くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第120回国会 法務委員会 第1号
平成二年十二月十八日(火曜日)
   午後二時開会
    ─────────────
  委員氏名
    委員長         矢原 秀男君
    理 事         鈴木 省吾君
    理 事         福田 宏一君
    理 事         北村 哲男君
    理 事         中野 鉄造君
                斎藤 十朗君
                中西 一郎君
                林田悠紀夫君
                山岡 賢次君
                山本 富雄君
                久保田真苗君
                千葉 景子君
                八百板 正君
                安永 英雄君
                橋本  敦君
                山田耕三郎君
                宇都宮徳馬君
                紀平 悌子君
                小山 一平君
                土屋 義彦君
    ─────────────
   委員の異動
 十二月十八日
    辞任         補欠選任
     山本 富雄君     藤田 雄山君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢原 秀男君
    理 事
                鈴木 省吾君
                福田 宏一君
                北村 哲男君
                中野 鉄造君
    委 員
                斎藤 十朗君
                中西 一郎君
                林田悠紀夫君
                藤田 雄山君
                山岡 賢次君
                久保田真苗君
                千葉 景子君
                八百板 正君
                安永 英雄君
                橋本  敦君
                山田耕三郎君
                紀平 悌子君
   国務大臣
       法 務 大 臣  梶山 静六君
   政府委員
       法務政務次官   狩野 明男君
       法務大臣官房長  堀田  力君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  濱崎 恭生君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  井嶋 一友君
       法務省訟務局長  加藤 和夫君
       法務省人権擁護
       局長       篠田 省二君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   金谷 利廣君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   泉  徳治君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   町田  顯君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  今井  功君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   島田 仁郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        播磨 益夫君
   説明員
       環境庁企画調整
       局環境保健部特
       殊疾病対策室長  岩尾總一郎君
       労働省労働基準
       局補償課長    出村 能延君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(矢原秀男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、検察及び裁判の運営等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(矢原秀男君) 梶山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。梶山法務大臣。
#5
○国務大臣(梶山静六君) ごあいさつの機会を逸しておりましたが、先般、法務大臣を拝命いたしました梶山静六でございます。
 歴史的変革を遂げる国際情勢のもと、極めて困難な問題が山積しておりますこの時期に当たり、その職責の重大さを痛感いたしております。
 御病気で退任され、先般、突然御逝去された長谷川前大臣の御遺志を体して、私も法務行政に課せられた使命である法秩序の維持と国民の権利の保全のために、法務行政の各分野にわたり一層の充実を図り、時代の要請に応じた適切な施策を講じ、国民の期待する法務行政の遂行に全力を尽くしてまいりたいと存じております。
 なお、就任早々の私の発言により各方面に多大の御迷惑をおかけいたしましたことに対し、この機会に深くおわび申し上げます。
 私としては、今後は過般の発言についての深い反省の上に立って、マイノリティー問題の理解に対する正しい認識を日本国内に根づかせるよう啓発の努力をするなど、人権の尊重と人種差別の根絶のため、法務大臣として最大限の努力を払ってまいり、その責めを果たしたいと存じております。
 委員長をはじめ本委員会の皆様方の御指導、御鞭撻のほどを切にお願い申し上げます。
    ─────────────
#6
○委員長(矢原秀男君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から両案について順次趣旨説明を聴取いたします。梶山法務大臣。
#7
○国務大臣(梶山静六君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。
 政府は、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。
 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、これらの報酬または俸給を増額することといたしております。
 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与等に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。
 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成二年四月一日にさかのぼってこれを行うことといたしております。
 なお、今回特別職の職員の給与に関する法律の調整手当に関する特例措置を廃止することといたしておりますので、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官並びに検事総長、次長検事及び検事長に支給する調整手当に関してこの特例措置に伴い講じられていた暫定措置を取りやめることといたしております。
 以上が裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#8
○委員長(矢原秀男君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより両案に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○千葉景子君 きょうは、まず今趣旨説明がございました給与に関します法律案について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、待遇が改善をされていくというのは、これは決して私も否定するところではございません。ただし、裁判官、検察官という大変特殊な職務ということもございますので、そういう観点に立ちましてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 この説明によりましても、裁判官、検察官の報酬とそれから一般職その他特別職の公務員の給与というのは体系上ほぼリンクをされているという形になっております。これは、最高裁の長官と内閣総理大臣、これは三権のそれぞれ長ということもありまして、ある意味で対応関係にあるのかなという感じがいたしますけれども、例えば最高裁のその他の裁判官と検事総長そして国務大臣と、こういう対応関係になっておりますし、東京高裁の長官、これは検察官のところはこれに対応する関係がなく、そしてあとは法制局の長官が対応関係にある。その他の高裁の長官、東京高検の検事長というのが対応関係にある。それから次長検事とその他の検事長が政務次官と対応関係にある。こういうような仕組みになっておりまして、あと一般職についても一般職の公務員と相対応するような形でランク付がされているということになっております。
 まず、それぞれどういう基準で、先ほど言ったように最高裁の長官と内閣総理大臣、これはある意味ではわかるような感じがいたしますけれども、その他の裁判官、検察官と公務員との対応関係というのはどういう基準で設けられているんでしょうか。ちょっとその辺を簡単にといいますか、わかりやすく説明いただければというふうに思います。
#10
○政府委員(濱崎恭生君) お答えいたします。
 裁判官の報酬につきましては、憲法で相当額の報酬を保障しなければならないという趣旨が定められておりますが、それに沿いまして裁判官に相当額の報酬を支給するために特別職、一般職の給与体系とは一応別個の体系として樹立されているところでございます。
 また、検察官につきましても、検察官が司法官に準ずる地位にあるものとして、裁判官と同様に司法作用に関与しているということから、これと同様の水準を保つべく別個の給与体系がつくられているわけでございます。これは、戦後の国家公務員全体の制度のもとで給与体系がつくられました際に、一般の政府職員とは別の体系のもとでの給与体系がつくられ、これが現在の裁判官報酬法、検察官俸給法として体系的には維持されているわけでございます。
 ただいま御指摘がありましたように、金額の面におきましてはそれぞれ対応する関係にございますけれども、これは今申しましたような裁判官及び検察官の職務の特殊性にかんがみまして、一般の政府職員とは相当程度優位の水準のものとして、戦後以来定立されておるところでございまして、その額の定め方については戦後定立されましたその対比関係を一応基本的には維持しつつ現在に至っているということでございます。その職務の評価そのものを一般行政官とリンクさせて決定しているということではないと思っております。
#11
○千葉景子君 それぞれが独立の給与体系でその増額について一定の同じ割合で増額をしているということなのだろうというふうに解釈をするわけなんですが、これは細かいことになりますけれども、例えば東京高裁長官とその他の高裁長官というのは位置づけが若干違っている、あるいは東京高検検事長とその他の検事長はまたちょっと違ったランクに位置づけられる、それから高裁と高検、これも必ずしも横並びではなくて、額として一段違いがある。こういうところは職務の内容とか特殊性等を含めてこういうそれぞれの位置づけになっているというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
#12
○政府委員(濱崎恭生君) 全体といたしまして、御指摘のとおりであるというふうに考えております。
 東京高裁の長官とそれ以外の高等裁判所の長官の間に給与の差を設けておりますのは、これは東京高裁は一定の重要な事件、例えば独禁法に基づく損害賠償請求でございますとか、特許庁の審決の取り消し事件とかそういった特殊な事件につきましては専属管轄を持っている、それに加えまして規模も格段に大きいというようなことから、その長官の職責にそれなりの違いがあるのではないかということから差が設けられているわけでございますし、東京高検の検事長とその他の検事長の間にも、東京高検は独禁法違反事件の捜査でございますとか、逃亡犯罪人引き渡し請求事件における拘禁、審判の請求でございますとかそういった特殊の事件を専属的に所管しているということ、それから規模の大小というようなことからその職責の違いを認めている。また、高等裁判所長官と検事長の間に差がございますけれども、これは高等裁判所は民事、刑事広く事件を所管しておりますが、検察庁は刑事事件に関する捜査、公訴の提起、維持という刑事事件に限られている、そういった職務の範囲に伴う職責の重要性ということについて差を認めて、こういう取り扱いが維持されているということであると思っております。
#13
○千葉景子君 先ほど御説明の中で、一応裁判官、検察官などの職務の特殊性から考えて一定の優位な給与体系といいますか、それをそれぞれが持っているというお話でございましたけれども、そのとおりにやはり裁判官、検察官については一般の公務員とは別なこういう法律がそもそも設けられている。そうして、職務からいっても、公務員の中でも大変特殊性を持つ仕事であろうというふうに
