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#1
第120回国会 社会労働委員会 第11号
平成三年四月二十五日(木曜日)
   午後一時六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     小野 清子君     野村 五男君
     佐々木 満君     井上 章平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         福間 知之君
    理 事
                田代由紀男君
                前島英三郎君
                対馬 孝且君
                高桑 栄松君
    委 員
                井上 章平君
                尾辻 秀久君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                野村 五男君
                糸久八重子君
                菅野  壽君
               日下部禧代子君
                堀  利和君
                木庭健太郎君
                沓脱タケ子君
                乾  晴美君
                勝木 健司君
   国務大臣
       労 働 大 臣  小里 貞利君
   政府委員
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働大臣官房審
       議官       七瀬 時雄君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省婦人局長  高橋柵太郎君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        滝澤  朗君
   説明員
       人事院事務総局
       職員局審議官   福島  登君
       総務庁人事局参
       事官       畠中誠二郎君
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    藤井 龍子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○育児休業等に関する法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 育児休業等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○糸久八重子君 それでは、十八日の質問に続きまして、きょうは法案の条文につきましていろいろ理解できない点、それから確認したい部分がございますので、お伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、第一条関係ですけれども、法律案には目的として「労働者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資する」ことが挙げられております。この規定は、事業主の経済的利益の追求が先行するような結果にはならないかと大変心配するわけです。この「あわせて」とは、これは後者の事業主の経済的利益の追求というのは副次目的を示すかとも思われるのですけれども、この二つの目的というのは並列をしてある感じですね。その辺のところはどうなのでしょうか。
#4
○政府委員(高橋柵太郎君) 今回の育児休業法案につきましては、企業の事業活動の状況のいかんにかかわらず、労働者は申し出のみによって子が一歳に達するまでの間休業できることとする旨の規定を設けているわけでありまして、この権利の行使を妨げることはできないものと考えております。
 したがいまして、雇用管理の面で種々の困難が予想されるにもかかわらず、この規定を設けました法律案におきましては、事業主の経済的利益の追求が先行することはあり得ないものと考えます。「あわせて」との表現は、労働者の福祉の増進を図ることに比べまして「経済及び社会の発展に資すること」との目的が副次的であるということを示すものであるというふうに考えております。
#5
○糸久八重子君 次に、二条関係に参りますが、二条一項で、育児休業は長期休業のため、日々雇用者と期間雇用者を除外しておりますけれども、その理由は一体なんでしょうか。
 労働基準法では、例えば年次有給休暇の場合、特に期間雇用者を適用除外としておりません。それとの関係ではいかがでしょうか。
#6
○政府委員(高橋柵太郎君) 日々雇用される者、これはその労働者と事業主との雇用契約が日ごとに締結され、日ごとに終了されるというものでございまして、期間を定めて雇用される者は、これは労働基準法によりまして、その契約期間が原則一年を超えることができないということから、子が一歳に達するまでの長期的な休業という育児休業の性質になじまない雇用形態の労働者でありますことから、その対象から除外したものでございます。
 また、有給であることに着目いたしました年次有給休暇の取得要件と、一般に長期の休業であることに着目いたしました育児休業の取得要件、これはおのずから異なるのは当然であるというふうに考えております。
#7
○糸久八重子君 期間雇用については、労働基準法では一年以内に制限されておりますが、有期契約が反復更新し、長期にわたっている場合の取り扱いはどうなるのでしょうか。
#8
○政府委員(高橋柵太郎君) 本法案で育児休業の対象から期間を定めて雇用される者を除外いたしましたのは、通常最長一年という契約期間をもって雇用が終了し、当事者の意思で契約を更新するかどうかを決める雇用形態でございますので、このような雇用形態は子が一歳に達するまでの長期的な休業という育児休業の性質になじまないことによるものでございます。
 有期雇用が反復した場合の育児休業の取り扱いにつきましては、この契約が期間の定めのない労働契約と見られるかという観点から、実態に応じて個別に判断すべきものではございますが、一般的に、反復継続したことだけで直ちに期間の定めのない労働契約と同様に取り扱うべきことにはならないものというふうに考えております。
#9
○糸久八重子君 二条一項の「育児休業をしたことがある労働者は、」「育児休業を開始した日に養育していた子については、労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、」「申出をすることができない。」とあります。この「労働省令で定める特別の事情」というのは、一体どういうことなのでしょうか。
#10
○政府委員(高橋柵太郎君) 「労働省令で定める特別の事情」でございますが、これは育児休業が
中断をいたしまして、その後再び休業の申し出を行うことができないといたしますことが労働者にとって著しく不利であるために再度の申し出を認めるという場合でございまして、具体的には今後婦人少年問題審議会で検討した上、決定をされることではございますけれども、例えば育児休業期間中に流産、死産をする、産後休業終了時におきまして育児休業に係る子が一歳に達していない場合等が考えられるところでございます。いろいろケースがあろうかと思いますけれども、婦人少年問題審議会における検討の対象としてなお研究をさせていただきたいと思っております。
#11
○糸久八重子君 四党共同案では、父母が交代して育児休業を取得しようとした後で配偶者が亡くなったような場合とか、それから双子の出産を再びしたような場合には特別な事情に入ると考えておりましたけれども、政府案ではいかがですか。
#12
○政府委員(高橋柵太郎君) ただいまお尋ねにお答えを申し上げましたように、今後婦人少年問題審議会におきまして検討をいたした上、決定されることでございます。御指摘のケースの中にその検討の対象とすべき場合があるかどうかにつきまして、なお私ども研究をさせていただきたいというふうに思っております。
#13
○糸久八重子君 二条二項の休業申し出は、「労働省令で定めるところにより、」休業開始日及び休業終了予定日を明らかにしなければならない、とあります。この「労働省令で定める」というその事項はどういうことでございましょうか。
#14
○政府委員(高橋柵太郎君) 今後省令の内容につきましては、施行までの間に十分検討をいたしたいというふうに考えておりますが、例えば育児休業の申し出の時期、形式あるいは必要な添付書類はどういうものかというようなものを考えているところでございます。
#15
○糸久八重子君 それでは、三条の方に参りたいと思います。
 第三条一項の「事業主は、労働者からの休業申出があったときは、当該休業申出を拒むことができない。」とあります。四党共同法案では「拒んではならない。」として、それは解雇はもちろん撤回の強要とか脅迫も拒むに当たるといたしました。
 政府案では、例えばあなたは育児休業をとっても職場にいられると思うかと、そう脅迫でもされたときには、これは拒むことになるのかどうか。また、もし働かせようとした場合に、意思に反して働かせてはいけないと労働基準法第五条で強制労働は禁止され、罰則もありますが、これに適用することはできますかどうか。
#16
○政府委員(高橋柵太郎君) 法案第三条第一項で「拒むことができない。」といたしておりますのは、育児休業の申し出を行いました労働者に対し事業主が育児休業させない旨の意思を表示してもその効力がない旨を示しているわけでございまして、御指摘のようなケースは、その表現方法あるいは発言をした状況等によって判断の分かれることもあろうかと思いますが、明確に労働者を休業させない旨の意志表示と解されれば「拒むこと」に当たるというふうに考えられるところでございます。脅迫に当たるかどうか、これは一般的には否定せざるを得ないというふうに考えます。
#17
○政府委員(佐藤勝美君) 労働基準法の第五条の適用の部分につきまして、私の方からお答え申し上げます。
 労基法の第五条は、「暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、」事業主が労働者に、その意思に反して労働を強制することを禁止しているわけでございますけれども、これは、この法制定当時にこのような強制労働に当たる事例が見られたことにかんがみまして、その排除を図るために特に規定をされたものでございます。
 御指摘のようなケース、育児休業の拒否につきましては、育児休業を付与しないことをもってこの五条に規定をする強制労働に該当するというふうに考えることは難しいのではないかというふうに思っております。
#18
○糸久八重子君 同じく第一項の、事業主と労働組合等との「書面による協定で、」「育児休業をすることができないものとして定められた労働者」は「この限りでない。」ということがあります。この「協定で、」「できないものとして定められた」、そこのところなんですが、労使協定で適用除外をできることとした理由は一体何なのか。また、労使協定がなければ休業できることになると理解してよろしいのでしょうか。
#19
○政府委員(高橋柵太郎君) お尋ねの点でございますが、本法の趣旨からいたしますと、これらは本来休業の権利を与えるべきものではございますけれども、当該労働者に対しまして育児休業を与える必要性が、社会一般の認識に照らし通常の労働者よりも少ないと考えることに無理からぬ事情がある場合につきましては、そのような者にまで育児休業を認めることとすることによります個別の事業主の負担の程度、そういったもの等も勘案いたしまして、当該事業所における労使合意の存在を条件といたしまして、これを排除することを許すことといたしたものでございます。
 労使協定がなければとのお尋ねでございますが、労使協定がなければ、第一項各号に掲げる労働者でありましても育児休業をすることができるものであるということでございます。
#20
○糸久八重子君 第一項一号の「一年に満たない労働者」については、事業主が拒めるとありますけれども、その理由は何でしょうか。
#21
○政府委員(高橋柵太郎君) この理由でございますが、事業主の負担の程度を勘案いたしまして、休業の要件として、年次有給休暇と同様の一定期間の企業への勤続を求めることも労使の合意があればやむを得ない場合があると考えられますことから、年次有給休暇の権利の発生要件と同程度の雇用期間を要件とするというふうに認めたものでございます。
#22
○糸久八重子君 同じく三条なんですが、二号のところに「労働者の配偶者で当該休業申出に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして労働省令で定める者」は拒むことができると書いてあるわけですけれども、その「常態として」「労働省令で」と書かれている、その「労働省令」というのは一体何を規定するのでしょうか。
#23
○政府委員(高橋柵太郎君) この第三条の第二号におきまして「常態として当該子を養育することができるものとして労働省令で定める者」と、こういうふうになっておりまして、この問題につきましては、今後婦人少年問題審議会で審議の上、決定をしてまいりたいというふうに思っておりますが、いろいろなケースにつきまして、それぞれケースごとによって想定をしながらこの問題について詰めてまいりたいというふうに思っております。
#24
○糸久八重子君 それでは、職業についていない者であって、傷病その他子を養育することができない状況にない場合はどうなのでしょうか。
#25
○政府委員(高橋柵太郎君) ただいまの、職業についていない者であって、傷病その他子を養育することができない状況にない者ということでございますが、基本的には労働省令で定める者に含まれることになるのではないかというふうに考えますが、婦人少年問題審議会でなお審議して御決定をいただきたいというふうに考えております。
#26
○糸久八重子君 配偶者が小説家とか画家等、そういうような場合についてはいかがでしょうか。
#27
○政府委員(高橋柵太郎君) 今お尋ねの小説家、画家というような場合であります比較的自由な職業についている場合をどう取り扱うかという点でございますが、今後十分に検討をさせていただきたいというふうに思います。
#28
○糸久八重子君 三条三項ですけれども、労働者から休業申し出があった場合、休業開始予定日とされた日が申し出のあった日の翌日から起算して一月経過日前の日であるときは、労働省令で定めるところにより、休業開始予定日とされた日から一月経過日までの間のいずれかの日を開始予定日と指定することができると、そうありますが、この「労働省令で定めるところにより、」というのは
一体何を指しているのでしょうか。
#29
○政府委員(高橋柵太郎君) 今後施行までに十分検討をしていくことになるというふうに考えておりますが、当該休業申し出のあった日の翌日から例えば三日程度のうちに原則として書面で行うというようなことを考えております。
#30
○糸久八重子君 同じく三項なんですが、「休業申出があった日までに、出産予定日前に子が出生したことその他の労働省令で定める事由が生じた場合にあっては、当該一月経過日前の日で労働省令で定める日」を休業開始日と指定することができるというふうに書かれておりますが、この場合のこの「労働省令で定める事由」ですね、一体どういう具体例が挙げられますでしょうか。
#31
○政府委員(高橋柵太郎君) この第三項の「労働省令で定める事由」でございますが、これも今後婦人少年問題審議会で十分御審議いただきまして決定したいと思っておりますが、例えば出産予定日前に子が出生したこととか、あるいは配偶者の死亡によりまして子を養育する者が欠ける場合とか、休業申し出時には予測できなかったような突発的な事故というものが考えられるというふうに思います。
#32
○糸久八重子君 その次にある「一月経過日前の日で労働省令で定める日」を休業開始日と指定することができるという、その「労働省令で定める日」、これは何でございますか。
#33
○政府委員(高橋柵太郎君) この点につきましても、今後施行までの間に十分検討いたしたいと考えておりますが、例えば申し出のあった日の翌日から一週間程度を経過する日が考えられるように思っております。これは、休業申し出を行います労働者が予測をしない突発事由が起こった場合の申し出でありますから、申し出の期間は本来の申し出期間として予定している期間よりも相当程度短い必要があるわけでございまして、一方、事業主の準備期間をも考慮する必要があるということによるものでございます。
#34
○糸久八重子君 次に、四条、五条関係の方に参りますが、休業を申し出た労働者は、その後当該休業申し出に係る休業開始予定日とされた日の前日までに変更することができるということですが、それについて「労働省令で定める期間」とは一体どういうことなのか。
 また、同じく二項の「労働省令で定めるところ」、また三項にも「定める日」とありますけれども、この期間の変更についての「労働省令」についてお答えいただきたいと思います。
#35
○政府委員(高橋柵太郎君) この第一項の「前の日に」と第二項の「労働省令で定める期間」、それから「労働省令で定めるところにより、」、あるいは第三項の「労働省令で定める日」云々と、こういうことでございます。
 第二項の「労働省令で定める期間」ということでございます。今後十分検討いたしたいと思いますが、例えばこれは一週間程度というふうに考えております。
 それから第二項の「労働省令で定めるところにより、」というのは、当該変更の申し出のあった日の翌日から三日程度のうちに原則としては書面で行うこととすることを考えております。
 第三項の「労働省令で定める日」というのは、当該休業終了予定日の一カ月前の日を予定いたしているわけでございますが、いずれにいたしましても、これらの問題につきましては、今後さらに詰めてまいりたいというふうに考えております。
#36
○糸久八重子君 四党共同法案では、期間の短縮の請求ができるとしております。というのは、例えば夫が急病になったり交通事故を起こして生活ができなくなったような場合等が想定できるからでありまして、期間の短縮の規定というのは必要ではないかと思いますけれども、この辺はいかがでしょうか。
#37
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業は労働者の申し出という一方的な意思表示によりまして休業期間中の労務提供義務の消滅という労働契約の変更の効果をもたらすものでございまして、育児休業期間の変更につきましては、期間の延長については労働者の一方的な意思表示によることを可能としておりますけれども「事業主の負担の程度を勘案いたしまして一方的意思表示による短縮を認めてはいないわけでございます。しかしながら、当然のことといたしまして、事業主と労働者の間の合意があれば当初の期間よりも育児休業の期間を短縮するということの労働契約の変更を行うことは自由であるというふうに考えております。
#38
○糸久八重子君 企業主との合意があれば期間の短縮については変更が可能であるということを確認させていただきます。
 次に、五条の第一項で「休業申出をした労働者は、」「休業開始予定日とされた日の前日までは、当該休業申出を撤回することができる。」とありますね。この撤回をできるとしたその理由は一体何なのでしょうか。
