その面に十分配慮して事業計画を立てていきたい、こう思っておるわけであります。
#214
○猪熊重二君 また法制局にお伺いしますが、要するに国営土地改良事業というのは、確かに行政的に見れば国の専権的な行政の執行の一つだろうと思うんです。しかし、農家の申請に基づいて国が事業決定したということは、私契約的に評価すれば、農家のやってくださいという申し込みに応じて国が承諾して、それで改良事業をやりましょうという約定が成立したことと同じはずなんです。しかも、この約定の中心的な効力は工期と費用の問題なんです。建物を建てる工事を頼んだって何したって、いつ、幾らが一番問題なんです。農家の費用負担の方は、先ほどから大変だ大変だということでいろいろ何がしか考慮している、それはそれでいいんです。
 工期の問題が全然でたらめだということになった場合に、国の一方的な都合による工期の遅延について、これは契約に違反するんだということで何らかの農家の方の請求権的なものは考えられないんですか、法制局いかがですか。
#215
○政府委員(越智正英君) 国営土地改良事業の工期のおくれ、その問題に入る前に先生今御指摘なさいましたのは、農家の申請に基づき農林水産大臣が計画を決定するという仕組み、そこに私契約的なものがあるんではないか、こういう前提で御質問なさったと思うんですが、私どもこれにつきまして、先生ももちろん御指摘になったわけでございますけれども、計画を決定する手続、公告なり縦覧なり、あるいはそれに対する異議の申し出の手続なり、そういったものはまさに行政処分、要するに公のものとしてのいろんな手続を整備してあるわけでございまして、私契約ということを前提にしてお答えするのはちょっと問題があろうかと思いますので、その点はちょっと御勘弁いただきたいと思います。
 その工期がおくれたときにどうするかということは、これはまさに行政当局がどう考えるかということに尽きるかと思いますけれども、私どもといたしましてもまさにそこは法律問題を離れましても、やはり工期が大幅におくれるということについては問題が多々あろうかと思います。
 ただ、国営の土地改良事業が計画を変更するという場合には、関係者の三分の二以上の同意を得るというような手続もありますので、そういう手続を経ながらやはり行政当局の方で関係者の御理解を得ながら進めていくんだろう、かように考えておりまして、ちょっと法制局として、直接法律問題がどうこうというお答えにはなりませんが、そんなふうに考えております。
#216
○猪熊重二君 要するに大臣、私が申し上げたいのは、国はもっと道義的に約束を守る政府でなきゃならぬと思うんです。それをやってやるんだから少しぐらいおくれてもいいんだとかそんな発想じゃなくして、極端に言えば農家との契約に基づく仕事なんだというぐらいに考えてやってもらわなきゃならぬと思うんです。
 先ほども申し上げたように、十年でここのところ、まあ建築に十年なんてかかりませんけれども、鉄道を敷くにしろ何にしろ、十年でやりますと言って二十年もかかった会社なんというのはとっくに倒産しちゃうんです。国だから倒産せぬ、国だから好き勝手にやるというふうなことじゃなくて、国なればこそ、国民から、政府は信用できる、国がやることは真っ当だと言われるような国をつくるためにもっと努力するべきだ。
 だから、予算がどうだとかいろんなことをおっしゃるけれども、それだったらそんなに幾つも手を広げないできちんとやっていくように、踊れる範囲の踊りを踊りゃいいんであって、私は行政当局のようにすべての事情を知らぬからこういう一般論しか申し上げませんけれども、もう少しまともなことをやってもらわぬと農家の迷惑は大変だということを申し上げて、局長と大臣の簡単な答弁をいただいて終わります。
#217
○政府委員(片桐久雄君) 一部の国営事業につきまして非常に工期が長期化しているという実態は御指摘のとおりでございまして、もちろん予算の事情もありますけれども、非常に長期化しているものについては、用地問題とかそういういろんな事情でおくれているものもあるわけでございますが、私どもといたしましては最大限の努力をして、工期の短縮ということに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#218
○国務大臣(近藤元次君) 先生御指摘のとおりですけれども、大変要望が強いものですから、私ども仕事を欲張ってやるようなこともなきにしもあらずだと思っておるわけであります。これは予算が決まったらそれだけのものをきちっとやれば一番正確にいくわけでありますけれども、むしろ少しオーバーに予算要求をするのもまた一つの私ども予算獲得の背景ではないかと思ったりしておる面もありますので、できるだけ今言われるような十年が二十年、二十年が三十年というようなことは例外ではありますけれども、多少のことはお見逃しをいただいて、予算獲得のために積極的にまたやらせていただく背景もお認めをいただいて事業を進めていきたい、そう思っております。
#219
○猪熊重二君 終わります。
#220
○林紀子君 国または都道府県が管理する土地改良施設の更新事業についてですが、現行では組合員の三分の二以上の同意、組合員一人一人の署名と押印を必要としていますが、今回の改正では簡素な同意徴集手続、すなわち組合員の三分の二以上が出席した総会で三分の二以上の同意によるとされていますね。三分の二以上の組合員から署名、押印の同意というのは土地改良事業を施行する際の基本的な原則ではないかと思うわけです。更新事業についてもこの原則は守らなければならないものだと思いますが、どうして今回簡素化をするのでしょうか。
#221
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、土地改良事業の開始に当たっては関係農業者の三分の二以上の同意ということが基本でございます。ただ、施設の更新事業といいますのは施設を新しいものに取りかえるというようなことでございまして、しかもその事業内容が機能の維持を図ることを目的とするものであって、また取水量とか取水時期とか、そういう点において農家の権利または利益を侵害するおそれのないというそういうものに限定いたしまして、個々の農家の同意を不要とするということで手続の簡素化を図りたいということでございます。
