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#1
第120回国会 外務委員会 第7号
平成三年四月二十五日(木曜日)
   午後三時二十一分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡野  裕君
    理 事
                岡部 三郎君
                山岡 賢次君
                松前 達郎君
                中村 鋭一君
    委 員
                大鷹 淑子君
                久世 公堯君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                宮澤  弘君
                清水 澄子君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                黒柳  明君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
   政府委員
       外務大臣官房審
       議官       野村 一成君
       外務大臣官房審
       議官       竹中 繁雄君
       外務大臣官房文
       化交流部長    小倉 和夫君
       外務省中南米局
       長        瀬木 博基君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    渡辺  允君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部薬物対策課
       長        鎌原 俊二君
       防衛庁防衛局防
       衛課長      藤島 正之君
       法務省刑事局青
       少年課長     古田 佑紀君
       外務大臣官房審
       議官       橋本  宏君
       外務大臣官房審
       議官       河村 武和君
       大蔵省関税局監
       視課長      本村 芳行君
       大蔵省銀行局金
       融取引管理官   三浦 弘美君
       厚生省薬務局麻
       薬課長      齋藤  勲君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等の譲渡に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(岡野裕君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等の譲渡に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件、両件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中山外務大臣。
#3
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議題となりました故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等の譲渡に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、日本国と大韓民国との間の友好関係及び諸分野における協力関係の発展に資するため、故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等の譲渡に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定を締結することにつき、大韓民国政府との間で交渉を行った結果、平成三年四月十五日に東京において、我が方本大臣と先方呉在煕特命全権大使との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定の主な内容といたしまして、まず我が国政府は、故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等をこの協定の効力発生後六カ月以内に大韓民国政府に対して対価なしに譲渡することとしております。また、大韓民国政府は、譲渡される服飾等が両国間の友好関係及び諸分野における協力関係の発展に資することとなるよう適切な措置をとることとされております。
 平成元年四月にソウルで逝去された故李方子女史に由来する服飾、装身具等で東京国立博物館に保管されているもの二百二十七点がこの協定の対象となっております。この協定の締結によりこれらの服飾等が大韓民国政府に対して譲渡されますことは、両国間の友好関係のみならず、諸分野における協力関係の発展に資することとなることが期待されます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、昭和六十三年十二月二十日に国連加盟国等の参加によりウィーンで開催された条約採択会議にて作成されたものであります。
 この条約は、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止及び処罰のための国際協力を促進することを目的としており、麻薬及び向精神薬の不正取引の処罰、不正取引による収益等の没収、犯罪人引き渡し等について国際的な枠組みを定めております。
 我が国がこの条約を締結することは、我が国における麻薬及び向精神薬の不正取引の防止の一層の強化並びに薬物問題についての国際協力の一層の推進の見地から有意義であると認められます。
 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件につきまして、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(岡野裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○堂本暁子君 ただいま議題となりました李方子女史に由来する服飾品等の協定について私はまず質問させていただきます。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 ここに李方子さんがお書きになった自叙伝が二冊ございますけれども、大変に国と国との間の一つの制約と申しますか、抗争の中で生きられた一人の人生かと思います。そして、日本の国としては戦後も方子さんにどれだけ誠意を尽くしてきた
のか、今になって私は改めて思うのでございますけれども、この服飾というだけではなく、それにまつわる思い返せば一世紀近い間の日本と韓国との間のいろいろな出来事、この一つの物が返るというだけではなくて、やはりもっと何か深い意味があるような気がいたしております。
 李王家の御婚儀というのがなされましてから三年後に李王家両殿下への、これは当時の梨本宮の第一王女でいらした方子さんと、そして李王家の二十七代目の王子であられた李垠王子との御婚儀の御報国の儀、覲見式というのが大正十一年、一九二二年に行われております。四月二十三日に李方子さんは初めて日本を立たれてこの儀式に臨まれるわけですが、その儀式に臨まれる前日とそれからその当日との日記の文章がございます。その日記の文章のものが実物かどうかはわかりませんが、今回の協定でお返しすることになったものと大体同じような儀礼の服装かと存じます。
 ちょっとそこのところを読んでみます。
 明日の式服の準備をし、かつらをつけてみる。重いこと、重いこと。一人では頭が動かせないくらい。少し私の頭には小さくて、浮いてしまう。
  着物も日本の礼服五ツ衣の古式服に似た美しい色彩のもの。聞けば、殿下ご幼少時から、父李太王殿下が厳妃殿下と共に、飾り物など中国から取り寄せて準備されしよし。ひとつひとつに御心のこもりし品、ただただありがたく感じる。織物は見本を京都西陣工場に出されて織ってあったよし。花と雉の模様が紺地に織り出されてある。
そして翌二十八日、当日でございますが、その日の日記には、
 すばらしい晴天でした。三年前、あの心ひきしまる婚儀が行なわれた同じこの日に、思い出もあらたに覲見の儀が取り行なわれたのでした。
  殿下は竜袍という緋赤の上衣に金の縫飾りのついたものを召されて、頭には冠を。私は日本の大礼服に相当するてき衣を着て、裳を付け、頭には、飾りものがたくさん付いて、金の後カンザシでとめる独特の大カツラをかぶるのですが、たいへん重いので、女官の背の高いのが、後ろから支えてくれないと、歩けないほどでした。晋もまだ八カ月の赤ん坊ながら、桃色の紗に黒で縁どりした大礼服で、黒紗の頭巾もかわいらしく、侍従に抱かれて式場にのぞみました。
とあります。しかしこの直後、日本へ帰られる前夜に御長男であった晋王子は突然亡くなります。
 またさらに、その日記と申しますか記録によりますと、方子さんはこう述べておられます。
 何も罪もないのに、日本人の血がまじっているというただそのことのために、非業の死を遂げねばならなかった哀れな子…。もし父王さまが殺されたその仇が、この子の上に向けられたというのなら、なぜ私に向けてはくれなかったのか……。
  冷たいなきがらをかき抱いて、無限の悲しみを泣きもだえたその日の夕方、ひどい雷鳴がとどろいたことを、幾歳月へだてたいまなお耳底に聞くことができます。
このように述べておられるのですが、八カ月で世を去った晋王子の運命に象徴されるように、このお二人は政略結婚と言われた大変宿命多い波乱の一生を送られるわけですけれども、今回韓国にお返しすることになったこれらの衣装と装飾品、こういったものは日本と韓国とのやはり歴史の一つの象徴ではないかというふうに思っております。
 大臣にぜひ、御感想というのもなんでございますけれども、どのようにお感じになっていらっしゃるか伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(中山太郎君) 李方子女史は、日本と朝鮮半島の人たちとの心のつながりというものを考えてこのような国際結婚というか結婚が行われたと私は思っておりますけれども、私が存じ上げている李王殿下というのは、ちょうど私が小学校のころに大阪の第四師団の師団長としてお越しでございました。戦後、李方子女史は日韓の関係で婦人の運動をされておられまして、私の家内も随分おつき合いをさせていただいておりましたが、大変立派な方だったと、最後まで日韓の関係をよくするために尽くされたお方というふうな認識を私は持っております。
#7
○堂本暁子君 李垠王子と申し上げていいのか殿下と申し上げていいのか、二十七代目の皇太子でいらっしゃって、日本と朝鮮を一体化することを実現するために初代の統監であった伊藤博文が李垠殿下わずか十歳のときに日本へ留学という名目でお連れするわけですけれども、必ず夏休みには韓国に帰国させるとお約束をなさったそうですが、実際にはそれから五十六年間韓国にお戻りになることはありませんでした。しかも、日本へ見えたのは一九〇七年の日韓併合の直前でもありましたし、日本では併合という言葉を使ってはいますけれども、これはやはり一つの大きな、侵略という言葉が合うのか、それとも民族の一つの文化、そして領土というものを日本に統合していった歴史の一ページだったというふうに方子さんのことを思います。
 特に私が強くそのことを思いますのは、方子さんも十四歳九カ月で、これは天皇の命による婚約でございました。天皇のおぼしめしということになればと御自分で書いていらっしゃいます。
 そのことばには大磐石の重みがあって、はねのけることも、のがれることもできず、運命とあきらめて、従わなければならないのです。どんな非情さも、ときには無法でさえも、そのことばのもとには、ひれ伏さなければならない時代でした。しかも、すでに天下に正式に発表された以上、心を決めるしかないではありませんか。
これは恐らく覚悟をなさってその場にお臨みになったのだと思いますけれども、同時にそのお相手の李垠さんに対しても、
 またご両親にあまえたいお年ごろに、いわば人質のようなお立場で日本へこられたと聞き、「お気の毒に……」と、宮中なので遠くからお見あげしたこともあったのが、いままた政略的なご結婚を余儀なくされておいでのお心のうちを思うにつけ、殿下も私もおなじ犠牲者なのだ、という親近感のようなものが湧きあがってきました。
というふうに書いていらっしゃいます。
 いわばそういった時代の犠牲であられるのかもしれませんけれども、もう一つ私が伺いたいことは、今回のこの協定の、私たち日本人の方では素直にこういった今大臣がおっしゃったような日韓の間のこれからの友好の大事さということを思いましたら、何か譲渡するという言葉が大変気になるのですけれども、ここは譲渡ではなくて返還するなりなんなりという言葉にすることはできなかったのでしょうか。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
#8
○政府委員(竹中繁雄君) お答えいたします。
 今回、対価なくして譲渡することになりました品々につきましては、主に日本で、日本の高島屋とか西陣とか具体的にはそういうところでございますが、日本でおつくりになったものでございます。そういうことであり、韓国側と種々折衝した結果、今回のような文言になったわけでございます。
#9
○堂本暁子君 日本でおつくりになったと。そこの今プリンスホテルというところが元李王家の御殿になっておりましたけれども、それは確かに日本でつくった建物であるかもしれませんが、やはりこれは李王家に属するものであって、例えば今私が読ませていただいたところにも京都の西陣織に頼んでというような言葉もありますとおりに、世界じゅうどこへ頼もうがやはり頼んだ方にむしろ属するものではないか。何か日本の姿勢が余りにも高圧的なのではないか、この期に及んでまだかという気が私はするのです。
 特に文化、決して韓国だけの問題ではありませんが、ミクロネシアに参りましても、年をとった人が流暢な日本語を話します。私たちの中ではもう話されなくなったような古い日本語と申しましょうか、美しい日本語と申しましょうか、そういった日本語を話します。でも、そういった日本語しか話すことを許さなかった韓国への政策、そして名前も日本名に変えなければならなかった、そういった多くのことがあり、最後に強制連行ということがあるのですけれども、こういったいろいろさまざまな私たち日本の側から行ってきたことに対してどれだけ私たちが贖罪と申しますか、戦争後に反省し、そしてこれからのあり方を考えているか。そのことは何か高島屋に頼んだというような簡単なことではなく、ここにこういう言葉を使うというのは、どうしても今や割に優位にある日本から渡すのだ、渡してあげるのだということがこの二字に込められているような気がして私は大変残念に思います。
 大臣も今、殿下御夫妻とお親しいとおっしゃっていらっしゃいましたが、私も私ごとで大変恐縮ですけれども、祖母がこの方子さんの、今で言う宮内庁の職員ですけれども、御用取扱をして戦争が終わるまでお仕えしておりました。ですから、物心ついたときから李王家というのは大変近うございましたし、戦争後大田区にお住みになったときも、御近所だったこともあってしばしば伺ってお会いしてまいりました。ちょうど戦争で日本の皇族にはいろいろ経済的な手当もありましたけれども、韓国の皇室ということでそれも日本政府はしませんでした。そして、方子さんはずっと、李垠さんがもう意識不明になってからですけれども、ソウルにお帰りになるまで大変苦労して生活なさったと思います。その間そういったものを国立博物館にお預けになっておられたということも今度伺いました。それであればあるほど、もう世を去られた方ですけれども、方子さんの御遺志としては譲渡などという言葉ではなく返還としていただきたかったのではないか。もうこういうことで決まってしまっているのですから仕方がないかもしれませんが、残念な気がいたします。
 そして、ドイツ人はアウフアルバイテンという言葉、これは日本語にも英語にも訳せない言葉だとドイツ人は言いますけれども、やはり百年前までさかのぼって反省をし、現事態を考え、そして先の政策なりなんなりを考える、そういった思考が大変好きだということですけれども、この小さな条約の中に私はそういった日本人が隣の国に対して、一つの家族だけではなく国として行ってきた不幸、そのことに対しての何かもう少し温かみがあればこの二字はなかったのではないかなというような思いも大変多うございます。
