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#1
第120回国会 農林水産委員会 第8号
平成三年四月十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     谷本  巍君     西野 康雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川  博君
    理 事
                青木 幹雄君
                北  修二君
                谷本  巍君
                細谷 昭雄君
                井上 哲夫君
    委 員
                大浜 方栄君
                鎌田 要人君
                熊谷太三郎君
                鈴木 貞敏君
                高木 正明君
                成瀬 守重君
                初村滝一郎君
                星野 朋市君
                上野 雄文君
                大渕 絹子君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                村沢  牧君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                橋本孝一郎君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   近藤 元次君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産省食品
       流通局長     馬場久萬男君
       林野庁長官    小澤 普照君
       林野庁次長    入澤  肇君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
   参考人
       山形県金山町長  岸  宏一君
       東京大学名誉教
       授        大内  力君
       愛媛大学農学部
       教授       村尾 行一君
       全国森林組合連
       合会常務理事   山本 博人君
       森林関連産業労
       働組合連合会書
       記長       小塚  茂君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○森林法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○食品流通構造改善促進法案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(吉川博君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。
 本日は、両案につきまして、お手元の名簿にございます参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところを本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案及び森林法等の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の本委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じております。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。
 御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十分以内とし、その順序は、岸参考人、大内参考人、村尾参考人、山本参考人、小塚参考人の順とさせていただきます。参考人の方々の御意見の開陳が一応済みました後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、岸参考人からお願いをいたします。岸参考人。
#3
○参考人(岸宏一君) 私は、山形県金山町の町長、岸でございます。このたび本委員会に参考人として陳述の機会を得ましたことをまことに光栄に存じます。
 私は、金山杉の美林ということを町のキャッチフレーズの一部として町づくりを進めている立場から、今回の法改正について所見を述べさせていただきます。
 最初に、私の町が森林を生活基盤としている町であることを御理解いただくため、町の概要について説明させていただきます。
 我が町は、山形県の最北端に位置し、奥羽山脈に囲まれた県境の町であります。人口は七千九百四十八人、世帯数は千七百九十七戸、そのうち林家戸数が千八十八戸と全体の六〇%の世帯が山林を所有しております。また、町の総面積は百六十一平方キロメートルで、そのうち森林面積が七九%を占める純山村であります。また、森林面積の五五%が国有林でありますことから、国有林と深いかかわりを持ちながら生活を営んできた町でもございます。
 我が町の林業は、その歴史は古く、二百五十年ほど前の享保年間に杉の植林が行われております。昭和三十年代までは蓄積量が日本一と言われた一ヘクタール当たり一万石の杉林がありましたし、現在でも樹齢二百年を超える杉の美林が残っております。このように、杉の生育に適した自然条件に恵まれていることから、現在の人工林率は五五%と山形県平均の三七%を大きく上回っておりますし、生産目標を八十年とする長伐期施業により優良材生産を行っております。
 私は、林業の振興を図るためには、森林・林業に携わる者はもちろん、木材、住宅などの関連産業を含めたあらゆる立場の方々、すなわち川上と川下が一緒に考え、一緒に取り組むことが肝要であると考え、施策を講じてまいりましたので、二、三紹介させていただきます。
 一つは、当町は大工さんが多い町として知られておりますが、この方々の建築技術の向上を図るため、十年ほど前から住宅建築コンクールを実施してまいりました。これが契機となり、金山杉を使い、金山の職人が建てる産直住宅が首都圏などで好評を得ているところであります。二つ目は、街並み景観条例を制定し、自然と調和した木造住宅を推奨し、金山杉の消費拡大を図っております。三つ目は、木材の消費拡大を図るためには、
産地の人々が木の持つよさを認識することが大切であると考え、公共施設の建築に当たってはできるだけ多くの木材を使用することとしております。特に教育施設については、木の持つぬくもり、優しさ、安らぎなどが児童生徒の情操教育に役立つと皆さんから喜ばれているところであります。四つ目は、豊かな自然を生かし町の活性化を図るため、国有林の御協力を得て森林浴の森、交流の森、実りの森を整備し、都市住民との交流促進を図っております。
 しかしながら、当町も過疎の進行に伴い、林業労働力はこの十年間で二九%減少しており、また就業者も七〇%が五十歳以上と高齢化してきております。また、林家の一部に経営意欲が減退し、保育が適切に行われない森林が見受けられますことは大変残念なことであります。このような事態を緩和するため、一市七町村で広域市町村圏組合を設立し、広域圏で取り組むこととし、昭和五十九年にグリーンコンビナート構想を策定し、戦後に植栽された間伐材の有効利用を図るため、第三セクターによる単板積層材製造工場を誘致し、生産、販売をしておるところであります。
 さて、森林法の改正についてでありますが、長年不振にあえぐ林業の活性化と森林に対する国民の諸要請にこたえるため、民有林、国有林を通じ、流域を単位として森林整備水準の向上と森林施業の条件整備などを計画的に推進することを改正の柱といたしておりますことは、山村の振興にも大きく寄与するものと期待しているところであります。
 これらを実現するために、まず森林計画制度が改善され、民有林、国有林が同一の地域森林計画区において連携を密にし、計画が樹立されますことは、今後の国産材時代に向け木材の安定供給体制などの整備や森林の持つ多様な機能の発揮を図る上で有効に作用するものと考えます。また森林施業の合理化を図るため協業化、機械化の促進に関する事項が追加されたことにより、計画的な森林整備と低コスト林業を推進する上でも重要であると存じます。
 森林整備事業計画についてでありますが、造林事業と林道事業は、森林を維持、培養する上で不可欠のものでありますが、林業をめぐる情勢が極めて厳しく、林業生産活動は著しく停滞しております。このようなときに造林・林道について投資計画が策定されますことは、山村、林業に大きな光を与えるものであり、まことに時宜を得たものであると存じます。
 市町村森林整備計画は、従来の計画事項に協業化、機械化の促進、担い手の育成が追加されたわけですが、市町村が地域の実情に応じてこれまで以上に森林の整備に積極的に取り組むようにとの趣旨かと存じます。しかしながら、山村は財政基盤が脆弱でありますので、これらを推進するに当たり所要の援助措置を講じていただくよう強く要望申し上げます。
 林地開発許可制度の改善において市町村長の意見聴取が定められますことは、自然と調和した町づくりを進めております私どもにとりましては、地域住民の意向、実態調査に基づき節度ある開発行為に誘導することができ、環境保全、災害防止、水資源の確保の面からも望ましいことと存じます。
 複層林・長伐期施業を促進するための特定森林施業計画につきましては、伐採目標年を八十年と定め、長伐期施業を推進しておる当町でございますので、このような制度が創設されますれば一層の励みになるものと考えます。
 次に、国有林野事業改善特別措置法の改正についてでございますが、私の町も含め新庄市ほか七町村で構成される最上地方の森林面積の七五%は国有林でございます。このため、当地域の活性化を図るためには国有林の再建が不可欠でございますので、早急に改善策が講ぜられることを要望いたします。
 以上、私のつたない意見を申し述べましたが、今回の改正が国民の要請にこたえられ、多様な森林の整備と国産材時代を実現するための諸条件が整備され、山村・森林・林業の再生のため大きく貢献するものと確信し、両法の改正案に賛意を表し、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#4
○委員長(吉川博君) どうもありがとうございました。
 次に、大内参考人にお願いをいたします。大内参考人。
#5
○参考人(大内力君) 大内でございます。
 今回の問題は二つあるわけでございまして、森林法等の改正の問題と国有林野事業の再建の問題でございます。時間が大変限られておりますので、ごくはしょって要点だけ申し上げます。足りないところは後ほどまた御質問でもいただきまして補わせていただきたいと思います。
 この森林法等の改正につきましては、私も基本的には賛成でございまして、従来から我々は、森林計画というものは地域ごとに国有林とか民有林とかいう所有権の枠の中で別々にするのではなくて、地域を一体とした総合的な計画を立てるべきだ、こういう主張を長年やってきたわけでございまして、それがようやく実現を見るということになりましたことは大変賛意を表したいと思うわけでございます。そこで、全体としては余り異論はございませんが、やや細かい二、三の点につきまして若干の感想がございますので、御参考までにそれを申し上げたいと思います。
 一つは、森林計画の作成の問題でございまして、今回の法改正の中で一番重要な点は、地域森林計画を作成するという段階だと思います。これにつきまして、その上に全国森林計画というものがつくられるわけでございますが、これの運営を十分にうまくやっていただくということが必要だろうと思います。もしその全国森林計画の方がいわば中央集権的に、天下り的につくられるということになりますと、地域森林計画なるものが十分に生きたものにならない。したがって、全国森林計画をつくる前に地域森林計画をきちっとつくって、いわば下から積み上げる形で全国計画をつくっていく、こういうような手続なり配慮が必要ではないかと思います。それから、地域森林計画をおつくりになる場合には、国有林につきましては営林局長等、民有林につきましては知事が責任を負うということになっておりまして、この両者が協議をするということになっているようでございますが、これも十分にお互いに意を通じ合って、一方が一方に押しつけになるというような運営がないように、そういう運営方法を望みたいということでございます。
 それから第二番目の問題は、間伐、保育等の適正実施の促進のために、手入れをしないような、あるいはできないような山林所有者のところについて分収林の権利を強制設定する、こういう規定がございます。これも大変うまくいけば望ましいやり方だと思いますけれども、ただ心配いたしますのは、従来からこういう手法は農地につきましても林地についても行われております。先生方よく御存じだと思いますが、農地につきましては特定利用権の設定という制度がございます。それから、山林と申しますか、これにつきましては畜産等の利用のために必要なときには利用権の設定ができる、こういう法律があるはずでございます。しかし、私の知っているところでは恐らくこの二つは一件も動いたことがない、完全に死に法になっているというふうに了解しております。したがってこの問題は、ただ規則をつくっただけではなかなか動かないわけでございまして、地元の了解を十分に得ながら、これに本当にこの規定を生かして使えるようなそういう施策が必要だということを申し上げたいわけでございます。
 それから三番目は、今、岸町長さんもお触れになりましたが、開発規制でございます。これにつきましては国有林は除外されているわけでございます。国有林の開発という問題につきましてはこれは国の仕事だからということで別になっておりまして、民有林の開発についてのみ町村長等の意見を聞く、こういうことになっておりますが、国有林といえども地元の意見を聞かないで開発をす
るということは大変望ましくないことだと思います。そういう意味で、私はこの開発規制には国有林の場合についても地元の市町村等の意見を十分にお聞きになって、そして地元の意向に従って開発をお進めになる、こういうことをぜひお願いしたいと思うわけでございます。
 それから最後に、これは制度としては以上申し上げましたように賛成でございますけれども、この中身を本当に生かしていくためには、受け皿と申しますか、これを担当してやっていく山林所有者あるいは山林の労働者あるいは農山村の住民というものが健全な形でなければ、せっかく制度をつくってみましてもいわば抜け殻みたいになってしまって動かなくなるということは申すまでもございません。
 後でもう一度立ち戻りますが、今日日本の山村は危機的な状態にございますし、林業に至りましてはほとんどもう労働力を失っております。残っている人たちは高齢化しておりまして、我々はあと十年日本の山林労働力がもつかどうかということを大変心配しております。そういう状態を前提としてただいかに制度をつくってみましても制度は動かないわけでございまして、これから皆さんにぜひお考えいただきたいのは、中山間地帯の地域をいかに振興し、そこにいかに人々を定住させて、十分な生産活動、経済活動そして生活が保障できる、こういう制度をぜひ精力的に御研究いただき御開発いただきたい、こういうことを希望したいと思うわけでございます。
 それから、次の国有林につきましてはこれは大変大きな問題がございまして、私はいろいろな疑問を持っております。これも時間がございませんからごく簡単に申しますが、一つは累積債務、これを別会計にしてそして処理方法を二十年かかって考える、これは一つの前進でございまして賛成でございますけれども、ただ累積債務の処理の仕方として、基本的に従来と同じように、一つは国有林野事業の財産、土地なり森林なりを処分するということによって二兆円の中の半分以上を捻出する。それからもう一つは経営合理化、特に人減らしによって問題の解決を図る、こういう従来と同じ手法が踏襲されていると思います。
 しかし、これは過去に二回既に改善計画が行われましたが一度も成功しなかったわけでございます。特に累積債務の処理のために土地その他を売却するというような大変大きな問題がございまして、森林の場合には、一つ間違いますと乱開発を招くというおそれがございますし、それから仮に都会地の財産を処分するという場合でも、これはやはり都市計画なり地価問題なり極めて周辺の重大な問題があるわけでございまして、債務処理の方が先行されて土地売却が行われるというようなことになりますと、日本全体の国土利用という点に極めて遺憾な結果が生ずるおそれがある。その点を十分御注意いただきたいということでございます。
 それから、第二番目の人減らしの方は、これは二万人体制に減らしていくということでございまして、そして伐木あるいは撫育、それを民営化していこうということでございますが、先ほども触れましたし、後でもう一度立ち戻りますように、今や山村には受け皿になる労働力がない。受け皿になる労働力がないところを民営化すると申しましても、実際には言うだけのことで何もできなくて、ますます山が荒れてしまうという結果になるかと思います。したがって、むしろ私はこれは逆であって、今森林法等の改正によりまして地域の計画ができたならば、その地域の森林計画を生かすためには、国有林は国有林の範囲だけを問題にするのではなくて、地域の民有林まで国有林の持っております技術なり設備なりそれから労働力なりというものを援助のために使いながら地域の森林の振興を図る、こういう態度が必要でございまして、国有林の会計のために国有林の人減らしをしていくということは大変大きな問題を残すというふうに考えております。
 そこで、全体の問題として申しますと、やはり先ほど申しました山村あるいは中山間地帯の振興の問題でございまして、今日御承知のとおり、林業労働力として新規学卒で新たに参入いたします人口は年間全国で二百人しかございません。ということはほとんどゼロに近いということでございます。そして、山林労働者の大部分は六十歳を超える、森林組合の作業班におきましても既に平均年齢は六十歳を超える状態になっております。先ほど申しましたように、あと十年これがもつかどうかということが大変大きな問題になっておるわけでございます。
 もちろん、これは林業だけでは解決しないわけでございまして、山村の農業あるいは山村のその他の諸産業というものの開発が必要でございます。それからさらに、ヨーロッパで今考えられておりますように、不利益な地域につきましては特別の定住政策というものを用意しなければ日本の中山間村というものは崩壊に至るだろうと思います。この点をこれから一つ大きな施策としてぜひ皆さんにもお考えいただきたい、こういう希望を申し上げまして、簡単ではございますが意見とさせていただきます。ありがとうございました。
#6
○委員長(吉川博君) どうもありがとうございました。
 次に、村尾参考人にお願いをいたします。村尾参考人。
#7
○参考人(村尾行一君) 結論から先に申し上げます。欲を言えば切りがないんですが、森林・林業・国有林というものに対する現状の日本のいわゆる有識者、マスコミ、一般国民の関心の程度、理解の水準等を考えますと、今回の二法改正案は高く評価できるものと思っております。
 そう考えるゆえんをまず森林法改正点から申しますと、第一に、近代的な森林利用にとり必須のものである森林計画がようやく国有林、民有林一体のものとなりました。ちなみに林業最先進国であるドイツ等では、国有林、民有林を統一的に管理経営する統一営林署制度があるくらいです。これでようやく日本も最先進国に近づきました。そして、道路、土地改良等には投資計画、実施計画が法制化されているのに、林業については従来それがありませんでした。今回の改正でようやく制定されるわけで、それが森林整備事業計画です。ドイツなどでは森林機能計画というものがありまして、これは林業はもちろん、都市計画、交通計画等いやしくも森林、緑に関係するすべての事業が従わなければならぬ上位計画なのです。この意味でも、本改正で日本がドイツなどのレベルに一歩近づけるわけです。
 第二に、この森林計画等の策定、変更が閣議決定を要することになります。換言しますと、森林計画等の実施は単に農林省だけの責任ではなく政府全体の責任となったことです。これは国有林経営改善でも見受けられる一貫した姿勢であります。
 第三に、これも国有林改善に関連することでありますが、林業従事者の養成確保を追加したことであります。このことは、ドイツなどではつとに国の義務として森林法に明定されています。この担い手に関連して言えば、今次改正での、所有者が正常な森林経営をなし得ない場合等の施業代行制度、施業実施協定制度の創設と分収林制度の強化も同じ文脈のものでしょう。
 第四に、森林経営の現場に最も密着した行政機構である市町村の役割を高くしたことです。市町村森林整備計画という制度が初めて制定されました。このことによって森林計画等の策定と実践、見直しが地に足のついたものとなりましょう。
 第五に、特にこの市町村計画を軸に、いわゆる川上と川下との連携強化を法定したことです。例えば、川下の自治体との森林整備協定締結、林産物利用促進のための施設整備。そして林政審答申では、森林組合等だけではなくて加工流通事業体をも流域林業活性化の推進母体としています。
 これまでの森林法は狭い意味での森林経営だけを対象にしてきたと言って過言ではありません。だが、木材等の需要者、森林の保全機能、レクリエーション機能の受益者である川下との連携を抜きにしては、正統な森林計画の策定も森林経営の
発展もあり得ません。これも国有林野事業の経営改善と表裏の関係にあることですが、総体としての日本の林業は商品生産者として甚だ未成熟であります。それは一言で言えば川下との連携の微弱さということです。商品とは使う者にとっての使用価値なのでありますから、川下、エンドユーザーの動向、ニーズを把握しなくてはまともな森林経営は成立し得ないのです。
 第六は、森林の持つ多様な機能を発揮させるという姿勢であります。欧米では多機能林業こそ本当の林業であるというコンセンサスが確立しております。本改正では、例えば特定森林施業計画の創設、また例えば林地開発許可制度で単に「森林の周辺の地域」だったものを「森林の当該機能に依存する地域」と改善したこと等からもわかります。これはドイツの森林機能計画に相通じるものがあります。
 次に、国有林野事業改善特別措置法の改正点についてですが、これも森林法改正と同じ意味合いで肯定的に受けとめております。
 第一に、国有林の収支改善でありますが、結論的に申しますと、少なくとも単年度収支の均衡、さらには黒字化は決して困難ではないと私は自信を持って申し上げられます。その詳細は時間がないので省略いたします。
 ただ、これまでの累積債務や経営の正常化に伴う退職手当等が重荷になっております。まさにこの点について、さらには造林・林道・森林管理等の費用について一般会計から支援するという今回の改正はありがたいことです。しかも、このことが閣議了解になっていること、換言すれば農林大臣だけではなくて、首相を初め大蔵大臣まで責任を負うということになっているのはありがたいことであります。
 ただし、ここで私が要請したいことは、国立公園等の自然保護、良好な風致保全、レクリエーションといった森林の重要な機能、特に社会の現代化につれて特段に重要化するこれらの機能について一般会計から、直接的には環境庁、文部省等こうした事項を所管している省庁から国有林に正当な対価を支払うべきだということであります。
 国立公園、自然保護地域等というものは、単に地図の上に線を引けばできるというものではありません。欧米先進国はもちろん、ユーゴスラビアやインドネシア等においても、こうした施設とは、各公園等ごとに実行力のある管理機関、専門的職員が配置されていてこそ、それに期待されている機能、サービスを発揮し得るということが常識になっております。例えば、ドイツでは国立公園が農林省林野局直轄の、営林局とほぼ同じ権限を持つ国立公園署によって管理運営されております。ところが、我が国ではそうではありません。国立公園等の大部分を管内に設定されている国有林が自分の所管から外されていながら、しかもなけなしの金を使ってその機能を支えているのです。
 第二に、担当区と事業所とが合体されることになりますが、これは正常なことでございます。伐木事業等を担任する機関として事業所を設けていたこれまでの制度は臨時的、特別措置的なことでして、ドイツ等では元来営林区と仮に訳しておく機関が統一的に担当しています。
 第三に、国有林の具体的作業を直営直用で行うという制度には、私は大学院学生のころから反対でした。それは日本林業の実情からすると、技能者を国有林が囲い込むことになるからです。私は、超経営体的な、場合によっては超地域的な技能者集団を組織し、それが国有林、民有林の別を問わず林業作業を担うことが最善のシステムだと思っております。そして、この場合の技能者は、造林しかできないとか伐採しかできないとかといった人間ではだめということはもちろん、いずれも世界的に重要化している風致造形から森林における林業と農業との複合生産の担い手になることまでを実践できる人間でなければなりません。ありがとうございました。
#8
○委員長(吉川博君) どうもありがとうございました。
 次に、山本参考人にお願いいたします。山本参考人。
#9
○参考人(山本博人君) 全国森林組合連合会常務理事の山本です。
 参議院農林水産委員会の先生方には、我が国の森林・林業の振興、発展のため御尽力を賜り、さらに私ども森林組合系統組織に対しても格別の御指導と御高配をいただいておりますことに対し、衷心より厚く御礼申し上げます。
 御案内のように、森林組合は明治四十年の森林法改正で制度化され、自来八十有余年にわたりまして森林の造成、国土の保全等を実施してまいりました。
 しかしながら、今日の状況を見ると、我が国の森林・林業は、資源的には一千万ヘクタールに及ぶ人工林が成熟期を迎えようとしている中にあって、国産材の供給率は二六・九%となっており、製材品を中心とする外材の圧力はますます強まろうとしております。加えて山村の過疎化、林業就業者の減少と高齢化等、国の内外を問わず森林・林業をめぐる情勢はまことに厳しいものがあります。
 このため私ども森林組合系統では、平成二年度より、人づくり、経営基盤づくり等を通じまして林業の活性化、山村振興を図るため「森林(もり)と人いきいき運動」を展開しております。
 しかしながら、自助努力にはおのずと限界があり、国及び地方公共団体の御指導、御支援に期待する点は非常に大きいわけでございます。その意味で今回の国有林野事業改善特別措置法及び森林法等の一部改正に係る法案が国会に提案されたことは、まことに時宜を得たものと高く評価しているところであり、せっかく発言する機会をいただきましたので、森林整備を担う森林組合系統の立場で意見を述べさせていただきます。
 それでは最初に、国有林野事業改善特別措置法の改正案について意見を述べさせていただきます。
 国有林野は七百六十万ヘクタール余で全国の森林面積の三割を占め、林産物の安定供給、水資源の涵養、国土保全等に極めて大きな役割を果たし、さらにはそれぞれの地域の振興に寄与してきたことはよく知られております。
 しかしながら国有林の多くは奥地に所在するため保安林指定面積が三百九十五万ヘクタールと国有林野の過半数を占める等制限林が多く、その経営は民有林と比べて一段と厳しいものがあると考えられます。累積債務が二兆円を超える厳しい経営環境の中で、時代の要請、地元市町村等の期待にこたえるべく今回の改正案が提案されておりますが、この中で注目されるのは次の二点と考えられます。
 第一は累積債務対策が講じられることになったことであります。すなわち経常事業部門の経営の成果を明確にして経営改善を促進するとともに、資産処分収入を優先的に累積債務処理に充当するため、累積債務を経常事業部門と区分する措置がとられていること、また一般会計からの繰り入れ対象を償還金にまで拡充していることであります。
 森林組合系統としても、森林造成あるいは木材の生産販売等で国有林野事業と深いかかわりを持っておりますし、地域振興の面でも雇用機会の増大等地元への影響は極めて大であります。所要の財政措置等を得、早急な経営改善を強くお願い申し上げる次第であります。
 第二は林野・土地等の資産の見直しについてであります。徹底的に見直しを行い、資産処分による収入を累積債務処理に充当することはやむを得ない措置と考えております。しかしながら、今後国有林に限らず森林に対する要請、期待はますます高まることが予想されますので、林野・土地の処分に当たりましては、森林の有する公益的諸機能に支障を来さないよう特段の御配慮を強くお願い申し上げます。
 次に森林法等の一部を改正する法律案についてであります。
 まず第一は、国有林、民有林を通じて、流域を
単位とした森林計画への改善措置についてであります。従来国有林、民有林とも全く別々の体系で森林計画をつくっておりましたので、ややもすると相互調整不十分という事態を来すことが間々ございました。今後国有林、民有林が一体となって計画を編成するならば、おのおのの機能を相互に補完し合い、森林整備の推進、木材生産における需給関係への対応等の点でそのメリットははかり知れないほど大きく、地域林業の振興を支える大きな力となるものと期待いたします。
 第二は、森林整備事業計画の導入についてであります。治山事業と並んで林野三公共と言われながら、造林及び林道については投資計画がなく、この二事業の計画的実施は全国の林業関係者にとって長年の宿願でありました。森林整備の基本は造林事業であり、多様化する国民的な森林に対する期待にこたえるためにも、その重要性はさらに高まるものと考えられます。また林道につきましても、来るべき国産材時代への対応、高性能機械の導入によるコスト削減等のためにもその整備拡充が望まれます。
 第三は、全国森林計画等一連の計画体系において、森林施業の共同化、林業機械化の促進、林業就業者の育成等施業の合理化が計画事項に盛り込まれていることであります。国産材時代を展望するとき、特に林業従事者をいかに確保するかが最大の課題であり、このための推進体制が明確にされていることは前進であります。
 また、今回市町村の役割強化が図られておりますが、おのおのの地域における林業行政の推進に当たり、市町村長が責任ある立場からより実効性のある森林整備計画を樹立することは時宜を得たものと考えております。ただしこの計画樹立に当たっては、私ども森林組合系統はもとより川上、川下を含めた林業関係者の意見を十分に反映させていただきたいと考えているところであります。
 私ども事業実行部隊と市町村は地域林業振興の車の両輪とも言えるものでありますので、今後とも市町村との協調を図りながら両々相携えて林業振興に遇進したいと考えるものであります。
 第四は、特定森林施業計画制度の創設についてであります。我が国の一千万ヘクタール余に及ぶ人工林は、その過半が育成途上の森林であり、齢級構成にも偏りが見られます。このため、森林の公益的機能の観点からも、将来の木材供給安定化の面からも、伐採年齢の長期化、複層林施業を進めて齢級構成の平準化が強く要請されております。
 これへの対応として、特定森林施業計画が創設されますことはまことに心強い支援であると受けとめております。あわせて、この創設に伴って金融、税制面でも措置されておりますことに対し心より感謝申し上げるものです。
 最後になりますが、このほかにも森林計画制度における施業代行、林地許可制度の改善、上下流の森林整備協定等が措置されております。
 長い年月にわたり、山村に住む林業関係者が営々として森林づくりを進め、日本の緑を守ってまいりましたが、関係者だけの努力も限界に達し、森林・林業そして山村への理解を求めつつ、広く国民各層からの御支持のもとに、国民一人一人みんなの森林づくりの観点からさまざまな取り組みを行っているところであります。
 その意味で今回の措置は、森林整備への幅広い支持を求める点から大きな前進であり高く評価するものであります。
 今回の二法案につきましては積極的に賛成するという立場であり、早期成立、施行を心よりお願い申し上げ、私の意見といたします。
#10
○委員長(吉川博君) どうもありがとうございました。
 次に、小塚参考人にお願いをいたします。小塚参考人。
#11
○参考人(小塚茂君) 森林労連の小塚でございます。
 このたびは、民有林並びに国有林で働く者の立場から参考人として意見を述べる機会を与えていただいたことに対しまして感謝申し上げます。私はこの際、林業労働力問題、国有林野事業の再建、健全化、民・国一体の森林づくりの三点について意見を述べます。
 第一ですが、農山村の過疎化と高齢化が進行するに伴って、森林・林業を支える林業労働者は減少、高齢化の一途をたどりまして、林野庁の調査によれば、ここ数年後には労働力確保が困難で事業を維持できないと答えた組合組織が約七割に上ると言われております。八五年に十六万五千人、九〇年に十一万人、さらに十年後にはこれが約半減もするだろうと言われておりまして、しかもその七〇%が五十代以上と推定されているわけであります。
