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#1
第120回国会 社会労働委員会 第6号
平成三年四月九日(火曜日)
   午後一時五分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         福間 知之君
    理 事
                田代由紀男君
                前島英三郎君
                対馬 孝且君
                高桑 栄松君
    委 員
                小野 清子君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                糸久八重子君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                堀  利和君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                乾  晴美君
                勝木 健司君
                西川  潔君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
       労 働 大 臣  小里 貞利君
   政府委員
       厚生大臣官房会
       計課長      近藤純五郎君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労政局長  清水 傳雄君
       労働省労政局勤
       労者福祉部長   廣見 和夫君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       外務省条約局条
       約課長      西田 芳弘君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    黒田 東彦君
       大蔵大臣官房企
       画官       神原  寧君
       労働省労政局勤
       労者福祉部企画
       課長       澤田陽太郎君
       建設省住宅局住
       宅建設課長    上野 公成君
   参考人
       環境衛生金融公
       庫理事長     山下 眞臣君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫)
○勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 去る三月二十九日、予算委員会から、四月九日午後の半日間、平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫について審査の委嘱がございました。
 本委員会の所管省庁は厚生省並びに労働省の二省とその審査対象は広範囲にわたっておりますが、委嘱審査期間が午後の半日間に限られていること及び法案の審査状況にかんがみまして、理事会で協議の結果、今回の予算の委嘱審査につきましては、異例の措置ではありますが、私委員長から、委員会を代表し、それぞれの所管省庁に対し若干の質問をいたしまして、審査を終了することになりました。
    ─────────────
#3
○委員長(福間知之君) 平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫を議題といたします。
    ─────────────
#4
○委員長(福間知之君) まず、参考人の出席要求についてお諮りいたします。
 本件審査中、環境衛生金融公庫の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(福間知之君) 予算の説明につきましては、厚生大臣並びに労働大臣から既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 それでは、理事会の申し合わせに基づきまして、私から質問をさせていただきます。
 出生率の低下に関しまして、まずお伺いをします。
 合計特殊出生率が史上最低の一・五七を記録し、平成二年はこれをさらに下回ると予測される中で、出生率の急激な低下がクローズアップされております。去る三月十六日の新聞報道によれば、五年後には合計特殊出生率が一・三二にまで落ち込み、超高齢化社会の到来が一段と早まるとも言われております。出産、子育ての問題は、個人の生き方、価値観に深くかかわる問題でありますが、母親と子供をめぐる状況は現在余りにネガティブな要素が多いように思われます。今国がなすべきことは、安心して子供を産み育てられる社会環境の整備であり、母親が過重な負担を背負わなくても済むような新しい社会システムへの変革ではないかと思います。育児休業制度の実現や児童手当の支給対象、額等の改善はその第一歩でありますが、もとよりこれだけでは十分ではありません。仕事と子育ての両立支援策や子育ての経済的援助はもちろん、住宅、教育問題を含むより抜本的、総合的な施策が求められていると思うのであります。
 出生率の今後の動向と育児をめぐる社会環境整備並びに男女共生時代の新しい社会システムの構築につきまして、厚生大臣の見解をまずお伺いします。
#8
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま委員長から
お話がございました出生率の低下問題、これは大変ゆゆしい問題でございまして、全国的なそのような一番新しい数字で平成元年一・五七というのが確報として出ておるわけでございますが、その後さらにこの傾向が下がるのではないかというような懸念すらありまして、これは大変重大な問題であると、このように受けとめております。
 また、個々の市町村におきましても、非常にお子様が生まれる数が少ないということで、老齢化社会の中で、今後の新しい社会の組織づくりの中で、各首長さんたちが真剣にこの問題を懸念しておられるということは今委員長のお話のとおりでございます。
 このようなことで、出産と申しますのは、これは一番大事なことではございますが、個々の御夫婦の間の価値観の問題にかかわる問題でありますし、また行政が直接介入する事柄でもないわけでありますけれども、まああくまでも安心して子育てができる環境づくりに努力する、このような見地から行政の役割を認識いたしております。このために、内閣におきましても、関係十四省庁から成る健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議により検討結果を取りまとめましたが、去る一月二十三日にその結果が出まして、この中で子育て環境づくりに向けた総合的な対策が盛り込まれておるわけでございます。
 厚生省に関するところにおきましては、平成三年度予算案におきましても、まず児童手当の充実を図る、先ほど委員長からお話がございましたように、児童手当の改正法案を今御審議をお願いしておりますが、それらを中心とした手当の充実を図っていくこと。また、多様な御要求にこたえるためのきめ細かな保育サービスの実施、これは時間の延長とか、あるいはまた形態のいろいろな工夫等を考えております。また、子どもと家庭一一〇番という児童相談所、あるいはまた乳幼児健全育成相談、これは保育所でございます。また、健全母性育成事業、これも保健所が扱っておりますが、こういったような相談支援体制を拡充いたしまして、いろいろな要望におこたえするようにいたしております。
 また、今後とも家族がともに過ごす生活時間の確保、逆に申しますれば労働時間の短縮、これはまた労働大臣おいででございますからそちらの方でお話が出るかと思いますが。また、職業生活と家庭生活の両立支援の問題でございます。この関係では育児休業制度の確立と企業内保育サービスの促進、こういうことでございます。さらにまた男性の家庭生活への参加促進、さらにまた住環境の整備、多子世帯の優先入居、さらにはまたゆとりある教育の確保など、これからの社会システムの構築を目指しまして、各省庁と連携を図りながら総合的な視点からこの施策の推進を図っていく所存でございます。
#9
○委員長(福間知之君) 次に、骨髄データバンクに関しましてお伺いをします。
 私の知人で過去に二人白血病で亡くなった方がおられ、大変心痛ましく思っておりますが、つい先日六日の日付の新聞で、広島の高校生が自分の骨髄と同型の骨髄をくださいということで、お母さんと一緒に東北の方から京都の方まで行脚を続けているという記事が載っておりました。
 そこで、平成三年度予算において骨髄データバンク事業費として二億七千万円が、また骨髄移植調査研究費として五千万円が新しく認められておりますが、このことは白血病などに苦しむ方々にとって大きな朗報であると思います。
 しかし、昨年十一月に出されました骨髄バンク組織に関する研究班の報告書にもありますように、骨髄提供者に対する万一の場合の補償問題、骨髄提供の公平性の確保、骨髄移植施設の拡大など移植医療の充実、骨髄を提供するドナーの確保、骨髄提供者及び患者のプライバシー確保など、解決しなければならない問題は数多く残されておるように存じます。せっかくの骨髄データバンク事業が発足するのでありまするから、これが適切に運営されることを願うのであります。
 つきましては、厚生省においては、これらの諸点についてどのように考えておられるか、お伺いをします。
#10
○国務大臣(下条進一郎君) ただいま委員長からお話がございましたように、白血病の患者さんが大変苦しんでいらっしゃいます。そのために骨髄移植ということが非常に有効である。しかし、ドナーが非常に少ないし、諸問題が絡んでおりまして、意外に進捗してないということは事実でございます。
 厚生省といたしましては、昨年十一月に、骨髄バンク組織に関する研究の報告書をつくりまして、その内容をもとにいたしまして、ただいまお話しございましたように、平成三年度には日本赤十字社の協力を得まして骨髄データバンク事業が実施されますように、公衆衛生審議会成人病難病対策部会等におきまして具体的な内容についてさらに検討を進めているところでございます。
 骨髄バンクの運営に当たりましては、御指摘のように解決しなければならない幾つかの問題がありまして、これについては、例えば今お話がございましたように、ドナーの補償体制については、最終医療機関等の故意、過失のいかんにかかわらず、簡易な手続で迅速に補償を受けられる方法について検討をいたしておりますし、また移植を実施する施設につきましても、平成二年度より無菌室の充実に対する補助事業を実施いたしておるなどその解決に努めているところでございます。今後は、公衆衛生審議会の検討の結果を踏まえ、骨髄データバンク事業が適切に実施されますように努力してまいりたいと思っております。
#11
○委員長(福間知之君) 次に、環境衛生金融について公庫の方にお伺いをします。
 飲食店、理容業、旅館、クリーニング等のいわゆる環境衛生関係営業は、全体的に見ますと年々増加の傾向にありますが、その経営規模は極めて零細で、経営基盤も脆弱な場合が多く、資本、経営手段、人材確保、情報収集などどれをとっても弱い立場に置かれております。最近は、人手不足や大店法の規制緩和などその経営環境には非常に厳しいものがあり、またクリーニング業におけるパークロロエチレン等の公害問題、公衆浴場の減少等の問題に見られるように、国民の生活衛生環境にも大きな影響を与えております。
 環境衛生関係営業の健全な発展は国民の文化的生活水準の向上に不可欠なものであり、国もこれらの業界の近代化を促進するため融資等の対策をもっと充実強化する必要があると思われます。
 そこで、環境衛生関係営業に対する公的融資機関である環境衛生金融公庫にお伺いをするのですが、この業界を取り巻く最近の情勢をどのように分析しておられるか、またそれに対しどのような対応をするのか、特に融資条件の改善面を中心にお伺いいたします。
#12
○参考人(山下眞臣君) 環境衛生関係営業が国民生活に非常に密接に関係いたしておりまして、その衛生水準の向上が不可欠であるということ、かつまたその業者の大多数は中小零細の事業であるということ、御指摘のとおりに存じておるわけでございます。
 近年、御指摘ございましたように、人手不足、後継者難といったような問題に加えまして、大企業の参入あるいは消費者、利用者のニーズの多様化、高度化等、その対応すべき問題は非常に多いと考えておるわけでございます。長期安定資金を融資いたしまして、この営業関係全体の衛生近代化、経営の安定化に努力をいたさなきゃならないと存じておるところでございます。
 平成三年度におきましては、まず第一に貸付計画枠を二千百五十億から二千二百五十億というぐあいに増額をいたしますとともに、お尋ねのありました貸付条件につきましては幾つかの改善をいたしておるところでございます。
 まず最初に、振興事業の充実でございます。今まで指定されておりませんでした公衆浴場業及び氷雪販売業につきましてもこれを振興事業の対象業種とするということにいたしまして、環衛十七業種すべてがこれによりまして振興事業の対象事業と相なるということになりました。また、全業
種を通じまして、振興事業の貸付特利対象の拡大を図っております。店舗の範囲を、従来建てかえます場合一・五倍までを特利対象にしておりましたのを二倍まで引き上げるとか、あるいは各業種につきまして特利の対象品目を増加するといったような改善をいたしておるところでございます。
 それから、お話にございました公衆浴場の確保対策、これにつきましても借地を買い取ります際の貸し付けの限度額を、本来の貸付額のほかに従来五千万でございましたものを一億まで限度額を広げるというようなことでありますとか、特利の、公衆浴場につきましては低利のものを実施いたしておりますが、その対象品目を広げるというような充実もいたしておるわけでございます。
 また、大店法の規制緩和に伴います環衛業関係の経営体質の強化ということで、ことしからいわゆる活性化貸し付けというものを開始いたしまして、低利の融資を実施することとなっておるわけでございます。
 人材確保のための貸付制度といたしまして、労働環境整備施設貸し付けというのがございますが、その内容につきましても職場環境の改善施設なども取り入れるというようなことでその充実を図っておるところでございます。
 以上の諸点が平成三年度における改善の主要な点でございますが、私どもといたしましては、今後とも努力をいたしてまいりたいと存じておるところでございます。
#13
○委員長(福間知之君) ありがとうございました。
 次に、労働時間の短縮につきまして、労働省にお伺いをします。
 我が国の労働時間は減少傾向にあるとはいうものの、欧米に比べて年間二百時間から五百時間も多いという状況にあります。
 言うまでもなく、労働時間の短縮によって余暇活動や家族との触れ合いの時間を生み出し、家庭生活を充実させることができると同時に、地域活動への参加などを通じて社会発展へ寄与することができるなど、豊かでゆとりある質の高い生活を実現することが可能となります。また、労働時間の短縮で生産性が向上するとの調査結果も公表されておりますが、充実した余暇活動による心身のリフレッシュは勤労意欲の向上をもたらすとともに、労働災害を減少させ、企業活動の活性化につながることは明らかであります。今や労働時間の短縮は国民的課題となっております。
 この四月一日から、法定労働時間が週四十六時間から週四十四時間へ短縮される一方、今春闇においても労働時間の短縮が労使間の大きな争点になるなど、年間総労働時間千八百時間の実現に向けてたゆまぬ努力が続けられております。
 しかしながら、完全週休二日制の定着、所定外労働時間の削減、業種、企業規模間格差の是正など、課題が山積しているのも事実でありますが、今後これらの課題にどのように対処していかれるのか、平成三年度の重点施策を中心に労働大臣の見解をお伺いします。
#14
○国務大臣(小里貞利君) 労働時間の短縮問題は、ただいまも委員長お話しございましたように、豊かでゆとりのある国民生活、なかんずく勤労者の生活を実現する上におきましてぜひとも達成をしなければならない大きな懸案事項の一つでございます。
 ただいま委員長もお触れいただきましたように、政府におきましては、御案内のとおり、平成四年度を目標にいたしまして、御指摘の総労働時間一千八百時間ぜひ達成しようではないかという目標を掲げまして、この三年間努力を続けてまいったところでございます。お話のように、労働時間は関係機関団体及び企業あるいは事業主の深い御理解をいただきまして、特に新しい労働基準法施行以来、着実にその成果を上げてまいってきておりますと申し上げましても言い過ぎではないかと思うんでございますけれども、しかしながら、最初申し上げましたように、目標を考えますときに必ずしも十分な状況でないことお話のとおりでございます。
 政府といたしましては、この目標達成のために努力を続けてまいっておるところでございますが、特に完全週休二日制の実施あるいは年次有給休暇を拡大し、かつまたこれを確実に消化していただく、あるいは連続休暇を拡大して、これもなお確実に実施をしていただきたい。あるいはまた法定外労働時間、いわば残業等の問題でございますが、これらの問題もそれぞれ目標を設定いたしまして、そして具体的な手段を講じまして進めてまいっておるところでもございます。
 ただいま委員長もお触れいただきましたように、この四月の一日から週四十六時間を四十四時間という、関係各位の協力をいただきまして進めてまいっておるところでもございます。あるいはまた、中小企業等、非常に労働時間については不調でございましたけれども、年次有給休暇六日間を八日に引き上げて、そしてこれが実践に努めていただく、そういうような方途も講じてまいっておるところでございます。
 ここで改めまして、私ども労働省といたしまして、特に平成三年度においてどういうことを考えておるかという委員長のお話でございますが、御承知のとおり、この新しい労働基準法、三年前に制定いたしましたときに、当分の間四十八時間以内の一つの緩和措置の第百三十一条附則でございますが、これらも私どもは勘案をいたしました。同時にまた、一定の期間経過したとき、すなわち三年経過いたしたときにはこれが見直しも可能であるという附則第七条の条項等もございますので、これらに準拠をいたしまして近々中央労働基準審議会に、一体この労働時間の短縮をいかなる方法で進めることが最も有効なのか、そしてまた、その目標を具体的にどのように置くことが今日の段階におきまする有効適切な方法なのか、それらを含めまして審議していただくという具体的な一つの段取りも考えておるところでございまして、関係各位の御意見等も十分お聞かせいただきながら、腰を据えて積極的に取り組む所存でございます。
#15
○委員長(福間知之君) 最後の質問でございますが、建設業における労働災害防止対策並びに雇用改善の対策に関しましてお伺いをします。
 全産業の労働災害による死亡者数を見ますと、平成二年では全体で二千四百七十人となっており、前年と比較し五十一人も増加をしております。死亡災害の発生状況は近年再び増加傾向を示してきていると思います。
 死亡災害を業種別に見ますと、建設業が千四十八人と全体の四二・四%を占めており、この高い水準はここ数年来依然として変わっておりません。毎年建設業においては千人を超えるとうとい人命が失われるということはまことに深刻な事態と言わざるを得ません。建設業において労働災害が多発している背景には、内需拡大等に伴い建設工事量が増加していること、建設業に特有の重層的な下請構造があること、建設機械のハイテク化に追いつかない現場労働者が存在していること、建設業界の人手不足と建設労働者が高齢化していること等が要因として挙げられるのではないかと思われます。
 このような状況の中で、建設業における労働災害防止対策の一層の徹底と、他産業と比べて立ちおくれている労働条件、労働福祉の改善等のため雇用の近代化対策の確立が求められておりますが、労働大臣としてどのように対処なされるのか、御見解を承ります。
#16
○国務大臣(小里貞利君) ただいま委員長お話しいただきましたように、近年におきまする建設業の死亡者数を中心にいたしました災害の発生状況及びその背景等についてお聞かせいただいたところでございますが、中でも死亡者数の昨年の増加あるいはまたことしに入りましてからの傾向等におきましても、全く御指摘のとおりでございまして、私ども労働災害を防止する行政の立場から考えましてもまことに遺憾に存じておるところでございます。そしてまた、その事態は深刻で憂慮にたえないところでございます。
 特に、お話がございました建設業というこの業界に対する監督指導は本来最も重点的にその監督
指導を行ってまいっておるところでもございますし、あるいはまた工事現場におきまする安全衛生の管理徹底あるいは経営者あるいは企業のそれぞれの幹部の諸君が直接先頭に立ちまして、安全衛生活動の促進あるいは啓発あるいは監督等をやっていただくように日ごろ災害防止の対策に努めておるところでもございますが、具体的に御指摘のような状況に至っておりますことはまことに遺憾に存じます。
 なおまた、建設業は全雇用者の一割を占めるという非常に客体員数からいたしましても、極めて注目をしなければならないかと思う次第でございます。全労働者の約一割、概数で申し上げまして五百数十万人という大きな一つの対象勤労者であるわけでございまして、この中で不安定な雇用あるいは労働条件あるいは労働福祉の立ちおくれ等の問題も日ごろ指摘されるところでございまして、雇用機会としての魅力が他産業に比べまして乏しいということも言えるかと思う次第でございます。
 労働省といたしましては、建設労働者雇用改善法に基づきましてこれらの問題の改善に努力をしてまいっておるところでございますが、特に本年四月から同法に基づく建設雇用改善計画を改定いたしまして新たな積極的な計画を策定もいたしたところでございます。今後このような計画に基づきまして総合工事業者による、先ほど委員長もお話がございましたように、下請関連企業等に対しましても、労働者の雇用改善を初めとする建設労働者の雇用の改善のための施策を総合的に進めてまいりまして、建設業におきまする雇用の近代化あるいはそのほかの労働条件の改善等を通じましても、災害、事故の発生防止に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#17
○委員長(福間知之君) 以上で厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫に対する質疑は終了いたしました。
 これにて平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#19
○委員長(福間知之君) 次に、勧労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#20
○対馬孝且君 本法案に関しまして、我が党は賛成法案でございますので、重点を絞ってお伺いいたしたいと思います。
 まず最初に、財形制度の現状認識についてお伺いをいたします。
