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#1
第120回国会 農林水産委員会 第7号
平成三年四月十二日(金曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川  博君
    理 事
                青木 幹雄君
                北  修二君
                谷本  巍君
                細谷 昭雄君
                井上 哲夫君
    委 員
                大浜 方栄君
                鎌田 要人君
                熊谷太三郎君
                鈴木 貞敏君
                高木 正明君
                成瀬 守重君
                初村滝一郎君
                星野 朋市君
                本村 和喜君
                上野 雄文君
                大渕 絹子君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                村沢  牧君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                橋本孝一郎君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   近藤 元次君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       林野庁長官    小澤 普照君
       林野庁次長    入澤  肇君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○森林法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(吉川博君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。
 両案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○上野雄文君 久しぶりに委員会での発言でありまして、この前たしか私が林業問題でいろいろと御質問申し上げたと思うんです。その際、たしか甕長官のときだったと思いますが、農業、林業をめぐって、余りいい話がない、だから農林業に関して夢と希望の持てるようなそういう論議の展開をしましょうというふうに切り出したのを思い起こすのでありますが、結局あのときの議論も、どうも仕掛けもへぼかったのかもしれませんが、受けの方もどうももう一つさえませんで、余り夢と希望の盛り込まれた楽しい論議になるということにならなかったと感じております。
 きょうこの二法案の審議で御質問を申し上げるわけでありますが、数次にわたる経営改善計画なるものが取り上げられてきたわけです。私はたしか二回目以降これをそのたびに質問をしましたり、いろいろ問題提起などもしてきたつもりでありましたが、一体いつになったらこの国有林の問題についてのめどがつくんだろうかということ、審議のたびごとにどうしても私の頭からそのことが離れないのでありまして、今度こそはという決意でこの問題を出されたんだろうというふうに私は思いたいという気持ちでいっぱいなんです。
 今までも、端的に申し上げれば、何度か経営改善計画なるものを出してこられて、そのたびごとに新しい問題が出されてくるというのはそれなりに、言うなら計画に欠陥、そごを来すようなものがあったんだろう。それは内的なものなのか外的なものなのか、率直にその辺のところをお聞かせいただかないと、我々もこれから審議に当たってそのところを一緒になって考えましょうということにならないのではないかなというふうに思うんです。
 と申し上げるのも、今まで半年以上にわたって私どもも私どもなりに問題の提起をしてきたつもりでありますし、そういったものについてどう生かそうとされているのかという点などについて、大臣、長官、今度の提起に当たってのお考えを私どもにお示しいただきたい。むしろこのお答えは、専門的なことよりもみんなにわかるような態度でお話をいただければと思います。
#4
○国務大臣(近藤元次君) 国有林野問題につきましては、かねがね五十三年以降いろんな改善努力をしてまいりましたけれども、現実の問題として大変厳しい環境の中に今日までたどってきたところであります。
 細かい項目的な、数字的なことを省いて答弁しろ、こういうことでありますから、私はそういう厳しい環境の中でも一つの先行きの見通しが立つこの改善法案ではないだろうか、こう認識をさせていただいておるわけであります。そのことは、今度の立法をするに至るまでの間に、労使あるいは諸先生方、関係の皆様方から、大変長年にわたっての質疑なり御意見なりをちょうだいしながら一つクリアできなかった問題が、一日の利息が三億五千万というような膨大な累積債務を抱えて、通常の事業経営の中では返済をすることは不可能に近いほどの累積債務であったのではないだろうか。働けど、努力をすれども返済をすることにとても自信のないところで、なかなか夢と希望を持って国有林野の現場で働いておる人たちはやる気も失いつつあるんではないかということを心配してきたんではないか、私はそう認識をいたしておるわけであります。
 それは内にも外にも私は問題があった点だろうと思うわけでありますが、ここで累積債務と経常事業部門との区分ができたということが一つの大きな従来との違いであろう。そして、一般会計からの支援の要請ができるようになったということだ、こう思うわけであります。経常事業部門につきましてはこれから十年、累積債務については二十年、その方向に向かって一年でも短縮できるように努力をしていくのが今日の私たちの立場でなかろうか、こう判断をいたしておるわけであります。
 もう一つは、流域単位でこのような後継者不足なり効率を上げていくという面では、私ども川上から川下に至るまで、民有林、国有林を問わず、流域を一体として改善計画を立てていく、これがまた能率的でもなかろうか。新しい流域単位の試みをしていくことにさせていただいたのが、今回法案を提案させていただいた要点の大きなところでないだろうか、こう考えておるわけであります。
#5
○政府委員(小澤普照君) 今大臣の方からも御説明申し上げましたけれども、私の方から国有林のこれまでの改善に取り組んできた状況なり、あるいは厳しい状況につきまして若干御説明をさせていただきたいのでございます。
 国有林の事業の経営改善につきましては、昭和五十三年から取り組んでまいったわけでございまして、内容的には事業運営の改善合理化、あるいは組織機構の簡素化、合理化、また要員規模の適正化、さらにまた自己収入の確保等、各般にわたる自主的な改善努力を行いますとともに、所要の財政措置を講じてきたところでございますけれども、長期にわたります木材価格の低迷でございますとか、あるいは森林の資源的制約等によりまして、伐採量の減少もせざるを得なかった。あるいはまた地価抑制施策に伴います土地売り払いの困難性の問題もございました。
 このような事柄から、財務事情につきましては非常に厳しい状況に立ち至ってきたということでございまして、私どもこのような状況を打開するために今回の改正をまたお願いしているところでございます。
#6
○上野雄文君 反省点と言ってみても、ある人が書いておりましたけれども、後輩が先輩のやってきたことを批判するというのは官僚の世界では絶対に認められないことなんだというふうな手厳しい意見も私読みました。なかなか言いづらいことなんでしょう。ただ今度、全体を通じて内外のいろんな問題があるが、挙げて内に引き込んできて全部自分たちで責任を負わなきゃならないなんというようなこと、それがいわゆる合理化に結びついていってしまうというようなことだけでは、我々は納得するわけにはいかないというふうに思っているんです。それらについては、また逐次お尋ねをすることにしたいと思います。
 私はこの前も申し上げたんですが、林野の問題をめぐってマスコミもこれをこれほどまでいろんなところで取り上げてくれるようになっている時期は今までなかったんじゃないのかということもこの前申し上げたつもりです。そしてまた、国際的にも環境問題と結びつけて大分議論をされるようになってきたわけでありますし、ちょうどこの審議に入る前に林業白書が配付されました。各社それぞれの立場から林業問題の重要性というものを社説で書いてくれております。
 その中で、国際的な役割の問題なんかに触れた点が、つまり日本は外材依存、需要の七〇%を輸入している。しかもそれが熱帯林に及ぼしているんだと。これから来年の六月にブラジルで地球サミットも開かれる。こういうような状況にある折から、日本のこれからのそういうものに対する対応策というようなものについてどうお考えなのか。世界的に、地球的に物事を見れば、八一年から八五年までの統計を見ても毎年平均千百三十万ヘクタールも熱帯林が減少しているというふうに推定されているという数字も出されておりました。日本に例えれば北海道と九州を合わせた面積に相当する、こういうことが報道されているわけでありまして、これらの南洋材等に依存している日本の現状というものを今度の再建計画の中でどういうふうに考えていったらいいのか、その点についてお考えをお示しいただきたいというふうに思うんです。
#7
○国務大臣(近藤元次君) 今先生から御指摘のございましたように、国内は水源税時代から大変関心が高まってまいりましたし、もう一つは国際的には地球環境問題で、とりわけ熱帯林が象徴的に議論の対象になっておるわけであります。また、来年はブラジルで六月に地球環境サミットが行われるわけでありますから、当然この時点ではこの問題が大きく取り上げられてくるだろう、こう思うわけであります。現状私もついこの間まで千百万ヘクタールぐらいかと、こう思っておりましたら、今度はまた改定をされて千七百万ヘクタールということで大変膨大な熱帯林が減少しておるというようなことの数字が出てまいりました。その熱帯林の伐採の二分の一に当たるものが焼き畑農業であったり過放牧であったりというようなことでございまして、残された二分の一の八〇%が大体熱帯林所有国の燃料に使われておる、こういうことになっておるようであります。残されたその二〇%の中で大体輸出に使われる用材というのは二〇%ぐらいになっておるわけであります。
 ですから、そういう意味では熱帯林問題は大きく取り上げられておりますけれども、用材輸入をする日本は輸出の中では大きなウエートを示しておるわけでありますが、そのことだけで熱帯林のことが解決するかというと、焼き畑農業を解消するためにどうやって日本が持てる技術や資金を支援していくか、薪炭にかわるべきエネルギーというものを改善するために技術的あるいは資金的な協力をどうやってしていくかという根本的なものに対して私どもが支援をしていかないと、木材輸入を規制することだけで事が足りるという状態では解決はしない。地球全体の環境というのは人間の生存にかかわることでありますから、一木材だけのことではございませんので、そういう点について私ども今後ODAを中心にして熱帯林所有国に対して協力を申し上げ、その計画等を出さなければなりません。
 ただ、山の持つ性格上からいって、技術と一定の資金だけでこれまたなかなか解決しにくい。現地でそこに植林、造林をしてくれる人たちにどの程度協力をしてもらえるかという、ここにまた一点の悩みがあることも現実の悩みでありますけれども、今後そういう点で根本的な問題から対応していくという方針でこれから計画を立てて実施をしていきたい、そう考えておるわけであります。
#8
○上野雄文君 木材以外のことで、特に我が党の村沢委員初め、米の問題なんかでもこの間大臣といろいろやりとりしましたが、いろんなところでこのジャパン・バッシング、いろんなことが材料に取り上げられるという御時世でありますだけに、日本もそれなりに指摘を受ける立場にあるわけでありますから、今お話しのようなことをひとつ積極的に取り組んでいっていただきたいな、こういうふうに思うんです。
 そこで、自分のところで一体どういうふうにこれからやろうとするのかということになってくると、森林整備の五カ年計画の問題などに話が及んでくると思うんです。二〇〇四年の自給率を大体五割、こういうふうに見通しを立てておられるようでありますから、現状のとらえ方、どういうふうにしていけば国産材の時代を迎えることができるんだ、そういうような見通しの問題について御説明をいただければと思います。
#9
○政府委員(小澤普照君) 私ども、林産物の需要と供給につきましての長期見通しというものを昭和六十二年に策定しているのでございます。この長期見通しでは、今先生もおっしゃいましたように、若干詳しく申し上げますと、平成十六年、これは西暦で言えば二〇〇四年ということになるんですが、この場合の木材自給率を四三%ないし四八%というように一定の幅を見込んで立てておるわけでございます。
 このような見通しを持っておりますけれども、現在の需給状況あるいは自給率はどうかといいますと、これらの見通しを下回ってきておるわけでございます。こういう低下傾向にあります理由は、外材の価格競争力が強まる一方、国産材の供給量がほぼ横ばいに推移しているということでそのような結果が出てくるわけでございますけれども、こういう状況に対処いたしまして、今後外材に対抗し得るよう国産材、これはこれからが現実的に供給の能力を増してくるわけでございますので、供給体制の整備ということでこれを林政の重点課題といたしまして取り組んでまいらなければならないというように考えているわけでございます。
 そのためには当然、林道その他の基盤整備の充実が必要でございますし、また同時に、高性能の機械の導入というようなこと、あるいはこれに関連いたしましてオペレーターの養成が必要でございます。また同時に、国産材の流通、加工というようなことにもかかわってくるわけでございまして、そのような状況を総体的に踏まえまして諸対策を講じてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#10
○上野雄文君 今年度の概算要求の段階で、約四兆五千億円の投資規模で、整備目標として目標年度末までに整備水準を一〇ポイント向上させるというような計画を示されたということでありますが、これらの概要について概略御説明をいただければありがたいと思います。
#11
○政府委員(小澤普照君) まさに国内の森林資源の整備は今までも鋭意進めてきたところでございますけれども、資源の整備についての長期計画等に照らして、あるいはまた森林計画に照らしてみますと、なかなかその達成状況は目標どおりにいっていないという実態が確かにございまして、そのような中で私どもはやはり投資計画というものを策定しないと整備が進まないという判断に立ったわけでございます。
 そのような観点から、昨年におきまして平成三年度の概算要求を行う際に、森林整備五カ年計画の策定ということを打ち出したわけでございまして、これは造林事業あるいは林道事業の投資計画をつくるということでございました。その後いろいろと論議がございまして、昨年の末になりましてこれらの五カ年計画の策定は内容をもっと十分詰めて、平成四年度スタートということで行うという方向になりまして、平成三年度につきましては調査費が計上されまして、そしてさらにまた今回御審議をいただいております森林法の改正案の中に、この森林整備事業計画という形で投資計画をつくっていくという根拠規定を盛り込ませていただくということで御審議いただくことになったわけでございます
 私ども考えておりますのは、この森林整備事業計画におきましては、まず全国森林計画の中で森林の整備につきましての計画が組み込まれるわけでございますが、これは十五カ年計画でございまして、これを着実に実施していく、達成するという観点から森林整備の基幹でございます造林あるいは林道事業の五カ年間の投資額等を定める考えでございます。投資額等の具体的内容につきましては、計画策定調査等を踏まえながら平成四年度予算編成に向けまして検討を進めることといたしておるところでございます。
 先生がおっしゃいましたように、昨年の平成三年度要求の段階では一定の額の要求を行っておるところではございますけれども、今回平成四年度を初年度といたします森林整備事業計画につきましては改めて検討し直すことといたしておりまして、造林・林道事業の計画的かつ着実な推進が図られるよう適切な計画の策定につきましてこれから十分検討をいたしまして進めてまいりたいと考えております。
#12
○上野雄文君 しっかり頑張ってつくってもらいたいと思うのでありますが、また後ほどその点については触れたいと思います。
 ただ、この計画の樹立に当たって、これは地域森林計画についてでありますが、今度の全体の問題を進めるに当たって民有林、国有林共通で森林計画をつくろう。そこで、意見の聞き方の問題なんでありますが、市町村長の意見を聞くこととされているわけでありますが、私どもとしては幅広く、必ずしも市町村長、専門家ばかりいるわけではありませんから、関係の地域で森林事業の関係者など広く意見を聞いたらどうかという意見も持つわけでありますが、どうお考えでしょうか。
#13
○政府委員(小澤普照君) 民有林、国有林におきます県域森林計画の樹立という観点からの御質問でございます。
 私どもも、そこは広く意見を聞いてまいるということは先生御指摘のとおりというように考えておるわけでございまして、今般の森林法の改正を行うに際しまして、都道府県知事が民有林の地域森林計画を立てる際には都道府県森林審議会におきまして学識経験を有する者の意見を聞きますとともに、地域住民を代表する者としての市町村長の意見を聞くことといたしておるわけでございます。さらにまた、それ以外の意見を聞く機会を設ける必要があるというように考えておりまして、今申し上げましたような手続を経まして地域森林計画を樹立した際に計画をまず公表いたしまして、そして意見のある場合にはその申し立てを受けるということを仕組みの中に取り込みたいというように考えているわけでございます。
 また、国有林につきましては、今回の法改正によりまして営林局長または営林支局長が国有林の地域別の森林計画を立てるわけでございますけれども、この際に都道府県知事及び市町村長の意見を聞きますとともに、やはり民有林と同じように、計画を樹立いたしました際に同様に計画を公表いたしまして、意見のある者につきましてはその申し立てを受けるということにいたしてまいりたいということでございます。
 さらにつけ加えて申し上げれば、これらの措置により住民の意向が計画に反映されるというように考えておりますけれども、計画樹立の際には事前に現地調査というものを行っているわけでございまして、そのような際に地域の実態を十分に踏まえた計画の策定をしていくということが必要かと考えておりまして、この際の現地調査は十分に行うように指導に努めてまいりたいと考えております。
#14
○上野雄文君 次に、保安林の問題についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 保安林に指定された場合には立木の伐採等の私権の制限を受けることになるわけでありますが、現在のところ、この規制を受けて補償の方はへクタール当たり一万円というふうに聞いておりますが、これではいささか補償の名に値しないのではないかという意見を聞きますけれども、これらの問題についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#15
○政府委員(小澤普照君) 先生今お尋ねの保安林の伐採規制にかかわります補償の問題でございますけれども、私どもといたしましては保安林における森林所有者等に対する損失の補償につきましては、当然保安林を指定いたしました際に種々制限がつけられます。この場合に、経済的負担を森林所有者等が受ける場合にその損失を国が補償する制度でございます。
 具体的にどのようにやっているかと申しますと、禁伐の保安林あるいは択伐の保安林につきまして、一定の条件がさらに必要なのでございますけれども、例えば禁伐の区域で申し上げますと、市場での木材価格あるいは林道の開設状況を考慮した搬出コスト等を調査いたしまして立木の価格をまず算定いたします。そうしまして、その立木価格に対しての利子相当分、これは法定利子ということで実際には五%の利子率を適用しているわけでございまけれども、これを毎年度交付しているという仕組みでございます。なぜ利子相当分にするかということになりますと、立木価格そのものを補償してしまいますと立木の買い取りと同じという形になりますので、利子相当分の補償という考えを持っておるわけでございます。
 この場合、現実にどのくらいの補償をしているかということになりますと、年間で六億九千万円程度で近年推移しておるわけでございますけれども、一ヘクタール当たりの平均補償金額は平成元年度の場合で二万八千円というような形になっております。このような状況でございますので、先生おっしゃいました金額とはちょっと違うのでございますけれども、これも個々にいろいろなケースがございまして算定をしているということでございますので、私どもはこのような算定の際に当たってこれが適正に行われるよう今後も努めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
#16
○上野雄文君 私が聞いたのとちょっと、数字が倍以上違うわけでありますが、いろいろお話を伺ってみますと、じゃそういう方々から物すごく強い要請というものがあるのかというと、別に反乱はないようです、こういうお話なんですね。なるほど、反乱という言葉と結びつけると保安というのはまことに調子のいいあれだなというふうに思ったりしました。これからも今長官お話しのようにそれなりに配慮してもらいたい。それを言うのは、全体の大体半分が国有林と思っていいですか、保安林。
#17
○政府委員(小澤普照君) そのとおりでございます。
#18
○上野雄文君 民有林の方をやっぱり安くされているというのは、ほかならぬ国有林の方だって同じような見方をされているんじゃないかなという気がしないでもないものですから、それは私の考えは間違っていますか。
#19
