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#1
第120回国会 大蔵委員会 第10号
平成三年四月二十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     野村 五男君     下条進一郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長        大河原太一郎君
    理 事
                梶原  清君
                倉田 寛之君
                鈴木 和美君
                本岡 昭次君
                峯山 昭範君
    委 員
                石川  弘君
                大島 慶久君
                斎藤栄三郎君
                中村 太郎君
                野末 陳平君
                藤田 雄山君
                宮崎 秀樹君
                赤桐  操君
                稲村 稔夫君
                久保  亘君
                前畑 幸子君
                村田 誠醇君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                古川太三郎君
                三治 重信君
                下村  泰君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
   政府委員
       国土庁土地局次
       長
       兼内閣審議官   鎭西 迪雄君
       大蔵政務次官   上杉 光弘君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     濱本 英輔君
       大蔵大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   日高 壮平君
       大蔵大臣官房審
       議官       小川  是君
       大蔵大臣官房審
       議官       西村 吉正君
       大蔵省主計局次
       長        藤井  威君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       大蔵省理財局次
       長        田中  寿君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省国際金融
       局次長      江沢 雄一君
       国税庁直税部長  山口 厚生君
       国税庁徴収部長  佐々木秀夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
   説明員
       文部省生涯学習
       局青少年教育課
       長        遠藤純一郎君
       厚生大臣官房政
       策課長      佐野 利昭君
       厚生省児童家庭
       局企画課長    丸山 晴男君
       厚生省保険局保
       険課長      堤  修三君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    五十嵐健之君
       建設省住宅局住
       宅建設課長    上野 公成君
       自治省税務局固
       定資産税課長   堤 新二郎君
   参考人
       日本銀行理事   福井 俊彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○地価税法案(内閣提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地価税法案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事福井俊彦君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(大河原太一郎君) 地価税法案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣。
#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました地価税法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、土地税制改革の一環として、土地基本法に定められた土地についての基本理念にのっとり、土地に対する適正・公平な税負担を確保しつつ、土地の資産としての有利性を縮減し土地政策に資するため、土地の資産価値に応じて負担を求める地価税を創設することとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、地価税の納税義務者は、国内にある土地及び借地権等を有する個人または法人としております。
 第二に、課税の対象は、個人または法人がその年一月一日の課税時期において有する土地等としております。
 第三に、非課税とされる土地等については、国、地方公共団体その他の公共法人が有する土地等及び公益法人等がその業務目的に関し有する土地等のほか、自然・国土保全、医療・社会福祉、文化・教育、交通・通信、水道・エネルギー等に関する一定の公益的な用途に供されている土地等を非課税としております。
 また、みずから所有し居住している住宅や他人に貸し付けられている住宅の用に供せられている千平方メートル以下の部分の土地等を非課税とすることとしております。
 以上のほか、一平方メートル当たりの更地の価額が三万円以下である土地等について非課税とすることとしております。
 第四に、課税価格は、個人または法人が課税時期において有する土地等の価額の合計額としております。
 なお、優良住宅分譲予定地等については課税価格に算入する金額を土地等の価額の五分の一とし、また、協同組合等の有する土地等その他一定の土地等については二分の一に軽減する特例措置を講ずることとしております。
 第五に、課税価格から控除する基礎控除は、資本の金額が一億円を超える法人にあっては十億円とし、個人及び中小法人等にあっては十五億円としております。なお、非課税とされるもの以外の保有土地の面積に三万円を乗じて計算した金額が十億円または十五億円を上回る場合には、この計算した金額によることとしております。
 第六に、税率は、千分の三としております。なお、平成四年については千分の二としております。
 第七に、土地等の価額の評価については、相続税と同様に課税時期における時価によることとしております。
 第八に、地価税の申告、納付については、その年の十月一日から同月三十一日までの間に申告し、地価税の額の二分の一に相当する金額を申告書の提出期限までに、その残額を翌年三月三十一日までに納付することとしております。なお、平成四年の申告書の提出期限については平成四年十一月十六日から十二月十五日までとしております。
 その他、税務署長等に対する固定資産課税台帳等の供覧規定など、所要の規定を設けることとしております。
 さらに、地価税の負担のあり方については、少なくとも五年ごとに固定資産税の土地の評価の適正化等を勘案しつつ土地の保有に対する税負担全体の状況等を踏まえて検討するものとし、必要があると認めるときは地価税の課税対象及び税率等について所要の措置を講ずるものとすることとしております。
 なお、この法律は平成四年以降の課税時期において個人または法人が有する土地等に係る地価税について適用することとし、施行に当たり所要の経過措置を設けております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(大河原太一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○本岡昭次君 地価税の質問の前に、最近の重要問題としてSDRと消費税是正の問題が出ておりますので、若干大蔵大臣に伺っておきたいと思います。
 大臣は今月下旬にワシントンで開かれるG7においてSDRの新規創出を提案されると報道されておりますが、事実ですか。
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、湾岸の戦後復興でありますとか中欧、東欧の市場経済への移行に伴いまして、非常に多額に上ると想定されております資金需要の問題というものが、世界全体の増大する資金需要にどう対応するかという問題の一環として考えられなければならない問題として、今日までも、例えば先日のロンドンにおける大蔵大臣間の非公式会合等におきましても重要なテーマとなってまいりました。そして、今後ともに国際的に議論される重要な課題であると考えております。
 その中で、我が国としては、湾岸復興を含めまして今後の世界的な資金需要の増大に対応していきますため、世界的な貯蓄の増強というものに向けて努力をしていくことが必要だという基本認識を持っておるわけであります。同時に、世界的な貯蓄増強の努力が具体化するまでの当面の資金需要にどう対応していくかということにつきましては、IMFあるいはG7等の場におきまして真剣に検討される時期に来ておると考えておりまして、我が国としてもその場においては積極的に議論に参画してまいりたいと考えておりますけれども、直率に申しまして、これは国際会議の場における我が国の対応ということにもかかわりますので、現時点においてはこの程度でお許しをいただきたいと考えております。
#9
○本岡昭次君 我が国は今回の湾岸戦争に対して四十億ドル、そして九十億ドルと追加支出をして、計百三十億ドル拠出をしたわけで、今後中東復興の問題なり、あるいはソ連、東欧、中南米、またフィリピンとかバングラデシュ、インド等等、アジア各国への経済支援を求められていく立場に立つと思います。
 それで、結局その場合の資金をどうするのか、今回のように増税によって賄うとかあるいは一般会計を切り詰めるとかといったことも限界があるとすれば、その場合の資金はSDRの新規創出によって行うというのも一つの考え方であろうと思うんですが、政府がこういう方針にこれから立っていくというふうに考えていいのか、また、IMFでこの問題が論議されたときに、今までは国際的インフレが起こるとかいろいろな理由でもってなかなか合意が得られなかったと聞きますが、最近の状況はこうした問題に対する合意が得られる環境が整いつつあるというふうに見ていいですか。
#10
○国務大臣(橋本龍太郎君) 非常に難航いたしましたIMFの九次増資につきましても、今般ようやくその決着を見たわけであります。この間、本院にも当委員会を初め大変な御協力をいただいたわけでありますが、今たまたま委員の御指摘になりましたSDRの新規配分というものにつきましては、IMF協定によりまして、既存の準備資産を補充することについて、長期的かつ全体的な必要が生じているかどうか、またそれがインフレやデフレを招くことなく行われるかどうかを判断しました上で、総投票権数の八五%の多数が賛成することが要件となっております。
 日本として基本的に考えておりますことは、今委員が御指摘になりましたような世界的な資金需要の増大というものに対応する基本としては、何と申しましても主要先進国が財政赤字の削減に引き続き努力をすること、また民間貯蓄の増強のために構造政策を推進することなど、世界的な貯蓄の増強に向けて努力することが一番大切だと基本的に認識をしております。
 同時に、その間をつなぐ手法としては、今委員からさまざまな角度から御指摘をいただいたわけでありますが、私は例えばその間のつなぎの手法というものをIMFなど国際金融機関の場におきまして、当面の資金需要に対応するため何かの方法を考えなきゃならぬという議論がもう必要になってきていると思っております。私どもはそうした議論の中に積極的に我々としても参加していこうと考えているわけでありますが、今回のG7がどういう流れになるかまだわかりません中、この程度のところで基本的な考え方はとどめさせていただければ大変幸いであります。
 ここで御報告を申し上げそれが報道されました結果がどうその論議に影響してくるか、率直に申してわかりません。それだけに、今委員が御指摘になりましたことに正確なお答えになっておらないことは承知でありますが、IMFの協定のルールの上で、インフレあるいはデフレを招かないという判断の下りました上で総投票権数の八五%の多数が賛成することが必要という状況の中でどのような我々の提案があり得るか、今真剣に考えておるところであります。
#11
○本岡昭次君 これ以上質問を続けることはやめますが、SDRの新規創出問題は、かねがね我々日本が国連にどういうふうに協力できるかという場合に、新しい基金をつくったらどうかとか、あるいは日本が一定の金をそこに持ち出したらどうかというふうな論議のときに、大蔵大臣はIMFというそこの問題を念頭に置きながら私は慎重に答弁をされておられたという記憶があります。だから、その時至れりということで、大蔵大臣として、IMFの場で国際的な経済支援をやっていくという場合の資金の求め方という問題について、大いに今度はG7あるいはまたIMFの暫定委員会で議論していこうということは私は大いに期待もし、ともすれば日本の立場というものが世界の大きな流れの中で隠れてしまって顔が見えないと言われている状況ですので、ひとつしっかり頑張ってきてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、次に消費税の是正問題ですが、今国会中に議員立法で成立させて十月一日から実施する運びになりつつあるようであります。食料品の非課税化という国民が最も期待している問題を先送りにしていったという自民党のこのやり方は私は納得できませんけれども、しかし合意された部分から是正して国民に返していくということについては賛成であります。
 そこで、大臣のお考えを一、二聞いておきたいんですが、第一は政府が昨年通常国会に提出した消費税見直し案の中にあった飲食料品課税の是正であります。製造、卸段階は一・五%、小売段階は非課税というふうに是正を行おうとした理由は一体何であったのか、政府の本音は一体どこにあったのか、この際聞いておきたいんです。
#12
○国務大臣(橋本龍太郎君) さきの第百十八国会に提出いたしました消費税の見直し法案におきまして、委員よく御承知のように、私どもは食料品につきまして小売段階の非課税プラス一・五%の軽減税率という案を提案させていただきました。これは、飲食料品につきまして特別な措置を講じます場合に全段階非課税あるいはゼロ税率を採用することは非常に問題が多い、とても採用ができないという考え方の中でぎりぎりの選択肢として私どもとして提案をさせていただいたものであります。
 しかし、この案につきましては、よく御承知のように、これまでの国会における御論議などにおきましてさまざまな角度からさまざまな御意見あるいは御批判をちょうだいいたしました。そして、そうした御論議の上、政府提出案が国権の最高議決機関であります国会で廃案となったということを私どもとしては厳粛に受けとめなければならないと考えております。
 いずれにいたしましても、その結果、消費税につきまして税制問題等に関する両院合同協議会を国会におつくりいただき、協議が行われているわけであります。政府としては従来から、この協議会において消費税の必要性というものを踏まえながら建設的かつ具体的な合意が得られることを期待しておると申し上げてまいりましたが、今日もその基本姿勢に変わりはございません。
#13
○本岡昭次君 私がお伺いしたのは、経過ではなくて、政府案に飲食料品の課税の是正を出したというそのことの意味は何であったのかということなんです。
#14
○国務大臣(橋本龍太郎君) その意味と申しますならば、政府は現行の消費税法案を国会に御審議をお願いし、そしてその消費税法案が法律となり現在機能をいたしております。しかしその後において、消費税についてさまざまな角度から国民の中に御批判もありまた御意見もございました。そして私自身が、両院の御論議ばかりでなく、私自身に手紙をいただきたいという呼びかけを国民にし、国民から一万八千通を超える本当に個人個人一生懸命に賛否を含め御論議をいただくお手紙もちょうだいいたしました。そうした中において、食料品について何らかの措置を求める声というものが非常に多かったという事実もそのとおりであります。
 そうした中におきまして、一体どのような工夫ができるかを我々なりに真剣に検討をし、その結果として小売段階の非課税並びに軽減税率一・五%という案が我々としてなし得るぎりぎりの最も効果的に国民の声におこたえをする手段である、そのように判断をしたということであります。
#15
○本岡昭次君 私は、自民党がそうした国民の声を選挙の中から聞き取ってそれを政府案として提出したというそのことは評価したいわけです。問題は、それを衆議院の段階で廃案にして参議院で審議ができなかったというこの状況について、私は非常に不愉快に思っているわけです。
 政治は何も自民党や社会党やそれぞれの政党のためにあるんではなくて国民のためにあるわけですから、民意を正確に受け取ってそして民意に基づいて具体的な政策を実践していくということでなければ、政治は国民からの信頼を失うと思っています。だから、消費税見直しの政府案が出たあの段階で、私は個人的には製造、卸一・五%、小売非課税ということは私自身はとりあえずそれでいいじゃないかと思っていたわけです。
 具体的に、ゼロ税率にしたらまた別ですけれども、全段階非課税にしてもどうせ仕入れにかかった消費税を還元するということになれば価格にはね返ってくるというようなこと等もあり、実際に消費者のプラスになるかどうかということはわからないわけだから、とりあえず精いっぱい大蔵省が、消費税が飲食料品にかかるということが逆累進性ということの象徴的な問題として、また国民生活を直撃する重要な問題としてこの改善を図ったということを率直に私たちが取り上げて、それを是正策として盛り込むべきであったというふうに私はずっと思っていたわけなんです。
 今回の是正においてそれが飛んでしまって先送りになったということは非常に残念で、何のために長い間かかって一年余りも議論したのかとばかばかしく私自身なるわけでありまして、大蔵省が本気で食料品の非課税問題が国民の税制に対する信頼を回復する大事な問題だと思うならば、政党の論議のところに逃げないで、みずからの正しい公平公正な国民が信頼してくれる税制のあり方の問題として追求していただきたい、私はこの問題についてはこういうふうに強く要望をいたしておきたいと思います。
 そこで、もう一つ簡易課税制度の問題なんですが、みなし仕入れ率の問題、私はこれは細かく細かく質問をさせていただきましたが、これは四段階にしても五段階にしても、結局根本的な解決にならないというふうに思うんです。業種別に分けてみたって、業種ごとの中におけるまたアンバランスがあるわけでありますから、根本的にはこれはもう制度的に欠陥を直すということでなければならないと思います。だから、簡易課税制度を廃止にしてインボイスを導入していくという将来展望、そういうふうなものを持たなければ国民の信頼にこたえられないんじゃないかと思うんですが、大蔵省の考え方を聞かせていただきたい。
#16
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、私個人としての感想は申し上げる場ではないと思います。同時に、今委員から大変大事な御意見を開陳していただいたわけでありますが、私は行政府としては、国権の最高機関として一つのルールをお決めいただいた以上、どのような内心の思いがありましても、その国会の御意思に従うのが私は政府の立場であると存じます。その場合、院の意思として消費税については院が決定をするという判断を下されたわけでありますから、内心いかなる思いがありましても、政府としてはその院の御意思が確定するまでの間、その御決定を待つというのが私は本来の姿であるべきだと考えております。それだけに、今個人として私が思うところはさまざまでありますけれども、やはり具体的なお答えは本来差し控えるべきことであると思います。
 ただ、たまたま今お触れをいただきました簡易課税、一般論として申し上げますなら、昨年の十月、税制調査会実施状況フォローアップ小委員会の報告におきましても、事業者の現実の事務処理能力の差異にかんがみると消費税のような間接税の仕組みの中にこうした中小事業者の事務負担に配慮する措置を設けること自体は合理性があると考えられる、そういう御指摘をいただいております。そして、私の知る限りにおきましては、諸外国におきましても、その幅の問題等はございますが、しかし、同種の制度は設けられておると承知をいたしております。そして、その具体的なあり方というものは税制におきまして公平性と簡素性という二つの要請の中でどのようにバランスをとっていくかということから政策的に判断される問題ではなかろうか、そのように認識をしておるということだけ申し上げたいと存じます。
#17
○本岡昭次君 簡易課税制度の存在理由は、それは私もわからぬではないわけです。日々消費税を預かって税務署のかわりをやっている中小業者にとって、ただでこんなことをさせられるのかという問題に対する、いや、そうじゃないですよ、御苦労さん料は講じてありますよという、そういう問題はあってもいいと思うんですが、そういう問題を税の制度の中に組み込んだときに必ずしも公平に機能しないであろうというふうに思いますから、公平公正という立場に立ってよりいいものにこれを直していく必要があるんじゃないかというようなことを思うので、意見を申し上げたまでであります。
 そこで、今回の消費税をとにかく緊急に是正しようじゃないかということによって起こる増税部分と減税部分は、金額としてどの程度になるんですか。
#18
○政府委員(尾崎護君) 両院合同協議会におきましてこれから御議論が続けられるという状況でございますので、その内容がどのようになるのか必ずしもはっきりわからないところでございまして、現段階で具体的に申し上げるのは難しいのでございます。しかし、去年の十二月に両院合同協議会の専門者会議に座長案というのが示されました。その座長案の増減収額がどうであるかということを申し上げますと、一定の前提を置いての話でございますが、平年度で簡易課税制度とか限界控除制度を縮減することによりまして生ずる増収が二千四百億円程度、それから非課税範囲の拡大によります減収額が千六百億円程度と見込まれるところでございます。
#19
○本岡昭次君 それから、これも参考までにお聞かせいただきたいんですが、前通常国会で政府案に盛り込まれていた飲食料品の是正、製造、卸一・五%、小売非課税、これでは減税が幾ら期待できたのですか。
#20
○政府委員(尾崎護君) お尋ねの飲食料品に対する小売段階の非課税、それから特別低税率制度を創設いたしますことによりまして生ずる減収額は、平年度で九千八百七十億円、初年度で三千二百六十億円と当時見込んでおりました。
#21
○本岡昭次君 それでは、地価税の質問に入っていきたいと思います。
 昨年の十二月の税制調査会の平成三年度の税制改正に関する答申によりますと、「土地税制については、今回の措置を改革の第一歩と捉え、今後、」「より望ましい土地税制の姿を求めるための不断の努力を続ける必要がある。」と述べています。大蔵大臣がお考えになるより望ましい土地税制の姿というふうなもの、これに向かって我々は不断の努力をしていくわけですが、まずどういうものを念頭に置いておられるのか伺っておきたいと思います。
#22
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、土地に関する税制と申しますものは、土地政策全体の中に位置づけられてどう機能するかということをまず考えるべきものだと思います。その場合、何よりも本来大切なものは都市計画であり土地利用計画といったものでありましょう。そして、そうした部分について、例えば旧西独等で行われておりましたような都市計画等を考えてみますと、こうしたものが機能しておれば今日の地価高騰というものについてもある程度状況の変わりがあったのではないかという思いは、私自身率直に持っております。
 しかし、ようやく土地基本法が成立をし、その理念に基づいてそういうものが組み立てられる状況に今日参りまして、その中で土地税制が機能する役割を明確化できる状態になってまいりました。
 私は、土地問題というものを考える中で、税制あるいは金融等を含めた中で、土地基本法に示されました土地の公共的性格というものを踏まえて土地に対する適正公平な税負担を確保するという視点がまず一つ挙げられると思います。また同時に、土地問題の深刻化をもたらしております土地が有利な資産であるという認識を改めさせるためにも、土地の保有コストを引き上げることにより土地の資産としての有利性を縮減するという視点。こうした二つのポイントを踏まえながら、土地の保有、譲渡、取得の各段階にわたり総合的かつ抜本的な見直しを行う、そうした視点で今回の土地税制改革というものに当たっておるわけであります。
 これは平成三年度税制改正に関する答申を税制調査会からいただきました中にも同様の指摘があるわけでありまして、私どもとしては、今般の土地税制改革全体が基本的に望ましい土地税制のあり方に沿っていっていると考えております。
 ただ、問題は、税制というものは社会経済情勢の推移を踏まえながら適宜適切にそのあり方というものを見直していくべき性格のものでありまして、土地税制につきましても、今後とも土地に関する各種の情報の収集などに努めながら、その効果あるいは影響というものを見きわめながら適宜適切に対処していくべきものと心得ておりますし、そういう努力を我々はこれから払っていくべきである、そのように考えております。
#23
○本岡昭次君 そこで、今大臣も、望ましい土地税制の姿の一つとして、要するに土地に対する負担の公平の確保とかあるいは土地の資産としての有利性を縮減していく、そのために保有のコストをかけていくんだというようなことをおっしゃいました。政府税調答申によると、その結果として税体系における所得、消費、資産等に対する課税の間での均衡を図るというようなことも書いてあるんですが、平成四年度からこれが実施されたときにどの程度所得、消費、資産の均衡が図れるんですか。どのように比率が変わっていくことを期待していますか。
#24
○政府委員(尾崎護君) いわゆる抜本的税制改革が行われました前の段階と平成三年度の予算とを比較してみますと、今委員御指摘がございました所得、消費、資産のバランスでございますけれども、OECDにおきまして一定の方式でそのような分類を行っているわけでございますが、それに従って我が国の国税の収入の構成比がどう変わったかということを申し上げます。
 OECDの分類のとおりにやった場合をまず申し上げますが、所得課税が昭和六十一年度つまり抜本改革の前におきましては全体の六九・八%を占めておりました。それが平成三年度の予算では六九・七、ほとんど横ばいでございます。それから消費課税が、六十一年度二〇・〇から平成三年度二二・三というように比率が上がっております。それから資産課税等でございますが、これは六十一年度一〇・二%でありましたものが八・一%に下がっているわけであります。これはなぜかと申しますと、実は我が国の場合には所得課税の中にいわゆるキャピタルゲインに対する課税がございまして、そのキャピタルゲインの強化をしてかわりに有価証券取引税の税率を下げるとか、そのようなことをいたしておりますものですから、OECDの分類そのものでは今のようなことになってしまうわけでございます。
 そこで、譲渡所得、土地の譲渡でございますとか利子や有価証券譲渡に対する課税というような資産所得課税を資産課税の方に移しかえてみますと、先ほど申しました所得課税の比率は昭和六十一年度が六〇・九%、それが平成三年度は五五・一%ということで、所得課税の比率が相当下がっているわけでございます。消費課税は先ほど申しましたとおり二〇・〇と二二・三でございますが、資産課税は昭和六十一年度一九・一%から二二・六%というように上がってきておりまして、所得、消費、資産のバランスという点からはかなりよい方向に動いているのではないかというように思われます。
 お尋ねは平成四年度はどうなるんだということでございましたが、平成三年度におきましても、例えば地方税におきまして固定資産税の評価がえに伴います増収額を住民税の減税に充てるというようなことで、これもまたバランスの面で影響を及ぼしておりますし、それから平成四年度に地価税が入ってまいりますと、そこでまた資産課税の比率が上がるということになるわけでございます。しかしながら、地価税の税収の使途をどうするのかということがまだ決まっておりませんのと、それから地価の水準、評価額がどのようになるかというのも現段階では的確に把握ができませんし、それからまた土地取引の動向等もございますので、現段階で定量的にこうなるだろうということを申し上げるのはなかなか難しいわけでございますけれども、全体として資産に対する税負担のウエートを高めまして、より均衡のとれた税体系になるというように考えております。
#25
○本岡昭次君 私たちも、実施された段階で、政府税調答申の中にあるような所得、消費、資産等に対する課税の間で均衡を図るというふうなことになるのかどうか、ひとつ注意深く見守ってまいりたいと思います。また、そうなることを期待もしておるところです。
 次の問題は、今回このように地価税を新しくつくったというのは、土地税制というものが税制全体の中の特に資産課税との関係での均衡とかいう問題はあるにしても、やはり地価高騰ということはかかわってこれが非常に重要視された、国民も期待したということだと思うんです。そこで、地価高騰と金融の役割について若干お伺いをしておきます。
 今回の地価高騰は、これはもう今さら繰り返すまでもありませんが、大都市圏を中心とする中曽根総理時代の民活が火元になった、そしてそれが全国的に波及していった結果であるということは、もう大体の合意のできるところであります。しかしなぜそうなったかというと、やっぱり金融の支えがあったからだと思います。すなわち、金融の超緩和状況と、きつい言い方ですが金融機関の無節操で反倫理的行動、あるいは反社会的行動というものが支えたのではないかというふうに見ております。日本銀行としてこうした問題の反省も行っておられますが、一体どのような反省をし、地価税がこうした背景の中で新設されようとしている状況に対応して、地価高騰を抑えていくんじゃなくて地価を適正なものにしていくことについて、今後金融面でどのような役割を果たそうとされているのか、お伺いしたいと思います。
#26
○参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。
 過去数年の期間におきます地価の高騰の原因といたしまして、ただいま委員御指摘のとおり金融面にもその一因が存するという点につきまして、私どももこれを否定するものではございません。
 昭和六十一年の一月から六十二年の二月にかけまして五回にわたって公定歩合引き下げ措置が行われ、金融が相当緩和されたわけでございますけれども、これは改めて申し上げるまでもなく、当時の急速な円高進行を背景にいたしまして経済活動が全般に非常に停滞するという状況のもとで、物価の安定確保を大前提としながら我が国の経済をいち早く立ち直らせる、それと同時に、内需中心型経済への構造転換を進める、そういうことを目的としてとられた政策措置でございました。こうした金融面からの措置は、その当時原油価格の低下という条件にも恵まれまして相応の効果を上げたということは確かでございます。ただ、こうした金融緩和政策が残念ながらその副作用として地価の大幅上昇をもたらしたその一因となったことは、冒頭に申しましたとおり否めないわけでございます。
 もとよりこうした今回の地価の上昇は、金融緩和のみが原因であるわけではなくて、いろいろな他の要因、首都圏への経済機能の集中などを背景とした実需の増加であるとか、根強い土地神話の存在であるとか、さらには土地関連の税制、法制、各種の規制等のあり方等とも相まって生じたものと考えられるわけでございます。しかし、今ほども申し上げましたとおり、私どものとりました金融緩和政策が地価高騰の一因をなしたことも否定し得ない事実でございまして、こうした点につきましては、今後の金融政策のあり方を考えていく上での重要な反省材料にしたいと考えているところでございます。
 そこで、御質問にございました金融面における今後の対応姿勢いかんという点でございますが、私どもとしてはこの点について、大体以下のようなことを基本に据えつつ、引き続き適切な対応を欠かせないと考えているところでございます。
 第一に、マクロ経済政策としての金融政策に関しましては、少なくとも地価の高騰を助長することのないように慎重な運営が求められているという強い認識を有しております。申すまでもなく、金融政策は景気、物価、為替相場あるいは金融諸情勢等を総合判断の上に立って運営されるものでございまして、地価対策のみを目的としたものでないことは申すまでもないわけでございますが、一昨年五月以降の五回にわたる公定歩合引き上げ措置の決定に際しましては、そうした総合判断の一環として地価の上昇とそれがもたらす弊害といった点をも十分念頭に入れて運営してきたわけでございます。私どもといたしましては、今後ともそうした方向で適切な金融政策運営に努めていく所存でございます。
 それから、ただいま委員から御指摘がございましたとおり、金融機関の不動産関連融資の問題もございます。この点につきましては、これまでも金融機関の行動がもたらす経済的、社会的影響の広さあるいは大きさという点にかんがみまして、かりそめにも投機的な土地取引を助長することのないように、また金融機関貸し出しの健全性を損なうことがないようにいろいろな機会をとらえて慎重にウオッチし、かつ金融機関サイドにおいて慎重かつ適切な対応がとられるよう求めてきたところでございますが、引き続きこうした面での指導に遺漏なきよう万全を期してまいりたいと考えております。
#27
○本岡昭次君 いろいろと日本銀行の理事の方に質問したいことがあるんですが、若干ほかにありますので、また改めて機会を見て質問させていただきたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。
