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#1
第120回国会 文教委員会 第2号
平成三年三月五日(火曜日)
   午後零時十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月十八日
    辞任         補欠選任
     真島 一男君     永野 茂門君
 十二月十九日
    辞任         補欠選任
     永野 茂門君     真島 一男君
 一月七日
    辞任         補欠選任
     井上  裕君     中曽根弘文君
 一月九日
    辞任         補欠選任
     中曽根弘文君     山東 昭子君
 二月五日
    辞任         補欠選任
     山東 昭子君     秋山  肇君
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     真島 一男君     山本 富雄君
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     山本 富雄君     真島 一男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         下稲葉耕吉君
    理 事
                石井 道子君
                柳川 覺治君
                粕谷 照美君
                小林  正君
    委 員
                秋山  肇君
                木宮 和彦君
                世耕 政隆君
                田沢 智治君
                仲川 幸男君
                真島 一男君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                西岡瑠璃子君
                森  暢子君
                山本 正和君
                針生 雄吉君
                高崎 裕子君
                笹野 貞子君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  井上  裕君
   政府委員
       文部政務次官   中山 成彬君
       文部大臣官房長  坂元 弘直君
       文部大臣官房総
       務審議官     佐藤 次郎君
       文部大臣官房会
       計課長      遠山 耕平君
       文部省生涯学習
       局長       福田 昭昌君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       菴谷 利夫君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文部省高等教育
       局私学部長    逸見 博昌君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       文部省体育局長  野崎  弘君
       文化庁次長    遠山 敦子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  守君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
 (平成三年度文部省関係予算に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ─────────────
#2
○委員長(下稲葉耕吉君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る一月七日、井上裕君が委員を辞任され、その補欠として中曽根弘文君が選任されました。
 また、去る一月九日、中曽根弘文君が委員を辞任され、その補欠として山東昭子君が選任されました。
 また、去る二月五日、山東昭子君が委員を辞任され、その補欠として秋山肇君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(下稲葉耕吉君) この際、井上文部大臣及び中山文部政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。井上文部大臣。
#4
○国務大臣(井上裕君) このたび文部大臣を拝命いたしました井上裕でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 我が国は、国際社会の中で積極的な役割を果たしております。これから創造的、また活力のある社会を築くために、教育、また学術、さらにスポーツ、文化の振興、大変でございます。