○政府委員(小澤普照君) 今のお話、補償という点というふうに解釈させていただいてお答えいたしますと、ただいま申し上げましたいわゆる国が補償している仕組みは国有林には実は適用していないわけでございます。民有の森林で、さらに公有林というようなものを除きまして、さらに禁伐等の指定をしたもので、また一定の条件に合致するものという形でやっておりますので、補償という点では国有林、民有林はちょっと差がございまして一律にということではございません。しかしながら、保安林の維持管理というような点になりますとこれは維持管理費が必要でございますし、また保安林の整備ということになりますと治山事業ということで実行しておりまして、このようなものは民有林、国有林を問わず同じような形で実行させていただいているということでございます。
#20
○上野雄文君 補償のもとが低いということになってくれば国有林、それは同じように補償するというんじゃなくても、とらえ方がもともと安く見ているんでしょう。だから、高く見させるようなことをやはり考え出さなけりゃあなたの方がつまらないんじゃないですかと私は思っているんです。
 その次の問題になりますが、施業の代行制度の導入の問題があります。現行制度でいきますと勧告、それから市町村長による所有権移転等の協議あるいは知事の調停までが定められているわけですが、強制力を伴わないので不在村の森林所有などのケースについては実効が上がらない、こういうことが言われてきたわけでして、今回の施業代行制度の導入で実効性を確保するための措置で、都道府県知事に一定の場合に分収育林契約を提起する旨の裁定を行う権限が与えられ、裁定が公告されたときは、森林所有者と間伐、保育を行おうとする者の間に分収育林契約が締結されたものとみなす、こういうことですが、平成元年現在で初回間伐対象森林が四―六齢級で三百六十七万ヘクタール、そのうち緊急に間伐を要する森林は百四十万ヘクタールというふうになっているように聞いておりますが、この新制度の導入によってどの程度の実効が上がるだろうというふうに見ているのか、その点をお尋ねしたいのと、それから山地の災害危険箇所がどのくらいあるのかもお尋ねをしたいなというふうに思うんです。
#21
○政府委員(入澤肇君) 先生御指摘のとおりに施業代行制度がございますけれども、私どもこの制度を新しくつくりましたのは、実は林野率の高い山村の市町村長さんたちに集まっていただきましていろんな意見を聴取しましたら、逐年不在村山林地主がふえている、間伐が進まない、そこに豪雨がありますと大変な災害が発生している事例が見られるという御意見がございました。私どもその意見を踏まえましてさらに現地調査をやりまして、まあこれは何とかしなくちゃいけないなと。現行の制度では今先生御指摘のとおり勧告とか調停とかという制度があるんですけれども、それだけでは必ずしも十分でない。そこで強制力を持つ裁定制度ということを新しく設けたわけでございます。私どもは、この裁定に至るまでにこれは最終的な担保的な手段として効力を発揮するということを期待いたしまして、従来の話し合いだとかあるいは話し合いを進めるための勧告だとか調停とか、こういう制度を十分にフルに生かすように活用してまいりたいと思っているわけでございます。
 また、この制度をさらに実効あるようにするために、造林事業だとか間伐促進強化対策の助成措置だとか、あるいは農林公庫の融資制度等も活用して実効を上げていきたいと思っておりますけれども、どのくらい対象面積があるかというと、なかなかこれは算定が難しゅうございます。今御指摘がありましたように、緊急要間伐森林というのが百四十万ヘクタールございますし、それから不在村山林地主の面積が全民有林面積の二二%、三百万ヘクタールございます。このうちどのくらいの面積がこの対象になるかということは、まだこれから十分詰めていかなくちゃいかぬというふうに考えております。
 もう一つの問題点であります山地災害の危険箇所でございますけれども、昭和五十三年それから五十四年度の調査をやったときには十三万一千カ所であったんですけれども、昭和六十年それから六十一年度に実施しました調査結果によりますと、全国で相当ふえておりまして十七万六千カ所に及んでおります。これはやはり山地あるいは山ろく部への開発が進展いたしまして、保全対象が増加したということが原因じゃないかというふうに考えております。
#22
○上野雄文君 数年前の林業白書で危険箇所の指摘、これは七万カ所ぐらいというふうに、これは年々ふえてきているというふうにとらえていいわけですか。
#23
○政府委員(入澤肇君) そのとおりでございます。
#24
○上野雄文君 こういう点なんかはこれは大変な対策を立てなきゃいかぬことになるわけですね。これをまともにやったらどのぐらいかかりますか、目の子でいいですよ。
#25
○政府委員(入澤肇君) 費用ですか。
#26
○上野雄文君 ええ。
#27
○政府委員(入澤肇君) 費用はよくわかりませんけれども、現在こういう山地災害危険箇所の調査実態を踏まえまして第八次の治山の五カ年計画を策定するべく検討を進めているところでございます。数字をどの程度にするかというのはこれからの問題でございましてわかりませんけれども、可能な限りカバーしていきたいとは考えております。
#28
○上野雄文君 そうですか。話の場合に、いろいろ議論をするのにある程度の目の子でやっても、粗いわという話になればそれなりのものが描かれてくるわけですがね。責任を問うなどというつもりはありませんので、大体あくまでもこのぐらいという感じで物は言えませんか。
#29
○政府委員(入澤肇君) 第七次の五カ年計画の中身を見ますと、治山事業が一兆四千百億円、それから災害関連地方単独事業費が千六百億円、その他調整費で四千億円で、全体として治山の投資額は一兆九千七百億円でございます。これを第八次の五カ年計画でどのように伸ばしていくかということについて今議論中でございまして、その金額が幾らかというのは申し上げることはできません。
#30
○上野雄文君 相当なものになるだろうというふうに、ふえていれば当然そういうことだと思います。
 そこで、今度は間伐の問題ですが、間伐材の利用というのはやっぱり私の地元なんかでも大変な問題ですね。切りっ放し、それで山に放置してあるという状態でしてね。それでこれはどうやっていったらいいか、なかなかいい知恵が浮かんでこないかとも思いますけれども、ただ私この間じゅう少し歩いて見て回りましたら、私のところのある町で、農水省の補助で就業改善センターなんていうのをどんどんつくっていますね。間伐材でつくっているのをよく見せてもらいまして、パンフレットなどももらってまいりました。おれがひとつ宣伝してやるからというようなことでもらってきたんですが、担当の方にはお渡ししておきましたのであるいはごらんいただけたかとも思うんですが、農水省の補助が各般に及んでおって、建物をつくる場合に積極的にこういうものを利用するように政策的に誘導していってもらったらどうなんだろうということを端的に感じたりもしました。
 間伐材積が一体どのぐらいあって、今利用されているのはどのぐらいなのかなというようなことを聞いてみたら、四百七十三万立米のうち大体五〇%強が利用されているんですよ。そうすると大体半分は残っちゃっているという現状なんですね。こういうことについて、林野庁は林野庁としてですが、農林の全体の中なんですからね、そういうような面でどんな努力をされているのか。今申し上げた事例等もひっくるめて、現状やこれからの取り組みなどについてお聞かせをいただければありがたいと思います。
#31
○政府委員(入澤肇君) 全くただいま御指摘のとおり、間伐材の利用は五三%ぐらいで、その他は林間に放置されているわけでございます。その原因を調べてみますと、運び出すのに作業道がないとかあるいは流通加工施設の整備が十分でない、そういうロットがまとまらないために運び出す方がむしろ不経済になってしまうというふうなことが理由のようでございます。しかし、せっかくの資源でございますから、これを有効に活用するということは大事なことでございまして、今までいろんな努力がなされております。
 例えば畜産局長通達で、畜産局で畜舎の助成をするような場合には間伐材を優先的に使うように、鉄骨材から間伐材に材を変えるようにというような通達も出したことがございますし、それからまた集成材、これが非常に最近技術が発達しまして、アメリカからも例えば丸太の輸出よりも集成材の輸出の方がふえるというふうな状況でございますけれども、間伐材の小木片、非常に小さな板でも、集成すれば非常に強度の製材になるという技術がありますので、集成材の方で間伐材を利用するというふうなこともこれから進めていかなくちゃいけませんし、それからまたさらに内装材とか外装材、こういうふうなものにつきましても間伐材の有効利用を図るというふうなことでいろんな努力をやっているわけでございます。
 特にことしの予算で日本木材総合情報センターというのを設けまして消費者にそれらの点を普及啓蒙するということをまず第一にやっていきたい。さらにそれから、間伐材につきましても新規用途の開発、木質新素材の開発促進事業であるとか、あるいは木材の性能向上技術促進事業であるとか、こんなこともやっております。各般の努力をやりまして、できるだけ間伐材の有効利用を図っていきたい。それから、一例でございますけれども、中国の方で材がほしいというので、四国のある木材業者が間伐材を中国に輸出したという例もございます。これは輸送費コストが十分償われますと有望な市場になるんじゃないかというふうにも考えております。
#32
○上野雄文君 うちの県のことをいろいろ言うのは少し控えなきゃいけないんですけれども、隣の村沢さんも群馬県と栃木県を間違えるぐらいなので、たまには栃木県の宣伝もしなきゃいけないかな、こう思ったりするんですが、地方の合同庁舎をつくるときに、まあ知事が農水省出身なものですからいろいろ気遣いしたんだろうと思いますが、腰板から何からできるだけ間伐材を使えと言っているんですね、使ってつくったんですよ。これは職員の間にもえらい評判がよくて、やっぱり木のぬくもりというのは鉄筋のあれと違いますしね。ただ、そういう利用の方法なんかについての宣伝が何か少し足りないんじゃないかな、こう思うんですよね。
 実は、私の同僚の議員さんから、書斎をつくろうと思うんだけれども材木はどういうのを使ったらいいかと、まあ私が農水でこれ質問すると言ったものだから、どこへ行ってどうすればいいのと聞かれたんですね。ちょっとぱっと答えられなかったものですから、新木場へ行って、あそこにいろんなあれがあるから、あそこへ行ってごらんになったらどうですかというところまでは説明できたんですけれども、我々の間にもいろんなことがしゃべれるような材料の提供というのは余りないように思うんですが、いかがですか。
#33
○政府委員(入澤肇君) 間伐材のことでしたら、まず第一に林野庁に間伐対策室がございますので、そこにお尋ねいただければ、どこに行けばどういうふうな利用をしているモデルがあるとかということは直ちにお示しできると思います。
#34
○上野雄文君 いや、私らはもう現場の営林署の人たちと、さっき集成材の話がありましたが、あれをまとめてどういうふうにやったらいいかとか、私のところにも見本が来ていますよね。プラスチックを流し込んで固めてみて、のこぎりとの関係がどうだとかいろんな議論もしたりして、利用の方法などのあれは知っていますがね、ただ全体的には、いらっしゃいという前にこういうのがありますよというお知らせが先行しないと、行きたくも行けない。もう一つ宣伝が足りないというふうに、まあ余りおたくの悪口ばかり言うわけにいきませんが、やはり適切な取り組み方というのをおやりになったらいいのではないかなというふうに思います。私が知らないからほかの人も知らないなどということは申し上げるつもりはありません。
 それから、ついでですからちょっと申し上げたいのは、間伐材じゃこれはとてもだめですけれども、学校を調べてもらったんですよ。六十二年、三年、元年度、文部省で木造の学校をつくったのはどうだと調べてみてもらったら、全体の比率で一%ですかね。こういう面での林野の取り組みというのはどうなんですか。
#35
○政府委員(入澤肇君) 学校施設でありますとか、あるいは公共公益施設に木材を使っていただこうと思いまして、関係省庁の連絡会議を逐次開いております。
 一例を申し上げますと、今先生からも御指摘ございましたけれども、文部省に強く要請いたしまして、学校につきましては鉄筋コンクリート建ての校舎と同じ額まで、木造建築をするような場合におきましても補助単価を引き上げるというふうなことが実現しております。こういうふうな成果としまして、昭和六十年度は二十一校だったんですけれども、平成元年度には六十五校まで木造の学校がふえているという状況にございます。機会あるごとに、建設省、文部省、それから老人ホームなんかもありますので厚生省等にも可能な限り木材を使ってくれるように要望しております。
#36
○上野雄文君 これもまた栃木県の宣伝をしては恐縮ですが、今市という市がありまして、日光の下なんですが、そこの山の中に入ったところに小百小学校というのがあって、これが全部木材でつくったんです。そうしましたら、全国から毎日見学者が来まして、校長さんは教育のことよりも学校の説明で忙殺されるほどお客さんが来ているんですね。だから、みんな木造の方がいいという気持ちをお持ちだと思うんですよ。ですから、これはぜひ力を入れてやってもらいたいと思うんです。 それから、鹿沼の北小学校というのは、私が小学校の四年生ですか、昭和十二年に開校したんです。いまだに屋根の二階建ての線が真っすぐですよ。危険校舎に指定されないで、市の方では建てかえができないと言うほど丈夫で長もちしているんですよ。その土地でとれた材木で吟味をした材木を使えばこんなに長もちして、しかも人間に最もいいというものはないと私は思っているんです。いろいろ歴史を聞いてみますと、非常に町の議会が与野党大変な対立で、建築現場へは町会議員が出張って、材木一本一本吟味して、ちょっとでも悪いものがあったらはねつけてやったんだそうです。その建築を請負ったところは倒産したという話ぐらい厳しくやった結果が物すごく長もちしているという、なまじっかの鉄筋コンクリートなんかよりははるかにいいという結果が出ているんですね。
 そういうこともありますし、これいつまでもぶん投げておきますと、技術者がいなくなっちゃいますよ。そういう点まで考えて、ひとつ林野としては取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。
 さて次の問題でありますが、労働力対策について申し上げたいと思うんです。
 労働力が大変減ってきてしまった。それはまさに林業全体が低迷していると同じ道を歩んでいるんだと思うんですが、秋山さんが長官のときの改善計画のときにもこの問題でよっぱら議論されま
して、私なども議論を吹っかけたことがあります。そのころ小澤長官は部長だったんですか。
#37
○政府委員(小澤普照君) 課長でございました。
#38
○上野雄文君 ああそうですか。ですから、それなりに経過は御存じで、あれからまたずっと労働力も減り続けてきて、現在十二万というふうに伺っているんですが、林政審の答申でも、この労働力確保というのはもう欠かすことのできないことなんだ。だれもがみんなわかっておりながら、どうしてこういうことになってしまうのか。やっぱり一口に言って待遇が悪いということになるんじゃないんでしょうかね。待遇をどうやって上げていったらいいのか、そういう点について具体的に考えておられることがあったらお述べいただきたいと思います。
#39
○政府委員(入澤肇君) ただいま御指摘がありましたように、確かに林業の就業者の数は、昭和五十五年の十九万人から平成元年には十二万人にというふうに大幅に減少しているわけでございます。かてて加えまして、五十歳以上の占める割合が昭和六十年には五九%に達する、非常にゆゆしいことだと思っております。
 いろんな原因を指摘されておりますけれども、私は、一つは今御指摘のように社会保障制度の拡充、要するに、そこの林業従事者の所得が十分に確保されるような施策が展開されるということ。それからもう一つは、やはり重筋労働ですからなかなか若い人たちが入っていかない。そこで、機械化を抜本的に進めていくということ。そのほか、山村において林業労働に従事するだけの定住条件を整備するということ。この三つぐらいが基本的な施策じゃないかと思っております。この所得の確保、社会保障制度の拡充ということにつきましては、日給制だとか出来高制だとかいう賃金の支払い形態が大半でございますので、可能な限り月給制をとれるように制度を仕組んでいくように今いろんな努力をやっておるのでございますし、社会保険の加入につきましても加入促進を図ることが私は基本的に重要じゃないかと思っております。
#40
○上野雄文君 自然を守るというのは非常に大切だ。だけれども、自然を守るというのは、昔のままの労働力の面で自然を守る観念でお考えいただいたんではこれは大変困ることでして、この間私は群馬の山の中の機械化センターも見せていただきました。新しい機械、それから北欧の機械化導入のあれをその場所でビデオも見せてもらいました。やっぱりそういう点なんかも一緒に進めていかないと、待遇がよくても三Kじゃ嫌だというのが今日様の状態ですから、そういう点も総合的に考えて取り組みをしてもらいたいんですが。ただ労働基準法が適用されないという点についてはいかがですか。
#41
○政府委員(入澤肇君) 私どもとしましても、労働基準法を完全適用しようと思って今努力しているんですけれども、強いてネックというふうなことを申し上げますと、林業につきましては、これももう釈迦に説法でございますが、天候等の自然条件に大きく左右されるという特色を持っております。そのためにどうも賃金形態が日給制とか、あるいは出来高制が多い、労働日数に応じた収入を得ているということで、雨天等の作業を行えない日は賃金を支給しないのが一般的でございますし、それからまた農業等との兼業労働者が多い。それから、一般的に雇用者負担をいろいろとやろうとしても、経営体質が脆弱な事業体が多い、こういうふうな実情にございますので、なかなか雇用者の側としても労働基準法全面適用に踏み切れないという状況にあるようでございます。
 ただ、調べてみますと、そうは言っても森林組合等がいろんな努力をしまして、五割ぐらいは全面適用に踏み切っているというところでございます。今の問題点は現行の労働基準法で労働時間、休憩、それから休日に関する規定が適用除外となっておりますので、労働時間について適用できるような条件の整備をどうやったら整備できるか、休憩につきましてもあるいは休日につきましても、振りかえ休日を設けるとか、それから休憩時間は要するに山の作業の実態に応じてとることをどのように制度化していくかというふうなことだと思うんです。これらにつきまして今労働省とも十分話し合っております。できるだけ早く労働基準法の全面適用に向けて努力をしたいと思っております。
#42
○上野雄文君 せっかく御努力を願いたいというふうに思いますし、我々もこれから積極的に運動を展開していきたいというふうに思います。
 労働災害の問題について触れてみたいと思うのでありますが、減少傾向にあるというふうに言われているんですけれども、他のものと比べてみて林業労働災害が減っても、ほかのものと比べてみるとなお多いというふうに思っていいんじゃないかなというふうに思うんですが、それらの対策をどのようにされておられますか、お聞きかせをいただきたいと思います。
#43
○政府委員(入澤肇君) 民間林業におきます労働災害の発生件数は、今御指摘のとおり減少してきております。昭和六十年に八千四百九十八件ございましたのが、平成元年には五千七百五十件というふうになっております。ただ、しかし林業労働を行うところは傾斜地が多い、非常に作業環境が厳しいということから、他産業と比較した場合には労働災害の発生頻度はまだ高水準でございます。
 私どもとしましては、やはりこれは徹底して安全対策を進めなくちゃいけないということでございまして、地域ごとに安全推進体制を強化する。それから現場におきまして安全巡回指導をきめ細かに行う。さらに林業従事者に対する健康保持、増進等の健康診断等を含めまして安全教育も行う。それから、やはり基本的にどうもいろんなデータを見ていますと、欧米のデータとかなんかと比較しましてもはっきりしていますのは、機械の開発、改良、それから機械の導入が重大な災害を減少させる基本的な要因であるというふうに指摘されておりますので、より安全な機械の開発、改良を行い、また導入していきたいと思っています。それからまた振動障害、これは逐年減っておりますけれども、振動障害防止のために従来と同じように施策を拡充していくというふうなことで、量及び質両方面から労働災害の防止に努めているというところでございます。
#44
○上野雄文君 減少傾向というのは非常にいい傾向だと思うんですが、これは去年、その前の国勢調査で六十年の統計ですかね、林業就業者全体で十四万人というふうに丸めてありますが、五十歳以上はその当時の統計で五九・五、去年のやつでは出ていますか、新しい数字は。非常に高齢化が進んでいる。これから見ても労働力確保というのは大変なことですね。加えて年をとってきているわけですから、災害の発生率も高くなってくるというふうに思うんですがね。こういうものに対する確保の取り組みというものについて通常のやり方では、またうちの県の話をして恐縮ですが、全国で一、二位の有効求人倍率でいったら、山に入るという人はなかなか出てきませんね。
 後でまた言いますけれども、この間山火事現場を塚本部長と一緒に歩きましてね、みんな山歩きになれていますからすっすっと行きますが、残念ながら私が一番足腰が弱い、まあ社会党だからそうだということにはならないと思うんですけれども、でもやっぱり大変ですね。その辺の取り組みも相当一生懸命やらないと大変なことになるんじゃないかなというふうに思いますけれども。
#45
○政府委員(入澤肇君) やはり高齢化していく中で基幹的な労働者というのは常にフレッシュマンが新規補充されなくちゃいかぬというふうに思っています。私どもの外郭団体であります林政総合調査研究所に委託しまして、若者がどのような条件であれば山村に定住するかというのを調査したことがございます。島根県とか広島県とか熊本県とか鹿児島県、こういうところの山村における調査をやったんですけれども、共通して指摘されていることが四つございます。
