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#1
第120回国会 大蔵委員会 第5号
平成三年三月六日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月六日
    辞任         補欠選任
     合馬  敬君     真島 一男君
     清水嘉与子君     吉川 芳男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長        大河原太一郎君
    理 事
                梶原  清君
                倉田 寛之君
                鈴木 和美君
                本岡 昭次君
                峯山 昭範君
    委 員
                石川  弘君
                大島 慶久君
                斎藤栄三郎君
                中村 太郎君
                野末 陳平君
                藤田 雄山君
                真島 一男君
                宮崎 秀樹君
                吉川 芳男君
                赤桐  操君
                稲村 稔夫君
                久保  亘君
                前畑 幸子君
                村田 誠醇君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                古川太三郎君
                三治 重信君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
   政府委員
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁装備局長  関   收君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    渡辺  允君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
       大蔵政務次官   上杉 光弘君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     濱本 英輔君
       大蔵省主計局次
       長        小村  武君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       大蔵省理財局長  篠沢 恭助君
       大蔵省国際金融
       局長       千野 忠男君
       農林水産省畜産
       局長       岩崎 充利君
       通商産業省通商
       政策局次長    麻生  渡君
       通商産業省貿易
       局長       堤  富男君
       資源エネルギー
       庁石油部長    黒田 直樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
   説明員
       外務省中近東ア
       フリカ局外務参
       事官       野上 義二君
       外務省経済協力
       局外務参事官   畠中  篤君
       外務省国際連合
       局人権難民課長  角崎 利夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、合馬敬君及び清水嘉与子君が委員を辞任され、その補欠として真島一男君及び吉川芳男君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(大河原太一郎君) 湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○久保亘君 提出されております法案の審議の前提として幾つか最初に伺っておきたいと思いますが、湾岸戦争停戦後の中東における新しい秩序ということについて日本政府としてはどのように考えておられるのか。日本が今日まで中東戦争に対していろいろなことでかかわってきたその立場に立って、今後の外交の理念として、中東の新しい秩序の構想についてお聞かせいただきたいと思います。
#5
○政府委員(渡辺允君) お答え申し上げます。
 中東地域は今般の湾岸危機が解決されました後もいろいろの問題を含んだ地域として残るものというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、湾岸を含めます広い中東地域全体の平和と安定の回復、維持のために国際的な努力が行われるべきであり、我が国もこれに積極的に協力していくべきであると考えております。
 具体的にその際に問題になります分野といたしましては、一つには経済の復興、発展、それから二つ目には安全保障の問題、これはいわゆる地域の安全保障の問題、さらには軍備管理の問題等が含まれると思います。また、国際政治問題といたしましてのパレスチナ問題を中心といたします中東和平の問題等があるかと考えております。
 これらの問題はいずれも関連をいたしておりますし、またそれぞれ非常に難しい問題であろうかと存じますが、私どもといたしましては、このどの問題に対処するにいたしましても、まず基本的に域内諸国のイニシアチブを最大限に尊重し、それに対する支援、協力を与えるということが最も重要であろうかと考えております。
 そういう考え方に立ちまして、現在それぞれの問題について我が国としての対処ぶり等も検討を進めておるところでございます。
#6
○久保亘君 停戦後の中東の新秩序について、アメリカの果たす役割というのを日本政府はどのように考えておられるんですか。
#7
○政府委員(渡辺允君) 米国は、基本的な目的といたしまして、湾岸地域及び中東地域全体の安定と発展を目的として政策を立てておると思います。これまで米国政府首脳部が湾岸後の中東情勢について議会の証言その他で述べておりますが、基本的には安全保障の問題を含めまして、域内の考え方を尊重し、これに必要に応じて外部からの協力をするという考え方に立っているというふうに承知をいたしております。
#8
○久保亘君 ブッシュ大統領がことし一月二十九日の一般教書の中で湾岸戦争について主として述べられております。今回の戦争で米国がリーダーシップの主要な部分を負担しているのは確かだ、世界の国の中で米国だけが道義的立場とそれを支援する手段を兼ね備えている、地球上で米国だけが平和のための勢力を招集することができる、こういうことを言われておりますが、この考え方については日本政府も全く同意されておるんでしょうか。
#9
○政府委員(渡辺允君) ブッシュ大統領の演説でございますが、一つには湾岸の問題が当然当時の一番大きい問題でございますのでこれに触れておりますけれども、むしろそれを含めました一般的な米国の姿勢を述べているというふうに理解されますし、またこれは主として米国国民に向けての演説というふうに考えております。
 私どもといたしましては、いずれにいたしましても、今後の中東情勢を考えますに当たりまして、域内諸国の主体的な努力、イニシアチブというものを十分に尊重していきたいというふうに考えております。
#10
○久保亘君 私も今度のイラクのクウェート侵攻に始まる湾岸危機に対して米国の果たした役割というものをそれなりに理解する点もございます。しかし、また同じ教書の中で、この地域に平和をもたらすための触媒役をアメリカが果たすという責務は今回の戦争が成功裏に終結してもなくならない、こういう演説がございます。
 そうすると、先ほど読み上げました部分とあわせて考えてまいりますと、この中東における和平が成立した後においてもアメリカは中東に軍事基地を残す、軍を駐留させるということが考えられるわけですが、このことについて日本政府はどうお考えでしょうか。
#11
○政府委員(渡辺允君) 米国につきましては、湾岸地域について見ますれば、一九四〇年代以後海上兵力を若干維持してきておるという実績がございます。これについてはベーカー国務長官も恐らく今後もそれを続けるということを言っておりますが、ただ、陸上兵力を必要以上に駐留させることはないということは、これも米国政府がかねてから述べているところであるというふうに承知をいたしております。
#12
○久保亘君 必要以上に駐留させることはないということは、アメリカが必要だと考えるものは駐留させるであろう、こういうことにも読み取れるわけです。
 そうすると、中東の和平が成立した後も、今世界の新秩序をリーダーシップを持ってつくれるものはアメリカしかないと言っているんだから、そのアメリカがサウジアラビアやクウェートに軍を駐留させて中東の安定を図ろうとアメリカなりに考えていくことについては、日本政府としてもこれを支持するという立場をおとりになりますか。
#13
○政府委員(渡辺允君) 先ほど申し上げましたベーカー国務長官の議会における証言等を見ましても、戦後の安全保障体制は湾岸のGCC諸国、イラン、イラク等も含めました湾岸諸国自体が核となるべきであるということを強調いたしておりますし、この問題につきましては湾岸諸国の意向、それと関係諸国間の協議というものが基礎になっていくであろうというふうに考えております。
#14
○久保亘君 だから、関係諸国間の協議というものが必要になるだろうと言われるから、日本政府はそのときにどういう立場をおとりになりますかということを聞いているわけです。本当はきょうは外務大臣に出席してもらうように私はお願いをしたんだけれども、あなたの範囲では答えられないかもしれぬが、もし自信を持って言えるなら言ってみてください。
#15
○政府委員(渡辺允君) 現在の時点におきましては、安全保障の問題、復興の問題も含めました戦後の問題というのは、なお域内の諸国の間、それから域内域外諸国の間、私どもを含めましてそれぞれ連絡をしながらいろいろな話し合いが続いているところでございますので、最終的な形についてどうなるということは申し上げられる段階でございません。
 例えば、湾岸の諸国につきましてはGCC六カ国とそれからエジプト、シリアの間でまさに昨日、本日と外相レベルでこの問題について協議をいたしておりますので、そのようなものの結果も見ながら、私どもとしては湾岸の真の平和と安定という観点から対処していきたいというふうに考えております。
#16
○久保亘君 結局、日本として、中東の今後についてかくあるべしということについての外交理念というのは何にもないということですね。それで、リーダーシップを持つとみずから認めているアメリカが決めることが日本政府としての中東に対する今後の考え方である、こういうことにあなたの今のお答えを聞いているとなりますね。
 大蔵大臣、何か一言あればどうぞ。
#17
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今外務省事務当局と委員のやりとりを伺いながら感じておりましたことでありますが、これはあくまでも私個人としての考え方としてお聞きをいただきたいと思います。
 中東問題を考えます場合に、日本は全く違う立場でありますためにその扱いに手を挙げかねる問題がまず第一に指摘をされます。
 それは、エルサレムという都市のどういう管理のあり方が中東の和平に一番結びつくかということであります。これはもう委員がよく御承知のように、イスラエル建国当時から今日に至るまで、エルサレムという都市の帰属というものが常にこの地域に問題を生じてきた一つの大きな原因でありました。そして、その基本的な要件というものは今日もなお変化をいたしておりません。すなわち、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という三つの大きな宗教がそれぞれの発祥の地としてこの地を意識する、そしてそれについての帰属を争う長い歴史が絡んでおります。これが例えば国連の管理といった形ですべての人々が共有できる状況になることは理想でありますけれども、現実にそうした状況になっておらないことも御承知のとおりであります。
 そして、これに連動する問題として、建国以来、イスラム諸国の中にというかアラブ諸国の中に、イスラエルという国そのものの生存を否定する動きがありましたことも御承知のとおりであります。これに対して、イスラエルがまた極めて強い、ある場合は過剰とも言えるような反応を示してきたことがもう一つ中東における不安定な要因を築いてまいりました。
 今後日本がこの中東について考え方をまとめていく上でまず私は一つ基本として我々なりの割り切りをしなければならないのは、この三つの大きな宗教の発生の地としてそれぞれの聖地としての扱いを受けるエルサレムというものを国際社会がいかに管理し、その平和な状況というものを維持できるかという仕組みの問題があろうと思います。
 次にあるのは、人為的につくられたという言い分、これが確かにありましょう。しかし、ユダヤ人国家建設という問題は第一次世界大戦の途中から提起をされ、その後の長い歴史の中で、第二次世界大戦後に連合国側の意思としてイスラエル建国というものが認められ、今日までの時間が経過をいたしました。このイスラエルという国家の生存を保障するという合意の取りつけがもう一つの問題点であると思います。しかし、そのためには、同時に、現在イスラエルが実力を持って占領しております一部の地域、これを返還することと同時に、パレスチナ人の国家というものの建設について日本がいかに手をかし得るかという問題がございます。
 こうした問題を頭の中に置きながら、日本が努力していく場は、まさに一つの舞台としては国連であります。同時に、中東の国々の間においていかに日本がその中のつなぎ役を行うことができるかということがあろうかと思います。そうなってまいりますと、例えば、現在の状況は多少変化をしておるといいながら、アメリカとシリアの間、あるいはアメリカとイランの間にある種の緊張関
係が現在も存在をいたしておりますが、他方、日本とイランの間にはそうした意味での問題点は存在しないはずであります。あるいはシリアとの間にも、中山外務大臣自身がわざわざシリアのみを目標として昨秋訪問をされたように、交流の場所を持っております。
 そうしますと、こうしたところには日本として働き得る場を十分我々は持っているわけでありまして、そうした中で出てくる行動というものは、委員がお述べになりましたようなアメリカ大統領一般教書の中に示される方向と相合う場合もありましょうし、場合によっては相反する場面も生ずると思われます。しかし、それは逆に、それぞれの地域の実情を踏まえて日本としてまとめる意見でありますから、我々はその意見は正しいものとして主張することは可能でありますし、外交当局はそれだけの自信を持って主張してくれるものと私は信じております。
 アメリカの意図に追随することが日本の外交施策である、そうは私は必ずしも理解をいたしておりません。
#18
○久保亘君 日本とアメリカの関係というのは、二国間の間だけでなく、全世界にとっても大変重要な関係であります。私はその点をしっかり認めながら、しかし中東の和平ということを考えていく場合に、日本がしっかりした、今大蔵大臣が述べられたことの中に私も同感できることがたくさんありますが、そういうようなことについて、日本の外交理念というものをきちんとしてやっていくことがこれから大変重要なことだと思うのであります。そういうことをきちんとしないで、お金は出す、それだけでは済まない問題ではなかろうか、こういうことで今の問題をお尋ねしたわけです。
 次にお聞きしておきたいことは、一月十八日、国会で海部首相が施政方針を述べられたその中にも、「我が国は、国際の平和と安全を回復するための関係諸国の行動に対し、国連安保理決議に従って、我が国憲法のもとで、できる限りの支援を行う決意であり、」、こう述べられております。また一月二十五日には、九十億ドルを決定した後の政府の演説でありますが、「既に決定した貢献策に加え、関係諸国が当面要する経費に充てるため、九十億ドルの新たな追加支援を行うこととしました。」と。その場合も「我が国憲法のもとでできる限りの支援」という前提がついております。
 同じ一月二十五日に行われた橋本大蔵大臣の財政演説の中では、ほとんど表現も同じ内容でありますが、「我が国憲法のもとで」ということだけが財政演説の中では落とされているわけであります。これは、よもや大蔵大臣がそのことを意識して外されたと私は思いませんが、何か意味があれば、「我が国憲法のもとで」というたったそれだけの短い表現を全体の文章のつり合いの関係で落とされると私は思わないのであります。総理の演説には必ず「我が国憲法のもとでできる限りの支援」とあるのに大蔵大臣の九十億ドルに関する財政演説ではそのことが欠落している、これはどういう意味でしょうか。
#19
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは、総理が述べられましたものの枠の中でそれぞれの職務を果たしております。だから、大前提として総理が述べられました部分を繰り返す必要はない、率直に申しまして私は当然のことというつもりで重複を避けました。
#20
○久保亘君 素直に私もそう思います。
 しかし、総理が述べたことは繰り返し述べることはないというなら、その前後も皆そうです。全く同じ文章で述べられていて、そこだけが抜けているわけです。これは大変気にかかることでありまして、将来の首相をもって目されているあなたにそういうことはよもやあるまい。これは、今おっしゃったことを私はそのように受けとめて、そういう意味で外されたものだというふうに理解して質問を続けたいと思います。
 その次にお聞きしたいのは、今回の法案も平和回復活動という表現が使われている。提案理由の説明でもそれから何回かの施政方針演説や大蔵大臣の財政演説でも平和回復という言葉が表現されておって、戦争とか武力行使という言葉は、その後に武力行使という言葉が出てくることもありますが、戦争という言葉は全く使われておらない。しかし、平和回復活動というのがこの法案の表題になるときに、これは明らかにアメリカ軍を中心とする多国籍軍の武力行使に対する援助を意味するものとして、その武力行使を平和回復活動として表現をされたものだと思いますが、そのように理解しておいてよろしゅうございますか。
#21
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御案内のように、昨年の八月以降国連の安保理事会におきましては、決議が六六〇以降十二採択されております。
 その六七八というのが御案内のように十一月二十九日に採択されておりますけれども、その中におきまして、イラクに対しまして一月十五日までに一連の安保理の決議の履行を求めまして、それが達成されない場合は国連加盟国に対しまして湾岸地域におきます平和及び安全の回復のためにあらゆる必要な手段を与える権限を与えております。ここには平和及び安全を回復するためという言葉が入っております。
 それから同時に、ちょっとさかのぼりますが、安保理決議六七四におきまして、これはすべての国家に対しまして、国連憲章に従って事態を改善し、平和、安全及び安定の回復を達成するために努力することを要請しております。
 このような一連の安保理決議で言及しております湾岸地域における平和と安定の回復活動、回復するための一連の活動ということを念頭に置きまして、先生が今言及されました平和回復活動という言葉を私どもは使っております。
#22
○久保亘君 平和回復というのは目的ですね。それで、実際に経済援助を行うその相手、対象になりますものは、目的ではなくて手段。それに対して支出されるわけです。だから、平和回復活動という目的のために行われる武力行使に対して、もっとわかりやすい言葉で言えば、戦争に対して日本政府が九十億ドルのお金を出す、その手段に対して援助を行う、こういうことなんですよね。
#23
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生に改めて申し上げるまでもないと思いますが、八月二日のイラクの国際法及び国際正義を無視した平和の破壊活動に対しまして国連加盟国が米国を中心といたしまして先生御指摘のように多国籍軍を構成いたしまして、その多国籍軍を中心に今回の平和回復活動に当たったわけでございますが、これはいわば国際社会が全体としてとりました平和を回復するための共同行動でございまして、その共同行動のコストの一部を日本が負担するということでございます。
 具体的には先生御指摘のように多国籍軍の武力行使がもちろん中心でございますけれども、私どもが従来十九億ドルで支援いたしました中に、例えばポーランドなんかもございます。ポーランドは多国籍軍に参加しておりませんが、医療団を派遣しております。こういう国も対象にしておりますことを改めて申し上げたいと思います。
#24
○久保亘君 結局、平和回復活動という表現を日本政府は苦肉の策として使われているけれども、手段としての武力行使に携わる多国籍軍に対して援助を行うものである。これは、私はアメリカ大統領の方が大変率直に表現されていると思うんです。
 ブッシュ大統領は、戦争とはっきり言っているんです。私はこの戦争の財政負担が米国だけに求められているのではないことに気を強くしている、昨年我が国の友好国や同盟国は「砂漠の盾」作戦の経済コストに対し多大の負担を提供してくれたと。これが日本の二十億ドルでしょうね。そしてさらに、ことし最初の三カ月分として四百億ドルを超える負担を約束してくれた、我々が「砂漠のあらし」作戦を遂行していく際に彼らがさらに貢献してくれるだろうということを私は信じている。これがブッシュ大統領の演説です。
 そうなりますと、これは平和回復活動という表現をとっているけれども、戦争の正義、不正義の
問題はいろいろ見方があると思うが、戦争に対して日本が財政負担を行う、こういう内容のものだ。だからこそ海部さんも、停戦になってお金が残ったらあとは戦後復興資金に回したらいいだろうというような、大変私どもが聞いていると今のアメリカの対応などではとても考えられないようなことを平気でおっしゃっているのでありますけれども、そんなことはあり得ないことであって、アメリカがはっきりと戦争の経費を友好国や同盟国が負担することを約束してくれた、特にことしの最初の三カ月分として四百億ドルを超える負担を約束してくれたということを述べられているわけです。
 だから、この法案が表題に掲げる平和回復活動というのは、多国籍軍による武力行使に対してという意味に解する以外に理解のしようがない、こう思うんです。そのことを、長い話はいいですから、きちんと答えてください。
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) アメリカの立場からすれば、間違いなしに現実に兵士の命を失っており、戦争という言い方になることは無理もないことだと私は思うのであります。
 しかし、日本の立場としてこれを考えるとき、イラクという大国がクウェートという小国に侵略を開始し、占領し、その状態を継続し、国際連合の加盟諸国のたび重なる要請にもかかわらずその占拠の状態を解除しない中で、そのクウェートという国の独立を回復するためにやむを得ず多国籍軍が実力によってイラクを排除するという行動に出た、その事実は確かにそのとおりでありますが、これはまさに平和と安定の回復への努力であるという位置づけでありましょう。