 これにつきましては、土地改良区の総会の特別議決を要件とするということ、また他の事業と同様に計画決定に対しては異議申し立ての道を開くというようなことによりまして農家の権利保護にも十分配慮しているというふうに考えている次第でございます。
#222
○林紀子君 昭和五十九年の改正時における同様な改正規定に対する農水省の解釈ですけれども、総務庁が発行しております「時の法令」というのにこの解釈が出ておりますが、これには同意の省略という言葉を使っていると思うわけですね。ですから、簡素化ではなくて省略ということなのではないですか。今権利は守られるというお話がありましたけれども、組合員の権利または利益を侵害しない場合に限ってという言葉は確かにあるわけですけれども、その利益、権利を侵害しないというのは、それこそ本人が同意をするときに考えるということであるわけではないでしょうか。それを上から、これは侵害しないのだということで、こういう形で総会での三分の二以上でいいということにするのは、やはり侵害をすることになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#223
○政府委員(片桐久雄君) 農家の利益とか権利を侵害するおそれがないかどうかということの判断は土地改良区がやることになっているわけでございますけれども、そこのところの考え方といたしましては、私どもとしては、その更新事業の実施後も取水量とか取水時期等が変わらないとか、また農家の費用負担も合理的であるとか、そういうようなことで土地改良区が判断していただきたいというふうに考えている次第でございます。
#224
○林紀子君 開始に当たってはこれだけ丁寧な手続をとる。三分の二以上といいますけれども、実際にはほとんどの事業において九五%を超す同意で実施されている、事業の実施に当たってはできる限り全員の同意を得ることが望ましく、全員の理解と協力が得られるような努力が行われているということが、これは土地改良法研究会並びに農水省構造改善局管理課長の編集による「土地改良法入門 一問一答」というのを私も見せていただいたわけですけれども、それほど厳密にされているわけですね。ですから、今回の更新事業であってもやはりこれは貫かれるべきであるし、時間的な問題でもう見切り発車、スタートをするんだというようなことは絶対に許されないことではないかと思うわけです。
 先ほど総会ということが出ておりましたけれども、組合員の三分の二以上が出席した総会というふうに言われておりますが、これは組合員自身が出席しなくても書面で、委任状というのですか、そういう形ででも三分の二以上の出席ということは認められるわけですね。あり得るわけですね。
 こうした同意徴集を省略することによって本当に組合員の権利というのは十分保護されるのかどうか。局長は先ほどから保護されるんだというふうにおっしゃっておりますけれども、今お話がありましたけれども、これから更新事業というのは、今までできたものはどんどん更新事業という形になるわけですし、それから工期が長期化するということも、今までの過程から見ますと、今までの論議の中でも十分考えられるわけですし、そういうことは望ましくないにしても、事業費の負担増となって組合員の利益を侵害するということになるんじゃないかと思いますので、ここのところはどうしてもやはり簡素化をするべきではないと思いますけれども、再度お答えをお願いいたします。
#225
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、土地改良区の特別議決の場合に書面議決もあり得るのではないかということでございますけれども、あり得るわけでございます。ただ、書面議決の場合には、事前に組合員に総会の議案を通知することとされておりまして、書面議決は、組合員がその内容を十分承知した上で委任状とかそういうものを出していただくということでございますので、たとえ特別議決について書面議決があったとしても、農家の権利、利益の保護に欠けることはないのではないかというふうに考える次第でございます。
#226
○林紀子君 それからもう一つ、土地改良区の理事の問題ですけれども、組合員以外の者が占める割合について、今回の改正では現行の五分の一以内を五分の二以内に緩和するということになっていますね。土地改良事業の運営に当たる理事は基本的には組合員であるべきであって、員外理事というのは例外的なものだと思うわけですけれども、今回どうして五分の二以内ということに緩和するのか、それをお聞きしたいと思います。
#227
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良区ばかりじゃないんですけれども、農協とかその他消費生活協同組合とか、いろんな団体について一般的に言えることだと思うんですけれども、員外役員制度というものがあるわけでございます。
 土地改良区について申し上げますと、まず土地改良区が適正な業務運営を行うためには、会計とか経理を初めとして専門的な知識を持った人が役員として必要なのではないかというような観点、それからまた土地改良工事とか水理管の実施に当たって高度な知識とか技術が必要であるという場合が多いわけでございますし、また土地改良事業は地域農業とか地域行政と密接な関連を有しておりますので、その運営について関係行政機関等を代表する者を参画させる必要がある、そういう観点から員外役員制度というものが設けられているものであるというふうに考えておりまして、やはり員外役員制度といいますのは、土地改良区の円滑適正な運営を図るためにぜひとも必要なものであるというふうに考えております。