 一つは経済的条件でございまして、若者や農家が山村集落に定住して生活できるだけの所得が確保できるかどうか、これは林業であれば林業プラス農業、林業プラス特用林産物のシイタケ、ナメコ等の栽培による収入、それから林業プラスリゾートあるいは観光収入、林業プラス木工品の収入、それからサラリーマンと林業との組み合わせ、いずれにしましても所得がどう確保できるかというのが基本的に重要である。
 二つ目には社会的条件でございますが、病院が近くにある、それから都市部へ車で一時間以内で行けるということがあればこれは若者が定住する。さらに、花嫁や花婿の相手がいるかどうかというんで、ある町では花嫁銀行というのをつくって花嫁を集団見合いさせるとか、あっせんしたりなんか、あっせんといってはちょっと言葉が悪いんですけれども、進めている。
 それから三つ目としては、若者の主体的な条件でございまして、同世代の若者のグループがいろんな研究会とか勉強会を持ちまして情報交換を行っている。
 四つ目には、国とか県、市町村からかなりの援助がある。例えばソフトボール大会をやる場合にその場所を提供するとかあるいは景品を出すとか、要するに町ぐるみで若者グループを育成している。
 この四つのことが共通の定住の条件になっているのであります。私どもは、こういうふうな実態調査を踏まえまして、可能な限り通常の林政政策の中で助成あるいは制度を仕組んでいきたいというふうに考えております。
#46
○上野雄文君 これもひとつ頑張っていっていただきたいと思います。
 次に、市町村との関係の問題でありますが、大きく市町村に期待を、今までだってそうだったと思うんですけれども、これからなお市町村との連携を密にしようという願いが込められていると思うんです。その場合にやっぱり市町村に、お金の問題でそれなりに我々としてはこれだけ努力しておりますよ、ですからあなた方は我々と一緒になって日本の山を守るためにひとつ頑張ってくださいよという物の言えるような態勢をつくっていくべきだというふうに思うんですね。そういうようなことについて、どういうふうに問題を持ちかけていらっしゃるのか。それがまたきちっといかないにしても、私どもとしてはこういうふうに考えていますというようなことがありましたらひとつお述べいただきたいと思うんです。
 この委員会には知事で御苦労された鹿児島県知事の大先輩もいらっしゃるわけでありますし、そういう現場でいろいろ御苦労されたり地方財政問題と取り組んでこられた方などもいるわけですから、突破できないときはそういう方々を動員するぐらいの、私も県の役人の端くれでありましたが、そういう問題については一緒に取り組んでいかなきゃなるまいな、こう思っている一人なんですが、その辺のあなたの方での取り組みというものについてお考えがあったらお聞かせをいただきたい。
#47
○政府委員(入澤肇君) 今回の法改正におきまして、市町村の計画事項を拡充するとか、いろいろと市町村の役割を明確化し、また強化させていただいたところでございます。
 例えば新しい今度の法改正に伴う役割といたしまして、市町村が森林整備計画を策定する、これにつきまして予算的には市町村森林整備計画策定費の補助を今回の予算で認めていただいたわけでございます。それからさらに、施業実施協定、これも新しく今回の法律の中に盛り込んだわけでございますが、その締結の認可が市町村の事務になっております。これにつきましては、森林施業共同化等促進特別対策事業、名前がちょっと長ったらしいんですけれども、この予算の中に新しく必要な予算を計上しております。それから例えば御議論のありました施業代行制度の当事者として分収育林、間伐、保育を実施するという事務も加わっておりますけれども、これにつきましては、新たに農林公庫資金の分収育林資金の貸し付けの相手方に市町村を追加するということが認められました。
 それから、上下流間における森林整備協定の締結、これが新しく市町村の事務として加わったわけでございますけれども、これにつきましては、流域森林整備フォーラム事業という名前で必要な予算を計上しております。そのほか開発許可に当たって知事が市町村長の意見を聞くというふうなことにつきましても、これは予算は特別に組んでいるわけではございませんけれども、新しき事務が加わっているわけでございます。
 こういうふうに市町村の事務がふえる、役割が強化されるということを踏まえまして、私どもも自治省に対しましても基準財政需要額の単位費用の中に所要の積算要素を加えるように要望しております。これからも可能な限りその予算を拡充強化し、また自治省ともども財政の強化には努めていきたいと思っております。
#48
○上野雄文君 よく交付税の話が出てまいりますし、この間この委員会で審議した土地改良法の問題なんかでもそういう措置をとった。これは現場の市町村長や知事にすれば、交付税でどうのこうの言われたって総額が決まっている話の中でのただ算定方式だけの議論なんでと言って、必ずしもそこに持ち込むことが評判のいい話になるわけではないかもしれませんけれども、ただ、やっぱりその中に入ったんだということになれば、皆さんの方で仕事を進める上でそれなりにこの配分の方式も変わってきたんですよ、だからやってくださらなきゃ困りますよという物の言い方はできるんだろうと思うんですね。ですから、皆さんが行政の側でやるのは当然の努力だと思いますが、我々も具体的な問題提起はする、こういうことにしていきたいなというふうに思っていますので、これもひとつ引き続いて頑張っていってほしい、こういう気持ちであります。
 それから、都道府県とかあるいは流域単位で森林整備公社みたいなものができておりますね。そこでの累積債務の償還問題が起こっているというふうに言われているんですが、こういったものの対策をどうされようとしているのか、お考えがあったらこれもお聞かせ願いたいなと思っております。私なんかも実はこれも全国的に調べてみようと思ったんですが、なかなかまとめ切れませんで、自分自身で把握ができないでいるわけですが、おたくの方での把握の状況などについてもこの際お聞かせいただければありがたいというふうに思います。
#49
○政府委員(入澤肇君) 森林整備法人は森林組合と並びまして森林を整備していくための車の両輪であるというふうに私ども理解しております。特にこの森林整備法人は民有林造林の約二割を担っておりまして、今後とも重要な役割を担うというふうに認識しております。
 今御指摘がありましたように、この森林整備法人の事業に必要な資金、これは造林補助金、それから農林公庫からの借入金に依存しておりまして、その累計が平成元年度末現在で五千億円を超えている。その理由を調べてみますと、一つは森林整備法人の造林が昭和三十四年度から始まりまして、その造林地がまだ育成途上であって、当初の回収期に至っていない。もう一つは木材全般の状況でございますけれども、材価が低迷いたしまして、元利償還財源を間伐収入に期待するということはなかなか難しい。こういうことから逐年債務が累増しているわけでございます。しかし、これは長期的に見ますと、育成された林木が販売されましてそれで相当の収入が見込まれるということでございまして、現在はその収入が得られるまでの間の財政をどう援助していくかということが私どもは必要じゃないかというふうに認識しております。
 林野庁といたしましては、現在その造林補助事業における優遇措置を講ずるということ、それから農林公庫資金の造林資金につきましても融資条件の改定の措置を講じております。例えば償還期限の延長で、非補助は四十五年以内というのを五十五年以内にいたしましたし、補助残でも四十年以内を五十年以内にというふうにいたしましたし、据置期間、これも二十五年以内を三十五年以内というふうに延長しております。今回の森林法の改正におきましても、森林整備法人対策を強化しなくちゃいけないということを特に考えまして、特定森林施業計画を創設して森林整備法人を含めて認定を受けますと、農林漁業金融公庫資金の費用貸付金の借りかえの特例措置を講ずるということが新しく認められました。
 それから、森林整備協定制度を創設することとなっておりますけれども、この森林整備協定に基づきまして森林整備法人が森林整備を行うという場合に、会社等から寄附を受けて行うということが考えられますが、その場合には損金算入できるように税制改正を行うということになっておるわけであります。これから五千億円がどんどんふえてくる状況になりますと、可能な限り低利資金を供給していなくちゃいけませんし、また場合によっては特別の助成措置ということも考えていかなくちゃいかぬと思っておりますが、ここら辺はさらに実態を十分踏まえまして対策を検討していきたいというふうに考えております。
#50
○上野雄文君 仮に計画がうまくいって林野の方の赤字の累積債務の解消ができても、こっちの方に思わぬところにまたぽこっと出て、それはうちの方とは関係なくて、まあ第三セクターだから構わないんだとかという話にならないように、まんべんなく気配りしてもらいたいというふうに思います。
 そこで、今度は森林組合でありますとか素材生産業者などこういう林業事業体も、国有林や民有林、この林業界全体が落ち込んでいくという中にあるわけでして、そういう個々のやつを大事にしていってやるという政策が必要なんだろうと思うんですね。うちの県で言うと、いつも話題になるんですが、山の中にあった製材屋が、材木は海からとれるということになりまして海岸に全部集中しました。そして、森林組合が海岸に貯木場を買って行ったわけですが、今度は全部一次製品になって入ってくるということから製材屋はお手上げになる。それから、貯木場も要らない。
 この間日立へ行ったら、おたくの県の森林組合から譲り受けたあの貯木場、広くていいところだったんで今度は工業団地になりましたなんていうので、随分安く分けてもらって市としては大変なんだと。私は海なし県の栃木県ですから茨城に奉仕したのかな、もう少し粘って持っていて高く売ってやればよかったのになんて、こう思いたくなるような変化が起こってきていますので、やはりそういう個々の事業体なんかについての面倒の見方、さっきの林野はよくなっても周りがよくならなけりゃ、林野もよくなった、林野庁もよくなったという話には私はなっていかないんだろうと思うので、その辺の何かこんなことをやっていきたいなというようなことがあったら教えていただきたいというふうに思います。
#51
○政府委員(入澤肇君) 林業事業体の体質強化対策は私ども非常に頭の痛いところでございまして、一つは森林組合でございますが、森林組合は千七百前後ございますけれども、非常に内容が充実している森林組合が約三分の一、普通の森林組合が三分の一、それから事務職員を置くか置かないかというなかなか活発にやっているのが三分の一というふうなことを一般に言われております。今度の流域管理システムを確立するに当たりまして、森林整備の車の両輪の一つであります森林組合につきましては、可能な限り経営体質を強化するという観点から大型合併を進めるというふうなこと。合併につきましても、従来の税制金融上の特例措置ということだけじゃなくて、思い切ったバックアップシステムを考えていきたいというふうに内部で検討してございます。
 もう一つの車の両輪の一つでありますいわゆる素材生産業者、これも国有林の登録事業体は資本金が幾ら以上でなくちゃいけないとか、あるいは一定の施設を持っているとか、いろんな資格要件がございまして、かなり内容はいいんですけれども、一人親方と言われる約一万一千に及ぶと言われる素材生産業者、この実態はなかなか十分つかめていない。私は、この素材生産業者の強化策をもう一つ進めていかないと、今先生の御指摘のような状況に対応することはできないんじゃないかと思っておりまして、一つの手段としましては中小企業等協同組合法に基づく協同組合化ということを地域ごとにあるいは流域管理システムの中で進めていくことがひとつ適切じゃないかなというふうに思っております。
 予算あるいは制度の上では、平成三年度から効率的な施業と体質の強い林業事業体を育成するという観点から、林業事業体体質強化対策事業というものを新しく予算要求しております。これは、まず都道府県が体質強化のための計画を策定する、あるいは事業体の知識、技術の向上、意識の改革等経営の高度化を図るための研修の実施をする、あるいは事業体の地位の向上や体質強化に必要な協同組合化の推進のための指導をするというふうなことが組み込まれておりますし、それから就労条件とか作業効率の向上に必要なプロセッサーとかタワーヤーダーとかこういう高性能機械の導入の促進を図るような経費の助成をすることになっております。
 それからまた、国産材産業振興資金というのがございますけれども、その中に林業事業体体質強化促進資金というものを創設いたしまして、林業事業体の合併、統合あるいは第三セクターを新設する、こういう場合の運転資金について低利融資を行うということを今回新たに認めてもらったわけでございますけれども、まあこれを皮切りにいたしまして、さらに全体として強化策を講じていかなくちゃいかぬというふうに考えております。
#52
○上野雄文君 私の持ち時間もあと四分ぐらいになってしまったんですが、最後に山火事の対策ですね、さっきもちょっと申し上げましたが、十日に日立の山火事の現場を見せていただきました。塚本部長やそれから東京営林局長なども同行してくださいまして、つぶさに見せていただきました。私はカメラマンじゃないんですが、最近はカメラがよく写してくれるものですから、それなりに被害の状況というのは出ていると思います。(写真を示す)
 私が一番気になったのは、国有林から出火してそれで農山地帯にある家が焼けたというのは今まで何度か耳にしましたが、それならいいという意味じゃないですが、今度は勤労者の住宅団地がやられたわけですね。そうすると、今までにないことであっただけにびっくりしたのと、それほど住宅地のないところでは山際にまで押しかけていっている。今度の再建、再建という言葉を使ってはいけないかもしれませんが、新しい計画でいくと財産売り払いやら何やらいろんなことを総合的にやらなきゃいけない。当然デベロッパーのねらいは、国有林の土地ねらいなんていうのも、都市とくっついているところなんかはねらわれてくるんではないか。
 そうすると、せっかくそういうものが行われても、災害に対する問題についてきちっとしたものが出されていないと、こういうことが今後も起こる可能性が非常に強いというふうに思うんで、それを見てきました。現地では、四十年代につくった団地ですから道路は狭いし、びっちりしておりましたし、それから当然考えられるべき防火のための貯水の準備が不十分であったとか、七軒燃えた団地は、停電になったら全然水が上がらないという仕組みのまま放置されていたんですね。片方の青葉台という団地は、停電になればディーゼルが作動してそれでもってポンプアップできるという仕組みになっているんですね。開発の規制は建設省の方でいろいろやるんでしょうが、林野の側として山際までやはり押し寄せてきたものについてはそれなりの対応策がないと、これからもこういう問題は起こるのではないかなということを感じました。一つはその点です。
 それから、今度の場合に、発見をしたのは営林署の方が遠くから発見されたんですね。ところが、その署員の方は相当の距離を駆けおりて、民家まで行って電話をかけて通報をしたというんで、これはふだんからそうなんでしょうが、もう二十一世紀がそこまで来ているというのに、山の現場に入っている人たちの通信手段というのがやはり今までと一つも変わらないような仕組みでやっているのかなということを考えますと、何かもうちょっと機械化して、無線ででもやれるようにというのはだれだって考えることなんじゃないかなと思うんですね。
 そういう装備の問題なんかもいろいろお話を伺っていて感じましたし、それから火事になってからの消火活動、これは林野の専門じゃなくて、挙げて消防の方の仕事にお任せするしかないんだというにしても、日立の場合は、自衛隊と東京消防庁のヘリに最後のころはお願いをしたということをやらざるを得なかったということですが、その取り組みもさることながら、茨城県警のヘリコプターは来ても警察の無線だけですから、警察を通じてしか情報が入らないというようなこともあったようですね。我々県会議員時代にこのヘリコプターを入れるのに、消防で入れようか、警察で入れようかと言ったら、通信手段は警察のを入れた方が警察電話を使えるから警察の方がいい、こういう結論で警察に賛成せざるを得ないようなことになったわけですね。ところが、実際にはやはり警察の通信網しか使えないというようなことなんかの問題点もあったなんという話ですね。
 被災者は私らにこう言うんです。NHKのヘリコプターが来てホバーして状況を見ている、あれはいろんな取材や何か、こっちの方で燃えた、あっちの方で燃えたということを見ているんだろうけれども、市の方に対して何もない、それから住民の方も、停電もしているし、だから情報がさっぱり入ってこない、そういうことに関してどうなんだろうと。日本は国際的にも危機管理体制がなっていないという話ですが、国内の問題についてもそういうことに対しての危機管理体制というのは一体どうなっているんだろうかという疑問を率直にぶつけられまして、私ども返事に困ったわけです。
 それから営林署の人たちが駆けてきて発見ということでありますが、ふだんから、さっきも話があったように労働力確保の問題なんかで、けがした人の扱いなんかは一体どういう通報でやっているのか、これも自然の中にあるのかなと、こう思ったりしちゃうんですが、そういったものについて今度のこの火災の経験からどんなことをお考えかお聞かせをいただければと思います。
#53
○政府委員(小澤普照君) ただいま先生の方から、今回の山火事につきまして現地の御視察をいただき、また大変貴重な数々の御指摘をいただきましたことは本当にありがとうございました。
 私どももこの山火事対策につきましては、年々大変件数も多い、またこの及ぼす影響が大きいということで防止対策に努めているところでございますけれども、発生原因が、調べてみますとほとんどたき火の不始末でございますとか、たばこの投げ捨て、その他過失が多いということで、予防対策がまず重要だと思っておりまして、この辺消防庁等と十分密接な連絡をとりながら対策を講じてまいりたいと思っているわけでございます。
 ただいま先生御指摘の、山際に非常に住宅地もふえてまいったという実態がございますから、この点につきましては、特にこういう地域を重点地域にして予防等のあるいはパトロール等も必要でございましょうし、私どもまだまだこれから施設をふやさなきゃいかぬと思っておりますけれども、防火帯道といいまして車が通行でき、かつ周辺に火災に強い樹木も植えていくというようなこともやっておるのでございますが、こういうものも今後もっと森林の整備の中で考えていかなければいけないんじゃないかというように思っている次第でございます。
 それから御指摘がございましたこれから国有林の売り払いというものも関連が出てくるということも考えまして、この点につきましては当然公用とか公共用優先という形でございますが、この際地方公共団体あるいは住宅・都市整備公団等公的機関が主体となるものと思いますので、具体的な売り払いに当たりましては、事前に利用計画でございますとかあるいは開発計画等、これらの提示を求めまして立地開発許可基準の適合性と、これは十分な審査を行いますけれども、防災面につきまても十分チェックをいたして適切に対応してまいりたいと思うわけでございます。
 それから、通報連絡等の問題でございますけれども、確かに現在私ども装備が貧弱であるということについては、そのような実態にあると我々も認識しておりまして、この点につきましては改善措置を講じてまいりたいと思っております。今後はやはり現場におきます装備というものを十分考える必要がございますので、まあ無線通信施設でございますとか、いろいろな、これは森林の施業面も含めましてある程度の装備をした高性能の車両等も現場に配置していくということも考えながら国有林全体の活性化、改善に努めてまいりたい田仙う次第でございます。
#54
○上野雄文君 どうもありがとうございました。
 大体私の時間はこれで完全になくなっちゃったわけですが、私は、きょうは私自身の勉強の意味も込めていろいろ教えたりなんかしていただいたわけでありますけれども、ずっとこの問題に携わってきた、私もその一員でありますけれども、村沢委員がおりますから、またこの次こちらに締めくくりをお願いすることにしたいと思います。
 これからのせっかくの御奮闘を期待いたしまして終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
#55
○菅野久光君 上野委員の後を受けて、一応任務分担はいたしましたけれども、若干重複するところも出てこようかと思いますが、本論に入る前に、国有林野の問題についてはもうかねてから二兆円を超す累積債務の問題などを含めて一体国有林をどうすべきか、どうなるのかということで、本当に多くの国民の方々、特に関係者の方々が心配されておりました。
 林野庁を中心にしながら農林水産省そして関係する方々、まあ我々政党に所属する者もそうでございますけれども、みんなの力で何とかしなくちゃいけない。しかも、林野の持つ非常に重要な性格といいますか、そういったようなものなどあるいは地球環境を守るということなどを含めて、今回国有林野の再建に向けて特措法の改正あるいは森林法ということで法案を出されてこられて、これから中身の審議に入りますが、今日までこの法案を出すに至るまでの御苦労に対して、まず本当に御苦労さまでしたということを申し上げ、本当にこれで再建が、今までは改善計画、改善計画ということでよいように改めるのが改善だったんですが、やっているうちにだんだんよくならなくなって、逆に累積赤字がふえるというようなことで、これは本当の改善にならない。今度こそ、とにかくみんなの力でこうやってやってきたわけですから、今度はもう失敗は許されないといいますか、間違った方向にいったら大変なことになるという思いを込めながら私どももまた努力をしていかなきゃならぬというふうに思いますが、幾つかの問題について御質問を申し上げたいというふうに思います。
 最初に、国有林の持つ性格といいますか、そういうことについて総論的なことにはなりますけれども、国有林野というのはやはり国が経営を管理しているというようなことなどがあって、自然的、社会的、経済的諸条件に応じた適切な森林施業を通じて林産物の計画的、持続的な供給あるいは水源涵養だとか山地災害の防止、自然環境の保全形成、それから保健、文化、教育的な利用の場の提供など、森林の持つ多面的機能を総合的かつ高度に発揮するということで大変役割を果たしてきたと思いますが、私どもも農水に関係している立場からいくと、特に農山村地域の振興にこれが大きく寄与してきました。国民経済及び国民生活の上で重要な役割を果たしてきているというふうに思います。