 そしてそれは、委員からその言い回しについてお話がございましたけれども、この平和と安定の回復という言葉は安保理決議の中にそのまま使われている言葉、すなわち行為と目的、その目的の部分について使われている言葉でありまして、その目的に対して我々は資金協力を行うということでありますから、日本の立場としてこの言葉を使っておりますことが私は間違いだとは思いません。
 ただ、遺憾ながら、イラクという国の対応の結果クウェート領域内から実力をもって排除することを余儀なくされる、それが戦闘という行為を伴っておるという事実を私は否定するものではありません。しかし、日本として考える対応、目的というものはあくまでも平和と安定の回復であります。
#26
○久保亘君 わかりました。
 結局、平和回復活動というのは武力行使だけではない、いろいろある。しかし、日本が今その財政負担をするためにこのような新しい法律を、そういう武力行使に対する財政負担のための法律を提案されることが憲法上また財政法上可能なのかどうかということに対して、私は大きな疑問を持つものであります。しかし、そういうことで、結局武力行使を含む平和回復活動に対する財政負担を求める法律、こういうことで理解をいたしました。
 そうすると、結局イラクによって引き起こされたこの国際紛争を解決する手段としての武力行使に対して日本が財政負担を行う、こういう結論になってくるわけです。このことは明らかに日本国憲法九条の理念と相反することになる。
 今、大蔵大臣は首をひねっておられるけれども、あなたの所属される党の有力な幹部の一部にも、日本国憲法は今日の国際社会においては通用しないという意見を述べられた方がありますね。だから我々はこの憲法の考え方を変えていかなければならぬのだという主張をなさっておりますが、そのことは、今の憲法の条文やその条文を貫く理念のもとではできないんだということが前提にあるからこそ、そういうことを言っておられるんじゃないでしょうか。いかがですか。
#27
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは今さら委員に申し上げる必要のないことでありますが、第九条の冒頭は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」という言葉で始まっております。
 イラクのクウェートに対する侵攻、占拠、そしてその中における略奪、暴行等の行為は、正義と秩序を希求する国際平和というものとは全く相入れないものだと私は思います。そして、その限りにおいて、日本自身が武力を行使することは当然のことながら許されておらないわけでありますから、関係各国がこの情勢に対して実力をもって排除しようとする行動、これはその手段でありまして、目的としては平和と安定の回復であります。その目的に対して日本が資金協力をすることは、私は憲法違反だとは思いません。
 と同時に、これはおしかりを受けるかもしれませんが、自民党揚子江論というのがございます。左の岸から右の岸まで見渡しても向こうが見えないぐらい幅が広い、しかし一つの流れとして海に注いでいる。私どもの党は名のとおり自由と民主的な議論を自由に皆が行っておる党でありまして、その右の岸から左の岸まではさまざまな論議がありましょう。しかし、党全体としては一つになって今私どもを支えていただいております。
#28
○久保亘君 今九条を読み上げられたそのことについては、私も十分承知をいたしております。
 しかし私は、やはり憲法九条の条文を貫いている理念というものを考えれば、「砂漠の盾」作戦というのは武力による威嚇ですし、それから「砂漠のあらし」作戦というのは武力の行使です。そのことに対して日本が積極的に、総理の言葉をかりれば、確固たる支持を表明をして、そしてかなりの財政負担を行うということになれば、これは負担ではなくて、この戦争に対する加担を日本は行ったと言わなければならぬと思うのです。だから、そのことは憲法の精神には明らかに相反するものであって、日本政府が憲法の理念を変えることによって国際的に通用させようという考え方を持つのではなくて、憲法の理念を国際的に普遍的なものにしていく努力を日本政府がやる。
 私は平和的な経済援助とか中東の新秩序を進めていくために日本がしっかりした外交理念を持って必要な財政援助を行うというようなことについては、積極的にやるべきだと思っております。しかし、武力行使に対して直接に資金負担を行うということは、これは日本の立場ではやってはならないことだし、日本の憲法の理念をもっと国際的にも生かしていくという立場に立てば、日本政府がやるべきことは別のことではなかったんだろう、こういうことを非常に強く思っているわけです。
 しかし、これは今橋本さんと議論をしても意見の食い違うところでしょう。しかし、あなたの政治家としての一つの信条といいますか信念というものは、決して今の憲法の持つ恒久平和への理念というものをなくして国際的に次元の低いところで通用できるものに変えていけというお考えをお持ちではない、こう思っておりますから、この問題はそれぐらいにしておきましょう。
 次に、この九十億ドルの支援が決定されていきます経過というのをずっと振り返ってみますと、たしか日本時間で言えば一月の十七日ですか、空爆が開始されるその前に中山外務大臣がワシントンに行かれて、アメリカに対して、日本は対イラク同盟国としてアメリカが武力行使に入る場合にも全面的にこれを支援するという約束をされたという報道がございます。またその前後に、これは私間違いかもしれませんが、G7に出席された大蔵大臣がアメリカの当局といろいろ話をされて、日本の報道は橋本大蔵大臣が九十億ドルの支援を約束したということになったと思うんです。
 この二つの大蔵大臣、外務大臣の相次ぐ訪米の中で、九十億という数字はどちらから出たものなんですか。そして、その九十億を約束をされるに当たって、あなたがあそこで確約ができなかったかもしれぬが、九十億という大蔵大臣の責任における話をまとめてお持ち帰りになって総理大臣に報告され閣議で決定される、こういう経過について少し私どもにも話していただければと思うんです。
#29
○政府委員(松浦晃一郎君) 最初に私から中山外
務大臣の訪米について御報告さしていただきます。
 私、中山大臣に同行さしていただきまして、ブッシュ大統領、ベーカー長官等の一連の会談に同席しておりました。
 その前に、先生御承知のことと思いますけれども念のために申し上げたいと思いますが、十一月二十九日に成立いたしました安保理決議六七八におきまして、一月の十五日までにイラクが一連の安保理決議を履行することを求めておりまして、中山大臣が一連の会談を持たれましたのはその一日前の一月十四日でございました。
 その段階で中山大臣は、最初に会われましたブッシュ大統領に対しまして、今までのブッシュ大統領の湾岸危機に対します平和的解決に向けての努力を高く評価する、イラクがたび重なる国連安保理決議にもかかわらずクウェートの占領を続けていることは極めて遺憾である、したがってさらに平和的解決に向けて努力を継続することが重要であるが、先ほどの安保理決議の第二項では国際の平和、安全回復のためにあらゆる必要な手段をとる権限を国連加盟国に与えておりますけれども、それに関連して、武力行使になった場合には我が国は米国を全面的に支持する考えである、日本としては多国籍軍の行動に対しいかなる追加的支援が可能か引き続き検討するということを言っておられますが、先生が今御指摘の具体的な金額に関しましては、ブッシュ大統領は無論のこと、ベーカー長官等米側は一切触れておりませんし、こちらからも話題にしておりません。
 以上が中山大臣の訪米関係についてでございます。
#30
○国務大臣(橋本龍太郎君) きのう稲村委員からも、同様の問題点につきまして多少視点を変えた角度からの御質問がございました。そのときにも私は、その証拠立てる方法がないんですということをつけ加えながら御説明を申し上げましたが、今北米局長から答弁がありましたように、湾岸における緊張状態が一番ピークに達した時期に外務大臣は訪米をされました。それとは全く別個に昨年のうちからG7が行われることが決まっておりまして、場所もワシントンということも決まっておりました。それが二十日の夜のワーキングディナーから二十一日にかけてという日程でありましたために、私は多国籍軍の実力行動が開始されました直後にニューヨークに参りました。そして二十日の日にブレイディさんとの単独の会談を持ち、その夜からG7が始まったわけであります。
 ブレイディ財務長官との話し合いの中身をここで全部申し上げるわけにもまいりませんけれども、これはG7そのものの中で例えば周辺国支援の問題、あるいは累積債務国問題等々、幾つかのテーマがありましたことも事実でありますが、この湾岸につきましての状況は、湾岸危機への支援における日本の協力の重要性ということについての発言がありました。当然のことながら、これは資金協力を意味することであります。そして私から、日本としても日本の国際地位にふさわしい協力をする用意があるという意思は確かにそこの場所で返答として披瀝をいたしました。
 ただ、その時点において、アメリカ側からにせよ日本側からにせよ数字が具体的に出ておる状況ではございません。と申しますのは、その時点においてアメリカ自身の中で数字が検討できる状況ではなかったわけであります。今日になりますと、大統領の予算教書等が既に出されておりますからいろいろな御意見が出ておるわけでありますが、その当時はアメリカ政府としての数字というものはまだ全くございませんでした。議会の予算局が試算をした数字がございましたけれども、これは一番少ないケースでは二百八十億ドルぐらいであるとか、一番多いケースを想定すると八百六十億ドルぐらいかかるであろうといった極めて振幅の大きな数字でありましたし、しかも、これは議会予算局の数字で、行政府の数字ではなかったわけであります。ですから、その時点においては具体的な数字というものは、九十であれ五十であれ、百であれ、出ておりません。
 ただ、その中で私が知りたかったこと、そしてG7の各閣僚との個別の会話の中でもできるだけ知っておきたいと努めてある程度の感じを持つことができましたのは、作戦行動が開始された状況の中でほかの国々が一体どういう支援の態勢をとろうとしているかということでありました。相手国のことですからどこの国がどうとここで御披露するわけにもまいりませんけれども、それなりの感覚をつかみ、私は日本に帰りそれを総理にも御報告をいたし、続いて政府・与党首脳会議の席上で最終的に総理が九十億ドルという数字を決断されたという経緯であります。
 残念ながら、これを具体的に証拠立てるものはございません。ただ、強いて傍証として申し上げることができるとするならば、この結論をまとめられた後、総理がブッシュ大統領にその決断を電話で連絡をされました直後にアメリカの大統領報道官のフィッツウォーター氏が記者会見をされまして、日本から意図表明のあった九十億ドルの多国籍軍に対する資金協力について感謝するという表現が使われました。公式に九十億ドルという数字が打ち出されてそれが表明をされましたのは、フィッツウォーター大統領報道官の報告でありました。その内容は、海部総理から意図表明のあった日本側の自主的な判断の結果として決断されたものが大統領に総理から伝えられた、これに対して感謝するという表現であったという事実を申し上げます。
#31
○久保亘君 結果といいますか、確定していく段階はそうでしょう。
 しかし、日本政府の自主的な判断の九十億ということを言われるけれども、九十億という数字は海部首相がアメリカの大統領に電話で報告をされるはるか前からずっと日本の報道では伝えられているわけです。あなたがアメリカからお帰りになったときにはあと十億ドル足せという党内の主張があったりして、いろいろあつれきもあったような報道すらありました。これは事実かどうか私は知りません。しかし、そのときに九十億を軸にしていろいろと論議がされておったことは間違いない。九十という数字は海部さんの頭の中から出てくるわけないんです。
#32
○国務大臣(橋本龍太郎君) そんなことないですよ。
#33
○久保亘君 いやいや、あの人が能力がないと言っているんじゃないです。立場からいってあの人の頭から出てくる数字じゃない。九十億ドルという数字はあくまでも財政責任者である大蔵大臣のところから出てこなければおかしいでしょう。だから、そのことを原案として最終的に総理の決断を求めたのはあなたじゃないですか。
#34
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども率直に申しましたように、私がG7の席上で知りたかったことの一つは、各国がこの事態の変化の中でどういう対応をしようとしているかということでありました。そして、そういう感触の中から私自身がそれなりの結論をまとめていこうとしていたことも私は否定をいたしません。ただ、私はその判断材料とともにすべてを総理に御報告をいたしました。そして、その判断材料を含めて政府・与党首脳会議で論議が行われたということであります。
#35
○久保亘君 その判断材料の主なる点を教えていただけませんか。
#36
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは相手国のあることでありますので、申し上げることにも限界がございます。その点はお許しをいただきたいと思います。
 ただ、昨年九月のG7以来四カ月ぶりのG7でありました。九月のG7の時点においては、ドイツは日本と同様に資金協力のみを行う態勢であり、軍というものを動かしておらない状況でありました。そして、セブンの各国の議論の中で、ドイツと日本に対しては軍隊が動かせないという前提のもとに資金協力に対する要請は極めて強いものがございました。そしてそれは、そのG7の前、九月初旬にヨーロッパ各国の大蔵大臣を歴訪し湾岸情勢の変化の中で今後の協力体制をどうするかということで私がイタリー、フランス、西
独、そしてイギリスを回りましたときに各国で出ました議論等を私自身として頭の中に入れながら出たわけでありますが、その風当たりというものは相当にきついものでありました。
 今度一月のG7の時点では、ドイツは、NATOのエリアの中でということでありますけれども、トルコまで軍隊を現に動かしている、そしてイラクに対する攻撃に参加はできなくても、多国籍軍に基地使用を認めているトルコの基地がイラク軍から攻撃を受けた場合にはその防戦に応ずる用意があるということを一つの自分の方の札として、要するに全く何も人的貢献をしていない日本とは違うんだということを強調されようとしておりました。そうした中で各国の空気を見ておりますと、ドイツに対する資金要請というものがそれでも五十億ドルを超えるであろう、これは一つの例でありますけれども、そういう感触は私はつかんだつもりであります。
 結果として、ドイツは、アメリカ一カ国に対して五十五億ドル、イギリスに対しては五億四千万ドル、そのほかにイスラエルその他に対しての助成がございますけれども、大きなものとして米英二カ国にそれぞれ五十五億ドル、五億四千万ドルの資金協力をストレートに二国間の資金供与として行うという結果が出ておりました。そうした意味では、私がつかんで帰りました感覚というものはそう間違っておらなかったという感じを今自分では持っております。
#37
○久保亘君 外交機密にかかわるような問題を私はここで無理にお聞きしようとは思わないんですが、事は日本国民の税負担を含む、それから提案されております内容では来年度からかなりの額の歳出カットを含む内容になっているというのは、これは国民にとっては大変重大なことなのであります。だから、どうしてそうなったのか、納得のいくものでないと国民の理解は得られない、こう思うんです。
 それから、今重大なことを言われたんだけれども、ドイツは二国間の供与でストレートにアメリカに五十五億ドル出した、こういうお話でございましたが、ブッシュ大統領は、その五十五億ドルも含み、クウェートやサウジのそれぞれ百三十五億ドルも含んで、日本の九十億ドルを予定して、それだけでも合計四百十五億ドル。だからこそ彼は既に一月二十九日の段階で四百億ドルを超える負担を同盟国、友好国は約束してくれたという演説をやっているわけです。
 そうすると、日本は九十億ドルを、あなた方の立場に立ったとしても、なぜ湾岸アラブ諸国協力理事会の方へ回り道をしなければならなかったんでしょうか。それから、この湾岸アラブ諸国協力理事会というのは国際連合とはどういうかかわりがあるのか。それからもう一つお聞きしたいのは、ここへ日本が出したお金は、日本のサウジアラビアの大使が運営委員会に入っていて、そしてそこで一々協議をしながら決まったものだけを出す、こういう説明が行われておりますけれども、このGCCの中で日本はどんな役割を持っているんでしょうか。
#38
○国務大臣(橋本龍太郎君) 外交当局から御答弁を申し上げることが適切であると思いますので、外務省から細部にわたっての御答弁を願うことにいたしますが、ひとつ誤解がないようにこの機会に申し上げておきたいと存じます。
 下院の予算委員会において、二月七日、ブレイディ財務長官はこの九十億ドルというものにつきまして、まず第一に、それは米国だけではなくイギリスやフランスにも――どうしてフランスまで入ってきたのかよくわからぬのですが、イギリスやフランスへ分配される湾岸平和基金と呼ばれる基金、したがって九十億ドルのうち一部分はイギリスやフランスに行くことになるだろうという表現をしておられます。九十億ドル全部がアメリカに渡されるという理解ではアメリカ自身がございません。言いかえれば、今御審議をいただいておる状況が示しますように、湾岸平和基金に対する日本の九十億ドルという拠出の枠は決まっております。そのうちのどれだけがアメリカに渡るかということについて決定をしていない段階の中で、いわば枠決めのような形でこれが使われているという事実があることはこの機会に御認識をいただきたいと存じます。
 細部の点につきましては外務省から御答弁をいただきます。
#39
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生から御質問がございました幾つかの点につきましてお答えいたしたいと思います。
 最初に、なぜGCCにしたかという点でございますけれども、GCCと申しますのは、サウジアラビアを初め湾岸の六カ国が八一年五月につくりました安全保障、経済、政治、文化等の幅広い分野で協力関係を増進することを目的にいたしました国際機関でございます。非常にしっかりした国際機関でございまして、国連との関係は直接はございませんけれども、その憲章は国連に登録されております。
 それから日本とのかかわり合いでございますけれども、今回設けました湾岸平和基金は、これは最初の九億ドルをどういう形でどういう受け皿をつくることが最も適切であるかということをいろいろ関係方面と議論した際に、その中の一つにGCCが入っておりましたけれども、GCCと合意ができましたのでこのGCCの中に湾岸平和基金という基金を設けることに昨年の九月の二十一日にいたしまして、その湾岸平和基金に最初の九億ドルを払い込み、そして十億ドルを十二月に払い込み、今回国会で御承認をいただければ九十億ドルもこの湾岸平和基金に払い込みたいと考えております。
 この湾岸平和基金の運営管理を行いますのが運営委員会でございまして、その運営委員会がまさに日本政府の代表、具体的にはサウジアラビアに駐在する日本の大使でございますが、この日本政府代表とGCC六カ国の代表、この二人が構成しております。そういう形で、日本政府がしっかりかんだ形で湾岸平和基金を運営をしております。したがいまして、今回の九十億ドルにつきましてもしっかり交換公文を結びまして、そしてこの運営委員会でしっかり運営していきたい、こう考えている次第でございます。
#40
○久保亘君 その湾岸平和基金というところに資金を提供するのは、日本のほかにどこがありますか。
#41
○政府委員(松浦晃一郎君) 現在までのところこのGCCにこのような基金を設けておりますのは日本だけでございまして、したがいまして湾岸平和基金に拠出しておりますのは日本だけでございます。
 ただ、申し上げたいと思いますのは、先ほど渡辺中近東アフリカ局長からもお話がありましたように、今後の湾岸地域におきます湾岸危機後のいろいろな問題を検討していくに当たってGCCが中心的な役割を果たしていくと思われますが、その過程で、GCCの中で新しい基金を設けたらどうかという話も今現に出てきております。これはGCC自身が設けるという基金でございまして、私どもが今拠出しております湾岸平和基金とは別ではございますが、そういう動きがあるということもあわせて御報告したいと思います。
#42
○久保亘君 結局、クウェートにしてもサウジアラビアにしても、湾岸戦争で多国籍軍、アメリカ軍が主体でありますが、そこへ必要とする戦費をクウェートやサウジアラビアの場合には百三十五億ドルというお金をアメリカに負担しているわけです。ドイツも五十五億ドルをアメリカに負担しているわけです。日本だけが、遠回りをするようなことでやらないと何となく日本の憲法の立場やいろいろ考えるとぐあいが悪いので、表題は平和回復活動とつけてお金は湾岸基金を回ってアメリカへ行く、こういうことになっているんじゃないですか。
 この前に出された既に払い込まれた二十億ドルはどうなっていますか。
#43
○政府委員(松浦晃一郎君) 今まで湾岸平和基金に払い込みましたのは正確には十九億ドルでございまして、円で申し上げれば二千五百二十九億円
でございます。このうち約八割が支出済みないし契約済みでございまして、九一%がアメリカ向けでございますけれども、全体として十三カ国を支援しております。
 アメリカ以外にイギリス、エジプト、シリア、サウジアラビア、モロッコ、バーレーン、カタール、バングラデシュ、セネガル、パキスタン、フィリピン、ポーランド、このように多様な国々を支援している次第でございまして、九十億ドルに関しましても今回の湾岸におきます平和回復活動の中心はアメリカでございましたので大宗はアメリカ向けになろうと思っておりますけれども、イギリスを初め各国から大きな期待が寄せられております。
 いずれにしましても、これは先ほど御披露しました運営委員会で決めていくことになる次第でございます。
 先生が御提起されましたなぜGCCかという点でございますけれども、これは先ほども触れましたように、まさにGCCが八一年の五月に設けられて以来湾岸地域でしっかりした活動を政治、経済、文化、安全保障の分野でやっておりますので、私どもが拠出いたします平和回復活動のためのお金というのはこのGCCに設けることが適切であると判断した次第でございまして、アメリカに大宗は行っておりますけれども、今御披露申し上げましたようにアメリカ以外にも十二カ国を支援している次第でございます。
#44
○久保亘君 これは私どもとしてはどんな説明をされても納得しがたいことであります。
 それで、この湾岸平和基金は日本の拠出する金をプールするためにつくられた平和基金ですね。そして、そこへ入ってきたお金について日本がどれだけの、「枠決め」という言葉をさっき使われたけれども、枠決めの権限を持っているのか。実際にはこれはアメリカの要請に基づいて出されたものであり、そしてもしこの「砂漠のあらし」作戦が三月以降にまで延びたとするならば当然に追加の要求もあったであろうし、また今後の中東の新しい秩序づくりをアメリカがどうリードするか、それ次第によっては日本に対するいろいろな要請が行われないとも限らない。
 そういうことを考えてまいりますと、このGCCを使ったやり方、日本政府の場合にはいつもストレートにわかるようなやり方をしないで遠回りをして、そして何か後ろめたい気持ちがあるかのようなやり方をするが、このことについて私どもとしては非常に疑問が残るところであります。