 それだけに、これからの日本と韓国というときに、この方子さんはそれ以後大変福祉のお仕事で韓国では有名におなりになって、知らない人は半分もいない、しかし日本では忘れられようとしている方ですが、恐らく日本国がそういった長い歴史の中でやってきたこと、実は私の祖父はやはり総督府におりまして、恐らくそういったことに加担した人でもございましたでしょうけれども、そういった私たちの歴史を国としてどれだけ本気で考えているのかということに思いをいたします。やはりそういった日本の隣の国である韓国との間の歴史の中で不幸な生涯を送った一人の日本の皇族、そして本当に日本と韓国のために生涯をささげたその方のことを思いますと、日本国としてもっと真剣にやっていただきたい。
 今、強制連行の問題にしても何にしても余りにも御答弁いただく一言一言が事務的で、私自身は質問しておりませんけれども、いつも事務的に感じております。この小さな協定書一枚を見てもそのように感じます。何かもっと血の通った韓国とのつき合い方がアジアの国日本としてはとても大事なのではないか、そのように思っております。
 再度大臣に伺って、終わらせていただきたいと思います。
#10
○国務大臣(中山太郎君) 昨年の盧泰愚大統領の訪日までの日韓関係というものは、なるほど両国の指導者の間に何かわだかまりといったものがまだあったと思います。けさも午前八時から日韓外相会談をやってまいりましたけれども、今日の日本と韓国の間は極めて友好的な関係が構築されていると思います。そして、韓国の外相も私に対して非常に友好的にいろんな話をされておりますし、我々も韓国がこれから大きく育っていくことを期待しておりますから、我々は隣国としてできるだけの協力をし合っていく、こういう考え方で外相会談でも臨んでおるということを申し上げておきたいと思います。
#11
○堂本暁子君 一言だけつけ加えさせていただければ、多分政府間の交渉は大臣おっしゃるように大変進んでいると思うのですけれども、やはりもっと在日の韓国の方とかそれから北朝鮮の方たちにしても、ドイツとかイタリーのような敗戦国に比べましても、この戦争のためにまさに方子さんがたどられた宿命、それと同じように大変一人一人が苦しんでいます。やはり日本国には恐らくそこまでアウフアルバイテンする責任があると思いますし、そこからいつも考え出しながら進んでいかなければいけないというふうに私は思っております。
 外交交渉というレベルだけではなくてもっと一人一人の国民、そして強制連行のことにしても、向こうにも家族がおられる。ちょうど私たちはやはりソ連のことで、この間のゴルバチョフ大統領の同情の念というのを大変不満に思いました。それと同じように、朝鮮半島にも大変多くのそういった思いを持っていらっしゃる方がおられるということを一刻も忘れることはできないのではないか。ぜひ政府のお立場としてもそういったお一人お一人のことまできめ細かく今後も御配慮いただきたいということを切にお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。日ソのことは、おいでいただいたのに申しわけございません。
#12
○肥田美代子君 麻薬新条約についてお伺いしたいと思います。
 この条約は、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止及び処罰のための国際的枠組みをつくるものであると認識いたしております。この協定の十一条に新たに麻薬捜査の方法について監視付移転、いわゆるコントロールドデリバリーというのが挿入されておりますけれども、これを説明していただきまして、そのメリットについてもお話ししていただきたいと思います。
#13
○説明員(齋藤勲君) コントロールドデリバリーの具体的実施方法といたしましては、税関等の権限ある当局が商業貨物、郵便物または携帯品の中に麻薬、覚せい剤等が入っているという事実を知りながら通関をさせまして、そのまま、または中身を入れかえて、そして監視のもとに通常の流通ルートに乗せて流しまして、名あて人に到達させた上で事件に関係する人物をすべて検挙する、こういう捜査手法でございます。
#14
○肥田美代子君 このコントロールドデリバリーについて、例えば他の締約国から要請があった場合には必らずその要請に協力する義務があるのですか。
#15
○説明員(河村武和君) 今コントロールドデリバリーの概要について説明がございましたけれども、先生から御指摘ございましたとおり、条約の第十一条で監視付の移転について規定をしております。この十一条の第一項で締約国は「監視付移転の適当な利用ができるように、可能な範囲内で必要な措置をとる」、かつ「相互に合意する協定又は取決めにより」という言葉が入ってございます。まさに「相互に合意する協定又は取決めにより」という言葉からおわかりのとおり、監視付移転の利用というものは締約国間の合意を前提としているということでございます。
 それにつけ加えまして、第二項におきまして「監視付移転を利用することの決定は、個々にその事例に応じて行う」ということを規定しております。まさに条約の締結後も個別に具体的な事例に即して監視付移転を実施するか否かということを決定することができますので、他の締約国から協力要請を受けたといたしましても必らずそれに応じなければならないという義務は条約上存在していないということでございます。
#16
○肥田美代子君 我が国は八ルートの麻薬の中継地点になっていると言われておりますけれども、今後こういうコントロールドデリバリーが要請される事態が多くなると思うのですね。それで、薬物の監視とか追跡の失敗で例えば国内に薬物が散逸した場合が予想されるのですけれども、そういうときの対策をどういうふうにお考えでしょうか。
#17
○説明員(齋藤勲君) 先ほども申し上げましたが、コントロールドデリバリーの実施の方法といたしましては、例えば税関で密輸麻薬が発見された場合に、そのまま通関させまして取締官がその貨物を追跡するという方法と、中身を置きかえまして通関させて追跡する方法、これをクリーンコントロールドデリバリーというふうに言っておりますが、この中身を置きかえる方法、クリーンコントロールドデリバリーによりました場合には、仮に失敗した場合でも薬物の散逸の心配はないものと考えております。
 しかし、中身を置きかえることが困難なケースでどうしてもコントロールドデリバリーを実施する場合におきましては、十分な監視体制がとれる場合のみ行うこととしておりますので、薬物の散逸、被疑者の逃走、こういった問題が生ずることはないものと考えられております。万一そうしたおそれが生じた場合には、その時点でコントロールドデリバリーを中断し、被疑者を検挙するという考えでございます。
#18
○肥田美代子君 次の質問に参らせていただきます。
 高校生を中心に今未成年者の大麻の乱用が急速に広がっているのですけれども、その実態について警視庁の報告も報道されているのですが、過去四年間の摘発数について未成年者に限ってお願いいたします。
#19
○説明員(鎌原俊二君) 大麻事犯につきましては昭和四十年ごろから増加傾向を示しておりまして、昭和五十三年以降は大体毎年千人を超える検挙を見ておりますけれども、過去四年間の少年の検挙人員について申し上げますと、まず昭和六十二年は少年百二十四人を検挙いたしております。昭和六十三年は百三十一人、平成元年は百二十六人、平成二年で百五十七人の少年を検挙しております。今後とも取り締まりの徹底を期してまいりたいと考えております。
#20
○肥田美代子君 この摘発されたのはまさに氷山の一角だという気がするのです。それで、未成年者の大麻の乱用というのはまさに大人社会の乱用と連動しているように思えるわけです。
 特に最近、芸能人が不正使用して新聞紙上をにぎわすケースが多いのですけれども、一例を引かせていただきますと、俳優の勝新太郎がハワイにおいてコカインと大麻の所持容疑で現行犯逮捕されました。この事件について、現在のところどうなっていますでしょうか。
#21
○説明員(鎌原俊二君) 昨年の一月十六日に俳優の勝新太郎がホノルルの税関におきまして大麻九・七五グラムとコカイン一・七五グラムを所持していたということで摘発されまして、連邦の地裁から罰金千ドルの判決があったということは承っております。警察といたしましても、これにつきまして関心を持って所要の情報収集を行っているという実情にございます。
#22
○肥田美代子君 強制退去を命ぜられたということは事実ですか。
#23
○説明員(鎌原俊二君) 現在のところ、日本に帰ってくるということについてはまだ私ども聞いておりません。
#24
○肥田美代子君 そういたしますと、もう一年以上たつのですけれども、日本では強制的にこちらに引き渡し請求ができないわけですか。
#25
○政府委員(野村一成君) アメリカとの間には犯罪人の引き渡し条約があるわけでございます。その条約の対象犯罪に当たるかどうか、該当するかどうかということでございますが、具体的な捜査等、現在の状況でははっきりその点について申し上げることはできないという状況でございます。
#26
○肥田美代子君 今おっしゃったことを繰り返しますと、引き渡し条約でこちらが請求するほどに報告書が参ってないということですか、向こうから。
#27
○説明員(鎌原俊二君) 現在の段階では、引き渡しを求め得るまでの資料はそろっていないという状況であろうと思います。
#28
○肥田美代子君 これは報道にちょっと寄りかかりながらお尋ねするわけですけれども、日本で所持していたというふうにも書かれておりまして、日本で目こぼししたものがアメリカで検挙されたと。そうしますと、どうも芸能関係の人に日本の警察が甘いのじゃないかという感じを持つのです。
 芸能人のこういう犯罪は、大人もそうなのですけれども、特に子供たちの目に随分はっきりと映るわけです。それで、この事件について日本がどういうふうに処理したか、それからどういうふうに考えているかということは子供の心にいろんな影響を与えると思うのです。未成年の麻薬への意識にこれは随分大きく影響していくことじゃないかとも思いますので、このあたりの御見解をちょっとお尋ねしたいと思います。
#29
○説明員(鎌原俊二君) 警察といたしましては、薬物事犯というのは単に乱用者の心身をむしばむというだけではありませんで、社会全体の安全と福祉に対する重大な犯罪であるという認識をいたしておりまして、警察活動の主要な柱として薬物事犯の徹底取り締まりというものを掲げているわけでございます。この取り締まりに当たりましては、被疑者の社会的地位とかそういったものによって左右されることは全くなく、厳正公平に対処していくという方針で臨んでいるところでございます。
#30
○肥田美代子君 麻薬等の不正使用が人類にとって最大の悪であるという意味合いからもこの種の事件について厳正に対処していってほしいと思うのですけれども、麻薬の新条約に加盟しますと、日本人が外国で行った薬物犯罪について的確にその処罰をしたり犯罪人としての引き渡しを求めたりすることができるようになるのですか。
#31
○説明員(古田佑紀君) ただいま委員御指摘の件でございますけれども、今回麻薬新条約を批准するために国内法を御提案申し上げておりますが、その中で、麻薬犯罪につきましては外国で行われた行為であっても日本の法律で処罰することができるというふうにしてございます。したがいまして、今のお尋ねの第一点につきましては、今後国内法が成立いたしますればすべて日本でも処罰が可能になるようになります。
 それから、麻薬新条約に加盟した場合の引き渡しの問題でございますが、麻薬新条約の第六条という規定がございまして、ここに麻薬犯罪につきましては引き渡しの対象犯罪にするということがうたわれております。そこで、今後この条約に加盟いたしました場合には引き渡しを求めることが容易になって、日本で的確な処罰が可能になると考えております。
#32
○肥田美代子君 そうしますと、もう一度お尋ねいたしますけれども、例えば今例を挙げさせていただきました勝新太郎の場合ですけれども、今おっしゃいましたように、犯罪要件が整わないということがあるとおっしゃいましたけれども、向こうで所持をしているということがはっきり今回のことでわかったわけですから、この条約が有効になりますと即引き渡しは可能なのですか。
#33
○説明員(古田佑紀君) 引き渡しにつきましてはいろいろ制限がございます。その一つの制限といたしましては、同じ事実につきまして処罰を受けている場合でございますが、こういうときに別々な国で全く同じ事実について処罰をすることになりますと、その人間にとって二回処罰をされることになるわけでございます。そこで、全く同じ事実につきましてはこれは引き渡しの対象にはしないというのが原則でございます。
 ただ、別な事件がございますれば、それについてはもちろん引き渡しを求めることができるようになるわけでございます。
#34
○肥田美代子君 ちょっとわかりかねるのですけれども、そうしますと、所持で逮捕された人は日本ではもう所持については逮捕することができないということですか。
#35
○説明員(古田佑紀君) 所持と申しましてもいろいろな場面があると思われるわけですけれども、例えばアメリカで所持をしていた事実、これにつきましてアメリカで処罰をしたという場合には、同じアメリカで所持していた事実については日本では、処罰はできますが、引き渡しは求められないということになります。ただ、その所持が例えばほかにまだありまして、アメリカ以外の国、フランスならフランスでまた別に所持をしていた、そういうことになると、そちらの方が見逃されておりますれば、それについては引き渡し請求ができるということになります。
#36
○肥田美代子君 そうしますと、くどいようですけれども、勝新太郎の場合でしたらこの条約ができた段階でどういうふうになるのですか。
#37
○説明員(古田佑紀君) 具体的な事件についてのお話ですので、ちょっと勝新太郎さんのケースの場合どうなるということを申し上げるのは差し控えさせていただきたいのですけれども、一般論といたしまして、アメリカで処罰された、千ドルなら千ドルの罰金を課された事実それ自体については引き渡し請求はできないということになります。ただ、それ以外に何か別な事実があれば、それについては引き渡し請求ができるということになるわけでございます。
#38
○肥田美代子君 日本の薬物汚染は欧米諸国に比べてそれほど深刻でないという認識を持たれているのですけれども、私はちょっとこれは随分違う話だと思うわけです。
 それで、薬物汚染対策は先手必勝ということが原則でございますし、だれの目にも深刻に映り始めてはもう遅いわけです。覚せい剤を使用した少女たちの調査を読んでみますと、一回目の注射では四二%の少女がまた注射をしたいと思い、九回目ではもう九〇%の者がやめられなくなったというのです。そして、その半数の者が四回から九回の注射で幻覚が出始めたと言っています。これは大人に比べて随分早いと思うのですね、幻覚が出ますのが。
 それで私は、外務大臣がドクターであり、とりわけ麻薬問題については御関心が深いと承っておりますし、今回、二月ですが、ESCAP主催のアジア・太平洋地域麻薬対策高級事務レベル会議が開かれまして、ここでいろいろなことが話し合われたと聞いておりますけれども、その内容と、それから今後麻薬問題についてどういうふうに取り組んでいらっしゃる御決意かを伺わせていただきたいと思います。
#39
○国務大臣(中山太郎君) 本年二月に東京においてアジア・太平洋地域の麻薬対策会議が行われました。この会議で東京宣言が採択をされまして、麻薬調整センターを設置するということになったわけでございます。この麻薬調整センターの設置予定の国連国際薬物統制機構及び関係国によって同センターの設置実現のために具体的な検討が現在開始されることになっております。
 私は、去年、本院の下稲葉議員が日本政府を代表して麻薬総会で演説をしていただいたわけでございますが、かねて国会でも申し上げていますように、問題はこの消費国とそれから産出国、二つの関係の中継地点、そして麻薬の原料を耕作している農民の所得、それは一般の耕作物よりも麻薬をつくった方が所得が大きいということでこれをつくっているわけでありまして、日本政府としては、発展途上国の麻薬、特に麻薬耕作者を対象にこの地域の農作物の付加価値を高めるような二国間援助をやっております。また、国内ではこの麻薬の早期発見、また麻薬患者の治療に力を入れている、こういうことでございます。