私は思っております。独立性があり、それからいろいろな意味で時間的にもあるいは内容的にも大変激務であろうというふうに思うわけでございますけれども、この特別に設けられている法律の中で、一般職の公務員あるいは特別職の公務員、そういうものと違った取り扱いというんでしょうか、やはり職務の特殊性などを生かした手当であるとかあるいは中身、どういうところにその特殊性みたいなものがあらわされているんでしょうか、あるいはそういう点を考慮されているんでしょうか。そういう点はございますか。
#14
○政府委員(濱崎恭生君) 基本的には先ほど御説明いたしましたように、その職務の困難性、職責の重大性にかんがみて、その報酬または俸給の額において一般の行政官より相当優位を保っている、これが基本でございます。
 そのほか手当等についてどういう工夫がなされているかということでございますが、これは例えば初任の裁判官、検察官につきましては、弁護士収入との格差を埋めるという観点から初任給調整手当というものが支給されるということになっておるということ、あるいは超過勤務手当、それからいわゆる管理職手当につきましては、裁判官、検察官の執務態様の特殊性からこれに相当するものを報酬、給与の一部で評価いたしまして、超過勤務手当、管理職手当という形では支給しておらないというようなこと。それから、高等裁判所長官、次長検事、検事長につきましては、一般の裁判官、検察官と同様に寒冷地手当、単身赴任手当を支給している。こういった点におきまして、国家公務員の給与制度の枠内でその職務の特殊性を一定程度反映するというような配慮がされておるところでございます。
#15
○千葉景子君 その体系のちょっと枠外になろうかというふうに思うんですが、司法修習生の給与というのが一応参考として挙げられているわけなんですけれども、この司法修習生の給与というのはどういう位置づけで一定の額なり内容が決められているんでしょうか。
#16
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 司法修習生の手当につきましては、最高裁判所規則の司法修習生の給与に関する規則というのがございまして、そこで定められているわけでございます。
 司法修習生にも一般の国家公務員に準じた給与が支給されておりますが、今御質問のその基準でございますけれども、国家公務員採用I種試験、これは以前は上級甲種試験と言われていたものでございますが、そのI種試験を通しまして採用されました国家公務員が三年目、四年目に受ける給与のほぼ中間に位置する給与が支給されておるわけでございます。
 俸給表で申しますと行政職俸給表(一)の三級三号俸と四号俸のほぼ中間に位置する給与が支給されている、こういうことでございます。
#17
○千葉景子君 それは、そこに位置づけるのが司法修習生の実態というところから妥当であろうということでこの号給にほぼ当てはめられているということでしょうか。
#18
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) そのとおりでございまして、国家公務員採用試験と司法試験、若干性格は違いますが、大学卒業、法学部卒業生がともに受けるという試験でございますので、それほど隔たった手当を決めるわけにはまいりませんけれども、その中におきましても先ほど申しましたように若干の優位性を持って定められている、こういうことでございます。
#19
○千葉景子君 ところで、裁判官や検察官については一定の特殊性を考慮した給与体系で運営をされているということは大枠わかるわけなんでございますけれども、最近司法試験の改革問題などが実現の方向に進んでいるところでございます。そういう中で、その背景としては裁判官とかあるいは検察官、もっともっと有能な人材をふやしていきたいということもあろうかというふうに思うんですね。
 そういうときに、しばしば言われることに、例えば検察官などは余り弁護士と比べても意味はないというふうに思うんですけれども、やはり給与なども含めて待遇の面などでももう少し改善をして、それによって、重要な職務であり、それからまた大変厳しい実態にもございますので、給与を含めたそういう改善を図りながらいい人材を確保していくべきではないか、こういう意見もないわけではございません。そういうときに、なかなか給与自体を動かすというのは難しいことであろうと思いますし、高ければそれで済むというものではないというふうに思うんですけれども、先ほどから私も申しているような特殊性とかそういうことを生かして、この給与体系というのを全くがらっと変えるということではありませんが、何か工夫をするとかそういうことがあってもおかしくはないのかなという感じがします。
 そういうことも含めてその待遇改善、そういう観点でこの給与体系というのをどういうふうに御認識されていらっしゃるでしょうか。
#20
○政府委員(堀田力君) 検察官が検察官たるにふさわしいそういう環境に置くということは、やはり検察官に任官していただくために大変重要な要素でございまして、委員御指摘のとおりでございます。
 その待遇環境といたしましては、一つは職務上の環境、もう一つは住宅等の環境とございますけれども、例えば職務上の環境といたしましては、まず部屋でありまして、これはやはりこういう執務室として立派な部屋をみんなに提供する、そしてそこにしっかりした補助者をつける、そういう形が大切であろうと考えまして、全国その方針でやっております。
 さらに、最近は非常にOA化が進んでおりまして、これも各検察官に一台ずつワープロを提供いたしまして、ワープロで効率的に仕事ができる、そういう形を整えておりますし、また各検察官に図書費等を給しまして、これは図書も非常に重要な仕事の要素でございますので、それぞれが必要なものを備えるようにするという措置も講じております。
 そのようにいたしまして職務上の環境が法律家たるにふさわしいものにするように努めますとともに、一方、それぞれの住居につきましても、これは各地によっていろいろ事情は違いがありますけれども、やはりそこにある程度は誇りを持って住めるような住居にいたしたいということで、これも努力しておるところでございます。
#21
○千葉景子君 なかなか給与自体のところは難しいようなどうも御様子でございますけれども、そういうところも含めて今後また検討していただきたいというふうに思います。
 今そういう環境を整えていくという中の一つに、今回もというか、この法律の中でも定められておりますが、単身赴任の問題というのが最近大きな社会問題にもなっているだろうというふうに思うんですね。これは多分、裁判官、検察官の皆さんについても当然同様の問題があるだろうというふうに思っております。
 普通で言いますと、家族の問題であるとか御高齢者の問題であるとか、あるいは夫も妻もともに働いているとか、それから子供の教育、学校の問題であるとか、そういうことを含めまして、大変最近は単身赴任がふえているというふうにも言われているところでございます。検察官や裁判官の皆さんもそういう問題と、やはり同じ仕事を御夫妻でなさっているというケースも大分あるんではないかというふうに思うんですけれども、この単身赴任の問題、手当につきましては法律で十分に保障がなされているとは思うんですが、それ以外に単身赴任についてできるだけの配慮とかしていく必要もあるんではないかというふうに思います。
 例えば、同じ裁判官や検察官でありますと、赴任先を何らか夫と妻で考慮するとか、あるいはその他にも住宅の問題であるとか学校の問題であるとか、そういう点など思いつくことがあるんですけれども、そういう点については最近やはり十分に配慮が行き届いているんでしょうか、どんな点について注意をなさってこういう問題に対処をなさっているのかお尋ねをしたいと思います。
#22
○政府委員(堀田力君) 単身赴任は一つのいわば社会的に不幸な出来事でございますので、まずそういうことにならないようにすることが大事であろうと思っております。
 先ほど委員より、夫婦ともに働いている検事の場合という例を挙げていただきましたけれども、例えば夫たる男性検事を和歌山地検に配置いたしますと、妻たる女性検事は大阪地検の堺支部に置くというような形で、なるべく単身赴任が発生しないようにという努力を第一にいたしました上で、その後いろんな家庭の事情、教育問題等で単身赴任をせざるを得ないということに相なりますと、これは制度として単身赴任手当をいただきまして、制度としてはそれが唯一のものでございますけれども、なるべくいろんな精神面で援助するように、例えば互助会等を使って心がけるというような方策しか現在のところは考えられない。
 それで、結局、単身赴任しております者が一番心配いたしますのは残された家族、子供のことでございまして、これらの人たちに対する適正な住宅の提供、転宅等についての補助、さらにはいろんな面の連絡等、これは制度というわけではございませんけれども、検察庁の総務という組織を挙げまして可能な限りの援助をするということで現在のところは対応しておるのが実情でございます。
#23
○千葉景子君 これはとかく女性が働き続けるという意味でも、大変いろいろな意味で問題になってくるところでもあろうかというふうに思います。女性裁判官、検察官の方もいらっしゃることと思いますので、ぜひそういう点について今後も十分な御配慮あるいは手当てをしていっていただきたいというふうに思うところでございます。
 ちょっと時間も限られておりますので、法案につきましては以上にいたしまして、法務大臣、先ほどもごあいさつの中で問題になっております法務大臣の御発言について陳謝のお言葉がございました。私もきょうが初めてではございませんで、法務大臣には決算委員会なども通じまして何度か問題点を指摘させていただいてきたところでございます。
 先ほども御決意の中で、今後人権問題などの啓発に努め、こういう問題が起こらないようにしていきたいという御決意も述べられたところでございますけれども、ただやはり私は思いますのに、いつも名前が出て恐縮でございますが、中曽根元総理から、あるいは渡辺美智雄氏など含めまして、どうして重ねてこういう発言が出てしまうのだろうかということを大変残念に思っております。これは、それぞれ一人一人がこういう問題について注意をいただく、あるいは人権問題について考えを改めていただくということと同時に、政府として人権に対する、あるいはマイノリティーに対する認識というのがこれまで欠けているんじゃないか、基本的にそこに共通認識とか共通の考え方というのが持たれてこなかったんではないだろうかというふうに思うんです。そういう意味では、今後抜本的にこういう問題にどう認識を改めていくか、そしてそのためにはどういう具体的な対処をしていったらいいのか、そういうことが問われてくるんではないだろうかというふうに思います。
 私も前回、決算委員会の中でも、何かもっと具体的に、このマイノリティー問題あるいは人権問題に対処していくのにどういうふうに具体的に行っていくのかということを質問させていただきました。これまでも御発言があるたびに陳謝はいただきますけれども、具体的にこういう点で改善をされたとか、こういう取り組み方をしたということがなかなか私どもには伝わってこないところでございます。そういう意味で、我が国では国際的な人権にかかわる条約の批准率なども大変まだまだ低いという状況もございますし、海部総理も取り組みを始められた子供の権利条約なども今後大きな課題であろうというふうに思うんですね。そういう意味で何か、今後啓発に努めてまいりますと言うのみならず、それじゃ具体的に、まずこういうことから取り組んでみようというようなことがあってしかるべきではないかというふうに思うんですが、その点は、この間大分お時間もたっておりますし、法務大臣もいろいろとお考えになったかと思うんですけれども、何か具体的にお考えになるようなことはございますでしょうか。
#24
○国務大臣(梶山静六君) 私の発言問題で大変皆さん方に御迷惑やら御心配をおかけしたことを冒頭おわびを申し上げたわけでございますが、確かに委員御指摘のとおり、たび重なるというか、それぞれの方々が人種問題あるいはその他の問題の差別、そういうものととられる発言を繰り返している、それはどういうことなんだろうということを私の問題を通じて私なりに、自分の口で言うのもおこがましいことでございますが、真摯に今反省をし、そして私なりの考えられる点、そして私に対するいろんな意味で内外からの御叱正、そういうものを私なりに受けとめて、これをどう私なりにそしゃくをしていくかという問題に今懸命に私自身も取り組んでおります。
 残念ながら、数十年というか六十年来、私の心に惰性としてでき上がったものが、たかだか三カ月程度ですぐに抜けるとは思いません。しかし、懸命なそういう努力を今払っているさなかでございます。そしてようやく私自身も、あの当時不用意という言葉を使いましたけれども、不用意ということよりもその発言自身がいわば差別を受けたという感じの相手方に大変な実は疎外感というか憤り、そういうものを与えてしまったということにようやく最近私なりに感づくことができるようになりまして、これからそういうものをどう除去していくか、これが私自身のまず心の問題とこれからの言動の問題だろうと思います。