 時間が非常に短くなりましたが、もう一つ、二つ聞いておきたいことがあります。
 今度は九十億ドルの国内における財源負担について、橋本大蔵大臣は二月の十二日にこの委員会において、石油税、法人税、たばこ税によって財源を賄う、こういう所信表明を行われ、その所信表明に対して委員会の質疑も行われております。ところが、それから二週間もたたないうちに、今度はまるで違う財源負担の内容が提案されたわけです。この間に、あなたが大蔵委員会に対して、また本会議でも行われたんですが、所信表明として断定的に言われたことがあの二週間足らずの法案が出てくる段階でなぜ変わったのか、その変化をしていく経過と、なぜ政府が変えなければならなかったのかということについて、御説明をいただきたい。
#45
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは御指摘を受けるまでもなく私自身が自分の考え方を変えてきたことでありますから、御批判があればいかようにもちょうだいをしなければなりません。
 ただ、この九十億ドル支援というものを決断いたしました時点で私が一番頭に置きましたことは、これを従来と同じような赤字国債、特例公債によって調達することだけは避けたいということでありました。そして、それが後世に与える影響を考えますときに、何としても後々の国債残高を累増させる一役ということだけは避けたい。そうした中から、私は全体を臨時的な措置、すなわち臨時的な増税という形で国民に御負担をいただきたい、そう考えましたことは間違いありません。そして、それは本院におきましても私自身そう申し上げてまいりました。
 しかしその後、まさにその所信表明に対しまして、また財政演説に対しまして、本院におきましても本委員会におきましても、さまざまな角度からの御論議をいただきました。衆議院におきましても、当然のことながらさまざまな角度からの御意見をちょうだいしたわけであります。そうした御論議を踏まえ、どうすれば院の中で示されている御意見の大宗にこたえ得るか、しかも将来に負担を大きく残さずに済むかという中で、政府自身がぎりぎりの節減合理化の努力をもう一度してみようという思いになり、事務方の諸君に作業を命じてまいりました。
 その結果、御承知のような形で平成二年度予算の中からも税外収入を含めてある程度の数字を、まことに事務方としては大変な苦労をしたでありましょうが、まとめてくれました。また平成三年度予算につきましても、防衛費あるいは公務員宿舎の施設整備といったものを含めました縮減を行うという決断をし関係省庁の了解も得ましたので、その範囲内において節減合理化で生み出した財源をまず充当する。そして、それで足りない部分を増税でやはり臨時的にお願いをしなければなるまいと考えておりましたが、数字的にたばこまでお願いしないでも、当初予定をいたしました法人臨時特別税、石油臨時特別税に比べましても相当の縮減ができましたので、たばこを落として法人臨時特別税と石油臨時特別税の二つに臨時の御負担をお願いする決断をし、改めて国会に御提案を申し上げた次第であります。
#46
○久保亘君 私は、もともと戦費を支出することについては、日本の憲法上からも、また日本が戦後四十五年ほとんど自民党政権のもとにとり続けてきた政策の上からも、これはできないことだ、こう思っております。
 仮にその九十億ドルの財政負担を考える場合でも、私はどちらがよいかという議論をしているんじゃない。政府がこういう考え方だということで、それこそ確固たる基本方針を議会に対して提案をされる、そしてそのことに対して衆議院の予算の総括審議が行われている段階で突如として財源負担の方式が変わって出てくる、こういうことは私どもとしては理解に苦しむことなんです。
 まだその法案も姿を見せていない段階でこういう方針でやりますということをあなたがはっきりここでも言われたものを、それは国会の審議を見ながら変えたのだと言われるけれども、国会の審議でその方針に対して議論をしている段階であって、それで政府に対してこのようにやれとかこうしろとかいうようなことをまだ論議をする段階にはなっていかなかったのにあなたの方が提案の段階で全く違ったものを出されるということは、これは大変異例なことだと私は思うんです。だからその経過を伺ったんですが、これ以上はあなたの方も答えにくい問題だろうからいいですが、私は大変そのことに対しては不信を持っているということを申し上げておきます。
 時間が短くなりましたので、もう一つ、今度の補正予算並びにこれに関連する法案について、特に防衛費の削減にかかわって提案をされている問題についてお聞きいたします。
 まず最初にお聞きしたいのは、今度の中東戦争を契機に武器輸出規制に関する意見が国際的にも高まっておりますし、海部首相も予算委員会等における答弁の中で、自分は武器輸出を禁止し規制するということについては日本の考え方をアメリカで講演を行った際にもはっきり申し上げている、こういうことを言われております。
 武器の輸出を規制するということになれば、輸出と裏表の関係にあります輸入をそれぞれの国が規制をするということでなければ、輸出規制を幾ら言ってみても、実際には経済的に重要な意味を持ちながら武器の輸出というのはどんどん行われる。イラクはみずから製造している兵器というのはほとんどない。それでもあれだけ強大な装備を持っていたというのは、今度の多国籍軍にかかわる国々から武器は全部イラクに売り込まれたから
です。そういう中で武器の輸出を禁止すべきだ規制をすべきだということを日本が国際的に声高に主張するということを行われるならば、日本自身も武器の輸入について縮小し規制していくという考え方をあわせて表明しなければいけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#47
○政府委員(畠山蕃君) 委員御承知のとおり、我が国は平和憲法のもとで専守防衛に徹し、他国に脅威を与えないという確固たる信念のもとに必要最小限の装備を装備してきているところでございます。
 御指摘の武器の調達の方法には、国内の国産開発、共同開発、ライセンス生産、それから輸入、大ざっぱに言ってこの四つのカテゴリーがあると思うわけであります。
 御指摘の輸入についてでございますけれども、輸入はもちろん国内開発に比べて国土、国情に合致しているかどうか、あるいはまた生産基盤の整備というような面から見ますとそういう点では劣っている面もあるわけでありますけれども、ある程度その生産ラインができ上がっているものについて輸入してくるわけでございますので、非常に早期に必要なときに調達できるというようなこともございます。それからまた、技術リスクを伴わないといったようなメリットもあるわけでございます。
 我が国といたしましては、これらの武器の調達の方式の長所短所を考えながら必要最小限の装備を調達することが効率的であり、我が国の安全保障にとって必要なことである、その限度におきまして輸入というのも必要なカテゴリーの一つであるというふうに考えておるわけでございます。
#48
○久保亘君 世界的に軍縮の方向が冷戦の終結によって進められているときに、本当に日本が憲法の理念に基づいて平和を希求するという立場に立つならば、特にソ連の脅威というのが防衛庁や日本政府の考え方においても極めて低下してきているということを確認している中で武器の輸出を規制するという立場に立つならば、日本自身が武器の輸入について規制をみずから行っているんだということを軍縮、防衛予算の削減を通じて明確にしていかなければならぬ、私はそう思っております。
 先般の予算委員会にこの「平成三年度防衛予算の削減内容」というのを我が党の小川議員のたび重なる追及によってようやく示されておりますが、確かに装備にかかわる部分で一千億の削減を示されているわけであります。私は今度の財源を賄うという意味で、この一千億の減額が行われることについてだけでなく、防衛予算の全体的な削減というものをもう一遍新中期防に関しても考えなければならないときではないか、こう思うんです。
 とりわけ今度の新中期防の中でE3A、AWACS四機の購入が計画されていると思うんですが、これは四機でどれだけの経費になりますか。
#49
○政府委員(畠山蕃君) 中期防というのは五年間の事業の全体計画でございまして、その個々の装備費につきまして確定したものとして計上しているわけではございませんで、各年度年度の予算編成におきましてこれを精査をした上で具体的な予算として確定しているということでございますので、必ずしも個々の装備費について確定的なものとして申し上げることは困難なわけでございますけれども、特段の御質問がございましたので参考的に我が方が念頭に置いておる額について申し上げますと、四機で千三百億円程度ということでございます。
#50
○久保亘君 このE3Aというのは空飛ぶ司令部と言われる飛行機でありまして、今四機で千三百億と言われました。私も大体そんなものだろうと思っておりますが、昭和五十四年当時、山下防衛庁長官のときに私はこのE3Aの導入について、アメリカの議会で日本に六機持たせろという議論が行われているということを報道を通じて知っておりましたので、そのことに関して日本の政府の見解を求めたことがございます。そのときに、山下防衛庁長官は、E3Aは三百億程度かかると思う、それは機能としては大変なものであるけれども我が国の今の防衛の形からするならばE3Aは必要ない、こういう答弁をなさっております。
 一体日本の防衛の形がどういうふうに変わったからE3Aが必要になったのか。そして、当時と今日の国際情勢の変化等も考えてまいります場合に、E3Aが新中期防の中でどうしても必要になってくるという根拠は一体どこにあるのか。もし装備に手をつけてこの九十億ドルの財源を考えるというようなことであるならば、E3Aを全部外すというようなこともあわせて考えられてよいのではないかと思うのですが、この問題が今新しい中期防の中で浮上してきている根拠は何ですか。
#51
○政府委員(畠山蕃君) 確かにE2Cを導入いたしますときの五十四年のときの議論といたしましては、御指摘のとおり、E3Aというのはその当時の状況からいたしますとスペックとして過大であるというような趣旨の答弁がなされていることは事実でございます。
 当時におきましてまさに必要であったものは何かといいますと、地上のレーダーサイトではカバーし切れない低空侵入に対する覆域の補てんということだけが必要であったわけでございまして、その限りにおきましてはE2Cで十分事足りるということであったわけでございます。
 しかしながら、その後の我が国の防衛上の必要性といいますか、その前提として諸外国の技術水準の動向というのを見てまいりますと、爆撃機あるいは戦闘爆撃機のいわゆる足、航続距離が非常に延びてきているということがございます。それからまた、ミサイルの射程が非常に延びてきているという事実がございます。そういたしますと、低空でもってE2Cレーダーサイトのカバーの覆域をくぐり抜けまして我が国の重要中心地域のところまで来て、しかも洋上からいわゆるスタンドオフ攻撃というような形で我が国の国土を攻撃するようなおそれが生じてきているのが事実でございます。
 そういたしますと、我が方といたしましても、これを早期に発見いたしませんと我が方の要撃機が必要な時点で会敵ができないといったようなことがございます。したがいまして、そういった諸外国のいわば航空技術、ミサイル技術等の向上に見合った、今後とも必要となるような事態に対応するためには当時とは全く違ってE3Aクラスのものが必要になってきているということでございます。
 なお、今度は整備する側の諸外国の状況を見ましても、当時はまだアメリカが数機のAWACSを持っているだけでございましたけれども、そのような各国の状況を踏まえまして現在では数カ国がかなりの量を保有するに至っている。つまりE3Cを持つ側の状況の変化、保有側について申し上げてもそういうことでございます。したがって、諸外国の技術水準に対応した形で我が国の防衛力を完全なものとしていくということが大綱自体にも述べられているように、それに見合った形での整備が必要になってきたということでございます。
#52
○久保亘君 今のあなたの説明では、当時と今との間で軍事力を強めるという立場で言われるなら、新しい強大な機能を持った兵器を持つということは、それは軍事的な強化という側面で考えればそうでしょう。しかし、E3Aがどうして今の国際情勢の中で、新しい中期防の中で日本が千三百億を投じてまで装備しなければならぬかということについて我々は納得ができないわけです。
 それから防衛予算全体について非常に私が疑問を持つのは、装備というのは一体だれがどこで価格を決めるのかということです。E2Cだって日本が導入を始めたときに地上設備まで含めると一機が百億を超えたはずです。ところが、アメリカ海軍が同じE2Cを導入するときには四十六億で買っておるんです。イスラエルに売られるときには七十九億で売られておる。ところが、日本に来るときには百億を超えるということです。こんな話も大変おかしな話なんです。日本の防衛予算というのはこういう包括的な額で決めて適当にやる
んではなくてもっときちんとしなければいかぬと私は思いますし、だからこそ予算委員会で示された資料でも数量が同じで価格が二百三十五億のうち五十六億も削減できるという、とても我々には理解のできないようなこんな資料が出てくるわけです。
 私は、こういう点について、歳出の削減と言うならば今日の国際情勢等も念頭に置きながら防衛予算に対して徹底的な見直しを行う、こういうことが重要であろうと思っております。
 時間がなくなりましたので、最後に私一言だけ意見を申し上げて終わりたいと思いますが、今度の九十億ドルというのは、いかなる説明をしようとも、平和回復活動という名前をつけようとも、これは武力行使に対する資金の供与であることに変わりはない。それは戦費である。国際紛争を解決するために行われる武力行使に対して戦費を負担するということは、この戦争に日本が加担をすることである。これは憲法に照らして絶対に容認できるものではない。我々はこの停戦を機に、中東の平和的な復興のための費用やこの戦争によって犠牲になった多くの人たちの救援、救済のために日本が国際的な役割を果たすということをもっと明確にしながら、そのために必要な経費が九十億ドルを超えようとも国民に対して理解を求めるという努力をやっていくのが政府の責任であろうと考えております。したがって私は、この法案に対しては、今いろいろの説明を聞きましたけれども、どうしても納得できないということを申し上げて私の質問を終わります。
#53
○和田教美君 まず、いわゆる多国籍軍への追加支援九十億ドルの性格についてお尋ねしたいと思います。
 橋本大蔵大臣の過般の財政演説によりますと、湾岸平和基金への拠出金九十億ドルは湾岸地域における平和回復活動に対する我が国の支援であるというふうに述べておられます。そして、今提出されております法案の表題もそういうことがうたわれておるわけでございます。
 そこで、湾岸地域における平和回復活動とは一体何かということが問題であります。この点について、久保委員も触れられましたが、私は別の角度から取り上げてみたいと思います。
 湾岸戦争が実際に続いておりましたときには、一般にはこの平和回復活動とは即多国籍軍の活動というふうに理解されておったと思います。しかし、戦争が既に終わって、今、戦後復興ということが中心的な課題になってきているという状況の中で、平和回復活動への支援ということの意味、つまり九十億ドルの拠出金の性格というものもかなり変わってきてしかるべきではないかというふうに私は思うわけです。
 我々は、この平和基金に対する拠出金については、多国籍軍の武力行使が国連安保理決議に基づくものであり、国連を軸とした平和回復活動に対して日本としても国際貢献が必要であるという観点から、賛成の態度をとっております。しかし同時に、その使途については、武器弾薬に使わない、そして非軍事の分野に限定をする、そういうことを強く政府に要求いたしております。海部総理も、日本政府としては輸送、食糧、医療、生活、事務関連などの諸経費に充てるというふうなことを述べておられるわけでございます。
 また、戦争が終わりましてから、我々は戦後復興の問題につきまして、中東平和復興基金というものをつくれということを要求してきておりまして、この九十億ドルの中から余裕が出ればその原資の一部に充てるべきであるというふうに主張いたしております。また総理も、この九十億ドルについて、戦争が早く済んだ、余裕が出てくれば平和維持や経済復興にも振り向けるべきであるという旨を国会で答弁されております。ところが、どうも外務省はこの総理などの見解に対して異論があるらしくて、多国籍軍に充てる費用以外に戦後復興にまで回すというふうな余裕はとてもないというふうなことを述べておるという新聞報道がございました。
 そこで、この性格について外務省としてどういうふうに考えておるのか、まずその点を明確にしていただきたいと思います。
#54
○政府委員(松浦晃一郎君) 今回の九十億ドルの性格でございますけれども、先生が今お触れになりましたように、国連安保理の一連の決議に従いまして湾岸の平和と安定の回復のために活動している関係諸国を支援する目的のものでございます。
 先生が御指摘のように、戦闘行動は早く終結いたしましたけれども、私どもとしてまず考えなければならないことは、これまで既にアメリカを初めといたします関係諸国がこれらの平和回復活動におきまして大きな負担を余儀なくされているという事実が厳然としてあるということでございます。それから、停戦後におきましても、当面湾岸地域に展開しておりますアメリカを中心といたします多国籍軍の多くは湾岸の平和回復活動に引き続き従事していくものと思われますので、これらの戦後におきます平和維持活動も対象にしていく必要があると考えております。それから、このような戦後処理が進むに従いまして多国籍軍はこの地域から漸次撤退することになると思いますけれども、その際にもいろんな経費がかかるだろうと思っております。
 したがいまして、これら全体をひっくるめまして、総理の累次の予算委員会におきます御答弁のように、具体的な使途といたしましては、輸送関連、医療関連、食糧・生活関連、事務関連等の諸経費に充てるという基本方針で日本政府としては臨みたいと考えておりまして、最終的には湾岸平和基金の運営委員会で具体的な使途を決めることを考えております。
 それから、先生御質問の経済復興でございますけれども、外務省といたしましては基本的に総理の御指示に従って対応を考えているわけでございまして、総理と外務省の間に意見の差があるということはございません。
 戦後の復興の点に関しまして申し上げますと、これはまだ戦闘が継続中ではございましたけれども、従来の十九億ドルの中から、例えばオイルフェンス等今回の一連の流出原油対策のために既にサウジアラビア、カタール、バーレーンへかなりのものを提供しておりまして、具体的には約十五億円に上りますオイルフェンスを提供しておりますし、それからさらにオイルフェンス、オイルスキマー、油吸着材、小型油回収船等に関しましても従来の十九億ドルを使いましてこれらの国々を支援することを考えております。と申し上げますことは、既に従来の十九億ドルでこういうような戦後復興に協力をしているということでございます。
 それから、今後の九十億ドルに関しましては、先ほど申し上げましたようなことで、これらの一連の活動に充てたいと思っておりますけれども、先生御指摘の戦後復興に際しましても私ども排除しているわけではございませんで、今申し上げました一連の活動に加えまして、戦後復興等も考えていく余裕があればそれは考えていく必要がある、こういうふうに考えていることもあわせて申し上げたいと思います。
 それから、従来の十九億ドルもそうでございますが、今回の九十億ドルも当然対象は湾岸の平和回復活動の中で、具体的には多国籍軍の活動ということになりますけれども、私どもは広く考えておりまして、先ほども原油流出対策にも十九億ドルの一部を支出したということを申し上げましたが、それに加えまして、フィリピン、ポーランドが医療団を送る際にも協力しておりますし、多国籍軍の活動のみならずそういうような一連の平和回復活動も対象にしてきておりまして、今後も対象にしていきたいということをあわせて申し上げたいと思います。
#55
○和田教美君 平和回復活動を広く解釈するという御答弁でございました。
 それではお聞きいたしますけれども、この第二次補正予算案と、それから今提出されております財源法、これが成立した後で政府は湾岸アラブ諸
国協力理事会、さっきから出ておりますGCCですが、これとの間に九十億ドル追加拠出金に関する交換公文を取り交わすことになっております。
 昨年九月に取り交わされました第一回の拠出分九億ドル、これに関する交換公文によりますと、拠出金は「専ら、湾岸の平和と安定の回復のため国連安全保障理事会の関連諸決議に従って活動している各国を支援するために次の使途に、使用される。」となっておりまして、「専ら」ということが書いてあります。
 こういう書き方だと、多国籍軍に直接関連する経費に充てるというふうに普通は読めるんではないかと思うんですけれども、既に総理からも余裕があればそれ以外の経済復興などにも使うという答弁もあるわけだし、今の局長の答弁のように広く解釈して使えるんだということであれば、この交換公文はこれから結ぶわけですから、この表現をそのまま第一回の文を引き写しにするんではなくて、表現を変えて、要するに平和維持だとか、あるいは戦後の経済復興、避難民の輸送とか境環対策とか、そういうものもできるんだということをはっきり書いたらどうかと思うんですけれども、いかがですか。
#56
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のように、昨年九月二十一日に署名いたしました交換公文は「湾岸の平和と安定の回復のため」という表現を使っております。
 九十億ドルの交換公文につきましては、これからGCCと協議をいたしますのでまだ固まっておりませんが、基本的には同じような文言で対応できるのではないかと私どもは考えておる次第でございます。
 と申しますのは、ここに「平和と安定」という言葉がございまして、平和のみならず安定ということも考えておりまして、この「安定」という言葉はかなり広い意味でございまして、先生が御指摘の一連の分野もこの「安定」の中に入ってくるというふうに私どもは考えております。だからこそ、先ほど私は流出いたしました原油対策についても既に十九億ドルの中で対応しているということを申し上げた次第でございます。
#57
○和田教美君 どうもその答弁には納得できない。
 仮に交換公文に書くのが非常に無理だということである場合には、最小限、資金の具体的な使途を決める湾岸平和基金の運営委員会で恩田サウジアラビア駐在大使から強く日本政府の意図、考え方というものを主張し要求する、そうしてそういう主張に沿って割り振っていくということが必要ではないですか。その点はいかがですか。
#58
○政府委員(松浦晃一郎君) 具体的に使途に関しましては従来運営委員会でこれを決めてきておりますけれども、従来の十九億ドルに関しましても、運営委員会で海洋汚染防止資機材というのをこの物資協力の中に入れるということで、それに基づきまして先ほど来触れておりますオイルフェンス等の提供を行っている次第でございます。
 これは従来の十九億ドルでどう対応したかということを今御説明したわけでございますが、今後の九十億ドルに関しましても、総理が国会の場で繰り返し御答弁しておられますように、この具体的な使途に関しましては運営委員会で決定するということになりますけれども、日本政府といたしましては、先生が先ほど御披露されました輸送関連以下の具体的な分野を考えておりまして、これを運営委員会の決定ということで持っていきたい。まさに先生御指摘のように、日本政府としてはこれを強く主張したいと考えております。
