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#1
第120回国会 外務委員会 第2号
第百二十回国会参議院
外務委員会会議録第二号(その一)
平成三年三月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月十九日
    辞任         補欠選任
     合馬  敬君     鳩山威一郎君
 一月七日
    辞任         補欠選任
     久世 公堯君     小野 清子君
 一月八日
    辞任         補欠選任
     小野 清子君     久世 公堯君
 一月九日
    辞任         補欠選任
     山東 昭子君     山岡 賢次君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     中村 鋭一君     山田耕三郎君
     猪木 寛至君     橋本孝一郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡野  裕君
    理 事
                岡部 三郎君
                山岡 賢次君
                松前 達郎君
    委 員
                大鷹 淑子君
                久世 公堯君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                宮澤  弘君
                清水 澄子君
                竹村 泰子君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                黒柳  明君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                山田耕三郎君
                橋本孝一郎君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
   政府委員
       外務政務次官   鈴木 宗男君
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房審
       議官       野村 一成君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    渡辺  允君
       外務省経済局次
       長        須藤 隆也君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       環境庁大気保全
       局企画課長    浅野 楢悦君
       外務大臣官房審
       議官       太田  博君
       外務大臣官房審
       議官       橋本  宏君
       外務大臣官房審
       議官       河村 武和君
       大蔵省銀行局特
       別金融課長    中井  省君
       大蔵省国際金融
       局開発機関課長  宮村  智君
       林野庁林政部木
       材流通課長    小畑 勝裕君
       林野庁指導部計
       画課長      田中 正則君
       通商産業省基礎
       産業局フロン等
       規制対策室長   小島 直樹君
   参考人
       国際協力事業団
       理事       田口 俊郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○欧州復興開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(岡野裕君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十二月十九日、合馬敬君が委員を辞任され、その補欠として鳩山威一郎君が選任されました。
 また、去る一月九日、山東昭子君が委員を辞任され、その補欠として山岡賢次君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(岡野裕君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に山岡賢次君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(岡野裕君) この際、中山太郎外務大臣及び鈴木宗男外務政務次官より発言を求められておりますので、順次これを許します。中山外務大臣。
#6
○国務大臣(中山太郎君) 昨年十二月二十九日、外務大臣再任を拝命いたしました。早い機会にごあいさつを申し上げることを切望いたしておりましたが、本日その機会を賜り、ありがとうございます。
 昨年八月二日に勃発した湾岸危機は、イラクのクウェートよりの撤退を経て収拾に向かっております。これは、我が国を含め世界の多くの国々が湾岸の平和と安定を回復するため国連のもとに結束し、国連安全保障理事会の関連諸決議を堅持しつつ、相互に緊密な協力を進めてきた結果にほかなりません。
 今や世界は、歴史的激動期の渦中にあります。特に、欧州における東西対立の解消と統合の時代の幕あけは象徴的な出来事でございます。他方、過渡期に特有の不安定性、不確実性がある中で、国家間の利害対立や地域紛争も存在していることもまた事実であり、今回の湾岸危機は、今後の新
たな国際秩序のあり方を問う試金石ともいうべきものであります。
 このような国際情勢の中にあって、世界の平和と繁栄を確保するため我が国の外交に課せられた使命は、ますます大きくなっております。
 我が国といたしましては、みずからの責任と役割を自覚して、世界の平和と繁栄に貢献していくことにより、新しい国際秩序づくりに積極的に参画してまいる方針であります。
 このような方針のもと、私は、今後とも海部総理大臣のもとで、これまでの外交の成果を継承し、これをさらに発展させてまいる決意であります。
 本委員会の皆様は、外交に精通され、多年にわたってこれに取り組んできておられます。今後とも皆様方の御鞭撻と協力を賜りつつ、これまでの経験を踏まえて、外務大臣としての重責を果たしてまいる所存でございますので、委員各位の一層の御協力をお願い申し上げます。
#7
○委員長(岡野裕君) 次に、鈴木外務政務次官。
#8
○政府委員(鈴木宗男君) 外務政務次官を拝命しました鈴木宗男であります。
 我が国を取り巻く国際環境、国際情勢につきましては、ただいま大臣のごあいさつのとおりであります。私も微力ではありますけれども、中山大臣のもとで、揺るぎなき日本外交推進のために全力を傾けていきたいと思っております。
 本委員会の先生方の変わらざる御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
    ─────────────
#9
○委員長(岡野裕君) 次に、欧州復興開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上三件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中山外務大臣。
#10
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議題となりました欧州復興開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この協定は、中欧及び東欧の諸国の政治的及び経済的改革への支援に関する関係諸国の会議における検討の結果、平成二年五月二十九日にパリで作成されたものであり、我が国は、同日にこの協定に署名しております。
 この協定は、中欧及び東欧の各国の政治的及び経済的改革を支援し、これらの改革を実施している国の市場指向型経済への移行等を促進するため欧州復興開発銀行を設立することを目的としており、同銀行の設立、その目的、資本、業務、組織及び運営等について規定しております。
 我が国がこの協定を締結することにより同銀行に加盟することは、中欧及び東欧の各国の政治的及び経済的改革の推進に協力しようとする我が国の基本政策に合致するものであり、また、我が国と中欧及び東欧の各国との友好関係を増進する見地からも有意義であると認められます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この改正は、平成二年六月にロンドンで開催されたオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締約国の第二回会合において採択されたものであります。
 この改正は、オゾン層を保護するための措置を強化するとの観点から、消費、生産等の規制の対象となる物質の範囲を拡大すること、開発途上国に対する資金供与の制度を設けること等を目的とするものであります。
 我が国がこの改正を受諾し、オゾン層の保護に関する国際的な取り組みに一層積極的に参加することは、環境保全の分野における国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここにこの改正の受諾について御承認を求める次第であります。
 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
 改正の第一は、在外公館の設置についてであります。今回新たに米国のマイアミ及びフランスのストラスブールに総領事館を設置するものであります。在マイアミ総領事館は、マイアミを初めとするフロリダ州における邦人、日系企業等の進出の増大等にかんがみ、日米友好協力関係の一層の充実を図るために設置するものであります。また、在ストラスブール総領事館は、同地を中心とするフランス北東部への邦人、日系企業等の進出の増大並びに同地に所在する欧州議会及び欧州評議会との連絡協議の強化の必要性にかんがみ、日仏、日欧関係の強化を図るために設置するものであります。
 改正の第二は、昨年のドイツ統一に伴う在東独大使館に関する規定の削除等所要の改正を行うものであります。
 改正の第三は、最近における為替相場及び物価水準の変動等を勘案し、既設在外公館に勤務する職員の在勤基本手当の基準額を全面的に改定するものであります。本改定は在外職員の生活に直接関連することであり、四月一日から実施する必要があります。このため年度内の法律改正が必要であります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#11
○委員長(岡野裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
    ─────────────
#12
○委員長(岡野裕君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております三件の審査のため、本日、国際協力事業団理事田口俊郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#14
○委員長(岡野裕君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#15
○清水澄子君 私は、議題になりました三つの提案に対しまして基本的には賛成の立場に立ちながら、特にオゾン層保護に関する問題を中心に質問をさせていただきます。
 現在、地球環境の問題といいますのは、もう御承知のように、オゾン層の破壊、地球の温暖化、酸性雨、熱帯林の減少または砂漠化、野生生物種の減少、それから海洋汚染、有害廃棄物の越境移動、そして開発途上国の公害対策がこの主要な課題となっておりまして、いずれも国際的な協力なくして解決できない問題が多くなってきているわけですけれども、そのときに二〇〇〇年までにこのフロンを全廃するというオゾン層保護が世界的なコンセンサスの第一号になったということは、いかに環境問題が緊急性を持つものであるかということを示すものといたしまして大変私は意義があると思っております。
 ところで、日本は一九八五年三月のウィーン条約の署名のときには保留をいたしまして、そして日本は環境問題で非常に消極的だという印象を世界各国に与えたと聞いているわけですけれども、今回のこの議定書改定の作業過程とか審議過程のときに日本はどのような対応をなさったのか、お聞かせいただきたいと思います。
#16
○説明員(河村武和君) お答え申し上げます。
 今回モントリオール議定書を改正いたしまして規制措置を強化することになったわけでございますけれども、これはそもそも現行議定書の規制内容では効果的なオゾン層の保護は困難であるという認識のもとに、科学的な知見、技術的な対応の可能性、社会的及び経済的影響等を勘案しつつ策定されたものでございます。この具体的な削減スケジュールの取りまとめにおきましては、各国の産業構造、代替措置の進捗状況、これらの相違もございますので、昨年六月にこの議定書の改正が採択されるまで種々調整を重ねてきておりました。
 この調整作業においては、いろいろなことを各国が申したわけでございますけれども、実際に規制物質を大量に生産、消費しているのは我が国、アメリカ、EC諸国でございまして、これら諸国が最終的に規制強化に対して積極的な立場を打ち出したということで今回の大幅な規制強化が可能になった、このように考えております。
#17
○清水澄子君 昨年の六月この議定書改定のときに、北欧とかEC諸国は前倒しでやったらどうかということを要求したと思うんですね。しかし、それに対して日本とかアメリカは抵抗した、反対したと聞いているわけです。そうしてその結果、一九九二年に見直しをして再度削減スケジュールを早めるという条件つきになったと言われているんですが、その理由というんですか、それはどういう見解であったんですか。
 それからまた、今回制定されました途上国援助基金につきましても日本は最初抵抗したと伺っておりますが、それらについての理由を御説明いただきたいと思います。
#18
○説明員(河村武和君) 今先生が御指摘されましたとおり、いわゆる一般的に規制強化ということを強く主張した国々が北欧諸国であったということはそのとおりでございます。しかしながら、先ほども御説明いたしましたとおり、これらの諸国はそもそも規制物質を生産しておりませんので、結果的には規制物質を生産している日本、アメリカ、EC諸国が意見の一致を見るというところで今回の改正が成立したというわけでございます。
 今御説明のございました九二年の件でございますけれども、九二年に見直しを行うということにつきましては今回の改正議定書におきましても最終的に合意を見ております。これにつきましては、メチルクロロホルムについて一九九二年に見直すということになってございます。その他の物質につきましては、基本的に議定書の第六条で四年ごとに見直すということがあるわけでございますけれども、メチルクロロホルムにつきましては、今説明申し上げましたとおり、九二年の見直しということで合意を見ました。
 また、いわゆる開発途上国の援助問題との関係でございますけれども、これも先生御存じのとおり、オゾン層の保護問題のような地球的な規模の環境問題を解決するためには普遍的な条約、すなわち開発途上国も先進国もできる限りの多くの国々が入る条約というもの、いわゆる枠組みというものを成立させることが不可欠でございますので、オゾン層の保護対策を実施するために必要な経済力とか技術力を十分有していない開発途上国に対しては先進国による経済的、技術的援助が必要であるという認識のもとに、オゾン層保護のための開発途上国援助の制度が検討されまして、最終的に多数国基金を中核とする開発途上国援助の仕組みが取りまとめられたことは御存じのとおりでございます。
 我が国自身といたしましても、このような効果的なオゾン層の保護対策を確保するためには開発途上国援助が必要であるという観点から検討作業に積極的に参加をいたしまして、特に我が国といたしましては、単なる基金の設立のみに限りませずに既存の援助制度の活用等を含めた効率的かつ広範な開発途上国援助の制度を検討することを提案いたしました。国連環境計画や国連開発計画、世界銀行等の既存の国際機関を実施機関として活用する開発途上国援助の仕組みの取りまとめというものも、日本等の意見が反映されて最終的には改正議定書の内容になったということでございます。
#19
○清水澄子君 今、北欧とかEC諸国は日本ほどの生産をしていない、だから反対をされたというふうなことをおっしゃったわけですが、例えば今回のロンドン会議で決定しました二〇〇〇年までに段階的に削減していくということが完全に守られたといたしましても、過去六十年間に使用されたフロンは千八百万トンに上っていると言われています。そして、成層圏に到達してオゾン層を破壊している量はそのうちのたった一〇%だ、だからまだ残りの九〇%のこれまでの過去の生産、消費量についてもこれから徐々にオゾン層を破壊すると言われているわけです。そしてさらに、二〇〇〇年までに段階的にですから、現在まだ生産は一方において続いている、こういうふうな実態ですね。
 それに対しまして外務省また環境庁は、今後何年先までオゾン層破壊が続くという試算をしておいでになりますか、お聞かせください。
#20
○説明員(浅野楢悦君) 今回の議定書改定の根拠になりました科学的知見につきましては、UNEPに一九八八年に科学パネルというものが設置をされまして、最新の科学的知見に基づきまして将来予測というものをいたしたわけでございますが、その予測に基づきましてモントリオール議定書の改定合意を見たという経過でございます。
 このUNEP科学パネルの予測によりますと、現在大気中の塩素濃度につきましては二・七ppbv、このppbvと申しますのは容量で十億分の一という単位でございますが、そういう状況でございますけれども、現在の議定書、旧議定書の規制のレベルによりますと、将来的には二〇五〇年のレベルで大気中の塩素濃度が約八ppbvということで、現状に比べ約三倍にふえる。この結果、熱帯地域でオゾン全量が一から四%、高緯度地域で四から一二%減少する。また、南極のオゾンホールは極めて大きくなるという予測をいたしておりますが、今回合意を見ました議定書の改定内容をこれに加えまして代替フロンの利用の抑制ということもあわせ行ってまいりますと、二〇五○年には大気中の塩素濃度が現状二・七ppbvよりやや下がるという見通しでございまして、なおかつ二一〇〇年以降には二ppbvまで下がる。これは一九七〇年以前の数値でございますけれども、そういう低い数値に戻るということでございまして、オゾン層の破壊現象はほぼ食いとめられるという見通しをつけているところでございます。
#21
○清水澄子君 百年待たないといけないわけですね。
 それで、現在一年間に生産されている世界のフロンの量、それはどの程度なんですか。そして、日本とアメリカとECのこの生産の量と重立った用途別がわかれば数字を述べてください。
#22
○説明員(小島直樹君) 規制対象になっております特定フロンの全世界におきます製造量でございますが、モントリオール議定書の規定に基づきましてこの議定書の事務局をつかさどっておりますUNEPが調査をいたしました一九八六年の数値によりますと、全世界におきまして製造量約百十一万トンという数字が出されております。国別の数値につきましては必ずしも十分な数値がございませんが、私どもが聞いておりますところでは、アメリカが世界で一番多い、それに匹敵する数量といたしましてECがほぼ同じぐらいの製造量であるということを聞いております。
 我が国につきましては、同じく一九八六年の数値でございますが、生産量が約十二万トン、消費量が十一万八千トンということになっておりまして、全世界の数値に対しまして約一割強ということになるわけでございます。
 次に、用途別の消費量でございますが、このフロンの用途といいますのは大変多岐にわたっておりまして、そのユーザーの数というものも多数に上っておりますので、正確な数値というものはこれを得ることがほとんど困難であるわけでございますけれども、業界等あるいはUNEPにおいて
推定をいたしておりますところによりますと、主要な四つの分野につきまして、この主要な四つの分野といいますのは、冷媒、エアゾール、発泡プラスチックの発泡用、そして洗浄用ということになるわけでございますが、我が国の場合、冷媒用途が約一八%、エアゾール用途が七%、発泡プラスチックの発泡剤用途が二二%、洗浄剤用途が五二%というふうに推定されております。
 これに対しまして米国におきましては、冷媒用途が四五%、エアゾールが一%、発泡剤用途が二〇%、洗浄剤用途が一五%となっております。また、西欧におきましては、冷媒分野が二〇%、エアゾールが四〇%、発泡剤分野が二五%、洗浄剤分野が一〇%と推定されておるところでございます。
#23
○清水澄子君 今アメリカとECと日本の生産量、消費量、分野別を御説明いただきましたけれども、アメリカと日本というのはこれは一国ですけれども、ECはそこに各国いろんな国が入っていますね。ですから、ECが二番目というのじゃなくて、日本はアメリカに次いでこのフロンの生産と消費量はやはり世界第二位だというふうに思います。そして、特にアメリカや北欧などではエアゾールのスプレー用はもう早くから禁止をしております。日本はそれも禁止をしないで行政指導なんですね。そして、特に日本の場合にフロン使用の用途別で最も多いのは、結局いわゆる半導体、そういう関係の洗浄剤ですね。それが五二%を占めているのは、これはまさに世界一だと思うわけです。
 そういう中で、そういう地位にいるというのか、余りいい地位じゃありません、オゾン層を破壊するフロンの生産と消費量が世界第二位というわけですから。これを世界に先駆けて削減していく責任があるんじゃないかと思いますけれども、それらにつきまして全廃への歩みをもっと大幅に繰り上げていくという考えはございませんでしょうか。
#24
○説明員(小島直樹君) このモントリオール議定書に基づきます国際的な規制が開始されましたのが一昨年の七月からでございまして、それ以来各国において生産量、消費量の規制が行われておるわけでございます。
 我が国の場合について申し上げますと、規制の始まります前の年でございます昭和六十三年には生産量が十四万八千トン、消費量が十四万七千トンであったわけでございますが、これが規制が行われました最初の一年間でございます一昨年七月から昨年六月までの一年間の実績といたしまして、生産量が十一万九千トン、消費量が十一万トン、これは昭和六十三年の数値に比較いたしまして消費量で見て約二五%の削減に相当するわけでございます。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
こうした非常に急激な削減ということに対応いたしますために我が国産業界は非常に積極的な対応の努力をいたしておるわけでございまして、具体的には、短期的にまず消費量の節約、節減を図っていくということ、そして中長期的には代替品への置きかえあるいは製造工程の見直しということを含めました代替技術への移行ということを図っているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、ただいま御指摘もございましたエアゾール分野でございますが、従来から行政指導によりまして法規制がございまして、実際にはフロンの使用をせざるを得なかった人体用の分野を除きまして、既にLPガスその他の代替ガスへの転換というものが相当程度進行しておったわけでございますけれども、このエアゾール分野におきまして残されました人体用のエアゾール製品、これにつきましても高圧ガス取締法によります規制の改定ということを受けましてLPガス等の代替ガスへの転換が急激に進展をいたしましたわけでございまして、現在におきましては、医薬品等特殊な用途を除いて特定フロンの使用がほとんど行われていないという状況になっております。
 また、冷媒分野につきましては、カーエアコン用の冷煤のフロンの回収のための体制整備が急速に進展をしておりますとともに、代替品への転換のための技術開発が進展をしておるわけでございます。
 さらに発泡分野におきましては、分野により違いはございますけれども、水または炭化水素発泡等の対応技術の拡大によりましてフロン削減が順調に進展をしておるところでございます。
 御指摘がございました洗浄剤分野でございますが、この分野につきましては直ちにフロンに代替できます代替品というものが存在しないということもございまして、各用途ごとに対応策を検討していくということが進展をしておりまして、まず短期的には回収・再利用装置の導入によります使用量の節減ということ、そして水の洗浄あるいは無洗浄化、そういったものを中心に削減対策が進展をしておるというところでございます。ただいま申し上げましたように、洗浄剤分野につきましては代替品がこれまでのところ存在をしていないという状況にかんがみますと、またその洗浄剤分野の用途が五〇%を超えるという我が国特有のフロンの消費構造というものを考えますと、実質的には我が国は非常に早いペースで削減が進展をしておるということが言えるのではないかというふうに考えておりまして、今後ともこういった対策をより一層進めていくべく努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#25
○清水澄子君 日本の場合はいつでも行政指導とかそれから企業の自主規制に依拠する。それは一面はいいんですが、やはり必要な場合にはもっと厳しい規制が必要ではないかと思うわけです。
 フロンの全廃は一年早まるごとにその影響度が十年短縮される、そういうふうに言われておりますし、それだけではございませんで、フロンはオゾン層の破壊だけではなくて地球温暖化をもたらしている温室効果がある、そしてその強さは炭酸ガスの一万倍というふうに言われているわけです。ですから、このフロンの全廃を早めていくということは地球環境保全への最も国際的な貢献策ではないだろうかと思うわけです。
 政府は、このモントリオール議定書の承認を求めるだけにとどもらないで、もう少し全廃時期の前倒しの実施を考えていくおつもりはございませんでしょうか。これは大臣、いかがでございますか。
#26
○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、このような地球環境の破壊につながるようなガスの生産、消費、これをできるだけ各国の協力のもとに制限をしていくということが好ましいと考えております。
#27
○清水澄子君 前倒しをする意思はありませんか。
#28
○説明員(小島直樹君) 先ほども御指摘がございましたように、昨年六月の締約国会合におきまして採択されました規制強化につきましては、一九九二年にその見直しを行うということがあわせて合意をされておるわけでございます。
 今回の議定書改定におきましては、最新の科学的な知見あるいは技術の進捗状況、そういったものをもとにスケジュールが決められたわけでございまして、この強化されました規制は、まず第一に世界各国が対応できます最も厳しい規制内容、水準である、また二番目に、オゾン層保護のために十分な水準のものになっておるというふうに私ども承知しておるわけでございます。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 他方、議定書で一九九二年のこの規制の見直しが合意されておるわけでございまして、この見直しにつきましては、今後の新たな科学的な知見並びに新たな技術開発の成果、こういったものを踏まえまして積極的に所要の対応を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#29
○清水澄子君 やはりもう少し本当に真剣にお考えいただきたいと思います。
 そこで、では現在日本のフロンを生産しあるいはまた消費するそういう企業が、開発途上国、とりわけアジア諸国に現地法人としてどの程度進出をしているのでしょうか。
#30
○説明員(小島直樹君) 先ほども申し上げましたように、フロンの用途は非常に多岐にわたっておりまして、また最近では中堅企業あるいは中小企業も活発に対外投資を行うようになっておりますので、そういった日本企業が途上国にどの程度進出しておるか、そしてまたその中でフロンを果たして使っておるのかどうかということにつきまして、その全体像を完全に把握するということは極めて困難であるわけでございますけれども、私どもで承知しておりますところでは、例えばカーエアコンあるいは冷蔵庫の製造といった分野につきまして現地資本との合弁あるいは技術提携、そういった形によりまして現地での生産ということを行っておる例があるというふうに承知しております。