 私は、もう率直に申し上げて、麻薬というのは人類の敵だという考え方を昔から持っております。その一番残念な姿は、アメリカの社会にも麻薬の常習者が非常に多い、あるいはイギリスにも非常に多い。こういうことを日本で絶対に起こさせるべきではないという考えを持っております。
#40
○肥田美代子君 ありがとうございました。終わります。
#41
○松前達郎君 私も麻薬条約、今度の新しい条約の関係を中心にして質問をさせていただくのですが、この条約は恐らく今国会で承認されるという見通しがついたわけでありますが、これには国内関係法が必ず関連してくるわけですね。これについての国内関係法がおくれているわけですから、その辺の問題、これは国会の問題かもしれませんが、そういったようなこととの関連でこの条約が今国会で承認されても国内関係法というのが成立していないとしますと、政府としてこの条約の批准を行うことができないのではないかというような考え方もあるのですけれども、この点はいかがでしょうか、この批准に関して。まずそれをお伺いしておきたいと思います。
#42
○政府委員(野村一成君) 一般的に条約の中で、実施のための国内法が必要であるというそういう条約を締結する、そして我が国において発効させるためには、条約について国会の御承認をいただきますとともに、必要な実施国内法が成立施行されることが前提となるわけでございます。したがいまして、この条約について、今先生御質問のように、御承認を国会でいただきましても実施国内法の成立がおくれるというような場合には、それまでの間、締結のための文書の寄託という行為は行うことを控える、そういう状況になるわけでございます。
#43
○松前達郎君 これは外務省の方に直接その責任があるというわけじゃないわけですが、関連法案というとこれは厚生省ですか、関連の法案の管轄は厚生省だと思うのですが、こういった条約というのは常に今までの委員会でもそういうふうな問題が幾つかあったと思うのですけれども、やはり国内法をなるべく早く成立させる。国会で成立させるというのは国会の責任ですけれども、まず提出を早くしてもらわなきゃいかぬということがあるのですね。ですから、そういう点で今後ひとつ御努力をいただきたい。これはよく連絡をとってやっていただかないと、条約の方が先に行ってもなかなかそれが最終的な結論を見ない状況になってしまいますので、これはお願いですけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、世界の麻薬の乱用状況というのは非常に深刻な状況にあると思うのですね。とりわけその中でも米国における麻薬の使用というものが年々深刻になってきて、ブッシュ政権あたりもこれについては恐らく黒人問題よりもっと大きな問題だと、こういうふうに思っていられるのじゃないかと思うのですが、この深刻化の背後にアメリカの場合ですとコロンビアにおける麻薬戦争、こう言われている戦争があったわけでありますが、その裏には国際的な麻薬犯罪組織が暗躍している、その組織が極めて強力である、こういうことを聞いているわけであります。こういった薬物の国際的な不正取引、この規模については年々拡大をされていって、武器の取引と全く肩を並べるような状況にまでどうもなってきているようでありますが、恐らくこういったようなことも考えながらこの条約の作成が行われたのではないかと思うわけであります。
 そこで、国際的な面で特に米国及び欧州、こういったところでの麻薬の使用状況、これについてまずお伺いしたいと思います。
#44
○説明員(鎌原俊二君) 米国におきましては薬物の乱用が深刻な社会問題となっておりまして、薬物に絡む犯罪が多数発生するなど治安を悪化させる要因となっておると聞いておりますし、最近特に問題になっておりますのは、南米から流入しておりますコカインの蔓延が問題になっております。それから、一方ヨーロッパの方におきましては、従来から大麻、ヘロインの乱用というのが重大な社会問題となっていたわけでございますけれども、アメリカと同じように、近年コカインの乱用も深刻化しているという話を聞いております。
 これら薬物の状況につきまして押収された量を御説明申し上げますと、国連資料によりますと、米国のコカインの押収量は一九八六年四十五トン、それが一九八八年には百二トン、ヨーロッパでは一九八六年の二トンから二年後の一九八八年には六トンへとそれぞれ大幅に増加しております。
 また、ヘロインの押収量につきましても、米国では一九八六年の四百十キロから一九八八年の七百四十キログラム、ヨーロッパでは、同じ期間でございますけれども、二トンから四トンというようにそれぞれ増加を見ているところでございます。
#45
○松前達郎君 最近、その数字でも明らかなとおり、非常に急速に消費量がふえているのですね。今、日本は麻薬については余り表面で騒がれるような状況ではないような気もしますけれども、しかしひそかにそういった麻薬の手というものがだんだん伸びてきているような感じがします。どっちかというと先進国につきものだといえばそれっきりなのですが、この問題がこれから非常に大きな日本の課題にもなってくるのじゃないだろうか。
 それで、日本における麻薬の状況、これはどういうふうな状況でございましょうか。
#46
○説明員(鎌原俊二君) 我が国の状況についてでございますが、我が国の薬物の乱用につきましては昭和二十年代のいわゆるヒロポンの乱用期以降、一時期ヘロインの乱用が見られたわけでございますけれども、ほぼ根絶状態にございました。しかし、昭和四十五年ころから覚せい剤の乱用が再び増加を始めておりまして、最近はこれに加えまして大麻、麻薬事犯についても増加傾向にあるということでございます。
 最近の昨年中の薬物事犯の検挙状況を見ますと、覚せい剤事犯につきましては、一万五千三十八人を検挙し押収量は二百七十五・八キログラムとなっておりまして、この押収量は史上第四位の押収量でございます。また、コカイン事犯につきましては、九十三人の検挙、六十八・八キログラムの押収でございまして、検挙人員、押収量ともに史上最高となっております。ヘロイン事犯につきましては、五十四人の検挙、九・四キログラムの押収となっております。大麻につきましては、千五百十二人の検挙、百三十九・五キログラムの押収でございまして、この検挙人員につきましてはやはり史上最高ということでございます。
 最近の状況は、多様な薬物が大量に我が国に流れ込んできておりまして極めて憂慮すべき状況にあるというふうに考えております。
#47
○松前達郎君 年々非常にふえている、非常にふえているというか爆発的にふえているような感じを持つわけですが、これは大変な問題だと思うのです。
 それで、もう一つ考えられるのは、この麻薬を使うということとそれからエイズの関係ですね。これも非常に関係深いのじゃないかと思うのです。どうしてかといいますと、実は私の方の若い連中がホノルルへ行きまして、ホノルルでもって公園の掃除をしよう、ボランティアだと。この発想はいいのですけれども、そうしたら、そんなことをやっては困るということを早速言われたのです。なぜかというと、注射針が落ちているからだ、それがちょっとでも刺さるとエイズになる可能性があるからやめてくれということをホノルルの警察側から言われたわけですね。
 そういうことを見ても公園ですから恐らくそういうところで打っているのじゃないかと思うのですけれども、アメリカでもハワイは、さっき勝さんの話が出ましたけれども、比較的そういうのがまだまだ少ないとは言われながら、少ないといってもほかの地域に比べてですが、だんだんとそういう傾向になってきつつある。日本がコカインにどうもねらわれているのじゃないかという感じを私は持っておるわけです。そういうふうになりますと、やはり日本にコカインを入れないという水際作戦といいますか、こういうことが重要な問題にもなってくるし、当然所持者もしくは密輸をしようとした者に対する罰則も強化していいのじゃないか。多分ブッシュ政権のときに多少これを緩和したのじゃないですかね、アメリカの場合。それから急にふえてきたというようなことも聞いております。
 日本における密輸といいますか、そういったような状況というのは一体どういう状況でしょうか。
#48
○説明員(鎌原俊二君) 我が国で乱用されております薬物はそのほとんどすべてが海外から輸入されたものでございまして、これが暴力団組織を中心しとします密売組織の手を経まして末端の乱用者の手に渡っているという状況でございます。
 覚せい剤につきましては、昨年中、平成二年中でございますが、百二十二件の輸入事犯、三千三百八十件の譲渡事犯を検挙いたしまして、二百七十五キロの押収をいたしております。これらの覚せい剤につきましては台湾から密輸入されたものが九割以上を占めていると見られるわけでございまして、台湾から密輸したものを国内の暴力団が密売をしておるという状況にございます。
 大麻につきましては、平成二年中に百三十一件の輸入事犯と五百三十四件の譲渡事犯を検挙いたしておりまして、大麻樹脂十四キロ、乾燥大麻約百四十キロを押収しているわけでございますが、一度に一キロ以上押収いたしました事例について見ますと、タイ、フィリピンから密輸入したというものが九割以上を占めております。この大麻事犯につきましては、若年層を中心に増加傾向が続いておりますし、暴力団が覚せい剤に次ぐ第二の薬物として密売への関与を深めつつあるということで、今後の情勢が懸念されておるところでございます。
 それから、ヘロイン、コカイン等の麻薬につきましては、平成二年中に六十件の輸入事犯と二十二件の譲渡事犯を検挙いたしております。合わせまして約八十キロを押収しておりますけれども、先ほど御指摘がありましたように、特に南米からのコカインの密輸が急激に増加しておりまして厳重な警戒を要する状況にございます。
#49
○松前達郎君 水際でそれを防止するという努力、これも直接できる努力として一番重要だと思うのですね。
 それからもう一つは、生産国、これに対する対策というのもあると思うのです。たしかアメリカの場合はもうどうしようもなくなって、最終的にはコロンビアが悪いというのでコロンビアへ兵を出したというようなことも言われていますけれども、日本はそういうわけにいかないので、やはり生産国そのものに対する何らかの方策を日本としてとる必要があるのじゃないか。
 特に東南アジアあたりですと、黄金の三角地帯ですか、そういう地域があるわけですね。私も実はそこに行ったことがあります。チェンマイの北の方、場所はチェンライというところですけれども、そこに山岳民族といいますかそういう人たちがたくさん住んでいますが、生活の糧としてやっぱりケシを栽培するのが一番お金になるのですね。ですから、あの辺では昔からやられていることですが、ケシを栽培する。そして、それを何とか切りかえさせようというのでタイの王室がプロジェクトを組んで農業転換を一生懸命やってきているのですが、なかなか効果も上がっていないような状況だと思います。
 我が国としても、そういった非常に貧困な地域で農業を営む皆さんがケシの栽培に走らないようにするために何らかの手だてはないものか、こういうことを当然考えざるを得ないだろうと思うのですが、例えばその農業地帯に対する日本の援助といいますか、農業を切りかえるための援助もありますが、物を援助してもなかなかそれだけではだめなのです。そうじゃなくて、もっとプロジェクトを組んでその地域の農業を転換させるという何らかの方策をとっていく。これにはお金もかかるわけですから、そういったようなことで国際協力になるでしょうが、努力をしたということがありますか。それとも今後この努力を行おうという考えがありますか。その点ひとつお伺いしたいと思います。
#50
○説明員(橋本宏君) 今、松前委員御指摘の点、二つの点に分けて御説明させていただきたいと思います。
 まず一つは、麻薬問題そのものにつきまして我が国が二国間でどういう経済協力をやっているかということでございます。
 それは主として技術協力を通じるものでございまして、我が国において麻薬犯罪取り締まりセミナーとか犯罪防止セミナーを開催して、そこに研修生を呼んで技術協力を行っているというのが一つ。それから、コスタリカにおきましては麻薬犯罪防止のための第三国研修を行っているという経緯がございます。また、過去におきましては麻薬鑑識用器材、これは検査キット等でございますけれども、その供与を実施した例もございます。ただ、これまでの技術協力の実績からいいますと、今松前委員御指摘の麻薬生産国、特にその麻薬生産地域における農業に対する直接の技術協力ということではないことは御指摘のとおりでございます。
 一般論といたしまして、こういった地域にどのような協力ができるかということにつきましては、これは極めて重要で、我々としても技術協力等できる範囲でやっていきたいのでございますけれども、いろいろこれについては実を言うと問題も多うございます。まず、麻薬生産国の方の政府が本当に真剣にこういった対策に取り組もうという姿勢があるのかどうかということも一つのポイントでございますし、それからまた麻薬生産地そのものにおきますいろいろな換金作物等についての技術協力をするということになりますと、治安の問題等、我々専門家を送る方としましても非常に気になるところもあります。それからまた、換金作物として一体何がいいのかというようなことについてもいろいろ調べなければいけないというとで、現実の問題としてはかなり難しいところがございます。
 しかしながら、そういった中で何ができるかということにつきまして、委員御指摘のタイにつきましてはこれまで二回にわたって現地に調査団を派遣しておりまして、タイ政府側も一生懸命この点で生産地における農業を発展させていきたいということで、我々もそれに対する協力のあり方ということをかなり具体的に検討しております。その関連で、御指摘のチェンマイにおきましては大学に行っていろいろ講義を行ったりしております。
 我々としては、そういった面でできるだけ早く具体的な技術協力を開始できればと思っておる次第でございます。
#51
○松前達郎君 技術協力をする場合のいろいろな現地の状況がありますね。今おっしゃったように、例えば危険性があるとか、大分山奥でやっているわけですからそういった保障の問題とか、いろいろあると思いますね。また同時に、非常に広範な地域ですから全部そこを対象にしてやるわけにもいかないとか、いろいろあると思うのです。
 ただ、今おっしゃいましたけれども、タイ国政府がやっていると言ってもいいかもしれませんが、タイの王室がやっているキングプロジェクトの中の一つにこれがあるのですね。細々とやっておられるのじゃないかと思うのですが、こういうタイ側がやることに対して何らかの経済的なバックアップができないかということですね。ODAなどというのはそういうものに使えないのでしょうか。その辺いかがでしょうか。
#52
○説明員(橋本宏君) 今タイ側とこの面でいかなる協力ができるかということで意見交換を行っているわけでございますけれども、これはまだ具体的になっておりませんので、今この場でまさに具体例としてはお答えできないことが残念でございます。しかしながら、方向といたしましては、今委員御指摘のように、タイ国側で実際に行っていることに対して我々の既存の技術協力のスキームを使っていかにそれに協力していくかということでございます。
 ただ、まことに恐縮でございますけれども、我々の今タイ国政府と話し合っている案件が委員御指摘の王室の案件と同じものであるか違っているものであるか、今この場でお答えできないので恐縮でございますけれども、いずれにせよ、方向性としては委員御指摘のとおりの方向でやろうとしているところでございます。
#53
○松前達郎君 その点ひとつ積極的にバックアップをしていただきたいと思うのです。これはタイだけの問題じゃないのですけれども、特に今タイだけを取り上げて質問させていただいたのですが、そのほかミャンマーもありましょうし、中国の国境地帯もありますね。そういうところもありますから、広大な地域なものですから、やはり一つ一つそういうものを、具体的に何らかのアクションがあるところについてはこれは経済的にバックアップする意義があるわけですから、その点今後検討していただいて積極的な取り組みをお願いできればというふうに思うのです。
 それから、国連が中心になってこの薬物問題についていろいろ取り組みをしているわけですが、国連の薬物問題に対する取り組みの状況、これについておおまかな点で結構ですから教えていただきたいと思います。
#54
○説明員(河村武和君) 麻薬問題の国際的な関心が非常に高まっているところでございまして、特に国連を中心にいろいろな活動が行われていることは今先生が御指摘になられたとおりでございます。