#59
○和田教美君 今の外務省との問答を大蔵大臣も聞いていただいたと思いますけれども、大蔵大臣としてはどういうお考えでございますか。
#60
○国務大臣(橋本龍太郎君) 基本的に外務省が今御答弁を申し上げました内容と食い違うことはございません。
 外交文書のつくり方等になりますと私どもは全く素人でありますから、外務省の諸君の判断というものを尊重したいと存じますが、委員が御主張になろうとしておるその趣旨が日本政府代表としての駐サウジアラビア大使から当然のことながらこの理事会の席上で提起をされるものと、私はそのように心得ております。
#61
○和田教美君 次の問題に移ります。
 平成二年度第二次補正と本法案によりまして政府は臨時特別公債九千六百八十九億円を二年度中に発行することにしておりますが、臨時特別公債と、特例公債いわゆる赤字公債、この性格は一体どこが違うんですか。今回の臨時特別公債は法人税の特別税と石油臨時特別税の創設と歳出の削減、これによって償還財源の手当てがはっきりついている、ところが赤字公債はそれがついていない、こういうことなんですか。
 しかし、臨時特別公債の償還財源が確保されているということを強調すればするほど、その反面、平成三年度では既に六十一兆円の残高がある一般の赤字公債には償還財源の手当てがついていないんだということを逆に浮き彫りにすることになりませんか。そして国債に対する国民の不安感を助長することにならないかどうか、その点についての大蔵大臣の見解を聞きたいと思います。
#62
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回発行を予定しております臨時特別公債は建設公債に限り発行を認められております財政法第四条の特例としてお認めをいただこうとしておるものでありますから、このような財政法の規定から見れば、法形式上は特例公債として整理をされる性格のものであります。
 今回の臨時特別公債は、委員がまさに御指摘になりましたように、歳出予算などの節減による財源及び臨時特別税の収入が入りますまでの間のつなぎとして臨時的に発行されるものでございまして、これらの財源があらかじめ予定をされておりますという点で従来の特例公債とは異なる性格を持っておるというのも御指摘のとおりであります。
 ただ、委員が御指摘になりました次のポイントである、その性格が違うということを言い過ぎた場合に逆に国民の特例公債に対する不安を招くのではないかという御指摘でありますけれども、従来の特例公債について確かに特定の償還財源が定められていないという点は御指摘のとおりです。しかし、これは建設公債と同様に従来から総合的な減債制度によって対応しているところでありまして、具体的には、前年度首国債総額の百分の一・六定率繰り入れというものを基本として、一般会計の決算上剰余金の二分の一を下らない額をもってこれを補完し、さらに必要に応じて予算措置による繰り入れを行うことにより償還財源を確保していく。このいわば償還財源の性格の違いという点に御着目をいただきたいと思うのでありまして、私は国民の国債に対する信頼がこのつなぎ国債という形での性格を御説明することによって低下をするとは考えておりません。
#63
○和田教美君 次に、臨時特別公債金九千六百八十九億円は、法人臨時特別税及び石油臨時特別税の収入六千六百八十億円と、それから防衛費一千億円を含む経費の削減、予備費の減額などによって三年度以降の歳出削減も入れて三千九億円、この二つを合わせて六年度までに償還するということになっております。
 この臨時特別公債は、大蔵省の説明だと短期の割引国債だということです。しかし、今挙げました数字は元本の額であって、いわゆる利子はそれにはついていない。その利子分はどうしているのか。この償還財源には含まれていないんですから、恐らく平成三年度一般会計予算、これの事前修正の中で処置しているのだろうと思いますけれども、どういう形で利子分が手当てをされておるのか、そしてその場合に利子負担は大体年間何百億円ぐらいになるのか、御説明を願いたいと思います。
#64
○政府委員(小村武君) 今回の臨時特別公債の償還財源につきまして、まず元本分につきましては、委員御指摘のとおり、歳出削減等に伴う分、さらに臨時特別税によって償還される分というふうに分かれております。
 ただ、利子に相当する部分について、これまで
も増税をお願いするわけにはいかないということで、一般会計の負担ということで今後処理をさせていただきたいと思っております。これは割引債の形態で発行いたしますものですから発行差減額繰り入れというものが必要になりますが、平成三年度首の国債の発行高によりまして平成四年度に差減額の繰り入れが予算措置としてなされるものというふうに御理解をいただきたいと思います。
#65
○和田教美君 どのぐらいの利子分がかかりますか。
#66
○政府委員(篠沢恭助君) 利子負担の大きさということでございますが、御承知のとおり、今回の臨時特別公債、それからその公債が最終的に税収等によりまして償還され終わりますまでの間に借りかえによってさらにつなぐことも必要でございますので、借換債の分を合わせて利子の負担が生ずるわけでございます。これらにつきましては全額市中公募の方法によって発行してまいるという方針でございますが、したがいましてその利率は発行時点におきます金融情勢等に応じたものになりますので、利子の相当額について確定的なことを現在申し上げられないのでございます。
 大体の状況はどうであるかということでお答えをさせていただきますと、現在、同種の短期国債を毎月発行いたしておりますけれども、最も直近の短期国債、六カ月物の発行例が昨日三月五日の入札ということで行われておりますが、これは通常の借換債としての短期国債でございますが、額面百円につきまして平均の発行価格が九十六円三十八銭でございました。これを利回りに直しますと、七・四四二%ということに相なっております。
 臨時特別公債の発行量は先生おっしゃいましたとおりおよそ一兆円弱の数字でございますが、さしあたり平成三年中には期間六カ月の発行ということでございまして、少なくとも一回は利子相当額の支払いが生ずるわけでございますけれども、平成三年度中に目の子でおよそ四百億円程度の利子相当額の負担を生ずることになろうか、こういうふうに思っております。
 それから、冒頭に申しましたように、税収あるいは一般会計からの繰り入れということで、今回の臨時特別公債が最終的に完全に償還され終わりますのには一部どうしても借りかえをしまして平成六年度までかかりますので、借りかえをしております間にさらにある程度の利子負担が生ずるというふうに考えておくのが当然であると思いますが、さしあたり平成三年度の間の利子負担額としては大体今申し上げたような程度のものになろうかと考えております。
#67
○和田教美君 約一兆円の短期国債、三月中に出すのが原則だけれども出納整理期間中の六月まで一部発行を繰り延べることもできるということだそうですけれども、いずれにしましても二、三カ月の間に一兆円規模の短期国債が出るわけでございます。一部のエコノミストなどによりますと、今の金融引き締め状況のもとで今お話のあった一兆円規模の国債を全部市中消化でやるということになると債券相場が下落して金利が上昇するのではないかとか、あるいはまた民間の資金需要に対してかなりの圧迫要因になってクラウディングアウトのような形にならないかというふうなことを心配する人もあるわけでございます。
 大蔵省の話によりますと、六カ月物などという短期国債はむしろ現状では玉不足だからそんな心配はないんだというふうな説明でございましたけれども、実際にそうなのかどうか、もう少し慎重に考えるべきではないかどうか、その辺の点についてはどうお考えですか。
#68
○政府委員(篠沢恭助君) 短期国債につきましては、ただいま先生おっしゃられましたように、このところ市場からの強いニーズがございまして、着実にその発行量を増加させてきているところでございます。年度末ベースで見ますと、六十三年度末では約二兆三千五百億円でございましたが、二年度末見込みでは七兆四千億円というところまで増大をさせてきております。その間、いわゆるその他の種類の国債発行を多少抑制ぎみにしておるということになるわけでございます。
 そういうことで、平成二年七月以降は原則として三カ月物一つ、六カ月物一つという形で月二回の発行をして、各月相当量の短期国債の発行を行ってきております。これまでの短期国債は昔発行しました国債の借換債という形でございますが、そのような発行をしてきております。短期金融市場全体は既に七十兆ないし八十兆円の規模に成長してきておりますので、その大きな規模の短期金融市場の中で短期国債の発行増はどうやら円滑に消化されてきておるわけでございます。
 そこで、これから約一兆円近いものをこの三月末とかあるいは四月のところですっと出すということが悪影響を与えないかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、発行時期の年度末、年度初め、その辺の状況を十分見定めまして金融資本市場に悪影響を生じないよう万全を期してやっていくということでしのげるものと考えております。
#69
○和田教美君 臨時特別税の税収は一般会計を通さずに国債整理基金特別会計の歳入に直入するということになっております。普通は、税収は一般会計の歳入に入って、そこから歳出あるいは特別会計などに出ていくという形をとっているわけですけれども、なぜこのような直入方式というのを特にとったのか、それからまた、これは非常に例外なのかどうか、しばしばそういうことが行われているのかどうか、その点についてお答え願いたい。
#70
○政府委員(小村武君) 今回の九十億ドルの財源でございますが、まず二年度におきまして税外収入、歳出の節減合理化を行いました。その残りの部分につきまして平成三年度の一般会計の歳出等の節減を図り、なお不足する部分につきまして新たに臨時の特別税を創設するということになっております。
 そのためのつなぎの資金として臨時特別公債を発行するということで先ほど来御説明を申し上げておりますが、このように臨時特別税の収入につきましては、やはり臨時特別公債の償還財源に充てるという関係を明確にするという意味におきまして、今回一般会計を経由することなく国債整理基金特別会計に税収を直入するという措置をとらしていただいたわけでございます。
 このような処理につきまして前例はあるかというお尋ねでございますが、過去において電源開発促進税あるいは揮発油税の一部、原油等関税等の例がございます。ただ、これが一般的な例ということではございませんで、今回、こうした臨時異例の措置として特に税負担をお願いする、その税負担につきまして臨時特別公債の償還財源であることを明定するためにこのような措置をとらしていただいたわけでございます。
#71
○和田教美君 次に、臨時特別公債九千六百八十九億円の償還財源として創設されます臨時特別税についてお聞きします。
 九十億ドル支援の財源措置については、政府は当初九十億ドル分全額を増税によって賄うというふうにしていたんですけれども、我々が防衛費を含めた五千億規模の歳出削減などによる増税幅の圧縮ということを強く求めまして、政府もこの主張を入れた結果、石油臨時特別税と法人臨時特別税による増税額は合わせて六千六百八十億円ということで、当初の政府の見積もりの増税規模はほぼ半減いたしております。我々はこの歳出削減などの努力について率直に評価いたしております。しかし、増税幅が圧縮されたとはいえ、臨時の増税であることには変わらないわけでございます。それだけに、なるべく最終消費者の負担にかからないような配慮が当然必要であろうというふうに思うわけです。
 石油臨時特別税は、現行石油税の五割相当額ということになっておりますが、この間の大蔵委員会で聞いていますと、どうも大蔵省は、石油特別税は間接税だからその負担は最終消費者にかかるのは当然だというふうな言い方でございます。内部努力によって一部を負担して消費者にかかる部分を少なくするということが可能ではないかとい
うふうに私は思うんですけれども、そういうことが仮にできないという場合には、それなら今度は、戦争が終わったんですから原油の価格がこれから下がっていく、その下がった分を正確に最終消費者向けの値下げに反映することを確約できるかどうか。
 どうもきのうの予算委員会の日銀総裁の答弁などを聞いておりますと、最近じわじわ物価が上がっている、便乗値上げという問題も決して楽観はできないという状況であるだけに、その点についての政府の決然たる意向をお聞かせ願いたい。これは通産省ですか、大蔵大臣ですか、両方からお聞かせください。
#72
○政府委員(黒田直樹君) 石油製品価格と今回の石油絡みの税との関係でございますけれども、私ども、今回の増税の趣旨にかんがみまして、この税額に相当する分は原油にかかっているわけでございますが、その分は各油種にひとしく転嫁されてしかるべきものだというふうに考えているところでございます。
 ただ、先生から今御指摘がございましたように、原油の価格、これはドルベースでの価格、そして為替の変動というものがあるわけでございまして、月々のスポット市場の動向等を反映いたしまして非常に変動をいたしておるのが実情でございます。
 それで、それを国内の石油製品の価格にどう反映するかということでございますけれども、私どもといたしましては、昨年の八月のイラクのクウェート侵攻以降非常に原油の価格が乱高下している状況にあったものですから、九月の初めの段階で石油業界に便乗値上げがないようにという行政指導をいたしているところでございます。
 具体的には、特に石油の卸をいたします元売会社に対しましては、月々の原油価格の変動あるいは、現在約二割近くを石油製品という形で元売会社は輸入して国内で販売をしているわけでございますけれども、その輸入する石油製品の価格の変動、これの報告を求めまして、この原油価格あるいは輸入石油製品の価格の変動の範囲内でそれに即応した卸価格の設定、仕切り価格の設定というものを行うように指導をいたしているところでございます。この結果、原油価格あるいは輸入する石油製品の市況の状況を反映いたしまして、昨年の九月と十月には値上がりをいたしましたが、十一月はほぼ横ばいでございました。十二月、一月、二月、この三カ月は連続して値下がりをいたしているのが実情でございます。
 私どもといたしましては、そのほか小売価格につきましても、昨年八月の事変以降毎週ガソリンとか灯油とか軽油といった製品につきまして末端価格の調査をいたしておりまして、これと今申し上げましたような元売会社の仕切り価格の変動を注視いたしているところでございますが、現在までのところは元売会社の仕切り価格の変動にほぼ即応して小売価格も変動しているというのが実情でございます。
 そういうことでございまして、私どもといたしましては、今後とも元売会社あるいは石油の販売業界におきまして便乗値上げといったようなことがないように指導してまいりたいと考えておりますし、また今申し上げましたような価格のモニターといったことも継続してまいりまして、全体としての石油製品の安定供給が円滑に行われるように努力してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#73
○和田教美君 法人臨時特別税についてお聞きします。
 この税は基準法人税額から三百万円を控除した部分について二・五%の税率で課税するというものでございます。政府の当初案では、税率三・二%で大体課税所得七、八百万円以下の法人にはかからない、また利益のある中小企業の三分の二はかからないという説明でございました。そこで、今回の政府案の場合にはどうなるのか、法人所得がどれくらい以下はかからないのか、あるいはまた中小企業の場合に何分の一ぐらいが非課税になるのか、その辺についてのデータをひとつ御説明願いたい。
#74
○政府委員(尾崎護君) 当初案の場合には法人臨時特別税につきまして控除額が二百万円ということでございました。今回の案では三百万ということになっているわけでございますけれども、基準法人税額で三百万円と申しますのは、所得に引き直して考えますと中小法人の場合約一千万ということに相なります。
 国税庁が出しております会社標本調査というのがあるわけでございますが、それでは平成元年度で中小法人は数約百九十四万社あるわけでございますが、そのうち利益を計上しております法人が約九十七万社ございまして、そのうち所得金額が一千万円未満、つまり税金がかからない中小法人数が約七十二万社でございます。
#75
○和田教美君 九十七万社のうちの七十二万社がかからないということですね。
#76
○政府委員(尾崎護君) 中小法人で利益計上法人数が九十七万社でございまして、そのうち七十二万社程度のものは一千万円未満の所得でございますので、今回の臨時特別税がかからないということに相なります。
#77
○和田教美君 時間が大分過ぎてまいりましたので、湾岸戦争終結後の新しい中東地域の秩序づくり、あるいは戦後復興の問題、支援の問題というふうなことについてお尋ねをしたいと思います。
 湾岸戦争が終結したことによりまして、今、国の内外の関心は中東地域の新しい秩序づくり、特に緊急を要する中東地域の戦後復興支援に集中をしております。
 そして、その具体策についていろいろな構想が打ち上げられておるわけでございます。例えばベーカー米国務長官の中東復興銀行構想というのも一つですし、国内の自民党有力者の間からも続々と構想が打ち上げられておるということでございます。公明党は先ほど申しましたように中東平和復興基金をつくれということを主張いたしておりますが、これに対して大蔵大臣は、この前の答弁では、いろんな構想が出ているけれども、しかし欧州復興開発銀行、これは近く設立されるわけですけれども、設立まで二年ぐらいかかったようですね。新しい機構をつくるのは時間がかかるからとりあえずIMFとか世銀とかそういう機構を使ったらどうかというふうな答弁でございましたけれども、今でもお考えに変わりございませんか。
#78
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、湾岸における戦闘行為が、まだイラクの国内は混乱しておりますけれども、一応終結した状況の中で、安全保障の確保と並んで今後の経済復興というものをどうするかというのは非常に大切な問題であると思います。
 ただ、私の立場と限定して申し上げますならば、実は国際的な資金不足が心配される中で従来から抱えておりました部分に新たにこの湾岸というものがつけ加わったという立場で、外交当局とはおのずから見解の分かれる部分はあろうかと存じます。その点はどうぞ御理解をいただきたいと思うのでありますが、同時にこれから先の対応を考えていきます場合に、極めて短期間の対応と中長期の対応と二つの対応を考えなければなりません。
 その場合に一番私自身が気になっておりますのは、誇り高きアラブという言葉がよく使われますけれども、非常にアラブの方々の自尊心の強いそれぞれの国家、その中でそれぞれの立場からの意見というものが現在出ておらない。その方々が何を考えておられるのだろうというのは非常に私は気になります。ただ、そういうことを除いて申し上げるならば、私は御党の基金構想を初め国内でいろいろ出ております構想も存じておりますし、ベーカーさんが述べられた構想も存じておりますけれども、今すぐに対応できるという意味ではやはり既存の国際金融機関、IMF、世銀というものがノーハウもスタッフも持っておりますだけに、これを使わない手はないと本当に思うんです。
 その先の中長期にどうしていくかということにつきましては、私は、これからまさに外交ルート
の中で国際的に十分御相談をいただいていく、その中には当然アラブの人々の意見というものが反映されるはずでありますからそういう方向の中で考えていけばいい、しかし今すぐにはやはり専門スタッフを持ちノーハウを持つIMF、世銀を使わない手はない、私は本当にそう思っております。
#79
○和田教美君 それは私も同感で、確かにIMFあるいは世銀などというのは、復興援助を一つとっても技術的な支援ができるノーハウの蓄積もあるわけでございます。ですから、当面それを使っていくということには賛成でございます。しかし、中長期的にIMF、世銀だけでやれるのかということになりますと、これは資金需要が相当膨大であるというお話が先ほどから出ておりますけれども、それから見てもやはりはっきりした基金なり銀行なりというようなものが必要になってくるんではないかというふうに思うわけです。
 それで、新聞報道ですけれども、G7、先進七カ国蔵相会議の代理会議が近く開かれてこの問題を協議するという記事が出ておりましたけれども、その構想だと、とりあえずはIMF、世銀などを中心に二国間の援助をリンクさせてやっていく、そして中期的には今言ったような中東復興のための特別の基金とかあるいは銀行とかいうふうなものの構想を検討していく、こういうことになりそうだという報道がございました。
 そこでお聞きしたいんですけれども、まずG7の代理会議というのはいつごろ開かれてだれが出られるのか、それからまたその構想が大体私が今言ったような構想で事前の話し合いが進みつつあるのかどうか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
#80
○国務大臣(橋本龍太郎君) 正確に申し上げますと三月の七日と八日、この二日間にOECDの経済政策委員会の第三作業部会というものがパリのOECD本部で開かれます。そして、ここで各国の最近の経済動向などについて意見交換が行われるわけであります。日本からは大蔵省内海財務官以下が出席の予定であります。
 そして、問題として、これが予定でありますのでそのとおりに実は開かれるのかどうかももう一つ私にははっきりしない部分がございますけれども、多分そういう会合が開かれるという予定は事実ございますし、その中でG7の代理クラスが当然接触する場面はいろいろ想定をされます。しかし、湾岸の戦後復興のために特別な会合が持たれる予定があるとは私は存じておりません。そして政策委員会の方ももう一つ実は確定しない部分がありまして、いずれにしても、そのOECDの会合というものがあることはあるわけでありますが、それぞれの委員会が確実に開かれるかどうかということは、今非常に事態が動いております中だけに、未確定の要素を多々秘めておるという状況であります。
 昨日、たまたま記者会見の席上におきまして、そのG7の代理会合という質問がありましたので、何かとにかく会合があるというのは聞いているけれどもどういう形のものかはっきりしない、それからいろいろな連絡をとり合っておるようだけれどもテーマがまだ確定したという報告を受けていない、私はそう申しました。
 政策委員会を含めまして未確定の要素を多分に秘めておる。ただ、OECDの会合というものは行われる。そういう状況で、今動いておる。刻々実は事態が動いておりますために確実なことは申し上げられません。ただ、この湾岸復興のための特別な会合というものの予定はございません。
#81
○和田教美君 先ほど私の質問にありました二段階で考えていくということについては、大蔵大臣はどうなんですか。つまり、とりあえずIMFそれから世銀、それから将来は基金とか銀行とかというようなものも必要な場合には考えるということについては、大蔵大臣はいかがですか。
#82
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、長い目で見ますと委員がお考えになられたようなというか御提起になられたような方向にいずれにしてもなっていくであろうと思います。