 それから、私の体験をこうやってひもときますと、やはり日本人自身が国際化を進めていく上にどういう基本的な認識を持たなければならないか、そういうことでありますので、人権擁護局に指示をいたしまして、これからそういう人種問題やあるいはマイノリティー問題、それぞれの問題に対する啓発、そういう活動を具体的に起こしてほしい。特に私は、若いあるいは幼い方々からそういう問題を始めないと一朝にしてできるものではないということが私自身の体験を通じて感ずるわけでございますので、そういうものに真剣に取り組んでいかなければならないということで、ようやく最近そういうものに取り組み方を指示し、ことしの秋もついこの間行ったばかりでありますが、さらにそういうものを拡大する、一法務省の運動というよりもこれは教育界にも、あるいはいろんな意味での広範な社会運動の中にそういうものを定着させなければならないというふうに感じております。
#25
○千葉景子君 これはぜひ本当に政府が、法務大臣なども含めてですが、真剣に取り組んでいただくべきことであろうというふうに思います。
 ただし、法務大臣として、やはりこれだけ国内そしてさらには国際的にもいろいろな意味での問題を、波紋を生じせしめたということになりますと、今後真摯に本当に取り組んでいただくということはとても重要なことでございますけれども、やはり国民に対してあるいは国際的な関係に関して一度明確な責任をおとりになる必要があるんじゃないか、そこから改めてこういう問題について国民に対してもそして政府内部でもゼロからもう一度考え直すということが私は必要なんじゃないか、そういうけじめが必要なんじゃないかというふうに思います。そういう意味で、法務大臣として明白なわかりやすい責任のとり方ということがおありなんじゃないかと思いますが、お考えはどうでしょう。
#26
○国務大臣(梶山静六君) 過般、衆議院の法務委員会でも率直なそういう御指摘をちょうだいしてまいったわけでありますが、私はやはりみずからの責任というのはそれぞれの皆さん方の御意見、与野党を問わず、あるいは各界各層の方々の意見を今私なりに分析をいたして、責任とはどういうものなのか、公人としての責任のとり方、そのこと自身は私の心の中に深く今苦悩をしながら、そして前段に申し上げたようなことを定着させることによって一つは責任を負うべきである。それ以
降のことに関しましては、どうか私の心の中で決めることでございますので、御意見のあることを十二分にちょうだいをいたしておきます。
#27
○千葉景子君 心の中のことは法務大臣が今後ぜひ整理をいただくことで、私は公的な立場として明確に責任をとるべきであろうということを最後に指摘をさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
#28
○北村哲男君 北村でございます。
 私も、いわゆる梶山法務大臣の発言問題につきまして質問いたしますが、午前中、衆議院の法務委員会に傍聴に行ってまいりました。もうそれこそすべての質問者からこの問題について質問をされ、ただいまも千葉委員から御発言がありました。もう本当に言い尽くされた問題でありますし、またくどいようですけれども、私も何点かその点について質問させていただきたいと思います。
 と申しますのは、私たちは昨年暮れのこの法務委員会で入管法の改正問題を取り扱いました。そして、私たちはこの改正は外国人労働者の人権侵害について配慮されていないばかりか、逆に侵害が助長されることもあるという指摘をしてきました。しかし、その点はわずかに附帯決議に盛り込まれただけで法案は成立し、ことしの六月一日から施行されましたのは御存じのとおりだと思います。案の定、外国人労働者の間に大混乱が起きまして、東京入管や大阪入管は一時パンクしかねない状態になりました。
 六月の法務委員会では、この点の法務行政の配慮のなさが大いに追及されまして、亡くなられた長谷川法務大臣が私たちの前で外国人の人たちに対し申しわけないことをしたと、自分たちの配慮が欠けたために多方面に迷惑をかけたんだと、今後十分注意していくというふうな趣旨で、この場で過ちを認められて頭を下げられたんです。私たちは、この長谷川法務大臣の率直な、かつ真摯な態度に対して、不法就労を含めた今後の外国人労働者に対する法務行政の中で人権について特別の配慮がなされることに期待を持ちました。
 ところが、その直後に長谷川法務大臣は御病気になられました。そして梶山大臣が就任されました。長谷川行政の懸案事項であった外国人労働者の問題についてこれを梶山大臣が最重点課題として引き継がれて、早速問題地域の新宿、大久保地区を視察されました。ここまでは私はよかったと思うんです。しかし、あの場所で多くの外国の女性たちが立っている状態を見たときに、どうして彼らあるいは彼女たちが同じ人間であるとの立場に立った感想が大臣の口から出なかったのか。同じ人間として、彼らあるいは彼女たちが、そして弱い立場にいる人たちが無残な立場に置かれている、これをどう解決していくかという観点に立っておれば、そういう発想をしておれば、だれがどんな意地悪な誘導質問をしようとも、大臣が言われたような発言は決して出てこなかったであろうと思います。亡くなった長谷川大臣の姿勢に期待していただけに、余計に私たちは残念で仕方がなかったんです。そして、それが私の当初からこの数カ月の間思っていたことです。ですから、くどいようですけれども、再度お聞き苦しいと思いますが、聞いていただきたいと思うんです。
 そこでまず第一に、九月二十一日の午前中の記者会見で、いわゆる白黒発言をされました。それが直ちに問題となるや、その午後に大臣は訂正の記者会見をされて、その内容は新聞によりますと、「善良な住民が表に出られなくなり、環境が劣悪化している。そういう抗議もたくさん来ている。アメリカでもそういう問題がたくさんあり、人種差別として言ったつもりはまったくない。舌たらずだったら謝る」という発言をされました。そういう釈明をされておりますが、これはどういう意味で舌足らずであったのか、あるいはこれをどう補足すれば理解をしてもらえたのか、もしその点でつけ加えることがあれば言っていただきたいと思います。
#29
○国務大臣(梶山静六君) 今、九月当日のことをもう一回思い起こして、その当時の私の心境を率直に申し上げるならば、確かに新宿周辺におられる私の目撃をした方々それぞれにはそれぞれの個別的な理由やあるいは国内の経済状況、その他もろもろの問題は同情すべきものがたくさんあろうかと思います。しかし、私のあそこを拝見する直接の動機になったものは、あの周辺に長く住んでいる方々が幾つかの悲鳴にも似た苦情を私たちに申し込んできておったという現実からでございます。
 ですから、私はそれが外国人であれ日本人であれ、そうやって街に立って、売春という言葉じゃなくて、買売春と言うそうですが、そういうことが行われておることは決していい環境ではない。しかも、結果として調べてみますと不法残留者、これがほとんどである。そういう状況でございますから、私はやはり、私の視点が国内的な問題に強かったのかもしれませんが、少なくともそういう御家庭の方々が大変御苦労をなさっている、そして私は、片や、幾らどう見ても個別に同情すべき点はあっても、いわゆる外国人労働者という観点でのみその方々をとらえることができなかったという現実は、私は当時の心境、率直に申し上げてそういうことであったわけであります。
 ですから、その発言、その日は朝の発言をいたしたわけでございますが、一、二の方がそうやって社へ上げて相談をしてみたら、こういうことはだめよと言われるから、私は実はこうこうこういう理由で御説明を申し上げたんだということを言って、もしもそういう意味で私の例え、比喩やその他が間違っていたらば舌足らずであったからひとつ御訂正を願いたい、そういうふうに申し上げたことは真実でございます。
 ただ、そういうものによって派生した問題、今にして思いますと、私の主観で申し上げるということよりも、それによって被害感、被害を受けた方々、その人たちの思うことが正しいわけでありますから、結果として大変傷つけてしまった、そういうことで今深く反省をいたし、そういうものをどう克服していくか、私の内面上の問題と、それから外的な問題にどういうふうにこれから取り組んでいくかということで今懸命に検討を重ね、一つ一つの問題に取り組んでまいりたい、こう考えている次第であります。
#30
○北村哲男君 もう一、二点ですが、九月二十五日に発言の取り消しの記者会見をされております。そして、これには、アメリカの人種問題を援用したことは全く不適切であった、その発言を取り消すとともに深くおわびするという趣旨の発言をしておられます。
 そして十月十七日、アメリカの黒人議員連盟に対して謝罪の書面を送っておられます。そこでも同じようにアメリカの人種問題を援用したことは不適切であった、あるいはアフリカ系米国民の心を傷つけたことは遺憾であったという趣旨のことを言っておられますが、これはアメリカ向けの発言の取り消しをしているだけにしか私どもには思えませんが、他の発言、すなわち売春地帯の人たちを、あそこの地域の人たちをとらえて「悪貨が良貨を駆逐する」と言っておられたり、新宿が混住地になっている、あるいは善良な住民が外に出られなくなり、環境が劣悪化している、こういうそのほかの発言については現在も維持されておられるわけなんですか、あるいはこれも一緒に取り消されたという御趣旨なんでしょうか。
#31
○国務大臣(梶山静六君) この取り消し発言についても、私の発言がこれまた不適切というか十分でなかったために、これはアフリカ・アメリカンのみに謝罪をしたことかというそしりをほかからも受けております。ですから、私はその中では完全にすべての関係者の皆様方にという表現を使っておりますが、それは必ずしも米国人のみではない、その他の国の内外を問わず御迷惑をかけた皆様方に深くおわびを申し上げるという意味を伝えたのが一番後段に載っているわけでございますので、その点もある意味で読み方によってそういうふうに読まれるのかしらと、そういう反省をいたしておりますが、私は人種差別を意図したものではなかったということと、それから、その言葉が大変内外の方々を傷つけてしまった、そのことに
関しては全面的におわびを申し上げ、そして、その結果としてというか、アメリカの黒人議員連盟の方々から抗議文をちょうだいしましたから、それは黒人議員連盟を通じてアメリカのアフリカ・アメリカンの方々に陳謝を申し上げた次第であります。
#32
○北村哲男君 もう一点、くどいようですけれども、余り大きく報道されていない発言も載っておりますので確認しておきますが、九月二十一日に、外国人売春婦の一斉摘発について、「五十一人検挙して四十五人が入管法違反だったが、フィリピン人は一人もいなかった。フィリピンは老舗で、取り締まりに対する防御組織ができているのではないかとの感じがした」と、こういう発言はされたんでしょうか。そして、それはどこかで明確に取り消されたということがあるんでしょうか。もしないとすれば、これからどうされるのかあわせて聞きたいと思います。
#33
○国務大臣(梶山静六君) 今当時の発言を正式に、五十一名の摘発があって四十五名のそれぞれの国々の方の名前を申したことは、これは間違いがございません。しかし、そのことによってフィリピン大使館からも抗議の実は文書をちょうだいいたしました。ですから私は、私の取り消しと謝罪の記者会見の言葉を全部使い、そして、そういう意図がなかったことをぜひ御了解願いたいと言って伝えたわけであります。おおむね御了解を得られたものだというふうに私は理解をいたしております。
#34
○北村哲男君 そういう意図がなかったということはちょっと理解に苦しむんですが、もう繰り返し言っておられますからさらに追及しません。
 私も法律家の一人として、また法務委員会の一人として、最後に法務大臣に対しまして、まさに国の内外を問わず、また世界各国から本当に抗議と、それから大臣の発言に対して責任をとるべきであるという要求がもう数カ月も続いておりまして、これはなかなか時を待っても消えそうにもありませんし、ますます燃え広がろうとしております。
 そこで、大臣には御自身の意思で辞任され、これを世界に範を示すべきであると考えますけれども、その点を含めて今後の責任のとり方についてもう一度お願いしたいと思います。
#35
○国務大臣(梶山静六君) 再三大変御忠告、御意見をちょうだいいたしておりますことを深く心にとめてこれから私の言動を行ってまいりたい。
 そして、私は再三申し上げておりますように、この問題を自分自身の心の中で消化し、そして法務行政の上でその結果を生かすために懸命な努力をすることによってその責めを果たしたいという現在の心境に変わりはございません。心から忠告を感謝申し上げます。
#36
○北村哲男君 大臣に対してはこの程度にしまして、次の質問に移りたいと思います。
 最高裁に対しまして、いわゆる庁舎問題ということについてお伺いいたします。
 霞が関の裁判所が建っている敷地に家庭裁判所と簡易裁判所、そして検察庁の建物を一つの建物に建てるということが司法の独立を疑わせることにならないかということで、かつて私も三月二十九日の当法務委員会でどうなっているんだという質問をしたことがあります。そのときのお答えでは、壁で仕切られているから建物は別々なんだ、司法の独立には関係ないというふうなかなり冷たい返事があったことを記憶しております。その後いろいろと経過を経まして相当な改善がされたようにも聞いておりますが、その点につきましてどのように今最高裁が具体的に庁舎の問題について改善をされたのか御説明をいただきたいと思います。