 文教行政、与えられた使命大変でございますが、一生懸命頑張りますので、委員長初め委員の方々の御協力を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)
#5
○委員長(下稲葉耕吉君) 中山文部政務次官。
#6
○政府委員(中山成彬君) 政務次官を拝命いたしました中山成彬でございます。
 今、二カ月になるところでございますけれども、毎日勉強しておりまして、文教行政の重要さを毎日認識させられておるところでございます。
 これからも、井上大臣を補佐しまして、文教行政の推進のために微力を尽くしてまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#7
○委員長(下稲葉耕吉君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
 まず、文教行政の基本施策について、井上文部大臣から所信を聴取いたします。井上文部大臣。
#8
○国務大臣(井上裕君) 第百二十回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べます。
 我が国が、来るべき二十一世紀に向けて、創造的で活力ある文化の薫り高い国家として発展し、世界に貢献していく基礎を築くとともに、国民一人一人が、その生涯にわたり、生きがいと潤いを持って一層充実した生活を営むことができるようになるために、教育、学術、文化、スポーツの果たす役割は極めて重要かつ大きいものがあります。
 文部省においては、これまで、教育改革のための各般の施策を積極的に進めてきたところでありますが、今後ともこれらの施策を推進するとともに、さらに中長期的な観点に立って、国際社会の中で信頼と尊敬を得られる心豊かな国民を育成するため、我が国の教育のあり方について不断の検討を行うことが重要であると考えます。
 そのため、現在、中央教育審議会、生涯学習審議会、大学審議会、学術審議会などにおいて、精力的に御審議をいただいており、今後、それらの審議
等を踏まえつつ、教育改革を積極的に進めてまいります。
 私は、教育、学術、文化、スポーツの担当大臣として、これらの充実発展に寄せる国民の期待にこたえられるよう、新しい時代に的確に対応し、種々の課題の解決のために全力を傾注してまいる所存であります。
 以下、主要な課題について私の基本的な考え方を申し述べます。
 第一は、生涯学習の推進についてであります。
 人々が生涯の各時期において、自発的に適時適切な学習を行うことができ、また、その成果が適正に評価される生涯学習社会の実現を図ることは、今日の我が国における重要な課題の一つであります。
 このため、文部省では、学習情報を提供し学習に関する各種の相談に応じる体制の整備、指導者の養成確保、必要な施設の整備など、生涯学習基盤の整備充実を図るとともに、去る二月一日に、生涯学習審議会に対し、今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について諮問したところであり、今後、その審議等を踏まえつつ、生涯学習の一層の推進に努めてまいる所存であります。
 また、生涯学習機関としての学校という観点から、学校の機能、施設の開放を促進し、大学等における社会人の再教育機能の向上、放送大学の整備、専修学校教育の振興等に努めてまいります。さらに、生涯学習の推進における社会教育の果たす役割の重要性にかんがみ、長寿対策、家庭教育の充実、婦人の社会参加の促進、ボランティア活動の推進、青少年の健全育成等社会教育の一層の振興に取り組んでまいります。
 第二は、初等中等教育の充実についてであります。
 これからの初等中等教育においては、生涯学習の基盤を培うという観点に立ち、豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成や、社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図るとともに、基礎、基本を重視し、個性を生かす教育の充実を図ることが重要であります。
 このような考え方のもとに改訂された学習指導要領を、今後順次実施し、その趣旨の実現に努めてまいる所存であります。
 特に、道徳教育は、児童生徒の人間形成に重要な役割を果たすものであり、学校と地域社会との連携を図りながら、その一層の充実に努めてまいります。また、生徒指導については、人間味のある温かい指導が行われ、国民や保護者の理解が得られるものとなるよう、一層の指導の充実に努め、今日大きな問題となっている校則の見直しや登校拒否等に対しても適切な対応を図ってまいります。さらに、環境教育、国際理解教育、情報教育など新しい時代の変化に対応した教育の推進にも努めてまいります。
 また、高等学校教育については、時代の変化や生徒の多様な実態に柔軟に対応していくことが求められており、中央教育審議会の審議等を踏まえ、その改革を推進してまいります。
 さらに、幼児をめぐる社会や環境の変化を踏まえた幼稚園教育の推進、心身障害児の社会参加を目指した特殊教育の充実、新しい教科書検定制度の適切な運用などにも積極的に取り組んでまいります。また、子供の心身の健全な発達と、生涯の各時期を通じた国民の健康の保持増進に資するため、社会教育との連携を図りつつ、学校保健、学校安全、学校給食など健康教育の一層の充実に努めてまいります。