 それから、権利放棄を認めたものと思うのですけれども、育児休業中の途中での撤回ができない理由は何なのでしょうか。
#39
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業はみずから子を養育することを希望する労働者の申し出に基づいて休業することを本旨とするものでございます。労働者の休業の意思の存在が前提でございます。育児休業の意思がなくなった者につきまして休業をさせることは適当ではないわけでございますが、そういうことから休業開始予定日とされた日の前日まで休業申し出を撤回することができることとしたものでございます。
 しかしながら、育児休業の期間中の途中での撤回ということは、労働者の休業を前提といたしまして事業主が事業所内の雇用管理等について必要な措置を既に講じているわけでありまして、労働者の権利としてこれを認めてしまうということは事業主にとって過大な負担ともなり得るということで規定をしなかったものでございます。
#40
○糸久八重子君 五条二項に「休業申出を撤回した労働者は、」「労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、」「休業申出をすることができない。」とありますね。この「特別の事情」というのはどういうことを想定していらっしゃいますか。
#41
○政府委員(高橋柵太郎君) 「労働省令で定める特別の事情がある場合」につきまして、もうこれは繰り返し申しておりますが、今後婦人少年問題審議会で十分検討した上、決定するわけでございますけれども、例えば配偶者の死亡等によりまして子を養育する者が欠けるというような場合など、本人が予測し得なかった突発的な事由が起こったときなどを予定しております。
#42
○糸久八重子君 三項にも「労働省令で定める事由」というのがありますね。これは一体どういうことですか。
#43
○政府委員(高橋柵太郎君) なお検討いたしたいと存じますが、例えば当該育児休業の申し出に係る子が死亡した場合あるいは当該育児休業の申し出に係る子を養子に出して同居しなくなった場合などが考えられるというふうに思っております。
#44
○糸久八重子君 次に、六条の方の関係に参りますが、第六条二項二号の「子が一歳に達したこと。」は、子が出産予定日より早く生まれた場合、それから予定日前に一歳に達することも考えられることから、四党共同法案では同様の規定を設けましたけれども、これは同じ趣旨でございますか。
#45
○政府委員(高橋柵太郎君) 第六条第二項第二号、これは育児休業を「その一歳に満たない子を養育するためにする休業」としたことに伴いまして、子が出産予定日より早く生まれた場合を念頭に置いて、その子が一歳に達した日には当初の休業終了予定日前であっても育児休業期間が終了するということとしたものでございまして、四党共同法案と同じ趣旨であるというふうに考えております。
#46
○糸久八重子君 八条の方に参ります。
 八条の第一項の事業主が育休に関する定めを労働者に周知させるよう努めなければならないとありますが、休業中の待遇や休業後の労働条件等について必ず事業主はあらかじめ定めておかなければならないのでしょうか、あるいは定めるよう努
めればよろしいのでしょうか。
#47
○政府委員(高橋柵太郎君) 第八条第一項各号に掲げます事項のうち、労働基準法八十九条におきまして就業規則を作成しなければならない事項とされているものにつきましては、事業主は定めなければならないものでございます。それ以外の事項につきましては、今回創設的に定めるよう努めなければならないことといたしたものでございます。
#48
○糸久八重子君 第一項第一号の育児休業に関する定めの周知の措置事項で「待遇に関する事項」とありますが、これは具体的にどんなことでございましょうか。
#49
○政府委員(高橋柵太郎君) 「労働者の育児休業中における待遇に関する事項」、これの具体的な内容といたしましては、例えば育児休業中の経済的給付、教育訓練、福利厚生施設の利用等が考えられると思っております。
#50
○糸久八重子君 第一項第二号でございますが、「育児休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項」というのがありますが、「その他の労働条件」とは何を指しておりますか。
#51
○政府委員(高橋柵太郎君) これは育児休業終了後の給与、賞与、退職金の取り扱い、配置転換を含めました配置等のほか、昇格とかあるいは休暇の付与等が考えられるところでございます。
#52
○糸久八重子君 就業規則の「休暇」には育児休業も含まれると思いますが、これは産前産後の休暇も含まれると解されておりますけれども、この辺を確認したいと思います。
 それと、就業規則で労働条件を定めることにはなっておるわけですが、これを見ますと一号から三号までの点について就業規則に定められていることも含まれていると思うのですが、その辺はいかがなんでしょうか。
#53
○政府委員(佐藤勝美君) 労働基準法の第八十九条には就業規則の記載事項といたしまして「休暇」というのが挙げられておりますけれども、この「休暇」の中には従来から育児休暇も含まれるというふうに解釈をされております。したがいまして、育児休業法案によります「育児休業」もこの育児休暇に含まれるというふうに解されるところでございます。
#54
○糸久八重子君 休業中の昇給、退職手当等は労使間にゆだねられておりますが、せめて年次有給休暇の出勤率の算定では産前産後休暇のように育児休業についても出勤したものとみなすべきではないか。これは前回も伺ったことでございますけれども、改めてお尋ねをいたします。
 前回の答弁の中で、育児休業について年休の算定においては分母分子から外すとおっしゃいましたが、そのように受けとめてよろしいのでしょうか。
#55
○政府委員(佐藤勝美君) ただいま先生が言われたとおりでございます。つまり出勤率八割の算定に当たりましては、この育児休業期間を労働日に算入をしないという取り扱いを行うという方向で対応いたす考えでございます。先生のお言葉をかりれば、割り算の分母分子の双方から育児休業の期間を外す、こういうことになろうかと思います。
#56
○糸久八重子君 同じく八条なんですが、休業申し出をしたときは省令で定めるところにより、労働者に係る取り扱いを明示するよう努めるとありますが、この「労働省令で定めるところにより、」とは何を明示するのでしょうか。その明示の方法ともに御答弁いただきたいと思います。
#57
○説明員(藤井龍子君) 第八条第二項「労働省令で定めるところにより、」ということでございますが、これにつきましても、局長の方から再三申し上げておりますが、施行までの間に十分検討したいと思っておりますが、現在のところ第一項各号に掲げる事項に関する当該労働者に係る取り扱いの明示の時期あるいは明示の方法、例えば書面によるべきであるとか、そういったようなことを考えているところでございます。
#58
○糸久八重子君 第九条に参りたいと思います。
 第九条に「育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等」とありますが、この「等」というのは一体何を指しておりますか。
#59
○説明員(藤井龍子君) 第九条の「育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等」の「等」でございますが、これはその能力の開発、向上に含まれないような事項でございますね、あるいは労働者が休業前についていた、または休業後つくことが予想される業務に関する情報の提供といったようなことを指しているものでございます。
#60
○糸久八重子君 十条関係に参ります。
 十条に、育休をしない者に関して労働省令で定めるところにより、申し出に基づく勤務時間の短縮その他の措置を講じなければならないとありますが、これは育児休業を申し出ることを暗黙に拒否するものではなくて、あくまでも労働者の選択の問題としてあると理解してよろしいでしょうか。
#61
○説明員(藤井龍子君) 先生御指摘のとおり、育児休業を申し出られるか、あるいは勤務時間の短縮を申し出られるかはあくまでも労働者の選択の問題でございます。
#62
○糸久八重子君 やはり同じ十条なんですが、「育児休業をしないものに関して、」とありますけれども、この点について、仮に育児休業をしない者であれば、例えば四カ月育児休業をとり、その後職場に復帰したら、そのときからその人は「育児休業をしないもの」となります。したがって、その人は短時間勤務に転換することができるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
#63
○説明員(藤井龍子君) この場合、「育児休業をしないもの」ということの解釈は、既に育児休業をとられた者でも現在育児休業をしていない方を含むということでございますので、育児休業をおとりになった後勤務時間の短縮を選ばれるということは可能でございます。
#64
○糸久八重子君 第十一条の方に参りますが、事業主は、一歳から小学校就学の始期に達する子を養育する労働者に対し、必要な措置をするよう努めるとありますね。その「必要な措置」とは具体的に何を指しているのでしょうか。
#65
○説明員(藤井龍子君) 第十一条の「必要な措置」といいますのは、この法律で定めております育児休業制度あるいは就業しつつその子を養育することを容易にするための措置に準ずる制度、こういったもののうち、当該事業主に雇用される一歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者の状況に応じて必要と認められる措置というものを指しております。
#66
○糸久八重子君 第十二条一項のところなんですが、八条から十一条までの規定に基づいて事業主が講ずべき措置に対し、指針となるべき事項を定め、公表するとありますが、この「指針」というのはどういうものを想定していらっしゃいますでしょうか。
#67
○説明員(藤井龍子君) 第十二条で労働大臣が指針を定めるということになっておりますが、この「指針」の中には、第八条の「育児休業に関する定めの周知等の措置」、それから第九条の「雇用管理等に関する措置」、それから第十条の「勤務時間の短縮等の措置」、さらには第十一条の「一歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置」について定めることとしているところでございますが、具体的内容につきましては、今後三者構成の婦人少年問題審議会にお諮りして、十分御検討をいただいた上、決定させていただきたいと思っております。
#68
○糸久八重子君 次に、「国による援助」について、十三条の方に参りますが、育児休業は長期の休業でありますから、職場復帰した労働者が従前のように仕事ができるかどうか、労働者本人にとっては非常に不安なだけでなくて使用者にとっても別の立場から心配になるところでございます。西欧では復帰した労働者に対して復帰訓練が権利として保障されている国が多いようですが、前回委員会でも質問いたしましたが、法第十三条で育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に関して必要な措置を講じた事業主に対して
必要な援助を行うと、そうありますが、いま一つはっきりしないわけです。似たような制度といたしまして、有給教育訓練休暇奨励金制度あるいは季節労働者を対象とする冬期技能講習受講給付金制度などがあると思いますが、その辺のところはどうなんでございましょうか。
#69
○説明員(藤井龍子君) 先生御案内のとおり、諸外国に能力回復の研修といいますか、そういった制度があるということを承知しているところでございます。
 私ども今回法案を提出するに当たりましても、育児休業期間というのが相当長期にわたるわけでございますので、その間職場復帰に対していろいろ不安をお持ちになる方もおられるかと思います。したがいまして、その間に事業主の方でいろいろ情報を提供していただく、あるいは適当な講習会等をしていただくといったような措置をぜひやっていただきたいと思っているわけでございます。そういった事業主に対しまして、政府といたしましても必要な援助を、さまざまな情報の提供とか、ノーハウの提供等いろんな援助を実施していきたいと考えているところでございます。
#70
○糸久八重子君 国の援助の問題が出ましたが、実は政府案の中では所得保障が盛られていないわけでございまして、これは大変問題だということはこの前も大きく指摘をいたしました。
 実は、四月の初めに公務員の育児休業の法制化に関する申し出を人事院が行いましたね。そして文部省関係もこれについていろいろ方針を考えたわけですが、それを見ますと大変問題があるんです。というのは、文部省が出しましたその内容を見ますと、全労働者対象ですから、例えば学校に勤めている教員の場合を考えますと、いわゆる現行法の特定職種の育児休業法、そこにかかわる人たちについては、例えば社会保険料の給付は行うけれども、そうでない人たちには出さないというようなことをはっきりと文部省は言っているわけです。
 そうしますと、一つの職場の中で、例えば女性の教師が育児休業をとった場合には社会保険料は出る。それから男性教師がとったり、現在カバーされていない人たちは事務職員の方たちがそうですが、事務職員の方たちが育児休業をとったりする場合には社会保険料程度の給付ができないという一つの職場の中で大変差別が生じてしまうんです。
 そういうことから考えますと、今私どもが審議をしておりますこの民間の育児休業法、これがやはり下敷きになって国家公務員とか、地方公務員とかの公務員関係の育児休業法というのがすべてできてくるわけですから、まずここでしっかりとしたものをつくっておかなければならない、もう波及することが多いわけですからね。そういうことで私は大変心配をしているわけでございます。
 そこで、この前の委員会のときにも、休業中何らかの経済的な援助というのは必要なんじゃないか、これは本当に大事なことなんだということで論議をいたしました。私の方から、例えば雇用保険法に基づく失業給付の財源を活用したらどうなのかとか、それから雇用安定三事業の活用をしたらどうなのか、健康保険法に基づく出産手当金を支給延長したらどうなのかとか、中退金の運用益を活用したらどうか、労災保険の活用はどうか、いろいろな例を挙げまして労働省に申し上げたわけですけれども、とてもできないという冷たい返事しか返ってこなかったわけで、大変残念でございます。
 しかし、所得保障の問題については大臣が非常に深い関心を持って検討する、検討したいということをおっしゃられたわけです。私たちはその辺で非常に何か光明を見出したような感じがしたわけですが、多方面にわたって知恵を出して、工夫をしてくださるということでよろしゅうございますか。
#71
○政府委員(高橋柵太郎君) 今回の法案におきましては、御提案の問題につきましてさまざまな御意見あるいは御見解がある中で、一定の方向を定めることが困難な状況から特別の規定を設けていないところでございますが、なお審議会の御建議にもございますように、広く広範に多角的な見地から検討なり議論が行われていくべき問題であるというふうに思っております。
#72
○糸久八重子君 大臣、この前の御答弁で、もう一歩踏み出しての御答弁ございますか。
#73
○国務大臣(小里貞利君) この段階におきまする私どもの原則的な考え方、ただいま局長が御答弁申し上げたところでございます。同時にまた、ただいま先生振り返って御指摘ございましたように、先般の委員会等におきまする論議の課程におきまして御指摘になり、あるいはまた強く要請なさったその趣旨につきましては、私どもも注目をさせていただいておるところでございます。
 また、具体的に御要請になる、あるいは行政として広い意味で配慮をしていくべきではないかという、そのお話も心情的にはよくわかるところでございます。しかしながら、この段階におきましては、さまざまな過程があり、そして非常にこの問題につきましては、両面から強い複雑な意見等も交わされたところでございまして、当面ただいまの要請に直結するような措置はできなかったところでございます。
 また、後の方でただいまお尋ねになりましたように、言葉は多少違うかもしれませんけれども、直結できる一つの対応措置はできないにしても、では、その方面と十分その意味も酌んで対応してという期待感もあられると思うんでございますが、私どもはそれらのことにつきましては、先ほど先生の方から御質疑がございました、いわゆる休業期間中におきまする労働者のみならず、事業主におきましても、いろいろその労働者、使用者の関係が、必ず休業をとる事前の段階におきまして協約をしたことが、その休業期間が経過した時点におきまして、精神的にも、実態的にも良好な状況で復帰いただける、こういうことも見詰めなければならないわけでございますから、それらのこともあわせまして対応してまいらなければならぬ、かように考えておるところでございます。
#74
○糸久八重子君 実は、ここの経済的な保障ということは、この法律の中で一番大事なところでございますね。この前の審議のときにも申し上げましたけれども、法はつくっても実効性がなければ何もならない。特に若い方が、給料の非常に安いような方が育児休業をとるわけですから、そういう意味では経済的な保障というのは非常に大事だと私はもう何回も繰り返して申し上げたいと思います。
 この法律は画期的な法律なんだから、法律をつくることがまず先決だということをおっしゃる方がいらっしゃるんですよね。しかし、私はこの前の火曜日のときに、省は違いますが、厚生省関係の児童手当の改正案の審議をいたしました。そのときにも私は引き合いに出したのですが、児童手当の創設時には、小さく産んで大きく育てるというようなことで児童手当を創設したわけですが、二十年たったら大きく育つどころか義務教育終了時までの支給が三歳未満の支給になっちゃったということで、ますます小さくなっちゃったという感じがするんですね。ですから、大事なことはきちっと法文の中に入れていかなければならないということを私は強く要請しておきたい、そう思うわけでございます。
 それでは次に参りますが、不利益取り扱いの部分でございます。育児休業が権利として取得できることについて、これは前回の委員会で明確な答弁をいただいたわけですが、私はあえてもう一度ここで申し上げておきたいと思います。
 権利として認められているものに年次有給休暇や産前産後休暇がありますが、これらの場合罰則をもって権利が担保されておるわけです。率直に申し上げまして、行政指導では実績はなかなか上がらなかったということは、育児休業制度普及の状況でも言えると思いますが、もう行政指導では本当に不十分だということなんですね。そうであるからこそ罰則規定によって育児休業の権利を担保することが当然だと、そのように思うのですね。この点についてはもう繰り返しは避けたいと
思いますけれども、趣旨の徹底について格段の努力をお願いしておきたいと思います。
 前回、私は不利益取り扱いをしてはならないのは当然であるから禁止規定を設けるべきだと申し上げました。この点については、不利益取り扱いはあってはならないこととして行政指導の徹底を図るとの答弁でした。私もあってはならないと思いますが、しかしあってはならないことがあるからこそやはり法律で規定する必要があるのではないか、そう思うのですね。それができないということであれば、せめてその趣旨を徹底する行政指導を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#75