 若者はいわゆる三K職場を避ける傾向にありますが、林業の場合は、危険、汚い、きつい、雇用不安、給料が安い、休暇が少ない、格好が悪い、暗い、屋根がないというように八K一Yであります。このようなことから、来るべき国産材時代を展望いたしまして活力ある森林づくりを目指すこのたびの森林法改正等による新しい林政の展開も、その成否は労働力対策にあると考えています。
 昭和三十九年林業基本法が制定される中で、担い手の社会的経済的地位の向上がうたわれて以来、幾度か林政審の答申などが行われまして、労働力確保対策等が強調されていますが、実効が上がらないばかりか、今申し上げましたように林業労働力問題はますます深刻になっております。これは民間や事業体任せではなく、政府挙げて実効性ある施策を講ずる必要性を示していると考えます。例えば、国みずからの経費と施設などを活用して、仮称でありますけれども、「林業労働力学校」を開設するなどが必要と考えております。
 このたび、全国森林計画や地域森林計画などに労働力対策を組み込むことは評価できますが、林政審議会の答申が示した労働基準法の完全適用、社会保障の完全適用、月給制化、定休日化などの実現について、国としてどうバックアップするのか明確でないことが残念な点であります。この場合、コスト、経費にかかわってぜひ参考にしていただきたいのは、平成元年十月に総理府調査の「森林と生活に関する世論調査」の中で、「森林はたとえ経済効率に合わなくても、国土保全、災害防止などの役割を重視して整備すべき」との答えが実に七九・三%もの高率であるところに着目をしていただきたいと思うのであります。
 第二に、国有林野事業では、昭和五十三年以来改善計画を策定いたしまして、五営林局の支局化、三十五の営林署の統廃合、担当区四百六十六カ所、事業所五百七十三カ所もの廃止などと、実に三万人余の要員を縮減するなど合理化を進めてまいりました。こうした合理化は、農山村や地域経済を疲弊させ、過疎の要因にもなったことも否定できないのではないかと思っております。また、国有林労働者は国家公務員でありますが、定員内職員でも一般公務員と賃金で一二・八%もの格差がありますが、私たちは歯を食いしばって再建に努力をしてまいりました。しかし、合理化だけは計画どおり進行したにもかかわらず、肝心の再建のめどはなかなか見出しがたいところまでに至ったわけでございます。
 けれども、国内外両面からますます重要になっている森林・林業、その中での国有林野事業の本来の使命を果たすために早急に再建の方向を見出さなければならないときに当たり、関係各位の御努力によりまして、このたび再建の方向を見出すべく法律改正が行われることは、これを評価し、御礼を申し上げたく存じております。
 しかし国有林としては、ますます高まる森林に対する国民の多様なニーズにこたえるためには、公益機能に対する国の助成が欠かせないわけであります。特に、民間活力になじみにくく収益の上がらない、例えば教育森林の山案内人などにも今後十分国政の日を当てていただくようにお願いをいたします。
 一般会計からの民有林並みの助成については、項目的には実現いたしましたが、金額的にもバランスがとれるように特段の御配慮をお願いいたします。
 さきに述べたように、今後の林政展開の中で労働力確保は重要でありますが、この林業労働力対策の一環として組織と要員を持つ国有林野事業は、我が国森林・林業のリーダーとして、国有林野事業がみずから行うべき主要事業はもとより、林業技術の開発、普及、保全、伝承などに役割を果たすべきと思っております。それがまた払底する林業労働者対策にもなると確信をいたしております。
 最後に、一つだけ簡単に述べます。
 第三の問題ですが、民有林、国有林一体の全国森林計画や地域森林計画の編成は、私たちが従来から主張してきたことでありまして賛成でございます。この場合、森林計画の一元化のみでなく、人的、施設、装備などについて国としてどうかかわるのかについて積極的に検討すべきだと考えております。
 以上であります。
#12
○委員長(吉川博君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
 それでは、これより参考人の方々に対して質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#13
○谷本巍君 参考人の皆さん、大変お忙しいところを本日はありがとうございました。
 初めに、山形県金山町長の岸宏一さんに伺いたいと存じます。岸さんからは産直住宅、そして公共建築について木材の使用などの消費拡大やそれから森林浴の話など大変興味の持てるお話を紹介いただきまして、ありがとうございました。
 今回の森林法改正案では、市町村の役割が強められるということが大きな特徴だろうと存じます。これまでの森林行政は森林組合重点であったことから見て、大きな前進ではないかと私は思います。しかし、今回の法改正では、森林整備計画、そして森林整備協定、さらには特定森林保全区域の保全、間伐、保育の実施の勧告などのため、調査、計画、編成、管理など、新しい仕事が市町村に出てくるということになってまいります。先ほどの岸さんのお話の中でも、整備計画を進めていく上には財政基盤が市町村は弱いので助成をというお話がございました。
 そこで、私伺いたいと存じますのは、林業にかかわる専任の係や課を設けている市町村が全国で七百八十九と聞いておりますが、こうした新しい財政需要の負担に市町村が耐えられるのかどうか、その辺のことについてもう少し詳しく御意見を示していただければ幸いと存じます。
#14
○参考人(岸宏一君) 確かに、この法律改正によりまして市町村の役割というものは非常に多くなるということはおっしゃられるとおりと思いますけれども、このごろの市町村の職員の質も非常に上がっておりまして、また我々町づくりをしていく上で、行政あるいは議会、住民ともに森林あるいは林業のそういった重要性ということには非常に理解が高まっておりますし、またそれに対する見識を持った皆さんが山村にはたくさん住んでおられます。
 したがって、それぞれの行政職員もこれらのノーハウと申しますか、知識というものを非常に勉強しておりますので、私どもとしては確かに財政は苦しゅうございますから、できるだけ国からの財政の援助をいただきたいのは当然でございますけれども、事務量とかそういう点から申しまして、これからのさまざまな課題に十分対処していくことができるというふうに確信をいたしておりますし、むしろ先生方の御努力によって、森林・林業に関する市町村の仕事がたくさんふえますように特段の御活躍をお願いしたい、こういうふうに思っております。
#15
○谷本巍君 続いて、東京大学名誉教授の大内力先生に伺いたいと存じます。
 今回の法改正については基本的には賛成であるという先生の結論でございまして、運用の中でどういう点に配慮すべきかということにつきましては、先ほど先生から地域ごとの計画、そして下からの積み上げ、さらにはまた官民協力という点では、一方が一方に押しつけにならぬようにといったような具体的なお話がございました。さらにはまた、先生から根本的な対策問題としまして、累積債務対策の問題から中山間の定住対策についても御意見をちょうだいしたところでございます。
 そこで、先生に伺いたいと思いますのは次の二点であります。
 まず第一点は、先生も言及された国有林の財政再建対策であります。この点については、先生のお話にもありましたように土地や森林の売却、それから人減らしをしても限界があるということは言うまでもないわけでありまして、そしてまた、それはやりよういかんによっては国土利用、それからまた人の確保にも大きな影響が出るであろうといったような問題があるだろうと思います。やはり基本的な問題としては、国有林の財政を一体どうしていくのかということについて、もう少し根本的な対策が私は必要ではないかと思います。先生も御承知のように、国有林は非経済林が多いわけであります。これを維持するのには環境の維持、それから公共的機能の発揮というような点を積極的に評価しながら一般会計でかなりの部分を負担すべきではないかと思うのです。その場合、どういうふうに具体的にはそれを考えることができるか、その辺についてさらに詳しい話をお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、二つ目の問題としましては、農山村の過疎化にどう歯どめをかけるかという問題であります。
 林業と山村の活性化を図るのには、従来の農林業政策の枠組みだけではどう考えてみてももう限界に来ているのではないかというふうに私には思われます。そこで、先生が先ほどお示しいただきましたのは、ECに見るような条件不利地対策、こういった点もあるだろうと思いますが、また同時に地方交付税のあり方、これの見直しというのが必要なのではないか。さらにはまた、木材問題についての国境措置についても、今のままでよいのかどうなのかといったような点等々もあるような気がいたすのであります。私が申し上げた地方交付税、それから国境措置の問題というのは例示的な問題として申し上げたところでありますが、そうした諸点について先生のお考えをお聞かせいただきたいということであります。
 なお、先ほど先生からこの改正法案を進めていく上での留意すべき事項を幾つか具体的なお話を伺ったのでありますが、先ほどお示しいただいたこと以外で補足すべき点があったらまたさらに補足していただきたい、こんなふうに思います。
#16
○参考人(大内力君) 大変難しい御質問をいただきまして十分お答えできるかどうかわかりませんが、まず第一点の国有林野会計の問題でございますが、これは二つの側面があるかと思います。
 一つは、先ほども触れました累積債務の問題でございまして、先ほど申し上げましたように、これを一応別会計にしてそれなりに処理する、ある程度一般会計からの繰り入れも考える。こういう点は今までの対策に比べると一歩前進したものというふうに思いますが、ただその累積債務の解消のために先ほど申し上げましたように財産を処分するとか、あるいは経営の合理化で対処をする、それによって二兆円のかなりの部分、半分以上だったかと思いますが捻出するというようなことは果たして実現性があるのかどうか。また、それを無理にやりますと、先ほど申し上げましたように乱開発を招くとか、あるいは貴重な国民の資源を損耗させるとか、いろいろな問題がありはしないか。
 そういう意味で累積債務の問題というのはもう少し広い視野に立ちまして、これは御承知のとおり、日本の国家が背負っております債務というのは何も国有林野事業だけではございません。一般会計あるいは地方財政まで加えますならば、これはいろんな計算があって正確にはわかりませんが、恐らく私は二百兆円を超えるだろうというふうに思っております。その中の二兆というのは大きいといえば大きい、小さいといえば小さいとい
うことでございますが、やはりこれは国民全体の問題でございますので、そういう国全体の債務をこれから長期にわたって処理をしていく、こういうものの一環としてもはや国有林野事業からは一応切り離して処理をしていくという道を考えるべきではないか。
 それから第二点として、日常的な国有林野事業会計の立て方でございますが、これは今までの特別会計の単年度収支均衡主義という大変林野にはそぐわない無理な原則を立ててきた、そのことにいろいろ大きな問題があるかと思います。林野事業というのは言うまでもなく長期の、数十年にわたって回転する問題でございまして、しかも木材価格は絶えず動きますし、単年度均衡ということ自体が非常に難しい、それを無理にやろうとすることにいろいろな問題が生じた原因がありはしないかと思います。
 それからもう一つ、収支均衡でございますが、これも今までほかの参考人の方々からもお話がございましたように、特に国有林は奥山でございまして、ここで国有林に課せられている任務というのは、林木の生産という経済事業それよりも、今日ではむしろ自然環境の保全、国土の保全、その他さまざまの公益的な事業の方がはるかに重要な意味を持っている、また国民の期待もその点にますます大きくかかってくるように思っております。こういうのはすべていわば非経済事業でございまして、それによって収入を上げるということが目的ではない、国民のために活性のある自然を維持していくということであろうかと思います。こういう費用は当然一般会計で負担すべきものだというふうに思います。
 かつて私が提案したのは、やや空想的と先生方には笑われるかもしれませんが、むしろ国有林野事業会計の処理の仕方は、まず森林計画の方をきちんと立てて、それに従って自然を大切にした形の合理的な施業をやる、それによって適当な収入はもちろんあると思いますが、その収入が経費に対して不足をしたときには一年ごとに一般会計から繰り入れをしていく、こういう形の会計原則を立てる必要がありはしないか、こういうことを提案したことがございますので、もし御参考にしていただければ幸いかと思います。
 それから、農山村対策の方は、これは大変大切な問題でございますが、もちろん林野だけでもできない、あるいは農水省だけでもできないことでございまして、むしろ一つの地域として中山間地帯というものをとらえて、そこで全体としてのさまざまの対策が必要であろう。林業だけではなくて、農業も工業も商業もあるいはサービス業も、そういうものすべてをひっくるめて地域社会というのをいかに活性化していくか、こういう問題を考えなければいけない。これは残念ながら日本の行政というのはともすれば縦割りになっておりまして、農水省は農水省、国土庁は国土庁、環境庁は環境庁と別々にやっておりまして、一つの地域をまとめてきちんと対策を立てる、こういうことに今までなかなかなってこなかったように思いますが、これはこれからぜひ工夫をしていただきたいことでございます。
 今例示的にお挙げになりました地方交付税の問題、これもいろいろの問題があるわけでございますが、特に今の交付税の算定基準、これはぜひ見直す必要があるかと思います。その算定基準の一つの要素として人口はある程度計算に入りますけれども、例えば山林の面積とか、あるいは山林の状態とかいうものは今の交付税の計算の中にはきちんと入らない、基本財政需要の計算に入らないような仕組みになっております。そこで山村の方はいつも問題にされているわけでございますが、山村というのは面積が広大である、山火事が起こったり土砂崩れが起こったりいろんなことが起こる。これを維持するのに地元の町村は大変大きな負担がかかるにもかかわらず交付税ではほとんどそれが見られない。そこに大変大きな問題があるということは前から山村の方々が指摘されていることでありまして、私も全く賛成でございまして、もう少し交付税の基本財政需要を算定するときに、山村の特殊性、それから山の維持のために必要な経費というようなものを基本財政需要の中に算入できるような仕組みを考えていただくということが必要ではないかと思います。
 それからもう一つ、国境措置もこれも大変必要なことでございまして、今全国の民有林が荒れ果てているということも、あるいは国有林の会計の赤字が大きくなつているということも、御承知のとおり木材価格が、国産材が非常に低迷しているということでございます。杉丸太を中心として考えますと、現在ほかの物価との関係で考えますと、最盛時、今から十五年ぐらい前の一番高かったときに比べて恐らく現在の木材価格は実質六割程度だと思います。したがって、林業経営というものはますます採算がとれなくなる、それが山村の過疎化を一層促進するということになっているわけでございます。
 しかし、この問題はもう少し大きなグローバルな問題としてお考えいただきたいわけですが、今御承知のとおり日本が過大な木材輸入をしているということで、これは地球的な規模で熱帯林その他の森林を破壊しているということが大きな国際問題になり、日本はしばしば非難をされているわけでございます。これは実は林産物だけではない、農産物でもそうでございますが、ガットそのものも一次産品については本来例外措置を認めるという基本原則を持っているわけでございます。ただ、最近のウルグアイ・ラウンドなんかの動きを見ておりますと、一次産品貿易もできるだけ自由化して貿易を拡大することが最善の措置だという考え方が非常に強くなっておりますが、一次産品については私はこれは大変疑問に思っております。
 今、林産物について申し上げましたように、無原則的に貿易を拡大いたしますと、輸出国の山も荒れてしまいますし、輸入国の山も荒れてしまうということになります。したがって、これから我が国として追求していくべきことは、一次産品貿易については合理的な国際管理をして自然破壊にならないような範囲で一次産品貿易をやっていく、こういう仕組みをガットが中心になって国際的に樹立をしていく、こういうことが必要であり、それをむしろ日本政府はガットに対して提言すべきだという意見を持っております。しかし、それは長期にかかわることでございましょうから、とりあえず考えられますことは、もし国際的な理解が得られますならば木材輸入については適当な国境措置を考える。
 一つの方法としては、ECの変動課徴金制度のようなものを考えることが可能だろうと思います。そしてその収入は、今まで木材を輸出しておりましてそれが一つの大きな経済的な支えになっておりますような途上国に十分に還元をして、途上国の開発それから森林の回復というもののために使うというような形で国内の問題と国際的な関係というものを調整する、こういう道はないだろうかということを前に提言したことがございますので、これも御参考までに申し上げておきます。
#17
○谷本巍君 続きまして、愛媛大学の村尾先生に伺いたいと存じます。
 先生が強調されております有利な採材による販売ということ、これは私どもも大変傾聴させていただいておるところであります。問題は、有利な採材による販売に対応する市場形成ができるのかどうか、さらにはまた、地方独自の採材にこだわる中小企業の方という観点からの措置も国として必要ではないかといったような点等々があるわけでありますけれども、対策の問題として二点ほど伺いたいのであります。
 まず第一点は、生鮮食料品などは公営市場があります。木材の場合にはそういうところがない、全部が私営なんです。公営市場による流通改善や規格統一を誘導することの是非についての御意見を承りたいのであります。
 それから二つ目の問題としましては、中小企業のための販売は、学童の運賃割引のように国の産業政策の一環としてやるべきなのであって、国有林野事業の負担で行うべきではないと考えるので
ありますが、その点についての先生の御所見を承りたいと存じます。
#18
○参考人(村尾行一君) 第一点お答えいたします。
 まず事実でございますが、公営市場というのがないというのは事実とは違うのじゃないかと思っております。例えば森林組合の共販所というのがこれは立派に市場でございます。それから国有林の貯木場での販売というものも、これは機能として考えた場合には原木の市売市場でございます。そういうことをまず申し上げまして、この原木の市売市場というのを全国、とりわけ林業、林産業の発展水準の低い東北、北海道なんかに精力的に展開していくことが妥当ではないかと思うのです。この点につきましては、森林組合、特に全森連と林野庁との間で具体的な詰めをやることも一つの方策かと思います。
 それから第二番目に、中小企業云々でございますが、これは短い時間ではお答えできませんので、いわばキーワード的な議論でお許しいただきたいと思うのですが、原木が安いとその製品の商品価値というものを上げるモチーフが出てきません。むしろ国有林等は実勢価格に合った価格で中小企業に売る、言葉をかえれば高目に売る、そのことが中小企業をして経営の改善を実行せしめ、言うところの中小企業ではなくて中堅企業化するという展望が開けると思います。
 以上です。
#19
○谷本巍君 次に、全国森林組合連合会の常務理事の山本博人さんに伺いたいと思います。
 林業がまさしく危機的状況にあるわけでありますけれども、そういう中にあって森林組合が果たす役割は非常に大きいと思います。そこで、次の二点について伺いたいのであります。
 まず第一点でありますけれども、流域単位に合併を進めて基盤を強めることが今森林組合に求められております。しかし、森林組合は、私どもが聞いたところでは休眠状態にあるのが約三分の一程度ではないかといったような話等々も聞くのでありますが、そういう状況の中で広域合併を進めて広域森林組合をつくっていった場合に、地域森林の所有者との結びつきが薄くなっていくのではないか、その辺のところをどう埋めていくのか、そうした点について御意見をちょうだいしたいと思います。
 次に二つ目の問題は、改正法案は御承知のように、事業体の努力に多くの部分について期待をしておるところであります。林業労働者がどんどん減っていく、そして高齢化が進んでいくという状況の中で自助努力にもおのずと限界があるわけであります。そうした点についても先ほど山本さんからいろいろお話がございましたが、法制的、財政的に国のバックアップ、その辺についてもう少し突っ込んだ御意見をちょうだいできればと思います。
#20
○参考人(山本博人君) ただいま先生から御質問がございました合併についてでございますけれども、流域管理システムを進めるに際しては、やはりこれからの事業量の確保ということが非常に大切ではないか。そういう意味で、現在第四期目の森林組合の合併助成法という形で進めているわけでございます。おかげさまで合併につきましては、三十七年当時は市町村の区域の一部を地域にするような森林組合が約六三%あったわけです。それが現在では市町村を一円とする市町村の単位のものが約八割になってきているわけです。そういう意味で合併が進んできている。これはさらに広域的な形での機能を果たしていかなければならないということで、二つ以上の市町村または郡単位、そういうような広域的な合併というものを今後進めていかなければならない。そういう意味では、この国有林と民有林が一体となった今回の法律というものは非常に私どもは、これをまた契機にしましてさらに合併の推進をしていきたい、そのために「森林(もり)と人いきいき運動」の第二点目の組織基盤づくりということで強化を図っていきたい、かように思っているわけでございます。
 それから第二点目の事業体を強化していくための国に対する助成問題でございますが、これにつきましても私ども組織の中でいろいろ討議を重ねまして、できるだけ国にいろいろお願いすべき点はしていくということは、もちろん自助努力ということでまずみずからが努力するということが大切じゃないかということを思っておりまして、昭和三十三年以来そういう系統の運動をして、自主的な運動の展開の中で努力してまいっております。しかし、これからの二十一世紀の国産材時代を展望するについて、国または市町村の御援助をいただかなければなかなかできない面がこれから出てくるのじゃないかということでございますので、具体的にはまた先生方にいろいろ御指導、御鞭撻をお願い申し上げたい、かように思っております。よろしくお願いをいたします。
#21
○谷本巍君 山本さん、ちょっと済みませんけれども、私が伺いたかったのは、広域森林組合をやっていきますと地域の森林の所有者との関係というのは薄くなっていきはしないか、そこのところをうまいぐあいにやっていく方法などお考えがあればお聞かせいただきたいということであります。
 それからもう一つの点は、今、国それから市町村などの援助というお話がございましたが、その辺もう少し具体的なお話を伺うことはできないでしょうか。
#22
○参考人(山本博人君) 合併につきましては、今先生からお話がございましたように、広域合併をしていくための阻害要因がございます。その中で先生がおっしゃるとおり、組合員と組合との関係がだんだん大型合併していくにつれ険悪化するんじゃないかという点、それから市町村との関係、そういう点が意見として出てきておるわけです。それから、経営状態のいい組合と経営状態の悪い組合、これは合併するというのは、私どもの調査した中では非常に難しい点が出てきているわけでございます。それから、積極的に合併をするような空気、そういうものを醸成をしていかにゃならぬ、そういう点が一つの刺激になってくるんじゃないだろうかという感じがしておるわけであります。
 それから第二点目につきましては、私どもとしては予算的な援助の面、そういう点でこれからの労働力、担い手の問題、これについて一番重点的に人づくりをしていかなければならない。人づくりをするための条件整備をしていくためにいろいろ行政当局にお願いしまして、現在、実は十六日に発足しました全国林業労働力育成センターというような形での助成措置をいただきまして、これから二十一世紀へ向けて進めていきたい、かように一応思っております。
 以上であります。
#23
○谷本巍君 次に、森林関連産業労働組合連合会書記長の小塚茂さんに伺いたいと存じます。
 今までの林政は物中心であって、人の問題というのは二の次ではなかったかと私は思うんです。そういう状況というのが林業労働者後継者の確保が一層困難になってしまったというような状況を生じているのではないかと存じます。人の確保という意味で、林政審答申の言う他産業並みの労働条件の確保、これは緊急な課題ではないかと思います。
 その点に関連いたしまして伺いたいと思いますのは、他産業並みの労働条件を確保するのにはどうすればよいかということであります。その点で労使交渉というのが基本であることは言うまでもありません。しかし、それだけでは限界があるのではないかというような気がするのでありますが、そうした点に関連しての小塚書記長のお考えをお聞かせいただきたいということであります。
 そうした問題と関連しまして、安全対策もまた欠かせない問題であります。この安全対策について緊急に対処すべきことがあればひとつ御提起をいただきたいということであります。
 最後にもう一つの問題、伺いたい点があるのでありますが、それは林政審の答申や閣議了解による国有林野事業の民間実行の徹底ということが言われておるのでありますが、その現状、それから見通し、これについて書記長がどうお考えになっ
ているか御意見をいただきたいと存じます。
#24
○参考人(小塚茂君) 先生が御指摘になったとおりだと思いますが、平成十年に素材生産、丸太の生産だけに必要な労働力は十万人というふうに言われておりますが、現時点で、その時点で確保できる推定人員は五万というふうに言われております。先ほど意見を述べさせてもらいましたが、この一つをとっても大変深刻な状況でございます。したがいまして今までのように、多少語弊があろうかと思いますけれども、時間がありませんので内容は省きますが、いわゆる低コストの林業の追求ということだけでは労働力の確保は限界があるんではないか、こういうふうに思いますし、また指導あるいは自助努力でもこれは限界がございます。
 したがって総体的に森林・林業の活性化、農山村の振興、それと林業労働力の確保、三位一体となった施策が必要ではないか、このように考えております。したがって日本の林業労働力の確保のための枠組み、プロセス、年次計画、国の具体的な援助を含む方策などについて早急に国の方針を確立すべきじゃないだろうか、このように考えております。
 なお、私ども労働者、労働組合の立場からも、国レベルはもちろんでございますけれども、これからますます日本の森林・林業の活性化のためには市町村の役割が重要になってまいりますので、そうした労働者、労働諸団体とも十分協議をして、積極的に労働組合としても提言し、協力申し上げていきたいと考えております。
 次に、災害の問題でございますが、私は国有林労働者なんですけれども、国有林の場合にも災害は依然として絶えないわけですが、特に民間林業の場合は実は残念な実態が続いているわけでございます。災害件数が毎年六千件前後、このうち死亡災害が百名前後でございます。振動病の認定者も後を絶ちません。毎年二百名近く発生をいたしております。特に死亡災害のうち、昨年の九十件の実態は、大半は死亡時刻を特定できないのが実態でございます。広い山の中でほとんど孤立単独的な作業をやっておりますので、即死に近い状態でも発見がおくれる、救出がおくれるという状態の中で、もう少し適正に発見なり救出ができれば、とうとい命を取りとめることができたんではないかと思われる件数が相当多いというのが山の労働災害の実態でございます。ぜひともこれらはなくさなきゃならない緊急の課題ではないかと。しかし、これも安い請負単価とか、あるいは逆にまた災害が多いために労災保険が高いとかということで業界、民間の方が大変困っておられるわけであります。これに対する国の助成なども必要だと思っております。
 先生が御指摘の緊急に打つべき手の問題でありますけれども、監督行政の強化をひとつお願いをいたしたいと思います。また、これだけではなかなか大変ではないか、こう考えられますので、地域や地理に詳しい、森林・林業に精通した地域のベテランの方にパトロールという形で監督官に準じた資格を与えてもらいまして、頻繁にパトロールを強化するとか、緊急な連絡体制を確立するとか、そのような措置は緊急に講じていただきたい、このように考えておりますので、先生方もよろしく御検討を賜りたいと存じます。
 民間実行の徹底でございますけれども、実は国有林野事業の今日の状況は、まさに民間実行の徹底でございます。直営直用というのが二割か三割でありまして、ほとんど七割から八割というのが民間にお願いをしているわけでございます。これをさらに徹底するというのは、これはもう現業の意味がなくなるのでありまして、私どもは民間にお願いすると同時に、国で責任を持ってやるべきことは国が労働力を確保して、きっちり国民の負託にこたえて仕事をやっていくのが国の責任ではないか、このように考えておりまして、この点については、先生方の御理解をいただき、林野庁と十分協議をしてまいりたいと思います。
 以上でございます。
#25
○谷本巍君 ありがとうございました。
#26
○村沢牧君 社会党に割り当てられた時間がまだ若干あるようでありますので、御三人の参考人に簡単にお聞きをしたいというふうに思います。
 まず、岸参考人にお伺いしたいと思いますが、これからの地域森林計画あるいは市町村計画を立てる場合、国有林と民有林が一体となって協力してやっていこうということになりますが、この際、国有林、特に営林署に対してどのような期待を持っていらっしゃるでしょうか。そのことが一つです。
 次に、全森連の山本参考人にお伺いしたいんですが、林業労働力の確保が、それぞれの参考人からお話がありましたように、これからの林業にとって極めて重要なことだというふうに思います。森林組合でも作業班などを設けているところもありますけれども、本当に地域林業を背負って立つだけの森林組合組織として林業労働力があるのかどうか。また、国有林がこれから請負化が進んでまいりますけれども、森林組合として国有林の請負化の受け皿になっていけるような今体制になっているかどうか。林業労働力の確保について、先ほど来センターですか、協議会などをつくるというようなお話があったんですが、森林組合としては一体この林業労働力確保についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかお聞きをしたいというふうに思うんです。
 それから、森林労連の小塚参考人にお伺いしたいんですが、林政審答申においても、また閣議了解でも行革審答申でも、労働組合の理解と協力がなくては、労使が一体で取り組まなければ経営改善はできないというふうに言っていますね。労働組合としてもこの法案作成に当たっては、みずからの痛みを分かち合って真剣に対応したことは私は承知していますが、法案作成に当たって皆さん方の主張が本当に法案の中へ、まあすべてが生かされてはおらないと思いますけれども、生かされてきてこういう法案になっているのか。あるいはまた、これからこの改善計画をつくって実行に移っていく場合においては、皆さんの労働組合員なりあるいは現場の意見も十分聞かなければならないと思いますが、その辺について山に働く人たちを代表する労働組合としてどういう関係に今までなってきたのか、今後どういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
 以上です。
#27
○参考人(岸宏一君) 期待するところはたくさんあるわけでございますが、私の町という点から特に特徴的なことを一つだけ申し上げたいと思います。
 これからの森林計画は、流域ごとに国や市町村が一緒になってその計画をつくっていくことになるわけでございますが、今までの例をお話ししますと、例えば私どもの町では金山杉という杉を今まで売り出してきたわけですけれども、これはいわゆる長伐期林業ということでありまして、八十年生になってからこの木を切りましょう、そしてその八十年生の木というのは、いわば非常によその地域から見ますと希少価値のある貴重品の木材であるわけです。ところが、今までですと、国有林では五十五年とか六十年とかという年数で、いわば機械的にその計画によって、我々の町の政策と関係なしに伐採をやってきたわけであります。
 ところが、今回の法改正によりまして、その長伐期という言葉も出てきておりますように、非常に歓迎すべきこと、つまり我々の流域の長伐期林業というもののストックが非常に大きくなる、それと同時に一つのブランドとして供給量が多くなる、こういうふうなことで流域森林の価値を非常に増大せしめるというか、そういったメリットが出てまいるということで、私どもはこの一つだけをとりましても非常に国有林との長伐期という点での提携などを期待しておるわけでございます。