#31
○清水澄子君 質問に答えていただきたいのです。現地でエアコンとかそういうものを生産していると承知していますというだけではなくて、私がお尋ねしたのは、例えばどの程度の企業が何社ぐらい進出しているとか、どの地域に、例えばマレーシアにはこういう企業が進出しているとか、日本はどの程度現地法人として進出していますかとお聞きしているわけですから、それにぜひ答えてください。
#32
○説明員(小島直樹君) 冷蔵庫の分野におきましては、アジア諸国で現地におきます生産拠点を持っておりますのが私ども把握しておるところで全部で十八工場というふうに承知をしております。また、カーエアコンにつきましては十四社というふうに承知をしておるところでございます。
#33
○清水澄子君 では、これはその社名もおわかりでしょうし、その地名もおわかりでしょうから、後ほど資料としていただくことをここでお願いしておきたいと思います。
 そこで、そういう発展途上国に進出している企業ですが、この地球環境問題というのはやはり開発途上国に寄与していかなければならないと思うわけですけれども、途上国には議定書に加盟していない国も多いと思うわけです。従来の場合日本の企業は、日本国内で公害の規制が強くなると海外に出て、そしてそこで非常に低賃金の労働者とあわせてこの公害規制の緩やかな現地の基準に従うというふうなことが多かったわけですが、今回は議定書がそれを禁じているとはいうものの、政府としましては発展途上国に進出している企業、それに対する指導とか、それはどのようになさるわけですか。
#34
○説明員(小島直樹君) 先ほど御請求のありました点につきましては、御満足のいただけるものにできるかどうか自信はございませんけれども、後ほど先生のもとにお届けするなりあるいは御説明に伺うなりさせていただきたいと思います。
 次に、途上国に進出をしておる我が国企業についてのただいまの御指摘でございますけれども、まず基本的には、このオゾン層保護問題というのは地球規模の問題でございますので、私どもはすべての国が締約国になりまして削減、全廃の努力をしていくということが重要であるというふうに考えております。そのために、今回の議定書改正におきまして、途上国対策のための国際的な枠組みといたしまして基金の設立を含みます援助メカニズムの構築が合意をされたところでございますし、また我が国といたしましても、そういった途上国の専門家を対象にいたしました集団研修、これは国際協力事業団の事業として行っておりますけれども、そういった集団研修でありますとかあるいはセミナーの開催といった取り組みを行っておるところでございます。
 他方で、このモントリオール議定書におきましては規制対象物質それ自体並びに規制対象物質を含む製品につきまして貿易制限の規定を設けておりまして、そういった非締約国におきます規制対象物質の生産の拡大、あるいは非締約国におきまして規制対象物質、例えばフロンを含みます冷蔵庫等の製品を製造いたしましてこれを締約国に持ってくるといったような形でのいわば規制逃れ、そういったことを行おうといたしましても、これに対する規制を行うことによりましてそれができないような仕組みというものをとっておるわけでございます。
 また、そういった途上国におきますフロンを使用しております企業、そこにおきましてもできるだけ早くその対策技術が先進国から移転をされるということが重要であるわけでございますが、そういった途上国への技術移転といいますのは先進国で技術が確立したものから移転が行われるということにならざるを得ないわけでございまして、通産省といたしましては、我が国企業の途上国におきます現地工場に対しましても、そういった対策技術が国内で確立した後、速やかに現地に技術移転を行うということを要請しておるわけでございまして、今後とも円滑な技術移転が行われますように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#35
○清水澄子君 お答えはその問題だけに答えてください。余りそちらの方が長くて時間のことが気になっております。
 今回、中国やインドはこの議定書に加盟をしていないわけですけれども、日本はそういう技術移転などどのように中国などとの関係を進めていかれるおつもりですか。どういう段取りになっておりますか。
#36
○説明員(河村武和君) 今先生が御説明になりましたとおり、中国とかインドとか、いわゆる今後の経済成長に伴ってフロンの需要の増加が予想されている国々の中で大きな国がまだ議定書に入っていないわけでございます。しかしながら、昨年の六月にロンドンで開催されました議定書の締約国の会合におきまして、これら諸国の懸念に配慮いたしまして、累次説明しておりますとおり、開発途上国援助のための多数国間基金の設立が合意されました。この会合におきまして、中国及びインド代表団双方ともこれを高く評価いたしまして、議定書締結についての前向きな意向を表明いたしました。実際にインドは、今月の十八日でございますけれども、もとになりますオゾン層の保護のためのウィーン条約に加盟するという通告をいたしました。中国は既にウィーン条約自体には入っておりますけれども、まだ議定書には入っておりません。
 いずれにいたしましても、インドも基本になります条約に入ったということと、それから先ほど説明しましたような多数国間基金の設立という形での途上国支援というものができましたことによって、近く議定書自体、さらにはこのモントリオール改正議定書も締結することになろうかと期待しております。
 それでは、さらに具体的に二国間でどういう働きかけをしているかということを先生が御質問でございますので、インド、中国だけに限ってはおりませんけれども、特に技術援助、二国間援助ということで具体的に私たちがどういうことをやってきたかということを簡単に御説明させていただきます。
 基本的にはセミナーの開催、専門家の派遣等でございますけれども、まず一昨年、一九八九年の五月から六月にかけまして、我が国におきましてオゾン層保護アジア・太平洋セミナーというものを行いました。これには中国が参加しております。さらに昨年の二月、マレーシアにおきまして熱帯地域のオゾンと大気の変化に関する国際会議というものがございまして、ここには中国もインドも参加しておりましたけれども、要請を受けまして環境庁から専門家を派遣していただいて、オゾン層保護に関します日本の行政機構等について説明いたしました。そのほか、IICAの集団研修コース等を二回やっております。この場におきましてもインド、中国等が参加しております。
#37
○清水澄子君 中国や発展途上国が不満を持っておる理由というのは、先進工業国が無制限な経済活動で早い者勝ちで環境を汚染してしまって、そしてその後で途上国に規制してくるということが非常に不公平だという意味で反対していると思うんですけれども、そういう点は本当に日本は経済活動で最も環境を汚染している国であるわけですから、やっぱりそういう早い者勝ちの構造をどの
ように直していくかということも本来必要なことだと思うんです。
 そういう意味で、これはもう御意見は伺いませんけれども、今回はこの約十億七千五百万円の多数国間基金制度に日本は予算を拠出しているわけですが、このことは賛成なんですけれども、これからの問題として、地球環境保全の基金というものもPPPの原則で、排出者、汚染者、発生責任者の負担の原則でこういう問題をやっぱりもう少し検討していただいて、そして汚染をして利益を上げたという企業にも課税をするとか、金銭的な負担をかけるとか、そういうふうなことはぜひ今後も検討をしていただきたいと思うわけです。
 時間がなくなりますので、そのことはもし何かお考えがあればお聞きしますけれども、私の意見として述べておきたいと思います。
 そこで、私はきょう環境関係だけで御質問したいわけですが、今このほかの例えば北方領土とか中東問題とかというともっとわっと騒ぐんでしょうけれども、私はやっぱり日本の外交の中で環境問題というのが非常に軽視されているというふうに思うわけです。日本は他の先進工業国に比べまして環境保護関連条約の批准が非常に少ないと思います。そのために国内法からも環境基準が非常におくれていると思うわけです。
 そういう中で、私は昨年の十二月の本委員会でも質問をさせていただいたわけですけれども、どうしてバーゼル条約批准の段取りをなさらないのか。それは、今国会に厚生省が廃棄物処理法の大幅な改正案を提出しているわけですが、その改正案には当然有害廃棄物の越境移動を規制するバーゼル条約が批准されているということがとても必要なんです。厚生省がそれだけ大幅に何年ぶりにこの廃棄物処理法の改正をするというとき、もしバーゼル条約が批准されれば、この改正案の中にバーゼル条約で定義されている有害廃棄物のカテゴリーを国際水準に引き上げることが非常に可能になるわけです。ですから、これは非常に市民は期待をしておりますし、環境庁や厚生省すら期待をしているわけですけれども、どうしてこれの批准の準備をなさらないのか、そのできない理由というものをお聞かせいただきたいと思います。
#38
○説明員(河村武和君) 先生御指摘のバーゼル冬約、有害廃棄物の越境移動及びその処分に関するバーゼル条約でございますけれども、この条約の重要性につきましては地球環境保護のための国際制度づくりの一環として認識しているということを御指摘の昨年十二月の外務委員会でも申し上げまして、外務省の中でもタスクフォースをつくって条約の内容を検討しているということを御説明させていただきました。同時に、条約を締結するためには、条約締結に先立ちまして我が国が負うこととなります条約上の義務とか、その義務の履行を担保するための国内法令の整備等というものにつきまして検討する必要がございまして、この観点から政府部内で鋭意検討を進めているというところでございます。
 私たちの承知しております限りにおきまして、この法案についてどういうぐあいな内容のものをつくり上げるかということにつきまして、政府全体ではまだコンセンサスが得られていないというように承知しております。
 外務省といたしましては、このような検討が了しまして十分な国内制度の手当てというものができるということが確保されるような段階になりましたら、この条約を締結するために国会の御承認をいただきたい、こういう観点から作業を進めております。
#39
○清水澄子君 では、一言言ってください。何が理由なのかということだけで結構です。
#40
○説明員(河村武和君) いろいろな問題がございますけれども、本条約の締結のためには国内におきます有害廃棄物の排出の抑制、それから廃棄物の適正な処理の確保ということに加えまして輸出入に関する規制を行わなければならない、さらに国際的な不法取引に対する措置というものも規定しなければならないということで、これらの義務履行を担保するための国内法令の整備をどのような形で行っていくかということで幅広い省庁の検討が行われなければならない、このように承知しております。
#41
○清水澄子君 環境庁の担当の方いらっしゃいますか。――見えませんか。じゃ結構です。
 厚生省でもいつでも受け入れる準備ができておりますという、そういう答弁をいただいております。環境庁も本来は今回の国会で批准できるという準備をしていたと思いますが、今の御説明はちょっと理解ができないんです。それならば、次の国会には提出なさいますか。
#42
○説明員(河村武和君) ただいままで御説明いたしましたとおり、現在政府部内におきまして鋭意どのような形で条約の履行を担保するかということについて検討をしておりますので、この検討を了しますれば国会に御承認を求めるために提出することができる、このように考えております。
#43
○清水澄子君 それでは、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約についてはいかがなんですか。
 これは一九八〇年の四月に衆議院外務委員会で私どもの委員長であります土井たか子議員が質問をしております。これに対しまして当時の大来外務大臣は、次の国会で提出するように取り運びたいと明確に答弁をしておられるわけです。それから十一年が経過をいたしました。そしてまた、昨年四月の衆議院予算委員会でも我が党の山口書記長がいつ批准をするのかという質問をしておりますけれども、これもまた実施体制の整備等の国内の調整ができないというお答えですり抜けられるお考えですか。
#44
○政府委員(丹波實君) この条約の批准の問題につきましても、国会の関係の先生方に批准が遅過ぎるということで今までおしかりをいただいておりまして、まことに恐縮に存じております。
 この条約の構成でございますけれども、簡単に一言で申し上げますと、まず第一条では、文化遺産と称しまして、記念的な意義を有する彫刻、絵画、あるいは考古学的物件または構築物といったようなもので歴史上、美術上または科学上顕著な普遍的価値を有するものが規定されております。
 また、第二条におきましては、自然遺産と称しまして、自然の記念物で鑑賞上または科学上顕著な普遍的価値を有するものをそれぞれの締約国の国内で保護し、かつ第一条の文化遺産とともに国際的にも協力し合って保護していこうという趣旨でございますので、そういう趣旨にかんがみますれば、政府といたしましてもこの条約は基本的には好ましいもので、日本としても加入すべきものというふうに考えておりますけれども、先ほどの条約に伴いますと同じような問題がございまして、要するに条約に加入するためには必要な国内の実施上の措置というものをとらなければならない。この文化遺産条約との関係では、国内的に今どのような措置をとるべきかという点をめぐりまして関係省庁との協議で非常に時間をとって今日までかかっておるということでございます。
 私たちといたしましては、本当にもうこの条約に入る時期がそこに来ているという認識を高めておりまして、ことしの初めも外務省、環境庁、文化庁が集まりまして勉強会を一生懸命開きましたけれども、本当にできるだけ早く準備を整えて国会に御提出申し上げて御審議いただきたいというふうに考えております。
#45
○清水澄子君 昨年五月の環境委員会の方の論議で文化庁は、もう何ら調整の必要はありません、批准はできますと。それから環境庁長官も一日も早く締結をしたいですとおっしゃっているんですが、今の言葉では何か抽象的です。何が障害になっているか端的におっしゃってください。そして、十一年間どういう努力をされてきたか。そして、次期国会では批准をされますか。この三つにお答えください。
#46
○政府委員(丹波實君) この条約に関連いたします国内法といたしましては、例えば自然公園法あるいは自然環境保全法あるいは文化財保護法等の法律がございます。例えばこの条約の三条では、先ほど申し上げたような文化遺産あるいは自然遺
産というものを指定するということになっておりますが、一体どのような基準で政府のだれが認定するのかといったような問題が例示的に挙げられると思いますけれども、そういう問題をめぐりまして国内的な措置をどうとるかということの検討に時間がかかっておるということでございます。
 いつまでにとおっしゃいますけれども、なかなか、私たちとしては非常に近い将来の国会におかけしたいとは思いますが、かつそういうことを目標に本当に鋭意検討を早めたいと思っておりますけれども、もうしばらくの時間の御猶予をいただきたいというふうに思います。
#47
○清水澄子君 じゃ、前の大来外務大臣が次の国会にとまで具体的におっしゃってから十一年間ですから、近い将来というとどの程度お待ちしたらよろしいのでしょうか。
#48
○政府委員(丹波實君) 近い将来、時間の考え方の問題になりますけれども、でき得れば両三年というふうに考えて私たちとしては勉強していきたいというふうに考えております。
#49
○清水澄子君 ぜひ次期国会に批准できるようにひとつ急いで準備をお願いしたいということを要望しておきたいと思います。
 最後に、湾岸戦争に伴う環境破壊の実情と日本の対応についてちょっとお聞きしたいわけです。もう余り時間がありませんが。
 先日、調査団の皆さんが帰国されまして、そして原油の流出の状況など環境汚染調査団のいろいろな報告書を拝見いたしました。そういう中に、油井の炎上とか原油流出と生態系の破壊というのはよく情報として入るわけですけれども、イラクに対して三万回の空爆を加えたというその戦闘行為によってどういう環境破壊が行われたのか、そういうものは余り私たちの目に映らないんですが、どういう推定をなさっておられるでしょうか。それとあわせて、今後政府がどういうふうにペルシャ湾の環境保全のための対策をとられていくのか、具体的な方策をお聞かせいただきたいと思います。
#50
○説明員(浅野楢悦君) 今先生御指摘の湾岸戦争の戦闘行為による環境破壊そのものにつきましては、環境庁といたしましても全体像をつかみますデータもございませんので直接お答えすべき用意がございませんけれども、戦闘行為の一環として行われましたイラクによりますクウェートの油田の破壊ないしは放火という行為によります環境影響につきましては大変憂慮される事態でございます。クウェートに現存いたします油田約千カ所のうち六百カ所が炎上しているという状況でございまして、これは私ども環境庁ほか通産省、運輸省、農水省等の関係職員から成ります調査団を先般湾岸地域に派遣いたしましたけれども、そのときの知見によりましても大変な大気汚染の影響が出ているということでございます。
 この問題につきましては、環境庁といたしましても、UNEPあるいはWHO等の関係国際機関との協力のもとに、技術的な援助あるいは対応方策についての国際協力というものの用意を鋭意進めなければならないということで、現在具体的な対応策について検討を進めているところでございます。
#51
○清水澄子君 その戦闘行為による環境被害というものもぜひお調べになって、またぜひ情報をいただきたいと思います。お願いをしておきます。
 そこで私は、ある意味でこれは提案なんですけれども、今回のこのペルシャ湾に対する環境破壊の実態調査とかそれに対する対応というものは非常に重要だと思います。しかし、そういうふうに戦争の後の当面の対応とか救出とか、そういうことだけでなくて、日本はそれこそ憲法の理念に即した国際的な環境問題についての貢献策をもっと外交の面でも研究する必要があるんじゃないかと思います。
 それは国内においてでも絶えず常設の、まあ私どもは地球環境レンジャーと言っているんですが、この間外務省の方と話していましたら、環境PKOというのはどうだろうなんて言っておられましたが、私もいいと思いますね。そういう常設の地球環境レンジャーを創設して、国内においてもいつでもそういう環境問題について調査をしたりそこに派遣をする、そういうふうな組織があっていいと思うんです。
 現在日本の国立公園では、これを管理するレンジャーがたった百人しかいないわけですが、絶えず常設されています。このような形のものの地球環境版をそういうふうなものでつくってみたらどうなんでしょうか。そして、必要なときにはいつでも環境調査を目的とした環境ミッションの派遣をするとか、環境復旧を目的とした環境レスキュー隊の派遣ができるような、そういう機動的な国内体制を整備しておくことが私は非常にこれからは必要なのではないかと思います。
 そしてまた、海外に向けては、日本はやはり国際社会で地球的規模の環境保障を制度化していくという努力をすべきではないかと思うんです。例えば、国際紛争に対しては国連に安全保障理事会というものがあるわけですけれども、これからは環境保障理事会というふうなものも国連の中では必要なのではないか。ぜひ日本はそういうことを国連の中でやはりもっと積極的に主張をし提案をしていただくように、そして日本は特にその中でも常任理事国として活動できるような、絶えずそういう世界に貢献する分野が、自衛隊を折あらばどこかに派遣しようとかそういうふうな問題ばかりじゃなくて、平和的でそして日本に最もふさわしい国際貢献の方法をぜひ考えていただきたいと思うわけです。
 そういうことをやること、これは日本が今こそ世界で果たせる環境保障制度を確立していくということで一番提案できる立場でもあり、また私は最もそれが憲法の理念にも沿った前向きな日本の環境外交になると思いますが、その点につきまして外務大臣はどのようにお考えになりますか。やってみていただくお考えはございませんでしょうか。
#52
○国務大臣(中山太郎君) 御指摘は、日本の外交の中に環境保全のための柱を立てて国連を中心にやったらどうかというような御趣旨だと思います。私は大変いいお考えだと思います。
 我々も今回の湾岸における大気汚染あるいは海洋の汚染等につきまして、先般私二ューヨークに参りましたときも、日本政府としてはこの地域の環境の回復のために我々のかつて蓄積した技術それから資金というものを積極的に提供するということを申しておりますが、環境問題に関しては例えばスウェーデンが大変大きな関心を持っております。そのような関心のある国々と共同しながらこの地球環境の保全のためにこれから努力していきたいと考えております。
 先般スウェーデンの総理大臣が日本に来られました。その節も海部総理との首脳会談において日本とスウェーデンが環境問題でこれから協力しようという話し合いも行われました。政府としてはそのような方向で努力してまいりたい、このように考えております。
#53
○清水澄子君 終わります。
#54
○堂本暁子君 大臣、アメリカからお帰りになって大変お疲れのところだと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 私は、欧州復興開発銀行を設立する協定についてまず質問させていただきます。
 東西の冷戦構造が解け始めてソ連、東欧諸国と西側の諸国の共同参加、これは大変今までにない金融機関としてのあり方だと思います。こういった銀行が誕生する、これは画期的なことだとは存じますが、同時に、開発と環境というのは大変難しい問題であるというふうにも常日ごろ思っております。
 こういった新しい銀行の融資する案件、これはどのようにして決まるのか、日本は参加するのか、まずその点から伺わせてください。
#55
○説明員(橋本宏君) 先生御案内のように、この欧州復興開発銀行というものは、民主化等へ向けて努力している東欧及び中欧諸国におきまして、市場指向型経済への移行だとか民間及び企業家の自発的活動を促進するということを目的として設
立の運びとなっているものでございまして、我が国のこれまでの外交政策上ぜひとも参加いたしたく、この批准を国会に御審議いただいているわけでございます。
 また、この協定に参加の運びとなりました場合いろいろな事業に対して我が国は参加していくことでございますけれども、それぞれのプロジェクトにつきましては理事会において議論されて、そこで投票した加盟者の総投票権数の過半数により決定されるという形になっております。
#56
○堂本暁子君 理事会にも日本は参加するわけですか。
#57
○説明員(橋本宏君) お答えいたします。
 我が国は、本協定上理事一名を選出することができることになっております。
#58
○堂本暁子君 アジア開発銀行ですとかアフリカ開発銀行、多々ございますけれども、私どもいろいろな案件それから金額、利率といったようなものがどうもひとつはっきりわからない。そしてそのために、開発という形と、それから逆にいろいろな人権侵害とかそういうものにつながるというようなことも多々見受けるわけなんですけれども、欧州復興開発銀行の場合には情報を大いに公開してくださるというようなことはいかがでしょうか。
#59
○説明員(橋本宏君) この協定の三十五条の二ということで、例えば環境の問題につきましては、銀行が毎年加盟国に対して報告をするということになっております。そしてまた、銀行の目的を推進するために望ましいと認める場合、その他の報告書を公表することができるということになっております。
 具体的にこの報告というものがどのような形でなされるかは銀行が発足してみないとわからないわけでございますけれども、委員御指摘のような方向で非常に必要なものについては公表されることになるかと思います。
#60
○堂本暁子君 事後的では大変何というのですか、何か事が起こってからでは遅いのであって、事前の調査というようなことは義務づけられていないわけですか。
#61
○説明員(橋本宏君) もしも堂本先生の御質問が環境の関連ということで解釈させていただきますと、この協定は環境について相当配慮しておりまして、三カ所にその点が書かれております。一つは銀行のそもそも任務でございます。これは二条一項に書いてあるのでございますけれども、そこでは「銀行の活動のすべての範囲において、環境上健全なかつ持続的な開発を促進すること。」と定められております。また第二番目に、銀行の業務といたしまして規定されております。その中には、経済基盤の復興または開発に環境計画が含まれることと定められております。それから第三番目に、先ほど答弁させていただきました環境への影響についての報告というものが掲げられております。
 事前にどれほど外に発表していくかということはまた別の問題としまして、この業務の中に、計画をつくり、そこの中には環境計画を含めることということになっておりますので、銀行の業務そのものとして十分にその点は配慮していくものと思います。
#62
○堂本暁子君 大臣に伺いたいのでございますが、まさに環境と開発、これは大変相反する面が多いというふうに思いますけれども、そのことが非常に今の時代の問題性でもあるというふうに思います。
 たまたま今回の銀行の中には決められているということですが、持続的な開発をするのだという理念をうたっているということですけれども、そこのところはこれだけ援助大国になった日本としては大変大事な視点ではないかと思いますので、その点のお考えを伺わせていただけますでしょうか。
#63
○国務大臣(中山太郎君) 東欧における環境の問題は、私は非常に深刻だということを自分で歩いてみて感じております。それは工場における燃料の体系が非常に悪い。そのために例えば石炭を生だきしているとかいろいろなことがございまして、それによってヨーロッパは国境を越えて酸性雨が森林の絶滅に影響を与えてきている。これは一つの問題だろうと思います。
 また、例えば東欧の国々の中にはハンガリーとかそういったような、国名を挙げてはどうかと思いますけれども、実際問題として、従来生産され国民に使用されてきた自動車のエンジンの排気の問題で環境汚染に対する配慮がされていない。そういうことで、先般もオーストリアとハンガリーとの間の国境があげられたときに、オーストリアの政府が一番頭を痛めたのは東欧からやってくる自動車の排気ガスでございました。
 そういう意味で、東欧における工場あるいは自動車の排気ガス体系に思い切った対策を講じなければヨーロッパ全体に大きな影響が起こってくるということで、政府としては、二国間でも既にいろいろと公害に対する排除のための経済協力をやっておりますけれども、欧州復興開発銀行のような銀行が国際機関としていろいろと協力することは極めて好ましい、また必要なことだろうと私は考えております。
#64
○堂本暁子君 今大臣がまさに御指摘になりました森林の問題でございますが、少し欧州から離れまして、パプアニューギニアの森林の問題に触れたいと思います。
 ここに一枚の新聞、三月二十二日の新聞がございます。これはパプアニューギニアのポストクーリエという有力紙だそうですが、ここで言っていますのは、テド・ディロという副首相が木材業界絡みの贈収賄事件の中心人物として起訴されたということを報じている、そういう新聞がございます。ディロ氏は伐採企業との癒着で大変問題になった人物だそうです。パプアニューギニアは大変日本が進出している国だけに非常に問題があると思いますので、きょうその問題もあわせて伺いたいと思います。
 森林が急速に破壊される、天然の熱帯雨林ですけれども、破壊されている。このままだとニューアイルランド島では七年後、ニューブリテン島では十年、あるいはもっと長い統計ですと三十年と言っているところもあるんですが、いずれにしても非常に近い将来に天然の熱帯雨林が失われる、こう言っているわけです。そのことは客観的に世銀が最近調査いたしまして、ナショナル・フォレストリー・アクション・プランというので、パプアニューギニアの木材産業は持続可能な経営システムが機能していない、こういう報告をしております。それからもう一つは、FAO、国連食糧農業機構は、森林伐採は持続的な管理が可能な範囲を大幅に超えている、こう言っているわけで、国際機関がパプアニューギニアの森林伐採については危惧を抱いている、そういう状態でございます。