 学校教育の成否は、児童生徒の教育に携わる教員の資質能力に負うところが大きく、その向上を図ることは極めて重要な課題であると考えます。このため、初任者研修制度の円滑な実施を図るほか、養成、採用、現職研修の各段階を通じた総合的な施策を講じてまいります。また、学校においては、校長のリーダーシップのもとに全教職員が一致協力し、活力と規律のある学校運営の推進に努めてまいります。
 教育条件の整備については、児童生徒一人一人により行き届いた教育を行うため、その充実に努力してまいります。特に、国民の念願であった四十人学級の実施を初めとする教職員定数改善計画は、当初計画どおり平成三年度に達成させることとしております。また、ゆとりと潤いのある教育環境づくりや過大規模校の早期解消等を図るため公立学校施設の整備にできる限りの努力を払うとともに、義務教育教科書無償給与制度を堅持してまいります。
 さらに、今後とも住民の意向を反映した生き生きとした特色ある地方教育行政の展開を図るため、教育委員会の活性化を図ってまいる所存であります。
 第三は、高等教育の充実と改革についてであります。
 我が国が、今後とも社会的、経済的発展を続け、国際社会にも積極的な貢献をしていくためには、高等教育の充実と改革を不断に推進することが重要であります。
 このため、大学審議会において、大学等の教育研究の高度化、多様化、活性化等を図る観点から、高等教育改革の諸課題について御審議をいただき、去る二月八日に、同審議会から大学、大学院、短期大学、高等専門学校の教育の改善、学位制度の改善など、多岐にわたる改革方策について答申をいただいたところであります。答申で示された諸方策については、法案の提出を初め所要の措置を速やかに講じ、高等教育改革の推進に積極的に取り組んでまいります。
 大学入試については、当面、大学入試センター試験の円滑な実施、定着や国立大学の受験機会の複数化など、関係者の格段の改善努力を促すとともに、中長期的な観点から、大学審議会及び中央教育審議会における審議等を踏まえ、改善に向けて着実な推進を図ってまいります。
 また、国立大学の整備については、奈良先端科学技術大学院大学を創設するとともに、岐阜大学に医療技術短期大学部を併設するなど、努めて精選しつつも、学問の発展及び時代の進展に即し、教育研究上必要な整備に力を注ぐこととしております。
 さらに、大学審議会の答申に基づき、短期大学、高等専門学校を卒業した後、大学において一定の単位を修得した者や、大学以外の高等教育施設において組織的、体系的な教育を受けた者に対し、その水準に応じ、学位を授与し得るようにするため、新たに学位授与機構を創設することとしております。
 第四は、私学の振興についてであります。
 私立学校は、初等中等教育、高等教育において量的に大きな役割を果たしており、それぞれの建学の精神に基づいた個性豊かな教育研究を実施し、我が国の学校教育の普及、充実に多大に貢献しております。このような私学の果たす役割の重要性にかんがみ、引き続き私学助成の推進などにより教育研究条件の維持向上に努めてまいる所存であります。
 第五は、学術の振興についてであります。
 近年、二十一世紀の我が国を支える基盤として基礎研究の重要性が強く認識され、社会の各分野において大学を中心とする学術研究に対する期待がますます高まるとともに、我が国の国際的役割の増大に対応して独創的、先端的な学術研究をより一層推進し、世界の学術研究の進展に積極的に貢献していくことが求められております。また、学術研究の高度化、大型化、国際化が顕著になるなど、学術研究を取り巻く環境が著しく変化しています。
 このため、文部省においては、昨年末、学術審議会に二十一世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について御審議をお願いしたところであり、その審議等を踏まえつつ、今後とも学術研究の振興に努力してまいる所存であります。また、科学研究費の拡充、若手研究者の育成、重要基礎研究の推進等に引き続き積極的に取り組んでまいります。
 第六は、スポーツの振興についてであります。
 国民の心身の健全な発達と明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に資するため、広く国民に対し
生涯にわたってスポーツに親しむ機会を整備するとともに、国際競技会における日本選手の競技力の向上を図ることは極めて重要であります。
 このため、これまでの諸施策に加え、昨年末、新たにスポーツ振興基金を創設し、スポーツの振興のための助成を幅広く行うこととしております。
 今後とも、生涯スポーツ、競技スポーツ及び学校体育の各面にわたるスポーツの振興のための諸施策の一層の推進に努めてまいります。
 第七は、文化の振興についてであります。
 真に豊かな社会を形成していくためには、多様な文化の諸活動が活発に展開され、人々が心の豊かさを享受できる真の文化国家を実現していくことが重要であります。このような観点から、伝統文化を継承するとともに、広い視野に立って芸術文化の創造発展を図ることが極めて肝要であり、文化行政の果たすべき役割は極めて重要であります。