 そこで、大臣に伺っていきたいんですが、日本の経済構造というものが土地というものに非常に大きなウエートをかけており、また国民個々人も、土地神話というふうなものがあって、土地さえ持っておれば安心だというふうなことがあるんですね。
 それで、それをアメリカと日本とをちょっと比べてみますと、日本の国土面積は御存じのようにアメリカの二十五分の一、日本の土地資産額はアメリカと比較すると一九七〇年では百六十三兆円と二百八兆円で、ほぼ同程度であったわけです。ところが、一九八八年になりますと、日本が千八百四十二兆円、アメリカが四百四十五兆円で、日本の方がアメリカの四・一倍というふうに変わっていくわけです。これは国土全体ですが、今度は家計資産に占める土地資産割合というふうなものの統計で見ますと、一九七五年と一九八八年で比較すると、アメリカは二一・三%であったのが一九・九%というふうに下がっている。それに対して日本は、四七・七%から五三・三%というふうに家計における土地資産の資産構成が上がっていく。
 こういうことであって、これは結局、土地中心の経済構造、国民の土地神話を具体的に物語っている統計上の計数であると思いますが、こういうものをずっと続けていくということになれば、税制が少々どうであれ金融がどうであれ、なかなか土地の高騰というものもなくならないし、土地、それは住宅に結びつくんですが、そうした問題の国民の期待というものになかなかこたえられないと思うんです。大蔵大臣はこうした状況をどういうふうに思われますか。
#28
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、日本の土地資産額、またアメリカの土地資産額、こうしたものについて数字を挙げて御質問いただいたわけであります。その数字自体は私は否定をいたすつもりはございません。
 結局、このことの背景には、確かにいわゆる土地神話などの存在によりまして我が国の地価が全体として土地本来の利用価値をかなり上回る水準で形成されているということが考えられるわけでありますが、アメリカとの比較をいたします場合には、日本は人口や経済活動水準に比して国土面積、殊に可住面積が狭隘である、土地の希少性を初めとして土地に関する需給関係をめぐる諸要因というものが全くアメリカとは異なるといった事情も考えなければならないと思います。
 しかし、いずれにいたしましても、土地問題の解決ということを考えます場合、土地神話というものをいかにして破壊するかということが一番重要であると我々も思います。
 本年一月の二十五日に、土地基本法を踏まえまして内閣として総合土地対策推進要綱を閣議決定いたしまして、土地神話の打破と適正地価水準の実現等を目標とする今後の土地政策の基本方針を取りまとめたわけでありますが、その中に、土地税制、また金融機関の土地関連融資の問題など、当省関連の施策も定められておりまして、我々はこれらの施策を円滑かつ着実に実施していくことをもって土地神話を破壊し、これが土地問題の解決に資する、そのように考えて努力をしていきたいと思っております。
#29
○本岡昭次君 そうした国民の土地神話に支えられて地価上昇というものがずっとあったわけで、私なんかもわずか八十坪、二百四十平米程度の土地の上に自分の家を建てておっても、一体私のこの住んでおるところの土地は何ぼになったんだろう、隣のあそこはこうなったとか、そういう話題というものを絶えず我々はしているわけで、そして財産がふえたかのような錯覚に陥って、本当に貧しいサラリーマンの人たちもみんなそういう思いで暮らしていると思うんです。
 しかし、最近はそうしたことの一定の反省等もあって地価上昇はとまって、大阪なんかは下がっているという統計もあるようですが、しかし、それは上昇がとまったのであって、下がっているわけではない。依然として高いところに安定をして、そして平均的サラリーマンの手の届かないところにあるわけですね。それは結局、土地が最も有利な資産であるという構造が変わっていないというところからくると思うんです。だから、しばらく我慢しておればまた金融が緩和されて地価は上がる、辛抱しておろう、不動産業者もそういうふうに考えているのじゃないかと思います。
 そこで、私は、今の問題の中でノンバンクのことをやはり問題にせざるを得ぬと思うんです。銀行からノンバンク、そして不動産業界というふうに迂回融資があるわけで、結局、それをどう規制するかという問題も見過ごすことができない、こういうふうに思います。
 過去四番目の大型倒産として二千五百五十億円の負債を抱えて静岡にある静信リースがノンバンク最初の倒産となった、こういうことですが、何かノンバンクというのは、大蔵省からいただいた資料によると、大手ノンバンク百九十六社で平成二年九月末の不動産向け貸付金が二十兆円で、それが全国銀行の四八%にも相当するというふうなことであるようです。そして、最近の大型倒産の資金供給状況を見ると、ある倒産したところなんかは一千百億円の負債を抱えてその一〇〇%がノンバンクから資金の供給を受けていたとか、千七百億の負債を抱えたところは九九%のノンバンクからの資金供給を受けていたとか、こんな実例を見るんですね。
 そこで、倒産がふえていくから、これは大変だということでもって金融緩和に乗り出すとかいうふうなことがあってはならないわけで、ノンバンクにはきついかもしれませんが、ノンバンクから借りているところとかいろんなところが非常に厳しい状態になっても、やはり不動産への融資規制というものは今ある総量規制というふうなものを土地の価格が低下するまで持続させていく、そこへ土地税制も保有していることにコストがかかるぞというふうな形でいかなければいけないんじゃないか、そう思うんですが、大蔵大臣の考えを聞かせていただきたいと思います。
#30
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から具体例を挙げながら御質問をいただきました。
 ただ、私自身も実は意外だったんですが、ノンバンクではなくて、全国の銀行で調べてみますと、不動産向け貸出残高の総貸し出しに占める割合が実は一割程度であります。また、同じく不動産担保融資の割合がここに来て多少上昇しつつありまして約二五%でありますが、昭和五十年時点で約三〇%ありましたのに比べますと、企業の信用度の高まりなどに伴って実はむしろ低下しておるという数字が出ております。ところが、アメリカの商業銀行の非金融機関向け貸し出しの中で不動産関連貸し出しが占めております割合は三九・五%、約四割もあります。こういうことを考えますと、日本が必ずしも土地神話全盛ではないという数字も実は存在するわけであります。
 しかし、私どもとしては土地神話というものは非常に根強いと考えておりますし、資金が土地に向かいやすい状況にあることは間違いありません。それだけに、今回の地価高騰の中でも金融がある程度の役割を果たしたということは、残念ながら否定することができないわけであります。こうした中で総量規制を導入して今日まで参ったわけでありますが、金融全般の引き締まり基調なども相まってようやくその効果が着実に浸透しつつある、そのように私どもは理解をいたしております。
 さまざまな声が私どものところにも入ってまいりますけれども、私ども大蔵省としては、金融機関の業務運営について引き続き厳正な指導に努めてまいりますと同時に、土地関連融資というものにつきまして先般閣議決定をいたしました総合土地政策推進要綱に沿って適切に対応してまいりたい、そのように考えておるところであります。税制あるいは土地利用計画などを含みます総合的な計画の推進によって土地というものの資産としての有利性を縮減することは、将来において再び金融が地価高騰の原因と言われるような御批判を受けることのないような、そういう状態をつくるためにも必要なことだと私は理解をいたしております。
#31
○本岡昭次君 新聞によりますと、大蔵省は総量規制問題について、今やっているのを解除しても、再びそういう地価が上昇するような状況が起こったら機動的にそれをすぐ適用できるような新しいシステムをつくる、そういうようなことが報道されています。私もそれは必要だという立場ですが、そういう考え方があるのかどうか、ちょっと聞いておきたいと思います。
#32
○政府委員(土田正顕君) いわゆる土地関連融資についての総量規制を昨年の四月以来行っておるわけでございますが、それはかなり効果が上がっておると思います。
 ただ、この総量規制というのはいわば恒久的に行うべき制度ではございませんので、いつかは解除するときも来るかと思うのでございますが、その場合において特に留意すべき事項といたしまして、ことしの一月に閣議決定されました総合土地政策推進要綱の中にも「今後において、総量規制が実施されていない間においても、金融機関の業種別融資状況をみながら、土地関連融資が急増し、地価高騰の恐れが生じた場合に、総量規制がタイミングを逸することなく効果的に発動される仕組みを創設する。」という方針がうたわれておるわけでございます。そのような仕組みとしてどのようなものが考えられるか、まだ当面総量規制を解除すべき段階にあるとは判断しておりませんけれども、今後の問題として研究してまいりたいと思っております。
#33
○本岡昭次君 それでは、自治省にもおいでいただいておるので、自治省にちょっと伺います。
 それは、自治省の地価税に対する評価の問題です。当初、固定資産税というようなものがあるんだからそれを国税としてやると屋上屋を重ねるようなことになるとか、固定資産税の評価がえが難しくなるとか、そういうことでいろいろと反対の議論もあったようですが、ここへ来て固定資産税の評価額の引き上げとか路線価の公開、こうしたことについて同意もされているようですが、その評価について伺っておきたいと思います。
#34
○説明員(堤新二郎君) お答えいたします。
 地価税の導入に至る土地保有課税のあり方の検討の過程におきまして、さまざまな意見あるいは考え方が政府の税制調査会などの場において述べられたことは事実でございますけれども、私ども固定資産税を預っておる立場から申し上げますと、固定資産税の土地の評価あるいは今述べられました路線価の公開などにつきましては、既に昭和六十三年に閣議決定をいただいております総合土地対策要綱などにおきましても、その評価の均衡化、適正化を推進すること、あるいは路線価の公開に努めるというふうに述べられておるわけでございまして、私どもはこれらの対策要綱などを踏まえまして、その均衡化、適正化あるいは路線価の公開などにも努めておるところでございます。
 そこで、地価税に対するお尋ねでございますけれども、地価税は土地の資産としての有利性を政策的に縮減する観点から国税として創設しようとするものと理解をいたしておりますし、一方、固定資産税は資産の保有とその所在する市町村の行政サービスとの受益関係に着目して広く土地保有一般に対しまして毎年経常的に課される税でございます。このように、地価税と固定資産税はその税の趣旨、性格などを異にしておりまして、また地価税の課税対象範囲は固定資産税に比べまして大幅に限定されていることなどから、地価税の創設が固定資産税の今後のあり方に影響を及ぼすことはないものというふうに考えておるわけでございます。
 また地価税のあり方につきましては、少なくとも五年ごとに保有税の基本である固定資産税の評価の適正化等を勘案しつつ土地保有に対する税負担全体の状況等を踏まえて検討するものとされておりまして、必要のあると認めるときは地価税の課税対象及び税率等につきまして所要の措置を講ずるものとされておるわけでございます。したがいまして、固定資産税につきましては、今後とも土地の評価の均衡化、適正化を推進することといたしておりますし、地価税の創設によりましてその運営に支障が生ずるものではないというふうに考えておるところでございます。
#35
○本岡昭次君 もう時間がありませんが、質問が残っておりますので、ちょっと飛ばします。
 私は社会党の一員としてこの地価税に賛成の立場で審議に臨んでいるわけです。しかし、これは私だけでなくて政府税調等も言っておりますが、税率が当初一%とかあるいは悪くても〇・五%、自民党税調の塩川さんも〇・五%ぐらいならばと、議論の中でいろいろ議論してきたのが〇・三%になってしまったというこの問題、それから、非課税範囲が大きくなり過ぎたんではないか、あるいは本当にこれで地価下落の効果というふうなものがあるのかどうかというふうなことに対していろんな疑問点が出されているという点など、中身については不満がいっぱいあるわけであります。
 しかし、こうした私の気持ちは大蔵省自体も持っているだろうと思うんです。それは、早々と法律案の附則八条に検討規定というふうなものがあって、固定資産の土地の評価の適正化の状況とか土地の保有に関する税負担全体の状況、地価の動向、こういうふうなものに具体的な動きがあれば五年後に検討しますという見直し規定というようなものをみずから入れて、今後の状況に対応しようというふうにしていることを見てもわかるわけです。
 そこで、細かい点は後ほど私どもの委員の方から質問があると思いますので、私は細かい点に入るのは控えますが、大蔵大臣、結局我々は、中身は不満であっても地価税を創設することが今いろんな意味合いにおいて重要であろう、政策的意味を持つであろうということで賛成しているわけでありまして、具体的な中身について検討規定にあるような諸問題というものが起これば五年とか、何か衆議院の附帯決議には三年とかいうようなことが出ているようでありますが、私の言葉で言うならば、そういう状況があれば直ちに大蔵省として見直しの検討に入って、そして直近の国会にそれをかけて、今言いました検討事項の三つの諸点について対応する、そのぐらいの決意を聞かしておいていただかなければ、賛成の立場に立った私たちとしてははっきり言いまして大変つらいんです。
 やっぱりそういうものを前提として私たちも合意をしていっているんで、ひとつ大蔵大臣のこの見直しへの決意を伺って私からの質問は終わりますが、具体的には後ほど二人の委員の方からやってくれると思いますので、よろしくお願いします。
#36
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今後の地価税の負担のあり方につきましては、委員が御指摘になりましたように地価税法案の中で見直し規定を置きまして、少なくとも五年ごとに固定資産税評価の適正化の状況あるいは地価動向を勘案しつつ土地の保有に対する税負担全体の状況などを踏まえて検討する旨の規定を設けております。この検討に関連しまして五年という年数について衆議院でもいろいろな御論議をいただきました。
 私どもがこれを考えましたのは、一つは平成四年に導入されましてその後の実施状況を見きわめる必要があること、固定資産税評価の適正化が平成六年度の評価がえから三年ごとに実施されること、また地価の中期的な動向を見きわめる必要があるといったことから、五年という時期を一つの目安として、少なくとも五年ごとに見直すという考え方を打ち出したわけであります。ただ、少なくとも五年ごとでありますから、地価の高騰など見直しの緊急性が認められるような場合にはその五年という文字にとらわれるつもりは全くございません。機動的、弾力的にその見直しを行っていく必要があると考えておりまして、衆議院でも同様の御答弁を申し上げました。
 本院におきましても、冒頭の御質問に際しましてその考え方を正確に申し述べたいと存じます。私どもは必要があるときはいつでも機動的、弾力的に見直していくつもりであります。
#37
○前畑幸子君 今回また消費税に続いて地価税という一律に公平にという土地に対する税が導入されるわけですけれども、これは土地保有の有無による経済力の格差とか土地への投機、あるいは地価の抑制、住宅地の供給などを税制から対策を求めようとすることから始まったと思います。しかし、当初の案からは、今もお答えにあったように、大変後退してしまったという感がいたします。それでも少しは目的に沿って今後変わっていくと思いますけれども、実際に導入によって私たちの思っている目的というものはこの一、二年で達成されていくと思われますか。税制だけで地価が下がるということは私もないと思いますけれども、既に少なくとも上昇の歯どめになっている気はいたします。その辺、大蔵大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#38
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から税制調査会の答申に比して後退しているというような御指摘がございましたが、私は後退しておるとは考えておりません。御承知のように、税制調査会は答申の中に数字を示しておられるわけではございません。私どもは、この土地税制のあり方についての基本答申が述べておりますように、土地基本法に示した土地の公共的な性格を踏まえて土地に対する適正公平な税負担を確保する観点、また、土地問題の深刻さをもたらしている土地は有利な資産であるという認識を改めるため、土地の保有コストを引き上げることにより土地の資産としての有利性を縮減するという観点から、地価税として資産価値に応じた保有コストを求めるという考え方をとったわけでございます。
 私どもとしては、今回の地価税の創設を含みます土地税制改正全体が他の施策と相まって効果を発揮すると考えておるわけでありまして、地価税の創設のみによって地価が低下するということは、私は申し上げておりません。むしろ、本岡委員にもお答え申し上げましたように、私は地価対策としては、本来、都市計画また土地利用計画といったものがあって、それの上に各種の施策が置かれるべきものだと考えております。土地基本法が生まれましてようやくその土台ができたわけでありまして、今回、地価税を含む土地税制の新しい姿がその上に役立つものであることを私は信じております。
#39
○前畑幸子君 税制調査会基本答申のポイントには、土地全部の基本的な問題として、土地保有税の創設、そして固定資産税の見直し、譲渡所得税の強化、相続税の強化、それから農地課税の特例措置の是正など、増税項目がずっとあるわけですけれども、税収をいかに土地政策に活用するかということがはっきりしていないような気がします。単に減税とか公共投資の財源にするという抽象的な言い方がされているわけですけれども、その辺をもう少し、きちっとした目的があったら教えていただきたいと思います。
#40
○国務大臣(橋本龍太郎君) この税制調査会の土地税制のあり方についての基本答申の中におきまして指摘をされておりますのは、「土地税制の見直しは、増収を目的とするものではない。」、むしろ土地保有税を創設する場合には「所得課税の減税を合わせて検討することが適当である。なお、新税の税収について、その一部は、土地対策等に資するという観点から、歳出を通じ国民生活に還元することが適当ではないかとの意見もあった。」とされております。
 また、平成三年度の税制改正に関する答申の中では、「基本答申に示した考え方に沿って、平成四年度の税制改正・予算編成時までに検討すべきである。」と提言をされております。
 また、今国会におきまして、本院を含め、今までさまざまな場面におきまして地価税につきましていろいろな御意見を私どもはちょうだいいたしてまいりました。そして、その地価税の税収の使途につきましてもさまざまなお考えが述べられております。
 私どもとしてはこの点について議論が深められることは非常に有益であると考えておりますし、政府として、基本答申、今回の三年度答申でいただきましたように、平成四年度の税制改正、予算編成時までに検討していくわけでありますが、その間に院においてちょうだいをしました御意見は私どもとしてはそのまま政府税制調査会にお届けをいたし、院における御論議というものを税制調査会そのものの参考にしていただきたい、そのように考えておりまして、使途について御論議が深められることを私どもも期待をいたしております。
#41
○前畑幸子君 政府税調の新土地税制改革答申の中の新土地保有税、つまり地価税ですけれども、この地価税が自民党税調の段階で腰砕けになってしまって、政府税調土地税制小委員長もコメントを出していらっしゃいました。地価税は持たざる者の視点から持てる人に応分の負担をしてもらおうということでつくったんだけれども、自民党税調の政治折衝の段階で企業を中心とする持てる側の反発に遭ってその声が届かないことになってしまった、切り札になり得ずに残念であったというコメントを出されているわけです。それでは大変私たち社会党の目的とするところと違ってくるわけなんです。
 税収としても当初の一兆円という推定から、そのうちにはこの地価税創設による税収は三千億から四千億というようなことになってしまいまして、一般財源として所得税法人税減税に充てるとおっしゃいますけれども、特定財源として地方を通じた土地対策とか社会資本の整備に充てるということも考えられてはどうか。お答えの中でそういう点がはっきりしないわけですけれども、この問題は平成四年度の税制改正、予算編成において検討するとおっしゃっていますけれども、私どもが賛成ということで国民に負担を求める新しい税制を創設する以上、使い方に対してもこの際法案としてきちっと明確にすべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
#42
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私どもは今固定した考え方を持たず、税制調査会が答申で示されましたように、四年度の予算編成、税制改正までに私どもの考え方をきちんと整理をしてまいりたいと考えております。そして、税制調査会からは基本答申の中で幾つかの指摘をちょうだいしておるわけであります。
 その使途につきましては、本院におきましても御党の議員の御質問を初めさまざまな方々から、税制調査会の基本答申にかかわりなく、こうあるべきという御意見をちょうだいしておるわけであります。そして私は、そういう論議が深められることを非常に歓迎もいたしておりますし、また有益であるとも考えております。そうした御意見の中から私どもは、我々が取捨選択をするのではなく、税制調査会にもそのままの御意見をお届けすることによって、私はその使途についても、今まで考えられていたより以上のものがあるならば積極的にそうしたものを考えていきたい、そうした姿勢で臨んでおるということを申し上げております。
#43
○前畑幸子君 国民の思っている意見を反映していただきたいと思います。
 地価税は基礎控除額が大変高くて非課税の範囲もかなり広くなっているわけです。それで、当初の納税義務者というのが五万人程度とお聞きしておりますけれども、法人の数とか個人ではどのぐらいの割合といいますか、おのおのの税収の見積もりは当初でどのぐらいに見込んでいられるんでしょうか。
#44
○政府委員(尾崎護君) 地価税につきましての論議の過程におきまして、資料の不足ということが随分問題になったわけでございます。私どもは非常に限られた統計資料、それから任意にお願いをいたしまして御提出いただいた各企業の資料等に基づきまして一定の推計をいたしまして、大体納税者数五万人程度というように予想をいたしているところでございますが、非常に大ざっぱな感じで、そのうち四万社ぐらいが法人、一万人弱ぐらいのところが個人かなというように思っております。これは今後さらにいろいろと検討をいたしまして内容を詰めていきたいというように考えております。特にこの地価税法案が法律として成立いたしますと、市町村の資料等も見せていただけることになりますので、それらによりまして努力をしてまいりたいというように考えております。
 それから、税収も三千億円から四千億円程度というように申し上げているわけでございますが、これは平成二年度におきます土地の価格でございますとか土地の利用状況を前提として推計をいたしているところでございます。したがいまして、今後の土地情報の収集あるいは土地の評価額の異動等によりましてこの見込み額もまた変わってくるところでございますので、これも平成四年度の税収見込みを立てますまでにできるだけ正確なものにするよう努力をしてまいりたいと考えております。
#45
○前畑幸子君 今国税庁から自治省の御協力が得られないという苦しいお言葉がありますけれども、こういう新税をつくる場合にはもう少し各省庁が最初から協力体制をもってやっていただきたいなと思います。固定資産税との兼ね合いがあっていろいろ足並みが乱れたということはわかりますけれども、そういうところが何か私たち国民としては納得ができないような気がいたします。
 また、この基礎控除の基準というのはどういうところから来たかということをお聞きしたいんですけれども、私の把握している範囲では二つの方法があるようです。第一は定額控除で、個人の場合一人当たりあるいは中小企業の場合は一法人当たり十五億円ということ、そしてその他の法人は十億円ということ、第二は面積基準による計算から来るもので、このいずれか多い金額を控除するということですけれども、この基準が最初からだんだん広くなり控除が上がってきたわけです。
 そうしましたら、面積基準で基礎控除をする場合に、相続でいきますと借地権という部分の問題も出てくると思いますし、それから相続税評価額で計算される場合には路線価方式というものが出てくると思いますけれども、そうした場合に、奥行きとか間口とか形状、それから二方路線だとか三方路線だとか袋路だとか、そうした評価額の軽減措置があると思いますけれども、こういうものが適用されるのかということ、それからまた利用区分からいきますと自用地なのか更地なのか貸し家建てつけ地なのかによる評価の減額の特例措置、こうしたものがこの地価税についても同様に認められるものなのか、お聞きしたいと思います。
#46
○政府委員(山口厚生君) お答え申し上げます。
 地価税におきましては、相続税の課税標準となっております相続税評価額を採用するということになっておるわけでございますけれども、委員御承知のように、相続税におきます土地の価額と申しますのは、相続税法の第二十二条の規定にありますとおり、相続により取得したときの時価により評価することになっているわけでございます。実務的には、先ほどおっしゃいましたように路線価方式または倍率方式によって評価することとなります。この路線価または倍率と申しますのは、あらかじめ定めた標準地につきまして、地価公示価格、売買実例価額、それから不動産鑑定士などの地価事情精通者の意見価格をもととして地価公示価格と同水準の価格を評定して、その価額の七〇%程度を目途として算定しておるわけでございます。
 ただいま委員御指摘になりました具体的な算定方法に当たって、その土地というものが例えば二方が路線に面しているのかあるいは三方なのか、あるいは奥行きがどの程度であるか奥行き逓減の話とか、そういう加算減算あるいは修正の方法につきましては、相続税の財産の評価通達がございますので、現在これにのっとって行っております。
 それから更地かあるいは借地権が設定されておる土地であるのか、そういう利用形態の差異による的確な評価という点につきましても、先ほどの点と同様に相続税の評価方法に倣って算定することに相なるわけでございます。
#47
○前畑幸子君 ちょっと特殊な場合かと思いますけれども、ゴルフ場というのは山林評価がたくさんあると思います。これでいきますと岐阜の山奥なんかですと大変評価が低いですけれども、実際に取引される会員権というのは金額で見積もると大変な金額なんですけれども、このゴルフ場などの控除というのはどういう基準でとられるんでしょうか。
#48
○政府委員(山口厚生君) 今委員御指摘のようなゴルフ場でありますとか、ほかにも例えば遊園地とかレジャーランドとか、そういういろんなケースが想定されるわけでございます。こういう形態の土地というのはいわば特殊の形態でございますけれども、現在の評価の方法と申しますのは、例えばゴルフ場等の用に供する土地の価格というのは、その土地を課税時期において有償で取得した場合に見込まれる取得価格をもととしまして、そのゴルフ場等の位置であるとかあるいは利用状況であるとかそういう諸条件を考慮して評価した価格によることとしております。
 この場合、通常、課税時期において有償取得した場合に見込まれる取得価格を算出するということは実は容易ではないケースも多々あるわけでございまして、そういう場合には、特にこの地価税の導入に当たりましては近隣の路線価等も考慮して適正な評価を行うことができるように検討してまいりたいと思っております。
#49
○前畑幸子君 わかりました。
 大きい法人の場合は十億、ほかは全部十五億という基礎控除があるわけです。しかし、例えば一つの税が入りますとその抜け道を考えるのが人間の常だと思うんですけれども、会社を分割することによって基礎控除が二倍使えるということになるわけですね。一個人当たり、一法人当たりについてそれぞれ基礎控除があるわけですから、定額控除をとるならば二倍使えるということになる。そうなりますと、法人が土地を現物出資などをしてその子会社をつくるとか、それから個人の場合ですと法人をつくることによってそこに借地権をつけておのおのに基礎控除を受けて節税を図るというような、こういうことも考えられるわけなんです。そうすると、今算定されている企業数の控除が倍ずつになってしまうわけなんですけれども、そういうことはお考えになっていますでしょうか。
#50
○政府委員(尾崎護君) いろいろのケースがあり得ると思うわけでございますけれども、自分が持っております土地を他の法人に譲り渡したりあるいは借地権を設定したりということをいたしますと、そこで譲渡益課税が生じるわけでございます。土地の含みが現実化してあらわれてくるわけでございますからそこで課税が行われますし、また当然のことながら登録免許税の支払いなども要るということになりますので、相当の税負担を生ずることになります。そう考えますと、そう安易に租税回避行為のために譲り渡すというようなことはできないのではないかというように考えます。
 ただ、御指摘のとおり現物出資によりまして新たに法人を設立するということが一つ考えられるわけでございますけれども、御承知のとおり出資比率九五%以上の法人につきまして特定の現物出資の特例措置というのがございまして、それにより取得した有価証券、株などの圧縮記帳によりまして損金算入をするという制度が現在あるわけでございますが、その制度につきまして、先般の租税特別措置法の改正によりまして、出資比率要件であります九五%以上が五年以上継続しなくてはいけないということとか、あるいは新たに出資されてつくられる法人の事業が出資法人によりその土地で行われていた事業の全部または一部に限るというようなこと、そういうことで非常にその範囲を狭く限定してしまいまして、租税回避のために安易にそういう現物出資ができないようなことにしてございます。
 それから課税の繰り延べ割合も、従来はすべて繰り延べることができたわけでございますが、八〇%に限定いたしまして二〇%は少なくも課税をするというような措置も講じております。
 そのような配慮もいたしておりますし、先ほど申しましたように借地権を設定したりいたしますと、そこでいわば価値が実現してくるわけでございますので課税が行われるというようなことから、実際にはそのような租税回避行為というのはほとんど行われないのではないかなというように考えております。
#51
○前畑幸子君 子会社に土地を渡すというのは昔から持っていた土地の場合は大変不利になるということは私もわかりますけれども、同族会社の場合の借地権をつけるという問題は、これから十年後を見通した場合にはまんざらだめな場合ばかりではないような気がいたしますし、考えられる方も多いような気がいたします。ありがとうございました。
 それから、今度の地価税というのは、同じような土地持ちの企業でも地価税の負担が大きい負担になる企業と少ない企業とがあると思います。
 日経の新聞にも載っておりましたけれども、日産とトヨタが比較されているわけです。それで、宅地供給という土地税制改革そのものの目的に沿うならば新税は低・未利用地への課税に限るべきだと日産の社長がおっしゃっているということなんですけれども、それも一理あるのではないかなという気がいたします。基礎控除の計算方法とか非課税土地の範囲の拡大によりましてむしろ郊外の山林とか原野とか雑種地などは課税対象からほとんど外れるわけでして、評価の低いところにたくさんの土地を持っていられるトヨタにとっては有利になり、都市部に土地をたくさん持っていられる日産の場合には非課税とか控除の恩恵が受けられないということで、そこに同じ企業でも郊外型が有利になって都市型が不利になる。
 それからもう一つ、銀行、生保、デパート・スーパー、この三つが大変都市の中心に土地をたくさん持っているわけで不利になるということのようです。銀行とか生保の場合はそれなりに収益を上げているわけですけれども、デパートとかスーパーの場合は物品販売がほとんどですので、そうした吸収すべきコストアップ分に差が出てくるのではないかな、そうすると私たちが買う物にそれが反映されてくるんではないかなというような気がいたしますが、その辺はどうでしょうか。
#52
○政府委員(尾崎護君) 日産、トヨタの例を挙げられましたが、確かに今度の地価税によりまして、同じ業種の中でも税負担が変わってくるということが立地条件によってあることは御指摘のとおりでございます。
 しかし、地価税の目的というものを考えてみますと、土地の資産価値を基準として課税することによりまして土地は有利な資産であるというそういう世間の認識を改めていくというところに趣旨があるわけでございます。土地の資産としての有利性を縮減していくという点からいいますと、土地の資産価値に応じて課税をしていくことが必要でございますから、高い土地を持っておられる方に税負担が重くなるということはやむを得ないこととお考えいただきたいと存じます。ぜひ御理解をいただきたいと存じます。また、そうすることによりまして、むしろ地方分散といいますか、土地の安いところで事業を行うことの有利性ということも出てくるわけでございまして、それは土地政策としても好ましいことであろうかというように存ずる次第でございます。
 それからデパート、銀行等を例に挙げられましたが、確かにそのような業種は目抜きの場所にございますので、土地の面積に比しまして高い地価税を払っていただくというような結果になることも御指摘のとおりでございます。しかしながら、今回の土地問題はそもそも都心の土地の高騰から始まったというように言われておりますように、そのように割合限られた範囲での高い地価になっているところがいわば象徴的に土地問題をあらわしているわけでございまして、そこに立地をしている企業に御負担がいくということも、これも御理解をいただかなくてはならないことであろうかと存じます。
 スーパーマーケット等につきましては、むしろかなり郊外立地型のものも多うございますから、デパートほど端的に税負担がふえるということもあるいはないのではないかという気がいたしますが、そのように、いわば表通り、目抜き通りというところを中心に今回の地価税が課税されるということになるわけでございます。