#28
○参考人(山本博人君) 今先生から御質問ございましたまず第一点の作業班の問題でございますけれども、作業班につきましては、御案内のとおり約五万人を現在割っておるわけでございます。森林組合としては、施業を行うために作業班の確保というのはもう非常に重要なことであるわけでございます。そういう意味で、人づくりということ
で特に作業班の確保、これについて最善の努力を払っているわけでございます。
 やはり、年齢的には、御案内のとおり高齢者が非常にふえてくるという状況でございます。ただ、作業の内容によりましては、高齢者の方でも非常に優秀な技術を持っていらっしゃる方もいるし、それから戦後一千万ヘクタールの造林を支えてきた非常に貴重な方だと思うわけです。そういう方のお仕事も大切だ。しかし、これから若い人をいかに導入していくかということは、高性能機械を導入していく場合にどうしてもそういうオペレーターの養成というものが必要でないかと思うわけでございます。そういう意味で、老青壮一体となった作業班づくりを考えていきませんと、なかなか、若い者若い者ということではなくて、やはり青でも老でも非常に優秀な技術を持っている方がいらっしゃる、そういう点で、我々も作業班につきまして、できるだけそういうものを森林組合の中で内容を十分分析しまして、これ以上減少しないようなことを模索していかなきゃいかぬ。そういう意味で、労働力育成センター的なものを全森連の内部につくりまして全国的に考えていかなきゃならない。
 それから、第二点の国有林関係の受け皿でございますけれども、これにつきましても、これは地域地域の状況、国有林の非常に多い地域、民有林の非常に多い地域、そういう地域ごとの問題もございます。それから、私ども森林組合の場合は、御案内のように協同組合の組織でございまして、それぞれの組合がそこの実情に合った形での人の採用をしておるわけであります。ですから、全体的に受けられるかどうかという問題よりも、これからの流域管理の中で地域ごとにいろいろ検討されていくことではないだろうかというふうに思っておりますので、国と民有林、一体となっていくという中で、健康で有能な知識を持っている方には御協力していただくという場面は当然出てくる、かように思っておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
 以上でございます。
#29
○参考人(小塚茂君) 国有林野事業の健全化、再建は労使の共通の課題だと認識をいたしております。特に私ども国有林労働者は、国民の財産である国有林を職場にさせてもらっているわけでありますので、社会的な責任を痛感してこの問題に対処していきたいと思っております。具体的には、方針の段階、計画の段階、実行の段階、それぞれの節々において林野庁と十分協議なり御相談をしていきたいと思っております。
 なお、今回の法改正等の内容につきましては、ざっと申し上げて恐縮なんでありますけれども、財政措置を含めまして基本的な方策や制度的なものが確立されようとしているんではないか、したがって、具体的にはこれからが大事だ、このように認識をいたしておりますので、これからも国民の負託に国有林野事業がきっちりこたえていく、そういうことを基本認識にして努力をしていきたいと思います。
#30
○青木幹雄君 参考人の皆さん、きょうは御苦労さまでございました。ただいまは皆さんからそれぞれの立場で非常に貴重な御意見を聞かせていただきありがとうございました。私は時間が限られておりますので三人の参考人の方に続けてお尋ねをいたしますので、質問が終わりましたらそれぞれ順次お答えをいただきたいと思います。
 まず、岸参考人にお尋ねをいたしますが、ただいま参考人から、参考人の町長をなさっております金山町における林業振興と地域の活性化のためになさっておるいろいろな努力についてお話をお聞かせいただきましたが、現在全国の山村において林業従事者の減少、高齢化が進んでおります。また、森林組合なども担い手として期待をされておりますが、必ずしも体質強化が十分と言えないのが現状でございます。これらの林業の担い手の確保が緊急の課題となっておるわけでございますが、町長さんの町におかれましては、この問題に対応するため広域的な観点に立って第三セクター方式による木材の加工場を誘致するなどの努力を行われておるというように承知をいたしておりますが、町長さんとして長年の経験に照らして、林業の担い手の育成確保、そのためには基本的にどのような取り組みが必要であるのかお聞かせを願いたいと思いますし、また市町村はそのためにどのような役割を果たすべきかについて御意見があればお聞かせを願いたいと思います。
 またもう一点、先ほどのお話によりますと、金山町を含む最上地方の森林面積のうち四分の三を国有林が占めております。地域経済の活性化を図るためには、国有林、民有林が一体となって林業振興を図ることが不可欠でございます。特に国有林野事業は、国有林材の地域への安定供給、雇用機会の創出等を通じてその役割を適切に果たしていくことが重要であろうと考えております。
 このような観点から、今回の新たな経営改善対策に対する地元市町村の期待も大きいかと思いますが、地域として国有林野事業の経営改善に具体的に何を期待なさっておるのか、また何か協力することがあるのかをお伺いしたいと思います。
 次に、山本参考人にお尋ねをいたしますが、民有林、国有林を通じる森林施業の現地の実行部隊として森林組合の果たす役割は非常に大きなものがございます。ただいま参考人からは、森林組合系統として「森林(もり)と人いきいき運動」に取り組んでおるというお話がございましたが、森林組合がその役割を果たしていくためには何としても森林組合自体の組織強化ということが一番大切な問題であろうかと思います。
 先ほど同僚議員の質問にお答えになったことと同じだと思いますけれども、もちろん組織を強化していくためには自助努力が一番大切だと思いますが、せっかくの機会でございますので、組織強化をしていくために、また広域合併を進めていくためにずばり国がこうしてくれたらいいなということがあればひとつ遠慮なくお聞かせをいただきたいと思います。
 最後に小塚参考人にお尋ねをいたしますが、今回国有林野事業の経営改善策は、要員について平成五年度までに二万人、さらにその後必要最小限規模とするというような、組織についても営林署の三分の一を統合改組するというまことに厳しい自助努力をみずからに課しておられ、経営改善に向けた関係者の並々ならぬ決意のほどがうかがえるわけでございます。私は、このようなみずからの痛みを伴う経営改善が円滑に進められるために何よりも労使が一体となってこれに取り組むことが必要であると考えておりますが、今回労使合意のもとにこのような改善策が取りまとめられたことは画期的なことでございまして、関係者の努力を非常に高く評価をいたしておるものであります。
 そこで、今後労使一体となって経営改善に取り組んでいこうということについての決意、その考え方についてお尋ねをいたしたいと思います。
 以上でございます。
#31
○参考人(岸宏一君) 担い手の確保のための基本的な取り組みはどうすべきかということでございますが、小塚参考人からもお話がございましたけれども、林業労働者あるいは林業後継者、この仕事は非常に厳しい仕事でございます。例えば山を育てるには地ごしらえをして、木を植えて、それから下刈りをして、さらに間伐をして、そして数十年後に伐倒して搬出という非常に厳しい仕事があるわけでございます。
 例えば今の山林の状況を見ますと、車で町場から山に入ります。そうしますと、そこからまた歩いて一時間とか、そんな労働条件のところも数多くあるわけであります。そういうことをいろいろ考えてみますと、まず一つは若者が働きやすいように、また快適に仕事ができるように林業基盤というものをさらに整備を進めることが私は肝要かと思います。
 例えば具体的に申し上げれば、それは林道の整備だと思います。今までも国におきましては、市町村や県に対して補助を出しまして林道をつくってまいりました。また、スーパー林道とかさまざまな規格の林道もつくってまいりましたけれど
も、まだまだ不十分な状態だというふうに思います。そういうようなことから、今後一層民有林、国有林を問わず林道の基盤をまずひとつ整備する必要がある。しかも、林道の舗装なんというのはちょっとぜいたくみたいなことと考えられる方もおるかと思いますけれども、これは効率化ということ、生産性ということを挙げますと、非常に重要なことだと思います。でありますから、林道を積極的にまず一つは整備していただきたい。
 それから、ほとんど手作業に近い林業労働というのが今までも長く続いてきたわけでございますけれども、そういう点からより一層の機械化ということが求められるのではないか、こういうふうな気がいたします。それら機械はなかなか高価なものでありますから、各個人がそういうものを持つということはなかなか難しい。そういうことでこれからは協業化なりあるいは第三セクターなり、そういった形で国が補助をしながら、今までもやってきましたけれども、今後もそういう近代化へ向けての投資といいますか、そういったことを真剣に考えていく必要があるのではないか、このように思っております。
 それから、林業に働く方々の労働条件というのは非常に低いものがあります。そういうことによって他産業に人がどんどん流れていくという現象が今あるのではないかと思います。そういう点からいたしますと、働く人々の待遇改善、山村では村役場とか町役場の職員の給与というのが一つの目安になるわけでございますけれども、そういった身分の保障も含めて待遇改善を国の問題として取り上げていただきたい。
 我が国は一千万ヘクタールの人工林を持っておりまして、この人工林がこのままにしておきますと、大内先生がおっしゃいましたように次々とだめになっていく。こういうことは国民の財産の大きな損失になるわけでございますから、ぜひこういった点を国として真剣に取り上げていただきたい、このように思っております。
 時間もありませんので次に入らせていただきます。市町村の役割でございますけれども、ただいま申し上げましたような諸問題を解決するために、国においては林構事業とか新林構とかさまざまな補助事業を通じて市町村が林業の基盤整備を進められるような補助を行っておるわけでございますけれども、これからもこれらを強力に進めることを含めまして、今度の流域単位での森林整備の計画なり投資計画をつくる上でも、国あるいは県それから民有林の所有者、こういった方々のいわばパイプ役として大きな役割を担わなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから、国有林の経営改善に対する期待というのは非常に大きなものがございます。私どもの地方は、ただいまも申し上げましたように七九%が国有林でございますから、その国有林が元気がないということは、我が山村地域一帯が元気がないということと全く同じでございます。そういう意味でございますので、できるだけ早く再建計画を進められて活力ある国有林経営を目指していただきたい。また、国有林に働く方々も、いつも人減らしとかそういうことばかり言われて元気がなくなっては困りますので、大いに元気を出せる新しい仕事をどんどんお与えいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 市町村としての役割でございますけれども、何ができるかということでございます。私どもは国有林と今まで以上に情報の交換を密接にすることができましょうし、それから私ども願いたいのは、人事交流などを大いに進めまして、例えば市町村に国有林の職員をよこしていただいてお互いに交流して、もしよかったら我が町村に残ってくれないか、そういうふうな形でさらなる緊密化といいますかそういうものを図ってまいりたい、そう考えております。
#32
○参考人(山本博人君) 森林組合の組織強化につきましてでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、私どもは平成二年度から「森林(もり)と人いきいき運動」ということで、まず人づくり、それから組織経営基盤づくり、事業拡大システムづくり、こういうものを進めているわけでございます。
 それで、今回の森林法の改正を含めまして、先ほどからお話がありましたように、もう一歩進んだ広域的な森林組合をつくっていく。そのためには組合員が参加していただくこと、事業を出していただくこと、それから出資をしていただくということでお願いをしてまいっておるわけでございます。
 そういう中で、いろいろ従来から森林・林業に対しましては国での助成措置をいただいております。しかし、組織を強化するためには合併の問題がございます。そういう点で合併に対して金融、税制等の措置もしていただき、そして第四期目も終わろうとしております。しかし、せっかく三十七年に三千五百有余あった森林組合が現在千七百十五まで合併が進んでおります。そういう意味で、これからさらに合併を進めるために合併に関する助成措置等をいろいろ御検討いただければありがたいんじゃないか。
 いろいろございますけれども、そういうことで一点に絞らせてお答えさせていただきました。よろしくどうぞ。
#33
○参考人(小塚茂君) 二十一世紀に向けて、環境保全を含めまして緑の山づくりをしていく、その中核に、あるいはリーダー格として国有林野事業が位置するというのが基本方向だと理解をしております。しかし現状は、このまま放置しますと、将来にわたって国有林野事業の使命を果たしていくことが困難な状況になっております。この認識は労使の違いはございません。したがいまして、この克服そして解決は労使の共通課題だと認識をいたしております。
 具体的には、先生御指摘のように要員規模問題、組織機構の問題、あるいは事業実行形態の問題、財政の確立問題、雇用問題等がございますけれども、これらの諸事項については労使間で十分誠意をもって論議、意思疎通をして、労使が一致して努力をする、そのような基本的な態度でこれから臨んでまいります。
#34
○刈田貞子君 参考人の皆様方、大変ありがとうございます。
 私の持ち時間は十四分でございますので、先に質問をさせていただきまして、参考人の皆様からは後から御回答いただきたいと思います。大内参考人と村尾参考人のお二人にしか伺う時間がないと思いますので、大変恐縮でございますが。
 先ほど大内参考人は、今回の森林法の改正の中で開発規制が国有林が外されているのは問題ではなかろうかという御発言がございましたが、私も今回のこの森林法改正のところではそこに赤線を引っ張ってあるんですけれども、ここのところをどのように今後考えていけばよろしいのか。デベロッパーと、あるいはまたリゾート法といろいろかかわってくる中でこういう問題をいかに考えればよろしいかということが一つでございます。
 それからもう一つは、国有林野事業の方の問題でございますけれども、先ほど、過去二回の改善計画をしたけれども、しかし成功したとは言えないのではないかということから、いわゆる資産を売る、あるいは人減らし、それだけのことで事が済むのであろうかどうだろうかというお話なのでございますが、いわゆる国有林野事業というものは一体本来的にどうあればいいのか、それは先ほどちょっとお触れになられましたけれども、聞いていて大変感じたところでございます。さらに申しますならば、いわゆる自己収入の確保、こんなふうなことまで積極的にさらに取り組んでいかなければならないのではないかというような問題も含めてぜひ御意見を賜りたい、このように思います。
 それから、村尾参考人に対しての質問は、国有林野事業というのはもっと積極的に自己収入の確保を図るべきであるのではないかと実は私は思っておるので今大内参考人に申し上げたのでございますが、この辺のところを御意見を伺いたいのと、もう一つは、先ほど森林法改正の方の部分で
お触れになったと思いますが、山に入る人というのは直営直用ではだめなんだと。技術者の概念についてかなり違った発想から物を述べられたように思います。混農林のような考え方を持っている人あるいはまた山の景観まで考える人というようなお話がございましたが、そういう問題を詳しく述べていただくのと同時に、こうした要員はどこでだれが育てていくのかという課題があるのではないかと思いますが、その点お伺いいたします。
#35
○参考人(大内力君) 初めの第一点でございますが、林地開発許可制度の改善ということで改正法の十条の二関係のことでございます。ここでうたわれておりますのは、森林計画の対象となっている民有林において開発行為をしようとするときは、その許可要件として一定の条件を決める、そしてそれについて関係市町村長等の意見を聞かなければならない、こういうことになっているかと思います。これは恐らく発想としては、国はきちんとそういう開発について節度を守るということを前提として、したがって国については特別の枠をはめないで民有林だけを規制すればうまくいく、こういうお考えではないかと思います。
 そうあってほしいと私も思いますけれども、ただしばしば言われておりますことは、今先生の御指摘のリゾート法との関連におきましても、国有林が乱開発をされているということが、例えば岩手県の安比高原の例を初めといたしまして方々で指摘をされておる問題でございます。特に後の御質問とも関連いたしますが、累積債務対策で財産を処分するという方が優先いたしますと、どうしても国有林も開発適地を次から次に売ろうとする、こういうことになるおそれが非常にありはしないか、その点を申し上げておる次第でございます。
 そこで、法律の中に国有林もうたうのが一番いいのかと思いますが、それが難しければ、実際の運用におきまして国有林につきましても開発行為をするときには必ず地元の市町村の意見を聞く、そしてその意見が反対である場合には国有林は開発を差し控えるというようなことをひとつ運用としてぜひやっていただきたい、こういうことを申し上げたつもりでございます。
 それから第二番目につきましては、もちろん今までの国有林会計の再建計画がうまくいかなかったことはいろいろ細かく数えれば原因がございますけれども、やっぱり何と申しましても一番大きいのは累積債務の元利償還金の負担が非常に大きかったということでございまして、御案内のように本年度の予算で申しますと、国有林野事業特別会計の事業収入よりは債務の負担と申しますか、元利の償還金の方がはるかに大きい、こういう奇妙な会計に既になっておりまして、したがって通常の事業収入では借金の返済だけしてなお赤字が出る、こういうような構造になっている会計でございます。
 そこで、先ほど申し上げましたように、累積債務を別会計にするという今回の発想はそれは一つ前進だと思いますが、ただ別会計にしただけでは事は解決しないわけでございまして、その債務負担をどういうふうにしてなくすか。とりあえずそれを棚上げにして別に処理する方法を考えませんと、それをいつまでもしょいながら国有林野事業の改善を図るということは、いろんな意味において束縛が多くなり過ぎまして目的を達しないのではないか、こういう感じがいたします。
 それから、もちろん自助努力は必要でございまして、経営の合理化、機械化等あるいは先ほど岸さんがおっしゃったような林道の充実とかさまざまな問題がございますが、先ほど申し上げましたように、私は今日国有林というのは収入を上げるということは二の次に考えるべきではないか。国有林の本来の任務というのはもはや経済行為ではなくて、やや強調して申し上げますので一面的になるかもしれませんが、むしろそれよりは環境保全、国土保全それから国民のさまざまなしクリエーション、教育等々のニーズに正しくこたえていく、そういう公益事業にきちっとこたえていくということが国有林の第一の任務ではないかというふうに考えております。しかし、これはもともと、いかに合理化するとかなんとか言ってみましても、収入源になるべきものではございませんので、そのことを前提として施業計画を立てて、必要な経費は必要な経費として財政的に措置をする、こういうことが必要ではないのか。
 それからもう一つは、後で村尾さんからもお話がございますが、私はある意味では村尾さんと共通の発想を持っておりまして、国有林労働者というのは国有林だけの世話をしていればいいということではもはやなくなっているのでありまして、ここには技術なり設備なり知識なり大変な蓄積があるわけでございます。したがって、それをただ減らす減らすというふうにお考えになるのではなくて、民有林のためにもこれを活用するという方法を何らか考える必要がありまして、その部分につきましては、もちろん民有林の所有者なり地元から応分の負担をしていただいて、それを国有林の収入に加えていく、こういう措置が必要ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#36
○参考人(村尾行一君) 私、学生のころ大内先生のゼミにおりましたので、どうも隣に座っておられると何ともはやぐあいが悪いかと。
 今、刈田先生の方から二つ御質問がありましたうちのまず第一点の自己収入でございますが、これは短時間でお話しすることが可能かどうか自信がございませんが、要するに森林、林木、木材が内蔵しております価値というものを満度に引き出す。言葉をかえて言えば巧みに商品化するということができる一握りの林業、林産業、これは大体近畿及び中京圏だろうと思います。それ以外は商品化が極めて下手なところでございます。ですから、そういうところでは、例えば近畿地方でしたら立方メーター当たり十数万で商品化できるものがわずか四、五万でしか売れないというようなことが現実にあるわけでございます。このおくれたところに実は国有林が大部分存在しているわけでございます。
 したがいまして、国有林の改善、先ほど申しましたような国有林が持っております資源の巧みな商品化というものを推進していくということは、実は当該地域の林業、林産業のレベルアップになる。従来の発想では、何か安く売ってやらないと地元産業が発展しないんじゃないかという思い込みが部外の方にはあったわけでございますが、実際は逆でございまして、安いがゆえにおくれているというふうに思います。したがいまして、今回の諸改正によりまして国有林が経営を改善していく、端的に言って販売収入を上げていくという行為は直ちに地元の林業、林産業、ひいて言えば日本全体の林業、林産業の発展を促進するものだと考えております。これが第一点についての一つの答えです。
 それからもう一つの答えは、先ほども申し上げたことでございますが、国際用語としてはアグロフォレストリーという言葉がございます。これは林業と農業とを同じ土地において同時に営ませる、そのことによりまして林業にかかるコストというものを相殺します。一例を申しますと、造林も育林も全部してしまって、なおかつ森林所有者にへクタール当たり百五十万円ぐらいの純益が入るというようなこともございます。このアグロフォレストリーというものを、実は秋山さんという方が林野庁長官でいらっしゃったときに、国有林としては試行的に進めていかれました。恐らく今後この点においても特段の努力をされていくと思いますが、これをさらに膨らませますと、先ほど岸参考人がおっしゃった緑のコンビナート、実はこれ私が名前をつくりまして中身も考えたんですが、金山町で採用していただいたのは大変光栄でございます。
 次に、私が直直体制は賛成しないということを申し上げたことについて、大内先生から御発言がありましたのでその点は省略しまして、別の角度からこの直直問題を申し上げておきますと、今申しましたように日本の林業、林産業というのは地域間格差が大変多うございます。でございますか
ら、従来のように国有林が作業員を直直で抱え込んでおりますと自分のいる地域のやり方しか知らない人がいる、そのことによってあたら価値高い国民の財産である国有林の資源が有効に利用されないという事態なんかがあります。そういう意味で、先ほど大内先生おっしゃられたようにもっと広域的に動き回る、そしていろいろなところの林業、林産業のあり方を目の当たりにしながら全体としてレベルアップをする、そういう労働集団というものを求めているわけでございます。
 具体的にそれではどうしたらいいのかということですが、この点について私具体的なイメージを持っておりません。例えばということでお許しいただきたいんですが、ヨーロッパなんかに必ずあります林業労働学校というものをつくって、いわゆるマイスターの教育をきちっとする必要がある。言葉をかえていけば、日本の林業従事者というのは、先ほど小塚参考人から御紹介いただきましたように八Kですか七Kですか、こういう認識がある。自分たち自身もそう思い込み、それから社会一般もそう思っているということは、とりもなおさず日本の林業、林産業が世界的に見ておくれている証拠でございます。ヨーロッパへ行きますと林業従事者というのは大変格好よくてナウい産業でございまして、女性に大変もてます。私もおかげをこうむったことがございます。そういうものをやるためにはきちっとした国による教育、それから再教育というものをやっていかなきゃいけない。これは、今のところ国有林がいわば企業内教育という形だけでやっているわけで、民間の場合は野放しになっています。こういうものを拡大していきたい。
 それから、じゃ実際そういう担い手は組織体としてどんなものかと言われますと、これは一つは大変常識的な発言になりますが第三セクター方式というのがあるだろう。それからいま一つは、結構私企業において大変上手に仕事をやっている、まあ山本参考人いらっしゃるので御存じだと思いますけれども、あるところから森林組合に請負が来る、その森林組合からなお請け負うというような、低い収入でもって立派な仕事をしている事業体というのがあちこちに広がってまいりました。こういうところについても目を注いでいただければと思います。
 長時間になりましたが、これで終わります。
#37
○林紀子君 参考人の皆様、本当にありがとうございます。私も、もっともっと短時間なものですから初めに質問をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 まず岸町長さんにお伺いしたいと思いますが、人工林というのが五五%ある町だというふうにお伺いいたしましたが、これから伐採時期を迎えるということですし、八十年の長伐期施業ということでいろいろ努力をなさっているということですが、輸入材の価格とはどうしても競合すると思うわけです。こういう木材価格の低下に対してどのような対応をされているのか、また後継者の問題、通年雇用ができるように町としてどのような努力をなさっているのか、国への率直な御要望も含めてお聞きしたいと思います。
 次に、大内先生にお伺いしたいと思いますが、先生は一九八七年の四月に、「林業経済」という本に論文を書かれていらっしゃいまして、私も読ませていただきましたが、その中で、
 国有林会計の赤字の解消のために一方ではすこしでも収入の増加を図ろうとする、それが乱・過伐や資産売却を惹き起しているのだし、他方、すこしでも支出を減らすために国有林労働者の大幅な首切りをやり、営林署の整理統合をし、素材生産をやめて立木払下げにしたり多くの作業を民間請負に移したりしているのだが、それが手抜き施業になり、優良木だけの抜き切りになり、結局は森林の荒廃を深めることになっているのである。
と書かれていらっしゃるわけですが、今回の改正によりまして確かに累積債務と経常事業部門を分けて考えるということでは一歩前進だと思いますけれども、しかし、今先生が指摘されていらっしゃるこの根本的な考え方というのは変わっていないんじゃないかと思うわけなんですね。独立採算制であり単年度収支計算であると。
 特に累積債務のところについての資産の売り払いということの大きな問題点については先ほど御指摘いただきましたけれども、経常事業部門についてですけれども、木材価格はやはりこれから先行き低迷ということをどうしても思わざるを得ないわけですし、この経常事業部門が今回の改正によって本当に改善できるものなのかどうか、立て直しできるものなのか、そこのところをぜひ伺いたいと思います。
 それから最後に、小塚参考人にお伺いしたいと思うわけですけれども、国有林野事業の直用部分を必要最小限にして二万人体制にする、そしてあとは民間委託にするということですね。二万人体制になった時点でさらにその先を考えるということですけれども、労働条件といいますのは民間はさらに今の直用部分よりひどい状況だと思うわけですね。これで本当に森林保全ができていくのかどうか、どういうふうにお考えかということをお聞きしたいと思います。
#38
○参考人(岸宏一君) 外材との価格対策の問題でございますが、一言で申しますと、だから私どもは長伐期林業を展開して外材に対する競争力をつけていく。それからグリーンコンビナートによってむだのない木材の利用、それから産直住宅などによって付加価値をつけた林業、こういうことを考えてやっておるわけでございます。
 それから通年雇用対策でございますが、これは一言で言って非常に難しい問題であります。我々としましては、ここで現在こういうふうにやっていますというモデルになるようなものはありません。それぞれの企業や会社によってさまざまな方法で、例えばスキー場との絡みとか、あるいは雪が多い地域でありますから冬の伐倒搬出、そういったことで対処しているというのが現状でございます。
#39
○参考人(大内力君) 時間がないようでございますから簡単に申し上げますが、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、国有林の経営はもちろん合理化できるところはできるだけ合理化する。それから村尾参考人のお話のように、できるだけ有利に商売をして収入をふやすというのはもちろん必要でございますが、現に残念ながら、既に最近の国有林経営を見ておりますと、手抜き施業が非常にひどくなっているという印象を私は受けております。一例だけ申し上げましてやめますが、例えばある地域のブナ林を視察したことがございます。営林署の計画では三割の択伐という話だったんですが、現地へ行ってみますと実際は林道に近い、簡単に伐採できるところは五割も六割も切ってしまうわけです。林道がなくて奥山の入りにくいところはそのまま残すというようなことになりますから、部分的には山が非常に荒れる、しかもその跡を林野庁はいわゆる天然林施業という大変うまい言葉を発明いたしまして、実は切ったままで何にもしない、こういうことをやってきております。ところが、ブナ林などは広い面積を伐採いたしますと、御案内のように、クマザサが急に茂ります。そうしますと、ブナは自然に芽を出すのがほとんど困難だというふうに言われておりまして、そこで今度は、そこへ猛烈な勢いで枯れ葉剤をまくわけでございまして、ですから国有林の施業したブナ林の跡へ参りますと、私はベトナムの山みたいだと言ったこともございますが、そういうことがかなり広い地域で行われているわけでございまして、その結果としてやはり国有林も奥山から荒れているというふうに言わざるを得ないところが随分あると思います。
 そういう意味で、むしろその合理化とか利益を上げるとかいうことの前に、やはり日本の自然環境をきちんと守れるような施業を国有林としてはきちんとやる。経費の方のことはむしろ二の次に考えていただきたいぐらいである、こういうことを申し上げたかったのでございます。
#40
○参考人(小塚茂君) 先生御指摘の部分は林政審議会の最終答申の文章だと思いますが、恐縮なん
ですけれども、この文章は「国有林野事業の使命達成のための必要最小限のものとする必要がある。」、こういうことでございまして、「最小限」の前のところに「国有林野事業の使命達成」というのが明確にされておりますので、この点をひとつ御注目をいただきたいと思います。
 それから、労働力に限っていいますと、国有林の労働者は余っているんじゃなくてむしろ足りないというのが定員内外共通する現状だと認識をしております。したがいまして、林野庁とさまざま今までも、これからも協議をしてまいりますけれども、将来の要員についてどうするか、これが一番の焦点であろう、このように考えております。
 二万人規模の御指摘でございますが、これも大変林野庁と協議をいたしました。私どもは二万人という意味合いとしてとっているのは、御承知のように、今の改善計画で二万人というのを決めておるわけでございます。恐らく林野庁としては財政事情これありで、もっと減らしたいということだと思いますけれども、この二万人というのは、民間事業にはなじまない、国有林でなければやれないし、やらなければならないのが二万人だ、こういうような二万人でございますので、山をつくっていくのが国有林野事業の任務でありますから、二万人を切るなんということは私ども考えられないことでありまして、そういう議論経過から二万人というのが出ているわけでございます。
 なお、その先のことについては、これから林野庁と協議なり御相談をしてまいりますけれども、申し上げているように、民間の事業体の状況、あるいは林業労働力が一体どういうふうになるのか、国民の要請、ニーズがどのように展開をしていくのか、その中で国としてどう果たすべきか、私どもは一定数の直営直用は国の力で確保しなければ国有林野事業はできないというふうに推定をしておりますが、これは今後の労使間においては課題として整理をしております。