 そういう中で、丸太の伐採の大半がこの日本国、日本の企業によって行われているという現状があるわけです。ちなみに、パプアニューギニアから日本には二分間に一本の割合で丸太が輸入されているという現状です。現在、伐採権の五二%は日本企業関連のものです。日本木材輸入業協会の統計によりますと、八九年の輸入量が書いてあるんですが、住友林業、山陽国策パルプ、住商ランバー、日商岩井、川鉄商事、大蔵商事、帝人商事、安宅木材、王子木材、日比谷海外開発、ニチメン、マルニ、伊藤忠商事、山王木材、その他もろもろずっとあるわけです。上位だけでもそのぐらいたくさんある。全体として八十九万立方メーターという大変大量な木材、これは日本に輸入しているものですけれども、それ以外に日本が伐採して第三国に輸出しているというケースも多々ございます。
 ところが、これだけ大量の伐採が行われていながら、パプアニューギニアにとっては主要な輸出産業であるはずなんですけれども、その木材輸出の収益はパプアニューギニアの総輸出収入の八・五%、政府の総収入の三・二%にすぎない。大変少ないわけでございます。パプアニューギニア政府としては非常に不思議と申しますか、これはお
かしいということで、林業調査委員会を一九八七年に発足させました。委員長を務められましたのはオーストラリアの方で、パプアニューギニアの最高裁判所判事をしておられたトーマス・バーネット氏です。二年がかりの大変大きな仕事で、八九年に二十巻六千ページに上る報告書を発表なさいまして、委員長のお名前をとってバーネット・レポートと言われております。
 外務省はこのバーネット・レポートの存在というのは承知していらっしゃいますでしょうか。
#65
○政府委員(川上隆朗君) 先生御指摘のバーネット・レポートでございますが、我々の承知いたしておるところでは、御指摘のようなパプアニューギニア政府内部の調査委員会ということで、バーネット氏が議長になって調査委員会をつくって、その調査報告書が出ているというふうに承知いたしておるわけでございます。
#66
○堂本暁子君 その内容についてはいかがですか。
#67
○政府委員(川上隆朗君) 内容につきましては、我々の承知いたしておりますところ、これは公表扱いにはなっているというふうに聞いておりますが、冊子として出版されておるという段階にはまだ至っていないというふうに承知いたしております。したがって、我々はまだ入手いたしておりません。
#68
○堂本暁子君 去年、トロピカル・フォレストリー・アクション・プラン、熱帯林行動計画というものが開かれまして、これは日本も出席しているというふうに書いてあります。在外公館の方が出席なさったのか、こちらからいらしたのか存じませんが、ここにバーネット・レポートの内容もるる書かれていますので、日本政府に関心があれば当然御存じだったと思います。御存じないといたしますと、少しだけ紹介しなければならなくなります。
 微に入り細に入りずっと書いてございますが、例えば一番問題になっていることは、パプアニューギニアというのは外国の企業が入ってきて得る伐採権、これはほとんどが個人の所有地なんです。独立したときにそれぞれ持っていた土地を個人の所有にした。日本の企業で問題になりますことは幾つかありますけれども、法的に合法化された伐採権を持たないままそこで伐採をしている、そういうことが指摘されています。
 いろいろな企業の実態が一つ一つ書いてあるんですが、例えば日商岩井が九二%出資している政府との合弁企業をステティンベイ・ランバー社といいます。これは正式な政府の許可証ではないんですが、現物ではもちろんないんですが、ここに同意書のコピーがございます。これはバーネット・レポートに添付されていたものですが、この同意書でもってここは七年間にわたって伐採を続けている。そして、しかも同意書といえどもそこに決めていることが多々あるわけですね。三カ月ごとに報告するとか、丸太はちゃんと印をつけて、切るものと残すものとを選ぶというようなことも決められているんですが、そういうこともやられてない。
 林野庁の方おいでいただいていると思いますけれども、私も好きで日本の林の中へ随分入って見て歩きましたが、伐採する木には林野庁では必ず印をつけるんですね。そのことは日本ではやっておられますか。林野庁の方いらっしゃいますか。
#69
○説明員(田中正則君) 日本の場合、伐採する際に、業者に売るというような場合にはちゃんとナンバリングをしてやっております。それから、一部国有林なんかで直営でやる場合はそうではない場合がございますけれども、木はちゃんと調査した中で処分されておるということでございます。
#70
○堂本暁子君 日本の国内できちんとそういうことをやるのであれば、当然外国でもそういったルールを守るべきだと思うのですが、そういった印がつけられていない。
 その他ずっと今挙げたような企業が一つずつ書いてあるんですけれども、オープンベイ・ティンバー社というのは晃和木材の子会社、それから外商ニューギニア。証拠書類によると、現地の会社への支払いをごまかしているとかそういったことが数字を挙げて微に入り細に入り書いてあります。新旭川、住友林業、それからユナイテッド・ティンバーという三菱商事の独占によって販売を行っているというような企業の名前がずっと書いてありまして、全部読むと六千ページの大変な報告なのでとてもそれを読み上げることはできませんけれども、そこで問題になっている点をやはり私たちはないがしろにすることは絶対にできないと思います。
 話を少し展開させていただきますが、パプアニューギニアに進出している日本企業への援助の実態、これを簡単にJICAさんから伺わせていただきます。
#71
○参考人(田口俊郎君) ただいま先生から御質問のありましたPNGへのJICAからの援助の実態でございますけれども、JICAでは林業開発協力事業につきまして支援をしております。つまり、開発投融資ということで二つの点を内容として支援をしております。
 一つは、試験的な事業ということで、先生も御承知のように、新しい場所でいろいろな仕事をする場合には大変リスキーな負担、あるいは技術的な蓄積がない新しいいろいろな知見を必要とするさまざまな要素がありますので、そういうことから試みに、テスト的といいますか、そういう試験的なことをやって技術的な知見をストックしていく。それによって本格的な仕事が展開しやすいように、そのための試験的な事業ということに対する融資が一つございます。
 それからもう一つは、公共性の強い例えば道路とか学校とか水道とかいろいろ本格的な事業をするときに、大変公共性が強いものについてはやはり企業活動だけでは公共性のある部分をすべて負担し切っていくというのはなかなか大変でございます。ですから、そういう意味で公共性の強い関連施設整備についての融資が一つです。
 この二つがございまして、PNGの場合、実態としてただいま申し上げました二つのことが支援として行われております。PNGでも代表的なニューブリテンを今申し上げておりますけれども、試験的事業が二件、それから関連施設整備で二件、これが実情でございます。
#72
○堂本暁子君 JICAさんと、それから輸出入銀行も融資しているということですが、輸出入銀行の融資の内容もお教えいただきたいと思います。大蔵省。
#73
○説明員(中井省君) 輸出入銀行につきまして現在パプアニューギニア向けの森林開発に総体として幾ら融資しているかというのは、大変申しわけございませんが、現在資料が手元にございません。
 私が今把握しておりますところでは、幾つかの企業に確かに輸出入銀行として融資している事例はあるようでございます。
#74
○堂本暁子君 ここはきのう質問の予告をしてお願いしておいたのですが、それでは後からで結構です。総額、それからどういうプロジェクト、それから利子についてお届けいただけますでしょうか。
#75
○説明員(中井省君) 昨日承りましたのは利子の件につきまして承りましたのですが、足りない点につきましては後日先生のところに資料でお届けさせていただきたいと思います。
 利子につきましては、基本的な輸出入銀行の業務の仕組みを御説明申し上げますと、輸出入銀行と申しますのは一般に……
#76
○堂本暁子君 それは結構です。輸出入銀行の業務はこの間レクチャーを受けました。利子の額だけで結構です。
#77
○説明員(中井省君) それでは、金利水準について御説明させていただきますけれども、輸出入銀行法上におきまして輸出入銀行の貸付金利につきましては、借入金の利子その他の経費を補うに足るように、また一般の金融機関の貸付金利を勘案して定めることとされております。したがいまして、経済協力を目的といたしますJICAとはかなり性格が違います。あくまでも一般の金融機関
の行う金融の補完または奨励することを目的として準商業ベース、商業ベースに準ずる条件で融資等の業務を行っております。
 具体的に申し上げますと、輸銀の貸付金利につきましては、民間金融機関の最優遇の貸付金利でございます長期プライムレート、それから輸銀の調達の……
#78
○堂本暁子君 そういう内容ではなくて、パプアニューギニアの金利だけを伺えれば結構です。
#79
○説明員(中井省君) 現実には、事業の内容によってそれぞれ金利が違いますが、大体資金運用部からお金を借りております。その際、財投金利がございまして、その事業の優先度に応じまして財投金利と長期プライムの間の金利、いろいろな金利水準がございますが、適宜判断して金利をつけさせていただいておるということでございます。
#80
○堂本暁子君 今試験的な援助とかいろいろおっしゃいましたけれども、現場を見ていただいた方がいいと思いまして写真を用意してまいりました。(写真を示す)
 これがパプアニューギニアのごく普通の熱帯林の中の伝統的なヤムイモの貯蔵小屋です。今伐採が進行しているものですから、こういった伝統的な文化とか衣食住の生活がどんどん破壊されていく、そういった現状があります。
 それからこれは、その小屋をごらんになってもわかりますけれども、森の中に住んでいる住民の衣食住を支える植物が失われていっている。これは牧師さんだそうですが、屋根をふく植物が見つけにくくなった。大抵南の国というのはヤシの葉や何かで屋根をふいておりまして、それが違うものになると非常に住みにくいのですけれども、その植物を失っている。
 これがブルマ港、まさにステティンベイ・ランバー社の巨大な丸太の山でございます。こういった丸太は、日商岩井香港というところに書類だけは回ることが多いそうですけれども、丸太は直接日本へ来る、そういった構造になっています。
 これは、上流とそれから流域の伐採でパプアニューギニアの川の多くが荒れてしまった。水が濁り、雨が降ると洪水、それから乾期には逆に水量が著しく減少したりするということです。
 これもかつては川だったそうです。いっぱいここに水があったそうです。ニューアイルランド島です。熱帯林を切ってしまったために保水力を失ってしまった、水源を枯渇させている、そういった写真です。
 ここにパプア人の親子がいますけれども、ニューギニア島です。ゴゴール川の河口だそうです。本州製紙の子会社のJANTという会社がやっているところだそうですが、二十年にわたる伐採で土砂が堆積して、流木がいっぱい来ているわけですけれども、かつてはここもだくだくと流れていた川、その川の水がなくなりました。
 それで、これがJICAさんが今おっしゃった日本からの日商岩井に対する、私は企業に対してそういう援助があるというのを今まで知らなかったのですが、開発のために相手国ではなくて、今御説明があったように、企業に対しての融資ということで、林業開発投融資という形でJICAからお金が出てつくった橋です。パプアニューギニアにではなく、これは企業の方にです。それから、伐採のための道もすべて日商岩井の方で受注していて、これはJICAからの融資です。
 こういう現状をごらんいただきまして、問題になることはいろいろありますけれども、JICAの援助がそういった大変に告発されるような形で、しかも合法的な権利を得ないで、しかも住民の生活だけではなく、大変まだ幼い国という言い方が適当かどうか存じませんが、政治的にも経済的にも未成熟なパプアニューギニアというところに大変力のある多国籍企業が入っていって、そこで仕事をしている一つの企業の倫理観の問題でもありましょう。企業の方に伺うと、これは当たり前なのだ、常識ですというふうにおっしゃるそうですけれども、小さい生まれたての国にとっては大変なことでございます。
 こういった企業にODAを出す、JICAが融資するということ自体、私は大変納得がいかないんですが、もうちょっとやはり相手の立場を考えて、相手の国の成長とか福祉とかそういったすべてのいろいろなことを、今ノンプロジェクトと言われる時代ですけれども、そういったことをお考えいただくことの方がはるかにいいのではないか。これは大変乱暴な融資だというふうに、当たり前のことを私が知らなくて驚いて今そう言っているのかもしれませんが、これは大臣にぜひ御感想と申しますか、御意見を伺いたいと思うんです。
#81
○政府委員(川上隆朗君) 先生御指摘の諸点、先ほどから拝聴させていただいておりますが、まず一般論として、開発と環境の問題、これは現代において大変深刻な問題であるというふうに我々も受けとめております。
 開発と環境、ともすれば相反する方向に行きがちな両者でございますが、国際的には最近特に持続可能な開発という概念が出されて議論されておる点は先生も御案内のとおりでございます。
#82
○堂本暁子君 一般論ではなく、ぜひ局長、ここの件について。
#83
○政府委員(川上隆朗君) わかりました。
 そういうことで、我々としては、まず一般論としまして環境と開発を調和させるという努力を基本的にやってまいりたいという姿勢でございます。
 本件につきまして、先生御指摘の開発投融資の件でございますが、これは先ほどもちょっと申しましたように、先生の御質問に対しまして私まだ報告書自体、六千ページに上るそうでございますが、入手いたしておりませんけれども、間接的にはいろいろ問題点について承知いたしているわけでございます。先ほど御指摘の点もそのうちの重要な部分かと存じます。まだその内容をコンファームするという段階には至っておりませんが、我々としても注目しているということを申し上げておきたいと思います。
 JICAは、一般論といたしまして融資対象事業の進捗に伴いまして、先ほど説明がありましたように、関連した技術面、財政面での所要の報告というものを融資先の企業から受けているわけでございますが、融資対象事業以外の当該企業の活動全般につきまして、極めて詳細に報告を求めたり調査を行う立場にはないというふうに我々承知いたしております。そこのところは、先ほどJICAの理事から御説明がございました試験的事業及び関連施設整備事業、この二点がJICAの融資事業でございますので、その点につきましては詳細な報告を企業より聴取する立場にあるというふうに承知いたしております。その点につきまして必要ですと後ほどまた御説明があろうかと思いますが、こういう関係になっております。
 本件SBLC社の林業開発に関しましては、JICAの開発投融資事業を通しまして公共道路及び橋梁の建設を目的とする先ほどの関連整備事業、それから……
#84
○堂本暁子君 いや、それを伺っているのではなくて感想、こういう状態になっていることに対して外務省はどういうふうに思っていらっしゃるか。事実はここにこれだけ報告書がございます。これを見れば全部わかります。その必要はございません。
 こういう事態、結局非常に相手の生活と国の財政を破壊するような、そういうところまで追い込んでいるような企業に対して、不正が行われているというようなことが指摘されている企業に対して融資をするということは、やはりODAのあり方としては間違っているのではないか。どう思いますか。イエスかノーかでお答えいただきたい。
#85
○政府委員(川上隆朗君) 今御指摘の点でございますが、ODAで融資をすると申しますのは今申しましたその二つの種類の事業に対しまして、つまり例えば林業開発に伴う関連施設というものをつくる、橋をつくる、道路をつくるという関連の事業と、それから試験的事業ということで収益性が極めて低い、将来の見通しがはっきりしないと
いう、そういう事業につきましてODAを融資するということでございますから、その融資そのものに関しましてはそれなりに開発上の大きな目的があるのではないかというふうに我々認識いたしております。それがまず第一点でございます。
 それから第二点として、その結果何らかの問題が生じたということならば、それについては我々としても重大な関心を持ってこれに注目していく必要があるというふうに考えている次第でございます。
#86
○堂本暁子君 特にこの子会社ですね、香港に子会社を通じて価格移転をする。非常にそこで価格を、私が実際に数字を見せていただいたところでは、パプアニューギニアを出て、そして丸太はもちろん日本へ来るんですが、書類が香港経由で来る。企業の方の御説明だと、そこは為替の関係とかリスクが少ないとか、そういういろいろテクニックのことがあるらしいんですが、それでもバーネット・レポートによりますと、価格移転などの不正行為を行ってパプアニューギニア政府から脱税容疑で多額の追徴税を課せられ、これを支払っている。
 このことについては外務省は御存じですか。
#87
○政府委員(川上隆朗君) 先ほど申しましたとおり、間接的には種々承知いたしておりますが、本件リポート自体はPNGの内部、政府の内部の問題でございますので、先ほど申しましたとおり、まだ報告書自体入手いたしておりません。したがって、詳細は残念ながら承知いたしていないというのが現状でございます。
#88
○堂本暁子君 いろいろあると思いますけれども、大変に安い額で輸出をしている。
 そもそもバーネット・レポートをつくることになったきっかけというのは、これだけ輸出しているのにどうしてこんなに国家財政が豊かにならないんだろうかということなんですね。法律によって、パプアニューギニアでは国際市場のいってみれば一番高い価格で輸出することが決められている。そういうことによって国家財政を潤すということが建国のときの決まりなんです。ところが、日本が独占しているという形のために逆に最低価格にほとんど同じ。ずっとリストを見ますと、一船一船全部日本の企業によって輸出された額が記載してございます。それはもうごらんいただけばわかるんですが、その額は最低価格にほとんど同じです。最高価格ではございません。そういったことによって非常に国の利益が低くなっている。後で外国に売られるときには香港からはまた高くなっていく。そういったからくりはもうここで申し上げる必要ないと思いますので、先へ参ります。
 そこで、ぜひ政府にお願いしたいことは、租税条約が結ばれていない、これが一つの最大のネックだと思います。そして、ある種のタックスヘーブン的な行為が行われてしまう。ですから、企業の側から見れば合法的なものであっても、実際にはそこでそういった、脱税と言うと言葉が間違うかもしれませんが、操作が可能なこと、これが多国籍企業の非常に大きな特徴だと思います。
 大変注目しなければならないことは、アメリカとオーストラリアはもうパプアニューギニアと租税条約を結んでいるのですけれども、なおかつそういったことがないようにということで、最近、二週間前のことだそうですが、その租税条約を修正いたしました。アメンドメントがありました。現地の子会社と本社の間で価格移転が行われないように、現地の会社での利益それから本社での利益がどう配分されたか、両社でどのような価格をつけたか、そしてその決算などを申告しなければいけないというふうに変えたわけですね。そういうことによって多国籍企業が価格の操作ができないというふうに変えたそうです。
 これは現物をお願いしてあるのですが、まだオーストラリアから届いていないということで、一両日中に届くということなので、日本政府としてもぜひ参考にしていただいて、こういったことで日本が攻撃される前に予防できるように一刻も早く、熱帯林はどんどんどんどん、毎日二分に一本ずつ日本に輸入されてくる、その早さでパプアニューギニアの熱帯林は切られているわけです。それが商売だと言われてしまえばそれまでなのかもしれませんが、そういった状況にございます。そのために、やはり租税条約を一刻も早く結ぶということが日本としての一つの見識なのではないかというふうに思いますので、そのことをぜひお願いしたい。
 これは大臣、御答弁いただけますでしょうか。
#89
○国務大臣(中山太郎君) いろいろと委員のお話を承っておりまして、この租税条約の問題を含めてどのように政府として対応するか、早急に検討いたしてまいりたいと考えております。
#90
○堂本暁子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それからもう一つですが、JICAの方から、今度は相手の国に役に立つことといいますととかく造林ということを言われるわけですね。ところが、日本は確かに何百年前は森に住んでいても、もうすっかり森から出て、造林、ヒノキやそれから杉の木が多くなった国ですけれども、南の国は住民はその中に住んでいるわけです。ですから、日本のやり方の造林を持っていってもこれはできない。むしろそういったノーハウを持っている人たちに日本から援助をするというような方法をとったらいいのではないか。そういったこともぜひ実行していただきたい。
 日本は壊す方の側ばかりでやっていることが余りにも大き過ぎるんではないかというふうに思います。そこで生活している人たちが今や、さっき写真でごらんになったように、水がない、それから動物もいない、植物もなくなる、そして生活すべてが奪われるわけです。こういった人たちに対してのロイヤリティーがほとんど支払われてない。これは本来そこにその方たちが所有権を持っていても、それは相手国政府の問題もございましょう。しかし、もう生活に困ってきているという事実があります。これは一企業の倫理とばかりは言えないのではないか。やはり日本国として、アジアの中のそして太平洋圏の国として、そういったところまで細かい気配りを国としてぜひともしていただきたいというふうに考えます。
 パプアニューギニアは、東南アジア・南太平洋地区における最後の手つかずの熱帯林のある楽園であるというふうに言われています。この熱帯林保護は世界が今注目している問題です。日本政府としては本気でどのように取り組んでくださるか、ぜひまた大臣の御覚悟のほどを伺わせてくださいませ。
#91
○国務大臣(中山太郎君) パプアニューギニアのいわゆる環境問題といいますか、そういったようなことが結局はパプアニューギニア政府の行政能力に一番大きな基盤があると私は思います。
 そういうことで、我々の国が先進工業国としてこれから発展途上国の国家的な繁栄あるいは国民の生活向上のためにどのような技術指導ができるかというところに私は焦点が当てられるべきだろうというふうに、お話を承りながらそのように判断をいたしておりますが、周りの国とパプアニューギニアの関係もございますから、そういう意味ではこれから外務省としても、その国の関係当局と連絡をして実態をどういうふうに認識して協力するか、そのような方向で協力をさせていただきたいと思っております。
#92
○堂本暁子君 ぜひそうしていただきたいと思います。
 それで、バーネット・レポートは世銀の方でも十分に研究しているようで、大臣と同じような見解でのことだと思いますが、世界銀行が最近出した方針というのは、年に一億ドル無償でパプアニューギニア政府にこそ援助をすべきである。さもないと、財政的に苦しいものですからまた伐採を続けてしまうという悪循環で熱帯林がどんどん切られてしまう。それを切らせないためにはまず財政、一億ドルをパプアニューギニア政府に援助するということを世銀が提案しております。
 こういうことをやはり日本が、行政能力とおっしゃいましたけれども、まさにまだ生まれたての
赤ちゃんのように政治的にも未成熟だという言い方を私もさせていただきましたが、そういったところに非常に力のある多国籍企業が入っていくとこういう事態が起こる。やはりもっと抜本的に、その国が豊かにその国らしく、そしてそこに住んでいる人たちがその人たちの伝統的な生活を続けられるような、まさにサステイナブルデベロプメントという、そういうことを言葉で言うのではなくて、日本国として実行していただきたい。そのためにはやはりバーネット・レポートをぜひ研究していただきたいということが一つです。
 それから、実はきょう参考人としてお出いただけたらと思いまして、アメリカの国会にお出になってその帰りに今傍聴席にバーネットさんいらして、きょうは傍聴してくだすっておられるわけでございます。ぜひお会いいただけたらと。そこでひげを生やしていらっしゃる方がバーネットさんです。その方でございます。アメリカの下院、上院で証言をなさいまして、日本でもと思いましたけれども、ちょっと手続上のことが間に合わなくて、きょう傍聴していただいておりますが、ぜひともバーネットさんにもるるお聞きいただきたい。
 確かにいろいろ法律の違いとかそういうものがございましょう。ですから、そのためには租税条約という中できちんとそのことを処理しなければいけないのではないかというふうに思います。また、日本の側からもそういった企業の実態というのもぜひ御調査いただきたい。それから監督もしていただきたい。バーネット・レポートによりますと、パプアニューギニアのこういった価格移転による日本企業だけに限っての損失は、一九八六年で九百八十五万ドル、八七年は一千八十万ドルになるのではと推定できる。これがパプアニューギニア政府に入らないために財政的な破綻をもたらしているということを書いておられます。
 そして、アメリカからこれはまさにけさ入ってきたところなんですけれども、アメリカの下院では先週、上院では恐らく数時間前に、そしてヨーロッパ議会で恐らく今ごろ同じ問題が議論されております。大変珍しいケースだと思います。アメリカ大陸とヨーロッパとそしてここ日本と、大変若い国をどうやって守っていこうか、そして地球環境の資源である熱帯林をどうやって守っていこうかということが、トライアングルとよく言われますけれども、そのトライアングルのところで本当に前向きに検討されているということです。
 これはゴア議員が上院、下院両方の合同の決議として出されたものですが、日本に関しての部分と決議の部分だけを読ませていただきたいと思います。
  パプアニューギニアで操業する材木会社の大半は、日本に本部を置く会社と密接に関連している。日本は世界の最大木材輸入国であり、多くの木材輸出地域で木材消費被害を引き起こしていることで度々非難されている。日本はマレーシアのサラワクやサバ州で最もひどい被害を及ぼしている。また、日本はパプアニューギニアの輸出する丸太の六〇%以上を輸入し、残りの貿易にもからんでいる。
  調査委員会は日本に拠点を置く企業の関連会社、また日本企業による法律違反を多数発見した。パプアニューギニアの森林開発に関連する日本出資の法人が、道路や橋、その他の施設の建設資金を供給する日本政府のODA資金の使い方について多くの日本人が憂慮している。
  パプアニューギニアの森林資源の運命と熱帯木材の国際貿易の適切な管理への展望は、実態の認識、改善策の早急なる採択にかかっている。
  従って、アメリカ合衆国上院及び下院議会は下記決議を採択する。
  アメリカ合衆国はパプアニューギニア政府に対し、林業の現状調査委員会の調査結果を利害関係者に通告し、勧告の実施のための迅速な行動をとることを要請する。また、アメリカは、多国間または二国間協定を通し、これらの目的達成のために、パプアニューギニア政府内の組織力強化及び研修、土地所有者の教育、及び損害を軽減する抽出的経済機構の資金援助を含める技術的・経済的援助を、環境保護のために提供する。
  また、アメリカ合衆国は日本政府に対し一部の日本民間企業及び政府援助機関がパプアニューギニアとの取引行為における法規の侵害や熱帯林破壊をもたらしている件についての調査を要請する。また、パプアニューギニア政府及び他の材木輸出国政府との間に交わされた関税条約その他の協定の法令を調べ、積極的に違法行為を禁止し、取引情報の偽造の禁止を早急に求める。また、日本の材木使用量を減少し、材木の取引は全て維持し得る森林資源からなるように監督し、制限するよう早急に求める。
  また、アメリカの政策として、国際熱帯木材機構に対し、国際的に取引されている木材についてはすべて、原産地、種、量及び価格において真実が証明されうるシステムを作り上げることを要請し、一九九四年までには、取引される全ての木材が木材輸出国の環境や社会を損なうことのないように管理された資源から確保されるよう、早急に行動計画を作成し、実施するよう要請するものである。
 以上でございます。
 こういうことで、やはり日本が問題になっている。それは日本がエコノミックアニマルと言われるように、企業の論理なりそういったものが合法的であるからいいということでは済まされない部分があるのではないかというふうに私は思います。むしろ、よそから指摘されるよりも前に、欧州復興開発銀行の場合もそうですけれども、事後的な報告ではなく事前の調査を十分にする。企業の実態も破壊につながらないよう十分にお調べいただく。そういった上で、国策として日本はどういうことをするのか、それがアジアに対しての外交の基本ではないかというふうに考えます。相手の国の環境を破壊して日本がどんなに豊かな生活を享受したとしても、決してアジアの中で日本は大国とも思われないでありましょう。