 一般的に地価の安いところまで含めまして広く薄く全体的に課税している税といたしましては現在固定資産税があるわけでございますが、それに加えましてこのような資産価値に応じて課税していくという新しい地価税を今回加えることによって土地の保有コストを引き上げまして、そして土地の有効利用、土地神話の打破というようなことを考えていきたいというのが趣旨でございます。
#53
○前畑幸子君 今おっしゃったように、長期的に眺めたときの効果としては地方分散、大都市集中から多極分散への効果は徐々にあらわれてくるのではないかなと思います。例えば新しく工場用地などを求めようとする場合に、地価の評価の安いところへ進出していくことによって企業が地方へ進出するわけですのでいいような気もいたしますけれども、その評価の安いところが監視区域になっておればいいんですけれども、なっていないところですとまたそこを地上げしてしまうんではないかなというような心配もいたします。しかし、長い目で長期的に見た場合には、大都市から多極分散するということで効果があらわれてくるのではないかなという気もいたします。
 少し話が変わるんですけれども、法人が土地を買った場合に四年間金利は利益加算をしなきゃいけないということですが、今、大企業は人手不足で、人手の確保、定着を強調して、社宅を立派につくるとかレクリエーション施設をつくるというそうした建設ブームが非常に起こっているわけなんです。
 これを見ますと、私ども中小企業とつき合っている者から見ますと、また大企業と中小企業に働く社員の間に非常に格差が出てくる。そしてまた、正社員とパートとか派遣社員の間にも格差が出てくる。大企業に働いている人は受け取る給与のほかに、大きい社宅に相場の五分の一ぐらいの家賃で入れるとか、そしてまたプールがあったりテニスコートがあったりサウナつきのふろがあったりという大変立派な施設に入るわけなんです。法定外福利厚生費の課税が非常に緩められて今そういうことに対して企業がお金をつぎ込みつつあるんですけれども、この辺に対してどうお考えでしょうか。
#54
○政府委員(尾崎護君) 社宅の扱いをどうするのかというのは、この地価税の議論の際にも実は相当の議論になりました。結果的には、住宅の供給がそこに行われるということを重く見まして、ほかの借家と同様の扱いにしようということで社宅の部分を非課税の対象といたしました。ただし、法人の役員の社宅のようなものは非課税としないという措置を講じたわけでございます。
 結果として、大企業が社宅用の土地を取得して、さらに厚生施設等を充実して、中小企業等との格差を生ずるのではないかという御疑問であろうかと存じますが、一方で法人税の問題といたしまして、福利厚生費等の扱いをどうするのか、フリンジベネフィットみたいな話になってくるわけでございますが、その扱いをどうするのかというのは法人税の問題として一つの検討すべき点であろうというようには考えております。しかし、地価税の問題といたしましては、そこはむしろ住宅の供給であるということで他の一般の借家と同様の扱いに今回いたしたわけでございます。
 ただ、御承知のとおり、法人税につきましても土地譲渡益の部分につきましてはさらに一般の場合でも一〇%の追加課税を行うというようなことも他方でいたしておりますので、そこは御理解を賜りたいと存じます。
#55
○前畑幸子君 私は中小零細企業ばっかり見ているわけですので、ひがむわけじゃないんですけれども、今青色申告者でも、女房が一生懸命朝から晩まで働いて青色専従者給与を取る場合に、あなたがよその企業へ働きに行ったら二十万ももらえぬでしょう、十五万もらえるのがせいぜいじゃないか、三十万もらっていたらとんでもないという否認を受けているんです。それから個人同族会社の役員になっていましても、女房が経理をしいろいろしていて三十万取っていた場合に、あなたがよそに働きに行ったら二十万がいいところじゃないかという否認を受けている。
 そういう現状の中で、大企業だけができるとは言いませんけれども、福利厚生施設の建設費、支払い利息も管理費として損金算入が認められ、法人税の節税対策になる。これは企業にとっては大変有利な投資政策となるような気がいたします。十年か十五年使いまして壊せば後はどうやってもいいわけですね。そういう面も考えますと、これに関しても問題があるのではないか。未利用地に関しては支払い利息が受けられないわけですが、テニスコートをつくったり福利施設をつくることによって企業にとっては格好の施設ができるわけなんですね。
 要するに、こういう土地を有効利用してつくることに私は反対をしているのではなくて、一企業でこういうものをつくるのではなくて、地元の企業として地元とともに生きていく場合には、その市町村に対しても開かれた施設として使われるんだったらいいわけなんですけれども、私どもの見ている限り、従業員には何の恩典もないわけなんです。片や隣で、テニスコートで土曜日の朝からボールを打たれていると余りいい感じがしないものなんですね。やはりこういうところから少しずつ働く人たちの立場も公平にしていかなきゃいけないとなると、大企業だけができるというのでは、あるいは中小企業でもできるところはできるかもしれませんけれども、余りいい税制ではないのではないか。そういうふうに使った場合には、十年して売った場合にはどうなるのかということも含めて、今後の何か問題が残されているのではないかなというような気がいたしますが、いかがでしょうか。
#56
○政府委員(尾崎護君) テニスコートの例をお引きでございますが、地価税の議論をしております過程で、実は低・未利用地課税が望ましいのではないのかというような意見がかなりございました。そのときに、何が低・未利用地かということについて非常に難しい問題があるということから、また本来の課税の趣旨から言いまして、そのような特定のものをねらい撃ちするのではなくてすべてを対象にした上で、土地基本法の趣旨に沿って公共的なもの、公益的なものを外すとか、あるいは住居用のものを外すとか、あるいは一定の小さなもの、安い地価の部分を外すとか、そういうような仕組みにしていったわけでございます。
 基本的にそういう仕組みにいたしましたのは、まさにテニスコートのようなもの、あるいは大きな企業が持っておりますグラウンド、これは福利厚生施設として有効に利用されていて低・未利用地じゃないというような議論を避けるためにそのような仕組みにしたわけでございます。社宅の部分は確かに住居用地として非課税となりますが、グラウンドやテニスコートは地価税の課税対象となりますので、そこのところは誤解のないようにひとつよろしくお願いいたしたいと存じます。
#57
○前畑幸子君 わかりました。ありがとうございます。
 土地を保有するときにかかる税金にもう一つ固定資産税、都市計画税というものがありますけれども、これは土地や建物を保有することに対する税金、それから都市計画法による区域内の土地建物に特定の目的のために特定の地域で課税される税金であります。この固定資産税についても各自治体ごとに評価を決めているわけで、行政サービスに対する対価としての位置づけが強くとられているわけですが、地価税は国税として、土地自体の価値を保有していること、つまり目的がストックの価値に対する課税というとらえ方をしていいのではないか、そうした意味合いを持っているのではないかなと思うわけです。それならば、二重課税になる心配はないでしょうか。大蔵大臣のお考えを聞きたいと思います。
#58
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は二重課税という御指摘は当たらないと思います。もう委員がよく御承知のように、固定資産税の性格と今回地価税を創設いたしました目的、そしてそれに付与されました性格は全く違うわけであります。私は、両両相まって地価対策として十分な機能を果たすものと考えております。これが二重課税であるとは思っておりません。
#59
○前畑幸子君 固定資産税、都市計画税のほかにもう一つ事業所税というのが大きい企業のスーパーとかデパートにはかかっていると思いますけれども、これは建物を建てているところだけにかかると思います。こうしたものの負担割合が今後上昇していくという可能性もあるわけですけれども、そうしたときに地価税の意義がなくなるということはないでしょうか。
#60
○委員長(大河原太一郎君) 主税局長、事業所税等地方税との関係をまずあなたの方から答弁して、それで足らなかったら自治省の方から答弁してください。
#61
○政府委員(尾崎護君) ちょっと最後のところが聞き取れなかったものですから、申しわけありませんがもう一度……
#62
○前畑幸子君 固定資産税の負担割合が今後上昇していくと思います。そういう方向になるように私はとらえているんですけれども、そうした場合に地価税の意義というものがなくなることはないでしょうか。
#63
○政府委員(尾崎護君) 申しわけございませんでした。失礼いたしました。
 地価税の目的といたしますところは、土地という公共的な性格を有します資産の保有に対しまして、適正公平な税負担を確保しながら、あくまで土地の資産としての有利性を縮減するという観点から行われる課税でございまして、先ほど委員から御指摘ございましたように、固定資産税とはその趣旨を異にいたしますし、それから都市計画税でございますとか事業所税でございますとか、それぞれの持つ目的とまた違う意味を持っているわけでございますから、それらの税の負担が上がっていきましてそれによりまして、その目的が違うといいましても課税される人は同じだということがございますので、全体の負担がどうなるかという調整の問題は確かにあろうかと思います。
 そのようなことを考えまして今度の地価税の中には見直し規定も置かれていて、その見直しの一つの視点として今の問題があることも事実でございます。それはしかし、納税者の全体としての負担の問題でございまして、地価税の意義そのものがそれによって失われるということになるのかどうかといいますと、それはまた別の問題ではないかと思います。
 同じものに課税をしているという点におきましては、例えば私ども毎月の給料で所得税と住民税が引かれているわけでございますが、その全体としての負担から考えて所得税減税あるいは住民税減税というような話はございますけれども、それぞれの所得税なり住民税なりの意義が否定されないのとちょうど同じわけでございます。課税対象は同じであっても違う税でございますし持つ意味が違うわけでございますから、全体の負担の問題と個々の税の意義とはまた違うものであろうというように考えております。
#64
○前畑幸子君 自治省の方にお聞きすればよかったんですが、どうも済みませんでした。
 そうしたら、自治省の方にちょっとお聞きしたいんですが、私たちが知っているのに既に施行されている法律で特別土地保有税というのがありますね。これは大規模な土地を取得したときにかかる税金だと思います。これは五十七年四月一日以後に市街化区域内で取得した土地について十年間かけるというものであると思います。これが平成四年に期限が到来するわけですが、今回の改正で、この土地をもし使っていない場合は永久にというか続いてかけていくというふうに私はとらえております。基本的に、何も使っていない土地を一定面積以上所有している場合にはずっと特別土地保有税というのがかかるわけだと思いますが、それでいいでしょうか。
#65
○説明員(堤新二郎君) 御指摘のとおりでございます。
#66
○前畑幸子君 そうしますと、その特別土地保有税の中に、もう一つ厳しい遊休地に対する特別課税というのが都市計画に決定された区域内の千平米以上の未使用土地に適用されるということがありますが、特別土地保有税とまたもう一つ別にかかるんでしょうか。
#67
○説明員(堤新二郎君) 平成三年度の税制改正におきまして、これはもう既に地方税法は採決をいだいておるわけでございますけれども、特別土地保有税の抜本的な見直しを行いまして改正を行っております。その中で、御指摘のございました低・未利用地の有効利用を促進するために遊休地に対する特別土地保有税の強化を行っておるわけでございます。この課税対象は、委員から御指摘がございましたように都市計画決定をされました遊休土地転換利用促進地区の区域内にございます一千平方メートル以上の一団の土地でございまして、これに対しまして時価あるいは取得価額のいずれか高い額に対しまして一・四%の税率で課税をいたすことといたしておりますけれども、既にございます特別土地保有税との関係につきましては、遊休地に対する特別土地保有税の税額を計算いたしました上で、固定資産税、既存の特別土地保有税の税額を加えた額を控除することといたしております。
#68
○前畑幸子君 そうしますと、例えば時価が一番高いとしますと、時価に税率を掛けて、そこから固定資産税、特別土地保有税を引くということですね。ですけれども、納めるところは一緒ですから、遊休地の特別課税だけを納めれば特別土地保有税も固定資産税も全部納まったことになるんではないんでしょうか。
#69
○説明員(堤新二郎君) 御指摘のとおりでございます。
#70
○前畑幸子君 そうしますと、これと地価税とは重複しませんでしょうか。
#71
○政府委員(尾崎護君) 地価税は国税でございまして、まさに御指摘のとおり同じ市町村の中での調整とはまた違う話でございますので、地価税と固定資産税等との調整は行われません。
#72
○前畑幸子君 そうしますと、要するに未利用の遊休地というものは大変な税負担がかかってくるように思われますので、最初から言っていました基礎控除的なものを抜きにして、市町村に対しても大変な税の負担をしなければならないようになってくるわけで、私たちにとっては土地がここで吐き出されてくるのを期待するわけです。安く入るようにするには、もう既にある程度の手の届かない基準に上がってしまっているものに対しては、残念ですけれども、地方都市とか、その都市計画に決定されている区域というのがどこか私ちょっと今わかりませんのであれですが、そういうところでどんどん値打ちな土地が放出されてくるのを期待するということを願いたいと思います。
 もう時間もありませんけれども、先日の十一日の新聞にサンフランシスコで、民有地を市の働きかけに応じて民間の開発会社が再開発計画をまとめたというときに、住民は生活の質を求めてビル建設や都市再開発に厳しい姿勢をとって、百時間を超す公聴会をして、どういうふうにこの土地を利用していこうか、都市計画をしていこうかということを論戦しているということでございます。しかし、我が国では土地政策、土地税制に対しては余り国民を巻き込んだ論戦というものはなされずにいるわけなんですけれども、「わが国ではまだ暮らしより都市成長が重視され、改善を求める住民の声もなかなか届かない。」と最後に締めてありますけれども、これからもっともっとこうした遊休地、未利用地というものを行政と国とが手を取り合って私たち国民が手の届くところに持っていっていただくように、大蔵省を初めとした自治省、国土庁の努力をお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#73
○委員長(大河原太一郎君) 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#74
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#75
○村田誠醇君 私はまず最初に大蔵大臣にお伺いをしたいんですが、たしか大臣は前に、土地税制というのは政策の補完をすることであって中心的に土地問題なりなんなりを解決する政策ではないというふうにおっしゃっておられました。その点については多分今も変わらないと思うんですけれども、審議の冒頭に当たりましてちょっとお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#76
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私の言い方が適切であるかどうか、御批判はあるいはあろうかと思います。しかし私は、本来土地政策というものの基本は都市計画であり、また土地利用計画であるべきだ、そういう気持ちを持っておりますことは決して否定をいたしません。
 例えば旧西独における都市計画というものは、さまざまな場合にその地域の開発そのものをも含めて地価の抑制効果を上げておることが報告されております。ジュッセルドルフで実際に仕事をされた方からお話を伺ってみましても、その都市計画の規制というのは非常にチェックがあり、いたずらに地価をつり上げることなどが非常に困難な状況になっておると聞いております。
 そうした意味では、私は、本来やはり土地についての国民の共通の理念の上に都市計画なり土地利用計画というものがある、そしてそれが効力を発揮する上に税あるいは金融、さまざまな手段が駆使されて地価の安定を図るのが最善の方法であると考えております。その意味では、土地基本法が生まれ、共通の理念が育った中で、今私どもとしては土地税制全体を地価の抑制に向けて改善するよう努力をしておるわけでありますから、基本的な考え方は委員の御指摘のとおりであります。
#77
○村田誠醇君 そこでお尋ねをしたいんですが、十九日の日に閣議で土地白書が提出、了承されたという報道がなされたわけですが、そのときに、政府が目標としている年収五倍程度の住宅を取得するには都心から約六十キロメートル以遠に土地を求めない限り取得できない、こういうことが言われているわけでございますし、現に早朝の新幹線を使って都心部へ通勤をする人がかなりふえていることが報道されておるわけです。静岡あるいは宇都宮、郡山の近くから東京都心部へ通ってくる、こういうことが現実的に行われているわけです。
 その際、私は質問したいんですが、これはどういうふうにそれぞれの立場あるいは行政の立場上、考え方なりとらえ方が違うという前提でお聞きをしたいんですけれども、大蔵省の方は新幹線通勤を含めて通勤費を一カ月五万円まで非課税の扱いをしているわけですね。ところが、社会保険の方の収入の考え方をとりますと、通勤費については現物給付というとらえ方をしておりまして、収入に算定している。それぞれの立場は多分あると思いますし、御説明をいただきたいんですけれども、まず第一に、それぞれの立場上、同じ手当がなぜ片っ方は非課税で片っ方は課税対象になるのか、それぞれのお立場を、制度上の違いでも結構でございますから、御説明をいただきたいと思います。
#78
○政府委員(尾崎護君) 所得税の方の考え方を申し上げますと、所得税法の第九条に非課税所得というのが列挙されておりまして、その中に通勤手当が掲げられているわけでございます。その性格からいいますと、通勤手当というのは基本的には生活上の通常の費用でございますし、また居住地の選択が一般的には勤労者の任意でございますから、そういう意味で考えますと本来課税対象に入っても不思議ではないものであろうかと思います。
 しかしながら、勤労者は雇用契約に基づきまして毎日職場に出勤しなければいけない、通勤費はそのための不可避的義務的なものとして、給与収入を得るための必要経費というような面もあるであろう。したがって、これを全額課税するというのも実情にそぐわないというように考えますし、また通勤手当を支給する企業におきましても約半数は実はその支給額の上限を設定しているというような現状でもありますので、現行制度におきましては、通勤手当のうち一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分に限り先ほど由しましたように所得税法上特に非課税としているというものでございます。
 それが委員御指摘のとおり現在五万円でございまして、平成元年におきまして従来の二万六千円から一挙に五万円に引き上げたという経緯を持っているものでございます。
#79
○説明員(堤修三君) 社会保険の関係でございますけれども、健康保険、厚生年金保険等の社会保険は、医療や老齢年金などの保険給付を行うことを目的といたしまして、それに必要な費用に充てるために保険料を徴収する、こういう制度でございます。そういうことからいたしますと、社会保険の保険料は直接対応する給付額のない税の場合とはやや趣が異なりまして、各被保険者の間にいかにうまく公平に保険料を賦課するかというのが最も重要な問題であるというふうに考えられるわけでございます。
 したがいまして、保険料の算定の基礎となります標準報酬につきましても、民間企業において労務の対価として支払われる賃金、給料、手当等さまざまな名目のものが出ておりますし、その支払い方式も極めて多種多様であるという実態を考慮をいたしますと、名目や支払い方法のいかんにかかわらず、労務の対価として支払われるものは一律に報酬として取り扱うこととする方が公平な保険料の賦課という考え方に沿うのではないかというふうに考えております。
#80
○村田誠醇君 そこで大臣にお伺いしたいんですけれども、それぞれの制度の趣旨からいけば、片っ方が非課税で片っ方が課税というのは理屈はわかるんです。ところが、それじゃ今度は国民の側から良好で安価な住宅を取得するという観点から見るときに、まさに土地白書が書いているように、都心部から六十キロ圏以遠に離れないとこれが取得できない。しかし、それには通勤費がかなり莫大にかかる。ところが、通勤費をもらいますと、その分が片っ方で所得になってしまって社会保険料がぽんとはね上がる。そうすると、住宅ローンが下がったといいましょうか、負担が年収の五倍までにそっちは下がるかもしれませんけれども、総合トータルから判断したときに、多分、社会保険料の増額をしてでも遠距離に行ける人というのはごく限られた人になってくるんじゃないかと思うんです。
 土地政策というか住宅政策という観点から見たときには、この二つの制度を何らか調整する必要性があるんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはいかがでございますか。
#81
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうど私が運輸大臣当時、通勤手当の非課税控除額をふやしたいという要請をいたしまして、現在の主税局長と違いまして当時の主税局長は大変頑迷固陋でありまして、残念ながら失敗をした苦い思い出を持っております。その後鉄道について五万円に引き上げられましたときに、ある意味ではほっといたしました。と申しますのは、その時点で既に新幹線通勤というものが現実の問題になり、そうした事態に対応する必要性があると考えておったからであります。
 ただ同時に、今委員がお述べになりましたような社会保険の体系の中における通勤手当の取り扱いと税の上における取り扱いとは、私は本質的な問題の差があるという気持ちが率直にいたします。そして、今主税局長からも答弁申し上げましたように、通勤手当というものも本来的には所得というものでとらえてもおかしくない性格を持っているということは事実であります。ただ、毎日勤務地まで自分で出向いていって役務を提供することにより報酬を受けているというサラリーマンの性格からして、その必要な経費として考えるとき、ある程度までの非課税というものを考えたということは、それもまた社会政策、税務政策の上で一つの選択として間違っておるものではないと私は思います。
 一方、よくありますのが、通勤手当全額を非課税にしてはどうだという議論であります。しかし、これはそれぞれの企業の通勤手当に対する対応の違い、支給額にも差がありますこと、こうしたことを考えますと、別な不公平を生ずる、そういうことから一定の限度を設けておるわけでありまして、私は税制と社会保険の仕組みの違いというものは当然のことながら考慮の対象になるべきものだと思います。
 ただ、今委員が御提起になりましたような視点は、私は一つの考え方としてこれがうなずけないものではありません。しかし、それは税制あるいは社会保険の仕組みでこたえるべきことではなく、むしろ国土形成の上において、総合交通体系、さらに一極集中排除といった全体の施策の中において論ぜられるべきことではなかろうか、私はそのような受けとめをいたしております。
#82
○村田誠醇君 結論めいた話で、私も大体そういう考え方なんですけれども、私も実際に仕事をしてみて、あるいは自民党の先生方は会社を経営なさって多分わかると思いますけれども、源泉徴収の扱い方と社会保険の扱い方が違うために業務量が二倍かかるんですね。極端に言えば、社会保険料を入れて計算すべきところと外して計算するところ、帳面も二つつくらなきゃいけない。そういう意味においては、これは同じ扱いにしてもらう方が大変楽なんです。この部分の計算をするときにはこれは入る、これは抜くとか、実は中小企業にとっては非常に面倒くさい部分があります。
 全額控除をしろということじゃなくて、行政上の取り扱いを一本にしてほしいという意味も含めて、ぜひこれは大蔵大臣在任中に何とか調整をしていただきたい。それはそれぞれの論議があるでしょうから、別にどっちの方に調整しろということを私どもは言いませんが、何らかの統一的な対応をしていただきたい。つまり収入、給料というものに対する考え方を何とか統一をしていただきたい。
 それからもう一つ、地価高騰、地上げに絡んで大変象徴的に出てきているのが古い木造賃貸住宅を地上げ屋が買って追い出す、あるいは建てかえをすることに伴って家賃が引き上げられる、そうすると、そこに住んでいる人がまた同じところを借りようとすると家賃の負担にたえ切れない、このために出ていくということが起こっているわけでございます。そのときに東京都で、多分これは台東区が一番最初だと思うんですけれども、家賃の補助制度というのをつくっているわけです。これは別に台東区だけじゃなくして、本年度から各行政区で始まりまして、調べただけでも千代田、中央、目黒、墨田、文京、新宿、あるいは大阪等等で行われているわけでございます。
 そして、国の方においても本年度から公営住宅の建替促進に資する従前居住者の家賃対策補助制度の創設ということで、家賃の減額を行う地方自治体に対して助成をするという制度をつくられたわけですけれども、これは建設省と大蔵省の間で話し合われたと思うんです。まずこの目的について御説明をいただきたいと思います。
#83
○政府委員(藤井威君) お話にございました、ことしから創設いたします家賃対策補助制度、これは確かに建設省との間でお話をいたしましてつくらせていただいております。
 民間賃貸住宅の建てかえに当たりまして、家賃の激変等の理由で従前住んでおられた居住者の同意を得ることが非常に困難な事例もかなりある。したがって、そういうこともあって賃貸住宅の建てかえによる土地の利用更新というのがなかなか進まないというような事例もかなり見受けられるというような状況を踏まえてつくったものでございます。老朽化した木造賃貸住宅の円滑な建てかえを促進し、既成市街地における土地の有効高度利用による住宅供給及び居住水準、住環境水準の向上を図るため、従前居住者に対して建てかえ後の入居保障と家賃低減を行うということを家主が行った場合に、その家主に対して家賃低減額の一部を補助するという制度をつくらせていただいております。
#84
○村田誠醇君 これは対象になるのが高齢者あるいは年金生活者のような低所得の層、それからなかなか高家賃を払えない若年層、多分こういう人が対象になるのだろうと思うんですが、この制度を導入するときに税法との関係については大蔵省の中でどのような検討がなされたんでしょうか、御質問したいと思います。
#85
○政府委員(尾崎護君) 私どもの方は特別御相談にあずかっておりません。
#86
○村田誠醇君 これは、国は地方公共団体に助成するから別に問題はないんですが、地方公共団体が個人に助成をするということになると、現在の税法でいけば、収入が入ったという扱いになるはずなんです。そうすると、低所得者の人たちにその分だけ収入が入ると、現実的には確定申告を必要とする人あるいは生活保護水準ぎりぎりの人はそれを超えてしまうということが起こってきます。現に台東区では国税庁に見解をとったら、国税庁の職員は、名目のいかんを問わず補助行政、補助金、家賃の負担、個人に払うか所有者に払うか別として、人によっては確実に確定申告をしなければならない事例が出てきますということをちゃんと答弁しているんです。
 そうすると、地価の高騰でそこに住み続けられないから、ある意味においては人口の減少を防ぐために地方自治体が善政でもっていい政策として補助金を出して家賃の負担をしてあげているのに、税法上はいじめられるといいましょうか所得の課税の対象になるということになり、政策としてはちょっとちぐはぐだという印象を受けるんですが、この制度を導入するときに地方自治体に払うから別に所得だというふうに認定しなかったのかどうか。多分そうだと思うんですけれども、最終の人に行くときには税法の関係が出てくると思うんです。その辺についてはどういうふうな扱いになるんですか。
#87
○政府委員(尾崎護君) 委員から御指摘ございましたように、通常の収入、所得の一種となるわけでございます。
 今、地方公共団体が非常にいいことをしているのに対して課税が行われるというお話がございましたが、実は勤労者の方が一カ月の間汗水垂らして働いて給与をいただく、そこからも税金をいただいているわけでございまして、税金はいいこと悪いことということで課税を分けているわけではございません。したがいまして、税法上の所得となり得るかどうかということで決まるわけでございます。家賃というのは食費とか被服費と同じように典型的な生計費でありまして、我々は給与をもらって税金を払って残りを生計費に充てているわけでございますけれども、ちょうどそれと同じことになるわけでございます。支払い者が自治体であるかあるいは勤務先であるかを問いませんで、所得の一種でございますから、税法の基本的な考え方からいってこれは課税対象となってくるわけでございます。
#88
○村田誠醇君 何でこういうことを聞くかというと、毎年確定申告前に水田農業確立助成補助金の臨時特例というのを一年限りの議員立法で必ずやっているわけですね。あれもこういう臨時特例をしない限り所得、収入として加算されてしまうから、特例措置を講じて除外するということをやっているわけでしょう。国の助成金が出るものは名目のいかんを問わず個人の所得になるわけだから、それは地方自治体だって同じなんで、こういう施策をとるんであれば水田農業と同じように片っ方で所得から外してあげるとかいう措置をしておきませんと、もらった方が後から、申告しなかったから無申告加算税だとかあるいは課税追徴されるとか、そういうとんでもないことが起こってくるわけです。
 受け取っている方の人は多分大概の人がこれは知らないんですよね。助成してもらえるからということで申請しているんですね。自治体だって、あなたこれを受け取ったら場合によると課税の対象になりますよということは言っていないわけですからね。その点についてのPRなり対応策を片っ方でしておいていただかないと非常にまずい問題が起こると思うんですけれども、その辺は内部で何の論議もないんでしょうか、もう一度ちょっとお尋ねしたい。
#89
○政府委員(尾崎護君) 御指摘の農業関係の補助金につきましても、私どもは事業所得の一部であるというように考えております。ただ、議員立法によりまして毎年それを非課税とするという措置がとられていることは御承知のとおりでございます。
 それから、所得となるべき性格のものであるということを手当をお受けになる方によく知らせるべきだという後段のお話でございますが、それはそのとおりだと存じますので、ちょっと実情を調べてみます。国税庁とも相談いたしましてそこは考えてまいりたいと存じます。
#90
○政府委員(藤井威君) ちょっと補足させていただきます。
 今御質問の中で、ことしから国の方で創設いたしました民間賃貸住宅建てかえの促進のための家賃対策補助制度についての税務上の取り扱いに関する我々大蔵省内部での検討のお話がございました。
 その点についてちょっと申し上げておきますと、この補助制度はいわば老朽賃貸住宅の建てかえを促進するということが目的でございまして、それを進めにくい状況をつくっておるそういう従前居住者との関係を突破するために、そういう従前居住者に対して家賃の低減を行う家主に対する補助というふうな制度をつくっております。
 したがいまして、家主側からしてみますと、本来家賃でいただけるところを従前居住者の家賃を引き下げておきましてその分の一部を公的な資金、補助金で補てんしてもらう、いわば家賃のかわりになるといいますか、そういう制度として仕組んだものでございますから、税法上は家主の収入として課税が出てくるようであればそれが課税対象になってくるという形で制度を仕組みましたものですから、いわばこれをどうするかということを制度的に税務当局と我々との間で御相談するということがなかったわけでございます。
#91
○村田誠醇君 だから、地方自治体が行う家賃の補助制度はだれに対して行うかということで納税者が違ってくるわけですよ。借りている本人に補助をするのか、貸す方に補助するのか、あるいは自治体が借り上げて安く貸してあげてその差額を補助するか、だれが課税対象になるかは別として、地方公共団体がこういう制度を導入した場合には、税法との関係を整理してあげないと、原則として課税されちゃいますよということなんですね、収入とみなされるわけだから。
 そうすると、先ほどの御答弁だと検討なさっていないということですが、これは議員立法なりなんなり、議会側がこういう施策が必要だ、これは非課税の扱いにすべきだというふうな論議が各党間で高まって合意に達すれば、あえてこれに対して大蔵省として反対というのか、その辺の御見解というのか、対応をちょっとお聞きしたいと思うんですけれども。
#92
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今主税局長並びに主計局担当次長から国の仕組みの御説明を申し上げたわけでありますが、それを受けての御質問でありますので、私なりにとっさに考えてみますと、問題点は、国の仕組みの場合、本来その新たに建てかえられた住宅に対して家主はそれだけの投資をしておるわけでありますから、家主が従前より高い家賃を欲しいというのはこれは当然のことでありましょう。そして、それを低く抑えるためにその差額を国が助成する。これは、その家主に補助をする限りにおいては家主の収入と認めるのは私は当然のことであろうと思います。その場合に課税が発生することも当然でありましょう。自治体が対応をされる場合にも、その同じような仕組みであるならば当然私はこれは課税対象であると思います。
 しかし、例えば、所得税の課税限度すれすれ、あるいは多少の差のある方に対して自治体が自治体の政策目的によってその居住している御本人に対して助成をされた場合に、課税限界を超えた場合どうするか。確かにそれはなかなか難しい問題点があろうかと思います。今委員は、議員立法により各党が合意したならという御提起でありましたが、これは私は、国会が国会の意思として方針をお決めになったものに対しては政府はそれに従う責任はあるわけでありますから、その場合をどうこう申し上げることは適当ではないと思います。
