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#1
第120回国会 社会労働委員会 第3号
平成三年三月七日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     粟森  喬君     乾  晴実君
 三月五日
    辞任         補欠選任
     清水嘉与子君     吉川 芳男君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     吉川 芳男君     清水嘉与子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         福間 知之君
    理 事
                田代由紀男君
                前島英三郎君
                対馬 孝且君
                高桑 栄松君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                糸久八重子君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                堀  利和君
                沓脱タケ子君
                乾  晴美君
                勝木 健司君
                西川  潔君
   国務大臣
       労 働 大 臣  小里 貞利君
   政府委員
       労働政務次官   松浦 孝治君
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働大臣官房審
       議官       七瀬 時雄君
       労働省労政局長  清水 傳雄君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省婦人局長  高橋柵太郎君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       労働省職業安定
       局次長      伊藤 欣士君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     征矢 紀臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     飛田 眞澄君
       文部省初等中等
       教育局小学校課
       長        近藤 信司君
       厚生省健康政策
       局看護課長    矢野 正子君
       農林水産省経済
       局国際部国際協
       力課長      三宅 輝夫君
       農林水産省農蚕
       園芸局普及教育
       課長       鈴木 信毅君
       労働大臣官房審
       議官       松原 亘子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (労働行政の基本施策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二月二十一日、粟森喬君が委員を辞任され、その補欠として乾晴美君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(福間知之君) 労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○対馬孝且君 きょうは大臣の所信に対する質問でございますので、私は基本的な課題だけ、時間もありませんので、労働行政問題、それから育児休業の問題、それに時間短縮、春闘の問題、そして出稼ぎ季節労働者問題の重点に絞って申し上げますので、ひとつできるだけ簡潔にお答えをいただくように要望しておきます。
 まず最初に、私は労働行政の基本姿勢につきまして労働大臣にお伺いをしたいと思います。
 現在、労働行政は大きな変革期を迎えておりまして、高齢化社会、国際化への対応あるいは総合的な勤労福祉の増進、つまりゆとり、豊かさを実感できる社会の実現などの課題が多く山積をいたしております。したがいまして、大臣は労働省に入られて二カ月足らずでございますけれども、労働省の、労働大臣としての今後の重点施策、それからまた、これからの課題についてどういう基本方針で臨もうとしているのか、まずその所信をお伺い申し上げたい、こう思います。
#5
○国務大臣(小里貞利君) 対馬先生にお答え申し上げます。
 基本的に労働大臣として労働行政を取り扱って推進していく上におきまして、心得なり、あるいはまたこれからどういうことを重点的に考えておるのか、そういうお尋ねでございます。
 ただいま先生もお触れいただきましたように、昨今の我が国の産業、経済はすばらしい、たくましい力を蓄えてくれました。この根源あるいはエネルギーは私はすそ野の広い勤労者の長年にわたる努力、汗の結晶であるということを基本に置きまして考えてまいりたいと思っております。
 先生ただいまお触れいただきましたように、近年の本格的な高齢化社会の到来あるいはまた技術の革新、あるいはまた情報の高度化等、そしてまた経済活動もグローバル化等が顕著に進んでまいっておりまして、いわゆる構造の変化が著しく見られるところでございます。あわせまして就労形態も非常に多様化してまいりました。中でも勤労者意識の変化も一層進んでまいっておりまして、今日の私どもの行政はますますこの節目、いわゆる転換期に当たりまして国民から大きな期待を受けておる、かように受けとめておるところでございます。
 さらに、簡潔に申し上げますと、どのような一つの観点に立って政策の重点を置くかというお話でございますが、一つは、このような変化に適切に、そしてまた迅速に対応しなければならぬわけでございまして、二十一世紀に向けて我が国の勤労者が働きがいとゆとりを実感できる活力ある社会を実現することが労働行政の最も根幹でなければならないと考えておるところでございます。一つは、労働力需給の長期的な展望に立った雇用推進の努力、あるいはまた能力開発対策でございます。あるいはまた働く女性のための対策も必要であろうかと思います。さらにはまた、お話しの高齢者対策あるいは労働時間短縮等と勤労者福祉対
策、さらに勤労者の安全あるいは健康推進対策等を最も留意しながら進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#6
○対馬孝且君 今大臣から基本姿勢についての考え方が述べられました。基本的な認識については一致をいたしますが、問題は、ことしの一月十九日に労働省は研究会報告というのを出しておりまして、このときの座長の小野先生は、二十一世紀の労働政策の基本の一番大事な点は労働力尊重の時代であると、これを基本にきちっと据えることがすべての労働関係問題に対する国民の合意の基本でなければならないと、極めて明快に申されているのでありますが、この認識については、大臣いかがでしょうか。
#7
○国務大臣(小里貞利君) 全くそのとおりでございます。
#8
○対馬孝且君 それで、今私はなぜそれを申し上げたかと言いますと、私も社労を五十二年以来今日までずっとやっておりますけれども、やはり労働省というのは各省と違って、ほかの省は、まあ通産省とか、それぞれの業務というのはもちろんございます。しかし、労働省というのは労働者の権利保護の問題、むしろ守る立場に立つ省であるという点では、これは私は常に申し上げるのでありますが、そういう認識を持って、理念に立ってこれからのすべての行政に対応してもらいたいと特に申し上げておきます。
 そこで、時間もありませんから次の問題に入りますが、私は第二点としまして、最近の雇用失業情勢、人手不足の現状、影響と今後の対応についてお伺いをしたいと思います。
 最近の雇用失業情勢は、企業の人手不足感が一段と高まっている現状にございます。また、人手の不足の現状を見ますと、産業別ではほとんどの企業が人手不足感を訴えられておりますけれども、とりわけ建設業、サービス業、小売業、製造業のうち、機械関連、金属製品などの業種、そして鉄鋼業などの主張が非常に強いように伺っております。私は、この人手不足の解消には賃金の上昇あるいは労働時間の短縮が進み、福利厚生が充実していくという側面もなければならないのではないかと、こう考えます。とりわけ中小企業の場合経営基盤の改善に一定の限界があるということも、認識をすることはやむを得ないことでございますが、しかし、最近のこの雇用失業情勢、人手不足の現状、それから人手不足の影響等について労働省としてはどういう分析をしているのかということをお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生御指摘のとおり、最近の雇用失業情勢、景気の持続的な拡大の中で求人が堅調に推移しておりまして、有効求人倍率、一月で一・四四というような状況になっております。雇用者数は相当の増加を続けておるわけでございます。完全失業率も一月で二・〇という水準になっております。
 こうした中で、労働力が不足する事業所の割合が増加いたしておりまして、御指摘のとおり中小企業を中心に企業の人手不足感が大変広がっておるわけでございます。そして、このようなことは、今後中長期的にも人手不足基調というものが続いていくというふうに私どもは認識、分析をいたしているところでございます。
 その背景といたしましては、まず何よりも今日の人手不足状況と申しますものは、今日の持続的な景気拡大ということが一番大きな要因でございますが、さらに求人者の若年志向に対しまして、求職者の方は非常に高齢化が進んでいるということでございます。
 第二点は、産業構造の転換、技術革新等に伴いまして労働力需要が構造的に増加をいたしておりまして、人材の育成が追いついてないという問題がございます。
 第三点といたしましては、労働条件、職務内容等から見まして、ただいま先生御指摘のような点で雇用機会としての魅力が乏しいという点で労働力の確保が困難になっている、こういう分野がございます。
 こういったように分析をいたしております。
#10
○対馬孝且君 現状認識は私も同様の認識をしておりますが、そこで、果たして単に労働力不足が今局長がおっしゃるような認識だけでいいのかということになりますと、一面そうではないんじゃないかという指摘がございます。
 それはどういうことかというと、これもお伺いしますが、今日の状況では、労働力不足と言える意見も出されているんでありますけれども、その論拠になっているのは、平成元年で百三十五万の求職者の滞留、それから新規学卒者、今もお話がございましたが、数年間年々百二十万から三十万前後ということが予想されている、大量の供給。完全失業率は二・二が、最近の一月統計で見ますと二・一に下がっている。しかし、昭和四十年代と比べますとまだ高い理由になって挙げられているんでありますが、今日的事情を見ますと、とりわけ私北海道ですから申し上げるんですが、北海道だからというんでなくて、全国的に言えることでございますけれども、今日の労働力不足の背景というものをどう見るかと、見ますと、やっぱり年齢別、地域間あるいは産業間での労働力の需給のミスマッチ現象というのが大きな一つの原因になっているのではないか。こういう立場があるということも率直に分析してみる必要があるんではないか、こういうふうに考えます。
 例えば、端的な話、北海道で言うと、産炭地が炭鉱閉山で、現実の問題としては、これはいまだにまだ炭鉱離職者の三千人強の方々が職についていない。それがすぐほかの地域に転換ができて、また産業別に受け入れられるか、もちろん職業訓練その他やっていますけれども、なかなかそうはいってない。だから、そういう産業間、地域間あるいは年齢別という、そういう労働力の対応の対策というのは極めて重大な問題になってきておるんじゃないか、こういうふうな認識を持っておりますが、この点どういうふうにお考えになっていますか。
#11
○政府委員(若林之矩君) その点につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、昭和四十年代と申しますか、求人倍率が一・四ぐらいでございましても、失業率が一%台ということがあったわけでございます。現在同じ求人倍率でも失業率が二%になっているということでございます。この点につきましては、ただいま御指摘のように、労働力が当時から比べますと非常に高齢化しているということがございますし、学歴もみんな高くなってきております。また、所得水準の向上によりまして求職者のニーズも大変変わってきておるわけでございますし、また、ただいま御指摘のような労働力の地域間の流動性というのも大変低下いたしております。こういった面で年齢間、職業間、地域間等の労働力のミスマッチが当時と比べますと拡大をいたしております。それで、求人と求職との結びつきが当時と比べて難しくなっているというのが現状でございます。
 そこで、同じ条件でございましても、求人の充足率が落ちておるわけでございますし、特に中小企業を中心に労働力確保が難しくなっているということでございます。この点は何と申しましても、ただいまお話ございましたような労働力の需給のミスマッチをできる限り少なくしていく、それに全力を注いでいくということが私どものなすべきことであろうというふうに考えております。
#12
○対馬孝且君 そこで、具体的なことを一つ質問申し上げたいと思いますのは、やはり業種別、職種別の労働力不足の対応の中にも、先ほど私が申し上げましたように、構造的要因がある。この構造的要因とは一体どういうものがあるかということを例として申し上げますならば、とりわけ建設業界、型枠工、鉄筋工などの建設の技能工というのは非常に著しく不足しているという現状。もともと建設業界というのは若年労働者が非常に少ない。こういう構造的要因があるわけでありますが、世に三Kと言われておりますけれども、つまり危険、汚い、きつい。ところが、最近は三Kじゃなくて六KYじゃないかという話まで出ておりまして、それにプラス給料が安い、有給休暇がない、格好が悪い、屋根がない、合わせれば六KYという
説があるんでありますが、いずれにしてもそういう現状があるという指摘がなされております。
 私がここで申し上げたいのは、そういう職場環境、とりわけ言われるような実態があるんでありますけれども、理工系学生が製造業に就職するのを嫌う、金融業界に流れる、メーカー離れの一面傾向が出てきているということが気がかりなんであります。エンジニア、プログラマーなどの情報処理技術者というのは非常に不足の傾向が現象面で出ている。あえて言うならば、約二〇〇〇年をめどに約百万人、九十七万人統計的には不足するであろうと、こう言われているのでありますが、こういう業種に対する特別対策というか、労働省としてはどういう対策をなされようとしているのか、この点お伺いしたいと思います。
#13
○政府委員(若林之矩君) 確かに建設業は五百万の労働者というような大きな産業でございますし、それ自体も大変創造的な仕事でございますけれども、御指摘のような三Kイメージというようなことで、労働力の確保が大変困難な業種でございます。今後、公共投資がさらに拡大されているという中でございますので、一層建設業における雇用対策というものが重要であろうと思いますし、そういったためにはこれをより魅力のある職場にしていくということが大事だというふうに考えておりまして、建設業につきましては、総合的な建設労働者確保、育成対策を一つの柱と据えていきたいというふうに考えております。
 また、運輸業でございますとか、機械製造業といったように構造的な労働力不足の状態に陥っている業種につきましては、産業所管官庁と連携をいたしまして産業ごとの雇用構造の改善対策を検討してまいりたいというふうに考えております。
 また、建設業、金属製品、機械製造業等将来的に労働力不足が懸念される産業、職種につきましては、今後の産業、職業の労働力需給の展望を踏まえまして、人材育成十カ年計画というものを策定いたしまして、将来の需給の展望、それのための育成、対策、こういったものについて対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
 ただいま御指摘の情報処理につきましても、将来の労働力不足が懸念される産業でございまして、現時点におきましても能力開発対策などにつきまして、相当重点的な対策を講じておりますけれども、今後ともそういったような育成対策を強化しなきゃならない分野というふうに考えております。
#14
○対馬孝且君 時間もないので、やりとりしたいんでありますが、私は建設労働のこれからの対策、今幾つか局長から出されましたけれども、高齢者対策を建設業にどう質的に活用するかということを考えた方がいいと思うんですよ。まだ六十歳、後で申し上げますけれども、定年制の問題に絡んで今なお高齢者対策というのは十分でない。もちろん職業訓練のこともございますけれども、私は後ほど出稼ぎ対策にちどっと触れますが、まだ六十代では相当質的に、人生八十年時代ですから、労働力があります。ただ、それをどういうふうに建設業に生かしていくかということになると、一定の技能講習をして資格を与えることですよ。そうすると、定年後になってからでも、型枠工であるとか、あるいは今私、鉄筋工と言いましたけれども、現に北海道では季節労働者の一定の方々が講習を受けて、資格を与えて、かなり高齢者の方々でも相当な建設業労働に役立っている、むしろ業界にも喜ばれていると。こういう重点対策をとった方がいいんではないか。その点はむしろ労働省はおくれをとっているんじゃないか。職業訓練ということではやっているけれども、もっと資格を与える、資格を与えたら給与等条件がよくなるわけですから、そういうシステム化を建設労働力不足に対しては考えてやるという、これは行政面として質的にぜひ強化をしてもらいたい。これは特に申し上げておきます。
 そこで、時間もあれですから、次の男女雇用機会均等法の関係で、パート労働法の問題で、これは前にも私申し上げたことがあるんですけれども、男女雇用機会均等法がスタートして、パート労働法の制定が今なお現状では御案内のとおりでございまして、したがって、女子労働者が働きやすい環境の整備、これは言うまでもないことでありまして、男女雇用機会均等法の見直しの中でも、随分、事業主の努力義務ということについて、例えば募集、採用、配置、昇進、禁止規定など、男女雇用の機会均等というのは今なお不平等である、それが強化されていないという問題がございます。
 したがって、こういう点について労働省は、六十三年十二月にパートタイム労働問題専門家会議というところから中間報告が出されておりますけれども、もうちょっと積極的に、これは連合八百万の強い要求にもなっているんです。だから、私は北海道的に物を言いますと、今北海道は道行政の立場でパート問題研究会というのが発足しまして、それで具体的な今もう結論が出る段階になっています。だから労働省が、各地方段階でそういう自主的に今進めている県なり道もございますけれども、もうちょっと積極的にパート労働の問題について基本的に取り組んでいくという基本姿勢、これむしろ、局長もさることながら、大臣、ひとつ心構えと基本姿勢を明確にしてもらいたいと、こう思います。
#15
○国務大臣(小里貞利君) 男女のいかんを問わず求人が増加してまいっておる。あるいはまた女性職場が拡大をしてまいってきております。あるいはまた女性管理職者がふえてまいってきております。あるいはまた、男女のいかんを問わず定年制のいわゆる区別をした建前というものが是正の方向にある。こういうことはもう先生御承知いただいておるとおりでございます。
 そこで、パートタイムの問題についてのお話でございますが、この処遇及び労働条件の改善を図るために、平成元年に定めましたパートタイム労働指針、この周知徹底と、あるいはパートタイム労働対策を推進していくという考え方が私どもの今日の基本であるわけでございますが、お触れいただきましたように、パートタイムの労働者の就業条件の整備を図るための法的整備の問題と申し上げましょうか、労使に意見の隔たりが大きく、率直に申し上げまして、なお労使の合意の形成を今期特もし、また図りつつあるところでございまして、関係諸法令についての検討を含め、そして引き続き検討を進めてまいりたいと、こういう考え方でございます。
#16
○対馬孝且君 これ、大臣ね、六十三年以来専門家会議の中間報告というのは何も進展していないんだね、はっきり申し上げて。したがってこの点は、もちろんパート労働者の今どれだけ質的改善、強化が叫ばれているかということは言うまでもないことであって、もうちょっとこれ、大臣、新大臣の段階でパート労働法のきちっと考え方を整理して専門家会議、労使、労使といったって労使は限界があるんだ。そこには労働大臣の行政指導という考え方を持たないと、そういう意味で私、新大臣にはパート労働法の積極的な実現のための取り組みに全力を挙げてもらいたい、こういうふうに考えますが、いかがですか。
#17
○国務大臣(小里貞利君) 先生なかなかこの方面、造詣の深い御検討などをいただいておりますことも存じ上げております。ただいま御意見なりあるいは要請がありました問題、十分傾聴させていただきましたので、前向きでよく検討させていただきたいと思います。
#18
○対馬孝且君 それでは次に、育児休業法の法制化問題について新大臣にお伺いをしたいと思います。
 育児休業法の法制化については、さきの本院の社会労働委員会育児休業制度検討小委員会というのがございまして、与野党合意で三十三回にわたる討議を深めてまいりました。そういう経緯を経てきておることは御案内のとおりだと思います。
 政府において法案を作成して今通常国会に提出をするという予定になっておったわけでありますが、つい最近、御案内のとおり婦人少年問題審議会の建議というのが私どもの手元にも参りました。この建議に基づいていつごろ労働省としては
法案を提出するのかということについて、まず冒頭お伺いしておきたいと思います。
#19
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生今御指摘になりましたように、婦人少年問題審議会から今月五日に、育児休業制度を今後一層広くかつ迅速に普及させるために法制化を図るべきであるという御建議をいただいたところでございます。労働省といたしまして、この建議を踏まえましてできる限り早く法案を取りまとめ、審議会にお諮りをした上、国会に提出をしたいというふうに考えております。
#20
○対馬孝且君 できるだけ早くということはわかるけれども、そう抽象的なことを言わぬで、例えば今議会の三月をめどにとか四月をめどに出すとかという、何かそれぐらいの考え方を持ってもらわぬと、できるだけ早くといったって、これ一月も早いし二月も早いというのは人によって違うんだから、まずその点、目安をはっきりしてください。
#21
○政府委員(高橋柵太郎君) 今月十一日に婦人少年問題審議会の方に私どもの方としては法案要綱を御諮問申し上げる予定にいたしてございます。したがいまして、審議会の答申が得られ次第、法案を国会に提出したいというふうに考えております。
#22
○対馬孝且君 これは長い間の社会労働委員会小委員会の経過を経ているという、言うならば重要な問題であるという認識を考えますならば、一日も早くこの国会に提案をする。もちろんこれは我々四会派、それから小委員会のまとめの段階でも申し上げておりますが、これは参議院先議とするという、こういう考え方を意思統一いたしておりますので、この点も含めてまず大臣にお伺いしたいと思います。
#23
○国務大臣(小里貞利君) すぱっと申し上げまして、民間におきましても、従業員数三十名以上の企業単位で見てまいりましても、今日二十数%もう既に育児休業制は取り入れておりますよと、そういう状況を背景にいたしまして国民の本法案の実現については大変な期待が高まってまいっております。私は率直に申し上げまして、これを的確にしかも機敏にお取り上げいただいたのは、ただいま先生お話しのとおり参議院の社会労働委員会だったなと、そういう実感を持っておるところでございます。
 また、私も大臣に就任いたしまして以来、参議院の当委員会の審議議事録、経過等もよく見させていただいたつもりでございますが、相当濃度の具体的に濃いものを検討いただいておりまして、そういうことなどからいたしまして、先ほど局長より答弁申し上げましたように、今次婦人少年問題審議会の建議も得ましたので、できるだけ迅速に、そしていろんな分野の皆様方の意見もさまざまでございます。しかしながら、これをお互い大所高所から譲るべきは譲っていただき、そしてまた負担をし合うところは負担をし合っていただきまして、この際大乗的見地に立っていただきましてお取りまとめをいただけたらと、そういう念願、悲願と申し上げてもいいかと思うんでございますが、さような作業を鋭意進めてまいりまして、先生御指摘の方向でぜひ作品にいたしたいものだ、制度化を名実ともに図りたいものだ、そういう方針でございます。
 この機会に、あわせて各位の御指導、御協力をよろしくお願い申し添えさせていただきます。
#24
○対馬孝且君 今、大臣の取り組みに対する一応の姿勢はわかりましたが、私は、これから建議を受けて法案に着手するわけでありますが、大臣の今の基本姿勢はわかりますが一番大事なことは、経過を最大限尊重することである、小委員会の経過を。その上に立って法案の作成をすべきであるというような私の考え方をはっきり申し上げます。
 なぜそれ申し上げるかと申しますと、私は、参議院社会労働委員会の育児休業小委員会の論議の中で何が一番基本かという問題を認識として持ってもらわなきゃならない点がございます。それをはっきり具体的に申し上げる時間もございませんけれども、あくまでも育児休業という性格は、これは恩恵的に与えてやるとか、あるいは恵んでやるとか、救済をしてやるとかという基本の認識であっては困る、そういう認識ではありません。あくまでもこれは労働者の権利であるということ、これをきちっと踏まえて法案に対処すべきであるということが第一点でございます。日本のこれからの育児休業法をつくる場合に、今も労使関係、とりわけ中小企業の関係とかあるいは業界の方々の意見というのは、この建議の中にも触れられていますけれども、非常にあいまいだというよりも、そういう基本的な権利のことについて全然あいまいもこになっている。労働者の権利であるという姿勢がないからノーワーク・ノーベイ、つまりそういう考え方が中にあるんじゃないかという意見が出されておりますように、私はそれをきちっと踏まえてこの法案の着手に当たってもらいたいということが一点であります。
 第二は、あくまでもこの対象は全労働者であるということ、これはもうはっきり申し上げなきゃなりません。この適用は全労働者を対象にすべきものである。
 それから第三、中小企業の関係に問題があるという懸念が表明されているんでありますが、これは実効ある措置をするためには罰則が必要である。罰則規定を設けなければ実効は上がらない。私はこういう考え方をきちっと踏まえて、これから法案に着手する段階でこの点の基本を最重点に臨んでもらいたい、こういうふうに考えますが、大臣の考え方をお伺いします。
#25