○政府委員(高橋柵太郎君) 不利益取り扱いの禁止につきましては、法の施行に伴いまして趣旨の徹底を図るべき重要な事項であると考えているところでございまして、今回の制度を完全に定着させるためにも行政機関の指導、助言、勧告という現実的な手法を十分に活用いたしましてその趣旨の徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
#76
○糸久八重子君 政府案の中には原職または原職相当職への復帰ということがうたわれておりません。私は、法律論の面では原職復帰問題についてはこれはもう当然であり、不利益取り扱いの禁止に関する規定を設けることで基本的には事足りる、そう思います。
 しかし労働者が一番心配しているのは、休業が終了した後で果たしてもとの職場に戻れるのかという点なのです。職場の実態を見ますと、その心配もなるほどそうだろうと思わざるを得ないわけですね。その心配がないとは決して言えない、そう思います。私ども四党といたしましても、その点を考慮いたしましてあえて原職及び原職に相当する職への復帰の規定を設けたわけでございます。
 例えば、出産後の育児休業中にけがをして手に障害が起こった、そのために手作業の職に戻れない、場合によってはその労働者が軽作業へ転換するようなケースもあり得るわけです。このようなケース、さまざまな場合を想定するときに、政府案には不利益取り扱いの禁止が明記されておりませんし、そのことから原職及び原職に相当する職への復帰を規定する必要はますます高まるのではないかと思いますが、御見解を聞かせてください。
#77
○説明員(藤井龍子君) 原職または原職相当職への復帰につきましては、婦人少年問題審議会でもいろいろ御議論のあったところでございます。ただ、我が国の民間企業におきます人事管理といいますか人事異動慣行を考えますと、定期的な人事ローテーションがございましたり、あるいは業種転換によって新しい工場への配転が大量に行われたりといろいろあるわけでございますので、法律によってこれに一律に枠をはめることは困難であるという考え方に基づきまして今回規定に盛り込んでいないわけでございます。
 ただ、民間企業において労働協約あるいは就業規則等でそういう定めをされているところもございますし、また私どもの調査によりましても、多くの場合、原職あるいは原職相当職に復帰されているというような実態がございます。そういった各企業においてそれぞれ適切な対応が行われているということは申し上げておきたいと思います。
#78
○糸久八重子君 今月初めに人事院は「一般職の国家公務員の育児休業等に関する法律の制定についての意見の申出」を行いました。この申し出におきまして「職員は、育児休業等を理由として、不利益な取扱いを受けることはないものとすること。」とされております。育児休業を理由とする不利益取り扱いの禁止は、公務員であるか民間労働者であるかを問わず全労働者にひとしく保障されるべきものと思いますが、いかがでしょうか。
#79
○政府委員(高橋柵太郎君) 国家公務員についての育児休業法制につきましては、現在人事院の意見の申し出に基づきまして総務庁において検討されているものと理解をいたしておりますが、公務員につきましては法令によってそもそも身分保障がされていること、さらには特定職種の公務員等に関します現行の育児休業法におきましても同様の規定を確認的に置いていること等も考慮いたしまして人事院の意見の申し出が行われたものというふうに理解をいたしているところでございます。
 民間部門におきましては、こういう身分あるいは勤務条件というのは個別の労働契約あるいは労使協定で定めるところに従うものでございますので、不利益かどうかということを判断するための比較対照をどこに求めるか、あるいはその取り扱いが育児休業を理由としているものであるかどうかということにつきましてなかなか困難を伴うものというふうに考えられておりますので、法律で規定することは適当でないというふうに判断したものでございます。
 しかしながら、繰り返し申し上げておりますように、育児休業を取得したことを理由として不利益取り扱いをしてはならないという考え方は当然のことでございますので、この趣旨を十分徹底してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#80
○糸久八重子君 不利益取り扱いを規定している労働法規というのがたくさんあるということは、この前申し上げましたからもう一度は申し上げませんけれども、やはりこの不利益取り扱いの禁止というのは必要だということを再度申し上げておきたいと思います。
 総務庁お見えになっていらっしゃいますね。――先ほど申しましたとおり、申し出を行ったようですが、政府としては従来の例に倣って公務員関係の育児休業法案について早急に作成し、国会に提出すべきだと思いますが、その取り組み状況はいかがになっておりますでしょうか。
#81
○説明員(畠中誠二郎君) 国家公務員の育児休業制度につきましては、去る四月一日の人事院の意見の申し出を受けまして政府部内で鋭意法案化の作業を進めておるところでございます。しかしながら、法案の作成に当たりましては、現行の特定職種を対象とする育児休業法の取り扱いとか、特別職及び地方公務員の取り扱いなどにつきまして、関係省庁との間でなお検討、調整を行う必要があるところから、今国会の会期中に成案を得ることは難しく、今国会に提出することは極めて厳しい状況にございます。
 なお、総務庁といたしましては、国家公務員の育児休業法案も民間の労働者を対象とする育児休業法案の施行日に合わせて施行すべく引き続き努力をしたいというふうに考えております。
#82
○糸久八重子君 それでは最後に、中小企業への配慮措置についてお尋ねをいたします。
 育児休業制度検討小委員会では、中小零細企業への配慮について自民党は弾力的措置を検討するとしていたのに対しまして、私どもは財政上その他の援助措置を検討すべきであると主張をいたしました。政府案では規模三十人以下の小規模事業所については三年間適用を猶予する措置が講じられている一方、その他の中小零細企業に対する援助措置についてははっきりしておりません。
 私たちも共同法案を提出するに当たりまして、施行時期については全く配慮しなかったわけではありません。しかし、育児休業をする権利は本来就労先、事業所の規模によって左右されるべきものではなくて、基準法のように仮に小規模事業所について特別に猶予措置を講ずるとしても、その期間はごく短いものでなければならないと思います。したがって、小規模事業所に対する適用猶予期間を短縮するとともに、中小零細企業に対する援助措置を講ずることを検討すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#83
○政府委員(高橋柵太郎君) 常時三十人以下の労働者を雇用する事業所におきましては、今回の育児休業法案におきまして、育児休業が直ちに認められる場合には雇用管理の面においても種々の困難が予想されますので、準備期間として本法律案では三年間の適用猶予期間を設けることといたしたものでございまして、準備期間としての三年程度は必要な期間であるというふうに考えておりま
す。
#84
○糸久八重子君 それでは、私は今法案を逐条的に疑問等をお尋ねをしたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、政府案の中で、例えば今お話しいたしました中小企業への三年猶予とか、それから所得保障の問題とか、不利益取り扱いの問題とか、私どもが主張しておりました内容が入っていないということは大変不満だということを改めてもう一度申し添えまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#85
○木庭健太郎君 育児休業法もこの前の参議院の育児休業小委員会から長い経過をたどってまいりまして、ようやく本院でも二回目の審議ということになったわけでございます。前回も審議をさせていただきましたけれども、私たち野党が提案した法案に比べて、その問題点も前回いろいろ指摘させていただきました。
 一つは、休業期間中の経済的援助が全く触れられていないということに対しては極めて強い不満を残したまま、なかなか解決の方途が見えてないという現状でございます。また、不利益取り扱いの禁止規定の問題、原職または原職相当職への復帰の問題、これらはいずれもこの育児休業法の実効性を高めるという観点では私たちは不可欠だと、正直そう認識をしておるところでございます。
 ただ、これはその主張とは全く別になるんですけれども、前回、また本会議での大臣の御答弁をずっと聞いておりましたら、いつも大臣がおっしゃっているのは何かといったら、まずは一定の枠組みをつくらせていただきたい、大きく育てていただきたい、こういうことを繰り返しおっしゃっておりました。婦人少年問題審議会の建議も読ませていただきましたけれども、その中にもさらに実効性の確保を図ることが重要であり、制度を育てていくことが必要だという建議もございました。そういった意味では、この法案、今から審議を重ねていくわけですけれども、どういう形であれ、まだまだ見直すことがいっぱいあるんじゃないかというふうに考えます。そういう見直しをいずれかの時点でしなければならないというふうに私は思うんですけれでも、その必要性についてまずお伺いをしたいと思います。
#86
○国務大臣(小里貞利君) 先ほどもお答え申し上げたところでございますが、ただいま先生の御指摘の問題、私どもも、幾つか重要な問題を皆さん方から御指摘いただきました、その中の重要な事項の一つとして受けとめさせていただいておるところでございます。
 なおまた、今日に至るまでの間におきましても可能な限り行政上、あるいはまた財政計画上、あるいはまた政治的な判断として、特に国会、中でも参議院等におきまする相当な期間をかけられました審議の過程等も十分注目をいたしまして、可能な限り意見を出し合い、そして知恵も絞ったつもりでございます。しかも、率直に申し上げまして、経験も乏しい私どもでございましたけれども、精いっぱい何らかの形でクリアできないのか、その辺も正面から取り組んだつもりでございますが、この段階におきましては残念ながら具体的形で措置をするに至りませんでした。こういう実情も一応御理解いただきたいと思う次第でございます。
 なおまた、では当面それにかわる何らかの方法はないかという先ほどの糸久先生のお尋ねでもございました。先ほどは若干簡潔に申し上げましたが、この前の糸久先生の御質問のときにお答え申し上げたつもりでございますが、それらの要請せられる事項に直結するものではございませんけれども、別途なといえばまた誤解を生むかもしれませんが、気持ちの上では何らかひとつ少しでも対応できないのか、現法体系あるいは行政あるいは政治状況、今日の中におきまして可能な一つの選択はないのか、その辺は検討をさせていただいたつもりでございます。
 また、これらにつきましては、この法律の成立を前提としての話でございまして、この場で申し上げるのははばかりがあるかと思うのでございますが、あるいはきょうの法律案審議の中で、ただいまお話がございましたような、例えば見直しの規定等を院の意思としてまとめていただけると仮定いたしますと、その仮定に立っての話でございますが、見直しの時期来たらばその有力な対象の一つになるものであろう、私はかように期待をいたしておるわけでございます。
 そのような意味合いにおきまして、広範かつ多角的見地から各位の論議が高まることを期待いたしますよと、こういうふうにも申し上げておるわけでございまして、ぜひその辺に至る私どもの強い決意なりあるいはまた希望というものも御勘案いただきたい、かように考える次第でございます。
#87
○木庭健太郎君 大臣おっしゃったように、仮定の話ということを前提に置きまして話をしなければならないと思うのでありますけれども、もしそういうことをやるにしても長い年月、二十一世紀になってからそういうことをするというのじゃどうしようもないでしょう。そういった意味では、この法案というのは暫定措置というのが三十人以下の企業についてございます。これが三年で一応終わって、育児休業制度が全体に広がる時期が三年後に来るわけでございますけれども、そういったことも念頭に置きながら考えるということととらえてもいいでしょうか。
#88
○政府委員(高橋柵太郎君) 今回の育児休業法は全く新しい制度でございまして、法の施行状況の予測というものも難しい現段階におきまして、今後必要なそういう検討を行っていく時期を明確にすることは現在の時点では非常に難しいというふうに考えておりますが、そのような時期に至りますれば、そういう必要な見直し等の検討を行う最大限の努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
#89
○木庭健太郎君 いずれにしても、今後この法案をより大きく育てていくため、あえて見直しという言い方をするならば、そういったときの一番ポイントになるものは何かといいましたら、当初の方針どおり実効性を高めるためにどうすればいいかということで最大限の論議が必要だろうし、それが最大のポイントだろうと私は思っております。
 それと同時に、ぜひ指摘しておきたいのは、これをよりいい形にするときに最も大切なのは、実際に育児休業を取得されていらっしゃる労働者の皆さんの実態なり悩みなり要望なり、そういったものが最大限に生かされることが必ず必要だろう。いろいろ意見もあるでしょうけれども、重要なポイントだろうと思うんですが、いかがでしょうか。
#90
○国務大臣(小里貞利君) 率直にお答え申し上げますが、きょうの委員会に限らず今までの本会議、委員会におきましてしばしば与野党の皆様方から御要請をたくさん承ってまいりました。それぞれ貴重な御意見でございますが、その中におきまして、当面いわゆる労働者の立場に立って最も重点的に要望がありました事項もよく私は整理されておると思う次第であります。
 同時にまた、先ほどお断り申し上げましたが、見直しの機会を与えられるような法律に皆様方の院の意思でもし最終的に御決定になるといたしますれば、必ずその見直しの機会が到来したときには最も有力なそれらの事項が対象になります。私は、そういうふうに強く期待をいたしております。
#91
○木庭健太郎君 それともう一つ、経済的援助の問題をずっと言わせていただいているんですけれども、この経済的援助について婦人少年問題審議会の建議の中で、「更に、広範、かつ、多角的な観点から論議が深められる必要がある。」という指摘がございましたね。この指摘を見たときに私が思うのは、これは仮の話ですけれども、院で見直しを規定しようがしまいがの話です。建議でこういうことをきちんと論議を深めるというふうに言っているわけですね。そうなると、大臣の立場としては、そういう問題とは全く別にこの経済的援
助の問題については、もちろん婦人少年問題審議会が中心になるでしょう。ある意味では早い時期から大臣として、その審議会だけじゃなくて結構です、いろんな各界に論議を巻き起こしていくように大臣の側から積極的に私は働きかけていく必要があると考えるんですけれども、この点はいかがでしょうか。
#92
○国務大臣(小里貞利君) 私の先ほどの答弁は、率直に申し上げましてこの問題をめぐる論議がいよいよ大詰めにきておる、そしてきょうが恐らく最終の皆様方の委員会審議の機会であるんじゃなかろうか、そういうような雰囲気を想定いたしました。与野党議員それぞれ御心配になっておられるものですから、この法律が成立するのかあるいは不調に終わるのか、そういうせっぱ詰まった雰囲気の中におきまする議論ですから、先ほどそういうところをもう率直に、お互いプロ同士でございますからあっさり申し上げた次第でございます。
 一面からいいますと、先生ただいま一般論として申し述べられたところでございますが、その問題につきましても、実は先般の委員会で申し上げましたように、今次上程をいたしましたこの法律案は、政府・労働省として責任を持ちますという意味において出した法案であるけれども、決してこれが今日完全無欠な法律案でございますよなんという気負った気持ちはないということを申し上げておるように、やはり謙虚に広く国民の意見を聞きまして、立派な法律あるいは立派な制度として、そしてすそ野の大きい五千万労働者の周辺にこれが賢く根づくようにみんなで切磋琢磨していかなければならぬわけでございますから、そういう気持ちで対処いたしておるわけでございます。
#93
○木庭健太郎君 もちろん大臣、率直に答えていただいておりますけれども、私は、せっかく建議でこういう形で論議を深めるようにという指摘もいただいているということであれば、じゃ制度が始まったら、ぎりぎりの段階ですけれども、もし通った場合は通ったなりに、少なくとも一年を越したところぐらいでもう一回こんな形の、見直す見直さないの問題じゃないんですよ、論議をやるという機会を何らかの形でぜひこれは設けていただきたいなと思っているわけです。きょうの見直しどうのこうのの問題とは全く別ですよ、これは。そういうことはぜひやっていただかなくちゃ、せっかくそういう指摘もしていただいているんですし。意見が今は一定しないともおっしゃいました。じゃ、一定の方向というのは一体何なのかというのは、例えばその見直すときに突然やってもまた同じことになるんですよ。そういうふうにはしていただきたくない。それなら事前からやっていただきたいということを要望しておきます。
 それでもう一つは、経済的援助の問題の中でも特に皆さん前回の委員会でも指摘されました、少なくとも社会保険負担というのは手出しになりますよと、この制度が始まれば。そういう問題をるる実際の声も挙げて指摘もいたしました。本当にこの制度が根づくためには、通ったときに逆に自分から手出ししなくちゃいけないという問題については、これはもう最優先して、野党の法案では六割支給なんですから、その問題は別といたしましても、自分が休業中に手出ししなくちゃいけなくなるという部分については、何らか最低限検討するなり取り組むのが責務じゃないかなということを前回も指摘させていただきましたけれども、今回ももう一度この点だけは御見解があればぜひ聞いておきたいと思います。
#94
○政府委員(高橋柵太郎君) 民間企業におきまして、かなりの企業で保険料の労働者負担分を事業主が支払うという例があるわけでございますが、これにつきましては、婦人少年問題審議会の先ほど御指摘の御建議にもございますように、法律によって一定の枠組みを規定することは適当でなく、今後それぞれの労使間で育児休業制度の趣旨を十分踏まえて妥当な方向を見出していくべき問題であるというふうに考えているところでございます。
#95
○木庭健太郎君 この部分は納得できないんですけれどもね。
 ちょっと聞きますけれども、第九条の労働者の能力開発及び向上に関して「必要な措置」というのは、具体的にどんな措置になって、具体的にどういうことをやるんですか。さっきお話しになっていたのは情報提供とか講習会というようなことですけれども、これぐらいのものでしょうか。
#96
○政府委員(高橋柵太郎君) 第九条の「必要な措置」ということの内容でございますけれども、具体的には、他の労働者に対します業務の再配分あるいは人事ローテーション、新たな採用、休業中の職場に関する情報の提供、休業中における能力維持のための各種情報の提供等、休業申し出及び休業後におきます就業が円滑に行われるようにするためのさまざまな措置をここでは考えております。