 ただ、今の御論議を拝聴しておりましても、そのケースは相当複雑なケースになる、一律のルールはつくりがたいのではなかろうかと思います。 なぜなら、例えば新婚の御夫婦に対して補助をしておられる地域がありますが、これは当然のことながら給与所得であれ何であれそのうちにその金額が上がっていくことは当然期待をされます。言いかえれば、その時点においてはまだ収入は少ないかもしれないが近い将来に収入がふえていく可能性を持っておられる方々ということになります。この方々が年齢が上がりあるいは地位が上がって昇給したときにそれでも非課税にしておく必要があるのか、これは私は論議の存在するところだと思います。しかし、例えば既に社会の第一線の仕事からリタイアされ収入が非常に限られておる方、そして今後ふえる可能性のない方、あるいは生活保護を受けておられる方、こうした方々に対して本人に着目した補助がなされている場合、そのときには多少限界を超えているかもしれませんが、それ以上将来所得がふえる可能性はないということになりますと、また別種の問題を生じます。
 したがって、私は一律に法律をつくるというのには非常に難しい問題が生じはしないだろうか、とっさにそんな感じがいたしました。
#93
○村田誠醇君 私も他の制度との関連でどんな影響が出てくるのかまだ完全に調べてはいないんですけれども、所得の上の方の人は、問題ないと言っては語弊があるかもしれませんけれども、余り問題ない。生活保護世帯なり課税最低限すれすれの人が、この東京都なり大阪なりの事例を見ると月額二万とか三万の補助ですから年間に三十何万とか四十何万という補助が出てくるとすると、本人が気がつかないうちに生活保護なりのラインを超えてしまったとか、そういうことが起こってくる。そうすると、他の分野においていろいろ支障を来すのではないか、本人の意思とは無関係に収入があなたあったじゃないかということで他の制度が打ち切られるんじゃないか、そういう危険性が私はあると思うんです。
 まだそれがどのラインに来るのかということはちょっとよく制度を詳しく調べておりませんけれども、どうもそういう感じがあちこちで起こってきますし、この地上げと地価の高騰をめぐっては各自治体が家賃補助制度というのをどんどん導入しているケースが多いものですから、そのことについてぜひ実態をお調べの上、問題点がどこにあるのか、是正できるものであれば早急に検討の上何とか是正をしていただきたいと思うんです。
 そればかりやっていると怒られちゃいますけれども、もう一つ具体的に、土地高騰を支えてきました金融機関の土地の融資をめぐっていろんな不祥事件あるいは関係するところの脱税事件というのが起こっております。その場合に、私どもいつもよく聞くんですけれども、重加算税の対象になる案件と重加算税の対象にはならない案件、ならないと言うとちょっと語弊がありますけれども、仮装、隠ぺいがないというふうに判断されて重加算税がかかってないケースもあると思うんです。そこで、一体、国税通則法の重加算税というのはどういうケースのときにかけるのか、ちょっとその構成要件等について御説明をいただきたいと思うんです。
#94
○政府委員(山口厚生君) 重加算税をかける場合はどういう場合であるか、その要件いかん、こういう御質問でございますけれども、委員御指摘のように、国税通則法の六十八条には、過少申告加算税が適用される場合において、「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」とあります。それとまた、六十八条の第二項の方には無申告加算税についても同じような条文がございます。
 そこで、委員のお尋ねは、どういう場合にそういうことになるのかということでございますけれども、この場合の「隠ぺい」または「仮装」というのは、具体的な事実、これは個別の事案によって千差万別でございまして一律に申し上げることは困難でございますけれども、例えばということで申し上げますと、二重帳簿を作成している場合であるとか、帳簿記録に虚偽の表示をしている場合であるとか、あるいは領収証とか請求書などを偽造あるいは変造すること、こういうことが「隠ぺい」または「仮装」に当たるであろう、こういうことでございます。
#95
○村田誠醇君 こういう場合は重加算税の対象になるんでしょうか、お聞きしたいんです。
 会社側に仮装、隠ぺいの事実はなかったということは認めているけれども、その問題となった金額が非常に大きいので、当然それは相当の注意さえ払っていれば是正できた、そういう意味で重過失が会社側にあったとして、これは重加算税の対象になるという見解をとっている税務署があるんですが、この見解は正しいんでしょうか。
#96
○政府委員(山口厚生君) この場合の「隠ぺい」または「仮装」という行為、これについては故意ということが要件になっておりますので、大方のケースについてはそういう故意が伴って仮装または隠ぺい、その場合に重加算税がかかる、こういうことになっております。したがいまして、お尋ねの過失の場合あるいは重過失の場合については大方のケースについては重加算税は適用されないであろう、こういうことでございます。
#97
○村田誠醇君 ありがとうございます。ところが、重過失も重加算税の対象になる、こういうふうに指導している末端の税務署があるということで私のところに訴えが来ておりますので、ぜひその辺の周知徹底についてはしていただきたいと思います。
 続いて、土地の高騰の原因についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
 これはあちこちで論議になっているんですが、日本銀行が平成二年の四月号の「調査月報」で、金融緩和と土地の高騰ということでこのように表現しているんです。地価の高騰は、六十二年の二月、公定歩合を二・五%と日本銀行創業以来の低水準としたこと、そのために金利低下の影響でマネーサプライの伸び率が高まって地価が上がったんだ、要するに通貨量の供給を多くしたことによって上がったんだという見解で、これもあちらこちらで論議になっているんですが、まず基本的にこの点に関して、土地の高騰と過剰流動性の相関関係、その点について大蔵省はどのような御見解をお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#98
○政府委員(濱本英輔君) ただいま御指摘がございました日銀の平成二年四月号「調査月報」に「わが国における近年の地価上昇の背景と影響について」という一文がございます。
 御指摘がございましたところではございますけれども、この一文には「「地価問題」は経済・社会のあらゆる面と深いかかわりをもつテーマであるだけに多面的な考察が求められる」という断りをいたしました上でいろいろ分析を試みておりますけれども、この研究論文の中にも、今御指摘がございましたように、地価上昇とほぼ並行する形で不動産向けの貸し出しが伸びたという事実の指摘がございまして、それにつきまして、その貸し出しが伸びました背景には、現に土地に対する実需があったこと、あるいは全般的な金融緩和を進めなければならない状況にあったことのほかに、税制とか法制面の諸要因があって、そういうものが複合的に作用してこのような状況になった、したがって不動産融資の増加はその一つの因であるという位置づけになっておったかと存じます。
 私どもといたしましても、今回の地価高騰と申しますものは、基本的には、まず都市部のオフィスビルの需要が出てまいりまして、さらにそれが周辺部の住宅地の買いかえ需要に進みまして、さらにそれらを見込んだ投機的な土地取引の増大という種々の要素が複雑に絡み合って生じたものというふうに思っておりまして、結局、金融緩和を背景に経済全般に潤沢な資金が供給されてそれが土地に対する需要を支えたという意味におきましては、金融的な側面も否定できないというふうに考えております。
 ただ、繰り返しになりますけれども、金融政策につきましてはいろいろな課題が同時に課せられているわけでございまして、地価の抑制というものも金融政策の対象の一つと考えられるわけでございますし、地価の問題の解決に対応いたします場合に金融政策はそれなりの役割を果たすことが期待できるというふうに思いますけれども、その位置づけは今申し上げましたような意味における位置づけでございます。
#99
○村田誠醇君 前回の土地の高騰のときにやはり金融の規制を行ったわけですけれども、その場合は、表現としては悪いんですけれども、デパートから鉄道に至るまで、不動産業とか、そういうふうに限定せずに幅広く総量規制を行ったわけですね。今回は建設、不動産というごく限られた分野だけの規制にとどまっている。規制といいましょうか、融資の実態というんでしょうか、ヒアリングというんでしょうか、どういうふうに表現していいのかわからないですが、このように前回と今回の規制対象機関が変わっているというのは何か意味があったのかどうなのか。
 それから、昨年からずっとノンバンク及び金融機関等に対する特別ヒアリング等を金融機関から求めておりますけれども、この結果として、金融機関と土地の値段の高騰というものの関連についてどういうことがわかったのか、顕著な事例があったらちょっと御説明をいただきたいと思います。
#100
○政府委員(土田正顕君) 二つの点についてのお尋ねであると思いますが、第一は前回との規制のやり方の差のお尋ねでございます。
 前回と申しますのは、具体的には昭和四十八年に行われました一種の総量規制がございます。このときの総量規制その他の措置をとりました背景といたしましては、石油危機の際に物価の異常な高騰があり、これに対応するために例えば石油・電力節減対策とか総需要抑制策などを柱とする総合的な対策が実施されたということでございますので、そのような意味ではもちろん地価の上昇を抑えるということも重要な目的の一つではございましたが、全体の政策目的は単に地価にとどまらず極めて幅の広いものであったかと思います。そのようなときに、金融面におきましても、土地取得関連資金について適正な抑制策を促すとともに、極論をいたしますならば選別融資規制のようなこともやったわけでございます。
 それに対しまして今回の問題は、すぐれて地価の上昇に対していかに対処するかという問題にいわば限られているように思えますので、私どもの方も昭和六十一年以来土地融資の適正な取り組み方を要請しながら今日に至ったわけでございます。
 その具体的な要請の方法といたしましては、一つには通達その他の方法による行政面からの指導であります。それからもう一つは、そのときそのときの個別の金融検査によりましてその問題点を調べ、それを適切に処理するように要請した。その二本立てでやってまいったわけでございます。
 前半の方の行政面の措置といたしましては、例えば昭和六十二年七月以降地価高騰の著しい地域に営業基盤を有する金融機関に対しまして個別融資案件にまで踏み込んだいわゆる特別ヒアリングを実施いたしまして、投機的な土地取引などに係る融資が厳に排除されるように強力に指導してまいりました。そのヒアリングの内容は、大別いたしますと、一つは、審査管理体制及び融資実行後のフォローアップ体制の状況につきましてヒアリングを行いました。それからもう一つは、土地関連融資の状況、特に個別案件に係る調査も行ったわけでございます。その調査の着眼点としましては、例えば短期間に転売されて繰り上げ償還となったような土地関連融資は具体的にどういうものがあったか、その事情はどうであったかというような問題、それからさらに、当初に融資をいたしましたときの事業計画と大幅にその土地利用の実態が相違しているものはないか、それはどういうような状況であったかということを個別にヒアリングをいたしたわけでございます。
 もちろん事柄の性質上余り個別の内容について詳しく申し上げることは遠慮させていただきたいわけでございますが、全体を通じまして莫大なエネルギーを投下したことは事実でございまして、これが審査管理体制なりフォローアップ体制の充実に役に立ったということははっきり申し上げることができると思います。それから、いろいろ繰り上げ償還になったり事業計画が実行と違ったりというようなものにつきましても指摘すべき問題点は指摘いたしまして、類似の行動がその後行われないように金融機関の行動を牽制する効果があったというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
#101
○村田誠醇君 それから、これは前にもほかのところで聞いたんですけれども、今、銀行、金融機関に対する規制の緩和ということがいろいろ言われているわけですけれども、その片方で不動産に関する融資だけ規制をする。ところが業法を読んでみますと、片方で公共性をうたっていると同時に、片方で業務の運営についての自主的な営業というのが書いてあるのです。どこを読んでも、特定の業種に対して融資規制するとか総量規制をするとかそういうことは何も書いてないんです。ある程度読めるんだとすれば、それはこの前通った土地基本法の十三条において何らかの施策、金融施策ができるようなことが書いてあるんだけれども、一体政府が行っている行政指導というものはどこを中心に置いて規制ができるのか等について、その根拠についてよくわからないので、まずお尋ねをしたいのが一点です。
 それから二点目は、いろいろな施策を講じてヒアリングを行ったというのですが、これが一般的に行われているのかどうかはわかりませんけれども、不動産の売買をするときに、当事者間同士の契約書に書いてある金額よりも銀行の融資を受ける金額の方を額面額を大きくして、それに掛ける七割だから実際は実需どおりやってますよ、こういう報告なんですけれども、その取引の金額そのものをかさ上げしているというケースがかなり見受けられるんです。今監視地域になっているところはその逆で売買関係を低くしておいて裏で別途の手当てをしている、こういうのはヒアリングをしたときあるいは調査したときにわかるものなんですか。それともそういうのは書類がそろっている以上は両者間の取引関係なんでわからない、こういうことなんでしょうか。その辺はヒアリングしたりあるいは書類を調べた上でどういうふうに判断なさっているんでしょうか。
 ちょっとこの二点をお伺いしたいと思います。
#102
○政府委員(土田正顕君) 二つの御質問でございますが、第一の方は、このような総量規制を行うというようなものの法的な根拠は何かということであろうかと思います。
 私ども金融行政を行っております立場から申しますと、銀行ならば銀行法におきまして、金融機関はその業務の公共性にかんがみてその業務の健全かつ適切な運営を求められておるということでございますし、また大蔵省設置法の中でも銀行を監督する権限が与えられておりますので、このような権限に基づいて指導をいたしております。
 それからまた、確かに指導の方向としては、ただいま委員の方から御指摘がございましたような土地基本法の方の条文の規定もあわせ考えますと、そういう土地基本法の趣旨にも沿った指導であろうかと考えておるわけでございます。
 ただし、前段でのお尋ねにもございましたが、片一方で規制緩和と言い自由化と言っておるのにこちらの方では規制を強化しようとしている、そこはどういう関係に立つのかということでございますが、それは大変難しい問題でございます。銀行法の第一条にも、第一項の方では確かに業務の健全かつ適切な運営を期するということを法律の目的として掲げておりますが、同時に第二項の方で「この法律の運用に当たっては、銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。」という規定がございます。したがいまして、私どもは銀行の公共性と私企業としての自主性の尊重という二つの性格をどのように調和して運営したらいいかということについて、非常に難しい問題ではありますが、常に十分に心配りをいたしまして行政をしているつもりでございます。
 例えばこの総量規制の根拠は銀行局長の通達でございますけれども、そこのところでも、不動産業向け貸出についてはその増勢を総貸出の増勢以下に抑制することを目途として各金融機関においてその調整を図ることを要請しているということでございまして、私どもの言い分といたしましては、金融機関における自主的な対応を促しておるという文脈になっております。
 それから第二の問題でございますけれども、これはなかなか私どもも自信のあるお答えはできないわけでございますが、やはり契約書とか書類を操作するというようなことで、私どもも別に実地検分をしているわけでございませんので、その結果、銀行の説明と実態とが仮に違っております場合に、その銀行の説明が実態を反映してないということを見抜けなかったことはあるいはあるかもしれない。しかし、私どもとしましては、そこは例えば事後的には検査によるチェックというものも手段としては持っておるわけでございますので、私どもの与えられた権限と処理可能な事務量の中で最善を尽くすというようなことでやってまいるしかないと考えております。
 なお、実際の金の動きとそれから契約書に出てくる金額とが相違する場合というのは、これは金融の問題よりもむしろ税務の問題においていろいろと具体的に後で調査をされることがある、むしろその方の問題ではないかという気がしております。
#103
○村田誠醇君 もう一つお聞きしたいんですけれども、不動産関連の総量規制をする、それで一番問題になってくるのがノンバンクと俗に呼ばれている部分でございます。代表的なものといえばリース会社だとか生保会社が対象になると思うんです。これが二十年前でしたら資金量も小さいし余り問題はなかったと思うんですが、現在は七十兆円とか言われるぐらい相当大きな分野を占めてきている。そうすると、現在規制の問題が出ておりますけれども、通貨コントロールという意味からいけば何らかの政策的な枠をかけるといいましょうか、範囲を規制をするということが片一方で必要になってくるんじゃないかと思うんです。
 そこでいろいろ調べてみましたら、準備預金制度という中には生命保険の会社がきちんとその対象になってはいるんだけれども、現実的に準備預金という制度を使って日銀に預金してない、こういうことがわかったわけですけれども、この準備預金制度というものを今問題になっているノンバンクに全面的に適用するつもりがあるのかないのか、あるいは何か別途の方法でもって通貨調整をする方針なのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#104
○政府委員(土田正顕君) 準備預金に生保はどのような位置づけになっておるかということについてごく簡単に御説明申し上げます。
 生命保険会社につきましては、昭和四十七年の制度改正以来、政令によりまして準備預金制度の対象に加え得るという位置づけになっておりますが、しかし、そのときの議論、それから実はこれは四十七年の三月十六日に当参議院大蔵委員会でのこの準備預金制度に関する法律の改正案についての附帯決議にもございますけれども、具体的に、「生命保険会社に対しては、その金融機関としての特殊性等を考慮して、適用の時期、方法等について十分に検討するとともに、資産運用については公共的立場から適切な指導を行なうこと。」という御注意もあったわけでございまして、具体的にいろいろこの生命保険というものを適用対象とする場合の問題を考えますと、それは当時からあった議論でございますが、どのような勘定を計算基準として考えるべきかなどいろいろ技術的な問題もございますので、私どもの方でも当時から余りこの具体案を得るべくその作業は進展しておらない状況であります。
 また、現在、生命保険会社は日銀との預金取引もございませんことを考慮いたしますと、やはり生保を準備預金制度の対象とすることには極めて慎重であるべきではないかと考えております。
 関連してノンバンクの方の話でございますが、確かにノンバンクの行います融資量というものは七十兆円云々というような非常に大きな額になりますので、これは金融システムの中で無視できない大きな位置づけになったかと思います。しかしながら、このような預金を取らないで貸し出しだけを行っておりますものに対しましてどのように準備預金を適用することがいいのかというのは、やはり生命保険と似たような問題もございまして、いろいろなお慎重に考えなければいけないと思います。もちろん、それは絶対に不可能とは申しません。例えばフランスで過去に与信量つまり貸出量に対して準備預金を課するという貸出準備率制度によって金融機関の信用供与量をコントロールするということをやっておったわけでございます。ただし、フランスは一九八七年にこれを廃止しております。このような例から見て、貸し出しに着目をいたしまして準備預金制度によって信用供与量を調節することはできないことはないのでありますが、しかしながら、全体としては従来の、主たる預金その他資金を受け入れている者にその特定の勘定の一定率を無利息の準備預金として日銀に預金してもらう、こういうことで一応通貨調節手段として有効に働いておるように思います。
 なお、地価対策という問題とはもちろん方向的には一致いたしますけれども、準備預金制度の目的は通貨調節であり金融政策全体の見地から運営すべきものであるということでございますので、土地対策に主眼を置いて準備預金を運用するということは従来は少なくとも余り考えてこなかったところでございます。
 なお今後勉強いたしたいと思います。
#105
○村田誠醇君 今の局長さんの答弁を聞いていると、生保をどういうふうにとらえるか非常に難しいというのであれば、私は法律なりその他に生命保険会社と書いてあること自体がおかしな話だと思うんですよ。つまりそんなものが規制の対象外であるとすれば、その部分は削除すれば私はいいと思うんですが、それぞれいろいろあるんでしょう。
 しかし、一つだけ言っておきたいんですが、新聞報道によれば、ノンバンクに対するコマーシャルペーパーの発行の自由だとかあるいは資本調達を自由化させるために債権の証券化を行って資本を調達していく、こういうような方法をだんだん緩めていくということになると、今までは金融機関、銀行からの資金流通しかなかったノンバンクが独自に資本市場からどんどんと資本を取り入れて貸し出していくということになり、片っ方で幾ら総量規制をしてみたところで、ノンバンクが独自の資本調達をして独自に貸し出していくということになれば、しり抜けになるんじゃないかと思うわけですよね。
 そういう意味でノンバンク規制の論議が今なされているんだろうと思うんですけれども、銀行に対しては資本金比率に関する融資のそういう制限があるんですね。そこで、ノンバンクにもこういう規制、基準を適用する考えがおありなんでしょうか、御見解というか検討している中身について御説明をいただきたい。
#106
○政府委員(土田正顕君) ノンバンクの位置づけにつきましては、昨今これは国会の先生方の中でも大変いろいろ御議論をいただいておるところでございますし、私どもの方もノンバンク研究会というようなことで有識者を集めてその位置づけを議論してもらったというようなことはございます。今後のノンバンク向けのいろいろな規制のあり方をどうするかということについては、ただいま鋭意研究中でございます。
 それとの関連で、今の資金の調達手段のことでございますが、このノンバンク、いわば貸金業者が社債やコマーシャルペーパーを発行することについてどう思うかというお尋ねでございます。一つひっかかっておりますのは、貸金業者が社債の発行によって不特定かつ多数の者から貸付金を受け入れることは銀行業務的な性質を帯びるというようなこともございますので、これは出資法の規定により明文で禁止されております。これとの関連の問題がございます。
 それからコマーシャルペーパーにつきましては、これは別に明文でどうということではございませんけれども、やはり独自のそういう資金調達手段を認めました場合に、これは委員の御指摘のとおりでございますが、一般金融機関との関係で金融制度上どのようにノンバンクを位置づけるか、それから一般金融機関に対する規制とのバランスはどのように考えたらよいかというような、いわば制度論的な問題を抜きにしてはなかなか結論を出しがたい問題であると思われますので、この問題につきましては私どももなお引き続き検討を要する課題であるというふうに思っておるわけでございます。
#107
○村田誠醇君 それでは、地価税の中身についてちょっとお聞きしたいと思います。
 これは原則として路線価をもとに税額を計算する方式になっているわけですけれども、この路線価というのはもともとが相続税や贈与税をかけるときの基準でございますので、工場地帯や倉庫だとかあるいは先ほど午前中も出ていました遊園地とか、こういうところには路線価が設定されていないわけですね。それからもう一つは、面積の広い土地に関しては複数の地点にそれぞれいろんな路線価がついている場合があるわけです。あるいはその土地の形、あるいは午前中にも答弁ありましたように、道路がどこに面しているのか、三方に面しているのか一方だけなのか、それも何メーター道路なのかによって全部違っているわけなんですけれども、さて、そういうのを一律に、そして課税された方の国民から見て納得のできるような路線価というものが果たして引けるのかどうかという疑問が一つ生じるわけですね。
 住居と工場が混在しているところならまだマンション用地だというのはわかるんですけれども、特に臨海工業地帯みたいに非常に大きい土地を所有してそこで生産をしている工場なんかの場合、大体こんなところが土地取引されるということは、会社が左前になるか吸収合併するかしない限りはほとんど土地の売買というのが行われない地域なのに、その路線価というものをどうやって設定するのか。そんなところにはマンションは建ちませんので、一体どういうふうにやられるのか、ちょっとその辺の仕組みなり何なりについて御説明いただけますか。
#108
○政府委員(山口厚生君) ただいまお尋ねになりました特に大工場用地、これら従来相続税の課税対象とされてこなかった分野につきましては、確かに御指摘のような研究すべき分野が非常に多うございます。正直言ってそういう実態にございまして、私どもとしては今後地価税の適正な執行のために十分な体制を組んでいきたいと思っております。
 そこで、御指摘の大工場用地でございますけれども、通常これは相続税または贈与税の課税の対象とはなりませんので、必ずしも十分な評価が実施されているとも言いがたい状況にございます。したがいまして、例えば標準地の地点をどういうふうに選んでいくのか、あるいは倍率方式によっていた地域をどういうふうに路線価地域に拡大していくのか、こういうことについても、そのような工業地域等の土地の実態等を十分調査し実地踏査いたしました上で適正な評価が行えるように十分対処していきたいと思っております。
 それから第二にお尋ねになりました具体的な土地の位置とか形状、これはまさに御指摘のとおり千差万別でございます。したがいまして、例えば大工場用地の場合に、何本も路線が互い違いに走っているところとか、あるいは面積が広大であるか狭小であるか、あるいは二方に面しているのか三方に面しているのか、あるいは港とか海が背後に迫っているケースもございましょうけれども、そういう実態に即して実態調査を積みました上で十分な評価の体制を整えていきたい、こういうふうに考えております。
#109
○村田誠醇君 もうちょっと詳しく御説明いただきたいんですけれども、土地に関してはよく一物五価とか一物六価とかいろいろな値段がくっついているわけです。基準地価とか相続税に伴う路線価だとかいろいろくっついているんですけれども、これは要するに住宅専用地域、住宅が建てられるところなら、こういう価値といいましょうか一定の数値をつくるというのはわかるんです。ところが、大規模臨海工業地帯みたいなところは、会社の合併とか倒産とかあるいは債務超過を避けるために子会社に売却するとか、そういうことでない限り一般的に土地の売買というのは行われないんですよね。そうすると、売買する場合は必ず何か値段つけるんでしょうけれども、簿価しかないところにそれを基準にして路線価をつくっていくというのは、要するに取引が全然ないところにつくった数字というのは何の意味も持たないといいましょうか、むしろ一般住宅地はどんどん変化して課税の対象にどんどん広がっていくけれども、工場専用地域のところはまさにこの数字が動かないという現象が起こってくるんじゃないかと思うんです。その点はいかがなんでしょうか。
#110
○政府委員(山口厚生君) 実際の土地取引がないんではないかという御指摘でございますけれども、実は大工場用地につきましても地価公示の対象として選ばれてきております地点はございますし、それから私どもいよいよ評価を行う場合には、不動産の鑑定についての専門家等にも委嘱しまして適正な評価が得られるよう努力しておるところでございます。そういうことで評価については万全を期していきたい、かように考えております。
#111
○村田誠醇君 それでは具体的に、といってもそんなに具体的なことはわからないんですが、聞きたいと思います。
 公益法人なり社団法人が所有している土地、これは常に経理処理のところでも問題になるんですけれども、非営利と営利の区別をどこでつけるんだということが大変問題になるわけですね。だから、団体性を維持するためだけの経費を取っていれば別に問題はないんですけれども、それ以外のものが入っていると、それをどういう比率で割るんだとか等々が常に問題になるんです。この地価税でもやはり同じように線引きが大変難しいんだろうなと思うわけですが、その点についての基本的な考え方がまず一点、どういうふうにお考えになっているのか。
 それから、住宅用地の中で取締役の住宅の部分がたしか非課税になっていますね。この場合にちょっとわかりづらいのは、取締役部長といいましょうか、代表権がない役員、職員というのかしら、両方の肩書を持っている人の社宅というのはどういうふうな扱いになるのか。
 それともう一つは、午前中も一部出ていましたゴルフ場の問題です。この法律では永小作権だとか借地権だとかそちらの部分も課税の対象となる。これはある程度民法に権利がきちんと書かれているからだと思うんですけれども、こういう会員権システムをとって専属に利用できる権限、場合によったら、その会社自体が解散、倒産した場合は土地を売却してそれに見合う部分が返してもらえるようないろんな契約の中身になっていると思うんですけれども、そういう専属的な、排他的というのかしら、利用権を伴ったようなゴルフ場なんかの場合、土地の値段そのものは実はかなり低いわけですけれども、ゴルフ会員権自体の利用権そのものが物すごい高い値段がくっついているんですね。これもちょっと通常考えるとどうもアンバランスじゃないかな。これは法定ではないけれども、土地に絡む利用権、利用する権限、排他的に利用できる権限という意味でいけば、ゴルフ会員権もその部分に入ってくるんではないか。そうすれば課税対象に入ってくるんではないか、値段等の問題もありますけれども。そういうふうになるんじゃないかなと思うんですが、このゴルフ会員権に対する地価税との関係について御説明いただきたい。
#112
○政府委員(尾崎護君) 三点お尋ねがございました。
 まず、公益法人等の有する土地でございますけれども、これは六条の二項によりまして公益法人等には地価税を課さないということになっておりまして、公益法人等が有する土地等は原則非課税であるわけでございます。
 しかしながら、例外が二つございます。
 一つは「当該公益法人等の定款又は寄附行為に定められた目的を達成するための業務の用以外の用に供されている土地」ということでございまして、収益性ということではなくて、定款に定められた業務目的以外のものに使われているかどうかということで区分するわけでございます。
 したがいまして、例えばある財団で奨学金を出している、その奨学金を出すために例えば貸しビルを一つ持っておって、そこで収益事業を営んで、よって得られた収益を奨学金に充てるというようなこともあるわけでございます。それはまさに奨学金という業務の目的のためでございますから、その場合のビルのある土地というのは非課税になるわけでございます。したがいまして、法人税法等でよく問題になります収益事業かどうかとという話とちょっと違う点がございます。業務目的でございますので比較的はっきりしているところが多いかと思います。公益法人で業務目的以外の用に供しているという例はほとんどないんだろうというように私たちは考えております。
 それから、もう一つの例外といたしまして未利用地があるわけです。こちらの方はかなりあるだろうと思います。公益法人でございましても、何の目的にも充てておりませんで未利用地で置いてあるという場合には、これは課税対象になる例が出てくると思いますが、この場合には判定で苦労をするということも余りないのではないかなというように考えております。公益法人の土地につきましては実際いろいろなケースがあると思いますけれども、そんなに特別困難があるというようにも考えておりません。
 それからもう一つは、第七条の二項でございまして、居住用土地等の非課税の中に「個人又は法人が有する建物で他人の居住の用に供しているもの」、これは非課税になるわけでございますが、その場合、いわゆる「当該建物を有する普通法人又は当該普通法人と政令で定める特殊の関係のある普通法人の法人税法第二条第十五号に規定する役員の居住の用を除く。」ということになっておりまして、その会社の役員またはその会社と特殊の関係にある関連会社の役員が住んでいる場合はだめですよということになっているわけでございます。
 その場合の会社の役員と申しますのは法人税法第二条第十五号に規定している役員でございまして、法人の取締役、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者をいうということでございまして、役員でございますと、部長を兼務しておりましてもそれは役員として取り扱われることになります。
 それからもう一つはゴルフ場のゴルフの会員権でございますが、これは地上権とか賃借権とかそういう土地を使用収益する権利につきましては、これは地価税の課税対象となるわけでございますけれども、ゴルフ場の専属的利用権というようなものはいわば会員権でございまして、それは一時的なサービスを受ける地位というように考えられておりまして、土地を使用収益する権利とは必ずしも同じでないという考え方でございます。したがいまして、会員権を地価税の対象にするということはないわけでございますが、午前中の質問にもございましたように、フリンジベネフィットの問題としてどう考えるかというようなことは確かに一つの議論のあるところであろうかと存じます。
#113
