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#1
第120回国会 地方行政委員会 第5号
平成三年四月九日(火曜日)
   午後一時十七分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     野別 隆俊君     大渕 絹子君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     大渕 絹子君     野別 隆俊君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野田  哲君
    理 事
                竹山  裕君
                松浦  功君
                渡辺 四郎君
                諫山  博君
    委 員
                井上 章平君
                岩崎 純三君
                大塚清次郎君
                加藤 武徳君
                後藤 正夫君
                須藤良太郎君
                野村 五男君
                岩本 久人君
                栗村 和夫君
                篠崎 年子君
                野別 隆俊君
                常松 克安君
                神谷信之助君
                高井 和伸君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
   政府委員
       警察庁長官    鈴木 良一君
       警察庁長官官房
       長        井上 幸彦君
       警察庁警務局長  安藤 忠夫君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
       警察庁刑事局保
       安部長      関口 祐弘君
       警察庁交通局長  関根 謙一君
       自治大臣官房長  森  繁一君
       自治大臣官房会
       計課長      鈴木 正明君
       自治省行政局長  浅野大三郎君
       自治省財政局長  小林  実君
       自治省税務局長  湯浅 利夫君
       消防庁長官    木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹村  晟君
   説明員
       総務庁行政管理
       局企画調整課長  河野  昭君
       外務省経済局書
       記官       佐藤 昌史君
       通商産業省貿易
       局輸入課長    林  洋和君
       通商産業省産業
       政策局流通産業
       課長       古田  肇君
       通商産業省機械
       情報産業局航空
       機武器課長    今井 康夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(警察庁)、自治省所管及び公営企業金融公庫)
○銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(野田哲君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 去る三月二十九日、予算委員会から、四月九日の午後の半日間、平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁、自治省所管及び公営企業金融公庫について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○栗村和夫君 春秋の筆法をもってすれば、東京都知事選挙が地方財政法論争を走らせた、そういう大変な、ある意味で歓迎すべき状況が国民の前あるいは自治体の関係者の前にも明らかになりました。私は、そういう認識から以下五十分質問申し上げます。
 まず、入り口の質問で二、三御見解を伺っておきたいことがあるのですけれども、選挙の公約というものは非常に重みのあるものである、それは一過性のものであってはいかぬ、選挙が終わって、はい、おさらばというものであってはいかぬ、これは当然のことです。私は、議会制民主主義というのは、人類の到達した最高の政治形態だと思いますから、なおさらのことです。
 その公約をするにしても、現職の総理大臣が公約をしたことについて、内閣の連帯責任ということについての御見解を伺わせていただきたい、こう思います。
#4
○国務大臣(吹田ナ君) ただいまの先生のお話は、今回磯村候補が一兆円の減税を公約したということについてだと思いますが、これは候補者個人が公約したことでありまして、あれだけたくさんの候補者が出ておられましたのを私もテレビで一々政見放送を伺いました。なかなか立派な公約ではありますが、たくさんそれぞれの項目をだされているなというふうに伺いました。磯村さんの問題につきましては、候補者個人が公約することは自由でありますから、その事務所が出しました問題につきまして私がとやかく申し上げる意思はございませんが、今日ああいうふうに落選されたわけでありまして、私としましてはこの一兆円問題につきましてはそういう意味で理解をしておるわけであります。
#5
○栗村和夫君 そういう答弁の結論になるかもしれませんが、私が言うのは、Aの者でもBの者でも、磯村さんでも誰でもいいです、そこで投げかけた問題というものは、公約というものは非常に重要なことであって、そのことについて自民党総裁であり総理大臣でもある海部さんからお墨つきをいただいた、これは後で具体的に入っていきますが、そういうようなことが大衆の前で、あるいはマスコミを通じて報道されているという事実の前に、総理大臣が約束したということはやっぱり内閣も同じような連帯責任を持ちながら取り組むべきじゃないか、こういう一般論です。
#6
○国務大臣(吹田ナ君) 公約は、確かに先生のおっしゃるとおりでありまして非常に大事な問題であります。公約を守るということは、政治家のとるべき姿勢として極めて重要な問題であると思っております。ただ、先ほどから申し上げますように、公約したことは磯村さんの責任である、そういうふうに私は理解しておるということを申し上げたわけであります。
 私は、自由民主党の総裁としての海部総理がこれを推薦したではないかというお話は、それはそれとして受けとめておりますが、政府としてあるいは自治省としてそれに対する責任を今どうこうすべき問題とは内容が全然違う、また総理として公約されたものでもないというふうに思っておるわけであります。
#7
○栗村和夫君 ちょっと大臣、大分先走った御答弁で恐縮なんですが、私が言うのは今一般論として聞いているんですよ。磯村発言の中身については後で具体的に触れます。
 それで、次は局長さんでいいが、地方税法で言う標準税率というものの思想、考え方、つまりこれは単なるガイドラインなのか、そういうような程度の重みのものなのか、あるいは地方財政の節度ある運営をするために、財政投融資なり、中央である程度コントロールする必要がある、そういうことに関連した総合的な観点からのものなのか。標準税率についての思想、考え方、それを伺わせてください。
#8
○政府委員(湯浅利夫君) 地方税法で規定しております標準税率の考え方は、これは地方税法の第一条に定義がございますとおり、地方団体が課税する場合に通常よるべき税率であって、財政上の特別の必要があると地方団体が認める場合にはこれによらないことも可能であるという性格のものではございます。
 しかしながら、この標準税率は、国、地方間の適正な税源配分を定める場合の指標でもございますし、また国民の税負担の水準というものをどの辺に置くかということをはかるための一つの目安ということにもなるわけでございますから、そういうようなものを総合してこの標準税率というものを定められているとすれば、財政上の特別の必要というものが、格別の事情というものが存在しない限り標準税率による課税が行われるべきであるというふうに私どもは考えております。そういう意味で、今仰せのような単なるガイドラインというような性格のものではないと私は思っております。
 また、この地方税法の定義にございますとおり、地方交付税の基準財政収入額の算定に当たりましてもこの標準税率を用いて算定するということになっているわけでございますので、そういう意味からいきましても、地方財政の運営のために総合的に勘案して定められたものだというふうに理解をしているわけでございます。
#9
○栗村和夫君 そうしますと、国際的なかかわり合いなども含めまして、社会の発展段階、成熟の度合い、経済の状況、産業構造の変化、そういうものの要素の絡み合いで常にというか時折、標準税率というものは基本的に見直している、こういうわけですか。今のはそういう認識でよろしいですか。
#10
○政府委員(湯浅利夫君) 今御指摘のようないろんな要素を勘案した上で標準税率というものは決められているというふうに理解をいたしております。
#11
○栗村和夫君 三つ目ですが、これも多少一般論になるかもしれませんが、私たちもそうなのですけれども、大臣の所信表明あるいは財政投融資計画の方針あるいは何々白書、こういうたぐいのものに必ず厳しいという基本的な認識の言葉を使います。これは単なるまくら言葉というようになっている側面もなきにしもあらずですが、今地方行財政について厳しい行財政と、やっぱり厳しいというところに相当なアクセントを置いた認識を自治省としてはお持ちなのかどうか。これは大臣でも局長でもよろしいです。
#12
○政府委員(小林実君) 地方行財政につきまして期待されるところは多様にわたると思います。
 特に財政の方で申し上げますと、五十年代に借金に依存する財政運営を強いられまして、また五十五年以降におきましては、経済社会の活力を維持するために公的部門の肥大化を抑制すべしという国民の声というものがございまして、そういう中で、行政の面におきましても事務事業の見直し、財政の面におきましても歳出抑制ということで、いわゆる今御質問のありました厳しい行財政運営を強いられてきたといいますか、要請されてきたということが言えると思います。
 現状についてのお話でございますけれども、近年の地方財政対策を通じまして、財政問題で申し上げますと、財政の中期的な健全化のための措置が講じられてまいりまして改善の兆しが出てきておるわけでございますが、なお借金も六十八兆を超えるようなことでございますし、またこの二、三年の税収の伸びにつきましては一時的要因によるものも多分に含まれているというふうに考えられるわけでございまして、今後の財政につきましては税収の動向とかあるいは経済情勢につきまして予見しがたい要素も非常に多いと思うわけでございます。
 また、特に御指摘を受けますのは、地方団体の場合は三千三百団体ございますので非常にいいところと悪いところがございまして、私どもがよく申し上げておりますのは、公債費負担比率が一五%以上の団体数、これが元年度の決算でも全体の四割を占めるというようなことで、財政力の特に弱い市町村も出ておるわけでございます。こうしたことを考え合わせますと、決して楽観できる状況にはない。
 一方、地方に対しては、社会資本の整備とかあるいは高齢化社会の進展への対応のために今後支出の要素も抱えておるわけでございまして、そういう意味で決して楽観できる状況にはない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#13
○栗村和夫君 四つ目、入り口の質問の最後なんですが、入りをはかって出るを制するというのは、団体の運営でも個人の家計でも同じ、鉄則のような、戒めのようなものです。例えば地方公共団体を預かって、入りを制してさて出るをはかるという逆なわけにいきませんから、入りを制して出るも制する、こういうことをやれば、極端に言えば義務教育でない幼稚園などやめてしまうとか、あるいは職員も思い切ってばっさり減らしてしまうとか、こういうのであれば幾らも帳じりの合った運営ができますけれども、これではやっぱり乱暴な議論ですから、入りを制してそして出るの方はとにかく時代に合ったようにやっていく、こういう工夫をやっていくというのは、私たち地方公共団体の運営を見る場合にそういう視点が大切だ、こう思うんです。
 ここで磯村さん個人という言い方はおかしいので、磯村陣営の一兆円減税の公約をテーマにして取り上げます。
 これは、大臣がおっしゃるように磯村さん個人の公約であるから自治省としてはかかわり合いがない、総理大臣がどう言ったか知らないけれども、そんなことで済まされると思うなら非常に大臣の見識を問われる、私はこう思います。これは極めて普遍的な課題だと思います。磯村さんが言おうがだれが言おうが、ああいうことについてマスコミその他を通じて大論争を巻き起こして、社説、コラム、テレビ、そういうところで最も関心を持ったのはあの問題だった、こう思うんです。したがって、あれをよしとするか不適当とするかは別にして、あのことについて半端な地方財政法論争に終わらしてはいかぬ、これからもやっぱり尾を引いていく普遍性のある課題だ、こういう認識に立つべきだと私は思いますが、これについてはいかがでしょうか。
#14
○国務大臣(吹田ナ君) 一般論としては、それは確かに公約というものは非常に大事な問題ですから、個人にしましても公約をいたしましたらこれは責任を伴いますし、もちろんそれを党が公認するという公認の立場に、公にこれは我が党の士であるということになれば党もその責任は当然受けて立たなければならないということになるだろうと思うんです。ですから、公認候補についてはその公約範囲というものも党の政策というものから逸脱しないように常に制約を加えておるというのが一般論としては言えるわけであります。
 ただ、磯村さんの場合は、今回は個人として出馬されたわけでありますし、それを三党で推薦を申し上げておるというような形になっておるわけでありますが、このことについて私どもは詳しく御本人からあるいはまた党からもそういう点について自治大臣に対して、こういう問題はどうであったか、こうであったかというようなことについての問いかけもありませんし、そういった話し合いも全然ありませんし、内閣としましてもこの問題について話し合いが出たことは一度もございません。
 したがいまして、私が先ほど申し上げたようなことで、これに対しまして内閣として責めを負うということにつきましてはいかがであろうかなというふうに思っておるわけでありますし、特に、先ほどから財政責任者あるいは税制責任者が申しておりますように、この問題は地方財政法上からいきましても、地方税法上からいきましても非常に大事な問題であります。かつて、先生も町長をなすっていらっしゃいましたが、私も村長や町長の経験者ですが、当時は確かに相当の、五段階程度の段階があってこの幅で住民税というものをちょうだいするという時代がありました。その当時には財政の苦しい町村が非常に低いところの税率を求めるというようなことをして地方財政が随分と混乱した時代がありまして、昭和二十九年に今日のような標準税率というものによって一つの基準をつくって、ひとつこれで大体いこうではないか、こういうことになったのだと思うんです。
 ですから、昭和二十八年までの状況と二十九年以後の状況というものは違うわけでありまして、ちょうど私が地方自治体の首長をやる時代はそういう状態であったというふうに記憶しておったわけでありますが、今日は全くそれが変わっておるわけでありますから、その点はそれで御理解を願いたい、こう思っておるわけであります。
#15
○栗村和夫君 随分雑な認識だと僕はちょっと唖然としておるんですが、確かに国政レベルの選挙と地方自治体の選挙では対応が違います。それは擁立形式の問題です。擁立形式が無所属だとか推薦だとか公認だとか支持だとかさまざまありますが、少なくともその候補者を政党が責任を持って推薦なり、公認はもちろんですが、しているというときは、政策も含めて候補者の人格というのは存在するんですよ、政策のない選挙の候補者なんておりませんから。それをその個人の思いつきだということで済ましている。そんなことは常識として許されないことだと思うんですが、いかがでしょうか。
#16
○国務大臣(吹田ナ君) 今の推薦の話でありますが、要はその推薦をした母体の方にも全然責任がないというわけじゃありません。しかし、それが都民からだめだということで否認されたわけですから、否認されたということはいわゆる一兆円減税は否認だ、だめだということにもなるわけでしょう、考え方によれば。ですから、我々は今ここでとやかく言う立場じゃありません。ありませんが、ただ、先生から、推薦の問題からくる諸問題から私に対しまして、その発言したことに対してのお尋ねでありますからあえて申し上げるのでありますが、そういうことで今自治省がこれに対する法改正云々という考え方もありませんし、この責めを我々自治省が受けなきゃならぬというふうには考えておらぬわけであります。
#17
○栗村和夫君 いや、自治省を責めるとかそういうことじゃないんですよ。これは現在も含めた極めて近い将来に向けた重要なテーマなんで、例えばあの公約論争を見てそんなに簡単に済ませるような報道じゃないだろうと思うんです。現在のマスコミというのはある意味で民意を反映する、あるいは討論の場を提供する重要な舞台、媒体です。そこで、社説でも取り上げる、新聞の切り抜きも、あれだけに関してとったら枚挙にいとまがないくらい出てきます。
 それらではっきり、第一声のときその政党の責任者がここにいらして、その前で厳かに、一兆円減税を公約しますとか、あるいはその次に入りますが、地方財政法第五条で起債の制限があってそううまくはいかないぞ、反対の陣営からそういう批判が出れば、それはここにも書いてあるんですが、総理大臣もその協力をしてくれると言っていると。それから、この財政自主権の確立は三千三百自治体の悲願ですから、その先頭に立ちますと。いやしくも都政の場の責任者にならんとする人の訴えですからそういう重みがあるわけですね。そこで、磯村さんは負けたからそれで終わりだということではなかろうと思うんです。この地方財政論というのはやっぱり尾を引いていく課題だと思うんですね。
 ですから、これは国と地方の関係あるいは地方相互間の関係、一兆円減税なんというのは一体どこの国の話だ、逆に、そんなに地方財政豊かなら逆交付税論とでもいいますか、国で吸い上げてもっと有効につかった方がいいだろう、こういうことにあるいは発展しかねない意味をもつものですね。たまたま負けたからそれで終わりだというとらえ方は、基本的に政党人としての見識の問題になっていくだろう、私はこう思うんです。もう一度大臣にその辺の御見解を伺いたいと思います。
#18