 このため、昨年創設された芸術文化振興基金の活用とあわせて、芸術家等の人材の養成、確保やすぐれた芸術創作活動の助成に努めるとともに、全国各地域において多様な文化活動の振興を図るため、特色ある文化施設の整備など所要の条件整備を積極的に推進してまいります。さらに、国民共有の貴重な財産である文化財の保存と活用の推進などの諸施策を一層推進し、我が国の文化の向上、発展に努力を払ってまいります。
 最後に、教育、学術、文化、スポーツの国際交流の推進について申し述べます。
 今日、国家間の相互依存関係がますます深まっている一方で、さまざまな側面で国家間の摩擦や緊張も増大してきておりますが、我が国が積極的にその役割を分担し、諸外国とともに相互理解を深め、信頼を基礎とした友好関係を築いていくためには、教育、学術、文化、スポーツの各分野における国際的な交流、協力を一層積極的に進めていくことが極めて重要であります。
 学術研究の面においては、地球環境問題など人類共通の課題の解決のために尽力し、国際共同研究の推進、研究者の派遣、招聘などの学術交流の拡充を図るとともに、外国人に対する日本語教育についても各般の施策を通じてその一層の改善充実に努めてまいります。
 また、留学生交流について、二十一世紀初頭における十万人の留学生受け入れを目途に、大学等における教育指導体制の充実はもとより、私費留学生に対する支援、宿舎の安定的確保など、留学生受け入れ体制の総合的な整備に努めるとともに、我が国から海外へ留学する学生等が増加していることを踏まえ、海外留学情報の提供の充実を図るなど、その援助体制の整備に努めてまいります。
 日本人学校等の在外教育施設における教育の充実と現地社会との交流の推進、海外での貴重な体験を生かす教育の充実などについても努力してまいる所存であります。
 さらに、芸術文化交流や文化遺産の保存修復に対する国際交流、協力を推進するとともに、スポーツの国際交流の充実に努めてまいります。
 以上、文教行政の当面する諸課題について所信の一端を申し述べました。
 文教委員各位の一層の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。
#9
○委員長(下稲葉耕吉君) 次に、平成三年度文部省関係予算について、中山文部政務次官から説明を聴取いたします。中山文部政務次官。
#10
○政府委員(中山成彬君) それでは、平成三年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 平成三年度の文部省予算につきましては、我が国が、来るべき二十一世紀に向けて、創造的で活力ある文化の薫り高い国家として発展し、世界に貢献していく基礎を築くとともに、国民一人一人が、その生涯にわたり、生きがいと潤いを持って一層充実した生活を営むことができるよう、教育、学術、文化、スポーツの文教施策全般にわたり、その着実な推進を図ることとし、所要の予算の確保に努めたところであります。
 文部省所管の一般会計予算額は、五兆五百五十九億四千四百万円、国立学校特別会計予算額は、二兆九百二十八億一千九百万円となっております。
 以下、平成三年度予算における主要な事項について御説明申し上げます。
 第一は、生涯学習の振興に関する経費であります。
 まず、生涯学習推進体制の整備充実につきましては、地域における生涯学習に取り組む体制の整備、多様な学習情報の提供、社会教育主事等の養成確保に努めることといたしております。
 次に、生涯学習機関としての学校の機能の充実につきましては、大学等における社会人の再教育機能を高めるとともに、公開講座や学校の開放を促進するとともに、放送大学の整備、専修学校教育の振興を図ることといたしております。
 また、社会教育の振興の面では、公民館、図書館等の公立社会教育施設の整備、婦人、青少年等の学習機会の整備充実に努めるほか、長寿化対策事業の促進、家庭、地域の教育機能の活性化等を図ることとし、所要の経費を計上いたしております。
 さらに、国立オリンピック記念青少年総合センターの整備を進めるほか、国立妙高少年自然の家(仮称)の機関設置を行うことといたしております。
 第二は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
 まず、義務教育諸学校の第五次学級編成及び教職員定数改善計画につきましては、十二年計画の最終年次分としていわゆる四十人学級を小中学校の全学年で実施するとともに、教職員配置についても所要の改善を行い、本計画の達成を図ることといたしております。
 次に、教員の資質の向上を図るため、初任者研修制度を小中学校に引き続き、新たに高等学校について本格実施することといたしております。また、教職員に対する各種の研修、教員の海外派遣、教育研究団体等への助成などを行うことといたしております。
 教育内容につきましては、新学習指導要領の趣旨徹底を図るための講習会等を行うほか、小中高等学校における情報化への対応を円滑に進めるため、教育用コンピューターの整備、教育用ソフトウエアの改善等の施策を推進するとともに、我が国社会の国際化への対応のため外国語教育の充実に努めていくことといたしております。