 そこで、今日のように国民のニーズが非常に多様化している状況下にあって、国有林の果たす任務もまたこれらの新しい課題にこたえなければならないと思うんですが、政府は国有林野の果たす任務をどう位置づけておられるのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
#56
○政府委員(小澤普照君) ただいま先生から、国有林改善に取り組んではきたものの、なかなかその成果も上げることが難しく、今度こそはしっかりという意味での激励も賜りまして、私ども経営の任に当たる者としてまことに身にしみるお言葉でございます。私ども一生懸命に取り組んでまいりたいと思っておりますけれども、同時にまた、今の御質問の国有林の果たすべき役割でございますが、森林面積の三割、国土の二割という森林を所管しておりまして、この国有林に対する国民の諸要請はまことに強く高まってきているわけでございます。私どもは、今先生もおっしゃいましたけれども、整理をしてみますと、やはり国有林の役割というのはまず国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全あるいは保健休養の場の提供等森林の有する公益的機能の発揮が必要であると思います。
 次に、林産物の計画的、持続的な供給、それからさらに国有林野の活用なり国有林野事業の諸活動等、これに地域の産業等深くまた密接に関係いたしておりますので、これらとの関連における農山村地域振興への寄与、これらの使命を果たしていく必要があるというように考えておりまして、これからの国有林の経営に当たりましては、これら要請される機能、またさらに今後国有林というものの果たす役割というものはますます広がってくると思いますし、そのようなことを十分に考えまして経営に当たってまいりたいと考えておるところでございます。
#57
○菅野久光君 そこで、国有林の性格についてでございますが、林業基本法の第四条第二項では、「前項の場合において、国土の保全その他公益的機能を有する国有林野については、その機能が確保されるように努めるものとし、」との規定で公益性の追求がうたわれておりますね。またその一方、国有林野事業特別会計法第一条第一項は特別会計設置の理由を規定して、「国有林野事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。」というふうに記されております。片方は公益的機能ということが言われておって、片方では企業的に運営するというふうに言われておるわけですが、この企業的に運営するという意味及びその解釈については何か必ずしも今までの論議の中では明確にされていないというふうに思われるんですが。
 そこで、さきの公益性の追求は林業基本法に規定されているとしても、特別会計法がこの法の目的を企業的運営に置いているということは、公共的な性格を有する国有林としては問題ではないかというふうに思うんですが、林業基本法と会計法との関係などを含めて御見解をお伺いいたしたいと思います。
#58
○政府委員(小澤普照君) ただいま先生御指摘の林業基本法でございますが、これは基本法第四条におきまして国有林野事業について、その企業性の確保に必要な考慮を払いつつ、公益的機能の確保、産業の振興、住民の福祉の向上のための積極的活用に努める、このように定められておるわけでございます。当然国有林は公的な性格を有しておりますから、その公益性というものはまことに大なるものがあるというように考えます。
 しかしながら、実際の運営に当たりましては、木材の供給を初めといたしまして、当然国土保全等の公益的な仕事もやっておりますけれども、いわゆる経済の流れの中においての産業的あるいは経営的側面も色濃く有しているということがございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、特別会計法の規定にございます「企業的に運営し」という、これの字句の解釈につきましては、いわゆる効率的な、能率的な運営をすべしというふうに解釈しているわけでございまして、国民の財産を預かりこれを適切に運営するという観点から、その公益的な性格を十分に考えつつも、事業そのものはやはり効率的に実行いたしまして国民の期待にこたえるという立場での諸規定であるというように解釈して経営に当たっているわけでございます。
#59
○菅野久光君 国民の財産を預かっているんだから効率的に、企業的な感覚でといいますか、そういうことで運営するという気持ちはわかるんですが、しかし実際には気持ちだけでなかなかいかない部分があって、結局木を売って、木を売ったやつで造林をする、林道をつくる、そういったさまざまな事業をやっていく。そういうことの中で、言ってみれば、木が材にまでなるためには何十年あるいは百何十年というそういう月日がかかるわけですね。だから、そういう面で公益性の追求と企業的運営ということの中に何かやっぱり問題があって、結果的には今のような状況にならざるを得なかったんだというふうに私は思います。これはお答えは要りません。林業基本法と会計法との間にちょっとそごがあったのではないかというふうに思うんです。
 そこで次に、最近森林に対して国民のニーズが非常に多様化しているというような面からいけば、所得水準が向上してくる、そのことによって今、週休二日制も普及して余暇が拡大する、さらに道路などもよくなって交通手段が発達をする、あるいは都市化の進展などによって森林におけるレクリエーションの需要というものが急速に拡大をしてきているというふうに思うんです。最近におけるこの緑資源の確保など、国民の森林空間に対する多様な需要はますます増大の傾向にあると言ってもいいと思います。
 国有林野においては、このような森林空間に対する国民の要請に対処するために、従来から自然休養林やスキー場、あるいは野営場等のレクリエーション施設の設置、これはいろいろやられていることの一部だというふうに思いますが、そういうようなことでやられてきたというふうに思うんですが、高密度な社会が到来するとともに、良質で安価な自然の享受を求める国民がふえてきている。リゾート施設とかああいうところがたくさんできてきても、行けばお金がかかるわけですね。ですから、何とか安く、余りお金がかからないでこういったようなものを利用するような国民の希望というものが大変ふえてきているというふうに思うんです。
 そこで、こんなことを考えられたらどうかなということをちょっと申し上げてみたいと思うんですが、国有林は大変多くの自然が残されておって、今申し上げたように国民のニーズにこたえるために、例えば温泉を利用して健康づくりを目指す新しいタイプの保養施設、クアハウスといいますか、こういったようなものと自然療法を組み合わせた森林空間利用を例えば健康保険組合などと共同で展開するなど、国民が自然と共生するための積極的な展開を図ってはどうかというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
#60
○政府委員(小澤普照君) 私ども国有林の森林空間利用と申しますか、このようなことを通じまして、国民に向かって開かれた国有林経営というものを目指してまいりたいというように考えておりますけれども、そのような中で、具体的な事業といたしましては、ヒューマン・グリーン・プランというような形での森林空間の総合的な利用の事業もやっております。その中で、ただいま先生が御指摘されましたように、温泉なりそういう資源というものも抱えております。そのようなものを有効に利用し、かつ国民に広く利用していただくような仕組みを考えていく必要があると私どもも思っておるわけでございます。
 そのような際に、私ども地域振興との観点も含めまして、地方公共団体との調整も行いながら推進してまいりたいと思っておりますけれども、先生がただいま申されました健保組合等そのようなところと提携をいたしまして、新しい森林の利用の場というものをつくっていく、こういうことはこれからの国有林にとりまして大変重要なことだと考えておりますし、いろいろと今後工夫も凝らしましたり、あるいはいろいろ識者の御意見もお聞きしましたりして、より有効な利用を図ってまいりたいというように考えております。
#61
○菅野久光君 これからのお考えの中に、ちょっと頭の隅にでも置いて生かしていただければ大変ありがたいと思います。
 次に、報道によりますと、去る三月二十日、林野庁の森林都市に関する検討委員会が大都市周辺の国有林に定住圏をつくる森林都市構想の骨格を決めたようであります。その概要は、まず千葉県鹿野山、あるいは神戸市郊外などの国有林に三千から六千戸の森林都市を建設する計画で、平成五年度から着工、今世紀中に皇居、これは百十五ヘクタールあるそうですが、皇居の四倍から九倍の広さを持つニュータウンを全国に十カ所程度つくる。それから、一戸当たり約千平米の面積を確保、賃貸方式で供給する。賃貸料は月間三ないし四万円になる見通し。林野庁は、従来一般の立ち入りを制限してきた国有林に定住圏を創設、都市部の人口集中と農山村の過疎化に歯どめをかけるねらいとのことであるというふうに伝えられておりますが、そこでまずこの構想の詳細についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
#62
○政府委員(小澤普照君) ただいま先生御質問の森林都市の構想でございますけれども、このテーマにつきましては、近年、森林空間を居住空間として見直しまして、良好な森林の環境の中で住める場所というものができないのかというような御意見も多くなってきているわけでございます。このような点で私ども、都市の近郊等で国有林野が所在しておりますから、これらの国有林の有効な利用策について考える必要があると考えまして、昨年、平成二年度でございますけれども、学識経験者による検討委員会を設置いたしまして、森林都市につきまして基本的な考え方の取りまとめをお願いいたし、そしてそれが先ほど先生申されましたこの三月に考え方がまとまったものを実は発表させていただいたということでございます。
 このような森林都市づくりというようなものをやります場合に、どのようなことを考えていくかということになるわけでございますけれども、当然この検討委員会の中でも御意見がいろいろ出されまして、自然保護との調和でございますとか、あるいは森林都市のこれからのあり方というようなことが議論されたわけでございます。
 そのような内容につきまして要点を御説明申し上げますと、さらに実施に移すためにはより詳細なまた計画づくりが必要でございますけれども、とりあえず検討委員会の基本的なまとめということになりますと、まずイメージといたしましては、相当規模の森林が配置、維持された居住あるいは業務活動空間というものを考えまして、ここにタウンセンター、住居区域あるいは業務ゾーン等から成り立つ地域をつくっていく。立地条件等によりましては、芸術文化施設あるいはスポーツ施設等、さらにはまた市民農園というような形での汗を流す場というんですか、そういうものも入れ込んでいったらどうだろうかということが言われているわけでございます。
 それから、自然との調和の問題でございますけれども、この場合、森林と人間とが共存できるような新しいタイプの町づくりということから森林の特性が積極的に生かされることを主眼といたしておりまして、森林によります良好な環境につきましては、当然これは保全されなければならないということから、保全を図るためのガイドラインを設定していく、そしてまた環境影響評価の実施等によりまして自然との調和を十分配慮していく必要があるということでございます。
 そのようなことで、さらにまた国が実施をするという形をとるわけでございますが、この場合は相当な資金なり投資が必要であるというようなこと、あるいは従来の国有林の経営でやってまいりましたような業務よりちょっと広がっておりまして、いわゆる都市計画的な内容も必要だということでございますので、いわゆる総合的なプロジェクトになるということから国有林が当然土地を保有していくわけでございますが、その際に民間企業の資金なりノーハウも活用いたしまして、いわゆるこの点は共同型でまず整備をして、そして人がそこに住むようになりまして落ちついた段階では、国有林が国有林の事業の中でそれの管理なり関連することを主体的にやってまいるというような考え方でございます。
 以上のようなことを総合化したものが森林都市というものの概念といいますか、そういうものというように我々この報告をいただいて受けとめているところでございます。
#63
○菅野久光君 積極的な事業展開によってこれが一応でき上がれば、それはどの程度のものになるかは別にしても財政に寄与する、そういったようなことなども含めた構想だというふうに受けとめてよろしいですか。
#64
○政府委員(小澤普照君) このような構想でございますから若干時間がかかると思っておりまして、とりあえずモデル的なものから着手をする必要があるのではないかと思っておりますので、詳細につきましてはこれから詰めさせていただきますけれども、このような事業が安定的に発展してくれば、それは国有林のこれからの仕事の中で一つの役割を果たしていくというように思う次第でございます。
#65
○菅野久光君 できれば第三セクターとかデベロッパーということでなくて、国がやっぱり直接投資をしてやるということの方が私はいいのではないか。自然保護との調和の関係いろいろ含めてとは思いますが、その辺はよく御検討の上、国民のニーズがこういうところにも非常に大きいわけですから、それにもこたえるというような意味ではいい構想ではないかなというふうには一応思います。
 次に、森林インストラクターの養成の問題についてちょっとお話を申し上げてお考えをお伺いしたいと思います。
 近年、地球的規模での森林破壊の進行などから、都市住民を中心として森林に対する関心が急速に高まっていることは申し上げるまでもありません。木材の生産や国土の保全機能等に加えて、森林浴ブームに見られるような保健休養やレクリエーション機能、さらには体験林業など教育的な面から森林の有する機能への認識が大変高まっております。また、林業施策としても、森林を木材生産の場として一義的にとらえるのではなく、樹木のみならず林地やその空間も含めた一体のものとしてとらえて、その多様な機能を総合的に発揮させるための施業を行うべきであるとの考え方が強まっております。このように森林の活用方法としては森林の教育文化的な利用もあると思われますが、こうした分野は民間活力ではなかなかなじめない問題ですね。参入しがたい分野であるというふうに考えられます。
 そこで、今後の国有林野事業の経営管理を展望するときに、従来の国有林の土地の貸与等だけでなくて、その一方策として例えばインストラクターの養成による教育森林の指導、案内など、こうした分野に積極的に貢献すべきであるというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
#66
○政府委員(小澤普照君) 最近、森林の中で体験をし、あるいは樹木や自然につきましてもいろいろな知識を得たいというような方がふえてきておりまして、そのような人たちを御案内したりあるいは知識を伝達するというようなことで、森林インストラクターという分野がこれから広く必要になってくるというように思っているわけでございます。私どもはこのような森林インストラクターにふさわしい人材を養成していく必要があるというように考えておりますけれども、まず国有林の中におきましての森林の教育的利用というような分野がふえてまいっておりますので、私どもはまず国有林の職員の中で森林のインストラクターを養成しようというように考えておりまして、既に昭和六十三年度から養成を始めておるわけでございます。この平成二年度までの三年間で八十五名の研修を終了いたしておりまして、そのような職員が今国有林の中でも活動を開始しているところでございます。
 具体的にどういうことをやっているかと申しますと、もちろん一般的な国民の方々が国有林を見たいというような場合の御案内もできますけれども、都市の住民の方々などが大勢参加していただくために森林クラブというような仕組みをつくりまして、ここに登録していただきますと、私どもの方でいろいろ御案内する日時とか場所を特定いたしまして御通知をいたして御案内するというようなことを考えておりますし、あとは森林利用ガイド事業というようなこともやっております。このようなことを通じまして国有林についての御理解を深めていただくと同時に森林に親しんでいただきたい、こんな観点で事業を実行しているところでございますけれども、今後これからの施策を積極的に推進することがますます必要になってくるというように考えておりますので、今後もこういう教育的なあるいは文化的な分野における積極的な展開を図ってまいりたいと考えております。
#67
○菅野久光君 森林インストラクターは、直接生産ということではないことから、要員の関係を含めていろいろ難しい面があるのではないかと思いますが、国民のニーズにおこたえするということからいけばこれからやっぱり考えていかなきゃならない問題ではないかというふうに思って実は質問申し上げたわけですので、私のそういう気持ちといいますか、真意をひとつ酌んでいただきたいというふうに思います。
 次に、国有林野事業の組織の改編の問題なんですが、大体国有林野の営林署だとか担当区なんというのは山村にほとんどがあるわけですね。山村は耕地面積の二割弱、森林面積の六割を大体占めているわけです。今回のこの国有林野のさまざまな問題について大変心配したのはいわゆる山村の地域なんですね。とりわけ私が住んでおります北海道はもう本当に林業がその町の基幹産業で、林業がだめになれば町そのものが沈没してしまうというようなことから、これは山で働いている人はもちろんですけれども、そこの商業関係の方も含めていわゆる町ぐるみで何とか山をひとつ守ってもらいたい、何とか今の国有林野の累積債務の問題について考えてもらいたいということから、ここ何年か、毎年とにかく大勢の人たちがそれぞれの関係のところに要請に来たわけであります。
 そういうような山村の持っている状況というのは、先ほど申し上げましたように耕地面積の二割、そして山の六割ということからいけば、国土の均衡ある発展という視点から見ても組織の改編に当たっては非常に慎重にやらないとならないのではないか。その辺当該地域の意向を十分に体して組織の改編などに当たっては考えるべきだというふうに思うんですが、その辺の基本的な考え方についてはいかがでしょうか。
#68
○政府委員(小澤普照君) 国有林の経営改善に当たりましては、新しい時代に向かって国有林の組織につきましても再編整備をしていくということが必要だというように思うわけでございますが、この際に、ただいま先生御指摘ございました地域との関係でございますが、長年にわたりまして国有林の経営を行ってきたわけでございますけれども、確かに国有林の組織というのは地域社会と密接な関係を有していることは私どもも十分認識をしているわけでございます。そしてまた、その地域において重要な役割を果たしてきたということも評価されているというように思うわけでございます。
 したがいまして、今後の組織の再編というようないわゆる組織見直しに当たりましては、私どもも関係の地方自治体等の御意見、御要望というものを十分にお聞きする必要がございますし、私どものところへも各地から御要請なりあるいはいろいろお話し合いに来られる方がふえてまいっておりますけれども、私どもは十分にお話をお聞きし、また地域の状況もよくお話をいたしまして、円満な実施ということを基本的な方向といたして取り組んでまいりたいというように考えております。
#69
○菅野久光君 国有林野の再建の問題については、再建をしてもらいたいという気持ちと、我が村我が町の営林署などを含めた機構についてそれだけはなくさないでほしいという声が非常に強いことはもう私が今さら申し上げるまでもないんですが、その点について慎重にということを私どもも申し上げましたが、当該地域の意向なども十分に踏まえてやるべきだというふうに、今までのいろいろなことに私もかかわってきた関係で、今長官の方からお話がございましたが、ここのところはひとつ大臣一言お考えを承りたいと思います。
#70
○国務大臣(近藤元次君) この点が今度の改善計画の中で一番頭の痛いところでございまして、総論賛成、各論反対のその最たるものではないだろうか。
 私も何回もこのようなことに遭遇をしてまいりまして、実質的にもその営林署を中心にしてその集落なり町や村が成り立っておるという地域もございますし、また経済的にそれほど関係がなくても、官がそこに存在をするということが地域住民にとって精神的なよりどころというものにどれだけなっておるかということ、官を通じてそこの住民でない人との交流が一つは存在をするというようなこと、さまざまなことを、この置かれておる立場がいわゆる山村であるという過疎の、表現は悪いんですが、最たる地域に第一線の私どもの組織があるというようなことを考え合わせてみて、相当この部分については慎重に、私どもやらなきゃならないことについて地域の皆さん方の御理解をどのようにして得られるかということに最善の努力をして、地域の民意の反映に注意をして対処してまいりたい。一番頭の痛いところで一番神経を使ってやっていくということを御理解いただきたいと思います。
#71
○菅野久光君 当該地域に理解を求めるといってもなかなか理解を求められない部分があろうと思いますが、しかし誠意を持って最善を尽くしてとにかくやっていただきたいということをこの機会に要望しておきます。
 次には林業労働力の確保の問題ですが、もういつも言われるんですが、林業労働者の不足ということ、高齢化ということですね。昭和六十年現在で林業就労者の約六割は五十歳以上、そして四十歳末満の林業就労者は年々減少を続けているというようなことがますます顕在化してきているわけですが、このような状況下でこの地域林業の担い手定着対策としてどのような施策を講じていくのか、あるいは高齢者対策などについてもひとつどのようにお考えかお伺いいたします。
#72
○政府委員(小澤普照君) 林業労働力の対策あるいは担い手問題は最近急速に顕在化をしてきておりまして、私どもこれからの林政の推進の中での最重要課題の一つと受けとめておるわけでございます。そのような中でこの労働力対策につきましては非常に広範囲な対策を必要とするというように考えておるわけでございまして、林野庁といたしましては、本年度から新たに林業労働対策室を設置するということも含めましてこの対策に鋭意取り組んでまいりたいというように考えている次第でございます。