 昨日、大臣は予算委員会の席で、日本は援助をしている、だから日本はアジアの国々からも孤立していないんだということを発言なさったばかりでございます。私はまだこの決議を読んでおりませんでしたけれども、けさこの決議を読みまして、大臣のおっしゃったように、本当に日本としては一生懸命やっていながら、それがこういう形で裏目に出ている、そのことを大変残念に思います。
 これはJICAにしても輸銀にいたしましても私たち国民の税金でございますし、そして財政投融資、貯金、そういったお金でございます。そういったものが国民の望むものと違う方向に使われるということ、これは大変危惧しなければならないというふうに思います。特に、日本は大変企業を優遇し過ぎてきているような面もあるのではないか。日本の場合と外国の場合とのバランスをやはり考える必要があるのではないか。このことを私は強く政府に要求したいと思います。
 その一つの例として、日本は輸入合板材には大変多くの課税をしているということです。その分、例えばパプアニューギニアのような小さくそして余り財政力のない国にとりましては、自分のところで製材、合板をして輸出できればよほど国が富むわけなんですけれども、日本は輸入合板に大変に高い課税をしているために、すべて丸太で来るようなからくりになっております。そのために向こうで、パプアニューギニアで仕事をすることができない、そういうからくりになっている。このこともバーネット・レポートには書いてございますし、私きのうお会いしたときにバーネットさんは、もうぜひ日本の国がいろいろ日本のルールと違うということで押し通すのではなくて相手の立場で考えてほしいということをるるおっしゃいました。
 例えば、材木は短くはかられて、それから種も違ったことを書いて船に載せるんだそうです。それが日本へ着いたときに、さっきごらんになった丸太が一点一点もう一回はかられて、もう一回そ
の質が吟味される。それで高い値段で売られるということなんだそうです。企業の方からですと、大変質が悪いのでその分のさやぐらいは当たり前なのだという論理なんだそうですけれども、そういったことが通用していいものかどうか。
 その辺は両方の、これは厳然と日本の入管にもその資料はありますでしょうし、それからあちらの税関にもその資料はあるはずです。何月何日のどの船のどの丸太というのはこれは明確に出るわけですので、両方をぜひとも突き合わせてお調べいただきたい。ヨーロッパでも今はもう決議しましたというので、EC議会からまだ資料をいただいていませんけれども、ほとんど同文のものが出るということでした。これだけヨーロッパでもアメリカでもこういった決議がなされている。とすれば、そのぐらいのことは日本としても調べるということぐらいはお約束いただけないでしょうか。
 これはどちらの、もしかして林野庁の担当でいらっしゃいましょうか。それとも大蔵省の御担当……。ではもう大臣、そのように担当の方にお伝えくださるということでも結構ですが、ぜひそういった不正に一方では安くつけ一方では高くつけるというようなこと、そういう点は今後日本としても十分に調査するということをお約束いただけないでしょうか。
#93
○国務大臣(中山太郎君) 問題は、パプアニューギニアのいわゆる国内法及び政府の行政指導、独立国でございますから、その主権に関するいろいろな問題がどのように行われているのか。また、国際的に見れば地球環境保全のためにこの森林の保護をどうするか。また一方では、日本国政府の立場から言えば、日本国のODAの融資を受けた企業の経営者のモラル、哲学の問題が一つあるだろうと思います。
 一方、パプアニューギニアに近いインドネシアでは原木の輸出を禁止しております。それはやはり付加価値の高い商品を他国に輸出したいというインドネシア政府の一つの大きな理念に基づいたものと思っております。また、入ってくる合板にしても、いわゆるアメリカ産の合板の関税とインドネシアから来る関税との問題がかつてございました。
 いろんな問題ございますが、いずれにいたしましても、政府といたしましてはパプアニューギニアの政府と早急に一回連絡をとって、委員が御指摘のような問題がどのような現状にあるのか、また今後どうすればより一層パプアニューギニアの人々のためになるかということの研究をさせていただきたいというふうに思います。
#94
○堂本暁子君 今の関税の問題ですが、木材貿易については林野庁の流通課が御担当だそうですが、これはきのう国税庁から伺ったのですが、林野庁の流通課はいらしていらっしゃいますか。
#95
○説明員(小畑勝裕君) 木材の合板の関税のことでございますか。
#96
○堂本暁子君 いえ、合板ではございません。丸太です。(写真を示す)釈迦に説法ですが、丸太には一つ一つこういう番号がついていますね。そして、私が見た資料ですと、例えば一九八九年なら八九年のネグロス号、それでもって何本、価格は幾ら、輸送賃は幾ら、利益は幾ら、それでFOBの価格は幾らということが全部列挙してございます。そういった輸出の価格ですね。あちらで出るときのインボイスに掲げられた価格。それで、日本で輸入したときにこれを採寸するわけです。本当に釈迦に説法だと思いますが、長さ、質、そういったものを全部採寸する。向こうでもそれが記録してあります。日本の税関でもそれを記録することは当然の義務だと思います。それを記録したものを両方合わせてみれば、どれだけ企業がそこでもって短く書いたか長く書いたか、そのことははっきりするんじゃないでしょうか。そのことを一つ伺いたい。
#97
○説明員(小畑勝裕君) どうお答えしたらいいかあれですが、一応輸出するときあるいは輸入されるときに、その寸法なり重量なりというものがまさか虚偽に記載されているということはないというふうに思っておりますが。
#98
○堂本暁子君 もしあったらどうなるんですか。そのことを検証していただくということの誠意はおありになりますでしょうか。それはこれだけ問題になったらばそれだけの誠意を持ってもいいんじゃないかと思うんですが。
#99
○説明員(小畑勝裕君) 企業の行為といたしましてそういうことが行われるということであれば、これは問題なわけであります。
 ただ、今ちょっとお答えをためらっておりましたのは、輸入の際のそういうものは、私どもか、あるいはむしろ通産省じゃないかなと今ちょっと思っておりましたのでためらっておったのですが、いずれにいたしましても、通産省の方にも相談をいたしましてどのように対処するか検討させていただきたいと思います。
#100
○堂本暁子君 お調べいただけますね。
#101
○説明員(小畑勝裕君) 通産省と相談をさせていただきたいと思います。
#102
○堂本暁子君 合板材の課税のことを今課長が言われましたが、その点はいかがでしょうか。
#103
○説明員(小畑勝裕君) これも……ただ、うちの方で課税の交渉なんかは通産とやっておりますので。
 関税の問題でございますけれども、国内の産業とそれからそういう外国の事情と両方考慮して決めていかなければならぬということだろうと思っております。確かに丸太は今関税は無税になっております。製品にはある程度の関税、さほど高関税だとは思っておりませんが、貿易関税がかかっております。これには、おっしゃるように、確かに国内のこういう木材産業というものとの関係というものも考慮した結果でございます。
 そういうことで、今回のウルグアイ・ラウンドの中でも合板の問題をどうするかということは確かに一つの大きな議題になっておりますので、これは相手国の政府とも協議をしたいというふうに思っております。
#104
○堂本暁子君 当然監督官庁でいらっしゃる林野庁の流通課としては、このパプアニューギニアにおける日本企業、先ほど申し上げたように大変たくさんございますね。もう本当にここにこうやってパプアニューギニアの地図に書いてあるだけを見ましても、住友林業ですとか本州製紙、三菱商事、新旭川、三井、日商岩井、晃和木材、外商、もう本当に島の中の至るところに日本の企業が進出しているわけですが、そういう実態は把握していらっしゃるんでしょうか。
#105
○説明員(小畑勝裕君) 承知しております。
#106
○堂本暁子君 今、かいつまんで御説明申し上げましたバーネット・レポートに書いてあるような内容の問題、虚偽の証明書でありますとか、それから正式に法律の裏づけのある伐採許可がない形での伐採を行っているとか、そういった実態はつかんでいらっしゃいますか。
#107
○説明員(小畑勝裕君) バーネット・レポート自身につきましては、先ほど外務省の方でも御存じないということで、私どももそれ自身は承知しておりませんが、前からその一部ですか、あるいはそういう関係でそのような話は聞いております。それについて企業の方にいろいろ事情を聴取したこともございます。
 しかし、今のところそちらの何といいますか、レポート自身の内容がはっきりしておりませんで、こちらはどうしても企業の方からの話ということになりますと、そういうことはないということで、聞いておるのは今のところそんな事情でございますが、それが本当に不正であるかどうか、あるいはいろんな問題がどういうふうになっているかということについては、企業の方から聞いている話と今のお話とは、やっぱりちょっといろいろな立場の問題があるかなというふうには今伺っておったところであります。
#108
○堂本暁子君 その不正か否かというのは、確かに若い、まだ行政的にそれだけ成熟していない政府でありまして、確かにここにありますこれがその同意書である、法的な根拠はなくても同意書である、それでやるんだというのが日本企業の今ま
でやってきたことだそうです。でも、相手が幾ら若い国だからといって、そういうことを横暴にやってしまっていいという論理は私はないと思うんですね。
 今までやれたから、だから七年間もやる。それから、さっき申し上げた税金にしても追徴される。実際そういう形で税金を払っていなかったわけですね。それを相手国で追徴される。こういった事実なんかもぜひお調べいただきたいと思うんです。
#109
○説明員(小畑勝裕君) 外務大臣もおっしゃいましたが、外務省の方でも相手国、パプアニューギニアの政府の方といろいろ御相談をするということでございますので、私どもの方もこれに参加をさせていただいていろいろ調べてみたいというふうに思っております。
#110
○堂本暁子君 JICAさんに申し上げたいんですが、ここにこれだけの報告書がございます。しかし、それはほとんどもう先ほどの橋のようなもの、道路のようなものに関しての報告です。森というのは人の住んでいるところなんですが、そのことについての生活、生きている人に関しての報告は書いてございません。やはり日本の企業に対しての援助というのはそういった非常にインフラ的なものである。どうやったら効率よく材木が切り出せるか、どういう造林をするかということの方が優先しているようにこれを見る限り私は思います。
 そういうことではなくて、もっとそこに住んでいる人のことを大事にするというのが本当の援助の理念ではないか。そこに住んでいる人をないがしろにして、むしろ日本の企業優先で考えたらば、どんなにいい道ができてもそれは企業の方の論理だというふうに思います。企業の方は、立派な道をつくりました、威張れますというふうにおっしゃっているそうですが、そのことが、日本の方からは立派な道をつくった、日本の金でつくったんだ、でも相手にとっては道ができたがゆえに自分の生活の場を失う、先祖伝来ずっと生きてきたその小屋も木もすべてを失うわけなんです。そのことの価値観の差というものがあるわけでして、そこのところはきちんとどういうことが本当に援助なのか、これはもう一回考え直す必要があるのではないかと思います。
 これはJICAよりもむしろ大臣に、これだけ援助大国になった日本の援助がこれから相手国の一般の市民や森の中に住む人たちの生活を本当に大事にする視点、これがサステイナブルデベロプメント、持続的な開発だけではなくて、同時に非常に大事な人権的な視点だと思いますし、これができないと今度は大臣が期待なさったのと逆さまに、援助している日本が逆にアジアで孤立するようなことにもなりかねない、そう思いますので、そういった人権的な視点について一言伺いたいと思います。
#111
○国務大臣(中山太郎君) どこの国の人の人権も大切にするというのは当然のことでございますが、私はやはりその国の、独立主権を持っておる国家の政府が一つの理念に基づいて自分の国を開発するということが確立されなければ、こっちが幾らそのようなことを申してもなかなかそうはいかない、これが私は現実の問題だろうと思います。
 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、外務省としてはパプアニューギニアの政府と一度実態を調べて、行政的にどのようなことで日本が協力ができるのか、そういうことも検討してみたいと申し上げているわけでございます。
#112
○堂本暁子君 ありがとうございました。私もまさにそう思いますが、同時に、先ほどから何度も繰り返しているように、まだ行政能力も大変少ない、少ないと申しますか、まだ若い国の場合には、受ける側だけではなくて援助を出す側、それから企業が進出する側の国の責任も今問われている、そういう時代だと思いますので、相手国政府と協力しながら、外務省として大いに検討していただきたいと思います。
 最後になりましたけれども、バーネットさんはパプアニューギニアの憲法の起草もなさったということで、オーストラリアの方ですけれども、この国を大変愛されて、しかもバーネット・レポートを書いていらっしゃる間には凶漢に襲われて、もう本当に九死に一生の大変な思いもなさって、それでも奇跡的に一命をとりとめられた後さらに書き続けてできた六千ページのものでございます。でも、この憲法を読みますと、どういう思いでパプアニューギニアを大変大事にしておられるかということが私はわかるような気がいたします。
 その憲法の四条ですが、「天然資源と環境」、「われらは、われらの第四の目標を、パプア・ニューギニアの天然資源と環境が、われらすべての共同利益のために保持され、利用されること、並びに未来の世代のために補充されることである、と宣言する。」。そのもう少し後になりますが、「現代の世代のみならず、未来の世代のため、パプア・ニューギニアを守り、国家の富、資源、及び環境を保護すること。」を決めています。
 終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#113
○委員長(岡野裕君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十一分開会
#114
○委員長(岡野裕君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#115
○肥田美代子君 法律案の審議に先立って、日ソ問題について基本的なことを一点だけ伺わせていただきます。
 ソ連に対して本格的に経済支援をする構想が報じられまして、その額が二百六十億ドルとも報じられたわけですけれども、もう一方では、きょうの新聞あたりでは、小沢幹事長とゴルバチョフ大統領の会談がございまして、小沢幹事長は、私がこれまで仄聞してきたものより踏み込んだ形の話が大統領からあった、そのようにおっしゃっております。
 私はそのいろいろな報道について立ち入らせていただく気はないんですけれども、大臣から今回基本的なことをお伺いしたいと申しますのは、従来外務省の見解は、北方四島は我が国固有の領土であって、一括返還、そして平和条約締結、その後に大型の経済協力をするということになって、いわゆる出口論と申しますか、そのことが政経不可分だというふうに私たちは認識してきたわけです。今回の報道によりますと、四島の潜在的主権を認めさえすれば経済協力は動き出すというふうに私は報道で感じたわけですけれども、このことになりますとさきの出口論が今度は入り口論ということになりまして、ソ連が四島の潜在的主権を認め、両国関係を拡大し、相互信頼を強化して、それから返還問題を解決していくという方法になってきますと、少し話が変わってくるように思うんです。政経不可分の原則が政経可分になったのかなと私なんかは感じたわけですけれども、外務大臣の御所見を伺わせてくださいませんでしょうか。
#116
○国務大臣(中山太郎君) 日本政府としての日ソの領土返還交渉に臨む姿勢といたしましては、かねて政府が申し上げておりますように、四島の一括返還をして平和条約を締結する、こういう基本方針に何らの変更はございません。
 ゴルバチョフ大統領が訪日をされる機会が長年両国間に横たわっております領土問題、これの解決の突破口になるようにソ連政府の英断を求めておりますし、日本政府もそれなりの努力をいたしたいと考えております。
#117
○肥田美代子君 そうしますと、小沢幹事長初め自民党は、従来どおりの出口論では前に進めないから、通産とか大蔵、財界を中心にして入り口論で外交に風穴を開けるというような考え方で今度外交に進んでいらっしゃるような気がするんです
けれども、出口論にまだ固執というか、大臣はやっぱり出口論ですとおっしゃいますでしょうか。
#118
○国務大臣(中山太郎君) どのような話がなされているか私も存じませんけれども、現在新聞紙上をにぎわしているようないろいろな話は、外務省としては一切そのようなことは存じておりません。
#119
○肥田美代子君 そうしますと、私たちが新聞で見ます今の日本の外交の状況というのは外務省とは関係ないということになりますと、そういうふうな言い方をしたらいいかどうかわかりませんけれども、二元外交ということに今なっているのでしょうか。
#120
○国務大臣(中山太郎君) 二元外交になるのではないかというお尋ねでございますか、もう一回念を押させていただきますと。
#121
○肥田美代子君 そういうふうに感ずるわけでして、もしこれが二元外交に近いニュアンスであるとするならばどうなのかなというお尋ねなんですけれども。
#122
○政府委員(兵藤長雄君) 今回の小沢幹事長訪ソにつきましては、北方領土問題の基本的な立場をめぐりまして政府・与党の間に一切の認識、立場の変化はないと私は認識をいたしております。
 ただ、今大臣が御答弁の中で外務省として一切関知をしていないと申された部分は、それと別の、いわゆる今委員がお話しになりました経済協力について何百億ドルとか何兆円とかというような話がいろいろ目下新聞紙上等で出ておりますけれども、そういうことは外務省は一切関知したこともないし関与したこともないということを大臣が御答弁になったものでございます。
#123
○肥田美代子君 では、外務省の見解は、今も政経不可分ということをきっちりと固められていらっしゃるというふうに認識してよろしいのですか。
#124
○国務大臣(中山太郎君) お説のとおりであります。
#125
○肥田美代子君 次に、在外公館の法律に関して少し質問させていただきます。
 私が外務委員会に入らせていただきましたのは、この委員会がとてもロマンがあるなと思って本当に無理やり希望させていただいたわけですけれども、このごろちょっといろいろな新聞の中で外務省はだめだだめだという意見が聞こえるわけです。私は委員会に属しておりますからとても残念なんです。それで、個人がだめというのじゃなくて外務省の組織自体がだめとおっしゃるのならば、それはやっぱり大臣として謙虚にその組織がどうであるかということの御反省はなされると思うんですけれども、御見解を伺わせてください。
#126
○国務大臣(中山太郎君) 外務省といたしましては、かねてこの国際化が進む中で、外交機能の強化、定員の拡充、在外公館の設置をさらに広げるといったようなことで予算の要求も毎年続けておりますけれども、総定員法の枠内とかいろいろな予算上の制限があって理想どおりの形になっていないことは、私は率直に申し上げなければならないと思います。
 今回、湾岸におけるイラクのクウェート侵略というようなことが起こりまして、外務省は昨年の八月二日以降、現在もそうでございますけれども、停戦が確認されるまでは本当に二十四時間体制で担当部局は働いてきた、それはやっぱり定員の不足が極めて大きな原因の一つになっていると思います。
 そういうことで、今回私が外務大臣として役所に言っておりますことは、このかつてない経験をどのようにこれからの日本外交に生かしていくか、そういうためには、四月の下旬までに問題点を全部洗いざらい整理をして、そして方針を立てて概算要求に臨みたい、このような方針を大臣としては既に決めております。そして、今いろいろと御意見もあるようでございますけれども、これからますます多極化してくる国際社会に対応して、専守防衛で我々が経済国家として成り立つためには外交機能の格段の拡充が非常に重要であるということを今回つくづく体験をいたしましたので、そのような方向で努力をいたしたい、このように考えております。
#127
○肥田美代子君 人数が不足であるというのは、確かに私もそうだと思います。例えば、商社を例にとると悪いんですけれども、三菱商事が九千二百十五名、三井物産が九千九十四名、住友商事が六千二百八十四名ですね。外務省の人数はそれよりも少ない。確かに人数的には、一年に例えば八十人か九十人ふえましても二十一世紀までにそんなにふえないですね。
 それで、今人数をふやすということは、本当に大臣もおっしゃいましたとおり、画期的な方法でふやさなければいけないと思うんですけれども、例えば二十一世紀には何人ぐらいにふやそうという御計画でいらっしゃいますか。
#128
○政府委員(佐藤嘉恭君) ただいま先生が御指摘になりましたとおり、外務省の定員につきまして私どもとしても毎年の予算の重点事項ということで大臣折衝まで上げてこの強化に今努力をしております。他方、政府全体としてどういう政府機構をつくり上げるかという一つの構図というものもございます。その中で私ども一つの行政官庁として定員の要求をするわけでございますから、なかなか私どもの予想図どおりに展開しないということについていろいろな考え方があろうかと思います。
 現在の定員は、御審議いただいている予算案の中で御承認がいただけますと、四千四百十六名という三年度末の定員になるわけでございます。ここまでのところそれなりの定員増があったということも、私どもそれぞれの場の折衝を通じまして感じてはおります。
 そこで、将来図をどう描くかという御質問でございますが、私どもは、多ければ多いほどいいという漠然としたことで定員要求をするというのは行政官庁として余りにも無責任でございますから、ある程度これからの国際社会の中における日本の役割というものを想定しながら、在外公館のあり方あるいは情報収集機能の強化等々新しく直面する諸問題に対応するのにどのぐらいの積み上げができるかという積み上げの作業は一応考えていかなければならないと思います。
 我々の一つの理想像として、諸外国との比較において五千人程度のものを早く実現したいという希望を持っておりますけれども、これを年々の予算折衝の中で具体的にどう実現していくかということについては、そのときどきの国際情勢も踏まえながら考えてまいりたいというふうに思っております。
#129
○肥田美代子君 確かに人数をふやすだけがこれの解決になりませんでして、新人を何百人ふやしたところで機能はすぐに上がるものじゃないと思うんですね。
 これはすごく粗っぽい言い方なんですけれども、例えば他官庁のすぐれた人材とか民間の中堅どころとかそういう方々をスカウトしてきて外務省の中に入れて、いわゆる新しい血を入れるというか、少し外務省の中の空気に風を入れるというふうな方法をお考えじゃございませんか。
#130
○政府委員(佐藤嘉恭君) 御指摘のとおり、組織の活性化、組織の活力をいかに高めていくかということは、我々組織の中で働く者にとっては大変重要な要素であろうかと思います。我々外交に携わる者として、不断の訓練というものが昨今話題になっております危機管理という面におきましても非常に重要な要素であろうかというふうに思います。
 したがいまして、定員の数をふやすということと同時に、省員の質を高めるために、適宜研修制度を持つとかあるいはいろいろな形での外交についての研さんを高めるということが日ごろから重要だと思いますし、そういった質を高めるためにもある程度定員に余裕が生ずるということが必要かと思います。私ども今百七十四の在外公館を有しております。これらの在外公館に配置する職員は当然語学につきましても研さんを積んでいただかないと困る。そのためにはある程度定員の余裕
がありませんとなかなか語学のレベルを高めるということも難しかろう、こういうふうに思います。
 それから、今先生御指摘になりました外務省の中に刺激を与えてはどうかという御指摘でございますが、私どもその点は十分心得て対応しているところでございます。各省庁との間の人事交流というものも積極的に進めておりますが、これは本省同士でやっているものと、それから在外公館におきましては各省から専門家、アタッシェを派遣いただきまして、外務省に足りない専門的知識を注入して外交機能を高めるということも心がけているわけであります。
 また、民間からの採用をどうかという御意見でございます。これは本省におきましても、総務庁の方針に従いまして、民間からの御出向をいただきながら外務省の中での仕事に役立っていただくということも心がけておりますし、また在外公館へも一部の民間の企業から専門的知識を借用する意味で人の派遣をいただいている、こういうことも実行をしているわけであります。
 また同時に、私どもとしては、できるだけ多くの優秀な人材が外交の面で活躍いただくことは非常に重要だと思っておりますので、適宜適材の人材をリクルートするという努力を重ねてまいりたい、かように考えているわけであります。
#131
○肥田美代子君 それでは、次は機能面でお伺いするんですけれども、例えば条約局の中で、十年前と今とで部屋のOA機器とかそういうハイテク機器の様子が変わりましたか。それとも十年前と同じですか。どのぐらい変わったかちょっと教えてください。
#132
○政府委員(柳井俊二君) 私も、私どもが使っております機器をすべて把握しているわけではございませんけれども、主要なものについて申し上げますと、もうかなり前からコンピューターを使っておりまして、条約の先例でございますとかあるいは訳語の例でございますとか、いろいろな国際法上の問題、判例も含みますが、そういうものを入れているわけでございます。コンピューターにつきましては逐次新しいものに、また容量の大きい能力の大きいものにかえております。
 それから、私どもの場合、条約のテキストの印刷ということが非常に大きな事務になっておりますので、この方の機器能力の近代化というものは年々図っております。
 御承知のとおり、条約の締結件数が非常に年々ふえておりますが、他方、人間の数、職員の数の方はなかなかふえないということで、能率化を図ることによりまして対処しているわけでございます。
#133
○肥田美代子君 在外公館は全部ファクスを持っていますか。
#134
○政府委員(佐藤嘉恭君) 在外公館と本省との間での通信体制という趣旨の御質問だろうと思います。
 私ども全般的に在外公館との間で有しております通信網でございますが、いわゆるデータ通信、ファクシミリあるいは電話、そういったものを同時に使える、私ども高度データ通信システムと言っておりますが、そういうシステムを有している公館、それから電信の専用回線の設置によって連絡網を持っている公館、あるいはテレックス、無線通信機器、こういったことで本省と在外公館との間の通信体制を有しているわけであります。
 それで、御質問のファクスの設置状況でございますが、平成三年度、今御審議いただいております予算案が成立いたしますと、いわゆるこの高度通信データシステムによって持たれます回線が三十一回線ということになります。在外公館の数にいたしますと七十一公館、計八十四台、こういう状況になろうかと思っております。
#135
○肥田美代子君 そうしますと、全部には行き渡ってないということですね。
#136
○政府委員(佐藤嘉恭君) 予算の制約の問題もございましてまだ全公館に及んでいるというわけではございませんけれども、漸次ふえていくということを申し上げたいと思います。
#137
○肥田美代子君 私のような新人議員の部屋にもファクスは大体一台ございますし、そういう意味ではぜひそういうことは基本的に早目にお願いしたいと思います。
 それから、この間外務大臣が外交衛星のことをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、外交衛星が可能になるまで、例えば電話回線がないところに衛星電話なんかを取りつけるというようなお考えはお持ちじゃありませんか。
#138