#41
○井上哲夫君 私も大変持ち時間が少ないので、小塚参考人にのみ一点お尋ねをいたしたいと思います。
 これは、今回の改正で累積債務の解決のために土地や山を売り払うという計画があるわけでございますが、小塚参考人の方では先ほどの意見陳述で最後に、売り払いについても特段の配慮を望みたいという趣旨の御発言があったと思います。その点について御意見を承ればと思っております。
 といいますのは、今この点につきましては、参考人の大内先生がいたずらに売り払い等で累積債務の解消をするといってもこれは非常に難問である、とりわけ乱開発を招きかねないということを考えるとなおさらである、こういう御趣旨の意見もいただきました。これは恐らく何でも売ればいいという考えは間違いだということもあろうかと思います。売るだけでなくて貸すとか、そういうことも知恵がないのかということも含まれているのかどうかわかりませんが、特に現場にみえる小塚参考人が、この売却等による債務の解消についての御意見があれば承りたい。
 以上でございます。
#42
○参考人(小塚茂君) 恐縮ですが、簡単に述べさせてもらいます。
 累積債務対策のために国の一般会計にお願いするという部分と自助努力。林野庁の方では、将来的には経常部門に剰余金を出してそれを回すなどを考えておられるようですが、これは相当先のことではないか、そんなふうにも思っていますけれども、今計画されておるのは、御指摘のようなものがあるということは承知をいたしております。しかし、私どもはこれに安易に自助努力として土地売り、林野売り払いなどをすることについては慎重に対処をすべきだという考えでございます。
 しかし、どれだけの量があるかについてお示しすることは無理でありますけれども、今の諸情勢を踏まえて、いわゆる不要不急のようなものがあるとすれば、これは林業の本来活動に違背しないもの、あるいはそのことによって地方公共団体等にプラスとなるようなものがあるとすれば、いわゆる自助努力の一環として考えてみてはどうか。私どもとしては、余り具体性はないのでありますけれども、そんなことを考えております。
#43
○井上哲夫君 以上です。
#44
○橋本孝一郎君 私も時間がありませんので、簡単に村尾先生にお尋ねしたい。今まで重複していない問題で教育と広報の問題についてお尋ねしたい。
 つまり、今先生、ヨーロッパのお話の中で特にドイツを中心にして、マイスター制度を含めて労働力確保には非常にいい条件があるというお話がございました。確かにドイツと日本を比べた場合に私は思うんですけれども、日本の場合には、森林を育成する場合にヨーロッパと基本的な条件の違いがあると思います。日本は非常に恵まれた条件にある。日照時間も長い、それから雨も多い、したがって湿度もある。ヨーロッパ大陸というのは日照時間は日本に比較すれば悪いですし、非常に条件が悪い中で、森林の育成というものについて大事にしなければならないという理解といいましょうか、一般的な理解、認識というものが自然とあると思います。日本は非常に簡単に、簡単にと言っちゃおかしいですけれども、要するに木が育つ条件がいいものですから簡単にブルドーザーでひっかけてしまったりして木を倒してしまう。そういう基本的な認識、教育から出てくるところ、自然の条件からくる認識の違いがあると思います。
 したがって、若い労働力で、今もてるというお話で、これは非常に私はおもしろいと思うんですけれども、これにもっと健康と美容の立証できるものがあったらもっと鬼に金棒だと思うんです。なかなかそれはそれで難しいと思いますけれども、今度の事業再建にしてもそうなんですけれども、森林の育成をする公益性というものに対する一般の基本的な認識が非常に違う、やはり若いときからそういったところが違います。さりとて森林国なんですから、しかもそれによって非常にみんな恩恵を受けておるわけですから、教育の面あるいは広報の面でもっと充実したものがあってしかるべきだと思うんですが、その点についての先生の御意見をお聞きしたいと思います。
#45
○参考人(村尾行一君) 前半の方でちょっと事実を訂正させていただきますと、日本は決してヨーロッパに比べて森林の育成にとって条件のいいところとは私は思いません。例えば大内先生が御紹介になりましたブナ林でございますが、ドイツの場合は、ブナ林というのは相当大きく切りましてもこれは天然更新します。ところが日本の場合はササが出るという問題があります。ですから、自然条件の差とは少なくとも私は考えられない。どこでそういう違いが出てきたのかというと、一言で申し上げれば、今先生おっしゃいました教育、広報というものを農林省が積極的に展開して、そのことによって一般の人たちがああ森林というのは大事なんだなということをわかってきた。言いかえれば、ゲルマン民族というのは民族性として森林やら木材が好きだったわけではございません。どちらかといえば逆じゃないかと思う。ところが近代になりまして、近代林学、近代的な営林行政体系ができ上がったことによって啓蒙していった。その結果、山官と言うと失礼な言い方でありますが、要するに森林官の言うようになるほど木材というものはいいものだと。例えば農林水産委員会で金の灰皿が出るなんということはヨーロッパでは考えられないことでございます。それから、一番レクリエーションに行きたいところはどこか、長期有給休暇はどういうところで過ごしたいかということになりますと、これは森林だということになります。ですから、自分たちが大変いいものだと思うものをつくってくれるところであり、かつ自分たちの快適な生活環境を形成してくれるところだ。それをつくってくれている林業であり国有林である、そういう理解でございます。
 これは私ごとで恐縮でございますが、私の子供が向こうの小学校へ行きましたときに、冬のみぞれまじりのときに、実は遠足として国有林に行くことになっていたんです。ところが天気が悪くな
りまして、そして担任の先生がどうするか、延期するかというふうに言ったら子供が全員いや森へ行くと。行きました。そして先ほどちょっと申しました日本でいう担当区主任と事業所主任とを兼ね合わせたようなしっかりした基幹技術者ですね、これが懇切丁寧に子供たちに教えてくれて、そして何らかのお土産を持って帰ってくるというのが向こうでございます。
 私は、繰り返して申し上げますが、こういうシステムは日本ではできないものではない。それができるような御理解を外部の方が林業それから林野庁にお払い願いたいということでございます。答えになったかどうかわかりませんが、以上でございます。
#46
○喜屋武眞榮君 大変御苦労さんでございました。御礼の気持ちを込めて一問ずつお願いをいたしたいと思います。
 そこで、まず岸参考人にお伺いしたいことは、先ほどのお話の中に十年前から住宅建築に非常に力を入れておるとおっしゃっておられました。そのことと自給自足の立場からはどうなっておるでありましょうか、いわゆる住宅建築に結びつけた資材。
 それから大内参考人、きょうは久しぶりにお目にかかり大変お懐かしゅうございます。先生には終戦後、沖縄の林業、畜産にいろいろと御指導をいただいております。この場を利用というのは当を得ないかもしれませんが、お許しを願いたいと思います。大内先生には、特殊事情下にある沖縄の林業はどうあるべきか、このことをお伺いいたしたいと思います。
 次に村尾参考人に対しては、日本の林業はようやく欧米先進国に近づいてきた、こうおっしゃいました。それじゃ、おくれておった理由は何だったでしょうか。
 次に山本参考人にお尋ねしたいことは、山村の過疎化、自助努力も精いっぱいやっておるけれども、なかなか思うとおりいかない。そこで、即効薬はないかもしれませんが、こういった情勢の中でまず必要なことは何だろうか。一言でも結構でありますから。
 次に小塚参考人にお願いしたいことは、農村の過疎化、それからもう年齢も五十代、こういうお話がございましたが、そのことと機械化の問題はどうすべきであるか。
 以上の点、時間もありませんので簡単にお願いできたらと思います。
#47
○参考人(岸宏一君) 国産材の自給体制はどうかということだと思いますけれども、私どもの町では、金山杉を使って町が定めた設計基準に従って住宅をつくった場合はということで補助金を出しまして町並みの景観をつくっておりますので、町民の多くは、見える部分はほとんど国産材、金山杉を使っております。また産直の場合におきましても、金山杉といういい材がポイントでございますので、それを使ってやっているということでございます。
#48
○参考人(大内力君) 沖縄は大変大きな問題を持っておりまして簡単に申し上げるのは大変なんですが、私は二つだけ簡単に申し上げます。
 一つは、沖縄の場合は開発を徹底的に抑えなければいけない。これは、沖縄は亜熱帯林でございまして、亜熱帯林というのはそもそも土地が非常にやせておりまして、しかも腐植土が薄いわけでございます。しかも木を切りまして日照が強くなりますとたちまち有機物が分解いたしまして地力が喪失いたします。そして土砂の流出が非常に激しくなります。最近沖縄の海が汚れ果てているというふうに言われておりますのは、かなり大きな部分はゴルフ場を初めといたしまして乱開発が進みまして、土砂の海への流出が非常にふえている、これがまたサンゴ礁をだめにするという形で沖縄の自然破壊を非常に強くしています。したがって今後の沖縄の問題としては、私は、広面積の皆伐は一切禁止する、それから開発につきましては徹底的にこれを抑えるということを考えていただきたいと思います。
 それからもう一つは、林業としては、沖縄の山の木というのは残念ながら商品価値の低い木が非常に多いわけでございまして、リュウキュウマツにいたしましてもマクマオにいたしましてもイタジイにいたしましても、必ずしも十分な商品価値を持っておりません。したがって、少しずつ沖縄の山の林相を変えてまいりまして、商品価値、利用価値の高い木に置きかえていく。ただし、これを皆伐、改植というふうな形でやりますと大変な自然破壊になりますから、長期間をかけました丹念な施業計画をつくりまして少しずつ林相の改善を進めていくということが大切だと思います。ただ、これはいずれも金にはならない話でございますので、そのための資金援助というものは国なり県なりが十分お考えいただかなければならないかと思います。
#49
○参考人(村尾行一君) 簡単に申しますと、明治時代の、それからとりわけ第二次大戦敗戦後の日本の社会の近代化とはどういうことかということの取り違えのせいだと思います。言葉をかえていけば、農林業というのはおくれた産業であって、そういうものが少ない方が先進近代国だという思い込みがございます。ところが、ヨーロッパの場合はそうではなくて、農林業こそ先進国型の産業だ、先進国向きの産業だという理解がある。さらに言えば、森林というものの保健休養機能一つをとりましても、例えばライプチヒのシュレーバーとか、あるいはチューリヒのベンナーとか、こういう連中が新近代社会になればなるほど森林の中で保健休養の時間を過ごすということの大事さをある意味で医学的なレベルまで持ってきて評価した、この違いだと思います。以上でございます。
#50
○参考人(山本博人君) ただいま先生からいろいろお話がございましたけれども、林業とは自然と人とを三世代の命でつなぐ仕事である、非常に長い仕事である。そういう意味で山村の過疎化というものは、やはり私どもとしまして、まず林業労働条件の整備、これを中心に図っていきたいと考えております。以上でございます。
#51
○参考人(小塚茂君) 林業の低コストの追求、あるいは労働力の確保、そういう面から機械の導入の必要性について検討されておりますけれども、日本のように急峻山岳地の場合に、平たんなヨーロッパ並みに考えるのは多少無理があるのではないか、こういうふうに思われますけれども、機械の一定の導入については検討すべきだろうし、また、そのためのキーパンチャーの確保については若者を中心にして検討をしていくべきじゃないか、こんなふうに考えております。
 ただ、その場合に、高性能で一定の大型の機械でございますので、民間の場合に果たして資金力からしてそういうことが一体可能なのかどうか、むしろそういうことが必要だとすれば、国が購入確保して貸与するとか、あるいは国が受託をして仕事をするとか、そういう多面的な検討が必要ではないかというふうに考えております。
#52
○委員長(吉川博君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑は終わりました。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただき、長時間にわたり有意義な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十二分開会
#53
○委員長(吉川博君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、谷本巍君が委員を辞任され、その補欠として西野康雄君が選任されました。
    ─────────────
#54
○委員長(吉川博君) 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、森林法等の一部を改
正する法律案、以上両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#55
○村沢牧君 林業二法案については、衆議院でそして本院で多くの議員から質問のあったところでございますが、私は社会党の質問を総括し、また確認をする意味において質問をいたしますから、答弁は簡潔明瞭にしていただきますように最初にお願いしておきます。
 国有林野事業改善特別措置法が制定されたのは昭和五十三年でありますけれども、この法律は昭和七十二年度までに収支の均衡を図ることを目標にして十年間の改善計画が立てられました。しかし、計画どおりに国有林の改善は進まなくて、五十九年そして六十二年に措置法の一部改正、さらに今回改正案の提出という経過をたどってきました。
 日本社会党は、本法制定の当時から、この法律、それに基づく改善計画では真の国有林の改善にはならないことを指摘し、法律制定のときにも、また改正案のときにも代案や修正案を出して制度の充実改善を求めてまいりました。私も昭和五十三年以降二回にわたる法律改正の審議にも関係してまいりました。また、その後、林業問題について歴代農相や林野庁長官に対して提案、質問も行い、時には林業政策振興それから国有林活性化の決議案の提案者となって政府に積極的な対応を要請してきました。
 私たちは、国有林野事業を取り巻く現状あるいはまた構造的要因を見るときに、国有林の役割を果たすためには林野庁が自主的な努力をすることは当然といたしましても、国の資金を大幅に投入し必要な労働力を確保しなければならないことを強調し続けてきましたけれども、政府は我々の主張に耳をかさず、その場しのぎの対応をしてきた結果、今日のような状態になっておるのであります。
 大臣、法律を制定してから十年余りの間に三回も改正しなければならないということは、いかに弁解したとしてもこれは長期展望がなかったんだ、見通しが誤っていた、こうしたことを謙虚に反省し、今回の改正法案に対応しなければならない。今までのような態度ややり方は許されないというふうに思いますが、反省と決意を伺いたい。
#56
○国務大臣(近藤元次君) ただいま先生から御指摘のございましたように、十年の間に過去三回改定をしながら、一向に改善の方向に至らないで今日に来ておることは先生御指摘のとおりだ、そう認めざるを得ないと思うわけであります。
 しかし、その間、ひたすら林野庁を含めて現場の皆さん方から御努力をいただいたわけでありますけれども、森林、木材を取り巻く環境というものは依然として厳しさを増す一方でなかったのかなと。その折の改善計画で新たな決意で取り組んできたことは私は認める一人でありますけれども、一般会計からの支援をするというそこの部分について、私は前回の改定でもそれなくしては本来改善ができなかったのではないだろうか、その努力をしながらもその道を開くことができなかった、こういう反省の上に立って、今回、諸先生方から各年にわたって御意見をちょうだいをしたものが最終的に累積債務とを区分することができた。私は根本的な問題に一つのメスが入ったということで、従来の一般会計導入に対して御協力をいただいたことに感謝を申し上げながら、さて今回根本的に一般会計からの導入を図った上は、経常事業部門について新たな決意でひとつ努力をし、不退転の決意で取り組んでいかなきゃならない、そう考えておる次第であります。
#57
○村沢牧君 現行改善計画の進捗状況を見ますると、事務や要員、組織機構の簡素化などはほぼ計画を達成しており、直用が減少して請負が増加をしている。特別会計のつじつまを合わせることに熱中して、収入の確保や支出の削減に重点を置いた国有林経営は、例えば伐採跡地や不成績造林地を天然更新と称して植栽や保育を放棄して天然林にしむけている。また、林業施業基準も変更している。こうした結果、取り返しのつかないような破壊をこうむっている山が各所に見られます。国有林の再建は、財政再建を図るとともに、国有林にふさわしい山づくりをすることだ。林野庁長官、今までの改善計画は本当に山づくりという国有林の使命を果たしていると言えますか。
#58
○政府委員(小澤普照君) お答えいたします。
 先生御指摘の山づくりの問題でございますけれども、私どもは今までも改善ということに取り組みながら、山づくりを進めなけりゃいけないということでやってまいってはおりますけれども、その間に確かに造林の成績が悪いというような問題も生じまして、これらにつきましての人工林施業の見直しということもやってまいっておりますし、それと同時に、また森林の有する公益的機能の高度発揮が必要だという自覚に基づきまして、単層林の適正な整備に加えまして複層林の造成でありますとか、天然林施業につきましても、いろいろ見方はあるでしょうけれども、やはり天然力を利用した施業というものも大事であるというように考えて取り組んでまいっておるわけでございます。そのほか、自然保護をより重視した森林施業の推進にも努めているところでございますし、また伐採年齢の多様化、長期化ということにも取り組む必要があるというように考えているところでございます。
 さらに今後の問題ですけれども、地域別の森林計画を国有林にも立てることによりまして、流域を単位として森林整備を民有林と一体となって進めますとともに、国有林野を重点的に機能発揮という観点から類型化いたしまして、それぞれの機能の維持向上にふさわしい施業を行いたいということを考えております。
 このようにいたしまして、国有林野の事業の使命を十全に果たしてまいりたい、そして、森林整備もそれにふさわしい適切なものでなければならないというように考えているところでございます。
#59
○村沢牧君 希望はいろいろ述べておりますが、私が時間があれば具体的に箇所別に現地を指摘してもいいですよ。そんな弁解ばっかりしとっちゃだめだと思うんだよ。過去の反省がなくては、そして過ちを再び繰り返さない、こうした気持ちがなくては法律改正しても本当にいい成果を上げることはできない。反省すべきものは反省すべきだと思う。
#60
○政府委員(小澤普照君) 森林の整備なり手入れの問題等、いろいろかねて御指摘もいただいたり御示唆もいただいております。私どももこれにつきましては、現地の実態も考えまして施業方法の変更にも努める、その他もちろん反省すべき点は十分考えまして施業に取り組んでまいりたいというように基本的に考えておるところでございます。
#61
○村沢牧君 国有林の現状、そして森林・林業に対する国民の期待を思うとき、これを放任することはできない。
 日本社会党は、数年前からプロジェクトをつくって熱心な検討を重ねてきて、私もその責任者の一人として、森林法改正、森林整備促進法、国有林野事業特別会計法改正、国有林再建整備法、地域林業振興法、林業労働法の六つの法案をつくりました。現在持っています。また、昨年は土井委員長を先頭に国会議員が全国の主要な国有林の実態調査を行い、国会でも国有林問題を精力的に取り上げて質問、提案をしてまいりました。
 私を含め、我が党の議員の要請に対して、海部総理、山本前農相は、国有林の再建はひとり政府・与党だけではできない、社会党、野党の意見も十分取り入れて再建整備を図りたいと思うのでぜひ協力をしていただきたい、こういう答弁を何回も繰り返しておったわけであります。
 こうしたことを踏まえて、私たちは農水省、林野庁はもとよりのこと、財政当局にも林政審にも、また与党自民党にも折衝してよい法律をつくることを要請し、政府の対応を見守ってきました。私たちの主張が政府の改正案に反映されなければ、いつでも私たちが用意した法案を国会に提出する用意を持っています。今回農水省が林業二
法案を提出するに当たって、こうした経緯を踏まえて我が党の主張をどのように考慮されましたか。
#62
○政府委員(小澤普照君) 社会党から提起されております法案の主な点は、私どもの理解では、まず国有林を含みます……
#63
○村沢牧君 簡単に言ってください、さっき申しましたようにどういう対応を、姿勢です。
#64
○政府委員(小澤普照君) 国有林を含む森林計画の拡充等諸点にわたっているところでございます。
 私どもは今回の森林法の改正案におきましては、まず森林計画の拡充につきましては、国有林につきましても森林計画上明確に位置づけをするということを考えております。また、流域を単位として民有林と同一の流域ごとに国有林の地域別の森林計画を樹立するということにしておりますし、その他市町村の役割強化、それから森林施業の共同化あるいは林業従事者の養成確保、機械化の促進等、計画事項に追加する。また市町村を推進役として明確に位置づける、なおまた予算措置上、流域を単位にいたしまして市町村、林業関係者等による協議会を設けるというようなことを織り込んでいるところでございます。そのほか、各地域からの積み上げによります国の投資計画といたしましても、森林整備事業計画の制度を新設するということにいたしているわけでございます。
 その他、適正な施業の実施についての勧告制度に加えまして、新たに知事の裁定による分収育林契約を設定するなどの施業代行制度を設けるということにしておりますし、また国有林野事業改善特別措置法の改正案におきましては、国有林の公益的機能の発揮につきましての繰り入れ対象を民有林補助体系と同一とする。新たに、国有林の森林計画の作成等に要する経費を一般会計からの繰り入れの対象とする。あるいは累積債務の処理方策の確立につきましても、経常事業部門と累積債務を区分し、また借りかえの借入金でございますとか、退職手当の借り入れに係る償還金、つまり元本でございますが、一般会計からの繰り入れの対象とするというように、社会党から提起されております内容を十分に参考にさせていただき、改正法案の内容としているというように考えておるところでございます。
#65
○村沢牧君 林野庁が法案作成に当たって我が党の主張を十分ではないけれども取り入れたということであって、ですから基本的には本改正案に私は賛成するものでありますけれども、今後政府が真剣になって取り組むならば我が党も国有林再建に協力することはやぶさかでない、このことを、私も党の農林水産部会長として申し上げておきます。
 そこで大臣、本法律案が成立し、新改善計画の策定あるいはそれを実行する段階においても我々の要請にこたえる気持ちを持っておりますか。
#66
○国務大臣(近藤元次君) 当然のことながら、かねがね与野党を通じてこの問題を御協力をいただいた上での本法案を提案させていただくことになったわけでありますから、提案の過程においても御協力をいただいたことに感謝をし、その趣旨を踏まえて十二分の対応をしていきたい、そう考えておるわけであります。
#67
○村沢牧君 林政審の答申においても閣議了解でも、また臨時行革審の報告でも、「職員と労働組合の理解と協力は極めて重要であることから、労使一体となって経営改善に取り組むとともに、職員の士気の高揚に資するため、職場環境の改善を図る必要がある。」と言っております。
 本改正法案作成に当たって、労働組合も痛みを分かち合い真剣に対応したことは私も承知をしておりますが、改正案は、労働組合の真に理解と協力、納得を得て提出したものであるものか、これも簡潔に答弁してください。
#68
○政府委員(小澤普照君) 先生も御指摘のように、これからの国有林野事業の経営改善を進めるに当たりましては、労使関係の密接な連携または協力が必要であると、私どももこの点は常に考えているところでございまして、今回の改善を進めるという方向を出すに当たりましても、年間に労使間でも七十回以上に及ぶ論議また話し合いも行わせていただいたところでございまして、今後とも労働組合と十分話し合いを行い、今までの労使関係をさらに協力的に進めていきたいと考えております。
#69
○村沢牧君 七十回にも及ぶ労使交渉ではいろいろな問題もあったであろうし、また積み残しもあるであろうけれども、基本的な考え方については職員も理解を得ているかどうか。
#70
○政府委員(小澤普照君) 基本的な理解を得て進めているものと私考えております。
#71
○村沢牧君 職員と労働組合の理解と協力がなければ国有林野事業の経営改善はできない、これは申すまでもないというふうに思います。改正法案作成のときだけでなくて、これから改善計画の策定そしてそれを実行する場合においても、中央、さらに現場段階でも今後とも労使がよく話し合って進めていくという原則を踏まえて、この中においては労働組合の意向も尊重し、理解と協力、納得を得て事業を実行しなければならないが、どうか。
#72
○政府委員(小澤普照君) 国有林野事業の経営改善を進めるに当たりましては、この法律の改正をいただきまして、その後新たな改善計画を策定いたし、これに基づいて取り組む必要がございます。この際に、中央段階はもとより、地方の段階におきましても労働組合と適切な論議、意思疎通を図っていく必要がございますし、またその理解と協力を得て進めなければならないと考えておりまして、そのようなことを基本にいたしまして取り組んでまいりたいというように考えております。
#73
○村沢牧君 大臣、今林野庁長官から答弁があったところでありますが、これからの事業を進めていく上において十分職員とも労働組合とも話をして、理解と納得の上に進めていく。大臣に確認をいたしたいと思います。
#74
○国務大臣(近藤元次君) 私が就任をした折にも組合の代表の皆さん方とお会いをして、少なくとも要員調整の過程における労使関係の話し合いについて、将来にもわたることでもありますので、十分話し合いをする要請を受けて私もそのように回答させていただいております。
 あわせて、珍しいのだそうでありますけれども、労働組合の代表の皆さん方からも出ていただいて、全国の署長を一堂に会して、私から森林・林業の元年としたい、多年努力をしてきた累積債務の重い荷物をおろしたんだから、現場ではもう最善の持てる能力を十二分に発揮して実効の上がるようにしていただきたいという話も、初めて全国の署長の集会に大臣があいさつをするというような機会を通してお話もさせていただいておりますし、組合の代表からも話を聞いたとき私は了承しておるわけでありますので、その旨を体して事務当局も仕事をしてくれると確信をいたしておるわけであります。
#75
○村沢牧君 「職員の士気の高揚に資するため、職場環境の改善を図る必要がある。」と指摘をされていますが、具体的にどのように取り組みますか。
#76
○政府委員(小澤普照君) 職員の士気高揚を図るための職場環境の改善につきましては幾つかの観点からの取り組んでいきたいというように考えているところでございます。
 まず、現場第一線の任務を遂行しております担当区事務所でございますけれども、この事務所につきましては名称の変更も考えておりまして、職場内容にふさわしくするために森林官事務所というように、仮称でございますけれどもそのようなことをまず考えまして、そしてその装備も機動力を持たせたいということで、車両なりあるいは通信機器等、今までは私もこれはもっと整備する必要があるというように考えておりましたけれども、今後所要の整備に取り組んでまいりたいと思っております。
 それからまた宿舎でございますけれども、職員数の推移に対応いたしまして配置を考える、また
老朽宿舎につきましての建てかえなり居住性の向上のための整備もやってまいりたいというように思うわけでございます。また、効率的な運営が期待できる独身寮等の厚生施設の整備等の検討とあわせまして、職員の手づくり産品の販売等なかなか努力してくれているわけでございますが、こういう場合の販売収入などを活用いたしまして職場環境の改善につきましても検討してまいりたいと考えているところでございます。
#77
○村沢牧君 今長官から答弁のあったようなことをこれからつくるべき改善計画に明記すべきだというように思いますが、どうですか。
#78
○政府委員(小澤普照君) 新たな改善計画を定めるに当たりましては、職場環境の改善につきましても定めるように検討してまいりたいと考えております。
#79
○村沢牧君 本改正案で、改善期間を延長し、経常事業部門と累積債務を区分したことは評価しますが、大臣も先日来答弁しておりますように、今後経常事業部門の健全化をどのように図っていくかということが重要な課題である、私もそのように思います。経常事業部門の財政の健全化ということは、平成十二年度において借入金、一般会計の繰り入れがどのような状態になることを言うんですか。
#80
○政府委員(小澤普照君) 私ども考えておりますのは、まず経常事業部門の財政の健全化ということでございますけれども、これにつきましては累積債務を区分するわけでございますが、区分をいたしました経常事業部門におきまして、平成十二年度には公益的機能発揮等のための一般会計繰り入れはあるというように考えますけれども、このような一般会計繰り入れは考えまして、しかしながら新たな借入金というものは行わないで事業運営をすること、またそのような状態になるということを財政の健全化というように考えているところでございます。
#81
○村沢牧君 平成十二年度において、従来からの借入金の残高はある。それは十三年以降償還をしていくとしても新たな借入金はしない。また、一般会計からの繰り入れは求めない。確認をいたしたいと思います。
#82
○政府委員(小澤普照君) 残高は確かにまだあるかと思いますが、先生おっしゃるように新たな借入金はしない状況ということでございます。
#83
○村沢牧君 閣議了解では、「経常事業部門で将来生ずる剰余金については、債務処理に充当する。」としていますが、これは累積債務の償還財源に充当するということですか。
#84
○政府委員(小澤普照君) そのとおりでございます。
#85
○村沢牧君 経常事業部門で剰余金が生ずるというようなことは当面考えられませんけれども、せっかく法律改正をして経常事業部門と累積債務を区分し、累積債務についてはその処理財源を講じたのであるから、経常事業部門で自主的努力によって剰余金が出たような場合にはこれを積立金として後年度の不測の事態に備え、国有林の使命を達成するような経営を行うべきではありませんか。
#86
○政府委員(小澤普照君) 私どもは経常事業部門での剰余金、これが生じた場合には累積債務処理に充当いたしたいというように考えているところでございまして、先生の御指摘のような剰余金の取り扱い方ということにつきましては、やはりまだ経営する立場になりますと、要するに累積債務の借金がある状況においては、それをそのままにしながら積み立てるということではなくて、まずやはり債務の処理というつものを先に考えたいというように思っている次第でございます。
#87
○村沢牧君 大臣、せっかく会計を二つに区分した。累積債務は別途処理をする。大臣の先日の答弁にも一部あったんですが、だから累積債務については余り心配する必要はないと。経常部門の利益は経常部門の健全化に使うべきではないかと思いますが、どうですか。
#88
○国務大臣(近藤元次君) 先生のお話は、私どもにとっては大変ありがたいお話ではございますけれども、今までの累積債務、言葉は悪いんですが、いわゆる借金を肩がわりして解消していただくために一般会計から入れる。なお、こちら側に黒字が出ても累積債務が残っているときに、私たちは関係ありませんよということも、なかなか一般財源を支援していただく立場の交渉の中ではやりにくかったんではないかな、私は率直にそう思うんです。
 もう一つは、積立金にするかどうかは別にしても、黒字が出る前提にはそういう環境になってくれることが一番ありがたい、そうなったら余剰金を出す前に内容の充実に使うというのも一つの方法ではないのかな、片っ方で借金はかわってもらう、こっちは銭を積み立てるという形よりも、そのときになれば当然のことながら、そういう環境が出てくれれば経常事業を運営している方では知恵を絞って内容の充実を図っていくというのも一つの手ではないのかな、そう思って認識をいたしておるわけであります。
#89