#97
○木庭健太郎君 そうすると、十三条との絡みになってしまうんですけれども、結局そういう措置というのは、労働者の方が例えば月一回出ていって研修会を受けるとか講習会を受けるとか、そんなことも含まれることを考えていらっしゃるんでしょうか。
#98
○政府委員(高橋柵太郎君) 九条の中には、情報提供でございますとかあるいは休業後の就業が円滑に行われるようにするための措置でございますので、そういう点については含まれていくというふうに考えておりますが、先生御指摘の十三条の「国による援助」というのは、本来的に雇用情報の収集、提供とか育児休業に関する資料の提供、相談等を指しているものでございます。
 ただ、労働省といたしましては、この規定を含めまして法律全体の趣旨などを踏まえまして、この法律に基づいて必要な措置を講じます事業主に対する助成についてどういう措置が必要であるかということを今後十分に検討をし、平成四年度予算要求に具体的に要求をしていきたいというふうに私ども考えているところでございます。
#99
○木庭健太郎君 そうすると、予算要求されるということは、そういうことをやった事業主に対しては何らかの援助、措置、どっちですかね言い方。そういう形に、事業主に対しての話になるわけでしょうか。
#100
○政府委員(高橋柵太郎君) 事業主に対する助成ということでございます。
#101
○木庭健太郎君 そうすると、例えばの話で恐縮なんですけれども、そういう能力開発なりなんなりのために、それから休んだ期間中も能力が落ちないようにということで、例えば講習会やった、研修会やったとしますよね。そうすると、労働者は当然出ていく形になるわけですね。そういう労働者に対するものというのは何か起きてくるわけですか、リアクションとして。そういう形での労働者に対しても国としては何か措置みたいなことまで考えられるのか、どういう形を考えていらっしゃるのか、少し。
#102
○政府委員(高橋柵太郎君) 先ほど来申し上げておりますが、この法律に基づいて必要な措置を講ずる事業主に対する助成、どういう助成措置が必要であるかというのは今後十分に詰めさせていただきたいというふうに思っております。
#103
○木庭健太郎君 なかなか微妙なところみたいですし、本当はまたこれから別の方が質問する機会もございましょうから、ここは少し譲るといたしまして、ちょっと話を変えます。
 先ほど八条のことで糸久委員が質問をされておりました。「労働者の育児休業中における待遇に関する事項」ということについて、この「待遇」とは何を示すのかということをお尋ねになっておられました。
 そのときに、経済的給付などというお話をされていましたけれども、経済的給付というのは、育児休業中の待遇というのは、その間の経済的援助なりそういうことまで含んで考えていらっしゃるんでしょうか。
#104
○説明員(藤井龍子君) 第八条は、事業主があらかじめこういったことについて定めるようにという条文でございますが、それに基づきまして「労
働者の育児休業中における待遇に関する事項」を定めるということでございますので、これは休業期間中に賃金がどうなるのであるのかとか、あるいは社会保険料の取り扱いがどうなるのであるのかとか、あるいは休業期間中の能力開発、教育訓練等の措置がどうであるか、あるいは福利厚生施設の利用がどうなるのであるのか、こういったものが含まれると考えております。
#105
○木庭健太郎君 「待遇」という言葉がよくわからなかったものですから、どういう意味かなということでちょっと確認をさせていただいたんですけれども、社会保険料など含む休業中の人の待遇の問題ですから、そのとき企業からどう支払われているのかということも含めて、経済的援助の問題も含めて「待遇」という言葉をとらえていらっしゃるというふうに理解しておいてよろしいですね。いいでしょうか、一言。
#106
○説明員(藤井龍子君) ただいまお答えいたしましたとおりでございます。含まれるとお考えいただいて結構でございます。
#107
○木庭健太郎君 次は、原職及び原職相当職復帰の問題でございます。
 もう私たちもこれは当然、野党法案のときも、先ほど糸久委員もおっしゃっていましたけれども、原職復帰そのものにすれば確かに難しい。だから私たちは譲って、ある意味じゃ原職相当職復帰ということまで考えてやったわけですよね。それについて一言もないというのについては、非常に不満でございます。
 この原職復帰の問題については、大臣が前回の委員会の中でこんなことをおっしゃっております。この原職復帰の問題についてはさまざまな意見がある、心配はわかるが、この段階では一律に枠をはめることができるのかどうか迷った、現段階では適当でないというような大体趣旨の答弁でございました。
 そうすると、現段階ではそれを法の規定として設けるのは難しいけれども、育児休業の実効性を高めるためにはこういう現職復帰なんかという問題についても非常に重要な問題であるというふうに認識されているということですか。
#108
○国務大臣(小里貞利君) ただいま先生お話しのとおりでございまして、原職あるいは原職相当職に復帰することに関しましては、現在行われておりまする民間企業における育児休業者の復帰に関する状況を見てみますと、大体原職または原職相当職に復帰されるというのが大きな原則になっております。
 そういうような状況から見ましても、あるいはまた、ただいま先生もお触れになりましたように、企業にとってもあるいは労働者にとっても、人材確保あるいは能力開発といった観点から望ましいものとしてそのような選択がとられるだろう、こういうことを期待をするわけでございますが、さらに今次のこの法律案におきましては、申し上げましたようにそのような観点から企業が、事業主が原職または原職相当職に労働者が復帰せられるように、それが望ましいと思いますから督励、指導を強めていきたい、かように考えておるところでございます。
#109
○木庭健太郎君 今少し答えてもらったんで、重ねて一応お尋ねしておきますけれども、結局前回それに続けて、大臣は原職復帰の問題についてこうおっしゃっているんですよ。労働協約で規定している実例もあり、企業によって慣行を考慮した上で適切な運用がなされるよう指導、助言をしていくということをおっしゃっているんですよね。
 ということは、適切な運用というのは原職、原職相当職復帰というのがもうとにかく大原則であるということなんでしょうか。そして、それを指導、助言していくというのは、何らかの形で明示はできないわけですか。別に法律の中で書けということでなくて、指針の問題も後で聞こうとは思うんですけれども、そういったことも含めてどの辺まで強力に指導、助言されるのかということなんですけれども、何か言えるところがあれば。
#110
○国務大臣(小里貞利君) おっしゃるとおりでございまして、より多く実効が期待できるように最善の努力をいたしたいと思っております。
#111
○木庭健太郎君 次は、不利益取り扱いの禁止の問題でございます。
 もう一回再度お伺いしておきたいんですけれども、禁止規定というのは設けることはできないんですか。私は、最低限これだけはというふうに思った部分もあるんですけれども、その点について再度きちんと聞いておきましょう。お願いします。
#112
○国務大臣(小里貞利君) これは、技術的な内容については局長の方から答弁していただきますが、率直に申し上げて省内でも大分論議を詰めております。そしてまた、私も耳しげくその話は聞かされたんでございますが、なかなか実態として何が不利益かというその特定が甚だ困難ではなかろうかという一つの判断がございます。
 また同時に、基本的に最も大事なことは、不利益取り扱いがあってはならない、そういう状況が発生しちゃいかぬ、私どもはそういう行政としての大前提に立っておるわけでございまして、だからといってそういう不利益取り扱いが現場に発生しないという担保はないわけでございますが、十分注意しながら対応しなけりゃならぬことである、こういうふうに思います。
#113
○木庭健太郎君 そうすると、じゃ局長の方からぜひ答えてほしいんですけれども、そういうことはできないということをおっしゃっていますけれども、本当はそれじゃいけないと思っているんでしょう。ただ、もう先ほどから糸久さんもおっしゃっていましたけれども、あってはならないという言葉が何か非常に引っかかるんです。やっぱりこれはしてはならないことだし、言葉としては、それを禁止ととるかどうかは別として、あってはならない。そうすると、あるかもしれないと。そんなふうにどうしても私は、それは法律上どうなのかわかりませんけれども、どうしても納得ができない部分でもございます。
 また、大臣がおっしゃるんですから、国会の答弁は非常に大切なものではございますけれども、労働者として見れば何かの歯どめがきちんと欲しい、この問題に関しては。最高の状態は禁止規定をきちっと設けることですよ。そうでないと、実効性を高めるとは何かというと、とれるかどうか、とったときに自分の身分はどうなるんだろう、物すごい不安感がある。もしかしたら減給されるかもしれない、そんな不安があるのを解消してやることが一番なんですから、政府として現時点でこの不利益取り扱いの問題についてどういった、歯どめという言い方にしましょうか、歯どめをされようとされているのかお伺いしたいと思います。
#114
○政府委員(高橋柵太郎君) 先ほど大臣からもお答えを申し上げましたように、この不利益取り扱いの問題につきましては、不利益取り扱いをしてはならないということは、これは育児休業を労働者の権利として認めたことからも当然のことでございます。ただ、これがいろいろな意味でその判定、判断が非常に難しいということで今回この規定に載っていないわけでございますが、ただ、この趣旨を徹底するという方策はこの法律の施行にあわせて考えてまいりたい。具体的には、法律案にもございます労働大臣の定める指針等も十分に考慮してまいりたいというふうに思っております。
#115
○木庭健太郎君 今言われたように、指針というのが非常にこれから大切になってくるわけですね、そうなると。一応基本になる。先ほどもちょっとおっしゃっていましたけれども、指針の具体的内容についてはもちろんこの法案が通った後検討される、前回も聞いたときそうおっしゃったような気がするんです。ただ、どういった方向性をもって指針を定めていかれるのか、その具体的な指針の方向性みたいなのがございましたら、お答えをお願いします。
#116
○説明員(藤井龍子君) 第十二条に定めます「指針」でございますが、この「指針」には、第八条の「育児休業に関する定めの周知等の措置」、第九条の「雇用管理等に関する措置」、第十条の「難務
時間の短縮等の措置」、第十一条の「一歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置」について定めることとしているところでございます。そういたしまして、この措置に関しましては「その適切かつ有効な実施を図るため」定めるということに、これは法律上でも書いてございますが、そうしたいと考えております。
 いずれにしろ、その具体的内容につきましては、婦人少年問題審議会にお諮りして決定してまいりたいと思っております。
#117
○木庭健太郎君 一歩もなかなか出ませんね、これは。
 次に、三十人以下の労働者を雇用する事業所に対する暫定措置の問題でございますけれども、昨日中小企業人材確保法というのが通りましたよね。これは前回も指摘させていただいたと思うんですけれども、私は、暫定措置というのはとるべきでないというのが基本的に考えていることです。いずれにしてもとるべきでない。援助をする形で、逆に言えば一緒に始められるスタートの時点にするということが一番大事だというふうに考えます。
 これから短縮の方向で何かできれば、それは一年でも早い方がいいわけでしょう、労働省でも、そういう事態を迎える方が。それならば、例えばこの問題については事態の推移を見て、一年後、ああ非常にいいということがあり得るのかどうかわかりませんけれども、そういうことも起こり得ることもあるかもしれないわけです。何とか短縮の方向というのは検討はできないんでしょうか。
#118
○政府委員(高橋柵太郎君) 先ほども御説明をさせていただきましたけれども、法案におきまして、常時三十人以下の労働者を雇用する事業所において、雇用管理の面で種々の困難が予想されますので、準備期間として三年間の適用猶予期間を設けることとしたものでございまして、三年というのはこのような小規模事業所の雇用管理の状況を勘案いたしますと最小限度の期間ではなかろうか、三年程度は必要であるというふうに私どもは考えているところでございます。
#119
○木庭健太郎君 ただ、そういった三十人以下の事業所に対しても、育児休業制度を導入していただくところはどんどんしていただくというようなこともたしか前回おっしゃっていたと思います、実質的にとれるところは。そういうものを促進するために国としてどういった方向でやられようとされるのか。この三十人以下というのは物すごく、半分ですよね、半分がならないわけですから、やはりこれに対しては何らか――詳しくは四六%とあちらでおっしゃってますけれども、本当にちょうど半分になるわけですから。そういった人たちに対して、やりたいところふえるような方向で労働省としても施策を推進しなくちゃいけないと思うんですけれども、その点についてどんなふうな形でこれからやられようとしているのかをお伺いしたいと思います。
#120
○政府委員(高橋柵太郎君) この法案の中で適用を猶予されている事業所でございますが、この事業所におきましても育児休業制度の導入を促進していくということは大変重要な課題でございますので、そうした事業主に対する制度導入促進のための助成措置につきましては平成四年度予算の中で要求してまいりたいと、その内容を詰めてまいりたいというふうに思っております。
#121
○木庭健太郎君 ぜひ確認しておきたかったのは育児休業期間の取り扱いの問題なんです。この前も質問出てましたけれども、政府案では労使協定に全部ゆだねておりますが、この期間の取り扱いについて、最低限、年次有給休暇の取得の資格に係る出勤率の算定の問題ですけれども、算定において、産前産後休暇と同様に出勤したものとみなすこと、少なくとも計算から除外すべきであるというふうに考えるんです。この点を確認させていただきます。
#122
○政府委員(佐藤勝美君) 育児休業をとった労働者が育児休業期間以外の期間の出勤状況のいかんにかかわりませず年次有給休暇がとれないという事態が生ずるということになるとこれは適当ではないというふうに思います。このため、年次有給休暇の付与要件であります出勤率の算定に当たりましては育児休業期間を労働日に算入しないという扱いをいたす方向で対応したいと考えております。
#123
○木庭健太郎君 それと、先ほども出てましたけれども、この育児休業期間の変更の問題について一番の私はポイントになるのは、短縮規定がないというのを非常に不安に思うんですよね。突発したときにとっている人が戻ろうにも戻れないような状況というのは、労働者にとってはもう非常な不利益をこうむりますし、実際に働こうと思っても働けないような状況になってくるわけでもございます。
 先ほど、合意があれば短縮ができるというふうな御答弁をしておりましたけれども、何かこういった特別の事情が起きた場合ですよね、短縮の問題でも。例えば育児休業をとっている人の相手方の人が急に亡くなってしまったりとか。そうすると本人はどうしても働かざるを得ない状況になるわけですから、そういった本当に緊急やむを得ない場合が起きたときについては何らかの救済措置は設ける必要があるんじゃないかなと思うんですけれども、この点は何も御検討になってないでしようか。
#124
○説明員(藤井龍子君) 本法律案の中では、第四条第三項で、「休業終了予定日とされた日後の日に変更することができる。」場合、事由を限定せず認めているわけでございますが、一たん申し出た休業終了予定日を繰り上げるという、いわゆる短縮ということにつきましては、労働者の休業を前提に事業主が事業所内での雇用管理――人の配置、仕事の配分等でございますが、そういうことで必要な措置を既に講じてきているわけでございます。
 したがいまして、これを法律上の労働者の権利として自由に認めるということは、事業主にとってなかなか大きな負担になるのではないかということもございまして、法律上の規定は設けていないわけでございます。もちろん、子供さんがお亡くなりになった場合とか、あるいは何らかの理由で養育をしなくなった場合については、その事由が生じた日、原則として育児休業が終了するということにはなっているわけでございます。ただ、実際にこれが各企業で運用されます場合は、それぞれ労働者の状況あるいはニーズ、あるいは事業主の方の都合等を総合的に御判断いただいて適切な解決方法がなされるということを私どもも期待しているところでございます。
#125
○木庭健太郎君 時間ですから、終わります。
#126
○沓脱タケ子君 それでは、本委員会では二回目の質疑になりますが、随分長い間の国民的な要望を踏まえて、本院では小委員会等も長期にわたって検討されて、本提案がされたわけでございます。私は、この政府提案というのが全労働者対象の適用だとか、あるいは生児の一歳末満、一年間の育児休業制度だとか、そういう点での一定の枠組みができたということ、あるいは男女労働者にその適用をするというふうなことなどの大枠については、これはそれなりに大事だというふうに思うわけでございます。
 そこまでまいりますと、やはり安心して育児休暇がとれるかどうか、とれるような制度にしてほしいということが切望されているわけでございます。働く女性たちが本当に安心して育児休業をとるためには、もう各委員からも、また前回の委員会におきましてもずっと指摘をされておりますように、何といっても原職復帰がきちんと定めがあって安心できるかどうかということ、しかも代替要員の何らかの手だてがあるかどうかという問題、そして休業中の所得保障があるかどうかというあたりが一番求められている点だと思うわけでございます。本法案には、そういった一番安心してとるための諸条件というのが法定されていないという点でいろいろと問題追及もなされているわけでございます。
 私は、前回の本委員会でも、所得保障の問題に
ついてこれを何とか考えなかったら安心してとれないのじゃないかということで、たまたま三月にその会社で育児休業をとった女性の労働者の給料表を具体的に示して問題にいたしましたが、給与を支給しないということはゼロではないんだと、明らかに社会保険関係の掛金、それから住民税その他を含めまして、この二十八歳の初めてのお産をした女性の労働者では、毎月三万四千七百円ずつが借金になるか、あるいは支払わなければならないという結果になるんだということを具体的にお示しをいたしました。
 若い夫婦の労働者でありますから、夫の場合の収入を見ましても、あのときに全部計算をして申し上げましたけれども、妻の借金分を支払ってそうして家賃の六万二千円を払ったら、二万三千二百七十円しか残らなくなる。それでは光熱水費で全部消えるんだ、どうして生活をしていくということになりますかと、何らかの措置をやらなければならないと思いませんかということで大臣に質問を申し上げました。そのとき大臣は、心情的にはよくわかる、知恵も出すために努力をしたいという趣旨の御答弁をいただいたわけでございますが、そういう点で、この一週間の間に何らか具体的に知恵が出されてきているのかどうか、その辺のところを少しお聞きをしておきたいと思います。
#127