○国務大臣(小里貞利君) これはもう先生は集中的に最も御検討をいただいてまいっておりまするお一人でございますので、釈迦に説法みたいなことを申し上げて恐縮かと思うんでございますが、私は今次の婦人少年問題審議会の審議の経過をある意味ではかなり距離を置きながら見てまいりましたが、なかなかそれぞれの立場から要求、希望あるいは対応あるいは責任、義務、それぞれのものが直接縦横織りまざった大変複雑な一つの構造を持つ法律になるんだなという感じも実は受けた次第です。
 ただいま先生お話がございました例えば申請者、対象者あるいは要求するその要件あるいは担保あるいは不平等取り扱い、あるいは原職復帰あるいは中小企業者に対する対応、あるいは賃金と申し上げましょうか休業期間中の所得保障の意見も要求これあり、あるいはそれをなさんとすればその負担区分等はどうなるのか等々、大変複雑な問題があるわけでございますが、しかしながら本質的には先ほど申し上げましたように、どうしても世論の関係から見ましても、あるいはまた国会におきまする審議の経緯から見ましても、いよいよこの辺で集約をしてきちんと国民の前に答えを出さなけりやならぬという問題でございます。ただいま先生が、特に参議院の当委員会小委員会等において踏まえたあの経過も大きな基調であるよと、あるいはまた労使関係等においても意見を聞いているだろうというお話でございまして、今回の婦人少年問題審議会の建議を整理していただくにつきましても、それらの意見も率直に参考にしながら検討し、そして建議をいただいたものとも思っておるところでございますが、加えましてこれから婦人少年問題審議会に諮問をするいわゆる諮問案の作成に今かかっておるところでございますから、いろいろな方面の意見を大事に参考にしながら進めてまいらなけりやならないと思っております。また、その間にも先生方にもいろんな形におきまして御相談申し上げる機会もあろうかと思う次第でございます。
#26
○対馬孝且君 今大臣から、小委員会の経過というものを十分尊重してこれからの対応をしてまいりたいという、一口で言うならそういう姿勢のようでありますが、それは結構でございます。
 それで、大臣が就任したときに私インタビューをお聞きしまして、大臣が非常に積極的な発言を個人見解であるがという前置きでしていますけれども、つまり野党共同案にある賃金の六割相当の支給についてはなるほどという感じをしています
と、注目しなければならないというふうに、前向きに考えたいということを思っておりますと。建議は休業中の手当支給は法律によって一定の枠組みを規定することは適当でないとする意見もあるが、今私が言ったのは、個人的見解であるがそういう感を持っておりますという意味のことを申されているんですが、これは私は評価しているんですよ、その大臣の個人的インタビューについては。だからいま一度、大臣がそういう所見、個人的見解をお持ちだとするならば、これからの法律の策定の段階で、大臣の理念といいますか、考え方というものを基本的に生かす、また法案の中に織り込むという決意で対応してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#27
○国務大臣(小里貞利君) 正直申し上げまして、私大臣に就任いたしましたその直後でございますが、ただいま先生わざわざお取り上げいただきまして敬服申し上げておるところでございますが、その話の論旨は、当時私が直観的に育児休業制度に対する気持ち、概念を申し上げたつもりでございます。決して本筋におきまして否定を申し上げるつもりもございません。
 その概念の一つは、育児休業制度というのは、今や内外国民の大きな期待が高まっているよと、こういう認識を一つは持っておりました。それからもう一つは、ただいま先生からお話いただきましたその六割云々、そして負担区分等々を先生方が野党四党でお出しになっておられる話も聞いておりましたので、そういう話などが具体的に進んでおる状況を私もいろいろと注目を申し上げていかなきゃならぬと思っておりますと、こう申し上げたつもりでございます。
 いずれにいたしましても、できるだけ幅広くより多くの国民の皆さんの期待に沿える法整備を図ることが一番大事である、こう思っております。
#28
○対馬孝且君 それでは、大臣もお聞きだったと思いますが、先般の本会議において、各党の代表質問の課題の中に異口同音に育児休業が取り上げられました。とりわけ自民党さんの前の社労の理事をやって政審会長でありました佐々木さん、総務庁長官になりましたが、この人が特に声高らかに、今国会において、長い歴史がありましたが、むしろこれを実らせることが最大の我が党の使命であると強調をされました。だからここは一致しているわけです。そうだとするならば、今私が言う基本的な労働者の権利行使であるということを基本に据えて、そしてなるほど育児休業法というのはILOの精神からいっても、日本の法律がこれだけ立派なものが成立をしたというものになるように私から、大臣のインタビューの所見を踏まえて、時間もありませんから、特段に要請をしておきます。
 最後に、このことについて、しつこいようですけれども、大臣にもう一度確認をしたいと思います。
#29
○国務大臣(小里貞利君) これは労働大臣あるいは私ども大事な労政問題を取り扱っておりまする労働省のみが幾ら力んでみましても、こういう大きな課題の解決というものは推進できないわけでございまして、各位様の、特に今次は先ほども先生お触れいただいたように、衆議院よりも参議院先議という、そういうお取り決めもいただいたと承っておりまして、私どもは有力にそのことにも期待を申し上げておるところでございまして、皆様方の御意見をお伺いしながら集中的に、真剣に、そして根性を込めてこれが解決を無事図られるように努力をしてまいりたいと、かように考えております。
#30
○対馬孝且君 大臣の今答弁に最大限期待をいたしておりますので、ぜひそういう実りあるものにしてもらいたいということを強く申し上げておきます。
 時間もありませんので、最後に春闘に絡んでの時間短縮問題についてちょっとお伺いをいたします。
 春闘は労使の自主交渉によって決まるのは当然でありますが、連合は八%から九%、一〇%とそれぞれ要求が出ておりますけれども、ことしの春闘問題に対する大臣の所見がありましたら、ちょっと感想を聞かせてもらいたいと、これが一点であります。とりわけことしの春闘は、賃上げと同時に時間短縮という問題が非常に要求の大きな柱に据えられております。この点を含めてまず所見をお伺いしたいと思います。
#31
○国務大臣(小里貞利君) 九一春闘についてのお話でございますが、特徴としてただいまも先生お触れいただきましたように、時短という大きな柱が入ってまいっておりますこと、これもそのとおりでございます。ただ、それぞれ労使の立場でこれに対する例えば要求なりあるいは取り組みの方針、それぞれお持ちでございまして、御案内のとおり目下その交渉が行われておるところでございまして、私どもはこれができるだけ穏やかな、そして堅実な各位の聡明によりまして解決することを心から期待もいたしておるところでございます。
 同時にまた、先ほども若干話が出ておりましたように、今日の豊かなゆとりのある勤労者の生活、そういうものを実感できる生活体系というものを打ち立てるためにもぜひひとつ労使双方の賢明なる御判断、結論を期待申し上げたいと、かように考えておるところでございます。
#32
○対馬孝且君 大臣、もちろん労使の自主解決が基本でありますけれども、認識として、中東湾岸戦争が意外に早く解決をした、あるいはそのことによって物価に対する影響等の見方あるいは経営者のPRなどはインフレ懸念にあるのではないか、イザナギ景気もついに下り坂というような、盛んにPRをしておりますが、そうではなくて、私が申し上げたいのは、労働者の権利、賃上げというものはもちろん労使の自主交渉ではあるけれども、やはり年々歳々質的に労働生産性が非常に高まっている、日本の現状としては。そのことがひいては日本の経済成長率につながっていっている、こういう考え方を踏まえて、これからもちろん労使で行われることでありますけれども、常にそういう配意を労働大臣としてもしながら質的向上を前進させるというふうに取り組んでもらいたい。
 それからいま一つ、時間短縮であります。これは最大の課題でございますけれども、千八百時間の見通しと今後の問題についてお伺いしますが、ちょうど私が社労の理事をやっておったときに、佐藤基準局長もきょうおいでになっておりますけれども、当時この取り組みについて鋭意話し合いをいたしましたし、交渉もやりましたし、国会でも質問を相当やりました。
 しかし、現実の問題として、この政府の経済五カ年計画、昭和六十三年五月閣議決定、第六次の雇用対策基本計画、これは六十三年六月の閣議決定、平成四年度までに千八百時間の実現を掲げて進める。これを受けて労働省が六十三年六月に労働時間短縮推進計画というものを策定して、この目標の実現に向けて完全週休二日制普及の促進あるいは年次有給休暇の完全取得の促進、それから連続休暇の普及拡大、所定外労働時間の削減等を重点にして対策を進めてまいりました。しかし、千八百時間の目標達成としては、今日の段階で言いますと極めて絶望的な見通しではないかと私は懸念をしているわけであります。この点について今後どう具体的に取り組みをしていくのかという考え方をお伺いをしたい。
 それは、なぜ申し上げるかといいますと、むしろおくれているんじゃないか。時間もありませんから、具体的に指摘したいんですけれども、週休二日制の問題だとかあるいは時間外労働の問題だとか、あるいは有給休暇の問題だとかいろいろありますが、とにかく基本的な考え方をお伺いしたいと、こう思います。
#33
○国務大臣(小里貞利君) 先生がただいま御指摘いただきました一つの目標を象徴的に申し上げますと、昭和六十三年五月二十七日でございますか、「世界とともに生きる日本」の中の経済運営五カ年計画、その背景には、要旨として経済は発展してきたよ、しかしながら勤労者の生活はどうなるのか、その中の大きな目標の一つとしてただいま
先生御指摘の労働時間の問題が出てまいります。そして、その中で数値の目標として千八百時間だよ、完全週休二日制だ、そのことは四十時間だと、これが出てまいるわけでございますが、これも決して私どもはそうだからとて気を緩めてはならないと思うんでございます。平成四年を目標年次の最終年度に置いておるわけでございまして、その過程として今日あるわけでございますが、お話がございましたように今年四月一日から四十四時間で法定時間いこう、こういうことを決めまして、総体的に労働時間の短縮計画、実績というのは着実とは申し上げませんけれども、大体進んでまいってきておる、こういう評価をいたしておるところでございます。
 しかしながら、具体的にはいろいろ問題もあるわけでございまして、ただいまお話にございました中小企業において年次有給休暇の最低付与日数が六日から八日に引き上げられること、あるいは労使も積極的に取り組んでいることなどから、今後は労働時間短縮のスピードがさらに遠くなるものと期待はいたしておるところでございますが、政府の経済計画、先ほど申し上げました目標などを達成することなどもこれあり、その目標達成に向けまして、ただいま先生四つか五つ項目を挙げて具体的にお話がございましたが、それらの問題に具体的に取り組んでいかなきゃならぬ、かように考えております。
#34
○対馬孝且君 時間外労働制の問題、有給休暇の問題あるいは業種別、例えばタクシー業界であるとかあるいは深夜にわたる業種の扱いの問題であ・るとか、時間外労働の削減の問題だとかたくさんあります。時間もないからこれは申し上げませんけれども、そういうものが具体的に取り組まれて初めて週四十時間につながっていくと、こういうことになるわけでありまして、そういう具体的な取り組みを積極的にひとつ行政指導をすべきであるということを特段申し上げておきます。
 最後に、これは大事なことなんで、大臣は御存じかどうか知りませんけれども、北海道に季節労働者というのは二十七万人いるんです。これは昭和五十二年、はっきり申し上げますけれども、時の石田博英労働大臣、私は随分社会労働委員会でも質問をし、また当時の福田総理大臣等とも予算委員会等でやりまして、一応季節労働者が当時百二十日が六十日になって、最後には五十日に切り捨てられるという削減の結果が出まして、それがひいては季節労働者の不安定労働につながったということで、当時積寒給付金制度というのが石田博英労働大臣の段階で非常に御尽力いただいてできたわけです。自来、今日まで十五年ぐらいになるんです。その後、性格が冬期雇用奨励金制度、給付金制度というのに変わって、二十日間なら二十日間、冬期間にどうしても働くことのできない場合には講習をやりまして、その講習をやった方々に、当時五万六千円からスタートしまして、今日、明年は十万二千円という段階までまいりました。これは非常に不安定労働者であるだけに、この制度が三年、三年更新、通年雇用は恒久法なんでありますけれども、三年間でこういう制度は更新になっているわけです。これが非常に不安定になっておりますので、ここにおります清水労政局長に非常に御尽力していただきまして、当時課長時代に北海道に現地調査まで行っていただいて、調査の上に立ってこの考え方が出されたということについて、清水労政局長には私は高く敬意を表しているのでありますが、そういう点もありますけれども、ともあれ言いたいことは、時間も来ましたから、三年、三年では不安定である。当時私も知っていますが、参議院出身の初村労働大臣、この人はせめて五年ぐらいはやるべきものだろうなと、本来十年ぐらいだけれども、せめて五年は安定させてやるべきだと。ところが、今三年ですからね。一年たったらすぐ次の準備に入らなきゃいかぬ。これでは不安定労働者がまた不安定になってしまうということで、これは問題がございます。
 時間もございませんから、率直に言ってこれらの問題について、大臣、新大臣として新たな考え方に立って、最低でも私は十年を制定して五年後に見直しという、あえて私は議員立法を三年前に提出しました。再び当委員会に議員立法を出したいと思っておりますが、西ドイツ方式、スウェーデン方式などございますけれども、日本型を含めて議員立法をもちろん出しますが、ひとつこの問題についての取り組みについて、大臣に北海道特有の積雪寒冷労働者に対する対応について取り組んでもらいたいと、このことを申し上げたいと思いますので、大臣の一応所見だけを伺っておきたいと思います。
#35
○国務大臣(小里貞利君) 一定の季節に限りまして、いわゆる季節労働者というのが全国で五十四万数千人おられる。その中でただいま先生御指摘の雪の関係、積雪地帯の関係が三十六万人でございますか、しかもその中で北海道関係がさらに二十万人前後おいでになる。実は正直申し上げまして、私もけさ方事務局の方からそういう説明を受けまして本当に驚いておるところでございます。いかに各位御苦労なさっておられるかということも同時に痛感いたしております。「全国的に雇用情勢に改善が見られる中、北海道の有効求人倍率が一倍を大きく下回っているというこの状況、あるいはまた北海道においてはいわゆる改善の度合いが低いというようなことなどからいたしまして、季節労働者についても極めて厳しい状況であるなと、こういうふうにいたく注目をいたしておるところでございます。これらの方々に対しましては、先生もお話しのとおり、通年雇用制、通年雇用の促進をいわば基本といたしまして雇用の安定を図っていく必要があると考えておりまして、通年雇用の促進あるいは冬期におきまする工事の確保等を進めてまいる必要があると、かように感じておるところでございます。
 それから最後にお尋ねのございました制度の問題でございますが、いわゆる季節労働者の雇用の安定を図るために通年雇用の促進を目的といたしました恒久的な制度、いわゆる通用、通年雇用奨励金制度を設けるとともに、季節労働者の生活の安定のために基盤整備が進むまでのいわば暫定措置、平成三年度までを指しておるわけでございますが、冬期雇用安定奨励金制度及び冬期技能講習助成給付金制度を設け、通年雇用の促進に努めてまいっておるところでございます。
 平成四年度以降におきまするこれら季節関係給付金制度のあり方につきましては、冬期における積雪寒冷地の雇用失業情勢や制度の活用状況、あるいはまた制度の創設の経緯や関係自治体及び事業主の工事の通年施工化の状況などを踏まえまして、率直に申し上げまして慎重に検討をいたしておるところでございます。
#36
○対馬孝且君 今大臣から現状認識を踏まえて慎重に検討しておるということでございますので、ぜひひとつこれらの、通年雇用化が目的ですから、大臣、何も冬場の期間だけその講習を受けるということが目的でないんです。現に五年前、労働省が模範を示したんです。私は去年微力だったけれども建設委員長をやりまして、建設大臣に随分申し上げたことがございます。それは北二十四条にプラザ労働福祉センターをつくって、このときに単価が、たしか二割だと思ったのですが、労働省が単価をアップしまして、通年、冬場でも全部仕事をやったんです。通年施工でやったんです。やればできるんですよ、何も労働省だけの問題でないですよ。我々は通年雇用を求めているのですから。しかし、通年雇用したくても働けないというここに対する措置なのですから、だから労働省がモデルでプラザをやったように、単価を二割アップしたら三百六十五日通年の仕事ができた、こういう方向に労働省だけでなくて、私は建設大臣にも去年申し上げましたけれども、横並びで省庁連絡会議等でそういう方向に、ぜひひとつ通年化の促進も同様にしてもらいたい。しかし、残念ながらそこまではまいりませんので、現状の制度だけはぜひ充実して延長できますよう強く申し上げまして、私の質問を終わります。
#37
○堀利和君 ただいまの審議を聞いておりまして、国民勤労者にとって大変重要な問題でありますし、労働省としても責任の重さということも大変
だなということを実感しておるところでございます。
 私は、きょうも障害者の雇用対策について幾つかお伺いしたいと思います。
 私の仲間、障害者たちが、労働省の御努力については十分承知しているわけですけれども、しかしなかなか実態の方を見ますと思うように満足のいく雇用対策が進んでないということで、ぜひとも基本的な視点からこの際この審議において取り上げていただきたいということの要望が私にございましたものですから、そういう視点でお伺いしたいと思います。
 一九八一年が国際障害者年ということでスタートして、障害者の十年が来年でいよいよ終わるわけでございます。昨年労働省では、終盤の三カ年における基本方針を出しました。そういうことから、来年国際障害者年十年が終わりますし、その後ポスト国障年一体どうなるのだろうかということもございますので、まず大臣に、現時点での障害者の雇用対策につきまして御所見をお伺いしたいと思います。
#38
○国務大臣(小里貞利君) 私どもの範囲の広い雇用対策の中におきまして、最も重点的な課題の一つでございます障害者の雇用対策についてお尋ねでございますが、労働省の最重点課題の一つとして従来からきめ細やかな諸対策を講じてまいっておるつもりでございます。ただいま先生もお触れいただきましたように、国連障害者の十年、この終期でございます平成四年を間近に控えておりまして、雇用される障害者の数は増加しているものの、逆にその雇用率はむしろ停滞傾向を示しておるという状況でもございまして、こういうような遺憾な状況から、さらに昨年の二月には今後の障害者雇用対策の重点方針を定めたところでございます。この方針に沿って障害者の雇用が一層御指摘のように拡大できるよう、障害者の雇用対策を積極的かつ強力に進めてまいる所存でございます。
#39
○堀利和君 きょうの私の質問の中では、多少現行の法律あるいは制度からはみ出すところもあるかと思いますけれども、その点は御了承願いたいと思います。
 まず、労災保険法の関係につきましてお伺いしたいと思いますが、昨年百十八国会では、当委員会におきまして老人福祉法関連八法が審議され、改正されたわけでございます。私も六月十九日には身体障害者福祉法を中心にしまして質問させていただいたわけでございますが、その中で身体障害者という用語、これが我が国の法律、行政の中でどのように使われ、そして今日どのように至っているかということを指摘させていただいたわけでございます。その際、一つには、基本的労働行政の枠の中からこの身体障害者という用語が出てくるわけですけれども、工場法から今日の労働者災害補償保険法、ここに至るまでの一つの概念といいますか、対象として身体障害者ということが出てきます。そしてもう一つは、その流れの中で、戦後厚生省における身体障害者福祉法の制定において二つ目の流れとして厚生行政の中に出てくるわけでございます。身体障害者福祉法では、こういった労働行政から影響を受けたと思われる身体障害者という用語に対する定義が次第に福祉の発展の中で、重度の障害者に対しても社会参加として安定した生活を援助する、そういう施策がとられるようになってきたわけでございます。
 そこで、労災保険法に関連しまして、工場法から現行法に至る過程のことを念頭に置きながら質問したいと思いますけれども、労災保険法ではその目的として、被災者の賠償及び社会復帰の援護ということになろうかと思うわけでございまして、という点からいいますと、社会復帰としての職場復帰までのプログラムについては、労災保険法としてはその範疇に入っていないというような通説があろうかと思いますけれども、その点についてはどのようにお考えでございましょうか。
#40
○政府委員(佐藤勝美君) ただいま労災保険法の目的に関するお尋ねかと存じますけれども、今先生御指摘のように、一つには業務上または通勤によります労働者のこうむった災害、負傷、疾病、その他の災害につきまして迅速かつ公正な保護を図るということが一つでございます。そのために必要な保険給付を行う。あわせまして被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者及びその遺族の援護等を図る。そのことによりまして労働者の福祉の増進を図るということが労災保険法の目的には明記をされておるわけでございます。
#41
○堀利和君 そうしますと、労働災害被災者、障害者になった方の職場復帰に至るまでのプログラムについては、これは労災保険法ではなくて障害者の雇用対策、雇用促進法がございますけれども、こちらの方にという理解だというふうに改めてお伺いするわけですけれども、そうでしょうか。
#42
○政府委員(佐藤勝美君) 身体障害者の社会復帰に至るまでのプログラムにつきましては、労災保険法のほかに今先生がおっしゃったような法律があるわけでございますが、労災保険制度におきましては、労災保険法第二十三条に規定されております労働福祉事業の一環といたしまして、リハビリテーションセンターを含みます労災病院の設置運営、それから義肢、車いす等の補装具の支給も行っております。それから障害者職業訓練校の設置に対する助成、雇用促進のための助成等の各種社会復帰のための援護措置というものも行われているわけでございますし、さらに社会復帰資金の貸し付け等さまざまな施策を総合的に行うということで、現に努力をさせていただいております。
 さらに、このような施策を有効に行いますために、地方労働基準局には社会復帰指導官を置いておりますし、また基準監督署には社会復帰推進員を配置する。また、来年度には本省にも中央社会復帰指導官を新規に配置をするというように、行政体制の整備を図りながら、この労災保険法の目的にも書いてございますような労災に由来するところの障害を持つ労働者の社会復帰の促進のために種々の施策を講じておる、こういうことでございます。
#43
○堀利和君 労災保険法のそういった財源が幅広く使われているという御答弁でございましたけれども、先ほど私が言いましたように、一口に身体障害者といいましても、私のように幼いころから障害者であった者と、人生の中途で何らかの理由で障害を負うということで、この問題でいえば、労働災害によって障害者になった方ということでは大変そこら辺の何といいますか、同じ障害者だといってもかなりの違いがあろうかと思います。
 私は六歳のときに視覚障害になったわけでございまして、幼いころでしたからそれほど、恐らく精神的なショックというものもなかったように思いますけれども、仮に私が今この人生の途中で、目が見えていたものが急に見えなくなったとなれば、これはやはり精神的にもかなりのショックになろうかと思うんです。
 たまたま私が読んでいた資料の中に、一九八六年の「月刊ろうさい」というこの雑誌に載っていたわけですけれども、重度の脊髄損傷者等の自立更生、社会復帰の支援のために労働福祉事業団が設置しております労災リハビリテーション作業所、ここに働いているといいますか、職員が書かれた文章を読ませていただいたんですが、やはり幼いころから障害者であった私には本当には理解できないような苦しみというのが大変にじみ出ておりました。これまで生活していた、あるいは働いていた状況がもう一変するわけでございます。そのリハビリテーション作業所に勤めているといいますか、いらっしゃる障害者の方々の状況は作業所の生活を通して作業やあるいは生活能力を身につけ、労災年金を将来の生活の資本として自立生活を夢見、それを望んで頑張ってはいるわけでございます。しかし、現実は大変厳しくてなかなかそううまくはいかないというようにも書かれておりました。障害者の中にはなかなかその障害というものを受容できない、あるいは克服できないということがございまして、中にはその障害の重さ、そういった行く末を案じてギャンブルに走ったり、酒におぼれるということで多額な借金を抱えてしまうというケースもあるというようなこと
を書かれておりました。
 確かに中途で障害になり、労災によって障害者になった方に対してのリハビリといえば、身体的な機能を取り戻す、あるいは残存機能をどう生かすかという点での身体上のリハビリテーションということも重要でございますが、同時に精神的、これからどう生きようとするかという心のリハビリテーションというのも極めて重要だろうと思うわけです。そういう観点で、しつこいようですけれども、労災によって途中で障害者になられた方々、こういう方々に対する職場復帰に向けたプログラム、これをもう少し積極的にお考えいただきたいなと思うわけでございます。
 そういう視点で、労災保険法の制度いろいろ勉強させていただいた中で、昭和四十八年十一月五日、基準局長名で基準局発で五百九十三号通達というのがございます。これは二十三条の一項の労働福祉事業に関しまして政府が行うべきことと、労働福祉事業団が行うべきことの二つに分かれておりますけれども、そのうちの政府が行うべき事業として特定疾病に対するアフターケアという事業がございます。特定疾病ということでございまして、これは頸肩腕あるいはむち打ち症あるいは一酸化炭素中毒というようなことで特定の疾病に限られてはおりますけれども、この昭和四十八年の通達ではそういった疾病の治療、療養をしながら、治癒する以前においても、あるいは一たん治っても再発するケースもございまして、治癒後においても職場に復帰しながら治療する。治癒前にしろ治癒後にしてもそういうことが通達の中では示されているわけですけれども、昭和四十八年以降今日に至るまでこの通達に基づいた事例というものがございますでしょうか。
#44
○政府委員(佐藤勝美君) 今御質問の中で先生言及されました通達の内容は、先生御自身が非常に詳しく申されましので繰り返す必要がないと思いますが「この通達によります措置の対象になった例があるかどうかというお尋ねだと思いますが、残念ながらこの措置の対象になりました対象の全数の調査というものはいたしておりませんが、私どもは個別の事例について承知をいたしております。