○国務大臣(吹田ナ君) どうもお気に入るような答弁ができないんですが、お話の趣旨はよくわかるわけですけれども、一応選挙も終了したことでもありますし、そうした公約を御本人がなすったということも承知しております。それから、それに対しまして、我が党の総裁である海部総裁がそれをある程度推薦をしておるんだという建前からいきますと、確かにその責めはあると思います。
 ただ、この問題はここで一応打ち切っての話として、これからの標準税率というものをどうするかという問題は、これは国会の場として論議ができるわけであります。これはどんな論議でもできるわけですから、国会の御論議の中でこれをどうするかというのは今後の問題として十分検討をしなればならないことも出てくるでありましょう。
 あるいは、現在の総合的に見た地方財政計画からいって標準税率を動かさなければいけないなということになるのか、あるいはひとつ地方財政計画の中で修正を加えるかということになるのか、これは今後の中央における各党の論争の場において協議されて、全体の意見として標準税率というものを引き下げようではないかということになれば、それは当然国権の最高機関でありますから引き下げになります。そういう意味で私は申し上げておるのでありまして、絶対にならないとかなるとかという意味ではないのであります。その点だけは誤解をいただかないようにお願いを申し上げておきたい、こう思います。
#19
○栗村和夫君 それでは仮定の質問をしましょう。
 もし仮にある自治体でもって、都道府県でも市町村でもいいんですが、標準税率以下にしますと、減税症候群というような格好には、ちょっと乱暴な議論だと思うので、発展はしないと私は思うんです。しかし、これからも磯村的発想が出ないものじゃないと思うんです。そのときは、財政自主権の立場から、つまり地方財政法の第五条の地方債の制限に関する部分を弾力的に見直すような一石が投じられたということを認識しているかどうか。その辺は局長でよろしいです。事務的でもいいですからちょっと伺わせてください。
#20
○政府委員(小林実君) 地方財政に関する基本法としては地方財政法がございます。地方財政法五条におきましては、地方債を発行しないことを財政運営の原則といたしておりますが、五つのケースにつきまして地方債の発行を行うことができるということにされておるわけでございます。
 そのうち公共施設等の整備のための財源として地方債の発行を行うことができるものの条件といたしまして、普通税の税率が標準税率以上の団体についてできる、こういうふうに書いてございます。この趣旨は、地方債が後年度にその償還を行うこととなる借金でありますので、地方債に財源を求める場合には当該団体として通常当然に確保すべき財源を確保していること、これを当然の前提と考えておるわけでございます。通常当然に確保すべき財源を確保しておること、すなわち税で申し上げますと、住民税や固定資産税等の税率を標準税率以上にしていることが世代間の負担の公平とかあるいは財政の健全性の確保の見地から当然必要だ、こういう考え方でございまして、地方財政運営の基本原則というふうに考えておるわけでございます。
#21
○栗村和夫君 そこで、磯村陣営が投げかけた石というものは非常に重要な意味を持っておった、こう思うんです。財政自主権に関することで、標準税率から余り逸脱しなければ若干高く、高くするというのは相当勇気の要ることですが、高くするも若干低くするもそれは弾力的に自治体の状況、社会的状況、財政的な状況に応じてやる。そのときに地方債の制限のことは完全に撤廃するというわけにはいかぬでしょうが、相当緩やかにすることを考えていいのではないか、こういう議論が相当強いのですね。これは磯村さんが代弁してくれたような格好ですが、その部分に関しては自治体関係者は相当の興味があったと認識すべきだ、こう思うんです。
 地方自治法二百五十条というのは、内務省がまだ存在していたころの法律で、戦災復興、こういうものが重要なテーマになった時代の落とし子なんですが、そこに、「普通地方公共団体は、地方債を起し並びに起債の方法、利率及び償還の方法を変更しようとするときは、当分の間、政令の定めるところにより、」云々と、こうありますが、「当分の間」というのは約半世紀近くなるわけです。こういうことについて見直しをする時期に来ていると認識されているのか、その検討に入っているのか、その辺の見解について伺います。
#22
○政府委員(小林実君) 磯村候補が公約として掲げておりますのは、地方財政法五条一項五号の標準税率のことでございまして、今御質問の許可制の話とは伺っておらないところでございます。
 地方財政法五条一項五号につきましては、先ほど申し上げましたように、世代間の負担の公平と健全財政の維持を旨とする地方財政運営の基本原則として定められたものでございまして、今後どのように対処するかという問題につきましては、中長期的な地方財政のあり方を含めまして各方面からの御意見もお聞きする必要があると思いますけれども、慎重に検討すべきものというふうに考えておるわけであります。
 特に公約では、不交付団体について起債制限の対象から除外するというようなものもあるわけでございまして、交付税の交付、不交付というものは個々の団体のそのときの財政状況によって変わり得るものでございまして、交付、不交付の区分によって起債というものに差を設けるということになりますと、地方債発行の可否が、そういう中長期の財政運営の基本がそのときどきの財政状況によって変更されるということになりまして極めて不合理である、こういうふうに考えておりまして、不交付団体について起債制限の対象から除外するということは、私どもといたしましては不適当というふうに考えておるわけでございます。
 御質問の中に地方債の許可制度につきましてのお話がございました。この点につきましては行革審等でも今までもいろいろ議論があったわけでございますが、許可制度そのものを廃止せよとかそういう話は出ていないわけであります。
 現在の仕組みといたしましては、御承知のように、地方財政対策といたしまして毎年度地方財政計画が策定されまして、そこに歳出の面での必要な計画がつくられ、地方交付税の配分等を通じて各地方団体が各施策を実現する、それを保障する仕組みとなっておるわけでございます。地方債を発行いたしました場合には、借金でございますから元利償還につきましても財源保障をする必要があるわけでございまして、毎年度の地方財政計画の歳出に見込んで歳入の方で財源を保障するという仕組みになっておるわけでございます。
 仮に許可制度がないということになりますと、個々の地方団体が任意に地方債を発行いたしましたものにつきまして現在のような方法でその償還財源を保障していくということは不可能となるわけでございまして、これは長期的に見てまいりますと、地方団体が行う社会資本の整備とか、あるいは住民福祉の維持向上に重大な支障が生ずることになるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
 地方債の許可につきましては、いろいろございますけれども、特に財政の健全性の確保という観点から、御承知のように五十年代借金に依存しましてその償還で大変苦労した経験があるわけでございます。私どもといたしましては、地方債につきましては、将来の償還財源が確保される範囲で適切な活用を図る必要がある、こういうふうに考えておりまして、現行の制度はそれを保障するといいますか、それによりまして財政の健全性も確保されておるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
#23
○栗村和夫君 それから、磯村陣営の話したことは選挙の決着がついて終わりだというばっさり答弁に終始されておりますからそこには題材を求めませんが、ただ、東京都知事選挙を通じて二つだけ税制論争といいますか、そういうテーマで俎上に上がって議論があったことについてただしておきたいのです。
 東京都は法人税の超過課税をやっている。その沿革を見ますと、工場が大都会だけに集中すると公害が出て困る、ですから多少追い出し的な意味もあって政策的な超過課税だ。当時のことを思い出しながら、大都会はうらやましいな、地方では工場誘致を血眼でやっているのに、こう思いながら見ておりましたが、東京都の法人税の超過課税の政策的側面というものは現在ではどうなんでしょうか。
#24
○政府委員(湯浅利夫君) 先ほども申し上げましたとおり、固定資産税あるいは法人関係税、住民税等につきましては標準税率という制度を地方税法上は設けているわけでございます。
 この標準税率につきましては、先ほどの御答弁にもございますように、通常、地方団体が課税する場合によるべき税率で、財政上の特別の必要があると認める場合においてはこれによることを要しない税率だと。財政上の特別の必要があると認める場合においてこれによることを要しないということは、今お話しのような政策的なあるいは追い出し税的なというような趣旨からこの標準税率を変えるということについては、私どもはこれはいかがなものかなという感じがするわけでございまして、やはりあくまでも財政上必要なために超過課税というものが行われているというふうに今認識しているところでございます。
 この超過課税につきましては、地方自治体のそれぞれの自主的な御判断で一定の範囲で超過課税することは税法上は認められているわけでございますが、基本的には、やはり標準税率というものは、これによって国と地方との税源配分をどう持っていくか、あるいは税の負担水準をどうしていくかということを決めたものでございますので、単なるガイドラインというふうには理解していないわけでございまして、これを変えるということは、かなりいろいろな要素を考えながらそれぞれの自治体で御判断いただくべきものだと思っております。
 そういう意味で、これを漫然とやるのではなく、一般的に税負担をしていただくという住民の方々の立場に立ってよく見直しを行っていただきたいということを毎年の財政運営通達でお願いをしているところでございまして、今後ともそういう観点から各自治体において超過課税について運用していただくように私どもお願いいたしたいと思っております。
#25
○栗村和夫君 最後にもう一つだけ局長にお願いします。
 今盛んにいろんな意味で議論が出ております固定資産税の評価のことなんですが、これも新聞その他でも報道されましたから、東京都知事選挙で出されて顕在化したことを題材にした方がいいと思うんです。これは産経新聞の三月二十三日に報道され、私がこの減税論争の中で見た話ですけれども、鈴木さんは、「固定資産税の評価を五〇%のものを今年は三五%に抑え、都市計画税もこれから三年さらに半減、土地への税金をうんと抑制している。ざっと合わせると二千億円になる。」、これは鈴木都政の固定資産税対応の一つの成果として述べています。
 私は、そういうものかなと思ってこの記事を読みましたが、ただちょっと解せないのは、固定資産税の評価というのは、国などが示す固定資産評価基準に基づいて行うものです。それを首長の一存となれば、担当スタッフの恣意的なものです。意図的に過小評価したりしてはいけないことだ、許されないことだと思うんですが、評価の基準、これはどういうふうにお考えでしょうか。
#26
○政府委員(湯浅利夫君) 固定資産税におきます評価の考え方は、地方税法に決められておりますとおり、自治大臣の定める固定資産評価基準によりましてその価格を決定することになっているわけでございます。その評価の基準には、非常に細かく技術的に、この評価が全国的に均衡化、適正化が図れるようなそういう配慮のもとにつくられているわけでございますけれども、特に全国的なバランスをとるためには、例えば宅地については県庁所在地の最高路線価について、自治大臣が決定をしてバランスをとるというようなこともございますし、あるいはその結果を踏まえました平均価額についてこれを自治大臣が指示するといういわゆる指示平均価額制度というようなものもございまして、こういうものを通じまして、全国的に評価というものを適正化、均衡化していくという措置がとられているわけでございまして、今お話しのように、それぞれの首長さんが意図的といいますか、恣意的というような、そういうような形でこの固定資産の評価というものを行われるということは、これは制度的にもあり得ないわけでございます。今後ともこの方針に沿いまして、より一層的確な評価に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#27
○栗村和夫君 終わります。
#28
○常松克安君 それでは、きょうは救急車を省きまして、消防庁の方の問題に移らしていただきまます。
 過日、三月二十八日に火災予防審議会が答申されました件の内容について触れてまいりたい。
 まず一番は、都市の地下空間における施設の防火安全対策、この概要についてお伺いしたいと思います。
#29
○政府委員(木村仁君) 御指摘の答申は、「都市の地下空間における施設の防火安全対策の在り方について」という東京都の火災予防審議会の答申のことであろうかと思います。
 この答申は、主として地下四階程度から五十メートル未満までのいわゆる中層、深層の建物の地階の利用について問題点を明らかにし、いろいろの提案を行っているものでございまして、個々具体的に申し上げますと時間がかかりますので、御指示を得て御説明を申し上げますが、大要はそういった地下街、地下駐車場、深層の地階等につきまして、出火、延焼拡大防止及び防火管理対策、特に避難対策、消化活動対策についてかなり具体的な現場の状況に即した答申がなされております。
#30
○常松克安君 御案内のとおりに、指摘されますのは、例えば地価が高いものですから、下の方へ下の方へと建設、あるいはいろいろな面で下へ潜っていく。これは一つの新しい社会情勢の様相でもありましょうが、国立国会図書館が一番深いとか、あるいはまた千代田線の国会議事堂前が非常に深いところを走っておるとか、こういうような状況はいかがなものでしょうか。
#31
○政府委員(木村仁君) 現在地下鉄あるいは高層ビルの地下室等を含めまして深いものを申し上げますと、地下鉄では、国会議事堂近くの永田町駅が地表から四十二メートルと深いようでございます。
 また、高層ビルの地下室としては、新宿センタービルが二十八メートル、霞が関ビルが十八メートル、こういうところでございますが、ちょっと私、今資料がございませんので、国会図書館の地下の深さについては承知をしておりません。
#32
○常松克安君 今申されました国会議事堂前駅というのは、一日に乗りおりする乗客は大体どのくらいの数でしょうか。
#33
○政府委員(木村仁君) ちょっと承知いたしておりません。
#34
○常松克安君 私は、約七万近い方々が一日に乗降する、かように聞いているわけでありますけれども、しかし、万が一火災が発生した場合、それに対して例えば排煙装置はどうなっているか、今度その答申ではどういうところを重点的に指摘しているのか、お教え願いたいと思います。
#35
○政府委員(木村仁君) この答申では、地下深い建築物につきましては、非常に密閉性が高くて、いざ火災が起こったときの初期消火あるいは避難、それからその後の消火活動、これらにいずれも非常な困難が伴う。そこで、例えば出火、延焼拡大防止及び防火管理対策につきましては、火気使用設備そのものを幾らか制限するとか、あるいはスプリンクラー等自動消火装置を綿密につけていくとか、あるいは防火区画を新しく設定し、徹底させる。そのほか管理面の規制も重点的に行う必要がある。避難対策につきましては、地下の場合には、上方へ向けてかなりな運動を伴って避難しなければいけないとか、暗やみになってパニックが起こりやすいとかいろいろなことがございますので、排煙設備をさらに充実する、あるいは避難用エレベーター、エスカレーター等を新たに開発する、あるいは一時避難滞留所の排煙、あるいは加圧による、排気による排煙等、両方の面を考えていくというようなことが提案されております。
 それから、消火活動につきましては、内部残留者等を確認するシステムを開発するとか、あるいは現在の消防ロボットをさらに高度化するとか、地上との通信手段が困難になりますのでそれを助ける施設を必ずつけさせるとか、そういう提案がございます。
#36
○常松克安君 あと一点で終了します。
 なお、これは東京都のみならず全国に、地下という問題については、構造物がどんどん広がっていくと思いますので、今まである対策よりももっと大きなものにしていかないとならない。どうしても安上がり安上がりで下を掘ってしまって、いざというときにはあれもこれもということになってまいります。そういうふうなお考えで万全を期していただきたいと存じます。
 なお、もう一つ大事なのは、消防士の方々の重装備、軽装備、これの差はどんなものなんでしょうか、持っている重さ。
#37
○政府委員(木村仁君) トータルの重さはちょっと私記憶いたしませんが、軽量化に努めておりますけれども、特に中層以下の深い階層における消火活動については、できるだけ軽装で、しかも長時間呼吸補助作用ができるような器具を開発したいということは本答申にも求められております。
#38
○常松克安君 重装備なら二十八キロなんです。軽装備なら二十二キロなんです。差がこれすなわち六キロ。
 このほど、労科研の研究として、四十歳、三十歳、二十歳で、用意ドンでそれを担いで五階まで上ってホースをつなぐ実験をした。やはり四十代の方については、エネルギーの消費の仕方というのは若い世代に比して一七%多く使われた、二十代はやっぱりそれだけの体力がありますから。そういう意味で消防士の方々が救出に行ってなおとうとい命を捨てることのないようにどうかひとつ勘案していただきたいことを御要望申し上げまして、質問を終わります。
#39
○神谷信之助君 この国会で、いわゆる大店法の改正案が提案をされて審議されることになっております。きょうはそれに関連して主として自治体の条例制定権に係る問題について質問をしたいと思います。
 まず、通産省にお聞きをいたしますけれども、現在自治体独自の大型店規制の要綱とか条例のある自治体の数、これはどういう状況でしょうか、報告してください。
#40
○説明員(古田肇君) 御説明させていただきます。
 平成元年に私どもで調査をいたしましたところによりますと、いわゆる大店法に関連した独自規制についてでございますが、全国で千百三十一件のケースが挙げられております。
#41
○神谷信之助君 これは平成元年三月現在で、それ以後の変化はどうなんでしょうか。
#42
○説明員(古田肇君) 御案内のように、昨年の五月末から日米構造協議の結論を踏まえまして、いわゆる大店法の運用適正化措置というものを導入したわけでございますが、その一環として、行き過ぎた独自規制の是正方を通産大臣通達をお出しして各都道府県経由で地方公共団体にお願い申し上げたわけでございます。その後幾つか是正されているものが出てきておりまして、まだ具体的な数字はつかんでおりませんが、当時私どもとしてかなり行き過ぎた独自規制ではないかというふうに見ておりましたものの一割近くが是正の方向に向かって動き出しておるというふうに理解をしております。
#43
○神谷信之助君 自治省の方では、その辺はつかんでおられませんか。
#44
○政府委員(浅野大三郎君) 承知いたしておりません。
#45