 財形制度は、昭和四十七年から財形貯蓄と財形持ち家分譲融資の二本の柱でスタートをいたしてまいりました。これまでに六回の法改正が行われてきたのでありますが、平成二年九月現在、財形貯蓄残高、年金貯蓄と住宅の貯蓄を含めますと、約十四兆円近くの巨額な金額に達しております。勤労者一人当たりの平均でいきますと貯蓄額は、一般の財形貯蓄が約五十七万円、それから財形年金貯蓄では約八十二万円、財形住宅貯蓄では百十七万円にすぎない。一方、勤労者の持ち家の取得促進という側面の累計を平成二年十二月で見てまいりますと、持ち家分譲融資が八千百八十七戸、七百五十六億円、持ち家の個人融資、これは十三万二千百八十戸、金額にしまして一兆六百八十四億円、こういうことに相なっております。したがって、合計でいいますと十四万三百六十七戸、総金額で一兆一千四百四十億円という状況であります。この貯蓄の、年金、住宅貯蓄を含めまして全体で大体十四兆円ですから、残高で見ますと大体その三分の一ぐらいまで原資に充てられるわけでございますが、融資の実績は余り好調ではない、こう言わなければなりません。したがって、勤労者の財産形成を図っていくという財形制度の当初の目的、これが十分に達成されていないと言えるのではないでしょうか。これに関しまして、労働大臣の現状認識についてお伺いをいたしたいと思います。
#21
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 財形制度は昭和四十六年に施行されまして約二十年を経過するところでございますが、今や勤労者の財産形成の上におきまして欠くことのできない大きな役割をと申し上げていいと思うんでございますが、果たしておると私どもは一応評価をいたしておるところでございます。
 今般、高齢化の進展あるいは特に大都市地域におきまする住宅問題の深刻化等を背景にいたしまして、さらなる制度の改善を図ることといたしまして、この制度改善により勤労者の財産形成を一層促進することができるようにと、そういう新しい考え方で御相談を申し上げておるところでございます。なおまた、財形融資制度についても、制度の周知啓発等によりましてここ数年急速に融資額が増加しておるところでございますが、累積融資額は一兆円を超えているところでもございます。なおまた、ただいま先生数項目につきまして御指摘もいただきましたが、漸次そのようなことにも十分留意しながらこれが制度の目的を達成していきたい、かように考えております。
#22
○対馬孝且君 大臣の心構えという点ではわからぬわけではありませんけれども、十四兆円に対して三分の一ということでしょう。私も地域の、北海道地方の中小企業の方々も要望されておりますけれども、中小企業に携わる関係の方々はもっと手短でまた融資を非常に受けやすいという、規制を緩和していただいて受けやすい状況をつくってもらいたい、これが切実な要望であります。したがって、今大臣のお答えがございましたけれども、それらにウエートをかけて今後対処してもらいたい。これは要望しておきます、時間の関係がありますから。
 それで、問題点はたくさんあるんですが、改正の要点は四点ございます。それは承知しておりますが、とりわけ一番問題になるのが財形非課税問題であります。今回の改正の中で今なお改善が見られなかったということについて、極めて労働者の皆さんには大きな不満がございます。
 それはどういうことかといいますと、財形住宅貯蓄及び財形年金貯蓄の利子の非課税問題なんですよ。これは限度額は昭和四十九年以来五百万円に据え置かれているんでありますが、これからは住宅取得の頭金としては全くもう、十七年前も今も五百万が同じであるということは極めて不十分であると言わなければなりません。また、個人年金資金としても極めて少ない額と言わざるを得ないのでありますが、当面、何といっても高齢化社会を迎えまして老後は少しでも余裕のある生活を望みたいということを考えるならば、やはり五百万ではなくて一千万程度の原資が必要である、こういう訴えが多くの方々から言われているわけであります。住宅取得資金の自己資金としても一千万程度は最低必要である、こう思いますので、現在の財形住宅貯蓄及び財形年金貯蓄の利子非課税限度額について、五百万円から一千万円に引き上げるべきである、こういうふうに私考えますが、まず労働省の考え方をお伺いしたいと思います。
#23
○政府委員(清水傳雄君) 財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の利子等の非課税限度額の引き上げにつきましては、今般、全体の改善の端緒ともなりました勤労者財産形成審議会の建議もいただいておるところでございますし、関係方面との折衝を精力的に行ったわけでございますが、今般の税制改正におきましては、現段階におきまして、貯蓄額が非課税限度額近くに達している勤労者が必ずしも多くいない、また、一人当たりの平均貯蓄額、両貯蓄とも百万円前後とそれほど高くはない、こういった等の状況もございまして実現ができなかったわけでございます。
 しかしながら、ただいま御指摘がございましたように、高齢化社会が一層進展をする中におきまして、安定した老後生活を送るための個人の自助努力としての個人年金の原資が増大しておるわけでございますし、また、土地、住宅価格の高騰、こういう現状もございます。こうしたことを考えますと、公的年金あるいは企業年金を補完する目的で長期にわたり年金原資を計画的に積み立てていく、これが財形年金貯蓄の目的であるわけでございますし、住宅を取得する場合の自己資金を計画的に積み立てていく、これが財形住宅貯蓄であるわけでございます。こうした事柄についての勤労者の自助努力に対して、さらに引き続き援助を行っていくことは極めて重要であると、このように考えておりまして、私どもといたしましても、今後ともさらに努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
#24
○対馬孝且君 大蔵省のこれに対する考え方はどういう考え方をお持ちか、お伺いします。
#25
○説明員(神原寧君) 財形住宅、年金貯蓄非課税制度につきましては、先生既に御案内のとおり、一般の預貯金利子を原則課税といたします中で、勤労者に限りまして住宅貯蓄及び年金貯蓄について特に元本五百万円までの利子を非課税とするというものでございまして、勤労者に対しまして十分配慮をしているところのものでございます。
 この非課税限度をさらに引き上げるという御提案につきましては、このような利子非課税制度を利用できる者と利用できない者とのバランスを失するというような問題にも留意しなければならないと考えております。
 いずれにいたしましても、財形の非課税制度を含めまして、利子課税のあり方につきましては、六十二年九月の改正法附則におきまして、平成四年に見直しを行うこととされているところでございまして、大蔵省といたしましては、この見直し規定の定めるところに従って対処してまいりたいと考えておりますが、その際には先ほど申し上げましたような点に留意していかなければならないというふうに考えております。
#26
○対馬孝且君 大蔵省に申し上げたいのは、これは平成二年の勤労者財形審議会の建議、十二月十八日、会長松永正男、この審議会というのはこの目的に向かって国民の総意、意思をまとめたものと、そういう理解を持たなきゃだめだと思うんですよ。そうだとすれば、これは私個人で言っているんじゃないんで、松永会長の建議の中に極めてはっきり「第一に、持家取得のために必要な自己資金の額が、最近急激に上昇していることを踏まえ、財形年金貯蓄と合わせて五〇〇万円となっている財形住宅貯蓄の非課税限度額を大幅に引き上げる必要がある。」と言っている。審議会のこういうことに対して、今の答弁は軽視ですよ。審議会というのはそれなりの法律に基づいた審議会なんだから、各界各層が入ってやっているんだから。その建議の中にきちっと大幅に引き上げるべきであると、こうはっきり言っている限り、これにこたえるのが政府の役割であって、今のような答弁では納得できないですね、私は。これ一つ申し上げたい。いかがですか。
#27
○説明員(神原寧君) 先生の御指摘でございますが、先ほどの繰り返しにもなりますが、一般の預貯金利子が原則課税の中での勤労者に対しての特別の配慮であるという点、それから、先ほど労働省の方から御答弁もございましたが、現在、財形貯蓄の平均残高がおよそ九十三万円程度でございまして、そういったことで枠ぎりぎりまで利用されているという状態では必ずしもないこと、それからやはり税制という立場から考えますと、このような非課税限度をさらに引き上げることは、いわゆるこの制度を利用できない者とのバランスを失することにもなりかねないといったことにも留意する必要があるのではないかというふうに考えておりますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。
#28
○対馬孝且君 その認識は、総理府の世論調査などの国民の志向というか勤労者の志向は年々歳々逆ですよ。むしろ加入をしていきたい、そういう志向が総理府の世論調査でも出ていますよ。時間がないから余りあれですけれども。
 それでは、ちょっと私お伺いしたいんだけれども、六十二年度の税制改正、六十三年四月にマル優の原則廃止をしたときに、利子配当に対する課税の次のような非課税貯蓄制度の改善が行われています。それはどういうことかといいますと、今回の財形貯蓄の関係でいいますと勤労者財産形成、つまり非課税、これはっきりしているじゃないか。非課税制度として勤労者財産年金貯蓄制度、住宅貯蓄制度、これ全部対象になっているじゃないですか。そのときにはそういうことを言っておって、今度の改正の中で出てきたのは住宅と年金だけに限定したということですよ、これ。当時六十二年の改正の段階ではちゃんと一般財形へのあれは出ておったんだ。目的にちゃんと入っておったんだ。これを後から外しちゃったんです。何で、勤労者財産形成を改善していくというときに、これは改善でなくて改悪でないですか、私に言わせれば。一般のここに言われる勤労者財産形成というものを対象にしたのが年金と住宅に制約してしまった。これはどういうことなんですか。私はこういう点が問題だと言うんだ。何も勘や感じで言っているんじゃないんだ。六十二年度のマル優の改正の時点ではこういうことがはっきり大蔵の資料で出てるんだ。それはどういうことなんですか、ちょっとお伺いしますよ。
#29
○説明員(神原寧君) 昭和六十二年九月の税制改正におきまして、いろいろ御議論の末、一般的に貯蓄を優遇する必要性というのが次第に乏しくなっているのではないかということにかんがみまして、いわゆるマル優とか郵便貯金及び特別マル優の非課税貯蓄制度を老人や母子家庭等所得の稼得能力の減退した方々に対する利子非課税制度に改組をしたわけでございます。一般の財形貯蓄も非課税貯蓄という意味では現行のマル優制度及び郵便貯金と異なるところはございませんということで、六十二年九月の改正におきまして一般的な財形貯蓄についても非課税制度を廃止させていただいたものでございますが、ただし、勤労者の財産形成の中でも特に老後に備える年金貯蓄及び住宅取得のための貯蓄については、例外的にこれを特に支援するという必要性から、これらの利子等について非課税とするということとされたものでございまして、いわゆるサラリーマンについて一般の財形貯蓄の非課税を認めた場合には、いわゆる現役のサラリーマンのみを特別扱いして一般的に優遇措置を講ずるというようなことになりますので、その場合には税負担の公平の観点から見て適当ではないのではないかというふうに考えております。
#30
○対馬孝且君 そういう答弁は成り立たない。ここで言われているけれども、六十二年改正の、今あなたが一般との関係でそういうバランスを配慮して、そういう答えになったということでしょう。それなら私は申し上げなければならない。
 それじゃ、資料ありますけれども、これはどういうことなんですか。大蔵省は貯蓄の実態をどう把握をしているんですかということを言わなければなりません。なぜかといいますと、これは参議院調査室の資料に基づくものでありますけれども、貯蓄の現況という統計がここにございます。今あなたが言うのは、一般と勤労者との関係のバランスだと、こうおっしゃるならば、貯蓄の実態がどうなっているかということがやはりバランスがとれていなければならないでしょう、あなたの論理から言うならば。昭和五十年を参考までに申しますと、勤労世帯は平均で二百六十三万六千円。いいですか。それから一般世帯が四百二十万八千円、農家世帯五百二十七万四千円。これを六十一年に置きかえてみましょう。これでいくと勤労世帯が七百三十二万九千円、それから一般世帯が千二百二十二万円、それから農家世帯が千六百七十六万円、こうなっているじゃないですか。おかしいじゃないですか。この統計は総理府から出たものですよ。バランスだとおっしゃるなら、全部勤労者も一般世帯も貯蓄の水準が横並びで大体一致している、水準が一定しているというなら、それ
は大蔵省の言うことはわかりますよ、バランスの関係で。勤労者の貯蓄が一番低いじゃないですか、一般、農家世帯と比較した場合でも。そういう理由は私は納得できません、勤労サラリーマンの立場からいうと。いかがですか、この点は。
#31
○説明員(神原寧君) 先ほど申し上げましたのは、サラリーマンについてのみ一般的に財形貯蓄の非課税を認めた場合には、いわゆる税負担の公平の観点から見て適当ではないのではないかというふうに申し上げましたが、こういうような六十二年九月に貯蓄に関していろいろな議論があった末、一般的なマル優制度あるいは郵便貯金の非課税制度、あるいはこういった一般の財形貯蓄の非課税制度がいろいろな御議論の末に改組されまして、その際に勤労者の財産形成の中でも特に老後に備える年金貯蓄及び住宅取得のための貯蓄についてこれを特に支援するということで、これらの利子等について非課税とさせていただいたということでございます。
#32
○対馬孝且君 それじゃちょっと労働省に私お伺いしますけれども、また大蔵に聞く関係がありますから。労働省でも、これは一九八八年九月の「財形」の財形リサーチセンターの発表した労働省の考え方といいますか、これは労働省自身が財形非課税はぜひとも一千万円ということをはっきり言っている。つまりここに出てきますけれども、財形年金の月額を四万八千円として、二十年確定定額型の年金を受け取るために必要な原資は約七百八十三万円である。年大体四%運用として考える。少しでも余裕のある生活を望むということになれば一千万程度の原資が必要であると言っているんですよ。これは労働省から出たものです。こういうことをはっきり言っていながら、みずからを否定するというようなことはおかしいじゃないですか。この点いかがですか。
#33
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘のように現行の五百万という非課税限度額、これにつきまして、老後生活を考える場合の年金原資として考えていく場合におきましても、やはり今御指摘のような数値、こういうような形で年金原資そのものが増大をする、こういうことにもなっておるわけでございますし、また住宅取得の頭金という意味におきましても一千万円程度が必要とされるような状況にもなってきている、こうした認識を私どもも持っておるわけでございます。一般財形貯蓄の点につきましては、これは他の勤労者世帯以外の一般世帯等とのバランスの問題もありやむを得ない面があるわけでございますが、こういう勤労者自身の老後生活を迎える、あるいは住宅難に対応していく、そうしたための自助努力を助長する、援助する、こういう目的としての財形年金貯蓄なり財形住宅貯蓄につきましてはさらなるより一層の援助策を講じていく、こういう必要性はある、このように私ども自身考えておるわけでございまして、さらに今後そうした面につきましては関係方面とも折衝しつつそういった面についての努力をやっていかなきゃならない、このように思っておるところでございます。
#34
○対馬孝且君 今清水局長の言われる今後関係方面とも一層の努力をする、それは労働省の立場は結構なんですけれども、これを実現し得ないというのは大蔵省の歯どめ的な態度があるからじゃないですか、ずばり言わしてもらうけれども。労働省としてこう言っているのに、これは労働省の一つの考え方として出ているんだから、これは誤りじゃないと、今答弁がありましたように、関係方面とも努力するということは、どこが一体災いしているんですか。どこの省が一体歯どめになっているんですか。これは大蔵じゃないですか、はっきり言って。だから私は先ほどから大蔵省に言っているんです。
 だから、大蔵省に言いたいことは、平成四年度に改善策について検討するというあなたの答弁、これは今までも何回も言ってきたことなんだよ。このようなことを十七年間しゃべっているんだよ。変わってないんだよ、原則的には。あえて言うなら、現状認識が違うなら別だけれども、東京都で今勤労者は住宅買えますか、土地が。知ってのとおり鎮静したとは言ったって相変わらず一坪一千万とか何億とかと言われているときに、勤労者が住宅を求めることができないでしょう、今日の時点では。あなた持っていますか。失礼だけれども、どこから通勤していますか。東京のど真ん中に住んでいますか、あなた。これが実感なんだよ、勤労者の。それが相変わらず十七年間たっても、坪二、三万円で買えた土地がもはや五百万だ、一千万だといっているときに五百万ですと、こういう言い方は通りませんよ、庶民の中では。それは官僚的発想だから通るんであって、そこを私は言っているんだ。
 だから、平成四年に改正するというのであれば、十分その段階で検討するというのではなくて、五百万円では限界に来ている、今の土地の異常な高騰、それから高齢化社会から言って。私も札幌だけれども、札幌でさえ坪もう三十万、五十万ですよ。それは安い方だ。そういう段階を迎えておって、今なお、ただ平成四年には十分御意見をいただいて検討しますという、そういう消極姿勢ではなくて、勤労者の本当の痛み、苦しみ、悩みをわかる、わかるならこの際ひとつ五百万円以上の問題について、それは一千万になれば一番いいけれども、一千万までいかないとするならば、いずれにしても五百万の非課税限度額というものは見直してそういう方向に、平成四年度では具体的に非課税限度額を出す、改善するように努力する、どうですか、そういうことで。
#35
○説明員(神原寧君) まず、住宅政策につきましては、税制のみならずいろいろな政策があるものと考えられますけれども、御指摘のこの制度につきましてもぜひ御理解いただきたいところは、一般の預貯金利子を原則課税とする中で、特に勤労者の住宅貯蓄あるいは年金貯蓄について例外的に元本五百万円までの利子を非課税としておるというものでございまして、そういう意味では勤労者に対して十分配慮しておるものであるということを御理解いただきたいと思います。
 また、これも繰り返しになりますが、この非課税限度額をさらに引き上げるということにつきましては、いわゆる勤労者で利子非課税制度を利用できる方とそれからまた利用できない方とのバランスを失するというようなこと、それから現在財形住宅、年金貯蓄の平均残高がおよそまだ九十三万円程度であるといったようなことについてもやはり留意していかなければならないのではないかということでございますので、ぜひ先生にも御理解いただきたいと思います。
#36
○対馬孝且君 御理解してもらいたいと言ったって、そういう実態をあなたはお認めになりませんか、今私が言う実態は。勤労者、サラリーマンの実態、土地の高騰なり高齢化社会の中で、今現実にそういう実態にあるんだという認識が問題なんだ。その認識はどうなんですか。認めますか、その認識は。
#37
○説明員(神原寧君) 先生のおっしゃる点確かにあると思いますが、そういった御指摘も踏まえていろいろ御議論いただいた結果、原則的に一般的な預貯金の利子についてはいろいろ課税の公平とかそういった観点から課税としている中で、勤労者の住宅貯蓄については元本五百万円まで特に利子の非課税をしておるというところでございます。
#38
○対馬孝且君 だから、そういう点を含めて平成四年度にはこの問題を検討するという段階に来ているわけですから、この段階ではっきりしてもらいたいことは、平成四年度に単なる検討という段階ではなくて、むしろ今のは否定しているんだから、あなたは。実態は認めるけれども、いや一向に制度の中身については改革は難しい、こういう言い方だから私は理解できないというんだよ。実態は認めていながら、その実態があると認めているならば、そういう方向に改善をしていくという姿勢がないから私言っているんですよ。その姿勢があれば私はここでこれ以上追及しないけれども、そういう姿勢をとるのが今の実態から考えた場合には勤労者にこたえる当然の道ではないか、こう私は言っているんだから、それに対して相変わら
ず、いや制度がこうですから制度がこうですからと言ったって、これは勤労者は納得しないよ。もう一度答えてくださいよ、はっきり。
#39
○説明員(神原寧君) たびたびの御指摘でございますが、繰り返しになってしまうかもしれませんが、この非課税限度額をさらに引き上げることにつきましては、いわゆる利用できる者とできない者とのバランスを失するというような問題がある点等にもやはり留意しなければならないというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、この財形非課税制度を含めまして利子課税のあり方について、前回の昭和六十二年九月の改正法の附則において平成四年に見直しを行うこととされているところでございますので、ただいま申し上げたような問題点等も踏まえ、またこういった観点を踏まえて、大蔵省といたしましてもこの見直し規定の定めるところに従って対処してまいりたいというふうに考えております。
#40
○国務大臣(小里貞利君) 財政、税制を預かる大蔵省の分野ではございませんけれども、今先生御指摘の財形制度そのものは労働省、私どもの所管事項でございます。その視点に立ってただいまの先生の耳しげくかつまた強烈に御指摘になる問題点お聞かせいただいたところでございますが、私どもは、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、この問題につきましては大きな注目を払ってまいっておるところでございます。なおまた、私も大臣に就任いたしまして、前後の事情、局長などを通じましてよく聞いてみますと、率直に申し上げまして、平成三年予算編成に当たりましても労働省といたしましてはこの基準を引き上げたい、そういう具体的な相談をいたしました経緯もございます。なおまた、この制度が昭和四十九年に決定いたしまして以来相当な期間も経過をいたしておるわけでございますから、さらにまた先ほど先生お話しのような事情も具体的にこれありでございまして、ついては平成四年予算編成に当たりましては、先ほど局長が答弁いたしましたような気持ちになって、前向きで積極的に大蔵税制当局にもひとつ啓発をかけてみたい、こういうふうに存じておるところでございます。
#41
○対馬孝且君 大臣の今の力強い平成四年度に向けて限度額を見直すという基本姿勢は、大臣の心構えについては私も理解をいたします。ひとつ大蔵省は、今のやりとり御案内のとおりでございますけれども、その姿勢で大臣ぜひ、我々も積極的に応援団になりますから、実現の方向で平成四年度に向けて取り組んでもらいたい、このことを強く申し上げます。
 それでは、時間もありませんから、次の内容に。今そこまで行く過程の中で、こういう問題ができないかということを私具体的に出したいんですが、平均貯蓄額が今百万というけれども、貯蓄を始めたばかりの者もすべて平均すると低いということは当たり前であります。例えば五百万円で、五百万円が五百十万に仮になったと。そうしたらそれに対しては全部が課税になっちゃうんでしょう。五百十万が課税になっちゃう。私は当面部分的な改革でもいいと思うんですよ、今のところ当面のできる可能性としては。この十万については、全部原資に課税するんではなくて十万の部分だけに課税をする、これも一つの改善策じゃないですか。こういうことを私は言いたいんだよ。こういう具体的なことを一つ一つ改善していくこともこれまた勤労者のニーズにこたえることになるのではないかと思いますので、この点ひとつ大蔵省にちょっとお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
#42