 その一例を申し上げますと、例えば千葉県におきまして、ある生命保険会社でございますけれども、頚肩腕症候群それから腰痛症のため療養開始後六年半経過した労働者につきまして、職場復帰のため事業所に対して監督機関から指導を行った、そのことによりまして当該事業所におきましてその被災者本人の選択によりまして一日に一時間程度の就労ができるようになった、これがリハビリテーションとしての意味を持つ就労となり、最終的には完全な職場復帰が実現したというような実例もあるわけでございます。
#45
○堀利和君 ただいまの事例聞きまして大変勇気づけられるわけですけれども、私の方で聞くところによりますと、この通達に基づいた事例というのは余りないというふうに聞いております。したがいまして、ちまたではこの五九三通達をゴクローサン通達とやゆするような言い方まであるわけでございますね。
 ただ、今局長が言われましたように、そういう事例があるということを踏まえれば、特定の疾病に限らず、この労災保険法の枠のいわば労働法において労災によって障害になった方の具体的な職場復帰へのプログラムに向けて今後御努力をいただきたいということをお願いして、労災についてひとまず終わりたいと思います。
 次にILO百五十九号条約についてお伺いしたいと思いますけれども、一九八三年にジュネーブで開催されまして採択されたILO百五十九号条約、これは障害者の雇用に対して大変進んだ内容にもなっております。リハビリテーションについてもかなり踏み込んでもおります。そういうことからこれは重要だと思うんですけれども、日本政府はいまだこれについて批准してないというように聞いておりますけれども、これはなぜ批准してないんでしょうか。
#46
○政府委員(若林之矩君) この条約は我が国におきましても障害者の雇用対策を進めていきます上で大変貴重な指針になるというふうに考えておるわけでございますが、この条約を批准するということにつきましては、国内法制及び実効上のいろんな面で本条約の要請を完全に満たしているかどうかが問題があるというようなことでございまして、例えば一つの例を申し上げますと、精神障害者の具体的な訓練技法の開発でございますとか、その受け入れ体制はどうあるべきかといった点も検討の課題でございまして、こういったような検討課題が幾つかあるわけでございまして、そういった点で今後関係省庁とも十分協議しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
#47
○堀利和君 私は、このILO百五十九号条約を一日も早く批准すべきであると思うわけでございます。職業リハビリテーション及び雇用、これについての貴重な内容でございまして、特に心身障害者というふうに対象がなっております。こういうことを受けて恐らくさきの改正では身体障害者雇用促進法から障害者雇用促進等に関する法律というように対象枠を障害者というふうに広げたのだろうと思うんですね。しかしながら、今御答弁にもありましたように、実際上は精神障害者、精神病者、回復者に対しての措置が十分とられていないのが現行法であるわけです。私はそういうふうに思うわけですけれども、ILO百五十九号の内容が現行法にどんなふうに生かされているのか、もう一度改めてお伺いしたいと思います。
#48
○政府委員(若林之矩君) この条約は先生ただいま御指摘のように、すべての種類の障害者の雇用機会及び待遇の均等を確保して障害者の地域社会への統合を促進するということを目的といたしておるわけでございます。
 そこで、ただいま先生御指摘のとおり、六十二年の身体障害者の雇用促進法を改正いたしまして、その名称も障害者の雇用の促進等に関する法律というふうに改めたわけでございます。そして、この改正によりまして職業リハビリテーションの措置というものを明記いたしまして、この職業リハビリテーションにつきましての対象を精神障害者も含む障害者全般というふうにして、その方向にできる限り沿うようにというふうにして改正をしたところでございます。
#49
○堀利和君 なかなか難しい問題がありまして、確かに精神障害者、精神病者、回復者の問題については多くの困難があろうかとは思いますけれども、早急にこの辺の状況も整備して一日も早いILO百五十九号条約の批准に努力していただきたいと思うわけでございます。
 それでは次に、現行法、制度の枠を若干踏み出してしまうような質問にもなるんですけれども、何としても一人でも多くの障害者が働く機会を得て安心して職業生活が営めるようにしたいという多くの方々の希望もございますので、その点の御了解を得ながら次の質問に移らせていただきますけれども、現行雇用促進法の第十四条の二にございます子会社に雇用される労働者に対する特例、これはいわゆる第三セクターの障害者多数企業のことでございますけれども、出資、投資した親会社に対してはこれは雇用率はカウントされるというふうに聞いております。その他助成金というのも当然あるわけですが、この辺の助成先、助成金がどういうふうに流れるのか。親会社と子会社の関係についてお聞きしたいと思います。
#50
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生御指摘の子会社特例が認定される場合におきまして、これは身体障害者雇用率制度及び身体障害者雇用納付金制度の適用上、親事業主及び子会社を同一とみなして取り扱うこととしている制度でございます。
 そこで、各種助成金につきましては、これは現実に障害者を雇い入れる当該事業主、したがいましてこれは子会社ということになりますが、それに対して支給されるということでございまして、助成金の内容は、御承知のように、作業施設の設置等助成金であるとか、あるいは重度障害者の職場適応助成金であるとか等々の助成金があるわけでございます。
#51
○堀利和君 そうしますと、親会社と子会社の関係で一つわからないところがございますけれども、調整金あるいは報奨金ということからいいますと、これは報奨金の方が子会社に支払われるわけでございましょうか。
#52
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま申し上げましたのは助成金でございまして、先ほどお答えいたしましたように、雇用率のカウントにつきまして及び納付金制度の適用につきましては、これは親事業主を子会社と同一とみなして取り扱うと、こういうことになります。
#53
○堀利和君 したがいまして、調整金と報奨金の関係はどうなるんでしょうか。
#54
○政府委員(征矢紀臣君) したがいまして、調整金等につきましてはこれは親会社に行くということでございます。
#55
○堀利和君 ああそうですか。雇用率がカウントされる親会社であるから調整金の方は親会社に行くということであるわけですか。これは私は報奨金として子会社の方に行くのかなというふうに思っておりましたけれども、そこの認識は違うわけですが、そうしますと、設立当時は各種助成措置がとられますけれども、その後については報奨金が行かないということになれば、そこでもう子会社にとってはおしまいということでございましょうか。
#56
○政府委員(征矢紀臣君) その辺の問題につきましては、この設立の経緯が、ただいま申し上げましたように、身体障害者の雇用率及び納付金制度のことを頭に置き、かつ前提といたしまして、子会社を特例としてこういうものを設けた場合にこの制度を適用する、こういう制度でございますから、したがって、この子会社と親会社というのはそういう意味で非常に密接不可分な関係がもともとあるわけでございまして、そういう中でこれが運営されている、こういうことでございます。
#57
○堀利和君 それはそれでわかりました。
 第三セクター企業が全国に幾つかつくられてきておりますけれども、その親会社の方ですね、企業の方の雇用率の状況、どの程度目立ってアップしたのかどうか、あるいは未達成だった企業が第三セクター子会社をつくったことによって雇用率を達成したところがあるかどうか、その辺のことをちょっとお聞きしたいと思います。
#58
○政府委員(征矢紀臣君) 平成二年六月一日現在で、ただいまの特例子会社の認定を受けた子会社が全国で三十五社ございます。その親会社は三十三社となっておりますが、そのうちの十四社がこれによって雇用率を達成しております。
#59
○堀利和君 ということは、親会社にとっては第三セクターの子会社をつくることでそれなりの成果というのが見られたというふうに理解できるわけでございます。私は、第三セクター企業の場合、確かに親会社の人的あるいは営業上の支援もございますからきちんとした経営でやっていると思うわけですね。
 そこで、全国におよそ二千四、五百の作業所がございます。一般雇用にどうしてもつけない障害者が地域で働く機会を自分たちで、あるいは親、関係者がつくってやっているわけですけれども、これは厚生省所管の事業でございます。ただ、そういう全国に二千数百ある作業所の中でも、大変困難な作業所は別としまして、作業能率のまあまあ高い作業所も幾つかあるわけです。ということから、第三セクターの子会社の制度を何とか工夫しまして、こういった作業所にも準用できるような方策はできないものかどうか。私もこう言いながらかなり困難だなと思いますけれども、私自身も勉強させていただきますが、労働省としてこの辺はどうでしょうか。
#60
○政府委員(征矢紀臣君) ただいまの先生の御指摘でございますが、お気持ちもよくわかるわけでございますけれども、なかなか難しい面がございます。
 そこで、私どもといたしましては、これまでも重度障害者の雇用を促進するという観点から、事業所として雇用関係がある労働者が存在すると認められる作業所につきましては、これは納付金制度に基づく助成金を活用して援助を行っております。
 ところが、作業能率の高い小規模事業所を発注元企業と同体とみなして雇用率にカウントをできればという先生の御指摘の点につきましては、率直に申し上げましてなかなか難しい問題がございまして、もともと私どもその雇用率制度、これは労働者を雇用する企業と労働者の関係を頭に置いてできている制度でございまして、したがって、雇用関係のない作業所につきまして、これを第三セクター企業のような子会社、親会社という密接な関係もない企業が作業所に発注した、こういうことだけで雇用率にカウントすることは現行の制度上これは困難でございます。と同時に、そういう形で仮に進めるとすれば、障害者を企業が雇用するという責務を放棄して一般的に発注すればそれで足りる、こういうようなことになると逆の面での問題点も出てくるということでなかなか難しいということでございます。
#61
○堀利和君 言うまでもなく、私も基本はやはりノーマライゼーションということで通常の職場に障害者が進出していくということであるわけでございますけれども、そうは言っても現実にはなかなか進んでいない。しかも十四条の二にあるように第三セクターという企業も現実に存在しているわけです。ということから考えまして、こういった作業所についても何とか事業所として成立するように親会社が支援をして、それによってもちろんその見返りといいますか、メリットとして親会社の方に障害者雇用率のカウントをする、そういうように何とか現行法の中でうまく工夫できないものだろうかというようなことをお願いしたいと思うところです。
 そこで、私の少ない情報ではございますけれども、全国に四、五カ所でしょうか、企業によっては会社の敷地内に作業所を建てて、そこに障害者が通ってきて働く。中には作業能率が高くなった者がその会社に雇われていく。そして、障害者の場合なかなか体の問題、働き続けるということも大変なところがございますので、体が厳しくなればやめてまた同じ敷地内の作業所に戻るというようなケースも聞いているわけですね。ですから、これがもう少しうまく発展していけば、私が先ほど指摘し、またお願いしたようなケースにいくのかなとも思いますので、この数カ所のこういう例について把握していらっしゃるのか、してなければぜひ調査をお願いしたいと思うんです。
#62
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生の御指摘のような例で私どもも把握しているものもございます。そういう例を見ますと、おっしゃるように敷地内に作業所を設置しまして、そこで障害者の作業能力を高め、さらにその能力の評価を行った上で正式の雇用につなげる、こういう方法でやっておりまして、私どもといたしましては、その障害者の職業能力をできるだけ高めるとともに職場への適応を円滑に促進し、雇用に結びつけていくこと、これは極めて重要なことでございますので、それを援助するための取り組みといたしまして職場適応訓練などの制度を活用して対処しているところでございます。今後ともこうした例を参考としながらいろいろ私どもも研究し、障害者の雇用に結びつくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#63
○堀利和君 私の方ももちろん勉強、研究しなければなりませんけれども、労働省としてもぜひこの辺を前向きにお願いしたいと思います。
 次に、雇用の機会をもっともっと広げたい、そして安定した職業を得たいということから「最低賃金法にかかわる点について質問さしていただきます。
 最低賃金法というのはもちろん安定した生活を得るために地域型あるいは産業型、二つの分け方で最低賃金というものが時間あるいは日額ということで決められているわけでございます。ところが、八条の一項一号では精神または身体に障害のある者はその最低賃金法において適用を除外されるという条文がございます。
 以前私は障害者の集会、勉強会の中で最賃法の
八条の一号を、これは絶対に許すべきものではない、差別的な条項だということで撤廃すべきであるというようなことで仲間ともそんなふうなことを言った覚えもあります。初めて最賃法の八条の一号を見たときにやはりショックを受けました。人として働き最低保障されるべき賃金が保障されていない、除外されているという、これは正直な話、私にとってもショックでございました。したがいまして、八条の一号はぜひ撤廃すべきだというふうに考えていたわけでございます。
 その点につきまして質問させていただきますが、これは事業所、雇い入れする側が申請を出して基準局において許可をするということになるわけですけれども、ここら辺の手続を簡単にお教え願いたいと思います。
#64
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまお尋ねの最賃法第八条の適用除外の許可の手続でございますけれども、これは使用者から申請が来るというのが最初の段階でございます。申請がありますと、中央最低賃金審議会でつくった許可基準がございますけれども、この許可基準に基づきまして慎重に検討する。具体的に申しますと、当該労働者の労働実態等について労働基準監督官が実地調査を行った上で適否を判断することになる。つまり、障害を持たない方と同じような労働能力の方が最低賃金から除外をされるというようなことがあってはならないというのがこの趣旨でございます。
 簡単に申せば以上のような手続になるわけでございます。
#65
○堀利和君 この申請時期というのは、雇い入れるに際して調査をして許可するんでしょうか。それとも雇い入れた後の作業能率の実態を見て申請が出る、あるいは許可が出るということでしょうか。いつ、どういうふうに申請が出て許可が出るのか、その時期をお教え願いたいんですが。
#66
○政府委員(佐藤勝美君) 申請の時期につきましては、法律上は特段の制約はございません。したがいまして、雇い入れの前に申請をなさって、それでそれに対する許可があれば雇い入れ時から通用除外になる。それから雇い入れてしばらく働く状況を見てからということになりますと、その後に申請をされまして、許可があるまでは、これは最賃は適用になるわけでございます。したがいまして、法律上特段の定めはないということで、両方あり得ると思います。
#67
○堀利和君 それですと、働く前に申請し許可が出て、採用時から最低賃金の除外ということもあり得るということと、働いた後に作業の状況を見て申請し、許可をするというケースがあるということなんですが、これは毎年そういった状況を申請して許可を得るんでしょうか。それとも一回申請して許可を得れば、いわば障害者が働き続ける限りその状態にあるということなんでしょうか。
#68
○政府委員(佐藤勝美君) 申請に対する許可をするに当たりましては期限を付しております。その期限は三年以内ということでございますので、長くても三年ということでございます。その時期が一年二年、あるいは長い場合の三年の期限が過ぎましたときには、改めてまた申請をし、許可がなければ最低賃金の適用があるという状態に戻る、こういうことになります。
#69
○堀利和君 そうしますと、三年ごとに実態の調査といいますか、が行われるというふうに理解していいわけですね。申請がなければ当然最低賃金が適用されるということだというふうに理解させていただきます。
 そこで、ここ二年ないし三年で構いませんけれども、障害者における申請と許可の状況についてお伺いしたいと思います。
#70
○政府委員(佐藤勝美君) 今の御質問にお答えする前にちょっと補足をさせていただきますと、先ほど雇い入れの前に許可があるようなことをちょっと申し上げたかと思いますけれども、あくまでも労働の実態を調査するということでございますから、雇い入れ直後というケースはありますけれども、働く前にということはまずないというふうに御理解いただきたいというのが一つでございます。
 それから、ただいまの件数のお尋ねですが、平成二年、ごく最近の数字で見ますと、申請が三千五百八十二件ございました。これに対します許可の件数が三千四百七十件ということでございます。
#71
○堀利和君 申請に対して許可率がかなり高いですね。九割以上は十分超えているように思いますけれども、これはどうしてでしょうか。
#72
○政府委員(佐藤勝美君) この適用除外はもちろん安易に行うべきものではないということがございますので、あらかじめ事業主に対して適用除外の趣旨というのはこういうことだということで制度についての周知を十分やっておりますので、そうこの趣旨に外れるような申請は余りないのではないかというふうに推測をいたしております。
#73
○堀利和君 そこで、申請が出て許可に至るまでいろいろな調査、関係者の御意見も伺って決めるんでしょうけれども、例えば採用後の作業実態を見て基準監督官が許可判断する、これが最初だと思うんですが、その場合に一人の障害者がある業務を遂行している状態を見て、確かになるほどこれは最低賃金適用除外やむなしということを判断するわけですが、これはこれで恐らく基準監督官の職務範囲としてはここがぎりぎりだろうと思うんですね。
 ただ、私としては一つお願いしたいし、お伺いしたいのは、現状のままでは確かに障害者は最低賃金の適用除外だとしても、作業のあり方とか設備の改善あるいは同じ事業所の中でも別な仕事に移ったとしたらもっと作業能率が高くなるのではないだろうか。つまり適用除外せずに最賃を適用できるところまでいくんじゃないかということもないことはないと思うんですね。そういう点で職務範囲としては判定して許可するんでしょうけれども、そこで職業安定局、職安の関係で障害者の雇用促進の窓口といいますか、係の方を含めて、そこら辺まで踏み込んだ連携というのはございますでしょうか。その辺についてお伺いしたいと思います。
#74
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまの点でございますけれども、最低賃金の適用から除外をしていいかどうかということは、その対象になります障害者の方の労働能力の程度を判断するということになるわけですけれども、その場合当然機械設備あるいは職場のその他の状況によりまして労働能力が十分発揮をされるかされないかという違いが出てくると思います。したがいまして、現在の許可基準でもその辺を考えない許可基準になっているとは思いませんが、ただ具体的に全国各地で職業安定機関と許可をいたします基準監督署とで十分な連携がとれているかどうかということにつきましては、今の段階で特に確認をしたということはございませんが、そのような連携がとられつつ行われることが望ましいと思っておりますので、その辺は十分留意をしたい、かように思っております。
#75
○堀利和君 その辺まで踏み込んでいただきたい、できる限り適用除外にならないようにしていただきたい、その努力はお願いしたいと思うんです。
 そういうことから、こういうことをお聞きしていいのかどうかわかりませんけれども、かつて私の知っているところといいますか、聞いているようなところでも不正に適用除外されていたケースがあったり、あるいは二、三年前ですか、基準局に何の届けもせずに雇い入れた事業主が知恵おくれの方を、親もついてきて一緒になって働いていながら、最賃以下で雇っていたというケースがありまして、これが摘発されて基準局が入りまして、結果としては適用除外になってしまったわけですけれども、その間の不当な不払いについては障害者本人に当然支払われたわけですね。時々そういう話も聞くわけですけれども、基準局として適用除外にする場合、適切であるかどうか、不正はないかどうか、この辺の信頼は置くつもりでおりますが、どうでしょうか。
#76
○政府委員(佐藤勝美君) 過去におきましては、今御質問の中にございましたような不正という事例もなかったように聞いております。これはもち
ろん監督署の許可が不正であったという意味ではなくて、申請をしなかったり、あるいは申請の内容が必ずしも正しくなかったというような事例だと思いますけれども、そういう事例は絶無ではなかったと思いますが、私どもとしましては、この最賃法の除外ということを安易にやるべきでないという基本的な考え方を持っております。基準に従ってきちんとやりたい、かように思っております。
#77
○堀利和君 そこで、不正がないという、適切な審査によるということで信頼いたしまして、私は先ほど言いましたように、かつては八条の一号は撤廃すべきだというふうに考えておりました。しかし、今考え方を変えまして、といいますのは、やはり企業というのは慈善事業ではありませんので、作業能率に対して正当な評価をして賃金が支払われるということからいえば、いわゆる作業能率が著しく低い障害者にとっては適用除外になるのもそれは論理上やむを得ないというふうに思うわけです。
 そこで、むしろ働く機会を広げるという観点から、不正のないことはもちろんですけれども、許可基準をむしろ広げたらどうか、緩和したらどうか、狭めるのではなくて、もっともっと広げたらどうか。それによって作業能率の低い障害者が一人でも働く機会が得られるのではないかというように思うわけですけれども、最初申し上げたことから言いますと全く正反対、矛盾したような言い方になりますが、むしろ基準を緩和することで一人でも働く機会が得られるということであれば、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#78
○政府委員(佐藤勝美君) 障害者の雇用の促進ということとの関連で考えますと、大変難しい問題が含まれているとは思いますが、最低賃金法を実施いたします立場から申しますと、労働者であれば原則として障害者であっても最低賃金というのは適用される中での例外的な除外制度であるという原則をまず考えるべきであろうというふうに思っております。
 ただ、精神または身体の障害によりまして著しく労働能力の低い方につきましても、画一的に最低賃金を適用するということとしたのではかえってその方の雇用の場を狭めるということになるというふうに考えられますので、先ほど来申し上げましたような手続によりまして適用の除外をしておるわけでございます。先生おっしゃるとおり、障害者の雇用を促進するというのは労働行政の非常に重要な課題でございます。障害者につきましても、健常者と同様にその能力にふさわしい職業につく、そういうふうにすることが最も重要な目標であるというふうに思います。こういうことから申しますと、安易に最賃法の適用を除外するというのはいろいろ問題があるのではないかというふうに考えております。
 こういう基本的な考え方に立ちまして、適用除外を許可するかどうかという判断を行う場合には、その労働者の障害のみを対象とするのではなくて、従事すべき業務に著しい支障を来さないかどうかを見きわめるというようなことも含めまして、個々の実情に応じた判断を適切にやっていきたい、こういうふうに思います。
#79
○堀利和君 なぜ許可基準を緩和すべきかというのは、先ほど言いましたように、雇用の機会を広げるためにであるわけですね。ただし、そこには条件があるわけです。
 そのことについて触れたいと思いますが、最低賃金、これは地域型と産業別がございますけれども、最低賃金額、既に三千五百幾つの許可がございますけれども、最賃額と許可されたときの賃金額との差は一人当たり大体どのくらいでしょうか、全国平均、差額が。
#80
○政府委員(佐藤勝美君) 最低賃金の適用除外をします場合には、それにかわる適正な賃金額が支払われるように指導しておるわけですが、その額がどのくらいであるかということの全国的な調査は今現在ではやっておりませんので、したがいまして、今の御質問に直接お答えできる資料を持っておりません。
#81
○堀利和君 そこで、私はやはり許可基準を緩和することで機会を広げ、もちろんこれには条件がありますと言いましたけれども、その上で、差額分に対しては雇用保険という特別財源でも構いませんし、納付金でも構いませんし、あるいは国としてきちっと責任持って、とにかく本人には最低賃金が支払われるという形をとっていただきたいと思うんですね。一方で雇用の機会を広げ、そして国民として勤労者として当然受け取るべき最低賃金については保障する。これは事業主に直接保障しろと言えばまた雇わなくなりますから、そういう点で国が何らかの財源の措置をとってその差額分を保障して、働いている本人は最低賃金適用と同じように安定した職業につく、継続するというふうにすべきだろうと思うわけでございます。例えば職場適応助成制度、助成金が月三万円、三年間出るとございますけれども、こういうのも考え方ひとつ変えて、継続、安定した職業を進めるということで、こういった助成制度の工夫も考えていただきたいなというふうに思いまして、このことを要望して、時間がございませんので、次に移らせていただきます。
 次は、やはり働く機会を何としても広げたいという信念のもとから、在宅勤務制度についてお伺いしたいと思います。
 「障害者の在宅勤務等多様な就労システムに関する研究」、これ中間報告が私の手元にあるんですけれども、雇用促進事業団の雇用職業総合研究所というところが、たしか昭和六十二年だったと思いますが、出しております。これは当然労働省としてももう御存じと思うんですけれども、これは最終報告が出たのかどうか。出なければ、中間報告の評価、どんなふうにお考えでしょうか。
#82
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生御指摘の研究報告、雇用職業総合研究所で出したものでございまして、在宅勤務制度を中心とする障害者の新たな就労システムの可能性とその問題点について研究会を設けて検討を行ったものでございまして、これは六十二年十二月に出されたものでございますが、その内容は、在宅勤務に対する概念の整理、先行研究の取りまとめを含めた在宅の実態の把握及び今後の在宅勤務導入の見通しについて検討を行ったものでございます。この後もいろいろな調査研究は進められておりますけれども、最終報告といったようなもののまとめはございません。