 ただ、その場合に、非常に中東という地域が国によっての貧富の格差が大きい地域でありますから、その意見集約が果たして肝心の中東関係国の中でうまくできるんだろうか、あるいはそのほかの地域にできております国際金融機関と同様の形のものが果たして仕組めるんだろうか、そういった意味での心配は実は私は銀行という形になりますと持っておりますが、いずれにしても、今後関係国が集まっていく中で肝心のアラブの諸国がどういう見解を持っていくかが非常に大事な要素になるだろう、私はそう考えております。
#83
○和田教美君 これはまた別の問題ですけれども、外務省にちょっとお聞きいたします。
 これも報道ですけれども、アメリカは既にポスト湾岸について多国籍軍参加国と支援国の首脳などを集めた新世界秩序を宣言する首脳会議を計画している、ベーカー国務長官の中東訪問の際にもこの実現について協議する、そしてまた日本の参加も予定しているというふうなことが書かれておりますけれども、何かそういう問題について米側から打診がございましたか。
#84
○説明員(野上義二君) ブッシュ大統領が湾岸危機後の地域の安全保障とか中東和平問題を協議するために主要各国の首脳、フランスのミッテラン大統領、英国のメージャー首相、それからカナダのマルルーニー首相、こういった方々と個別に会談されるというお話は伺っております。それからまた、ミッテラン・フランス大統領は安全保障理事会の常任理事国が首脳レベルで会合するということを述べられたということも我々は承知しております。他方、今申し上げましたようにブッシュ大統領とのこういった個別のいわば二国間会談というようなものでございますので、全体的に集まってという形でそういった会合が予定されているというふうには承知しておりません。
#85
○和田教美君 次に湾岸復興の問題ですけれども、どれぐらいの被害があってどれぐらいの資金が必要かというふうな見積もりについてはいろいろな観測が出ておりますね。例えば国内に限りましても、一、二挙げてみますと、ジェトロが全部で三千億ドルぐらいかかるという見通しを出している。それからつい最近は山一証券の経済研究所が約二千億ドルという数字を出しております。
 政府もいろいろと情報などをとっておられるだろうと思いますけれども、もちろん今の段階で何億ドルくらい費用がかかるということははっきりしたことはなかなかつかめないということかもしれません。しかし、いつまでも漠然とした、さっき大蔵大臣が言われたような、まずアラブの国々がどれだけ要求するんだというようなことを待つ姿勢だけでも困るだろうと思うんですね。大づかみに言って大体どれぐらいの見当、つまり民間でいろいろ出ている数字はそう間違っていないと思うかどうか、その辺も言えませんかどうですか。
#86
○説明員(野上義二君) どういった範囲の復興ということでとらえるかということにもかかってまいりますけれども、正直なところを申し上げて、民間団体その他でいろいろな試算をされておりますことは私どもも承知しておりますけれども、今の時点では全くそういった規模がわかりかねるというのが正直なところでございます。クウェートの中の状況もまだはっきりしておりませんし、イラクにおける状況も、今新聞等で御承知のように非常に混乱した状況でございます。したがいまして、そういった状況を踏まえて現在戦後復興のための資金需要というものを試算するということは極めて難しい段階にあると申し上げざるを得ないと思います。
#87
○国務大臣(橋本龍太郎君) 参事官の答弁を補足して私からちょっと一、二申し上げたいと存じます。
 一つは、クウェート自身が極めて富裕な国であり、非常にプライドが高く、この戦闘が終結しました時点で海部総理が在日クウェート大使を招かれまして、落ちついてよかったということを申し上げた機会にも、例えばクウェート大使館に対して本当にお金を送ってくだすった方々がある、大変うれしい、本当に心の中でうれしいが、これか
らその方々のところに、そのお金はお返しをし善意だけをいただくということで自分は足を運ぶつもりだという言い方をしておられたというようなこともございました。
 そして、確かにクウェートは我が国を初め非常に多くの海外資産を有しておられます。それと同時に、国連決議六七四の絡みにおきまして、イラクはクウェートに与えた被害に対して、これはクウェートだけではございませんけれども、賠償の責任を負うことになります。これが現実にその支払い能力があるかどうかということとはちょっと別の問題になりますけれども、こうした点も計算に入れないと、戦後復興に要する経費というもの、さらにその中で国際社会が負担すべきものといったものが出てこないというのが実態でありまして、それが実は私がアラブの方々から声が出てきていないと申し上げておる一つの理由であることは、御理解をいただきたいと存じます。
#88
○和田教美君 今のお話ですと、イラクとクウェートだけに限局したような話でございますけれども、しかし周辺国、例えば既にもう日本から援助もしておるエジプトとかヨルダンとかトルコ、そういうような国も当然被害国になるだろうと思うし、それからさらに、多くの出稼ぎが出ておってそれが帰ってきたアジアの国々、例えばバングラデシュだとかフィリピンとかそういう国々も相当困っておるというふうなこともございますね。ODAを使うとかいろいろなやり方があると思うけれども、そういうものも全部含めたいわゆる復興計画ということでなければ私はいけないというふうに思うわけです。
 そこで大蔵大臣に聞くわけですけれども、これからのいろいろな資金援助という要求に対して、主としていわゆる長期低利融資というふうな形のものを中心に考えていくのか、それとも九十億ドルとは性格は違うけれどもああいう出しっ放しの、つまり無償といいますか、あるいは贈与といいますか、しかもアンタイドの形のものをかなり多く組み込んだものになっていくのか、その辺はどういうふうに大蔵大臣は考えておられますか。
#89
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは率直に申しまして、それぞれの国の置かれておる状況によって相当な差異があると存じます。
 今たまたま委員から御指摘がございましたトルコ、ジョルダン、エジプト、これらの三国に周辺国として論議をいたしました段階では、日本は主としてディスバースが非常に早いということ、そして利用しやすいということから、特に低利のアンタイドのローンを組みました。
 今例示で挙げられました、例えばアジアの中低所得国の中の相当数の出稼ぎの労働者を当該地域に送り出しその人々の送金によって相当な財政を支える柱としていた国々に対しての対応というものは、おのずからまた全然別途のものがあろうと存じます。これは果たして単なる資金援助で済むのか、そして中東の国々がもう一回それだけの大量の労働者を安定雇用できる状況にいつ戻るのか。その時間差を考えますと、逆にそれぞれの国においてその人々の働き場所をつくり出すための事業を考えなければならないかもしれません。そうなりますと、これはまさに経済協力全体の問題の方に波及していくわけでありまして、これは全く対応が違ってくるかと思います。
 ですから、我々は特定の考え方、特定の物差しを相手国に強制するのではなく、やはり外交当局同士の接触の中でそれぞれの国々がどう事態を判断されるかを把握しながら、その声を受けて対応策を考慮していくということではないでしょうか。
 今とっさの御質問でありますので、とっさに私自身が感じましたことをそのままお答えをさせていただきます。
#90
○和田教美君 時間ももうございませんので、あと一、二御質問したいんですけれども、さっきからも議論に出ておりますように、世界経済のこれからの大きな問題として世界はどこも資金不足であるという問題がございます。世界の資金不足を合わせると三千五百億から四千億ドルぐらいになるという見方も一部の専門家には出ております。米国は確かに多国籍軍を中心として戦争には勝った。しかし財政的にはますます赤字がふえて、資金の貸し手として大きな期待をとてもできないという状況だと思うんです。
 一方、ソ連に対する援助だとか東欧の復興の問題だとかそういう問題もあるし、ドイツも今までは日本とともに黒字国で資金の出し手として大いに期待されておったけれども、今や旧東独を抱え込んで国内だけで手いっばい、それで財政赤字になるというふうな状況でございます。
 勢い資金の出し手として黒字大国日本に対する期待が大きくなるのは当然だと思うんですけれども、しかし実際には黒字大国かというと、経常収支を見てみますとどんどん減ってきておりますね。大蔵省の最近の発表によりますと、一九九〇年の一年間の経常収支の黒字は前年に比べて二百十三億ドル、三七%の減で、約三百五十八億ドルになったという発表がございました。これは一九八六、七年度ぐらいに比べますと、黒字幅は大体三分の一ぐらいに減っているわけです。
 ですから、これからいろんな資金需要が出てくるのに対して、国際協力という点から最大限の協力はしなきゃいかぬと思うけれども、しかし財政を預かる大蔵大臣として、それをとにかく何でもオーケーと言っているわけにもいかないような状況になってくるのではないかというふうに思うんですね。その辺についての大蔵大臣の心構えは一体どうなのかということをお聞きしたいと思います。
#91
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘をいただきました点は、私自身が今非常にある意味では心を痛めておる点の一つであります。そして、これから外交当局にも大変な御努力をいただかなければなりませんし、ハウスにも御協力をいただかなければならないことであります。
 私は、この湾岸危機発生以来、多国籍軍を構成した各国の間にある種の同志愛といいましょうか、戦友愛とでもいいましょうか、といった提携が生まれつつあるような気がしてなりません。現実に戦闘行為が行われる状況になり戦死者を出す中で、そのきずなは非常に強まったような感じがいたします。その中において、日本のように資金的な協力のみにとどまり、人的な協力のできなかった国は、ある意味ではいわば蚊帳の外に置かれる場面というものが今後出てこなければいいがと本当に心配をいたしております。こうした点については、外交当局に大変な御努力をいただかなければなりませんし、また議員外交という面においてハウスにも非常な御協力をこれからいただくことになろうと思います。
 こうした中で、確かに今後、日本には資金協力だけ頼めばいいんだ、我々の間で相談した結果を押しつければいいんだというような事態が発生することだけは、我々は何としても避けなければなりません。そしてまた、すべての資金需要を一手に引き受けるだけの力が我々にはあるわけではありません。国際社会の中でG7における協調体制とこの枠組みを崩したくないと努力を続けております理由もこうしたところにあるわけでありまして、今後、先進各国が連携をとりながら、安定志向の金融政策と健全な財政政策という二つの柱を大事にしながら、ともに努力をしていく以外にない、そのように考えております。
#92
○和田教美君 簡単に最後にお聞きしたいんですけれども、先ほども出ておりました武器輸出の問題です。
 イラクがソ連初めフランス、中国など各国から多額の兵器を買った、それが湾岸戦争の原因になっているという反省から、化学兵器はもちろんのこと、ハイテクのミサイルなど通常兵器の輸出入についてももっと規制を強化すべきだという国際的な世論が高まってきておるわけです。特に我が国の場合には、武器輸出三原則によって武器輸出を慎んできた実績があるわけですから、その実績に立って国連初め各国に武器の輸出入規制、さらには軍備管理の強化、その枠組みづくりというふうなものを積極的に提起していくべきではないか
というふうに私は考えるし、政府も通産省もそれに前向きの姿勢をとっているように報道されております。
 報道によりますと、当面、通常兵器の輸出入については国連への報告制度を透明化する、そして目立った輸入の国が見つかれば輸出している国に注意を促して自制を促す、また化学兵器については将来はこれを全廃するという方向で条約をつくるように努力するというふうな案が浮かんできているという報道があるわけですけれども、大体政府としてどういう方向でこの問題に取り組んでいこうとされておるのか。
 それからもう一つ、これはODAの問題ですが、ODAをもらっていながら武器をどんどん輸出しているとか、あるいはまた逆に大量の武器を輸入しているというふうな国についてはODAを出すのを見直したらどうかというようなことも国会で問題になりまして、海部総理もそれに前向きの答弁をしているわけですが、この点について外務省はどう考えているのか。
 この二つについてお聞きをして、私の質問を終わります。
#93
○政府委員(丹波實君) 今回のイラクのクウェート侵略の背景の一つにイラクに対する一部の国の大量の武器輸出があったという問題意識は、私たちは先生のそういう問題意識をまさに共有するものでございます。
 現在、国連におきまして、一九八八年の国連総会におきまして、まず通常兵器の取引の透明性、公開性ということを高める必要がある、それを出発点にしてこの通常兵器の取引の問題を考えていこうという機運が高まっておりまして、総会決議でこういう問題を研究するために専門家グループというものが設置されておりまして、実は日本の大使もその中に入っております。この専門家グループはその後研究を続けてきておりまして、ことしの夏ごろ報告を国連総会に向けて提出することになっております。
 その中の考え方の一つに、まさにこの武器移転について国連に報告する制度ということが議論されておるわけでございますが、私たちはこの考え方は非常に重要じゃないかと思っておりまして、日本政府としてもこういう考え方をぜひ報告書の中に盛り込みたいと思っております。
 一般的に申し上げて、中東地域が軍備過剰の状況にあるというふうに私たちは考えておりまして、そういう意味では、あの地域における大量破壊兵器の輸出あるいは超近代兵器の輸出といったものを今後規制していくということは非常に重要で、そういうための国際的なコンセンサスをつくっていくことが非常に重要であり、日本政府もその過程で役割を果たしていきたいと思っております。
 二つ目の化学兵器の全面的な禁止条約につきましては、一九八〇年から交渉が行われておりますが、幾つか難しい問題があります。しかし、その問題は乗り越えなくちゃいかぬと思っております。日本政府はそのために先頭に立って今後とも努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
#94
○和田教美君 ODAは。
#95
○説明員(畠中篤君) 我が国が援助を実施してまいります際に、相互依存と人道的考慮という基本的考え方に基づきまして、その国民の民生の安定、福祉の向上、社会開発といったものを実施しております。このような基本的な考え方を踏まえまして、我が国援助は軍事的用途に充てられる援助は行わないということで実施しております。
 このような政策を堅持してまいりますことを前提といたしまして、先ほど先生御指摘の経済協力を行う際の軍事的な面での考慮ということについて考え方を御説明申し上げますれば、各国がみずからを防衛する権利というものは尊重される必要はあるとは思いますが、他方におきまして、御指摘のとおり国民生活の改善、福祉の向上努力を差しおいて膨大な軍事費を費やしたり多量の武器を輸入するといったようなことは、本来あるべき姿ではないと考えております。
 しかしながら、他方におきまして、冒頭述べましたようなことで、経済協力は途上国の経済発展と貧困、飢餓の克服、国民生活向上への貢献を目的として行うものでありますことから、本件問題に対する対応ぶりというのは大変微妙な面もございまして、そのアプローチの仕方いかんによりましては貧困問題に直面する人々を取り残す結果をもたらしかねず、我が国経済協力の本旨を損なうおそれがあることも念頭に置かなければならないかと思います。
 また、各国の適正な軍事支出の水準……
#96
○委員長(大河原太一郎君) 簡潔に答弁してください。
#97
○説明員(畠中篤君) その武器輸入量の水準といったものをいかに適切に判断するかということにつきましても、大変微妙な問題が現実といたしましてはございます。
 以上のような制約を念頭に置きまして、御指摘の問題について今後の我が国の経済協力の基本的取り組みの中でいかに反映させていくかということは、今後検討させていただきたいと思います。
#98
○委員長(大河原太一郎君) 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#99
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#100
○近藤忠孝君 最初に、審議に当たっての若干の意見を申し上げます。
 この法律案は、その目的自身に重大な憲法違反の問題を持っていると同時に、戦費を赤字国債で調達するという、現在の憲法と財政法の基本を揺るがす法案であります。特に参議院では、中東問題について初めての審議を行うのですから、慎重の上にも慎重を期す、国民各階層の声を十分反映した審議にしなきゃならないと思うんです。かかる立場から、私は二月二十八日の理事会において、質疑時間の十分な確保と公聴会の開催、総理の当委員会への出席を要求しました。しかし、これが実現せずに実質七時間というわずかな審議で、私は三十二分ですが、済ましてしまおうというこういう状況であります。しかも、定例日以外にもきょうのように審議をするということで、極めて問題があると思います。
 国民の税金から金を出すのは日本であります。その金を使うアメリカの側では、これから大部引用させてもらいますけれども、公聴会を開いてかなり議論が行われています。金を出す日本の方は、公聴会も開かずにわずかな審議でさっさと決めてしまう。私は全く逆転しているということを冒頭に申し上げておきます。
 まず、内容が憲法違反です。私も憲法を学んだものですから本当は避けて通れないんですが、ただこれをやっていると中の審議に入れないのできょうは涙をのんでそれはパスしまして、また後日お聞きします。
 また、審議のあり方も私は憲法の基本にもとると思うんです。
 まず、九十億ドルの算定根拠でありますけれども、一兆一千七百億も出すんですから、その使途と算定根拠を明らかにしなきゃならない。しかし、明らかにしません。きのうの委員会以来、例えば稲村さんなどは、九十億ドルが妥当と考えた理由は何か、大蔵省が妥当と判断した根拠と資料を示せ、こう質問したんですが、橋本さんは従来の抽象的な答弁を繰り返すだけで、最後に困ったと言いました。これは私は本音を言ったんだと思うんですが、そこで質問は、困ったというのは、この九十億ドルの妥当性については積算根拠など説明できないけれども、しかし対外約束をしてし
まったので何とか認めてほしい、要するにもう勘弁してくれということだと私は理解したんですが、どうですか。
#101
○国務大臣(橋本龍太郎君) 困りましたねという日本語は、どうして御理解がいただけないのでしょうかという意味にも使われる言葉であります。
#102
○近藤忠孝君 私の方も困っています、国会議員の責務を達成できないんだから。
 日本の主権者である国民の立場からは、平和回復活動に必要な費用、これは独自に判断することができるはずです。それから、それに対する支出の是非や限度について決定する権限があるんですね。政府がアメリカにどういう約束をしたか、これは政府の問題です。しかし、国民の代表で構成されておる国会としては、平和回復活動に必要な費用とは何か、それはどれほどの額なのか、それから九十億ドルの根拠は何か、それ自身を判断する、これは当然であります。ところが、その判断に必要な事実や理由について説明をしない。これではやはり財政民主主義の立場からこのことをチェックする国会議員としての職責が果たせないんで、私も大いに困っております。
 そこで、使途、それから必要な金額、その算定根拠、それを明らかにして審議する原則というのは、これはもう大分古くなりますが、二百年前に近代社会が始まったときとともに確立していることです。それに反した審議が今行われていると思うんですが、どうですか。
#103
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は本院における御審議のその内容がどうであるかということに論評を加える立場にはございません。
#104
○近藤忠孝君 とばっちりがこっちに向いてきたけれども、その責任は大蔵省が明らかにしないことにありますね。そのまま見過ごす当委員会にも、私は重大な責任があると思います。国会の責務を果たしているのかということで考えていくべきであるということを指摘をしておきます。
 これは有名なフランス人権宣言ですが、「すべての市民は、自身でまたはその代表者により公の租税の必要性を確認し、これを自由に承諾し、」、その後が大事です、「その使途を追及し、かつその数額・基礎」、金額と算定根拠です、「徴収および存続期間を規定する権利を有する。」。これはもう二百年前に確立しているんです。私はこの原理は、橋本さんも私も含め、よくあなたとは基本原理が違うと言うけれども、この原理は全く同じです。
 それから、これはごくスタンダードな憲法の教科書ですが、八十五条の解釈で、「国会による財政監督、統制の趣旨からいって、使途内容の確定した支出についてなされなければならない」、「その唯一の例外は予備費で、それは後で事後承認が必要」と。だから、使途内容の確定した支出とはとても言えません。アメリカの約束があるのは事実だけれども、実際どうしてそれが必要なのか、その算定根拠、これがここで言う使途内容及びその根拠の確定した支出ということになるわけであります、ですから、そういういわば近代社会の始まりとともに確立した原則を否定するような形で今ここに承認を求めようとしている。一つは国会の問題もありますけれども、それを求めているのは大蔵大臣だから、答弁していただきたいと思うんです。
#105
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員が引用されましたが、憲法八十五条には「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」とあります。また八十四条には「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」とあります。そのとおりの手続をとり、ただいま御審議をいただいております。
#106
○近藤忠孝君 それは憲法の字句で、それをどう理解すべきか、これはごくスタンダードな憲法の解釈です。
 何度も繰り返しますけれども、新たな増税の必要性を確認するための今審議です。ですから、その使い道、金額、算定根拠をただすことは国会の責務です。この点は何も私が言うだけではないんです。この金を受け取る側のアメリカでもそういう議論がされておるんです。
 御存じですか。例えばライシャワー・アメリカ議会予算局長は、二月二十七日、下院予算委員会公聴会でこう発言しています。「このような誓約をした同盟国には少し厳し過ぎたと思う。」、要するに、これは日本で言えば九十億ドル支出の誓約でしょうね。「この戦争がどれくらい費用がかかるかわからないからである。もし諸君が」、これはアメリカの議員ですが、「諸君がこれらの国の議会の議員であるとしたら」、これは日本の議員です、「その価格が全くわからないものを買うために小切手をきるとしたら、諸君は躊躇するであろう」。金額がわからない買い物をするのに小切手を切るとしたら議員としてちゅうちょするだろう、これは現にアメリカで言われておることです。