○説明員(神原寧君) ただいまの先生の御提案は、いわゆる現在の財形非課税制度における非課税限度額の仕組みについてこの限度額をいわば基礎控除的なものに改めてはというようなものであろうかと思いますが、しかしながらこの非課税貯蓄制度は、いわゆるお年寄りの方の、老人等のマル優制度と同様に本来少額の貯蓄を行っている方々を優遇するという観点からのものでございまして、高額な貯蓄を有する方々までの一定額の元本部分の利子についてまで非課税とするというような趣旨ではないというふうに考えております。
#43
○対馬孝且君 労働省はこの点について、どういうお考えをお持ちですか。
#44
○政府委員(清水傳雄君) 今御指摘のように、また御答弁がございましたように、税制度の基本的な考え方に照らしますと、利子等の非課税貯蓄制度、元本が限度以内であるということが非課税の取り扱いをする当然の前提ということになっておるわけでございまして、したがいまして、限度額を超える貯蓄につきましてはこの要件に該当しなくなる、そういう意味合いにおきまして非課税貯蓄でなくなってしまって、元本を含めまして課税をされる、こういうことになっておるところでございます。
 今般の税制改正の中におきましても、年金貯蓄につきましては、これはオーバーいたしますと根っこから解約してしまわなきゃならなくなる、こういうことになっておったわけでございますが、今般一つの緩和措置としてそのままこれは課税貯蓄として存続する、こういう取り扱いが認められたわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、勤労者の財産形成の促進という観点から見た場合に、御指摘のような方法も一つの考え方として私どもとしても傾聴させていただかなきゃならない事柄ではなかろうかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、利子課税のあり方そのものについて本格的な御議論が本年行われることになっておるわけでございまして、御指摘のような御意見、その他関係方面の御意見も参考にしながら、こうした財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の非課税限度額のあり方につきまして、私どもといたしましても検討を続けてまいりたい、このように考えます。
#45
○対馬孝且君 時間がちょっとあれですから、端的に言って今私が言っているのは五百万円を超えた部分、ここについて大蔵省の答弁ありましたけれども、別口座という形で別口の口座にするというやり方は、法律改正あるいは制度改正しなきゃできないという認識なのかどうか。これは制度改正しなくても別建ての口座ということにすれば、運用の問題としてできるんではないか、これはいかがなものですか。これは制度あるいは法律にかかわる問題かどうかという点で、このぐらいは運用で可能であるという私は考え方を持っているんですが、いかがなものでしょうか。
#46
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生の御提案と申しますかお考えでございますが、税の取り扱いにつきましては税当局の方でいろいろと実務的、技術的な面もございます。そういうことで、今お考えがございましたようなものを直ちに運用で実施できるということにつきましては大変難しい問題がある、このように私どもも理解しておるところでございます。財形法と税法関係で現在のところ年金貯蓄と住宅貯蓄が非課税という形で取り扱われておるところでございまして、やはりこのあたりは法律制度にもかかわってくる基本的なまた考え方でもございます。今大蔵省の方からもお話がございましたような、現在までのところは少なくともそういう考え方に立って処理されておるわけでございますので、このあたりいろいろと本質的な問題も含んでいるかと存じます。そういう意味で、局長が御答弁いたしましたようなことでいろいろとこれは検討をしなければならない大きな問題だろう、こんな感じをしておるわけでございます。
#47
○対馬孝且君 こればかりやっているわけにいきませんので、先ほど大臣にお答えいただきましたように、今私が提起した問題、これは制度上、法の体系からいって難しい、検討を要するというお答えですから、これらも含めて今後の非課税限度額の引き上げに対する先ほど大臣の心構え、基本姿勢に立ってひとつ取り組んでもらいたい、積極的に平成四年度に向けて実現をしてもらいたい、このことを申し上げます。
 時間がありませんから、それじゃ一点だけ最後に大臣にお伺いしたいと思います。勤労者の財産形成政策基本方針についてお伺いしたいと思います。財形制度の将来展望を示し、またこの制度を
さらに魅力あるものにするためには、法第四条、ここで規定されておりますね、勤労者財産形成政策基本方針を策定し公表することを必要とする、こういう法の精神が明らかにされております。この点について大臣の考え方をお伺いしておきたいと思います。
#48
○政府委員(清水傳雄君) 経緯がございますので、私から。勤労者財産形成に関する基本となるべき方針につきまして、御指摘のように、これを策定し公表していく、こういう必要性があるわけでございます。昭和四十八年の勤労者財産形成審議会におきまして勤労者財産形成政策の理念が建議で示されましたわけでございまして、これに基づきまして勤労者財産形成審議会あるいは同基本問題懇談会におきましてその方針についての検討が続けられてきたところでございます。ただ、その建議の直後から、オイルショックでございますとか、あるいは我が国の経済の構造調整の必要性あるいは高齢化社会の進展、いろんな制度をめぐる変化が次々と起こってまいりまして、そうしたものに対応するため、五十年、五十三年、五十七年、六十二年、六十三年、こうした各年次にわたりまして逐次当面のそういう課題に対応するための制度改善を行ってまいりましたし、また今般もただいま御審議をちょうだいいたしておりますような改正法案、緊急の対応を必要とする事項についての法的措置を講じようとする、こういうことでお願いをいたしておるわけでございます。そうした当面対応していかなきゃならない事柄に対応した関係がございまして、そうした基本的な指針的な事柄についての審議会の御審議というものがずっと継続したままになっているというのが率直に申しまして現状でございます。
 御指摘の基本方針は、今後の勤労者生活のあり方とも関連をいたします。二十一世紀の経済社会を展望しながら十分に慎重に検討していかなきゃならないものでございまして、勤労者財産形成審議会におきます財形制度のあり方、さらに今後、今般の法改正を当面の措置としてお願いしているわけでございまして、基本的なあり方についてさらに審議を深めていただく中で今の指針についても検討をお願いしていく、こういうことで対処いたしてまいる所存でございます。
#49
○対馬孝且君 ちょっと大臣、答弁の前にいま一つ最後に申し上げます。
 あわせて、勤労者のゆとりある豊かな生活を実現するために、財形制度を本当に魅力あるものに一層の充実をして時代の変化に対応した制度に改革していくべきである、こう思います。先ほど申しました平成四年度に向けての非課税限度額、中小企業に対する普及促進策、持ち家融資制度の一層の充実、特に先ほども強調しましたが、土地対策の強化等取り組むべき課題が山積をいたしております。とりわけ勤労者の年金、老後の生活、持ち家はもちろんのこと、勤労者の総合的な福祉の増進という観点から、さらなる財形制度の改善にぜひ取り組んでもらいたい。また、取り組むべきであるということを最後に申し上げまして、大臣の答えを聞いて、私の質問は終わります。
#50
○国務大臣(小里貞利君) まず前段の方の、先ほど先生の第四条に基づく勤労者財産形成政策基本方針、これをひとつ基本的なところを整理して、大方針と申し上げますか一つの骨格として時代にふさわしいものを出すべきではないかと、そういう趣旨のお話だと思うんでございますが、ただいま局長も御答弁申し上げましたように、具体的に個別の政策はそれぞれ積み上げてまいっておるわけでございますけれども、総じて申し上げまして、今日の五千万前後に及ぶ勤労者の福祉問題、そしてまた労働条件等を改善していく幾つかの大きな要件を抱えておりまする今日の大きな局面から申し上げまして、私どもこれを政治的な一つのセンスで申し上げまするなれば、産業優先の時代から勤労者優先と申し上げますか、労働力尊重の時代、そういう時代に移行しつつある極めて大きな節目でもございますから、私どもはそういう背景を注目しながら、これがさらなる積極的な意味を持つ実効を期するためにも検討を進めていかなけりゃならぬ、かように考えておるところでございます。
 さらにまた、後者の方の豊かでゆとりある勤労者の生活を実現するために諸般の制度を検討するべきであるというお話でございますが、まさに前段でお答え申し上げましたような気持ちで、そういう決意で取り組んでまいりたいと思っております。
#51
○対馬孝且君 まだ社内預金問題、共同社宅の制度の改善問題等たくさんありますけれども、これは同僚議員の質問に譲ることにいたしまして、私の質問は以上で終わります。
#52
○堀利和君 具体的な問題に入ります前に、この財形法が制定された時期というのがちょうど七一年、昭和四十六年ですから高度成長真っ盛りというころで、賃上げも今では想像ができないほど高い賃上げ率を誇っていたわけです。それによりまして勤労者の貯蓄と持ち家取得、これを目的にしまして法律が制定されたわけですけれども、それから二十年たっております。この二十年の間に六回にわたる法改正を見るわけですけれども、勤労者の置かれている状況の中で確かにその都度その都度的確な制度改正がなされてきたというふうに私も感じる次第でございます。
 今般、制度改正にもなっておりますし、法改正にもなっているところを見ましても、持ち家取得が困難である住宅問題の点から共同社宅ということも出てきておりますし、進学時における融資も、在学中の教育費用に関連しまして教育融資、さらには年金の支給のあり方も、介護を必要とするような事態になった場合にはそれ相応の支給の仕方をしようということで、言うなれば勤労者にとって住宅の問題、教育の問題、さらには老後の生活の問題ということで、的確な制度改正にもなっているというふうに思います。
 そういう点では確かに勤労者のニーズの多様化、高度化、こういうことにこたえてきているわけです。しかし、よくニーズの多様化、高度化ということを言われますし、私も以前福祉の勉強をする中でもそういったことを聞いてきたわけですけれども、裏返して言えば、どうもニーズの多様化、高度化というのがいま一つわかりにくいところがあるんです。つまり、確かに少しずつはよくなってきておりますけれども、多様化、高度化というのは、新しい問題が発生して、それに対してどうもゆとりがないといいますか、余力がない、こういうことにもなろうかと思うんです。ですから、住宅問題にしろ教育問題にしろ、あるいは老後の生活問題にしても、どうも今勤労者はそういったもろもろの社会的な不安の中に置かれているということが言えるかと思うんです。
 そういう点で、この制度を取り巻く社会経済情勢あるいは勤労者の労働、生活環境の変化について基本的な御認識をまず大臣からお伺いしたいと思います。
#53
○国務大臣(小里貞利君) 端的に申し上げまして、先生の御指摘は二十年前と今日の一般的な経済情勢あるいは勤労者を取り囲む生活環境の情勢あるいは労働条件等、相当大きな変化があるのではないか、変化があるとするなれば今日の状況をどういうふうに認識しておるか、そういうお尋ねであろうかと思う次第でございます。
 実は、率直に申し上げまして、我が国の経済力は既に世界のトップクラスに水準は達しているのにもかかわらず、勤労者の生活というのは、労働時間あるいは居住環境など多くの面で必ずしも十分な水準にあるとは言いがたい、必ずしも豊かさ、ゆとりを実感できるものとはなっていない、残念ながらそう言わざるを得ないと思うのでございます。
 また、勤労者の財産形成制度は、勤労者の計画的な財産形成を促進することはもちろんでございますが、その生活の安定を図ることを目的といたしておりまして、制度を取り巻く環境の変化を踏まえまして、先生も御承知のとおり、既に今までも六回法改正も行いまして、できるだけ内容の充実を図っていこう、こういう努力をしてまいっておるところでございます。特に最近におきましては、大都市圏におきまする勤労者の持ち家取得の
困難化、あるいはまた高齢化社会の進展あるいは老後生活に対する不安の増大、あるいは教育資金の高額化等、社会経済情勢の変化が生じております。したがいまして、その辺の一つの断層を改善するためにもこうした情勢の変化に対応して制度の改善を図るべきである、こういう観点から今次の法改正はお願いを申し上げておる次第でございます。
#54
○堀利和君 そこで、今回幾つか改正があるわけですけれども、そのうちの幾つか取り上げたいと思います。
 まず、私としては大きな問題として感じるのは共同社宅用住宅融資制度、この法改正でございます。
 言うまでもなく、この財形法は貯蓄と持ち家取得を目的にした法律であるわけです。そこから考えますと、この共同社宅用住宅融資制度というのは、本来の法の理念あるいは目的から一歩踏み出したものであろうと思うわけでございます。同時に、これまでは勤労者本人に対して融資がなされていたわけですけれども、この共同社宅用住宅の融資制度は直接勤労者本人に対しての融資ではないわけでございます。そういうことで、社宅ということ、直接の融資ではないということ、そんなところからこの法律の理念、目的に照らしてどのようにお考えか、もう一度大臣にお伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(小里貞利君) 先生のただいまの御指摘と申し上げますか、お尋ねは、ある意味ではごもっともなことだな、実はそういう感じを持ちながら質問をお受けいたしておるところでございます。
 先ほども若干申し上げましたように、今回の改正で共同社宅用住宅融資を新設することといたしましたのは、一つは最近の大都市圏における持ち家取得の困難化に緊急に対処するためでもございます。そしてまた、持ち家取得に向けまして財形貯蓄を行っている勤労者に対しまして良質かつ低廉な賃貸住宅を事業主の三分の一の援助をいただきながら、勤労者がその住宅に入居している間の計画的、継続的な財産形成を促進するものでありまして、言いかえますと、勤労者の持ち家取得につなげていくものである、いわゆる勤労者の持ち家取得が成立するまでの一つの過程である、その手段としてこういう低廉で良質な住宅を提供して、そして便宜を図っていこう、こういう一つの趣旨が大きなものでございました。
 したがいまして、財形法の目的でございます「勤労者の計画的な財産形成を促進する」というその趣旨にもかなうし、融資として十分位置づけられるものと私どもは認識をいたしておるところでございます。
#56
○堀利和君 これは質問通告してなかったのでわかる範囲でお答え願いたいんですが、この共同社宅用住宅融資制度の中身を少し見てみますと、財形取り扱いの金融機関から融資をして最終的に勤労者が低廉な賃貸住宅に住むわけですけれども、そもそも住宅難、土地高騰を招いたというのは、私は国の責任が大きいというふうに考えております。そういうことからいいまして持ち家取得が困難である、住宅難であるということから共同社宅の問題が考えられているんですが、勤労者が貯蓄をした原資、つまり勧労者のお金を融資して勤労者が住む社宅をつくるということ、私は何かこっけいに思えるんですね。つまり従来ですと、社宅というのは会社、企業が従業員、勤労者に対して福利厚生の視点、観点から社宅を用意するというのが通常だと思うんです。
 日本の財形法はドイツといいますか、西ドイツの法律を参考につくられたというふうに聞いておりますし、フランスなりオランダにも同様の法律があるわけですけれども、勧労者が貯蓄した原資、お金で勤労者の社宅がつくられるという、こういうケースというのは他の国といいますか、そういった国々にあるんでしょうか。私は存じませんので、もし今把握している資料なり認識で構いませんけれども、その辺、教えていただきたいんですが。
#57
○政府委員(廣見和夫君) 私どもが今構想しておりますような形での融資制度は、私どもといたしましても諸外国にその例があるということは承知しておりません。
#58
○堀利和君 私はこの共同社宅用住宅の融資を反対してはおりませんけれども、そもそも社宅というのは企業、事業主が勤労者の福利厚生のために行うべき施策だと思うんですね。勤労者の汗水流してためたお金からまた勤労者の社宅をつくるというのは、どうもそこに私は一つ疑問を挟まざるを得ないわけでございます。
 そもそも住宅難、土地高騰を招いた原因がどこにあるかということから言えば、勤労者はそもそも被害者だと言ってもいいと思うんですね。そういうことでありながら、勤労者のお金で勤労者が社宅を用意しなきゃならぬ。もちろん事業主が若干の援助もします。しかし、そこにやはりどうしても問題を感じるということだけは御指摘させていただきたいと思います。
 次に、大臣の答弁にもございましたけれども、この社宅用の融資制度は持ち家取得に向かっての一つの方法である、過程であるということでございますが、ここがまた一つの大きな問題だろうと思うんですね。といいますのは、きちんとここを押さえておかないと、確認させていただかないとならないなと思うんです。
 それは、同じことを言っているようですけれども、明確に持ち家取得のために、目的のためにバイパスとして、方法手段として共同社宅用住宅融資制度をつくるということで、低廉なかつ良質な賃貸住宅、社宅として勤労者に提供することによって目的を達成するんだという、この「よって」ということと、目的の「ために」ということでは、同じようであってここは違うと思うんですね。後ほど触れたいと思うんですけれども、低廉かつ良質な賃貸住宅を借りて住んでいて、本当に持ち家取得につながるかどうか、もしかしたら安い賃貸住宅で満足してしまうかもしれない。ここら辺のところというのは非常に重要だと思いますので、もう一度ここについての明確な答弁をいただきたいと思います。
#59
○政府委員(清水傳雄君) 具体的にこの融資を考えましたのは、大都市圏域におきます住宅の取得難、在職中に自分の持ち家を取得するのが非常に難しくなってきている、したがいまして、この共同社宅用住宅によりまして勤労者に低廉で良質な社宅を提供する道を開き、またこれを借り受ける事業主というのは財形制度を導入している事業主、それからまた入居する勤労者もやっぱり財形貯蓄を行っていただく、こういう要件を付しておりまして、そしてこの入居期間中に計画的に財形貯蓄を行ってきていただく。
 そしてまた、今度の直接の法改正の中ではございませんけれども、退職後の居住型の住宅の融資制度、これを新設いたしておりまして、従来でございますと住宅を建てますと直ちに入居しなきゃならない、こういう縛りがかかっておるわけでございます。あらかじめ手当てを退職後に備えてしておくということが、やはり転売でございますとかいろいろなことを、逆選択を防止するというふうな観点から実現ができていなかったんでございますが、今般そうした道を開きました。直接にそことつなぐというふうな形をとっておりませんけれども、考え方の上といたしましては、在職中にこうした共同社宅用住宅に入居していただき、そしてそうした退職後の居住型の住宅融資につないでいく、こういう政策の流れというふうなものも念頭に置きましてこういう仕組みを導入させていただくということにいたしておるわけでございます。
 具体的な運用の仕組みの面におきましては、先ほど申しましたような財形貯蓄を行っている勤労者、あるいは財形貯蓄制度を導入している事業主、これを要件として持つことによりまして今のような、御指摘のような形につなげていく、こういうふうなことといたしているところでございます。
#60
○堀利和君 それは当然だと思うんですね。財形貯蓄制度を導入していない、あるいは貯蓄してい
ない勤労者にこの共同住宅、社宅を提供する必要性はないわけですから、それはもう当たり前なことだと思うんです。
 そこで、計画的、継続的に持ち家取得に向かっての財形貯蓄ということを言われましたけれども、これは具体的にはどういうふうな対策を組んでいるんでしょうか。つまり、この低廉かつ良質な賃貸社宅に入る以前と入居後と、貯蓄の額にしろ、貯蓄に対する意欲が何ら変わっていなければ何にもならないわけでございますから、入居する以前と入居後においてどんなふうな具体的な対策が、つまりそれは事業主、財形計画含めて、あるいは勤労者自身の側の問題含めて、どういうような具体策が、具体的な手だてがあるのか、お聞きしたいと思います。
#61
○政府委員(廣見和夫君) 今お尋ねの点でございますが、一つは法律におきまして、持ち家取得を促進することをねらいとして事業主が勤労者の財産形成を援助するための計画をつくるということを義務づける、このようにいたしております。
 具体的には、事業主が勤労者の貯蓄に関する事項であるとか、あるいは持ち家取得をどのように援助していったらいいかというようなこと、あるいはまた具体的に勤労者が持ち家を持つことができるようにいろいろ住宅に関する情報提供をしていく、そういったようなこと等に関する計画をつくると、これを事業主に一つは義務づけております。さらにはまたそういうことを前提といたしまして、今後はこの共同社宅を借り受ける勤労者につきまして、ねらいは最終的にはその方々の持ち家取得を促進するということでございますので、そういった勤労者の方に今度は持ち家取得についての計画をつくっていただく、こういうことも義務づけたい、このように考えております。
 勤労者の方が持ち家を取得するまでの期間あるいはどのように取得を見込んでいくか、どういう目標を持っていくか、こういうことを具体的に決めていただく、こういうことも具体的に指導しながら共同社宅用住宅融資制度を進める、こんなようなことで、最終的には財形貯蓄をやっております勤労者の持ち家取得が促進されていくように運用してまいりたい、このように考えておるところでございます。
#62
○堀利和君 ここでもう一度確かめておきたいのは、共同社宅用住宅融資制度、私はこれは反対しておりませんけれども、先ほども申し上げましたように、一つの疑問といいますか問題点として感じるところは、勤労者の貯蓄、原資で勤労者の社宅をつくるということについてでございまして、これはこれで結構でございます。
 もう一つは、せっかく融資制度が確立するということですから、社宅奨励策に流れないようにということなんですね。ただいまの計画、いろいろお話しございましたけれども、こういうことをしっかりやっていただいて、勤労者が安くていい住宅に在職中ずっと入っていて、それに満足してしまって、結果的にはただ安い、いい社宅を提供しただけで終わってしまったとすれば、そもそもこの財形法の法律の理念、目的から反するわけですから、ここがかなめだ、重要だと私は思うんですね。
 そういう点で、先ほどの退職後の居住型住宅融資制度の問題とある程度リンクしたところで今回新制度として発足するだろうと思うんですけれども、この辺も含めてもう一度、社宅奨励策にはならないようにするという決意のところをお伺いしたいと思うんです。
#63
○国務大臣(小里貞利君) 先ほど局長、部長答弁申し上げましたように、またただいま先生、最後のところで締めくくりとして御指摘いただきまするように、一般的な社宅政策としてこれが定着をすることは私どもは決して好むことでもございませんし、もちろんのこと財形制度の基本精神からいいましても好ましいことではございません。御指摘の点は十分踏まえながら、本来の制度の精神の発揚に、具体的な展開に努めてまいらなければならぬ、かように考えております。
#64
○堀利和君 日経連と組合の連合の方でこういった方向性を考えているようでございます。勤労者と経営者側が協力してこういった社宅を用意しようという構想も聞いております。財団法人として勤労者共同賃貸住宅事業協会というのも進められているようにも聞いております。こういうことも恐らく関係しているんだろうというふうに思うわけでございます。
