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#1
第120回国会 社会労働委員会 第4号
平成三年三月二十六日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月七日
    辞任         補欠選任
     西田 吉宏君     中曽根弘文君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     中曽根弘文君     西田 吉宏君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         福間 知之君
    理 事
                田代由紀男君
                前島英三郎君
                対馬 孝且君
                高桑 栄松君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                糸久八重子君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                堀  利和君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                乾  晴美君
                勝木 健司君
                西川  潔君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     熊代 昭彦君
       厚生大臣官房審
       議官       山口 剛彦君
       厚生大臣官房審
       議官       市川 和孝君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       長谷川慧重君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省薬務局長  川崎 幸雄君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省年金局長  加藤 栄一君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   大西 孝夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       外務省国際連合
       局社会協力課長  鈴木 一泉君
       文部省高等教育
       局医学教育課長  草原 克豪君
       労働省労働基準
       局監督課長    山中 秀樹君
       消防庁消防課長  中川 浩明君
       消防庁救急救助
       課長       飯田志農夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (厚生行政の基本施策に関する件)
○救急救命士法案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○対馬孝且君 先般、下条厚生大臣から大臣の所信表明がございました。とりわけ私はきょうは限られた短い時間でございますので、大臣の基本姿勢について重点的にお伺いしたいと、こう思います。
 まず最初に、社会保障政策の考え方についてお伺いをしたいと思います。
 この前、大臣は「お年寄りから赤ちゃんまでの幸せ」の具体的な内容のもとに、厚生大臣を拝命して社会保障政策に積極的に取り組んでまいりたいと、そういう意味の国民に対する誓いの言葉がございました。
 そこで、大臣の社会保障政策についての基本的な考え方を私はお伺いをしたいと、こう思います。政治信条として「お年寄りから赤ちゃんまで」というのが大変国民に響く言葉でございますが、このことについて大臣の具体的な考え方があれば、お聞かせ願いたいと存じます。
#4
○国務大臣(下条進一郎君) 対馬委員にお答えいたします。
 今お話がございましたように、私の信条といたしまして、向こうの言葉で言えば揺籃期から墓場までという言葉が社会保障のバックの使われる言葉としてございますけれども、私はやはり年長者をとうとぶという観点から「お年寄りから赤ちゃんまで」ということで、国民全般にわたっての行き届いた社会保障を実現していくべきである、こういう考えに立っておるわけでございます。
 所信の中でも申し上げましたように、今日の社会保障制度の運営は、国民一人一人が心から豊かさを実感でき、生涯を通じてその能力と創造性を発揮できる、お年寄りから赤ちゃんまでの幸せを目指す明るく豊かな長寿・福祉社会を築き上げることを目的とするものである、こういう考えでありまして、その実現に向けましてこれから大いに努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#5
○対馬孝且君 今大臣の心構えとして、何よりもやっぱり、私は今お聞きしまして、福祉最優先という国民的な姿勢で対処してまいりたい、こういう趣旨だというふうに理解をいたします。
 そこで私は、具体的に次の基本姿勢についてお伺いしたいのは、二十一世紀を見通して社会保障のあり方、二十一世紀はもう目の前に迫っている今日的現況でございます。厚生省は二〇〇〇年には六十五歳以上のお年寄りが一六・三%になり、さらに二〇二〇年には二三・七%に達すると、こう言っています。これは予測でございますが、最近の合計特殊出生率を見ますと、当初一・五七と言っておったのが、これは厚生省のつい最近の生涯出生率という、九一年三月十六日厚生省推計、五年後一・五七どころか一・三二に出生率が低下をすると、こういう発表をされております。したがいまして、高齢化のスピードは極めて加速的に速くなるという今日の現況だと思います。
 そこで私は、このような高齢化社会を迎えるに当たって、社会保障の基本的なあり方として高福祉高負担ということに対して大臣はどういう姿勢をお持ちか、考え方を持っているか、同時にまた、これからの二十一世紀を見通した場合の国民の租
税負担率と社会保障の負担率を含めて国民の負担率をどのような認識と考え方を持っているか、このことをお伺いいたします。
#6
○国務大臣(下条進一郎君) ただいまの最初の方の分野でお尋ねがありましたけれども、出生率が最近低下している。公式の発表ではただいま対馬委員からお話がありましたように一・五七という数字となっておりますけれども、その後のいろいろ統計の調査によりましても、まだ確定はいたしておりませんけれども、さらに下がる傾向があるやに受けとめられております。これは確かにいろんな見地から見ましても一つの問題として我々は認識いたしておるわけでございます。
 そこで、高福祉高負担という言葉が一般によく言われておりますけれども、その点のお尋ねでございますが、福祉社会のあり方といたしましては、ヨーロッパ諸国のような高福祉高負担の社会や、またこれと異なりましてアメリカのように民間の自助努力を中心とした社会など幅広いあり方がございます。それぞれのあり方はそれぞれの国の歴史的、社会的背景と国民の選択に基づくものでありまして、いずれがよいかどうかにつきましては一概に断定しにくい問題かと思います。我が国におきましても、実現すべき社会保障のあり方は、自立自助の精神とまた社会連帯の考え方に立ち、国民の基礎的な要請に基づきまして公的施策をもって対応、かつ高度な必要性に基づきまして個人及び民間の活力の基盤の上に立ちまして長寿・福祉社会を考えていきたいと、これが基本的な考え方でございます。
 これに続きまして、もう一つのお尋ねがいわゆる国民負担率の問題でございます。国民負担率は御承知のように社会保障の負担率とそれから租税負担率、この両方を合わせたものでございまして、この点につきましては、国民の立場から見れば負担率が低い方が望ましいということになりますけれども、やはりいろいろな財政事情あるいは社会保障を進展させるためのいろいろな負担もふえざるを得ない傾向もまた認めなけりゃならないと思います。
 そういうことで、長期展望に立ちまして昭和六十三年の三月にこの検討をいたしたことは委員御承知のとおりでございまして、その試算に基づきますと、二〇一〇年におきましては四〇%の半ばということで、いろいろ試算の前提によって異なってまいりますけれども、四四%ないし四七%程度の国民負担率が想定されるのではなかろうかと、こういう試算が出ておりまして、私たちはそれを前提に置きながら、国民の負担率は必要に応じては負担せざるを得ないにいたしましても、なるべく低目に抑えることができればということも努力を重ねておるわけでございます。
#7
○対馬孝且君 高福祉高負担という考え方は極めて抽象的な話でございますけれども、もちろんスウェーデン、デンマーク、あるいはそういう非常に高率で国民負担が大きいが完全に国が、生まれてから墓場に行くまでまさに心配はない、高齢化社会に全く心配なしと、こういう一つの物の考え方がございます、我が国のような原理もございますけれども。私はこれからの高福祉高負担のあり方の基本になるべきものは、国庫の負担ということを基本にして、国民的には最小限度にとどめていくという、こういう理念を持っているわけでありますが、そういう物の考え方に立って、これから厚生大臣として社会保障に取り組んでもらいたい。これは答弁要りません。要望しておきます。
 そこで、国民負担率ですが、今も大臣からございましたが、きょうは時間もありませんから大蔵関係を呼ぶ時間もございませんけれども、国民経済計算基準年変更に伴う国民負担率の再計算というのが、平成三年大蔵省から出ていますね。これで見ますと、平成二年度で大体三九・五%、つまり租税負担が二八・二%、それから社会保障の関係が一一・三%で三九・五%。平成三年度は見込みでありますが、若干下がって三八・七%。これは大蔵省の資料ですから間違いないと思いますが、こういう認識は間違いありませんか。
#8
○政府委員(熊代昭彦君) 国民負担率の最近の二年の数字の御確認でございますけれども、平成二年度は御指摘のとおり税負担二八・二、社会保障負担一一・三で国民負担率三九・五でございます。それから、平成三年度は税負担二七・六、社会保障負担一一・三、国民負担率三八・九でございます。
#9
○対馬孝且君 そこで、行革審が出しました平成二年四月十八日の最終答申というのがございます。これについてちょっと厚生大臣の考え方をお伺いしておきたいのでありますが、行革審でも最終答申の段階で国民的負担率は、これでいきますと昭和五十年代以降は上昇を続けて大体四〇%に達しておった、こういう状況が経過としてある、したがって逐年上昇を続けてまいりました。しかし、既に四〇%に達している状況を勘案いたしますと、これからは五〇%を上回ることが懸念されております。しかし、将来、ここに出ておりますように、五〇%未満にとどめるために、二十一世紀初頭の時点では四〇%台の水準に極力抑制すべきである、こういう考え方が出ていますね。これは間違いありませんね、この行革審に対する考え方は。
#10
○政府委員(熊代昭彦君) 平成二年四月十八日の第二次臨時行革審の最終答申でございますが、先生御指摘のように、「ピーク時二〇二〇年頃)においても五〇%を下回ることを目標とする。」ということが出ております。それから「高齢化のピーク時に至る途上の二十一世紀初頭の時点においては、国民負担率は四〇%台半ばをめどにその上昇を抑制すべきである。」となっております。御指摘のとおりでございます。中に「現在既に四〇%に達している状況から推して、」という、これも御指摘のことでございますが、これは先ほど御指摘の大蔵省の資料では四〇%に達しておりませんけれども、国民所得計算の見直しの結果、新しい数字が先ほど先生御指摘の数字でございます。
 以上でございます。
#11
○対馬孝且君 今、そのとおりだということです。
 そこで大臣、先ほど大臣の考え方を出していますが、行革審として出した答申ですら私に言わせればそういう方向を目指すべきである、こういう考え方でございますから、厚生大臣として二十一世紀を展望した場合に、行革審の最終答申などを踏まえて今後の国民の負担率という考え方について、もう一度新たなる決意をお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(下条進一郎君) 国民負担率につきましては、ただいまの答申の線を守りながら内容の充実に努めてまいりたいと思っております。
#13
○対馬孝且君 それでは次に、四百三十兆円の公共投資と社会保障の関係についての基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。
 昨年の六月二十八日に、公共投資基本計画というのを閣議了解されております。政府は一九九一年度から二〇〇〇年度までに総額で四百三十兆円、日米構造協議に基づく一応考え方を、計画を出されました。したがって、先ほど申しましたように、本格的な高齢化社会の到来ということを考えた場合に、何よりも健康で安心して生涯が過ごせるという長寿の福祉社会を目指すことが最優先である、こう考えます。そういうこともありまして、厚生省は高齢者保健福祉推進十カ年戦略というものを打ち出しました。つまりゴールドプランであります。これは着実に推進しつつありますけれども、とりわけ社会福祉の施設であるとかあるいは健康医療施設であるとかということについての充実を図る計画が出されております。
 このこととは別に、ゴールドプランの総額を見ますと六兆円ですね、厚生省がここに予算化しておりますのは。そこで投資部分だけ見ますと二兆円ですね。つまり建物の上物部分だけ言うと二兆円だと、こういう計画になっているわけであります。そこで私は、計画年度が一年ずれているわけですから正確性を欠いているのではないかと思うのは、単純に見ますと、計画全体から見ると一・四%なんですよ。そうでしょう、四百三十兆円の一年度ずれていますから。そうしますと、率で言いますと一・四%なんだね。これは社会保障と四百三十兆円の公共投資計画を見たらそれほどびっ
くりした大きい大胆な発想だというふうには私はどうも考えられない。この際、六兆円やったことはそれは努力は多としますよ。そこは多としますけれども、むしろ思い切って例えば二十兆円とかそのぐらい積極的に、四百三十兆円のうちの六兆円ではなくて、思い切って社会保障に二十兆円ぐらい投資する、こういう考え方があっていいんじゃないかというふうに考えますが、この点いかがでしょうか。
#14
○国務大臣(下条進一郎君) 対馬委員の社会福祉に対する御熱意はよく了承いたします。
 私の方といたしましては、ゴールドプランにおきましては、高齢者の保健福祉の分野におけるサービスの整備を図るため在宅福祉、施設福祉等の事業を進めることといたしております。そのうち公共投資に係る施設整備につきましては、平成十一年度を目標に特別養護老人ホーム二十四万床、老人保健施設二十八万床、ケアハウス十万人等の整備を進めることといたしております。当面はこの目標の達成に全力を尽くすことを考えておりますので、現時点ではゴールドプランの目標を変えるつもりはございません。
#15
○対馬孝且君 ゴールドプランはだめだと言っているんじゃなくて、それは結構なんです、これは私も持っていますから。それはそれでいいんだけれども、変えるとか変えないではなくて、これからむしろ積極的に厚生省としては対応する姿勢があっていいんじゃないか、私はそう言っているんです。例えば早めるとか、何も十カ年にこだわることはないんですから。ここにありますように、ホームヘルパーであるとかショートステイとかデイサービスとかという、これは十万人とか五万床とかとあります。私の言うのは、何もこれをやることがだめと言っているのじゃなくて、これをむしろ積極的に、十カ年計画であれば七カ年に早めるとか、あるいはもしくは量をふやすとか人をふやすとか、あるいは箇所をふやしていくとか、そういう積極姿勢があっていいんじゃないか、こういう意味のことを言っているわけでありますから、その点もう一度大臣の考え方をお伺いします。
#16
○国務大臣(下条進一郎君) 今の委員の御説明もよく了承いたしますが、今のところ全体の見直しは考えておりませんで、内容をともかくも計画に追いつくように毎年毎年積み上げの努力を続けてまいりたいと考えております。
#17
○対馬孝且君 ぜひそういう方向で、何も計画が決まったからこのとおりやるんじゃなくて、むしろ積極面を出した方がいいと思うんです。積極的な社会福祉の充実のための計画、ゴールドプランは六兆円でありますけれども、四百三十兆円から見れば一・四%ですから。その点を私は強調しているのであって、そういう意味での積極性を特に大臣として取り組んでもらいたいということを強く要請しておきます。
 それでは次の問題ですが、我が社会党は基本的には四百三十兆円の公共投資のあり方については、国民生活関連投資に重点を置くべきである。とりわけ住宅、上下水道、公園、環境あるいは福祉、医療、こういうものをトータルで四百三十兆円の総額に対して七〇%は国民生活関連投資、私が今申し上げましたようなそういう方向に政策を転換する、こういう意味で国民福祉計画法、こういう法律を我が党は提唱するということにいたしているわけであります。
 そういう考え方に立ちまして、ちょっと具体論でお伺いしておきたいのは、例えば特別老人ホームの今日の個室化という問題について大臣どういうふうにお考えになっているか。つまり投資額の拡大という方向に向かっていくならば、特別老人ホームの個室化政策、個室化というものの取り組みに、時間もありません、たくさんあるんだけれども、問題点を明らかにする意味でも大臣の姿勢をお伺いしたい、こう思います。
#18
○国務大臣(下条進一郎君) 特養老人ホームの個室化の問題でございますけれども、これはやはり中の皆様の御希望、また介護をする立場等々から考えていかなきゃならない問題と思っております。したがいまして、余り大勢だとこれは御本人の個人の生活がいろいろと障害を受けるということもございますので、ほどほどの個室化ということが必要かと思います。
 例えば、本当に個室の中に長くおられますと、寂しくなり、それからまた社交性がなくなってかえってめいってしまわれる方もおられますので、個室化の進め方はそれらの状況をよく踏まえた上で、実情に合った形で余り大部屋ではなくてほどほどの数で御一緒に生活していただく、またお人によっては個室を希望される場合は個室化ができるように努力をしてまいりたいと考えております。
#19
○対馬孝且君 この点についてはもっと深い論議も必要なんですけれども時間がありませんから、個室化ということは、私も老人ホームに去年も福間委員長を先頭にして北海道の栗山にある福祉村など、あるいは札幌、随分調査をさせていただきました。やっぱりその声は強いですね、ぜひ個室化の方向に踏み切ってもらいたい。これはやりとりの時間もありませんから申し上げませんけれども、ぜひひとつそういう方向で取り組んでもらいたい、こういうふうに強くこれも要求しておきます。
 それでは、最後にマンパワー対策の平成三年度の予算化の概要についてお伺いいたしたいと思いますが、ゴールドプラン、先ほど申しましたように、高齢化福祉社会への対策という点では施設その他はかなりそれなりの前進をする計画に相なっておりますが、一面福祉介護という点でいきますと、ソフトの面ですけれども、かなり今人的充実ということが強調されております。そういう意味で、厚生省が福祉マンパワー確保が重要であるという主張についてはわかりますが、具体的に平成三年度の特徴的なこの問題に対する予算の内容について説明をしていただきたいと思います。
#20
○政府委員(熊代昭彦君) 平成三年度の保健医療・福祉マンパワー対策の概要についてでございますが、先生も御指摘のように、二十一世紀の本格的な高齢化社会に向かいまして厚生行政のニーズが非常に増大するという中で、サービスの担い手であります保健医療及び福祉の分野のマンパワーの果たす役割は一層重要になりつつあります。必要な人員の確保、資質の向上等のさまざまな課題に適切に対応していくということが必要であると基本的に考えております。
 三年度におきましては、当面緊急に講ずべき措置といたしまして処遇の改善、それから就業の促進、養成力の拡充強化、マンパワーのすそ野の拡大、イメージアップ等の対策を講ずることといたしております。
 具体的には、処遇の改善対策でございますが、病院内保育施設の充実、それから国立病院等の夜間看護手当の充実、看護職員リフレッシュ研修会の創設等の看護職員対策。それから第二番目といたしまして、ホームヘルパーの手当の引き上げ、社会福祉職員の業務省力化等の福祉マンパワー対策。
 それから二番目の柱の就業促進対策といたしましては、ナースバンクの拡充、福祉人材情報センター等の設置、それからホームヘルパーのチーム方式の導入等を盛り込んでおります。
 それから三番目の柱といたしまして、養成力強化対策でございますが、看護婦養成所への助成の強化、ホームヘルパー、社会福祉施設職員の研修の充実等を織り込んでおります。
 それから四番目の柱のマンパワーのすそ野の拡大対策でございますが、ふれあいのまちづくり事業等によりますボランティア活動の振興等を織り込んでおります。
 それから五番目の柱といたしまして、イメージアップの対策でございますけれども、看護の日の創設等の施策を実施することといたしております。
 以上でございます。
#21
○対馬孝且君 一応の計画は今説明受けましたけれども、私はそれでは不十分じゃないか。時間ももう参りましたから特に申し上げたいことは、確かに今説明があった福祉施設とか、あるいはマン
パワーの人手の対策とか人材的な問題とかという、それなりに今言われましたけれども、とりわけ例えば私の今調べた結果では、看護婦にしても潜在的に看護資格を持っている人がおよそ四十七万五千人はいる、こう言われているわけだ。しかし、実際にこの人たちが資格を持ちながらも就職していない、分析が私は必要ではないか。単に人材センターの充実とかいろいろなことを言っていますけれども、問題はそこらあたり、根本原因はどこにあるのか。
 この間も労働日に労働大臣に対して申し上げましたけれども、世に言われる三K、きつい、汚い、危険、こういう問題。加えて最近は六KYと言っている。給与が安い、休暇がない、格好が悪い、屋根がないとかいろいろな要素はありますけれども、とりわけこの看護の問題であえて言うならば、この三Kの問題を含めて根本的に解消する体制というのが必要ではないか。こういう点を考えますと、いま一歩このマンパワー対策については積極的な取り組みがもっと必要ではないか、こういうふうに考えますので、これらを含めて大臣に決意なり考え方をお伺いして、私の質問を終わります。
#22
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま対馬委員からの看護職員の状況についてのお話、これは確かに非常に大事な問題でございます。厚生省といたしましても、この問題は非常に緊急の解決を要する問題だ、そういう認識に立っておりまして、この三月中に各都道府県に、看護職員の需給と申しますか、これからの必要の人数、またそれに対してどの程度供給が追いつけるかというような具体的な正確な実態を知りたいということで調査を開始する予定にしております。
 委員御承知のように、本来はまだ前の統計でそれをもととして施策を進めるべきでございましたけれども、状況がかなり異なってまいりましたので、新たに今月中に通達を出しましてもっと新たな事態に即応した資料を集めたいと思っております。それに基づきましてさらに具体的な対策を講ずることにいたしますけれども、当省の中にありますマンパワー対策本部におきましてこの看護職員の充実の問題については鋭意努力は重ねておる次第でございます。
 御承知のように、養成あるいは施設の問題につきましても、平成三年度の予算におきましては格段の増高を図るようにいたしておりますし、それからまた勤務の条件についてのお話もございましたけれども、休日の問題あるいはまた看護職の日常の全体の休日の問題等につきましても、ほかのいわゆる民間あるいは国家公務員の勤務状況に決して劣らないようにということで指導を続けておりまして、今おる職員が喜んでそのとうとい使命に専念できますように、また新たに新しい方々が喜んで入られるように、あるいはまたやめられた方々が家庭の状況で再び復職することができる道をさらに開くように努力をしているさなかでございます。
#23
○対馬孝且君 終わります。
#24
○糸久八重子君 私はきょうは、東京都の病院の移譲の問題と、それから看護職員の完全週休二日制の問題、それから四月から施行されます学生の国民年金の問題、三つの柱について質問をさせていただきます。
 まず最初に、東京練馬区に医師会立光が丘総合病院がありますが、この病院は六十数万の人口を持つ練馬区にたった一つの公立病院もない、公立がだめならせめて公的な病院をという区民の願いを受けて四年前に設立されたものでございます。
 ところが、三月末をもって日大に経営移譲されることになりました。そして、三月九日に練馬区の医師会は光が丘病院に働く医師、看護婦、そして職員などの約三百人の病院職員全員に解雇予告通知を出したわけでございます。
 日本では、例えば銀行が合併したようなときでも労働者はもちろん労働条件や勤務経験など新しい企業にそのまま引き継がれていくのが常識でございます。病院が倒産したわけでもなく、経営権が移行するだけなのに全員を解雇するということは非常識な処置ではないかと思います。
 そういう中で職員の半数以上が解雇予告通知の受け取りを拒否している状態でありますし、五十人は東京地裁に地位保全の仮処分を申請したと聞いております。
 この問題につきまして、まず労働省にお伺いをしたいのですが、職員の権利が守られるような適切な指導、監督が行われておりますでしょうか。その点についてお答えください。
#25
○説明員(山中秀樹君) 一般的に労働契約を終了させるための解雇については、権利の乱用に該当する場合を除き解雇の自由は認められております。
 ただ、基準法上においては使用者に解雇を行う場合は、少なくとも三十日前に解雇予告を行うか、あるいはこれにかわる解雇予告手当を支払うということを私ども基準法上義務づけております。したがいまして、一般的に解雇の乱用に該当するかどうかということが問題になろうかと思います。
 その意味で、解雇の乱用に該当するかどうかということは、当該事案に即して裁判所において判断されるべき問題であるというふうに私どもは考えております。
#26
○糸久八重子君 労働省、ありがとうございました。
 それでは、厚生省にお伺いをしたいのですが、現在入院中の患者の医療を継続するためには、病院経営者の変更あるいは廃院と再開院の手続が円滑に行われなければならないと思います。患者の医療に迷惑や混乱が生ずるおそれはないのでしょうか。その辺の見解をお伺いしたいと思います。
#27
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり医療機関の開設者が変更となります場合に当たりましては、医療法上の手続ということで廃止あるいは開設の手続が必要でございます。そういう面でその手続に当たりまして、現在入院していらっしゃる患者さんに診療上いろんな問題が生じないようにやっていかなきゃならないということは当然のことでございます。そういう面で私どもといたしましても、東京都とよく連絡をとりながら、東京都の方でそういう手続に当たりまして、患者さんに支障を来さないように十分配慮してやっていただくように東京都によく指導いたしているところでございます。
#28
○糸久八重子君 それでは続いて看護婦問題についてお伺いをいたします。
 看護職員の不足の問題については大変な深刻な状況になっておりますけれども、先ほど対馬委員からも話がございましたとおり、看護職は今やきつい、汚い、危険の三Kに加えて、給料が安いとか結婚ができないとか、子供が産めないとか、大変な状況に立ち至っております。そして多くの看護婦が三、四年で職場をかわる、あるいは燃え尽きて離職に追い込まれているという現状がございます。現在働いている人でも仕事に責任が持てない、仕事をやめたいと思う看護婦が八五%に達しておる調査もございます。
 看護婦不足の危機は医療そのものの危機と言わねばなりません。この危機を乗り越えるためには厚生省としてはどのようなことを考えておられますでしょうか。
#29
○国務大臣(下条進一郎君) 看護職員の充実、また現在おられる方々の勤務に即応した体制の整備、これはもう喫緊の要務でございます。そんな大事な問題でございますので、先ほども対馬委員のところで御説明いたしましたように、実態はどうなっているかということがまず正確に把握されなくてはならないということでありますので、今月中に厚生省といたしましてはまず実態把握を正確にしようということで、各都道府県の協力を得まして実態把握をまず正確に出すということを努力してまいることにいたしております。
 また、それと並行的に、現在看護職員の充実という問題も喫緊の要務でありますので、新しい看護職に入られる方々の内容をさらに充実してまいりたい、こう考えておりまして、教育の支援あるいはまた施設の支援という観点から、平成三年度の予算においても特段の配慮をいたしておるわけでございます。
 また、現在おられる看護職の方々にとりましては、前からいろいろと勤務体制についての御要望も出ておりまして、夜勤の問題あるいは全体の週休の勤務の時間等につきましても、特に過酷にならないように指導をしておるところでございますが、ところによりましては例えば二・八の問題等につきましても、まだその水準に及ばないところがあるわけでございますが、こういった問題につきましては、今後も指導をさらに進めてまいることといたしております。
 それからまた、既に看護職の方で家庭の事情あるいは個人の事情で退職された方にとりましては、各県にセンターを強化いたしまして、そのところで情報をとりながら再び復職される方が復職しやすいような条件をお話し合いいたしまして、また復帰していただくような手当てもやっているわけでございます。
 そのほかまた、お子様を持ちながら勤務される方、いわゆる保育所の問題もございます。この問題につきましてもさらに充実を図るように努力を心がけておるところでございます。
 それやあれやの諸施策を通じながら、看護職の方々がより希望を持ってこのとうとい仕事に専念できますような条件をつくり上げるように今努力をしているところでございます。
#30
○糸久八重子君 患者が安心して療養でき、そして看護婦が人間らしく生きるためには、今大臣がおっしゃいましたとおり看護婦を大幅にふやす、そして夜勤の回数を少なくする、人並みの休みとゆとりを保障する、看護専門職としての賃金を保障する、院内保育所の設置など労働条件を改善する等々要求があることを、実は私どもは二月に医療現場の調査をいたしまして実際に見聞きしてまいりました。
 要求はたくさんあるのですが、きょうはまず今働いている看護婦さんたちがやめずに済む対策、もっとゆとりをつくること、このためにはまず完全週休二日制、二人夜勤で月八日以内、二・八体制と言っておりますけれども、それらの完全実施を初めとする労働条件の抜本的な改善を行うべきだと思います。厚生省は完全週休二日制、それから二・八体制の完全実施についてどう認識していらっしゃいますでしょうか、またこの実現に向けてどのような対策を講じていらっしゃいますか、お伺いいたします。
#31
○政府委員(長谷川慧重君) 看護職員の勤務条件に関するお尋ねでございますが、この勤務条件につきましては、基本的にはそれぞれの病院において定められるものというぐあいに思うわけでございますけれども、社会全体といたしましては勤務時間の短縮が求められているという中におきまして、当然看護職員につきましても、先生御指摘のように、勤務時間の短縮なり週休二日制の実施を図っていくことが必要であるというぐあいに考えております。
 まず、夜勤体制につきましては、人事院の判定におきまして、通常の業務量ないしは突発的事態の生ずる頻度等の比較的少ない看護単位につきましては、必ずしも二人以上の夜勤者を配置しなければならないものというぐあいには認められないというぐあいに言っているわけでございますが、多くの看護単位につきましては、計画的に一人夜勤の廃止に向かって努力すべきであるというような人事院判定があるわけでございます。そういうことで、この夜勤の回数につきましては、月平均約八回を一応の目標として計画的にその実現を図るべきというぐあいに言われているわけでございまして、これらの人事院判定を踏まえまして、看護職員の夜勤勤務の負担軽減に取り組んでまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。
 それから、夜勤日数の改善につきましては、従来から指導を行ってまいっているところでございますが、今後とも夜勤体制の改善を含めまして看護職員確保対策に努力してまいりたいというぐあいに考えております。
 それから週休二日制の問題でございますが、この週休二日制につきましては、閣議決定等もございますので、閣議決定を踏まえながら週休二日制の実現に向かって努力していかなきゃならないというぐあいに考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、看護職員の層の拡大等をまず図っていくことが必要であろうというぐあいに思っているわけでございまして、先ほど大臣から御答弁いただきましたように、今後の見通しをもう一回きちんと策定いたしまして、それを踏まえて今後の必要数の養成等に努力してまいりたいというぐあいに考えている次第でございます。
#32
○糸久八重子君 去る三月八日に衆議院社会労働委員会で、労働大臣は我が党の沖田委員の質問に対しまして、看護職員の平成四年末を目途とする週四十時間労働、完全週休二日制の達成についてはこれはきちんと政府が目標を決めているわけですから、これを忠実に履行できるよう私どもは責任ある措置をとらなければなりませんと答弁をされておりますし、これはでき得る問題だと所感を示しておられます。
 そこで、厚生大臣にお伺いいたしますけれども、看護職員の完全週休二日制、これは平成四年度がリミットでありますから、厚生省もこの前提のもとに労働時間短縮を進めていると理解してよろしいでしょうか。
#33
○国務大臣(下条進一郎君) そういう方向で努力をいたしております。
#34
○糸久八重子君 日本看護協会の看護職員実態調査によりますと、病院に勤務する看護婦で完全週休二日制の適用を受けているのは二・七%にすぎません。看護職員の完全週休二日制の導入は非常に立ちおくれているという状況です。しかし、平成四年度末を計画期間とする労働時間短縮計画、これは国全体で取り組んでいるものですから、実態がこうだからと計画を後退するわけにはいかないわけです。もし看護職員における週四十時間、週休二日制の達成を阻むものがあるとするならば、これは厚生省の方で積極的に労働時間短縮計画を立てて条件整備を図っていくべきではないかと思います。平成四年度末を目途とする看護職員の完全週休二日制の実施について再度御見解をお伺いしたいと思います。