 受け取る側から考えても、出す方の議員、我々ですが、ちゅうちょをするだろうと言っているんだから、出す側だったらちゅうちょどころじゃありませんよ。私は本当に大臣なり委員長にかじりついてでも阻止をしたいぐらいの気持ちです。そうしてもなかなかとまらないからやらないだけの話だけれども、しかし、こういう点では、この法案がこういった形で出され、しかも審議が急がれているというそのことは、中身を明らかにしないのは政府ですから、政府による国会と国民無視の態度がきわまれりと言うべきだと私は思うのですが、どうですか。アメリカでもこういう議論がされているんだから、あなたも国会議員だから。
#107
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私も国会議員であるという御指摘はそのとおりでありますが、私は日本の国会議員でありまして、アメリカの国会議員ではございません。そして、日本の国会においてただいま御論議をいただいております。
#108
○近藤忠孝君 今指摘したことは、金を受け取る側のアメリカから見ても、出す側の議員だったらばちゅうちょするだろうと。
 アメリカという国は、先ほど雑談の中で橋本さんから、いつもアメリカをけなしているくせに今度は褒めているじゃないかという話がありましたけれども、私はこの点は評価しているんですよ。代表なければ租税なしの旗印を掲げてイギリスとの独立戦争に勝利して、そして租税法律主義を確立した。これが近代社会の一番の始まりですよ。ここは大いに評価している。我々はその自由と民主主義を引き継ぐものです。ですから私は、同じ憲法原理に立つ日本国憲法のもとで、皆さんも内心でちゅうちょされているかもしれぬけれども、私はこのやり方に対してこういう疑義が当然出てしかるべきだと思うんですけれども、再度聞きます。
 金額もわからないものを買うために小切手を切る、そういう一つの例示で言っていますけれども、まさにそういうものですよね。そういうものをやっぱり日本の側としてこのまますいすい進んでいくことは私は断固反対だけれども、しかし、提案している側としてもこの辺のちゅうちょはないんでしょうか。
#109
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員の御議論は委員の御議論として傾聴いたしております。
 ただ私は、今回のイラクのクウェートに対する侵攻以来相当の日数が経過する中で、国連の安全保障理事会諸決議に従って世界の世論というものがクウェートから撤退することをイラクに求め、それにかかわらずイラクはそのまま占領を続け、略奪暴行をたくましゅうし、ついに国連の諸決議に従って多国籍軍というものが実力をもってクウェートの領域内からイラクを排除しようとする行動の中で、全く人的な貢献をしてこなかった日本というものをまず頭に描きます。
 そして、比較的よく似た環境と言われるドイツが、事柄の是非については御論議はありましょうが、NATOのエリアの中で移動できるという規定の範囲ぎりぎりの措置としてトルコにまで戦闘部隊を送り、しかもアメリカに対しては五十五億ドル、イギリスに対しては五億四千万ドルの支出をこの事態の中で行うという決断を下しておるこ
と。これを比べてみましたときに、日本の九十億ドルの平和回復努力に対する支援というものは分に過ぎたものではないと思っております。
#110
○近藤忠孝君 もっと私は平和に徹すべきだったということはその反論として申し上げると同時に、今の答弁は私が指摘した財政民主主義の原則を揺るがしていいのかということに対する答弁にはなっていない。ただ、これは時間の関係で、本当はこれで二十分や三十分やってもいいんだけれども、もう時間がないから、もっと大事な問題があるから、次に入ります。
 まず、この法案の第一条、本法案の目的、すなわち支援の範囲について聞きます。
 第一条によりますと、「平和回復活動」とあって、括弧がありましていわば解説的条文で、「湾岸地域における平和と安定を回復するために国際連合加盟国が行う活動をいう。」、これが平和回復活動の意味のようであります。となりますと、非常に広い範囲が含まれるんじゃないのか。端的に聞きますと、国連加盟国の活動であれば国連決議に基づかない活動であっても支援対象になるのか。この条文を読むとそう読めるんですが、どうですか。
#111
○政府委員(松浦晃一郎君) 私どもが考えておりますのは、安保理決議六六〇を初めといたします一連の決議に従って行われております平和回復活動でございます。
#112
○近藤忠孝君 例を申しますと、平成二年度一般会計予備費から一千二百二十八億円を拠出したときの使用調書、それからその拠出に当たって湾岸アラブ諸国協力理事会との間の交換公文、この中には今局長が言った「国際連合安全保障理事会の関連諸決議に従って活動している各国を支援するため、」と、要するに国連決議に従った活動という要件が明白についておるんです。ところが、この法律のどこを見ましても、国連決議に基づくという一番大事な要件、これがないんです。行間を見ろと言うかもしれぬけれども、行間なんというのは法律にはない。
 国連決議に基づくという要件をこの条文から外したのはなぜなのか。私は、察するに、国連決議の範囲を超えた戦闘行為もこれは支援対象にしようとしているのではないか、条文に沿って解釈するとそうなるんですが、なぜ落としたのか。
#113
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、法律条文の作成の技術上の問題として、例えば国連諸決議というものを引用した法律構成があるかないか、ちょっと実例について存じません。しかし、「この法律は、湾岸地域における平和回復活動(湾岸地域における平和と安定を回復するために国際連合加盟国が行う活動をいう。)」というものが意味するものは、湾岸における平和と安定を回復する、これ自体が国連決議の六百六十から六百七十八に至る十二本の関連決議がもとになっておるものでありますから、当然それを受けていると私は素直に理解していただいていいのではなかろうかと思います。
#114
○近藤忠孝君 当然前提になっているという答弁のようですが、できますとひとり歩きするんですよ。しかも、私はこの法律案の一番基本に関する問題だと思います。ということは、あのアメリカ軍の行動は果たして国連決議の範囲かどうかということが実際に問題になったんですよ。途中で、例えばデクエヤル国連事務総長の国連の決議とは関係ない部分というような発言も何かあったですよね。
 となりますと、そこまで対象になるのかどうかという問題、前提と申しますか、この法案の一番大事な部分ですよ。これは私は、例えば賛成された政党も、こんな一番大事な条件が外れちゃって国連決議に関係ないところまで支援するんだとなると、これは賛成が反対に変わるぐらいの重要な条項だと思います。
 では、なぜ落としたのか。二つ考えられます。うっかり落とした。うっかり落としたというのは、やっぱり欠陥法案です。それから、意図的に落とした。これは悪質ですね。大事な問題です。法律ができれば、ひとり歩きしてしまうわけですから、こんな根本的な問題を指摘されるまでは全然説明もしなかったとなりますと、私はこの法案の極めて根本に関する問題、欠陥が極めて大きいということを言わざるを得ないんです。
 そこで、私は一年半前を思い出します。あのときは消費税廃止法案が出ました。私も税特の理事でした。ちょっとミスがあっただけでストップしたでしょう。ストップさせた人はここにはいないけれども、理事会へ行ってごらんなさい、法律ができたらひとり歩きするんだ、こんなミスがあった、これはもうまかりならぬというので、勘弁せぬと机をたたいたでしょう。たたかれた側の人も大分いますよね。それほどの欠陥を私が今指摘をしたわけですね。
 となりますと、委員長、この法案の扱いは考えるべきじゃないでしょうか。まず答弁をもらってから、ちょっと考えてみましょう。
#115
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますが、湾岸地域における平和と安定を回復するということについて御異論がないといたしますならば、湾岸地域における平和と安定を回復するために国連加盟国が行う活動というもの、これが当然国連諸決議に基づくものであるということは御理解のいただけることであると存じます。これを欠陥と言われますのは、私は大変心外であります。
#116
○近藤忠孝君 前の交換公文でも使用調書の中でも、今大臣が指摘した「湾岸の平和と安定の回復のため」とあって、その上関連諸決議に従って活動しておる各国ということで、その国連の決議が外れちゃいますと、国連加盟国が行う活動であれば湾岸地域における平和と安定の名で何でも広がっていってしまう可能性があるんです。それで、これが法律事項になっていない。このことは大事なんですよ。法律事項になっていないということは、国会として内閣を拘束しないんですよ。ただ、繰り返し国会で国連決議に従った行動と言っていますから、私は政府の方針だと思います。それは否定しない。
 しかし、それはあくまでも政府の方針であって、政策事項ですよ。時と必要、場合によっては、政策判断で変えたと言ってこの枠を取っ払う可能性もあるんですよ。ということは、法律に国連決議に従ってという一番大事な、繰り返し繰り返し総理も各大臣も答弁してきた一番大事な問題が抜けているということは、意図的であれば本当にけしからぬし、うっかりしたとなれば欠陥だし、いずれにしたってこれはだめなんです。これ、どうしますか。
#117
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますが、先ほどから国連加盟国が行う活動活動と述べられますが、「湾岸地域における平和と安定を回復するために国際連合加盟国が行う活動をいう。」と法律条文は規定をいたしております。それを拡大解釈するんだするんだと御主張になる委員の意図は、失礼でありますが、どういう事態を想定してそういう御論議をなさるのでありましょうか。
 国連の湾岸地域における平和と安定を回復するための行動というものは、国連決議六百六十から六百七十八に定められておる内容であります。これを受けて現にその活動が行われておるわけであります。それについて、その定める範囲を超えた委員の御指摘になるような湾岸地域における平和と安定を回復するための国連加盟諸国の活動というものは、どういうものを御想定になるんでありましょうか。
#118
○近藤忠孝君 開戦中しばしば問題になった、国連の決議を超えた戦闘かどうかというそこにかかわる問題です。
 この問題ばかりやっていられませんから、これはひとつ委員会としても理事会で協議してほしいんですが、「湾岸地域における平和と安定を回復するため」というだけで、限定はついていない。これは法律事項じゃなくて政策事項であって、政府の判断で変えられるところが問題だということを指摘して、次に入ります。
 午前中の答弁の中で日本から出すお金はアメリカだけではないという答弁がありましたけれども、昨日、アメリカの下院歳入委員会でダーマン
行政管理予算局長がこう証言しているということが、先ほどのニュースで出ていました。外国からの協力五百四十五億ドル、これは日本の九十億ドルを含みますが、すべてアメリカに対する貢献である、こういう指摘があったことについてどうお答えになるか、端的に。
#119
○政府委員(松浦晃一郎君) 二月二十二日の大統領の補正予算の提案を受けまして、現在、アメリカの上院、下院の関係委員会で議論が行われております。
 今先生が言及されましたのは下院の歳入委員会で三月五日開かれました公聴会でございますが、その冒頭発言で、先生が今言われましたように、各国の貢献プレッジは現時点で五百四十億ドルに上るということが言及されておりますけれども、その次に、我々としては現在まで百六十九億ドル払われて残りも支払われるものと期待しているということ、まさにその期待を表明しております。その後の質疑応答の中で、日本でまさに議論が行われているということで言及がございまして、ダーマン局長も日本におきます議論についてそれなりにブリーフを受けているということがうかがわれる議論が展開されている。
 いずれにいたしましても、日本が九十億ドルを湾岸平和基金に、国会で御承認をいただいた後、交換公文を結び、そして払い込みをいたしますが、それをどういうふうに配分していくかということは、今までも繰り返し申し上げていることでございますが、湾岸平和基金の運営委員会で議論して決めていくということでございます。
#120
○近藤忠孝君 私が指摘したいのは、恐らく同じころ、十二時過ぎて和田議員が指摘しておったその時間に同じニュースで違うことが報道されておったということで、やはりここでの政府の答弁、どうも私はそういうものがかなり多いんだと思いますが、次に進みます。
 ワーキングキャピタル・アカウント、これは運転資金勘定です。このシステムは衆議院でも議論しましたのでもう議論は省略しますけれども、一応そこに運転資金で入れて、それで同盟国から入ってきたお金を優先的に支出をし、そして残ったらアメリカの国庫に戻す、こういう仕組みですね。
 ダーマン予算局長は二月二十六日の上院歳出委員会でこの運転資金勘定についてこういう証言をしています。「これはいわゆるブリッジローンのようなものだ。外国の支援を待っている間、このワーキングキャピタルから支出をする。外国の拠出に応じて、ワーキングキャピタルは補充される。」、「もし外国の拠出が完全であり、またもし総費用が五百三十五億ドル位のものであれば、百五十億ドルは依然としてワーキングキャピタルに残ることになる。」、「そしてそれは国庫に戻されることになる」。
 要するに、アメリカに戻っちゃうというんです。金の流れで言えば、アメリカの金は外国の支援が実際に入ってくるまでに用意しておくためにすぎない。ということは、まあ手品ですよね。要するに、アメリカの補正予算に計上されている百五十億、これはつなぎ資金にすぎないんで、実際は戦費は少なくて済みましたから百五十億ドル丸丸アメリカの財政に戻っちゃうんですよ。この事実は否定できないでしょう。
#121
○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほど申し上げましたように、二月二十二日の大統領の補正予算、それに関連いたします、先生が今言及されました運営基金口座の設立に関しましては、上院と下院の関係委員会で今議論されているところでございまして、それの議論の流れに関しまして私どもも大使館から報告を受けておりますが、いずれにいたしましても、今まさにアメリカの議会で議論がされているところでございまして、いろんな意見が表明されておりますが、現段階では、この運営基金口座の詳細なメカニズムを私どもも残念ながら承知していないということを申し上げざるを得ないと思います。
#122
○近藤忠孝君 外務省が掌握していないというのは、極めてこれは不熱心です。しかし、私が指摘したことは否定できない。現に私は、アメリカの議会に出された文書とダーマン予算局長の証言に基づいて、ここにちゃんとありますが、これで指摘をしておるんで、これを否定できないということは、百五十億全部アメリカに戻っちゃうということです。アメリカは一ドルも出さないんです。
 しかも、戦費が大分安く上がりそうだということです。これはバウシャー会計検査院長が二月二十七日の停戦の前の日に開かれた公聴会で言っていますね。「今日か今週中に戦争が終われば」、まあそのとおりになりましたけれども、「九一年度分だけで三百五十億ドルですむ」、また、同じ公聴会でライシャワー議会予算局長は「戦争が二、三日で終われば、四百五十億ドルですむ」、「この見積もりも過大かもしれない。例えば燃料費などはこの戦争に必要なものだけでなく、世界に展開する米軍全体が使う燃料費が見積もられている」、こう証言していますから、実際に予測された五百三十五億よりずっと少なくて済む。全部アメリカに百五十億戻ってしまうということです。
 この指摘は私が言うだけでなくて、イギリスのフィナンシャルタイムズにも報じられています。同じようなことを紹介した上で、アメリカ国防総省が燃料代金を現在の実際の価格以上に計算していないか、装備の補充などで戦費を過重に請求しているかどうかが議論されておる。パトリオット迎撃ミサイルは実際には百五十発以下しか使用されていないのに戦費としては五百発分が請求されている、こういうようなことが報道されております。
 こういう重要な問題を政府が明らかにしないまま九十億ドルを出してしまうということは、実際私が先ほど指摘した本当の意味の平和回復活動以外のものまでどんどん負担してしまう、そういう危険性さえあるんではないかということを指摘せざるを得ないんです。私が今指摘したアメリカの議会での証言、またイギリスの新聞での指摘、これは全部アメリカの議会の議論に基づいて指摘をしていることでありますけれども、大蔵大臣はこれを否定できますか。
#123
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は何もアメリカの閣僚でもございませんしイギリスの新聞記者でもございませんから、アメリカの国会で議論をされておりますことを肯定する必要も否定する必要もないであろうと思います。
 ただ、今委員のお話を伺っておりますと、日本が湾岸平和基金に拠出する九十億ドルというものがそのままアメリカの会計に繰り入れられるという前提で御論議になっておられるようでありますが、そうではないということは先ほど来北米局長が何回も御答弁を申し上げております。そして、現に今までに日本が拠出をいたしました二十億ドルというものは、それは米軍が一番たくさん展開をしている状況の中でありますからアメリカに確かに一番多く湾岸平和基金から拠出をされておりますけれども、十三カ国に上る国々にこれは手渡されております。
 そうした状況を十分御理解の上でなおかつアメリカの議会証言のみを前提に御論議をいただくことは、私は事態を正確に反映しないものだと考えております。
#124
○委員長(大河原太一郎君) 近藤君、時間が参りました。
#125
○近藤忠孝君 金を使うのはアメリカですし実際に戦争をやったのはアメリカですから、そこでの議論というのはかなり正確なものだと思う。
 一番最初の議論に戻るんですが、実際どれだけかかるのか、本当に日本が九十億ドル出す必要があるのか、こういったことも十分検討して、日本の国会で判断すべきですよ。それさえ出さずに、先ほどの答弁では極めて遺憾であるし、私はこのままじゃとても採決に入れない問題だということを指摘して、否定できないようだから、私はこれで質問を終わります。
#126
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員長、大変申しわけありませんが、答弁できないとおっしゃいますから答弁させていただきます。
 大変恐縮でありますが、今きちんと法案を御審
議いただいておるという事実を改めて申し上げます。
#127
○古川太三郎君 九十億ドルが戦費かどうか、あるいは憲法に違反するんではないかとか、あるいはこのお金がGCCに行けば憲法違反のにおいがなくなってきれいなものになるんだとか、いろいろ議論は尽くされております。私の持ち時間は三十分でございますので、その議論をしたいところでございますけれども、あえて割愛をさせていただきます。
 今までの議論を見ておりますと、政府の答弁に若干無理があるんじゃないか、そういう疑いの感覚を持っております。きょう私が質問させていただくのは、この一兆千七百億円に限って、これを増税でするのがいいのかあるいは歳出の修正をしてそのお金を賄うのがいいのか、財政法上大臣はどうお考えになっているか、これをまず聞かせていただきたいと思います。
#128
○国務大臣(橋本龍太郎君) 当初私は、九十億ドルという支出を政府として決定いたしました段階で、とにかく赤字公債という手段によって財源調達をすることだけは避けたい、これは後世代に負担を残すものであり、何とか国債残高の累増に歯どめをかけたいと考えております私の立場として、これだけは避けたいと真剣に考えました。その上で、当初私は臨時的な支出として国民に臨時的な御負担を願う以外にないと考えておりました。そして、その意思を本院においても御説明申し上げ、本委員会におきましてもこれについてさまざまな御意見をちょうだいいたしました。
 そうした中で、国会における御論議というものを踏まえながら政府自身ができる努力をもう一度してみろといういろいろな御意見というものを踏まえまして、平成二年度の残り少ない期間でありますけれども、その平成二年度予算の中でどれだけの努力ができるか改めて事務方にもう一度検討を指示いたしました。事務方としてでき得るぎりぎりの努力をしてくれたと私は信じております。
 さらに、平成三年度予算を政府自身が提出しながら政府自身の意思によってそれを修正することは不見識だというおしかりもちょうだいいたしましたけれども、一部手をつけて修正をすることによりある程度の財源をつくり出したわけであります。
 その残りの部分につきましては、やはり臨時的な御負担を国民にお願いしなければならない。しかしそのためには、わかりやすいものであること、また国民生活との関係を十分に考えなければならないこと、さらに確実な税収を見込めるものであること、こうしたいろいろなことを総合的に勘案しながら、最終的に法人臨時特別税と石油臨時特別税という二つの新たな税目によってこの財源を補てんさせていただきたい、そうしてその税収が入るまでの間つなぎの国債を発行するお許しを得たい、こういうことで今御審議を願っているわけであります。
#129
○古川太三郎君 一兆一千七百億円というこのお金を初めは増税で賄うということで考えていたとおっしゃいましたが、今この金額あるいは支出すること自体が国民の中で大きく分かれていることも御存じだと思います。これが憲法違反だとか、いやそれはいけないとか、議論が相当分かれておる。そういう分かれておるところで増税をするということになりますと、これは国民の負担を増すばかりじゃなくて、その議論がもっともっとややこしくなって整理できない。むしろ歳出を削減して時の政府の責任でお出しになるような方向の方が正しいのではないかというような考え方を持っておるんですけれども、いかがですか。
#130
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は今委員がお述べになりましたような考え方を一概に否定できるものではないと思います。
 ただ同時に、私の方から申し上げたいことは、国民からお預かりをいたしました税金を使わせていただいて私どもは仕事をいたします。それが予算であるわけですが、その予算は簡単な言い方をすれば国民に対して国が行うあらゆるサービスを含んでおるわけであります。安全保障も外交も広い意味では国民生活を安定させていく上のサービスとしてとらえなければなりません。
 その場合に、政府自身が節減合理化を言うことは、一方で国民に対するサービスのうちのどこかの費用を節減するということに連動いたします。言いかえれば、国民に対する総合的なサービスの水準を維持するという考え方に立ちますならば、新たな費用負担というものについて臨時の御負担を願うということになりましょう。一方では、臨時の御負担を願わないということを前提にしますならば、どの分野であれ総合的な国民に対するサービスのうちのどこかをカットするということになります。
 その部分によっては大変国民に影響を与えるものであります。直接国民のお目にとまりにくい例えば外交でありますとか安全保障という分野に手をつけました場合には、直接国民の目に触れない分野でありましても、それが国際的な日本の地位あるいは他国との関係に影響を生ずるといったことになって国民生活にマイナスを生ずる結果になります。そのバランスをどこでとるか。率直に言えば、そういう政策の選択問題でありましょう。