 そこで、社宅といいますと、なかなか問題として私生活と会社生活がうまくいかなくなる場所にということも聞きますので、社宅ということについてお伺いしたいんですが、労働省としては社宅を勤労者福祉対策の観点からどういうふうに見ておられるのか、そこをまずお聞きしたいと思います。
#65
○政府委員(清水傳雄君) 勤労者のニーズからいたしましても、住宅対策の基本はやっぱり持ち家取得ということに視点を置いていかなきゃならぬことだろうと思うわけでございます。ただ、大都市圏におきます御承知のような状況を考えますと、緊急の対策として良質かつ低廉な共同住宅を供給することも必要であるわけでございまして、そういった意味合いにおきます社宅というものの意味合いというものは、勤労者の福祉対策として一つの重要な位置を持つものであると、このように考えております。
#66
○堀利和君 そこで、ILO百十五号勧告というのがございます。これは社宅の問題についての勧告なんですが、これについてごく簡単にどのようなものか御説明していただきたいということと、共同社宅用住宅がどんなふうにそこのところで位置づけて関連して考えていらっしゃるか、そのこともあわせてお聞きしたいと思います。
#67
○政府委員(廣見和夫君) 今先生御指摘のございましたILOの勧告は、労働者住宅に関するILO勧告百十五号ということでございまして、昭和三十六年のILO総会において採択されたものでございます。このILO勧告のポイントでございますが、これは「使用者がその労働者に直接住宅を提供することは、」「やむを得ない事情のある場合を除き、一般的に望ましくないことを認識すべきである。」というところにございます。
 今回、私ども法律で提案いたしております共同社宅用住宅の融資制度でございますが、これは単独の社有社宅に見られがちな職場の関係が家庭生活に持ち込まれる問題、こういったようなことなどをできるだけ少なくしていくというために、一つの企業で余り多くの戸数を占めることのないような共同の借り上げ社宅と、こういう方法を用いる、こういうことにしたところでございまして、こういったような点、今申し上げましたこのILO勧告にも十分注意を払っているところでございます。
 また、現実には大都市圏におきます土地あるいは住宅の価格の高騰ということがございまして、そういうことに伴います勤労者の住宅状況、あるいはまたそういったものを背景といたしまして労使が社宅に対してある程度共通した認識を持つ、あるいはまた位置づけを与えているということを全般考慮いたしますと、こういったような大都市圏における状況に緊急に対応しようとするこの措置は、このILO勧告でも言っております「やむを得ない事情のある場合」と、こういうところに該当するのではないか。したがって、本勧告もそういう状況につきましては許容しているケースに当たるのではないかと、このように考えているところでございます。
#68
○堀利和君 ILOではやむを得ない場合ということでこの問題がクリアされるわけでしょうけれども、やむを得ない場合であっても弊害は弊害として残るわけですね。やむを得ない場合だから弊害がなくなるかというと、そうじゃないわけです。
 そこで、もう少しお聞きしていきたいと思いますが、ここで財形取り扱い金融機関が融資するところから勤労者が社宅に入って家賃を払う、この融資の過程についてちょっとお聞きしたいんですが。
#69
○政府委員(廣見和夫君) 今構想しております共同社宅用住宅融資の流れをごく簡単に御説明申し
上げたいと存じます。
 この共同社宅用融資は、雇用促進事業団がまず融資をするということになっております。そのために雇用促進事業団はこの共同社宅用住宅融資の原資を財形貯蓄を取り扱っている金融機関から調達してくるということになるわけでございます。その調達してきた資金を原資といたしまして、調達金利と同一の利率でもってこの共同社宅を建設する建設主体に融資するということになります。この融資を受けて建設する建設主体、ここがさらに多くの事業主を相手に、複数の事業主にこの建設した共同社宅を貸与していくということになるわけでございます。この貸与を受ける事業主につきましては、先ほど来申し上げておりますような家賃の軽減措置あるいは従業員の財形を援助するための計画をつくる、こういったようなことを義務づけていくということにいたしております。
 こういう形で借り受けました事業主が、今度は最終的にこれを社宅として雇用する従業員に貸す、こういうことになります。その際、これまた重複になりますが、借り受けた勤労者の方が一定の援助も受けているということと、さらにはまた持ち家に至るまでのみずからの計画もつくる、こういうことにしておるわけでございまして、雇用促進事業団の融資から始まりまして勤労者に至るまで、今申し上げましたような流れで進むということを構想しておるわけでございます。
#70
○堀利和君 よくわかりました。
 それで、この融資による共同社宅のあり方なんですが、建設主体というのは恐らく日本勤労者住宅協会と事業主団体あるいは公益法人ということになろうかと思うんですが、これは建設して貸与するということでなくて、でなくてといいますか、それのみでなくて、新築の民間マンションといいますか、そういったところを購入して事業主に貸与をしたらどうかな。つまり一括して百戸、二百戸の棟を建てて、会社が多少違うかもしれないけれども、共同だといっても、やはりそこに一括して建設して、社宅というんではなくて民間のマンションならマンションの三分の一とか半分を購入して、それで最終的に勤労者に貸すということになれば、社宅としての弊害も多少和らぐのではなかろうか。どうしても社宅が嫌だという方にはそういった対策を講じることも必要じゃないか。こういうことが果たして可能かどうか、御検討いただけるかどうか、お伺いしたいと思います。
#71
○政府委員(廣見和夫君) 今先生お話がございましたように、今度の共同社宅用住宅融資の貸付対象者、すなわち建設主体につきましては、日本勤労者住宅協会、それから事業主団体と福利厚生会社、こういったようなところを考えているわけでございますが、いずれにいたしましても、ある程度まとまった多くの事業主の借り上げを想定いたしております。そういうようなことから、これまた先生お話もございましたように、いわゆるマンション形式の共同建てのものが適当ではないか、こう考えておるところでございます。
 お尋ねの一戸一戸それじゃ借り上げて、これをまた貸していく、こういうことはできないのだろうかということでございますが、この建設主体は共同社宅の維持管理も行わなければならないということになってまいりますので、民間の分譲マンションの一部を購入するというようなことを例にとりますと、そのマンションの管理組合等との調整も必要となってまいります。いろいろそういう問題も出てまいりますので、そういう面を技術的に勘案いたしますと、部分購入は適当ではないのではなかろうか、このように私どもは考えておるところでございます。
#72
○堀利和君 この共同社宅の対象を中小企業を重点にというふうに聞いておりますけれども、これはもちろんばらばらの数社が共同でこういう形態をとることだと思うんですが、聞くところによると親会社、子会社、孫会社という縦系列の会社の場合にもこの共同社宅制度、これを対象とするんだというふうに聞いていますけれども、そうですと一つの会社における課長、係長とかのこういった関係が家庭生活に持ち込まれる弊害ということからいえば、親会社、子会社、孫会社となれば、ますます会社そのものの縦系列によってそういった弊害があるんではなかろうかというふうに私は心配するんですが、この辺はどうなんでしょうか。そして、中小企業に限るというところまで、いわば大きい企業は自力でやれますから、中小に絞るということもあわせてどうお考えか、お聞きしたいんですが。
#73
○政府委員(廣見和夫君) この共同社宅用住宅融資の制度の構想は、一つは現実に社宅をつくることが難しい中小企業を念頭に置いているわけでございまして、中小企業を重点に運用してまいりたい、このように考えておるところでございます。
 そういうふうに考えてまいりますと、今先生御指摘のような縦の系列会社、大企業から始まって一定の系列下にあるような企業、こういったようなものも、それにつきまして排除するということは必ずしも適当ではないんじゃなかろうか。現実、こういったような共同社宅をつくります土地の問題等もございます。いろいろなことを総合的に考えますと、そういったような形になりましても、中小企業という要件を満たすところにつきましては、これは重点的に考えていくことの方が妥当なのではなかろうか、このように考えているところでございます。
#74
○堀利和君 その点、しっかりお願いしたいと思います。
 地域も大都市圏ということで、恐らく東京、名古屋、大阪ということなんだろうと思うんですが、土地高騰は何も今言いました三つの大都市圏のみならず、地方にも広がっておりますし、そういう点からは少なくとも政令都市をも対象地域として入れたらどうかなと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#75
○政府委員(清水傳雄君) 近年の地価の高騰、御指摘のように三大都市圏以外の政令指定都市にも波及をいたしておるところでございますが、ただ、最も地価の高騰等によって住宅取得が難しいのは三大都市圏である、こういうふうに考えられるわけでございまして、そうしたことを踏まえまして、今般の融資制度につきましては三大都市圏を対象にまず制度をスタートさせていただきたい、このように考えておりますので、御理解をお願い申し上げたいと思います。
#76
○堀利和君 まだ細かいところもお聞きしたいんですが、時間がありませんので、次に移らせていただきたいと思います。
 この共同社宅の問題とも関連するんですが、企業別で見ますと、どうも大きい企業は財形制度を導入しているようですけれども、なかなか中小零細となると難しいようでございますが、この中小零細企業、つまり企業の規模別でどんなふうな状況になっているのか。
 さらには、昭和六十二年ですか、中小企業団体普及促進事業というのが始まったようですけれども、この辺の実施状況も含めて、どんなふうな実施状況でしょうか。
#77
○政府委員(廣見和夫君) 財形貯蓄制度の普及状況につきまして企業の規模間の格差があるのではなかろうかというお尋ねだろうと存じます。この貯蓄制度につきましての規模別の状況を見てみますと、確かに規模間の格差がございまして、中小企業に対します財形制度の普及促進というのが大変重要な課題であろうというふうに思っているところでございます。
 若干、具体的に数字を申し上げてみますと、財形貯蓄制度の導入率ということで見てみますと、千人以上の大企業におきましては、一般財形あるいは財形年金、財形住宅、この貯蓄とも大体九割程度ということになっておりますが、これを三百から九百九十九人の規模で見ますと八割から九割程度になる。それからさらに、百人から三百人未満の規模の企業で見てみますと、一般財形貯蓄で約八割の普及率。これに対しまして、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄では六割程度ということになりますし、さらにもっと小さな規模で、例えば三十から九十九人ぐらいの規模で見てみますと、一般財形貯蓄は七割弱、さらに年金貯蓄と住宅貯蓄は
四割弱になるということで、規模間に格差があるところでございます。
 こういうようなことで、中小企業に対しまして普及促進を図っていくということが大変重要な課題であるという認識から、私どもといたしましては、具体的に中小企業集団財形制度普及促進事業というものを実施しておりまして、こういうところを通してそれぞれの中小企業に対しまして普及促進活動を進めるという方法をとっております。
 この事業によりまして、具体的にどの程度の企業が財形を実施するに至ったかというのはなかなか把握することが困難なわけでございますが、ただこの事業を実施いたしましたのが六十二年度からでございます。そういう意味で六十一年度末とごく最近の直近の状況を比較してみますと、財形の貯蓄につきましては大分ふえておりまして、契約者数は約三万九千人ぐらいふえるし、貯蓄総額で一兆九千八百億円程度ふえておるということにもなってございます。
 また、融資につきましても、六十一年末の融資の累計額が約三千七百億だったわけでございますが、直近の状況では一兆一千六百億ということで約三倍ぐらいになってきておるということで、最近財形制度はかなり普及してきている、このように見てとれるのではなかろうかと考えておるところでございます。
#78
○堀利和君 若干いい兆しが見えてきたという答弁ですけれども、先ほどの共同社宅用住宅の問題と絡んで言えば、これが中小企業を重点にやるんだということであれば、当然中小零細企業の財形制度導入、加盟していることが多くならないと本当の意味で共同社宅も進まないわけですね。そういう点から中小企業に対して、この財形制度導入に関しなかなか難しいでしょうが、義務づけぐらいの強い対策というのが必要ではなかろうか。この共同社宅の問題もそうですけれども、その他給付金、基金制度を見ても幾つか税制上のメリットが勤労者にもありますし、事業主の側にもあるわけですから、そういう点を踏まえて義務づけぐらいはどうなんでしょうか。
#79
○政府委員(清水傳雄君) せっかくの御提案であるわけでございますけれども、財形制度、勤労者の計画的な財産形成努力に対して事業主が援助を行う、そしてまたそれに対して国が援助を行うという三者三位一体でこれを行っているわけでございまして、一般的に労働条件につきまして賃金なり労働時間なり、こうした最低労働条件とは異なりまして、企業内の福祉制度という位置づけのものであろうかというふうに思います。したがいまして、これに一律に導入義務を課すということは必ずしもなじまないのではないか、このように考えられるところでございまして、普及促進につきまして事業主の自発的な導入を促進する、こういうことに最大の努力を傾注していくということが基本であると、このように考えておるところでございます。
#80
○堀利和君 勤労者に貯蓄しなさいという、これはいわばおせっかいな話なんですけれども、中小の事業主に対しては、勤労者の福利厚生という観点から義務づけるぐらいの強さというのも必要ではないかなと私は思うわけでございます。そのためにも、中小零細企業というのは、勤労者にしてみれば賃金も安いし、事業主にしても余り余力もないということで難しいわけですから、この辺のところで国の積極的な援助といいますか支援というのが必要だろうと思うんです。それによって初めて中小零細企業の財形制度導入というのが進むと思いますので、その点は十分お考えいただきたいというように思います。
   〔委員長退席、理事対馬孝且君着席〕
 では次に、一般財形の問題についてお伺いしますけれども、今般の改正では、一般財形貯蓄では、昭和六十二年のマル優廃止に伴って二〇%の利子源泉分離課税がとられてしまって、貯蓄としての魅力が果たしてどうなんだろうかと思うわけです。先ほど対馬先生の御質問にもありましたけれども、非課税でないとどうも魅力がないという点から、一般財形貯蓄についてどうお考えでしょうか。
#81
○政府委員(廣見和夫君) 今先生のお話しございましたように経緯がございまして、いわゆるマル優制度が全般的に適用されていたときから一定の制度改正が行われまして、年金貯蓄と住宅貯蓄に限って非課税の取り扱いをする、こういうことになったわけでございます。
 これはいろいろの観点があったわけでございますが、当時、内需主導型の経済成長に重点を移していく、あるいはまた課税ベースを拡大し所得種類間の税負担の公平を図る、こういうふうなことから六十三年四月に一般のいわゆるマル優制度が廃止されたということで、一律二〇%の源泉分離課税ということになったわけでございます。
 この中で、今申し上げましたように、年金と住宅という特定の目的を有する貯蓄に限って、その目的に資するために、そういったようなことに向かっての勤労者の自助努力を援助するということで、優遇措置いわゆる非課税措置が認められているわけでございますが、そういうこと全般を考えてみますと、特に目的を限定しておりません一般財形貯蓄、これにつきまして税制上の優遇措置が廃止されたということはやむを得ないものがあったのではなかろうかと、このように考えているところでございます。
#82
○堀利和君 そうしますと、一般財形貯蓄におけるメリットというのは、融資が受けられるという話もあると思うんですけれども、どういうところにメリットがございますでしょうか。
#83
○政府委員(廣見和夫君) 一般財形貯蓄は、今も申し上げましたように、特に目的を限定していない貯蓄でございまして、事業主が賃金を控除するということによりまして半ば自動的に一定のものが積み立てられていく、こういう形になっております。これを多様な資金ニーズにそれぞれ充当していくことができる、いわば機動的な預金としてメリットがあるのではなかろうかと、このように考えておりますし、それともう一つ、今これは先生からもお話があったわけでございますが、還元融資としての財形持ち家融資等の貸し付けを受けることができるということになるわけでございまして、貯蓄残高等に応じましてかなり多くの融資、大型融資を受けることができる、こういうメリットがあるわけでございます。
 さらにまた、財形給付金、基金制度というものもございまして、こういったようなものを導入しております事業主の場合をとりますと、事業主からこういったような制度のもとにおきます給付金を受ける、こういうメリットを受けることも可能になってくるという点もあるわけでございます。
#84
○堀利和君 財形住宅融資を受けることや給付金制度の恩恵にあずかることができるという大きなメリットはメリットとしてあるとは思うんですけれども、一般財形貯蓄として、貯蓄という視点から魅力のあるものでなければ本来の一般財形貯蓄にはならないわけですから、先ほど来から問題になっておりましたけれども、この税制問題、十分御検討願いたいと思うんです。
 そこで、一般財形貯蓄に関しましてこれまで五十五歳未満という年齢制限があるわけですけれども、この年齢制限を削除するという改善が出されておりますが、この目的といいますか、ねらいは何でございましょうか。
#85
○政府委員(廣見和夫君) 一般財形貯蓄につきましては、現在五十五歳未満の勤労者でなければこの貯蓄を開始することができないというふうになっておるわけでございますが、これは実を申しますと昭和五十七年の財形法の改正によりまして財形の年金貯蓄が創設されましたとき、あわせてこの要件が設けられたところでございます。その後御案内のような定年年齢が非常に急速に高まってきているというような状況であるとか、あるいは六十歳以上の高齢の就業というものも多様化してきている、こういう状況にもございます。
 そういう中で、一般財形貯蓄につきまして、五十五歳未満満でないと開始できないということではなく、もっと高齢の方も今お話が出ておりましたようなこういう弾力的、機動的な一般財形貯蓄を
利用できるようにさせていくべきであろう。こういう観点から、今般この五十五歳未満の要件を撤廃するということにしたところでございまして、こういうことによりまして五十五歳以上の高齢者の方々も貯蓄ができる。またしたがいまして、例えば持ち家融資も受け得る形になってくる、こういうメリットにつながっていくのではなかろうかと、このように考えておるところでございます。
   〔理事対馬孝且君退席、委員長着席〕
#86
○堀利和君 私は、もちろん年齢制限五十五歳未満という、これを削除するということは賛成でございまして、制限があるよりはない方がもちろん結構であるわけですね。
 ただ、確かに定年が延び、継続雇用もこれからどんどん進むという中で五十五歳を外すんだということも十分わかるんですが、一般財形貯蓄としての貯蓄に余り魅力を感じないこの制度に、五十五歳を過ぎて五十六歳、五十七歳、もちろんやることは結構なことですし、いわば給与から天引きですから知らぬ間に貯蓄できるということでも確かに有効だと思います。
 しかし、そもそも貯蓄にそれほど魅力を感じない財形貯蓄ですから、じゃ何があるかといいますと、答弁にもございましたように、例えば給付金の問題もあるでしょうけれども、住宅融資が受けられるということだと思うんですね。五十五過ぎてから住宅を考えるということもなかなか、私はもっと何といいますか若いころから考えてきたと思うんですね。その時点から住宅融資が受けられるから有利だというのであれば、当然財形住宅の方も五十五歳未満の年齢を削除すべきだと思うんです。つまり一般財形貯蓄の五十五歳未満を削除することによって住宅融資が受けられる、これがメリットだというのであれば、五十五歳未満の年齢制限も当然住宅融資として削除すべきだろうと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
#87
○政府委員(清水傳雄君) 年金貯蓄も同様でございましょうけれども、財形住宅貯蓄、これは目的の限定のない一般財形貯蓄とは異なるわけでございまして、目的が限定される貯蓄につきましては、その目的を達成していくために一定期間長期にわたって継続して貯蓄を実施していくことが必要になるわけでございます。
 一般財形貯蓄五十五歳という年齢を今般制限を撤廃いたしまして、よりその幅を広げたわけでございますが、だからといって住宅貯蓄にまで年齢の問題を撤廃するということにつきましては、例えば近年のこうした状況から見ますと、頭金に相当する額を蓄積していくためには、これは五十五歳未満程度からの継続的な財産形成努力が必要であるわけでございますし、年金貯蓄にいたしましても、年金の支給開始年齢を六十歳ということを前提といたしておりまして、五年以上の貯蓄が義務づけられている。そういうことからこれも少なくとも五十五歳未満から貯蓄をスタートさせていく必要がある。
 それからまた、こうした非課税貯蓄につきましては、非課税貯蓄としての要件の管理の責任を事業主に課しておるわけでございます。例えば六十歳支給開始、据え置き五年タイプの年金貯蓄を例にいたしますと、五十五歳で積み立てを終了するということになる。こうしたような場合にまた開始年齢を五十五歳以上に緩和するということになりますと、他に転職をした場合にそうしたことの管理というふうなものが非常に技術的に困難でございまして、こういうような状況からいたしまして、現段階といたしましては現行のような五十五歳と、こうした要件を課さざるを得ない、こういうふうに考えているところでございます。
#88
○堀利和君 確かに財形年金の場合は、老後生活における年金ということを考えれば五十五歳という年齢制限を外して意味があるかどうかということは疑問だと思うんですね。しかし、先ほど一般貯蓄の場合に五十五歳を外して貯蓄において今度は住宅融資も受けられるという答弁もございましたから、それなら財形住宅においても当然五十五歳を外したらどうかということなんですね。つまり一般貯蓄の方が非課税であればそれはいいと思うんですけれども、一般貯蓄の方は課税なんですね。住宅が非課税であれば、それなら住宅融資を目的に一般貯蓄をする方が五十五歳を超えていらっしゃるんであれば、非課税の方に貯蓄をしようということが当然あるわけですから、そういう点で住宅貯蓄の方の年齢制限についてもお考えいただきたいと思います。
 時間が来ましたので、最後に大臣に御決意をお伺いしたいんですが、勤労者の多くの方々の要望でもあり、社会党としても力を入れております財形住宅年金元本五百万に対する非課税を、先ほど来から問題になっておりますが、一千万円程度にまで引き上げるということで御努力をお願いしたいと思いますので、最後に御決意をお願いしたいと思います。
#89