 昨年二月には国連の麻薬特別総会、先ほど大臣が、下稲葉先生が日本政府の代表として行かれたということを御紹介になりましたけれども、麻薬特別総会というところで世界行動計画というようなものを採択いたしております。
 さらに、国連の中で麻薬問題を専門的に取り扱っております委員会、経済社会理事会のもとの委員会でございますけれども、麻薬委員会というものがございまして、この麻薬委員会も供給、需要という両方の側面から積極的な活動を行っているということでございます。
 さらに、国連のアジアにおきます地域経済機関ESCAPがございますけれども、ことしの二月にアジア・太平洋地域麻薬対策高級事務レベル会議というものを東京で開催いたしました。この高級事務レベル会議自体は我が国のイニシアチブで、結果的にESCAP主催ということで開催させていただきましたけれども、昨年の七月、これも中山大臣がASEANにおきましてこの高級事務レベル会議の招聘を提案され、その実施が二月に行われた、こういうことでございます。
#55
○松前達郎君 二月に東京で開催されたアジア・太平洋地域麻薬対策高級事務レベル会議についてですけれども、先ほども同僚議員が触れられましたが、協議の集約があったはずですね。それはセミナーじゃないので、協議しただけではこれは話になりませんので、やはり結果としてこれを行動に移すということがどうしても重要なことじゃないか、こういうふうに思います。
 我が国はこの協議の中で、薬物撲滅に向けましてアジア・太平洋地域の政策調整センターの設立を提案されたと伺っているのですが、これは合意されたのだと思うのです。この構想は一体どういう構想なのか、お聞かせいただけますか。
#56
○説明員(河村武和君) 今私が申しましたアジア・太平洋地域の麻薬対策高級事務レベル会議と申しますのは、先ほど御説明いたしました昨年二月の国連麻薬特別総会の世界行動計画で採択されました地域的取り組みの強化の一環という形で開催されたわけでございます。
 この三日間の討議を経まして、会議におきましては東京宣言というものを採択いたしました。東京宣言の内容はいろいろなものがございますが、実はその一つに今言われました調整センターというものへの言及がございます。この東京宣言の中の第五項でございますけれども、次のようなことを目的とする調整センターを設立するという提案を歓迎するということを宣言いたしました。大まかに申しまして四つの目的を持つ調整センターでございます。
 一つは、アジア・太平洋地域においていわゆる麻薬関係の諸条約、単一条約、向精神条約及び今御審議をいただいております不正取引の防止に関する条約でございます麻薬新条約でございますけれども、こういう諸条約に関する知識と遵守を促すための国際的な努力にこの調整センターを通じて寄与する、これが第一点でございます。
 第二点は、麻薬撲滅を行うためにサブリージョナルな戦略及び共同研究というものの準備をさらに発展させるということを目的とする。サブリージョナルということでございますけれども、サブリージョナルといいますのは、非常に簡単に申しますと、国境隣接地帯におきます関係国の共同プロジェクトの推進というものを通じればいわゆる麻薬問題の解決により有効なのではないかという観点からサブリージョナルな戦略というものが考えとして浮上してきているわけでございますけれども、まさにこういう関係国の共同プロジェクトの推進をどのようにして図っていったらいいかというようなことをこの調整センターで研究してはどうかということでございます。
 第三点目は、麻薬乱用統制面での活動についての情報及び経験の交換ということを目的とする。
 さらに第四点といたしまして、麻薬対策を実現するために必要な訓練とか機材というものを各国政府が提供するということについていろいろと情報を交換いたし合いまして、調整して援助を行う。
 以上申しました四つの点を目的とする調整センターを設立しようという我が国の考え方、提案を基本的に歓迎するということを申しまして、第六項でより具体的に、ではこのセンターをどういう形で設立するか。機能、財源、要員、所在地、こういうものを検討するために国連の国際薬物統制計画というものとESCAPとそれからESCAP加盟国、このセンターの設立に関心を有する政府ということになっておりますけれども、こういう政府等との間で具体的な検討を開始するということを奨励する、こういうことが決定されました。現在、今申しました国連国際薬物統制計画との間で具体的にこの作業グループをつくることを検討している、こういう段階でございます。
#57
○松前達郎君 ぜひ強力にひとつこの構想を推進していただきたいと思うのです。特にアジアが今後の課題として中心になる可能性もあるし、日本自身もこの次にねらわれるのは日本だということも言われていますし、非常にぞっとする思いを今しているわけであります。これは各省庁にまたがってのいろいろな対策があると思いますけれども、この条約の批准を契機にしてひとつ強力な施策の推進をお願いしたい、これをお願いして質問を終わらせていただきます。
#58
○田英夫君 私も李方子さんに絡む協定についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほど堂本委員も取り上げられましたが、この協定の第一条の最後にあります「対価なしに譲渡する」という文言に対して私も大変気になります。聞くところによりますと、この第一条の最後の部分の言葉のために協定の締結がおくれたというふうに韓国側から聞いておりますけれども、そうした事実がありますか。
#59
○政府委員(竹中繁雄君) お答えいたします。
 この協定第一条の「対価なしに譲渡する」という文言でございますけれども、そもそも今回の譲渡は、日韓間の友好関係及び諸分野における協力関係の発展に資するための特別の措置として、我が方より自発的かつ対価なしに行われたものでございます。確かに先生御指摘のとおり、協定中のこの部分の文言につきましては、韓国との交渉の過程で若干調整の時間を要したのは事実でございます。しかしながら、最終的には本件譲渡の趣旨が明確となるように「対価なしに譲渡する」という表現を用いることで韓国側の理解が得られて合意に達したものでございます。
#60
○田英夫君 私も韓国の友人が大勢おりますから、韓国の皆さんの心情というものを理解しているつもりなので、よく韓国の外務省がこの文言を了承したなと実は今も思っています。
 竹中さんあるいは大臣ももちろん行っておられないと思いますが、ソウルにロッテワールドという、ロッテの重光さんが、辛会長ですが、つくられたディズニーランドの室内版のような大きな子供きんが遊ぶセンターがあります。そこに韓国の子供さんたちのための歴史博物館があるのです。
 そこに行ってみましたら、ずっと新羅、百済というようなそういう時代から来て、最後のところに日帝時代という一画があります。これはもし機会がありましたら、大臣、ぜひごらんいただくといいと思うのですが、私も愕然といたしました。これは日本に住んでいる、しかも大きな経済活動をやっている重光さんがつくられた。特に自分が命じてつくった、こう言っておられるものです。そこにありますのは、まさに日本侵略時代の町の実態をパノラマのようにしていて、その中を一周歩けるわけですが、実物大の交番があって、その交番の中で韓国の青年が日本人の巡査に取り調べを受けている、そういう光景が再現をされているわけです。初めつくったときはまさに殴られているその実態をそのままつくったそうですが、できてみて余りにこれはひどいというので修正をしたと重光さん本人が言っておられます。これが韓国の人たちの気持ちなのです。日本の侵略ということに対する気持ちなのです。
 ですから、李垠さんもまさに、言葉は悪いですが、強制連行で日本に住まわされて今の赤坂プリンスにおられた。梨本宮邸はたしか今の議長公邸のところだったと、子供のころの記憶ですから定かではありませんが、思います。そういうことを考えますと、この協定というのは、そしてこの文言というのは私は大変気になる。
 改めて大臣の御感想を伺いたいと思います。
#61
○政府委員(竹中繁雄君) 本件の服飾等でございますけれども、これは朝鮮女子大礼服等の朝鮮王朝時代の様式にのっとってつくられたものでございますので、いわば文化的なルーツは朝鮮王朝時代にたどれるものでございます。一方、先ほど私が御説明申し上げましたように、この服飾等は大正年間に主として我が国で作製されたものでございまして、そういう由来及び諸般の経緯等を踏まえまして、韓国との友好関係の発展に資するために今回こういうことを行ったのだと、こういうふうに御理解いただければありがたいと思います。
#62
○田英夫君 この協定についての韓国の国会議員の皆さんの気持ちを、五月十五日に東京で日韓議連、韓日議連の合同会議の分科会がありますから、そこで聞いてみてもいいのですけれども、本当に今答弁されたような感覚で韓国の特に民衆レベルとつき合うということは、今友好促進ということを言われ、大臣の御説明にもありましたけれども、全くそうならないというふうに私は思っています。
 韓国問題について別の側面のことを少し伺いたいのですけれども、ちょうどきのうきょうと日韓外相会議を行っておられますので大臣に伺いたいのですけれども、韓国の国連に対する単独加盟ですね。この問題が今韓国政府側から提起をされてきておりますけれども、きのうきょうの会談の中でこの問題が取り上げられたかどうか、そしてどういう向こうの意向だったかを伺わせていただきたいと思います。
#63
○国務大臣(中山太郎君) けさの日韓外相会談で韓国の国連加盟問題が討議されました。この問題に対して日本政府としては、南北の両政府が話し合いをして、そして国連加盟問題の決着をつける、これがもう一番好ましい形であると。しかし、北の方が今日までの姿勢というものをなかなか譲らないというような状況の中で韓国が加盟するといったような場合については、日本政府としては、まだ時間がございますから最終的に態度を決定しているわけではありませんけれども、韓国が国連に加盟した場合に国連加盟国が一つでも多くなるということで、我々はそういうことの方向が好ましいという認識は以前から持っております。
#64
○田英夫君 北朝鮮は南北同時加盟ということを非常に強調しておりますね。特に、もう随分前ですが、一九七二年の金日成主席の高麗民主連邦共和国構想という当時から国連に対する同時加盟、そして一つの議席ということを主張し続けてきているわけですから、この問題は北朝鮮にとっては非常に重大な問題として扱っているというふうに思うのです。
 もし仮に韓国の単独加盟というようなことが実現をすると、その影響するところはかなり大きいと思うのですが、その点はいかがですか。
#65
○国務大臣(中山太郎君) 私は、まだなかなかこの問題は結論が出るのには相当ないろいろの問題が出てくるだろうと。それは常任理事国がどのような態度をとるか、そういう拒否権を行使する国々がどのような態度をとるのかなということで、私どもはこれからの動きというものをよく注目をしておかなければならない、このように認識しております。
#66
○田英夫君 そこで、朝鮮半島という問題は、一番近い隣国でありますし、一日も早くここが平和な状態に安定することを望むわけで、これはもう政府ももちろんだろうと思いますが、今の南北の状況というものを政府はどのようにつかんでおられるのか。
 実に難しいと思うのですね。今、幕張メッセで開かれている世界卓球選手権に統一チーム、コリアというチームで出て、在日の人たちが一緒になって応援している。非常にいい光景だと思う一方で、韓国の国防部長が北朝鮮の核施設に対して奇襲攻撃をかけるべきだというような発言をして北がいきり立っている。イスラエルのイラク攻撃のことを挙げて韓国は言っているようですけれども、こういう全く反対の状況がある。そういう中で、また首相級会談まで行われる。こういう状況なのですけれども、日本政府としてはどういうふうにとらえておられますか。
#67
○政府委員(竹中繁雄君) 先生おっしゃるように、なかなか難しい状況でございまして、我々政府といたしましては、この場で何回も繰り返していると思いますけれども、朝鮮半島問題は第一義的に南北両当事者間の直接対話により平和的に解決されるべきものだというのが我々の立場でございます。かかる観点から、南北の首相級会談というのが今までずっと続いてまいりましてそれには大変勇気づけられていたわけでございますが、その後それが中断され、今中断されたままの状態になっているということはまことに残念でございまして、この首相級の会談が一日も早く再開されることを我々としては強く期待しているところでございます
 一方、先生おっしゃいましたように、現在千葉で開催中の世界卓球選手権、それから六月にポルトガルで開催予定の世界青年サッカー大会への南北合同チームの派遣、さらに言いますと南北間の直接交易の開始、あれはお米に対してセメントと、あと何でしたか、等のスポーツそれから経済分野での南北間の交流と協力に進展が見られております。こういう進展が南北対話促進にとり好ましい方向に影響を与えることを我々としては期待している次第でございます。
 なお、先生がただいま御指摘になりました韓国国防部の長官の発言にかかわる報道についてでございますが、韓国政府自身はかかる発言を取り消しているものと承知しております。たしか誤解に基づく報道というような言い方で説明していたかと思います。
#68
○田英夫君 一つ、これはお願いといいますか注文といいましょうか、韓国問題を、あるいは朝鮮半島の問題全体と言ってもいいのですけれども、日本政府として扱っていかれるときに、日本の果たすべき役割あるいはその基本的姿勢ということでこれはもうよく了解しておりますが、ややもすると西側の一員としての日本というようなこと、つまりアメリカ、韓国、そして日本、こういう態度がにじみ出ると北との関係というのはうまくいかない。
 後で日朝国交正常化の交渉のことを伺いたいと思っているのですが、この姿勢というものは非常に注意をした方がいいのではないかと思うのです。従来は、日米韓ということがもう当たり前のようにされてきました。しかし、今のこの大きく変わっている世界情勢、つまり冷戦構造が崩壊した世界情勢の中で、そのことを殊さら強調する必要はないと思うし、西側の一員的な姿勢で朝鮮半島問題に望まれない方がいいのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#69
○政府委員(竹中繁雄君) お答えいたします。
 私どもは、何とかこの朝鮮半島での緊張が緩和されるようにということでできる限りの努力をしているわけでございます。その際に、やはり関係のいろいろなところ、そういうところに祝福されるようないい格好でこれから緊張緩和の方へ持っていくということを考えるのは当然でございまして、そういう意味では、この地域に関心を有する国ともいろいろ相談をしながらやっていくということになろうかと思います。
#70
○田英夫君 そこで、日朝国交正常化交渉の問題に移りたいのですけれども、ちょうど今月末からピョンヤンでIPUの総会が開かれる。本院からも同僚議員が何人か行かれるわけだし、大変いいことだと思います。また、韓国の国会議員もたしか板門店を通って参加する。こういうことで、これ自体大変歓迎すべきことで、十年、二十年前には全く考えられなかったことが今相次いで起こってくるという意味ではいいのですが、日朝国交正常化の交渉も、自民党、社会党、労働党という三党の合意の上に立って今政府も交渉を始められている。これも大変結構なことだと思いますが、過去二回のピョンヤンと東京で開かれた交渉の結果を外務省としてはどう評価しておられますか。
#71
○政府委員(竹中繁雄君) これまで二回にわたり会議を行いました。第一回が一月の末にピョンヤンで、それから第二回が三月の中旬に東京で行われました。私自身両方の会議に出席しているわけでございますけれども、第一回はいずれにしろそれぞれの立場を言いっ放しといいますか、まず自分たちの基本的な立場を述べ合うというのが一言で言えばその会議の性格だったと思います。二回目の会議は、それぞれ一方的に述べ合っておりますものですからそれに対する反論といいますか、そういうことも第一回では行われていないものですから、そういうことをやるというのがむしろ主眼でございまして、両方足しますとこれまでの二回の会談で双方の基本的な立場がほぼ明らかになったと言うことができるのではないかと思います。
 それで、御承知のように、これまでのところは双方の立場に大きな隔たりがございます。しかしながら、これまで四十年以上にわたり不正常な関係にあった日朝双方がそれぞれ率直にその立場を述べ合ったというのはそれなりに意義があったというふうに考えております。