#37
○最高裁判所長官代理者(町田顯君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のような建築計画を立てたわけでございますし、そういう建築計画を立てざるを得なかった事情につきましては当委員会でも詳しく御説明させていただいたところでございますので、ここで繰り返すことは省略させていただきますが、当委員会におきます御指摘等も踏まえまして、私ども関係方面ともいろいろ調整をしまして、この問題につきましては次のようにしたいというふうに考えております。
 まず第一点でございますけれども、B棟とC棟――B棟とC棟と申しますとあれでございますが、B棟と申しますのが区検その他の行政庁が入ります棟を我々B棟と申し上げておりますし、C棟と申し上げますのは私どもの家庭裁判所とそれから簡裁の民事部が入る庁舎でございます。このB棟とC棟とが一部壁を接するわけでございますけれども、この壁を二重壁にしたい。そして、その二重壁の間を一メートルぐらい空間を設けてあけたい。そういうことによって壁一枚で隔てますよりもさらに一層両者の分離を明確にするということを図りたいと思っております。それにあわせまして、B棟とC棟との外壁の色を変える等、できる限り両者が分かれているんだということが外部からも認識できますように技術的な面を含めてさらに十分検討していきたいと考えております。
 それから第二点でございますが、一般に多くの行政庁が入っております行政合同庁舎の場合には、入居官庁のうち通常の場合は一番広い面積を占めます官庁の財産としてその官庁の国有財産台帳にその一棟の建物全部を登載し、他の入居官庁はその官庁から使用承認を受けて利用するということが一般的でございますけれども、この裁判所が入りますC棟につきましては、国有財産台帳上も裁判所のものとして――裁判所のものといいますか、裁判所の名儀で登録しまして裁判所が所管することをはっきりさせますと同時に、その管理も裁判所で行うことにしたいと考えております。
 それから第三点といたしましては、敷地の関係につきましても外構とかあるいは植栽面で工夫しまして、両者の分離を明確にするような措置をとりたいと考えております。そういったようなさまざまな工夫をすることを予定いたしております。
 なお、つけ加えさせていただきたいと思いますが、今回こういう計画になりましたのは、何と申し上げましても霞が関地区の敷地条件が非常に特別であったというところが大きな原因でございまして、我々一般論としましては、裁判所の建物と行政庁の建物がはっきり分かれている、それぞれ独立していることが好ましいことは申すまでもないわけでございまして、今後各地で庁舎の建設ということがさらに問題になると思いますが、その場合にこの東京の例を全国に波及させるということは考えてないわけでございます。
#38
○北村哲男君 その辺は東京の特殊事情と、それからある意味で見切り発車的な、十分事前に協議を尽くしてなかったのに事態の方が先に進んでいったことでかなり混乱したことがあったと思いますので、これをいわば前例としていただきたくないという意見を申し上げておきます。
 ただ、これは建物の問題でありまして、この建物について一応ある程度の改善が見られてきたことについては、私どももその御努力に感謝をいたしますが、この問題はいわば建物だけの問題で、私どもが言っている司法の独立の一つの例示にすぎないというふうに思っております。しかし、この問題ですら法曹内部、特に日弁連との間でかつて協議が十分にいかなかったということがありまして、ここの法務委員会あるいは別のところでも問題にせざるを得なかったということがあります。
 そういう庁舎問題を一つの教訓としまして、今後最高裁は司法の独立を守るためにどのような姿勢でいかれるのかという点について、御所見というかお考えを伺いたいと存じます。
#39
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 今回、庁舎の問題に関しまして司法の独立という観点から各方面から御意見をいただいたわけでございますが、司法の独立は司法制度、裁判所制度の根幹をなすものでございまして、司法の独立を堅持することが大切であることはもちろんでございますが、それとともに国民主権のもとでこれに対する国民の信頼を確保することも重要であるということは改めて申し上げるまでもないところと存じま
す。
 最高裁判所としましては、従来から司法行政面におきましてもこれを施策の基本としてまいったのでございますが、裁判所外の方々から必ずしも十分な理解が得られなかったという点があることにかんがみまして、今後とも裁判所外の御意見にも留意しつつ司法の独立に対する国民の理解が一層得られるように努力してまいりたい、かように考えております。
#40
○北村哲男君 次の質問に移りたいと思います。
 今、法曹会では外国との関係で外国人弁護士の問題が大きな問題になっております。外国法事務弁護士制度というのができましたのが三年ちょっと前であったと思います。ところが、最近アメリカのUSTRすなわち通商代表部から、この制度の根幹をなす幾つかの点の改正を求めてきております。すなわち主要な点は、外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇用するということを認めろ。それから、外国法事務弁護士が日本の弁護士との共同経営をすることを認めろ。その他何項目かありますが、主要な点はこの二つであります。これらが自治団体である日弁連を飛び越えて、米国のUSTRから直接法務省へと政府間交渉で話が進められていることに、私どもはとても危機感を持っておるわけです。
 私は、この問題は日本と米国の弁護士会同士の話し合いが前提であって、通商問題という政府間レベルと同じ次元で論じられている点が問題であると思っておるわけです。
 特に、大臣にも聞いていただきたいんですけれども、日本の法曹界の実情をよく理解していただきたいということです。日本の弁護士会の世界というのは、いわゆるビジネスローだけでは割り切れない多くの問題を抱えておる団体であります。今、法務大臣がみずからの反省の上にたって法務行政を行っていくというふうに誓われました。まさにその重要な人権擁護のための行動の一翼を日弁連が多くの犠牲と負担を背負いながら担っているということを御理解いただきたいと存ずるわけです。
 したがって、そのビジネスローからだけの解決では日本の法曹秩序がめちゃめちゃになってしまうおそれも今ある、そういう現状にあるということを踏まえて、この問題について弁護士会を初めとする法曹界の中の意見をいかに尊重していくかの観点から問題の経過の説明と今後の方向性を説明していただきたいと存じます。
#41
○政府委員(濱崎恭生君) ただいま委員御指摘のとおり、昭和六十二年から施行されております外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法に基づきます外国弁護士の受け入れ制度の問題に関しまして、USTRから規制緩和を求める要請が参っております。これを受けまして、現在アメリカ側と政府間協議を行っておるところでございます。
 具体的には、ことしの二月と六月に事務次官レベルにおいて、また本年五月及び十月の二回にわたって事務担当者レベルにおいてそれぞれ協議を行っておりますが、現在のところいまだ解決に至っておりません。さらに、昨日、本日の両日にわたりましても、東京におきまして事務担当者レベルの協議を行っているところでございます。
 この問題は、ただいま委員が御指摘の共同経営及び雇用の問題を中心といたしまして我が国の司法制度及び弁護士制度に大きな影響を及ぼす重要な事項を含んでおるところでございまして、私どもとしては慎重に対応していかなければならないと思っております。現段階におきましては、アメリカ側に対して日本の司法制度に対する十分な理解を求めるということで鋭意努力をしております。また、この問題につきましては、日米双方の司法制度あるいは弁護士制度に関する考え方の違いというようなことが問題を難しくしている一つの大きな原因であろうかと思います。
 日弁連との関係でございますけれども、法務省といたしましては、これまでもそのように努めてまいりましたし、今後とも日本弁護士連合会と意思疎通を図りながらアメリカ側との交渉に当たっていきたいというふうに考えておりますし、御指摘のとおり、この問題はそもそも法律家同士の問題という性質を有するものでございますので、政府間協議とともに日米双方の法律家同士の協議を一層促進するということも必要であろうというふうに考えておるところでございます。そういう取り組みで適正な解決のための努力をいたしてまいりたいと考えております。
#42
○北村哲男君 経過についてはよくわかりましたし、今後法曹内部で十分な話し合いをしていただきたいと存じます。
 確かに、私どもから見ても今の日本の法曹界あるいは弁護士の世界はとても数が少なくて一部の人間が担っておるという点は、よその人たち、日本の中でも奇異に感じる面もあるかもしれません。ましてや、アメリカとか世界の国際レベルからいうと日本はおかしいぞという点があるかもしれませんけれども、しかしそれは、私どもがこれから国際化に対して対応できるいわゆる司法制度あるいは法曹の制度をつくり上げる中で、やはり国際化というものを考えていくという形でそれをうまく調和をとってやっていきたいというふうに思っておりますので、その辺よろしくお願いしたいと存じます。
 少し時間がありますので、もう一点だけ別の項目を最高裁の方に聞きたいと存じます。
 十一月二十一日の新聞でしたか、大分地検が大量の起訴というか起訴件数を水増しをしたという記事が載っておりまして、とてもびっくりするというか、かなりいろんな方面に影響を与えた記事だったんですが、その後、新聞にも出ておりませんし、裁判所に聞きましたところ、この点は早速調査をするというお話でしたんですが、この辺のてんまつといいますか、どういうことであったのか。あるいは中に、これは裁判所が指示をしたのではないかと、かつて地家裁の統合のときに、これをうまく逃げるために水増しをして起訴して、そして件数をふやしてそこの裁判所を温存したんだというふうな批判すらあったと思うんですが、その辺の調査の結果はいかがでしょうか。
#43
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) ただいま委員が御質問されましたようなことが新聞報道でございましたので、早速調査いたしました。
 そこで、今委員が水増し起訴というような表現をなさいましたけれども、私ども調査いたしましたところ、ないものをあるようにするという意味合いの水増しというようなことは決してございませんで、ただ、一括して一通の起訴状で起訴できる幾つかの事実につきまして、それを一通一通別々の起訴状で起訴した、いわば細分化した起訴がなされた事実ということはあったのでございました。
 ただし、今委員が御質問されましたように、そのような細分化した起訴を裁判所の方が検察庁の方へ依頼をしたかというようなことにつきましては、調査したところ、そのような依頼をしたという事実は全く確認されませんでございました。私どもといたしましては、そのようなことはあってはならないことであると思っておりますし、また、あり得ないことであるというふうに思っております。
#44
○北村哲男君 この問題に関しまして、本来なら一本で起訴するところを訴因ごとに分けて起訴したためにおくれる人が出るわけです。そのおくれたために人権侵害が生じるんだ、あるいは生じたんだというふうな意味の報道とか発言もあったと思うんですけれども、その人権侵害の事実があったかどうかという調査はされましたでしょうか。
#45
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 調査をいたしましたが、そのような人権侵害の事実というのは全くなかったというふうに調査の結果判明いたしております。
 と申しますのは、各通別々に起訴された事案も全部一括併合して審理されておりますし、もともと一通の起訴状によって一括して起訴できる事実について各通の起訴状で別々に起訴したというだけのことでございまして、その扱いにつきましては裁判所の方で一通の起訴状で起訴された場合と
全く同様に扱われますので、そのような人権の侵害、あるいはそのために例えば審理がそれだけおくれるというようなことは全くございません。
#46
○北村哲男君 大分弁護士会あたりもかなり反発をしておるという報道もありましたですね。弁護士会との話し合いとかその辺の納得性というか、それはおやりになったのか、あるいはやったとすればどのような決着をつけておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#47
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) そのようなことも新聞報道では若干出ていたようでございますが、私どもが調査したところによりますと、この細分化された起訴方式につきまして、弁護人等から苦情や抗議が申し立てられたことは全くなかった、また弁護士会等から問題にされたことも一切なかったというふうに報告を受けておりますので、その後何も弁護士会等との間ではいたしておりません。
#48
○北村哲男君 その点について検察庁との間でああいうやり方はまずかったとかよかったとか、そういう話はされたのでしょうか。
#49