 私どもは、障害者の雇用の促進に当たりまして、特に重度の障害者の雇用促進という観点からは在宅勤務制度というものは大変重要なテーマだというふうに考えておるわけでございまして、この研究会の報告も、在宅勤務のあり方等障害者の雇用対策を検討する上で大変に参考になる研究であるというふうに考えております。
#83
○堀利和君 ノーマライゼーションという観点から言いますと、現在の通常のあり方としては勤務先に行くということでの社会参加なんですが、しかし、毎日毎日通勤することが現実には不可能な重度の障害者もいらっしゃるわけです。そういう場合にはこの在宅勤務制度というのは大変私は多様な就労の仕方としては有効だろうと思うんで、その点は労働省と同じ見解なんですね。ただ、これが請負型あるいは内職型の就労形態になっておりますので、ぜひ今後障害者の多様なこういう就労形態を進めるに当たっては、社会保険等あるいは労働基本権含めて、安心して働けるような措置をとる方向で努力していただきたいということをお願いしたいと思います。
 そして次に、視覚障害者の職場介助者制度というのが昭和六十二年からスタートしました。この制度について、もう時間がありませんので簡単でいいんですが、制度の概要と実績、状況についてお伺いしたいと思います。
#84
○政府委員(征矢紀臣君) 本制度は、重度の視覚障害者が事務的職種につく際に介助を行う者を事業所で配置する場合に、それに対して行う助成でございます。身体障害者雇用納付金制度に基づきます重度障害者特別雇用管理助成金の一つとして行っております。助成額につきましては、職場介
助者の配置に要する費用の四分の三ということで、介助者一人に対しまして月額十五万円が三年間を限度に支給される。また、委嘱で行う場合には一回一万円で年百五十回、三年間を限度というようなものでございまして、その支給実績につきましては、平成元年度が二十七件、九百万円、平成二年度につきましては、現時点までで七十四件、二千九百万円と、相当伸びてきているところでございます。
#85
○堀利和君 この制度を私は高く評価するわけです。そして、実績二年分見ても、活用されているということで本当に喜ばしいことなんですが、ただ、この期限が三年というふうになっているわけですね。そうしますと、視覚障害者が文書処理をする際に介助者がいて働きやすいわけですけれども、三年たって四年目になったら突如文書が見えるようになるかというとなるわけじゃないんですね。そういう点では、三年という期限で区切られることによって、雇用促進という立場あるいは雇用継続という立場からいって不十分ではないんだろうかなと思うわけです。この制度を導入する際には、たしか聞くところによると、英国のヒューマンアシスタント制度を参考にしたというふうに聞いております。
 英国では、同じようなヒューマンアシスタント制度については、当初日本と同じに期限がございまして、たしか二年という期限だったわけです。ところが、先ほど言いましたように、じゃ三年目から視覚障害者が文書を急に読めるようになるかというとそうはならないわけですから、期限を外したということで、たしか現在は期限なしということになっていると思うんですね。この点我が国においてもこの制度においては、現在の三年という期限ではなくて、できれば英国のように期限なしというようなことで、重度の視覚障害者が一般企業で事務関係で働けるように、そういう方向で考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#86
○政府委員(征矢紀臣君) 本制度につきましては、身体障害者雇用納付金に基づく助成金でございまして、基本的には法に基づきます身体障害者の雇用の促進を図るという観点から利用されるものでございます。したがいまして、障害者の雇用を継続させるということで、ただいま御指摘のような期限なしに助成するというのは、直ちにはなかなかこれは困難な、制度のあり方にかかわる問題でございまして、そういう中でただいま御指摘のように視覚障害の方についての介助制度を企業に導入していただく、そのためのいわば助成をどこまでできるかという点について、御指摘のような非常に難しい特性にかんがみまして、最大限三年間という期限を設けているところでございます。それがそれではなお不十分である、ずっとというのは無理にしても、もう少し延長すべきではないかという要望のあることも承知しておりますが、今後の私どもの研究課題とさせていただきたいというふうに思います。
#87
○堀利和君 この制度については、期限なしというのは無理であるという答弁でございましたから、それなら三年後は最低一年あるいは二年更新するとか、もう少し期限を延ばすというところで、当面そういった措置をとっていただきたいと思います。
 時間がそろそろ参りましたので終わりにしたいと思いますが、私は障害者の雇用対策制度を見て一つ思うことは、採用時の窓口のところでは助成制度を手厚くして頑張って努力していらっしゃるというのはわかるんです。しかし、採用窓口のところには手厚くするんですが、その後の雇用継続というところまで踏み込んで考えたときには、どうも現行法制度というのはそこら辺は非常に不十分だろうと思うわけです。したがいまして、助成制度も採用時の設備改善、ハード面ということから考えればある程度一回きりで済むわけです。また、視覚障害者の介助者制度のように、三年ではこれは十分とは言えませんから、できれば働き続けるためには期限を延ばし、あるいは期限なしという、そういった一つの助成制度のあり方というのも必要だと思うんです。そういう点で、現行法の枠内で果たしてこれが可能なのか、現行法を抜本的に変えなければならないのか、その辺もございますけれども、今言ったように制度のあり方をきちっと障害者が働く機会を得て、継続して働く機会がずっと得られるような考え方に立つべきではないだろうかと思うわけです。
 しかしながら、現行法、障害者雇用促進法を見ますと、事業主間の社会連帯を基軸にしておりまして、納付金制度となっております。つまり雇用率を達成してない、障害者を一定率雇っていない会社が、企業が納付金を納入して、それを財源として雇う、促進するために援助するという仕組みですから、言いかえれば非常にシーソーといいますか、そういうことになっているんです。つまり雇わない企業があることを前提に雇う促進になっている。仮に理解が得られて、少しずつ雇う方向が進めばそれだけ納付金が入らないわけです。納付金が入らなければ助成金助成制度が薄くなっていく。そうなると、助成制度を当てにしていた企業主にとっては雇いにくくなるという、こういう矛盾が基本的に私は現行法雇用対策にはあるんだろうと思うんです。そういう点で、事業主の責任というのは基本的に重要なんですが、私としては国としてもその点を積極的に責任を持ってやっていただきたい。国の責任というのは大きいんではなかろうかと思うんですけれども、この点最後に大臣に御決意をお伺いして、終わりたいと思います。
#88
○国務大臣(小里貞利君) 大変御熱心な御意見お聞かせいただいておるところでございます。ただいまの問題でございますが、政府といたしましても、障害者の雇用を促進するために、職業リハビリテーションの推進あるいは各種助成あるいは給付金そのほか援護措置の実施等、各種の施策を講じてまいっておるところでございます。今後とも、ただいま貴重な御意見などもお聞かせいただいたところでございますが、これらの施策の一層の推進に努めてまいりたいと思っております。
#89
○堀利和君 以上です。
#90
○委員長(福間知之君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ─────・─────
   午後一時七分開会
#91
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#92
○高桑栄松君 それでは質問をさせていただきますが、最初に過労死の問題を伺いたいと思います。まず、過労死の定義を承りたいと思います。
#93
○政府委員(佐藤勝美君) いわゆる過労死というふうに言われておりますものは、私どもが理解をしておりますのは、もともとは基礎疾患として動脈硬化などを例えば持っておられる方が、脳心臓疾患により発症して倒れられる、その原因が業務であるというものを言っておられるというふうに理解をいたしております。
#94
○高桑栄松君 いわゆるとつけられたところが表現として今言われたように、これは基礎疾患が別にある。したがって、いわゆるとつけてお話をされたわけですね。事実過労死という診断名はないわけでございますが、ともかくそういった一つの過労死という定義づけの中で取り扱っているわけですけれども、この請求件数に対して認定された件数の割合というのはどんなふうになっておりますか。
#95
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまのお尋ねは脳心疾患にかかる請求件数のうちのいわゆる過労死の件数というふうに理解をしてお答えさせていただきますが、脳心疾患にかかわります請求件数は、最新の数字で申しますと、平成元年度で七百七十七件。ただ、この中には脳心疾患のうち業務上の負傷に起因するものが入っております。これらを
除きましたいわゆる過労死と言われておるものに対応する件数は、平成元年度におきまして三十件でございます。
#96
○高桑栄松君 今の数字は、昭和六十二年、六十三年、平成元年といずれも大ざっぱに言うと約四%ということになるんです。四%というのは、見ていて私の感ずるのは少し数字が低過ぎないか。低過ぎないかというのは変な言い方ですが、低くなっている。つまり、認定が厳しいのか、あるいは申請件数が多過ぎるのか。それは六十二年と六十三年の見直しといいますか、新しく改正された境目から申請がふえている。しかし、いわゆる認定された率というのは、六十二年も六十三年も平成元年も大体四%なんですね。その辺はどうして低いんだろうかということなんです。
#97
○政府委員(佐藤勝美君) 平成元年度で七百七十七件、それから今その前の年のことに言及されましたので申し上げますが、昭和六十三年度で六百七十六件、それから昭和六十二年度で四百九十九件という請求件数でございますが、この中には、これ繰り返しになりますけれども、負傷に起因するものが含まれておりまして、これを除いた請求件数というのがどのくらいあるかという数字を私どもは把握しておりませんので、それに対しまして認定されたものが平成元年度ですと三十件ということで四%、こういうふうに言われたと思います。したがいまして、数字としては確かに非常に低い数字なんですが、一つの原因は、今申し上げましたように、両方入っている、負傷に起因するものとそうでないものと両方入っているということが一つ。それからあと、もともと請求のあったケースの内容がやはり認定基準からいって該当しないものが多いというふうに、こう判断せざるを得ないわけでございます。
#98
○高桑栄松君 今の件数の件、負傷というのをおっしゃいましたけれども、一応いわゆる過労死の定義づけというふうなのが脳血管疾患及び虚血性心疾患を主としたものというふうになっているわけで、負傷というのが仮にあっても私は数の上からはそんなに多くないんじゃないかなという気がするわけです。というのは、死亡診断書には何か診断名がつくわけですから、それをもとにして申請されるということで、負傷というのはそんなに多くないんでないかと一つ思うんです。
#99
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまの件、私どもそういうものが何件というふうにお示しできないのは残念でございますが、ただ一般的に労働災害の起こる状況を見てみますと、例えば建設事業場におきます転落とか転倒とか、そういった割合古典的な単純なケースが非常に多いわけでございます。その際に頭を打って、それが原因で脳出血で亡くなられるというようなケースが非常にございますので、したがいまして負傷に起因する、今問題になっておりますものの疾患の件数というのはそう少ないものじゃないというふうに考えております。
#100
○高桑栄松君 数字があるとおもしろいんですけれども、それはそれといたしまして、認定が六十三年に改定されて、六十三年から新しい基準が採用されたようでありますが、それで認定された数を見ますと、六十二年と六十三年の間、あるいは平成元年までと比較すると脳血管疾患というのは数字の上でほとんど認定の数は変わりがない。しかし、虚血性心疾患というのは、例えば昭和六十二年認定は三、六十三年は十五、平成元年は十一、五倍ぐらい、四倍または五倍に今上がっているわけですが、それは認定をするときの基準というものが法には詳しく書いてないにしても、何かもう少し幅が広くなったというか、そういうことがあるんでしょうか。何か非常にふえていると思うんですね。
#101
○政府委員(佐藤勝美君) 年度別の認定件数につきましては、認定に至るまでにある程度期間がかかりますので、必ずしもその年の申請件数、請求件数とは対応しないという面もございますが、そのことが一つ。
 それから、私どもが認定をいたしますのはあくまでも労基法、それからそれと関連をしております労災保険法の規定に沿いまして、要するに業務上起こったものであるかどうかという観点から専ら見ているわけでございますので、今おっしゃいました新たな基準に変わったためにふえたのかどうかというところは、実はこれは個々のケースについてずっと分析をして、旧基準であったらどうなったか、新基準になったらどうなったかということを分析をいたしますればあるいは出てくるのかもしれませんけれども、そのようなことは実はやっておりません。
#102
○高桑栄松君 そこで伺いたいのは、六十二年改正前と六十三年改正後、その改正というのはどういう視点で改正をされたんでしょうかね。
#103
○政府委員(佐藤勝美君) 改正前の基準というのはたしか大体二十年以上行われていた基準であったと思いますけれども、やはりその間にこういった脳心疾患に関します医学的知見も変わってきたということでありまして、そういった新しい医学的知見を踏まえて新しく基準を見直した、かように理解をいたしておるわけでございます。
#104
○高桑栄松君 どうも大変抽象的でわかりにくかったんですけれども、サイエンスですから、抽象的ではなくて、かなり具体的に話が聞けるかと私は思ったんですが、質問をするのにもちょっとポイントが外れてしまうんじゃないかと思うんです。
 そこで、認定基準の中で「一週間以内」という限定がありますね。あれの医学的な根拠というのはどういう根拠なんでしょう。
#105
○政府委員(佐藤勝美君) 現在行われております認定基準をつくります前に医学の専門家に専門家委員会を組織していただきまして、臨床、疫学、産業医学、生理学、病理学といった各分野の医学の専門の方に専門家会議を構成していただきまして、発症と業務との関連について検討していただいたわけでございます。その専門家会議の結論といいますのが、脳心疾患が発症して倒れるという場合に、どの時点の負荷が一番影響するのかという点につきましては、それは発症直前約二十四時間以内のものが一番影響があるということが一つ。それから、その次に重要な負荷は、発症前一週間以内のものである。発症前一週間より前の期間の負荷については直接関与したものとは判断しがたい。さらに、発症から時間的にさかのぼればさかのぼるほど負荷と発症との関連は薄くなるというような医学的知見が出されたわけでございます。
 これを受けて、現在の認定基準がつくられているわけでございますけれども、現在の認定基準におきましても、発症前一週間より前のものは全く無関係と言っているわけではないので、付加的要因として考慮をするということにはなっているわけでございます。
#106
○高桑栄松君 大体わかりましたが、そうすると一週間というのは一応の枠というふうに見ていいのではないか。つまり基礎疾患が脳血管損傷あるいは心疾患でございますから、基礎疾患があっての話だから、必ずしも一週間という期間ではないということは言えるわけで、ですから個々のケースでかなり違いがある場合があるんじゃないか、ただ一応の枠を一週間にセットしたというふうに私は今理解しておりますけれども。
 そこで、例えば過重な業務が繰り返されて日常業務としてもはや過重業務が常に連続してあった、もう大分疲れ果てたのでたまたま一週間ぐらい前から休んだ、あるいはたまたま普通の業務に返っていたというときに仮にこういう事故が起きますと、この人は一週間前がちょうど平常、普通の勤務で過重ではないということになることがあるわけですね。私は、そういったケースを考えた場合に、一週間でばっちり切ってしまうのか、あるいは特殊なケースについてはやはり特別に審査をする道が開かれているのか、ちょっと伺いたいと思います。
#107
○政府委員(佐藤勝美君) ちょっと迂遠のようですが、制度の説明をまずさせていただきますと、とっくに御承知のことだと思いますが、順序として申し上げさせていただきますと、労働基準法におきまして業務上の負傷、疾病あるいは死亡と
いった災害につきましては、無過失で使用者に賠償責任を課しているわけでございます。労災保険法によります補償が行われる場合にはこの基準法によります使用者の賠償責任が果たされたというふうに扱うわけでございまして、したがいまして、起こりました災害、この場合にはいわゆる過労死ということでございますけれども、これが業務上起こったものであるのかどうかという判断が一番根っこにあるわけでございます。
 そういう観点から見まして、要するに、その業務との関連はどうだということを見る場合に、一番発症に関係が深いと思われます一週間の業務の状態を見させていただくというのが基礎になる、こういう話でございますが、ただ、その発症の前の一週間の状況がどうであったというのは、これはもちろんケースによっていろいろでございまして、その一週間の中にもちろん休みが挟まるというようなこともありますし、そうでない場合もある。いろんなところの議論で、例えばその一週間の中に休みが一日でもあったらこれは認定されないんだとかいうようなことを言われた場合もありますけれども、それはそういう基準にはなってないわけで、あくまでもやはり個々のケースをよく見て判断をする。もちろん医師の診断が非常に重要な要素になるわけでございますけれども、そういうふうに一律、画一的に、例えば休みがあればだめだというような認定の仕方はしていないわけでございます。
#108
○高桑栄松君 今のよくわかりました。一週間は一応の枠である、それ以外のケースも場合によると検討することがあるということですね。それはもうそれでいいと思います。
 それで、今度、認定の申請ですけれども、申請はだれが行うのか、それからその因果関係の立証というのかな、そういうものはだれが行うことになるんでしょうか。
#109
○政府委員(佐藤勝美君) 申請はこれは、死亡された場合のことを今問題にしておりますので申し上げますと、遺族からなされるわけでございますが、これは扱っております機関は労働基準監督署でございます。そういう申請を受けますと、その方の業務上のいろいろな、要するに仕事の方の状況はどうであったかということを調べますし、またその過程でもちろん医師の意見も聞く、その他多数の方からいろんな状況の、何といいますか、事実の確認のためにいろんな情報をとるというような手続を経まして、最終的にこれは業務上、業務が原因になっていたのかどうかということの判断をするこういうことになるわけでございます。
#110
○高桑栄松君 今よくわかりにくかったんですが、要するに遺族側がやるわけですね。遺族側が申請をし、遺族側が立証をするということですね。
#111
○政府委員(佐藤勝美君) 申請は、遺族年金の申請は遺族がやるわけでございますが、ただ、事実の立証を遺族だけがやるわけでございませんで、もちろん遺族が立証できれば一番簡単なケースでございますけれども、仮にそれの立証がし切れなくてもこれは監督署の方で職権をもって調査をすることがございます。これはいろんな場合があると思います。
#112
○高桑栄松君 そのときに企業の立場というのはどうなっているんでしょうね。こういうケースについては企業は全く知らぬ顔をしているのか、どういう立場をとろんでしょうか。
#113
○政府委員(佐藤勝美君) これはちょっと何というんですか、客観的というよりは私の個人的な感じを言わせていただくことを許していただけるならば、要するに、その事業所で非常に無理な仕事ぶりであったために倒れたということが問題になっているとすれば、事業所としては余りうれしくはないということはあるのではないかという程度のことは考えます。
#114
○高桑栄松君 そういう考えは一つありますよね、個人的なお考えとして承った方がいいだろうと思いますが。
 遺族がいろんな手続をとるというのはなかなか煩わしいことですよね。一般に何か役所に行くこと自体が何となく煩わしいことで、しかもいるんなことを申請したり書類を書いたりというのはなかなか難しいことではないだろうかと思いますが、何日か前の新聞で、過労死についてある企業が遺族側の立場に立って積極的に申請をサポートしたというのが出ておりましてね、それを見たときに、これは美談のうちに入っているんだなと思つて見たわけですが、労働省としてはそういうときに少しお手伝いをした方がいいというような行政的なアドバイスというか、これは指導とまではいかぬかもしらぬが、アドバイスみたいなものはするんですか。それともできないのか、できるのか。
#115
○政府委員(佐藤勝美君) まず申請があってからの認定までの手続は、先ほどから申し上げているようなことで監督署の仕事としてやっておるわけでございますが、ただ、おっしゃいますように、なかなか一般の人が監督署に来て手続をする、最初からどうしたらいいかわからないという場合もございましょうし、何となくおっくうだという方もおられるかと思います。その辺はやはり行政サービスの充実という観点から我々としても、もちろんこれまでも努力しているつもりではありますけれども、そういうことのために申請が出てこない、何となく申請しづらいというようなことであってはまずいということで、行政機関の窓口におきましてもそういう面についてのアドバイスについてはできるだけ親切にやるようにという指導はいたしております。もちろんそれが徹底をされなきゃいけないわけで、本省サイドにおきましても、そういった問題についてサービス向上検討会というようなものもやってそういう面についてのサービスが不十分であるというような御批判を受けることがないように努力をしている最中でございます。
 それとともに、先ほど申し上げましたように、労災補償制度についての性質といいますか、制度についての御理解が十分でないために誤解をされるというケースもございますので、制度についての説明もいろんな機会に、例えば印刷物をつくりますとかいろんなところで説明会をやるとか、そういうことも心がけておるわけでございます。
 なお、ちょっと補足をさしていただきますが、遺族年金は遺族が申請をするというふうに申し上げましたが、もう一つ労災保険法の規則に「事業主の助力等」という規定がございまして、要するに、遺族が事故のためにみずから保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合には、事業主はその手続を行うことを助けなきゃいかぬというような規定もございますので、そういうことも事業主によく教えておく必要があろうかと、かように思っております。
#116
○高桑栄松君 一つの考え方として、業務中に今の脳卒中あるいは急性心疾患というようなことで倒れた場合には、業務中であったら原則として労災と考える、そして、そうでないケースをむしろ除外というのはおかしいけれども、分類していくという考え方が一つあると思うんですよね。今だと申請しなければ全部アウト。そうじゃなくて、業務中でこの二つの疾患であれば労災適用と考えるという考え方が原則的にあった方が今の遺族側にとっては非常にある意味では何というか、気分的に大変楽というか、そうじゃないかなと思うんですが、いかがですか。
#117
○政府委員(佐藤勝美君) 先生非常によく御承知かと存じますが、この脳心疾患といいますのはいわゆる過労死ということで、業務が直接の原因になって倒れた場合も、あるいはそれに近いような場合でも、業務だけが原因になって起こってきたわけじゃないわけで、長い日常生活あるいは業務、レクリエーション、要するにもろもろの人生のすべてが集まって加齢とともにいろんな症状が出てくると、最後の仕上げがそういう不幸な事態であるということがほとんどであるわけですから、そういうことからいいますと、事業場で倒れたから労災であるかということも必ずしも言えませんし、逆に事業場の外で倒れたら労災でないのかというとこれもそうではないわけで、いずれの場合も業務が原因になったのかどうかということを見
なきゃいかぬという性質のものでございます。
 そういうことが一つと、それから労災に限らず、他の社会保険、年金制度でも同様かと存じますけれども、やはりお受けになる方が申請をするという原則がありますし、それは手続が容易にできるというようなサービスをすれば、必ずしも申請をしていただく、それを待って認定をするということは無理なことではないのではないかというふうに考えます。
#118
○高桑栄松君 ところで、六十三年十月の改正、施行された項目の中で、追加されたのは四項目だかありましたね。その中で私がちょっと気になっているのは、心電図(安静時)と書いてあるんですが、安静時心電図というのはどれくらい役に立つのかな。私は常々、もちろん相手に、患者さんというか、その人によることも当然ありますが、負荷心電図の方が心臓の異常を発見する率が高いわけで、どうして安静時と書いてあるのかなということが一つあるんですが、それは負荷心電図をしないんですか、どうなんでしょうね。
#119
○政府委員(佐藤勝美君) これはまことにすぐれて医学的な事項なんで、先生に申し上げるのは恥ずかしいようなことでもございますけれども、おっしゃいますように、職場におきます健康診断につきましては、この前の安全衛生法の規則の改正で成人病に関連する項目を幾つか追加をいたしたわけでございます。
 それから、心電図検査につきましては、これは安全衛生規則で義務づけているわけですけれども、その目的が不整脈、虚血性心疾患、高血圧に伴う心臓の異常等の把握を目的としておるということで、標準的な検査方法は安静時の標準十二誘導心電図ということに一応しているわけでございます。
 ただ、今先生のお尋ねは負荷心電図が必要ではないかということだろうと理解をいたしますが、労働安全衛生規則で規定をされておりますこの「心電図検査」の標準的な検査方法として安静時の標準十二誘導心電図を示しておるわけでございまして、労働者の健康状態によっては医師の判断によりましておっしゃいますように負荷心電図検査を行っている例もあるわけで、これは別にしてはいけないということではもちろんないわけでございます。
#120