 そのような中で基本的なことを申しますと、やはり今回の森林法の改正の中でいわゆる流域管理システムということを打ち出させていただいているわけでございますけれども、まず各流域の中で林業の事業体あるいはまた地方自治体、こういうことも含めまして一つの協議体をつくっていくということが必要でございますし、また今回の森林法の中で市町村の森林整備計画を策定するということがあるわけでございますが、この際に従来の計画を大幅に内容を強化させていただいて、この中でいわゆる労働力対策も講じていくということもございます。
 そしてまた、森林の整備計画でございますが、このようなものを通じまして基盤整備を、これがおくれておりますのでぜひとも推進させていただきたいわけでございますが、この際に今後の高性能機械の導入とも絡んでくるわけでございますけれども、そのようなものを前提とした林道なりあるいは作業道を整備していく必要があるというように考えておりますし、高性能機械につきましてはさらに日本の急峻な地形にも合致するように改良を加えまして普及を図る必要がございますし、またそのような高性能機械が動いて初めて安全でかつ能率のよい仕事ができるということで、担い手の立場に立ってもいわゆる三K産業を脱出するきっかけになるというように考えておりまして、担い手確保には欠かせない課題であるというようにも思いますし、そのようなことをもろもろ通じまして確保策をやってまいるということでございます。
 そのほか、いわゆるソフト面と申しますか、いわゆる月給制の導入でございますとか、あるいは週休制あるいは社会保険加入の促進でございますとか、このようなことにつきましても都道府県単位にセンターをつくりましてこの中で推進をしていく。もちろん全国レベルでもセンター的な活動を行えるものをつくってまいりたいというように思っておりますし、これらを総合的に実施いたしましてこれからの労働力あるいは担い手対策に資してまいりたいというように考えているところでございます。
#73
○菅野久光君 今のような一人親方的な形でやっていくと、いろいろ労働条件の問題から事故の問題から振動病の問題から、さまざまな問題が林業労働者の中にはあるわけです。今お話しのように、何とかセンター的なところで一元的に管理するといったらあれですが、そこで雇用をしてやるような何か形がとれれば先ほど申し上げたような面が解決できるのではないかというふうに思います。一番、何というんですか、前近代的な形でのあの作業といいますか、そういう仕事がなされているのではないかというふうに思いますので、その点についてまたこれからいろいろ大変なんですが、考えていかなきゃならない問題だというふうに思います。
 日本は森林面積の中で人工林の比率、これは約四六%で一千万ヘクタールということで、面積で米国及びソ連と並ぶ規模だというふうに物の本に書いてありますから間違いないと思うんですが、これだけの多くの人工林、それを育てていくということは大変なことだというふうに思うんですが、そのために本当に担い手の確保、それから国有林野事業としても多くの人工林を抱えて何としてもこれらの保育等についての要員の確保ということが必要ではないかと思います。
 去る三月十二日の衆議院農林水産委員会において、今回の林野二法改正案に対する参考人の意見陳述の中で、筒井迪夫東大名誉教授が述べられておったのをちょっと見たんですが、今回の改正の林政的意義の一つとして、国有林はすべての国民のための公益を図るところにその存在意義が置かれており、その役割を果たすには常に新しい技術を創造し、それを次代に伝え、実行していくことが必要である旨陳述され、国有林野が森林の施業技術を創造し、継承する技術組織体として充実できる基盤を持った点を強調されたわけでございますが、林業の機械化は労働生産性の向上だけでなくて、労働安全の確保や労働強化についてもそれを軽減させるという面で大きな役割を果たしてきておって、この導入というのは担い手対策にも役立つのではないかというふうに思うんです。
 昨年の林政審答申において、「林業機械化の推進」の中で「林業の機械化については、我が国の地形等の条件に対応しつつ欧米段階への早期到達をめざして、育林用の機械を含め、重筋労働からの解放や労働災害の減少による林業労働者の確保と森林施業の効率的実施に資する高性能、小型、軽量の林業機械の開発を早急に推進していく必要がある。」というふうに指摘されています。このようなことから、例えば高能率の林業機械を国有林野事業に導入して、そして民有林に寄与できる体制を整備してはどうか、また施業代行の委託を積極的に国有林野が受けるというようなことを考慮したらどうかというふうに思うんです。そのようなことについて、今後も従前にも増して職員の能力の十全な発揮が要求されるし、優秀な技術を持った要員の確保ということが必要になってくるのではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#74
○政府委員(小澤普照君) 伐採、搬出あるいは育林の各分野にわたりまして、今後高性能の機械開発と定着というものが日本の林業全体の活性化のために必要であることはまず間違いはないというように思うわけでございますが、国有林との関係で申し上げますと、一方で国有林野事業につきましてはその健全性を早急に回復、確立したいという観点から、大変厳しい道ではございますけれども、昨年十二月の国有林野事業経営改善大綱に則して今後取り組んでいく必要もございまして、この場合にはいわゆる直用事業につきましても必要最小限の業務を除きまして民間実行の徹底を図るというようなことも含まれているわけでございます。
 このようなことの兼ね合いの中でいわゆる高性能機械の今後の開発、定着等をどのようにしてやっていくかという問題に帰着するわけでございますけれども、現今の状況を見ますと、高性能機械につきましては民間林業事業体が現在相当取り組んでおりまして、既に全国的には百台を超す機械も入っているかと思いますけれども、これらが今後定着するためには国有林、民有林連係プレーで行う必要もあるかとは考えておるわけでございます。この場合にまず私ども考えられますのは、国有林におきましては、機械のいろいろなシステムがございまして、緩傾斜に適するもの、あるいは急傾斜向きとかございますけれども、国有林はいわゆる作業フィールドを全国的に所有しているという観点から、具体的に機械の開発なり作業仕組みを発展させていくために、フィールドの提供を行いますとか、あるいは作業システムの確立のための委託調査というようなものを積極的に推進してまいりたいというように考えておるわけでございます。
 なお、このような状況の推移の動向等も見きわめまして、国有林につきましての高性能機械の導入につきましては慎重に検討をすることが必要であろうかというように考えております。
#75
○菅野久光君 民有林の場合に不在林があって、手入れが全くされていない、いわゆる放置林ですか、そういうものがあるものですから、その辺も国有林野事業として何とか委託してもらって、そういうものをなくしてもっといい山をつくっていく、そんなことに寄与してはどうかというようなことをちょっと考えたものですから申し上げたんで、これからひとつ、日本の国土全体の山がいい山になるような積極的な役割を国有林野事業が果たしていくということが必要ではないか、そこに国有林野という大事な問題があるのではないかというふうに思うものですからそのことをちょっと申し上げました。
   〔委員長退席、理事北修二君着席〕
 私は、四時までですから時間があと余りありませんから、一番中心になります国有林野事業の財政の確立の問題についてちょっとお聞きをいたしたいというふうに思います。
 国有林野事業の経営再建の問題につきましては、今までも国会の場でずっと論議をしてまいりましたし、林政審議会でも真剣な討議がなされ、また林野庁の労使間協議を経て昨年末に林政審議会の答申、さらに国有林野事業経営改善大綱の閣議了解等によって一定の再建方策が固まったわけであります。
 そこで、ここ一年間で経営再建を軌道に乗せることが最大の課題だ、私ども年末までに何とか軌道に乗せるようにしなければならないというふうに思いますが、そのための施策として、国有林野の果たす公益的な役割に着目をして一般会計からの繰り入れを何としても確保しなくちゃいけないというふうに思いますし、また労働力の趨勢からも一定の直用を確保しなければならないというふうに思います。それから地域の意向尊重などの再建原則といいますか、そういったようなものが必要だというふうに思いますが、平成三年度をまず初年度として、確実な経営再建に向けての大臣の決意をひとつお伺いいたしたいと思います。
#76
○国務大臣(近藤元次君) 赤字が出てから約十五年近く経過をしてまいりました。大変重い荷物を背負ってずっと歩き続けてきたわけでありますけれども、今回諸先生方を初めとする労使関係の大変な努力をもって、累積債務と区分されて今法律を御審議いただいておるわけであります。いずれにいたしましても、今回の法律の中身にもいろいろ書かれておるわけでありますけれども、身軽になったこれからの経常事業部門について再び赤字が出るというようなことがあってはならぬという決意を新たにいたしておるわけでありますが、第一線の現場で働いていただいておる人たちも、今回の法律なりあるいは林道、作業道のいわば五カ年計画が来年から発足をするようなことでして、森林元年のような気持ちで取り組んでいただけるものと、実は私はお会いをしてそういう感触を持たせていただいておるわけであります。
 そういう意味合いからして、平成三年度から具体的に黒字に転ずるというところにはなかなかまいらないだろうと思うわけでありますが、これから経常事業をやる部分についてまだ借り入れをしなければ、これから運転資金というものがなくなってしまうわけでありますから、十年を目途にしておる計画を立てておるわけですけれども、できるだけ早くひとつ目的達成をしたいと思うんです。
 私どもの国有林の現場で働いておる職員は、まさに世界でも植林、造林、育林については一級の技術と知識を持っておる、私はこう自負をいたしておるわけであります。たった一つおくれているのが機械でないかなと。やっぱり赤字経営のときになかなか新たな投資ができなかったという一つの弱点がございました。そういう意味合いでは、私は先般も実は欧米の機械のビデオを見せていただいて大変驚いた一人でありますけれども、それを即日本に持ってくることができないのは、もう先生御案内のとおり地形上の問題だけなのでありまして、一人で木を切って、一人で皮をむいて、一人で規格の寸法に合わせて、もう一台の機械で自動車に載せてと、こういうことで、ビデオを見ている限りたった二人でやっているようなビデオを見せていただいて、こういうことがあれば若い人も魅力を感ずるのではないのかな、コストも非常に安くなるな、安全性も確保できるな、こう思って今回この機会に日本型の機械開発に対して積極的に、資金で間に合うことであれば協力を申し上げて研究開発をしていただきたい。
 いずれにしても、こういう機械開発をしてくれないんです。というのは、さて、でき上がっても何台売れるかということになると、自動車みたいにだれでもが利用していただけるということでなくて、もう一定の数量というものが予測をできるものですから、余り商売にならないと言っちゃ申しわけないんですが、そういう面ではその開発経費というものは私どもが協力申し上げなければならない、こういうふうに考えて今担当に指示をしておるところでございます。
 そういう面で、平成三年度は流域あるいはもう一つは山全体を考えれば流域を考えていくということの単位にさせていただいたわけですから、どちらかといえば、先ほどもお話がありましたように、県なり市町村というのは総論では山に関心をお持ちいただいておるんですが、具体的な各論にどういうことをしているかというと、私の知る範囲内ではそういう具体論の支援というものは割合に少ないんではないかな。そういう意味で、今回地域森林計画をそれぞれ市町村に立てていただき、県の段階を踏んでセンターをつくって、そして私の方から林野庁で四十四の流域単位にやるという積み重ねをしてきて、そういうことに役割をひとつ総合的に持たせていただきたいというようなこと、この平成三年度はそういう体制を整備するという年にさせていただきたいな、そのように感じておるわけであります。
#77
○菅野久光君 まさに国有林の再建元年ということで、当初申し上げましたけれども、今度はもう失敗は許されないということで、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 累積債務の処理の問題なんですが、今回の改正案の累積債務の処理に関して特徴的なことは、改善計画において定める事項として累積債務の処理に関する事項が追加されたことですね。それから二つ目は、林野・土地等の資産売却収入を累積債務の処理の財源に充当する旨の条項が新設され、規定されたこと。三つ目が一般会計からの繰り入れの対象として、現行の繰り入れ対象の退職手当及び借りかえに係る借入金の利子に加え、新たに退職手当及び借りかえに係る借入金の償還金が追加されているということですね。また累積債務対策として経常事業部門の経営成果を明確にして経営改善の促進を図るとともに、資産処分収入を優先的にその処理に充当するため、経常事業部門と経理を区分するということです。
 そこで、平成三年度予算では一般会計からの繰り入れの総額を二百五十億円として、そのうち累積債務対策としては百億円が計上され、公益的機能の発揮を踏まえた拡充として造林・林道等の事業施設費百四十億円、一般行政的経費等として十億八千万円、なかんずく新規施策として国有林地域森林計画の樹立に三億六千万円、保安林の指定、解除等に二千五百万円、さらに森林センター等の運営費用として九千二百万円が計上されております。なお、歳入に林野売り払い代七百二十六億円が計上され、また財政投融資からの借入金は二千五百八十億円に達しております。このように国有林野事業の財務状況は収入の約半分が借入金、支出の四割弱が利子、償還金で占められているという極めて厳しい状況にあります。また、国有林野事業は昭和五十一年から借入金を導入してきましたが、近年累積債務が増大し、一日当たりの利払いが約三億五千万円に達する事態となっておるわけですね。
 今回の改正案は、平成三年度以降の十年間を新たな改善期間とし、平成二十二年度までに収支の均衡を回復する等経営の健全性を確立することを目標としています。平成二十二年度までに国有林野事業全体の収支均衡という目標を達成するには、将来的に一般会計からの助成の拡大がどうしても必要ではないかというふうに思われますが、改正案では借りかえ資金の元本の一般会計からの繰り入れを決めているとのことでありますが、実際は予算措置によって任されているということです。
 そこで、まず一般会計からの助成の拡大の見通しについてお伺いをしたいんです。そしてこの問題についての大臣の決意をお伺いしたいというふうに思います。
 次に、改正案では改善計画において定める事項に「累積債務の処理に関する事項」を加えるものとしておりますが、この事項を明記した経過等についても明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、平成十二年度までに経常事業部門の財政の健全化等を完了することを旨としてという文言が明記されておりますが、健全化の具体的方策についての大枠を明らかにしていただきたいと思います。
#78
○国務大臣(近藤元次君) 数字的なことは必要があれば事務当局から御説明をさせていただきますけれども、累積債務の分については林野が持っておる山でない土地、山の一部を含めて大体一兆二千億ぐらいを累積債務に処分をするという予定を立てさせていただいておるわけであります。そして経常事業部門に、十年計画でありますけれども黒字が出るようになったらこの累積債務にお手伝いをする、それ以外のことはこれは一般会計から支援をしていただくということになるんですが、一般会計から直ちに支援ができるかといえばそうではなくて、二十年の間に借りかえしようと何をしようとやり繰りをしながら二十年間でそういう枠組みで解消していく。
 ですから、このことの負担が借りかえをしたり、さらに借りかえによって利子が発生をしてもこれは経常事業部門にしわ寄せは来ない、そういう確認のもとに経常事業部門で仕事を始めようとするようで、今法案審議をいただいておるわけでありますし、そういうことで累積債務を解消するために努力をしていく、こういうことになってお
るわけであります。
#79
○政府委員(小澤普照君) 御質問が多岐にわたっておりましたので、私の方から要点につきましてお答えを申し上げたいと思うわけでございますけれども、まず累積債務対策に係る一般会計からの繰り入れの見通しでございますけれども、国有林野事業の経営の健全化のために適切な累積債務対策はぜひとも必要なことでございます。
 これにつきましては、経常事業部門と区分するということで今大臣の方からも申し上げたわけでございますけれども、この際に林野・土地等の資産処分収入の優先充当ということを考えておるわけでございますし、あるいはまた自主的な改善努力の徹底によりまして経常事業部門で将来生ずる剰余金の充当ということもございますが、そして一般会計資金の繰り入れ等別途財源措置によりまして累積債務を処理してまいるということでございます。
 一般会計資金の繰り入れにつきましては、厳しい財政事情のもとで平成三年度におきましては債務対策としては百億円の計上になっております。さらに、今回の法律改正によりますと、借りかえの借入金等の償還金も繰り入れ対象に追加されるわけでございますので、今後におきましてはこのような資金の確保に努めてまいりたい、このように思うわけでございます。
 それからなお、債務処理事項がつけ加えられたわけでございますけれども、これはやはり何と申しましても累積債務が膨大な額に上っておりますので、これが経常事業部門を圧迫する大きな要因になっております。したがいまして、債務処理事項を別にすることによりまして、その経常事業部門への影響を防ぐという意味合いがございますので、新たにつけ加えさせていただくということになるわけございます。
 それから、平成十二年度までに経常事業部門の財政の健全化を図るということでございますけれども、これの方策でございますが、これは林政審議会の答申あるいはまた国有林野事業経営改善大綱に則して行いたいというように思うわけでございますが、請負化等によります事業の民間実行の徹底、要員規模の適正化あるいはまた組織機構の徹底した見直し、機動的な木材販売や都市近郊国有林の活用によります貸付料収入の増大等による自己収入の確保、これらの自主的な改善努力を徹底させてまいりたいわけでございますが、また同時に森林の公益的機能発揮の観点から造林や林道整備等の経費でございますとか、あるいは森林の保全管理等の行政的な費用につきましての一般会計からの繰り入れの拡充ということも必要であるというように考えておるわけでございます。
 このような各般の措置を講じまして、平成十二年度までに経常事業部門の財政の健全化を図ってまいりたいということでございます。そして、全体の累積債務も含めました経営の改善ということになりますと、平成二十二年という長期間の期間を設定させていただいて、その中で対応を図ってまいりたいというように考えているところでございます。
#80
○菅野久光君 累積債務の処理について区分して計上するということになって、先ほど申し上げましたように一般会計からの繰り入れが本年度は二百五十億、そのうち経常事業部門には百五十億で、債務処理には一般会計からの繰り入れが百億ということになっております。この平成三年度の償還額が、元金が八百六十九億、利子が千三百九十七億、計二千二百六十六億ということになっております。したがって、この二千二百六十六億の償還に対して、一般会計から百億の繰り入れということで本当にこの債務処理ということになるのかどうか、本当にこれでいいのか。林野、土地等の売り払い収入が七百二十六億一応計上されておりますが、これはある程度見通しを持った額なのか。
 それからついでにお聞きしますが、もしもこの債務処理の予定が、歳入がこのとおりにならなくて償還が予定どおりにできなかったというときにまたどこからか借りてやる。借りればそれにまた利子がかかるわけですね、サラ金と同じですね。だからその場合に、平成三年度はまあどのぐらいの額かは別にしても、予定どおりいかなかった場合に次年度に結局その分がまたしわ寄せがいく。そうしますと、またこれが雪だるま式に膨れ上がるというような可能性が出てくるのではないか。だから少なくともその辺、二十年でということにはなっておりますが、五年なら五年ぐらいの短期見通し、中期見通しになるんでしょうか、そういったようなことが必要ではないかというふうに思うんですが、今いろいろ申し上げましたけれども、その辺についていかがでしょう。
#81
○政府委員(小澤普照君) まず累積債務の処理の問題でございますけれども、その際に今先生の方からお話がございましたように、経常事業の収入が十分でございますと償還金に充てることができるわけでございますけれども、それが大変難しいということで、今まではそこのところは償還金のいわゆる債務対策と経常事業の必要経費の調達が、言うならば窓口は一つであったわけでございまして、今回そこを分けますという意味合いは、償還金の返済に充てる分、これは資産売却等によるものを充当するわけでございますけれども、不足する分につきましては借りかえ措置があるということでございます。
 したがいまして借りかえればその分借金はふえるではないかということは御指摘のとおりでございますけれども、そこは言うなれば累積債務処理の区分の中で転がしていくということになるわけでございます。そこで、そのようなことをすればだんだんやはり雪だるまになるんじゃないか、このようにおっしゃっているわけでございます。それはもしそのような状況になればそうなるということでございますので、それを避けるためにどうするかということになってくるわけでございますので、そこのところは私ども資産売却につきましても計画的にやる必要がございますし、そしてまた不足する財源についてのこれはまた繰り入れ規定等がございます。