#35
○政府委員(長谷川慧重君) 平成四年度を目途に週休二日制ということは決められているわけでございますので、それに向かって最大限の努力をしてまいりたい、先ほども大臣から御答弁いただきましたようにやってまいりたいという気は十分ございます。
 そういう面で、それを踏まえながらこれからの需給計画の作成もやっていかなきゃならないであろうというぐあいに思うわけでございますが、現実問題として看護職員の確保が難しいような場合におきましては、ことしを入れてあと二年しかございませんので、やってまいりたいという気持ちは十分あるわけでございますが、実際にそれが四年度において完全になるかというお尋ねでございますれば、なかなか明快なお答えができないわけでございますけれども、何とか四年度中には週休二日制については実施をやってまいりたいという考え方で、私どもいろいろの計画を立てるなり、あるいは都道府県等とも話をしてまいりたいというぐあいに思っております。
#36
○糸久八重子君 完全週休二日制にしても夜勤の軽減にしましても、その実現を阻んでいるのは人が足らないということなんですね。
 厚生省は、三月十八日に保健医療・福祉マンパワー対策本部中間報告を発表いたしましたね。これを見ますと、看護職員の配置基準の見直しによる増員については触れられていないわけです。厚生省は現在の配置基準で完全週休二日制、二・八体制の実現が可能とお考えでしょうか。
#37
○政府委員(長谷川慧重君) 先生のお尋ねは、仮に一看護単位を五十床ということでいたしますれば、いわゆる四対一の基準でございますから十三人ということになりますので、十三人で二・八体制を組み、週四十時間制を組むということはまずできないというぐあいに思います。一人夜勤体制の場合でございますれば、それは八回あるいは週四十時間勤務体制を組めると思いますけれども、
そういう面で現行の看護婦の配置基準をベースにしてすべての看護単位においていわゆる二・八体制、週四十時間勤務が組めるかというお尋ねでございますれば、それは一人夜勤体制のところでは八回は組めますけれども、二人は組めませんよというお答えになろうかと思います。
 そういう面で、現行の四対一の基準をどうするかというお尋ねにも絡んでくるかと思いますけれども、私ども現在の四対一の基準がすべての医療機関に守られているわけじゃございませんので、二・八体制なりあるいは週休二日制といいますものを普及していくといいますか、実施していく過程におきまして看護婦さんの数がどんどんふえてまいりますれば、ある程度その実態を踏まえながら考えていく必要はあるだろうというぐあいに思うわけでございますが、現実におきましてはなかなか四対一の配置基準の変更というのはいろいろ難しい面もございますよと、今後とも需給計画を見直しをし、全体の就業者の数をふやすということに当面力を注いでまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
#38
○糸久八重子君 実際に医療法及び基本看護料の四対一の配置基準で完全週休二日制が可能かどうか試算をしてみたわけです。四十床を一看護単位とした場合に、基準看護で看護婦は十人、そして複数夜勤三交代で夜勤回数は月に十二回、夜勤、準夜勤のほかに休日とか年休等で休んでいる人を考慮いたしますと、日勤帯の看護婦さんは二人だけとなってしまいます。六十床を一看護単位といたしますとようやく月八回の夜勤が可能となりますが、これでも日勤帯の看護婦さんは五人にすぎないわけですね。
 現場の看護婦さんの声では、一看護単位というのは四十床以下、三十五床が限度だ、そう言っております。それ以上になりますと疲労度が急増するばかりか、看護そのものも支障が出てくると言われているわけですけれども、厚生省、こうした状況をどう認識していらっしゃいますでしょうか。
#39
○政府委員(長谷川慧重君) 看護単位の大きさといいますか、四十か五十か六十か、いろいろの看護単位のつくり方が現実あるかと思います。それぞれの病院におきます看護単位、その病棟に入院をなされる患者さんの状況に応じまして、あるいは四十なり六十なりという看護単位を決められているかというぐあいに思うわけでございます。例えば先生御存じのとおりに、ICUでございますれば二十床だとか、産科病棟あるいは小児病棟でも二十床という看護単位もございますので、患者さんの状況に応じて看護単位の大きさがさまざまあるかとも思うわけでございます。そういう面で、具体的に、じゃ四十床のところがどのくらいあるかというようなお尋ねでございますれば、これらのデータはちょっと今手元に持ち合わせておりませんけれども、そういう面で看護単位の大きさというのは患者の状況によってさまざま異なるというぐあいに思うわけでございます。
 それからもう一点、先生お話ございましたように、いわゆる夜勤体制を組むだけではなくて日勤の体制も非常に重要でございますので、日勤体制が手薄になるような夜勤の組み方というのも非常に問題があるかというぐあいに思うわけでございます。そういう面で、私どもいわゆる二人八回体制を組むにはいわゆる十六人プラス婦長さんが一人必要である、それから一人夜勤体制を組む場合には八人プラス一人婦長さんが要るというようなのが基本的な看護婦さんの数であろうというぐあいに認識いたしておりまして、そういうものを踏まえながらこれからの需給計画あるいは養成増等を図ってまいりたいというぐあいに考えている次第でございます。
#40
○糸久八重子君 現在の医療法の配置基準は昭和二十三年に決められたものです。基準看護の基本となる四対一の規定も制度ができた昭和三十三年以降全く変わってはおりません。当時は週四十八時間とかまたあるいは週五十四時間労働というのが前提とされていた時代でありますけれども、しかしながら、今日段階では、週四十時間労働、そしてその上医療技術の進歩が日進月歩で進んでいる、高齢化がますます進む、そういう中では、看護をめぐる状況というのはさらにさらに過密化をしてきているわけですね。そういう状況の中で、医療法とかそれから基準看護の配置基準を早急に見直す必要があるのではないかと考えられますけれども、その辺大臣の御見解はいかがでございますか。
#41
○国務大臣(下条進一郎君) 糸久委員のおっしゃいましたように、基準を決定いたしましたのはかなり前でございます。そして、その後の状況を見ますと、これは一つの比較の基準でありますけれども、ベッド数と看護職の方との人数の比率は、今ベッド数に対して当時決定したときよりは看護職の方の方が若干ふえておる。そういうことでございますから、今の問題が解決しているとか、そういうことを申し上げているわけじゃございませんが、いずれにいたしましても、確かに古い基準ではありますけれども、今厚生省といたしましては、この基準をやはり完全に実施できることが第一前提であるということで、今お話しの四対一の問題とか、夜勤の二対八の問題とか、あるいはその他の条件について非常に厳しいいろいろな克服しなければならない問題もございますけれども、省を挙げてその体制が早く組めるように努力をいたしておるところでございます。
#42
○糸久八重子君 この問題は、今国会には医療法の改正とか老人保健法の改正等がありますから、その中でまた詰めていきたいと思います。
 それでは次に、国民年金の学生適用についてお伺いをしたいと思います。
 二十歳以上の学生にも国民年金に加入することが義務づけられまして、この四月から制度が発足いたしますけれども、いろいろ問題をはらんでおります。
 まず、四月実施に向けて準備がなされておるようですけれども、この件については周知徹底をしていると思っておりますでしょうか。
#43
○政府委員(大西孝夫君) お答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、国民年金の学生適用が四月から開始されるわけでございますが、これの準備につきましては、昨年秋以来テレビ、新聞、雑誌等の媒体を使い、あるいは特に大学生向けということで、大学の新聞や大学向けの雑誌ということにも着目しまして広報活動を行いましたし、それからチラシを大学の構内で二百八十五万枚ほど配布させていただいたり、いろいろ限られた予算の範囲内ではございましたが、よく制度の趣旨、手続等がわかっていただけるような周知徹底の努力をしてきたつもりでございます。
 いずれにしましても、しかし実際に適用が始まります段階での国民の方々の理解、そして加入していただけるような反応をいただけるということが大事なわけでございますので、これからは従来のような一般広報に加えまして、各家庭、学生御本人や親のもとに、市町村を通じ、あるいはその親が勤めておられる会社を通じて学生適用の趣旨あるいは手続等につきましてパンフレット等をお送りしましてその周知徹底を図り、遺漏のないように努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
#44
○糸久八重子君 私、身辺でちょっと調査をしてみたんですね。まず、県の対応です。昨年十二月に具体的実施事項の通知を市町村に出した。三月には免除基準を通知した。四月以降は文書で個人あてにチラシと返信用はがきを入れて発送をするということでした。
 それから、市の年金課に行きました。市の年金課では、ことしの成人式には社会保険庁からのメッセージ文を個人に渡した。三月二十日に免除基準、申請書の様式などが県から届いた。それから各家庭に年金パンフを配布した、これはうちに来たわけですから持ってまいりましたけれども。この件について――この件についてというのは、学生の国民年金実施について問い合わせが今まで三件あったというんですね。
 それから、私の住んでいる町に私立の大学がご
ざいますから、その大学に行ってみました。三月十八日に県の国民年金係と中央の国民年金監察官が来校して説明をしてくれた。一応話は聞いたんだけれども、四月実施なのに対応が非常に遅いではないかと、大学側はそう言っておりました。それから特に要請があれば――特に要請があればと言いましたね、四月のオリエンテーション時には説明をすることも考えられるけれども、学校としてはちょっと難しい問題だから、県や市が対応してくれることを望んでいると。このことは学生個人の問題なんだから学校としてはクールな対応にならざるを得ない、そう申しました。
 この件の年金改正については一九八九年の暮れでしたね。免除基準が示されたのはことしの一月の二十九日でございます。準備作業のおくれとか、それから大学側や親、学生本人の関心の低さなど加入率の低下が大変心配になるわけですね。
 私の町の場合には、町にある大学の在学生の対象者が約千名、そして他の大学に在学している者が三百名ですから、大体千三百名程度だということでございます。しかし、四月は地方統一選挙がございまして、市町村の業務が非常にふえていることもありまして、加入者の受け付け業務というのは大変だろうと、役所も大変だとそうこぼしておりました。特に、小さな町の場合にはいいんですけれども、大都市の場合、例えば新宿区などこれは対象者が一万八千名おろそうです。大阪市では四万名だとそう言われていますが、果たして制度が順調にこういう大都市や何かの場合でも運営されるのかどうか大変心配になるわけですけれども、大臣の御見解いかがでございますか。
#45
○国務大臣(下条進一郎君) 国民年金を学生にすべて適用するということは、障害年金とかあるいは老齢年金その他の問題につながる全体の年金の中の枠組みの中で考えられる問題でございますので、当省といたしましてはぜひ円滑な開始が期待されるわけでございます。
 ただ、今委員御指摘のようにまだこのPRが十分ではないんじゃないかというお尋ねにつきましては、当省といたしましても、先ほど事務的に御報告いたしましたように、かなり気を配りながらPRをやっておりますけれども、まだ不十分の面につきましては関係官庁あるいは関係機関との連携をとりながら、さらにそのPRの徹底をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
 また、今学生さんが方々大勢おられるところにつきましては、我々としても特に重点的にそういう面を考慮しながらさらに実施してまいりたい。この新しい制度がぜひ円滑にスタートできますことを期待しておる次第でございます。
#46
○糸久八重子君 示された免除基準によりますと、学生被保険者に対しては現行の一般の保険料免除基準を適用するのではなくて、学生被保険者のみを対象とした新たな免除基準を設定したようですね。これによりますと、親が一定以上の収入がある場合に、親が保険料を支払うことになっていますが、親は子を育てる義務はありますけれども、子の老後の年金の保険料まで負担するいわれはないんじゃないかと思います。子の将来の老齢年金の保険料をなぜ親が負担しなければならないんでしょうか。その辺の御見解いかがでしょう。
#47
○政府委員(加藤栄一君) まず、現行の国民年金法におきましては、まず第一義的には被保険者に保険料納付義務がございますけれども、さらにそれをあわせまして世帯主がその世帯に属します被保険者の保険料を納付する義務を負っております。また、配偶者も負っておるわけでございまして、本人に十分な収入がなく保険料が負担できない場合には、国民の老後の年金保障を十全のものとするために、共同して生活する世帯が全体として世帯員の老後保障を確保するという考え方に立っているわけでございます。
 今回の学生適用によりまして、新たに学生に保険料納付義務が生じるわけでございますけれども、同居の場合には一般の被保険者同様世帯主が連帯して保険料を納付するということになるわけでございます。
 また、学生は一般に親元に扶養されておりますそういう実態が多いわけでございますので、同居別居にかかわらず親元の所得によりまして、保険料が負担できるかどうかというのも判断をするということにしたものでございまして、社会通念によってそういう取り扱いをしたというふうに御理解いただきたいと存じます。
#48
○糸久八重子君 学生は親に扶養されており、そして親と経済単位を一にしている。しかし、学生は負担能力がないんですね。そういう自分で支払う能力がない学生の場合に、被保険者期間というのは大体二、三年ですね。そんなに長くないと考えられますから、それならば就職をしてから払うという、つまり後払いですね、後払いという方法も考えられるんではないかと思いますけれども、その辺についてはいかがなんでしょうか。
#49
○政府委員(加藤栄一君) ただいま申し上げましたように、被保険者であります学生本人に保険料の負担能力がない場合でございましても、世帯単位で負担能力がありますれば保険料を負担していただくということでございます。世帯とあわせまして考えて、保険料納付が困難である場合には保険料納付を免除する道がございます。また、免除されました方には後ほどさかのぼって納付するという道もあるわけでございます。
 ただ、世帯全体で保険料の負担能力があるというふうに見ました場合には、他の被保険者の方とのバランスの上からもやはり保険料を払っていただくというのが適当な扱いではないかというふうに考えているわけでございます。
#50
○糸久八重子君 基本的には自分の年金というのは自分の力で納めることが原則だと思うのですね。例外をつくるときは他に方法がない場合のみに限り導入すべきではないかと思います。後で納めることが可能ならば、卒業してから自分で働いたお金で支払うという、そういう道を考えることの方が原則に合った方法ではないかと思うのですけれども、いかがなんでしょうか。
#51
○政府委員(加藤栄一君) 学生さんだけでございませんで、国民年金法の考え方ではやはり世帯単位に支払えるかどうかということを把握するという考え方を基本としておりますので、学生さん個人が全く所得がなくても、今申し上げたことでございますけれども、その世帯に支払い能力があればそのところは払っていただく。こういうのは学生さんだけじゃございませんで、そのほかの被保険者の方についても同様の取り扱いでございますので、そのところを御理解いただきたい。
 またさらに、ただし学生さんにつきましては、その世帯において学費等もかかりますので、特別の免除基準を定めまして、それは実態にできるだけ適応するようには運営してまいりたい、こういう考え方でございます。
#52
○糸久八重子君 保険料は月額九千円ですよね、大変大きな金額です。親は修正積立方式のもとで年金受給者の追加費用をまず負担する。それからさらにみずからの将来の年金原資を積み立てるということ。そして子の老後の費用まで支払うという三重の負担を課せられることになるわけでして、これは不公平であり、不合理ではないかなと、そう考えます。
 実際に加入受付が始まるのは、先ほどの最初のお話を申し上げましたとおり五、六月になるのではないか。そして七月から納入という形になるんじゃないかなというような気もしますけれども、もし七月納入という形になりますと四カ月分ですからね、三万六千円納入しなきゃならないんですね。この支払いなんですけれども、学生本人が支払うようになるのか、それとも親元が親の居住先で払うようになるのか、これはどうなるんですか。
#53
○政府委員(加藤栄一君) 学生本人に十分な支払い能力がない場合には、親に支払いの責任がございますので、親の居住地で親御さんから払っていただくということになるわけでございます。学生本人に支払い能力がある、世帯から独立している、そういう場合には学生が払うという場合も若干はあるとは思いますけれども、一般的には親御さんがお払いいただく、こういうことでございま
す。
#54
○糸久八重子君 最初の話ですと、学生が親から離れて、つまり別居している場合にはその先で払うというような話があったんですね。私は、大学に行ってその話をいたしましたところが、家庭から送金されてきたとしても、四十年先の年金のことというのは余り学生は関心ないから、送られてきたお金なんかはパチンコなんかで使っちゃうんじゃないですかねなんというようなことを大学側も言っておりました。免除基準がサラリーマンが六百万と聞いているんですけれども、賃金や物価に地域の格差がある中で一律の基準にも問題があるだろうし、それから同居とか別居の差とか、国公立とそれから私立の差とか、いろいろ細かい基準をつくってくだすったわけですけれども、細かく言いますとその中にも大変不公平が存在していると思います。
 私は、何回か本委員会でただしてまいりましたけれども、学生の国民年金というのはやはり障害基礎年金に見合った額を全員に課することが一番よかったのではないか、現在もそのように思っておるんですが、もう既に実施要綱が決まったようですけれども、この点についてもう一度お伺いをさせてください。
#55
○政府委員(加藤栄一君) 障害年金分だけの保険料を徴収するというお考えだろうと思います。ただ、私どもといたしましては、学生さんに適用するこういう制度をさきの法改正でお認めいただきましたときに考えましたことは、一つはやはりおっしゃいますように学生時代に不慮の事故で障害に遭った方が障害無年金になるということを発生防止しようということと同時に、将来満額の老齢年金をもらえるということを確保しようということも考えたわけでございまして、そういう意味では支払い能力のある世帯の学生さんには満額の保険料で将来の老齢年金も確保していただくということでお願いいたしたい、こういう趣旨でございます。
#56
○糸久八重子君 それでは、最後に大臣にお伺いいたしますけれども、いろいろ問題がある中で四月実施になるわけですが、今回実施してみて不都合があれば改めるべきであると思うのですが、大臣その点はいかがでございましょうか。
#57
○国務大臣(下条進一郎君) いろいろと委員のやりとりを伺っておりまして、いろんな御懸念をお持ちのことも今拝聴いたしました。新しい制度でございますからいろいろと懸念も生じようかと思いますが、先ほど最初に申し上げましたように、この趣旨が要するに若い学生さんの場合でもけがをする、あるいは極端に言えば亡くなる方もいらっしゃる、そしてその場合のことをまた想定いたし、それからさらに長い期間かけての年金制度の一員として十分な保障を得られるという、いろいろな観点からこのような学生さんにまで国民年金を拡大するということになったわけでございます。まず、今はこの新しい制度が緒につきますように各般の努力をいたしまして周知を図り、また御協力を得るように努力をしてまいりたい、このように考えております。
#58
○糸久八重子君 ありがとうございました。
#59
○堀利和君 まず、あん摩師、はり師、きゅう師の国家試験について質問したいと思います。
 昭和六十三年に新法としてこの法律が改正されましてから、昨年施行されて、現在着々と準備が進められているところです。この法律に基づいて審議会がございます。この審議会でいずれ行われるであろう国家試験の内容につきまして審議されているところでございます。今月の十二日にもあん摩マッサージ指圧師試験、はり師試験、きゆう師試験に関する検討小委員会、このもとにワーキンググループというのがございますけれども、この小委員会が開かれて試験に関する中間報告が行われ、あす親審議会といいますか審議会が開かれるということで、緊急にこの問題について質問させていただきたいと思うわけです。十二日の小委員会の報告を見せていただきました。それに基づいて質問をしたいと思います。
 幾つか問題がございまして、まず実技試験についてお伺いしたいわけです。旧法における現在、都道府県におきまして資格を取るに当たっては実技試験が実施されているわけでございます。ところが、審議の中ではいわゆる両論併記ということで実技試験を行うあるいは行わないというふうに報告されておりますけれども、これについてまず御説明をお願いしたいと思います。
#60
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 先生お尋ねのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関します国家試験等の問題につきましては、先生お話しございましたように、専門家から成りますワーキンググループ、それから小委員会、それから審議会というところで関係者の御意見をいろいろ聞きながら、最終的には審議会に御議論をしていただきまして御意見をおまとめいただくということで作業を進めているところでございます。
 今先生お話しございましたあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうにおきます施術技能の試験に関することでございますが、確かにこの職種の方々につきましては施術技能が重要でありますことから、国家試験におきましても引き続き実技試験を行うべきであるという意見があることも承知いたしております。しかしながら、一方におきましては、実技試験を行うことにした場合におきましては、全国一律の公正な公平な評価が可能であるかどうか、あるいは試験の実施体制が十分整うかどうか、それから教育カリキュラムの中におきまして相当時間の実習が行われていることなどから見まして、実技試験についてはもう十分やっているんじゃないかというような意見がございまして、行わなくてもいいんじゃないか、あるいはそれは筆記試験で代用できるんじゃないかというような御意見もあるというぐあいに聞いているところでございます。
 いずれにしましても、この問題につきましては、これから審議会の場におきましていろいろ御検討いただくことになっているわけでございますので、その審議会の御検討の結果を踏まえまして適正に対処してまいりたいというぐあいに考えております。
#61
○堀利和君 確かに難しい問題はあろうかと思います。都道府県で行っている現在に比べれば、全国統一してやるわけですから、人手の問題を考えても確かに難しいと思うんですね。その客観性はどうするかということもあろうかと思うんです。しかし、十分検討して試験官があらかじめマニュアル等をつくれば、これはある程度の客観性を持つわけでございますし、これは資格試験ですから、競争試験じゃありません。したがって、ある程度の技術的な水準に達すれば合格ということも十分可能であるわけですね。実際、大都市東京あたりでは受験者が多いということで必ずしも受ける人たちが同じ試験官に当たるというふうにはなっていないわけです。こういったことでもやはり調整というのはなされているわけです。
 したがいまして、客観的に難しいということは、どうももう少しその点での十分な研究が必要ではなかろうかと思います。学校あるいは養成校におきまして十分技術的な勉強もしているからということなんですけれども、盲学校で視覚障害の方が十分ここで技術を身につけておかないと、世に出てからまた新たに技術を磨く機会というのがなかなか難しいという事情があります。そういうことから技術というのを非常に重視しているというのが盲学校教育の現状であるわけですね。
 そこで、改めてお聞きしたいんですが、技術試験は必要ないであろうと言われる意見もあるんですが、それでは現在都道府県で行われている試験において、技術試験、実技試験が行われている意味といいますか、意義というのはどういうふうにお考えでしょうか。
#62
○政府委員(長谷川慧重君) 都道府県におきましては、それぞれのところで筆記試験と実技試験をそれぞれ行っているわけでございます。この両方を行うことによりまして、いわゆるそういう先生おっしゃられましたあん摩マッサージ指圧師の資格あるいははり師の資格あるいはきゅう師の資格
といいますものにつきまして、両方の試験を行うことによりまして資格認定を行うという観点から行っているところでございまして、それを今度、先生お話しございましたように、平成五年から厚生大臣によります国家試験、厚生大臣によります免許ということにかわるわけでございますので、その点におきまして、全国一律な試験あるいは全国一律な公平な資格という形のものにかわるわけでございますので、そういう点におきまして、これからの試験のあり方等につきまして、現在審議会の中でいろんな御意見があるわけでございますし、先生お話しのように、そういう特殊な技術を持つ資格でございますから、そういうようなものを勘案しながら審議会の中でいろいろ御検討いただいているわけでございますので、その審議会の検討の結果を待ちまして適切に対処してまいりたいというぐあいに考えております。
#63
○堀利和君 現在行われている実技試験の意義についてお聞きしたんですけれども、私は試験を甘くしてほしいなんということをお願いしているわけじゃないんです。都道府県で行われている試験がこれから国家試験になるわけです。それは何といいますか、一ランク上といいますか、大変重い試験になると思うんです。そのときに、今行われている実技試験が行われないということはどうも納得ができないということを、時間がございませんのでその点にとどめておきたいと思います。
 そして二つ目は、試験地の問題なんです。これもやはり報告書を見ますと、両論併記ということで現在行われているように都道府県に試験会場を持とうという御意見と、ブロック化しよう、ブロック別にやろうということがございます。これについて御説明をお願いしたいと思います。
#64
○政府委員(長谷川慧重君) 視覚障害者の方々のために十分な配慮を行うためには、国家試験を従前どおり四十七都道府県で実施する必要があるという御意見があるということも承知いたしております。また一方におきましては、四十七都道府県で実施することにした場合におきましては、試験の実施体制が十分整うのか、あるいは試験の実施経費が高くなりまして、受験手数料が高くなり過ぎないかというような問題もあるということで、既存の他の医療関係の職種と同様にブロック別に行うべきであるという意見と両方あるということも承知いたしております。
 この問題につきましても、現在審議会等におきまして、いろんな御意見を踏まえながら審議会で十分な御議論をしていただきまして、その結論を待ちまして対処してまいりたいというぐあいに考えております。
#65
○堀利和君 確かに統一してやるということは大変なことだと思うんですね。各都道府県でやることとブロック別にやることとの問題が、両方の理由があると思うんですけれども、ブロック別にやった場合は、一泊、泊まらなければならない。これは宿賃が必要です。当然交通費がかかります。そういう点で、受験する人たちの経済的負担といえば、都道府県でやると会場が広がるから受験費用の負担がかかるというのは私はこれは理屈に合わないと思うんですね。むしろブロック別にやった方が今言いました理由から負担がかかると思うんです。
 もう一つは、視覚障害者が遠くまで出かけていって試験を受けるという不安、また困難さを考えれば、当然私は視覚障害者の置かれた事情、配慮からいって、都道府県で試験は実施すべきであろうと思います。これもそのようにお願いといいますか、ということでとどめたいと思います。
 そして、三つ目の問題としましては、新法に基づいて今学校なり養成施設では一年生が新しいカリキュラムで勉強しているわけですけれども、この教育あるいは養成の体制、設備が十分でないというふうに聞いております。この問題からいいまして、当然、新法に基づくわけですから今の一年生が卒業するとき、つまり平成四年度、平成五年の春に資格試験を受けて世に出ていくというのは確かに常識だというふうに思いますけれども、そのようにお考えでしょうか、試験の期日というものを。
#66
○政府委員(長谷川慧重君) 平成二年の春からいわゆる新カリキュラムによります教育が始まっているところでございまして、都道府県レベルの試験から国の試験ということで、国家試験なり免許を受けるということを前提に平成二年の春から新しい学生さんが入学しておるわけでございます。これらの学生さんが三年間の教育を修了いたしまして卒業する時期が平成五年の春あるいは平成四年度の終わりということになりますか、そのころに国家試験、免許への移行もこれに合わせてやることが必要であるというように考えておるところでございます。
 先生が御指摘の点につきましては、移行期に当たりましてはいろんな問題点があるというぐあいなことも聞いておるところでございまして、今後とも文部省とも十分連絡をとりながら、十分な教育体制の整備を図りますとともに、そうした実情も十分踏まえながら円滑な移行に努めてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
#67
○堀利和君 確かに、今の新カリキュラムに基づいて勉強している一年生が卒業する三年後に国家試験を受けて世に出ていくというのは、これは常識だと思うんです。しかし、どうもそこには私は無理があるんではなかろうかと思うんです。
 そこで、少しお聞きしたいんですけれども、今の一年生、新カリキュラムに基づいて勉強している方々に対して教科書がそろってない、ほとんどないというふうに聞いているんですが、これは御認識でしょうか。
#68
○政府委員(長谷川慧重君) 平成二年の春から新カリキュラムによりまして教育が始まったわけでございますが、平成二年の時点におきましては、当初の段階におきまして新しいカリキュラムに適応した教科書が不十分であったということで、既存の教科書を使って新カリキュラムに乗っかった教育をやっておったというような話は関係者の方から聞いております。そういう点につきましては、私どもできるだけ早く新しいカリキュラムに乗っかった教科書の作成なり、あるいはそれに基づく教育につきましては、文部省と十分連絡をとりながら教育を進めてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
#69
○堀利和君 つまり、教科書がなくて勉強しているわけなんですね。
 それで、中途失明者の中卒者の方々が更生施設、リハビリテーションセンターでやはり同じくマッサージ、はり、きゅうの勉強をしております。これは五年課程というふうにもなるわけですね。そうしますと、現在二年生の方々が旧法に基づくカリキュラムで勉強しているわけです。五年課程ですから、この方々が卒業する際に受ける試験はこのままでいけば国家試験になってしまうんですね。つまり都道府県が実施しているレベルといいますか、水準の試験を受けるそのための勉強をしている現在二年生の中卒者の方々の受けるべき試験は、都道府県ではなくて国家試験になってしまうということが起こってくるわけですね。
 私、こういうことを考えて、今の新カリキュラムに基づいてやっている一年生には教科書がない、中卒者のリハビリセンターで学んでいらっしゃる二年生の方々が受けようとしたときには国家試験になってしまう、このままでいけば。私はどうもこれは非常識なことだなと思うんですよ。新法に基づいて入学し、三年後には国家試験をやる。これは常識なんです。しかし、教科書もない、中卒者の問題考えても、これは私は非常識だというふうに思うんですね。厳密に言えば、法律において国家試験をいつすべきというふうに明文化してないわけですから、この実施は大臣告示ということになっているんですね。先ほどからも実技試験等を含めて言えば実施体制が難しいんだとか困難であるという答弁もありましたし、今申したようないわゆる非常識なことをやっていらっしゃると私は思いますので、そういうことからいえば、法律にいつ試験を実施すると決めてないわけですから、こういった体制が十分整った上で大臣告示
というものをすべきであるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#70
○政府委員(長谷川慧重君) 今先生お話しございましたように、中卒の方が五年間の勉強の課程において都道府県知事免許から国家免許になるというお話はそのとおりでございまして、そういう面で残りの平成二年以降の教育に当たりましては、新カリキュラムに乗っかって、いろいろ学校側の方で教えていただくように連携をとりながら進めているわけでございます。そういうことで、平成五年の春以降になりますれば、いわゆる国の試験、免許ということになるわけでございますので、それに合わせて勉強していただくということで、できれば五年の春から国家試験を実施してまいりたいという考え方でございます。
 ただ、先生お話しございましたように、いろんな移行期等の問題もございますから、そこら辺についてどうあるべきかにつきましては、関係の審議会の中でもいろんな御議論をいただきながら、その議論を踏まえまして私ども先生の御意見を尊重し、かつ国の資格ということも十分踏まえながら適正な試験等を実施してまいりたいというぐあいに考えております。
#71
○堀利和君 審議会で審議するというのは私も十分わかっております。ただ、霞が関でいわば案を練って、とにかく平成五年の春には国家試験をやるのだということでは、今言いましたように、リハビリセンターで一生懸命勉強されている方あるいは盲学校等で勉強されている方々は非常に困っている。心配なんですね。そこを十分お考えいただきたいと思うんです。
 そして次は、またこれは重要なことなんですが、試験に当たって視覚障害者の場合は点字という触読であるわけです。触読というのは極めてハンディが大きいわけですね。目で見ますと全体的に見えますし、どこに大体何があるということで斜め読みもできますけれども、点字の場合は一行一行探って読むというふうになるわけです。しかも試験という形式の場合には、特にそのハンディが大きくなるという事情があるわけですね。