○政府委員(佐藤嘉恭君) いわゆる通信のハイテク化と申しますか技術が高度化することに伴いまして、私どもの在外公館との連絡網というものも時代の技術に即応したものにしていくのが当然のことだろうというふうに思います。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 他方、御案内のような通信衛星を使う通信網というのはそれなりにまた経費もかさむという面がございますから、なかなか一挙にというわけにはいきませんけれども、我々としても将来の展望図としてそういう方向で情報収集を考えるということを検討してまいりたいと思っております。
#139
○肥田美代子君 その件に関して最後に大臣にお尋ねしますけれども、大臣が夜休んでいられて外から緊急の連絡が入った場合に、大臣と総理と次官、そういう方々が三者か四者でお互い同時に交信できるというような、話し合いできるというような方法をお持ちですか。夜間はどういうふうな連絡をなさっていますでしょうか。
#140
○国務大臣(中山太郎君) 緊急の電話がございました場合には、それを受けまして官邸なりまた秘書官を通じて次官等と直ちに連絡をするというのが日常の体制でございます。
#141
○肥田美代子君 確かに、火急の連絡が入る可能性は今回の場合を考えましてもありますので、ぜひ何というか、ホットラインというよりも、本当にもっともっとホットなやつを考えていただきたいなと思うんですけれども、御意見をお聞かせください。
#142
○国務大臣(中山太郎君) 相当ホットなことになっております。
#143
○肥田美代子君 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 子供の権利条約なんですけれども、現在批准している国は世界じゅうで何カ国ございますか。
#144
○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、この条約自体は発効いたしましたのが昨年の九月ですけれども、今日まで百三十カ国の国が署名いたしておりまして、そのうち七十四カ国が締約国になっておるという状況でございます。
 ちなみに、日本も昨年の九月に署名いたしておりますけれども、まだ国会には御提出申し上げていないという段階にあります。
#145
○肥田美代子君 じゃ、日本はいつごろ国会に提出される御予定でしょうか。
#146
○政府委員(丹波實君) 私たちといたしましては、できるならば今国会中にもと思って鋭意作業をやっておりますけれども、今国会の会期の問題もございましょうし、確約はちょっと今国会という意味では申し上げられない。そういう努力はいたしますけれども、しかしながらもし今国会にできなくても、先ほど先生、外務委員会にロマンを求めて入られたと言われましたけれども、せめて先生が外務委員としておられる間には御提出申し上げたい、こういうふうに考えます。
   〔理事岡部三郎君退席、理事山岡賢次君着席〕
#147
○肥田美代子君 それでは、日本語テキストはもうできておりますか、それともまだですか。
#148
○政府委員(丹波實君) この児童の権利条約、仮称でございますけれども、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語でそれが正文としてできておるわけですが、政府として国会に御提出申し上げる際には日本語のテキストを作成する必要があります。そのために行われる作業といいますのは、まず外務省で関係各省とも相談しながら一定の日本語のテキストをつくり、それを法制局に持ち込みまして審議していただくという手はずでございます。
 現在のところ、その法制局に持ち込む前の段階の日本語が大体概要ができておるという段階でございます。これから法制局に審議していただくという状況でございます。
#149
○肥田美代子君 そういたしますと、私はそのタイトルに大変固執するわけですけれども、チャイルドという言葉は児童と訳されるんでしょうか、子供と訳されるんでしょうか。
#150
○政府委員(丹波實君) この条約の英語の名前は「コンベンション オン ザ ライツ オブ ザ チャイルド」となっております。このチャイルドという言葉を日本語としてどう処理するかという点について、かねがね先生が強い御意見を持っておられることは承知しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、私たちの作業のやり方といたしましては、条約の全体の日本語テキストをつくり、その全体の中身というものを考えながら、そういう全体のテキストをつくる何と申しますか、過程の上に立って名称を最終的に決定するということでございまして、そういう意味で最終的な条約の名称というものはまだ決定するに至っていないということでございます。
#151
○肥田美代子君 そうしますと、子供になるか児童になるかというお話し合いを今この場でさせていただいても、決定までには十分私の意見も聞き入れていただけるということでしょうか。
#152
○政府委員(丹波實君) これは外務委員会という場でございますから、先生とここでネゴをするわけにはまいりませんけれども、先生の御意見はとっくりと拝聴させていただきたいというふうに思います。
#153
○肥田美代子君 そういたしますと、まず議事録を見ますと全部児童の権利条約になっているんですね。質問者は子供の権利条約としておりますのに、お答えは全部児童の権利条約なんです。それは私大変気に入らないわけです。人が子供と聞いているのに、翻訳して児童と答える感性というのは何なんだろうなと思うんですけれども、はっきり質問させていただきますと、条約局長は子供がいいと思われますか、児童がいいと思われますか。
#154
○政府委員(柳井俊二君) 大変難しい御質問でございますが、条約の翻訳と申しますものは、御案内のとおり、例えば事実関係に関する資料でございますとかあるいは軽い読み物とは違いまして、国民の権利義務にもかかわることでございますし、また国内法の体系との整合性あるいはほかの条約との整合性、これは縦と横とあるわけでございますが、横と申しますのはほかの条約、縦と申しますのはいわば同じ種類の条約の先例というような関係がございますので、その辺を最終的には法制局の段階で慎重に検討いたしまして、その上で訳語を決めるという手続をとっておるわけでございます。
 子供とか児童とか、あるいは子という言葉もあると記憶しておりますが、そのような法律上の先例あるいは条約上の先例というものも十分に勘案いたしまして、かつ各条の内容を精査して、その上でタイトルを含めて決めるということでございます。したがいまして、私の趣味でどうこうというわけにいかないものでございますので、しばらく御猶予いただきたいと思います。
#155
○肥田美代子君 今国内法の問題をおっしゃいましたけれども、例えば私が調べました限りでは、児童という言葉は学校教育法では小学生なんですね。それで、児童福祉法では十八歳末満、それから道路交通法では六歳から十三歳。児童の年齢が全部違うわけですね。それから、確かに条約の中では大体児童と言っておりますけれども、子と言っている条約もございますね。法律の中でも全然先例がないわけではなくて、最高裁の判決にも子供というのが出てまいります。
 そういうことを申し上げまして、例えば児童となさった場合に、学校教育法の中では中学生と高校生が生徒なんですけれども、その生徒を児童に改正されるお気持ちはありますか。国連局長、お願いします。
#156
○政府委員(丹波實君) 確かに、日本の国内法におきまして子供という言葉が使われている例は先生おっしゃるとおりで、例えば割賦販売法施行令あるいは家庭用品品質表示法施行令なんかを見ますと、子供用車両とかあるいは子供用オーバーオールといった表現がございますけれども、これらはやはり名詞の一部として使われている場合ではないかというふうに考えられるわけです。基本的には、先例的に申し上げて従来のいわゆる社会権規約、これの第十条はチルドレンという言葉が出てきますけれども、日本語は全部児童というふうになっておりますし、例えばジュネーブ条約でもやはりそういう用語、チルドレンが児童ということになっております。
 最後の学校教育法との関係でどうするかという先生の御質問につきましては研究させていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、ただいま条約局長も申し上げたとおり、いろいろなこと及び先生の御意見も十分頭に入れながら最終的にどういう言葉にするか決めていきたいというふうに考えます。
#157
○肥田美代子君 じゃ、もう少しだけ子供についてこだわっている部分について話させてください。
 私は、この条約ができました趣旨というのは新しい子供観に基づくものだと思うんです。今まで子供というのは保護の対象であったけれども、この条約でもって子供が一つの人格の主体者であるというふうに認めよう、大人たちが子供たちを認めようということでこの条約ができたと思うんです。そういたしますと、私は従来の古い児童という言葉でこの条約をくくるのは条約に対して大変失礼じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#158
○政府委員(柳井俊二君) 御承知のとおり、この条約は非常に広範な権利義務関係を定めております。現在、政府部内におきましても大変多数の省庁が関係しておりますので、それぞれの省庁の持っております法律、あるいは私ども外務省では、先ほどちょっと国連局長から紹介ございましたように、いろいろな条約の先例というものもございますので、その点を勘案しつつ、また先生のいろいろな御指摘も念頭に置きまして、今後関係省庁との詰めを急ぎまして、最終的には法制局でこの訳文を決定するという段取りになるわけでございます。
 条約の理念ということにつきましても、そのような検討の過程で当然考えるわけでございます。
#159
○肥田美代子君 確かに条約の先例でありますとか法律とかというものがありますけれども、それを抜け出したところに今回のこの子供の権利条約の存在価値があるわけでして、今までのそういう考え方を全部払拭していただかないと、私はやっぱり何となくそちらの方で児童に決められてしまいそうなまだ悪い予感がするんです。
 これは子供と児童という確かにつかみどころのない言葉の論争にはなるんですけれども、ただ言葉の論争じゃなくて、これは今マスコミが子供の権利条約について取り上げて、そして二十一世紀に向かって本当に子供にとって一番いい世紀にしようというふうに考えているときに、私は政府の方でそのことに最大限協力してほしいと思うわけです。ですから、児童にこだわられる理由、法令の先例の部分でありますとか、それからほかにどうしても児童だという理由がございましたら今お話しいただきたいと思うのですけれども。
#160
○政府委員(柳井俊二君) 若干繰り返しになって恐縮でございますけれども、条約の訳文を作成する場合に考慮すべきことがいろいろあるわけでございまして、先ほどそれは申し上げたとおりでございます。ただ、私ども条約を締結いたします場合に必ず先例を墨守するというものではございませんで、条約の定める権利義務関係、あるいは先ほども御指摘になりましたけれども、新しい理念というようなことも念頭に置いて訳文を決定するわけでございます。
 したがいまして、現在私として、児童か子供かあるいは子か、あるいは第四の訳語があるかどうか知りませんけれども、そのようなものに決めた
わけではございませんので、いずれか特定の訳文がいいということを現在申し上げる段階にはないわけでございます。これまでいろいろ御指摘になったことも念頭に置いて適切な訳文を見出したいというふうに考えております。
#161
○肥田美代子君 外務大臣にお伺いしますが、外務大臣が多分この条約を後世に残してくださる大臣になると私は思うのですけれども、そのときに、二十一世紀に育っている子供たちが子供の権利条約という名前の条約をバトンタッチされた方がいいのか、児童の権利条約という条約を受け取った方がいいのか、全く個人的な感覚でハートの部分でちょっと話していただけませんか。
 それは私、確かに今条約局長にもお伺いしましたし、もろもろの状況もあるのはわかりますしあれですけれども、もし外務大臣が御自分のお子様のことをうちの児童がとおっしゃるんでしたら私は認めるのですけれども、うちの児童が今学校に行っておりましてとか、児童がどこそこでどうしていますというふうに日常用語でそれをおっしゃっているなら私はわかるのですけれども、恐らくそうじゃないと思うんですね。条約というのは、ひょっとすると法律もそうですけれども、別に法律用語でなくても人々が使いやすい、そしてわかりやすい言葉で名称がつけられるのが一番いいのじゃないかなという気がするのですけれども、外務大臣、どうお考えでしょうか。
#162
○国務大臣(中山太郎君) 一番社会になじみやすい、しかも日本の国語の中で間違っていない言葉を使うことが一番正しいのではないか、私はそのように思っております。英語では国際的に共通でございますから、それぞれ自分の国の言葉に直したときに、この言葉の持つ意味、それから社会との関係、そういうものを考えて私は最も好ましいものを決めればいい、このように思っております。
#163
○肥田美代子君 今外務大臣から大変優しい御意見をいただいたような気がしておりますので、これは随分可能性があるななんて気がしておりますが、確かに去年、大臣もそれから海部総理も九月三十日の子供サミットに行かれまして、私も厚かましく傍聴させていただいたのですけれども、そのサミットがもし児童サミットだったらどうだったろうと思うんです。やっぱりあれが子供サミットという訳文で報道されましたことが私は大変よかったと思うんです。
 それで、あの条約の中の四十二条ですけれども、あの条約は、大人もそうですけれども、子供に伝えようというひとつのあれがございますね。それは子供たちに伝えることがこの条約の大変大きな意味でもあるわけです。
   〔理事山岡賢次君退席、委員長着席〕
ですから、今度は子供の側から申し上げたいんですけれども、子供が自分たちのものを児童の権利条約と呼んだらいいのか、子供の権利条約と呼んでくれた方がいいのかというのを子供たちの意見を聞くようなお考えはありませんか。
#164
○国務大臣(中山太郎君) 率直に申し上げて、そういうことがどちらが好ましいかということを判断できる能力を持った知的な水準というのは子供のうちの何歳からか、何歳以上の者に聞けばいいかということは、私は小児科だし専門家として、一体どの水準の年齢の子供たちを集めて聞けば正しい結論が出るかということは非常に重大なものだと思います。やはりこれは大人が決めていく問題だと思っております。
#165
○肥田美代子君 今大臣はそうおっしゃいましたが、ちょっとお言葉を返すようですけれども、私は今、大人の感性より子供の感性の方がいいと思うんです。
 それで、少なくとも十四歳になりますとある程度の判断ができますから、例えば十四歳から十八歳の子供、その子たちは自分たちのことを児童と言ってもらいたがっているか、子供と言ってくれた方が自分たちらしいか、そういうことを考えますと、私は十四歳から十八歳の子供たちになら意見は聞けると思うのですけれども、どうでしょうか。やっぱり医学的に無理でしょうか。
#166
○国務大臣(中山太郎君) 今非常に禅問答のようなやりとりになってしまいまして大変答弁しにくいのですが、一番の問題は、行政機関でこのような名称にどれを使うかということは、今日まで、現在存在している他の法律との関連で私は一つの問題がそこに存在していると思います。つまり、その法律との関係、過去につくられた法律等の中で、今まで条約は全部児童という呼称が多いのだそうです。しかし、せっかく委員の御指摘ですから私も一応積極的に研究してみまして、別の機会に御報告申し上げたいと思います。
#167
○肥田美代子君 大変ありがたいお言葉で、うれしく思います。
 それで、条約の批准のいわゆる日本語のテキストが上がってきたときには、恐らくもう変更されないと思うんですね。例えば児童と上がってきましたら、私が幾ら子供だって泣きわめいてもそれは無理だと思いますので、その前にぜひぜひ御検討いただきたいと思います。
#168
○国務大臣(中山太郎君) 今委員から御指摘を受けながら、私じっと考えておったのですが、私は実際に一つ体験をしたことがございます。
 私、鈴木内閣のときに総務長官をしておりまして、そのときは、それまで行政機関は全部老人という言葉を法律上は使っておりました、老人対策室とか老人対策とか。それで私は、やはり社会全体が変わるということで、高齢者、高齢という言葉を使うように実は切りかえた当時の大臣であります。そういうことから考えますと、言葉の使い方というのは、過去の行政機関における法律上の使われた言葉との関係というのは非常に問題が多いのです。
 そのときに老人と高齢者を変えるだけで本当に大騒ぎが起こりました。老人対策というのはほとんど厚生省の所管でございまして、総理府の老人対策室には出向者として厚生省から人が来ておりました。私が新しい社会には高齢化社会というものが出てくるから高齢者という呼称を使うべきだと言いましたら、事務局は全部反対をいたしました。それは出向してきているもとの役所の厚生省が全部老人という言葉を使っていたからです。しかし、その名前は今日高齢化社会ということで高齢者というふうに変わってきております。
 そういうことで、一つの法律上の言葉を使うということは非常に難しいものでありますし、その点では御意見を尊重しながら、私の過去の経験に基づいて研究をさせていただきたいと思います。
#169
○肥田美代子君 外務大臣の勇気ある決断を大変期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#170
○松前達郎君 大分難しいやりとりがあったようですが、多少時間が残っておりますので、私の方からその時間の範囲内で幾つかのことで質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正、これは通告はしてありませんけれども、案件となっておりますから特に通告しなかったわけですが、この改正についての説明の書類の中で、地球を取り巻くオゾン層は、太陽光線のうち生物に有害な影響を与える紫外線の大部分を吸収しているが、このオゾンは塩素等により破壊される。他方、冷蔵庫等の冷媒あるいは電子部品の洗浄剤、スプレーの噴射剤、これにフロンが使われている。このフロンあるいはハロンですね、この物質が大気中に放出されると成層圏に達して塩素等を放出するから、紫外線を吸収するオゾン層を破壊してしまうんだと、こういうふうに書いてあるんですね。
 これに関して、最近どうもこれだけではない、フロンとかハロンがすべてではない、こういうふうな議論もあるんですね。ですから、やはりこういう議定書の場合でも、その根拠となっているオゾン層の減少、オゾンホールなんて言っていますが、こういうものが一体どういう状況で、どういう現象状況を示しているのか、こういうことをやはり調査しなければならぬ、こう思うのですけれども、これの議定書に関しての基礎的なデータ、これは提出されているのでしょうか。
#171
○説明員(河村武和君) お答え申し上げます。
 オゾン層の破壊についてはいろいろな研究が過去からも行われたわけでございますけれども、今回の改正議定書との関係で一番関連を有すると思われますのは、八九年の十一月にUNEPにおいて取りまとめられましたモントリオール議定書のアセスメントパネルの統合報告というものであろうかと存じます。
 非常に簡単に結論だけを御説明いたしますと、特に南極においては七〇年代後期よりほぼ毎年春季、いわゆる南極の春季でございます九月から十一月にオゾンホールと呼ばれる大規模なオゾン層の破壊現象が発生しており、最近は年々オゾンホールの規模は拡大しつつある。また、北極においてはオゾンホールは観測されていないが、一九六九年から八八年にかけては北半球において冬季にオゾン層が三%から五%減少したということが観測されているということでございます。
 さらに、こういう状況を踏まえまして、たとえすべての国によって現行モントリオール議定書の規制内容が実施されたとしても、現在の大気中の塩素化合物濃度は二十一世紀に少なくとも三倍増加すると考えられており、例えば二〇五〇年までに大気中の塩素化合物濃度が九ppbvに増加する場合には、オゾンホールの影響を考慮しない場合でも、オゾン層は低緯度地域においてはゼロから三・五%、また高緯度地域においては三・五から一一%減少すると推定されている。
 これが基本的にはモントリオール議定書を改正するに至りました科学者の知見を取りまとめたものと、このように申してよいかと思います。
#172
○松前達郎君 そこで、今数字が出てまいりましたね。年々減少していくという数字でしたけれども、これの計測といいますか、確認をするための手段としていろいろな手段があると思うんですが、きょう私はここで人工衛星の問題を少し取り上げてみたいと思うんです。
 オゾン層の減少については、人工衛星でもって一九七九年から八七年まで毎年観測されたパターンが報告されているわけで、これによりますと確かに年々オゾン層の全量分布が減少してきている。特に南極にはオゾンホールと言われるようなものすら出現するようになったと、こういうことになるんですね。ですから、地球を取り巻く環境の監視といいますか、これに関してはやはり人工衛星の情報を使うということが基本になってくるんじゃなかろうか。そういった監視をしませんと対策ももちろん立てにくくなるし、その監視の結果によっては対策もいろいろと考えられてくる。いろいろな関係が出てくるわけです。そういう意味からいきまして、人工衛星によるモニタリングが地球環境の観測にとって極めて有用である、こういうふうに私は思っておるわけであります。
 近年になりまして、温室効果ですとかあるいは酸性雨ですとかあるいは今のフロンガスによるオゾン層の破壊の問題、先ほどからいろいろ問題になっておりました例えば熱帯雨林の枯渇、減少の問題、こういったような問題が人工衛星で比較的容易に情報が入ってくるわけです。砂漠化の問題はもちろんです。こういった地球環境、いわゆる自然環境の破壊をもたらす問題について、やはり決め手になるのは人工衛星によるモニタリングじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけなんです。
 これについては情報の公開というものが今まで行われてきたわけなんですが、実は湾岸戦争が起こってから今まで公開していたいろいろな各種の情報、例えばフランスのSPOTですとか、ランドサットですとか、こういう衛星の情報がどうも公開されなくなってしまってきている。非常にこれは残念なことなんです。これらについてもやはり地球全体の問題ですから、もちろん戦争の戦術に関してこの情報がある程度寄与できるかどうか、これは判断の仕方にもよると思いますけれども、少なくとも環境問題を取り扱う以上この情報公開というものはどうしても必要なんじゃないか、こう考えておるわけですが、それがとまってしまった。これについて外務省の方でどういうふうに観測されておりますか。
#173
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。
 今回の湾岸戦争を契機といたしまして、フランスのSPOT衛星のデータ、これに関しましては販売が停止されたというふうに承知をいたしております。このフランスのSPOT衛星のデータの販売と申しますのは、本来は商業ベースの話でございまして、外務省といたしましてどういうような事情、背景で販売、情報の提供が一時中止されたかということについて情報を有しているわけではございませんが、一般的に申しますと、ただいま先生御指摘のとおり、環境関係の地球観測衛星によるデータ、これは極めて有益なデータでございますので、できるだけ自由にそういうデータが入手できることが望ましいというふうに考えております。
#174
○松前達郎君 これは外交手段ででも、外交手段と言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、何らかの形でこういう問題について販売を再開できるようにプッシュができないものかどうか、その点いかがでしょうか。
#175
○説明員(太田博君) まだ未確認でございますが、SPOT衛星に関しましては、最近湾岸戦争が終了したこともあり、販売、情報の提供が再開されたという情報も入手しております。ただいまこの情報の確認を急いでいるところでございます。
#176
○松前達郎君 そこで、人工衛星の情報というものを外務省としては一体どの程度御利用になっておられるのか。解析も含めてそういうセクションがあって、この情報が十分活用できるような体制があるのかどうか、この点いかがでしょうか。これは各省庁に全部任してあるのか。
#177
○政府委員(佐藤嘉恭君) 御質問の趣旨は、いわゆる情報収集の一つの道具として衛星による体制がとられているかということだろうと思います。
 私ども各国の情報というものをどういうソースで入手しているか、あるいは情報収集の活動の中身を具体的に説明するということについては、我々の活動の一環にもかかってくる問題でございますので先生よく御理解いただけると思いますが、体制として十分あるかと言われれば、そこは非常に難しい状況だと申し上げざるを得ません。それでは具体的にどうしているかということについては若干御説明を控えさせていただきたいと思いますが、我々はあらゆる状況のもとで情報の収集に努めなければならないという一般論で御報告せざるを得ないことを御理解いただきたいと思います。
#178
○松前達郎君 というのは、専門的にやっているところ、セクションはないということですね。
#179
○政府委員(佐藤嘉恭君) 外務省の中では情報調査局が一括して担当しておるということを御報告申し上げたいと思います。
#180
○松前達郎君 最近では湾岸戦争で衛星情報というのは随分活用されたのじゃないか。これは戦争手段として活用された部分も非常に大きいと思いますけれども、それ以外に環境破壊ですね。これは油田火災ですとかあるいは油を流したりして海洋汚染が進行するとかいろいろな問題が出てきたわけですが、こういったような問題、恐らくこれは気象変動にもつながってくると思います。
 これが世界的な環境汚染になってしまったら大変だと、こういうことになるんですが、戦争そのものの道具として使うということと、それからもう一つは環境保全のための情報入手ということで衛星を使うという二つの大きな、平和目的か戦争目的かというふうな分け方をしてもいいと思いますが、二つの使い方があると思うんです。いずれにしても、科学技術を使う以上これはもろ刃のやいばであって、使う方の考え方によってその結果はいろいろと左右されてしまう。しかし、もう情報時代ですから、やはり日本としても、人工衛星そのものは打ち上げておりますけれども、このデータの入手というものを十分頭に入れながら今後の情報収集をやっていかなきゃならぬ、こういうふうに考えているわけなんです。
 そこで、実は大分前の話で、一九七八年だった
と思うんですが、フランスのジスカールデスタンが国連でたしか提案したんじゃないかと思いますが、国際衛星監視機構、ISMAですね、このISMAというものをつくったらどうかということを提案したことがあると聞いています。ところが、この提案については、米ソ両超大国の衛星偵察システムが世界をほとんど制圧していたものですから、新しい衛星監視機構の提案をけってしまったわけです。結局、米ソの圧力で敗れ去ったと言ってもいいと思うんですが、私はこういう提案は非常に前向きでよろしいんじゃないかと思うんです。国際的に協力をして、しかもその衛星情報は公表される。公表されることによって、例えば危機管理についてもある程度制御できるだろうし、あらゆる面でこれが使えてくるんじゃないか。だから非常にいい提案だと思ったのですが、どうもこれはつぶされてしまっている。
 私は、国連等で各国が共同して環境の監視も含めた平和目的の衛星、こういうものを打ち上げる提案をしたらどうかと思っているんです。これは一つの国でやるには余りにもお金がかかりますから、各国で共同してやっていくというのがやはり新しい方向じゃないか。
 これについて何かお考えがありますでしょうか。
#181
○説明員(太田博君) ただいま先生御指摘の提案は実現されませんでしたが、その後八二年のパリ・サミットにおきまして、リモートセンシングパネルの勧告に基づきまして地球観測衛星調整会議というものが設立をされております。これは各国の地球観測衛星の観測データの共通利用を推進するためにいろいろな技術的な調整を行うということを目的としたもので、国際協力、全面的な人工衛星の利用の協力という点から申しますとその一部ということになるかもしれませんが、これが国際協力体制の一つとして現在機能をいたしております。それから、そのほかに極軌道プラットフォーム調整会議というものもやはり国際協力体制の一つの体制として機能いたしております。