○神谷信之助君 この大型店舗法いわゆる大店法ができて、それが実際に運用される中で、先ほどの報告でいけば千百三十一の自治体で要綱や条例をつくっている、そういう状況になってきたんですけれども、なぜそれが必要になったのか。この辺は通産省どういうように見ておられますか。
#46
○説明員(古田肇君) 御説明いたします。
 各地方公共団体それぞれいろんな事情の中でこういった独自規制が導入されてきておるわけでございまして、一律にすべてが同じ理由で同じようなことをやっておるわけではございませんが、千百三十一件のいわゆる独自規制の中身を見てまいりますと、最も多いのが市町村によりますいわゆる横出し規制、五百平米以下の店舗面積のお店に関する調整案件でございます。これが千百三十一件中九百九十一件あるわけでございまして、こういったタイプのものが非常に多いということは、逆に言いますと、大店法がカバーしておらない五百平米以下のものについて、その地域のいろんな状況を踏まえて独自規制ということに踏み切っておられるのではないかというふうに見ております。
#47
○神谷信之助君 この大店法で調整の対象になっているのは売り場面積、開店日、閉店時刻、それから休日日数、この四項目なんですね。だから実際上は、その商店街あるいはその地域についての町づくりの視点といいますか、都市政策の面からの出店調整の視点といいますか、そういった問題はこの大店法自身には規定をしていないという状況だと思うんですが、いかがですか。
#48
○説明員(古田肇君) 御説明いたします。
 大店法の調整項目については先生御指摘のとおりでございます。この大店法は、基本的に届け出制、届け出られた内容に基づいて一定の調整を行う、こういう体系になっておるわけでございます。
 御指摘の町づくりの問題でございますが、調整四項目の中に御指摘のような立地点の問題というのは直接あらわれておらないわけでございますが、従来、大店審の審査要領の中で、大店法の運用に当たって地域社会と調和のとれた小売業の発展を図るという観点から、商業近代化地域計画等、その他さまざまな地域の町づくり的な動向について留意していく方向で対応するというふうになっております。
#49
○神谷信之助君 これは、七九年に大店法が改正になって許可制から届け出制になった。そこでどんどんとスーパーの異常な進出が始まっている。だから、八二年に自粛の指導をやり、八四年にも再び自粛の指導をやっている。それにもかかわらず、脱法的な出店なり住環境無視の出店などが続いてスーパーの異常な進出がある。とりわけ今もお話があった横出し規制、五百平米以下のところで、少し減らしてそしてどんどんつくっていくという、そういう状況が起こってきた関係から、地域経済やあるいは小売業者を守る、それから住環境を守る、あるいは交通渋滞を防ぐとか、いろんな要素を含んでそれぞれの自治体で条例なり規制がつくられるという状況になったと思うんです。今度の大店法の改正で全部それはなくなる、そういうことになるんですか。
#50
○説明員(古田肇君) 今回御提案申し上げております大店法関連の法律改正につきましては、そのベースとして、昨年の十二月二十一日に産業構造審議会それから中小企業政策審議会の合同会議で答申をいただいておりまして、その中でも御指摘の町づくりの視点というものを大店法の運用の中でどういうふうに考えていくべきかという御議論があったわけでございます。そこの答申におきましては、「今後、商業集積を中心とした「街づくり」のための積極的かつ計画的な対応が図られる中で、大店法の運用上、「街づくり」の視点を一層配慮していくことが重要である。」、こういう御指摘をいただいておりまして、現在いわゆる大店審におきまして、そういった町づくりの視点につきまして、従来の審査要領を踏まえながらも、今後どういったふうに対応していくか検討をしておるところでございます。したがいまして、町づくりの視点の配慮ということの重要性については、大店審の中でも強く認識をされているところでございます。
#51
○神谷信之助君 だけれども、大店法そのもの、法律そのものにはそういう見地というのは一つもないんでしょう。いかがですか。
#52
○説明員(古田肇君) 御説明申し上げます。
 大店法の調整項目としては、店舗面積、開店日、休業日数、それから閉店時刻、この四つでございます。それらを判断していくに当たりまして、ただいま御説明申し上げましたような町づくりの視点というものを従来から運用の中で配慮していくということを審査要領に明示しておりまして、今後大店審の中でそのさらなるあり方を検討しておる、こういうことでございます。
#53
○神谷信之助君 今までもそれは言われていたんですよ。言われていたけれども、実際にはそれぞれの自治体が要綱なり条例をつくって規制せざるを得ないという現実があった。今度、法律改正が出てくるけれども、それについてはまだ何らの法律上明確な措置はとられていない、そういう状況が非常に問題だというように私は思うんです。
 産業・資源エネルギー調査会でも、日米構造協議の問題と関連をして、この大店法問題について一回参考人の方々に意見を聞きました。いろんな意見はありましたけれども、一つ特徴的なのは、この問題に関連していうならば、外国のいろんな同種の問題について日本との最大の違いは都市政策の観点の欠落だ、これ抜きに大型店舗の進出をどんどん認めていくということだけでは町づくりに対する大変な障害になるんだという点が強調された点なんです。
 自治省の方ですが、実際問題として今の商店街ですと、町内会の一員だし、子供さんは近くの学校に行っているし、近所の人とつき合いながらいろんな政といいますか、行事なんかでも一緒にやっていく。そうして、一緒に町をつくっているんです。ところが、ぽんとスーパーが出てくる。しかし、これは営業をやっておる間は買い物に行かれるという関係はあるんですけれども、町づくりという点でいくとそこに住んでいる人との間の接触とかなんとかというやつは全く切れちゃう、そういう状況があるでしょう。これは大分前になりますが、尼崎のスーパーが火災のときに、消防車が入れない、そういうところだった。それで、あれはたしか死者十五人余りいたんではなかったかと思いますけれども、そういう痛ましい事故さえあります。これは交通事情抜きのスーパーの進出を許してしまったところに問題がある。
 こうなってくると、地域住民の生活について責任を持たなきゃならない地方自治体の長、あるいは地方自治体自身が、あるいは議会が、これについてはっきりした見解なり見地なり示す。したがって、要綱なり条例なりを制定して、そういうことを事前に予防するという措置がとられてきているのだけれども、こういった点について自治省としてはどういうように考えているんですか。そういうのは好ましいし、やっぱりそれはもっと強めないと、本当に地域経済が破壊されるような状況をつくられては困るというように思っておられるかどうか、この辺はどうですか。
#54
○政府委員(浅野大三郎君) 商店街というのがその地域に、町の中で非常に重要な機能を一般的に果たしておると思います。そこへ大型店が来ることによって、これは来る来方にもよるとは思いますけれども、コミュニティーの維持とか、あるいは町づくり全体にいろんな意味で影響を与えるということはあるだろうと思います。
 問題は、そういう大型店の出店について、片や大店法という法律があるわけでございますから、それとの関係でどの程度まで自治体としてなし得るかということはあると思いますけれども、それが法律との関係で可能な範囲ではやはり町づくりという観点を十分持って地方自治体も対応しなければいけないのではないかというふうに思っております。
#55
○神谷信之助君 大型店舗の進出を認めるという立場で自治体の方は対応しなさいということですか。今の話を聞いていると最後のところはそうなってくるよ。
 大店法は大型店舗の進出を容易にするためにつくられておるんでしょう。そして、その場合に既存の小売業者、商店街との間の矛盾をできるだけ緩和をするために一定の調整措置をする、こういう状況できている。だから、それについていろいろ抵抗があって、長々と長引かせばどうとかということで、今度は期間を決めて、これ以内にやりなさい、こうなっちゃう。そうしたらいや応なしに、そこのけそこのけお馬が通るで期日が来たら終わり、そうなりませんか、自動的に。そういうことじゃその地域の住民の利益なりなんなりというのは一体どうやって保障されるのかということです。もう条例も何も役に立たぬ、一体どういうことになるか。
#56
○政府委員(浅野大三郎君) 決してあらかじめ出店を認めるという立場での調整をするんだというようなことを申し上げておるつもりはないわけでございますが、これは消費者の利益、それから既存の中小商店の問題、それから当該市町村における町づくりの問題、そういうもの全体を総合的に勘案して対応していくべきものなんだろうというふうに考えておるところでございます。
#57
○神谷信之助君 通産省は、審査要領の中でそういう点はちゃんと取り上げていきます、検討することになっていますとおっしゃるのだけれども、それは実際具体的に保障されるんですか。地域の代表とか商店街の代表とか自治体の代表とか議会の代表とかいうのが参加をして、それらを含めたその地域の都市計画とも相まってそういうものが検討されていくということになるんですか。
#58
○説明員(古田肇君) 御説明申し上げます。
 現在までの制度のもとでございますと、実質的にはいわゆる商調協というところで個別案件を審査するわけでございます。そこでは、その地元の消費者代表、小売業者の代表それから学識経験者代表ということで三者構成から成る審議をし、そこで調整をしていくわけでございますが、そういう中で特に調整が困難な案件について幾つか大店審に上がってまいりまして、大店審の中でさらに調整をしていく、従来こういうプロセスをたどったわけでございます。そういった観点から、大店審に上がってまいりましたものにつきましては、大店審としてその審査要領に即してやっていこう、こういうことであるわけでございますが、今度の法律改正のもとでは、法律に基づいて制度の明確性、透明性、そういったことを高めていくという観点から、大店審以外の場で自主的な調整をするという制度を改めまして、むしろ基本的に大店審がみずから調整をする、調査、審議をするということで案をお諮りしておるわけでございます。
 その場合に、御指摘のように地元の意見を十分くみ上げていく仕組みを考えていく必要があることはもちろんでございまして、そういった意味で大店審自身につきましては、まず地方部会について積極的に拡充をしていく。それから、大店審自身が、今度の法律改正におきましては、直接地元で消費者またはその団体、小売業者またはその団体、学識経験を有する者から意見を聴取するということを考えておりますし、また、必要に応じて商工会議所、商工会に地元意見の集約を依頼するというようなことを通じまして地元の意見を十分くみ上げてまいりたいということで制度改正を考えておるところでございます。
#59
○神谷信之助君 自治省の方に、先ほど出ました通産省の「大規模小売店舗の届出に係る今後の運用について」というのが五月二十四日に都道府県知事あてに出て、翌日二十五日に行政局長名でそれについて出していますね。これ文書をもらって読んだのですがなかなか意味がわかりにくい点があるんでちょっとお伺いするのだけれども、この二番目のパラグラフのところで、「地方公共団体の独自規制についても大店法の運用適正化措置と併せて「各地方公共団体が必要な是正を行うよう指導する等最大限の努力を行う」こととされたところである。」。この「必要な是正」というのはどういう意味ですか。
#60
○政府委員(浅野大三郎君) 地方公共団体が行っております独自規制、これは一般的にそういう独自規制は私は認められていると思いますけれども、ただ、実際に行われている独自規制の中には行き過ぎたものがある、そういう行き過ぎたものについての是正ということだとお聞きしております。
#61
○神谷信之助君 そうすると、通産省に聞きますけれども、今度の大店法の改正によって、今指導要綱なりあるいは条例が千百三十一、これはもっと減っていく、あるいは将来はなくなっていくということを期待しているんですか。どういうことですか。
#62
○説明員(古田肇君) 御説明申し上げます。
 御案内のように、大店法は、消費者利益や地元の小売商業者との関係で大型小売店舗の事業活動を調整する一つの基本的な枠組みを設定しておるわけでございまして、その規制緩和が図られつつあるわけでございますが、そういった中で、地元の実情を考慮してもなお行き過ぎた独自規制については、それが存在するようなことは好ましくないのではないかというふうに考えられるわけでございまして、こういった観点から、今回御提出申し上げております大店法改正案におきましては、地方公共団体の施策に関する規定を盛り込んでおるところでございます。
#63
○神谷信之助君 それは実際法律が動いてみないとわからぬですね。それで、先ほど昨年の五月からそういう行き過ぎの是正をやって、それで幾つかのところでもう是正もされてきているし、大体一割近くは是正されるであろうというようなお話です。だから、もう法律ができる前からそういう行き過ぎのところはなくなってきている。残っているのはといったら行き過ぎではないところが残っているということでしょう。だから、現実に自治体が必要とすれば、これは自治体の条例の制定権に係る問題ですから、前にありました通産、それから五十二年の三月二十六日ですか、政府の統一見解がこの問題について出ております、もう時間がありませんから省略しますけれども、これに基づいてやられるという、これは変わりないんでしょうね、行政局長。
#64
○政府委員(浅野大三郎君) 政府統一見解につきましては、当時と変わりないと考えております。
#65
○神谷信之助君 もう時間がないので、最後に外務省にお聞きしますけれども、「官庁速報」とか「地方行政」という刊行物によりますと、ウルグアイ・ラウンドで焦点は農業問題だけれども、それだけではなしに、国際ルールを国だけでなく地方政府にも厳格に守らせよ、こういう動きが活発化してきて、特定の条例とか自治体補助金、それから入札方法の見直し、これなんかが必要になってくるようなそういう動きがある。こうなってくると条例制定権に対する制約なんかにも関係をする問題にもなりかねない、そう思いますが、この問題の経過と外務省の対応、そして外務省のこれについての見解をあわせてお伺いします。
#66
○説明員(佐藤昌史君) 御説明申し上げます。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、二十一世紀を目指した多角的自由貿易体制の再構築ということで、極めて多くの国際貿易上の問題が議論されております。その中で、今先生御指摘になられましたような規格あるいは認証等に関するスタンダード協定、補助金交付に関する補助金協定、サービス貿易に関する協定、あるいはまさに御指摘になられました政府による各種調達に関する協定等の分野におきまして、地方公共団体の取り扱いの問題がほかのさまざまな問題とともに議論の対象となっております。
 この背景といたしましては、産品の規格設定あるいは各種の補助金交付等が国際貿易に影響を及ぼすものでありますから、そういうことで認識はありますが、これが国によりまして中央政府によって行われているものもありますれば地方政府によって行われているところもあるわけでございます。このような状況を踏まえて、今ウルグアイ・ラウンドで対応が検討されているところでございます。
 その中で今後の進展等の認識という御質問でございますが、交渉が煮詰まってきているところとおりませんところといろいろございまして、地方公共団体に関する問題についてはまだ十分な議論が行われているということではないということを申し上げるしかないかと思います。
#67
○神谷信之助君 我が国の場合は、条例制定権は憲法に基づく地方自治の本旨にかかわる重要な権限ですね。この点は外務省、そういう立場で交渉というか、話をしていくという、そういうことは間違いないですか。
#68
○説明員(佐藤昌史君) 御指摘のとおりであります。
#69
○高井和伸君 初めにちょっと総務庁の方にお尋ねしますけれども、行政手続法研究会の第二次中間報告に関して以前聞きましたところ、地方公共団体にアンケート調査をしているという話でございました。それの目的と、それからどんな回答があったのかを回答できる限りでお願いします。
#70
○説明員(河野昭君) お尋ねの総務庁が実施いたしました地方公共団体に対するアンケート調査でございますが、先生御存じのように、私どもの研究会が昨年五月に行政手続法についての第二次の研究会報告を出しまして、目的といたしましては地方公共団体の実務の方々からこの研究会報告についての御意見を伺うということでございます。
 ただ、今申し上げましたように、一応各二十団体に御意見を伺ったわけでございますが、これは各団体としての統一的な御意見を伺ったわけではございませんで、各行政分野につきましてそれぞれ担当官の方から御意見を伺ったということでございます。したがいまして、その御意見は非常にさまざまなのでございますが、総論的に申し上げますと、例えば行政手続法を制定するのがいいか悪いかということにつきましては、行政手続法の制定に当たっては個別の行政分野の実態を踏まえて検討される必要があり、事務処理の混乱や事務の煩雑化を招かないよう配慮すべきである。あるいは、行政指導について規制をすべきかどうかという点につきましては、行政指導というものの多様性とか迅速性とかそういうメリットを損なわないようにすべきであるというような御意見がございました。
 また、地方公共団体が行政主体となります事務も対象とすべきか、あるいは適用除外とすべきかというようなことも伺っておるわけでございますが、これにつきましては地方公共団体の事務、これは地域によって事情の違いもあるので適用除外規定を設けるべきである、あるいは、各団体間で手続が異なるのは望ましくないので統一的に基準を示すべきである、そういうようなさまざまな御意見があったということでございます。
#71
○高井和伸君 こういった成果は、今のお話ですとかなりばらつきがある内容のようでございますけれども、大体こういったアンケートの成果はどのように後の手続の中に反映されていくのか。
#72
○説明員(河野昭君) まことに恐縮でございますが、ただいま昨年の五月に研究会報告を発表したと申しましたが、これは一昨年の十月でございますので、訂正させていただきます。
 それから今の成果ですが、今年の一月に行革審に公正・透明な行政手続部会というものを設けまして、今鋭意審議しておるわけでございます。現在のところ、ことしの十一月を目途に要綱案というようなものを取りまとめることを目標にして作業をしているわけでございますが、この審議の過程でこのような地方公共団体の御意見を参考にさせていただくということでございます。
#73
○高井和伸君 自治省にお尋ねします。
 地方交付税の総額の特例について、今年度五千億を減額する、それについては実質的な損害を与えないのだ、このような説明もあり、法律もそのようになっているようでございますが、簡潔に具体的に説明してほしいんですが、私の一番の興味の中心は、それが制度的にちゃんと実行されるのか、ほごにされる可能性は全くないのかという点ですので、お答えください。