 次回の会合は五月に予定しておりますが、政府といたしましては今後とも誠意を持って粘り強く交渉を進めていく所存でございます。
#72
○田英夫君 第二回の東京会議のときに田仁徹団長と会う機会がありました。その後また帰ってから手紙をくれましたが、会ったときも手紙の中でもこの会談について大変楽観的と言ってしまうと少し言葉が強いかなとは思いますけれども、いい感じを持っているといいますか、基本問題では見解が共通しているというような表現をして、大変いい感じで今受け取っていますということを少なくとも田仁徹団長は言っていましたが、そういう感じを日本側も持っておられますか。
#73
○政府委員(竹中繁雄君) 先ほど申しましたように、日朝双方の基本的な立場につきましては一回、二回の会談の結果それが明らかになり、それはどういうものかというと、大きな隔たりがあるというところが私どもから見た認識でございます。
 一方、会談の論点以外の場面、社交的な場その他では非常に友好的な雰囲気が保たれておりまして、そういうところに向こうの田代表が主に着目されてそういう御感想を述べられたのかと思います。
#74
○田英夫君 その第二回の会談に同行してきた朝鮮側の新聞記者の感想のようなもの、あるいは問題点を指摘したものがここにあるのですけれども、それによりますと、やっぱり全体的に大変いい方向だと。ただ、問題点として幾つか指摘しております。もちろん戦後四十五年の問題、それから一つ余り日本で報道されていなかった問題で管轄権の問題というのを向こうは注目しております
ね。それから核査察の問題。取り上げられた中で大体その三つが向こう側から見て柱だと。
 確かに四十五年の問題と核査察の問題というのは日本でも報道されておりますが、管轄権の問題というのはどういう感覚で日本側は取り上げられたのですか。つまり、北朝鮮の管轄している三十八度線、今は三十八度線から出入りしていますけれども、そういうことを確定しておきたいということですか。
#75
○政府委員(竹中繁雄君) 管轄権の問題でございますけれども、北朝鮮側は従来、朝鮮は一つであり、その代表は自分のところであり、それは白頭山から済州島まで、すなわち朝鮮半島全部に及ぶのだという主張をしておりました。したがいまして、日本と韓国との間には日韓基本条約というのがございまして、その第三条で「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」という規定がございますけれども、従来北朝鮮は、日朝国交正常化を行う際にはこの条約の破棄が必要であるということを主張していたというように報道されております。
 そういう従来の経緯にかんがみまして、この点に関しある程度明確にならないと困るということでこの問題が起きているわけでございます。
#76
○田英夫君 確かに日韓基本条約の第三条があって、それでこの日朝国交正常化交渉というものがうまくいって国交回復のための協定なりそういうものが結ばれるということになりますと、この日韓基本条約第三条というのは大変不思議な存在になりますね。これをどう処理するかということは大変難しい問題になってくるのじゃないかなと思うのですけれども、条約局長、どうですか。
#77
○政府委員(柳井俊二君) ただいま竹中審議官の方から御説明いたしましたとおりでございますが、御承知のとおり、この三条と申しますのは韓国政府の基本的な性格を一九四八年の国連決議を引きつつ確認したというものであると考えております。
   〔委員長退席、理事山岡賢次君着席〕
すなわちこの国連決議は、朝鮮人民の大多数が居住する部分に対して有効な支配及び管轄権を及ぼしている合法的な政府、すなわち韓国政府でございますが、が樹立されたこと、そしてこの政府が国連監視のもとに行われた自由選挙に基づくものであること、さらにこの政府が朝鮮における唯一のこの種の政府であるということを明記しているわけでございますが、この趣旨は、そのようなものとして日本国政府がこの日韓基本関係条約において韓国政府の性格を認識しているということでございます。他方、北朝鮮につきましては、これまでも政府の方から御答弁申し上げた機会がいろいろございましたが、南とは別個の政権が存在するという認識でございます。
 いずれにしましても、この日韓基本関係条約は朝鮮半島の北の部分につきましては何ら触れていない、言いかえますればいわば一切白紙である、こういう考え方でございます。したがいまして、日韓基本関係条約第三条を含めまして、この条約と日朝国交正常化とが矛盾するものではないというふうに私どもとしては考えております。
 なお、北朝鮮側は、先ほど竹中審議官からもお話がございましたが、以前、日朝国交正常化を行う際にはこの条約の破棄が必要であるというような主張をしていたやに伝えられておりますけれども、現在進めておられますこの日朝国交正常化交渉の場におきましては、これまでのところ北朝鮮側はこの条約の破棄というようなことは特に言及しておらないというふうに承知しております。
#78
○田英夫君 北朝鮮側の新聞記者のこれはもうごらんになったかもしれませんけれども、竹中さんは特にごらんになったかもしれませんが、「日本側の主張どおり、管轄権の限界を規定しなければ外交関係を設定できないとすれば」というような表現がありますね。今の条約局長の御答弁と関連してこれを見ますと、非常に微妙な表現なのですね。もちろんああいう国ですから新聞記者といっても、田仁徹さんも新聞記者から外交官になってそういうところは一体ですから、この言葉というのはオフィシャルな言葉と受けとってもいいと思うのですが、その辺のところが大事になってくるのじゃないか、これからの交渉の中で。もちろんその四十五年の問題とか該査察の問題というのはありますけれども、私はここのところが一番大事なところになってくるのじゃないかなという気がします。
 そういう意味で取り上げましたが、まだ交渉の途中ですし、将来のことを申し上げるのは早いと思いますので、この辺で終わります。
#79
○中西珠子君 麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求める件についてまず質問をいたします。
 麻薬及び向精神薬の日本国内への流入が最近非常にふえているということを聞いておりまして、タイとかフィリピン、台湾からの流入ばかりでなく最近はコロンビアなどの南米の国々が日本を標的にして、そして麻薬や何かを持ち込みたいとしているといううわさもございまして憂慮しているわけでございますが、最近の国内への流入状況というものについて御説明いただきたいと思います。
#80
○説明員(鎌原俊二君) 我が国で乱用されております薬物につきましてはほとんどすべてが密輸入でございまして、外国から我が国に入ってくるものでございます。これが暴力団の手を経て乱用者に密売されるという流れになっておりますけれども、昨年警察が押収しました薬物は、覚せい剤が二百七十五・八キログラム、ヘロインが九・四キログラム、コカインが六十八・八キログラム、乾燥大麻が百三十九・五キログラムとなっておりまして、いずれも私どもの方で判明いたしております状況では外国から我が国に流入してきておるという状況にございます。
#81
○中西珠子君 最近コロンビアあたりからの流入がふえているというのは確かですか。そういううわさが非常にありまして、今アメリカや何かが厳しくしているから日本を今度は標的にして、日本に持ってきたいということでいろいろ手を変え品を変え入ってきているという話を聞くのでございますけれども、それはどのような状況ですか。
#82
○説明員(鎌原俊二君) コカインの関係につきましては、昨年の押収量を先ほど申し上げましたが、六十八・八キログラムでございます。一昨年が十三・七キログラム、それ以前は一キロ前後という状況で、大変コカインの押収量がふえておりますけれども、このコカインの来た先、仕出し国は大半が南米であるというふうに考えております。
#83
○中西珠子君 一番コロンビアが有名なのですけれども、南米でもコロンビアとその周辺国ですか。
#84
○説明員(鎌原俊二君) 大半がコロンビア、ボリビアというふうに見ております。
#85
○中西珠子君 そういった国内に流入してくる薬物の取り締まりというのはなかなか難しい状況だと思いますが、取り締まり状況について御説明いただけますか。
#86
○説明員(鎌原俊二君) 平成二年中の取り締まり状況についてでございますけれども、覚せい剤事犯につきましては検挙人員が一万五千三十八人、押収量が過去四番目の二百七十五・八キログラムでございます。コカイン事犯につきましては九十三人を検挙、六十八・八キログラムを押収しておりまして、これはいずれも検挙人員、押収量ともに二年連続して史上最高を記録しております。大麻事犯につきましては千五百十二人検挙、百三十九・五キログラムの押収となっておりまして、検挙人員はこれも史上最高でございます。ヘロイン事犯につきましては五十四人の検挙、九・四キログラム押収という状況でございます。
#87
○中西珠子君 暴力団が絡んでいるということを聞きますので非常に取り締まりは難しいのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
#88
○説明員(鎌原俊二君) 暴力団の介入状況につきましては、覚せい剤の密売と申しますのは、末端価格が密輸入するときの価格に比べまして数十倍から百数十倍になるということで、少数の取引でも大変莫大な利益が得られるということがございまして、暴力団の格好の資金源となっているわけでございます。
 平成二年中の暴力団によります覚せい剤事犯の検挙は六千五百八十一人でございまして、覚せい剤事犯の全検挙者に占める割合は四三・八%と依然として高い比率を占めております。暴力団が薬物の不正取引に根深く介入しているということを示していると思います。
 また、昨年中に何らかの犯罪で検挙されました暴力団員というのは三万四千九百八十六人いるわけでございますけれども、そのうち覚せい剤事犯で検挙された者は一八・八%を占めることになりまして、これは第一位となっております。さらに、大麻事犯につきましては暴力団員が検挙人員の約二四・四%というようなことで、暴力団員あるいはその関係者からの大量な押収がかなり相次いでおりまして、暴力団が覚せい剤に次ぐ第二の資金源といたしまして大麻密売に介入している様子がうかがわれるところでございます。
#89
○中西珠子君 非常に御苦労になって検挙して取り締まりをやっていらっしゃるわけでございますが、この条約の承認によりましてそういった現在困難な取り締まりが容易になると思っていらっしゃいますか。言いかえれば、条約がこの取り締まり面でどのようなメリット、役割を持つとお思いでございますか。
#90
○説明員(鎌原俊二君) この条約にはマネーロンダリングの処罰ですとかコントロールドデリバリーといった新しい取り締まり手法が盛り込まれておりまして、こうした手法が我が国の法制度に導入されますと、薬物犯罪を資金面から取り締まるあるいは国際的な密輸ルートの摘発、こういったものが容易になるというようなことで、薬物事犯の取り締まりの上で大きな効果が上がるものと考えております。
#91
○中西珠子君 やはり取り締まり面のことでございますけれども、条約第十一条に監視付移転というものが出ておりますね。これは税関の方の問題だと思いますので大蔵省から、この監視付移転についてはどのように国内でやっていこうとお思いになっているか、お返事いただきたいのですが。
#92
○説明員(本村芳行君) お答えいたします。
 監視付移転と申しますのは、不正薬物の運搬を取り締まり当局が発見しました場合に、これをその場で取り押さえることなく十分な監視のもとに薬物の運搬を許しまして、その行方を追いまして密輸組織の背後の大物を突きとめるための捜査技法でございます。
 先ほどの御答弁にもありましたが、我が国の場合には麻薬等の不正薬物のほぼ全量が海外から密輸入で入ってきているという状況でございますので、税関を管轄する大蔵省といたしましては、不正薬物の密輸入の背後組織を突きとめましてその根源を断つことが極めて重要だと考えております。
 このコントロールドデリバリーという捜査方法を導入いたしますと、国内で深刻化しつつあります不正薬物の乱用問題でありますとか、あるいは薬物犯罪の組織化等の動向に対しましてより適切に対処し得ると考えております。また、この捜査方法は、不正薬物の取り締まりに関する関係各国との国際協力をさらに促進する上で極めて有効な措置であるというぐあいに考えております。
 以上の観点から、コントロールドデリバリーにつきましては積極的に評価しているところでございます。
#93
○中西珠子君 監視付移転については積極的に評価していらっしゃることはよくわかりました。そしてまた、非常にこれから効果的にやっていけるだろうと期待していらっしゃることもわかりましたけれども、国内法の改正とかそういった整備をしないでもこれはできるのですか。
#94
○説明員(本村芳行君) 現在、関税法の場合には麻薬等の不正薬物は輸入禁制品ということになっておりまして輸入できないということになっておりますので、関税線を突破した薬物を税関職員が事実上通過させるということになりますと密輸出入罪の幇助罪に当たるのではないかというような問題もございまして、これらの件を踏まえまして現在国内法の作成をやっているところでございます。
#95
○中西珠子君 先ほども御指摘がありましたけれども、早く国内法を整備しないと、せっかくこれを私どもが承認したとしてもなかなかうまくいかないのじゃないかという心配がありますけれども。
#96
○説明員(本村芳行君) 失礼いたしました。国内法は既に提出してございます。
#97
○中西珠子君 提出してありますか。じゃ、今のは訂正ですね。
#98
○説明員(本村芳行君) 訂正でございます。
#99
○中西珠子君 大蔵省に聞きたいのですけれども、この条約の第五条「没収」というところの殊に第六項、ここに麻薬または向精神薬関係の行為から生じたいろんな財産、それも非常に正当に見えるようなカムフラージュをした、偽装をした財産、またそのほかそういう利益を隠匿するというふうなことに対する規制、いわゆるマネーロンダリングに対する規制とそれから没収等の制裁というのが規定してありますね。国内的にはどのような規制と制裁の措置をおとりになるつもりですか。
#100
○説明員(三浦弘美君) マネーロンダリングに関する規制につきましては、麻薬新条約や金融活動作業部会の勧告で取り上げられておりますけれども、内容的には一つはマネーロンダリング自体を行うものについて規制するというものと、もう一つは金融システムがマネーロンダリングに利用されないようにするために金融機関等に対して課す規制と、この二つに大きく分けられると思います。
 まず、マネーロンダリングを行うものに対する規制につきましては、今回国会に法案を提出いたしました特例法の中でマネーロンダリングを犯罪として処罰するとの規定が設けられまして手当てがなされることになっておりますので、今後関係当局において適切な対処がなされるものと考えております。
 それから次に、マネーロンダリング防止のため金融機関等に対して課す規制の方につきましては、金融活動作業部会の勧告の中に盛り込まれているものでございますけれども、このうち取引開始の際などにおける本人確認等につきましては、昨年十月、行政措置として既に実施済みでございます。
 このほか同勧告では、薬物犯罪に関係しているとの疑いがある取引については、金融機関等から関係の当局に報告させるいわゆる疑わしい取引の勧告制度の創設を求めているところでございますが、今回の法制整備の一環として特例法の中で関連規定を置くこととしたものでございます。
 以上申し上げましたように、今般国会に提出いたしました法案が成立して施行されますと、国際的に求められているマネーロンダリング規制についての制度的な規制は整うことになります。麻薬等の不正取引を防止するためマネーロンダリングを規制する必要があることは国際的な世論となっておりまして、当省といたしましても、この観点から今後さらに金融界それから国民各層の理解と協力を求めながら適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
#101
○中西珠子君 大蔵省関係の国内法の整備、それから行政指導、行政措置はわかりました。
 それで、大蔵省関係だけじゃなくて、この条約批准のためには厚生省関係の国内法の整備も必要なのではないでしょうか。
#102