 今回これを五分の一から五分の二に拡大させていただきたいということを提案申し上げておりますのは、これは農村でも非常に混住化が進んでいるというような観点から、やはり住民といいますか、行政機関といいますか、そういうものを代表する方々とか、それからまた土地改良についての知識、経験の豊富な方々について、経営移譲したような方々も役員としてぜひ残っていただく必要があるというような場合も多いということからこういう改正をお願いしている次第でございます。
#228
○林紀子君 いろいろ今理由を挙げられたわけですけれども、専門的な力のある人がということですが、例えば定款を改定して理事の数をふやすということはできるわけですね。それから、農業者年金を受給している方でも農業委員会の承認を得れば引き続き理事としてとどまることができるという規定もあるということですので、現行の規定で十分これには対応できるのではないかと思います。そして、組合員以外の者で理事となっている者の中には、今局長のお答えにありましたけれども、規制がないために市町村の首長や市町村議会の議員なども相当含まれているということを聞いております。
 ここは特に大臣にお伺いしたいんですけれども、土地改良事業については非常に多額なお金が動くわけですから、以前から補助金のばらまきと選挙のかかわりについてということで、私も今回、「補助金と政権党」という、もう十年ほど前の本ですけれども、朝日新聞社から出ております、これを読みましたら、「土地改良事業の集票効果」というところをわざわざ一項設けて、この補助金のばらまきというのがいかに選挙とかかわり合いがあるかということが非常に取材を通して興味深くというのでしょうか、書いてあるわけなんですね。
 員外理事の定数割合をふやすということは、土地改良区の本来持っている民主的な運営に支障を来す、私もここで得た知識から考えても、そういうことが十分考えられるわけですので、この民主的な運営、これを保障するためにも、どうしてもこの理事というのは員外ということではなくて、やはり組合員であるということが基本であるということをきちんと踏まえるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#229
○国務大臣(近藤元次君) 私は今、員外理事が土地改良区並びに団体に必要な時期ではないかなとそう判断をしておる一人なんです。私もいろいろな団体にかかわり合いをしてまいりましたけれども、今その土地改良区なり、ある意味では農協なり漁協なりというようなところでかなりこの社会情勢の変化なりあるいは経理面なり、そしてまたそれが地域社会とのかかわり合いなどからすると、本当にそういう経験や知識のある人材が末端の組合員の中にいるかどうかという点については、少なくともそこで決定をして、職員並びに組合員に対して指導していけるような立場の役員がいるかというと、私は必ずしも私たちの地域においては十分な手当てができないというふうに悩んでおる団体が多いんではないのかなと、こう思っておるわけです。
 ですから私は、員外利用で専門の知識のある人が必要な時期であると思うのですが、しかし、地域によってまたばらつきもあることでありますので、上限をいわば決めさせていただいて以内ということにさせていただいておるわけでありますし、また選挙でまたそれを選ぶという方法も同じ扱いをさせていただいておるわけであります。まあ先生十年前の本で、これが選挙なり政治とかかわり合いがあるような御発言がありましたが、私も長年土地改良の仕事をして、農業関係を一生懸命にやりましたけれども、土地改良挙げて推薦をしていただくような経験がないものですから、そのことについてはお答えのしようが実はございません。
#230
○井上哲夫君 私は先ほど猪熊委員が質問をされておりました観点とちょっと変わったところから質問をしてみたいと思います。
 今回の改正で混住化した地域での土地改良、農用地を含む土地改良についてまことに時宜を得た改正をされたということで、そのことには私も評価をするわけでございますが、問題は市町村に負担を課するといっても、その中には例えば中山間地域の市町村あるいは過疎化が進んで県会議員も出せないようなそういうところがこういう今回の改正で本当にうまくいくんだろうか、農家の負担を低くしていく、一方市町村がその利益の限度で負担を明確化していく、そのことはそのとおりでございますが、結局お金のない市町村ほど人が過疎化等によって少ない。
 混住化というところまでいけばいいわけですが、混住化までいかない。しかしおつき合いで負担をしなきゃいかぬ。市町村の意見は聞いてくれるということだけれども、なかなかどうして本当に聞いてくれるだろうか。県会議員もいないうちに県議会の議決で、押しつけられたと言うと言葉が悪いですが、そういう事態になって、歓迎せざる土地改良ということはなると、これはまあ大げさな言い方で言えば仏つくって魂入れずということにもなりかねない。中山間地域における今回の改正でどのような対策といいますか、どのような配慮をしてみえるか、お尋ねをしたいと思います。
#231
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、中山間地域といいますのは地理的に非常に条件が悪いということで、土地改良事業、特に圃場整備等についてはなかなかおくれているという実態でございます。私どもといたしましては、こういう地域も、やはり一生懸命農業をやっておられる方もおるわけでございますし、これから労力不足とか高齢化というような状況に対応いたしまして、何とか農業を存続させるためには基盤整備が最も重要であるというふうに考えている次第でございます。
 ただ、そういう中山間地域での基盤整備という場合には、条件が不利なだけに反当の事業費というものが、例えば平地であれば反当九十万円でできる圃場整備が中山間地域では二百万円かかるというような実態もあるわけでございます。私どもといたしましては、そういうような状況に対応するために、平成二年度から中山間地域の総合整備事業という新しい制度を発足させまして、補助率も通常四五%という圃場整備の補助率を六〇%ということで、圃場整備も含めて総合的な基盤整備ができるという制度を実施しているわけでございます。