#74
○政府委員(小林実君) 平成三年度におきましては、地方財政対策におきまして交付税の必要な財源を確保したり、あるいは財政の健全化につきましてもその推進を図ったところでございます。
 御質問の五千億の問題でございますが、こうしたことで必要な財源を確保した上で、昭和六十一年度補正に絡みまして地方交付税特別会計借入金の残高に相当する四千五百二億四千万円を平成三年度に減額いたしまして、その償還計画に見合いまして平成四年度以降の地方交付税に加算することといたしました。また、昭和六十年度の補正予算に関連いたしまして、地方交付税につきまして国から借りたといいますか、国へ将来返さなければいけないものが出てきたわけでございますが、今まで返していない金額のうちから四百九十七億六千万円を国に返済することといたしたわけでございます。前者の四千五百二億四千万円につきましては実質的には借入金の振替で、四百九十七億六千万円につきましては地方交付税の借金の返済、こういうことでございまして、実損を与えるものでないということで申し上げておるわけでございます。
 法律的には、今回お願いをいたしております地方交付税法の附則の四条の二項、それから四条の四項で加算をすることにいたしておりまして、また国の一般会計から繰り入れていただくことにつきましては交付税及び譲与税配付金特別会計法の第七条に書いてあるわけでございまして、この御審議をお願いいたしておるわけでございます。
#75
○高井和伸君 今指摘されました附則四条の二項の条項を見ますと、「加算する。」、こう単に書いてありますが、先ほどの説明ですと、実質的に地方の借金を国へ振りかえる、こういうことになりますが、その実質的というのはどうやって制度的に担保するんですか。
#76
○政府委員(小林実君) これは平成四年度以降の地財折衝の話になるわけでございますが、この交付税及び譲与税配付金特別会計法の方で形式的に四千五百二億四千万円のお返しにつきましての規定がございまして、それに見合って加算をしていただく、こういうことになりますので、国会の方にそういうことで提案をさせていただいて、毎年度確保していく、こういうことになると思います。今の時点におきましては、交付税法の加算規定があり、この中に四千五百二億四千万円につきましての分が入っているわけでございまして、そこで担保される、こういうことでございます。
#77
○高井和伸君 私のお尋ねしたいのは、政府間の、自治省と大蔵省のお約束が、補助金のカットでも三年でもとへ戻すというような約束がいろんなその後の事情で、ほごにされるという言い方はおかしいんですが、結果的にほごにされる。大臣と大臣が覚書にサインしていく、そういった手続というのはよくある話なんでしょうけれども、今のお話ですと、年度年度に予算の中で見ていってもらうんだ、こういうことになりますけれども、そういった政府間の約束の実効性というのはあるんですか。
#78
○政府委員(小林実君) 地方財政対策を講ずるに当たりまして、私どもの方といたしましては毎年度の地方財政運営が円滑に行われるように、また年度年度の与えられた課題に対しまして十分な財源措置ができるように努力をいたしておるわけでございます。その中で、大蔵省と自治省におきまして、補助金カットとかあるいは交付税の総額につきましての特例につきましての覚書を結ぶわけでありますが、私どもといたしましては、その覚書の趣旨に沿いまして国庫当局と折衝をさせていただく。今までの折衝過程におきましても、私ども覚書でお約束したことにつきましてはその趣旨を体して実現が図られるよう最大限の努力をしておるつもりでございます。
 補助金カットにつきましても、今まで行われました中で六十年度に一年ということで一年間検討して三年間やった。その中で特に問題でしたのは、六十二年にまたさらにカットが行われたということがございましたけれども、今回法律の方でもお願いしておりましたが、六十二年カット分につきましてはもとへ戻すようなこともいたしておりまして、具体的に財政折衝の中で覚書に従ってこの措置をするように努力をし、それを法律に書いて国会で御審議をいただいて決めていただく、こういう手続をとっておるわけでございます。ほかの省との関係につきましても、今申し上げたような立場に立ちまして、努力をいたしておるつもりでございます。
#79
○高井和伸君 私がくどく聞いたのは、前の自治大臣の奥田さんが、こんな減額は決してやらないとこの場でおっしゃったことが、結果的には実損がないんだからこういう格好になったんだ、こういうことになるものですから、そういうちょっと複雑な方向に行っちゃうとなかなかわかりづらくなってしまって、地方財政の円滑な運用という象徴的な言葉ですべてがいくんだろうということでは了解しますけれども、もう少し、なぜこんなに複雑にしなきゃならなかったのかということだけを答えてほしいんです。
#80
○政府委員(小林実君) 高井委員の御質問に対しまして、奥田前大臣が答弁したことも承知いたしております。その意を体しまして、平成三年度の地方財政対策に当たりましてはその折衝に当たったわけでございます。大臣の答弁の趣旨に沿う形で、しかも必要な財源もある程度地方財政につきましては確保できました上で協力できる方式としては、非常にわかりにくくて申しわけないんですけれども、今まで借りておりましていつかは返さなければいけない借入金を返す、またあるいは事実上返すという形で解決したことを御理解いただきたいと思います。
 毎年度の地方財政対策の内容が非常にわかりにくいというおしかりは受けておりますので、今後ともその点につきましてはなるべくわかりやすくするように努力をしたいと思います。
#81
○高井和伸君 終わります。
#82
○委員長(野田哲君) 以上をもちまして平成三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所官のうち警察庁、自治省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#84
○委員長(野田哲君) 次に、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。吹田国務大臣。
#85
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近におけるけん銃使用犯罪の実情にかんがみ、新たにけん銃の銃身等の部品の所持及び輸入を規制し、並びにけん銃等の密輸入の予備等を処罰することとするとともに、猟銃の操作及び射撃に関する技能の向上等に資するため練習射撃場の指定等の制度を設けるほか、社会情勢の変化等に応じた銃砲及び刀剣類の所持に関する規制の見直しを行い、あわせて、刀剣類の製作の承認に関する規定を整備すること等をその内容としております。
 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
 まず第一に、けん銃部品の所持及び輸入の禁止についてであります。
 これは、摘発を免れるため、けん銃を部品に分解して所持し、または密輸入する事案が発生していることにかんがみ、けん銃の銃身等のけん銃部品の所持及び輸入を、一定の場合を除き、禁止することとするものであります。
 第二に、銃砲及び刀剣類の所持に関する規制の合理化についてであります。
 これは、国際化の進展その他の社会情勢の変化等を踏まえ、新たに芸能の公演、博物館での展示等に供するための銃砲または刀剣類については、けん銃等を除き、その所持について許可をすることができることとするものであります。
 第三に、練習射撃場の指定等についてであります。
 これは、猟銃の操作及び射撃に関する技能が低下していること等に起因する事故の絶無を図るため、猟銃を所持する者がその技能の維持向上のために射撃を行う機会を拡大する等の見地から、都道府県公安委員会は、猟銃に係る指定射撃場のうちから練習射撃場を指定することができることとし、猟銃の所持の許可を受けた者等が練習射撃場に備えつけられた猟銃を使用して射撃練習を行うことができることとするものであります。
 第四に、美術品として価値のある刀剣類の製作の承認についてであります。
 これは、行政改革の一環としての国から地方への権限委譲を進める観点から、現在、文化庁長官が行っている美術品として価値のある刀剣類の製作の承認に関する事務を、一定の場合を除き、都道府県の教育委員会に行わせることとするものであります。
 第五に、罰則の強化についてであります。
 これは、最近、大きな社会問題となっている暴力団犯罪において使用されるけん銃のほとんどが海外から密輸入されたものであることにかんがみ、けん銃等の密輸入の予備行為をした者及びけん銃等の密輸入に対する資金等を提供した者を処罰することとするとともに、けん銃等の密輸入の未遂罪及び予備罪の国外犯を処罰することとするものであります。
 その他、この法律案では、都道府県公安委員会は、銃砲または刀剣類の所持の許可を受けた者がこの法律の規定に違反した場合等において、その者に対し、危害予防上必要な措置をとるべきことを指示することができることとすること、手数料の額を実費を勘案して政令で定めることとすること、罰金額を引き上げること等所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概略であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
#86
○委員長(野田哲君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#87
○渡辺四郎君 時間の関係がありますから少し口早に質問を申し上げたいと思います。
 このいただきました法案資料の六十九ページの2によれば、密輸入の中心が携帯輸入あるいは輸入貨物、国際郵便等で全体の九六%が持ち込まれておるというふうになっておりますが、ただこの図を見た場合、昭和五十六年から平成二年度までの密輸入事件を単純に合計したものであって、密輸入の最近の傾向があらわれているというふうに私らは見えないものですから、最近の密輸入の状況はどういうふうな形で行われているというふうに警察庁の方はお考えか、まずお聞きをしたいと思います。
#88
○政府委員(関口祐弘君) 警察で過去十年間に密輸入事犯というもので検挙した件数は二百三十件ほどでございまして、約千六百丁ほどのけん銃を押収しているということでございます。その密輸入の方法としまして、この表に掲げてございますような携帯輸入のものが六五・八%、輸入貨物のものが二〇・八%というふうな数字でございます。
 ごく最近のということでございますけれども、おおむねこの傾向であろうと思いますが、この数字の中でちょっと御留意を願いたいと申しますのは、検挙されたものに限った数字でありまして、携帯して輸入する場合というのが税関等でかなり厳しいチェックを受けるということで、その比率が実際よりも高くなっているということが考えられるわけでございます。
 また、検挙によりまして判明した隠匿の方法ということでは、最近、大変巧妙になってきているということが言えるかと思います。具体的な例で申しますと、中古の自動車のエンジンの中にけん銃を隠したり、あるいはまたキャリーバッグの二重底の中に隠匿をしたり、あるいはまた木像の台座部分をくりぬいて隠匿をするというふうなことで、その手段、方法と申しますか、手口というものが大変巧妙になってきているというのが最近の傾向としてうかがえるということかと存じます。
#89
○渡辺四郎君 後ほど携帯輸入以外にかなりの数の密輸入が出ておるということをちょっとお伺いしたいと思います。
 次に、過去この法律案の改正の段階で、昭和五十二年、五十三年、五十五年の改正の中では、主な目的が猟銃または空気銃に起因する事故と猟銃を使用しての犯罪が多発するためということで、所持許可規準を厳格にしたり、あるいはけん銃等の密輸入事犯防止のために法定刑を引き上げたり、あるいは不法所持者についても同じように罰金を含めて法定刑を引き上げていく、この法改正を相次いでやってきたという結果として、改正後、特に猟銃等による犯罪は減少しておるかどうか、そこらをお聞きしたいと思います。
#90
○政府委員(関口祐弘君) 先生御指摘のとおり、五十二年の改正におきましては罰金刑の引き上げ、そしてまた五十三年の改正におきましては、許可の基準の中で覚せい剤中毒者というふうなものを人的な欠格事由とする、さらには五十五年の改正におきましても、一定の違法な行為を行った者に対しまして十年間猟銃の許可を与えない等々の規定の整備をお願いしてきたところでございます。
 そうした状況の中で、猟銃等、これは空気銃も含めてのことでございますが、使用した犯罪というものは五十年代におきましては大体年間四十件ほどでありましたけれども、昭和六十三年には十六件、平成元年には二十七件、平成二年は十三件ということで、最近ほぼ半減をしているという状況でございます。その犯罪の形態を見ますと、やはり殺人なり強盗に使用されるという場面が多いわけでございまして、昨年発生した具体的な事件で申しますと、これは徳島県で発生した事案でございますけれども、父親が娘の異性問題ということで娘と口論中に激高をいたしまして、所持していた散弾銃で娘を殺害した後自分も自殺を図ったというふうな事件等が発生を見ておるというところでございます。
#91
○渡辺四郎君 資料を見れば、銃砲刀剣類の総数が五十三万三千二百五十一、そのうち鉄砲として猟銃関係が四十四万七千三百二十九、こんなたくさんの猟銃を所持しておる方がおるものですから、特に過去はそういうことで力を入れてきたと思うんです。
 そこで、最近の暴力団の対立抗争を見てみますと、猟銃でなくてけん銃を使用する犯罪が圧倒的に多いというふうに言われています。御承知のとおり、近々では沖縄で高校生が組員と間違われて射殺をされたという問題、あるいは警備に当たっておった現職警察官二名が射殺をされるという事件が起きました。また、本年の三月の二十六日に、福岡県でも、これは神社の参道にある住宅街なんですが、夕方の四時過ぎごろ、暴力団の元幹部が射殺をされた事件がありました。事福岡県に限ってみれば、警察庁からいただいた資料等を見ますと傾向が若干違うようです。けん銃による事件が福岡では平成二年が十四件です。元年は三件だったわけですから前年を非常に大きく上回っておる。
 そういう中で、福岡県警も大変な努力をしながら暴力団の集中取り締まりとかあるいは特捜チームを編成しながら必死の努力をしておりますが、この資料を見てみますと、けん銃等の押収も全国的には非常に減少傾向にあるというふうに出ておりますけれども、福岡の場合を見てみますと、一昨年が二十四丁、昨年は四十二丁なんです。本年ももう既に先ほど申し上げました元暴力団が殺された、これは出頭してきたものですから、それを含めて現在既にもう九丁が押収されておるわけです。しかし、全国的に見れば、十年間のけん銃等の押収はふえていないという状況になっております。それといま一つは、六十一年から平成二年までの殺人を含む凶悪犯と暴力行為等の粗暴犯の認知件数も検挙件数も減っておる。このことは、犯罪行為が例えば地域的とかあるいはブロック別に、暴力団のことですから、そういうふうに集中してきたのかどうなのか、警察庁としてどういうふうな判断をされておるのか、お聞きしたいと思うんです。
#92
○政府委員(國松孝次君) 暴力団の銃器発砲事件等につきましては、確かに対立抗争に伴いまして発生をするということが非常に多いわけでございますので、その対立抗争がことしはこの地域に発生をしたというようなことであればそこに集中をいたしますということで、年々起こります地域にやや偏りが出てくるということはあろうと思います。例えば、昨年の九月から十一月ごろにかけましては、沖縄におきまして大変な抗争事件が起こりまして、三十八回にもわたる抗争事案が発生をいたしております。
 そういう過程で銃器も使われるということでございますが、ただ、最近は山口組、住吉あるいは稲川会というものが大変広域化をし、全国どこでも、特に山口組に関しましては全国どこでもその利益を追求するために抗争事件を起こしているというようなことでございますので、なるほど毎年毎年、後から見ますと地域別に若干のずれというのが出てくると思いますが、いつ何どきどこに起こるかわからないというのが最近の暴力団の銃器を使った対立抗争の傾向であろうというように考えております。
#93
○渡辺四郎君 平成二年の警察白書によりますと、「けん銃の不法所持事犯及び密輸入事犯は、潜在性が強く、取り締まることが著しく困難であることから、これらの犯罪の取締りに有効な新しい方策について検討を進める必要がある。」というふうに記述をされておりましたが、そこでお尋ねしたいのは、けん銃の不法所持事犯及び密輸入事犯の取り締まりが困難なのはどのような点にあるというふうにお考えか、具体的にお伺いしたいと思うんです。それからまた、ここに記述がありましたように、「有効な新しい方策」とは一体どのようなことを考えておられるか。本法律案の改正によって有効な取り締まりが行えるかどうか、あわせてひとつお伺いをしておきたいと思います。
#94
○政府委員(関口祐弘君) 押収けん銃の大半が、私ども調べてみますと、外国製であります。そして、これらは暴力団等が不正に外国から密輸をしまして国内に流入したというふうなことが推定できるわけでございます。これらの武器が暴力団の抗争事件等に使用されまして国民に極めて大きな不安を与えているというところでございまして、こうした状況を踏まえて、私ども警察では、けん銃密輸事件というものにつきまして重点を置いた取り締まりというものを推進してきているところでございます。
 具体的に申し上げますと、密輸入の前歴者とかあるいは暴力団で頻繁に渡航するような者の動向把握というふうな問題なり、あるいはまた税関等の関係機関との連携の強化ということ等を通じまして、海空港における水際検挙、水際作戦というものを展開しているということでございます。
 また、一方におきましては、既に国内に流入して隠匿保有されているけん銃の発見、押収というものに努めているところでございまして、その出所を追及して密輸、密売ルートを解明するという努力をしているところでございます。
 しかし、先生御指摘のように、最近この取り締まりが難しくなっているということでございまして、原因は幾つかあろうかと思いますけれども、その一つは、こうした密輸なり所持というものにつきましての情報の入手がなかなか困難になってきているということ、そしてまた隠匿手段というものが先ほど申しましたように極めて巧妙化している、さらにまた国際化の進展の中で人なり物の大量流入というふうな問題もあろうかと思います。
 そうした状況で大変捜査が難しくなっているということでございますが、今回の改正におきまして、けん銃部品の所持なりあるいは輸入の禁止、けん銃等の密輸入の予備罪あるいは資金提供罪、そしてまたけん銃等の密輸入の未遂及び予備に関しまする国外犯の処罰規定というものを設けていただきたいということでございまして、それはまさしく私どもの行っている捜査の隘路を打開するためにこうした法整備が必要であろうというふうに考えるからでございます。