○高桑栄松君 何にもないときには心臓は普通に動いていると。負荷をかけると、例えば酸素が足りなくなった、それで急に心電図に異常が起きると、だから負荷をかけることによって異常がそこに出てくるというのは普通なんですよね。ですから、普通歩いていれば何ともないが、走っちゃいけないとかというのはそこに入るわけで、安静時心電図で異常が出るようだったらこれは最初から要注意でございますから、これは負荷心電図をむしろ、これは面倒じゃありませんからね、階段三段ぐらいをとんとんと上がったり下がったりするのを何分だか年齢に応じてやっているわけで、どうってことはないんで、そこで異常が起きなければかなり負荷に耐えるという感じがするわけです。ただ、基礎的な疾患を発見するには、この場合なら特に負荷心電図が一つの手段であろうと私は思うわけです。
 そこで、もう一つあるんですが、三十五歳及び四十歳以上というんで、その間が抜けているのはこれはどういうわけでしょう。
#121
○政府委員(佐藤勝美君) 四十歳以上の方につきましては、これは健康診断項目の必須科目でございまして、必ず省略をしないでやらなきゃいけないということになっております。御承知のように、四十歳以上の者にそういった種類の疾病率が非常に高いということで義務づけているわけでございますが、一方、三十五歳の一時点というのは、四十歳以降の資料との比較、つまり異常のないときの状態、典型的にいえばそういう時期のデータをとるという目的でこのような規定になっておるというふうに理解をいたしております。
#122
○高桑栄松君 五年というのはちょっと長いんじゃないかと思うんですよね。だから五年間ほっておかないで、もうちょっと御念を入れて二年目とか三年目にもう一度ぐらい中間やっておくのがいいんじゃないか、これは私のアドバイスでございます。
 この辺で、今の就業者の健康管理に対する考え方を大臣にひとつ伺いたいと思います。
#123
○国務大臣(小里貞利君) ただいま先生のお話をお伺いいたしておりまして、いわゆる過労死等を中心にいたしまして、そのような痛ましい労働災害によりまして一家の働き盛りの中心を失うということは大変な御家族にとりましても悲劇であり、大変お気の毒に感ずる次第でございます。
 私どもの労働福祉の基本は、申し上げるまでもなく労働者の安全と健康を守る、これが大きな要諦であるかと思っております。そのような意味合いにおきまして、従来もこのことについては留意しながら努力を続けてまいっておるところでございますが、さらに一段と気を引き締めましてその安全対策の徹底を図ってまいりたい、かように考えております。
#124
○高桑栄松君 大臣、ありがとうございました。よろしくお願いします。
 一つ追加いたしますが、先ほど企業側は、どちらかといえば過重な負担をさしたんじゃないかと恐れる考えがあるかもしらないと局長おっしゃった。そういう考えが一つあるわけですが、私はそれもあるかなと思いながら、大事なのは、この場合は基礎疾患があっての話だから、基礎疾患を発見するという健康管理が大事なんですね。だから、基礎疾患がない人はいいわけだから、基礎疾患の発見のために私、今負荷心電図を申し上げたんで、そのための健康管理ということが大事であって、健康管理がしっかりして基礎疾患を少しでも早期発見ができて、それに対する対策が講じられれば過労死の何割かが防げるのではないか、こういうふうに思っているわけです。
 時間がありませんので、次へ入ります。
 次、労働時間の短縮でございますが、まず大臣に、現状をどう認識しておられるのか伺いたいと思います。
#125
○国務大臣(小里貞利君) もう先生専門家でございますから端的に申し上げますが、概して今日の労働時間の短縮の流れは決して満足はいたしておりませんけれども、着実に関係機関、企業及び事業主等の協力によりまして進んでおる、こういうふうに判断をいたしております。殊に、御案内のとおり来月からいよいよ法定週労働時間四十六時間を四十四時間に置きかえますよと、あるいはまた中小企業等におきましても、年次有給休暇を御案内のとおり六日間を八日間に引き上げていきましょうと、そういうような新しい方向も御案内のとおりでございます。あるいはまた、いわゆる法定外労働時間等の短縮等につきましても、労使の協力をいただきまして着実にその方向に進んでまいっておりまして、決してこの辺で気を緩めるわけではないんでございますが、定めておりまする一千八百時間、そして四十時間と、そして完全週休二日制と、この辺を目標にきちんと努力を続けて、忍耐強く、しかもこれを平成四年という目標年次には達成いたしたい、そういう念願でございます。
#126
○高桑栄松君 目標は大変頑張っておられるかと思いますが、国際的に比較してどういうふうに考えておられるかちょっと伺います。
#127
○政府委員(佐藤勝美君) 労働時間の国際比較に関しますお尋ねだと思いますが、御承知のように国によっていろいろデータのとり方も違いますのですが、現在国際的に比較可能なデータとしまして一九八九年、平成元年の各国の製造業の生産労働者の数字がございます。これは定義を同じにして比較をするわけでございますが、これによりますと我が国は平成元年で製造業生産労働者の労働時間は年間二千百五十九時間、アメリカが千九百五十七時間、イギリスが千九百八十九時間、ドイツが千六百三十八時間、フランスが千六百四十六時間ということで、ドイツ、フランスあたりと比べますと五百時間ぐらい我が国の方が多い。アメリカ、イギリスと比較しましても二百時間程度は年間で多いというような現状でございます。
#128
○高桑栄松君 大臣は先ほど完全週休二日制とおっしゃいましたが、私アメリカへ留学しましたのは三十年前なんですけれども、私大学院に行っていましたので授業が毎日あったわけですが、もう三十年前から学校は五日制なんですね。あの当時我々学生、私は学生じゃございませんでしたけれども、土曜日と日曜日つながるともうこれはゴールデンウイークと称して、今のと違うんですね、一週間も続くんじゃなくて二日だけでもゴールデンウイークと喜んだもんでありますが、アメリカで三十年前に毎週ゴールデンウイークで、毎週うれしがっていたわけでございますが、この学校五日制というのは、私は北大では医学部長をいたしましたときに、カリキュラム委員会を招集して、一年かけましてとうとう学校五日制を北大医学部はいたしました。現在もそのカリキュラムが続いている。土曜日は自習、ゼミと書いてあって、いわゆる講義の授業はない。これはもう紛争のときですから、昭和四十七、八年のことであります。これは、多分国立大学ではまだ北大だけじゃないかなと私はある意味で自負しておりますけれども、しかし週休二日制と絡んで学校五日制というのがかなり問題になっているんですね。学校だけ五日制にしてもおうちが勤めているんじゃ困るんだと。これはどうも二日制と五日制はリンクしているのではないかなと思うような気持ちがするわけですが、これはただ私の経験というか感想を申し上げたんです。
 所定内労働時間と所定外労働時間は企業の規模別でかなり違うということを数字の上で見まして、なるほどなと思ったんですが、所定内労働時間は小企業ほど時間数が多い。大企業はその反対である。所定外つまりオーバータイムワークの方は大企業の方ほど多い。こういう状況なんですが、これの理由はどういうことか、これに対して労働省としては、時短に向けての何か指導というふうなものはあるんでしょうか。いかがでしょうか。
#129
○政府委員(佐藤勝美君) おっしゃいましたように規模別に見ますと、所定内時間は大企業が少ない。中小企業は所定内時間はそれに比べて多いけれども、所定外時間ではその逆になっている。これは大企業ほど週休二日制の普及率が高うございまして、それが一番大きな原因でございますが、もちろん今後労働時間の短縮を進めていくにつきましては、やはり中小企業を含めまして週休二日制を普及させる。そのことによって週四十時間労働というものを実現することが必要なわけでございます。
 その場合に、大企業と違いまして中小企業の場合には、例えば業種別のグループであるとか地域別のグループであるとか、そういったところの横並び、みんな一斉にやるならばやるけれどもそうでなきゃやれないというような問題、それから経営基盤が必ずしも強くないので時短をした結果経営にどう響くかという心配をしなければいかぬ、あるいは大企業からの下請を主としている企業でありますと、自分のところの都合だけではそれはできないということでございますので、その場合には大企業も含めたいろんな施策が必要になるわけでございます。そういう観点から労働省では従来からも、これからも、中小企業につきましては集団的な取り組みを推進するためのいろんな援助、アドバイスというものもやっていくわけでございますし、下請の関係にある企業につきましては、元請といいますか発注元も含めた指導をやるということを予定しております。
 それからなお、今国会におきまして通産省と共同で中小企業の労働力確保のための法案を提出しておるわけでございますが、その中でも中小企業の雇用管理を改善することによって中小企業に人材が集まるようにしようという観点から、労働時間短縮面を非常に重視した内容になっておるところでございます。
#130
○高桑栄松君 今の御説明、数字を承らないとわからないかと思うんですが、規模別の所定内労働時間と所定外労働時間はさっき申し上げたような様子ですけれども、トータルいたしますと、規模別に無関係に二千七十または八十時間になっているんですね。つまり週休二日制が進んでいるといってもオーバータイムで同じ時間を稼がせているんだから、ただオーバータイムの賃金が少したくさんいっているかなということであって、これは時短とは余り直接の関係がないんでないかと、こういう数字の受け取り方でありますが、時間もあれですので次へ参ります。
 年次有給休暇について大臣さっき触れられましたが、これは一九八〇年で平均年次有給休暇とそれをとった割合の比率が六一%でありますが、一九八九年では五一%。一〇%も有給休暇のとりようが減っているわけです。この理由と、それに対する指導というかございますでしょうか。
#131
○政府委員(佐藤勝美君) 御指摘のように、日本の場合年次有給休暇の取得率が非常に低いわけでございまして、付与日数が大体十五日前後としますとその半分ぐらいが実際に消化されているということなんですが、ただ、なぜそういうことになるかということを調査したものがございますけれども、例えば周りの人に迷惑になるとか、休みが終わったときに非常に自分が忙しくなるとかいうような理由が挙がっております。それから、十年ぐらい前に比べますと最近むしろ消化率が下がっている。この五年ぐらいをとりますと、安定といいますか大体同じレベルで来ておりますが、十年ぐらい前に比べますと下がってきておるというのは、これはどういうことかといいますと、その調査でもやはり週休二日になったのでほかの日に休みづらいというような現象もかなりあるようでございまして、そういうようなことが消化率の低いことに影響しているように思います。
#132
○高桑栄松君 時間がなくなってきましたので、あと一つ質問させていただきまして、最後に大臣のコメントをまとめて伺いたいと思います。
 私の経験というか私の学説が一つございますので、ちょっと御披露させていただいて参考にしていただきたいと思うんですが、昨年の四月に、IPUという、列国議会同盟に参りまして、参議院と衆議院で一緒に伺ったんですが、八百人くらいの世界の参加者でございましたが、参議院はテーマとして労働を引き受けろと言われて、私にやれと言われましてね、私は何を言うんだろうかと思ったら、勝手に自由発言でいいというので、ああそれはというので自由発言をいたしました。その中で、私が年来持っている学説でございますが、月曜半ドン説というのを唱えたわけです。月曜半ドンというのは今まで世界じゅうで言った人がいないと思うんですが、大変な反響がありまして、珍しく、個人自由発言でがやがやしているのに、私が話ししましたときに静かになりまして、参議院の事務局の人があれっと思ったとおっしゃっていました。それから、終わりましたら何人かの人が私に質問に来たり、非常におもしろかったと言ってくれたんですが、ちょっとこれを御紹介させていただきます。
 私は北大で衛生学というのを教えておったんですが、産業医学を私はメーンにしておりまして、そのときに、今から三十年近く前だと思いますけれども、疲労の研究を私しておりますので、疲労のカーブというのは、つまり生理的な機能の低下ですが、月曜日が少し上がるんですね、悪くなるんです。それで火曜日下がりまして、水曜日、金曜日と上がって、土曜日にまたよくなる。つまり月曜日と水、金が疲労がたまる。月曜日は疲労がたまるんではなくて、作業に対するなれの現象が、反応時間みたいなものがちょっとおくれる、そういうことがあるんだろうと思うんです。
 そういうことで災害の起き方はどうかということで調べたわけですが、IPUに行くときに労働省からもらったデータが極めておもしろいデータで、月曜日に死亡者が断然多かったんですが、先ほどいただいたデータによるとそれは特別な事故が入っていたというので、もう一度午前中いただいたのをぱらぱらめくって見たんですが、大ざっぱに言うと、日月火水木金土で日と土は外しまして月火水木金の間、六年間、数だけですから特別な災害があると多くなるのはわかりました、三人や五人の差はどうってことはないんですが、やっ
ぱり一番死亡率の高いと考えられるのは、一番と二番が多いのが金曜日と水曜日でした。それから月曜日が三番というのはほとんどずっと三番なんです。ですから、数字の上でいくと月曜日がやや死亡者が多い。そして水、金でぐんと上がる。だから一日置きみたいになるようです。それで、金曜日が相当やっぱり疲労が蓄積したと思うんですね。月曜日は私は明らかにふなれというか、反応時間だとか反応が鈍い、ふなれということがあるだろうと思うんです。
 ここで災害率をもし考えますと、ハインリッヒの法則というのがございまして、これは五十年ぐらい前にハインリッヒという人が言い出したようですが、災害、事故があったときに、重傷が一あると二十九が軽傷、医者にかかる。二十九というのは変な数字だなと僕は思うんですが、三十でいいと思うんですが。それで三百が医者にも行かなくてもいいがちょっと何かやっておく程度の、いわゆるエラーを全部入れて三百。一、三十、三百というんです。つまり一の重傷があったらバックグラウンドには三百以上の事故があるよということを言っているわけです。その一つの極端なのが死亡者だと思いますが、死亡者が今言ったように、若干ですけれども、こういう感じがしているわけです。
 それで、私が申し上げているのは、月曜半ドン説というのは、月曜を半ドンにすることによって休んだ後、特に週休二日になったら二日も休みますから、だから非常に反応時間が鈍くなっていくんじゃないか、ふなれ現象が起きてくる。ですから、そこを半日でやめさせたら、真剣にやっている間に終わってしまう。フレックスタイムをとったらどうだと。例えば十一時に来る、朝ゆっくりですね。遅い朝飯を食って十一時、終わるのが三時、昼飯は食わぬとか。あるいは十二時から四時と。何かフレックスタイムを使って月曜半ドンというのはどうだと。特に老人が、傷病の千人率、労働省の数字をもらいましたが、年齢階級別労働災害率死傷年千人率を見ますと、二十代に比べて五十以上は死傷率が倍なんですね。ですから、老人ほど反応がだんだん衰えてくる、体が動きにくい。したがいまして、そういう率が多くなるというふうなことも考えられるわけです。これがハインリッヒの法則というんですね。
 それで、私が申し上げたいのは、高齢者を雇用した場合にも、高齢者がもし何かあったときには疲労の蓄積の金曜日ごろと、あるいは月曜日がやっぱり多いのではないだろうかと。これは三十年前からの私の学説なんですが、これを喜んで新聞社が学芸欄に大きく書いてくれましたが、あのころは労働こそ美徳だという時代で、とても月曜半ドンなどというびっくりするような珍妙な案はだめだったわけですが、私は今はそういう意味で、四時間減らすと五十二週ですから二百時間減りますから、これだけでも二百時間一挙に減る。だから千八百時間に近づけるのには、二千百時間なんですから、二百時間減ってもまだ千九百時間ぐらいになっているわけです。だから、そういう意味で私は月曜半ドン説というのを労働災害を予防するという意味で非常に興味があるという言い方は悪いですけれども、学問の立場で興味があるんで、ぜひこういう方法を取り上げていくというのもおもしろい、いいんじゃないか、間違いなくいいと思うんです。それじゃ金曜日も半ドンどうだと、水曜日もどうだというとみんな半ドンになりますから、そうはいきませんが、どこだと言われたらやっぱり月曜日と、こう言いたいのが私の考えです。
 大変時間を超過いたしましたが、ここの辺で大臣、ひとつ目標達成の見込みが果たしてあるのかということと、今後の展望及び今の月曜半ドン説について、急でございますが、どんなふうに受け取られたか承りたいと思います。
#133
○国務大臣(小里貞利君) 月曜半ドン説、大変さわやかな響きを与える殊勝な印象に残る御意見だと思います。そのことはただいま初めてお伺いいたしましたので、事務方におきましてよく学ばせていただきたい、こう思っております。
 なおまた、労働時間短縮の目標達成、これはもう私どものみならず国民的大きな課題でございますから、必死に最高の悲願として努力を続けてまいりたい、かように考えております。
#134
○高桑栄松君 ありがとうございました。
#135
○沓脱タケ子君 それでは大臣の所信に対する御質疑を申し上げたいわけで、実は大変に各般の課題を持っているわけでございますが、限られた時間でございますので一点に限ってお伺いをしていきたいと思います。
 まず、労働基準法第三条は、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と規定をしております。したがって、労働者は当然のことといたしまして均等待遇を保障されていると思いますが、そうなんですね。
#136
○政府委員(佐藤勝美君) 労基法の第三条で、労働者の国籍、信条または社会的身分を決定的な原因として、労働条件について有利または不利に取り扱う、いわゆる差別待遇をするということは禁じられております。
#137
○沓脱タケ子君 そこで、実は私、関西電力の人権裁判として知られております神戸地裁の昭和五十九年五月十八日の判決言い渡し、この判決文を読んでみまして驚いたわけですね。労基法三条の規定とかけ離れたような事実がずらずらと列記をされているわけでございまして、御参考に供しておきたいと思いますので、ちょっと事例を挙げてみたいと思います。
 例えば、仮に労働者Aといたしますが、会社は、このAと通勤ルートを同一にする従業員が通勤時にその労働者と接触しないように監督し、たまたま顔を合わせる者があれば直ちにその者に対してその労働者と接触しないように指示した。その結果、この者は労働者を見つけると逃げるようになった。また、その労働者が大阪から通勤するBという労働者と出会い、営業所まで一緒に歩いて行ったところ、名前は省略しますが、そこの主任はそのB労働者に対して、四、五回にわたって、さっきのA労働者と何を話すんや、いいかげんにしておけとたびたび注意をした。あるいはそのA労働者がたまたま退勤時に会社から大分離れたところだそうですけれども、喫茶店に行って一緒になったC労働者と話をした。そうすると、会社はこれを尾行しておって、翌日その一緒になって喫茶店で話をした労働者を問い詰めて、きのうの会話の内容を聞き出した。これまあ裁判で供述をしておるわけですから正確なんですね。
 また、そのA労働者に電話があったんです。これをそこの課の課長が盗聴したんですね。たまたまそのA労働者にあった電話というのが、緊急に会いたいということなので、その目的地へ実は行った。そしたらそこまで尾行をつけてきた。まあちょっと考えられないようなことなんですが、そういうことが起こっているわけなんですね。
 まあ大体うまいこと考えておるんかな、A労働者は職場を何回か転職をしているんですが、そういう場合に必ず班長とか職制の前とか、すぐ後ろとかということで、すぐにそのA労働者の言動が一見してわかる位置へ座らせる。そのA労働者がとる電話というのはその前におる班長の前に置いている電話で、その班長がそこへかかった電話は必ずとって、そのA労働者にかかってきた電話については相手先を二遍も三遍も聞きただすと、そういう格好になっておるわけですね。
 おもしろいなと思ったのは、会社のレクリエーションで例えば浜松へ慰安旅行に行った、伊豆へ行ったあるいは秋芳洞へ行ったというとき、そんなときどうするんかなと思っていたんですが、ちゃんとやっぱりやっているんですね。電車の中へ座るときには、その両わきとか向かいとかというのはちゃんと職制を配置する。それから宿屋で一緒に部屋をとるときには、これは職制が大丈夫と思う堅固なというのかな、会社の方で信頼できる人を配置するというようなことで、大体レクリエーションというのはそれこそ職員と親睦を固めるためにやるような性格のものですから、いろい
ろな人たちと話し合って行きたいし、いろんな方々と一緒に寝泊まりするというのは当たり前のことなんだけれども、毎回毎回そういうふうにしている。
 もっとひどいなと思いましたのは、これは年月日明らかなんですが、裁判資料ですから言いませんが、その原告の労働者のロッカーの中の私物を会社側が調査をして、かばんの中に入れていた手帳をあけて写真に写すとかね。これ驚いたんですよね。
 また、ほとんど毎日そのA労働者なる人は昼休みに将棋をするんだそうですね。その労働者が将棋をする相手と何を話をするかというのが気になってしようがないものだから、観戦をする格好で決まった人をきちんと監視をさせる。ちょっと手が込んでいる。さらに、退勤時にたまたま一杯飲みに行ったところが、自分の同じ課の職員がおったので、一緒に酒を飲んでいた。そこへ上司の人たちが来たんだそうです。だから一緒にその上司も含めて飲んでいたんだそうですけれども、明くる日に、最初に一緒になったE労働者を呼び出しまして、そしてきのうはそのA労働者と何を話していたかといって問いただすということなんですね。これはちょっと驚きましたね。
 それで、職場の中でもいろんなことがあるんですが、時間の都合があるから余り丁寧に言えないんですけれども、大体職場でも全員が当番制である安全週番とか安全推進委員というのからも排除してしまっている。あるいは全員参加の懇談会以外は職場の会合にも参加させない。それから従業員に対する教育が青年社員教育、中型社員教育、専門教育などを行っているけれども、十六年間一回もこのA労働者はその教育は受けていないとか、まあそういうのが一人じゃなくて何人にもそういう事態が起こっているわけなんです。
 私は、これを見まして驚いたということを冒頭に申し上げましたが、こんな事例が例えばあるとすれば、労働省としては労基法三条の趣旨に反すると思いませんか。その辺はどうですか。
#138
○政府委員(佐藤勝美君) 今の数々の事例を大変興味深く聞かせていただいたんですが、お聞きする限りでは、例えば民法上の不法行為であるとか大変広い範囲の問題であるように思われます。おっしゃいましたことから直ちに事実はこうであるということを判断することは難しいと思いますけれども、直接労基法の三条の違反になるということはどうも言えないのではないかというふうに今ここでお聞きをして考えております。
#139
○沓脱タケ子君 いや、これは私、判決文の内容を引用したんです。控訴していますから係争中なんですが、だから物が言いにくいという点は重々承知の上で申し上げているんですが、常識的に見てもこれは人権侵害になるんではないかというふうに思いますが、大臣、御見解、御感想どうですか。
#140
○国務大臣(小里貞利君) 先生の方から大臣も言いにくいだろうと、私の答弁まで含めてただいまお話しいただいたとおりでございまして、御指摘の事件は現在裁判所で係属中でございますから、まあ当事者が争っておるさなかでもございますし、大臣としての所感を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
#141
○沓脱タケ子君 もう初めからそう思ってはいるんですがね。しかし、私、これは一審の判決書の内容を読み上げたんです、幾つかを。ちょっと余りひどいなということを率直に感じましたので、まあ大臣のお立場では言えないのかもわからぬけれども、感想ぐらいはいいのと違うかと思ってあえてお伺いをしたんですが、裁判抜きだったら大変でしょう。そう思いませんか。
#142
○国務大臣(小里貞利君) 極めて注目をしてお聞きするべき御発言である、そういう感想でございます。
#143
○沓脱タケ子君 だから、大臣も物が言いにくいような内容ではあるけれども、読んだらちょっとびっくりする、聞いたらびっくりするというふうな内容であるから、俗に言われておりますように人権裁判と言われておるわけです。一審判決では非常に明確に会社の行為というものは断罪されていますよ。
 これは会社の行為の違法性というところでいろいろ書かれておりますので、ごく若干ですが紹介をしておきたい。「私企業においても、使用者は労働者の思想、信条の自由をみだりに侵してはならず」云々とありまして、「職場内において、労働時間中、労働者は労働契約に従い労務を提供すべき義務を負うから」、これは当たり前のことで、「いかに使用者とはいえ、労働者の全人格又はその具有する全自由を完全に支配するものではなく、右枠組を超えて労働者の自由を制約することは許されない」と、これは裁判所でも断罪をしています。先ほどちょっと読み上げましたような幾つかの事例につきましても、これは明確に違法だという点を断罪をしています。時間の都合がありますから余り具体的にたくさん申し上げられませんが、この判決書ではもろもろのことを総合いたしまして、「総合考察すると、被告の」、というのは関西電力ですね、会社の「右行為は原告らに対する」、労働者に対する「違法行為であり、これにつき被告の故意、過失は明らかである」というふうに、判決文では断罪をしておるわけですね。
 それで労働省、この判決の出たのは御承知でしょつ。
#144
○政府委員(佐藤勝美君) 知っております。知っておりますというのはちょっと言い方変でございますけれども、先生がこの判決に大変御関心をお持ちだということで、どんなものかということは一応見たところでございます。
#145
○沓脱タケ子君 これはずっといろいろ前段あるんですが、そういった会社の違法な取り扱いというのが、労働者の労働条件というのに対して重大な影響を及ぼしてきている、これは当然だと思うんですね。
 たまたま私お目にかかっていろいろお聞きをした方は、現在五十一歳の労働者の方ですが、入社をして三十三年、入社というのは高校卒で入社したそうですが、勤続三十三年の方ですね。その方は、たまたま同期の入社の方々の懇親会というのを最近やられたそうです。数十人おって懇親会に集まったところが、その方は一番最下級で、一番栄達をされた方というのは既に営業所長になっておられるんだそうです。そうなると給与にどのくらいの開きが出るんやって聞いたら、御本人は年収が七百五十万ですね。営業所長に、一番栄進をされている方は千二百万台、同期に入社した方と年間五百万という差が出るということなんですね。
 それはひどいなと思って見たら、これも実は裁判が起こっているんですね。あんまりひどいやないかということで、これ見てみたんですが、今申し上げた五百万というのは一番顕著な例だと思います。例えばこれも五十一歳の方で、昭和六十二年ベースで見ますと、月の基準賃金というのが三十五万六千二百円ですね。この方は三十二年勤続です。このランクで平均的なところの基準賃金は幾らかというと四十五万二千九百九十一円ですから、月にその差額というのは、平均的な人とこういう随分ひどい目に遭うている人との格差というのは一カ月九万六千七百九十一円、年額にしますと百六十三万三千三百四十三円ということになるんですね。