 私が当初まさに臨時的な御負担を願うという一本の考え方をとりましたのは、平成三年度予算を編成してまいります過程において各省から出てまいりました概算要求それ自体も概算要求基準で相当抑え込んだものでありましたが、さらにそれに精査に精査を加えましてぎりぎりのところまで抑え込んで予算編成をいたしましただけに、この水準を崩すことについていかがなものかという気持ちが確かに働いておりました。
 ただ、国会の御論議というものを受ける中で、もう一度見直してみようという努力をいたしました結果が、防衛費と、それから、これは本当に気の毒なことではありますけれども、国家公務員の諸君の宿舎整備に一部影響を及ぼすという事態を招いたわけであります。それと、そのほかに我々としては大変つらいことでありますが、予備費の縮減、ことによって今後不測の事態に対応する手段をある程度みずから規制することにはなりましたが、そういった努力を一方でしながら、なおかつそれでは足りない部分について国民に御負担をいただく以外にないという判断をしたということであります。
#131
○古川太三郎君 法人税の増税ですけれども、税額で三百万という控除額がある。そういうことになりますと、大体大きな法人あるいは相当もうかっているところでなければそれはなかなか入ってこない。そういった大きな法人であれば消費の価格にも転嫁し得る能力を持っておる、こういうことも事実であろうと思います。それからまた石油の税ですけれども、これも十分に消費者に転嫁する能力を持っておる。結局は国民の負担になる。
 そういうことで、この増税が普通の増税であれば、これはまた日本の国内でお金が回りますから何とかいけるんじゃないかと思うんですけれども、このお金はGCCに行くのかアメリカに行くのか議論はあるところですけれども、そっくり外へ出てしまう。そういう意味で、日本の国民に還元される部分が少なくなる。恐らくないだろう。それだけに余計につらい思いを国民にさせてしまうんじゃないかというようなことを考えておりますけれども、法人税や石油税の増税、これではなくて、もっと何か方法はなかったんですか。
#132
○国務大臣(橋本龍太郎君) 仮に既定の予算の中から全額を出すべきだという御意見であるとするならば、私は先ほど申し上げましたような考えの中で、国民に対する総合的なサービスの水準と新たな御負担というもののバランスの中でこういう結論を出したと申し上げる以外にございません。
 それから、新たな御負担を願う部分が生ずることは一応やむを得ないとして、それが法人税あるいは石油税という二つの税目になぜなったのか、ほかの税目は考えられなかったのかという御指摘であるならば、確かに当初私はたばこも一つの財源として考えていた時期がございます。しかし、節減合理化の努力の中で生み出してまいりました財源との見合いの中でそれぞれの税目を減らして
まいります中、当初予定をしていた石油に負担を願う部分を半分で抑えることができましたし、法人税につきましても税率を変えることができました。
 そうした中で、わかりやすいということと、国民生活への影響、納税者の便宜、あるいは税収の確実性、こうしたものを通してまいりました結論はこういうところに落ちついた、私としては率直に申し上げてこういう項目でいく以外にないという決断をいたしたということでございます。
#133
○古川太三郎君 増税で賄うということは、これはちょっと例えが悪いかもしれませんけれども、酒飲みの亭主がつき合い費をもう少しくれと女房に言いましたら、つき合い費をそんなにたくさん使ってもらっては困る、自分でアルバイトしなさいと言われて、亭主が、じゃあおまえアルバイトでもしてそのつき合い費を稼ぎ出せと言っているのと同じじゃないか。日本とアメリカとの交際費だと考えれば、あるいはそういう――そこまで話を落としてはちょっとまずいんですけれども、仮に平和の実現としても、これは義務として出すべきものではないんですから、それだけに、今持っているお金、今政府が使えるものの中から出していくというのが原則であるべきだと思うんですけれども、その点はいかがですか。
#134
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、最初から申し上げておるように、私は委員がおっしゃる意味が全くわからないと申し上げるつもりはございませんが、ただ同時に、国がお預かりをしている税金を使うわけでありまして、政府自身が独自の財産を持っておるわけではございません。いずれにしても使わせていただくのは国民からお預かりした税金でございます。そして、それによって総合的に、私はサービスという言葉で表現をいたしましたけれども、国としての仕事をしていこうとしています。
 その中で、例えば新たに発生いたしました財政需要というものを既定経費の枠の中で全部やっていこうとすれば、どこかで国民に対するサービスというものに影響が出てまいります。問題は、その影響と新たな負担とどちらを選択するかという政府自身としての選択の問題でありますし、国民のお立場から考えても、その行為が仮によしとするならば選択の問題でありましょう。
 仮に今度は、全くそういう負担をする必要はないんだということになるとすれば、これはまさに国際社会の中において日本は間違いなしに私は孤立する道を選ぶことになると思います。先ほど和田委員に対して私はお答えを申し上げましたけれども、現にこれだけの費用負担を日本自身が行っていていても人的貢献がなかったということが非常に私どものこれからの国際的な立場における論議に影響を及ぼすこと自体を、私は今心配をいたしております。ですから、全く費用負担をしないという前提であれば、これは別であります。
#135
○古川太三郎君 そういうことで、歳出を平成二年度で政府は三百六十六億円の修正、そして三年度で二千十七億円、三年度以降が九百九十二億、そういう努力はわかります。
 しかし、税外収入を持ってこられた意味、きのう村田委員が質問しておりましたけれども、まず中央競馬会納付金、平成二年度の当初予算においては二千六百億円を歳入として出されております。しかし平成二年度の決算見込みでは四千億ぐらいあるんだろうというようなことでございました。政府はそのうち五百二十億円しか計上されておりませんけれども、その差額はどうされるつもりか。これは直接税金で取るわけじゃないんで、せっかく競馬で国庫収入が上がるんですから、それを大いに活用なさるのがいいんじゃないか。今の大蔵大臣の答弁からしてもそのお金の使用は大いに結構なことじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
#136
○政府委員(岩崎充利君) 今回の補正計上に当たりまして、平成二年度におきます第一国庫納付金につきましては、補正予算編成時点で売得金の増加ということもありまして当初予算を五百二十億円上回るということが確実であったために、この額を補正予算に計上した、こういうことでございます。
 第二国庫納付金につきましては、これは実は二月二十八日に競馬会から提出された決算書によりますと九百五十四億円ということになっておりまして、これについては現在ヒアリング等を行って精査中ということでありますが、今回の補正予算編成時点では競馬会において決算の作業中であったということのために額の確定が困難であり、補正には計上しなかったということであります。また、このような第二国庫納付金の性格から、過去においても補正対象とはいたしておりません。
#137
○古川太三郎君 今度の補正第2号は、緊急もさることながら、やむを得ずお出しになったことだと思うんです。そういった中で、いま既に競馬会の第二国庫納付金の分が九百億も余りがあるとおっしゃるなら、それをまずつぎ込むべきじゃないですか。少々時間が足らなかったというようなお話ですけれども、それでは、この補正で五百二十億と決められたのはいつごろなんですか、それをお聞きしたい。
#138
○政府委員(岩崎充利君) 予算編成時点ということでございまして、大綱が決まりましたのが二月十五日というふうに考えております。
#139
○古川太三郎君 そのときには第二国庫納付金はゼロだと考えられていたんですか。あくまでも全部見込みでしょう。
#140
○政府委員(岩崎充利君) 当初予算で二百八十億円と仕組んでおりましたが、第一国庫納付金というのは売得金に一〇%掛けたもので比較的確定しやすい額でございますが、第二国庫納付金というのは全体の決算が終わりました後剰余金の一定額を国庫に納付するという性格のものでございますので、決算が確定いたしませんと額が確定しない、こういう性格の納付金だということでございますので、御理解願いたいと思います。
#141
○古川太三郎君 こういった剰余金、これは余った場合にはどこに入れるべきものなんですか。そのままにしておくものですか、それとも次の予算のときにそっくり計上するものなんですか、あるいは競馬会でまだ何かいろいろと仕事があるからということでそこに置いておくものですか。
#142
○政府委員(岩崎充利君) 剰余金が出ますと、剰余金の二分の一につきまして国庫納付、こういうことになります。この国庫納付金につきましては、ただいまのように歳入補正というような形にしませんとすれば、税の自然増収と同様に決算剰余金ということでいずれ一般会計の歳出財源に充てられる、こういうことになります。残りのものにつきましては、実は競馬会の方も施設整備等をやらなければならぬ、そういう財源に充てているわけでございます。
#143
○古川太三郎君 時間がないので次に進みますけれども、そういう剰余金という形になって次の自然増収になるようなことではなかなか皆さんは同意できないんじゃないか、これはもう政府の隠し財源みたいな形になってしまいますから。せっかく補正で出されたんならば、大体その辺の見込みができるんですからそのお金も計上される方がよかったんではないか、こう思います。
 また、きのうの村田委員の質問で、外為の決算後の剰余金の処分は認められているんですけれども、政府は平成三年度の予算剰余見込みを収入に見込み処分しようとしておられる。そのお金から今度は考えられたんでしょうけれども、この議論の中で、積立金と評価損の差額が約八千億ぐらいあるというように考えておりますけれども、大臣は、そのお金も政策によっては使うこともできる、政策の問題だというようなお話をちょっとされたような気がするんです。もし政策とすれば、一千百二十五億というような形じゃなくて、それにわざわざ石油税だとか法人税の増税をしなくても、その分ぐらいは政策として歳出に組み入れればいかがなものかと思うんですけれども、どうですか。
#144
○政府委員(千野忠男君) 御指摘のように、現状では積立金が二年度末で六兆九千億円ほどの見込みになっております。ただ、これとほぼ同額の外
貨の評価損を抱えた状態にあるということでございます。そういうことで、積立金というのは外貨評価損の見合いとして必要なものでございまして、したがいまして、既に発生をしておる評価損、それから今後発生をする可能性のある評価損、そういうものを十分にカバーし得る積立金を確保しておくことが望ましいわけでございます。
 そういう意味で、現状では、私ども仮にそれを政策的に考えましても、積立金はさらに積み増す必要こそあれその取り崩しを行う余地はないというふうに考えておるわけでございます。
#145
○古川太三郎君 財源が足らないときには、今おっしゃったような事情でないときにでも一般会計に入れていらっしゃったのじゃないですか。過去五十七年から六十三年までは、そのようになさってきたんでしょう。ならば、今の理屈は合わないと思うんですけれども、いかがですか。
#146
○政府委員(千野忠男君) 一般会計へ毎年度の剰余金を繰り入れるかどうかということは、これはいわば毎年度の一般会計の状況、特会の状況を総合的に判断しながら、ある意味では政策的に考える話であると思います。そういうことで、かつて一般会計に何度か御指摘のように毎年度の剰余金から入れたことはございます。
 最近の状況は、為替の動き、金利の動きからしまして、非常に余裕のない状況になってきておりますので、この今回の法案でお願いしている以上の繰り入れということは考えられないというふうに考えております。
#147
○古川太三郎君 私が問題にしているのは、そういったことよりも、いざというときに幾らでも手品のようにお金が根拠なしに出てくる、こういうお金を置いておくことこそ財政の民主化にとっては非常に遠いものだという気持ちで質問したことだけは覚えておいていただきたい。
 これは一年限りのことでございませんけれども、連合参議院は、消費税の是正をして、益税、運用益を考えれば五千億ぐらいはすぐ出るじゃないかということを代表質問でも言ったと思いますけれども、そのことについては、これは何年ものことになりますけれども、初年度ぐらいはそれでおやりになったらどうですか、この補正の問題だけでも。そうすれば、一銭も増税しなくて済むし、むしろ税の公平ということにもなるんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがですか。
#148
○国務大臣(橋本龍太郎君) それは、実は私どもとすれば本当にいろいろな思いがある部分であります。
 ただ、少なくとも昨年、政府として見直すべきと考えました案をまとめて国会に御提出をし、一院は通過をいたしましたが結果として廃案になりました。そして、その結果の中から両院の合同のお話し合いの舞台が生まれ、その中で消費税というものの取り扱いを決するという意思を両院の意思としてお示しいただいております。私どもとしては、消費税の存続というものを前提にしてこの中からよりよい結論をお出しいただくことを心から願っておりますし、またその結果が示されれば、当然のことながら迅速かつ誠実にそれに対応する決意でおりますけれども、少なくとも院にお預かりいただいております税目について、今回我我が新たな財源措置を講じなければならないという中でそれを考慮の対象に入れるということは院に対して非礼である、率直に私はそう思い、検討から落としておりました。
#149
○三治重信君 きのうきょう論議が進んでおりますので、できるだけ重複を避けて要点だけお尋ねしたいと思うんです。
 九十億ドルの第二次補正予算というようなこの事件は、我が国の予算措置からいっても、また我が国の対応からいっても、本当に未経験な新しいことでどうすることが一番正しいかという問題もいろいろ議論があるところだと思うんですが、我が党とすれば、これは結果として非常にいい処置でよく均衡が最終的にはとれた、こういうふうに思って賛成をするものでございます。
 その第一は、日本の平和憲法上、国際紛争の中で国連に入って国連の協力活動をしなくちゃならぬのにそれができないという負い目から、またアメリカその他多国籍軍に入っている国からは資金的な協力をしろという要望も出るというようなことから、まずこういう金を出して協力するという措置をとり、その措置の中で、大蔵省や国とすれば突発的な事件だから新しく国民に負担を求めたい、こういう気持ちはわかるわけなんですが、政府自身も少しは血を流したらどうだというようなことで妥協ができて我々は非常に満足をしております。
 それで、一つは、今から九十億ドルを出していくんだが、初めの出すときには、湾岸戦争が三カ月ぐらい続く、それで大変な戦費になって九十億ドルは必要だろうと思っていたのが、あっさり済んじゃった。そうかといって、先ほどの答弁のように、まだアメリカ初め戦後処理に相当駐留をするだろう、また引き揚げ費用も要るだろう、それがまだいつかわからぬというようなことで、その中に九十億ドルも使われるであろう、こういうふうに考えてはみるものの、何となくこの九十億ドルが余って経済復興の方へも相当使えるんではないか、そういうふうな状況を考えた場合に、この九十億ドルを湾岸平和基金としていかにも戦費のように出してしまってあとはどうするんだ、こういう疑問が残るわけなんです。
 その点を大蔵当局は、戦費とそれから平和復興、この予算書や財源法案そのものからいえば非常にうまいことに平和回復活動資金となっているから何にでも使えるようになっているけれども、やはり国民一般から見るとそこに、今までは九十億ドルは皆が戦費だと思っていたけれども今度はその戦費のほかにさらに復興資金が要るんだろうか、こういうような疑問があるんです。そういう問題について、九十億ドルというのはあくまで戦費的なものであってあとの復興資金というものはまた別個だ、こういうふうな考え方でまだおられるんですか。
#150
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず初めにお断りを申し上げたいのは、私を含め政府の責任者が「戦費」という言葉でこの追加支援の九十億ドルの性格を御説明したことはないはずでございます。私自身も、湾岸における平和と安定回復のための日本の支援、あるいは多国籍軍に対する資金協力と申し上げてまいりました。この点については、今委員は「戦費」というお言葉をお使いになりましたが、そもそも私どもは「戦費」という御説明を申し上げておらないということであります。
 また同時に、一応戦闘状態が終結し、現在イラクの国内においては非常に別途の困難が生じておるようでありますけれども、今後の平和回復の費用というものとクウェートからイラクを実力で排除する過程において使われた経費とのバランスについてのお尋ねがございましたが、政府側から、この九十億ドルの中で余剰が生じて今後のいわば安定のための費用として使い得るという説明を申し上げてもおりません。衆議院におきましてそうした場合を想定して何回かの御質問があり、そうした場合においては当然そういうものにも使われるであろうという答弁が政府側からなされたところでございます。
 なお、同時に、先刻北米局長からの他の委員に対する御答弁の中でも説明を申しましたように、既に拠出の意図表明をいたしております、また国会からお許しをいただいております二十億ドルの中で、例えばイラクが大量に流出させました石油の除去の費用でありますとか、こうした環境の保全のための経費というものも支払われておるということでありまして、これらは委員の述べられたような戦費という分け方のものではない、むしろ湾岸平和基金というものに拠出しておりますから、日本としては、例えばその石油の流出という事態に対して全く新たな枠あるいは財源をつくるということではなしに対応できたという事実も、御理解をいただきたいと思います。
 そこで、平和が回復をいたしました後の経費がどうなるかということについては、先刻来御答弁を申し上げておりますように、今我々としてはそ
の方向の推察はつきません。
 と申しますのは、まず第一に被害額が確定をいたしておらないこと、また総理並びに外務大臣がそれぞれ招致された際の在日クウェート大使の御発言にもありましたように、アラブの方々の非常に強い誇りというものと同時に、クウェートそのものが巨額の資産を海外に有しておられるということ、さらに国連で六百七十四に示されておりますイラクの賠償責任との絡み、こうしたものがふくそうしておりますために、イラク及びクウェートという戦禍に直接に見舞われた地域、ここについての経費そのものが全く不分明であります。
 また、戦闘行為を全く行っていないにかかわらず一方的な攻撃を受けたイスラエル、これは当然イラクに対して求償権が働くであろうと思われます。また、周辺三カ国のトルコ、ジョルダン、エジプトについては日本はそれぞれ既に意図表明を終わっておりますし、当然のことながら湾岸平和協力基金に対する九十億ドルの拠出とは別の支援財源が既に用意をされております。これは周辺国支援二十億ドルという昨年の暮れに御審議をいただきました中から当然のことながら配分されてまいります。
 さらに、この地域に例えば労働者を大量に送っておりました国々、アジアの国々が中心でありますけれども、働き場を失ったこの方たちがそれぞれの国に帰ったために海外からの送金に依存していた部分、その分だけ国家経済に穴があいた、しかも今後簡単にその人々をもう一度労働者として受け入れる情勢に中東があるかないかという中で、それぞれの国々の経済にどう手当てをするかという問題、これはまた全く別途の問題でありましょう。
 今当面緊急に、例えば食糧でありますとか医薬品でありますとか、さらには石油の流出に対するオイルフェンスの寄贈でありますとか、こういった当面の非常に切実な経費とは別に、中長期的に見たこの地域の復興に対する財源というものは見当がつきませんけれども、日本が負担すべきものが生ずるとするならば、これはまた新たな問題として御論議をいただくべきものになるであろう、そのように推察をいたします。
#151
○三治重信君 「戦費」と言ったのがちょっとお気に召さなかったかもしれないけれども、言いかえれば多国籍軍への支出というふうに言ってもいいです。そういう多国籍軍への支出とそれ以外の支出、これをできるだけ国民への説明としては区別した方が国民の理解が得やすいだろう、こういうことで質問したわけです。
 それで、湾岸平和基金の使い方について、多国籍軍のために使われる以外にいろいろ使われているという御説明で非常に多目的に使われているんだなということがわかったわけですが、湾岸の復興というものについて、日本が多国籍軍に参加していないために、どうもこの戦後の復興、また安全保障の問題についても、言葉が悪いかもしれないけれども、今のところ蚊帳の外に置かれているんじゃないか、こういうような心配があるわけなんですね。
 それは、新聞やテレビを見ていて、どうも日本が蚊帳の外に置かれているようです。欧米は盛んに行き来したりなんかしているけれども、日本はどうも声がかからず、日本の政府からも出かけていってどうこうするというようなこともなさそうだしというようなことから、我々は、多国籍軍とかそういう武力的なことには参加できなかったけれども、戦後の経済復興には大いに参加すべきだという理念を持って、政府に対しても経済復興の基金をつくるように働きかけたらどうかとか、いろんなことを党として申し入れておるんですけれども、今のところさっぱり見通しはわからぬ、こういうことでございます。
 そういたしますと、あくまでこの九十億ドルは湾岸平和基金として全部使っていく方針であって、戦後の復興とか何かについてはそれはわからぬ、こういうふうに理解してもよろしいわけですか。
#152
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど申し上げましたように、既に支出をいたしております二十億ドルの中から、委員の言われたような戦争関連経費ではなく、例えばイラクが故意に流出をさせました石油の除去作業等の機材の供与その他が現に行われております。そして、九十億ドルという今回の湾岸平和基金に対して拠出をいたしますものは、これは外務省の方からきちんと御答弁いただいた方がいいのかもしれませんけれども、湾岸平和基金の理事会においてその内容が確定をされそれぞれ支出をされていくでありましょう。
 その中には、それこそ衆議院で御論議になりましたときに、大量に予想を超えて出た捕虜の食事代は出るのかといったような御論議もございましたが、これは食糧関連というものも中に当然あるわけでありますから、あるいはその使途に充てられるのかもしれません。
 ただ、委員も述べられましたような、要するに戦闘行為によって破壊されたそれぞれの国の復興の費用になりますと、これはまた全然別途のものであろうと私は思います。その点については、クウェート自身が非常に大きな資産を現に日本にも有しておりますし、各国に有しておると言われております。さらに、その中でイラクが一体戦時賠償としてどれだけのものを支払う義務を負うのか、こうしたことも全くわかりません。しかもその賠償の責任というものは、国連安保理決議六百七十四をイラクが受け入れたことにより、イラクの責任として既に生じておるわけでございます。現実にイラクが直ちにその支払い能力を持つかどうか、これは別の問題でありますけれども、それだけの責任を有しているという事実は国際的に見て否定できないことでありましょう。