○村沢牧君 閣議了解でこのようなことを書いたということは、今大臣から話があったように、一般会計からもっと繰り入れを多くしなきゃならぬから、せめてこういうことも書かなきゃいけないのではないかと。まあ経常部門で剰余金を生ずることは将来ないから余り気にしなくてもいい、そのように理解をしておきたいと思うんです。しかし、本当に皆さんが努力して経常部門で利益を生じたならば、累積債務は後ほど申し上げるように別途処理をするんですから、これは自分で積み立てて、いつまた経営が苦しくなるかわかりませんから、そうしていかなきゃこれは健全な経営になりませんよ。これはしばらく向こうの話ですからここで論議しても余り意味がないというふうに思いますから、この程度にしておきます。
 そこで大臣、平成十二年以降新たな借入金はしない、一般会計からの繰り入れも求めない、剰余金が出れば累積債務の償還に充当する、これは容易なことじゃないと思うんです。しかし今度はやってもらわなきゃ困る。従来のような過ちを再び繰り返してはならない。ましてや平成十二年になって改善計画を達成できなければまた法律改正をすればよいというような安易な気持ちを持ってはいけない。大臣の決意を聞きたい。
#90
○国務大臣(近藤元次君) 経常事業部門について、これから再び赤字を出さないように運営していくのは並み大抵なことではない、そう思っております。ですから、区分をすることに林野庁挙げて財政当局と交渉をして、ほとんどそこにエネルギーを使われたんではないかな、私はこう思っておるわけであります。
 ただ、一般財源からそれじゃ今後いいかといえば、現ナマそのものは入れなくても、もう少し来年の造林・林道五カ年計画の中には、事業の費用としての部分については、少なくとも民有林に供しておる程度のものは私は五カ年計画にも盛り込んでいきたい、そう思っておるわけであります。それとあわせて、若干民有林よりも規制をされている森林が、保安林等多いわけでありますから、そういう意味合いでの支援というものは今後私ども考えていかなきゃならぬ一つの材料であろう、こう思っているわけであります。ただ、累積債務のように一般会計から現ナマそのものを経常事業部門に入れるということは困難ではありますけれども、せっかくの来年から五カ年計画というように施業環境をよくするという立場での公共事業費というようなものは導入を図っていきたい、そう考えておるわけであります。
#91
○村沢牧君 何としてもこの改善計画期間の中においてこの目的を達成する、その決意は大臣も今話がありましたし長官もそうであろうというふうに思いますが、そうだとするならば、長官、平成十二年度までの収支の見積もりを当委員会に出していただきたいと思うんですが、どうですか。
#92
○政府委員(小澤普照君) 長期間にわたります収支見通しでございますけれども、この問題につきましては私どもも内部資料として種々試算を行っているということはございます。しかしながら、収入、支出それぞれにつきまして申し上げます
と、収入につきましては何と申しましても林産物収入がその大宗を占めているわけでございますけれども、これは木材価格の動向に大きく影響されるものでございます。また支出につきましては……
#93
○村沢牧君 私はそういうことは知っていますから、出せるか出せぬかはっきり言ってください。それでいいですよ。
#94
○政府委員(小澤普照君) わかりました。
 それで、支出につきましても同じように人件費等につきまして種々要素によりまして変動するものでございます。したがいまして、各要素というものが財投資金の借り入れも含めまして極めて変動的だということが言えるわけでございますので、これを明らかにすることにつきましては差し控えさせていただきたいのでございます。
#95
○村沢牧君 差し控えるというよりも出せないというふうに思うんですがね。
 私は昭和六十二年改正の折もこうした問題について論議をいたしました。林野庁の改善計画では、六十八年までに改善計画を達成して七十二年収支の均衡を図るという方針であったが、私のこれは到底困難だという指摘に対して、政府は、必ずやります、できますという答弁を繰り返しておったわけですね。それならば収支の目標を当委員会に出してくださいと言ったら、それは出すことができなかった。しかしその当時は林政審議会には幾つかの前提条件を置いて長期収支計画を出したんです。今回も林政審議会には提出したんですか、またするんですか。
#96
○政府委員(小澤普照君) 今般も林政審議会におきましては種々論議をしていただきましたけれども、収支見通しについての提出はいたしておりません。
#97
○村沢牧君 私は六十二年、林野庁が林政審議会に提出した資料も承知をしておりまして、当委員会でもまた論議ができるようにしておりましたが、見ましたがとても当委員会で論議ができるような代物じゃなかった。その結果が今日の現状を物語っているんですね。ですから、私はそんな資料をもらいたいとは思っておりません。
 それで、五十九年法改正のとき、計画達成についての私の質問に対して当時の秋山智英林野庁長官は、計画達成は私の決意でございますという答弁をしたんです。六十二年改正のときには田中宏尚林野庁長官は、決意であり、期待であり、可能なものでありますと答弁したんです。今度の法改正提出に当たって小澤長官の答弁を聞きたい。
#98
○政府委員(小澤普照君) 決意だけではお許しいただけないようでございますけれども、私も今回につきましては、今までのような不透明なことじゃもちろんいけないということもございますが、それにも増しまして今度こそは国有林の本当の再建ができるように、経営の健全化ができるようにということを考えておりまして、この辺につきまして少し御説明をさせていただきますと、まず今回は何と申しましても林政審答申なりまた改善大綱におきまして累積債務と経常事業部門を区分するということがございますので、これの上に立ちまして経営の改善を進めていかなければならないというように考えております。
 この際に、民間実行の徹底、また二万人という平成五年度目標の達成以降の必要最小限による要員規模の適正化、あるいは組織の見直し、さらにはまた同時に機動的な販売収入、それから都市近郊の国有林野の活用によります貸付料収入の増大等自己収入の確保等徹底した自主的な改善努力をしていくということと同時に、森林の公益的機能の発揮の観点から造林・林道整備等の経費やあるいは森林保全管理等の行政的費用につきましての一般会計からの繰り入れの拡充、こういうような財政措置を講ずることによりまして経営の体質の転換を図りたい、また改善の基本的条件の整備を図ってまいりたい、このようなことによりまして今回の計画におきましては平成十二年度までに財政の健全化を確立することは可能であると考えておりますし、また同時にそれを何としてもなし遂げなければならないと考えておるところでございます。
#99
○村沢牧君 今の林野庁長官の答弁は今までも多くの議員に答えてきたことでありますので、そんな細かいことは聞かなくてもいいですが、ともかく平成十二年までには必ずこの計画は達成いたします、そういうことでいいですね。決意じゃなくてやると。
#100
○政府委員(小澤普照君) やらせていただきたいと思っております。
#101
○村沢牧君 そのことを確認しておきましょう。
 そこで、経常事業部門の財政の健全化を図るためには収入の増大を図らなければならないが、どのようなことを考えておりますか。
 そこで関連をしてお聞きしたいんですが、本改正法案によって民有林並みの助成を一般会計から繰り入れるようになったといいますけれども、繰り入れ対象が民有林助成並みに事実なったのかどうか。また民有林の繰入率で計算すると、繰り入れ可能額は項目別にどの程度になるんですか。数字で結構です。
#102
○政府委員(小澤普照君) 繰り入れの問題につきましては、民有林とのバランスを考えまして逐次充実、拡充を図ってきたところでございますけれども、平成三年度におきましては、仕組みといたしましては民有林とのバランスがとれる状況になったというように考えております。
#103
○村沢牧君 それだけじゃないです。繰入率で計算すると……
#104
○政府委員(小澤普照君) なお、これは試算いたしてみましたところ、造林では百十二億円、それから林道では百十三億円というようなことになるわけでございます。それから災害復旧に関する、これは林道施設について行っておりますし、それから一般行政的費用として保安林等の保全管理等の費用がございますけれども、これは民有林と同額というように考えておるところでございます。
#105
○村沢牧君 説明はいいから金額だけ言ってください。
#106
○政府委員(小澤普照君) したがいまして、平成三年度の計上予算額と比較いたしますと、約九十四億円ほどの差が生じているというように考えております。
#107
○村沢牧君 九十四億円差があるかどうか、そのために民有林並みの助成率でいったら幾らになるかということを項目別に聞いているんです。森林保全管理はどうなるか、保安林指定・解除はどうなるか、森林計画樹立はどうなるか、そのことを聞いているんです。
#108
○政府委員(小澤普照君) 造林につきましては平成三年度予算案は六十八億円……
#109
○村沢牧君 そうじゃない。平成三年にやる仕事を民有林並みの率で計算をしたら幾らになるかということですよ。
#110
○政府委員(小澤普照君) それは先ほど申しましたように、造林ですと百十二億円、林道につきましては百十三億円ということでございまして、これと平成三年度の予算案との差額は九十四億円というふうに申し上げたところでございますが……
#111
○村沢牧君 ちょっと待ってください。だってそのほかにあるでしょう。災害復旧、保安林保全管理、保安林指定・解除、森林計画樹立、平成三年度予算に出ているじゃありませんか。
#112
○政府委員(小澤普照君) 林道施設等の災害復旧費につきましては予算案で九億円でございますが、試算値も九億円と、同額と考えております。それから一般行政経費も同額というように考えておりますので、差があるというように思われますのは造林と林道の経費というように思います。
#113
○村沢牧君 それで、その総額は幾らですか。
#114
○政府委員(小澤普照君) 総額は試算額の方で、造林・林道合わせますと二百二十五億円というようになると考えます。
#115
○村沢牧君 平成三年度予算において累積債務の処理のため、経常事業部門の借り入れを行っています。また借りかえ、退職手当借入金の償還金元本の一般会計繰り入れを計上していない。これは区分の趣旨、法定事項に照らしても問題である。このことはお認めになりますね。説明はいいで
す、認めるか認めないか。
#116
○政府委員(小澤普照君) 確かに今回の繰り入れは、利子、償還金の支払いという……
#117
○村沢牧君 お認めになるかどうか聞いているんです。私は皆さんから資料をもらっているから、だからそんな答弁を一々、時間がない。
#118
○政府委員(小澤普照君) 支払いのための経費というように考えますので、区分ということを今後させていただくわけでございますので、どのような予算計上がよろしいかということにつきまして、当然この累積債務処理につきましては考えていくわけでございます。この場合に、ただ借入金の確保という問題もございまして、それとあわせまして適切に対応してまいりたいというように考えております。
#119
○村沢牧君 長官、全く答弁になっていないんです。後ろに課長諸君がおるから、わからなかったら課長、次長もおるから答弁してください。そんな答弁じゃだめなんです。私が言ったことは林野庁から得た資料です。認めるのは当然のこと。
 そこで、林政審答申は国有林の管理経営の指針として四つのタイプに分類をしている。これは機能を分類するだけでなくて、公益的役割や国有林利用の要請が高まっているときに、国土保全や自然維持、空間利用などに要する費用は一般会計で負担すべきものだ、そこまで要求していいものだというふうに思いますが、どうですか。
#120
○政府委員(小澤普照君) 今回の改善に当たりましては、機能類型というものをやらせていただきたいというように考えているわけでございます。この機能類型の中において国土保全でございますとか自然維持というものはまさに公益的なものであることは疑いがございません。
 そこで、費用でございますけれども、ただこの場合に、これらの森林以外のところにおきましても国土保全事業等も行う必要もございますし、また同時に、国土保全林につきましてもある程度のまた木材収入等もあるということもございますが、私どもとしては、まずこの機能類型につきましては国有林の機能発揮、つまりは国有林の使命の発揮ということでございますけれども、その観点から類型化してそれにふさわしい森林施業をまず行うということでございますとか、その他組織等の関係も出てまいりますけれども、国有林野の管理経営の指針としてまず定めていくというように考えておるわけでございますので、費用の投入はもちろん必要でございますけれども、ストレートに直接それとリンクするということでは必ずしもないというように思うところでございます。
#121
○村沢牧君 そういう説明は、今まで私どもの同僚が全部質問したところなんです。ですから私は、そういうものも一般会計から導入するようなことを検討すべきだということを言っているんです。次長、答弁しますか。
#122
○国務大臣(近藤元次君) 御指名ではありませんけれども、私の方から答弁させていただきます。
 機能分類の分野は、社会政策上欠くことのできないものを森林所有者、森林施業者、国有林も抱えておるわけでありまして、今回分類されておるわけでありますが、こういうものを踏まえるような環境になりましたので、一つは会計区分ができたという背景があったのだろう、こう思っております。
 さらに今回の分類によって、私ども政治論からすれば当然のことだ、こう認識をいたしておるわけでありますけれども、事務当局とすれば理論武装をしていかなければなりませんので、私は、この分野に対しての財政的価値というものをひとつ理論武装できるだけのことを、林野庁は優秀ではありますけれども、また専門的な学者その他にもいろいろ今議論願っておるところでありますので、できるだけ早い時期にそういう専門家から知恵をかりながら理論武装をして財政当局と折衝をしてみたい、そういう気持ちを持っておるわけであります。
#123
○村沢牧君 大臣、今までお聞きのとおり、平成三年度予算で一般会計からの繰入金は予算上は百四十九億六千万になっているけれども、これは民有林並みの助成といっても、さっき答弁がありましたように民有林並みにいっておらない。それから、今また当然繰り入れるべきものを平成三年度においては繰り入れていないものがある。それで、大臣が答弁したように、公益機能に関するもの等も政治的には入れてもいいようなものだ。ですから、せっかく法律を改正するのでありますから、これらを踏まえて平成四年度の予算においては、これは近くもう折衝が始まりますけれども、これらの不足するものを必ず繰り入れる、そういう姿勢を持ってもらいたい、頑張ってもらいたい、どうですか。
#124
○国務大臣(近藤元次君) 今回は長年のことで、林野庁は区分に全エネルギーを消耗してきたところだと私は判断をいたしておるわけであります。そういう意味では、新たな経常事業部門で、一般会計からいうとかなり財政当局は警戒をされたような状況の中で一つの法案をまとめざるを得なかったのでないだろうかという状況判断を私はいたしておるわけであります。しかし私が考えるには、地球環境問題その他で非常に森林の持つ価値観というものが多様化をしてくるであろう、こういう認識を将来にわたって持っておる一人でございますので、公共事業部門は当然のことでありますから、そういうものを来年の概算要求にはぜひ民有林並みにはしていきたい。その後に、今度は今言われるような機能分類的なものを理論武装して、さらにまた私ども財政当局を説得する努力をしていきたい、こう考えておるわけであります。
#125
○村沢牧君 機能分類の問題は別としても、せっかく法律でこういうふうに区分をしてこれは繰り入れますということを法律改正するんですよ。ですから平成四年度においてはその分はこれは財政当局から一般会計へ繰り入れてもらう、そのことをやってもらわなきゃいけない、よろしいですね。
#126
○国務大臣(近藤元次君) 一点目は、今回累積債務分の百億しか乗せていない点が一つの問題になろうかと思うわけでありますが、財政当局にはその利子補給分を乗せていただいておるわけで、当然のこと従来のいきさつに予算上はなっておるわけでありますけれども、借りかえであろうと財政当局の資金繰りのやりくりにおいての対応であろうというふうに私ども理解をいたしておるわけであります。
 もう一つの問題は、公共事業部門の民有林並み部分につきましては、平成四年度には、先生方の御協力をいただいて五カ年計画ができるときには十分そのことが対応できるようにしていきたい、そう思っております。
#127
○村沢牧君 大臣はこの法律改正の中身については余り御理解がないようだ。わざわざこれとこれとを繰り入れますといって決めるんですよ、法律が通れば。そのことをやってもらわなきゃいけない。もちろん財政当局があることは知っているけれども、それは向こうの御意見だけ聞いておったら予算なんか取れませんよ。もっと毅然たる態度を持って、強い意思を持ってやらなきゃいけない、強く要請しておきましょう。
 そこで今度は入澤次長に伺うけれども、累積債務についてですが、閣議了解は累積債務の財源措置について林野、土地等の資産処分を行ってもなお不足する場合は「別途財源措置を講ずるものとする。」となっておりますが、「別途財源措置」とは一般会計へ繰り入れと読みかえていいですね。簡潔に答弁してください。
#128
○政府委員(入澤肇君) 改善大綱では「別途財源措置」という言葉を使いましたけれども、それを法律改正で一般会計として受けとめたわけでございます。ですから一般会計でございます。
#129
○村沢牧君 「別途財源措置」とは一般会計。
 そこで林野、土地等を見直して累積債務に優先的に充当すると言っていますが、その額は林野庁長官はこの前の答弁で一兆三千億程度、その内容について聞いておるとまた時間がかかりますから、これは前の人が聞いておりますから聞きません。そのような処分計画をもって一兆三千億、土地あるいは森林、土石を売っても国有林経営の役
割に支障を来すことがないのかどうか、そのことについて伺いたい。
#130
○政府委員(小澤普照君) 先生御指摘の点まことに重要な点でございますので、私どももこの資産の処分に当たりましては十分に国有林の使命遂行上支障のないように考えてまいりたいと思っております。
#131
○村沢牧君 資産を処分といっても売れるものは何でも売ってしまえというものじゃない。そんなことを言ったら国有林経営は成り立たない。
 そこで、処分の原則を示してください。
#132
○政府委員(小澤普照君) 資産につきましては土地とそれからまた森林林地がまず大まかでございます。それからその他土石等がございますが、土地につきましてはこれは市街地内の土地とかそれから都市の近隣にもございますけれども、こういうものを処理するわけでございます。その場合は高地価地域の土地から低地価のところへ事務所等の移転をやりながら処分をしていくというようなことを基本に考えております。それからもちろん林地でございますけれども、林地につきましては、国有林の持っています機能発揮ということも考えますために基本的なものももちろん堅持するということにいたしまして、同時に、今の社会需要というものがございまして、緑豊かな居住空間を必要としているとか、あるいは森林公園というような形での地方自治体等の要請等もございますので、国有林の管理経営との調整を図りつつ実行してまいりたいということでございます。
 そしてこのようなことを大きな方向として考えておりますけれども、さらに処分の基本的方針につきましては、選定基準等基方的事項につきまして経営改善計画として定める必要がございますので、この点につきましては林政審議会において御審議もいただき、所定の手続を経まして決定してまいりたいというように考えております。なお、さらに方針の細部準則も定めまして各営林局等に通達をしたいというように思っております。
#133
○村沢牧君 この処分は大事なことですから、これは林政審議会の審議を経るとともに、管理者がかわって、また大蔵からもっと売れと言われて売ったら困るから、ぴしゃっとした内規なり基準を設けておくこと、よろしいですね。
#134
○政府委員(小澤普照君) 担当者の交代等によって基本的なことが変わらないように実行してまいります。
#135
○村沢牧君 入澤次長に伺うけれども、資産処分による収入の増大を図り、これを債務処理に優先的に充当するとなっているが一般会計からの繰り入れとの関係はどういうふうになりますか。同時にやるんですか、資産処分をやってから一般会計から入れるんですか。
#136
○政府委員(入澤肇君) この点が大蔵省との折衝で一番苦労が要ったところでございまして、同時といいますか、資産処分によって繰り入れもするし、それから一般会計からも繰り入れをする。その場合に財政の弾力的な運営の確保ということについては、これは財政当局としては譲れない一線でございまして、私どももその点を十分念頭に置いて要求をしなくちゃいかぬということでございます。
#137
○村沢牧君 平成二十二年度までに収支の均衡を図るといっても、累積債務の処理に一般会計から繰り入れるのは平成十二年度までである、そうですね。
#138
○政府委員(入澤肇君) そのとおりでございます。
#139
○村沢牧君 したがって平成十二年度までにかなりの部分を一般会計から繰り入れなければ新たに国有林財政の負担になる、その心配はありませんか。
#140
○政府委員(入澤肇君) これは法律改正のときに大蔵省と十分協議をして、十年間で一般会計から繰り入れるということでございますが、お互いに了解し合ったところでありますから、大蔵省もそれを十分念頭において財政運営をするというふうに期待しております。
#141
○村沢牧君 大臣、これは土地を売って残ったのは一般会計から見るからなんというそんな気楽なものじゃないんですね。累積債務の処理についても大蔵省から入れるのは平成十二年度まで、あとは入ってこないんですよ。そこまでに入れないとあとはまた国有林でしょい込みになってしまう。だから累積債務の処理だって容易じゃない。強い決意とスケジュールを持って臨まなきゃいけない。どうですか。
#142
○国務大臣(近藤元次君) 当然のことながら、一般会計から繰り入れをしても、累積債務の解消というのは私どもの努力の一つでありますから、一般会計からの繰り入れは十分にさせますし、またあわせて私どもも二十年間においての解消には全力を挙げて取り組んでいきたい、そう思っております。
#143
○村沢牧君 そういうことを聞いているんではなくて、一生懸命土地その他の資産を売っても一兆三千億なんです。それ以上現行価格で見積もってもないですね。これは累積債務というのはふえてくるんですよ、利息なんかで。そうでしょう。一兆三千億しかない、残りは一般会計から入れてもらう。しかし、それは平成十二年以降は入りませんよ。ですからその間に一般会計から入れてもらわなきゃ、あとまた別なところで経常事業部門に食い込んだりなんだりしょい込みになるんじゃないですか。だからその決意を聞いているんです。
#144
○国務大臣(近藤元次君) 私どもは、私どもが処分をするべき一兆三千億に値する部分についての計画を立てていくわけであります。それ以外、資金繰りその他で累積債務がふえていくことは予想されますけれども、それは一般会計からすべて導入をして累積債務の解消に当たりたい、そう思っておるわけであります。
#145
○村沢牧君 次長、重ねて聞くけれども、一般会計から累積債務に入れるのは平成十二年まで、平成二十二年まではない、そういうことですね。
#146
○政府委員(入澤肇君) そういうことでございます。
#147
○村沢牧君 大変なことですよ。平成二十二年まで一般会計から入れてもらえればいいけれどもそうじゃないんですよ。だから、その点を十分考えてやらないと大変なことになるということを申し上げておきましょう。
 次に、要員と組織機構の簡素化について聞きたいけれども、要員は平成五年に二万人規模にすると言うけれども、最初に二万人ありきではいけない、国有林の役割を果たすために今後どのような仕事をするから要員はどのくらいの規模が必要だ、こういう考え方を基本にしなければならないけれども、その基本的な考え方について簡潔に伺いたい。
#148
○政府委員(小澤普照君) 私どももこの要員規模につきましては諸因子を判断して決める必要があると考えておりまして、平成五年度末までの間におきます事業量の見通し、事業の民間実行の徹底あるいはまた事務の外部委託の問題もございます。さらに事務の簡素化の見通し、これらを総合的に勘案いたしまして適切な業務運営が可能な規模として二万人という要員規模を考えているところでございます。
#149
○村沢牧君 平成五年になって見直しをすると言っているけれども、林業労働力の実態あるいは事業の実行形態等によって二万人を割り込むことのできないような事態も生ずると思う。私は必ず来ると思う。だから、平成五年を待たずして十分この問題については検討しなきゃならない。どうですか。
#150
○政府委員(小澤普照君) 平成五年度末二万人、この要員の適正規模への移行につきましても、このままではできない、相当な諸措置も講ずる必要がございますから、その後における見直し等につきましては、その二万人の規模の見きわめがついた段階でというように考えているところでございます。
#151
○村沢牧君 だんだん減っていく今の状態を見れば、恐らく定員内、定員外も含めて二万人くらいになるでしょう。なった後で考える。そのときにさらに林業労働力がなくなった、あるいは実行形
態が足らないということであってはいけない。私は、平成五年に検討するのじゃなくその前から検討しなきゃいけないということを言っているんです。どうですか。
#152
○政府委員(小澤普照君) 見通しがついた段階でと申し上げましたのは、平成五年度になってからということではもちろんないというように考えております。
#153
○村沢牧君 五年といったってすぐですから、もう直ちにやっていかなきゃいけないと思うんです。
 そこで直用あるいは請負の関係ですけれども、現行改善計画あるいは五十九年の林政審答申、これらはこれらの事業は直用としてやるべきだということを指摘しておるんです。それを今度の林政審答申は、また見直せという。林業というのは長期にわたるんです。直用でやるといって進めたのが今度はまた見直す、そんなことで長期の経営ができますか。ですから、国有林の役割を果たすための基幹的な事業、これはいろいろあるでしょうけれども、これは直用で行わなければいけないものもある。あるいはまた立木販売を志向するといっても収入確保の観点から引き続き一定量の素材生産を行わなければならないものもある、こういうことはわかりますね。
#154
○政府委員(小澤普照君) 去る五十九年度におきます林政審の論議また改善計画の策定がございました。また、六十二年度の経緯もございますけれども、この際林政審におきましていわゆる直用の事業実行形態について御議論をいただいたところでございます。さらに今般、林政審議会におきまして種々御論議いただきまして、そして民間実行の徹底というようなことで、そしてまた必要最小限の直用ということも論議されてきたわけでございまして、これらは林政審答申また閣議了解等におきましてもそのような経過をたどってまいったわけでございます。私どもはそのような点を踏まえて、今後の直用で行うべき業務等につきまして詰めていかなければならないというように考えているところでございます。なお、その際今後総合的な見直しを行いますけれども、直用で行うべき必要最小限の業務を除きまして、請負化等による事業の民間実行の徹底ということで考えているのでございます。
#155
○村沢牧君 長官の答弁はどこかで言われたような答弁だけれども、それで立木販売を志向するけれども、これは素材生産も一定量やらなきゃいけない、そうですね。
#156
○政府委員(小澤普照君) 立木販売志向ということでやってまいってはおりますけれども、同時に最近は、例えば製材工場でも素材生産部門が縮小したとかというようなこともございましたり、そして素材での供給を求める声もございますし、私ども諸般の情勢も考えまして素材の生産ということも行ってまいりたいというように考えております。
#157
○村沢牧君 要員問題を具体化する場合、あくまで雇用を保障しなければならない。これは定員内、定員外を問わずやらなきゃいけない。特別給付金制度をえさにして肩たたきなどを行って本人の意思に反して退職をさせるようなことがあってはならない。確認をいたしたいと思います。
#158
○政府委員(小澤普照君) 本人の意思に反しての退職ということは考えておりません。意思を尊重してまいりたいと思います。
#159
○村沢牧君 時間があと余りございませんけれども、林業労働力について伺っておきたい。
 これも多くの議員から質問があったところでありますが、平成二年新規学卒で林業に従事した人は全国で何人いますか。数だけで結構です。
#160
○政府委員(小澤普照君) 二百人程度というように聞いております。
#161
○村沢牧君 二百人ね、全国で。国有林については何人ですか、その中で。
#162
○政府委員(小澤普照君) 国有林の採用者数は年間今百三十名程度でございます。これが二百人とストレートに結びつくかどうかちょっとあれでございますけれども、国有林は百三十名程度の新規採用となっております。
#163
○村沢牧君 百三十人は、二百人とまた違って、定員だとか分かれているでしょう。
#164
○政府委員(小澤普照君) 先ほど申しましたのは事務系、技術系の職員を合わせての数でございまして、いわゆる現場におきます作業職員につきましては十名程度でございます。
#165
○村沢牧君 全国で現場における人が二百人ふえた、そのうち国有林は八人、平成三年で国有林を退職した人、そして新規に採用された人は何人ですか。数だけ言ってください。
#166
○政府委員(小澤普照君) 今手元で資料を整理しておりますけれども、三年度はまだでございますので二年度の御質問と思いますけれども……
#167
○村沢牧君 いや、三年度の四月ですよ、もう。
#168
○政府委員(小澤普照君) 三年四月現在で、退職者総員数は約三千名なのでございますけれども、新規採用は先ほど申しました約百三十名くらいということになっております。
#169
○村沢牧君 退職する人が三千人で新規採用が百三十人、こんな状態が続けばそんな無理をしなくても二万人になっちゃうんですよ。
 そこで、林業従事者は昭和五十五年の十九万人から平成元年には十二万人、大幅に減少した。このまま推移すれば平成十二年には六万人、しかも五十歳以上の人が七〇%、こういう試算もされているんです。先ほど午前中の参考人で、大内先生は十年ともたないと言った。また小塚参考人は本改正法案の成否は労働力いかんにかかっていると言っていますが、これも率直にお認めになりますね。
#170
○政府委員(小澤普照君) 林業労働力の減少は深刻なものがございまして、いろいろな見通しはあると思いますけれども、相当量の減少ということは私どももそのような考えに立っております。
#171
○村沢牧君 林業に新規参入の労働者は今も言ったような現状だ。そして国有林は人員の削減に躍起になっている。国有林事業の請負を増加すると言っているけれども受け皿があるのか、本当に真剣に考えなきゃいけないと思うんですよ。どうですか。
#172
○政府委員(小澤普照君) 国有林野事業のこれからの継続ということを考えましても、また一般民有林の労働力あるいは担い手の確保ということにつきましては私どもも最重要課題というように考えておるところでございますので、この点につきましては、新年度から林野庁にも林業労働対策室の設置等を初め、鋭的取り組んでまいりたいと考えております。
#173
○村沢牧君 先ほどの参考人からもお話があったんですが、国有林労働者は国有林だけでなくて民有林までひとつ手をかしてやってください、それが今の要請だと言っているんです。ところが、国有林はどんどん人が減ってしまう、また林業労働力も全体に減ってしまう。先日来、大臣の答弁でも長官の答弁でも、林業労働力については極めて抽象的だ。希望を述べているだけであって、決め手になることは何もないじゃありませんか。林業労働力確保が今後の林政において最も重要なときに、今回の改正法においても、森林法で林業従事者ということをちょっと一言入れてあるだけです。我が党は林業労働法をつくらなければいけないということを何回も何回も提案して、今法律も持っているんです。
 そこで次長に、林業労働力についてお伺いしますが、今国会に通産省は中小企業労働力確保法を出しているんです。みんなそういうふうに労働力を確保しようとやっておるんだ。これだけ重要なときに、将来林業労働力の確保、身分保障について法制化も含めて前向きに検討しなきゃいかぬと思うが、次長、どう思いますか。
#174
○政府委員(入澤肇君) 今、長官から答弁がありましたように、林業労働対策室を設けまして、まず労働基準法全面適用に向けて努力していますけれども、長期的な課題といたしましては、今先生御指摘のとおり、林業労働法という名前がいいかどうかわかりませんけれども、基本的な法制度が必要じゃないかというふうに考えております。
#175