 それではその効果がいかなるものかということでございますけれども、ここで件数的に申し上げるということはなかなか難しいかと思いますけれども、私どもとしましては、けん銃等の密輸入事犯につきまして、既存の罰則ともども今回新たに設けていただきまする罰則というものを有効に活用いたしまして、税関その他の関係機関とさらに緊密な連携をとりつつ、早期段階での効果的な取り締まりということを進めてまいりたいと思っているところでございます。
#95
○渡辺四郎君 それでは若干質問を変えますが、組織犯罪対策マニュアルを見せていただきましたが、特にその中で、銃器等の発砲事件による一般市民の巻き添え問題が増加の傾向にあるというふうに言われております。先ほどもちょっとお尋ねをいたしましたように、全国的な犯罪件数は減少傾向にある、その中で一般市民の巻き添え事件が増加しているということについては間違いないかどうか、それが第一点です。
 というのは、暴力団そのものの行為が粗暴化してきたのかどうなのか。昔のやくざであれば、仁義を切って一般の市民には迷惑をかけないというのがやくざの世界であったわけですけれども、今の暴力団はそういうことがないようですから。そういう中で、資料によりますと平成元年では十五件というふうに言われておりますが、平成二年度は一般市民が巻き込まれた事件が何件ぐらいあったのか、警察庁でわかればお願いいたしたいと思います。
#96
○政府委員(國松孝次君) 平成二年中におきます暴力団による銃器発砲事件に伴っての一般人の巻き添え事件の数でございますが、私どもで二十件把握をいたしております。その内訳を申しますと、人的な被害が五件、これはお亡くなりになった方が四名、けがをした方が一名ということになっております。それから物的な被害、これは窓ガラスにけん銃を撃ち込まれたとかそういうたぐいのものでございますが、こういった物的被害が十五件、合計二十件でございます。平成元年度は十五件でございまして、そのとおりの数字を私どもは把握をいたしておるところでございますが、数字の面でもそういった一般人の巻き添え事件というものが増加をしておる。特に平成二年度の人的被害は死者四名でございますけれども、うち三名はいずれも対立抗争事件のさなかに相手方組員と間違われて誤射殺をされておられるというものでございまして、このようなことは警察庁におきまして確実に資料を把握しておる昭和五十年以降、かつてなかったことでございます。
#97
○渡辺四郎君 先ほど申し上げました組織犯罪対策マニュアルの中で、暴力団による銃器発砲等で一般市民が巻き添えになる傾向が強まっている。その理由として、一つ目には暴力団が依然として大量の銃器を隠匿保有していると見込まれること、二つ目が暴力団構成員及び暴力団周辺人物等けん銃所持層の広がりが見られること、三つ目がけん銃所持の常態化と短絡的発砲事件が多発をしておる、この三つが挙げられておりますが、こういう事件撲滅のためにどのような決意で対処なさろうと思っておるのか、公安委員長と警察庁長官にそれぞれ決意をお伺いしたいと思います。
#98
○国務大臣(吹田ナ君) 今の巻き添えの問題でありますが、これは確かに大変気の毒なことでありまして、さっきお話がありましたように、昔の暴力団ならば少なくとも、やあやあ我こそはと、こうなるわけですからそんなに巻き添えを食うわけじゃないのでありますが、今のは非常にひきょうなやり方なんですね。ですからそういうようなことが起きるのだろうと思うんですけれども、いずれにしましてもこういう一般市民を巻き添えにして事件を起こすというようなことは、これは絶対にあってはならないことであります。そういったことで、今後もこの暴力団に対しまして、特に銃を持っておるというようなことにつきましては徹底的な調査をし、これを取り上げていかなきゃならぬと思うのでありますが、警察もその点につきましては非常な努力をしてくれているわけであります。
 特に今後の問題としまして、後日また先生方にお願いを申し上げるはずになっておりますが、暴対法問題を新たに閣議にお願いして、そしてこの国会にお諮りをさせていただいて、こういった点について新しくこういった法律によって暴力団の壊滅を図りたい。あるいはまた、そういう所持という問題についても、先ほど私が御説明申し上げましたようなことで、少なくとも銃砲等を持つこと自体、分解したものでも持てないというようなことで今後は予備罪というようなことで対処しよう、こういうことでありますので、これから私どもも御指摘のありましたようなことが起きないように公安委員会としては頑張るつもりでおります。
#99
○政府委員(鈴木良一君) ただいまお話がありましたように、確かに暴力団の銃器の携帯が日常化しておるという状況がございます。それから、銃の密輸入というものが大変ひどい状態になっておるということもあるわけでございまして、やっぱりこの二面作戦でしっかりやっていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。
 銃器の携帯が常態化しているということに関しましては、我々は平生から日常の捜査活動、警察活動等を通じましてこれを徹底していく、あるいは警察活動の中で職質等でそういう銃器の発見に努めるというようなことをもっと徹底してやっていかなきゃいけない、かように考えております。それからまた、密輸入が大変多くなっておるわけでございますから、そういうものを関係機関ともよく協力しながら水際で捕まえていくという努力をやっていかなきゃならない。現在いろいろお願いしております法改正をお認めいただきました暁には、これを有効に活用して水際の検挙を徹底してまいりたい、かように考えております。
 それからまた、あってはならないことでございますが、これからも対立抗争事件というものは起きると思います。そのときに、先ほど大臣から話がありましたように、今までならば一般市民を巻き添えにするということをしないでやるということが多かったわけでございますけれども、最近はそういう迷惑を顧みずやるということが大変多いわけでございまして、そういうものが起きました場合には、やはり非常に一般市民を巻き添えにする危険性が大だと思います。そういうことから市民を守るために必要な警戒措置を十分講じてまいりたい、かように考えております。
 それから、さらに、先ほど大臣からお話ありましたように、対立抗争につきましては、事務所を使わせないということが現在の法律ではなかなかできないわけでございまして、新しい法律を今お願い申し上げまして、そこでそういう危険な事務所は使わせなくするということもあわせてやっていきたい、かように考えておりますので、そちらの法律につきましてもよろしくお願い申し上げたい、精いっぱいそういうことをやりながら頑張ってまいりたい、かように思います。
#100
○渡辺四郎君 先ほどの提案理由の中でもありましたように、今度の改正案の中でけん銃部品の密輸入禁止について御説明がありましたが、私は今度改正案で提案をなされたのは当然のことだと思う。けん銃の輸入が禁止をされていながら、なぜ部品だけの輸入が今日まで合法であったのか、これはどう考えてもやっぱりおかしいような気がしているんです。テレビ等の暴力団なんか見ていますと、部品の密輸入という格好で、そして組み立てなんかをやっておるというふうな放映もよくありますけれども。これは一つは通産省の関係の部分でありましたけれども、なかなか通産省の方もわからないという問題がありました。武器等の製造法関係というのは通産省だ、しかし今長官がおっしゃったように、水際問題は税関等であってこれはやっぱり大蔵だというようなこと等がありまして、なかなかはっきりしないわけです。
 そこでお聞きしたいのは、けん銃の部品の輸入で処罰ができなかった事件があったのかどうなのか。できなかったというのはできなかった方が本当ではないのかという気がするわけですが、警察庁の方でそういう件数なんかについて、あるいは具体的にどういう事案で処罰ができなかったのか、あればひとつお伺いしたいと思います。
#101
○政府委員(関口祐弘君) けん銃部品の関係でございますけれども、ただいま先生おっしゃった、こうした規定がなかったために有効な取り締まりができなかった例いかんということでございます。件数的には私ども必ずしも正確に把握しておりませんが、幾つかの例を申し上げたいと存じます。
 一つは、古い例でございますけれども、昭和五十六年に千葉におきまして、暴力団幹部が自分の護身用といたしましてタイの現地人から購入した自動式のけん銃一丁を分解いたしまして、これを携帯して国内に持ち込もうとしたところを税関職員に発見されたという事案がございます。この事案では、銃身のようなものは発見されたわけですけれども、銃把と言われるようなものが発見できなかったというふうなことで、けん銃の輸入罪というふうなものでは検挙できなかったという事案がございます。
 それからまた、これは結果的にはけん銃輸入罪で処理できた事案なのでございますが、平成元年に神奈川県下におきまして、暴力団幹部がタイにおいて購入しました回転式けん銃二十丁ほどを、弾倉等を取り外しまして、これらを別々の郵便小包に仕立てまして別々のあて先に発送したという事案でございます。この事案では、たまたま事前情報があったために、当初発見された小包の一部につきまして被疑者を関税法違反ということで検挙した上に、その後大変粘り強い継続捜査をいたしまして他の部品を発見いたしまして、最終的にはけん銃の輸入罪として処理ができたということでございますけれども、大変手間がかかったという事案でございます。
 そんなような幾つかの事例がございまして、これまでも、ただいま申し上げましたように部品に分解して所持していた場合に、その所持する部品というものを組み立てることによりまして一個のけん銃が完成するような場合では取り締まりの対象というふうなことができたわけでございますが、最近では、先ほど来申し上げているように非常に手口が巧妙化をいたしまして、けん銃の部品を分解して輸入する、あるいは所持するという事案が多く見受けられるようになってきたわけでございます。そうしたものについてはいかんともしがたいということで今回の法改正でお願いをしているということでございます。
#102
○渡辺四郎君 次は、芸能公演で所持が許される場合についてお伺いをしたいと思うんですが、先ほども説明がありましたように、改正案では、芸能公演あるいは博物館での展示等で、これはけん銃を除く銃砲刀剣類を所持しようとする者は公安委員会の許可を受け所持することができるというふうになっています。お尋ねをしたいのは、所持が許可される芸能公演、これは一体どういう場合を考えておるのか。それで、判断をするのは文部省ですか、警察庁ですか、お伺いをしたいと思います。これが第一点です。
 二つ目に、許可が乱発されれば社会的な危険が予想される心配はないかどうか。例えば「座頭市」の映画のロケ中に本物の刀を使用して、過って出演者が亡くなった事件がありました。それで、私らも新聞等で読んだわけですが、あれは真刀であって刃つぶしもしてなかったと。どこかの床の間に飾っております許可を持った刀剣類なんかは大概刃はつぶしてありますが、刃つぶしもしてなかったというふうに読みましたが、あのときは刀の所持許可を受けていたのかどうなのか。あるいは、その責任者はどういう刑罰を受けたのか。
 最後に、今回の許可の緩和で、やはり演劇ですから、竹なんかをすぱっと切れるような非常に緊迫感のあるそういう演劇を芸能人の皆さんというのは見せたいと思うんですが、そういうふうな行き過ぎた演劇に拍車をかけることになりはしないかというふうに心配をするわけですが、ここらについてぜひお伺いしておきたいと思います。
#103
○政府委員(関口祐弘君) 今回改正でお願いしております演劇、舞踊その他の芸能の公演というものについての許可の対象についてというふうな件でございまして、幾つかの質問でございますが、まず第一に、これがどういう場面を考えているかということでございます。具体的に申し上げますと、例えば外国の京劇の劇団による剣舞、そうしたもので銃剣を使用するというふうな場合、あるいはまた演出効果を高めるために銃砲を所持して行われる軍楽隊、マーチングバンドと言われるようなものでございますが、そうした演奏、そうしたもの等々を考えているところでございます。
 それで、先生の御質問の中で、これはだれが判断をするのかということでございますけれども、法律の条文で公安委員会ということでございますので、文部省系統ではなくて、私ども警察の方で判断をさせていただくということでございます。
 それから、第二の御質問で、こうした許可が仮に乱発されるようなことがあると社会的に危険な状態が生じるのではなかろうかというふうなお尋ねでございます。
 この点、今回の改正条文の第四条第一項第八号というところでございますけれども、演劇、舞踊その他の芸能の公演について銃砲、刀剣類の所持を認めるということとしたわけでございますが、その許可の類型といたしましては、「所持することがやむを得えない」というふうな限定的な文言を入れております。
 この「やむを得ない」ということの意味でございますけれども、許可の対象となる芸能の公演にとりまして、その使用される銃砲なりあるいは刀剣類というのが重要な役割を占める、そしてその銃砲、刀剣類を使用することなしには公演自体が成立し得ないか、または成立をしましてもその公演自体の意義が大きく失われるような場合というふうなことで、しかもその公演を行うことに一定の公益性が認められるというものを考えているところでございます。
 そうしたことでありますし、さらにまた、許可の際には人的な事由につきましても十分に審査を行いたい。そしてさらに、危害予防の観点から、許可をするに当たりましては条件を付するということも考えていきたい。銃砲の発射制限なり、あるいは保管設備の規制という点につきまして考えていきたいということでございます。したがいまして、危害防止という点につきまして、私どもとして最大限の配慮をしてまいるということでございます。
 それから、三つ目の御指摘だったかと思いますが、映画「座頭市」のロケをめぐっての事件ということでございます。
 この事件は、御指摘のように美術刀剣、登録刀剣を使用しての事案でございます。概要を申し上げますと、六十三年の十二月に広島で発生をした事案でございまして、オープンセットでやくざ同士の立ち回りのシーンを行っていたわけでございますけれども、親分役の被疑者等に被害者が走り寄る場面で、被疑者が振り返った際にその人の右手に所持していた刀剣が被害者の頸部に突き刺さって傷を負わせ、被害者は翌年の一月に亡くなったという事案でございます。この立ち回りでは、当初竹光を用いることとなっていたようでございますけれども、被疑者の竹光の銀紙がはがれたために真剣を使うこととなったということでございます。
 この事件処理につきましては、被疑者、その真剣を使用していた俳優でございます、それから当時の助監督の人、それから小道具係をしていた人、これを業務上過失致死罪、それと銃刀法違反ということで捜査をいたしまして送致し、俳優と助監督につきましては二十万円の罰金、小道具係は起訴猶予処分を受けたというふうに聞いているところでございます。
#104
○渡辺四郎君 時間がないからなるべく急いでください。
#105
○政府委員(関口祐弘君) それから、最後の点で行き過ぎた演劇の傾向というものに拍車をかけるのではなかろうかということでございますけれども、冒頭に申し上げましたような許可の基準に基づきまして一つ一つチェックをしていきたい、かように考えているところでございます。
#106
○渡辺四郎君 本会議の関係がありますので急いでおるようですけれども、所持許可の問題についてちょっとお伺いをしておきたいと思うんです。
 今度の改正の中で、公安委員会が銃砲または刀剣類の所持の「許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。」というふうに盛り込まれておりますが、具体的な適用としてはどのようなことを考えておられるか。例えば、元暴力団が所持をしたいというようなことがあれば、もう暴力行為は一切行わないというような条件をつけて許可をするようなことがあるかどうか。そういう点をお伺いをしたいというふうに思っておるんです。
 それからいま一つは、いろいろ条件をつける中で、暴力団以外でこの改正によって不許可となる者が出てくるんじゃないかというような心配等もあるようですが、許可の基準について少し明確にお伺いをしたい。時間がありませんから簡単に。
#107
○政府委員(関口祐弘君) 今回の改正での条件の具体的な例ということでございますが、例えば狩猟用の猟銃というものの許可に当たりましては、発射を必要としないような場合に引き金に安全ゴムをつけておくというふうな条件とか、それから先ほど来の公演の問題でございますけれども、公演における銃砲の使用に際しましては空砲を使用するというふうな条件、あるいは博覧会等に展示をする場面では、盗難等の防止のために施錠できるガラスケースに収納する等々の条件というものが考えられると思います。
 それから二つ目の御質問で、かつて暴力団、そして今後はもう一切暴力行為をやりませんというふうなことの条件で許可することが可能かということでございますけれども、この点では法律の第五条の第一項のあたりに、今回新たに設けていただくわけでございますが、五号の三ということで、「集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者」、こうした者については許可をいたしませんということにしております。
 こうした者の許可基準を考えるに当たりましては、その人物の前科なり前歴なり、あるいはどういう犯罪を行ったかというふうなことを判断するわけでございまして、まあ組織から足を洗ったからといって直ちに今後暴力行為を行うおそれがなくなるという判断はいたしかねる場面が多いのではなかろうか。そして、暴力行為を今後行わないというふうな条件というものは、極めてある意味じゃナンセンスと申しますか、の条件ではなかろうか。やはり許可をする以上は、これが適切に使用される、所持をされるということを前提にして行うべきものかというふうに考えるわけでございます。
 それから最後の点で、今度設けていただくいわゆる暴力団条項と言われるものでございますけれども、これによって暴力団以外の者も排除されることになるのではなかろうかというふうな御質問かと思いますが、この条項は私ども本来の趣旨としまして、暴力団を排除したいということで設けていただくものでございます。なお、暴力団構成員以外でも同様の集団的あるいは常習的な犯罪者というふうに認められる場合には、この条項によって排除されることもあろうかというふうに考えます。
#108
○渡辺四郎君 私、ちょっと時間が余りないものですから、通告はしておりましたが、質問はまた次の法案審議の段階ですることにします。