 この事業によりまして国の負担率を一五%上げているわけでございますので、それに加えて県もある程度の負担をしていくということでございますれば、市町村の負担、農家の負担を相当軽くして基盤整備を実施できるのではないかということで、私どもといたしましては、この中山間地域の総合整備事業を大いに推進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#232
○井上哲夫君 今、関連するわけですが、先ほども猪熊委員がガイドラインといいますか、市町村の負担は、意見を聞くということと、県議会の議決といういわば二段階縛りといいますか、こういうことでうまくやっていけるんだ、あるいは恣意的な運用がないんだということに対して、市町村が負担割合について本当に納得をしてそれを受けて農家の負担を軽くしていくということになるかといいますと、なかなか基準あるいはモデルというものがはっきりしない場合には、何だかんだいっても余裕のない市町村ほど勘弁してくれという形になってくる。まして中山間地域で、今局長お答えのように特段の国の配慮があるからいけるだろうといっても、まあ今〇%から二〇%というような範囲が広うございますので、その点で何か特段の中山間地域についてのモデルといいますか、あるいは特段配慮すべき事情等がありましたら聞かせていただきたいと思っているわけでありますが、いかがでしょうか。
#233
○政府委員(片桐久雄君) 市町村の負担の決め方でございますけれども、私どもといたしましては、ガイドラインというものを、例えば県営圃場整備であれば市町村負担分一〇%というようなそういうガイドラインを決めさせていただきまして、それでそれをもとに都道府県が議会の議決を経て、また市町村の意見を聞いて具体的に市町村の負担を決める、こういうことになるわけでございます。
 一方そのガイドラインは地方財政措置の基準にもなるという作用をしているわけでございまして、そのガイドラインまで、例えば一〇%まで市町村が負担した場合にはその市町村の負担分をもとにして地方財政措置、いわゆる地方交付税とか地債とかそういう裏打ちをいたします。もちろん一〇%を超えて負担することについて否定するわけじゃないんですけれども、一〇%を超えて負担した分については地方財政措置の対象には考えていないということもあるわけです。ただ一〇%までは地方財政措置の対象にいたします。そういうものをてこにいたしまして市町村の負担をできるだけしやすい、こういうような条件がつくられていくのではないかというふうに考えている次第でございます。
#234
○井上哲夫君 あと二、三点質問をと思っておったんでございますが、時間が来ましたので最後に大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、結局今私が尋ねているのは、山間僻地になればなるほど財政というものは非常に厳しい。財政が厳しい市町村ほど中央への依存は当然高まりますので、おなかの中では本当は無理だとか聞けないということがあっても、ごもっともごもっともと、後になって私どもが行くと陰で困った困った、あるいは何とかしてほしいというようなことも出てくるわけでございます。特に、今回の改正で中山間地域の市町村の負担ということについて今局長は費用も高くつくと。本当に費用も高くつくしメリットが乏しいような中でやっていくわけでございますが、御配慮をお願いしたいという意味で大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
#235
○国務大臣(近藤元次君) このことは県営以上でありますけれども、十分配慮していかなければならぬことだ、私もそう思っておるわけであります。特に、一つの事業の中に幾つかの市町村がまたがることがありまして、市であったり村であったり町であったりというような事業も実はございますので、財政力はおのずから違ってくるわけでありますから、ここのところは今後最後の詰めに入って自治省とも県とも、また市町村ともじっくりとひとつ慎重に、今までの御意見を体して決定させていただきたいと思うわけであります。
 引き続いて、中山間地というのは大体が県営事業ではない地域が多いわけでございますから、それも合わせて、中山間地の中にもまた規模が大きくなれば県営になる地域もあるし、団体営の地域もありますが、県営の事業の場合には事業主体になったときどうするかという一つのまた問題もあるわけですし、そういう意味合いでは負担をするのと事業主体のと性格も違うわけでありますので、財政力の弱い、負担をしたくてもできないところには今回の措置はよかったと思うわけでありますけれども、ただ公平さとか、あるいは一律性というものでなかなかいきにくい面が実はございますので、十分今の御意見を体して慎重に対処して意のあるようなことが反映できるようにしていきたい、そう考えております。
#236
○井上哲夫君 ありがとうございました。
#237
○喜屋武眞榮君 私は、実は最初に第三次土地改良長期計画の進捗率をお尋ねしたいと思っておったわけでありますが、先ほどの御質問でその内容が明確になりましたので取り下げたいと思います。思うことは、やっぱりそうだったのかという一言であります。
 それではお尋ねしたい第一問は、今回の法改正における市町村の事業費負担の導入は、農村の混住化の進展による土地改良事業の公益的機能の拡大、それから市町村が実際に事業費負担をしていたという実態を踏まえてということでありますが、沖縄や離島の場合はかなり条件が違うと考えております。この点、全国画一的な考え方で市町村の事業費負担を行うべきではない、いけない、こう考えておる次第でありますが、いかがでありましょうか。
#238
○政府委員(片桐久雄君) 今回の法律改正によります市町村の負担を具体的に決める場合には、市町村の意見を聞いた上で都道府県議会の議決を経て定めるということでございますので、それぞれの地域の実態を反映して決定されるというふうに考えております。