○村沢牧君 次長から極めて前向きな答弁もあったところですが、そういうことを踏まえて真剣にひとつ検討してください。さっき申しましたように、通産省はこういう法律を今度の国会に提案するんですよ。だから農水省においても真剣に考えなきゃいけない。
 そこで、林野庁の方針でいくと今度は請負が増加する、これは間違いないと思います。そこで請負事業体に働く人たちの労働条件を向上させる、あるいは林業労働者の育成確保のためにも労働安全対策はもちろんのこと、労働基準法の問題もありますが、社会保険だとか年金だとか、退職金等をチェックして、それらが不備な業者には登録を認めない、また登録業者であっても請負をさせてはならない、そのことが直接間接に林業労働力確保になってくるんです。そのチェックをやりますか。
#176
○政府委員(小澤普照君) この問題につきましては、私どもも条件整備を指導しておるところでございますけれども、いろいろ実態も調べてみておるのでございますが、不備なものもございます。
 具体的な措置といたしましては、社会保険等の加入状況が非常に低位であるとか、あるいはこれらについての加入促進の取り組みが見られない場合におきましては請負契約を見合わせるということの指導をしております。
#177
○村沢牧君 さてそこで、営林署の関係でありますが、営林署の三分の一程度を統廃合し、森林管理センターとして改組する、こういうことをやっておりますが、森林法の改正によって国有林、民有林を通じた施業体系を確立しようとするときに、営林署は地域林業体の中核的、指導的役割を果たさなければならない、こんなときに営林署を三分の一も統廃合するなんということは森林法改正の趣旨にも反すると思う。そして同時に、営林署というのは地域の振興に寄与している、あるいは地域と密接なつながりを持っている、したがって三分の一程度を統廃合する、あるいは組織を変更するに当たっても地方自治体を初め地域住民に十分な理解と納得を得ておかなければならない、地域の意向を無視して強行してはならない、どうですか。
#178
○政府委員(小澤普照君) 今後組織の再編整備をするに当たりましては、地域の御理解を十分得て進めてまいりたいというように考えておりますので、地方自治体の意見、御要望も十分尊重しつつ、円満な実施に努めてまいりたいと考えております。
#179
○村沢牧君 営林署は、今度の場合は改組であって、従来の統廃合とは若干違うようでありますが、それについても地域と密接な関係がありますから、十分地域の納得を得てやるように強く要請しておきます。
 そこで、時間がなくなって森林法について質問することができなくなりましたが、入澤次長、森林法について一点だけ伺うわけなんだけれども、森林計画に森林施業の合理化に関する事項を追加したと、次長は大変に胸を張っていますけれども、この中で林業に従事する人のこともちょっと書いてある。機械化について大したものだと言っておりますが、この機械化は国有林には対象になりませんね。
#180
○政府委員(入澤肇君) 機械化は国有林には対象にならないという意味がよくわかりませんけれども、私は労働力の確保のためにも社会保障制度の充実と並びまして機械化の促進が絶対に必要だと思っております。今まで予算等でちまちまやっていまして、まさに先生さっきおっしゃいましたように、人がかわりますと機械化促進のエネルギーがなくなってしまうというふうなことがありましたので、法律上、制度として機械化の促進ということを明記したいというふうに考えまして、この森林法の体系の中に入れてもらったわけでございます。したがいまして、この機械化の成果につきましては国有林にも十分に適用していきたいと思っております。
#181
○村沢牧君 成果については将来間接的にはあるかもしれぬけれども、機械化をしていく、機械を導入していく。この間大臣がこういう機械があるんだと言っていましたが、そういう機械は国有林に入れられるということですね。
#182
○政府委員(入澤肇君) もちろん国有林における労働力の問題、それと十分調整しながら入れ方については十分に組合とも話し合いをしながら検討しなくちゃいかぬと思っています。
#183
○村沢牧君 もう一回、くどいようですけれども、国有林についてもその機械を、一定の補助などをやっておる場合においては、補助する場合じゃないのかもしれませんけれども、入れていくという認識でいいですか。
#184
○政府委員(入澤肇君) 入れる場合もあり得るんじゃないかと思います。例えば、特に私どもも現場を見てきましたけれども、急傾斜地帯で下刈りをするようなところ、ハチに刺されるのを防ぎながら多くの人が下刈りを……
#185
○村沢牧君 そういうところをみんな請負に出してしまって、やらないじゃないか。
#186
○政府委員(入澤肇君) そういうところの機械化というのは、私は労働者の重筋労働からの解放という意味からしても入れることが必要じゃないかと思っております。
#187
○村沢牧君 時間ですから終わります。
#188
○猪熊重二君 本日は国有林野改善事業計画のうち、累積債務の処理に関する改善計画についてお伺いいたします。
 通告してある質問の前にちょっと申し上げたいんですが、きょう午前中に五名の参考人の方からいろいろ御意見をお伺いしまして、先ほど大臣がおっしゃっていたような財政当局といろいろ交渉するに際しての理論武装をしたいというふうな意味での理論武装に関することも、参考人の五名の方からいろいろ貴重な御意見が出ておりますので、ぜひ大臣も長官も会議録をお読みいただきたいと思います。
   〔委員長退序、理事北修二君着席〕
 ちょっと我田引水になって申しわけないんですが、この五名の方々のそれぞれの御意見、非常に有益にお聞かせいただいたんですが、その中で大内力東大名誉教授の御意見についてちょっと大臣の感想をお伺いしておきたいと思うんです。と申しますのは、私が従前、何にもわからぬ素人がいろいろ申し上げたんですけれども、こんな立派な先生が言われていることが私の言っていることと非常に同じだったものですから大変喜んでいるわけなんです。それでお伺いというか、感想をお聞きしたいわけですから、そんな難しいことじゃありません。
 いろいろ大内先生がおっしゃった中で、私が非常にそうだなと思った第一点は、要するに国有林について木材の生産というふうな観点、財貨の獲得手段というふうな観点はもう捨てるべきである、そして国土保全、災害防止、環境保全というふうな公共目的を優先させて考えるべきである、ですから、国有林に限らず森林一般ですけれども、ともかく今までのような発想を変えていくことが本当の意味での国有林野行政の根本だろうというふうな御意見をお述べいただきました。これについての大臣の感想で結構ですから、一言お伺いしたいと思うんです。
#189
○国務大臣(近藤元次君) 気持ちとしては、そういう気持ちは今後だんだんと増大をしてくる傾向が強いんではないかな、こう思うわけでありますが、今国有林が持っておる経済的に有効に活用しなきゃならぬ部分と、いわば今度区分をさせていただくその役割区分というようなものと区分ができ上がったときに、維持林なり保安林なり、その保安林の中にも一部択伐をして経済運用をする部分も混住しておるわけでありますけれども、国有林という特別会計上でやるかどうかということになると、もう根本にも触れる問題でございますので、私どもは今後そういう気持ちを強く持って仕事に当たっておるわけであります。
 そういう面では一般会計からの導入という点についても私ども考えていかなきゃならぬという今心境でおりますし、今お話しのような面積にも影響するでしょうし、また社会的政策上に必要な量
というのも今後計測をしていかなきゃならぬというようなこともありますので、そうすると今度は現場では環境庁とのかかわりというのがまた一つは出てくるんではないだろうか、そういうことでありますので、大臣がこれ以上発言するとまた国家組織にも影響するような話でありますので、気持ちで酌み取っていただきたい、こう思います。
#190
○猪熊重二君 大内先生の御指摘の中のもう一点は、また今と同じように国家組織にかかわることになるかどうか知りませんけれども、累積債務の赤字について森林なり林地あるいは普通の土地、こういう財産処分をするということをもとに考えることはいかがなものだろうか。要するに森林をあるいは林地を売却する、そして累積債務に充てるということだけを考えていると森林の荒廃を招くおそれが非常に多いということです。そして、林野部門における累積赤字は国の一般会計における百六十八兆円の赤字と何ら性質は異ならないはずのものである。
 要するに、二兆二千五百億円のこの累積赤字は、農水省なり林野庁がしょい込んでかついでいかなきゃならぬ債務ではなくして、要するに百六十八兆円の一般財政における赤字と同じに、これは国の財政的な赤字なんだという観点からこれを処理するべき問題である。ところが、どうも今回の累積債務の処理に関しても林野庁だけで何とかこちょこちょうまくならぬかなとやっている。やっていること自体はどうか知りませんけれども、そういう性質のものじゃないというふうな趣旨の御指摘がありましたが、これについても大臣の簡単な御見解をお伺いしたいと思うんです。
#191
○国務大臣(近藤元次君) 私は土地売り払いについてはやらなければならないと思っておりますけれども、林地の部分については相当慎重にやっていかなきゃならぬということで、林野庁が持っておる、国有林が持っておる土地すべてを売り払いに一律に考えられないということの認識で対応していきたい、こう思っておるわけであります。
#192
○猪熊重二君 それでは、具体的に累積債務の処理に関する質問に移りたいと思いますが、平成三年度というのは今回の改善計画の出発点の第一年目に当たるわけです。ところが、この平成三年度の累積債務の処理計画自体が収入として林野、土地の売却代金が七百二十六億円、一般会計からの繰り入れは百億円、借入金が千四百六十五億円。支出として売却経費が六億円、支払い利子が千四百十六億円、償還金が八百六十九億円だ、こういうことになってます。そうすると、再出発第一年たるこの平成三年度において累積債務の総額が、現在の二兆二千五百十一億円の債務に対して、借入金千四百六十五億円から償還金八百六十九億円を差し引いた五百九十六億円が新規債務となって加算されるんです。そうすると、平成三年度末においてはこの計画どおりでいくと、累積債務は二兆三千百七億円となる。減るんじゃなくてふえるんです。二十年間の一年目だからふえてもいいのかもしれませんが、大体始まりのこの年から、正確に申し上げますが、五百九十六億円新規累積債務が加算される、こういう計算は間違いありませんか。
#193
○政府委員(小澤普照君) 先生がただいま数字を挙げて申されました点、そのとおりだというように思います。
#194
○猪熊重二君 一年目から黒字になるわけじゃないけれども、一年目から六百億円の赤字がさらに追加されるというので果たしてこの十年間がどういうことになるのかということが各委員からみんな質問が出ているわけです。私はまず、この累積債務解消のための林野、土地の売り払い計画についてお伺いします。
 土石を含めると一兆三千億円の売却代金を見込んでいるということですが、この一兆三千億円が実際に取得されるのはどのくらいの期間を予想しているんでしょうか。
#195
○政府委員(小澤普照君) これは平成三年度以降、二十年間を考えているわけでございます。
#196
○猪熊重二君 二十年間に一兆三千億円収入を見込むということは、単純平均計算すれば年六百億円程度なんです。年六百億円程度の売り払い代金収入を予定している、こういうことになります。もちろん、毎年全く同額というわけじゃないにしても、一応二十年間ということになれば、年間六百億円ぐらいということになります。
 ところが、この六百億円程度の林野や土地の売却ということになると、昭和六十二年以降今日までの土地等の売却代金の収入を申し上げれば、六十二年が七百三十三億円、六十三年七百三十一億円、平成元年七百四億円、平成二年六百五十億円、何てことない、この数年間やってきたことと同じなんです。この数年間ずっと林野なりあるいは土地なりいろんなものを売却して六、七百億円収入があって、それでも毎年毎年一千億ぐらいの新規債務が追加されてきている、今回一兆二千億、一兆三千億売却代金が入りますというけれども、一年ででもぽんと入ってくるのなら少しは役に立つけれども、こんな六百億や七百億ちょろちょろ入ってきただけじゃ、今までここ数年間ちょろちょろ売って、そうしては借金をふやしてきたというのとほとんど変わらないと思いますが、いかがですか。
#197
○政府委員(小澤普照君) 確かに先生おっしゃいますように、年平均で割り算をしてみますと六百億円程度、これでは実効は上がらないじゃないか、私もそのとおりだと思います。
 それで、私どもといたしましては、そのように平均的にやっていたんでは、これは経営という面から見ますと、この債務処理は実は金利との競争でございますものですから、極力この売り払いにつきましてはできるだけ早期に処理をしていくことが経営上は有利でございます。この点につきましても今後努力をしていかなければならないというように考えております。
#198
○猪熊重二君 いや、私は何も一兆二千億、一兆三千億をことしじゅうに売りなさいと言っているのじゃないんです。もし計画を立てるのだとすれば、何年度に幾ら売って、幾ら入ったら利息にそれをどう回してとか、元金にどう回してとか、そうすると三年後にはどうなって、五年後にはどうなってという計算がなくて、ただ一兆二千億だ、一兆三千億だなんて言ってみたところで、これを二十年に均等したら、今申し上げたように六百億、七百億。これは毎年毎年の累積債務の借金の利息の半額ぐらいのものになるのであって、利息の半分にしかまだ満たないような金額なんです。
 ですから、早く売れとかどうとかというのじゃないですけれども、林野庁の説明で一兆二千億売る、ああそうか、それじゃ二兆二千億のうち半分か半分ちょっとぐらいすぽんと借金が消えるのだとだれでも思う。だけれども、こうやって具体的にいつ、幾らぐらいで売って、それをどういうふうにどうだ、こう計算してみれば、こんなものは今までやってきた数年間と全然変わらぬということになる。
 長官が一生懸命早く売るというか、いろいろそうおっしゃるのは結構なんですが、全然計画性がない、合理性がない、科学性がないと思うんです。十年後に累積債務がどういうふうになっているだろうかというふうな具体的な目安というものは何もないのじゃないかと思うんです。長官は、累積債務がことしの二兆二千五百十一億円に対して十年後にはどのくらいになっているというふうに思っているのですか。半分になっているのか、それともふえているのか、どうですか。
#199
○政府委員(小澤普照君) 数字を挙げまして明確にお答えできないのが私も大変心苦しいのでございますが、ただ傾向がどうなるかというようなことにつきまして考え方を示させていただきたいのでございますけれども、今後の累積債務見通しでございますが、これにつきましては、変動要素は、地価の問題あるいは売り払い状況なり、借入金の利率の問題等ございますけれども、傾向的に私ども判断をするといたしますと、土地の売り払いにつきましても、確かに条件がいろいろございますので、一度に急速にというわけにはまいりません。
 しかしながら、これは今後売り払いにつきまし
ても努力をしてまいるということ、あるいはまた十年後というふうに先生もおっしゃいましたので、十年後ということで考えてみますと、この状況ではまだいわゆる経常事業からの剰余金も当て込むことはできないというように考えております。そういたしますと、別の財源措置として償還するための借り入れも必要でございます。そんなことを考えますと、累積債務が一時的にはむしろ増大していくと考えざるを得ないわけでございます。しかし、林野、土地の売り払い収入等は、逐次拡大をするというように考えておきますと、少なくとも十年後においては、これはいわゆる改善期間の終了時点ということになるわけでございますけれども、累積債務をそれからは減少させていくというめどはつきますというように考えているところでございます。
#200
○猪熊重二君 結局十年後に累積債務が幾らになっているだろうという具体的なものは何もないんです。
 もうそのことばかりやってもしようがないので、いずれにせよ林地を売却するということなんですが、大臣にお伺いしますが、この売却に関して、衆議院の農水委員会で、公明党の西中委員が、第三者機関を設置して公正に売却することを考えるべきだということに対して、大臣の方から、中央段階で御相談していただく機関の議を経て処分計画案をつくって実施していきたいというふうな趣旨の御答弁をいただいているわけです。一兆二千億円の国有財産の処分といったら非常に重大な問題ですが、この中央段階で御相談をしていただく機関というものについてもう少し大臣の具体的なお話をお伺いしたいと思います。
#201
○国務大臣(近藤元次君) 御質問を受けたときに名前を失念しておりましたので中央段階と申し上げたわけでありますが、林政審議会で全体計画をひとつ審議をいただいて、それぞれ個別につきましては営林局にあるところの専門的な皆さん方からの御意見をいただきたい、こう思って、国有林野管理審議会で個別のところの相談にあずかっていただきたい、そういう議を経て処分をいたしたいと考えておるわけであります。
#202
○猪熊重二君 長官、売却の公正さ、客観性を担保するような手続について概略御説明ください。
#203
○政府委員(小澤普照君) 売却でございますが、まず具体的売り払いの前段階といたしましては、売り払いの基本方針あるいはまた売り払いの対象財産の選定基準等基本的なものにつきまして林政審議会で御審議をいただきたいというように考えております。そして、これに基づきまして、具体的売り払いの実施手続等につきまして林野庁から各営林局に通達をする考えでございます。
 さらに、売り払いの手順でございますけれども、まず買い受けの要望者から買い受け希望が出された場合でございますが、営林局としては、さきに申し上げた実施通達等に基づきまして売り払いの可能性について検討いたす、そしてこの結果売り払いが可能となった場合には売り払い手続を進めることになるわけでございます。
 なお、この場合当該資産の処分につきましては、管理経営の観点から、最終チェックとして農林水産大臣または林野庁長官の承認を要することになっておりまして、この意味合いは行政財産から普通財産への変換、いわゆる用途廃止手続をするということでございます。
 その次の段階でございますが、売り払い価格が一定額以上、これは随意契約で五千万円、公売で一億円以上のものというふうに考えておるわけでございますが、各営林局に設置されております国有林野管理審議会へ諮問をすることになります。
 なお、管理審議会の審議の結果、売り払いが妥当とされたものにつきましては、国有財産法第十四条に基づきまして大蔵大臣に協議をする。なお、この協議対象は随意契約で五千万円、公売で一億円以上、先ほどの金額と同様でございます。大蔵大臣協議が調いました場合において買い受け要望者と売買の折衝を行いまして、これが成立すると売り払い契約を締結する、以上が諸手続でございます。
#204
○猪熊重二君 結局、土地を売却するといった場合にしても、非常に効果的ないいところはだれも買いたい。だれも買いたいところは買い手が多いわけですからうまく処理できる。ところが、林野庁としては、売りたいというけれども、なかなか数量、単価、総額等において私人は買えないというふうなことになると、大きなリゾート開発のデベロッパー等が買い占めて、それで周辺の土地も買い占めてというふうなことが非常に心配されるわけです。
 一億円以上の売買についてはきちんと処理するというお話ですが、いずれにせよ先ほどの大内先生の話じゃありませんけれども、国有林野を売却することによる山林の荒廃というふうなこともいろいろ考えれば、一兆二千億円を得るためにだけ売却するということでなくして、その借金は大蔵省の方へお上げして、なるべく売らぬようにした方がいいと私は思うし、また具体的にこういうふうに売却したものについては国会なり国民なりにどのように報告するおつもりでしょうか。
#205
○政府委員(小澤普照君) 売り払いの手続につきまして公正さというものは常に保持しなければならないという観点で申し上げたわけでございますが、さて、売り払いましたものにつきましては、私ども、その実績につきましては、当然国有財産の処分ということでございますので、公表をしてまいりたいというように思っております。
 具体的には、国会に提出されます国有財産増減及び現在額総計算書という中で、資産ごとに全体の面積、台帳価格の増減について公表することとしております。それからなお、国有林につきましての実績につきましても公表ということで考えさせていただきたいと思っております。
#206
○猪熊重二君 それでは、累積債務解消のための一番目の方法としての林野、土地等の売却については今のようにお伺いして、ほとんど売却によっては累積債務は減らないだろう、まごまごするとふえるだろうということを申し上げたんです。
 この累積債務解消のための第二の方法が一般会計からの繰り入れを予定している、こういうことになるわけです。平成三年度は、先ほどからお話がございますように、百億円だけ入りました。四年度以降十二年度までの当初の十年間における繰入金額についてどう考えておられるのか。先ほどは財政当局の立場が云々というようなお話がありましたけれども、一般会計からの繰り入れについてどうお考えなんでしょうか。
#207
○政府委員(小澤普照君) 平成三年度予算につきましては、累積債務対策処理費、先生御指摘のように、繰入額百億円でございます。さらに、今回の改正法案におきましては、従来の退職手当や借りかえにかかわります借入金の利子に加えまして、これら借入金の償還金も一般会計繰り入れの対象とすることも踏まえまして、今後ともその確保に努めてまいりたいと考えているわけでございますけれども、ただ今後の一般会計の繰入額につきましては、今後の累積債務処理に充当いたします自己収入が今後の地価あるいは資産処分の進展状況、さらにまた経常事業部門におきます剰余金の発生時期なり発生額等によって変動するということでございますので、別途、財源措置の必要額が変動する要素がございます。
 今後の一般会計からの繰り入れ等につきましては、毎年度それぞれの予算編成の過程を経て決まるということでありますとか、予測の難しい要因が多くございますので、各年度におきます繰入額については明らかにすることはできない、大変恐縮しておるわけでございますけれども、そのような中で繰り入れ措置等につきましての努力をしてまいりたいというように考えております。
#208
○猪熊重二君 話が逆なんです。要するに、来年度からの予算において一般会計からどれだけの金額が入るか入らないか、これは今ここで決めるわけにはいかないんです。それはあなたがおっしゃるとおりなんです。しかし今計画を立てているわけなんです。累積債務改善夢物語を立てているんじゃなくて、計画を立てているんです。計画を立てるということは、具体的に各年度の予算におい
てどれだけのことが予算計上されるかされないかという問題と、林野庁として一般会計からこれだけ入ってくれば累績債務がどういうふうに変遷していって、どういうふうに減少していってという計画を立てる問題なんです。何もあなた、来年度予算で一千億になるか百億になるか、これはだれもわかりゃしません。
 しかし、それはその後、各年度の予算における一般会計繰り入れの確定金額の問題と、十年間で累積債務をどう処理するか、そのためには一般会計からどれだけ入ることが必要だとか、これだけ入るんならこのくらいの状況になります、このくらい入れてもらえばこのくらいになります、この計画がなきゃどうしようもないでしょうということを申し上げているんです。要するに、年間一千億円、十年間で一兆円入れてもらった場合どうなるかという計算ぐらいはしてみたらどうなんですかということを申し上げたいんです。私、まあ数学は非常に弱いけれども、年間一千億円ぐらい入れてもらって十年間で一兆円入ったにしても、支払い利息にほとんどいっちゃって、累積債務の方がどの程度減るか、二兆三千億円近いものが一兆五千億ぐらいまで減るのかどうなのか、売り払い代金を充当することによって減るかもしれませんが、何もこれは私がこんなことを心配して計算するんじゃなくて、林野庁の方で計算してみるべき問題じゃないですか。
 何もやらないで、予算はわからない。予算がわからないなんていえば、あしたの命もだれもわからないんです。そんな問題じゃなくて、計画なんだからもう少し、一般会計からどうなったらどうだということをやるべきだと思うんです。それをやって、大蔵省に、一千億円入れてもらったってだめだよ、二千億円入れてもらえば十年後には大分とんとんに近づくよ、こういう数字を持っていってけんかしなきゃだめじゃないですか。全然一般会計についての収入の計画もめどもないということは、甚だ計画とは言えない、夢物語にすぎないというふうに言われてしまうんじゃなかろうか。この辺大臣どうです、大蔵当局に言うにしたって、これだけ入れてもらえばこうだというのを、やっぱり数字を持っていってけんかせにゃけんかになりませんが、どうですか。
#209
○政府委員(小澤普照君) 私の方から若干先にお答えをさせていただきたいのでございます。
 もちろん私どももこの現在の赤字体質を何としても改善していかなけりゃならないということを痛感しているものでございますので、計算といいますか、もちろん自分の胸算用というのは経営の立場にある者としてやっておるわけでございますけれども、ただこの際に、繰り入れで措置するもの、そしてこれは財政状況でいろいろございますから、その場合に、もちろん自己収入、それからさらに借りかえというような手段も考えていく必要がございまして、諸要素をいろいろ判断しながら改善してまいりたいと思っております。
 今後のことになりますと、我々も経営努力をいたしまして、単に夢物語ということでは責任が務まりませんので、やはり材価の動向なり販売の機動力なり、あるいは資産の処分につきましても公正かつ迅速に行うなど、諸要素がございます。また、自主的な改善努力が諸般にわたりましてございますから、そのようなものを総合的に実施しながらやってまいりたいというように思っておりますけれども、今までは何としても借金をしょったままで、その中ですべて処理するという形でございましたので、自分で計算するにしても大変苦しかったわけでございますけれども、今回区分をさせていただくということを契機にいたしまして、より改善の効果が上がるような、また経営の改善が可能となるようなことを目標にいたしまして、鋭意進めてまいりたいというように考えているところでございますので、この辺の御理解を賜っておきたいと思うわけでございます。
#210
○国務大臣(近藤元次君) 先生おっしゃるとおりでございますので、私ども計画を持って財政当局と当たらなければならないわけでありますけれども、概算要求までにはそれらの計画を立てながら、あわせて私どもの林野審議会にかける準備もしながら、財産処分の議を経て、了解を得て、そしてまたその後に何年度ぐらいにの目安を立てて処分するかということもあわせ考えて計画を立てたい、こう思っております。
#211
○猪熊重二君 私もそうですが、村沢牧先生にしてもそうだろうと思うんです。本来、農林水産省あるいは林野庁でしょい込むべきじゃない借金をしょわされている。一生懸命長官ももがいている。自分の責任じゃない借金でもがいている人を、それをさらにわあわあ言うわけにもいかぬから、だから余り文句も迫力がないわけなんだ。先ほどから申し上げているように、これは国の借金であって林野庁の借金じゃない。そういうことで、いろんな各方面からの意向を聞いて、国の借金を向こう側へ押しこくるように今後も一生懸命努力していただきたいと思います。
 以上で終わります。
#212
○井上哲夫君 私からお尋ねをいたしますが、ちょっと今猪熊委員の質問の後でやりにくいわけでございますが、累積債務解消の問題から入りたいと思います。
 林野庁の持っている国有財産を売れ売れという立場ではないし、今猪熊委員がおっしゃいましたように、責任を追及して責め立てるという立場でもないわけでございますが、問題は、早期に累積債務のかなりの部分について解消をしないといけない。とはいうものの年間六百億、七百億の売り上げといいますか、売り払い実績しかない。こういうことで、村沢委員の御質問でも答弁はほぼ同じだったわけでございますが、売るだけが能じゃないという考えに立って、売る以外にどういう知恵があるのか、今お考えがあればお聞きしたい。これは私の思いつきですが、国有林野の中には日本人の墓地にもってこいのところがあって、墓地としてたくさん国民に貸したらどうだ、永代百年だと。まあこれは思いつきでございますが、とにかく売るだけが能ではないというところで、今どういうお苦しみをしてみえるかをお尋ねいたしたいと思います。
#213
○政府委員(小澤普照君) 先ほどから売却処分につきましてお話を申し上げておりましたので、今先生から御指摘の、それ以外のということでございましたが、これにつきましても私どもいろいろ検討もいたしましたり、また今までも若干の進展を見ておりますので、お答えさせていただきたいわけでございます。
 確かに、売却以外の手法といたしましては、貸し付けによる収入でございますとか、あるいは使用によります収入というのが現在もございまして、具体的にどういうものかというふうに申しますと、いわゆる森林の空間利用という形で、レクリエーションに利用いたしましたり、これからはさらに、レクリエーションを一歩進めまして、ある程度滞在型でやる、いわゆるセカンドハウス型でやるというようなケース、それからさらにはまた、むしろ定住型の、森林環境のよいところを生かした居住空間を提供していくというようなこともございますので、そのような観点からの事業を進めさせていただきたいものというように考えているわけでございます。
 それからさらに、いわゆる緑のオーナー、分収育林事業というように、せっかく育ててまいりました林木そのものに中間的な段階で国民参加を得て投資もしていただきまして、そういうものを育林経費に充当していきながら、加入された人たちに森林の体験をしていただくというようなことを通じての、広い意味で国有林というものを開かれた形にしてまいるというようなことから、種々の収入増大策につきまして検討もさせていただき、また進展させていただきたいというように考えております。
#214
○井上哲夫君 売る以外の方法も、私がお尋ねをしたいのは、最終的には五年ぐらい知恵を絞れば大まかに見てもこれだけの背中の背のうが軽くなる、そういうところまで出てくるといいわけですが、実際に売る場合に高いものを売れば一気に解消できると。何か六十一年度は六本木の宿舎を
売ったところかなりの売り払い額がのしたといいますか、しかしそれは地価抑制という昨今のそういう中でそんなことが本当に今後もできるかどうか、そういういわば制約があるわけですが、こういう非常に地価の高いところで、かつ不要といいますか、林野庁としては手放してもいいというようなところを、地価抑制等から売却が難しいならそれ以外の信託制度を取り入れるとか、何かそういう知恵はないんでございますか。
#215
○政府委員(小澤普照君) 先生御指摘の信託の制度を使うということにつきましても検討はさせていただいております。ただ、私ども今まで研究しました結果によりますと、信託も有効な手法というように考えておりますけれども、ただこれは準備期間等が相当要りまして、少なくとも三年ぐらいはまず契約をして収益を上げるまでに期間がかかるというような問題でございますとか、その他端的に申し上げれば年数がかかるという点がございまして、その辺が若干私どもにとってはネックかなというように考えております。ただ、物件の置かれている状況等によりましては、信託による方が有利なケースもあり得ると思いまして、この点につきましても鋭意検討をさせていただきたいというように考えているところでございます。
#216
○井上哲夫君 そこで、私の方はさらに、これは大臣にもお尋ねをいたしたいんですが、こういうふうな売る以外の方法あるいはもっと知恵を出して累積債務という非常に重い難題の解決のために苦労する、そういう場合に今までのお話を聞いておりますと、国有林野の売却についていいますと、国有林野の審議会ですか、そこへまずこういうものをどうですかと出して、そこでいろいろな基準や条件を検討していただいて、それから今度は買い手を見つけて、そして随意契約によるのか、公売によるのかという方法をとって、最後は大臣なり林野庁の用途がえの承認をとって売る。これは要するに昔でいうと物を供出するという感じでありまして、それで早期に累積債務の解消の大きな柱になるかと。
 これは売ることを積極的に推進というか、そういうわけではありませんが、少なくとも物を売ったり動かしたりするならば、むしろもっと前にいかなるマーケットなり法律的ないかなる手法があって、あるいはいかなる需要があって、そしてそれに見合うものはどこに眠っていて、それを引っ張り出してきて、さらに林政の管理審議会にかかると。そういうもう一つの知恵袋が足りないんじゃないか。そういう知恵袋が足りなければ、今猪熊委員が質問した問題に対しても、答えとしては漠として何とか努力をいたしますのでひとつよろしくとなってしまうんではないか。そういう点で積極的に売るためのものではないにしても、この累積債務解消の、しかも土地や土石その他を手放すことによって解消するための一種のシンクタンクといいますか、知恵袋のようなものをつくるようなお考えはないのでございましょうか。