 そうなりますと、例えばクウェートを例にとります限り、クウェート自身が行い得る部分、さらにイラクがみずからの国土を破壊したことに対して請求するであろう賠償、補償、当然それには人命あるいは個人の資産を含む破壊、略奪といったものに対する補償がありましょうけれども、そうしたものが一体どのような額になりどのような形で担保されるかという問題がございます。これは事実の問題として御理解をいただきたいのであります。
 各国が支援を必要とすれば、その経費全体と、その中において今申し上げたイラクの戦時賠償等を含んだ自前の資金との差額ということになりましょうが、これ自体が確定をしないわけでありますから、私が繰り返しよく申し上げておりますのは、すぐに使えるとすればIMFとか世銀とかいうものの機能を使った方がいい。ここにはスタッフもいるし、ノーハウもある。即時の対応はそういう対応をしていき、その中で各国が相談をしていくべきではないだろうか。繰り返し申し上げる理由はそういうところであります。
#153
○三治重信君 湾岸平和の戦後の取り扱いは非常に難しいという判断のようでございます。非常にこれは、テレビなんかで毎日このことについていろいろ出ているんだけれども、どうもアメリカは自分のところで戦争をやったから後の復興はみんなおれのところだというふうに言っているようなテレビもあるし、実際のところどうなっていくか、私はもう少しアメリカを中心とした動き、また湾岸諸国の出方も見た方がいいような気もするわけです。
 九十億ドルに関連する使い方の問題はその程度にして、これは技術的な問題になるんですけれども、今度やる法人税や石油税は臨時措置として新規課税のような格好になっているわけです。こういうふうな新規課税のようにした財政上の理由、これは技術的により便利だということか。私は付加税みたいのが一番簡単なような気がするんですが、課税の仕方についてこういうふうにした理由をちょっと御説明願いたい。
#154
○国務大臣(橋本龍太郎君) もし今委員から御質問をいただきました趣旨を取り違えるといけませんけれども、一般的な税率の引き上げといった手段をとらなかったのはなぜかということでありますならば、あくまでもこれは一般的な増税を考えているものではないということであります。今回
の湾岸平和基金に対する追加的資金の拠出のための財源措置という位置づけを明らかにするためにも、現実の問題として一年限りの臨時的な措置ということを明らかにすることがその目的を鮮明にするという意味でも、これが本来対応すべき手法であろうと考えたということであります。
 また同時に、これらの税というものはつなぎのための臨時的な公債の償還に充てるわけでありますから、その償還に要する費用を賄うための財源であるという趣旨から他のものと混同されないように国債整理基金特別会計に直入する、そういうことを明確にするためにはこうした方がはっきりする、一般的な増税を策したものではないということを国民に御理解いただくためにこの点を明らかにする、そうした考え方から臨時特別税という形式をとりました。
#155
○三治重信君 臨時特別税という観念は私も同じなんですけれども、まあ議論はやめましょう。課税の仕方を全然新しい新規の課税みたいな格好にするよりも、既存の税の付加税の方が事が簡単じゃなかったかなと思うだけのことです。
 それから復興の問題は、なかなかすぐには整理がつかぬと言うのだが、戦争が終わって、我が国の今までに湾岸地域に出ている企業がたくさんあるだろうと思うんですが、その我が国の企業の被害状況というものをどの程度把握されているか、それの復興について政府に要望すること、どういうふうにしてもらいたいというようなことを調査しておられるかどうか、またこれに対してどう処理しようと思われているか。
#156
○政府委員(麻生渡君) 我が国の現地におきます企業の被害の状況でありますが、まずサウジアラビアでございますけれども、ここではアラビア石油とかあるいはサウディ石油化学、サウディメタノールというような企業が非常に大規模な工場をつくって操業をいたしております。この中で、アラビア石油は鉱業所でタンク一基あるいは病院が被害を受けておるというふうに承知をいたしておりますけれども、ほかの企業につきましては被害がなく順調に通常どおりの操業を続けているという状況でございます。
 クウェート、イラクでございますが、この国々におきましてはほとんど大きな合弁はございませんで、日本企業は専ら貿易業務あるいはプラントなどの工事の受注をやっておったわけでございますが、これは今中断をしておるということでございまして、その意味で被害は受けておるわけでございますけれども、何といいましてもまだ現地に入れないという状況でございまして、詳しい現地の状況はわかりません。したがってどのような被害の状況になっておるかということははっきり把握できない状況でございます。今後、情勢が好転いたしまして現地に入れるようになりましたら、被害の状況を正確に把握をいたしまして政府としての対応も考えてまいりたいということでございます。
#157
○三治重信君 流出原油の処理対策は湾岸基金からも出して現実にやっているというようなお話ですが、もう一つは、今クウェートでどんどん燃えているあれがえらい難しいようなんだが、これについての情報、どこの国がこの火を消して、火を全部消すのにどれぐらいかかるのかというようなことが推定でもわかったらひとつ教えてもらいたい。
 それからもう一つは、これも外務省に聞きますが、難民対策難民対策と言われたが、戦争が終わったら途端にどこか行っちゃったというか、ニュースからもなくなっちゃったんだが、今どの程度の難民が周辺国におって、それをどういうふうに処理しようと思っておられるのか、またこれは予算措置が必要なのかどうか。
#158
○説明員(角崎利夫君) UNDRO、国連の災害救済調整官事務所の発表によりますと、三月四日現在、ジョルダンにはソマリア、エジプト、スーダン人を中心といたしまして約千三百人、イランには約一万人、トルコには約三千七百人、シリアには約六百人の避難民が滞留しておるということでございます。
#159
○三治重信君 エジプトには全然いないんですか。
#160
○説明員(角崎利夫君) エジプトの数字は出てきておりません。
#161
○三治重信君 思ったより少ない難民ですね。
 難民対策とかなんとか言っていたが、日本として新しくやる意思というか、どうしようという考え方は今のところありませんか。
#162
○政府委員(渡辺允君) 難民につきましては、これまでも例えばベトナム難民の本国送還のために日本航空等の航空機が参加するというふうなことがございましたし、それから必要が生じた場合に医療面での協力を行うというふうなことで準備をいたしておりますが、ただいま人権難民課長から御報告を申し上げましたように、現在のところ難民の流出の数というのが非常に少のうございますし、今後情勢を見守る必要があるかと存じます。
 それから、先ほど御質問のございましたクウェートの油田の火災のことでございますが、火災そのものと申しますよりは、この火災の結果生じてまいります大気汚染の問題がございます。政府といたしましては、関係各省から構成されました境環全体の調査団、原油の流出の問題、火災の問題、それぞれから生ずる境環汚染に対しまして今後どういう対策を講ずべきかということについての調査団をサウジアラビア、カタール、バーレーン等に派遣をいたしまして、日本として特に技術協力等の面において今後何ができるかを調査するという態勢になっております。
#163
○三治重信君 もう一つ気がかりなのは、戦後復興について、新聞を見ていると、日本政府はクウェートもイラクも戦争に巻き込まれたところはみんな同じように戦災復興をやるようにどうも聞こえるわけなんですが、私は、何というのか、気分的にはイラクとそのほかの国とは区別した復興対策が必要だと思う。イラクというのは加害者だから少し区別してやらぬと、対アメリカにも多国籍軍側に対しても余りいい感情は出てこないんじゃないかと思うんですが、そういうことはないですか。
#164
○政府委員(渡辺允君) 先生御指摘の点は私どももそのとおりに考えておりまして、イラクにつきましては今回の湾岸危機をそもそも起こした原因者であるということも踏まえまして、これからのイラクの政治状況、それからイラクが国際社会にどのような形で復帰していくかというような状況を慎重に踏まえながら、慎重な検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#165
○委員長(大河原太一郎君) 以上で質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#166
○前畑幸子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました法律案に対し、反対討論を行うものであります。
 今回の湾岸戦争勃発はイラクの武力によるクウェート併合に最大の原因がありますが、これに対する多国籍軍の拙速きわまる武力行使にも一因があったことは紛れもない事実であります。
 特に、ソ連のイラクへの停戦調停が実りつつある最中、一方的に多国籍軍が地上戦突入に踏み切り、数多くの戦争犠牲者を生んだことは、まことに遺憾であると言わざるを得ません。また、空爆による大気の汚染や原油の大量流出等による地球環境破壊は、修復しがたい惨状を呈しております。
 湾岸戦争はようやく終結いたしましたが、東西の冷戦時代が解消しつつある中で、こうした米国を中心とした力の論理が今後の国際紛争の一つの解決策として新国際秩序の中に組み込まれるとするならば、極めて遺憾と言わざるを得ません。
 さて、本法律案は、我が国が、その国際的地位にふさわしい支援を行うという名のもとで、湾岸戦争に武力介入した米国等関係諸国に対し新たに九十ドルの資金を追加拠出することとし、これに必要な財源の確保策等の財政上の措置を講じようとするものであります。
 しかし、こうした多国籍軍による武力行使は、平和を標傍しいかなる国の戦争にも加担しないとする我が国の国是からは相入れないものでありまして、拠出金の一部でもその戦費に使われるならば、憲法に違反すると言わざるを得ないのであります。
 次に、その財源調達の手段についてであります。
 当初案は追加支援の全額を臨時増税で確保することとしておりましたが、その後、平成三年度予算の修正を含め、歳出経費の節減と税外収入の増加を図ることにより財源を確保する一方、なお不足する財源として法人税と石油税の臨時増税を実施することとし、この結果、つなぎの臨時特別公債の発行限度が二千億円程度減額されることになりました。
 しかし、この公債の性格は赤字公債そのものと言うべきであります。ところが、政府は償還財源の手当てがしてあることを殊さら強調し、平成二年度に財政が特例公債依存体質から脱却するという積年の課題である財政再建目標が達成されたとの見解を明らかにしております。
 こうしたへ理屈がまかり通れば、今後の財政運営に当たって、経常収支を賄う財源に不足を来した場合、臨時増税や歳出経費の削減による財源を当てにしてこの種の臨時特別公債を続発するという便法を容認することにもなり、これまでの財政再建の努力が水泡に帰しかねません。
 我が党としては、そもそも戦費協力としての色彩が強い九十億ドルの拠出に反対であり、これを法的に裏づける本法律案について当然反対の立場にあります。
 最後に、湾岸戦争は停戦の段階を迎えて、ポスト中東問題並びにその復興対策に世界の関心は移りつつあります。今回の戦争は、直接間接を問わず、かかわりを持つ多くの国々にはかり知れない貧困と飢餓をもたらしていることは否めない事実であります。
 平和憲法を標榜する我が国が、今後の戦後復興に当たって、人道的な立場から、積極的な貢献をすべく、さらなる援助資金の確保、真に関係諸国の人々の我が国に期待する復興援助、環境改善等に最善を尽くすべきことを主張いたしまして、私の反対討論を終わります。
#167
○倉田寛之君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案に対し、賛成討論を行うものであります。
 最後まで避けたいとされてきた地上戦突入により多国籍軍にもかなりの被害が及ぶであろうという大方の見方に反して、湾岸戦争は、ブッシュ大統領の停戦宣言とイラク側のすべての国連決議の無条件受諾で、早期にかつ多国籍軍の被害も比較的少なく終結の段階を迎えました。
 世界平和を希求する我が国にとってこの上もなく喜ばしいことではありますが、この戦争により数多くのとうとい人命が失われたことも厳然たる事実であります。二度と再びこのような悲劇が繰り返されないように、早急に新国際秩序の構築が待たれるところであります。
 さて、本法律案は、我が国として、湾岸地域における平和回復活動を行ってきた米国等関係諸国に対しその国際的な地位にふさわしい支援を行うという観点から、既に支出した二十億ドルに加え、湾岸平和基金に新たに九十億ドルの資金を追加拠出するため、これに必要な財源の確保策等の財政上の措置を講じようとするものであり、極めて緊要かつ妥当な措置であります。
 特に、その財源調達の手段として、まず、政府みずからが骨身を削る努力をし、平成三年度予算の修正を含め一層の歳出経費の節減と税外収入の増加を図ることにより約五千億円の財源を確保する一方、法人税と石油税について約六千七百億円の臨時増税を実施することとし、これら財源が確保されるまでの間、つなぎとしての臨時特別公債を発行しようとするまことに工夫されたシステムであると言わなければなりません。
 この臨時特別公債は、かつての特例公債と異なり、発行する段階でその償還財源の手当てをしようとしているのであります。したがいまして、平成二年度一般会計において財政が特例公債依存体質から脱却するという積年の課題であった財政再建目標はクリアできたのであります。
 また、我が国が原油輸入の多くを中東地域に依存し、また海外への広範な企業活動を行っている実態から見て、中小企業に対しての配慮を加えつつ、臨時増税の対象として石油税と法人税を選択したことは必要にしてやむを得ない措置と考えます。
 以上の理由から、我が党としては本法律案に賛意を表するものであります。
 最後に、湾岸情勢は戦火の終息とともに戦後処理に向かって急速に動き出しております。我が国といたしましても、湾岸地域復興に対し、商業ベースの貢献に偏ることなく、真に地域住民の要請に即した人道的な支援となるよう期待しつつ、私の賛成討論を終わります。
#168
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、湾岸戦争のために九十億ドルの財源確保を図る本臨時措置法案に対し反対の討論を行います。
 討論に先立って、本法案の審議のあり方について一言申し上げます。
 本法案は憲法、財政法上の重要法案であるばかりでなく、湾岸戦争の終結に伴う状況の根本的変化のもとで、我が党は公聴会開催、総理質問などを含め十分慎重な審議を行うよう求めてまいりました。にもかかわらず、わずかな審議で、問題点がほとんど解明されることなくこれが採決されようとしていることについて、強く遺憾の意を表します。九十億ドルもの経費がこのように簡単に日本の議会を通過することを許せば、今後アメリカはますます我が国に対しこうした要求を押しつけてくることは明らかであります。
 さて、本法案は、今般の湾岸戦争の戦費に充てるために九十億ドル、一兆一千七百億円に上る金額をアメリカを主体とする多国籍軍に拠出しようとするものであります。これは我が国が財政面から湾岸戦争に参戦することにほかならず、戦争への加担を禁じた我が国憲法の平和的原則を公然と踏みにじるものであり、許すことができません。
 第二に、九十億ドルは経緯から見てアメリカの強い要求に基づいて決められたものであり、その積算根拠や使途の検証手段もないという財政民主主義に反するものであります。殊に、戦争が終結した現在、実際にかかった戦費は当初の見積もりより相当少ないことはアメリカ議会における議論などによっても明らかであり、この九十億ドルの根拠は全く崩れているのであります。このように規模、内容のいずれにおいても極めてあいまいなまま巨額の金額を支出することは、我が国の納税者としては到底認めることはできないのであります。
 第三に、この巨額の支出に充てるため臨時特別公債と称して発行される赤字国債は戦時国債そのものであり、かつての侵略戦争の教訓に立って戦争放棄の保証として書き込まれた財政法の基本原則への重大な挑戦であります。また、その財源の七割を賄おうとする法人税、石油税などの臨時特別税という名の増税も、国民に転嫁される戦時増税であります。
 第四に、財源の一部として一千二億円の軍事費削減を打ち出していますが、九一年度予算で削減されるのはそのうちの十億円にすぎず、しかも、新中期防の総額の削減が明確にされていない以上、削減された部分が次年度以降復活しない保証は全くありません。
 さらに、本法案の目的規定についてであります。
 支援の対象となる平和回復活動の範囲について国連決議に基づくという条文上の要件が欠落しており、国連加盟国の活動であれば国連決議に基づかないものでも支援対象となる可能性があります。国民の税金から拠出された金が無限定に使用される危険を持っており、承服できません。
 最後に、私は湾岸地域における終戦処理と戦後復興の問題を含め、中東問題の解決に当たって国連を中心とした公正な処理が行われるよう切望するとともに、今後どんな国際紛争に対しても平和的解決を最優先させ、国連憲章と平和憲法の基本精神に立って世界平和が維持されるよう強く念願し、討論といたします。
#169
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりました湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案に対し、賛成の討論を行います。
 まず、世界を揺り動かした湾岸戦争が終結しクウェートが解放されたことを心から祝福したいと存じます。同時に、この戦争によってとうとい命を失われた多くの方々に衷心より哀悼の意をささげるものであります。
 戦争捕虜の即時釈放を含む国連の和平決議六百八十六号が圧倒的多数で採決されました。このことは、武力による侵略は許されないという国際世論の勝利であるとともに、国連を軸とした国際的な平和維持のあり方に道を開く第一歩として歓迎したいと思います。
 以下、本法案に賛成する主な理由を要約して申し述べます。
 第一の理由は、国際社会における平和回復、平和維持活動に対し、我が国は一定の責任と義務を果たさなければならないということであります。
 国際社会にあっては、国家と国家の間のルール、国際法が守られなければ社会の秩序は保たれません。平和創造への新しい枠組みに対し一定の役割を果たすという観点から、我が国も国際的な新しい秩序づくりに可能な範囲で最大限の努力をすべきであります。現時点においては、湾岸地域の平和回復に対する資金協力こそ我が国のできる最も有効な支援策だと考えるものであります。
 第二の理由は、今回の九十億ドルの拠出が国連決議第六百七十八号に基づく支援要請にこたえたものであるということであります。イラクのクウェートへの武力侵略という冷厳な現実を見据え、国連を中心とした平和回復、維持活動へ協力する以上、応分の財政支援は当然であります。
 第三の理由は、この九十億ドルが武器弾薬には使用しないということが確認されたからであります。九十億ドルは、まず湾岸平和基金に拠出され、そこから国連決議に従って活動している国々を支援するために使用されることになっております。なお、その使途についても、湾岸協力理事会の代表と日本政府代表によって構成される運営委員会によって決定、確認されることが国会の審議を通じて明らかになりました。
 第四の理由は、今回の九十億ドルの財源について、我々の主張を取り入れ、すべてを増税で賄うという当初の政府方針が転換されたことであります。我が党は、こうした政府の安易な姿勢を厳しく批判し、国民に負担を求める前にまず政府みずからが歳出の削減を行い、みずから身を切る努力をすべきであることを強く訴えました。これに対し、政府は当初の方針を転換し、防衛費を初め五千億円の歳出削減とともに増税案も圧縮されたのであります。こうした政府の努力を認め、我が党は本案に賛成する決断をいたしました。
 以上、主な理由を端的に申し述べました。
 湾岸戦争終結は、一日も早い停戦、和平を願望していた私どもにとって大きな喜びであります。しかし、本格的な戦後処理や国連を軸とした世界平和への新しい秩序づくりは、これからであります。私は、日本政府が今回の湾岸戦争への対応を教訓として、我が国平和憲法の前文、さらに第九条に示された戦争の放棄とともに、日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求するという精神を具現化するために、戦争の根絶、環境破壊の排除など、世界の平和と民生安定を目指し懸命な努力を幾重にも強化されるよう強く要望いたしまして、私の討論を終わります。
#170
○古川太三郎君 私は、連合参議院を代表して、この財源確保にかかわる法案に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、本補正予算に計上されている湾岸平和基金拠出金九十億ドルが多国籍軍支援のための戦費にほかならないことであります。こうした戦費を出すことは憲法違反であり、絶対認めることができません。
 反対の第二の理由は、政府がその戦費調達のために臨時特別公債を発行し、しかもその償還のために増税を行おうとしていることであります。平和憲法のもとにある財政法が戦時公債を認めていないことは言うまでもありません。その上、政府は、償還のためと言って法人税と石油税を増税し、そのツケを国民に押しつけようとしているのであります。
 本委員会で明らかになったように、湾岸平和基金拠出に当たり、必ずしも増税するという必要はなく、歳出削減及び税外収入である中央競馬会納付金、外国為替資金特別会計受入金に増額の余地が残されており、それを充当することにより拠出に要する財源の確保が行われる可能性は極めて高いと言わなければなりません。
 今、国民の大半がこの拠出金が戦費として使われることを拒否していることを考えれば、今の政府の責任において歳出削減をなし、増税の手段を使わずしてこの九十億ドルを拠出するのが、政府と国民とのぎりぎりのところでの妥協点ではないかと考えます。
 反対の第三の理由は、今回の一兆一千七百億円の財源確保についての法案が、補正予算の要件を規定する財政法二十九条の趣旨を逸脱した予算計上となっていることであります。
 我が国では、予算編成に際し必要な経費は原則としてすべて当初予算に計上すべきとの総合予算主義をとっております。されば、補正予算に計上できる経費はおのずから制限され、政府の独断や御都合主義で行うべきではありません。それが安易な予算の編成を防ぐものであることは言うまでもありません。節度ある財政運営を行うべきであるにもかかわらず、このような財政法の趣旨を逸脱した予算は断じて認められません。
 したがって、この一兆一千七百億円の使途につき何ら明示もなされないまま計上されること自体が財政民主主義とはかけ離れたものであることを指摘し、私の反対討論を終わります。
#171
○委員長(大河原太一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#172
○委員長(大河原太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#173
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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