 また、義務教育教科書の無償給与につきましても、所要の経費を計上いたしております。
 次に、児童生徒の登校拒否などの問題について適切に対処するため、適応指導教室についての実践的研究を拡充するなど、学校不適応対策事業の一層の充実を図ることといたしております。また、児童生徒の健全な育成を図るため、自然教室推進事業などの施策を実施することといたしております。
 道徳教育につきましては、市町村ぐるみで一体的な道徳教育の推進を図るため、新たに市町村道徳教育推進事業を実施するなど、その一層の充実を図ることといたしております。
 幼稚園教育につきましては、幼稚園就園奨励費補助の対象に三歳児を加えるなど、一層の振興を図ることといたしております。
 特殊教育につきましては、心身障害児の指導方法等の調査研究を行うとともに、特殊教育就学奨励費を充実するなど、一層の振興に努めることといたしております。
 また、海外子女教育、帰国子女教育につきましては、日本人学校の増設、児童生徒数の増加に対応し、派遣教員を増員するとともに、在外教育施設における、現地社会との国際教育、文化交流等を一層推進するほか、中国等帰国孤児子女教育研究協力校を拡充することといたしております。
 さらに、児童生徒等の健康教育の充実に努めるとともに、豊かで魅力ある学校給食を目指して、その充実を図ることといたしております。
 次に、公立学校施設の整備につきましては、小中学校校舎等の新増改築事業等について所要の事
業量を確保するとともに、過大規模校分離のための用地費補助制度の継続等を行うこととし、これらに要する経費として、平成二年度に対して四十二億円増の二千二百八十八億円を計上いたしております。
 なお、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の振興、地域改善対策としての教育の振興など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第三は、私学助成に関する経費であります。
 まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、平成二年度に対して三十九億円増の二千五百五十九億五千万円を計上いたしております。このほか、教育研究装置施設整備費補助及び研究設備等整備費補助についても、それぞれ増額を図るなど教育研究の推進に配慮いたしております。
 また、私立の高等学校等の経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましても、平成二年度に対して二十三億円増の七百九十九億円を計上するとともに、新たに私立の高等学校等の情報処理教育施設の整備を図ることといたしております。
 日本私学振興財団の貸付事業につきましては、平成二年度と同額の六百二十億円の貸付額を予定いたしております。
 第四は、高等教育の整備充実に関する経費であります。
 まず、大学院の充実と改革等につきましては、奈良先端科学技術大学院大学の創設、大学院最先端設備の整備充実及び学位授与機構の創設を図るため、所要の経費を計上いたしております。
 また、国立大学の整備につきましては、岐阜大学に医療技術短期大学部を併設するなど、教育研究上緊急なものについて、推進することといたしております。
 附属病院につきましては、看護婦等の増員を重点的に図るとともに、救急医療等社会的要請の強い分野についての診療組織の整備を行うことといたしております。
 なお、国立学校の入学料等につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、これを改定することといたしております。
 次に、育英奨学事業につきましては、平成三年度から奨学金の貸与月額を増額するなど、その改善を図ったところであり、政府貸付金七百三十三億円、財政投融資資金三百六十一億円と返還金とを合わせて、千八百十四億円の学資貸与事業を行うことといたしております。
 また、公立大学につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助及び教育設備整備費等補助について、所要の助成を図ることといたしております。
 第五は、学術の振興に関する経費であります。
 まず、科学研究費補助金につきましては、独創性に富むすぐれた学術研究を推進し、我が国の学術研究を格段に発展させるための基幹的研究費として引き続きその拡充を図ることとし、平成二年度に対して三十一億円増の五百八十九億円を計上いたしております。
 次に、学術研究体制の整備につきましては、研究組織の整備、すぐれた若手研究者の育成に資するための特別研究員制度の拡充、研究設備の充実、大学と民間等との共同研究の充実など各般の施策を進めるとともに、地球環境問題の諸課題の解明に資するための諸施策の推進を図ることといたしております。
 また、天文学研究、宇宙科学等のそれぞれの分野における研究の一層の推進を図ることとし、これら重要基礎研究に要する経費として五百二十四億円を計上いたしております。
 第六は、スポーツの振興に関する経費であります。