#217
○国務大臣(近藤元次君) 先生お話しのところは一番よく私にはわかるところなんでございますけれども、公的機関が今土地を処分するときに相当の制約が一つはございます。もう一つは、一番弱いのは、商売の分野に一般的に言えば入ってくるものですから、役人の一番商売の意味合いのわかりにくい分野を手がけておるものですから、そういう分野について赤字を解消するんですから、一般的に入札をすれば一番高く売れて公平ではあるけれども、それがまた周辺地価高騰に公的機関が誘導するというようなことの規制があったりして、正直やりにくいことを現実私ども抱えておるわけでありますが、ただ商売の知恵だけをシンクタンクでかりればいいということも相ならぬところが一つございまして、いろいろ悩んでおるときでありまして、お知恵もかりたいし御指導もいただきたい、こう思っておるわけでありますが、どういうところでシンクタンクというようなことを入手をして、私どもが公的機関としての財産処分に充てたらいいかというようなことは、審議会を開く前に、そういう部分について何かいい知恵があるか検討はひとつしてみたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
#218
○井上哲夫君 大変答えにくいところをお尋ねをいたしました。
 次に、今回の森林法の改正で代行施業が大きな柱になっているかと思うんですが、林業の施業の代行機関、まあ受け皿がきょうの参考人のお話でも出てまいりました。私はこの森林組合という面から、今林野庁の方で今回の改正でどのような認識を持ってみえるのか、あるいはどの程度、頼りになるという表現はおかしいですが、支えになっていくのか、あるいはどういう問題が今そこにはあって、なかなかそうそうバラ色の施策にならないのかどうか、この辺のことをお尋ねをしてみたいと思います。
 私も調べてみますと、森林組合そのものも、きょうの参考人の御意見にもありましたように、例えば高齢化その他で現実に林業のまさに作業に当たる人はふえていない、あるいは森林組合の底力を増強するために市町村をまたがっての合併という問題も、当初は合併が進んだのがここずっと停滞をして進んでいない。こういうふうな状態を見ますと、果たして今回の改正で期待されるいわゆる林業の三Kあるいは八K一Yという実際の作業に当たる人たちの受け皿として森林組合自体が本当に頼りになるのかどうか、この点を二、三お尋ねをいたしていきたいと思います。
 まず、合併の進行状況、そしてこのところ停滞というふうに私は表現をいたしましたが、どうしてそういうふうになっているのか。さらに、それについて今後どのような形でもう一度森林組合のあるべき姿を求めていくのかについてお尋ねをいたします。
#219
○政府委員(入澤肇君) まず合併の状況から御説明申し上げますと、森林組合合併助成法が三十八年に制定されまして、それから四期にわたりまして推進してきておるわけでございますけれども、三十七年の末には三千五百四十一組合がありましたのが、平成元年度末には千六百八十四組合となっております。
 最近の状況でございますけれども、最近五カ年間で、昭和五十九年度末の千八百四組合、このうち百四十組合が合併して四十八組合が設立されている。その大部分、今先生御指摘がありましたとおり、九割以上の組合で市町村区域の中に対象区域を持っている。市町村をまたがって合併している組合というのは非常に少ないという状況でございます。
 それで、合併がもうひとつ進まない、停滞している原因、これは停滞している原因とうまくいっている原因と比較してみるとわかりやすいかと思いますので、若干事実を申し上げますと、どうもうまくいっていないところというのは経営状態のよい組合が経営状態の悪い組合との合併を拒否する。これは、市町村合併等なんかでも昔は指摘されたところでございますけれども、森林組合につきましては特にそういう傾向が強い。市町村との関係、それから組合と組合員との関係、そのつながりが合併すると希薄になってしまうというふうな感情もございまして、なかなか広域合併が難しいという状況のようでございます。
 一方で、うまくいっている事例を幾つか調べてみますと、そこはリーダーがまずしっかりしているということと、それからなぜ合併するのかという合併の目標が非常に明確化されております。
 例えば、広島県のある森林組合に行きましては、六組合が合併して一つの組合になっていますけれども、情報のシステム化ということを要するに戦略目標にいたしまして、そうして素材生産、それから林業作業等をシステマチックにやるということで合併して今効果を上げております。それから、長野県のある森林組合では二組合が合併して、今うまくいっていますけれども、それは高性能の林業機械を入れる。それによって森林施業を合理化するということで合併が進んだ。さらに、大分県の森林組合では共販所をつくるということを核にしまして合併を進めて、そして今うまくいっております。そのほか、京都府の森林組合では製材加工工場をつくることを核にいたしまして
合併するとか、あるいは長野県の森林組合ではプレカット施設だとか、あるいは木材乾燥施設だとか、そういうふうな加工の高度化ということを目的として合併を進めている。
 このように、合併がうまくいっているところは周辺でお互いに知恵を出し合って、何を核にして合併を進めたらいいかということで、十分なコンセンサスができて一つの運動が進められているというような状況でございます。私どもは、このような優良事例を十分に参考にいたしながら、林業構造改善事業その他の予算措置でバックアップしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#220
○井上哲夫君 今、るる合併の停滞のお話を聞いたんですが、実際には、はかどらない面のもう一つは、森林組合、私は自分の三重県の実情をちょっと調べたんですが、漁協とか農協が合併を促進しているところは森林組合も比較的合併がうまくいっている。そうでないところはやはり休眠森林組合が多いとか、あるいは合併が進まない。さらに悪いところ、合併だけではないんですが、森林組合の力が弱小の組合が多いところほど作業班の作業員も通年の雇いでなくて臨時が多く、あるいは給与等も低い。さらに、社会保険等も未加入率が高い。すべてマイナスの方になっている。こういうふうな状況も大きな障害になっていると思うんです。そういうことを考えますと、もちろん合併によってこういういいことがありますという、希望といいますか、そういうものをつけるということは大事なんですが、一方では作業員の定着のための配慮というのか、監督強化というのか、あるいは労働面におけるそういう配慮というか、こういうことをしていかない限りなかなか難しいだろう。
 そしてもう一つは、きょう参考人の森林組合の常務の方がおっしゃっていましたが、現実に租税面の助成なり、あるいは財政面の、恐らく財政面の助成というのは出資金等に対する国や県の補助をもっと高めてくれというか、あるいはその辺の配慮をもう少し改善してほしいという趣旨だろうと思うんですが、そういう合併を助成するためのさらに何か策、そういうものがない限り、今後、今回の改正があっても停滞現象からの脱出はないんではないかというふうに思うわけでございますが、その点いかがでしょうか。
#221
○政府委員(入澤肇君) 全くそのとおりでございまして、今までも森林組合が、例えば千三百二十八組合で作業班を持って、そして民有林の造林の七八%を占める、それから間伐は六八%を担っているというふうな非常に重要な役割を果たしているわけでございまして、今回、法律改正におきまして不在村山林地主の森林の適正管理のためにも森林組合に一肌脱いでもらう、あるいは森林組合が行う間伐、保有、こういうものに対しても機械、施設を整備する、そういうふうな予算措置を講じているんですけれども、さらに、平成三年度からは林業事業体体質強化促進資金、これは森林組合等の合併を図るための低利融資でございますけれども、こういうふうな予算も取りましたし、それから全国都道府県に林業労働力育成センターというのを設けまして、この育成センターの活動を通じて最終的にはやはり月給制の導入だとか、あるいはそのほかの社会保険の制度適用、これを促進していくことが必要じゃないかと思っています。
 あわせて、やはり機械化の促進というのは大事でございまして、社会保障制度の充実と、それから機械化の促進、この二つを強化することが森林組合の合併の促進にもつながるんじゃないかと私は考えております。
#222
○井上哲夫君 そこで、この今回の改正で裁定制度の導入というところが出てくるわけですが、流域単位に基づく施業の計画をやって、それを実施していくという場合に、市町村の間で現実に計画がつくられるにしても、現実の林業の作業というのは、請負とか、またその下請というふうになるとなかなか本当に最後の作業をやる受け皿が確保できない限り、計画も立派で、さあ実施ということになって、不在林の人が言うことを聞かないんなら最後は裁定でいきましょうということになっても、現実には作業の受け皿が思わしくないということになれば、そこまでいかないうちにとんざといいますか、そういう可能性が十分あると思うんですが、その点はいかがお考えでしょうか。
#223
○政府委員(入澤肇君) まさにその点が私ども非常に重要だと思いましていろいろと検討したんですけれども、先ほど村沢牧先生の御質問にもありましたけれども、計画と具体的な事業の実行の間に何か新しい工夫がないかと思いまして、地域林業の活性化協議会というのを設けまして、そこで営林署、森林組合、製材業者、あるいはその他の木材業者、みんな入ってもらいまして、その流域の中の例えば就労条件の改善であるとか、あるいは機械の効率的な使用だとか、あるいは生産性の向上をどのような手順でやっていこうとか、そういうふうな協議を幅広くやりまして、決めたことを具体的に森林組合であるとか素材生産業者であるとか、それから新しく林業事業体をこれからつくろうと思っていますけれども、そういうふうな事業体にもやっていただくというふうな仕組みを受け皿として考えております。
 ですから森林組合を強化し、素材生産業者を強化し、さらに国有林を退職したOBによる新事業体、会社ですね、こういうものを整備していきながら具体的な森林施業をやっていただくというふうに考えているわけです。
#224
○井上哲夫君 今の協議機関というのは大変いいお考えだと思うんですが、問題は、何度も言いますように森林組合の場合はその作業班の数自体も減少している、作業人員も減少している。比較的通年で作業に当たっている人よりも臨時的な方の比重が依然として大きい。こういう状態を何らかの形で脱出しようというのは大変難しい問題なんですけれども、そこにくさびを打ち込まない限り、協議会をつくっても実際に受け皿の本当の中身が入るんでしょうか、その点を。
#225
○政府委員(入澤肇君) そこも新しい工夫をしていきたいと思っているわけでございます。先進例としましては、静岡県の森連がメカトロ機械化部隊というのをつくって、民有林労働力の不足している山に行っていろんな施業を請け負っていますけれども、できますれば新しくできる事業体あるいは合併して大きくなる森林組合等につきましては、必要な機械を貸し付けるなりあるいは整備をしまして、その機械を使って民有林労働力の不足しているところに行って森林施業をやってもらうような、そういう機械化部隊を広範につくっていくことも施業の実効性を上げるための一つの方法じゃないかというふうに考えているわけでございます。
#226
○井上哲夫君 そのことは余り長く聞いても細かくなっていくばかりですから、合併の促進について、要件の緩和、そういう点はいかがでしょうか。
#227
○政府委員(入澤肇君) 合併の現行の法制度が今年度末で切れますので、来年また単純に延長するのかどうか、あるいは新しい視点から法律を制定するのか、そういう中で今の要件の緩和とか何かをすべて検討していきたいと思っております。
#228
○井上哲夫君 その具体的な検討事項の一、二でもありましたら。
#229
○政府委員(入澤肇君) 森林法の改正に全力を挙げておりまして、次の法律の改正まで知恵が回っておりませんので、今のところまだ頭にないわけでございますが、これから鋭意検討して具体的な項目を考えていきたいと思っております。
#230
○井上哲夫君 また大臣に答えにくいお尋ねをして恐縮ですが、今の森林組合といいますか代行施業の実際の受け皿の問題、これは私のような素人よりも大臣の方がお詳しいとは思うんですが、なかなか出口のない難問と言えば難問なんですが、現実にどちらから入っていくと近道なのか。つまり若い人が少ない、あるいは三Kだ、八K一Yだからなかなか見つからぬ、こういう問題ですが、逆にそれはもう少し給与、それから労働条件、災害防止の安全面、そういうところを思い切って高
めるために、モデル地区のものを取り上げて大々的にそれを拡大していく、そういう方がかえって私はその受け皿づくりは早いのではないかというふうにも思うわけでございますが、現実に代行施業の受け皿について大臣が今お考えになっている点を最後にお尋ねさせていただきます。
#231
○国務大臣(近藤元次君) 一番大切な問題で、法律を改正して制度をつくっても、実効が上がるのは、受け皿がきちんとして、一線の現場で効果を上げていただくその体制が何よりも大事だというふうに認識をいたしておるわけであります。
 先ほども次長から御答弁申し上げたように、全国的に見ると数は少ないけれども、いろんな形態で受け皿を、労働条件なりその他の今日的問題を吸収しながら模範的なところも全国に数は少ないがございますので、この辺を参考にし全国に紹介をしたい、一つはこう思っておるわけであります。
 もう一つは、今回法律改正を行っていただいて特色のあることは、流域単位にして地域での整備計画をつくっていただくためにも、私ども計画のための補助金を出すように考えておるわけであります。この機会にぜひ、森林・林業の問題というのは全国的にもおかげさまで総論については皆認識をしておるわけでありますけれども、いざ各論になりますと、大宗を占める市町村ではやっぱりまだまだ行政として取り組み方が薄いのではないかという私は認識を一つしておるわけでございます。それは一つは私どもにも責任があって、支援体制が十二分でないと言えば十二分でないわけでありますから、今回は形態も変えてきたわけでありますし、農業は議員提案にさせていただいておるわけでありますけれども、この森林組合の合併法は実は政府提案でございますので、ここはこの森林法を改正すれば、当然のことながら合併促進についてそのまま延長ということではなくて、合併促進できるような形で何とか合併の法律は延長させたいものだな、この法律が通ったら作業に取りかからせたい、こう思っておるわけであります。
 そういう段階で今度は民有林は民有林あるいは国有林は国有林ではなくて流域単位になっていくわけですから、おのずからその地域全体が一つの考え方に立って川上から川下に至るまでの形態をつくりたい、こう思っておるわけであります。
 一般的には地方から上がってくるものを支援するということも一つのやり方ですけれども、今度はかなり地方がやりやすい準備をしながらこちらからも強力な指導をしていかないと、行政区域の違うものが一つになったりして作業するということは、理想ではありますけれども、現実的に現場でやる作業はかなりだれかがお世話をしてやらなければ促進しないだろうと思っておるわけであります。この問題は真剣に取り組んでいかないと法律効果が出てこない、こういうことになるわけでありますので一生懸命努力していきたいと思っております。
#232
○橋本孝一郎君 林野の事業改善につきまして既に累積債務の原因なりあるいは財政再建についてはもう先輩の方々から大変詳しく質疑されておりますので、私の通告はもう省略したいと思います。
 しかし、一つ聞いておきたいことがあるんですが、間違っていたら訂正願いたいんですけれども、昭和三十年代から四十年代の前半までは、もちろん市況の堅調な点、それから木材価格が適正であったかどうか知りませんが、要するに黒字基調であったということを聞いておるわけですね。それで、三十年代というのは一般産業ではオートメ化の始まりなんです。四十年代の少し前はいわゆる池田さんの所得倍増論、重厚長大型の日本の産業の変化がそれから行われて今日に至っておるわけです。それで高度成長に来ている。
 ところが、林業というのは一般的な工業と違って非常に長期のものであるから、そううまく時代の変化に適応した経営なんというのをやろうといったってそれはどだい無理な話でありますから、結局言うならば、収支悪化がわかっておっても、それにどうしても必要な金を借りて経営しなきゃならないというものがある。したがって、そこで当然一般会計だというのは、これはもう既に言われておることであると思うんです。そのことは国民は余り知らないんです。
 仮に林業が赤字だ、パンクだということで、水を使っておるやつを全部上げろ、つまり水道料金の値上げだ、電気会社は水を使っておるんだから電気料金値上げしろと言ったら、これは国民は黙っておらぬ。国民の生活のために必要な森林であり、あるいはその経営であるならば、それは当然一般会計、つまり国で払うべきではないかという世論が起こってこない限りまた大変だと思うんですね。
 そこで私はお聞きしたいんですが、ちょっと前段が長かったんですが、三十年代、四十年代は黒字であったけれども、その後、高成長で他がどんどん成長していくのに、なぜこの一次産業は転落せざるを得なかったのか。その素因をやっぱりしっかりつかんでおかないと財政再建をやるといったっていつまでたってもできないと思うんですね。私は要員だけじゃなくて、もっとほかの面にもあると思うんですけれども、その点について認識されておる点があったらお尋ねしたいと思います。
#233
○政府委員(小澤普照君) 確かに三十年代は、あるいは四十年代前半までというように申し上げた方がいいかと思いますけれども、木材につきましての貿易の自由化というのがそういうふうに移行しましたのは昭和三十六年というように聞いておりますけれども、それまでは非常に資源的に、もちろん天然の資源も相当豊富にあったということもございますし、一方で木材の需要が戦後急速に増大いたしましたが、同時に当時はまだ我が国の経済の回復が必ずしも目覚ましいということではなくて、いわゆる外貨準備等につきましても必ずしも十分でなかったというようなことで、国内の資材に頼るということがございました。林業につきましても、山村にも労働力がある程度豊富に存在したということもございました中での林業であったわけでございます。当然国有林の経営におきましても、まさに事業量的にも最盛期でございまして、伐採量あるいは木材の供給量と言ってもいいと思いますけれども、ピークを示しておったのでございます。
 その後、じゃなぜ経営の悪化が出てきたのかということでございますけれども、私どもはいろんな要素があると思っております。経済的にはまさに我が国全体の経済が発展していきまして、その中で林業の経営がだんだん苦しくなるわけでありますけれども、一つにはまず資材の供給力、これが大量に供給しました後造林という形での資源のリサイクルということを当然考えたわけでございますが、これは投資を伴うものであるということと、そしてそれが生育に長期を要するものでございますので、供給量は当然減少してくるという状況にございました。その後外材につきましても大量に入荷するようになりまして、これが材価の一つの低迷要因であるというような分析もなされたわけでございます。そしてまた一方で山村からの人口の流出もございました。
 そのような中で、国有林に限らず民有林の林業につきましても経営状況は厳しくなるということでございまして、国有林につきましては特に事業量の減少ということに移行せざるを得なかったわけでございます。資源的な制約もございましたし、また昭和四十年代から急速に起こりました自然環境の保全というような国民の声も強くなりまして、そのようなことにも対応して伐採量を減少せざるを得ないというような状況にも立ち至ったわけでございます。
 一方、そのような中で、昭和三十年代に採用いたしました職員につきまして事業量の減少に見合って要員調整ができるかどうかというような問題が起きたわけでございますけれども、必ずしも要員調整というものは事業量と運動して増減するような簡単なものではもちろんございませんで、そのようないろいろな要因が重なりまして国有林
の財務的な逼迫状況に陥ったというように我々分析しておるわけでございます。したがいまして、昭和五十年以降になりましては赤字状態が恒常的になってきたということで、昭和五十三年に初めて改善計画というものを立てまして、経営の改善に努めるという形で現在に至っているというように考えております。
#234
○橋本孝一郎君 いわゆる一般産業のように市況等に応じていろいろな経営の機動性というのは必ずしも連動しないことはよくわかるわけです。したがって問題は、そこでいろいろともう既に論じられたことでありますけれども、既に林政審でも指摘されているように、金利との戦いというのでしょうか、今度のそういう改正法で少なくとも金利補給分として百億円が計上されたということは一つの前進だと思います。それだけで当然もう終わるわけではございませんし、二兆何億という金ですから、先ほどもお話もありましたように、今の計画からいけば毎年二千億ぐらいずつなければならないという計算も素人計算でできます。これは大変なことです。簡単に言うけれども、できません。私はそういう問題があることを指摘しつつ、しかしでき得れば、公益性というものが非常に高いわけでありまするから、国でできるだけそれは面倒を見るべきものであるということを定義づけて、それを国民にも十分理解してもらう必要があるんではないかということだと思います。
 次に、要員関係について少し触れておきたいと思います。要員規模は、国有林野事業経営改善大綱では、平成五年度末までに二万人規模とし、その後は業務量及び事業実行形態の見直しを踏まえつつ、国有林野事業の使命達成のための必要最小限度のものとする、これは当たり前のこと。必要最小限と言っておりますけれども、一体その必要最小限とはどうあるべきと考えておられますのか、その点一つお尋ねしたいと思います。
#235
○政府委員(小澤普照君) この最小限の要員規模と申しますのは、国有林野事業の重要な使命を達成することがあくまで必要でございますので、これに必要な業務を最も簡素にしてかつ効率的な運営が図られるという組織を考えまして、そこで実施できる必要最小限の要員ということで考えているわけでございます。
 なお、具体的には、今後の事業量の見通しでございますとか、事業の民間実行の徹底、さらにはまた組織全般にわたります簡素化、合理化、事務改善等を踏まえて検討、実現していくこととしておるところでございます。
#236
○橋本孝一郎君 国有林、それから林業全体で見ていけば、いわゆる直営部分というものは減っても山は減るわけないのでありまするから、それが直営がなくなった分はいわゆる受け皿と言われておる請負業の方に移行せざるを得ない。それが第一次から第二次、下手すれば孫請まで、こういうふうにいくわけでして、グロスで見れば減っていかないわけなんであります。問題はむしろ請負事業形態の強化と要員規模の縮小というものは連動しないといけないと思うんです。勝手にぽんぽん縮小していけばいいというものじゃないと思うんですけれども、そういう点については、もちろんこれは労使交渉の問題ですからここで余り取り上げる問題ではないかもしれませんけれども、どのように考えてみえるのかお尋ねしたいと思います。
#237
○政府委員(小澤普照君) 先生の御指摘のように、林業の担い手、事業体というものが全体的に、先ほども申し上げましたように民有林、国有林を通じましての林業の経営の低迷といいますか、不活性化ということがございまして、そのような中で事業体につきましては新しい芽生えといいますか、頑張っておられるところもありますけれども、その数はもちろん少ないわけでございまして、これからはやはりこの事業体の育成強化ということが急務でございます。国有林においての民間実行の徹底ということを考えましても、事業体の強化は必要でございます。
 私ども、具体的には登録制度というようなことをまず考えておりまして、これを通じまして育成、整備のための措置を講じてきたところでございますけれども、労働力の減少でございますとか、高齢化の進行ということで、この問題に対処をいたしますために協業化でございますとか、あるいは事業体の合併等の体質強化策を講じてまいらなければならないと考えておりますし、さらにまた担い手問題として、雇用の長期化あるいは月給制等安定した賃金水準の確保でございますとか社会保険等の完備、定休日の設定等当然就労条件の改善が必要でございます。
 さらにまた、今後期待されます機械化の推進でございますけれども、これによりましての生産性の向上あるいは重筋労働の軽減、安全性の向上ということの実現を図ることを考えまして、若者にとりましても魅力ある職場でなければいけないということで、そのような考えを踏まえて今後事業体の強化に努めてまいりたいということでございます。事業体につきましては、各地域で非常に前向きな取り組み事例等もございますので、そのような事例も参考にしつつ、また国としての支援体制も強化いたしまして取り組んでまいりたいというように考えております。
#238
○橋本孝一郎君 要員に関連してもう二つだけちょっと要望を含めて聞いておきたいと思いますが、結局要員の縮小整理をやっていく、そういう中で、いわゆる山間地ですから雇用機会が極めて少ないということはもう既に御承知のとおりであります。退職を促進するための特別給付金制度、こういうようなものを設けて、これは三年度に限って定員外職員を対象に実施することとしておりますけれども、定員内職員を対象としない理由はどこにあるのかということが一つ。
 関連しまして、年齢構成が高いというのはもう当然わかっておるわけでありますが、年齢構成を若くしようとすれば、新規若年労働力を入れない限りは若くなっていきません、あるいは女子労働力を含めてそうでありますけれども。そういった面でどういうふうな対策を立てておられるのか、あったらお聞かせ願いたいと思いますり
#239
○政府委員(小澤普照君) まず、定員内職員につきましての特別給付金措置をとらない理由ということでございますけれども、定員内職員につきましては、勧奨によります定年前退職ということがございますし、また省庁間の配転等によります要員調整方策の推進ということを考える、このようなことで計画的な要員調整が可能であるというように見込まれるわけでございます。なお、この種の特例措置でございますけれども、他の方策によりましては達成が困難である等の事情に応じて極力限定されるべきものであるというような考えに立っておりまして、したがいまして特別給付金の支給によります退職促進措置にとりましては今回定員内職員には適用しないということで考えているわけでございます。
 二点目の新規採用の問題でございますけれども、二万人規模達成までの間につきましては、定員内職員につきましては厳正な抑制を図りまして必要最小限にとどめてまいる考えでございますし、また定員外職員につきましては原則として停止するという考えでまいっておるわけでございますけれども、その後のことにつきましては、将来の要員規模でございますとか、あるいは要員調整の進展状況、職員の年齢構成等を踏まえまして検討を行ってまいりたいというように考えておるところでございます。
#240
○橋本孝一郎君 省庁間配転という先ほど説明もございましたが、省庁間配転が五十五年度から各省庁で開始されましてから、毎年の国全体の配転者数の九〇%以上が国有林野事業特別会計から転出したとなっておるわけでありますが、その原因は一体何なのか、その防止策をどのようにして講じられておられるのかお尋ねいたします。
#241
○政府委員(小澤普照君) 部門間配転の制度につきましては、先生今おっしゃいましたように、これは最初、昭和五十四年の九月二十六日に閣議決定等が行われまして、政府部内におきます定員配置の合理化に寄与する、同時にまた各部門を通じて人材の有効活用や部門相互間の年齢構成の平準
化等にも資するという方策として推進されてきておるところでございます。
 この中で国有林出身者といいますか、林野庁出身者が大変数多く占めているということでございますけれども、私どもといたしましては、国有林野事業が要員調整過程にもあるというようなこと、それからまた同時に、国有林の中における人材が各省庁で御活躍いただくということも重要なことかというようにも考えておるわけでございますけれども、政府全体の部門間配転措置という趣旨につきましては、私どももこれは各現場、もちろん営林局、営林支局、さらに営林署等の現場職員にも周知徹底を図ってきておりまして、そのようなことからあるいは職員の理解ということも進み、相当数の職員が各他部門の職場で活躍しているのではないかというように思うわけでございます。
 私どもの方の調べてみましたところでは、昭和五十五年度から平成二年度までに千五百十一名の職員が十七の省庁で配置転換後勤務をしている状況にございます。
#242
○橋本孝一郎君 その防止策、これは自己希望どおりで動いておるわけですからなかなか難しいわけではございますけれども、決め手というものはないかと思いますが、その要因の一つに、賃金の実態を見ますと定員内職員の場合に他のいわゆる一般公務員との基準内賃金比で格差があるのではないかということが言われておるのでありますけれども、調べてみますと二万八千八百八十二円、約二万九千円一般公務員の基準内賃金との比較において差がある。これも原因の一部は、労使間のいろいろな交渉によって賃金は決まりますから、賃金の決定機構そのものが定型化しておる。これは他のそういう定型化していない能率給的なものを採用しているところと全然そんなものを採用しておらないところとの差はどんどん出てきますから一概には言えませんけれども。ちょっと細かい話になりましたが、そういう魅力のない原因の一つとして賃金そのものを比較しても差がある。これはもう当然労使によって縮める努力をしなきゃいけないと思いますが、この点についてどのようにお考えか、ひとつお尋ねしてみたいと思います。
#243
○政府委員(小澤普照君) 私ども国有林野事業の経営の立て直しといいますか、改善を進めていきますためには、労使一体となって取り組む必要がございますし、またその中で職員が生き生きと仕事をしていただきますためには、職場環境の改善でございますとか、あるいは今先生申されました給与の問題があるわけでございまして、この点につきましては、今後とも処遇でございますとか職場環境改善につきましても、これは財政その他諸事情がございますけれども、鋭意取り組んでまいる考えでございます。
 なお、先生御指摘の国有林野事業職員と一般会計国家公務員との賃金水準の比較の問題でございますけれども、この点につきましては、双方の給与体系も異なっておりますし、また任用のあり方にも相違がございまして、一概に評価あるいは比較しにくい点があるわけでございますが、いずれにいたしましても、国有林野事業の職員につきましては、国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法、いわゆる給特法と言っておりますけれども、この法律の精神を踏まえまして適切に今後も対処してまいりたいというように考えております。
#244
○橋本孝一郎君 終わります。
#245
○理事(北修二君) それでは、暫時休憩をいたします。
   午後四時二十三分休憩
     ─────・─────
   午後五時十六分開会
#246
○委員長(吉川博君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は御発言を願います。
#247
○喜屋武眞榮君 大臣、長官を初め委員の皆さん、大変御苦労さんでございます。私が最後でございますので、ひとつ御辛抱をお願いいたしたいと思います。
 委員の皆さんからこの法の各分野から御質疑が交わされましたので、私は特にまだ触れておられないと申し上げれば沖縄の問題でありますが、沖縄の問題を中心に法との結びつきをお尋ねいたしたいと思います。
 今回の改正によって民有林、国有林を通ずる流域管理システムを確立するための全国の森林計画区は、現行の二百五十五から百五十八に再編成される予定になっている。そこで今回の森林計画区の再編成に当たっての政府の基本的見解、特に沖縄についてはどのように見直しが行われるのであるかという観点からお聞きしたい。
#248
○政府委員(小澤普照君) お答えいたします。
 今回の森林計画区の区域の定め方でございますけれども、この点に関しましては、流域別に都道府県の区域を分けて定めるということになるわけでございますけれども、この際まず気象等の自然的条件、さらにまた森林の賦存状況等森林資源に着目してまいるということ、さらにまた素材の需給圏等の社会的経済的条件、また市町村会等の行政的区域、これらを念頭に置きまして、より流域を明確にとらえた圏域として、先生ただいまおっしゃいました百五十八の森林計画区に再編する考えでございます。