○国務大臣(小里貞利君) 沓脱先生より先般そのような御要請をいただきました。また私も注目しながらお聞かせいただき、そしてまた答弁申し上げたところでございますが、何せまだこの法律が成立しないものですから、ただ時間的に一週間その後経過したとて、きょうの段階におきまして即座に知恵が出ておるわけでもございませんが、気持ちとしては十分拝聴させていただいておるところでございます。
#128
○沓脱タケ子君 これは、過日の十二日の本会議でも、このままじゃだめだ、だから審議の期間の間でも結構だからぜひ考えてもらいたいということを私申し上げておいたつもりでございます。法案ができるまでにそういった点が明らかにされるということを強く希望いたしておりましたが、今の段階では大変残念だと思っています。これでは安心して休めることにならないなと思って心配をいたします。
 それから、もう一点の原職復帰、これは皆さんもおっしゃいましたように、半年なり一年なり育休をとる女性の労働者は、済んだら職場へ返っても自分の職場があるんだなということの確信がなかったら安心できない、安心できなかったらお乳も出なくなりますよ、実際。だから、本当に制度として保障するなら、安心して子供が育てられるという条件はせめて法定化するべきであったんではないかと思うんです。現在の状況でありますから、原職に必ずしも行けなくても、条件によって原職相当の職場に帰れるんだという点の確信があれば、安心して育児に専念をできるであろうと思うんですが、その点については法定をするべきだと思いますけれども、重ねてお伺いをしておきたいと思います。
#129
○政府委員(高橋柵太郎君) 原職または原職相当職への復帰の問題、先生からたび重ねていろいろとお尋ねのあるところでございますし、またこの問題は本委員会及び婦人少年問題審議会の検討の中でもいろいろと御議論のあったところでございます。
 ただ、育児休業後に原職または原職相当職に復帰させるということが、我が国におきます民間企業の人事異動慣行等踏まえまして、法律によって一律に枠をはめることは困難だというふうに考えているところでございますが、それぞれの民間企業におきまして、そのような原職または原職相当職への復帰ということがかなり行われているところでもございますので、そのような慣行、実態等も踏まえまして行政指導の面で十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
#130
○沓脱タケ子君 いや、私はね、企業の状況を考えてというのが出てくる。女子労働者のために、あるいは労働者全体のためにせっかく新しい制度をつくるときには、企業に不都合があるからやれないという御答弁というのは聞こえませんよ。せっかくの権利を行使してもらうということが第一義的優先であって、そのために企業に不都合が起こるんだったら、何らかの援助の手だてなりなんなりやるべきであるというのが妥当な考え方だ。ところが、民間企業におきましてはというのがすぐ出てくる。企業のために育児休業法をつくっているんじゃないんですね。その辺の点では非常に残念だと思いますね、お考えの基本が。
 したがって、これは是非私は法定化するべきだと思いますが、もう時間もありませんから重ねてはお伺いしませんが、必ず実効の上がるようにしてもらわないと、こんなことが起こったよといってまたすぐ問題にしなくちゃならないことが起こらないようにぜひ考えてもらいたいと思うんです。
 それから、ちょっと関連をいたしまして育児休業期間中の取り扱いについてお伺いをしておきたいと思います。
 これは既にもう問題にもなっておりますように、人事院の意見書によりますと、第七項の「育児休業の期間の取扱い等」というところで、「育児休業職員が職務に復帰した後の給与の取扱いについては、育児休業期間の二分の一に相当する期間を引き続き勤務したものとみなして俸給月額の調整を行うものとすること。」、二は「退職手当の支給に係る在職期間の算定については、育児休業の期間の二分の一を在職期間とするものとすること。」という意見書が出されているわけです。私はもっともだと思うんです。
 ところが、本法にはその規定がないんですよ。そうなると明らかに官民格差が起こる。法のもとの平等にもとるということになると思いますが、どうしてこれを本法に明記しなかったですか。
#131
○政府委員(高橋柵太郎君) 御提案申し上げております育児休業法案におきましては、昇給昇格等につきまして、これは事業主と労働者が話し合いの上決定すべきものであることから法律上一律に定めることといたさなかったものでございます。
 ただいま先生御指摘の公務員についての取り扱い、これは人事院の意見の申し出を受けまして総務庁で御検討されているというふうに理解しておりますけれども、勤務条件について労使の話し合いで決定をすることができない公務の部門と民間部門とでは法律の規定の仕方に違いが生じてくることもあり得るというふうに私ども考えております。
#132
○沓脱タケ子君 それじゃ、労使協議の事項であるから、全国すべての該当する女子労働者の職場へ労使協議で二分の一に算定するということをやるようにという、労働省の方は指示をお出しになりますか。
#133
○政府委員(高橋柵太郎君) 賃金その他の労働条件の問題、これは労使自治の原則でございますので、行政がそれにつきましていろいろと申し上げるにはおのずから限界があるものというふうに考えております。
#134
○沓脱タケ子君 そんなことできないんですよね。だから法定をする必要があるということを申し上げている。法定をしておきませんと矛盾がいっぱい出てくると思うんですね。
 これはさっきもちょっと触れられておりましたけれども、労基法の三十九条の「年次有給休暇」ですか、これはたまたま法律改正したから違うんですという話だけれども、この三十九条では「使用者は、一年間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」という規定がございますね。育児休業制度を適用されて育休をとったら大部分の人たちというのは翌年年休がとれないという可能性が出てくるでしょう。八割といったらかなりですよ。法律で決めておかないとぐあいが悪いのではないかと思いますが、これはどうですか。
 さっきのお話では、どうやら育休中を全労働日にカウントしないんだというような話をちょっと言っていましたね、さっきの質問者に対して。ち
ょっと正確に聞かせてください。
#135
○政府委員(佐藤勝美君) 育児休業をとった労働者がそのために年次有給休暇がとれなくなる、つまり育児休業期間以外の期間の出勤状態がどうであってもとれなくなるというような事態は適当でないというふうに認識をしておりますので、出勤率の算定に当たっては、出勤した日の数を全労働日で割るということに技術的になるわけでございますけれども、その場合に、割る数割られる数両方からその育児休業の日数を除外をするという扱いになりますから、したがって残りの部分で算定をするということになりますので、御質問のようにそういうことをやったら要件を満たさないのじゃないかというようなことには必ずしもならないというふうに私どもでは考えております。
#136
○沓脱タケ子君 それは何で規定がありますか。行政指導ですか、法律事項ですか。
#137
○政府委員(佐藤勝美君) これは労働基準法三九条の解釈としてさような取り扱いをしたいというふうに思っております。
#138
○沓脱タケ子君 年次有給休暇については、三十九条の解釈でそのようにおやりになるというわけですね。それは大変結構なんで、そうしたら育児休業をおとりになった方々が翌年年休をとれないというようなことにはならないということですね。
#139
○政府委員(佐藤勝美君) 先ほど御答弁申し上げましたような扱いになりますから、それはあくまでも育休をとったがためにその他の期間についてどんな出勤状態であってもとれなくなるということにならないようにということで今申し上げているような解釈で運用したい、こういうことでございます。
#140
○沓脱タケ子君 解釈でだから、それはもうどこへ行っても通るんでしょうね、全国どこでも。
 私は、年次有給休暇はそれで助かったと思うんですが、ところが多くの企業では今出勤日数を賃金だとか昇給、ボーナスあるいは退職金の根拠にしているというところは随分あるんですね。有名な日本シェーリングでは八〇%条項というようなことで、産休や生休や年休も含めて八〇%以上出勤していなかったらベースアップしないということで係争が起こりました。最高裁ではそれはだめだということになったわけですけれども、しかし出勤日数等が根拠にされるということがありますので、これは二分の一法定保障がなかったら、これらについての不利益が出てくるというおそれは十分あると思いますが、いかがですか。
#141
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業期間中につきまして事業主、これは賃金を支払う義務はないわけでございまして、育児休業期間中に係るボーナス等の取り扱いにつきましても、この育児休業法案におきましては直接の制約はないわけでございます。したがいまして、労使交渉等の決定過程を経て定められたそれによるものというふうに考えております。
#142
○沓脱タケ子君 ちょっと最後はどうだったんですか。
#143
○政府委員(高橋柵太郎君) 労使交渉等の過程を経まして、どういう場合にそういうものを出していくのかというのは、これは労使でお決めになる事柄でございますので、その定めによるということでございます。
#144
○沓脱タケ子君 わかりました。
 労働省、年休について今は法律改正ができましたけれども、法律改正以前は年休をとってもボーナスの査定にされていたということがありましたね。――それはボーナスの査定にしてもよいということになっていた、いや、それはそうなんですよ。六十二年の法律改正で初めて百三十四条が改正をされて、やっと「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」という法律改正されたんです。
 だから、労基法で定められた権利である年休でさえもこういうことなんですからね。今のような時代ですから育児休業制度をとって不利益にならないという保証はないんですよね。だから、そういう点ではやはり人事院が意見を出しておられるように、二分の一というカウントを法定する必要が非常にあるし、重要だなと思うんです。こういうことをやらないと男女賃金格差というのはますます広がってくるということも考えられるんですね。
 その点で、重ねてお伺いをしておきたいんですが、そんな法定する気はありませんか。
#145
○政府委員(高橋柵太郎君) 先ほど来お答えを申し上げておりますように、それらの事項につきましては、労使交渉等によりまして定められるのが基本であるというふうに私ども考えております。
#146
○沓脱タケ子君 私は、育児休業制度という制度をとることによって女子労働者の不利益を増幅しないということのために法律が作用しなければならないと思っているんですね。だからこの問題をえらい執拗に言っているんです。賃金格差は今だってあるわけです、随分ひどい賃金格差。そういうことを考えますと、どうしてもこの辺は法律で歯どめをかけなければならないなと思うんです。
 というのは、今日日本の女子労働者というのは、男性の労働者との賃金格差が大変大きいというのは御承知のとおりでございます。男性一〇〇として女子六〇・二%にも今なっていますかね。えらい急に上がったなと思うんだけれども。それでも外国と比べると、西ドイツは七三・四だし、フランスは八八・五だし、デンマークは八一・七ですから、我が国が六〇%としても随分低いわけですが、特に私思いますのは、製造業の場合には男性の四七%にしかなってないんですね。これはもちろん勤続年数とか昇任昇格等もあって低いんだと思いますけれども、本来女子労働者の低賃金構造というのがずっと続いているんですね。
 この点で、時間の都合があるんであんまりたくさん言えませんけれども、大体初任給からもう差をつけているんですよ。労働省の婦人局の資料を見ましても、中卒、高卒、大卒を見ましても、全部男性の九〇・五%、九四・二%、九五・二%というふうに初任給から差がついております。しかも、それがひどいなと思いますのは、統計があります五十二年度から見てわずかずつこの開きが広がっている。こういうことを考えますと、これで育児休業制度がかぶさったらまた損害をこうむるんではないかということを感じるわけですから、こういう点は改めるようにもっと労働省としては目を向けて改善のために努力をしてほしいなと思うんです。
 なぜこのことをあわせて申し上げるかといいますと、賃金の男女格差というのは一生ついて回るということなんですよね。大臣のお手元にも資料を渡していると思いますが、厚生年金の老齢年金、男女別に年金額がどう違うかという資料を見ますと、ちょっと驚きましたね。二十年以上厚生年金に加入した者で平成元年度に年金を受けた者の額が、月額十万円未満は男子が三・八%です。女子が五六・二%。女性の半分以上が十万円未満。これはこれで一生続くわけでしょう。月額十五万未満というところで見ますと、男性は三〇%、女子は八九%です。この賃金格差というのはずっと終生ついて回るわけですからね。この格差は大きいと思われるでしょう。あんまりもう時間ないから、感想も含めて聞きたいと思いましたけれどもね。
 だから、こういう格差をなくしていくというためにも、縮めていくというためにも育児休業を一年とったからまた格差が広がるということにならないように、これが非常に大事だと私は思いまして、何とかしてこれは育児休業中の二分の一、人事院が意見を出しておられるその水準でぜひ法定化をするべきだと思うのですが、重ねて御見解をお伺いをしておきたいと思います。
#147
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生の方から男女間の初任給の格差、これが生涯いろんな面において波及をされるというようなことも踏まえまして、男女間の賃金格差の問題について触れられたところでございます。
 男女間の初任給の格差の問題、これは一般労働者の一人平均所定内給与額の格差に比べると小さ
くなっているわけですが、男女で従事する産業にいろいろ差異があるとか、そういう就業分野で男女が異なることなどによってこの格差はもたらされている部分もあるわけでございます。こういう男女間の就業分野の違いにつきましては、男女雇用機会均等法に基づきまして募集、採用における男女の均等取り扱いが着実に実現されていくように、私どもの方も努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#148
○沓脱タケ子君 これが実態だということをひとつつかんでいただいて、さらに女性の労働者が不利益をこうむらないための対応ということ、私は願わくば法定にするべきだということを強く御要望申し上げておきます。
 時間がなくなったので残った時間でお伺いをしたいんですが、一つは代替要員を何らかの手だてをするべきだと思うんですね。人事院の意見書では、第五の項に「育児休業に伴う臨時的任用」という項目が挙げられて、その期間中の「臨時的任用を行うものとすること。」というふうに言われておりますので、本法にも何らかの法定化をするべきではないかと思うんです。
 特に、今せっかく企業によって定められている育児休業制度があってもとれないという人たちの中で、他の周りの同僚に迷惑がかかるということが気兼ねで休めないというのが三四・六%になっておりますね。これは有名な数字です。だから何とか安心して休めるという状況というのは、自分が抜けても周りの仲間たちに負担が転嫁されなくて安心できるという状態というものが欲しいわけです。これが切なる願いだと思うのですけれども、これは公務員に対してもあるんですから、ひとつ本法にも何らかの形で明らかに法定をするべきだと思いますが、いかがでしょう。
#149
○政府委員(若林之矩君) 育児休業中の代替要員の確保対策は、育児休業制度の円滑な運用を図る面で極めて重要であるというふうに認識をいたしております。したがいまして、この問題につきましては、私ども全国に職業安定機関のネットワークがあるわけでございますので、これを十分に活用をいたしまして対応していきたいというふうに思っておるわけでございます。
 育児休業の取得をした方に対する代替要員につきましては、一般に短期の労働者による対応が多いわけでございますので、私どものパートバンクでございますとかパートサテライトを活用いたしまして、パートタイム労働者で対応できるという面もあると考えております。
 さらに、平成三年度からは女性の専門の安定所、レディス・ハローワークの設置をお認めいただいておるわけでございまして、ここで臨時、短期的な就業を希望する求職者を登録いたしまして、適宜その希望に応じて紹介を行うスポット紹介方式というものを採用することにいたしております。こういったものも非常に有効であるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、こういったようなネットワークを十分に活用いたしまして、気兼ねして育児休業がとりにくいといったただいま御指摘の調査結果も念頭に置きまして、的確に対応できるように職業紹介の具体的な方策について検討してまいりたいと考えております。
#150
○沓脱タケ子君 職業紹介を一生懸命やってくれるのはいいんだけれども、必ずかわりが来るということが安心の第一の条件だということを申し上げているんです。時間の都合がありますから、この点は人事院の意見書にあるんだから、官民格差をなくしていくという立場で本法にも何らか盛り込んでいくということを考えていただきたい。
 それからもう一つ、最後に中小企業の問題、各委員からも出ております。中小企業の暫定措置を三年猶予と言っているんですが、来年何か局長は予算要求します言うておるでしょう。何で三年にするんですか。来年の四月一日がこの法律の施行期日なんです。そうしたら何も暫定措置を置かなくても、来年予算要求するのだったら一緒にやれるじゃないですか。その辺が一つ。
 それからもう一つは、大きい企業で制度が実現をされても、支店だとか分店だとかいうところへ出向したけれども、その職場が三十人未満の場合にはそれはどうなるのか、本店ではちゃんと、会社全体では制度が確立しているから、三十人未満のところへ出向しているけれども、それは除外されないのかどうか。その二つをちょっと聞かせてください。
#151
○政府委員(高橋柵太郎君) 今回の法案におきまして、小規模企業三年間の適用猶予をいたしてございます。これは一般的に他の事業所につきましても、法案が可決成立をいたしまして、その周知等のために必要な期間があるわけでございますので、殊に雇用管理面におきましてのいろいろな状況も勘案いたしまして、施行期日をこの法案におきましては平成四年四月一日にしているということでございます。
 加えまして、これらの三十人以下の事業所におきましては、育児休業というのが労働者のいわば申し出だけにかかって権利が発生することでございますので、直ちにこれを認める場合には、これらの事業所におきまして労務管理上のいろいろな困難性が高いということに着目をいたしましてこれらの期間を設けることといたしたものでございます。
 第二点の、同一企業内で事業所によって適用の有無が分かれているような場合について、このような場合には、この法律の規定といたしましてあり得ることではございますけれども、なるべくそこに働く労働者というものが同一の取り扱いを受けることができるように、猶予期間内におきましても十分に指導をしてまいりたいというふうに思っております。