 特に沖縄県につきましては、地域の特殊性にかんがみまして、国庫負担率もほかの地域よりもかなり高いものとなっておりますので、ほかの県に比べれば市町村の負担についてもかなり低いというようなガイドラインになるのではないかというふうに考えております。
#239
○喜屋武眞榮君 いかにも情けあるお言葉にも受け取れますが、そうではなく、沖縄への今までの政府の配慮は、恵みではなく償いであるという姿勢でやってもらわなければけしからぬと言いたいということなんです。戦後四十六年、復帰二十年目に差しかかろうとしておりますが、いまだに本土との格差は歴然たるものがあることは今さら申し上げる必要もありません。こういうことから、今後ぜひ政治姿勢の面、沖縄への政府の姿勢に対して、恩恵を与えるような文句は要りません。償いとしていち早く本土並みに到達するように、いや日本唯一の亜熱帯地域であるがゆえに全国平均をリードする可能性を十分持っておることは御承知だと思います。その配慮で沖縄を取り上げてもらいたい、見ていただきたい。
 次に、沖縄県は降雨量は日本では多いというわけですが、ところが逆に、水のまた一番不自由な沖縄県である。水の確保が重要である。特に農業用水の確保のための事業の実施状況はどのようになっておりますか、また、どう考えていらっしゃるか、お聞きいたしたい。
#240
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、沖縄県は亜熱帯性気候地帯に位置しておりまして、降水量としては比較的多いということでございますけれども、降雨のかなりの部分は梅雨とか、夏に来襲する台風によるものであり、季節的に偏在している。それからまた、流況の安定した河川に恵まれていないというようなことから、利用可能な水資源が少ない自然条件のもとにあるわけでございます。このため、沖縄における農業の体質強化を図っていくためには安定的な農業用水確保が極めて重要である。従来より国営とか県営とか、団体営のかんがい排水の事業の推進を図っているわけでございます。また、宮古地区におきましては、緊急に畑地かんがい水源を確保すべく平成元年度から地下ダムの建設を進めるなど農業用水の確保に努めているわけでございまして、今後とも沖縄農業の振興を図るため継続地区の早期完了、効果発現とともに、新規地区の計画的事業化等により農業用水の確保に努めてまいりたいと考えております。
#241
○喜屋武眞榮君 この水の問題も、一応存在の場所を早く探り当てていただきたい。まあそれを進めつつあるわけでありますが、それで早く使える状態に活力を与えていただきたい、これが問題なんです。ただ施設をしていつまでも使えないような基本施設なら、これは意味をなさない。一日も早く活用できるように要望しておきます。
 次に、これは大臣にお聞きしたいんですが、なお沖縄県は基盤整備が非常に立ちおくれております。今さら申し上げるまでもありませんが、幾ら訴えても過ぎるということはない。なぜかといえば、実現が遅いからです。それは戦場になったというこの悲劇、悲惨、二十七年間も米軍占領下に置かれたという、そして現在も、戦後四十六年、復帰十九年になっておりますけれども、米軍の専用基地が七五%も狭い沖縄に、だから基地の中の沖縄と言っているんでしょう。沖縄に基地があるのではなく、基地の中に沖縄がある点、この矛盾をいつまでも我々は担うわけにはいきません。いかに日本国民であったとしても、何で我々だけが、県民がこのような矛盾を担う理由が憲法のどこにありますか。それを追及したい。こういうわけですから、幸いにして大臣は非常に水資源の解決は強調しておられましたので非常に私は喜んでおる一人であります。
 そこで、沖縄県は基盤整備が立ちおくれておる、申し上げるまでもありません。沖縄農業の振興のために水の確保、あわせて機械化の可能となるような農道の整備、その推進等、総合的な見地から土地改良事業を進めるべきであると考えておりますが、大臣いかがでしょうか。
#242
○国務大臣(近藤元次君) 前段の、農林水産省は沖縄に恵みなどという気持ちで仕事をしていないことだけはひとつ御理解をしておいていただきたい、そう思います。
 今農業基盤について立ちおくれている点についての御指摘がありましたが、かねがね沖縄選出の国会の諸先生方からその問題を指摘されて頭を痛めておったところでありますけれども、幸いにも、今度また十カ年計画を立てる今作業中になってまいりましたので、今後の第四次計画の中で、少なくともおくれを取り戻す計画をつくるようにして本土並みの整備率にしていきたい、そう考えております。
#243
○喜屋武眞榮君 それでは次に、皮肉だと思ってお聞きくださっては困りますので、叱咤激励だというお気持ちで温かく受けとめていただけば大変幸いと思っております。
 それは、大臣の、政府の日本の農業政策に対する基本姿勢を尋ねるわけですが、その前座に、農は国のもとというれっきとした日本農業の大黒柱がありますね。ならば、農家にとって本当に喜び出る誇りを持つことにつながらなければいけないと思う、農家であってよかったと。ところが、現在の農家は、農民は、本当に日本の農家であって、農民であってよかったという誇りがあるでしょうか、どうでしょうか。誇りを持っておると御判断なさるかどうか、この点。農が国のもとであるというならば、当然農家であってよかったという誇りが生まれるべきであります。ところが現実には、農家であってよかったという誇りどころか、大気汚染のほこりはさることながら、生きるために精いっぱいではないでしょうか。言い過ぎかもしれません。
 そこで私は、農は国のもとと位置づけられる日本農業の今後の土地改良事業対策推進について、大臣は政府の担い手として、日本農業の担い手として、その基本姿勢をずばり伺いたい、いかがですか。
#244
○国務大臣(近藤元次君) 大変大きな問題で、ずばり一言で答えられるような問題ではございませんけれども、まさに総論的にお話を申し上げさせていただきたいと思うんです。