 もうちょっと若い人を見たら同じようなことですわ。これは四十四歳、勤続二十六年の人だと、この人のもらっている標準賃金が三十四万八千三百円、この同期の人の平均的な賃金の方が四十二万六千七百二十二円、月間の格差額というのは七万八千四百二十二円、年間で計算をしますと百三十七万二千三百八十五円という差額になっているんですね。大分これひどいということで、こんなことになると退職金に影響しますしね、年金に影響して一生ついて回るわけですからね。
 ですから、労働者大変だというふうに思って裁判も起こったりあるいは大阪では、後で申し上げますけれども、会社側に対して要望書を出したり、いろいろ起こっているわけですが、大臣ちょっとこの格差大きいと思いませんか。
#146
○国務大臣(小里貞利君) 先生のお話はお話として傾聴させていただいておるところでございますが、何はともあれ正直申し上げまして、事実関係をまだきちんと調査なりあるいは把握いたしておりません現段階でございますので、ひとつこれ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#147
○沓脱タケ子君 そうだろうと思うんです。言えないだろうと思うんだけれども、私はあえてこの問題を持ち出したのは、電力会社に共通しているんですね。中部電力もそうだ。東京電力でもそういう傾向があって、これはもうかねがね国会で問題になっております。関西電力も同じことをやっておる。日本の代表的大企業で、独占企業がこんなもの公然と法律を踏みつぶしてはばからぬというようなやり方がやられたら重大問題だと思うので、あえて問題を持ち出しているわけです。
 時間がありませんから、こういう特殊な人だけに対してこういうことをやっているんではなくて、この関西電力では随分一般の労働者に対しても拘束力きついですよ。これは資料を大臣にもお渡ししていますけれども、私的旅行に随分細かい報告を出すとか、それは大臣とか局長とか、そういうクラスの人は会社でどこかへ旅行に行くんかて何乗って行って、どこのホテルに泊まって、いつからいつまでどうでというのは、それは調べてええと思うけれども、全社にそんなことをするというのは、これは私、ちょっとひどいと思う。
 それから、もっとひどいなと思うのは、業務外の交通事故、これは業務外ですから休みの日ですがな、大体。休みの日に、大学時代の友達と山へ登るために友達の車に乗っていて交通事故が起こったとか、あるいは友人と休みの日にどこやら行くのに、中学時代の友達と一緒にドライブをしていて友人の車の助手席に乗っていて、それで交通事故になったとか、その種の休みの日の時間に、しかも本人の責任でない交通事故が起こっても全部こういうふうに、これ名前のところだけ外してますけれども、一遍に社内ではわかるようなものをこれ全社に回すという。これは私は労働災害ならいざ知らず、業務外の交通事故まで、これどこで何が起こってどんなことで起こった、地図まで入っていますよ。これはちょっと行き過ぎと違うかというふうに思うんです。これほど社員全体を締めつけるというようなやり方というのは、労働者というのはそれこそ労働契約以外の時間というのは自分の全く自由な裁量の時間なんで、その辺はちょっとおかしいと思うんですが、こういう問題がある。
 時間がありませんからもう一つ続けて言っておきますが、さっき大臣が調査もしておりませんのでという賃金格差の問題言われましたね。大阪の関電の方々五十六名が、実はもう余り差別がひどい、格差もひどい、退職金にも年金にも一生ついて回るからというので、五十六名の方々が賃金是正などの差別的な取り扱いをやめてほしいということを求めて、六十一年の六月十一日付で社長あてにこういう申し入れ書を出しているんです。もう時間がないから申し入れ書は読みませんが、内容は先ほど申し上げたような格差なんです。こういう同じような気持ちを持っている人たち、たくさんいるんです。ただ、自分の所属、氏名を明らかにしてこんな要請書を出すというのはよほど勇気が要るんです。それが五十六名になっている。ですから、労働者怒るのは当然だと思いますから、これについてすぐに御意見は述べられないと思いますけれども、せめてこれは労基法三条の番人として、是正の前段としてどないなっているんやという調査ぐらいはまずやっていただいてよいのではないのかなと思いますが、大臣いかがですか。
#148
○国務大臣(小里貞利君) 先生の御意見、そしてまた御質疑、きちんとお聞かせいただいたところでございます。感じましたところ、若干ございます、正直申し上げまして。会社によく問い合わせてみたい、かように思っております。
#149
○沓脱タケ子君 時間ですから終わります。
#150
○乾晴美君 よろしくお願いいたします。
 きょうは一般質問ということですので、私も総花的にいろいろお伺いしてみたいと思うわけなんですが、まず育児休業法案なんです。先ほど大臣はできるだけ早くこの法律をつくりたいというように、努力するとおっしゃっていただきましたけれども、具体的にはもう今国会中に提出していただけるということでしょうか。
#151
○国務大臣(小里貞利君) 午前中も局長の方から答弁申し上げましたように、可能な限り精いっぱいの努力を労働省当局を初め関係機関、そしてまた各位様の協力をいただきまして、その準備を急いでおるところでございます。
#152
○乾晴美君 これは当初二月の下旬ぐらいに建議されるというふうに伺っておったわけですけれども、今回予定よりおくれておるというように思うわけなんですが、そのおくれている理由は何なんでしょうか。
#153
○政府委員(高橋柵太郎君) 婦人少年問題審議会におきます審議は、婦人部会を中心として論議が交わされたところでございます。育児休業制度の法的整備のあり方に関して、労使、公益、各側意見がいろいろな意見がございました。この内容を固めるのにかなりの時日を、時間を要したということでございます。
#154
○乾晴美君 この育児休業法案というのは非常に国民皆さんが待ち望んでおりますので、先ほど大臣もできるだけ早くその答えを国民の皆さんのところに出したいというふうにおっしゃいましたけれども、私たちも早く出したいんですが、実はその中身が問題だというふうに思うわけです。何でもいいから早く出してきたらいいということではないと思うんですね。午前中に対馬議員がおっしゃいましたように、こういうことも労働者の権利であるというところから踏まえていけば、所得保障も大事でしょうし、そしてまたもとの職場に復帰させるということも大事だと思うんですけれども、罰則規定ということも私は大事じゃないかと思うんです。昭和六十一年の四月に雇用における機会均等法というのができましたけれども、それも結局罰則をつけずなままであったということですね。そのためにいろんな面で進むべきものが進んでないというように思うんですけれども、そこら辺の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#155
○国務大臣(小里貞利君) この際、先生のただいまの質問にお答えすると同時に、私が当面この問題を、先ほども御指摘いただきましたように、どうしても国民的納得のもとに成功させたいという一つの念願も込めて申し上げる次第でございますが、いろんな立場からの要望が熾烈にございます。そしてそれぞれ立場が違えば要求も見解も違ってきておる、そういうさまざまな意見が錯綜しておる中で一本にまとめまして、そして法案として国会に提出をしなければならない。もとよりその前段におきまして婦人少年問題審議会に正式諮問もいたします。そしてそこでまた労働側あるいは使用者側、あるいは公益の立場に立つ委員の方々の御意見も伺います。先ほどの建議にいたしましても、そういうような客観的にそれぞれ物事を公平に、そして大所高所から、そして大乗的見地に立ってさらに将来を展望しながら、そしてまた現実的に本当に一本化の大きな障害があるが、その関所を越えられる最大公約数をまとめていただきまして、一応建議もいただいたわけでございますから、その辺もひとつ私どもは寛大に感謝もしながら、理解もしながらこなしていかなければならぬ、こう思っております。
 むしろ私は、率直に言いまして、これははばかりがあるかもしれませんけれども、この際使用者の皆さんのしりも徹底的にたたく、そしてまた、私は政権党自民党に所属をいたしておりますけれども、自民党にも腹を切るところは切ってもらおうと、そういうような勇気ある懇請もいたしながら、そういう気持ちで参考までに申し上げた次第でございますから、この際はお互いに理想を、要求を言い合っておっては成り立ちませんから、譲るところはお互いに譲って、そしてまとめ上げて原案として、先ほど申し上げましたような手続を経てぜひ御審判を、御討議をいただく機会を得た
い、こういうふうに考えております。
#156
○乾晴美君 大変力強い御答弁をいただいたとは思うんですけれども、私たちはこの育児休業法案は、初めは四党提案ということで出させていただいておったわけです。いろんな審議の中や、それから小委員会の中でも私たちはいろいろ条件をつけさせていただきました。こういう条件のもとに、では政府提案にお願いしますということですので、そのことも十分踏まえた上で出してきていただきたいというようにお願いいたしておきたいと思います。
 次の問題に移らせていただきます。
 今度は看護問題についてなんですけれども、これは家族的責任を持つ男女労働者に関する労働条件を確立する上からも、家族が病気になったとき、また老人の介護のために介護休暇、または介護休業という制度が要るのではないかということで、私が前に、一九八九年の十一月十六日にそういうことでお尋ねしたことがございます。そのときに石岡慎太郎様という方から、「介護休暇制度につきましては、いろいろ労働省といたしましても六十二年度から調査研究を進めてきておりまして、来年度の施策におきましても、いろいろ検討しましてこれの普及促進を図るような措置を講じたいと考えている次第でございます。」というように御答弁をいただいているわけなんですけれども、どのような措置をされてこられましたか、御説明願いたいと思います。
#157
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生御指摘のように、人口の高齢化あるいは核家族化、女子の就業増加が進展する中で、家族介護の負担、特に老親等の介護の負担、これは労働者にとっても大きな問題でございまして、介護休業制度の必要が高まっているところでございます。このため労働省では、現在この介護休業制度につきましての普及促進対策を進めているところでございまして、例えば老親介護に関しますシンポジウムの開催でございますとか、あるいは介護休業制度普及使用者会議の開催でございますとか、さらに介護休業導入マニュアル、介護休業実施事例集、啓発資料を作成する等いたしまして、普及対策に努力をいたしているところでございます。
#158
○乾晴美君 それではちょっと厚生省の方にお伺いしたいと思うんですけれども、老人保健法等の一部を改正する法律案というのが今度出されておるようですけれども、その概要を見せていただきました。その中に老人訪問看護制度というものが創設されるということなんですけれども、この中で、人的な確保のために具体的な計画はおありなんでしょうか。
#159
○説明員(矢野正子君) 先生御承知のように、高齢化社会を目の前にいたしまして、在宅におきましても安心して療養生活ができるようにということで、訪問看護の推進を図ることは大きな課題になっております。その実施のために必要となる看護職の確保につきましては、もちろん看護の実務経験が豊富であるとかそういった理由等ありますけれども、さらに夜勤ができないとかそういった潜在の看護職員につきましてもこういう面で活躍できるということで、その活用について今力を注いでいるところでございます。
 従来から、訪問看護を推進するということで資質の高い看護婦を確保するために、訪問看護職員の講習会でありますとか、また平成三年度予算におきましては、そういった先ほど申し上げました潜在の確保を図るためにナースバンク事業の予算の倍増を図るとか、それから訪問着護婦の養成指導者の講習会の新設というようなことを行いまして、訪問看護職員の確保に努力したいというふうに考えております。
#160
○乾晴美君 確保に努力したいと言うけれども、現実的にはなかなかそういう看護婦さんとかナースがすぐできてくるわけではありませんし、大変だろうと思うんです。現実は、今弱体化していると言われている家庭の中で、家庭責任という形にかかってくるんではないかと思うんですね。家庭の責任ということになってきたら、現代の社会風習からいえば、それは女性の肩にのしかかってくるということはもう現実なんですよね。特に徳島県の女性というのは就業率が七四・〇%というわけで非常に皆さん働いていらっしゃるわけです。そういう人が一生懸命働いておるんですけれども、その女性が働き続けるためにはとりあえず、まず先にこういった介護休業制度とかというようなものをやらないと大変だろうと思うんです。それは介護のために職場を変わるだとか、またはやめるという方が現実に今四割ぐらいいらっしゃいますし、また介護を必要とするような方が出たときはもうやめなきゃならないと思っていらっしゃる方が半数いらっしゃるわけです。そういう方がいらっしゃるということは、通常の有給休暇とか病欠というか、欠勤届けだけ出していくということではもう間に合わぬようになっておるんじゃないかと思うんですね。
 来るべき高齢化社会ということはもう皆さんわかっていらっしゃることなんですけれども、そこで政府がおっしゃるんでも、いろんな資料や調査を見せていただいても、非常に暗いイメージというか、もう将来は大変なんだ大変なんだという、明るい展望が描けてないわけなんです。確かに、福祉というのはお金が要るということはわかるんですけれども、自助努力とかというようなことじゃなくて、もっと発想の転換をしていただきまして、社会福祉をやる、充実させるということが生産性にもつながっていくし、社会的にもいろんな意味でいいことなんだと、経済的な力も皆ついてきていいことなんだというように発想していっていただきたいと思います。
 今お聞きしましたら、いろんなマニュアルを出したり、それから普及促進をやっていらっしゃるということなんですが、調べさせていただきましたら、介護休業制度の普及というのは、全部で六十三年度の分でしたら一三・六%ということなんですけれども、これが何%ぐらいになると制度化するということをお考えなんでしょうか。
#161
○政府委員(高橋柵太郎君) 介護休業制度の重要性は近年非常に高まっているわけでございまして、私どものシンポジウム等におきましても社会的関心が非常に高まってきているというふうにうかがわれるところでございます。
 私どもの調査によりますと、先ほど先生御指摘のように一三・六%というのが六十三年の数字でございますが、これが五十六年には八・七%ということでございますので、急速に進みつつあるわけでございまして、企業内における介護に関します福祉の取り組みも一段と高まっておりますので、そのような動向を見きわめながら、私どもといたしましてもこの制度の普及促進に十分力を尽くしていきたいというふうに思っております。
#162
○乾晴美君 この普及促進がどれぐらい進んだらこれを制度化していただけるかということでお尋ねしたわけです。
#163
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生の御質問、ちょっと取り違えているかもしれませんけれども、介護休業制度、これは民間の各企業で企業内の福祉制度の一つとしてもう既にお取り組みをいただいているところでございます。こういう制度を民間の中で幅広く広げていくということが私ども重要だというふうに考えておりますので、そういう方向で普及促進対策をやってまいりたいというふうに思っているところでございます。
#164
○乾晴美君 私は、育児休業制度が制度化されれば、次はこの介護休業制度というものが制度化されていく、そしてしていきたい、いっていただきたい、すべきであるというように思っているところから質問させていただいたんですが、時間もございますので、次の質問に入らせていただきたいと思います。
 次は、時間短縮なんですけれども、午前中からも話題に出てきておりましたけれども、この前朝日新聞の九一年三月二日の朝刊に「時短で生産性向上」ということが載りました。私、これを見て、ああやっぱりそうだったなというふうに思いました。それは、九三%の企業で、従業員一人一時間当たりの売上高、いわゆる生産性が向上したという記事なんですね。八七%の企業では労働時間の短
縮率と同等か、またはそれ以上の割合で生産性が上がっていた。これを平均して全社に当てはめてみると、労働時間を一%短縮すると生産性は三・四%向上する。特に製造業の場合では生産性のアップ率が三・七%になっているということなんですね。
 こういうことになってきたら、ゆとり、豊かさというような、いわゆる人間が人間らしい生活を取り戻したときに、時間短縮をしたことがむしろ生産性の向上につながっているんだなというように思ったんですけれども、労働省の皆さんはどのようにお考えになりましたでしょうか。
#165
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまの労働時間短縮で生産性大幅アップという、これは労働省が民間の研究所に委託をして行いました研究の報告のことでございますけれども、内容につきましてはもう先生かなり詳しくおっしゃいましたので、余りこちらでまた詳しく申し上げるのを避けたいと思いますが、要するに、従来から労働時間の短縮をすればそれを契機に経営改善をやる、労働時間管理を合理化する、労働者の勤労意欲が向上するというようなことで生産性の向上につながるということはよく言われていたわけですけれども、実際にこれを実証するデータ、研究というのはほとんどなかったという状態であったわけです。今回、この調査によりまして、先生今おっしゃいましたような結果が出たわけでございますが、これは時短をすると自動的に生産性が上がるというのではなくて、時短をやらなければいかぬ、やろうとする場合にはやはり経営への悪影響を防ぐということで、この際生産工程、時間管理、その他例えば従業員の意識の向上も図らなければいかぬ、労働時間管理も合理化しなければいけない、それから新しい設備を入れる等の生産工程の改善もやらなければいかぬ、いろんなことをあわせてやる。そのことによって、つまり時間短縮が契機になって労働生産性が上がる、それが一%労働時間短縮すると生産性三・四%ですか、そういうような結果となって出てくるわけでございます。
 私どももこの結果を見まして大変勇気づけられたわけでございまして、経営に対します悪影響を恐れて時間短縮に消極的であった事業主の方々が、ひとつこういうようなものをよく研究をされて時短に取り組む姿勢を強めていただければ大変ありがたい、我々もこういった資料を活用いたしまして、時短の促進のための援助に努めたい、かように思っておる次第でございます。
#166
○乾晴美君 時短ということが非常にいいということがわかったということでうれしゅうございますけれども、九〇年の連合の生活実態調査の中でも、豊かさきを実感しているかどうかということで、していないという人が八三・二%あるわけです。その原因は何ですかというと、所得の低さ、税、社会保険料の重さ、物価の重さ、その次に労働時間の長さというのが挙がっているわけです。
 午前中も審議がありましたように、時間短縮というのは大企業と中小企業との間にも相当格差が見られる、総実労働時間では格差はないけれども、所定内時間では依然として格差があるんだということで、政府の方からもお話がありましたように、これは週休二日制の普及率が大きく関与しておるのではないかというようなお答えでしたが、私もそうだと思うんです。調べさしていただきましたら、九〇年で大企業では四八・四%、中企業では一六・四%、小企業では五・七%というんです。約九倍というか九分の一ぐらいしかないというわけですね。先ほどそれに対するお取り組みはどうなんですかと言いますと、やっぱり横並びのことがありますので、集団的な取り組みが必要だとか、また下請のところや元請への働きかけをするということなんですけれども、そういった企業内の努力だけではこの数字は上がらぬのではないかなと、もっとほかに社会的な機運の醸成みたいなことも考えていかなければいかぬのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#167
○政府委員(佐藤勝美君) 労働時間の短縮を実際に実効を上げるためには、法定労働時間を短縮する、あるいは所定外時間に関します指導指針を見直すとかいろんな方法があるわけですが、そういう具体的な方法と並びましてやはり国民一般が労働時間の短縮は必要なんだという意識をみんな持ってもらうということが必要でございますので、私どもといたしましても、言ってみればそういったコンセンサスの醸成、国民意識の高揚ということを時間短縮の施策の一つの分野として大事に考えております。例えば、十一月をゆとり創造月間というふうなことで、その期間に集中的に全国的にシンポジウム、その他の方法によりましてキャンペーンをやるとか、あるいはゆとり創造宣言都市というふうなものを全国の自治体に名のりを上げていただいて、そういうところを拠点に地域ぐるみで時間短縮に対する認識を深めるというようなことを言っておりまして、おっしゃるとおりそういった意味での国民一般の機運の醸成を非常に重要に考えておる次第でございます。
#168
○乾晴美君 私もそうだろうなと思うんですが、八九年に入ってから行政機関が土曜閉庁をやったり、それから銀行の閉店ということで、非常に全体の時間短縮に大きな影響を与えていただろうと思うんですね。
 そこで、高桑先生の方からもお話がありましたけれども、文部省の方にお尋ねしたいと思うんですが、学校の五日制が一番やはりおくれているのではないかというように思うわけです。この五日制を学校からやるということは、子供の時代から週五日制生活というのを経験させるということと、週五日制社会の実現、定着ということに国民の意識を改革させる上で非常に重要だと思うわけなんですが、学校の五日制についての取り組みについてお話を伺いたいと思います。
#169
○説明員(近藤信司君) お答えをいたします。
 学校週五日制の問題につきましては、平成元年八月に文部省の中に調査研究協力者会議を設けまして、学識経験者でありますとか教育行政の担当者、さらには各学校の先生方にもこの会議にお入りをいただきまして、現在週五日制についての研究を行っているところでございます。また、平成元年十二月にはこの調査研究に必要な実証的な資料を得るために、九都県六十八校の学校を調査研究協力校という形で指定をいたしました。そして、この調査研究協力校におきましては、平成二年度から学校週五日制を月に一回ないし二回試行いたしまして、その実施上の諸問題について研究を現在進めているところでございます。今後は、この調査研究協力校の平成二年度のこの一年間の研究成果の報告を求めまして、それをもとにさらに学校週五日制にかかわる教育課程の編成でありますとか、実施その他の問題点につきまして、さらに具体的、専門的な研究を進めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
 学校週五日制の問題につきましては、教育課程審議会の答申もございますが、そうした答申を踏まえながら、教育課程のあり方ですとか、教員の勤務形態など学校運営のあり方、あるいは学校外における子供の生活への対応のあり方、こういった幅広い問題に留意をいたしまして、また国民世論の動向などにも十分配慮しながらその対応について具体的に検討を行ってまいりたい。そして、およそ平成三年度末までにこの問題についての文部省としての一応の結論を出したいと、このように考えて現在研究を進めているところでございます。
#170
○乾晴美君 時間がございませんので、あと一点だけお伺いしたいと思います。
 これは五月一日のメーデーの日を、ゆとりの日とか触れ合いの日とかさわやかデーとか労働の日、何でもいいんですが祝日にして、四月二十九日からの連休をより大型化して、その週を太陽と緑の週とかいうような感じにして祝日にできたらいいのになと思うんですが、いかがでしょうか。
 これを聞かせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
#171
○政府委員(佐藤勝美君) 国民の祝日をふやすというようなことはちょっと労働省の所管、非常に関係は深うございますが、直接所管ではございませんが……
#172
○乾晴美君 総理府に聞きたい。
#173
○政府委員(佐藤勝美君) 私どもの考えを申し上げたいと存じます。
 五月一日を国民の祝日とすることにつきましては、国民生活や経済活動等の各方面に与える影響はかなり大きい。御承知のようにそのころ非常に祝日が集中をしている時期でございます。ということから、国民の間に幅広いコンセンサスが形成されるということがまず必要ではないかというふうに認識をいたしております。したがいまして、五月一日を祝日にするということにつきましては、いろいろ前提条件がありましょうけれども、ただ労働省としましては、その期間、いわゆるゴールデンウィークと言われているような期間にできるだけ連続休暇をとっていただくように連続休暇の普及促進、それからその機会を、ゴールデンウィークを活用して大型休暇をとるというような点についてのキャンペーンをやっていきたいと、かように思っております。
#174
○説明員(飛田眞澄君) お答えいたします。
 五月一日を休みにして連続休暇をということでございますが、私どもの方でも、今労働省からお答えになりましたように、祝日というのが現在十三日定められているわけでございますけれども、この十三日という数は諸外国、例えばアメリカ、フランス等は十日ということで理解しているわけでございますけれども、そういう諸外国の休日に比べましても必ずしも少ない数ではないということ、それから先ほどもお話がございましたように、連続して一週間以上休みが続くということになりますと、国民の経済活動あるいは生活の諸般のこと、いろんな影響が、多大の影響が出てくるということで、世論の動向その他いろいろ検討すべき問題がある、なかなか難しい問題がたくさんあると、こういうぐあいに理解しております。
#175
○勝木健司君 まず、労働時間の短縮問題について労働大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、今、日本の働く人々をめぐる大きな問題の一つに労働時間の短縮の問題があるわけでございますが、この問題については、外国からは日本人の働き過ぎが経済摩擦の元凶のように言われておりますし、また内からは自由世界第二位の経済大国になったというのに一向に豊かさ、ゆとりというものが実感できないという、この二つの面から大きな問題の指摘ができると思うわけでございます。
 そこで、まず我が国の労働者一人平均の年間総労働時間を見てみますと、昭和三十五年の二千四百三十二時間をピークにいたしまして、昭和四十八年には二千百八十四時間と二百四十八時間短縮をされたわけでありますが、その後、石油危機を経まして昭和五十年代に入りますと、経済成長の低下に伴いまして労働時間の短縮のテンポも鈍化してきておるように思われます。最近におきましては所定外労働時間がふえておるということで、年間労働時間はほぼ横ばいの状態で推移をしておるのじゃないかというふうに私どもは見ておるわけでございますが、特に最近は好景気が長期に持続しておりますので、いわゆる人手不足の状態が続いております。