 公安委員長と長官にお尋ねしたいと思うんですが、ここに三月六日の西日本新聞があります。これに「拝啓 県警本部長どの これが実態です」ということで、「博多署員が「直訴状」所属、名前、堂々と「よくぞ言った」同僚も拍手」という大きな見出しで新聞が出されておりますが、実は私も、一月三十日の代表質問の中でも現在の警察の実態、あるいは当委員会で調査に行った段階でも、正式な調査の中ではなかなか出ませんけれども、やはり夕御飯なんか一緒に食べておりますと、県警の大幹部の皆さんからも、今の現場の第一線の警察官はもう限界にきておるというようなお話を実は聞くわけです。例えば、交付税あるいは地財計画でやるべき内容ですけれども、超過勤務も一二%という枠内で予算は決まっておる。ところが、この方が訴えておるのも、やはり超勤手当もちょっぴりだ、休日出勤、代休なしというようなことで、これは非常に勇気ある行動と支持する声が警察官の中にもたくさんあるわけです。
 ちょうど今度の選挙で大臣がお見えになり、あるいは党の大幹部がお見えになるということで、福岡県警の管轄の皆さんですけれども、確かに夜遅くまで警備、交通整理、大変な御苦労もあっておりまして、そういうところで聞きましたら、課長、係長クラス、警部、警部補クラスの皆さん、そういう人たちも、やっぱり実態はそうですよ、しかし本当に勇気があったというふうに言われておるわけです。
 ただ心配をするのは、ここにも警察官の同僚がこう言っております。やっぱり勤務、労働条件問題についてはなかなか口には出しにくい。以前から見れば非常によくなったが、しかしやっぱり非常に出しにくく、「今回の手紙に「声なき声を代弁する勇気ある行動。」ということで本人が異端児扱いされなければよいが」という意見が同僚の警察官の中で非常に多いという。これについては、本部長は会いたいというように言っておるようです。会っていろいろお聞きをするわけでしょうけれども、博多署の署長の弁も載っておりますけれども、「手紙は建設的提案と受け止めているが、直接、本部長に郵送という手段がベストだったか、疑問は残る。」、こういうふうに署長は言っておるわけです。
 しかし、これは私は自治体でやっていたからよくわかっておりますけれども、署長が直接予算要求をするわけじゃないのです。県警本部が県の財政課あるいは知事に予算要求をするものですから、そういう点では勤務、労働条件問題を直接署長に、超過勤務手当をふやしてくださいとか、まあ警察は余りないでしょうけれども、そういうことをなかなか言う機会もないし、またそういうシステムにもなっていない。やっぱりこの状態が今の警察の実態ではないか。行政改革を進めなきゃいけない、しかし東京近傍だけが警察官の定数の増員になっておりますけれども、あれから後は全然定数はふえていないわけです。犯罪は広域化する、麻薬犯罪は出てくる、暴力団も非常に多様化する、そして交通が非常に開けてきたものですから、暴走族を含めての交通違反あるいは事故件数も非常に多いというようなことです。沖縄でありましたあの事件のときだって、三十人から暴力団おる中で、見張りに立っておるのは警察官二人ですよ。四人が交代で二人ずつやっておる。そして、四人おって防弾チョッキは二着しかない。交代するたびに防弾チョッキをかえなきゃいけない、こういう苦痛を述べておる現場に立っておる警察官の声もありましたね。
 ですから、このことは、所属、名前を堂々と書いて本部長あてに直送した、私はやっぱり、賞状ものじゃないか、長官から表彰してもいいんじゃないかというふうな気もするわけですけれども、現場の第一線の警察官を勇気づけるためにも、今一二%の超勤枠を私は、年度の途中でも例えば一五にするとか一八にするとか、このくらいの努力でひとつ報いてもらいたいと思うんです。まあ福岡県警に直接ということはないでしょうけれども、私の方も本部長にはお会いはしますが、こういう人をやっぱり大事にしてもらうように、後で物を言っちゃいかぬということでしからないように、特に私の方からもこれは長官の方にひとつお願いしておきたいと思うんです。
#109
○政府委員(鈴木良一君) 今先生お話しのように、一線にいろいろな勤務で大変御苦労をかけているということがあると思います。そして、こういうふうな形で意見を述べてもらったというのはやはり大事にしなければいかぬということはおっしゃるとおりだと思います。また、私どもの職場もこういうふうな意見が気兼ねなく言える職場にしていくということが大変大事だと思いますので、今後ともいろいろな面の改善は一方で進めなきゃいけませんが、同時に、やはりそういう職場の雰囲気もできる限り、職員が一方では安んじて職務に精励できる、またいろいろな意見も気兼ねなく言えるという職場にするように努力をしてまいりたい、かように思います。
#110
○国務大臣(吹田ナ君) せっかく長官が答弁された後でありますが、私も今の御意見は非常に傾聴に値することであると思っております。直訴したから云々というようなことがあってはなりませんし、特に警察官は団体交渉権も持っておりませんし、そういう意味で時には非常に過酷な勤務についているという事実もございます。そういう意味で、私はむしろこういった意見は大事にして、これから超勤やその他の問題に対する手当ても後顧の憂いのないようにしてやるべきであろうというふうに思います。私は、国家公安委員長でありますと同時に自治大臣でありますから、私のところで財政の配分を各都道府県にするわけでありますから、両方の身分を持っておりますので、早速自治省に対しまして、今の御意見を踏まえて、警察庁の御意見を入れて、今後はどのようにすればいいのかということについての検討を加え、善処してまいりたいと存じます。
#111
○渡辺四郎君 大蔵省にも言ってください。
 終わります。
#112
○常松克安君 通産省いらしておられますか。武器等製造法施行令はいつ施行されたでしょうか。施行日。――結構です、もうこっちから言いますから。昭和二十八年八月一日が法で、施行令は八月十五日、これでよろしゅうございましょうか。
#113
○説明員(今井康夫君) 恐れ入ります。そのとおりでこざいます。
#114
○常松克安君 この銃刀法の方は、その後昭和三十三年三月十日に成立しておるわけでございます。私、この武器等製造法を見せていただきまして、特にこの施行令の第三条、この中に「銃身」とありますのは、当然銃身にプラスしたものが武器ですから部品も含まれておる、こう理解して運用されてきたんではなかろうかと信じておるんですが、いかがでしょうか。
#115
○説明員(今井康夫君) 武器等製造法におきましては、現在、けん銃及びその部品でございます銃身を対象といたして運用しておりまして、銃身につきましてはいわゆる銃身でございまして、その他の部品は入っておらないというふうに運用しております。
#116
○常松克安君 そうしますと、もう一遍お尋ねしますが、部品は入ってなかった、これでよろしゅうございますか。
#117
○説明員(今井康夫君) 銃身につきましては、部品として、部品のうち政令で指定したものについて武器等製造法の対象にするということにしてございますので、これまで銃身について対象として扱っておりました。
#118
○常松克安君 といたしますと、この法案が成立いたしましたならば、片一方はこのままですと、輸入のときにこれはざる法ですな。そうしますと、これと相関連して、抱き合わせて法改正をお考えでございましょうか。
#119
○説明員(今井康夫君) 本銃刀法の改正につきましては、暴力団によりますけん銃の不法所持の常態化でございますとかけん銃を使用した犯罪の凶悪化に対処しまして、けん銃の部品の所持のみならず入手方法となっております輸入につきましてもこれを規制の対象にするということとなっていると承知しておりますが、このような対策に遺漏なきを期するために、輸入規制とあわせまして、国内のけん銃の部品の製造段階におきましても所要の法的な規制を行うことが必要だと考えております。
 先生御指摘のように、武器の製造を規律しております武器等製造法におきましては、従来、申し上げましたようにけん銃と銃身につきましてその製造を通産大臣の許可にかからしめてまいりましたところでございますが、現下の社会的な要請の高まりにかんがみまして、今後銃身以外のけん銃の部品でございます機関部体、回転弾倉及びスライドにつきましてもその製造を通産大臣の許可にかからしめることとしております。
 具体的に申し上げますと……
#120
○常松克安君 はっきり言ってくださいよ、いいかげんな答弁せぬと。
#121
○説明員(今井康夫君) 本件の銃刀法の施行に合わせまして武器とされます銃砲の部品を定めております今の三条でございますけれども、施行令の三条を改正いたしまして新たに機関部体と回転弾倉及びスライドを追加する予定としております。
#122
○常松克安君 それでは、これは今までの法及び施行令では取り締まることのでき得なかったと思われるざる法であったという認識でございますな。
#123
○説明員(今井康夫君) 今般けん銃の部品の所持の問題につきまして社会的な要請が非常に高まっているということから、警察庁とも協議いたしまして政令を改正するということを考えているわけでございます。
#124
○常松克安君 通産省にずっと向けるのは酷だと思うんですけれども、あえて、こちらの法律が二十八年のもので先法なものですから。
 そうしましたら、現場の方で、銃身の輸入、こんなものを申請するのはよほど限られた者、これは一つの大きな自衛隊の銃をつくるとか、それは銃身が特別な輸入ということがあったとしても、今日まで個人的に申請して銃身を輸入するという具体例はございましたか。
#125
○説明員(林洋和君) 輸入につきましては、外為法五十二条それから輸入貿易管理令四条、この規定に基づきまして、例えば銃刀法上問題のない輸入について承認を行う、こういうような仕組みが従来からございます。部品につきましても、現在この輸入令体系の中において、例えば現行の銃刀法三条の二に該当する者が輸入割り当てを申請すれば割り当てるといった制度を設けております。
#126
○常松克安君 私がお聞きしているのはざる法ではなかったのか、今の時代に合っていないということをお認めですかと聞いている。
#127
○説明員(林洋和君) この外為法体系の問題につきましては、現実には関税法七十条で他法令確認というのがございます。この関税法に基づいて……
#128
○常松克安君 結構です。
 私の言いたいのは、今度警察庁の方でこの法案をお出しになりました。なりましたら、これのみならず、これをどれだけ厳しくいたしておりましてもどうも法律ということになってくると、私の信念がございまして、尾崎咢堂先生の、法律というものはクモの巣のようである、トンビやカラスのような大物はだだっと通り抜けるが、チョウチョウやトンボはすぐとらまってしまう、力弱いものはもう法律という網にがんじがらめになってしまうおそれありと、こういうふうに青春時代から思っているものですから、せっかくここまで法というものを真剣に成立に向けて御努力なすっても、例えて言いますと、横の外為、関税法とか、今通産省が大変な中をよくお答えいただきました武器等製造法及び施行令とか、こういうふうなものを完全に埋めておかないと、せっかくこっちだけこっちだけと思っておってもまた横の方からという場合がある。
 そういう上に立って、一つ事例があったかと思うのでございますけれども、外国の女性がその部品を身につけて不法に国内にけん銃部品を持ち込もうした場合、これまではどのような取り扱いを受けていたのか、これをちょっとお願いします。
#129
○政府委員(関口祐弘君) けん銃の部品のみの輸入と申しますか、そうした問題につきましては、先ほどの千葉県の税関で検挙に至らなかったというふうな事案を御説明申し上げましたけれども、現行ではいかんともしがたいというふうな場面に遭遇するということでございます。私どもとしましては、警察としては事暴力団、そしてけん銃という問題になりますればあらゆる現行の刑罰法令というものを適用して取り締まりをしていかなきゃいかぬということを考えるわけですけれども、けん銃の部品の輸入という点につきましては現行の法令では処罰の対象となっていないという点に着目をいたしまして今回の改正をお願いするという次第でございます。
#130
○常松克安君 よくその辺のところは理解いたしまして、この法というのが成立した後はあくまでも暴力団対策ということでぜひ威力ある法であるべきことを願望いたしておきます。
 たまさか、我々の気持ちの中には、暴力団の抗争がある、あったら警察はガードする、ガードする。けれども一般の方が、今はちょっと来ていませんけれども来てもらえませんかと言ってもなかなか来てくれぬということを見たときに、何や暴力団を取り締まると言いながらだっと並んで、ところが個人の方には薄いというような感じを、錯覚を与える場合がありまするから、こういうような法できちっと的を絞っていただいた取り締まりというものが、法の運用の妙があってしかるべきと、こういうようなことを申し添えておきます。
 その次に、練習射撃場についてでございますけれども、今日大体あるべき姿というのは指定射撃場と教習射撃場、この二つであった。今回それをもう一つふやして指定した分についておやりになるということなんですけれども、どうもその辺のところで理解しがたいのは、指定された場所には銃をもってこぬでも、そこで銃をちゃんと保管しておいて貸し与えてためし撃ちをさせる、こういうふうに短絡に理解してよろしいのでございましょうか。
#131
○政府委員(関口祐弘君) 今回の練習射撃場の制度でございますけれども、これは猟銃の許可を得ている人あるいは技能検定なり射撃教習の講習を終わっているような人たちで、まだ許可を正式に得ていない人たちが猟銃の操作なりあるいは射撃の技能の向上ということ、さらにまた自分の体格なり技量に合った銃を選定するというふうなことを目的とした制度でございます。先生おっしゃられるように、従来から指定射撃場、教習射撃場という制度に加えての制度でございますけれども、この練習射撃場におきましては、そこに備えつけられた銃で冒頭に申し上げましたような人たちが自由に練習ができるというふうなことで、その技量等を磨いていただくということであると御理解を賜りたいと思います。
#132
○常松克安君 これに対しては相当厳しい規制がかかっておるんですけれども、ふとした場合、何か意図ある団体が十丁もそこで保管されておる、それをねらい撃ちするとか、これもまた危険なことだなと。一人一人の場合は物すごく厳しいものですから、意識としてこれはいかぬという気持ちはあっても、練習するのは一丁二丁では賄い切れないものですから、十丁二十丁ということになるかならぬか知りませんよ、知りませんけれども、そういうところをねらい撃ちされるようなことがあった場合は、大都会の真ん中で警備が厳重なところで目につくところじゃなく、少なくともちょっと人里離れたところ、墓場の山の向こうにあったとか、音がうるさいなんてこともございましょうし、そうなったときの問題はよほど、指導員がいらっしゃるとか、あるいはまたそれを経営なさる方については十二分なる意識をお持ちになっていただかないといけないかな、こういう危惧をするわけですが、既にそういうお考えに達していらっしゃると思いますから、その点について御教示願います。
#133
○政府委員(関口祐弘君) 練習射撃場につきましては、練習用の銃を備えつけるということでございまして、それも五丁なり七丁なりというふうな数になるんだろうと思います。したがって、その管理につきましては万全を期していかなければならないというのは当然であります。
 その点で銃の管理につきましては、現在教習射撃場に備えつけてある銃にしましても同様な事情でございまして、従来から備えつけてある教習射撃場の銃の管理につきましては、私どもの施行規則というもので細かい保管の設備の要件というものを定めてございます。金属製のロッカーにしなさいとか、あるいは施錠をがっちりしなさいとか、それから緊急通報装置のようなものをつけなさい等々の規定を置いているわけでございまして、これと同様な厳しい基準でこうしたものの管理を徹底してまいりたいというふうに思います。
 特に先生おっしゃられるように、こうした射撃場というものにつきましては、静穏の保持ということと危害防止という立場から、学校なり病院なり人家からは一定の距離を置いたところという基準もあるわけでございます。そういたしますと、人里離れるほどに盗難の被害の可能性、危険性というものは高まるわけでございまして、そうした意味で、今後とも私ども十分な指導というものを徹底してまいりたい、かように考えているところでございます。
#134
○常松克安君 きょうは長官の胸をかりていろいろ論議を交わしていきたかったわけでございますが、時間がございませんので、次回をまた楽しみにしてお待ち申し上げております。
 以上でございます。
#135
○諫山博君 この法律には輸入の定義規定はありません。解釈にゆだねられているというふうに言われております。最高裁判所は、輸入というのは外国から本邦に物品を搬入することという説明をしていて、これはこれでいいと思います。ただ、輸入の場合に、どの段階までいけば予備になり、どの段階まで進めば未遂になり、どこまでいけば既遂になるというのは簡単ではないようです。
 そこで、輸入の既遂時期は何かというのを教科書で調べて見ると、驚くほどさまざまな学説があります。例えば領域説、到着説、陸揚げ説、関税境界線突破説、こういうのが目につきます。学者がいろんな観点からいろんな説を主張するのは、これは大事だと思います。
   〔委員長退席、理事渡辺四郎君着席〕
ただ、警察の場合には、実際にこれを適用するわけですから、どの段階になったら既遂だという一定の方針がなければならないと思います。銃砲等の輸入の場合にはこの諸説の中のどの説を警察はとっておりますか。
#136
○政府委員(関口祐弘君) 輸入の既遂なりあるいは未遂の成立する時期、あるいはこれに絡んでの予備罪の成立はどんな場合になるのか……
#137
○諫山博君 まず既遂についてお答えください。
#138
○政府委員(関口祐弘君) 先生御指摘のとおり、けん銃等の輸入というのは国外から国内に搬入するということであるということかと存じます。
   〔理事渡辺四郎君退席、委員長着席〕
 具体的には、海路によるときには本邦にけん銃等を陸揚げするという時点であろう。そしてまた、空路によるときは我が国に着陸した航空機からけん銃等の荷おろしをする時期というものをとらえるのが適当ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#139
○諫山博君 結構です。答弁はそれでいいです。
 結局、私が列挙した中の陸揚げ説が警察の方針と聞いていいですか。
#140
○政府委員(関口祐弘君) そのとおりでございます。
#141
○諫山博君 そうすると、日本の領土内に銃砲等が着陸したら既遂というのではなくて、積み荷をおろしたときに既遂になるということになりますか。
#142
○政府委員(関口祐弘君) そのように解してまいりたいというふうに思います。
#143
○諫山博君 どういう時点で輸入の着手になるかですけれども、これも諸説があります。しかし、外国を出発したとき、例えば船だったら外国の港を離れたとき、飛行機だったら外国の空港を出発したとき、これが輸入の着手時期と理解していいですか。
#144
○政府委員(関口祐弘君) 未遂でございますけれども、これは犯行の実行に着手したが、これを遂げなかった場合ということかと思います。
 それで、実行の着手の時期ということでございますけれども、輸入の一部、またはこれと密接な行為であって、実質上輸入が実現される危険性のあるものを……