○説明員(齋藤勲君) 麻薬新条約の締結に備えるため、厚生省では二本の法律を提出してございます。一本は、麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案で、もう一本は、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律案でございます。この二本の法律案は、去る四月二十二日、国会に提出したところでございます。
 国内法の内容でございますが、さきの一部改正法におきましては麻薬や向精神薬の原料となる物質について業者の届け出制を設ける等の規制を行うこととしておりまして、もう一つ国外犯、外国で麻薬等の薬物犯罪を犯した人の処罰の規定を設けることとしております。
 二本目の法律、特例法と言っておりますが、この特例法におきまして、先ほど来御議論いただいておりますコントロールドデリバリーのための特例手続を創設すること、それからマネーロンダリングを処罰する等の罰則規定を設けること、それから麻薬犯罪により得た財産の没収規定やそのための保全手続を設けるなどの規定を置いているところでございます。
#103
○中西珠子君 四月二十二日に提出なさったのですか。ちょっと遅いですね。もう少し早くしないとなかなかこれは難しいのじゃないですか、今国会で通すことは。
 それはさておきまして、この麻薬関係で殊に麻薬患者の治療だとかリハビリだとか、それからまた麻薬などを使わないようにという啓発活動、そういったものを研修するような面で国際協力を行っていらっしゃいますか。
#104
○説明員(齋藤勲君) 厚生省におきましても麻薬対策の面で国際協力を行っております。麻薬の不正供給ということは国際的に行われていることでございますので、麻薬問題を解決するということは国際協力が不可欠の要件というふうに理解しております。この国際協力の中には、麻薬に対する広報、教育の普及、取り締まり体制の強化、麻薬問題の背景にある生産地住民の経済問題への対処等の視点から取り組むべき問題があると考えております。
 厚生省といたしましては、発展途上国の人づくりという点に関しまして毎年十数カ国のアジア諸国から、昨年度はペルー、コロンビア等の南米諸国からも麻薬行政官を東京に招きまして、麻薬対策のための技術的、行政的な面でのセミナーを実施し協力をしてきたところでございます。今後とも関係各省庁と連携しながら、厚生省といたしましても可能な分野から積極的に協力してまいりたいと考えております。
#105
○中西珠子君 先ほど同僚議員がこういった麻薬に関する国際協力についてお聞きになりましたときに、コスタリカで第三国研修をやっているという答弁があり、また麻薬鑑識用の器材を供与しているというお話がありましたが、この第三国研修の内容と、それから鑑識用の器材を供与した対象国はどこですか。
#106
○説明員(橋本宏君) コスタリカにおける第三国研修の実態でございますが、これは一九八八年度より中南米、カリブ諸国を対象にして実施しているものでございまして、研修内容は、薬物の生産、使用、売買、収益金の隠匿工作の現状把握、理論、実際両面での防止対策の検討及び域内での効果的解決方法の提案といったようなものでございます。
 もう一つ委員御質問の麻薬取り締まり用器材の供与につきましては、コロンボ・プラン事務局を通じて関係各国に麻薬取り締まり用の器材であります検査キットとかポラロイドカメラ等を供与しているものでございまして、これまでの経緯によりますと、スリランカ、ブータン、フィジー、PNG、インド、モルジブ、フィリピン、パキスタン、インドネシア、バングラデシュといったような国々へこの器材の供与をした実績がございます。
#107
○中西珠子君 そういった麻薬関係の国際協力をなさっていらっしゃることは非常に結構なのでございますが、この条約の第十四条の三に農村開発のための支援というのがございますね。これは農村開発のための支援だけをやって果たしてうまくいくのかどうかという危惧、懸念もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、こういう麻薬をつくるためのケシだとかコカ樹ですか、それから大麻、そういったものを栽培している途上国の農民というのは非常に貧しいわけで、貧困ゆえにこういうものを栽培して手っ取り早くお金を手に入れて生計を立てる、こういう人が多いのではないかと思われるわけでございます。別の作物をつくるということを指導することも先ほどの政府側の御答弁からもなかなか難しいということで、また治安の問題もあるし非常に難しいことだというお話もあったわけでございます。
 この第十四条の三で、農村開発のための支援ということや、それから農村開発のための計画を実施するに先立って市場への進出の機会、資源利用の可能性、社会経済の一般的状況の要素を考慮して、そしてとにかく不正な栽培にかえて経済的に成り立つ事業ができるようにする総合的な農村開発と、こう言っているわけですけれども、これをやることができると言っていることは奨励していることだと思うわけでございます。
 日本としては、作物の指導をやって別のものをつくらせるというふうなことだけでは難しいということであれば、何か別の職業につくための訓練を行うとか、また新たなる雇用機会を創出するための産業の育成を行っていくとか、そういった面での国際協力をやっていく必要があるのではないかと考えるわけでございますが、大臣、いかがお考えでいらっしゃいますか。
#108
○国務大臣(中山太郎君) まず実務的なことを政府委員から答弁させます。
#109
○説明員(橋本宏君) 委員御指摘のように、麻薬対策につきましては生産面、消費面、流通面それぞれの面から適切な措置を講ずる必要があるわけでございます。
 そういった中で、この麻薬生産地域においてどういうふうにするかということにつきましては、例えば東南アジアを例にとらせていただきますと、実際にアヘンが生産されているところは、御案内のように、山岳地帯であり、そこに少数民族が生活しているわけでございまして、実際上焼き畑農業とケシの栽培に依存せざるを得ないような実情にあるということでございます。そういった人たちにどのような職業を与えるかということについては、これは実を言うとなかなか難しいところがございます。
 例えば都市におりてきて新たな職業についてくれれば、それはそれでまた一つの対策ができるわけでございますけれども、土地を離れたくないという人たちもおるわけでございまして、そういうところにつきましては代替作物の普及ということをやはり考えざるを得ない。その場合も、タイ及びラオスにつきましては政府自身が代替作物の検討をやっておりまして、特にタイについては一定の成果を上げつつあるわけでございます。
 中山大臣が九〇年一月にタイを訪問された際に、当時の先方の外務大臣であるシチ外務大臣に対して、この問題について政府から調査団を派遣して何ができるか検討しましょうという約束をされまして、これを受けて二度にわたって調査団を派遣しているところでございます。
   〔理事山岡賢次君退席、委員長着席〕
我々としましては、まだこれはタイ側と話し合っている最中でございまして具体的にこれをということを言える段階にございませんけれども、タイ政府が実際に行っている事業に対して我々が側面から協力するというような形で、この面での技術協力というものを実現すべく今協議中というところでございます。
#110
○国務大臣(中山太郎君) 今政府委員がお答え申し上げましたように、実際にケシを栽培している山岳の少数民族のところに現実に行ってきた人の話を外務省の職員が聞いておりますけれども、本当に命がけでないとそこへは入れない。そういったようなところでなかなか簡単に代替作物の作付を教えるということは事実上非常に難しい。今政府委員が申し上げましたように、タイ国政府がやっているその麻薬の撲滅対策に対して日本が協力するという形が一番安易、安易というよりも簡便な方法じゃないかと、こういうふうな考えを持っております。
#111
○中西珠子君 この条約は、とにかく麻薬及び向精神薬の不正取引の防止とか処罰のための国際協力を促進することを目的としているのではございますけれども、この十四条の三に言っておりますように、やっぱり努力、国際的な努力の実効性を高めるための側面的な協力ということもあわせてやっていただきたいということを要望させていただきたいと思います。難しいことはわかっております。治安問題もあるし向こうの政府の態度ということもありますでしょうけれども、この条約の締結を契機といたしまして各省庁が緊密な提携をなさり、総合的で強力かつ効果的な対策を展開していただきたいと思いますが、大臣、いかがでございますか。
#112
○国務大臣(中山太郎君) これは一国だけで成功できるものでもございませんので、各国と協議、協力しながら、生産国に対する対策あるいは流通の問題あるいは消費国における麻薬の防止運動、こういったものに日本政府としてはできるだけの努力をいたしたい、このように考えております。
#113
○中西珠子君 私は国際協力のことはよくわかっておりまして、国際協力をやっていらっしゃることが重要だということはもう認識しているのではございますけれども、国内におきまして各省庁がばらばらではなくて緊密な連携をとっていただいて、総合的な強力な対策を展開していただきたい、また効果的な対策であっていただきたい、こういうことを要望しているわけでございます。
#114
○国務大臣(中山太郎君) 日本におきまして最近コカイン等が増加しつつある、本質的には覚せい剤が極めて一般市民層に浸透しつつあるということに重大な懸念を持っておりまして、政府としては、関係各省庁協力しながら全力を挙げて対策をいたしたいと考えております。
#115
○中西珠子君 次に、故李方子女史に由来する服飾等の譲渡に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定について伺います。
 第二条におきまして、第一条の「対価なしに譲渡する」というその規定を受けて、「大韓民国政府は、前条の規定により譲渡される服飾等が両国間の友好関係及び諸分野における協力関係の発展に資することとなるよう適切な措置をとる」、こうなっておりますが、「適切な措置」というのはどのような措置が考えられているわけですか。
#116
○政府委員(竹中繁雄君) 今委員がおっしゃいましたように、本件服飾等は日韓間の友好関係及び諸分野における協力関係の発展に資することを目的として譲渡されるということになっているわけでございますが、韓国政府は、今御指摘になりました条約の規定によりまして譲渡される服飾等について、この目的にかなうよう、すなわち両国間の友好関係及び諸分野における協力関係の発展に資することとなるよう適切な措置をとることが義務づけられているわけでございます。
 「適切な措置」に関しまして特定の具体的な内容は本協定に定めておりませんけれども、この規定の実際の運用に当たりましては、適切な保管及び両国間の友好関係等の発展に資する形での展示等が考えられるかと思います。
#117
○中西珠子君 これまで日本の国立博物館にあったわけですから、韓国の方でも何か博物館のようなものにちゃんと展示して、両国の関係の礎になった方としてやはり手厚く扱ってもらいたいと思うのですけれども、どういう反応をこれまで韓国からもらっていらっしゃいますか。
#118
○政府委員(竹中繁雄君) 韓国政府よりは、現在ソウル市内の中心にございます徳寿宮、韓国語でトクスグン、その中に建設中の本年十月末に開館予定の王宮遺物展示館、これは仮称でございますが、ここに常設展示する予定だと。それから、この展示館における展示に先立って国立中央博物館で特別記念展示を行う予定である旨申し越しております。
#119
○中西珠子君 この協定、李方子女史の非常に御苦労なさった一生を象徴するような服飾等の譲渡というものに関する協定、これを契機といたしまして本当の意味で日韓友好関係が促進されていくということを希望するわけでございますけれども、大臣は、この協定を日本が結び、我々が承認することによりまして、新たなる韓国との友好関係の第一歩をまた踏み出す一層の御努力をなさるという御決意がおありになりますか、お伺いいたします。
#120
○国務大臣(中山太郎君) 李方子女史のこの遺品を韓国へお渡しするということについて韓国に大変評価していただいておりますので、今後ますます日韓の関係が改善されるように努力をいたしたいと考えております。
#121
○中西珠子君 終わります。
#122
○立木洋君 掃海艇の派遣問題についてただしておきたいと思いますが、防衛庁おいでですね。
 最初に基本的な点をちょっと聞きたいのですが、海上自衛隊の掃海隊の任務は何ですか。
#123
○説明員(藤島正之君) 海上における機雷その他の爆発物の処理ということでございます。
#124
○立木洋君 そうすると、それ以外の任務というのはないわけですね、掃海隊は。
#125
○説明員(藤島正之君) 基本的にはその任務が主たる任務であると思います。
#126
○立木洋君 そこで大臣、お尋ねしたいのですが、きのう発表されました政府声明、あのことと関連があるのですが、今お話を聞かれたように、掃海隊、これを部隊として編成するにしても、基本的な任務というのは掃海活動なのです。それ以外の任務というのはないのです、掃海隊には。いわゆる掃海隊というのはそういうことを任務として自衛隊に編成されている部隊なのです。
 それが、九十九条にはいわゆる地域というのが書いてないからといってそれを用いて、そして基本的な任務である第三条とはかかわりがないのだ、関係がないのだというふうな言い方でそれを任務としている自衛隊の部隊である掃海隊をペルシャ湾に派遣するというのは、これはまさに歪曲じゃないですか、政府声明は。第三条とどうして関係がないのですか。――いやいや、あなた政府、声明について解釈できるの。私はそのことを聞くためにあなたに来てもらったのじゃないから、あなたはそれ答えなくていいの。政府声明についての見解を述べるのだから、それは大臣に答えてもらいたい。
#127
○説明員(藤島正之君) 自衛隊法第三条の任務は我々は自衛隊法第六章にかかっておるというふうに考えておりまして、九十九条は第八章ということで、別にこの九十九条により任務を付与しておるというふうに考えております。
#128
○立木洋君 大臣、お願いします、政府声明の解釈。
#129
○国務大臣(中山太郎君) 委員が御指摘のような歪曲といったようなものではないと私は思っております。
#130
○立木洋君 結局、自衛隊の一部隊なのですね、一隊なのです。それが基本的にはどういう任務を持っているのかということは、自衛隊全体の任務を規定した第三条にかかるのですよ。そのこととは全く関係がないと。九十九条には地域を書いていないというのは、これは私たちからするならば、法の解釈からするならばむしろ当然なのです。第三条でいわゆる自国の防衛、主権の擁護ということに当たるのだというふうに書いているのですから、だから九十九条で地域なんか書かないのは言うなればむしろ当然なのです。それでも歪曲でないと言われるなら、その根拠をちょっと示していただきたい、大臣。
#131
○国務大臣(中山太郎君) 自衛隊法第三条は、自衛隊の本来の任務として我が国の防衛と公共の秩序の維持を規定するものでありまして、一方、自衛隊法九十九条の機雷等の除去及び処理は同条の規定により与えられた海上自衛隊の権限であり、第三条と第九十九条を結びつけて論じるのは適当ではないと存じております。
#132
○立木洋君 それがまさに私に言わせると、ひどい言葉かもしれませんけれども、ペテンだと言いたいのですよ。
 これ以上やってもあれでしょうから話を進めますけれども、掃海部隊は結局機雷の排除を任務としてそのための訓練、演習等をやっているわけですね。それで、こういう任務を持っているいわゆる掃海隊の特殊性からいって、機雷を排除するということはこれは本来の任務ですから、その能力を持ち、そしてそれを排除するためには、大体見てみますとこれまでは銃撃だとか爆破だとかという
のは八四%ぐらいやっていますよね。それは武力を使ってやっているわけですね、銃撃ですから。これは武力でないとは言えないですよ、素手ではないのだから。銃撃は機関砲で撃つわけですから。
 そういうことになってくると、まさに自衛隊の掃海隊という本来の能力と武力を持ってその行使に当たる、それがペルシャ湾に派遣されるわけですね。そうすると、これはまさに実力の行使であり武力の行使ではないか。特殊な任務を持った掃海隊が装備している武力、能力、実力、これの行使じゃないですか。大臣、どうでしょう。
#133