 今都会に住んでいる人が、東京生まれでよかったなというよりは、ふるさとのない寂しさという、地方というもの、ひいては農村というもの、そういう地域の環境を含めて、やっぱり国民はひとしくその心の片隅に皆持っておられるのではないだろうかという認識をいたしておるわけであります。そういう意味で、私は、農業に対するそのものの魅力を持たせなきゃなりませんし、またあわせて生活の環境にも、農村そのものにも、都市との交流、都市に住む人たちの魅力、それが魅力が出てくることによって自分のふるさと、農村というものに対するやはり自覚というものがなされてくるんだろうと思うんです。
 ですから、農業政策を推進しながら、生活環境や農村の環境整備をしていかなければいけないと思って、今回村づくり推進対策本部を設置させていただいて、総合的に一つはやりたい、魅力のある村づくりをやることによって、これからの後継者もまたそこに、村に住むという一つの魅力を持っていただくことが農業の振興のまた精神的な支えにもなってくれるだろう、こう思っておるわけであります。
 あわせて、農業基盤整備で生産性を上げてコストを下げて、所得と農業に魅力のあるものを持たせていくということを念頭に置いて農林水産行政に取り組ませていただいておるわけであります。
#245
○喜屋武眞榮君 今のお言葉を受けまして、さらに私の希望を申し上げて、大臣の御意見を賜りまして終わりたいと思います。
 と申しますのは、私は常に思うんです。政治の、行政の任にある者の姿勢として私は公平公正でなければいけないと、詳しくは申し上げる必要もありません。封建時代には士農工商という呼び名がありましたが、士は今さら何をかいわんや、農工商の結集が、汗水流した働きが、今経済大国と言われている日本の経済を担ってきておると思います。そこで、私が公平公正の政治姿勢と申し上げましたのは、庶民は、国民は乏しきを憂えず等しからぬことを憂えておると私は思っております。喜びも苦しみも悲しみもともに担おうじゃないか、やろうじゃないかと言うならば、そういう社会情勢の国では、乏しさに不平不満はないどころか、等しからぬことを憂えるという、この公正公平を逸脱した不公平、不公正の政治、行政があるとするならば、これは大きな問題である上、国民の不幸であるということを私は常に申し上げたいんです。どうかここに、人間としての政治家、先ほども道義心のお話がありましたが、倫理、道徳の問題、この道義心の問題、良心の問題、これをよそにして、日本の、いや人類の、口幅ったいようでありますが、指導者としての政治行政の任に当たってはいけない。なぜなれば、国民を不幸にしてはならない。大げさなことを言うとおっしゃるかもしれませんが、私の真実を述べるいい機会を与えてくださいましたことをお礼申し上げて、大臣の御意見を承って終わりにします。
#246
○国務大臣(近藤元次君) 今先生からお話しのような趣旨のことを、私も公正にして公平な結果が出てくるように努力をしてまいりたい、こう思っております。
#247
○委員長(吉川博君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#248
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認めます。
 本案の修正について林君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林君。
#249
○林紀子君 私は、土地改良法等の一部を改正する法律案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりです。
 その趣旨と提案理由について御説明申し上げます。
 修正案の内容は、第一に国または都道府県が管理する土地改良施設の更新事業及び水資源開発公団が行う水資源開発施設の更新事業について、土地改良区における同意徴集の省略等その実施手続を変更する改正規定を削除することであり、第二には、土地改良区及び土地改良区連合の員外理事の割合を定数の五分の一以内から五分の二以内に拡大する改正規定を削除することです。
 次に、その理由ですが、政府提案の改正案のうち、国営及び都道府県営土地改良事業における市町村の事業費負担の明確化、あわせて地方財政措置を拡充することや農用地保有合理化を促進するための換地制度の改善など、一定評価できる面もあります。
 しかし、今後ますます増加するであろうと予想されるダムや頭首工など基幹的農業用用排水施設などの施設更新事業における同意徴集手続の省略については、土地改良事業における事業参加資格者の三分の二以上の同意原則を逸脱するものであり、また、組合員以外の者であれば何ら規制なく理事になれるなど、土地改良区などにおける員外理事の定数割合の緩和については、本来土地改良区は構成する組合員によって運営されるべきであり、こうした現行の水準をさらに緩和することは、土地改良法の基本的な原則、民主的な側面を後退させるものであるので、その削除を求めるものです。
 以上が修正案の内容と提案理由です。
 何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#250
○委員長(吉川博君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#251
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の土地改良法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
 今日、土地改良区及び土地改良区連合は、全国におよそ八千三百地区余り、組合員の数はおよそ五百二十万人余り、その面積はおよそ三百七十万ヘクタール近くにも及んでいます。一方、土地条件に恵まれた傾斜が百分の一より緩い水田の整備ですら五五%の整備率であり、また、畑地においても道路とかんがいの両方が完備したものは一三%にとどまっているのが現状です。