 そういうことから、社会的にあるいは公に行われている試験では、視覚障害者にとって事実上の平等、公平性を保つために、一般の方々が受ける時間よりも延長するわけです。例えば国公立の大学入試の場合ですと、点字受験者は通常の一・五倍の時間、そして弱視者の場合には、やはりよく見えませんし、字を大きくした上で一・三倍の時間を延長しているわけですね。地方公務員、これもまだ数は少ないのですけれども、採用されている方々の試験も大体一・五倍なんです。教員採用試験も同じなんですね。社会保険労務士の資格試験もやはり一・五倍、社会福祉士、介護士の試験も一・五倍の時間をとっているわけです。あん摩、はり、きゅうに近いところで言いますと、理学療法士資格試験、PTの試験は一・三倍程度、司法試験も一・三倍、ことし初めて国家公務員の試験が点字で実施されるわけですけれども、この国家公務員の採用試験においても三分の四倍、一・三三倍という時間をとっているわけですね。
 しかも、全国盲学校理療科教員連盟という団体が昨年アンケートあるいは模擬試験を実施したわけです。それによりますと、弱視の方に比べて点字を使用する全盲の、全く目の見えない方の方は一・四倍の時間が必要である、それだけのハンディがあるという調査結果が出ているんですね。これが小委員会のワーキンググループの中でも資料として出され、報告されたというようにも聞いております。
 そういうことから考えまして、小委員会での報告を見ますと、試験は客観式とする、そして二百問前後、五時間前後ということになっているんですね。しかも、視覚障害者への配慮というところを見ますと、試験時間は晴眼者と差は設けず、時間にゆとりを持たせるというふうになっているわけです。もちろんその他点字でするとか字を大きくするとか、スタンドを使っていいとか、あるいは録音テープないしは問題の読み上げということは配慮されています。この時間の問題見て、どうも視覚障害者が極めて不利益といいますか、ハンディが大き過ぎるんですね。現在行われている都道府県の資格試験で一番難しいと言われている東京都の試験を見ましても、百六十五問で六時間なんです。晴眼者、目の見える方は五時間半なんですね。三十分延長して六時間なんです。つまり今ですら、一番難しいと言われている東京都の試験が百六十五問で六時間なんです。
 ところが、厚生省が進めようとしている、審議会で報告されたものは二百問で五時間なんですね。これは各種視覚障害者の受ける試験がありますけれども、このあん摩あるいははり、きゅうの資格試験、これは量的にもあるいはその内容からいっても非常に重みのある試験なんです。こういう試験でハンディを解消しようとはしないような報告といいますか、審議がされているということについて非常に私は遺憾に思います。
 この点についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
#72
○政府委員(長谷川慧重君) 視覚障害の方々はほかの方と比べまして十分な配慮を行った上で試験を行うべきであるという基本的な考えは先生と全く同じでございます。ただ、先生お話しございましたように、試験の問題数あるいは時間の関係といいますものにつきましては、その前後といいますか、そのぐらいというような形でございまして、実際に何問にするか、時間をどうするかといいますのはこれから審議会の場でいろいろ御議論をしていただく。審議会の場におきましても視覚障害の方々の代表の方もいらっしゃるわけでございますから、そういう点で十分その場におきましていろんな御意見を聞きながら、視覚障害者の方々にも十分配慮した上で試験を行ってまいりたいというぐあいに思っております。
 現実問題、試験の時間の問題になりますれば、現在各都道府県でやっている時間の問題等も十分踏まえながら、私ども十分なゆとりのある時間を持って試験を行ってまいりたい。いずれにしましても、審議会での検討を待ちたいということでございます。
#73
○堀利和君 審議会の検討というのはわかるんです。わかるんですが、ゆとりを持ってやると言われても、先ほど言いましたように、一番難しい試験と言われている東京都が百六十五問で六時間なんですよ。ゆとりを持ってやりますよということで審議会が今審議しているのは二百問で五時間なんですよ。これはどう考えても、その意味はおわかりいただけると思うんです。代表の方、つまり視覚障害者の代表の方も審議委員に入っていると言われましたけれども、余り視覚障害者代表の声がどうも通ってないということも聞くわけなんですね。そういう点で、私は審査会の運営のあり方も含めて心配しているわけです。先ほど言いました全国盲学校理療科教員連盟という理療を敢えている先生方の団体が調査した、模擬試験を実施した調査も今月の十二日の小委員会の場では報告されていないということでもあり、その辺の、審議会を十分視覚障害者に不利益にならないようにやっていただきたいと思うわけです。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、こういった審議会の運営、視覚障害者の声が十分反映されるようなものにお力添えをいただきたいし、同時に視覚障害者のそういったハンディをお考えいただきたい。何も十五人分の答案を少し書きかえたり改ざんしてほしいと言っているんじゃないんですよ。試験は厳しくしていいんですよ。ただ視覚障害者へのハンディについては十分な配慮をお願いしたいというふうに思っておりますので、ぜひ大臣、御決意をお願いしたいと思うんですけれども。
#74
○国務大臣(下条進一郎君) 豊富な経験からの示唆に富む御意見を先ほどから拝聴いたしておりました。
 都道府県知事の主催しておりました試験が今度国家試験に移行するに当たりまして、いろいろな問題点もまた御指摘いただきました。この点につきましては、今まで政府委員の方から御説明いたしましたように、審議会においてのいろいろ御配
慮を期待いたしておりますが、当省といたしましても、今の御示唆に富む御意見を十分尊重しながら、また審議会の中にも視覚障害の方もお入りいただいておりますので、十分連携をとりながらこの新しい制度が円滑に施行できますように努力を続けてまいりたいと思っております。
#75
○堀利和君 この国家試験を実施するに当たっての試験委員の中に点字に熟達した方を入れるということなんですが、それはそれで当然だと思いますけれども、視覚障害者のこういうもろもろの問題のことがよくわかる方をぜひ試験委員に入れていただきたいということを重ねて要望したいと思います。
 それでは次に、不法在留外国人の医療費の問題についてお伺いしたいと思います。これは最近特に大きな問題にもなってきておりますけれども、東京を初め不法在留外国人の緊急入院あるいは治療を受けた際の医療費をめぐりまして問題が起きていることは、当然厚生省としてはその実態を把握しているかと思うんですけれども、それをまずお伺いしたいと思います。
#76
○政府委員(熊代昭彦君) いわゆる不法滞在外国人の医療費問題でございますけれども、診療に当たりまして医療費の支払いが困難であるとか、医療費を支払う前に、言葉は悪いんですが逃亡されるとか、そういう実態等もあるという話とかいろいろ御報告は受けております。不法就労者でございますので、概念上どれくらいその数がいるかということははっきりわからないわけでありますが、一応十万人前後ではないかというようなことで言われておりますけれども、その医療費問題、特に適法でありまして一年以上滞在予定とか、あるいは適法でありまして常時雇用の形態でいるという場合は医療保障は十全でございますけれども、そうでない場合、医療問題があるということは十分承知いたしております。
#77
○堀利和君 特に昨年の七月に、これまで東京都あるいは区の方でやむを得ず生活保護を適用していたということに対して、それを禁止するような形で厚生省が見解といいますか、そういった指示をしたというふうに聞いていますけれども、これは昨年の六月に入管法が改正され施行された、当然在留資格が整理されたわけですが、こういったことが大きく影響しての事態の変化なんでしょうか。
#78
○政府委員(末次彬君) 委員御承知のとおり、生活保護は生活困窮者に対しましてその生活の面倒を見ると同時に自立を促進するという観点で対応しているわけでございます。したがいまして、これにつきましては、いろいろ本人の生活状況のみならず、本人を取り巻く関係者といいますか親族といいますか、また財産そのものにつきましても十分検討の上対応するということになっておるわけでございますが、不法滞在の外国人につきましては、こういった自立の促進でございますとかあるいは関係者、親族の状況、それから財産の状況、こういった状況が把握できないわけでございまして、そもそも生活保護の対象にはならないんではないかというふうに考えております。
#79
○堀利和君 生活保護の対象にはならないという点については私も、いろいろ勉強させていただいた上、結論としては同じところに落ちついたわけなんですね。つまり生活保護の対象というのは日本国民に限らざるを得ないわけです。憲法二十五条に言う「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、つまり「すべて国民は、」ということになるわけですね。そういう点では、いわゆる外国人の場合にはそれはどうしても当てはまらないということは、もうある意味で当然のことだろうと思うんです。
 少し調べさせていただきましたら、昭和二十九年に局長通達というのが出ておりました。これは戦前朝鮮、台湾を日本が併合して、朝鮮・韓国人あるいは台湾人の方々がそれまで日本国籍を持っておったわけですけれども、敗戦、戦後に伴って国籍を離脱するということで、そういった方々の中には生活保護を受けていた方がいらっしゃったわけです。そういった方々のことを考え、昭和二十七年の平和条約を含めて、二十九年にきちんと整理した形で、こういった在日朝鮮・韓国人あるいは中国人に対しては、永住権、永住者として生活保護法を日本国民同様に準用していくというようになったということのようなんですね。これをこれまでさらに拡大解釈して、いわゆる不法在留外国人の方にも適用したということがあったようなんですけれども、確かに実際これは無理な話といいますか無理な論理だろうと思うわけでございます。
 そういう点で、生活保護による不法在留外国人の医療費の問題を解決するというのは、なかなか難しいというふうに私も認識しております。しかし、日本が国際社会に対して貢献するということ、経済大国として国際的な地位を築いていく上でも、いわゆる経済難民と言われる方々、こういう方々に対して放置していいのかということがあろうかと思うんです。さきの湾岸戦争でも、戦争の被災者、難民問題が大きく政治問題にもなりましたけれども、同様に国内法を見て無理だからといって放置するというのも私はどうかなと思っておるわけです。
 そこで、生活保護ということから言えば、厚生省の見解と私も一致するわけですので、そこを準用するのはなかなか難しい。そうなると、ほかに何かないかなということでちょっと勉強させていただいて、これはどうかなというのが一、二あるんです。
 それで、御見解をお伺いしたいんですけれども、社会福祉事業法の第二条の三項の五というところに「生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」というのがございます。これはなかなか全国一律にこういった事業を実施する病院がないということも存じております。東京あたりですと結構集中して病院がありますけれども、これは何とかその辺運用ができないでしょうか。
#80
○政府委員(末次彬君) ただいまお挙げになられました社会福祉事業法におきます無料、低額診療事業でございますが、これはいわゆる医療保険の皆保険の体制が整う前の段階で非常に重要な意味を持っておったわけでございますが、現在皆保険が達成されまして、事実上この事業につきましてはややその使命について見直すべきではないかというような御意見もございまして、現在までのところ委員御指摘のとおり未設置の県もかなり多数に上っているというようなことでございまして、この事業でもってこの問題に対処するということはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
#81
○堀利和君 これは大変大きな問題だと思うんですね。不法在留外国人の医療費の問題というのは、一厚生省で本質的な解決を見るような問題ではないと思うんです。もう政府挙げての大きな問題だと思うんですね。ただ私は、そういった大きな問題はまだまだ結論も出ていませんし、当委員会ではとても審議するような内容でもないものですから、何とか厚生省の権限の中でできないものかということでいろいろ御見解をお伺いしているわけです。
 もう一つ、これはどうかなということなんですけれども、行旅病人及行旅死亡人取扱法、これは古くて明治三十二年制定の法律ですので、果たして現在今日にこれが合うかどうかということは疑問は多くあるんです。ただ、生活保護法のように属人法、つまり「すべて国民は」ということで国民を対象としたものではなくて、この法律は属地法ということで、日本国内における外国人であろうと行旅病人あるいは行旅死亡人の方についての取り扱いというふうになるわけです。十七条では外国人のことも触れております。この辺のところは確かに明治三十二年の法律でもあり、余り一般的ではないということではありますのでなかなか難しいかと思いますけれども、この辺についての御見解はどうでしょうか。
#82
○政府委員(末次彬君) 行旅病人及行旅死亡人取扱法、これによりまして歩行に耐えない行旅中の病人で療養の道がなくかつ救護者がない者、こう
いった方につきましては市町村が救護し、その費用は本人またはその扶養義務者が負担する、それができないときは都道府県が弁償するというような規定が置かれております。この法律の事務は現在団体委任事務ということになっておりまして、地方公共団体の責任において実施されるということになっております。
 ここで言います行旅病人の範囲でございますが、これは法律に今申し上げましたようにはっきり書かれておりまして、いわゆる旅行中の行き倒れの病人に限定されるということになっておりまして、倒えばアパートあるいは職場等で発病されたような外国人につきましてはいわゆる行旅病人には該当しないということになっておりまして、不法滞在外国人につきましては通常この対象外になるというふうに考えております。
#83
○堀利和君 確かにそういった対象範囲の問題はあろうかと思うんです。ですから、これを適用するというのはなかなか難しいと思いますけれども、もう少しお話を進めさせていただきます。
 成田に着かれた外国人の方が入国手続をまだする前あるいはした直後か、そのときに病気なりになられた方がこの法律に基づいて医療を受けているというふうに聞いているんですね。そういうことからいえば、昭和六十二年に団体委任事務ということで確定したわけですから、その費用は千葉県が出しているだろうと思うんです。この成田空港でのこういったことについてはその実態を把握されていますでしょうか。
#84
○政府委員(末次彬君) 個別の事例については特段私ども団体委任事務であることもございまして報告を求めたわけではございませんが、一般的な状況については承っております。
#85
○堀利和君 そこで、私は、対象範囲の問題等もございますけれども、何とか国内法でこの緊急事態に対して手だてをしなければならないだろうと思うんですね。したがいまして、全く法理論上不可能な生活保護というのは無理であっても、社会福祉事業法を含めて、行旅病人の法律も含めて、一部を変えることで緊急措置として何とかならないものかというふうに思うわけです。基本的な対策についてはそれはそれとして、とにかくことし来年という緊急避難的な措置としてこれを十分お考えいただきたい。そして、行旅病人の法律については団体委任事務であっても外国人に関しては国が費用を負担するということもやろうと思えばできますし、あるいは病気なりけがに対して完全に治すところまでしなくてもいいと思うんです。つまり本国へ帰国できる程度に治ればいいと思うんです。完全に治してあげられれば一番いいんですけれども、そこまではやはり自国、本国がすべて責任持つことですから、そこまで日本政府が責任持つ必要はないと思いますので、そういったところで何とか御検討をお願いしておきたいと思います。
 時間が残り少なくなりましたので少し急ぎたいと思います。三番目には、生活保護における資産、つまり土地、家屋の保有についてお伺いしたいと思います。
 これは昨年の六月に資産問題を質問させていただきました。これについてもう時間がありませんのでポイントだけお聞きしたいわけですけれども、この二月末にまとめられたいわゆるマニュアルですね、資産保有について。この中で幾つか取り扱い困難な問題として事例が挙がってきているわけですけれども、相続登記が未了な場合とか、家屋が借地の上に建っている、その建物であるとかいろいろあるわけです。その中の一つに、所有者である被保護者が資産を売却するだけの判断能力を欠く場合というのがございます。そこに触れたくだりとして、資産の保有を否認するべきではあっても売却の指導、指示は猶予するというような特別な事情があることも云々とあるんですね。この意味はどういう意味でしょうか。わかるようでわからないものですから、御説明していただきたいんですが。
#86
○政府委員(末次彬君) 資産活用につきましての趣旨は十分委員御承知のとおりであると思いますので、この中身につきましては御説明を省略させていただきますが、要は、個々のケースの事情を勘案いたしまして、当該世帯の将来の生活に不安を抱かせることのないように慎重に行ってほしいということでございます。
 御指摘の判断能力が不十分な方につきまして、その処遇方針を立てるに当たりましては、当該世帯の世帯員が精神薄弱者あるいは高齢者であることを世帯の事情として当然に勘案するという趣旨でこのことを書いたわけでございまして、この取り扱いマニュアルにおきます方針につきましては、現場の方に十分徹底するように指導してまいりたいというふうに考えております。
#87
○堀利和君 時間がありませんので、ここで大臣にお伺いしたいんですが、売却の判断能力を欠く者というのは、今言われたように、いわゆる精神薄弱者あるいは痴呆性高齢者という方々が対象だと思うんですね。私は売却すべきではないというふうにはもちろん思っていません。生活保護の理念からいっても資産活用というのは当然なことだと思うんです。ただ、精神薄弱者あるいは痴呆性高齢者の方々がこういう局面になったときに、果たしてその後がどうなるかというのは大変不安であるわけですね。
 東京都では昨年の十一月十五日に、精神薄弱者と痴呆性高齢者の方々のための権利擁護機関という構想の中間報告を出したわけです、まだ最終報告にはなってないようなんですが。やはり資産の問題を含めて権利擁護機関なるものが社会的に設置されて機能しないと、これをただ売却しなさいということになったときにはある意味で悲劇が起こるかもしれないわけですね。したがいまして、こういった擁護機関が社会的に十分設置され機能する、こういう準備を進めながら資産の取り扱いについてはやっていただきたい。この四月一日から実施するんではなくて、もう少し慎重審議をし、こういった機関を厚生省としても全国的に考えるぐらいの決意をお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#88
○国務大臣(下条進一郎君) 被保護者の扱いについてお尋ねでございますが、その方が持っていらっしゃいます居住用資産の取り扱いにつきましては、その地域の住民の方々との均衡ということも当然考慮しなければなりませんが、当世帯の事情を勘案いたしまして、将来に不安を起こすことのないように処遇方針を樹立して基本的に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。したがいまして、精神薄弱者、高齢者等の場合におきましては、その方々の事情を十分に勘案しながら、今委員のお話がありましたような状況等も十分配慮しながらきめ細かい対処をしてまいりたい、このように考えております。
#89
○堀利和君 くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、もう一点だけお伺いしたいと思いますけれども、ことしの二月の五日に、京都地裁でいわゆる永井訴訟の判決が出たんです。これは一九七九年に出産された、夫に聴覚障害者を持つ永井実可さんという方が、一年四カ月たって児童扶養手当が出ることを知り申請したわけですけれども、これが認められず裁判ということになったわけです。判決では一部認められて、出産後六週間、つまり一カ月分の二万六千円の児童扶養手当を支払えという判決が出ました。これはそういった制度を知る機会、そういった情報を得る状況にはなかった、出産という事情からできないということで、裁判ではこれを認めたわけです。これは画期的な判決なんですね、ただ厚生省、国にとってはとんでもない判決なんですが。こういう福祉制度、行政について広報は法的義務であるという判決なんです。
 裁判ですからこれ以上踏み込みませんけれども、情報障害という言葉が平成三年度の予算案の中に出てきます。身体障害者福祉法の改正に伴って聴覚障害者の情報提供施設設置の施行があり、その予算として情報障害という言葉が初めて出てくるわけですね。こういうことからもわかりますように、出産という社会生活活動の中ではハン
ディを持った方あるいは視覚障害者であったり聴覚障害者である、重度の障害者を含めてなかなかそういった情報が得にくい立場にあるわけです。こういう方々にとってはそういった申請主義に基づく手当等というのはなかなかわからないわけです。
 そこで、ひとつ御検討をお願いしたいんですけれども、遡及支給というのが認められないものかということなんです。さかのぼって認められないものかということなんですね。児童扶養手当法の七条の二項では、受給資格があっても災害その他のやむを得ない場合に認定のための申請ができなかったときは、そのやむを得ない理由が終わってから十五日以内に申請すればさかのぼって支給するというのがあるんですね。したがいまして、私は法改正が必要なのかどうか、まだ研究の余地といいますか、検討の余地はあると思いますけれども、恐らく政令、通知で可能ではなかろうかと思うんですね。したがいまして、情報障害と言われるそういう状態にある障害者を含めた方々に限っては遡及支給ができるように何とかしていただきたいというようなことを、まず時間がありませんのでお願いだけにとどめたいと思います。
 最後に、福祉法も変わり、在宅福祉が重視される今日でありますから一地域で暮らす障害者、高齢者が安心していろいろなサービスが受けられるように、こういった情報が十分得られるように厚生省としても力を入れていただきたい。重ねて、その遡及支給が可能になるように御検討いただきたいと思います。この点について大臣に御決意といいますか、御意見をお伺いしたいと思います。
#90
○政府委員(土井豊君) 事務的な面もありますので、私から御説明申し上げますが、遡及適用の問題でございますけれども、結論から申しますと難しいという考え方でございます。と申しますのは、御案内のとおり、児童扶養手当制度につきましては、公的年金制度のような保険料の拠出を前提としていないということ、それからそのときどきの生活の実態に照らして必要に応じて支給をするというものであること、それからまた事実婚の解消でありますとか、父親から遺棄をされているとか、そういうようなことなども制度の対象になっておりまして、過去の生活の実態を明らかにするということは困難なケースが非常に多いんではないかというふうに考えております。
 したがいまして、他の各種手当制度と同様に受給者の申請のあった月の翌月から支給するということはやむを得ないと考えておりまして、御提案のような対応は難しいんではないかというふうに私どもは考えておるところでございます。
#91
○堀利和君 もう時間が来ましたので終わりにしますが、しかしその点をぜひ御検討願いたいと思います。
 それで最後に、もう一度改めて、あん摩、はり、きゅうの国家試験の件で私が質問やらお願いした内容を、けさ議員会館の方に来ましたら、全国の盲学校の方から二十数通の頑張ってくれという激電が来ておりました。この重みと、傍聴にも来ていらっしゃっていると思うんですけれども、こういった全国の盲学校の先生方あるいは校長会あるいは生徒さん含めて心配しておりますので、ぜひ大臣ひとつよろしくお願いしたいということを言いまして、終わらせていただきます。
#92
○委員長(福間知之君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度とし、十二時四十分まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ─────・─────
   午後零時四十二分開会
#93
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#94
○高桑栄松君 それでは、エイズに関しての質問をさせていただきます。
 これは新聞報道と、それから厚生省からもらったデータと突き合わせてみますと、一月末日現在で世界百六十カ国でエイズ患者数が三十二万三千というふうに出ております。しかし、実際の患者は恐らく百三十万ぐらいあるだろう、四倍ぐらいあるだろうということになっておりますが、それで成人の感染者が八百万から一千万、これは世界全体に対する予測的な数字で、WHOの数字だということであります。
 そこで、我が国の最も新しいエイズ患者並びに感染者のデータの中で注目すべき点はどういうことでしょうか、承りたいと思います。
#95
○政府委員(寺松尚君) 今先生からの御質問は、一つは今エイズの患者あるいは感染者がどうなっているか、それからもう一つは、その中で注目すべき何か事項があるか、こういう御質問でございます。
 それでは、お答えを申し上げますが、我が国のエイズ患者は平成二年末で三百七十一名、感染者は千六百二十七名でございます。そのうち、凝固因子製剤による者がそれぞれ二百八十名、千四百二名を占めております。
 このうち、凝固因子製剤による感染者につきましては、先生御承知のように、昭和六十年七月以降安全対策を講じております。
 それから、それ以外の、凝固因子製剤にかかわる者以外につきましてまとめますと、次のようになると考えております。一つは、従来は男性同性愛行為が感染原因の主流でありました。平成二年を見ますと、異性間性的接触によります感染が主流となってきたということが第一点でございます。第二点は、母子感染事例が、これは平成二年で三例でございますが、母子感染事例が出現したこと、これが第二点でございます。それから第三番目は、日本人の異性間性的接触によります感染を感染地域別に見てみますと、これは海外と国内と、こう分けたいと思いますが、男性は海外感染、女性は国内感染による事例が多い傾向があること。それから四番目といたしまして、年々全事例中におきます在日外国人の占める割合が増加の傾向にございます。特に女性でその傾向が著しいこと等々の特徴があるかと存じます。
#96
○高桑栄松君 そこで、今の注目すべき点を踏まえて今後の予防対策について何かお考えがあるでしょうか。
#97
○政府委員(寺松尚君) 注目すべきいろんな事例を先ほど申し述べましたが、それに対しましてどのようなことを考えておるか、あるいは今後どう対応するかということでございますが、まず、厚生省といたしましては、昭和六十二年二月に設けられましたエイズの関係閣僚会議によりまして決定されましたエイズ問題総合対策大綱に基づきまして、正しい知識の普及等の予防対策を推進しているところでございます。さきに述べました最近のエイズ感染の特徴と申しますか、動向を踏まえまして、私どもは国民一般への普及、啓発の強化あるいは海外旅行者に対します知識の普及、啓発、あるいは三番目としまして在日外国人のエイズ対策等を含む今後の総合的なエイズ予防対策について、現在エイズ対策専門家会議で御議論をいただいておるわけでございます。それをできるだけ早くまとめていただきまして、私ども具体的な対応をしてまいりたいと、このように思っております。
#98
○高桑栄松君 予防対策といっても決め手がないということでございますから、一口で言えば教育ということなんでしょうが、教育のためには引き金となるのが宣伝、PRですよね、啓発でございますけれども、最近いろんな人に聞いてみますと、このごろさっぱりエイズのことがマスコミに取り上げられていない、我が国はエイズは次第になくなってきたのかと、こういう話を聞かされるわけです。
 その意味で、私は注意を喚起したいということでございますけれども、昭和六十一年三月に私が初めてエイズのことを取り上げて質問をいたしま
したときの患者が十四名でありましたから、それが今日三百七十一名でしたか、そうなったということは、ほぼ毎年倍々、一年ごとに倍々になっていくと、そのとおりいけば四百名を超えますけれども、ほぼそれに近い。最初に予測、というのは私が予測したというよりも、アメリカ等のデータでは初めのころは半年で倍々なんですから、後で一年半ぐらいで倍々になっていく。こういう状況で、ほぼ倍々ゲームで伸びてきているということは、我が国で決して感染者が減っているわけではないということであります。
 そして、その当時も申し上げたんですが、アメリカで患者の約五十倍が感染者である。そういうエイズ検査等が発達していない国では百倍から三百倍が感染者であると、これは一般論でございまして、どこに根拠があるかははっきりしませんけれども。それで私は当時、日本はやや医学が進んでおりますので百倍と計算をして、十四名ですから千四百人の感染者だと申し上げました。それで十万人に一人くらいの感染者がいる、これは成人でなくて全体ででございますけれども、成人になるとその倍くらいになるかと思います。
 しかし、今のデータの中で分析的に興味のありますのは、ただいまのデータの中で感染者が累積千六百、うち千四百がへモフィリアの方々ですね。それを差し引きますと、凝固因子製剤感染者を除きますと二百名、二百二十何がしがそれ以外の感染者であります。患者はと見ますと、やはりこれも九十一名、三百七十一の患者から凝固因子製剤二百八十を引きますと九十一です。九十一の累積患者と同じ条件で感染者を見ると二百二十五名、割ってみると二・五倍弱なんです。そんなことあり得ないわけだ。どうして感染者が我が国はつかまらないのか。何か御意見があったら承りたい。
#99
○政府委員(寺松尚君) 感染者の数の把握でございますけれども、一般に医療機関に行く患者さんあるいはポジティブの方、それからまた献血時に検査をやっておりますが、その辺で見つかる方々、そういう方々でございますが、把握することは非常に難しい、プライバシーの問題もございますし、いろんなことで難しいわけでございます。
 いずれにしましても、私どもそういうおそれのある方あるいはそういうチャンスを持ったことがあるというような方々が検査機関、あるいは例えば保健所なんかもそうでございますが、そういうところへ行きやすいようにできるだけ対応してまいりたい、このように思っております。
#100
○高桑栄松君 今のはさっぱり把握する方法論にはなっていないと思いますが、少なくとも患者の二・五倍なんということはあり得ないんです。もう考えられない。だから、九十一名の五十倍、アメリカ的に非常にサイエンティフィックにみんなが協力をしてがっちりやって、プライバシーも保護しながらちゃんと申告をする、こういう国柄であって五十倍といいますから、四千五百です。我が国は百倍とすると九千です。だから、我が国では最低見積もって、ヘモフィリアの方々千四百を除いて、なおかつこの方々は完全に医師のコントロール下にありますからもうリスクグループと言う必要はない、これを外して約一万人の感染者がいる、こういうことでありますから、しっかりこれは念頭に置いていただかないと困る。
 その次は、私、これ仄聞をした話でございますので、お答えをいただけるかどうかわかりませんが、私が初めてエイズの質問をしましたとき、ある著名なウイルス学者からこう言われたんです。コンドームが唯一の感染予防の対策である、これ以外はないと、私はそう思ってきました。そして東南アジアでも人口問題等のファミリープランニングはピルではだめ、コンドームですよということを言い続けてきました。そしたら、そのウイルスの著名な学者が、コンドームといっても、ゴム製品でもやっぱり電子顕微鏡的に見れば穴があいているんです。だから、〇・一ミクロンのようなウイルスは通る、通らないということはない。ウーンとそのときはうなりましたが、これは量の問題がある、非常に少量であれば免疫力がありますから。しかしある人とない人とがあるわけですから、これは感染するかどうかは運命の分かれ道ですが、多分コンドームならほとんど量的には少ないだろう、私はそう思って、それで自後数年間どこへ行ってもそれを言ってきました。
 しかし、最近仄聞するところによりますと、使用したコンドームを検査すると約六割に傷がついている。したがって、ウイルスが通るということを聞かされまして、私はショックを受けました。これに対しての何か聞いたことがあるか、データがあるか、何かお考えを述べていただきたいと思います。
#101
○政府委員(寺松尚君) あるかないか、こう言われますと、私は今先生がおっしゃいましたことにつきましては承知しておりませんけれども、私ども今まで既にコンドームの使用ということにつきましては前向きに、WHO等のいろいろ指摘もございまして、進めておるところでございます。正しい使用をすれば今のところ完全という、英語でいきますとノットコンプリトリーという言葉を使っていると思いますが、効果的だとはWHOの方も言っておりませんけれども、しかしながら、今の段階ではワクチン等もない、あるいは治療薬もないというような時代にやはり一つのリスクを減らせる、そういうものではないかと思っておりまして、少しでもそういう感染の危険等を減らすということの努力を続ける必要があると考えておりまして、これを進めておるところでございます。
#102
○高桑栄松君 そうすると、コンドーム使用教育をなさるということですか、どういうことでしょうか。今までどおり安全であるとおっしゃるのか、ひょっとしたら安全ではないがとおっしゃるのか、どうなんでしょうか。
#103
○政府委員(寺松尚君) 先ほど私どもの考え方についてはお話をいたしました。今先生がおっしゃっていることにつきまして、私ども先ほども申し上げましたように承知しておりませんが、今そういう関連の専門家と申しますか、そういう方々にいろいろお話を聞いてみたいと、このように思っております。
#104