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) もう既にそのような起訴の仕方が終わっておるというか、やめられていた段階でございましたので、特段のそのような話し合いはいたしておりません。
#50
○北村哲男君 終わります。
#51
○中野鉄造君 先ほど来、同僚委員から大臣に対する例の差別発言につきましていろいろ質問がなされておりますが、私も重複を避けて一点だけお尋ねいたしたいと思います。
 発言の動機はともかくとして、最も厳正公平かつ謹厳実直であるべき法務大臣の言動としては、それがたとえ比喩であってみても極めて不適切、非常識、軽率のそしりを免れません。そのために、当然のことながらあれだけの内外からの批判の嵐が巻き起こりました。にもかかわらず、見ようによっては、何とでも言うなら言えと言わぬばかりの居直りのようにさえ国民の目には見えるんですけれども、いずれにしても、これだけの怨嗟の声の中で反省しあるいは陳謝される、それは当然のことといたしましても、頑としてみずから辞することなく今日なおその席にあらしめているものは一体何なのかということを、私はちょっと理解に苦しむわけでございますが、なかなかもってこれは並みの神経では理解しにくい。そこが大物の大物たるゆえんなのかなと思って先ほどから聞いておりました。
 ともあれ覆水盆に返らず、言ってしまってから世間がわっと騒がしくなった、そうしたら今度はもう一生懸命平身低頭謝るというような、そういうことで果たしていいのか。今も同僚委員の質問に対して現在の心境の一端をお述べになっておりましたけれども、百歩譲って大臣の現在の心境を日本の国民が了としたとしても、果たして各国の当事者の方々が許容されるのかどうか、その点をどう思われますか。
#52
○国務大臣(梶山静六君) 御説のように覆水盆に返らず、一度発言をしたその影響というものは、私がどう弁明しようとその波紋を消すことはできません。ひたすらみずからの不明を恥ずるのみでございますが、公人としての責任を果たすとはどういうものかということを私なりに考えながら今行動しているさなかでございます。何とぞ御理解を賜りたいと思います。
#53
○中野鉄造君 だから、今申し上げておりますように、仮に私どもがそれを了としたとしてみても、世界各国の当事者の皆さん方がどう思われるとお思いになりますかということをお尋ねしているんです。
#54
○国務大臣(梶山静六君) それぞれの方々の意見を全部私が聴取ができる環境でもございませんけれども、少なくともこれによって被害を受けた、感情が傷つけられた、そういう方々の憤り、痛みというものは十分私も痛いほどわかっておるつもりであります。
#55
○中野鉄造君 先ほどから同僚委員の質問の中にもありましたように、日本の閣僚が入れかわり立ちかわり今までも数回にわたってこういうような発言をいたしております。そのたびごとに陳謝しておる。ただでさえも我が国は、敗戦国でありながら今や経済大国になった。こういうところから何だかんだといったような、感情的とさえも言えるくらいに世界の各国から小面憎くさえ思われているような現状のときに、そういうような非常に不適切な発言をされる。そのことによってなおさら我が国に対するいろいろな面でのそういうような不評というものがいやが上にも強くなっていくのじゃないかということを私は申し上げたいわけなんです。これ以上は私の限られた質問時間でもございますし申しませんけれども、極めて遺憾な出来事であったという私の意を表明して、法案の質問に入っていきたいと思います。
 現在、裁判官の報酬表の改定を行政官と横並びにする、いわゆる対応額スライド方式を採用しておりますけれども、裁判官給与にこのような方式を用いる合理性というものについてちょっとお尋ねしたいわけです。
 先ほどからの質疑の中で裁判官の特殊性ということについて触れられました。しかし、こういうような報酬表を一般職の職員のそれと別にする、それによって裁判官の職務の独立性が果たして十分に保障されるのかなという疑問があるわけなんです。また、報酬表を別としても、一般職の職員の俸給表の改定にスライドさせて改定していたのでは意味がないのじゃないのかな、こういうような感を深くするんですが、いかがでしょうか。
#56
○政府委員(濱崎恭生君) 先ほど御答弁申しましたように、裁判官報酬法は憲法の趣旨に沿いまして、裁判官に相当額の報酬を支給するために、特別職、一般職の給与体系とは別の体系を樹立しておるところでありまして、実際にも裁判官の報酬額は、その地位、職責の重要さを考慮いたしまして、一般の政府職員に対して相当の格差を保って優遇された額となっております。
 その裁判官の報酬の改定は、一般の政府職員につきまして、一般賃金事情の変動等によって給与の改善が行われる際にこれに伴って行われてきているわけでございますが、こういった場合の給与の改定方法といたしましては、裁判官の俸給表における金額とそれぞれ具体的な額に対応する一般の政府職員の俸給の改定率と同率で改定を行うという対応金額スライド方式を採用しているわけでございますけれども、この結果といたしまして、設定されております一般の政府職員に対して相当の格差を持って優遇されているということは、そのままスライド的に確保されているということで相当に合理性のある改定方法であるというふうに考えておるところでございます。
 また、裁判官の報酬等に関する法律十条におきましては、生計費、一般賃金事情等の変動によりまして、一般の官吏について俸給等の給与の額を増額する場合には、裁判官につきまして別に法律で定めるところによって、一般官吏の例に準じて報酬等の給与の額を増額すべきものというふうに定めておりまして、このような改定方法はその規定の趣旨からも相当な方法ではないかというふうに考えておるところでございます。
#57
○中野鉄造君 一般の公務員の場合、給与のベースにするのは結局民間企業の平均給与というものをベースにするわけですが、裁判官、検察官においてはそのベースとなる民間に当たるものがいわば弁護士さんの平均給与というものになるのじゃないかと思うんですけれども、弁護士の収入については平均給与というものを把握しておられるのか。弁護士の平均給与とどの程度の格差を見ておられるのか。
#58
○政府委員(濱崎恭生君) 御質問から若干外れるかもしれませんが、その前提問題について一言申し上げさせていただきたいと思いますけれども、裁判官にすぐれた人材を確保するという観点から、同じ修習生からなっていきます弁護士との収入の間に著しい格差があるということでは、その任官者の確保に支障が生ずるという問題がございます。しかしながら、裁判官も国家公務員であります以上、一般の国家公務員の給与体系と全くかけ離れたものにするというわけにもまいらないと
いう問題がございます。したがって、ただ単に弁護士の収入といったものだけから国家公務員の一つである裁判官の給与を定めるということにつきましてはかなり難しい問題もあるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 なお、弁護士の収入を把握しておるかという御質問でございますけれども、弁護士は全く独立した自由業でございますので、私ども法務省といたしましてその収入の実態調査をするということはしておりませんし、そういう立場にもないわけでございます。
 ただ、御案内の初任給調整手当というものがございまして、これが支給されておりますけれども、それは初めて弁護士として弁護士事務所に勤務する者との給与の比較におきまして適正な額を定めるという考慮をしております。そういうことから、初任給調整手当の増額を検討するという場合に、初めて弁護士として法律事務所に入る人の給与というものを特別に調査する機会がございます。昭和六十三年当時の資料によりますと、初任の裁判官との給与格差はほぼ八万円程度であったというふうに記憶しております。
#59
○中野鉄造君 私が弁護士さんの平均給与ということをお尋ねしたのは、いわゆる弁護士として独立をしている人たちの収入を言っているんじゃなくて、法律事務所に勤務している弁護士の方、その方々の平均給与ということをお尋ねしたわけなんです。
 それはそれとしまして、今おっしゃいました初任給調整手当の性格なんですけれども、今もちょっと触れられましたが、この初任給調整手当というようなものが支給されているのは、医療職というものがこれは適用されていると思うんですけれども、今回は裁判官の場合この改定を見送られておりますね。その理由は一体何だったのか。また、医療職がそうであるように、できれば毎年これは行うべきものじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#60
○政府委員(濱崎恭生君) 初任給調整手当は、ただいまも申しましたように、判事補及び検事は司法修習生の修習を終えて弁護士となる資格を有する者から採用しなければならないということで、十分な採用ができるようにという観点から設けられているものでございます。
 その場合に比較の対象になりますのは、法律事務所に勤務を始める初任の弁護士の収入でございますが、これも上昇を続けておりまして、初任判事補あるいは初任検事の給与との格差が次第に拡大するということもございますが、この初任給調整手当につきましては、昭和六十一年それから平成元年におきまして増額が図られてまいっております。最近では平成元年度において増額が図られまして、全く同じというわけではございませんが、その格差が相当程度に埋められたということでございますので、増額された初任給調整手当が任官者確保に与える影響について、これは単年度ということじゃなくて一定期間見定めて、そしてそれが十分なものであるかどうかということを考えていく必要がございます。
 また、初任の勤務弁護士の収入調査、これは弁護士というのは私ども法務省あるいは裁判所の方も所管しているものではございませんので、その収入調査をすることは必ずしも容易でないという問題もございます。そういうことで、平成三年度につきましては、今直ちに増額要求をするということはしないこととしているわけでございます。
#61
○中野鉄造君 私がこういうことをしつこくお尋ねするというのは、先般も関西地区に視察に行った際に、非常に検事の数が不足している、そういうようなお話も伺ったわけでございます。なかなかいろいろな面で転勤が多いとか、あるいは報酬の面で弁護士と比べるとちょっと格差があるとか、そういったようなことが要因となって裁判官になる人が年々少なくなっていっているんじゃないかということを懸念するわけですけれども、それを裏づけるように、今日弁護士会の仲裁センターというものに非常に人気が集まっている。ということは、その背景には、いわゆる民事裁判はもうとてもとても時間がかかってどうしようもない、そういうところからこういう現象が起こっているんじゃないかと思いますが、そうした裁判遅延の一因としてはやはりここに裁判官の人員が不足しているということが挙げられるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#62
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 今委員仰せになりましたのは第二東京弁護士会がつくられました仲裁センターのことだと思いますけれども、ここにつきましては新聞報道等により承知をしております。このパンフレット等を拝見いたしますと、主として少額な事件を簡便な手続で、また低廉な費用で解決する、こういうことを目的にしておるというふうに承っておるわけでございます。
 申し上げるまでもなく、民事紛争でございますので、その性質からしまして当事者の自主的な解決ということが望ましいということでございまして、このセンターもこのような自主的な解決を助けるための一つの試みであろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、裁判所といたしましては、このような自主的な解決ができない場合裁判所に来て解決をしてほしい、こういうことでございますので、この裁判、これが適正迅速に行われなければならないということは御指摘のとおりでございます。
 現在、民事訴訟についてはいろいろな改善の試みをしてございます。民事訴訟が時間がかかるということは事実でございますけれども、これにはいろんな原因がございます。裁判所の側の原因、それから当事者の側の原因、それから訴訟の対象自体が複雑、困難なものが多くなっておるというようないろいな原因がございまして、それぞれに対応してそれを一つ一つ解決していくしかないというふうに考えておるわけでございます。裁判所の方としましても、今仰せになりましたように、裁判官の人数という点もございますし、そのほか訴訟手続の改善という点もございます。いろいろな点を総合的な面から解決をして迅速な裁判を実現したいというふうに考えておるわけでございます。
 御参考までに申し上げますと、地方裁判所の民事第一審通常訴訟でございますが、これは十年前の昭和五十四年の数字を申し上げますと十三・七カ月ということでございました。これが昨年の統計によりますと十二・四カ月ということでありまして、一カ月強でございます、十分とは申せませんけれども、徐々にではございますが改善をしておるということでございます。
#63
○中野鉄造君 そこで、私の調べたところでは、裁判官、検察官の欠員数がことしの七月一日現在で、裁判官が四十七名、検察官が九十八名ぐらいできておるわけですが、その対策はどういうふうにお考えになっていますか。