○説明員(藤島正之君) 武力の行使は、自衛隊法七十六条に基づく我が国有事の場合の武力の行使ということで、同じ二十ミリ機関砲を使う場合でもそのケースであれば確かに武力の行使ということになるわけですが、九十九条は我々は警察活動の一環というふうに位置づけております。この場合は、同じ二十ミリ機関砲で機雷を爆破する場合でも武力の行使とは位置づけるものではないということでございまして、いわば機雷爆破のための手段として使用するということで、これは武力の行使ではないというふうに考えております。
#134
○立木洋君 機関砲を撃つという場合には、これは機関砲それ自体は武力ですよね。そしてそれは、戦争状態でない場合でも機関砲を撃つというのは武力の行使になるのです、戦争状態でない場合でも。先日の外務大臣の説明の中では、戦争状態でないということが前提だと。それはわかります。しかし、戦争状態でない場合でも武力の行使というのはあり得るわけですよ。
 現に、そういう特殊な能力を持ち特殊な武力を持った掃海隊が日本の領海や領域、近海ではないペルシャ湾に行ってそれを行使する、その能力を行使するということがどうして憲法上軍事行動ではない、非軍事的ないわゆる憲法に抵触しないと言えるのか、そこのところについて大臣に説明願いたいと思います。
#135
○政府委員(柳井俊二君) 武力の行使の概念についての御指摘がございますので、まず私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、国連憲章第二条四項は、各国はその国際関係において武力による威嚇または武力の行使を行ってはならないというふうに規定しているわけでございます。この規定によりまして国際法上禁止されている武力の行使と申しますのは、一国の他国に対する実力の行使でございまして、このような実力の行使は通常武器の使用というものを伴うものでございます。ただ、逆に武器の使用がすべて武力の行使かということになりますとそういうことではございませんで、例えば遺棄された機雷を停戦が成立した後に処理するというようなものは、これは技術的な必要性から武器の使用はいたしますけれども、他国に対する武力の行使というものではないというふうに考えられます。
#136
○立木洋君 今の説明で私は二つの問題のハードルを越えないといけないと思うのです、政府の主張をする場合には。これは前々から政府が言っているように、海外派兵という問題について、一つは武力の行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである、これが一つです。もう一つは、このような海外派遣は一般に自衛のための必要最小限度の限度を超えるのであって、それを超えたら憲法上許されない。つまり、一般的に自衛のための必要最小限度。そうすると、ペルシャ湾の他国の領域、領海にまで入ることがあり得るということは大臣言っているわけですから、これはまさに自衛のためというのと問題が変わってくるわけですよ。
 その二つのハードルを越えないといけない点については、大臣、どういうふうに説明されますか。
#137
○政府委員(柳井俊二君) 先ほど申し上げましたように、武器の使用すなわちすべて武力の行使というものではないわけでございまして、一国の他国に対する武器の使用、実力の行使ということになりますと、これは武力の行使とみなされる場合が多いわけでございますけれども、今回のような場合は武器は使用ではあっても武力の行使ではないというふうに考えますので、したがいましていわゆる海外派兵として、先ほど先生御自身定義をおっしゃいましたけれども、武力の行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するという海外派兵にはならないということでございます。
#138
○立木洋君 やっぱりこれまでの政府の枠を、答弁を拡大していますよ、解釈がだんだん。
 大臣、もう一つ、やっぱり外国の理解を得ないといけないと思うのです。これは一つの重要なことだということを言われていますね。アジアのいろいろな情報を調べてみますと、理解を示すと言いながらも、しかしやっぱり根深い不信感というのがありますよ。それから中国では、昨日深夜、日本政府は憲法が禁止しているにもかかわらずペルシャ湾への掃海艇派遣を決めたと新華社通信が厳しい批判をしていますね。これは憲法が禁止しているにもかかわらず、憲法に禁止していることに日本政府の態度は反しているということまで明確にした新華社通信が出されていますけれども、この点について大臣はどういうふうな認識をお持ちでしょうか。
#139
○国務大臣(中山太郎君) 中国の新華社の電報がそのように言っているということは私は直接存じませんけれども、委員のお話によるとそういう通信があると。
 私、けさの日韓外相会談で韓国側にこの一連の経過を説明いたしましたら、韓国は平和目的というものは明確であるのでこれは理解する、こういうことでございましたから、問題点をよく説明をすれば私は理解がいただけるものと、このように信じております。
#140
○立木洋君 だけれども、きょうの衆議院の午前中ですかの答弁もそうですが、政府声明の中でも今後の問題については今回限りだとかなんとかという歯どめは一切ないですよ、この政府声明には。では将来の場合どうするのか。海部総理が記者会見で述べた中でも、クルド人なんかの問題の場合に、これを救済するだとかなんとかという口実で自衛隊を派遣するようなことはあり得ないかということについては、その問題についてはお答えできないと言ってノーコメントだったですね、私ゆうべテレビを見ていましたけれども。
 大臣のきょうの衆議院でのお話、答弁を聞いていますと、今後いろんな事態が起きた場合ケース・バイ・ケースで対応するという答弁をされていますね。今後ともあり得るということですか。自衛隊の派遣について、この掃海艇の派遣の問題については今後ともあり得るということですか。
#141
○国務大臣(中山太郎君) 今回のような、国連の安全保障理事会の決議等によって平和回復のための行動がとられた後、さらに停戦が確定しておるということで、戦争状態はもうないといったような場合には派遣をすることが今回行われるということで、一つの先例となり得る、このように考えております。
#142
○立木洋君 もう時間がないので私の方は締めくくらせていただかなければならないけれども、自衛隊の一部隊でありながら自衛隊の任務を規定したものから外れてそれが活動すること、つまり軍事行動をとることがあり得る、多国籍軍との共同行動をとることがあり得るということは大変な問題なのです。
 同時に、今あそこで機雷の危険海域というふうに設定されている海域というのは、これは大臣御承知のように、北緯二十八度三十分以北、それから東経四十九度十五分以西というふうになっているわけです。現在、日本の船舶が航行しているのはこの危険区域に全く入っていないのです。サウジのジュベールだとかダンマンだとか、カフジが危険性があるだとか言われていますけれども、危険性があるならば当然危険区域に入らなければならない。しかし、危険区域に入っていない。だから、日本の船舶が今日の航行状態で何ら危険区域に入っていないし、入る必要性もないのです。今あそこはクウェートの油田が爆破されてどんどん油は燃えているわけですから、そういうところに行って輸送なんかできるはずがない。だから、
そういうふうな形で日本の船舶の安全航行に必要だからというのも私は道理が通らない。また、機雷を排除しなければならないという義務は日本にはないのです。そしてまた、外国の機関、どのような機関であれ、どのような国からであれ要請もない。
 結局そうすると、中国なんかみたいに厳しい批判がなされている状況にもかかわらず、去年は国連協力法という法律を出した。そしてその後は、自衛隊機の派遣の問題では政令にしたのです。今度は何らやらないのですよ。それで急遽決めて送り出す。大変なこれは暴挙ですよ、私に言わせるならば。国会を無視し、じゅうりんし、憲法まで踏みにじった極めて大変な暴挙だと言わなければならないと思うのです。そういうふうなことをやるということについては、私は極めて重大な事態になっているということを厳しく外務大臣に指摘をしておかなければならない。
 最後に、この問題について決断をされた、今後効果が起こるかどうかもわからないという同僚議員の先般の質疑もなされましたけれども、そういう全体の問題を考えて大臣がどういうふうなお考えで最終的にこれを決断したのか答弁を求めて、終わります。
#143
○国務大臣(中山太郎君) 日本の政府としてこのような決定をいたした原点は、戦争に参加するものではないということと、国際的に危険性がある機雷等を除去することは国際社会のために貢献ができるということの二つがあろうかと思います。
 私は、素直に申し上げて、今回のことで日本の憲法及び法律に違反がなければ、船員組合等の要望があり、多くの方々がこの機雷の除去によって安全な航行が確保されるということであれば、それは単に日本船員のみならず国際社会に対する貢献ができるものと、このように考えております。
#144
○中村鋭一君 麻薬の防止に関する国連条約に質問を集中してお尋ねをいたしますが、伺っておりますと中西先生がお尋ねになった質問と重複する点が多々ございますが、答弁はもうそれは一たん答えたことですからというようなことで手抜きをしないで、できればスパイスも加えて簡略かつ的確にお答えをお願い申し上げたいと思います。
 今、日本で麻薬の不正な生産は実態として確認されておりますか。その検挙の実績はございますか。
#145
○説明員(鎌原俊二君) 我が国で乱用されます薬物はほとんど海外から密輸入されているものでございますけれども、国内における組織的な不法生産というものにつきましては確認しておりません。
 麻薬及び向精神薬取締法によって規制されます麻薬につきましては、近年その密造はほとんど確認されておりませんで、麻薬を製造した罪ということで検挙いたしました事例につきましては、平成元年と二年に不正に我が国に持ち込みましたコカインを処理してクラックにして個人的に使用したという事犯を麻薬を製造した罪ということでそれぞれ二件、合計四件検挙した事例がございます。このコカインとクラックにつきましては、化学的な組成が若干異なりますけれども、実質的には同じものでございます。向精神薬の密造につきましては把握いたしておりません。
 それから、あへん法により規制されますケシにつきましては、平成二年中に九十一件の栽培事犯を検挙いたしておりますけれども、いずれも農家の主婦等によります観賞目的の栽培でございまして、組織的な事犯というものは確認いたしておりません。
 それから、大麻取締法により規制されております大麻につきましては、平成二年中三十九件の栽培事犯を検挙しておりますけれども、これもほとんどが個人で使用するためのベランダ等におきます栽培事犯でございまして、組織的なものについては確認いたしておりません。
#146
○中村鋭一君 念のために確認しておきますが、それが観賞用でありましてもあるいは個人で使用に供するためのものでありましても、それは当然犯罪は構成いたしますね。
#147
○説明員(鎌原俊二君) そのとおりでございます。
#148
○中村鋭一君 ですから、ほとんどは不正に持ち込まれた事例である、こういうことなのですが、では現在我が国におけるいわゆる広い意味での麻薬の常用者といいますか乱用者は確認されておりますか。また、検挙の実績はございますか。
#149
○説明員(鎌原俊二君) 昨年コカイン事犯で検挙いたしました被疑者九十三人いるわけでございますが、これについて調査をいたしましたら、そのうちの六十八人につきましては自分は実際にコカインを乱用したことがあると自認をしておるといったような調査結果もございます。
 また、麻薬及び向精神薬取締法違反の検挙という状況で見ますと、所持違反あるいは施用違反ということで検挙されました者は実際に麻薬を乱用している可能性が非常に高いものでございますけれども、こうした違反で検挙されました者は、昭和六十三年に三十三人、平成元年に七十一人、平成二年が二十四人という数字になっております。
#150
○中村鋭一君 ということは、いわゆる乱用者、常用者は減少ではなくてむしろ漸増といいますか激増といいますか、そういう認識でよろしいわけですか。一言で結構ですから。
#151
○説明員(鎌原俊二君) コカイン事犯等麻薬事犯につきましては、特にコカインの方を中心にふえていると見ております。
#152
○中村鋭一君 容易ならざることだと思います。
 現在、麻薬の我が国への不法な持ち込み、また不正取引の実態、それから検挙実績を簡略にお願いいたします。
#153
○説明員(鎌原俊二君) 我が国で乱用されております薬物ほぼ全量密輸入されたものであることは先ほど申し上げたとおりでございますが、麻薬につきましては、平成二年中に六十件の輸入事犯と二十二件の譲渡事犯というものを検挙いたしておりまして、約八十キロ押収いたしております。特に近年は南米からのコカインの密輸というものが大幅に増加しておりまして、厳重な警戒を要する状況にございます。
 アヘンにつきましては、平成二年中に輸入事犯を一件検挙しているだけということでございまして、譲渡事犯については特にございません。また、大麻につきましては、平成二年中に百三十一件の輸入事犯と五百三十四件の譲渡事犯を検挙いたしておりまして、大麻樹脂十四キロ、乾燥大麻百四十キロほどを押収いたしております。この大麻事犯につきましては、暴力団が覚せい剤に次ぐ第二の薬物ということで介入を深めておりまして、情勢の悪化が懸念されるところでございます。
#154
○中村鋭一君 コカインを中心に、それから地域的には例えばコロンビア、コロンビア・コネクションとでもいいますか、そういうものの不法な持ち込みが増加しているわけですね。
 これは中西委員もお尋ねでございましたが、よく新聞なんかで末端価格何億とかという表現がされますね。現地で生産されたときのいわゆる原価みたいなものと最終的に薬包紙に包んで乱用者に小売をする場合、その実態というのは難しいとは思いますが、その利益率というのはこれは莫大なものなのでしょうね。
#155
○説明員(鎌原俊二君) 現地の生産の単価がどれぐらいになるかということはちょっと私どもでは把握いたしておりませんのですが、実際に密売網を持っております暴力団が外国から輸入してくる値段、それと末端の価格というものを比較いたしますとざっと数十倍から百数十倍というところでございまして、例えば覚せい剤の例ですと、仕入れ価格が一グラム数千円のオーダーでございますすけれども、末端の乱用者に渡る際の価格が十数万円ぐらいになりますので、大体数十倍から百数十倍。そのほかヘロイン等につきましても似たような状況でございます。
#156
○中村鋭一君 ということは、例えば今回摘発されたイトマンの絵画転がしどころじゃないわけですね。あれは三倍ぐらいで譲渡した、こう言われているのですが、百数十倍でしょう。それをそういうふうに売っている連中は税金を払っていないわけですね。ですから、今回このような条約が締結されるところに大きな意義がある、こう思います。
 今回のこの条約の大きな眼目の一つは第五条の没収規定にあると思いますが、この第五条につきまして、これも簡略で結構ですから、その具体的な目的、特色があるとすればこういうところに問題点があるというところを教えていただけないですかね。特にこの第五条の八項、九項、これは十分に没収というものについて担保し得るものでしょうか。
#157
○説明員(河村武和君) 条約の第五条は、仰せのとおり、没収について規定しております。内容をかいつまんで申しますと……
#158
○中村鋭一君 簡単で結構です。
#159
○説明員(河村武和君) いわゆる犯罪によって生じた収益というものを没収する、それから使われた麻薬、向精神薬等も没収する、これが没収自体でございます。さらに、国際的な協調を図るために国際刑事司法共助ということで、没収及び追徴の執行とか没収の保全、追徴の保全ということを共助するということでございまして、全体として言いますと、こういう措置を各締約国がとるということによって結果的に犯罪が抑止されるというこを目的としておるということでございます。
 今先生が御指摘になりました第五条八項と九項の関係について申しますと、第五条の八項と申しますのは、「この条の規定は、善意の第三者の権利を害するものと解してはならない」ということでございますが、まさに通常の取引の安全の保護という観点からかかる規定を置いておるわけでございまして、この善意の第三者に帰属している財産を没収するということは必ずしも適当でないということでございます。