#152
○沓脱タケ子君 これは「事業所」と書いてあるからそうなるんです。だから、本来中小企業、三十人以下の事業所というのは四七%の労働者がカバーされるわけですから、私どもはせっかくいい法律ができるんだから、そういう手当てをしなければならないところに対しては、一定の助成を政府が行ってでも同時に発足のできるような手だて、これは大いに努力をしてもらいたい。だから暫定措置なんていうのは要らぬと思っているわけです。
 最後に一言申し上げておきたいんですが……
#153
○委員長(福間知之君) 沓脱君、時間をオーバーしています。
#154
○沓脱タケ子君 済みません。最後に、共働きの子育てをしている女性労働者にとってはいかに大変かということなんですよ。これはもう総理府の統計を見ましても、睡眠時間はほかの人よりは短い、自由時間は短い、そういう統計が出ているでしょう。だから、労働と家事と育児というのがいかに大変かということ、これはもういろんな数値が示しております。
 私は本会議でも申し上げましたけれども、共働きで子育て真っ盛りという女性たちはどんな一日を送っているか。これはもう繰り返しませんけれども、本当に考えただけで胸が熱くなるような思いがするわけでございますから、こういう中で、だからこそ女性たちは本当に安心してとれる育児休業制度をと望んでおるわけです。私が指摘したような点あるいは野党の各委員から御指摘になった点、それらを盛り込んで本当に日本の女性労働者、そして男性労働者も含めて期待の持てるよいものをつくることを特に御要望申し上げて、終わらせていただきます。
#155
○乾晴美君 それでは、私もこの間の十八日に続きまして質問をさせていただきたいと思います。
 女性の労働者というのはもう既に雇用者の四割近くになっているということで、女性の労働力というのは社会全体にとって非常に必要不可欠なものになってきておるということなんですが、連合が実施しました「三五歳以上の女性組合員の仕事とくらし」という調査があるわけですが、四千七百四十二人が回答している。それを見ますと、民間の事務職では未婚、結婚なさっていない方が四一・二%ということで、他の職に比べて非常に高い割合を占めていると思います。また、親との同居の比率はどれぐらいかといいますと、四六・六
%に達しておるわけなんですね。ですから、今沓脱議員もおっしゃいましたけれども、女性が働き続けていくというためには結婚しないか、また家族のだれかに助けを求めるかというようなことで、非常に困難であるということがうかがえます。
 私も共働きをしながら子供を育ててきた人間ですから、本当に育児休業というのは不可欠だなというように思っているわけなんですが、連合がことし二月にまた発表しました「育児休業制度利用者の休業期間中の生活調査」というのがあるわけですが、このことは本会議でも私申し上げましたが、育児休業をとっている勤労者の夫婦共働きの二十五歳の例を見てみますと、休業前は二十八万七千三百円であった。それが休業後は十七万円になってしまうというわけですね。これで安心して休業ができるかどうかということです。無給であるということで社会保険料だとか、また地方税の負担だとか、子供が生まれることによる光熱費だとかミルク代、それから洋服代、保健医療費、そういったような諸経費がふえてくるのでとても苦しくて一年は休めないという声がたくさん上がってきているわけなんですね。
 この育児休業法を実効あるものにするためには、何としても所得保障というのはもう絶対条件だと思うんですけれども、御答弁願いたいと思います。
#156
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生からたび重ねて休業期間中の労働者の経済的な援助の問題につきましてお話がございますが、この問題につきましては、これまでもるる申し上げておりますように、所得保障を行うべきであるという意見の他方で、いかなる支払いも事業主に法律的に義務づけるべきではない、あるいはこの休業が任意的選択性があることから他の労働者とのバランスを考える必要があるというような見解も見られる状況の中で、一定の方向を定めることは困難な状況にあるということで今回の法律では盛られていないところでございますが、現実に企業におきまして労働者福祉や人材確保の観点から何らかの給付が行われている例もございまして、これについて今後それぞれ労使間でこういう制度の趣旨を十分に踏まえまして、妥当な方向を見出していくべきことであるというふうに考えております。
   〔委員長退席、理事対馬孝且君着席〕
#157
○乾晴美君 この前も申し上げましたが、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議のまとめなんですが、この中にも子育てに伴う経済的負担の強調ということは触れているんですね、これは児童手当のことだと思うんですけれども。しかし、育児休業期間中の育児の負担の軽減ということについては全然触れてないんです。こういうことから、育児休業期間中には経済的な援助はしないというようなことを初めから決めているのではないかと疑いたくなりますし、この前のときの論議の中で、労働大臣も、意見が分かれてなかなか結論が出なかったんですよと、くださいという意見もあったけれどもそうでない意見もあって、なかなか出なかったと言うんですけれども、出してもいいじゃないかという意見があった中で、今回ゼロにしてしまったということが、触れなかったということが、やっぱり低い方に合わされてしまうということで非常に残念だなと思うんですね。
 本当に所得保障を何かでやろうと思えば方法は幾らもあるんではないかと思うわけです。例えば社会保険制度全体の中で考えるとか、また雇用保険における失業給付ですか、ああいった財源を利用するだとか、また雇用安定事業を活用するだとか、また私たち四党が出している分は国が三分の一、そして使っている企業の方が三分の一、また働いている私たちも出すんだからと言っているというようなことなんですけれども、もう一度お伺いしてみたいと思います。
#158
○国務大臣(小里貞利君) この前も先生からその点につきましては強く御要請いただいたところでございます。先ほど局長答弁申し上げましたような、私ども当面一つの姿勢に立っておるわけでございますが、しかしながら、ただいま先生お話しございましたように、内外の国民世論を聞いてみましても、その問題につきましては相当な意見もあるところでございます。
   〔理事対馬孝且君退席、委員長着席〕
 ただいま先生お話しになりましたその趣旨は十分わきまえてこれから法律をつくっていただき、そして制度発足いたしましたなれば、厳粛な一つの姿勢で研究しなければならない課題の一つだと、かように思っております。
#159
○乾晴美君 それは今後の最重要課題であるというようにおっしゃったと受けとめさせていただきたいと思います。
 それでは、法案についてお伺いしたいと思うんですが、この法律案の中の二条で、労働者は育児休業を申し出ることにより育休に入ることができるというようにうたっておりますし、三条で、事業主は申し出があったときには拒むことができない、そして八条で、育児休業に関して事業主は、あらかじめ待遇や労働条件などについてその取り扱いを明示するというようなことが定められておるわけです。また七条では、労働者が休業を申し出て、また育休をしたことを理由にして解雇できないというふうになっておるわけなんですが、この二条、三条、八条、七条で民間企業に働く労働者は安心して休むことができるというようにお思いでしょうか。
#160
○説明員(藤井龍子君) お答えいたします。
 二条では、労働者が申し出れば育児休業をとることができる、育児休業をとることが労働者の権利であるということを明確にしてございます。
 また三条では、その申し出があったときは、事業主は休業申し出を拒むことができないと明確に書いてございます。拒んでも休めるという保障があるわけでございます。
 さらに、第八条及び第九条で、労働者の方々が休む前に、不安なく休んでいただけるような配慮を事業主に行うようにという努力義務規定を設けてございます。
 例えば第八条は、事業主があらかじめ休業期間中における待遇を定めておかなければいけない、あるいは育児休業が終わって復帰される場合の賃金、それから配置でございますね、どういうところへ戻ってくるか、そういうものを定めておかなければいけないと定めておりますし、また同条の第二項では、こういう定めを、お休みになる労働者の方個人に明示をするように努めなければならないということになっているわけでございます。
 さらに第九条では、事業主に、休まれる労働者の方の代替要員の確保、あるいは人事ローテーションなどにより何らかの形で穴埋めといいますか、そういうものができるような配慮もお願いするというようなことも定めてございます。自分が休んだ後どういう形で仕事が運ぶかということが明らかになっている。事業主にそういうような配慮をしなさいと定めているわけでございますので、安心して休めるという条件はこういったような条文によって整備されていると私どもは考えているところでございます。
#161
○乾晴美君 あらかじめ待遇を決めておくということなんですけれども、それが不承知だった場合でも権利があるということで休ましていただく、同意しないまま休んでしまうということがあり得ると思うんですが、そのときに、今おっしゃっていただいたような職場配置だとか降格だとか、賃金が引き下げられるというようなおそれというのはもう絶対にないのでしょうか。もしそういうことがあったときに、これに対して行政はどのような指導をしていただけるんでしょうか。
#162
○説明員(藤井龍子君) 育児休業を申し出ることによる、あるいは育児休業をとったことを理由とする不利益な取り扱いというものは、再三大臣、それから局長から御答弁申し上げておりますように、あってはならないことであるという、この考え方は明らかでございます。私どもといたしましては、法施行にあわせてその趣旨を徹底するよう最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
 具体的には、行政機関によります指導、助言、勧告といったような措置が盛り込まれておりますので、有効にそれを活用してまいりたいと思っております。
#163
○乾晴美君 今おっしゃったのは、十二条の二項でそういうことを言っているということだと思うんですが、それは具体的に各都道府県にある婦人少年室というようなところが対応していかれるんでしょうか。
#164
○説明員(藤井龍子君) 私ども労働省の婦人局の直轄機関として四十七都道府県に婦人少年室を設置してございます。
 第十二条の第三項で、ただいま申し上げました事業主に対する必要な助言、指導または勧告、この権限を一部婦人少年室長に委任することができるということになっておりますので、四十七都道府県津々浦々で御指導申し上げるという形をとらせていただきたいと思います。
#165
○乾晴美君 徳島県の婦人少年室というのは四名しかいらっしゃらないんです。室長さんお一人、そして補佐さんが一人、事務が二人、そこに協助員の人もいらっしゃるんだと思うんですけれども、現実には四名しかいないわけです。この四名でそういう対応ができるかどうかということで、ちょっと疑問に感じたりするわけなんですが、今後そういった意味で婦人少年室の行政体制の充実強化を図るべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
#166
○政府委員(高橋柵太郎君) 従来、育児休業制度の確立ということで、私ども行政的には啓発、指導を中心として施策を展開してきたところでございますが、今回はこのような法律ということでさらに制度を確立しようということでございますので、この法律が可決成立をいたしました段階におきましては、十分にこの法律の趣旨が徹底するよう行政体制についての充実も検討してまいりたいというふうに思っております。
#167
○乾晴美君 よろしくお願いしたいと思います。
 徳島県は、昨年の四月には室長さんが赴任されてないという穴あきの中で婦人週間を迎えるという非常に苦しいことがございまして、大変心配いたしました。そういうことで、今後支障のないようによろしくお願いしたいと思います。
 八条の労働条件の明示は書面で一人一人に渡すということなんですか、ちょっと確認させていただきたいと思います。
#168
○説明員(藤井龍子君) 第八条の周知の措置でございますが、まず第一項の措置につきましては、これも第十二条の指針にそういった具体的なことを定めることにしてございます。今おっしゃいましたようなことは第二項でございます。こちらで定めておるかと思いますが、「労働者が休業申出をしたときは、労働省令で定めるところにより、当該労働者に対し、」「当該労働者に係る取扱いを明示するよう努めなければならない。」ということでございますので、これは、休業をとる労働者個々人に明示をするということでございます。なお、明示の方法等については、追って労働省令で定めさせていただきたいと思っております。
#169
○乾晴美君 それでは、次に移ります。
 第三条のことなんですけれども、ここで休業権を認めているということなんですが、範囲を明示されているとは言うけれども、労使協定をすれば制限できるというのであれば、個人の権利を制限することになるのではないかということと、労使協定と言うんですか、ということを労働組合とやる、そして、もしそういう人がいないときには「その労働者の過半数を代表する者」というようなことなんですけれども、労働組合の組織率というのは二六%ということが現状なわけですね。そうすると、四分の三というのは労働者代表の適格性をどのように確保できるんだろうかなというように思うんですが、いかがでしょうか。
#170
○説明員(藤井龍子君) これは、過半数を組織する労働組合がある場合はその労働組合と協定をする、そういう労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定を行うということになっているわけでございまして、その協定当事者の方が過半数を代表する者であるかどうかということ、例えばどういった形で選挙が行われて選ばれる者であるかどうかといったようなことについては、いろいろな例もございますので、十分検討して適切に指導してまいりたいと思っております。
#171
○乾晴美君 労働基準法の三六協定というのがあると思いますが、そういう中では労働者代表の選出方法などについて書面で書いて届け出るというようになっておるわけなんですが、ここの条項では届け出をしなくてもよいようになっておるわけですね。そうすると、労働者代表の適格性についてはだれがチェックするのか。一方的に使用者が文書をつくってきて、実はうちの企業はこういうふうになっておるんですよと言われたときに、それが法律よりまだ下回っているようなことがあっても、個人がこれはおかしいなと思っても、そのチェックができるかどうかということが非常に心配なんですが、そういうことは起こり得ないんでしょうか。
 今度条項の中に、どうして十二条二項の対象の中に届け出の義務というものを課せられなかったかということもあわせてお願いしたいと思います。
#172
○説明員(藤井龍子君) 先ほど御説明申し上げましたように、過半数を代表しているかどうかというようなことについて、その選出方法等につきましては、先生御指摘のような例も十分勉強させていただきまして、適切な運用がなされるように指導してまいりたいと思っているところでございます。
 それから、なぜ届け出を定めていないかということでございますが、この法案の第三条第一項で定めております労使協定は、民事上の権利義務関係において事業主が特定の者の育児休業の申し出を拒むことができるようにするための要件でございまして、刑事上あるいは行政上の免責規定ではないということから、特段届け出を要するということにはしなかったものでございます。
#173
○乾晴美君 私は、今後いろいろな問題が起こってくるのではないかな、届け出にしておくと人の配置も確保できるのではないかなというように思っているところです。
 その次に、今度十条ですが、「労働者の申出に基づく勤務時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置を講じなければならない。」ということなんですが、この時間短縮とはどの程度のことを言うのでしょうか。
#174
○説明員(藤井龍子君) この十条では「勤務時間の短縮」ということを定めておりますが、現在のところこれについて一般的な基準、どれぐらいの短縮というようなことを私ども行政として定めるということは考えていないところでございます。
#175
○乾晴美君 労働基準法の中では、例えば一日二回各三十分というふうになっておるんですけれども、この育児時間をそういうことでとってもいいんでしょうか。
#176
○政府委員(高橋柵太郎君) 労働基準法との関連でございますが、基準法の場合、女子労働者が生後一年未満の生児を保育している場合に、これに授乳その他の世話のために要する時間を確保する、あわせて一般に産後と考えられますような、こういう女子労働者と母性を保護するという観点から設けられたものでございます。したがいまして、このような労基法上の育児時間と、それから就業しつつその子を養育するための措置の一つであります本法案におきます勤務時間の短縮措置とは、別の目的に基づく別の概念であろうというふうに考えるところでございます。
 したがいまして、勤務時間の短縮というのは基準法上の育児時間とは別の措置でございますので、育児時間の付与をもってこれにかえるということはできないというふうに考えます。
#177
○乾晴美君 それでは、次の問題に入らせていただきたいと思います。
 雇用を継続させていくために育児休業制度の確立をするということなんですけれども、育児休業
に入る前に妊娠中の保護をしないと、育児休業までいかないということも出てくるのではないかと思うんですね。殊に都市の通勤状態というのは、妊娠中の人が電車で通勤するというのは、非常に苦しい状態にあるのではないかと思います。
 均等法の二十七条では、妊娠中及び出産後の勤務婦人の健康管理に必要な措置というのが講じられているように思うんですけれども、通勤緩和のための時間短縮だとかつわり休暇とかというようなものを拘束として入れられなかったかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
#178
○説明員(藤井龍子君) 今おっしゃいましたように、妊娠中あるいは出産後の女子労働者の健康管理、これは重要な問題でございます。
 労働省におきましては、労働基準法上、先生御指摘のとおり母性保護措置というものがございます、この周知に努めますとともに、男女雇用機会均等法に基づきまして母性健康管理指導基準というものを定めて、これの周知、さらには通勤緩和措置あるいは妊娠障害休暇、いわゆるつわり休暇でございます、こういった措置の普及促進を図っているところでございます。そういったような行政指導で適切に対応させていただきたいと思っているところでございます。
#179
○乾晴美君 先ほども申し上げましたように、健やかに子供を生み育てる環境づくりについて、あのまとめの話なんですが、この報告書の中で、「育児休業制度の確立に向けてさらに一層の普及促進に努めるとともに、育児休業制度の法的整備の在り方について検討する。また、女子再雇用制度の普及促進、再就職援助対策の強化等により、育児負担が軽くなってから再び仕事に就くことのできる環境の整備を図る。」、こういうふうに言っているわけですね。