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 先ほども若干お触れ申し上げたところでございますが、この問題につきましては、先般来労使双方からも強い要望が出ております。さらにまた本委員会等強くその要望をお受けいたしておるところでございまして、それらの皆様方の御意向を十分体しまして今後さらに本制度の促進強化のためにも努力をしていかなけりゃならないと、かように考えておるところでございまして、皆様方の御指摘をきちんと受けまして今後折衝いたしますことをお答え申し上げる次第でございます。
#90
○堀利和君 よろしくお願いいたします。
 終わります。
#91
○木庭健太郎君 この勤労者財形促進法は過去六回の改正を行っておりまして、今回、高齢化の進展、住宅問題の深刻化というのを受けて第七次の改正となるわけでございます。ただ、先ほどからずっと聞いておりましたら、大臣御自身もこれでもう十分だとはお考えでないようですし、また各関係機関や労使双方からもいろんなこの制度に対する要望もまだまだ出ておりますし、その中で酌み取れなかった部分も数多く今回あったと思いますけれども、大臣御自身今回の改正を見られていて、もうちょっとここは努力したかったなと、ちょっとここは足りなかったなと思われる点があればぜひお話ししていただきたいのですが。
#92
○国務大臣(小里貞利君) 今回の改正は、先生御承知のとおり、財産形成審議会のいわゆる全会一致の建議を得たものでございまして、私どもは最大にこの建議の内容を尊重して、そして法改正に持ち込んだものである、かように考えておるところでございます。したがいまして、当面指摘されました改善するべき事項は原則的には踏まえたものでございますが、先ほどからお聞きのとおり、租税特別措置法にかかわるいわゆる限度額の五百万円引き上げ問題、それからもう一つは、他の法律によって処理せられるべき事項を除きまして大方今度の改正で消化されておるものと、かように考えておるところでございます。
 勤労者財産形成促進法の改正としましては、ただいま申し上げましたようにすべての実現を図るものであり、一応そういう一つの含みにおきましては十分盛り込んだと、そういうふうにお考えいただきたいのでございますが、なおこの建議では、先ほど申し上げましたように、当面の課題に加えまして今後検討を深めていくべき課題についてもこれからもまだ何点か御指摘いただくでございましょうから、より前向きで検討してまいりたいと思っております。
#93
○木庭健太郎君 先ほどから五百万円の非課税限度額を引き上げろという話ばかり続いております。大臣御自身もこれが最優先課題だとどうもお考えになっているように私は感じております。ぜひ大臣の御在任の期間中に、この問題、何とかめどをつけていただきたいと私は思うんですけれども、そういう観点での御決意を聞きたいと思います。
#94
○国務大臣(小里貞利君) 率直に申し上げまして、衆議院の審議の段階でも同じくこの問題点を中心にいたしまして御指摘をいただきました。特にまた社労関係、殊に労働政策に関心を最もお持ちいただいておりまする本院当委員会でも大変強くお聞かせいただいておりまして、これは内容的に自
分自身の本来のいきさつをよく吟味しながら考えてみても、この際きちんとお答えするべく是正するべきものである、さように私は認識をいたしておりますから、御指摘いただきましたように最善の努力をしてみたいと思っております。
#95
○木庭健太郎君 ぜひ最善の努力を、大臣の間に解決すればこれはすばらしいことだと思いますし、ぜひお願いをしたいと思います。
 また、もう一つ、要望で言っておきますけれども、先ほど出ておりました非課税限度額五百万円を超える人の話ですね、何か推計では約七万一千人ということを衆議院の答弁でなさっているようでございます。五百万円を少しでも超えたら貯蓄全体が課税になってしまうというのは勤労者本人にとっては何ともやりきれない気持ちだと思います。この点についてもぜひ御努力をお願いしたいと思っております。
 そして、今からお聞きしたいのは、女性勤労者の問題でございます。
 現在、女性の社会進出が進んでおりまして、住宅取得についても共働きなり夫婦共同で考える時代になっていると思われます。平成二年の統計を見ましたら、夫が非農林業雇用者である世帯千八百六十三万世帯でございますけれども、このうち妻も非農林業雇用者である世帯は八百九十七万世帯で四八・一%を占めておりまして、こういった世帯構成を考えると、約千七百万人ぐらいいる女性雇用者の財産形成というものもこれから真剣に考えねばならない時代が来たと思われます。このような現状を考えますと、女性雇用者の財産形成にも十分配慮をしていかなければならないと思われますけれども、この点大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#96
○国務大臣(小里貞利君) 女性の勤労者は、先生ただいま御指摘ございましたように、全勤労者の約三分の一を占めておいでになる、そういう状況でございますから、その向きのいわゆる福祉の向上は我が国の勤労者福祉の向上にいわば不可欠の大きな要件である、課題であると理解をいたしております。特に財形制度が我が国勤労者の福祉向上のための重要な柱であることを考えまして、さらにまた女性勤労者の加入促進のためにも、現行の財形制度を社会経済情勢の変化やあるいはまたただいま御指摘がございました勤労者のニーズの変化を踏まえ、より魅力のある制度としてこれが改善を検討するべきであると、かように考えております。
#97
○木庭健太郎君 そこで、一体女性の財形制度の利用状況というのはどうなっているのかというのが気になるんですが、基本的に何か何人加入をしているというような数がありましたら教えていただきたいんですけれども。
#98
○政府委員(廣見和夫君) 財形年金貯蓄の加入状況につきましては、一部の金融機関の調査によりまして男女の別がわかっております。これによりますと、年金貯蓄につきまして男子勤労者が全体の七四・三%、女子勤労者は二五・七%という状況になっておるわけでございます。一般財形貯蓄それから財形住宅貯蓄につきましては、男女の利用状況がわかるデータを持ち合わせておらないところでございます。
#99
○木庭健太郎君 やはり基本的な数字は、今後の課題かもしれませんけれども、女性のことを考えられるならばないとおかしいと思うんですよね。だから、これからふえていく時代なんでしょうけれども、数がないというのは、女性一体どこにいっているのと、軽視されているような気もいたしますし、私が言うのもおかしいんですけれども、そういう点はきちんとしておかないと、今後やろうにもできないと思います。
 そこで、多分少ないと思うんですよね、まだまだ。だから、今後加入促進策を進める必要の中で、共働きの夫婦がともに財形をやっている場合、貯蓄制度や融資条件等で何らかのメリットがあれば加入も促進されるのではないかと思われるんですけれども、何か現状でそういうメリットがあるのかどうか。また今後検討の見込みがあるのかどうかをお伺いしておきたいと思います。
#100
○政府委員(清水傳雄君) 現在の財形制度におきまして、女性ということに着目をして特別の優遇措置を講ずるなりメリットをつける、こういうような仕組みは講じておらないわけでございます。
 また、今後ということでございますが、やはり女性という特定の属性のみを対象としてメリットをつけるということ、これは先ほど来議論も出ていますけれども、バランスというふうな意味合いから申しましても、財形制度にそういうのを導入するということは必ずしも適切とは言いがたいと、率直に申しましてそのように考えます。もちろん女性自身も財形制度にどんどん加入をしていただきたいわけでございますが、当然今後女性の職場進出、社会参加あるいは勤労者として、生活者として大いに社会で貢献をし、やっていただく、そういう進出する過程の中で生活者としてのみずからの蓄積を考えていかなきゃならない、こういう中で女性自身にもお考えをいただいていくことになろうかと思うわけでございまして、むしろ一般的に財形制度のPRに努める、あるいは財形制度全体を社会経済情勢の変化なり勤労者のニーズにこたえたものとしてさらにその充実改善を図っていく、そういうことをすることによって女性の加入促進にもつながっていくものであろう、このように考えるわけでございます。
#101
○木庭健太郎君 女性というより共働きという観点が何かないかなとちょっと思うんですけれども、夫婦ともに入っているというそのことで何か考えるというのが出てきてもいいんじゃないかとは思うんですが、もしそういう視点があればぜひ検討していただきたいと思うんです。
 もう一つ、ぜひ女性の勤労者の問題を考える際、高齢化社会の進展の問題とも関連するんですけれども、家庭の責任というか家庭の問題というのはまだ女性が負っているという現状は今変わらないと思うんですよね。いわゆる女性が家庭でやることで介護という問題が大きく出てまいります。今回制度改正で、法改正じゃないんですけれども、年金支給開始後の介護等の事情に対応した支払い方法の変更が認められることになりまして、これはもう大変よかったと思っています。しかし、こういう家庭における女性ということを考えた場合、さらに勤労者が在職中に例えば年とった親の介護が必要となった場合にも財形制度が利用できるというようなことになれば、勤労者の金銭的な負担軽減にもつながると思いますし、ひいては資産形成にもつながっていく問題だと思うんですよね。
 こんなふうに考えると、在職中の介護費用が必要になった場合に、年金あるいは住宅貯蓄の取り崩しを認めるとか、還元融資として介護融資を認めるといったようなことは検討できないんでしょうか、この点をお伺いしたいと思います。
#102
○政府委員(清水傳雄君) 今御指摘のように、今回の改善におきまして財形年金貯蓄、年金支給開始後要介護状態に入る、こういうふうな事由が生じることに対応するために、支払い方法を変更し、一定額を上乗せするなりあるいは前厚型を導入するとか、そういうふうな一定の措置を講ずることにしたわけでございます。
 御指摘の場合には、在職中にそういう事由が発生した場合に、現在積み立てている財形貯蓄を活用する、こういう方途を何か考えられないか、こういうことでございます。もちろん目的外に財形貯蓄を取り崩すということになるとさかのぼって課税されてしまう、こういうことがあるんでございますが、こうした在職中に同居の親、配偶者、こうした方々に介護の必要が生じた場合には、これは租税特別措置法によりまして、年金貯蓄を取り崩しましてそれに充てるような形で解約をする、そういうふうな場合にもこの遡及課税のペナルティーというふうなものを科せられない、こういう取り扱いになっているところでございます。
#103
○木庭健太郎君 次は、海外勤務者の問題でございます。
 海外勤務者は非常に今ふえておりまして、この人たちも結局日本に戻ってくれば当然住宅を取得しようと考えるわけですね。したがって、こうい
う海外勤務者の財産形成についても十分な配慮が必要だと思うものでございます。
 海外勤務者の場合、財形貯蓄をしようとしますと、財形貯蓄は天引き貯蓄であるために種々の問題が生じるというふうに思います。例えば海外転勤に伴い現地の会社に出向するような形をとる場合など海外勤務により勤務先が変わるというケースも多く出てくると思いますけれども、その場合、財形の一般、年金、住宅、それぞれの貯蓄は積み立て継続できるんでしょうか。
#104
○政府委員(廣見和夫君) 今先生御指摘のとおり、海外に勤務されるような状況になりましたときには、財形貯蓄が基本的には天引き預入が前提になっているという関係から必ずしも財形貯蓄ができないというような形になる場合も出てまいります。
 具体的に申し上げれば、海外に行きました場合でも引き続き国内の企業と雇用関係を維持して、天引き預入の対象となる賃金が国内で支払われている、こういう場合を考えてみますと、財形貯蓄契約は引き続き存続することができる、こういうことになってくるわけでございます。したがいまして、転勤の場合、それから出向のうちの在籍出向というような形で国内で賃金が一部でも支払われている場合には積み立てが継続してできる、こういうことになろうかと思います。ただ、転籍出向というような形になってまいりますと、今申し上げました天引き預入という関係から積み立ては継続できないと、こんな形になってくるわけでございます。
 それから、非課税貯蓄であります財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄につきましては、租税特別措置法の規定がございまして積み立て継続はできないということになっておりますが、一定の手続をとりますと海外に行っております期間、最大限五年間非課税のままその貯蓄を据え置くことができる、こういう措置が講じられることになっておるところでございます。
#105
○木庭健太郎君 次にちょっとまたお聞きしますけれども、帰国後の住居を購入しようとする場合など、海外勤務者が日本国内の住居を購入しようとする場合に財形融資を受けることができるのかどうか。また、現地で子供の進学のために融資を受けたい場合はどうなるか。もう一点、父親が海外勤務で子供が日本国内の大学に入ろうとする場合はどうなのかというのをちょっと教えてください。
#106
○政府委員(廣見和夫君) 今のお尋ねのそれぞれのケースでございますが、海外勤務者でありましても、国内企業と雇用関係があるというふうに考えられますと、基本的には財形法は適用される、こういうふうに考えられるところでございます。これは考え方の原則でございます。ただ、現実に海外に居住しているということによりまして融資の要件を満たさないという現実が出てまいりまして、そういう意味では結果としてはそういったような住宅の融資は利用できなくなる、こういうことになってくると考えられるわけでございます。
 それから財形持ち家融資につきまして、資金交付時点において取得した住宅に居住していることが必要だと、これが原則に現在のところなっておりますので、今申し上げましたように、海外勤務期間中はそういう持ち家はできないということでございます。それからまた、事務手続上、持ち家取得の場合につきましては建築確認などの問題がございます。こういうものは地方公共団体に委託しているということからやはり現実には利用できない、こういうことになってくるわけでございます。
 もう一つお尋ねの進学融資におきまして、海外勤務中の勤労者の方がそのお子さんの国内での進学に融資が利用できないかというようなケースでございますが、こういう場合は、国内で国内の教育施設に行くということであれば手続上の問題はなく、国内の場合と同様に利用できるのではなかろうかということになるわけでございます。ただ、海外勤務中にそのお子様が現地の学校に入られたということになってまいりますと、現在の進学融資の対象は学校教育法に定める教育施設等に限られておりますので、現実には進学融資の利用はできないと、このような形になってくるわけでございます。
#107
○木庭健太郎君 海外勤務する場合、当然赴任国と我が国とは税制が異なっておりますから、財形貯蓄の利子課税についても問題が生ずるところと思いますけれども、特に非課税の年金、住宅貯蓄の場合の現地の利子課税の扱い、どんなふうになるのか。大蔵省の方来られていましたか。よろしくお願いします。
#108
○説明員(黒田東彦君) ただいまの御質問の件についてお答えいたします。
 御案内のとおり、国際課税の大原則と申しますのは、国籍によって課税を区別するのではなくて、居住者制によって課税の区別をする、こういうふうになっているわけでございます。したがいまして、日本人でありましてもアメリカ人でありましても、日本に居住しておられますと日本の所得税の課税が第一義的になるわけでございます。
 と申しますのは、日本に居住しておられる日本人ないしアメリカ人の方の全世界所得が課税の対象になりまして、例えばアメリカで一部所得が生じておるといった場合に、アメリカにおいて非居住者課税がなされておりますと、その部分を日本で税額控除するという形で二重課税の排除はなされるわけでございますが、あくまでも居住地国において国籍のいかんを問わず全世界所得について課税される、こういう形になっておるわけでございます。
 逆の場合も同じでございまして、日本人の方がアメリカに行っておりましても、アメリカ人の方がアメリカにおりましても、アメリカの居住者ということでアメリカの所得税がその方の全世界所得に対してかかります。そして仮にその日本人の方が日本で一部利子所得があったといたしますと、その利子所得について日本で課税が行われますと、その部分はアメリカで税額控除できますし、日本で課税されておりませんですと、そういう税額控除が全然なされないということで、いずれにいたしましても、アメリカにおいて日本人の方も居住者として全世界所得に対して適切な課税が行われる、こういう形になっておるわけでございます。
#109
○木庭健太郎君 今おっしゃったみたいに、二重課税防止の観点から、いわゆる所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約、通称租税条約ですね、これは二国間で結んでおりますけれども、現在三十六カ国と聞いております。そういう財形貯蓄の二重課税の防止ということを考えていくと、条約の締結国をさらにふやしていくということが必要なんじゃないか、現在三十六カ国ですから。これから日本人ももっともっといろんなところで働く部分がふえてくるわけですから、そういうことが必要だと思います。
 その点について外務省の方どう考えていらっしゃるのかというのと、その内容についてもできれば勤労者の利益に資するような形のものをぜひやっていくようにしなくちゃいけないと思っているんですけれども、これについては大蔵省の方からお答え願いたいと思います。
#110
○説明員(西田芳弘君) 今御指摘の租税条約につきましては、国際的な二重課税を排除すること、すなわち経済的交流でございますとか人的交流の促進に当たって一つの障害になりますところの、今問題になっております国際的二重課税を除去することによりまして、資本でございますとか物資あるいは人的資源の円滑な交流のための素地をつくるということを目的とするものでありまして、我が国はこれまでにこの趣旨に沿いまして、御指摘のとおり三十六カ国との間で条約の締結を行ってきている次第でございます。
 今後とも各国との間の交流の円滑化に資するために、引き続き関係諸国との課税権の調整を図るべく諸外国との間で租税条約の枠組みの設定、整備に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#111
○説明員(黒田東彦君) 先ほど労働省の方から御説明がございましたとおり、現行制度のもとでも
非居住者となりました海外勤務者につきましては、一定期間、最大五年でございますが、一定期間内で帰国して国内勤務者となることが予想される者につきましては、それまで積み立てられた財形住宅あるいは年金貯蓄残高をそのまま継続して非課税とする例外措置が講じられているわけでございます。したがいまして、そういう形で仮に我が国で非課税となっておる利子があったといたしますと、それにつきましては実はアメリカの側で課税が行われる、こういうことになるわけでございます。
 仮にそういうことではなくて課税になっておる利子であったといたしますと、先ほど申し上げましたとおり、アメリカの方での課税が行われるわけですが、日本で課税された部分は二重課税の防止という観点から税額控除がなされるという形になっておりまして、こういった租税条約、当然できる限り広げていくべきものと考えておりますけれども、その原則は今申し上げたような原則で、国籍ということではなくて居住者であるかどうかということで課税を決めるという原則に従って考えてまいりたいというふうに思っております。
#112
○木庭健太郎君 大蔵省、外務省の方、ありがとうございました。
 大臣、今わざと長々とちょっと聞いていただいたんですけれども、なかなか海外に行っちゃうと突然継続できなかったり、融資制度も使えない部分がいろいろ出たり、さまざま問題点があるんですよ。要望も随分これについては出されていますけれども、今度は国内と国外でも差が出るんですよ、同じ勤労者でありながら。これは勤労者としてはたまらないと思いますよ。海外勤務、転勤になった、海外に行ったら何もできぬようになる。これはいろんな意味で不都合も出てくると思いますし、そういった意味ではこの問題については、融資制度の利用の問題についても継続の問題についても、改善に向けていろいろ検討をしておかなくちゃいけない問題だと思うんですけれども、この点について大臣の御決意を。
#113
○国務大臣(小里貞利君) 御指摘のように、海外勤務者は年々微増いたしてまいってきております。なおまた、昨年の十二月の財産形成審議会の建議におきましても、貯蓄、融資、両制度について根本的に検討すべし、そういう答申の一項もございます。また、先生のただいまの御指摘の趣旨もよく理解できるところでございまして、これから前向きで検討させていただきたい、かように考えております。
#114
○木庭健太郎君 それでは、共同社宅用住宅融資制度の問題で何点かお聞きします。
 先ほどこの制度の趣旨についてお話しになられました。大都市圏、非常に土地が高騰しているから緊急に対処すべきものだ、良質な低廉な住宅を提供する、将来的には持ち家取得につなげる過程なんだというようなことを先ほどこの趣旨についておっしゃったと思うんです。
 ただ、この制度によって社宅に勤労者が入居する場合を考えると、事業主の家賃負担分を除いた勤労者自身の負担額が、衆議院のこれ御答弁だと思うんですけれども、九万円から十一万円というふうにお聞きしたんですが、何かえらい高いなと思いまして、これで一体、大体金額自体も高いんですけれども、将来的に持ち家を取得することが可能になるというのが私は全然理解できないんです。この点についてどんなふうに考えていらっしゃるのか、お伺いします。
#115
○政府委員(廣見和夫君) 今、先生がお話しの家賃九万円から十一万円程度というお話でございますが、これは共同社宅用住宅をつくって、それを借り受ける事業主の方がどの程度の家賃が考えられるのかということで、東京都下におきまして標準的な住宅を想定し、いろいろ条件によって違うわけでございます、一つのケースとして仮定をいたしまして計算して、そのときに事業主の家賃補助が最低限でございます三分の一ということを前提にして考えてみますと、勤労者の支払う家賃は九万円から十一万円というものが一つの計算で出されてくるということで我々が試算したものでございます。
 ただ、これは今申し上げましたように、前提の置き方、土地の状況あるいは広さ、立地条件、いろいろ違うわけでございます。そういうことによっても違いますし、また事業主の負担する程度、これによっても異なってまいります。そういうことで、今申し上げましたような一応の前提を置いてお示しした試算額というものでございます。
#116
○木庭健太郎君 いずれにしても共同社宅というのは中小企業に向けたやつだと聞いているんですよね。中小企業ということは大企業より賃金が安いですわね、どう考えても。それでこんな値段出されたんだったら、モデルケースとおっしゃったんですけれども、私は全然納得できない。これは全国のあれですから比較にはならないかもしれませんけれども、昭和六十二年七月ですか、日経連の賃金労務管理部が社宅の使用料みたいなものを、自社保有社宅の場合ですよね、出していらっしゃいます。これを見ると、全国ですから安いのかもしれませんけれども、三DKで八千二百三円なんですよね。余りの違いというか、これじゃ全然建てる意味がなくなってくるような気もいたします。ですから、例えばこれ建てるときの問題になってまいりますけれども、一つは、今国の方で遊休地の公共用地の調査もなさっていますが、労働省として土地取得のときが一番大変な問題になると思うんです。そういう点も何か検討されて、労働省の方でも少し手は打とうというようなお考えはあるんでしょうか。
#117