 借りかえと繰り入れと売却というようなものを総合いたしまして債務対策を講じていくわけでございますけれども、この場合にどのような年数で区切っていくかということは、現在まだそこまで明確に考えてはおらないわけでございます。改善計画もこれから立てていかなければいけませんし、そのような中で計画的な処理ということが必要かと思いますが、いずれにいたしましても、その中で大きな役割を演じます資産の処分等につきましても、的確な対応策を持っていないと債務が累増してしまうということになるわけでございますので、この点につきましては私ども全力を挙げて、ただただ債務が膨らむということのないように頑張ってまいりたいということでございます。
 経常事業につきましては、先ほど申し上げましたけれども、それにつきましては予算では先生百五十億とおっしゃっておりますけれども、これは林道や造林の事業についての繰り入れ、従来からもございましたが、これを逐年少しでも増加させたいということで努力をしてまいりましたし、さらに今回の法改正によりまして、森林計画にかかわる分野でございますとか、保安林に関するものでございますとか、その他普及、啓発等に関する行政的費用につきましても繰り入れ措置を新たに認めていただくということでございますので、そのような中でさらに拡充についての努力をしてまいりたいというように考えているところでございます。
#82
○菅野久光君 努力をするという努力するその気持ちはわかるんですけれども、これは本当に難しいことだというふうに思うんですが、しかし努力するというその努力の成果を私は本当に私の立場としては期待せざるを得ないんで、一年間終わってみてということでなくて、やっぱり途中ででもどんな状況かということを私は尋ねてみたい気持ちでおりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから一般会計の繰り入れの見通しなんですが、平成三年度の予算を見ますと、経常事業部門でも借入金が千百十五億あるわけですね。これがまた借入金ということでふえるわけですが、先ほど大臣もこの債務の処理の問題について、経常事業の方にしわ寄せをするようなことはしないということを言明されたわけですが、この千百十五億のこれの返済のことにかかわっても、次のあれにかかわっていくから直接的にはないのかもしれませんが、その点は大臣、本当に大丈夫なんでしょうか。
#83
○国務大臣(近藤元次君) 経常事業部門については今度累積債務と区分をしたわけでありますから、累積債務の二十年の解消にわたって一番わかりにくい点は財産処分の面だ、こう思うんです。財産処分のものが大体一兆二千億ぐらいを目安としておるわけでありますけれども、それはどういう売り方をするかという問題点が一つ残っておりまして、やっぱり入札制度にすれば高く売れますが、高く売るということは土地の値上げを誘発するというふうなことで、一つのまた公的機関との規制がありますし、そういう点での私ども売却をしたときの時点でないと最終的な金額がわかりにくいという面が一点実はございます。そのようなときには、当然のことながら財産処分の折にまた報告をしなければいけないのではないか、そう判断を一つしておるわけであります。
 累積債務の分につきましては、私は一般会計からの支援体制ができたことをもってそう心配をすることというか懸念をするというよりも、経常事業部門についてさらなる赤字が出るようなことになってはならぬなということを、区分のときにも、これから退職金問題がかなり多額になってくるわけでありますので、経常事業部門が退職金を支払う能力のない赤字体制の間は累積債務の処分の中で区分をさせていただいて、累積債務処分と一緒に退職金の分も解消してもらうということになっておるわけでありまして、そういう意味合いでは、今後私は累積債務よりも経常事業部門について国全体が一つは考えてくれることでありますが、私どもが累積債務の分の解消についても努力をすることは当然のことでありますけれども、国全体の財政の運用の中で解決をしてもらえるわけでありますから、むしろ私ども経常事業部門についての赤字の部分について大変な努力をしていかなきゃならないという責任の重さを感じておるわけであります。
#84
○菅野久光君 もうあと一分ちょっとしかございませんが、最後に民間との均衡の問題なんです。
 項目的には民有林並みにはなってきたんですが、まだ金額的には民有林並みにはなっていないわけですね。この点なども今後十分考えていっていただきたいというふうに思います。例えば造林なんかも六十七億六千万ですが、民有林並みの助成でいけばこれは百十二億二千万ということになる。そういったようなことがほかの項目の方にもありますので、これはぜひ今後考えていただきたいというふうに思います。
 いずれにしましても、一番最初に申し上げましたように、これをとにかく森林再建元年ということで皆さん方の一層のひとつ頑張りを期待したいと思いますし、また私どももできるだけのことはやっぱりやっていかなくちゃいけない、そういう責任の一端も感じながら私の質問を終わらせていただきます。
#85
○成瀬守重君 ただいま提出されております森林法と国有林野事業改善特別措置法の改正案は、いずれも我が国の森林・林業の発展にとって大変重要な意義を持つものであると考えるわけでありますが、法律案についてお伺いする前に、やはりこれも重要な問題であります地球の緑、森林の保全の問題についてお伺いいたしたいと思います。
 私は、これまで何度かブラジルを初め中南米諸国やアンデス山脈の上空を飛びまして、熱帯林の減少、砂漠化の進行、酸性雨による森林被害など、地球的な規模で年々大規模な面積の森林が失われている状況を見てまいりましたが、人類がこの地球において真に健康で豊かな生活を実現するためには、温暖化の抑制やそれぞれの地域の環境保全等に重要な役割を果たしている森林資源を保全し、これを次の世代へ引き継いでいくことがそのときどきの人類の重大な責務であります。
 地球環境問題が近年人類共通の課題として世界的にその重要性への認識が深まり、解決に向けて努力が始められたのは当然のことと考えるわけでありますが、世界の森林の保全についても各国がそれぞれの課題として取り組むことが要請されております。中でも我が国は、世界の経済大国としてその地位にふさわしい貢献を求められているところであり、世界の森林の保全のために我が国は主体的、積極的な役割を果たしていくべきだと考えますが、これについての基本的な考え方を農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
 また、現在特に熱帯林の減少への対処が焦眉の課題となっておりますが、とりわけ我が国は熱帯木材の大量の輸入国としてこれにどのように取り組んでいくのか、世界の注目するところとなっております。この熱帯林の減少問題について我が国として具体的にどのように取り組もうとしておるのか、これは林野庁長官にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#86
○国務大臣(近藤元次君) 今成瀬委員から森林の持つ重要な役割についてと、我が国が木材消費国であり、最大の輸入国であるという立場からの地球的規模の取り組み方についての御質問がございましたけれども、まさに森林の持つ役割の重要性というのは、言いかえればようやくにして地球規模で関心をお持ちいただいた折に、先ほどから議論のありますように、かねてから累積債務で苦しんでおる国有林の赤字解消の新たな役割のために、今回区分会計ができるということは、諸先生方から御協力をいただいたことを本当に感謝申し上げておるところであります。
 地球環境規模の中で、先生からもお話がありましたけれども、我々が緑豊かな地球を次の世代へ引き継いでいくのが人類の共通の使命だというふうな認識は、地球環境問題を取り上げて世界規模で拡大をされてくるような時期になってまいりました。しかし、その中でも象徴的に熱帯林が今問われて、このことは我が国が木材輸入国であるだけに世界的の批判を受けるようなまた新たな環境もできつつあるということに心を痛めて実はこの問題に取り組んでおるところであります。
 先ほども若干触れましたけれども、熱帯林の減少は一千七百万ヘクタールぐらいが減少しておるわけでありますから、日本の農地の約倍ぐらいの熱帯林が年々なくなっておるわけであります。ただ熱帯林の問題につきまして、私どもが持っている今までのような技術だとか資金だとかいう程度の協力で熱帯林の回復をするということはなかなか困難ではないかという判断を私は大臣就任以来しておるわけでございまして、そのことは、熱帯林の半分は焼き畑農業であったり過放牧であるという熱帯林を保有する国の国内事情によって起きる一つの現象であります。熱帯林の伐採の八割がまたその地域における一つの薪炭を中心にしたエネルギーになっておるということなんです。
 そしてまた用材としては残された二割、そして二割の中のまた二割が輸出ということになるわけでありますから、量的には世間が騒がれておるような熱帯林の減少がすべて何か先進国であったり、輸入国の日本であるかのごとき誤解を受けやすい状況が今生まれておるということを考えておかなければならないわけでありますし、さはさりながらも、やっぱり熱帯林の二七%を輸入しておるダントツの国でありますから、これを解消するためにはそれぞれ熱帯林地帯の国民生活の中の薪炭を含めるエネルギーの問題にどう関与していくかということ、焼き畑農業や過放牧に対して我々が技術やノーハウや資金をどのようにして、根本的な対策をしていかない限り、ただ単に技術や技術を取り巻く資金だけの援助で熱帯林問題の解消ということにはならないわけであります。
 私も来年の六月の地球環境サミットには出席をしたい、こう考えておるわけで、日本の国として熱帯林に対する取り組み方というものはその会議の場所で私は見解を申し上げておきたいと思うものですから、どのような取り組み方をするかということに対して目下勉強させていただいておるわけでありますけれども、この問題はかなり大きな問題として、日本バッシングにまた運動していくかということで心配をいたしておるわけでありますので、今後真剣に取り組んでいきたい、そう考えておるわけであります。
#87
○政府委員(小澤普照君) 熱帯林減少の問題に対する具体的な取り組みにつきましてお答えをさせていただきます。
 我が国は熱帯林の保全、造成に資するために、これまでも開発途上国の各国政府の要請に基づきまして専門家の派遣その他をやっておりますが、まず専門家の派遣につきましては、私ども林野庁の多数の職員を主力にいたしまして、世界各国、現在十二カ国に及びますが、現地に参りまして造林その他の技術協力に邁進しているところでございます。そのほか、各国からの研修員の受け入れでございますとか資金協力というようなことを実施しているわけでございます。また国際機関を通じた協力といたしましては、ITTO、これは国際熱帯木材機関でございますが、それからまたFAO、これは国連食糧農業機関でございますが、これらの機関に対して資金拠出等を行いまして支援に努めているところでございます。
 それからまた、林野庁におきまして、深刻化する熱帯林問題に対しまして我が国の取り組みの方向を定める必要があるということで、幅広く有識者の御意見をいただくということで熱帯林問題に関する懇談会を開催してまいりましたが、昨年の五月に中間報告をいただきました。この報告は「緑の地球経営の実現に向けて」と題されておるわけでございまして、この中で熱帯林の持続的な経営と保全を図るための諸施策が提言されているわけでございます。具体的には現存する熱帯林の適正な保全・利用の問題、それから失われた緑の回復をいかにするかということ、また種の保全の推進というように広範かつ具体的な提言がなされておるわけでございます。
 林野庁といたしましては、この提言の趣旨を踏まえまして、平成三年度におきましては新たに持続可能な森林経営を目指した国際的なコンセンサスと行動指針を得たいということから世界のシニアフォレスター会議の開催ということを考えておりまして、これはこの七月に横浜で開催するべく今準備を進めております。それからまた、国際的な林業協力を支援する体制の整備を進めるために、これは専ら人材的な点に観点を置いておるわけでございますが、国際緑化推進センター事業というものを新たに起こすというようなことに取り組んでおるわけでございますが、今後ともこれまでに培われました技術や知見あるいはその他の経験も踏まえまして、海外の林業協力の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
#88
○成瀬守重君 次に、森林法の改正案についてお尋ねいたしたいと思います。
 我が国は国民の英知とたゆまぬ努力によってかつて経験したことのないほど高度な経済社会を築き上げ、その繁栄の中からゆとりと潤いという新たな価値観に根差した豊かなライフサイクルを確立すべく歩み始めたところであります。そのような機運の高まりの中で、緑の環境を形成し、清流をつくり出す森林の働きに国民の大きな期待と関心が寄せられていることはもはや広く認識の一致するところであります。
 今さら言うまでもなく、これまでも森林は、住宅を初め生活全般にわたって国民生活に深くかかわり、その発展に大きく寄与してきたところでありますが、今後国民共通の財産である森林をさらに豊かなものとして、それを健全な形で二十一世紀に引き継いでいくことは現代のこの繁栄に生きる我々日本人、そして林政の使命であります。
 しかしながら、翻って森林・林業の状況を眺めてみますと、改めて森林・林業が大きな転機に立たされていることを痛感せざるを得ないところであります。すなわち林業の採算性は依然として低く、伐採で得た収益を再び森林に投下してその整備を進めるという林業のリサイクルが必ずしも十分機能していないこと、戦後国土緑化のかけ声のもとに営々と植林を積み重ねてきた成果である一千万ヘクタールの人工林が充実過程に入ってきているにもかかわらず、国産材の産地形成、供給体制が必ずしも進んでいないこと、首都圏への一極集中の中でその対極に位置している山村社会の弱体化、とりわけ人口の減少、高齢化に伴う森林管理の担い手の脆弱化がさらに深刻の度を深めていることなど、これまでにない問題に直面しております。
 今こそ時代の息吹を一心に受けとめ、国家百年の計に立って未来を見通した新たな林政を推進していくことが何よりも重要であると認識するものでありますが、まず今回の森林法改正が今後の林政を展開していく上でどのような位置づけにあるのか、御所見を承りたいと思います。
#89
○政府委員(小澤普照君) 先生御指摘のように、現下の林政の基本的課題、これは森林の有する多様な機能の発揮、国民の要請が高まっておるわけでございますが、私どもこれにこたえていく必要があるというように考えております。
 森林は緑と水の源泉でございます。そのために森林の整備保全を推進し、一千万ヘクタールにも及びます人工林を生かしまして国産材時代の到来を現実のものとしなければならないと考えているのでございます。しかしながら、現況非常に厳しいものがございまして、林業の採算性の低下あるいはまた担い手の減少、高齢化の進行ということがございます。また機械化のおくれ、基盤整備もおくれております。そしてまた、作業規模も零細であるというような状況がございまして、今後森林整備あるいは国産材の産地形成を進める上でなかなか難しい問題を抱えていることは事実でございます。
 このような状況を踏まえながら、森林の有しております多様な機能を発揮してまいりますためには、まず流域を基本といたします民有林、国有林を通じた関係者の総意のもとに地域の特質に応じました森林の整備を図り、林業生産等が着実に行われるように目標を明確にいたす必要がありまして、このために森林の流域管理システムというものを確立させていただきたいというように思うわけでございます。また、流域におきます森林整備目標の達成に必要な基盤整備の計画的な推進が必要でございます。そしてまた、森林・林地の保全対策の強化というようなことを重要な課題として考えているわけでございます。
 今回の森林法の改正は、このような課題にこたえますためにぜひとも実現させていただきたいと考えているところでございます。
#90
○成瀬守重君 今お話で、流域を単位に林政の展開を図っていくということでありますが、そもそも森林の働きは水源涵養ということでも明らかなとおり流域ごとに発揮されるものであり、これを推進していくために森林づくりも流域ごとに推進されることが最も自然であり合理的でありますが、同時に林業そのものがいかだ流しの昔から川の流れに沿って成立、発展してきたものでありますので、流域をベースに国産材の産地形成を進めていくということが効果的であると思いますが、この流域管理システムとはどのようなものであるか、そしてその実現のために今回の法改正でどういう措置を講じようとしているのか、この点について伺いたいと思います。
#91
○政府委員(小澤普照君) 森林の流域管理システムの具体的な内容につきまして御説明を申し上げますと、まず民有林、国有林を一体的に流域的に整備の推進を図るということを考えております。また、整備目標を達成するためには、造林・林道事業の計画的な推進を図る必要がございます。そのために投資計画を必要とするというように考えております。
 なおまた、国、都道府県、市町村の計画事項の中で、機械化の促進でございますとか、いわゆる従事者の養成確保というようなことの推進に資するための事項を追加して、流域ごとに森林施業が着実に実施されるように考えてまいりたいということでございます。なおまた、災害発生のおそれのある森林につきましては、分収育林契約の締結の裁定制度を導入するというようなことで森林の育成を進めてまいりたいということでございます。
 そのほか林地開発許可制度についての充実あるいは流域の上流と下流の地方公共団体の間での森林整備協定などが推進されるような仕組みをつくっていくというようなこと。あるいはこのようなことを通じまして森林の公益的な機能の増進を図るために複層林施業でございますとか、あるいは長伐期施業を推進するための特定な森林の施業計画についての制度を創設するということでございまして、そしてこれらの流域管理システムを定着させていくために民有林、国有林を通じました地域の関係者の総意のもとに推進を図るということでございまして、そのために流域林業の活性化協議会というようなものを組織いたしまして、流域ごとに活性化を図っていくというように考えております。
 また同時に、市町村に中心になっていただきまして地域の合意形成を図りまして、それぞれの森林施業の共同化でございますとか、あるいは条件整備に計画的に取り組んでいただくというように考えております。したがいまして、予算的にもこのような総合対策に資するための措置を講じてまいりたいと考えております。
#92
○成瀬守重君 これまで民有林と国有林はそれぞれ別々に事業の展開がなされてきたわけですが、これについては過疎化が進む山村社会を浮揚させていく上で森林・林業は極めて重要な地位を占めているにもかかわらず、両者別々の扱いであるばかりに結果として互いの力をそぐことになってきたのではないかと考えられるわけでありますが、今回の改正で両者を連携強化させる森林計画体系が実現されることになると思います。これによって森林を仲立ちとした山村社会が一つに結集して、地域の振興に大きな弾みがつくものと大いに期待されるところであります。
 このような流域管理システム、これに対して予算的な裏づけも含めて今後その推進策を具体的にどのように展開していくか、伺いたいと思います。
#93
○政府委員(小澤普照君) 先生がただいまおっしゃいました推進策でございますけれども、やはり基本となりますのは、まさに流域の中には民有林、国有林がございますから、これを連携させていくということが重要でございます。と同時に、流域は必ず上流、下流という問題がございますから、上下流の連携というのがもう一つ重要であろうかというように考えているわけでございまして、具体対策といたしましては、したがいまして今のような二つの点を踏まえた施策が必要でございます。
 それで、民有林、国有林につきましては、まず森林計画を樹立する際に連携を強化する必要がございますから、それぞれの計画を立てる際には相手の意見を聞くという仕組みにいたしたいというように考えておりますし、それから流域の中での協議体を動かしていく場合に、当然市町村あるいは林業の事業体それから国有林の関係者が一体となって協議をしていくというように考えておりますし、また上下流関係につきましては先ほど若干触れましたけれども、森林の整備につきましての連係プレーをしていただくという観点から話し合いの場を設けていただき、場合によりましては知事さんなりあるいは農林水産大臣が仲立ちをするというような仕組みによりまして推進をいたしてまいりたいと考えております。
#94
○成瀬守重君 森林計画に基づいて森林づくりが計画的に推進されるためには、各方面の林業関係者の方々の意思を結集して効率的に林業生産活動が展開できるような雰囲気づくりが何よりも重要であると思いますが、こういった点につきまして、全国レベル、地域レベル、市町村レベルの各森林計画を通じて森林施業の共同化、機械化の促進、林業従事者の養成確保等を推進することになっているわけでありますが、特に地域に密着している市町村の役割を強化し、流域林業を活性化させていく手法を講じるということであります。
 地域が一体となって取り組んでいくためにはこの市町村の役割強化はぜひとも必要であると考えますが、今回の改正で盛り込まれることになる市町村森林整備計画を林政の中ではどのように位置づけ推進していくか、この点について伺いたいと思います。
#95
○政府委員(小澤普照君) 具体的な市町村におきます森林整備計画の内容でございますけれども、まず森林施業の共同化の促進ということを考えておりますし、このほか担い手の養成確保、林業機械の導入促進、林産物利用促進施設の整備、これらを従来は育林関係の間伐その他の点に着目した計画を立てていただいたのでございますけれども、私がただいま申し上げましたものを今回は追加させていただいて大幅に市町村の役割を発揮していただきたい、このように考えているわけでございますので、今後は市町村を中心にいたしまして森林・林業関係者が総意を結集いたしまして地域一体となった推進をしていただきたい、このように考えているわけでございます。
#96
○成瀬守重君 次に、国有林野事業改善特別措置法の改正案についてお尋ねしたいと思います。
 国有林野事業は、これまで国土の保全、水資源の涵養、自然保護等の公益的な機能の発揮や木材の安定的な供給、地域振興など国民生活においてもまた国民経済面でも大変重要な役割を果たしてきていると考えております。