 こういう国際協力のレジーム、これには我が国も積極的に参加いたしておりまして、こういう国際協力体制を今後とも積極的に利用拡充してまいりたいというふうに考えております。
#182
○松前達郎君 国際的な利用といいますか、今おっしゃったようなことを大いに進めていただきたいのですが、いろいろこういうことをやっていますと、調べてみますと、どうも日本の行政機構が、例えば科学技術庁が自分の縄張りだと言ってみたり、あるいは気象衛星については気象庁であると言ってみたり、外務省がそういうことをやると困るというほかの省庁もあるようですけれども、やはりその辺がどうもばらばらなんですね。何かうまく一つの窓口としてまとめてやる方法はないのか。これは大変なことだと思うんですけれども、しかし国際的な活動の中で口を挟むことができるのは外務省ですね。国連などは特にそうですから、ひとつそういう場でもって今後も大いに推進していただきたいと思っているところです。
 そこでもう一つ、今度は軍事的な面です。これは中山大臣が前に新聞でちょっとお漏らしになった記事が出ておりましたけれども、偵察衛星が欲しいんだと。まさにそういうふうに思っておられるんでしょうか。
#183
○国務大臣(中山太郎君) 宇宙開発事業団法がございまして、宇宙の利用は平和目的に限るということが日本の法律に明記されております。そういうことから考えますと、日本が専守防衛でこの国の自衛をしていくという観点に立ちますと、専守防衛という平和目的のために衛星を上げて絶えず日本の周辺の状況の情報を入手しておく、それによって国連なりどこなりに一つの警告を発するということは極めて重要なことだと、いまだにそういう考え方を持っております。
#184
○松前達郎君 今おっしゃいました考え方というのは、私はフランスのジスカールデスタンが提案した考え方と通ずる面があるのじゃないか、こう思います。
 そこで問題は、情報の公開というものが問題なんで、偵察衛星であるかあるいは環境監視衛星であるのか、これについては、写真偵察衛星の場合は別ですけれども、それ以外の場合は原理的に同じなんですね。ですから、利用の仕方によってはどうにでも利用できる。しかし、今大臣おっしゃったように、利用する思想が平和目的というものに限られていれば、これは科学技術の成果として大いに活用すべきである、こういうふうに私も思うんです。
 かつていろんな国境紛争がありました。アフガンに対するソ連の侵攻なんかがありましたけれども、アメリカの偵察衛星は恐らく二十日以上前からこれを知っていたわけですね。ただ、公表しなかったために、ソ連国内の侵攻すべきかやめるべきかという決定のときに影響を与えなかった。世界の世論が反対すれば恐らくできなかったのじゃないか、こういうことも言われておるぐらいですから、軍事的に使うというよりもいわゆる危機管理としてこれを利用することもできないことはないですね。平和のためだといえば平和かもしれません。しかし、使い方そのものがどういう使い方をするかによって大分結果が違ってまいりますから、衛星を使うということはこれからの宇宙時代においてどうしても必要なことでありましょうけれども、その辺十分踏まえた上で使っていけば私はいいのじゃないか、こういうふうに思っております。
 そういうことを踏まえておっしゃったというふうに今お話がありましたけれども、そういうことであるならば我々としてもこれに対してある程度のバックアップをしなきゃいけないのじゃないか、こうも思っております。
 ただ、きょう特に環境の問題と衛星の問題でお話を伺ったわけですが、先ほど堂本委員がおっしゃったように、環境破壊があちこちで行われている。特に衛星でもってはっきりわかっておるのはアマゾンですね。アマゾンのロンドニア地方というところがありますが、ここの開発状況などというのは衛星で見るともう一遍にわかってくるんですね。ですから、そういうことも含めてやはり平和といいますか、環境保全といいますか、そういう方向に今後の衛星の情報というのは大いに使っていくべきだ、こういうふうに私考えております。
 時間が来ましたので、衛星の問題はこのぐらいにいたします。
 外務省は、前にどこでしたか、ポーランドでしたか、ちょっとした激変があったときに一カ月ぐらい大使館からの情報が途絶えたことがなかったですかね。たしか、しばらく情報が入らなかったことがあると思うのですね。やはり情報というのはこれからの社会を左右する、特に外交の面では非常に大きな役割を持っているわけなので、その辺の整備、衛星ももちろんその一つかもしれませんが、整備をひとつ進めていただきたい。
 私よく言うのですけれども、地震が起こったらどうやってお互い連絡をとるのかと。そうしたら電話かけると言うのです。まず電話がだめになる。まず電話がだめになるので、やはり可能性のあるものとしては電波を使う以外手がないだろう。そういうことで、先ほど申し上げた通信途絶に近い状態になったときにも恐らく無線が情報を伝えてくれたんだと思うのです。そこでこの委員会でも指摘をさせていただいて、恐らくそれから無線機をそれぞれの公館の中に設置するようになったのじゃないかと思うのです。
 結論だけ申し上げますと、やはり情報時代ということですから、その点を十分御配慮いただいて今後活動をしていただければと、こういうふうに思います。
 私の質問を終わります。
#185
○黒柳明君 大臣、昨夜からきょうにかけて小沢幹事長とゴルバチョフ大統領の会談がマスコミを通じて大きく報道されておりました。二時間ぐらいの話の中で一時間ぐらいを北方領土に費やしている、こういう報道であります。当然大臣の方はモスクワから詳しい報告をつかんでいると思います。少なくともマスコミの活字あるいはテレビで
は質疑含めて本当に数行しか報道されてないわけでありまして、それで見る限りにはわからないだらけなわけであります。
 総理も官房長官も大臣もけさ会見でコメントを出しておりますが、まず大臣は、並み並みならぬ熱意をゴルバチョフ大統領の発言で感ずる、こんなコンメトを出しておりますが、どういう点の発言に並み並みならぬ熱意を感じたんですか。あるいは外務省の首脳が、これは大臣ではないでしょう、事務当局でしょう、前進だと、こんな発言もしておりましたが、ゴルバチョフのどこの発言に前進という評価を与えたのか。どうでしょうか。
#186
○国務大臣(中山太郎君) 小沢幹事長という自由民主党の代表者とゴルバチョフ大統領の会談が行われたということで、もちろんこれは政府間の交渉でございませんから、私どももこの会談の内容等について公表いたす立場にはございません。あくまでもいわゆる一般情報に基づいての雰囲気から言いますと、私も先般訪ソの際にゴルバチョフ大統領と一時間五十分ばかりやりましたけれども、やはり与えてくる雰囲気というものは悪い雰囲気ではない、いい雰囲気であるというふうに私はこの会談を見ております。
#187
○黒柳明君 ここまで来たらムードで外交をやる時期じゃないわけですわな、大統領の訪日も二十日内に迫っているわけですから。もう具体的にこれだけの発言をしているし。
 何回も言いますように、外務当局、外務大臣ですね、詰めなきゃならない点がまだ幾多あると、こんなコメントもしていました。私も今悪いムードじゃないと思います。会ったこと自体は決してマイナスじゃない、プラスである、こういう常識的なことはあります。ただ、今そのムードや常識で日ソ間を判断する、そんな段階じゃない。もっともっとシビアに内容を分析して、当然分析してあるとは思いますけれども、外務省当局としてはまだまだ詰めなきゃならない点がある。
 例えばどんな点を詰めなきゃならない点として判断したんですか。どういう点を詰めなきゃならないと。
#188
○国務大臣(中山太郎君) 昨日の小沢幹事長とゴルバチョフ大統領の会見の中からの問題とは別に、日本の外務省として、今後ソ連の大統領が来られるまでに、あるいは今月末のベススメルトヌイフ外相が来られるときに詰めなければならない問題点につきましては、欧亜局長からお答えをさせていただきたいと思います
#189
○政府委員(兵藤長雄君) ゴルバチョフ大統領訪日の準備作業は、昨年の九月シュワルナゼ外務大臣がお見えになったときから始まったわけでございますが、日ソ間に信頼醸成、信頼関係を築く、そのためには可能なあらゆる実務関係におきまして一つ一つ積み上げていくということで、十分野を選びましてその実務関係を積み上げていく。その結果、もし積み上げた成果が例えば協定、条約といった文書でまとめることができますれば、それはそういう形でまとめていこう。できればゴルバチョフ大統領訪日のときに署名というところまでこぎつけたいという合意をいたしました。
 その中核になりますものは、例えばペレストロイカに対します技術的な支援でございますとか、あるいはチェルノブイル原発事故に対します日本の協力でございますとか、あるいは人道上の問題でございますとか、幾つかの分野があるわけでございますが、今まさにこれらの分野の協定あるいは文書づくりがかなり大詰めを迎えております。これについてさらに鋭意作業を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#190
○黒柳明君 作業委員会については後でちょっとお聞きしたいんですけれども、大臣、けさの新聞の活字を見ますと、領土協議の方向とか、領土問題で協議とか、領土問題で大統領が訪日するときは協議はスタートするんだ、こういう大見出しで、まあ中はいろいろ書いてありますが、そういうニュアンスでとらえているみたいです。これ自体をもって評価するのか。
 要するに、今までは領土問題はもう解決していると、歴代大統領はこう言ってきた。共同宣言についての若干の曲折はありますけれどもね。大統領が訪日のとき領土問題で話し合うんだと、このこと自体もう後退でも後ろ向きでも何でもありません。前進、熱意そのものだと思いますよ。ただし、今日本の政府は、少なくとも私が受けとめておるのは、大統領訪日のときには二島返還であるのか、四島まで返還であるのか、そこらまでもう勇気、決断が欲しい、こういうときだと思うんですね、私が感じているのは。外務大臣は、いや、そんな必要はないんだ、話し合えばいいんだ、こうおっしゃるのか。そんなことはないと思うんですよ。
 ただゴルバチョフ大統領が話し合いに来る、領土問題で話し合いが行われる、これをもっても確かに今までよりも前進には違いない。だけれども、今の日本政府の考えとは相当これは開きがあると私は思うんですが、いかがですか。
#191
○国務大臣(中山太郎君) 日本政府との間に開きがあるかどうかというお尋ねでございますけれども、日本政府は、衆参両院の御決議の趣旨を体して、四島一括返還という考え方は私どもの外交の基本方針として堅持をいたしております
#192
○黒柳明君 ですから、できれば十六日から十九日まで大統領訪日のとき、二島は当然、四島までも、これは小沢幹事長のときの活字が踊ったわけですけれども、主権だけでも認めさせればと。これはもうどういうあれかわかりませんが、できれば四島までもと。ただ単なる話し合いだけじゃ満足しないんじゃないですか。話し合いだけでいいという感じを持っているんですか。
 まあいろんな感じはある、向こうも困っているんだろうと、国内的にも。せっかく来るんだからペレストロイカも支援しなきゃならないと。ですから、まず大統領が来て話し合いの糸口をつけてくれる、これだけでももう大前進だ、結構だと。それで、それからまた時間を経ていつか解決するだろうと大統領もおっしゃっているから、いつか解決すればいいんだと、こんな感じでしょうか。
 私はもっと、今度大統領が来たときに二島はおろか四島までも糸口をつける、四島までもできればその場で主権を認めさせる、こういう姿勢でなきゃならないと思うんですが、いかがですか。
#193
○国務大臣(中山太郎君) やはり大統領の訪日がこの領土問題の解決の突破口ということになることを私どもは心から期待をいたしておりますし、日本政府もそのためにできるだけの努力をするということを申し続けているわけであります。
#194
○黒柳明君 その突破口というのは、ただ単なる対話も突破口ですよ。向こうの大統領が今まで領土問題は解決済みと言っていたのをどういう観点から俎上に上げるか。何を言い出すかわかりません。いわゆる領土問題を話し合うということ自体が一つの突破口です。いつ解決するかわかりませんね、話し合ってみなきゃ。それも突破口。それから共同声明まで戻って、これは準備委員会の作業グループでも、共同声明なんかもうたびたびで日常茶飯事と、私こう聞いていますから、だから二島返還なんか当たり前なんだ、あとの二島なんだと。作業グループでのそういう感じを私も感知しているんです。ですから、話し合いだけでも突破口であることは間違いないんです。
 ただ、その突破口でも、せっかく来るもう最大の唯一の機会ですから、そのときをつかまえての突破口ですけれども、突破口の観点というもの、見方というもの、視野というもの、日本政府の突破口でもこういう突破口にしたいという希望あるいはこうすべきだという熱望、こんなものが当然あってしかるべきじゃないでしょうか。ただ単なる突破口ならいい、突破口なら話し合いでいい。あるいは外務大臣だって突破口になるかわかりませんね。大統領ならなおいいでしょう。突破口だっていろんな種類の突破口があります。
 今の政府の感じとしては、どうも小沢幹事長が行かれる前のマスコミ、これはもう失礼ですけれども、マスコミがでたらめに活字にするわけじゃありませんよ、相当やっぱり党・政府の意思を受けて取材しているわけですから。先ほど否定されましたけれども、これは経済協力の額まで、ある
いは各社の割り当ての金額まで出て、まあこれは外務省関知するところじゃない、これは結構でございます。だけれども、これはただ単に外務省が関知するところじゃないということだけではやっぱり済まされない問題じゃないかと思うんですよ。というよりも、もうそこまで熱意を持って日本政府は取り組んでいるというあらわれがあの訪ソ前に活字になって出てきたんだと、こう思いますね。あれこそ今までにない局面だと思うんですよ、非常にやっぱり大統領訪日に当たって何とかしなきゃならないという。
 結局、何か外務省より党の方が、小沢さんの方が熱意があるのかな、本当に突破口をつくるのは外務省じゃなくて小沢さんかな、だけれども、やっぱり党だから今現在遠慮して公表を避けているのかなと、こんな感じもしますよ、今の外務大臣の話を聞いていると。そうじゃないと思いますよ。
 まあ局長が何かおっしゃるなら、まず話を聞いて。
#195
○政府委員(兵藤長雄君) ただいま突破口というお話が出ましたので、若干敷衍をさせていただきたいと存じます。
 私どもが今回のゴルバチョフ大統領の訪日を日ソ関係を飛躍的に発展させるための突破口としたいと申します場合の突破口という意味は、従来から日本政府が一貫して主張してまいりました四島一括、その四島一括の意味は、歯舞島、色丹島については日ソ共同宣言で引き渡しが約束済み、したがいまして国後島、択捉島についての主権の問題、まさにこの主権、帰属の問題、この大問題についてゴルバチョフ大統領訪日のときに英断を下して来てもらいたい、東京でこの問題の決着を図りたいというのが日本政府の一貫した立場でございます。
 小沢幹事長もまさに全く同じ認識のもとに、ゴルバチョフ大統領に対して四島一括返還を主張されたというふうに私どもは承知をいたしております。その点は政府の立場はいささかなりとも変わっていない。中山外務大臣が先般一月末にゴルバチョフ大統領と同じく一時間五十分会談をされたときも、全く同じ立場から主張されたわけでございます。
 それと、先ほど申しましたいろいろな大きなお金の話というのはちょっと次元が違う話で、先ほど申し上げましたように、これは外務省が全く関知しない問題と私どもは認識いたしておりますし、日ソ交渉がまさに正念場を迎えている、こういうときにああいうような何百億とか何兆とかいう数字がひとり歩きをしているということは、実務担当をいたしております私として、対ソ交渉上の国益という点から大変に深刻な憂慮を禁じ得ないものでございます。
#196
○黒柳明君 大臣は、今このときにやっぱり竹下派に配慮しなきゃならないし、いろいろな問題があるからちょっとちゅうちょしていますよ。局長の方が思い切ってやっぱり決意を固めている、責任があるから。局長に聞きますよ。大臣には最後に締めくくりで聞きますから。局長の方が明快。
 そうなりますと、さっきも大臣おっしゃったように、今までの姿勢は変わっていない、一括だと。ただ、一括の中でちょっと変わったかなというような、これはマスコミに私たちだって踊らされるわけじゃありませんけれども、やっぱり情報というのはマスコミの方が政治家よりも先行しているから、これはいたし方ありません、どこの国でも。だから、それを私たちは参考というよりも非常にそれに留意せざるを得ないわけです。
 その中で、どうなんですか。二島のことについてはもう言わずもがなだ、あとの国後、択捉、この二島の主権、これは要するに大統領が訪日したときにもう日本に帰属するんだ、こういうことの発言だけあれば全面的な日本として経済援助はいいんだと。これは局長答えにくいかな。こういうことが活字に出ていますね。これは小沢さんが言ったというコメントで出ているんじゃないんですけれども、ここらあたりはどうですか。
#197
○政府委員(兵藤長雄君) 私どもが求めておりますのは、先ほど申しましたように、主権の決着、これが基本的な問題である。ゴルバチョフ大統領が四月に参りましたときに、この主権、つまり国後、択捉両島の主権、あわせまして四島の主権の問題について明確にしていただく、つまり日本に返還をするということがもしも仮に明確になるのであれば、その後の対応につきましていろいろ日本政府といたしましても知恵を出して対応する用意がある、こういう考え方を表明しているわけでございます。
#198
○黒柳明君 外務大臣、もう明確ですよ。要するに、大統領が訪日の際には主権に対してしっかりした結論を出してくれと。それこそ大臣がおっしゃった勇気ある決断、それにも当たるんでしょうけれども、大臣、それがもし出ない場合非常に、これは野党のちっぽけな公明党ですから何ということはありませんけれども、局長の決意はそのとおり御立派、これはすべて私たち野党も含めてそうあるべきだと今までも主張してきた。だけれども、非常にそれは今度は出にくい。私も先回行きましたときいろいろなところから聞きました。局面は変わっていると思います。いろいろな面で変わっていると思います。ですけれども、局長がおっしゃったようなところまで、国後や択捉の主権の問題まで行くことはまず一〇〇%不可能だろう。感じですよ、私の。大臣の方がよく御存じで分析しているんだから。そうなった場合、これは突破口を開いた、一歩前進、こう評価はできないわけですね。何しに来やがったなんて、済みませんね、私は洗濯屋の息子なんでちょっと言葉が荒いんですけれども、全く評価できないということにもならざるを得ない局面が出てきますか。
 もし主権の帰属に対して明快な発言をしなかった、ただ単なる話し合いに来て、領土問題について話し合おう、もう共同宣言のことも出ない、あるいは出たとしても、あとの国後や択捉についてはこれから話し合おう、主権なんかとんでもない、全然そんなことは考えてない、話し合おう、こういうことが出たとすれば、もうすぐですからね、そのときには何のための訪日なのか、こういうことになるわけですか。非常に落胆するわけですか、日本政府としても。
#199
○政府委員(兵藤長雄君) ただいま申し上げましたように、日ソ交渉まさに正念場でございます。日本政府は、あくまでも主権の問題について英断を求めるという大方針のもとにやっておるわけでございます。そういうことでございますから、それ以上に進みましていろいろな起こり得べき事態に対して、その想定に基づきまして日本政府がこういう場合にはこういうふうに対処するということを今この場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#200
○黒柳明君 そのとおりですよ。ただ、これは局長の方がすべて知っていて今言ったような答弁をされていると思いますよ。外務大臣は局長の十倍知っていて今言ったような答弁をされていると思いますよ。ただ、このマスコミの、冒頭申しましたように、これはわずかです。一時間のうちの三分なのか四分なのか、これはわかりません。秘すべし秘すべしというのがいっぱいあるのかもわかりません。大臣は腹の中で、おれは全部知ってるんだ、黒柳はばかなこと言ってるんだと。にたにた笑っているのは、その笑いはまさしく私を小ばかにしている笑いじゃなかろうかと、こう思うんですけれどもね。
 少なくともここを見ますと、これはもうお読みになったとおりですよ、御存じのとおり。大統領の踏み込んだ話とは何ですか、領土問題に理解を示したことは何ですかというと、小沢さんは領土問題についても話し合うというニュアンスだと。これも話し合うというニュアンス。もうこれは私は英語がちょっとわからない。話し合うんだという断定でもない。領土問題について話し合うという感じがしているだけなんだ。これは小沢幹事長も利口な人ですからすべて手の内は見せない。あるいはここはオフレコの部分があったかもわかりません。会見の本当のごく部分だけだ、こんなふ
うにも感じますからね。これを見る限り、今の局長がおっしゃった決意、それとは全くほど遠い。新聞の活字になってますね、領土問題の協議。これも本当にまだほど遠いような、領土問題で話し合うというニュアンスを感じたという幹事長のコメントなんです。
 そうなりますと、今おっしゃったように、もう主権の問題を出すどころか、向こうとしては、領土問題を話し合っただけだっておまえたちいいじゃないか、大統領が来たんだ、今までは話し合わない問題を話し合っているんだ、こういう感じもここから受けとれるんですが、いかがでしょう。大臣はいっぱいいろんなこと御存じだと思うんですけれども、私はここからしか受けとめられない。非常にこれは何だか今から落胆を前提にしなきゃならないのかなというような感じがするんですが、どうですか。
#201
○国務大臣(中山太郎君) 長年の日ソ間の戦後の歴史の中で、大統領が来られるという歴史的な時期がやってくる。その前に今週の末に私とソ連の外相との外相会談が東京で開かれるわけでございまして、いろいろと委員は私の答弁で歯がゆいというようなお感じをお持ちでございましょうけれども、国益をかけて外交をやらせていただく立場でございますので、重要な外交交渉の前に私がやたらに発言をすることは国家のためにプラスにならないと思いますので、差し控えさせていただきたい。ぜひ御了承を願いたいと思います。
#202
○黒柳明君 もうそのとおりだと思います。大臣の方が立派です、局長よりも。御立派だと思います。
 ただ、同じようなことで、それでは領土問題について話し合うのかというと、あらゆる問題という言葉なんですね、大統領がおっしゃったのは。当然もう今まであらゆる問題、領土問題入っている。ただ、御案内のように、田中角榮さんとあのブレジネフとの問題でも帰ってからこんな食い違いがあった。そんなばかなことは、時代は変わりましたから、平成になりましたから、いい世の中ですから、そんな食い違いなんかはないとは思いますけれどもね。領土問題だって、向こうは領土問題を話すと言っているわけではない。あらゆる問題。しかも、それを受けた小沢幹事長は今言ったようなニュアンスである。
 だからこそ、党には任せておけないんだ、おれは外務大臣だからやるんだ、黒柳、大丈夫だよ、こうおっしゃった決意に聞こえるんですが、それはそうとしまして、もし局長がおっしゃったようなことにならなければ、これはもう当たり前だと思うんですけれども、日本としての大規模な経済援助は当然やらない。これははっきりしているわけですね、大臣。
#203
○国務大臣(中山太郎君) 政経不可分、この今日までの政府の考え方に変化はございません。
#204
○黒柳明君 局長、やっぱり局長の方が具体的だ。
 当然政経不可分は変わらないわけですね。ただ、今のソ連の状態です。あの人道的な問題で援助もしているわけですね。
 それから、私は活字が信用できるかどうかわかりません。一紙だけしか出ていません。一紙だって相当やっぱり根拠があってあれだけ具体的なものを出すわけですから、失礼だけれども、全く絵そらごとでないことも間違いありません。でたらめでないことは間違いありません。相当根拠あることだと思います。
 そうすると、大統領が来るわけですから、向こうにいたときは、日本に行ったらもう少なくとも五十億ドルぐらいのお土産ぐらい当たり前だなんという向こうの外務省当局の話もありました。そのぐらいもらってこなかったら行く価値ないなんというような、何言っているんだ、こいつと思ったけれども、そういう人も現にいました。だけれども、あれだけ国内状態ががたがたしている。経済的にはもう東欧は言わずもがな。人道的な援助をしている。そうすると、大規模が何をもって大規模であるのか、国を挙げてというのは何が国を挙げたなのか、どうしてもせんだってのあの新聞が頭に浮かんじゃいますけれども、せっかく来ても、全く主権について結論が出なければもう援助は一切やらないんだ、こういう姿勢をこれからとり続けるんですか、政経不可分で。
#205
○政府委員(兵藤長雄君) 政経不可分という原則、これは不変であることは当然でございますけれども、私どもは政経不可分を一貫して守ってくる中で、例えばシベリア開発につきましても、エネルギー開発、エネルギー資源の多様化ということが叫ばれた時代にネリュングリの原料炭の開発ということに踏み切り、現在これが進行中でございます。今実際に開発され、原料炭が入ってきている。あるいは石油、天然ガスというものの開発につきましては、サハリンの沖合でチャイウォ、オドプトという鉱床についての開発の話が進んでいることも御高承のとおりでございます。あるいは人道上の見地から、先生御指摘の例えばチェルノブイルあるいは経済援助というようなことをやる。あくまでも政経不可分ということである以上何もやらないんだ、経済関係はストップ、ゼロということでは毛頭ございません。必要なもの、大原則に触れないたぐいの援助というものは今までもやってきているわけでございます。
 基本的な考え方は、政治的に安定した基礎ができて初めて本格的な大規模な経済協力関係に進めるというのが私どもの基本原則でございます。
#206
○黒柳明君 最後に、外務大臣、ベススメルトヌイフさんが二十九日だったですかな、三日後にいらっしゃる。当然大統領のいろんな日程やなんかも話し合ったり調整したりと。だけれども、大統領が来るときはこれはもう最高の政治的判断で、今現在もまだ結論を下していないんではなかろうかという国際筋の観測もあるぐらいであって、来てから、日本の桜が散ったか咲いているか、桜見ながら決断を下すかわかりません。そんなことわかりません、向こうのやることですから。大統領の決断することですから。ですけれども、少なくともやっぱりソ連だって国内でこれだけのいろんな問題を抱えていて、この領土問題というのはこれこそもう結論によってはゴルバチョフの政治生命を奪う可能性だってなきにしもあらずですね。保守派のあの強硬姿勢がバックにありますから、相当慎重に考慮しなきゃならない。
 ですから、小沢幹事長が一つ積み重ねた。さらに外務大臣が二十九日からの外務大臣のあれで、もう今局長が言ったあの意図、あの意図というか、逆だな、外務大臣の意図を受けて局長がやっているんですけれども、もうその外務大臣会議でそれこそ結論を出すんだと、このぐらいのかたい決意でやって、そして後はもう海部とゴルバチョフとひとつ掃除でもやっておけ、ごみ掃除でもやれと、このぐらいの決意でやっぱり外相両者で会談しないと、とても大統領が訪日するときの期待というものはないんじゃなかろうか。ひとつ両外相会議では日本の外務大臣としていまだかつてない決意を固めて、そのときに四島に対しての主権帰属問題について結論を出す、このぐらいな決意でやってくださいよ。
 変な要望で申しわけありません。最後に一言どうぞ。
#207
○国務大臣(中山太郎君) 黒柳委員から大変御配慮行き届いたお言葉をちょうだいしましたが、この重大な交渉に全身全霊を傾けて国家のために交渉いたしたい、このように考えております。
#208
○中西珠子君 ただいま日本とソ連との関係につきまして同僚議員からいろいろお尋ね申し上げましたが、欧州復興開発銀行が設立されることになりまして、これは非常に政治的、経済的な重要な意味を持っていると考えるわけでございますが、この設立にかかわる日本の立場、それからソ連との関係、こういったことについてお聞きしたいと思います。
 まず、この銀行設立のいきさつについて日本とのかかわりを御説明ください。
#209
○説明員(橋本宏君) お答えいたします。
 委員御案内のように、中欧及び東欧諸国における政治的及び経済的改革を促進するために、八九年十月にミッテラン・フランス大統領によってこ