#64
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 裁判官の場合には、任命資格に厳格な要件がございますためにどうしても採用の給源が限られます。実際問題といたしまして、司法修習生の修習を終了した者から裁判官を採用するということが基本になるわけでございます。そのほかに弁護士からもなっていただくということで弁護士会にも呼びかけているわけでございますが、弁護士会の方から任官していただくのはなかなか数が限られてまいります。そういうことでどうしても司法修習生からの採用に力を入れているわけでございますが、司法修習生の方々に任官してもらうためのネックとして、先ほどから御指摘になっておりますように、裁判官には転勤がありますとか、あるいは最近でございますと若い人たちの間に自由業を好むといった風潮がございましてなかなか人材の確保が困難でございますけれども、私どもとしては裁判官の待遇を初め宿舎の充実などにも力を入れまして、また裁判所を魅力あるものといたしまして優秀な人材を多数確保するということを最大限の努力目標にしているわけでございます。
 そこで、裁判官の場合には年度途中に定年などで退官してまいりまして、ただいま御指摘のありましたように、四十七名の欠員というものが出てまいりますけれども、毎年四月の段階におきまし
てあらかじめわかっております退官につきましては、あらかじめその裁判所に余計に裁判官を配置するといったことで手当てをしております。また、予測のできなかった中途退官につきましは、どうしても必要な場合には都会地からそこに異動していただくといったことで手当てをしているわけでございます。
 私どもとしては裁判の事務に停滞を来さないよう最大限の努力をしなければならないと考えている次第でございます。
#65
○政府委員(堀田力君) 検察官の場合につきましても御質問がございましたのでお答えいたします。
 前提は今最高裁の方からお答えになりました前提と同じでございまして、私どもも主として修習生を給源とする状況でございます。そこで、修習生がなかなか検事になってくれないその理由は、それぞれ個人的事情もございますけれども、大きなものはやはり転勤がかなり抵抗がある。これはどういう意味で抵抗があるかといいますと、最近は一人っ子、二人っ子ですので御両親を見なければいけない。その御両親との関係で余りあっちこっち遠くには行けないというような事情、これは御本人の事情、あるいは奥さんの事情等も同じでございます。さらに、大変子供の教育に熱心になっておりますので、その関係でも子供を一カ所に置いて同じ場所で育てていきたいというような事情等ございます。
 これらにつきましては最高裁の場合と同じでありますけれども、転勤につきまして、一つにはなるべくその回数を少なくするようにいろいろ配慮いたしますと同時に、その家庭の事情を考慮したような任地を考えるというようなことできめ細やかな配慮を行っていくというようなことを考えております。ただ、転勤はこれは私ども組織の必然でございますのでこれをなくするわけにはいきません。そこで、そのほかの面で、例えば給与でありますとか待遇の面でありますとか、これらの点でなるべく魅力あるものにしていくということもいろいろ考えております。その具体的な内容は千葉委員の御質問に答えたところでございます。
 しかしながら、何といいましても基本はやはり検察の職場の組織そのものが非常に魅力のあるものである、そこへ入って生き生きとして仕事ができる、仕事をすることが楽しい、そういう環境をつくることが大事かと考えまして、この点も職場管理のあり方等につきまして種々若い方たちの意見等も聞きながら検討、改善を重ねておる、こういう状況でございます。
#66
○中野鉄造君 最後に一点だけお尋ねしておきます。
 今転勤という問題が出ましたけれども、裁判所法四十八条にはその意思に反して転官、転所されることはないというようなことが述べられてありますが、そういうような転勤の場合の本人に対する意思確認はどういうように行っておられるのか。不利益な処遇を受けないために真意に反して転勤の打診に同意しているというようなことがあるのかないのか。ありますなんてなかなか答えにくいんじゃないかと思いますけれども、実際はどうですか。
#67
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 御承知のように、裁判所は約二百の都市に裁判官を配置しているわけでございます。そのためにどうしても裁判官の転勤というものが避けられないわけでございますが、私ども人事異動を計画する際にはまず各裁判官から希望を聴取しております。これは書面によって希望を聴取するわけでございますが、それだけでは済ませませんで所属の長が御本人に直接会って御家庭の事情でありますとか希望でありますとか、そういったものを詳しく伺うということをまずやっております。それを人事計画の中に反映いたしまして、一応決められた段階で当該の裁判官に内示いたしまして、そこでまた十分なコミュニケーションを図っていくということで御本人の納得を得るということをいたしております。そういうことで御本人に承諾をいただきまして正式な人事異動の発令をしている、こういうことでございます。
#68
○中野鉄造君 終わります。
#69
○橋本敦君 各党から大臣の発言について質問がありまして、私も一言お聞きをしたいと思っております。
 この問題は、大臣が率直に発言を取り消し陳謝をされたという経過はございますけれども、事は人権擁護を大事な任務とする法務大臣の発言としては余りにも大きな波紋と影響を及ぼしたという状況から見ましても、取り消しと陳謝で済むのであろうかという思いはやはり残るわけでございます。
   〔委員長退席、理事中野鉄造君着席〕
事柄の重大性の認識として、この問題については大臣としては辞任に値するほどの重大な問題だという認識が大臣におありだったのかどうか、その点をお伺いしたいと思っておったんですが、いかがだったんでしょうか。
#70
○国務大臣(梶山静六君) 率直にお答えを申し上げます。
 今、委員御指摘のような大変責任度の重い発言であったというふうに私は受けとめ、なおかつその責任をどう果たしていくかということで私なりに苦慮しているのが現実でございます。
#71
○橋本敦君 総理から何か御意見その他ございましたですか。
#72
○国務大臣(梶山静六君) 総理からはこの発言に対しては厳しい叱正がございました。
#73
○橋本敦君 今、真剣に御考慮になっているという答弁がございましたが、私としては事柄の重大性からいえば、まさに進退にかかわる重大な問題だというそこのところを本当に真剣に御考慮をもっともっとされてしかるべき問題であったという感じがいたしております。しかし、結論として職責を今後全力を挙げて遂行するというお話でございますが、そういう観点からひとつ私は大臣の御決意を伺いたい問題がございます。
 それは、最近の目に余る暴力団の横暴でございます。一つは、沖縄で御存じのような高校生まで巻き添えになっている事態がございました。また、大阪でも市民が犠牲になるということがございました。警官の犠牲もある。そしてまた、けさの新聞によりますと、警察官が過労のために痛ましい犠牲で亡くなられるということも起きた。さきの即位の礼、大嘗祭に関連をして、破防法の適用は私は絶対に賛成できませんけれども、大臣は過激派の厳しい取り締まりを国家公安委員長と対策を講ぜられてその立場で行われたということでありますが、残念ながら結果としてはいろんな暴力がありました。
 この暴力団の暴力も私はもう猶予できない状況になっておると思うんです。それに対しては、資金源に対してどうメスを入れるか、あるいは不当な利益に対して脱税も含めて厳しくどう対応するか。それから、麻薬犯罪をどう取り締まっていくか、武器のピストルの密輸をどういうように取り締まっていくか。それから、町の平穏を破壊する諸行動についての対応をどうするか。今こそ私は総合的な対策で、まさに市民の安全と人権を守る重大な事態になっていると思うんです。
 そういうことで、法務大臣としてはその一端として重大な職責を担っていらっしゃるわけですから、国家公安委員長とも協議をなさることはもちろん、この際私は、総合的な暴力団対策に真剣に内閣として取り組んでいくという姿勢をはっきりさせていただいて、総理とも御相談の上で内閣の重要な施策として暴力団の横暴、不法行為は許さないという断固たる姿勢を示すと同時に、そのための施策の前進に全力を挙げていく、その中で大臣が積極的なイニシアチブをおとりいただくべきではないかと思っておりますが、御見解はいかがでしょうか。
#74
○国務大臣(梶山静六君) 委員御指摘のように、近年暴力団は組織の再編成と系列化、これを大変推し進めております。その過程において、各地で銃器を用いた対立抗争事件を巻き起こしており、そのために一般市民が巻き添えになって被害をこうむるということがあることは御指摘のとおりで
ございます。
 暴力団の対立抗争事犯は、その多くが組織的に行われているものでありますから、でき得る限り組織の幹部を検挙し、これに対して厳しく処罰するなどのことが肝要であると考えております。このような観点に立って検察としても警察や関連諸機関と密接な連携のもとに厳重な取り締まりに意を用い、具体的事案については的確に捜査を遂げるとともに、厳正な科刑の実現に努め、もってこの種の事犯の根絶を期してまいりたい、さように考えております。
 特に、最近のこの沖縄の問題、今朝見られる警官の過労死の問題、こういうのを考えますと、一現場で出てきた事犯のみを検挙するだけで果たして間に合うのかどうなのか、そういう問題もございますが、現行法とのこれは兼ね合いもございます。しかし、刑事局その他と打ち合わせをいたしますと、現行法をとにかくしゃにむに推し進めることによってその万全を期してまいりたい、こういうことでございますので、もちろん国家公安委員長とも、あるいは総理とも協議し、特にこの問題に関しては意を用いながらやってまいりたいと思います。
   〔理事中野鉄造君退席、委員長着席〕
 なお、即位の礼その他について、いわば過激派の問題にもお触れになりましたけれども、これまた警察が全力を挙げて努力をいたしているさなかでございます。あらゆる法規を活用してやろうという共同の声明を出したゆえんのものもそこにございます。ですから、当省としては破壊活動防止法、この適用問題については公安調査庁で即位の礼や大嘗祭に関連して発生した事件をも含めて、証拠関係や団体規制処分を行った場合の効果あるいは影響等をあらゆる角度から検討をいたしております。
 ですから、通常の場合はそれで何とかやれると思うんでありますが、委員御承知のように、一部過激派団体は最近非公然性、これを大変強めております。そういう場合、確かに今の破防法、有効ではございますが、一部の識者や国民の皆さん方からこれでいいのかという非難も受け、あるいはそういうものの検討も開始すべきだという言葉すら私は直接聞いております。
 ですから、言論の自由や結社の自由を侵さない、しかもなおかつ今見られるようなあの過激派、これは国民が断じて許容するものではございません。そういうものにより有効な手だてがあるのかどうなのか。それから暴力団に対しても、特に麻薬取締法やその他の法令を用いて、頂上作戦をどうこれから実施していくかということが、これからの日本の治安やあるいは良好な環境を維持するために極めて大切だと、こういう認識をいたして、これからも懸命に取り組んでまいりたいと考えております。
#75
○橋本敦君 一言言いましたように、破防法の問題は私としては大臣と全然異なる意見を持っておりますので、この点についてはきょうは時間がございませんから云々するつもりはございませんが、私は不法な暴力、これは過激派ももちろんですけれども、許すことはできない。特に最近の暴力団の横暴は断じて許せないということで質問をしたという趣旨を明確にしておきたいと思います。
 それで、法案についてはもう時間がなくなってきたんですが、一言最高裁にお伺いしたいのは、有能な裁判官が中途で退官をされるという最近の数字はどうなっておりましょうか。
#76
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 裁判官の中途退官者の数を年度ごとに申し上げます。
 昭和六十二年が四十一名、六十三年が六十名、元年が四十六名という数字になっております。
#77
○橋本敦君 かなりの数であるということであります。
 それらの裁判官がどういう理由でおやめになったか理由はさまざまでしょうが、追跡的な調査を最高裁はこれまでなさったような経験がおありですか。
#78
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 裁判官の退官の理由は多岐にわたっておりますが、ほとんどが弁護士になるというためでございます。なぜ、どういういきさつで弁護士を選ばれたかということにつきましては、これは退官のときに御本人から伺うことはございますが、組織立った調査というものは事柄の性質上できかねるということでございます。
#79
○橋本敦君 そういう意味で、ことしの七月に大阪弁護士会が裁判官退官者に対するアンケート調査を対象者百五十二名、六十一名が回答なさっておりますが、大阪弁護士会のこういったアンケート調査というのはそういう意味では非常に大事な調査の一つに私はなっていると思うのであります。