#145
○諫山博君 ちょっと待ってください。私、講釈を聞いているんじゃないです。ずばり聞いたでしょう。出発したときが着手の時期かと聞いたんです。
#146
○政府委員(関口祐弘君) けん銃等を所持しまして船舶または航空機から我が国に搬入する場合というものを考えた場合には、当該船舶等が我が国に向けて港を出発したとき、出港したときというものが着手というふうに考えるべきものと思います。
#147
○諫山博君 簡単に答えてもらいたいのですけれども、つまり、陸であろうと空であろうと離陸時から積みおろしまでが未遂、この途中で発覚した事件は未遂事件として処理する、荷おろしが終われば既遂事件として処理する、こうなりますか。
#148
○政府委員(関口祐弘君) そのとおりでございます。
#149
○諫山博君 そこで、新しく問題になる予備ですけれども、今までは外国を出発するまでは潜在的な危険性があっても処罰されなかったわけです。今度予備罪をつくってこれも処罰することになる、こうなるわけでしょう。
#150
○政府委員(関口祐弘君) 現在の密輸入の実態というふうなもの、これに対処するためには、そうした輸入の実行行為に着手する前の準備行為、予備というものにつきまして処罰規定を設けていただきたいということでございます。
#151
○諫山博君 私は、残念ながら少数党代表ですから、質問時間は非常に短いのです。簡単に答えてください。
 そうすると、どういう場合に予備が成立し、どういう場合には予備が成立しないかということが現時点では非常に重要になります。
 例を挙げて質問します。けん銃を輸入する目的で外国でけん銃を買い受ける、これは予備に入りますか。
#152
○政府委員(関口祐弘君) 予備に入るものと解しております。
#153
○諫山博君 買い受ける目的で売買契約を結ぶ、これはどうですか。
#154
○政府委員(関口祐弘君) 契約ということになりますと、相手の業者と申しますか、それとの関係で危険性が極めて高いというような場合には予備に当たるということになろうかと思います。
#155
○諫山博君 売買契約を結ぶ、そして代金も払った、こうなればどうですか。
#156
○政府委員(関口祐弘君) 買う人間に輸入というものの危険性が高まるということでございまして、具体的な事情によりますけれども、そうした場合に予備に当たる場合が多いのではなかろうかというふうに思います。
#157
○諫山博君 あなたの答弁は、将来この法律を運用する場合の基準になりますから、非常に大事だと思います。
 そうすると、外国で輸入の目的でけん銃買い取りの契約をする、あるいは代金を払う、これは場合によっては予備罪になるし、場合によっては予備罪にならないことがある、これでいいですか。
#158
○政府委員(関口祐弘君) やはり最後的にはケース・バイ・ケースで考えざるを得ないというふうに思います。
#159
○諫山博君 外国で輸入の目的でけん銃を購入した。そしてこん包する。これは予備に入りますか。
#160
○政府委員(関口祐弘君) そうした事案というものは入ると思います。
#161
○諫山博君 日本にけん銃を輸入する目的で買い付けの交渉をする、これは直接交渉もありましょうし、電話による交渉もあり得ると思いますが、交渉する段階は予備になりますか。
#162
○政府委員(関口祐弘君) それもケースによるとは思いますけれども、交渉するというだけではまだ予備に当たるということには至らないのではないかというふうに思います。
#163
○諫山博君 けん銃を買いたいと思って外国で売り主を探す、金は用意している。売り主が探せたらけん銃を買い取る。この段階は処罰されますか。
#164
○政府委員(関口祐弘君) そうした段階ではまだ予備というものに当たるとは解せられないというふうに思います。
#165
○諫山博君 外国でけん銃を日本に送りたい、そういう希望のもとに密輸船を捜して回る、あるいは積み荷の交渉をする、これは予備に当たりますか。
#166
○政府委員(関口祐弘君) ケース・バイ・ケースであろうと思いますけれども、密輸入する目的というものが明確であるというふうな状況等が出てくるならば、予備罪に当たるという場合もあろうかと思います。
#167
○諫山博君 暴力団の幹部が、子分に対して、おまえはけん銃を買ってこいといってまとまったお金を渡す、これは予備ですか、それとも未遂か何かになるのですか。
#168
○政府委員(関口祐弘君) 暴力団の親分子分の関係ということになりますと、正犯と申しますか、自分が買い入れて子分が全くの機械として、道具として使われるというふうな場合もあろうかと思いますし、子分をしてやらせるというふうな場合もあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、そのケースによりまして判断をしてまいりたいというふうに思います。
#169
○諫山博君 要望ですけれども、予備という新たな処罰概念が導入される。そうすると、これは非常に正確に、厳密に運用しないと、処罰すべき者が処罰されない、あるいは処罰してはならない者が処罰される、こういうことになりますから、この予備の運用というのは新しい概念であるだけに慎重に運用していただきたいということを要望します。
 次に行きます。
 資金提供罪というのが新たに設けられますね。現在でもけん銃を輸入する、あるいは輸入しようとした既遂なり未遂の場合には、その人に資金を提供すると処罰されるのじゃないでしょうか。
#170
○政府委員(関口祐弘君) そのとおりでございます。
#171
○諫山博君 今度新設される予備罪の場合には、今までは予備罪そのものがないから、資金提供をしても処罰されませんでしたね。この法律が成立すれば、予備罪に資金提供した人はどういう処罰を受けるのですか。
#172
○政府委員(関口祐弘君) 資金提供罪というものが成立をするということでございます。
#173
○諫山博君 そうすると、資金を渡された人が輸入の既遂、未遂、予備といういろいろな段階を犯し得ますけれども、輸入の未遂、輸入の既遂を犯した人に資金を提供したら、資金提供罪と未遂、既遂の幇助罪が両方成立しますか。
#174
○政府委員(関口祐弘君) 正犯での資金提供ということでございますが、それが既遂なり未遂に至ったということでありますれば、未遂、既遂の幇助ということで、そちらの犯罪が成立をするということで考えております。
#175
○諫山博君 未遂、既遂の幇助だけではなくて資金提供罪も成立するけれども、重きに従って処断するというのじゃないんですか。
#176
○政府委員(関口祐弘君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
#177
○諫山博君 次に、手数料の話です。
 現行法では、さまざまな手数料の最高額を法律で規定していますね。今度の改正案では、「実費を勘案して政令で定める額」となっています。憂慮されるのは、今までは法律で最高額が決まっていますから、べらぼうに高くなることはないと思いますけれども、今度は政令で定めますから、どうなるだろうかという心配がある。
 ただ、それについては、「実費を勘案して」ということになっているけれども、この「実費」というのは、人件費と物件費以外にありますか。
#178
○政府委員(関口祐弘君) これは人件費、物件費というものの費用のことでございます。
#179
○諫山博君 手数料が法外に上がったら困るわけですよ。
 そこで、例えば職員が何らかの仕事をする、その職員の人件費、あるいは紙などが必要だからその紙の実費というものを勘案してというわけですから、基本的にはその限度内の手数料と考えていいんでしょうか。
#180
○政府委員(関口祐弘君) そのとおりでございます。
#181
○諫山博君 これは政令で定めるとすれば、各地によってアンバランスが出てきますか。
#182
○政府委員(関口祐弘君) そうした事態は起きてこないと思います。
#183
○諫山博君 もう一つ、けん銃の予備罪はどこで行われるかというと、主として外国です。国内で予備罪を犯す場合は極めて例外で、主として外国で予備罪を犯す。外国でだれかがけん銃の輸入の予備行為をしたら、これは日本の主権の及ばないところですから、どういうふうにして検挙することになりますか。
#184
○政府委員(関口祐弘君) 捜査の段階ではICPOのルートを通じるなりあるいは外交ルートを通じるなりということで証拠収集に当たるということかと思います。それから、身柄の引き渡しということでございますけれども、外交ルートを通じまして正式に身柄引き渡しを受けるというふうなこと、あるいは相手国の各種の出入国管理法令に基づきまして退去強制をしていただきまして、我が国から捜査官を派遣して日本の空港で待ち受けて逮捕するというふうな手法があろうかと思います。
#185
○諫山博君 今度は別なことです。
 昨年の九月十一日に小金井警察署の警察官が三人連れの男ともみ合ってけん銃を二発発射しました。二人が死傷、一名は一時間後に死亡。最近、この事件は傷害致死事件で東京地検に送検されたようです。新聞報道によりますと、「巡査発砲は正当防衛」という注釈つきで送検したと書いてありますけれども、そのとおりですか。
#186
○政府委員(安藤忠夫君) ただいま御指摘のとおりでございます。
#187
○諫山博君 私は、この新聞記事を読んで幾つかの問題点を感じました。一つは、けん銃の発射が正当であったかどうかが争点になった事件です。この事件を小金井警察署が調べた。これは小金井警察署以外の、例えば検察庁に調べてもらうとか、そういう措置をとるべきではなかったのかということ。もう一つは、検察庁に送検するときに、巡査の発砲は正当防衛という意見をつけて出したことに疑問を感じました。普通送検するときに意見を書くそうですけれども、小金井警察署の意見で、小金井警察署の巡査の犯罪行為なんです。こういう場合は、もし警察官の発砲が違法だとすれば小金井警察署長は何らかの責任をとらされるということになると思います。そういう事件で、当該警察署が調べて、しかも巡査の発砲は正当防衛というような意見を書くと、いかにも身内をかばっているように聞こえますけれども、こういう事件は検察庁に調べてもらうことはできないんですか。
#188
○政府委員(國松孝次君) 警察では、どのような事件でございましょうとも、法にのっとった適切な適正な捜査を行うことに努めておるところでございまして、このことは被疑者が警察官であるか否かによっていささかも変わるものではございません。小金井警察署が捜査をし、それを送検いたしましても、捜査は適切に行われていると思いますし、またその場合に、私ども捜査機関としての意見を述べることは一向に差し支えないことだというように考えております。
#189
○諫山博君 今の説明は法律的に正確ではないと思います。警察官の職権乱用罪には付審判請求という手続があるでしょう。これは警察官の職権乱用事件では手心が加えられることがあり得るということが前提となった法手続です。
 そこで、具体的にほかの事件を聞きますけれど、福岡県弁護士会の請求による付審判請求事件がことしの三月十二日に結論が出されております。福岡高等裁判所は事件を福岡地方裁判所の審判に付す、こういう結論です。そして、警察官のけん銃発射が違法だという結論で、特別公務員暴行陵虐致死罪で福岡地方裁判所で今後審理する、こういう決定が出たことは御存じですか。
#190
○政府委員(國松孝次君) 存じております。
#191
○諫山博君 今刑事局長が、被疑者が警察官であっても公平にやりますと言われますけれども、職権乱用罪については公平にやられないことがあり得るというのが法の建前だというのは否定されますか。
#192
○政府委員(國松孝次君) 先ほど申したとおりでございまして、被疑者が警察官であれどうであれ、警察は適切な捜査をするというのが法の建前であろうと思います。ただ、付審判請求というようなものが法に定められておりますのは、そのようなことも必要であろうということでそのような制度が設けられたものというように考えております。私どもが被疑者がだれであれ捜査をすることと何ら矛盾するものではないと考えております。
#193
○諫山博君 長官にお聞きしますけれど、付審判請求という手続は全く異例ですね、検察官が起訴するという原則を外れた処理をするわけですから。その前提は、公務員の職権乱用罪については警察にしても検察官にしても不公正な処理をすることがあり得るという前提でつくられた制度だとは警察は思っておられませんか。
#194
○政府委員(國松孝次君) 付審判請求をする必要がある場合にそれを行う手続を書いておるわけでございまして、その前提として私どもが不適正な捜査をやるということが前提になっておるとは私どもは考えておりません。
#195
○諫山博君 不適正な捜査をやることが前提になっているとは言っておりません。そういうことがあり得るんだという建前でこの制度がつくられたのではないかということです。
 そこで長官にお聞きしますけれど、ほかの事件ではこういう制度はありませんね、不審判というようなことは。公務員の職権乱用罪に限ってこういうことがある。これは、刑事局長は否定されますけれども、職権乱用罪の取り調べというのは特別慎重でなければならないという前提じゃないんでしょうか。
#196
○政府委員(鈴木良一君) 付審判請求という制度の趣旨でございますが、これは私が申し上げるのはいかがかと思いますけれども、やはり一つのチェック機能として置かれたものというふうに考えております。
#197
○諫山博君 チェック機能だと思いますよ。ただ、これが公務員の職権乱用罪に限って認められている制度だということは、公務員は特に慎重に受けとめる必要があると思います、特に警察官の場合は。
 そして、福岡高等裁判所の決定を見まして、何が問題になっているかというと、例えば、被疑者である警察官が特殊警棒を持って相手方と応戦したかどうかということが争点になって、被疑者である警察官はそんなことはないと否定しているけれども、その供述は信用しがたいというのが福岡高等裁判所の結論。それから、警察官は相手方がナイフを持って突きかかってきたということからけん銃を発射したと言っているけれども、そういう事実はないというのが高等裁判所の結論です。けん銃を発射しなければ相手を逮捕することが不可能、もしくは著しく困難だと警察官は言っているけれども、そういう状況ではなかったというのが福岡高等裁判所の結論です。
 そこで、この事件の中身に深入りしようとは思いませんけれども、こういう事件を警察としては謙虚に受けとめて反省しているんでしょうか。長官の説明を聞かしてください。
#198
○政府委員(鈴木良一君) 私どもは、この福岡のケースにつきましては適正妥当なけん銃使用というふうに考えておるわけでこざいますけれども、こういう判決があるわけでございますから、この点をさらに慎重に検討したい、かように考えております。
#199
○諫山博君 一つの一般的な運用の問題ですけれども、この種の事件は警察が第一次的な捜査をすることは遠慮して、検察庁に調べさせるということはできないものでしょうか。例えば、さきの小金井警察署の事件ですけれども、小金井警察署としては何とかこれが事件にならないようにという心理が働くと思います。幾ら公平に捜査すると言ってみたところで、警察官の責任になればその責任は署長にまで及びますから、だからなるべく警察官の責任にならないようにという心理がどうしても働く。これを避けるためには、私は警察が第一次的な捜査をするよりか、検察官にやっていただくというのが望ましいし、第三者から見てもそれの方が公平に見えますけれども、そういう点は長官としては検討に値する問題とはお考えになりませんか。
#200
○政府委員(鈴木良一君) 私どもは、第一次捜査権を与えられておるわけでございますから、自分たちの身内のことに対しましても自分たちで正すべきものがあれば正すという姿勢で臨むのが至当だ、かように考えますので、従来の方針を続けてまいりたい、かように考えております。
#201
○諫山博君 けん銃発射で両方とも問題になっているんです。相手方は死亡したわけです。そして、二つの事件について警察は、警察官には責任がないという結論を出したんです。幾ら公平に捜査しますと言ってみたところで、やはり身内をかばう心理は否定できないんじゃないかというのがありますから、これは今後検討していただきたいと思いますし、今これは答弁求めません。検討だけを要望します。
 次の問題です。射撃スポーツです。
 射撃スポーツの歴史というのは非常に古いものがあるようです。一八九六年の第一回オリンピックに既に正式種目に加えられたといふうに聞いております。日本でも、第六回国体のときに競技種目に取り上げられたということが書かれています。その射撃スポーツの一つにエアピストル競技というのがあります。これは、一九八八年のソウル・オリンピックのとき以来、正式の競技になったと言われております。そして、日本人が銀メダルもらったでしょう、これ。ところが、エアピストルの所持を許可されている者は、国家公安委員会規則で非常に数が制限されている。五百人を超えない範囲の者に制限されている。推薦制度の問題もありますけれども、推薦制度の問題はきょうは触れずに、この五百人の枠の問題について考えていただきたいと思います。
 実際に許可をされた人の職業を調べてみると、五百人の中の百八十人は警察官。一般国民に許可される枠は三百二十人にすぎません。そういう状況であることは間違いないですか。
#202
○政府委員(関口祐弘君) そのとおりでございます。
#203
○諫山博君 日本ライフル射撃協会というのがあります。ここで話を聞きますと、五百人というのはいかにも枠が狭い。射撃スポーツ愛好家の要望に到底こたえられるものではない。技術の向上にもならない。推薦の枠をせめて千人ぐらいにふやしてもらいたいという要望が出されておるし、この要望は警察庁にも届いているんじゃないでしょうか。
#204
○政府委員(関口祐弘君) 御指摘の協会の方から、空気けん銃射撃の普及を図り、優秀な選手を育成したいということで、推薦枠を現行の五百人から千人に拡大してほしいという要望が私どもへ出ております。
#205
○諫山博君 五百人といっても、現実には百八十人は警察官が占めているわけです。今、射撃競技に対する要望というのは非常に強いそうです。ところが、枠がこうして絞られていたら射撃競技の人口がふえることも不可能です。今どういう状況になっているかというと、もう五百人の枠というのは満杯です。そこで、それ以上の人が推薦をされるわけですけれども、なかなか許可がおりない。そのために、新規希望者が待機しているという状況です。
 協会の調査によりますと、その待機している人の数が一九九〇年では二十四人、九一年では四十九人、この人たちは許可を得たいのです。そして、スポーツ射撃をやりたいのです。ところが、許可がおりないから競技をやれない。こうなりますと、スポーツ振興という点から見ても非常に不満が残る。待機者がこういうふうに多いことは警察庁御存じですか。
#206
○政府委員(関口祐弘君) 具体的な数字までは承知しておりませんけれども、そういう話は聞いております。
#207