の銀行の設立構想が提案されました。それを受けまして、関心を有する国の参加のもとで交渉が行われてきました結果、昨年五月末に設立協定が作成されたというのがこの経緯でございます。
#210
○中西珠子君 この欧州復興開発銀行の原加盟者となる資格を有する国々、この国々は既に協定に署名をしたそうですね。その銀行の加盟者の地位というものは、欧州以外の国ではIMF加盟国に限定されている、こういうことだそうですけれども、その理由はどういう意味でしょうか。
#211
○説明員(橋本宏君) 先生御指摘のように、これは中欧及び東欧諸国に対するその地域的な協力を目的とした銀行でございます。したがいまして、欧州の国々の全体的なシェアは高いわけでございますけれども、それ以外の国々といたしましては、やはり欧州という地域に限定したということで、対象を広げてみてもなかなかそれに払い込みをするだけの余力のない国等もあるということから、IMFの加盟国というこういう国際的な資金協力に経験のある国々を対象とするということになったものでございます。
#212
○中西珠子君 この設立協定の発効の要件と、また発効の見込みについてどのようにお考えですか。
#213
○説明員(橋本宏君) 今各国でもって協定の批准の手続が進んでおりまして、中欧及び東欧の国の少なくとも二カ国を含む当初の応募額の総額の三分の二以上を代表する署名者が、それぞれ批准書等の寄託を完了したときに効力を生ずることというふうにこの協定上なっております。
 三月もそろそろ末日に近づいておるところでございますけれども、三月末までにこれを発効すべく関係各国において今手続が進められているところでございます。
#214
○中西珠子君 銀行の資本総額は百億ECUと決められているわけですが、日本への割り当てはどのようにして決められたのですか。
#215
○説明員(橋本宏君) お答えいたします。
 まず主要国、特にフランスだとかイギリスだとかドイツだとかイタリアの出資率というものがほぼ八%程度とするということについてEC諸国の中でコンセンサスができているということを前提としまして、交渉の過程におきまして、日本といたしましてはそれを踏まえた上でこれらのEC主要国並みの出資率を確保すべきであるということを主張し、それが通ったということでございまして、最終的に八・五一七五%の出資比率を我が国が得ることができた次第でございます。
#216
○中西珠子君 アメリカの出資割り当てはどのようになっていますか。
#217
○説明員(橋本宏君) これは委員御指摘のとおり、出資総額が百億ECUというものでございまして、これが百万株単位で一票ということになることになり、我々の持っております投票権数というところから資本総額を見ますと八万五千百七十五票、そういう割合のものの資本比率でございます。
#218
○中西珠子君 協定の第三章に銀行の主たる業務というものが列挙されておりますが、その第八条に「技術援助」ということが書いてありますね。この技術援助の内容というのはどういうものでしょうか。
 先ほど同僚議員から、環境への配慮というものを銀行は考えているかというお話もありましたけれども、環境への配慮はもちろんあるということは承知して、技術援助という面ではどういうことを主にやっていくのか。もちろん環境に対する技術援助もやるでしょうし、資金援助もやるでしょうけれども、そのほかどういうことをやっていくのか。殊に市場経済指向型の経済をこれから新たにやっていくという国々に対して、やはり経営面とかという技術援助も必要かとも思いますが、どのような技術援助を考えてこの協定ができているのかということを少し説明していただきたいと思います。
#219
○説明員(橋本宏君) 委員冒頭に御指摘のとおり、この銀行の業務の一つの大きなものとして民間部門の企業育成ということで、それら企業に対する貸し付けだとか投資だとか保証とか技術援助ということがこの協定上定められているわけでございます。
 その技術協力の具体的な内容でございますけれども、これはもう委員御案内のように、今後理事会ができてから具体的に決められていくことになりますが、設立の交渉の過程で出てきたものにつきましては、例えば民間企業の経営の改善のための指導だとか、それから今後民営化を進めていく国有企業のいろいろな改革というものについての指導、例えば生産性の向上だとか経営管理の問題とか、そういうようなものについて先進諸国側が持っておるこれまでの経験と技術というものを先方の方に伝達していこうということでございます。
 その中には、午前中の質問の中にも出ておりました環境も含まれますけれども、それ以外に今中西委員御指摘の市場経済を導入していくためのもろもろのノーハウといいますか、それを教えていく技術援助というものがこの協定上定められておるわけでございます。
#220
○中西珠子君 この銀行が技術援助その他の種々の援助を行い、また資金供与というものを行っていくに当たりまして、国連のIMFとかIBRD、そういったものとの関係はどのように維持していくのでしょうか。年次協議というふうなものも行ったり、緊密な協力関係を持ってやっていくということになっているんでしょうか、どうでしょうか。
#221
○説明員(橋本宏君) この銀行が設立されるに当たりまして関係国の間で議論された大きな一つの問題としまして、IMFだとか世銀とかいう既存の国際機関との重複はできるだけ避け、それをある意味では補完し、ある意味で当該地域に最も適当な形の協力をしていこうということでこの銀行の設立が各国間で合意されたわけでございます。
 したがいまして、この協定の中にも特別の条項がございまして、その中で明確にIMF、世銀等との間で緊密な協力を行うこととされておりまして、また国際連合及びその他専門機関等とも協力するということにされております。
#222
○中西珠子君 国連のそういうIMFやIBRDばかりでなく専門機関とも緊密な協力をやっていくということであるならば、やはり重複を避け補完的な機能を果たしていく上からは、年次協議は少なくともやらなきゃいけないでしょうし、またその都度都度必要に応じて話し合いというものをやっていかなくてはいけないと思いますが、その点に関しては日本はやはり積極的に協力をしていっていただきたいと思います。
 この銀行が、目的に反する政策を実施している国の受益を停止または制限することができるということになっていますね。ソ連の問題がここへ出てくるのでございますが、ソ連は民族問題その他で国内の事情が非常に複雑化して不安定化している。そして、保守派の勢力が台頭しているし、軍部の発言力がどうも増大しているような傾向が見受けられるわけで、市場指向型の経済への移行というものを一応唱えてはいても、それが非常に難航している状況である。ペレストロイカも成功が危ぶまれているというふうな状況下で、この銀行がソ連に対してどういうような扱いをしたか。
 銀行に対するソ連の手紙というのがこの協定の後ろについていますね。これはどういういきさつでこういうものがつくようになったのか、ちょっとその辺のことを御説明いただけますか。
#223
○説明員(橋本宏君) 先生御指摘のように、ソ連の受益について一定の制限ができており、それをソ連がみずから認める書簡を発し、その書簡がこの設立協定と不可分の一体をなすという極めて特殊な形がこの協定ではとられているわけでございます。
 それにつきましては、まず一つは、ソ連自身が超大国であってみずから援助も行っている国でございます。そのような国々を他の中欧、東欧の国々と同列に扱うということにつきましては先進国側にも異論があり、またそもそも中欧、東欧側の方からも異論があったということがございま
す。
 それからまた、この協定の受益国になる国々につきましては、それぞれの国に応じまして民主化及び市場経済への移行というものが行われておりまして、そこにおいてはいろいろな段階があると思います。ソ連の場合も他の中欧、東欧諸国と同様にこうした努力をしている国ということでこの協定への参加が認められ、参加するということで今ソ連が手続を踏んでいるわけでございます。
 しかしながら、ソ連がこれに参加し、またこの協定が実際に発効した場合、果たしてソ連に対してそのまま自動的に融資を認めるかどうか、その点につきましては理事会におきまして議論をし、そのときのソ連の情勢を踏まえて融資すべきかどうかということについて改めて議論をしていくことになると思います。
#224
○中西珠子君 結局、ソ連の出資の範囲の枠内で融資はするという了解は成立しているのですね、この書簡を出すことによって。
#225
○説明員(橋本宏君) 委員御指摘のとおりでございまして、この協定の設立後三年間にわたりまして、ソ連はみずから払い込んだ資金額の範囲内においてのみこの協定の種々の機能を享受することができるということになっております。
#226
○中西珠子君 こういった制限措置をつけられても、ソ連はやはりこの協定に入りたかったわけですね。
 それにつきまして、制限措置解除は三年の後ということだそうですが、その解除の要件が非常に厳しいですね。八五%以上の票数が要るということでしょう。どうでしょうか。
#227
○説明員(橋本宏君) 委員御指摘のとおり、三年後のことにつきましては、総投票数における八五%以上の投票が得られなければ自分の払い込んだ資金以上の協力を受けることができないわけでございますが、ソ連といたしましては、そういった制限を受けながらもやはりペレストロイカを推進するためにも西側の持っておるいろいろなノーハウを勉強したいということで、進んで制限を受け入れながら、この銀行に積極的に参加したいという希望を表明したわけでございます。
#228
○中西珠子君 この欧州復興開発銀行を設立する協定の前文には、「中欧及び東欧の諸国が、複数政党制民主主義を現実に実施することを推進し、民主主義的な諸制度、法の支配及び人権の尊重を強化する意図を有すること並びに市場指向型経済に向かって発展するために改革を実施する意思を有することを歓迎し、」というふうに書いてあるんですね。今度は第一章第一条「目的」のところにいきますと、基本的人権の尊重とか法の支配というのは落ちているんですね。これはどういう理由で目的から落とされたんでしょうか。
#229
○説明員(橋本宏君) お答えいたします。
 これはそもそも論で恐縮でございますけれども、あくまでも銀行でございまして、銀行は融資等を行うということでございます。しかしながら、この銀行がほかの国際的な銀行と異なるというのはまさに今委員御指摘のところにございまして、したがいまして前文におきましてそのような民主化等への動きをしている国々がその意思に従って民主化するということをみんなで歓迎いたしましょうということでございます。
 そういった上で実際上やることは、委員御指摘のように、これら受益国における「開放された市場指向型経済への移行並びに民間及び企業家の自発的活動を促進する」というこの目的自身は、あくまでもいわゆる経済改革のための支援をしていくということが中心でございます。
#230
○中西珠子君 ただ、非常に政治的な目的も持ち、また経済的な目的も持っている銀行だというふうに考えられるわけですね。
 日本の加盟する意義というものは、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#231
○国務大臣(中山太郎君) 東欧の民主化、自由化を進めるために、この地域は御案内のように自己資本というものがほとんどございませんし、そういうことで今般欧州復興開発銀行が設立をされましたが、日本が出資をいたしますことは我が国の国益上極めて大きな意義があるものと私は信じております。
 それは、今EC十二カ国の統合を明年に控え、この統合されたECと経済関係を強化しようというEFTA六カ国、また地中海を挟んでマグレブ経済連合、こういったような一つの大きな大ヨーロッパへ移行しつつあるこの時代に設立される銀行に日本が出資することの機会を得て、ここにまたしかるべき人を配置することは、日本とヨーロッパの関係を強化する上で極めて重要なものである、国益に沿ったものであると考えております。
#232
○中西珠子君 私もそのように思いますので、日本としても積極的にやっていただきたいと考えます。
 今度は、オゾン層を破壊する物資に関するモントリオール議定書の改正について伺いますが、余り時間がございませんのでちょっと急いで伺います。
 これは日本も積極的に受諾して寄与する必要があると考えておりますが、開発途上国の態度というものにつきまして相当危惧を抱いていたわけでございます。例えば中国やインドなんかは、開発途上国はオゾン層の保護措置を実施するための経済力も技術力も十分には持っていない、だからこのオゾン層保護措置を実施するためには先進国の支援が必要だ、このような支援を伴わないオゾン層保護のための取り決めは経済成長を阻害すると主張していたわけでございます。
 今回の改正におきましては、こういった開発途上国が規制措置を実施するに当たって生じる困難に対応するための取り決めということをやっているわけでございますが、殊に資金援助というものに関しましてはマルチナショナルファンド、多数国間基金というものができたわけですね。この多数国間基金ができるに当たっては日本政府としては非常に積極的な努力をなさったと伺っておりますが、どのような背景でこれができましたのか、そして日本としてはこれから先どういうことをやっていらっしゃるのか。
 多数国間基金で資金援助をするばかりでなく、技術援助というものも、技術移転というものもやっていくということがこの協定にうたわれているわけでございますが、日本の対応というものについてお伺いしたい。そして、このモントリオール議定書改定前にも日本は既にオゾン層の保護のためのいろいろな資金協力、技術協力をやっていらしたと思うんですが、それにつきましてもあわせてお伺いしたい。
 私、時間がないものですから一遍に幾つものことをお聞きいたしました。
#233
○説明員(河村武和君) それでは、最後の援助関係の点を除きまして私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 先生御指摘のとおり、オゾン層の保護問題というような地球的規模の環境問題を解決するためには、条約が普遍的なものであってできる限り多くの国が参加するということが望ましいことは言うをまたないわけでございます。そのために、特にオゾン層の保護対策を実施するために必要な経済力とか技術力を十分有していない開発途上国に対して、やはり先進国による経済的、技術的な援助が必要であるという認識が一般的になりまして、我が国も当然かかる認識を分かち合うことによりまして、昨年の六月に先進国による援助のための枠組みを持っておりますモントリオール議定書の改正というものに同意をしたわけでございます。
 この開発途上国援助制度の内容について簡単に申し上げますと、基本的には先進国と開発途上国それぞれ七カ国から構成されます執行委員会というものの指導のもとに、国連環境計画UNEP、国連開発計画UNDP及び世界銀行等を実施機関といたしましたオゾン層保護のための開発途上国援助を行うというのが基本的な内容でございます。オゾン層の保護プロジェクトに対する財政の支援でございますとか代替技術情報等の提供、研修及びセミナー等の開催ということの援助活動を
行うということになってございます。
 特にこの中では、多数国間基金というものの設置を改正議定書の十条でうたっておりますけれども、この多数国間基金は原則として先進国間の拠出によって賄われることになっております。我が国は、本年度分といたしまして八百三十三万二千八百ドルを拠出すべく平成三年度予算の中で約十億七千五百万円というものを計上させていただいたということでございます。
 さらに二国間協力につきましては、これはいろいろな形でやっておりますけれども、セミナーの開催でございますとか専門家の派遣という形で既にもう八九年、一昨年の五月からこのような活動を日本としてやってきた、こういうことでございます。
#234
○中西珠子君 日本の持っている環境問題に関するノーハウというものを技術移転、技術協力として大いに途上国に対して強力に展開していかなければならないと存じますが、ODA自体におきましても、環境問題というものを大いに配慮していただかなければこれからの日本のODAは高く評価されない。こういう点につきましてけさも同僚議員が非常にすばらしい展開をなさいましたので、これ以上私は申し上げませんが、この問題は非常に重要な問題でございますので、日本は重要なテーマというか柱としてこれからのODAまたマルチの協力というものを大いにやっていただきたいと思います。
 国内に目を転じまして、モントリオール議定書の改正に対応しましてオゾン層保護法の改正法案が今国会に提出されているわけでございますが、国内においてフロンなどの規制対策をどのようにやっていらっしゃるか。また、特定フロン等のメーカーというものは多くはないんだけれども、利用されている用途が極めて広範多岐でありまして、ユーザー企業というものは三万三千社に及ぶと言われておりますし、フロンを利用した製品というものは非常に多くて、出荷額も四兆五千億円ぐらいに達すると言われております。
 こういった企業に対して、通産省はどのような指導また啓発活動をやっていらっしゃるか、また財政や金融、税制上の措置というものを講じていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#235
○説明員(小島直樹君) モントリオール議定書を国内的に実施いたしますための方策でございますが、ただいま御指摘ございましたオゾン層保護法がその基本になっております。
 オゾン層保護法におきましては、このモントリオール議定書によりまして各国の義務として求められております製造数量その他の規制ということがまず第一に規定をされておりまして、一昨年の七月以来この議定書に準拠いたしまして製造数量並びに輸入数量、これにつきましての規制を行いまして、モントリオール議定書に定められた我が国が遵守すべき数量以下にそれぞれの数量がおさまりますように、すなわち生産量並びに消費量が一九八六年の数量以下になるような規制を行っておるところでございます。
 他方で、ただいま御指摘ございましたように、フロンと申しますのは非常に広範に利用されております化学物質でございまして、その実際に使われております使用の現場というものは多岐にわたるものがあるわけでございます。この規制を円滑に実施していきますためには、議定書によって定められました数量規制のみならず、できるところにつきましてはさらに我が国として努力をしていくべきである、そういった考え方から、この法律に基づきまして排出抑制・使用合理化という規定を設けておりまして、環境庁、通産省共同で排出抑制・使用合理化指針というものを策定いたしまして、それに基づきまして各事業所管大臣がそれぞれの事業のフロンその他の規制対象物質の使用にかかわります指導、助言を行うということにいたしておるわけでございます。
 具体的な産業界に対する啓蒙普及の方法でございますけれども、ただいま申し上げました法律に基づきます告示によりまして、それぞれの業種において共通的に心がけるべき点、例えば代替物質の導入でございますとか排出抑制、回収設備の導入といったようなことを定めておるわけでございます。それを受けまして各事業所管大臣による指導、助言が行われるわけでございます。
 通産省におきましては、関係業界の代表者を一堂に集めまして毎年七月に通商産業大臣からオゾン層保護対策についての各業界における推進の要請を直接各業界のトップに対して行って、それが各業界のそれぞれの企業あるいはそれぞれの現場に周知徹底するようにということを期しておるわけでございます。
 また、毎年七月をオゾン層保護対策推進月間ということにいたしまして、各種の広報活動、政府広報でございますとかあるいは各通産局単位でオゾン層保護対策につきましての推進の講習会を開催するといったようなこと、さらに民間で組織されておりますオゾン層保護対策産業協議会がポスターを作製し、あるいは各業界団体、個別企業単位におきまして各種の啓発普及活動を行うということにいたしておるわけでございます。
 さて、具体的なフロンの削減対策でございますけれども、これにつきましては、基本的に、短期的には節約を進めて少しでもその消費数量を減らしていくという努力が肝要であるかと考えておりますけれども、長期的には、特に今回規制強化によりまして二〇〇〇年の全廃、あるいはトリクロロエタンにつきましては二〇〇五年の全廃ということが決定されたわけでございますので、それぞれの使用分野ごとに代替品の開発普及を進めまして、代替品の方に乗りかえていくという努力が必要になろうかというふうに考えております。
 そうした産業界におきます規制物質の削減の努力あるいは全廃の努力ということを支援いたしますために、通産省といたしましても税制あるいは金融上の支援措置を講じておりまして、これまではフロンにつきましてはその回収・再利用装置につきましてそういった措置を講じておりましたけれども、今般規制強化に対応いたしまして、トリクロロエタンについての同様の装置あるいは脱フロン、脱トリクロロエタンについての装置につきましても金融上の措置を新たに講じるということにいたしておるわけでございます。
#236
○中西珠子君 モントリオール改正議定書が国内において効果的に実施されますように一層の御努力をお願いいたします。
 七月がオゾン層保護対策月間だそうですけれども、月間だけは一生懸命行政もやるけれども、その後は知らないというふうな月間が多いわけでございますので、この点は七月だけではなく常時御努力していただきたいと思います。これまでの御努力に対しては大いに多といたしております。
#237
○説明員(小島直樹君) 先ほど申し忘れましたので一言補足させていただきます。
 こうした官民挙げての努力の成果であるというふうに私ども自負しておるわけでございますけれども、規制が始まります前の昭和六十三年におきまして特定フロンの生産量、消費量はそれぞれ十四万八千トン、十四万七千トン、これはオゾン破壊係数で換算をした後の値でございますが、という値であったものが、規制が始まりました一昨年の七月からの一年間、平成元フロン年度と申しておりますが、この一年間におきましてはそれぞれ生産量十一万九千トン、消費量十一万トンと、減少の割合といたしまして生産量につきましては約二割、消費量につきましては二割五分の減少という非常に高い成果を上げているというふうに考えておるわけでございまして、一言つけ加えさせていただきます。
#238
○中西珠子君 非常に官民挙げての運動が実りましてよい成績をお上げになっているということを聞きまして大変心強く思いますが、今は二割だそうですが、これをもっと削減ということで大いに努力していただきたいと思います。
 モントリオールの議定書改定につきましてはそれだけにいたしまして、在外公館の問題でございますが、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきましては、マイア
ミもストラスブールも総領事館をつくることは前から必要だと思っておりましたので、賛成でございます。
 それから、在外公館に勤務している職員の方の在勤基本手当基準額の引き上げ、これも賛成でございます。もう本当に定員が限られている。少ない定員の中で、そして少ないスタッフの中で在外公館で働いていらっしゃる方々の御苦労は大変なものだと思いますので、在勤基本手当の基準額はもっと引き上げてもいいのではないかと考えておりますから、大いに要求してください。
 私は、湾岸危機と湾岸戦争というものでこの在外公館の何というか、脆弱性というか、危機管理の非常に不十分な点というものが露呈されたという気がしているんです。それともう一つ、情報収集、これは先ほど同僚議員の方々からいろいろ御指摘もありましたけれども、情報収集がやはり非常におくれがちだ、また人も足らないから能力が十分にないのではないか、それから機器、どうしても重要なる情報伝達の機器というものをもっともっと備えていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。これからどのような問題が起きてくるかということはもちろん予測不可能ではございますけれども、地域紛争がどんどん起きてくるだろうというふうな予測も一方でされておりますし、いろいろな面で危機というものがいつ起きてくるかわからない。そういった危機に対応する体制というものをもう少し強化していただきたいものだと思うんです。
 例えば電気なんかでも、自家発電機がちゃんと備わっていないと電気は来なくなるということになりますね。だから、例えば在外公館全部に自家発電機が果たしてあるのかどうかとか、けさほどもファクスがあるかどうかというふうなお話とかいろんなお話がありましたけれども、そういったどうしても危機に対応しなきゃならない、また情報も早く集めなきゃならないというこういう国際情勢下にあって、もう少し在外公館の体制の強化というものが必要なのではないかと思うのでございますが、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#239
○国務大臣(中山太郎君) 外交情報の情報処理のスピードを上げていく、また在外公館におきますいかなる場合にも対応できるような自家発電の能力あるいは通信システム、こういうものを完備するということは極めて重要でございまして、イラクに駐在しております片倉大使が先般帰ってまいりました際にもそのようなお話がございました。
 政府といたしましては、早急に在外公館の整備に努めたい、このように考えております。
#240
○中西珠子君 ぜひ早くそれをやっていただきたいと思います。予算はどうぞ要求してくださいませ。
 あと一つだけ。
 昨日の予算委員会におきましても中山外務大臣は、国連憲章の中の敵国条項を削除するためにアメリカに行ってブッシュ大統領にお会いになって協力方を御依頼になったということもおっしゃいましたし、その前はどのようなことをするということはおっしゃいませんでしたけれども、三月十九日のやはり予算委員会で、国連憲章の中の敵国条項を削除したい、そのために努力するということをおっしゃったわけでございますが、アメリカの方の対応はいかがでございましたか。協力すると申しましたか。
 アメリカばかりでなく、そのほかの国々に対してもいろいろやはりこれは交渉をやらなきゃならない。国連の事務局自体に対してもやらなきゃならないと思うわけでございますが、どのような具体的な手段でこれを実現するように御努力をなさるおつもりでいらっしゃいますか。外交の機密に属しないというお考えの程度におきましてお漏らし願えれば幸いと思います。
#241
○国務大臣(中山太郎君) かねて日本政府の願望でございます国連憲章の旧敵国条項の廃止、このための憲章の改正ということは、先般私が訪米いたしましたときのベーカー国務長官との会談の際に、日本政府として旧敵国条項を廃止するようにアメリカ側が協力することを求めた次第でございます。これに対しましてベーカー国務長官から、アメリカ政府としてはこの旧敵国条項の廃止に協力をするというお話をいただいて帰ってまいりました。
 そういうことで、委員も御存じのように、国連の加盟国の中でP5の国、このP5の国が今後いかにこれに対して了承するかということが極めて重要なポイントになってまいります。そういうことで、これからも他の中国、ソ連、それからイギリス、フランスといった国に同様の協力申し入れ、これをいたさなければならないと考えておりますが、さしあたり今週末に来られるソ連の外相に対しても外相会談のときにこれを申したいと考えております。
 なお、昨日国連の事務次長のスパイヤーズ氏が日本を訪問されまして、私もお目にかかる機会がございましたけれども、この事務次長に対しても日本は旧敵国条項の廃止に積極的に行動したい、協力をお願いするということを申しておりまして、全力を挙げて努力をしてまいりたいと考えております。
#242
○中西珠子君 大いに頑張って実現していただきたいと思います。
 私、時間が参りましたので、まだ国連関係でたくさん御質問したいことがありますが、予算委員会に譲ります。どうもありがとうございました。
    ─────────────
#243
○委員長(岡野裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、中村鋭一君が委員を辞任され、その補欠として山田耕三郎君が選任されました。
    ─────────────
#244
○立木洋君 協定の質問をする前にちょっと二点ほどお聞きしたいんですが、一つは日ソ領土問題です。
 これはもちろんベススメルトヌイフ外相が来日される前ですし、またゴルバチョフ大統領も来られることを直前にしてですから、なかなかお答えにくいということはわかりますが、可能な範囲でお答えいただければということで、最初に私の方から考えている幾つかの問題点を述べますので、それについて兵藤さんの方から具体的にこの点はこうだということを答えられる範囲内で答えていただいて、その後外相の方から御意見をいただければと思います。