○政府委員(廣見和夫君) 今先生お話しのように、この共同社宅用住宅の融資制度のかぎは土地の問題にあるというふうに私どもも考えております。ただ、この構想はまさに融資制度ということでございまして、基本的には共同社宅の建設主体が自主的に手当てをしていただかなければならないものではなかろうかと、こう思っております。しかしながら、大都市圏におきます土地の問題、こういったような実情を考えてみますと、建設主体として想定されますところもなかなか用地を確保することが困難であるという事情もあるわけでございます。そういうことも予想されるところでございますので、こういったような制度ができましたときには、この運用に当たりまして私ども労働省、あるいは融資を行う立場にございます雇用促進事業団あるいは建設主体、さらに幅広い関係方面とも密接な連携を図って運用に意を用いてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#118
○木庭健太郎君 今言われたように細かい配慮もしていただきたいんですけれども、融資利率の問題なんですが、現在考えていらっしゃるのは年六・四三%で変動金利制をとるというような話なんですけれども、例えばこれを財形持ち家分譲融資と同様に利子補給を行って五・五%の利率というようなことは考えられないのか、あるいは思い切って長期低金利というようなことも考えられないかどうか、この点お伺いします。
#119
○政府委員(廣見和夫君) 共同社宅用住宅融資の利率の問題でございますが、今先生お話しのとおり、私どもといたしますと、基本的には財形融資制度の中で運用してまいりますので、その基本的金利である調達金利を基本として運用してまいりたい、このように現在のところ考えております。現在の財形の調達金利六・四三%でございますので、これも変動するわけでございますが、そういうことを基本として考えております。
 これは我が国におきます社宅関係融資、ほかにもあるわけでございまして、例えば住宅金融公庫の産業労働者住宅融資あるいはまた年金福祉事業団の住宅融資、これにおきましても社宅関係の融資が行われておるわけでございますが、これらも利子補給等によって金利を引き下げる措置は行われておらないという状況になっておりまして、我が国全体の住宅関係金利のバランスという問題もございます。そういう意味では、現実の問題として調達金利よりさらに引き下げた形で運用していくということはなかなか難しいと、このように考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
#120
○木庭健太郎君 しかし、何か思い切ってやらないと、本当にこれちょっと高過ぎて、せっかく制度をつくっても魂がないことになるんじゃないかと心配いたします。ただ、確かにこういった一つの大きな制度に取り組まれるということについては、制度自体は私は非常に評価しておるんです。
 ただ、やる場所が三大都市圏というのが非常に私は不満でございまして、私が住んでおるのは福岡でございますけれども、余り変わらない状況ですし、まず三大都市圏でスタートさせることを御理解いただきたいと局長おっしゃいましたが、今年度はそういう形でしょうがないにしても、形としてはやはり、大臣のお住みになっている鹿児島でございますけれども、鹿児島県総体は安いかもしれませんが、鹿児島市というのは高いですよね。家賃それから住居というのは非常に、土地が少ないから物すごく高い。だから細かい配慮をしていかないといけないと思うんですよね。
 私は今年度からすぐやれとは言いません、それは。ただ、課題としてきちんと三大都市圏から今後いろいろ検討していって、三大都市圏と同じような状況にあるところには広げていくという気持ちを持ってやらないと、いつも何か言うと三大都市圏、こんなばかな話はないですよ。地方軽視も甚だしいと私は思います。そういった意味で、大臣ぜひ将来の課題としてきちんとこのことは考えていくということを御答弁いただきたいと思います。
#121
○国務大臣(小里貞利君) 先生の御発言の趣旨はよく理解できるところでございます。
 今次のスタートにおきましては、先ほど御説明申し上げましたような原点でやらせていただきますが、今後十分検討の課題とさせていただきたいと思います。
#122
○木庭健太郎君 まあ、検討の課題ですか。大臣が先ほどより踏み込んで言っていただいたと理解してよしとしまして、最後に、今回の社宅融資制度というのを考えたときに、もちろん持ち家ということを基本にやることは非常に大事なことですけれども、社宅融資制度を創設しても実際どれだけ持ち家取得が可能になるかということについては疑問な面もございます。他方、住宅取得のためにどれだけ有効な施策がとり得るかということを考えると、実効性、即効性のある施策というのはなかなか難しいというのも現状だと思うんですよね。したがって、少なくとも現状においては持ち家取得というのはだんだん難しくなっているということも一面私たちは認識しなくちゃいけないと思っております。
 ですから、単に持ち家だけの問題じゃなくて、賃貸住宅に対する援助制度の充実というのも非常に必要になってくると思うんでございます。この点において、財形制度についても賃貸住宅についての援助を何らかの形でさらに拡大していく必要があるんではないか。一つの考えはもちろん持ち家制度は基本的にやっていくけれども、それだけで実際足りない部分がというか、もう現実不可能な部分もあるわけですから、その辺についても拡充する必要があると思うんですが、この点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#123
○政府委員(清水傳雄君) 財形制度におきます融資につきましては、勤労者の計画的な財産形成に資するものである、こういうことが事柄の性格上要請されるわけでございまして、今回の共同社宅用住宅融資につきましても、形としては賃貸住宅、しかしあくまでも財産形成を目的とする、こういうことで財形法の中に位置づけをさせていただいておるわけでございまして、そうした財産形成に結びつかない一般的な賃貸住宅に対する援助ということになりますれば、なかなかこの制度の枠組みの中にはまりにくい、こういう面を持つものでございまして、その点ひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思います。
#124
○沓脱タケ子君 労働白書によってみますと、各国、特に欧米諸国の住宅状況と比較をしてみまして、我が国の住宅というのは狭くて値段が高いということが端的にあらわれております。財形制度というのは勤労者の財産形成に寄与することを目的にして発足いたしました。特に個人の持ち家融資、それからマル優、つまり利子非課税制度、これが最大のメリットとして発足をしたわけです。ところが、もう既に論議をされておりますように、その後地価の高騰やマル優制度の廃止でいわゆるメリット、目玉が小さくなってきているというのがもう論議の過程で明確でございます。
 そういう立場で、いわゆる目玉であるべき持ち家個人融資状況を見てまいりますと、確かに予算の目標に対しての実績というのが急速に下がっているんですね。六十一年度のころには、予算目標が一万戸、ところが、実績率は二一%ですね。それから六十二年度は二万六千戸にふやしたところが、実績率というのは六・六%、六十三年度は七・五%、平成元年度でやっと一三・八%ということになっております。そういう実績を見ますと、予算の建設目標というか貸付目標に対して実績は大変少ない。だから平成二年度は予算目標も減らしたんですね。二万一千戸になったですね。
 こういうふうな実績から見まして、これは財形制度の発足当初の目的から考えますと、そういう実績、持ち家制度という点から見ますと、目標の達成が困難な条件というのが非常に大きくなってきているなというふうに思うんですね。逆に言いますと、それではその目標の達成をし、制度の維持発展のためには、そういう諸条件に対応して労働省としては一層の努力が迫られるのではないかという点が、財形制度について今日ただいままでの現況と今後の方向という点での問題点ではなかろうかと思いますが、簡単に大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#125
○国務大臣(小里貞利君) 先生も御発言の中でお触れいただきましたように、勤労者財産形成促進制度が発足いたしまして大方二十年。その間に環境条件あるいは情勢の変化もございまして、御承知のとおり、六回にわたりましてそのような変化あるいは新しいニーズにこたえるために逐次対応措置をとってきたんだろう、そういうふうに考えるところでございます。途中でまた、ただいま先生も予算に対してその消化率が低い、そういう起伏もあったというお話でございますが、今お尋ねの途中で事務局にちょっと聞いてみますと、なるほどそのような大枠の変更等もあったという説明でございます。細やかな数値が必要であれば後ほど御説明申し上げることにいたしますが、そういう一つの制度といたしまして、情勢の変化に対応し相互に切磋琢磨しながら今日に来たんだろう、さように思います。
 しかしながらまた、現段階におきましても必ずしもこれが十分なものではない、できる限り修正をいたしまして勤労者のニーズに、そしてまた本制度の発足の目的にかなうようにしなけりゃならぬ、そういう気持ちで今回も相談を申し上げておるところでございます。
 今回は、先ほど申し上げましたように、高齢化あるいは教育費の増大、あるいはまた持ち家取得がますますこういう大都市圏におきましては困難になってきたということで、新たな一つの答えを出そうといたしておるわけでございますが、私ども自身、これが必ずしも完全無欠なものであるとは気負っていないわけでございまして、いろいろとまた御指摘をいただきながら今後ともこの制度を取り巻く諸情勢あるいは勤労者のニーズの変化に対応できるような財形制度となるよう努めてまいらなけりゃならぬ、かように考えておるところでございます。
#126
○沓脱タケ子君 それで、ちょっと具体的にお伺いをしておきたいと思うんです。
 既に各委員からも御指摘がありましたが、一番大事な点だから重ねてお伺いをしておきたいんですが、一般財形がマル優廃止になったというのはやはり大問題だと思うんですね。財形制度の中に一般財形というものが位置づけられる限りは、マル優制度を当然行うべきだと思うんです。
 もう一つは、御指摘があって既に労働省、大臣の御見解を伺ったところでございますが、いわゆる非課税限度額の現行の五百万円をせめて一千万円に引き上げるということですね。これは労働省
から大蔵省に改正についての御要望をされたようですけれども、実現をしなかったという経過は存じ上げております。これは一番問題点だなと思うんです。
 先ほどからもお話がございましたが、そうは言うても貯蓄高が百万に満たないという御意見、それは平均はそうでしょうね。私はそうだと思いますが、もう少し細かく見る必要があるんじゃないか。細かく見ますと、財形年金貯蓄の残高が四百万から五百万の者の割合というのが、平成二年で見てみますと、金融機関からのヒアリングのようですが、六十歳以上が三一・六九%になっていますね。これはやはりニーズがあるという証拠ですね。それから、財形住宅貯蓄の残高が四百万から五百万の者というのが、三年以内に住宅の建設、購入計画のある世帯というところでは二一%になっているんですね。こういう全加入者の平均が百万を下回っている、しかし実際にニーズを持っている層では四百万から五百万ぎりぎりまできている人たちの割合というのがかなり高いという点が端的に示しているように、五百万円の限度額を一千万に引き上げるということ、これは大変切実ではないかと思います。
 そういう点では、実現のために、決意のほどは伺っておりますけれども、重ねてその点はぜひ御努力を要請したいと思います。一言伺っておきたいと思います。
#127
○国務大臣(小里貞利君) 本件につきましては、先生も先ほどからお聞きいただいておりまするように、各方面から強い要請が出てまいっております。殊に、加えまして沓脱先生からもただいま力強い激励もございましたから、これが一段落いたしましたなれば可能な限り早い時期に、しかもこの問題は、私の感覚で察するところ、かなり高度な政治折衝を要する問題だなと、そう思っております。それだけに事務当局とよく協議をいたしまして、私も腰を据えて、積極的に大蔵当局にも啓発、そしてまた要請、交渉をいたさなけりゃならぬ、かように考えておるところでございます。
#128
○沓脱タケ子君 御決意のほどを伺いましたので、ぜひ実現方を強くお願いをいたします。
 次に参りますが、論議の中で出ておりますように、中小企業対策も非常に大事ですね。中小企業の労働者というのは賃金も低いですし、福利厚生面でも恵まれていない。だから、別の法律をわざわざつくらなきゃならないという状況になっておるのが実情でございます。ここにどのように光を当てていくかというのが労働行政の中では非常に大きな課題であろうと思います。本制度も中小企業の加入率が低いという点は先ほどもお話の中に出ておりましたから、私あえて数字等には触れませんけれども、そういう点では中小企業の加入率の低いところをどのように引き上げていくか、普及を促進していくための努力をするかという問題、これが大事だと思うんです。これが一点です。
 それからもう一つは、中小企業の労働者への融資条件の緩和、これが大事ではないかと思うんですよね。この普及促進に寄与できる条件として、融資条件の緩和というのが大事だと思う。現在、六百二十万まで五・五%のようですね。だけど、六百二十万ではとてもじゃないけれども家は建たないわけですね。この枠の引き上げ等を含めて改善をする必要があるのではないかと思いますので、この二点についてひとつお伺いをしたいと思います。
#129
○政府委員(清水傳雄君) 先ほども御答弁申し上げましたように、財形制度の普及状況につきまして規模別に見ますと、貯蓄制度、融資制度、給付金、基金制度、いずれも規模間に格差がございまして、中小企業に対する普及促進は、私どもといたしましても非常に重要な課題であると考えております。これらについて具体的な施策といたしましては、御承知の事柄でもございますが、持ち家融資制度につきまして、中小企業勤労者についての特別の利子補給制度を設けておりますし、また給付金、基金制度を導入いたします中小企業に対しましては、助成金制度を設けております。
 また、六十二年から中小企業団体を通じました財形制度の普及促進事業というのを実施いたしまして、中小企業団体に指導員を張りつけまして、この制度の普及促進に努めていると、こういうことでございます。
 さらに、額の問題につきましては、御指摘がございましたが、今般、利子補給限度額の引き上げも予算措置として講じたわけでございますし、また、この共同社宅用住宅も中小企業を重点として運用していくということにいたしておりますし、給付金、基金制度の受益者要件につきましても緩和を図る、財形助成金の助成率の見直しも行う、こうした一連の措置を今般の改善の中でも講ずることといたしておるわけでございまして、こうしたことによってさらに一層促進方を図ってまいることといたしておりますが、さらにまだまだもっとやるべきことが、これはさらに知恵を出してその普及促進方についての検討をより一層深めてまいりたいと、このように思います。
#130
○沓脱タケ子君 それで、今論議になっております共同社宅用住宅ですね。これは多くを聞く時間がありませんので、ちょっと気になるところだけ聞いておきたいんですが、中小企業対策ということになりますと、転職とかおやめになるとかという方々、割合動きが激しいですね。そういう場合に、転職をしたらその住宅から出ていかなきゃならなのですか。その辺のところはどうなんですか。非常に不安だなと思うんですがね。
#131
○政府委員(廣見和夫君) 今のお尋ねの件でございますが、共同社宅用住宅ということで、複数、多くの事業主の方に共同して貸す、こういうことを中心には考えておるわけでございますが、ただ、基本的には事業主からその雇用する勤労者の方に対する社宅と、こういうことになりますので、それが急に起こったような場合に対する一定の配慮は当然でございますが、転職の場合は一定の時期にかわっていただかざるを得ないと、こういう面があろうかと思います。
#132
○沓脱タケ子君 今の共同社宅用住宅、せっかく入ったけれども仕事変わったら出ていかなきゃならなということになると少しも安定しないんで、その辺は問題だなと思いますがね。
 最後に、一つ伺っておきたいのは、財形業務を扱っている雇用促進事業団について若干お伺いいたしたい。
 雇用促進事業団は大分大きいですね、職員数五千百名に上る大きな特殊法人であります。理事が八名、理事長は労働省事務次官が天下りをする。副理事長以下六名の理事全員が労働省のOB、一名の理事は大蔵官僚OB、この構成はずっと一貫して変わっておらないようであります。月給もなかなかいいですね。労働白書の大卒の管理職の月給等と比較しましても大分よいと思います。
 余り時間がないから事細かには申し上げませんけれども、やめてそっちへ行った方が月給は上がるのと違いますかね。もっと驚きましたのは、退職金ですね。労働省からいただいた資料によりますと、この退職金の金額というのは、一般の労働者の退職金と大分かけ離れ過ぎているな、大分優遇されているなというのが一目瞭然であります。これは労働省の退職金支給実態調査という、昭和六十年の資料ですからちょっと古いんですけれども、大卒の管理職が企業で平均三十年から三十四年の勤続で二千七十四万円です、退職金が。二十五年から二十九年の方が千六百四十万。大企業がそれよりちょっとまだよいですね。
 ところが、雇用促進事業団の退職理事への退職金の支給状況を見ますと、平成二年では四年で千五百七十三万五千円。それから昭和六十三年では四年で千四百二十三万九千円。六十三年、これは六年の理事ですよ、六年で二千百三十五万八千円ということになっておりますので、大体大企業でも二千二百万というのは三十年から三十四年です、大卒の。わずか四、五年の勤続で三十年近く勤続した同じ大卒の労働者とほぼ同額の退職金が支払われるというのは、ちょっとだれが考えても不合理で、労働者の福祉の増進をするという目的を持っている労働省の高級官僚が率先して福祉を我が物にしているような、福祉の増進を我が物にし
ているというか、甘い汁を吸っていると言われてもしようがないんじゃないかな。これは労働省だけじゃないということを百も承知の上で申し上げています。
 ですから大臣、こういう労働者の持ち家制度をどうするか、なかなか条件変わったら家も持てない、あるいは年金積み立てでもできない、あるいは五百万超したらマル優制度も適用されないという細かい話をしているのに、それをやっている事業団の幹部は、四年か五年おったら千五百万も二千万も退職金をもらってぬくぬくしているというのは、国民の目から見ますと不合理だなと、何とか改める必要があるんじゃないかということを痛切に感じますが、役員等につきましても、従来からこれは閣議決定でも言われておりますから、ひとつ内部登用などを図るとかということも含めまして、国民的な批判を受けない間に改める必要があるのではないかと私思いますが、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#133
○国務大臣(小里貞利君) 前段につきましては私の方から答弁申し上げまして、後段の方は局長の方から御答弁申し上げます。
 まず、いわゆる事業団の役職員の登用問題でございますが、これは事業団の業務を有効適切に推進する、こういう観点から民間人を含めまして本来幅広く有能な人材を確保してまいっておる、こういうことでございまして、一応御理解いただきたいと思う次第でございます。
 なお、また特に事業団の業務は、御承知のとおり労働行政と密接不可分の関係を持っておるわけでございますから、労働行政に関する専門的な知識あるいは経験、そういうようなものを有する者がある程度登用されることはやむを得ないのかなと、そういう感じがいたします。今後とも事業団の内外を問わず、業務の推進上必要な人材の登用が図られるように、これを原則といたしますが、ただし、先生ただいま御指摘のように、若干でも不透明な部分があるじゃないかと、あるいはまた中身として行き過ぎの点があるとすれば、それは謙虚に改めなけりゃならぬと思う次第でございます。
 なおまた、退職金云々のお話等もございましたが、その問題については局長から御答弁申し上げます。
#134
○政府委員(若林之矩君) 雇用促進事業団の役員の給与及び退職金でございますが、これは他の政府関係機関も同じでございますけれども、民間企業の役員の支給水準というものを考慮した上で退職金規程というものを定めているわけでございまして、それに基づいて支給をいたしております。したがいまして、民間のそういう関係での水準比較をやっているわけでございますので、民間と比較して特に高い水準になっているということはないと私どもは考えております。
#135
○沓脱タケ子君 もう時間がありませんから終わりますけれども、民間の役員と比べて高いと私は指摘しているんではないんです。一般の大卒の三十年勤続の人と比べて四年ぐらいで同等だというふうなことは果たしてよいのかということを申し上げているんです。
 終わります。
#136
○乾晴美君 お願いいたします。
 私も財形の住宅、年金貯蓄の非課税限度額について、皆さん委員の方それぞれおっしゃいましたけれども、重要だからお聞きしてみたいと思います。
 これは昭和四十九年以来据え置かれておったというんで、大蔵省にお伺いしてみたいと思います。この十七年間据え置かれてきたその具体的な理由は何なのか、お教えいただきたいと思います。
#137
○説明員(黒田東彦君) 御案内のとおり、財形住宅、年金貯蓄非課税制度は、障害者あるいは老人の方の三百万円までの非課税といったものを除きますと、一般の預貯金利子につきましては原則課税となっておるわけでございまして、その中にありまして、勤労者に限って住宅貯蓄及び年金貯蓄について特に元本五百万円までの利子を非課税とするというものでございまして、私どもといたしましては勤労者に対して十分配慮しておるものというふうに考えております。
 この非課税限度額をさらに引き上げるということにつきましては、このような利子の非課税制度を利用できない者とのバランスということを考えますと、このバランスがなくなってくるということにもなりかねないということに留意する必要があるのではないかというふうに感じております。
#138
○乾晴美君 十七年間なぜ置いておったかという、その具体的な理由はバランスの問題だと、こういうことなんでしょうか。一般のマル優、今まで六十二年の九月まではマル優制度で三百万円までは非課税だったわけですね。それで五百万円を足していただいたら、八百万円は六十二年の九月までは非課税だったわけですね。それがなお十七年も来て五百万のままであるということは、物価上昇だとか地価の上昇だとかというようなことから考えると、非常にもう目減りしているということで、私も一千万円ぐらいまでは引き上げなければならないということは緊急の課題だと思っていますけれども、大蔵省としての考え方をお願いいたします。
#139
○説明員(黒田東彦君) ただいま委員から御指摘ございましたとおり、一般のいわゆるマル優あるいは一般の郵便貯金の非課税という制度は抜本的に改められまして、昭和六十二年に基本的に廃止をされまして、他方、そのときまでございました三百万円までの非課税というものを老人の方あるいは身体障害者の方等に限って認めるという形に改め、原則的に利子は課税ということでまいっているわけでございます。そうした中で、この五百万円の財形貯蓄が現在も維持されておるということを御理解いただきたいというふうに思っております。
#140
○乾晴美君 一番初めにこの財形貯蓄の利子非課税の措置が創設された昭和四十七年は百万円だったわけですね。それが二年後の四十九年に五百万と、いわゆる五倍になったわけですね。それはどういう理由から五百万になったんでしょうか。
#141