 先ほども申し上げましたとおり、近年森林、緑資源が世界的に急速に減少しつつあり、このままでは将来地球的規模で環境への悪影響が生じることが懸念される状況であることから、我が国においても森林の有する水資源の涵養、保健休養、国土保全等の公益的機能の維持増進に対する国民の関心、要請が急速に高まっております。このような状況のもとで、我が国の国土面積の二割、森林面積の約三割を占める国有林が果たすべき役割はこれまで以上に重要性を増していると考えていますが、政府はこれらの国有林野事業の使命、あるべき姿をどのように考えているのか、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
#97
○国務大臣(近藤元次君) 先生今お話のございましたように、国有林野事業が今持つ役割としては、森林事業に対する国民的な要請に対してこたえることが一つであります。そのことはとりもなおさず国土の保全であり、水資源の涵養であり、自然環境の保全形成等の公益的機能の分野であります。一方、林産物の計画的な持続的供給、農山村地域振興への寄与等の使命を十全に果たしていかなければならないと考えております。そのためには国有林野事業の経営の健全性を確立することが不可欠であります。
 ただいま御審議いただいておる国有林野事業改善特別措置法の改正を待って、林政審議会から答申をいただいておる国有林野事業経営改善大綱に則して新たな改善計画を策定して、これに基づいて一層の自主的改善努力の徹底を図るとともに、所要の財政措置を講ずることにより収支均衡の達成等経営の健全性を確立して、簡素で合理化された組織要員のもとで能率的な事業運営を図ってまいる考えであります。
#98
○成瀬守重君 次に、国有林野事業の財務状況を見ますと、ここ十数年来毎年赤字を計上し、累積債務も二兆二千億円を超えるなど極めて深刻な事態に至っております。国有林野事業が森林に対する国民の期待、要請にこたえ、その使命を十全に果たしていくためにはまず経営の健全性を確立することが不可欠であると思いますが、私は今日のこのような財務状況のもとで果たして国有林野事業がその使命を十全に果たせるのか危惧せざるを得ません。
 そこでまず、このように国有林野事業の財務状況が悪化した原因がどこにあるのか、お伺いしたいと思います。
#99
○政府委員(小澤普照君) 国有林野事業につきましては、昭和五十三年以降、国有林野事業改善特別措置法によります改善計画に基づきまして、所要の財政措置を講じながら経営改善に取り組んできたところでございます。
 しかしながら、この経営に対する最大限の自主的な改善努力でございますけれども、それにもかかわらず債務残高が平成二年度末で二兆二千五百十一億円に達したところでございます。債務残高がこのように増大した原因として考えておりますのは、まず収入につきましては、収入の大宗を占めております木材収入が過去に社会的要請に応じまして大量伐採を行ったということがございますけれども、それの結果といたしまして、現在資源的な制約にそれがなっている。つまりその後に植えましたものがまだ若い木が多いということでございますけれども、そしてまた同時に、最近におきます自然保護等の要請の高まりがございまして、これへの対応ということもありまして伐採量も減少させてきているところでございます。
 さらにまた、木材価格でございますけれども、この価格の方も長期にわたりまして低迷しているということがございまして、収入は減少傾向にございました。そしてまた、木材収入以外の継続的な収入でございますが、これにつきましては増加を図るために、これまで分収育林、いわゆる緑のオーナーの制度でございますとか、あるいはふれあいの郷でございますとかヒューマン・グリーン・プラン等の推進を図ってまいりましたけれども、現時点ではまだ収入の確保に大きく寄与するところには至っておりません。
 また、土地売り払いにつきましては、地価抑制施策に伴いまして地価高騰地域におきます売却の規制の問題もございます。さらにまた、支出につきましては、事業の拡張期に増大いたしました要員の調整過程にございまして、給与総額は減少しているのでございますけれども、退職金等の増大によりまして人件費支出が大幅な減少を示すにはまだ至っておらないというような状況がございます。
 このような収支悪化の状況にもかかわりませず、国有林野事業につきましては課せられた使命を果たすために森林の適切な管理、経営を行う必要がございまして、そのために所要の事業を行う上で不足する資金につきましては借入金に頼らざるを得なかったというような状況がございます。このようなことから累積債務が増大してまいったと考えておるところでございます。
#100
○成瀬守重君 これまでの大変な改善御努力にもかかわらず、累積債務は平成二年度二兆二千億と伺っておりますが、その償還金、利息の支払いが毎年二千億円にも上って総支出の四割近くを占めるなど、累積債務が国有林野事業の財政を強く圧迫するという状況に立ち至っております。このような状況のもとで、今回の新たな改善対策では累積債務を経常事業部門と区分した上で累積債務対策を実施すると伺っておりますが、これは自主的改善努力の成果を明らかにし、経営改善の目標を明確にする上にも、また職員の皆さん方が意欲を持って経営改善に取り組む上でも極めて有意義ではないかと思いますが、具体的にどのような累積債務対策を実施し、またそのことにより本当に累積債務を解消させることができるのか、お伺いしたいと思います。
#101
○政府委員(小澤普照君) 累積債務対策でございますけれども、この点につきましては今後国有林野事業の経営の健全化を図るために極めて重要な事項でございます。したがいまして、昨年末閣議了解されました国有林野事業経営改善大綱に則しまして累積債務につきましては対策を講じてまいりますが、この際に債務と経常事業部門を区分いたしまして、そして林野・土地等の資産処分収入の優先充当を行う、また自主的な改善努力の徹底によりまして、経常事業部門で将来生ずる剰余金の充当、さらにまた一般会計資金の繰り入れ等、別途財源措置を講じまして債務の処理を図ってまいるということでございます。
 このために、御審議をいただいております国有林野事業改善特別措置法の一部改正法案におきましては、累積債務の処理に関する事項を改善計画の項目に追加してまいるということと、それから資産処分収入を累積債務処理に充当していく。また、累積債務処理のため、退職手当及び借りかえの借入金につきましては、従来からの利子補給につけ加えまして、新たに償還金につきましても一般会計繰り入れの対象とすることなどにつきましての規定を整備させていただきたいと考えているわけでございます。
 そして今後は、まず平成三年度予算におきまして所要の予算を計上いたしておりますけれども、これらを含めまして今後の累積債務対策を適切に講じまして、債務の縮減、解消に努めてまいる考えでございます。
#102
○成瀬守重君 農水省初め林政当局の皆さん方が今まで以上に御健闘くださって、国民の負託におこたえいただくようお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#103
○猪熊重二君 私は、国有林野事業改善計画についてお伺いするつもりでおりました。今まで三人の先生方がいろいろ質問されたことと私の質問も大分重複しますので、重複する部分についてはもう省略させていただきます。質問通告しておきましたけれども、大分質問通告と変わるかもしれませんが、御了解いただきたいと思います。時間も大分たちましたので、簡潔にお答えいただくことで結構でございます。
 通常経営収支を十年間で何とか均衡を図りたい、こういう今回の計画でございますが、この実現の達成の見込み等についても、今菅野委員、成瀬委員からいろいろ御質問がございました。林野庁長官としては、頑張ります、努力しますということで、お気持ちはわかるんですが、しかし基礎収支だけ見ても昭和五十三年に千七十億円の赤字であります。この基礎収支と申しますのは、御承知のとおり累積債務とは全く別個な勘定で、通常の自己収入と事業支出のバランスの問題でございますから、今回累積債務を別口にしたとおっしゃるけれども、この累積債務を別口にした基礎収支の状況が、今申し上げたように五十三年が千七十億円の赤字、それ以後平成元年に至るまでこの赤字は、少し減ったときもあるけれどもまたふえたときもあるということで、ずっと十三年間続いてきているんです。
 私の持っている資料は古くて申しわけありませんが、元年の赤字が六百六十五億円なんです。十三年間も一千億円前後の赤字があったこの通常経営の収支が何でこの十年の間にころっと変わってとんとんになるというのか。先ほどいろいろ御説明は伺いましたけれども、また林野庁が一生懸命やって何とかしたいというふうにお考えなのもわかりますけれども、私はここで大臣なり長官に本当にできますかということは聞かないんです、聞いて、できますと言ってできなかったら責任をとってもらわにゃなりませんから。私はこれはできないと思うんです。できないことはできないとなぜ言わないんだろうかということが私の質問の中核なんです。
 昭和二十二年に国有林野事業特別会計をつくって、収支とんとん、あるいはもっともうけてやっていけと、こういうふうなことで出発したわけですが、昭和二十二年と現在を比べてみれば、非常に各種の要因において差異があるわけです。例えば木材の値段一つにしてみても、安い外材が入ってくれば値段はどういうことになるだろうか。都市化現象が進んで山村ないし農村の人口が少なくなってくるということになると、何もこれは農業の問題だけじゃなくて、林業すべての問題において過疎化の問題が進んでくる。人がいないという問題になってくる。あるいは労賃の問題もあります。
 山の中で、まごまごしたら足をもいだり手をもいだりするような危険な仕事をして、一日丸太を切ったり担いだりする仕事と、都会に出てきて喫茶店のドアをあげたり閉めたりしているだけで同じ値段がもらえるんだったら、だれだってあけたての方へ来てしまう。要するに世の中の状況が変わって、もう国有林野事業は木材という財貨の生産ということを基本に置いて考えたら成り立つ商売じゃないということをなぜお認めにならないんだろうか。そして、言葉は悪いですけれども、十三年間続いた赤字が、今も申し上げたように今後十年間でころりと変わるなんという妙策はまあないんじゃなかろうか。そういう意味でもう少し国有林野事業の公共性ということを前面に押し出して、これは赤字で当然なんだというふうな発想になぜいかないんだろうかと私は思うんです。
 経常部門が赤字だということは、林野庁長官が怠けているとか大臣が昼寝してるとかという趣旨じゃないはずなんです。みんなが一生懸命やるけれども赤字になるというのは、それは赤字になるような仕組みになっているからだと私は思うんです。もっと国有林野を含めて森林の公共的側面ということを考えて、公共的機能という面を考えて、これはこういうふうに山を維持すること自体が銭がかかるんだ、だからこれは財貨の生産によってもうけるような仕事じゃないんだという観点から、この国有林野事業を百八十度発想を転換してやっていくというふうなお考えはないんでしょうか。大臣、いかがですか。
#104
○国務大臣(近藤元次君) 先生から現実的な御質問がございましたけれども、私ども累積債務を一般会計から支援をいただくことだけでも大変な努力を長年にわたってしてきたわけであります。今回環境問題を含めて森林を見直す機会に、先生の今お話しのような趣旨も踏まえて累積債務の区分をすることができたのではないかな、こう思っておるわけであります。
 お話しのように、自然林であったり自然維持林であったり、保安林であったり、公的な分野について年々役割を果たす分野が多くなってまいりました。そのことは経済性とある意味では逆行することになるわけでありますが、そういう分野が現実的にあることは承知をしておるわけであります。
 しかし、国民の一般からの税の支援をいただく前に、国有林経営みずからでさらに努力をする面がないのかなということをひとつ考えながら、労使大変な苦労をして要員調整を図ってみたり、あるいは民有林、国有林それぞれで同じようなことをやっておったのを類型にまとめて合理性を発揮してみたり、そしてまた国も地方も一体になって、やはり地域にある森林に対するどのような役割とどのような支援をして森林を守るかというようなことで地域森林計画を始めて、農林大臣の森林計画と総合的にひとつ今回十年間努力をしてみる課題もまた存在する、一般会計からの支援をいただく前に経常部門でさらなる努力をさせていただきたい、こう考えて今の計画を立てさせていただいておるわけであります。
#105
○猪熊重二君 私も素人で余りよくわからぬものだからこういうことを申し上げるのかもしれませんが、何か例えば森林の持つ水資源の涵養というこの機能一つとってみても、降った雨がその一週間後に全部流れてしまったら、飲み水だけじゃなくて工業もすべてのものがとまってしまうんです。そう考えたら、水資源の涵養ということに必要な費用は公共的投資として国で出さなきゃならぬ、当たり前のことだろうと思うんです。
 同じことを繰り返していても申しわけありませんので、昨年十二月、林政審議会は、国有林を基本的に水資源涵養、その後の類型として四つに分けるということを提言しておられます。国土保全、自然維持、森林空間利用、木材生産という四類型に分けてやっていったらどうだ、こういうふうな答申があるわけです。せっかくこういうふうに林政審議会でも答申があり、閣議でもこの趣旨に従った方針も決定しているわけですから、この機能分類ということをもう少し林野庁としても重く見たらどうなんだろうかというのが私の考えなんです。
 今申し上げた水資源の涵養ということを入れれば、五つの類型の中で銭がもうかるのは木材生産の部分だけなんです。あと、森林空間利用というのは、国民も喜び、収支的にはとんとんでいいわけなんです。水資源の涵養だとか国土保全だとか自然維持というのは全然もうからない仕事なんです。だから、森林の機能をきちんと分けて明確にしてみて、もうかる部分はこの部分ですよ、もうからないで銭がかかる部分はこことここだということを大蔵大臣と総理に言って、もうからない部分については銭を出さなきゃだめだよと。こういうふうな意味において、この四類型に分けるというのは、せっかく林政審議会を含めて内閣でも言っているんですから、早く四つに分けて、もうかるところと銭がかかるところの区分けをしてみることをお考えになったらいかがでしょうか。
#106
○国務大臣(近藤元次君) 先生今御指摘があったこともわからないわけじゃありませんし、私も合意するところはあるんですけれども、少なくとも今の時点では累積債務をおろしていただいて、現場は重い荷物を長年背負ってきたわけですから、少し身軽になって一生懸命自分たちで努力をしていただくという、私は気分的にも今度のことは現場で働いている皆さん方にも勇気づけになっていただくのではないだろうか。みずからがやっぱりやらなきゃならぬ努力をこの時点でしてもらう、そこがどこまでやれるかということを私どもがやらせていただきたいというのが一点。
 それから、この分野の中で、先生おっしゃるように非採算性の部分と採算性の部分と仕分けはつくんですが、非採算性の部分の環境の問題の役割は幾らに値するかということになると、ここにまた難しい部分が一つございます。伐期になった木が禁伐で切れないんだとか、管理をするというような部分については計算上比較的出るんですけれども、樹齢を考えていくと、樹齢何齢のときが幾らに値するかというようなことになるとなかなかこれも面倒なことが一つは起きるんです。
 比較的水とか山地崩壊というのはある程度学者の分野でも合意して計算が成り立つ部分もあるんですけれども、環境の問題になって、緑を見たら幾らになるかとか、空気がどうだとか、酸素がどうだとかいうことになると、環境問題が出てから、学者の先生方も専門的に一生懸命議論していただいておるんです。
 しかし、その議論の合意に至るというところまでまだ至っておりませんので、それを代価として幾らにするかということがなかなか難しいんですが、私どもも今先生の御指摘のようなことを念頭に置きながら、あらゆる学者の出しておるような見解等について注意を払っているところでもありますし、でき得る限り我々も努力をしたら、後は一般会計からどうやって支援してもらうかということは知恵を絞っているところでありますので、今後また先生からも御意見なり御指導をいただければありがたい、こう思っております。
#107
○猪熊重二君 私が今のように機能分類を考えてそういうことを位置づけたらどうですかということを申し上げたのは、一つは人員の問題があるんです。もうかるときにはおいでおいでと言って雇っていろいろ仕事をさせて、もうからぬからもう終わりというわけにはいかないということなんです。じゃ本当に二万人がいいとか一万五千人がいいとか、牛の数を勘定するわけじゃないんです。人間の問題なんです。だとしたら、そういう機能分類をすれば、銭は一銭にもならないけれどもかけなきゃならぬ部分があるだろう。
 先ほどの上野先生の話じゃないけれども、山火事があるといった場合のいろんな損失を考えたら、国土保全なりあるいは自然維持という観点から山林パトロール隊みたいなものがあって、さっきの無線通信ですか、通信どころじゃなくてヘリコプターでずっとやっていかなきゃならぬとか、そういう問題が出てくるでしょう。そういう森林を機能分類して、その機能分類した森林をどのように管理していくかというそういう点から人員のことも考えてみれば、二万人じゃ足りないかもしれぬ、あるいは一万人でもいいかもしれない、そういうことで考えてくるべきであって、ただ国有林野会計が赤字だから減らせ減らせと言われたって、生身の人間が、いいときは来い、だめだからあっちへ行けと言ったって、食っているんですからそういうわけにはいかないわけです。
 そういう意味で、機能分類をきちんとやって、それに見合う管理が何なのか、その管理をするためにはどういう人間が必要なのか、こういうふうなことをしっかりやってもらったらどうでしょうと、こういう趣旨で申し上げたので、大臣がおっしゃったのは私の質問とちょっと答えが違う。私は緑を見る価値が五億円だ、こう言っているわけじゃないのでございます。
 いずれにせよ、時間も遅いので、累積債務の問題は次回に伺わせていただいて、わかったようなわからないような意見で申しわけありませんが、以上今の私の気持ちも少し酌んでいただいていろいろ検討していただきたいと思いまして、質問を終わります。
#108
○林紀子君 私は国有林野事業改善特別措置法についてまず質問させていただきます。
 今回の改正では、累積債務と経常事業部門を区分する、ここが目玉だということを何度も聞かせていただいたわけですが、これは私たち日本共産党も八七年の改正のときに修正案を出しまして、その一つの大きな柱として長期資金の債務については棚上げし別途処理する、そのために要する財源は一般会計から繰り入れる、こういうことを主張しておりました。ですから、このように今回区分けをしたということは遅きに失したとは思いますけれども、やはりこういう方向でしかなかったんだということでは評価ができるわけですけれども、私はこれを見まして、一般会計からの繰り入れもあるということですのでこれはまたまたいいことだと非常に思ったわけなんです。
 ところが、先ほど同僚委員からもお話がありましたけれども、一般会計からの繰り入れというのが百億円ですね。私はこれ一けた違っているんじゃないかと思って何度も見直したんですけれども、この百億円という繰り入れでは今ある累積債務、土地や林野の売り払いということも言われているわけですが、これはこれで大変大きな問題があると思うわけです。しかしこの百億円の繰り入れでは一体何年かかって累積債務というのがなくなるのか。二十年という計画を今出していらっしゃると思うんですけれども、ここのところに一つ非常に危惧を持つのと同時に、区分した経常事業部門の方もまたどうなるのか。十年でということをおっしゃっているわけですが、これも二万人体制にするということしかよくわからないわけですね。
 私はこれ、御質問ということで通告をしていないんで大変申しわけないんですが、まず林野庁長官にお伺いしたいんです。この十年で経常事業部門を黒字に健全化していく、それから二十年で累積債務をなくしていく、そういうことについては十年、二十年という目標があるわけですから、その計画というのが年度を追ってあると思うわけですね。この年度を追った計画というのを、そんな細かな数字までは求めませんが、大ざっぱに言ってどういうものなのかということをぜひ計画を見せてほしい、資料として出していただきたいということをお願いしたわけです。私もこういう林野の問題につきましては大変素人ですので、まずそこから見せていただかないとわからないというところがあったものですからお願いしたんですが、ついに今の時点までそれは出していただけなかったわけなんです。
 こういう十年、二十年という計画があるからにはそれを具体化するようなものというのが当然なければ計画ではないわけですから、どうしてこれがぜひこういうことで審議をしてほしいというここのところに出てこないのか、その資料がどうして出せなかったのか。そして、私の質問の時間までにはちょっと間に合いませんでしたけれども、今後の問題もありますのでこの資料はぜひ出していただきたいということもあわせてお願いしながら御質問をまずさせていただきたいと思います。
#109
○政府委員(小澤普照君) 国有林につきましては、先生今おっしゃいましたように、十年をかけ二十年をかけ経営の健全化を図ろうとしているわけでございます。今先生、計画とおっしゃいましたけれども、私ども計画と申しますか、これは回復の目標というふうに実は考えております。と申しますのは、非常に多くの要素が入り込んでおりますし、また経営の健全化ということになりますと年数がかかるんですが、これはこれから御説明させていただきますけれども、非常に多くの要素と同時にそれぞれが非常に不確実なものが残念ながらあるわけでございます。
   〔理事北修二君退席、委員長着席〕
その中で目標設定をいたして回復を図らなければならないという状況にもございます。
 そのような中で、我々今何を行おうとしているかということについてまずお話を申し上げますけれども、まず十年間で収支の均衡を図ろうという目標を設定しているわけでございますが、この場合におきましてはこれは経常事業部門ということになりまして、事業的には民間実行の徹底でございますとか、これは再三申し上げておりますから申しわけないのでございますけれども、要員規模の適正化、組織機構の簡素化、自己収入の確保というようなことを言っております。また一方で、必要な一般会計からの繰り入れ措置も造林、林道その他の行政的経費ということで考えておりますが、その場合に、先生計画とおっしゃいましたけれども、見通しというようなことも含めておっしゃっているのじゃないかと思うのでございますが、その見通しを立てるについては計算が確かに必要でございます。