○高桑栄松君 ちょっと微妙な話になってきましたけれども、何か言っておかないと悪いかと思って僕は申し上げますけれども、コンドームというのは薄い方がいいというんで〇・何ミクロンとかというふうな、薄い方がいいということになっていると思うんです。そうしますと、薄いほど傷がちゃんとついちゃうわけだ。例えば厚さが倍であれば傷は半分でとどまるかもしれないのに。ですから、これは薄さの問題も、私はコンドームをもし勧めるとすれば問題になるのではないか。つまり、二重三重にするような形でコンドームをつくるか、六割傷がついていると言っていますから。これは仄聞でございますから、確実なデータで申し上げているのではありません。しかし多分間違いないと私は思って申し上げているところでございます。
 次が本当はだんだん問題に触れるのですけれども、献血血液について伺いたいのでありますが、先ほど感染者の把握についてのお答えがございましたが、さっぱりわからなかったので数字を承りたいんです。
 献血者が年間八百五十万ぐらいありますね。そのうち献血血液検査でエイズ陽性と出た人は年次別にどれくらいいるでしょうね。
#105
○政府委員(川崎幸雄君) 献血血液のエイズ抗体検査につきましては、昭和六十一年の十一月より全国の血液センターで実施してまいりました。六十一年の十一月の全国実施以前の試験的実施分も含めまして、平成二年十二月末現在で延べ約三千四百九十六万件の検査を実施いたしまして、そのうち陽性が確認された者が七十件となっております。
 年次的に申し上げますと、昭和六十一年が十一件、六十二年が十一件、六十三年が九件、平成元年が十三件、平成二年が二十六件となっております。
#106
○高桑栄松君 今数字の計算がちょっと難しくなりましたけれども、平成元年が十三で平成二年が二十六というとちょうど倍ですものね。多分感染者がそのようなスピードでふえてきたと私は推定
をするわけです。
 それで、もう一度申し上げますと、私が質問をしたのが六十一年の三月十四日なんです。そのとき初めて国は全献血血液検査に入るということがはっきり言われまして、そして十一月一日から完全全国検査を行ったわけであります。したがいまして、それ以前検査をしないで輸血をして感染をさせたはずの人が年間十または二十間違いなくあったということを記憶にとどめておいてもらいたい。これは責任論というのがあるわけです。ですから、この問題は非常に重要なんです。
 ただ、私はあのとき申し上げまして、その場で反応していただきまして非常にうれしかったわけです。私の予防医学的なお話が通った。それで少なくとも無事感染、受動的に、知らないで輸血で感染をする人が年間十、二十、三十ぐらいの人が助かっている。これは私はもう感激するぐらいうれしかったんです。そういうことを申し上げまして、その次に入りたいんです。
 献血の機会以外に感染をしているということが、エイズ予防法に決められた届け出で何件ぐらい出ていますか。
#107
○政府委員(寺松尚君) 平成二年末の数字で申し上げたいと思いますが、そこまでに報告されました血液凝固因子製剤によります感染者を除くHIV感染者は二百二十五名であります。これは先ほどもお話ししたとおりでございますが、このうち、仮に献血時に判明された感染者七十名がすべて報告されている、こう仮定いたしますと、百五十五名が献血時の検査以外で発見された感染者ということに相なるのではないかと思います。
#108
○高桑栄松君 もう一度聞きますが、献血血液以外で七十名ですか。
#109
○政府委員(寺松尚君) 先ほど薬務局長からお答えいたしました献血検査時に七十名の陽性者を見つけた、こういうことでございますので、それが仮にすべて届け出られているといたしますと、その二百二十五名から七十名を引いた残り百五十五名、こういうことに相なるのではないかと考えております。
#110
○高桑栄松君 私が思っていたよりもかなりいい率で届け出が行われていると思います。
 これも新聞情報でございまして、私は新聞情報だからそうかとは思うのですが、これもしかし確かじゃないのかな、こういうのが出ていますね。保健所でさえもプライバシーを守るのに不十分である。保健所の半分がどうもプライバシー保護をしっかりやってくれていないというのが新聞に伝えられているんですよ。それは御承知でしょうか。
#111
○政府委員(寺松尚君) 新聞情報等も私ども承知しております。それからまた、当委員会におきましても御質問があったかと存じます。それにつきまして、私どもは保健所等都道府県を通じまして匿名検査をやる、そしてプライバシーを保護するようにというふうなことの通知を出しておるところでございます。
#112
○高桑栄松君 でも、今のように保健所に聞いてみると、十二都府県で約半分の保健所が不信を買っていたという、新聞データでございますけれども、それは昨年十一月二十一日の朝日新聞の夕刊に載っておりました。そう書いてありました。朝日だけではありません。ずっと載っています。ですから、そんなにでたらめなものではないと私は思います。
 そこで問題は、感染をして検査の抗体が陽転するまでの潜伏期間のようなものがあるわけです。非常に早くて二週間あるいは六週間、十二週間、ひょっとしたら六カ月、さらに長いのもあるということでありますけれども、二週間から八週間ぐらいが一応のレベルのようでありますが、ひょっとすると六カ月間、感染をしてビールスを持っているにもかかわらず陽性に出ない。そうすると、この方は献血でパスするわけだ。
 これに対して、私はしばしば質問をしているんです。昭和六十二年五月、昭和六十三年三月のそれぞれ予算委員会で、私は自己血液保存をして、どうしても自分の手術には自分の血液を使ってもらいたいという条件に合う人は、自分の希望でそういうことができないかと申し上げたのでありますけれども、厚生省の答えをちょっと述べさせていただくと、理論的には理想であるが、制度として取り上げるのは難しい、こうなっています。
 しかし、新聞紙上だったと思いますけれども、一昨年あたりに自己血液保存研究何とかという委員会みたいなものが厚生省でつくられたように存じておりますが、どういう理由でこれをおつくりになったのでしょうか、承ります。
#113
○政府委員(長谷川慧重君) 自己血輸血につきましては、先生から六十二年、六十三年の国会でも御質問等ございました。私ども、輸血療法の適正化に関する検討会というところの報告におきまして、御案内のとおり、感染症の予防や同種免疫の予防などの利点がある一方におきまして、確保量の限界あるいは循環動態への影響、細菌汚染の危険などの不利な面もあるということでございまして、実際それをおやりになる場合におきましては、その方の術前の状態が良好で緊急を要しない待機的な手術の場合などには自己血輸血の適応を検討することが推奨されるというぐあいに報告されているところでございます。
 厚生省といたしましては、この報告を受けまして平成元年九月に輸血療法の適正化に関するガイドラインを取りまとめまして、各都道府県等を通じて医療機関への周知を図っているところでございます。
#114
○高桑栄松君 アメリカなんかでは、自己血液保存でというふうなのはもう普通の状態でありますから、それは受益者負担ということで費用は自分持ちのようでありますけれども、これは十分考慮していただかないと、エイズの何%かがこの抗体陽性になる以前の潜伏期間の人だったらこれは大変だ。これはだれが責任を負うと言われても、いや仕方がないというわけにいきませんものね。国としてどういう対策を、最善の方策をとるか、それを私は自己血液保存ということで質問をしたわけでございますが、きょうももう一度申し上げておきます。
 自己血液保存にはお金がかかりますから、それはいいと思うんです。そして、一カ月か何か忘れましたけれども、利用できる期間を過ぎたらそれは分画製剤に回して役に立ててもらう、つまり献血にも役に立つ。全血でなくてもいいわけだ。そういうことで献血にも役に立つということで、あらかじめ八百ccぐらいとっておくという方法は私はあると思うんです。これはもちろんエイズだけではありませんから、肝炎もございます。ですから、いろんな型の肝炎が出ていますから全部をチェックすることはできないでしょうが、できれば自己血液なら全く文句がないということになろうかと思うんです。
 そこで、非常に重要なのは抗体ではなくて抗原を検査する方法を開発することだと思いますが、これについてはどんな状況になっているでしょうか。
#115
○政府委員(川崎幸雄君) ただいまお話のございました献血血液についての抗原検査でございますけれども、献血に当たりましては抗原検査を行うというのが理想の姿ではございますけれども、残念ながら現在の技術水準では精度が極めて悪いことや大量の検体を効率的に検査するという方法がないことから、世界のいずれの国におきましても献血時のエイズウイルススクリーニング検査におきましては抗体検査のみを用いているのが現状でございます。簡便で精度の高い検査法の開発は技術的に極めて難しいものでございますけれども、将来に向けて研究課題の一つとして引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#116
○高桑栄松君 これも新聞情報で、私問い合わせればよかったのですが、新聞情報で申し上げますと、昨年十一月十七日の新聞に載っておりましたけれども、国立予防衛生研究所ほかの方々が共同で開発した方法がある。新聞をそのまま言いますと、磁性体とレーザーを用いて従来の百倍の高感度で判定する方法を開発したと書いてあった。でも、実用化にはまだ遠いのではないか、あるいはひょっとしたら大変金がかかり難しいのかもしれ
ませんから、私はこれがいい悪いということじゃなくて、そういう方向で今進められているとすれば、私が毎々申し上げている研究費をどんどん出して開発を一刻も早く進めていただくのがエイズ対策としては今我々のとり得る最善の方法ではないかということで申し上げたわけであります。
 次に、これもことしの一月十四日の新聞ですけれども、英国の外科医協会が患者の手術をするときに心配になって、患者の血液を同意なしにエイズ検査をしてもよろしいということを公表した。英国では今物議を醸しているようであります。それは肝炎だって大変ですけれども、肝炎はかかってもひょっとしたら何ともない場合もあるわけで、エイズですと非常にシリアスな重大なことになってきますので、もしエイズだったらということで医者もだんだん慎重になるわけだ。
 ですから、そういうことが今英国で論議されているというので、私は医療感染を防げという立場で伺うんですが、何か厚生省――厚生省というと僕は気の毒だと思うんです。法律で何でもやるのかということを聞いているんではなくて、厚生省側としてはどんなぐあいのお考えを持っているのだろうかということを聞きたいですね。
#117
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御指摘の英国におきます事件でございますが、私どもはエイズの院内感染予防対策というものにつきましては、平成元年四月に検査のあり方を含めましたHIV医療機関内感染予防対策指針というものを作成いたしまして、都道府県等を通じましてその周知に今努めておるところでございますが、このうち検査につきましては、本人のプライバシーと人権を保護するというふうなために私ども原則として本人の同意を得た上で検査する、こういうことでございます。そういうプライバシーの保護というものでございますけれども、本人の同意ということがぜひ必要なことだと考えております。
#118
○高桑栄松君 本人の同意を英国では同意なしでと言っているんですね。だから、その辺に大きな違いがあります。これはそう簡単に言えないことで、私はエイズは告知すべきだという立場で、四年も五年も前に既にカウンセラー制度をとれということを申し上げている。エイズの感染者及び患者さんにはその病気の重大性にかんがみてカウンセラーが要ると思うんです。どれぐらい置いておられるか、いずれ承る機会があろうかと思いますが、次の質問に入らしてもらいます。
 凝固因子製剤による感染者の救済ということで伺いたいと思います。
 まず、加熱製剤を承認されたのは我が国は一九八五年七月です。そしてそれ以後、製剤による感染と思われるものはないはずですけれども、いかがですか。
#119
○政府委員(寺松尚君) いわゆる血友病患者の方々は血液凝固因子製剤を常用しているということから、これらの方々が仮にこれら製剤によりエイズに感染した場合においてもその感染時期を特定するということはなかなか難しいのじゃないか、このように思います。私どもが関係者から意見を聞く等により知る限りにおきまして、そのような事例について私どもは承知しておりません。
#120
○高桑栄松君 私もそうだと思って質問をしたのですが、若干文献的には異論がございますけれども、それはまた別な機会にお話を承ってもいいと思います。
 そこで、エイズの患者さんを救済する感染者救済ということで、衆議院の方の決議では感染者救済と書いてありましたが、法律になったのは患者等救済、こういうふうになっていたと思いますけれども、そこの違いが一つありますが、私が申し上げたいのは、現在患者さんに対する特別手当を発症しなければ出さない、発症したら出すということでありますが、私は毎々申し上げておりますけれども、感染をした段階で免疫力が低下していく病気ですから、このままでは、治療法がないという意味で申し上げているんですが、論理的には間違いなく発症しますね。ですから、間違いなく発症するものをいつ発症するかいつ発症するか、そしてその先はと不安になっておられる感染者に対して、症状が出なければ救済しないという論理は成り立たないと私は思っているんです。
 したがいまして、これについては国の責任においてというとあれですが、国が幾つかの考え方を持って、国の責任としてもいいと思うんです、国民ですから。そういう意味で、これへモフィリアですよ、凝固製剤感染者についてでございますが、発症する前、感染の段階で既に陽性と決まったら特別手当を支給するということが僕はあるべきだと思うので、伺いたいと思うんです。
#121
○政府委員(川崎幸雄君) 血液製剤によりまして多くの血友病患者がエイズに感染されましたことにつきましては、まことにお気の毒なことではございます。
 そこで、今先生おっしゃいますように、昭和六十三年の国会で、法的責任を問うことも、医療品副作用被害救済制度を適用することも難しいが、何らかの救済の施策を講ずるべきだというようなことで各党間で御検討が行われました結果、この件は一種の薬害とも言うべきものであって、医薬品副作用被害救済制度に準じた救済を行うことが適当であるというようなことになりまして、また他方では、財源を負担する関係企業等の協力も得られましたことから、エイズ救済制度が一昨年の一月から実施されたところでございます。
 それで、今御指摘の感染者にもこの制度におきます特別手当を支給すべきであろうという御指摘でございますけれども、感染者の多くの方は特段の症状が見られないという通常の状態にあると判断される方でございますし、医薬品副作用被害救済制度に準じた給付を行うという本制度の趣旨からは特別手当の給付の対象とはならないものでございます。しかし、エイズ関連疾病で入院されました場合には医療手当の給付が行われますほか、別途、感染者を含めた血友病患者に対しましては医療費の公費負担が行われているところでございます。
#122
○高桑栄松君 僕が申し上げたのは、その関連疾患が出なくても感染をすれば論理的に発症する。その不安、ストレスというものは大変なものだと思いますよ。周りの人が考えているよりももっともっと大変なストレスがあると思うんです。そのストレスを救済するのは同情したってだめなんですから、一応何がしかのお手当ということを国も考えてくれているということになるんじゃないかと僕は思うんですね。
 それで、これは厚生省からいただいたデータですからあれですが、凝固製剤の加熱するものの開発指導、アメリカは一九八三年五月に開始をした。我が国は同じ年の八月、つまりアメリカにおくれること三カ月であります。そしてアメリカが加熱製剤を承認したのは一九八四年の二月、三カ月おくれて開発を指導した日本は一九八五年七月に許可をした。三カ月おくれて出発をして一年五カ月おくれて承認をした。その間、加熱をしない製剤がどんどん輸入されたに違いない。私はこれは厚生省と製薬会社とが両者共同責任であろうと思います。いかがでしょうか。
#123
○政府委員(川崎幸雄君) ただいま先生がおっしゃいましたように、米国のFDAが加熱処理製剤の開発を指示しましたのが五月、日本が関係企業に加熱製剤への切りかえを指示しましたのは八月ということでございますけれども、その後の開発を促進するに当たりましては、手続等をできるだけ簡便化あるいは優先審査等も行いまして、六十年の七月に我が国での承認を行ったものでございまして、結果としてはアメリカの場合よりもおくれましたけれども、我が国といたしましては科学的知見に照らしまして、そのときそのとき必要な最善の努力をしてきたというふうに考えております。
#124
○高桑栄松君 日本はアメリカと同等じゃないのです。エイズに関してはゼロと百ぐらいの違いがあります。すべてアメリカなんです。発見したのはアメリカとフランスです、エイズのHIVを。しかし、すべてのデータ、すべての研究、すべての蓄積は日本の百倍も千倍もアメリカにあるわけです。それを比較をしないで、つまり、学問というの
は全く世界共通なんです。国という垣根はありません。ただ、学問的なレベルが非常に低いところのデータはどうだかわかりません。しかし、少なくとも先進国においてはこれは全部平等です。アメリカが言っているのを我が国が推進しなければならないというのは、人種の違いがあるのかというだけの話です。ですから、エイズのような感染症は人種での差異はほとんどないと考えていい。まずないです。
 そういたしますと、アメリカに一年五カ月もおくれている間加熱しないわけだ。これを私は高桑公害原論で申し上げますと、有害物質が未知である場合、既知の場合、無知の場合と三つを挙げて講義をしてきているんです。未知のものは仕方がない。水俣病のあの有機水銀であることがわからない段階では責任のとりようがない。しかし既知の場合、わかった場合、水俣病の場合はそうですよ。会社が実験してわかったのに隠したというのが後で出てきたわけだ。既知になっていて、それを意図的に隠せば私は犯罪であると思います。無知の場合、全く何も知らなかった。そんな者がそういうポストにいてもらっちゃ困るわけだ。これは未知、既知、無知というんです。
 厚生省はどの部分に入るのかと私は質問をしたいところです。未知だったとおっしゃるのか。一年五カ月たっている。アメリカの情報が入らないわけがない。だれでも知っているわけだ。ですから、なぜ企業の責任を僕は言うかといったら、情報集めるのは官庁よりも早いですから。それはもう情報を集めて研究を進めるのは企業、製薬会社の競争原理です。ですから、早く情報は持っていたと思う。それを知らぬ顔をしたのかと。私はこれも言いたいわけです。したがって、その行政責任と、それから製薬会社の製薬のための医学的知識、道徳的というのか、何かそういうのを引っくるめて、あわせてやっぱり責任を負うべきものだと僕は思うんですよ。ですから、私は感染の段階で既に国もお金を出すべきだと、こう思うんです。
 きょうは時間がなくなったんで申し上げなかったんですが、イギリスがどれくらい金を出しているか、つい最近のでへモフィリアの患者救済基金として百九億追加したと書いてありますよね。トータル二百億になったと書いてあります。これはすごいことですよね、それだけのお金を出そうというのですから。一年間ですからね。日本はほんの五、六億ですよね。それでいいのかと。私はへモフィリアの方々は気の毒だと思うんです、みずからの責任なんかないわけだ。言うなれば注射をする注射器を消毒しなかったものを入れて感染させちゃうのと同じ原理ですから。ウイルスが入っているものを使ったわけだから、これに対しては私は未知か既知か無知かはいずれまたお伺いすることがあろうかと思いますけれども、ぜひともこれは感染の段階で非常に重大な、近い将来のことを不安に思い、心配して、本当に毎日をどうして暮らしているかと思うような人たちのために、私は感染の段階で手当を支給すべきだ。感染というのは発症とほとんど変わりがないということでございます。
 最後に、以上のことを全部踏まえていただいて、大臣のお考えを承りたいと存じます。
#125
○国務大臣(下条進一郎君) 先ほど来高桑委員から大変高度のいろいろな角度からの御意見を拝聴いたしました。
 当エイズ問題は非常に難しい病気の一つでございますが、またそれだけに大変に危険も高く、またこの対策も非常に重要でございます。厚生省といたしましては、ただいまエイズ対策専門家会議で御議論いただいておりますが、そのような御議論を十分踏まえながら、今後とも対策に万遺憾なきを期してまいりたい、このように考えております。
#126
○高桑栄松君 終わります。
#127
○沓脱タケ子君 私は、きょうは歯科医療に関してお尋ねをいたします。
 今日、人口の高齢化の中で歯科医療に対する国民の要求というのは大変強くなっておるのであります。したがって、また公的医療保険制度はこうして高まる国民の歯科医療要求にこたえることが強く望まれているときでもあります。
 短時間でありますから端的にお聞きをしていきたいんですが、診療報酬の医科甲表では、初診時基本診療料を見ますと、過去六年間に四回、合わせて五十点、再診料は過去四年間に二回、合わせて七点の引き上げが行われているわけですが、歯科だけは据え置かれているという実態がございます。私は去る二月七日にこの歯科の初診料、再診料の引き上げに関する質問主意書を提出いたしました。二月十九日に政府から答弁書を受け取りましたが、それに関連をしてお尋ねをしたいと思います。
 答弁書を見ますと、「初診料及び再診料については、医科と歯科とでは、診料の対象となる傷病の性質が異なるため、それぞれの診療行為全体の中での初診行為等の基礎的医療行為の行われ方が異なること等から、それらの点数が異なっているものである。」というふうに述べられているのであります。
 これに関してお尋ねをしたいんですが、この答弁書に述べているように厚生省は本当に思っておられますか。
#128
○政府委員(黒木武弘君) 診療報酬の改定で、初診料、再診料が歯科に据え置かれているというお話から入っていただいたわけでございますけれども、確かに歯科については初診、再診料が据え置きになっておりますが、これは要は診療報酬体系上どこを重点的に評価するかということでございまして、前回は例えば高齢化社会における歯科医療充実の観点から、欠損補綴とか歯冠修復等に係る技術料を重点的に引き上げる、それから在宅の歯科医療の推進を図るための在宅患者訪問看護・指導料の拡充等を行おうということで、そちらの方に点数と申しますか、資源を配分をしていこうという結果であるわけでございます。
 そこで、答弁書でございますけれども、なぜ医科の初診と歯科の初診が違うのかということで、私どもの答弁書では先生御指摘のように答えさせていただいておるわけでありますけれども、それは端的に申しますと、全体での初診の位置づけと申しますか、それの差だというふうに申し上げているわけでございます。端的に申し上げまして、先生も百も御承知でございますが、医科の場合には例えば風邪とか腹痛とかの場合には初診の際に……
#129
○沓脱タケ子君 できるだけ簡潔に、時間がありませんから。
#130
○政府委員(黒木武弘君) 全体的な位置づけ、診療報酬上の点数構成を全体的にどうするかということの差というふうにお酌み取りいただきたいと思います。
#131
○沓脱タケ子君 時間があったら詳しくいろいろ言いたいんだけれども、本当にそういうふうに考えているんだったら事だなと思っているんです。
 例えば、答弁書にこう書いておりますな。「診療の対象となる傷病の性質が異なるため、それぞれの診療行為全体の中での初診行為等の基礎的医療行為の行われ方が異なること等」と書いてある。私は大変不思議に思っておる。なぜかといいますと、診療行為の「基礎的医療行為の行われ方が異なる」と言いますと、歯科だけが異なるというんじゃないでしょう。だって、医科だって内科だって外科だって耳鼻科だって眼科だって、疾病も違いますよ。初診時の診療の内容、行為、みんな違いますよ。そしたら、歯科がそういうことだということで区別をするなら、医科も全部各科別に区別をしなきゃ話にならないので、歯科だけ疾病の性質が異なるなどということを本気で厚生省がお考えになっているとしたら、これは何も本当に根拠ないです。だから、本当に考えているんですかと聞いたのはそこなんです。どうですか。
#132
○政府委員(黒木武弘君) 確かに、初診行為の行われ方は各診療科においてそれぞれ、また症状において異なることは事実でございます。しかし、私どもの申し上げておりますのは、歯科においてもそれぞれ症状によって異なると思いますが、歯科と医科を一般的に比較した場合に、診療行為全
体の中における位置づけと申しますか、それは歯科で申し上げれば、例えば初診で検査とかあるいは診察を行います。そうしますと、直ちにと申しますか、直結した形で治療に入っていくわけでございますけれども、医科の場合には一般的に申し上げて、例えば風邪とか腹痛で初診があった場合には、診察、検査のほかに例えば投薬とかあるいは注射だとか、あるいは処置が行われまして、直ちに歯科ほどは特掲項目と申しますか、そういうところに入っていかないという全体の中での評価だというふうに理解いたしておるわけでございます。
#133
○沓脱タケ子君 それは話違うですな。歯科は歯の治療だから違った医療行為になります、内科は内科で違った医療行為、眼科は眼科で違った医療行為があるんですよ。それが当たり前なのに、歯科だけそういうふうにしているというのはおかしい。これは理解できないです、私の立場から考えたら。だから、こんなことをやるんだったら、医科の中でも各科別に初診料を変えていくのかなと、それでなかったら筋通らぬですよ。
 余り時間がないからやりとりできないけれども、第一、初診時基本診療料、いわゆる初診料ですね。昭和六十年の改正までは医科の甲表と全く横並びできている、そうでしょう。それ以後こういう差をつけた。六年間に四回医科は上げているのに歯科はストップにしておる。そういうことというのは理解できないということを申し上げている。
 これは私、おたくが出しておる厚生省告示百七十七号等を見せてもらいましたけれども、幾ら眺めてみても、医科の甲表と歯科の診療報酬点数表を比べてみても、何か差をつけなきゃならぬ、あるいはつけるんだということは何にも書いてないですね、これもう時間かかるから読みませんけど。何でこんなばかげたことをやるのか私は理解ができない。
 だから、はっきりお伺いをしたいのは、六十年以前までは全く医科の甲表と横並びであったのがそれ以降こういう変更ができた、その理由というのは一体何なのか、これは明らかに解明をしてもらわないと理解できないですね。私も医療関係者の一人ですけれども、どうしても理解しにくいですね。六十年までは変わらぬで六十年から変わりましたんやいうて、変わったのは何が変わったんや、何にもわからへん、そんなもの。そんなばかなことないです。こんな大きな矛盾を、国民医療の非常に大事な分野でこういうひどいやり方というのはやめるべきです。改めるべきですよ。改めないというんだったら、なぜ差をつけたかということを客観的に理解のできる説明を伺いたいものです。
#134
○政府委員(黒木武弘君) 歯科の診療報酬をどういうふうに全体として構成するかということだと思います。
 確かに従来は、四十九年ぐらいはやはり差があったわけでありますが、それ以降ずっと甲表の初診と歯科の初診が一致をしておったわけでありますけれども、六十年以降差がついておるということでございます。これは引き上げの財源をどこに配分をするのが最も適切かということを中医協を中心に議論をいただきまして、その結論の結果ということでございますけれども、先ほど申しましたように、これからの高齢化社会等を踏まえますと、補綴関係と申しますか、あるいは歯周疾患絡みのものに重点的に評価をすることが適当であるという結論によって、そういう中医協の議論を踏まえてそちらに点数を配分した。
 いずれにしましても、診療報酬というのは、個々の点数でということではございませんで、全体の中で診療所の経営が適切に行われるかどうかという、そのメルクマールが私どもは重要だと考えておりますけれども、御指摘のように初診あるいは再診等を軽視いたしておるわけじゃございません。今後も中医協の御議論を踏まえながら適切に判断してまいりたいというふうに考えております。
#135
○沓脱タケ子君 いみじくもおっしゃった。大臣これはよう知っておいてほしいのは、診療報酬、医療費が増高する増高するいうていろんな形で弾圧してきているんですよね、ここ十年来。そういうことがこんな形になって歯科にはあらわれているという一例なんですよ。
 昨年の四月の診療報酬改定というのは、歯科でも名目上一・四%で、実質一%わずかに引き上げた、そういう低いものですね。そういう中で医科は五点ずつ引き上げたわけです、初診も再診も。歯科は据え置いた。これちょっと見てみて驚いたんだけれども、そんなもうパイ全体が小さいわけなんですよね、配分するべきパイ全体が小さい中であれこれ細工をするから、理屈じゃないし、取り決めのとおりやっているということが矛盾なく説明できないというところまで来ているという問題なんですよね。もっと言うたら、引き上げられた点数と新設された点数の合計というのは一万三千八百九点になるんですね。そのうちの一万一千五百三十点がスルフォン樹脂床義歯関係に充てられているんですね。だからこれは、総引き上げの点数考えたら、その分だけで八三%になるんです。
 それで、これも不思議だなと思って質問を申し上げたんですが、このスルフォン樹脂床についての有効性について答弁書はこう言うてるんですよ。「スルフォン樹脂有床義歯については、従前から用いられているアクリルレジンによる有床義歯に比べて、堅ろう性、薄さ等の点で臨床上有用であり、保険診療上も有効性、効率性の点において高く評価できるものであること、製作上特殊な技術を必要とし、作業工程も多く複雑であることにかんがみ、」「高い点数を設定しているものである。」ということが答弁書には書かれているわけです。
 ところが、日本補綴歯科学会から、平成二年十月二十五日付で「保険点数改正に関する意見書」というのが出ているんです。そこの文章全体読めませんからその部分だけ読みますと、「ポリサルホン義歯は金属床義歯に匹敵するものでなく、床用材料として臨床的に問題がある」、こういう指摘がされている。この見解は第七十回学術大会、これは五十八年十月、このシンポジウムに発表して学会誌にも公表している。こういうことが述べられておりますけれども、厚生省はこのことを御存じなのか。全くこれ見解が違うんですが、どうなんですか。
#136
○政府委員(黒木武弘君) 私どもは新しい材料等の導入に当たりましては、日本歯科医師会、そこに置かれております学会、特に補綴学会等を中心に意見を聞いた上でその有用性なり必要性なりをお聞かせいただいて、そして中医協の議を経て導入を決めているわけでございます。そういう意味から申しまして、私どもは答弁書にお答えいたしたとおりの判断をしているわけでございます。
#137
○沓脱タケ子君 こういう診療報酬の点数等を決めていくのは治療法についてのやり方なんです、材料と違う。材料の問題なんですからね。そんなことを学会の見解も聞かずに厚生省がやっているというのは、これは話にならぬと思うんです。意見が違うじゃないですか。現にこれ教材として臨床実習なんというようなものをやっている大学はありますか、今。歯科大学ないじゃないですか。私の調べたところでは阪大と広島大学の歯学部では講義では触れている、しかし臨床実習はしていないと言っている。
 だから、どんなことが起こってきているかというと、時間がないからまとめて言いますが、実際には保険診療の診療報酬の請求がないんです。これは昭和六十三年の厚生省社会医療調査、これを見ますと、五歯以上の局部床義歯と総義歯については全く請求がなくてゼロです。それは当たり前ですよ、大学で臨床実習も教育もしていなかったら。それは臨床に各診療所や病院でやらないんだから診療報酬請求するはずがない。そうでしょう。使いもせぬものを何でこんなにたくさん点数を上げるんやと。それで初診料の引き上げも再診料の引き上げもとめてほっておくんやと。それは歯科医療の関係者の中ではおさまらぬのは当たり前ですよ。だってこんなスルフォン床義歯というのは
もう十年ほどやっているんでしょう。十年ほどやっていて診療ゼロというようなものをどんどん点数だけ上げて、すべての診療に関係のある初診料、再診料については上げぬでほっておくと。それでだれも請求せぬようなものだけぼんと上げる。こんなつじつまの合わぬようなやり方をよくも厚生省がやっておられるなと。もっと私は厚生省を信頼していましたよ。これを見てちょっと驚いたんですが、これはいかがですか。もう時間がないな……。
#138
○政府委員(黒木武弘君) 学会無視だというお話でございますけれども、先ほど答弁しましたように、日本歯科医師会を通じて、そこに関係学会が全部置いてございますから、そこを通じて私どもは聞いた上での判断というふうに御理解いただきたいと思います。
 それからスルフオン樹脂のお話でございますけれども、私どもは先ほど申しましたように、これからの高齢化社会を控えてこういった義歯だとか歯冠修復とかいったようなものが、非常に補綴関係が重要だということから重点的に引き上げているわけでございまして、スルフォン樹脂以外の有床義歯についても前回の改定で重点的に引き上げを行っているところでございますから、そういう中での引き上げだというふうに御理解をいただきたいと思います。
#139
○沓脱タケ子君 日本補綴歯科学会というのは学会と違うんですか。そんな権威のない学会なんですか、これは。四月に点数をあなたのところがさわってから以後に点数改正についての意見書というのをわざわざ学会の立場で学会長の名前で出しているんです。それを尊重しない。いや、歯科医師会はどう言ったか知りませんよ。学会はそう言って公表されているんです、学会誌に。何を言っているんですか。そういうことは了解できません。それで、こういう請求がゼロであるというのは当たり前です、大学で教育に使っていないようなものをこれから使うんや使うんや言うて。みんなが待ち望んでいるものは点数は五点。五点といったら五十円ですよ、皆さん御承知ないでしょうけれども。五万円と違うんです。五十円です、わずか。そのわずか五十円の初診料の引き上げをせぬで、請求の一つもないものにどんどんつけるというようなそんなむちゃなやり方は、これは改めるべきです、少なくとも。
 それで、私最後に、時間ないですから大臣に申し上げておきたいし、御見解を伺いたいんですが、こうして学会から意見が出ている、全然違う意見が出ているでしょう、厚生省が採用しているやり方と。大学でもこれは教材として使用していない、教えていない。だからしたがって、診療報酬は総義歯についてはゼロです。一件もないですから、一年間に。そういうことを平気でぬけぬけやるというようなやり方が厚生省で横行するというのは困ると思うんですよ。そういう点は御調査をきっちりしていただいて、一番問題になっております初診料や再診料の引き上げについての緊急是正について考えていただきたい、行うべきだと思います。そうでありませんと、歯科関係者の中のこういう公正を欠くやり方に対する怒りというのは広がっていますよ。そのことは国民と歯科医師との関係、歯科医療に対する不信につながってくるんです。その点を御理解いただいて緊急是正について考えていただきたいということを強く要請しますので、大臣の御見解を伺っておきたい。