 これで、育児休業制度の推進と再雇用、再就職援助対策、こういうことになってきますと、どちらに重点を置くのかな、これら政策は就業の継続を勧めていく法案であるし、またもう一方では離職を前提とした政策であるという意味で、反対の方向を向いた施策であるというようにも思うので、ちょっと確認させていただきたいと思います。
#180
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業制度は非常に重要な制度でございますし、また今御指摘の再雇用制度は妊娠、出産、育児を理由として退職した女子が、就業が可能となったときにもとの企業に雇用されることを可能とするような制度でございまして、女子の再就職希望の増大に対応する施策の一つとして有効であるというふうに考えまして、従来より普及促進を図ってきたところでございますが、育児期の女子の就業ニーズ、これは多様でございます。したがいまして、これに対応するためには再雇用制度も育児休業制度と並んで有効な制度であるというふうに私ども考えております。
#181
○乾晴美君 また、同じ報告書の中なんですが、「男性の家庭生活への参加促進」の中で、「企業等に対し、労働時間の短縮をはじめとして、男性の家庭生活への参加を容易にするフレックスタイム制、在宅勤務等の勤務形態についての配慮を」と、こういうふうに入っているわけなんですが、「職業生活と家庭生活の両立支援」においても、在宅勤務は当然含まれると思うんですけれども、これも確認させていただきたいと思います。
#182
○説明員(藤井龍子君) 先生がその報告をお読み上げいただいておられるとおりでございまして、仕事と育児を初めとします家事を両立させるための方策、これはさまざまなものがあるかと思います。労働者のニーズ、それから置かれている環境等によりましてさまざまな方策があるかと思います。在宅勤務というものも、そういった意味では両立するための一つの有効な方策かと考えております。
#183
○乾晴美君 この法案は、せっかく男女でとれるようになりましたんですから、この前も申し上げましたけれども、やはり男性の育児休業促進についても触れるべきであったなというように思います。
 それでは、時間が来たと思いますので、最後に、私たちが出させていただきました四党提案の育児休業法案と、政府が出してまいりましたこの育児休業法案との間には相当の開きがあるというように言わざるを得ません。本当に育児休業法案を働く全労働者の立場に立って実効あるものにするというためには、今後どういう点を、先ほどもおっしゃっていただきましたけれども、重要な課題として努力されていかれるのか、労働大臣の決意のほどを伺わさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#184
○国務大臣(小里貞利君) 皆様方の長時間にわたる真剣な論議の中で、それぞれ幅広く貴重な御意見をお聞かせいただいたところでございます。
 中でも、かれこれ単純に分類できるわけではございませんけれども、特に休業中の賃金の問題等を初め、あるいはまた職場復帰にかかわる安定した手がたい手続の問題、あるいはまた中小企業にかかわる猶予措置の問題等々お聞かせいただいておるところでございまして、これらの問題は先ほども御答弁申し上げましたように、幸いにいたしまして本院の御可決をいただきまして、これが法律として進んでまいりましたときには、私どもはその法規の中に見直しの手続があるなしにかかわらず、当然必然的に、執行されましたその法律の実施の状況あるいはまた各方面からこの制度に対する御意見等もお聞かせいただくわけでございますから、それらを勘案しながら可能な限り早い時期に皆さんの御期待に沿えるような法律及び行政として切磋琢磨し、そして前進をさせていかなければならぬ、かように思っておるところでございます。
#185
○乾晴美君 ありがとうございました。
#186
○勝木健司君 今、切磋琢磨してできるだけ早い時期に見直しを必要に応じてやっていこうという大臣の答弁を伺ったわけでありますが、この法案は育児休業の申し出をいたしまして、そしてまた、あるいは休業したことを理由とする解雇を禁止する禁止条項のみが明記をされておりまして、こういう解雇禁止のみでは安心して育児に従事することができないんじゃないか、少なくとも年次有給休暇に関して労基法に規定されておりますように、権利行使を理由とする不利益取り扱いの禁止を規定をしていかなければ、極めて不十分な立法と言わざるを得ないんじゃないかというふうに私どもは思っておるわけであります。
 婦人少年問題審議会の建議の中でも、法の施行に伴い、徹底を図るべく重要な事項であるとしつつ、「何が不利益かの判断が難しく、ケース・バイ・ケースの問題である」ということで、「法律で規定することは適当でない」というふうにいたしております。しかし、この法案はこの建議に沿って不利益取り扱い禁止を明文化しなかったものでありますけれども、私はこのような考え方自体が極めて不合理じゃないかというふうに思うわけであります。建議でも述べておりますように、この法の施行に伴い、徹底を図る重要な事項だといたしますと、この法の規定を置かずしてどのように徹底を図られていくのか、この点について御説明を願いたいと思います。
#187
○政府委員(高橋柵太郎君) 法律の趣旨からいたしまして、不利益取り扱いがあってはならないことは、これは当然のことでございます。不利益取り扱いがあってはならないということで大臣の指針等も念頭に置きながら、それに基づき行政指導を行うことによって趣旨の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
#188
○勝木健司君 大臣の指針で徹底させていくということでありますけれども、指針の中身についてもお伺いしたいわけでありますが、時間も差し迫っておりますので、次に進みたいと思います。
 労基法上の権利であります年次有給休暇に関する法違反につきましては、刑罰を背景とする労働基準監督署の行政指導により速やかに解消されるということが保障されておるわけでありますが、この法案では罰則規定がないばかりか、労働大臣は本法二条に関する労働者の権利行使について何
らの指導権限も付与されていないというふうに私どもは解釈をいたしております。行政指導による迅速な是正手段が規定されていないということであれば、実質的に判断するから権利保護に影響がないなどとは言えないんじゃないかというふうに思うわけでありますが、これについての見解をお伺いしたいというふうに思います。
#189
○政府委員(高橋柵太郎君) この法律案の二条の規定もそうでございますけれども、育児休業の権利と行使に関します規定は、労働者がその意思表示によって育児休業をすることができるようにするための民事的な効果を第一の目的といたしたものでございます。その意味では、民事的な紛争が起こった場合におきまして、裁判所において実質的な判断が下されることになるというふうに考えられるわけでございまして、私ども、こういう法律案の規定によりまして労働者の権利が保護されるように、なお十分に趣旨の徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
#190
○勝木健司君 権利行使を理由とした不利益な取り扱いはいかなる場合にあっても許されるべきじゃないんじゃないかというふうに思います。この一般原則を他の立法例同様に法律上明文化することによって趣旨が徹底をされていくというふうに思うのであります。
 ちなみに一般職国家公務員の育児休業等に関する意見の申し出がありますが、この不利益取り扱いの禁止規定が置かれておるのはなぜか、御説明をいただきたいというふうに思います。
#191
○説明員(福島登君) お答えいたします。
 公務員につきましては、法令によって身分保障がなされております。また、育児休業を制度として法制化することになりますと、育児休業を理由とする不利益取り扱いは本来あり得ないことだというふうに考えておりますけれども、現行の育児休業法がこの点を確認的に規定いたしておりますので、新制度におきましても同様の趣旨から規定することといたしております。
#192
○勝木健司君 同じく人事院の意見の申し出によりますと、一般職国家公務員については、職務に復帰した後の給与の取り扱いについては、育児休業期間の二分の一に相当する期間を引き続き勤務したとみなして俸給月額の調整を行うこととし、かつ退職手当支給に係る在職期間の算定につきましても、育児休業の期間の二分の一を在職期間とされておるわけでございます。
 もともと権利行使を抑制する結果につながる不利益な取り扱いは公序良俗に反して無効と言うべきでありまして、昇給及び退職金算定につきましても、二分の一が許容される最低限度と言うべきであるというふうに私は思います。つまり、これを民間の労働者にも適用されないとする合理的な根拠というものは見出しがたいのじゃないかというふうに思うわけでありまして、よってこの法案にその旨を明記すべきじゃないのかというふうに思いますが、その点見解を承りたいというふうに思います。
#193
○政府委員(高橋柵太郎君) 今御指摘の期間の算定あるいは退職金の算定等につきまして、これらの問題につきましては、事業主と労働者が話し合いの上、決定すべきものであるということから法律上一律に定めることとはしなかったものでございまして、公務部門、民間部門それぞれ勤務条件についての決定の方法が異なるわけでございますので、法律の規定の仕方に違いが生ずることもあり得るというふうに考えております。
#194
○勝木健司君 話し合いができる労使であればいいわけでありますけれども、組織率が二六%を割っておるような状況の中ではなかなかそういうことができないわけでありますが、そういうためにこの法律が規定されておるわけでありますので、ぜひその点考慮していただきたいというふうに思っております。
 また、この育児休業取得を理由とする解雇その他の不利益取り扱いを禁止する必要があることは今までもるる申し上げましたように言うまでもないことでありますけれども、私は明文をもって不利益取り扱い禁止を規定すべきではないかというふうに思っております。
 また、有給休暇取得あるいは昇給、昇格あるいは退職金算定等に当たっての育児休暇を取得した期間についても出勤したものとみなすべきじゃないかというふうに思っております。現在の労基法によりましても業務上傷害による休業あるいは産前産後休暇を取得した場合の有給休暇算定についても明文で休業期間中出勤したものとみなすというふうに規定をされておるわけであります。判例上でも「労基法又は労組法上の権利を行使したことにより経済的利益を得られないこととすることによって権利の行使を抑制し、ひいては右各法が労働者に各権利を保障した趣旨を実質的に失わせ」てはならないという最高裁の判決もあるわけであります。
 したがって、育児休暇を権利として保障する以上は、この権利行使を制限する結果となるような、育児休暇というものを勤続年数に算入しないという扱いをすべきではないというふうに思うわけでありますが、再度御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#195
○政府委員(高橋柵太郎君) 繰り返しのお話で恐縮でございますけれども、これら賃金等労働条件の問題につきましては、労使自治の原則ということが前提でございまして、したがいまして、そういうもとで決定をされるということとの関連で法律上一律に定めるということとはしなかったものでございます。
#196
○勝木健司君 私は、少なくとも原職または原職相当職への復帰とか、あるいは勤続期間通算への二分の一の評価というものを省令もしくは指針の中に織り込んでいただきたいというふうに思うわけでありますので、その点について大臣に御答弁をお願いしたいというふうに思います。
#197
○国務大臣(小里貞利君) 法律案第八条第一項の第三号の労働省令に盛り込む事項につきましては、今後施行までの間に十分検討いたしたいと思っております。
#198
○勝木健司君 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 次に、中小の猶予措置につきまして、若干お伺いをしたいというふうに思います。
 育児休業制度の実施状況についても六十三年の調査でも五百人以上の事業所では二五・三%、そうして百人から四百九十九人で一八・〇、そして三十人から九十九人ですと一九・四%という結果が出ております。この結果を見ますと、単純に事業所の規模によって制度の導入が難しいとは私は思えないのでありますが、適用を猶予している三十人以下の事業所での育児休業制度の実施状況、そしてこの三十人以下の事業所への適用を猶予した理由について簡潔に御説明いただきたいというふうに思います。
#199
○説明員(藤井龍子君) 先生今御指摘なさいました私どもの昭和六十三年の女子雇用管理調査、この結果によりますと、御指摘のとおりでございます。ただ、この調査対象には公営の保育園、教育施設等も入ってございまして、三十から九十九人のところでは、そういったところの実施率の高さというものも影響しているようでございます。
 一般的に申し上げまして、育児休業に関するさまざまな調査がございますが、やはり規模の大きいところほど実施率が高く、小さいところほど低いという傾向は明らかに出ているところでございます。特に三十人以下の事業所における実施率につきましては、私ども個別の実態調査によりましてもかなり普及率が低いという結果を持っているところでございます。
#200
○勝木健司君 この育児休業は全労働者に権利として保障されるものであろう、そして労働基準法で定める労働条件と同じように全労働者が対象であるというふうに思うわけであります。また、労働法の精神からも事業所の規模によりまして差別的な取り扱いをすべきではないと考えるのでありますが、常時三十人以下の事業所への適用を三年間猶予している理由について、労働大臣は先日の本会議でも、育児休業制度が直ちに認められた場合、雇用管理の面において種々の困難が予想され
云々と述べられております。種々の困難とはどういうことなのか、そして三年間でこの種々の困難が改革をされていくのでありましょうか。お伺いしたいというふうに思います。
#201
○国務大臣(小里貞利君) 先ほどもちょっとお答え申し上げたところでございますが、ただいまも先生お話しのように、代替要因の問題あるいはそのほか雇用管理に関するこもごもの問題等、極めて事業所が小規模であるわけでございますから、なかなかその辺を弾力性をもって機敏に対応するノーハウに乏しい、そういう配慮もございます。しかしながら、三十人以下であるから、これ法律が始まりまして制度を施行した、そして三年間待つというわけではございませんでして、できるだけ早期にやれるように督励をする、そして事業主も努力をしなきゃならぬ、こういうふうに私は判断をいたします。したがいまして、可能な限り早い時期にこの制度を活用するわけでございますから、大いにその側面も期待をいたしたい、かように思います。
#202
○勝木健司君 常時三十人以下の事業所に関しましては、勤務時間の短縮の措置についても同じように適用が猶予されておるわけでありまして、中小零細企業は所定労働時間についても適用が猶予されておるということは、労働時間が長いというのが現実であるわけであります。だからこそ、少なくともこの勤務時間の短縮の措置については私は猶予すべきではないというふうに考えるのでありますけれども、労働大臣の御所見をお伺いいたしたいというふうに思います。
#203
○政府委員(高橋柵太郎君) 本法案におきまして三十人以下の事業所の適用を猶予してございますが、この法律案の条項は原則として、あらゆる労働者に規模を問わず適用されるものでございます。ただ、この育児休業の権利が労働者の申し出だけに係るものでございますので、そうした場合に、雇用管理の面にいろいろの困難が予想される三十人以下の規模に限って三年間適用を猶予するということでございまして、この猶予期間中においても私どもできるだけ早期にこの制度が導入されますような指導、援助を行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
#204
○勝木健司君 私は、育児休業もできるところはやっていただくということはわかるわけでありますけれども、三年間猶予をしていくということでありますし、労働時間の短縮についても三年間猶予措置があるわけでありますので、言ってみればダブルで中小企業はそういう形であるわけでありますので、ましてや勤務時間等々は短くしてとれるような体制をつくらなければいけないんじゃないかというふうに思っておるわけであります。
 また先日の本会議で、労働大臣はこの三年間の猶予期間においてもなるべく早い時期に制度の確立が図られるよう、行政としても必要な指導、援助を行うというふうに述べておられますが、この必要な指導、援助とは具体的にどういうことか御説明をいただきたいというふうに思います。
#205
○政府委員(高橋柵太郎君) 労働省としまして、このような事業所につきましてなるべく早期に制度の確立が図られるよう指導、援助を行ってまいりたいというふうに考えておりますけれども、この内容等につきましては制度導入促進のための助成措置、これは平成四年度予算の中で要求したいというふうにも考えておりますし、施行にあわせましてのいろんな具体的な詰めを今後やってまいりたいというふうに思っております。
#206
○勝木健司君 具体的には平成四年度予算の中でということでありますけれども、漏れ聞くところによりますと、平成四年度の予算要求を百億あるいは百五十億ほどやられるというふうに聞いておりますが、そういうことでよろしいんですか。
#207
○政府委員(高橋柵太郎君) この法案を可決成立させていただきました段階におきまして、予算要求の中で具体的に今後詰めてまいりたいというふうに思っておりますので、現在そのような内容、金額等について申し上げられるような状況にないことを御理解いただきたいと存じます。
#208
○勝木健司君 手続的にはそういうことだろうというふうに思いますが、できるだけ先が、具体的にどうするのかということが見えてこなければなかなか難しいわけでありますので、よろしく決断のほどをお願いしたいというふうに思います。
 私は、この常時三十人以下の事業所が三年間の猶予期間においてなるべく早い時期にということで制度が確立されるべきではないかということを重ねて思うわけでありますので、猶予期間中に制度を導入した場合、何らかの奨励措置のようなものを設けるべきじゃないか。また、設けるようなこともまことしやかに聞いておりますので、どういうことを考えられておるのか、お伺いしたいというふうに思います。
#209
○政府委員(高橋柵太郎君) 先ほど来の繰り返しになろうかと存じますが、なるべく早期にこういう三年間適用猶予された事業所におきましても制度導入が図られるように指導、援助を行っていくことが必要でございますので、制度導入促進のための助成措置、これは一つの制度導入のための奨励措置というふうにお考えになっていただいてもいいかと存じますが、そういうものを今後考えていきたいということでございます。
#210