○諫山博君 なぜ五百人の枠を例えば千人にふやせないんですか、日本全体でたった五百人、余りにも少ないからふやしてくれというのはいかにも道理にかなった要求だと思いますけれども、なぜこれはふやせないんですか。
#208
○政府委員(関口祐弘君) 私どもといたしましては、その競技人口の広がりと申しますか、そうしたもの、かつて四十六年から四十八年で二百五十人から五百人に枠拡大をいたしたわけでございますが、そのときも国体の種目にするというふうな事情がありましてふやしたという経緯があるようでございます。
 そうした意味で、各種競技がどの程度広がりを持っているのかというふうな問題、そしてまた、一方におきましては、ふやすことによりましての危害防止という点につきまして私どもとして判断をしなければいかぬ、そうした諸般の事情をいろいろと考えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
#209
○諫山博君 まず、危険性という問題ですけれども、協会が実験しているんです。これは警察に対する申し入れ書の中にも書かれていると思いますけれども、新聞紙を十メートル先に垂らして発射してみた。十発発射した中で、その新聞紙を突き破った例は一発もない。エアライフルの場合には完全に突き破った。だから、殺傷能力とか威力という点では非常に弱いのです。十メートル先の新聞を突き破らないというんですから。だから、危険性ということは、これは問題にならないです。
 それからもう一つは、競技人口がそれに見合うだけいるかいないかという問題ですけれども、初めから五百人という枠をはめていたら、それはみんな希望しようにも希望ができないじゃないですか。特に、新規に許可を要求すると、前からの継続者がいてなかなか許可されないという実情だそうですけれども、そうじゃないのですか。エアピストルというのはおもしろいし、格好いいから自分もやってみたいという人が新たに許可を申請しても、前にたまっているから許可がおりない仕組みじゃないですか、今。どうですか。
#210
○政府委員(関口祐弘君) 最初のエアピストルの威力ということでございますけれども、通常のエアピストルの威力というものは一般のエアライフル、空気銃に比べまして弱いということは私ども承知しているところでございますが、一方におきまして、エアピストルというものはけん銃と同様に小型でございまして、隠匿して携帯をする上で便利である、犯罪に悪用されやすい形態を有しているというふうなこともこれあるわけでございまして、一概にエアライフルに比べて危険性が少ないということは言い得ないのではなかろうかというふうに思います。
 それからまた、競技人口、希望者の実態ということでございますけれども、これにつきましてはさらに協界の皆さん方からよくその実態をお聞かせ願うということにいたしたいというふうに考えております。
#211
○諫山博君 さつきの私の発言で、新聞紙を垂らして一発も通さないというのは不正確でした。十メートル先に垂らした新聞紙を七枚しか貫通しなかったということなんです。
 それで、長官に要望ですけれども、これスポーツなんですね。しかし、けん銃とかエアライフルと全然違うんです、性能は、危険性は。そして、このスポーツ人口をふやしたいという希望が協界には非常に強いんです。今実情を調査してという答弁でしたけれども、この実情を具体的に調査して、枠を広げることができるなら協会の要望のようにやっぱり千人程度の枠をふやすということをぜひ検討してもらいたいと思いますけれども、今ここでどうしろとは私言いませんけれども、これは重要な検討課題としてお願いしたいと思います。
#212
○政府委員(鈴木良一君) よく実情を調査いたしまして検討いたしたいと思います。
#213
○諫山博君 終わります。
#214
○高井和伸君 今回の銃刀取締法の必要性についての社会的背景について検証させていただきたいと思います。
 まず、けん銃、ピストルを中心で結構でございますけれども、現に密輸入されるピストルの具体的な経路、どこの国からどんなふうに来ているというふうに当局は御認識でございましょうか。
#215
○政府委員(関口祐弘君) 過去五年間に押収されましたけん銃の、私ども仕出し国と呼んでおりますけれども、日本へ向けてけん銃を積み出された国というものを国別に見てまいりますと、フィリピンが五九・一%、それからアメリカが二〇・一%、タイが一四・七%というふうな数字になっております。
#216
○高井和伸君 要するに、違法な状況で日本国内に持ち込まれたけん銃は推定どのぐらいおありだとお考えですか。
#217
○政府委員(関口祐弘君) なかなか難しい御質問でございまして、私ども暴力団等から毎年千丁あるいはそれ以上のけん銃を押収をしているということでございますが、片や対立抗争事件等が起きますとまたまたけん銃が使われるというふうな状況でございます。そうしたところを見ますと、かなりまだ暴力団が潜在的にこうしたものを所持しているのではないか。そして、そうしたけん銃というのはほとんどが密輸ということでございますので、かなりの数のものが密輸入されているのではないかというふうなことは推測をされるわけでございますけれども、具体的にどの程度というのは私どもはかり知れないところでございます。
#218
○高井和伸君 対立抗争事件でピストルが使われる。一方では暴力団一人一丁というようなことがよく言われております。
 そこで御質問いたしたいことは、このピストルが現実的に対立抗争のときに、どのような効果をねらってどのように使われて、どういう結果をあらわしているのかという本当の社会的な力学としての具体的な現場はどんなぐあいなんでしょうか。
#219
○政府委員(國松孝次君) 対立抗争の場合、昨年度でございますが、百四十六件の対立抗争が起こりました。そのうち百十八件のものが実は銃器発砲を伴っておるというものでございます。そのメカニズムと申しますものは、ただいま委員おっしゃいましたように、一人一人がみんな持っていて、そのけん銃の威力というものが相手を制圧する、そういうことについて一番今威力がある、そういう認識を彼らは持ってきておるということであろうと思います。最近は輸入けん銃ですが、昔は改造けん銃というものがございまして、やや精度その他について問題があるものもあったわけでございますが、最近は真正けん銃の場合が非常に多くなって、現場で使われるものもそういうものが多くなっているということを見ますと、彼らはより精度の高いものを数多く持って対立抗争その他で相手を制圧し、自分の欲望を遂げるというようなそういう傾向をますます高めてきておるというように考えております。
#220
○高井和伸君 相手を制圧するという概念は、要するに相手方の生命身体を傷つけるぞ、奪うぞ、こういうことに尽きるわけですか。
#221
○政府委員(國松孝次君) それだけではないと思います。威嚇というようなものも含んでのことであろうと思いますが、やはり対立抗争をやりました場合、彼らは相手を殺してでも対立抗争に勝ちたいということでやるわけでございます。そういう場合、一番の有効な武器としてけん銃を使用するということであろうと思います。
#222
○高井和伸君 かつてはドスだとか刀の小さいやつだとか、そういう時代はあったんでしょうか。
#223
○政府委員(國松孝次君) 余りけん銃が一般的でない時代はそうであったかなというように思いますし、まあかつてはやはりそういった日本刀であるとか、そういうものによる出入りというものが多かったのじゃないかと私も考えております。
#224
○高井和伸君 これは一般的なことですが、ピストルの殺傷能力というのは、慎重に構えて腰を落ち着けて腕をぱっと突っ張って撃たないと当たらないとよく言われておりますけれども、殺傷能力的にはそんなにすごくないんじゃないかというようなイメージが片一方にあり、やっぱりピストルを突きつけられたら怖いなと、至近距離じゃ怖いけれども動いているところでは、そして離れているところではそう怖くないんじゃないか、こういうような素人的な考えに対して、暴力団はどんなふうなイメージを持っているんでしょうか。
#225
○政府委員(國松孝次君) 武器に対します恐怖感というものは、人によって、あるいは場合によっては民族によっていろいろ違ってくる場合があろうと思います。私ども一般的に聞きます場合でも、けん銃につきましての恐怖感というようなものは日本人よりもアメリカ人である方がよほど多い、そういうものでよく殺傷される事例が多いものですから、そういうものに対する恐怖感を生むというようなことになるのかもしれません。
 ただ、いずれにいたしましても、けん銃の場合には非常に小型で携帯が簡単でございます。殺傷能力も私は、これはけん銃にもよりますけれども、かなり高いというように思いますし、いわゆる飛び道具と申しますけれども、そういったものに対して最近の暴力団が大変な威力を認め、そういうものに価値を認めているという傾向は今後もますます高まってくるのではないかなというように考えております。
#226
○高井和伸君 暴力団の数は、一般的に警察庁御認識の数は何人ぐらいですか。
#227
○政府委員(國松孝次君) 平成二年末におきまして私どもが把握しておりますのは、八万八千六百人というように把握しております。
#228
○高井和伸君 八万八千六百人が一人一丁ずつ持っていたら八万八千六百丁になるというような暗算が一つできるわけでございます。先ほどはおわかりにならないということでしたけれども、具体的に年々の検挙丁数が一千丁、こんなことになりますと、ピストルというのは鋼鉄製で消耗品じゃないと思うわけですが、そこら辺の循環というのはどんなふうに一般的には行われているんでしょうか。
#229
○政府委員(関口祐弘君) どういうふうな形で暴力団なりなんなりの間で譲渡をされているかというふうな実態でございますけれども、暴力団の捜査などを通じての例で申し上げますと、このけん銃をだれから入手したんだということを尋ねますと、よく聞く話でございますけれども、死亡した暴力団の幹部なり組長の名前を出すというふうなことでございまして、そんなような状況でございまして、なかなか今先生がおっしゃられたようなお尋ねの件につきましては実態として把握がしがたい状況にあるということでございます。
#230
○高井和伸君 今度の改正では、予備罪というかなりの網の大きなものがかけられるわけでございますけれども、こういった密輸入ということをやる以上、相手方とこちら側とかなり組織的、計画的な方法で行われるのだろうと思うんですが、一般的に言ってそういった場合、暴力団というような関係で外国の暴力団、マフィアとの関係だとかそういった関係というのは、国際化時代の現在かなり進んでいるんでしょうか。
#231
○政府委員(國松孝次君) 今マフィアというお言葉をお使いになりました。結局、外国における犯罪組織というような意味で理解をいたしますと、これまでいろいろ私どもけん銃の密輸事件などを検挙はいたしておりますが、そういう組織同士の連携、日本の暴力団と外国の犯罪組織との連携による事件というものは今のところはございません。ただ、現地にいろいろな事情に詳しい仲介者などがおりまして、それを通じて密輸入などが行われるというケースが多いし、これからもそういう場合はふえていくのだろうというように考えております。
#232
○高井和伸君 輸入罪だとか資金提供罪、そういった問題の予備罪ということになりますと、先ほどのお話の中でフィリピンが日本へ入ってくる中で一番多い、五九・一%。フィリピンには日本向けのピストルの輸出を商売にしているような密造組織的なものはあるんでしょうか。
#233
○政府委員(関口祐弘君) 私ども、検挙の事例からしまして、なかなかそうした組織の解明にまでは至っていないわけでございますけれども、いわゆるフィリピンのけん銃でCRSなどということが言われますけれども、これはアメリカ製の本来のコルトなりなんなりの銃、そうしたものを模造しているというふうなものであるということは伺っております。
#234
○高井和伸君 今度の法案の中で、先ほど予備罪の具体的なお話が多々ございましたけれども、予備罪がなかったがために具体的な検挙できるような場面で検挙できずに悔しい思いをしたというような事案はあったんでしょうか。
#235
○政府委員(関口祐弘君) 現在、警視庁におきましてトカレフ型のけん銃の密輸入事件というものの捜査を鋭意進めているわけでございますが、その捜査の段階では、日本人が海外へ渡りましてけん銃を多量に買いつけているというふうな情報と申しますか、そうしたものを把握したということがあったようでございます。
 ただ、現行法におきましては、こうしたことを事実として把握いたしましても、予備罪の規定というものがないがためにみすみす彼ら被疑者、暴力団の連中の国内搬入を阻止できなかったというふうなそのような事例、これでは数千丁というふうなことを言われておりますけれども、そうした事案というものがございます。
#236
○高井和伸君 それから現実的な問題として、ピストルの輸入代金として日本から送金するというような場面において、その送金の目的がピストルの輸入代金だということが立証されるようなケースの場合、これは何罪が適用できるんでしょうか、先ほどの質問とダブるかもしれませんが。
#237
○政府委員(関口祐弘君) 送金の場面でございますけれども、これもいわば資金提供罪云々というふうな関係が一番今回の改正の絡みでは出てくるかと思いますが、そうした場面も密輸入の目的云々ということをはっきりと捜査において立証するというふうなことも必要かと思います。現行法ではそうした規定がないということで、なかなか取り締まりが十分に行われていないというのが実態かと思います。
#238
○高井和伸君 そこで、先ほどおっしゃったようにピストルに対する感覚や日常生活における距離の問題などからいって、各国の銃の所持の許可制ないしは禁止の法制のスタイルというようなことから見ますと、諸外国の例と日本の例とはどんな落差があるか、御調査しておられたのなら教えていただきたい。
#239
○政府委員(関口祐弘君) 銃の所持につきましては、概してアメリカなどではその規制が緩い、けん銃の所持の許可制すらとらずに、自由に所持できるという州も多く見られるというようでございます。それからまた、ヨーロッパでは、けん銃等も含めまして広く許可制をとっている国が多く見られるということでございます。
 これに対しまして我が国は、歴史的社会的な背景も違うわけでございまして、現行銃刀法におきまして一般的に銃砲の所持を禁止するということで、一部例外としまして猟銃なりあるいは標的射撃なりというふうな特別な用途に応じてこれを許可するというふうな制度になっているということでございます。
#240
○高井和伸君 通告はしておりませんでしたが、ちょっと私の思いつき的な質問になるんじゃないかと思いますが、けん銃の銃身、機関部体、回転弾倉またはスライド部分の輸入、所持もいけないということになっておりますけれども、これはなぜけん銃に限ったんでしょうか。猟銃なども横一線にやらなかった理由というようなことからの説明をできたらお願いします。
#241
○政府委員(関口祐弘君) けん銃初め、その他の銃の規制ということも大事でございますけれども、今回けん銃の部品に限ったということは、実態的に申しましてけん銃が犯罪に使用される事案、銃器発砲に使われる場面というのが極めて大きいということが一つの大きな背景としてございます。しかも、けん銃というものにつきましては、機関銃というふうなものに比べますと分解をした場合に非常に携帯に便利といいますか、小さくなってしまうということで、そうした意味でも今後ともこの種の輸入、所持というものが起こる可能性あり、それに対する対処ということでけん銃の部品を今回取り上げさせていただいたということでございます。
#242
○高井和伸君 最後に、今回のこういった改正は、今警察庁で検討されておられます、仮称で言いますと暴力団対策法、それとのタイアップでなされたのだろうと思いますが、そこらのタイアップ度はどんなふうに伺っておけばよろしいんでしょうか。
#243
○政府委員(鈴木良一君) 一つは、やはり暴力団の関係を資金源の形から追い込めていかなきゃいかぬというようなことで暴力団の対策立法をいろいろ検討しておるわけでございます。しかし、やはり対立抗争等に銃砲が非常に使われるということでございますから、いわば暴力団対策法と銃の規制というのは車の両輪ではないかという考え方でおります。そういうことで今度の改正をお願いし、あわせて暴力団対策法の方もぜひひとつよろしくお願い申し上げたい、かように考えておるところでございます。
#244
○高井和伸君 終わります。
#245
○委員長(野田哲君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#246
○委員長(野田哲君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、渡辺君から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺君。
#247
○渡辺四郎君 私は、ただいま可決されました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の点に留意し、その実効に遺憾なきを期すべきである。
 一、暴力団が密輸入によって大量の銃器を隠匿保有していると見込まれる現状にかんがみ、けん銃等の銃器の密輸入ルートの解明及び撲滅に全力を挙げること。
 二、暴力団による銃器発砲事件が多発し、市民社会に重大な危険と脅威を与えていることにかんがみ、銃器の不法所持事犯の検挙を徹底するとともに、暴力団の銃器使用犯罪の絶滅のため万全の措置を講ずること。
 三、新設されるけん銃等の密輸入予備罪の取締りに当たっては、対象となる予備行為の範囲が不当に拡大しないよう、適正な運用に配意すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
#248
○委員長(野田哲君) ただいま渡辺君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#249
○委員長(野田哲君) 全会一致と認めます。よって、渡辺君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、吹田国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。吹田国務大臣。
#250
○国務大臣(吹田ナ君) ただいま銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果、採決をいただきまして、ありがとうございました。
 ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして法律を運用してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。
#251
○委員長(野田哲君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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