○村田誠醇君 そうすると、またちょっともとへ戻るんですけれども、ゴルフ場のように山の中にあるものとか臨海工業地帯のように海の端にあるものまで路線価を決定するのには相当の事務量と人間が必要になるわけですね。これは間違いだったら御指摘をいただきたいんですが、現在約二百人の署員で毎年全国十六万九千地点・箇所を路線価として決めてやっている。この税制度を導入したらもっと多人数でもっと細かくこの事務を処理しなきゃ対応できないと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えになっているんでしょうか。
#114
○政府委員(山口厚生君) 地価税についての準備体制の問題でございますが、国税庁におきましては、地価税が導入されますと、その円滑適正な執行を図るために新たな体制整備を図る必要がございます。御指摘のとおりでございます。特に地価税における土地等の評価につきましては相続税評価を活用することとされておりますが、現在の相続税評価の実施は偶発的かつ個人にかかる税でございます相続税及び贈与税に適用されているものでございまして、経常的かつ個人、法人を問わずに適用される地価税に活用するには必ずしも十分ではございません。したがいまして、地価税の導入に当たりましては、標準地数を増加するとかあるいは路線価地域を拡大するとか、こういうことによりまして評価制度の一層の向上を図る必要がございます。
 ただいま委員からお話になりましたように、平成三年度におきましては、このような観点から相続税評価体制の整備充実等のために当面必要不可欠な措置として定員二百人の措置をいただいているところでございます。
#115
○村田誠醇君 定員二百人増員、これはわかるわけですが、消費税を導入したときも増員しているんです。一般的に公務員の場合は定員削減、あるいは他の省庁は総定員削減という施策を受けて、あるいは大蔵省の中でも関税局をふやしてくれとかいろんなところの要求があるにもかかわらず、我々から見ると、何で国税ばかりがどんどん人数をふやして、他の省庁なり他のところは定員削減なのか。それは事務がふえた、仕事量がふえたと言えばそれはそのとおりかもしれないけれども、お金を取るところばかり人間がふえているというふうに我々には見えるんですけれども、そのことがまず一つ。
 それからもう一つ、ちょっと気になる新聞報道があったんですが、未利用地の国有地有効利用を目的とした財団法人の設立を民間の融資とか出資を受けて行う考えがあるという新聞報道がなされているんです。これは各省庁にまたがるものだと思うんですが、大蔵省の権限で財団法人の設立というのはどういう目的でどういうふうにやっているのか。新聞報道では中身は何にも書いてないんですが、こういう計画なりがあるんであればちょっと御説明をいただきたいと思います。
 二点お願いをいたします。
#116
○国務大臣(橋本龍太郎君) 順番を逆さにして恐縮でありますが、まず未利用の国有地の関係における財団設立の関係、その構想があることは承知をいたしております。ただ、理財局を呼んでおりませんので、私にも細かく御説明できません。後刻御報告をすることでお許しをいただきたいと思います。
 また、国税定員についてお触れをいただいたわけでありますが、従来から本委員会におきまして国税定員あるいは税関職員等大蔵省の定員につきさまざまな角度から御支援をいただいております。ただ、これは事実本当にその業務量がふえておる、そして現場からはもっと定員が欲しいという切実な声が上がっておりますけれども、大蔵省が要求官庁であると同時に査定官庁という性格を持ちますために、従来からその要員を確保するために、例えば財務局系統の定員の縮減を相当程度行いながら国税定員をカバーするとか、さまざまな努力をいたしてまいりました。しかし、財務局系統におきましても、業務が次第に増大する中でこれ以上の縮減というのは非常に困難な状況にございます。
 こうした中で新たな税制が採用されるということになりますと、どうしてもその年、その業務が平準化いたしますまでの間、国税定員がふえるということについては御理解をいただきたいと思うのであります。決して税金を取るところばかりふえているんじゃありませんで、政府の中で言いますならば、使う方の代表みたいな外務省の定員もちゃんとふやしておりますので、決して国税だけがふえているわけではございません。
#117
○村田誠醇君 それでは、時間も来ましたので最後の方の質問なんですが、この税制度は、先ほども御説明の中にありましたように土地の位置、商業地、駅前の一等地にあるかどうか、その土地の大きさ、そういうものによって税金が違ってくるわけなんで、納める方から見ますとどうして自分のところの評価額がこれだけになるのかということに対する疑問というのが出てくると思うんです。面積は小さいけれども価格が高いためにという場合もあるでしょうし、あるいは地形が悪いために低いとかいうことも起こってくると思うんです。そういった場合に際して、自分の土地の評価額が本当に妥当なのかどうなのか、隣地との比較を含めて本人が判断する材料を持たなければならないと思うんですけれども、そういった決定だとか、隣地といいましょうか他との比較だとか、あるいはその額が過大過ぎた等の場合の訂正あるいは異議申し立てのメカニズムというのはどういうふうな仕組みになっているのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
#118
○政府委員(山口厚生君) まず第一点の各評価のバランス、評価はいろいろな地点について行うわけですけれども、そのバランスの問題でございますが、標準地間の評価額のバランスにつきましては、都道府県庁所在都市におきます最高路線価と、さらにその最高路線価をもとに評定しました所轄の税務署内の最高路線価、これらをベースとしてバランスを図ることといたしております。そして、この都道府県庁所在都市の最高路線価と各都道府県内の標準的な宅地について評価の柱となる標準地の評価額につきましては、相続税法第二十六条の三の規定によりまして各国税局に設置されております土地評価審議会の調査審議を経て決定することとなっております。
 そこで、実際に納税者の方が、自分のところはもっと違うんじゃないか、こういうことも当然お考えになるのであろうということが想定されるわけですけれども、路線価というのは、これは土地のように地価の把握が非常に困難であるものにつきまして、納税者の方々の便宜を考慮するとともに課税の公平を期する観点からある路線に面する標準的な宅地の価格をあらかじめ明らかにしておこうというものでございまして、したがいまして路線価自体は国税通則法の第七十五条に規定しております国税に関する法律に基づく処分には当たりません。したがって不服申し立ての対象にはならないわけでございますけれども、納税者にとりましては、路線価に基づいて実際に課税処分が行われた場合に、その処分を不服とするときには国税通則法第七十五条の定めによりまして不服申し立てをすることができることになっております。
#119
○村田誠醇君 時間が来ましたので、最後の質問をして終わらせていただきたいと思います。
 昨年の十二月十九日に政府税調会長の加藤さんが、九二年度までに地価が下がらない場合は税率等の変更を検討する必要がある、実施五年後と言わずにすぐに見直すべきだ、こういう発言をしているわけです。そしてさらに、政府のつくった総合土地政策推進要綱では、地価を引き下げるというふうにはなっているんですが、具体的にどこら辺まで下げるのかというのは何も書いてなくて、ただ、中堅労働者が住宅を持てる水準としか書いてないんですね。だから、どの地域の地価をどのくらい下げればこの政策効果が出たのかという、政策の実効性について非常にわかりづらい部分があるんです。最後に、大蔵大臣としてはなかなか数値だの目標値を言いにくいとは思うんですが、どの程度の部分まで下がってきたらこの制度の実効性が上がったと判断なさるのか、大枠でも結構です、なかなか難しい質問だと思いますが、お願いします。
#120
○国務大臣(橋本龍太郎君) 難しい質問みたいじゃなくて、本当に難しい質問なんです。
 と申しますのは、地価の現況からこれを下げていくという場合に、その目標年次について例えば六十一年時点の水準とかいろんなことが言われておるわけでありますが、これを定量的にここと定めるルールといいますものは、もともとの地価がさまざまな要因で地域の特性を持っておりますだけに、一律の物差しというのは非常に当てにくい状況がございます。要は、やはり国民が下がったなと実感をしていただけるということに尽きるのではないか、率直に私はそう思っております。
#121
○和田教美君 地価税法案に対する我々の態度ですけれども、まず第一に、土地を持っておればもうかるという土地神話を構造的に解消して、資産格差を是正する手段として土地の保有益に着目した新税を創設することが前進であるかどうかという問題でございます。この点につきましては、我我はかねてから法人土地保有税の創設などを強く主張してまいりましたし、今度の地価税もそのいわば延長線上にあるという意味で、制度としての導入は前向きに評価して法案に賛成を衆議院ではしたわけでございます。
 しかし、第二の問題は、制度としては前向きに評価するとしても、今度出た地価税法案というものが地価を引き下げるというふうな観点から見た場合に果たしてどの程度の実効性を持つのかというふうな点については、さまざまな意見があるわけでございます。そういう点につきましては、端的に言って、地価税はいかにも税率が低過ぎる、それからまた基礎控除も高過ぎる、こういうふうな感じを私は持っているわけでございまして、総体的に極めて不十分であるというふうに考えます。そういう観点から、不十分な点は厳しく指摘して質問をするという態度で質問をしたいと思います。
 そこで、まず第一の質問は、土地神話を打破して地価を適正な水準に引き下げて安定させるという観点から見ますと、地価税というものは社会経済の制度的な仕組みに影響を与えるようなかなり思い切った土地税制の改革でなければならないというふうに考えるわけです。ところが、実際に提案されております地価税は、税率が〇・三%、初年度は〇・二%、基礎控除は十億円かあるいは一平方メートル当たり三万円を超える土地に面積を掛けた額のいずれか大きい方というふうに、かなり高く設定をしております。そういうことから、政府税調の石土地税制小委員長でさえ、土地神話を打破するという当初の目的からは期待外れの結果であるというふうに批判をいたしまして、税率〇・五%、基礎控除五億円が最低条件だというふうに言っておられるわけで、経済界の中にも一部そういう意見もあるわけでございます。
 そういう点で、大蔵大臣として果たして地価引き下げ効果というものがあるというふうに考えておられるのかどうか、その点についてまずお伺いしたいわけです。
#122
○国務大臣(橋本龍太郎君) 結論から申し上げますならば、私は、他の税制改革、またその他の土地政策の進行と相まって、地価税は相応の効果を発揮すると考えております。
 なぜなら、日本の土地保有状況を考えますときに、国土資産額のかなりの部分が宅地に集中している、しかもその宅地の相当部分を少数の所有者が保有している、非常に偏った形になっております。具体的には、宅地が国土面積の四%にしかすぎないのに、価格で考えますと全国土の約八〇%を宅地が占めているということになります。また、東京都の資料を使わせていただきますと、東京都の区市部の宅地の所有法人のうち一万平米以上の宅地を保有している法人というのは、所有の法人数では全体の一・七%にしか達しません。しかし、その法人の所有する面積は全体の五一%を占めているわけであります。
 こういう状況から考えますと、一見限定的に見えるこの地価税が実質的にはいわゆる大法人を中心に資産価値の高い大規模土地保有者に対して相当の負担を求めているということが御理解いただけると思うのであります。またミクロ的に見ましても、土地の資産価値に応じた税負担を求めるという地価税の仕組みから、地価水準の高い地域を中心に広い土地を保有する方、例えば都市の目抜き通りでビルを構えて事業を行っているとか、あるいは地価水準は低い地域であっても大規模に土地保有をしている方、こうした方々には相当な負担をお願いをすることになると思われます。
 私は、率直に申しまして、いろいろな御批判があることは承知をいたしておりますが、固定資産税の評価の適正化等々他の税制の仕組みと相まち地価税は所要の効果を上げてくれる、そう信じております。
#123
○和田教美君 次に、政府案では土地の利用促進効果というものも余り期待できないというふうな批判もございます。例えば専門家の野口悠紀雄教授は、「土地を空地として保有してキャピタルゲインを得るのと、利用に供して収益を得るのと、いずれが有利かは、地価上昇率、譲渡益課税率などとともに、保有税率にも依存する。そして、保有税負担率がある限界値に達するまでは、空地として保有する方が有利になる。この値は、現在の日本の諸条件の下では、ほぼ一%程度と推定される。したがって、」政府案では「利用促進効果がまったく働かない可能性が大きい。」、こういうふうなことを述べておられるわけです。
 それだと、なぜこういう法律をつくったのかというような疑問も出るわけですけれども、この利用促進効果という点については大蔵省はどういうふうにお考えでございますか。
#124
○政府委員(尾崎護君) 地価税の影響を定量的に把握するというのは非常に難しいことでございまして、学者の方々がいろいろと大胆な仮説を置いて計算をなさっておられるのは私どもよく存じておりますけれども、なかなか前提になります諸条件が定めにくいところがございまして、政府といたしましては定量的にその効果を示すというのができない事情にございます。御理解を賜りたいと存じます。
 しかし、いずれにいたしましても、土地の利用促進効果等を土地の保有税、この地価税のような保有税で達するという点から考えますと、確かに税率が高い方がその効果が大きいということは否めない事実でございます。しかしながら、それ以外の要素、納税者の負担に対する配慮でございますとか経済に対する配慮でございますとか、それらもあわせ考えまして〇・三%という税率になったわけでございます。
 ただ、その際お考えいただきたいのは、今回の土地の税制改正は地価税の創設だけではございませんで、所得税におきまして譲渡所得課税を強化する、法人税におきましても譲渡課税の強化が行われている、他方におきまして優良な土地あるいは公共用地等に供します場合には優遇した税率を適用するというようなこともいたしておりますし、御承知の特定市の市街化区域農地につきましての制度の改正、これは固定資産税、相続税双方ございまして、それらもまた土地の供給効果を持つわけでございます。
 全体として考え合わせますと、土地の利用を高める、土地の供給を高めるというような点におきまして、先ほど大臣も申し上げましたとおり、相応の効果が上がるものと期待をいたしているところでございます。
#125
○和田教美君 学者の中には、税率一%というふうに考えた場合に比べて、今回の税率〇・三%、初年度〇・二%というのでは地価の引き下げ効果は五分の一ないしそれ以下になるというふうにこれまた計算をしておる人もあります。さっきの主税局長の答弁ではなかなか政府としてはそういうはっきりした数字は言えないということのようでございますが、こういう見方については大体肯定しますか。
#126
○政府委員(尾崎護君) 従来から行われております理論的な話といたしましては、土地に対します保有税率を上げることによって将来の期待収益を下げますから、土地の価格も下げますし、また利用の促進効果も持つという点は、これは間違いないと思います。したがいまして、そういう効果を税率だけとの関係で言えば、確かに一%の税率と〇・三%の税率では、そういうインパクトの点では落ちるということはおっしゃるとおりであろうと考えます。しかし、それだけではなくて、ほかに所得税あるいは相続税、固定資産税、いろいろの点で今回措置が行われていることもあわせ考えていただきたいと存ずる次第でございます。
#127
○和田教美君 保有コストが高ければ高いほど土地対策としては即効性があるということは言うまでもないことだと思うんですが、例えば外国との比較を見まして、ニューヨークやロンドンの保有税の実効税率は居住用で一%、事業用で二から四%だというふうな調査をした資料がございます。これに対して我が国では、固定資産税、都市計画税、特別土地保有税を含めた保有税の平均実効税率は〇・一%から〇・二%程度、地価の高い首都圏では〇・〇五%程度、そういう程度にすぎないというふうに言われておる。そして、こうした保有コストの低さが土地の資産としての有利性を高め、その結果土地投機が行われるというふうな悪循環になっておるというふうに私は思うんです。
 そこで、仮に税率を一%にした場合に、しかしこれはさっきも出ておりますように、課税ベースの相続税評価額、というのは路線価、この路線価というのは実勢価格の五割程度でございますから、一%の税率としても実効税率は〇・五%程度になってまだ欧米の水準に達しないという見方もできるわけですけれども、欧米に比べて甚だしく実効税率が低いということはどうお考えになりますか。
#128
○政府委員(尾崎護君) ただいまお示しになられました外国の例、ニューヨーク、ロンドン等は私どもも実地に現地に出向しております者に調べてもらったりいたしましたが、御指摘のとおり、大体居住用地は一%ぐらい、事業用地で二%とか四%、そういう感じでございます。大体御指摘のようなことであろうと存じます。それと比べまして我が国の保有税の水準が低いのではないかということにつきましては、これまた確かに水準としては低いと思います。
 固定資産税の実効税率がどのぐらいなのかというのはいろいろ議論のあるところでございまして、委員お示しのような数字はよく耳にするところでございますが、例えば土地資産額で固定資産税の税収を割ってみますと、平成元年度で実効税率が〇・一二%ということになります。ただし、これは居住用の住宅等に対します軽減措置やなんかが加えられておりますから、そういうところを調整いたしますと、大体事業用地の実効税率が平均して〇・二%ぐらいかなという感じ、そういうところであろうかと存じます。それも、委員が御指摘になりましたようにかなり地域によって違いまして、土地の非常に高いところではもっと実効税率が低いということになっていると思います。
 お考えいただきたいのは〇・三%の地価税でございますが、それが仮に時価に対しまして相続税の評価額の七割、今七割というところを目指しておりますが、七割といたしますと、〇・三%の七割ですから、七、三、二十一で〇・二一%、平均的な固定資産税の今の税額が大体倍になるということでございます。ちょうど倍になってしまう。これはやはり負担をする企業にとっては相当なインパクトであるということも、あわせてお考えいただきたいと存じます。
#129
○和田教美君 地価税法案の附則第八条に、地価税の負担の在り方については少なくとも五年ごとに見直して、必要があると認めるときは地価税の課税対象及び税率等について所要の措置を講ずる、そういうような規定があります。そこで大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、どのような場合に必要な措置を講ずるということになるのか、その点の判断はどういうふうにお考えでしょうか。
#130
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一般的に申し上げますならば、地価高騰が予想される、あるいはうかがわれるような事態が生ずれば、私はやはり、税制調査会が平成三年度の税制改正についての答申に述べておられますように、果断に税率、控除等のあり方を見直し本税に期待される役割を全うさせる必要がある、そう思います。他方、地価動向が落ちついている場合でありましても、地価の水準あるいは今後の地価の動向、見通しなどを十分検討しながら考えていくものと基本的に思います。
 いずれにいたしましても、少なくとも五年に一度は見直すというルールの中で、そのときそのときの情勢に機動的に対応することによってこの税の役割を果たさせていきたい、私どもはそう考えております。
#131
○和田教美君 さっきも話が出ておりましたけれども、衆議院の委員会で附帯決議がついております。五年見直しというのでなくて三年を目途にできるだけ早期に見直しを行えというふうな附帯決議がついておるわけでございますが、先ほどの政府答弁を聞いておると、その附帯決議を尊重してやるというふうな趣旨の発言が聞かれないわけですけれども、この附帯決議の趣旨は尊重するというふうに我々は受け取っていいんでしょうか。
#132
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは、衆議院の御論議の中、そして衆議院の附帯決議でお示しをいただきました最初の見直しを地価税法施行後三年を目途にできるだけ早期にという点につきましては、税法の規定が少なくとも五年ごとにという見直しでありますことから、機動的、弾力的にその見直しを行えという意味と理解をいたしておりますし、三年後に必要があれば見直しをするということは当然のことながら可能なものと、そのように受けとめております。
#133
○和田教美君 地価は金融引き締めなどの影響で確かに狂騰状態は一服しておりますし、一部の地域では少し値下がりをしているという傾向も見られます。しかし、国土庁が去る十九日に発表した九〇年度の土地白書によりますと、東京圏の勤労者の平均年収に対する住宅価格の倍率は、マンションで八倍、建て売り住宅で八・五倍、マイホームの夢はかえって遠のいておるというふうな現実があるわけです。
 政府がことし一月に決定した総合土地政策推進要綱によりますと、地価の引き下げについて、「特に、住宅地については、中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる水準の実現を図る。」というふうに書いてございます。この目標は、私の聞いたところ、平均的なサラリーマンがマイホームを年収の五倍程度で買うことができ、年収の二割程度で賃借りできる、そういう地価水準に下げるんだ、そういう意味だというふうに聞いておるんですけれども、新幹線で通わなきゃいけないというのではなくて、常識的に通勤圏内で東京を中心に考えた場合に、一体そういう水準までにいつごろまでにこの目標が達成できると考えておるのか、国土庁の御見解をお聞きしたいと思います。
#134
○政府委員(鎭西迪雄君) お答えいたします。
 適正な地価水準の考え方につきましては、委員がただいま御指摘されましたように、去る一月二十五日に閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱で示しておりますように、「土地の利用価値に相応した適正な水準」ということでございます。「特に、住宅地については、中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準の実現を図る。」ということになっておりまして、私ども念頭に置いておりますのは、ただいまお話がございましたような都市の中堅勤労者が年収のおおむね五倍程度で通常の通勤圏内において一定水準の住宅を確保できる、そういう地価水準を目指したいということでございます。
 このような地価水準の実現の時期につきまして明確に示すことは非常に困難でございますけれども、ただいまお話し申しました総合土地政策推進要綱に示されております構造的かつ総合的な土地対策といったものを積極的に推進する中で、現実可能な数年程度といううちにはぜひ実現をいたしたい、政府としてはかように考えておるところでございます。
#135
○和田教美君 通常の通勤範囲というのは大体どの程度ですか。
#136
○政府委員(鎭西迪雄君) これは地域によって相当異なるわけでございますが、一番条件の厳しい東京圏等でございますとおおむね一時間強から一時間半程度ということになろうかと思います。ただ、三大圏でも一番通勤事情がよろしい名古屋圏等々ではもう少し状況は異なっているというように認識をいたしております。
#137
○和田教美君 銀行局長に伺います。
 先ほどからこれまた話が出ておりますように、金融機関の土地関連融資について総量規制をやっておられる、そしてこれからさらに続けるということを言っておられます。私も今の状況ではまだまだ必要だと思うんですけれども、ただ、静岡信用金庫系の静信リースが倒産をしたというふうなこと、これはノンバンクの土地関連融資を理由とする倒産としては初めてだということでございますけれども、そういうことが出てきますと少し総量規制を緩めろというふうな要求もこれから強くなってくるんだろうと思う。いつまでも総量規制をやっているというわけにいかないし、いずれは解除ということになるかもしれない。その場合に、いつごろ大体どういう条件が満たされれば解除ということになるのかということが第一点。
 それともう一つは、しかし見込みが違ってまた土地が上がり出すという状況が生まれるかもしれない。その場合に、速やかに土地の総量規制というものを再発動するという準備をしてやられておるのか。
 その辺のところについてお聞かせを願いたいと思います。
#138
○政府委員(土田正顕君) 昨年の四月以来、不動産業向け貸し出しにつきましていわゆる総量規制を導入しております。その結果、数字を一つだけ申しますと、全国銀行の不動産業向け貸出残高の前年比の伸び率は、総量規制導入前の昨年の三月末の一五・三%から本年一月末には二・〇%へと急速に低下しております。さらに、一部で地価下落の動きが報じられるようになりますなど、総量規制の効果は着実に浸透しつつあるものと思われます。
 ただいまきょうの新聞にもございますような倒産のお話もございましたけれども、このような不動産関係の融資が引き締まってくるということは、確かに経営の環境としてはそう楽ではない環境をつくることにはなるかもしれませんが、その中にありましても堅実な経営で営業を続けておる業者も多いわけでございますので、やはりそれは個別の企業の経営のやり方によるものであろうと思います。必ずしも金融の方の引き締め措置が一律に無差別にそれぞれの企業に影響を与えておるというふうには考えておらない次第でございます。
 なお、私どもとしましては現在総量規制の効果を注意深く見守っておるところでございまして、現時点におきましては総量規制を解除する考えはございません。
 今後どうかということでございますけれども、それは地価動向の推移を見守りますことが第一でありますし、さらに金融経済情勢、金融機関の融資動向、それから土地政策全般の推進状況などを総合的に勘案しながら、一言で申せば土地騰貴再燃の可能性がほぼ消滅したというふうに認められますような時期を待つということではないかと思います。
 その場合、委員の御指摘のように解除をいたしました後で状況に応じてすぐに再発動できるようにしておくべきではないかという論点でございますが、この点につきましては、ことしの一月の総合土地政策推進要綱におきましても「今後において、総量規制が実施されていない間においても、金融機関の業種別融資状況をみながら、土地関連融資が急増し、地価高騰の恐れが生じた場合に、総量規制がタイミングを逸することなく効果的に発動される仕組みを創設する。」とされているところでございますし、今後どのような仕組みがよろしいか検討してまいりたいと考えております。
#139
○和田教美君 私は、住宅政策として今まで政府・自民党が考えておられたことは大体持ち家促進ということが基本だったと思うのですね。しかし、この点は今のようななかなか一戸建ての住宅に入ることは難しいという状況の中で、もっと賃貸し重視ということに方向転換をすべきではないかというふうに考えるわけです。そういう観点から所得税とか住民税のあり方も考え直してみる必要がないかというふうに考えます。
 なぜかというと、持ち家については、例えば租税特別措置で住宅取得促進税制として住宅取得後六年間は最高毎年二十万円を税額控除するということになっております。ところが賃借人については、我々は強く要求しておりますけれども、本格的な家賃控除制度というものはまだないわけで、政府はそれを認めていない。そういうアンバランスがあると思うのですね。こういうことでは持ち家、マイホームという信仰がやはり依然として続くんではないかというふうに思いますけれども、その点はどうお考えでしょうか。
#140
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は委員の御指摘に本質的に異論があるわけではございません。
 ただ、本院におかれましても、たしか昭和四十年代半ばぐらいであったと記憶をいたしますけれども、国民のニーズが持ち家にあるということから、例えば勤労者財産形成法、財形貯蓄といったものについても非常に強い御論議がなされ、政府としてもその御論議にこたえてこうした仕組みもつくってまいったわけであります。しかし、確かに今土地問題の中でなかなかそれが現実にかなえられがたい状況が生まれておることは私も否定をいたしません。そうした中におきまして、私どもとしては、できるだけ優良な公共賃貸住宅をいかに供給していくか、これを政策の目標の一つに据えるということは当然のことと心得ております。
#141
○和田教美君 先ほど家賃補助という問題について質問がございました。東京都の幾つかの区で始められておりますこの家賃補助というのは非常に結構な制度でございまして、税制上の優遇措置をもし議員立法でとるということが必要ならそれも我々は努力しなきゃいかぬというふうに感じております。ただ、それは非常に結構なことですけれども、こういう部分的な家賃補助制度をさらに一歩進めて、我々は本格的な家賃補助制度を政府に国の制度として導入しろということを主張しているわけでございます。
 私たちの考えております制度は、家賃控除制度というのが一つでございまして、これは一定の条件のもとに税額控除または所得控除として税制上はっきり措置をするという制度です。しかし、税金を払っていない人にはこの制度の恩典は行き渡らないわけでございますから、そういう人たち、つまり年金生活者だとか年収の少ない人たちに対しては家賃手当を直接支給する。こういう二本立てでやることを考えておるわけなんですけれども、この税額控除というような考え方については、先ほどからの議論にもありますように、どうも大蔵省が頑迷固陋で、何かほかの食料だとかそういうものと比べてこれだけを控除の対象とするのはおかしいというふうな議論をされておるんですが、なぜそれがだめだというのか、もう少し積極的な理由をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#142
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大蔵省の事務方が頑迷固陋と申しますより、あるいはこの問題は私が頑迷固陋なのかもしれません。
 ただ私は、税制上の仕組みとして従来から事務方が申し述べております以上に、国の資金の使い方として良好なストック形成に直接結びつかないという意味で非常に効率の悪い施策だという思いがまずいたします。そして、むしろ積極的に国が努力すべきは、例えば住宅・都市整備公団によります賃貸住宅の供給戸数を増加させること、あるいは借り上げ公共賃貸住宅制度などによりまして公営住宅などの供給戸数を増加させること、公共賃貸住宅の建てかえを促進すること、まさにそうした分野でこそ私は国が努力をすべきではないかと思います。ですから、税制上の仕組みの問題について事務方が議論をいたしますのとは別に、むしろそこに充てる資金は積極的に公共賃貸住宅というものをつくっていく努力にこそ投入すべきである、率直に私はそう考えております。
#143
○和田教美君 時間ももう余りなくなりましたので、この問題はもっと議論したいんですけれども、次に移らせていただきます。
 土地の税制上の有利性という原因の一つとして、公的評価のばらつき、評価の低さという問題があるように私は思います。それは、実勢価格を一〇〇といたしますと公示価格はその八〇%程度、相続税については評価額の目標は実勢価格の五六%程度ということですが、実際は四八%程度だというふうに言われております。また固定資産税は三六%程度ですが、東京二十三区の場合などは一六%程度だというふうに聞いております。
 こういうふうに非常に複雑多様な形になっておって、さっきも出ましたように、一物四価とか一物五価とか六価とかというふうなことも言われておるわけですけれども、こういう一物四価と言われる公的評価のアンバランスを解消することがまず必要ではないかというふうに思うんです。その点はどういう対応をとっておられますか。
#144
○政府委員(山口厚生君) 相続税におきます土地の評価に当たりましては、従来から地価公示価格の均衡を保つように努めているところでございますけれども、実際問題として土地の価格には相当の値幅がございます。また相続税の課税上のものであるということを考慮いたしまして、地価公示価格と同水準の価格の七〇%程度を目途としてかた目の評価を行っておる状況でございます。
 地価公示価格は、一つには一般の土地取引について取引価格の指標を与えること、さらに公共用地取得の補償基準とすることを目的としておりまして、その公示地は都市計画区域内に限定されておる状況にございまして、その地点数も約一万七千、こういう数にすぎない状況でありますから、相続税評価の活用に当たってもおのずから限界がございます。
 以上申し上げましたように、相続税評価と地価公示との間にはそれぞれの目的、性格が異なりまして、その評価方法にも相当の隔たりがありますところから、公的評価の一元化の観点から両者を直ちに統一することは容易ではないと考えております。
 しかしながら、委員御指摘のように、相続税評価とほかの公的土地評価相互間の関連につきましては、以上申し上げた諸点を考慮しつつ今後とも相互の均衡と適正化を図るように努めてまいりたいと考えている次第でございます。
#145
○和田教美君 次に、地価税の課税の範囲あるいは基礎控除ということにもいろいろ問題があると思いますが、時間もございませんので、私は基礎控除の中の特に単価控除という問題についてお聞きをしたいと思います。
 単価控除を盛り込まれたことによって、大規模保有地を抱える大企業ほど有利になるということが言われております。このため当初三十万とか二十万社・人と言われておりました課税対象もかなり減ってきたということです。石小委員長も、十億円というのは残しておくとしても三万円の単価控除というのは削除すべきではないか、これは屋上屋を重ねるものではないかという指摘をいたしておりますが、なぜその二つ、単価控除と十億円のどららか高い方というふうな決め方をしたのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
#146