 広くスポーツ施設の整備を進めるため、体育施設の整備に要する経費として百七十九億円を計上いたしております。また、学校体育につきましては、学校体育指導の充実強化を図るため所要の経費を計上いたしております。
 さらに、生涯スポーツ推進の観点から、指導者の養成確保など、幅広く国民のスポーツ活動を助長するための諸施策の一層の推進に努めることとし、所要の経費を計上いたしております。
 次に、競技スポーツの振興につきましては、日本オリンピック委員会が行う選手強化事業を引き続き実施するとともに、スポーツ科学の推進を図るため、国立スポーツ科学センター(仮称)の実施設計を行うほか、国民体育大会の助成など、所要の経費を計上いたしております。
 第七は、芸術文化の振興と文化財の整備活用の推進に関する経費であります。
 まず、芸術文化の振興につきましては、我が国のすぐれた舞台芸術の公演活動を推進するための芸術活動特別推進事業の拡充を初め、各種の芸術創作活動に対する助成を充実するとともに、新進芸術家の研修活動を支援するための新たな芸術インターンシップ事業の実施や地域の文化振興のための諸施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。
 次に、文化財の整備活用の推進につきましては、「ふるさと歴史の広場」の整備事業の拡充や史跡の整備、公有化の促進、国宝・重要文化財等の保存整備を進めるとともに、国立劇場の整備充実を図ることといたしております。
 第八は、教育、学術、文化の国際交流、協力の推進に関する経費であります。
 留学生交流については、二十一世紀初頭における十万人の留学生受け入れを目途に、国費留学生受け入れの計画的整備、私費留学生に対する援助施策の充実、宿舎の安定的確保、大学等における教育指導体制の充実等各般の事業を積極的に推進するとともに、円滑な海外留学を促進することとし、そのために要する経費として三百五億円を計上いたしております。
 さらに、外国人に対する日本語教育の充実を進めるとともに、識字教育事業に対する協力などユネスコを通じた教育協力等もその推進を図ることといたしております。
 次に、学術の国際交流、協力を推進するため、諸外国との研究者交流、各種の国際共同研究、拠点大学方式等による発展途上国との学術交流、国連大学への協力の促進を図ることといたしております。
 また、文化の国際交流についても、海外の優秀な芸術家の招聘事業を充実するとともに、海外フェスティバル等への参加公演、文化財保存の国際協力など各般の施策の充実を図ることといたしております。
 第九は、教育改革の総合的推進等に関する経費であります。
 ただいま御説明いたしましたように、教育改革の着実な推進を図るため所要の経費を計上しておりますが、このほか、教育改革の実施に関する特別調査研究等の経費を計上するとともに、調査研究機能の強化を図るため、国立教育研究所について引き続き整備を進めることといたしております。
 以上、平成三年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
#11
○委員長(下稲葉耕吉君) 以上で文部大臣の所信及び平成三年度文部省関係予算の説明の聴取を終わります。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#12
○委員長(下稲葉耕吉君) 次に、派遣委員の報告を聴取いたします。
 柳川覺治理事より御報告を願います。柳川君。
#13
○柳川覺治君 去る一月十六日から十八日までの三日間、佐賀県及び大阪府に委員派遣が行われましたので、その調査結果の概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、下稲葉耕吉委員長、石井道子理事、粕谷照美理事、小林正理事、木宮和彦委員、世耕政隆委員、田沢智治委員、西岡瑠璃子委員、森暢子委
員、山本正和委員、針生雄吉委員、高崎裕子委員、笹野貞子委員、小西博行委員と私、柳川覺治でございます。
 一日目は、吉野ケ里遺跡の視察から始めました。当遺跡の発掘調査は昭和六十一年から進められ、耶馬台国をも連想させる、四十ヘクタールという全国最大規模の弥生時代の環濠集落の構造などが明らかにされております。私どもは、物見やぐら、たて穴住居などが復元整備された広大な遺跡の全貌と、かめ棺等の出土品が公開されている展示室を視察いたしました。
 当遺跡は、現在、二十一・九ヘクタールが国の史跡に指定されておりますが、佐賀県からは、史跡指定地域の拡大と特別史跡としての格上げ指定及び歴史公園として一層の整備を図るため国営公園とすることについて強い要望を受けました。
 次いで佐賀県立中原養護学校に赴き、内田校長より説明を受けました。同校には小学部と中学部・が置かれ、本校舎では、ぜんそく、心臓疾患、腎疾患等の病弱児に対して、医療機関との連携のもとに教育が行われております。一方、分校舎では、脳性麻痺や小頭症等の重度障害児に対して、養護訓練を主体に基本的生活習慣の習得を目指した教育が行われております。また、分校舎においては、病院や在宅の障害児に対する訪問教育も実施されております。
 私どもは、本校舎では体育館において友人との協調性を育成するという観点からの体育の授業を、分校舎では重度障害児に全力で養護訓練に当たっている先生方の御労苦も目の当たりに見てまいりました。