#140
○国務大臣(下条進一郎君) 歯科医療の重要性は十分承知いたしております。したがいまして、昨年四月の診療報酬改定のときにおきましても、歯科医療の特性や医療技術の向上あるいは疾病構造の変化や高齢化の状況等を総合的に勘案した上で診療報酬の引き上げを行ったところでございます。
 現行の診療報酬上、適正な歯科医療を行うに足る十分な措置が一応今はとられていると解釈いたしておりますが、今後とも国民にとって良質の歯科医療が提供可能となりますように、引き続き中医協の御意見を踏まえながら歯科診療報酬が適正なものになるよう努力をしてまいります。
#141
○沓脱タケ子君 最後に。もう終わりなんですが、中医協と御相談をしていただくのはいいんですが、中医協に厚生省としての見解をきちんと諮問をしてやっていただきたい。それで緊急是正をぜひ大臣の時代にやっていただけるように強く要請をいたしまして、終わります。
#142
○乾晴美君 私は保育所の問題についてお伺いしてみたいと思います。
 御存じのように徳島県というのは非常に働く人が多くて、昔から讃岐男に阿波女なんて言われるんです。それはどうしてかといいますと、徳島の女性は大変よく働きますし貯蓄率もよいというわけで、お金をためるのも上手だし、よう働くということで言われておるんです。現実に数字から申しましても、徳島の女性の就業率というのは七四%もあるわけです。女性が七四%も働いていらっしゃるということは共働きというのが非常に多いということで、もう保育所ということに関しましては皆さん関心がおありになるという、こういう県でございます。
 そこで、保育所の現在の入所基準というのがどうなっておるのか、簡単に教えていただきたいと思います。
#143
○政府委員(土井豊君) 保育所への入所基準でございますけれども、児童福祉法施行令の九条の二というところで規定がございまして、一つは「昼間労働することを常態としていること。」、二つ目は「妊娠中であるか又は出産後間がないこと。」、三番目は「疾病にかかり、若しくは負傷し、又は精神若しくは身体に障害を有していること。」、四番目が「同居の親族を常時介護していること。」、五番目が「震災、風水害、火災その他の災害の復旧に当たつていること。」等の要件のいずれかに該当する場合ということが決められておりまして、この施行令の考え方に基づきまして、具体的には市町村の条例で決めるというような形で実施をしているところでございます。
#144
○乾晴美君 今お話がありましたように、昼間働いている人が預けられるということなんですが、実際に昼間労働を常態としていない、そういうようなときには勢いベビーホテルに預けなければならないということになるのでしょうか。
#145
○政府委員(土井豊君) 基本的には、保育所の運営基準としては昼間働いている方々の子供さんを預かるということで、保育所のオープンしている時間は夕方の六時ぐらいまでということに相なっております。ただ、最近保育所に対する需要が多様化しておりますので、延長保育でありますとか夜間保育でありますとか、あるいは新年度からは新しい夜十時くらいまでの保育サービスというようないろんな多様化したサービスもやっていこうという形でやってまいっております。ただ、どうしても保育所の開いている時間帯と合わない方々というのがやむなくベビーホテルを利用されているというふうに理解しているところであります。
#146
○乾晴美君 そういうことなんでしょうけれども、徳島県というのは非常にたくさん働いているわけなんですが、徳島県全体の人口というのは全国で第四十四番目ぐらいなんです。しかしベビーホテルの数というのが全国の第十二番目になっているということは、相当徳島県の方々はこのベビーホテルに全国的に見ても多くの方が預けていらっしゃるんだな、また預けざるを得ないんだなというようにも思うわけなんです。
 そういうことで、ベビーホテルに対する点検というか指導というか、そういうのはどのようにやっていらっしゃいますでしょうか。
#147
○政府委員(土井豊君) 平成元年度におきましては、全国で四百四十四カ所のベビーホテルがございますが、都道府県知事が定期的に立入調査等を行っております。具体的に申しますと、立入調査を実施したものが四百十八カ所、報告書を徴収したものが三百四十三カ所、立入調査かあるいは報告書いずれかを行ったものが四百三十八カ所ということになりまして、大体九十数%までは何らかの形で適正な運営ができるように指導、点検を行っているという実態になっております。
#148
○乾晴美君 それで安心いたしましたけれども、
今後も指導、監督というか適正な保育環境の中で子供が育てられるというようなことを確保していただきたいと思います。
 先ほど条件がありましたり、また市の条例で決められているというようなことで、保育所の入所基準ということなんですが、入所基準というものをもう少し緩和したり、多様なニーズに適応できるようなそういった新しい保育所のあるべき姿というふうなものを考えていただきたいというふうに思うのですが、それはいかがでしょうか。
#149
○政府委員(土井豊君) 大変ごもっともな御意見であると思いますが、私どもとしては保育所は児童福祉施設の基本的な性格を持っているという観点からおのずから限界があるだろうと思っております。ただ、先ほども申し上げましたけれども、保育需要が非常に多様化しているという中で、特別保育対策を推進すること等が非常に重要になってきていると認識しておりまして、例えば平成二年度におきましては、母親のパート就労とかあるいは病気などの際にも、措置基準には該当しないけれども保育所が子供をお預かりするという一時的保育事業、これをスタートさせまして、新年度予算ではその対象箇所数をふやしているというような形で、今後とも実情にできるだけ合うように努力してまいりたいと思っております。
#150
○乾晴美君 母親が病気のときに預けられる一時保育ということなんですけれども、簡単な病気だったら今まで預かっていなかった子も特別に預かっていただけるようなところまで幅広くできたらなと今思いましたけれども、延長保育そしてまた夜間保育、それから産休明けから預けられる零歳児保育とか休日保育、そういったもっともっと多様に預けられるようなシステムというのは考えていらっしゃいますでしょうか。
#151
○政府委員(土井豊君) 現在私どもでやっております中身を若干説明させていただきますと、一つは乳児保育でございまして、これは全国で五千六百六十二カ所、その人数の保母さんを保育所に張りつけましてやっております。
 それから、一時的保育は先ほど申し上げましたとおりでございます。
 それから延長保育でございますが、予算上は二千カ所ぐらい計上しておりますけれども、実態はそれの半分を切るぐらいの実態になっております。
 それから休日、夜間でございますけれども、保育所が休日にオープンできるかという現実の問題がありまして、それは実行できておりません。ただ、新年度におきまして企業の内部の保育サービスを社会福祉法人が受託してやれるような、そういう制度をことしの秋からスタートさせたいというふうに考えております。
 それからまた、産休明けのゼロ歳児保育についてでございますけれども、現在産後八週間、約二カ月たった子供を預けられるかどうかという問題でございますが、地域によって実態に若干の違いが出ておりまして、すぐにはなかなか預けられないというような保育所もありますれば、ある程度そういったものもお引き受けしようというさまざまな状態になっております。なお、中児審からは首のまだ据わらない赤ちゃんを保育所が預かるのはどうかといったような意見もかつて出されておりましたが、今後ともどちらの方がいいのかということについては常に勉強しながら努力してまいりたいと思っております。
#152
○乾晴美君 保育所につきましては多様なニーズがあるということなんですけれども、昨年も一・五七ショックというのがありましたように、近年出生率が低下したということで大変心配しておるわけなんですが、それに伴って入所してくる児童が減少するという事態もまたあるわけなんですね。そこで、保育所の数が縮小されないのだろうかというようなことが現場の先生だとか保護者の間の大変関心事でありますし、現に保育所が毎年数が減っていったり、また定員が減っているということが現状だと思うのですが、それはどうなんでしょうか。
#153
○政府委員(土井豊君) おっしゃいますとおり、児童数の減少に伴いまして入所する子供の数が減少しているのは事実でございまして、現在保育所の定員に対する入所割合は平成二年度で八二・七%、この率は逐年少しずつ下がってきているという状況でございます。そういう意味では、保育関係者を含めましていろいろ将来に向かって危機感を持っていると思います。
 私どもとしては、全体の子供を取り巻く環境、子育て環境づくりというような観点から、全国に広がっておる保育所の持っているいろいろな子育てのノーハウを地域のお母さん方、家庭にできるだけ返していきたい、多様な保育サービスというようなものをやりたい。それから、今申しました子育て支援の中核的な存在として保育所に対応したきめ細かないろいろなサービスを提供できるようにしたい。そういう意味で、全体としては現在の保育所の子供の数が減って余裕が出てきた力を活用していろいろな新しい分野に持っていきたい、そんなふうに考えているところでございます。
#154
○乾晴美君 厚生省の方も多様なニーズに対応されようと、こういうことなんですから、ぜひともこの機会に、保育所の数を減すとか定員を減すとかというのじゃなくて、小規模保育所それから保育機能の多目的化ができる、いろいろな多角的な対応もできるといったようないろんなことができるチャンスでもあるのだというようにとらえていただいて、ぜひにいろいろなことをやっていただきたいというように思います。
 その次に、保育料のことなんですけれども、この保育料というのがいろんなところで高過ぎるとかいろいろ言われているのですが、これは不公平感があるからだろうと思うのです。徳島の場合は、特に農家の方なんかで車が何台もある、そしてどんどんとお仕事をなさっているような方の家の方がうんと安くて、サラリーマンの方がすごく高いというようなことをたくさん聞くのですけれども、これはサラリーマンと所得申告者の所得の把握というか税金の関係できているんだというようなことを思うわけなんですけれども、それを何というかもう少し解消する一つの方法として、保育料を定額にしてそのあとの足らない部分だけを所得比例にするというような保育料の徴収の仕方はいかがでしょうか。
#155
○政府委員(土井豊君) 御案内のとおり、現行の保育料の徴収基準でございますけれども、保護者の負担能力に応じて御負担をいただくという考え方に立っております。
 具体的に申しますと、生活保護世帯はゼロ円ということになっておりますし、あとだんだんと所得税等の税額区分に応じまして、全体として十区分をとっております。各階層ごとの基準の設定に当たりましては、所得の低い方々につきましては保育所の入所児童の一般生活費を徴収する。所得の多い方々につきましては段階的に基準額を設定をしまして、人件費等も含めていただくというような考え方でございます。なお、所得税額の低い階層につきましては、固定資産税を一定額以上納めているような場合には一定の調整措置を講じているという形にやっております。
 このような現行の保育料の基準額の設定におきましても、ある意味では定額プラス所得比例というような、考え方としてはそういう考え方があるわけでございますけれども、大変貴重な御意見だとは思いますけれども、直ちにそういうところまで踏み切れるかどうか非常に難しい問題もあるのではないかなと率直なところ感じているところでございます。
#156
○乾晴美君 これは徳島全体に申しておりますことでして、保育料というものがもっと安くならぬかなというのはもう皆さん言われることですので、またいろいろ検討していただきたいというように思います。
 私はもう一つ、いろいろ厚生省が出されてくる、そしてまたテレビとかいろんなところでマンパワーという言葉をよく聞くんですけれども、このマンパワーというのは、辞書なんか引きますと、人的資源だとか人力だとかということなんでしょうけれども、私たち女性から受けますと、マンと
いうのは、大体それに反する言葉、ウーマンというのがありまして、マンパワーというと何か男の人だけがやるんかなという感じもしますし、違和感があるわけなんですね。また反対に、保母さんだとか、それから看護婦さんだとか、寮母さんとかといったように、いかにもそれは女性がやるんだぞといったような名前があるわけなんでして、これをもっと保育士だとかそれから看護士だとかといったような、男女がともにそういう仕事ができるんだというような名称が考えられないかなというように思うんですが、いかがでしょうか。
#157
○国務大臣(下条進一郎君) マンパワーという言葉を突き詰めてまいりますと、今委員がおっしゃったような問題があるかもしれないと思います。ただ、マンというのは一般的に両方あらわした場合もあるやに受けとめております。例えば、マンカインドというときは大体これ男女を含めて人類全般でございますし、今までマンパワーという言葉は今委員がおっしゃいましたように人的資源、労働力という意味を包括して使っておるように理解しております。
 したがいまして、今おっしゃったような特に厳しい性別をその中に含めておるものではないんではなかろうかと思っております。どのような用語を用いるかにつきましては、社会のさまざまな場で共同していく男女の仕組みを整えることが必要だろう、こう考えておりまして、このための取り組みにつきましては、昭和六十二年に内閣総理大臣を本部長とする婦人問題企画推進本部が策定した「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」に示されている男女共同参加型社会の形成を目指すという考え方に沿って私もこれから努力してまいりたいと考えております。
#158
○乾晴美君 私、マンパワーをヒューマンパワーとかというふうになるといいなあというように思っていましたから申し上げたんですけれども、時間もございませんので、最後に保育行政についての大臣の抱負といいましょうか、お考えをお聞かせいただきたいというように思います。
#159
○国務大臣(下条進一郎君) 今の福祉をさらに高めていくという政策の一つといたしまして、保育の面の手当てをさらに厚くしていくことは当然必要でございます。ただ、画一的なことでは私は十分にいかないと思いますし、場所によっては児童数が減ったことによって保育所の機構を考え直さなければならないところもございますが、一方人口がふえてくる、あるいは就労される方がふえてくる、あるいは就労の形態が例えば夜にかかってもお勤めになる方とかいろいろございますので、そういう意味では平成三年度の予算におきましても、先ほどちょっと説明がありましたように、夜間十時までの延長の保育を新たに開始するとか、それぞれの状態に応じたいろいろな工夫をしながら充実を図ってまいりたい、このように考えております。
#160
○乾晴美君 保育所につきましては、皆さん大変苦労されておいでて、保育所がないために住所を変わられたり職場を変わられたりなさっている方も随分おいでるわけなんでして、できるだけ数を減すだとかということでなくて、充実していく、皆さんのニーズにこたえていくという保育所をつくっていただきたいというようなことでお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#161
○勝木健司君 厚生大臣御苦労さんでございます。
 我が国は大変な速度で高齢化が進んでおるわけでありまして、また一方では出生率が低下をいたしております。現状では出生率が急速に回復するという見通しも、その予測も立たないようでありますが、一方高齢化の進行速度は確実に計算できるわけであります。高齢化の速度はまだまだ速まるのではないか、本格的な高齢社会とはどのような社会相を言うのであろうか、高齢社会に対する漠然とした不安が私たち国民にあると思うのであります。
 そこで、厚生大臣は、「本格的な高齢社会にふさわしい社会、経済の仕組みをつくり上げていかなければなりません。」と述べられております。私も全く同感であります。そのような仕組みをつくり上げていくためにも、二十一世紀に向かってこの十年間が極めて重要な今時期に当たると思います。そこで、人によっても違いますし、また政党によっても違いがあろうかとも思いますが、高齢社会にふさわしい社会、経済とはどのような社会、経済を言われるのか、またつくり上げようとするその社会、経済の仕組みはどのような仕組なのか、厚生大臣の御見解をまずお伺いいたしたいというふうに思います。
#162
○国務大臣(下条進一郎君) 勝木委員の今お話の中にありましたように、大変速いテンポで高齢化社会が進んでおるわけでございます。その場合に、お年寄りから赤ちゃんまでの皆様が生きがいを持って、しかも内容の充実した人生を送れる、こういうことが理想でございますから、やはりいろいろな部面においてお体の悪い方、障害を持っていらっしゃる方、あるいは幼児のために保育の必要な方、お年を召してお体が不自由になったために介護の必要な方など、いろいろと手を尽くさなければならないことが多々あるわけでございます。
 そういう意味におきまして、当省といたしましては保健医療、福祉分野の仕事、これは国民の生命、健康等に直接かかわる意義深い、崇高な仕事である、このような認識に立っておりまして、その意味からこれらの仕事に従事していらっしゃる方の使命がやはり十分生かされて、充実した成果が上がるようにということを今我々は念願といたしておりますと同時に、参加していらっしゃる方々の仕事も高く評価しながら、使命に燃えてやっていただけるような環境をつくり上げていきたい、このように考えておるわけでございます。
 御承知のように、平成元年十二月に策定されました高齢者保健福祉推進十カ年戦略の推進や医療内容の高度化、専門化等が進む中で、保健医療、福祉サービスの需要は大幅な増大が見込まれておりまして、保健医療・福祉マンパワーの役割も今後ますます重要なものとなっていくと認識しております。そのような条件を整えながら高齢化社会に対応してまいりたい、このように考えております。
#163
○勝木健司君 具体的に想定される社会に対してどう厚生省として対策をされるかということはよくわかりましたけれども、一体どういう経済を想定されておられるのかということについてはよく私はわかりませんので、また違う別の機会にでもお伺いして、次に進ませていただきたいというふうに思います。
 先般厚生省に設置されております保健医療・福祉マンパワー対策本部から中間報告が発表されておるわけでありますが、この中で幾つかの職種が取り上げられております。きょうは、その中でも解決が急がれております看護婦不足に絞ってお聞きをいたしたいというふうに思います。
 そこで、このような看護婦不足に至った原因について、厚生省はどのように認識をされておるのか、また看護婦さんの充足対策について、そしてまた今後の見通しについてもあわせてお伺いをいたしたいというふうに思います。
#164
○政府委員(長谷川慧重君) 看護婦不足に至った原因についてのお尋ねでございますが、看護職員につきましては、毎年就業者数は増加いたしておるところでございますけれども、一方におきましては、医療の高度化なり専門化がどんどん進んでおるということ、あるいは高齢化の進展が進んでおる、それから福祉施設を初めといたします看護職員の活躍の場が拡大しておるということなどによりまして、看護職員に対します需要も大きく増加しているというぐあいに考えているところでございます。これに加えまして、近年は病床も大きく増加いたしておりまして、社会全体の人手不足の状況の中におきまして、看護職員が不足するという状況に至っているというぐあいに認識いたしておるところでございます。
 このような認識のもとに、厚生省といたしましては、マンパワー対策本部の中でもいろいろな御議論があるわけでございますけれども、当面来年度予算におきまして、大幅な予算増額を図りまし
て、看護職員の養成数の増加あるいは現在勤めておられる方々の処遇条件の改善ということで、保育所に対します補助の充実あるいは貸与資金の額の引き上げ、それからやめられた方々に対しましては、ナースバンクの活用によりましてさらに就業を進めていただこう。あるいは看護の日というものを制定いたしまして、看護に対する国民のイメージアップを図りたい等々、それからまた、看護婦養成所の予算額につきましても、四十億円から四十四億円に引き上げまして、養成所の増を図ってまいりたいというようなことで、いろいろな施策を講じまして、看護職員の養成を図ってまいりたい。これによりまして将来看護職員の不足によるいろいろな問題が出ないような形のものをつくってまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。
 そういうことで、現在持っております需給見通しにつきましては、高齢化社会の進展あるいは労働条件の改善という問題もございますので、新たに今月末をもって各都道府県の方に指示をいたしまして、今後の看護婦需要供給数についての見通しにつきましての新たな需給計画の見直しをやりたいということで、現在作業を進めているところでございます。
#165
○勝木健司君 今看護職員の養成について話がありましたので、文部省にお伺いしたいというふうに思います。
 現在看護職員の養成は看護婦等養成所における養成が主でありまして、その養成内容の向上にも努力をされておるところでありますが、高学歴化の中で、看護婦を志望する人を確保していくためには、やはり看護大学の増設も重要であるというふうに私どもは考えております。看護婦養成所卒業生の看護大学への編入という問題についても積極的に御検討願いたいと思いますが、まず志望者の多い看護大学の増設を図ることが先決じゃないかというふうに思うわけであります。そこで、医学部を設置いたしております国立大学には看護学部を設けるか、少なくとも看護短大を併設するべきだというふうに考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
 そしてまた、中でも新設の医科大学は看護婦養成所すら設置をしていないところが多いやに聞いておりますので、特にそういった面でも力を入れるべきだというふうに思いますが、お伺いをいたしたいというふうに思います。
#166
○説明員(草原克豪君) 文部省では、看護教育の質的な充実を図る観点から、従来から国立大学の医学部におきましては、既設の専修学校を改組、転換することによりまして、昭和四十二年以来二十二の医療技術短期大学部を設置してきたところでございます。
 御指摘のように、四年制の大学レベルでの看護教育につきましても、現在のところ国立大学では六つの大学に看護系の学科が設けられております。このほかに公立では一大学、私立では四大学、合計十一の大学に看護系の学科が設けられているところでございます。私どもも、今後看護教育の一層の充実を図るとともに、その教育者を養成するという観点から、学部レベルの看護教育の充実については積極的に対応する必要があるというふうに考えております。
 また、医学部を持つ大学においても、看護婦養成の機関を設けては、こういう御趣旨でございました。現在のところ、医学部を設置する大学、国公私立を合わせまして七十九ございますが、このうち看護婦養成機関を有していないものが十六ございます。このうち十四は御指摘のありました、いわゆる国立の新設の医科大学でございます。これら新設医科大学に新たに看護婦の養成機関を設置するということにつきましては、まず新設の医科大学においては、現在附属病院の、例えば集中治療部であるといった特殊診療施設がまだ未整備の状態でございます。したがって、当面これらを優先させなければならない、こういう事情がございますし、また、先ほど申し上げましたように、これまで二十二の短期大学部を設置してきておりますけれども、今後はさらにこれらの短期大学部の改組によって、学部レベルでの看護教育の充実を図るということも新しい課題になってくるというふうに認識しております。
 これらの事情を考え合わせますと、現下の財政状況からいたしまして、現在の段階で新設の医科大学に新たに看護婦の養成機関を設置するということについては、極めて難しい状況にあるということは御理解いただきたいと思います。しかしながら、今後公立あるいは私立の大学等については、そのような申請があれば、それについては積極的に対応してまいりたいと考えております。
#167
○勝木健司君 次に時間の関係で進ませていただきたいというふうに思います。文部省ありがとうございました。
 麻薬、覚せい剤などの薬物乱用対策に入らせていただきますが、薬物乱用の恐ろしさは、今さら言うまでもないわけでありまして、昨年の社労委員会を初め国会でも向精神薬に関しての法律改正が行われ、一歩前進を見たわけでありますが、これで安心というわけにはいかない問題であります。コカインの押収量は、平成元年史上最高を記録いたしたというふうに聞いております。麻薬の不正売買は五千億ドル以上、兵器に次ぐ世界第二位の商品とも言われております。南米の密輸組織は、アメリカのコカイン密輸中継基地として日本をねらっていると言われております。中継基地としてのみならず、経済大国日本が非常に有望な市場ということでねらわれているのであります。事実、先ごろある組織からマスコミ各社や銀行などに対しまして、麻薬戦争を開始する旨の文書が大胆不敵にも郵送されてくるという事件が発生いたしましたが、これはまさに社会、そして政治への挑戦であり、断固とした態度で臨む必要があるというふうに思います。
 私は、こうなってきますと、国内対策を充実させることももちろん重要でありますけれども、国際的な不正取引の防止など、国境を越えた国と国との連携のとれた対策というものがぜひとも必要であるというふうに考えます。そういう状況のもとで、国連におきまして麻薬に関する新しい条約が採択をされ、批准国も次第にふえ、昨年十一月に発効したやに聞いております。我が国はいまだ批准していないのは遺憾でありますが、条約の具体的論議は外務委員会の話でありますから、厚生大臣にお伺いいたしますのは、麻薬新条約批准のための国内法の整備に向けての厚生大臣としてのまず所信をお聞かせ願いたいと思います。
 また、国内法の整備を進めているということであれば、どういう内容に一体なっていくのか、この問題についても現段階の話で結構ですから、まずお聞かせいただきたいというふうに思います。
#168
○国務大臣(下条進一郎君) 麻薬の大変な被害というものが世界じゅうに広がっておりまして、日本もその例外ではないということで、国連においても、また昨年のサミットにおきましても、これはもう重要課題として取り上げられていることはただいま委員の御指摘のとおりでございます。
 そこで、この麻薬新条約が今問題になっておりまして、このことにつきましては、国際協調という観点から、またその問題の重要性から我が国としてもなるべく早い時期に批准をいたしたいということでございます。このような認識に立ちまして、厚生省といたしましても、条約批准のための国内法整備に向けまして、御指摘のように今最大限の努力をして準備をしておるわけでございます。
 中身につきましては、担当局長から説明させます。
#169
○政府委員(川崎幸雄君) 国内法整備の内容については、私から御説明いたします。
 新条約批准のため、目下麻薬及び向精神薬取締法等の薬物取締法を中心に関係法律を改正する作業を進めているところでございます。
 主な立法事項について御説明いたします。
 まず、新たな罰則の追加でありますが、すなわち麻薬犯罪により得ました不正資金の洗浄、いわゆるマネーロンダリングと言われるものでございますが、を犯罪として処罰できるようにすること。
さらには、国外犯処罰規定の新設、すなわち外国で麻薬の製造、譲渡などを行った者を我が国で処罰できるようにすることでございます。その次には、麻薬犯罪により得た財産の没収に関する規定を整備することでございまして、すなわち現行刑法にはない無体物、債権等の没収を可能にするような規定を整備することでございます。次に、麻薬原料物質の規制、すなわち麻薬等の合成に必要な化学品について必要な規制を行うことでございます。それから、いわゆるコントロールドデリバリーに関する規定の整備でございますが、すなわち捜査のため密輸麻薬をわざと通関させることができるような特例手続を創設することでございます。さらに、マネーロンダリング防止対策といたしまして、金融機関に疑わしい取引の報告を求める制度の創設等、こういった内容を目下検討しているところでございます。
#170
○勝木健司君 法案作業が着々と進んでいるようでありますけれども、具体的に今国会の提出に間に合うのかどうか、お伺いしたいというふうに思います。
#171
○政府委員(川崎幸雄君) 法案につきましては、現在他の省庁にもわたって検討を進めているところでございますので、鋭意目下作業を進めている段階でございますが、関係省庁と協力して検討を急ぎまして今国会で御審議をいただけるよう努力をしていきたいと考えております。
#172
○勝木健司君 そこで、外務省にお伺いしたいと思いますが、法案の方は今ありましたように順調に進んでおるようでありますので、条約案について今国会に提出される予定かどうか、提出されるとすればいつごろになるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
#173
○説明員(鈴木一泉君) 条約を締結する際に国内法の改正等が必要な場合には、条約案と国内法の改正案をともに国会にお諮りするということで従来作業を進めてきております。この条約についても同様の措置が必要でございまして、ただいま厚生省の方からも御説明がありましたとおり、現在国内法の整備等作業を進めているところでございます。その作業の終了を待ちまして、終了され次第、関連のただいまの改正案とそれから条約案ともに可能な限り今次通常国会に提出すべく私ども最大限の努力を行っておるところでありまして、日々作業を急いでいるところでございます。
#174
○勝木健司君 外務省、ありがとうございました。
 もう時間が来ましたので、最後に厚生大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、西欧諸国におきましては住宅対策が社会保障、福祉の必須の条件として取り組まれてきたとも言われております。我が国においてはこのような思想が社会保障、社会福祉の面においても住宅対策の面におきましても欠けていたのではないか。また、そのような思想を持つほど我が国は余裕がなかったのではないかと思うのであります。
 しかし、これからの二十一世紀の高齢社会においては、土地、住宅対策に社会保障、社会福祉的な考え方を取り入れていかないと、地価高騰がいつまでもネックになってそれこそ国民はいつまでたっても豊かさを実感できないのではないかと思うのであります。ゴールドプランでも在宅福祉を重視いたしておりますが、私は福祉政策を進める場合、我が国のあらゆる政策のネックにもなっております住宅政策もこのゴールドプランに取り入れてほしかったというふうに思っておるわけであります。現に高齢化先進国でありますデンマークでは、住宅対策が高齢者対策の大きなウエートを占めているやに伺っております。今後我が国におきましても、住宅対策を高齢者対策の一環としても取り組んでいただきたいと思いますが、厚生大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
#175
○国務大臣(下条進一郎君) 御指摘の点は大変大事なところだと私も認識いたしております。御承知のように、人口が急速に高齢化する中で心身の機能が低下してもできる限り住みなれた今までの地で生活を続けていきたいという御要望もあるのでありますから、そのように高齢者に配慮した住環境の整備が極めて重要と思っております。
 このような観点から、既存の住宅につきましては、要介護老人が在宅で生活できますように住宅の改造を促進するためのマニュアルの作成や関係者の研修、住宅改造相談体制の整備を図ることにいたしております。また、高齢者向けの住宅の整備につきましては、建設省と連携のもと高齢者向けの公共住宅と福祉サービスの連携を図るシルバーハウジング事業を昭和六十二年度から実施しておるところでありまして、厚生省といたしましては公共住宅に住み込んで生活相談や安否確認等を行う生活援助員を派遣するというシステムを持っておるわけでございます。また、車いすを使う状態になっても高齢者が住み続けておられますように工夫したケアハウスを高齢者保健福祉推進十カ年戦略に従って二〇〇〇年までに十万人分の整備をすることにいたしております。
 今後とも関係省庁と密接な連絡を図りながら、高齢社会に対応した住環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
#176
○勝木健司君 ありがとうございました。終わります。
#177
○西川潔君 本日も高齢者問題からお伺いしたいと思います。
 昨年の社会労働委員会、先日の予算委員会でホームヘルパーの研修期間中の手当につきましていろいろと御質問をさせていただきましたときに、厚生大臣の方から大変前向きに検討するという予算委員会での御答弁をいただきましてまことにありがとうございました。今後も実現に向けましてひとつ御検討の方を引き続きよろしくお願いいたします。
 本日は、最初に福祉マンパワーの養成確保対策についてお伺いいたします。
 福祉マンパワーの養成確保につきましては、国、自治体、社会福祉協議会などいろいろな立場でお取り組みいただいておるわけですが、例えば東京の豊島区でございますが、全国の自治体では初めて介護福祉士を目指す学生に対する修学奨励制度というのを導入するそうでございます。また、先日発表されました保健医療・福祉マンパワー対策本部の中間報告では、「介護福祉士の年間一万人以上の養成をめざす」、「また、社会福祉士、介護福祉士の養成校における学生の学びやすい環境づくりについて検討する必要がある。」と述べられております。この「養成校における学生の学びやすい環境」というのをきょうは厚生省に具体的にお伺いしたいなと思います。
#178
○政府委員(末次彬君) 介護福祉士の養成につきましては、今後の社会福祉を推進していく上で大変重要であると認識しておりまして、従来からこの介護マンパワーの志願者が増大しますように処遇の改善、それからイメージアップ等を図るための啓発広報活動、これを積極的に実施しますとともに、昭和六十三年度から介護福祉士の養成施設に対する社会福祉・医療事業団の融資制度を創設するなどいたしまして、養成施設の拡充整備につきまして積極的に進めているところでございますが、
   〔委員長退席、理事対馬孝且君着席〕