○政府委員(尾崎護君) 地価税の議論をしておりましたときに、結局のところ問題となる地域は土地の値上がりをしている地域、大都市及び大都市周辺のようなところではないのかという議論がございまして、地域を限って特定の地域についてだけこの税制を適用したらどうかというような議論もございました。土地の値上がりもない、絶対的な水準も低い、そういうところまで対象にする必要はないのではないかというような議論があったわけでございます。それに対しまして、この地価税は人税でございまして、全国に所有している土地を名寄せして課税するというような点もございまして、やはり地域を限るということは難しい。しかしながら、確かに土地問題がないような地域、ローカルな土地所有にまで課税をしていくというのはどうだろうかという議論もございまして、単価控除という形でそのような土地の水準の非常に低いところは外していくという考え方がとられたわけでございます。
 結果といたしまして、かなり広範な土地を持っておるような方が低い納税額で済むというようなこともあるわけでございますけれども、しかし、それは結局土地の値段の安いところに土地を持っておられるということでございまして、逆に言いますと、そのようなところに土地を持つということについてインセンティブが働きますれば分散的な機能も期待されるわけでございますので、そういう点からあわせ考えまして、単価控除を定額控除と一緒に採用いたしまして、そして控除額の大きい方をもって基礎控除とするという制度にしたわけでございます。
#147
○和田教美君 もう時間がほとんどなくなりましたから、これで最後にいたします。
 地価税は申告納税方式を予定しておりますが、各人が自己の土地の増加額を毎年把握して、そして非課税の土地を除いて控除額を控除して納税するという必要があるわけで、納税事務がかなり煩瑣になるというふうに予想される。また国税当局の方も、さっきから出ておりますように、全国に広がった土地を各人について名寄せする必要がある。現在はそういう資料はないということで、国税当局は固定資産課税台帳等の供覧の規定によって自治省などの協力は得られるというふうなことを言っておりますけれども、要するに執行上もかなり煩瑣になってなかなか難しい問題があるんではないかと思うんですが、今の状況で十分税務行政の執行が可能なのか、大体いつごろまでに体制が整い得るというふうに見ていいのか、この点を確かめまして私の質問を終わります。
#148
○政府委員(山口厚生君) まず名寄せの方からお話し申し上げますと、ただいまお話しになりましたとおり、固定資産課税台帳等の閲覧、記録により、固定資産課税台帳等の写しを得て行うこととなります。問題は市町村をまたがって保有しているそういうケースでございますけれども、そういう保有者の土地等につきましては、その写しをその土地等の保有者の住所地を管轄する税務署に送付することによりまして名寄せを全国的に行う方向で検討しておりまして、そういうことで十分対処できると考えております。
 それから、具体的な申告に当たっての準備、体制整備のことでございますけれども、地価税における土地等の評価は相続税評価額によることとされておりますので、土地等の評価事務の一層の充実を図る必要がございます。また、委員御指摘のとおり、申告納税方式とされておりますので、広報、相談等の体制を整備いたしますとともに、土地等の保有状況の把握及び名寄せを行うといった地価税の適正公平な執行を行うための準備事務も必要でございまして、今後法案が成立し施行された場合には速やかにこれらの準備事務を本格的に開始しまして、平成四年からの地価税の円滑な実施ができるよう努めてまいりたいと考えている次第でございます。
#149
○峯山昭範君 この地価税の問題でございますが、昨年一年間、大臣も御存じのとおり、両院で税制問題等に関する両院合同協議会というのが開かれていろいろと議論をされました。実はこの両院協議会というのは、大臣はあれは消費税とお考えかもしれませんが、テーマにもありますように、もともと税制問題等に関する両院協議会ということで、あの場面では消費税だけではなしに税制全般にわたって議論があったわけです。特にまず一番初めに総合課税の問題が取り上げられまして、これは与野党大体一致をいたしまして、答申も大体こういうようなものということででき上がっております。
 その後でき上がったのが土地問題に関する小委員会の答申でありまして、この土地問題の小委員会のいろんな議論というものが今度の地価税にどう反映されているのかというのを私はひとつお伺いしたいと思うんです。
 といいますのは、政府税調で答申をされましたときには、課税対象をどうするとかあるいは税率をどうするかという部分、この課税対象とか税率というようなものが一番大事なところでありますから、本来ならこれは政府税調がぱちっと決めなければいけない問題ではないかと私は思うんですが、ところがその部分を政府税調は決めなくて、どちらかというと自民党税調にゆだねたという部分があるわけですね。ですから、そういうふうな意味では、そこら辺のところをよく考えてみると、政府税調のあり方というのがこれでいいのかなというのが一つ、それからもう一つは両院の土地問題に関するその小委員会の議論というものがどういうふうに地価税に反映をされているのかなという問題、二つあるんですが、いかがでしょうか。
#150
○政府委員(尾崎護君) 税制調査会の答申は、確かに御指摘のとおり具体的な数字が入っておりませんで、基本的な仕組み、方向、考え方を示すということになっているわけでございます。しかしながら、その具体的な仕組みにつきましてはかなり詳細に書き込まれているわけでございまして、その考え方に沿っていろいろと議論が重ねられ、現在のような姿になってきているわけでございます。税制調査会から具体的な数値が示されなかったことが特に障害になったというようには私どもは存じておりません。税制調査会の中におきまして具体的な数値を入れるべきだという御意見も確かにございましたが、いろいろと検討が行われた結果、あのような形で基本的な方向をかなり具体的に書き込んで示すということになったものでございます。
 それから、両院合同協議会におきまして消費税問題以外の御議論が交わされておりましたことは私どもも存じております。最終の段階でそれぞれおまとめになられましたペーパーも拝見させていただいておりますが、そのような両院合同協議会におきます議論は、自民党税調におきますこの本件の非常に時間をかけた議論の中で紹介もされておりましたし、またそのような考えに立っての御発言が多くございました。その当事者の一人でございます自民党を通じましていろいろな形で反映されていると考えております。
#151
○峯山昭範君 政府税調の答申はかなり具体的な仕組み、考え方が記されているのは事実であります。私も読ましていただきました。そのかなり具体的な仕組みや考え方の中からいわゆる〇・二%とか〇・三%というものが想定されるんですかね、実際問題として。
#152
○政府委員(尾崎護君) 税率についてのお尋ねでございますけれども、政府の税制調査会は、その税率は土地の資産としての有利性を縮減するようなものでなくてはならないということとあわせまして、納税義務者の負担の問題もあわせて考えなくてはいけないという、その両面を書かれておりまして、非常に個別具体的な負担の例その他の数字等も自民党税調におきます論議の中では示されたりいたしまして、両面からの議論がなされたわけでございます。
 確かに、土地の資産としての有利性の縮減という観点からだけ議論をいたしますと、これは税率が高い方が効果があるということは間違いないことであるというふうに存じますが、他方、経済に与えます影響でございますとか納税者の負担という側からの議論もございますので、一方また固定資産税というようなものも同時にあるわけでございまして、納税義務者の負担としては両者あわせて考えたらどうだというような議論もあったりいたしまして、現在のような水準に立ち至った次第でございます。
#153
○峯山昭範君 それは私は、少なくとも政府税調でのいろんな議論の中では〇・二%とか〇・三%なんという議論はなかったであろうと思うんです。これは最終的には、これが本来の目的の役に立つのかどうかということに焦点は絞られてくるわけであります。私どもの党もこの法案に賛成するかどうかという大議論を何日もかけてやりました。結局は〇・二、〇・三%では余り効果がないんじゃないかと。それで、今局長がおっしゃいましたように、それじゃ〇・二、〇・三%で例えば経済に与える影響とか固定資産税との絡みとか、そういうような問題を〇・五%で考えていないかというと、そうじゃないわけですよね。〇・五%の場合でもやっぱり同じように経済に与える影響とかそういうこともいろいろ勘案をして議論をしてきたわけですね、実際問題として。
 それで、その途中の経過はいいとしましても、最終的に〇・二、〇・三%という税率で実際問題として地価は本当に下がるのか。現在確かにアナウンス効果として幾らか下がっている部分はありますが、これから地価はどうなるのかというのが一つ。それからもう一つは、土地の供給というのが本当にふえるのか、あるのかどうかということ。この二つについていかがお考えですか。
#154
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは従来から何回も同じことを御答弁申し上げておりますけれども、他の仕組みを変えないままに地価税だけで地価抑制あるいは地価引き下げの効果をねらうとするならば、この税率では不足であるという御指摘は私もそのとおりに思います。
 ただ、今回、本委員会におきましても各般の税制の御審議をいただき、土地税制のあらゆる分野についての見直しをお願い申し上げ御協力をいただいたわけであります。そしてまた、国税とは別に固定資産税の評価の適正化等も行われるわけであります。その上に新たに負担として生ずる地価税が毎年行われるものということを考えますと、私は地価税は他の仕組みと相まって所要の効果を上げるものと考えております。
#155
○峯山昭範君 非常に抽象的な答え方で、所要の効果を上げると言うんですが、私は地価が下がるのか、供給がふえるのかと申し上げたわけですから、所要の効果ということはそれだけ効果が出てくるというふうにとらざるを得ないわけであります。
 そこで、結局、地価を下げてもらいたい、それで土地の供給量をという問題になるわけですが、なぜそういうことを我々が一生懸命言うかといいますと、基本的にはサラリーマンの皆さん方の最大の願いであるマイホームを何とかしてあげたいという希望がありますし、手が届かなくなったマイホーム、一生懸命頑張ってこられたサラリーマンの皆さん方の願いを何とかかなえるためにはどうしたらいいかという部分があってそういうことを申し上げたわけでございます。
 先ほどの和田委員の家賃補助制度の問題について大臣の答弁を聞いておりますと、大臣は、賃貸住宅とか借り上げ住宅のそこら辺のところに力を入れていくべきであるということで、個人の賃貸に対する補助制度という問題については余り乗ってこられないわけです。しかしながら、実際問題として――きょうは建設省の住宅政策課長さん、お見えになっていますね。どうぞ前の方へお願いします。要するに、私は日本の住宅政策そのものも変えていただきたいというふうな考え方でいるわけです。
 従来日本の住宅政策というのはいわゆる住宅取得政策というのを基本にしてきたわけですね。それにかわるものとして、我々としては賃貸住宅も公共の優良な賃貸住宅をどんどん提供してもらいたいという願望もあるわけですが、ところが最近は、地価高騰によりまして特に都市圏における賃貸住宅というのは家賃が非常に高くなって、とてもじゃないけれども手が届かなくなってきている。そういうふうに難しい問題がいっぱい出てきている。
 したがって我々としては、民間の賃貸住宅にどうしても入らざるを得ない人たちがたくさんいるわけですし、また何回申し込んでも抽せんで当たらない人がいるわけですから、そういう人たちに対しては、家賃補助制度というのは非常にいい制度だし、あるいは家賃控除という制度、中身はいろいろありますが、そういうふうなところに取り組んでいかざるを得ないんじゃないか、こういうふうに思っているわけです。したがって、きょうは課長さんがお見えになっていますので、日本の住宅政策が現在どういうふうになっているのか、簡潔にお話しいただきたいと思います。
#156
○説明員(五十嵐健之君) 住宅政策の基本は、国民の住宅の需要を踏まえまして、貸し家そして持ち家、これをバランスよく総合的に展開していくということだと考えております。
 ただ、現時点におきまして、御指摘ありましたように、大都市で賃貸住宅に対する需要が非常に高まっている。もちろん地価高騰とかそういうようなことが背景にありますが、賃貸住宅への需要が高まっているというようなこと、あるいは私どもの言葉で恐縮でございますが、最低居住水準というのを設定しているわけでございますが、こういう最低居住水準未満の住宅が大都市に多い。特に民間賃貸住宅では四分の一がこの最低居住水準未満というような状態にあるわけでございます。こういうようなことを考えまして、今後良質な賃貸住宅の供給を促進することが非常に重要なことと考えておる次第でございます。
 先月八日でございますが、第六期の住宅建設五カ年計画というのが閣議決定されたところでございまして、ここにおきましても直接供給関係四万戸がふえるというような感じで、特に三人ないし五人ぐらいの標準的な世帯向けの賃貸住宅が足りないというようなことがありますので、こういったところに重点を置いて展開していきたいと考えております。
#157
○峯山昭範君 今一番多い大都市圏におけるいわゆる最低の住宅の基準は、何平米ぐらいになっていますか。
#158
○説明員(五十嵐健之君) これは世帯規模に応じていろいろでございます。四人世帯の場合、つまり親二人子供二人という四人の標準世帯の場合には五十平米ということになります。例えば六畳、四畳半、四畳半、それから四畳半のダイニングキッチン、こういうような感じでございます。
#159
○峯山昭範君 大臣、今お話がございましたように、四人世帯で五十平米なんですね。私も住んだことございますけれども、五十平米というのはもうどう考えたって狭いです。そんな住宅に二、三年住んでいると、やっぱり息が詰まるようになりますね。だから、私もいろんな相談を受けておりますが、最低七十平米以上欲しいなというのが私は基本だと思うんです。
 建設省は、良質というのはどのくらいを目指しておられるんですか。
#160
○説明員(五十嵐健之君) もう一つ誘導居住水準というのを設定しておりまして、これは二〇〇〇年に大体平均的な世帯がこれをクリアするようにというような規模でございます。世帯規模によって違いますが、四人世帯で申し上げますと、共同住宅つまりマンションなんかの場合には九十一平米、それから戸建ての場合は百二十三平米、こういうような感じでございます。
#161
○峯山昭範君 時間がございませんから、端的に申し上げます。
 二〇〇〇年を目指して、今お話ございましたように、要するに四人世帯で九十一平米というわけでしょう。
 そういうふうな意味でいきますと、少なくとも現在マイホームを持ちたいということで持ち家制度で一生懸命貯金してきた皆さん方がいっぱいいるわけですが、そういう方がマイホームをもうあきらめちゃって、賃貸でいこうという方がいるわけですよ。そういう方は、お父さんと二人で共働きで一生懸命頑張ってきたけれども、もう持ち家は無理だ、だから賃貸にしようということで賃貸に入って頑張っていらっしゃるわけです。
 一方、持ち家、マイホーム、マンションを購入した皆さんには、国からもそれなりのいろんな補助が出ているわけですよ。具体的な金額を申し上げてもいいんですけれども、例えば住宅取得促進税制による特別税額控除というのは年額で三千九百六十億という予算が組まれているわけですね。それから、住宅金融公庫利子補給金としては三千七百四十億円。これは公営の賃貸住宅の方ですね。
 ところが、民間の賃貸に入る個人の皆さん方にはそれが全くないわけですよね。ですから、そういう方々に対しては、例えば公営住宅がもうたくさん余っていても入らないんだというのなら別ですけれども、何回申し込んでも入れない人が多いわけですから、民間に行かざるを得ない人がいるわけですね。そういう方々の賃貸に対する国からの補助というのは、やっぱり我々は今この時点で住宅政策としても考えるべきじゃないのかというのが私どもの主張でございます。
 時間がございませんから説明し切れない部分もございますが、お考えいただきたいと私は思うわけでございます。大臣、いかがでしょうか。
#162
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はその御主張が全く理のないものだと決して申し上げるつもりはありません。
 しかし、国の資金の効率的な使用ということを考えますと、我々はやはりストックの増にこそ力を入れるべきではなかろうか。国自身が良質な賃貸住宅をいかにして供給が十分にできる条件をつくり出すか、そうした分野にこそ私はその資金を投入すべきだという気持ちを持っております。先ほども率直に申し上げましたが、私は御主張がわからぬとは申しません。しかし同時に、資金の効率的な使用、将来に残ることを考えますと、我々は良質な賃貸住宅を供給することに力を入れるべきである、そのように考えております。
#163
○峯山昭範君 もうこれで終わりますが、それはよくわかるんですけれども、大臣、最近は公営の住宅、公団の賃貸住宅も家賃が市内の分は物すごく高いんですよ。良質なストックをふやしていくというのは私もわかるんですけれども、そういうところに入れる人は非常に少なくて、もっと良質で安くて良好な住宅を提供する方に力を入れるとか、大臣がそうおっしゃるだけでは、とてもじゃないけれども高い民間の賃貸に入っている皆さんは了解できないと私は思うんですけれども、そこら辺のところも今後お考えいただきたいと思います。
 以上です。
#164
○近藤忠孝君 午前中から、土地の高騰につきまして、消費者物価指数や勤労者実収入に対してけた違いの上昇であるという指摘とかアメリカが四つも買えるという議論がありましたが、私がさらに加えまして議論の前提として指摘したいのは、保有格差がまた開いている、それから土地の資産についてその格差が開いているということをも指摘しておきたいと思います。
 資産保有五分位別に見てみますと、大体第一分位はこれは土地資産はゼロですから、第二分位と第五分位の比較で、八五年には少し縮小してきましてその差が十九・八倍、しかしまた今回の第三次の地価高騰で格差がどんどん拡大しまして一九八八年で六十二・一倍。これは絶対値が全くけた違いに大きくなっていますから、第二分位が平均百五十二万に対して第五分位は九千四百四十一万円という、そういう絶対値が大きい中での大きな差であるという状況が実態であります。
 これは何人かからも、じゃその原因と責任は何かという指摘がありました。今までの答弁ですと、大体同じ答弁が繰り返されていますが、大都市圏の都心部中心に業務用土地需要の急激な増大があったこと、二番目にそれに端を発した金余り状況のもとでの土地の買いかえ需要の増大、そして三番目にこれら需要増大を見込んだ投機的取引、そういう答弁がありました。これは私は一つの現象だと思うんですね。総理も大蔵大臣も他人事のように言っているんですけれども、問題はこういう現象をもたらした政府としての責任、これが私は大変大事なことだと思うんです。この答弁ではこういう今日の土地のこんな異常な状況をつくり出した原因と責任についての答弁としては極めて不十分だと思うので、もう少し突っ込んだ答弁をお願いしたいと思うんです。
#165
○国務大臣(橋本龍太郎君) 同じ答弁とおっしゃいますけれども、御質問される方によって答弁の中身が変わればその方が問題なのであります。私どもは確かに今委員が御指摘になりましたような要因というものを挙げております。そして、その中において、例えば金融といった問題がその原因の中にあったことも否定できないということも率直に申し上げております。
#166
○近藤忠孝君 私も質問者が違ったから違う答弁をしろとは申していないんで、こういう答弁では原因も本当に正確に理解していないし責任も感じていないんじゃないかということを申し上げたいんです。
 先ほども指摘があったけれども、今日の地価高騰の原因ははっきりしていると思うんですね。第一は、中曽根内閣時代の東京一極集中と民活路線にあると思うんです。これは都市再開発、これも結局大企業中心になっており、そのための都市計画、建築などの規制緩和政策、こういう一連の政府の政策が地価高騰を誘導して、むしろあおり立てた原因で、その責任は、これは大蔵大臣とは申しませんけれども、その方の責任ですね。それから、これは大蔵大臣の責任だと思うのは、金余りと金融緩和政策のもとでの金融機関、生命保険、損保会社などの不動産業向けの過剰融資、またノンバンクを通じた融資、これが土地投機を支えたと思うんです。これは、今になってはそこに原因があるということは認めました。そのチェックもしていると言うんですが、
 私がここで言いたいことは、この問題はまさにあの異常な土地高騰のときに私も指摘してきたんですよ。土地特別委員会でも指摘したしこの委員会でも指摘しました。当時の銀行局長は平澤さんだったかな、私が具体的に都内の主要な土地を調べてきて、大体担保がここまでいってやがてまたどんどん担保が増大していくということはどんどん融資をして土地をつり上げていった元凶だったと指摘もしました。これがまさしく土地高騰の原因じゃないかと指摘したけれども、むしろこれを反論されたんですよ。そのときに今やっているような土地規制をやっておれば、こんなことにならなかった。こういう責任も感じてもらわなきゃいけないと思うんです。
 それから、ある意味では無策だった、あるいは積極的にこれを推進する原因をつくった、こういうもとで地上げ屋などの土地投機への暗躍があった、これがまた後ろの方から大企業、大不動産会社などの税制をも利用した土地投機などがあって、こういうことが原因になってきたんだということを明確に理解してもらわぬと、今後の対策も十分いかぬじゃないかと思うんです。
 ここまで指摘したんですから、少し違った答弁をしていただいてもよろしいんじゃないでしょうか。
#167
○国務大臣(橋本龍太郎君) では少し違った答弁をさせていただきます。
 たまたま昭和六十二年、その前半は私は運輸大臣として第三次中曽根内閣の中の閣僚の一人でありました。そしてその当時、昭和六十二年度予算に対しまして、むしろ景気浮揚効果が少ないのではないか、より財政を緩めることが必要ではないのかという御論議が院においても行われたことは、委員が御記憶のとおりであります。そして、たしか五月でありましたか、景気浮揚のためにすぐ追加の財政支出を計上したと思いますが、その金額も足りないという御指摘はしばしば私どもも拝聴いたしておりました。これでは多過ぎる、むしろ不動産投機、土地投機につながりかねない、そういう御指摘はなかったと私は記憶をいたしております。
 結果的に今日振り返ってみますと、昭和六十一年の末ぐらいに景気が底を打っておった、その部分を我々が見通せなかったという責任を私は回避するつもりはありません。しかし同時に、一方的に当時御論議のありました方向と違った視点から御批判を受けるのは、私としては多少心外であります。むしろ我々は不足であるというおしかりを受けた、そうした記憶の方が鮮明に残っておるということを違った角度からお答えをいたします。
#168
○近藤忠孝君 その、これでは少な過ぎると言った中には少なくとも日本共産党は入っていなかったし、この私も入っておりませんでした。むしろ、それじゃ多過ぎるんじゃないか、もっと生活基盤に回せという主張はいたしましたけれども。だから、そのお答えは私に対する反論には全然なっていないということを申し上げて、次の別の質問に入ります。
 昨年の十一月十三日付の毎日の夕刊を見てみますと、自民党の税調で新土地保有税の論議に入るに先立って、加藤政調会長が会長を務める緊急土地問題協議会が報告書をまとめたと報道されています。その報告書によりますと、こういう指摘があります。「地価高騰が始まった八六年(昭和六十一年)以前の水準に引き下げることを目標に、新たな土地保有税創設の検討」「などによる構造的、抜本的な土地対策を講じるべきだ」となっています。要するに、地価高騰が始まった八六年以前の水準に引き下げることを目標とする、そのために新税の創設、実効ある制度の実現を図る、そういう指摘があるわけです。これは自民党の中にある。結構だと思うんですね。
 これについて、橋本さんはこの報告書の趣旨と同じお考えでしょうか。
#169
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょっと正確な日取りを忘れましたが、たしか一月の二十五日でありましたか、政府は総合土地政策推進要綱を閣議で決定をいたしております。私は、その総合土地政策推進要綱にのっとり仕事を進めていく責任を有しております。
#170
○近藤忠孝君 八六年以前の状況に引き下げるべきだというのは、ちょうど先ほど来から話がある大体年収の五倍以内というのが買える範囲だという話とも符合するんですが、しかし現在は、これは少し前の資料ですが、いずれも八倍から八・五倍であります。となりますと、八六年の段階にまで引き下げなければならないとすると、どれくらい地価を引き下げればその水準に達するとお考えでしょうか。
#171
○国務大臣(橋本龍太郎君) 恐れ入りますが、自由民主党の政策は自由民主党対日本共産党の政党協議でお願いをいたしたいと思います。
 私は、今申し上げましたように、政府として一月二十五日に閣議で決定をいたしました総合土地政策推進要綱にのっとり仕事をする責任を負うておるのであります。その点の誤解がないようにお願いをいたしたいと存じます。
#172
○近藤忠孝君 政府税調としては、建物を含めてですが、土地の価格を下げるとおっしゃるけれども、要するに庶民が買える年収の五倍、そこに下げる目標は政府にはないんでしょうか。
#173
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど来申し上げておりますように、政府は一月二十五日に総合土地政策推進要綱を閣議で決定をいたしております。その中には、税制の果たします役割も、また金融の果たします役割も明記をいたしております。その方針にのっとり、今国会におきましても各法律案の御審議を本委員会においてもお願いを申し上げておるところであります。そして現在、地価税の御審議をいただいておるところであります。
#174
○近藤忠孝君 そこは大分ぼけておってどういうふうに押さえるのかわからないというようなことかもしれませんが、それは残念です。しかし大事なことは、やっぱり庶民が買えるようにしなきゃいかぬ、これは共通の認識だと思います。
 そうするにはどうしたらいいかということをこれから具体的に申し上げます。
 これは大蔵委員会調査室でつくってくれた地価税法案の参考資料、その百七十九ページから百八十ページに「三大圏の地価の推移」というのがあります。これで六十一年と平成二年を比較してみますと、要するに六十一年に戻すにはどうしたらいいかというと、この間に上がった分を引き下げる。ということは、要するに必要な下落率はどれほどかというのを計算してみますと、東京都区部で五八・八%、東京圏と千葉県では六〇・五%、東京圏平均で五四・四%の下落率が必要なわけです。これだけ下げて、初めて東京圏の勤労世帯の平均年収の五倍で入手できるというわけです。
 今度は、この法案との関係です。では、この地価税導入で地価はどの程度下がると期待をしておるんでしょうか。
#175
○政府委員(尾崎護君) 先ほども申し上げたところでございますが、地価税の地価引き下げ効果を定量的に示すということはなかなか難しいことでございまして、学者の方々の中には大胆な仮定を置いてそういう計算をなさっておられることを私ども承知してはおりますけれども、しかし地価を決定する要因というのは余りにもいろいろございまして、私ども定量的に政府として計算をするというようなところには到底至らないわけでございます。したがいまして具体的に数字で示すということはお許しいただきたいわけでございますが、ただ、土地の保有コストを上げるということは将来にわたる土地の収益を減らすことになるわけでございますから、現在の割引価格、現在価値といいますか、それも下がることになりまして、したがって地価を引き下げる方向に働くことは間違いないわけでございます。
 それから、それと同じような効果を期待いたしております今回の税制改正は地価税だけではございませんで、譲渡所得の面、法人税の面、それから固定資産税、相続税にわたっての農地の扱い等等によりまして土地問題の解決を目指しているわけでございまして、そこらを総合的にお考えいただきたいとお願いいたしたいと存じます。
#176
○近藤忠孝君 今までの答弁ではっきりしたことは、やっぱり庶民が買える年収五倍という目標は政府には明確でないということと、それから具体的にどれほど下がるかについてもはっきりしない。ただ総合的にとおっしゃるだけですね。
 実際、今までの試算ですと、例えば三井銀行総合研究所、住友生命総合研究所、上智大学岩田教授、一橋大学の野口教授などの試算があります。〇・二%でどの程度下がるのかというと、低い線ですと一から二%の下落にすぎない、一番高い方の野口教授でも平年度〇・三%で下落は五%程度だというわけです。庶民が買えるのには何しろ首都圏全体で五四・四%下げなきゃならない。ということは、目標とほど遠いものだということであります。そして、逃げの手としては要するにほかの税制も総合的にとおっしゃる。しかし、地価抑制についてはやはり保有税が中心ですよ。最も直接的に影響も大きいわけです。それから他の税制、これは譲渡益課税などを言うんでしょうが、この間大分審議しましたけれども、地価に大きく影響するほどの課税強化などしていませんよ。特に五〇から六〇%下げるという目標の一角をなすというほどのものでは到底ないのでありまして、これは大変無責任と言わざるを得ません。
 それで、もし税率を一%にしますとかなりそれに近づく可能性があるというそういう積算もあるわけでありまして、私はこの税率について何とかこれもうちょっと明確に、要するに庶民が買えるような方向をもっと目指すと。総合的になんというそういう抽象的なことを言わないで、その辺はもう少し前向きな答弁ができないものでしょうか。
#177
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今伺っておりまして、私は大変首をひねっております。
 と申しますのは、衆議院での御党の御主張の中に、十五億円、十億円という控除につきまして、これを二十五億円まで広げろという御指摘がございました。これはなお効果を薄めるものではなかっただろうか、今委員の御主張を拝聴しながらそのような感じを持った次第であります。
#178
○近藤忠孝君 また大分見当違いの反論がありましたけれども、これはまたあしたやります。これは要するに東京の中の中小業者に課税させないための措置なんでありまして、全然別の次元であります。
 問題は、先ほど橋本さんは、この法案は政府税調より後退していない、こういう答弁をされましたけれども、後退しているということは小委員長だった石教授がいろんなところでいろんなことを言っております、大分激しい言葉で。例えば自民党の土地税制小委員長の野田さんとの対談の中でも、それから自民党案が出た直後にも、期待を裏切られたと。それから、一番明確に体系的に書いてあるのは、「金融」という雑誌の九一年二月号、「土地税制について」。ここでは大変な指摘をされております。「大幅に後退させ、骨抜きにしたという印象」、「これで、地価高騰から生じた種々の土地問題を解決するのに役立つのか、甚だ心許ない」、それから「形式的な代物に変質させられてしまった」というようなこととか、ある意味では本当にかっか怒っている様子が明らかです。
 要するに、政府税調の答申をまとめた石教授がこういう失望をあらわしたのはよくわかります。やはり最大の問題は、石さんも指摘していますけれども、骨抜きになった最大のものは税率と単価控除であります。大体〇・五から一%の範囲の高い方の税率、だから〇・五じゃなくて一の方に近い方で大体想定をしたということも、これは経過から明らかであります。それから単価控除は、今まで指摘があったとおり相当の部分を課税対象から外すわけであります。石さんがここまで言っていることについて、大蔵大臣、何か御感想はありませんでしょうか。
#179
○政府委員(尾崎護君) 税制調査会が地価税の案が大体まとまりました段階で、去年の十二月に「平成三年度の税制改正に関する答申」というのを出しているのでございますが、そこに書かれておりますことが一番公式な税制調査会としていわば総意を示している意見でございます。
 御指摘のようにその中でも、税率、基礎控除等が土地の資産としての有利性を縮減する上で不十分ではないかという意見もあったということが紹介されているわけでございますが、結論といたしましては、「いずれにせよ、新たな土地保有税(仮称)は、固定資産税及び特別土地保有税の見直しとあいまって公共的性格を有する資産である土地の保有に対する税負担を引き上げるとともに、土地の保有コストに対する意識を高める上で必要不可欠であり、資産価値(時価)に応じて毎年税負担を求める新税の創設の意義は極めて大きいものと考える。」、これが税制調査会の評価でございます。
#180
○近藤忠孝君 抽象的な議論をしてもしようがないんで、具体的データに基づいて税率と単価控除をいかに骨抜きにしたか、とてもこれではこの法案に賛成できないということを私は具体的に証拠をもって示したいと思います。
   〔資料配付〕
 今お配りいたしました「業種別土地保有税負担の推計」でありますが、議論を正確にするための確実な資料で、一つは社団法人日本経済研究センター研究報告ナンバー七十二、これは先ほどの石教授が編集しておる「わが国における資本所得課税の実態」のうちの第六章の「企業所有土地資産とその適正課税の可能性」の中から具体的データをとったものであります。さらにその具体的データを補充計算をいたしました。上にa、b、c、d、g、kというのがありますけれども、これは興銀資料から引用いたしました。それからe、f、h、i、j、l、これはこちらで計算をしたものであります。
 それから上の左から四番目に時価保有額というのがありますが、これは公示価格ベースの数値であります。したがって、相続税路線価の計算は実際の相続税評価額が公示の約六割程度でありますから、時価保有額に〇・六を乗じてその次の次に計算をしてあります。
 それから単価控除額、これは土地面積というのが左から二番目にありますが、それに一平方メートル当たり三万円を乗じた額であります。これに基づいて具体的に出した計算であります。
 そしてそのうち、議論を端的にするために、鉄鋼と自動車と不動産、全産業、それを引き出したのが下の方に出ている「税率・単価控除による一律一%課税からの骨抜化の数字的例証」というものであります。
 まだあしたもありますから、きょうは議論までいかなくて説明だけで終わってもいいかと思っておりますので、それをよく頭に入れてもらってあしたゆっくりと議論をしても結構だと思います。