 なお、沖縄県につきましては、森林の賦存状況等によりまして、現在沖縄北部、沖縄中南部、宮古・八重山の三森林計画区としているところでございます。今後、新たな考え方によりまして、県と調整の上、森林法改正を待ちまして最終決定することとしておりますけれども、現時点では現在と同様の森林計画区とすることが適当ではないかと考えているところでございます。
#249
○喜屋武眞榮君 そこで、林地開発許可制度の面からお尋ねしますけれども、沖縄県における林地開発許可処分の推移を見ますと、昭和五十八年の十四件をピークに減少の傾向にある。近年は大規模な開発行為となっておるゴルフ場の造成、レジャー施設の設置等が増加する傾向にありますが、ここに問題があるわけであります。
 そこで、許可基準の厳守などについての今後の政府の指導方針を承りたい。
#250
○政府委員(小澤普照君) 林地開発の許可に当たりましては、許可基準の遵守ということが大変重要でございます。したがいまして、林地開発の計画が許可の基準に該当しているか否かを厳正に審査いたしますとともに、許可する場合におきまして開発行為が申請書等の内容に従って行われているかどうか、それから計画を変更する場合には変更申請が確実に行われているか、また防災施設を先行させまして災害の発生を防止するという措置ができているか、あるいはまた条件に従って行わない場合には許可を取り消すことがあるというようなことの条件を付しているところでございます。
 さらにまた、この許可条件の遵守のために、都道府県知事は開発行為が許可条件に従って行われているか否かを施工中及び完了後に調査を行いまして十分に指導監督するとともに、必要に応じて法第十条の三に基づきまして中止命令や原状復旧命令等の監督処分を行うなど適切に対応しているところでございます。
 今後とも、林地開発が適正に行われ許可基準が遵守されますように、都道府県を通じて林地開発を行う者につきまして指導をしてまいりたいと考えております。
#251
○喜屋武眞榮君 繰り返すようでありますが、ぜひこの規定をどんなことがあっても守らせるという、今取り消しもあるとおっしゃったが、ぜひひとつその姿勢でお願いいたしたい。
 次に、造林事業についてお尋ねいたしますが、今回の森林法の改正では、森林整備事業計画を創設するとされておりますが、森林整備事業計画の
策定に当たっては、地域における森林の実態、森林整備の緊要性等を十分に勘案して策定すべきであることは申し上げるまでもありませんし、必要な予算確保等について格段の努力を払うべきである。
 そこで、沖縄県における造林事業を森林整備事業計画の中でどう位置づけようとしておられるのか。また、今後の予算措置等政府が講じようとしておる対策について承りたい。
#252
○政府委員(小澤普照君) 沖縄県の森林状況を見ますと、森林面積は約十一万ヘクタールというように考えておりますが、これは県土面積の約五〇%を占めておりまして、沖縄の場合は土壌条件等の問題もございまして、人工林率は一一%ということで、全国平均の四〇%に比べますと下回っているというように判断しておりますが、今後のこの沖縄県の自然条件、亜熱帯という状況でございますので、そのような点も念頭に置きまして森林整備を推進するように検討してまいりたいと考えております。
 今後における沖縄県の造林事業でございますけれども、水需給の逼迫化傾向等から水資源の涵養等の公益的機能の充実発揮に対する県民の御要請が大変強いというように私どもも受けとめておりまして、これら荒廃林地における早急な森林造成の推進が課題となっているということでございますので、沖縄県の自然条件に通しました造林手法について行っております調査事業により、私どもそこから得られた立地条件に応じた樹種の選定等これら技術的な知見を踏まえまして、森林の総合整備事業等諸施策を実施し、計画的な沖縄県における森林の造成に努めてまいる考えでございます。
#253
○喜屋武眞榮君 広域化の面で非常に大事なことは、地主の、あるいは地域住民のコンセンサスを十分に得る、これがないままにやったところに、すべて全国的に、沖縄におきましても非常に手をやいておる、このことは沖縄だけの問題、日本だけでなく、国際的にも、ゴルバチョフ大統領も国境のはっきりしないところ、明確にしないところに平和はないと、実にとうといお言葉だと思っておりますが、これは個人であろうが国際的であろうが全く原点は同じであると思います。この点をひとつ徹底、講じていただきたい。
 次には治山事業のことについて、第七次治山事業五カ年計画、これは昭和六十二年度から平成三年度ですが、これのもとでの沖縄県における治山事業の進捗状況を見ると、当初の二年間の進捗率が三三・一%とやや低目であります。そこで、進捗率を高めるよう政府としても積極的に支援策を講じていくべきであると思われるが、治山事業に対する今後の政府の対応策、これについて承りたい。
#254
○政府委員(小澤普照君) 治山事業の実施につきましては、国土保全上重要な事業でもございまして、私どもこの点につきまして取り組みの強化を図っているところでございます。特に沖縄県は台風の常襲地帯にございまして、山地災害の発生する危険性も高いということから、緊急かつ計画的な治山事業の推進を図るべく予算措置を講じてまいってきているところでございます。
 先生今おっしゃいました三三・一%の進捗率、これは最初の二年間ということでございます。私どももこの点について調べてみましたところ、今回の第七次治山事業五カ年計画、平成三年度までということで、現在四年度を初年度とする第八次治山事業五カ年計画の策定について検討もしておりますけれども、沖縄県の進捗率について見ますと、平成三年度末までには八七・一%までになる、このような見込みであるというように受けとめておるところでございます。
 なお、平成三年度の予算額につきましては六億三千四百万円ということで、対前年比一〇八・〇%という形になっているわけでございます。
 今後における沖縄県の治山事業の実施に当たりましては、沖縄県の置かれました立地条件、これを十分に考えまして、水資源の涵養機能の維持強化、あるいは海岸におきます保安林の保全等に重点を置きまして進めてまいりたいと考えているところでございます。
#255
○喜屋武眞榮君 今の点、ぜひひとつ既定方針どおり進めていただきたいとお願いします。
 次には林道の問題について、今回の森林法の改正では森林整備事業計画を創設することとされており、五カ年間で林道については四三%から五一%に整備水準を引き上げることが検討されておるようでありますが、沖縄県における林道事業が森林整備事業計画の中でどう位置づけられるのか、また沖縄県における林道事業を今後一層推進していくために予算措置等の対応策を講じてもらいたいが、その点お伺いいたしたい。
#256
○政府委員(小澤普照君) 全国的な林道の整備状況でございますけれども、この実態は整備目標に対しまして達成率が四三%という状況でございます。
 また、沖縄県の林道整備水準でございますけれども、林道整備の歴史が浅いということもあると思いますけれども、民有林における林道密度が全国平均の四・二メートル、これはへクタール当たりの密度でございますけれども、これに対しまして三・一メートルという状況でございます。
 私どもとしては、現在御審議いただいております森林法の改正を待ちまして、新たに森林整備事業計画の策定に取り組みたい、これは平成四年度を初年度として計画を策定するわけでございますが、この際沖縄県を初めといたしまして、各都道府県の実情を十分勘案して検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、沖縄県の林道整備に当たりましては、これまでにおきましても補助率のアップでございますとか、あるいは採択条件の緩和を行うというような措置によりまして、林道整備の積極的な推進に努めてまいったところでございますけれども、今後とも林道整備の推進には鋭意努めてまいりたいというように考えております。
#257
○喜屋武眞榮君 次に、林産物の生産についてお伺いいたします。
 沖縄県の今後の素材生産活動においては、他に活用できない小径木やあるいは開発に伴って伐採される低質広葉樹の有効利用を図るため、パルプ、チップ用材の生産も重要でありますが、沖縄県産材の中には、材質、木目、色調、つや、香気等が外材や本土材にはないすぐれた特性を持っておる樹種が少なくない。これは気候風土あるいはいろいろの面からくる特殊性だと思うんですが、これらの特性を生かして、内装材、家具材、ひき物や漆器の木地等に向けた用材生産の割合を高めていくとともに、シイタケ原木等も含めて需要に即した計画的な生産体制の整備が最も必要であると思われます。そこで、沖縄県における計画的な素材生産体制の整備を図るべきであると考えておるわけでありますが、林野庁の御見解を伺いたい。
 これは日本全体の一般論で物差しを当てたり、あるいは評価をするところに大きな矛盾が出てくるわけであります。沖縄の特殊性、いろんな意味において私は特殊性ということを強調するわけでありますが、沖縄でなければできないもの、沖縄でなければかげない香り、独特の色、つや、香りが潜んでおる木材が多うございますね。それをどう国の施策に生かしていくかということが最も大事であると思います。ここに沖縄の特殊事情というのはいい面においてもいけない面においてもいろいろあるわけでありますが、まず林野庁の見解をお伺いしたいと思います。
#258
○政府委員(入澤肇君) ただいま先生御指摘のとおり、沖縄県産材は樹種としましては構造用材にはなかなか難しい。今御指摘のとおり、内装材とか家具材、漆器等の加工の分野で需要を伸ばしていかなくちゃいかぬと思っております。特にその場合大事なことは、やはり新製品の開発、それから新規需要の開拓じゃないかと思います。
 現在、私どもで沖縄県のために、平成三年度予算を見ますと、例えば沖縄林業振興広域モデル整備事業等で、モルダーという機械、木材の表面を切削したり、あるいは複雑な面形状に高速で加工
する機械、それからウレタン塗装装置等の機械を助成して入れる、あるいは木材産業の高度化、需要開拓のために先進地の現地視察をやるとか、あるいは異業種との交流会をやって新しい知識を入れて生産現場で活用するとか、あるいは素材生産の面では効率的な素材生産を行うために高性能機械を据え入れる、ダンプローダ等の機械を入れる、あるいは事業体一般の体質強化のために体質強化計画をつくる等具体的にきめの細かな施策をやりまして沖縄県産材の需要の振興に努めているところでございます。
#259
○喜屋武眞榮君 さらに今の問題についてお尋ねいたしたいんですが、結論は、林野庁の沖縄県における特用林産物振興に対する支援策、これを具体的に明らかにお聞きしたいわけですが、沖縄県の特用林産物には、先ほど来も述べられましたが、申し上げるまでもなく亜熱帯地域に属する沖縄ならではの品目も多うございます。特用林産振興基本計画で振興対象品目としてシイタケ、キクラゲ、タケノコ、オオタニワタリ、木炭、ヒラタケ、ビロウ、シキミ、センリョウ、ユーカリ、こういった品目を十の作目としてまとめておりますね。特用林産物生産量の推移を見ると、最近は生産基盤が十分であると思われるタケノコやキノコ類の生産が停滞ぎみである。これは今のうちに力を入れなければいけないとみんなが不安を持っておりますが、非常に有望であり、ぐんぐん伸びておったが、最近停滞ぎみである。
 そこで、さっき結論を申し上げました林野庁の沖縄における特用林産物の振興に対する対策について明らかにしていただきたいというのは、木材はややもすると建築その他の大がかりの木材を見がちでありますが、沖縄でなければいけない気候、風土、亜熱帯気候に育つこういう特色あるものをぜひ特別の配慮を持って育てていただくこと、これが沖縄の豊かさはもちろんのこと、日本の豊かさにつながることは間違いありませんのでコメントをお願いします。
#260
○政府委員(入澤肇君) 今御指摘ありましたように、沖縄県では本土で見られない珍しい特用林産、物の生産がございます。生産額を見てみますと、六十二年には特用林産物、干しシイタケとかキクラゲとかタケノコ、それから生け花等に使うオオタニワタリ、木炭、ヒラタケ、ビロウ、シキミ、センリョウ、ユーカリ、ユーカリはこれはコアラのえさになるものでございますが、こういう生産額が四億三千万、六十三年には四億一千万、平成元年にはこれが五億三千万というふうに非常にふえております。私ども、このような特用林産物の生産振興というのが極めて重要じゃないかと思いまして、現在特用林産産地化形成総合対策事業というのを予算を通じまして特別の対策をとっているところでございますけれども、中身としまして原木材の造成、これはシイタケ等でございますが、それに必要な林道、作業道の開設等がありますが、そのほかにキノコの栽培施設あるいはユーカリ、オオタニワタリ、タイワンフウ、これも一つの植物名でございますが、こういうものの共同利用施設の導入につきましても助成を行うことにしております。これからこういうものを拡充することにつきまして十分に沖縄県とも連携を保ちながら地域の実情を踏まえてやっていきたいと思っております。
#261
○喜屋武眞榮君 はしょって簡単にまとめたつもりでありますけれども、定刻が迫まってまいりましたので、木材の需給の問題それから森林組合の問題それから林業労働力の問題についても触れたかったんですが、これは割愛いたしまして、最後にぜひ大臣に徹底的に理解していただきたい、そして大事にしていただきたい、こういう願いを込めて申し上げたい最後の問いは大臣へ特に申し上げたいことです。
 それは御承知のことと思いますが、沖縄はあの進化論のダーウィンのガラパゴス諸島にまさるとも劣らない、沖縄は東洋のガラバゴスと呼んでも言い過ぎではない、こう国際的に心ある識者のあこがれの的になっております。この森林をなぜ守らなければいけないのか。そして現実は、守るどこから基地あるがゆえに米軍演習の爆音や騒音や、そして自然破壊、実弾射撃、こういうめちゃくちゃな振る舞いをしておるというのが現実であります。
 心静かに大臣、受けとめていただきたい。自然の宝庫と言われている例えば沖縄の野生動物のうち、特別天然記念物に指定されておるものは、アホウドリ、ノグチゲラ、カンムリワシ、イリオモテヤマネコ。そして、天然記念物に指定されているものとしては、ケラマジカ及びその生息地、そしてヤンバルクイナ、ダイトウオオコウモリ、リュウキュウヤマガメ等がある。このように国際的に宝の島として、そして世界的にも有名なあのガラパゴスの島よりも豊富な動植物がそれよりもまさっておる、こう言われております。
 ところが現実は、そのような自然は惜しみなく乱開発される。そしてノグチゲラの一例も、山にすむこともできないで路頭に迷って、路上に死骸を残しておる事実も最近の例であります。このように住む家さえも、米軍の軍事演習や乱開発によって、爆音、騒音によって、そして米軍演習の山荒らしによって、奪われている。
 こういう現実を一体大臣は、国としてまた政府としてこの現実をどう見て、それに対してどう対応していこうと考えていらっしゃるのか。まずこのことを率直にお尋ねし、御見解を承りたい。そして、これに対しては林野庁長官も重大な責任があられると思っておりまするので、お二人のコメントをお願いいたします。
#262
○国務大臣(近藤元次君) 沖縄の森林には、今先生からそれぞれ挙げられましたように、数多くの貴重な動植物が生息しており、森林の持つ国土の保全や野生生物の保護等の面で重要な役割を果たしておることを承知いたしておるわけであります。森林の開発と自然保護との調整については、従来から森林計画制度なり保安林制度、林地開発許可制度の適切な運用により対処してきたところでありますが、特に西表島の国有林における動植物の種の保全、遺伝資源の保存等のため、森林生態系保護地域の設定を平成三年三月に約一万二千ヘクタール、環境保全等の面で森林施業上配慮すべき森林について、択伐等への誘導をしながら国土保全上の重要な森林についての保安林指定は、沖縄の保安林は約一万六千ヘクタールなどを行ってきたところであります。今後とも自然保護等に十分配慮して森林行政を展開してまいる所存でございます。
#263
○政府委員(小澤普照君) 私も過去沖縄には数回お邪魔をさせていただいておりまして、森林の状況を見せていただいた経験がございます。沖縄につきましては、森林の整備や林業の振興と同時に、この貴重な森林を中心といたします自然の保全保護ということを私も重要と考えておりまして、今大臣からも申し上げましたとおりでございますけれども、私どもも特に最近は森林生態系の保護地域の設定につきましても鋭意進めてまいりたいというように考えております。今後とも沖縄の自然につきましてその貴重性の維持、保全を十分心がけてまいりたいと考えております。
#264
○喜屋武眞榮君 ちょっと一言。承りますと、大臣は近く沖縄にいらっしゃる、こうお聞きしております。どうか私の訴えが、あるいはきょうのこのお尋ねが、事実はどうなのか、真実はどうなのか、これを目で確かめていただきたい、お声を聞いていただきたい、よろしくお願いいたします。
#265
○委員長(吉川博君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#266
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べいただきます。
#267
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、国有林野事業改善特別措置法の一部改正案に対して反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、今回の法改正が昨年の林政審、国有林野事業経営改善計画大綱で示された
国有林野経営の公共性の否定、全面的な民営化路線のもとで現有土地資産の約五割と、十一万ヘクタールに及ぶ林野の売却、営林署、担当区の三分の一、治山を除く全事業所の廃止、現行の三万四千人の要員を二万人以下にするという、国鉄の民営・分割化に匹敵する大合理化を実施するものであるからです。
 第二の理由は、累積債務対策の名のもとに国有林野の一兆二千億円もの大規模な売り払いを進めようとしている点です。
 法案で言う区分による累積債務対策は、一般会計の大幅導入による累積債務処理ではなく、事業勘定からの借入金で賄おうとする名ばかりの累積債務対策で、真のねらいは累積債務対策の名のもとに国民の貴重な共通財産である国有林野を大規模に売り払おうとするものです。このことにより、都市近郊の貴重な緑はますます失われ、水害など都市災害にも結びつく可能性があることを指摘しないわけにはまいりません。
 第三の理由は、二万人体制の問題です。
 まず、この二万人体制自身が事業実行形態における現場部門の民営化方針に裏打ちされたもので、国有林の一層の荒廃を招くものです。法案では九二年度に限って退職者に特別給付金を支給することになっていますが、九三年度末に要員を二万人以下にする政府の方針は、この特別給付金では到底賄えないものであり、労働者に多くの犠牲を課すものであることは明らかであり、認めることはできません。
 次に、森林法等の一部改正案に対する反対討論を行います。
 本法案は、国有林野事業改善特別措置法の一部改正によって切り捨てられる国有林の受け皿として行われるもので、国有林野事業合理化の両輪の一端を担うものです。
 まず第一に、全国森林計画に施業の合理化、共同化の項目が追加され、それを受けて国有林には新たに地域別の森林計画が課せられます。このことは、公共性、公益性の強い国有林を経済性が優先される民有林と同じ位置に引きおろすことであり、国有林野事業の合理化を森林法によって推し進めるためのものです。
 第二に、国有林、民有林一体で流域単位で森林整備を行おうとしています。国土保全のために流域単位で考えることには我が党も反対するものではありません。しかし、本法案は流域管理を名目に本来国が行うべき森林整備などの推進役を地方公共団体等に肩がわりさせるばかりか、農林水産大臣のあっせんを担保に森林整備協定による下流域の受益者負担を打ち出しました。国の責任回避、安上がりの林野行政をねらうものと指摘されても仕方のないものです。
 第三に、分収育林契約の締結に関する裁定制度の導入問題です。森林保全のために間伐施業が重要であることは言をまちません。しかし、間伐施業が実施されない多くの理由は林業で生計が成り立たたないためであり、政府の木材輸入自由化を基本とする林業政策が招いたものです。しかし本法案の裁定制度の導入は、このような問題にメスを入れることなく、森林所有者の意思に反して分収育林契約を強制する内容を持っており、財産権に対する制限を課すものであり、問題があると言わざるを得ません。
 以上の理由から、私は森林法等の一部改正案に反対するものです。
#268
○委員長(吉川博君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#269
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより順次採決に入ります。
 まず、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#270
○委員長(吉川博君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、井上君から発言を求められておりますので、これを許します。井上君。
#271
○井上哲夫君 私は、ただいま可決されました国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  国有林野及び国有林野事業は、木材の安定的な供給、国土保全等公益的機能の発揮等を通じ、国民生活の向上、国民経済の発展を図る上で、重要な役割を果たしている。
  よって、政府は、これら国有林野事業に課せられた使命達成のため、森林の整備拡充に必要な措置を積極的に講ずるとともに、本法の施行に当たっては、長期的・総合的な展望に立って、次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
 一 国有林野事業の公益性及び累積債務処理の重要性にかんがみ、自助努力と併せて、経常事業部門へは民有林並みの助成と、累積債務の計画的償還のため一般会計からの繰入れ等財政上の援助措置を積極的に講ずるよう努めること。
   また、累積債務と経常事業部門の区分については、経常事業への影響の防止等その目的が十全に果たされるよう適切な運用に努めること。
 二 新たな改善計画の策定及びその実施に当たっては、国有林野事業が直面している構造的要因を認識し対策を講ずるとともに、広く国民各層の理解を得つつ円滑に推進されるよう努めること。
 三 林野・土地の売払いについては、それが国民の貴重な財産であることにかんがみ、関係審議会等の意見を十分聴取し、特に、林野についてはその有する公益性の維持・確保が図られることにも配意し、適切かつ公正に行うこと。また、その売払い実績については公表すること。
 四 国有林野の機能分類に基づく類型化については、国民の多様な要請に応え、国有林野事業の管理経営上の指針とするという趣旨に照らし、適切かつ合理的なものとなるよう十分検討すること。
 五 将来の要員規模については、国有林野事業の事業運営の在り方についての労使の話し合い等を踏まえ、その使命達成を旨とした適切なものとなるよう検討すること。併せて、将来の要員規模、要員調整の進展状況、職員の年齢構成等を踏まえ、新規採用の在り方に着目し、その検討を進めること。
   また、いわゆる希望退職者の募集に当たっては、職員の意思を尊重した適切な運用が行われるよう指導を徹底すること。
 六 組織機構の整備に当たっては、地方自治体及び関係団体等の意見をも踏まえつつ、地元サービス及び国有林としての機能の低下を来さぬよう適切に対処すること。
 七 国有林野事業の自己収入を確保するため、その大宗を占める林産物の販売に当たっては、木材需要の開発推進、的確な市況・市場の調査とそれへの対応、民有林とも連携した産地銘柄の形成等積極的な販売戦略の展開に努めること。
 八 森林に対する国民の要請の多様化に対処し、併せて自己収入の確保に資するため、自然保護を含めた国有林野事業の管理運営との適切な調整を図りつつ、森林空間を利用した保健休養等に係る新たな事業の展開を図ること。
 九 林業事業体の育成に当たっては、一般林政施策とも相まって、計画的な事業の発注等による経営の安定強化を図るとともに、雇用関係の明確化、他産業並みへの労働条件の改善
及び国有林内での安全対策について積極的な指導・監督を行うなど、優秀な林業労働力の定着・確保に必要な労働環境の整備に努めること。
 十 民有林・国有林一体となった適正な流域管理という林政の方向にかんがみ、国有林野事業の運営に当たっては、地域振興に留意して市町村等との一層の連携強化を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#272
○委員長(吉川博君) ただいまの井上君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#273
○委員長(吉川博君) 多数と認めます。よって、井上君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、近藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。近藤農林水産大臣。
#274
○国務大臣(近藤元次君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#275
○委員長(吉川博君) 次に、森林法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#276
○委員長(吉川博君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、青木君から発言を求められておりますので、これを許します。青木君。
#277
○青木幹雄君 私は、ただいま可決されました森林法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    森林法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  近年、我が国森林・林業をめぐる情勢は、森林の有する各種機能の発揮に対する国民の要請が多様化・高度化する一方、国内の林業生産活動は、外材との競合の強まり等から停滞の度を深め、森林資源の維持培養を図る上でも憂慮すべき状況となっている。
  よって、政府は、森林整備の拡充、国産材需要の拡大、林業の活性化及び木材産業の体質強化等のため積極的な施策の推進を図るとともに、本法の施行に当たっては次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
 一 全国森林計画等の見直しに当たっては、広く国民の意見並びに森林をめぐる自然的条件及び社会的経済的要請を踏まえ、適切な内容のものとなるよう十分配憲すること。
   また、自然環境の保全等に対する国民の関心の高まりに対応し、これらの要請を適切に反映するよう努めること。
 二 民有林及び国有林が一体となった地域林業の振興を推進するため、森林計画の策定段階にとどまらず、その達成に向けた事業実行面での一層の連携強化が図られるよう努めること。
 三 森林整備事業計画については、地域における森林の実態、森林整備の緊要性等を十分に勘案した適切な策定に努めるとともに、要な予算の確保等その計画的・積極的な実行の確保について特段の努力を傾注すること。
 四 市町村森林整備計画の策定に当たっては、地域の関係者の意向等が適切に反映されたものとなるよう指導すること。また、計画の円滑な推進を図るため、市町村における林業行政体制の充実を図るとともに、所要の支援措置を積極的に講ずるよう努めること。
 五 都道府県知事の裁定に係る森林施業の代行制度については、森林整備の重要性にかんがみ適正に進めることとし、現行勧告制度の運用等を踏まえ、裁定の基準を明確にし、公正な運用が図られるよう指導すること。
 六 森林の公益的機能の高度発揮が期待される複層林施業等を推進するため、特定森林施業計画制度の創設・運用に併せ、その経営的・技術的な普及指導の積極的な展開に努めること。
 七 森林整備協定制度の運用に当たっては、適切かつ有効なあっせんの実施に努めるとともに、都市住民等の森林・林業及び協定制度に対する理解の醸成等について積極的に取り組むこと。
 八 林業就業者の減少・高齢化が深刻の度を加えている現状にかんがみ、林業事業体の体質強化、雇用の安定、賃金水準、労働基準法の完全適用、社会保険の適用、退職金制度の拡充など他産業並みの労働条件と労働安全の確保、高性能機械の導入促進による作業の効率化、労働強度の軽減を図るなど、早急にその養成確保対策の拡充・強化に取り組むこと。
   併せて、山村地域における生活環境の改善等定住条件整備の一層の促進に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#278
○委員長(吉川博君) ただいまの青木君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#279
○委員長(吉川博君) 多数と認めます。よって、青木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、近藤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。近藤農林水産大臣。
#280
○国務大臣(近藤元次君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#281
○委員長(吉川博君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#282
○委員長(吉川博君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#283
○委員長(吉川博君) 食品流通構造改善促進法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。近藤農林水産大臣。
#284
○国務大臣(近藤元次君) 食品流通構造改善促進法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 我が国の食品流通は、全国各地に多数存在する農林漁業者等が生産する多種多様な食品を、効率的かつ安定的に消費者に対して供給するという重要な役割を担っております。また、保存性が低い商品を取り扱うこと、卸売市場という流通拠点が存在すること、「最寄り当用買い」という購買行動が中心であること等から零細多数の小売店が存在すること等他の商品の流通には見られない特性を有しております。
 このような役割を担い、また特性を有している食品流通を取り巻く情勢は、近年、著しく変化しております。すなわち、品質、鮮度等の重視、多品種少量消費への移行等の消費者ニーズの多様化、高度化、農産物の輸入の増大等の供給事情の変化等であります。
 このような中で、我が国の食品流通が、今後ともその機能を十全に発揮するとともに生産と消費を的確につないでいくという重要な役割を担っていくためには、その有する特性に配慮しつつ、食
品流通の各段階を通じた構造改善を図っていくことが重要な課題となっております。このため、食品の流通部門の構造改善を促進するための金融、税制その他の支援措置を講ずることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農林水産大臣は、食品の流通部門の構造改善を図るための基本方針を食品流通審議会の意見を聞いて定めることとしております。
 第二に、食品販売業者、卸売市場開設者等は、食品生産販売提携事業、卸売市場機能高度化事業、食品販売業近代化事業または食品商業集積施設整備事業について構造改善計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができることとしております。
 第三に、農林水産大臣の認定を受けた構造改善計画に基づき構造改善事業を実施する者に対し、農林漁業金融公庫からの長期低利資金の貸し付け、特別償却等の税制上の特例措置その他の支援措置を講ずることとしております。
 第四に、農林水産大臣は、食品の流通部門の構造改善を促進することを目的として設立された民法法人を食品流通構造改善促進機構として指定することができるものとし、食品流通構造改善促進機構は、構造改善事業等の実施に必要な資金の借り入れに係る債務の保証、構造改善事業等への参加、食品販売業者に対する研修等の業務を行うこととしております。
 第五に、卸売市場審議会を改組して、農林水産省に食品流通審議会を置くこととしております。
 以上がこの法案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#285
○委員長(吉川博君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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