そのほか、養成施設の組織化が進められておりまして、養成施設側でも介護マンパワーの志願者が増大するように所要の検討を行っているというところでございます。今後、保健医療・福祉マンパワー対策本部からの中間報告を踏まえまして、この介護福祉士養成施設への志願者が増大しますように、学びやすい環境づくりということで、今後具体的な一つ一つの方策につきまして、さらに検討を進めていきたいというふうに考えております。
#179
○西川潔君 先日、委員会におきまして、公共職業訓練校では全国で初めて介護福祉士の養成施設として指定されます兵庫県立女子高等技術専門学院について労働省の方々にいろいろお伺いをいたしました。応募状況につきましても、定員が三十名のところを六十七名という非常に人気が高かったというふうにお伺いしたわけですが、三月七日の委員会で、労働省の答弁によりますと、近日中
に養成施設として指定できるという見込みになっているというふうに私はお伺いいたしました。現時点では指定されているのでしょうか。
 少し私自身心配になるのは、昭和六十三年に、介護福祉士の国家資格が得られるということで、生徒を随分募集したにもかかわらず、学校側の設置が不十分ということでございまして、厚生省の指定が受けられなくなったというような事態が随分新聞でもあのころは報道されました。養成施設として指定を受ける前に募集を行う点について、厚生省の方々はどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いいたします。
#180
○政府委員(末次彬君) まず、ただいま御質問のございました兵庫県立女子高等技術専門学院につきましては、平成三年三月二十日付をもちまして、厚生大臣、労働大臣の連名によります指定が行われたところでございます。
 御指摘のとおり、介護福祉士養成施設の指定制度発足時の初年度に、ただいま御指摘のあったような問題事例があったということは承知しておりますが、今後はこういう事態が生じないように、各都道府県あるいは設置予定者に対しまして指導をしているところでございます。特に、この介護福祉士の養成施設としての指定を受ける前に募集を行う、これはもちろん望ましくないことでございますので、厳にこの辺は慎んでいただきたい、このように考えております。
 なお、指定後の養成施設の経営の安定化を確保するという観点から、一定の審査が終了しました時点で指定を行う旨の内示を行っておりまして、この内示書が到達した時点から学生募集を始めるということの便宜を図っておりまして、こういう点につきましては問題なしに厚生省としても認めているということもつけ加えさせていただきます。
#181
○西川潔君 この兵庫県立女子高等技術専門学院のように、公共職業訓練校が養成施設として指定され、介護福祉士を養成していかれるということは僕は大変すばらしいことだと思います。せんだってもテレビとラジオで実はPRをさせていただきましたところ、学校の方にも随分とお問い合わせがあったし、また放送局の方にもございまして、資料もすべて毎日放送の方へ置いてまいりましたんですが、こういうふうに全国的に設置していただきたいと思うんですが、厚生省が今後こういうことに対してどういうふうにお考えになっておられるのか。労働省にもお伺いしたんですけれども、厚生省はどういうふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
#182
○政府委員(末次彬君) 厚生省としましては、この介護福祉士養成施設の拡充整備を進めたいというふうに考えております。これまでもこの養成施設の基準を満たすものにつきましては、設置主体のいかんを問わず積極的に指定を行ってきておるところでございます。今後ともこの介護福祉士を全国的に広く養成するために、多様な種類の養成校がそれぞれの特色を生かしながら御努力していただくことが望ましいというふうに考えておりまして、この養成施設の積極的な設置の推進に私どもも努力していきたいと考えております。
#183
○西川潔君 ひとつどうぞよろしくお願いいたします。いろいろ私たちも現場でお話をお伺いいたしますと、人はなかなか集まらないなというような印象がございますが、とんでもない。なかなか皆さん方本当に興味を持っていただいて、真心を持って福祉の方をやりたいという若者もたくさんいらっしゃいますので、よろしくお願いいたします。
 次に、老人休養ホームについてお伺いいたします。
 今全国に七十一カ所設置されておるわけですが、この老人休養ホームの設置目的、利用者のいわゆる対象者、そして料金などの内訳をお伺いしたいと思います。
#184
○政府委員(岡光序治君) 老人休養ホームは、年金の積立金の還元融資資金をもちましてお年寄りの保養とかくつろぎの場として整備をされている宿泊利用施設でございまして、私の方では全国で七十四カ所というふうに把握をしております。利用対象者はおおむね六十歳以上の人とその付き添いの方というふうに考えておりまして、低料金で利用できるようにということで、利用料金は国民宿舎の利用料と同水準にしておりまして、おおむね一泊二食つきで約五千円というような状況になっております。
#185
○西川潔君 私、勉強させていただきますと全国で七十一カ所になっておりまして、じゃ三カ所どこかにふえたかもわかりませんですね。一泊二食つきで五千円でございますか、随分おいしいものも出るということでございまして、でも、これがなかなか皆さんに知られておらないということで、この老人休養ホームを利用したいという方の御意見を実はお伺いしたんですが、全国に老人優先のホームが七十四カ所もあって随分建物も立派だそうでございます。そして、今お伺いしましたように料金も安い。全国の老人休養ホームの実は案内書がどこにも見当たらないわけです、所在地ももちろんわからない、これが潔さん大変残念やと。幾つかの自治体にも我々で事務所で調べてみましたところ、老人休養ホームについてはなかなか実態がつかめません。私が感じましたのは、せっかく全国的に施設が七十四カ所もおありでしたら、他府県にまでPRが全国に行き届くような、またその存在が知られるような何かいい方法がないものでしょうか。
   〔理事対馬孝且君退席、委員長着席〕
どちらかで情報を提供していただくようなシステムをぜひ御検討していただきたい。きょうは陳情したいんですが、いかがでしょうか。
#186
○政府委員(岡光序治君) 数の点は、恐らく先生がおっしゃいました七十一カ所というのは平成元年の数字で、平成二年の五月現在で七十四カ所になっております。
 今おっしゃいましたPR資料というんでしょうか、情報提供資料でございますが、確かに、この休養ホームは全国の景勝地だとか温泉地に配置がされておりますので、何とか情報提供の資料づくりを進めてみたいと考えておりまして、前向きで検討させていただきたいと思います。
#187
○西川潔君 ぜひよろしくお願いいたします。もう高いお金を出せばどこにでも行けるというような時代でございますが、こういう景勝地にあって一泊二食つきで設備も整っておりまして五千円前後というようなところは、本当にお年寄りにとっては最高の穴場ではないかなと思います。
 それでは、次に進ませていただきます。
 高速道路の通行料金の割引についてお伺いしたいと思うんですけれども、先日、重度の障害児の家族から実はお手紙をいただきました。ラジオの方にいただいたんですが、ここに浜村淳さんと西川潔さんへというふうに書いていただいたんですけれども、きょうは自分でこっちの方へ写してまいりました。兵庫県の姫路の方でございますが、
  私の甥は五年前に池でおぼれて重度の脳障害児となってしまい、現在寝たきりでございます。昨年、大変効果のある治療方法を紹介され、現在週二日、兵庫県から高速道路を飛ばして福岡まで通っております。最近は緊張の緩和や四肢運動の活発化など目に見える変化が出てまいりました。何よりも嬉しいことは、名前を呼ぶと笑ってくれるようになりました。
  そこで潔さんに相談です。
  高速道路を使用しますと一日往復二万円、ガソリン代を入れて三万円程度、月三十万円近く必要になります。他にも家のローンや治療・リハビリの費用もあり、親の給料では追いつきません。
  そこで福祉事務所へ相談したところ、バス・鉄道なら扶助できるが、高速道路の使用の場合は、道路公団に相談するようにいわれました。道路公団に相談した所、障害者の高速道路の通行料金割引は障害者自身が運転している場合でなければ受けられないといわれました。
  それでは甥のような重度の障害児はどうすれば良いのでしょうか。身体が動かないのでバスや鉄道はなかなか利用できません。
  甥のような障害児は、全く動けない状態なのでバスや鉄道はなかなか利用できません。まして、本人は車の免許を持っているわけでも無いのに、このような決まりは全く矛盾しています。車の運転ができるくらいであれば、家族で国の補助も受けずに一生懸命頑張ります。
  このような考えはわがままでしょうか。何か良い方法はないでしょうか。
というふうなお手紙をいただいたんですけれども、この問題につきましては、諸先生方も障害者の団体の皆さん方も政府に対して強い働きかけがもう何十年来あると思います。
 私から申し上げるまでもないわけですが、厚生大臣は先日の所信で、先ほども出ましたが、お年寄りから赤ちゃんまでの幸せが政治信条であり、障害を持った方の地域社会の中での自立生活を支援してまいるとおっしゃっておられました。僕も政治の基本は福祉だと思います。国には体の不自由な人のために運賃割引や高速道路の割引制度があっても、バスや鉄道も利用できない、まして自分で車も運転できないような重い障害の人たちの場合にも高速道路の利用料金の割引を認めてあげられないものでしょうか。厚生省のみの問題ではないと思うんですけれども、ここでぜひ厚生大臣からほかの省庁にも働きかけてみようというような力強い御答弁をいただけたらと思いますが、いかがでしょう。
#188
○国務大臣(下条進一郎君) ただいまの西川委員の具体的な事例につきましても、承っておりましてまことに御同情にたえないと思います。この制度は、今のお話の中にありましたように肢体の不自由な方が御自身で運転される場合の高速道路の料金は五割引き、こういう制度のように聞いております。それより重い方の場合にはない、御本人が運転される場合は五割引きだ、こういう制度でございますから、今の御質問のような疑点もあろうかと思います。本当にお気の毒なことと思いますので、これは厚生省のみで解決すべき問題ではございません、関係官庁ございますので、その趣は伝えて努力をしたいと思っております。
#189
○西川潔君 ぜひよろしくお願いいたします。
 本当にいろいろ方法もあるかと思うんですが、例えば御一緒に乗っておれば、写真等免許証のようなラミネートカードのようなもので何か証明ができたら、そこのところは何割か割引していただけるとか、また福祉事務所でそういう証明を発行していただけるようなことをまた大臣からほかの省庁にもお願いしていただけたらと思います。
 少し時間が早いようですけれども、私はこれで終わります。
#190
○委員長(福間知之君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。
    ─────────────
#191
○委員長(福間知之君) 次に、救急救命士法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。下条厚生大臣。
#192
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま議題となりました救急救命士法案について、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 救急医療につきましては、受け入れ側の医療機関の体制はおおむね整備されてきておりますが、病院または診療所に搬送されるまでの間の傷病者に対する救急救命処置については必ずしも十分でなく、その確保が重要な課題となってきております。
 そのためには、医師が救急自動車等に同乗して必要な処置を行っていく体制を確保するとともに、医師の指示のもとに搬送途上において必要性の高い救急救命処置を行うことができる新たな資格制度を設けることが必要であります。
 このような現状にかんがみ、新たに救急救命士の資格を創設し、この制度を活用することにより消防機関の救急業務等の向上を図り、もって搬送途上の医療の充実を図ることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律案において救急救命士とは、厚生大臣の免許を受けて、救急救命士の名称を用いて医師の指示のもとに救急救命処置を行うことを業とする者をいうこととしております。
 第二に、救急救命士になるためには、救急救命士国家試験に合格し、厚生大臣の免許を受けなければならないこととしております。
 第三に、救急救命士国家試験につきましては、厚生大臣が行うこととすることとしております。また、国家試験を受験することができる者としては、高校卒業後、二年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得した者並びに一定の実務経験を有する救急隊員であって所定の期間救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの等を定めることとしております。
 第四に、救急救命士の登録に関する事務及び国家試験の実施に関する事務につきましては、厚生大臣の指定する者に行わせることができることとしております。
 第五に、救急救命士は、医師の具体的な指示を受けなければ高度の救急救命処置を行ってはならないこととし、また、救急救命士は、原則として救急用自動車等以外の場所においてその業務を行ってはならないこととしております。
 第六に、救急救命士は、その業務を行うに当たっては、医師その他の医療関係者との緊密な連携に努めなければならないこととするとともに、救急救命士以外の者は救急救命士という名称またはこれに紛らわしい名称を用いてはならないこととしております。
 なお、この法律の施行期日につきましては、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#193
○委員長(福間知之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#194
○菅野壽君 今回の救急救命士法案は、救急医療の中で重要な部分を占める問題だと思っております。非常に結構なことであるとは思いますが、その法案を実地に執行されるに際しましての若干の問題点を質問したいと思います。
 まず、今回の救急救命士のようなパラメディカルの方にやっていただくのがこの法案でありますが、ドクターカーも私は一緒に考えていただきたいというふうに思っておったわけですが、こういうふうな状態になったわけであります。まず、その点につきまして厚生省の方に御質問申し上げます。
#195
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま委員からお話がございましたように、ドクターカーの問題との関連でお尋ねがあるわけでありますが、既にドクターカーはもう実施されておりますけれども、ただいま現在で活動しておりますのは全国でわずかに三十五台でございます。したがいまして、搬送途上において必要な医療は医師等が関与していくことが望ましいとは考えており、この意味でドクターカーの必要性は高いとは考えております。
 厚生省におきましては、平成元年九月に設置いたしました救急医療体制検討会の検討結果を踏まえ、平成三年度におきまして自治省、消防庁との連携のもとにドクターカー制度の充実及び救急現場医療確保事業等を実施することとしております。今後はドクターカーの普及と新たな国家資格である救急救命士の創設とが相まって、搬送途上における医療の充実が図られるように努力してまいります。
#196
○菅野壽君 質問の第二として、救急救命士制度とドクターカー制度との関連について御質問を申し上げようと思いましたけれども、今大臣からお話がございましたので、それは取りやめます。
 次に、救急救命医療器材の点についてちょっと。これは厚生省と消防庁だと思いますが、救急救命士にしろドクターカーにしろ、救急医療における
器材機器、搬送の手段につきましては、欧米におくれているということは残念でありますが、その点について、例えばいわゆる高規格自動車の研究開発、救急ヘリコプターの利用等についてどのような対策を進めておられるのか。これら高規格自動車等の導入状況はどのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
 また、救急医療におきましては、とにかく設備の整った病院に一刻も早く搬送することが一番よいわけですが、救急車による病院搬入までの所要時間は現在大体どの程度の時間がかかっておりますか、御質問いたしたいと思います。
#197
○説明員(飯田志農夫君) 救急隊員の行う応急処置の範囲を拡大することに伴いまして、これらの応急処置を支障なく実施できるようにするためには、御指摘のように高規格の救急自動車が必要であると考えております。このため消防庁としては、平成三年度から救急高度化推進整備事業を創設いたしまして、先進的な市町村の消防本部が行う高規格の救急自動車の整備事業に対して国庫補助を新たに創設したい、このように考えているわけでございます。現在、我が国と比べて救急隊員の行う応急処置の内容が充実しております先進国並みの救急自動車が、全国で数台でございますが導入されているわけでございます。
 それからヘリコプターの関係でございますが、救急の搬送にヘリコプターを導入し、活用することは、特に山間僻地、離島などの場合に救急患者の搬送をし、病院に収容するまでの時間を飛躍的に短縮できるということで、救命率を高める上で大変有効であると考えておるわけでございます。消防ヘリコプターを救急活動に活用していく場合に医師の確保が問題でございます。
 また、医療機関との連携ということについても、なお検討すべき問題もいろいろあるわけでございまして、消防庁においては現在、消防ヘリコプターの広域的な有効活用を図っていくための方策について検討中でございます。この中で医療機関との連携のあり方を含めまして、救急業務のヘリコプターの活用方策についてもさらに検討を進めていきたいと考えております。
 それから現在、救急自動車で現場に到着するまでの間の時間でございますが、平成元年度の全国平均で申しまして、消防機関が電話等で覚知してから現場に到着するまで平均五・七分かかっております。
 以上でございます。
#198
○菅野壽君 はい、わかりました。
 次に、厚生省にお伺いしたいのですが、救命率の向上につきましては、ドクターカー制度や今回の法案のような救急救命士の制度も大切でありますが、もう一つ大切なことは、これらの救急に関する国民の知識であります。救急知識の啓蒙についてどのようにお考えでございますか、大臣にお伺いしたいと思います。
#199
○国務大臣(下条進一郎君) 救急の現場に居合わせた方がある程度の知識を持っていらっしゃるということによって早急な手当てができることもあるわけでありまして、国民に救急のための知識と技術を知っていただくことは大変必要である、このように考えております。このために「救急の日」というのを、これはキューキューでございまして九月九日でございます、その日と、及びまた救急医療週間の機会等を利用いたしまして、住民に対する心肺蘇生法等の応急手当ての教育などを行ってまいりましたが、平成三年度予算案におきましても、救急法をさらに一層普及するため、保健所における救急法等の研修普及事業の充実を図ることといたしまして、所要の予算を計上したところでございます。
 今後とも機会をとらえまして、関係方面の御協力も得て、応急のときの処置に関し必要な知識を広く普及するよう努力してまいる所存でございます。
#200
○菅野壽君 救急救命士制度が整った場合、その救急救命士の処遇、給与などについて承りたいと思うのですが、公務員ですから、国立病院に勤める看護婦さん、看護士の方たちとバランスをとっていただきたい。救急救命士になったら今までの消防士より格段の給料、処遇を受けるというふうなことがありますと、私は医者ですが、医療に今看護士として勤めようとしている人々が救急救命士の方へ流れるというふうな可能性もございますので、給与はどのように考えておるのか、消防庁へちょっとお聞きしたいと思います。今まで働いておった消防士と救急救命士資格をもらった人との給与差はどのぐらいつくのか。
#201
○説明員(中川浩明君) 救急救命士資格を取得いたしました救急隊員が、御指摘のように、他の救急隊員と比べまして高度かつ専門的な応急処置を行うことは十分予想されるわけでございまして、それに伴いまして責任も増加するわけでございます。そのような責任に対して特別の手当等を支給することによって処遇をすることは十分配慮すべきことであると考えております。
 ただ一方では、消防職員には他のいろいろな業務がございまして、その他のいろいろな業務を行っております職員とのバランスということも当然考えなければなりません。したがいまして、全国の消防機関の関係者の意見なども十分踏まえながら、救急救命士資格を取得した救急隊員が実際にその業務につくまでにできるだけ早目にその処遇のあり方につきまして結論を得たいと考えております。
#202
○菅野壽君 また、救急救命士は男性に限るわけではありません。女性の方も救急救命士にこれから多くなられると思いますが、その場合に勤務体制はどういうふうに考えておられますか。
#203
○説明員(飯田志農夫君) 現在、消防機関に勤務している女性の消防吏員の数は約六百名に上っておりますが、その従事しておる業務は予防業務などが中心でございます。それは現行法上、女性消防吏員には深夜勤務が通常業務として認められていないという法的な制約に加えまして、救急活動上の労務負担がかなり過重であるということの実態面の問題があるためと考えられております。しかしながら、女性を救急業務に活用した場合には傷病者に対するよりきめ細やかな行き届いた対応が可能となり、救急サービスの向上につながるというメリットも十分期待できるわけでございます。
 したがいまして、まず現行の法体系の枠内で対応が可能な方策について、各消防本部が実情をも十分勘案しつつ検討していく必要があると考えております。
#204
○菅野壽君 次に、厚生省に承ります。
 救急救命士の養成につきましては、現在考えておるのは救急救命士養成所等での養成のようでございますが、その他に看護学校の看護婦養成課程の中に救急救命科目を入れるとか、そういうことは考えておりますか、おりませんか。
#205
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 看護婦等の養成課程におきまして、いわゆる救急救命に当たる行為についての講義といいますのは現実ある程度織り込まれているわけでございまして、今後とも限られた看護教育の時間の中におきまして救命救急、救急業務に関する知識も身につけていただきたいというぐあいに思うわけでございます。
 しかしながら、現在問題になっておりますこの救急救命士の養成のためのカリキュラムと申しますものと、それから看護婦学校等におきますカリキュラムにおきましては、やる業務がかなり異なることから、カリキュラム同士の比較をいたしますと異なる部分が少なくないというぐあいに思うわけでございまして、そういう面で、看護婦学校等の養成課程に一定の科目を追加して勉強していただいても看護婦等の受験資格と救急救命士の受験資格の双方を取得できるというわけにはなかなかいかないのじゃないかというぐあいに思うわけでございます。
 しかしながら、他の職種とも同様に、看護学校等で一年以上教育を受けられた方で厚生大臣の指定する科目を修められた方につきまして途中で進路変更等がありました場合におきましては、さらにもう一年間救急救命士の学校に行っていただけ
れば救急救命士の受験資格は与えられるというような方策は当然考えられるというぐあいに思っている次第でございます。
#206
○菅野壽君 厚生省にお聞きします。
 今回の法案で考えられている救急処置というのはどういうことでしょうか。
#207
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命処置と申しますのは、いわゆる重度の傷病者に対しまして、医療機関に搬送されるまでの間に行われる処置という考え方でございまして、重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し、またはその生命の危険を回避するために緊急に必要なものとして行われるものというぐあいに考えているところでございます。
 救急救命士は、いわゆ心肺停止状態の患者さんに対します気道の確保、除細動、静脈路確保のための輸液といった救急救命処置を行うことといたしておるところでございます。このほか、これに付随する処置等につきましては、さらに専門家の御意見を踏まえまして検討してまいりたいというぐあいに考えております。
#208
○菅野壽君 次に消防庁に。救急救命処置は輸液も考えられておられるようですが、輸液となりますと薬剤管理が重要な問題となります。この薬剤管理は、どこが、だれが責任を持って行うのか。薬剤管理は医師または薬剤師の所掌することになっておりますが、救急隊の場合はどう、だれが管理するのですか、お伺いします。
#209
○説明員(飯田志農夫君) 救急救命士が使用する薬剤の管理のあり方につきましては、医療関係の方々の検討を踏まえて消防機関、救急車に載せるわけでございますので、救急車の中に載せて管理を適切にするように指導してまいりたい、このように考えております。
#210
○菅野壽君 それでちょっとお伺いしますが、薬剤師でもない医師でもない今度の救急救命士がそれをやっていいんですか。イエスかノーかで答えてください。
#211
○政府委員(長谷川慧重君) 輸液に関しましては、いわゆる静脈路の確保のために行う行為でございまして、そういう面で輸液に当たりまして、いろいろ輸液があるわけでございますが、それをさまざま使うということは考えておりません。一つの処方といいますか、例えばリンゲル液みたいな一つのものに限りまして輸液をしていただこうというぐあいに思っているわけでございまして、そういう面でいろいろな輸液をケースケースによって選択するということは考えておりませんので、一つの輸液ということでございますれば、それは管理等におきましても十分にできるものというぐあいに考えているわけでございます。
#212
○菅野壽君 じゃ、注射行為はだれがやるんですか、輸液の注射行為は。
#213
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士が輸液を行うということでございますので、救急救命士に当然二年間の間に十分練習をしていただきまして、いわゆる注射行為といいますか、針を血管の中に差し込んでいただいて、そして点滴等によりまして輸液をするという行為を救急救命士にやっていただくということで考えております。
#214
○菅野壽君 それはどういう法律的根拠ですか、厚生省。
#215
○政府委員(長谷川慧重君) 医師の具体的な指示を受けまして、救急救命士が申し上げましたような医療行為を行うことにいたしているわけでございますので、医師の具体的な指示を受けて救急救命士がその針を刺す行為を行うというぐあいに整理いたしております。
#216
○菅野壽君 それじゃまたお伺いしますが、医師の指示によって注射もできる範囲の職業はどういうものがありますか。これから研究ですか。
#217
○政府委員(長谷川慧重君) 静注の行為につきましては医師がするということに現行法上はなっております。さはさりながら、実際問題この救急救命処置、いわゆるまさに心肺停止状態の患者さんに対しまして、医師が同乗していった場合には医師が行うのが当たり前といいますか、一番望ましい形ではあると思いますけれども、なかなかそうもいかないケースもあると思いますので、そういう面でまさに緊急事態ということで、救急救命士にしっかり勉強していただきまして、しかも医師の指示のもとに、医師の指示を受けてその行為をやらせたい、やっていただこうというぐあいに考えているわけでございます。
#218
○菅野壽君 医師の指示と申しましてもドクターカーじゃございませんから、医者が別の場所におって何らかの方法で救急救命士に指示を与える、そういう行為は今まで、私も医者ですが、相許されていない行為なんでございますが、いろいろ申し上げてもなにでしょうが、これは研究課題で十分に法的根拠というものを、まだ始まったばかりでしょうから、ひとつきちんとしていただきたいと思います。私ばかりじゃなく、やはりそういう考え方を持つ人が多いと思います、医療従事者は。いわゆる救命救急というのは必要なんだ、医療は全部救命救急が必要なんです、風邪引きでも何でも。よって来るべき変化がどういうふうにあるかということを勘案して医療は行わなきゃならぬのですから、よって全部救命救急は必要なんです。医療、医者が取り扱う業務については、看護婦であろうが何であろうが、それは必要なんです。
 ですから、ここでそういうふうな行動が許されるとなるとほかの方面にも関連がいきますので、どうかひとつこの点で私の質問は、お答えいただければいいんですが、もし何でしたら今後の研究課題として十分にその方の道を考えていただきたいと思います。
#219
○政府委員(長谷川慧重君) この法律におきまして、救急救命士が行う対象あるいは行う場所、それから行う場合に当たっての医師の指示というぐあいに非常に限定して特定いたしておりまして、その範囲内においてやっていただくという形のものに整理いたしているわけでございます。
 そういう面で、先生のおっしゃられる一般的な医療行為という形の概念がとられますればかなりいろいろ問題があろうかと思いますけれども、緊急事態ということで、限られた特定の患者さんに、特定の場所に、しかも医師の指示のもとにということでこの法律を組み立てているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
#220
○菅野壽君 いや、医師の指示というのが、医者が診てもいない、診察もしていない患者に対して、ただ救急救命士の方の報告を受けて、そしてそこから指示を与えるんですから、なかなか難しい問題だと私は考えております。
 さて、もしこの途上で、五分何秒、五・何分という平均搬送時間ということをさっき消防庁から承りましたが、この間で医療事故がもし発生した場合はどなたが責任を負うんでしょうか。これは厚生省でしょうか。
#221
○政府委員(長谷川慧重君) 救急車の要請がございまして救急車が現場まで赴くのに大体五・七分、約六分かかる。それで患者さんを収容して病院まで搬送するまでの間がそれからまた七、八分かかりまして、全体で十数分かかるわけでございますけれども、その間に救急救命士が医師の指示のもとに救急救命処置を行うことといたしておるわけでございますが、一般的に事故が起こった場合の責任主体につきましては、患者の傷病の程度あるいは医師の指示の内容、救急救命士の行った処置の内容、事故の状況等々によりまして異なってくるというぐあいに思うわけでございます。
 しかし、医師が患者の状況を踏まえまして救急救命士に対して行った指示の内容に明らかな過失があると認められる場合には医師の責任が問われるものというぐあいに理解いたしております。それからまた、救急救命士が医師の指示に反した処置を行い医療事故を起こした場合等、明らかに救急救命士に過失があると認められる場合には救急救命士が責任を問われるというぐあいに考えておるところでございます。
#222
○菅野壽君 それから、ちょっと消防庁の方にお伺いいたします。
 救急救命処置につきまして、この法案では医師も関与しているわけですが、医師の指示を受けるに際してはどのような手段を使うつもりでござい
ますか。例えば無線電話とかそれ以外のものとか。それで、恐らくこれは心電図等々送って、指示によっていわゆる先ほどの輸液とか、それからショックというふうなものを考えているんでしょうが、どのような方法で連絡をとるつもりですか。
#223
○説明員(飯田志農夫君) ちょっとただいまの質問の前に、搬送時間について先ほどの答弁で漏れていましたので。
 電話で消防機関が覚知しましてから現場に到着するまで、平成元年度の全国平均で五・七分でございます。それから覚知から医療機関に搬送するまで、これが同じく平成元年度の全国平均で二十一・五分でございます。そういうことでございます。
 ただいまの質問にお答えいたしますが、消防庁として、救急隊員の行う応急処置の範囲を拡大することに伴いまして、これらの応急処置を実施するために必要となる医師との連絡を緊密にしなければいけないということで、傷病者の情報伝達等を行うための情報通信資器材の整備を推進していく必要があろうと考えております。平成三年度から救急高度化推進整備事業を創設していくわけでございますが、この制度におきましても、自動車電話、ファックス、それから心電図伝送装置などの情報通信資器材の整備について補助金を出そう、このように考えております。
#224
○菅野壽君 それは救急車の方へですね。わかりました。
 それから、今までこの救命救急車があったら延命効果があったであろうという患者は想定してどのくらいありましたか。消防庁、全国で。想定できませんか。
#225
○説明員(飯田志農夫君) 消防機関の場合に、医療機関に搬送した後の状況がどうなっているかということを正確に把握できる立場に今までなかったわけでございます。ただ、一年間に、ちょうど昨年の一月から二月にかけまして一カ月間の全国悉皆調査をやりましたところ、全国でこの一カ月間にCPR対象、心肺蘇生処置を行った対象者が六千二百人ございました。そのうち初診のときに生存していたと言われるのが三八%程度でございまして、一週間後に生存している方が六・八%になりました。それから、その後も少し追っかけてみたわけでございますが、一カ月後にはその生存者の割合が三・六%に落ちてきているという統計資料があるわけでございます。
 これを応急処置を拡大した場合にどれだけ救命率が上がるかということについては、まだ拡大していませんので想定することが非常に難しいわけでございますが、アメリカの資料などで、日本の救急隊員並みに行っていたときとそれに高度なものをつけ加えたときとの同じ地区での比較した資料もあるわけでございますが、それによりますと、これはワシントン州のキングカウンティというシアトルの近くの地区でございますが、日本の救急隊員並みのときに四%だったのが二〇%近くになったということは統計資料として持っているわけでございます。
#226
○菅野壽君 厚生省と消防庁にお伺いしたいんですが、指示を出す医者はどこに待機しておるんですか。例えば消防署の指令室とか、それとも救急医療センターとか、それから持ち回りのいわゆる医師会の当番医とか、どこに待機しているんでしょうか。
#227