 若干さらに説明しますと、まず単価控除がない場合の相続税路線価の一%、これを本来あるべき税として見てみますと、数字としては一番下の左から二番目にありますように、この税額が一兆六千三百七十一億円。鉄鋼、自動車、不動産の三つを抜き出したのは、地価税創設に最も強くしかも執拗に反対した業界を出したわけであります。鉄鋼が一千四百五十億円、自動車が四百三十七億円、不動産が二千十五億円となるわけであります。
 今度、その税率を一%から〇・三%に下げてみますと、そのお隣が地価税額でありまして、全産業で四千九百十一億円。要するに七割減りますから、鉄鋼は一千四百五十億円から四百三十五億円を引きまして、一千十五億円減ります。自動車が三百六億円、不動産が一千四百十一億円減って、合わせて何と一兆一千四百億円も税額が減る。要するに税率を大幅に引き下げたことでいかに大企業の税負担額を激減させたかがわかります。
 次に、土地面積に三万円を掛けて得られる単価控除がそのお隣にあります。それはもう計算どおり鉄鋼が六兆円、以下ずっと下へいって全産業で五十八兆三千七百七十四億円になります。この単価控除が一番大きいのは自動車で八〇%も単価控除になっています。そして全体では三五・七%の単価控除になるわけであります。不動産業は比較的単価控除は少ない。この結果、課税対象額が著しく小さいものになりますね。
 今度は、単価控除後の路線価に一%、〇・三%、〇・二%を掛けて単価控除のなかった場合の地価税額と比較してみますと、同じ一%課税でも単価控除がある場合とない場合では大変違ってまいりまして、鉄鋼では一千四百五十億円が八百四十六億円。ない場合に比べてある場合がこれだけになりますから、五八・三%。以下ずっといって全産業では、一兆六千三百七十一億円が一兆五百三十三億円ですから六四・三%。もう大違いになるわけであります。
 まだあとずっとありますけれども、とりあえず今まで指摘をしたところで、税率を引き下げたことと単価控除が大企業をいかに優遇したか、道理で反対したはずだ、反対の効果が上がったんだということを指摘いたします。問題はまだたくさんありますが、とりあえずのお答えをいただきたいと思います。
#181
○政府委員(尾崎護君) 拝見したばかりでございますので、また別途御議論、御質問があるようでございますので、そのときにお答えいたしたいと存じますが、ちょっと一見いたしましたところ、例えば単価控除は、これは面積に三万円を乗じた額というのが注4のところに書いてございますけれども、土地の中には例えば評価額で三万円ないところがあるわけですね。それに三万円を掛けてしまって引きますと、ちょっと引き過ぎになるわけでございます。そういうところ、いろいろとこの資料、問題があるように拝見いたしました。
#182
○近藤忠孝君 これは二時間前に大蔵省の方へ渡っておりますので、ただいま拝見したというのはちょっと……
#183
○国務大臣(橋本龍太郎君) それは無理ですよ、二時間前はここにいたのですから。
#184
○近藤忠孝君 しかし、事務方から渡っていたっていいはずですね。
#185
○国務大臣(橋本龍太郎君) こっちにはまだ来てないです。
#186
○近藤忠孝君 局長の言われる問題はそれはあるでしょう、そういうものは。しかし、全体から見ればそんなに大きな比率を占めるとは思いません。
 時間も来ましたので、一分ばかり余っているけれどもおまけしておきまして、またひとつあしたゆっくり議論したいと思いますけれども、こういう問題だということを御認識いただいた上で、こういうことを大いに反省をしていただくべきだろうということを申し上げて、とりあえず終わります。
#187
○古川太三郎君 大体この問題については、重複を避けたいと思いますけれども、この地価税ができましても地価の安定ということについてはなかなか難しいというのが今までの議論のようでございました。
 最初に、国民が期待した税率から非常に低くなり、思わぬ税率になってしまったが、地価税法をつくる中で、非常におもしろいと言っては語弊がありますけれども、今まで固定資産税が公示価格と非常にかけ離れていたのに、地価税ができるようになってから七〇%の評価に持っていくというような話が出てきたんです。むしろこの方が地価抑制につながるんじゃないかというような形で私は期待を持っているんですけれども、その辺のことについてお伺いしたいと思います。
#188
○国務大臣(橋本龍太郎君) 固定資産税の評価の適正化というものが必要であり、今回ある意味では地価税の論議と並行してこれが進むということは私どもとしても非常に時宜を得たことだと考えております。同時に、地価税だけが地価抑制の全責任を負うということでありましたならば、この税率は先ほど来申し上げておりますように大きく変わっておったと思います。しかし、他の土地税制にも言えることでありますが、今回土地基本法の理念に基づいて根本的な見直しを図る中で固定資産税というものについても評価の適正化が行われるということは、それぞれ税のつくられた動機、目的というものは異なりますけれども、負担をしていただく方々から見ればこの両方の効果が相まって土地の保有コストというものを非常に押し上げる、これは土地の有利性というものを縮減するわけでありますから効果は非常に大きい、私はそのように考えております。
#189
○古川太三郎君 今までは固定資産の評価に関しては、しつこくといいますか、その目的とか性格が違うから保有の関係での税金という考え方じゃなくて、それだけに土地政策上の役割を期待することは困難だというようにされておりました。それもそのはずで、この固定資産税というのはシャウプ勧告以来、資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目して土地の所有収益し得る価値に応じた負担を求める地方税というようなことで、こういうのと余り関係なく、また取引関係とも余り関係なく、それ自体で目的を達していたと私は思っておるんです。
   〔委員長退席、理事梶原清君着席〕
しかし、最近土地が高くなって、固定資産税にもその役割を担ってもらうというような考え方があって七〇%まで評価額を上げていくと言われるようになったのかどうか、お聞きしたいんですが。
#190
○説明員(堤新二郎君) お答えいたします。
 ただいま御指摘がございましたように、固定資産税はシャウプ勧告以来の市町村の基幹的な税目として非常に重要な位置づけがなされておるわけでございますけれども、また、御指摘にもございましたように、最近の地価の高騰等によりまして地価公示価格と固定資産税の土地の評価額の乖離が地域によって格差が出てきておるという御指摘もございますし、また、非常に重要な税でありながら市町村税収入の総額に占める割合も長期的には低下傾向にあったわけでございます。そういった評価のアンバランスとか税収の低下とかいった点を考えまして、固定資産税の土地の評価においてもその適正化と均衡化を図るべきであるというこれまでの政府の閣議決定等も踏まえまして、私どもも今後固定資産税におきましてもその評価の均衡化と適正化を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 その場合に、土地基本法の第十六条の「公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする。」という御指摘も踏まえまして、相続税評価との均衡にも配慮しながら、一方、地価公示制度におきましてもその改善がなされるというふうに聞いておりますので、地価公示価格の一定割合を目標といたしまして、ただいま七割という御指摘もございましたが、まだこれは具体的に決めておるわけではございませんけれども、それも一つの考え方でございますし、その地価公示価格の一定割合を目指しまして平成六年度以降の評価がえにおきまして速やかにその均衡化と適正化を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
#191
○古川太三郎君 七割というのはまだ決めてないとおっしゃったんですが、そうですか。七割を目標にするということはもうみんな知っている公知の事実なんですけれども、それはまだ決めていませんか。
#192
○説明員(堤新二郎君) 先般閣議決定をいただきました総合土地政策推進要綱におきましても、地価公示価格の一定割合を目標として速やかにその評価の均衡化と適正化を図るようにというふうに言われておるところでございまして、土地保有課税のあり方について検討をしておりました段階におきましては、一時、例えば地価公示価格の七割ということも申し上げたこともございます。
   〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
また、地価が総体的に安定をしておりました昭和五十四年あるいは昭和五十七年の評価がえのときにおきましては固定資産の評価額が地価公示の約七割までいったこともございます。そういったことも踏まえまして七割というのも一つの目標でありますけれども、現在の閣議決定におきましては「地価公示価格の一定割合」というふうにされておりますので、なおさらに急ぎますけれども、具体的に詰めたいというふうに考えておるところでございます。
#193
○古川太三郎君 固定資産税の本当の目的からすれば言われるように地価公示価格と連動しなくてもいいんじゃないかと思うんですが、なぜ今になって連動されるようになったのか、そのことを聞きたいんです。
#194
○説明員(堤新二郎君) 固定資産税の課税標準は地方税法におきまして「適正な時価」とされておるわけでございますが、従来、この「適正な時価」につきましては固定資産評価基準という自治大臣の告示がございます。その自治大臣の告示の中におきまして、売買実例価格から求められる正常売買価格によるというふうに規定されておるところでございます。また、固定資産税は、その税の性格上、資産の保有を前提として毎年経常的に負担をしていただくものでございますので、その固定資産の所有によって得られる収益から負担をしていただくということでございまして、収益価格といったような考え方もとられるわけでございます。
 そういった固定資産評価基準における売買実例価格から求められる正常売買価格あるいは収益価格、そういったものは、言い方は違うわけですけれども、基本的には同じものを目指しておるというふうに考えておるわけでございますし、また、地価公示価格につきましてもある程度の期待価格というものも含まれているということ、あるいは地価公示価格におきましてもその評価のあり方について収益価格的な考え方も加味するように検討もされておると聞いておりますので、そういった点を踏まえまして、地価公示価格の一定割合ということも一つの考え方であろうということで、そこらは基本的に考え方を変えたというわけではございません。
#195
○古川太三郎君 この地価税と固定資産税というのは別個の税体系ですね。それは何も二階建てじゃなくて別棟だと言われるように、全く別の考え方をしていいんじゃないか、このように理解していたんですが、今のように七〇%まで上げなきゃならぬとか上げると言ってきますと、この地価税が八〇%まで、公示価格のところまで持っていくということになりますと、その性格とか趣旨が違うということの区別がしにくくなる。あるいは、国民の皆さんがその土地のコストは一体どれで考えればいいのか迷うようになる。そういうようなことについての理解をもう少し深めたいと思うんですけれども、お伺いします。
#196
○説明員(堤新二郎君) 御指摘のように、地価税と固定資産税というのはその税の趣旨あるいは性格が異なるわけでございますけれども、土地の所有に対して課税をいたします保有課税であるという点につきましては同じ面もあるわけでございます。
 私どもは固定資産税における評価の均衡化、適正化に努めていくわけでございますけれども、その際の地価税との関係につきましては、ただいま御審議をいただいております地価税法案の附則の八条におきまして、固定資産税の土地の評価の適正化等を勘案しつつ、固定資産税における負担と地価税の負担とを総合的に考えまして、そういった土地保有に対する税負担全体の状況等も踏まえて検討して、地価税のサイドにおきましてその課税対象あるいは税率等について、附則の方では少なくとも五年以内となっておるわけでございますけれども、見直しをされるというふうに聞いておるわけでございまして、私どもの固定資産税におきます評価の均衡化、適正化ということにつきましては既定の方針どおり進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
#197
○古川太三郎君 税制調査会の提出資料によりますと、日本の資産保有税収というのが六兆一千五百七十億円というようになっていまして、土地の総額が千八百四十二兆円、資産保有税収との比率が〇・三%、アメリカではその比率が三・七だというように書かれております。いかにもアメリカに比べて資産保有に対する税率が低いんではないかというように思うんですけれども、その点はいかがなものですか。
#198
○政府委員(尾崎護君) アメリカと比べますと、御指摘のように我が国の場合は保有課税の率が低くなっていると思います。これはマクロで見るだけではなくて、ニューヨークの近辺におきまして実地例等も調べてみたのでございますが、それで見ましても、アメリカの保有課税は住居におきましても事務所のようなところにおきましても日本より大分高いようでございます。
#199
○古川太三郎君 今までの税制協議会での話によりますと、所得、消費、そして資産、これにバランスよく課税するんだということをさんざん耳にたこができるぐらい聞かされておりますけれども、先ほどのOECDの分類によりましても資産課税というのはまさに平成三年度で八・一%、このように保有に対して非常に軽い比率になっておる。これは一体どういうことか。私は、保有そのものにも担税力はあると思うので、まさに地価税というものはそういう趣旨からできたのではないかと思うんです。そういう意味であるならば、〇・二とか〇・三%の低い税率というのは非常に理屈に合わないんじゃないか、こう思うんですけれども、そのあたりのことをお伺いします。
#200
○政府委員(尾崎護君) 私、先ほどOECDの分類によりまして国税収入の構成の変化を御説明申し上げました。平成三年度の資産課税等が八・一%、昭和六十一年度はそれが一〇・二%でございましたから下がっているということを申し上げました。
 そのときにも申し上げたと思いますが、これは国税でございますから、地方税を加えて国全体で考えますとちょっと様相が変わってまいります。と申しますのは、我が国の場合、固定資産税の比率が非常に大きいものですから地方税の方にむしろ資産課税が多いわけでございまして、それを加えて考えますと、昭和六十三年度の数字でございますけれども、我が国は資産課税等が一五・八%ということになっておりまして、大体フランス、イギリス、アメリカ、オーストラリアといったところと同じような水準にはなっているわけでございます。
 ただ、国税で申しますと八・一%と非常に低くなっておりますのは、一つは相続税の減税が行われた影響がございます。それから資産課税等と申しておりますその「等」の中には取引税の類が入っておりまして、例えば有価証券取引税のようなものがございまして、これがやはり減税をされている。なぜ減税されたのかといいますと、証券のキャピタルゲイン課税が従来原則非課税でありましたものを課税いたすことになりましたので、それとのバランスで有取税を下げたというようなことがございまして、それが所得課税の増にはね返っているわけでございます。
 そこで、私が先ほど申しましたのは、所得課税の中から利子に対する課税、有価証券の譲渡課税、それから土地譲渡に係る譲渡課税、そういう資産所得課税を資産課税等の方に移しかえてみますと、昭和六十一年度の一九・一%から平成三年度予算では二二・六%にむしろ比率が上がっていて、そのように譲渡所得課税の類まで加えて組みかえて考えてみますと、従来より資産に対する負担をより重く求める形に今回の一連の税制改革はなっているということを申し上げた次第でございます。
#201
○古川太三郎君 分類としてはそういった資産所得課税を資産課税に入れるというのが少々無理なように思うので、私はOECDのような分類でやってもらいたい。
 ところで、固定資産税なんですけれども、日本全体でどのぐらいの税収が上がっているのかお聞かせいただけませんか。
#202
○説明員(堤新二郎君) 決算が出ております平成元年度で申し上げますと、固定資産税全体で五兆六千八百七十六億円でございます。このうち、土地に対する固定資産税が二兆三千二百八億円、家屋に対する固定資産税が二兆千七百七億円、償却資産に対する固定資産税が一兆一千五百十七億円ということで、大体土地が二兆円、家屋が二兆円、償却資産が一兆円ということでございます。
#203
○古川太三郎君 保有税としては、固定資産税を保有税と言うのは若干無理があるかもしれませんけれども、保有しているというだけの形で税金を取られているのは固定資産税と都市計画税、そういったものだけですね。それに間違いないですね。
#204
○説明員(堤新二郎君) 土地の保有に対しまして一般的に課税されますのが固定資産税でございますが、目的税として都市計画事業に充てるということで同じように土地及び家屋の所有に対して課税されておりますのが都市計画税でございます。それから政策税制として、土地の投機的取引の抑制とかそういった観点から特別土地保有税というのが土地の保有に対して課税されております。
#205
○古川太三郎君 それを含めてどのぐらいになりますか。何兆円ぐらいになりますか。
#206
○説明員(堤新二郎君) 平成元年度でございますが、都市計画税が大体九千四十億円、一兆円足らずでございます。それから特別土地保有税が平成元年度九百六十一億円。この特別土地保有税は年度によって大分動きもございますけれども、大体一千億円前後でございます。
#207
○古川太三郎君 いずれにしても、保有にかかる税金というのは三兆四千億ぐらいのものですね。 先ほども、日本の土地の総額が千八百兆円ですか、これは国の所有とか公共資産とかいろいろあるでしょうけれども、それにしても千八百兆円という資産の中でわずか三兆か三兆四千億円というぐらいの税金、これはやはり相当軽いんではないか。先ほどから一%にするには経済の問題もあろうかとかあるいはまた納税者の負担が多いとか言われておりますけれども、むしろこういったものにこそ税金がかかる方が経済は活性化してくるんですね。そのために所得課税を下げていこうというのが今の世界的な方向だと私は思うんですが、だとすれば、こういう資産についていま少し税額を大きくするという方向は決して間違ってないと思うんですよね。
 そういった中で、〇・三%あるいは初年度は〇・二%というような軽い税率にしたということについて何か特別の意味があるのか、お聞きしたい。
#208
○政府委員(尾崎護君) 税率につきましては、保有税であります地価税の目的、土地の資産としての有利性の縮減というような目的を考えました場合、税率が高い方が目的を達するのにはよいというのはおっしゃるとおりでございますけれども、しかし他面におきまして、納税者の負担でございますとか経済に対する影響でございますとか、それをあわせ考えなくてはいけないわけでございます。それらを考えまして〇・三%という水準にしたわけでございます。
#209
○古川太三郎君 それはもう納税者の負担というのは、勤労者だって物すごい負担しているんですよね。千八百兆円に対して三兆四千億というのはどのぐらいの比率ですか。国民所得から見て、勤労者の所得税というのは今物すごく比率が高いでしょう。そういったところから見れば、働く者が非常に税率が高くて、じっとしている人たちの方が税率が安いというのも、これは方向違いだろうと思うし、またアメリカと比べても保有税というのは非常に安いんですよね、先ほどの例にありましたように。ならば、もっと速いテンポでこの保有税を大きくして所得税を安くする、所得課税をもっともっと安くしていいんじゃないか、それが本当の国際的な経済に通用する税制ではないか、こう思うからお聞きしているんですけれども。
#210
○政府委員(尾崎護君) 先ほど自治省の方から、平成元年度の固定資産税のうちの土地に関する税収が二兆三千二百億というようなお話がございました。平成元年度の土地の資産額が千九百七十七兆円というように言われておりますから、割り算をいたしますと実効税率が〇・一二%ということになります。ただし居住用の土地につきましていろいろと軽減措置がとられておりますので、地価税が主として対象といたします事業用の土地というものとの比較のためにそこを一定の推計をしてみますと、大体実効税率が〇・二%ぐらいかなというように感じられるわけでございます。
 一方、地価税は〇・三%でございますけれども、これは相続税の評価額に対して〇・三%でございますから、相続税の評価額が時価に対しまして七割といたしますと、これも七、三、二十一で大体〇・二%ぐらい。
 つまり全体を平均いたしましたところで保有課税が倍増されるということになるわけでございまして、負担する方にとってはやはり相当なインパクトであろうというように考えます。しかも、この地価税のかかりますところはいわゆる目抜き通り、土地の高いところでございますので、その土地の高いところの方が固定資産税の評価額が総じて低いという状況を考えますと、実効税率はあるいは〇・二%よりかもっと低いのかもしれません。そういう状況を考えますと、やはり相当のインパクト、コストの増というような影響を持つのではないかと考えております。
#211
○古川太三郎君 そのことに関連して自治省にお尋ねしますけれども、とにかく固定資産税が今までは非常に安い、こう言われておりました。これは相当前の資料ですけれども、三十六年前の固定資産税収の市町村税収全体に占める割合が四七%、それが平成二年度には三二%、こんなに下がっているわけなんです。どの税金がふえているかといいますと、個人の住民税が非常にふえている。土地、家屋を持つ人の税金をむしろ軽くして、その穴を働く人たちの課税によって埋めているというような状態は早くなくさなきゃならぬと私は思うんです。
 そういう方向で、固定資産税の評価額の変え方だと思うんですが、いま一度自治省としてのその考え方をお聞きして、終わりたいと思います。
#212
○説明員(堤新二郎君) 先ほどお尋ねのございました点でまだ答弁しておらない点を申し上げますと、固定資産税の国民所得に対する割合を、固定資産税だけでございますけれども見てみますと、実は昭和四十年当時は一・〇%であったわけですが、昭和五十五年度には一・四%、それからその後徐々に実は上昇しておりまして、六十三年度では一・八%になっておるわけです。
 ただ、土地総資産といいますか、地価の高騰がございまして、それに対する割合というのは非常に低下してきておるわけでございます。それは御指摘のとおりでございます。
 そういったこと、あるいは今御指摘のございましたように市町村税収入全体に占める固定資産税の割合というものも長期的には低下傾向にもございますし、また評価のばらつきといいますかそういうこともございますので、先般の一月に閣議決定をいただきました総合土地政策推進要綱にも述べられておるわけでございますけれども、今後の固定資産税の評価に当たりましては、土地基本法の規定の趣旨も踏まえまして、相続税評価との均衡にも配慮しながら、また地価公示価格の一定割合を目標にその評価の均衡化、適正化を推進をいたしまして、中長期的に固定資産税の充実を図っていきたいと考えているわけでございます。
 その際、評価の適正化に伴いまして税負担が急増いたすような場合には、個人の住宅用地などを中心といたしまして、負担調整措置でありますとか個人住宅用地の特例などの措置についてさらに充実すべきではないか、そういった点も検討しなくてはいけませんし、御指摘のございました個人住民税の負担のあり方についても総合的に検討する必要があるというように考えております。
#213
○三治重信君 地価税について、いろいろ我が民社党として議論があったところでございますが、最終的には一応賛成の方向でまとまってきました。
 大臣も常々、税制だけで地価が下がるんじゃないし地価対策のすべてではない、これは十分了解できるわけですが、そこで今度地価税の勉強をしてみますというと、何というんですか、総合土地政策推進要綱、ことしの一月につくられた閣議決定は、本当に微に入り細をうがって、これ以上何も言うことはないような、詳細にしかもきちんとまとまっておるまれに見る閣議決定じゃないかと思った次第でございます。
 そこで、まず国土庁の事務当局にお尋ねしますが、この地価の高騰が三回ある、こう言われておるんですが、この中で、だんだん地価が上がってきているのだけれども、いろいろ地価対策をやって地価が下がった経験というものがどうもはっきり書いてない。何ぼ上がった何ぼ上がったということだけ書いてある。こういうふうな上がったことについての反省として今度は総合土地政策推進要綱で三つの目標が掲げられておるわけなんですが、本当にこれ、何と言うんですか、今度の土地政策推進要綱では地価を下げるまで、僕なんか半分に下げてもらいたいと思うんです。大体勤労者の年収の五、六倍というと今の大都会では半分くらいが見当になると思うんですが、その地価を下げる目標は決められない、こういうことだが、それに近いところまで地価を本当に下げるまで地価対策、土地対策をやる決心であるかどうか、国土庁として国土庁が存続する限り本当にそういうふうに地価を下げる決意でこういうふうな推進要綱をつくったのかどうか、その決意と、今まで何回かやったけれども下がることはなかったんじゃないかと思うわけですが、その状況をひとつ説明してください。
#214
○政府委員(鎭西迪雄君) 過去三回の地価高騰の経過を踏まえという委員の御指摘でございますので、簡潔に戦後三回の地価高騰の背景と要因につきましてまず述べさせていただきたいと思います。
 三十年代でございますけれども、御承知のように岩戸景気と言われた三十三年から三十六年にかけて見られた地価高騰でございまして、第二次産業が急速に発展いたしまして、旺盛な民間企業の設備投資が製造業の工業用地需要を急速に拡大させたということで、工業用地の地価高騰が非常に大きかったというのが端的な特徴ではなかろうかと思っております。
 それから第二回目が四十七、八年でございまして、企業の事業用地取得あるいは大都市等への人口集中等による土地需要が生じまして、大都市圏の住宅地を中心にして地価高騰が生じました。それが、たまたま当時、金融緩和等による過剰流動性という問題、あるいは列島改造ブームと言われたような土地に対する投機的需要というものに増幅されまして、地価が全国的に高騰いたしまして、むしろ地方の方の地価高騰率が高かったというのが特徴ではなかろうかと思います。
 それから今回、六十年代からの地価高騰でございますが、五十九年ごろ東京都心部に端を発しました業務用地の需要の急激な増大、あるいはその業務地化に伴います住宅地の買いかえ需要の増大というものを契機に生じたわけでございますけれども、先ほど来いろいろ御議論がございますように、金余り状況のもとで将来の地価上昇を見込んだ仮需要の増大が主たる原因となりまして、割安感のある大都市圏周辺地域あるいは地方の主要都市等へ順次波及していったというのが今回の地価高騰の特徴でございます。
 それで、それぞれに対応いたしまして、政府としては、例えば昭和三十年代につきましては新住宅市街地開発法の制定によりますニュータウンの整備等、住宅宅地の供給促進策というものを中心にやってまいりましたし、昭和四十七、八年の高騰におきましては、そのときの背景でございました金融緩和等による過剰流動性に対応いたしまして、総需要抑制のための金融引き締めあるいは土地関連融資の量的規制の実施といったものもやってまいりましたし、土地税制というものの活用というのもこのころ相当御議論が行われまして、幾つかについては実施されてまいっております。それから四十九年には国土利用計画法の制定、国土庁の創設といったようなこともやられたわけでございます。
 そして今回の地価高騰ということになるわけでございますが、その間実は、私どもの地価公示法が始まりまして一回だけ、昭和四十九年の一年間だけ全国的に地価が下落を見ております。これは先ほど申しましたような対策というものがあずかっておるというように認識しておりますけれども、昭和五十年の地価公示、これは四十九年の一年間の低落率でございますけれども、住宅地の全国平均で八・九%、三大都市圏では一〇・四%の下落が見られたところであります。ただ、その後明確に全国規模では低落をせずに、せいぜい落ちついてきたのがしばらくたつとまた地価高騰になった、こういうようなことでございます。
 そういう反省を踏まえまして政府としては今回の地価高騰に対応いたしましていろんな手だて、対策を講じてまいりましたが、その集大成が平成元年の十二月に成立を見ました土地基本法だと、こういうように言えると思います。その土地基本法に基づきまして設立されました土地政策審議会の答申、これを受けまして先般一月二十五日に政府として閣議決定いたしましたのが、ただいま委員から大変御評価をいただきました総合土地政策推進要綱でございます。
 私どもは、土地政策審議会の答申にもございますように、過去何回かの地価高騰についての反省、それに対応いたしまして政府としてはそのときどき全力を挙げてやってきたわけでございますけれども、ややもすれば施策の総合性あるいは整合性に欠ける嫌いがあったとか、あるいは若干対応のおくれというものがあったという土地政策審議会の御指摘等を踏まえまして、二度とこれからはこういった形での地価高騰を生じさせない、そういう制度的枠組みをつくるというのが極めて重要である、こういう認識に立ちまして十項目から成る個別政策についての基本的な方向というのを取りまとめたものでございまして、その中の重要な位置づけとして土地税制というものも入っておるわけでございます。
 政府といたしましては、この総合土地政策推進要綱に書かれております各般の施策を総合的に精力的に推進するということで、二度とこれから地価高騰を生じさせないというかたい決意で取り組んでいこうということにしたところでございます。
#215
○三治重信君 二度と再び地価高騰はさせないという決意はいいんだが、地価を下げるという目標はどうなんですか。
#216
○政府委員(鎭西迪雄君) 私どもといたしましては、現在の地価水準は三大都市圏を中心にいたしまして異常に高いものである、こういう認識をいたしておるわけでございまして、総合土地政策推進要綱の第一の「土地政策の目標」というところにも掲げておりますように、目標を明確に設定してそれに向かって施策を進めるということが重要であるということで、その目標といたしまして三つの目標を掲げておるわけでございます。その第一が「土地神話の打破」ということ、それから「土地の利用価値に相応した適正な水準まで引き下げる」、特に勤労者にとって重要な問題でございます住宅地の価格につきましては、「相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準の実現を図る。」というように明記をいたしております。それからもう一つ重要なのは「適正かつ合理的な土地利用の確保」ということで、これも土地基本法の考え方を踏まえまして、「計画に従った適正かつ合理的な土地利用を確保する」という、この三つを今後の土地政策の目標として明確に設定いたしまして、それに向けて今申しました十項目から成ります個別の各般の施策というものを積極的に展開していく、こういうことでございます。
#217
○三治重信君 非常に明確な規定という御説明ですが、「中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準」、これは言葉でははっきりしているんですが、大体数量的には一つのめどはどうなっていますか。
#218
○政府委員(鎭西迪雄君) 私どもといたしましては、「中堅勤労者が相応の負担」と申しますのは年収の五倍程度というものを念頭に置いておりますし、「一定水準の住宅」といいますのは、いわゆる平均的な居住規模は都市の住宅で大体七十から七十五平米という規模、それから通勤距離といたしましては一時間強から一時間半程度、これは東京圏を念頭に置いております。そういった形での目標の水準というものを現実的なタームの中で実現していきたい、かように考えているところでございます。
#219
○三治重信君 その具体的な数字は非常に明確だと思うんです。今度の地価税なんかでも、各民間の労組が地価税に対して一番不明瞭だというのが、結局地価をどこまで下げてくれるんだ、それに地価税というものがすぐ役立つのかどうか、そういう方向でそういう目標を持って本当に地価税というのが地価の引き下げの一助に役立つのか、こういうことを非常に我々はただされたわけです。
 それで、先ほどもちょっとあったんですけれども、結局、鉄鋼とか百貨店とかの業界の地価税に対する反対は、大臣も御存じのとおり非常に激しいものがあった。ところが、労働組合の方は、自分たちの経営者の方は反対だけれども、我々は自分たちの住宅を確保するためにはきちんとした目標を政府がやってくれるというなら、それは自分たちの経営者が負担がかかろうがかかるまいが我我は自分の目的のためにそれを完遂してもらいたい、そういうふうなことをはっきり意思表示をしているわけなんです。そういうことで、勤労者が年収の五、六倍程度で大都会においても住宅が確保できる水準というふうな目標をしっかり持ってやっていただくと、働く勤労者も希望を持って土地政策に賛成する、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
 そこで、そういうふうな対策をやっていくというと、結局、この地価税の主な目的としてはいわゆる土地の資産としての有利性の縮減するという大きな目標があるわけなんですが、それに対してやはり一つのメルクマールとしての地価の評価の公示価格制度というもの、まあ地価税は相続課税、固定資産税は収益課税というふうになっているんだけれども、やはり地価というものがこれから公示価格で一律規定されるとなると、その課税というものの基本はやはり公示価格に合わせて評価額をやっていく方に統一せいというふうに要綱では出ているようなんですが、これに対して積極的に大蔵省、自治省も国土庁のに賛成をしているようなんですけれども、そのときのやり方について、相続税の路線価と自治省のやるものとが何か違うような感じがするんですが、その点は本当に話をして、公示価格の目標までいく、目標は若干違っていてもそういう評価額を決めていく、公示価格に資産評価額を近づける方法については、大体同じようになっているんですか。
#220
○政府委員(山口厚生君) 相続税におきます土地の評価に当たりましては従来から地価公示価格との均衡を保つように努めておるところでございますけれども、実際問題として土地の価格には相当の値幅がございます。また、相続税という課税上のものであることを考慮いたしまして、地価公示価格と同水準の価格の七〇%程度を目途としてかた目の評価を行っております。