 今回、政府提出の改正案では、都道府県が当該の土地改良事業によって利益を受ける市町村に対し、その市町村の受ける利益を限度として事業費の一部を市町村に負担させることができるように改正すること並びに地方交付税や地方債による地方財政措置を拡充することや農地造成を図るための換地制度の改正などについては、こうした現状を踏まえれば一定評価されるものです。
 しかし、土地改良法の民主的な側面として、事業参加資格者である農民の発意、申請に基づいた土地改良事業においては、当該の組合員によって土地改良区の運営がなされなければならないし、また事業の実施、管理の変更等にあっては組合員の同意を必要とすることは基本的な原則であり、土地改良法が本来目指しているところであると考えます。
 したがって、政府提出の改正案には一定評価される内容があっても、修正案で示しましたように、同意徴集手続の省略並びに員外理事数の緩和措置についてはどうしても譲るわけにはいきません。
 最後に、政府においては、土地改良事業の重要性にかんがみ、ダムや道路など公共的部分は農家に負担させないことや事業費の補助率を引き上げるなど、農家負担、地元負担の軽減対策を一層進めながら、農地の効率的利用を図るため土地改良事業を拡大されるように求めて、私の反対の討論を終わります。
#252
○委員長(吉川博君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#253
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより土地改良法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、林君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#254
○委員長(吉川博君) 少数と認めます。よって、林君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#255
○委員長(吉川博君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、谷本君から発言を求められておりますので、これを許します。谷本君。
#256
○谷本巍君 私は、ただいま可決されました土地改良法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   土地改良法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  我が国農業を取り巻く内外の厳しい状況下で、土地改良事業は、農業の生産性の向上に不可欠であるばかりでなく、近年の農村地域の混住化の進展、中山間地域における過疎化の進行等により、農村地域の活性化、国土・自然環境の保全等公益的機能を増大させてきている。
  よって政府は、本法施行に当たっては、次の事項の実現に努めるべきである。
 一 土地改良事業の進捗を図り、土地改良長期計画の進捗率を高めるため、必要な予算の確保に努めること。
 二 新たに制度化される市町村の事業費負担については、関係市町村の意思を尊重するとともに、財源の確保等各般の措置に遺憾なきを期すること。
   また、団体営土地改良事業における市町村の事業費負担の明確化について対応を検討すること。
 三 不換地又は特別減歩見合いの創設換地によって創出される農用地を農地保有合理化法人が取得する場合、地域における農業の振興に資するよう適切な指導を行うこと。
   また、換地計画に係る地域の全部についての工事完了以前における換地処分により、非農用地換地による清算金の事業費への早期充当が図られるよう適切な指導を行うこと。
 四 土地改良区における土地改良施設の更新手続の簡素化及び組合員外理事の選任については、その適正な運営がなされるよう指導すること。
 五 農村地域の混住化傾向に対処し、土地改良施設の維持管理が適切に行われるよう国及び地方公共団体による指導の強化及び助成に努めること。
 六 中山間地域における土地改良事業については、この地域の我が国農業における役割及び国土の保全に果たす機能の重要性等にかんがみ、事業が円滑に進むよう努めること。
 七 土地改良事業の工期の遅延、事業費単価の上昇等による農家負担の増大に対処するため、今後とも土地改良事業負担金の軽減に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#257
○委員長(吉川博君) ただいまの谷本君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#258
○委員長(吉川博君) 全会一致と認めます。よって、谷本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、近藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。近藤農林水産大臣。
#259
○国務大臣(近藤元次君) ただいまの決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#260
○委員長(吉川博君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#262
○委員長(吉川博君) 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。近藤農林水産大臣。
#263
○国務大臣(近藤元次君) 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案及び森林法等の一部を改正する法律案の二法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を説明申し上げます。