○勝木健司君 奨励措置というふうなものを考えるということでありますが、制度導入奨励金のようなものを検討されていくということであれば、三年間の猶予期間の中でも少しでも早く導入が促進されるように、例えば一年目を厚くするなど、そういう傾斜配分的な奨励措置をぜひ検討していただきたいというふうに思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
#211
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生の御提案、参考にさせていただきますが、いずれにしても具体的な内容につきましては、今後検討していくということでございますので、御理解いただきたいと存じます。
#212
○勝木健司君 日本の労働者の約半数が三十人規模以下の事業所に働いておることを考えますと、やはり三年間の猶予とは申しましても、一日でも早く育児休業制度が導入をされて、そこに働く人たちが労働者の権利として保障されるために、今御答弁をいただきましたような、そういう制度導入奨励金制度の思い切った予算措置を私は切望するわけであります。いま一度大臣にその決意のほどをお伺いしたいというふうに思います。
#213
○国務大臣(小里貞利君) 先生御指摘の、この制度に当面参加しない企業に対しても奨励、指導を積極的に行いますし、同時にまたそのことが裏腹に、この制度を本格的に活用するように、三十人以下の企業であってもできるだけ早期に参加するようにすることに通ずると思いますから、お話しのようなひとつ気持ちで、前向きで積極的に対応するべきことだと、さように思っております。
#214
○勝木健司君 もう時間も余りありませんので、最後に、この育児休業法案が通りますと、これに基づいて労働組合を組織している組織は労使間でいろんな経済的な保障措置、援助措置なんかを要求できるわけでありますけれども、いかんせん中小企業は三年間の猶予措置が設けられておりますので、その間、先ほど奨励措置を講ずるということでありますが、この中小事業主に対しての何らかの助成、そしてまた同時に、中小に働く労働者に対するそういう適用猶予措置が三年だからということじゃなしに、それの前に、できるだけ早い機会にこの法案の見直しをすべきだろうというふうに思うわけでありますので、労働大臣の決意のほどをお伺いして、私の質問を終わります。
#215
○国務大臣(小里貞利君) 今先生のお尋ねは柱が二つあると思うんです。一つは、もろもろの先ほど御指摘になったような助成措置、それからもう一つはまた、育児休業中におきまする、先ほどそれぞれお話がございましたように、研修あるいは職業訓練あるいはそのほか情報の提供等々を主体にした一つの対応措置、こういうふうに二つに分類できるかと思う次第でございます。
 これは仮定論でございまして、あくまで本院でこの法律を決定していただきまして、そして法律として私どもが制度で受け入れて実施の段階になりましたときには、先ほどから申し上げておりま
するように、きょうの段階においてはなかなか歯切れのいいことをきちんと具体的に申し上げるわけにはいきませんけれども、いろいろ御指摘がありましたような主なる項目につきましては、誠意を持ちまして、前向きで検討いたしますことを表明申し上げる次第でございます。
#216
○勝木健司君 終わります。
#217
○委員長(福間知之君) ここで、午後四時五十分まで、三十分間余の休憩をいたします。
   午後四時十九分休憩
     ─────・─────
   午後五時十九分開会
#218
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小野清子君及び佐々木満君が委員を辞任され、その補欠として野村五男君及び井上章平君が選任されました。
    ─────────────
#219
○委員長(福間知之君) 休憩前に引き続き、育児休業等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は御発言を願います。
#220
○対馬孝且君 私は、本法律案の見直しの一部修正を前提といたしまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブを代表して、小里労働大臣に対し、本案についての確認質問を行います。
 第一、休業中の労働者に対する経済的援助措置については、平成四年度予算要求において百億ないし百五十億円程度の規模のもので要求するということを確認してよいか、お伺いをいたします。
#221
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 労働省といたしましては、休業期間中の労働者に対しまして、能力維持、回復のための研修等を行う事業主に対し、助成制度を設ける必要があると考えております。
 その内容、金額等については、今後具体的な検討を行いますが、お話しの趣旨を踏まえまして、平成四年度の予算の中におきまして要求してまいる所存でございます。
#222
○対馬孝且君 第二、中小企業事業主に対しては、国として何らかの助成等をすべきではないかと考えますが、お伺いをいたします。
#223
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 常時三十人以下の労働者を雇用する事業所については、猶予期間内においてもなるべく早期に制度の確立が図られるよう、制度導入促進のための助成措置を平成四年度予算の中で要求してまいりたいと考えております。
#224
○対馬孝且君 質問の第三、育児休業をする労働者に対する援助の規模としては、育児休業中の労働者の社会保険料負担等を考慮して、年最低二十万円程度になるものと受けとめてよいか、お伺いをいたします。
#225
○国務大臣(小里貞利君) 休業期間中の労働者に業務に関する情報の提供、能力維持、回復のための研修等を行う事業主に対し、一定の助成制度を設ける必要があると考えております。
 この助成制度の内容、金額等については、お話しの趣旨が生かされるよう、今後具体的な検討を行い、平成四年度予算の中で要求してまいる所存でございます。
#226
○対馬孝且君 質問の第四、中小企業の適用猶予期間が終了する三年後までに抜本的に見直すべきではないか、この点についてお伺いをいたします。
#227
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 労働省といたしましては、育児休業制度の実施状況、休業期間中の待遇の状況などを見ながら、暫定措置がとれて全面的に適用される時期をも念頭に置きながら、総合的に見直しを行う所存でございます。
#228
○対馬孝且君 質問の第五、労働者が育児休業の申し出または育児休業をしたことを理由として不利益な取り扱いを受けることはあってはならないことであり、その旨を本法に基づく指針に明記し、これに反する事業主に対しては本法第十二条第二項に基づく、つまり指導、監督の項ですが、指導、監督を徹底することについてお伺いをいたします。
#229
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 育児休業の申し出あるいは取得を理由とする不利益取り扱いをしてはならないことは育児休業を労働者の権利として認めたことから当然のことであります。法の施行にあわせその趣旨を徹底する方策を講じてまいりたいと思います。
 具体的には、法律案の第十二条に基づく労働大臣の定める「指針」にその旨明記するとともに、これに基づく行政指導等を徹底すること等を考えております。
#230
○対馬孝且君 質問の第六、事業主が育児休業期間中の労働者の能力の維持等を図るための措置を講ずることにより、休業後の円滑な就業の実現に努めることを促進するため、法施行にあわせ積極的な援助措置を講ずることについてお伺いをいたします。
#231
○国務大臣(小里貞利君) 先ほども若干お答え申し上げたところでございますが、事業主が育児休業期間中の労働者の能力の維持等を図るための措置を講ずることにより、休業後の円滑な就業の実現に努めることを促進するため、法施行にあわせ積極的な援助を行ってまいりたいと考えております。
#232
○対馬孝且君 質問の第七、年次有給休暇の付与に当たっては、権利として認められる育児休業の期間を出勤率の計算上欠勤扱いとするようなことが行われないよう、十分指導を行うことについてお伺いをいたします。
#233
○国務大臣(小里貞利君) 年次有給休暇の付与に当たっては、権利として認められる育児休業の期間を出勤率の計算上欠勤扱いとするようなことが行われないよう、十分指導を行ってまいる所存でございます。
#234
○対馬孝且君 質問の第八、育児休業の申し出や育児休業後の就業が円滑に行われるようにするためには、休業期間中の代替要員の確保が重要であることにかんがみ、代替要員の確保に必要な援助を行えるよう公共職業安定所の機能の拡充強化に努めることについてお伺いをいたします。
#235
○国務大臣(小里貞利君) 育児休業の申し出や育児休業後の就業が円滑に行われるようにするためには、休業期間中の代替要員の確保が重要であると考えます。代替要員の確保に必要な援助を行えるよう公共職業安定所の機能の活用に努めてまいりたいと考えております。
#236
○対馬孝且君 質問の第九、常時三十人以下の労働者を雇用する事業所について、適用猶予期間中であっても早期に制度が導入されることを促進するため、法施行にあわせ積極的な援助措置を講ずることについてお伺いをいたします。
#237
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 常時三十人以下の労働者を雇用する事業所については、適用猶予期間中であっても早期に制度が導入されることを促進するため、法施行にあわせ積極的な援助措置を講じてまいる所存でございます。
#238
○対馬孝且君 質問の第十、本法の実効ある運営を確保するため、都道府県婦人少年室を中心として行政体制の充実強化を図ることについてお伺いをいたします。
#239
○国務大臣(小里貞利君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、本法の実効ある運営を確保するため、都道府県婦人少年室を中心として行政体制の整備を図ることは重要なことでございます。最善の努力を尽くしてまいりたいと思います。
#240
○対馬孝且君 ただいままで十点の質問につきまして、小里労働大臣から確認の答弁をいただきました。
 以上、私の確認答弁の御質問は終わります。
#241
○委員長(福間知之君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 育児休業等に関する法律案の修正について前島君及び沓脱君から、それぞれ発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。前島君。
#242
○前島英三郎君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの六会派を代表いたしまして、育児休業等に関する法律案に対し、六会派共同提案に係る修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
 修正の要旨は、政府は、この法律の施行後適当な時期において、育児休業の制度の実施状況、育児休業中における待遇の状況その他のこの法律の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、子を養育する労働者の福祉の増進の観点からこの法律に規定する育児休業の制度等について総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#243
○委員長(福間知之君) 次に、沓脱君。
#244
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっております育児休業等に関する法律案に対する修正案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
 我が党はかねてより、女性労働者等の要求に基づき、すべての産業の労働者に適用され、労働者の申請による権利として保障される育児休業制度の法制化を要求してまいりました。そして、安心して休業するためには、原職の復帰と代替要員を確保し、休業中は賃金の三割程度の育児手当が支給されるものでなければならないことも主張してまいりました。
 この立場から見て、政府提出の育児休業等に関する法律案は不十分なものであります。これが修正案を提出する理由であります。
 次に、具体的に修正点について御説明を申し上げます。
 修正の第一は、不利益取り扱いの禁止についてであります。事業主は、労働者が育児休業をしたこと等を理由として、当該労働者に対し、解雇、原職または原職に相当する職への復帰の拒否その他不利益な取り扱いをしてはならないこととすることであります。
 第二に、育児休業後の労働条件に関する措置として、休業中は二分の一に相当する期間を勤務したものとみなすこと等を明記しました。
 第三に、事業主は、代替要員の確保等に努めなければならないことといたしました。
 第四に、育児休業中の所得保障についてであります。政府は、別の法律の定めるところにより、育児休業手当を支給することとし、その財源は国庫及び事業主の拠出によるものといたしました。
 第五に、三十人未満の事業所に対する適用猶予を削除し、全産業、全事業所に適用すること。政府は当分の間、育児休業に伴い雇用管理等に関する措置を講じた中小企業者には必要な助成を行うことといたしました。
 最後に、罰則及び所要の規定の整理であります。
 以上が修正案提出の理由とその概要であります。
 何とぞ委員各位の御検討をお願い申し上げまして、私の説明を終わります。
#245
○委員長(福間知之君) 沓脱君提出の修正案は予算を伴うものでありますから、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。小里労働大臣。
#246
○国務大臣(小里貞利君) ただいまの沓脱委員の修正案に対しましては、政府としては反対であります。
#247
○委員長(福間知之君) 暫時休憩いたします。
   午後五時三十四分休憩
     ─────・─────
   午後五時四十分開会
#248
○委員長(福間知之君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 これより原案並びに両修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#249
○木庭健太郎君 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの五会派を代表して、育児休業等に関する法律案について、自由民主党を初めとする六会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成するとともに、日本共産党提出の修正案に反対の意見を表明するものであります。
 育児休業制度は、労働者が雇用を中断することなく、職業生活と家庭生活を充実して営むことができる極めて重要な制度であります。男女労働者の仕事と子育ての調和を図るためには、所得保障を伴う育児休業制度の法制化がぜひとも必要であるとの観点から、これまでに三回にわたり四党共同で育児休業法案を提出してまいりました。現在、継続審査となっていることは御案内のとおりであります。
 他方、本院社会労働委員会育児休業制度検討小委員会におきまして、平成元年十一月の小委員会設置以来、育児休業の法制化について、与野党間で協議、検討を進めてきたところであり、昨年十二月七日の小委員会においては、通常国会で法制化を実現すること、小委員会の検討状況を十分踏まえる等の条件をつけて政府に立案させることで与野党が合意したところであります。
 これを受けて、政府から提出されました法律案の主な内容は、育児休業取得の対象者は男女労働者、期間は子供が一歳に達するまでの間を限度として、これを認めることを事業主の義務とするという基本的な枠組みで法制化するとともに、子供を養育する労働者の勤務時間等の措置を定めているところであります。
 政府案では、育児休業の取得は認めているものの、これまで私どもが繰り返して主張してきました休業期間中の所得保障、不利益取り扱いの禁止、原則原職復帰、勤続期間への算入、罰則規定などについては、法律で規定することは適当でないとして、大半を労使の話し合いにゆだねており、さらに、三十人以下の事業所に対する適用猶予措置を設けている点で、私どもの理想とする制度と比べて隔たりがあり、まことに残念なことと申さねばなりません。
 安心して育児に専念できるように生活を維持するためには、何らかの所得保障を行うことは必要不可欠であります。また、育児休業が一時的に比較的長期にわたり取得されるものであることを考えれば、育児休業の権利の実効性を確保するために、賃金等の労働条件について不利益取り扱いの禁止を法律上明記し、権利の裏づけとして罰則規定を設けるのは当然のことであります。
 しかしながら、政府案につきましては、以上さまざまの改善をすべき点がございますが、現時点では、まず育児休業の取得を法的に保障するための基本的な枠組みをつくることにも一歩前進として意味があることではないかと考えます。今後、制度が将来的に我が国社会にしっかりと定着していくよう、しかも実効性を確保できる内容となるよう、改善に努力していくことが大切であります。
 自由民主党を含む六会派共同提出の修正案は、法律施行後、育児休業制度の実施の状況、育児休業中における待遇の状況その他のこの法律の施行状況を勘案し、育児休業制度等について総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとするものであり、妥当なものと考えておりますが、その総合的な検討項目としては、育児休業中の所得保障、不利益取り扱いの禁止等の実効性確保措置が当然含まれているものであります。
 政府案の不十分な点は、今後できるだけ早い機会に積極的に見直していくとともに、男女が家庭責任をひとしく担い、労働者が安心して就業継続できるよう、真に実効性のある育児休業制度の確立を目指して、引き続き全力を尽くしていくことを表明して、私の討論を終わります。(拍手)
#250
○委員長(福間知之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより育児休業等に関する法律案について採決に入ります。
 まず、沓脱君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#251
○委員長(福間知之君) 少数と認めます。よって、沓脱君提出の修正案は否決されました。
 次に、前島君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#252
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、前島君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#253
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#254
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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