○説明員(黒田東彦君) 私ども承知しておりますところによりますと、先ほど申し上げましたような一般の少額貯蓄の非課税制度というものがあったわけでございまして、それが昭和四十九年までは百五十万円でございました。それが二倍に引き上げられて、そのときに三百万円になったわけでございます。そのとき、同じく財形貯蓄につきまして、今委員御指摘のとおり百万円であったわけでございますが、これが五百万円に引き上げられて現在に至っておるということでございます。
 ただし、先ほど申し上げたことを繰り返して恐縮でございますが、一般のマル優制度というのは六十二年に廃止になりまして、老人等に対する少額貯蓄非課税制度という限定された形で残っておる。他方、この財形貯蓄制度は基本的に五百万円ということで現在に至っておるということでございます。
#142
○乾晴美君 それでは、財形制度のメリットでもあるこの利子の非課税制度を利用できない人とのバランスの問題だということを先ほどもおっしゃったわけですけれども、制度を利用できない人々というのはどういう人々を言うのでしょうか。大蔵省にお願いします。
#143
○説明員(黒田東彦君) 制度を利用できない方と申しますと、まさにこの制度に要件が記されておるわけでございまして、そこに当たらない方ということになろうと思いますので、いろいろな方がおられると思いますが、例えば自営業者のように財形法上の勤労者に該当しない方あるいは財形住宅、年金貯蓄を扱っていない勤務先に雇用されている勤労者の方、あるいは財形住宅、年金貯蓄を行う余裕のない勤労者の方といった方が想定されようかと思います。
#144
○乾晴美君 これを利用したくても利用できない人と、また利用できても利用しない人と二通りあると思うんですけれども、これは分けて考えなきゃいけないと思います。利用できない人々に対しては、制度の欠陥があるならばそれを改善していくという努力も必要だと思いますし、利用しな
い人に対してはさらにPRなどの行政からの努力が求められると思うわけなんですが、特に中小企業の勤労者に対しては加入促進のための努力というのはどういうふうになっているんでしょうか。
#145
○政府委員(清水傳雄君) 財形貯蓄制度を導入していない中小企業の事業主あるいは制度を利用していない勤労者、いずれにいたしましても、財形制度の普及促進を図るということが施策の根幹になるわけでございます。
 この制度を運用いたしております雇用促進事業団、またその出先としての雇用促進センターを中心にいたしまして相談員を配置し、リーフレット、パンフレット等のPR資料は無論のこと、全国主要都市で各般の説明会を開催いたしまして、事業団を通じまして周知を図っておりますし、さらに、先ほどもお答え申し上げましたように、特に中小企業につきまして、都道府県の中小企業労務改善団体連合会に事業を委託いたしまして、その構成員である中小企業集団の傘下企業に対してそれぞれの集団に普及指導員を配置し、これらの方々によって普及促進業務を行わせる、こうした一連の措置を講じまして導入に努めているところでございます。
#146
○乾晴美君 平均貯蓄額なんかも百万円未満ということで非常に低いということは、これは制度自体に魅力がないのではないかというふうに思われますので、税制とか財政面からも優遇措置ということが十分なされるようにお願いしたいというように思います。
 その次に、持ち家分譲融資を受けるということの話の方に持っていきたいと思うんですが、持ち家分譲融資を受ける、そしてあなたにはお貸ししますという決定から現金支給までの期間が非常に長過ぎるんだそうです。一カ月から一カ月半、長いときは二カ月もかかるというようなわけなんです。そのときにつなぎ融資をよそから受けなきゃならぬということが現実にあるらしくて、そのときの利子も大変なものなので、この決定から支給までの期間を短くしていただけないかという声も聞かれるんですが、いかがでしょうか。
#147
○説明員(澤田陽太郎君) 財形融資につきまして、決定から資金交付までの期間が長いという御指摘ですが、類似の公的制度と比べまして特段長いということにはなっておりません。
 それから、つなぎ融資の件でございますが、これは他の公的融資に比べまして財形融資制度が後発であるというところから、若干資金交付を受ける前に所要資金を納付することを求められるケースが財形融資についてはございます。この場合に勤労者としてはつなぎ融資が若干必要になるわけですが、私どもとしては、財形融資制度の知名度をさらに高め、その信用力を高める努力をして、他の公的融資と同様つなぎ融資を求められるケースがなるべく少なくなるように努力してまいりたい、かように考えております。
#148
○乾晴美君 それでは、次に財形の進学融資の問題について聞いてみたいと思うんですけれども、進学融資からいわゆる教育融資というふうに変えられたということは非常に私は評価したいというように思うわけなんですが、この融資の対象範囲についてお伺いしたいと思います。
 勤労者本人またはその子弟の海外留学費用というか、そういうものには融資可能なんでしょうか。
#149
○政府委員(廣見和夫君) 今お尋ねのケースでございますが、勤労者のお子様が海外の方に留学されるということにつきましては、現在は学校教育法による教育施設等に限定しておりますので、現実の問題とすれば海外留学の場合は融資を受けることができない、このようなことになろうかと思います。
#150
○乾晴美君 それでは、電話とか家電製品など生活必需品というか、そういうものを購入したような場合はいかがでしょうか。
#151
○政府委員(廣見和夫君) 現在、財形制度のもとにおきます進学融資につきましては、進学に必要な費用となっておりますが、これを今回教育に必要な費用に拡大いたしまして在学中の諸費用も融資対象に含める、このように制度改善を図りたいと考えておるところでございます。ただ、このきに、教育を受けるために必要な費用、これにつきまして融資をする、こういう考え方でございすので、具体的に三点に絞って考えております。
 一つは、教育を受けること自体の費用。具体的には、例えば授業料あるいは学校に納めます施設整備費、こういったような資金、これは教育を受けること自体の費用でございます。それからもう一つは、教育を受けることに必然的に必要になってくる費用。具体的には通学費でございまして、これは当然必要になる。これから三つ目は、教育を受けるためにどうしても住居を転じなければならない、こういう場合には下宿代がどうしても必要になってくるということでございますので、この下宿代も対象に含める、このように考えております。
 ただ、今先生お尋ねの家電製品あるいは電話の設置代、こういったようなものにつきましては、基本的にはそういったようなものは教育を受けるために必要な費用、すなわち教育に必然的に伴ってくる費用には入りにくいのではなかろうかということから、それらにつきましては自己資金で対応をお願いすることが適当なのではなかろうか、このように考えております。
#152
○乾晴美君 もう電話なんかは必需品の中に入れられるのではないかというようにも思いますので、できるだけ対象範囲も拡大していくというようなことでよろしくお願いしたいと思います。
 その次に、勤労者本人の財形貯蓄の残高を担保にして、その残高の九割までを無利子にするというようなことで融資するということはできないでしょうか。
#153
○政府委員(廣見和夫君) 現在、財形制度の枠内におきましては、財産形成の促進に資するものを取り上げていく、こういう基本的な考え方になってございまして、その典型は持ち家のための融資ということでございますし、また教育は、無形の資産である教育あるいはまた教育には多額の費用がかかるので、勤労者の全体的な財産形成を促進するためには必要だ、こういうことからこれを現在の財形の融資制度の枠内で設けているところでございます。
 今、先生お尋ねのような小口の割合幅の広いような融資制度につきましては、財形融資という性格から直ちにはなかなか難しい面が多いのではないかなという感じがいたしております。
#154
○乾晴美君 次に、財形給付金、それから基金制度の改善ということでお伺いしたいと思うんです。
 この財形助成金制度を見直して、満期給付金の一括預け入れ制度を選択した中小零細企業主に対して支給される勤労者の財産形成助成金の助成率を引き上げるということが載っているわけなんです。これが零細企業であれば二〇%、小企業が一〇%、中企業では五%のものを、一括預け入れを選択した場合には、零細企業には三〇%、小企業には一五%、中企業には七%に引き上げてあげるというところは納得できるんですけれども、その下に、一括預け入れを選択しない事業主は、零細企業では一〇%になってしまう、それから小企業では五%、中企業では三%に減ってしまうと。今まであったよりかマイナスになってくるということは、これはちょっと、一括預け入れを選択した事業主を上げる分にはいいんですが.下げるものはいかがかなと思うんですが、どういうお考えでしょうか。
#155
○政府委員(廣見和夫君) 今お尋ねの件につきましては、財形給付金そのものが現在は事業主の方から給付されました満期給付金につきましては使途が全く自由にされているという点がございます。そういうことから財産形成ということとのつながりが必ずしも明らかでない点もございまして、その満期給付金を一括して財形貯蓄の中に預け入れることを原則としていったらいかがだろう、このようにしております。
 そういう一括預入制度をとったところについては、今先生まさにお話のございましたように、助成金の率を上げていこう、そういうところになる
べく持っていっていただきたい、こう考えておるわけでございます。
 ただ、一括して預け入れると申しましても、現実には、例えば一般財形貯蓄等に預け入れるということでございますと、先ほど来話も出ておりますように、一般財形貯蓄は使途自由という基本的な性格も持っておりますので、勤労者の方々にそう大きな不自由を強いることはないのではなかろうか、そういう意味では多くの事業主にこの一括制度を積極的に御利用いただくことができるのではないか、さして勤労者の方々の不便を伴わない形でできるのではないか、こう考えておりまして、そういう事業主に対しましては助成率を多くしていく、この方がより全体としては制度を積極的に活用していただける、こういうことにつながっていくのではなかろうか、こう考えておる次第でございます。
#156
○乾晴美君 それでは、次に建設省の方にちょっとお伺いしたいんですが、借り上げ公共の賃貸住宅ですか、それを中堅勤労者等に賃貸するということなんですが、この中堅勤労者等というのはどういう人々のことを指しているんでしょうか。
#157
○説明員(上野公成君) 中堅勤労者でございますけれども、三大都市とそれからそれ以外とで区別してございまして、三大都市圏におきましては、これは具体的に市町村を決めてございますけれども、大体首都圏で言いますと一都三県の範囲でございます、茨城の一部等は入っておりますけれども。そこで収入分位が二五%から六〇%までということでございます。この収入分位につきましては、総務庁で貯蓄動向調査というのをやっておりまして、そこで十分位に分けてございますけれども、それを使っております。その他の地域につきましては収入分位が二五%から四〇%と、これを中堅勤労者ということで定めてございます。
#158
○乾晴美君 もう時間が参りましたので、大臣にお伺いしたいと思いますが、勤労者の年金、それから老後生活、持ち家はもちろんのこと、勤労者の総合的な福祉増進という観点からさらなる財形制度の改善に取り組んでいただきたいと思うわけですが、大臣の御決意をお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
#159
○国務大臣(小里貞利君) 幾つか問題点もお聞かせいただきながら御要請をいただきました。十分参考にさせていただきまして検討を進めてまいりたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
#160
○勝木健司君 それでは、質問させていただきます。
 財形法の改正法案につきましては、社会情勢あるいは勤労者のニーズの変化に対応する制度改善が織り込まれたことについては、私どもも評価をいたしております。しかし、年金、住宅貯蓄の限度額が据え置かれたこと、また住宅融資の融資限度額が据え置かれたこと、財形制度実施率が低い中小零細企業に対する対応方針が依然として明確にされていないことなど、多くの課題をまだ依然として残しております。
 特に、財形貯蓄の非課税限度額の五百万円は昭和四十九年に設定されたものでありますが、当時に比べますと、老後に必要な個人年金の原資も六二%増の一千百八十四万円、住宅購入の際の自己資金も二・五倍の九百十六万円必要と言われておりますので、現行の非課税限度額は社会の変化あるいは勤労者のニーズにこたえ得るものとなっていないのが実情であります。私は、これらの財形貯蓄者を救済するため限度額を引き上げるべきではないかと思うわけであります。
 そこで、まず大蔵省にお伺いをしたいと思いますが、せんだっての衆議院の社会労働委員会でも財形を利用できない人とのバランスを考慮しなければならないというふうに述べておられますが、財形貯蓄は事業主が実施することを決定しなければ、勤労者個々人の利用がしたくても利用できないシステムになっておるわけでありますので、この問題についてはどのように解決をするのかお伺いをしたいというふうに思います。
#161
○説明員(黒田東彦君) 財形住宅あるいは年金貯蓄非課税制度は、御案内のとおり、あくまでも一般の方々の預金の利子等につきましては原則課税というふうになっている中で、勤労者の方に限りまして住宅貯蓄及び年金貯蓄について特に元本五百万円までの利子を非課税とするという、いわば勤労者に対する特別な措置でございます。したがいまして、この制度の本来の趣旨から申し上げまして、あくまでも勤労者に対する優遇措置として位置づけられるべきものであるというふうに考えております。
 したがいまして、その結果、先ほども申し上げましたとおり、勤労者でない方であるとかあるいは勤労者でありましてもその勤務先でこの制度を運用しておられない企業であるとか、あるいはさらに勤労者であってしかもそういう制度がある勤務先でありましても本人の余裕がないということでできないという方等々、この制度のいわば特別措置と申しますか、優遇措置を活用できない方が本来的に存在するわけでございまして、もちろんそういうことを踏まえてなお勤労者のために特例措置として設けているわけでございますが、しかしそういうこの制度の活用ができない方もおられるということを考えておく必要がある。つまり、そういった方とのバランスということを勘案してこの限度額というのを定める必要があるというふうに考えているわけでございます。
#162
○勝木健司君 非課税制度は、本来少額の貯蓄を優遇するものであるということ、あるいはまた非課税措置は一定額まで認める、これを超えた場合まで認めることは適切でないというふうに大蔵省は衆議院の社労でも答弁をいたしておりますけれども、この財形制度がマル優枠とは別に財形貯蓄の非課税制度として今日まで認められました経過から考えますと、この制度は勤労者の財産形成に対する援助制度として理解していいのではないかというふうに思います。そういった意味では、必ずしも少額貯蓄に限定されるものではないというふうに理解するわけであります。この点について大蔵省はどのように考えておられるのか。
 それとまた、一定額とは現行五百万円となっておりますが、この五百万円を超えた場合大口貯蓄であるから認められないということなのか。そしてまた、この一定額というのは、貨幣価値が変わっていった段階では当然私どもは引き上げるべきであるというふうに考えるわけでありますが、どのように考えられておるのか、あわせて御説明いただきたいと思います。
#163
○説明員(黒田東彦君) 幾つか御質問があったと存じますけれども、この財産形成貯蓄非課税制度と申しますものは、もちろん五百万円という一定額で切られているわけでございます。この五百万円というものを少額と言うか言わないかということは、確かに委員御指摘のとおりいろいろ御議論があろうと思います。むしろ三百万円というのが従来から少額貯蓄非課税制度としてございまして、それが六十二年に一般的には廃止されたわけですけれども、老人等の方に限ってこの三百万円が少額貯蓄非課税制度として残っているというところから申し上げますと、五百万円というのはあるいは少額というのをやや超えておるのかもしれません。
 しかし、いずれにいたしましても、この制度は四十七年の一月から創設されまして、その際先ほどお話がございましたとおり百万円という限度額であったわけですが、四十九年度にこれが一挙に五百万円という、五倍という水準に達して今日に至っておるということでございます。少額という部分をやや上回っているかもしれませんが、しかしそうでありましたといたしましても、勤労者の方に限った制度でございますので、そこにはおのずから限度があるというふうに考えております。それをどんどん引き上げていきますと、先ほど申し上げましたとおり、勤労者の方とそうでないこの制度を利用できない方とのバランスという問題も起こってくるのではないかというふうに考えております。
 それから、五百万円を超えた場合には全体として認められないという点でございますが、これは
先ほど申し上げましたとおり、この制度は勤労者に限って五百万円までの貯蓄について非課税ということにしておるわけでございますので、それを超えるような貯蓄をされる方について五百万円以内は非課税にしますというものではないというふうに考えております。
 それから、もう一つ御指摘の貨幣価値が変わったときにどうかという点でございます。これは御指摘のとおり、ほかの事情にして同じであれば、確かに貨幣価値が変わったときにどう考えるべきかということは、限度額の議論について見直しを議論する場合には当然考慮すべき要因であろうかと思いますけれども、他方でその他もろもろの、例えばそもそも利子所得に対する課税がどういうものであるのかという問題あるいは一般の少額貯蓄、まあ今は一般というよりもむしろ老人等の方に限った少額貯蓄非課税制度でございますが、それとの関連、その他各種のこともあわせて考慮する必要がございますし、それから先ほど申し上げましたとおり、昭和四十九年に百万円から五倍の五百万円に引き上げられたという経緯も考慮する必要があろうかというふうに考えております。
#164
○勝木健司君 余り納得できませんけれども、昭和六十二年の十月施行されたこの所得税法の第五十一条の中で、明年度に利子所得のあり方については見直しを行うということでありますけれども、この利子所得の見直しに当たって総合課税に移行するのか否か、そしてこの場合財形貯蓄の扱いは一体どうするのか、大蔵省の対応をお聞きしたいというふうに思います。
#165
○説明員(黒田東彦君) ただいま委員御指摘のとおり、所得税法等の一部を改正する法律の附則におきまして、この法律つまり所得税法等の一部を改正する法律でございますが、「施行後五年を経過した場合において見直しを行う」、こういうふうになっております。これは課税貯蓄、非課税貯蓄含めての見直し規定だと思いますが、この法律が昭和六十二年の十月一日に施行されておりますし、利子課税の部分は六十三年の四月一日から実施されておるわけでございます。それから五年後と申しますと平成四年の十月一日あるいは平成五年の四月一日といった日付になろうかと思いますが、そういった施行後五年を経過した場合において見直すということにされておりますので、当然私どもといたしましてもこの規定の趣旨に従って適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
 その際、課税貯蓄と非課税貯蓄の関係ということが当然議論になろうかと思いますが、この課税貯蓄につきまして現在の源泉分離課税というシステムをとっていることは御案内のとおりでございます。
 総合課税ということになりますと、当然に非課税貯蓄を廃止して総合課税の対象にすべて取り入れるということが出てくるということではないと思います。かつて一応総合課税という形になっておりましたけれども、必ずしも実効が十分でなかった。それから、そういうもとではありましたけれども、総合課税のもとで少額貯蓄の非課税制度というのは存在しておったわけですので、総合課税かどうかということと非課税貯蓄が存在するかどうかということとは一義的には結びついていないというふうに思っておりますが、理屈といいますか思想といいますか、考え方から申しますと総合課税という考え方は、あらゆる所得を同じく扱う、利子所得であろうと事業所得であろうと給与所得であろうと同じように累進課税のもとに置く、あるいはどういう方であろうと利子所得を得た方については同じように総合課税のもとで累進課税を行うという考え方でございますので、そういう哲学と申しますか思想と申しますか、考え方を突き詰めてまいりますと、総合課税ということに純化いたしますと非課税貯蓄というのはいわば制度的におかしいという議論にもなり得るわけでございます。
 ただ、これは最初に申し上げましたとおり、制度自体として必ずそうなるというものではございません。総合課税の考え方をぎりぎりと突き詰めていきますと非課税貯蓄というのはその考え方に合わない面があるということかと思います。
#166
○勝木健司君 もう時間が余りありませんので、大蔵省御苦労さまです。私は哲学を聞いておるんじゃありませんで、来年度どうするのかということだけをお伺いしたかったわけでございます。
 次に、大臣にお尋ねをいたしたいというふうに思います。
 教育費用についての融資については一歩前進をしたというふうに私も思います。勤労者のライフサイクルにおきまして持ち家の取得と並んで教育費用、多額の出費が必要となる費用として教育費用があるわけでございます。これについても、融資については一歩前進をいたしておりますけれども、年金とか住宅貯蓄と同じように財形教育貯蓄、非課税貯蓄制度を設けるべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#167
○政府委員(廣見和夫君) 今先生お話しの教育貯蓄制度、教育についての非課税貯蓄制度はいかがかと、こういう御提案でございますが、財形貯蓄につきましては、勤労者に特有なあるいは勤労者に重要な問題につきまして、いろいろ制度的な対応をしていこうというのが基本的な考え方になっております。例えば持ち家の問題について見ますと、持ち家の比率と申しますか、こういうものは自営業種の層と比較いたしましても勤労者が低い。したがって、勤労者の生活にとって特に重要なので、そういったような面について配慮の必要がある、こういうことから制度がつくられているということでございます。
 教育という問題について考えてみますと、確かに勤労者の生活にとりまして大変多くの費用がかかる問題でございます。ただ、それではバランス論といたしまして、勤労者以外の例えば自営業者の方々と比べてみて子弟の進学率に差があるかどうか、そういったようなことについて特別の配慮を加えていく必要があるのかどうか、こういう政策論も出てまいりますので、特に勤労者の方だけを対象といたしまして非課税枠を設けていくというのはなかなか難しい面があるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#168
○勝木健司君 それでは、次に進ませていただきます。
 財形給付金とか基金制度の設立の要件が改善をされておりますが、中小企業の普及促進にはまだまだ不十分ではないかというふうに思われます。財形基金制度は設立時において財形基金の加入員となる勤労者が百人以上という設立要件でありますが、実際問題、小企業は設立できないわけであります。
 そこで、中小企業勤労者の福祉向上を図るために中小企業勤労者福祉サービスセンターというのがありますので、これを利用して共同基金制度のようなものはできないものかどうか、ぜひ検討していただきたいというふうに思いますが、簡単に御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#169