○政府委員(長谷川慧重君) 指示をする医師はどこにおるかというお尋ねでございますが、先生今お話しございましたようにいろんなケースがあり得るというぐあいに思います。東京都におきましては消防本部に医師が常駐しておるというぐあいにも聞いておりますし、あるいは救命救急センターに依頼があってそちらからの指示を受ける場合もございますでしょうし、いろんな形態があろうかと思いますけれども、いずれにしましてもそういう面での連絡体制といいますか、そういうものの整備といいますか、そういうものについてはこれからそれぞれの地区、場所におきましてそういう指示体制といいますか、そういうものについての整備を図っていかなければならないというぐあいに思っておる次第でございます。
#228
○菅野壽君 それから、この法律の方の条文についてちょっとお伺いしたいんでございますが、第二条で救急救命処置の定義がなされていますが、そこでは「その症状が著しく悪化するおそれがあり、」とあるわけですが、「おそれ」の判断はだれが行うのでしょうか。医師が判断するとした場合、実際に重度傷病者を診ていない医師が「その症状が著しく悪化するおそれ」について的確な判断ができないんではないかと思いますが、御答弁を願います。
#229
○政府委員(長谷川慧重君) 救急患者の病状の状態の判断でございますが、基本的には先生お話しございましたように医師が判断するものというぐあいに考えております。
 この救急患者の状態を正確に医師が判断するに当たりましては、救急救命士の資格取得の条件といたしまして医学知識に関する十分な教育や実習等を行うことによりまして、救急救命士から医師に正確に患者の状態についての伝達が行われまして、それによって医師が判断するということを考えておるところでございます。
#230
○菅野壽君 それから厚生省に御質問申し上げますが、第九条の第二項に、相対的欠格事由に該当する場合は救急救命士の名称の使用を停止する、救急救命士の業務を行うことができないというふうな項がございます。また、第九条の第三項は、免許再交付に際しては何らの試験も受ける必要はないのか、どうもこの両方の項目が相反するように思われますが、いかがでしょうか。
#231
○政府委員(長谷川慧重君) まず、お尋ねの法第九条第二項に定めます名称の使用停止処分と、それから業務の停止処分ということにつきましてはそれぞれ異なるわけでございますけれども、名称の使用停止処分を受けた者は、法案の第四十三条第二項に定めますように保健婦助産婦看護婦法の特例が適用されないために、結果的に業務を行うことができなくなりまして業務の停止処分と同様の効果となるというぐあいに考えるわけでございます。
 それから、免許の取り消しを受けた者に対しての何らかの試験、講習を受けることなく再免許を与えることについてのお尋ねでございますが、救急救命士の再免許につきましては、他の医療関係職種と同様に、免許を取り消された者が取り消しの理由となった事項に該当しなくなったとき、あるいはその他その後の事情によりまして再び免許を与えることが適当であると認められるに至ったときに、それぞれの個々人の事情を総合的に勘案いたしましてその適否を厳格に判定いたしまして、極めて特例的に認めるものというぐあいに解釈いたしているところでございます。
#232
○菅野壽君 それは、だれがお決めになるんでしょうか。
#233
○政府委員(長谷川慧重君) 厚生大臣が決めるものでございます。
#234
○菅野壽君 わかりました。
 それから、第三十一条において「試験は、毎年一、回以上、厚生大臣が行う。」とありますが、当面は数回実施なさるおつもりはございませんか、まあ年二回とか。
 それから、第四十二条の試験科目等につきまして省令に委任しておりますが、試験科目数、試験科目名、必修科目、選択科目の有無について、現在考えているところをお示しいただきたいと思います。
#235
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士の国家試験を行う回数に関するお尋ねでございますが、先生お話しございましたように、年二回の実施につきましては、救急救命士の早期養成の必要性も配慮いたしまして、実施体制の整備を図りつつ検討してまいりたいというぐあいに考えております。
 また、試験科目等につきましては、養成カリキュラムの関係もございまして現在検討中でございますので、いずれ政省令の段階で明らかになるかというように思う次第でございます。
#236
○菅野壽君 第四十五条に「その他の医療関係者」とありますが、どんな人々を想定されております
か。例えば看護婦さん、看護士の人たちと考えてよろしいか。「その業務を行うに当たっては、」ということでございますが、救急救命処置を行う場合に限定されていると解されるのですか、あるいは広く常日ごろから連携を想定しているのでありますか。
 また、救急医療体制の万全を期するために、救急病院、救急医療センターなどの機関と日常から緊密な連携をとっている必要があると思います。この連携をとるについて、消防庁ではどういう対策を考えておりますか。消防庁と、今厚生省と重なりましたが、両方からお聞きしたいと思います。
#237
○政府委員(長谷川慧重君) 法案の第四十五条につきましては、医療関係者が相互に十分連携を図りつつ適切な医療を提供していくというチーム医療の考え方に基づくものでございまして、同条に言う「その他の医療関係者」の中には、御指摘の看護婦さんを初めいろいろの医療関係職種が含まれているというぐあいに理解いたしております。
 それから、先生お話がございました連携については、救急救命処置を行う場合のみならず、常日ごろから行っておくことが望ましいというぐあいに考えておるところでございます。
#238
○説明員(飯田志農夫君) 救急患者の救命率の向上を図るためには、消防機関が医療機関との連携体制を強化していくことが非常に重要であると思っております。
 消防庁としては、かねてから消防機関に対しましてこの連携の充実強化について指導を行っているところでございます。特に救急救命士の資格を有する隊員による高度な応急処置の導入に伴いまして、これまで以上に医療機関との連携の緊密化を図る必要があるわけでございます。これは応急処置を実際に行う場合に限らず、日常的に連携強化をしておく必要があると考えております。
 また、先ほども答弁いたしましたが、平成三年度から救急高度化推進整備事業を創設したいと考えておりますが、この中で、医療機関との連携を図れるような情報通信資器材の整備に対しても国庫補助を考えているわけでございます。
#239
○菅野壽君 第四十六条におきまして救急救命処置録の作成を義務づけておる趣旨はどういうわけでしょうか。処置録は救急救命士に対して作成義務を課しておりますが、救急救命処置につきまして具体的指示を行った医師は関与しないのですか。医師は医師法第二十四条により診療録の作成、保存を義務づけられておりますが、これとの関連はいかがでしょうか。厚生省の方。
#240
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士は、医師の指示を受けまして医師と離れた場所におきまして業務が行われることが多いというぐあいに考えるわけでございます。このために、現場で処置に当たる救急救命士が患者の病状なり処置の実施状況等を正確に搬送先の医師等に伝えまして、傷病者に対します適切な診療の実施を確保するために、また、万が一にでございますけれども、医療事故が生じた場合の責任の所在を明らかにするために、救急救命士に処置録の記載義務を課しておるわけでございます。
 それから、この処置録は救急救命士が作成するものでございまして、医師はそれに関与するものではございません。しかしながら、救急救命士に対しまして指示を行った医師は、その指示内容を診療録に、先生お話しもございました診療録に記載いたしまして、一方、当該指示を受けた救急救命士は、その指示を受けて行った救急救命処置について処置録に記載するというぐあいに、それぞれがそれぞれの記録をとるという形になるというぐあいに考えております。
#241
○菅野壽君 私は、この救急救命士の処置録、医師の診療録、医者が電話で連絡をいただいて救急救命士へ連絡するその診療録と救急救命士の処置録、この関連を私は非常に、今後もし事故があった場合に医師の身分にどういうふうに関連づけられるか、そういうものについて憂慮しているところであります。はたまた、先ほど申し上げましたけれども、私の不勉強かもしれませんが、注射等のことにつきましても、事故や何かのないように、そして速やかにドクターカーによる日本の救急医療の確保に向かって進んでいただくことを念ずるものであります。
 そしてまた、私は精神科の医者でございますが、消防庁にお伺いしますが、今まで消防庁、一一九に連絡いたしましても精神科の患者さんを搬送してくださる例は非常に少ないんです。これは日本精神病院協会千百病院、三十万ベッドの、こちらに私問い合わせましても非常に少ないということでありますから、今後こういうことのないように、立派な救急救命士ができるんでございますから、精神科の領域にも広げて、搬送等に支障のないように取り扱っていただきたい。いかがでしょうか。
#242
○説明員(飯田志農夫君) 救急隊は傷病者が救急搬送の要件に該当する場合にはすべて医療機関に搬送することにしているところでございます。通常、救急の搬送に当たって努めて救急自動車に家族等を同乗させる、また自傷他害のおそれがある傷病者の場合には、法令の規定もございますので、警察官と連絡をとりつつ医療機関に搬送している、こういうことでやっております。
#243
○菅野壽君 また消防庁にお願いしますが、自傷他害等の患者さんは、それはお取り扱いにならないんでしょうけれども、今病状が大変変化しまして、そういうことのない搬送を必要とする患者が多くなりましたので、どうかひとつ十分に協力していただきたい。
 以上を申し上げまして、私の質問を終わります。
#244
○高桑栄松君 それでは、質問をさせていただきますが、まず救急救命士の受験資格について承りたいんです。
 外国人の特例というのが書いてありますけれども、外国免許のある場合、受験資格があるということですけれども、これは国のレベルとか、あるいは人種というものは関係がないと思いますけれども、その教育のグレードというかな、そういうのがあると思うんですが、そういったことは全く関係なく外国の免許があればいいということなんでしょうか。
#245
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 救急救命士に相当する資格制度を有する外国におきましても、その養成課程なりあるいは教育レベルといいますのは、国によりあるいは州によりましてかなり異なっているところでございます。したがいまして、救急救命士の受験資格ということで、外国の養成所等を卒業した者や外国で同種の免許を受けた者の取り扱いを決めるに際しましても、これを一律に取り扱うことは適当でないというぐあいに考えているところでございまして、それぞれの国の養成課程等を慎重に審査した上で、救急救命士としての必要な知識、技能を有しているかを個別に認定した上で資格を与えたいというぐあいに考えているところでございます。
#246
○高桑栄松君 外国免許者を受験資格にするというのは、何か想定していることがあるんですか。
#247
○政府委員(長谷川慧重君) 先生御案内かと思いますけれども、アメリカのパラメディックの教育訓練時間といいますのは非常にさまざまでございまして、連邦政府のガイドラインが七百三十三時間、州によりまして百時間から百九十九時間の州、最高が二千二百時間から二千二百九十九時間の州というぐあいに非常に州によってばらつきがございますので、こういうのを見ますと、先ほど申し上げましたように、一律に取り扱うわけにはいかない、それぞれの州の勉強の仕方等を十分個別に審査した上でやらなければならないというぐあいに考えているところでございます。
#248
○高桑栄松君 今例えば米国のカリキュラムというお話が出ましたけれども、救命士の出動というのはDOA、デッド・オン・アライバルという時点で出るわけですね、これは。だというふうに僕は承っているんだけれども、そういうときに、アメリカだとデッド・オン・アライバルで助かるか助からないかというのを最初に判断するのが救命士だと、日本ではそうではないということかと思うんです。この辺非常に大きな判断の違いだと思うんですが、いかがでしょうかね。
#249
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士がどうい
う場合に出るかということにつきましては、私ども消防庁からの御説明によりますると、現在救急隊員というのは三人で一班をつくってそれが順次回転しておるという仕組みだそうでございまして、その三人の中の一人に救急救命士の資格を持っていただければ、どういう要請があって出かけた場合におきましても、そういう資格を持った方が現場に赴くことができるという形になることを消防庁の方でお考えいただいているわけでございますので、そういう形になりますれば、要請があった場合に出かけたときに、行った先で医師の指示を受けるような患者さんになっているかどうかについての判断ができるかと思います。当面なかなかそうはいかないケースもあるかと思いますので、当面の間は、消防庁の方に一報が入りました時点におきまして、救急救命士を派遣するかどうかという判断はさしあたりはやっていただかなければならないような状況にあるというぐあいに思うわけでございます。
#250
○高桑栄松君 これはお願いしてなかったんで、消防庁の方に伺います。救急車出動の条件というのはどういうことなんでしょうね。
#251
○説明員(飯田志農夫君) 救急車の救急業務につきましては消防法に規定がございます。事故または急病による傷病者を医療機関に搬送するということで、医師の管理下に置かれるまでの間に緊急やむを得ないものとして応急の手当てを行う、こういうふうになっているわけでございます。電話等によりまして派遣要請がありましたら、そのときにその状態を聞きまして消防の指令のところで判断をするということになるわけでございます。
#252
○高桑栄松君 多分私なんかこの法律を読んでいながら一番大事なのは、やっぱり救命というところに重点があるんで、酔っぱらって倒れているのに行くというわけではないんではないか、そんなふうに思ったりしていたわけで、今の承ったのはそこなんです。
 したがって、救命士がアメリカではもう判断をしてだめだと思ったら運ばないんだというふうに、これは救急関係の専門医が僕に言ってくれたんですがね。日本はそうではないんじゃないかと言っておりましたけれども、いかがですか。
#253
○説明員(飯田志農夫君) 現場で死亡がはっきりと確認できた場合には、日本の救急隊員の場合も今お話のとおり搬送業務の対象にはならないわけでございます。ただ、死亡が明確に判断できるかどうかという場合、消防の救急隊の場合には慎重に判断することが多いことはあるかもしれないわけでございます。
#254
○高桑栄松君 いや、それはとても私も聞いていながら難しいなと思ったわけでございますけれども、そこでデッド・オン・アライバルというのは、病院に来たときには心肺停止状態ですね。しかし、救命の可能性があるというところだろうと思うんです。全くだめなものは、これはデッド・オン・アライバルではない。しかし、言葉どおりで言えばデッドですけれども、デッド状態に近い状態なんだな、きっと。そうだと思うんです。
 そこで、デッド・オン・アライバルで救命に非常に重要なのが、さっき長谷川局長が言われたような三点セットがあるわけなんでしょうが、アメリカですと気管内挿管をしてしまう、これは許されているというふうに僕は聞きましたが、日本の場合は、気道確保というのはどの程度までであるか、それから気管内挿管というのは将来訓練をしてそこまで技術を向上させるのか、いかがでしょうか。
#255
○政府委員(長谷川慧重君) 心肺停止状態にあります患者さんに対しまして、医師の指示のもとに行います気道確保はどんなことをやるのかというお尋ねでございますが、ラリンゲアル・マスクあるいは食道閉鎖式のエアウエーを使うということを考えております。
 それから、気管内挿管に関するお尋ねでございますけれども、気管内挿管によります気道の確保は有効な手段というぐあいに考えているわけでございますが、医学的に高度な知識なり技能を要求されまして、また処置によります危険性も高い行為でありますことから、今後専門家の意見を十分聞いた上で救急救命士に行わせるかどうか検討していきたい。現時点ではまだ専門家の意見をよく聞いた上で判断したいというところでございます。
#256
○高桑栄松君 アメリカは今のように気管内挿管をしているということ、デッド・オン・アライバルの判断というのがまた一方であるんでしょうが、アメリカでは救命率が一一・〇%かな、日本ですと今の制度、現状で三・四%とかというふうに聞きましたけれども、この制度発足によって救命率をどの辺まで向上することを期待しているんでしょうか。これは厚生省ですか。
#257
○政府委員(長谷川慧重君) 救命率をどの程度向上できるかというお尋ねでございますが、非常に難しいお尋ねでございまして、はっきりしたお答えはできないんでございますけれども、救急救命士制度を創設することによりまして、現在よりもかなりの程度救命率が上がるものというぐあいに期待いたしているところでございます。
#258
○高桑栄松君 もっとも救命率が向上しないなら要らないわけですから、向上を期待しておりますけれども、できるだけ技術も訓練をしていただきたいものだと思います。
 そこで、指導医の問題ですけれども、現在認定された指導医が百五十四人ということでございますが、大変これは不足であるということかと思うんです。しかもその指導医が救急センターで二十四時間体制で待機できるとするとやっぱり大都市しかないのではないか。そうすると中小都市ではなかなかこういった待機ができない。こういうのに対してどのように対応を考えておられるか。もちろん当分はこうだ、一年後こうだというのがあると思いますが、いかがでしょうか。
#259
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士に指示を行います指導医の養成は、御指摘のとおり、これからの救急医療の充実の観点から非常に重要なことでございます。このために現在私どもといたしましては救急医療機関に勤務する医師に対して行っております救急医療一般に関する研修あるいは脳神経外科、麻酔科、小児科領域の専門家研修の制度を活用いたしますとともに、救命救急センター等の医師の協力を得ながら指導医の養成なり確保に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
#260
○高桑栄松君 消防庁に伺いたいんですが、救急車というのはただ車が行けばいいんじゃなくて、中で今言ったような救急救命処置をとっていく。それにはそれだけのスペースだとかいろんな条件があると思いますけれども、そういうことが効果的に行えるような高度規格の救急車というのは現在何台あって、今後どういうふうなのを目標にして整備をしていかれるのか承りたいと思います。
#261
○説明員(飯田志農夫君) 御指摘のとおり救急隊員の行う応急処置の範囲を拡大することに伴いまして、この応急処置を支障なく実施することができるようにするには高規格の救急自動車の導入が必要であると考えております。消防庁としては現在高規格の救急自動車の備えるべき具体的な規格、構造について委員会を設置して検討を重ねているところでございますが、基本的には高度な応急処置を車内で支障なく実施できる十分な活動のスペース、それから最新鋭の救急資器材を積載し得る十分なスペースを具備するとともに、振動をより少なくするような、そういうことが必要であると考えているわけでございます。
 現在我が国の消防機関には救急隊員の行う応急処置の内容が充実している先進諸国並みの救急自動車、正確な調査はしておりませんが、数台導入されていることは事実でございます。全体で四千五百台あるわけでございますが、現在とらえているだけでもうほんのわずか、数台にすぎないということでございます。消防庁としては今後救急救命士の資格を持った救急隊員の養成、配置とあわせまして高規格救急自動車等の計画的な導入を積極的に推進していくこととしております。
 平成三年度からは救急高度化推進整備事業を創設いたしまして、先進的な市町村の消防本部が行う高規格の救急自動車なり救急資器材の整備事業
を対象に国庫補助を行うことを考えておるわけでございます。平成三年度では二十五台分一応用意しておるわけでございます。
#262
○高桑栄松君 年間二十五台というと、四千五百台ですか、そうすると十年で二百五十台、二十年かかるわけだ。そうすると前のやつはもうとっくにだめになりますね。なかなか時間がかかるな。――いや、いいんです、時間がありませんから、ちょっとだけ今数字をいじくってみただけです。
 次に行かせてもらいますが、救命士の再教育ということを考える必要がある。ただ試験を通ればいいというのではない。もちろん医者も同じわけでありますが、救命士は体験を通してケース・バイ・ケースで自分で体で覚えていくというか、とっさの判断をしてどんどんやっていくというケースが必要なわけで、そういうのは大都会では非常にケースがたくさんあると思いますが、小さいところ、中小都市に行きますと地方ではなかなかその経験を積めなくなるのではないか。その意味では技術が落ちるというか不安な部分があるんで、再教育システムというのは絶対要るものだと思うんですが、こういうことに対するお考えはどうでしょうか。
#263
○政府委員(長谷川慧重君) 資格を得ました救急救命士が救急救命処置を提供していくためには資格取得後もいろいろ研さんに努めていくことが必要であるというのは先生の御指摘のとおりであろうというぐあいに思うわけでございます。そういう面で今後救急救命士の許可を与えて以降救急救命士の所属する機関等とも十分相談し協力を得ながらおっしゃられるような再教育システムについて検討してまいりたいというぐあいに考えております。
#264
○高桑栄松君 これはぜひきっちりした再教育システムをおつくりになっていただきたい、こういうふうに注文をいたします。
 それから、医事紛争の点をちょっと伺いたいのですが、医師の指示のもとに救命士は適切な処置をとるということなわけですが、医師とどうしても連絡がとれなかった、しかしその間救命士は独自の判断でしなければならない、こういったときにいわゆる医事紛争で告訴をされる、これは救命士がということになるかと思うんですが、そういうのは緊急避難みたいな処置をとれるものなんだろうか。どうしても指導医と連絡がとれない場合、これはいかがでしょう。
#265
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士が高度な医療行為を行うに当たりましては医師と連絡をとって医師の指示のもとにやっていただくというのが基本的な考え方でございます。先生のおっしゃられるように実際上全く連絡がとれないようなケースということは、そういうことのないように当然消防庁あるいは患者の受け入れ機関、それから救急救命士の間のふだんの連携システムが非常に大切であるというぐあいに思っているわけでございまして、そういう面でそういうことのないようにそれぞれのところにおきまして十分意志の疎通を図り、連携体制を整えてまいりたいというぐあいに思うわけでございますが、あえて先生のおっしゃられるように全く連絡がとれない場合にその行為を行ったことについてどう考えるかということにつきましては、いわゆる緊急避難であると判断するか、それぞれのケースごとに判断すべき事柄でございまして、一律にどうこうということにつきましてはなかなか難しいのじゃないかなというぐあいに思う次第でございます。
#266
○高桑栄松君 似たようなことなんですが、今の連絡ですが、病院に来る前に直接連絡がとれなくて間接的な連絡になってしまった、こういうときもし医事紛争にという状況になったときに、それは多分今度は指導医が告訴されるのかなと思うんですが、といっても間接的であったんで、それがどのように伝わったかがよく判断ができないというような場合は、これは責任の所在はどっちになるんでしょうね。
#267
○政府委員(長谷川慧重君) 先ほどもお答え申し上げましたように、基本的には医師と連絡をとって医師の指示のもとに行うということでございまして、そのために消防庁の方でもホットラインシステム、それを受けまして医療機関側の方にはそういう電話を用意いたしまして、絶えずそういう面での連絡をとるという仕組みで考えているわけでございます。
 そういう面で、先ほども御答弁申し上げましたように、そういう仕組みになっているわけでございますが、万が一そういうことでうまく機能しなかった場合というお尋ねでございますが、それもそれぞれのケースによりまして判断が異なってくると思いますので、なかなか一律にどうこうであるということを申し上げることはできないことを御理解いただきたいと思います。
#268
○高桑栄松君 それでは最後ですけれども、心肺蘇生法というか、先ほどそのお話がもうございましたが、呼吸停止後に救急車が到着をして救命処置に当たっても四分を過ぎてしまうと酸素がその分行かない、まあ心臓が停止しても同じわけですが、だから平均五・七分というとひょっとすると間に合わないという時間だなと思いながら話を承ったんですが、そうすると、救急車が到着する前に周りの人が心肺蘇生法を行わなければならないという意味で、どうしても全国民にそれを普及させる必要があるというふうに私思います。
 時間になりましたので、それを含めて大臣に、この新制度発足に当たりまして、今後救命医療対策について取り組まれる大臣の御決意のほどを承りたいと思います。
#269
○国務大臣(下条進一郎君) 人命尊重という立場から、従来の救急体制の不備を改善いたしまして、その目的に沿うような法の改正を今お願いしているわけでございます。
 救急医療対策につきましては、救急救命士制度を創設いたしますとともに、ドクターカー制度、先ほどからお話がございましたその制度の充実もあわせて図りながら救急医療の充実に向けて今後も努力していく所存でございます。
#270
○沓脱タケ子君 それじゃ簡単にお伺いをいたします。
 我が国の医療水準というのは非常に高いわけでございますが、残念ながら欧米諸国と比べますと心肺停止状態の患者の救命率というのが大変計数的におくれをとっておる状況でございます。やはり今日の進んだ我が国の医療水準を十分活用して救命率を高め、とりわけ社会復帰の率を高めていくということが救急救命対策としては極めて急務ではないかと思っております。そういう点では、既に進んだ諸外国のように、ドクターカーを中心にどう推進していくかということが基本でなければならないという点は私どもも考えるところでございますが、すぐにドクターカーが全国的に普及できるという状況にないという段階で、次善の策というんですか、そういう現実的な対策という形で出されてきておるわけでございます。私は、こういうことを進めると同時に、搬送体制の強化と同時に、総合的な救急救命体制の強化というのが依然として必要ではないかと思うわけです。
 いろいろ聞きたいんですけれども、時間がありません。そこで、ごく簡単なところだけを伺っておきたいんですが、まずちょっとややこしいなと思うのは、この名称の救急救命士というのが医療関係者だから厚生省、しかし実際に実働するのは消防庁ということで、どっちがどうなってうまくいくのかなという点ではちょっと不安、先ほどからの質疑を伺っていても不安を感じるわけですが、先に消防庁にお伺いをしたいんです。
 隊員が四万五千人、そのうち三人に一人は救急救命士を乗せられるという体制で一万五千人をということのようですけれども、何年計画ぐらいでそれをおやりになるおつもりなのか、ちょっと聞いておきたいと思います。
#271
○説明員(飯田志農夫君) 将来的には救急自動車に常時――二十四時間体制でございますが、常時救急救命士の資格を有する救急隊員が一名以上乗車することを目標に養成したいと考えております。現在、全国で約四千台強の救急自動車が第一線で活動しているわけでございます。二十四時間体制で常時一名を配置するとなりますと約一万五
千人が必要ということになります。
 現在、全国の救急隊員を対象として救急救命士の資格を取得するための教育訓練を行う財団を各都道府県の共同で設立する準備が進められております。自治省として当面新設予定の財団が計画している教育訓練体制づくりについて積極的に支援をするとともに独自で救急救命士の資格取得のための教育訓練を実施しようとする地方公共団体に対しても必要な助言、指導を行っていくこととしております。また、今後これらによる教育訓練の状況や、それから民間の養成施設の状況などを十分見きわめて、必要があれば財団の教育訓練機関の増設についても積極的に支援して、できるだけ多くの救急救命士をなるべく早期に養成、配置できるようにしたい、このように考えているわけでございます。
 何年後になるかということでもございましたが、できるだけ早期に配置できるようにしたいわけでございます。現時点で教育訓練計画について関係機関などで検討中の段階でございます。具体的に何年後とは申し上げる状況にないことを御理解いただきたいと思います。
#272
○沓脱タケ子君 それで、この法案を拝見していたら四十三条に、救急救命士は名称の使用の停止を命ぜられている場合を除き、保健婦助産婦看護婦法の規定にかかわらず、「診療の補助として救急救命処置を行うことを業とすることができる。」というのがあるんですね。だから、この救急救命士という資格をお持ちの方は、そうすると救急車以外のところで業を営むことができるということですか。
#273
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士につきましては、四十四条の二項に、「救急救命士は、救急用自動車その他の重度傷病者を搬送するためのものであって厚生省令で定めるもの以外の場所においてその業務を行ってはならない。」という規定がございますので、この厚生省令で定めるもののところでのみその業を行う、それ以外のところはだめですと……
#274
○沓脱タケ子君 「業とする」というのは。
#275
○政府委員(長谷川慧重君) それ以外のところでは業は行ってはならないということに決められておるわけでございます。
#276
○沓脱タケ子君 いや、それならわかるんだけれども、「業とすることができる。」ということになると、独立の業を営むことができるのではないかというふうに読めますので、その辺があいまいだなというふうに思ったんです。
 ちょっと進みますが、それで、さっきも出ていましたが、救急車、実働が今四千四十台ぐらいだという話ですが、心肺停止状態の傷病者の蘇生術を行うための装備が必要ですね、車と同時に。これは車も中に積み込む装備も、どこが負担をしてやるんですか。消防庁が段取りをして地方自治体に補助金か何ぞやってやらせるんですか、あるいは中へ積む装備は医療器具だから厚生省ですか。どっちなんですか。
#277
○説明員(飯田志農夫君) 消防庁の救急業務として救急隊員が救急救命士の資格を取って行う場合について申し上げますと、救急車に載せる資器材及び救急車ももちろんでございますが、消防機関の方で整えるということになります。
#278
○沓脱タケ子君 そうすると、救急救命士も大体何年計画と言えないという状況だし、車もさっきのお話では、新年度で二十五台か。四千四十台動いていて二十五台といったら二十年近くこれはかかるんで話にならぬわけですが、それではやっぱり困るので、例えば図書館を一つずつ建てるというので順番がおくれて、早いところは建ったけれども、おくれたところは二十年後になったといっても、これは辛抱もできぬわけでもないけれども、辛抱しやすいですが、事人命に関する問題ということで、とりわけこういう法律までわざわざつくって対応しようかと言っている場合に、十五年も二十年も先にならぬと全国的にカバーできないということでは国民はなかなか納得しがたいと思いますので、その点は思い切った短期の配置計画、そして今三分の一だそうですけれども、地方団体に対する国庫負担というふうなものも大幅に広げるということで対応する必要があるのではないかと思いますが、いかがです。
#279
○説明員(飯田志農夫君) 御指摘のとおり、救命率の向上は緊急に取り組まなければならない問題でございますので、消防庁といたしましてもできるだけ早期に、三人の隊員で救急隊構成しておりますが、常時一名できる体制を確立したいと思っております。こういう教育訓練の費用も相当な財政負担になります。
 それから、おっしゃられます救急自動車なり資器材の整備も相当になりますが、先ほど平成三年度から新規の国庫補助制度として救急高度化推進整備事業を発足させるということをお話しさせていただきましたが、地方団体がこれらの救急業務の高度化全体を推し進めていくために必要な財源につきましては、こうした国庫補助制度とはまた別に、よりベースとして地方交付税などによる財源措置をこの高度化事業、救急業務の充実が進む段階につれましてしっかりとした措置を組んでまいりたい、このように考えているところでございます。そういったものとあわせまして、国庫補助制度でまた先進的な市町村消防について促進を図っていきたい、このように考えているわけでございます。
#280
○沓脱タケ子君 これはぜひしっかりやって進めてほしいと思います。
 一つは、今度救急救命士を乗せる救急自動車に医師とのホットラインをつけるらしいんですが、その医師はどこにつけるんですか。自動車は二十四時間体制でしょう。どこにお願いするんですか。これは厚生省ですか。どこがそれを引き受けるんですか。やたらに方々へ電話しても話にならぬでしょう。それはどうするんですかね。
#281
○政府委員(長谷川慧重君) それぞれの地域によりまして大分対応は異なるかとは思うわけでございますが、例えば東京都におきましては、消防庁本部に医師が常駐しておられまして、そこと連絡をとって指示を受ける。それから地域におきましては、救命救急センターとつながっておりまして、救命救急センターの方で適切な指示をする場合もあり得る。あるいはそれ以外の医療機関等において、そういうぐあいに順番と言ったらよろしいんですか、特定をしておきまして、常時救急車の方からのホットラインを受け付けて適切な指示をする仕組みといいますのをそれぞれの地域地域におきましてそれぞれ体制づくりをしていかなきゃならないというぐあいに思っているところでございます。
#282
○沓脱タケ子君 情報センターに常時医師がおられるという場合、これはいいですよね。だけど、輪番制のところへ回ってそこのお医者さんにというふうなことになってくると、これは既に先ほどの論議の中で明らかなように、医師の責任がかなり重くなりますから、やたらに輪番やからいうてやられて、ひょいと連絡があってというようなことになったら責任を負い切れない問題も出てくると思うんです。