 そこで、昭和六十三年に労働基準法が改正されまして週四十時間労働になっているわけでありますが、実際は政令で四十八時間を段階的に短縮をしていくということで、六十三年四月から四十六時間、平成三年四月から四十四時間、そして、当時の中曽根総理大臣は一九九三年をめどに四十時間ということを発言しておられるわけでございます。しかし、最近の状況を見てみますと、猶予措置とか特例措置によって時間短縮のテンポが逆に鈍ってきておるように統計上出ておるような感じがいたしますので、こういう状況の中でどういうふうに労働大臣はこの情勢を分析されておるのか、また展望されておるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#176
○国務大臣(小里貞利君) 私の方から大略御説明申し上げてみたいと思うのでございますが、午前中も若干申し上げましたように、労働時間の短縮は、ただいまも先生触れていただきましたように、昭和六十三年四月でございましたか、新労基法施行によりまして、そしてまた関係機関、団体、企業、事業主等の御協力をいただきまして概して着実に流れてまいってきておる、そういう実は感じを持っておるところでございます。先生もただいまお話がございましたように、いよいよ来月から週四十四時間と、そういう一つの方向も御案内のとおりでございますし、さらにはまた中小企業等におきましても、年次有給休暇も六日を八日に置きかえていきましょう、こういうこと等もきちんと整ってまいってきておりますし、あるいはまた、そのほか労使のそれぞれの立場におきまして極めて前向きで協力をいただいておりまする状況でございますから、お話しの平成四年度を一つの運動期間あるいは目標年次に置きましてこれが一千八百時間の実現を期してまいりたい、かように考えておるところでございます。
 しかしながら、この種の問題はただ単に行政上呼びかけをやる、あるいはまたそれぞれの民間団体等におきましてもかけ声だけではもう決して進まない問題でございまして、容易ならざる、しかも手がたい不退転の気持ちで一つ一つの問題をきめ細やかに、しかも恒常的に間断なく進める必要があるかな、そういう感じを持っておるところでございまして、粘り強く推進に当たりたい、かように考えております。
#177
○勝木健司君 労働省の毎月勤労統計調査によりますと、年間の所定労働時間は八五年、千九百四十六時間、そして昨年の時点では約八十時間短縮をされて千八百六十時間へと減少いたしておるわけでありますけれども、所定外の労働時間が逆に百六十二時間から百八十六時間へ二十四時間も増加しておるような状況であります。そこで、平成四年度の年間千八百時間達成というものを目指すためには、この所定外労働時間に対しましてももっと真剣にメスを入れていかなければいけないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 また、有給休暇の取得率もこの十年間では一〇%も減少しておるような状況でありますので、こういう有休の取得率の低下の原因についてもどのように労働省は認識をされておるのか、あるいは今後の有休の取得率向上のための労働省としての取り組みはどう考えられておるのか。またこの所定労働時間の法定化によって成果があらわれておるということでありますけれども、この所定外労働時間、そして有給休暇についてももっと厳しく法定化すべき時期に差しかかっておるんじゃないかということで、あわせてお伺いをしたいというふうに思います。
#178
○政府委員(佐藤勝美君) 全体としての労働時間の短縮を進めるためには、今おっしゃいましたように、所定内労働時間、法定労働時間の減少と並びまして所定外労働時間の短縮ということが必要でございます。今先生、所定外労働時間についても法律的な規制はいかがかというような御趣旨の御質問だったかと思いますけれども、御承知のように我が国の雇用慣行からいいますと、忙しいときには余り人をふやさないで所定外の時間をふやす、逆に景気が悪くなっても労働者の解雇をするというのはよくよくのことで、まず解雇しないで所定外時間を減らすというようなことで、要するに所定外時間がそういう意味での雇用維持の機能を一面では果たしているというような実態がございますことと、それからこの所定外時間の実態が業種などによりまして大変に違うというようなことで、この問題につきましては法律で何時間ということを決めるというのではなくて、労使協定にゆだねる現行方式が適当ではないのかというふうに考えております。
 しかしながら、所定外労働時間の短縮というのは、これはもう重要な労働時間の短縮の方策であることはもちろんでございます。現在、大臣告示によりまして最高限度の目安時間を決めておりまして、これによりまして労使協定の届け出のときに指導をしているわけでございますけれども、平成三年度におきましては、この所定外労働時間の目安の見直しについて検討をしたいということが一つと、それから労使が所定外労働時間の削減に取り組む場合に、その目標と方策を示す所定外労
働時間の短縮促進要綱というものを作成をして、今後この問題についての指導を一層強めたいというふうに考えております。
 それからもう一つ、有給休暇取得促進でございますが、おっしゃいますように、確かに日本はちょっとかなり特別な事情にあるというのは、大体十五日ぐらいの付与日数の中で実際に消化されるのが半分、権利があっても半分ぐらいしか使っていないという状態がこの四、五年続いております。この理由を調査したものがあるわけでございますけれども、どうも周囲の人に迷惑がかかるとかあるいは後で多忙になる、病気等の有事に備えておきたいというようなのが主要な原因であるようでございます。その結果として取得率が五一・五%、平成元年でそういうような数字になるわけでございますが、しかし、このような状態であっては時短の促進も十分いかないわけでございますので、労働省では昨年、労使の専門家の御意見を聞きまして、年次有給休暇の二十日付与、二十日取得に向けてガイドラインを示します連続休暇取得促進要綱というものを策定をいたしました。これに基づきまして今後指導のためのマニュアルもつくりまして一層この年次有給休暇取得の促進に努めたいというふうに予定をいたしております。
 それから、年次有給休暇の取得日数が十年ぐらい前と比べて低下をしているという御指摘がございまして、確かに資料で見ますと昭和五十八年ぐらいが大体五九%余りの取得率、現在の五一・五%から比べましてもかなり高いのでございますけれども、これにつきましては、なぜこうなったかというのははっきりしたことはわかりませんが、一つ先ほどちょっと申し上げました調査の中にありますのは、週休二日制が普及をしてきまして土日休みになったので、そのほかの日に休みにくくなったというようなことを答えているのが八%ぐらいあるわけでございます。こういうような実情でございますが、これはこれとして完全取得に向けて進める必要がございますので、ただいま申しましたような完全取得に向けての指導、援助をやっていきたいというふうに思っております。
 それから、取得率が下がっている背景に人手不足ということもあるのではないかということも考えられますが、現在むしろ労働時間の短縮をやらないと人が集まらないというような状況、もちろん人手不足のためになかなか時間短縮が苦しいという面がある一方で、時間短縮をやらないと人が集まらないというようなことで、総合的に考えまして、人手不足が今のところ時間短縮を進める追い風になっているというような面もございますので、私どもとしては中小企業を中心にこういった面につきましてもなお指導、援助を強めていきたいと、かように思っております。
#179
○勝木健司君 原因いろいろ言われておりますけれども、考え方、意識を改革していかなければ、休んだら他に迷惑をかけるからとか、そういうことではなかなか労働時間短縮は進んでいかないんじゃないかというふうに思うわけであります。
 豊かさを実感できないものの一つに、生活時間の余裕のなさというのも考えられるというふうに思うわけでありますが、そういう意味からいたしますと、大都市における通勤時間の問題を含めて考えなければいけないのじゃないかというふうに思われます。労働時間の範囲を狭義にとらえず、通勤時間などを含めた広い意味での広義の労働関連の拘束時間の短縮に目を向けていかなければいけないんじゃないかというふうにも思うわけであります。そういった意味では、例えば時差出勤とかあるいはフレックスタイムなどをもっと積極的に活用すべきじゃないかというふうに思うわけであります。労働時間あるいは残業、通勤といった自由時間と対比される労働関連の時間全体の軽減というものが必要じゃないかというふうに思われるわけであります。そうしないとこれから質のいい労働というものは確保できないんじゃないかというふうに思うわけでありますので、労働大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 あわせて、アメリカの経済誌フォーチュン誌にも、毎年魅力のある企業番付を発表しておるわけでありまして、その評価項目の一つに、経営の健全性とともに企業に有能な人を引きつけてそしてその才能を伸ばしていく、社内にとどめておく能力ということで、そういった意味で、我が国においても企業における労働時間の短縮の状況とかあるいはフレックスタイム、在宅勤務、週休三日制の多様な勤務形態に対する取り組みあるいはリフレッシュの休暇、介護休暇、保育時間等の時間、そういう状況などを企業が余暇の充実とか従業員の資質向上に取り組んでいる実態というものを調査して公表したらどうか、あるいは逆の実態も調査して公表したらもっと人材確保面とか、あるいは企業の経営効率の観点からも従業員のゆとりというものが出てくると、そういう機運を醸成することにつながりはしないかというふうに思うわけでありますが、あわせて御意見をお伺いしたいというふうに思います。
#180
○国務大臣(小里貞利君) 前半を私の方からお答え申し上げたいと思います。
 フレックスタイム制でございますが、これは先生御承知のとおり、企業におきましても前向きで意欲的にこれが取り入れられつつあると、しかもこのことはただいまあわせて御指摘ございましたように、労働時間の短縮あるいは通勤混雑等の緩和にも相当役立っておると、こういうふうに評価をいたしておるところでございます。
 さらにまた、労働省といたしましても、事例のいわば紹介、啓発等によりまして制度の普及を図ってまいるべきであると、かように考えております。
 後段の方は局長よりお答え申し上げます。
#181
○政府委員(佐藤勝美君) 週休三日制であるとか在宅勤務等、多様な勤労体系につきまして触れられましたので、大臣の答えに加えましてちょっと補足をさせていただきますが、今おっしゃいますように週休三日制につきましては、例えば流通業の一部の会社で週休三日制をとる、あるいは交代制職場でもそういうことが行われているわけで、会社によっては週休四日というふうなことが出てきているところもございます。それから在宅勤務につきましても、こういうものを導入する企業が出てきておるわけでございますし、リフレッシュ休暇につきましても、まだ全体として比率はそう高いとは申せませんが、だんだんふえてくるような状況にございます。介護休業制度についても同様でございますが、こういった事例につきましては、私どもも調査をしたりあるいはいろんな資料を収集いたしましてその実情を把握いたしますとともに、こういった実例を事業主あるいは事業主団体等に提供いたしまして多様な形で時短が進むように、あるいはゆとりのある勤労者生活が労働時間の上から実現されるように努めてまいりたいと思っております。
#182
○勝木健司君 公表したらどうかとか、そういう問題について。
#183
○政府委員(佐藤勝美君) 失礼いたしました。
 労働省で調査したものにつきましては、これは結果が出ますれば公表するというのが通常でございます。
#184
○勝木健司君 もっと積極的に実態を調査されて公表をしてどんどん普及していただきたいというふうに思います。
 次に、高齢者及び女性の雇用の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 昨年の六月二十一日の本委員会におきまして私は質問をさせていただいたわけでありますが、本日もこの問題について若干質問をいたしたいと思います。
 昨年のことでありますけれども、労働省の若手のプロジェクトチームにおきまして大まかな試算ということでありましたけれども、二〇一〇年中長期的な労働力需給の展望で九百十万人が不足するというような推測がされておるわけでありまして、率に直すと一四・一%の需給ギャップが生じるということであります。これを解消するために高齢者及び女性の雇用ということを考えても百八十六万人の不足を生じる、率にして二・六%に上るということでありました。
 また、最近二月二十二日でありますが、日本生産性本部から九一年版の労使関係白書が発表されたわけでありますが、それによりますと、西暦二〇〇〇年までの今後十年間にわたり労働力人口は年平均対前年比〇・二%から〇・四%の伸び率しかないということで深刻な今後労働力不足の到来を予測しております。特に、このため従業員三十人未満の零細企業の従業員一千百万人、そしてまた自営業の家族従業員の一千六百万人の計二千七百万人のうちの四百万人から五百万人が高賃金、短時間労働の高生産性部門の企業に移動する可能性が強いというふうに指摘されております。
 そこで、昨年の労働省のプロジェクトチームの試算、そして今回の日本生産性本部の見通しについて同じようなことを論じておるというふうに思うわけでありますが、今後の労働力需給の展望につきまして労働大臣はどのような御見解をお持ちか、お伺いしたいというように思います。
#185
○政府委員(若林之矩君) 数字の問題でございますので、私からお答えさせていただきます。
 昨年、労働省の若手のプロジェクトチームで試算をいたしたものでございますが、これは現在の労働力率等がそのままずっといくということを前提にして計算をいたしたものでございます。やはり労働力の需給というものを見通します場合には、今後の労働力率、例えば特に女性の労働力率等がどうなっていくかというようなことは非常に大きなポイントでございますし、省力化その他がどういうふうに進むかということもございます。一方で需要サイドがどうなっていくかということもあるわけでございますが、私どもこの一月に学者の方々にお願いをいたしまして、今後の労働力の需給等についての見通しについての研究をお願いしたわけでございますが、その結果によりますと、労働力人口の見通しは今後一九九〇年代の前半で男女計で毎年大体〇・八%ぐらい伸びていく、そして一九九〇年代の後半になりますと毎年〇・四%ぐらい伸びる、こういうことでございます。そして、ただいま先生御指摘の需給バランスがどういうふうになるかということでございますけれども、経済の成長というものを今後四%で成長するというふうにして計算をいたしますと、二〇〇〇年の時点で失業率が、現在で二・〇でございますが、この失業率が大体一・八%ぐらいになるというふうに見込んでおります。いずれにいたしましても全体として労働力が不足基調に推移するということでございます。
#186
○勝木健司君 もう時間が余りありませんけれども、現在六十歳定年制の割合は六〇%程度というふうにお聞きをいたしておりますが、これを平成五年度に完全定着を目指すという方向で努力を今されておるということをお聞きいたしておりますけれども、この見通しについてお伺いしたい。
 そしてあわせて、平年六年度に六十五歳継続雇用を顕著に増加させるということでありますけれども、この見通しについても御説明をいただきたいというふうに思います。
#187
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生御指摘のように、昨年の十二月に策定をいたしました高年齢者等職業安定対策基本方針の中におきまして、これは平成六年度までの方針でございますけれども、高齢者の雇用の機会の増大の目標といたしまして六十歳定年の平成五年度までの完全定着ということがうたわれております。また、継続雇用制度の普及に努めまして六十五歳までの雇用機会の顕著な増加を図るということでございます。
 現在六十歳定年の状況は、既に達成しておりますのは企業ベースで六四%でございます。将来の予定までも含めますと八五%ということになっております。これをさらに引き上げていくということでございまして、行政指導によってこれを進めてまいりたいというふうに考えております。
 また、六十五歳までの雇用機会の顕著な増加ということでございます。これにつきましても各種の助成金制度の効果的な活用によりましてその目標の達成に努めてまいりたいというふうに考えております。
#188
○勝木健司君 時間ですので、最後に労働大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、厚生年金の支給開始年齢との関係でありますが、近い将来厚生年金の支給開始年齢を六十五歳に引き上げようとする動きが出ておるわけでありますけれども、やはり雇用保障をしっかりしておくことがまず必要じゃないかというふうに思うわけでございますので、そういった意味で定年制とこの年金支給開始年齢はリンクするようにするべきであるというふうに思いますので、労働大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
#189
○国務大臣(小里貞利君) 高年齢者の強いいわゆる就労意欲を生かし、雇用から年金への円滑な移行を図ることが極めて重要であると考えます。したがいまして、六十五歳までの雇用機会の確保につきましては、先ほども若干局長の方から説明申し上げましたように、積極的に施策を推進いたしておるところでございます。このため労働省としましては、年金との連携にも十分配慮しつつ六十五歳までの雇用機会の確保に積極的に努めてまいりたいと考えております。
#190
○勝木健司君 ありがとうございました。
#191
○田代由紀男君 今、私の中学の同窓である勝木さんの質問がありまして、後輩に負けぬようにせにゃいかぬと思っているんです。
 私はきょうは、松浦政務次官にかわりましたんで、人材確保対策について質問していきたいと思います。
 まず、人材確保の重要性は三K問題とか人手不足とか、そういうときでありますから非常に重要でありますし、それについて二、三点質問していきますが、これで成功した例が労働省であるんですね。昭和六十二年度、円高不況に対応して、先取りして三十万人雇用開発のプログラムをつくり予算額で一千百三十三億計上したわけでございます。このときは私もこの委員会の理事をやっておりまして、廣見課長と一緒に作業したものですから大変印象に深いわけです。私はまた農協の組合長も長くやっているものですから、農協で組合電機という組合電機会社の工場をつくりまして、二十年前立石電機の、この前亡くなった一真社長に来てもらって農工併存で工場をつくりまして、二十年間やって技術が定着したものですから、きょうの委員長も松下電器ですが、九州松下の方から来てもらって、ヘッドエージというロボットの頭脳をつくる工場をやりまして、そこで男子百名、女子五十名ぐらいですが、男子雇用型の工場をつくって、その地域の若手労働力を吸収して過疎の歯どめをやったわけでありまして、これは大成功でありました。そのとき私は自分のつくった法律で約七千万も補助金もらって、こんなにもらっていいかと思ったわけですが、こういうことで労働省のおかげで農協が助かったという体験があります。
 こういう中で、人材確保もうまくやろうと思うとどんどんやれるわけでありますし、特に今から中小企業地域における人材確保とか農業後継者対策とか外国人研修生の問題とか、それから、これからポスト湾岸で「重み増す雇用創出 開かれた企業社会こそ」、これは日経のきょうの記事でありますが、こういう問題を中心に質問していきます。
 まず、育児休業の法制化問題は、先ほどから各委員から質問がありますが、五日の日経と毎日に二つの社説が出ているんです。日経の社説の中に、労働側が反発するものは、休業中の賃金支給、違反企業に対する罰則規定、休業者に対する不利な取り扱いの禁止などの点。経営者側も受け入れに傾いておるということであります。そういう問題と、また休業を理由とする解雇や不当な配転があってはならないということと、西欧では育児休業請求権を男女ともに認めておる国が少なくない、こういう問題の提案があります。
 私は人口問題のアジアフォーラムのメンバーでありますから、高桑先生も一緒に、去年の八月はスリランカで会議があり、またバンコクにも行きましたし、一昨年はバングラデシュの会議も二回、一年に行きました。北京の会議もやりましたが、そういう中で人口が減っていく国がある。アジア
の人口は三十億人に達したわけでありますが、蒙古とトンガと日本が減少傾向にあります。あとの国はバングラ、スリランカ、インド、全部ふえる国でありますが、それを抑制しようというのがアジアフォーラムの方法でありますが、その中で日本と蒙古、トンガが減っております。この間も蒙古の小委員、いわゆる国会議員が来ましたときにその人口問題の話をしました。
 そういう中で、日経では「育児休業制度に労使の知恵と負担を」と書いてあります。これは特に「中小企業で、公益委員案では一定の猶予期間を与え、労使間で協議すべきだ」として、お互いの知恵を出し合うように言っております。それからもう一つ、毎日の社説ですが、「ぬくもりのある育児法案に」、これを主張しております。その中で、「スウェーデンで育児休業制度が定着し、男性もとるようになり、出生率も上がり始めた」という記事で、これはなかなか人口問題と関連があるなと思って、これを早く立法化していくことによって今のもう一つの大きい問題であります日本の人口問題を解決ができる方向にいくなと思って、大変その方面でも期待しておるわけであります。そういうことについてまず御意見をいただきたいと思います。
#192
○政府委員(松浦孝治君) 大臣が予算委員会に出席をいたしておりますので、政務次官でまことに恐縮でございますが、答弁をさせていただきたいと思います。特に、田代委員には非常に大先輩でございまして、労働行政等について私から答弁をするのは非常におこがましいところでございますが、私の考えを述べさせていただきたいと思う次第でございます。
 ただいまもいろいろお話がございましたように、我が国の経済社会、ひいては労働界が抱えております問題等について田代委員からるるお話があった次第でございまして、特に当初申されましたように、我が国の経済社会をこれから発展させていくためにはどうしても人材の確保が必要であるということは言をまたないわけでございまして、そのためにどのような行政を進めていくかということが必要でございます。一九九五年になりますと生産人口が減ってまいります。特に若年労働者の不足というものが出てくるわけでございまして、こういう中で地域間とか年齢間とか職業間とか、そういう今出ておりますミスマッチについて、これをうまく埋め合わせながら人材の確保をしていくことが必要であるとともに、特に人材の資質の向上ということが必要であろうと考えておるわけでございます。
 そういう中で、ただいまもお話がございましたが、特に人口の減少の中で若年労働力不足をどのようにしていくかということは、やはり女子労働力の活用と高齢者の労働力の活用ということが非常に大切でございます。特に女子労働力の確保ということが均等法以来非常に大きなウエートを占めてきておるわけでございまして、働きやすい環境づくりということが必要でございます。労働行政としてもこれを推進しなければいけないということで種々対策を講じておるわけでございますが、これの一つの大きな方策として育児休業制度の法的整備が必要と言われておるわけでございます。
 その点につきましては、お話にもございましたように、昨年の十二月に婦人少年問題審議会にこの問題についての検討を実は依頼いたしまして、去る三月の五日に建議をいただいたところでございます。この建議の内容等につきましては、委員の先生方が誠心誠意努力をし、精力的に検討していただいたその結果であると私たち労働省は受けとめておるわけでございまして、この建議の趣旨を十分踏まえながらできるだけ早く法制化を行い、審議会にも諮って国会に法案を提出させていただきたいと考えておるわけでございます。特に、やはり一日も早く法律による制度のスタートを図っていくことが必要であろうと思うわけでございまして、法案を提出させていただきましたならば、皆さん方にいろいろと御意見をいただき、そしてこの法案のスタートを切っていただきたいと心からお願いをする次第でございます。
 簡単でございますが、私の見解を申させていただきます。
#193
○田代由紀男君 今政務次官から答弁がありました中に資質の向上がありまして、大変それは大事でございますから、特に知的労働者でありますね。これからコンピューター関係のソフト関係、これがこの十年間で九十七万人も、看護婦対策でも、清水先生いらっしゃいますが、七十万人体制から九十万人体制に持っていく、そういう知的労働者の確保が大事でありますから、特にその点、配慮をしてやってもらいたいと思います。
 それから、中小企業の地域における人材確保でありますが、これも今度法案として、中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律、地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案が出ます。これも中小企業の地域の労働力の流出それから過疎対策、そういう深い関連がありますので特に関連を持ってこの法案を早く上げていきたいと思いますが、労働省におかれましてもそういう点を今通産とうまくいっていますが、ますます通産とよく一緒に勉強していただいてその関連の制度づくりに立派なものをつくっていただきたいと思っております。これは希望意見であります。
 それから、農業後継者対策と外国人研修生の問題で農林省の国際協力課の三宅さんにお尋ねしますが、今度の農林省の、私も農林部会に属し総合農政の副会長もやっておりますが、いろいろ工夫したのでありますが、後継者問題では今までは中核農家と一兼二兼合わせて兼業農家中心に後継者を養成してきたんですが、これだけではどうしても足りないのですね。新規の医者の数の四分の一しか農業の従事者がいないということでありますし、そういう新規参入が少ない農業でありますから、これをカバーしていくためには定年された方々にも農業の勉強も日ごろからやってもらって、これも後継者対策の研修生の研修の対象にして、それによってこれからの高齢化をカバーしていく、このことが大事でありますから、そういうことで後継者問題は今度の予算では新しい味を出している。これもひとつもっともっと研究して具体的にやっていただきたい。