 この中で、中途退官なさったそういう人たちのアンケート結果によりますと、退官者がふえている二つの理由が主に挙げられておりますが、一つは転任を挙げている人が最も多いということ、それからそれに続いて家庭の事情もありますが、もう一つ数が多くて大事なのは人事の不満を挙げている者があるということであります。その人事の不満ということの中には、一つは給与問題の差別、転任の問題もこれはありましょうが、それと同時に、ここでは司法行政の中で最高裁を頂点とする司法行政に携わっておられる裁判官が待遇やあるいは転任その他優位に優遇をされている、現場の裁判官が大事にされていないという不満がある、こういうことが言われている、そういった調査が出ているわけであります。
 これは非常に大事なことをサゼスチョンしている調査でありますが、この調査、最高裁は御存じないんでしょうか。
#80
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 私どもも、大阪弁護士会が日弁連の司法シンポジウムに向けまして調査した報告書は読ませていただいております。ただ、その中身そのものにつきましては裏づけといいますか、そういった調査はいたしておりませんが、読ませていただいております。
#81
○橋本敦君 そうすると、読んでいただいておりますと、最高裁としてはこれは重要な問題として検討する必要がある幾つかの問題を含んでいると思うんですね。裁判官の人事がどれほど大事であるかということは、司法百年に当たって最高裁判所長官訓示の中でも、司法の礎はすぐれた人材にある、だからそういう意味で、裁判官に対する配置のあり方を含めて司法行政というのは非常に大事だということをおっしゃっている。そういうことで私は、最高裁がこういった実態をも調べて、そして転任についても、それから三号俸以上の給与の問題に昇格のいろんな格差が生じることについても、それから司法行政優位、現場の裁判官が軽んじられているのではないかという不満があることについても、これは積極的な検討をすべきではないか。
 そして、日弁連の司法シンポでも明らかになっておりますが、ドイツの司法行政を調査いたした結果としては、裁判官に対しては人事の考課あるいは昇給、転任についてもこれは極めてオープンな形で各裁判官の意見を十分尊重する形で、例えばドイツにおいては、裁判官は自己にとり不都合もしくは不利益となり得る事実の主張について人事記録への記録に先立って意見を聞かれる制度にある。そして、その意見は人事記録に記載されて、本人はいつでも人事記録が見れる、こういう制度もあるというように報告されております。
 こういった裁判の独立、司法の独立、こういうことを貫徹しながら人事行政を民主的に行っていくという大事な課題を最高裁は今後真剣に受けとめていただいて、こういったアンケート調査に示された実態なども含めていろんな問題点を深く検討を進めて、人事行政について民主的な方向を強めていただくことをお願いして、その点についての御意見を伺って質問を終わります。
#82
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) ただいま御指摘の点は個々すべてまことにごもっともな点でございまして、人事におきまして司法行政が優位になるとか、そういったことがあってはならないことでございますし、また、裁判官の人事につい
て公平を旨とすべきことは、これは申すまでもない点でございます。
 ただ、西ドイツの制度などについての御紹介がございましたが、私ども先ほども申しましたように、異動などにつきましては御本人と十分に話し合って御本人に不満感のないような形に努力をいたしております。そのほか人事が適正、適材適所になされ、かつ公平になされることを旨といたしまして今後も努力していきたい、このように考えております。
#83
○橋本敦君 終わります。
#84
○山田耕三郎君 私は、裁判官及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に関連をしてお尋ねをいたします。
 既に前委員が質問されましたので、私は端的にお願いいたします。
 裁判官及び検察官の志望者が、最近は顕著というまでには至っておらないにしても減少の傾向にあると聞きます。職業の選択には各般の要因が絡み、特定は困難であります。しかし、今日の経済社会で生きていくためには生活の原資となる経済的収入も見過ごすことはできない要素であります。司法試験合格者が選択することのできる他の職種に比較して、裁判官や検察官の俸給は適正であるとお考えになっておられますのかどうかお尋ねをいたします。
#85
○政府委員(濱崎恭生君) 司法が国民の期待にこたえますためには、裁判官、検察官にすぐれた人材を数多く確保する必要があるわけでございまして、ひとしく司法修習を終えた弁護士の収入と裁判官、検察官の給与との間に著しい格差があります場合には、有能な人材を数多く確保する上で支障が生ずるおそれがございます。これらの給与のあり方については、そういった観点からの考慮を払う必要があるわけでございます。そういうような意味合いから、初任の裁判官、検察官あるいは初任後間もない裁判官、検察官につきましては弁護士との収入格差を相当程度に埋めるために初任給調整手当を設けてその支給をしているところでございます。
 ところで、裁判官、検察官も国家公務員であります以上は、その勤務の対価であります報酬あるいは俸給は他の国家公務員の給与との対比の問題もございます。したがいまして、自由業である弁護士の収入との対比だけでこの問題を考えるわけにもまいらないという要素もまたあるわけでございます。そういった観点を考慮いたしますれば、現在の給与体系は裁判官、検察官の報酬、俸給として合理的な一定の水準を維持しているものと考えておるところでございます。
    ─────────────
#86
○委員長(矢原秀男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山本富雄君が委員を辞任され、その補欠として藤田雄山君が選任されました。
    ─────────────
#87
○山田耕三郎君 私は本月の初め、同僚井上哲夫議員と法務省の大村収容所を視察してまいりました。現在、強制退去の決定をした千名余りの中国人、いわゆる偽装難民と呼ばれた人たちが収容されており、私の見たところでは創意を生かしながら困難を克服して良好に管理されていると思って見てまいりました。
 すなわち、一つは、施設については恒久施設とプレハブ施設での対応であり、五次にわたる送還の結果、施設に余裕もできましたので不要部分を撤去、必要とするプレハブ施設もコンクリートづくりの塀の中に移設をして安全を期しておいでになります。
 二つは、入国警備官の不足も、北海道から沖縄に至る各施設から臨時的応援約四十名を得て、二カ月を基準として大村に転勤を求め、残余は警備保障会社から三十数名の雇用者で対応されているとのことであり、警備官の士気も旺盛と見ました。
 給食については、一日当たり給食費八百十円ということで、調理は外部に委託をしておいでになりましたが、外見も清潔で温かく、質量ともに良好と見ました。
 以上のとおり、収容人員千余名が恒常的なものでない以上、一部臨時的な対応のあるのもやむを得ない措置と存じます。
 しかし、収容者が既に強制送還、いわゆる強制退去が決定された外国人であり、今さら日本語の学習も、日本の生活慣習等社会常識の習得の必要のない人であり、本人たちも何とかして日本には残れないだろうかくらいの希望は持っておったといたしましても、毎日の生活に目的のない人たちに肉体的にも精神的にも良好な状況を保たせる指導は極めて困難なことであり、大村に来てからも既に相当の日時が経過をしておりながら、まだ先が見えないという現実であります。中国本土には、不法入国の人たちの退去問題の結末がどうなるのかと注視をしている潜在失業者がたくさんいるとのことでした。したがって、一部でも残すような解決はできないとのことで、結局は根比べですとの言葉もありました。
 先般も、法務省や外務省の関係者が中国側の責任者と北京での交渉に臨まれたとのことですが、長期化の様相を呈しております。この問題の交渉の経過と解決の見通しについてお尋ねをいたしますとともに、その解決がつくまでの間良好な管理が継続できなければなりませんが、現状以外に何らか新たな手だてを考えておられるようなれば、あわせてその方策を承りたいと存じます。
#88
○政府委員(股野景親君) 委員には大村収容所の現状を親しくごらんをいただきまして、私ども関係者といたしましてありがたく存ずる次第でございます。
 ただいま御指摘の中国からの不法入国者の問題につきまして、昨年来本委員会でも種々御説明を申し上げてまいったところでございますが、昨年の十二月二十一日に第一回の送還ができましてから、本年の九月二十二日までの間に、五回にわたりまして合計千七百七十八名の人を中国へ送還を終えておる次第でございます。このほかに、現在なお本邦に残留している中国からの不法入国者といたしまして、千四十二名につきまして中国側にその名簿を渡しまして、そしてこれを中国側が引き取るよう現在求めているところでございます。これらの千四十二名については、委員が御視察を賜りました大村収容所において収容を続けておるところでございます。
 この中国側との折衝につきましては、去る十一月下旬、外務、法務両省の実務担当者を北京に派遣するなどいたしまして鋭意交渉を行っているところでございますが、残念ながらまだ決着を見るには至っておりません。法務省といたしましては、外務省とも協力いたしまして、交渉のために近く再度実務担当者を北京へ派遣する予定にいたしておりまして、今後ともこの問題の早期解決のために最大限努力をしてまいる所存でございます。
 その解決を求めて努力をいたします間、ただいま委員御指摘のとおり、大村収容所において収容を続けていく必要があるわけでございますが、先ほど御指摘のようにいろいろな点での既に配慮をこの収容のために行っております。しかしながら、我々としても現状のもとで最善の努力を尽くすという観点から、今後についても、設備という点では残念ながらいろいろな制約があるわけでございますが、処遇という点については収容所及び入国管理当局といたしましていろいろ配慮をしてまいりたいと思っておりまして、特に被収容者の健康維持という点に十分留意をしてまいりたい。この点、例えば運動不足になりがちでございますので運動の時間を与えるとか、あるいはレクリエーションの時間を設ける、食事の工夫をする等々の点での健康維持という点を一番重視してまいりたいと思いますし、そういうことを通じまして所内の規律の維持、秩序の維持ということについても十分配慮してまいるということで臨んでおります。
#89
○山田耕三郎君 法務省の調査結果では、昨年の不法入国者の中で四十数名の逃亡者があり、その後も行方がわからないままだということでありますが、日本へ渡れば逃げおおせるというようなことが向こうに伝わっていくようなことになれば不
法渡航者を誘発することになりかねないと思いますが、このような捜査のずさんさがあるということはいけないことだと思いますが、本件についてのお考え方を承りたいと思います。
#90
○政府委員(股野景親君) ただいま委員から四十数名という御指摘がございましたが、入国管理当局として現在把握しておる逃亡者というものは十八名になっております。これらの十八名の者は、昨年来の日本へ到着をいたしました際に、いろいろな意味で収容の仕方が分かれておりまして、入国管理局の直轄の施設ではなく国際救援センターあるいは民間の施設といったものに収容をされておりました段階で逃亡をいたしたという経緯がございます。
 これらの逃亡した者につきましては、その逃亡した当時収容されておりました施設の所轄の警察でありますところの警視庁とそれから長崎県警本部におきまして入管法違反者として現在手配をして行方を捜査中であるということでございますし、また入管におきましても、これらの者について既に与えておりました一時庇護上陸許可というものを取り消して不法入国容疑者として全国の地方入管局にあてて手配をいたし、その発見に努めているということでございます。
 これらのことは、このように国際救援センターあるいは民間施設において起こった事件でございますが、こういう経験にかんがみまして入管当局としても十分こういうことの再発がないように今後とも配意をしてまいる所存でございます。
#91
○山田耕三郎君 最後に、まとめとして梶山法務大臣にお尋ねをいたします。
 この被収容者が、何の目的もなく、生活に対する張り合いもない働き盛りの人たちが四、五十名もなすこともなしに娯楽室で言葉もわからないで絵だけでテレビを見ている光景は全く異様であります。だれかがマッチをつければ一度に燃え上がることだって考えられないことはございません。そんな中で若い警備官は、感情的にもならず、黙々と任務についているのは立派だと思いました。全体として大村収容所の現場はよくやっていると言ってよいと思います。ただ、心配されますのは不測の事態に対する対応と、さらには必要な外国語を話すことのできる職員の絶対的不足であります。平素から十分にこの点を御留意をして運営をしてくださることを要望いたします。
 なお、本日私のお尋ねをいたしたいのは、もう既にたくさんの委員が聞かれました。それに類することですが、先進国の中で日本は人権感覚の薄い国だということであります。それは、国際人権規約の選択議定書や子供の権利条約のように人権に関する世界的約束事の批准の遅いことにもあらわれているということであり、その原因が常に国内法との関係にあるようですが、余り名誉なことではないと思います。