 他方、この条約自体は第五条の一項の(a)的におきまして、犯罪によって生じました収益にかえまして当該収益に相当する価値を有する財産というものを犯罪人本人から没収するということも認めているということでございますから、善意の第三者の権利は保護しつつ、かつ犯罪人本人から没収することが可能となるということで、第五条を執行する上で八項が問題になるということはないかと考えます。
 さらに第五条の九項でございますが、この五条の九は、第五条におきますすべての措置が締約国の国内法に従って実施されるということを言っているわけでございまして、個々の具体的な実施は、国内法に任せるということを単純に規定しただけでございますので、没収等を行う場合の障害にはならない、このように考えます。
#160
○中村鋭一君 私は、五条の八項の「善意の第三者の権利を害するものと解してはならない」というのはこれは当たり前のことでありまして、この規定が没収を十分に担保するかといえば、当たり前のことを当たり前に書いているわけですから、なくもがなのような項目である、そういう印象を受けたのですが、今のお答えによれば、十分に五条のこの規定によって逆にいえば善意の第三者の権利は財産においても人権においても保護する、そのことはこれで間違いない、このように解釈してよろしいわけですね。
 第十一条監視付移転、これも画期的な取り決めである、こう思うのですが、この「監視付移転の適当な利用」とは、これも端的に国民の皆さんにわかりやすく一言で説明をお願いいたします。
#161
○説明員(河村武和君) 「適当な利用ができるように」といいますのは、簡単に申しますと、必要に応じて関係の国内法を改正して監視付移転ができるようにしてくださいということでございます。
 それではどういう監視付移転かと申しますと、例えば麻薬とか向精神薬の不正な送り荷等を自国の当局の監視下に置きまして、こういう送り荷を押収することをすることなく通関させるというような措置をとってほしいということでございます。ですから、そういう形で関係国内法が改正されればこの十一条は実施することができる、こういうことになります。
#162
○中村鋭一君 一口に言えば、いわゆる泳がせを認めているのだと、こういうことですか。
#163
○説明員(河村武和君) 第十一条一項を読んでいただきますとわかりますとおり、既に第三条一項の規定に従って定められております犯罪にかかわっている者を特定して、その者に対して法的な措置をとるということのために必要な措置をとるということでございますので、その者自体がもう既に犯罪にかかわっているということを認めた上で実施する、こういうことでございます。
#164
○中村鋭一君 ですから私、具体的に簡単にとお願いしたのは、例えばブツを持って入ってきて、そのことを当局が十分理解をしながら、これは末端のそこで捕まえたら売人が捕まるだけですから最後のところまで持っていかせて、いわばボスのところへ行って渡すところでばちっと押さえる、そういうためにこの監視付移転というのが認められている、こう思うのですが、それはそれでよろしいですか。
#165
○説明員(河村武和君) 今先生が御指摘になられたとおりでございます。
#166
○中村鋭一君 これはどうですかね、関税法とか刑法等の国内法と抵触したりそごしたりする点はないですか。
 あるいは私が一つ懸念するのは、これで監視付移転を行って最終的に検挙した人が裁判にかかりますね。後に公判を維持しなければいけませんが、そのときに、そのようなことによって検挙された被告に果たして裁判官がこれに証拠能力を認めるかどうかというような点もどうかなと一つの懸念を持つわけですが、その点公判の維持能力、十分にこのことによっても証拠能力はあり得ると法務当局はお考えですか。
#167
○説明員(古田佑紀君) まず第一点のお尋ねでございますが、現在規制薬物につきましては薬物四法あるいは関税定率法によって輸入は制限されてございます。そこで、今回のこの条約批准のための法律案におきましては、捜査機関からの要請があった場合に税関当局はそこを通過させることができるという規定を設けまして、形式的な抵触を避けるようにしてございます。
 それから第二点でございますが、この点につきましては、コントロールドデリバリーを実施した場合におきましても、例えば規制薬物の押収とかあるいは関係者の取り調べ、こういう証拠の収集はこれは刑事訴訟法の規定に従って行うものでございますので、そこで証拠能力が問題になるというふうなことは考えられないと思っております。
#168
○中村鋭一君 それを伺って安心をいたしました。
 最後に、麻薬等の生産国、例えばコカインを生産しているコロンビアはこの条約の締約国になっておりませんね。それから五条の三項で、「締約国は、この条に規定する措置を実施するため、自国の裁判所その他の権限のある当局に対し、銀行、財務又は商取引の記録の提出又は押収を命令する権限を与える」と。マネーロンダリングをやる場合に、例えばスイスの銀行に送りますね。これは銀行と規定はされておりますが、スイスは現在入っていないと思うのですが、条約の締約国でない国についてはどうするのですか。将来、例えばスイスには締約国になってもらう努力をするのですか。それとも締約国にならなければスイスの銀行にそういう金が預けられたものは没収できないことになりますか。最後にそれをお伺いして、終わります。
#169
○説明員(河村武和君) まず、コロンビア等の多くの麻薬の生産国がまだ依然として本条約を締結していないということは御指摘のとおりでございます。これからもいろいろな場を利用いたしましてこれらの国々に対して条約の締結ということを働きかけていきたい、このように考えております。
 スイスにつきましては、私たちの承知している限りにおきまして、現在既に政府部内で国内法の改正を含めてこの条約を締結するという方向で検討中の由でございまして、私たちとしては年内にはスイスもこの条約を締結するのではないかと期待いたしております。
#170
○中村鋭一君 画期的な条約ですから、ひとつもうすべて国連加盟国はこの条約を批准していただくようにお願いをして、終わります。
#171
○猪木寛至君 麻薬に関する質問をさせていただきます。
 先ほどからお話を伺っていて、大変麻薬の取り締まりあるいはいろんな部分で難しい問題だと思いますが、まず麻薬における歴史みたいなものをちょっと振り返ってみると、これはインディオの疲労回復剤でもあったし、そういうことから一つは消費国があってそれに生産する国、先ほども出ておりましたが、やはり農村の貧困、大変利益が上がるという部分で、代替作物というか、これも大変なことだと思うのですね。消費国においてはアメリカが一番だと聞いておりますが、コカインに関しては四、五百万人という数字が出ているようですけれども、大麻に関しては二千万人という数字が出ております。それに対して生産国、これは先ほども出ていました中南米、それからまたパキスタン及び中東でしょうか、そういう本当に慢性的な貧困の中でこれをどうやっていくかというのは、恐らく政府もまだ具体的な案はないのではないかと思うのです。
 一つお聞きしたいのですが、コロンビアにあるメデリン・カルテルという大変力を持った組織的麻薬ルート、生産者というのですか、これは今現在どういう形になっているのでしょうか。
#172
○政府委員(瀬木博基君) 先生御指摘のメデリン・カルテルというのは、コロンビアの中でカリ・カルテルとともに大きな二つのカルテルのうちの一つだと我々も承知いたしております。大変な力を振るっていたわけでございますけれども、現在のコロンビア政府がたび重なる取り締まりの努力をやってまいったこと、それから国際協力ということ、この二つがかなり成果をおさめつつあるということで、結果として最近は麻薬マフィア側が自発的に投降するなど若干力を弱めているというふうに承知をいたしておりまして、衝突なども最近は鎮静化しつつあるというふうに承知いたしております。
#173
○猪木寛至君 私もちょっと麻薬ルートというのを調べてまいりました。ここにあるのですが、麻薬はコロンビアから出ていく。その原料、原液というのでしょうか、どこから入ってくるかというと、これはあくまでも先端技術がないとコカインを精製できないということで、ボリビアとかペルーから入ってくる。そして、実際にはコロンビアではそれほど栽培されていないということを聞いています。その原液を精製している。
 ここの一番後ろに出ております薬品、これは精製するときの薬品の名前なのでしょうか。エフェドリンとかエルゴタミン、これはそうじゃないのでしょうか。アセトンとかエーテルとか塩酸系、それから硫酸化マンガンとかいろいろそういうような物質で何か精製されると聞いておりますけれども、それはどうなのでしょうか。
#174
○政府委員(瀬木博基君) この附属書に出ております薬品の使い道はいろいろあるようでございますが、アセトンとエチルエーテルというのはコカをコカインにするために使われるものと承知いたしております。ほかの薬はまたそれぞれ別の麻薬の精製に使われると承知しております。
#175
○猪木寛至君 今つくるのに例えばドイツそれからアメリカという先端技術、これは大分難しくなりますが、いろいろな機械の名前、ミキサーだとか近代的な乾燥機とか特殊分析装置とかいろいろなものが出てくるのですが、そういう先端技術を出しているところは例えばアメリカとそれからドイツ、アジア方面というのは多分日本しかないと思うのですが、その辺の情報はいかがでしょう。わからないですか。
#176
○説明員(齋藤勲君) 私ども、麻薬の密造にいろいろな薬剤、器具が使われるということは聞いたことがございますが、まだ我が国が出したものがその密造に利用されているという情報には接しておりません。
#177
○猪木寛至君 例えばそういうような機械をこれからチェックしていく、もとを絶たなきゃだめだというコマーシャルがありますけれども、そういうような部分で本当にこれは大変難しい問題だと思いますが、そういうチェックをこれからやる考えはありますか。
#178
○説明員(齋藤勲君) 麻薬の新条約には、付表に書いてある化学薬品が掲げられておりますが、さらにこれ以外に先ほど先生御指摘になりましたような薬物につきましても麻薬の密造に使われるおそれがあるということで、先進国を中心とした会議が持たれているところでございます。それで、その薬物中間体あるいは溶剤のような密造に用いられる薬物を規制することでもし必ずしも十分ではないというようなことでございました場合には、そうしたところでさらに議論が進められるものではないかというふうに考えております。
#179
○猪木寛至君 中南米もさることながら、もう一方で今度は、今から十年ぐらい前になりますが、私はアフガン難民の救済チャリティーということで向こうへ試合で行ったことがあるのです。ちょうどぺシャワールとかクウェッタというのが途中なのですが、今クルド族が注目されておりますが、いまだにこのアフガン難民というのはそのままになっているそうです。全く昔と変わらない状況でその難民が暮らしているということを聞いております。
 一方、ずっとそこからガンダーラへ向かう途中は大麻の産地ということで、私もびっくりしたのは、一反歩ぐらいずつで大麻を栽培しておりまして田んぼの横には全部大麻が生えているのですが、この辺の規制というのは、外国のことですから、今幾ら規制を日本でやってもなかなかこれは規制しにくいのじゃないかと思うのですが、その辺の情報はいかがでしょうか。
#180
○説明員(橋本宏君) 委員御指摘のパキスタンにつきまして我々が調べたところをお答え申し上げます。
 まず、パキスタン政府自身は従来より麻薬撲滅に取り組んできておりまして、それ以外に国連薬物乱用統制基金等の国際機関とかアメリカ等は、同国においてケシの代替作物への転作奨励のための援助を実施しているということは承知しております。しかしながら、それ以外の今委員の御指摘のことについてはわからないというのが現状でございます。
#181
○猪木寛至君 ちょっとコロンビアの話に戻るのですが、例えばこれから代替農作物をつくるといっても、先ほどのように末端価格が何十倍、百何十倍というとんでもない数字になるわけですけれども、実際にコロンビアの農民の年間の平均所得というのはどのくらいでしょうか。
#182
○政府委員(瀬木博基君) コロンビア全体の国民一人当たりの所得はおよそ千二、三百ドルだろうと思います。ただ、農民がその中で幾らぐらいかは、いろんな農民のグループもおることだと思いますので、ちょっと正確には把握しかねております。
#183
○猪木寛至君 例えばコカを栽培したその農民、農業をやっている人たち、農業と言っていいのかどうか、この人たちの所得というのはわからないですか。
#184
○政府委員(瀬木博基君) 先ほど先生おっしゃられたとおり、コロンビアは実は栽培しておらないのでございまして、ボリビアとペルーでございまして、恐らくボリビア、ペルーでの栽培に従事しているような者の所得は平均の所得から比べるとはるかに低い数百ドルぐらいの見当だろうと思います。
 コロンビアでは、精製している者とそれに運び屋みたいな者とが主ではないかと思います、麻薬にかかわる者は。この人たちはおよそ陰の人ですから、実体が全くわからないということでございます。
#185
○猪木寛至君 ちょうどこの中にもスポーツの関係が出ております。今オリンピックで大変問題になっている薬物使用ということで、これは先進国はいいとしても後進国が、この測定器というのは物すごく高いと聞いていますので、実際それをこれからスポーツ施設に取り入れるというのはやは
り大変な問題になります。
 私も政府にお願いしたことがありますが、前にラウル・ゴンザレスという、これはメキシコのオリンピックの金メダリストですが、ぜひその支援をしてほしいということでそういう話があったのです。今後、例えばさっきの日本の協力という部分で、スポーツについてですが、そういう考え方はありますか。
#186
○政府委員(小倉和夫君) 外務省の一般の経済協力の枠内でどこでそういうドーピングの器材、先生のおっしゃっております問題に対処する等の協力ができるかというのはなかなか難しい点がございますが、例えば文化無償というようなものがございまして、これはスポーツもやっております。そういうようなものの中で取り上げるということが可能かどうか、これはよく検討しなくてはならないものだと。
 しかし、率直に申し上げまして、ドーピングというものをどういう観点からとらえるか。つまり、スポーツは勝てばいいということではなくて、そういうところからドーピングが一つはできているというふうに考えますと、そういうスポーツのあり方というものを変えていくということが一つの考え方であるというようなことから、そういうことに対する協力というのはやはり一つの広い意味での日本の文化協力と申しますか、スポーツ面の協力と申しますか、そういうところにつながるのだというような考えをたどれば、ドーピングの器材のようなものにつきましてもスポーツと医学との接点に属するような問題として、経済協力、文化協力、文化無償、そのようなものの中で取り上げていくことも検討できるのではないか、そういうふうに考えております。
#187
○猪木寛至君 これから麻薬というのは、一般市民もそうですが、やはり青少年の汚染というのが一番大きいと思いますので、そういう意味で、これからスポーツ選手あるいは芸能も含めてこういう人たちが自制をしていくというか厳しくやってもらう。例えば、この前スポーツ選手が、あれはカナダの百メートルの選手ですけれども、ああいうことはやはり青少年に与える影響というものが大きいと思うので、ぜひそういうような積極的な協力、これはスポーツだけじゃないのですが、よろしくお願いいたします。
 そういうことで私の質問は終わります。
#188
○委員長(岡野裕君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより一括して討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等の譲渡に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#190
○委員長(岡野裕君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#191
○委員長(岡野裕君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#192
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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