 そういう点では、第三次救急センターとかそういうところときちんとホットラインをつないでお願いをするというかな、義務づけるいうたらこれは言い過ぎでしょうが、頼んで当たり前という格好の常設の受け皿がないと、これはせっかく車は走った、ホットラインはできた、しかしだれに聞いていいかわからぬみたいなことになったり、そこらじゅうにやられたらたまらぬですよ。その辺はきちんと受け皿を対応してもらいたいなと思います。
 それから、もう一つ関連して、ヘリがまだこれから研究、検討課題だと言っておられるようですが、全国的に見たら消防が抱えているヘリが二十機ぐらいあるんだそうですね。そういうものが救急用に使えるのかどうかという、使うような考え方をしていくかどうか、そのための医師の確保をどうするか、あるいは装備をどうするかという問題が当然出てくるんですが、同時に必要なのはヘリポートだと思うんですよね。だって、やたらにそこらへ島から飛んで来た、山間僻地から飛んで
運んでもらったのはいいけれども、三次救急が必要な患者がとんでもないところへおろされたら、そこからまた運ぶのに時間がかかるというようなことになっては何にもならないので、三次救急の救急センターあたり、その病院にヘリポートができれば一番いいですが、近隣にそういうヘリポートの確保などというのも今後の課題になってくるんではないかと思いますが、そういう点は計画的に、消防庁だけでできないんでしょうけれども、建設省なりなんなりに相談、協議をして計画的にそういったものの設置あるいはそういうものを設置していくための国の補助というふうなものを思い切ってやりませんと、まあやりますといって言うているけれども、いつになったらできるかなみたいなことになりかねないと思いますので、ちょっと伺っておきたいんです。
#283
○政府委員(長谷川慧重君) まず、最初の先生のお尋ねでございますが、平成三年度におきまして新しい事業ということで救急現場医療確保事業という予算をお願いしているわけでございますが、その中におきましても全国百四カ所の救命救急センターにおきまして医師が同乗するという形のもので救急体制の整備に努めているところでございます。いわゆる消防本部あるいは救命救急センターが大体そういう面での連絡を受けての指示をする形になろうかと思いますけれども、それぞれの地域におきましてそれ以外のところでおやりになることもあり得ると思いますので、それはそれぞれの地域におきまして十分よく協議をして決めていただきたい。おっしゃられるように輪番制だからやれというわけにはなかなかまいらない事業であろうというように思うわけでございます。
 それから、第二点目のヘリコプターの話でございますが、現在救命救急センターの中でその敷地内にヘリコプターの離発着が可能な広場なり屋上を有しております施設は全国で十五カ所というぐあいに非常に少ない数でございます。このヘリコプターを利用いたしました救急医療活動につきましては、大変有効な場合があるというぐあいに考えておるところでございます。
 厚生省といたしましては、現在救急医療体制検討会におきまして、二十一世紀に向けての救急医療体制のあり方について総合的な検討をお願いいたしているところでございまして、この中におきましてもヘリコプターの活用体制なり離発着の確保についての御意見等もあるわけでございますので、その検討会の報告をいただきました上で、関係各省とも十分相談しながら、先生がおっしゃるような意味での場所の確保についても努力してまいりたいというぐあいに考えております。
#284
○委員長(福間知之君) 沓脱君、時間が来ていますから簡単に願います。
#285
○沓脱タケ子君 時間がないらしいから、もう終わりますから。
 最後に、ちょっとお伺いしておきたいと思うのは、私この急病、交通事故の転送理由というのを拝見しましたら、救急告示病院で「ベッド満床」というのが急病の場合には一九%、交通事故で八・四%という数字が出ているんですね。救急告示病院というのは空きベッドを持っていなければならないように指導されているし、なっておるわけですけれども、実際はベッドをあけておっても、送ってくるときにベッドが詰まることもあるし、ゼロだということをセンターに通報しておっても、患者を送ってくるというふうな場合もしばしばあるというのが現場の姿になっております。よく聞いてみたら、やっぱり空きベッドを大阪の場合なんかは五床あけておけと言うそうですよ。ICUの部屋で五床あけたら、これはもう莫大な費用負担になるんです。簡単に言うたら、ICUの部屋だったら一カ月九十万から百万円です。それで五床といったら月に五百万近くなるでしょう。そんなのを毎度あけておけと言う、あける努力してますわ、告示病院は。しかし少しは厚生省あたりもそういった点で協力を要請している点では色をつける必要があるんじゃないか。せめて気持ちを、ゼロではなしに何らかの方法をとるべきではないかと私は思いますが、そういう点について御見解を伺って、終わりたいと思います。
#286
○政府委員(長谷川慧重君) 先生お尋ねの、救急告示医療機関に関する助成に関するお尋ねでございますが、昭和五十二年度からいわゆる救急医療体制ということで、初期、二次、三次の救急医療施設の体系的整備を図るということでそういう制度を動かしているわけでございますが、その制度の中におきましては、国庫補助制度というのを設けたところでございまして、いわゆる救急告示医療機関が初期、二次、三次の体制の中に参加していただけますれば、そういう面での国庫補助制度、必ずしも十分とは思いませんけれども、国庫補助制度というものがその中にあるわけでございますので、そういう面での活用をお願いいたしたいというぐあいに思っている次第でございます。
#287
○沓脱タケ子君 終わります。
#288
○乾晴美君 私は、救急車の中に、私もそうなんですが私の友人も、救急車が来ますと、白いお洋服を着た人だとか白衣を着た方がいらっしゃいますので、当然医師のような方、または看護婦さんのような方が乗っていらっしゃるのかというふうに思っておりましたが、今回こういう法律が出てきて、どなたも乗っていらっしゃらなかったんだなというように改めて思うわけなんです。
 アメリカから比べて救命率というのでしょうか、そういう率が三分の一ぐらいだった、それを今度救急救命士というようなのでもつくってやっていこうかということには、そういう意味で高く評価させていただいているわけなんです。救急隊員というのが今いらっしゃるわけなんですが、その隊員の中からどれぐらいの方が救急救命士になれたらいいなというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
#289
○説明員(飯田志農夫君) 将来的に、救急自動車に常時救急救命士の資格を有する救急隊員が一名以上乗車することを目標に養成したい、こういうように考えているわけです。現在、全国で約四千台の救急自動車が第一線で活動しているわけなので、二十四時間体制で常時一名救急救命士を配置するということになりますと、約一万五千人ぐらいが必要、こういうことでございます。
#290
○乾晴美君 一万五千人というのは、先ほどお伺いしてわかっていたわけなんですけれども、ではこの消防本部というのは全国で何カ所ぐらいあるんでしょうか。
#291
○説明員(飯田志農夫君) 現在九百三十三本部ございます。市町村数で言いますと、広域的にやっておりますので、市町村数では三千五十四市町村、全国の市町村全体の九四%で正式の救急隊が活動しております。
#292
○乾晴美君 ということになりますと、一万五千人という救急救命士なんですけれども、一カ所に固まるとかということじゃなくて、その九百三十三本部全部にバランスよくそういう方が必要だと思うわけなんです。そういうことになってきますと、なかなか大変なのではないか。近々こういう救急救命士を養成する施設をつくられるというふうに伺っておるんですけれども、とりあえず何カ所ぐらいに全国でなさろうというおつもりなんでしょうか。
#293
○説明員(飯田志農夫君) 救急救命士の受験資格を得るための教育訓練は、高度かつ専門的になることから、現在都道府県が共同して、全国の救急隊員を対象とした新たな教育訓練機関を設置すべく財団の設立について準備が進められているところでございます。
 この財団の設立準備委員会では、本法案の成立後なるべく早期に既存の施設を活用した教育訓練を開始するとともに、当面平成六年度までに教育訓練機関を二カ所建設するという方向で検討が行われていると聞いております。
#294
○乾晴美君 それはどういうところを予定されていらっしゃいますでしょうか。
#295
○説明員(飯田志農夫君) 財団設立後具体的に検討されるということで、現在は未定でございます。
#296
○乾晴美君 私たちは、徳島という非常に離れたところにありますので、もしそれが東京というようなことになりましたら、徳島から千時間、二千
時間の勉強に来るということになりましたら、費用としましても一人百万円ぐらいかかるのではないかというように心配するんですが、そういう教育期間の財源といいましょうか、そういうのはどのようにお考えでしょうか。
#297
○説明員(飯田志農夫君) 長期の教育になりますので、当然宿泊して研修を受ける、教育訓練を受けるということになるわけでございます。
 研修に要する費用につきましては、公務の救急業務で行うということで、地方公共団体が負担することになりますので、これらに要する費用につきましては、適切な財源措置を地方交付税を初めとして行いたい、こういうふうに考えております。
#298
○乾晴美君 そういうところへお勉強に来たり、資格を取りに来られている方の後の人数といいましょうか、後任といいましょうか、人的なものはどうなんでしょうか。
#299
○説明員(飯田志農夫君) 当然長期の教育訓練となりますので、この教育訓練に伴う職員のやりくりということにつきましては、いろいろ難しい問題も出てくると思います。したがいまして、一方で救命率の向上を図るということが非常に緊急の課題でもありますので、それぞれの消防本部で実情を勘案の上、人事配置等についても工夫を凝らしていただきたい、このように考えているわけでございます。
#300
○乾晴美君 長時間労働になったり、労働時間の短縮と言っている時期ですし、大変問題点もあるのではなかろうかと、現場の方は心配なさっていると思います。
 それで、どういうようなカリキュラムというか、中身のアウトラインでも教えていただけますでしょうか。
#301
○政府委員(長谷川慧重君) 救急救命士がどんな勉強をされるかというお尋ねかと思いますけれども、その具体的な中身といいますか、カリキュラムにつきましては、現在専門家から成ります委員会におきましてこの二年間のカリキュラムの中におきまして、救急救命士の仕事が正確に、適切にやれるかどうかについていろいろカリキュラムについての検討をお願いいたしておるわけでございます。そういう面で、現時点でその中身についての御説明はできかねますことを御理解いただきたいと思います。
#302
○乾晴美君 この資格をとるのは、国家試験を受けるということですけれども、その国家試験のあり方はペーパーテストなんでしょうか、実技も含まれるんでしょうか。
#303
○政府委員(長谷川慧重君) 医療関連職種のほとんどがいわゆるペーパーテストでございますので、現時点ではいわゆるペーパーテストによりまして、そういう学識あるいは技能についてのチェックをできるような質問を用意して、ペーパーテストでやるという方向で検討いたしておるわけでございます。さはさりながら、これから専門家から成ります委員会におきまして、なお十分に検討していただきたいというぐあいに思っております。
#304
○乾晴美君 医学生なんかも国家試験を受けていらっしゃいますけれども、学業が終わった後でインターンとかといったようなことをなさっているということで、これも相当急を要することだと思いますし、緊急な事態ですから相当練習したり、実技の学習をやってこないとだめなんだろうなというふうに思います。と同時にまた、指示なさるお医者さんの方も相当救急医療に対する知識とか、専門的なお医者さんがいなければならないというように思うわけなんです。そういった救急にかかわる医師の養成というか、お医者さんの方の養成になると思うんですけれども、各大学の中で救急医学講座とか、または救急部というようなものが創設されたり、そういうものは現在あるんでしょうか。それとも、なければこれから救急の専門医というのを養成されるということのお考えはあるんでしょうか。
#305
○政府委員(長谷川慧重君) まず、救急救命士に対しますものにつきましては、当然二年間という期間の中においてかなり実技を織り込んで勉強していただこうというぐあいに考えております。
 それから、先ほども御質問ございましたけれども、資格を取った後もその後の研修については十分関係機関等の理解を得てやってまいりたいというぐあいに思っております。
 それから、医師につきましての研修の問題でございますが、いろいろお尋ねがあったわけでございますが、日本救急医学会におきましては救急指導医が現在までに百五十四人、救急認定医が千四百人余という数がそれぞれの学会で登録されておる状況にございます。それ以外に私どもとしましては、一般の医師に対しましては、救急医療に関する一般研修あるいは特定の科に関しましては専門研修、あるいは救急医療に関します研修等を講じまして救急医療に関します一般的な教育についての講習等をやっているわけでございまして、そういう面で幅広にこれからも教育研修を続けてまいりたいというふうに思っております。
#306
○乾晴美君 ホットラインができて現場の救急救命士と医者との間に連携を密にするということなんですが、先ほど消防署の本部だとか、または救命救急センターに医者がいらっしゃるというんですけれども、その常駐なさっているお医者さんは何人いらっしゃるんですか。お一人なんでしょうか。
#307
○政府委員(長谷川慧重君) 救命救急センターにつきましては、二十四時間待機の姿勢をとって患者の診療に応じるということになっておるわけでございますので、そういう面では常時医者がいていつでも相談に応ずる、あるいは診療に応ずるという形になっております。数につきましては、その救命救急センターの持っております病床の規模によりましても多少違いますけれども、平均的に六、七人ぐらいかなというぐあいに、ちょっと正確な数字を持ち合わせておりませんが、そんな感じでございます。
#308
○乾晴美君 この間の広島のようなああいう大量に救急の事態が発生するというようなことになりましたら、一人のお医者さんであれば大変だろうと、しかも、救急救命士の方は医師の指示がなければ何もできないということになりましたら大変だなということでお伺いしたわけでございます。これは地域によって違うということなんですけれども、徳島のようなところというのはなかなか医師の確保も難しいんだろうなというように思います。
 また、違ったことを聞かしていただきたいと思うんですけれども、救急車自体は普通の救急車だったらどれぐらいの価格なんでしょうか。車の値段です。
#309
○説明員(飯田志農夫君) 現在の救急車の場合、車体のみですとまあ三百万程度、いろいろ資器材を載せますので六百万程度であろうと考えております。
#310
○乾晴美君 救急救命士の方が乗られているんな処置ができるようになり、また中に高規格のものを入れていくということになりましたら値段も違ってくるわけですね。それはどれぐらいの車の値段になりますか。
#311
○説明員(飯田志農夫君) 高規格の救急自動車、現在どのような機能、規格、構造にするか検討中でございますが、現在各消防本部などに配置されておるものなどに関しますと車体で二千万弱、資器材等全部含めますと三千万程度になるんではないかというふうに考えております。
#312
○乾晴美君 そのお金はどこが負担しているんでしょうか。
#313
○説明員(飯田志農夫君) これは消防業務を行っております地方公共団体でございます。今消防の救急車について申し上げておりますが、地方公共団体が負担をしている、こういうことでございます。
#314
○乾晴美君 もう貧乏県の徳島なんかは余り買えないのではないかと思ったりして心配いたすわけなんですが、ちょっと聞かしていただきましたら、なかなかそういう車も買えないので寄附行為によっているというようなことも聞かされているわけです。そうすると大変だなと思うわけなんで、国の方からも補助が出るような形になればいいな
と思うのと、特別な車だから生産していただけないのではないか、なかなか現実の問題として、メーカーがそういう車を実際に生産してくれるかなという心配もございます。それをちょっとお尋ねしてから、終わらせていただきます。
#315
○説明員(飯田志農夫君) 消防機関による救急業務を充実していく上では高規格の救急自動車、資器材等相当な財源がかかります。これらにつきましては、救急救命士の配置等に合わせまして適切な所要の措置をとっていきたい、このように考えております。
 高規格の救急自動車の製造についてでございますが、現在の救急車は非常に応急処置を拡大する場合には不十分でございます。そういった意味で、新しい高規格の救急自動車をメーカーの方で製作することについて最近非常に積極的な姿勢を見せていただいておりますので、消防庁としても早期にこれが生産されることを期待している次第でございます。
#316
○乾晴美君 ありがとうございました。
#317
○勝木健司君 交通事故が増加いたしております最近の状況の中では、救急救命士という資格をつくることはまことに時宜を得たものじゃないかというふうに私たちも考えております。せっかくこのような法律をつくって制度をつくるわけでありますから、十分に有効に機能をしていくことができるものにぜひしていっていただきたいというふうに思います。
 そこで、救急車の充実はもちろん必要でありますけれども、私は病院自身が専門の医者を乗せたドクターカーを所有して迅速、適切な救急医療を実施していく体制を整備していくことが特に必要じゃないかというふうに思うわけであります。ところが、聞くところによりますと、第三次救急医療施設であります救命救急センターは全国に現在百四カ所ありますが、そのうちドクターカーを所有しているのはわずか三分の一にすぎないということであります。最低少なくともこれらのセンターにはすべてドクターカーを配置しておくことが必要じゃないかというふうに思います。この点についての見解、そしてまた今後の整備方針について御見解をお伺いしたいというふうに思います。
#318
○政府委員(長谷川慧重君) 搬送途上におきます必要な医療は医師が直接関与して行うことが一番望ましいというぐあいに私ども思っておるわけでございまして、そういう面で先生御指摘のように、いわゆる救急用自動車に医師が同乗いたしますドクターカーの必要性は高いものというぐあいに思っております。お話しございましたように、現在救命救急センターの中におきましてドクターカーを持っている施設というのはまだ一部でございますので、今後とも救命救急センターとそれぞれよく話し合いをしながら、できるだけ救命救急センターの中でドクターカーを持ちまして、消防庁の救急隊等の活動とも連携をとりながらそれぞれの地域で活動していただきたいというように思っているところでございます。
#319
○勝木健司君 ドクターカーの運営システムの実態につきまして、消防庁にお伺いいたしたいというふうに思います。
 現在、ドクターカー運営システムを導入している消防本部はどこの消防本部なのか、そしてなぜ導入することになったのか、その経緯、そして地元医師会との関係、医師出動の要請はどのように行われているのか、また医師出動の実態について簡単に、以上五点、まずお伺いをしたいというふうに思います。
 あわせて、今度救急救命士法案によりまして救急救命士が誕生することになるわけでありますが、その場合、救急救命士が出動するのか、救急隊員の出動でいいのか、だれからどのような連絡を受けて出動するのか、これも新たにどういうことになるのか、ホットラインの話もありましたけれども、お伺いをいたしたいというふうに思います。
#320
○説明員(飯田志農夫君) ドクターカーについてでございます。平成三年の三月現在でございますが、消防機関においてドクターカーをシステムとして運用しておりますのは六消防本部でございます。福島市、会津若松市、水戸市、宇都宮市、松本市、西宮市でございます。
 ドクターカー方式の導入の経緯については、詳細に承知してないわけでございますが、いずれも傷病者に対する救急サービスの充実を図るということを意図したものであると考えております。
 ドクターカー方式の運用について、地元医師会等と協定をあらかじめ結んでおりますのは、このうち四消防本部でございます。その他の消防本部におきましても、よりよい理解と協力が得られるように常に努力しているものと考えているわけでございます。
 平成二年中の出動の実績でございますが、水戸がことしの三月一日から運用を開始しておりますので、水戸市を除きまして五消防本部で二百十五件でございます。
 それから、救急救命士法の制度が創設されますと、先ほどから御答弁しておりますように、全国の救急隊に常時一名配置できる体制を早期に築き上げてまいりたいと考えております。この場合、すべての出場に救急救命士の資格取得者が出ていくということを将来の目標としておるわけでございます。
#321
○勝木健司君 常時一名体制ということでありますけれども、そこで、この救急救命士でありますけれども、どういう人が、どういう形で勉強してその資格を取っていくかについてお伺いいたしたいというふうに思います。受験の資格として、私は実態として、高校を卒業して勉強して資格を取って救急救命士になる人よりも、むしろ現在の救急隊員の中から常時一名体制のそういう形で救急救命士の資格を取るという場合が大半だろうというふうに思うわけであります。そういった意味で、これから実際に養成を行う機関が必要になってまいるわけでありますけれども、消防庁としてはどういう教育機関を考えておられるのか、そこでどういう形で勉強して、教育を受けてこの資格を取るのかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。
#322
○説明員(飯田志農夫君) 救急隊員が救急救命士の資格取得のため必要となる教育訓練は、その内容が高度かつ専門的なものであることから、各都道府県等の消防学校では必ずしも十分な対応が図られない面があります。そういうことから、都道府県の共同出資による新たな教育訓練機関の設置について、関係方面の協力を得ながら鋭意進めているところでございます。また幾つかの地方公共団体では、独自に救急救命士の資格取得のための教育訓練を行うことを検討しているようでございます。また、このほかに民間の養成施設等で救急隊員の受け入れが可能なものが出てくることも考えられる、このように思っております。
#323
○勝木健司君 今お答えいただきましたような、新たな教育機関も必要じゃないかということでありますが、実際にそれに携わる先生の確保とか実習施設の確保がこれから重要になってくるだろうというふうに思います。この点についても厚生省が積極的に努力をしていくべきであるというふうに思いますけれども、厚生省としての取り組みについてお伺いしたいというふうに思います。
#324
○政府委員(長谷川慧重君) この救急救命士法案におきまして、いろいろ受験資格を与えるに当たりましての道筋が幾つか書いてございます。消防隊員につきましては三十四条四号に書いてあるわけでございまして、消防隊員の実際の実務経験、学識等も十分踏まえながら、勉強していただきまして受験をしていただこうというぐあいに思うわけでございます。
 実際に、その教育に当たりましての問題でございますが、救急救命士の養成にかかわります救急指導医や実習施設の確保といいますのは、救急医療対策の充実の観点から極めて重要であるというぐあいに考えているところでございます。このため、救急指導医につきましては、救急医療施設に勤務する医師に対する研修制度を活用いたしますとともに、救命救急センター等の医師の協力を得ながら、その育成、確保に努めてまいりたいとい
うぐあいに考えております。それからまた、実習の施設につきましても、救命救急センター等の協力を得ながらその確保に努めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
#325
○勝木健司君 搬送途上で救急救命士の資格を持つ人が、医師の指示のもと、救急救命処置を行うわけでありますけれども、当然指示をする救急医療に携わる医師等の養成や確保が必要になってくるというふうに思うわけであります。現在、全国の救急医療専門医は約千七百人と承っておりまして、全医師の一%に満たない状況である。しかも、自治体によっては、救急医療専門医の数はばらつきがある状況であるというふうに伺っております。また、救急医学の講座がある大学も、全国でわずか十大学にすぎないというふうに聞いております。このような救急救命士を指示するべき医師の数で果たして救急救命士に対し指示できる体制であると言えるのかどうか、また今後養成をしていくためには十分な体制なのかどうかということで、御意見をお伺いしたいというふうに思います。
#326
○政府委員(長谷川慧重君) 先生御指摘のとおり、救急専門医の確保といいますのが非常に重要でございますし、現在のところいろんな問題を抱えておるというのも事実でございます。そういう面で従来から、救急医療施設に勤務する医師に対しましては、救急医療一般についての研修のほかに脳神経外科なり麻酔科なり小児科領域の専門研修というのを実施いたしているところでございます。また、医師救急医療業務実地修練というのも現在実施いたしているところでございます。
 平成三年度予算案におきましては、医師の救急医療業務実地修練について、研修人員なりあるいは研修期間の拡大を図ることといたしておりまして、また各医科大学におきましては、救急医学に関する教育を充実するように文部省に要請していくこと等によりまして、今後とも救急専門医の養成に努めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
#327
○勝木健司君 最後に、厚生大臣にお伺いしたいというふうに思いますが、先ほどの消防庁からのお話でも、現場まで五分かかる、そして現場から病院に行くまでに平均二十一分かかる、そしてまたそれから手術室に行くまで五、六分かかるというような話がありまして、救急救命士法案も大事でありますけれども、そういう病院へ運ぶ、そして助ける時間を縮めることがもっとより大事なことじゃないかなというふうに私は痛切に感じたわけであります。
 そこで、厚生省は、この平成三年度を二十一世紀に向けての救急医療体制整備の初年度として位置づける、そして特に緊急を要する救急現場及び搬送途上における救急医療の充実を中心に、救急医療体制の整備を行うというふうに言っております。救急医療体制の整備ということを考えた場合、専門の医師を初めとする救急医療関係従事者の確保の問題がまず第一にあろうかと思います。
 次に、救急用自動車あるいは救急用ヘリコプター、医療器材の用具の問題があります。そして、救命救急センターの拡充等の施設の問題があります。
 私は、このような問題を確実に前進させて、国民の搬送途上の救命率を高める必要があるというふうに思うわけでありますが、そこで、仮称でありますがプレホスピタルケア十カ年戦略というようなことを考えて、真剣に検討していかなければいけないんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、厚生大臣の御見解をお伺いして、質問を終わりたいというふうに思います。
#328
○国務大臣(下条進一郎君) 救急医療体制の充実についての御所見を交えてのお尋ねでございます。その重要性は私の方も十分認識いたしております。救急医療体制については、初期、二次、三次の受け入れ医療機関の体制はおおむね整ってきているとは思いますが、その質的充実と搬送途上の医療の確保を図ることが重要な課題となっております。このため、厚生省におきましては、平成元年九月に救急医療体制検討会を設置いたしまして、救急医療機関の体系的整備、ドクターカー等による患者搬送体制の整備、救急医学教育の充実とマンパワーの確保、さらに救急救命士制度の創設、今回お願いしておりますが、それと救急隊員の応急手当ての範囲拡大等の課題を中心に、二十一世紀に向けての救急医療体制全般にわたる検討をお願いしているところでございます。
 厚生省におきましては、検討会の検討結果を踏まえ、二十一世紀に向けての救急医療体制の充実のための計画的な体制整備を図ることといたしまして、これが御指摘に沿った救急体制の充実につながるものと考えておる次第でございます。
#329
○勝木健司君 ありがとうございました。
#330
○西川潔君 最後の質問になります。重複するところもあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 もうほとんどの先生方が御質問をなさったわけで、たくさん用意してまいりましたが、ほとんど質問をすることがなくなりましたので、私は一つお伺いしたいんですが、今勝木先生もおっしゃっておられましたが、救急車をお願いして、到着して、そして病院へ行かれて、そして病院でいよいよ手術であるというようなことになるわけですが、トータルいたしますと三十分を超えるわけですが、消防庁にお伺いしたいんですけれども、もう少し早く着く方法はないんでしょうか。
#331
○説明員(飯田志農夫君) 救命率を上げる上で、医療機関にできるだけ早く搬送する、時間短縮が非常に重要でございます。このため、例えば東京消防庁でも、このたびまた新しい情報の機械を入れまして指令室を一新したわけでございます。そういうことで、若干でありますが時間短縮が図られたような例もございます。このように、最新のいろいろな情報通信の資器材を入れまして、できるだけ時間の短縮を図っていく必要があろうかと思います。
 また、搬送につきましては、現在日本の消防による搬送能力は、これは諸外国にも余り引けをとるようなものではないと考えておるわけでございますが、医療機関から遠い山間僻地あるいは離島というところでは長時間の搬送が行われているところでございます。これらにつきましては、救急用のヘリコプターということも今後考えていかなければならないのではないか、このように思っております。
#332
○西川潔君 ぜひ今日の交通状態ですので、こういう事情を把握していただいてスピードアップを図っていただきたいと思います。例えば今ヘリコプターの話が出たんですけれども、昼間であればいいですが、夜になりますとそういう僻地の方々は大変困っておられるようです。例えば環境庁とかいろいろ建設省とかと御相談いただいて、本当に道路をつけるとか橋をつけるとかまたトンネルを掘るとかというようなことも考えなければいけないと思います。
 救急救命士の資格が救急隊員に限定されていないとすれば、将来的には民間救急車に救急救命士が同乗してそこで救急救命処置を行うことも考えられるわけで、そこでお尋ねしますが、民間会社は基本的にはやはり営利を追求すると思うわけです。救急救命処置を営利を追求する会社が行うことによって医療行為が営利追求になってしまうのではないかなという、素人考えですが、心配があるんですが、そのあたりの歯どめなどは考えておられるのでしょうか。
#333
○政府委員(長谷川慧重君) 民間におきます患者搬送は、現在比較的緊急度の低い患者さんを対象として行われているところであるというぐあいに聞いております。将来の方向といたしましては、民間の搬送業者の患者搬送車に救急救命士が同乗いたしまして緊急時等に必要な対応をしていくことも、国民の有しますさまざまなニーズにこたえる一つの手段ということで考えられるところかなというぐあいに思うわけでございます。
 しかしながら、先生がおっしゃられましたように、医療が営利追求の手段となってしまうというようなことになっては非常に大変な問題であるというぐあいに思うわけでございますので、民間の患者搬送サービスが国民の信頼を損なうことのな
いように、そのあり方等については今後検討してまいりたいというぐあいに考えるところでございます。
#334
○西川潔君 今回のこの法律を読ませていただきますと、本当にすばらしいことばかりです。救急救命士には気道確保、除細動、輸液などの高度な技術が必要な応急手当てが想定されております。これにより多くの命が救われるわけですから、我々も大変うれしいことですけれども、本当に後で国民がよかったなと、こういう法律をよくつくってくれたというふうな結果が出ますように、よろしく行政指導をしていただきたいと思います。
 お願いをいたしまして、これで終わらせていただきます。
#335
○委員長(福間知之君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 救急救命士法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#336
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、田代由紀男君から発言を求められておりますので、これを許します。田代君。
#337
○田代由紀男君 私は、ただいま可決されました救急救命士法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案によります附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    救急救命士法案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。
 一、救急専門医等救急医療に携わる医療関係者の養成に積極的に努めるとともに、医師が救急用自動車等に同乗して必要な処置を行う方式(ドクターカー方式)等を推進し、救急医療体制の一層の充実を図ること。
 二、救急救命処置が適切に行われるよう、救急救命士と医師その他の医療関係者との十分な連携の確保を図ること。
 三、救急救命士の適切な処遇の確保を図ること。
 右決議する。
 以上でございます。
#338
○委員長(福間知之君) ただいま田代君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#339
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、田代君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、下条厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下条厚生大臣。
#340
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重して努力いたす所存でございます。
#341
○委員長(福間知之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#342
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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