 御承知のように、地価公示価格はその目的が、一つには一般の土地取引について取引価格の指標を与えること、さらに公共用地取得の補償基準とすることを目的としておりまして、しかもその公示地は都市計画区域内に限定されておりまして、その地点数も約一万七千点にすぎない状況でありますから、相続税評価の活用に当たってもおのずから限界があると考えております。また、固定資産税評価額の方は、これは相続税とは課税の目的が異なりまして、またその評価は三年に一度の評価でありますために、毎年改定される相続税評価額との間に開差が生じておるのが現状でございます。
 以上申し上げましたように、相続税評価と地価公示、それから固定資産税評価との間にはそれぞれの目的、性格が異なりまして、またその評価方法にも相当の隔たりがありますところから、それらの公的評価を直ちに統一することは容易ではないと考えております。しかしながら、相続税評価と他の公的土地評価相互間の関連については、以上申し上げた諸点を考慮しつつ、委員御指摘の趣旨を踏まえまして今後とも相互の均衡と適正化を図るように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 なお、御承知のように、昨年十月の政府税制調査会の土地税制のあり方についての基本答申におきまして、土地の資産としての有利性を縮減するため相続税評価における現行の評価割合七〇%をある程度引き上げていく必要があることが答申されたところでございます。また、先ほど委員から御指摘ございましたように、本年一月には総合土地政策推進要綱におきまして現行の評価割合の引き上げを図ること等が閣議決定されたところでございますので、国税庁といたしましても、この閣議決定等の趣旨に沿って評価割合をどの程度引き上げるかについて今後鋭意検討してまいりたいと存じます。
#221
○説明員(堤新二郎君) 固定資産税におきます土地の評価についての考え方につきましても、先ほど国税庁の方から御答弁がございました考え方と基本的には同じでございまして、公的土地評価につきましては、それぞれその目的や性格等に差異がございますので直ちに一元化することは困難でございますけれども、従来から固定資産税におきます土地の評価に当たりましても、売買実例価格はもとよりでございますが、地価公示価格や相続税の路線価の動向等を総合的に勘案いたしまして、土地基本法等の趣旨に沿って評価の適正化と均衡化に努めてきたところでございます。
 しかしながら、最近の地価の高騰の影響を受けまして地価公示価格と固定資産税における土地の評価額との間には特に大都市地域において大きな開きが見られることも事実でございますので、今後の固定資産税の評価に当たりましては、土地基本法の趣旨を踏まえ、地価公示制度の改善とも相まちましてその一定割合を目標に評価の均衡化、適正化に努めなければならないというふうに考えておるところでございます。
#222
○三治重信君 そこで、固定資産税についてお尋ねしますが、公示価格への接近で評価額を上げると、税率をそのままにしておくと急に高くなるんですね。評価額が大都市、中堅都市、田舎で大変な金額の違いになってくるわけですが、それを一律的な固定資産税の税率でやるというと大変な負担の格差が地方自治体ごとにできると思うんです。それは税率で調整するというふうなことはできぬですか。それとも、税率は地方自治体全部、非常に幅を狭めて指導しているんですか。
#223
○説明員(堤新二郎君) 固定資産税の税率につきましては、地方税法におきまして標準税率一・四%というふうに定められておるわけでございますが、この標準税率というのは地方団体が課税する場合に通常よるべき税率でございまして、財政上の特別の必要があると地方団体が認めた場合にはこの規定によらないことも可能でございます。なお、ちなみに、現在のところ三百六十の市町村におきまして標準税率を超えて超過課税がなされておるところでございます。
 ただ、標準税率制度をとっておりますのは、国と地方の間の適正な税源配分でありますとか、国民の税負担の水準、これが地域によって大きな差があっては問題であるということで、そういった国民の税負担水準などを総合的に勘案いたしまして定められておるわけでございまして、財政上の特別の必要という格別の事情が存しない限りは標準税率による課税が行われるべきであるというふうに私どもは考え、またそういった指導をしておるところでございます。
#224
○三治重信君 そこが問題なんです、標準税率で税率の方を一つにしちゃうものだから。実際の公示価格が大都会と中小都市と田舎とえらい違うことになるから、したがって、公示価格に接近するといってみても大都市ではえらい低いものになる。地方、田舎においては五十四年ごろの七割とか八割に持っていくのは容易ですが、ところが大都会においては四〇%か五〇%に達するか達しないというふうな公示価格に対する評価額になる。この矛盾をどういうふうに解決するつもりですか。
#225
○説明員(堤新二郎君) 平成六年度以降の土地の評価がえにおきましては地価公示価格の一定割合を目標に評価の均衡化、適正化を行うこととしておるわけでございますけれども、その際には、御指摘のように現在の地価公示と固定資産の評価額との乖離が地域によって異なるわけでございますので、地域によってはその評価の適正化に伴いまして税負担が急増する場合も考えられるわけでございます。そういった税負担の急激な増加をもたらすような場合には、特に個人住宅用地につきましては納税者の負担に配慮しながら適切な調整措置を講ずることが必要であるというふうに考えておるわけでございます。
 このため、平成六年度以降の評価がえによりまして税負担が急増すると見込まれます場合には、現在の負担調整措置、これは住宅用地につきましては、平成三年度の評価がえにおきましてこれまで三年間で段階的に負担調整をやっておりましたのを五年間に延長したわけでございますけれども、これをさらになだらかなものにする必要があるのではないかといったような点、あるいは現在住宅用地につきましては二百平方メートル以下の小規模住宅用地につきましては四分の一に、またそれを超える住宅用地につきましては二分の一に課税標準の特例措置を講じておるわけでございますけれども、こういった住宅用地の特例措置についてさらに軽減する必要があるのかないのか、そういった点を初めといたしまして、また個人住民税の減税等の問題も含めまして、適切な課税のあり方について総合的に検討する必要があるというふうに考えております。
#226
○三治重信君 そこで、先ほども御説明があったように、固定資産税の収入の割合が地方税の収入の中でだんだん低下しているということからいくというと、やはり地価は上がってそれによっていわゆる資産の負担を多くしようというのに対しては余裕を持って上げることができるわけだから、それが急激な増加になって緩和するということになると、レベニュー・ニュートラルで、個人住民税や法人住民税、急激に上がるのに対して引きかえて所得課税を減税するということをことしのように今後もやる必要があると思うんですが、その点はどうですか。
#227
○説明員(堤新二郎君) 個人住民税の減税そのものにつきましては、そのときの国民生活水準でありますとかあるいは税負担の状況等を総合的に勘案いたしましてその負担の軽減合理化を図る見地からなされるものでございますので、評価がえに伴う固定資産税の増収が直ちに個人住民税の減税に結びつくものではないというふうに考えておるわけでございますが、ただいま御指摘のございましたように、平成三年度の今回の評価がえにおきまして、近年の地価の動向等を反映して大幅に評価が上昇してこれに伴う固定資産税の増収も相当の規模になるものと見込まれましたので、住民の地方税負担に配慮する見地から、土地の評価がえに伴う増収分につきましては三年分を前倒しのような形で全額個人住民税の減税に充てることとしたところでございます。
 いずれにいたしましても、平成六年度以降の固定資産税の適正化に伴う増収分につきましては、御指摘の個人住民税の減税も含めまして、住民の地方税負担全体のあり方について総合的に検討していかなければならないというふうに考えております。
#228
○三治重信君 そこで、地価税に入りますが、今度の地価税の枠組みからいくと、目標は非常に崇高な目標なんだけれども、実際の適用となってくると、中身を聞くというと、五万人程度の納税義務者、税率が〇・二、〇・三%、それから免税点が十五億円、こういうふうなことでいくというと、大企業で特定な土地を非常に擁する産業にだけ適用になって、本当にこれで土地の供給がふえるんだろうか。そういうような大きなところは現に工業生産なり商売に使っているところで、少々税金がかかってもそれは土地供給には何の足しにもならぬ。悪く言えば、いわゆる生産品の価格に転嫁していくであろう、こういうふうに言われておるのも事実なんです。一応一番最小限のところで進んでいくということの方針はある程度やむを得ないかと思うんですけれども、土地の価格が下がらないというような場合にはもう少し免税点を引き下げたり適用範囲を広げるようなことを考えるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#229
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは、今回の税制改正全体の中で土地の各段階における税制の見直しが行われ、さらに固定資産税の評価の適正化等の上に新たな地価税が創設されるわけでありますから、それ相応の効果を発揮してくれると考えております。
 しかし同時に、税制でありますから不断に見直しを必要とすることは当然のことであります。そして、今回私どもが提案いたしましたこの法律にも少なくとも五年ごとに見直すという見直しの規定を入れております。仮にこの税制を施行し、その効果が必ずしも十分でなく、地価が再び高騰し始めるおそれが生じたりあるいは地価の水準その他について問題を生じました場合には、当然のことながら機敏にこれを活用して見直していく努力、これは私どもとして当然考えなければならないことと考えております。
#230
○下村泰君 よくこんな話を聞くんです。東京都内にもありますし、東京近郊においてもそうなんですけれども、ここのある人は人の土地を踏まないで駅まで行けるんだとか、十歩ぐらい人のうちへ入るだけであとは全部自分の土地を歩いて行けるんだとか、よくそういう話を聞くんです。だれが一体いつどこでそんなに土地を手に入れたんだというような気になるんです。一般庶民というのはひがみ根情が強いですから、どうせ先祖はろくなものじゃないだろうとか、何かしたからこそこんなにでっかい土地が取得できたんだろうとか、勝手なことを想像するわけです。こういう人に限ってけちだから恐らく土地を売ってくれといったって売ってくれないだろう、そのかわり税金をどのぐらい納めているんだろうかなんて、つまらないことばかり考えるものなんです。
 ですから、こういう土地の話になると腹の立つ方が先で冷静さを失うんですけれども、本来、土地というものは自然の一部であって、その自然との触れ合いや人間の生活空間として利用し私たちの幸福を追求するというところで、意味を持ったり価値が生まれたりするものだと思うんです。大臣は自然を愛して山野に親しんで駆けめぐっているそうですが、その大臣はどうお思いになりますか。
#231
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変お答えの難しい御質問でありまして、もう一つお聞きになる焦点がはっきりいたしません。ただ、委員が御指摘になりますのが例えば都市の現状を見てどう思うのかというようなお尋ねでありますならば、甚だ嘆かわしい状況であると私は率直に思います。
 一体その御先祖様がどうだったかはちょっと別にさせていただきまして、例えば東京都の場合などを聞きましても、一・七%の法人が五一%の大土地保有というような話を聞きますと、非常にそのバランスを失していることにも驚かされます。と同時に、都市というものが機能だけを追求し機能だけを中心にした町づくりであっていいのだろうか、生活空間としてのゆとりあるいはいたわり、そうしたものが反映しない町づくりというものはいかがなものか、欲を言うならば自然もあった方がいいにこしたことはありませんが、そうした意味でいろいろな思いを感じさせられる昨今であります。
#232
○下村泰君 大変大ざっぱな投げかけで、まことに失礼しました。
 私の考え方からすれば、土地の持つ特殊性、公共性からすると、その取引は全国津々浦々単位面積当たり定額にして、あとは有効利用度の指数を開発して、それに見合う税制上の対応を考えるという方法もないのだろうかなと思うのです。先ほどからも出ておりますけれども、一物四価とか五価とか六価とかと言われる土地の評価も、その決め方は国民にはわかりにくい。本当に客観的な根拠があるのかなと思います。土地は定額で保有については利用度指数に応じて税制上の対応を考えるというようなことはいかがですか。
#233
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変失礼ではありますが、私はそこまで極端なことを考えたことはありませんでした。ただ、率直に申しまして、大蔵大臣に就任しました直後から、地価と税の関係についてしばしば御質問をいただきましたとき、土地に対する基本的な概念が国民の間に共通に醸成されていないために税が一体どういう方向に向かうべきなのかその方向が定まらない、個人の権利を保護する方に働くべきなのかあるいは公共の福祉という概念の方に方向を向けていくように税が誘導していくべきなのか、その点のルールが示されていない中で地価問題を考えるとき、税に与えられる役割は大きいけれどもおのずから限界が生ずる、そういうことを申し上げてきました。
 土地基本法が成立をし、その理念の中で公共優先という哲学が示されましたことにより、私どもとしても今回の地価税の創設を含みます土地税制全体の見直しが行えたわけでありまして、私どもとしては、この土地基本法の理念というものを土台に据えながら土地税制というものを今後とも考えてまいりたい。委員のおっしゃるほど極端にはいきません。しかし、ある程度私権を抑制する場合も生ずるかもしれませんが、公共中心ということを考えていきたい、そのように思います。
#234
○下村泰君 そこで大臣、土地が投資の対象になって、とにかく想像もつかないほど高騰したわけなんですね。これで一体どういう問題が生じたんでしょうか、全般的に。つまり、資産格差の拡大とか家が持てないとか、先ほど来いろいろ言われていますけれども、大臣はこの高騰した結果いろいろなことが生じたことをどういうふうにごらんになりますか。
#235
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は現在の土地に三十年近く住み続けております。それ以前、同じ地域で高速道路に家をとられます前まで含めますと四十年余り麻布かいわいに住まっております。
 そして、この地価高騰が始まりました中で非常に目立ちますことは、例えば、お互い昔からよく存じ上げていた近所の方々が次第次第に表通りから姿を消した、そしていつの間にか土地を離れる、あるいは高層化したビルの一角にその住居を移される。いずれにしても地域の触れ合いがなくなりました。もう一つ非常に大きなことは、これは地域としても既に問題になっていますけれども、いつの間にか身近なところにおられていつでも自分の健康の相談に乗っていただけた町のお医者さんというものが独立して営業できる状況が消えました。そして、非常に身近なお医者様というのがいつの間にかビルの診療所に変わりました。これは当然のことながら往診がしていただけない、あるいは急な飛び込みやお願いができない。さまざまな問題を地域に生んでおります。
 それから、子供の遊び場が減ったとか、あるいは私どもが子供のころローラースケートで遊んでおりました道がとてもそんなことができなくなっているというのは当然のことでありますが、非常に住みにくい町になった、変わりつつある、こうしたことは否めない事実だと思います。
#236
○下村泰君 今大臣がおっしゃったのは、いみじくも私がこれから、こういうふうになりましたね、こんなふうになっちゃいましたなと言おうと思っていることそのままなんですね。例えば福祉の側面から見ますと、児童遊園、公園の確保が難しくなりましたね。それから施設用地の確保の問題、生活保護者の所有不動産の処分問題、相続税の問題、それから障害者や高齢者が住みづらい町になった。これはもう今おっしゃったとおりなんですよ。
 それで、よく言いましたね、おつゆが冷めない隣近所に住めるのが一番いいとか。しかし、地価の高騰によって大都市部では近くに子供や親戚が住むのも難しくなった。ひとり住まいの老人、独居老人がふえました。農地を宅地にかえて、それに合わせて児童遊園や保育所もつくりました。ところが、二十年、三十年たつと、その子供たちが離れていく。そうすると、今度必要になってくるのは老人福祉センターということになるわけですね。その結果、福祉ニーズも変わってくるわけです。福祉資源もその必要に応じて変化が出てきたりするわけです。といったように、町というものがうまく機能できていないような気がしてくるわけです。
 福祉サイドから見た土地問題、福祉への影響、厚生省はどういうふうにお考えになっていますか。大臣もついでにお答えを願いたいと思います。
#237
○説明員(佐野利昭君) まさしく今先生がお話しされたとおりでございまして、大都会におきましては、当然のことながら御老人も大都会に一番多いわけでございますけれども、御老人のための施設あるいは障害者のための施設を整備する、そういうための用地の確保が非常に困難でございます。
 従来でありますと、例えば重度の障害者の場合には平家の施設がいいわけでございますけれども、どうしても平家の施設がつくれないというような事態も生じておるわけでございますので、そういうようなことから、例えば平成三年度の予算では複合化のための施設整備につきまして特別の割り増しの制度をつくっていただくとか、あるいは複合化をした施設につきましては従来よりも改築期限を早めて整備をするということで、改築整備などもやりやすいような形をもう手を打っているところでございますけれども、それだけでもなかなか大変な状態でございます。
 また、国有地などでも遊休の施設などがございましたらばできるだけ優先的にそういう福祉施設に使っていただく、こういうような形の施策も土地閣僚会議等でお願いをいたしまして進めさしていただいているところでございます。
#238
○下村泰君 私は、ずばり土地問題は住宅問題であり住宅問題は福祉問題であるというふうに認識をしているんです。まずその意味から、厚生省などはもっと前面に出て対策を考えてほしいと思いますね。
 端的にこの急激な地価高騰による居住環境への影響をまとめますと、第一に、都心部での定住人口の減少と地域コミュニティーの崩壊。それから二番目に、公共住宅や生活関連施設の用地取得が困難となり、特に公共住宅の供給に支障を生じておる。三つ目が、土地の経済効率を高めるため再開発や建てかえが活発化しました。そうしますと、立き退きを要求され、住む場所を失った障害者、高齢者の急増があります。もう私のところにも随分お年寄りでおばあちゃんとかおじいちゃんで、ここで骨を埋めようと思っているのに立ち退きを迫られて、また入ろうと思えばとてもじゃないけれどももう生活ができないというような訴えが随分あるんですが、それは恐らくもう大臣のところにも大分あると思います。第四に、民間、公営においての建てかえ後の家賃上昇で住み続けられなくなる。最後に、資産格差は拡大し老後の生活生計にも影響が出る。
 こういう五点に集約できると私は思うんですが、厚生省はどういうふうにお考えですか。
#239
○説明員(佐野利昭君) まさしくそのような事態がいろいろの分野で出ておろうかと思います。そのような形から、ちょっとお答えを先回りしたかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、平成三年度は予算措置を講じたりいたしまして、特に施設の複合化あるいは高層化というような形で施設の整備を図っていくというような形なり、あるいは公有地を優先的に配分していただくというような形で、何とか私どものの必要な施設なりあるいは遊び場なりの確保に努めていきたい、こう考えているわけでございます。
#240
○下村泰君 そこで大臣、土地対策というのはどういう状態になれば解決した、あるいは成功したというふうに言えるのでしょうか。例えば地べたの方が高くなるのが静まった、これでもう土地対策が済んだというのか、それともぐんと安くなるそういう状態なのか、庶民が買いやすくなったらそれでいいのか、いろいろあると思いますが、どうでしょうか。
#241
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総合土地政策推進要綱を本年一月二十五日に閣議で決定をいたしましたが、その目標としては、土地神話を打破し二度と地価高騰を招来することがないように土地の利用価値に相応した水準まで地価を引き下げる、土地利用の問題について緑の確保などによる生活の快適性の視点に配慮しつつ計画に従った適正かつ合理的な土地利用を確保する、こうした目標を掲げております。要は、お互いが住んでよかったと思える状態をつくり出すという言葉に要約をすればなると思います。
 問題は、一つは、私はその土地の問題としての一番の基本はやはり都市計画あるいは土地利用規制、土地利用計画、こうしたものの中で、住宅をつくるのみではなく、いかにバランスのとれた地域をつくるかについてもっと積極的な公権力の介入があってもよいのではないか。それぞれの地方自治体がそれぞれの地域に応じた青写真というものを改めて見直す必要があるのではないだろうか。そういう視点をどこで取り入れるべきなのか。国の段階では総論しかできません。いかにして地方自治体がそのような能力を発揮できるようにしていくのか。これが一つの大きな問題ではなかろうか、そのように思います。
#242
○下村泰君 そこで、大蔵省に伺いますけれども、地価税の非課税、特に福祉施設、さらに無認可の小規模作業所への対応はどういうふうになっておりましょうか。
#243
○政府委員(尾崎護君) 地価税におきましては、社会福祉事業法に規定された社会福祉事業の施設の用に供されている土地につきまして、社会福祉を目的とする施設であること、それからその事業の運営につきまして開始、変更等に関する都道府県知事の認可、届け出制、それから施設の設備等に関する一定の設置基準の遵守などの公的規制が課されているということを勘案いたしまして、その公益的性格にかんがみ非課税としております。
 しかし、無認可の社会福祉施設についてのお尋ねでございますが、その実態は必ずしも明らかでないわけでございますけれども、社会福祉事業の施設として法的に位置づけられていないということ、それからまた事業運営の適正等を担保する公的な規制も受けていないということで、これを非課税の対象とすることは難しいと存じます。その点、御理解を賜りたいと存じます。
 ただ、実態が必ずしもよくわかりませんけれども、御承知のとおり地価税は路線価で十五億円まで非課税でございますので、実態として非常に高い土地のところに小規模な無認可の御指摘のような施設がどの程度あるのか、実際にはかなりの部分はこの基礎控除によって救われるのではないかという気もいたしますが、これを直接非課税の対象とすることは、先ほど申しましたように公的な規制等々から考えまして、他のものとのバランス上やや無理があるように存じます。
#244
○下村泰君 自治省さん、来てますね。
 無認可の障害者の小規模作業所が使っているビルなどの建物への固定資産税の課税状況あるいは免除というのはどうなっていましょうか。先日、新潟県の白根市で一部だけ免除されたという話が出ておりますけれども、ちょっと教えてください。
#245
○説明員(堤新二郎君) 社会福祉施設に対する固定資産税につきましては、社会福祉事業法による社会福祉事業の用に供するもの、いわゆる認可された社会福祉施設の用に供する固定資産につきましては地方税法上非課税とされておるわけでございます。無認可の社会福祉施設につきましては一律に固定資産税の特例措置を設けるということはなかなか難しいのではないかというふうに考えておるわけでございますが、ただ、個々の事例につきまして、特段の公益性が認められる場合には各市町村の判断で各市町村において条例を設けまして個別に減免措置がとられることもあり得る制度になっております。
 ただ私ども、無認可の社会福祉施設についての固定資産税の減免状況につきましては、現在のところ調査をやっておりませんでしたので現状は十分把握はしておらないわけでございますけれども、例えば無認可の保育所などにつきまして、市町村長が認めた一定のものにつきましては、市町村の条例で定めるところによって固定資産税を減免しておる例があるというふうに聞いております。
#246
○下村泰君 新潟県の白根市の日の出町というところに心身障害者通所作業所「おたまじゃくしの家」というのがありまして、これがビルを一軒借りておる。そのビルに対する年間の税額が二百八十九万円なんです。この作業所が借りているのが五階と六階なんですが、それだけ払い切れない。要するに、何とかしてもらいたいと言いましたらば、五階と六階の敷地分の固定資産税が九十万九千円、その分を総額から差し引くと回答されてやっと施設が保てたという話が出ておるわけです。これは大変きめの細かい配慮の仕方じゃないかなと思うんです。今自治省がお答えになったのは恐らくこの点だと思うんですが、地方自治体によってはこういったような気の使い方でもって随分作業所が助かっている、その一つの例なんです。ですから、お国の方でもできればこういう配慮が欲しいなということを申し上げたかったわけです。
 さて、税調でも、また多くの方々も言われているように、税だけで土地問題は解決しないと思います。総合的な対策が求められていると思うんですけれども、その総合的というのは具体的にどういうことなんでしょうか。
#247
○政府委員(日高壮平君) 総合的な土地対策というのは、基本的には国土庁からお答えすべき問題だろうかと思います。
 大蔵省としては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、先般、本年の一月二十五日に閣議決定されました総合土地政策推進要綱に定められた方針に従って、当省に授権されている幾つかの手段、すなわち土地税制、金融機関の不動産関連融資の問題、あるいは国有地の利用の問題、そういった問題についてこの基本方針に従ってこれを運用していくというのが土地問題の解決に資するというふうに考えているところでございます。
#248
○下村泰君 土地問題は総合的であって、そこに町をつくる、育てるという考え方が必要だと思います。その意味で、建物、住宅をといったハード面のあり方だけを考えていたのでは町づくりはできないと思います。そこに住む人間をどのようにとらえ生きやすい環境をつくるのかという理念がないといけません。その観点から幾つかお尋ねしたいと思います。
 まず、最近、文部省の研究班でこんなものを出していますね。これは三年前なんですけれども、尼崎市内の十二の小学校の二年から六年生六百二十人、七つの中学校三百十四人、計十九校で九百三十四人について行われた調査です。登校拒否、こういう子供たちの欠席日数について調べて、「欠席日数は住居及び住生活との関係が深い。」、こんなようなデータが出ているんですね。
  @一人当たり部屋数が少ない過密居住
  A便所・台所・風呂などの設備が不備
  B子ども部屋が無い
  C夕食を自分一人でとる
  Dテレビの視聴時間がながい
  E木造アパートなどの居住者
 に欠席が多い。狭い家でいつも誰かといっしょなので惰性的にテレビを見させられる。あるいは逆に誰もいない家で一人でテレビを視て過す子どもの姿を彷彿させる。子どもは家庭の中で育っていく。家庭の基礎は住居である。その住居の貧しさがうみだしている家庭生活の乏しさが、学校へ行く意欲を失わせているといってよいであろう。
これは神戸大学教授の早川和男さんという方の発表で、こういうふうにあるわけです。
 それで今度は、有効利用というので、いわゆるハーモニカ長屋といいますか、私らが昔住んでいた棟割り長屋ですね、それをずっと縦のハーモニカ長屋にするわけです。それで、地上権というのがあって、もうニューヨークには空中権というのがあるそうですね、これはまだ日本にはないそうですが、それで上の方に伸びている。じゃ上の方へ伸びていけばいいのかというと、また問題が出てくるわけですね。
 ここにあるのは東京、大阪などの大都市圏でふえ始めた高層の集合住宅の高層階に住む子供たちについてですが、高所恐怖症というのはまるきりないんだけれども、火事の炎とかあるいは車に対する警戒心というのが薄いんだそうです。
 この子供たちに日常生活の中でどんなことが出ているかといえば、例えば日常のあいさつですが、低層階の一階から五階までに住んでいる子は全部あいさつができるが、高いところに住んでいる子供は一四・八%があいさつができない、こんなばかなことはないですね。その次が排便、これは四歳までですが、低層階の子は二・九%ができないのに対して六階から上では二二・二%ができない。排尿が、高いところの者は二二・二%ができない。手を洗うということが、高いところに住んでいる子供は一四・八%ができない。物を食べるということについては、低層階の者は何でも食べますが、高いところに住んでいる者は三・七%が食事ができない。歯磨きにおいては一四・八%ができない。うがいが二五・九%ができない。片方、低い方はゼロです。ゼロの方は言いません。衣服の着脱、これが高い方に住んでいる子は二九・六%ができない。靴を履いたり脱いだりは高い方では二二・二%ができない。後片づけは、低い方では二・九%ができないですが、高い方に住んでいる子は一八・五%ができない。簡単なお手伝いは、低い方は全部できますが、高い方に住んでいる子は二五・九%ができない。
 こういうデータが出ているんですね。もちろん一生こういうのがついて回るわけじゃなくて、幼稚園に行って集団生活をするようになるとなくなるんだそうですが、これは何が原因でどうなのかということはまだはっきり科学的には出ておりません。だけれども、こういう指摘も十分考えておく必要があると思うんです。こういうことに対してどう認識されているのか、建設省、文部省、厚生省、お答え願いたいと思います。
#249
○説明員(上野公成君) 先生御指摘のように、土地の高度利用をしなければいけないということで高層化が大変進んでいることは事実でございまして、昭和五十五年から二十階を超える超高層が全国で三十棟ぐらい建っておる状態でございます。このような高層住宅での生活は今まで経験のない新たな居住形態でございますので、その影響がどういうふうになるかということは非常に心配なわけでございまして、私どもも常に関心を払いながら調査をしているところでございます。
 先生が今御指摘になりましたように、乳幼児だとか児童に与える影響としては自立性がなかなかできないということでございますけれども、そういう意見がまず一方にございまして、五歳ぐらいになって集団生活をするとだんだんとよくなる、そういうような意見もございまして、定説がない状況でございますけれども、いずれにいたしましても、高層化をするということはやむを得ない事情でございますので、高層住宅の供給に当たりましては外部空間の自然環境を十分確保するとか、それから防災面の配慮は当然でございますけれども、住まい方についても研究をいたしまして、そういうことのないように十分気をつけていきたいと思います。
#250
○説明員(遠藤純一郎君) 先生御指摘のように、大学の研究者によって行われた研究の中には、高層階に居住します乳幼児が日常の生活習慣の自立がおくれる傾向にあるのではないかといったような示唆があるのは私どもも承知しておるわけでございます。
 こういったような研究の分野につきましては、研究の歴史が浅いということもございまして、こういった乳幼児のその後の成長発達にどのような影響が及ぶかということにつきましてはまだそこまで研究が進んでいないというようにも見受けられますので、これからもこのような分野の研究動向に十分注目してまいりたいというふうに思っております。
#251
○説明員(丸山晴男君) 高層住宅が乳幼児の発達に与える影響でございますけれども、これまで建築学、小児学などの分野において学問的な研究が行われておりまして、発表された論文等では、一定地域の調査に基づきまして高層の高密度住宅では、母親自体の外出機会が少なく母親と子供の密着度が高いために、先生御指摘のような乳幼児期の基本的な生活習慣の自立がおくれるケースがあるといったような指摘がされております。また、幼児の屋外遊びの機会につきましても、高層高密市街地団地の場合は大規模の低密度の郊外型団地などに比べましてその機会が少ないといった指摘をしているものもございます。
 こういったことは多分に高密度の利用空間の場合に子供たちの遊び場も含めましてゆとりのある生活空間の確保が難しいという事情によるものとも考えますけれども、私ども厚生省としてはゆとりのある子育ての環境づくりを進めるということで進めておりますけれども、現在種々の分野で勉強を行っている段階でございますので、今後とも専門家の意見がどのように展開されるのか、児童福祉の立場からも関心を持って見守りたいと思っております。
#252
○下村泰君 時間ですので、結構です。
#253
○委員長(大河原太一郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
    ─────────────
#254
○委員長(大河原太一郎君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 地価税法案について、土地問題等に関する特別委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#255
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#256
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#257
○委員長(大河原太一郎君) 次に、連合審査会における参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地価税法案審査のための連合審査会に必要に応じ参考人の出席を求めることとし、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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