 確かに、戦後幾つかの時期、日ソ領土問題を解決するという幾つかの過程を経てきましたが、今日一つの重要な時期に来ているということは、これはだれが見ても明確な時期だろうと思うんです。しかし、例えば今ゴルバチョフ大統領が来日して領土問題が順調に何事もなくすうっと解決していくなどというふうなことは、なかなかそうは言えないというもう一面も見てほしいわけです。
 これは、エリツィン共和国議長が述べている発言は先刻御承知でしょうし、またソ連の国内における領土問題に対する世論調査がどういう結果になっているかということも御承知だろうと思うんです。大変な状態の中にゴルバチョフ大統領がいて、そういう中でやはり問題を何とかしなければならないという考えはないわけではなくて、考えを持ちながら来日する。非常に単純ではない。だから、先ほど同僚議員も言いましたけれども、何らかのムードだとか腹芸だとか、ましてや何かを積めばなどというふうな考え方だと大変なことになる。そうではなくて、今の状況の中でやはりこれまでの二国間の置かれてきた関係、これは領土問題でどうだったのかということの事実をきちっと踏まえながら、国際法上もあるいは国際的な公理、道理も持って堂々と積極的に交渉するということが私は基本だろうと思う。そういう点では、今までの経過等々に日本側としてもとらわれることなく、やっぱり考えるべきところは考え、決断すべきところは決断するということが私は必要だろうと思う。
 私たちの考えからいえば、全千島の返還ということを日本共産党は言っているわけですから、これをどうこうせいということを言うわけではござ
いませんが、先ほどの四島一括という問題に対する考え方についても、例えば時期的に二島の返還が先になるということがあっても、後から領土がすべて解決したんだということにはならない明確な確約があるならば、平和条約は最終的に領土問題が解決した時期に結ぶということがあって、二島が時期的に先に返ってくるということがあっても結構だし、当然あってもいいことだろう。
 経過的に言えば、歯舞、色丹というのは北海道の一部だということもはっきりしてますし、これはもともといかなる意味でも外国の領土になったことはないんです。サンフランシスコ条約での千島問題ということが大変議論になっていますけれども、それには全くかかわりのないもともとの日本の領土ですから、これはもう明確に、あの当時からアメリカのダレスさんだってあの二島については千島ではないということははっきりされているわけですから、そういう国際的な公理、道理、国際法上の問題も踏まえて決断すべきは決断すべきだということを考えるべきではないかという点が一つです。ですから、結局は確実なものにする。重要な時期であったけれども、後になって考えるとちょっとかたくな過ぎたかなというふうなことにならない側面も必要だろうと思うんです。
 それから、ましてや経済的な協力というのは、私たちも日ソ両国間で対等平等、そしてお互いの互恵になる経済協力関係というのはやっぱり進めていかなければならない。しかし、この主権の問題がいわゆる経済と変な絡みを持つなどというようなことになると、これは先ほど兵藤さんが言われたように、日本民族にとっての憂うべき問題でもあるわけですから、そんなことで国際的に後ろ指を指されることがあっては絶対ならない。これは明確にしないといけない。そういう原則上の幾つかの問題があるだろうと思うんです。
 ですから、私はそういうことをきちっと踏まえた上でやっぱり筋を通す、述べるべきことは述べるということで、単純に考えないで、国際法上や国際公理を考えて、両国間の関係もきちっと事実を踏まえながら道理を尽くして解決する。その点では、二島の問題についてにしろ、領土全体のかかわりについての平和条約を結ぶ時期の問題にしろ、多少のずれがあってもそれを確実なものにするならば、私は道理から外れたことにはならないだろうと思う。
 だから、一括という意味合いですね、先ほどもちょっと述べられましたけれども。それと経済とのかかわり合い、それから本当の意味でどういう基本的な考え方で取り組むのかという問題点等について、兵藤さんの方から先に具体的な点でお答えいただける点があれば答えていただいて、その後私の考え方について外務大臣の御所見をお聞きしたい。
#245
○政府委員(兵藤長雄君) ただいま立木委員のいろいろなお考えを注意深く承ったわけでございますが、先生のおっしゃる道理、公理、筋を通せという点でございますけれども、まさにその点に関しましては私どもソ連政府と長年折衝してきたわけでございます。また、最近では平和条約作業グループの中におきまして、一昔前では考えられなかったような領土問題の法律的な側面、それから歴史的な側面につきまして、いわば各論にわたってここでこそまさにどちらが正しい主張であるかという論戦を闘わしてきているわけでございます。まさにそういう意味では平和条約作業グループがそういう場になっておるというふうに御報告を申し上げてよろしいかと思うわけでございますし、私どもはそういう今までの方針で一貫してこれからも領土交渉に当たってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 それからもう一つ、第二番目の点でございますけれども、私どもが四島一括返還と言っております趣旨は、先ほど御説明いたしましたとおり、歯舞群島、色丹島につきましては共同宣言で既にソ連政府が日本に引き渡すことを約束いたしておるという意味で、残る問題は国後島、択捉島の二島の主権の問題である。これについて最終的な英断を求めるということ、この英断が得られれば、歯舞群島、色丹島と一緒に四島一括して返還をしていただくという意味でございますが、先ほど申し上げましたように、私どもは、もしこの四つの島の主権の問題についてソ連側が明確に決断をするということであれば、その後は知恵を働かす余地がいろいろ出てくるであろうということを申し上げているわけでございます。そしてまた、今の段階では交渉の中身に立ち至りますのでそれ以上具体的なことにわたるのはお許しをいただきたいと思うわけでございます。
 ただ一点、いわゆる歯舞群島、色丹島は日ソ平和条約で返還が約束されているのであるから、これを先に返してもらってあとは継続審議だという御意見があるわけでございますけれども、私どもはあくまでも国後島、択捉島の二島の帰属が現在の争点である、あくまでも四つそろって主権の問題をはっきりしてもらうという四島一括の態度は崩すわけにはまいらないというふうに考えておるわけでございます。
 経済とのかかわり合いにつきましては、私どもは、先ほど申し上げましたごとく、本当の意味で日ソ間での安定した政治的な基礎がなければ全面的な経済協力に進むわけにはいかない、これは現実的な問題としてそれは不可能である、そのためにはやはり平和条約ができなければならないであろうという認識、これは現時点でも変えるわけにはまいらないだろう、その認識に従って今後も交渉は続けていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
#246
○国務大臣(中山太郎君) 今欧亜局長からお答え申し上げたことと私の考えと全く一つでございますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
#247
○立木洋君 この問題については、今後また時間があって議論することが可能だろうと思いますので、事態の進行に応じて議論をさせていただきたいと思います。きょうはこの問題はこれだけにしておきます。
 二つ目の問題としては、この間大臣がアメリカに行かれたときの問題ですが、ブッシュ大統領と会談され、またベーカー国務長官とも会談された席で、幕張メッセで開かれた食品展で米国産の米を展示し、これを撤去されたという問題について、大統領もベーカーさんも非常に残念だと強い不満の意を表明された。
 まずお聞きしたいのは、それに対して大臣はどういうふうなお答え方をしたんでしょうか。その答えられた内容をちょっと正確にお願いしたいんです。
#248
○国務大臣(中山太郎君) これは、幕張メッセの問題と農産物の自由化の問題は本質的に全然違う、この農産物等の問題はガット・ウルグアイ・ラウンドで解決をするべき問題であると考えております。
#249
○立木洋君 結局問題は、そのような答弁、回答によって事態は解決されていないんです。
 私は、いつも大臣が言われるように、述べるべきことはきちっと述べるというふうに大臣いつもおっしゃっておるわけで、ブッシュ大統領からその問題が出されたときに、だから後で記者会見でお述べになるよりも面と会ったときに、いや実は日本の食管法ではこうなっているんだ、実は日本では法的にこうなんだから、そこのところをひとつブッシュさんも、あなたはそう言われるけれども理解してほしいということをきちっと言うべきだった。それから同時に、米の自由化の問題については日本の国会の決議としてはこうなっているということをその場で言われた方がよかったと思う。言われないから後々尾を引くような状態になったんじゃないかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
#250
○国務大臣(中山太郎君) この問題はニューヨーク・タイムズに出ました報道がもとで非常にセンセーショナルな状況を呈していると思いますが、私は事実を、これからもそうでございますけれども、アメリカ側に理路整然と説明していくということによって日米間の誤解は解けるというふうに考えております。
#251
○立木洋君 なぜそういうことをくどくど言うかといいますと、結局新聞で幾つかの報道を見ていますと、既に食糧庁の方からもこの問題については、アメリカ側に対してもアメリカの米協議会に対してもあるいは在日米大使館に対してもきちっと文書でも口頭でも回答しているし述べてある。しかし、それでもなおかつはっきりしないというふうな状態になっている。ですから、ブッシュさんに会ったときに大臣がそのことを筋を通してきちっと述べておいたならば、私はこういう事態にはならなかったと思うんですね。
 きょうのお昼のニュースで見ていますと、マディガン米農務長官がこの問題について、展示会から米国産の米の撤去を行ったということについて、これはアメリカの農民に対する悔辱である、こういうことまで言っているんですね。
 まず、この発言についての御認識からお聞きしましょうか。
#252
○国務大臣(中山太郎君) この幕張メッセにおける食品の展示に関する展示者の守るべき誓約書というものがございましたから、その誓約書どおり履行しておれば問題はなかったわけであります。その誓約書に署名しながら実際はその誓約書のとおりやらなかったというところが一番の問題点である、私はそのように認識をいたしております。
#253
○立木洋君 アメリカの米協議会と日本の団体との間できちっとこの展示会の問題については了解がついているわけですね。そのことを農水省の方も確認しているわけです。そういう状況の中でありながら、マディガン米農務長官というのはこういうふうな発言の仕方をする。そういう意味からいっても、大臣がブッシュ大統領と会われたときにこのことをきちっと述べられていた方が問題はこういうふうな事態にならないで済んだろうと思うんです。
 私がこんなことを言うのはあれですけれども、外交のチャンス、その時期というのがあるもので、ですから今後この問題についてはきちっと日本の立場を明確にして、アメリカ側のそういう誤解に基づくのか何かは別としても、日本に対してさらに圧力を加えて米の自由化等々について押し切ろうとするような形にならないように、やはり国会の決議に基づいてきちっと対処して問題を解決されていくように努力していただきたいということを強く要望しておきたいのですが、その点についての大臣の発言を求めておきたいと思います。
#254
○国務大臣(中山太郎君) この日本の農産物の自由化問題、これは我が国にとって極めて重要な問題でございまして、国会の決議の趣旨を尊重しながら今後とも引き続きガット・ウルグアイ・ラウンドで交渉してまいりたい、このように考えております。
#255
○立木洋君 この問題については今後また引き続いてお尋ねすることがあるかもしれませんが、ではきょうの協定の問題についてお尋ねをします。
 欧州復興開発銀行の協定についてですが、この「目的」の中で、読み上げるまでもなく明確なんですが、「複数政党制民主主義、多元主義及び市場経済の諸原則を誓約しかつ適用している中欧及び東欧の各国における開放された市場指向型経済への移行並びに民間及び企業家の自発的活動を促進することを目的とする。」というふうに第一条ではなっております。今度は第八条の「業務」のところの第三項を見ますと、「加盟国が第一条の規定と合致しない政策を実施しているおそれがある場合又は例外的な場合には、理事会は、加盟国による銀行の財源の利用を停止し又はその利用につきその他の変更を行うべきであるかないかを検討しなければならず、また、その検討に従い総務会に勧告することができる。」云々、こういうふうになっているわけですが、この八条三項の規定はどういうふうに解釈すべきでしょうか。
#256
○政府委員(野村一成君) そもそもこの欧州復興開発銀行の設立の経緯でございますけれども、先生お読みにならなかった部分にやはり前文がございまして、ここで「中欧及び東欧の諸国が、複数政党制民主主義を現実に実施することを推進し、民主主義的な諸制度、法の支配及び人権の尊重を強化する意図を有すること並びに市場指向型経済に向かって発展するために改革を実施する意思を有することを歓迎し、」との趣旨が明記されておるわけでございまして、そもそも中欧それから東欧諸国がみずからの意思で決定し追求しております経済的とかあるいは政治的な改革を支援することを目的としてできたものでございます。
 そういうことから、先ほど読みました八条の三は、目的は一条でございますけれども、そういった趣旨、内容はその銀行の目的と裏腹の関係にある、そういうふうに理解しております。したがいまして、第一条それから第八条の三というのは直接関連があるということでございます。
#257
○立木洋君 明確にお述べにならなかったんですが、この八条三項というのはやっぱり一つの規制条項だと思うんですね。
 これはどういうことかといいますと、第一条の「目的」の中に述べられておるようなこと、例えば複数政党制民主主義だとかというようなことについて言えば、私たちだって反対じゃないんです。賛成なんです。問題は、国が自分たちの体制、制度をどういう選択をするかというのはその国の主権なんです。その国が選ぶべきことなんです。その国が選ぶべきことで、それで協力できる場合には協力する。例えば経済援助をするだとか、これはもうお互いに、今東ヨーロッパが経済的な協力を求めているのに対して協力しようということについては私たちは全く反対じゃないんです。いいことだと思うんです、協力し合うことは。問題なのは、協定にどうこれを書くかという問題なんです。ここに書かれてあるような、つまりその国の国民が選択すべき体制、制度にかかわる問題が協定に規定されている、それと異なる場合にはそれに規制を設けるということを銀行業務として協定に規定したということは、これは別の意味なんです。単なる経済援助という意味じゃないんです。
 そこでお尋ねしたいのは、世界銀行協定だとかIMF協定だとかあるいは国際復興開発銀行に関する協定だとかの中に、こういうその国の国民が選ぶべき制度や体制にかかわる問題を掲げてそれを規制するような条項がありますか。ないんです。いいですね、ないんです。ないのはなぜなんですか、今までの銀行の協定に全くそういう規定がないのは。なぜそういう規定が今まではなかったんですか。
#258
○政府委員(野村一成君) 先ほど来の議論で出ておりますように、今回のこの欧州復興開発銀行の方がむしろ特殊な関係にあるんだと思います。
 欧州における東西関係の大きな変動を背景としまして、中欧、東欧の諸国が先ほど申しました政治的なあるいは経済的な改革を指向している、そういう状況のもとで新たに銀行を設立しようということでございますので、そういう特殊性にかんがみましてグローバルなIMFとか世界銀行の協定とはおのずと違った規定ぶりになっている、そういうふうに理解しております。
#259
○立木洋君 今までの世界的な銀行の業務やそういう協定のあり方というものにこういうことを全く規定していないというのは、やはりそれぞれの国がどういうふうな方向に政治的な体制を選択するかというようなことにかかわってはならないと。国際復興開発銀行の内容、この協定の内容を見てみますと、「加盟国の政治問題に関与してはならず、」ということがはっきり書いてあるわけです。それからまた、そこにおける決定が「加盟国の政治的性格に影響されてはならない。」ということも書いてあるわけです。つまり、そういう政治的な影響を与えるだとか政治的な規制を加えるだとかというふうなことを国際的な協力、経済的な協力関係の中でしない方がいいんだということはもう明確にされてきているんです。
 今度の場合は、あなたはこれが特殊だと言ったけれども、東ヨーロッパはこういう経済協力を求めている。しかし、その国が選ぶべき体制や制度の問題について目的に掲げることなく、そういうことに反するようなことに対する政治的な規制を
掲げることがなかったならば、これは今までの協定の内容と変わりなくなるわけですから、私たちも何も反対する必要はなくなるんです。
 その国の国民のみが選ぶべき制度や体制、この主権はいかなる意味でも他の国と分かち合うことができない固有の権利なんです。この固有の権利に協定の中で一定の枠をはめて、それからはみ出したら政治的な規制を加えるというふうなことを行うということはまさに不当なあり方だと思うんですよ、経済の関係のあり方の中で。その点どうですか。
#260
○政府委員(野村一成君) 今回の欧州復興開発銀行は、先ほども冒頭に述べましたけれども、中欧及び東欧諸国がみずからの国家意思で推進しております政治的あるいは経済的な改革を側面から支援するというものでございまして、これらの東欧あるいは中欧諸国の意思に反しまして先生御指摘の政治的あるいは経済的な改革あるいは体制、それの実施を押しつける、義務づける、そういうものではないわけでございます。
 したがいまして、その辺の理解と申しますか、ちょっと私、異にしているというふうに思います。
#261
○立木洋君 みずからの意思でとあなたおっしゃいますが、今置かれている状況の中では経済援助を求めたいという点があるからそういう方向で進むということになっていることはわかります。しかし、この問題は、その国が今後進んでいく場合にどういうふうに選択するかという問題については、その国の国民の当然の固有の権利なんです。それがこれで結局枠がはめられるという問題になると別の問題が生じる。
 だから、私は何も社会主義の国だ資本主義の国だといって体制を云々しているんじゃないんです。開発途上国に対しても、相手の国が今同意したからといってその枠内でしかいかぬと、あなた方が国民の選ぶべき権利を束縛するような政治的な規制を行うというふうなことがほかの銀行の協定の中にも出されたならば、これは大変な問題になるわけです。そういうことは今まで国際的には行われていないんです、銀行の協定の中では。
 そこで、大蔵省に来ていただいていると思うんですが、もともと銀行のあり方として、政治的に関与する、業務によって政治的な影響を与えるというふうなことが国際的な常識として当然のことなのかどうなのか。そういうことは私はあり得るべきではないという考えなんですが、どうですか。
#262
○説明員(宮村智君) まず最初に、ちょっと世銀とかアジ銀等の協定の立法経緯を。特に当たったわけではございませんで、私の推測ではございますけれども。
 世界銀行とかアジア開発銀行等のこれまでのいわゆる国際開発金融機関というのは、その目的は、まさに貧困にあえいでいる人々を救う、その人々の生活水準を向上させるためにその人たちが住んでいる開発途上国の経済発展を支援する、そういう目的を持っておるわけでございます。こういう目的はやはり政治体制のいかんにかかわらず必要である。言葉をかえて言いますと、よく言われる言葉でベーシック・ヒューマン・ニーズといいましょうか、基本的な最低限度の生活を満たすための援助というのは貧困層が住んでいる国の政治体制いかんにかかわらずやるべきではないかということで、これは私の推測でございますけれども、政治的中立性の原則が設けられたのかなと思います。
 しかしながら、今回設立される予定の欧州復興開発銀行につきましては、先ほど外務省からも答弁がありましたように、中・東欧諸国がまさに複数政党制とか民主主義とか法の支配とか市場指向型経済の改革等を実施する意思を有している。今度加盟国になるべき締約国がこれを歓迎して、これらの諸国の復興及び開発を支援するために設立するという経緯がございます。この経緯から見れば、先ほど外務省から御答弁もありましたように、中・東欧諸国は特に自分の意思でこういう運動に入るわけでございまして、こういう体制を選んでいるわけでございまして、欧州復興開発銀行が民主化及び市場経済化を進めている中・東欧諸国への支援を行っていくということは特に問題がないのではなかろうかというふうに思います。
#263
○立木洋君 大蔵省が私の述べた考え方に同意をして外務省の見解に反対するような見解を述べるとは私は思いませんけれども、なぜこれを重視するかといいますと、その国が決めるべき政治的な体制や制度、これはその国の国民以外に選ぶべき権利はないんです。全くその国の主権なんです。この問題は、今までの世界的な銀行の協定の中で、世界的な経済のあり方の中で、その国の制度をどう選ぶべきかという問題に対して規制を加えるような、そういう銀行業務のあり方というのはなかったわけです。あってはならないことです。
 今ここで政治改革を求めているということで、そういう意思を表明し、そのみずからの意思に対する協力ということになっているから問題がないんだというけれども、それであるならば、政治的な体制をここで書いてそれに反するならば規制を加えるというふうな文言を除いたらいいんですよ。それでなければ、その国が選ぶべき政治的な体制あるいは制度、これについてはその国の固有の権利である、これはもちろん当然保障されるべきであるというふうなことがこの文言の中に入っていたらいいですよ。今までの世界銀行、国際的な経済のあり方の中で全く類例を見ない、その国の主権、国民が選ぶべき唯一の権利をこういう形で規制する、これは初めてのことなんです。これがいろいろな形で今後国際経済上に、つまり銀行の業務によってその国の政治制度に影響を与えるというようなことが、国際的な多国間の協定でこういう問題が出てくるということになれば大変なことになる。
 これは社会主義だから資本主義だからというんじゃない。どんな場合でも民族の主権というのは尊重しないといけない。その主権を何らかの形でじゅうりんする、そういうふうな形が生じる可能性がこの中にはあるんです。これは国際経済のあり方の問題として私は深刻に考えるべきだと思う。東のヨーロッパの国が望んでいるからお金を援助するというんだったら、そういう内容で援助すればいいんですよ。その国の制度、体制の問題にかかわりなく固有の主権、権利があるんだということを明記したらいいんです。
 こういう条約、協定のつくり方というのは今後国際的な経済、銀行業務のあり方の問題としては非常に重大な問題を含んでいる。これは国連憲章の内容からいっても民族自決権に抵触する内容ですから、これについては賛成できないということだけを私ははっきり述べておきたいと思うんです。
 最後に、その点について何か大臣に御所見があれば。あとはもう大臣の御所見だけで結構です。私の言うことに賛成できないならできないで結構ですし、考えてみる点があるならあるで結構ですし、何らかの御所見があれば。
#264
○政府委員(野村一成君) 国連憲章との関係のことだけ私の方から一言述べさせていただきます。
 今先生、国連憲章でうたわれております自決の原則等に反するのではないかという御指摘がございましたけれども、国連憲章で掲げております原則等は、国家が国際的な合意をみずから進んで締結するということまでも妨げているものではないと私どもは思っておりますので、やはり国家が確固たる自己の意思で国際的な合意、条約を締結するというのは確立された一般原則であるというふうに私どもは理解しております。
#265
○国務大臣(中山太郎君) 今委員からいろいろとお話がございましたが、委員のお説も委員なりのお話でございましょうけれども、政府としては少し委員との立場が違いますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#266
○立木洋君 最後に一言だけ。
 もう時間がないので、これはお尋ねではありませんけれども述べておきたい点は、この間の湾岸問題だって大変な問題なんですね。イラクがク
ウェートに大変残虐なことを行って一国を丸ごと侵略し併合する、これはもう国際的に絶対に許してはならないことなんです。だから、こういう形で解決できたということは、これは歓迎できることなんです。その国の民族の主権というのはどういうことがあろうともやっぱり確固として守るということが国際的にも重要なんです。
 だから、そういう見地から見るならば、今どういう状況があるかということがありながらも、どういう場合であれその国の民族、国が選ぶべき制度や体制という主権についてはあくまで尊重する、こういうことをこれからも外交的には貫いていくことが日本としても非常に重要だということをこの問題とあわせて強調させておいていただきたい。
 終わります。
#267
○委員長(岡野裕君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#268
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認めます。
    ─────────────
#269
○委員長(岡野裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、猪木寛至君が委員を辞任され、その補欠として橋本孝一郎君が選任されました。
    ─────────────
#270
○委員長(岡野裕君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#271
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、欧州復興開発銀行を設立する協定に対する反対討論を行います。
 東欧諸国にとって経済的再建は急務となっており、国際的に支援することが必要であることは言うまでもありません。しかし、本協定は、複数政党制、多元主義及び市場経済の諸原則の促進を目的とし、加盟国が第一条の規定と合致しない政策を実施するおそれがある場合は、銀行の金融的経済的支援業務を停止あるいは変更を検討し決定するという規定があるような国際協定は初めてのものであり、他国の主権に政治的な規制を加えるというものになっているものであって、民族の自決権を諸国間の友好関係を発展させる基礎だと明記した国連憲章に抵触することが反対理由の第一であります。
 第二は、国際金融機関はいかなる場合も内政干渉の道具となってはならないからであります。世界銀行やIMFなど他の国際金融協定にはこうした規定がないのは当然のことであり、この点でも本協定は重大な問題があります。
 以上をもって反対討論を終わります。
#272
○委員長(岡野裕君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#273
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、欧州復興開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#274
○委員長(岡野裕君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#275
○委員長(岡野裕君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、在外交館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#276
○委員長(岡野裕君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、以上三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#277
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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