○政府委員(廣見和夫君) 基金制度につきましては、確かに今お話しのように百人以上の加入員を必要とするのを原則といたしておりますが、ただ関連のある小企業が集まりまして共同でも設立し得るという道を開いてございまして、現実に数は少ないわけでございますが、そういったようなケースもございます。そういうようなことで、現実といたしますと、そういう仕組みを利用しながら、できるだけ中小企業におきましても基金あるいは財形給付金制度の活用が進みますよう行政的な努力をしていくことがまず必要なのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#170
○勝木健司君 最後に、大臣にお伺いします。
 財形の貯蓄残高が約十四兆円あるということでありますが、貯蓄残高の三分の一を還元融資に使用できることになっておりますが、この持ち家分譲、持ち家個人、セカンドハウス、進学等の各融資を合計してもその総額はまだ大体一兆円強しかない状況であります。融資枠がまだ三兆円ぐらいの余裕があるわけでありますが、余裕というよりも
地価の高騰等で勤労者が利用できないというのが実態であろうというふうに思います。今後も貯蓄残高はどんどんふえるというふうに思いますが、還元融資の利用がなかなかできない、このような趨勢が続いていけば、勤労者の資産形成とかあるいは持ち家の取得の促進が目的で財形制度が導入されたわけでありますけれども、このあり方そのものが問われてくるんじゃないかというふうに思うわけであります。
 勤労者をめぐる問題としては、労働時間の短縮とかあるいは育児休業制度の法制化等、多くの問題が山積をしておるわけでありますが、私は勤労者の住宅問題が最も基本的な問題じゃないかというふうに思うわけであります。勤労者の持ち家取得の促進は勤労者財産形成促進法をもちろん執行することだけでできるものではないということで、国の土地とかあるいは住宅政策を離れて推進されるものではないというふうに思うわけでございます。
 そこで、今後この土地、住宅対策への強力な取り組みが最も必要であるというふうに思いますので、労働大臣の御所見をお聞きいたしたい。あわせて、還元融資のあり方とかあるいは融資条件の緩和とか融資対象の拡大等、いろいろ研究、改善、検討していかなければならないというふうに思うわけでありますが、御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#171
○国務大臣(小里貞利君) 先ほど局長の方から答弁申し上げたんでございますが、いわゆる非課税限度額の問題もちょっと申し上げておきますが、先ほど来それぞれの委員の質疑討論をお聞き申し上げましてお答え申し上げたとおりでございますが、この問題は、重ねて申し上げておきますが、私ども事務当局とも十分打ち合わせをいたしまして、前向きで積極的に余り期間を置かずにとりあえず大蔵とも折衝してみたい、かように考えておりますことも申し添えさせていただきます。
 二つ目に、土地並びに住宅問題でございますが、これはもう申し上げるまでもなく、先生もまた御指摘のように、豊かでゆとりのある勤労者の家庭生活の実感というものを整えるためには非常に重要な一つの要諦でございます。そのような認識におきまして、私ども労働省のみで解決推進できる問題でもございませんけれども、国の政府全体の問題としてもこれが強力に推進せられるように、そういう観点から努力をいたしたいと思っております。
 並びに、勤労者の財産形成の一環として先ほど還元融資の検討がさらに必要じゃないか、そういうお話でございますが、ごもっともなお話でございます。勤労者財産形成審議会等にもよく御相談しながら、これからも御期待に沿うように努力をいたしたいと思っております。
#172
○勝木健司君 ありがとうございました。
 終わります。
#173
○西川潔君 私が最後でございます。重複する部分が多々あるかと思いますが、復習も含めましてよろしくお願いいたします。
 今度の財形制度の提案理由の説明によりますと、高齢化の進展への対応を目的の一つとしております。法改正によらない部分も含めまして、制度改善のうちどの部分が高齢化対策となっているのか、まずお伺いしたいと思います。
#174
○政府委員(清水傳雄君) 今般の改善のうち高齢化の進展への対応を目的といたしておりますものは、まず法改正によるものといたしましては、現在五十五歳末満といたしております一般財形貯蓄の開始年齢要件を撤廃するというのが一つでございます。
 それから法改正によらない制度改善といたしましては、財形年金貯蓄制度を改善いたしまして、年金支給後に介護等の事態が生じた場合に、年金を再設計し、支給期間を短縮するあるいは額を上乗せする、こうしたことを認めることとしたこと、また年金の支給方法といたしまして、一時的にニーズが必要となる場合に前厚型を加えるということといたしたこと、それから課税財形年金貯蓄を導入することということがございます。それからまた、退職後の居住型住宅融資制度を創設するということもこうした高齢化の対応の一環というふうに考えております。
#175
○西川潔君 そこでお伺いしたいのは、財形年金貯蓄の改善は具体的に介護問題にはどのように役に立つのかお伺いします。
#176
○政府委員(廣見和夫君) 今お話がありました財形年金の支払い方法の改善、こういうことによりまして当初一定期間に前に厚く年金を支払っていく、こういうものができることになるわけでございますが、具体的には、そういうことになってまいりますと、例えば介護のための保険の購入にその前厚型の年金を使って対応することができる、そういうことによって介護という不安あるいは介護という問題に対応することが可能になってくるのではなかろうか、このように考えておるところでございます。
 それからまた、年金が支払いが始まった後に本人あるいは配偶者の方が介護状態になる、こういうことになった場合には、先ほど局長からもお話し申し上げましたように、年金額を上乗せして支給する、再設計をする、こういうことになってまいりますので、その場合は直接そういう要介護状態へ対応することができるようになる、このようになってくるわけでございます。
#177
○西川潔君 財形の年金貯蓄といっても具体的には各金融機関の商品として加入しているわけですが、取り扱い金融機関が今回の改正点をそのまま商品として準備するのか、あるいは既に契約をしているものにつきましては変更ができないなどということはないのか、そのあたりが私は不安でありますが、関係金融機関への指導は今後どのようにしていかれるのか、その部分についてお伺いしたいと思います。
#178
○政府委員(廣見和夫君) お尋ねのとおり、基本的には今申し上げましたような形は各金融機関で商品化していただくということが必要になってまいります。そういうことで、私どもといたしましても、既に金融機関につきまして制度の概要について内々の説明を行うというようなことも行っているところでございますし、今後法案が成立いたしますと、さらに政令その他の整備を行う中で商品化に関しましても詳しく関係者の方々に説明を行ってまいりたい、このように考えております。ただ、最終的にはこれは金融機関の判断になるということでございますが、そういう中で私どもとすれば十分に御説明もしていきたい、このように思っておるところでございます。
 また、今先生お尋ねの、既に契約をなさっておられる方、これにつきましては設計変更というのはやっぱり難しいということにならざるを得ないと思っております。
#179
○西川潔君 財形貯蓄を原資とする還元融資は、財形貯蓄残高約十四兆円のうち三分の一ですから五兆円弱ということでございますが、融資できる仕組みになっているにもかかわらずこれまでの融資総額は約一兆円強ということですけれども、融資制度が持ち家分譲融資、そして持ち家個人融資、教育融資などに限定されていることに加えて、特に大都市圏におきましては、持ち家個人融資を利用したとしても家を持つことが絶望的に近いということで利用実績がつまり上がっていないということなんですけれども、そこで財形年金貯蓄を介護問題にも対応できるようにしたことは大変よいことだと思います。高齢化が進む中で深刻な問題となっているのは、本人もさることながら、両親の介護の問題でもあるわけです。
 この問題につきましても、例えば教育融資と同様の介護融資の創設、諸先生方もおっしゃっておられましたが、結婚、出産、育児、こういう費用の融資等について検討してはいかがかと私自身思うんですが、いかがでしょうか。
#180
○政府委員(清水傳雄君) ただいまお話しのように、財形融資制度、勤労者のライフサイクルに応じましてそのいろいろな段階におきます各種の資金ニーズを踏まえながら、ただ勤労者の財産形成促進、こういう観点に即しながら持ち家融資あるいは進学融資、そしてこれをさらに今回の教育融
資に発展させ、共同社宅用融資、こういうふうな形で充実を図ってまいったわけでございます。
 御指摘の両親の介護問題、勤労者にとりまして大変切実な問題になりつつあることはもうおっしゃるとおりである、このように認識をいたしておりますが、ただ、財形制度のもとでの還元融資があくまでも還元融資ということで、本体の財産形成促進、計画的な財産形成に資するというものであるということが基本的に要請をされる、そういうものでございまして、そういった意味合いにおきまして、還元融資として介護に対する援助をこの枠組みの中で行っていくことについてはなかなかなじみがたいんじゃないか、こういうふうにも考えるわけでございますが、ただ財形制度の中で介護についての援助はどういうものがあり得るか、そうしたことについてさらに今後とも検討いたしてまいりたいと存じます。
 また、先ほど御答弁申し上げましたように、在職中に介護の問題が発生をした、こうした場合に、既に貯蓄をいたしております年金貯蓄を取り崩してその費用に充てる、こうした場合には全額を解約してもいわゆる遡及課税、そうした対象にはならない、こういう形になっていることを申し添えさせていただきます。
#181
○西川潔君 ありがとうございました。
 次に、大都市圏では住宅や土地が著しく高騰しているわけですが、勤労者が家を持つことが非常に今困難になっております。このような中で財形住宅貯蓄を行ってきた勤労者の中には、家を持つことをあきらめてこれまでの住宅貯蓄を老後の年金生活の充実のために振りかえたいと希望する者も出てくるのではないかなと思います。財形住宅貯蓄から財形年金貯蓄への変更につきましてスムーズにできるようにしていただきたいなと、こう思うわけですが、現在の取り扱いと今後の取り組みについてどのように考えておられるのか、お伺いします。
#182
○政府委員(清水傳雄君) 現在の取り扱いにつきましては、財形住宅貯蓄に一たん預けられた金銭につきましては、これを年金貯蓄に振りかえるということは認められていないわけでございまして、これは両貯蓄の性格、目的が異なることによるものでございますし、また、財形貯蓄というものが給与からの天引きによって計画的に積み立てていくという、こういう性格であることからも一括して預入というふうなことがなじまない、こういう考え方になっているわけでございます。
 こうしたことで、現行制度では認められていないわけではございますけれども、高齢化の進展によりまして、年金貯蓄に対するニーズが一層増大するということはもう当然考えられるわけでございます。老後の生活安定を図るという観点からこの年金貯蓄、一層活用されるような改善について努力をいたしてまいりたいと、このように考えております。
#183
○西川潔君 それでは、次に移らせていただきます。
 今度は、退職後の居住型住宅融資制度の具体的な内容をお伺いしたいと思います。
#184
○政府委員(廣見和夫君) 大都市圏におきまして借家に居住している、あるいはまた国の内外で転勤を続けている、そういう方が退職前に自分のふるさとあるいは本拠地であらかじめ住宅を取得しておきまして、そこに退職後住んで老後を過ごす、こういうライフスタイルがかなり増加してくるんではないか、基本的には私どもそういうふうに見ておるところでございます。
 しかし、現在の財形住宅融資制度を見ますと、融資を受けますためには、住宅の設置場所に住所がある必要があるということになっておりまして、あらかじめ退職後に居住する住宅を取得するための融資は現在は受けられない、こういうふうになっておるわけでございます。それで、そこを改めまして、こういったような場合にも融資を受けることができるようにしよう、そういうねらいが退職後居住型住宅融資制度であるわけでございます。
 具体的には、退職前三年以内に現在住んでいるところから住所移転を伴う形で退職後に住むための住宅を取得する、そういう人に対して財形融資を行っていく、基本的には調達金利でお貸しするという形にしていきたい、貸し付けの限度額であるとか、償還期間につきましては、これは他の一般の持ち家個人融資と全く同じようにしていきたい、このように考えておるところでございます。
#185
○西川潔君 そこで、お伺いしたいんですが、退職前から計画的に退職後の生活のための準備を進める。つまり老後のことなんですけれども、死はだれにでも訪れてまいりますし、老後不安な生活というのは本当にどなたにとっても嫌なことでございます、心配なことです。定年退職前の三年以内という期間がちょっと短過ぎるような気がいたしますが、もうちょっと早くから住宅を用意しておけるようにできないものかなと、こういうようにお願いをしたいんですが。
#186
○政府委員(廣見和夫君) 退職後居住型住宅と申しますと、今御説明いたしましたように、そこに住むまでの間は基本的には空き家になるという形になるわけでございまして、それが余り長い期間になってまいりますと、そういったようなせっかく取得した住宅あるいはその土地の有効利用という観点から問題があるんじゃないかというようなこともございますし、それからまた、これまた余り長くなってまいりますと、他人に転貸していく、あるいは転売していくというような問題も生じかねないということがございまして、やはりそのあたりとのバランスを十分考えながら適切な期間を設けていく必要があるのではなかろうかと、こう思っておりまして、私ども今御説明させていただきましたように三年以内ということでスタートしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#187
○西川潔君 なるべくよろしくお願いしたいということでございますが、質問させていただきながらでも理解できるところと、また僕自身もこれは無理を言っているなということも心は揺れ動いているわけですけれども、なるべくいい方向へお願いしたいなと。この制度を利用して余り、例えば今度、もう揺れ動いている気持ちそのものなんでございますが、多額の借金を背負うと退職した後も今度は返済額が大きくなってしまう。自分に振り返ってみると、生活を圧迫することにもなりかねません。ですから、計画的な借り入れとか、いわゆる返済を今度は反対に指導すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#188
○政府委員(廣見和夫君) 基本的にはおっしゃるとおりだと思います。やはり貸し付けの申込者の方々に対しましては退職後の年収予定額のうちでどの程度返済していっていただけるか。その割合が余り高くならないような返済計画というものも必要でございますので、そういう計画もつくっていただくということで、余り無理のない形でいきますように私どもとしましても必要な指導はやっていくことが肝要だろうと、このように思っております。
 なお、今回償還方法につきましていわゆる親子リレー償還を選択できるように制度改善をするということにいたしておりますので、退職後居住型住宅融資につきましても、この制度を利用していただきますと、親子にわたって割合長期にわたって返済計画、返済を実行していっていただけるということで返済を容易にする道になりますので、こういったようなものの活用も相まって適切な運用に努めていきたい、このように考えておるところでございます。
#189
○西川潔君 それでは最後に、財形制度がせっかくよい制度となりましても勤労者に知らさなければこれは意味がありません。特に仕事が忙しい中高年の方々に対してはもっとわかりやすい私は積極的なPRが必要ではないかなと。福祉のことでもそうですが、うちにも親が三人おって家内がなかなか役所の広報板までは見に行けない。帰って僕にもいろいろ質問されるわけですけれども、ああわかったわかったというふうについつい我々は言ってしまうんですけれども、宝の持ちぐされではいけませんので、制度の活用が進むように何とかPRを、特に労働大臣に最後にお願いしたいんですが、いかがなものでしょうか。
#190
○国務大臣(小里貞利君) 全く先生御指摘のとおりでございまして、財形制度の促進を活用する、より積極的にまた対象者の勤労者の皆さんに利用していただくという観点からも啓発、PRは最も大事なことだと考えております。従来も労働省におきましてはこれが啓発促進運動にも努めてまいりましたし、あるいはまた促進月間等もセットいたしましてそれぞれ理解を図ってまいっておるところでもございます。
 なおまた、都道府県の雇用促進センターにいわゆる財産形成相談員という者を置きまして、そして説明、相談等にも応じてまいっておるところでもございますが、これからはさらに新制度の発足と同時にビデオなども通じまして細やかに、しかもまた先生お話しのようにわかりやすく末端に徹底するように心得てこれが啓発を図る必要がある、かように考える次第でございます。
#191
○西川潔君 ありがとうございました。
 終わります。
#192
○委員長(福間知之君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#193
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、対馬孝且君から発言を求められておりますので、これを許します。対馬君。
#194
○対馬孝且君 私は、ただいま可決をされました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各会派共同提案によります附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一、勤労者財産形成促進制度については、高齢化の進展等今後の社会経済情勢の変化に即応し、勤労者のニーズを踏まえ引き続き制度全般の整備充実を図ること。
 二、共同社宅用住宅融資制度については、制度の実施状況等を踏まえ、融資対象地域の拡大等この制度をより実効のあるものとするよう必要な施策に努めること。
 三、勤労者の住宅取得を促進するため、財形持家融資の一層の充実、貸付手続の簡素化等に努めるとともに、合理的な地価の形成等土地対策の強化を図ること。
 四、財形持家分譲融資により日本勤労者住宅協会が建設する財形住宅については、地方公務員にも分譲できるよう努力すること。
 五、勤労者の財産形成を一層促進するため、勤労者財産形成貯蓄を原資とする還元融資の内容の改善及び利用の促進を図ること。
 六、財形給付金制度及び基金制度について、事業主がこれらを積極的に活用するようなお一層努めること。
 七、企業内の福利厚生に関する企業間格差の是正を図るため、中小企業に対する勤労者財産形成促進制度の普及促進に一層努めること。
 八、勤労者の財産形成促進に必要な税制、財政面からの優遇措置を充実するよう、さらに一層努力すること。
  右決議する。
 以上であります。
#195
○委員長(福間知之君) ただいま対馬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#196
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、対馬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、小里労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小里労働大臣。
#197
○国務大臣(小里貞利君) 先ほどは採決をいただきましてありがとうございました。
 なお、ただいま附帯決議のございましたことにつきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。
 どうもありがとうございました。
#198
○委員長(福間知之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#199
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#200
○委員長(福間知之君) 次に、地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小里労働大臣。
#201
○国務大臣(小里貞利君) ただいま議題となりました地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 最近の雇用失業情勢を見ると、一部の地域を除き全般的には改善されてまいりましたが、多くの地方圏において専門的技術的職業や事務的職業等自己の適性、能力等にふさわしい職業の雇用機会が少ないことから、やむを得ず新規学卒者等若年者が他の地域において就職していく傾向が見られます。
 また、近年、豊かな居住環境、豊かな勤労者生活の実現を求めて大都市圏よりも地方圏において就職しようとする勤労者がふえてきておりますが、そうした勤労者の能力等にふさわしい職業の雇用機会が乏しいことから、これらの者の就職が円滑に進んでいないという実態が見られるところであります。
 政府といたしましては、このような課題に適切に対処していくため、中央職業安定審議会の建議を踏まえ、これらの者がそれぞれの地域においてその能力等にふさわしい職業につくことを促進するための諸施策を講ずることとし、関係審議会に諮った上、この法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、この法律で新たに対象とする地域として雇用環境整備地域を加えることとしております。雇用環境整備地域は、その適性、能力、経験、技能の程度等にふさわしい職業につくことを促進する必要があると認められる求職者に係る雇用機会が不足している状況にあり、かつ、当該求職者等に関し地域雇用開発のための措置を講ずる必要があるものとして政令で指定する地域であって、都道府県の定める地域雇用環境整備計画が労働大臣の承認を受けているものとしております。
 この雇用環境整備地域に対しては、当該求職者の能力等にふさわしい職業の雇用機会を創出していくため、地域雇用環境整備計画に沿って事業所を設置または整備する事業主に対する必要な助成及び援助、雇用促進事業団の行う施設等の設置に関する特別の配慮、雇用促進住宅の入居範囲の拡大及び事業主に対する資金の融通の円滑化等の業務を行うための基金の造成への支援等の措置を講ずることとしております。
 第二に、現行の雇用開発促進地域等を雇用機会増大促進地域等に整理するほか、雇用失業情勢に的確に対応するため、その指定期間について延長し、または短縮することができる旨の規定を設けることとしております。
 なお、この法律は、公布後三月を超えない範囲
内において、政令で定める日から施行することとしております。
 以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#202
○委員長(福間知之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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