 続いて佐賀県庁を訪ね、香月知事、井上教育委員長及び志岐教育長から、県の教育概況と国に対する要望事項について説明を受けました。
 県の教育概況の説明では、公立学校一学級当たりの児童生徒数は小学校三十一・〇人、中学校三十五・八人と改善を見ているものの、普通科高校は四十五人のままであるため改善が必要であること、高校進学率は九五・九%で全国平均もまた九州平均も上回っているものの、大学進学率は二七・五%で、全国、九州いずれの平均も下回っており今後の課題であるとの二点が指摘されました。
 要望事項としては、第一は、さきに述べたように、吉野ケ里遺跡を特別史跡に指定するとともに国営公園とすること、第二に、公立文教施設整備事業について、翌年度繰り延べが余儀なくされているため国の予算拡充を図ること、第三に、児童生徒減少期を迎えた私立高校等に対する国庫助成を一層充実することの三点が挙げられました。
 次いで、佐賀医科大学を視察し、松浦学長等から説明を受けました。本学は、従来の医学教育の枠にとらわれずに、四年次までに専門科目の講義を終了、五、六年次は臨床実習重視の教育を実施するなど、教育にも工夫を凝らしております。また、入試については、学力試験を課さずに面接と小論文のみで二次試験を実施するほか、推薦入学にも力を入れるなど、人間性豊かな生徒を入学させる努力をしているとのことであります。
 附属病院における診療では、従来の内科、外科等の枠を外して、循環器、血液、骨・関節のように機能別、臓器別に編成した診療グループで診療を行う等、意欲的な取り組みをしているとのことであります。
 派遣委員との質疑応答においては、大学病院が高度医療と医療情報のセンター的役割を果たす必要性、医療技術短期大学部の設置は今後の課題であることなどが強調されました。
 説明の後、本附属病院の特色である「一患者、一生涯、一カルテ方式」のシステムがわかる診療録センターを視察いたしました。この方式は、病歴が一目瞭然となるなど診療上のメリットは大きいものの、患者のプライバシーにかかわるため慎重な配慮が必要とのことであります。
 二日目は、まず文禄慶長の役で秀吉の朝鮮出兵の拠点となった名護屋城跡を視察いたしました。近世初頭の特徴を残す重要な城跡として、大正十五年に国の史跡に、昭和三十年には特別史跡に指定されております。同史跡の保存整備のために土地の公有化、石垣修理などが国庫補助事業として実施されております。
 佐賀県としては、日本と朝鮮半島との交流、友好の拠点となるような県立名護屋城跡資料館を建設する計画を持っております。
 次に、唐津市の中里太郎右衛門窯に赴きました。当代中里太郎右衛門氏は、重要無形文化財「唐津焼」保持者に認定された先代の技芸の保持、伝承に努力されております。陶房や数々の献上品を焼いた御用窯、唐津焼の歴史がわかる展示室などを案内されました。
 続いて、唐津曳山展示場を訪れました。当展示場には、国の重要無形民俗文化財指定の「唐津くんち」で引き回される十四台の曳山が展示されております。粘土や木型の原型の上に和紙や麻布を張り、幾種類もの漆で塗り上げ、さらに金銀を施して仕上げられた勇壮華麗な工芸品で、佐賀県の重要民俗資料に指定されております。
 以上で佐賀県の日程を終え、大阪府に向かいました。
 大阪府では、私立学校教職員共済組合の施設である大阪ガーデンパレスの会議室において、まず岸知事、仁賀奈教育長及び足立生活文化部長より、高等学校と私立学校の教育の現状と課題について説明を受けました。
 大阪府における高校生の数は、平成元年にピークに達し、既に減少期に入っております。したがって、施策としては量から質に重点を移しており、特に個性を生かす教育、中途退学者の増加に対処するための施策の充実に力点を置いております。
 具体的には、つまずきを分析する診断テストや新入生に対する宿泊オリエンテーションの実施、生徒の興味や関心に応じた学習メニューの開発、国際教養科、情報技術科、微生物技術科など、社会の進展に対応した学科の新設を行っております。
 また、大阪府では、高校生の三五%、幼稚園児の七九%が私学に通うなど、私学は重要な役割を果たしておりますが、児童生徒数が激減し学校経営の厳しさが増すため、私学助成の拡充が大きな課題であるとのことであります。
 最後に、高校の四十人学級の実現、公立文教施設整備費と私立高校等経常費助成費補助の大幅拡充について強い要望を受けました。
 三日目の視察につきましては、大阪府立千里高等学校、大阪大学レーザー核融合研究センター及び国立民族学博物館を予定しておりました。しかし、十七日に勃発した湾岸における紛争に伴い、参議院本会議が開会されることとなったため、視察は急遽中止とし、帰京いたしました。
 長期間、受け入れの準備に多大の努力を払われた関係の皆様方に対し、この場をかりまして心から感謝申し上げるとともに、深くおわび申し上げます。
 以上で御報告を終わらせていただきます。
#14
○委員長(下稲葉耕吉君) これをもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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