 しかしながら、その計算なり試算を行う場合には、まず収入の多くの部分は木材収入でございます。現在も木材収入は二千億円近くあるわけでございますが、ただし今後は伐採量は低下させる必要がございまして、現在年間一千万立方程度の伐採量でございますが、これを九百万立方程度に落とさなければいけない。それが横ばいの数字でやってまいりたいというふうに思っております。数量的にはそうですけれども、これを金額に換算して幾らになるかという話になってしまいますと、材価の変動ということがございまして、これがまたなかなか見通しの難しい分野でございます。
 そのほか、当然要員の調整ということと人件費が絡むわけでございますけれども、これにつきましても賃金の変動がございます。またそのほか、財投資金等につきましても、利率も常に変化しているわけでございます。私どももその辺が固定できればそれなりのまた方法があるのでございますけれども、なかなか実際の問題としても、過去にも試算はいるいろいろしておりますが、この分野につきましては、我々体験を申し上げて甚だ恐縮でございますけれども、全く難しいなというふうに思っております。
 しかし、その中で経営というものを放置するわけにはもちろんいきませんし、国有林の使命に照らしまして回復を図るということが必要でございます。これは、やはり経営を預かる者としても、何としても経営の改善はいたさなきゃいけないという観点に立ちまして、種々試算もいたしましたり目標設定もいたしてやっておりますけれども、明確な見通しということになりますと難しい分野がございますので、それの提出なり公表ということは差し控えさせていただきたいということを申し上げているわけでございますので、この点についてはまことに恐縮ではございますけれども、御理解をいただきたいと思っているわけでございます。
#110
○林紀子君 今のお話を聞きますと、目標はあってもいろいろ複雑な要素があるので、計画は細かいのは出せないと言う。そうすると、一体全体この十年、二十年と区切ってやることが本当に成功するのかどうか。今度こそこれを立て直していかなくちゃいけないという固い決意を今までも伺ったわけですけれども、大変そういう意味ではかえって心配になってしまうという率直なことを申し上げざるを得ないわけです。
 それでは、そういう資料がないというか数字がないところでの御質問ですけれども、今度は大臣に伺わせていただきたいんですが、政府が今までとってきました木材の輸入自由化政策、これが国産材に壊滅的な打撃を与えたということは今までの歴史的経過を見たら明らかではないかと思うわ
けです。輸入材のシェアというのは一九六五年の二九%から八九年には七三・一%にもなっている。MOSS協議により、合板等の林産物関税が八六年には一五%、八七年には一二・五%、八八年には一〇%に下げられて、また今ウルグアイ・ラウンドでさらに下げるということが検討されているということも伺いました。ここ数年の円高も影響して、山元立木価格というのは、杉が八三年の一万七千七十六円から八九年には一万四千二百八十二円に下がっている。またヒノキは三万五千四百六十一円から三万二千三百八十四円に、松が八千七百八十七円から七千二百六十六円にと、国産材の材価というのは下がっているわけです。
 この木材価格の下落と林業経営コストの増加、こういうことにより林業経営は、民有林そして国有林経営とも苦境に陥っているのではないかと思うわけです。ですから、これにメスを入れない限り、国有林野事業そして日本の林業の再建の見通しというのは大変厳しいのではないでしょうか。木材輸入自由化政策をどう考えているか、国産材をどう位置づけるか、これをはっきりしない限り収入の面でまず崩れていってしまうのではないかと思うわけですけれども、大臣いかがでしょうか。
#111
○国務大臣(近藤元次君) 木材の自由化傾向にあるものを逆に国境措置で制限しろというようなお話でございましたけれども、今日的自由化の方向に向かってきたものを今逆に国境措置で制限をするということは、今のウルグアイ・ラウンドの傾向を見ておる限り、これを国境措置で厳しくするということは、我が国一国でなかなかやれるようなことではございませんし、大変困難であろう、そう判断をいたさざるを得ないと思うわけであります。
 ただ、戦後の過伐後植林したものがちょうど樹齢適齢期に来て、国内産材が大体需要に応じて供給できるような時代が目の前に来たかなという感じを持っておるわけでありますし、あわせてまた、この木材価格が高くなるということは、生産をする側にとっては大変こう一見非常に所得にとっては魅力のあることでありますけれども、これがコンクリート製品なりあるいは石というようなものに、他の材料に転向してしまうという可能性もまた一つは出てくるんではないだろうか、こう思っておるわけであります。一方でまた国際価格もかなり日本の国内産に価格的には近づいてきておるような状況でございますし、地球環境なりあるいは環境保全なり、木材の計画的な保全というような機運が高まっておるときでありますから、そういう意味では私は、木材価格というのはコストを下げることにもっと積極的にやって、魅力と所得を上げるという方向に向かわざるを得ないのかな、こういう感じで対応していきたい、そう思っております。
#112
○林紀子君 関連してお伺いしたいのですが、一九八七年の閣議決定で、林産物の需給見通し、これを決めましたけれども、一九八四年の木材自給率三七%に対して一九九四年には四〇%から四三%になる、こういうふうに決めたわけですね。ところが八九年が二六・九%で下がる一方になっている、こういう状況です。この林産物の需給見通しはどうしてこんなに大幅に食い違っているのか、自給率の達成というのをどういうふうに実現するつもりか、それを具体的に教えていただきたいと思います。
#113
○政府委員(小澤普照君) ただいま先生御指摘のように、私ども策定をいたしておりました林産物の長期見通しと現実の自給率、確かに乖離がございまして、そのよってきたるところでございますけれども、私どもがこの長期見通しを立てましたとき以降になりまして非常に景気の拡大も実はございました。そして、その中で木材需要そのものは拡大してまいったわけでございます。全体の需要は拡大したわけでございますけれども、その中で国産材の供給と外材との関係がありまして、実は急激な円高の現象が起きてまいりました。そういうことになりますと外材は買いやすくなるという状況に至りまして、需要が拡大した分は外材の輸入に回ったという形になっております。国産材の供給の方は年間大体現在三千万立方メートル程度でおおむね横ばいになっているのでございますけれども、外材の輸入が増加したという形での自給率という面では低下傾向にあることは事実でございます。
 この中でどのような対策を講じていくかということでございますけれども、私どもといたしましては、林業全体を取り巻く環境が厳しいという状況もございますので、当然基盤整備等を進めながら、一方でまた木材の流通加工体制の整備等につきましても今後努力もいたしまして、林産物自給あるいは国産材の需要の開発努力もしてまいりたいというように思っております。木材というものは資源的には非常に貴重でございますし、また将来的に考えますと、国外の資源の状況もやはりそれほど安心なものではないという状況もございますので、私どもがまさにこれまで育ててまいりました国産材につきましては、今後諸施策を総合的に講じまして、今回の森林法の改正もまさにそのような観点から内容の整備をさせていただきたいと思っているわけでございますが、先ほどからもいろいろ申しております諸点につきましての推進策を講じて対応してまいりたいと考えているのでございます。
#114
○林紀子君 確かに需要がふえたということはいただいた林業白書で私も見せていただいているわけですけれども、国産材の供給量そのものも林業白書で見ますと、一九八五年の三千三百七万立米から八九年には三千五十九万立米、一割近く落ち込んでいるということになりませんでしょうか。閣議決定は八七年ということですから、その前から国産材の供給量は落ち込んできていると思うわけです。それをあえて閣議決定では自給率を上げるというふうに決定をなさったわけですから、それなりの見通しというのがあったんだと思うわけです。
 円高のことも触れられましたけれども、円高というのも、もうその当時から円高傾向というのはあって、地方では工業団地をつくったけれども産業の空洞化で企業誘致ができなくなったとか借金が残るとか、いろいろ円高をめぐって大きな問題というのがもう既に起こっていた時期ではないかと思うわけです。ですから、今のようにおっしゃいましても、それは言いわけとしか受け取れないわけなんです。あえて自給率を向上するということをそのときの閣議で決めて、そしてそれがまたもとになって今度の経常事業については収入の面できちんと上げていくということも前提になっていると思うわけです。その辺というのが本当にどうなのか、もう一度御答弁いただきたいと思います。
#115
○政府委員(小澤普照君) 長期見通しは確かに昭和六十二年に策定したと記憶しておりますけれども、この策定に当たりましては、前年、前々年ぐらい、その前の二年ぐらいから実は準備をいたしておったものでございまして、確かに先生がおっしゃいましたことあるいは私がお話し申し上げましたいわゆる円高現象などはたしか六十一年ぐらいから兆しがございまして、そして急速に進んだのは六十二年ぐらいだったと思うんでございますけれども、その策定の諸調査を行いましたころはまだそれほど急速ではなかったというように記憶いたしております。
 それで、確かに六十二年ぐらいを境目にいたしましていろいろ経済の状況が変わりまして、内需の拡大もございましたり、円高の急速な進展もございまして現在のような状況になっているんじゃないかと思いますけれども、ただもう一つ、別の観点からお話を申し上げますと、国内の木材の生産力というふうに申しますか、供給力はまだ顕在化はしておらないというように考えておりますけれども、潜在的な供給力は増加しているわけでございます。戦後造林をいたしたものが、今ちょうど植えましてから二十五年から三十年ぐらいのものが多いわけでございますけれども、これらに着目いたしますと将来の供給力は格段に高まるという一方の事実がございますので、そのような中で
長期見通しを策定するということに当時なりました。ただその場合に、従来のような長期見通しを何回かやっておるのでございますが、これもなかなか予測どおりというのが難しい面もあったのでございます。
 そこで、この前のときは、新しい方式を検討するということにいたしまして、需要と供給の観点からいわゆるモデル的なものを、実は需給均衡モデルというものをつくりまして組み立ててまいりました。そしてそのときに、将来の需給につきましては、それまでの長期見通しと変えまして幅をつけたのでございます。一定の幅を設けましてやるということが新しいやり方であったわけでございます。ただし、現在はその幅よりは低下していると思いますけれども、考え方としてはやはり現実の実態も踏まえたりあるいは将来予測につきましてもその幅を設けるというような新しい方式をやろうという努力はいたしまして組み立てたわけでございます。ただ、今後につきましてはさらに推移もまだ見なければいけないのでございますけれども、需要予測というようなものはなかなか難しい分野でございますけれども、私どもは今までの経験もよく考えまして、今後さらに正確な予測とまた対応策も考えてまいらなければいけないというように思っております。
#116
○林紀子君 ですから私は、閣議決定のあったこの需給見通しの方向に向かってぜひ努力をしてほしいということをお願いしているわけなんです。
 それでは次に、経常事業での自助努力に人員整理、三万四千人から平成五年までには二万人体制にする、こういう徹底した人員削減を挙げておられるわけですけれども、衆議院の農水委員会でのお答えでは、二万人体制にするに当たって、自然体で考えておったのでは達成はもちろんできない、労使間の御協力も必要ですし、また政府全体での御協力も得てやっていきたい、こういう御答弁だったと思うわけです。
 自然体ではできないということなんですが、この人員整理については、私も、現場の労働者の皆さんの切実な声をたくさん聞いております。国鉄の労働者の首切りと同じように特別給付金というのを今回の法律で平成三年度に限り設けるということそのものが、もう退職促進、退職勧奨と言えるようなものではないかと思うわけですけれども、今回の人員整理に当たって、退職勧奨をやらない、本人の意思に背いてまで退職をしろと言うような強制は絶対にしないということをぜひここではっきりさせていただきたいと思うのと同時に、特に今通年雇用となっていない現場の労働者、定期作業員というのですか、一年全部を通して雇用はしていない、そういう人たちに、雇用どめということで、もう来なくてもいいという形で切り捨てていく、そういうようなことも絶対にないようにということもあわせて、ここは一番弱い立場の方々ですから、特にこの定期作業員の方たちというのがどういう状況になるかということをぜひ伺っておきたいと思います。
#117
○政府委員(小澤普照君) 二万人の規模への要員規模の適正化の問題でございますけれども、今までの退職の状況を見ておりますと、定年まで達して退職される方と、それから定年前におやめになる方があるわけでございますけれども、これをそのようなトレンドで見ていきますと二万人になるというふうに直接結びつかないなということが実はございます。
 そこで今回は、退職の促進措置というようなことでいわゆる退職金の割り増しということを今回の法案の中に盛り込ませていただいているのでございますけれども、このような際に、本人の意思の尊重という点について御質問があったというように思いますけれども、この問題につきましては、私ども当然本人の意思に背いて退職を勧めるというようなことは考えておりませんので、この際そのことを申し上げておきたいと思います。
 なお、定期作業員の問題に言及されておるわけでございますけれども、この辺の問題につきましては労使間ルールに基づきましていろいろと話し合いなりまた交渉なりということを通じまして適切に対応してまいりたいというように考えております。
#118
○林紀子君 適切に対応ということですと、本人がやめたくない、もっと働きたいと言ってもそれはだめということもあり得るということですか。
#119
○政府委員(小澤普照君) この問題については労使間で長い間交渉してきております。
 なお、ほかの問題につきましても同様でございますけれども、あくまでも公的な企業体という立場でのルールがございまして、その中で結論を出していくということが定まっておりますので、ここで将来のことにつきまして私が申し上げるのは必ずしも妥当ではないというふうに思っておりますけれども、労使間の折衝によってどのようにするかということを十分にお互いに検討していくべき問題だというように申し上げているところでございます。
#120
○林紀子君 ほかの二万人体制のときの、先ほど退職勧奨しない、強制しないということもやはりそれも労使間での話でそういうことになっているんだと思うんですね。でも、この定期作業員という方は特別なわけですか。
#121
○政府委員(小澤普照君) 今回法律が改正されますとまたこの問題につきましても労使間での協議、交渉というものが出てまいるというように思いますけれども、私ども基本的な姿勢としては強制にわたることのないようにということで考えているところでございます。
#122
○林紀子君 それから、平成五年までは二万人体制、その後についてはまず二万人目標のめどがつくような段階においてまた検討していくという御返事なわけですけれども、これはどういう方向で検討していくのでしょうか。昨年の総務庁の勧告では、定員内職員一万人というような言葉も出ていたわけで、一万人になるのではないかという危惧もあるわけですね。先ほど、最初に計画書といいますか年度を追った計画が見せられないというのは、勘ぐって考えたらこれも不確定要素の中の一つであって、ここに一万人というのが書かれているんじゃないかということさえ考えてしまうわけです。ですから、ここのところもきちんとお答えいただきたいと思うわけです。
#123
○政府委員(小澤普照君) 要員規模の問題につきましては平成五年度末までに二万人規模とすることを目標としているところでございます。
 その後につきましてでございますけれども、この点につきましては今後の事業量の見通しのことがございまして、これをまず踏まえるということ、それから事業の民間実行の徹底、あるいは組織全体にわたります簡素化、合理化、また事務改善等によります適切な業務運営を推進しながら厳正な要員管理を行いまして、国有林野事業の使命を果たすために必要な最小限度の要員規模とする考えでございます。
 それでは、この必要最小限の要員規模でございますけれども、これにつきましては二万人規模達成の見通しがついた時点で検討する考えでございまして、具体的には今後の事業量の見通しなり民間実行の徹底、組織全般にわたる簡素化、合理化、事務改善等を踏まえまして、これは繰り返しになるようで恐縮なのでございますけれども、検討、実現していく考えでございます。
#124
○林紀子君 続いて、今回は二万人体制にする、その中で組織機構も大合理化が行われるということですね。本庁については徹底した見直しを行いその簡素化、合理化を図る、営林局についてはこれも徹底した簡素化、合理化を図る、営林署、担当区は三分の一程度を統合する、事業所については存置することが必要な治山事業所を除き廃止する。人員を三万四千人から二万人にするわけですから機構の方も大幅にこういうふうにいじるわけでしょうけれども、こういう大合理化をやって本当に国土保全ということができるか、林業振興ができるか、また地域経済にどんな大きな影響があるのか、その面で私は大変心配をするわけです。
 山村振興法の目的では、「山村における経済力の培養と住民の福祉の向上を図り、併せて地域格差の是正と国民経済の発展に寄与することを目的とする。」というふうにうたっておりますし、また過疎法でも、「これらの地域の振興を図り、もつて住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与することを目的とする。」というふうにそれぞれうたっているわけですが、いただきました資料によりますと、営林署支局の所在地でこの山村振興法で指定されている地域が二百七カ所、過疎法での指定地域というのが百四カ所にもなると。もちろん重複しているところがあると思いますから、これが全部プラスするだけの数ではないと思いますけれども、それでも三百にも上るような市町村が今回の対象になるということではないかと思います。林野庁のこうした組織の縮小というのは山村の振興ということにも大変重大な影響を与えると思いますけれども、その辺はどうお考えになっていますか。
#125
○政府委員(小澤普照君) 私どもこれから国有林の経営を立て直していきたいという中で、組織の簡素化なりあるいは再編整備という問題は避けられないわけでございますけれども、ただこの際に、営林署等国有林野の管理経営組織というのは、その存在というものが期間的にももちろん長いこと続いてまいりましたし、また地域社会に果たす役割も大変大きいわけでございます。
 地域と密接な関係を保ってきたということは十分に私どもも認識しているわけでございまして、したがいまして、今後営林署等の組織の見直しに当たりましては、それぞれの地域におきます社会的なあるいは経済的な事情でございますとか、あるいは地元の住民の方々の意向も考慮していかなければならないというように考えているわけでございます。しかしながら、その中での組織の再編整備でございます。この際にはやはり地域に与える影響というものを最小限に抑えるということが必要かと思っておりますし、これらの方策等につきましては今後多角的に検討いたしまして適切な対処をさせていただきたい、このように思っているのでございます。
#126
○林紀子君 この特別措置法についてもっとお聞きしたいところがあるんですが、森林法のことについてもうお聞きする時間がなくなりましたので、最後に一つだけお聞きしたいと思います。
 今度の森林法では分収育林裁定制度というのが新規に導入されておりますけれども、その発動要件として、引き続き放置されれば土砂の流出等の災害の発生のおそれがある場合と、かなり抽象的な要件だと思うわけなんですね。これは非常に私権を制限するものですので、もっと具体的な厳格な要件が必要だと思いますけれども、その辺についてはどう考えているのか、最後にお聞きしたいと思います。
#127
○政府委員(入澤肇君) 間伐や保育が実施されないまま放置されますと立木が込み合いまして林内に光が差し込まなくなる、その結果下床植生が消滅する、それから林内に成長衰退木や破損木が発生してそして表土の流亡が生ずる、そこに豪雨が来ますと土砂の流出とか崩壊等の災害が起こるということで、それにどう対応するかというのが今回のこの分収育林裁定の制度でございます。
 今回、森林法改正に伴いましてその分収育林の契約の締結に裁定という制度を設けたのは、今申しましたような事態に対応するために設けたものでございまして、市町村長による間伐とか保育の実施勧告等いろんな制度が今ありますけれども、それをやってもなおかつ実施されないという状況がございまして、それに対応するために設けた最終的な担保措置でございます。
 したがいまして、裁定に当たっての要件も法文上はそのことが明確になるように、引き続き間伐とかまたは保有が実施されないことにより土砂の流出または崩壊その他の災害を発生させるおそれがあるということを規定したわけでございます。
 具体的には、林分密度等によって過密度を客観的に判断するということ、それから現地の森林の状況とか、当該森林の周辺地域における類似災害の発生状況とか、地形とか地質、気象等の自然的条件につきまして十分現地調査等を行いまして、また必要に応じまして専門家の意見を聞いた上で、具体的な基準をこれからつくってまいりたいというふうに考えております。
#128
○委員長(吉川博君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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