 まず、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 国有林野事業は、国土の保全等の公益的機能の発揮、木材の安定的な供給、地域振興への寄与など国民生活及び国民経済の上で重要な使命を担ってまいりました。このような中で、国有林野事業の経営構造が悪化するに至ったため、昭和五十三年度以降、国有林野事業改善特別措置法に基づき、平成九年度までに経営の健全性を確立するという目標のもと、改善計画に則して、その改善を進めてきたところであります。
 しかしながら、近年、林産物収入の伸び悩み等からその累積債務が急速に拡大しており、このままで推移すれば、将来にわたって国有林野事業の使命を果たしていくことが困難な状況に至っております。
 このような情勢を踏まえ検討を行いました結果、国有林野事業の経営の健全性を確立するためには改善措置の一層の拡充強化を図ることが必要であると判断するに至りました。先般このための国有林野事業経営改善大綱が閣議了解されましたが、その改善措置の一環として、この法律案を提出した次第であります。
 次に法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一は、新たな改善計画の策定であります。
 すなわち、平成二十二年度に収支の均衡を回復する等事業全体の経営の健全性を確立することを新たな目標とし、累積債務と区分した経常事業部門の財政の健全化等を平成十二年度までに完了することを旨として、平成三年度以降十年間を改善期間とする新たな改善計画を策定することとしております。なお、新たな改善計画において定める事項には累積債務の処理に関する事項を加えることとしております。
 第二は、改善期間における特別措置の拡充であります。
 すなわち、改善期間中に改善を図るべき特別措置として、従来から定められていたものに加えて、一般会計からの繰り入れの対象の拡大、土地売り払い等収入の累積債務への充当、退職促進のための特別給付金の支給等の措置を新たに定めることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。
 続きまして、森林法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国の森林は、木材等の林産物を供給するとともに、国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能の発揮を通じて国民生活と深く結びついてきたところであります。特に近年、このような森林の有する多様な機能の発揮に対する国民の期待は著しく高まってきております。
 しかしながら、森林・林業の状況を見ると、採算性の低下、林業従事者の減少、高齢化の進行等により、林業生産活動が停滞し、管理が適正に行われていない森林が増加する等まことに厳しいものがあります。
 このような状況のもとで、森林の有する多様な機能の発揮に対する国民の期待の高まりにこたえ、緑と水の源泉である多様な森林の整備とともに、国産材時代の到来を現実のものとすることは現下の林政の重要課題であり、その達成に向けて、流域を基本的単位とし、民有林、国有林を通じた森林整備水準の向上等を推進する森林の流域管理システムを確立するとともに、森林の有する公益的機能の維持増進のための制度の拡充を図ることが不可欠となっております。
 政府といたしましては、このような森林・林業をめぐる諸情勢にかんがみ、国、都道府県、市町村を通ずる森林計画制度の改善、地方公共団体間の森林整備協定の締結の促進等の措置を講ずるため、所要の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、流域を基本的単位とした民有林、国有林を通ずる森林整備の推進のため、森林計画区を民有林、国有林に共通の区域に再編成することを前提として、新たに国有林の地域別の森林計画を作成することとするとともに、森林施業の条件整備を図るため、市町村森林計画を含め森林計画に関する計画事項の拡充等の改善を行うこととしております。
 また、その一環として、森林整備の計画的かつ着実な推進を図るため、森林整備事業計画を創設することとしております。
 第二に、森林の有する公益的機能の維持増進等のため、上下流の地方公共団体が協力して森林整備を推進するための森林整備協定の円滑な締結の促進のための措置を講ずるとともに、複層林、長伐期施業等森林の公益的機能を重視した特定森林施業計画制度を創設することとしております。
 第三に、緊急に間伐等を要する森林についてその適正実施のための森林施業代行制度を創設するとともに、林地の保全のため、林地開発許可制度の改善を行うこととしております。
 第四に、特定森林施業の円滑な推進に資するため、森林組合法及び林業等振興資金融通暫定措置法の改正により、所要の措置を講ずることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、これらの二つの法律案につき、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#264
○委員長(吉川博君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ります。
    ─────────────
#265
○委員長(吉川博君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、以上両案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#266
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#267
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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