 私は今も電機工場を二つ持っておりますが、この電機工場の昼休みに営農課長をやって野菜のつくり方をみんなに三十分研修さしています。それによって家庭菜園、触れ合い農場ができていくように具体的にやっていますが、それほど細かく配慮を払うことがこれからの農業の非常に重大な点であります。農村の婦人労働者も六十歳代が一番多いですね、六〇%以上あるんだから。そういうことを考えると、ここで農林省も、今片一方では千八百時間労働時間と言っていますが、これからの農業、第一次産業と都市労働者の間の賃金格差が今度は労働時間の格差になっている。農業基本法つくったときには所得の格差があって、それを是正するために農業基本法をつくったんだけれども、今度は千八百時間体制になるとそこで労働時間の格差が出てきて、ますます農業、林業、水産業に向かう若者がいなくなってくる。そのことを農林省はまだ考えていないようだから、そこをよく統計をとって勉強してもらいたいと思います。
 そこで、外国人労働者のうち特に単純農業労働者は労働省でもなかなか日本に入ってくることは厳しくやっていますので、今研修生の制度がありますね。研修生の一年目は座学と実習と半分ずつやる。二年目は実習を主として行うのはもちろん、三年目はさらに実習の検討をしていくということでありますから、これは入管ともよく話をされまして、この前入管の小委員会に行って私も発言しておいたわけです。ぜひその付近のことをうまくやってもらって、これは表向きに労働力を確保する、補足するということは言えないわけなんですから、研修生で研修をやってもらいながら、農業はほかの産業と違って研修、実習することすなわち勉強でありますから、そういう体験が大事であります。そこで不足な農村の労働力をカバーしていくということも考えて、この研修生の研修寮等
で勉強ができるように、そういうものを私のところで今二つほど計画しておりますから、そういうものについても農林省は助成措置とか、金利とか税制とか、そういう点も検討していくようにしてもらいたいと思います。
 もう一つ、ついでに申し上げますが、今農村を回ってみますと、私のところ熊本県でありますが、阿蘇とか球磨とか天草に行きますと、嫁さんがいないんですね。どこの町に行っても三十名から四十名の独身で三十歳から四十歳の人がおる。なぜかと言いますと、気のきいた男は夕方になるとオートバイですうっと出かけていって、飲みに行っていい女を連れてくるんですよ。ところが、飲みに行けないまじめな青年ほどお嫁さんがいない。これは本当に夕方遅くまで働いて、夜は夜なべするという青年ほどいないものですからね。これは各町村長が、何とかして私に、中国に行って、ここへ中国の傍聴人も来てもらっていますが、中国へ行ってお嫁さんを見つけてきてください。一カ村に十名ぐらい連れてきてもらうと、定着するように我々も協力しますということであります。一時はフィリピンからの花嫁があったわけですが、あれはブローカーでありますから、ブローカーでなくてまじめな財団とか、いろいろな団体をつくって、農協中央会あたりが中心になってそういうことをやるようにして嫁不足を解決せぬと、農村の労働力の確保はできないと思います。その点を簡単でいいですから、御答弁を願います。
#194
○説明員(鈴木信毅君) 私から農業後継者問題と農村の花嫁問題について簡単に御説明申し上げたいと思います。
 まず、後継者問題でございますが、先生御指摘のとおり、私ども大変重大な問題というふうに認識いたしております。まあ言わずもがなでございますが、後継者がしっかり確保できるためには、基本的には農業が魅力があり、住みよい農村であり、かつ最後におっしゃられました配偶者にもきっちり恵まれる、そういうような環境づくりこれが基本的には重要かと思っております。そういうことで、従来から農業構造の改善なり生産基盤、生活環境の整備等いろいろ進めているわけでありますが、これとあわせまして、直接的なバイオ等も駆使できるような高い技術系能力を有する若い農業者を育成したいということで幾つかの対策をとってございます。
 これも先生御承知のとおりでございますが、改良普及員によるいろんな指導あるいは各県の大学校における研修教育、あるいは国内なり海外への留学研修、あるいは無利子の農業後継者資金の貸し付け等々やっているわけでございます。ただ、そういうことで不十分でございますので、先生お話ありましたように、平成三年度からはこういう対策にさらに加えまして、各地域地域で知恵を出して、関係機関、団体が一体となって地域の後継者の確保に取り組んでいただく、そういうふうな予算を新たに考えてございます。その中で、先生御指摘ございましたように、農家の後継ぎだけではなくて、例えば転業青年でUターンしたい、あるいはさらに言えば非農家で農業をやりたいといった青年、そういう方々も含めて幅広い観点から農業の後継者を確保していきたい。そんなことに平成三年度から始めようと考えているところでございます。地域の実態に即して具体的にいろいろ検討、研究してまいりたい、そういうふうに思っております。
 それから、三番目におっしゃられました農村の配偶者問題、これも先生御指摘のとおり、大変地域によっては深刻化しておりますし、農業が御案内のように家族労働中心ということでございますので、大変重要な問題というふうに認識しております。ただ、基本的には個人的な問題でございますので、従来は各県なり市町村でいろいろ対策ございましたが、平成二年度から農林省としても農村の若者と都市の若者の交流を行う、そういう場づくりを積極的にやっていこうということで新たな事業を興しているところでございます。
 外国人花嫁の問題につきましても種々議論があるわけでございますが、いずれにいたしましても、後継者問題と同様この花嫁問題の解決には、基本的には農業がいろいろ言われます点から言って、魅力ある産業に育てていくということが大事ではないかと思っております。先生の御示唆を踏まえて、今後県なり市町村とも十分連携をとりながら適切に対処してまいりたい、そういうふうに考えております。
 以上でございます。
#195
○説明員(三宅輝夫君) お答え申し上げます。
 先生が先ほど御指摘になられました農林水産業分野での外国人の方々の日本での研修という点についてでございますが、私ども農林水産省のいわゆるODAの担当窓口といたしましては、従来当省のODA予算を使いましてさまざまな研修員受け入れ事業を展開をしてきております。例えば、これは全国農業協同組合に縁の深い機関でございますが、アジア農業協同組合振興機関とか、あるいは国際農業者交流協会、そういった機関を通じましてアジアの方々を中心に日本で農業分野で研修をしていただくという事業もやっております。さらに珍しいケースでは、ICAと申しますが、国際協同組合同盟という国際NGOに私どもが資金を拠出をいたしまして、そのお金で日本で研修をやっていただくというようなプログラムも現在動かしてございます。
 先生が御指摘になりましたとおり、外国人の農業の研修生受け入れといいますのは、ODAの立場から申し上げますと、やはり国際貢献の重要な一環であるということを従来とも私ども強く認識しておりまして、今後の拡充ということにさらに努力をしてまいりたいと思います。
#196
○田代由紀男君 今のODAの関係がありますから、JICAとも、よく眞木副総裁とも話し合ってよろしくお願いします。
 大臣がお帰りでありますから、一問だけお願いします。
 さっき申し上げました「重み増す雇用創出 開かれた企業社会こそ」に関してお尋ねします。
 今度の湾岸で東南アジア地域においても非常に被害がありまして、インド、パキスタン、フィリピン、バングラデシュ、スリランカ、こういうところで出稼ぎが帰ってきた、そしてそれが職がないということで七十億ドルの損害がありますね。そういうものともう一つ、JAIDOでやっております繊維、食品加工などでは二億から三億で二百人程度の企業における雇用の創出ができるそうであります。これをまず八カ国で頑張って百社ずつやりますと十六万人の雇用創出ができる。こういう小さな雇用安定と産業移植を地道にやっていく。こういうことをやらないと、日本がどんなにやっても、世界一の直接投資国でありながら、相手からありがたがられずに尊敬もされない。また、海外進出を通じたシェア拡大をやっても地域社会の心を開いてくれない。そういう徳のない努力をしておりますが、そういうのをノーボーダー、ノーフリクションで立派な雇用が創出できるように、ぜひ大臣、そういうアジア全般的な問題等をポスト湾岸の問題でお考えいただければと思います。
#197
○国務大臣(小里貞利君) 雇用創出あるいは技術移転に関連をしてのお話であろうかと思います。
 申し上げるまでもなく、今日国際化が大変顕著な勢いで進んでおります。特に我が国のごときには、大変大きな国際社会におきましても役割を担わなければならないことは論をまたないところでございます。また、ただいまの御意見は、あるいはお尋ねは、一面におきましては政府次元における一つの方針もあろうかと思うんでございますが、わけても私ども労働行政の立場から言いましても、これは積極的な意味におきまして十分対応に努めなければならない問題ではなかろうか、かように感ずる次第でございます。
 ちなみに申し上げますと、先ほど私衆議院の予算委員会に出かけておりましたが、その間にあるいはお尋ねがあったかと思うんでございますが、今日外国人労働者の問題等国内におきましても相当論議が高まっております。これらも言うなれば専門的な、技術的な能力あるいは外国人ならではの能力を有する、そういう労働者以外の、あるい
は研修生はまた別途でございますけれども、単純労働者等におきましてはなかなか積極的に対応ができかねる状況でもありますから、そういうようなことを内外絡み合わせて考えましても、ただいま先生の方から御指摘がございましたいわゆる中東地域における現地における雇用機会の創出あるいは技術移転、日本等からのそれらの援助は積極的にあってしかるべきものではなかろうか、かように考える次第でございます。
#198
○田代由紀男君 終わります。
#199
○西川潔君 新大臣に初めて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 私は高齢者福祉をやらせていただいております。そこで、高齢者雇用についてお伺いしたいんですが、昨年策定されました高年齢者等職業安定対策基本方針を見せていただきますと、六十歳定年制につきましては平成五年完全定着と、こう明記されておられます。六十五歳までの雇用確保につきまして、顕著な増加を図ると、いただきました資料にはこういうふうに記されておりますが、まず新大臣に高齢者雇用対策に取り組む労働大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#200
○国務大臣(小里貞利君) いよいよ本格的な高年齢者社会を迎えるに当たりまして、活力ある経済社会を維持していくためにも高年齢者の高いいわゆる就労意欲、あるいはまた蓄積された技能、経験等を十分社会の発展のために御貢献いただく機会をつくるということは労働行政の基本であろうと思っております。
#201
○西川潔君 現場のおじいちゃん、おばあちゃん、皆さん方にお伺いしますと、年をとってどんな生活がしたいですかという質問をさせていただきますと、医療、年金、住環境、ぜいたくを言ったらあとは、寝たきりの人、病気の人は別として元気で老後も希望を持って仕事をしたいという方が大半でございます。
 そこで、基本方針の中に、職業生活からの引退過程での社会参加については、シルバー人材センターを活用して就業の場を確保するということも述べておられます。また、平成三年度新規施策のシルバーワークプラザです。独立して事業を展開するシルバーワークプラザ。この点シルバー人材センターから一歩進んだものと僕なんかは大変楽しみにしております。昨年のこの委員会でも僕はお尋ねをさせていただきましたんですが、シルバー人材センターショップのようなものをつくってはどうでしょうかと提案させていただいたんですが、そのイメージに近いものという感じを自分は受けました。大変うれしく思います。このシルバーワークプラザの具体的なイメージをお聞かせいただきたいと思います。
#202
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生御指摘の点でございますが、本格的な高齢化社会の中で健康で働く能力や意欲を持った高齢者の方々がますますふえる状況にあるのは御指摘のとおりでございまして、シルバー人材センターの果たす役割は今後なお一層重要になってくるものというふうに考えております。
 そこで、シルバー人材センター、これは国の政策として位置づけられましてちょうど十年を経過するところでございますが、事業は順調に推移しておりまして、地域におけるニーズがいろいろあり、今後のシルバー人材センターの発展を図るためには、会員の働く拠点である独自の作業所等を確保し、事業の展開や会員のための研修等を推進していくことが必要であるというようなことでございまして、労働省といたしまして平成三年度から、請け負った作業を実施し、また製作したものを展示する多目的な作業所あるいは技能訓練、研修等を行う場所としてのシルバーワークプラザを市町村が設置する場合、国として助成する制度を発足させることとしたところでございます。
#203
○西川潔君 今までは本当に役所の隅っこにちょろちょろっと陳列というんですか、ディスプレーする程度のことでございますので、こういうものが、まだスターとするところなんですけれども、進んでいけば、広まっていけばお年寄りの皆さん方は本当に希望を持って楽しい老後を送れるのではないかなと思います。将来的には、僕は思うんですが、このシルバーワークプラザをさらに発展させていただいて、そして独立をさせて生産から販売までを一貫して行えるようなことを提供していただきますと、本当に皆さん方に喜ばれると思います。この答弁はいただかないとして、ぜひそういうふうな方向でお願いしたいと思います。
 次に、高校中途退学者についてお伺いをいたします。
 平成元年度の高校中退者は過去最高の十二万三千人を超えております。その中で、進路を変更したいと答えた人の内訳を見せていただきますと、就職を希望するという人が六六%と多数を占めております。その意味では労働省におかれましても早急な対策が必要である、こう思います。まず、この問題についてどのように考えておられか、お伺いします。
#204
○国務大臣(小里貞利君) 高校中退者の問題でございますが、先生ただいまお話ございましたように、平成元年度中に約十二万三千人、これは過去最高でありますよという数値でございますが、大変胸の痛む問題であろうかと思っております。
 本来、これら高校中退者については、職業人としての資質が不十分であったかといえば決してそうではないのでありまして、十分それらの素養、資質は具備している皆さんである、私どもはこういう根本に立たなければならないと思う次第であります。したがいまして、就職に向けて十分な指導が行われていないために離転職を繰り返している、そういう人たちが多いのではなかろうかとも思います。職業安定機関あるいは職安行政といたしましては、これらの者が中退した段階からできるだけ早い機会にその実情を把握いたしまして、そして就職なりあるいはその人の適性なり等を正確に把握する、それらが必要だ、こう判断をいたしまして、高等学校などともできるだけ綿密な相談を行いながら、連絡をとりながら中退者のいわば一つの希望なりあるいは性格等にふさわしい職業に就職をさせる、そして立派な職業人として育っていくように側面援助をする必要がある、そういうふうに感じております。
 なおまた、御承知いただいておるかと思うんでございますが、平成三年からそのような観点に立ちまして高校と綿密な連絡をとりながら、そして早期に中退者の状況を把握する、そしてその就業対策を適切に行う、そういうようなことも、言うなれば計画的かつ一貫した指導を行いまして円滑な就業の促進と健全な職業人としての育成を図ってまいりたい、かように考えております。
#205
○西川潔君 ありがとうございます。
 現場の子供たちに聞きますと、学業についていけないというような子供たちもおりますし、もう一度一から勉強をやり直したいという子供たちもおります。そしてまた、六六%の仕事をしたいという子供たちもおりますが、途中で本当に悩み苦しんでおられる子供たちがたくさんおります。どっちの方向へ進んでいけばいいのか、お父さんは忙しい、お母さんはパートに出ている、お友達はそれぞれ上の学校に行った、一体自分はこの世の中でどうして生きていけばいいのかなという子供たちが随分いらっしゃいます。
 今大臣もおっしゃっておられましたが、まだ少数ではございますが、中途でこうしてやめられた子供たち、もう一遍勉強したい子供たちには先生方がチーム方式をとりまして、もう一遍一から勉強をやり直せということで随分子供たちの役に立っておられる高校もございます。労働省におかれましても、この高校中退者、就職を希望する方々のために、スムーズに就職をしていただく、そういう意味におきまして、僕は公共職業訓練校の持つ役割が大変重要になってくると思います。働きたい、仕事をしたいという子供がたくさんおりますので、公共職業訓練校の高校中退者を受け入れる側の現在の体制、また今後こういう子供たちを労働省はどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
#206
○説明員(松原亘子君) お答え申し上げます。
 公共訓練施設におきましては、高校の中途退学
者につきまして新たに職業生活に入るための知識、技能を修得させるための訓練、これを私どもは養成訓練と言っておりますけれども、この養成訓練をこういった高校の中途退学者に対しては受け入れてやっているわけでございます。先生御指摘のとおり、こういった人たちに適切な訓練を行い、そして就職の場を与えることは極めて重要なことでございますので、今後とも公共職業安定所ですとか中学、高校と十分連携をとりまして、公共訓練施設において適切な訓練が実施できるように私どもも努力してまいりたいというふうに思っております。
#207
○西川潔君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
 何か一つ社会にいまして溝ができているように僕なんかは感じるんです。小さいころからいい学校へ入って、小学校、中学校、高校、大学と、いい大学を出ていい会社へ入らないといい生活ができない、世の中でブランド志向なんてよく申しますが、そういうような部分がありまして、行けない子はもうくさってしまって、さもあれば非行の方に走るような子供たちもおります。ぜひそういう部分で仕事をやりたい、勤めに出たいという子供たちのためにはよろしくお願いいたします。
 公共職業訓練校の持つ役割というのは大きいんですが、例えば職業訓練校、ここを卒業します。就職の際に短大などと同じような経歴と見るかどうかは個々の企業に任されているようでございますが、せっかく一生懸命頑張って学校を卒業したわけですから、でも企業によっては余り認めていただけない、初任給等に反映されない場合も多々あるそうでございます。また、昨年行われました国勢調査でございますが、こういう大きな書類の中に、小さいことなんですけれども、御本人さんにとっては大変大きな問題なんですね、これだけの書類の中に職業訓練校という記載は一切載っておりません。何か寂しい思いがいたします。卒業生の社会的評価を高める上に、また処遇の改善につながっていく今後の課題ではないかなと僕は思うんですが、これについてひとつ答弁をいただきたいと思います。
#208
○国務大臣(小里貞利君) 公共職業訓練校の問題につきまして大変深い御理解をいただき、そしてまた社会的な評価、それらも大変使命感が高いんだという一つの気持ちを込めての御指摘でございます。大変ありがたく考えておるところでございますが、申し上げるまでもなく、技術の革新あるいは情報化の高度な進展等の社会背景、それらに的確に、そしてまた柔軟に対応した職業訓練を実施いたしておりますことも御承知のとおりでございます。せっかくの先生の御指摘でございますが、私どもも決して自己満足をすることなく、それらの御意見も十分参考にさせていただきながら検討を申し上げてみたい、かようにも考える次第でございます。
 なおまた、習得した技能を生かして産業界で活躍をしており、給与と処遇面においてもその職業能力に応じた評価がなされているところであるとも私どもは一応考えておるところでございますが、今後とも訓練修了生の社会的評価が高められるよう、また御指摘の処遇が一層改善されますよう努力してまいりたいと思っております。
#209
○西川潔君 御丁寧に本当に答弁していただいてありがとうございます。じゃ、次に移ります。
 ことしの四月からですが、介護福祉士の養成課程として公共職業訓練校で、初めてでございますが、兵庫県立女子高等技術専門学院に介護福祉科を新設するそうでございます。喜ばしいことです。
 定員、対象者、修業年限、応募状況、そして費用、このような点について御説明いただきたいと思います。
#210
○説明員(松原亘子君) 御指摘のとおり、兵庫県では実践的な介護従事者の養成を目的といたしまして県立の技術専門校、女子専門校でございますが、ここでことしの四月から介護福祉科を開設するということにいたしているところでございます。
 この介護福祉科は、高等学校を卒業した女子、ことしの三月に卒業する見込みの者も対象といたしておりますが、その人たち、またはこれと同等以上の学力を持っているというふうに認められる人たちを訓練の対象者というふうにいたしております。
 定員は三十人で、修了年限は二年ということでございます。
 応募状況でございますが、一次募集を一月末に行いました。その結果、定員三十名に対しまして応募者は六十七名。一次の合格発表を二月の末にいたしましたけれども、二十七名が合格ということでございます。現在、若干定員に満たないということがございますことから二次募集を行っているという状況でございます。
 なお、費用でございますけれども、学費等の必要経費は、授業料、実習費を合わせまして二年間で二十五万円でございます。これ以外に、教科書ですとか実習のための洋服とか、それから介護福祉士になる場合の資格を登録するということになりますので、その資格登録料というのが必要になってきますけれども、そういうものを合わせましてこれが二年間で約十五万、したがいまして二年間でトータル約四十万が必要な経費というふうに考えられるところでございます。
#211
○西川潔君 先ほど乾先生もおっしゃっておられましたが、本当にお年寄りの介護の面では、妻であり嫁であり娘であり、いつも女性がそういう部分を担って、我々男性の方は余りおうちのことはやらないんです。そういう意味では、本当に十カ年戦略でもマンパワーということで、各界各層各分野にわたっていろいろお願いしているんですけれども、僕なんかもいろんなところでPRをさしていただいておるんですが、なかなか人というのは集まらないもので、でもこういう学校に初めて介護福祉士の課程ができたというのは本当にすばらしいことだと思います。そちらの学院では、実際に去年の四月から設置したかったそうですが、ことしの四月ということですが、去年からやりたかった、一年おくれた、こういうふうに聞いております。
 例えば、僕は思うんですけれども、厚生省の方でも勉強させていただいたんですけれども、この介護福祉士のことで労働省と厚生省、協議をするとか、中身が違うとかというのはございますんでしょうか。
#212
○説明員(松原亘子君) 介護福祉科の設置につきましては、先生御承知のとおり社会福祉士及び介護福祉士法に基づきまして、介護福祉士の養成施設といたしまして、厚生省と労働省とで共同して訓練施設を指定するということになっているわけでございます。御指摘の兵庫の県立女子高等技術専門学院につきましては、これを介護福祉士の養成施設として指定をするということになるわけでございます。
 申請が上がってくる、その前に計画が上がってくるということがあったわけでございますが、それを指定するに当たりましては、どういう人たちを訓練の対象者とするのか、それから教科の内容がどういったものになるのか、訓練期間、訓練時間をどうするか、それから設備等をどうするかということにつきまして、厚生省は厚生省サイドの要請、労働省は労働省サイドの要請等ございましてお互いに協議をしてきたわけでございます。
 協議の範囲というのは、今申し上げましたように非常に範囲が広うございますので、なかなか短期間に結論が得られるということではございませんでしたんですけれども、もう最終の詰めの段階に来ておりまして、近日中に介護福祉士養成施設として指定できるという見込みになっているところでございます。
#213
○西川潔君 例えば労働省の方でこうして資格をいただいて、厚生省のお仕事の分野の方でも介護福祉士としてのお仕事に従事できるということでございますか。
#214
○説明員(松原亘子君) 社会福祉士及び介護福祉士法によりますと、指定された介護福祉士養成施設を卒業すれば介護福祉士の資格が得られるわけでございます。ですから、その前に介護福祉士養
成施設として指定するかどうか、これは厚生大臣、労働大臣、両大臣が指定するということになるわけでございます。両大臣が指定された介護福祉士養成施設で二年間学んで卒業すれば介護福祉士になれる。その介護福祉士になれるという点については両省間の違いはございません。
#215
○西川潔君 ということは、例えば僕が介護福社士の資格を取るということは、労働大臣にもお許しをいただき、また厚生大臣にもということでございますか。
#216
○説明員(松原亘子君) ちょっと言葉足らずでございましたけれども、介護福祉士は厚生大臣からその資格が与えられるということでございますが、その資格取得の要件といたしまして、厚生大臣及び労働大臣が指定した養成施設を卒業すればその資格が得られるということで、施設の指定は両大臣ということでございますが、資格は厚生大臣から、こういうことでございます。
#217
○西川潔君 皆さんよくおわかりになりましたでしょうか。
 もう一回、ホームヘルパーには行けるというのは存じておりますけれども、今のところだけもう一回お願いします。
#218
○説明員(松原亘子君) 社会福祉士及び介護福祉士法という法律がございまして、この法律によりますと、第三十九条でございますが、「次の各号のいずれかに該当する者は、介護福祉士となる資格を有する。」というふうに書いてあるわけでございます。その中にいろいろございますけれども、「厚生大臣及び労働大臣の指定した職業訓練校等」「において二年以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの」、こうなっているわけです。したがいまして、労働大臣が出てきますのはその職業訓練施設を介護福祉士養成施設として指定するというところに出てくるわけでございます。
#219
○西川潔君 ということは、この県立女子高校を出ただけでは介護福祉士にはなれないんですか。
#220
○説明員(松原亘子君) ここで二年以上、二年間でいいわけですが、二年間介護福祉士として必要な知識、技能を修得すればなれるわけでございます。
#221
○西川潔君 納得できました。私、厚生大臣の許可が得られないとなれないのかなという、先ほどの御説明の中でちょっと錯覚したものですから。ありがとうございました。
 介護福祉士の養成課程、今後も県立の職業訓練校及び雇用促進事業団立の職業訓練施設など、全国的に設置していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 これで終わります。
#222
○委員長(福間知之君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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