 私も人権について人を批判するほどの立派な人権感覚を持っておるとは思いませんけれども、人権先進国になりたいと思っております。その立場から法務大臣の人権に対する所信を承りまして、私の質問を終わります。
#92
○国務大臣(梶山静六君) 前段の大村収容所の実態については御検分を賜りましてありがとうございます。御提案のあった点をこれからさらに検討を詰めてまいりたいと考えております。
 なお、私は私の発言問題の反省の上に立っても改めてこの人権擁護は憲法の柱でありますし、民主政治の基本であると理解をいたしております。その点で、幾つかのまだそれぞれの権利条約の批准をされてない、そういうもろもろの点について御指摘をちょうだいしましたけれども、今後とも人権尊重のために法務大臣として懸命な努力を払ってまいりたいと考えております。
#93
○紀平悌子君 先般、出入国管理法の審議に当たられました長谷川法務大臣の御冥福を祈りつつ、長谷川法務大臣がお約束をされましたことを思い出しながら御質問を申し上げたいと思っております。
 まず、入管法、外国人労働者問題でございますが、先日外国人不法就労者の未成年の児童が就労中に労働災害に遭遇しまして死亡するに至るという痛ましい事故がございましたが、こうした低年齢のアジア、中東関連国の入国者はどのくらい日本におられるのか、生活実態はどうなのか、実態調査は行われているのでしょうか。その実態調査の把握がまだだとすれば、児童の人権保護の見地からも早急に実態調査すべきと考えますが、法務省の御見解はいかがでしょうか。簡潔にどうぞお願いいたします。
#94
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘のように、先般大変不幸な事件が起こったわけでございますが、本来法務省といたしましては外国人の在留管理の中での就労の実態把握ということについてはいろいろな意味で努力をいたしておりますが、先般たまたまありましたような事件にかかわっておりました低年齢の外国人というものにつきましては、通常こういう方々は両親あるいはその他の保護者に随伴して日本に在留されるものでございまして、独立して社会的活動を行うという方たちではございませんので、特に低年齢者に焦点を当てたという意味での実態調査というものはまだ行っていないところでございます。
ただ、不法就労者を摘発いたします際、当然のことながら年齢についての調査はいたしておりまして、二十歳未満の不法就労者というものが現におることは事実でございます。ただいま委員の御指摘になりましたこの事件は大変不幸な事件でございますし、そういう実態もわかりましたので、今後はこういう方々の在留期間の更新等の各種の申請がございましたときに、こういう低年齢の方々の生活実態について聴取をいたしまして、そして事案に応じまして人権保護上必要な措置をとってまいるということで臨んでまいりたいと考えております。
#95
○紀平悌子君 労働省にお伺いしたいと思います。
 労働省は、外国人不法就労者の労災ということについてはどのような対応をされておられますのでしょうか。さらに、そのような事故の原因とも言える中小零細企業の労務倒産の実態はどうなっているか。また、単純労働者を二国間で協定して受け入れるなど入国規制の緩和についてはどのような状況にございますか、御説明をいただきたいと思います。
#96
○説明員(出村能延君) 被災労働者に対します労災補償につきましては、日本人であるか否かあるいは不法就労者であるか否かを問わず、日本人の場合と同様に適用されるということになっております。
#97
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘のいわゆる単純労働者の問題につきまして、本委員会でも法案審議の際にいろいろ御意見を賜った次第であり、またその後についてもいろいろ御意見をいただいております。
 政府といたしましては、この問題について外国人の単純労働者という方々を我が国に受け入れる場合の我が国の経済社会全般に及ぼす影響というものが非常に大きいという点は変わりはございませんので、現在改正入管法の施行後の状況というものを見守りながら、従前の基本的な立場に立って多様な角度から慎重に検討を重ねているという状況でございます。
#98
○紀平悌子君 私は、入管法の審議に当たりましては、国際化の中での開かれた入管制度というかあるいは人権問題、それから労働政策的な視点、こういう点に多々問題があるというふうに懸念をいたしましたので反対をいたしております。
 その際法務大臣は、各省間の連絡調整を十分にとりながらこの問題については追跡していくということをお約束いただいたと思いますので、どうぞそのことを新大臣もお願いしたいというふうに思っております。
 次に、現在、刑法上の罰金を底上げする法制審の答申がござます。刑法上の罰金を物価上昇率と連動させるという合理性、これはどういうところにあるのでしょうか。罪質と額そのもので検討するべきではないかと思います。
 例えば、証拠隠滅が上限二十万円でありますけれども、場合によっては証拠隠滅罪は極めて不法
性の大きなことでもあり、果たして二十万円という額が適当であるかどうか。また、傷害の三十万円についても同じことが言えると思います。逆に公務の信頼性というものを損なわせる贈収賄罪なども場合によっては二百五十万円でも安いということもあり、こうした事柄は法制審においてどんな討議の結果こういった答申がされておりますのでしょうか。
 さらに、罰金の底上げで社会的経済的に劣っている犯罪者が富裕な犯罪者に比べて罰金が払えずに実質的に不公平を来すということが一層多くなると思いますけれども、その点についてもどんな討議がございましたのでしょうか、法務省にお伺いしたいと思います。
#99
○政府委員(井嶋一友君) 刑法等を中心とします罰則の罰金額の引き上げにつきましては、法制審議会の総会で去る十二月十三日答申がございまして、現在その立法作業に着手したばかりでございます。
 確かに委員おっしゃるとおり、罰金の額と申しますのは、罪質と罰金の額が横並び的にもバランスよく体系的に整備されなければならないということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、現在のメカニズムを若干御説明申し上げますと、刑法典ができましたときに、今委員がおっしゃったような意味合いでの罰金と罪質との体系的な骨組みができ上がったわけでございますが、その後昭和二十三年に刑法の罰金の額はそのままいじらずに、罰金等臨時措置法という法律によりまして刑法の各規定に書いてございます額を五十倍するという法律ができ上がったわけでございます。それによりまして刑法の体系を維持しつつ、罰金額を読みかえて運用してきたわけでございますが、それにつきましては昭和四十七年に当時の経済変動にスライドさせるという意味合いにおきまして罰金等臨時措置法を改正いたしまして、そのときに四倍に改めるということにしたわけでございまして、結局、都合現在は刑法典のそれぞれに書いております額の二百倍をもって読みかえていくという運用をしておるわけでございます。
 その四十七年の改正以降十八年たちまして、消費者物価が二・五倍あるいは労働賃金が三・何倍といったようなことになりましたので、従来と同じ手法で刑法等の基本的な体系はいじらずに経済変動に伴う罰金の適正化を図ろう、こういうことで今回法制審議会に諮問をいたしましてその旨の答申をいただいたわけでございますので、今回の作業は従来二度行いました罰金等臨時措置法といったメカニズムによります罰金額の引き上げを図るための方法を採用しているわけでございます。
 ところで、御指摘のように、罪質と罰金額が公平でなければならない、あるいはバランスをとらなければならないことは当然でございますが、刑法典ができまして以来随分たっておりまして、今日の状況にかんがみますと、各方面から、ある罪については罰金が要らないのではないか、またあるいは、ある罪には罰金が要るのではないかといったような、いわゆる実質的な見直し論も出てまいっておるわけでございます。これにつきましては大変長い検討を要する問題でもございます。刑法の基本にかかわる問題でもございますので、法制審議会におきましてはそういったものも含めました罰金刑の持っております基本問題について引き続き調査、審議を行って答申をいただくということになっておりますので、もうしばらく刑事法部会で御審議をいただきまして、その結果を得まして立案作業に着手したいと考えているわけでございます。そういった意味で、委員御指摘の点はなおまだ検討を続けてまいりたい、このように考えているわけでございます。
 それから、もう一つございましたが、経済的劣後者に罰金が重くのしかかる、それに対してどう対処するのか、こういう御質問でございました。物理的な意味と心理的な意味と二通りあるのかと思いますけれども、物理的に罰金が払えない場合は、御案内のとおり、労役場留置ということで労役場に入っていただいて払っていただくことになるわけでございますけれども、前回改正いたしました罰金等臨時措置法を改正いたしましたときも、統計的に見ましてはそれほど労役場留置がふえたという統計はございません。したがいまして、今回もそういった意味での心配はしておらないわけでございます。
 ただ、心理的にやはり裕福な人とそうでない人との間に罰金の額によって受ける心理的な違いはあるだろうと思います。それを公平にやるためにどうしたらいいかという問題は、実は一つ罰金の制度として日額罰金制という制度がございます。これによりますれば、罰金何日、日額幾らといったような形で判決をいたしまして、裕福な人とそうでない人とに日額の決め方によって差をつけて罰金の痛みを平等化するという制度があるわけでございまして、イギリスその他で採用しているものでございますけれども、実はこの問題につきましても御指摘のような事情もございますので、先ほど申しました基本的な問題としての検討課題の一つとして法制審議会にお願いをしておるわけでございます。
#100
○紀平悌子君 いろいろ法制審につきましてはまだお伺いしたいことございますが、時間がございませんので次の質問に移らせていただきます。
 水俣病問題でございますけれども、水俣病問題を直接御担当になりました環境庁の山内豊徳局長の自殺につきましては、板挟みということが言われておりますし、また三十四年間水俣病の未解決がもたらした一人のまじめな行政官を死に追い込んだということで、何とも痛ましいこととして哀悼の気持ちをささげたいというふうに思っております。この死を無にしないためにも、ぜひ法務大臣及び環境庁にお尋ねをしたいと思います。
 現在、御案内のように、各地裁あるいは高裁におきまして次々と和解勧告がされております。原告、熊本県、チッソ側ではテーブルに着くことに賛意を表しておりますけれども、まだ国は和解のテーブルにお着きになっておられません。このことについて、この水俣病の悲惨な患者の状況について、人権擁護の立場からどのような御見解をお持ちかということをお伺いさせていただきたいと思います。
#101
○国務大臣(梶山静六君) 水俣病の被害者に対する救済制度としては、既に公健法によります認定制度がありまして、これに基づき公平な救済が図られているというふうに認識をいたしております。
 各地の水俣病訴訟では、さきに公表された国の見解のとおり、国の法的責任の有無が問題とされている上に、そもそも原告らが水俣病に罹患しているかどうかということが重大な争点になっているところから、今回の裁判所からの和解勧告に応ずることは相当ではなく、裁判所の公平な判断を得られるように努めていかなければならないと考えております。
#102
○紀平悌子君 簡単に、環境庁としても一言お答えをいただきたいと思います。
#103
○説明員(岩尾總一郎君) 実質的な窓口として、環境庁からお答えいたします。
 水俣病の救済につきましては、公害健康被害の補償等に関する法律によりまして、これまで約二千九百名の患者の方々を認定しております。
 水俣病問題の早期解決につきましては、今後とも法に基づき、医学を基礎とした被害者の公正な救済を進めることを基本として努力していく所存でございます。認定業務の一層の促進等に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、水俣病とは認定されておりませんけれども、水俣病ではないかとの健康不安をお持ちの方々に対しましても、水俣病問題全体の解決の観点から健康不安の解消を図る方策について現在検討を進めているというところでございます。
 以上でございます。
#104
○紀平悌子君 もう一点ございますけれども、時間ですので終わります。
#105
○委員長(矢原秀男君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認め
ます。
 これより両案に対する討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#106
○委員長(矢原秀男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(矢原秀男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○委員長(矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト